キモ姉&キモウト小説を書こう!part21

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1名無しさん@ピンキー
ここは、キモ姉&キモウトの小説を書いて投稿するためのスレッドです。

○キモ姉&キモウトの小説やネタやプロットは大歓迎です。
愛しいお兄ちゃん又は弟くんに欲情してしまったキモ姉又はキモウトによる
尋常ではない独占欲から・・ライバルの泥棒猫を抹殺するまでの

お兄ちゃん、どいてそいつ殺せない!! とハードなネタまで・・。

主にキモ姉&キモウトの常識外の行動を扱うSSスレです。

■関連サイト

キモ姉&キモウトの小説を書こう第二保管庫@ ウィキ
http://www7.atwiki.jp/kimo-sisters/pages/1.html

キモ姉&キモウト小説まとめサイト
http://matomeya.web.fc2.com/

■前スレ
キモ姉&キモウト小説を書こう!part20
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1242318704/
2名無しさん@ピンキー:2009/06/19(金) 11:53:18 ID:lg3X43rS
■19スレ目
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1237810118/
■18スレ目
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1234811862/
■17スレ目
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1231856153/
■16スレ目
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1228375917/
■15スレ目
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1225361041/
■14スレ目
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1219681216/
■13スレ目
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1214584636/
■12スレ目
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1211102097/
■11スレ目
キモ姉&キモウト小説を書こう!Part10
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1208334060/
■10スレ目
キモ姉&キモウト小説を書こう!Part10
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1204530288/
■9スレ目
キモ姉&キモウト小説を書こう!Part9
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1202484150/
■8スレ目
キモ姉&キモウト小説を書こう!Part8
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1200062906/
■7スレ目
キモ姉&キモウト小説を書こう!Part7
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1196281702/
■6スレ目
キモ姉&キモウト小説を書こう!Part6
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1193888223/
■5スレ目
キモ姉&キモウト小説を書こう!
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1190487974/
■4スレ目
キモ姉&キモウト小説を書こう!Part4
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1187005483/
■3スレ目
キモ姉&キモウト小説を書こう!Part3
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1181762579/
■2スレ目
キモ姉&キモウト小説を書こう!Part2
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1179863962/
■初代
キモ姉&キモウト小説を書こう!
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1176013240/
3名無しさん@ピンキー:2009/06/19(金) 11:53:36 ID:lg3X43rS
■お約束
 ・sage進行でお願いします。
 ・荒らしはスルーしましょう。
  削除対象ですが、もし反応した場合削除人に「荒らしにかまっている」と判断され、
  削除されない場合があります。必ずスルーでお願いします。
 ・趣味嗜好に合わない作品は読み飛ばすようにしてください。
 ・作者さんへの意見は実になるものを。罵倒、バッシングはお門違いです。議論にならないよう、控えめに。

■投稿のお約束
 ・名前欄にはなるべく作品タイトルを。
 ・長編になる場合は見分けやすくするためトリップ使用推奨。
 ・投稿の前後には、「投稿します」「投稿終わりです」の一言をお願いします。(投稿への割り込み防止のため)
 ・苦手な人がいるかな、と思うような表現がある場合は、投稿のはじめに宣言してください。お願いします。
 ・作品はできるだけ完結させるようにしてください。

SSスレのお約束
・指摘するなら誤字脱字
・展開に口出しするな
・嫌いな作品なら見るな。飛ばせ
・荒らしはスルー!荒らしに構う人も荒らしです!!
・職人さんが投下しづらい空気はやめよう
・指摘してほしい職人さんは事前に書いてね
・過剰なクレクレは考え物
・スレは作品を評価する場ではありません
4名無しさん@ピンキー:2009/06/19(金) 11:53:57 ID:lg3X43rS
■誘導用スレ

嫉妬・三角関係・修羅場系総合SSスレ 第55章
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1241841361/
ヤンデレの小説を書こう!Part24
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1242892972/
お姉さん大好き PART6
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1216187910/
いもうと大好きスレッド! Part5
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1230646963/
5名無しさん@ピンキー:2009/06/19(金) 12:39:38 ID:ZXpy336w
>>1乙!
6名無しさん@ピンキー:2009/06/19(金) 17:23:01 ID:oZQfgjsC


いまさらだが、書こう、なんだよな
か、書かないんだからねっ
7名無しさん@ピンキー:2009/06/19(金) 17:30:57 ID:KqovhZ1Y
>>1 乙〜
8名無しさん@ピンキー:2009/06/19(金) 18:02:46 ID:RlQGOYtW
久々のハードの接待を終えた時、世界がまわっていた。
都心からの30分の私鉄沿線H駅で終電車から降りて、5分。
1Kの我が家に帰り着いたときは、日付が変わって1時間が経とうとしている時間だった。
鍵を鍵穴につっこみ、もうろうとしながらまわす。
まわらない?
逆方向にまわす。今度は扉が開かない。
もう一度まわし、扉を開ける。なぜか扉が開いた。
部屋に入り、書類の入った鞄と、うっとおしいネクタイを部屋の隅にぶんなげる。
シャツとスラックスを脱ぎ捨て、ベッドに倒れ込んだ。

むにゅ

「?」
「ああん!?」

 むにゅむにゅ

「やぁん! もっとぉ」
 暗闇の中で朦朧としながら、手を動かす。
 柔らかい肉が、指の中で自在に形を変えた。
「これは、おっぱい?」

 むにゅむにゅむにゅ
なぜか俺は真顔でむにゅむにゅと手の中の肉を弄ぶ。
「ああん、兄さん、うれしぃ」
「……つまり俺はいま、妹の真衣のおっぱいを揉んでいる、そういうわけか?」
「いいえ、兄さん。兄さんがついに私の想いを受け入れてくれて、二人は結ばれようとして居るんです」
「そんなはずはない。真衣にここの住所は教えてないし、鍵も渡していない。なにより俺は妹とSEXしない」
「そうです兄さん、私は幻。だからすきほーだいしていいんですよ?」
「……、なぜ夢に妹がでてくるのかわからないが、夢なら問題ないか。いただきます」
 俺は、美味しそうなおっぱいにかぶりつき、潤みきった熱い肉に指を差し込んで思いのまま嬲る。
「ああ、兄さん! ついに、ついに、私達は結ばれるんですね。うれしぃぃ」
 なぜか妹の姿をしている幻が、泣きながら喜んでいた。
 ……どうしてだろうと思いながら、女の股を割った。
 やっぱり幻は妹の姿で、どうしてだか、やけにリアルだった。
 アルコールぼせいか、リアルすぎる妹の幻のせいか、俺の息子は眠りこけていた。
「ふむ、立たない。おまんこでも舐めて時間稼ぎしてみるか」
「兄さんが私がお手伝いしますから……」
 そんな言葉を俺は無視して、女の股ぐらに顔をつっこむ。
 そして女の匂いに包まれながら、女性器を二三度舐める。
 だが女の匂いは、安らぎと猛烈な眠気を呼び覚まし、俺は尻を抱え、女性器に顔をつっこんだまま眠りに落ちた。


「ど、どわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」
 翌朝の惨劇は口にしたくもない。
 妹の股間に顔をつっこんで寝ていた兄と、兄の朝立ち陰茎に顔をすりつけながら寝ている妹がいただけのことだ。
 ……25歳と21歳の兄妹にはふさわしくない光景だった。

 これにより妹に決定的な弱みを握られた俺は、妹に縛られて逆レイプされることになったが、
 それはこのスレの他の職人様が語ってくれるかも知れないところなので、書かないこととする。
9名無しさん@ピンキー:2009/06/19(金) 18:06:14 ID:lg3X43rS
>>8
兄哀れ…

GJ!
10名無しさん@ピンキー:2009/06/19(金) 20:06:52 ID:6YRWUKN7
>>8
実にけしからんぞGJ

社会人妹がはやってますな
11未来のあなたへ8:2009/06/19(金) 21:06:44 ID:2T6bjFgd
投下します。
折り返し的な話。割とあっさり。
12未来のあなたへ8:2009/06/19(金) 21:07:07 ID:2T6bjFgd
未来の私(あなた)へ
それでも私は、この日々の暖かさに感謝します。
私はきっと、幸せだったから。



優香side


兄の様子がおかしい。
時期的には十日程前から、四月末頃からだろうか。拉致と合コンの直後あたりになる。
様子がおかしいというのは私から見た話で、他人から見れば変わらず生活してるようにしか見えないだろう。
早起きして眠い目を擦りながら朝練に行き、授業を受け、放課後部活に参加し、夜にひいひい言いながら授業の予習と復習をする。いつもと変わらないその繰り返し。
けれど、この道十六年の私から見て、あの兄の様子は……何かを気にしている。
漠然としすぎてるかもしれないが、そうとしか思えない。そしてどうやら、兄の気にしている対象は私のようなのだ。
ここで能天気な妄想に浸るほどインモラル歴は短くない。隠さなければいけない事柄が大量にある身として、これは非常にまずい。
例えば私の特殊な収集癖については、知られたとしたらドン引き程度では済まないだろう。救急車を呼ばれるかもしれない。
とはいえ、怪しまれるきっかけとしてはその収集癖が最も可能性が高い。つまり、兄の部屋に忍び込んでベッドから体毛を採取しているところを目撃されたのではないのかと言うことだが。
考えてみればいい。あの兄が、母のベッドから体毛を収集していたらどう思う? 私ですらも、兄に対する感情を修正しないとは言い切れない。
ともあれ、疑惑が確信に変わる前に、行動を自粛しなければいけなかった。実際、私は最近収集をほぼ停止していた。ストレスが溜まって仕方ない。
さて、そうして
GWの終わりに

「優香。母さんから貰ったチケットがあるんだけど、水族館行かないか?」

私は脊髄反射で頷いていた。
13未来のあなたへ8:2009/06/19(金) 21:07:43 ID:2T6bjFgd
健太side

妹を水族館へ誘ったことに、大した理由があったわけじゃない。
母さんから「GW中にずっと部活か家にいるだなんて。女の子でも誘って行って来なさいよ」と、父さん経由らしきチケットを渡されたからだ。
それで誘うのが妹だなんて、男としてどうかという問題はあると思うけれど。
一応補足しておくと俺にだって女子の知り合いぐらいはいる。ただし精々が友達というレベルで、休日デートに誘うような仲じゃあない。
妹を誘ったのはただの消去法でもない。最近、優香について気になることがあった。
優香の好きな奴って誰だろう。
少し前に、親友が妹に振られた。場所は優香の部屋で、断った時の理由は
『好きな人が、いるんです』
その時、たまたま早めに帰ってきていた俺はそれを聞いてしまった。優香には気付かれてないから盗み聞きになったけど、実際は聞くつもりなんてなかったんだ。
とりあえず居合わせてしまったことを親友に空しい笑いで誤魔化し、振られた柳沢を慰めて、合コンなんかに行ったりしたけれど。あれから、ずっとこびりついている疑問があった。
優香の好きな奴って誰だろう。
もちろん誰かを好きになること自体は不自然とは思わない。妹だって年頃だし、俺だって片羽先輩に恋をした。
けれど、優香が好きになった人間がどうしても思いつかないんだ。
クラスメイトなのかもしれない、部活での知人なのかもしれない、中学時代の後輩なのかもしれない。可能性はいくらでもある。
だけど優香の兄として十六年間過ごしてきた俺から見て、こいつが俺のように誰かに夢中になっている様子は全然、なかった。
俺と優香の仲は、まあ普通だ。昔は仲が悪かったが、最近になって改善してきたと思う。とはいえ、お互いに憎まれ口を叩き合って、時々出かける程度だけど。
精々そんな仲だから、恋愛相談なんて望むべくもない。いや、俺の時は優香にしたけどな。それは、俺自身が妹に対して尊敬の念を抱いているからだ。
優香は大した奴だと思う。
毎日、暇があれば予習復習か自主トレをしていて、自分を鍛えることに余念がない。連休明けにある中間テストも、優香はトップクラスの点数を叩き出すと俺は確信している。
そうして一番すごいのは、そんな自分を鼻にかけずに、だらけたりせず、毎日頑張って生きていることだ。俺なんかとは出来が違うんだと、素直に思える。
榊優香という妹は、そういう頑張りを積み重ねてできた人間なんだ。
それはとても尊い物だし、だからこそ守ってやりたいと思う。
なんでもできる優香にだって弱点はある。その一つは軽度の男性恐怖症で、モテる割に異性と適度な距離を取って付き合うのがどうにも苦手らしい。
寄せられた好意を断る時も大抵は俺が同行するぐらいで、そういう意味でも、柳沢の件は珍しいケースだったのだ。優香がある種、柳沢に敬意を払っていた証拠とも言える。
そう、優香はそもそも男が苦手なはずなのだ。それで果たして、誰か男を好きになれるものなんだろうか。
……もしかして女の子が好きだとか? いやいやいやいや、優香に限ってそんなバカな。
そんなわけで、俺は妹が好きだという相手のことが気になって仕方なかった。万が一にも百合百合しい趣味だったらどうすればいいんだろう、その手の小説でも読めばいいんだろうか。
最近はちらちらと優香の挙動を目で追うようになってしまっているけど、あいつの態度にはやっぱり異性の影なんて何処にもない。いや、だからといってお姉様?な影もない。
かっきりと規則正しい生活をしているだけだ。時々不審な目で見返されたりもした。
埒があかないし、何時までも妹の監視をする兄でなんていたくもない。そんなときに、母さんから水族館のチケットを貰い、何かのきっかけになればいいと妹を誘ったんだった。
14未来のあなたへ8:2009/06/19(金) 21:08:35 ID:2T6bjFgd

「ゆうかー、そろそろ行こっかー」
「とっくに準備はできていますよ兄さん」
次の日。特に待ち合わせするでもなく揃って家を出る。
出かける時の準備は女性の方が掛かると言うけれど、優香は早起きしてきっちり準備をすませていた。むしろ連休でだらけていた俺の方が時間ギリギリに支度したぐらいだ。
母さんが哀れな物でも見るような目をしていたけど気にしない。俺にだって女の子の友達ぐらいいるってば!
水族館は隣の町にあるので、電車とバスを使って向かう。その間、優香と他愛ない話をした。
「水族館なんて久しぶりだよなー。なにがあったっけ?」
「まあ。魚類、軟体動物、海棲哺乳類の類ではないでしょうか」
「かいせい……ああ、イルカとかか! そういえばイルカショーとかあったような気がするな。今日もやってるかなあ」
「一応連休中ですから演じていると思いますよ」
とりあえず優香の様子は普通だった。
おろした髪は背中まで届いて、うっすらと化粧もしているようだった。服装はシンプルな水色のワンピースにいつものポシェット。
誰かの影響なのか、今日は赤いリボンのついた鍔広の帽子も被っている。まるで避暑地のお嬢様のようだった。ちなみに我が家はフツーの中流家庭だ。
それなりにめかし込んではいるけれど、その態度に不自然なところはない。いつもの通り空気よりも少し冷たい、ひんやりとした態度だ。
考えてみれば当たり前で、今まで優香に接してきて全く気付かなかった俺が、今更何かの兆候を発見できるわけがなかった。
優香は恋をしているんだろうか。
15未来のあなたへ8:2009/06/19(金) 21:09:06 ID:2T6bjFgd
優香side

兄の様子がおかしかった。

「着いたなー、優香!」
「着きましたね」
「結構混んでるな」
「GWですからね」
「その……ごめん」
「何故謝るのですか?」
「だって、優香は静かな場所の方が好きじゃないか」
「別にこの場所が嫌いというわけではありませんよ」
「あ、そうか?」
「ええ」
確かに私は嗜好として騒がしい場所よりも静かな場所の方が好みだが、そもそも兄がいるならどのような場所にも喜んで行く。だからこの問いかけは無意味だ。
それよりも問題は兄が妙なほど私に気を使っていることだろう。いつもの兄なら子供のように水族館に駆けていくところだ。あからさまに態度がおかしい。
兄はTシャツの上に夏物の上着を羽織り、デニムのズボンを履いている。むき出しの上腕にはしなやかな筋肉がうねっている(贔屓目)。
彼の言う通り、水族館はそれなりに混んでいた。客層は主に家族連れで、カップルが来るような雰囲気はあまりない。あちこちの水槽に子供が張り付き、親兄弟を呼んでいる。
そんな中を、私達はゆっくりと歩いた。
「やはり中は涼しいですね」
「ん。寒くないか? 優香」
「鍛えていますからこの程度は問題ありません」
「それって無理してるってことじゃないか。俺の上着、貸そうか?」
「そうしたら今度は兄さんが寒いではないですか。物事は建設的に考えてください」
「いや、俺は男だし鍛えて……なんでもない」
兄の様子がおかしい。
本来ならば、兄はそこらの子供のように水槽に張り付いてしかるべきなのだ。子供のような純粋さを、この人は色濃く残している。
けれど今日は二人並んで順路の真ん中を歩くだけで、やっていることと言えば私に対する気遣いばかりだ。
正直、気味が悪……いや、断じて嫌悪などではない。兄に気遣われることはとても嬉しいが、正直に喜べないのが複雑なだけだ。
私は、嬉しい。兄とこうして歩くことは幸せだ。
けれど、同時に確信することもある。
今日、兄が観察しに来たのは魚ではない、私なのだと。
自らが抱いた疑惑を確認するために、私をこんなところにまで引き出したのだ。
兄が一体何を探ろうとしているのかはわからないが、少なくとも私とのデートが目的では、ないのだ。
16未来のあなたへ8:2009/06/19(金) 21:09:51 ID:2T6bjFgd

健太side

「それでも」

ふと、優香が呟いて、空気が変わったような気がした。
俺の気のせいかもしれないけれど、さっきまでのお互いに探り合うような気配から、解放されたような雰囲気。
歩いていた足を、優香が止める。気付けば小さな水槽が並んだスペースじゃなく、プールの中にガラスでホールを造ったような場所に出ていた。
「回遊魚ですね。兄さん、こういうの好きでしょう?」
「お、おおー」
ガラスの向こうには、ホールを中心にして悠々と泳ぐ魚の群がいた。中には俺と同じぐらい大きな魚もいる。あれはマグロだろうか。
思わず、水槽に張り付いた。ごうごうという水流を手の平に感じる。隣に、同じようにしている子供がいた。
後ろに付いてきた優香が穏やかな声で聞いてくる。
「兄さんはなんで回遊魚が好きなんですか?」
「んー、豪快でいいじゃんか。それにやっぱり、生き生きしてる感じがするからさ」
「生き生き、ですか……そうですね。確かに深海魚よりは、のびのびしてるんでしょうね」
ぺたりと、優香が俺の隣で同じく水槽に手を当てた。後で指紋を拭いておかないとな、と今更になって思う。
妹の背は女子にしては高めで、俺は男子にしては低めだ。だから並んで立つと、手の平一枚分ぐらいしか視線の高さは違わない。
いつもはそのことをちょっと悔しく思うけれど(まさか抜かれたりはしないよな!?)こういう時は安心する。俺よりもずっと賢くて冷静な妹だけど、きっと同じ物を見ているんだと思えるから。
……そうだ、きっと同じものを見ているはずだ。
俺は一体何を心配していたんだろう。
「そういえば、さっき入り口で言ってたけどアシカショーがあるんだよな?」
「はい。次は11時かららしいので後15分ですね」
「じゃあちょっと今から行って席取ろうぜ。んで、ショーが終わったらもう一回最初から回ろうか」
「最初からですか? 別にここに戻ってきてもいいと思いますけど」
「いや、実はあんまり最初の方の水槽とか見てなかったからさ」
ぼりぼり、と頭をかく。そういえば一つ、思い出したことがあったのだ。
前に水族館に来た時、優香は深海魚をとても珍しがっていた。俺としては、あのグロテスクな感じがあまり好きになれなかったけど、妹的には琴線に触れるものがあったらしい。
それを聞いてみると、優香はひどく意表を突かれた顔をした。あれ、もう好きじゃなかったのかな? まあ昔の話だし、優香も女の子だしなあ。
「いえ、違います。そうですね、今でも興味はありますよ」
「あ、そうなのか。えーと、グロ可愛いって奴?」
「なんですかそれは。私はああいう、周囲の厳しい環境に適応して特化した形態が好きなんです。機能に対しての興味ですよ」
「あ、そ、そうなの?」
「はい。例えば大部分の深海魚は、深海で視界を確保するために発光しますが、これは一般的な魚類には見られない機能です。まあ深海魚に限らず、遊泳能力の劣る海洋生物は何らかの特殊な機能で生存しているわけですが。そういう意味ではタコも好きですね」
途端に喋り出す優香。水槽の前にある解説プレートと、実物の器官を見比べることはイメージの補強にうんたらかんたら。
俺は蘊蓄に相槌を打ちながら、心の中で苦笑した。わざわざ自分の好きなコーナーまでスルーして、優香は気遣ってくれていたんだろうな。
誰かのことを探るだなんて、柄にもないことはするものじゃない。結局俺はまだまだ、妹よりも未熟なんだから。
大体、優香が誰かを好きになったとして、それが悪いことだなんて有り得るんだろうか。
優香だぞ?
妹は俺よりずっと頭がいいし、冷静だ。男嫌いなところはあるけれど、だからこそ恋愛には慎重だろう。あの腕っ節なら(本人は否定していたけど)大抵の男に不覚を取るとも思えない。
優香の人を見る目を、信じられるか信じられないか、それだけじゃないのか?
そうして、俺は信じられる。
それなら一体、何を心配してたんだろう。確かに優香が誰を好きなのかはさっぱりわからないけれど、それでも優香を信じられるなら問題はない。
鬱屈していた胸の天気が、急に晴れ渡った気がした。そうなれば現金なもので、アシカショーが気になって仕方なくなってくる。
「じゃあショーに行こっか、優香。早めにいけばきっといい席が取れるぞ」
「それについては一理ありますが。子供じゃないんですから、こんなところで駆け足はやめてください」
17未来のあなたへ8:2009/06/19(金) 21:10:52 ID:2T6bjFgd
優香side

アシカショーはそれなりに面白かった。
見せ物としてはテレビで視聴できるような内容で多少間延びもしたが、臭いや観客のざわめきといった臨場感はそれなりに体験の価値があったと思う。
臨場感と言えば、兄が最前列に席を取りやがったせいで水飛沫を何度か浴びる羽目にはなった。咄嗟に帽子を盾にしたので被害は最小限で済んだけれど、あまりいい気分はしない。
とはいえ、兄は水飛沫を浴びて大喜びだったし、ショーの内容にも至極満足なようだった。こういうところは全く子供っぽい人だ。
その後は約束通りに水族館を一周した。今度は私も深海魚の類をじっくり見ることができたし、やはり兄は水槽に張り付いていた。
「楽しかったなー、優香」
「そうですね」
「ショーは結構すごかったよな。ウチのミケも教えればあれくらいできるのかな」
「不可能かと」
家路を辿る。
私と兄は水族館を出てから遅い昼食を取り、それからバスと電車で戻ってきていた。時間的にはまだ余裕があるが、特に用事はないので素直に帰る。
太陽はまだ傾くには早く、妙に人気のない住宅街を私達は並んで歩いていた。もうしばらく歩けば家に着く。
じりじりと日が照っている。水族館の中は涼しかったが、今は少しだけ汗をかいていた。
「優香、今日は付き合わせて悪かったな」
「いえ、私も暇でしたから結構ですよ」
「そっか」
「……」
「……」
「兄さん」
「ん?」
「何か私に聞きたいことがあるのではないですか?」
兄は途中から、私を探ることを辞めたようだった。私と一緒にいることを、普通に楽しんでくれていた。
それはとても嬉しいことだ。
私は自分がつまらない女であると自覚している。口を開けば水を差すようなことばかりで、気の利いたことの一つも言えない。
私はいつも兄から楽しさを貰うばかりだった。ある種の寄生関係にあるのだ。
それでも兄が私といることを楽しんでくれたと言うのなら、それは兄としての贔屓目だろう。それでもいい、それでも嬉しい。
だからせめて兄に礼をしたかった。それが藪蛇だとしても、保身よりも大きなものが私の胸には満ちていた。
「えーと、別にその、たいしたことじゃないんだけどな」
「はい」
「優香は……好きな奴とか、いるのか?」
「――――」
「その、ごめん。前に柳沢に言ってたのを偶然聞いちゃってさ……」
そう……か。
そうか。
立ち止まり、向かい合う。私達の背丈は近い。目線の高さは手の平一枚分程度の差しかない。
私はその事実が気に入っていた。私の狂った感性では同じ認識など望むべくもないが、せめて同じものを見ているという錯覚に浸ることができたから。
あの時、兄がいたのか。
柳沢先輩を振ったあの日、兄は私の声を聞いていたのか。
私の声を、この人は聞いたのか。
「……はい」
「そっか」
私の首肯に、兄が息を付いた。背中に負った重い荷物をやっと降ろしたような溜息だった。
それはきっと私に隠し事をしていたという後ろめたさがあったからだろう。人が良いのだ。
よく笑って、よく泣いて、嘘が簡単に顔に出て、すぐに落ち込んで、すぐに立ち直って、人を根拠なく信じて、馬鹿で能天気で、傷つきやすくて、それから、それから……
「俺さ、優香のこと、応援するよ。俺の時も、相談に乗って貰ったしな」
「……」
「俺はまあ、ダメだったけど。優香は可愛いから、きっと上手くいくと思うぞ」
「……」
「だからさ、その……がんばれよ」
「……です」
18未来のあなたへ8:2009/06/19(金) 21:11:35 ID:2T6bjFgd

不意に、溢れた。
何かきっかけがあったわけではない。一番初めに私がこうなってから、訪れるべき瞬間がたまたま今、訪れただけだ。
物心付いてから、私の中に注ぎ込まれ続けた何かが。今、この瞬間に、とうとう一杯になった。
直感で、理解する。呼吸の可能な液体が、体の底から湧き喉元を通り過ぎたような感覚。
空気での呼吸から、液体での呼吸へと、劇的なパラダイムの転換。
私という存在が、切り替わる。
後はもう、溢れるしかない。
……いいのか?
もう……いいのだろうか?
終わる。今まで過ごしてきた日々の暖かさを一遍に失うことになる。一度失ったものは、二度とは戻らない。
何より、兄を変えてしまう。私が兄を壊してしまう。
もう二度と、この人は無邪気には笑えなくなるだろう。私の罪業を負わせて、私がずっと感謝してきたものを失わせる。
きっと一生後悔し続けるだろう。
それで、いいのか?
………………ああ、それでいい。
自問に対して、私は心静かに頷けた。
私はもう、兄から充分すぎる程に貰った。
物心付いてから、今この時まで。溢れる程に、優しさを注いで貰った。
たとえ一人で放り出されたとしても、私はきっと今までもらった優しさだけで生きていける。
ああ……頭を垂れ、赦しを請おう。
私の罪を御許しください、兄さん。


さようなら、かつての私(あなた)よ。私は確かに幸せでした。
それでも私は、この先に進みます。
たとえ地獄であったとしても、この人と共に生きて行きたいから。



「……兄さんです」
「ん?」
「兄さんです」
「え、と……何が」
「私が好きなのは」
「え……」



そうして、榊優香は、榊健太に告白した。
空高く、いずれ訪れる暑さを予感させるような日の出来事だった。




「私が好きなのは、貴方です」




空気が、停まる。
私と兄の視線が合わせられたまま、あらゆる全てが停止した。
そうして数秒か、数分か、無限に感じられる空白が経過した後。
兄がばたりと、その場に倒れた。
19未来のあなたへ8:2009/06/19(金) 21:13:20 ID:2T6bjFgd
健太side

昔の夢を見たような気がした。

目を覚ますと
朱い空を背景に、妹の顔があった。
さわさわと頭を撫でる感触。頭の下には柔らかい感触。背中の下には固い感触。
「う……」
「あ、目が覚めましたか、兄さん」
「あれ、俺……どうしたんだっけ」
ええと、今日は優香と一緒に水族館に行ったんだった。それでぐるぐる回る水槽を見て、アシカショーを見て、正直グロい深海魚を見て、昼飯を食べて、家に帰ることにして、それから……
それから、なんだっけ?
どうやら俺は、公園のベンチで寝かされているようだった。しかも妹の膝枕だ。優香はさわさわと、手持ち無沙汰に俺のつんつん頭を撫でている。
「許容量を超えた現実を認識が修正するのは彼女の専売特許というわけではないのですね」
「へ?」
「いえ、おそらく日射病かと。まだ夏ではありませんが、日差しには気をつけた方がいいですよ」
ぽふ、と帽子を顔に被らされて視界が暗くなる。って、これは優香のつば付き帽子じゃないか。
慌てて振り払い、ついでに体を起こした。いつまでも妹の膝枕でなんていられない。というか
「なんで膝枕なんだ?」
「特に、意味は、ありま、せん」
「そ、そうか」
あまりにも力強く断言されて、すごすごと引き下がるしかなくなる。
というか、その。何か怒っているのか……? それも、実はものすごく怒ってないか?
と思ったけれど、そういえば青かった空がもう夕方だ。帰る途中にこんな公園で何時間も足止めを食えば、それは腹も立つだろう。
感謝しないといけないな……
俺は優香を刺激しないように曖昧な笑みを浮かべて、そのことについて頭を下げた。
「その、ごめんな、優香」
「何がっ!?」
そうしたら、何故かめちゃくちゃ怒られた。
20未来のあなたへ8:2009/06/19(金) 21:13:59 ID:2T6bjFgd

それから
普通に帰って、父さんと母さんにただいまと挨拶をして、少し部屋でごろごろしてから夕食になった。
その時に母さんから哀れむような眼で「妹とデートはどうだったの?」と聞かれたのでムキになって「楽しかったよ!」と返したりもした。
父さんと妹は例によって落ち着いたもので、特殊な魚の生態について小難しい話をしていた。まあ私見の交換といった感じで。
そんな風にして、普通に夕食は終わった。
その後はいつも通り部屋でうーうー唸りながら予習復習をして、一時間ぐらい腕立て伏せやストレッチをしてからお風呂に入る。
歩き疲れた分いつもよりも長風呂になったので、暑さも含めてふらふらと自分の部屋に戻る途中、優香とすれ違う。
「お風呂空いたぞー」
「はい。兄さん」
そのまま通り過ぎるのかと思ったら、呼び止められる。
優香は部屋から出てきたところで、もうタオルやパジャマを持っていた。運動していたんだろう、タンクトップから出た素肌にはうっすらと汗が浮いている。
な、なんか色っぽいな、とドギマギしていると。優香がゆっくりと口を開いた。
「兄さん、私は、ずっと待っていますから」
「……?」
静かにそれだけ口にして優香は一階に下りていく。何度かひどく、凪いだ目をしていた。
釈然としない感情を抱えながら、自分の部屋に入ってベッドに転がる。
たちまち襲ってくる眠気に、今何時だと壁時計を確認する。九時だ。子供じゃあるまいし、寝るのには早すぎじゃないか。
まあいいか、とあくびをして、俺は瞼を閉じた。
ぼんやりとした感覚の中でうつらうつらとしながら、今日の出来事を思い返す。
優香と一緒に水族館に行って、水槽に張り付いて、アシカショーを観て、いろんな魚の解説を聞いて、昼飯は近くの食堂で食べて、それから、それから……

『私が好きなのは、貴方です』

思い出した。

「…………っ!」

「…………」

「…………どう、しよう」

その日は結局、ただの一睡もできなかった。
21未来のあなたへ8:2009/06/19(金) 21:17:38 ID:2T6bjFgd
以上です。
しばらくまじめな話が続く予定です。
22名無しさん@ピンキー:2009/06/19(金) 21:21:34 ID:J4s4a1EK
大転換期GJ!

ついに優香が後戻りできない一歩を……
23名無しさん@ピンキー:2009/06/19(金) 21:23:25 ID:ZXpy336w
うっひょおおおお!

GJGJGJです職人!
24名無しさん@ピンキー:2009/06/19(金) 21:27:33 ID:X2fta+oP
いまはもうコレしか言えんな
キタ━━━( ´∀`)・ω・) ゚Д゚)゚∀゚)・∀・) ̄ー ̄)´_ゝ`)−_)゚∋゚)´Д`)゚ー゚)━━━!!!! 
25名無しさん@ピンキー:2009/06/19(金) 21:51:18 ID:lj9NhGxh
おおう!
唐突だが素敵なタイミングの告白だ!
26名無しさん@ピンキー:2009/06/19(金) 21:51:31 ID:7WFiXvhU
>>21
来た、ついにこの瞬間が来たぞGJ!
ここまでの伏線が全て絡み合い、ついにエンドへの道が開かれるのか……
それにしても健太、普段は水族館ではしゃぐって……子供かいっ!?

次回からの真面目な展開、楽しみにしています。
27名無しさん@ピンキー:2009/06/19(金) 23:02:11 ID:G/pSaCWs
GJだ!素晴らしいじゃないか。覚悟を決めて一線を踏み越えようとするキモウトに幸あれ!

…さて、明日は水族館に行ってこようかな。キモウトが数人くらい転がってそうだし
28名無しさん@ピンキー:2009/06/19(金) 23:13:49 ID:jjW/WGB8
あああ〜〜続きが気になるっっ!!

出だしの一言から気になって仕方が無い。
とうとう告白まで行ったか〜。

優香が幸せになりますように・・・。
作者様GJです。
29名無しさん@ピンキー:2009/06/19(金) 23:18:27 ID:lg3X43rS
キタキタキタキタ!!ターニングポイントキタ―――(゚∀゚)―――!!!!
このまま素直にハッピーエンドとはならないでしょう、多分。
次回からの展開が物凄い楽しみです!!
30名無しさん@ピンキー:2009/06/20(土) 00:02:17 ID:qwPEBX/I
おお!新スレでいきなり来た!

GJです!

これからの展開、執筆は大変でしょうが、ゆっくりと待っています
31名無しさん@ピンキー:2009/06/20(土) 00:16:21 ID:wVFEQcPT
非常に面白かったです!
ついに来るべき時が来てしまったか。先が非常に気になります。

ところで健太が妙にかわいいですねw
32名無しさん@ピンキー:2009/06/20(土) 02:02:16 ID:x3XOv8hY
GJすぎて胸部の筋肉あたりがムズムズするんだが…

33名無しさん@ピンキー:2009/06/20(土) 02:56:36 ID:7pSao2wZ
GJです!続き楽しみにしています!

ENDにも期待
34名無しさん@ピンキー:2009/06/20(土) 03:01:30 ID:p0C/qvDn
GJすぎて内蔵が痛い…
35 ◆Hx2CWeG5HI :2009/06/20(土) 06:28:04 ID:oR9Vsbfe
おはようございます
素晴らしい作品の後だと大変気後れしますが、投下します

短編です
タイトルは『受け入れたら負けかなと(姉的に考えて)』
鬱注意
36(1/3) ◆Hx2CWeG5HI :2009/06/20(土) 06:29:50 ID:oR9Vsbfe
んぅーっ!
やっぱりりょうちゃんのお布団は良く眠れるわね。
ってもうお昼じゃないの!
りょうちゃん起こしてくれればよかったのに…
いや、これは愛しの姉上を気遣ってわざと起こさなかったのよ!
昨日はあんなにがんばったからね…ウヒヒ!
さて…とりあえず朝ごはんを食べましょうか。
…でもこの時間だともうお昼ごはんかな?

冷蔵庫を漁る。
お、白米発見。目玉焼きも発見。
今日のお昼ごはんはこれですか。
ママが作っておいてくれたのかな?
フヒ…感謝感謝♪
朝早くからご飯作ってお仕事に行ってホントお疲れ様です。

うーん…暇ねえ…
りょうちゃん自動車学校に行っちゃってるし…
私免許取ってるから行きたいとこ連れてってあげられるのに…
いや、きっとりょうちゃん私とラブホにドライブインしたいのよ!
もしくはちょっと過激にカーセックス…
もう…りょうちゃんったらえっちなんだから!
私がお世話してあげないとほんとダメなんだから…♪
とりあえずお世話の一過としてお部屋のお掃除をしてあげましょうか。

さて!何かいいもの出てくるかな!
ゴミ箱は…夢が詰まった箱はとりあえず後のお楽しみということで…
軽くお部屋の埃を落としてあげますか。

…ない。
ない!
ないないないないなああああああい!!!
なんで下のおけけが一本も落ちてないのよぉ!!
もしや…りょうちゃん私がおけけを食べてるのに気付いて…処分したとでもいうの!?
もったいない!!実にもったいない!!
姉に対する反逆だ!けしからん!!
罰として…帰ってきたら下のおけけ全部剃っちゃいましょうか。
そして目の前で美味しく食べちゃうのよ…イヒヒ!
きっとりょうちゃん泣いちゃうだろうな…♪
あー!もうそれ想像しただけで一日終わっちゃいそうだよお!
駄目、おけけのことはこれでおしまい!
お掃除に集中するの!

ふう、埃も全然集まらなかったわね…
あの子存外に綺麗好きなのね。
というより私が毎日お掃除しているせいか。
さて…あとは埃を掃除機で吸い込んで、と…
…待て。この埃はりょうちゃんの部屋から出たんだよな。
それ即ち…りょうちゃんの気化した汗を吸収しているかもしれないということよ!!
やっべー!食いてー!!
りょうちゃんの身体から出たものなんだよ!りょうちゃんと一つになれるんだよ!!
こんなの我慢できるわけないよね!?
よーしお姉ちゃん食べちゃうぞー!って…
これ食べたら…私でも流石に身体壊すかもしれないよね…?
ああ…でもりょうちゃんを食べて身体を壊されるなら…イイ!!
でも夕方にはりょうちゃん帰ってくるよね。
だったら…本人を直接頂いた方が…
…ごめんね…ありがとう…そしてさようなら!りょうちゃんの分身!!
あなたは掃除機の中で安らかに成仏して!!
37(2/3) ◆Hx2CWeG5HI :2009/06/20(土) 06:31:19 ID:oR9Vsbfe
さて…埃タンはちゃんと処理したし…
お次はお楽しみのゴミ箱よね!
さーて何がでるかなー♪
せーし付きてぃしゅー来ーい!
…ない。
一個もない。
…というか何これ。手紙?
クシャクシャで全然読めないよ…
ひょっとして…私宛に恋文を書いてみたのかしら!?
ちょっと失敗しちゃったから捨てたのね…
ふふふ、りょうちゃんったら照れ屋さんなんだから♪
しわくちゃを手で伸ばして…机の上に置く!!
ふっふっふ…これをネタにりょうちゃんからたっぷり絞り取っちゃおうかしら♪
覚悟してなさい!りょうちゃん!!

お掃除も終わったし…シャワー浴びとこ。
綺麗にしとかないとりょうちゃんに嫌われちゃうかもしれないからね。
まあ…りょうちゃんがその程度で嫌うような器じゃないことは私がよーく知ってるけどね♪

さて…身体もお部屋も綺麗にしたし…
どうしようかな?
やることがない…
仕方ない、もう一回寝ようかな。
そーれ、りょうちゃんのベッドにダイビングだ!
…いたい。鼻打った。
もうやだ。
りょうちゃん慰めて。
りょうちゃんの布団に包まると、りょうちゃんに抱きしめられているような気がした。
はぅぅ…りょうちゃん…
無意識のうちに股間へと手が伸びる。
…いけない!
夜のためにエロスは残しておくのよ!
今やって疲れちゃったら…
疲れたまま本番に望むなんて本末転倒よ!!
ちゃんと万全の状態にしておくのよ!
それが奥さんの務め!
キャッ奥さんって言っちゃった♪
とにかくここは我慢よ!!

…でも、一回くらいはいいよね?

―――数時間後―――

……

らめぇ…りょうちゃん出すときは中っていったでしょ…ばかぁ…

はっ!夢か…
折角盛り上がっていたというのに…また寝るか?
…そういう訳にもいかないか。もう夜だ。
今日一日で何時間寝たんだ私…ま、いっか。
夜頑張るために寝溜めしたと思えば。
とりあえずリビング行こ。
誰かいるかな?
38(3/3) ◆Hx2CWeG5HI :2009/06/20(土) 06:32:26 ID:oR9Vsbfe
…あ、ママだ。
お帰り。
「…ただいま。もうご飯は出来ているから食べなさい。私はもう済ませたわ」
え、そう?じゃあ…ってあれ?
りょうちゃんは?
もう帰っていてもおかしくないでしょ?
「…天音ちゃん。良君はもう…」


……はは。
何言ってるのママ?
そんなわけないよね。
ママったら冗談が下手なんだから。
そういうとこ私嫌いだよ。
…そうか、全部あの女がいけないんだ。
アイツが私のりょうちゃんに付きまとうからりょうちゃんが困っちゃうんだ。
りょうちゃん。
りょうちゃんりょうちゃんりょうちゃん。

りょうちゃんの部屋に駆け込む。
嘘だうそだうそだ…
女狐が…アイツさえいなければあああぁあ!!
ふと机の上に置いてあった手紙が目に付いた。
手に取りよく見たら…遺書と書いてあるように見えなくもなかった。
遺書を握りつぶし、ゴミ箱に放り込む。
どいつもこいつも私を騙しやがって…早くりょうちゃん帰ってきてよ…
クソッいらいらする…!
そうだ…布団に包まればりょうちゃんを感じられるはず!
勢いよくベッドに飛び込む。
布団に包まると、りょうちゃんに抱かれているような気がした。
いや…私はりょうちゃんに抱かれているんだ。
そうだ、りょうちゃんはここにいるんだ。
ならいいじゃないか。
これは悪い夢だ。
そうだ、そうに違いない。
夢なら…覚めてしまえば、全て元通り…


――――


天音ちゃん…
あの日からもう1年も経つのに…何も変われないのね…
良君と身体を重ねて…それを苦に自殺してしまった日から…
あの日良君が死んで…良君の彼女も後を追う様に自殺して…そして天音ちゃんも死んでしまった。
心が。
それ以来…ずっと良君の部屋に篭り続けている。
起きて、ご飯を食べて、お掃除して、体を洗って、お昼寝して…そして晩御飯の時に良君が死んだことに気付いて…
良君の部屋に逃げて…全てを忘れて眠る。
あの日から、ずっとそれを繰り返している…
天音ちゃん…もうやめようよ…
このままじゃ…良君だって天国で泣いているよ…
お願い…前を見て…
良君は死んだって受け入れて…
私だって寂しいの…
もう家族は天音ちゃんしかいないのに…
私…耐え切れないよぉ…
あなた…良君…
誰か助けてよぉ…っ!
39 ◆Hx2CWeG5HI :2009/06/20(土) 06:32:50 ID:oR9Vsbfe
以上投下終了

新スレ早々暗い話失礼しました
40名無しさん@ピンキー:2009/06/20(土) 06:50:34 ID:xRhN0OHL
>>39
朝からなんつーモンをGJ。
喪失&無限ループは切なすぎる……
41名無しさん@ピンキー:2009/06/20(土) 08:02:56 ID:367E9ov/
>>39
せ、切ねぇ…
人が死ぬのって本当に苦しいんだよなぁ…残された者は特に
GJっした!!
4221歳のキモウト〜メイド変〜:2009/06/20(土) 23:00:24 ID:367E9ov/
「ただいま」
「おかえりなさいませご主人様。お食事になさいますか?湯浴みになさいますか?それとも夜伽になさいますか?」
玄関を開けたらメイドがいた。冥土でなくてメイドだ。辞典には『メード』で登録されているので、本来は『メード』と発音すべきなのだろうが、ここ日本では『メイド』の方が通りがいいだろう。
失礼、少々混乱しているらしい。
「…その前に聞かせてくれ。そのふざけた格好は一体何のつもりだ?」
「知り合いの女性教諭の方が、「男を落とすにはメイド服で迫るのが一番だ」と仰っていましたので」
「…今度その反面教育者に会ったら、「メイドの語源を調べて、レポートとして提出」させろ」
「かしこまりました」
先に答えを言ってしまうと、メイドの語源は『Maiden』、つまり『処女』や『未婚の少女』と言う意味であり、『主に穢れなき忠誠を尽くす』、または『意中の男性に愛を尽くす』という意味から来ているのだ(一説だが)。
「というか、そろそろその妙な言葉遣いは止めてくれないか?」
「いけませんか?」
「虫唾が走る」
現に、先程から体中のあちこちが痒くて仕方ない。
「何よそれ!ひっど〜い!折角兄さんの疲れを癒してあげようと思ってたのに!」
「お前のキャラに合ってないぞ」
「うっ!痛い所を…」
「やはり自覚はあったのだな」
「だって〜、「メイドさんの喋り方はこうよ!」って、教諭が言うんだもん…」
…教諭殿。貴女は舞のキャラを理解しておられなかったのですか?それとも、理解したうえで、あんなことをさせていたのですか?
「何か含み笑いしてたけど」
後者だったらしい。
さて、それはそれとして、この『知能指数と勉強の出来は、必ずしも比例するわけではない』を体現している妹に、兄としてこれだけは言っておかねば。
「舞よ。お前は生粋のメイドでもなければ、メイドとしての教育を受けたわけでもあるまい」
「そりゃそうだけど…」
「お前はお前だ。他の何かになれはしない。また、なる必要もない。お前は、お前らしくしているのが一番似合うと、この不肖の兄は思うぞ」
「兄さん…」
まあぶっちゃけ、「似合わないことはするな。見てる周りがイタイから」ということだが。
「さて、この話はここまでだ。食事にしようと思うんだが、舞は晩飯は食べたか?」
「え?ううん、まだ」
「じゃあ一緒に食べよう。出来合いで悪いが、安かったので買ってきた」
「うん。いただきま〜す!」
「いただきます」
あ〜んや口移しで食べさせようとするメイド(似非)に辟易しながらも、この日の食事はことのほか穏やかに終わった。
…舞がこの一言を吐くまでは。
「兄さん、私メイドになる!兄さん専用のメイドになるの!そして兄さんにご奉仕するの!そりゃもうおはようのキスから、お風呂の全身マッサージから、添い寝や子作りまで色々と!」
「ちょっと待て。特に最後」
「さあ兄さん!いえご主人様!子作りしましょう!一日十回、いえ百回でもOKです!むしろ望むところです!あなたの子供なら何人だって生みます!あなたのためなら何だってします!
さあ!さあ!さあ!さあ!ハリー!ハリー!ハリー!ハリー!」

「だ が 断 る!」

メイドになりたいのなら止める気は毛頭無いが、俺を性的な目で見るのは止めろ。
「無理!」
「言い切った!?」

この後、俺を襲おうとする舞を説得することは出来たものの、週末のデートを約束させられてしまった。
俺、何か間違った事言ったか?
43名無しさん@ピンキー:2009/06/20(土) 23:36:10 ID:nTf3wP+w
……規制でしょうか?
44名無しさん@ピンキー:2009/06/21(日) 02:07:34 ID:ZGYpT7g1
>42は小ネタなのか?
45名無しさん@ピンキー:2009/06/21(日) 04:13:07 ID:yav/e8bU
>>42

よくやった!GJ
46名無しさん@ピンキー:2009/06/21(日) 04:15:27 ID:Rn5GS2tR
>>42
GJっす!
やはり続きものになったんですね。頑張ってください。
47名無しさん@ピンキー:2009/06/21(日) 06:36:42 ID:Cqnz4QVF
>>42
GJです!
まさかメイドでくるとは…
次は一体何がくるか想像がつかねえw
48名無しさん@ピンキー:2009/06/21(日) 08:33:44 ID:LOaorww8
>>42
21歳ネタを使うなら21歳の年齢らしさを出してほしいな。年齢があんまり関係なくなってる。
21歳ってのはな、微妙な年齢なんだよ。成人だが成熟してないという不完全な可能性なんだ。
専門卒なら就職一年目、大学なら三年生で社会を知らない。かと言って世間知らずではない。
子供じみた行動、大人びた行動、未熟さと成長を見せ、21歳“らしい部分”を描いてほしい。
なんにせよ良い仕事だ! 次の作品に期待している。
49 ◆DqcSfilCKg :2009/06/21(日) 10:03:02 ID:m6b9PdQb
また片目キモ姉を投下します。
タイトルは「負い目4」。使用レスは3レス。
よろしくお願いします。
50負い目4(1/3) ◆DqcSfilCKg :2009/06/21(日) 10:03:55 ID:m6b9PdQb
姉さんの股間に手を伸ばし、丁寧に尿を拭き取る。見えないはずの姉さんの左目はけして僕から逸れることは無い。
僅かに狭い室内に熱がこもり、股間に置いている指先に粘り気を覚えたところで手を離す。
けれど、手首を掴む姉さんによってそれは出来なかった。
もう少し、ね? 良いでしょ? ね?
ぐいぐいと押しつける腕の力は男の僕からしても強い。
頭上からの声に逆らうことなく、行為は姉さんがイくまで続けられた。
ごめんね、しゅーくん。こんなお姉ちゃんで。
頬を紅潮させ、息を荒げる姉さんは満足げな笑みを浮かべている。僕は一度だけ頷いた。

「待って。しゅーくん」
翌日、学校に出かける直前に姉さんから呼び止められる。
姉さんも大学に行く準備の途中だったのか、片足だけはいた靴下が妙におかしかった。
姉さんも分かっていたのか、少しだけ口を尖らせると僕にあるものを差し出してきた。
最近、気になっていた映画のチケットが二枚。
「友達から貰ったの。しゅーくん、こういうの好きでしょ?」
「うん。観たいと思ってた。いつもありがとう、姉さん」
「うん。言っておくね。お友達でも誘ったら?」
映画のチケットを受け取り、もう満面の笑みを浮かべている姉さんに見送られながら家を出る。
登校中、図らずもチケットの手に入った喜びと、誰を誘おうかという思いがグルグルと、姉さんを中心にグルグルと回っていた。

男友達を誘ってみたものの全滅という結果には参った。
元から映画に誘うだけの友達が少ない上に、あまりにもマイナーな映画というのもいけなかった。
映画という単語には食いついてきてくれるけれど、すぐに誘ってきたのが僕だと思い直し、映画の題名を聞いてやっぱりという顔をする。
おまけに違うのを観ようとか言い出す奴もいる始末で、どうやら今回も姉さんを誘うことになりそうだった。
とりあえず、あと一人誘ってみて駄目だったら諦めよう。放課後、机で一人残っていた彼女に話しかけた。
51負い目4(2/3) ◆DqcSfilCKg :2009/06/21(日) 10:04:29 ID:m6b9PdQb
「ええ、良いわよ」
意外にも宇津木さんは快くOKしてくれた。
もう殆ど駄目もとだった分、驚きというか、誘っておいて目を丸くする僕に彼女は「意外?」と小さく首をかしげた。
いやその、と言葉を探す僕に「その映画は確かに分からないけど」と宇津木さんは続ける。
「知らないのって、好きじゃないのよ。何でもってわけじゃないけど」
「そうなんだ」
「興味のあるものなら何でも知りたいと思わない?」
机の脇から鞄を出すと、なんでもない風に教科書類を器用に鞄に詰め込んでいく。
こういうのこそ物珍しい目で見ていけないと戒めるように首を振ると、宇津木さんは可笑しそうに目を細めていた。
校舎を出ると、真っ赤に照らす夕日が眩しかった。
すっかり日も長くなったけれど、それでも建物の陰には夜の気配が降りている。
映画を見終わった頃にはもう真っ暗だろうな、と考えていると今朝ぶりの声がこちらにかけられた。
「しゅーくん。遅かったんだね」

校門の脇からひょい、と顔を出した姉さん。
宇津木さんへの挨拶もそこそこに、姉さんは僕の左手に手を伸ばす。
両手で包み込むと「それじゃ行こっか」と、僕を中心に宇津木さんとは反対側に回り込んだ。
校庭ではまだ部活動を行っているところもあるけれど、そんなことを気にする風でもなくぐいぐいと先に行こうと腕を引っ張る。
普段ならそのまま引きずられるのだけれど、踏ん張る僕にくるりと、器用に首だけを回した姉さんがこちらを見た。
どうしたの? という瞳。
「待って貰って悪いんだけど、宇津木さんと行くから。映画」
にっこりと口角を吊り上げた顔のまま、姉さんは僕の顔を見つめている。「ごめん」と、頭を小さく下げてもその顔のまま。
一時停止のボタンでも押されているのでは、なんてくだらないことを考え始めたところで姉さんは一言、「そう」と呟いた。
「あんまり遅くならないようにね」
僕の腕から離れる頃にはもういつもの姉さんに戻っていて、少し困ったように眉を下げる笑顔も夕焼けに照らされ綺麗だった。
宇津木さんに促がされて背を向けるまで、姉さんはそのままの笑顔だった。
52負い目4(3/3) ◆DqcSfilCKg :2009/06/21(日) 10:05:30 ID:m6b9PdQb
結局、映画よりも先ほどの姉さんのこと、隣にいる宇津木さんのことを意識してしまってあまり楽しめなかった。
よくよく考えれば姉さん以外の女の子と映画を観るなんて初めてで、映画館を出た帰り道に宇津木さんから「デート、初めて?」と言われる始末。
おまけに一緒に観た映画があんな感じだから、デートとしてはとても褒められたものではないだろう。
宇津木さんを家まで送り、彼女が家に入る直前、「また誘ってね」と言われたのがせめてもの救いだった。

自宅に戻ると、既に夕食を作り終えた姉さんが待っていた。
帰り道の最中、ファーストフードで軽く食べてきたのだけれど、放課後のことがあるだけに断るのもどうかと思う。
席に着くと、まだエプロンを着けたままの姉さんがテーブルを挟んで向かいの席に着いた。
このまま食べるのかな、と思っていると姉さんは二枚、今日観てきた映画と同じチケットを差し出してくる。
流石に頭が追いつかないでいると、姉さんは校門での別れ際の笑顔のまま、続けた。
「またチケット余っちゃったんだって。受け取ってくれる人がいなくて。悪いけどまた行ってくれる? 他の人にも譲っちゃっても良いから」
姉さんは笑ったまま。
むしろ、あの時は照りつける夕日でよく見えなかった笑顔、濁りのある瞳がそのまま僕にぶつかってくる。
チケットを取ろうと手を伸ばし、その手ごと姉さんに掴まれる。
ほどなくして、僕は姉さんを映画に誘った。
53 ◆DqcSfilCKg :2009/06/21(日) 10:06:22 ID:m6b9PdQb
以上で投下終了です。
次回もよろしくお願いします。
54名無しさん@ピンキー:2009/06/21(日) 10:29:25 ID:H1tEZE4M
>>53
お久しぶりです&GJ!
相変わらず姉さんの罪悪感縛りが半端ないなさ……
けれどなんか、他の女にチケット使われたのを知った後、姉さんが少し拗ねていたみたいで、微笑ましかった。

次回、またゆるゆると投下をおまちしています。
55名無しさん@ピンキー:2009/06/21(日) 13:30:32 ID:yr6CL/UQ
GJ!なのだ
56名無しさん@ピンキー:2009/06/21(日) 13:34:33 ID:IikZPL0w
>>53
乙です。
よりによってチケットを同性の友人でなく女に使うとは…
次回、姉がどんな行動をとるか楽しみです。
57名無しさん@ピンキー:2009/06/21(日) 13:56:57 ID:Qw/n5pfE
>>53
姉さんかわいい。
58名無しさん@ピンキー:2009/06/21(日) 20:26:11 ID:7MH1XWqr
GJですたッ
気になって前スレで過去作を漁ってきたら、2で姉さんが弟に読ませる絵本がヘンゼルとグレーテルで吹いたw
キモ姉妹推薦図書ですか……さすが姉さん、じわじわ来るキモさだぜ
しかし宇都木さんも地味に強キャラでいいなあ。
59名無しさん@ピンキー:2009/06/21(日) 21:26:53 ID:1sA799B/
GJ
続きが楽しみだ
60 ◆6AvI.Mne7c :2009/06/21(日) 21:31:59 ID:H1tEZE4M
残念ながら、キモ姉妹から逃げる弟や兄にとって、ここは行き止まりの地平線――
中の人は某幻想楽団の曲が大好きなので、時々ネタに盛り込みます。あしからず。
 
久々に里帰りしてメールが使えたので、長くなった短編を携帯送信して投下。
タイトルは「ひとりじめ!」。兄妹もので大体26KBくらい。
兄も妹も一応社会人なのに、ちっとも設定が生かせてないなあ。

次レスより投下。10レスほど借ります。投下終了宣言あり。
61ひとりじめ! (01/10) ◆6AvI.Mne7c :2009/06/21(日) 21:36:10 ID:H1tEZE4M
 
「さあ着いたよ。ここが僕の住んでいる部屋だ」
「へえ〜。意外と駅から近くて、商店街も近い、良いお部屋ですねっ♪
 でも本当にいいんですか先輩? 先輩のおうちにお邪魔したりして?」
「大丈夫だよ。僕は今1人暮らしだから、何も気兼ねしないでくれれば」
「……わかりました。それでは先輩自慢の紅茶、ご馳走になりますね?」
 そう言って、柔らかい笑顔を向けてくれる、後輩の女の子。
 それに対して僕も、無難かつ精一杯の笑顔を返してみせた。
 ここまでの道のり、本当に本当に大変だった。
 
 この日のために、僕はこの1カ月間必死で、いろいろ準備してきた。
 この後輩の気を引くために、裏で彼女の趣味や好みなどの情報を集めた。
 それらを理解し練習して、彼女の趣味と対等に渡り合える技能を習得した。
 そうしてうまく話題を合わせながら、今夜ようやく彼女を自宅に招いたのだ。
 
 独り身男が必死だな、などということなかれ。
 そりゃあ今まで、僕は1人も恋人がいなかったさコンチクショウ。
 だからこそ、この後輩に惚れこんで、初彼女になってもらうんだ。
 
 彼女は僕の好みにどストライクで、それでいて優しくて性格もいい。
 だからぜひ恋人になって欲しい一心で、ひたすら紅茶に詳しくなった。
 むしろ今、僕の趣味のひとつに、紅茶の嗜みが加わっているほどだし。
 さっきも言ったけれど、全ては今日の日の告白のために。
 
 これまで彼女に様々なアプローチを繰り返して、それとなくアピールはしてきた。
 さっきの受け答えの雰囲気からも、悪い印象は持たれていないハズだ。
 部屋の中でいいムードを作って、それから告白して恋人になってもらうんだ!
 
 そう意気込みつつ、緊張しながら部屋の鍵を――開けようとして、
「あ、あれ? 鍵が開いてる……? 閉め忘れたっけ? それとも泥棒?」
「歌声? せ、先輩……、家の中に、誰かがいるんじゃないですか?」
 後輩の発言に嫌な予感がするままに、玄関を抜けて台所に向かうと―― 
 
 
「あ、おかえりなさい♪ ず〜っと待ってたんだよ?
 今日はあなたのために、何時間も前からずっと、準備して待ってたの♪
 うふふ♪ やっぱり仕事帰りのあなたも、とてもかっこいいわね?」
 
 そんな甘ったるい科白が、油で調理する音と一緒に聞こえてきた。
 その現実に、家主の僕も、後ろにいる後輩も、完全に固まってしまった。
 
「……あらお客様? それも女の人? でもそんなことはどうでもいいわ♪
 そんなことで私たちの絆が綻ぶことなんて、あるわけがないんですもの♪
 じゃあ、ご飯にする? お風呂にする? そ・れ・と・も……私かなっ♪」
 
 そこにはなぜか、スーツの上からエプロンをつけた謎の女――
 というか僕の妹が、ものすごくにこやかな笑顔で立っていた。
62ひとりじめ! (02/10) ◆6AvI.Mne7c :2009/06/21(日) 21:41:06 ID:H1tEZE4M
 
「僕はこれでも、職場では温厚で通っているし、人を叱るのも好きじゃない。
 ましてやその相手が自分の妹とあれば、それはなおさらというものだしな。
 けれど、ここで僕はあくまでも、おまえの兄としておまえを叱ろうと思う。
 だから、そのニヤニヤした表情をやめて、もう少し真剣に僕を見ろ……!」
 
 最後はつい語気を荒げながら、僕は目の前に正座する早苗(さなえ)を叱る。
 本当なら怒りのままに、もう少し派手に暴れたいけれど、さすがに自重する。
 さすがに年下の妹に説教するために、いちいち大声をあげるようじゃダメだ。
 
「やだなぁ兄貴ってば、実の妹に向かって『真剣に僕を見ろ』だなんて♪
 そんなこと真顔で言われたら、年頃の女性はイチコロになっちゃうじゃない♪
 実の妹を口説いて、どうするつ・も・り? な〜んちゃってぇっ♪」
「ちゃかさないでくれ! ちっとも反省してないなおまえは……!
 まったくもう。来週会社で、あの娘にどんな顔すればいいんだよ……!」
「さあ。まあ兄貴のことだし、何日かすれば勝手に向こうが諦めてくれるって。
 でもセーフだったね。今日私が来てなかったら、兄貴が喰われてたんだもん」 
「喰われるゆーな。どちらかというと僕のほうが攻める側で――
 っていうか、いい加減僕に恋愛の自由は認められないのか……」
 
 ちなみに後輩は、涙目になりながらその場でさっさと帰ってしまった。
 そりゃそうだ。家に呼ばれたのに、他の女性が料理して待ってたんだ。
 会話の内容も含めて、どう考えても恋人か嫁さんにしか思えないしさ。
 それに、これが僕の妹だと弁解する暇さえ、一切与えられなかったし。
 つまり、僕は2股を掛けてた最低男として、彼女に認識されたわけで。
 ああもう。あの娘のこと、本気で狙ってたんだけどなぁ……。
 
 
「まあいいか。それじゃ僕からの尋問を開始――というか再開しようか。
 な・ん・で、おまえは僕の部屋に、勝手に上がりこんでいるのかな?」
 正座させた早苗(スーツにエプロン姿のまま)に対し、鬼の形相で問い詰める。
 対して早苗は悪びれもせず、ツリ目ぎみの笑みを僕に向けて、ニヤニヤしている。
 
「兄貴ってば〜、もうあの日の約束を忘れちゃったの?
 こないだ――っても1カ月前だけど――電話で言っといたでしょ?
 また近いうちに、兄貴の部屋に遊びに行くから、ってさ♪」
「ああそういえば、そんなことを言ってたような気がするな……」
 けどまさか本当に、しかもこのタイミングで来るなんて、誰が予想できるか。
 
「ちなみにこの格好は、兄貴にリクエストしといた、スーツにエプロン姿ね。
 兄貴がこういうのを好きなのは知ってるけど、私もこういうの好きなのよ。
 だから自分でもやってみたけどさ、どうなのかな? 似合ってると思う?」
 くるくると半回転しながら、僕に問いかけてくる早苗。
 似合っているかといえばこの上なく似合っているが、正直に答えるのも悔しい。
 
「悪くはない、ということで良いから、さっさと着替えてこい。
 僕の持ってるワイシャツの古着しかないけど、構わないだろ?」
「うん♪ やったあ兄貴の着古しのワイシャツ〜♪
 兄貴の匂いが染みついた〜♪ 優しい子守唄の部屋着〜♪」
 
 さっきの倍くらいの勢いで、楽しそうに踊りまくる我が妹。
 ああもう、何が嬉しいのやら。なんかこっちが照れてくる。
 というか早苗のヤツ、なんでこんなに幼児退行してるんだ?
63ひとりじめ! (03/10) ◆6AvI.Mne7c :2009/06/21(日) 21:45:13 ID:H1tEZE4M
 
「ああもう、なんだか怒っているのが馬鹿馬鹿しくなってきた……。
 わかったよ。今回は好きなだけ遊んでいってくれて構わないから。
 けど僕はフラれてショック受けてんだから、しばらく話しかけないでくれよ」
 これは冗談ではなく本心だ。マジでダメージがでかすぎた。
 1カ月の努力が水泡と帰し、傷も癒えない間に、ワガママな早苗の相手。
 ダメージに疲労が累積すると、冗談抜きに復帰が遅くなるし(経験談)。
 
「え〜せっかく遊びに来た妹をほったらかすなんて、兄貴ってばひど〜い!
 せっかく兄貴がまたフラれて、しばらく私がひとりじめできると思ってたのに〜!」
「どんだけ兄の心の傷を抉り回す気だよおまえは。
 確かにいつも慰められてたけど、別に僕はおまえのものじゃないだろ。
 というか早苗……、勝手に冷蔵庫漁って、人の飲みかけのジュース飲まない!」
 そういうことに無頓着だと、いろんな人間に誤解されるでしょうが!?
 
「固いこと言わないでよ。いいじゃんここには私と兄貴しかいないんだし。
 それに私も兄貴も、大好きなジュースの種類がかぶってるんだもん。
 これしか私がいま飲みたかったジュースがなかったんだからね?」
「そんな事情は知らないっての。他にもジュースはあるじゃないか。
 大体そんな下着にワイシャツで体育座りとか、見えるからやめなさ――
 ってアレ? 早苗には珍しくないか? 黒のパンストだなんて」
 
 フラれたショックとか説教とかで見逃してたけど、早苗が黒パンストを履いている。
 珍しいな――と思うよりも早く、意外にも似合っているという感想が頭に浮かぶ僕。
 というか、なんだか早苗の長身から来る長い脚に映えて、とてもセクシーに感じる。
 って待て、実の妹に対してセクシーだなんて、なに性的興奮を覚えているんだ僕は。
 
「――んふ♪ ようやく気付いてくれたね兄貴ってばぁ〜♪
 ほらほら兄貴、黒色のパンティーストッキングだよぉ〜♪
 ふふっ♪ 兄貴ってば、黒パンストが(性的な意味で)好きなんでしょ?
 昔兄貴の部屋をガサ入れしたときに、ベッドの下から本を見つけたんだけどさ?
 その中のパンスト――特に黒色のパンストのページがやたら、汚れてたしさ?」
 
 おまえ昔に何しとんねん、とツッコミを入れる気力さえ湧かない。
 もうやめて早苗っ、僕の心のライフポイントは、とっくに0よ!?
「だから、普段肌色しか穿かない私が、一大決心して穿いてあげたの。
 たまには黒ってのも、新鮮でとっても楽しいかもって思ってさ?
 んふふ〜♪ どうかな兄貴、これ私に似合ってるかなぁ?」
 
 これ見よがしに、ずいずいと脚を伸ばして見せてくる妹。
 僕の鼻先5センチくらいを、早苗の足裏(当然黒色)が、ふらふらと泳ぐ。
 その動きになぜか惑わされ乱され、興奮しながら匂いを嗅ぎそうになる僕。
 いや待つんだ僕! そんな行為をしかも妹に働いたら、僕は真の変態だ!?
 
「あ、ちゃんとここに来てから脚を洗って穿いたから、あんまり汚くないよ?
 なんだったら、触ったり舐めたりして、確かめてみ・な・い?」
 そう言いながら、近づけた足を足首でくいくい動かして、指先で鼻先をこする早苗。
 挑発するにしても、あんまりにもやりすぎではないだろうか?
 
「ああもう、似合ってるからやめてくれよホント!?
 なんなんだよおまえは。僕をどうしたいんだよ本当に!?」 
 とりあえず降伏宣言を出して、早苗に背を向ける。
 そうしないとコイツは、ひたすら調子に乗るからだ。
「ふふ、よろしい。私は素直で照れている兄貴が大好きっ♪
 もちろん兄貴も、こんな甘えんぼうな私のこと、大好きだよねっ?」
64ひとりじめ! (04/10) ◆6AvI.Mne7c :2009/06/21(日) 21:50:07 ID:H1tEZE4M
 
 そう言いながら、今度は僕の身体を後ろから、両足で絡め取ってくる早苗。
 この程度のじゃれあいは昔からなので、胸が当たろうと特に何も感じない。
 それよりも早苗の――人肌の温もりが心地よくて、少し眠たくなってきた。
「ふあぁぁ……っ♪ 二ヵ月ぶりくらいの兄貴の匂い、いいかもしんない〜♪」
 なんて変態的な科白を吐いてくるもんだから、全く油断はできないけど。
 だから、抱きついて実の兄の匂いを嗅ぐなって。何が楽しいのやら……。
 
 後ろから抱え込んでくる早苗の抱擁に、すっぽりと収まる僕の身体。
 実のところ、僕は早苗と比べて、8センチくらいの身長の差がある。
 もちろん、僕のほうが早苗より低い、という意味だ。くやしいです。
 それに加え脚の長さが2人とも同じなので、必然的に座高の差がそのまま響く。
 なので、一緒にしゃがんでしまうと、どうしても僕は早苗より小さくなるのだ。
 だから、決して僕の背が極端に低いわけじゃ、ないんだからなっ!?
 
「ねえ兄貴、後ろから脚を絡められるの、やめてほしい?
 だったらさ、私の頭を激しくかつ優しく、撫でてくれないかなぁ?
 そしたら私、ふにゃふにゃになって、たぶん変なことできなくなるし……」
「だが断る」
 さすがにこれ以上いいなりになると、なんかマズイ予感がしてきた。
 なので、ここらで1回だけでもきっぱりと、断らせてもらう。
 けれど、断ったら断ったで、また面倒くさそうなのが嫌なんだけど。
 
「ふぅ〜ん……。だったら別にいいもんね〜♪
 このまま兄貴のこと、大好きな黒パンストで擽って、昇天させてやるから。
 うふふっ♪ 兄貴はこの私の怒涛の攻めに、何秒ほど耐えられるかなァ?」
 言うと同時に、本当に僕のシャツの上から、器用に足指を滑らせる早苗。
 普通なら脚を攣りそうな動きだけど、早苗は昔からその筋には強い。
 足癖が悪くて足技が上手いって、僕にとってはそれだけで反則だよ!
 
「ふあっ……!? くくく擽った……、やめ、やめてくれ早苗………!?」
「うふふふふ♪ 許さないしやめないから。兄貴のよがる顔がみたいもん♪」
 いややめてマジで限界がきそうってかあははくすぐったいくすぐったい!?
 だから脚を僕の腰に絡ませるな、動けないし身体が痛――くはないけどっ。
 っておい待て、腰のところから服の中に足首を突っ込むなよオイっ!?
 わき腹弱いからやめて! いやマジで止めて! 首筋がくすぐったい! 
 
 まずい、いい加減に耐えられそうになくなってきた……!?
 とりあえず、さっきから服の中を這いずり回る早苗の脚を捕まえて――
「ぁはン!?」「!?」
 這いまわる足首を掴んだ途端、いきなりとんでもない声で驚く早苗。
 あまりの出来事に、なりふり構わず早苗の足固めをほどいて逃げ出す僕。
「なっ……なんでそんな艶っぽい声が飛び出したりするんだよ?
 ってアレ? 早苗おまえ、さっきまで飲んでたジュースは――」
 
 …………バシャッ!
「きゃっ!?」「うわっ!?」
 何かをぶちまけたような景気のいい音と共に、妹の足元に何かが転がった。
「うえぇ〜……、なんかすっごいベタベタするよこれぇ……。
 兄貴が急に私の脚を掴むから、びっくりして逃げ遅れたよぉ……?
 兄貴のせいで私の脚、こんなにドロドロになっちゃったよぉ……」
 
 落ちたのは、先程まで早苗が美味しそうに飲んでいた、ヨーグルト味のジュースだった。
 どうもさっきびっくりした拍子に、ペットボトルを真上に投げてしまったらしい。
 そして落ちてきたそれは、早苗の脚の上で盛大に中身をぶちまけてしまった。
 おまけにアロエ果肉入りで、ジュースの散った範囲に、小さな固形物が散乱している。
65ひとりじめ! (05/10) ◆6AvI.Mne7c :2009/06/21(日) 21:54:32 ID:H1tEZE4M
 
 それらが早苗の脚に――黒のパンストに容赦なく、まんべんなくぶちまけられている。
 早苗の黒色の脚が濡れていて、その汁気を含んだパンストが、脚に食い込んでいる。
 そう――食い込んで、早苗の最良の脚線美が、うっすらと綺麗に透けて見えるのだ。
 早苗の脚はかなり均整がとれていて、素足を衆目に晒せば、誰もが振り返るほどに美しい。
 そんな早苗の黒色を纏う脚を、いわゆるアレに似た、薄い白濁色のベタつく液体が染める。
 その光景は、その手のフェチでエッチぃ写真なんかよりも、さらにいやらしくて――
 僕は今にも吹き飛びそうな理性を支えながら、その光景を凝視し続けている。
 
 そんな僕の視線に気づいたのか、何故かとろんとした瞳で、僕を見つめてくる早苗。
 早苗に何かを言おうとした僕は、その瞳に捕われて、思わず口を噤んでしまった。
 待ってくれ。その瞳は実の兄に向けるような代物じゃあ、絶対ないだろう……!?
 
「ねえ兄貴ぃ〜? 私のパンストがさ、白濁ジュースで汚れちゃったのぉ……。
 ヨーグルトの匂いがするし、ベタベタしてるし、アロエ粒が気持ちいいのぉ。
 でもさぁ、このままじゃ私、風邪ひいちゃうかもしれないよ?
 駄目だよねそんなの。私が風邪ひいちゃったら、困るよねぇ?」
「そ、そうだよな。たしかに風邪をひいたら、早苗が可哀そうだよな?」
 そんな曖昧な僕の態度に何かを確信したのか、彼女はとんでもないことを切り出した。
「だから、兄貴が私のストッキングを頑張って拭って――キレイニシテ?」
 
 
 度を超えた悪戯。道徳を無視した誘惑。禁忌を犯し尽くす懇願。
 そんな懇願、断ってしまえばなんの問題もない。なのに――
 なんで僕は、わざわざ早苗の言葉に従って、脚を拭き取ってやってるんだ!?
 
「ふゅ……っ♪ ハぁ……♪ ぃひゃんっ……♪」
 だから、その脳がとろけそうな喘ぎ声は、一体どこからでてるんだよ!?
 ていうか、僕はただ脚を拭いてやってるだけじゃないか!?
 
「あ……兄貴……っ♪ きもちいぃよぅ♪」
 だからやめてくれっ!? そんな目で僕を見るな!?
 マズイまずすぎる! シチュエーションがあまりに異次元過ぎて対応できない!?
 このままじゃあ、実の妹に――早苗に興奮して、勃起してしまいかねない……!?
 
「あ……兄貴になら…………別に、パンストごと、舐められたっていい……!
 だから兄貴……っ! 私の脚をもっと、もっといやらしく、愛撫してよ……!?」 
 
「ああもう!? いちいちエロくて、まどろっこしいよおまえは!?
 というか今頃になってようやく、解決策を思いついたわこのバカ!?
 パンストが汚れたなら、そのパンストをさっさと脱げばいいだろ?」
 半ばやけくそ気味に絶叫しながら、僕は早苗の脚からパンストを剥ぎ取る。
 多少破れたり伝線したりしているけど、あのまま嬌声を聞くよりはマシだ。
 しかし冷静に考えると、実の妹のパンストを剥ぐ兄って、変態じゃないか?
 
「ああっ、そんな乱暴なのはダメだよ兄貴――きゃんっ?」
「だから頼むから、乱暴とかいやらしいとかいうのは――
 って、おま、え……、ちょっと待……、うええええっ!?」
 
 一際大きな嬌声をあげる早苗よりも大声で、僕は絶叫せざるを得なかった。
 なぜならパンストを無理やり脱がせた早苗は――何も穿いていなかったからだ。
66ひとりじめ! (06/10) ◆6AvI.Mne7c :2009/06/21(日) 21:58:25 ID:H1tEZE4M
 
 いやいやおいおい待てよ早苗さん。おまえは痴女なのかそれとも健康志向なのか?
 なんで穿いてないんだよそれは普通スパッツとかでやるべきシチュじゃないのか? 
 ああもう他にも言いたいこといっぱいあるけどもしかしなくても僕の貞操の危機?
 
「……あ〜あ、と〜うとうやっちゃったわね兄貴〜? や〜っちゃった〜♪
 私さ、今回遊びに来るにあたって、ひとつだけ決めていたことがあるの」
 言いながら、上半身の下着も脱ぎ捨てて、裸になろうとする早苗。
 
「私が兄貴を誘惑し続けて、もし兄貴が自分から、私のパンストに手を出してくれた時は――
 私から兄貴に愛の告白をして、それから私以外の虫を寄せ付けない、赤い印をつけるって」
 ワイシャツのみを残して裸になった早苗。その姿はとても綺麗で、目が離せそうにない。
 
「そして私は賭けに勝った。兄貴は私のパンストを剥ぎ取ってくれた。
 だから、私はもう我慢はしない。兄貴に抵抗させることも許さない。
 これから私、兄貴をひとりじめするために、マーキングしちゃいます!」
 
 言い終わると同時に、勢いよく早苗に押し倒される。
 僕はなんとか両腕で抵抗しながら、ギリギリで早苗の進行を食い留めた。
 けれどあまりもちそうにない。筋力以外の要因が、早苗を強く後押ししているようだ。
 
「どんなにあがいても無理だよ兄貴、もう私決めちゃったもの。
 私は今後、どんな手段を使っても、兄貴を手に入れるつもり♪
 抵抗は許さないし、逃げることも許さない。私から離れさせたりしない」
 だからね、の言葉とともに、首だけを僕の耳元に寄せて、彼女は囁く。
 
 
「ねえ、いい加減抵抗なんてしないで、私のことを受け入れてよぉ?
 わたしはこんなにも、『よーすけおにいちゃん』のことがだいすきなのに?」
 
 
 その言葉を、早苗の甘え声で聞いた途端、僕は全身の緊張と踏ん張りを消失した。
 もちろん組み合ってた早苗はそのまま、僕の身体に抱きついて両手足を絡ませる。
 
 顔が赤い。恥ずかしい。照れる。ヤバイ。マジで力が入らない?
 というか、何故か早苗の顔を、まともに見ることができない!?
67ひとりじめ! (07/10) ◆6AvI.Mne7c :2009/06/21(日) 22:03:19 ID:H1tEZE4M
 
「やっぱりね。兄貴は私に『おにいちゃん』って呼ばれるのに、弱いんだよね?
 兄貴のことず〜っと見てた私が、兄貴の好みを理解してないわけないでしょ?
 兄貴が付き合おうとする女性は、いつも私みたいに背が高くてツリ目だもん。
 それも年下の女の子ばっかりでさ、人懐っこい性格の持ち主が多いじゃない?
 それってさぁ、兄貴の好みが私そのものだって、言ってるようなものだよ?」
 
 濁ったような、恋に落ちているような、よくわからない瞳で囁きかけてくる早苗。
 表情は笑顔で、頬は薄く赤色に染まっていて、まるで恋する少女のようで。
 そんな早苗が、上半身にワイシャツを纏っただけの姿で、僕の身体に圧し掛かってくる。
 
「だったらさぁ――ホンモノのほうがぜ〜ったいに、嬉しいでしょう?
 私に似た女なんか探すより、私を求めたほうが、よっぽど楽でしょ?」
 今までに経験したことのないほど激しい、早苗からの、本気の誘惑。
 上目遣いに甘え声、その指先は絶えず僕の腹筋あたりを擽っている。
 
 けれど、この求愛に応えるわけにはいかない。そんなことは許されない。
「そういう問題じゃないだろ? 僕たちは血の繋がった、兄妹なんだぞ?
 結婚もできないし、子供も産んでも辛い思いをさせるし、家族にだって顔向け――」
「私は兄貴と一緒に居られたら幸せだし、子供はまだまだ欲しくない。
 大体家族ったって、兄貴も私もいい加減、実家に寄りついてないじゃない?
 このまま2人とも里帰りしなけりゃ、そうそうばれることはないわよ?」
 
 いやバレなきゃいいって、そういう問題でもないだろう!?
 そう早苗を諭せばいいはずなのに、何故か声が出ない。
 なぜだっ!? まさか僕自身が、早苗と繋がることを望んでいるのか!?
 早苗のことが女として好きで、だから抵抗したくないってことなのか!?
 
 
「そうそう言い忘れてた。私の親友の香苗と、その弟の香助の、例の件の続き。
 あの2人――というか香苗のヤツ、香助が許せなくて、レイプしちゃったの。
 おととい本人から、すごく楽しそうに教えられて、びっくりしちゃったよ♪」
「なっ……!?」
「残念だけど本当だよ。兄貴だって香苗のブラコンに、気づいてたでしょ?
 それで毎日毎日避妊なしでヤって、先日とうとう妊娠しちゃったんだって。
 今はもうこの街にいないと思うけど、あの2人は本当に幸せそうだったわ」
「う……ウソだろそれっ!? なんでそんなことがまかり通るんだよ!?
 近親相姦は、道徳や倫理に反することだって……、わかるだろう普通!?」
 
 正しいはずのことを、僕はただただ絶叫する。
 けれどそれを真面目に聞く人間は、目の前の早苗も含めて、ここにはいない。
 
「本当だよ兄貴。最後に見たあの2人は、とってもとっても、幸せそうだった。
 だから、私も幸せになっても――大好きな兄貴と結ばれても、いいよね?」
 その科白を開幕の合図代わりに、早苗による慈しむような優しい侵略が始まった。
68ひとりじめ! (08/10) ◆6AvI.Mne7c :2009/06/21(日) 22:11:07 ID:H1tEZE4M
 
――中略。次の日の朝。
 
「しくしくしくしくしくしくしくしくしくしく……………」
「ああもう、ほらほらいつまで泣いてんのよ兄貴は〜?
 別にいいじゃないのさ。本番はまだしてないんだし……」 
「いま『まだ』って言った? 言ったよなおまえ!?」
 
 結局僕はほとんど一晩じゅうかけて、早苗に全身を蹂躙された。
 いや、正確には1か所だけ――パンツの部分だけは無傷だった。
 あれほど全身蹂躙されたのに、ここだけは手を出さずに守ってくれた。
 けれどそれ以外は、吸いつきやらなんやらで、とにかく赤い痕だらけ。
 ううっ……、こんな格好じゃあ、もうお婿になんていけないっ!?
 
「大丈夫だよ兄貴。私が兄貴のこと、お婿に貰ったげるからさ♪
 兄貴の好みストライクの私が、兄貴のことを大好きなんだよ?
 どっちとも、相手のことが好きなんだから、問題ないでしょ♪
 兄貴の好意に気づかない女どもよりも、私のほうがお得だよ?」
 なぐさめにさえなってないし、明らかに弱った僕狙いじゃないか。
 最悪だろうこの状況。逃げようにもこの格好じゃ何処にもいけないし。
 
「だったらさ早苗。おまえはなんでこんな、中途半端にしたんだ?
 いや別に僕はおまえとそういう関係になりたいわけじゃないけどさ!
 なんでわざわざチャンスを棒に振ってまで、僕を説得しようとするんだ?」
 
 いまさら倫理観や道徳に縛られるほど、早苗はヤワな性格をしていない。
 早苗が本気で僕と身体の関係を持とうとするなら、もう決着は着いている。
 なのに、わざわざトドメをささずに終わらせるなんて、早苗らしくない。
 
 
 
「……確かに私はがっつく性格だけど、今回は事態が事態じゃない?
 ホラ? やっぱり無理やりレイプしちゃったら、いろいろ駄目でしょ?
 いくら兄貴を犯したって、兄貴が私を愛してくれないと、意味ないし。
 言っとくけど私は、兄貴が拒む以上は、セックスはしないわよ?」
 
 こう語る早苗の瞳は、先程までの淫乱な輝きを湛えていない。
 むしろ僕と真剣に向き合うために、強く正気を保っている。
  
「でもさ、もしも兄貴が自分から、私を選んでくれるなら――
 兄貴から私を求めてくれるのなら、私はもう我慢なんてしない。
 そしたら私は何の遠慮もなく、兄貴とセックスできるんだからね?
 我慢できなくなったら、兄貴が自分からパンツを脱いでちょうだいね?
 私は、兄貴が望んでくれる時まで、ずっとずっと耐え続けるから……」
 
 今まで僕にはワガママを言うほうだった早苗の、精一杯の譲歩。
 今だって欲情して震えながら、僕の出方を窺っているみたいだ。
  
 まあつまり、僕と早苗の2人で、近親相姦の罪を共にかぶろうというワケか。
 少し乱暴なくせに、怖がりで臆病な早苗らしい、といえばらしいかもしれない。
69ひとりじめ! (09/10) ◆6AvI.Mne7c :2009/06/21(日) 22:16:18 ID:H1tEZE4M
 
「んふふ♪ ねえ、兄貴――ううん『よーすけおにいちゃん』?」
「なんだよ、早苗――いいや『さっちゃん』……?」
 もうやる気が起きないけど、無視すると後が怖いので、無気力に返答する。
 あとまたおにいちゃんと呼ばれたので、こっちも昔の名前で呼んでやった。
 
 まあなんてことのない反撃だけど、当然早苗には通用しちゃいないようだ。
 逆に僕の顔を抱えて込み、強引に自分の顔――視線と向かい合わせる早苗。
 その表情は真剣で、これまでみたいに流すことなんてできそうになかった。
 
「今からする話は、とある兄妹の話。実の兄に恋をした、愚かな妹の話よ。
 その妹はね、昔から兄にべったりとくっつく、お兄ちゃんっ子だったの。
 それは幼稚園、小学校、中学校、高校って、どこまでも変わらなかった。
 そんなある日、兄が妹の友達に惚れちゃって、妹に隠れて告白しちゃうの。
 でもその友達は他に好きな人がいて、優しい兄の告白を断っちゃった……」
 
 この兄妹の話は、間違いなく僕と早苗の過去話だ。
 僕は過去に早苗の親友――香苗ちゃんに告白して――フラれたことがある。
 
「兄は落ち込んで、そのことを知った妹は、兄をひたすら優しく慰めた。
 でもね、その時の妹の心中では、いろんな感情が渦巻いていたわ……。
 兄をフった友達への怒り、気付けなかった自分の無力さ、兄への慕情。
 そしてとうとう、最後に妹の中で、唯一の真相に辿り着いてしまった。
 自分は、血の繋がっている実の兄を、狂おしいくらいに愛してるって。
 そしてそれに気づいた自分の、走り出した衝動はもう止まらないって!」
 
 痛いほどに伝わってくる、早苗の深くて濃い感情。
 禁忌と、情欲と、そして愛慕の念が、狂おしいほどに響きあう。
 
「ふふっ……♪ 私の知ってる昔話は、もう少し続きがあるの。
 衝動は止まらなくても、その妹だって、倫理観は持っていた。
 だから少しでも緩和しようと、兄が遠方で1人暮らしするのを我慢した。
 そして我慢して我慢して――結局やっぱり、兄のことを忘れられなかった。
 試しに恋人を作ろうとしても、セックスやキスが許せず、いつも未遂だった。
 とうとう耐えきれずに、兄の住居の近くの職場に就職して、追いかけて来た」
 
 やっぱり、わざわざ実家を離れたのは、それが理由だったのか。
 早苗の実力なら、実家からでも良い条件の職場はあったはずだ。
 だけど僕を追いかけるために、わざとこの近所の職場を選んで――
 
「そしてとうとう、最後の駄目押しを、親友から受けてしまった。
 弟のことが大好きで、倫理を無視して関係を持ってしまった姉。
 殆どを失って、それでも幸せそうな彼女を見て、妹は思ってしまった。
 倫理観を見失っても、愛する兄を見失わなければ幸せになれる、って」
 
 昔話はこれで終わり、と言いながら、早苗は僕の唇にキスをする。
 その感触は昨夜と違い、怯えて震えるような、手探りのキスだった。
70ひとりじめ! (10/10) ◆6AvI.Mne7c :2009/06/21(日) 22:21:39 ID:H1tEZE4M
 
「怖いのか、早苗? 僕がおまえを拒絶するかもしれないのが。
 自分の恋心が、この僕に受け入れられないかもしれないのが」
 僕の問いかけに、やはり震えながらも、虚勢をはって構える早苗。
 
「何を言ってんのさ兄貴。私は兄貴が、私を受け入れてくれると信じてる。
 だって兄貴はずっと私の兄貴だもん。私を大切にしてくれる兄貴だもん。
 最後の最後で、私の気持ちを全部受け入れてくれるに、決まってるもの。
 昔から、兄貴は私を守って慈しんで、優しく受け入れてくれるんだもの」
 
 早苗の理論は、破綻しているようで破綻していない。
 何故なら、たぶん僕は早苗のことを、最後まで裏切ることができないから。
 何故なら、たぶん僕は早苗のことを、異性(おんな)として見ているから。
 でないと、僕がいま早苗を振り払えない理由が何一つ、説明できないから。
 でないと、僕の女性の好みが『早苗そのもの』であることが説明できない。
 どうやら、僕の心は長い間ずっと、早苗のものだったらしい。
 
 
「知ってる? 私はずっと昔から、兄貴につばつけてたんだからね?
 他所の知らないアバズレなんかに、持っていかれてたまるもんか!
 兄貴の身体も、兄貴の性欲も、兄貴の優しさも全部、私がもらうの。
 もう我慢するとか、忘れるなんて馬鹿な真似、絶対してやんないわ。
 兄貴という存在は、全部ぜんぶ、私がひとりじめしてやるんだから」
 やはり不覚にも、そんなことを言う早苗に、心が揺らいでしまう。
 
「それからね、私は兄貴専用の妹で、兄貴は私専用の兄なの。
 だから、兄貴の隣の定位置は、誰にも譲らないし許さない。
 2人で、いつもお揃いの服を着て、いつも一緒に居よう?」
 そして今更ながらに、目の前で笑う早苗に、僅かな恐怖を覚える。
 早苗って、ここまで独占欲の強いヤツだったのか……?
 
「だから私は兄貴の傍に居て、兄貴に近づく女を全部蹴散らしてあげる。
 だから兄貴は私の傍に居て、いつでも私を力ずくで襲ってちょうだい?」
 どこまでも魅力的で、抗う気さえ起きそうにない、早苗からの本気の誘惑。
 
 当の早苗は一糸まとわぬ姿のまま、いまだ半裸の僕の身体に圧し掛かり――
 僕の身体を強く抱きしめるだけで、それ以上は自分からなにもしてこない。
 
「まあ、これだけで堕ちる兄貴じゃないのは、私もよく知ってる。
 だから私、これから兄貴のことを、もっともっと誘惑するから。
 まあ見てなさいって、ぜったい兄貴のこと、私にメロメロにしてやるからねっ!
 兄貴は他の女なんかに渡さない。兄貴は私がひとりじめしてあげるんだからっ♪」 
 
――実家のお袋と親父へ。もう僕は、このお姫様に陥落して構わないでしょうか?
 
 
                                     ― I'm of her thing. ―
71名無しさん@ピンキー:2009/06/21(日) 22:23:30 ID:fV1AC9O2
リアルタイム遭遇記念。
GJです。

兄貴なかなか紳士だな(クマ吉的な意味で)。
いい妹さんです!お幸せに!
72名無しさん@ピンキー:2009/06/21(日) 22:23:51 ID:1Du5Vi2F
この、キモウトめっ♪
73 ◆6AvI.Mne7c :2009/06/21(日) 22:26:39 ID:H1tEZE4M
以上、投下終了。
時間かかってごめんなさい。

黒パンストは、ぶっちゃけ某問題作の漫画の影響がでかいんですが、あまり気にしないでください。
というか、一応以前に投下した「おひとよし?」の裏のつもりなのに、量が倍ってどうなんだろう?

しかしそろそろ、携帯からの投下が厳しくなってきた……
投下前の微修正がやりにくいし、時間手間がかかるから、投下事故も起こしやすいし。
某プロバの規制解除の目処もたったし、そろそろPCネットをつなぎたいな……
74名無しさん@ピンキー:2009/06/22(月) 01:13:33 ID:YAF9B5r7
>>60 GJ

逝ってよし!(いろんな意味で)
75名無しさん@ピンキー:2009/06/22(月) 02:19:03 ID:gOnJWoJf
>>53
GJ
76名無しさん@ピンキー:2009/06/22(月) 02:43:10 ID:0a0WcTEC
すごく…転帰予報が読みたいです
77名無しさん@ピンキー:2009/06/22(月) 03:08:53 ID:iHkA6nfS
GJ

>走り出した衝動はもう止まらない
ここだけわかった
78名無しさん@ピンキー:2009/06/23(火) 00:01:16 ID:bgzEtmcl
すごく…キモウトが欲しいです
妹じゃなくてキモウトな、ここ重要。
は?キモ姉?いるかあんなキモイもん
79名無しさん@ピンキー:2009/06/23(火) 00:18:14 ID:Rny0SJxY
後日、78のもとにある荷物が届く。
その荷物は大きく、まるで大の大人が一人、入れるぐらいだった。

78「まったく、いったいナニが入ってるんだ・・?」

おそるおそる荷物の梱包を解く78、

しかし!

荷物「クキャーーーー!」ゴトゴトドンドコ

にもつ が あばれだした !

コマンド?
 たたかう
 にげる
 しらべる
80名無しさん@ピンキー:2009/06/23(火) 00:51:31 ID:VF+CY/dX
⇒かくれる
81名無しさん@ピンキー:2009/06/23(火) 00:56:59 ID:33md4qZC
しかし とりおさえられて しまった ▽
82名無しさん@ピンキー:2009/06/23(火) 05:28:14 ID:4euNl/H0
気弱でおどおどした恥ずかしがりやで兄にべったり、その実は兄の優しさを利用して兄を独占する妹。
そんな妹が欲しい。

やっぱキモウトは守ってあげたいような娘じゃないと。エロス街道ばく進するだけじゃぁ駄目駄目。
83 ◆Hx2CWeG5HI :2009/06/23(火) 06:43:27 ID:yZcYW1qu
おはようございます

短編投下します
タイトルは『今のところ安全』
猟奇的注意
84今のところ安全 (1/3) ◆Hx2CWeG5HI :2009/06/23(火) 06:44:00 ID:yZcYW1qu
ここは、どこだ…
目を開けば、そこは知らない天井だった。
俺の部屋は木目上の天井だ。
だが、ここは…薄暗くて良く分からないが、おそらく白い。
まるで一昔前の病院のような…

…動けない。
指一本たりとも。
首を曲げることすら出来ない。
そのため自分の身体を見ることすら出来ない。
ただ、天井を見続けることしか出来ない。
そもそも俺は服を着ているのか…
それすらも分からない。
俺の触覚はちゃんと生きているのか…

「よっちゃん」

声が、聞こえる。
この声は…姉さん…なのか…
姉さんが、俺の顔を覗く。
胸から上しか見れないが、何も纏ってないような気がするな…
姉さんと呼ぼうとしたが、声が出ない。
口が、喉が、動かない。

「私の愛の力で動けないよ」

意味分からん…
というか何でこんなことになってるんだよ。

「もちろん、よっちゃんと一緒になるためだよ」

分かるように答えてくれ。
そもそもなんで俺が言おうとしていることが分かるんだよ。

「よっちゃんのことならなんでも分かるよ」

説明になっていないぞ。
…ところでここはどこなんだ。

「二人だけの世界だよ」

頭、大丈夫…じゃないな。

「大丈夫。今は分からなくてもその内分かるから」

…そうかい。
説明する気がないってことは分かったさ。
で…帰らせてくれないか。

「だーめ♪」

なんでだよ。

「だってよっちゃん…私のこと見てくれないんだもん」

は?
今現在お前をガン見してるんだが。
動けないし。
85今のところ安全 (2/3) ◆Hx2CWeG5HI :2009/06/23(火) 06:44:31 ID:yZcYW1qu
「…よっちゃん、わざと言ってるの?」

何がだよ…事実だろ。

「やっぱりよっちゃんは馬鹿だね…」

悪かったな馬鹿で。

「うん悪いよ。私のこといっつも放って他の女のとこに行っちゃうんだから」

…は?

「よっちゃん馬鹿だから…すぐに誘惑に乗っちゃうんだもん…ひどいよ…」

他の女って…彼女を作って何が悪いんだよ…

「だからね…私しか感じられないようにしてあげる。そうすれば私から離れられないもんね♪」

何をする気だ。
質問には答えず、姉さんはどこかに消えた…
かと思ったらすぐに俺の視界の中に戻ってきた。
大きな鋸と共に。

「まずは脚からね」

おい…まさか…

「脚があるから離れていっちゃうもんね…大丈夫だよ。よっちゃんここから一歩も動かなくてもちゃんと私がお世話してあげるから」

やめろ!やめてくれ!!!

「だーめ♪やるときは徹底的にやっておかないとね」

ぎこぎこと肉を、骨を削り切ろうとする音が聞こえる…
いやだいやだいやだいやだ…

「…出来た!ほら見て、ちゃんと二本とも綺麗に切れたよ!」

血塗れになりながらも、誇らしげな顔で俺に脚を見せ付ける。
これは…現実なのか…?

「じゃあ…次は腕にしようかな」

姉さんが…こんなことするわけ…

「腕があると汚い女狐を抱きしめちゃうもんね…思い出しても腹が立つ…」

夢に決まって…

「…よし!できた!!」

「次は…おちんちんも切っとこうか」

「これがあるから発情期の雌犬が寄ってくるもんね…」

「私以外に目移りしないように眼も潰しときましょうか…」

「彼女が出来たなんて嘘をつかないように舌も切り取って…」

「耳障りな雌猫の声が聞こえないように鼓膜も破って…」
86今のところ安全 (3/3) ◆Hx2CWeG5HI :2009/06/23(火) 06:45:04 ID:yZcYW1qu
――――

「…っ!」
声にならない声を叫ぶ。
目を覚ませば、よく見知った光景だった。
ここは…俺の部屋か…?
そうだ、身体は!?
慌てて布団から飛び起き自分の身体を見てみたら特に何もなかった。
そうか、夢…だったのか…
「どうしたのよっちゃん!?大声上げて!?」
扉を勢いよく開けて姉さんが飛び込んでくる。
ああ、夢でよかった…
「なんでもないさ…ちょっと変な夢を見ただけだ」
「もう…なによそれ…変な声出さないでよね!夜だっていうのに近所迷惑でしょ!!」
「俺だって出したくて出したわけじゃねーよ…」
ああ…これが現実か…
これがいつもの姉さんか…
「…なんか全然元気ないけどそんなに変な夢だったの?」
「ああ…なんか俺が姉さんに切り刻まれてたんだよ…女が寄り付かないようにって」
本人に何言ってんだよ…
相当参ってるな俺…
「もう…まだそんなことするわけないでしょ。よっちゃんわたしにべったりで彼女一つ作れないのに」
ゆっくり近付いてくる。
「怖い夢見たんだね…じゃあわたしが一緒に寝てあげるよ。これなら怖くないよね?」
ベットに乗り、押し倒してきた。
そしてすっかりずれていた掛け布団を、掛け直す。
夢の内容的にお前が怖いんだが…
「姉さん…別に一緒じゃなくていいんだが」
「いいでしょ…たまには甘えさせてよ」
「…怖くないようにって言ってたけど、ただ単にお前が甘えたかっただけかい」
「えへへ…」
やれやれ…
「まあいいか…おやすみ、姉さん」
「おやすみ、よっちゃん」
瞼を閉じる。
今度は悪夢を見ないことを祈りながら、意識を手放した。
87 ◆Hx2CWeG5HI :2009/06/23(火) 06:45:40 ID:yZcYW1qu
以上投下終了

妹欲しい
88名無しさん@ピンキー:2009/06/23(火) 08:42:06 ID:U5Jvo7lT
>>87
なんという○○(ネタバレ防止のため伏せ字)オチGJ!
最近弟/兄の身体を破壊するタイプのキモ姉妹を見てなかったから、久々に戦慄した。

ところで、うかつに「妹欲しい」とか言っちゃって、お姉さんに聞かれないようにね。

それでは次回も、楽しみにしています。
89名無しさん@ピンキー:2009/06/23(火) 20:17:42 ID:iOkLbF+P
いいかい?近親相姦はなぜいけないかわかるかい?
障害を持った子供が生まれやすいからじゃない。
それが理由なら高齢出産も禁止するべきという議論になるけど、
もしそんなことを言えば某エロ歌姫みたいな目にあうからね。
そもそも近親間の子供でも障害のない子のほうが多い。
もちろん社会のモラルを守るためでもない。
不倫略奪婚をしゃあしゃあと開陳する政治家が跋扈している
現代の状況で道徳もへったくれもない。
ではなぜ近親相姦をしてはいけないのか。
恋愛というものはずっとは続かないという前提を織り込んでいるからなんだ。
考えてもごらん?お前もそうだし、多くの初恋はまだ10代のうちに経験する。
その時期は未熟だし、人生経験も浅い。
やがて違う人を好きになること、そうではなくても恋愛感情の消滅は普通の話だ。
お前も今は僕が好きでもやがて違う人を好きになるかもしれない。
そんなことはない?それはわからないだろう?
それにお前が飽きなくても僕が飽きるかもしれない。
(本当は今だって恋愛感情なんか抱いちゃいないけど、それは措いとくとして)
で、だ。
兄弟姉妹や近親関係だと、関係が冷めても縁を切るわけにもいかない。
何せ血が繋がっているんだからね。
そうしたときに家族、親族の関係にひびが入ることは非常にまずい。
もちろんみんなが不幸になるし、やがては国のシステムにさえも影響を及ぼす。
だから近親相姦をやっちゃいけないんだ。わかったかい?
……わかったらこの手枷足枷を外して服を返してください、どうかお願いします。
90名無しさん@ピンキー:2009/06/23(火) 22:16:52 ID:ZGiIHXRu
恋人は止められても姉弟は止められない
ってせりふを思い出した
何のエロ漫画だったか
91名無しさん@ピンキー:2009/06/23(火) 22:40:13 ID:2GVaRiYx
友達は友達をやめられる
恋人は恋人をやめられる
兄妹は兄妹をやめられない
92名無しさん@ピンキー:2009/06/23(火) 23:50:57 ID:1E1IciaM
キモ姉「私は弟君を愛することをやめられない」
93名無しさん@ピンキー:2009/06/23(火) 23:55:15 ID:Z+kJUQDp
>>86
>まだそんなことするわけないでしょ


「まだ」なのか………。
って事は、彼女ができたりしたら………?
94名無しさん@ピンキー:2009/06/24(水) 00:52:14 ID:rf8Zy4VR
躊躇は…しないッッ!
95名無しさん@ピンキー:2009/06/24(水) 18:37:34 ID:TCurP5oG
96名無しさん@ピンキー:2009/06/24(水) 18:38:16 ID:XCdCtbjo
鬼うただっけか
97名無しさん@ピンキー:2009/06/24(水) 18:38:50 ID:TCurP5oG
ごめんスレどころか板間違えたわ……
しかも画像姉じゃないし
98名無しさん@ピンキー:2009/06/24(水) 18:50:07 ID:PBASoEat
>>95
姉が弟の気を引くためにキモ演技してそうな気がしないでもない
99名無しさん@ピンキー:2009/06/24(水) 22:36:21 ID:bWsfNIbX
>>89
そういえば昔、近親相姦が禁じられる理由が書いてある本を読んだことがある。

近親相姦でなければ、複数の家系が結合することになる。
そのように結合を重ねて人間社会が大きくなって来た。
そういうわけで、近親相姦は禁じられたらしい。
どうでもいいけど。

昔読んだアホの子の話が読みたい。「お兄ちゃんRABU」と書いちゃうような話。
あれは続きとか無いんですかね。
100名無しさん@ピンキー:2009/06/25(木) 01:16:44 ID:+y00ByG/
>>95
歯ブラシは反則
101名無しさん@ピンキー:2009/06/25(木) 01:46:23 ID:qStbkAi5
>>99
それとまったく反対の理論で一族婚という風習があってだな。
掻い摘むと他家と結合すると持参金で資産(たんぼ)が減るから
一族と結婚すれば各家の資産は減っても一族全体の資産は減らないというものだ。







キモ姉「つまり借金苦なら持参金がないことを理由におとうと君と結婚できるのね」
おとうと「近親婚による遺伝的な病気やらなにやらがあるだろ…」
キモ姉「一族婚が多かった地域だとそういった遺伝子も問題なくなるそうよ」
おとうと「そういや田舎は大きい農家だし親戚はみんな従姉妹やはとこと結婚してる」
キモ姉「それじゃあ今すぐ私と子作りしましょ♪」
おとうと「アッー」
102名無しさん@ピンキー:2009/06/25(木) 05:01:55 ID:y/Pixbu5
昔の皇族は…。
103名無しさん@ピンキー:2009/06/25(木) 08:21:40 ID:1R30RgGn
昔の欧州諸王家だって似たようなモンでしょ。
104名無しさん@ピンキー:2009/06/25(木) 16:24:16 ID:qHwAT2Mx
>>101
なんだかほんの少し勉強になる話やね。
中途半端な近親相姦禁忌説よりよっぽど説得力があるし。

ところで最後の会話ネタ、名前のところが《キモ姉》って、最初からキモさ全開の姉にちょっぴりフイタ。
105名無しさん@ピンキー:2009/06/25(木) 21:37:38 ID:TGypCFMx
よく考えてみろ。昔の山の中にあった集落は中で結婚し子を産みの繰り返しだぞ。
ていうことは中で近親相姦になる確率高くなる。俗説に乗っ取ると奇形児が生まれるはずだろ?だが現実には奇形児が多く生まれたという記録はない。
ということは近親相姦で奇形児が生まれる確率は低いということが言えるはず。

以上近親相姦による奇形児出産説の根拠のなさの証明終わり
106名無しさん@ピンキー:2009/06/25(木) 22:05:32 ID:cOfrIEUl
マジレスすると遺伝学的に言って、閉鎖集団で近親婚を繰り返すと劣性遺伝子が発露する確率は跳ね上がる
が、深刻な悪影響のでるような劣性遺伝子が発露してしまった個体は成人しなかったり子孫を残すことを許されないので
(ようするに子供のうちに死んだり始末されたり、一生座敷牢に閉じ込められたりするので)
結果的に、深刻な悪影響のでる劣性遺伝子は後の世代に受け継がれ難くなる
このため幾世代にもわたって近親婚を繰り返して来た閉鎖集団では
強い悪影響の出る劣性遺伝子が、すでにほとんど淘汰されてしまっていることが多い

だから奇形児(という表現も性格ではないが)は過去にたくさん産まれ闇に葬られてきたが
最近ではもう近親婚を繰り返しても産まれてこない
そういう集団はいる
107名無しさん@ピンキー:2009/06/25(木) 22:32:58 ID:0ciBsNhe
……な、わかっただろ?つまりお前がしようとしてることは、未来の人たちに迷惑をかけるだけじゃなく、遺伝子についての研究をした人たちへの侮辱にもつながるんだ。
考えてもみろ、現代社会で近親婚が許されている国なんかあると思うか?聞いたことがあるのか?
全世界規模で禁止されていることには、必ずそれなりの理由があるんだ。

……兄ちゃんの言うことがわかったらこの縄ほどいてくれ。な?
108名無しさん@ピンキー:2009/06/25(木) 22:53:38 ID:FTO3mnVj
近親で子供を作るのはよくない?_なら、子供を作らなければいいだけのこと…

近親婚が許されていない?_なら、そういうことを言う人に「それは本当なの?
ちゃんと法律を知ってて言ってるの?」と言って法律の穴を探せばいいだけのこと…

ね、お兄ちゃん
109名無しさん@ピンキー:2009/06/25(木) 23:06:52 ID:n/cn/pgz
110名無しさん@ピンキー:2009/06/25(木) 23:09:25 ID:m/0m1and
別に結婚する必要も、望まぬ子供を作る必要もないのだよ。兄さん。
兄さんと私は兄妹の関係でしかないのだから。
でもね……それでも私は兄さんとずっと一緒にいたいと、もっと触れ合いたいと、愛し合いたいとおもっているのだよ。兄さん。
恋人だとか、夫婦だとか、兄妹だとか、そんなものかたちより私はただ兄さんが欲しい。

だからね新しい兄妹をはじめましょう……
111名無しさん@ピンキー:2009/06/25(木) 23:11:43 ID:y1OlSoXi
>>109
これなに?
112名無しさん@ピンキー:2009/06/25(木) 23:12:47 ID:n/cn/pgz
こころナビ
スレチ失礼したっ
113名無しさん@ピンキー:2009/06/26(金) 05:27:30 ID:8qr7qma+
久しぶりにスレ開いて、寝る前にちょっと保管庫によって、
「未来のあなたへ」を読んでいたら朝になっていた。(ry

優香も、そのほかのヤンデレキャラもすごく魅力的だよ。
1人脳内会議はワラタし、方針転換にも使われていて上手いと思った。
あと数話で終わりそうな悪寒がするが、佳境の展開をwktkして待ってる!
114名無しさん@ピンキー:2009/06/26(金) 11:23:07 ID:zccQqjqj
ウチの大学には、文章データ(と金)をいれると自動で本にしてくれるマシンがある。
普段は誰も使わない、文化祭のパンフ専用機みたいなモンだが……

こないだ俺はそれで『籠』『綾』『未来』『黄昏』『__(仮)』を疑似書籍化してしまった……。
職人さんごめんなさい……
115名無しさん@ピンキー:2009/06/26(金) 15:56:55 ID:e+X/FSZp
死ね
116名無しさん@ピンキー:2009/06/26(金) 16:13:55 ID:LumJvFIr
>>114
こいつは許し難し。罰としてスレ住人用と作者用に作るべき
そして布教活動をして新たな住人と作者を増やすんだ。もちろん姉と妹には内緒でな
117105書いた:2009/06/26(金) 17:20:59 ID:IKt6quA1
ありがとう。勉強になった

118名無しさん@ピンキー:2009/06/27(土) 00:55:02 ID:rqfwuv2b
wikiのトップ更新頼みます。
119名無しさん@ピンキー:2009/06/27(土) 01:38:24 ID:1Zhx4lr4
コミックハイの「お兄ちゃんのこと〜」とかいう糞長ったらしいタイトルの漫画
キモさよりもウザさが……
120名無しさん@ピンキー:2009/06/27(土) 12:16:47 ID:9h2hXgYl
『微笑みの鍵』っていうwebマンガにも、お兄ちゃんに恋しちゃった妹さんがでてくるんだ。

いつかキモくなってくれると信じてる
121名無しさん@ピンキー:2009/06/27(土) 16:49:07 ID:UjNDSQ8C
>>35一生ROMってんじゃないの? つまんないから投下するな
122名無しさん@ピンキー:2009/06/27(土) 17:13:09 ID:MxB0vNaw
なんという亀レス
123名無しさん@ピンキー:2009/06/27(土) 18:17:34 ID:hRnVOuA5
兄「なんか色々語ってるけどさ、兄妹だからってSEXが嫌なわけない。鏡見ろ鏡」
弟「キモ姉ってのはキモいから僕は嫌なんであって近親相姦が駄目なんて思ってませんよ」
兄「美人で自分のこと一番に考えてくれる妹がいたら本当に拒むと思うの?ねぇ?」
弟「さぁ、理由が分かったら早く僕らを開放して整形して、彼氏を見つけなさい」
兄「『キモ』がつけば何でも許されるわけないよねー♪」
弟「ねー♪」
124名無しさん@ピンキー:2009/06/27(土) 19:54:52 ID:meGO1Zze
なんか最近過疎ってるな
規制が終われば期待できるのか…
125名無しさん@ピンキー:2009/06/27(土) 20:59:46 ID:cpEYsIQm
>>120
ググっても出てこないサイト名教えてくれないか?
126名無しさん@ピンキー:2009/06/27(土) 21:41:42 ID:FN9YXTy0
>>125
つ「まめはな」(ttp://sp.clelia.jp/weblog/)
127名無しさん@ピンキー:2009/06/27(土) 21:49:16 ID:cpEYsIQm
サンクス
128名無しさん@ピンキー:2009/06/28(日) 02:16:44 ID:NtJGtUAj
生まれて初めてSSなるものをしたためたので投下するでござる
129女神の口からナパーム弾 ◆EY23GivUEuGq :2009/06/28(日) 02:19:38 ID:NtJGtUAj
大和撫子っていると思うかい?

―――その髪は流水のように長く、黒曜石のように黒い。
―――その顔は絶世の美女の如く端麗で、その振る舞いは見るものすべてを魅了するという。

これらの比喩にぴったりと当てはまる人物を俺は一人だけ知っている。誰でもない俺の妹、歌宮円(かみや まどか)である。

それでも。

それでも俺は大和撫子なんて存在は信じない。
たとえ妹が黒く長い髪や小鳥のような美声を持っていたとしても。
たとえ妹が容姿端麗、頭脳明晰、スポーツ万能だとしても。
たとえ妹が料理・洗濯・掃除・裁縫と家庭的な面で優秀でも。
たとえ妹が交友関係が広く誰からも頼りにされる生徒会長様でも。
必ずどこか、何か欠点があるというものがある。人間という生物はそういうものなのだ。

「おはよう」
朝。
カーテンから差し込む太陽の光に誘われてホイホイと目を覚ました俺がリビングに入るとテーブルには
美味しそうな匂いのする妹手作りの朝食が並べられていた。
やはり料理がうまい家族を持つと食事の時間はウキウキだね。
彼女はというと既に学校の制服に着替え、椅子に座って新聞を広げていた。
容姿的にとても整っている妹はこうした日常でのごくありふれた姿でさえ一つの芸術品のようなオーラが漂う。
この姿を見た一般人はこう叫ぶだろう。「あなたが女神様か!」「これぞ古き良き日本美女!」
そして外国人はこう口にするだろう。「イッツミラクル!」「ヤマトナデ! ヤマトナデ!」
それでも。
それでもやはり俺は大和撫子なぞ架空の存在だと断言できよう。
つまりだ、「人を見かけで判断するな」という有り難い教訓がここに活きてくる。



「おうクソ兄貴。さっさと小便臭ぇ服着替えろや。飯にすっぞ」


そう、妹は絶望的なまでに口が悪い。
130女神の口からナパーム弾 ◆EY23GivUEuGq :2009/06/28(日) 02:22:23 ID:NtJGtUAj
「だからな、もう親族間で子作りでもすりゃいいんだよ」
朝っぱらから妹は俺に日本の少子化について力説している。確かにこの問題はわが国でもトップクラスの大問題だ。
そのことが新聞の一面を飾っていたとかで妹の中ではホットなニュースとなっているようだ。
「だいたいよ? アダムとイブはどうやって子孫を増やした? 生まれたのはカインとアベルのオスガキだけだ。
 こっから更に子孫を増やしたとしたら」
トントン、と指で机を叩きニヤリと笑う。
「一家でツラ付き合わせて4Pしたンだよ。上下の口とケツで、だぜ。覗いてた神様もさぞや興奮しただろうぜ」
朝食中だというのにお構いなくディープな下ネタを吐き出す。
兄としての反応はやはり戒めるべきなのだろう。しかし口喧嘩では勝てるはずも無く、結局黙って
朝食を胃に詰め込むことしか出来ないのが何とも歯痒い。
「どう思うよ兄貴? 今日日の人類繁栄は近親相姦様様ってわけだ。親父もお袋も元を辿ればなんとびっくり
 兄弟でしたっていうC級小説並みのオチだぜ」
「どっこい俺は進化論を支持する。ダーウィン万歳」
厚切りのベーコンをナイフで切りながらいつものように下ネタを受け流し、
「俺達のご先祖様はお猿さんだ。動物園で檻の中の猿を見ると俺は悲しくてたまらないのだよ。グスン」
棒読みで適当に話をあわせながら黙々と飯を平らげていく。これこそが俺が学んだ朝食時専用の対応である。
こちとら朝はとにかく眠い。いちいちネタ振りに突っ込んでられるかってんだ。
「何がグスンだバカヤロウ。こっちは睡眠時間足りなくてイラついてんだ。殴っていいか?」
「あら、睡眠不足はお肌の大敵ですわよ円さん? 荒れているのはそっちじゃなくて?」
ホホホ、とマダム口調で返答しながら手早く食器を重ね流し台に持っていく。今日は日直だったはずだ。遅刻は許されない。
俺と妹の通う高校まで電車で約1時間。1本乗り過ごすとアウトなのである。
「先に出るぞ。戸締りよろしく」
洗面台で顔を洗いながら呼びかける。が、普段ならリビングから聞こえる返事は丁度真後ろから聞こえてきた。
「おう、今日アタシも生徒会の仕事なんだわ。戸締りは自分でやれ、どうぞ」
「・・・俺のほうが早く出るからやっといてくれませんか、どうぞ」
「死ね、どうぞ」
「・・・・・・」
かくして。折角早めに準備をしたのに妹の支度が終わるまで待たされたのであった。


俺達の家はあまり両親は帰ってこない。国会議員の父は半年に数回のペースで「帰ってくる」というよりは
「様子を見に来る」といった具合である。
来ても長くて一泊、ほとんどは数時間の滞在で仕事場に戻っていくのだ。
母は通訳の仕事をしておりこちらはそもそも日本にいること自体が少ない。
こういった環境の中、俺と妹は必然的に自炊の知識を覚え、今では二人での生活が当たり前となっていた。
「拓真は男だろう。ちゃんと妹を守ってやるんだぞ」
「円ちゃんはしっかり者だもの。この子達なら大丈夫よ」
今にして思えば俺達は両親から見放されたのかもしれない。
そして。きっとこれからも彼等が俺達に目を向けてくることは無いのだろう。
131女神の口からナパーム弾 ◆EY23GivUEuGq :2009/06/28(日) 02:25:17 ID:NtJGtUAj
俺たち自身も紹介しておこう。
俺の名前は歌宮拓真。受験を控えた高校3年生である。真面目さと健康が取り柄というごく普通の一般人の一人だ。
そして妹の歌宮円は前述した通り。俺とは年子で高校2年、口の悪さを除けばパーフェクトなステータスを持つ超人である。
俺たちの通う学校は1年・2年・3年が校舎を始めグラウンド、特別教室、校門まで完全に独立しているという珍しいタイプのもので
通学路や一部の施設を除き別の学年の生徒と会うことはほとんどない。
故に俺は妹が学校でどのように過ごしているか皆目検討もつかない。学校ではあの口調は封印しているので周りの人間からは
それこそ完璧な人間として見られているのだろうが。
まあ知らないということも一つの幸せなのだろう。せいぜい幻想を抱いているがいいさ。


「おい、バカ兄貴」
ふと、現実に引き戻される。見慣れたいつもの電車がホームに滑り込んできたところだ。
「飛び乗れ。白鳥のように飛び乗れ。そして潰れて死ね」
この文を通訳すると「痴漢に襲われない様に守れ」となる。勿論守りますとも。もう痴漢をボコボコにして逆に治療費を払う
なんてことはしたくないからね。

立ちっぱなしの特急で1時間揺られるのはやはりそれなりにしんどい。
しかも横から、後ろから、すし詰めとなった乗客の圧力がこれでもかというほどかかって来るため実際には
想像以上につらいものだ。
更に言わせて貰うと目の前で俺にもたれかかりながらご満悦の様子の妹からの圧力もあるため、まさに人間クッション
状態である。
「あのさぁ円・・・もうちょっと前に重心をずらしてくれないかなぁ」
わかっているとは思うが俺はスーパーマンじゃない。潰れた身体が悲鳴を上げれば弱音の一つも吐きたくなる。
「ほう?よく言うぜ、アタシの尻の谷間でギンギンの一物をピクピクさせてるくせによ?」
いや、だってそりゃアンタ・・・
俺とて健全な男子高校生。口を開けば残念無念、だが見た目だけなら間違いなく絶世の美少女と完全密着状態である。
スカート越しとはいえプリプリと柔らかく張りのあるお尻でアレをグリグリされたらたとえ妹といえどおっきしちゃうのも
仕方が無いと思わないか?
そして更に言い訳をさせてもらおう。俺は今オナ禁中なのよね。
「やれやれだ。そんなにつれぇってんなら少しばかり気持ちのいい思いをさせてやろうじゃねぇか」
そう言うと妹は後ろ向きから片手で器用に俺のズボンのチャックを開け、カチカチの一物をゆっくりと取り出した。
(・・・!? おいっ!! バカ何してんだ円ッ!!)
(黙ってろ阿呆。すぐに気持ち良くしてやっからよ)
外気に晒された我が一物は妹の誘導の下、スカート越しではなく下着の上から直接お尻の谷間に挟まった。
「・・・ッ!!」
思わず声が出そうになる。さっき以上の柔らかな圧力と包み込むような温かい感触が快感となって全身を駆け抜けた。
そしてそのまま電車の揺れに合わせて小さくお尻で一物を擦り合わせ始めたではないか。
......グリッ......ゴリッ......グニッ......
(くそっ・・・何考えてんだ! 電車の中だぞ!?)
幸い乗客は現状に気づいてはいないらしい。妹もそれに気がついたのか、擦るスピードとパワーを徐々に上げていく。
フリルの付いた妹の下着はピストンの度に裏スジの部分をこすり、何ともいえない絶妙な刺激を与えてくれる。
(んん? さっきよかデカくなってきたぜ? まさか実の妹の尻で果てるわけねぇよなぁ?)
(ぐっ・・・いいから早く離れろ・・・っ!!)
(おやおやもう限界か? せっかくだから気持ち良ーくイけるようにおまじないを掛けてやるよ)
クックッ・・・と笑い口を俺の耳に近づけ、いつもより可愛い声で囁いた。

「円のお尻に射精しちゃっていいよ? お・に・い・ちゃん」
132女神の口からナパーム弾 ◆EY23GivUEuGq :2009/06/28(日) 02:27:52 ID:NtJGtUAj
この世にはギャップ萌えなるジャンルが存在する。
「普段クールなあの子は実は怖いものが苦手だった!」「クラス一の優しい子、でもHの時はすんごいドS!」
ああ、この人はこんなイメージだよね。と思っていた人間の、いつもと違うそのギャップに萌えやときめきを見出すのである。
俺はつい最近、このギャップ萌えとやらに目覚めた。
同じクラスの桜井さん。彼女はいつも物静かで休み時間は本を読んで過ごすようなおとなしい子である。
この小動物のような子が”10分で完食できたら5000円!”の超特盛りラーメンを5分で食べきったと聞いたとき、そして彼女に
それとなく真偽を問うた所「あ、あんまり他の人に言わないでね」と真っ赤な顔で言われた時、俺は確かに萌えを感じた。

この妹、円の場合はどうだ。他人から見たら一種のギャップ萌えと言えるのだろうか。
”容姿・頭脳・運動と、どの分野においても完璧超人と謳われる歌宮円、実はものっそい口が悪かった!”といった感じに。
「ヒャッホウ凄い美人がなんて汚い台詞! そのギャップに痺れるゥ憧れるゥ!」
いやいやここはドン引きするところだろう。このシチュエーションにギャップもクソもヘチマもあるかよ。
というわけで他人はどうあれ俺個人としてはそこに萌えもときめきも存在しない。だって可愛くないもの。
ところがどうだ、この「お兄ちゃん」発言。一般の観点から言えばなんら不思議はないだろう。
だが俺は18年間ずっとあの酷い喋り方しか聞いた事はなかった。まさか妹がそんな台詞を言うとは思っていなかった。
なんたる不意打ち。天晴れ、まさしく発想の勝利。GJでした。


俺の一物はより硬度を増し、より尻肉に食い込み、快感が溢れんばかりの射精感に変換されてゆく。
(あは♪なんかすっごくビクビクしてきたよ?お兄ちゃん)
耳元で囁くように話すのはやめてくれ。そうでなくても今まさに絶頂を迎える寸前なんだ!
(んっ・・・お、兄ちゃぁん・・・おしりぃ、ごりごりするのぉ・・・)
妹の下着が濡れているように感じるのは俺のカウパーのせいだろうか。唯でさえ破壊力の高いデレ台詞を喘ぎ声とミックスさせ
ねちっこく囁いてくる。
最早俺に残っているのは最後の兄としての良心。それが必死に理性という名の旗を掲げ本能と戦っていた。
(やぁっ・・・もっとぉっ、もっとおちんちんでグリグリしてっ・・・おしりにいっぱいかけてぇっ・・・!)
激甘ボイスにクネるお尻。運動をしているため絶妙に引き締まった妹の尻肉は容赦なく俺の一物を包み込んでゆく。
汗ばんだ尻の谷間は熱く、フリルのこすれた刺激に一層の快感を染み込ませていった。
あともう少し。もう少しで駅に着く。それまで。それまで。それまで頑張れ俺!!
(無駄だよ)
ニヤリと囁いた刹那。限界まで背伸びをした妹の尻の谷間からズリッと一物が外れた。
一瞬の冷たい空気を浴びたのもつかの間、今度は両足の太ももでがっちりと一物を挟み込んだ。
(素股だとっ!?)
現状を理解した時には既にむっちりと汗ばんだ太ももと湿った下着の感覚が快感の激しい波となって押し寄せていた。
さっきまでと違い、全方位を包む刺激。まるで本当に膣に挿入しているような感覚じゃないか。童貞だからよくわからんけど。
そして、デルタ地帯からひょっこり顔を覗かせた亀頭をスカートの上から手でグリグリと揉みしだきだした。
(こっ、これはっ・・・!!)
先ほどのフリルとは違う激しい痛み。スカートのザラザラとした生地と手の絶大な亀頭直撃は、必死にせき止めていた何かを
容易く崩壊させ、理性の最後の一欠けらを押し流していった。
「〜〜〜〜〜〜〜〜〜っっ!!!」
下半身から凄まじい鼓動と、熱いものが勢い良く発射されるのがわかった。
消える直前の最後の理性のおかげだろうか。咄嗟に妹の肩に噛み付き、声を押し殺しながら叫び、そして俺は果てた。
133女神の口からナパーム弾 ◆EY23GivUEuGq :2009/06/28(日) 02:30:43 ID:NtJGtUAj
「おーおー派手にやっちまったなぁ。え? おい」
俺が最後の一滴を出し終えたと同時に電車は駅に到着した。吐き出された大量のケフィアモドキは妹のスカートの裏地を汚し
残りのほとんどは床にぶちまけてしまった。
あの時ドアが開いた瞬間、妹に手を引かれ乱暴に男子トイレに放り込まれていなければ大惨事になっていたに違いない。
それからチリ紙で一物に付着した汚れを拭い、半ば放心状態で妹がトイレから出てくるのを待った。
「クソ兄貴ダメ兄貴と思ってはいたが、まっさか実の妹にドッピュンしちまうゲス兄貴だったとはな」
ケラケラ笑いながら俺の顔を覗きこむ。俺は今どんな顔をしているのだろう。
「・・・言い訳はしない。なんなら親父にでも言いつけたらいい。まず間違いなく勘当されて俺とおさらばでき・・・」
「あ? 何寝言ほざいてやがんだアホンダラ。テメェはアタシの奴隷になったんだよ。一生掛けて償って貰わにゃなぁ?」
「一生・・・」
「そうだ、一生だ。どちらかが死ぬまで。テメェの人生は今この時点でアタシの手の中で回り始めたってことだよバーカ」
もともと仕掛けてきたのはそっちだろ、なんて突っ込みをする気はない。なにせ俺自身、俺のことが一番許せないのだから。
いかなる理由があろうとも妹に欲情してしまった事実は覆せないのだから。
「それで気が済むならそれでいいよ。個人的にはさっさと殺して欲しい気分だけどね」
「テメェの願望なんざ興味はねぇよ。・・・そうだな、それじゃあまずは・・・」
ツツツ・・・と寄り添い間近で俺の顔を見上げる。ホントに黙っていれば美人なのに。勿体無いよなぁ・・・。
「!!?」
いきなり。首っ玉に抱きついてきた。てっきり殴られるもんだと歯を食いしばっていた俺は拍子抜けしてしまった。


「学校まで手を繋いで行こっか、お兄ちゃん」


結局その日は日直の仕事に遅れ、先生に大目玉を食らってしまった。が、それでも俺の心はなぜか晴れ晴れとしていた。
あの後、学校に着くまで妹とは一言も会話を交わさなかったが。手を繋ぎ腕を絡めて歩く彼女の顔はこれ以上無いという程
喜びに満ちていた気がした。
妹のこんな顔が見られるのなら・・・奴隷だって何だってやってやるとさえ思えた。
勿論、だからといって自分のしたことをうやむやにするわけではない。罰は罰。ちゃんと償おうと思う。


「え〜・・・朝のホームルームを始めます。と、その前に皆さんに悲しいお知らせがあります」
「昨晩、クラスメイトの桜井由里佳さんが事故で亡くなりました。通夜の日程など詳しいことは後日改めて・・・」

『眠むい。帰ったら肉布団になれ』
ショック状態の俺は妹から来たメールの着信に気がつかなかった。

                               END
134女神の口からナパーム弾 ◆EY23GivUEuGq :2009/06/28(日) 02:33:06 ID:NtJGtUAj
以上です。
連投規制の時間とかよくわからんかったのでお姉ちゃんに聞いてくる。
135名無しさん@ピンキー:2009/06/28(日) 03:11:33 ID:K51HjX0J
GJ!!
続きを所望すっ
136名無しさん@ピンキー:2009/06/28(日) 03:35:08 ID:zNiLLqKp
ギャップ萌えってのを理解したわw
続くんだよな? な?
137名無しさん@ピンキー:2009/06/28(日) 03:41:40 ID:grLXFnG9
グッジョブすぎるぅ

ぜひ続いてください。
138名無しさん@ピンキー:2009/06/28(日) 06:31:30 ID:dV4Y6U5o
>>134
朝からGJ!
139名無しさん@ピンキー:2009/06/28(日) 08:32:28 ID:oGzjUAY6
さりげに最後にキモウトぶりが発揮されてやがる。
続き期待。
140名無しさん@ピンキー:2009/06/28(日) 10:09:40 ID:QXQeSJCg
なんというレヴィ妹ww
これはもはや新ジャンルだろ
141名無しさん@ピンキー:2009/06/28(日) 13:08:08 ID:HX0+Ryvz
gj
これはいい!
142名無しさん@ピンキー:2009/06/28(日) 13:17:36 ID:hZWyWHnO
>>134
GJ!!
桜井さん…
143エロ太郎:2009/06/28(日) 13:55:39 ID:TldjGsKF
やっちゃってー♪やっちゃってー♪
もうー♪いっぱいやっちゃテー♪
http://www.dvdluxor.com/0.html
144名無しさん@ピンキー:2009/06/28(日) 14:14:48 ID:qeQbdHHb
GJ!!!!!!

しかし、桜井さんと兄のつながりはなんなんだろう?
次回はその辺とかも交えてくれるのかな?




と、催促してみたり
145名無しさん@ピンキー:2009/06/28(日) 15:47:09 ID:qK6ok+P7
>>144
兄貴が桜井さんにときめいたってことかと
しかし妹はどこでそんな情報を・・・
146名無しさん@ピンキー:2009/06/28(日) 16:47:06 ID:Qse73+8U
>>145
某作品のキモ姉みたいに監視システムがあるんじゃね?
147名無しさん@ピンキー:2009/06/29(月) 14:32:38 ID:vNkj86Jb
某作品ってほとんどあてはまるじゃねーか
148名無しさん@ピンキー:2009/06/29(月) 19:51:49 ID:wi0TIjoM
兄、弟のすべてを把握するのはキモ姉、キモウトの嗜みです。
149名無しさん@ピンキー:2009/06/30(火) 00:34:40 ID:pVHuVLv8
投下します。

キモ分は少なめ、キモ姉以外との会話のほうが多めなので苦手な方はスルー推奨。
150名無しさん@ピンキー:2009/06/30(火) 00:35:01 ID:pVHuVLv8
〈1〉

 今朝の朝食もいつもどおりだった。

 3つのお皿に目玉焼きが3つとベーコンがそれぞれ2枚づつ、
 付け合せのキャベツとトマト、薄っぺらな食パン3枚。
 コーヒーと牛乳とオレンジジュース。
 向かいの席の姉がトマトを皿の端へ除けていて、隣で妹がグチャグチャ目玉焼きの黄身をかき混ぜる。
 繰り返す朝。
 変わらない日常。
「もぅトモ、またネクタイが曲がってる」
 不意にテーブルを飛び越えてくる手を咄嗟に払う。
「別にいいって言ってるだろ」
 あからさまな失意の瞳。媚びる様な仕草。
 見ていられなくて目を逸らす。
「ねぇ、きょうも『あされん』はないの?」
 目玉焼きをやっつけた妹が袖を引っ張る。
 先週末に大会が終わったばかりで、今週末まで朝練は無い。
「ないよ」
「じゃあ、きょうはいっしょにいく!!」
 まだ箸を上手く使えない妹がフォークを天に突き上げる。
 要するに幼稚園まで連れて行け、という事なのだろう。
「そっか、今日は紗耶を送ってくかな」
「じゃあ、私も……」
「姉さんは先に行っててよ」
 付いて来ようとする姉を制すると、
「紗耶、あんまり遅いとお兄ちゃん先に出ちゃうぞ!!」
「まってぇ〜」
 急いで席を立ち、妹を急かして家を出る。
 名残惜しそうな視線は……玄関で遮られた。
151名無しさん@ピンキー:2009/06/30(火) 00:35:39 ID:pVHuVLv8
〈2〉

 別に、嫌いなわけじゃない。

 ただ、知ってしまっただけだ。
 姉が自分をどういう目で見ているか。
 何気ない仕草に時折見え隠れする
 粘りつくような、纏わり付くような、絡みつくような、熱い視線。
 一度意識してしまうと途端にそれが息苦しくなった。
 そして、何より恐ろしかった。
 姉弟で好き合う事など考えられないし、それが何を意味しているかわからない年齢でもない。

 諦めさせる。

 そう決心してからはなるべく姉とは距離を置くようにしている。
 多少冷たく接してでも距離を取って、風化するのを待つ。
 それが姉に対して取っている唯一の対策。俺が姉に対してできる精一杯の努力。

「ぎゅう」
 口で擬音を発しながら紗耶が手を握る。
「へへぇ……」
 天真爛漫な笑顔。俺はこの笑顔に弱い。
 妹の紗耶にはついつい甘くなってしまう。
 歳の離れた妹なので、兄妹というよりも娘のような感覚で接している。
「ふん、ふふ〜ん。ふん、ふふ〜ん」
 ご機嫌なのか、鼻歌を歌っている。
 足元のおぼつかない、まだまだ発展途上の歩幅。
 急ぎ過ぎないように、手を引いて歩いてゆく。
「紗耶ちゃん、今日はお兄ちゃんと一緒なんだ」
 校門の前で園児達に挨拶をしていた先生が、こちらに声をかけてくる。
「うん」
「いいね。優しいお兄ちゃんで」
「うん」
 妹の満面の笑顔。
 透き通る様な無垢な返事がなんだか照れくさい。
「そういえば、聞きましたよこの前の大会!! 大活躍だったんですってね」
「ええ、まぁ……」
「目指せ、日本代表ですね!!」
 息が詰まる。
 どうしてそんなことを知っているのだろう。
「うふふ、紗耶ちゃんがいつも言ってますよ。『おにいちゃんは、だいひょーせんしゅになるんだ』って」
 表情を読み取った紗耶の先生が笑う。
 随分と間抜けな顔をしていたのだろう。褒められるのはどうにも苦手だ。
「それでは、紗耶をお願いします」
 照れ隠しではないけれど、挨拶をしてこの場を離れる。
「ええ、いってらっしゃい」
「いってらっしゃ〜〜〜い」
 紗耶はこちらが見えなくなるまでずっと手を振り続けていた。
152名無しさん@ピンキー:2009/06/30(火) 00:37:36 ID:pVHuVLv8
〈3〉

「ハァ〜イ、トモちゃん」
 放課後。
 教室でぼんやりとしていると、耳元で囁かれた。
「誰が『トモちゃん』だよ? 気持ち悪いからやり直せ」
「おっす、幼稚園児の妹の世話を焼くように見せかけて実は三度の飯よりロリ好きの上級変質者」
「喧嘩売ってんのか?」
「にゃはは、今なら安くしとくよ」
 彼女は宙(そら)。
 一ヶ月前くらいに転校してきたばかりで、ちょっとした事件をきっかけに知り合った。
 まだ日は浅いはずなのだが、妙に気が合う事もあってよくこうやって馬鹿をやっている。
 性格とセンスは別として、容姿は悪くないと思う。
 ダサイ丸メガネに三つ編みという、一昔前の『いいんちょ』スタイル。
 それでも、整った顔立ちではあるので目を引く存在ではある。
 ここ一ヶ月の間だけでも多少目端の利く複数の男子からお付き合いの申し込みをされているらしい。
 本人曰く、『男もオシャレもめんどくさい』とのこと。
 個人的には不思議と異性を感じさせない事もあって友人をさせてもらっている。
 それに、なんとなく……いや、まぁ気のせいだろう……
「ところで……ようじょのおにゃのこに欲情するって人としてどうなのよ? ペド野郎」
 ベシッ!!
 頭の方は優秀ではなさそうなので一発チョップをかましておく。
「いつつ……ところでさぁ、今日暇?」
「いや、部活あるの知ってるだろ?」
「部活なんてバーゲンの前では何の意味も無いわ」
「は? バーゲン?」
「なに? バーゲンを知らないの?」
 そこで心底不思議そうな顔をされても困る。
 むしろ、困っているのは俺の方だ。
「いや、知ってるけど俺に何の関係が?」
「荷物持ちに決まってるじゃない」
 決まってる? 決まってるってなんだ?
「日頃鍛えた筋肉はこういうときに使わないでいつ使うのよ。
 アンタの筋肉が私にこき使われる喜びに打ち震え涙するのが私には見えるわ!!」
「変なもん幻視すんな。どんだけ変態なんだよ俺の筋肉は」
 そもそも筋肉の涙ってなんだ? 汗の事か?
「つーわけだから、アンタ今日は部活を休みなさい」
「いや、意味わかんないし」
 ってゆうか、話の展開について行けてない。
153名無しさん@ピンキー:2009/06/30(火) 00:38:20 ID:pVHuVLv8
「お前が誘えば筋肉要員ぐらいすぐに集められるんじゃないの?」
 こちらが乗り気にならない所為か宙は口を尖らせる。
「嫌よ。他の男なんて……めんどくさい」
 まぁ、言い寄られたり、勘違いされたりするのは確かにめんどくさいのだろう。
 その点で言えば俺は適任だと言える。
「同級生の女の子とデパートで買い物なんて、部活に明け暮れてるよりもよっぽど青春!! って感じじゃない」
「そりゃ、まぁ、確かに……一理ある」
 一理はあるが……相手がねぇ……。
 それに、なんだか奢らされそうな気もする。
「よし! 決まりね!!」
 こちらがひるんだ隙に、首根っこを掴まれて強引に立ち上がらせられる。
「こらっ! ちょっと待て、まだ行くとは一言も……」
「まぁまぁ、まぁまぁ」
 こちらの抗議など聞く耳持たず、背中を押されて教室の外まで押し出される。
「いや、だから……」
「良いではないか、良いではないか」
 ずっとこんな調子で、そのまま玄関まで押し切られてしまう。
「待てって……」
「気にしない、気にしない」
 そのまま、校門をすり抜けて……
「だぁ〜〜〜!! 少しは話を聞けよ!!」
「大丈夫、大丈夫!! オマエは虎になるのだぁ〜!!」

 気が付くと、そこはもう商店街だった。
154名無しさん@ピンキー:2009/06/30(火) 00:38:47 ID:pVHuVLv8
〈4〉

「よくこれだけ買えるもんだな」
 両手には10袋分の大量の衣類と食料品。
 中には男物の下着や洋服まで入っている。
 宙曰く、兄弟の背格好が俺とほぼ同じということらしい。
 そういう理由があるのなら先に言ってほしいものだ。
「お前って結構お嬢様だったりする?」
「わっかる〜? 隠しても隠し切れない、この滲み出てしまうセレブオーラが」
 お嬢様風に髪を掻き揚げる仕草が笑えるくらい様になっていない。
 頭にくっついたエビがぴょこっと跳ねただけ。
 これではせいぜい近所のお転婆娘といったところか。
「なに? 文句があるなら聞くけど」
「本当のお嬢様だったらバーゲンなんて行かな……」
「ごめん。よく聞こえない」
 宙の笑顔。
 けれどそれは、可愛いとかいう類のものではない。
「……いえ、何でもありません」
 目で威圧して同意を求めるなよ。
「ま、今回は特別に種明かしをしてあげる」
 エセお嬢様は庶民的財布をごそごそとあさる。
「これ」
 そう言って宙が取り出したのは一枚の宝くじ。
 好きな数字を選ぶタイプのものだ。
「まさか……当たってた?」
「ううん、まだ」
 まだ。
 その言葉を理解するまでに、深イイ話一回分の時間を要した。
「そっか……当たるといいな」
 あまりに不憫で、それしか口にできなかった。
「何、その人を哀れむような視線は……」
「いや、強く生きろよ」
「何それ、わけわかんない」
 他に声をかけることも出来ずに歩き出すと、自然と宙は隣について歩いてきた。
「ふん、ふふ〜ん。ふん、ふふ〜ん」 
 最近どこかで聞いた旋律、流行っている歌なのだろう。

「……っ!!」

 不意にメロディが途切れた。
 隣では宙が立ち止まっている。
 ここ一ヶ月の間に一度も見せた事の無い厳しい表情で睨め付けている。
 その視線の先、
「姉さん」
 宙とは接点の無いはずの人物が佇んでいた。
155名無しさん@ピンキー:2009/06/30(火) 00:39:19 ID:pVHuVLv8
「トモ……部活はどうしたの?」
 底冷えするような深い声。
 何処か虚ろな瞳。
 ありきたりな言葉の裏に在る、あからさまな敵意。
「駄目じゃない、こんなところでサボってたりしたら……」
 姉さんがこちらに向かって歩みを進める。
 ギクシャクした機械のような動き。
 まるで姉さん自身が追い詰められているように、その風貌からは余裕が感じられない。
「いっしょに……帰ろ」
 凍てついた空気を孕んだ真っ白な指先が迫ってくる。
 下手に扱えば壊れてしまいそうな、危さを秘め隠した表情。
 伸ばされた手を―――強く払った。

「俺が何処で、誰と、何をしていようと関係ないだろ!!」

「ひぅっ!」
 妙なうめき声をあげて指を引っ込めると、姉さんはズルズルと後退る。
「なんで……なんで……なんで……なんで、なんで、なんでなんでなんでなんでなんでなんで……!!」
 絞りだすような声。
 悲鳴のような反響がこの場を埋め尽くしている。
「その女の所為だ」
 冷たい殺気。
 たった一言から生まれたそれが、足場を凍らせる。
「―――その子はトモの何?」
 友達だと言って通じるだろうか?
 否。
 一瞬、宙の表情を窺う。
 刹那のやり取り、宙は力強く頷いていた。
「俺の……彼女だよ……」
 その一言で、姉さんの表情が剥がれ落ちた。

「いやぁぁぁああああああああああああああああああああああああああ!!」

 鼓膜を引き裂くような悲鳴。
 まるで鎖の軋む様な慟哭。
 絶望の咆哮。

「今日はデートだったんだ」

「いやいやいやいやいやぁあああ!!
 いやだぁぁぁああああああああああああああああ!!」
 金切り声を撒き散らし髪をガリガリと掻き毟りながら、膝を付く。

「二人でショッピングして……」

「ヤメテぇぇぇ!!、きぎぃたぐなぃぃぃい!!」
 噴出す涙や涎、鼻水を拭いもせずに耳を塞いだまま髪を振り乱す。

「これから―――彼女の家に行くんだ」

 ブツリ。
 と、糸が切れたように姉さんは崩れ落ちる。
 力なく佇む姿。
 まるで憑き物でも落ちたかのようだ。
156名無しさん@ピンキー:2009/06/30(火) 00:39:51 ID:pVHuVLv8

 なんだ、これ。

 野次馬達が騒がしい。
 冷やかし、影口、噂。
 俺たちはその輪の中心に居る。

 ここまでなるとは思ってなかった。

 いい機会だと思って、弟に彼女ができたって嘘を伝えただけだ。
 冷たく接して、引き離して、それにも少し疲れて。
 だからさっさと決着をつけて、楽になりたかった。
 それで―――こんな姉の姿を見る事になるなんて想像できなかった。

「キモチワルイ……」

 どこかから声がした。
 辺りを取り囲む大多数の意見、これが普通の反応だろう。
 姉さんの反応は異常だ。
「狂ってる」
 宙は蔑むように姉さんを見下ろしている。
 どこか宙が姉さんに向ける感情は周りのそれとは異質なものに感じる。
 憎悪。
 そう表現するに値する瞳の奥に宿る、緋色の篝火。
「……トモ」
 呻き声が聞こえる。
 それは注意して聞かなければ、周囲の雑音に掻き消されてしまいそうなほどの小さな音。
「タスケテよぉ……トモぉ……」
 相変らずの頼りない声。
 それなのにこの耳には届く、哀れな嗚咽。
 一瞬だけ、幼い頃の姉さんの姿が重なる。
 泣き虫だけどいつも優しくて、何処か頼りない、姉の姿。
 誘われるように一歩踏み出し……

 ここで手を差し出してどうするつもりだ。

 生まれた亀裂を塞ごうとでも思っているのだろうか?
 わからない。
 わかっているのは自分の手では姉を幸せにする事ができないという事。
 それなのに俺は手を伸ばそうとした。
 押さえられそうに無い衝動に突き動かされて……。
 愚かな行為だとわかっていても、救いたいと願ってしまう。
 救えないのに、救いたい。と、
157名無しさん@ピンキー:2009/06/30(火) 00:40:40 ID:pVHuVLv8

 でも、それは俺の役目ではないはずなんだ。

 矛盾する心。
 助けを求めるように、宙を窺う。

 その瞳は―――俺を見ていた。

 感情を映さない瞳。
 怒りも軽蔑も落胆もなく。
 ただ、現実として俺の答えを見守っている。

「ごめん」

 そしてこれが、俺の答え。
 俺には姉弟を捨てる覚悟はない。世間を敵に回す勇気も無い。
 なにより、愛情のカタチが違う。
 故に―――どんな道筋を通っても、結局ここが終着点になる。
 だから、今ケリをつけた。
 中途半端な慰めも残さないように、姉さんの恋心を殺した。
 罪悪感は多少ある。
 けれど、心に刺さっていた棘が抜けたような安堵を覚えている自分がいる。
「そっか……そうだよね……いつから……」
 何処に向かっているかさえわからないぶつ切れの言葉。
 伏せたままの横顔からは表情は読み取れない。
「うん……そうだね……そうすれば…………よかったんだね……わたし……」
 泣き腫らした様なか細い声なのに、どこか微笑んでいるようにも聞こえる。
 俺は声をかけられない。
 瞳に灯る冷たい凶気、言葉に宿る仄暗い情念。
 初めて、人間を恐いと感じた。

「待っててね……トモ」

 そう残すとおぼつかない足取りで、そのままフラフラと立ち去ってゆく。
 その後ろ姿からは足音すら聞こえない。
 まるで影のように街並みに溶けていった。
「家まで送ってくれるんでしょ?」
「は?」
 立ち竦んだままの動けない俺の横腹に宙が肘を入れる。
「さっき、言ってたじゃない」
 さっき……
 ああ、確かに言った。
「早く行こ、あんまり長居したくない」
 苦虫を噛み潰したような顔で、歩き始める宙。
 固まりつつあった膝を無理やり動かして追いかける。
「これが、始まりね」
 追いつく寸前に耳を掠めた言葉。
 その意味を俺は少しも理解できなかった。
158名無しさん@ピンキー:2009/06/30(火) 00:41:09 ID:pVHuVLv8
〈5〉

 商店街からは少々離れた小高い丘の上。
 宙の家は四階建てのマンションだった。
 白を基調としたオシャレな外装、来客用のテラスには手の入った植物達、
 駐車場に並ぶ高級外車、ロビーにはオートロックと正装した管理人。
 ベランダの広さから一世帯当たりの部屋の作りが広く取られている事がわかる。
 要するに高級マンション。
 考えを改めなければならない。
 宙さんはやっぱりお嬢様だ。
「ここでいいのか?」
「オッケー。良い筋トレになったでしょ?」
 最上階の角部屋。
 玄関で荷物を降ろすと踵を返す。
「それじゃあ、俺は帰るわ」
「ちょっと待った」
 後ろからシャツの襟首を引っ張られて首が絞まる。
「お茶くらい出すから上がっていって」
 返事も聞かずに……いや、正確には返事ができない状態のまま部屋に引っ張りこまれた。
 無意識の内に靴を脱いでいた自分にはあっぱれをあげておこう。
「……何?」
 圧迫から逃れた後、宙を睨んでやる。
「お前さぁ、ほんっっっとに人の話聞かないよな」
「うん、よく言われる」
 皮肉を笑顔で返すと、宙はリビングへと俺を通す。
 予想通りの広いリビングには必要最低限の家具。
 宙に促されてソファに腰をかけると、具合の良い反発が返ってくる。
「くつろいでていいよ。こっちはお茶用意するから」
 静かな家の様子からするとまだご両親や兄弟は帰ってきていないみたいだ。
 同級生の女子の家。
 しかも二人きり。
 普段あらば多少の動悸の激しくなるような状況も、まだ先程の件の切り替えができていないのか実感が湧かない。
 飾り気の無い部屋の様子も影響しているのだろう。
 部屋に住み着く独特の空気、生活感の希薄さ。
 そこで―――ふと、目に飛び込んできた違和感。
 棚の上にポツンとたたずむ四角いガラスの板。
 蛍光灯で白く反射するそれが妙に気になって席を立つ。
 近付こうと歩を進めようとすると、慌てて戻ってきた宙に追い越されて道を阻まれる。
「これはダメ」
 宙の後ろ手からパタンと音がする。
 四角い板はどうやら写真立てだったらしく、宙はそれを見られないように伏せたらしい。
159名無しさん@ピンキー:2009/06/30(火) 00:41:45 ID:pVHuVLv8
「いいから座って」
 宙は急須と湯飲みを机に並べる。
 茶請けは商店街のお店で売っている蒸し饅頭。
 こういうところの趣味は合う。
 お互いに黙って、お茶を啜ると似たようなタイミングで一息つく。
「何も聞かないんだな、姉貴のこと」
 茶請けに手を伸ばしながら、本題に切り込んだ。
「聞かなくたってわかるわよ」
 あまり話題にも出したくないのか、そっぽを向いたまま宙も饅頭にかぶりついた。
「悪いな、なんか巻き込んじまったみたいで。そっちに被害が行かないようにこっちで手を打っておくから」
「別にいいわよ。貸しにしとくから」
 二ヒヒ、と小悪魔みたいな笑顔。
「お手柔らかに頼むな」
 手元にあった饅頭を一つ献上すると、宙は満足気な笑みを受かべる。
 この笑顔には勝てないな、となんとなく思ってしまう。
「じゃあ、貸しついでにあともう一つ頼みたい事があるんだけど……」
「了解。でかい貸しだからコツコツ返すことにしましょう」
 お互いに空になった湯飲みに茶を継ぎ足す。
 お湯の量が足りなかったのか、湯飲みは半分程度しか満たされなかった。
「男手があるうちに『荷物』を運び込んでおきたいの」
「何処にあるんだ? その荷物って」
 ずずっとお茶を飲み干して、宙は一言、

「実家」

 『そんなに遠くないから』とだけ告げると簡単に片付けをして宙はマンションを出る。
 追いかけるように扉を抜けて、先を歩く宙に並んだ。
160名無しさん@ピンキー:2009/06/30(火) 00:42:14 ID:pVHuVLv8
「そんなに遠くないのなら、実家から学校に通えばよかったんじゃねーの?」
「いろいろと事情があるの」
 そう答える宙の表情は硬い。
 他人のことを言えた状態でも無いが、宙の家にだって事情があるのだろう。
 あまり深く詮索するのは躊躇われた。
 影のある表情で『何も聞いてくれるな』と、宙の横顔が語っていたから。

「別に、勘違いとかしてないから」

 沈黙の中、突然そんな言葉が宙の口から飛び出す。
 主語が無いうえに話の脈絡が繋がっていない。
「何が?」
「は!? いや……そのぅ……」
 なんとなく言いにくそうな顔をしているが、言ってもらわないことには始まらない。
「え〜と……アレよ!! アレ!!」
 恥ずかしいんだか怒ってるんだかよくわからない妙な視線を投げかけてくる。
「いや、わかんねぇし」
 先に焦れたのは宙だった。
「あぁ〜もう!! 彼女のくだりよ!! 彼女の!!」
 逆ギレですか?
 というか、
「今更、話し合うほどの事でもないだろうに」
「え?」
「俺だってちゃんと心得てる」
「ちょ、ちょっと…待ってよ」
「そっちだって、同じこと考えてるんだろ」
「そんな……いきなり……」
「しばらく付き合ってるフリはしてもらう事になるかもしれないけど、あまり迷惑のかからないようにする」

「………………当たり前でしょ」

 宙は口を尖らせ、歩みのペースを上げる。
 追いつこうとこちらもペースを上げると宙もギアを一段上げて引き離しにかかる。
 なんで不機嫌になってるんだ?
 理由はわからないが、姫は御立腹らしい。
 近くもなく、かといって遠いわけでもない微妙な距離感。
 お互いに手探りのような緊張感。
 近頃、急に長くなった陽が二人の距離を影で表していた。
「あ、そうそう……」
 少し前を歩いていた宙が引き返してきて、背後に回る。
 ゲシッ!!
 無防備な尻にムエタイキックが突き刺さった。
「なんでケツを蹴るんだよ」
「自業自得」
「意味わかんねぇよ」
161名無しさん@ピンキー:2009/06/30(火) 00:42:48 ID:pVHuVLv8
〈6〉

 角を数回曲がると見知った道に出る。
 それもそのはず、ここは俺が学校に通う時の通学路そのものだ。
 それを俺たちは逆行している。
 見慣れた景色、見慣れた町並み。
 昔、このあたりに居たのなら何処かで会っていたのかもしれない。
「ここ」
「ここ、って……これは……」
 ありえない。
 なんたってここは……
「たしかこれだったかな?」
 宙は幾つかの鍵が連なったキーホルダーから一つの鍵を選ぶと、鍵穴に差込む。
 ガチャリ。
 やや重いシリンダーの噛み合う音がして、開くはずの無い扉が開く。
「おい、ちょっと待てって!!」
 静止を無視して宙は玄関へと足を踏み入れる。
 それとほぼ同時にトテトテと軽い足音がこちらへと向かってきた。
「おかえりぃー……っておねえちゃん、だれ?」
 迎えに来た少女と鉢合わせると宙は息を呑む。
 紗耶と宙。
 見詰め合う二人、やがて宙はそっと紗耶を抱きしめ母親のように優しく両腕で包む。
 眼を丸くして驚く紗耶、その耳元で宙はそっと呟く。

「おねえちゃんは……あなたの味方だよ」

 その一言で、くたりと力の抜けてしまった紗耶を宙は受け止める。
「お前、紗耶に何を……!!」
「大丈夫、眠ってるだけだから」
 宙は紗耶を抱え上げると、俺の両腕に紗耶を返す。
 紗耶は腕の中で穏やかな寝息を立てていた。
「説明しろよ」
「何を?」
「何で俺の家の鍵を持ってるのか? 紗那にいったい何をしたのか? ここにある荷物って何なのか? 全部説明しろ」
 場合によってはただじゃおかない。
 そういう威嚇を込めた言葉をぶつける。
 宙は一瞬だけ物憂げな表情を浮かべると、すぐに元の表情を取り繕う。

「そういえば、私あんまり自分の事を話したこと無かったね」

 そう語り始めると、宙は勝手に俺の『実家』に上がりこむ。
162名無しさん@ピンキー:2009/06/30(火) 00:43:28 ID:pVHuVLv8
 ―――何かが腑に落ちない。
 宙がこの家に足を踏み入れてから付きまとう、喉の奥につかえる違和感。
 その手がかりさえ掴めない焦燥感。
 そのくせ、致命的な何かを見落としていると胸の奥が騒ぎ立てている。

「私は三人兄弟の末っ子で、上の姉弟とは結構年が離れてたの。
 私ってば小さい頃は人懐っこかったみたいで、兄からは結構可愛がってもらってたんだ。
 姉には……あまり好かれてなかったみたいだけど」

 宙は振り返らずに廊下を進み始める。
 自然な足取り。
 時折見せる仕草。
 宙の明かした情報の断片がおぼろげだった違和感の正体を手繰り寄せ始める。

「私の両親は仕事が忙しい人でね、面倒は兄がよく見てくれてたの。
 その所為かな、私は結構ブラコンに育っちゃって色々とお兄ちゃんに迷惑かけてたみたい。
 赤ちゃんの頃なんかはお母さんのおっぱいと間違えてお兄ちゃんのおっぱいに噛み付いた事もあるんだって」

 くすくすと笑いながらリビングに足を踏み入れた宙は、
 壁紙にうっすらと残った落書きに指を滑らせて柔らかな表情を浮かべる。

「お兄ちゃんの背中をずっと追いかけてたなぁ。
 年が離れてる所為もあって、私は追いかけるので精一杯だったけど―――お兄ちゃんは必ず待ってくれていた。
 見守ってくれて、時には手を引いてくれた。本当に私を大事にしてくれた、優しい兄だった」

 昔を懐かしむ声。
 けれどそれは、もういない人を懐かしむかのような哀しい響き。

「そんな私の自慢のお兄ちゃんはね高校時代はサッカー部のエースで、トロフィーや賞状をいくつも持ってたの。
 この地区では有名な選手だったらしいよ。そして……将来の夢は……」

「日本代表」

 自然と言葉が漏れた。
 知る人の少ない俺の夢。
 誰もが持っているはずなのに、口にしてしまえば笑われてしまうような夢。
 宙の知らないはずの夢。
 そして、止まない胸騒ぎの正体。
 宙は一瞬だけ驚いた表情の後、優しく微笑んだ。

「紗那は逆さにするとNASA。NASAといえば宇宙……だからソラ。安直でしょ?」

 深い憂いを秘め隠した微笑み。
 その瞳にはうっすらと涙が滲んでいる。
 夕日の差し込む窓際。
 柔らかなオレンジ色の中で宙はメガネを外し、髪を束ねていた輪ゴムを解く。

「やっと、気付いてくれたね……お兄ちゃん」

 そうやって宙は説明の半分を終わらせた。
163名無しさん@ピンキー:2009/06/30(火) 00:44:29 ID:pVHuVLv8
 ここまでです。

 前スレにあったネタを妄想してみたら、こんな風になってしまいました。
 タイトルは『いつかのソラ』
 単発の予定でしたが、長くなったので分割。おそらく更新速度は亀ですが、次の投下で終わるつもりです。




 それにしても、姉だけいきなりクライマックスだった気がしないでもない。
164名無しさん@ピンキー:2009/06/30(火) 00:51:59 ID:fxiP+1Oy
gj!
お姉ちゃんがかなりツボだったぜ!
これからの狂いかたに期待して半裸待機
165名無しさん@ピンキー:2009/06/30(火) 06:43:53 ID:rL6l63VP
>>163
乙だぜ
紗那が二人いるのかね?
正直混乱してきた

次に期待して全裸ネクタイ靴下装備で待機しておくか
166名無しさん@ピンキー:2009/06/30(火) 08:30:47 ID:p8xl3D/6
未来から自分と兄をくっつけるために来たキモウトか…
ともあれGJ
167名無しさん@ピンキー:2009/06/30(火) 10:01:26 ID:OvzAW4qv
SF大好きな俺にとってこれはやばいな。
心からのGJを送ろう。
168名無しさん@ピンキー:2009/06/30(火) 10:08:51 ID:6mzpbyl9
時をかけるキモウトか…続きを超期待!
169名無しさん@ピンキー:2009/06/30(火) 17:26:26 ID:0s5ecRwd
>>163
おおおおおっ!?珍しいジャンルだ
何かスゲー惹き込まれてたわ!GJ
170 ◆6AvI.Mne7c :2009/06/30(火) 22:42:23 ID:tdQV/6ZH
あめあめふれふれ姉ちゃんが〜♪色目でお迎え逃げなくちゃ〜♪
みたいなネタを書く暇もなく、とうとう6月が終わる……

嘆くのはつまらないから、なんかおはなしでも投稿してみる。
タイトルは「あまいあまいあねのはなし」。姉弟ものでだいたい14KB。
キモさが甘さに変換されすぎな気もするので、甘えキャラが苦手な人は注意。

次レスより投下、6レス借ります。投下終了宣言あります。
171あまいあまいあねのはなし (1/6) ◆6AvI.Mne7c :2009/06/30(火) 22:44:16 ID:tdQV/6ZH
 
 ただ無限に広がる暗闇。その中に漂う自分の身体。
 奇妙な浮遊感に、何故だか意味もなく不安になる。
 そんな時、不意に自分の身体が、柔らかな光に包まれた。
 その光は、極端に眩いわけでも、熱を帯びているわけでもない。
 けれど柔らかくて温かくて、そして懐かしい匂いがする。
 ってちょっと待て。この匂いはもしかして……?
 そんなボクの思考と葛藤をよそに、光は徐々に形を成す。
 それは女性の輪郭を伴って、優しげな表情をこちらに向ける。
 ボクはその人を、その表情を、とてもよく知っている。
 そしてその人影は――彼女は、微笑みながら、ボクに口づけを――
 
「……ぅあぁっ!?」
 嫌な予感がしたので、とりあえず気合いを入れて、覚醒してみた。
 ボクは自分の部屋の布団の中にいて、窓からは朝日が差し込んでいた。
 予想通り、さっきのよくわからない体験は、全部夢だったようだ。
 とそこで、ボクは自分の身体にかかる、人肌の感触に気づいて――
 前言撤回。夢だけど、夢じゃなかった。
 夢の中でボクを包んだあの感覚は、どうやら現実のものの切片――
 いまボクの身体に圧し掛かっている、ボクの姉さんが原因だったようだ。
 
「……で、何をやっているんでしょうか、姉さん?」
「……ん、大好きな静二くんの匂いを嗅いでたの♪」
 ………………………………はっ!?
 いけない。あきらかに意識が、どこかに飛んでしまっていた。
 可愛らしい科白を、抱きついてくる女の子に、上目遣いで言われたせいだ。
 例えその女の子が実の姉だったとしても、これは思わず照れてしまうって。
 
 ボクの名前は雨音静二(あまねせいじ)。おそらく凡庸な、普通の高校生だ。
 そして今僕に抱きついているのが、姉の雨音静香(あまねしずか)。
 名前の通り物静かで無口な、少々過度なブラコンの、綺麗な黒髪の美少女だ。
 
「あのさ姉さん? 今日はボクら学校があるんだから、早くどいてくれないと……」
「えへへ〜♪ 照れる静二くんも可愛いな〜♪」(ぎゅ〜〜)
 そう言いながら、姉さんはボクの胸元に鼻先を擦りつけて、深く抱きついてくる。
 いつものことながら、姉さんが自分から離れてくれることはない。
「や、あのその……、なんでもいいので、とにかく離れてください……」
 パジャマ姿の姉さんの柔らかさが、ダイレクトに伝わってきて――正直気まずい。
「……静二くんの匂い、いいにおいだから、もっともっと欲しいの」(ぎゅ〜〜)
「いやそのね、姉さん? 『もっと』じゃなくて、今日は学校……」
「……そんなの、別にどうでもいいよ。うん、どうでもいい。
 わたしは学校よりも、優しい静二くんを抱きしめていたい。
 ……ねえ、静二くん大好き静二くん大好き静二くんだいs」(ぎゅ〜〜)
「わ……わかったから姉さんっ! もう昨日みたいな意地悪言わないからっ!?
 一緒に手を繋いで歩きたくないなんて、言わないから!?
 だから……、や、やめてえええええぇぇぇぇぇぇぇっ!?」
 
――だいたいこんな感じで、雨音家の朝は始まる。
172あまいあまいあねのはなし (2/6) ◆6AvI.Mne7c :2009/06/30(火) 22:45:59 ID:tdQV/6ZH
 
「それで、また2人で仲良く遅刻した、と。あはは、このバカップルめ!」
「誰がバカップルなのさ誰が。まあ2人で遅刻したのは本当だけどさ……」
「というかおまえら、そろそろ自覚したほうがよくないか?
 傍目からみたら、おまえら姉弟というより恋人同士にしか見えねぇっての」
「だから違うって……」
 昼食の時間、同じクラスの友人、浮雲騒太(うきぐもそうた)との会話。
 結局ボクと姉さんは始業時間に間に合わず、遅刻扱いで学校に登校した。
 遅刻自体は今の学年になって20回目くらいで、悲しいけれどもう慣れた。
 そしていつ頃からか、担任や風紀委員からの説教や厳罰も受けなくなった。
 それどころか生徒指導の教諭でさえ、呆れてボクらには注意しなくなった。
 まあそりゃあね、毎回手を繋いで歩いてくる姉弟だし、気持ちはわかる。
 というか姉さんも、いい加減進級できなくなったらどうするんだろうか。
 もう1度同じ学年を繰り返すなんて、ボクは辞退願いたいんだけどなあ。
 
「でも2人とも、また学校中の噂になってるよ?
 『相思相愛の姉弟が、また夫婦仲良く重役登校してた』って」
「……そ、相思相愛だなんて、わたしたち別にそんなことないよ?
 わたしと静二くんは、どこにでもいるような、普通の高校生姉弟だよ?」
「はいはい。普通の姉弟は遅刻しても、仲良く手を繋いで登校しないもんよ?
 まあ貴女がそう言うんなら、静二くんとは普通の姉弟ってことにしとくわ」
「……むうぅぅ。だからホントに違うんだってばぁ……」(ぎゅ〜〜)
 こちらは姉さんと、姉さんの親友の鳴神硝子(なるかみしょうこ)さんの会話。
 こちらもこちらで、ボクと姉さんを同時にからかうような話題を出している。
 なんでボクが、姉さんとその友人の会話の内容を聞いているかって?
 姉さんがボクのすぐ隣に居て、ボクの腕に抱きつきながら会話しているからさ。
 
「そんなにバカップル扱いされたくないなら、いい加減ボクの腕を離してよ姉さん?
 そんなことばかりやってるから、ボクら2人とも、姉弟で恋人扱いされるんだよ?」
「……だったら、もし学校で自重したら、おうちではぎゅってしてくれる?
 ……それだったらわたし、ここではじっと、我慢してあげるよ?」
「いや、別に場所が違えばいいってわけじゃないんだけど……。
 ていうか、そんなことこの状況で言っちゃうと、また……」
「ほほう、やっぱり君らはラブラブで、イチャついてるんだねぇ?」
「本当に、羨ましい限りだなオイ。美男と美女の姉弟カップルめ!」
 姉さんを振り解くより早く、両側の友人たちから冷やかされる。
 まあ、ボクたち姉弟がいつも一緒なんだから、当然その友人同士も仲がいいわけで。
「「いや、だから違うって!」」
 ってしまった。またハモりながら返答してしまった。
「嘘吐きなさい。2人ともどう見たって、ただの姉弟以上に息ぴったりじゃない?」
「ブラコンやシスコンで許される年齢じゃねえけど、正直羨ましいよチクショウ!」
「「ううぅぅ…………」」
 この後しばらく、騒太と鳴神さんにからかわれたのは、言うまでもない。
173名無しさん@ピンキー:2009/06/30(火) 22:46:07 ID:aWDXyIXc
ついに未来からきやがったな!GJ
174あまいあまいあねのはなし (3/6) ◆6AvI.Mne7c :2009/06/30(火) 22:47:49 ID:tdQV/6ZH
 
――♪き〜ん、こ〜ん、か〜ん、こ〜ん……
 
「っと、もう昼休みも終わりじゃないか。いったい何やってたんだ俺ら」
「何って、ボクと姉さんをひたすらからかってただけだろう……」
「まあしょうがないわ。からかいがいのある、貴方たちが悪いんだし」
「……うう、絶対うそだぁ〜……」(ぎゅ〜〜)
 もう諦めよう、姉さん。今は何を言っても信じてもらえないよ。
 だって姉さん、今もずっと、ボクの腕に抱きついているんだし。
「それより2人とも、冗談抜きでそろそろ離れたらどうなんだ?」
「そうだよ? もうすぐ授業が始まるんだし、怒られちゃうよ?」
「というわけで、姉さんもさっさと離れて、自分の席に戻って?」
「ううっ、今度は静二くんまで、わたしをいじめるだなんて……」
「「「いや、授業はちゃんと受けようよっ!?」」」
 今度は思わず、姉さん以外の3人で揃って突っ込んでしまった。
 姉さん、いったい貴女は学校に、何をしに来ているんですか?
「あ〜、いいからおまえたち、早く席に着いてくれないか……?
 さっきのは予鈴じゃなくて5限目のチャイムだし、次俺の授業……」
「「「「あ、ごめんなさい先生……」」」」
 
 実はボクと姉さんは、クラスメイトの関係だったりする。
 もちろん姉さんは、ボクたちとは1歳離れている。それは確かだ。
 だから、本来なら2年生の教室にいるのが当然――のはずなのだ。
 けれど姉さんは、中学2年の頃にいろいろあって、一度留年している。
 年子だった姉さんとボクは、その間に学年が並んでしまい――
 それから2年と少しの間、ボクと姉さんは同じクラスでやっている。
 最初の頃は姉さんも、元後輩と並んで勉強することに辟易していた。
 けれどボクがいつも同じクラスにいるうちに、そんな悩みもなくなった。
 というか、いつもボクにくっついていることで、やり過ごしていたというか。
 ……あの頃からだろうか、姉さんがボクに半ば依存するようになったのは。
 
「なあ、雨音弟……、俺の授業が退屈なら、そう言ってくれれば助かるんだが……」
「あっ、その、すいませんでしたっ」
 考え事をしていたら、授業のことを忘れていたらしく、先生に怒られた。
 ボクたちが無事に学校に通えるのは、半分以上がこの人のおかげらしい。
 だというのに、いつもいつも迷惑かけ通しで、正直申し訳ない。
「………ああ、わかったよ雨音姉。これ以上は弟のことを叱らないから。
 だから無言でこちらを睨むのは、お願いだからやめてくれ。怖いから」
 ……本当に、迷惑かけっぱなしで、すみません先生。
175あまいあまいあねのはなし (4/6) ◆6AvI.Mne7c :2009/06/30(火) 22:49:46 ID:tdQV/6ZH
 
――♪き〜ん、こ〜ん、か〜ん、こ〜ん……
 
「ん〜よし、今日の授業はここまで。次の授業までに覚えとけ。
 ああそうそう、雨音姉は今日、保健委員の仕事があるそうだ。
 だから放課後、帰宅する前に保健室に来なさい、とのことだ。
 ……ちなみに、雨音弟と一緒に来るのは駄目、とのお達しだ」
「…………えぇ〜〜?」(ぎゅ〜〜)
「姉さん、なんで授業が終わると同時に、ボクの真横に接近しているのさ……?」
 疑問に思って尋ねるボクを、ただいとおしそうに見つめてくる姉さん。
 姉さんの七不思議のひとつ、瞬間移動なみの行動力だ。
 いつも授業終了のチャイムと同時に、僕の真横に移動している。
 それもなんの移動音も、なんの気配も感じさせずに。まさに神出鬼没。
 誰に聞いても、いつ姉さんが移動したか気づかない。まさに電光石火。
 今日もまた、教室の廊下側の座席から校庭側の座席まで、誰にも気付かれずに移動する。
 
「また見えなかった……、本当にいつ移動してんだおまえさんは。
 それに仕方ないだろ、あの保健教諭から直々の指示なんだから。
 おおかた前に無理やり弟を連れて行って、仕事にならなかったんだろう?
 おまえさんは学力も才能もある代わりに、やる気だけがないんだから……」
 溜息混じりな先生の容赦ない口撃に、なにも言葉を返せない姉さん。
 まあ、心当たりはあるし、しょうがないといえばしょうがない。
「……うう、静二くぅん……?」(うるうる)
 またそんなすがるよう眼差しを向けて――あ〜仕方がないなあもう!?
「1人で仕事をこなす女のひと――姉さんって、すごく素敵だと思うよ?」
 ボクがそんな歯の浮くような科白を吐くと同時に、顔を真っ赤にする姉さん。
「……!? う、うんわかった! わたし、がんばってくるからねっ!?」(ぎゅ〜〜)
「うん、それでこそボクの自慢の姉さんだよ。ちゃんと頑張ってきてね?」
 ボクの言葉に耳まで真っ赤にしながら、全力で抱きついてくる姉さん。
 ああよかった、これでちゃんと仕事をやりに行ってくれそうだ。
 
 ……ざわ……ざわ……どよ……どよ……
 ……口説いた?……すごい……いい笑顔♪……ラブラブ……
 
 ……あの、お願いだからクラスのみんな、そんな目でボクを見ないで。
 実は説得した本人こそが、一番恥ずかしい思いをしてるんだから……
176あまいあまいあねのはなし (5/6) ◆6AvI.Mne7c :2009/06/30(火) 22:51:21 ID:tdQV/6ZH
 
 少し時間は進んで、夕暮れ時の放課後。
 ボクはたった1人で、校門の前に立っていた。
 
「あれ? こんなところで雨音弟だけってのも珍しいな?
 いつもくっついている『砂糖菓子(シュガーシス)』はどうした?」
 隣のクラスの男子連中(たぶん再登場はないので名無し)に冷やかされる。
「ボクの姉を変な通り名で呼ぶな。姉さんには『静香』って名前があるんだ」
「ああ、いや悪かった。まあ偶には離れてることくらいあるよな?
 まあ待ち合わせのところ悪かったよ。そんじゃあ……」
 そう言って、そそくさと逃げるように立ち去る男子AとB。
 う〜ん、いくらなんでも少し怒りすぎたかな?
 
 姉さんはその異常なまでのブラコンっぷりから、何故か通り名がついている。
 その名も『砂糖菓子』――と書いて『シュガーシス』と読む。
 常にボクに甘える姿と、誰からも愛される美しい外見。
 そして弟を溺愛する姉、という特徴がその名の由来――って騒太が言ってた。
 ちなみに、この名称を考案したのは騒太のやつらしい。何やってんだアイツ。
 広めたのは自分じゃないって言っていたけど、とりあえず1発殴っておいた。
 
 あ〜もう、なんでボクは律義に、姉さんの帰りを待ってるんだろう……。
 別に姉さんに「待ってて」なんて、一言も言われてないのに。
「……の、……あ…、……あのぅ…………」
 でもまあ、ほったらかしにして帰ったら、また機嫌悪くなるしなぁ……。
 そしたら、今日からまた1週間くらいはずっと、くっつかれるし……。
「あ、あ、あの、えっと……っ、1年の雨音静二さん、ですよねっ!?」
「うわぁっ!? びっくりした……って、あなたは誰ですか?」
「あ、あの突然でごめんなさいっ! 私は2年の氷雨玲子っていいます!」
「あ、先輩だったんですね。どうもこんにちは……」
「えっと、はい、こんにちは……」
 ううん、なんだか気まずいな。よくわからないけど。
 急に話しかけられたのは自分なのに、こちらから喋らないといけない気がする。
「ええと、氷雨先輩……? ボクに何か用ですか?」
「あ、はいっ! 私、あなたに言いたいことがあって、来ましたっ!」
 あれ、なんだろう? なにか嬉しいことが起こる予感がする。
 と同時に、なにか恐ろしい惨劇が起こる予感までしてきたぞ。
 
「あ、あの……っ! わた、私とおつ、おつき――」
「あ、静二くんだ〜!」
 その時、学校の玄関のほうから、いつも聞いている声が聞こえてきた。
「ん? この呼び声は姉さ――」
 いつものように、ボクは振り向こうとして――何故かそこで視界が暗転した。
 最後にものすごい衝撃と、ものすごい寒気を、全身に浴びたのを感じながら。
177あまいあまいあねのはなし (6/6) ◆6AvI.Mne7c :2009/06/30(火) 22:53:02 ID:tdQV/6ZH
 
 ただ無限に広がる暗闇。その中に漂う自分の身体。
 奇妙な浮遊感に、何故だか意味もなく不安になる。
 そんな時、不意に自分の身体が、柔らかな光に包まれた。
 その光は、極端に眩いわけでも、熱を帯びているわけでもない。
 けれど柔らかくて温かくて、そして懐かしい匂いがする。
 それは女性の輪郭を伴って、優しげな表情をこちらに向ける。
 そしてその人影は――彼女は、微笑みながら、ボクに口づけを落として――
 
「……あれ、ここはどこだ?」
「……あ、よかった! 気がついたね静二くんっ……!?
 ……ごめんなさい。眼を覚まさないかと思っちゃった……」(ぎゅっ)
 なんだか怖いことを言われながら、姉さんに謝られて抱きしめられた。
 どうやらここは、通学路の途中にある公園――のベンチの上らしい。
 さらに言うと、ボクの頭は今、姉さんの太ももの上に乗っている。
 単純に言えば、ボクは今姉さんに膝枕をされている、ということだ。
 ……とりあえず姉さん、胸が顔を塞いで苦しいので、解放してください。
 
「……もう一回謝るけど、ごめんなさい静二くん。わたしが悪かったの。
 静二くんはさっき、飛びついたわたしにビックリして、気絶しちゃったの。
 つい後ろから思いっきり抱きついたのが悪かったの。本当にごめんね……」
 そうか、ボクは姉さんに飛びつかれた勢いで、倒れでもして気を失ったのか。
 ちょっと前後の記憶が曖昧だけど、姉さんがそういうなら間違いないだろう。
「……あれ? そういや姉さん。ボクに飛びついた時、他に誰かいなかった?
 たしかあの時、誰かに話しかけられて、立ち止っていたような気が――」
「……ううん、いなかったよ?」(ぎゅ〜〜)
「ん〜、でも確かに」
「……いなかったよ。うん、静二くん以外誰もいなかった」(ぎゅ〜〜)
 何故か真顔で、ボクの瞳をただただ見据えてくる姉さん。腕が痛い。
 よくわからないけれど、これ以上詮索しても無駄だろうし、やめてこう。
 思い出せないのなら、たぶんその程度のことなんだろうし。
 
「とりあえず、もうすぐ日が暮れるから、早くウチに帰ろう?
 今日はボクの料理当番だったから、急いで準備しないと――」
 
「あ、それなんだけど、今日は大事をとって、静二くんは休んでて?
 お詫びにわたしが、静二くんの大好きな料理をいっぱいつくってあげる」
「いや、ボクは別に大丈夫だs」
「……だから、楽しみにしていてね、静二くん?」(ぎゅ〜〜)
 ……まあいいか。今日くらいは姉さんに、思いっきり甘えよう。
「……じゃあ静二くん、また手を繋いで、一緒に帰ろう♪」
 そうだね、と言いながら、ボクは姉さんの手を優しく掴んであげた。
 それを確認した姉さんは、ボクの手を軽く握り返して、2人並んで歩きだした。
 
――隣を歩く姉さんの横顔は、夕日に照らされて、とても綺麗な笑顔だった。
 
 
                ― "The story" END & Next time "The cake" ―
178 ◆6AvI.Mne7c :2009/06/30(火) 22:53:56 ID:tdQV/6ZH
以上、投下終了。
最初に書き忘れていたけど、この話は続き物です。
長編だけど短編連作みたいなノリで、1ヶ月に1回の更新予定です。
他にも短編や小ネタも書きたいけど、どこまでできるだろうか……
179名無しさん@ピンキー:2009/06/30(火) 23:24:31 ID:S/nm74hH
>>178
駄々甘な姉もいいな
GJ
180名無しさん@ピンキー:2009/06/30(火) 23:31:50 ID:QsvTvviU
氷雨先輩は!?
GJ
181名無しさん@ピンキー:2009/06/30(火) 23:34:11 ID:9n4dCEwc
>>178

キャラや舞台設定がとてもツボにハマったよ

GJです
182未来のあなたへ9:2009/07/01(水) 08:10:26 ID:ibxYxPc7
投下します。
分量の少ない話が続きますがさらっとどうぞ。
デレ期序文
183未来のあなたへ9:2009/07/01(水) 08:11:18 ID:ibxYxPc7
妹に告白されてから半月経った。



朝。
じりりりりりりり、と枕元でけたたましく騒ぎ出した目覚ましに、三分程抵抗してから手にとってスイッチを切る。上のボタンを叩いて止めても一分で再度鳴り出す仕組みになっているからだ。
二度寝の欲求と戦いながらアクビをしてのろのろと布団から降り、バランスを崩してどすんと床に転がり落ちた。あたた、と肩を押さえて立ち上がる。
目覚まし時計を確認するといつも通りの時間だった。カーテンを開けて、部屋に光を入れる。朝日が目に染みて、しぱしぱと瞬きした。
痛みで既に目は覚めている。ぼさぼさの髪を手で適当に押さえながら、俺は現実を直視して朝一番の大きな溜息をついた。
妹に告白されてから半月経っている。
とりあえずの目標は、現状維持。何事もなかったかのよう、普段通りに振る舞うことだった。


あれは夢だったんじゃないかと思う時がある。
いや、夢だと思いたい。
日射病で朦朧として、妹に好きだと告白される夢を見た。それだけだったらどれだけ良かっただろう。いや、そんな夢を見るにしても問題はあるけれど。
けれどあれは現実だ。あの時の、優香の、あまりにも必死な告白が、夢だと思いこむことを許さなかった。
とにかく、妄想でない現実には対応しなくちゃいけない。
幸いと言うべきか、あの黒白の直後に俺はあまりの衝撃に気絶した。無理もないと思う。
結局夜には思い出して一晩中悶々とする羽目になったけど、しばらくは記憶が飛んでいた。何の漫画だという感じだけど、事実なんだから仕方ない。
優香もきっと、俺が忘れたままだと思っているだろう。
考えが纏まっていない俺にとって、その誤解はありがたかった。しばらくは考えるための時間を稼げるからだ。
一体どう対応すればいいのか、俺にはさっぱりわからない。
そうして、少しでも時間を稼ぐには。優香に対して普段通りに接して、思い出していることを悟られてはいけなかった。

「おはようございます、兄さん」
「あ、おはよう」
朝食の席には既に優香と父さんが着いていて、妹と挨拶を軽く交わす。優香は既に洗顔その他を済ませている。父さんが挨拶を交わさないのは単にそういう性格だからだ。
母さんはいない。いつもの通り、朝食を用意した後二度寝したらしい。あの人朝弱いからなあ。
今日の朝食はご飯にみそ汁、シャケの切り身に漬け物だった。手を合わせて「いただきます」としてから箸を付ける。うん、美味しい。
美味しいんだけど、ついちらちらと隣の席の優香を伺ってしまう。箸を器用に使って切り身をほぐしている様子に、何も変なところはない。
しばらく無言の時間が続いた。父さんが一番早く食べ終わって、そのまま新聞を読み始めた。次に優香が食べ終わり、お茶を一杯飲んだ後に台所に立ってお弁当の準備を始める。
「兄さん」
「ごほっ。な、なんだ?」
「今日、雨が降りそうですから傘を持っていった方がいいですよ」
「お、おう」
突然声をかけられて、みそ汁を吹き出してしまうところだった。いや、優香としては普通に声をかけただけか。
溜息一つつき、食事を済ませてから歯を磨く。ついでに髪を濡らして寝癖を取るけど、ここで余り手間取ると歯を磨きに来た優香と鉢合わせるので急いで済ます。
顔も洗うと部屋に戻って制服に着替える。どうせ男の身支度なんだから気にすることは余り無い。時間割を見ながら教科書を鞄に詰めていく。時間が少し余ったけど、今日は早めに出ることにした。
空はどんよりと曇っていた。あれ、なにか優香に言われた気がするけど……何だったっけ。
まあいいか、と割切った。リビングに用意してあった弁当箱を鞄に詰め「いってきまーす」と家から少し離れたバス停に向かう。
時間的に一本早い便には乗れない、いつもより少し長く待つだけになるだろう。それでも早く出てきたのは、単に……
タタタ、と背後から軽快な足音が近づいてきた。追いついた足音は、そのまま無言で横に並ぶ。見なくてもわかる、優香だ。
鞄を両手で手にして、素知らぬ顔で前を見ている。少し走ってきたからだろう、うっすらと汗をかいていた。それでも息は乱していない。
先に出たことを非難するでもない。
こうして何となく並んで歩くのも、優香が部活を始めてからは毎朝のことだった。以前は歩きながら優香に他愛ないことで話しかけていたけれど、今日は無言だ。
184未来のあなたへ9:2009/07/01(水) 08:12:39 ID:ibxYxPc7
「…………」
「…………」
思えば
優香がこうして、登下校に付き合うのも、それは好意の現れだったのだろうか?
考えてみれば優香は(どちらかと言えば)孤独を好む性格だ。理由がなければ俺と一緒に登校しようとは思わないだろう。さっきの俺がやったように、登校する時間を少しずらせばいいのだ。
けれど優香は、むしろさっきのように積極的に時間を合わせている。今まで俺が気付かなかっただけだ。
妹が一緒に登下校してくれることを、俺は兄妹仲が改善した結果だと思っていた。それは違ったのか? 優香は俺を……男性として見ていたから、だからなのか?
それに優香は毎日俺の弁当を作ってくれている。本人は自分のついでだと言っていたけど、考えてみればそれははっきりとした好意の表れじゃないだろうか?
いや、おかしい。それじゃあむしろおかしい。優香は男を怖がっていた。俺を男として見ていたのなら、むしろ避けて遠ざけるのが自然じゃないのか?
「……はあ」
「……」
理解していたと思っていた妹が、急激に遠い存在になったような気がして。俺は深く溜息をついた。
結局その日も、登校中の会話はなかった。




高校に着いたら妹と別れて――正直、ホッとした――空手部の朝練に参加する。体を動かしている間だけは悶々とした悩みを忘れることをできて思い切り打ち込んだ。
敷地の周りをぐるりぐるりと回って、柔軟を行い、筋トレを何セットか。朝練はそれくらいだけど、それでも結構疲れる。汗をタオルで拭って、教室へ。
疲れもあって席に突っ伏していると、ばーんと背中を叩かれた。ぐえ。
「よう、榊」
「おはよう、柳沢……ふう」
「なんだ今日もしょぼくれてんな。犬のクソでも踏んだのか?」
「んなわけないだろ……」
「そうそう聞いてくれよ。昨日コンビニでバイトしてたんだけどよお」
柳沢の例によってハイテンションな会話を、適当に頷きながら聞き流す。
一応色恋のことに関しては長けていそうなこの友人に、相談したいのは山々だった。けれどできない、できるわけがない。
そもそも、きょうだいは結婚できないのだから。
きんしんそうかんだ、犯罪だ(と思ったが、後で知ったけど禁止されているだけで犯罪ではないらしい)。とてもじゃないけど公表できるような趣味じゃない。
しかも柳沢は優香に惚れていたのだ。そんな真相を言えるわけがない。
どうして優香は俺のことなんて好きになったんだろう。
好みのタイプとかそれ以前に、兄弟姉妹は恋愛対象にならないのが普通だろう。俺だって優香に言われるまで、そんなことを思いつきもしなかった。
確かに優香は美人だ。切れ長の瞳も薄い唇も長い黒髪も綺麗だと思うし、体つきも(胸は小さいけれど)細くしなやかだ。
料理も上手だし気遣いにも長けている。頭もいい。成績上位なだけでなく、物事の考え方に一本線が通っているのだ。だからこそ俺は優香を信頼できるし、尊敬している。
だけどそれが恋愛に結びつくかと言えば、また別の話だ。俺にとって優香はまず何よりも妹であり、異性であることは今まで意識もしてきたことがなかったんだから。
……いや、それは嘘か。
何度か、妹を女の子として意識したことはある。水着姿の時、お風呂上がりの時、汗を拭う時。そういう色気を感じた時に、こいつも女なんだなあ、と改めて意識したことはあった。
けれど、だからといって妹に恋愛感情を抱くわけがない。そういうことをしてはいけない相手なんだ。
だからこそ、きょうだいは結婚できない。
じゃあ、なんで優香は……と、結局その疑問に戻ってきてしまう。
「はあ……」
ぼんやりと、窓から外を眺める。
空はどんよりと曇っていた。
185未来のあなたへ9:2009/07/01(水) 08:13:31 ID:ibxYxPc7

どうして俺なんだろう。
ずっと前から思っていたことだけど、俺は――兄としても――優香に釣り合うような人間じゃない。
必死で毎日勉強しないと授業にもついて行けない程度の頭しかないし、運動だってそこまで秀でているわけじゃない。今となっては優香と取っ組みあっても勝てるかどうか怪しいところだ。
顔だって普通だ。生まれてこの方モテたことなんて一度もない。背は平均よりも低いし、髪だって短く切ったままほったらかしだ。
ついでに頭もよくない。学力や成績の問題とは別にして、物わかりが悪いのだ。実際この問題についていくら考えてもさっぱりわからない。
いや、別に自虐癖はない。ただ客観的に見て、優香よりは遥かに見劣りはするだろう。というか妹がすごいのだ。
どうして優香はよりにもよって、俺なんかを好きになったんだろう。
他に優香に相応しい男がいるはずだ。手近で済ませるにも程がある。
いいや、そういう問題じゃない。優香が一番選んじゃいけない人間が俺なんだ。
もしかしたら優香は男嫌いだからこそ、他の男を知ろうとせずに『俺にした』のかもしれない。
ヒキコモリは良くない。もしそうなら、兄として俺がすべきなのは優香を真っ当な道に戻してやることなんだろう。
そんなことを考えながら
全然頭に入ってこない授業を受けて、俺は深くため息をついた。
ふう。
授業が終わり次第友達に挨拶して部活に向かう。
敷地の周りをぐるぐると走り込んで、ストレッチをして、筋トレをして、型稽古をして、サンドバッグを叩いて、乱取をして……
例によって悩みを振り払うように打ち込んでいたら、最近熱心だなと部長に褒められた。
そんな褒められるようなことじゃないのに……最近隠しごとが増えてばかりだ。



ざあざあと。
雨足は強く、校庭のあちこちに水たまりができている。陸上部やサッカー部の連中はとっくに退散している。
俺は昇降口に一人立ち尽くして空を眺めていた。色合いは灰色を通り越して黒く、バケツをひっくり返したみたいに雨が降っている。
降り出したのは部活の途中からだった。
傘はない。
こんな天気になるとわかっていれば折畳傘の一つも鞄に入れておいたのに、今更後悔しても後の祭りだ。
そういえば優香が天気について、朝言っていた気もするけど。俺は完全に聞き逃していた。
どちらにしろ最近の悩みのせいだ。とはいえ原因がわかって、自分を殴りたくもなったけど、雨は止まない。
ため息一つ。
雨足は強い。門の向こうにあるバス停に着くまでに濡れねずみになるだろう。バスから降りた後の家路はもっと遠い。
少し考え事をしていたせいで、部活のみんなはもう帰ってしまっていた。傘に入れてもらうこともできず、しばらく待っても雨は弱くなる気配も見せない。
ここは覚悟を決めてバス停まで走っていくしかないようだった。ずぶ濡れになってしまうが、まあ仕方ない。一度濡れれば後は同じだ。早く帰って風呂に入ろう。
気休めに鞄を雨除けにかざす。濡れてはまずい中身は下駄箱に無理矢理詰め込んである。後は覚悟を決めればいいだけだ。
せーの、と走りだそうとしたその時。
「兄さん? まだ残ってたんですか」
「あ……優香」
何の偶然か。
折畳傘を手にした妹が、昇降口から出てきて声をかけられた。

186未来のあなたへ9:2009/07/01(水) 08:15:44 ID:ibxYxPc7
折畳傘は小さく、狭かった。
二人で入るなら、なおさら。
妹と相合傘なんて、何年振りだろう。
「…………」
「…………」
あれから俺は優香の傘に入れてもらってバス停に辿り着いた。バスの時間に間に合うように小走りで、一分あったかなかったかの距離。
すぐにバスが来て、並んで座る。車内は暗く、湿っていて、時間帯がずれたせいで人気もなかった。まるで怪談みたいな雰囲気。
ほとんど会話もなかったけど、バスの中で少し言い争いをした。俺は途中で降りてコンビニの傘を買おうかと言ったのだが、優香にきっぱりと却下された。
傘は買えば割と高く付くし、家に帰れば自前がある。それならバスから降りて家まで歩く間は自分の傘に入ればいい。反論のしようがなかった。
そうして俺は、妹と相合傘で住宅地を歩いている。
雨足は弱くなる気配もなく、人気は全くない。折畳傘は小さく、お互いの肩が少し濡れている。体をぴったりと寄せ合ってそれだから、離れることなんてできそうにない。
優香の右肩と俺の左肩が重なり合っていて、その部分だけひどく熱い気がする。
ある種の密室のようなものだ。
お互いに会話はない。ざあざあという雨の音と、ぼたぼたという傘の音だけが響いている。
「…………」
「…………」
こうしていると、どうしても思い出してしまう。
半月前にこうして二人で家路を辿った時のことを。
雨も降っていなかったし、こんなふうに触れあってもいなかったけれど。
その時の出来事を、俺は一生忘れないだろう。
あの時から今までのことを思うのなら、今すぐ離れるべきなんだろう。
けれど雨は止む気配もないし、傘は一本しかないし、俺は倒れて忘れたことになっているからそれも駄目だ。
どうしてなんだろう。
優香は冷静だし、頭がいい。そのことを俺はよく知っているし、信じられた。だから俺は、優香が誰を好きになろうと応援しようと決めたのに。
これまでの人生で、そんなに悪いことをした覚えはない。どうして神様は、俺達をこんな目に遭わせるんだろう。
そんな風に、埒もないものに文句をつけさえした。
187未来のあなたへ9:2009/07/01(水) 08:16:22 ID:ibxYxPc7

「兄さんは」
ふと
優香が、独り言のように何かを呟いた。
落ち着いていて、聞き慣れていて、空気よりも少し冷たい、普段の妹の声だった。
「兄さんは、私が怖いですか?」
「……え?」
優香が、怖い?
そんなことはない、そんなわけがない。
だって榊優香は俺の妹だ。いや、優香は優香だ。
頭がよくて努力家で、可愛いと言うより美人で、料理も気遣いも上手くできて、冷静だけど男が苦手で、たとえ何があろうと俺の妹で。
だからこそ問題なんじゃないか。
口には出せないけれどそんな風に思う。顔には出ていたのかもしれない。優香がそんな俺を見て小さく息を付いた。
「だって私は兄さんを好きだなんて言いだしたんです。そんな妹は兄さんの中にはいなかったでしょう」
「いや、まあそりゃそうだけど……げっ!?」
「思い出してますよね。バレバレ&挙動不審です」
ぎょっとして思わず一歩離れてしまう。頭に何粒か水滴を感じるや否や、ほぼ即座に優香は俺に体を寄せた。再び傘が俺達を守る。
俺のリアクションを読んでいたんだろう、少し得意げに口の端を綻ばせる妹。
けど……そうか、気付いてたのか。つくづく俺は隠し事が下手だ。
考えてみれば今日だけでも、態度が不自然すぎた。無言同士がやけに不自然だったのも、普段は俺の方から下らないお喋りをするからだ。
優香はとっくに気付いていたんだろう。俺が一人で隠しているつもりで、延々と考え込んでいて……とんだピエロだ。
そうして、俺も気付いた。どうして優香がその指摘を、今この時までしなかったのか。
普通の話だ。笑ってしまう程普通の話だ。
「その……今まで黙ってたのは、考える時間をくれたってことなのか?」
「それが段取りというものでしょう。兄さんの経験がどんなものかは知りませんが」
先輩に告白して即座に振られた思い出が胸に突き刺さる。ぐふう、と呻き声を漏らしてしまった。
兄としての威厳を取り繕うべく、慌てて反論する。優香のことは尊敬しているけれど、たまに兄として振舞ってみたくなるのだ。
「そ、そんなこと言ったって。優香だって告白されたらすぐに返事するじゃないか」
「あれは考える必要がないからです。私はずっと……兄さんが好きですから」
「あ……う……」
藪蛇だった。
すっと、優香が傘を少しだけ前に傾ける。歩きながら話そうという合図だった。
今さらだけど、その傘をとる。力は俺の方が強いんだし借りている身分なんだから、こういう時は俺が持つべきだろう。変な隠しごとがなくなればその動作は自然にできた。
濡れた道路を、二人で並んでゆっくりと歩く。人気はない。雨の密室。
考えてみれば妙な話だった。
生まれて初めて告白された女の子と、相合傘で肩を重ねて歩いているのに、それが妹だったり。
世間的にはとても許されない告白だというのに、考えるための時間をくれたりと妙に普通だったり。
関係が劇的に変化してもおかしくない出来事があったのに、こうして前のままの気遣いを行ったり。
どうしてなんだろうな。
優香が、傘を持つ俺の手に右手を重ねた。ひんやりと冷たく、細かく震えている。それは寒さのせいではなかった。
「私は……私は怖かった、です」
「優香が?」
「兄さんに突き飛ばされて、気持ち悪い妹だって罵られたらどうしようって……すごく、すごく怖かったんです」
「そ、そんなこと言うわけないだろっ!」
「いいえ、あったんです。私だって近親相姦を是としない常識というものは知っています。そして兄さんは、そういう世界に生きている人ですから」
「そ、それは、まあそうだけどさ」
「だから、嬉しいんです。兄さんが私を受け入れてくれて。こういう私を生理で拒否せず、真剣に考えてくれて……」
「いや、だからって優香と付き合うとか決めたわけじゃないからな」
わかっています、と妹は頷いた。その目元が濡れている。雨じゃない。優香は静かに泣いていた。
しゃくり上げるでも、喚くでもなく、ただ溢れたものが静かに流れ出すような泣き方だった。
つう、と顎からしたたり落ちた涙が地面に落ちて雨と混ざる。
綺麗だ、と思った。
榊優香は、俺の妹は。
本当に綺麗だったのだ。
188未来のあなたへ9:2009/07/01(水) 08:17:02 ID:ibxYxPc7

「機会を下さい」
優香がぽつりとそう言ったのは、そろそろ我が家が見えて来る頃だった。
それまで俺は、静かに涙を流す優香の雰囲気に圧倒されてしまい、何も喋れなかった。
妹からもそれ以上は言い募ることもなかったらしく、相合傘をしながら無言で歩く。
その間の空気は、気まずいような、ムズムズするような、ジリジリするような、奇妙な感じだった。
胸の中がなんだか焼ける。
結局雨は止む気配もなく、ずっと相合傘で。肩も、手も、重ねたままだった。
そうして、家が近づいて。流石に傘はともかく手は離した方がいいぞ、と思った頃。優香がぽつりと呟いた。
「え、機会って……」
「機会を下さい。私が努力する機会を。兄さんを振り向かせる機会を」
「あ、あああおうっ」
「奇声を上げないでください。そこらの飼い犬が飛びかかってきますよ」
いや、だってお前、いきなり何を言い出すんだ。ものすごく焦って変な声を上げてしまった。
振り向かせる云々って、本人に堂々と言うようなことじゃあないと思う。
と思ったら、そんなものは序の口に過ぎなかった。
「私は今まで妹だった。兄さんの中で妹だったんです。けれどそれは不公平じゃないですか。私はずっと兄さんが好きだったのに、そんな基準で決められてはたまらない」
「そ、そうか、うん。それは悪かったと思うけど……」
「不公平じゃないですか。私の他のあらゆる女は、兄さんに女として意識してもらえる。血が繋がってはいないというただそれだけで」
「い、いや、別に俺はそんな風に女の人を見ていない……」
「だからせめて機会を下さい。女として意識してくれとは言いません。女として意識してくれるように努力します。選ぶのならば、せめてそれからにしてくれませんか」
「え、いや、それは」
「どうなんですか兄さんはっきりしてください!」
「ひいっ! わ、わかったよ」
胸倉を右手で掴まれてがくがくと揺さぶられた。あまりの気迫と脅迫につい頷いてしまう。それを聞いて妹は満足そうに手を離す。
なんだこれ、今まで猫被ってたのか、と一瞬思ったけど。時々物理的な強硬手段に出るのは俺のよく知る優香だったことに気付いて少し落ち込んだ。とほほ。
優香は優香だった。
もしもあの日を境に妹の様子ががらりと変わってしまったら、俺は(情けない話だけど)優香の言う通りに突き飛ばしてしまったかもしれない。
自分の良く知っているはずのものが、実は皮を被っただけの全く違うものだったら、気持ち悪いと感じてしまったかもしれない。
だけど、優香は俺の知っている優香のままでいてくれた。
態度も、行動も、言葉も、振る舞いも、雰囲気も。こうして几帳面に(社会的には全く認められていないのに)恋愛の段取りを踏むのも、俺の知る優香っぽさにぴったりと収まるのだ。
だから、納得する。
俺への好意も、まぎれもなく榊優香の一部なんだと。
変わったことなんて何もなかった。怖がることなんて何もなかった。
どうして俺なんかを、という部分はやっぱりわからないけれど。
ため息一つ。

「はあ。全く、こんな厄介な奴に好かれるなんてなあ……」
「何をさり気なく失礼極まることをほざいてるんですか兄さん」
「痛い痛い痛い痛い」
左手首を妙な掴み方で思い切り握られて
痛みが走ったところを傘を取り返されて
胸を突き飛ばされる
直前に

――――ふわりと

優香の顔が大きく迫って、いい匂いがして、頬に何か濡れたものが押し付けられたような気がした。
一瞬硬直し、そのせいで踏ん張ることもできず。結果、水のたまったアスファルトに尻もちをついた。
ばしゃんと尻に染み渡る冷たい感触。ざあざあと降りしきる雨が俺を包み、結局ここまで来たにもかかわらず水浸しになる。
その時には、薄情な妹は一人で傘を差して家に向かうところだった。
俺が目にしたのは、その背中と髪と耳ぐらいで、表情なんて全く伺えなかった。
ただ



優香の耳は、真っ赤に染まっていた。
189未来のあなたへ9:2009/07/01(水) 08:19:10 ID:ibxYxPc7
以上です。
次回は10。不定期でデレ期が続く予定です。
190名無しさん@ピンキー:2009/07/01(水) 09:35:53 ID:xMZ5p6F/
うおお!
来た!『未来のあなたへ』来た!

毎度ながらGJです。
優香が逆レイプとかに走らなそうで、とても安心しました。

191名無しさん@ピンキー:2009/07/01(水) 10:42:32 ID:FcaqInzE
>>189
優香の宣戦布告きたなGJ!

というか本音を曝け出した優香が、むっちゃ可愛くなってきた。
当初のヤバイ脳内会議を展開していた優香は、一体どこにいったのか?
そして既に手玉にとられ気味の健太は、どんな結末を受け入れるのか?

次回のデレ期話、楽しみにしています。
192名無しさん@ピンキー:2009/07/01(水) 14:14:17 ID:CB97rQIr
なのにここにきて強敵出現を期待してしまうひねくれ者の俺であった
193名無しさん@ピンキー:2009/07/01(水) 15:42:06 ID:l8PxVeFU
GJ!
心臓がきゅんきゅんするぜ…なんだよこの純なキモウトはよぉ…
そして不気味な榊父
194名無しさん@ピンキー:2009/07/01(水) 15:45:35 ID:va56PY0x
優香のターンキタ*・゜゚・*:.。..。.:*・゜(゚∀゚)゚・*:.。. .。.:*・゜゚・* !!!!!
195名無しさん@ピンキー:2009/07/01(水) 16:14:19 ID:KrFn92qP
いいねえ!待ってたよ
いつもながら楽しませてもらってます
196名無しさん@ピンキー:2009/07/01(水) 17:32:37 ID:lJBsQoJ3
GJ!
ところで>>183に多分「告白」の間違いだと思うけど
「黒白」って書いてあったのを見て
案外間違ってないなと思って笑ったw
197未来のあなたへ:2009/07/01(水) 19:12:31 ID:1eQZr7Z8
>>196
誤字指摘ありがとうございます。黒白ではなく告白ですね。
キモウトとは関係ありませんが、黒白キューピッドというラノベが好きです。
198名無しさん@ピンキー:2009/07/01(水) 20:40:30 ID:fZJO/907
続きキター!GJ!
幸せになってくれることを願う

>>196 違和感なくて気づかなかったわw
199名無しさん@ピンキー:2009/07/01(水) 21:02:51 ID:rd0M1HCh
普通に優香が可愛いぜ!チクショウ!

安易に両思いにならないところもまたオツで、
GJ!としか出てこないぜ!チクショウ!
200名無しさん@ピンキー:2009/07/01(水) 22:49:15 ID:ZK6u9Ve9
新ヒロイン登場か!?
201名無しさん@ピンキー:2009/07/01(水) 23:27:58 ID:HAZi7xV9
優香かわいすぎるだろ……。
やべーよ、俺キモ姉一本だったのがキモウトに目覚めそうだよw
202名無しさん@ピンキー:2009/07/01(水) 23:45:32 ID:ePu3NrzB
>>201ちゃん、浮気はだめだよ。
お姉ちゃんだけを見ないと………ね?
203名無しさん@ピンキー:2009/07/01(水) 23:48:57 ID:fyulEJV9
>>211
おねえちゃんからにげられるとおもっているの?
204名無しさん@ピンキー:2009/07/01(水) 23:59:11 ID:FcaqInzE
>>201
思いとどまれ、その道は(ある意味)ドロ沼だ。

>>203
…………まあ、>>211の弟くんに期待、ということで。
205名無しさん@ピンキー:2009/07/02(木) 00:34:41 ID:XzA8Vq4r
>>201
姉「なる!お姉ちゃん、弟君の妹になる!」
弟「待て姉ちゃん!あんた妹ってのがどんなものなのか知ってんのかよ!?」
姉「知ってるよ!…半分くらい」
弟「半分じゃダメだろ!」
姉「残りの半分は勉強するから!」
弟「誰が教えるんだ!?」
姉「(じーっ)」
弟「 俺 は 弟 だ !」

咄嗟にこんなやり取りが浮かんだ俺は大分脳みそが膿んでるらしい
206名無しさん@ピンキー:2009/07/02(木) 02:33:59 ID:thDSvWoj
最近キモ姉妹に目覚めた俺に個人的にでいいからおすすめの作品を教えてくれ。未完でもいい。
207名無しさん@ピンキー:2009/07/02(木) 02:49:35 ID:ktJcS9EU
>>206
ほんの少し上を見てみ?お前が求めてるものがあるぞ

あとは『綾シリーズ』だな。キモウトスレの中で俺が一番好きな作品なだけだが
208名無しさん@ピンキー:2009/07/02(木) 03:05:40 ID:09YbIcpg
俺は籠の中を押すぜ

あとはノスタルジアだが未完なんだよね
209名無しさん@ピンキー:2009/07/02(木) 03:30:10 ID:7PzAn5gV
>>206
キモウト系なら『妹姫』もおススメ。
キモウトだけでなく周辺の登場人物良い味出してる。

それはそれとして
>>202-205のコンビネーションが素晴らしすぎw
210名無しさん@ピンキー:2009/07/02(木) 07:41:44 ID:5ahWyxgR
>158
211名無しさん@ピンキー:2009/07/02(木) 08:31:02 ID:7qsO+Y7u
姉が俺のベッドでオナニーをしていました
しかも喘ぎ声を聞いてみると、どうやら妄想の中の相手は俺の様です


とりあえず幼なじみの家に駆け込むとします
212名無しさん@ピンキー:2009/07/02(木) 09:57:06 ID:BB/a65JG
一方幼なじみも現在進行形で大絶叫自家発電中
213名無しさん@ピンキー:2009/07/02(木) 10:03:19 ID:k35RYoOz
>>206
未完のだったら、
「転生恋生」
だな。もう半年経つのか・・・続き妄想してる
214名無しさん@ピンキー:2009/07/02(木) 11:09:42 ID:BB/a65JG
『籠の中』『綾シリーズ』は絶対読むべき。
このスレの方向性を決めたとも言える2大作品。

あとは長編なら『__(仮)』『妹ーIー妹』、
コメディ作品だけど『いもうとの考え』『ヘンゼルとグレーテル』もオススメ。

未完作品なら『未来のあなたへ』『転生恋生』『世界の黄昏に愛する人と』なんかいいかも。
215名無しさん@ピンキー:2009/07/02(木) 11:26:21 ID:ktJcS9EU
ギャグ系で最高なのは『ヘンゼルとグレーテル』だな。長澤まさみとか焼酎吹いたわ

まぁあれだ、自分で探すのが一番だと思う
216名無しさん@ピンキー:2009/07/02(木) 12:47:11 ID:bMMwlvSw
まぁ保管庫の作品をすみずみまで作者さん達に感謝しながら読みなさいってこった
217名無しさん@ピンキー:2009/07/02(木) 13:11:54 ID:AOkPDQq+
>>205
元ネタは童帝の話か。
218for 217:2009/07/02(木) 15:59:25 ID:pCb2dkR7
妹「何してんのよ、キモ義姉」
姉「あんたに義姉と呼ばれる筋合いは無い!」
妹「じゃあキモで十分ね。キ〜モ!」


んー、カオス。
219名無しさん@ピンキー:2009/07/02(木) 16:25:53 ID:Ke/l4OWT
久しぶりに見に来たんだけれど……何これVIPPERの突撃でも食らったの?
220名無しさん@ピンキー:2009/07/02(木) 20:57:36 ID:qNd2DpnA
コミュニティの一生

面白い人が面白いことをする

面白いから凡人が集まってくる

住み着いた凡人が居場所を守るために主張し始める←いまここ

面白い人が見切りをつけて居なくなる

残った凡人が面白くないことをする

面白くないので皆居なくなる

作者さんのレベルは非常に高いと思うのだが
>>202-205とか鳥肌ものですネ
221名無しさん@ピンキー:2009/07/02(木) 21:05:50 ID:qSZ1YRtO
俺は『永遠のしろ』を推すね、無形氏の作品はぜんぶ面白いよ。
222名無しさん@ピンキー:2009/07/02(木) 22:40:34 ID:lj2xQynB
>>220
他人の文章を得意気に写すだけの人間にも
たいして能があるとはいえないだろうがなw

おまえがツマランとケチをつけるだけの話に
コピペを持ち出して正当化をはかろうとするなんざ、さもしいもんだぞ
223名無しさん@ピンキー:2009/07/03(金) 00:05:57 ID:thDSvWoj
>>222
得意げに人の文章写すってなんだ?

つか、みんなオススメ作品がよくかぶらないな…
俺は個人的にはノスタルジアと綾
224名無しさん@ピンキー:2009/07/03(金) 00:09:45 ID:FYE0rhEH
>>220
きっと小学生のころから、ずっと一人で本読んでたんだね
まわりへの混じり方も知らずかわいそうに
225名無しさん@ピンキー:2009/07/03(金) 02:11:35 ID:imZ7BdDx
>>222
マジレス乙
>>224
その「まわり」が『悪臭を放つ生ゴミ』だと>>220は言ってるんだろ
226名無しさん@ピンキー:2009/07/03(金) 03:34:33 ID:enPIVC3v
220だが本当に当人たちが面白いと思って書いてるのならいい
でも、最近こういう流れが多くてつまらんと感じる人も少なからずいる
>>219さんもそう感じてるし、普通に話しゃいいじゃないw

>>206
完結なら綾、『花言葉デンドロビウム』、__(仮)
未完なら傷、ハルとちぃの夢、未来のあなたへ
ってゆーか作品に外れがないので全部読んだ方が◎
227名無しさん@ピンキー:2009/07/03(金) 09:15:57 ID:vxiDcD16
>>223
一番下の行でコピペと触れているように、>>220は下二行以外はコピペ
俺自身もああいったやりとりは面白くないと思っているが

・「俺がつまらないから、むかついて邪魔」と主張するだけならともかく
・「面白くない奴が調子に乗っていると面白い職人が逃げる」だとか、自分の主張の正当化をはかりたいのであれば、このスレで何故そうなるのか、ということをきちんと書かなければ何の内容もない
(皮肉でギスギスする方がよっぽど書きにくいと思うがなー)

コピペを貼るだけで、何かを言った・根拠づけた気になるのは間違えだし
今回でいえば、他人を「凡人」「面白くない」と高みから揶揄する人間が
自分は他人の作った面白い文章をコピペするだけ、というのがエラクみっともないという話も加わる
228名無しさん@ピンキー:2009/07/03(金) 10:21:57 ID:mDw6v0Ju
姉「まーた煽りにスルーできない人が増えてるわね」
妹「こんな状態では、お兄ちゃんが書いたSSが投下できません」
姉「……ヤっちゃう?」
229名無しさん@ピンキー:2009/07/03(金) 11:39:38 ID:WP+pLp69
>>228
妹「この際です、荒らしは徹底的に廃絶しましょう姉さん」
姉「了解よ」
妹「姉さんならそう言ってくれると思い、ここに荒らし根絶の計画を纏めてます」
姉「…ふむふむ。じゃちょっと行ってくるわ」
妹「ご武運を」

姉「ふっ…荒らし退治で○○のポイントアップ間違いなし」
妹「荒らし及び姉は排除完了…お兄ちゃんは私のもの」

結局最後に残るのはキモ姉妹なわけで。
230名無しさん@ピンキー:2009/07/03(金) 11:58:42 ID:PU2Vv7PO
弟は黙って
保守!!
231名無しさん@ピンキー:2009/07/03(金) 13:47:10 ID:eKVe7xXr
>>230 一人っ子の俺はどうすればいい?
232てす鳥:2009/07/03(金) 13:56:52 ID:ymfiBEmD
 柚子の香りと女の子の匂いが溢れ返る、密閉された体育倉庫。
 ボクを押し倒して跨がるのは、あかい、赤い、紅い不良少女。
 髪の色が赤い。腰のラインまで伸びてるのに、僅かな痛みも無く艶めいてる。
 瞳の色が赤い。切れ長なツリ目に、中学の頃から付けてるクリムゾンレッドのカラーコンタクト。
 唇の色が赤い。薄く水っ気を帯びて、その間からピンク色の舌を垂らす。
 頬っぺたは耳まで真っ赤っかで、切なそうに吐き出される息までもが湿ってる。
 勿論、身体だって首から上と一緒。夏用制服から透けて見える赤いブラに、むっちりとした足を締め付けてる赤いタイツ。ミニスカートからチラ見えするパンツも赤。ボクの好きな、赤い色。
 全部がボクのストライクで、ほんと……チンコたっちゃうよ。
「うひっ!? は、孕ませて、子供産ませてっ、オレを、おっ……お嫁さんにする気なんだろ? わかりゅんだきゃらなっ!! そーなんだろ、ゆーとっ!?」
 しかも今、サキちゃんはイキたくてイキたくて仕方ないんだ。お尻をズボン越しのチンコに小突かれても、短い悲鳴を上げるだけで逃げようとしない。
 だからこのセリフも……ボクに気が有るとかじゃなくて、自分がイキたくて誘惑してるだけ。
「そんな訳ないじゃない? ボク、優しい人が好きなんだ。ほらっ、重いからどいてよサキちゃん」
 早くどいて? そーしないと、いつもパシリにしてる奴に処女膜やぶられちゃうよ? 貫通アクメでイカされちゃうよ? そんなの嫌だよねっ?
 だからっ、嫌いなんだったらっ、幼馴染みなんてヤメよーよ? そしたらノートの名前も消したげるし、そしたら、本当に好きな人とエッチしたら良いよ。
 ただ近くに居るから……そんな理由でエッチのパートナーにされるなんて、ボクだってイヤだ。
 身体は繋がってるのに、心は繋がってないなんて、そんなのっ!

「はっ、どーせよぉ……あの写メで脅し続けんだろがっ!? オレの卵をっ、せ、精子漬けにしてっ、はあぁぁっ……ゆーとのデカチン無しじゃ、生きて行けなくすんだろ?」

 イ、ヤ……ふぇっ?
「ちょっと、待ってよサキちゃ」
 オカシイよ。これは流石に求め過ぎじゃないの?
 オカシイ。そう思ったから手を振りほどこうとしたけど、押さえ付けられた身体はビクともしない。
 オカシイんだ。瞳は潤んで濡れて、呼吸は乱れて激しくなって、心臓ドキドキばっくばく。サキちゃんだけじゃなくてボクも。
 初恋の相手がこんな近くで見詰めてるんだもん、当たり前だよね?
「まてっかよ!! もぅ十五年だぜ? これ以上まったら化石になっちまう……ふっ、おめぇが悪いんだぞゆーと? ゆーとが告白してくれないからっ……押し倒してくれないからぁっ!!
 優しくしてもよぉ、イジメてみてもよぉ、エロい事もしてやってよぉっ……もう思い付かねーよ、どーしたら好きになってくれんだ?」
 なんだよそれ? 昔から好きでしたとか、実は両思いでしたとか、ボクの初恋を報わせないでっ!!
 ボクはこれから、サキちゃんに酷い事をするんだから。心の中を覗いて、ウソツキって罵るんだから。好きだった頃の想いを甦らせないでよぉっ!!
 そう、口だけならなんとでも言えるさ。どーせ嘘なんだよ……だから、
233名無しさん@ピンキー:2009/07/03(金) 13:59:31 ID:ymfiBEmD
妹「お兄ちゃんだったら、妹の誤爆ぐらい笑って許してくれるわよね?」


スマネ。
以下、普通にスレ進行or神が投下してくれる
234名無しさん@ピンキー:2009/07/03(金) 14:53:55 ID:QnB+rX8k
最後まで投下しろクソ野朗が。

と、私の息子が申しております。
235名無しさん@ピンキー:2009/07/03(金) 15:14:39 ID:imZ7BdDx
>>227
>(皮肉でギスギスする方がよっぽど書きにくいと思うがなー)

お前が騒ぐ必要も無いのに騒いでこのスレを荒らす方がよっぽど投稿しにくいわ

>・「俺がつまらないから、むかついて邪魔」と主張するだけならともかく
>・「面白くない奴が調子に乗っていると面白い職人が逃げる」だとか、自分の主張の正当化をはかりたいのであれば、このスレで何故そうなるのか、ということをきちんと書かなければ何の内容もない
>コピペを貼るだけで、何かを言った・根拠づけた気になるのは間違えだし
>今回でいえば、他人を「凡人」「面白くない」と高みから揶揄する人間が
>自分は他人の作った面白い文章をコピペするだけ、というのがエラクみっともないという話も加わる

そのコピペにマジレスするお前は何なの? コピペすらまともに出来ないから火病ってるの? 馬鹿なの? 死ぬの?


>>228-330,234
お前らのせい荒れてるのが分からんのか蛆虫が
---
>>220にある通り、『住み着いた凡人 (読者) が居場所 (馴れ合える場所) を守るために主張し始める (つまらないSSもどきの馴れ合いレスや>>227)』 がそのまんま当てはまってるな。こうなると『面白くないので皆居なくなる』まであっという間だ
236名無しさん@ピンキー:2009/07/03(金) 16:20:11 ID:1eNmc8v4
>>233
これは盛大な誤爆花火だなぁ……
あっちのスレで投下されるのを待ってます。


注意や自重勧告ならともかく、議論討論しゃべり場を此処で展開されるほうが、よっぽど不愉快だよ。
そんなに自分規則をぶつけ合いたいなら、まとめサイトからいける議論スレにでも行ってほしい。
今回は一部レスが久々に暴走ぎみだけど、それに便乗して長文で叫ばれても、スレ容量がもったいないし。
237名無しさん@ピンキー:2009/07/03(金) 18:28:25 ID:FYE0rhEH
>>235

>そのコピペにマジレスするお前は何なの?
そのコピペへのマジレスに噛みつくお前は何なの?w
鏡見てから言えよ。
あ、ブサメンすぎて見るに耐えないか。ゴメンw

>お前らのせい荒れてるのが分からんのか蛆虫が
「で」が無いねー 見落としてたねー 恥ずかしいねー

ちゃんと意見を主張したいなら
せめて236みたいに考えをまとめてからにしましょうねー
238名無しさん@ピンキー:2009/07/03(金) 19:10:53 ID:Jzij52Vk
凛、としたキモ姉物のおすすめってない?デレデレのキモ姉にちょっと飽きてきた。
239名無しさん@ピンキー:2009/07/03(金) 19:12:18 ID:6Q9ZKqgu
バッドエンドなら
240名無しさん@ピンキー:2009/07/03(金) 19:12:52 ID:2wtdCTq8
『__(仮)』なんてどうだ?

妹さんはしっかりしてるぞ。
241名無しさん@ピンキー:2009/07/03(金) 19:58:58 ID:yvwX1BUL
死ね!
糞野郎!
242名無しさん@ピンキー:2009/07/03(金) 20:27:39 ID:Jzij52Vk
>>240
d、読んでみる
243名無しさん@ピンキー:2009/07/03(金) 22:02:51 ID:vtKDSwZM
何か空気と戦ってる人が多いなぁ、最近。


>>238
『永遠のしろ』の姉は凛とした部分が多いかな?
甘え系だけど『負い目』の姉は正統派キモ姉でこちらもおススメ。
244名無しさん@ピンキー:2009/07/04(土) 00:43:08 ID:l9fq3cDP
>>232
コラワレ!どこのスレのもんじゃ!!
教えてください
245名無しさん@ピンキー:2009/07/04(土) 01:45:48 ID:N6Qz0605
>>232
あのヤンキーか続編なのか?
別スレだが期待してますよ。
246名無しさん@ピンキー:2009/07/04(土) 02:39:03 ID:dAnHUqXB
綾最高すぎるだろ…あんな作品はもうないのかい?(´・ω・`)
247名無しさん@ピンキー:2009/07/04(土) 17:35:20 ID:i8CRZ9jS

 ざわ・・
 ざわ・・

248名無しさん@ピンキー:2009/07/04(土) 21:50:14 ID:RETJHkVW
アカギ、カイジ風キモウトだと!?
249名無しさん@ピンキー:2009/07/04(土) 21:52:36 ID:wFeWAzQZ
いや、それはないわ
250名無しさん@ピンキー:2009/07/04(土) 23:36:20 ID:qYN0Hgef
また荒れそうな流れだ
251名無しさん@ピンキー:2009/07/05(日) 00:22:28 ID:BgW4cKu/
優しさを失わないでくれ…。その想いが何百回裏切られても…。
252名無しさん@ピンキー:2009/07/05(日) 00:33:10 ID:2FzHBxJ4
>>248
血の代わりに息子の精液を抜き抜きしていくんですね
253名無しさん@ピンキー:2009/07/05(日) 01:51:10 ID:3NMcyuEB
前までwikiに上がってたんだが今消されたのか見当たらないんだが
欠点のないパーフェクトキモウトに嫉妬して家出した兄が
大人のおもちゃを作ってる会社に勤めてるキモ姉に捕まる話しなんだが
題名分かる人いる?
254名無しさん@ピンキー:2009/07/05(日) 02:04:46 ID:lCPDjlgB
キモウト黙示録
キモウト破戒録
キモウト堕天録

福本作品は出てくる女が美心なのがなあ…
「天」の頃は普通の女キャラ描いてたのに


やっぱり、キモ姉、キモウトっていうのは顔よし、(よそから見た)性格よし、ハイスペック
なのに病的なブラコンのだめ人間っていうのがいいんだ、特に顔
というのが上3行を想像してみてわかった
255名無しさん@ピンキー:2009/07/05(日) 03:47:53 ID:6lN1VBFf
つまり負ける度に姉さんに中出しする麻雀ですね
気がついた時には立派に膨らんだ姉のお腹が…
256名無しさん@ピンキー:2009/07/05(日) 06:10:57 ID:Pgg1/NIU
血液のかわりに精液を賭けるんですね。
わかります。
257名無しさん@ピンキー:2009/07/05(日) 10:07:29 ID:l1OfNw2h
生死(精子)をかけた戦いか……
258名無しさん@ピンキー:2009/07/05(日) 11:36:24 ID:vE+vM6gN
>>253
妹嫌いという作品じゃないかな
違ったらスマソ
259名無しさん@ピンキー:2009/07/05(日) 12:28:04 ID:KcHN/RNf
まとめを読んで思う。

綾や椿の悲劇はもう見たくない。
どうせ殺すなら陽一や秋巳にして欲しい。

寝取られ臭があっても良いから、姉妹には幸福な未来を掴んで貰いたい。
260名無しさん@ピンキー:2009/07/05(日) 12:43:44 ID:tWL6R9DU
>>259
てめーが書けよって話ですよ
261名無しさん@ピンキー:2009/07/05(日) 13:04:54 ID:iEqNJUGP
>>259
バカ野郎こんなとこで何をしてるんだ!
さぁ早くキモウトやキモアネが幸せになる長編を書く作業に戻るんだ!!
262名無しさん@ピンキー:2009/07/05(日) 13:19:53 ID:lCPDjlgB
キモ姉妹は兄弟から見て(何かを知る前or両想いになった後以外)キモいからキモ姉妹なんだ

普通、普通はキモいと思う相手を幸せにしよう、一緒に幸せになろうとは思わない
あんたたちは学校や職場のウザキモい同級生、同僚と卒業や退社まで仲良くやってこうと思うか?
ましてどっちか死ぬまで末永く友情やそれ以上を続けたいと思うか?
一刻も早くクラス替え、配置転換での絶縁を望むはずだ

異性に話を戻して、ちょっと性格や趣味があうとしても生理的にダメ!外見にどうしても奮い立たない
そんな女子(女性やゲイの人なら男子)とくっつく気になるだろうか
キモ姉妹相手に恋愛も欲情もないのは結局それと同じなんだ

だからこそ、キモ姉妹とのハッピーエンドは尊い、読みきって心の図書館に残す価値がある


寝取られも悲惨だけど先月か先々月くらいのゴミ親殺して心中みたいなのも
たとえトゥルーエンドだとしてもつらいものがあるよね
263名無しさん@ピンキー:2009/07/05(日) 19:32:30 ID:hyceh3Sy
くだらねえゴタクなんざどうでもいいんだよ
結局は面白いかつまらないか、そのどっちかだ。捉え方や考え方なんざ人それぞれだ


と、ドナルド兄さんが格好良く妹にさっき言ってました
264名無しさん@ピンキー:2009/07/05(日) 23:37:55 ID:eF073/ac
>>259

キモ姉、キモウト「「兄、弟以外の奴になびくなら
もうそれキモ姉、キモウトですらないし…半端者だな」」
265代理投下 ◆j3gvf0a2hI :2009/07/05(日) 23:58:39 ID:bkxvhSn1
避難所に投下された『転生恋生』第十幕の代理投下を行います
266『転生恋生』第十幕(1/4) ◆j3gvf0a2hI :2009/07/05(日) 23:59:54 ID:bkxvhSn1
 毎月第3月曜日は委員会の定例活動日だ。各クラスから男女1組2名ずつが選ばれて、学校生活の運営に当る。
 全員に委員の仕事が回るわけではないから、部活をやっていない暇そうな生徒が仕事を押しつけられる。
 そういうわけで、俺は美化委員を拝命することになった。学校周辺のゴミ拾いや焼却炉の管理をするのが仕事だ。
 帰りのホームルームが終わり、俺は捻挫した右足をかばいながら、委員会が開かれる空き教室へ向かう。
 結局あの後、猿島とは話ができずじまいだった。すぐ隣にいるのに相手にしてもらえないというのは拷問といっていい。
 俺の頭の中は猿島で一杯になってしまった。ただ、けいちゃんの姿はやや影が薄くなり、体育の時間のときに触れた猿島の肢体が強烈に印象づけられている。
 ともあれ、今は委員会に出なければいけない。相方の委員は気が利かない女生徒で、片足が不自由な俺を置き去りにして行ってしまった。
 捻挫はそれほど重くないが、今日は帰宅するのに難渋しそうだ。委員会が早く終わってくれればいいんだが。
 
 美化委員会の開かれる第一会議室へ行くと、案の定俺がビリだった。慌てて空いている席につく。
「はーい、全員揃ったので始めまーす」
 ぱんぱんと手を叩いて全員の注目を集めたのは草葉先生だった。どうやら先生が顧問らしい。
「それではまず、委員長を決めます。誰か、立候補する人はいますか?」
 そんな面倒なもの、自分からやりたいと言う人はいないだろう。くじ引きでもして決めるしかないかもしれないが、委員長は3年生が務めるのが慣例だから、さしあたり俺は関係ない。
 のんびり高みの見物を決め込むつもりだったが、手を挙げて立候補する人がいたのであっさり決まった。
「ほな、あたしがやりまーす」
 声の主を見ると、雉野先輩だった。まさか同じ委員会だったとは。
「他に立候補者はいる? ……いないようだから、雉野さんにお願いするわ」
 草葉先生は雉野先輩を呼寄せて司会を譲ると、会議室の隅に椅子を移してしまった。あとは生徒に任せるということらしい。
「えー、委員長を務めます3年S組の雉野歌子ですぅ。さっそくやけど、副委員長をあたしの方で指名させてもろてエエでしょうか?」
 副委員長は2年生が務めるのが慣例だ。3年生は受験があるので、だいたい後期からは副委員長が切り回すことになる。
 やばい。猛烈に嫌な予感がしてきた。なるべく委員長の視界に入らないように身を屈めることにする。
「特に反対もないみたいやし、あたしが指名します。2年C組30番の桃川太郎君に副委員長をやってもらいます」
 ……ばっちり俺の存在に気づいていたらしい。それにしても出席番号まで把握していたのか。
 こうなると観念するしかない。帰宅部の俺には、副委員長を忌避するだけの説得力のある理由がなかった。
 拍手で人事案が承認され、俺は右足を引きずりながら、委員長の隣に席を移した。
 続いて委員会の仕事の説明が書かれたプリントが全員に配布され、それを委員長が読み上げて確認し、年間のスケジュールに沿って焼却炉管理の当番を決定し、委員会は終了した。
 まあ、特に議案がない限り、美化委員会は短時間で終わるのが通例だ。その代わり、日常の業務は面倒だが。
 委員が三々五々会議室を出て行く中、俺は雉野先輩に呼び止められた。
「たろくん、足を怪我したんやてなぁ。痛いん?」
 目ざといな。足を引きずっているのに気づいたか。
「あたしはいっつもたろくんを気にかけてるし、すぐにわかったわ」
 俺は軽く捻挫しただけで、ゆっくり歩けば支障ないと答えた。
「ゆっくり歩かなあかんいうんを支障ないとは言わへんで。そんなんやったら、家へ帰るまでが大変やろ?」
 大変でも、電車に乗る区間以外は歩くしかない。タクシーを使うわけにはいかない。
267『転生恋生』第十幕(2/4) ◆j3gvf0a2hI :2009/07/06(月) 00:01:01 ID:bkxvhSn1
「あたしが車呼んだげるわ」
「え!?」
 俺の返事を聞かずに、雉野先輩は携帯を取り出してどこかへ電話した。
「ちょっと待ってください。そんなことをしてもらうわけには……」 
「かまへん。どうせウチの車やから、お金はかからへんし」
 ウチの車? タクシーでも呼ぶのかと思ったが、自分の家の車を呼ぶ気か。そういえば、雉野先輩の家はお金持ちだと噂で聞いたことがある。それほど興味はなかったんで聞き流していたんだが。
「先輩は普段から車で通学してるんですか?」
「まさか。そないな嫌味なことはしてへんよ。今日は特別や。てゆーか、たろくんはあたしの特別やし」
 そう言いながら、雉野先輩は俺を抱き寄せて胸の谷間に頭を押しつけた。本当にでかくて弾力がある。冗談抜きで枕にもできそうだ。
「すぐに来るさかい、あたしのおっぱいの中で待っとってな」
「待ちますから、放してください!」
 雉野先輩の押しの強さに負けて、というより強引に手を引かれて、俺は雉野先輩が自宅から呼び寄せた車に同乗して、家まで送ってもらうことになった。

 ……黒塗りのベンツって、実在するんだな。漫画やドラマの中にしかないもんだと思ってた。
 ひょっとして雉野先輩の家って、「道を極める」商売をやってるんだろうか。
「この車はおとんの趣味や。あたしはあんまり気に入ってへんのやけどな」
 俺の疑問に先回りして答える。雉野先輩は読心術でもできるのか?
「たろくんが考えてることを顔に出しすぎるだけやと思うわ。まあ、そこがエエとこなんやけど」
 運転手がドアを開けてくれた。40歳代くらいの、がっちりしたおっさんだった。制服の帽子を目深にかぶっているが、ちらっと見えた眼光が鋭くて、素手で牛を殺せそうな雰囲気がある。
「ほら、乗って乗って」
 雉野先輩が俺を先に押し込んで、後から乗った。後部座席に2人がけだからゆったりできるはずなのに、必要以上に体を密着させてくる。
「たろくんの家までやって」
 雉野先輩が指示すると、運転手はナビで目的地を検索する。
 ……どうして俺の住所が入力済みなんだ?
「30分ほどかかります」
 そう言って、運転手が車を発進させた。
「ちょっとしたドライブやね」
 嬉しそうに雉野先輩が俺を抱きしめた。身をよじって逃れようにも、捻挫している右足のせいで踏ん張りがきかないから、全く抵抗できない。
 それをいいことに、雉野先輩は俺の頭を自分の胸の谷間にはめ込もうとする。
「やめてくださいってば」
 俺は雉野先輩を手で引き離そうとするが、首根っこを押さえられているせいで力が出なかった。
「あたしのおっぱい、やーらかくて気持ちええやろ?」
 確かに気持ちいいが……、男なら誰もが羨む体勢だというのはわかるが……、なんだって女の子の体はこうもいい匂いがするんだろう?
 中学1年生の終わり頃あたりから、同級生の女の子とすれ違うときにいい匂いがするようになった気がする。小学生の頃は、女の子も大半は年相応に汗臭かった。
 姉貴はませていたせいか、物心ついた頃から何かを体につけていたな。まあ、慣れているせいで姉貴の匂いにはまるで興奮しないけど。
 雉野先輩からはとてもいい匂いがする。ピアスや口紅の類は校則で禁止されているが、香水はひょっとするとノーマークかもしれない。雉野先輩はお金持ちだからつけている可能性はある。
 このまま雉野先輩の柔らかい感触に包まれていると、こっちから積極的に触りまくりたくなる。
 ……じゃなくて!
 違うだろ! 俺!
 いつの間にか雉野先輩の作る空間に飲み込まれている!
 なんとかしてペースを変えないと!
268『転生恋生』第十幕(3/4) ◆j3gvf0a2hI :2009/07/06(月) 00:01:36 ID:bkxvhSn1
「あの……」
「何?」
 とろけそうな微笑を向けてくる雉野先輩に心が折れそうになったが、懸命に踏み止まって、俺は用意していた質問をぶつけた。
「雉野先輩はどうしてうちの姉貴と仲が悪いんですか?」
 雉野先輩の笑顔が強張った。タブーだったのかもしれないが、この先雉野先輩と仲良くしていいのかどうか判断するためには、どこかでこの問題に触れなければならなかった。
「それをあたしに訊くん?」
「すいません。どうしても気になるんです」
 雉野先輩は相変わらず俺を抱きしめていたが、若干力が弱まったせいで、俺は胸の谷間から顔を離すことができた。
 やがて大きく息を吐くと、雉野先輩は真正面から俺の顔を見つめて、真面目な表情で語りだした。
「最初に言うとくけど、あたしの方はべつにたろくんのお姉ちゃんを嫌ってへんで。……今はな」
 つまり、以前に何か2人の間を険悪にする事件があったというわけだ。俺が高校入学直後に初めて雉野先輩と会った時点で、既に姉貴は先輩を毛嫌いしていた記憶がある。
 一体何があったのか。
「昔の話やけどな、あたしとお姉ちゃん……仁恵さんは同じ男の人を好きになって、奪い合いをしたんや」
「え!?」
 鏡を見たわけではないが、俺は大きく目を見開いていたと思う。三角関係なんて、身近な人間の話として耳にするのは初めてだった。
 それも姉貴が、だ。
 あの、しょっちゅう俺に性的アプローチをしてくる姉貴が、俺以外の男を好きになったことがあるという事実は、衝撃という以外のなにものでもなかった。
 あまりに衝撃過ぎて、「本当ですか?」と訊き返すことも、「相手はどういう人だったんですか?」と突っ込むことも、俺にはできなかった。
 ただ、雉野先輩の顔を見つめて、話の続きを促すことしかできない。  
「正確に言うと、あたしの方は女の子3人とその男の人4人で仲良くつるんでる感じやった。恋人同士にはなってへんかったけど、友達以上いうやつで、ずっと一緒にいられると思てたんや」
 グループ交際ってやつか? 変則的ではあるが。
 それにしても雉野先輩を含めて女の子3人をはべらせるなんて、もてるやつだ。雉野先輩1人を彼女にするだけでも尊敬に値するのに。
 ……田中山が聞いたら憤死しそうだな。 
「そこへ突然仁恵さんが現れてな。その人を奪ってしもたんや」
 俺が覚えている限り、姉貴の俺に対するアプローチが途絶えたことはない。すると、俺にべたべたしながら、他の男に恋愛感情を抱いていたわけだ。ちょっとショックだな。俺を騙していたのか。
 いや、騙していたんじゃなくて、やっぱり俺と前世からの恋人同士というのは、俺をからかうネタだったということなんだろう。むしろ姉貴が正常だったことに安堵するべきか。
 普段の俺に対する突撃が他の男に向いたとするなら、雉野先輩から奪い取ったというのも充分にありうる気がする。
「あたしらは、そらもう怒ったで。激しく仁恵さんのことを恨んだんやけど、今にして思うと、仁恵さんの方は奪ったという意識はなかったんやろな」
 何故ならその男と雉野先輩たちとは恋人同士ではなかったからだ。単なる取り巻きと思われたとしても無理はない。雉野先輩は、今ではそう思わなくもないという。
 その男との関係をはっきりさせなかったのは、女の子3人同士も仲が良かったから、誰か1人が選ばれることで友情にひびが入るのを嫌がったということらしい。
「あたしらみんな、その男の人を好きというか、尊敬しとったからな。尊敬する気持ちをお互い理解してたさかい、共有する方を選んだんや」
 同じ年頃だったろうに、どれだけカリスマのある男だったのか。とはいえ、ここまでの話は全体の半分というところだろう。
 何故姉貴が雉野先輩を嫌うのか。その理由はこれから語られるはずだ。姉貴が相手の男とくっついて幸せになったなら、姉貴にとって何も問題はないはずだ。
 そうはならなかったわけだ。実際、今の姉貴は明らかに独り身だ。
269『転生恋生』第十幕(4/4) ◆j3gvf0a2hI :2009/07/06(月) 00:02:27 ID:FJ55rRqj
「それで……」
 いよいよ核心部分に入るというところで、雉野先輩は口篭もった。俺から目をそらして、視線を宙にさまよわせる。
 よっぽど言いづらいことなのか。だが、ここで話を止められてはたまらない。
「それで、どうなったんです?」
 待ちきれずに、俺は先を促した。雉野先輩はなおもためらっていたが、意を決したらしく、再び俺に顔を向けて話し出した。
「仁恵さんの方もうまくいかんかった。……その男の人がな、亡くなってしもたんや」
「えっ!?」
 まさかの展開だった。ケータイ小説ならいざ知らず、そんな超展開が現実にあるのか。
「事故やったんやけど、あたしら3人が現場近くにおったさかい、仁恵さんはあたしらが見殺しにしたいうて恨んでるんや」
 逆に雉野先輩たちの方では、姉貴が自分たちの前に現れたのが、その男の運命を狂わすことになったと考えて、姉貴を憎んだらしい。
 これで得心がいった。そんな凄絶な事情があるなら、雉野先輩に対する姉貴の激しい反応も説明がつく。
 はたして、その事件があった時期はいつだろうか。これは簡単に推測できる。おそらく一昨年だ。
 姉貴が高校1年、俺が中学3年の頃は、当然のことながら学校が別だったから、姉貴が俺と一緒にいる時間も今より格段に少なかった。家では俺にべったりでも、学校では劇的な恋愛をしていたというわけか。
 ひょっとすると、姉貴が俺に異常な執着を見せるのは、恋人と死別した心の傷が原因なんじゃないか。前世云々の話も、やはりそこから派生した心の病気なのかもしれない。
 だとしたら、俺は姉貴の心を癒すために何をしてやればいいんだろうか。恋人の代わりに甘えさせてやるべきか。でも、それは問題の解決にならない気がする。

 それっきり、雉野先輩は口をきかなくなった。先輩にとっても辛い思い出だったのだと今更ながら気づいて、無理に話させた自分の迂闊さを悔やんだ。
 罪滅ぼしというわけじゃないけど、車が家に着くまで、おとなしく雉野先輩に抱きしめられていた。
 車が家に着いて、俺が降りるとき、雉野先輩は最後にもう一度俺を強く抱きしめて、耳元で囁いた。
「他の2人はともかく、あたしはもう仁恵さんと争いたくないんや。今のあたしにはたろくんがおるさかい、どないしてたろくんを喜ばせたろかってことで頭が一杯やから」
 本気で照れることをさらっと口にする。この辺が年上の女の余裕か。1歳しか違わないけど。
「あたしらの仲を修復するためにも、たろくんはあたしと仲良うしてや」
 つまり、俺が間に立って2人の関係を取り持つということか。難しいけど、俺としても姉貴が誰かと深刻な敵対関係にあるのは落ち着かない。相手が知ってる人ならなおさらだ。
 そういうことになると、姉貴を刺激しない程度に雉野先輩と接触を保つ必要があるわけだ。一緒の委員会に入ったのは天の配剤かもしれない。
 俺を降ろすと、車はすぐに立ち去った。
 姉貴の方は風紀委員会が長引いたようで、俺より遅れて帰宅したから、雉野先輩が俺を送ってくれたことを知らずに済んだ。俺もあえて知らせなかった。
 俺が怪我していると知った姉貴は大げさに騒いで、それから「私が看護してあげる!」と張り切った。
 普段なら鬱陶しがる俺だが、今日は姉貴を邪険にできなかったので、おとなしく歩行の介添えをしてもらった。
 風呂に入れない俺の体をおしぼりで拭くというのには困ったが、今日は拒めなかった。
 案の定姉貴は俺の股間を入念に拭いた上に、頼んでもいないのにマッサージをした。患部でもないのにマッサージの必要があるのか?
 けれども、やっぱり反応しなかったので、姉貴はあからさまにがっかりしていた。
 ……調子に乗ると俺の同情もすぐに底を尽くぞと警告してやりたい。
 
270代理投下 ◆j3gvf0a2hI :2009/07/06(月) 00:03:42 ID:bkxvhSn1
46 名前: ◆ .mKflUwGZk 2009/07/05(日) 23:22:20 ID:awlgy6aE

投下終了です。
第十一幕以降の展開がしっくりこなくて書き直したり、ゲームにはまって放置していたりで間が空きました。
最近また書きたくなってきたので、ぼちぼち書いていきます。
271名無しさん@ピンキー:2009/07/06(月) 00:25:07 ID:GRHEnAdz
代理投下
気長に待ってますね
272名無しさん@ピンキー:2009/07/06(月) 00:28:08 ID:YzdfaT3D
代理投下おつです。
作者の方も避難所スレへの投下ありがたい。
早く規制が解かれるといいですね。

十話は予想通り雉野先輩の話だw
これからの展開をどうするか、難しいところでしょうが、期待してます。
273名無しさん@ピンキー:2009/07/06(月) 11:26:51 ID:kimvCA/i
過去の話の内容に違いがあるってことは、どっちかが嘘ついてんのか。
274名無しさん@ピンキー:2009/07/06(月) 22:37:32 ID:vDBkaUE8
代理投下乙!
規制に悩む作者の代理を務めるお前の心意気や良し!
しかしお前の背後で妹さんが構ってほしそうにしてるぞ。あ、なんか脱ぎだした…
275名無しさん@ピンキー:2009/07/06(月) 22:47:11 ID:KNhu1JFI
>>274
> しかしお前の背後で妹さんが構ってほしそうにしてるぞ。あ、なんか脱ぎだした…

偽物の味がしやがる…
キモウトは兄以外には裸を見せないぞ。
さては貴様、代理投下者さんのキモウt
276名無しさん@ピンキー:2009/07/06(月) 23:05:16 ID:HqzR8Uu6
そして、茶々入れをした>>275は闇に葬られるのであった。
翌日には何事もなかったかのように振舞うキモウt
277名無しさん@ピンキー:2009/07/07(火) 00:36:21 ID:udh98siD
兄、姉(あくまでノーマル)、が大好きなキモウトという電波を受信した。
末の妹のなすがままにされる兄と姉(兄から見れば妹)だが、だんだん姉も兄のことが好きになっていって……
278名無しさん@ピンキー:2009/07/07(火) 02:33:51 ID:WsmZGo4B
レズはレズ板で
279名無しさん@ピンキー:2009/07/07(火) 07:40:11 ID:Tvpv9mYa
「みー君、今日が何の日か知ってる?」
「もちろんさ、姉ちゃん!今日はタマ姉の誕生日さ!!」
「……タマ姉って誰よ」
「そりゃ、東鳩にでてくる魅力的な女の子で……っておい、何を」

今日は七夕ネタが投下されるに違いない
280名無しさん@ピンキー:2009/07/07(火) 13:36:49 ID:oEmDcaGs
`/:::/ |/ \\
/:::/ /| /\ \ゝ
:::// | /イ||\ ヽ
ヽ/ __|_リ|||\|
:/ |  お||||
/  |結 兄||ノ
  |婚 ち|
  |で ゃ|
  |き ん|
  |ま と|
  |す  |
  |よ  |
  |う |
  |に |
  | ノ
   L___</
281名無しさん@ピンキー:2009/07/07(火) 14:30:55 ID:eb/o7yNg
高校生の時から兄とヤりまくり、
他の男と結婚しても一人暮らしの兄の自宅に泊まり込んで、挙げ句の果てに兄の子供まで生もうとするキモウトを発見した。

ハッピーエンドでしかもかなり絵がきれいなエロ漫画。
282名無しさん@ピンキー:2009/07/07(火) 14:36:18 ID:rjnVwqiA
旦那と離婚して兄と一緒に暮らすやつかな?
283名無しさん@ピンキー:2009/07/07(火) 14:55:30 ID:eb/o7yNg
>>282
さすが同志だな
なんでも知っている
284名無しさん@ピンキー:2009/07/07(火) 15:19:46 ID:rjnVwqiA
わすれな…だっけ?
285名無しさん@ピンキー:2009/07/07(火) 15:20:12 ID:ElMc8PiO
>>282-283
タイトルプリーズ
286名無しさん@ピンキー:2009/07/07(火) 15:35:15 ID:7kk+a0uF
kwsk
287名無しさん@ピンキー:2009/07/07(火) 15:41:13 ID:qax9HSKH
ブチャラティなキモ姉
・汗を舐めると嘘をついているかどうかわかる
・ジッパーマニアでやたらジッパーだらけの服を着てる
・やたら男前で人望がある
・決断力があって行動に移すのが早い

プロシュートなキモ姉
・やたら男前すぎる
・行動力ありすぎる。「やる」と言った時には既に行動を終えている
・スーツがやたら似合う
・弟に厳しいが優しい。弟をマンモーニ(ママっ子)呼ばわりする

アバッキオなキモ姉
・やたら意地悪でひねくれてる
・ティータイム中に悪戯で小便をお茶代わりに出す
・やたら男前。なにかとムーディー
・めちゃくちゃ物真似が上手い

その他にも投げられた角砂糖を口でキャッチして食べるキモウトや釣りが得意なキモウトにスケートが得意なキモウト
耳を折りたたんで耳の中に収納できるチョココロネみたいな髪型のキモウトやスパイシーなキモウトまで様々

ジョジョ的なキモ姉・キモウトだとさぞやキモイ行動をするんだろうな…
288名無しさん@ピンキー:2009/07/07(火) 15:41:35 ID:eb/o7yNg
すでにタイトルはレスされてる
289名無しさん@ピンキー:2009/07/07(火) 15:45:42 ID:ElMc8PiO
>>288
>>284か。ちょっと探してくる
290七夕小ネタ:2009/07/07(火) 21:07:43 ID:5rS5n4NQ
一レス投下
投下終了宣言なし

七夕小ネタ


「いい天気だね、姉さん」
「お疲れ様、悠君」
「短冊も一番高いところに付けたし、願い事叶いそうな気がするね」
「そうね……一応聞くけど悠君、私の短冊の内容見てないでしょうね?」
「見てないよ。でもそういわれるとなんだか見たくなっちゃうな」
「短冊の願い事っていうのは他人に見られちゃうと叶わなくなっちゃうものなのよ。だからだ〜め♪」
「へぇ、そうなんだ。初めて聞いたよ」
「そりゃそうでしょうね。だって今私が決めたんだから」
「……」
「ところで悠君、台湾では七夕のときには日本のバレンタインみたいにプレゼントを交換したりするって知ってたかしら?」
「いや、初耳だよそれは。というか台湾でも七夕あるんだ?」
「七夕自体はアジアで結構あるみたいよ」
「へぇ……」
「そんなわけで台湾式で……はい、悠君♪」
「チョコレートだ……ありがとう、姉さん」
「ふふふ、早く食べて感想を聞かせてよ……頑張って作ったんだ、それ」
「じゃあ一口…………甘い」
「でしょ?」
「うん、おいしいよ姉さん」
「そう、よかったわ……今日は本当にいい天気ね。天の川が綺麗に見えるわ」
「……そう、だね」
「今頃織姫と彦星も一年ぶりに愛し合っているんでしょうね……」
「ねえ、さん……なんだか、からだが……?」
「とびっきり強力なやつを入れといたから、効き目が出るのも早いね。全然動けないでしょ?」
「……」
「短冊に書いたお願い、もう叶っちゃいそうね」
291名無しさん@ピンキー:2009/07/07(火) 22:56:51 ID:7kk+a0uF
キモっ……

いい意味で
292名無しさん@ピンキー:2009/07/08(水) 02:24:33 ID:+J2wcK+z
ウホっ……

いい男
293名無しさん@ピンキー:2009/07/08(水) 02:27:01 ID:pXZgEcEG
>>292
死ね
294もしも織姫と彦星が姉弟だったら(1/3):2009/07/08(水) 08:12:14 ID:vH4NnOYK
「う〜、牛飼い牛飼い」

今日も今日とて牧場の牛達の面倒を見ている少年。
違うところを挙げるとするなら、お空の上で飼ってるってことかナー。
名前は夏彦。
そんな訳で、ようやく最後の牛(花子:4歳)を牛舎へと移動させたて、自分の家の扉を開いたのだった。
するとそこには、天の川の向こうにある都で、機織をしているはずの姉さんの姿が!

ウホッ!
いい織姫!

「や ら な い か」

そういえば今日は7月7日。年に一度、川に橋が渡される日だった。
昔から、姉に逆らえないよう調教されていた僕は、ホイホイと家の中へ連れて行かれてしまったのだった…

「久しぶりだな。会いたかったぞ夏彦」
「ね、姉さん。う、うん、久しぶりだね」

居間へ連れて行くなり、僕に抱きつく姉さん。そういえば、昔から抱きつき癖があったっけ。

「一年ぶりだな夏彦。去年より背が伸びたんじゃないのか?」
「ま、まぁね。一応成長期の範囲内だから…」
「そういえば17になったんだったか。どうだ?仕事の方は順調か?」
「う、うん。皆僕の言うこと聞いてくれるし、近所の人も、みんないい人ばかりだし…」

世間話をしながらも、僕に抱きついたままの姉さん。

「どうした夏彦?汗をかいているようだが?」
「そ、それはその…」
「それに、心なしか体温が高いようだな。風でも引いたか?」
「ぅ…」

どうもこうも無い。姉さんの大きな胸が当たっているのだ。例え家族と言えども、こうもぎゅうぎゅう押し付けられては妙な気分になってしまう。

「ね、姉さん…離れてくれないかな…?」
「なぜだ?」
「な、なぜってそれは…」
「いつも会うことはおろか声を聞くことも出来ず、『天都の織姫』などという呼び名がついてしまったために、来る日も来る日も仕事に没頭され、一年に一度、ようやく休みを与えられて帰省した姉に、弟としてねぎらいの言葉をかける気は無いのか?」
「う、うん。それは大変だと思ってるよ。でも…」
「ならば良かろう。今日くらいは私の自由にさせろ」
「…はい…」

実際姉さんの噂は、川を挟んだこっちの方にまで聞こえてくる。曰く、
『都に美しい機織の女性がいる』
『都の主たる天帝の娘でありながら、それを笠に着ることも無く、自分の腕だけで生活している』
『天帝の姫は機織の名手』
『織姫タンハァハァ』
といった具合だ。
295もしも織姫と彦星が姉弟だったら(2/3):2009/07/08(水) 08:12:39 ID:vH4NnOYK
「お父さんとお母さんは元気?」
「ああ。父上は相変わらず忙しいらしくて、殆ど寄り付かないが、母上は月に二度くらいは顔を見せてくれている」
「そうなんだ、よかった」
「夫婦仲も良好のようだな。だが、人が仕事をしている側で、ノロケを聞かされるのは勘弁願いたい」
「あはは…」

僕の両親は、都を治める王のような仕事をしている。特に父さんは、その手腕から『天帝』とまで呼ばれているほどだ。

「…………」
「姉さん?」
「なぁ夏彦。やはりお前こんな辺境などではなく、都で生活した方が良いのではないか?」
「それは…」

まただ。帰ってくる度、姉さんはこの話題を口にする。

「代々牛飼いが我が家系とはいえ、父上も母上も、そして私も、今や都で生活する身だ。稼ぎも多い。お前の一人くらい、余裕で養えるぞ」
「うん。ありがとう…」

都の主たる父さん。その妻であり、また有能な補佐でもある母さん。都で一番と評される腕の姉さん。確かに、僕の一人や二人、遊んで暮らせるくらいの金はあるだろう。

「でも、僕はやっぱりここにいるよ」
「お前…まだあの頃のことを気にしているのか?」

7年ほど前までは、僕も都で暮らしていた。でも、僕に都の空気は合わなかったのだ。
具体的に言うと、僕はよく虐められていた。両親や姉さんとは違い、僕は本当に普通の人間だったからだ。
助けてくれる人は誰も居なかった。両親はその頃から忙しかったし、姉さんは天子と称されるくらい、僕とは違う場所にいた。

「そんなことはないけど…」
「もうお前を虐めていた人間は居ない。もうお前を一人にはしない。誰もお前を傷つけさせない。この私が保証する。だからどうだ?私の元へこないか?」
「…………」

虐めにあったせいで心に傷を負った僕は、祖父母が暮らすこの田舎へ戻ってきた。
それ以来、僕はここで生活している。

「ありがとう、姉さん。姉さんの気持ちは嬉しいよ。とても」
「だったら!」
「でも約束したんだ。僕はここを守るって。おじいちゃんとおばあちゃんが眠るこの地を守る。おじいちゃんとおばあちゃんが遺してくれた牛達を守るって」
「…………」

もう祖父母は居ないけど、彼らが遺した、彼らが愛していた牛達は生きている。せめて彼らが天寿を全うするまで、僕はここで見守ろうと心に決めていた。
296もしも織姫と彦星が姉弟だったら(3/3):2009/07/08(水) 08:14:28 ID:vH4NnOYK
「…そうか」

残念なような、ほっとしたような顔をする姉さん。

「お前がそう決めたのなら、もう私は何も言わない。お前の好きにするといい。だがこれだけは忘れるな。お前は一人ではない。例え祖父や祖母が居なくても、例え両親がお前の手の届かないところに居ても、
私だけはお前の傍にいる。私だけは、例え何があってもお前を裏切ったりはしない。これは約束でも誓いでもない。純然たる事実だ」
「…ありがとう、姉さん」



「…やはりだめだったか」
自分の腕の中で眠る弟の寝顔を眺めながら、私はここ数年恒例になってしまった言葉を呟く。
どうやら今年も説得に失敗してしまったらしい。まぁ力ずくで連れ帰ることは出来るが、我が最愛の弟にそんな真似はしたくない。
「それにしても腹の立つ…!」
嫌なことを思い出してしまった。
まだ弟が都で暮らしていた頃、この子は虐めにあっていたのだ。
おかしいとは思っていた。物腰穏やかな弟が、毎日のように生傷をこさえ、時には腕の骨を折るほどの重傷を負っていたのだ。
弟が祖父母に引き取られててからしばらくして、私はその事を知った。
「…我が事ながら何たる失態…!」
『天子』などと煽てられて、有頂天になっていた頃の自分を呪い殺したくなる。
弟を虐めたり、弟に手を上げていた人間やその家族には、死ぬより辛い目に合わせておいたが、時たま今日のように、過去の汚点がフラッシュバックする。
「…まぁいい」
大切なのはこれから、未来のことだ。
後1年で、この子も18になる。18。つまり、男性にとっての結婚適齢期だ。
「…夏彦…」
お前は知っているかい?私がお前を求めていることを。私が誰よりも、お前を愛していることを。
こう言っては難だが、私はどうも殿方に好かれる容姿をしているらしい。
私の職場でも、私に言い寄ってくる木偶の坊が後を絶えない。時には女性に口説かれることもある。
ハッキリ言ってウザイ。
「フッ…それももう少しの我慢だな」
明日の朝、私は都へ帰る。その時に告げるのだ。『来年は私のところへ遊びに来い』と。
難色を示すかもしれないが、『馬車を用意しておく』とでも付け加えれば了承されるだろう。
基本的に、他人(両親含)の手を煩わせる事が苦手な少年だ(その『他人』の部分に私が入っているのは不満だが…)。人を待たせておいてまで待ち合わせをボイコットするとは考えにくい。
「馬車にさえ乗せてしまえばこちらのもの…」
後は自宅に連れ込んで…クククッ!
「もう少し。もう少しだよ夏彦」
もう少しでお前は幸せになれる。この私が幸せにしてやる。他の誰でもない。この私がな!
「…おねえちゃん…」
「…………」
明日の朝は早い。寝言を呟く弟の体を強く抱きしめ、私も眠ることにする。
「愛しているよ。夏彦」
オネエチャンハ、オマエヲアイシテイルヨ。
297名無しさん@ピンキー:2009/07/08(水) 10:33:16 ID:nk2HfFPM
(*´Д`)ハアハア
男口調のお姉ちゃんたまらんです。
298名無しさん@ピンキー:2009/07/08(水) 10:38:15 ID:7AWoNKW9
GJ

…ふぅ
299名無しさん@ピンキー:2009/07/08(水) 11:48:02 ID:Qb0Pi3/F
いいねえGJ

>>298 妙に白く粘った天の川だな
300名無しさん@ピンキー:2009/07/08(水) 12:01:20 ID:uYcGRRvr
>>296
>オネエチャンハ、オマエヲアイシテイルヨ。


キモイヨーキモイy(パチューン
301名無しさん@ピンキー:2009/07/08(水) 12:19:49 ID:Cv4B3dlP
夏彦→京極夏彦→中禅寺秋彦

駄目だな。
イマイチ感情移入出来ない。
302名無しさん@ピンキー:2009/07/08(水) 13:53:59 ID:3RaDhmiQ
>>296
GJ!
良い話だ。

>>297
男言葉とか女言葉とかいうけど、実際はあまり女言葉って使われない気がする。
うーん、何が言いたいのか良く分からなくなったけど、
女言葉を使わないのに、女っぽさを出せるのはすごい
303名無しさん@ピンキー:2009/07/08(水) 15:36:04 ID:Na539y8V
>>296
来年は弟に
「あ、彼女も連れて行っていいかな?」
と訊かれて、弟の気の迷いを正すお姉ちゃんがの正義が炸裂するんですね、わかります。
304名無しさん@ピンキー:2009/07/08(水) 21:14:04 ID:nmmCLNU1
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
俺様用しおり
  ∧_∧   
 ( ´∀`)< 今日はここまで読んだ      
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
305名無しさん@ピンキー:2009/07/08(水) 23:13:22 ID:6zorLg7b
キモウトライド―――――アヤァ!!






あれ、姉貴が呼んでる
306 ◆6AvI.Mne7c :2009/07/09(木) 00:47:13 ID:Zq1gsyI2
あははははは……
七夕ネタを投下するつもりだったのに、書いた直後に寝落ちって!?

おもいっきり遅刻したけど、七夕っぽい小ネタを投下。
タイトルは「棚機に巡り遭う災厄」。兄妹ネタで大体9.1KB。
前に投下された七夕ネタ2つのあとに出すのって、無駄に緊張する……

次レスより投下。3レス借ります。投下終了宣言あり。
307棚機に巡り遭う災厄 (1/3) ◆6AvI.Mne7c :2009/07/09(木) 00:51:05 ID:Zq1gsyI2
 
 むかしむかし、そらよりもたかいくにに、ふたりのわかいめおとがいました。
 ひとりはけんぎゅうのわかもので、なを「ひこぼし」といいました。
 もうひとりははたおりのむすめで、なを「おりひめ」といいました。
 ふたりはごくしぜんにあいしあい、あたりまえのようにめおとになりました。
 しかしおたがいあいしあうあまり、それぞれのしごとをなまけるようになりました。
 そのことに、ふたりのおやてきそんざいである「てんてい」は、たいそういかりました。
 そしてとうとう、ふたりを「あまのがわ」というきょうかいで、はなればなれにしました。
 これですこしはおたがいをみつめなおしてくれれば、との「てんてい」のおやごころでした。
 ところが、かれのおもわくはみごとにはずれ、じたいはわるいほうこうにだけすすみました。
 ひきはなされていらいこのふたりは、いっさいじぶんたちのしごとをしなくなりました。
 あいするあいてをうしなったかなしみで、なまけながらもやっていたしごとさえできない――
 そんなふたりのすがたをふびんにおもった「てんてい」は、かれらにじひをあたえました。
 いちねんでたったのいちや、ふみづきのなのかめのよるだけ、あうことをゆるしたのです。
 そのひだけは「あまのがわ」に「わたしばし」がかかり、たがいにいききができるのです。
 それいらい、ふたりはそのおうせのひのために、まじめにしごとをするようになりました。
 しかし、「ひこぼし」と「おりひめ」には、だれもしらないひみつがあったのです。
 
 − ※ − ※ − ※ − ※ − 
 
「……ハッ!? なんだ、夢か……」
 口元に垂れる涎を拭いながら、僕は目を覚ました。
 どうやらいつの間にか眠っていたらしい。もう日が暮れてしまっている。
 真上には綺麗な星空が広がり、美しい天の川と夏の三角形が窺える。
「……ってちょっと待て。なんで僕は“星空が見える場所”で眠っていたんだ!?」
 おかしい、というか明らかに異常事態だ。
 確か僕は、今日の朝まで2徹して、ようやく大学のレポートを仕上げた。
 そして授業のない日に関わらず、わざわざ大学に出向いて提出してきた。
 そこまではいい。そこまでは僕もしっかりと覚えている。
 だけど、そこからはっきりした記憶がない。
 僕はちゃんと家まで帰ったのか? それとも大学の休憩室で仮眠していたのか?
 だいたいなんで僕は、真上に星空の見える場所――屋外で眠っていたのか?
 そもそもここは、一体どこなんだろうか? 僕の知っている場所なんだろうか?
 
 僕が事態困惑していると、視界の外から声が聞こえてきた。
「久しぶりだね、彦兄(ひろにぃ)。ようやく目が覚めたんだね♪」
 懐かしい、僕のよく知る少女の声。同時に恐怖の対象である声。
 僕はこの事態に怯えながらも、なんとか久方ぶりの挨拶をする。
「あ、ああそうだね……。1年ぶりだね、織(しき)ちゃん」
 声のしたほうに顔を向けると、そこには僕の妹である織が立っていた。
 彼女はとても綺麗な笑顔と、とても熱い視線を、こちらに向けている。
「本当に久しぶり……。彦兄が1年前と変わってなくて、安心したよ」
 逢えて嬉しいと呟きながら、彼女は僕に縋りついて――抱きついてくる。
 彼女は本当に心の底から嬉しそうで。今にも狂いそうなほどに嬉しそうで。
 僕はそんな彼女から、早くも目を逸らしてしまった。 
 
「どうしてここがわかったんだ? どうやってここまで来ることができたんだ?」
 僕は彼女に怯えながらも、なんとか質問を返すことができた。
 正直なところ、彼女にはもう逢いたくなかった。
 僕は彼女の本心を知っているから。彼女の本性を知っているから。
「えへへ、よくぞ聞いてくれました、彦兄♪
 わたしってば、ここに来るために、すっごく苦労したんだからね?
 やりたいことは喜んでやったよ。やりたくないことは嫌々やったよ。
 そしてようやく彦兄の居場所がわかって、今夜のために準備していたの。
 だって今日しか、彦兄のところに来ることが、できなかったんだもの……。
 それでも、わたしはここまで来たの。だから、帰れなんて言わないでね?」
 誰もが振り返るような笑みを浮かべて、僕を脅してくる織。
 1年前と変わらない光景に、僕は眩暈を覚えながら、あの頃を思い出した。
308棚機に巡り遭う災厄 (2/3) ◆6AvI.Mne7c :2009/07/09(木) 00:53:21 ID:Zq1gsyI2

 僕の実家では、毎年七夕には笹を手に入れてきて、飾りつけをしていた。
 どうやらウチの両親は、七夕に何らかの思い入れがあるらしい。
 僕ら兄妹の名前に、彦星と織姫から一文字ずつとって名付けるほどだ。
「たんざくつけましょささのはに〜♪」
「あはは、織ちゃんそれは『ひな祭り』の歌じゃないか?
 七夕には七夕の、ちゃんとした歌があったじゃん?」
「む〜っ! 別にいいじゃん自由に歌ったってぇ〜!?」
 どこにでもあるような、普通の幸せな家族――兄妹の語らい。
 毎年そんな他愛のない会話をしながら、僕たちは七夕を楽しんでいた。
 何も知らなかった頃は、本当に楽しくて、仲のいい家族だったと思う。
 
 だけど5年前、偶然にも僕は気づいてしまった。
 織の書いた短冊に、彼女の僕に対する心情が、びっしりと書いてあったことに。
 彼女はこれまで毎年、2枚の短冊を書いて笹に括りつけていた。
 その短冊の表側には、毎年他愛のない今時の女の子な願いが書かれていた。
 それこそダイエットだとか、背が高くなりたいとか、そんな内容だった。
 けれどふとした時に知ってしまった。織が毎年使う短冊は2枚重ねになっていた。
 そして隠されたもう1枚の短冊には、眼を疑うような内容の願いが書かれていた。
 
 例えば、彼女が中学1年生の時の裏短冊の願い。
「彦兄と、いつまでもいっしょにいたい」
「彦兄にわたしのごはんを食べてほしい」
 例えば、彼女が中学3年生の時の裏短冊の願い。
「彦兄と結婚して、いっしょに生きていきたい」
「彦兄にわたしの愛妻料理を、毎日食べてもらいたい」
 例えば、彼女が高校2年生の時の裏短冊の願い。
「彦兄の子供を産んで、死に別れる時まで寄り添って生きていきたい」
「彦兄にわたしの身体を、性的な意味で隅々まで味わってもらいたい」
 
 初めて織の書いたこの裏短冊を知って以来数年間、僕は陰で織に怯えるようになった。
 同時に織はまだ若いから、いつか兄妹同士で結婚できないことに気づくとも思っていた。
 いつか織も自分の気持ちが幻想だと気付いて、普通の恋愛をする少女になってくれると。
 けれど毎年七夕を迎えるたび、恋を諦めるどころか、織の願いは具体的になっていった。
 同時に齢を重ねて知識を得るごとに、性的な願いも徐々にエスカレートしていった。
 怖かった。そのくせ織を問い詰めることもできず、知らない振りをし続けた。
 表では妹を――織を大事にする兄の顔をして。裏では織の気持ちに怯えながら。
 そしてとうとう、そんな年月に限界が来てしまった。
 僕が毎年こっそりと織の裏短冊を読んでいたことを、本人に気づかれてしまったのだ。
 
 それからの織の豹変と行動は、とにかく迅速の一言に尽きた。
 まずその場で抱きつかれ押し倒され、僕への思いを告白された。
 そしてそれ以降の夜から朝から、ずっと彼女にまとわりつかれた。
 間断なく行われる誘惑に色仕掛けに外堀工作、そして変態行為。
 1週間もしないうちに僕は我慢の限界に達して、実家を飛び出した。
 その際には説得の材料として、両親に織のことも洗いざらいぶちまけた。
 前々から娘の様子がおかしいと思っていた両親は、快く協力してくれた。
 
 そうして紆余曲折を経て僕は、どうにか織から逃げ出すことに成功した。
 隙あらば僕を犯そうとする、気持ち悪い妹から逃げ出すことに成功した。
309棚機に巡り遭う災厄 (3/3) ◆6AvI.Mne7c :2009/07/09(木) 00:57:21 ID:Zq1gsyI2
 
 そうだ、逃げ出したはずなのに、なんで僕は織に追い詰められているんだろう?
「彦兄さぁ、なんであの時、わたしから逃げ出したの?
 わたしは彦兄のこと、大好きだっていつも言ってたでしょ?
 わたしが偽の願い事を書いた短冊の裏に書いてた、本当の願い事も見たでしょ?
 なのになんで、わたしをほったらかしにして、1人暮らしなんか始めちゃうの?」 
 織は僕に抱きついたまま、涙で潤んだ瞳で、僕の瞳を覗き込んでくる。
 周りに壁があるわけでも、拘束されているわけでもないのに、逃げられない。
「彦兄が黙って逃げ出したおかげで、わたしがどれだけ悲しんだか、解ってる?
 彦兄が黙って逃げ出したおかげで、追いかけるのに1年近くかかったんだよ?
 まるで彦星と織姫みたいに、長い時間逢えないのを我慢してたんだよ?
 1年近くわたしをほったらかしておいて、またわたしから逃げるの?」
 
「……っ! 逃げるに、決まってるだろう……!?
 僕の拒絶に構わず、実の兄に欲情する妹なんて、怖いだろう!?」
 勢いで僕は、織に対して酷いことを言ってしまう。構うもんか。
「だいたい、ここはどこなんだよ!? なんで僕はここに――」 
「この場所はね、わたしたちのパパとママが、プロポーズをしあった場所なんだって。
 人気があんまりなくて、近くの民家まで遠い山の中の、空の見える丘の上なんだよ。
 フラフラしていた彦兄を気絶させて、ここまで運ぶのに苦労したけどね?
 ……でもさ、わたしが彦兄にプロポーズするのには、絶好のロケーションでしょ?」
 プロポーズなんて言うけど、そんな生易しいものじゃないのは、僕にもわかる。
 このままこの場に留まっていたら――織と一緒にいたら、僕は彼女に犯される。
 とにかくここから逃げないと。そして両親に頼んで、またどこか遠くの街へ――
 
「彦兄、もしかしてここを逃げ出せば助かる、なんて思ってる?
 1年前みたいに、パパとママに助けを求めたって、無駄だよ?
 半年くらい真面目に頑張って、あの2人を説得したんだもん。
 この街にだって、道順は秘密でパパに連れて来てもらったの。
 ……まあ、1年に1回だけしか逢えないのが条件なんだけど。
 今あの2人は、彦兄の味方じゃなくて、わたしの味方なんだよ」
「あ……、うぐ……っ! なん……で……!?」
 もう既に、退路は織によって断たれていた。
 いや、今日を逃げ切ることができたら、まだ一年間は――
「だぁめ♪ ぜったいに彦兄のこと、逃がしてなんかあげない♪
 彦兄は昔から、わたしを支えて導いてくれる、綺麗なお星様なんだもの。
 彦兄を手放すなんて、わたしには耐えられない。だから、諦めはしない。
 例え今は1年に1回しか逢えなくても、必ず彦兄をわたしの恋人にする」
 
 そこまで言って、織は僕の唇を強引に奪い、服を剥ぎ取ってくる。
「さあ彦兄、夜はとても短いの。時間と機会は無駄にしちゃいけないの。
 今夜はあのお空の彦星と織姫のように、愛し合いましょう?」
 
――そして僕は、何を恨めばいいかもわからないまま、織の狂愛に流されていった。

                       ― Ground two people found happiness ―
310 ◆6AvI.Mne7c :2009/07/09(木) 00:59:20 ID:Zq1gsyI2
以上、投下終了。

せっかくのイベントを逃してしまうとは、我ながら情けない……
今度書く長編の続きは、今月以内でちゃんと投下しないとなぁ。

それと遅れましたが、>>290>>296のお二方、七夕キモ姉ネタGJでした!
311名無しさん@ピンキー:2009/07/09(木) 01:05:41 ID:Upl+ii2d
1番乗り、かな。GJ!

両親の秘密とか『説得』の方法とかいろいろ妄想できる……(*´Д`)
312名無しさん@ピンキー:2009/07/09(木) 02:35:10 ID:Rb69YgkL
GJ!

「説得」と書いて「きょうはく」と読む
313名無しさん@ピンキー:2009/07/09(木) 08:01:49 ID:eTnmgqK4
日本情緒あふれる作品でした

GJです!
314名無しさん@ピンキー:2009/07/09(木) 08:52:26 ID:XZIbgQ7j
>>310
GJ!
短冊に欲望丸出しで興奮した
315名無しさん@ピンキー:2009/07/09(木) 09:22:19 ID:ygvSaCT/
キッキッキッキッキモウト!!





通りすがりの姉んライダーにレイプされてくる
316名無しさん@ピンキー:2009/07/09(木) 11:55:40 ID:xD4kllRn
>>315
死ね
317名無しさん@ピンキー:2009/07/09(木) 20:14:11 ID:NJ+WVKkS
キモウト、キモ姉に言われたい言葉

第十位「兄妹だから、ずっと一緒にいられるね…」
318名無しさん@ピンキー:2009/07/09(木) 20:39:28 ID:kXZfAptx
319名無しさん@ピンキー:2009/07/09(木) 23:57:06 ID:Upl+ii2d
ちょっと前にこのスレで話題になった、兄妹セクロス→妹さん妊娠のエロ本『わすれな』を買ってみた。

……何これ全然キモくない……
もっとこう、吐き気を催すようなキモウトのでてくる書籍はないものか!?
320名無しさん@ピンキー:2009/07/10(金) 00:05:44 ID:1fOklbKO
そんなあなたには「ツカサブログ」をオススメしよう
321名無しさん@ピンキー:2009/07/10(金) 00:42:23 ID:A3pD9vww
ゼロの者じゃ、ヤンデレ展開にならんだろjk
いとうえいなんかは時々キモ姉モノ描いてるよね
キモウトならオオハシタカユキ『ヤンヤヤ』がど真ん中だった
322名無しさん@ピンキー:2009/07/10(金) 01:20:07 ID:bnAlj90z
つか、お前らはどんなキモウトを求めてるんだ?
いくらなんでも手当たり次第ヌッコロスような勘違いヤンデレがいいとは言わないよな?
323名無しさん@ピンキー:2009/07/10(金) 01:34:04 ID:POiTDTfJ
人を凌駕する知覚能力
身の丈五倍を悠々と飛び越える身体能力
獲物を捕らえたら最後捕食するまで逃さない鋭い爪
324名無しさん@ピンキー:2009/07/10(金) 01:44:28 ID:xq2sOdRz
>>318

よく見つけてきたなw
325名無しさん@ピンキー:2009/07/10(金) 03:27:08 ID:BPo6Q1Ar
>>322
相手をヌッコロスより、兄を監禁して、兄の子を妊娠して………ってのが好みだな。
その上でロングヘアの美少女&常に敬語なら言うこと無しだ。
326名無しさん@ピンキー:2009/07/10(金) 08:58:39 ID:zKwH2f05
ドラッグオンドラグーンに出てきたようなのが理想
327名無しさん@ピンキー:2009/07/10(金) 12:01:18 ID:B8aPTGZP
こんなキモウトがほしかった
http://uploaders.ddo.jp/upload/1mb/src/1up6443.jpg
328名無しさん@ピンキー:2009/07/10(金) 12:05:33 ID:5JUCSoVS
さすがに増えるのはお断りだな
329名無しさん@ピンキー:2009/07/10(金) 13:41:03 ID:mflhhnH1
>>319
まぁ、キモウトでは無かったかな?
330名無しさん@ピンキー:2009/07/10(金) 16:06:49 ID:Veh3GSIt
ツカサブログ書いてる木鈴亭さんは他にもキモ姉ものとバールヤンデレ書いてるよね
331キモウト愛ちゃんM:2009/07/10(金) 16:54:29 ID:ouDazhFE
 私は剛田 愛。共学の高校に通うごく一般的な普通の女子高生。
少し変わっているところをあげるとするならばお兄ちゃんを愛してやまないところかな?
今はそんなお兄ちゃんの為に愛情たっぷりの晩御飯を作っている最中です。
「ただいまー」
そんな事をしていると玄関に素敵なお兄ちゃんの声が響きます。
自然と顔から笑顔が溢れてきます。
「おっかえりー」
脊髄反射でそう言うと包丁を置くのも忘れて玄関へ迎えに行きます。
するとお兄ちゃんの175cmを超える比較的高い体の後ろからなにかしら怪しい影が見えるのですが気のせいでしょうか?
「…御邪魔しまーす」
間違いありません隣の家に住む鳥谷 真弓です。
そんな猛虎魂を感じる名前の彼女ですが、実際は昔から私とお兄ちゃんとの大切な時間を奪っていくとんでもない泥棒猫です。
「……真弓ちゃん?ドラクエごっこは1日早いよ。もう暗いし早くお家に帰りなよ。」
「あ〜それなんだけどさ」
急にお兄ちゃんの口が開かれます。真弓ちゃんの体臭で淀んだ空気がお兄ちゃんの息で中和されます。
「俺と真弓、半年前くらいから付き合ってるから。」
お兄ちゃんの口が開いて何かを話している様でしたが、よく聞こえませんでした。
「…………えっ今何て?」
「なんだよさっきの間…。だから俺と真弓は付き合ってんの。恋人!カップル!アベック!」
「アベ…?あぁ…キャッチャーの…」
お兄ちゃんは野球が好きですからきっと野球観戦にでも行ってきたんでしょう。それ以外考えられません!と言うかあり得ませんし、認めません!
「なんでそこだけ聞き取ってんだよ…まぁいいや、こうすれば解るかな?」
そういうとお兄ちゃんは後ろにいた真弓ちゃんを自分の横に立たせると腰に左手をかけ、右手の親指と人差し指で真弓ちゃんの顎を掴むと二人の顔を近付け始めました。
「ダメエェェェェェェェェェェ!」

 気がつけば私は真弓ちゃんの脇腹に包丁を刺す一歩手前でお兄ちゃんの左手の人差し指と中指の間で包丁の刃を受け止められていました。
「……愛、後でお仕置きな。」
「う、うわあぁぁぁぁ!」
私は包丁を自分の手から離すとその場に崩れて泣き出してしまいました。きっと今の私の表情は3月にドラクエ9が延期した時並みにひどい顔をしているのでしょう。
横ではお兄ちゃんが泥棒猫に何かを言って家に帰しています。何を言っているのかはよく聞き取れませんがいい気はしません。
しかし、後で受けるお仕置きを考えると少しドキドキしてきます。
 私は自分の部屋に連れて行かれるとお兄ちゃんにベットに投げられました。今からお仕置きが始まります。
「……お前、今日と言う今日は許さんぞ…今日はきついからな覚悟しろよ」
「…はい」
私は観念したようにお兄ちゃんにお尻を突き出すとお兄ちゃんが私のパンツをずらしました。
そして、一瞬空気を切ったかのような鋭い音がなると私のお尻に激痛が走ります。
332キモウト愛ちゃんM:2009/07/10(金) 16:56:00 ID:ouDazhFE
パーン!
「あぁ!」
パーン!
「いっ…あぁ…」
そう、昔から私がなにかしら悪い事をするとお兄ちゃんは決まって私のお尻を叩いてお仕置きします。
いわゆるお尻ぺんぺんです。
パーン!
パーン!
「ひっいたいよぉ…お兄ちゃん許してぇ…」
「駄目だ!お前、あの時包丁を俺が止めてなかったら真弓が大けがするところだったんだぞ!」
パーン!
「あぁ…ひぃっ…ぁん…」
力の強いお兄ちゃんの張り手は強烈で涙が出るくらい痛いです。それも今日のは特別強くてたぶん本気で叩いています。
でも、全くやめてほしいとは思いません。
パーン!
「お前が!」
パーン!
「真弓を刺したら!」
パーン!
「お前は逮捕される!」
パーン!
「そんなの!」
パーン!
「俺は絶対に許さないからな!」
パーン!
「あぁんっ…」
パーン!
「反省したか?もうこんなこと絶対にするなよ」
そう言うとお兄ちゃんは部屋から出て行きました。
お兄ちゃんに叩かれて恐らく真っ赤になったお尻を一回さすると自分の秘所に手を伸ばしました。ぐちょぐちょに濡れています。
「これ、バレてないよねー?」
そう、私はお兄ちゃんにお尻を叩かれて感じていました。だからまったくお仕置きをやめてほしいと思いませんでしたし、正直もっと続けてほしいと思ったくらいでした。
「それに、お兄ちゃん私の事を思ってくれてるし…やっぱりお兄ちゃん大好きだよう…でも」
あの泥棒猫をどうにかしてお兄ちゃんから引き離さないといけません。おそらくお兄ちゃんはあの泥棒猫がはなった怪しい黒魔法かなんかにかかって心から付き合っている様な幻覚を見ているのでしょう。
まったく、明日発売するのはドラゴンクエストなのにやることはファイナルファンタジーなとんでもない奴です。
でも、大丈夫!お兄ちゃんの好みも好きな服も性癖もロクに知らないような泥棒猫からお兄ちゃんを奪い返すことなんて簡単ですから…。
「お〜い!愛ぃ〜!さっさと飯作れよ〜!」
「うん!すぐ作るよ!ちょっと待って!」
でも今日はお兄ちゃんのご飯を作ることが先ですね。泥棒猫の後始末はまた今度です♪







終わり。
333名無しさん@ピンキー:2009/07/10(金) 16:57:26 ID:usJiLQ5v
キモ姉の方は弟も基地外だったから、なんだかなあって感じだけどな
334キモウト愛ちゃんM作者:2009/07/10(金) 16:57:40 ID:ouDazhFE
終わりですが投下して見返してみるとめっちゃ短いっすね^^;
とりあえずドラクエ9不安もありますが楽しみです。
335名無しさん@ピンキー:2009/07/10(金) 17:00:26 ID:waopXvG8
こういう軽くノリのいい小ネタ大好きです

GJです(・∀・)
336名無しさん@ピンキー:2009/07/10(金) 19:49:57 ID:JKa9nHu/
>>334
ジャイアンオチじゃなくて良かった
337名無しさん@ピンキー:2009/07/10(金) 20:08:45 ID:ymscwGqd
豆知識・ジャイ子に本名がないのは同姓同名の子がイジメられる可能性があるから

>>325
黒髪サラサラロングの美少女で常に淫語なキモウトが俺は大好物
338名無しさん@ピンキー:2009/07/10(金) 20:40:13 ID:GaIBL8MW
GJ!

話題は変わるんだが
Janne Da Arcのsisterって曲を一遍聞いてみ、まさにキモウト!
って感じだから
339名無しさん@ピンキー:2009/07/10(金) 22:00:51 ID:JKa9nHu/
>>336
sage忘れてた。ゴメン
340名無しさん@ピンキー:2009/07/10(金) 22:44:59 ID:mflhhnH1
>>337
マジで?初めて知った。
341名無しさん@ピンキー:2009/07/10(金) 23:19:07 ID:bnAlj90z
月姫の秋葉ってキモウトっぽいよな
342名無しさん@ピンキー:2009/07/10(金) 23:26:09 ID:UTxUlNXr
個人的に秋葉はキモウトと呼ぶにはキモさが足りないと思う。好きだけどね
343名無しさん@ピンキー:2009/07/10(金) 23:35:15 ID:O2ixRrFE
二次創作になるとさらにキモウト分が増していくキャラ
ただし、兄の方の変態度も増加wwwww
344名無しさん@ピンキー:2009/07/11(土) 01:42:40 ID:8jLRYUuq
>>334
この妹、ある意味わざとらしすぎてGJ!
むしろ兄のほうが、わざとそういう方向に誘導している節があるのもこわいな。


>>343
二次創作は、好意や嫌悪や興味が間にあれば、作者の手で昇華されて、執着になるから楽しいよね。
345名無しさん@ピンキー:2009/07/11(土) 06:51:46 ID:jf6ChUqt
ただ二次創作で安易にオリキャラだして最強にしたり
陵辱ものとかじゃないんだから勝手に変なカップルつくったりするのはやめてほしい

だからあんまり二次に手をだしたくないんだよね
思い入れがあると逆に手を出したくなくなるのが二次
同人は時間も金もかけて出すのが多いけどさただ二次小説だすだけなら
サイトに投稿すればいいだけだから変な作品にあたりやすいんだよね
346名無しさん@ピンキー:2009/07/11(土) 12:47:14 ID:GBC8727k
読者のことよりも自分の妄想を優先させてるから
合わないのが多いのも仕方ないよ
でもたまーに良いのがあるからなぁ
347名無しさん@ピンキー:2009/07/11(土) 16:38:46 ID:zstg4sT1
贔屓キャラを無駄に最強にしてみたり、しょうもないだめ人間なのにモテモテにしたりってのは
「原作」でも同じだけどね
作者、スタッフが酷い漫画、アニメなんていくらでもある

逆に二次創作でのキャラやカプの扱いこそまともって作品もあるんだよなあ
348名無しさん@ピンキー:2009/07/11(土) 16:43:58 ID:fJMAvLOn
ちょっと違うが種ガンとか二次のほうが納得できる展開だったりすることが多い
349名無しさん@ピンキー:2009/07/11(土) 16:50:58 ID:PvyqEu1N
>>345-348
死ね
350名無しさん@ピンキー:2009/07/11(土) 17:46:08 ID:IVRYxBdH
(お)兄さま(orさん)口調のキモウトのおすすめを教えてくれ
351名無しさん@ピンキー:2009/07/11(土) 20:31:40 ID:Ydr5kVvY
シスプリって衛以外はアレだと思うんだ
352名無しさん@ピンキー:2009/07/11(土) 21:19:33 ID:Ck7MWKsb
>>352
可憐は間違いなく真性だな
353アナタがワタシにくれたモノ(1/3):2009/07/11(土) 21:39:47 ID:eclZnTZc
空気を読まずに短編投下



「ただいま〜」
「お帰り〜」
居間で雑誌(少年○ャンプ)を読んでいると、出かけていた妹が帰ってきた。
「あれ?兄貴居たんだ」
「居るよ。ってかお前、随分早く帰ってきたな?」
「まあね」
ただ今午後3時。ついで今日は日曜日だ。
「今日って確か、彼氏君とデートじゃなかったか?」
「うん、そうだったよ」
「途中でやめたのか?」
「…………」
何故黙る?
「香奈?」
「…ねぇ兄貴」
「あん?」
「しよ」
「…は?」
「だからしようって言ってるの!」
「何を?」
「ナニ」
「…………」
「どしたの兄貴?」
「…なぁ香奈。お前自分が何言ってるのか解ってんのか?」
「何よ?別に初めてって訳でもないでしょ?」
「初めてじゃないって…ってことはお前、まさか!?」
「うん」
「またかよ!!」
ふと浮かんだ嫌な予感を訊ねると、この愚昧は臆面も無く肯定しやがった。
「お前、また彼氏振ったのか!?これで何回目だよ!?」
「6回目」
「数えてるのかよ!!」
こいつは男癖が非常に悪い。外面はそれなりにいいのだが、数ヶ月付き合っていた男をあっさりと振ったりする。それも一方的に。
男に振られたのは最初の数回だ。それ以降は、『男を振るのが趣味』なんじゃないかと思わせるくらいの、ビッチに成り下がってしまった。
「はぁ…今回はどれくらいだ?」
「3ヶ月」
「どっちかってぇと長い方か…まったく。またダチに文句言われる…」
今回このビッチに捨てられた男は、友人に頼まれて紹介した奴だった。
外見は勿論、性格的にもそれなりにいい男で、俺としては妹を更正させてくれるかと期待していたんだが…
とりあえず、慰謝料は控えめにしてくれると、お兄さんとしては嬉しいです。
「ご愁傷様」
「誰のせいだと…とりあえず聞いておくけど理由は?」
「タイプじゃない」
「3ヶ月も付き合っといてそれかい。じゃあお前のタイプはどんな男なんだよ?」



「兄貴」



354アナタがワタシにくれたモノ(2/4) :2009/07/11(土) 21:42:12 ID:eclZnTZc

至極真面目顔で、一言だけ呟く香奈。
えぇと、それはひょっとしてギャグで言ってるのか?
「…みたいな男かな。時に厳しく、時に優しくしてくれて、何より、あたしの我侭を聞いてくれる男!」
「そんな都合のいい奴居るわけ無いだろう」
途端にニヤケ顔になって、無理難題を口にする自己中女。
って事は何か?俺はお前にとってそんなに都合のいい男だったってのか?
お兄ちゃんちょっとショック…
「そうなんだよねぇ…ねぇ兄貴。どっかの家の養子にならない?そうすればあたしと結婚できるよ?」
「俺がかよ!冗談じゃない。お前の面倒を一生みるなんてゴメンだ」
「ちぇっ、いけず」
口を尖らせる愚妹。
仮に、仮にだ。仮に一千億歩譲って、何かの、天文学的な単位の確率での偶然が起きて、仮にも俺とお前が結婚できたとあくまで仮定しよう。そう、あくまで仮定だ。
一週間もしない内に新婚生活が破綻するのが目に見えている。主に浮気とか愛人的な意味で。
「あのなぁ香奈。男を振るのが悪いとは言わないけどな。もう少し相手の気持ちを考えて…」
「うるさい」
それまでのニヤニヤした顔を一変させ、至極冷静な表情で言葉のナイフを突き刺す香奈。
「うるさいよ兄貴。もてない男の戯言なんて聞きたくない」
「…泣いていいか?」
「泣けば」
「…しくしく」
ああそうさ。生まれてこの方女にもてたことなんてねぇよ。告白して受け入れられたことなんか無いよ。告白されたことすらないよちくしょう!
ああ、空はこんなに青いのに、何故人はこんなにも孤独なんだろうか…
「そんなことより兄貴。セックスしよう!」
「…たった今、男としての何かを粉砕された実兄に対して『そんなこと』ですか」
「何よ?兄貴には、失恋で傷ついた妹を慰めてあげようっていう気は無いの?」
「お前が振ったんだろうが」
こいつが始めて男に振られたその数日後、俺は香奈と肉体関係を結んでしまった。
どうやらこいつはその男に相当入れ込んでいたようで、丸一日泣き続けていたのだ。
このままだと引きこもりになりかねないと危惧した俺は、翌日かなり渋られたものの、香奈を気晴らしに連れ出した。
丸三日我侭(買い物やら食事やら遊園地やら)に付き合ったおかげで、何とか気持ちを持ち直したようだが、その最終日、俺は香奈の誘惑を受けてしまったのだ。
多分、慣れないワインを飲んだせいだろう。高校を出たら一人立ちするつもりで貯めていた貯金を切り崩したり、一月ほどバイト漬けで色々と堪っていたせいもあるかもしれない。俺は、至極あっさり香奈を抱いてしまったのだ(実はあまりよく覚えていなかったりする)。
…その翌朝、俺に襲ってきた後悔と絶望は推して知るべし。隣に香奈がいなかったら本当に自殺するところだった。事実、予備のシーツを寄り合わせて作った、即興の縄を天井から吊るしているところで正気に戻ったくらいだ。
「振った方にもダメージはあるのよ」
「お前それ毎回言ってるよな?」
「毎回ダメージを受けてるって事。そんなことより兄貴〜」
「はぁ…解った解った。とりあえずシャワー浴びて来い」
「や」
「『や』ってお前…」
「あたしはしたいの。今すぐしたいの!」
「大声で言うなはしたない!だからシャワー浴びて来いって言ってるだろう。その後なら相手してやる」
生憎と俺に匂いフェチのケはない。確か、香奈が三回目に振られた時に,学校帰りのあいつとそのままやったら死にそうになった。色々な意味で。
「一緒に入ればいいじゃない」
「この前風呂場でやった時に、湯にのぼせて盛大に吐いたのはどこのどなたでしたっけ?」
「…てへ♪」
「ごまかすな。とにかく、やるんなら風呂からあがってからだ」
「は〜い…ああそうそう。兄貴」
「ん?」
355アナタがワタシにくれたモノ(3/4) :2009/07/11(土) 21:42:53 ID:eclZnTZc
「解ってると思うけど…逃げるなよ?」
キツイ眼差しで…まるで捕食者のような目で俺を睨む妹。



「逃げたらどうなるか…わ か っ て る な」



俺が香奈と肉体関係を結んでしまった翌朝、土下座する俺に対して、妹はこう言った。
『別に気にしなくていいよ。あたしの方も色々堪ってたからさ。野良犬に手を噛まれたとでも思って諦めて…あ、でも一つだけ。これはあたしと兄貴の、二人だけの秘密ね?もし他人にばらしたら…その時は兄貴を殺してやるから。主に社会的に』
清々しいエガヲがとても怖かったです。
「解ってるって。俺も社会的に抹殺されたくは無いからな」
「ならいいんだ♪玉のお肌に磨きをかけてくるから、楽しみにしててね☆」
跳ねるような足取りで、風炉場へと向かう愚妹の背中を眺めながら、俺はため息をついた。
「はぁ…」
香奈曰く、『一度男に抱かれたら、オナニーくらいじゃストレスや性欲の発散なんて出来ない』そうだ。
「実の兄で性欲処理する妹ってどうよ?」
俺はあいつの将来が真剣に心配になってきた。や、自分の事は棚上げだというのはよ〜く解ってますヨ?



「ふぅ…」
シャワーを浴びながら、あたしは胸の鼓動を感じていた。
他でもない。この後に待ち受ける、兄貴との情事に対してだ。
「…久しぶりだな…兄貴とするの」
今度の男とは三ヶ月続いた。つまり、三ヵ月も兄貴としていないってことだ。
「兄貴も馬鹿だよね〜。オナニーするくらいならあたしの体を使えばいいのに」
変なところで生真面目な兄の性格を思い出して苦笑する。
「毎晩、あたしとのセックスを思い出しながらオナってるくせに」
家の部屋の壁はとても薄い。いや、もしかしたら普通なのかもしれないが、隣の部屋の声くらい余裕で聞こえる。夜は周りが静かだから余計に。
「本っ当に馬鹿だよね…あたしの嘘に気付かないなんてさ…」
兄貴は馬鹿だ。本物の馬鹿だ。
あたしの体を思い出しながらのオナニーは勿論、あたしが男を振ったことに対するショックを受けていると本当に思い込んでいる。
「そんなの、あるわけ無いじゃん」
男を振ったことに対する後悔なんて微塵も無い。というか、正直兄貴とするための口実として、男を振っているからだ。
「今度こそ、妊娠できるといいな…」
あたしは下腹部を撫でながら呟いた。
「兄貴とあたしの子供か…どんだけ可愛いんだろう」
兄貴とする時はいつも『安全日』だと言ってあるが、これも嘘だ。本当は危険日。超危険日。あたしが始めて男に振られた日以降、兄貴を誘惑する日は、いつも危険日だ。
「…何で妊娠しないんだろう?」
普通に考えて、人間の女性に『安全日』なんてものは存在しない。安全日と言えども、膣内射精されれば、約2割の確率で妊娠してしまう。危険日の膣内射精など、子供を孕む確率は120%だ。
「だってのに!」
過去2年。兄貴の仔を孕んだことはまだ無い。間はまちまちだが、危険日に膣内射精されているにも関わらずだ。
「兄貴ぃ…寂しいよぉ…」
まるで世界から、『お前に兄の子供など、産めるはずが無いだろう!』と言われている気分だ。
「…そんなの嫌だ…」
いつから兄貴が好きだったのか?それは正直解らない。だが、『兄を好きだと言う気持ち』を受け入れたのは2年前。最初の男に振られた時だった。
彼に振られたその日、私は泣いた。悲しくて泣いた。『彼に振られた』ことがではない『本当に好きな男が誰なのかに気付いてしまった』ことがだ。
356アナタがワタシにくれたモノ(4/4) :2009/07/11(土) 21:43:33 ID:eclZnTZc
「よりによって、兄貴が好きだなんてね…」
決して叶わない思いであることが苦しくて、決して報われない願いであることが悲しくて、いつかこの思いを抱えたまま、兄貴が別の女性と結婚することを祝わなければならないこと辛くて、私は泣いた。
でも…
「馬鹿だよ…本当に…」
そんな私の価値観を、私にとっての世界を、世界の常識をぶち壊してくれたのが、他でもない兄だった。
「…………」
シャワーを止めて、体を拭う。いつもならパジャマを着るところだが、どうせこの後脱いでしまうのだ。バスタオル一枚で十分だろう。
「さてと、今度こそ妊娠しなくちゃね♪」
兄の匂いを、温もりを、迸りを思い出しながら、あたしは浴室を後にする。
既に股間は愛液で濡れている。つい先程、水を拭いたばかりだというのに。
ふと鏡を見ると、覗き込んだ自分が恐くなりそうなくらい、幸せそうな笑顔が映っていた。
「兄貴はやらない…誰にもやらない…」
あたしの物だ…ずっとあたしだけのモノだ…!



今、行くからね…オニイチャン…





シスプリはよくわからないが、『可憐』の名前だけでこんな話を書ける俺は死んでいいと思う。
357名無しさん@ピンキー:2009/07/11(土) 21:58:46 ID:KKgDX3Vl
俺もシスプリは知らないがお前はよく分かっていると思うgj
358名無しさん@ピンキー:2009/07/11(土) 22:25:18 ID:komkuxHI
GJ

このキモウト、間違いなく最初の「彼」は兄貴に似てたな
もしかしたら、その後の数人も

最初のはわからないけど、きっと2人目以降は「彼」とはやってないだろうなあ
適当に理由つけて
そして、計画通り振られてる

と思い込んでる俺


兄貴という呼び方と表面上ビッチなキャラでぱにぽにの地味が浮かんだ
359名無しさん@ピンキー:2009/07/11(土) 22:51:49 ID:gYmEHjqv
二割+危険日=120%ww
360名無しさん@ピンキー:2009/07/11(土) 23:56:00 ID:T8yjkqF1
お兄ちゃんを超える呼び方は無いと思う。
異論は認める。
361名無しさん@ピンキー:2009/07/11(土) 23:59:38 ID:P1O9ZTKt
私はお兄ぃを認めます
362名無しさん@ピンキー:2009/07/12(日) 00:01:21 ID:X2X8C3mj
今まではずっと「兄さん」と呼んでたツンデレキモウトが、ふいに「お兄ちゃん」と呼ぶ、
っていうのはどうだ?
363名無しさん@ピンキー:2009/07/12(日) 00:01:54 ID:V5jl6CnX
兄さんはお兄ちゃんと呼ぶのは恥ずかしい
しかし信頼している、少し背伸びしようとしている様子が伺える
よって兄さんが最高です
364名無しさん@ピンキー:2009/07/12(日) 00:12:45 ID:q+2+/RVn
せめてそのどちらかで呼んでほしい…呼び捨てはないだろ…はあ…
365名無しさん@ピンキー:2009/07/12(日) 00:28:27 ID:/jF/vc11
あなた、が一番
366名無しさん@ピンキー:2009/07/12(日) 00:56:44 ID:t/Cv4gQW
兄や、兄の友達の前では”兄さん”だが、自身の友達との会話では”お兄ちゃん”
妹「お兄ちゃんはあげない、よっ」
妹友達「いらねぇよww」

妹「に、兄さん!早く起きてください!遅刻します!」
兄「・・・ ああ、今起きる・・」

これが最強、もちろん異論は認める
367名無しさん@ピンキー:2009/07/12(日) 01:30:15 ID:FKAoIGUe
まーた荒らしが出るぞ
368名無しさん@ピンキー:2009/07/12(日) 02:04:18 ID:YEGvgWEf
たまには兄上様と呼ぶ古風なキモウトも見たいものだ
369名無しさん@ピンキー:2009/07/12(日) 02:40:00 ID:OFdJ88Lf
>>356
悪女系キモウトGJ!
策を講じる妹と既に半分以上囚われている兄とか、素敵すぎて大好きです。
兄貴が妹にあげたもの、それは「近親相姦を恐れない勇気」とかいってみる。

あと死なないで、また他にも作品を投下してください。


>>366
本人の前ではツンorクール、余所ではデレてのろけまくる、逆ツンデレor逆クーデレか〜
もちろん、アリだと思います!
なんか、そんなネタ話を書きたくなってきた。
370名無しさん@ピンキー:2009/07/12(日) 03:14:39 ID:9Do5f9t4
外兄さん 内お兄ちゃんも好きだけど
お兄様ってよばれたい
いつも豪華なフリルがいっぱいついたスカートで上品な感じで
仕草とかも上品で丁寧で物腰も表面的にはいいけど内面は独占欲まみれのキモウトがほしい
371 ◆EY23GivUEuGq :2009/07/12(日) 04:26:00 ID:tIYTgcRm
短編投下してみる。
微グロ注意。


372親友キャラAの世界 ◆EY23GivUEuGq :2009/07/12(日) 04:29:05 ID:tIYTgcRm
男なら誰でも憧れる理想のシチュエーション、曰くハーレム。
周りの女性の好意を一身に受け、現れる女の子を千切っては投げ、最終的に選んだ誰かと結ばれる・・・。
そんなアニメやゲームみたいな設定なんて所詮はフィクション、愚かな男子の夢または幻に過ぎない。
だからこそ我々はその理想を求めていくのだろうか。
有り得ないとわかっているのに架空の世界に浸ろうとするのだろうか。

ならばこいつの場合、俺の親友である牧原祐二も架空の人物なのか? 
・・・いや、答えは否である。
俺も祐二もここにちゃんと存在している。幻想などではなく、疑いようの無い現実として俺たちは生きている。
故に、この現実が、現状が、俺にとって理解出来ないほどの物であっても納得しなければならない。

「これはそういう世界」なのだと。



我が高校が誇るラッキーボーイ、通称『RGM(リアルギャルゲマスター)』こと牧原祐二。
こいつを取り巻く世界は常人から見ればそれこそギャルゲーの世界に見えることだろう。
高校2年、顔は中の上。性格は基本的に誰にでも優しく、若干優柔不断。
得意なものはスポーツ一般、苦手なものは早起きと料理。
受身の体質とポジティブな思考は女性の母性本能をくすぐり、女の子のピンチには悪漢にさえ平然と立ち向かう勇気を持ち合わせている。
こうしたステータスを持つ祐二の周りには、幾人もの女性が取り巻くまさに「ハーレム」が形成されている。
@祐二の幼馴染みで学年一の美少女・【穂坂里恵】。朝に弱い祐二を起こしに行くのは隣に住む彼女の仕事である。
 また、祐二の両親が共働きなので朝食やお弁当、夕食も彼女が一手に引き受けている。
A穂坂里恵の一個下の妹・【穂坂真紀菜】。
 いわゆる小悪魔という類の性格で、祐二にちょっかいを出しては追い掛け回されるのを生きがいとしている憎めない女の子だ。
B3年で俺たちの先輩、とある大手企業のご令嬢でもある【北条麗華】。
 優雅かつ温和な性格で誰からも好かれている。街で不良に襲われていたところを祐二に助けられたらしい。
Cボーイッシュなクラスメート・【叶葉月】。水泳部のエースでスポーティな身体は日焼けによって多少黒くなっている。
 短く切り揃えられた髪や平均より小さな胸のせいか、男子のような風貌を残した美少女である。
D天然巨乳のクラスメート・【岡村エリカ】。おっとりした口調とムチムチのボディで男子のエロい視線を一手に引き受けている。
 もっとも彼女自身はそんなことを全く気にする様子は無いあたりが天然なのだろうが。
E男勝りな担任教師・【秋元加奈子】。よく授業中に居眠りをしている祐二を目の敵にしている。
 黙っていれば美人なのだが、一旦怒ると椅子をも投げ飛ばす怪力教師だ。
彼女達にはある共通点がある。それは皆、牧原祐二に恋している、というものだ。そして、恋をしているのは彼女達だけではない。
従姉妹の娘、学級委員長、部活の後輩、保健の先生、地味な図書委員、近所の若奥様、etc...
立場、年齢は違えど彼女達はそれぞれ「牧原祐二」という男を愛し、様々なアプローチを仕掛けている。

そんなリアルギャルゲーの世界での俺・新庄雅人のポジション。
それすなわち『親友キャラA』なのである。
373親友キャラAの世界 ◆EY23GivUEuGq :2009/07/12(日) 04:31:50 ID:tIYTgcRm
「ふぅ〜・・・。朝から全力疾走させるなよなぁ・・・」
俺の隣の席に倒れこみ、開口一番呟いたのはもう何度も聞いたお決まりの台詞だった。
「ぜーたく者め。俺じゃなかったら殴ってるところだぞ、その台詞」
「はは、なんなら変わってやりたいくらいだよ」
―――少しイラッとくる。
ギャルゲ主人公のお決まりの台詞なんだろうが、実際に聞くとやはりこみ上げてくるものはあるようだ。
「トイレ入ったら里恵が鍵閉め忘れててさ。殴られて、支度遅れて、おまけに鞄を真紀菜ちゃんに隠されて・・・。
 たまには遅刻ギリギリじゃなく普通に登校したいってもんだよ」
本人は心底迷惑なんだろうが、俺をはじめ、一般男子なら羨む非現実的なシチュエーションを毎日体験している祐二。
こういった愚痴を聞くのは親友キャラの義務なのだろうが・・・。
「お前な、俺たち一般ピーポーからすりゃそういったイベントは一生に一度あるか無いかってくらいレアなんだぜ。
 間違って他の男子に喋ってみろ、フルボッコにされて海に沈められるぞ」
ははは・・・と笑う俺の口元は乾いている。
口ではこう言ったものの、いつ飛び掛って殴り倒すかわからないほどに俺の心はざわついた。
―――変わってやりたい? 普通に登校? 
願っても、祈っても、俺たち一般人にはそんな現実は訪れない。
ただただ空しくこの世界の1キャラクターとして生きていくだけ。
こいつの愚痴の一つ一つが、常人とは違う甘美な世界が、俺を益々惨めにしてゆく。
―――どうして、おれは、こんなせかいに、うまれた・・・。
「雅人?」
ハッと我に返る。
そう、いくら考えたところで答えなど出ない。賽は投げられ、物語は続いてゆく。
この世界に生まれてしまった時点で、俺は「ハーレム主人公の親友A」というピースとなって生きてゆかなくてはならないのだ。
「いや、なんでもねぇ。ほら、さっさと着替えようぜ。次は体育だ」
「うへぇ。また走るのかよ」


俺だって思春期の男だ。可愛い女の子と仲良くなって、たくさんお喋りして、あわよくば彼女を作って・・・。
ゲームみたいな日常じゃなくていい。
ただ俺は普通に、どこまでも普通に、高校生活を送りたかっただけなのに・・・。
結局、クラスはおろか学校の主な女子は皆祐二に目を向けた。
勿論、男の中には俺や祐二よりイケメンの奴はごまんといる。
そいつらはまだしも、俺の隣にはいつだって祐二がいた。
だからこそ、俺に目を向けてくれる子など、この学校にはいはしなかった。
「牧原く〜〜ん」
体育倉庫で用具をしまっていた俺たちに声を掛けたのは天然巨乳・岡村エリカだ。
「先生がね〜、お片づけの手伝いをしなさいって〜。だからはーちゃんと一緒に手伝いに来たんだ〜」
後ろからはスポーツ少女・叶葉月がボール籠を引きながら入ってきた。
「2人より4人の方が早く終わるだろう。とっとと済ませてしまおう」
「はは、助かるよ。ありがとうね2人とも」
2人の顔がみるみる赤くなっていくのがわかる。なるほど、ベタ惚れとはこういうものなのだろう。
「ほら〜牧原く〜ん。そのコーン私が持ってあげるよ〜」
「お前には無理だエリカ。どれ、貸してみろ」
「ちょ、ちょっと!? そんなに引っ張ったらっ! わぁっ!!」
ドシンッとマットに倒れこむ3人。そしてお約束にも岡村の胸や叶の尻に潰される祐二。一般男児には至福のイベントなのだろうが。
「・・・ごゆっくり」
祐二にとってはこれが日常。俺がいくら望んでも、羨んでも、起こることの無い現実。
自然と俺は体育倉庫を後にしていた。
374親友キャラAの世界 ◆EY23GivUEuGq :2009/07/12(日) 04:34:26 ID:tIYTgcRm
「ったく、先に帰るなんて酷いよなー」
「だーから悪かったって。お邪魔かな? と思ってさ。空気読んだんだよ」
「どこがだよ! あそこは助ける場面だろー」
帰り道、俺と祐二の会話は先の体育倉庫の件で盛り上がった。
が、それは上辺だけ。俺の心は嫉妬で満ちていた。
―――助ける場面?
あの巨乳に顔面を埋めてもか?
引き締まった尻にのしかかられてもか? 
それでも助けて欲しいと?
俺だけじゃない、世の男子高校生ならあんな状況で助けて欲しいなんて絶対に思わない。
なのに何故俺を責める?
ちゃんと空気を読んだじゃないか。
3人だけにもしてやった。・・・普通なら感謝されて当然じゃないのか?
―――それとも自慢したいのか? 優越感に浸りたいのか?
「・・・っ!」
やめよう。
いくら嫉妬したところで何も変わりはしない。これが俺の世界。俺の役割。俺のポジションなのだから。
「兄さん」
と。
聞き覚えのある声が後方から聞こえてきた。
「やあ涼香ちゃん。今帰りなの?」
「あら、牧原先輩こんにちは」
ペコリ、と頭を下げ微笑む小柄な少女。俺と年子の妹、新庄涼香。
平々凡々なスペックの俺に似ず、学年トップクラスの頭脳と容姿を備えた1年のアイドル的存在だ。
おしとやかな振る舞いと絶やさぬ笑顔で1年はおろか、2、3年にもファンは多い。
そして、例に漏れず彼女もまた祐二に好意を寄せている一人である。
「そうそう兄さん、冷蔵庫が空っぽなの忘れていました。お買い物行くので荷物持ちに着いて来て下さい」
もっとも涼香から直接祐二が好きだと聞いたわけではないが、事ある毎に「牧原先輩とは末永くお付き合いを」と言われ続けている。
俺が祐二と仲良くしている限り、涼香にとって祐二はかなり近い存在となる。
特別な接点の無い涼香が自然に祐二と絡むことが出来る。
つまり、俺は完全に妹の恋路の出汁に使われているだけ。
家族からもピエロとして扱われる惨めなポジションというわけだ。
「・・・悪い、俺腹が痛いんだよな。すまんが祐二、手伝ってやってくれ」
「兄さん・・・?」
惨めだろうが、何だろうが。俺の信条は「空気の読める男」だ。妹の恋路は応援してやらなければならん。
何より、これ以上ここにいると泣き出してしまいそうな自分がいた。
兄としては迂闊に涙を見せるわけには行かない。
「ああ、構わないぞ。じゃあ涼香ちゃん、行こうか」
てっきり涼香の歓喜の声が聞こえると思っていた。
がしかし、声の代わりに強引に手を引かれ、ギュッと腕を絡められた。
「申し訳ありません牧原先輩。お気持ちだけ受け取っておきます」
もう一度ペコリと頭を下げて今度はギロリと俺を睨む。
「仮病を使ってもバレバレですよ兄さん。家の問題に他人様を巻き込む事は許しません」
「なっ・・・お前、せっかく俺がっ・・・!」
「それではお先に失礼します先輩。兄の無礼、本当に失礼致しました」
三たび頭を下げ、グイグイと俺を引っ張り商店街へ連れて行く涼香。
全く、小柄なこの体躯のどこにそんなパワーがあるのだろうか。
375親友キャラAの世界 ◆EY23GivUEuGq :2009/07/12(日) 04:37:13 ID:tIYTgcRm
買い物を終えた頃には外は真っ暗になっていた。
そして家に向かい歩く道中、散々涼香にお説教を食らった。
「親しき仲にも礼儀あり。あんな真似は今後しないで下さいね」
基本的に自分の感情よりも体面を優先する涼香のことだ、先ほどの行為は我慢ならなかったのだろう。
こういった場合、いつもは素直に従っているものなのだが。
「・・・お前も俺を責めるんだな」
ポツリ、と頭の中の考えが口に出てしまった。
三歩ほど先を歩いていた涼香はピタリと足を止めこちらに振り返る。
「当然です。関係のない牧原先輩を巻き込んで褒めて貰えるとでも?」
俺はただ、涼香と祐二を二人っきりにさせようとしてやっただけなのに。
誰でもない、お前自身に一番感謝されると思っていたのに。
折角空気を読んでやったというのに。
どいつもこいつも・・・。
「・・・はっきり・・・言ったらどうだよ・・・」
「はい?」
「祐二のことが好きだって。俺に祐二との仲を取り持ってくれって」
抑えていた感情が関を切ったように流れ出す。
学校の誰からも、家族にさえもぞんざいに扱われた鬱憤が、言葉によって吐き出される。
「もう嫌だ! もうたくさんだっ! これ以上付きあってられるかよ!!」
買い物の荷物が落ち、野菜が地面に散らばった。それはまるで、綻び始めた俺自身の心に酷似していた。
「今までっ! ずっと俺は脇役に徹してきた! 空気を読んで! 気を使って! それで結局俺はどうなる!?」
「兄さん・・・」
「惨めで、羨ましくて、どうしようもなくて! だけどそれが俺の人生だと諦めて・・・だけどっ・・・だけど・・・」
知らぬ間に地面に膝をついていた。知らぬ間に涙が溢れていた。

なんで俺の世界は普通ではなかったのだろう。
普通に恋をして、普通に勉強して、普通に彼女を作って。
そんな当たり前な人生を、なんで俺には与えられなかったのだろう。
初めて好きになった女の子は、親友に惹かれていた。
次に好きになった女の子も、親友に惹かれていた。
次に好きになった女の子も、親友に惹かれていた。
それから2回告白して、二人とも親友が好きだと言った。
俺が好きになる女の子は、皆親友が好きだった。

彼になりたいと思ったことはない。そう、ハーレムの主人公になりたいだなんて思っていなかった。
ただ、俺は、普通に・・・普通の世界で生きたかった。
ギャルゲーの世界の登場人物としてではなく、もっと多くの一般人の一人として人生を歩みたかった。

―――どうして、おれは、こんなせかいで、いきている?

「消えたい」
もはや限界だった。
他人の、それも親友の幸せを願うくらいなら幾らでもやってやろう。だが、俺の幸せはどうなる?
自分が不幸のどん底に落ちてまで、他人の幸せを願う・・・。綺麗事の通るフィクションの世界では格好いい信念かも知れない。
だが現実は? 俺は? そんな事言えるのか?
「もう疲れた・・・」 
リセットしたい。
ここがゲームではなく現実だとわかっていても、俺はもうこの世界に居たくはなかった。
376親友キャラAの世界 ◆EY23GivUEuGq :2009/07/12(日) 04:40:07 ID:tIYTgcRm
「言いたいことは、吐き出せましたか?」
温かかった。そして、いい匂いがした。
朦朧とした意識を覚醒させ、状況を確認した。
どうやら俺は涼香の胸に抱かれ、優しく髪を撫でられているようだった。
「人生なんて、思い通りにいかないものです。欠片ほどの幸せすら手に入らない人間なんて世界中に沢山溢れています」
誰かに抱きしめられるということが、これ程までに幸せな気分になれると思わなかった。
「そこへ行くと兄さんは幸せ者です。少なくとも1人、世界中の誰よりも愛してくれている人間が居るのですから」
腕に力を込め、更に強く抱きしめられる。
顔を上げる気力はなかったが、涼香が微笑んでいるのだけはわかった。
「大好きです、兄さん。だから消えたいだなんて悲しいこと、言わないで下さい」
枯れ果てたはずの涙がまた込み上げてきた。
幸せは、ここにあった。こんなに身近に、存在していた。
「ここからは兄さんが主人公です。一緒に進んでいきましょう? ね?」


************************************************


「ゆう君! お弁当忘れてるよ、はいっ」
「牧原君、今日はわたくしも手作りのお弁当をこしらえて来ましたの。味見してみて下さらない?」
「きししし! ゆーじは真紀菜とご飯食べるって約束したもんねー!」
4現目の授業が終わると同時に穂坂姉妹が、北条先輩が、我先にと祐二に詰め寄った。
これまたいつもの光景。そしてこの後秋元先生がこう言うんだ。
「あー、牧原。お前プリント提出まだだったな。飯の前に職員室に来い」
「だあああああっ! 勘弁してくれぇぇぇっ!!」
「はっはっは、今日は一段と女難の相が出てるな祐二。飯は俺が食っとくから安心しろ」
「てめっ雅人! 静観してないで助けてくれよぉ!!」
他愛無い会話。親友を取り巻くトラブル。
前までの俺だったらきっと耐えられなかったであろうこの日常風景も、今では心に余裕を持って眺めることが出来た。
幸せは、すぐ隣にあった。そうさ、他の幸せもこれからゆっくり見つけていけばいい。
主人公は俺だ、出来ないことなんてない!
「いよっ! 憎いぜRGM!」


夜、夕食を食べていた俺と涼香を尋ねて来たのは祐二だった。
いつものおちゃらけた雰囲気も、余裕の表情も消え、その顔はいつになく真剣そのものだった。
「話があるんだ」
差し出されたお茶もそこそこに、祐二は俺と涼香に向き直る。
「さっき、里恵と麗華先輩に告白されたんだ」
「おお!」
ついに祐二にも春が来たか。とはいえこいつの場合、常に新春だった気がしないでもないが。
「俺、優柔不断だろ? でも・・・俺真剣に考えたんだ。やっぱ自分の気持ちに正直になろうってさ」
「そ、そうか。で? ど、どっちに決めたんだ?」
ごくりと息を飲む俺。じっと見つめる涼香。口を真一文字に結んだ祐二。
一拍置いて、祐二が口を開いた。

「俺・・・さ。涼香ちゃんのことが好きだ」
377親友キャラAの世界 ◆EY23GivUEuGq :2009/07/12(日) 04:42:38 ID:tIYTgcRm
ショックはなかった。
どちらかというと祐二に選んでもらえた嬉しさのほうが強かった。
コイツのいいところは誰より俺が一番良く知っている。
祐二なら大丈夫。涼香を悲しませるような真似はしない。
「ずっと前から気になってて。今回告白されて、初めて俺は涼香ちゃんのことが好きなんだって思った」
もじもじと顔を赤くさせながら祐二は語る。手は震え、声は擦れていた。
「涼香ちゃんが雅人を大切に思ってるのは知ってる。だから、これからは俺もその輪の中に入れてもらえないか・・・?」
彼なりの精一杯の告白なのだろう。きっとここに来るまで何度も練習したに違いない。
俺はもう前とは違う。今なら他人の、妹の幸せを心から祝福してやれる。
「涼香。祐二はこう見えていざって時に頼りになる奴だ。お前と祐二だったらこの先何があっても大丈」

「違う」

一気に。空気が変わった。
涼香の声はまるで別人のように低くなり、瞳の奥の光が消え失せた。
ユラリ・・・と立ち上がり、フラフラと戸棚のほうに歩いていった。
「え・・・と、す、涼香ちゃん・・・?」
「お前の答えはそうじゃない」
いつものおしとやかな振る舞いも、絶やすことの無い笑顔も消え、ブツブツと何かを呟き始めた。
「お前は『選んではいけない』。一生そのまま、お前が選ぶ道は、誰に付かずのハーレム世界」
声が出ない。祐二もそうなのか、いきなりの展開に脳が付いて行っていないのだ。
出来るだけ脳をフル回転させ、事態の把握を急いだ。そして、一寸速く脳が追いついたのは祐二だった。
「あ、あの。言ってる意味がわからないんだけど・・・」
「お前のポジションはそこではない、と言っている」
光の消えた瞳が真っ直ぐ祐二を捕らえた。
「兄さんの世界においてお前は『囮』だ」
「お、とり・・・?」
「お前の役目は、兄さんの周りの女を惚れさせる事。兄さんに悪い蟲が付かないようにする防虫剤」
祐二の顔がみるみる白くなっていく。俺も似たような顔なのだろうか。
「だからこそ、兄さんに常々言った。お前から離れるな、と」
「あ・・・えっと・・・?」
「『お前の世界』において私たち兄妹はただの脇役。ゆえに私はお前ゲームの攻略対象では無い。
 同時に。『兄さんの世界』においてお前は単なる防虫剤でしかない。兄さんのゲームの攻略キャラクターは私一人」
いつの間にか。涼香は祐二の目の前に迫っていた。虚ろな瞳を閉じることなく、吸い込むように祐二を見つめる。
「そして・・・。『私の世界』において登場人物は兄さんだけ。そう、私たちだけなの」

この時。俺は俺と涼香の間にある語弊に気がついた。
彼女は、涼香は俺を『そういう目』で見ていたという事に。
「大好き」とは家族としてではなく、異性としての愛だという事に。

涼香の手に、何かが握られていた。鈍く光るそれは・・・工芸用の小型ハンマーか?
身体が動かない。そして声すら上げられない。こんな一大事でさえ竦んで動けなくなる自分を呪うことしかできなかった。
「す、涼香ちゃんが雅人と2人で生きて行きたいって気持ちはわかったよ。でも・・・でもさ」
そして、こういった場面でちゃんと声が出せる祐二を改めて尊敬する。
凶器を目の前にしてもなおこういった度胸が備わっているのは流石主人公、といったところだろうか。
「2人だけじゃ生きていけないよ。人間は助け合って生きていくんだ。そうだろう?
 全部の人間は無理かもしれないけどさ、まずは俺を・・・君の世界の登場人物にしてくれないか?」
彼の愛は本物だ。豹変した涼香を前にしてこういった台詞を吐ける人間はそうはいない。
378親友キャラAの世界 ◆EY23GivUEuGq :2009/07/12(日) 04:45:39 ID:tIYTgcRm
「それはつまり囮としてのポジションを放棄するという事か」

「え・・・?」

「使えないな、おまえ」

リビングに鈍い音が幾度となく響きわたる。
見てはいけないと頭ではわかっていても、俺の双眼は何度も叩きつけられ、ぐちゃぐちゃに潰されてゆく親友の顔に釘付けになった。

やがて、微かに反応していた彼の指の動きが完全に止まると、涼香はゆっくりと歩み寄り、俺の目の前にしゃがみこんだ。
「兄さん」
飛び散った肉片と、おびただしい程の返り血が付着した顔を拭いながら涼香は優しく微笑んだ。
「防虫剤、壊れちゃいましたね。でも大丈夫、これからは寄ってくる蟲は私が叩き落としますからね」
未だ瞳孔が開きっぱなしで、声すら発せない俺の頭を丁寧に撫でる。
この時俺は既に気を失っていたのだと思う。次に目が覚めたのは、翌日の夕方だった。


*************************************************


「でもっ! ゆう君は新庄君の家に行くって!」
「せめて、雅人君にお話だけでもさせて貰えませんか?」
「やい涼香っ! ホントにゆーじは来てないのかっ!?」

玄関から聞こえる騒がしい声で目を覚ました。あの声は毎日聞いている。穂坂姉妹と北条先輩だ。

「兄は体調を崩しているのでお話は出来ません。牧原先輩も昨日は来ていません」

いや、涼香。祐二は昨日家に来たじゃないか。大切な話があるといって・・・いって・・・それからどうなったんだっけ?
とにかくみんなに話さなくちゃ。はやく・・・うーん・・・あれ? 身体が動かない・・・。
「全く、防虫剤が無くなった途端にこれだもの。ホントに鬱陶しい羽蟲共ですよね」
ギシ・・・と涼香がベッドに腰掛ける。涼香、と呼び掛けたつもりだったが、俺の喉から声は出なかった。
「兄さんの世界はいずれ蟲共に喰い荒らされてしまうでしょう。でも安心してください」
涼香の伸ばした左腕は俺の剥き出しの陰茎に触れた。
何で今まで気がつかなかったのだろう。俺は裸だったのか。
涼香はゆっくり、リズミカルに俺の陰茎をしごきながら右手で器用に衣服を脱いでいった。
何年ぶりかに見る、妹の裸体。最後に見たのは小学生の頃だったか。
動けぬ俺の身体に跨り、甘く、淫靡な口付けを済ますと、下半身の陰茎が何かに包まれていった。

「私の世界には私たち2人しか居ません。ここからは・・・『私が主人公です』」


                                       ――game start――
379 ◆EY23GivUEuGq :2009/07/12(日) 04:51:00 ID:tIYTgcRm
終了。
有象無象の女の子達が異常に空気なのは気にしちゃ駄目。

・・・次はキモ姉ものを考えるから睨まないでお姉ちゃん。
380名無しさん@ピンキー:2009/07/12(日) 05:00:44 ID:wSqjUH0b
リアル投下GJ!
ゾクゾクするようなキモウトっぷりでした!!
確かに、エロゲやギャルゲの友人キャラってこんな風景を毎日見てるんだよなぁ。よく正気でいられるものだ。
次はキモ姉ものですか?とっても楽しみです!!
381名無しさん@ピンキー:2009/07/12(日) 06:57:17 ID:w4Ipix4G
キモウトよ、いろいろな意味でGJ!
382名無しさん@ピンキー:2009/07/12(日) 07:01:09 ID:7PT8VyZQ
巧いなあ
この設定は思いつかんかった
これが18禁ゲーなら入れ喰い状態にも関わらず
一番選んじゃいけない相手を選んだ防虫剤君のご冥福を祈ります
チーン
383名無しさん@ピンキー:2009/07/12(日) 08:11:23 ID:GaU6kRsI
久々にGJと言わせてもらおう
384名無しさん@ピンキー:2009/07/12(日) 08:23:08 ID:PNsTozVA
GJ
美人でハイスペックな姉妹に好かれる兄や弟じゃなくてその親友が「主人公」な世界とは・・・

それにしてもU-1ならぬU-2の末路には同情やグロへの嫌悪感よりざまぁが先に来てしまうな

やつは気づくべきだった、特に劣等でもないが格別とりえがあるわけでもないのになぜかモテる自分の異常性に
気づくべきだった、それが自分の地力ではなく「神」の与えた人間関係チートに過ぎないことに
気づくべきだった、「神々」は1柱や複数おわすとしても贔屓相手を統一してるような集団でないことに
気づくべきだった、自分が姉妹同然の幼馴染たちから好かれているのと同じ補正が脇役兄妹に存在していることに
気づくべきだった、攻略不能キャラが存在し、下手に手を出せば死亡エンドもありうることに

せめて、主人公補正への拒絶キャラに踏み込むことが勇気ではなく無謀、思いやりや親愛ではなく無神経であることに気づくことができれば

泥棒猫、蟲ではなく猫よけ水、防虫剤が消される世界というのも怖いな
キモ姉妹に関わっては兄弟以外の男といえど安心できないとは
385名無しさん@ピンキー:2009/07/12(日) 09:30:35 ID:wXvVF+Xf
虫除けか。
冬になる前に木の幹にムシロを巻いておき、寒さをしのぐために集まってきた虫を
ムシロごと焼き捨てるという防虫法があったな…
386名無しさん@ピンキー:2009/07/12(日) 09:36:58 ID:wSqjUH0b
>>385
その理論で行くと、虫除けの男の家にパーティーと称して女の子を集め、放火で一網打尽にするという訳か…
怖っ!
387名無しさん@ピンキー:2009/07/12(日) 10:01:22 ID:7PT8VyZQ
放火?
そんなの犯罪じゃないですか
罪を犯して兄さんを悲しませるようなことは
兄さんと一緒にいられなくなるようなことはしませんよ
でも火の不始末は怖いですね
火事はいつ起きるかわからないですよね……
388名無しさん@ピンキー:2009/07/12(日) 10:03:56 ID:kbukUaSy
>>379

…Gjです!!


俺のど真ん中!どストライクな話です!

正に俺の見たかった理想の話!


なんて素敵なんだ!


この兄妹に永遠に幸あれ!!


そして祐二…安らかに成仏せいよ…ナムナム (-人-)


お姉さんバージョンも紳士にお待ちしております
389名無しさん@ピンキー:2009/07/12(日) 10:06:13 ID:kbukUaSy
>>388

興奮し過ぎてsage忘れスマソ…orz

ちょっと姉さんに監禁されて来る
390名無しさん@ピンキー:2009/07/12(日) 10:38:41 ID:VXDq1dbv
>>379乙&GJ!
これはいいなぁ。
設定も上手いし話も上手い。
391名無しさん@ピンキー:2009/07/12(日) 10:46:51 ID:J0jAy9jO
亀だが
>>362
おまいとは上手い酒が飲めそうだ
兄さん→お兄ちゃん
これは最強だろ
392名無しさん@ピンキー:2009/07/12(日) 12:07:30 ID:xBwmSwuD
>>379
素晴らしい……
世界中の女に見向きもされなくとも、妹に愛されてればそれでいいよね。
お姉ちゃんモノも楽しみです。
393名無しさん@ピンキー:2009/07/12(日) 12:56:58 ID:J0jAy9jO
>>379
GJ
実に良かった
やっぱキモウト最高
394名無しさん@ピンキー:2009/07/12(日) 15:16:01 ID:ia8Mhfvb
甘えん坊なキモ姉とクールで世話焼きなキモウトこそ至高の嗜好
395名無しさん@ピンキー:2009/07/12(日) 15:53:57 ID:t/Cv4gQW
>>379
GJ!!
防虫剤には、有効期限があるからねぇ・・・
396名無しさん@ピンキー:2009/07/12(日) 20:43:47 ID:7PT8VyZQ
兄の趣味に全く合わない顔グロギャルの癖して
兄貴と一緒にいていい人間は私だけとばかりに
家族すら兄と同じ空間に存在することを拒絶する
そんなドラクエ9なキモウト
397名無しさん@ピンキー:2009/07/12(日) 21:15:35 ID:OFdJ88Lf
>>379
涼香むっちゃくちゃこえぇGJ!
人間ひとりを防虫剤扱いの上に「無駄なもの」扱いであっさり(文字どおり)潰すのか……
続きがあったら、もう目もあてられない惨劇になりそうだ。単なる兄妹恋愛の話になるはずなのに。

それでは、次回のキモ姉ネタ、楽しみにしています。
398名無しさん@ピンキー:2009/07/12(日) 22:07:04 ID:ipu2RmrD
>>379の文才と人気に嫉妬…!
399名無しさん@ピンキー:2009/07/12(日) 23:25:07 ID:l9p+9hsH
>>379
なんか読んでて息苦しくなった。
GJです。
400名無しさん@ピンキー:2009/07/13(月) 02:25:31 ID:48OLVUeo
兄に近付く泥棒ネコを次々に抹殺するスプラッターなキモウトと
兄を監禁逆レイプし妊娠する程度のソフトなキモウト
あなたならどっち!?
401名無しさん@ピンキー:2009/07/13(月) 02:36:31 ID:onwkc7Wv
ふと思った
過去作を探せばあるような気もするけど
2次元キャラやその媒介である中の人に現を抜かす兄や弟相手にはキモ姉妹の対応ってどうなるんだろう

あと、学園のとかつかない本当にアイドル(声優)なキモ姉妹っていたっけ
402sage:2009/07/13(月) 04:45:03 ID:iESbSxsY
キモ姉がメインヒロインのラノベって何か無い?
403名無しさん@ピンキー:2009/07/13(月) 04:52:58 ID:CbmdRGwc
死ね
404名無しさん@ピンキー:2009/07/13(月) 04:57:41 ID:iESbSxsY
sage間違えた
申し訳ない
405名無しさん@ピンキー:2009/07/13(月) 05:10:08 ID:OVr0Eaj5
          「;:丶、:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:|
            ト、;:;:;:丶、:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:|
          {::ト、:;:;:;:;:;:` '' ー―――;:;: '|
           l::l . 丶、:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:|
           ',:i r- 、、` ' ―――一'' " .|
            || ヾ三)       ,ィ三ミヲ  | 麻呂が
            lj         ゙' ― '′ .|
           | , --:.:、:..   .:.:.:.:..:.:...  | この白薔薇を
           | fr‐t-、ヽ.  .:.:. '",二ニ、、|
           l 丶‐三' ノ   :ヾイ、弋::ノ| 見つけました
           ', ゙'ー-‐' イ:   :..丶三-‐'"|
            ',    /.:   .      |
            ',  ,ィ/ :   .:'^ヽ、..  |
             ',.:/.:.,{、:   .: ,ノ 丶::. |
            ヽ .i:, ヽ、__, イ    _`゙.|
              ,.ゝ、ト=、ェェェェ=テアヽ|
           _r/ /:.`i ヽヾェェシ/   |
     _,,. -‐ '' " ´l. { {:.:.:.:', `.':==:'."    |
一 '' "´        ',ヽ丶:.:.:ヽ、 ⌒      ,|
             ヽ丶丶、:.:.ゝ、 ___,. イ |
              `丶、 ``"二ユ、_,.____|
406名無しさん@ピンキー:2009/07/13(月) 05:16:00 ID:OVr0Eaj5
誤爆です
407名無しさん@ピンキー:2009/07/13(月) 13:05:16 ID:TdeOH721
>>405
白バラか。
白バラが折れると「純潔を失い死を望む」という花言葉になるそうな。
キモ姉キモウトスレ的に言えば、
「愛しのお兄さん以外の人間と寝てしまった、死にたい」
「弟君に彼女ができた、死にたい」
ってな感じかね。
408名無しさん@ピンキー:2009/07/13(月) 13:28:25 ID:bLPN2r4p
(兄や弟が)純潔を失い
(泥棒猫の)死を望む
ですね、わかります
409名無しさん@ピンキー:2009/07/13(月) 14:38:33 ID:5trFzc8g
乳酸菌とってるぅ?
410名無しさん@ピンキー:2009/07/13(月) 16:41:05 ID:wYlzfN/8
>>409
新ビオフェルミンS毎日飲んでます
411名無しさん@ピンキー:2009/07/13(月) 18:04:19 ID:3e/mD3KP
妹「ええ、毎朝摂取していますわ。


お兄さまのカルピスを」
412名無しさん@ピンキー:2009/07/13(月) 20:34:59 ID:o0aTmFVX
姉「いや!!いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
妹「あっははははは!!
  いまさら悔しがっても無駄ですわよ姉様!!
  兄様は私のもの!!あなたに私はしない!!」
413名無しさん@ピンキー:2009/07/13(月) 20:40:20 ID:o0aTmFVX
私→渡し
414名無しさん@ピンキー:2009/07/13(月) 21:58:50 ID:wYlzfN/8
>>411
妹にカルピス奪われた、俺に対する当てつけか!
…風呂上がりに飲もうと思って、冷蔵庫でキンキンに冷やしといたのにorz

牛乳とヨーグルトで割って、蜂蜜たらしてリッチに味わいやがって……
415名無しさん@ピンキー:2009/07/13(月) 22:03:26 ID:CJNE8P2b
そうやって食べて欲しいってアピールじゃね?w
416名無しさん@ピンキー:2009/07/13(月) 23:22:47 ID:5trFzc8g
最終話 ぺたんこな胸に すべてを終わらせる時…! K・S・C第1巻は、発売未定です。 夢野カケラ

妹「チクショオオオオ!くらえ幼馴染み!新必殺音速貧乳斬!」

幼「さあ来い妹オオ!実はオレは一回刺されただけで死ぬぞオオ!」

(ザン)

幼「グアアアア!こ このザ・キョニューと呼ばれる四天王の幼が…こんな小娘に…バ…バカなアアアアアア」

(ドドドドド)

幼「グアアアア」

巨乳教師「幼がやられたようだな…」

ロリ巨乳「フフフ…奴は四天王の中でも最弱…」

ビック・ボイン「貧乳ごときに負けるとは巨乳の面汚しよ…」

妹「くらええええ!」

(ズサ)

巨乳たち「グアアアアアアア」

妹「やった…ついに泥棒猫を倒したぞ…これでお兄ちゃんのいる部屋の扉が開かれる!!」

兄「よく来たなヒンヌーマスターキモウト…待っていたぞ…」

(ギイイイイイイ)

妹「こ…ここが部屋だったのか…!感じる…お兄ちゃんの視線を…ハァハァ」

兄「妹よ…ヤられる前に一つ言っておくことがある お前は私を誘うのに『大きい胸』が必要だと思っているようだが…別に小さくても勃つ」

妹「な 何だって!?」

兄「そして俺達の両親は仕事の都合で今日は帰らない あとは俺を押し倒すだけだなクックック…」

(ゴゴゴゴ)

妹「フ…上等だ…オレも一つ言っておくことがある 今日は安全日だったような気がしていたが別にそんなことはなかったぜ!」

兄「そうか」

妹「ウオオオいくぞオオオ!」

兄「さあ来い妹!」

兄の精子が子宮に届くと信じて…!
ご愛読ありがとうございました!
417名無しさん@ピンキー:2009/07/13(月) 23:25:46 ID:8PqqXQ1y
このスレ見てたら久々に弟に会いたくなった俺は
もしかしたらキモ兄なのかもしれない
418名無しさん@ピンキー:2009/07/13(月) 23:27:48 ID:gsAiRY6/
しかし弟は妹になっていたのだった…!
419名無しさん@ピンキー:2009/07/13(月) 23:53:47 ID:gdCBLe5T
>>416
コーラ吹いたwww

>>418
兄「弟よ。なぜスカートなんてものを穿いているのか聞いてもいいか?」
弟「御免よ兄貴。俺…いえ、私、実は女だったの!!」
兄「な、なんだってー!?」ΣΩ ΩΩ
こうでs(ry
420名無しさん@ピンキー:2009/07/13(月) 23:56:39 ID:5trFzc8g
>>418が実家に帰ると、そこには幸せそうに笑う姉と死んだ魚のような目で笑う>>418の弟が……
421名無しさん@ピンキー:2009/07/13(月) 23:59:52 ID:IWpVRaWC
>>414
それはフラグだ
はよ気付けw

422名無しさん@ピンキー:2009/07/14(火) 01:16:52 ID:LokFtR4+
つまんね
423名無しさん@ピンキー:2009/07/14(火) 02:48:33 ID:ecYXIC2m
それで一本短編捻れそうだ
424名無しさん@ピンキー:2009/07/14(火) 08:25:52 ID:gWZQy+PJ
>>421
勝手に飲むなよ!楽しみにしてたのに!
と怒ったら、後で薄くて生ぬるいカルピス部屋に持ってきよったorz
三次の妹なんてこんなもんよ。

キモ姉に死ぬほど溺愛されたい(´・ω・`)
425名無しさん@ピンキー:2009/07/14(火) 08:36:36 ID:oeLvmfyZ
何故生ぬるいかをよく考えるんだ
426名無しさん@ピンキー:2009/07/14(火) 10:44:42 ID:EbSlzF/3
>>425
「お兄ちゃんたら何もあんな怒らなくたっていいのに。仕方ない、カルピス入れてやるか…」
「原液無くなったけど、ギリギリ足りたし」
「…ちょっと一口。ラブリーな妹との間接キスを味あうがいいさ!!」
「しまった飲みすぎ…足さないと…けど原液はもうないし。白い液体白い液体はと…」
「唾を入れて…(ジュワ)…まだ足りない…○○も追加しよっ」

「お兄ちゃん、カルピス入れてきたよ〜」


こうですかわかりかねます(>_<)
427名無しさん@ピンキー:2009/07/14(火) 11:34:54 ID:VfNj2Pd5
チンポとオマンコでカルピスシェイクつくりましょう!!
428未来のあなたへ10:2009/07/14(火) 12:24:17 ID:2CIwq8b8
投下します。
デレ期妹視点
429未来のあなたへ10:2009/07/14(火) 12:25:00 ID:2CIwq8b8
トラ
トラ
トラ


起床。
ぱちりと目が覚める。手を伸ばして鳴る前の目覚まし時計を止める。寝起き直後にも関わらず、全身に気力が充実していた。
窓の前に立ち、カーテンを開ける。日も昇っていない住宅街。新聞配達のバイクと、それに吠える犬だけが音を立てている。
未だに眠る街と、今日という日の訪れを私は祝福してやった。ハレルヤ、ハレルヤ!
顔を拭き、髪を梳かし、身だしなみを整えてから部屋を出る。台所に行くと母が目をしょぼしょぼさせながら朝食を準備していた。
「おはようございます、母さん」
「ふあ、あ〜あ〜……んー、おはよう優香……ぐー」
「寝ながらキャベツの千切りをしないで下さい」
この人はいつか絶対に指を落とすと思っているが、それにしたって二十年も無傷でいるのは信じがたい。酔拳ならぬ睡剣でも会得しているのだろうか。
ともあれ、私も台所の一角を借りてお弁当の準備を始めた。基本として昨夜の残りに冷凍食品、卵焼き等の簡単な調理、それから御飯を冷ます作業だ。
下ごしらえを済ませ、後は詰め込むだけにしておく。ちなみに一切混入物は使っていない。正真正銘、ただのお弁当だ。

兄の食事に体液の類を混入する行為はあの日から全く行っていない。
それどころか、私はあれほど熱心に行っていた収集行為からも綺麗に足を洗っていた。分別した諸々の品も、そのうち処分する予定だ。
考えてみれば当然の帰結で、あれらは想いを相手に伝えられないことに対する代償行為だったのだから。もはや本人に想いをはばかる必要がないのなら、欲求が解消されて当然だった。
それにしても、カミングアウトした方がまともな趣味に戻るだなんて、皮肉もいいところだ。

兄の部屋に入る。既に日は昇っているが、カーテンは閉じており部屋は暗い。ベッドでは兄が手足を投げ出していびきをかいている。寝相は悪い方なのだ。
それなりに散らかった部屋を横断し、布団をはだけて大口をあけて眠る兄の横に潜り込む。好きな人の温かさと匂いに包まれた。ああ。
大の字になった兄の脇に、体を丸めた体勢。もぞもぞと位置を調節して、兄の腕を頭の下に持ってくる。腕枕万歳。
大きく息を吸い込む。少し汗くさくて、それから日向の匂いがする。私の好きな匂いだ。
ぐにぐにと腕に頭を押しつけると、鍛えられた筋肉が適度な弾力で押し返してくる。くすぐったいのか、兄が寝たまま呻き声を上げた。
430未来のあなたへ10:2009/07/14(火) 12:26:44 ID:2CIwq8b8
「う、うう〜ん……」
「なーお」
おっといけない。発情期の猫のような声を出してしまった。はしたない。
御機嫌な私とは裏腹に、兄は割と寝苦しそうだった。まあ、それはそうだろう。
暦は既に6月後半に入っており、朝とはいえ人間二人が同じ布団に入っていれば暑苦しくて仕方がない。兄の首筋に浮かんだ汗を拭い、舐める。しょっぱい。
私自身は心頭滅却や脳内麻薬でどうにでもなるが、暑苦しそうな兄は可哀相だ。
すぐ側にある兄の脇腹をパジャマ越しにつつく。嫌がって身をよじる。つつく。よじる。つつく。よじる。つつく。よじる。兄さんきゅんきゅん。
調子にのっていたら肋骨の隙間に入ってしまった。げふっ、と兄が呻き声を上げる。いけない、流石に起きる。
うっすらと開く瞼を前にして、私の全身を甘い痺れが駆けめぐった。
想いを認識されてはいけないという体に染みついた習性と、もはや隠す必要はないのだという開放感がせめぎ合う。それは性的な快感にも似ていた。ふう、ふう。
兄の視界に収まった瞬間、イッた。
「ん……ふあーあ……え、優香?」
「あう、ん……」
びくびくと体が跳ねる。パジャマの一部と下着がぐしゃぐしゃになってしまった。着替える前でよかった。
兄は状況が把握できず、混乱しているようだった。
「ゆ、ゆゆゆゆゆゆ優香? なにやってんだお前」
「おはようございます、兄さん。良い朝ですよ」
「あ、おはよう……じゃないっ!」
腕枕を引っこ抜かれて、転がるようにベッドから降りてしまう。ああん。
それから部屋の真ん中に座らされ、しばらく説教を受けた。曰く、年頃の女の子が同衾なんてどうたら。大体お前はそんなキャラじゃないだろうんたら。真面目な表情萌え。
その説教も、私が一言「好きですから」と挟むと真っ赤になって黙ってしまった。ああ可愛い。
「可愛いですよ、兄さん」
「お、お前なあ。さっきから男、それも兄貴に向かっていうことじゃないだろ」
「いいえ、いいえ、これはある種の真理です。何故なら私は」
「わー、わー! わかった、わかったから!」
また赤面するようなことを言われると思ったのか、パタパタと腕を振って言葉を遮る兄。だからそういうところが可愛いんだっての。
それにしても、ああ、自分を隠さないで済むというのはなんて楽なんだろう。今まで水の中に潜っていたようなものだ。
もちろん節度は弁えている。ベッドに顔を埋めてくんかくんかしないし、愛液で濡れた股間は巧みに隠している。
そんなものを見せつけてはドン引きされるからだ。兄の中の私のイメージを崩さない範囲での立ち回りが要求される。
それが窮屈ではないかと聞かれれば、私はまさかと答えよう。今までに比べたら全然どうってことはない。
431未来のあなたへ10:2009/07/14(火) 12:27:12 ID:2CIwq8b8

一度部屋に戻ってパジャマとパンツを替え、普段より遅れて食卓に着く。
父は私に一瞥もせず、兄は照れ臭そうに視線をそらした。母は例によって二度寝したので姿は見えない。
二人ともすでに朝食は進めていた。特に父は食後のお茶を淹れている段階だ。
私は遅れを取り戻すため、猛烈な早食いで朝食を終えた。年頃の乙女的に描写は控えさせてもらうが、兄より早く食べ終わった。手を合わせてのごちそうさまは忘れない。
目を丸くしている兄を尻目に食器を片付け、お弁当を詰める。今日は悪戯心を発揮して、ご飯の上に桜でんぶでハートマークを描いた。
箱を開けた時の兄の反応を想像して、くすりと笑う。
詰めたお弁当をテーブルに置いておき、兄と入れ替わりに歯を磨いて顔を洗う。部屋に戻って身だしなみを整える。
とはいえ私にとって最大限に魅力を発揮すべきなのは家庭内なのだから、兄の部屋に行く前に必要な分は済ませている。
制服に着替え、兄のベッドに転がることで乱れた髪を整える、程度。私がナチュラルなメイクを好むのも、それが家庭内でも維持できるからだ。
時間割の確認は前日に済ませているから、ここで兄に遅れた分を取り戻せる。
鞄を掴んで玄関に向かうと、兄が座って靴紐を結んでいるところだった。素知らぬ顔をして並ぶ。
「いってきまーす」
「行ってきます」
登校する。今日の天気は晴れだった。
家を出てしばらく二人で歩いていると、ふと兄が呟いた。咎めるような響き。
「優香、あのさ。さっきのことだけど。やっぱりああいうのはやめろよな」
「指示語ばかりで意味が不明瞭です」
「だからその……朝起きた時に布団の中に潜り込んでくるとかさ、父さんや母さんに見つかったらどうするんだよ」
「嫌でしたか?」
「いや、嫌っていうかそういう問題じゃ……」
「嫌でしたか?」
腕を組む。慌てて兄が体を暴れさせれるが、この身に培った技術を尽くして振り解かせない。
歯切れの悪い否定を繰り返す兄に、しばらく体を擦りつけて「嫌でしたか?」の質問攻めを繰り返して本音を引き出す。
「そ、そりゃ嫌じゃなかったけどさ……いい匂いがしたし」
「大丈夫ですよ。あの時間帯でしたら、ほぼ確実に父は朝食で母は二度寝。発見される可能性は極小です」
そんな言葉で安心させて
後は手を離し、雑談をしながら登校した。

もちろんリスクはある。
兄の布団に潜り込んだ時は部屋の鍵をかけたし、お弁当を詰める時も父の視線には注意を払った。
けれどリスクは消えない。ああいうことを続けていけば、露見する可能性は飛躍的に高まるだろう。
リスクの管理をすべきだが、もっと大事なこともある。それは兄にこのリスクを感じさせないことで、それは詐欺に等しい。
そもそもリスクとリターンという観点から見るならば、妹など無意味に巨大なリスクが付随する相手でしかない。まず、真っ先に恋愛対象から外れるはずだ。
それを覆すには、魅力というメリットを最大限にアピールしつつ、リスクを隠蔽しなければならない。でなければ勝ち目はない。
あんな風に兄の布団に潜り込んだのも、気楽を装うことで近親相姦のリスクを軽く感じさせるためだ。詐欺に等しい。
私は……まだ揺れている。
こうして状況をコントロールしようとするのは、結局恐ろしいからだ。兄に全てを委ねる覚悟で、あんな告白をしたのではなかったのか。自分の軟弱さに嫌気がさす。
私は、人の思いが移り変わるものであるということを知っている。私にとってそれが希望であり、最大の恐怖でもある。
何故なら。兄の思いが私に移り変わる可能性があるのならば、私の思いが兄から移り変わる可能性もあるのだから!
その二つに価値の差がないのだとしたら、どちらが建設的かは自明の理だ。私はそれに対して、一切論理的な反論はできない。
432未来のあなたへ10:2009/07/14(火) 12:28:20 ID:2CIwq8b8

高校に着いて兄と別れた後、着替えて朝練に参加する。脳裏に充満するネガティブな思考を昇華するように、打ち込む。
体の切れは良い。一つ二つ格上の相手にも勝てそうだった。兄に告白してからずっとこんな調子だ。今までどれだけ鬱屈していたのだろう。
朝練が終わった後は汗を拭って制服に着替え、近しい年齢の部員で渡り廊下に集まっておしゃべりに興ずる。私にとっては息抜きではない、実用だ。
話題はおおむね下らない。練習の辛さ、先輩方への文句、顧問への苦情、格技場の臭い、肌の荒れ方、痛めた背中、男っ気の無さ。そんな程度だ。
話題そのものに大して意味はなく、親睦を深めるためのツールに過ぎない。
「けど榊さん、最近機嫌いいよね」
「そうそう、だよねー」
「そうですか?」
「だって榊さん、走り込みしてる時に鼻歌唄ってるじゃない。あれはびっくりしたわ」
「それは……気付きませんでしたね」
雑談を終えて解散すると教室に向かう。席に着けばすぐにチャイムが鳴った。今日も兄に会えない時間が始まる。

そうだ、昼食を一緒にしよう。
433未来のあなたへ10:2009/07/14(火) 12:29:22 ID:2CIwq8b8


昼休みのチャイムが鳴った瞬間、授業中にずっと考えていたことを実行する。
携帯の短縮一番をコール、しながら鞄を持って歩き出す。食事に適した場所は既に割り出してある。
『もしもし?』
「兄さん。たまには一緒に昼食を摂りませんか」
『え、いや。まあいいけど……』
「では旧校舎のあたりで合流しましょう」
『あ、柳沢も一緒でいいか?』
「ダメです」
通話を切る。昇降口で靴を履き替え、旧校舎に向かう。気付けば私は鼻歌交じりに歩いていた。なるほど、たしかに。
途中、昼食に適した場所を探す。日は既に天頂にあり、気温はかなり高い。日陰で、湿気が少なく、そして校舎から視線の届かない場所。余り遠くに行くのも面倒だ。あった。
旧校舎の影に隠れていると、のこのことお弁当を片手にぶら下げた兄が来た。まるきりの無警戒。微笑ましい馬鹿だ。
さっと飛び出して、腕を引っ張る。面食らった兄は訳もわからずに付いてきた。
「こんにちは、兄さん」
「お、おお。どうしたんだ、優香」
「ああ本当に、お馬鹿さんですね兄さんは」
「いきなりひどっ!」
仲が良すぎる兄妹だなんて噂されたくないからに決まっている。それ自体は下卑た憶測に過ぎなくても、間違いなく正鵠だ。
私が目星をつけたのはプールの影だった。校舎から死角となる、コンクリートの基礎部分。プールによって日陰ができているし、何より風通しが素晴らしい。
地面が固いのと敷物の類を用意していなかったのが難点だが仕方ない。ぱっぱと砂を払って座る。兄もぺたんとあぐらをかいた。
「おお、涼しいな」
「ですね。思いつきの割には上手くいきました」
「思いつきかよ! なら、優香がこっちの教室に来ても良かったんじゃないか? そうすれば柳沢も一緒だったのにさ」
「私が二年のクラスで食事などしたら一瞬で噂になります。それに二人きりになりたかったですから」
「あう……」
兄で遊ぶ。ああ可愛いああ可愛いああ可愛い。
赤面して俯いた兄の可愛さが酷かった。ヤバい。もうダメだ、もう戻れない。好きな人に好きと言うことの喜びを知ってしまった今、もう以前の私には戻れない。
それほど、嬉しいし楽しい。ああ、本当に私はルビコン川を渡ってしまったのだなと、そんなことで実感した。
空気を誤魔化すようにお弁当を開けた兄が盛大に吹き出したのはもはや様式美ですらある。
当然のようにご飯に描かれたハートマークについて泡を食って問い質されるが、私の返答はとっくの昔から決まっている。
「どうもうこうも、そのままの意味ですよ。私は、貴方が好きなんです」
「う、うぐう……て、ていうか。こんなの人前で開けたらどうなるんだよ、それこそ目立つじゃないかっ」
「ですからこうして、人目のない場所に来ているではないですか。織り込み済みですよ」
「嘘つけ、さっき思いつきって言っただろ」
「兄さんのくせに一々生意気ですね」
「じゃいあん!?」
どうでもいい話をしながら昼食を共にする
その中で六度ほど兄を赤面させながら、私はどうにかして毎日昼食を共にする算段を練っていた。
お互いの教室に出向くのは当然不可。こうして二人での逢引きも、毎日続けていれば発見される可能性は飛躍的に高くなっていく。
それなら、見つかっても問題のない形態をとるべきだが、それが今一思いつかない。
危惧すべきは関係を類推されることで、それを避けるには第三者を入れるのが手っ取り早い。しかしそうなれば二人きりではなくなってしまい、本音で語り合えなくなる。本末転倒だ。
藍園さんのように事情を知る人間ならちょうどいい隠れ蓑になったのだが。残念ながら彼女は社会人だ。今から作るのも非現実的。
結局、リスクを取るか欲求を取るかの話になる。それなら私は
「兄さん。これからもたまには一緒に食べませんか?」
「え、別にいいけど……どうせ家で一緒に食べてるだろ? 別に学校でまで」
「そんなものは兄さんとイチャらぶしたいからに決まっているでしょう」
赤面七回目。
そんな風にして、昼食は終わった。大満足と言える時間だった。
これで午後も授業と部活に集中できる。
434未来のあなたへ10:2009/07/14(火) 12:29:57 ID:2CIwq8b8

特筆することもなく午後の授業とHRが終わる。
鞄を掴んで教室を後にしようとした私に、割と軽めのクラスメイト(男子)が声をかけた。
「榊さん。今度の日曜、クラスのみんなで遊びに行くつもりなんだけど、榊さんもどう?」
「……」
日曜日に部活はない。彼の後ろを見ると、期待した顔の男子が三人、女子が一人。
このクラスになってから二か月。まだお互いを知りたがる期間は終わっていないようだった。そこには男女としての意味も多分に含まれる。
はっきり言ってこんな時期にくそくらえだが、バッサリ断るのではなく、高校に入ってから私はもう少し器用なやり方を覚えていた。
「すみません、家族と約束があるんです。もしよければ友達を紹介しましょうか?」
「え、榊さんの友達?」
「はい、部活の関係で。今日相談すれば、明日にでもわかると思いますが」
それで話はついた。あとは部活の同輩にお願いすれば、一人か二人は釣れるだろう。資料用に彼等の携帯写真を撮っておく。
結局、彼等も彼女等も、異性と仲良くなりたいだけなのだ。それを軽蔑などしない。私だって行動原理は全く同じなのだから。
中学までは、この手の誘いは全て一刀両断にして高根の花と揶揄された。それよりはこうして仲を取り持って、自然に興味から外れる方がいい。
誰とて高根の花より路傍のタンポポを選ぶものだが、中には興味半分に摘みに来る輩がいて、それが非常に鬱陶しいのだ。
もっとも、私の趣味は高嶺のタンポポとでも言うべきものだけれど。

格技場に赴き、更衣室で柔道着に着替えてから部活に参加する。
走り込みで校舎を回る際、ペースを落として知人の何人かで固まり、例の話を切り出した。
途端、顎を上げて走っていた彼女達が凄い勢いで食いついてくる。なんだろう、異性の話をすると体力が向上するのだろうか。
話の焦点となったのは、彼等の容姿レベルだった。更衣室に戻ってから写真を見せることは約束したのだが、ああだこうだと益体もない品評会が始まってしまった。
資料もない状況で話がまとまるわけもなく、個人的見解の言い合いになったところで先輩に見つかり怒られる。
ちなみにその後、更衣室で固まって写真を品評した結果は『中の中』とのことだった。
二人希望者が残ったので、明日にでも伝えておこう。それなりに可愛いので文句も出まい。
やれやれ、疲れた。
ちなみに、こういうやり方を教わったのは柳沢先輩からだった。人間関係とはつまるところ技術とノウハウだ。次はもう少し上手くやろう。

先輩から格技場の掃除を命令されたせいで、いつもより下校時刻が遅れてしまった。理由はもちろん品評会の件だ。
兄はもう行ってしまっただろうな、とトボトボと校門を目指す。こんなことなら教室での誘いなどバッサリと断っておくべきだったかもしれない。
けれど、校門の脇で、ぽつんと兄が待っていた。
「兄さん」
「ああ、優香。帰ろっか」
そのまま、なにも聞かずに連れ立ってバス停に向かう。部活から帰る自転車の生徒が、何人か横を通り過ぎて行った。
兄は待っていてくれた。
今日は朝からずっとこの人にちょっかいをかけていた。布団にもぐりこみ、通学路では腕を組んで、昼休みには七度赤面させ。
これで放課後も捕まったら、どういう目に遭うかは馬鹿でなければ想像もつくはずだ。
正直、最近の攻勢はかなり強引なアプローチだった。避けられても無理はないだろう。
それでも兄は待っていてくれた。
そうして胸がいっぱいになり、言葉が詰まる。せっかくの下校なのに、兄も黙認していたのに、何も手出しできなかった。
ただ、兄の話すことに小さく頷いて、その指先と右手を繋いで歩くだけだった。
435未来のあなたへ10:2009/07/14(火) 12:30:43 ID:2CIwq8b8


――――私は兄を信仰している。
勿論、私は兄が完全とは程遠い存在であることを理解している。私は兄の正しさを信仰しているのではない。だから口出しもするし手出しもする。
もっと根深く、もっと単純なことだ。
私は、この人がいるから生きてこれたのだと。この人の優しさがなければ、私は生きてはいられないのだと。
太古の人々が天と地を崇拝したように、私はこの人の慈悲を乞う。荒削りで、原始的な、私だけの信仰だ。
表面的にはどうあれ、兄が上位であり私が下位にある。私はあの人には絶対に勝てない。そういうふうにできている。
歪みだ。個人が個人に向ける感情として、これほど歪んでいるものはない。
けれど私は、そんな現状に満足している。兄のためなら、微笑んで人を殺せるし、命を投げ出せる。
私は狂信者(Fanatic)でもあるのだから。


今日の夕食は一家揃ってのビーフシチューだった。付け合わせはポテトサラダ。それから野菜ジュースがたっぷり。割と豪勢な食卓だ。
何やら母の機嫌が良かったので、聞いてみたらパート先で若い社員(男性)に親切にされたのこと。
いや、夫の前でそういうことを言うのはどうなんだ?(少なくとも私なら怒り狂う)と思ったが、父は当たり前のようにシチューを啜っていた。
私は毎日、兄に気持ちを伝えようと心に決める。
まあ、母の容姿ははっきり言って年相応の十人並みだ。この年なのだから舞い上がってしまっても無理はないかもしれない。
ちなみに私の顔立ちは父譲りで、若い頃は相当モテたとか聞いたことがある。性格が致命的だったらしいが。
さておきそんな機嫌のいい母の話に対して、私と父は内心はどうあれ流すだけなので、相手をするのは兄の役目になる。
「ええー、でも母さん。浮気とかはダメだからね」
「そんなのじゃないわよー。健太より少し年上ぐらいの子なんだし」
「ていうか、父さんもさー。たまには母さんのこと褒めてあげなよ〜」
「そうなのよねー。この人、全然そういうこと言ってくれないのよね〜」
「……」
なんだろう、このテンションは。話を振られた父に心底同情する。
とはいえ、私もスイッチが入った時のテンションについては、後で頭を打ちつけたくなることも多い。自戒が必要だ。
それにしても、この二人はどうして夫婦などになったのだろう。昔から何度も考えてはいたけれど、あまりにも相性が悪い。
いや、この二人でなければ私達が生まれてこないのだから感謝はしているのだけれど。
「そういえば、なんで母さんは父さんと結婚したんだっけ?」
「……聞かないで」
しかも、禁句らしかった。なんでだ。
436未来のあなたへ10:2009/07/14(火) 12:32:27 ID:2CIwq8b8

夕食の後はそれぞれ自由時間になる。空いた順に風呂に入るが、それぞれの行動はまちまちだ。
統計的には、私と兄が自室で予習復習自主トレ、母が居間でテレビや雑誌を見て、父が自室で調べものをしていることが多い。が、ばらつきもある。
つまり、この時間帯は兄といちゃついてはいられない。例えば部屋で行為に及んでいたとして、何かの気まぐれで父か母が訪ねてこないとも限らないのだ。
もちろん部屋に鍵をかけられるが、そうなれば兄妹二人で鍵をかけた部屋の中で何をしていたんだということになる。結論するなら何もしないのが上策だ。
と、私が部屋でこれからの計画を立てていると兄が来た。
話したいことがあるらしい。何を考えているんだろう、この人は。論理的思考をして欲しい。
もちろん喜んで受け入れる。部屋に鍵をかけた。下着を確認、色気のないスポーツブラに縞パンだ、しまった。いや、ここは前向きに考えるべきだ。こういうのが趣味かもしれない。
瞬間的にかなり迷ったが、私がベッドに座り、兄には椅子に座ってもらう。その気になれば即座に私を押し倒せる位置関係だ。ああ処女膜よ、どうか激しい運動で破れていませんように。
私が益体も無いものに祈っているうちに、とりあえず、といった感じで兄が話し出した。あまり緊張している風ではない。
「いきなりごめんな。なんかしてたか?」
「いえ、明日の計画を立てていただけですから。それで何の用でしょうか」
「うん」
私をじっと見る、真剣な目つき。思わず濡れ……じゃない、緊張した。状況に即応できるように脱力する。
と思ったら、兄はふにっとどこか照れくさそうに頬をかいた。何なんだ一体。
「優香は、その……なんで、俺なんだ?」
「は」
「ほら、だって優香は美人だし、よく気が付くし、頭もいいし、料理もできるし。俺よりもずっといい男と付き合えると思うんだけど、どうしてその……俺なんだ?」
それは今日の夕食にも出た話題だった。そうか、兄が本当に聞きたかったのは母にではなく私にだったのか。
顔を赤くしながら、けれど真面目な視線で兄が聞く。ずっと疑問に思っていたことなのか、質問の仕方は兄にしては纏まっていた。
というか、今更過ぎた。
本来ならもっと事前、告白のときに聞いてしかるべき話題だと思うのだが。いや、そもそもこんなことを聞くほうが男として間違っているか。
とはいえ兄としては、まず兄妹間での恋愛感情というものが理解し難いのだから、理由の追求は分からないでもない。
私としては兄への好意は当たり前のことで、そういう意味でも今更だった。とはいえ性格柄、一応の分析は済ませてある。それを伝えればいいだろう。
「兄さん。私は」

昔から、感情の起伏が少ない人間だったこと。
それは性格というよりも障害のレベルで、そのままならば他人の痛みが分からない人間になっていただろうこと。
それでも私がこの場所にいられるのは、兄が私の分まで泣いて笑ってくれたから。
私の自我にぽっかりと空いた、良心や倫理のあるべき欠落。兄の存在だけが、その空虚を満たしてくれること。
私は、私に欠けている全てを持った兄を想うことで、ようやく普通の人間になれるのだと信じている。
437未来のあなたへ10:2009/07/14(火) 12:33:22 ID:2CIwq8b8

そんなことを、ありのままに伝えて
「以上です」
「……」
部屋を沈黙が支配した。
私は、もはや言うべきこと全てを言い終えた故の沈黙。
兄は、言うべき事を失った故の沈黙。はっきり言って、引いていた。
重い。
空気が、重い。それは、私が兄に背負わせようとしているものの重さなのかもしれない。
私が、兄に背負わせようとしているものは、私だ。
愛した相手がたまたま兄だった、とか、そういう次元ではないのだ。私は、兄を愛するしかない生物なのだ。
心変わりは、無い。今までも、そしてこれからも、私は貴方の後ろにいて、貴方を見ている。私が私である限り。
それを受け止めようとするのなら、近親相姦の禁忌と共に、一生背負っていかなければいけない。
二重の地雷だ。引くのも当然だろう。
だけどそれでも、私は自身の根っこに関することで、兄に対して、嘘をつきたくは無かった。
小細工ならばいくらでも行おう。性癖やアピール、そんなものは枝葉末節に過ぎない。
だけど嘘をつけないものがある。他でもないこの人にだけは、本当にわかってほしいものがある。受け止めてほしいものがある。
私は貴方のためなら誰でも殺せるし、命も投げ出せる。それは喜びなのです、それは歓びなのです。
だから私の全てを、貴方に託します。どうか裁いてください、どうか赦してください。それが私の信仰です。
それは、ああ、兄さん。それが何より重い、私の罪なのでしょう。
兄を好きになったことではなく、兄の人生に私を背負わせようとすること、こそが。
そうして、貴方はもう二度と笑えない。
そんなものを背負ってしまったのなら。あの、日向のような無邪気な笑いは、もう二度と綻ぶことは無いのだ。
「……」
「その……優香」
「返事は、まだでいいですから。よく考えて、後悔の無いようにしてください」
「ん……そう、だな。それじゃ」
「はい」
どんよりとした空気を引きずって、兄が私の部屋を去る。
一人残された部屋で私は、少しだけ自己嫌悪して、少しだけ天罰を祈って、少しだけ笑って、両手を組み、膝をつき

「ああ……兄さん」

笑顔を失った今の兄でさえ、私はこの上も無く愛していることに、深く深く感謝した。

438未来のあなたへ10:2009/07/14(火) 12:38:32 ID:2CIwq8b8
以上です。
次は10.5でお馬鹿な話が挟まる予定です。
439名無しさん@ピンキー:2009/07/14(火) 13:17:36 ID:9Z+vaYhe
一番乗りGJ!
とうとう信仰たんが主人格になりおった……
440名無しさん@ピンキー:2009/07/14(火) 13:21:50 ID:+Xmo0hW1
信仰さんが前面ですな今の優香はw
兄は引いてるんじゃなくて、とまどってるだけなんだろうけど
そっから強行派とかSATSUGAIとか出てこないといいなぁwww
441名無しさん@ピンキー:2009/07/14(火) 14:07:57 ID:lZRO0f02
うひゃっほう!GJだみャ!

馬鹿話たのしみにしてます
442名無しさん@ピンキー:2009/07/14(火) 14:16:50 ID:CdiCHRN3
GJ! なんか優香が馬鹿になってるw
健太が部屋に来ただけで下着を確認したり処女膜の心配したり部屋に入って来られただけでその反応は何なんだw
とにかく凄い笑わせてもらいました。特に下着を確認して>しまった。 からの優香の思考にw
お馬鹿な話大好きなので次回も期待させてもらいます
443名無しさん@ピンキー:2009/07/14(火) 14:20:16 ID:QX54kM7A
おう、デレ優香キテタ。
微笑ましいと言うか間抜けと言うかw
10.5把もwktkでお待ちいたします
444名無しさん@ピンキー:2009/07/14(火) 14:27:32 ID:eVhPOsFa
GJ!
信仰が中心に来たら対抗手段がないよな
理屈でどーにかなるようなもんじゃないしw
445名無しさん@ピンキー:2009/07/14(火) 14:37:57 ID:ZpbjB5KI
GJ!
最初のトラ×3で吹いた
デレ優香かわいいよデレ優香
446名無しさん@ピンキー:2009/07/14(火) 14:46:58 ID:bYaYPlzI
綾のデレ期を思い出した
このスレ的な展開を読みすぎたせいでどんな落差が来るのか常にビクビクしてしまう
まぁとりあえず今のデレ期を堪能しませう
447名無しさん@ピンキー:2009/07/14(火) 15:02:18 ID:3V2BMVOn
GJ!
ところで>>434の「高根の花」って「高嶺の花」の間違いでしょうか?
その後でちゃんと「高嶺の」ってのがあったのでわざとなのか判らなくて・・・
448未来のあなたへ:2009/07/14(火) 16:50:31 ID:2CIwq8b8
>>447
高根×高嶺○ですね、毎度誤字すみません。
449名無しさん@ピンキー:2009/07/14(火) 18:04:15 ID:zwSNYgKo
GJ
榊兄妹かわいすぎる
きゅんきゅんしすぎて息が苦しい…
450名無しさん@ピンキー:2009/07/14(火) 20:58:53 ID:qnLcGCSC
作者様、GJ!!
前回からのあまり日の空かない投下お疲れ様です。
そして、ありがとうございます。

優香が可愛いすぎます!
どんどん健太とイチャイチャして欲しい!

でも>>446と同じで、落差を恐れてもいます・・・
451名無しさん@ピンキー:2009/07/14(火) 22:56:27 ID:4haM8mAK
俺きゅんきゅん。
GJ
452名無しさん@ピンキー:2009/07/14(火) 23:08:39 ID:lZRO0f02
ところで、冒頭の

トラ
トラ
トラ

って何だ?
453名無しさん@ピンキー:2009/07/14(火) 23:09:37 ID:2VJHxa3+
ワレキシュウニセイコウセリだろ…
454名無しさん@ピンキー:2009/07/14(火) 23:36:09 ID:w5Y0Hg6Z
18以下は帰れ
っつうか本当にゆとりは自分で調べるってことをしないな…
455名無しさん@ピンキー:2009/07/14(火) 23:46:57 ID:kPcxuUs1
二十歳以上になっても真珠湾攻撃を知らないのか?
456名無しさん@ピンキー:2009/07/14(火) 23:53:36 ID:KrMIIOzu
ID:lZRO0f02の顔は真っ赤になりました
457名無しさん@ピンキー:2009/07/14(火) 23:53:50 ID:g6FWxfTg
ニイタカヤマノボレは有名だがヒノデハヤマガタはマイナーなんだよなぁ。
458名無しさん@ピンキー:2009/07/15(水) 01:04:00 ID:jzBirJHe
>420
459名無しさん@ピンキー:2009/07/15(水) 01:21:26 ID:KI7k4ApC
>>438
GJでしたっ!
浮かれた優香と赤面する健太。
なにこの萌える兄妹?

次回を楽しみにしています。
460 ◆6AvI.Mne7c :2009/07/15(水) 18:15:07 ID:KI7k4ApC
ちょっとタイミングが悪い気もするけれど、一昨日完成した小ネタを投下。
タイトルは『もう「お兄ちゃん」しか見えてない』。兄妹もので大体9.1KBくらい。
以前のレスで話題になった、「逆ツンデレ」を流用――できてるのかコレ?

次レスより投下。3レス借ります。投下終了宣言あり。
 
 朝日の差し込む部屋、ベッドのある空間、男の子の部屋。
 ベッドで眠るのは1人の少年。その傍らに立つ制服姿の少女。
 よくある朝の光景。繰り広げられるのはお約束の展開で――
「……さん、兄さんっ。朝だから早く起きて? もう学校に行く時間なのに、遅刻するつもりなの?」
「う〜ん……、あと5分だけ〜……」
「そんなこと言って、昨日は30分も眠って、遅刻しかけたでしょう?
 いいから早く起きて、私の作った朝ごはんを食べてよね?」
 言いながら、少女――妹は両腕で、少年――兄の身体を揺さぶる。
 さすがにそこまでされては、兄も眠っていられなかったのか、
「……わかったよ、僕の負けでいいから。起きるからさ……」
 と言いながら、ゆっくりとベッドの上で身を起こす。
 その動作を見届けてから、妹は矢継ぎ早に、兄に指示を出す。
「おはようございます、ねぼすけな十治(とはる)兄さん。
 さあ、まずは顔を洗って、寝グセを直して、それから――」
「あ〜まあ、そう次々言わないでくれよ、一線(らいん)。
 お腹が空いているから、まずは朝ごはんを食べたいんだ」
 朝から食い意地の張ったことを言う兄に対して、少し呆れる妹。
「まったく、そんなことだから兄さんは――」
「それだけ、一線の作る朝ごはんが美味しいってことだよ」
 言いながら、兄は少し眠そうな、けれど満面の笑みを浮かべる。
 
「……本当に、毎朝僕のためにありがとうな、一線」
 
 
 − ※ − ※ − ※ − ※ − ※ − 
 
 
「――ってことがあったんだよ〜っ♪ えっへへ〜♪」
「ああもう、わかったからわかったから、落ち着きなさいって」
「ねえどう? 私のお兄ちゃんがどんなに素敵か、わかった?」
「ああもう、よくわかったから、おんなじ話を朝から128回もしないでよ……」
 いい加減、耳にタコを通り越してクラーケンができた気分になりながら。
 それでもあたしは親友の一線のノロケ話を、辛抱強く聞いてあげていた。
 あたし以外の友人連中は、2時限目が来るより前に全員ギブアップした。
 そりゃそうだ。友達の兄――他人の萌える話を聞いても、楽しくないし。
 ちなみに、今は放課後の帰り道――どんだけこの話を聞かされたことやら。
 
「うふふ〜♪ あの時のお兄ちゃんの顔、すっごく綺麗でかっこよくて眩しかったな〜♪
 もうあの表情と声音と顔立ちを思い出すだけで、軽く3回はイッちゃえ――」
「やめんかい!? 調子に乗って、天下の往来でハズイこと言うの禁止!?」
 デレデレな態度はともかく、こう時々エロイ方向に走るのだけは勘弁してほしい。
 それも自分の実の兄に惚れこんで、一喜一憂一挙手一投足全てにノロケるんだから。
 まあ、多少注意したところで、聞くような娘じゃあないんだけどね。
 だからこそ、延々とノロケ(聞かされ)地獄が続いているわけだし。
 というか、さっきの朝の一件に登場した少女と、目の前の少女が同一人物なのが信じられない。
 一線はなぜか、兄に対してのみ『兄さん』と呼んで、喋り方も固くなるらしい。
 それって『逆クーデレ詐欺』っていうんだろうか? よくわからないけど。
「とりあえず、なんであたしたちにはその態度なのに、本人に対してはちょっと他人行儀なのさ?」
「ふっふっふっ……♪ 気付いたのはさすがだと言いたいけど――甘いぞももちゃん!
 私がお兄ちゃんを『兄さん』って呼ぶのは、私を1人前の大人っぽく見せるためなの。
 お兄ちゃんに私のことを、1人の女の子として見て欲しいという、切実な乙女心なのよ!」
「な、なんだって〜〜えーえーりゃく」
 これだもんなあ、この超ブラコン娘め。本当に15歳――高校1年生なのかこの娘は。
 
 ――……け!……!?
 ――……げろ!?……?
「……あれ? なんか騒がしいわね?」
「……あ、この匂いと声は、お兄ちゃ――」
――ドコォン!!
「うわあっ!?」
 かなり派手な音が響くと同時に、人影があたしたちの視界に飛び込んできた。
 その人影は、誰かともみ合ったのか、ところどころ学生服が汚れている。
「!? お兄――兄さん!?」
 どうやら、倒れてきた人影は、一線の兄である十治さんだったようだ。
 1度も会ったことはないけど、一線の話で何度も特徴を聞いているし、間違いない。
「――っと、一線じゃないか。隣の女の子は友達かい?」
「って、兄さん怪我してるじゃない!?」
「だ、大丈夫ですかっ!?」
「――あはは……、ちょっと恥ずかしいところ、見せちゃったかなぁ?
 大丈夫だよ、見た目ほど大したことはないし、心配しないで」
「そういう問題じゃあ――」
 
「オイオイ、どこ行ってんだぁお坊ちゃんよぉ……?」
 その時、十治さんが飛び出してきた路地の影から、ガラの悪い男が出てきた。
 あたしたちの通う学校の制服を着ているけど、微妙に改造している――
 まあ、見た目からして中途半端な不良って感じだ。小者臭もするし。
「なっ、なんですかあなたは……!?」
 一線の問いかけに、目の前の不良男は小指をおっ立て(下品)ながら聞いてきた。
「ああん、なんだテメェ? もしかしてこのお坊ちゃんのコレか?
 こいつぁ〜よ〜、オレが女口説いてる最中に邪魔してきやがったんだよ。
 ったく、ちょっとはたいて素直にさせようとしてただけだってのになぁ?」
 ヘラヘラ笑いながら、自分の悪業を自慢する不良男。単細胞だなコイツ。
 
「もう、兄さんってばまた、そんな危険なことをしてたの?
 あれほど危ない真似はやめてって、いつも言ってるじゃないのっ!?」
「あはは……、ごめんな一線。どうしても黙って見過ごせなかったんだ。
 まあ大丈夫だよ。襲われてた女の子は、無事逃げていったし――」
「そういう問題じゃあないでしょ!?
 兄さんが怪我したら、私は……」
「……うん、心配かけてごめんな、一線……」
「もう……、馬鹿なんだから、兄さんは……」
 あっれぇ〜〜? 一線ってばさっきまで、あたしの隣にいたはずだよね?
 一体いつの間に、十治さんの傍に寄って行ったんだろう?
 そしてなんで、この兄妹はイチャイチャ(あたしの主観)しているんだろう?
 あたしも、さっきまで相手してたこの不良男も、完全に置いてけぼりじゃない。
 
「……て、てめぇらオレをコケにしてんじゃねええええぇぇぇっ!?」
 叫びながら、一線と十治さんに殴りかかる不良男。
 ああ、やっぱりキレたか。まあ無理もないとは思うけど――
 ってダメじゃない!? その角度からだと一線がモロに――
「っ!? 危ない一線っ――ぐあっ!?」
「!?」「って、兄さん!?」「十治さんっ!?」
 突然の光景に、あたしも一線も、殴りかかった本人も驚いた。
 一線が殴られる寸前で、急に起き上がった十治さんが、一線を庇ったのだ。
 けれどかわりに殴られた十治さんは、体勢を崩してしまい――
――ゴン!!「ぅぐっ!」
 背後の壁に頭を勢いよくぶつけて、気絶してしまった。
 
「あ、いや……っ、兄さん、兄さんっ!?」
 気絶した自分の兄――十治さんを揺さぶる一線。
 いや気絶した人間にそれはまずいって。動揺しすぎているみたい。
「は、ははは……、ようやく気絶しやがったのか、ソイツは……。
 さっきも裏路地で10発くらいドツいたのに、向かって来やがったからな……。
 まあいいや、じゃあ今度はテメェが来いよ小娘。そんなバカじゃなくて、オレが遊んでやるよ?
 しつこかった兄貴――だよな?――の不始末は、妹のお前につけてもら――!?」
 
 不良男の自分勝手な宣言は、最後まで続くことはなかった。
 なぜなら、涙目でキレた一線が、掬いあげるようにビンタを放ったからだ。
「……おまえ、私の大事な――大切なお兄ちゃんに、何をした?」
 連続で繰り出される、当たっても音のしない往復ビンタ。いや、張り手?
 あたしには徒手空拳の知識はあまりないけど、とにかく一線の攻撃は止まらない。
 ところで、叩いた時にあまり音のしないビンタって、結構危ないんじゃないだろうか?
「ちっ……! ちまい攻撃がグダグタうるせぇんだよ!?」
 ここでこれまで叩かれっぱなしだった不良男が、負けじと一線の右腕を掴んで止めた。
 同時に不良男の反対側の腕が、大きく振りかぶられて――
「いい加減にしやがれ――そんなに叩くのが好きなら、オレが叩いてや――る゛っ!?」
 一線を殴りつける――こともできずに、そのまま真下に落ちた。
 右腕を掴まれた一線が、とっさに脚を振り上げて、不良男の股間を蹴りあげたからだ。
「おまえなんかのせいで、私とお兄ちゃんの時間が奪われたなんて、イライラする……!」
 
 そのあとはもう、ずっと一線のターン状態だった。
 簡単に言うと、急所を蹴られて倒れこんだ不良男は、一線に何度も踏みつけられた。
 両肩と両膝と両肘、そして腹筋にわき腹に顔面――ぜんぶ急所狙いだったのが怖い。
「おまえのせいでお兄ちゃんが怪我をした。おまえなんか死んじゃえばいいんだ……」
 けれど、そう言いながら無表情で蹴りを入れる一線は、なぜかとても綺麗に見えた。
 そんな一線も、ようやく落ち着いたのか、今は心配そうに十治さんを介抱している。
 ちなみに不良男は、出てきた裏路地(結構薄暗い)にあったゴミ山に埋めてあげた。
 
「まあ、頭は精密検査を受けないとわからないけど、たぶんこれで大丈夫でしょ?
 じゃあ一線、家に帰ったら、十治さ――お兄さんを安静にしてあげなさいよ?」
「うん……、ありがとうももちゃん。今日はお兄ちゃんを休ませてあげるよ……」
「今日はって、明日はなんかするんかい? あと『ももちゃん』ってゆーな」
「ううん、今日助けてくれたお礼をしてあげるだけだよ? じゃ〜ね、また明日♪」
「ん、お大事にね〜♪」
 
 とりあえずそんな会話を交わした後、一線は十治さんを背負って帰って行った。
 兄に『盲目』な妹と、妹を見る目が『節穴』な兄の、ある意味ベストカップル。
 まあたぶん、あの2人は現状であれだから、今後もうまくやっていけるだろう。
 どうも、一線のあの『兄さん』呼びの小細工も、案外無駄じゃないみたいだし。
「でもさあ、好きな人に対して常に冷たい態度をとるなんて、すごく大変だよね?
 やっぱり好きな人には、終始デレっとした態度で接したほうが、楽しいし――」
 
「あ、モモ姉ちゃんだ♪ 今帰りなの?」
 1人でそんなことを考えていたら、最愛の弟に後ろから声をかけられた。
「あ、ちーきゅんお帰りなさい♪ せっかくだし、一緒に帰りましょ♪」
 ああもう今日もかわゆいなぁ。涎とか出そうだよホント♪
「うんっ! モモ姉ちゃん大好きっ♪」
 
――とまあこんな感じで、甘え甘やかすだけってのも、充分に効果があるんだよ、一線?
 
 
                      ― Changing suddenly because of love. ―
464 ◆6AvI.Mne7c :2009/07/15(水) 18:24:22 ID:KI7k4ApC
以上、投下終了。
一応補足すると、クーデレとは、ツンデレのツン部分が、クールキャラになっているもの。
例えば「君は恥ずかしくないのかい?」(クール)→「さっきはごめんね〜♪」(デレ)という解釈で。

一応、長編の第2話も書けたので、まとめ直して近日中に投下します。
465名無しさん@ピンキー:2009/07/15(水) 18:53:08 ID:h+lFWavb
すごく…続きを読みたいです
466名無しさん@ピンキー:2009/07/15(水) 20:04:31 ID:ri8CqpAX
うん、最高だ
467名無しさん@ピンキー:2009/07/15(水) 20:52:52 ID:oXqGDrUl
これは・・・GJ
468名無しさん@ピンキー:2009/07/15(水) 21:19:59 ID:9cJgMYPC
GJ

クーデレって落差系じゃなくてクールな調子そのままにデレることだった気もするが
キモウトの全力全壊とラストの友人キモ姉オチに比べれば些細なことだな
469名無しさん@ピンキー:2009/07/16(木) 00:16:25 ID:F65RRvUp
GJです

クールなままデレるのは素直クールだったかと
470名無しさん@ピンキー:2009/07/16(木) 02:17:43 ID:4CRxxzGf
新鮮でいいなあこういうの。キャラに対する愛が溢れているよ。
GJ
471名無しさん@ピンキー:2009/07/16(木) 13:21:36 ID:EmDqD8sU
GJ
いつも楽しみにしてます

>>469
そもそもクーデレって言葉自体が
素直クールの別の呼び方として出てきた言葉だから間違ってもないと思う
472代理投下 ◆j3gvf0a2hI :2009/07/16(木) 15:16:34 ID:ZoX3cy2K
50 : 時給650円 2009/07/16(木) 03:29:01 ID:ikHP7qcs

久々に投稿します。
愚痴スレの方にも書きましたが
現在規制によってまったく投下できる目処が立ちません。
どなたか本スレの方に代理投下して頂ければと思い投稿します。
473桔梗の剣 ◆j3gvf0a2hI :2009/07/16(木) 15:17:40 ID:ZoX3cy2K
「お兄様」

 背後からかけられた声に、新谷又十郎はうんざりしそうなるのを懸命に堪えた。
 声の主は分かっている。妹の桔梗の声だ。いや声を聞くまでもない。年頃の娘特有の、花のような体臭は、今この道場にいる汗まみれの男たちとは明確に違い、たとえ半間の距離からでも瞬時に判別がつくのだから。
「それでは今日も――小半刻ののちにまた、道場で」
「分かっている」
 振り向きもせずにそう答え、又十郎は額から滝のように流れる熱い汗を手の甲で拭う。
 だが、又十郎のしかめっ面は何も汗のせいだけではない。これから後、桔梗と二人と過ごさねばならない時間に、どうしても憂鬱さを覚えずにはいられないからだ。
「どうぞ」
 すっと手ぬぐいが差し出された。
「……済まんな」
 その手ぬぐいを受け取りながら、しかし憮然とした表情で又十郎が振り返ると、桔梗はその独特な――年頃の娘というより少年のように中性的な――美貌にひまわりのような屈託の無い笑顔を浮かべた。
 しかし、これまで自分や門人たちと激しい稽古に勤しんでいたはずなのに、汗一筋かいた様子も無い笑顔は、又十郎の神経を苛立たせる。
(おれの仕切った稽古では、まだまだぬるいと言いたいのか)
 又十郎は何も言わず、手ぬぐいで顔をごしごしと、必要以上に手荒く拭った。


 時は文久元年。
 勅許を得ないままの強引な開国政策と、それに伴う反対派への大弾圧――いわゆる安政の大獄――を巻き起こした井伊掃部頭が桜田門外で討たれ、はや一年。だが、そんな烈風吹きすさぶ世相をよそに、この楯山三万石の城下町は平和そのものだった。
 剣術指南役たる新谷源左衛門は主君・久世山城守に従って江戸に出府しており、その留守を預かるのが、長男である又十郎の役目であるというわけだ。しかし道場には又十郎よりも年配の門人も多数在籍しており、一抹のやりにくさがないと言えば嘘になる。
 だが、又十郎が覚える息苦しさの真の原因が、この二つ年下の妹である事を知る者は誰もいない。


「若先生」
 野太い声が自分を呼ぶ。
 又十郎が顔を上げると、数人の門下生を背に従えた関口がそこにいた。
「これからみんなで『あけぼの』に繰り出そうかという話になっておるのですが、どうです、たまには一杯?」
 関口が、その巨躯に相応しい毛むくじゃらの手で、くいっとおちょこを呑む仕草をする。
(酒か……)
 いいな、と思う。
 又十郎自身、決して酒が嫌いなわけではない。むしろ気の合う仲間数人でわいわい騒ぎながら飲む酒は、とても楽しい。
 関口は、この新谷道場の嫡男である自分に一応遠慮した口を利くが、元をただせば少年時代から肩を叩き合って互いに稽古に励んだ友人でもあるし、彼の背後に居並ぶ連中もみな同期の古株――又十郎にとって気心の知れた仲間たちだ。久し振りに彼らと飲み明かすのも悪くない。
 なによりこれから桔梗と過ごさねばならない憂鬱な時間を鑑みれば、選択の余地などない誘いであると言える。
 だが――。

「あ、ごめんなさい関口さん、今日のところはご勘弁願えますか?」
「桔梗」
 たまらず又十郎は妹をたしなめた。
 しかし、桔梗は兄の顔も見ず、むしろ楽しげに言った。
「今日こそ早くお屋敷に帰してあげないと、お義姉様がお怒りになるんです」
 お義姉様とは兄嫁、つまり又十郎の妻である葵のことだ。
 桔梗はいたずらっぽい流し目を兄に向けると、
「お義姉様のご機嫌が悪くなると、色々困るんです。結局とばっちりを食うのは桔梗なんですから」
 と微笑んだ。
 関口は目を丸くさせ、そして仲間たちとともに大きく口を開けてからからと笑った。三ヶ月前に祝言を挙げた新妻を、又十郎が意外なほどに大事にしているのは、道場では周知の事実だったからだ。


474桔梗の剣 ◆j3gvf0a2hI :2009/07/16(木) 15:18:31 ID:ZoX3cy2K
「関口」
 こうなってしまうと又十郎の取れる行動は一つしかない。彼は笑い続ける関口と妹の間に割って入り、羞恥に紅く染まった頬を隠すように頭を掻いた。
「済まん。……また誘ってくれ」


「関口さんにも困ったもんだよね」
 彼らが去り、がらんとした道場で再び防具のひもを締め直しながら桔梗がぽつりと言った。その冷たい声音は、さっきまでの日輪のような笑顔をまったく連想させる余地を持たない。
「そういう言い方はよくない。あいつはあれでも……」
「お兄様」
 凛とした桔梗の声が、又十郎の言葉を遮るように響く。
「桔梗に逆らうの?」
「…………」

 かつての桔梗は、又十郎に向かってこんな傍若無人な口を利くような妹ではなかった。兄じゃ、兄じゃと仔犬のように自分を慕って、どこまでも自分の後を付いて来るような無邪気な少女だったはずだ。
 だが、ここにいる桔梗は、もはやあの頃の彼女ではない。又十郎もかつての又十郎ではないのと同じように、ここにいる桔梗も、かつての可愛らしい妹ではないのだ。
「じゃ、始めよっか」
 そう言って、桔梗は冷えた眼差しを兄に向けた。

―――――


 又十郎とて、剣人としてまるっきりの凡骨というわけではない。
 まだ二十歳の若造であるにもかかわらず、年配の門人たちを差し置いて道場を仕切っているのは、彼が道場主たる新谷源左衛門の嫡男であるという理由だけでは決してない。十六歳で目録を取り、十八歳で免許皆伝を許された彼は、新谷流屈指の剣士でもあったからだ。
 その技量は――麒麟児とまでは呼べずとも――まずまず俊才と呼んで差し支えはないものであったろう。彼が道場の御曹司であることを差し引いてもだ。
 あと数年も経てば江戸に出府し、源左衛門に代わって剣術指南役として藩主に直々に仕える事になるだろうし、実際、彼としても生半可な相手に自分が遅れを取るとは思えない。
 だが、そんな又十郎をしても、道場で二人きりになれば妹には逆らえない。

 桔梗は、まさしく剣の天才だった。
 剣術道場の子として幼い頃から竹刀を玩具代わりに育った又十郎と桔梗ではあったが、妹の才能はまさに圧巻だった。十歳で初めて父から一本を取った彼女は、その後も着実に成長を続け、十五になった頃には、もはや完全に道場に敵はいなくなっていた。
 だが、それと時を同じくして、桔梗は道場から足を遠ざけるようになる。
 藩主に剣を指南するはずの新谷一刀流――その道場最強の使い手が、可憐な小娘であるという評判は、新谷家にとっても藩にとっても、決して喜ばしいものではないからだ。
 誰に言われるでもなく桔梗は、周囲のそういう空気を嗅ぎ取ったのであろう。

「あいつが男であればなあ」
 酔った父がそう愚痴をこぼすのを又十郎とて何度聞いたか分からない。
 そんな言葉を聞くたびに、又十郎の胸を疼くような痛みがよぎったのも事実だ。だが、反論は出来ない。桔梗の才を思えば、父の無念も当然だと思うからだ。
 かつて父が母と話しているのを聞いたことがある。
――新谷家はただの石取り武士ではない。刀術を以って主君に仕える技術者なのだ。ならば生まれた順番で嫡子を決めるなど馬鹿げている。より天稟に恵まれた者こそが家を継ぎ、次代にその血を残し、技を伝えるべきなのだ、と。
(親父はやはり、おれではなく桔梗のやつを――)
 又十郎が暗澹たる思いに身を包んだ瞬間、源左衛門はその言葉をこう続けた。
「だが、ままならぬものじゃな。――桔梗め、婿を取ってこの家に残れと言ったわしに、いやだとぬかしおった。この家を継ぐのは又十郎しかおらぬ。又十郎が家を継がぬなら、自分は尼寺にでも行く、とな」
 
 父が語ったその言葉に、又十郎は呆然とした。
 源左衛門が、又十郎の婚約と桔梗の縁談をまとめてきたのも、それから数日後のことだった。
475桔梗の剣 ◆j3gvf0a2hI :2009/07/16(木) 15:20:06 ID:ZoX3cy2K
.(あわれなやつだ)
 又十郎は、そう思う。
 桔梗に劣等感を抱いた事がないと言えばさすがに嘘だ。
 だが、実際のところ又十郎は、桔梗に対して劣等感よりもむしろ罪悪感を覚える方が深かった。
 事実上、桔梗に家督を譲られたという思いだけが理由ではない。彼は、自分と共に竹刀を振るっていた妹が、いかに楽しげであったかを覚えていたのだ。そして道場に来なくなった妹が、いかに寂しげで、悄然としていたかも。
 もし兄たる自分が、少なくとも桔梗より強かったなら、せめて彼女も、もう少し心安らかに剣を置けたはずだ。だが、現実はそうではない。桔梗は天才のまま、天才である己を捨てねばならない。その無念と鬱屈はまさしく想像を絶するものであろう。
 そしてそのまま、桔梗は父が調えた縁談を受け入れて他家に嫁ぎ、新谷家から姿を消した。輿入れの際に桔梗が見せた――かつての溌剌とした妹とは、まるで別人のように覇気の無い小さな背中を、又十郎は今も覚えている。
 彼が周囲を絶句させるほどの熱意を稽古に込め始めたのは、それからのことだった。

(おれがもっと強かったら、桔梗にキチンと引導を渡すことも出来たのだ)
(おれが弱かったから、桔梗は挫折すら知ることなく道を諦めざるを得なかったのだ)
 その罪悪感があればこそ、又十郎は己に課した『荒行』と呼べるほどの努力を怠らず、父から免許皆伝を許されるまでの自分になれたのだ。
 だが、まだ足りない。彼はまだまだ現状に満足していない。
 せめて妹の分までおれが強くならなければ、あいつは浮かばれない。
 そのためには、まだまだ強くならねばならない。
――又十郎はそう思う。
 そんな又十郎にとって桔梗は、越えるべき目標である以上に、守るべき大事な妹であった。剣士としての名誉を掴めなかった彼女に、せめて女として当たり前の幸福を掴んで欲しい。そう思う対象であったのだ。
 だから、妹の結婚生活が上手く行きますようにと誰よりも願っていたのは、父よりも母よりも、この又十郎であったと言っても過言ではない。

 そして又十郎も今年に入って、ようやく己の婚約者と祝言を挙げた。
 すでに彼は二十歳を迎えており、当時としては晩婚だったと言ってもいい。
 だが、又十郎が結婚に踏み切ったのは、いつまで待たせる気だと婚約者の実家から矢の催促を受けたことだけが理由ではない。免許皆伝を得てもなお精進を続け、父から三本に二本を取れる腕になった自分を、ようやく一人前になったかと認めることができたからだ。

 だが、桔梗は帰ってきた。
 又十郎が式を挙げてから一ヶ月も経たない内に、夫から強引に去り状をもらい、三年間の結婚生活など最初からなかったかのように新谷家に帰ってきたのだ。
 一体婚家で桔梗に何があったのか、それは分からない。桔梗は黙して何も語らないからだ。その沈黙は父をさらに激怒させ、母はそんな父娘喧嘩を目の当たりにして泣き喚いたものだが……それでも又十郎は彼女を庇った。
 新妻の葵に、これ以上身内の醜い諍いを見せたくなかったというだけではない。又十郎はこの妹を可能な限り労わってやりたかったのだ。

 そして源左衛門が藩主の参勤交代に伴って江戸に発って五日後、桔梗は数年ぶりに道場に顔を出す。
 彼女を知る古参の門人たちは驚き慌てたが、その桔梗は以前のように無邪気に己の強さを誇示する事は無かった。彼女の舞踏のような美しい剣さばきは健在であったが、かつて天才と呼ばれた往時の冴えは、その剣に無かったのだ。
 考えてみれば当たり前の話だ。
 どれほどの才であろうとも、数年間も研磨を怠った宝石がいきなり過去の輝きを放てるわけが無い。
 関口などはむしろ安堵したような表情で、
「これでよかったんだよ」
 と又十郎の肩を叩いたものだが、しかし彼はそんな妹に違和感を禁じ得なかった。
 そして、その違和感はその晩のうちに、最悪の形で立証される事となる。
476桔梗の剣 ◆j3gvf0a2hI :2009/07/16(木) 15:22:26 ID:ZoX3cy2K
 久し振りに道場に顔を出した妹は、稽古終了後にこう言った。
「ねえ、お兄様、稽古の後ちょっと桔梗に付き合ってよ」
「どうした?」
「さすがに勘が鈍っているみたいだし、もう少し体を動かしたいんだ」
 又十郎にとっても、その桔梗の申し出を断る理由は無かった。
 妹がどういうつもりで稽古に参加したのかは分からない。
 だが、道場で汗を流す彼女には、実家に戻ってきて以来の――いや、かつて道場から足を遠ざけて以来の――陰鬱な態度が完全に払拭されてしまっていたのだ。体を動かす事で気が晴れたと言うのなら、彼としてもその結果に全く文句を付ける気は無い。
 そう思って通常稽古が終わって小半刻ののち、ふたたび防具を身に付けて桔梗と対峙した又十郎は、まさに徹底的に妹に打ち据えられることになる。
477桔梗の剣 ◆j3gvf0a2hI :2009/07/16(木) 15:23:00 ID:ZoX3cy2K
 天才はやはり健在だった。
 桔梗が道場を去っておよそ三年。
 その間に少しは強くなったという自負が又十郎にはある。
 血尿を日常とするほどの努力もしたし、源左衛門から免許皆伝も許された。道場にはまだ彼よりも強い年輩の門人たちが何人か在籍しているが、それでもいずれは彼らを追い抜き、道場の首席になれる確信もあった。
 だが、――それでも桔梗には自分の剣が通用しない。
 三年の空白で技が曇ったなどとんでもない。
 愕然としながら道場の床に這いつくばる又十郎に、そんな桔梗はにっこりと微笑んだ。

「安心してよ、お兄様。これからも稽古に参加するにさし当たって、桔梗は絶対に本気を見せないことを約束するから。お兄様のお立場をまずくするような事は、桔梗としても不本意だもんね」

「でも、その分お兄様は、この哀れな妹の憂さ晴らしにお付き合い願うよ」

「ふふふ……そんなに怯えなくとも毎日とは言わないさ。――そうだね……毎月、一と五と八のつく日にでもお願い致しましょうか。未来の剣術指南役による不肖の妹の居残り稽古を……ね」


 そして今日、日付は十八日。
 又十郎は溢れる憂鬱さを押さえ切れなかった。

――――――


 灼け付くような痛みが又十郎の全身を包む。
 のどがひたすらに渇く。もう唾すら出ない。
 先程までの稽古とは比較にならない疲労とダメージ――すべては桔梗の凄絶なまでの竹刀さばきがもたらした結果である。道場の若先生として人に教えている立場では決して味わう事など無いはずのものだ。
「さあ、もう一本!!」
 桔梗の鋭い声が飛ぶ。
 いや、鋭いのは声だけではない。
 彼女の動きも剣も、先程までの通常稽古と比べて、段違いにその切れを増している。
(ようやく体があったまってきたよ)
 とばかりに、湯気のような気を立ち上らせながら。

(くそっ!!)
 渾身の力で打ちかかる。
 だが、その打ち込みをあっさりと外した桔梗は、蛇のような速度で又十郎に竹刀を跳ね上げる。その思わぬ角度からの攻撃を、かろうじて又十郎の竹刀は防いだ。が、二の太刀、三の太刀と矢継ぎ早に襲ってくる桔梗の剣の前に、早々と又十郎は防戦一方だ。
 息もつかせぬ桔梗の連続攻撃を何とか凌ぎながら、又十郎は待つ。おびただしいコンビネーションに隠された桔梗の得意技――突きの瞬間を。体重を乗せた刺突を外された術者は、たとえどれほどの達人であっても体勢を崩し、隙を作らざるを得ない。
 そこを狙う。
 そして、又十郎の狙い通り『それ』は、来た。
 その稲妻のような突きを、又十郎は上体を反らして避け、一歩踏み込む。
 だが――。

「ッッッ!!」

 その瞬間、又十郎は何をされたのか気付かなかった。
 一間ほど吹き飛ばされ、羽目板に叩き付けられる。失神すらできない。あるのは内臓を直接ブッ叩かれたような衝撃。呼吸すら満足にできないほどの圧倒的な痺れ。
 ぶざまに体をくの字に曲げ、見開いた眼は何を見ることも許されないままに、又十郎はだらしなく口を開き、重力に任せるままに大量の涎を排出する。
(二段突き、かよ――)
 桔梗の突きを躱して懐に入り込もうとした又十郎の胸部を、まさに迎え撃つ形で桔梗の電光のような突きが襲ったのだ。彼はその攻撃を防ぐ事はおろか、その目に捉えることさえ出来なかった。
 その衝撃は防具や筋肉によって分散されながらも、きれいに又十郎の体の芯に叩き込まれ、気絶すら許されない地獄の苦悶を強制するには充分な威力を持っていた。
 だが、白痴のような表情で痙攣している又十郎を、熱っぽく見つめる桔梗は、さらに容赦のない、鋭い声で言い放つ。
「さあ、お兄様っ、もう一本っっ!!」
478桔梗の剣 ◆j3gvf0a2hI :2009/07/16(木) 15:23:42 ID:ZoX3cy2K
又十郎が帰ってきたと聞いて出迎えた玄関先で、葵は反射的に息を呑んだ。
 桔梗に肩を担がれ、道場から戻ってきた夫は、まるで溺死体のような真っ青な顔をしていたからだ。
「あなた……ッッ」
 顔だけではない。
 おそらく稽古着を脱げば、全身アザだらけになっている事だろう。
 葵は承知している。
 又十郎がこんな状態で道場から帰って来るのはこれが初めてではない。
 この二ヶ月というもの、一と五と八のつく日に夫は妹に稽古をつけ、そして必ず瀕死の状態で戻ってくる。そして今日は十八日だ。だが、たとえどんな口実があろうとも、自分の夫をここまで手酷く痛めつけられて、笑って出迎えられる妻などいるはずが無い――。
 しかし、この義妹はそんな兄嫁を鼻で笑うような口調で言い放った。

「お義姉様、もういい加減に慣れたらどうなの?」

 思わず身を強張らせた葵の傍らを、兄を肩に担いだ妹がえっちらおっちら通り過ぎる。
 二人――とは言っても、又十郎は意識があるのかどうかも分からない状態なのだが、それでも、身を寄せ合って進む兄妹の溢れんばかりの汗の匂いに、しとねで睦み合ってきたばかりの男女のような生臭さを感じ取り、葵の頬は紅潮する。
 しかし、何か言おうと振り向いた彼女を待っていたのは、射抜くような桔梗の冷たい瞳だった。
「分かっていると思うけど、これは新谷流を担う者として当然の修練――お義姉様には『関係の無いこと』だからね。いくらお兄様のオヨメサンでも口出しはさせないよ」

 その一言を前に、葵は動けなかった。
 分かっている。
 自分は又十郎の単なる妻に過ぎない。
 この新谷家が剣を以って世に立つ一族である以上、これは稽古だと言われてしまえば葵にはどうしようもないのだ。
(だからって……ッッ)
 そう。だからといって、このままでいいわけがない。
「桔梗さん……お待ちなさいッッ!!」
 そのまま小走りに二人に追いつくと、両手を広げて葵は廊下をふさぐ。
「ここから先はワタクシが夫を運びますッッ!」
 そう叫んだ葵の表情はむしろ悲痛とも言うべきものであったが、桔梗はそんな兄嫁に倍する鋭い視線で彼女を迎撃する。

「――道を開けてよ、お義姉様」

 兄嫁と義妹。
 口調と語調こそ二人の関係に乗っ取ったものではあったが、そこに込められた意思は明白だった。
 邪魔をするなら斬る。この場で斬り捨てる。
 桔梗の眼はそう言っていた。
 そして葵は、その殺気の前に今度こそ微動だにできなかった。


 居間に戻り、ぺたりと腰を降ろす。
 まるで下半身の骨がぐにゃぐにゃになってしまったようだった。
 自分の無力を嘆くように、葵は小さく溜め息をつく。
 
 分からないことは幾らでもある。
 まず、自分の兄をあれほどまでに徹底的に嬲り抜ける桔梗の神経が、葵にはまるで分からない。普段の桔梗がどれほど兄にべったり懐いているか、葵はよく知っていたからだ。
 それだけに不可解でならない。あくまで稽古だと主張してはいるが、まるで人変わりでもしたかのような――又十郎に対して桔梗が示す、その凶暴性が。
 そしてもう一つ。
 桔梗が何故これほどまでに自分を憎むのか、ということだ。

 楯山藩筆頭家老たる大杉忠兵衛の末娘・葵が、新谷又十郎の許婚(いいなずけ)となったのは、三年前の夏だった。
 ある日いきなり結婚せよと命じられ、初めて会った男の下に嫁ぎ、人生を全うする。それが当時の武家社会における一般的な婚姻である。無論、例外はある。だが少なくとも、その当時の常識に、自由恋愛の延長としての結婚など存在しなかった。
 しかし幸運なことに、葵はその日初めて会った又十郎に好印象を持った。
 まあ、自分と同世代の若者と言えば、秀才を鼻にかける嫌味な兄しか知らなかった葵が、剣術道場の御曹司たる又十郎に興味を持ったのは、ある意味当然と言えたかもしれない。
 それから幾度か、葵は新谷家に出入りする機会があった。
 いかに縁談がまとまったとはいえ、仮にも筆頭家老の娘である。新谷家で彼女を歓待せぬわけが無かった。常に宴会というわけでもないが、源左衛門も又十郎も、この可憐な未来の嫁を笑って出迎えたものだ。
 だが、――この桔梗だけが一人、葵に怜悧な視線を向けていた。
479桔梗の剣 ◆j3gvf0a2hI :2009/07/16(木) 15:24:39 ID:ZoX3cy2K
 葵が結婚前に桔梗と会ったのは、わずか一度しかない。桔梗はつとめて、この未来の兄嫁の前に顔を出さなかったからだ。だが、そのときの桔梗の様子を、強烈な印象とともに葵は記憶していた。
(この子は何故、ワタクシをこんな眼で見るのかしら)
 当時の葵が理解できなかったのも無理はないだろう。歴然たる権門の令嬢として大杉家に育った彼女に、そういう負の感情をまともにぶつけてくるような人間は皆無だったのだから。

 しかし葵は、桔梗が自分に向ける感情の正体を深く考える事は無かった。
 どうせいつか桔梗も嫁に行く。
 自分が新谷家に嫁ぐように、桔梗もいずれ他家に嫁いで、この新谷家からいなくなる人間なのだ。そんな女が何を考え何を思っていようが知った事ではない。そうタカをくくっていたのだ。
 そして実際、婚約成立からいくらもせぬうちに、桔梗は新谷家から他家に輿入れしていった。
――それが三年前だ。
(せいせいした)
 と、その当時の葵が思わなかったと言えば、さすがに嘘に近い。
 だが、自分たちの祝言からわずか数日と経たぬうちに、桔梗は帰ってきた……。

 無論、葵はもう知っている。
 まるで侵入者どころか侵略者を見るような、あの眼光。――その正体が純然たる敵意である事を。
(でも、どうしてなの……?)
 葵には分からない。自分が桔梗に憎まれねばならない理由が。
 この不可解な出戻り義妹が又十郎に見せる無邪気な仔猫のような表情は、その首の角度が葵に向けられるや、途端に真っ白な能面に切り替わる。そして、その眼光は能面から程遠い鋭利なものだった。
 彼女は一体、自分に何を怒っているのか。
 彼女は一体、自分に何をして欲しいのか。
 今もなお、それは判然としないままだ。

―――――


 又十郎はまだ意識を取り戻さない。
 まるで死体のように引きずられる兄の体重を感じながら、妹は笑っていた。
 彼女が普段、両親に向けている無邪気な笑顔とはまるで別人のような暗い笑みではあったが、それでも桔梗の胸が万感の愉悦に満たされている事は一瞥で見て取れるだろう。
――その笑みを周囲で見ている者があれば、だが。

 楯山藩剣術指南役・新谷家の屋敷はそれほど広大なものではない。幾らも進まぬうちに桔梗は兄の部屋に辿り着く。桔梗は、兄を起こさぬように注意しながら畳に横たえると、行灯に火を灯し、押入れから布団を敷いた。
 彼女の薄笑いは、いまだ口元に張り付いたままだ。
(あの女、真っ青になって怯えてた……)
(桔梗の一睨みで、馬鹿みたいに震えてた……)
 その事実は、桔梗にとって骨が鳴るほどに喜ばしいものだった。
 布団を敷き終えると、そこに又十郎を寝かせ、いまだ半失神状態の兄の顔を見つめた。

――やっぱり、随分と腕を上げたんだね、お兄様。

 今更ながらに、彼女はそう実感する。
 その事実は、桔梗にとっては先程までの暗い愉悦の比ではない、純粋な喜びだった。


 かつて天才と呼ばれた頃の桔梗にとっては、兄としての又十郎はともかく、剣士としての彼など、それこそ歯牙にもかけない相手でしかなかった。実際に試合をしても、一本打ち込むのにさほど労力を要した記憶は無い。
 過去の兄妹の間には、それほど歴然たる技量の差があった。
 それに桔梗は、それほど自分の腕が落ちたとは思ってはいなかった。
 無論、道場で無敗を誇っていた往時に比べれば稽古不足は否めない。
 だが桔梗は、道場から足を遠ざけても、実はこっそり夜間に素振りや打ち込みなどをして、気晴らしをしていたのだ。それはかつての婚家でも変わらない。むしろ新谷家にいた頃よりも個人稽古に身を入れていたといっても過言ではない。
 つまり桔梗としては、それほどまでに結婚生活に不満を抱いていたという証明なのだが、それでも結果として、己の剣速の伸びに、さほどの衰えがないことは確認済みだった。
480桔梗の剣 ◆j3gvf0a2hI :2009/07/16(木) 15:25:22 ID:ZoX3cy2K
 だが、それがいまやどうだ。
 この三年の間に、兄はおそろしく強くなっていた。
 二ヶ月前、稽古後に久し振りに二人きりで立ち会った時、桔梗は密かに瞠目したものだ。
 あの時、桔梗は確実に本気の剣を振るっていた。
 にもかかわらず、それでも過去のように一撃で勝負を決められなかった。十数合打ち合わねば有効打を放てなかった。三年ぶりの仕合稽古という前提条件を差し引いても、それでも桔梗にとってそれは驚嘆すべき現実だったのだ。

――そして、それは今もそうだ。
 その二ヶ月前から比較しても、兄のしぶとさ・粘り強さは着実に上がっている。
 たとえば今日の仕合ならば、自分がかつて得意とした突き技を躱され、思わず二の突きを出さずにいられなかった。これがどういう事かは、もはや明白だ。
(強くなってる……お兄様は、まだこれからも強くなれるんだ……ッッ)
 まだまだ桔梗と互角に渡り合えるほどの腕ではないにしろだ。
 その事実に、彼女は身が震えるような深い感動を覚える。
 
 桔梗が剣から身を置いた事実に対して、兄が負い目を感じている事を彼女は知っている。また、桔梗の嫁入りの日から、彼が凄まじいまでの修行に明け暮れていた事も、そして新たに身に付けた実力によって父から免許皆伝を許された事も、彼女は知っている。
 又十郎は本来、剣客には向かない性格の男なのだ。
 一介の武芸者として生きるには、優しすぎる男なのだ。
 彼を飛躍させる事になった「荒行」にしても、元をただせば桔梗に対する罪悪感こそが、兄を追い立てた結果であり、その罪悪感とは即ち、自分に対する兄のズレた優しさの発露でしかない。
 桔梗は、そんな優しすぎる兄が大好きだった。
 剣に対する未練が無かったとはさすがに言えない。つらかったのは事実だ。だが、それでも自分の存在が兄の家督継承の妨げになるならば、もはや彼女にとっても何も言うべき言葉はない。兄のためならば、自分は喜んで身を引こう。
――彼女はそう思っていたのだ。
 
 だから桔梗は、父の用意した縁談を受諾し、この家を――兄のもとを去った。
 又十郎を廃嫡し、婿を取って新谷家に血を残せという――その命令がいかに非常識なものであったかはともかく――源左衛門の言葉に逆らった以上、新谷家に自分が居座り続けることは、すなわち兄の居場所を奪う結果を招くことになる。
 そう思ったからだ。
 そして桔梗は、失意のままに見知らぬ男と結婚し、その男の妻として三年間、耐えた。「耐えた」という言葉が当て嵌まるほどに、その結婚生活は桔梗にとって苦痛に満ちたものであったのだ。
 だが、又十郎がようやく三年越しの婚約期間にケリをつけ、祝言を挙げたと噂を聞き、彼女の忍耐は限界を超えた。
 気がつけば桔梗は、夫に剣を突きつけ、
「去り状を書いて下さい」
 と命令していた……。
481桔梗の剣 ◆j3gvf0a2hI :2009/07/16(木) 15:25:53 ID:ZoX3cy2K
.
 自分が愚かな行動をしている事は分かっている。
 こんなことをしていても何もならない。
 だが、桔梗はどうしても我慢できなかった。
 兄の傍らに葵が――いや、自分以外の女がいるという現実に、桔梗は耐えられなかったのだ。
 桔梗も三年間、人妻として過ごした女だ。夫婦となった一組の男女がいったい何をするのか、当然知っている。そして知っている以上、彼女の苛立ちが収まることは無い。

 桔梗の大好きな兄が、自分以外の女を妻として愛している。
 桔梗の大好きな兄が、自分以外の女を妻として抱いている。

 その現実こそが、桔梗の神経を何よりも苛立たせるのだ。
 だから、その現実が改変されない限り、彼女の心が安らぐ事はない。
 しかし、だからと言って、桔梗には何をどうする事も出来ないのだ。
 葵が気に食わないから離縁すべし、などと非常識なことを兄に対して言えるわけも無い。
 稽古に顔を出し、兄をぶちのめしたのは、そんなどうしようもない、やり場の無い怒りを直接本人にぶつけてやりたかったからだ。
 無論、そんな手酷い悪戯は、その日限りにするつもりだった。
 だが、道場の床に横たわって泥のように喘ぐ兄を見て、桔梗は考えを変えた。
 
 又十郎が兄である以上、そして桔梗が妹である以上、妹が兄に女として認めてもらう事など絶対に不可能だ。
 ならばどうする。
 取るべき道は一つしかない。
 女として兄の隣に立つことを許されないならば、剣士として隣に並び立つしかない。いかに葵が、公的に認められた又十郎の妻女であるとはいえ、剣の世界にまで葵が侵入してくる事はまずありえない。しょせん葵はただの女でしかないからだ。
 しかも兄はただの侍ではない。剣術指南役――楯山藩三万石の明日の剣壇を担う男なのだ。いざとなればすべてに剣を優先せざるを得ない立場にある者なのだ。結果として又十郎のわざが向上するなら、誰も桔梗の行動に文句をつけることは出来ない。

 とりあえずは兄を鍛えると同時に自分を鍛える事だ。
 桔梗は、眠り続ける兄の頬をそっと撫でた。
 在り得ないとは思うが、もしも兄が剣技に於いて自分を凌ぐことがあれば、桔梗の存在価値は皆無となる。そのためには桔梗自身の腕も常に向上させねばならない。
 桔梗は静かに立ち上がると、ふたたび道場に向かって歩き出した。
482名無しさん@ピンキー:2009/07/16(木) 15:36:51 ID:YP0UNKHh
GJ!
こういう感じの時代劇っぽい話にキモ姉キモウトは
何故かすごく相性がいいように思えてしまう。
続き期待してます!
483代理投下 ◆j3gvf0a2hI :2009/07/16(木) 15:39:33 ID:ZoX3cy2K
59 : 時給650円 2009/07/16(木) 03:44:13 ID:ikHP7qcs

以上です。
願わくばよろしくお願いします。投下終了です。
484代理投下 ◆j3gvf0a2hI :2009/07/16(木) 15:41:08 ID:ZoX3cy2K
すいません、連続投稿に引っかかりました。
以上になります。
なお避難所との文字数制限の違いで一部レスを分割しました
ご了承ください
485名無しさん@ピンキー:2009/07/16(木) 16:14:38 ID:ccwgZFyv
代理投下乙です&作者さんGJ!
これは続き物なんでしょうかね
短編ともとれるような
486名無しさん@ピンキー:2009/07/16(木) 21:35:35 ID:ZgcnUXtb
あ! やせい の プロ が あらわれた!

たたかう
どうぐ
ニア 職人GJ
にげる
腐り姫最高
487名無しさん@ピンキー:2009/07/16(木) 21:37:25 ID:FDj+uyxx
やだやだやだ!キモウトは佳織じゃなきゃやだ!
488名無しさん@ピンキー:2009/07/16(木) 22:10:17 ID:cO3tZfhp
時代小説が好きな自分にも楽しく読めました
続きをお待ちしております。
489名無しさん@ピンキー:2009/07/16(木) 22:45:35 ID:VQ/sRSMN
殴り飛ばしてるだけか そのあとてっきりしゃぶり尽くしてるのかと思ったがw
ともあれ、こういう長文も好みなので、GJ
490名無しさん@ピンキー:2009/07/17(金) 00:21:31 ID:8qGs0ptA
新タイプのキモウトだがかなりいいな。
あっさり兄に手を出さないあたり。

だが腹の底では兄に対する執着は…ゴクリ
491名無しさん@ピンキー:2009/07/17(金) 08:00:28 ID:aJaSQtzH
池波正太郎好きとしては…

一瞬だけ
ほんの一瞬だけ桔梗の剣を越える又十郎を見てみたい


いや、剣の小説じゃないのは分かってるけどさW
492名無しさん@ピンキー:2009/07/17(金) 09:04:34 ID:/ImVgalL
>>491
死ね
493名無しさん@ピンキー:2009/07/17(金) 13:27:42 ID:+mnRCjbw
>>492
?
494名無しさん@ピンキー:2009/07/17(金) 14:25:36 ID:/0CrDjO4
これはいいキモウト
職人GJ
話の展開としては、兄が妹を越えたときに肉体関係がありそうだから、
剣の腕で越えてもいいんじゃないか。
だがヤンデレ覚醒したら妹は無敵だろww
495名無しさん@ピンキー:2009/07/17(金) 15:32:34 ID:rZYCkP5A
そこにある日大火事が起きてだな……
496名無しさん@ピンキー:2009/07/17(金) 17:54:12 ID:W4Pf+JGB
お七の起こした火の中で覚醒するヤンデレって沢山居たんだろうなあ
497名無しさん@ピンキー:2009/07/17(金) 17:55:14 ID:eC4Adwu0
即レスwww
498名無しさん@ピンキー:2009/07/17(金) 20:22:52 ID:U/407UcA
しかし、キモ姉妹となると…

ある程度安定してて人目があった江戸時代よりは戦国以前の方がキモ姉妹には逝きやすそうだ
499名無しさん@ピンキー:2009/07/18(土) 16:49:15 ID:YUPg8YOb
>>498
保管庫の妹姫は読んだか?
500名無しさん@ピンキー:2009/07/18(土) 17:19:45 ID:E0WxBC4K
>>498
姉妹と密通して非人に落とされるって話しがあるくらいだから
実際にやっちゃってたのは居たんだろうと思う
501名無しさん@ピンキー:2009/07/18(土) 18:01:30 ID:tnTBDaeD
>>498
幕末ともなればかなり世の中が混乱していたと思うがなあ。
キモウト提督が来航、「開陳してくださいよ〜」とか。
502名無しさん@ピンキー:2009/07/18(土) 19:12:47 ID:oOHpe/PO
キモウト「兄妹でも結婚できるよにしなサーイ」
キモ姉「いいーでしょー、減るもんじゃなシー」
503名無しさん@ピンキー:2009/07/18(土) 19:49:06 ID:rOPvpwtd
イヤデゴザンス
1 8 5 3年キモ姉妹来航
504名無しさん@ピンキー:2009/07/18(土) 20:39:43 ID:+4Pkq8/G
物語性のない、エロ行為のみのSSは、投下OKでしょうか?
505名無しさん@ピンキー:2009/07/18(土) 20:48:49 ID:Xk+Em/p3
キモ姉、キモウトものならば全然OKさ!
506姉と姉と妹、そしてぼく1/3:2009/07/18(土) 20:57:39 ID:+4Pkq8/G
「じゃあ、あがろっか」
「うん、大ねえ」
ぼくの5つ上の姉(長姉)のことを、いつも「おおねえ」と呼んでいる。
2つ上の姉(次姉)はふつうに「ねえちゃん」といっている。
11歳にもなって、もう姉ちゃんたちと一緒にお風呂に入るのは恥ずかしいけれど、姉ちゃんたちは一緒に入りたがる。
ときどき2つ下の妹も一緒に4人で入ろうとするから、狭いお風呂場で、はだかでぎゅうぎゅう詰めになることも・・・

それでも大ねえと一緒のときは安心する。
姉ちゃんや妹だと、やたらとぼくにエッチなことをしようとするけど、大ねえは普通に体を洗ってくれる。
そして湯ぶねでぎゅっと抱きしめてくれる。だから大ねえと入るのは、嬉しい。
「おおねえ…拭くのは自分でやるよ」
「そう?いいじゃない、じっとしてて」
タオルでぼくを拭くやさしい大ねえの手・・・

「も〜、いつまで入ってるの」
「一緒に入っちゃえばよかったね」
次に風呂に入る姉ちゃんと妹が脱衣所の戸を開けた。
「ごめん、もうあがったよ」
「ちゃんとちんちん洗った?」
「洗ったよ!」
大ねえは、にこにこして、そんなやりとりを聞いている。
507姉と姉と妹、そしてぼく2/3:2009/07/18(土) 20:59:25 ID:+4Pkq8/G
妹とぼくは同じ部屋だ。妹を夜更かしさせるわけにはいかないから、宿題は早めに片付けて寝る支度をする。
歯を磨きにいってた妹が戻ってきた。
「じゃあ、寝ようか」
「ふふ、ちょっとだけ、ね」
「エッチなことはだめ」
「エッチなこと、じゃなくてオナニーっていうんだよ、おにいちゃん」
「・・・」
妹は、幼稚園くらいの頃から、そういうことをしている。なぜかぼくの前でやりたがるから困る。
いくら小さな妹とはいえ、ぼくの目の前で、はだかの女の子が自分の指をあそこにあてがっているなんて。
でも姉ちゃんに相談すると、むしろ嬉しそうに自分もやりはじめる。そのうち大ねえに聞いた方がいいかもしれない。
「…ぁ…ぁ…ぁんっ・・・ぁあ」
そんな妹や姉ちゃんのオナニーを見ていて、最近ぼく自身が、すこし変化しているのに気づいた。
なにか、こう、とてもいやらしい気持ちになっている。ぼくも、エッチなことをしてもいいのかな?
「いいんだよ。一緒にしようよ」
気がつくと姉ちゃんが後ろにいた。やっぱり裸で、もう指で自分のあそこから糸を引かせている。
「ほら、おっきくなってるじゃない」
「あっ、だめだよ」
という間もなく、ぼくの寝巻が脱がされて、かたくなったちんちんが握られてしまった。
「きもちいいでしょう?」
「・・・」
「私があの子をエッチにしたと思ってるでしょう?でも逆なんだよ」
「逆って?」
「私が仕込まれたんだから。姉と兄をエッチにするなんて、悪い妹だね」
「・・・」
「でも、一番エッチなのは、本当は、おおねえ、なんだよ」
508姉と姉と妹、そしてぼく3/3:2009/07/18(土) 21:01:11 ID:+4Pkq8/G
「えっ」
そのとき、ぼくの目の前におしとやかで綺麗な顔があらわれ、唇をふさいだ。
「そうなの。ずっと、ずっと弟とエッチになりたいと思ってた悪い姉は、私なの」
「おおねえ…」
「おおねえは、毎晩キミのことを想ってオナニーしてるんだよ」
「…ふふっ、オナニーじゃ終わらないときもあるわね」
「3人であそこを舐めあってたりするんだよ。でも姉と姉と妹が、ずっとエッチしたかったのは弟なんだよ」
何も言えないぼくに微笑む大ねえが、顔を下に向けて、ぼくのちんちんを見つめた。
「もう、我慢できないわ…」
「…あっ」
いつもやさしくて綺麗な大ねえが、ぼくのちんちんを咥えた。
はじめてのことに気が動転したぼくは、全身が熱くなった。
いけないこと、だとは思うけど、でも気持ちいい。気持ち良すぎて、何も考えられない。
妹と姉ちゃんは2人で触りあいながら、じっと見ている。
なにか、足の付け根に変な感じがして・・・
「…!」
なにかがちんちんから出た。と同時に、ぼくは力が抜けて、腰が砕けたように動けなくなった。
ちゅうっという音をたてて、大ねえがなにかを飲み込んで、そしてちんちんを口から離した。
「精通、しちゃったね」
(せいつう?)どうしたのかもわからず、ぼくは大ねえに抱かれた。
大ねえは、口に少し残っていた、さっきぼくが出したなにかを、掌に出した。
「これがせいえきよ。初めてをもらっちゃった」
白くてどろっとしたそれを、大ねえは口に含み、ぼくに口移しで飲ませた。
「これから、4人で、ずっとエッチなことをしよう」
姉ちゃんたちと妹とぼくは、かわるがわる抱き合いながらキスをして、そのまま・・・
509姉と姉と妹、そしてぼく:2009/07/18(土) 21:02:17 ID:+4Pkq8/G
以上、初心者の駄作でした。お笑いください。
510名無しさん@ピンキー:2009/07/18(土) 21:21:22 ID:wgaGSxI5
ちょ、いいとこで切りやがってw
511名無しさん@ピンキー:2009/07/18(土) 22:01:07 ID:j/QiEioN
なんという生殺し。しかし、GJ。
512名無しさん@ピンキー:2009/07/18(土) 23:58:03 ID:+XXc1cZR
亀レスもいいところだが>>503
座布団二枚持っていってくれ
513勇者とその兄(投下宣言):2009/07/19(日) 07:50:32 ID:yKZirqPO
携帯からの投下でスマソ
メモ帳機能の制約で1レスが最大でも20行程度の細切れ……
で、全16レスです
ファンタジーもの
女勇者と、その兄の話
ギャグ無しエロ無し呪殺あり
では、どぞ↓
514勇者とその兄 1/16:2009/07/19(日) 07:54:18 ID:yKZirqPO
 周到に計算された組合せだったのだと、デイルは後になって理解した。
 戦士(男)と魔術師(女)。僧侶(男)と盗賊(女)。
 そして万能型の魔法剣士(女)。女が一人余る五人編成の冒険者パーティー。
 いや、余っているわけではない。
 魔法剣士には──シェリンには、初めから心に決めた相手がいたのだから。
 デイル──実の兄という。
 
 
「──いやァ、ホンマにウマいわァ、この魚のパイといいサラダといい」
「……ええ、美味しい……」
「なるほど、シェリンさんがいつも自慢するだけのことはあります」
「自慢というか、ほとんどノロケ話だよねっ♪」
 テーブルを囲んだ仲間たちの賞賛に、シェリンは得意満面だった。
「でしょでしょ? 宮廷料理人だった父さんから受け継いだ技に、この土地の食材に合った工夫を加えて」
 台所でシチューの鍋をかき回すデイルの背を、ちらりと見やり、
「ここでしか食べられないところに意味があるのよ。これは兄さんの受け売りだけど」
「俺というより親父の、な」
 デイルは皿に盛りつけたシチューをテーブルに運んだ。
 五人前を一度には運べないので二人分ずつ。
515勇者とその兄 2/16:2009/07/19(日) 07:57:29 ID:yKZirqPO
「土地に合わせた工夫も親父がしてきたことだ。俺はそれを真似ているに過ぎない」
 デイルは一見すれば戦士のように逞しい長身の男だ。
 だが、彼は生まれ育った村で父から受け継いだパン屋を営んでいる。
 ときどき村人から請われて父譲りの料理の腕を披露することもあるが、それを稼業とはしていない。
 旅人が訪れることが稀な小さな村なので料理店という商売は成り立たないのだ。
 シェリンの生まれ故郷でなければ、冒険者の一行がこの村へ立ち寄ることもなかったであろう。
「ええなァ、これぞ職人って感じやわァ」
「……シチューも美味しい……」
「故郷の村自慢にお兄さんの料理自慢。シェリンさんからいつも聞かされてるんですよ」
「おノロケそのまんまにねっ♪ ほかのどんなイケメンに迫られても相手にしないのにさっ♪」
「中身のない男には興味ないもの」
 シェリンは言って、にっこりとした。
「冒険者としては私のほうが上だし、男としては兄さんのほうが上よ、そこらの有象無象どもなんて」
「俺にとってもシェリンは自慢の妹だが……」
 デイルは言う。
「そろそろ身を固めてほしいとも思っている。冒険者同士の結婚は珍しいことではないのだろう?」
516勇者とその兄 3/16:2009/07/19(日) 08:01:58 ID:yKZirqPO
「結婚なんてまだ早いわ。だいいち相手がいない」
 口をとがらせるシェリンに、デイルは首を振り、
「守るべきものができたほうが冒険者としても強くなれるんじゃないか」
「相手がいないと言ったでしょ。一生のことに妥協はできないし」
「まァま、お兄さん」
 冒険者仲間たちが口を挟む。
「ワシらかて決めた相手がおらんワケやのゥても結婚まではまだ先のコトと思うとるし」
「……ええ……」
「シェリンさんは優れた冒険者であるだけでなく女性として魅力的です。いずれ相応しい相手が現れますよ」
「そうそっ♪ 今度はお兄ちゃんじゃなくて素敵なダーリンのおノロケを聞かされることになるのさっ♪」
「……だったらいいが」
 釈然としない様子のデイルに、冒険者たちは、くすくす笑う。
 シェリンも兄を見て、にこにことただ微笑んでいた。
 
 
 冒険者たちに母屋を明け渡し、デイルは納屋で寝ると申し出た。
 シェリンも一緒に納屋に泊まると言ったがデイルは拒んだ。
 母屋に寝室は二つ。それぞれ二人ずつ寝て、シェリンは余りの毛布を使って食堂で寝ればいい。
 そう勧めるデイルに、シェリンは不満顔だった。
「なら、兄さんも食堂で寝ればいいじゃない」
517勇者とその兄 4/16:2009/07/19(日) 08:05:00 ID:yKZirqPO
「俺はパンの仕込みで朝が早い。お前は久しぶりの実家だ、ゆっくり休ませてやりたい」
「兄さんを納屋で寝かせて、ゆっくり眠れるわけないでしょ」
「どんな状況でも眠るべきときに眠れなければ一流の冒険者とは言えないんじゃないか?」
 デイルにそこまで言われてしまうと、シェリンは反論できない。
 だが、冒険者仲間がそれぞれの寝室へ分かれたあと、シェリンは納屋へデイルを訪ねて行った。
 藁束を床に敷いて寝床を作っていたデイルは呆れて、
「お前は食堂で寝ろと言ったろう?」
「寝る前に少し話をするくらい、いいでしょう? 久しぶりに兄さんと会えたんだもの」
「少し、だぞ。俺は朝が早い」
「わかってるわかってる」
 シェリンは藁束の上に腰を下ろすと、ぽんぽんと自分の横の藁束を叩き、にっこりとする。
 デイルはため息をつき、シェリンと並んで腰を下ろした。
「勇者シェリンとその一行……お前たちの噂は、この村にも伝わってくるぞ」
 デイルが言うと、シェリンは「あはっ!」と声を上げて笑った。
「勇者だなんて、私たちの冒険の半分は賞金が目当てなのに」
「だが、残りの半分は人助けだろう」
「いいえ、スリルを求めよ」
518勇者とその兄 5/16:2009/07/19(日) 08:08:30 ID:yKZirqPO
「お前は昔からそうやって悪ぶるところがあった。本当は優しい奴なのに」
「ねえ、兄さん」
 シェリンはデイルを見つめて、言った。
「そろそろ、いいんじゃないかしら。母さんが亡くなって一年たったわ」
「……何の話だ?」
「父さんが早くに亡くなっていなければ、母さんも父さんも兄さんが旅に出るのを許してくれた筈」
「冒険……か。いまさら、だな」
 苦笑いするデイルを、シェリンはじっと見つめたまま、
「何を始めるにしても遅すぎるということはないわ。父さんの口癖だったでしょ」
「親父は四十まで独り身だったが、お袋と出会って宮廷料理人の地位を捨て、二人でこの村へ来た」
「空気と水と土に恵まれたこの村に、ね。慣れない手に鍬を握って、自分で育てた麦でパンを焼き」
「よく聞かされた親父の自慢話だ」
 微かに笑うデイルに、シェリンもくすくすと笑い、
「そのおかげで胸を病んでいた母さんは健康を取り戻して、兄さんと私を産んでくれたのよ」
「そういう生き方もあるということだ。名誉よりも家族のためという生き方が」
 デイルはシェリンの顔を見た。
「明日、話そうと思っていたが……俺は来月、結婚する」
519名無しさん@ピンキー:2009/07/19(日) 08:10:04 ID:eq//dju0
シエン
520勇者とその兄 6/16:2009/07/19(日) 08:12:08 ID:yKZirqPO
「え……」
 シェリンの笑みが凍りついた。
「兄さん、何て……」
「相手は風車番の娘のフィニスだ。子供の頃よく一緒に遊んで、お前も知ってるだろう」
「知って……るけど……」
「親父とお袋が死ぬまで暮らしたこの村に、俺も骨を埋める覚悟ができた」
「ちょ……待って、それおかしいわよ、兄さん……」
 動揺した様子のシェリンに、デイルは怪訝に眼を眇め、
「おかしいって、何が?」
「兄さんは母さんが亡くなったあと、古い言い方をすれば『喪に服す』意味で村に留まったんでしょ?」
 シェリンは笑顔をひきつらせて言う。
「なのに、来月にはもう結婚って、そんなのおかしいじゃない……」
「結婚はお袋が亡くなる前から相談していたことだ。無論、お袋も賛成してくれた」
「何よ……何よ、それ……そんなの聞いてない……」
「お前にも知らせるつもりだった。だが話がまとまってすぐ、お袋の容態が悪くなったんだ」
「母さんのお葬式には私も帰って来たじゃない!? そのときだって、兄さんは何も……!」
「葬儀の場でするような話じゃないだろう」
 デイルは言って、ため息をついた。
521勇者とその兄 7/16:2009/07/19(日) 08:17:03 ID:yKZirqPO
「それに、あのときお前は俺を旅に誘うことばかり熱心で、結婚の話を持ち出せる状況じゃなかった」
「私はッ! 兄さんとッ! 旅に出るのがずっと夢だったッ……!!」
 シェリンは声を荒らげて立ち上がった。
 デイルに向き直り、眼を吊り上げて顔を朱に染め、
「兄さんもそれが望みだった筈ッ!! 冒険者になって資金を稼ぎッ、いずれ自分の料理店を開くってッ!!」
「人にはそれぞれ役割というものがある」
 デイルは努めて穏やかに言った。
 兄の結婚話に、ここまでシェリンが激昂する理由はわからない。
 フィニスならシェリンも知らない仲ではないし、祝福してもらえるものと思っていたのだ。
 自分の預かり知らぬところで話が進んでいたことに拗ねているのだろうか。
 それにしては尋常ではない怒り方だが……
「お前は勇者として多くの人間を助けられる。だが、俺は剣術は並みの技量だし魔法の心得はない」
「私にとっては兄さんが勇者よッ! 私の剣術は兄さんから教わったんだからッ!!」
「いまでは実戦で経験を積んだお前のほうが上だろう。そんな俺でも身近な相手を守ることだけはできる」
522勇者とその兄 8/16:2009/07/19(日) 08:30:24 ID:yKZirqPO
 デイルは立ち上がり、シェリンと向かい合った。
 そうすれば頭一つ分、デイルのほうが長身である。
「お袋が倒れてからフィニスは毎日、パンの工房や家事を手伝ってくれた。お袋も感謝していた」
「私が家にいれば私が母さんの世話をしたッ! 赤の他人のフィニスに頼らなくてもッ!!」
「お前は勇者だ。お前にしか果たせない役割が他にあるだろう」
 デイルはシェリンをまっすぐ見つめ、
「それにフィニスはもう他人ではない。俺の許嫁だ」
「…………ッ!!」
 シェリンは、ぎりりと音が聞こえそうなほど歯を喰いしばり、握った拳を震わせた。
「……兄さんはッ! 私よりもッ……!!」
「シェリン……」
 デイルは寂しげな顔で首を振り、
「……お前は俺の結婚に反対なのか?」
「反対ッ!? ええッ、反対よッ!!」
 シェリンは叫ぶ。
「兄さんは自分の役割を果たしてないものッ!」
「俺の役割?」
「……父さんは母さんと一緒になるため宮廷料理人の地位を捨てた」
 不意に落ち着いた声音になり、シェリンは言った。
「でも、それは宮廷料理人として一度は名を成したから許されたこと。父さんは自分の役割を果たしたの」
523勇者とその兄 9/16:2009/07/19(日) 08:33:39 ID:yKZirqPO
「違う、そうじゃない。名誉を求める以外の生き方を親父が見つけたから……」
「いいえ、そうなのよ」
 シェリンは言って、にっこりとした。
 その笑顔を見て、何故だか背筋がざわつくのをデイルは感じた。
「父さんが兄さんに料理の技を伝えたのは何のため? この村でパン屋を続けるだけなら必要ないのに」
 シェリンは言う。
「剣の稽古を許してくれたのは何故? 一生この村から出ないで過ごすなら必要ないのに」
「確かに俺は冒険者を目指したこともあった。将来、自分の料理店を開く資金稼ぎのために」
「父さんも応援してくれた夢よ。兄さんはそれを諦めるの? 父さんの期待を裏切るの?」
「親父ならわかってくれる筈だ」
「何を? 父さんから受け継いだ料理の技を埋もれさせることを? 兄さんの我がままで?」
「俺たちよりも、お袋のほうが親父のことはわかってる。そのお袋がフィニスと俺の結婚を喜んでくれた」
「母さんが知ってるのは宮廷料理人の地位を捨てたあとの父さんでしょう? そんなの父さんの一部分だわ」
 シェリンは、あくまで笑顔だった。笑顔のままデイルを責めたてた。
524勇者とその兄 10/16:2009/07/19(日) 08:37:04 ID:yKZirqPO
「この小さな村の中だけで生きてる母さんや兄さんにはわからないことがあるのよ」
「何がだ?」
「父さんが宮廷料理人の地位を手に入れるまでの努力を。私が勇者と呼ばれるようになるまでの苦しみを」
「…………」
 口をつぐむデイルに、シェリンは言葉を続ける。
「私は魔法の才能だけは兄さんよりもあった。だから頑張って勉強したわ。兄さんの手助けをするために」
「きっかけは俺のためかもしれない。だが、いまのお前は国中に知られた勇者として……」
「それだけの苦労をしたもの。でも全ては兄さんと一緒に旅をするため。兄さんにお店を開いてもらうため」
 シェリンは微笑みながら小首をかしげてみせ、
「私、兄さんの料理が好き。料理を作ってる兄さんも好き。だから頑張れるのよ、兄さんのために?」
「……お前の気持ちはわかった」
 デイルは、ため息まじりに言った。
「俺と一緒に旅をするのを楽しみにしてくれていたなら済まないと思う」
「だったら」
「だが」
 デイルは語気を強め、シェリンの反駁を抑え込む。
「結婚は決めたことだ。フィニスを一年も待たせた。これ以上、先延ばしはしない」
525勇者とその兄 11/16:2009/07/19(日) 08:42:28 ID:yKZirqPO
「そう……わかった」
 シェリンは眼を伏せ、黙り込む。
 デイルも口をつぐんでいると、やがてシェリンは吹っきれたように笑顔を見せた。
「そこまで言うなら反対しない。兄さんが頑固なのは知ってるし、嫌われたくないもの大好きな兄さんに」
「……済まない」
 頭を下げるデイルに、シェリンは「いいのよ」と笑顔で首を振る。
「でも、覚えておいて。勇者シェリンのパーティーは六人編成なの。兄さんの気が変われば、いつでも歓迎」
「ああ……そうならないようにするつもりだが」
 デイルの返答に、シェリンはただ笑顔のまま頷いた。
 
 
「──フィニスさん」
 翌日、デイルがパン工房で仕事をしている間、シェリンは兄には何も告げずに彼の婚約者を訪ねた。
 風車小屋から出て来たフィニスは鼻の頭に小麦の粉をつけたまま屈託なく笑ってみせた。
「やあ、シェリン! 勇者様のご帰還だね!」
 村外れの丘の上に建つ風車はフィニスが父親とともに番をしている。
 風車の役目は小麦など穀物の粉を挽くことだから、パン屋のデイルとの接点は多いわけである。
「兄さんから聞きました、婚約のこと」
 にこにこと笑顔を見せながらシェリンは言った。
526名無しさん@ピンキー:2009/07/19(日) 08:53:26 ID:kInAQMyI
フィニスさん逃げてぇぇ!
527勇者とその兄 12/16:2009/07/19(日) 09:10:32 ID:yKZirqPO
「ああ」
 フィニスは苦笑いして、
「その話のときはボクも同席したいと言ったのに、デイルってば何でも勝手に進めちゃうんだから」
「じゃあ……やっぱり兄さんと結婚したいということですね?」
 シェリンが笑顔のまま念を押すように訊ねて、フィニスは吹き出し、
「もちろんボクはそのつもりだけど……何だい? ボクの気が変わってないかデイルが心配してた?」
「兄さんもフィニスさんと結婚する気でいますよ。だから確かめておきたかっただけです」
「確かめる?」
 小首をかしげるフィニスに、シェリンはそれ以上は説明せず、小さな革袋を差し出した。
「これ……袋の中に」
「何だい?」
「御守りみたいなものです。結婚式の日まで、兄さんの眼には触れないように身に着けて下さい」
「いま開けても?」
「ええ、できれば着けたところを見せて下さい」
 フィニスは革袋の口を開け、中に入っていたものを掌の上に落とした。
 ペンダントだった。涙滴型の水晶に金の鎖がついている。
「綺麗……冒険で見つけたお宝かい? これをボクが受けとっていいの?」
「そのつもりで渡したんですよ」
「こんなに素敵なアクセサリー、ボクに似合うかな……?」
528勇者とその兄 13/16:2009/07/19(日) 09:13:51 ID:yKZirqPO
 フィニスは照れ笑いしながら嬉しそうにペンダントを首に下げた。
「どうだろう……?」
「よく似合いますよ」
 シェリンは、にっこりとして、
「くれぐれも結婚式まで兄さんの眼に触れないようにして下さい。御守りの効果がなくなりますから」
「わかった、服の中に下げるようにする。でも結婚式のあとはデイルに見せても? せっかく素敵だから」
「それはお任せします」
「ありがとうシェリン、本当に……素敵な贈り物で祝福してもらって」
 幸せそうに微笑むフィニスに、シェリンも笑顔で答えて言った。
「どういたしまして」
 
 
 フィニスと別れて、シェリンは風車の建つ丘から道を下っていく。
 すると丘の麓に冒険者仲間のうち二人──女魔術師と盗賊娘が待っていることに気づき、
「あら……どうしたの? 男性陣の二人は?」
「……猪を狩りに……」
「畑を荒らす猪がいると村の人から聞いて、張りきって捕まえに行ったよっ♪ まるで子供だねっ♪」
「そうね。男の人たちなんて……」
 くすくす笑うシェリンを、女魔術師が、じっと見つめている。
 シェリンは微笑みながら訊ねた。
「なあに、どうしたの?」
529勇者とその兄 14/16:2009/07/19(日) 09:16:55 ID:yKZirqPO
「……《エルフの涙》……」
 女魔術師は口を開いた。
「……呪いのアイテムが手元から消えれば、わたしは感じるから……」
「渡したわ。兄さんの婚約者へ」
 笑顔のままでシェリンが答え、女魔術師は僅かに眉をしかめる。
「……渡した……?」
「ええ。素敵なアクセサリーだと喜んでくれた。肌身離さずに着けてくれるみたい」
 シェリンは、くっくっと声を上げて笑いだし、
「八つ裂きにされて死んだエルフの末期の涙の結晶を、素敵なアクセサリーとはね。知らないって怖いわ」
「……わたしは、あなたに借りがある……」
 女魔術師が言った。
「……弟を傷つけずに記憶を封じることは、黒魔術師のわたしにはできなかった……」
「忌まわしいことは忘れさせてあげたほうが幸せでしょ?」
 シェリンは言って、にっこりとする。
「泥棒エルフが一匹、眼の前で八つ裂きになって死んだとか、愛する女性が実の姉だったなんて、ね」
「……わたしが浅はかだった……あのエルフを殺すのは、弟の見ていないところでするべきだった……」
「済んだことよ。あなたは大事な冒険仲間、貸し借りなんて気にしないで」
530勇者とその兄 15/16:2009/07/19(日) 09:21:17 ID:yKZirqPO
「……ええ、だからわたしも……あなたが《エルフの涙》をどうしようが気にしない……」
「女の友情ってヤツだねっ♪」
 盗賊娘が、くすくすと笑いながら言った。
「あるいは利害の一致かなっ? 道ならぬ恋に生きる者同士のねっ♪」
「あなたは最初から、お兄さんと相思相愛のくせに」
 シェリンが揶揄するように言うと、盗賊娘は、ぺろりと舌を出し、
「あたしたちを引き離そうとした両親を魔物の仕業に見せかけて始末できたのはシェリンのおかげさっ♪」
「愛し合う二人の仲を裂こうとした無粋な人たちが報いを受けるのは当然でしょ」
「お兄ちゃんが知ったら大変だけどねっ♪ あたしたちの関係が親にバレてたことすら知らないからさっ♪」
「愛ゆえの行ないに罪はないのよ。二人が幸せになることで全て赦されるの」
 シェリンは言って、にっこりとした。
「そうよ……この小さな村で一生を終えるより、私と一緒に旅をするほうが、よほど幸せだわ兄さんは」
 
 
 勇者シェリンの一行が新しい冒険を求めて、村を出発してから数日後──
 結婚を目前にしたフィニスが、何故か人が変わったようになったと村人たちが噂し始めた。
531勇者とその兄 16/16 完:2009/07/19(日) 09:26:40 ID:yKZirqPO
 態度が冷たくなった。
 挨拶をしても返事がない。
 仕事を頼むと面倒くさそうな態度。
 粉に挽いてもらうために渡した麦の量に比べて戻って来た小麦粉が少ない。量を誤魔化してないか?
 等々……
 噂はデイルの耳にも入り、心配した彼は風車小屋を訪ねて、フィニスに言った。
「何か悩みでもあるなら、俺に聞かせてくれ」
「何を言ってるんだい? デイルまでボクが変だと言うのか!? 帰れよッ! 帰ってくれッ!!」
 結婚生活への不安で情緒不安定になっているのだろうか。
 フィニスの親は結婚を延期することを提案してきて、デイルも同意した。
 それが逆効果だったか、フィニスは親に暴力を振るうまでになった。
「パパもママもッ、デイルもッ! みんな……みんなボクの敵だッ!!」
 もはや誰の眼にもフィニスの異常は明らかだった。
 そして、結婚式を挙げる筈だった日の朝。
 フィニスは、風車小屋の挽き臼に自ら頭を突っ込み、頭蓋を砕かれて死んだ。
 
 
 婚約者を無惨なかたちで失ったデイルは、パン屋を閉めて家に閉じ籠もった。
 彼が故郷の村を離れて勇者シェリンの一行に加わるのは、それから間もなくのことである──
【終わり】
532名無しさん@ピンキー:2009/07/19(日) 09:28:31 ID:kInAQMyI
リアルタイム遭遇

なんっ…と気持ち悪い妹だ。GJ。
まさかRPGキモウトが来るとは……現実とちがってファンタジー要素がある世界ではキモ姉妹は無敵だなwww
533勇者とその兄(投下終了):2009/07/19(日) 09:31:47 ID:yKZirqPO
支援してくれた方、どうもです
きっとデイルお兄さんは勇者な妹さんと幸せになることでしょう
(妹が何をしたか知らない限り……)
534名無しさん@ピンキー:2009/07/19(日) 10:01:43 ID:hs1SSW77
考えていたネタ(女勇者×兄)を先に使われてしまったorz…だがGJ!!
なんてキモ姉&キモウトな勇者御一行www
こんなパーティに倒される魔王が居たとしたら、心底報われないなwww
535名無しさん@ピンキー:2009/07/19(日) 10:14:28 ID:f60/dATK
>>509
なにをおっしゃる充分キモい姉妹だよGJ!
今度はエロ描写だけなんていわず、長いドラマの話も期待しています。

>>533
勇者一行と見せかけてキモ姉妹組だったのか。
この流れだとパーティーの男性陣って、まさか……?
それと「エルフの涙」って、廃品(戦利品)利用のような気がしてきた。
ともかく、ファンタジーキモウト、GJでしたっ!

携帯で投下するなら、「メモ帳」よりは「メール作成」でメール本文に書き溜めたほうが楽なんだぜ?
保存できる文字数が段違いだし、保存したメールに、適当にタイトルがつけられて管理しやすいし。
自分もいま現在、携帯しか投下ツールがないから、メール機能には世話になってます。
536名無しさん@ピンキー:2009/07/19(日) 10:44:22 ID:eri5aL8z
iアプリなんかでフリーのテキストエディタもあるでよ
537名無しさん@ピンキー:2009/07/19(日) 10:49:49 ID:lh+/LW1Q
>>536
横からだけど、どこにある?
538名無しさん@ピンキー:2009/07/19(日) 10:55:10 ID:eri5aL8z
ttp://moji.main.jp/blog/
検索すればすぐだけどねw

行ごとの入力にちと癖があるんだけど
これとSH-04Aみたいなスマートフォン系と合わせれば
まぁ普通の携帯だけの状況と比べれば
立ちながらでも文章を打つ気ぐらいは起こせるよ
539名無しさん@ピンキー:2009/07/19(日) 11:23:22 ID:yKZirqPO
うちauだわな(´・ω・`)
eメールをメモ帳代わりに使うのは良い手かも
というか何故それを思いつかなかった俺……
540名無しさん@ピンキー:2009/07/19(日) 12:29:29 ID:lBeUDmRk
>>539
ただ自分のPCへの転送は気をつけろよ。

エロネタを間違えて自分の妹に送ってしまい、精神的に死んだ俺からのアドバイスだ…
541名無しさん@ピンキー:2009/07/19(日) 12:51:49 ID:vrE2PzRD
>>532
死ね
542名無しさん@ピンキー:2009/07/19(日) 13:00:25 ID:yKZirqPO
>>540
そのエロネタとやらがキモウトネタだった日には……!!
543名無しさん@ピンキー:2009/07/19(日) 13:36:35 ID:qHkp4vMX
フラクタルと桜の網まだかな
544名無しさん@ピンキー:2009/07/19(日) 16:07:45 ID:D1wM9/Pk
>>531
ファンタジーとキモウトの融合・・・すばらしい。
GJ
545名無しさん@ピンキー:2009/07/19(日) 21:16:24 ID:lBeUDmRk
>>542
幸か不幸か姉萌スレのネタだったんだが。
事あるごとに「妹で悪かったわね」といびられる……
これ以上はスレチなので自重する。
546長編『あまいあね』(仮)第2回 ◆6AvI.Mne7c :2009/07/19(日) 22:55:30 ID:f60/dATK
元ネタが先に使われたので書かない&投下しないみたいな旨を、いちいち報告されても。
 それでも作品投下してから「かぶった」なら、まだ聞かされる側も納得できるけど。
事前のレスとかを参考にネタ練ってる輩としては、諦めずに作品を完成させて投下して欲しいです。

……なんか変なテンションと共に、長編の続きを投下します。
タイトルは「あまいあまいあねのおかし」。大体19.5KB。
前と同じく甘え描写と、今回は厨二病及び戦闘描写に注意。

次レスより投下。7レス借ります。投下終了宣言あり。
547あまいあまいあねのおかし (1/7) ◆6AvI.Mne7c :2009/07/19(日) 22:58:07 ID:f60/dATK
 
「せっか〜いで〜いち〜ばんっお〜ね〜え〜さ〜まっ♪」
 鼻歌を歌いながら、わたしはお皿にレタスを盛り付ける。
 朝食の準備は完璧。今日はお弁当の要らない日なので、朝の準備はこれでおしまい。
「……さあて、そろそろ寝ぼすけな静二くんを起こさなくちゃ♪」
 
 まだぐっすり眠っている静二くんの部屋に、こっそり侵入する。
「……静二くぅん、もう起きてる――わけないよね?」(こそこそ)
 静二くんは朝が弱い。目覚ましじゃ全然起きられない。
 まあだからこそ、朝はずっとわたしのターンなんだけど。
「……今なら抱きついても、あまり抵抗されないかな?」
 ああでも、こないだの放課後、ついやり過ぎて気絶させちゃったしなぁ。
 最近は抱きつくのも、ある程度自重してたんだけどなぁ……。
 ううん、自重してるから今は我慢できないのかも。
「……うう、なんだかウズウズしてきたぁ?」
 とりあえず衝動を抑えながら、わたしは静二くんの寝顔を眺める。
 わたしの愛しい弟、静二くん。わたしの大切な弟、静二くん。
 わたしに優しくしてくれる静二くん。わたしを救い出してくれた静二くん。
「……うん。やっぱり、ガマンデキナイ――」
 自分でどんな言葉を呟いたかもわからないけれど。
 わたしは考えることを放棄して、眠っている静二くんに抱きつき――
 自分の唇を、眠っている静二くんの、柔らかそうな唇に近付けて――
「……んん、うぅ……ん!?」
「……あ、起きた。おはよう静二くん♪」(ぎゅ〜〜)
 残念、静二くんが起きちゃったみたい。キス計画大失敗。
 
「……何やってんだよ姉さん?」
「……何って、抱きつこうとしてたの」(ぎゅ〜〜)
「……ん〜っと、『嘘だっ!?』と言えばいいの?」
「……なんで、そう思うのかな? かな?」(ぎゅ〜〜)
 そんな会話を交わしながらも、わたしは静二くんから離れない。
 静二くんは身を捩って、わたしを剥がそうとしているんだけど。
 静二くんから離れるだなんて、とんでもない! というかもったいない。
「……姉さん、いまボクの寝込みを襲って、キスしようとしてたでしょ?」
「……別に、抱きつきたかっただけだよ? どこにそんな証拠があるの?」
「……これだけ顔を近づけておいて、キスじゃないって、誰が信じるの?」
「……うん、ばれたらしょうがないよね? じゃあ静二くん、キスを……」
「や・め・ん・かああああああああぁぁぁ!?」
「きゃん!?」
 強引にキスをしようとしたところで、全力で静二くんに引っぺがされた。
 そしてそのまま、静二くんのベットの横――床に落とされる。
「いった〜い……。なにするのよ静二くぅん……」
「それはこっちの科白だあああぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」
 
――朝から元気な静二くんの絶叫は、今日も町内に響き渡った。
548あまいあまいあねのおかし (2/7) ◆6AvI.Mne7c :2009/07/19(日) 23:00:42 ID:f60/dATK
 
 その日は1学期最後の終業式の日だったので、午後には帰宅できた。
「……ま、待ってよ静二くぅん……。無視しないでよぅ……」(ぷるぷる)
「……はいはい、もう怒るのも飽きたから、一緒に帰ろう?」
 そう言って、わたしに向かって片手を差し出してくる静二くん。
 もちろんわたしは、その手の平に自分の手を絡めて、隣に並ぶ。
 やっぱり静二くんは、世界で一番優しくて素敵な男の子だ。
「まったくもう、何を考えてるんだよ姉さんは。
 あのままボクが起きなかったら、冗談抜きで危なかったよ……」
「? 危なかったって、何が? ねえ、何が危険だったの?
 別に静二くんとの――実の弟とのキスって、危なくないよね?」
 わたしがそういうと、静二くんは急に全身を硬直させた。
 歩いている途中に止まられると、わたしも転んじゃうよ、静二くん?
「……あのさ姉さん、いまナチュラルに、ボクとのキスを話題に出したよね?
 まさかとは思うけど、姉さん今まで寝ているボクに、勝手にキスとかした?」
 なぜか震えている静二くんから、そんな質問が飛び出してきた。
 なんだか黙っていたほうがよさそうだけど、質問には答えないといけないよね?
 そんなことを思いながら、わたしは一番の笑顔を心がけながら、答えてあげた。
「……うん、もちろん何度もしたことあるよ?
 だって寝ている静二くんは抵抗しないし、寝顔が可愛いんだもん♪
 わたしじゃなくったって、ついついキスとかしたくなっちゃうもの♪」
 他の女の子のキスなんて、わたしが絶対に阻止するけどね。
「……………………うあああぁぁぁ」(へなへな〜)
 わたしが話している最中に、突然唸り声をあげながらその場にへたり込む静二くん。
 ちょっとその態度は失礼じゃないかなあ、と思うけど、なんか可愛いから許す。
「……もう、そんなに落ち込まなくてもいいじゃない?」
「あのさぁ――いや、もう何も言わないでおくよ」
 なんでなのかわからないけれど、呆れ果てた声を上げる静二くん。
 本当に、静二くんは見ていて飽きないなぁ。
 
「まったく、姉さんもいい加減、ボクに甘えるのを止めようよ。
 姉さんは可愛いんだから、ふつうに彼氏とかつくればいいじゃないか?
 そりゃあボクも寂しくはなるけど――ボクたちは姉弟なんだからさ?」
「ふつうに……? 彼氏……?」 静二くんの何気ない言葉に、今度はわたしが歩みを止める。
 ほんの少しつんのめりながら、静二くんもわたしのほうを振り向く。
「……別に、わたしは『ふつう』なんかじゃないから」
「ね、姉さん……?」
「……わたしの身体のこと、静二くんは全部知ってるでしょ?
 忘れてない? 『アレ』って、便利なだけじゃないんだよ?」
 だからこそ、ありのままを受け入れてくれた静二くんに、わたしは甘えている。
 もうあの頃ほど辛くはないけれど、あの時助けてくれた静二くんは、本物だったから。
 
「……あ、姉さんあれ見て。クレープ屋さんが来てるよ?」
 不意に静二くんの言葉で、わたしは思考の檻から抜け出した。
 どうも、わたしが落ち込んでいると思った静二くんが、気を引いてくれたらしい。
 こういうところで優しさをみせてくれるから、わたしは静二くんが大好きなんだ。
「あのクレープ屋さんの巡回車、久しぶりに見たなあ……。
 姉さん、あそこで苺とかのクレープでも買っていかない?」
 ちょっと楽しそうに言う静二くん。そういや静二くん、甘いものに目が無いんだ。
 でもなんだか、美味しくてもお店のものにばかり気を惹かれるのは――悔しいな。
「……待ちなさい静二くん。今買わなくても、わたしが明日の休みに作ってあげる。
 だから今日はあれを買わずに、早くおうちに帰りましょう?」
「えっ? でも姉さん、クレープの作りかたとか――」
「いいからいいから、姉さんを信用しなさいっ♪」(ぎゅっ)
 まだ何か言いたそうな静二くんの手を握り締め、わたしたちはその場を離れた。
549あまいあまいあねのおかし (3/7) ◆6AvI.Mne7c :2009/07/19(日) 23:02:20 ID:f60/dATK
 
――以上、過去回想おしまい。
 
 長い前振りだったけど、そんな理由で、いまわたしは買い物からの帰りだ。
 買ったのはもちろんクレープの材料。卵に小麦粉に生クリーム他いろいろ。
 レシピなんかは、普通にインターネットで検索したので、特に問題はない。
 それにしても両腕が重い。いつもなら静二くんが、半分持ってくれるのに。
 本当は静二くんも一緒に誘いたかったんだけど、なにか用事があるみたい。
 まあたぶんまた、わたしたちのクラスの担任に呼ばれてるんだろうと思う。
「……わたしと静二くんのデートを邪魔するだなんて、許せないなぁ……」
 思わず物騒なことを呟いてしまったけれど、本当に何かするわけじゃない。
 実際のところ、あの先生にはいろいろとお世話になっているし、感謝もしている。
 わたしが静二くんと一緒に居られるのも、半分はあの先生が動いてくれるおかげだ。
 じゃないと、わたしたちは早々に、あの親類どもに引き離されているはずだから。
 わたしたちと仲良くしてくれる浮雲くんや硝子ちゃんと同じで、嫌う理由はない。
 まあそこまでわかってても、やっぱり静二くんからは離れたくないんだよね。
 だからいつもつい先生を睨んじゃって、また静二くんに怒られちゃうんだ。
 ああでもでも、わたしを睨んでお説教する静二くんって、とっても……
  (長いので中略)
 でも時々静二くんから撫でてくれる時は、すごく蕩けそうな笑顔にな……
  (また長いので中略)
 だから静二くんはまだ、わたしから離れて欲しくなくて……
「……てっ、くだ……いっ!?」
「うるせ……、……ない……オイ?」
 静二くんのおかげで、わたしは今のわたしでいられる……
「やめてください!? 私はいやだって……」
「あ〜ガタガタ言ってねぇで、俺達と遊ぼうぜぇ〜?」
 
「……うるっさいなあ、せっかく静二くんのことを考えてたのに」
 うっかり、ものすごく低い声で、どす黒い呪詛を呟いてしまった。
 そして間の悪いことに、その呟きが聞こえてしまったらしい。
 なにやらうるさかった公園前の男女らに、気づかれてしまった。
「お〜お〜、ここにもカワイコちゃんがいるじゃねえかよ〜」
「おいねーちゃん、オメーもこの女と一緒に、遊ばねえか?」
 そう言いながら、少し離れた位置にいるわたしの所へ、寄ってくる男連中。
 元の場所では、キモイ顔をした男が1人、女の子が逃げないように捕まえている。
 どうやら、男数人で女の子を無理やり、この公園に連れ込もうとしていたらしい。
 確かこの公園は人気がないから――ああ、たぶんそういう意味なんだろうな。
 
「おいおい、聞いてんのかいねーちゃん? 俺らと遊ぼうぜ?」
「あれ? コイツは確か、ウチの学校の『砂糖菓子(シュガーシス)』じゃね?」
「砂糖菓子? なんだそりゃ?」
「聞いたことあるな。確かいつも弟にべったりくっついてるブラコン姉だとか」
「ああ、あのいけすかない1年坊――雨音静二とかいうやつの姉か!」
「雨音静二って、あのわけわからん人気者のクソガキじゃねえか!
 むかつくからソイツ、そろそろシメてやろうと思ってたんだよ俺」
「ひゃはは、そりゃあちょうどいいや。この女も拉致ろうや。
 今からそのガキを呼んで、目の前でこの女で遊んでやろうぜ?
 その後はそいつをボコって遊んで、金を毟り取ってやろうや?」
 
――ぶちぃっ!!
 
 わたしの中で、確かに何かがブチ切れた音がした。
550あまいあまいあねのおかし (4/7) ◆6AvI.Mne7c :2009/07/19(日) 23:04:40 ID:f60/dATK
 
「んあ、なんだ今の音?」
「へ? 俺は何も聞こえなかったぞ?」
 なんだか目の前で、雑魚みたいな男の声がするけど、どうでもいい。
 とりあえず「逃げて」とか叫んでくる女の子の声も、どうでもいい。
「……静二くんを傷つける? ふざけるなこの馬鹿連中。
 静二くんはおまえら風情が、傷つけていい人なんかじゃない」
 そう言いながら、わたしは今の状況を分析する。
 距離は――うん、大丈夫。わたしの間合いで、得意な位置だ。
 アレは――うん、ちゃんとわたしの懐にある。充電も完璧だ。
 手元は――うん、荷物は邪魔だから、とりあえず置いとこう。
「ああ? 何言ってんのオマエ? 狂ったの?
 これから俺たちに可愛がられるのに興奮したの?」
「それとも、逃げられるとでも思っているのか?
 無理無理。オレらの足は速いから、そんなこと――」
 なんだか真面目に聞くのも馬鹿らしくなって、聴覚から意識を外す。
 これだけでだいぶ濁声が聞こえなくなって、心が落ち着いてすっきりする。
 やっぱりわたしの耳に一番心地よいのは、静二くんのやさしい声だ。
 静二くんの存在が、わたしの人生を潤してくれる。だから――
「静二くんを傷つけるなんて言った人たちは、みんな苦しめばいい。
 静二くんはわたしが守る。静二くんはわたしのものだもの……!」
 その言葉を最後に、わたしは目の前の『生肉の的』に向かって駆け出した。
 
 
 突然だけど、ここでちょっとした問題。
 あらゆる武術を習得した、いわゆる近接戦闘の『達人』について。
 そんな存在を正面から1対1で倒すには、一体どのような戦法を用いればいいか。
 
 不意打ちや寝込みを襲う――のはアウト。そんな都合よく隙はないし。
 心理戦や精神攻撃――は効果が出るまでに相手に攻撃されたら終わり。
 毒薬や病の類――は扱いが危険で、相手と同時に自身も害しかねない。
 刀剣や銃器の類――も、飛び道具は軌道が読まれ、近接武器は返り討ち。
 相手を圧倒する質量の攻撃――は、人間である以上、扱える限界がある。
 
 だったら、正面から堂々と、刃物も毒も持たない非力な少女はどう戦うか。
 ちょっと考えたら子供にだってわかる、単純明快なその戦法は――
 
――っぱあああぁぁぁぁん!!
「…………………がはっ!」
 
 不可視にして不可避の――速攻だけ。
551あまいあまいあねのおかし (5/7) ◆6AvI.Mne7c :2009/07/19(日) 23:06:39 ID:f60/dATK
 
 行動から結果まで、時間は1秒もかからない。
――どがしゃあああああん!!
 向こうの塀のゴミ捨て場に、無様に突っ込む不良A。
 完全に気絶していて、起き上がることはなさそうだ。
 というか、起き上がれるわけがない。
 わたしの――軽いとはいえ――全体重をかけた突進による刺突。
 そして刺突に使うのは、わたし愛用の特別製スタンガンなのだ。
 これを無防備な急所に食らって、耐えられる人間はまずいない。
 
「!? な、おい大丈夫か!?」
「な、なんなんだこの女っ!?」
「い、今の動き、マジで見えねえっ!?」
 
 わたしは昔から、特に鍛えてもないのに脚力がすごかった。
 1歩目から最高速に達して、ずっとその速さを維持することができる。
 本気を出せば静二くんから、12時間くらいは逃げ続けられる。
 もっとも、静二くんから離れるのは楽しくないから、普段はそんなことはしないけど。
 そして、その自慢の脚力に加えての、わたしが独自で編み出した直線突進の足運び。
 昔何かの書籍でみた、超加速の足技『爆縮地』と、古代の拳闘術奥義『三歩必殺』。
 この2つを空想して混ぜた、わたしの重量と速度をそのまま威力に変換する加速技――
 1歩目で、静止から最高速まで到達して、相手の視覚から瞬間的に消える。
 2歩目で、体勢を捻り攻撃態勢をとりつつ、重心を傾けてさらに加速する。
 3歩目で、到達と同時に踏み込みを入れて、相手に必殺の一撃を叩きこむ。
 総じて3歩で、相手の懐まで飛び込んで、最大の一撃をお見舞いする我流のステップ。
 名前は特につけていない。わたしにはネーミングセンスがないから、名前はつけない。
 前に近所の野良猫に名前をつけようとして、静二くんに苦笑された悲しい過去がある。
 だから、『砂糖菓子(シュガーシス)』とかいった通り名は、とても大事にしている。
 そのことを静二くんに話したら、『いや、砂糖菓子はないだろ……』と嘆かれたけど。
 
――たっ、たっ、っぱあああぁぁぁぁん!!
「………………ぎゃぼっ!?」
――どぼしゃあっ!!
 混乱しているうちに、不良Bも同様に弾き飛ばす。
 公園脇の溝(掃除されてないドブ)に落ちたけど、まあいいか。
 
 そして加速の末の一撃に用いるのは、対象に押し当てて放電する特別製スタンガン。
 昔母さんに護身用にスタンガンを買ってもらった時に、奮発してもらった高級品だ。
 どれだけ勢いよく中ててもなかなか壊れず、しかも出力がかなり高くて強力な1品。
 最大電圧だけでも強力なのに、勢いを乗せて中てるから、みんな弾き飛んでいく。
 わたしにとって最高で、唯一の護身手段がこの一連の動作全て。
 とてもじゃないけど、こんなの静二くんに見せたりはできない。
 静二くんに見られたりしたら、絶対どん引きされちゃうもの。
 
――たっ、たっ、っぱあああぁぁぁぁん!!
「………………ぐはぁっ!」
――ずざざざざざ……っ!!
 ちょうどいい位置に居た不良Cを弾き飛ばす。
 何にもぶつからなかったけど、無様に地面を転がって停止した。
 起き上がるどころか、意識を手放しているみたいなので、放っておく。
 
 結局は、ただ真っ直ぐ突っ込んで、スタンガンを中てるだけ。
 そしてそのスピードが、誰にも追いつけないくらい速いだけ。
 単純明快かつただの力押し。けれどわたしはそれで構わない。
 最低3メートルの距離があれば、わたしは誰にも捕まらない。
 半径10メートルの距離が、わたしの間合いにして『結界』。
 今から突撃しますので、とっとと気絶してください、っと!
552あまいあまいあねのおかし (6/7) ◆6AvI.Mne7c :2009/07/19(日) 23:09:59 ID:f60/dATK
 
「ま、まさかコイツ、噂の『線光花火(スパークライン)』なんじゃ……」
 なんだかうるさい不良Dのもとへ、駆け出して――
 
――たっ、たっ、っぱあああぁぁぁぁん!!
「…………………ぎぃっ!」
――みしいいぃぃぃっ!!
 他の連中同様に、弾き飛ばして公園内の植林の幹に叩きつける。
 どうでもいいけど、『スパークライン』って名前、なんか格好いい気がする。
 そんなことを考えつつ、わたしは最後の1人に向き合った。
 
「ひぃぃぃぃっ……!? く、来るな来るなぁっ!?
 こ、こっちには人質がいるんだ、近寄ったら――」
「きゃあああ!?」
 
 うるさいなあ。面倒だけどついでだし、あの子も助けてあげよう。
――たっ、たっ、っぱあああぁぁぁぁん!!
「…………………ごぉっ!」
――どごぉっ!!
 公園のトイレの石壁に叩きつけられる不良E。すごく痛そう。
 もちろん、捕まっていた女の子は巻き込んでいない。
 スタンガンを中てて弾き飛ばしたのは、不良の男だけだ。
 
 「……ふぅ、確かこれで全部だったと思うんだけど……」
 とりあえず周囲を見渡しても、あの5人以外に敵意を持った不良共はいない。
 今ここに残っているのは、わたしと、なんか襲われかけていた女の子だけだ。
「……はぁ〜っ、とりあえずこれで、全滅したのかな?」
 1人ぼやきながら、さっきまで使っていたスタンガンを懐にしまう。
 口先だけのチャラい連中だったし、本当に時間と体力の無駄だった。
 けど、わたしの静二くんを闇討ちするだなんて、許せるわけがない。
「……んっ、と。脚はまあ……ちょっと痛いけど、すぐ治るかな?」
 忌々しいけど『アレ』のおかげで、わたしはあんな無茶ができる。
 普通ならさっきのスピードで動いたら、両手足のどれかがおかしくなるのに。
 そう考えると複雑かも。なんか虚しくなってきた気がする。
 よし、じゃあ早くウチに帰って、また静二くんに甘えて――
 
「あ、あの……、ありがとうございました雨音さんっ」
「……うん? 別にあなたのためにやったワケじゃあ――ってあなたは」
「あの、はい私です――氷雨です。お久しぶりです――静香さん……」
 どうやら助けたのは、こないだ静二くんにちょっかい出してた女だったらしい。
 偶然というかなんというか――別に不良と一緒に吹っ飛ばしてもよかったかな。
 まあ、もう助けちゃったし、別にどうでもいっか。
「……静二くんは怪我してないわよ。それだけは教えておいてあげる」
「あ、それはよかったです……。それじゃあ静二くんに言伝を――」
「……それじゃあ、もう2度と静二くんにちょっかい出さないでね?
 今度やったら、こいつらか――間違えて吹き飛ばしちゃった静二くんみたいにするからね?」
 そう、こないだはさっきのダッシュで、目の前のこの女を素手で突き飛ばすつもりだった。
 けれど目測を誤って、急停止して――発生した衝撃波に、静二くんを巻き込んでしまった。
 幸い、静二くんの怪我は軽い脳震盪だけで済んだから、まだ良かったんだけど……。
「うぐぅ……、わかりました、静香さん……」
 氷雨とかいう一応先輩(本当は同い年)が黙ったのを見て、わたしは踵を返す。
「……ちょっと牽制にしては甘かったような気もするかなぁ?
 ……まあ、充分脅しにはなってたみたいだし、別にいっか♪」
 そんなことよりも、早くおウチで静二くんのために、クレープを焼いてあげよう。
 そう思って、わたしは若干駆け足気味に、ウチに向かって歩き出した。
553あまいあまいあねのおかし (7/7) ◆6AvI.Mne7c :2009/07/19(日) 23:12:49 ID:f60/dATK
 
「ただいま姉さん――ってどうしたの? そんな浮かない顔をして?」
「……あ、静二くんおかえりなさい……」
 落ち込んだ顔をしていたら、ちょっと遅く帰ってきた静二くんが、わたしに気遣ってくれた。
 嬉しかったので、いま落ち込んでいた理由を全部、隠さずに話してあげた。
「……あのね、今日は静二くんのために、クレープを作ってあげるって約束してたでしょ?
 それで準備も材料もばっちり計画して揃えて、頑張って作る――つもりだったんだけど……。
 途中で転んだせいか、買って帰った卵とかが、ほとんど潰れちゃってたの。
 なんとか無事なものだけ集めて材料にしたら、美味しくなさそうなのができちゃったの……」
 心配してくれた静二くんの前に、一応そのクレープを出してあげた。
 たぶん昼間、あの不良共やちょっかい女に関わった時に、袋を地面に置いたせいだ。
 でも、理由なんて別にどうでもいい。結局は完成させられなかったんだから。
 せっかく静二くんと(半ば無理やりだけど)約束して、作ったのに……。
 静二くんに「美味しい」って、言って欲しかったのに……!
 
「まったくもう……、しょうがないなあ姉さんは」
 そう言いながら、静二くんはわたしの作った(失敗作っぽい)クレープに手を伸ばした。
 そしてわたしが止めるよりも早く、それを自分の口に運んで――頬張った。
「……あっ、だめだよ静二くんっ? それ美味しい自信が――」
 けれど静二くんは笑顔のままで、わたしの頭を撫でながら言ってくれた。
「そうだね、確かにだいぶ味が薄いし、甘さも水分も足りない気がするよ。
 でもさ、姉さんが頑張って作ってくれたんだもの。残す気はないよ?」
 さっきまで落ち込んでいたのもあったけど、そんな言葉をくれた静二くんが眩しくて――
「……あ、ありがとっ! やっぱり静二くん大好きっ♪」(ぎゅ〜〜)
「って、わわ、わ、姉さんちょっと待――うわぁっ!?」
「――きゃんっ!?」
 
 つい勢いで抱きついた――と思ったら、勢いつけすぎて、一緒に転んでしまい――
「……あ、えっと…………?」
「……ん、えへへ…………♪」
 そしてついうっかり――事故だったけど――キス、しちゃったみたい♪
 
「あのさ、ボクにそんな他意はなくて、ただ姉さんが怪我しないように抱きしめて――」
 必死で言い訳をする静二くん。なんだかその姿が可愛くて、私は悪戯を思いつく。
「……えへへ、なんて言うかさ――美味しかったよ?」
「ちょっ!? その、もう、そりゃあボクだって――」
 ああもうどうしよう、しどろもどろな静二くんが、すごくかわいい!?
「……もう、何をそんなに動揺してるの? わたしたちは姉弟、なんでしょう?
 わたしが言ってるのは、静二くんの唇についてたクレープの欠片のことだよ?」
 あ、みるみる静二くんの顔が、赤くなっていくのがわかる。
 本当に今日は、静二くんのいろんな表情が見れて楽しい。
 
「っ!? もう今日は我慢できない!? 姉さんっそこに正座しなさいっ!?」(べりっ)
「きゃああっ!? いやだ〜そんなのっ、わたしは悪いことしてないもん!?」(だっ)
 とりあえず本気で引っぺがされたので、静二くんから全力で逃げ出すわたし。
 ちょっとからかいすぎちゃったのか、本気で許してくれなさそうな静二くん。
 捕まるのが怖いので、今回は本気の全力で、家の中を追いかけっこに使わせてもらおう。
「待て〜っ、姉さ〜ん!? 今日こそはオシオキしてやる〜!!」
「や〜だよ〜っ! つかまえてごらんなさい、静二くぅ〜ん♪」
 
――いろいろあるだろうけど、わたしはいま静二くんに甘えられるこの日々を、全力で享受しよう。
 
 
                ― "The cake" END & Next time "The proof" ―
554長編『あまいあね』(仮)第2回 ◆6AvI.Mne7c :2009/07/19(日) 23:15:38 ID:f60/dATK
以上、投下終了。

タイトルに偽りありというか、おとなしくお菓子を作る話にしとけばよかった……
この一連の話は、別に異能バトルに傾れ込む予定はありません。
あくまで姉が弟に、キモいくらいに甘える話です。

それとこの一連の話は、長編と言いつつ、毎回いちいちタイトルが変化します。
なので今後は全体のタイトルを『あまいあね』で統一しておきます。
555名無しさん@ピンキー:2009/07/20(月) 03:22:09 ID:Ep/Nhzwq
4/20から続いた規制が何時再発するかわからないから、今の内にいっておくぜ

愛に溢れた話に出会えた事に感謝します。全ての作品にGJ!
556名無しさん@ピンキー:2009/07/20(月) 11:53:15 ID:leezK604
なにこの厨二っぷり・・・痛いわ・・・

もう書き込まなくていいよ^^
557名無しさん@ピンキー:2009/07/20(月) 12:37:27 ID:EjRIV561
>>554
GJです。今後も期待しています
558名無しさん@ピンキー:2009/07/20(月) 16:30:15 ID:FPr8Qc92
>>547
まず鼻歌ではない
559名無しさん@ピンキー:2009/07/20(月) 18:20:22 ID:rNAS3Qm9
GJ
スルー
560名無しさん@ピンキー:2009/07/20(月) 20:02:42 ID:fVXMAZ/P
禁書?
561名無しさん@ピンキー:2009/07/20(月) 20:16:53 ID:6npyQgo2
駄作乙
562名無しさん@ピンキー:2009/07/20(月) 20:37:15 ID:/eQE5c80


けど糖分が足りないな
563名無しさん@ピンキー:2009/07/20(月) 20:56:52 ID:UrSshVbk
いきなり夏を感じるレスがちらほら
564名無しさん@ピンキー:2009/07/20(月) 21:05:52 ID:PrZF9ls/
はじめてのおつかいがキモ姉、キモウト養成番組に見える

これはもう死んだ方がいいかもしれないw
565名無しさん@ピンキー:2009/07/20(月) 21:47:06 ID:mk2Pi7nz
GAIJINGが見るとあれは虐待って言うらしいな
566名無しさん@ピンキー:2009/07/20(月) 21:52:49 ID:Ny7s2m1E
また児ポ法か
567名無しさん@ピンキー:2009/07/20(月) 22:12:22 ID:ww0RRqIm
外国人にみせなくていいよ…

外国人は「Oh!japanese sushi!」とか言ってればいいんだよ
568名無しさん@ピンキー:2009/07/20(月) 22:59:15 ID:JkTsOMH6
じゃぱにーず・紳士に見えた

もうだめぽ
569 ◆.mKflUwGZk :2009/07/21(火) 01:45:06 ID:oP+oUmqP
規制が解けたかな? 解けていたら投下します。5スレ消費。
570『転生恋生』第十一幕(1/5) ◆.mKflUwGZk :2009/07/21(火) 01:46:31 ID:oP+oUmqP
 雉野先輩から衝撃的な話を聴いてから1週間ほどは、また平穏な日常が続いた。
 相変わらず猿島は挨拶以外では会話に応じてくれず、司は昼休みの度に俺を捕まえて昼食の相伴を強要し、姉貴は毎日俺にセクハラをしかけてくる。
 雉野先輩だけは接点が薄かったが、先輩から聴かされた姉貴との過去の因縁話は俺の中で暗い靄のように漂って、どうにもすっきりしない気分にさせられた。
 そんな俺にまた面倒ごとが降りかかってきたのは、ゴールデンウィークに入った直後の登校日のことだった。今年は曜日の並びが悪いせいで連休が分断されているから、ゴールデンウィークの間に平日が固まっている。
「桃川、ちょっと来てくれ」
 帰りのホームルームが終わると同時に、俺は茂部先生から呼ばれた。こんなことは初めてだった。
 一体何だろうと思いつつ、俺は鞄を残したまま先生についていった。猿島がちらりと俺に視線をくれたような気がしたが、我ながら意識しすぎかもしれない。
 先生が向かった先は生徒指導室だった。無論、これまでに俺が足を入れたことはない場所だったから、正直動揺した。
 特に校則に違反するようなことはした覚えがないが、こんな部屋に呼ばれるというだけで不安になる。
「入れ」
 そうはいっても、先生に促された以上は仕方がない。何かの間違いであることを祈りつつ、俺は縮こまりながら部屋に入った。
 部屋の中には足の低いテーブルが1台と、向かい合うように2脚のソファがあり、既に先客がいた。見たことのない男性教師だった。
「座れ」
 茂部先生は普段から口数が少ない方だが、今日はいつにもましてぶっきらぼうだった。表情の変化に乏しい人だとはいえ、あまり機嫌はよろしくないらしい。
 言われるままに俺が空いている方のソファに座ると、茂部先生は先に来ていた先生の隣に座った。俺は2人の教師と向き合う形になったわけで、精神衛生上あまり芳しくない配置だ。
「こちらは3年S組担任の脇野先生だ」
 茂部先生が紹介すると、脇野先生は軽く頭を下げた。
「彼が桃川太郎です」
 俺も黙って一礼する。どうやら、この脇野先生が俺に用事があるらしい。
 ……そういえば、3年S組って、聞き覚えのあるクラス名だよな。
「わざわざ時間を取らせてすまない。早速だが、本題に入りたい」
 脇野先生はやや前のめりになって話し始めた。
「君のお姉さんのことで、直接ご家族の方に話を聴いてみる必要があってね。手始めに弟さんである君に来てもらった」
 そうだよ、S組っていったら、姉貴のクラスじゃないか。姉貴が何か問題を起こしたのか? あれでも優等生のはずなんだが。風紀委員やってるくらいだから校則違反なんかしないし。
 俺が短い時間に考えをめぐらす間に、脇野先生は説明に入っていた。
「3年生では先週進路希望調査を一斉にやったんだが、君のお姉さんの回答が目を疑うようなものでね」
 進路希望調査というと、まずは進学か就職かを選択した上で、進学希望なら大学名を、就職希望なら職種を3つずつくらい書くというやつだろう。
 うちの高校は進学校だから、まあ100%の生徒が進学希望のはずだ。
「本来なら秘密にしなければならないが、弟さんだからいいだろう。見てくれ」
 そう言って脇野先生が俺に示したのは1枚の紙だった。進路希望調査というタイトルの調査用紙で、俺が予想したとおりの書式だった。
 署名のところに「桃川仁恵」とあるから、間違いなく姉貴が書いたと思われるその調査用紙には、「結婚」とだけ書かれていた。
571『転生恋生』第十一幕(2/5) ◆.mKflUwGZk :2009/07/21(火) 01:47:24 ID:oP+oUmqP
「まあ法律上は問題ないし、真剣に結婚を考えて交際している相手がいるというなら、学校側が止めることではないかもしれない。
 だがお姉さんの将来のことを考えると、長い人生なんだし急いで結婚することもないと思う。
 とはいえ、頭ごなしに大学進学を勧めるのも本人の心情を傷つけるかもしれない。そう考えて、ワンクッション置くことにしたんだ。
 弟さんである君の目から見て、お姉さんは高校を卒業したらすぐに結婚する予定なのかな? 率直に話してほしい」
 ……やってくれたよ、あのキモ姉貴は。
 姉貴が結婚相手として念頭においているのは、まあ普段の言動から察するに俺だろう。だけど、そんなこと言えるわけがない。
 てゆーか、学校の進路希望調査でこんなこと書くか、普通? 嘘でもいいから、適当に大学名を書いておけよ!
 とりあえず、この場をどうやって切り抜けよう?
「えーっと、弟とはいっても姉の恋愛関係を全て把握しているわけではないんで、はっきりとは答えられないんですが……」
「つまり、ご家族の方に紹介済みの相手がいるわけではないんだね?」
 紹介済みも何も、「ご家族」そのものだし。
 毎日既成事実を作るための努力(=弟に対するレイプ未遂)にいそしんでいますなんて、言えるわけがないよなぁ。
「俺……じゃなくて僕が名前を言える相手はいません」
 いや待て。雉野先輩が話していた男が今も存命だったら、姉貴は本気で高卒結婚する気だったのかもしれないな。
 でも今現在姉貴は独り身だ。それは間違いない。姉貴の生活サイクルを見るに、俺以外に性的関係を結ぼうとしている男の存在は考えられない。
「そういうことなら、なおさら進路を考え直してもらいたい。本人の長い人生を考えても、大学で勉強することは大きなプラスになると思う。
 お姉さんの成績なら、相当いい大学が目指せるはずだ。ここで学業を終わらせるのはもったいないことだよ」
 ここに来て、ようやく俺は学校側が何を問題にしているかに気づいた。生徒の進学先は学校にとっての実績を意味するわけだ。営業成績と言い換えてもいい。
 成績優秀な生徒にはできるだけハイレベルな大学に入ってもらいたいわけで、就職ならまだしも結婚して主婦になるなんてのは、戦力の無駄使いに他ならない。
 少子化が原因の生徒数減少で高校も生存競争が厳しいから、公立とはいえ学校が経営上の理由から姉貴に進学を促すのは自然なことだ。詰ろうとは思わない。
 だけど、家族からすると、本人の幸せが最優先だ。惚れた相手がいて、一日でも早く家庭を持ちたいというなら、相手が真っ当な人物である限り応援したい。
 むしろ姉貴が心の傷(?)から実の弟相手に猥褻行為を働いているというのが、家族にとっては大問題なわけだが。  
 さて、どうしたもんだろうな。姉貴が今現在考えている「弟との結婚」を断念させるということについては、俺と学校の利害は一致するが、そんな事情は開けっぴろげにできない。
「どうかな? もし経済的理由で進学を断念するというのであれば、奨学金制度について保護者の方に説明したいが……」
「あ、そういう心配はないです」
 うちは裕福じゃないが、公立に進学する分には大学まで行かせてやると両親から言われている。あくまでも問題は姉貴自身にある。
「まあ、いずれにしても近いうちに家庭訪問をして、保護者の方を交えて話し合いたいんだが」
 こいつは厄介な話になってきた。担任の先生相手に「前世からの絆がある弟と結婚」云々の話をされたら、俺は二度と学校へ行けなくなる。
 何か、うまい言葉が思い浮かばないか……
572『転生恋生』第十一幕(3/5) ◆.mKflUwGZk :2009/07/21(火) 01:48:22 ID:oP+oUmqP
 助け舟を出してくれたのは、それまで黙っていた茂部先生だった。 
「いくら優等生といっても、多感な時期ですから、進路についてあれこれ思い悩むことはあるでしょう。進路希望調査に『結婚』と書く生徒は前にもいましたが、結局無事に進学していますよ。
 ひとつ家族の間で話し合ってもらうことにして、学校としてはもう少し様子を見ることにしてはどうですか?」
 ナイス。まさに俺の求めていた答えだ。
「しかし、進学を目指すなら受験勉強に取り組まないと……」
「焦ってもいいことはないですよ。仮に1年浪人することになったとしても、それこそ長い人生の間では大した遅れではありません。回り道もまた経験ですよ」
 察するに、茂部先生は早く話を切り上げたいらしい。不機嫌そうに見えたのは、放課後に余計な時間を取られる苛立ちからだったのかもしれない。
 だとしても、この場の俺にとってありがたい手助けをしてくれたことに変わりはない。
 結局、脇野先生もこの場は引き下がってくれたが、俺は帰宅後に家族で姉貴の進路について話し合うという宿題を課されることになった。
 
「たろーちゃん、一緒に帰ろう」
 校門のところで姉貴が待っていた。お互いに用事がないときは、大抵姉貴が俺に一緒の下校を強要することになる。
 でも、今日は都合がよかった。姉貴と面倒な話をしなければならないからな。
 しかし話の切り出し方は考える必要がある。「姉貴、進路はどうするんだ?」→「たろーちゃんのお嫁さんだよ!」なんてやりとりを往来でするわけにはいかない。
 姉貴だったら、思いっきり大きな声で公言しかねないからな。
 ひとまず、人通りが少ない自宅近辺にたどりつくまでは、当り障りのない話でお茶を濁そう。
 そんな考えをめぐらしつつ、俺は姉貴に腕を組まされながら、学校→最寄駅→電車の道中を進んだ。
 姉貴は俺に胸を押し付けながら、他愛のない馬鹿話に興じていた。傍から見たらカップル以外の何者でもない。
 自宅が近づいてきた頃、周囲に人がいないことを確かめてから、ようやく俺は本題に入った。
「姉貴さぁ、どこの大学に行くんだ?」
 あくまでも大学進学前提で話を切り出すことにする。俺としても、成績優秀な姉貴が大学へ進学しないのはもったいないと思う。
だが弟の心姉知らず。姉貴は物の見事にベタな声を返してきた。
「進学は考えてないよ。だってたろーちゃんのお嫁さんになるから!」
 ……学校を出てすぐに話を切り出さなくてよかった。俺よりずっと勉強ができるくせして、ここまでアホだとは思わなかった。
「俺は来年まだ高校3年生なんだけど」
「1年間は花嫁修業期間だね!」
「……俺は大学へ行きたいんだが」
「学生結婚すればいいよ」
「生活費はどうするのさ」
「自宅で暮らすんだから、問題ないじゃない」
「親が認めるわけないだろ!」
573『転生恋生』第十一幕(4/5) ◆.mKflUwGZk :2009/07/21(火) 01:49:10 ID:oP+oUmqP
 さすがに声を荒げてしまった。親に養ってもらうのが前提で結婚するということ自体がどうかと思うが、どこの世界に一つ屋根の下で姉弟が夫婦生活を送ることを認める親がいるんだ?
 けれども姉貴は平然としている。
「大丈夫だよ。きっとわかってくれるよ。子供の幸せを願わない親はいないんだから、私たちの結婚を応援してくれるって」
 馬の耳に念仏というが、「キモ姉の耳に良識」という新しい諺を思いついた。それでも俺は絶望的な説得を続けなければならない。
「結婚っていうけどさぁ、役所が婚姻届を受理するはずがないって」
「手続きなんかどうでもいいわよ。結婚生活の内実があればいいの」
「結婚生活の内実?」
 姉貴は夢見るようなうっとりとした顔で解説した。
「私とたろーちゃんが一つ屋根の下で一緒に暮らして、子供を授かって幸せに暮らすの」
 悪夢としか言いようがない。
「俺にはその気がないんだが」
「素直になれないんだね。難しい年頃なんだから」
「あのなぁ、何度も言うけど、姉貴はどこまでいっても姉貴なんだよ。結婚相手にはならないの! 俺は姉貴と子供を作る気はないからな!」
 思わず声を荒げてしまったが、幸い自宅の玄関前までたどりついていた。
「姉である前にひとりの女性として扱うべきだよ、たろーちゃん。そんなこと言っちゃダメ」
 ドアを開けながら姉貴が諭すように言う。天動説を唱える頑迷なカトリック信者に対して地動説を教える科学者のような、静かな自信に満ちた態度だ。
 ……イラつくなぁ、本当に。
「お母さん、ただいまー!」
 姉貴が声をかけると、エプロン姿のお袋が出てきた。既に夕食の支度にかかっているらしい。
「お帰り。風呂沸いているから、入っちゃって」
「お母さん、聞いてよ。たろーちゃんが私を女じゃないって言うのよ。ひどいでしょ?」
 おい、事実を歪曲するな。俺は姉貴が姉貴以外の何者でもないと言ったんだ。姉という字には女偏がついているだろうが。女扱いはしているぞ。
 けれども、お袋は姉貴の極端に簡略化した訴えを真に受けてしまった。
「あら、それはさすがにひどいわね。家族だからって、傷つけるようなことを言ったらいけないよ」
 お袋よ、18年もこのキモ姉の親をやっているんだから、どちらに問題があるのか気づけよ。
574『転生恋生』第十一幕(5/5) ◆.mKflUwGZk :2009/07/21(火) 01:50:23 ID:oP+oUmqP
「いや、それは……」
 それなのに、俺の弁明を聞かずにお袋は台所へ戻ってしまった。
「それじゃあ、たろーちゃん。お風呂に入ろうか」
 お袋の言いつけに乗っかって、姉貴が俺を追い込もうとする。このギラついた目を見ればお袋も姉貴の方を叱ると思うんだが。
「俺はお袋に話があるんだ。姉貴一人で入ってくれ」
「じゃあ、終わるまで待ってる」
 どうせお袋との話なんてとっさの言い逃れに過ぎないと決めつけているんだろう。だが、あいにく俺は真剣に姉貴のことをお袋に相談するつもりだ。  
 それとも、いっそのこと姉貴も同席させて三者面談にしようか。俺の目の前でお袋からこっぴどく姉貴を叱りつけてもらうのがいいかもしれない。
「それなら、姉貴も一緒に来てくれ」
「いいよ、たろーちゃんと一緒ならラブホでも無人島でもどこにでも行くよ。てゆーか、むしろ行こうよ」
 もはやいちいち突っ込む気にもなれない。
「お袋! 大事な話があるんだ。ちょっと聴いてくれ」
 姉貴を連れて台所に入った俺が見たものは、下腹部を押さえて苦しそうにうずくまっているお袋の姿だった。
 お袋は年に1回くらいしか風で寝込まない頑健な人だ。こんな光景見たことない。
 何かの冗談か? いや、でも本気で苦しんでいるような顔だ。よく見ると額から汗をだらだら流している。
「お母さん!」
 姉貴がお袋に駆け寄って抱き起こそうとする。その叫び声でようやく俺も我に返った。
「お袋……!」
 動転して足が動かない。何をしていいかわからない。
「お母さん、どこが痛いの?」
 お袋は俺が聴き取れないような小声で姉貴に答えた。すぐに姉貴は俺に指示を下す。
「たろーちゃん、救急車を呼んで! 右の下腹が物凄く痛むって、説明して!」
「あ、ああ……」
 俺は下手な操り人形のようにぎこちない足取りで電話をかけに台所を出た。
 自分がこれほどまでに突発的事態に弱いとは思わなかった。我ながら情けない限りだ。
 翻って、姉貴の頼もしさにすがりつきそうになった。

 救急車で病院に運ばれたお袋は、運良く速やかに診断を受けることができた。結果は虫垂炎で入院5日間だった。
 つまり俺はキモ姉貴と5日間もふたりきりで生活しなければならない羽目に陥ったことになる。

575 ◆.mKflUwGZk :2009/07/21(火) 01:53:00 ID:oP+oUmqP
投下終了です。久々に姉のターンでした。
というか、姉があまり目立っていないので、スレ違いかという気もしてきました。
また規制にかかった場合は避難所に投下しますので、そのときは代理投稿をよろしくお願いします。
576名無しさん@ピンキー:2009/07/21(火) 02:58:44 ID:uN/kfbvL
彼の貞操の危機ですな
577名無しさん@ピンキー:2009/07/21(火) 04:46:17 ID:KngtQKuD
>>575
GJ!
やっぱり姉は相変わらずキモ度高かったな。
さて、まるで何かに操作されたかのような5日間の二人きり生活。
どれだけ元獣3人娘が介入するのか、それともずっと姉のターンなのか。

次回楽しみにしています。
578名無しさん@ピンキー:2009/07/21(火) 11:55:04 ID:NgrFwrez
長編ならキモ姉妹が出っぱなしというは難しいものでしょう。一話丸ごと恋敵の
ターンという前例もあります。あまり気になさらず。
579名無しさん@ピンキー:2009/07/21(火) 12:05:18 ID:5YMGJ7iv
桃太郎キタ──!
姉の常識外れっぷりが凄いな
しかし母親が倒れたときのとっさの対応は
ちょっぴりだけ格好よかった
ちょっぴりだけ

長い話を書き続けられる作者様は尊敬します
自分の場合は確実に投げ出すのがわかってるから
結末まで書いてからしか投下できん(汗
だから長い話をそもそも書けないという……
あー、あと姉の壊れっぷりも素敵だけど
今回出番のなかった犬猿雉のキャラも魅力的です
猿島萌え〜
自分もSS書きとして見習わなきゃいかんと思ってますさ
(自分が何を書いてるかはゴニョゴニョ)

それでは続きをお待ちしてます〜
580名無しさん@ピンキー:2009/07/21(火) 13:11:20 ID:ZWsAGTrl
>>579
死ね
581名無しさん@ピンキー:2009/07/21(火) 13:12:14 ID:MeWYQriy
>>567
寿司がkiss×sisに見えた俺は末期
582名無しさん@ピンキー:2009/07/21(火) 13:47:53 ID:Jc84m610
眼科いけwww
583名無しさん@ピンキー:2009/07/21(火) 14:38:20 ID:o8UKY/RB
どこをどうやって見たらそう見えるんだよ…

嗚呼、腱鞘炎で右手が使えなくて生活が不便すぎる。姉か妹がいればいろいろと世話を頼みたいんだがなぁ…
584名無しさん@ピンキー:2009/07/21(火) 16:02:09 ID:zkPYoRnI
_(仮)を読み終わった

これはとりあえず椿ちゃんにハアハアしとけばいいのかな
いいねえキモウト
585名無しさん@ピンキー:2009/07/21(火) 16:03:43 ID:7hfnOLiE
まさに姉のターンだなw
5日は無理だろ
586名無しさん@ピンキー:2009/07/21(火) 16:36:01 ID:lrH9VGZV
>>584
あれはよかった
587名無しさん@ピンキー:2009/07/21(火) 18:38:13 ID:4nVsarVH
Kiss×Sis→キスシス→寿司好き→寿司
588名無しさん@ピンキー:2009/07/21(火) 19:27:07 ID:zMSXIvDg
泥棒猫も増えてきたことだし、双子姉がキモ化しないかなあ
589名無しさん@ピンキー:2009/07/21(火) 19:54:47 ID:4mNHq+bd
>>575
グッジョブー!
お姉ちゃんの大暴れに期待してるッス
590名無しさん@ピンキー:2009/07/21(火) 23:52:00 ID:6dOycR9b
wikiに掲載されている小説の数が多すぎるんだが、オススメを知る方法はありますか?
591名無しさん@ピンキー:2009/07/22(水) 00:09:14 ID:DPv2uIAg
個人的なオススメは
綾シリーズ、籠の中あとまだ終わってないが未来のあなたへ

それと質問板でもないところで質問するのは基本的にマナー違反だから
なるべく自分で調べる癖をつけた方がいい
じゃないとゆとり死ねとか言われるハメになる
592名無しさん@ピンキー:2009/07/22(水) 00:29:12 ID:5NXXxVqA
>>590
好みは人それぞれ。
全部読むか自分で書くと幸せになれるって従妹が言ってた。
593名無しさん@ピンキー:2009/07/22(水) 00:52:51 ID:QM0rUdwP
>>590
まず自分の姉or妹にwikiを教えて作品読んでもらってから、姉or妹にオススメ作品を聞いてみよう。
身近な人の意見だもの、参考になるはずだよ!
594名無しさん@ピンキー:2009/07/22(水) 02:13:48 ID:m6aqx53J
>>593
それじゃ創作⇒自伝になるな
595名無しさん@ピンキー:2009/07/22(水) 08:53:27 ID:VN0xiYF7
その方法、イエスだね
596名無しさん@ピンキー:2009/07/22(水) 11:17:27 ID:ILAAiYXX
>>595
「オ○ファンに帰るぞ」
「待ってくれ姉さん!!俺にはまだやることが…」
「駄目だ、お姉ちゃんの愛をお前の体に染み込ませる」

アッー
597名無しさん@ピンキー:2009/07/22(水) 18:17:55 ID:hxvcK29X
イイコ姉さんって知ってるかい?
弟を求めて、グランチャーで粋に暴れ回ったって言うぜ
598名無しさん@ピンキー:2009/07/22(水) 20:29:13 ID:BnY/Iyex
その後弟は死に、その魂は福岡ドーム周辺を飛び回ったと言うらしいぜ?
599名無しさん@ピンキー:2009/07/22(水) 21:33:01 ID:a/gMBGck
>>597
話半分になら知ってる。ってか前々スレで話題にでてたな。
中の人も認めた、最終的にヒロインから弟を奪い返した、ある意味狂気のお姉さんだったっけ?
弟を溺愛したり憎悪したり、昔の思い出を語っておいて、覚えていない弟にキレたり、忙しい人だったそうな。


ちなみに、ニ○ニ○○画内において、タグ「キモ姉」を検索すると……
600名無しさん@ピンキー:2009/07/22(水) 23:34:38 ID:XBv3TvXz
勇が女との距離感がおかしかったりすぐキスしたりするのは姉さんの教育の賜物に違いない。
601名無しさん@ピンキー:2009/07/23(木) 01:00:36 ID:Bad+bmGn
俺達の数年先を歩くお禿様は偉大だな
602名無しさん@ピンキー:2009/07/23(木) 01:17:09 ID:cxllYq9i
たしか主題歌の「IN MY DREAM」って姉さんが弟に向けて歌った歌なんだっけ?
603名無しさん@ピンキー:2009/07/23(木) 02:01:38 ID:P0nXARX5
言われてみれば、そんな感じがしないでもないね…。
604名無しさん@ピンキー:2009/07/23(木) 06:31:20 ID:BkvF5lqp
時代を先取りしすぎたのかもね
605名無しさん@ピンキー:2009/07/23(木) 11:54:00 ID:EttJ0xmC
WOWO見れない
606名無しさん@ピンキー:2009/07/23(木) 12:09:18 ID:eMjOyAGJ
タグ検索でキモウトもでてきて吹いたw
607名無しさん@ピンキー:2009/07/23(木) 18:18:06 ID:nrVoalBp
>>605

「W」が一つたらなくね?
608名無しさん@ピンキー:2009/07/23(木) 20:08:35 ID:eY13Dty9
禿はZZもどう見てもギャルゲーですなキャラ配置だし
(前半か後半はほとんど関わってないらしいが)
おまんこ舐めたい人はニュータイプすぎる
ZZはプルとプルツーが実妹じゃないのが惜しいところだ
609名無しさん@ピンキー:2009/07/23(木) 20:11:45 ID:Wkoy0bT/
なにこいつ
610名無しさん@ピンキー:2009/07/23(木) 21:57:23 ID:9XdjsT1p
最近投下がなくてさみしい
妹の部屋のCDでもあさるかな。なんか姉ちゃんと出かけてるし
611名無しさん@ピンキー:2009/07/23(木) 22:01:51 ID:aj6Oxcgm
>>610
待て、どう見ても貴方を嵌める罠だ
部屋に脚を踏み入れるならピアノ線やスイッチに注意するんだ
612名無しさん@ピンキー:2009/07/23(木) 22:18:29 ID:MMTBGKrA
キモくなりそうな自分を何とか抑えてる姉が第三者の余計な世話でキモくなって弟と結ばれるってのはスレチ…?
かなーりキモい妄想があるんだが、スレチじゃないなら書いてみようかなと。時間は多少かかるけど
613名無しさん@ピンキー:2009/07/23(木) 22:20:19 ID:lopp44AC
キモければわたしは一向にかまわんっと思います
614名無しさん@ピンキー:2009/07/23(木) 22:23:54 ID:J94gQbOR
どれぐらい時間かかるのん?
615名無しさん@ピンキー:2009/07/23(木) 22:41:47 ID:MMTBGKrA
これから書いてみる、というより初めてエロパロ書くから1週間くらいはかかるかな…
616名無しさん@ピンキー:2009/07/23(木) 22:47:18 ID:MOGQn4Gq
御託並べてないで早く書くんだ!
617名無しさん@ピンキー:2009/07/23(木) 23:13:39 ID:nrVoalBp
>>615

>1週間くらいはかかるかな…

その言葉、忘れるなよ!?期待してるからな!?
618名無しさん@ピンキー:2009/07/23(木) 23:43:24 ID:BvS7hjTL
>>615
靴下とヒゲ眼鏡だけで待機しとくよ
619名無しさん@ピンキー:2009/07/23(木) 23:53:04 ID:hmHBke67
>>618
期待汁が零れないようにこれを使って縛っておくんだ。

⊃【リボン】
620名無しさん@ピンキー:2009/07/24(金) 01:33:19 ID:Y4azOqdW
紳士にふさわしい服装で待ってるぜ!
……え?スーツ?タキシード?
馬鹿、紳士っつったら全裸+靴下にきまってんだろ!あと蝶ネクタイ!
621名無しさん@ピンキー:2009/07/24(金) 06:05:10 ID:VONmNBJd
死ねよ
622名無しさん@ピンキー:2009/07/24(金) 06:37:57 ID:JLaVMvI7
死なないでね、お兄ちゃん♪
623名無しさん@ピンキー:2009/07/24(金) 08:16:17 ID:dgAYBdq8
ふと思った
育ての姉と実の姉。絆がより深いのはどちらだろう?
624名無しさん@ピンキー:2009/07/24(金) 09:13:37 ID:zlpC3lRd
>>623
なんなんだよ、あんた。
今さら出てきて家族面してッ!
あの女と一緒に俺と父さんを捨てたくせに。
何勝手なこと言ってるんだよ。
俺の姉さんはあんたなんかじゃない!
父さんが死んでから今まで育ててもらった分、
今度は俺があの人を助ける番なんだ。
あんたなんかと一緒に暮らす気なんかないんだよ!







瞬間的にここまで思いついた俺は正常デスヨネ?
625名無しさん@ピンキー:2009/07/24(金) 09:43:42 ID:rOwujcbB
>>624
正常です。とてもとても正常です。なのでスグにこのおねえちゃんと弟君の名前が記入済みの婚姻届に判を押しなさい。
626名無しさん@ピンキー:2009/07/24(金) 10:14:02 ID:Y4azOqdW
ダメ!お兄ちゃんと私が離ればなれになるよう仕組んだのはその女なんだから!
お兄ちゃんはそんな女と結婚なんかしちゃダメ!
お兄ちゃんの……お兄ちゃんのおよめさんは、私なんだから!!
627名無しさん@ピンキー:2009/07/24(金) 12:34:57 ID:VONmNBJd
同じ過ちを繰り返すのか
628名無しさん@ピンキー:2009/07/24(金) 12:58:19 ID:3B5i0SxS
人は同じ過ちを繰り返す…まったく…!
629リアス ◆P/77s4v.cI :2009/07/24(金) 18:11:17 ID:tKfQ210w
投下します。
フラクタルの番外編です。途中で規制されたらごめんなさい。
前編と後編になっています。今回は前編です。
630リアス ◆P/77s4v.cI :2009/07/24(金) 18:12:44 ID:tKfQ210w
 母親が自殺したのを一番初めに発見したのは私だ。
 まだ小学校二年生だった私が、明日から夏休みということに心を躍らせて帰宅した時に見つけたのだ。
 最初は、扉越しに長い髪が見えただけだったから、死んでいるとは思わなかった。
 箪笥の上にある人形でも取ろうとしているだけかと思って(母親は年の割に嬰児のような趣味があった)いつもならお母さんと呼ぶところをママ、なんて浮き浮きしながら声をかけたのだった。
 リビングに入って、宙に浮いている彼女が死ぬかもしれない、と考えたのは、すでに死後硬直で固まって、私が地面に下ろすのに四苦八苦している時に考えたことで、
馬鹿なことに、私はこの時もあの母が死ぬわけがない、と思っていた。
 理由があったわけではない。だが、このときの私は死というものがテレビから流れてくるニュースと同じで、よく理解できなかったのだ。
事実、私は兄が帰ってくるまで母親に、ねえお母さん、と声をかけ続けていたし、警察が自殺と断定したと聞いた時も、ソファーに腰をかけて天井をぼんやりと見上げていた。
 葬式のとき兄が、
「舞、これからは兄ちゃんを頼ってくれ。俺が母親の代わりになる」
 と、ぼろぼろと泣きながら言ってきたので私は、うん、と透けるような声で答えたら、
それを聞いた隣の従兄弟のおじさんが「舞ちゃんは、お母さんが死んでも悲しくないみたいだね」と皮肉ってきたので、うわーん、と投げやりに言って大事になったのを覚えている。
 彼はそれを聞くと一瞬ぽかんとした後、みるみるうちに激昂して、私の胸倉を掴んできたのだ。すごい力だった。首まで絞まって死ぬかと思った。
 結局兄に助けられたが、今でも首には青あざがあり、触れるとその時の記憶が戒めるように蘇る。
 それ以外は普通の葬式だった。
 自殺、といっても葬式そのものはお爺ちゃんが老衰で死んだときと何一つ変わらず、別段特別なことはしなかったのだ。
 式が終わり、母の遺体を火葬場で燃やしてから家に戻ると、時間はもう午後七時を回っているころだった。
 私はもちろん料理なんかできなかったので、兄が台所に立ったが、彼も同様にほとんど何もできなかったので、結局は出前を取った。食事中は二人とも何もしゃべらなかった。
 親戚の人は葬式の後も私の家に寄らなかった。
 葬式のときは、しっかり義務のように泣くくせに、いつものように親戚の人はうちの家に入ろうとはしない。
 その日の深夜。
 私はなかなか寝付けなかった。寝付けない自分にびっくりして、ああ、私も悲しんでいるんだな、と思ったけれど、すぐそんなことを考えること自体お笑いだ。
 とりあえず何か飲もうとリビングに行ってみると、丁度電話がかかってきた。ああ、と変に納得して受話器を取る。予想通り父親からだった。
「もしもし」
「もう夜中の二時よ、お父さん」
「知ってる。だから電話をかけたんだ」
 受話器から聞こえる音は父の声以外はなかった。私は安堵する。一人でよかった。
 暗い室内は無音。私が喋る声も闇に消えていくようだ。
「お母さんが死んだ」
「……火葬場には行ってきた。あと、家の側も、通った」
「それなら家に帰ってくればいいのに」
「……それができればいいんだがね」
「あの女の人?」
 そう私が言うと、父は少し黙った後に無機質な声でああ、とだけ言った。心情を悟らせないような、大人の人がよく使う声だった。
631リアス ◆P/77s4v.cI :2009/07/24(金) 18:13:29 ID:tKfQ210w
 父には愛人がいる。厄介者、と言った方がいいのかもしれないけれど。
 俺も別れられるならそうしたい、とよく言っていたのが記憶にある。だから、おそらく父には父なりの事情があるのだろう。
私はそのことに対しては、何か見たくないものを意図的に見ないようにしているかのような無関心さで、あまり突っ込んで訊こうとは思わないのでよくは知らない。
 ただ以前、何度か私自身がその女の人に包丁を突き付けられたことがある。
「あの女が産んだ子供ね!」
 ある日家に帰ると、いきなりそう言って火が出るように突進してきたのだ。
 私はかろうじて逃げたけれども、足が震えて立ち上がれなくなってしまい、のしかかられて首に包丁を突き付けられた。
 今思えば、首にあるこの青あざは、もしかすれば葬式の時についた跡なんかじゃなく、あの女の人に付けられたものかもしれない。
 それだけに、もう本当に死ぬと思った。
 わけもわからず殺される。こんなことなら昨日、兄に怒られても日が暮れるまで友達と遊んでおくんだった後悔したほどだ。
「お願いします。この子だけは勘弁してください」
 いよいよと思って目を瞑ると、後方で母が土下座して謝っていた。
 私は注意がそれた女の人の隙を見て離れようと、彼女の顔を見たのだが、その顔を見た途端、あまりの形相に今度は腰が抜けてしまって、立てなくなってしまった。
「お願いします。子供だけは」
「だめよ。殺さなきゃ。殺してしまわなきゃ。あの人の子供を産んでいいのは私だけなんだから。私が一番あの人を愛しているんだから」
「お願いします。お願いします」
 それしかできない人形のように頭を下げ続ける母。私はその様子をじっと見ていた。
「やめろ!」
 そんな中、兄がスコップとバケツを両手にぶら下げてやってきた。当時はわからなかったが、たぶんあれはロールプレイングゲームを真似た剣と盾だったのだろう。
「ま、舞から離れろ。お前の好きにはさせないぞ。僕が倒してやる」
「俊介! 貴方は部屋に戻ってなさい」
「だめだよ。こいつ悪い奴だもん。やっつけなくっちゃ。お母さんも舞も二人とも困ってるじゃないか」
「俊介!」
 母が必死になって兄を抑える。しかし兄は母の胸の中で暴れ、出て行けー、とか、舞に何かしたら承知しないからな、とか言ってきかない。
「ああ、この子……似ているわ」
 のしかかってきた女は、兄を上から下までじっくりと観察すると、何を思ったのか突然私から離れ、玄関まで歩きだした。
 どうしたのだろう、私はそう思って立ち上がると、女の人はドアに手を懸け、
「また来るわ」
 と言ってどこかに去って行った。
 同時に気が抜けたように母がその場に尻餅をつく。
 私は慌てて傍に歩み寄った。
 お母さん、ありがとう。そう言った私を見ると、母はごめんね、と言いながら思い切り泣きだした。
 思えば、その辺りからだったか、母の様子が変わっていったのは。
 私は何もできなくて、大丈夫、大丈夫と言いながら背中をなでてあげた。
 母はさらに泣くことになった。
 そしてその数日後、同じようなことが何回か続くと、ついに母は壊れたのだった。
632リアス ◆P/77s4v.cI :2009/07/24(金) 18:14:06 ID:tKfQ210w
「火葬場に行くのは嬉々として行こう行こうと言ってたくせに、家に寄っていいかって言うと喚きだしてさ」
「そうなんだ」
「そうなんだ」
 父の溜息が電話から聞こえた。
 私も別の意味で息を吐く。
 葬式の時にあった、親戚の人との一悶着を言ってみようと力を込める。
「お父さん、あんまり悲しそうじゃないね」
 でも、口からはそんな言葉が出た。唇が勝手に動いたような不思議な感じだった。
「何でそう思う」
「声が、前にかけてきたときと変わらないから」
「お前、それ自分のことだろ」
「何でそう思う」
「声が、前に聞いたときと変わらないから」
 父は鼻で笑ってそんなことを言った。
 自分のこと。そうかもしれない。だって私は葬式の時も今もちっとも涙が出てこない。遺体を見て、いよいよ火葬だというときだって私は無表情だった。
 お母さんのこと、嫌いなんかじゃなかったのに。それとも私はあの女の人同様、おかしいのだろうか。
 きっとそうだ。だから、親戚のおじさんも腹を立てたのだ。
「お父さん、お母さんが死んで悲しい?」
 同族を求めるように私は聞いた。
「俺は、凛よりいい女に出会ったことないな」
 しかし、父はそう言う。愛人がいるくせに。
「そろそろ切るけど。舞、これからは俊介をしっかり支えてやれよ。俊介もしっかりお前を支えてくれるはずだから」
「お兄ちゃんと話したの?」
「そう思うか?」
「……思わない」
 兄は今、部屋で寝ているのだろうか。私が父と話していると知ったらどんな顔をするだろう。
「中学に上がったら……」
「え?」
「いや、いい。じゃあな。次はいつになるかわからないけど」
「うん。じゃあね、パパ」
 受話器が僅かにできた声の振動を消す。がちゃん。静かな闇がまたぺとりと張り付く。
 暗闇に佇む私。
 ここには誰もいない。
 なぜだかそれが急に嫌になって、電気をつけることにした。リビングだけでなく、座敷まで行って明かりをつけた。
 周囲をぐるり。
 ふと、母の遺影が視界に入る。
 作り物の光に照らされ、白く輝く写真。白黒の紙。
 母は、ぎこちなく笑っている。口の端をしっかり曲げて、でも歪に。
 あの事件から変わった母になった。
 他人の母親がどういうものかは知らないが、おそらく子供と一緒に同じ尺度で笑いあったり、今よりもっと小さな私と人形を取り合ったりする母親は、
きっと世間一般ではあまりいないと思う。
 そんな彼女だから、教えてもらったこと――学んだことは、少なかった。実際、基本的な人間として学ばなければいけないことは、父から学んだし、
模範は兄がいたので、母は遊び相手に近い感覚だった。
 だから、母から教わったことが何だ、と聞かれれば、私は黙して考え込んでしまう。
 それほどに、少ない。
 私と喧嘩をする母。遊ぶ母。果ては、甘えてくる母。
「皆は、お母さんのこと狂ってるって言ってたけど」
 でも、楽しかった。好きだった。これだけは、事実だ。
「ああ、私」
 本当に、お母さんが好きだったんだ。
 ざあ、と庭の木々が大きな音をたてて葉を散らすほどに揺れた。強い夜の風。明日もきっと嫌になるぐらいの快晴。蝉が命を謳歌するだろう。
 私はゆっくりと座って、それから思い切り泣いた。
 もう、どうしたって、母には会えないのだ。
633リアス ◆P/77s4v.cI :2009/07/24(金) 18:18:29 ID:tKfQ210w
  /


 家からでなくなって三年が過ぎた。
 冬の朝。カーテンはがっちりと閉ざされているのに、その隙間から何としてでも入ろうとする光が憎らしい。その微光が、部屋に浮く埃を照らして私をさらに不快にさせた。
 もぞもぞとベッドで体を動かすと、足に何かが当たった。この堅さ。おそらく本か何かだろう。しかし、確かめるのも億劫だ。
「舞。今日も学校休むのか?」
 兄がいつものように部屋の外から私に問いかける。返事は無言。いい加減にやめればいいと思うのに、休みの日ですら毎朝起こしに来る。
「そっか。先生には言っておくから。……なあ、帰ったらゲームでも二人でしないか」
 するわけがない。直接言えば、もう起こしに来なくなってくれるだろうか。
「とにかく、兄ちゃんは学校行ってくるから。お昼ごはんはさっきコンビニでお弁当を買ってきたからそれを食べるようにしてくれよ」
 言い終えると、兄はしばらく私に何か反応がないかドアの前で待っていたようだが、時間ぎりぎりになると溜息をついて家から出て行った。
 義務教育と言うのは本当に便利である。
 何年学校に行かなくても別にかまわないし、後で修正もできる。加え、幸運なことに担任は放任主義なのか、家庭訪問も今年に入ってからはめっきり少なくなった。
 この状態をいつまで続けるつもりなのか、というよりは、いつまで続けられるだろうと最近は考えている。
「ニートもこんな感じなのかしら」
 私は部屋の前に置かれた弁当の袋を引っ掴むと乱暴に中に入れ、食べ始めた。
 朝食べるようにした方が昼や夜食べなくても大丈夫、ということをひきこもるようになって学んだ。
 食べ終えると、特にすることもないので漫画を読むことにした。兄が部屋にいてばかりじゃつまらないだろうと持ってきたものだ。
 寝転んで読む。ベッドから湿ったような匂いがした。けれど、気持ちいい開放感はまだある。なぜだかテンションが上がって、ごろりごろりと回転した。
 さらに部屋は散らかったが、もともとどこに何があるかなどわかるような状態ではない。
 そろそろお風呂に入ろう。
 前に入ったのはもう一週間も前。その時も誰かに会うのが嫌だったので、カラスの行水になってしまったのを考えると、私の体はきれいなところを探す方が難しい。
体質なのか、肌は荒れていないし、髪もさらさらとした手触りではあるが。
「けど、面倒ね……」
 古くなったピンクの寝巻に目をやる。だいぶ汚れてきた。弁当のソースが端に少し付着もしていて、これも洗濯をしなければならないだろう。
いや、いっそ、胸のあたりがきつくなってきたし、兄に頼んで買いに行ってもらわなければならないかもしれない。
 胸。まだ小学生だけど、胸はそれなりに膨らんできている。
 揉んだり股間に手を当てたりしていると思いのほか気持ちがよく、癖になったかのようにいじくったせいだ。
「このままいくともっと大きくなる、かな」
 呟いて、自分で胸を手のひらでそっと包んだ。円を描くようにそっと中心に向かっていく。固くなったものを摘まんで痛いぐらいにこねた。
「ああ、じゃあ、この後でお風呂に入ろうかな」
 私はそうつぶやくと、快楽におぼれようと服のボタンを煩わしそうに外した。
634リアス ◆P/77s4v.cI :2009/07/24(金) 18:19:25 ID:tKfQ210w
「舞、朝ご飯は食べたのか」
 丁度最後の一枚のパンツも膝まで下げたところで、扉がノックされた。
 私は、いつもも体たらくからは考えられないような速さで脱いだものを布団の中に押し込む。
 なぜ。兄は学校に行ったのではなかったのか。
「なあ、部屋に入ってもいいか」
 兄が許可を待たずにノブを回す。私は反射的に、
「だめ!」
 と言ったが、すでに扉は半分開いていた。
「うわ……」
 開口一番の声は部屋の惨状を見ての感想だった。溢れかえったごみ箱。海のように広がる雑誌。何日も洗っていない服。
 私はすばやくパンツ一枚の体を布団にもぐりこみ、隠した。
「入ってこないでって言ってるでしょ!」
 兄は足の踏み場を見つけながらそろりそろりとベッドのそばまでやってくる。こんもりと膨らむ布団。私の体だ。その横にちょこんと腰をかけると、上から手を当ててきた。
 私は一瞬、布団を捲りあげられて、何か、例えばいつまでひきこもってるんだ、とか、学校に行け、とか言われるのでは、と身構えた。
そうなると私は今裸で。どう言い訳をすればいいのかわからない。
 だから、先に攻撃しておこうと思って、
「お兄ちゃんもずる休みってわけ?」
 と言っておいた。いつも真面目なくせに珍しいのね、と言う皮肉も付け加えて。
 それを聞いた兄は、頬を緩ませて頭を照れたように掻く。
「忘れてたんだよ」
「何を」
「今日、誕生日だろ」
 兄は、ぽんぽんと上から私の体を叩く。とても優しさを感じる行為だった。
「……それで、学校を休んだの?」
「去年も一昨年も、これといったことはできなかっただろ。だから、もう後悔はしたくないなって。俺たち、兄妹じゃないか」
 汚い部屋で風呂にすら入っていない私に向かって独り言のように口を開く。きっと、この部屋のごみや捨てられたように放置された服は兄を笑っている。
「別に、何もいらないわよ」
「じゃあ、俺にプレゼントをくれないか」
「プレゼント? 私の誕生日なのに? 何をよ?」
「俺と一緒に買い物に行こう」
 優しげな声が私の耳を包む。
 そう言えば、兄の誕生日はいつだったか。兄と比べて私はそんなことすら疎い。
 しかし、外に出るのは嫌だ。
 こんな少しの優しさでは、私は克服なんてすることができない。
「……母さんだって、舞を待ってる」
「どこで」
「お墓」
「あはは、天国じゃないんだ」
「馬鹿だな。天国とお墓はつながっているんだよ」
 兄が私のふくらみに体重を預けてくる。
 私は、その言葉を聞いて、数分ほど考えた後、
「でも、怖いの」
 と言った。
 兄はそれを聞くと、ベッドから立ち上がって力強く声を出した。
「大丈夫。俺が付いてる。もし、途中で何かあっても絶対俺が何とかしてやるから。例え、舞が百万人が驚くようなことをしても、俺は舞のことだけ、考えてるから」
 それで、私は出掛けることにした。
635リアス ◆P/77s4v.cI :2009/07/24(金) 18:23:17 ID:tKfQ210w
  /


 汗をかいていた。
 冷汗、なのだろう。温度がわかるような水が額から流れてくる。息苦しい。呼吸が荒れる。緊張が私の歩く歩幅を減らし、それが更なる不安を生みだしていた。
 怖い。
 恥をかくのが怖いのだろうか。いや、正確に言ってしまえば、うまくふるまうことができない自分が怖いのだ。どうすればいいのか。うまくできるのか。
できなかった場合、私は死んでしまうのではないのか。
「大丈夫か」
 兄が何か言っている。けれど、気持ちが悪くて耳に入ってこない。
 やはり、外に出るべきではなかった。
「舞、大丈夫か」
 だめだ。やはり今からでも遅くない。帰ろう。帰って、横になって、体調が良くなったらもう一度頑張ろう。それまでは、休むべきなのだ。
「ほら」
 ぼんやりと兄の背中が見える。なんだろう、そう思った瞬間、私の体は宙に浮いていた。
「大丈夫、大丈夫」
 部屋で聞いた、男にしては緩やかな声色が私を撫でる。
 背負われていた。
 白い背中、薄着のせいで、幼い筋肉があるのがわかる。
「ちょっと、気分が悪くなったんだな」
「お、おろしてよ」
「だめだ。顔色が良くなったら。ちゃんと自分で歩いてもらうから、それまでは」
「だって、恥ずかしい」
「お前、今年学校にも行っていないくせに、何言ってんだよ。誰が見てるって言うんだ」
「それは……でも、お兄ちゃんだって、嫌でしょう?」
「逆に嬉しいくらいだ」
 そう言って、一度私の体を抱え直して態勢を整える。
 丁度風が吹いて、額にかいた汗がひんやりと震えた。
 視界が元通りになる。
636リアス ◆P/77s4v.cI :2009/07/24(金) 18:23:51 ID:tKfQ210w
 ここは繁華街。
 平日と言うこともあって、多少はいつもより人が少ない。しかし、私が怖がるくらいには大勢いた。隅には路上で店をやっているところまである。
 ざ、ざ、ざ、と軍隊の様な足音。私を劈く。
「どこか店にでも入るか」
「ビルの影がいい」
「変わんないだろ」
「そっちの方が、人、少ないから」
 私がそう言うと兄は、悪い、と謝った。私はそのことについては触れず、影までくると兄の背から降りて蹲った。
「ごめん。やっぱり無理よ。怖い」
「大丈夫だって。さっきもなんとかなったじゃないか」
「でも、買い物なんて到底無理だわ。これ見てよ」
 汗でへばりついた前髪を指差す。兄は表情一つ変えずにそれを見た。
「大丈夫」
 それでも、肩を叩きながら言ってくる。
 私は妙にイライラして、
「お兄ちゃんに、この気持ちがわかるわけないわ!」
 と言った。
「怖いの。弱くなったの」
 辺りにいた数人が、私たちの方を見たが、鼻で笑って通り過ぎて行く。
 そうだ。兄もこうやって私を置き去りにしてくれればいいのに。苦しいのはわかっている。今よりもっとひどくなるのもわかっている。
でもその先はきっと、病院かそのまた先の世界で、私は心安らぐことができるはずなのだ。
「ちょっと、待っててくれ。五分で戻る」
「もう置いて行って。このまま私はここで死ぬわ」
 私の言葉を最後まで聞かないで、兄はどこかに行った。
 一人になると、急に太陽が何年も外に出てない私をどんどん苦しめだした。さっきまで人が少なかった場所には、見計らったように人がまばらに集まりだし、
顔をあげると、うずくまっている私を鬱陶しそうに見つめる目がいくつもあった。
 はあ、はあ。
 呼吸が苦しい。
 やっぱり、私、一人になったんだ。
 あの日からずっと、一人なんだ。
「嫌。一人は、いや。怖い……お母さん」
 呟きは虚空へと消える。喘息のような呼吸。答えるものは誰もいなくて、見ていてくれるのは、きっと空の上の母一人だ。
637リアス ◆P/77s4v.cI :2009/07/24(金) 18:24:47 ID:tKfQ210w
「ちょっと」
 そんな私を見かねたのか、横にいた人が声をかけてきた。
「おじょうちゃん、どうしたんだい。調子が悪いのかい」
 重い頭をあげると、ハンカチで頭を拭いている中年の男の人がいた。腹が膨らみ、冬にもかかわらず脇と腹に汗をかいている。目元がやたらとにやついているのが印象的だった。
「いえ、大丈夫です」
「大丈夫って、すごい顔色悪いよ。病院に連れて行ってあげようか」
「病院……」
「そう。そう。病院。体調が悪いときは横にならないといけないからね。おじさん、丁度タクシーの運転手なんだ。横になれるところまで送って行ってあげるから、お乗り」
 そう言って、おじさんは向こうの曲がり角を指差した。見れば、エンジンはかかっていないようだが、確かにタクシーがある。
 乗れば、この人目にさらされるところから脱出できる。
「さ。早く、車まで行こう。もっと体調が悪くなったら大変だ」
「でも、おじさん。仕事はいいの?」
「仕事? そんなものおじょうちゃんの体に比べれば小さなことだよ」
「ありがとう。おじさん、いい人なのね」
「そんなことないよ。僕は君みたいな子を見ると、たまらなくて放っておけないんだ」
 私はおじさんに連れられて、タクシーまで移動することにした。
 途中、ふらついてしまって尻餅をつく。が、おじさんは笑って気にすることはない、と慰めてくれる。
 私が立ち上がると、おじさんが、
「よかったら、おんぶしてあげようか」
 と言ってきた。私は、お願いしようとしたが、大きな背中を見た途端、なんだかそうしてはいけないような感じがして断った。
 すると、おじさんはじゃあ抱っこしてあげよう、と言い出す。もちろん、それも構わないと断ったが、
「かまわない、ってことはいいってことだよね」
 と言うと私の足をねばねばした手で触ってきた。
 ぎょっとして見返すと、にやついた顔がとてもいやらしい、舌を舐めずりするような顔に変わっていた。
 さっと、周りを見たが、すでにタクシーは目の前にある。いつのまにかドアも私を迎え入れるように開いていた。
「少しくらいいいじゃない」
「ちょっと、やめて」
「どうせ横になるところに行くんだから。これぐらいたいしたことじゃないだろう」
「な、にを。やめ、やめなさいよ」
「じゃあ、その大きな胸を少しだけ揉ませてくれ」
 おじさんはそういうと、蛇のように鋭い動きで私の防ぐ手をすり抜けると、一目散に膨らみへと手を伸ばした。
 恐怖がさらにこみ上げる。精神の残りかすがとうとうなくなり、私はもうどうにでもなれと目を瞑る。
「おい」
 そして、がっ、という音がした。鈍い音。肉が裂けるような音だ。
 私は震えながら目を開ける。そこには、倒れているおじさんの姿があった。
「てめえ」
 静かな怒声がその上に乗っている。馬乗りになって、殴り続けている。
 兄だ。
 おじさんの頬は、一発一発殴られるごとに裂けた。何か刃物で裂いたような跡がかぎ状に付けられていた。
兄の拳には、何かが握られているようだ。おそらくそれのせいで奇妙な威力を生んでいるのだろう。
638リアス ◆P/77s4v.cI :2009/07/24(金) 18:25:15 ID:tKfQ210w
「お兄ちゃん」
「舞、大丈夫か」
「こらあ!」
 兄がこちらを向く。しかしそれを狙っていたのか、殴られ続けているだけだったおじさんが反撃に出た。
 体を回転させ、兄を振り落としたのだ。身軽になった彼はすぐさま胸に手を入れて、ギザギザとした大きめのナイフを取り出した。
 サバイバルナイフ。
「ぶっ殺すぞ! ガキ」
 降りあげられた手が、驚く兄に向かって一直線に振り下ろされる。
 防げるものは何一つなかった。
 もう、それで気づいた。
 兄は多分死ぬと。このままあの変な形のナイフに刺されて私の代わりに死んでしまうと。
 また、一人に、なる。
 今度こそ、私は立ち直れない。家にこもって、泣いて、最後は自分で命を絶つに決まっているのだ。
 ――――だったら、私が今、死んだ方がいい。
 そう思って、自分の体を兄の前に投げた。
「馬鹿」
 赤々と流れるのは血だった。こんなにも大量の血は見たことがなかった。お腹から流れるそれは、びゅうびゅうと吹き出して、母が死んだ時とは違った感情がふつふつと湧き起こる。
「お兄ちゃん!」
 刺されたのは、兄だった。
 かばおうとした私を押しのけて、自分の体をそのままさらした兄だった。
「へへ、やってやったぜ。糞ガキが。いい気味だ」
 おじさんはそう言うとバタバタと逃げていく。近くからきゃあ、と悲鳴が上がった。
「待ってろって言っただろ」
 兄が目をつぶりながら言う。私はただ、ごめんなさい、ごめんなさいと言い続けることしかできなかった。
 ドクドク。ドクドク。赤が馬鹿みたいに一面に広がる。
 私はどうすればいいのかまるでわからなくて、流れ出る血液を掬いあげて、兄のお腹に戻した。
 けれど、そんなことに意味はなくて、日差しが私たち兄妹をより醜く染める。
 叫び続ける私。誰も助けてくれない。この世界には二人しかいないのだ。
「ほら」
 赤の海から兄。手を伸ばして開いた。
 手のひらにあったのは、パンダのキーホルダーだ。
「ごめんな……もっと他の物を買おうとしてたんだけど……近くにいいものがなくて……これでさ、一人じゃないって、わかってくれるか?」
 私は、汚れたキーホルダーを握って、ただ泣いた。
 一人じゃなかった。兄がいた。いつも近くで見ていてくれたのはこの人だったのだ。
「お兄ちゃん」
 それなのに。
 兄は私の声に反応せず、ただ薄く笑って目を閉じる。
639リアス ◆P/77s4v.cI :2009/07/24(金) 18:26:02 ID:tKfQ210w
投下終了です。
まだあまりキモくないです。すいません。
ではまた来週。
640名無しさん@ピンキー:2009/07/24(金) 19:50:36 ID:UqEMNTdj
久し振りのフラクタルに俺のテンションが有頂天だぜGJ!
この頃はまだキモくなかったんだな…
数年後、権力を自在に操る舞様になろうとは誰も想像出来まい
641なんというGJ:2009/07/25(土) 00:48:22 ID:sFvvcvAD
頓挫したと思い込んでいたフラクタルが投下されてるゥゥゥゥゥ!!
これから舞のおにいちゃん調教計画か・・・?
642名無しさん@ピンキー:2009/07/25(土) 00:56:55 ID:yQyhkw6f
nice panda
643名無しさん@ピンキー:2009/07/25(土) 02:24:02 ID:m9hanAQB
>>639
おお、フラクタルキタ!
舞の過去編かー。この頃はまだキモウト覚醒してなかったのか

本編も楽しみにしております!
644名無しさん@ピンキー:2009/07/26(日) 21:58:22 ID:aPJdDwbU
「何で、こっそり先に行こうとしてるのよ」

 廊下に冷たい声が響いた。
 玄関に居た俺は、恐る恐る声のしたほうを振り向く。そこに怖い顔をして立っていたのは俺の妹、咲である。
「いや、その、別に一人で出ようとしてたわけじゃ……」
「バレバレ。帰ったらお仕置きね」
 今すぐにでも逃げ出したい心地の俺を目で牽制すると、咲はまた部屋に引っ込んだ。俺はため息をつき、靴を履いたまま座って壁によりかかる。俺は、咲には逆らえない。
 人が見れば、情けない、兄が妹の言いなりになって、と思うかもしれない。だが俺は、咲にはどうしても逆らえない。
 理由はふたつある。ひとつは、俺が咲を恐れているから。そしてもうひとつは、俺が咲との関係を壊すことを恐れているから。
 「ほら、行くよ兄貴」
 いつの間にか横に並んでいた制服姿の咲が、革靴を履きながら言った。俺はゆっくりと立ち上がり、ドアを開ける。
 外に出ると、鬱陶しくなるぐらいの快晴だった。強い日差しが肌を焼き付け、汗が吹き出す。俺は自転車の籠に荷物を載せ、サドルに跨がった。当然のように、咲が後ろに乗ってくる。
 「ん、いいよ」
 咲のその言葉で、俺は二人分の体重のかかったペダルをこぎ出した。
 半袖の制服から出た白い腕を俺の腰にまわしながら、咲が訊ねてくる。「今日の帰りの予定は?」
 嫌な顔をされることをわかって、俺は怖々と答えた。「……今日は文化祭の準備で、遅くなると思う」
「サボりなさいよ、そんなもん」
「こないだもサボったんだ。もう文化祭までそんなに日もないし……今日もサボったら、さすがに皆に悪いよ」
 咲は、不機嫌さを隠すことなく言った。
「言ったでしょ、兄貴は私のことだけ気にしてればいいの」咲はさらに続ける。「皆に悪いだとか、どうでもいいことをいちいち考えないで」
 俺は、咲には逆らえない。最近クラスで孤立気味なのが、ますます悪化することになるだろうが、それも咲にとってはどうでもいいことなのだろう。いや、むしろそれこそが咲の狙いなのかもしれない。
「いっそのこと、引きこもりにでもなればいいのよ」咲は冷たく笑いながら言った。「それで私が職についたら、養ってあげる。そうすれば兄貴を誰かにとられる心配もない。ま、今でも兄貴みたいな奴を好くような女は、私以外に居ないけど」
645名無しさん@ピンキー:2009/07/26(日) 22:02:33 ID:aPJdDwbU
 俺は、汗をかきながら無言でペダルをこぎ続けた。


 学校に着き、自転車を停める。咲と一緒に自転車から降りると、横から声をかけられた。
「よう、篠田」
 篠田とは、俺と妹の名字である。声をかけてきたのは、俺の数少ない友達の一人だった。
「おはよう」
 俺が答えると、予想通り後ろから不機嫌な声がした。
「気安く兄貴に話しかけるな、馬鹿」
 そいつは、驚いてビクリと体を竦める。
 「えーと……」そいつは妹の顔を見て、それから何もフォローしない俺の顔を見た。そして困ったようにしばらくキョロキョロとしたあと、どうしようもなく立ち去っていった。
 咲に背中を叩かれる。
「兄貴も返事してるんじゃないよ」まだ姿の見える友達に聞こえるような声で、咲が言う。「言ったでしょ? 私とあんたの間を邪魔しない範囲でだけ、あんたの交遊関係を認めてあげるって」
 咲が俺の手をとって歩き出す。
「私が一緒にいるときに話しかけてくるような奴と、友達になるんじゃないよ」
 そうは言っても、朝に友達を見かけて声をかけるのは、極普通のことである。だがそれでも俺は、咲には逆らえない、逆らわない。「……わかったよ」そう言って、俺は咲に連れられるようにして歩いた。
 また一人、友達を失った。


 咲と別れ自分の教室に入ると、ちょうど始業のチャイムが鳴った。誰にも声をかけられることなく、席に向かう。途中で先ほどの友達と目があったが、気まずそうに目を逸らされた。
 教室にやってきた先生が、ダラダラと平坦な調子で喋り出す。それを聞き流しながら、俺は考え事を始めた。
 咲があんな風になってしまったのは、いつからだっただろうか。今のように俺への好意をあからさまにし、俺の行動を縛るようになったのは、確か三年程前からである。ちょうど、母親が家を出た時期と重なる。
 だが咲が兄である俺に好意を抱いくようになったのは、それ以前からなのではないだろうか。母親から暴力を振るわれ、俺が庇うようになってからであろうか。父親に、それらを見て見ぬフリをされるようになってからであろうか。
 それとももっと以前──咲がこの世に生を受け、俺を兄と認識したときからであろうか。
 そして、俺がそんな咲を愛するようになったのは……
646名無しさん@ピンキー:2009/07/26(日) 22:04:07 ID:aPJdDwbU
 四時間目が終わり、昼休みになると俺はすぐに教室を出た。昼食は、咲と一緒に別校舎の屋上でとることになっている。周囲の視線は、気にしない。
 屋上の扉を開けると、そこには既に咲が来ていた。街を見渡せる位置で、手をついて座っている。
 扉から足を踏み出し、体が日差しの元に晒される。暑い。だが前にいる咲は、ひとつも汗をかいていなかった。
「咲」
 声をかけられた咲はこちらを振り向き、俺の顔を見て応える。「遅いよ、馬鹿」
「ごめん」そう言って、俺は咲の隣に座る。
 咲は横に置いた鞄を漁ると、二人分の弁当を取り出し、一つを無言で私に渡す。
 「ありがと」俺はそう言って弁当を受け取り、二人で一緒に食べ始めた。

 並んで座っていても、会話はない。いつものことだ。ただ黙々と、弁当を食べる。
 「美味しい」俺はポツリと、感じたままのことを言ってみた。
 「当たり前でしょ」にべもなく、そんな言葉が返ってきた。

 弁当を食べ終わると、咲は目を開けたまま横になった。ただ何も言わず、空を見続ける。
 その隣で、俺も黙って座っていた。

 予鈴が鳴る。
 先に俺が立ち上がり、ズボンについた汚れを払う。それから咲が立ち上がるのを待って、俺は屋上の出口へと向かった。
 「ちょっと待って」
 咲に呼び止められ、後ろに振り向く。咲は真っ直ぐ俺に近づくと、俺の首に手を回した。
 唐突に、唇が重ねられる。
 俺は黙って受け入れた。時間にして10秒程だろうか。咲は俺から唇を離すと、真面目な表情でじっと俺の顔を見つめてきた。その思いは、読めない。
 咲は扉のほうに向き直り、俺の手をとって歩き出した。
「行きましょ」
 俺は顔を赤らめながらついていく。流れる汗が、制服を濡らした。


 ホームルームが終わり、放課後になった。
 クラスの皆が三日後に迫った文化祭の出し物、お化け屋敷の準備をする中、俺は鞄を持ってそそくさと出口へ向かった。周囲から冷ややかな視線を向けられ、心苦しく感じながらも、俺はそのまま教室を出る。
 咲のいる教室の前に着く。どうやらちょうど、ホームルームが終わったとところのようだった。このクラスでも、皆が文化祭の準備にとりかかり始める。一番後ろの席に座る咲は、荷物をまとめ、教室を出ようとしていた。
647名無しさん@ピンキー:2009/07/26(日) 22:05:50 ID:aPJdDwbU
「篠田さん」どうやらクラスのまとめ役らしい女の子が、咲を呼び止める。
 咲は立ち止まり、振り向いた。ぶっきらぼうな声で答える。「何?」
「篠田さん、こないだも帰ってたよね? 用事とかあるなら、帰る前に言ってくれるとありがたいんだけど」
「別に、何も」咲は平然と言った。
「何もないなら……」
「なら……何?」咲は答えを聞かず、教室の出口へと歩き出した。「どうでもいいようなことで、いちいち呼び止めないで」
 いつの間にか、教室は静まり返っていた。今にも怒りだしそうな面々を無視して、咲は廊下を歩き出す。俺も慌てて後についていった。


「咲のクラスは、文化祭、何やるんだ?」
 帰り道の途中、自転車をこぎながら後ろに乗る咲に聞いてみた。
「……」咲は、何も答えない。
 俺は構わず続けた。「教室の様子からすると、喫茶店とかかな。テーブルの準備とかしてあったし」
「ねえ」咲が、俺の話を無視して言う。「ちょっと、寄り道」
「ん?」
「そこのホームセンターに寄って」

 ホームセンターに入ると、冷房の効いた冷たい空気が熱い体を冷やした。
 咲は辺りを見回しながら店内を歩く。俺が何を買うつもりなのだろうと眺めていると、咲は目的のものを見つけたのか棚に近づいた。
「これじゃ、ちょっと痛いかな」咲が手にとったのは、丈夫そうなロープだ。「朝、言ったでしょ。お仕置きって」
 俺は何か言おうとしたが、咲の薄く笑った表情を見てやめた。


 家に着き、玄関のドアを開ける。
「ただいま」それに答える人物は、今この家には居ない。
「…………」咲は、俺と違って無言で家に入った。
 靴を脱ぎ、階段を登って俺たちは自分の部屋に向かった。俺と咲の部屋は、同じ部屋だ。以前──母親が家を出る前までは部屋は別だったのだが、それからしばらく経って、咲の要求で一緒の部屋になった。
 部屋に入ると、咲は俺の目を気にせずに着替えだした。咲の白い体が晒される。一緒の部屋になったばかりにはドギマギしていた俺も、今ではさすがに見慣れて、横で部屋着へと着替える。
 俺が着替え終わるのを待って、咲は部屋を出た。俺も、咲に続くようにして部屋を出る。
 家に居る間は、基本的に咲について一緒に居るように言われている。
 まるで、忠犬みたいだな。心の中でそんな風に自虐してみた。俺と咲の関係は、まさしくそんな感じだった。
648名無しさん@ピンキー:2009/07/26(日) 22:07:06 ID:aPJdDwbU
 エプロンをして、キッチンで料理をする咲をぼうっと眺める。他にすることがないというよりは、他に何かすることを許されていない。
 テレビを見たり、新聞を読んだりするだけでも、咲は怒る。一緒にいるときは自分のことだけを気にしてくれと、咲に言われた。そして俺も、それをつまらないとは感じていなかった。

 おいしそうな料理が食卓に並ぶ。
「いただきます」そう言って俺は箸をとる。
「…………」咲は、無言で食べ始めた。
 咲の作った料理は、相変わらずどれも美味しかった。だがそれは今だからの話で、咲が料理を作るようになったばかりの頃は、決して料理上手とは言えなかった。
 努力したんだな。よく出来た料理を食べながら、そんなことを思う。俺のため、と考えてもいいのだろうか。
 程よく甘辛いカレイの煮付けを食べていると、俺の頭の中に昔の記憶が浮かんできた。ああ、これ、母親の味だ。母親が、母さんが、まだ優しかった頃に作ったカレイの煮付けだ。咲は……
「……何?」
「え?」突然の咲の言葉に、俺はビクリとして箸からカレイの身を落とした。
「こっち、見てたでしょ。何?」咲は、こちらをじっと見つめながら、詰問するように訊ねてきた。
 どうやら、考え事をするうちに咲の顔を見ていてしまったようだ。俺は慌てて顔を伏せ、当たり障りのないことを答えた。「ごめん、ぼうっとしてただけ」
 悪態をつかれる。そう思って汗をかくが、返ってきた言葉はそっけなかった。
「ああ、そう」
 俺はほっとしつつ、少し拍子抜けした。すると、咲は続けて訊ねてきた。「この煮付け、美味しい?」
 俺は驚いて顔をあげ、また咲の顔を見た。咲が自分から料理の感想を求めてくるのは、初めてのことであった。咲の表情は、いつもと変わらぬ無表情である。
「美味しい」俺は正直に答えた。
「……当たり前でしょ」自分から訊ねておきながら、咲はそんなことを言った。
649名無しさん@ピンキー:2009/07/26(日) 22:08:26 ID:aPJdDwbU
 食事を終え、食器を洗うのは二人でやることになっている。流し台の前に二人で並び、一人が洗い、一人がすすぐ。
 玄関から、鍵の開く音が聞こえた。
「ただいま」
 父だ。いつもと同じ、少し控え目な声だった。
「おかえり」俺は、義務的に返事をする。
「…………」咲は、無言で何も答えない。
 父はキッチンを覗き、そこに立つ咲にまた声をかけた。「ただいま」
 俺は横に立つ咲の表情を窺うが、そこにあるのはいつもと変わらぬ無表情であった。
「…………」咲は、無言で何も答えない。
 それを見る父は、いつもと同じ、気弱な表情だった。

 父は食卓に座ると、買ってきた弁当を広げて食べ始めた。咲は、いつも二人分しか夕食を作らない。だから父は仕事の帰りに弁当を買い、こうして一人で食べるのが習慣になっていた。
 咲が洗い物を終えた。そして俺がすすぎ終わるのを待って、廊下に出て階段を登る。俺は咲を追いつつ、弁当を食べる父の様子を伺った。一人で食事をとる父の姿は、やけに弱々しく見えた。


 「本当に、やるの?」
 夕食の後、一緒に風呂に入り部屋に戻ると、咲は買ってきたロープを取り出した。
「当たり前でしょ。冗談でロープを買ったとでも思った?」咲が、ふふ、と笑う。
 俺は観念すると、咲の言うがままにベッドにロープで縛りつけられた。四肢はきつく固定され、少しも動かすことができない。
「いい恰好」
 そう言って妖艶に笑うと、さらに咲は俺に目隠しをしてきた。視界が奪われる。
 何も見えない俺の隣で、衣服の擦れる音がした。どうやら咲が服を脱いでいるらしい。
「何だかんだ言って、ちゃんと勃ってるじゃん」
 服を脱ぎ終えた様子の咲が、俺のぺニスに息を吹き掛けた。ゾクリ、と全身に快感が走る。
 咲の笑い声が聞こえたかと思うと、顔を手で挟まれ、唇が重ねられた。舌を入れられ、唾液を移される。俺もそれに応えるように、舌を伸ばした。やがてその行為は激しくなり、顔を交差させ、ジュブジュブと卑猥な音をたてながら互いの口内を貪る。
 咲が俺から口を離すと、唇を繋ぐ唾液の糸が伸び、プツリと切れた。俺の顔や首筋には俺の唾液が、そして咲の唾液が流れていた。
 咲の息づかいが聞こえる。肩を咲に掴まれ、顔を舌で舐められる。飛び散った唾液を舐めとるように、丹念に舌が動く。
650名無しさん@ピンキー:2009/07/26(日) 22:09:48 ID:aPJdDwbU
 咲の舌は耳を舐め、首筋を舐め、だんだんと下がって行く。手から足の指先まで、ぺニスを避けて余すところなく念入りに舐められた。
 視覚を封じられ、身体を動かせない状況が感覚を敏感にする。ザラリとした咲の舌の質感を感じる度に、俺は興奮を増していった。直接触られていないにも関わらず、俺のぺニスはギンギンに勃起していた。
 体から咲の舌が離れたと思うと、唐突にぺニスをベロリと舐められる。突然の快感に、体が跳ねた。
 そのまま、一気にぺニスをくわえられる。
「うっ……!」
 手では睾丸を弄られ、舌ではぺニスを蹂躙される。
「んんっ」
 咲は時折声をあげながら、飴のようにぺニスをしゃぶり尽くす。咲が口を動かす度に、そこから聞こえる水音は大きくなっていった。

 しばらくそんな責めが続き、俺の股間は咲の涎まみれになっていた。目隠しをされている俺の意識は、ぺニスに感じる快感と、耳に入る卑猥な音に集中していた。焦らされていた俺の体は、急速に昇りつめはやくも限界が近付く。
「咲、俺もうっ……!」
 その言葉に、咲の動きがさらに激しくなる。ぺニスが咲の口を忙しく出入りし、吸い付くように激しくしごかれる。
 ──ドクン。
 咲が深くぺニスをくわえ込んだ瞬間、俺は限界に達した。ぺニスの先端が一瞬膨れ、咲の口内に勢いよく精を放つ。
 精液の噴出は、なかなか収まらない。精液を零さぬようにだろうか、咲の口がきつくすぼめられているのを感じた。

 やがて射精が終わると、ぺニスが咲の口から引き抜かれる。
「うっ」
 達したばかりで敏感になっているぺニスに電流が走り、思わず呻き声が漏れた。
 ゴクン、と何かを飲み込む音がする。
「まっずい」咲はハアハアと荒い呼吸をしながら、満足そうな声でそんなことを言った。
 頭の後ろに咲の手が回され、目隠しが外される。薄明かりが眩しく、目が痛い。やがて光に慣れてくると、目の前の咲の顔が見えてきた。口の端から、ダラリと精液が垂れている。
「気持ちよかった?」咲が呼吸を落ち着けながら、訊ねてきた。
「……気持ちよかった」俺は率直な感想を述べる。
「それじゃ、お仕置きにならないじゃない」
 咲は冗談めかして言った。
651名無しさん@ピンキー:2009/07/26(日) 22:10:53 ID:aPJdDwbU
 咲はベッド脇に置かれたペットボトルの水で口をゆすぐと、ベッドに戻って縛られたままの俺の右隣で横になった。左手で、まだ回復しない俺のぺニスをサワサワと触ってくる。右手は、自身の性器をいじっていた。
「これ、ほどいてくれないの?」
 俺が訊ねると、咲が耳元で囁くように答えた。
「駄目。今日は終わるまで、ずっとそのまま」
 耳にかかる咲の吐息に、俺はゾクリとする。そのままの位置で、咲が続ける。
「痕、残るかもね」
 そう言って、咲は縛られたところを右手で優しく撫でた。俺の肌に、濡れたものが感じられた。
「嫌?」
「……嫌」俺は素直に答えた。「人に気付かれたら、何て言えばいいんだよ」
「そしたら言っちゃえばいいのよ。自分は毎晩、妹とこういうことしてるんです、って」咲は俺に向き合って言った。「そうすれば、誰も兄貴をとろうなんて思わなくなるでしょ?」
 妹はそう言って笑うと、ゆっくりと唇をあわせてきた。深く、長く。先ほどと違って、それは静かに行われた。

「ん……勃ってきた」
 咲は口を離すと、ぺニスを弄る左手の動きを速めた。俺のぺニスはムクリと起ち上がり、射精する前の硬さにまで回復していた。
「そろそろ、いいかな」
 縛られたままの俺に、咲が跨がる。ベッドに左手をついて、右手をぺニスに添えて自身の濡れたそこへと導いた。
「んっ……」
 咲は小さく声を漏らして、俺のぺニスを自分の中に収める。腰を少し左右に揺らし、その感触を確かめるように動いた。
「……やっぱりこの瞬間が、一番落ち着く」咲は、ふう、と息を吐いた。「兄貴と一緒になってるって実感できるから」
 咲の腰が、上下に動かされる。最初はゆっくりと、じっくり味わうように。
「あっ、あぁ……んっ」
 咲の口から、嬌声が漏れ出す。それに合わせて腰の動きも速くなり、接合部からはリズムよく水音が響く。
「はぁ、あぁん、んんっ」
 咲の声が、大きくなる。一階で寝る父の耳にも、聞こえているかもしれない。実際、父は俺と咲の関係を知っているのだろう。だが気弱な父は、何も言ってこない。
「んっ、んんっ、ああっ、いぃっ」
 咲の腰の動きが、ますます激しくなる。全身を赤く染め、息は荒い。クーラーで冷えたこの部屋で、咲の肌には汗が流れていた。
「ふぅっ、んぁ、ああっ、うぅ! んんっ!」
 咲の腕が、俺を抱く。唇を押しつけるようにキスをされる。その間も腰の動きは止まらない。
652名無しさん@ピンキー:2009/07/26(日) 22:12:12 ID:aPJdDwbU
「んんっ、ふぅっ、んっ、うぅ」
 咲の膣内が、俺のぺニスをきつく締め上げる。俺も咲を抱こうとして、自分の腕が縛られていることを思い出した。
「んんっ、んん、んぁっ!」
 咲の唇が、俺から離れた。咲の顔は、快感に歪んでいた。
「兄貴っ、ふぁっ、あぁっ! 兄貴……あぁんっ、お兄ちゃん!」
 咲は狂ったように腰をふり、口からは涎を垂らしている。そして、うわ言のように繰り返した。
「お兄ちゃん、お兄ちゃん! んんっ!」
「咲、咲……!」
「お兄ちゃん! 好き、あぁっ、好きよっ! あぁっ! お兄ちゃん、お兄ちゃん!」
「俺も……んっ、好きだっ、咲……好きだ!」
 咲は頭を激しく振り、髪を振り乱す。その目には涙が光っていた。
「うぅっ、お兄ちゃん! ずっと一緒にいてっ、ふぅっ、ずっと傍にいてっ! あぁぁっ、お兄ちゃん! 私だけを見てっ、ずっと私を愛して!」
 咲の膣がきつく締まる。俺のぺニスも限界に近付く。
「咲っ、俺、もうっ、出るっ……咲!」
「一緒にっ、一緒に! んんっ! お兄ちゃん、お兄ちゃんっ! うぅっ、お兄ちゃん! ああぁぁっ!」
 咲の体が、ビクンと波打つ。背を弓なりに仰け反らせ、それにあわせて膣内が痙攣した。
「うっ……!」
 ぺニスから、勢いよく精液が放たれる。ドクン、ドクン、と治まることなく精液が出続けた。
「んん……お兄ちゃんっ……!」
 俺と繋がったまま、咲が俺の上にもたれかかってくる。咲の身体は痙攣したままだ。ハア、ハアと、俺と咲の荒い息遣いが静かな室内に響く。
「咲……」
「お兄ちゃん……愛してる。ずっと……ずっと、ずっと愛してる」
「俺も……愛してるよ、咲」
 静かに、唇を重ねる。そしてそのまま、俺たちは眠りについた。
653名無しさん@ピンキー:2009/07/26(日) 22:13:13 ID:aPJdDwbU
 次の日、窓から差し込む日差しで目が覚めた。起き上がろうとして、ベッドに縛りつけられたままであることに気付く。
「おい、咲。……咲」
 俺が呼びかけると、俺の横にいた咲がモゾモゾと動いて目を覚ました。
「ん……」
「おはよう、咲」
「おはよう、おにい……兄貴」咲は寝ぼけた様子で答えた。
「これ、とって欲しいんだけど」
「……ああ、忘れてた」
 咲は「もったいないな」なんてことを呟きつつ、縄をほどいてくれた。縛られていた部分が、ヒリヒリと痛む。腕と足の付け根を見ると、しっかりと赤くなっていた。
「やっぱり、痕になってるね」
 咲は俺の腕をとると、赤くなっているところをペロリと舐めた。俺の体に痛みが走る。
「……嫌だって、言ったのに」俺が愚痴を漏らす。
「いいじゃない、別に」咲はベッドから降りて、立ち上がった。「私と“お兄ちゃん”の、愛の証ってことで」
 窓から差し込む日差しが、咲の顔を照らす。その表情は、珍しく優しく見えた。
654 ◆YMBoSzu9pw :2009/07/26(日) 22:15:26 ID:aPJdDwbU
小説処女作。
ヤマなしオチなし。
お粗末様。
655名無しさん@ピンキー:2009/07/26(日) 22:16:31 ID:I8rDB66r
リアルタイムGJ

…しかし投下宣言を忘れていたようですな
656名無しさん@ピンキー:2009/07/26(日) 22:16:36 ID:vbHWWsjd
GJです
657名無しさん@ピンキー:2009/07/26(日) 22:18:17 ID:aDztqirh
ぐっじょぶ
658名無しさん@ピンキー:2009/07/26(日) 22:28:02 ID:aPJdDwbU
>>655
ごめんなさい
キモ姉に怒られてくる
659名無しさん@ピンキー:2009/07/26(日) 22:49:09 ID:3zrzB7FS
まあ、強制する訳じゃないからきにすんな
660名無しさん@ピンキー:2009/07/26(日) 22:49:55 ID:3per+MUn
>>654
じーじぇーです
661名無しさん@ピンキー:2009/07/26(日) 23:45:38 ID:uhHsCFpE
>>654
GJ!
排他的で兄の独占以外を拒絶する、まさにキモウトでした。
母親の暴力から失踪までの経緯とか、干渉を拒否する父親の心情とか……
個人的気になるけど、それさえまさに「どうでもいい」ことに思える、咲のキモさがよかったです。

また次作が投下されるのを、楽しみにしています。
662名無しさん@ピンキー:2009/07/27(月) 00:09:06 ID:UkqaFM60
>>654
おお、いいな。素晴らしいキモウトだ
663名無しさん@ピンキー:2009/07/27(月) 00:12:31 ID:usvD2811
>>654GJ
664名無しさん@ピンキー:2009/07/27(月) 00:21:06 ID:yOByBbZL
>>654
大変結構なお点前でした。
贅沢を言えばタイトルを付けてくださるとありがたい。
665名無しさん@ピンキー:2009/07/27(月) 00:31:59 ID:PnHRM6UZ
>652
666名無しさん@ピンキー:2009/07/27(月) 01:07:27 ID:PjYTBfKc
ナイスキモウト!そしてGJ!
たまにはテンプレ的なキモウトもよいものですね
続編、または次作があれば是非!!
667名無しさん@ピンキー:2009/07/27(月) 07:01:07 ID:3RlD083+
初作品とは思えない気持ち悪さですね!最低です!もっとやれ
GJ!
668 ◆6AvI.Mne7c :2009/07/27(月) 18:14:57 ID:Coqmvwth
こないだの長編は、さすがにちょっとやりすぎた。
次からは少し控えめでがんばらないと。

急拵えだけど、小ネタができたので投下。
タイトルは「とらんすとらっぷ」。姉弟もので大体10.7KB。
注意点は特にないけど、しいていうなら詰め込みすぎた。

次レスより投下。3レス借ります。投下終了宣言はなし。
669とらんすとらっぷ (1/3) ◆6AvI.Mne7c :2009/07/27(月) 18:17:52 ID:Coqmvwth
 
 俺の姉貴は、かなり傍若無人なヤツだ。
 俺の持ち物は勝手に持っていくし、返してくれやしない。
 俺の予定を聞かずに、勝手に俺を連れまわし、振り回す。
 どこまでも自分勝手で、唯我独尊で、どうしようもない。
 昨日だって、俺のお気に入りのシャツを、勝手に持って行きやがった。
 それも俺の部屋、俺の目の前で、俺を無視して、堂々とだ。
 いい加減自然なその所作に唖然としつつも、俺は姉貴を怒鳴りつけた。
「おい……! いつも勝手に俺のもの、持ってくんじゃねえよ!?
 なんで姉貴はそうやって、俺のイヤなことばかりしやがんだ!?」
「あーうっさいうっさい! 別にいいじゃんシャツくらいさぁ?
 あんたまだいっぱい、いいもの持ってんじゃないの?
 ケチ臭いこと言わないで、あたしに寄こしなさいっての!?」
「誰がケチだ誰がっ!? いい加減にしるぎゅ!」
 取り返そうと腰を上げた瞬間、姉貴の素足の裏が俺の顔面にヒットした。
「――ふふん♪ あんた、姉の命令に、弟が逆らえるって思ってんの?
 古今東西、弟は姉に逆らえなくて、弟は姉の言うことを聞くものよ?」
 そう言って姉貴は、2回ほど足指で俺の顔面を擽った後、その足を下げて――
「あんたのものは、このあたしのもの。どぅーゆーあんだーすたん?」
 そのまま振り向かずに、言いたいことだけ言って、俺の部屋から出て言った。
 もちろん、例の俺のお気に入りのシャツを手にしたまま。
「――戦績、喧嘩36戦全敗、盗難被害計測不能全敗……」
 納得いかないが、今のところ確かに、俺は姉貴に対抗する術がない。
 姉貴は何故か俺より喧嘩が強くて、勝ち目は万に一つもない。
「くやしい……っ! そしてちっとも嬉しくない……っ!?」
 とりあえずいろいろイヤになったので、俺は不貞寝することにした。
 
 
 チャンスは意外なところで訪れた。
 今日の夕方は、姉貴も親父もお袋も、全員用事で出かけるらしい。
 そして俺は部活が休みで、早い時間に家に帰宅することができた。
「これはまぎれもないチャンス……。今こそ奪還の時が来た……!」
 いつもは家に誰かいるから、姉貴の部屋に忍び込むことさえできない。
 だからこそこの機会を逃せば、俺の私物を奪還する機会はないと思う。
「親父もお袋も、この件に関してはちっとも味方になんねえしなぁ……」
 何度か姉貴のことで相談したけど、信じちゃくれなかったのだ。
「あの輪奈(りんな)がそんな酷いこと、するわけないだろう?」
「そうよ掛(かかる)、お姉ちゃんを貶めちゃ、だめでしょう?」
 こんな感じで、完っ全に姉貴の味方で、逆に俺が怒られたのだ。
 姉貴が普段、どれだけ猫を被るのが上手いか、よくわかったよ……
 
 そんなわけで俺は今、姉貴の部屋のドアの前にいる。
 実は今まで数年間ほど、俺は姉貴の部屋に入ったことがない。 
 小学生高学年くらいまでは、入ってた記憶があるんだが……。
 なぜかある日突然、姉貴に部屋に入ることを禁止されたんだっけ。
「そういやその頃から、姉貴は今みたいに傍若無人になった気がするな」
 本当に、なんであんなことになったんだろうか。
 昔の姉貴はどちらかというとブラコンで、俺を猫かわいがりしていたのに。
「っと、考え事をしている時間は、あんまりないんだよな……」
 昔の思い出はどうだっていい。目的はそこじゃない。
 さっさと姉貴の部屋から、俺の私物をできる限り取り返さないと。
 
 姉貴の部屋の扉は、何故か鍵が掛かっていなかった。
 外からかけられる鍵のついてる扉なのにもかかわらず、だ。
「姉貴のヤツ……、俺に対して油断しすぎてんのか……?」
 常日頃から、自分の部屋には入るなと、お袋にも言っている姉貴なのに。
「まあ別にいいや。錠開けの小細工がいらんかっただけ、儲けもんか――」
 俺は喜々として、部屋の扉のノブを回し、扉を引いて――
670とらんすとらっぷ (2/3) ◆6AvI.Mne7c :2009/07/27(月) 18:20:31 ID:Coqmvwth
 
――ジャ〜ジャッジャジャンジャン〜ジャンジャジャッジャッジャ〜♪
「………………っ!!?」
 突然鳴りだした自身の携帯の着信音に、その場で飛び上がってしまった。
 着信音は某国民的アニメに出てくる、ガキ大将のテーマソング。
 ということは、この着信は姉貴からのメールで――
「な、なんでこんな見計らったタイミングで、姉貴からメールが……」
 もしやバレてたのか、とヒヤヒヤしながら、俺は届いたメールを確認した。
 
「掛、いま家に父さんも母さんもいないんだっけ?
 さっき用事が済んだから、あたしはこれから帰るわ。
 夕飯のおかず、作るのメンドイだろうから、適当に買ってく。
 追伸:もしかして、あたしの部屋に勝手に入ろうとしてない?
    散らかってるから、絶対の絶対に、入っちゃ駄目だよ?」
 
 バレかけてる……!? まずい、奪還計画は中止するべきか?
 けどこのタイミングを逃したら、次はいつ忍び込めるか――
「――しかたねえ……。とりあえず中の様子だけでも探っとくか」
 結局俺は、姉貴の部屋に忍びこむことにした。
 
 
 姉貴の部屋は、案外普通の部屋だった――とは言い難かった。
 確かに散らかってはいた――俺の私物と、壁一面の俺の写真で。
「え……と、どういうことだよこりゃ……?」
 足元には俺の衣服(下着含む)やら、昔の学習道具やらが散乱している。
 壁(&天井)には、明らかに隠し撮りな俺の写真がビッシリ貼ってある。
 どう考えても、小説で見た電波系やストーカーの部屋じゃねえか……!?
「まずい……、ここに入ったことがバレたら、俺は確実に死ぬ……!?」
 なぜなら、目の前に人型――俺の衣服を縫い合わせた等身大人形があったから。
 その人形には、頭部に俺の顔写真が貼ってあり、俺の服が着せられていたから。
「な、なんつーもん作ってやがんだ、あんの――変態姉貴は――っ!?」
 
 恐怖と混乱からくる油断。好奇心からくる選択ミス。そして理解不能な展開。
 俺が思わず人形を持ちあげてしまった瞬間、部屋の四方からしなる音が響く。
 それが鉄製のワイヤーだと理解した時には、俺は既に全身を捕縛されていた。
「しまっ……た……! これは……全部……罠だったのか………!?」
 逃げられそうにない。10本以上のワイヤーが、俺を完全に固定している。
 うち数本は、天井と壁に繋がっていて、絶妙に俺の移動を許してくれない。
 
――らーんらんらんららら〜ら〜ららら〜ららら〜ららら〜♪
 死刑宣告。俺の携帯の着信音とは違う別の電子音――有名な動揺の1節が響く。
 同時に姉貴の部屋のクローゼットが開かれ、中から1台のパソコンが現れた。
 唖然とする俺を尻目に、起動しているパソコンから姉貴の声が響いてくる。
 よくわからないが、たぶん姉貴には今の状況が、全て知られているはずだ。
『掛――あんたは約束を破って、あたしの部屋に忍び込んだのね……。
 この会話は、いま帰宅中のあたしの携帯から、直接繋いでるものよ。
 残念だったねぇ……、あたしはちゃんと、警告してあげてたのにさ』 
 ディスプレイには姉貴の顔が表示されていて、まるで悪の秘密結社の総帥のようだ。
『掛よ、あたしは悲しい。あんたにならあたしの警告の真意を、理解できると思っていたんだけどね……。 
 まあいいわ、あたしから逃げられると思いあがっているのなら、いくらでもあがいてごらんなさい……。
 あは、あはは、あ〜っはっはっはっはっはっ…………!!』
 脳内に黒い装束を纏った某カルト教団のボスの姿が思い浮かんだが、それどころじゃない。
 手段を選ばずに、迅速にこの部屋――家から逃げ出さないと、確実に恐ろしいことになる。
『――ああそうそう。あたしが家に帰るまでの1時間、たぶん退屈でしょう?
 だからあたしのパソコンに保存してあるとっておきの動画、見せてあ・げ・る♪』
 その言葉と同時に、ディスプレイ上でなにやら動画が再生される。
 映し出されたのはここ――姉貴の部屋で、画面外から姉貴が登場して――
「――!? こ、これは――!?」
 俺はその内容に驚愕し、絶望し、そして興奮してしまった。
671とらんすとらっぷ (3/4) ◆6AvI.Mne7c :2009/07/27(月) 18:28:45 ID:Coqmvwth
 
「――たっだいま〜♪ その様子だと、アレは効果覿面だったみたいね♪」
「――何が効果覿面だ……! 実の弟に、あんなイカレたもん見せやがって……」
 ようやく帰ってきた姉貴は、いつもの意地の悪い笑顔を見せながら、俺を観察している。
 訂正。意地の悪い笑顔の中に、今はなにか淫乱で陰惨な表情が宿っているようだ。
「ふふん♪ 強がっても否定しても、身体はどうしようもなく正直だねぇ?
 あたしの『1人遊び』の動画だけで、こんっなにバキバキに勃起しちゃって♪」
 そう、あの後ディスプレイで再生されたのは、姉貴の……その……自慰行為の動画だった。
 いつも傍若無人な姉貴が、頬を染めて、虚ろな瞳で、卑猥な言葉を紡いで、全裸でよがる。
 しかもオカズはどう見ても、俺の私物や写真――または例の人形――つまり俺だった。
 普段見せない姉貴の痴態に、軽蔑の視線を送るつもりで――できなかった。
 俺はこれ以上となく、姉貴の牝の貌(おんなのかお)に魅せられ、興奮してしまった。
「んふふ〜♪ それじゃあ御開チン――うはぁ♪ やっぱりおっきくて美味しそう……♪」
 オヤジ臭い科白とともに、俺の下半身の衣服を文字通り破りとる姉貴。
 そして出てきた俺の性器に、涎その他を垂れ流して、じっと魅入っている。
「うふふ、夢にまで見た掛のおちんぽ〜♪ 今にも泣きそうなくらい、プルプル震えて可愛い♪」
 そう言いながら、俺の性器――姉貴曰くおちんぽ――を口に頬張る姉貴。
 マズイ。本当にさっきの動画の興奮と併せて、冗談抜きで我慢ができ――
「――んきゃ!? っもう……、凶暴なんだから、あんたのおちんぽ♪」
 頬張られて舌で数回撫でられただけで、俺は姉貴の口内に射精してしまった。
 そのことに対して姉貴は別段怒った雰囲気も見せず、むしろ嬉しそうにしている。
 
「つうかやめてくれよ姉貴っ!? 俺たちは姉弟だろ!? こんな――」
「あら? その姉の部屋に忍び込んで、興奮して、射精したのはどこの誰だっけ?
 いいのよ別に。今から父さんか母さんに連絡しても。掛にぶっかけられたって」
 ぐうぅ……っ!? ここで脅迫なのかよ? 明らかに立場がおかしいだろう!?
 ああでも親父もお袋も、姉貴の言い分を信じそうだし、マジで有効そうだなその手。
「さあてそれでは本番を――って萎えちゃってるし。これはこれで可愛いけど。
 でもあたしは最後までイきたいから、もっかい勃起してもらわないと、ね♪」
「馬鹿言うな姉貴、1度射精させられた以上、そう簡単に勃起させられたりは――」
 俺の科白を最後まで言わせることなく、姉貴は上目づかいで、俺に囁きかけた。
「――ねえ掛くん、今までの恨みも込めてあたしのこと、めっちゃくちゃに犯して?」
 瞬間、萎れていたはずの俺の性器が勃起して、一気に天を仰いだ。
672とらんすとらっぷ (4/4) ◆6AvI.Mne7c :2009/07/27(月) 18:32:22 ID:Coqmvwth
「な、なんでこんな簡単に!? なんで姉貴のおねだり如きに反応してんだ俺は!?」
 俺に姉貴みたいな属性を好むフェチはないし、そもそもシスコンですらない。
 だっていうのに、なんで姉貴で――他のエロ本とかでも、こんな反応はしないのに!?
 
「うふふ♪ わけがわからないって顔してるね、掛。可愛いわ♪
 蒐集も兼ねて、あんたにちょっとずつ憎まれるように仕向けたのはあたし。
 常にあんたの傍で、あたしの姿や匂い、声や感触を覚えさせたのはあたし。
 これまでの積み重ねは、今みたいにあんたを精神的に縛るための下地だったの。
 だから、あたしがちょっと気弱に『懇願』しただけで、興奮できちゃったのよ?」
 つまり、物理的な罠に嵌ったのは今日だけど、精神的には既に罠に嵌っていたのか?
 姉貴が時折見せるギャップに極限まで反応して、逃げ出すことさえ許さないように?
「まあそういうわけで――逃げられるなんて思わないことね、掛くん?
 あたしだってあんたが小学校高学年の頃、性的に興奮した時は絶望したのよ?
 そして悩んで悩んで苦しんだ末、この道を選んだの。もう後悔はしないわ。
 あんたへの気持ちを押しとどめるくらいなら、あたしはあんたと一緒に堕ちる。
 だから、逃げ出さないで――あたしをボロボロに犯してよ、掛くん?」
 さらに張り詰める俺の性器。気付けば俺は、床に押し倒されていた。
 姉貴が俺と壁を繋ぐワイヤーを切除したらしい。けれど逃げられる気はしない。
「ああ、待ちに待ったこの瞬間。あたしが掛に操を捧げるこの瞬間。
 それじゃあ――その凶器なおちんぽで、あたしの処女膜をぶち抜いて、掛くん?」
 蕩ける表情と虚ろな瞳を俺に見せつけながら、姉貴は腰を落とし――
 
――その日を境に、俺は姉貴というトラップに、完全に絡め取られてしまった。
 
 
                                  ― Who is it that it was caught by a trap? ―




----------------------------
以上、投下終了。
まさかの本文長すぎエラーで緊急分割。
ああもう、悔しすぎる………
673名無しさん@ピンキー:2009/07/27(月) 19:03:47 ID:B4XOoJkM
なんというお姉ちゃん、この姉は間違いなく策士(*´Д`)
674名無しさん@ピンキー:2009/07/27(月) 19:19:49 ID:gu1noHiB
GJです
675名無しさん@ピンキー:2009/07/27(月) 19:27:32 ID:PjYTBfKc
GJだ!!
ところで次スレ立てた方がいいのか?
676名無しさん@ピンキー:2009/07/27(月) 19:29:16 ID:2ESFAcqf
要領もう無いしそのほうがいいな
677名無しさん@ピンキー:2009/07/27(月) 19:40:03 ID:QWKvjXat
>>668
GJ!
だけど男の沽券に関わるからな、女に負けっ放しはやっぱり悔しいぜ!
678名無しさん@ピンキー:2009/07/27(月) 20:58:09 ID:G8X4fLkg
こんな姉が欲しいW
GJです
679名無しさん@ピンキー:2009/07/27(月) 21:31:53 ID:xaNfDO4N
乙!
でもなんだろう
登場人物の誰よりも父親に深く同情を覚えてしまった
仕事から帰ってきて子供たちにシカトされながらコンビニ弁当でわびしい晩餐なんて
俺だったら耐えられない……
680679:2009/07/27(月) 21:34:27 ID:xaNfDO4N
うおっ、リロードしてなかった!?
>>672も激しく乙だぜ!!
681名無しさん@ピンキー:2009/07/27(月) 22:02:18 ID:yriYVh6w
キモ姉? ボッコボコにして(ry
682名無しさん@ピンキー:2009/07/27(月) 22:02:22 ID:2ESFAcqf
683名無しさん@ピンキー:2009/07/27(月) 22:03:06 ID:2ESFAcqf
うお、ageてしまった
スマソ
684名無しさん@ピンキー:2009/07/28(火) 00:29:10 ID:+4QW7MKw
>>679
そりゃあ若い時に姉にしっかり躾られたからな
685名無しさん@ピンキー:2009/07/28(火) 00:33:33 ID:siYR2Ucf
埋め立てage
686名無しさん@ピンキー:2009/07/28(火) 02:43:53 ID:LQ7j1vdO
1時間で書いた埋めネタ投下


改めて読むと駄文ってレベルじゃないわコレ
687戦え! 近親戦隊ソウカンジャー:2009/07/28(火) 02:47:12 ID:LQ7j1vdO
20××年、とある田舎町に悪の組織と戦う正義のヒーロー(ヒロイン?)達がいた!

「ハァ・・・ハァ・・・も、もう勘弁してくれ・・・」
「むぅ、だらしの無いお兄ちゃんだなぁ。ちゃんと晩御飯はウナギと山芋食べたでしょ?」
「だ、だからって6回連続射精はできな・・・うっ!」
「って言いながらキタキタキタ――――!! 出してっ!! 膣内(なか)にいっぱい出してぇ〜〜!!」


どうも、こんにちは。俺の名は牛山大悟、今年から高校に入学したピチピチの男子高校生さ。
といっても志望校に落ちて結局滑り止めのトコに行く羽目になったんだけど。
え? なんで志望校に落ちたかって? それは毎晩勉強時間になると・・・おっと、すまん。時間切れだ。

「ふわぁ・・・あ、お兄ちゃ〜ん♪ オ・ハ・ヨ」
隣で目を覚ましたツインテールの女の子、小学4年生の三つ子の妹の一人、牛山紅音(あかね)。そう、冒頭で俺を搾っていた子だ。
「ゴラァァァ紅音!! 今日はアタシの番だぞ! 兄貴寄こせ!!」
「騒々しいですわ栖桃。それに順番的に今日は私の番ですわ。ね? お兄様?」
勢い良く扉を蹴破って突入してきたのは三つ子の妹の残り二人、栖桃(すもも)と真白(ましろ)。
栖桃はショートカットでボーイッシュ、ちょっと口の利き方は悪いが根は優しくて真面目な子だ。
ウェーブの掛かったロングヘアーの真白はいつだって冷静だ。しかも頭が切れておまけにナイスバディ(小学生にしては)。
そして、未だ全裸で俺に抱きついている紅音。ツインテールで人懐っこく甘えん坊。だが家事全般が得意という家庭的な一面も。
この三つ子、性格は違えど顔も背丈も好きな人も同じ。そう、言わずもがな俺である。
兄妹同士で愛し合うのはいけないと教えること約200回。兄妹同士で性交してはいけないと説教すること約100回。
効果は現れず、今では一週間7日を一人2日で分け、逆レイプされてるという現状だ。ちなみに日曜日は4Pである。
勿論俺とて好きで彼女達に犯されているわけではない。だが、この3人は人知れず「悪の組織」なる軍団と戦い続ける運命にあるのだという。
そして、彼女達の戦うエネルギーの源となるZP(ザーメンパワー)が濃縮されているのが他でもない俺の精液なのだとか。
一体どこから突っ込んでいいのやら、と思っていたが、実際俺は何度も敵に襲われているのだ。そして、その度に妹達に助けられている。
戦う力を持たない俺は、結局こうして夜な夜な彼女達のサポートをしているというわけだ。


―――― ピンポーン ピンポーン ――――
「エマージェンシーコール!?」
「ヘッ、性懲りも無く来やがったなTC(シーフ・キャット)軍団!」
「返り討ちにして差し上げますわ」
夜の営みで酷使した身体に鞭打って駆け出す3人の後を追う。ていうか敵も律儀に呼び鈴押して来るなよと突っ込んでいいかなぁ。


「クスクス・・・来たわねソウカンジャー。今日こそ大悟君は渡してもらうわ」
セーラー服に身を包んだTC軍団幹部、「イインチョウ」か。こいつはまた厄介な相手が来たもんだぜ。
・・・どことなくうちのクラスの委員長に似てるのは気のせいだと思いたい。
「ふん! あんたみたいな泥棒猫にお兄様は渡しませんわ!」
「ちょっと巨乳だからっていい気になりやがって!!」
「二人とも! 行くよ!」

『絶頂変身!!』
 
眩い光と共に現れたのは赤ブルマの紅音、ピンクスパッツの栖桃、白スク水の真白だ。行け! 僕らのソウカンジャー!!
688戦え! 近親戦隊ソウカンジャー:2009/07/28(火) 02:50:21 ID:LQ7j1vdO
「愛する兄に、捧げる純血ッ!! ソウカンブラッドレッド!!」
「蒸れる股間に、魅惑のワレメッ!! ソウカンサーモンピンク!!」
「腿に滴る、卑猥な粘液ッ!! ソウカンジェルホワイト!!」

『三つの心に六つの乳首ッ!! 近親戦隊! ソウカンジャー!!』(ドカーーン)

キタ! ソウカンジャーキタ! これでかつる!!
「ウフフ・・・。今回はそう簡単にやられないわよ・・・」
相手が取り出したのは巨大な龍を模した鞭だ。三匹の龍の首はしなやかに舞いながら、噛み付くチャンスを狙っている・・・!
「お兄ちゃんは私達が守る! 振動剣・バイブレード!!」
「勿論だぜ! 突起棒・クリトリスティック!!」
「指一本触れさせませんわ! 水笛・潮吹!!」
強いっ・・・! 一瞬であの龍たちを消し去ってしまうなんて・・・。これが、ソウカンジャーの力・・・!
「中々やるわね。じゃあこんなのはどうかしら?」
なんとイインチョウは話しながら服を脱ぎだしたではないか!? そ、そしてブラジャーも剥ぎ取り豊満なおっぱいが・・・フヒヒ。
「巨乳奥義・パフパフドリーム!!」
言葉を発した瞬間、彼女は高速移動をしソウカンジャー3人の顔にパフパフ(知らない君はググろう)をお見舞いした。
「ほ〜ら、巨乳になればこんなことだって出来るのよ?」
・・・パフパフパフパフ・・・
すっごく、気持ちよさそう・・・。じゃなかった、相手の奥義を食らった3人は次々に地面に倒れてゆく・・・。
最後まで何とか踏みとどまっていた真白も「あと3年もすれば・・・くやしいっ・・・!」と台詞を残しつつ力尽きた。
「クスクス。後は安心して、ゆっくりお休みなさい。・・・さて、と」
こちらに向き直ったイインチョウはじりじりとおっぱいを見せつけながらこちらに向かって歩き出した。
「さ、大悟君。私と一緒に行きましょ?」
「ハッ・・・だ、誰がそんなおっぱい、じゃなくて! そんな誘惑におっぱおおっぱお」
嗚呼悲しきかな男の性。昨晩嫌という程搾り取られたはずなのに、今は無性にあのおっぱいに顔を埋めてみたいという衝動が沸き立つ。
「柔らかいよぉ〜? このおっぱいに挟まれて眠ったらきっといい夢見れると思うなぁ〜」
ゴクリ・・・。いくら真白が発育がいいとはいえ、所詮は小学生レベル。あんな巨乳はまだ未体験ゾーンなのだ。
顔を埋めたい、揉みしだきたい、心行くまで吸い付きたい。気がつけば彼女はもう数歩先まで迫っていた。
『(お兄ちゃん)(兄貴)(お兄様)に触るなッ!!!』
俺に気を取られていたせいで反応が遅れたのだろう。彼女が振り向いたとき、既に3人は構えに入っていた。
『ザーメン燃焼!! 中田氏希望!! 兄に届けこの想い!!』
3人の前に巨大なエネルギー球が現れた。そしてそれぞれの武器を構え、―――  発  動  す  る  ッ  ―――

『吹っ飛べえぇぇぇえぇえぇ!!!』

出た! 合体必殺技・ファイナルアルティメットデスティニー(紅音命名)!! イインチョウは避ける間もなく吹っ飛んでゆく!
「私は諦めないわ・・・! 貴方の事を中学の頃からずっとっ・・・!!」
良く聞こえなかったがどうやらまだ生きているらしい。俺は妹達に感謝しつつこれからもZPを供給し続けることを約束した。


翌日、学校へ行くと委員長が全身に包帯を巻いていた。友達から聞くところによると交通事故にあったらしい。大丈夫だろうか。


                                                  おわり
689名無しさん@ピンキー:2009/07/28(火) 03:35:43 ID:pQjPcZZG
くwwwだwwwらwwwねwwwぇwww
いいぞもっとやれ!GJ!
690名無しさん@ピンキー:2009/07/28(火) 03:43:46 ID:HD2PiPMC
戦闘能力の無駄遣いが酷いwwwwwww
GJ!!!
691名無しさん@ピンキー:2009/07/28(火) 09:18:46 ID:6RvgHorp
>>686
駄文? 上等だ! GJだっ!!
こういうバカ話があるから、埋め投下タイムはやめらんねぇ!?

しかし、戦隊モノなのにヒーロータイムで放送できない内容に絶望したっ!?
特に必殺技とか、どこのく○いち○法帖やねん。

またこんな話が書かれるのを、楽しみにしています。
692名無しさん@ピンキー:2009/07/28(火) 10:35:56 ID:PRlNc/EK
発想が神すぐるwwww
693名無しさん@ピンキー:2009/07/28(火) 10:41:19 ID:EP33DXOj
バwカwスw
これは是非シリーズ化を!
694名無しさん@ピンキー:2009/07/28(火) 10:48:06 ID:SIZWm5bN
すっ飛んでるなぁGJ
続編期待。
695名無しさん@ピンキー:2009/07/28(火) 11:48:05 ID:ZeC1o2nB
草ばっかり
696名無しさん@ピンキー:2009/07/28(火) 12:56:15 ID:zH6xLwxk
GJ! 埋めネタってレベルじゃ(ry
697名無しさん@ピンキー:2009/07/28(火) 13:41:10 ID:/07tNQnU
凄えW

アニメ化希望

GJでした
698名無しさん@ピンキー:2009/07/28(火) 19:14:23 ID:PRlNc/EK
>>695
こうですか
草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草
草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草
699名無しさん@ピンキー:2009/07/28(火) 23:10:52 ID:Clvz2yWx
まだかな
700名無しさん@ピンキー:2009/07/29(水) 03:49:04 ID:DQEzxe7O
ぶっ飛びすぎにも程がある
701名無しさん@ピンキー:2009/07/29(水) 09:22:34 ID:6DEyBkUj
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702名無しさん@ピンキー
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