【銀魂】空知英秋作品でエロパロ14【13】

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1名無しさん@ピンキー
文句垂れるだけのゆとり馬鹿はスルーで!
空知英秋作品のエロパロを皆で書こう!
美咲にとみ子に十三夜、神楽にお妙にお通にさっちゃん、
キャサリンにババアにハム子に九ちゃんに幾松に栗子
陸奥にそよに辰巳に阿音、百音、おりょうちゃんにハジに卵さん、
レイに松子、月詠に日輪などなど

鬼畜、純愛どんとこい!

※やおいは801板でどうぞ。
(過去スレ)
【銀魂】空知英明作品でエロパロ【しろくろ】
http://idol.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1084031649/l50
【銀魂】空知英秋作品でエロパロ2【しろくろ】
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1098717339/
【銀魂】空知英秋作品でエロパロ3【しろくろ】
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1119799745/l50
空知英秋作品でエロパロ4
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1127953756/l50
【銀魂】空知英秋作品でエロパロ5【しろくろ】
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1139921146/
【銀魂】空知英秋作品でエロパロ6【しろくろ】
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1147579076/
銀魂】空知英秋作品でエロパロ7【しろくろ】
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1155653244/
【銀魂】空知英秋作品でエロパロ8【しろくろ】
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1167935525/
【銀魂】空知英秋作品でエロパロ9【しろくろ】
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1178378251/
【銀魂】空知英秋作品でエロパロ10【しろくろ】
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1192455888/
【銀魂】空知英秋作品でエロパロ11【13】
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1202951745/
【銀魂】空知英秋作品でエロパロ12【13】
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1215356442/
【銀魂】空知英秋作品でエロパロ13【13】
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1229754777/ ←前スレ

(これまでに投下されたSSの置き場)
2chエロパロ板SS保管庫
http://sslibrary.arings2.com/
2名無しさん@ピンキー:2009/04/10(金) 22:42:50 ID:ELbfjcSm
>>1
乙!
沢山の話が読めますように
3名無しさん@ピンキー:2009/04/11(土) 13:22:03 ID:5JoY1LQH
>>1
乙! 早く規制が終わっていつでも書き込めますように
4名無しさん@ピンキー:2009/04/11(土) 15:27:21 ID:rH407CNR
>>1

書き手も読み手もゆとり馬鹿が来ませんように
5名無しさん@ピンキー:2009/04/11(土) 23:21:55 ID:i+sQI2SN
1おつ
名前出すと来そうだからゆとり馬鹿については完全無視で
6名無しさん@ピンキー:2009/04/14(火) 01:32:45 ID:YDdYnhTU
呼ばれて飛び出てじゃじゃじゃじゃ〜ん♪
7名無しさん@ピンキー:2009/04/17(金) 22:42:58 ID:1sXrS7ec
保守
8名無しさん@ピンキー:2009/04/18(土) 09:27:07 ID:nes2cNsU
ケンカはこちらw
【隔離】場外乱闘専用スレ【施設】
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1239770078/
9銀時×月詠 1:2009/04/20(月) 00:36:54 ID:83h9Hpae
吉原編終了時に書いた銀月ネタの辻褄を合わせてみました
やっぱりこの二人難しい

文とかちぐはぐで読み辛いと思うけど本当すみません
銀月気になりすぎてここらで吐き出さないと何も手につかないんで
今の長編終わるまで練習するので許して下さい


==============================

家に帰ってくると、女が煙管をふかしていた。

誰も居ない筈の部屋に漂う煙の匂い。
銀時はすぐに事態を理解することができなかった。
「何だ、遅かったな」
聞き覚えのある落ち着き払った声を聞き、その相手が月詠だと理解する。

「遅かったな、じゃねぇよ。何で突然当たり前の様に居座ってんのお前。人の断りもなしに」
銀時は苛立ちながら話しかけた。
「当然じゃろう。貸した物を返して貰うのに何の断りが要る」
すると相手からは、さらに苛立った声で言葉を返される。
なぜ無断侵入された相手に逆切れされなければならないのだろうかと、銀時は溜め息をついた。

「来てみた所誰も居らんかったのでな。悪いが勝手に上がらせて貰った」
「…勝手に上がるとかの前にさぁ……。ウチ禁煙なんですけど」
銀時の言葉が聞こえていないのか。
自分の家であるかの如く寛いだ様子で、月詠はソファに身を預け煙管をふかし続ける。

「大体貸した物って何?人違いじゃね?」
「自分の胸に聞いてみろ」
「……っつってもなぁ。今借りてる物ってAV位しかねーし」
「誰がそんな話をしとるか。火種をよこせ、とあの場でぬしが言ったのじゃぞ」
そんなこと言ったっけ、と銀時はとぼける。
「頭を打ちすぎて記憶を失ったか。ぬしに覚えが無くとも、わっちにはあるのじゃ」

忘れた振りをしてはみたが、大方察しは付いている。
吉原との戦いで月詠から託された煙管のことだろう。
死ぬ気で臨んだ月詠を思い留まらせるために、理由を付けて取り上げたのだが、
それも鳳仙との戦いで潰してしまった。

あの場で期せずして銀時の命を繋いでくれたことを考えれば
煙管の一本や二本、全くもって安い話ではあるのだが。

「……ていうか今銜えてるよねお前、思いっきり」
「誰が好き好んでこんな安物など銜えるものか。あれは地上でしか買えぬ上物だと、あの時言うたじゃろう」
鋭い眼差しを向けながら、月詠は憮然とした表情で話す。

「仕方ねぇな、返せばいいんだろ返せば。その子種とやらを」
「いい加減にしろ殺されたいのか」
静かに怒りを込めて月詠は言う。
今にもクナイを投げ出しそうな殺気で銀時を睨み付けている。
その視線は銀時の悪ふざけを静止するのに、十分なものだった。


10銀時×月詠 2:2009/04/20(月) 00:37:39 ID:83h9Hpae


それにしても、と銀時は思う。
「………いい加減にして欲しいのはこっちなんだけど」

―――新八と神楽が突然修行し出すとか言って家を出てった今の時期を見計らって
   日頃の鬱憤を晴らすべくツタヤ半額レンタルで10本纏め借りしたり
   長谷川さんから取って置きのコレクション借りてきたりしてるのに、
   なんでよりによってコイツはこんなタイミングで邪魔しますか?

心の中の叫びを抑えながら、銀時は続けた。

「大体そんなブランド物買う金なんかねーんだよ。
 そりゃー俺だって買ってやりたいのはやまやま…」
「嘘をつけ。金があっても風俗で一発やりたいだけだろう」
「……いやいや駄目だからね。女の子が一発やりたいとか言っちゃ駄目だからね」
「それがさっきまで品の無いことを言うた者の台詞か」

そういいながら、月詠は再び煙管に火をつけた。
「大体女は捨てておる。何度も言っておるだろう」
月詠の口から気だるさを湛えた煙が吐き出される。

―――こいつは自分の言ってることを分かってんだろうか。

月詠の吐息につられて、内心の呟きを掻き消すように銀時は溜め息をつく。


初めて吉原で月詠を見た時、いい女だな、と銀時は思った。

粗雑に纏めたから垂れる前髪に、痛々しい程の傷跡が刻まれた顔が隠れる。
吉原の秩序を乱すものを裁くべく、常に鋭い視線を放つ切れ長の瞳。
黒地に紅葉柄があしらわれた着物は、彩り多い花街の中で簡素に映り、
女性が持つ物柔らかで華やかな雰囲気には程遠い。

だが傷さえ無ければ最高位の花魁とも引けを取らない程に、端整な顔立ちをしており、
冷たくも静かに響く声や控えめな振る舞いは、なお幽玄な美しさを引き立てる。
百華の頭としてでなく、仮に今のまま遊女として客を取ったとしても、
間違いなく贔屓の声が止むことはないだろう。

もっとも並の男では手出しもできないほどの手練れであり、
安易に色情を晒しつつ触れようものなら、容易く葬られてしまうだろう。
そのことが、月詠の気高さを一層強めている。

銀時にとってそのような事実を漠然と感じているからこそ、
今衝動を持て余している時期には顔を合わせたくない相手だった。

そしてその相手が自ら女を否定すればするほど、
逆にその事実を強調し、際立たせているように銀時には感じられた。


「…ったく、分かってねーな」
「莫迦にするな。ぬしの行動など分かりきっておるわ」
苦々しく口にする銀時に、月詠は言葉を返す。
「大方そのビデオで、これから千摺りでも掻くつもりだったのだろう」
その言葉に、銀時はぐうの音も出ない。


11銀時×月詠 2:2009/04/20(月) 00:39:19 ID:83h9Hpae

「…もういいよ、そういうことだ、早く帰れ」
「随分と直截な物言いじゃの。昼間から買物に付き合えぬほど溜まっておるのか」
「………ぎゃーぎゃー五月蝿え奴だな」
言い返すのもくたびれたのか、段々と銀時の言葉が粗雑になってゆく。

「こっちは溜まってるっつってんだろ。襲われたくなかったら――」
「襲えるものなら襲ってみるがいい」
相手の言葉を軽口と思っているのか、月詠はあっけらかんとしていた。
「本気で言ってんのか?」
「ぬしに出来るものなら、な」
どうせ口だけだろう。そんな事が出来るような奴ではあるまい。
そう言外に含むような口振りだった。

普段の銀時であれば、その見込み通り、口だけで終わっていただろう。
だが、今日の銀時にとってその言葉は、火に油を注ぐことになりかねなかった。
溜りに溜った欲の捌け口が出来たと思った所に、突然表れた来客。しかも相手は月詠なのだ。

「何時までも居られんのは勝手だけどな」
ソファに腰掛ける月詠に近づき、相手を見下ろしながら言う。
「…うちは禁煙だ。何度も言わせんな」
銀時は月詠の手中にある煙管を取り上げる。
「何をする。返――」
煙管を取り返そうとして伸ばした腕を、銀時は掴んだ。

「!」
月詠が驚いて銀時の表情を見ると、
いつもみる死んだ魚のような目の奥に、くすんだ火の影がちらついている。
男が女を求める時の、劣情を滾らせた眼差し。
銀時は月詠の両腕を掴み、ソファへ押し倒したまま覆い被さった。

先ほどまで話し声を響かせていた部屋が、しんと静まりかえる。
意識の外にあった街の喧騒が聴こえてきた。

上から見下ろす様に、組み敷いている女の表情を覗き込む。すると月詠は動じた様子もなく、眼前の男を見据えていた。
恐れ、怯えといったものは微塵も感じられない。切れ長の瞼からただじっと、銀時を真直ぐに見つめ返してくる。
このような状況にも関わらず、何を考えているか解らない無表情を続けたままだ。
だが何故かその目からは、怒り、蔑みといった敵意が感じられない。
銀時は不思議に思った。


「頭は大丈夫か」
ぼそり、と月詠の言葉が沈黙を破る。
「…人の天パー心配する前にテメーの……」
「怪我の具合じゃ」
「ん?」
男に組み敷かれている状況にも係わらず、月詠は淡々と語り続けた。
「頭の傷は大丈夫か、と聞いておる」

それが髪質に触れたものではなく、純粋な気遣いの言葉であることに、ようやく気付く。
「あぁ……。多分、大丈夫なんじゃねーの?」
「頑丈な奴じゃの」
月詠は抑えられていたはずの右腕をいつの間にか解き、手を銀時の額に当てた。
指は曲のある髪に隠されていた頭の傷に辿り着く。

「兎も角、ほっとした」
傷をいたわる様になぞりながら、月詠は言った。
柔らかい口調で語りかけられる言葉。一瞬だけ、月詠の顔が綻んだような気がした。
12銀時×月詠 4:2009/04/20(月) 00:40:31 ID:83h9Hpae

予想していなかった一言に、銀時は一瞬面食らう。
「――雨でも降るんじゃねーだろうな」
「人の言う事は素直に聞きなんし」
「…よく言うぜ」
やはり無表情なままの月詠。
その頬に手を当てて、縦に走る傷跡をなぞりながら銀時は言い返した。

「大体心配している奴に対して、本気でクナイを投げ付けるんですかお前は」
「…それだけ本気で心配していたのじゃ」
月詠はもう片方の手を、銀時の頭に当てた。
銀時は両手で顔を包まれるように、そのまま月詠の方へと引き寄せられる。
月詠は目を閉じつつ、銀時の額を己の額にこつん、と重ねて、呟いた。

「よく無事でありんした…」
それは囁くような小さな声で、しかしはっきりと銀時の耳に届いてくる。
普段の尖った口調とは異なる憂いを含んだ言葉に、銀時は琴線を引っ掛かれる様な思いをした。


「……こんなことされるとさァ、そろそろ本当に勘違いしそうなんだけど」
「…………構わぬ」
月詠はぽつりと、銀時の言葉に答えを返す。
「ぬしの好きにしなんし」

次の瞬間、銀時はおもむろに唇を重ねていた。
「ん――――、むぐっ………」
相手の様子はお構いなしに、月詠の唇を貪る。
「煙臭ぇ女だな」
一通り口内を舐め回したあと、唇を離しながら銀時は言う。
「ぬしの口が甘ったるいだけじゃ…この血糖め」
己が吸う煙管の煙を指摘され、月詠は不服そうな声で反抗した。

「――こんなんじゃ口も塞げやしねぇ」
銀時はそういいながら、テーブルの上に置いてあったチョコを口に含み、そのまま再び口付ける。
面食らう月詠の様子も気にせず、銀時はそのまま口の中で溶かしたチョコを、相手の口中に塗りたくるように、舌を絡ませた。
月詠は銀時に唇を塞がれ、息もできない。
チョコと唾液の混ざり合った液体がこく、こくっ……と喉に流れこむ音が聞こえる。

銀時が唇を離すと、月詠はぼうっと、目の焦点が合っていないような表情をしていた。
「……いきなり、何をするんじゃ…」
「好きにしろっつったのはお前だろ」
「……とはいえ、こんな……」
このような責められ方は予想外だったのか、月詠は動揺を隠せないままたじろいだ。
その様子に銀時は加虐心をくすぐられる。
「可愛い顔もできんじゃねぇか」
「―――っ!」
さらに銀時にからかわれ、月詠は言葉に窮する。

「このたわけっ…」
精一杯言い返してみるものの、苦し紛れの言葉は銀時を小さく笑わせるだけに留まり、月詠は顔を赤らめた。
13銀時×月詠 5:2009/04/20(月) 00:41:03 ID:83h9Hpae

銀時は再び月詠に唇を重ねる。
「――――ふ、む、っ――――、ん―――」
何か言いたげな月詠の言葉も口付に邪魔され、唾液と共に飲み込まれてゆく。
先ほど相手の内へ流しこんだチョコを舐め取るように、舌を差し込み歯列をなぞる。
そのまま舌を絡ませて口中を嘗め回したあと、漸く銀時は唇を離した。

「――――、ぁ――、はぁっ、……」
長い口付から解放され、月詠はソファの上に身体を預ける。
すっかり頭を熔かされてしまったかのように、視線はぼんやりと宙を見つめていた。

銀時はベルトの留め金を外し、服の下で苦しくなっている部分を肌蹴させた。
「――そろそろ、入れんぞ」
「…………」
軽く乱れた息を整えながら銀時は言う。
月詠は何も答えないが、その視線は確かに銀時の目を見据えている。
拒んでいる様子はない。

無言の了承を受け止め、月詠の服の下に手を伸ばす。
熱さを帯びた下着をずらすと、入口に己をあてがい、そのまま腰を下ろしていった。

「……か、くはっ、ぁ……」
途端に月詠が、辛さを孕んだ声を漏らす。

「………!?おい、お前っ……」
「……ぐ…っ……、あ……」

挿し入れたものが痛い程に締めあげられる。
月詠の反応と接合部の感覚から、銀時はすぐに相手が未経験であったことを悟る。
遊女でないとはいえ色街に身を置いていれば、当然事を終えているものだと思い込んでいた。
銀時は己の思慮の浅さを後悔した。

余りのきつさで快感を感じるような余裕は無い。
目の前で苦痛に喘いでいるのを止める為、己を引き抜こうとすると、月詠の手が銀時の服を掴んできた。

「…抜くなっ………其の侭……」
月詠は痛みを必死に受け止めるかの如く、そのまま動かない。
いつも整っている月詠の表情が、苦痛を滲ませて歪む様を見て、銀時は呵責を感じた。

14銀時×月詠 6:2009/04/20(月) 00:41:58 ID:83h9Hpae

「バカヤロウ、やった事ねーならちゃんと言…」
相手が何も言わなかったことを咎めようとすると、言葉を遮られる。
「ちゃんと言っておれば…、…余計な気を回すだろう…」
「当たりめーだろうが」
「…ぬしはそういう奴じゃ」
「分かってんだったら――」
「ぬしでなけりゃ、…いかんのじゃ」
月詠の言葉に、銀時は耳を疑った。
「――今なんつった」
「何度も言わせるな」
決まりが悪いのか、月詠の声は段々と小さくなっていく。

「ぬしでなければ、わっちの収まりがつかん」
先程の痛みは引いてきたのか、少しずつ月詠の表情に落ち着きが戻ってゆく。
一方で視線はどこか遠くを見詰めているようにおぼろげだった。
「…本当は煙管など如何でもよいのじゃ」
今まで見せていた気の強さが嘘のように、恥ずかしげに月詠は呟いた。
「元はといえば、誰の所為だと思っとる。
あの場でぬしが太陽を打ち上げるなどと言い出さなければ、……こんなことにはなっておらぬ」
拗ねたように文句をこぼす姿は、百華を背負う番人とは思えないほどに小さく、か弱く思えた。

「お前がわっちの前に現れていなければ……。……そうであれば…わっちは……」
繋いでいた言葉を一瞬ためらった後、今にも消え入りそうな声で、感情を絞り出す。
「……わっちが女であることなど、忘れていたのじゃ……」
月詠の言葉に、銀時は思わず己を誇張させた。
中でそれを感じたのか、ぴくりと月詠の身体が動く。

俯いているため月詠の表情は伺えない。
ただいつになく自信なさげで弱々しい口調が、彼女の不安を伝えてくる。
その様子は、女を捨てたというには程遠く儚げで、女らしかった。

恐らく、今の女らしい姿が本来の彼女なのだろう。
これまで護るべきものの為、女を捨てると己に言い聞かせながら、
内なる気持に従う方法も、その気持が何かも解らず、自分を抑え続けてきたのだ。
何も言わず事に及んだのも、彼女なりの精一杯の表現なのだろう。

―――こいつも不器用な奴だな―――
心の中で呟きながら、ふぅ、と銀時は軽く溜め息をついた。

「……今度よく鏡見てみろ」
呆れた様子で銀時は話しかける。
俯いていた月詠の顔を上げ、真っ直ぐに眼を見据えながら、銀時は告げた。
「何処から見ても女にしか見えねぇよ、お前は」
「…………この、卑怯者め……」
心なしか、月詠の眼は潤んでいるように見えた。

暫しの沈黙。
「――お前の所為じゃ、銀時」
月詠の語気に僅かながら、力強さが戻る。
「落とし前はきっちりと、つけて貰わねばならん」

「ちったぁ素直になれねえのか」
「……つべこべ言わずに、抱きなんし」
どこまでいっても生意気なヤローだ、と呟きながら、銀時は三度月詠の口を塞いだ。
15銀時×月詠 7:2009/04/20(月) 00:42:29 ID:83h9Hpae


先刻のように相手をからかうのではなく、相手を求めて荒々しく唇を貪る。
抑えなど効かせず、ただ己の情欲を相手にぶつけ、口内を蹂躙する。
やがて、なされるがままだった月詠も、少しずつ舌を伸ばしてきた。
不慣れな舌の動きも、より銀時の欲望を煽った。

お互い言葉を交わすこともなく、互いの身体に触れる。
吐息と水音、時折漏れる声と衣擦れの音だけが部屋の中に響く。

衿元へ手を入れ、素肌を撫でる。
「っは……あ………はぁ、……ぅ」
滑らかな肌に手を沿わせる度に、月詠の息が荒くなった。

服を脱がす手間すら惜しんで、銀時は執拗に月詠を求めていく。
服の下に押えつけられていた胸に触れると、着やせして見えていたのか、豊かな膨らみが手に余った。

「むっ、――――っ、ん、……ぁ………」
唇を封じられている月詠が、身体を震わせながら呻き声を漏らす。
徐々に、声色が熱さを帯びてくる。

「………くっ、………はぁ………、………や………」

鼻にかかった声を出しながら、必死にその声を抑えようとする。
銀時は知ってか知らずか、唇を首元に移す。
相手の血潮を求めるように、月詠の喉元へしゃぶり付く。
締め付けが急激にきつくなる。
それに合わせて、月詠はしがみつく様に、銀時の頭を抱きしめた。

初めて入れた時の痛さしか残らない具合とは異なり、
月詠の身体は徐々に、相手の動きを受け入れてゆく。

やがて互いの腕が同じく相手を求め、固く抱き合った瞬間、銀時は月詠の奥に滾りを放った。


「!!………は………っ…………あ――――」


自分の中に脈動を感じながら、欲望と想いが入り混じった熱を
月詠は焦点の合わない瞳で受け止めてゆく。

「……っ……、ぎ……んと…きっ……」
溜まっていたものを全てはき出し終え、己を引き抜こうとする銀時を、月詠は制した。
息も絶え絶えのまま銀時に寄りかかり、体重を預けてくる。

「…しばらく………、此の侭で……いてくれ…」
意識が飛びかけているのか、搾り出すような声でせがまれる。
「おい」
「………頼む」
後ろに腕を回され、そのまましがみ付かれる。
先ほどよりも少しだけ強く、腕に力が入る。

「……もう少しだけ、此の侭―――」
言うや否や、月詠は銀時にもたれ掛かったまま、眠りに落ちていった。


16銀時×月詠 8:2009/04/20(月) 00:43:24 ID:83h9Hpae



事の後、銀時の腕の中で、月詠は穏やかな寝息を立てて眠っていた。
その表情を覘いてみても、辛そうな様子はない。

普段決して面に出すことの無い無防備な寝顔を見る。
今まで誰にも弱さをさらけ出すことなく、必死に一人で戦ってきた事を思うと、
せめてこの安らかな眠りを邪魔したくない、という感情が湧いて出た。

―――暫くこのまま休ませといてやるか。

腕に重みを感じつつ、銀時は再び月詠に目を向けた。
夜をうっすらと照らす月のような亜麻色の髪。
そこにそっと顔を近づける。

滑らかな光沢を放つその髪は、インクが刷られた古雑誌の匂いがした。




「……銀さん、いい加減眠るか起きるかどっちかにして下さい」
いつもの聞き慣れた声がする。
気が付くと銀時はソファの上で、ジャンプによだれを垂らしながら眠りこけていた。
顔に押し付けられた紙面が放つ雑誌特有の日向くさい匂いによって、銀時は現実へ引き戻された。
向かいのソファでは、新八が洗濯物を取りまとめている。

「お前、修行しに行ったんじゃ無かったの」
「…何半年も前の話引っ張り出してんですか。仕事もあるし、ずっと万事屋空けたり出来ませんよ」
「ふーん」
「………何ですかその自分で振っておいてどーでもいい様な反応」

―――夢だったのか。

銀時は気抜けしたようにぼんやりと、天井を見上げた。

「……そういえば来週、楽しみですね」
何かあったっけ、という銀時に対し、新八は呆れながら答える。
「銀さんが言ったんじゃないですか。久しぶりに日輪さんから、吉原へ遊びに来るよう手紙が届いたって。
 寝ぼけてるんですか、もう」

―――そうだった。忘れてた。だからあんな夢を見たのか。
   それにしてもやけに具体的な、生々しい夢だった。何でよりによってあいつが……
17銀時×月詠 9:2009/04/20(月) 00:44:27 ID:83h9Hpae


「元気だといいですね、みんな。晴太君も、月詠さんも」
「アホ、見に行くまでもねえよ。どーせ生意気にやってるに決まってんだろ」

銀時は物思いにふけりながら、新八に対し投げやりな返事をする。
ふと、自分が口にした"生意気"という言葉と、記憶の中の人物とが重なり合った。

  ―――この大ボラ吹きめが!!

死の瀬戸際で朦朧とする意識の中、鋭く頭に響いてきた叱責の声。
高所から鋭い眼差しで見下ろしてくる、無愛想な相手の姿。
月詠は記憶の中でもやはり生意気な姿のままだった。

「…あのヤロウ」
銀時の口元が綻びる。
「?……どうしたんですか」
「何でもねーよ」
再びジャンプを顔に乗せて、銀時はソファへ横になる。

「ちょっと、昼間から寝ないでくださいよ」
「あー暇だ。とっとと次のジャンプ出ねーかな」
気だるそうに来週への期待を零す銀時を、新八はしょうがないな、と言いながらも微笑ましそうに眺めていた。




==============================

以上です まさかまた毎週月詠が拝めるとは思いませんでした
前スレの人みたいに色々台無しになりましたが嬉しい悲鳴です
18名無しさん@ピンキー:2009/04/20(月) 01:18:27 ID:aBhIl52e
>>17 GJ! 銀月萌えたよありがと
19名無しさん@ピンキー:2009/04/20(月) 01:32:35 ID:sFSTKz/Y
月詠さんGJ! 自分にはいい誕生日プレゼントになりました
20名無しさん@ピンキー:2009/04/20(月) 23:49:39 ID:ZldnJVMs
月詠GJ!! 次書ける機会があったらまたお願いします!!
21名無しさん@ピンキー:2009/04/21(火) 00:01:30 ID:D7H/SJNQ
タイムリー銀月GJ!!!!

銀さち読みてェ!!!!!
22名無しさん@ピンキー:2009/04/21(火) 10:59:39 ID:YCvzrbs9
話自体はまぁGJなんだが
言っていいか?…月詠って爆乳じゃねーの?着やせ?
23名無しさん@ピンキー:2009/04/21(火) 13:17:07 ID:GHrgyImt
空知の絵では爆乳には見えんな
さっちゃんと同じ位じゃないの
24名無しさん@ピンキー:2009/04/21(火) 22:49:00 ID:YCvzrbs9
さっちゃんよりデカさ強調して描いてると思うけどなぁ
月詠のノースリーブデカパイにいきなりやられた俺の贔屓目なのか、グダグダすまん
2517:2009/04/21(火) 23:28:02 ID:0NItnk5d
ごめんなさい 言い訳がましいですが一レスだけ
胸大きいとは思ってたんだけど表情ばかり追いかけてて今まで全く気付きませんでした
ずっと25巻表紙見て書いてたけど今見直したらやっぱり大きかった 完全に描写ミスです
今まで何見てたのだろう というか何思い込んでたんだろう…

イメージにそぐわない書き方して申し訳ありません ご指摘ありがとうございました
他の人もコメントありがとうございました 精進します
26名無しさん@ピンキー:2009/04/22(水) 08:46:19 ID:G2JDtwxi
いや・・・・・・別にそこまでは・・・・・・なぁ?
ほら、お前らもなんかいえよ!!
え、俺? えーと、よ、よかったぜ。 GJGJ
別にそのままの君でいいんじゃないかな、うん
27名無しさん@ピンキー:2009/04/22(水) 14:34:27 ID:ded8MdX+
エロパロ板のSSって一人称や口調違ったり
"処女膜がブチっと切れた"とかいう表現が普通にあるから
個人の主観で変わる程度の描写なんて全く気にならない


だが>>26のノリは何だ
28名無しさん@ピンキー:2009/04/23(木) 08:35:58 ID:Z4E7bVdk
知らね
言っとくけど24は俺だけど26は俺じゃないから。別人だから
29名無しさん@ピンキー:2009/04/23(木) 19:42:50 ID:m6X9Zm61
あみだくじでカップル作ってみたらありえないカップルになったwww
これをいかに話にするか…

高阿音
全蔵九ちゃん
マダオたま
30名無しさん@ピンキー:2009/04/23(木) 19:44:37 ID:D253aN5U
銀時ぶってんじゃねーの
31名無しさん@ピンキー:2009/04/24(金) 01:10:24 ID:Tny4RBEE
マダオたま面白そう
32名無しさん@ピンキー:2009/04/25(土) 16:07:34 ID:8BlMFDfg
>>31

同意
33名無しさん@ピンキー:2009/04/25(土) 18:22:20 ID:RZhDeO5Q
>>31
お口でマダオを慰めるんですね、わかります
34神威×神楽×阿伏兎 1:2009/04/25(土) 21:08:34 ID:T0pqEJ5R
前スレの22で阿神書いた者です。続きの兄神阿が出来たので投下しようと思います。





*********************



この数日で分かったことが阿伏兎には幾つかある。
いくら身体を鎖で繋ごうとその魂までは繋ぐことはできない。
いくら恥辱を与えようと瞳に灯る蒼焔は消せはしない。

気が飛ぶ程の快楽を与え続けても、目を覚ませば噛みつく様に睨み付けてくる。

どうすればこの娘の心を汚すことができるのか?
どうすればこの娘を完全に堕とすことができるのか?


「やっぱりあのお方かねぇ…」

小さなため息一つ、阿伏兎は苦笑した。



――――――――



「団長さんよぉ…一つ言わんとならんがことがあるんだが…」

「へー何?改まって」

その日の任務も終わり、帰路につく途中のことだった。
いやに真剣に切り出す阿伏兎に神威は興味をそそられ足を止めた。

「吉原の遊廓を一つ好きに使わしてもらってますよ?」

「なんだ、そんなことか。好きに使えばいいよ。あんな所に別に興味ないし」

金にも女にも興味のない神威はあっけらかんとお気に入りの遊女でも見つけた?とケラケラ笑った。

「ええ、遊女じゃないですがね。団長も一度来ればいい。面白いモノがあるんできっと気に入る」

「だから別に興味ないってばー」

そんな神威を背に、それじゃお先ですと阿伏兎はゆらりと立ち去る。
神威は意味深に笑う阿伏兎を変だと思いながらその背を見送った。

「吉原か…退屈しのぎくらいにはなるかな」
35神威×神楽×阿伏兎 2:2009/04/25(土) 21:14:06 ID:T0pqEJ5R

―――――――




『悪い夢だ』

そう言われたのを神楽はぼんやり覚えている。
それは夢か幻だったのか。

夢幻であってくれともう何度願っただろうか。そして目が覚める度に現実ほど非情なものはないと神楽は思い知らされ、目の前でにやつく男を睨みつけるのだった。





「あっぅぅ…やぁっ!」

「大分柔らかくなってきたな」

胡座をかく阿伏兎の上に上半身を預ける形で神楽は四つん這いにさせられていた。その姿は一見猫を可愛がる姿に似ているが、ただ神楽は一糸纏わぬ姿で、手首には強固な手枷。
そして、妖しくにやつく阿伏兎が指を差し込むのは、神楽の後の孔。
下剤注入の腸内洗浄から始められ数日、丹念に愛撫され、可愛がられたソコは最初こそ綿棒の様な細いものでも痛がっていたが今や指を挿しこめば甘い声が漏れる立派な性感帯に生まれ変わっていた。
これでもかと言うほど潤滑剤を流し込まれたそこの滑りは申し分なく、阿伏兎のごつい指をグップリと加えこみ、阿伏兎が指を抜く度に神楽の薄紅の菊門は吸盤の様に吸い付いた。

「あっ!いっ…!!」

「おぉスマン引っ掻いたか?」

内部を軽く引っ掻かれ、ギロリと神楽が睨み付ければ、阿伏兎はニヤニヤ笑いその反応を楽しんでいる様だった。
絶対わざとだと思いながらも声を押し殺そうと神楽は歯を食い縛った。

こんな屈辱をうけるなら、いっそ暴力で痛ぶられる方がましだ。
そう思った時だった。



「ねぇ阿伏兎!面白いモノって何?」

いきなりパンッと襖が開いた。
そして現れたのは…

36神威×神楽×阿伏兎 3:2009/04/25(土) 21:17:49 ID:T0pqEJ5R

「にっ…!神威!」

血の気が引くとは正にこの事だ。
なんで…?とただでさえ頭の中がぐちゃぐちゃな神楽はいきなりの兄の登場に余計に心がかき乱された。

「団長…遅かったじゃないですか」

その一言で神楽は悟る。この男が呼んだのだと。しかし沸き上がる怒りより恥ずかしさのほうが大きかった。
この恥態を隠そうにも何もない。
神威を見れば此方を向いているにはいるが驚愕とも、怒りともとれないよくわからない顔をしている。神威もまさか神楽がいるとは思っていなかったのだろう。

「神楽…?」

「見るなっ!!どっか行けヨ!!」

声を荒げ精一杯の虚勢をはる神楽とは裏腹に神威は静かに口を開いた。

「どうして神楽がこんな目に?可哀想に。阿伏兎もヒドイね。神楽は一応俺の妹なんだよ?」

そのまるで“兄”の様な言葉に神楽は驚く。この人にまだこんな感情が残っていたなんてと。
その嬉しさに張りつめていた心が少し緩んでしまう。

「兄ちゃ…助けて…っ!」

藁をも掴む思い。この人にほんの一握りでも兄妹の絆が残っているならばと。

「…いいよ」

その言葉に神威は頷いた。
畳がミシと音をたてる。
そして神楽の前に座り込んだ。

「こんな中途半端じゃ神楽も辛いだろ?だから手伝ってあげる」

「え…?」

その一言に神楽は目の前が真っ暗になる。
意味が理解出来なかった。
この人は今何と言った?
なんでこの人は笑っている?

「知ってる神楽?夜兎って昔は結構近親相姦が多かったんだよ」

その何でもない他愛ない話のように神威はサラッと告げた。
そしてこうとも。

「夜兎はその方がより強い子孫が残せるんだって」

「な、何言ってるネ…そんなの昔の話アル。私達兄妹ヨ?こんな事嫌アル…!」

「そうだね。昔の話だ。でも親殺しにしろ近親相姦にしろそんな血だとか兄妹だとか下らない道徳気にしてちゃ強くなんかなれないんだよ」


37神威×神楽×阿伏兎 4:2009/04/25(土) 21:23:07 ID:T0pqEJ5R

クスクスと神威が耳元で囁きそのまま神楽の耳を口に含む。
ねっとりと絡み付く神威の舌に神楽は震えた。

「で、どうなの阿伏兎?神楽の抱き心地は?」

「とんだ淫乱な子ウサギさんだよ」

ククッと阿伏兎は嬉しそうに喉を鳴らす。

「へーそれは面白くなりそうだね」

神威は神楽を阿伏兎から引き離すと敷かれていた布団の上に横たえる。
そしておもむろに神楽の足を割り、秘所に手をあてがった。

「いゃ…!止めろヨ!!」

「なんだ、もう充分濡れてんじゃん。そんなにイイことしてもらったの?」

「俺はこっちに連れて来てからは尻しか可愛がってやってないんですがね」

「あり?じゃあ何でかな?」

阿伏兎と神威がにやつきながら神楽を見る。その下卑た視線に耐えて神楽は2人を睨みあげた。

「神楽、もしかしてお尻を弄られただけでやらしい気分になっちゃった?」

「違っ!」

変態、と呟く神威の声は楽しそうだ。

「これが欲しかったんでしょ?」

神楽の太ももに固くなった神威の下肢の熱が伝わる。
嫌というほどその熱の意味を身を持って知らされた神楽はその熱から逃げようとする。

「…っ止めろヨ!」

「あぁ、やっぱりまだ怒ってる?あの時、神楽の事殺そうとしたけど、俺嬉しいんだよ。神楽が強くなっててくれて。阿伏兎も倒しちゃったらしいじゃん」

「それとも神楽は俺のこと…“兄ちゃん”のこと嫌い…?」

「っ…!」

こんなふざけた兄でも嫌いと即答出来なかった自分が神楽は悔しかった。

「じゃあ決まりだ」

瞬間、反転す世界に驚く暇もなく、下から突き上げられる衝撃に身が震え上がる。
数日前の阿伏兎に処女を奪われた時以来の挿入。まだその行為に慣れてない神楽のソコは、充分潤っているとはいえ痛みを伴う。

38神威×神楽×阿伏兎 5:2009/04/25(土) 21:26:56 ID:T0pqEJ5R

「いっ…!!」

「良かったじゃねぇか。大好きな兄ちゃんに遊んで貰えて」

「だ…れがっ…!!」

「家に居たときはまだ神楽小さくてこんな事出来なかったもんなー」

「やだっあっあっ!んぅ!やぁっ!にいちゃっ!兄ちゃんっ…!!」

嫌がっているとはいえ、先程と違い惚けた表情でよがる神楽を見て、自分が呼んだとはいえ、まるでお気に入りの玩具を取られてしまった気分になり阿伏兎は面白くない。

「兄妹だけで楽しむなんざつれねぇな。オジサンも交ぜてくれよ」

阿伏兎はゴムを装着すると神楽の尻に宛がう。今まで丹念に可愛がってきたのだ。
兄貴といえど此所を譲る訳にはいかない。

「いやっ!やめろヨ!いやぁっ!」
尻に当たる固い感触に神楽は嫌な予感がした。

「ほらあんまり暴れんじゃない。暴れて痛い思いすんのはお前さんなんだから」

暴れる神楽の尻を固定し割れ目を横に押し広げる。そして神楽の予想通り本来入れるべきではないものがニチニチと摩擦音をたてゆっくり侵入してきた。

「あう…っ!ぁぅ…」

押し入る肉塊の質量感は指の比じゃない。その内臓を押し上げられる様な苦しさに神楽は目を見開いた。
阿伏兎は待ち望んだこの行為に舌なめずりし、抑えきれない興奮をねじりこんでいく。

「へー神楽ってお尻でエッチもできるんだ」
やっぱり変態だ。と神威がまた笑う。違うと声を出したくても激しい圧迫感で声も思うように出せない。かむりを振り、獣の様に鳴くことしかできない。

後ろ手をつき、上体を少し起こした兄の体の上に密着させられ、その上から阿伏兎が神楽の腰を押さえつける。

「ほらちゃんと全部入ったぞ」

「はっ…ハッ…ヒハッ」

結合状態こそ神楽からは見れないものの、みっちりと阿伏兎の陰茎を加えこんでいる感触は嫌でも分かる。
前も後も肉の杭で串刺しにされ、その苦しさで吐瀉物が逆流しそうになるのを必死に我慢した。


39神威×神楽×阿伏兎 6:2009/04/25(土) 21:30:42 ID:T0pqEJ5R
「こっちもなかなかいい塩梅じゃないか」

中は柔らかく腸壁に包みこまれ、根元はギュッと締め付けられる。
膣とはまた違う感覚に阿伏兎は感嘆の溜め息を洩らした。そしてゆっくりゆっくり神楽の中で円運動を繰り返し、異物感を馴らしていく。
神威も挿入はしたままだったがその動きを一旦止めた。俯く神楽の顎をとり、上を向かせる。
眉根を潜め、揺れる瞳は何かに耐えようと必死だ。時折漏れる弱々しい声が健気だが神威の加虐心は刺激される。
ぐりぐりと阿伏兎の陰茎で中を掻き回され、苦しいがその異物感にも慣れ、ようやく息も整い出したころだった。
神威は阿伏兎をチラリと見やる。
その視線に阿伏兎はニヤリと笑った。

「っっひ!?」

急に前後に動き出した阿伏兎に驚いた神楽は思わず神威の服をギュッと掴む。律動を繰り返す度に穴に流し込まれた潤滑剤がジュブンと音を立て、はしたなく溢れ出る。
はだけた神威の肌と神楽の胸が、動く度に擦れて滑る。

「これ結構気持ちいいかも」

固くなった神楽の胸の先端の感触を感じながら神威も再び動き出した。
前後がバラバラに動くから神楽は息も上手くつけない。

「あ、ああぁぁー!」

阿伏兎の息も荒くなり、打ちつける腰も強くなり肌と肌のぶつかり合う音も大きくなる。そして阿伏兎は息を大きくつくと動きを止め、自身を引き抜いた。
射精したコンドームの中には勿論、阿伏兎の精がとっぷりと詰まっていた。

「何?もう出ちゃったの?阿伏兎って早漏なんだ」

神威は神楽を依然突き上げながら、先に果てた阿伏兎をケラケラと笑った。

「うるせー。アンタが絶倫すぎんでしょうに!……そういえばまだ舐めたことなかったよなぁ?」

ふと何か思いついたのか阿伏兎はコンドームを外すと自分の手の平にその溜まった精液をボトボトと垂れ流す。

「これから知っておかないといけない味だからな。ちゃんと綺麗に舐めとれよ?」


40神威×神楽×阿伏兎 7:2009/04/25(土) 21:34:51 ID:T0pqEJ5R
まだ虚ろな神楽の目の前にずいと出されたドロリとした半透明の液体。膠にも似た鼻をツンとつく独特の臭いがし、お世辞にも美味そうには思えない。それをこの男は舐め取れと言うのだ。

「い…やアル!誰…がそんなもの!」

「神楽、兄ちゃん物聞きの悪い子は嫌いだよ?」

神威は神楽の尻たぶをつねった。

「いたっ!」

「お兄さんは容赦ないねぇ」

「ハハッ躾だよ。ほら神楽?」

「嫌!嫌アル!」

「強情だなぁ。誰に似たの?ここまでされないと分からない?」

「…っぁ!きああぁっ!ぁっやぁっ!!ごめ…なさいっ!ごめんなさいぃっっ!」

尻たぶだけでなく萌え出た赤い芽も強く摘まみ上げられる。その強い刺激と痛みは身体中を駆け抜け、神楽は堪らず謝った。

「じゃあどうすればいいか分かるよね?」

「あっ…あっ…うっ」

そして観念した子猫の舌が阿伏兎の手の平を滑っていく。

「ほらよく味わって食べな」

今すぐにでも吐き出したいそれを言われるがまま咀嚼する。
咀嚼を必要とする食感などないそれはニチャニチャとして生臭い。
ままよと飲み込めば、もったりと喉に絡み付き、なかなか滑り落ちてくれない。
不味くて臭くて気持ち悪い。
神楽は今すぐにでも吐き出したい思いだった。

「ゲホッ…カハッ」

神楽はのけ反り、白い首を剥き出しにさせた。

「駄目だよ神楽、夜兎であろう者が急所を晒すなんて」

その無防備な首に吸い付きかぶり付けば赤い歯形がくっきり残り、面白くなった神威は肩や二の腕にも噛みつく。
その痛みもさることながら、依然としてつねりあげられたままの乳房の先端への刺激に快感と痛みの間で激しく揺さぶられる。
叫べばこの男達が喜ぶのは分かっていたがそれでも黙って我慢出来なかった。

「ふ…んぁぁっ…!!強くしないでぇっ…!」

41神威×神楽×阿伏兎 8:2009/04/25(土) 21:38:18 ID:T0pqEJ5R

だったらと、神威はパッと手を離した。すっかり赤く腫れ上がりヒリヒリと痛むソコに神威は唾液を垂らし、舌で円を描きながら伸ばし広げ、乳輪と乳房の境目を何度も舌で辿った。
こそばゆさと、核心に触れないそのもどかしさに神楽は切ない声を上げ、それを見計らうかの様に今度は吸い上げる。先程と打って変わって、もどかしくも優しい愛撫は不覚にも本当に気持ちいいと神楽は思ってしまう。

「こっちも舐めて欲しい?」

「やっ…ん…い、いらないっ」

耳元で甘やかに囁く神威の声は思わず頷いてしまいたくなるほど魅惑的で神楽を官能へ誘う。
神威の手が神楽のごくごく淡い茂みをゆったりとまさぐり、その奧にそっと触れた。
ゾクリと神楽が微かに震えるが、しかし、

「阿伏兎舐めてあげてよ」

その優しかった手は無理矢理神楽の足を広げ、抱き抱える。

「やっ…いやっ!いや!兄ちゃんやめてヨ!」
その格好は稚児が人の手を借り用を足す時のそれ。

「全くお兄さんはエグいね」

言いながらも剥き出しにされた秘所を阿伏兎は食い入るように見た。
血色の良いそこはトロトロと溢れる愛液が止めどなく滴り落ちる。男の性欲を強く駆り立てる妖しく淫猥な光景にすぐにでも手を出したかったが、阿伏兎はふと冷静になった。

「でもさっきまで団長のナニが突っ込まれてましたよね。しかもナマで」

「もー阿伏兎は仕方ないなあ。綺麗にすればいいんでしょ」

面倒臭そうに神威は床に置かれた潤滑剤のボトルに手を伸ばすとそれを神楽の恥丘にトロトロと垂らし始めた。

「っあ!」

恥丘から膣の入口へとゆっくり垂れ落ちていくムズムズと擽ったい感覚から神楽は逃げようと腰をくねらせた。

「ちゃんと中まで綺麗にして下さいよ」

阿伏兎は神楽の膣に両方の指を挿入し入口を拡張させる。
そこに神威が先程より強い勢いで潤滑剤を流し込んでいく。

42神威×神楽×阿伏兎 9:2009/04/25(土) 21:40:52 ID:T0pqEJ5R

「ひっっ!!」

それは前回、阿伏兎に射精された感覚に近く、それを思い出してしまった神楽は潤滑剤の冷たさも相まって身震いしてしまう。
そして阿伏兎によって開かれたままの穴に神威は指を挿し込み激しくかき回す。
体液とも潤滑剤ともとれない、とろんだ液体がゴポと音を立てて掻き出されていく。

「あぁっいやアルっ!いやぁっ!」

「ほらこれでいいでしょ?」

拒む理由もなくなり、返事の代わりに阿伏兎の欲情した赤い舌がヒチャリと張り付いた。
そしてそのまま割れ目を下から上へと舐めあげる。
その度に阿伏兎の尖った髭がチクチクと柔い肌を刺した。
その刺激を知ってか知らずか阿伏兎は顎を押しつける。
チロチロと細かく動く舌先は陰核を刺激し溢れてくる愛液を媚肉ごと口に含みジュルジュルと音を立てて啜る。

「あ、あぁっあ…!!やらぁっ…!」

「充分阿伏兎もエグいじゃん」

舌で攻め立てられ、敏感になりすぎた陰核に噛みつかれ、引くことのない快感の波に妹は兄の手の中でガクガクと震え、兄は妹の恥態を見下ろし楽しむ。

「銀ちゃ…しんぱち…」

無意識に小さく呟いた2人の名前に神威は反応した。

「何?まだあいつらのこと気になる?なんなら今度、最中のビデオレターでも送る?私は元気ですって。きっと悦ぶと思うよ」

神威は愉快だと笑った。
この男なら本当にやりかねない、神楽はそれを想像しただけで寒気がした。

「でも…今はこっちに集中しなよ」

「ひっ…ぎ…っあぁ…!!」

下肢の鈍い痛みが神楽を現実に引き戻す。その足を広げられた格好のまま再び神威の陰茎が捻り込まれていた。
グリグリと音がしそうなほど掻き回され、牡丹の花びらの様なヒダが突かれる度にひしゃげ、赤く震えた。


43神威×神楽×阿伏兎 10:2009/04/25(土) 21:42:53 ID:T0pqEJ5R

自分の中を行き来している熱の塊が濃厚な痛みの火花を飛ばす。
そして喉はとっくにカラカラなはずなのに不思議な程に濡れた声がでる。

「あっ…んぁっあっ!!も…やめっ!!」

「可愛い鳴き声聞くのも堪らんのだがやっぱりこっちを処理してもらわんとなぁ」

眼前に突き出された阿伏兎のその逞しくもグロテスクな物体がどういう意味を持つのか知識としてだけぼんやり知っていた神楽は顔を背ける。

「ちゃんと言うこと聞かないとヒドイよ?今度はどう躾られたい?」

その神威の言葉に神楽は恐怖を感じる。
太ももを掴む神威の手に少しだけ力を込められた。

「間違えても歯なんか立てるんじゃないぞ?俺もあんまり手荒な真似はしたくないんでね」

と言っても、半ば無理矢理に口へ押し込まれてしまったそれを吐き出そうにも、頭を捕まれそうはさせてくれないばかりか、吐き出そうすればするほど奥へ奥へ入り込んでくる。どうすればいいかも分からない、もう泣いているのか喘いでいるのかも分からなくなる。
垂れる涎もそのままに、2人の男に施される劇薬の様な愛撫は神楽の理性を確実に焦がしていく。
負けちゃ駄目だと思ってもどうしようもなく心は折れそうになる。

そんな時に思い出すのはあの万事屋での日々。
かけがえのない友人
どこか憎めない腐れ縁
信頼できる仲間

騒がしくも、とても美しかったあの日々

(銀…ちゃん)

「神楽はもう戻れないんだよ?」

そんな時に神威が発したその絶望的な一言は神楽の折れそうな心を更に滅茶苦茶にかき乱す。そこで初めてボロボロと流れ落ちていく珠の様な涙を神威は舐めとり、あやす様にそっと頭を撫でてやるが、続ける言葉はその優しい行為とは裏腹に残酷だった。


44神威×神楽×阿伏兎 11:2009/04/25(土) 21:49:36 ID:T0pqEJ5R

「こんなになっちゃったお前が元に戻れると思ってるの?可哀想に。神楽はもう戻れない。もうここでしか生きられない」

何度も、何度も暗示をかける様に神威は言うのだった。
呻きながら神楽は首を横に振る。
しかしそんな必死に抗おうとする神楽を神威は嘲笑う。

「早く堕ちちゃえよ」

(本当に酷い兄貴だ…)

阿伏兎はそう思ったが、涙で濡れる神楽の泣き顔に興奮している自分も大概人の事は言えないかと一人苦笑した。

「ねえ阿伏兎、神楽はどっちの子供産むと思う?」

「そりゃ俺でしょう。最初に出したのは俺ですし」

「じゃ、阿伏兎なんかに負けない強い精子を沢山出さなきゃね、神楽」

「う…うぅーっ!!」

(イヤ!止めて!止めてヨ!!)

神楽の叫びは届かない。

子宮口が突き破られてしまいそうな程の強い衝撃で神威は動く。

「んぅぅ!んんんんんっ!!」

激しい脈動と共に上も下も熱い奔流が勢いよく神楽の中に注ぎ込まれていく。
そして神楽は自分の失ってはいけない何か大切なものがフツリと切れる音を聞いた気がしたが、それもすぐにどうでも良くなってしまった。

神楽の中から引き抜かれる音もどこか遠くに感じた。


「兄ちゃぁ…あぶとぉ…」

溶けた砂糖を流し込んだ様な甘ったるい声が部屋にポツリと響いた。

「も…と…ちょーだい」

口に付いた残精を舐めとり、とろんと蕩けた瞳で神楽はねだる。先程の抵抗がまるで嘘かのように。
力なく伸ばされた手を神威は握ってやった。

「おかえり神楽」

そんな神楽を見て神威は穏やかに微笑むのだった。


もう変えれないこの現実を。

もう帰れないあの場所へ。


(了)


トロトロ書いてたらスレを跨いでしまいました。申し訳ないです。
45名無しさん@ピンキー:2009/04/26(日) 18:42:13 ID:2Lm5BKzo
乙!
やらしくてハァハァしました!神楽がめちゃ可愛いなw


前スレ落ちた?
現行スレの前スレ以上の発展を願います
46名無しさん@ピンキー:2009/04/26(日) 18:49:58 ID:xrasuvnD
GJ! 3Pいいね。神楽萌える
>>45
多分、容量オーバーだろうね
4734:2009/04/26(日) 20:08:14 ID:o2hbDgsU
今読み返したらペーストし忘れてた箇所があり展開が矛盾してる箇所がありました…。
一応その部分貼っておきます。
7の神楽がゲホッてなる所から白い首を〜の間です。すいません

「ゲホッ…カハッ!」

「やればできるじゃないか」

むせる神楽に良くできましたとばかりに阿伏兎は頭を撫でてやった。

神楽もこの数日で分かったことがある。この阿伏兎という男はどこまでも丁寧ということだ。決して無茶苦茶で相手の身体に傷がついてしまうような行為や乱暴をふるわない。
ゆっくり、じっくり、しつこい程の愛撫を施してくる。だから厄介なのだ。嫌でも体が反応してしまう。快楽を覚えてしまう。


「神楽、俺とも遊んでよ」

「ひゃっ…ぁ!」

神威は上半身を起こすと密着していた神楽を布団の上に仰向けにさせた。
膨れた乳房、絞まった腰、まだ幼さの残る秘所…神楽の全身が包み隠されることなく男達の前に晒される形になってしまった。
恐怖と嫌悪、近づく神威に神楽の身体は強張る。

「まだちっちゃいね」

艶やかだが小さな乳房は掴むと柔らかさよりはまだ成長期特有の張りが目立つ。
それをほぐすように揉みこむとまだ若い青さの残る乳房は痛いほど敏感にその刺激を感じとる。
まるで触って欲しいと言わんばかりの甘そうな桃色に色づき、ピンと起った胸の頂を神威はギュリと捻りあげる。

「痛いっ痛っ痛いアル!!」

その反応が面白くて神威は更に力を込めてやれば神楽は白い首をむき出しにさせる。



以上です。終始グダグダで申し訳ないです。
48名無しさん@ピンキー:2009/04/27(月) 00:41:56 ID:AUY+RqOe
GJ! 萌えたよ! ありがとう!!
49名無しさん@ピンキー:2009/04/27(月) 01:15:35 ID:GFGmL7MP
乙ですっ!!エロスっ!!
50名無しさん@ピンキー:2009/04/27(月) 01:53:21 ID:LPiPEARw
エロいいいいいいいいいいっ

続きすごいよかった!!乙でした!!
51名無しさん@ピンキー:2009/04/27(月) 09:14:26 ID:2aP2DxW0
神楽良かった!
唯一神楽が力で負けるのが神威阿伏兎とかだからなぁ
52名無しさん@ピンキー:2009/04/27(月) 18:51:01 ID:Uz2AHRVP
今週のジャンプで俺は銀時×月詠一筋になった

つーか銀さんかっこよすぎ
53名無しさん@ピンキー:2009/04/28(火) 20:07:30 ID:22Of2Bn4
保管庫更新されてた!
管理人様乙です
連休は保管庫読みふけりつつ投下を待ちます
54名無しさん@ピンキー:2009/04/28(火) 22:26:01 ID:C2mSurNu
新スレ乙です。保守がてら小ネタをば。銀さちのマダさち?です。
**************************************************************************

「んじゃあさっちゃん、今日は目隠しプレイな」
銀時は意味深な笑みを浮かべると、向かい合って床に座るさっちゃんの眼鏡をそっと外した。
勿論これだけでもさっちゃんには目隠し同然なのだが、手拭で目隠しをし、後ろできゅっときつく結んだ。
「銀さん……目隠しプレイだなんて……目隠しプレイだなんて……興奮するじゃないのぉっ……!」
目隠しされたさっちゃんは頬を赤らめ、この後のプレイに期待を膨らませ腰をくねらせる。
「ほい、そんじゃ口あけて」
言いながら、銀時は立ち上がり後ろを向いて手招きをした。
柱の影からそっと顔を出したのは……マダオこと長谷川だった。
(こっち来いよ)
銀時のジェスチャーに長谷川は忍び足でさっちゃんの目の前に立った。
長谷川が下衣を寛げ、若干疲れたマダオ(「ま」るで「ダ」ンディーな「お」れのチンポ)を出した。
「ん……これね」
目隠しのさっちゃんは手探りでそれに触る。そして顔を寄せ、長谷川のマダオを……ぱくん、と咥えた。
「んっ……銀さんなんだかいつもよりしなびてる気がするわ」
「あぁ? 最近乾燥してっからなぁ……」
咥えたものを銀時のものだと思い込んでいるさっちゃんは、咥えた長谷川のマダオをいつも銀時にするように
精一杯奉仕した。
吸い、舐め、頬ずりし、しごき、おいなりさんをふにふにし、おっぱいに挟んだ。
(おおおおおっ……なんだこのプロ顔負けのプレイっっ……!!! さすがくのいち!! さすが元お庭番衆!!
銀さん……銀さんはいつもこんなプレイを堪能しているってのか……!!)
声を殺し、長谷川はさっちゃんのテクニックに翻弄された。長谷川の隣で銀時は鼻くそをほじりながら、
(だから言ったろ? さっちゃんは上手いって)と長谷川に目で答えた。
「いいぞぉ、さっちゃん……上手い上手い」
疑われないように、時々そんな声をかけながら。
「んっ……目隠ししてるとまるで違う人みたいで興奮するわ……銀さん」
そりゃ違う人だもん、と銀時と長谷川は同時に心の中で突っ込んだ。
「いつもより角度が甘いし小さめだしなんだか年をとったように思えるわ……でもそんな銀さんのも素敵よ……」
(悪かったなァァァァ!!!! 俺もう38なんだしいいもん食ってねーんだからしょうがねーだろーがァァァァ!!)
と大声を上げたいのを押さえ、長谷川はさっちゃんのテクにイきそうになるのを耐えた。
「っふ……ん、……っく……」
唾液を零しながら奉仕するその様は、とてもいやらしい。
「まるで違う人としてるみたいで……さっちゃん……ドキドキだぞ……」
「ああ、俺もドキドキだよぉさっちゃん(棒読み)」
銀時が棒読みをする隣で、長谷川はもう限界だった。
55名無しさん@ピンキー:2009/04/28(火) 22:26:31 ID:C2mSurNu
(ダメだ……俺もう……ハツ……ハツゥゥゥゥ!!)
「ハツ……ゥ」抑え切れなかった声が僅かに零れ……それも別居中の嫁さんの名前……長谷川はイった。
(この馬ッ鹿野郎!! 声出すなっつったろーが!!!)
(イテテ! 銀さん痛いって!)銀時が長谷川の頬を抓った。
「あんっ……」
ぴゅ、ぴゅ、と薄めの精液がさっちゃんの顔にかかる。
「んむ……っ……銀さん……なんだかいつもより少ないわ」
「そっかぁ? 誤差の範囲内だよ」
「そうかしら……それにハツって……何?」
「え? あー……えっと……あれだ。初の目隠し眼射、ってことだよ……うん、ハハ……」
乾いた笑いを浮かべながら、銀時は誤魔化した。
長谷川はマダオを仕舞いながらそそくさと退散した。長谷川が柱の陰に隠れると、銀時はようやくさっちゃんの目隠しを取った。
「ホラさっちゃん、銀さんだろ? 本物だろ?」
にんまりと笑う銀時に、さっちゃんは満足げに頷いた。

「……確かに三千円、頂戴しました。毎度ありー」
銀時はよれよれの千円札を三枚、長谷川から受け取った。
「――銀さん、あくどい商売するねぇ……」
「あん? あくどくなんかねぇよ。長谷川さんだって変にデリヘル呼ぶよりこっちの方がいいだろ?
外れはまずないしさ」
「そりゃまあさっちゃんなら文句は無いけどさぁ、さっちゃんに悪いよ……」
「俺も毎回フルパワーでアイツの相手できねーし、長谷川さんはデリヘルより安上がりだし、いいことづくめだろ」
「まぁねえ……」
あの後、さっちゃんは本物の銀時と軽く一発し、満足して帰っていった。


「うちは万事屋だからな、なんでもするよ。次はどんなのがいい? 長谷川さん」
「どんなのって?」
「チャイナ娘にくのいちキャバ嬢、ババアに年増に僕ッ娘にアイドル。女の子はよりどりみどりだよ?」
銀時はにやりと笑った。

(END)
************************************
銀さんひどい男でごめんなさい。
56名無しさん@ピンキー:2009/04/28(火) 23:03:00 ID:e0o9fhBe
さっちゃんにはこれくらいヒドくていい
GJ
57名無しさん@ピンキー:2009/04/28(火) 23:57:52 ID:sP1xpYs/
さっちゃんはともかく、神楽やお妙さん、お登勢さん、キャサ、九ちゃん、お通は
銀さんの言いなりにはならんでしょう。

まあ、言いなりになる彼女たちも見てみたいが・・・
58名無しさん@ピンキー:2009/04/29(水) 00:01:47 ID:OGltfqOO
ババアと猫耳おばさんまで手籠めにしてんのかよw
アレ?女の子??
59名無しさん@ピンキー:2009/04/29(水) 05:24:33 ID:s94lmHoP
悪いよ、悪い大人だよ銀さんww



個人的には僕っ子でお願いします!!
60名無しさん@ピンキー:2009/04/29(水) 09:07:13 ID:62Ky9ZXW
よし

キャバ壌は頂いた
61名無しさん@ピンキー:2009/04/29(水) 09:23:59 ID:+Eau/g7o
キャバ嬢取られたか
じゃあアイドルを
62名無しさん@ピンキー:2009/04/29(水) 23:42:29 ID:i+2fAlP7
よろしい、ならばくのいちだ!
63名無しさん@ピンキー:2009/04/29(水) 23:49:55 ID:CoVHiVaS
悪いこと言わないからキャバ嬢は半分こしよう
64名無しさん@ピンキー:2009/04/30(木) 00:42:10 ID:mhRjVqsy
>>63
いや、俺も混ぜて4人で。
65名無しさん@ピンキー:2009/04/30(木) 00:43:57 ID:LZf5u77t
過激派攘夷志士の紅一点来島さんほしい
66名無しさん@ピンキー:2009/05/01(金) 23:05:04 ID:ZpViOLWf
色っぽい未亡人・幾松さんはいただき
67名無しさん@ピンキー:2009/05/02(土) 00:43:29 ID:n3eldHyx
わっちという名のビッチは頂いた。
68名無しさん@ピンキー:2009/05/02(土) 03:52:08 ID:X8rxuICS
>>67
自分も混ぜて。後ろがいいな
69名無しさん@ピンキー:2009/05/02(土) 12:33:42 ID:hPvwmVsn
頂いたとかそういうのはもういいですから
キャラブックも出た事だし何かエロにつながるネタは…
と思ったらたまさんの体重が121キロ
何もできねー
70名無しさん@ピンキー:2009/05/02(土) 22:12:51 ID:n3eldHyx
>>69

銀さん「ほーらたまさんよぉ、あのババァには内緒でまた頼むぜ」
たま「はい、了解しました、ではハセガワさま、口の中に挿入をお願いします」
マダオ「えっ、銀さんコレ、大丈夫だよね?食いちぎられないよね!?」
銀さん「でーじょぉぶだって、さ、さっさとスッキリしちまえよオッサン」
マダオ挿入
たま発動
ギュイイイイイイイン!!

マダオ「ぅぉおおおおあっ!!くっ、舌技がっ、まるでドリルみたいな螺旋にっ…ぅぉ、出るッッ!! 」
「ひい、ふい、は〜い三千円〜確かに頂きましたぁ〜毎度〜」
「銀さん…あんた白夜叉とかだったって絶対に都市伝説だよな…?」

こうですか?分かりません。
71名無しさん@ピンキー:2009/05/02(土) 23:07:21 ID:GLrz7A96
三千円て安くないかwwww
72名無しさん@ピンキー:2009/05/02(土) 23:08:16 ID:r2IcpDog
>>70

70のつまらなさに全俺が泣いた
73名無しさん@ピンキー:2009/05/02(土) 23:22:43 ID:FpWGoUwP
>>69
アニメだと銀さんが膝に乗せてたから、銀魂世界の男達は強いんだ。それくらいの重さなんて問題ないんだよ。
74名無しさん@ピンキー:2009/05/03(日) 00:28:47 ID:eoz0nu9t
鉄に負けないちんこが必要
75名無しさん@ピンキー:2009/05/03(日) 02:12:37 ID:/2BEYMvj
たまは可愛すぎる
生身だったらどんなに良かったか
76名無しさん@ピンキー:2009/05/03(日) 17:37:34 ID:zC0iuNa2
純愛まってます
77名無しさん@ピンキー:2009/05/03(日) 18:17:19 ID:iafQqDIi
純愛のマダハツとか新妙とか
78名無しさん@ピンキー:2009/05/03(日) 18:22:54 ID:EYfbm1ua
純愛銀妙&土ミツ、正座して待ってます!
79名無しさん@ピンキー:2009/05/03(日) 20:15:01 ID:isDpAdR4
全さちお願いします!
80名無しさん@ピンキー:2009/05/03(日) 22:39:08 ID:/2BEYMvj
>>73
そういや体重120kg以上のドラえもんをのび太が持ち上げてたりするからね
アニメっていい加減w
81銀×妙 1:2009/05/04(月) 00:32:45 ID:tTyVmRdj
銀さんとお妙さんです。
勢いでやっちまった。地味に反省している。
旦那たちが懐の深い人間だと信じてまさぁ。

===================

「姐御ー。和服ってどうやって着るのか教えて欲しいアルー」
志村家に庭先にひょっこり現れた神楽だったが、厭な顔ひとつせずに妙は笑顔で迎え入れた。
「突然着物なんてどうしたの? それに、塀を越えて入ってきたわね。
今は良いけれど、ウチに誰もいない時はダメよ。
ストーカーと変態の不法侵入防止の為に留守の時はセキュリティが働くから…」
「ゴリラは解るけど、変態て誰? 姐御、ストーカーの他に誰に狙われてるネ?」
出されたお茶をすすりながら、本気で妙を心配する神楽を見て胸が痛んだ。
しかし、今はまず邪魔者を排除しなければならない。
妙は神楽に笑顔を向けたまま、おもむろに畳に拳を叩き付けた。
ドカッと云う短い破壊音。
床にめり込んだ細い腕に床板が擦れて幾筋かの傷と血が生まれている。
「姐御! 血が…」
思わず神楽が声を発したが、妙はその痛みなど気にする素振りも見せない。
「あともう一つ…っ!」
ゆらりと立ち上がった瞬間、片足を軸に身体を反転させそのまま床の間の壺を蹴り割る。
割れた壺から上半身を現したのは、変態と称されていた眼鏡のくの一。
「あー! 変態アル!! 変態ドMネ!
お前銀ちゃんだけじゃ飽き足らず姐御もストーキングしてるアルか?」
「てめぇら今すぐ出て行きやがれぇ!!」
妙の怒号と共に床下ストーカーと壺変態が志村家から退散した。
「さ、神楽ちゃん。これで邪魔者はいなくなったわ。ええと…着付けを教えてほしいのよね?」
先ほどまでの気迫など無かったかのように柔らかく笑いかける。
その笑顔を見て神楽も「うん!」と無邪気に笑い返してくれる。
ズキリ…と胸が痛い。
神楽のことは本当の妹のように可愛く思っているし、神楽も妙を姉のように慕っている。
妙はそれが嬉しいし、本当に大切に思える。
しかし、それはあくまで神楽を女として意識しなければの話。
「地球来て結構長くなるけど、そろそろちゃんとした和装してみたらどうだーて云われたアル。
キャサリンも天人だけど和服ネ。それに…」
「それに?」
少しだけ顔を赤くして、神楽は次の言葉を紡いだ。
「きっと和服も似合って可愛いだろうから…って。そんなコト云われたら私、
和服着るしか無いアルヨ…」
神楽のチャイナ服は神楽の出身を語る民族衣装のようなものだ。
それを脱いで和服を着たいと思わせたのは、恐らくあの男なのだろう
──そう思うと妙の胸がまた傷む。
82銀×妙 2:2009/05/04(月) 00:35:29 ID:tTyVmRdj
──ああ、ダメ。自分の気持ちを打ち明けることも出来ないくせに、
神楽ちゃんに嫉妬するなんて…最低だわ

「あー、姐御ー。先に腕の手当しなきゃヨ。せっかくキレイな腕なのに傷なんて残しちゃダメネ」
妙の複雑な心境など知るはずも無い神楽は、純粋に妙を心配し気遣ってくれる。
しかし、その純粋さが妙の心に突き刺さる。
「そうね、少し待っていてちょうだい。手当してくるから。
あ、あと着物も持ってくるわね。私のお古だけど…」
神楽を一人残し、部屋から出る。閉めた障子に背中を預け、妙は短いため息をついた。

…可愛いだろうって云ったのは…銀さん…なんでしょうね。

とぼとぼと廊下を歩き、自室に入る。
先ほど負傷した腕に軽い手当を施しながらぼんやりと考える。
近藤なら何も訊かずに私を慰めてくれるだろうか?
もしくは──銀時への想いなど忘れさせてくれるだろうか。
「……なんて、莫迦なこと…」
痛い。
腕も、胸も。
銀時と神楽が好きあっていると具体的に耳にしたわけではない。
しかし、普段の二人を見ているとそれは明らかだ。
何よりも、神楽は銀時と同じ部屋に住んでいる。神楽は子どもだが、やはり女なのだ。
いくらいい加減でどうしようもない程ダメな男である銀時でも
気を許した者としか一緒に暮らさないだろう。
以前、妙が万事屋を訪れたとき、偶然にも新八と神楽が不在だった。
日が暮れるまでもう少しといった時間だったので、妙は新八の帰りを待って一緒に
恒道館道場に帰るから待たせてくれ、と提案したがそれは却下された。
「お前と二人きりなんて冗談じゃねえ。今ならまだ日が落ちる前に帰れっだろ?
新八にはとっとと帰るように伝えるからよ、まぁ気ィつけて帰れや」
ああ、やっぱり。神楽ちゃんはよくて、私はダメなのね…。
肩を落とし、歩いた帰路。夕暮れの空を見上げたとき、視界は涙で歪んでいた。
83銀×妙 3:2009/05/04(月) 00:38:11 ID:tTyVmRdj
「え? この着物くれるアルか?! こんなキレイなの、ホントにイイの?!」
「お下がりで悪いけど…よかったら着てちょうだい。とっても可愛いわよ。神楽ちゃん」
神楽が妙から着付けを一通り習い、なんとか一人で着こなすことが出来た時には
すっかり夜も更けていた。
しかし、神楽は昼間よりも明るい笑顔で喜びを体現し、
妙のお下がりの着物を纏いぴょんぴょんと跳ねている。
その姿は本当に可愛らしい。銀時の事が無ければ、妙も心から喜べる情景だ。
「姐御! ありがとうアル!」「おーい、邪魔するぜー」
神楽の声に重なるように不意に声が聴こえた。
闇夜に紛れて、庭から銀時が現れたのだ。
「あー、銀ちゃん、不法侵入アル。姐御ー、セキュリティ発動するヨロシ」
「ああ? セキュリティ? どうせあのストーカー専用だろ?
俺はストーカーじゃありませんー。だからセキュリティなんざ発動しねぇんだよコノヤロー」
家主に何の断りも無く縁側に腰を下ろす銀時の登場に妙の心はどうしようもないほど混乱した。
せっかく今までは神楽へ理不尽な想いをぶつけること無く過ごせたのに。
無意識に沸き起こる醜い嫉妬を抑え付けていたのに。
それなのにこうも簡単に銀時が現れてしまっては何の意味もない。
「おー神楽ー。似合ってんじゃんか」
神楽の和装に気付いた銀時が賛辞を口にする。
その声に抑揚はないが、わざとらしくない分本当に可愛いと思っているのだろう。
「本当アルか? 可愛いアルか?」
「可愛い可愛い」
二人を見ていたくない…。
ああ、どうして。こんな感情、要らないのに…!
「あらぁ、わざわざお迎え? さすが銀さんね。神楽ちゃんには優しいのね」
「お前ね…。神楽が晩メシの時間になっても帰って来なかったら心配するだろうが。
こいつに何かあったらこいつのオヤジさんに殺されんだよ俺。
お陰でまだ晩メシお預けだし、ウチで新八がメシの支度して待ってんだぞコンチクショー」
銀髪をくしゃくしゃと掻きながら悪態をつく銀時を見て、また胸が痛む。
ちがう。あんなことを云うつもりなど無かった。
どうして私は神楽ちゃんみたいに可愛くできないんだろう。
妙の胸の痛みはどんどん大きくなる。
84銀×妙 4:2009/05/04(月) 00:41:02 ID:tTyVmRdj
「銀ちゃん! 今新八一人あるか!」
「うぉっ!?」突然神楽が勢いよく跳ね、その頭が銀時の顎を直撃する。
「神楽ぁ!! アッパーっておまっ…」
「姐御ー! 今日はありがとアルー!! 銀ちゃーん!
ゆっくりそこで茶でも飲ませてもらっとけ!! いいか?! しばらく帰ってくんなヨー!!」
そう云い残し神楽は壁をぶち抜いて走り去った。
「え? …って云うか……壁…」
残された妙は呆然としている。
訳が解らなかった。
何故神楽は一人で帰ったのだろうか。
何故銀時はまだここに座っているのだろうか。
わざわざ迎えにきたのだから、神楽を追いかけるのが道理のはずなのに。
「あー…。悪ぃな。なんかいろいろ迷惑かけたっつーか…新八もまだ帰れなさそうだし…それに」
未だ状況が呑み込めず立ち尽くす妙の隣に立ち、その肩に手を置いた。
普段なら反射的に振り払っただろうその手を、妙はとても愛しく思う。
その反面、辛くもあった。触れられた場所が熱い。
「…それに? なんです?」
声が震えているのが解る。解るのは、自分が動揺していることだけ。
「いやホラ、しばらく帰ってくんなって云われちまったしよ。悪いけどちょっと居させてくんね?」
そう云うや否や、銀時は部屋に入り座布団の上に座り込んだ。
床にはまだ着物の帯や襦袢が散乱している。
「あー。神楽、随分喜んでたみたいだな。和服さ、着てみたいって云いだしたんだけどよ。
その原因はお前の弟だからな。俺じゃないからな」
「…え?」
「だからさ。新八が云いだしたんだよ。神楽の着物姿も可愛いんじゃないかってさ」
「銀さんが…云ったんじゃないんだ…」
妙の身体から急に力が抜け、がくん──と膝が折れその場にへたり込んでしまう。
「ちょ! オイどうした?」
後ろから銀時の焦りを滲ませた声が聴こえる。しかし妙は後ろを振り向かない。
動かずにその場に座り続ける。
「え? …あの…新ちゃんと神楽ちゃんって…もしかして…」
「あ? 何? お前知らなかったの?
あいつら中学生みたいなプラトニックラブのバカップルだぞ?」
「そう…なんだ…」
妙の声は完全に震えていた。泣きそうになっていたが、すぐ後ろに銀時がいる。
泣くわけにはいかない。
それに、何故泣きたいのか、心の中が混乱しすぎて解らない。
嬉しいのか、悲しいのか。もしくは、情けないのか。
「あ…お茶…すぐ煎れますから…待ってて…」
とりあえずここから──銀時から離れて気持ちを落ち着かせよう──
そう思い立ち上がろうとした瞬間、後ろから銀時の腕が伸び妙は抱きしめられていた。
「銀さ…」
「あのさぁ…。んな涙声で背中向けられてたら…なんつーか、なぁ?」
妙の耳元に銀時の吐息がかかる。自分の顔が紅潮し、熱くなるのが解る。
85銀×妙 5:2009/05/04(月) 00:44:46 ID:tTyVmRdj
しかし心はまだ混乱し続けていた。
何故銀時が自分を抱きしめているのか。厭ではない。嬉しい。
けれど、同情だとするならそれは──
「銀さん…ご飯まだなんでしょう? 簡単なものでよかったら用意しますから…」
とにかく、なんとか理由をつけて銀時から離れたかった。
後ろから絡まる腕に手を重ね、どけてくれ、と意思を表す。
その際着物の袖が引力に従い下に垂れた。
細腕に巻かれた包帯が眼に留まる。銀時は思わず妙の束縛を解き、その手を掴んだ。
「どうした? ケガか?」
そのとき二人はようやく正面から向き合う形になった。
妙の眼には、焦りでいっぱいの銀時の表情が。
銀時の眼には、動揺で頬を染める妙の表情が映る。
「ゆ…床下に近藤さんがいたから」「床板叩き割って帰ってもらったんかい…」
全く、そんなしょうもないことでケガして傷でも残ったらどうすんだ
──そう呟くと、銀時は包帯の巻かれた腕に口づけをした。
「銀さん!?」
銀時の唇は飽くまで包帯に触れている。直接妙の肌に触れているわけではない。それでも熱い。
「ああもうぎゃーぎゃーうるせぇ口だなぁオイ」
掴んでいた腕をぐいと引き、妙の身体を引き寄せる。
突然の事に顔を上げて抗議の視線を寄越す妙の唇は、一瞬で銀時の唇に塞がれていた。
最初はただ唇を重ねるだけだったが、銀時の舌が妙の唇に触れる。
思わず妙が閉じていた口を開くと、すかさず銀時の舌が侵入しその咥内を貪った。
妙にとっては初めてのキスだった。まさか本当に誰かに舌を入れられるなんて考えもしなかった。
そして、
自らも進んで舌を絡ませるなんて──
「………はっ…あ………」
どれぐらいの時間、そうしていたのだろうか。
ようやく銀時から解放された妙の顔は熱で紅潮し肩で息をしている。
どちらのともつかない唾液が口の端から溢れ艶かしく光っているのが銀時の欲情を煽った。
「あーあ…、すっげーエロいよお前。どうしてくれんの。
てか、なんで泣いてたんだよさっき。つーかまた涙眼なってるしよぉ…」
「…ぎ…んさんが…勝手に…! それに…私が泣いたって関係ないでしょう? 私は…」
妙は完全に泣いてしまっている。顔を下に向けて涙をぽろぽろと流す。
それは銀時の着物に落ち、その染みを広げていく。
「お妙」
妙の耳元まで顔を近づけ囁く。キスで火照った妙はそれだけで十分に反応してしまう。
「俺の勝手な推測で悪いんだけどよ。お前、俺と神楽がデキてるーって勘違いしてたんじゃねえの?
そんで、銀さんに惚れてるお前は神楽に嫉妬してた。
けどソレは全部勘違い。張りつめてた糸が切れて気が抜けて、んで泣いちまった。違うか?」
「だいたいソレで合ってるけど……銀さんは…私のこと嫌いでしょう?
私と二人きりなんて…厭だって…! それなのになんで…こんな…」
云った。云ってしまった。
あの日、あの夕刻の万事屋での出来事。
──お前と二人きりなんて冗談じゃねえ
その言葉は、あの日からずっと妙の心に突き刺さっている。
86銀×妙 6:2009/05/04(月) 00:47:57 ID:tTyVmRdj
「あー……お前…まさかあの日のこと云ってんのか…。あー……あれなぁ…」
泣き続ける妙の不安を拭うように銀時は妙を抱きしめ、妙の頭をポンポンとあやす。
「いやさ、云い方は確かにマズかったんだけどよ。俺だって男なんだよ。
なんつーか、…惚れてる女と二人きりなんてよ?
新八と神楽がすぐに帰ってくるのがわかってんのにさ、無理だって。
理性抑えるのも必死だしよ。だからって襲っちまうなんて言語道断だし。
だから…お前にゃ悪ぃけど、無理矢理にでも追い出しとかねぇと…その…なんだ」
ぐい、と妙を身体から離しその漆黒の眼を見つめる。
妙の顔はとても美しい。なんて女だ──銀時は暴れ狂う自分の感情に嗤うしか無かった。
「要するに…俺はお前が好きだ。お妙」
そう云うと、今度は妙から銀時と唇を重ねてきた。

ああ、ホントなんて女だ。キスだけで済まなくなるぞ…俺が。
………つーか、無理だ、うん。どうしてくれんだよマジで。

「……っふ……ぁ………」

あー。もう無理。無理無理。ぜってー無理。なにコイツ。
なんでこんなに可愛いの。つーか、よく今まで我慢してたな俺。

「妙…」
銀時の唇が離れ、妙の首筋や鎖骨に吸い付き舐め上げる。
「あ…銀さ…んっ! あ…私…こう云うの初めてで……ああっ!」
赤い花が生まれるたびに妙の身体はびくんと痙攣し、小さく喘ぐ。
妙は抵抗もできずにいる。帯が解かれてしまってもその手を止めることが出来なかった。
着物を脱がされ白い肩と小さな胸が露になると、さすがに二つのふくらみを隠そうと抵抗してきた。
しかしそれは逆に銀時の嗜虐心を煽る。
「隠すなって。いいから、全部見せろ…」
妙の手を握り、身体から引き剥がす。
それでも力を入れて抵抗を続ける手を押さえ込み指同士を絡ませてやる。
抵抗は無駄と悟ったか、妙の手から力が抜けた。
空いたもう片方の手で妙の小さな胸をゆっくり包み込むようにして揉みしだくと、
かすかな嬌声が上がる。
「…あ…っ」
しばらくは中心を避けて手の平を這わせていたが、妙の下肢が微かに震えたのを銀時は見逃さなかった。
中心にある桜色の先端を指先で弄ぶとそれはすぐに屹立する。
そしてすかさずその一方を口に含んだ。
「あ……ぁあ…」ぴくんと身体を震わせ、喘ぐ妙が可愛らしい。
口の中で存在を誇示する先端を舌で舐め転がし、もう一方を指で摘む。
「っん………ふぁ……ああ…っ!」
自分の口から零れる今まで聞いた事の無い甘い声。
妙は恥ずかしさのあまり、口をきゅっと閉ざし、顔を横に振った。
「厭だってか? おいおい、そりゃねーよお前」
「待って! あ…っ…」
銀時の手が妙の白い内腿に触れ、そのまま潤みを帯びた秘所に指を添える。
「あ……ダメ……あ…」
「なぁにがダメなもんか」
87銀×妙 7:2009/05/04(月) 00:51:10 ID:tTyVmRdj
妙の両腿はきゅっと閉じ頑に侵入を拒もうとするが、
それより早く銀時の膝が割って入り結局は侵入を許してしまう。
銀時の指が秘裂をなぞり、妙の最も敏感な場所をようやく見つける。
そこを指の腹で擦りあげると、妙は耐えきれずに喘ぐ。
声が上がる度に蜜が溢れ銀時の指を濡らす。
そしてそのまま妙の中に指を滑らし、秘所を指で犯し続ける。
くちゅくちゅと響く水音は妙の意識を溶かすのに十分だった。
「や………銀さ………あ……ああ!!」
「初めてなんだろ? その割には感度いいなぁお前。こんなに濡らしてさ」
銀時は完全にサドだ…まともに働かない思考をなんとかふるわせ、妙は思う。
でも、愛する男が与えてくれる快楽なら全て呑まれてもいいのかもしれない──。
羞恥はまだ十分に妙の中で暴れていたが、それ以上に銀時が触れた場所が熱くなり
段々と何も考えられなくなっていた。
「悪ぃ…妙…もう俺が無理」
「え…?」
肩で呼吸を繰り返す妙の額に滲む汗をやさしく拭うように撫でる。その指先が熱い。
「銀さん…私のこと…好きですか…?」
「ばーか。好きじゃねぇとやらねーって」
困ったようにはにかむ銀時を見て、一層愛しさが増す。
「妙…愛してる…」
妙の耳元で囁きながら、銀時は己自身を取り出す。
「痛いと思うけど…ゴメンな」
密で濡れた秘所に少しずつ自身を妙の中に沈めていく。
いくら慣らしていたとはいえ、破瓜の痛みはやはり妙を襲う。
それでも痛いなどと口にはせず、ぎゅっと眼を瞑りその痛みに耐えている。
そんな妙を見て、銀時は何度正気の手綱を放したいと思ったか知れない。
欲望のままに貪って、突き上げて、嬲って、啼かせて…。
でも出来なかった。妙が遊びで付き合える程度の女ならどれだけ楽だったか。
本気で惚れて、大切にしたいと心から思えた相手だからこそ、今まで我慢も出来た。
今もそうだ。大切にしたい、けれどこの手で無茶苦茶に壊してしまいたい──。
「悪ぃ…」
妙の耳に聞こえない程の小さい声だったが、それでも妙の鼓膜を揺らすのには十分だった。
痛みに耐え続ける妙の手がそっと銀時の頬に触れ、微笑みを浮かべている。
「大丈夫…だから…銀さん…泣かないで」
そう云われて初めて、銀時は泣いていることに気付いた。
88銀×妙 8:2009/05/04(月) 00:55:29 ID:tTyVmRdj
今度こそ、守り抜こう。手前の大切なものぐらい、守れなくて何が侍だ──。
「妙…」
まだ治まらない痛みを和らげるため、妙の全身愛撫し、キスを降らせる。
少しずつ妙の身体は緊張と痛みから解放され開いていく。
「…あ…んっ…ああ……」
切なげな吐息が漏れる。銀時はその声を聴き、堪らずその唇を貪るように重ねた。
どちらともなく舌を絡みつかせるとやがて 妙も腰を振り始めた。
銀時はその腰をしっかりと抱き、激しく突き動かした。
「やぁっあっあ…ああ……!!」
腰を突き動かされ、銀時の肉棒が挿入を繰り返すリズムに合わせ、妙の全身が震え、嬌声が上がる。
その声を受け止める銀時も限界が近付きつつある。
妙の中を思うままに蹂躙し、沸き上がるすべてを放出した。
「妙……妙…っ」
何度呼んでも足りない。愛しい名を繰り返す。
しかし妙は何の反応も示さない。銀時の腕の中で静かな寝息を立てていた。
「あー…まぁいろいろあったしなぁ…」
苦笑いを浮かべたが、腕の中にある妙の存在をしっかりと感じ取り、充足感を噛み締める。
銀時はいつまでもこの手を離したくないと誓いを立てた。


「新八ー。銀ちゃんと姐御、二人きりにさせる計画はこれでダイジョブアルかー?」
「まぁ、大丈夫だと思うよ。これ以上は僕たちが立ち入る問題じゃないしね」
「銀ちゃんも姐御も、お互い好きだって思ってるクセしてじれったいアル。
全く、ガキはこれだから困るネ」
「とりあえず、ご飯食べちゃおうか。あ、銀さんの分も食べて良いよ」
「マジでか! いただきますアルー!」
「………まぁ、銀さんも多分食べちゃってるだろうしねぇ…」
──こうして万事屋の夜は更けていった。



====================
なんか、キャラ崩壊してそうで恐い…。
すんません。ちょっとでも喜んでもらえれば幸いです。
89名無しさん@ピンキー:2009/05/04(月) 01:00:39 ID:qclBGdb5
乙です!!GJ!!!!
心理描写が素敵でした!
90名無しさん@ピンキー:2009/05/04(月) 01:34:14 ID:3UOz0g6T
純愛ものGJ!!
またお願いします
91名無しさん@ピンキー:2009/05/04(月) 03:25:44 ID:GHLdDLzL
一番微妙な組み合わせだな
お妙に萌え要素がない
92名無しさん@ピンキー:2009/05/04(月) 08:08:23 ID:w7TLH7BS
GJ!
ヤキモチ焼きの純なお妙さんカワユス。
銀妙もいいものだな。
あとさりげな新神に萌えてしまった
93名無しさん@ピンキー:2009/05/04(月) 09:24:51 ID:Lvlg9MCq
GJ!
何気に久しぶりだな銀妙w
94名無しさん@ピンキー:2009/05/04(月) 13:01:25 ID:7e9CCBrF
GJですだ! お妙さんが可愛いですだ
95名無しさん@ピンキー:2009/05/04(月) 14:24:04 ID:kxcWkCyR
ああああ〜銀妙よかったっすーー!!
96名無しさん@ピンキー:2009/05/04(月) 16:59:33 ID:L7KJ0Iso
GJ!!!!!
97名無しさん@ピンキー:2009/05/04(月) 17:00:03 ID:cuCLok70
GJ!!
お妙さんのギャップに萌えた
98名無しさん@ピンキー:2009/05/04(月) 19:35:09 ID:ncnRU5Eg
GJ!
純愛銀妙、堪能しました。 この2人大好き!
99名無しさん@ピンキー:2009/05/04(月) 21:41:40 ID:eV7czAUT
GJ!!
純愛いいですね〜。新神も良かった。
100名無しさん@ピンキー:2009/05/04(月) 23:38:16 ID:+r2bKxs3
ステキな作品でした
グッジョブ
101名無しさん@ピンキー:2009/05/05(火) 00:20:37 ID:2X5SjFUN
じゅんあいまってた!
102名無しさん@ピンキー:2009/05/05(火) 01:02:12 ID:K/KUPajT
前スレ652です。前回は沢山のコメント、本当に有難う御座いました。そして保管庫への収録も有難う御座いました。
長文な割りに区切りが悪いながら、自分としてはあれで完結にしようと思っていろいろ詰め込んでいたのですが、
『続編が見たい』というありがたいお言葉を頂きましたので、ない頭ひねって続きを書いてみました。前回よりは短いです。
前回同様東九です。

※※※

あれから幾日が過ぎただろうか。その夜も九兵衛は、単身東城の部屋へと向かっていた。無論――彼に抱かれる為に。
他の門下生や女中達にそれと知られるのが恥ずかしくて、人目を避けながら歩く傍ら、九兵衛はふと、以前東城と交わした会話を思い出す。
変わらず何度も膣内射精を繰り返す彼に、何時だか耐えかねて九兵衛は切り出した。避妊はしてくれないのか、と。以来東城はそれに応じて
くれはしたが、しかしこうも付け加えた。確実な避妊方法など存在しませんよ、と。
その言葉を聞いたとき、恐怖や落胆を覚えるよりも寧ろ、何処かでそれを望んでいる己があるのに九兵衛は気づいてしまった。そうなれば彼
を、確実に己の下に繋ぎとめる口実が出来る、と――。
そんなやり方は卑怯だと思うし、それで彼の心が得られる訳ではない。何より人間として、許されるような行為ではない。男の関心を得るた
めに子供を望むなど、最低だ。それは分かっている。だがそれでも――いずれ彼が他の女と所帯を持つのを、指を咥えて見ているよりはマシ
に思えた。そうして一生黒い感情を抱き続けて生きていくよりかは。
九兵衛とてそんなことをせずに、もっと正々堂々と、己の中の激情を彼にぶつけて、そして彼に愛を乞いたい。けれど出来るはずもなかった
。そうすることで驚かれたり戸惑われたりするだけなら耐えられる。だが、そんなことをすれば――確実に彼は己を軽蔑する。
十五年も昼夜を共にした相手に、今更その想いに気づいたなど、どうして信じられようか。あの三月二日の夜、九兵衛の中で何かが確実に変
わり、しかしそれは同時に終わりを告げていた。そう、全ては遅すぎた。彼と発展しえぬ関係を築き上げてしまったのは、他ならぬ九兵衛自
身だ。彼自身は酷く渋っていたというのに、柳生家内の混乱を鎮めるためになどといって、地位を盾に身体の関係を求めた女など、どうして
彼が愛せよう。今となっては口実にしか思われまい。
だが妙との一件をあれ程後悔したにも関わらず、結局己はあの時と変わってはいなかった。彼女の深い友愛の情に、己に対する負い目につけ
こんで、彼女に結婚を迫ったように、東城が己には逆らえないのをいいことに今の関係を続けているのに過ぎない。そうして後に戻れぬとこ
ろまで行き着くのを、何処かで待ち望んでいる……。
我ながらぞっとする。どうして己はこんな方法でしか他人を愛せないのだろうか。否、こんなのは愛などとは決して呼べまい。こんな――余
りに身勝手で暗い感情は。
103名無しさん@ピンキー:2009/05/05(火) 01:05:13 ID:K/KUPajT
それはもっと、美しく尊い物なのだろうと思っていた。幼い頃夜毎東城に聞かされていた、何度も夢見た異国の姫君の物語のような。そして
あの日、一人出かけた町の少年達にいじめられていた己を助けてくれた少女の姿が、そんな絵本の中に出てくる、魔物を薙ぎ払って救いに来
てくれた王子様のように見えたのだ。東城が買春している事実を知り、世の男全てが信じられなくなっていた中でも、彼女といた時だけは安
らぎを覚えた。彼女が己に与えてくれる、優しく温かいものこそが、ただ一つの愛なのだと思っていた。その意味も知らずに。そうして彼女
がその、いつも浮かべていた笑顔の裏に隠していたものを知ったとき、憧れるばかりだった彼女を護りたいと思った。とうに絵本の中の世界
など信じてはいなかったけれど、それでも今度は自分が彼女の王子様になるのだ、と――。彼女のお陰で東城達すら凌駕する実力を身につけ
、しかしそれでも決して強くなどなっていなかった。だから彼女の涙に目を向けることができなかった。所詮己は彼女の王子様になどなれぬ
のだと、気づくのが怖かった。けれども、己の見ぬうちにいつのまにか逞しく成長していた彼女の弟によって、それを思い知らされたとき、
誰よりも愛しかった筈の彼女に酷いことをしてしまったと初めて知った。だがそれでも彼女は、己の為した事の前にただ泣き濡れるばかりの
自分を抱きしめて、泣いてもいいのだ、と言ってくれた。女の子なのだから、と――。こんな自分にも女としての生き方があるのだと、教え
てくれたのは彼女だった。ずっと憧れていた、女子としての人生が。けれどあの夜から、己はまごうことなき女なのだと、女子としてしか生
きれぬのだと知ったとき、それは決して、それまで思い描いていたような綺麗なものではないのだと思い知る。初めて気づいた己の東城に対
する感情は、妙に抱いていたような憧憬や尊敬や保護欲とは全く異なる、余りに薄汚い嫉妬と独占欲だった。
あの時金で女を買い、幾人もの女と寝る東城を心底軽蔑し、所詮この世に物語のお姫様と王子様のような運命の恋などありはしないのだと知
ったが、しかし今の己とて何処までも無垢で他人を憎むことなど知らない、況してや他人を利用することなど思いつきもしないお姫様とは程
遠い。意地悪な恋敵がいいところだ。汚い手段で王子様を手に入れたところで、彼女と王子様の間に愛が生まれる筈もない。
そして東城から金を受け取って、身体を開いた女達に何処か引け目を感じていた。己とて彼に、望まれて抱かれるのならどんなに幸せか――
どうせ愛のない関係ならばと、そんなことまで考えていた。だが所詮、己は彼をそこまで惹きつけるものなど持ち合わせてはいないのだ。殆
ど女なら誰でもいいような関係を持ち続けてきたあの男を、その気にさせる程度のものすら。だからこんな方法でしか彼を求められない。夜
毎彼は己の容貌を褒めてくれ、その度に少し誇らしく思えもしたが、冷静になって思えばそれとて信用できるものではなかった。仮初の関係
にばかり溺れてきた男の、情事の中での睦言など如何して信じられようか。己をその気にさせて、少しでも彼が楽しむ為の言葉、それ以上の
意味などきっと持つまい。そう思うとたまらなく悔しかった。
104名無しさん@ピンキー:2009/05/05(火) 01:05:36 ID:K/KUPajT
何故あんな男を愛してしまったのだろうか。好きになったのがあんな不埒な男でなければ、こんなにも苦しむことはなかったのかもしれない
。否、特定の相手がいるわけでもないあの男のその行動を非難する権利など己にはない。わかってはいる。それでも、どうしようもなく苦し
かった。他の男が、例えば南戸あたりが何人の女と寝ようと大して気にもしないのに。精々、厄介事を起こさないでくれと、思う程度だった
。それなのに。この想いに気づいてからというものの、東城が少し女中と話をしているのを見るたびに、彼が彼女をよからぬ目で見ているの
ではないかと、どす黒い感情が己の中に生まれるのを感じた。馬鹿馬鹿しいと思いながらも止められなかった。どうしてこんなにも、あの男
に執着しているのだろう。騒ぎ立てるような美青年という訳でもあるまいに。まあ、かと言って悪くもないとは思うが。長い金の髪は仄かな
明かりを受ける度輝いて、それは色の白い肌と相俟って美しくもあった。優しげな細い目が送る視線も、少し高めの甘い声の響きも、いつも
己を安らげるものだった。年の割りに落ち着いた物腰のせいもあるかもしれない。……否、確かに見た目こそ穏やかで上品ではあるが、実際
の性格は真逆もいいところではないか。己に何かある度に酷く取り乱しては、大袈裟に騒ぎ立てて。それに何かにつけて口煩く、己の生活に
過干渉してくる。自室にも度々勝手に侵入する彼が世話役についていたのではプライバシーも何もあったものではなかった。まあ、それらも
全て自分のことを心配してくれているが故なのだということはわかっているが、しかし心配性にも程があるのではないか。あんな風に常時張
り付くように護られねばならぬ程、己は弱くない。それとも信用がないのだろうか。否、彼は己がどんな道を歩こうと、いつだって己の味方
に立ち、己の為に戦ってくれた。己のどんな望みにも応えてくれた。だからこそ――今の関係がある。
……駄目だ。そこまで考えて、九兵衛は項垂れた。考えれば考える程思い知る。反発しようとしてもどうしようもない位、自分はあの男に惚
れている。恋は惚れた方が負けなのだと、仮想恋愛の達人であるすまいるのキャバ嬢達は言っていたが、この恋に勝算などない。嫌に成る程
その根拠は挙げられる。しかし多分、それでも自分は幸せなのだろう。そう思わねばならなかった。彼は己を信じていてくれているからこそ
、こんな命令にすら結局は応じてくれた。そして今も尚、嫌な顔一つせずこの関係を続けてくれている。それどころか、閨の中での彼は心底
幸せそうですらあった。不満を抱くには贅沢すぎる環境ではないか。
頻繁に訪れる九兵衛を、東城はいつも快く迎え入れてくれた。今では九兵衛の寝巻きや下着を彼の部屋に置いてすらいる。いつだったか、激
しい行為に汗ばんだ衣服をそのまま纏おうとした己に、それでは風邪をひくと言って東城はそれをさせなかった。その時は結局東城の服を借
りたが、長身の男のそれは小柄な己に合うはずも無く、酷く不恰好な形になってしまった。あの時の屈辱と言ったらない。それ以来東城の部
屋に自分の服を持ち込んでいた。九兵衛はそこを訪れる前には必ず入浴して念入りに身を清め、衣服と下着の清潔さには気を使っていたので
、汗をかく前に脱がされてしまえば着る必要もなかったが。
そんなことを考えているうちに、愈々たどり着いた部屋の前で立ち止まると、周囲に誰もいないことを確かめては、隠れるように、声をかけ
もせずに静かに障子を開いた。
105名無しさん@ピンキー:2009/05/05(火) 01:07:26 ID:K/KUPajT
「……おや、今夜もいらしてくださったのですか」
その部屋の主の言葉に、無言で頷くと、九兵衛は後ろ手に障子を閉める。
「こうも頻繁に、若の方から私の元へと通ってくださるとは……嬉しい限りです」
そう言って座布団も用意せずに、既に敷いてあった布団の方へと九兵衛を促した。もう、何度寝たか知れないその布団へと。
「しかし案外と……若も好き者でいらっしゃいますな」
「……っ! 」
そうして自身も九兵衛のすぐ隣に腰を下ろすと、そんなことを囁いた。九兵衛はその言葉にかあ、と顔が赤くなる。だがその言葉を非
難出来ないほど頻繁に、九兵衛は東城の元へと通い詰めていた。
しかしそれは彼が思っているように性欲を満たすためでも、当初の目的のように柳生を統治するためでもなかった。愛しい男と少しで
も一緒にいたいから、そんな健気な感情でもない。
ただひとえに――東城を己の下へと縛り付けておくためだった。他の女のところになど、決して行かせぬように。
だがそんな黒い心の内を、この男に晒せる筈もなく、九兵衛はただ押し黙って俯く。
「ああ、そう気を落とさないでくだされ。何も侮蔑するつもりではなかったのですよ。……素敵だと思いますよ、そういうのも」
そして東城はそんな九兵衛の顔を覗き込むようにする。
「……東城……」
肩から突き出された男の顔の方を、九兵衛は目の動きだけで見上げた。
106名無しさん@ピンキー:2009/05/05(火) 01:08:28 ID:K/KUPajT
「若……」
男女二人の、情熱を孕んだ視線が絡み合う。最早、それ以上の問答は不要だった。
「……ん……」
無言で近づいた顔に、九兵衛は静かに瞳を閉じる。そしてやがて触れた温かい感触を受け入れた。
「……っは……」
口腔内を舐る舌先に己のそれを這わせては絡め、互いの唾液を混ぜ合わせながら、九兵衛は東城との長い口付けに酔いしれた。それだ
けで達してしまいそうな程に、彼との口付けは濃密なものだった。
やがて名残惜しそうに唇が離れると、最早どちらのものか分からぬ唾液が、二人の間に刹那透明な橋を築いて、しかし次の瞬間九兵衛
の顎から首筋にかけて崩れ落ちる。
「……ぅ……」
東城はそのまま顔を九兵衛の首筋に埋めると、彼女の白い肌を強く吸った。彼の舌は鎖骨下を辿って胸元へ降りていき、その度に赤い
痕を残していく。
「……若……」
すっ、と身体を起こすと、東城は静かに九兵衛の名を呼んだ。
「この位で……宜しゅう御座いますか? 」
「……ああ」
許可を求める従者の言葉に、九兵衛は伏し目がちな瞳で答える。
彼が己に痕をつけるのは、九兵衛が男との関係が確かに続いていることを周囲に知らしめる為……それ以上の意味など決してありはし
なかった。初めの夜こそ幾つもの痕跡を残してくれもしたが、次に訪れた時にそれを目にした彼は何処かそれを後悔しているかのよう
な目をしていた。以来その数は急激に減り、何時だったか、ついに彼ははっきりとこう言ってきた。こういうことは、余りしたくはな
いのだ、と。そんな彼にとってその行為は義務でしかない。だから主人の確認を必要とする。
そのことを思い知らされる度に、それは彼と己との愛情の差の表れのようで、九兵衛は心が張り裂けそうになる。
東城のきっちりと合わせている寝間着の下には、今は見えはしないが、九兵衛が残した夥しい数の痕が残っている筈だった。人目につ
くようなところには、恥ずかしくてつけられなかったが、しかし着物に隠れて見えぬところにはそれこそ余すところ無く――。それら
をつける度に、まるで彼を所有出来たかのような思いに駆られてでぞくぞくとした。そんな己が彼に抱く、暗くも激しい感情を、彼は
己に対して微塵も持ち合わせてはいない……。
「……東城」
そんなことを考えているのはたまらなくなり、忘れようと九兵衛は東城の胸元に手を差し入れては、そこに顔を沈めた。上手く肌に触
れられぬことに焦れると、着物を止めている腰紐を外しにかかる。
「……積極的ですね、若……」
そっ、と東城はそんな九兵衛の髪を撫でた。しかしやがて手を止めると、
「今日は少し、趣向を変えてみましょうか」
「……え? 」
「若のために用意したものがあるんですよ」
言って東城は、胸元の肌蹴たその状態のままで立ち上がると、箪笥の方へと歩き出した。はらり、と腰にかかっていた帯が落ちる。
「こちらになります」
「! これは……」
そこから東城が運んできたそれは、衣服のようだった。きっちりと畳まれていて全体的な外観は分からないが、胸にかけられた白い、
レースのたっぷりとついたエプロンがそれがどういった服かイメージさせるには十分だった。
107名無しさん@ピンキー:2009/05/05(火) 01:09:06 ID:K/KUPajT
「ええ、メイド服です。若にお似合いかと思いまして。お召しになっていただけますか? 」
「……」
九兵衛はまじまじとその衣装を見つめる。それは確かに東城の言うように、形こそ異国の女中の制服を模したものではあったが、しか
し作業着と呼ぶには些か華やか過ぎるデザインのものだった。桃色の布地には豹の毛皮のような柄が描かれ、エプロンには過剰な量の
レースが縫いつけられている。それに飽き足らず、下の服までひらひらとしていた。頭に巻くのであろう太目のリボンには矢張り白い
レースと、そして服とおなじ柄の猫の耳のような飾りがついている。服の方から伸びている棒のようなものは恐らく着たとき獣の尻尾
のような形になるのだろう。ご丁寧に、それらの服に合わせたデザインの眼帯までセットになっていた。幾らなんでも眼帯のついた服
などそうないだろうが、もしかして彼が同じ布地を取り寄せて手作りしたのだろうか。凝り性なこの男ならやりかねない。何かと器用
なこの男、西野程ではないが確か裁縫も得意だった。というか西野の裁縫の腕が異常だった。
否、西野のやたらとファンシーな小物作り好きの趣味は如何でもいいのだが、兎にも角にも、その少女だけに着ることの許された、可
愛らしいデザインの衣装に、九兵衛は少し、興味を持った。
「ま、まあ、着てやってもいいが……しかし」
「しかし? どうなさいました? 」
「今日はその……しないのか? 」
だが何も、こんな時にそんなものを出すことはないだろう、と、既に着物を脱がせかけた東城に九兵衛は視線を送る。それとも流石に
、呆れているのだろうか。余りの頻度で自分がこの部屋に、身体を重ねる目的で訪れることに。
「まさか。ですから、これを着てなさいませんか、と申しているのです」
「? どういう…」
「そうですね……若、今夜は私のメイドさんになって頂けませんか? 」
「……何? 」
「つまり、私が若のご主人様で、若が私に仕える可愛いメイドさん。そういう設定で今夜は楽しんでみませんか? 」
「……はあ? 」
繰り返し説明されて、漸く東城の言わんとしていることを理解すると、九兵衛は酷くまの抜けた声をあげた。
「何を言っているんだ。何の為にそんなことを……」
「何の為だなんて。そんな難しい意味などございませんよ。ただ、そういうのも興奮するのではないかと思いまして」
「……おかしいんじゃないか、お前。大体なんでメイドでするんだ」
「ですから、深い意味なんてありませんって。ただ、若にお似合いかと思って用意しただけです。それに、ご主人様をお慰めするのは
、メイドさんの務めでしょう? 」
「馬鹿馬鹿しい。お前は女中の仕事を愚弄しているのか。家事の為に雇われてる女中が、何で主人の夜伽の相手までしなければ……」
心底呆れたようにそこまで言いかけて、しかし九兵衛ははっ、として、その後の言葉を飲む。
――そうだ。許されるはずがない。そんなことが。職権濫用もいいところだ。立場の強い者が、それを利用して弱い者に、定められた
役割以上のことを望むなど……。
「……そういう、こと、か……? 」
震える声で、九兵衛は呟く。
プレイの一環とかこつけて、この男が己に何を訴えようとしているのか。それを理解して。
「確かに……こんな関係は、お前の本意ではないだろう……それなのに、こんな、度々お前のところに押しかけて……それでも、お前
は断れないから……その、そこまでお前が迷惑していたのならばそれは謝る。……っだが……」
「……若……? 」
「お前が……お前がこんな陰険な男だとは思わなかった! 嫌なら嫌と、面と向かってはっきり言えば良かったじゃないか! 僕に純
潔を守って欲しいとか、そんな回りくどい事を言わずに、僕をそういう目では見れないから、と! あまつさえ僕に気を使って、それ
にフォローなんてせずに! 」
「若…? 一体何を……」
「……それを……何だ! こんな、何回も通った果てに、こんな方法で詰らなくても……! 分かっているんだ。こんな事をされなく
ても、僕が……お前に何をしているか、くらい……自分でも最低だと思ってる、お前はあんなに渋ってたのに、柳生の混乱を鎮めるた
めなんて理由で、お前にこんな……っ……」
108名無しさん@ピンキー:2009/05/05(火) 01:09:55 ID:K/KUPajT
「……若ッ! 」
「……っ!? 」
ぽたぽたと涙を落としながら、訴える九兵衛の言葉の途中で、しかしそれは遮られた。
「と……うじょ……? 」
不意に、力強く抱きしめられて。
「違います若! そのようなつもりでは決して……! 若にそのような皮肉を言うような意図など、全くなかったのです。ああ、若。
お許しください。私の考えが足りませんでした。まさか若にそのようなご不安を抱かせてしまうとは……! 」
胸板に顔を押し当てられ、九兵衛に東城の体温が伝わった。トクトクと聞こえる鼓動は速く、それは彼がその語気からも感じられるよ
うに心底焦燥していることの表れのようでもあった。それを感じるうちに、九兵衛の心は静まっていく。
「勘違いなさらないでくだされ。私は貴女に今の関係を強要されているなどと思ったことは、一度たりとて御座いません。それどころ
か……幸せに思っております。理由がどうあれ、そのお相手にこの私を選んでくださったこと……」
「……本当か? 」
「ええ。貴女のような、素敵な女子に望まれるなど、これ以上の幸福が御座いますか」
「……また、そうやって……」
「言っておきますが、若に気を使って世辞を申しているのではありませんよ。何度も申したではありませんか。若よりも美しい女子な
どこの世にいない、と」
「……」
――何て軽薄な男なんだ。どうしてそんなことを、簡単に断言出来る。僕のような女にさえも。
思って九兵衛は俯く。同じ言葉を、何人の女に告げた? 考えただけでも忌々しい。
「言葉では信じられませんか? しかし若、身体は正直なものでしょう。余程魅力を感じている人でなければこんな、度々来てくださ
る方を毎度一夜に何回もお相手出来たりはしませんよ」
「……っ! 」
その疑念を知ってか知らずか、続けられた東城のその卑猥な物言いに、九兵衛は顔が熱くなる。しかし一方で、その話には説得力があ
った。頻繁に訪れる己を、この男はいつも情熱的に求めてくれた。彼も己と同じように、己を愛してくれているのではないかと錯覚す
る程に――。それが錯覚なのだということは分かっている。彼は己とは違い、愛していない女でも平気で抱ける人間なのだ。彼以外と
そんな関係を築きたいとは思えもしない己とは根本的に違う。それでも……東城の物言いは大袈裟にしても、彼が買った女達のように
、この男を性的に刺激出来る程度には魅力的なのだと、納得出来る。
「……そうか……」
力なく九兵衛は呟く。欲張りな女と、自分でも思った。主人としてこんなに大事にされて、女としての魅力も感じてくれて、それでも
まだ、到底満足できない。それで十分ではないか。これ以上この男に何を望む。
「……その、すまなかったな。取り乱して……」
109名無しさん@ピンキー:2009/05/05(火) 01:10:30 ID:K/KUPajT
「いえ、私の配慮が足りませんでした。若にお似合いかと思って用意したもので、まさか若自身私のことをメイドのように思ってらし
たとは考えが及ばず……」
「いや、流石にそこまでは思ってないんだが」
若干ピントのズレた発言に、九兵衛は思わずメイド姿の東城を想像してしまい、眩暈を覚えた。そんなことを考えていると、急にこれ
まで思い悩んでいたのが馬鹿馬鹿しく思えてくる。
「まあいい……侘びと言っては何だが、お前の提案、呑んでやる」
「……え? と、申されますと……」
「乗ってやると言ってるんだ。その……メイドごっこに」
「……宜しいのですか!? 」
九兵衛の言葉に、東城は子供のように表情を輝かせた。
「ああ。……演じてやれば良いのだろう? 魅力溢れる主人に求められて、心から幸福を覚える女中を」
お前のように、と九兵衛は心の内で付け加えた。
本当はまだ不安はいっぱい残っていた。東城の言葉が、何処まで本当かわからない。けれど何処まで偽りでも、東城は確かに、今まで
己に対してそうしてきてくれたのだ。ならばそれに応えてやるのも道理ではないか。
それに、東城の言葉に九兵衛は少なからず安堵を覚えていた。一人の女子にこんな風に縛られて、彼が真に満足しているかは疑問だが
、少なくとも――彼が己に興味を失くすまでは、この関係を続けても良いのだと、許しを得たかのようで。
不器用な自分は他人を欺いたり、演技をしたりすることには自信がない。しかしその演目ならば問題はないと感じていた。何しろ自分
は、演技などではなく本当に心から、彼に抱かれることを望んでいる。こんなにも、愛されたいと願っている……。
大丈夫だ、だからきっと、うまくやれる……。


九兵衛のそのささやかな自信はしかし、ものの見事に打ち砕かれた。
「さあ、出来ましたぞ。いかがです? 」
いつからその部屋に置かれているのか、多分今日用意したのであろう大きな鏡の前に東城は、自ら用意したその服に着替えさせた九兵
衛を立たせた。
「……ぅ……くっ……! 」
鏡に映りこむ己の姿に、九兵衛は羞恥で消えたくなる。
畳まれた状態では全貌が分からなかった。分かっていれば、決して受け入れたりなどしなかっただろう。あの状態では、確かにただの
可愛らしい服に見えたのだ。だが、全ては遅かった。侍が一度引き受けた事を簡単に引き下がれる訳がない。
それは見た目こそ実に可愛らしい服ではあった。高い位置で、桃色のレースのリボンによって二つ分けに結い上げられた、少女らしい
今の髪型ともよく合っている。しかし――問題はその、到底表には出れぬレベルの露出度だ。
大きく開いた胸元からは、ばっちりと胸の谷間まで曝け出されていた。しかも胸の締め付けが異様に緩いせいで、動くたびに乳房が揺
れる。
そして下半身はといえば、ふんわりとしたスカートはしかし余りに短く、長いオーバーニーソックスを止めるガーターベルトの紐が見
えてしまっている。それが太腿に食い込み、硬く締まった男のそれとは違う柔らかさを確かに持っていることを、嫌でも視覚的に訴え
てくる。
否……実のところそんなことすらこの際如何でもよかった。
何よりも九兵衛を辱めるのは、この服を着せる際に、東城が九兵衛の下着を全て脱がせてしまったという事実だ。
やたらとレースの多い服が、胸の先端を弄ぶように擦る。それでなくても東城のその全身を舐めるような視線のせいで、とうに九兵衛
のそこは勃ちきっていた。そしてスカートの下の、余りの風通しの良さは刺激的であると同時に心もとない。直ぐにでも……はしたな
く蜜を零してしまいそうだった。
なんだこの状況は。この、こっち見ないでね真中君、してないのバレちゃうから的な展開は。いや、あの時の彼女だって流石に下は穿
いていただろうに。そもそもバレるバレないの問題ではない。そんなことは下着を剥いだこの男自身が知っているのだから。問題は…
…少しでも動くその度に、それだけで電撃が流れるような刺激が全身を走ること、だ。東城に触れられている訳でもないにも関わらず。
110名無しさん@ピンキー:2009/05/05(火) 01:10:54 ID:K/KUPajT
「ああ、若……素敵ですよ」
背後から東城が、メイド服を纏った九兵衛を抱きしめた。大きく開いた背中と、曝け出された彼の胸とが触れる。その熱に九兵衛の胸
が高鳴った。……まずい。このままでは……。不意に九兵衛は先ほどの東城の言葉を思い出す。そして本当にこのままするのだろうか
、と急に不安を覚えた。否、恐らく彼は本気だ。下着を剥いだのもその為だろう。だがこんな――九兵衛は堪らなく恥ずかしかった。
彼の前に何度もその裸身を晒してきたにも関わらず、この異様に露出度の高い格好を見られるのが――。
「あ、あまり見るな……恥ずかしい、から……」
鏡に映る己のその姿に見惚れている様子の東城に、九兵衛は顔を伏せて訴える。
「恥ずかしがることなんてありませんよ。こんなに素敵なのですから……ほら」
「……! 」
東城は九兵衛の手を取ると、それを己の下腹部へと導いた。
「若が余りに魅力的でいらっしゃるから……もう反応してしまいましたよ」
下着越しに触れたそれは、平常ではない熱と硬度を帯びて、どくどくと脈打っているのがわかる。
「東城……」
それを感じると、九兵衛は先ほどまでの、あれ程の羞恥すらももうどうでも良くなる程の飢えを覚えて、早急に下着の中へと小さな手
を探りいれた。その手が男の熱く滾るものにたどり着くと、彼の方へと向き直って、跪いてはそれを下着から取り出す。眼前にまだ勃
ちきっていない、赤黒い陰茎が顔を現す。いつも己を悦ばせてくれるそれを愛おしく感じ、九兵衛は顔を近づけた。
「……ふふ、早急な方ですなあ」
「う、煩い……! 嫌いじゃないんだろ、そういうの……」
「ああ……しかし、いけませんねえ」
言って東城は、九兵衛の頭を撫でながら、静かに布団の上へと腰を下ろす。
「メイドさんがご主人様にそんな口の利き方をしては」
「……えっ? 」
あくまでも限りなく優しく言われた言葉に、しかし思わず九兵衛は、男のものを握ったまま声をあげた。
「『ご奉仕させて頂きます、ご主人様』……そう言って御覧なされ」
「なっ……! 」
とんでもないことをさらりと言われ、九兵衛は顔を上げる。見上げたそこには相変わらず涼しい顔をした東城がいた。
「ふ、ふざけるな! 何で僕が、お前の主人である僕がお前にそんなことを……」
「でも今夜は、私のメイドさんになってくださるのでしょう? 」
「……うっ」
己の非難を物ともせずに受け流す彼の言うように、それは確かに九兵衛自身が約束したことで、彼女は言葉に詰まる。そして暫くの間
をおいて、ついには観念し、
「……ご、ご奉仕させて頂きます……ご主人様……」
か細い声で、九兵衛は呟いた。
「……んっ」
そして先端に愛しげに口付けると、待ちかねた馳走にありつけた子犬の様に、九兵衛は手にしていたそれに貪りついた。
「はぁ……んむっ……」
舌先で転がすように先の方を舐め回し、咥えこんでは吸い上げる。そして根元まで丹念に下を這わせて舐った。
「……ふ……そんなに美味しそうにしゃぶりついて……余程、欲しくてたまらなかったのですね……? 」
「……んんっ……」
東城の問いに、九兵衛は口に入れたままの状態で頷く。
「……ああ……うまひ、ぞ……東城……」
そして口を離しては、熱に浮かされ始めた頭で呟き、再び深く咥え込んだ。
「若……また、そんな……」
耳にした東城の声は、少し戸惑っているようでもあった。だが実際、自分でもどうかしているとは思うが、徐々に硬度を高め質量を増
していくそれが、この男のものだと思うと堪らなく愛しくて、そんな感情すら呼び起こさせた。そして普段この男に繰り返される度に
、激しい羞恥を覚える言葉ではあったが、こうして己の方から口にしてみれば、成る程困惑する男の声は己が彼を翻弄していることの
表れのようで心地よかった。
「……『美味しゅう御座います、ご主人様』、でしょう? 」
「……っ! 」
しかし矢張り、切り返し方は東城の方が一枚上手であった。言い方を変えて繰り返された己の言葉に、九兵衛は益々熱くなる。
「くっ……」
その反動で少し強く吸い上げてしまった刺激のためにか、東城の唇から荒い吐息が漏れた。
「……っは……」
111名無しさん@ピンキー:2009/05/05(火) 01:11:42 ID:K/KUPajT
そして徐々に大胆になっていく九兵衛の動きの前に、それは確かに乱れていく。時折零れた男の高めの声は上擦っていた。
それを耳にするたびに、九兵衛の身体は昂った。もっとこの男を己との行為の中に溺れさせたい。骨の髄まで支配したい――。
そう考えたところで、九兵衛はふと思った。今夜は己は彼のメイドなのだと、彼は言っていた。そして彼はご主人様――そう、完全に
立場が入れ替わっている。それならば、と、思い立って九兵衛は己の口から既に完全に起立している男のものを抜いた。口の端からた
っぷりと溢れさせていた唾液が零れてそれに纏わりつく。
「……っふぅ……ふふ、いけませんねご主人様、もう、こんなに大きくしてしまって……」
「……は……若……? 」
軽く口を拭いながら、九兵衛は悪戯な笑みを浮かべた。閨の中ではいつもこの男に翻弄されてばかりだが、今こそそのお返しをしてや
る。普段己がなされていることを思い出しながら、柔らかい敬語で東城を責め立てた。
「確か、ご主人様は――」
「……っ! 」
そして言いながら、それまで懸命に男の脚の間に埋めていた身体を少し起こし、
「僕に、こうされるのが好きでした、よね? 」
大きく開いた胸元の谷間にそそり立つ男根を差し入れ、抱えた乳房でそれを包み込んだ。
「……ほら、大きくなった。ふふ、ご主人様ったら……」
「わ……若……」
どくん、と汗ばむ胸の間でそれが脈打つのを感じると、益々嬉しそうに九兵衛は微笑む。
「気持ちいい、のでしょ? こうされると……」
「は……はい……」
そして身体を揺すりながら、柔らかい乳房を使って竿全体をマッサージすると、男の口からやや掠れた声が漏れた。
「堪りません……若に、そのようなお顔で見上げられると……もう……」
それを聞きながら、九兵衛は先端を口に咥えた。
「ああ……若、私は……」
熱っぽい視線で見下ろされ、九兵衛はもっと、この男を昂らせたいと思った。
「んっ……ふむっ……! 」
――言ってみろ。気持ちが良いと。もっとして欲しい、と。
思いながら九兵衛の指が、舌が忙しなく動いていく。
「わ……かっ! 」
――僕が欲しいと。他の誰でもなく、この僕だけが欲しいと言え。
「若……ああ、若……! 」
――僕を……愛していると。主人としてでも妹弟子としてでもなく、一人の女子として愛していると言ってくれ。
頼む……東城……。
「……は、……ぁっ……! 」
そんな事を思いながら、九兵衛は、これまでの彼との情交の中で覚えた技で、彼の弱いところを攻め続けた。
ひたすら己の名だけを呼び続ける、熱を孕んだ声を耳にしながら、それでも……九兵衛には分かっていた。それが勝手な願いだという
ことは。切なげに眉を寄せるこの男を今支配しているのは、己自身などでは決してなく、若い雄の際限ない肉欲でしかないということ
は。
「あ……ぁ、若、もう、その辺で……」
東城の手が、九兵衛の頭に伸びた。しかし九兵衛はそれを振り払うように、益々深く、はちきれんばかりの陰茎を咥え込む。
「い……いけません、わか……これ以上は……! イッてしまいます……! 」
余裕のないその声が快く、九兵衛は愈々それを手放そうとはしなかった。これまで何度も逢瀬を重ねてはいたが、まだ彼を口や手だけ
で達させたことはない。九兵衛はそれを試してみたくなった。
「だ……駄目、ですっ……! 若ッ……! 」
焦燥に駆られる東城の顔を見上げながら、九兵衛は口の中のそれを強く吸い上げる。
「あ……! わ……かぁッッ……! 若ぁッ……!! 」
それに応じるように、東城の男根は九兵衛の口腔内で、一際大きく跳ね上がると、
「……っっ!! 」
彼女の喉奥にまで、熱い欲望を迸らせた。
「……っゲホッ! ……っぇえッ!! 」
突如注がれた異物の感触に、反射的に九兵衛は噎せ返る。激しく咳き込むその度に、吐き出された泡立つ白濁の液体が、手を、胸元を
汚した。それでも口内に残る、唾液とは違う粘性の体液の感触が、栗の花にも似た生々しい臭いが、えぐみの強く苦い味が吐き気を催
させる。
「若……! 」
それを見て東城は、慌てて九兵衛の背をさすった。
「……っはぁ……はあ……」
何度も優しく撫でられているそのうちに、漸く呼吸も落ちついて行く。
112名無しさん@ピンキー:2009/05/05(火) 01:12:07 ID:K/KUPajT
「大丈夫ですか!? 若……」
「ん……あ、あぁ……」
おろおろとしながら、東城はちり紙を何枚も使って、唾液と精液とに塗れた九兵衛の顔と身体を拭う。
「良かった……」
そして言うや否や立ち上がると、とても先ほど達したばかりとは思えぬ機敏な動きで、部屋のあちこちを歩き回った。
「……? 」
やがて九兵衛のもとに戻ると、すっ、と九兵衛に水の注がれたコップをさしだす。
「ほら……早く、お口を漱いでくだされ」
言われて一緒に洗面器を渡されはしたが、吐き出すところを見られるのが恥ずかしくて、九兵衛は水を一気に口に含み、残っていた精
液と共に嚥下した。
「それと、これを……」
「……何だ、これは」
「胃薬です。あと、お口直しに飴も用意いたしました」
「……」
手渡された錠剤と、あくまでも真剣な男の顔とを交互に見ながら、九兵衛は黙り込む。確かに初めてのその味に驚きはしたが、ここま
でされると逆に申し訳なさを覚える。
「ああ、それにしても何と謝罪すれば良いのか……まさか若のお口に出してしまうなんて……」
「……お前が謝ることはないだろう。お前の制止を聞かず続けたのは僕だ」
「しかしそんな……汚いでしょう。若のお体に障りでもしたら私は……」
「……。お前だって……僕のその……アレとか舐めたりしてるじゃないか」
「そりゃあ私は……若のでしたら例え唾液でも愛液でもお小水でも、鼻水でも痰汁でも経水でも便でも悦んで飲み干せますし、それで
腹を下しても寧ろ若に犯されているようで興奮しますが……」
「……。お前、やっぱり変態なんじゃないか……? 」
躊躇無くきっぱりと言い切る東城の言葉に、九兵衛は呆れ果てる。……しかし、そこまで言える相手に対して、精液一つ飲み干せない
己が少し、何処か情けなくも思えた。
「……お前にも、かかってしまったな……」
ふと九兵衛は、東城の股座に目を向ける。盛大に吐き零してしまったせいで、そこは白い液体に塗れていた。それを見て、九兵衛は拭
いてもらったばかりの顔をそこに埋めた。
「! 若、何を……まだ、汚れて……」
「だから、綺麗にしてやる……んっ」
太腿から腹、そして精を吐き出してすっかり萎んでしまった陰茎や、くすんだ金色の陰毛や睾丸に至るところまで丁寧に、九兵衛は東
城にふりかかっていた彼の精液を舐め取った。
無論それは、決して二度も口にしたい味ではなかった。その度にまた吐き出したくなるのを、しかし懸命に堪えて押しとどめる。
小便や鼻水は流石に嫌だが、けれど彼の身体に飛び散ったその白濁の体液は別だった。それは彼が己に示した確かな情欲の証であり、
そして誰よりも愛しい彼の子種でもあった。そう思うと、自ずと愛情も持てる。
「ん……その、すぐには無理かもしれんが、そのうち……ちゃんと、全部飲んでみせるからな」
「若……良いんですよ。若にそのようなことをしていただく訳には……はぁ、こうして、若御自ら私のものを舐めていただけるだけで
も畏れ多い位で……」
丹念にその部分を舐めているうちに、柔らかくなっていた筈のものが徐々に再び頭をもたげてくる。
「……構うことはないだろう、お前だっていつも僕に……それとも」
とうに白濁の見当たらぬ部分を、それでもまだ舐め続けながら、九兵衛はふと、思ったことを口にする。
「あ、あまり……普通はこういうことはしないもの……なのか? 」
あまりにすまなそうにする東城の態度に、もしや自分は、とんでもなくアブノーマルな事をしているのではないか、そんな疑問が脳裏
を掠めた。
「それは……確かに割と標準的なサービスですけど……。……しかし、若にして頂くと、何だか酷く申し訳なく思えて……」
「遠慮するな。僕が……したいと言っている」
「若……」
「お前には……その、いつも、世話になっているからな……それに。
 今日は僕が……貴方のメイドなのでしょう、ご主人様」
「若……? 」
「……その……何でも構わず注文してくれていい……んですよ。ご主人様の満足のいくように出来ないかもしれませんが……頑張って
みますから……」
そう、本当はそれが多少特殊なことであっても良かった。どうせ自分は……この男以外と関係を持つつもりはない。普通であることな
ど何の意味をなそうか。
「若……何を仰って……」
「僕は……ご主人様のメイドですから」
「若……」
113名無しさん@ピンキー:2009/05/05(火) 01:12:55 ID:K/KUPajT
言っては再び口での愛撫に専念する九兵衛の名を、東城は静かに呼んだ。
「……とんだ忠誠心ですな……。すっかり、なりきって頂けてるのですね……」
「……」
その言葉に、九兵衛は何も答えなかった。
ただ、心の内で思う。
――メイドでも、何でもしてやる。お前が望むのなら。お前の言う標準的なサービスとやらがどういうものなのかは知らないが、標準
的でないことに至るまで応じてやる。
……だから。
他の女のところになど行くな。僕だけを見ていろ。僕だけのものになれ。ずっと……僕の側にいてくれ。
「……は……」
すっかりなりきっていると、東城は形容したが、しかし己は彼のような忠実な従僕になど決してなれはしなかった。
何の見返りも求めず、私欲を滅し、他人に尽くすなど、出来る筈もない。
ずっと……その裏には、暗い欲望が、絶えず渦巻いている。
「無理をなさらなくていいのですよ……若……」
そんな己のうちなど知らぬであろう東城は、優しく九兵衛の頭を撫でた。
「先ほど吐き出したばかりではありませんか。本当は気持ちが悪くて仕方なくいらっしゃるのでしょう……? 」
「ふ……そんなことは……」
「ほら、そのようなものよりも、美味しい飴をさしあげますよ」
「う……別に、そんな……」
「若のお好きなバナナ味もありますよ」
「や……でも……」
九兵衛は躊躇った。確かに彼のいうように、口の中に纏わりつく感触は依然として不快だった。しかしここで彼の好意を受け入れてし
まったら、まるで彼のそれを汚らわしいと認めてしまうかのようで。東城は彼が豪語するようにいつも、己の体液を嫌がらぬどころか
自ら悦んで受け入れてくれた。その度にそれが、恥ずかしいと同時に、少し嬉しかったのに。
「いらないのですか? でしたら私が食べてしまいますぞ」
「あ……」
言って東城は、箱の中の飴を一つ取ると、それを九兵衛に見せ付けるように口に入れた。程なくして、爽やかなミントのような香りが
鼻腔に届く。それは微かに、口腔内の違和感を微妙に和らげた。
「……そんな物欲しそうな顔をなさって……やっぱり、欲しくていらっしゃったのでしょう? 」
「……うぅ……」
飴を舐めながらそう言われ、彼の口が開くたびに香る匂いに惹かれたのは確かで、観念して九兵衛は手を伸ばした。……が。
「……ふぅっ!? 」
次の瞬間、その手を掴まれると、突然唇を彼のそれで塞がれ、
「……んんっ……!! 」
口の中に、舌と共に、それとは違う、硬い何かを入れられる。
それが彼が先ほどまで舐めていた飴玉だと気づくと、九兵衛はそれにしゃぶりついた。
「ふ……」
他人が口にいれたものを己の口に入れるなど、以前は到底考えられないことだったが、それでも……九兵衛はそれを汚らわしいとは思
わなかった。
「……んっ……」
差し入れられた舌と一緒に、彼と共に愛でるように硬い飴玉を舐め回す。
それから、実にその飴が完全に溶けきるまでの間、東城との長い接吻は続いた……。


「……はぁ……」
唇を開放されると、九兵衛は力が抜けたように崩れ落ちそうになる身体を、何とか腕で支える。
先ほどの長い口付けで、身体には確実に火が灯り始めていた。
もっと……熱くなりたい。
114名無しさん@ピンキー:2009/05/05(火) 01:13:37 ID:K/KUPajT
「東城……その、そろそろ、しないか……? 」
「おやおや、すっかりその気になってしまわれましたか。接吻だけで……」
「う……いいから、早く、……してくれ」
恥ずかしくなって顔を逸らしながら、それでも九兵衛は訴える。彼だけが、この行き場のない熱をどうにか鎮めてくれる。
「そうですか……そんなにして欲しくて堪らないのですか……。本当に、淫らな方ですなあ、若は」
「う……煩いッ! 誰のせいで……」
「ふふ……忘れてしまいましたか? 若は今夜はメイドさんなんですよ? 」
「……っ! 」
背後からかけられた言葉に、九兵衛は一瞬、きっ、と東城を睨み上げ、しかし、
「……お願い、です……ご主人様……熱くてたまらないんです……してください……」
羞恥に耐えながらも、それに勝る本能のままに、そんなはしたない言葉を紡ぎだす。
「そうでしょうねえ……」
「……っ! 」
言って東城は、九兵衛の脚を大きく左右に開かせた。
「触ってもいないのにこんなにされて……せっかくの服にまで愛液が垂れてらっしゃいますよ。これでは堪らないでしょうなあ……」
「あ……! 」
そしてその姿は、目の前の大きな鏡の前に映りこむ。
「ほら……見えるでしょう? クリトリスをこんなに勃起されて……」
「いっ……! 言うな……!! 」
東城の指によって開かれたその、九兵衛の最も秘められた部分が、彼女の目にもはっきりと映った。
今まで自分でも見たことのなかったその部分。桃色の肉壁を物欲しそうにひくつかせ、溢れる蜜に濡れた……九兵衛は恥ずかしさに目
を背けた。
「目を逸らしてはなりませんよ。きちんと御覧なさい」
しかしそんな九兵衛を、東城は背後から叱咤する。
「ほら……ここを、弄って欲しくて仕方が無いのでしょう? 」
「〜〜ッ!! 」
悔しいがその通りだ。こんな風に焦らされるのはもどかしい。
「頼む……みます、早く……! 」
「いいですよ」
何度も懇願して、漸く東城は頷いた。しかし。
「ご自分でなさってくださって」
「……え……? 」
続けて囁かれた言葉は、九兵衛が期待したものとは程遠く、思わず聞き返す。
「ほら、お辛いのでしょう? 私が見ていて差し上げますから」
「……お前がして……くれないのか? 」
「……駄目ですよ、若」
強請るように尋ねた言葉に、東城はきっぱりと、首を横に振る。
「ご主人様の手をわずらわせるおつもりですか? 」
「そんな……! 」
到底折れる気はないらしい。暫く経っても動かぬ男の気配に、焦れた九兵衛はついに、己の手をそこに伸ばした。
「……っは! 」
真っ赤に充血した肉芽を摘むと、その刺激に九兵衛の身体は跳ね上がる。最も敏感なその部分は、与えた刺激に快楽を超える痛みを覚
えた。加減が分からない。
「……っつぅ……」
それでも、その刺激だけでは到底満たされるはずも無く、九兵衛は恐る恐る、指を動かす。
「……は……ぁ……んぁぁっ……」
そうしているうちに、徐々に九兵衛の意識は快楽の波へと溺れていく。それでも東城はそんな彼女をただ見つめるだけで、何もしはし
なかった。だがその、全身を舐るような彼の熱い視線が、九兵衛を加速度的に興奮させる。
「ふっ……あ……あぁんッ……」
「ふふ……気持ち良いのですか? 若……瞳がとろんとして参りましたよ」
「んッ……きもちぃっ……とうじょぅっ……」
男の言葉に、理性の崩れかけた九兵衛は素直に頷いた。自ら弄び、快楽に酔う姿が鏡に映って目に入る。瞳を潤ませ、頬を上気させな
がら、大きく開かれた脚の中心を恥ずかしげも無く晒し、絶え間なく指でそこを愛撫する……その、余りに淫らではしたない姿ですら
、九兵衛をより昂らせこそすれ、最早現実に引き戻させる要因にはならなかった。
「そうですか……では、そこだけではなく」
「……あッ! 」
「ここも弄って差し上げた方が良いのではないですか? 」
言って東城は、九兵衛の手を取り、先ほどからとめどなく蜜を零している入り口にその指を導く。
115名無しさん@ピンキー:2009/05/05(火) 01:14:08 ID:K/KUPajT
言って東城は、九兵衛の手を取り、先ほどからとめどなく蜜を零している入り口にその指を導く。
「うぅ……んッ」
そのまま九兵衛は、東城の手が離れても尚、己の指を抜き差しするのを繰り返した。
「はぁ……あぁ……いぃよぅ……」
差し入れられた細い指に、肉壁が蠢き、纏わりつくのが感じられる。
もっと強い刺激が欲しくて、九兵衛は自らそこに挿す指の本数を増やした。
「んぅぅぅっ……はぁんっ……」
しかしそれでも――まだ、満たされはしなかった。
こんな……か細い指では到底、届かない。
次から次へと襲ってくる欲望は、更なるものを求めてくる。
「は……うぅ……とぅじょぅっっ……ぉねがぃ……もぅっ……れてっ……」
もっと――熱くて硬い、逞しいものでそこを貫かれたい。
九兵衛は、後ろからぴったりと己を抱きしめている男の、たくし上げられたスカートの中で時折押し当てられているそれに、焦がれて
どうにかなりそうになる。
「お願いッッ……とうじょぅ……ぼく、切なくて……! 僕……欲しいのっ……東城がッ……! 」
「……おやおや」
ふ、と笑みを零して東城は小柄な九兵衛の身体を抱えあげると、東城はいつの間にかすっかりと準備のなされたその部分を九兵衛に見
せ付けるように向き直らせた。
「若……これが欲しいのならばきちんとお願いしてみなされ」
「う……うぅっ……! 」
この場に来ても尚焦らされて、九兵衛は殆ど自棄になる。
「お願い……しますッ! 挿れてください……ご主人様を……僕の、ここに……」
最後の羞恥をかなぐり捨てて、九兵衛は己の鍵穴を広げて見せた。早くそこに、ぴったりと合う唯一の鍵を嵌めて欲しい。そうすれば
直ぐに、九兵衛は己の全てを解放することが出来るだろう。
「では若……挿れてくだされ。……ご自分で」
「……ッ!! 」
だがそんな姿を晒してみせても、東城は彼から動いてはくれなかった。
あくまでも――メイドである九兵衛が、自ら奉仕することを求める。
「……どうされました? 固まってしまって……ほら、欲しくて堪らないのでしょう? 私のもので、若の奥まで突かれたいのでしょ
う? 」
「くッ……ぅ、うぅ……」
そんな風に挑発されて、それでも狂いそうな程の熱に浮かされた九兵衛は、言われた通り立ち上がると、
「は…ぁぁあッ! 」
小さな身体を仰け反らせながら、ゆっくりと、自ら男のそれに腰を沈めた。
「ああ…は……んッ!! 」
ずっと待ち焦がれたものを銜え込んで、九兵衛の身体が悦びの悲鳴を上げる。
「あ…はぁ…はーっ……はーっ……」
そして、重力に従うままに腰を落とすと、漲る男の熱い楔は、確かに九兵衛の最奥まで貫いた。
「ほら……若……ぼーっとなさらないで……」
そうしているうちに、男の声が九兵衛の耳に、届いた。
「動いてくだされ」
「あ……ふぁッ……!! 」
腰に回された手の動くままに、九兵衛は身体を少し浮かせる。
「はぁ…! あぁんッ……! 」
そして今度は、自ら再び腰を沈め、
「あッ…! いぃッ……! すごひッ…!! 」
何度も、繰り返し身体を上下させた。
「あ……あぁッ! ふぅ…んッ! あ……あつぃッ……凄く熱いよぉっ……! 」
己の中を埋める狂おしい程の質量に、九兵衛は自然、身体が動いていく。もっと、もっとと絞り上げるように。
「は……あぁ、と……ぅじょうッ! もっとぉ……! 」
「ああ……若、凄い、ですね……こんなに、激しく腰を振って……」
「ふ……ぅん! らってぇぇ……きもちひぃッ……! 」
「……いいんですよ、若……。ほら、もっとご自身に素直になって……」
「あ……はぁぁぁッ! いぃよぉぉッ! とまらなぃのぉぉっ! 」
理性を忘れ、本能に従う獣のように、九兵衛はひたすら細い腰を振り続けた。
「く…ぅ、若、凄い締め付けですね……きゅうきゅうと吸い付いて……離そうとしませんよ……」
「うんッ! ……って、はなし……たくなひッ……! 」
「……わ……か? 」
熱に支配された今の九兵衛を制御するものなど、最早何もありはしなかった。東城の言葉に、堅く秘められた情熱が、綻びて溢れ出し
そうになる。
116名無しさん@ピンキー:2009/05/05(火) 01:14:50 ID:K/KUPajT
「は……あッ! とぅじょぉッ……!! ……っと、……のままッ……!! 」
――お前を離したくなどない。片時ですらも。
ずっと……ずっと側に繋ぎ止めておきたい。
「とぉじょ……きッ! ……く、……まぇが……ッ……!! 」
――東城。
お前が好きだ。狂いそうな程に好きだ。
細胞の一つ一つすらもが、こんなにも激しく、お前を求めている……。
「わか……? 」
激しい動きの中、熱に浮かされ呂律の回らぬ舌で紡がれた途切れ途切れの言葉は、聞いた側には意味を成さぬ仮名の羅列であろうが、
それでもそれは、包み隠さず曝け出された、九兵衛の本心に他ならなかった。
「ぅじょぉッ……! ……てぇッ! ……くぅッッ!! 」
「……若……ッく! 」
「……ふぁあッ!? 」
不意に側近く抱き寄せられ、九兵衛は驚く。
「んッ……ふむぅッ……!! 」
そして顎を大きく引き上げられたかと思うと、深く屈みこまれた東城に口付けられ、温かい舌が差し入れられる。
「……っは! あァッ! ふぁあぁんッ! 」
その一方で下からは東城に突き上げられて、二人の唇は刹那離れてはまた重なる。
「……ぉッ……とうじょッ……! ……くッ! っあ、もう、……っくッ!! 」
徐々に白くなっていく視界に、九兵衛は自身の絶頂が近いことを感じた。
「……かッ! ……かぁッ! 」
「あッ……はぁぁぁぁッ! っく! とぉじょ……ぃくぅぅぅぅッ!! 」
「……ぁぁッ! かッ……! ……ぃしてッ……!! 」
掠れかけた意識の片隅で、叫ばれたような言葉の意味は、しかし九兵衛には分からなかった。
「……ふッ……あ……」
ただぐったりと、糸の切れた操り人形のように東城の胸の中に崩れ落ちて、
「はぁ……はぁ……」
己の中に響いた、激しく何かが爆ぜる音を感じていた。



「……ああ、困りましたねえ……」
「……ん……? 」
下腹部の辺りから聞こえた声に、いつも以上に激しい運動の後の、気だるい身体を起こすと、九兵衛はそちらを見やる。
「ほら……破れてしまっていましたよ。若があんまり激しく動くから……」
「なッ……! 」
ひらひらと、ゴムの残骸を示してみせる東城の言葉に、九兵衛は青ざめた。
「そんな……一体いつ……」
「そりゃあ、挿れている最中でしょうなあ。私が抜いた後には、既に……」
「……な、それじゃあ……」
九兵衛はそれまで東城の手にしているものが入っていた場所を見やった。まだ胎内に残る生温かい感触。これは……。
「お、お前……! 途中で気づかなかったのか!? 」
「そんな事を言われましても……若の中が余りに素晴らしくて、私、それに夢中でしたから……」
「……ッ!! 」
東城のストレートな物言いに、熱が冷めた筈の身体が熱くなる。……否、今はそんなことを考えている場合ではない。
「まあ……仕方ない、だろう……」
「……え? 」
呟いた言葉に、東城は訊き返した。
「宜しいのですか? 」
117名無しさん@ピンキー:2009/05/05(火) 01:15:33 ID:K/KUPajT
「……何を訊いている。どうせお前は気にも止めていないのだろう。前に散々中に出した癖に」
「……はぁ、それは……まあ……」
歯切れの悪い東城に、九兵衛は苛立った。この男、わかっていないのか。自分が何をしたか――。
「……言っておくがな、東城」
「何でしょうか」
「僕はお前以外とは……こういうことはしてないんだからな」
「そうでしょうな」
きっぱりと告げた言葉の、その意図すらも通じないのか。東城は動じもしなかった。
「これだけ頻繁に私の所に訪れて……昼間とていつも私は貴女のお側にいるのですから。これで私以外の者と交われる可能性があった
ら驚きますよ」
「……。随分と、冷静だな……」
九兵衛は東城を睨みつけた。
――完全な避妊方法などないのだと、言ったのはお前の方ではないか。それとも……それで困るのは女である僕の方だけだから、自分
には関係ない、とでも……?
「後悔しても、知らんぞ……」
「私が、で御座いますか? 」
低い声で続けたそれにすら、東城は冷静さを崩さなかった。
「……まさか。後悔などしませんよ。何も」
「フン。どうだか……」
「私は若を信じておりますから。若はとても、優しいお方だと、よく存じておりますから」
「……何? 」
――どういう意味だ。
僕は優しいからきっと、こんなにも尽くしてくれるお前に酷いことはしないだろう、とでも?
「……お前に僕の何がわかる」
「おやおや、仰いますね。十八年間若にお仕えしているこの私に、若の何がわからぬと言うのです? 」
「フン……」
「若が何処をどうすれば気持ちが良いのかも、教えてくださったではありませんか……」
「……ッ! そういう、戯言はいい」
「若のことは私が一番存じておりますよ」
――それでもお前は知るまい。
僕のこの、狂おしいほどの、暗くも激しい情熱を。
「どうなされたのです? 先ほどから、怖い顔をなさって……」
「……」
――僕はきっと、お前を逃しはしない。
お前が僕を如何思っていようと。
他の誰にも、お前を渡しはしない。
それでも……後悔しないと、僕を信じられると、どうして言えようか。
そうして余裕溢れる、穏やかな笑みを浮かべていられるのも……今のうちだけだ。
「東城……」
九兵衛は自分でも恐ろしくなるその考えに、身体が震えた。
また……同じことを繰り返すつもりなのか。
こんな一方的な感情を押し付けて、相手を傷つけて……それで、何になる? 後悔と空しさ以外に残るものがあるのか?
「何でしょうか? 」
――ただ……好きなだけなのに。
たまらなく好きなだけなのに。
怪訝そうな顔をする東城の顔を、九兵衛はじっ、と見つめた。
本当に相手のことを想うのなら、その人の真の幸せを願うべきだ。妙との一件で、それを学んだ筈でもないのか。
「……いや、何でもない」
「ひょっとして、……若、私を脅してらっしゃるおつもりなのですか? 」
きょとん、とした顔で、東城は尋ねた。……今更何を言っているんだこいつは。
「脅しなんかじゃないぞ」
「……でしょうなあ」
半ば呆れたように九兵衛が言うと、しかし彼はそれも気にしていない様子で、
「そんな可愛らしいお姿で凄まれても……怖くなどありませんし」
笑みを浮かべながら鏡を指差した。
「……ッ!! 」
それを聞いて九兵衛がそちらに目を向けると、そこには先ほどまでの行為で乱れた、桃色のメイド服に身を包んだ己の姿があった。頭
にはぴょこん、と、猫の耳まで立っている。成る程、これでは真面目な話をしろという方が無理な話だ。九兵衛はこれだけ主人である
己に睨まれても全く取り乱さぬ東城の様子に何処か納得する。
118名無しさん@ピンキー:2009/05/05(火) 01:15:59 ID:K/KUPajT
「……そういえば、今夜は僕はお前のメイドさん、とかいう話だったのだな。途中からすっかり忘れていた」
「そうでしたねえ。そんなことは忘れて、一心不乱に腰を振られておられましたから」
「……っ! ま、まあいい……では、もう一度、致しましょうかご主人様? 」
「え? 宜しいのですか? 」
「フン、どうせご主人様は、一回でなど満足できない人でしょう? 」
「そりゃあねえ……でも」
「……っあ!? 」
己から誘っていながらも、言葉の途中で、不意に押し倒され、流石に九兵衛は驚きの声をあげた。長い金の髪が、九兵衛の顔にかかる

「もう……無理なさらなくていいんですよ。先ほどまであんなに素直でいらしたではありませんか」
「とう……ご、ご主人さ」
名を呼びかけたその唇を、指で塞がれる。
「今日は私の我が侭につきあって頂き有難う御座いました。若。本当に可愛らしいメイドさんでしたぞ」
「そ、そう……か? 」
「若……私は本当に幸せです。貴女のような素晴らしい主人にお仕えすることが出来て……」
「う……何だ、いきなり、面と向かって……」
「……先ほどは若に動いて頂いてばかりでしたからねえ。今度は私の番でしょう。本当は……」
「ひぁッ!? 」
突然胸元に手をいれられ、九兵衛は跳ね上がりそうになる。
「何処もかしこも、触って欲しくて仕方なくていらしたのでしょう? お胸も、お腹も、お手も、指も、おみ足も、お尻も……若の一
番大切なところも」
「……! 」
耳元で囁かれた甘い声に、びくん、と身体が震えた。
「いいんですよ、もっと私に甘えてくださって……」
「……と……うじょう……」
「主人を満足させるのが、従僕の務めですから」
そんなことを言われつつも施された愛撫を受けながら、九兵衛の身体に再び火が灯っていった。


 次の夜九兵衛は再びその部屋を訪れて、しかし灯りのともっていないことに気づく。
「あ……」
微かに声を漏らしならが思い出す。そこに部屋の主がいるはずもないことに。
その日東城は、朝から出かけてしまっていた。彼の実家の母親が急に体調を崩したとかで、そちらに行っているのだ。突然のことだっ
たので、帰りが何時になるかは分からない。
今日のことだ。そんなことは知っていた筈なのに、自然足が向かっていたことに羞恥を覚える。最早彼との夜の生活は、九兵衛にとっ
て日常の一つになっていた。
「……」
誰もいないその部屋に、九兵衛は黙って侵入すると、灯りをつけた。静まり返ったその部屋は、妙に広く感じる。
今夜はここで寝てしまおうか。ふと九兵衛はそんなことを思い立って、昨日も寝たその布団を畳の上に敷いた。
東城の匂いの染み付いたそれに身を包むと、彼に抱かれているような気分になる。けれども今は足りぬ温もりに、九兵衛は寂しさを覚
えた。……何を考えているのだ、どうせ奴は数日で戻るだろうに。
眠りにつくにはまだ早い時間。中々寝付けぬ九兵衛はふと、枕元の小物入れが目に付いた。何だろう、思って彼女はそれに手を伸ばす
。他人のものを勝手に漁るのはあまり褒められたことではないが、あの男が普段己にしていることに比べれば可愛いものだ。そんなこ
とを考えながら開けてみると、そこには紙の小箱が数個、入っていた。美しいデザインのそれが、しかし何なのか分からない。妙なこ
とにそのうちの二つが開封されていた。その一つを開くと、中には更に個装された小さな袋が幾つかあった。それでも九兵衛はまだ、
それの正体に気づかなかった。
「……っ! 」
そのうちの一つを開けてみて、漸く九兵衛は理解する。見慣れた色のそれが、普段彼が使っている避妊具であることに。
――こんな風になっていたのか。
如何いう仕組みなのか、縮こまっているそれを伸ばしてみれば確かに適度な大きさの袋状になるのを見て、九兵衛は妙に感心する。
何度も関係を持ったにも関わらず、彼がその袋を開封し、それを身につけるところを、今まで九兵衛はまともに見たことがなかった。
いつも散々身体を熱くされて、いつの間にか彼がそれをしているという寸法だった。その度に彼のその手馴れた様子に悔しさを覚えて
いた。
119名無しさん@ピンキー:2009/05/05(火) 01:17:04 ID:K/KUPajT
しかし一方で、こんなゴム越しでなく、直に彼のものに触れたいと思う自分があった。初めての夜に体験した、あの彼と身も心も一つ
になるような感覚を、もう一度味わいたい……。
そんなことを考えたところで、九兵衛は頭を大きく振った。――何を考えているんだ。
それに、と、九兵衛は思う。そんなことを感じたのは、多分自分の方だけ、だ。彼の身体だけでなく、心までも手に入れられた、など
……自惚れにも程がある。悲しいほどにそれは事実だ。
……否、こんなことを考えるのはよそう。思って九兵衛は、己の心のうちから意識を逸らす。そしてそれは自然、彼女が手にしていた
物に向かった。それにしても、よくこんな小さな袋に入って……。
「……ん? 」
その袋を弄っている指先に、九兵衛は妙な違和感を覚えた。平坦な袋の表面が、その部分だけ妙にざらつく。
「……? 」
不思議に思ってその部分を目に近づけてじっ、と見つめてみると、
「……ッ!? 」
沈んでいた九兵衛の心は、一気にざわめいた。
「……な……さ、か……」
はじめそれは、極稀な欠陥品が紛れ込んでいるだけなのだと思った。否、そう思いたかった。しかし、恐る恐る探った箱に残っていた
小袋全てに、その傷がついているのを見て、それは打ち砕かれる。
「まさ……か……」
ありえない、そんなことは。思う九兵衛の目に、先ほど開封した未使用のそれが映った。思い違いだと信じたい一心で、九兵衛は部屋
に備え付けてある水道の蛇口をひねると、そこにそれをあてがった。
「……!! う、嘘……だろう……? 」
だが幾らそこに水を注ごうとも、それは先端から漏れ出るばかりで、袋の中に一向に溜まりはしなかった。
世間知らずで、性に関する知識も余り豊富とは思えぬ己でもそれが何を意味するのかはわかる。これでは、この道具はその意味をなし
えない。
それは不良品で済む事態では無かった。こんなものが市場に出回っている筈がない。否、万が一出回っていたとしても、あの慎重な男
がそんなものを掴むだろうか。
そう――何者かが、故意にそれを破壊したとしか思えない。
その光景を確かに目にしても尚、それは九兵衛には俄かに信じがたいものだった。
が、それが事実なら、あの男はこれまで――。
「……っ! 」
九兵衛は思わず己の腹に手を当てた。激しい恐怖が込み上げてきて、全身が震え上がる。まともに呼吸が出来ない。
信じたくはなかった。そんなことを。
しかし、目の前で起こった現象の前に、それを否定できるものは、最早何も残っていなかった。
彼ではない第三者の仕業ではないか、ふと浮かんだ考えに、縋りつこうとしてそれはしかし直ぐに泡と消える。既に残り少ない箱の他
に、内容量通りの数が入っている開封済みの箱があるのがいい証拠だ。何でも密封されたものを開いてしまったら、その瞬間から腐り
はじめると思っているきらいのあるあの神経質な男が、そんな開け方をするとは思えない。一つを使い切ってから開封する筈だ。他人
が勝手にそんな開け方をしていて、彼が気づかないというのはあまりにおかしな話だ。だが彼が、その普段の彼の習性以上に――例え
ば、一夜のうちに一箱目を使い切ってしまったとき、新たに欠陥のない新品を開封させるのを躊躇させる理由があったのではないかと
、そう考えればこれ程自然なことはない。
思えば昨夜の彼とて不自然だった。大して困っていないような顔でのほほんと、破れてしまいました、などと言っていたが、幾ら避妊
に対してあまり積極的でなかったと言っても、曲がりなりにも己の身体の、それも一番デリケートな部分に挿入されていた物体に欠陥
が見つかって彼が黙っているはずがなかった。うちの大事な若のお体に傷でもついたら如何してくれると、製造会社にクレームの電話
でも入れかねない、そんな男だ。一見温厚そうな容姿をしている癖して、己のことが絡むと直ぐに短気を起こす、そんな彼を今まで何
度も見てきたではないか。だが昨日のあの様子では、そもそもあれすらも事故であった可能性は低い。
そう――全て、彼が仕組んだこととしか、考えられなかった。
――嘘だろう、東城。
嘘だと言ってくれ。
これは夢だと、悪い夢なのだと――!
愕然として九兵衛は項垂れる。
「ど……う、して……」
身体中を巡った震えは一向に止まらず、かみ合わぬ歯がかちかちと鳴る。
九兵衛は暫く、何も考えられはしなかった。
そのまま彼女の思考が止まってしまえば、まだそれ以上の不幸は訪れなかったのかもしれない。
120名無しさん@ピンキー:2009/05/05(火) 01:17:28 ID:K/KUPajT
だが長い夜の静寂が、徐々に九兵衛の意識を冴えさせる。
己が目にした、確かな事実。唯一残った右目だけの視覚を、この時ほど呪った事はなかった。けれどもそれから、逃げることは出来な
い。今、己の身に起こっていることから。
これまで東城が使っていた避妊具に細工を施していたというのなら、何の為に彼はそんな事をしたのか。
その意図は明確だ――そう、己を妊娠させるため。
思えば彼は、初めから己に対して最も妊娠のリスクが高い形で射精していた。それも、何度も。
それは彼が、今までそういった目的とは無縁の性行為ばかりしてきたからだと思っていた。しかし知らぬ筈がない。確実な避妊方法な
ど無いと、己に言った他ならぬ彼が、その行為が本来子を作るためのものであることを。今にして思えば、あの言葉もカモフラージュ
の一つだったのだろう。そして昨夜の様に時折、避妊具も壊れることのあるように見せかけるような細工をして、さも妊娠が発覚して
も不自然ではないような状況を作り上げてきたのだ。全ては、彼の計画通りに進んでいたのだ。
だが何故彼は、こんな強引な手段をとった? 己に何の相談もせずに、己の意思がどうあっても、関係ないといわんばかりに捻じ曲げ
るようなやり方を。こんな――己に対する裏切りにも等しい方法を。
果たしてどうなる。今己が彼の子を身篭れば――。
「……っは! 」
そうして静かに思考を巡らせているうちに、九兵衛はある考えに至る。
そうだ。それは今まで己が、何度も思い、その度に自責の念に駆られたことに他ならぬではないか。
今や彼は、一門の中でも己の公認の愛人も同然だった。己が妊娠すればそれは彼の子だと、誰もが思うことだろう。だからこそ一生彼
を束縛することが出来る、そう思っていた。だが考えてみれば、それは己とて同じではないか。尚且つ彼の方が立場は弱いのだ。彼か
らすれば、元々仮初に過ぎぬこの関係、己に適当な時期が来たと判断されれば簡単に切られるものと、そう考えられる。それ故に、そ
うなる前に何としても逃れられぬ既成事実を作ってしまおうと、そう思ったのでは――。
そして恐ろしいほど、己が悪魔の所業と、何度も否定しようとしたそのことに対して彼には躊躇がなかった。
まるでそこに、人間らしい感情など一切存在しないかのように。
それは彼を愛しているが故にそんな考えを持ち、そしてまた愛しているが故に思い悩んだ己とは明らかに異質なものだった。己の中で
は恐ろしい想像でしかなかったそれを、計画性を持って実行していた。
心を捨てて、彼がそんな行動にでたのは。そこまでして、彼が己と結ばれようとしたその目的は。そこまでして、彼が己に求めたもの
とは。
思い当たる理由が、一つだけあった。決して行き着きたくはない理由が。
「あ……あ……」
それに気づいた瞬間、九兵衛の意識は再び白く染まった。
「あぁぁぁぁぁぁぁぁあぁぁぁぁぁぁぁッ!! 」
やがてそれは、夜の静寂を切り裂く絶叫へと変わる。
心が張り裂けて、壊れてしまいそうだった。
「あ……は……ぁ、はぁ……」
息が切れるまで叫び続け、そして漸く途切れても、荒くなった九兵衛の呼吸は中々静まらない。
「はぁ……は……っ、……ぅっ……」
そのうちに大粒の涙が、ぽたぽたと零れ落ちる。だが九兵衛には、それを拭う気力すらなかった。
――信じていた。
例え女として愛されなくても、彼は己を主人として大事に思っていてくれているのだと。ずっとそれは変わらぬのだと。
己がどんな道に進もうとも、彼はついてきてくれると。例え世界の全てを敵に回しても、彼だけは己の味方でいてくれるとすら。
彼が己に示してきた愛情と忠誠は、天地逆になろうとも決して揺るがぬものと信じていた。
己が何をしても彼は裏切らないと、傲慢にも近い信頼を置いていた。
それなのに。
それすらも……それすらもまやかしだったというのか。
121名無しさん@ピンキー:2009/05/05(火) 01:18:15 ID:K/KUPajT
「っ……く、ひっ……く……」
心から抱かれたいと思った男は東城一人だったが、別段彼に頼み込まなくても、九兵衛の恋人になりたいと言い寄ってくる男は門下生
の中に幾らでもいた。
あの一件で己が女と知れて以来、彼らは己に甘い言葉を囁き続けた。初めて貴女を見たときから、一目で恋に落ちた、などと言ってき
た者すらいた。
だがそれまで男として振舞っていた己を女と知るや否や掌を返すように態度を変えた彼らが、己に何を求めているかなど九兵衛にはわ
かっていた。だからそんな言葉になど、一度も耳を傾けなかった。
女の身でありながらこの名門柳生家の後を継ぐ事の約束された己を羨む者は多くいた。継ぐべき家のない者達だ。それ故彼らは女子の
九兵衛を如何にかして口説き落とそうと躍起になっているのだ。生まれた時から一国一城の主となる夢を持つことの出来なかった彼ら
が、最後の逆転をして返り咲くために。彼らが見ているのは九兵衛自身ではなく、柳生家の令嬢である彼女だけだ。そして一旦己の婿
になってしまえば、男である彼らが女である己を支配するのも道理だと、そんな己を侮る野心すら透けて見えた。そのような連中を如
何して異性として見る事が出来ようか。
だがそんな男達に己が言い寄られるその度に、腰に差した真剣に手をかけ、細い目を見開いて脅しをかけて追い払う東城を見て、彼は
その男達とは違うのだと思っていた。彼は己が女であることを確かに認めながら、それでも父の言いつけ通り男として強く成長してい
くのを、温かく見守りながら応援してくれた。共に剣の修行に明け暮れる一方で、一年に一度、己を女の子にしてくれた。
けれど所詮――それは己を油断させ、彼に心を許させるための策略に過ぎなかったというのか。
己は彼らを、己を一人の意思をもった人間としてすら見ていないと軽蔑していた。だが知らなかった。本当に人でない扱いを受けると
いうのがどういうことか。それを己を一番尊重してくれていると思っていた男に思い知らされるとは。
「……っ、ぁ……」
妹のように娘のように、大事にしてくれているのだと信じて疑っていなかった彼が、まさか……こんな形で己を欺いていようとは。こ
れでは道具扱いも同然だ。己の感情など一切構わず、彼がこの柳生でのし上がる為に利用される道具のようでしかない。
道具とて長い事使っていれば、それなりの愛着ももてよう。物言わぬ人形を、とっかえひっかえ綺麗な服に着せ替えさせて、可愛らし
く髪を結って、思い思いのポーズをとらせて愛でる。人はそれを愛情と呼ぶだろう。だがそれは、所詮心持たぬ道具に対するものでし
かなく、決して人間に向けられたものではない。
己が感じていた彼からの愛情など――その程度のものだったのだ。
不意に若、と、何度も己の名を呼んだ声を思い出す。時に愛しげに、時に熱っぽく……。何度そう叫びながら、彼が騒動を起こしたか
しれない。その度に頭を抱える一方で、九兵衛の為なら己の身を省みない彼に、仕方のない奴だと、密かに微笑みながら息をついてい
た。
だがそれこそ彼は、所詮己が柳生家の若君だから大事なのであり、可愛いのだろう。
「ふ……ぅっ! っく……! 」
――悔しい。悔しい。
こんなにも愛しているのに。苦しいくらい愛しているのに。彼にこんな形で裏切られるなんて。
これは報い、なのだろうか。
己の立場を利用し、彼を縛ろうとした事に対する――。
「……っは! 」
――そう、だ。
何を悲嘆にくれている。
どんなに嘆いてみせたところで、所詮己は悲劇のヒロインにはなれぬのだ。そうして可哀想な自分を演じて見せて、王子様の慰めを乞
うには、己は余りに汚れを知りすぎた。
形がどうあれ、己が彼との間に子を成せることを、己が女であり彼が男であることを初めに利用したのは、他ならぬ己の方ではないか

最初から――この関係が愛に変わることなど、ありえなかったのだ。
122名無しさん@ピンキー:2009/05/05(火) 01:19:12 ID:K/KUPajT
「……ん? 」
この部屋を訪れてからどれ程時が経っていたのだろうか。九兵衛は薄手の寝間着がちかちかと光っていることに気づく。
懐から携帯電話を取り出し、視線を落とすと――
「……っ! 」
きっちりと五分置きに、数十件。着信が入っている表示があった。
奇しくも、相手の名は――
「! 」
その時再び、携帯が鳴った。
「……。……僕だ」
九兵衛は静かにボタンを押すと、酷く落ち着いた、低い声でただそう答える。
「ああ、良かった。漸く繋がって……。若、一体何処におられるのです? お部屋の方にかけても一向に繋がらなくて……」
受話器越しに聞こえた、少し高めのその声は、今最も聞きたくなくて、同時に最も聞きたい声でもあった。
「……何の用だ。こちらの都合も考えず、こんなに何度もかけてきたからには、それなりの用なのだろうな? 」
「いえそんな、用という程ではないのですが……」
電話の声がうろたえていた。この男の心配性など今に始まったことではないが、それでも詰らずにはいられなかった。
「こちらの方のことです。母の身体の方は大したことはなかったのですが、家の者とのことでちょっとごたごたしてまして、申し訳な
いのですが、まだ帰れそうになくて……無論、なるべく早く片付けて、一刻も早く戻るつもりですが」
「……るな」
「え? 」
「帰ってなどこなくていい。永劫にな」
「……若? それはどういう……」
「……」
あれ程泣き喚き、己の中にはまだこんなにも激しい感情が渦巻いているというのに。九兵衛の声は自分でも恐ろしいほど静かだった。
「二度と僕の前に姿を見せるな。この痴れ者が」
「若……!? 何を仰っ」
「貴様など……大嫌いだ。顔も見たくない。何処へでも消えてしまえ」
「若!? わ……」
受話器の向こうで続いていた声を無視して、九兵衛は機械のように淡々とした動きで、電話の電源を切った。
彼との関係が、静かに、しかし確実に崩壊していく。
それを感じながら、九兵衛は思った。何も嘆くことはない、と。
これが終わりなのではない。己と彼との間には、始まりすら存在しなかったのだから――。
123名無しさん@ピンキー:2009/05/05(火) 01:22:42 ID:K/KUPajT
以上です。
しかし伏線回収しようとしたらまた益々泥沼にはまってしまって結局また区切りが悪くなってしまったので、いずれ続きも書こうかと思います。
124名無しさん@ピンキー:2009/05/05(火) 04:19:39 ID:m+6AgLz/
GJ! 東九いいねぇ
続きがすごく読みたい 待ってるよ
125名無しさん@ピンキー:2009/05/05(火) 08:28:40 ID:YRUdKpyd
>>123 壮絶ぐっじょーぶ!!
エロくて、ちょっと笑えて、すごく切なかった…!
自分も続き読みたい!!
出来れば、幸せな東九を!!!
126名無しさん@ピンキー:2009/05/05(火) 09:25:50 ID:KSfS7tDH
九ちゃんが可愛そうで仕方がない。GJ!
127まんげつのひと:2009/05/06(水) 00:03:41 ID:HJjutPB8
東九GJです!!!
切なくてひたすら九ちゃん可愛いです!!!!!
 
自分もまんげつ〜の続きをと思って書いていたんですが、キャラブックが出てしまって神威と沖田の身長が同じだったり沖田の方が重かったりして色々矛盾が出て来てしまったので、また一から書き直してきます……
128名無しさん@ピンキー:2009/05/06(水) 00:24:23 ID:X8Thse9y
GJ!
続き全裸で待ってる!
129名無しさん@ピンキー:2009/05/06(水) 00:55:31 ID:4GsMMqwe
>>88
うーん、良かったけど妙が別人すぎ
>>123
相変わらずGJ こうでなくてはな
>>127
イラネ つか半年ROMれ
130名無しさん@ピンキー:2009/05/06(水) 13:36:51 ID:bAUza4hc
銀妙GJ!東九も乙!
お妙さんかわいいよお妙さん
131名無しさん@ピンキー:2009/05/06(水) 16:27:59 ID:muGQWnTf
新八って、銀さんや神楽ちゃんの下着まで洗濯してるんだよなぁ
132名無しさん@ピンキー:2009/05/06(水) 18:28:19 ID:LY/6zOk8
沖田×お通ちゃん話、前スレの続きです。沖田視点。
前半戦は保管庫に。管理人様いつもありがとうございます。

********************************************
『一番隊隊長には気をつけロッテンマイヤーさん(後半戦)〜ついでにアイドルにも気を付けロッテリア〜』


「時間もあんまり無いことですし、さっさと始めちまいましょうぜ」

今日の仕事のお手当てと休暇の却下分、お通ちゃん本人の身体できっちり払って貰いまさァ。


障子を閉めなおし、お通ちゃんの前に足を投げ出して座った。
「んじゃ、お通ちゃんにお任せしやす。どうぞ、お通ちゃんの好きなように」
「…………」
「…………どうしやした?」
「……あの……私が、ですか?」
少しの沈黙の後、お通ちゃんは恐る恐る聞いてきた。
「勿論、そうでさァ」
わざととぼけた振りをしてみた。
「沖田さんは……」
「俺ですかィ? 俺実は徹夜明けなんであんまり体力残ってないんでさァ。
お通ちゃんが気持ちよくしてくれると助かるんですけどね」
「え、」
「第一したいのはお通ちゃんの方でしょ? 俺はこのあとのこともありますから、別にどっちでも」
「ちょ、ちょっと……! 誘ってきたのはそっちでしょ!? どっちでも、って……」
「別に誘ったつもりはありやせんけど。ただお通ちゃんにムラムラっとしちまっただけで……嫌ならやめますかィ?」
てっきり俺がリードすると思ってたらしいお通ちゃんはちょっと怒った様子で……
それもまぁムキにさせる手段でわざと怒らせるように言ったんだけど。
でも火照る身体の疼きには勝てないらしく、小さくため息をつき、
俺の傍におずおずと膝で寄ってくるとスラックスに手を伸ばした。
「わ、かりましたっ……すればいいんでしょっ」
恥ずかしさを隠すような口調で、慣れた手つきでスラックスから半分勃ってる俺のチンポを出して、
握ってぱくん、て。あっさり咥えちまった。
―――おいおいおい。あんたホントアイドルですかィ? どっかの夜のお店の女の子じゃないんですかィ?
  もうちょっと躊躇うかなーとか思ってたんだけどなぁ……嫌がるのを無理矢理口に捻じ込んでもよかったんだけど。
「んぅ、ん、……ッ」
お。
上手い上手い。
そんなやらしい顔してチンポ口ン中にずっぽり咥え込んで、竿の根元握って擦って。
いきなりフルコースですかィ? 大したアイドルでさァ全く。
「へぇー、よく調教されてんですねィ。お通ちゃん」
頭を撫でながら言うと、お通ちゃんは首を横に振る。
「違っ、……」
チンポ咥えたまま首振ったって説得力ねェや。チンポ出したらすぐ咥えるなんてどんなパブロフの犬だってんだ。
「違わねェでしょ? すげー上手いし。この身体つきだって、野郎に愛されてる証拠ですぜィ? 
肉付きがおぼことは全然違いやすぜ」
男とやってると、どういうわけだか女ってのは腰とか尻とかの肉がいい感じに付いてくもんでィ。
太るのとはまた違った肉付きっつーか。
答えないお通ちゃんの背中を手の甲で撫でてやると、身体がビクッて跳ねた。……可愛いねェ。
「あ。そこいいですぜ、お通ちゃん」
チンポの裏を舌の腹で上から下に一気に舐められたら堪んねェや……
「上手い上手い。ホント上手いですぜ、お通ちゃん」
「ふっ……ん、っ」
野郎の股間のマイクで毎日お歌歌いながらフェラチオしてんだろうなァ。素っ裸でさ。
133名無しさん@ピンキー:2009/05/06(水) 18:29:16 ID:LY/6zOk8
「お、」
いいムードを殺ぐ様に、俺の携帯が鳴った。
ったく……誰でィ今すんげえいいとこなのに。シェル開くとよりによって土方の野郎からだ。
あーあ早く死んでくれねえかなぁKY土方。
「はい、沖田ですけど」
『おう総悟。一日局長はどうしてる?』
「ああ、お通ちゃんですかィ?」
……俺のチンポしゃぶってますけど。って、それは言えねえか。
「えーっと……――バナナ。バナナ食べてまさァ」
『バナナ? なんでバナナ?』
「なんでって……お通ちゃんの朝飯でさァ。ちょっと前に流行った朝バナナダイエット。あれでさァ」
『…………ああ、あれか。効くのかあれ』
「さぁ。知りやせんけどお通ちゃんは今バナナ食ってます」
とっても美味しそうに食ってますぜ。俺のバナナ。シュガースポットだらけで真っ黒でさ。
あ、そんなに強くバナナ吸い上げられたらイきそうでィ。
『朝飯でもなんでもいいが総悟、一日局長にはくれぐれも失礼のないようにしろよ、
今大ブレイク中の売れっ子アイドルだからな。なんかあったら後で事務所がうるせーからな』
失礼もなにも。もうチンポ舐めさせてますけど。なんかもなにも。とっくにマンコに指突っ込みましたけど。
「へい、了解しやした」
『それと山崎と連絡取れたか? 例の連続婦女誘拐の件だ』
「あ、まだでさァ。後で俺から連絡入れと『早くしろよ、んじゃあな』
土方さんからの電話は俺の語尾を遮って切れた。
ったく、忙しない人でィ。あんまり早い男は嫌われるんですぜ、土方さん。
「あれ、お通ちゃん――何してるんですかィ?」
シェル畳んでお通ちゃんを見遣れば、チンポ咥えたまま空いた手を自分の下着の中に突っ込んで、ゴソゴソ弄ってらぁ。
「自分でマンコいじってんですかィ? お通ちゃん」チンポしゃぶりながらマンコいじるたぁ、随分なアイドルでさァ。
「だ……だって……」お通ちゃん、言い訳がましく腰くねらせながら、ちょっと目、潤ませてる。
「すいやせんね、気付きませんで……そりゃ俺にご奉仕だけじゃ満足しやせんね」
「あ、」お通ちゃんを退かせて畳に押し倒す。脚開かせたら、ショーツはもうぐっしょり。下の毛透けて見えてらァ。
っつかこんだけ濡れちまったら穿いてる意味ねえな。
ブラを捲り上げて、ぷるん、ってでっけーおっぱい出してやる。
すげぇな、マシュマロみたいじゃねえか。少しだけ色づいた乳首がもう硬くなってる。
ショーツ下ろしてやると甘酸っぱい匂いが鼻を擽る。
濡れた濃い目の下の毛と、二つに割れた肉の奥で、やらしー赤い実がおっ勃ってんのが見えた。
「ぁ……」
お通ちゃんの目がトロン、ってなってる。口の周り唾液だの先走りだのでべとべとにしちまって……物欲しそうな顔でィ。
こういう顔されてそそられない男は普通はいない筈だ。
「……お通ちゃん、男誘うの上手いですぜ?」
言うと、上気した顔で小さく微笑んだ。
「沖田さん、も、お願い……入れて……」
そんな顔されて、じれったそうに脚ィ開きながら言われちまえば、答えはひとつしかないでさァ。
言葉で答える代わりに頷いて、散々奉仕してもらったバナナ……じゃなくてチンポをマンコに宛がってやる。
いきなり入れないで、その辺をちょっと先っちょで苛めてやる。
134名無しさん@ピンキー:2009/05/06(水) 18:29:40 ID:LY/6zOk8
「っう、……」期待にお通ちゃんの腰が跳ね上がり、細い手が俺のチンポを握って導いていく。
「アンタホントに好きですねィ」
半分呆れたけど、でもそうされて悪い気分になる野郎はいないもんだ。
お望みどおりにと、開いた下の口、思い切り奥まで突いてやった。
「ぁあああああああっっ!!」
お通ちゃんは白い喉見せながらのけぞった。
「いい締まりでさァ……」腹の底から気持ちよさがせり上がってくる。
こなれた中はいい具合に締まって、襞が絡み付いてきやがる。慣れてんじゃねえか、やっぱり。
きつ過ぎずゆる過ぎず……ってやつでィ。お通ちゃんが俺の首に手を回し、腰に足を絡めると、もっと深く繋がった。
「お通ちゃん、エッチするの、好きですかィ?」俺がそう問うとお通ちゃんは頷いて、小さな顔を俺の肩に埋めた。
だったら、お望みの通りゆっくりじゃなくて激しく腰を動かしてやるんでィ。こんな風に。
「あっ・あ、あ・ア、あああぁ……!」
でっけーおっぱいがぶるんぶるん揺れて、お通ちゃんが喘ぐ。
あ、すっげーいいや。お通ちゃんの中。
マンコが絡み付いて離そうとしねえでやがる。
こりゃよっぽど例のプロデューサーとやらとやり込んでんだなお通ちゃん。
……ったく羨ましいもんでィ。こちとら公園でサボったり副長をいたぶったりバズーカぶっ放す位しか楽しみねえッてぇのに。
「う、んぅっ……あんっ……ッ」
お通ちゃんすんげえヨがってる。いい声出しちゃって……後で歌えねえとかなしですぜ、コレ。
「お通ちゃん、このまま中庭に出ちまいますかィ?」
「そ、そんなの、やっ……やだ、」
「大丈夫、誰も来やせんぜ」
「やだっ、いや、」
あ、言葉で苛めたら締まってきやがった。ちょっとMッ気あるな、お通ちゃん。
「そうですかィ、そりゃ残念だ……」
お通ちゃんの身体を抱き起こして、俺を跨ぐ様な体勢にしてやると、
横に結った髪はもうみっともなく乱れてんのに、構わずお通ちゃんは自分から腰を振りだした。
でっけーおっぱいが俺とお通ちゃんの間で揺れる。下からちょっと突き上げてやれば、可愛い喘ぎ声が裏返る。
「は、あ、あ、あぁぁ………ッ、ああ、あ、きもちい、っ、」
「気持ちいいですかィ? マンコ、そんなに気持ちいいんですかィ?」
「いいっ、あ、いぃ……沖田さんのちんぽで、きもちいいっ……」
余裕のない顔で、口の端から涎垂らしてチンポだの朝っぱらから声に出して……ほんとにエロいアイドルでさァ。
冷たい尻を揉みながら下から突き上げて、時々思い出したように口吸いして、揺れる乳房にも吸い付く。
ちらりと時計を見遣れば、もうタイムリミットが迫ってらぁ。って、こっちもそろそろかな……。
「ぁう……ッ、ダメもう……沖田さん、私も……イく……イっちゃう……ぁあ……」
「お通ちゃんイっちゃうんですかィ? へぇ、中でイけるんですねェ」
「も……イく……あ……沖田さんのちんぽでイく……い……あ……あ、ァ」
俺の肩をぐっと掴んだまま、お通ちゃんは恍惚とした顔で、あ、って消えそうな声を上げて、イっちまった。
中がぐ、っと締まって、いい加減限界に近かった俺も、釣られちまう。
「……んじゃ、俺も」
あ。そういえば今更だけどゴムつけてねぇや。
ま、いっか。
「――お通ちゃんのマンコで、イッちまいまさァ」
お通ちゃんの耳元で囁いて、中で、出した。


「総悟、遅ぇぞ」
お通ちゃん……もとい、一日局長を伴って、屯所の門の前に行くと、土方さんが青筋立てて待っていた。
「すいやせん、拷問部屋とか案内してたもんでつい遅くなっちまって」
「ンな場所案内するなッ!」
「お通ちゃん、どうぞこちらに」近藤さんの案内で、お通ちゃんは隊服を手に用意されたワゴン車に乗り込んでいく。
……ノーパンだけど大丈夫かな。下着、ぐっしょぐしょになっちまったから仕方ねえんだけど。
カメコに撮られねえ様に気ぃつけてやるかな。
「あ、土方さん、すいやせんけど俺忘れ物しやしたんで、ちょっと取って来ます」
「あん? 早くしろよ、総悟。時間押してんだぞ」
「へいへい」
そうそう、とっても大事な忘れ物があったんでィ。
135名無しさん@ピンキー:2009/05/06(水) 18:30:03 ID:LY/6zOk8
さっきまでお通ちゃんとヤってた俺の部屋に戻ると、部屋の隅の箪笥の引き出しを開けて、
中に入ってる小型のビデオカメラを取り出した。
「お、……すげーや、よく撮れてんなぁ」
ビデオカメラには、さっきの一部始終がバッチリ録画されてた。
お通ちゃんは箪笥の中に仕掛けてあったコレにはまさか気付いちゃいないだろう。
いわゆる超小型のカメラ、それも捜査に使う奴だ。
お通ちゃんのマンコまでくっきり映ってるし、声もちゃんと入ってるし顔もお通ちゃんだって分かる。
俺は携帯を取り出して、山崎に連絡を取った。
「もしもし、山崎? 沖田だけど……ああ……うん、どちらもバッチリでィ。抜かりはねえでさァ。
ちゃんとお通ちゃんとヤれたし、録画も成功してるぜ。
これネタにして揺すって……そうだな、屯所の皆でマワしちまうのとかいいかもしれねえな。
ああ、あと土方さんが例の連続婦女誘拐事件の件気にしてたから連絡しといてくれ」
手にしたカメラの液晶の中では、お通ちゃんがイッてる場面が映し出されていた。
お手当てのついでに、臨時ボーナスも貰っちまおうっと。


(おまけ)

キャンペーン会場に向かうワゴン車の後部座席で、俺の隣に座ったお通ちゃんは携帯を弄っていた。
「お通ちゃん、――下、気持ち悪くありやせんか?」
小声でそっと耳打ちすると、お通ちゃんは顔を上げて、
「ちょっとスカスカしちゃうんですけど……」
って肩竦めて答えた。
「後で下着、手配しまさァ。……それ、メールですかィ?」
「ええ……お友達にキャンペーン見に来てもらおうって思って」
「ああ、そりゃどうも」
お通ちゃんは慣れた手付きでメールを打っていた。
……朝っぱらから頑張りすぎちまったもんで、俺は眠気を感じて目を閉じた。
隣でお通ちゃんが打ってるメールの内容がどんなものかも考えずに。

宛先:河上万斉
件名:無題
添付:
本文:例の計画、一番隊隊長沖田総悟で成功しましたんたぬきの金玉^0^
   というか向こうから誘ってくれ間下このみ!中で出されてちょっと気持ち悪いです><
   後で●●埠頭に誘い出すので抹殺はお願いしマスタング大佐o(^-^)o
                             寺門通


(終)

****************************************************
以上です。
136名無しさん@ピンキー:2009/05/07(木) 01:08:55 ID:fkcIGtcL
どの話も良いですが
名前欄にカプ名入れてくれると助かります
137名無しさん@ピンキー:2009/05/07(木) 10:29:25 ID:G0uedY9z
GJ!
お通ちゃんじつはキレものってとこいいね
138銀妙 1/3:2009/05/07(木) 23:47:45 ID:Di3WGxUq
その夜は、どうしても行き場がなかったから。


深夜二時。
スナックスマイルの仕事から帰った妙が我が家の扉を開けると、静寂が薄暗い廊下を
すっぽりと支配していた。
今夜、新八は帰らない。
『久しぶりの大仕事なので、遅くなるようだったら泊まってきます』そう書かれた弟
の書き置きを、今朝方居間の食卓の上で見た。
視線の先ではa忍び込んだ月明かりが、誰もいないその居間をぼんやりと映している。
人気のない我が家は、ようやく帰りついた住人にさえひどく他人行儀だった。

卸したての帯をぐいとゆるめ、襟元を楽にする。
着替えなければと思い、化粧を落とさなければと思い、優しい弟がきっといつもどおり
整えておいてくれた布団へと、少しでも早くもぐりこみたいと願うのに。
玄関を上がり、小さくきしむ廊下に二、三歩足を進めたところで、妙は寄りかかった
壁に沿いずるずると座り込んでしまった。
着物の布地を通して、板の間の冷たさがじんわりと伝わってくる。

帰り際、おりょうから飲み過ぎだと叱られた。
そうだ。今日は飲みすぎてしまったのだろう。
だからだ。下肢から順々に伝わってくる冷ややかさとは裏腹に、喉元には熱いものが
こみ上げてきていた。
今さっきまで耳の奥に留まっていた喧騒がどこへともなく消えていく。
ああ、いつもどおりだ。何もかも。
華やかな時間は過ぎ去って、疲れた女が一人残される。記憶の中から『おかえり』と
言う弟の声を引っ張り出し、誰もいない廊下へ「ただいま」と返してみる。
鼻の奥がつんとした。

泣き上戸だった覚えはないが、過分な酒に浮かされて感情のコントロールがあやふや
になるのはよくある話だ。働きすぎたのかもしれない。疲れが溜まっているのだ。
もちろん安酒の飲みすぎも良くなかった。

泣いて、しまおうか。
誰もいないのだからかまわない。
帰り道仰ぎ見た星空は、はっとするほどきれいで、こんな夜は一人芝居が似合う気がした。

ふと、視界の中に滲むように映りこんでいたそれに釘付けになる。
良くないことだと思ったけれど。
手が無意識のうちに伸びていた。気がつけば、左手には黒い電話の受話器。
右手は迷うことなくダイヤルを回していた。

一回、二回。
壁と耳にはさまれた受話器の奥のコールに耳を澄ます。
新八が出ればいい。
そうしたら、今日はそこに泊まるのねと、駄目な上司にこき使われた弟の身を案ずる
心配性な姉をそのままに演じれば良いのだから。
三回、四回。
コールは何の変化も見せず五回目にたどり着く。
不器用な騒音が深夜のあの広い事務所兼居間に鳴り響いてる様を思い浮かべる。
新八が出ればいい。
139銀妙 2/3:2009/05/07(木) 23:49:36 ID:Di3WGxUq
六回目の途中で、コールは切れた。

「もしもし。万屋ですが」
耳元で直に響くそっけない低さに、胸が焦げる。
「…もしもし。わたし」
一度目の沈黙が返る。
「誰だか分かる?」

「……なんか、こんな恐怖の電話なかったっけか」
感情の起伏が機敏なようでいてそれとも意識して緩慢なのか、二度目の短い沈黙の後、
聞きなれたやる気のない声が返ってきた。
「誰って、お妙だろう。今帰ったのか」
「…新ちゃん」
「おお、ウチに居るぜ」
「新ちゃんは?」
相手の問いには答えずに、つぶやく様に弟の名を口にする。
だって、あなたが出るとは思わなかったんだもの。
言外に隠した言い訳に、男は果たして気付くだろうか。
「なんだよ。確認ですか?点呼ですか?どこまでブラコン一直線なんですかオマエ」
「泊まるって書き置きがあったわ」
「えーえー。お宅のお坊ちゃんなら、上司の俺を差し置いてウチで一番良いお布団で
がっつり熟睡中ですよー」
「当然でしょう。きっととっても疲れてるのよ。ぐうたらな上司に代わって今日も
一生懸命働いたんだわ。」
「何?何ですか、喧嘩の押し売り?銀さん今ちょっとカチンときたんだけど」
「あら。銀さんでも図星を指されるのは辛いのね」
「だから、新手の電話セールスですかっての。やめなさいそれ。儲かんないから」
「しないわよ、そんなこと」
口癖のような憎まれ口は、いろんなものを守ってくれる。
そんな所で二人は似ていた。
「・・・新八に用なら起こすぜ?」
「ヤメテ。新ちゃんの安眠を妨害する気?天パの分際で」
「天パ関係ないから。いい加減覚えて。それ差別だから」
「ひがみ?いやだわ、大人気のない」
どれくらいぶりに声を聴くだろう。こうして言葉を交わすだろう。
「へえへえへえ。ところで銀さんの安眠も心配してね。実は何気にお肌の曲がり角
とか気にしちゃってるんですから」
「人生の曲がり角はとっくに過ぎちゃったものね。お気の毒様」
「ヨケーなお世話だ。このヤロウ」
「誰がヤロウか。覚えとけよダメ親父」
「なんなの?ほんと何の用なの?真夜中に、弟の上司にダメ出しして、いったい何が
楽しいの」
「もういいわ。新ちゃんがそっちに居るならいいの。どうも夜分遅くに失礼しました」
「それ、普通一番最初言うよね」
取り立てて話す事などあるわけもなく。当たり前のように会話は収束へと向かう。
この喧騒もしばらく耳の奥に留まって、またすぐにどこかへ消えるだろう。
それじゃあとこちらから電話を切ろうとした時、被せる様に男が喋った。
140銀妙 3/3:2009/05/07(木) 23:55:42 ID:Di3WGxUq
「朝になったら」
「え?」
「朝になったら、新八いったん家に帰すわ。悪かったな」
忘れていた。覚えていたけど忘れていた。この男はまったくもって似合わないくせに、
こうしてどうしようもなく妙なところで律儀なのだ。
「明日は泊まりなんて事にはなんねぇから、気の済むまで姉弟でよろしくやってくれ」
あるか無しかの切り札は出し惜しみを許さないかの様に、あっけなくすべてを使い切らされる。
「…そうね、そうさせていただくわ」
後は受話器を置くだけだった。
「おお、じゃーな」
「ええ、じゃあ」
そして振り出しに戻るのか。一人きりの夜に。

「銀さん」
良くない事だとは思ったけれど、求めたものを諦め切れなかった。妙は受話器を握り直す。
「切らないで」
「…何?まだなんか用ですか?」
きっと後悔するだろう。あとで一人でもがくだろう。
けれど今。今、この夜の行き場のなさを、妙は一人でやり過ごせる気がしなかった。
「用は、無いの。何にもないの」
「はあ?」
「用はないけど…だけどこのまま切らないで」
何を言っているのだろう。
「…おい?」
電話の向こうで、眉を寄せている銀時が目に浮かぶ。
その顔を振り払い、妙は堰を切るように続けた。
「眠たくなったら寝ても良いから、そこからいなくなっても良いから」
喋る言葉などなくていいから、気遣う声などなくていいから。
「電話だけは繋いでおいて。切らないでいて」
どうかこのままこの夜に、私とこうして繋がっていて。
「…お妙」
「寝ていいわよ。疲れてるんでしょう?」
「…なんかあったのかよ」
「なんにもないわ。いつもどおりよ」
わたしの側に誰もいないだけよ。
銀時が受話器の向こうで息を呑む。
「お前。なんで泣きそうなのよ」
「…わかんない。今夜はそういう気分みたい」
妙の声が、せりあがってくる感情を押し込もうとにわかに震える。
けれど、それに返した銀時の声も妙には何故だか震えて聴こえた。
「おま、何その場末のママさんみたいな文句。コラ、ちょっと聴いてんのか、お妙」
「聴いてるわ」
痛いほど受話器を耳に押し当てて。心の中の声までが聞こえてくれば良いのにと。
困った女と思っているでしょ。面倒くさい女と思っているでしょ。
会いには来れない時間に、走っては来れない距離で、想いを確かめたのだ。
自分だけでそっと。
「寝れないんなら、絵本でも読んでやろうか?」
「いやよ、気色悪い」
「お前な…」
そうして無言の時間がいくらか流れて行った後。
銀時が静かな声できっぱりと告げた。
「あー、あのな…。悪い。やっぱ切るわ」「銀さんっ」
「悪いな」
ガチャン。聞きたくなった音が妙の耳に響く。妙の呼びかけには何も返ってこないまま。
電話はあっさりと切られた。ようやく耳から離された受話器から、不通を知らせる音が漏れる。
妙は、電話をそっと元の位置に戻した。
廊下には、さっきと少しも変わらない静寂が満ち満ちている。

夜明けが、遠くの空からその一歩を踏み出し始めたころ。
男がひとり、月明かりの夜道へ走り出していた。
141名無しさん@ピンキー:2009/05/08(金) 00:13:01 ID:HHf4a/n8
GJだな。エロが無い点を除けば素晴らしい。
142名無しさん@ピンキー:2009/05/08(金) 00:17:13 ID:7wNoaU5U
銀妙スキーなので素直にGJ。
エロ無しなのは今から寝ながら脳内補正かけます。
次回は是非ともエロ有りの純愛お待ちしてます。
143名無しさん@ピンキー:2009/05/08(金) 00:44:03 ID:+ypKfALs
やばい、最近銀妙読むたび屋台の二人組の方が脳裏に浮かんでしまう
つかあれアニメスタッフと声優への慰労だなw
144名無しさん@ピンキー:2009/05/08(金) 00:54:18 ID:K9aNDnsS
GJ!
弱いお妙さん好きにはたまらんかった
エロ無しでも読み応えあったけど気向いたら続きあるといいな
145名無しさん@ピンキー:2009/05/08(金) 02:12:46 ID:Hu4xUcqD
何と言うGJ!弱ったお妙さんはたまらんな。
気が向いたなら是非続きを…
146名無しさん@ピンキー:2009/05/08(金) 15:09:33 ID:GBqp73bc
GJ!
てゆーかあれでしょ?続きあるんでしょ?
そこでエロですよね。期待してます。
147名無しさん@ピンキー:2009/05/08(金) 20:33:00 ID:S/4nzZoi
GJ!
この2人の続き、是非書いてください!
心が寂しいお妙さんを憎まれ口叩きながらも優しく慰める銀さん、いいね。
148名無しさん@ピンキー:2009/05/08(金) 20:36:56 ID:jrZ3JOHL
沖田とお通ちゃんGJ!沖田は犯罪めいたのが似合う
149名無しさん@ピンキー:2009/05/08(金) 22:43:09 ID:+ypKfALs
今日のジャンBANで果たして銀さんの魅力は伝わったんだろうか
ただの血糖値高い粗暴な男にしか見えない
150名無しさん@ピンキー:2009/05/09(土) 22:06:18 ID:R3/Mxco5
あながち間違ってはいないww
151名無しさん@ピンキー:2009/05/10(日) 21:15:52 ID:s03kAOP6
保管庫に関して質問なんだけど
以前あったはずのSSが見つからなくなったんだが…
過去ログは一応持ってるんだけど、ここに再掲載しておけば
このスレが終わった時に一緒に更新してもらえるだろうか
ちなみに4スレ目の>>858-860
の土妙なんだけど、過去ログ持ってる人いたら確認してみて
すごく好きな感じのエロさだったんで消えたのがもったいなくてさ

152名無しさん@ピンキー:2009/05/11(月) 16:03:57 ID:8U9fNo7+
>>151
特定の作品だけ勝手に保管庫から消えるというのは考えられないし作者さんが自分で削除依頼したんじゃないかな?
仮にそうだとしたら本人以外の判断でスレに再投下、再保管はマズいような
153名無しさん@ピンキー:2009/05/11(月) 18:18:47 ID:5Jk+BIth
恐らくは書き手さん本人が作品の削除を保管庫管理人さんにお願いしたんだろう
この板の書き手控え室スレでも、
「保管庫に収録されている自分の作品を削除して欲しい」って話が時々あるよ
削除を希望する理由は人それぞれだけど
154151:2009/05/11(月) 22:41:45 ID:8RbHTcHt
そっか、作者さんが削除依頼した可能性もあるんだね
同作者の別作品は残ってたので間違って消されたって
思い込んでたわ
助言ありがと
155名無しさん@ピンキー:2009/05/11(月) 23:30:31 ID:nnuO8XNI
そんなに151さんが読みたがっている土妙ってどんなお話だったんだろう。
なんか、自分も無性に読みたくなったぞ。
156名無しさん@ピンキー:2009/05/12(火) 00:08:15 ID:pOCbBoF0
高杉また子が見たいです! 
鬼蓄攻めじゃなくてキュンとくるような…微エロでもいい
157名無しさん@ピンキー:2009/05/12(火) 12:41:58 ID:s2P6CpAn
>>155
4スレ目あたりはhtml化されてると思うから読めるんじゃないかな


高またいいね!この二人でエロエロもいいけど純愛とか微エロとかもいいな
158名無しさん@ピンキー:2009/05/13(水) 06:34:28 ID:U/bpl53q
保管庫のおかげで桂幾と坂陸奥が益々好きになった
職人さんGJ!
個人的に坂本は女性を悦ばせるの上手そうなイマゲ
159名無しさん@ピンキー:2009/05/13(水) 21:18:47 ID:cQXHGz2f
坂奥のはどれもゆるい感じが良い
なにかあっても「心配ないぜよー」とヘラヘラ笑ってて
余裕なのかただ単に何も考えてないのか微妙な所が素敵

素直じゃない憎まれ口ばかりの陸奥可愛いよ夫婦の様だよ
160名無しさん@ピンキー:2009/05/13(水) 22:36:55 ID:KLIIYtJ9
ここで読んで好きになったカップリング沢山あるよ
職人さん達いつもありがとうございます
161名無しさん@ピンキー:2009/05/14(木) 22:36:44 ID:x2uC6GPP
原作ではまるで接点のない男女キャラも
ここの職人さんの手にかかれば、素敵なカップルになってしまう。
職人マジック、恐るべし!
今後もいい作品、投下待ってます。
162名無しさん@ピンキー:2009/05/15(金) 09:59:58 ID:wOKskXfp
自分の中では保管庫の土そよを超える神が未だあらわれない
あれは凄かった
そよなんてゲストキャラだし土方殆ど絡んでないし、自分もともとロリコン嫌いだし土方はミツバ公式で出たし

それなのに一気に土そよというジャンルを確立してしまった感があった
最後続きを匂わせるような終りだったけど読みたかったな
職人さんいるかわからんけど
163名無しさん@ピンキー:2009/05/15(金) 12:21:05 ID:OkgMX8UF
なにげに近妙のお妙さん幼児退行ネタが好きだった
164名無しさん@ピンキー:2009/05/15(金) 17:30:26 ID:wOKskXfp
>>163「いけないぃぃぃぃ!!今俺はお父上ぇぇぇぇ!!!」かwww
あれは笑ったwww
165名無しさん@ピンキー:2009/05/15(金) 18:15:18 ID:Dj3rsjb4
>>163
あれは傑作だと思う
166名無しさん@ピンキー:2009/05/15(金) 20:37:45 ID:awlVL3mG
ヅラとヅラの妄想上で登場した松原松子がみたい

ということで桂×松子お願いします。
167名無しさん@ピンキー:2009/05/15(金) 20:58:42 ID:9YrxPGeZ
>>166
それはアレか
とどのつまりオ…
168名無しさん@ピンキー:2009/05/15(金) 21:47:27 ID:awlVL3mG
>>166ちなみに忘れた人のためにいうと松子はヅラが捕まった「人はみな自分という名の檻を破る脱獄囚」という話の登場人物ね

健気でかわいい少女です。妄想上でヅラと絡みがあります。
169名無しさん@ピンキー:2009/05/16(土) 19:40:40 ID:bzI3ronI
それ面白そう。

体育教師な自分と女子バレー部員のエロ妄想…

桂www
170名無しさん@ピンキー:2009/05/16(土) 20:18:23 ID:V3WDRjZM
「松原、いかん…教師と生徒の仲でこんなことは…ッ」
「先生、私ずっと前から…ほら…ここ、私の胸…触って下さい」
「松原…」
「こんなにドキドキしてるんです…」
「ああ…鼓動が早い」
「柔かいでしょ…?」
「……ああ…」
「松子って、呼んで…」
「…ま…松子…」



銀「何一人でやってんだヅラ」

こうですかわかりません><
171名無しさん@ピンキー:2009/05/16(土) 21:49:18 ID:IFmR07WC
>>170GJ 最後のオチの時まさかヅラは自分を慰めているのを銀さんに見られたのかw

他の方の作品も見たいです。出来ればやるまえのエピローグがあって最後の肝心な部分をやるまでヅラの妄想を解かないよう書いてくれたらうれしい
172名無しさん@ピンキー:2009/05/17(日) 00:49:26 ID:uuh9TaSc
>>170
GJ!

いつも桂は妄想を他人に話すから、松子とのチョメチョメ妄想も誰かに話したりしてね
エリザベスとかw
173名無しさん@ピンキー:2009/05/17(日) 19:40:58 ID:ZXesMlnP
前スレの高妙が好きだった。
責められるお妙さんのいつにない嫋嫋たる可憐さ。
高杉のエロテロリストの面目躍如たるSぶり。
本編では絡みのない2人も、ここではしっくりくるな。
174名無しさん@ピンキー:2009/05/17(日) 21:32:14 ID:/1z8wytT
だいぶ前だが、士さちのマヨネーズプレイが好きだった。
笑えてエロくてさっちゃんが可愛かった。
175名無しさん@ピンキー:2009/05/17(日) 22:17:54 ID:t3xW8j+4
そんだけ神作品があるって事はやっぱりこのスレクオリティ高いんだな。
ところで6スレくらいまでの神職人さんてまだ常駐してるの?
あの頃って投下率半端なかった気がするんだけど…
176名無しさん@ピンキー:2009/05/18(月) 17:08:00 ID:ANR4jrul
流れをぶった切って言う一言
「今週の銀さんやべえええええ」
177名無しさん@ピンキー:2009/05/18(月) 17:16:20 ID:88QwtUeQ
過去がるろ・・・いや、かっこよかったね
178名無しさん@ピンキー:2009/05/18(月) 18:14:01 ID:BzOuGYHk
>>175
単純に作品数だけ見ても400作超えてるからな
179名無しさん@ピンキー:2009/05/18(月) 22:03:15 ID:M5zQIULN
>>177
戦災遺児が師に拾われるなんてネタ使い古されてるからな
ナルポもそうだし

銀さんの白髪は親の遺伝なのか恐怖による脱色なのかどちらなのだろう
180名無しさん@ピンキー:2009/05/18(月) 22:03:49 ID:FMuYuP94
最近近妙エロが見たいであります

近藤「お妙さん、デートしてくれませんか?高級ホテルでディナー
そのあとは部屋で...」

お妙「あら、高級ほてるにディナー?もちろんおごりよね?」

近藤「もちろんっす!ディナーも超高級フルコースだし!部屋だって」

お妙「あら。うれしい。さすが近藤さんね。ふとっぱら。まさに漢だわ。
素敵」

近藤「え。。まじっすか。嬉しいです!お妙さんんんんん」(お妙に
抱きつこうと迫る近藤)
(さりげなくそれを避けるお妙。)
お妙「嬉しい。銀さん神楽ちゃん新ちゃんたちも一緒につれてくわ。
あのヒトたち金欠で
今お腹ぺこぺこなのよ。家賃も滞納してるみたいだし。
頼りにしてるわ近藤さん」
(近藤、お妙の後ろにあったコンクリートの壁に激突する)
近藤「。。。まじっすか。。。。だって、2人きりの。。ぶわはああ(涙)
でも、でも、わかりましたあああああ!だって
俺たち家族みたいなもんだしーっインフル騒動の時だって一心同体だったしい」


それを柱の影からそっと見守る人影。
銀&新&神「ぐうううううう(誰かの腹の音)なんとか
これでまた命つなげそうだな。
もつべきものは金づるとはよくいったもんだ」

職人さん近妙のエロをまたいつかよろしく。。自分では
これくらいのエロが精一杯なんだぜ スレ汚しスマソだぜ
181名無しさん@ピンキー:2009/05/19(火) 00:10:27 ID:l+kkCAm4
>>173
おお、IDが逆から読むとsex! 
自分も高妙ファンです。 
182名無しさん@ピンキー:2009/05/19(火) 12:23:34 ID:s62ec4P6
高杉は史実の人が遊女を愛人にしていたり、創作では人前でやったりと
ハードル高いけど、だからこそ挑んでみたいキャラだな
183名無しさん@ピンキー:2009/05/19(火) 15:53:06 ID:aNFInyuL
>>182
遊女のことを言うなら、ほとんどの幕末志士は該当するぞ
新撰組の連中もな!
184名無しさん@ピンキー:2009/05/19(火) 17:43:26 ID:GAcHcSVR
>>183
つまり、飛びっきりエロく書かないと乙やGJは貰えそうにない
それが高杉を書く時の難しさだな

誰のものでもないお妙さんを無理矢理やるとか
百戦錬磨な日輪太夫をあんあん言わせるとか
妄想はするけど中々文章にし辛いよ
185名無しさん@ピンキー:2009/05/19(火) 18:59:19 ID:aNFInyuL
逆だろ。
戦火で孤児になった娘とかの方がよくね?

高杉をスーパーキャラにしちまうと、エロゲ的で陳腐になってキャラ性が薄くなる。
186名無しさん@ピンキー:2009/05/19(火) 19:03:44 ID:G3iV72B1
思いっきりエロくか……
他の男に犯させて酒飲みながら見てるとか
オナニー見せ合いとか
繋がったまま街を歩くとか
お妙さんに街角露出させるとか
目隠しして高杉のちんぽがどれか当てさせるとか?
大したネタが浮かばなくてごめん
187名無しさん@ピンキー:2009/05/19(火) 19:34:08 ID:/OlV+kQt
>繋がったまま街を歩くとか
「晋助さまと繋がったまま街を歩くなんて 頭がフットーしそうだよぉぉぉ」な高またを想像してしまったんだが…
188名無しさん@ピンキー:2009/05/19(火) 20:49:19 ID:l+kkCAm4
まったく本編では接点がないけど、高杉×九ちゃん、あるいは高杉×月詠の
SSが読みたい。カッコよくて一筋縄ではいかない女性たちなので、高杉としても
落としがいがあるし、自分と同じ隻眼、煙管の彼女らに妙な親近感を覚えそう。
189名無しさん@ピンキー:2009/05/20(水) 04:23:34 ID:Zw4MpvDI
>>188
九ちゃんがやられちゃうとしたら、お妙さんを庇ってバトルしてるうちに見失って
慌てているところに不意打ちしてどこかに連れてゆかれて女ならではの拷問を受けてしまうかな?
190名無しさん@ピンキー:2009/05/20(水) 05:17:02 ID:vVsIESE5
神威絡みもエロそうだな
拷問といえば沖田と土方もいける
191名無しさん@ピンキー:2009/05/20(水) 11:43:39 ID:opdMsgYP
別嬪の良さに目覚めた全蔵が日輪とやるのもいい

それでもって、それを覗いていた神楽が興奮した晴太とやるってのもいい
192マダオ×お妙:2009/05/20(水) 21:33:14 ID:VQp9HHYI
>>54-55の続きです。銀さんとマダオが結託してエロいことをするお話。お妙さんバージョン。

*************************************
志村家の庭が、本日の舞台。

「ちょっと銀さん、荷物ってガラクタですか」
お妙がガラクタと言ったのは、銀時が牽く荷車に載せられた機械(からくり)のこと。
「鉄●28号の出来損ないじゃないですか」
「お前横山光輝先生に失礼なこと言うんじゃねえよ。横山三国志は少年達のバイブルだぜ?」
荷車には鉄●28号の出来損ない、という言葉がぴったりな武骨な機械が一体、仰向けになっていた。

三十分ほど前、銀時からお妙に『客に頼まれた荷物を夕方まで庭に置かせてほしい』という電話があった。
大き過ぎて万事屋には入りきらない、というのだ。
断る理由も無かったし、置き賃は払うと言われたのでお妙は承諾したのだが、その荷物こそがこの機械だというのだ。
「ガラクタでも鉄●28号の出来損ないでもねーよ。
これはさ、今セレブの間で密かにブームの高価な機械なんだぜ。こんなナリしてるけど結構高いんだぜ?」
「……とてもそうは見えませんけど」
銀時が機械のボディを叩きながら説明するが、お妙にはそうは見えない。
「一時流行った機械メイドさんより高いんだぜ、コレ。
客に頼まれて買いに行ったけど、なかなか手に入らなくて苦労したんだぜ」
「嘘っ」
「ホントホント。コイツ、表向きはお掃除ロボットみたいなもんなんだけどさ、実は……」
銀時は急に声のトーンを落とし、機械の股間のカバーをやたら慎重に外した。
「………!!」
お妙は驚き、頬がみるみる赤らんでいく。見開かれた目はカバーの下にあるものに釘付けになっている。
銀時は横目でちらりとそれを確かめると、カバーを元に戻した。
「ホントの使用目的は”ここ”。旦那とすっかりご無沙汰してるセレブの奥様用だよ。
天人の技術ってのは怖ろしいモンだねェ。色も形も手触りもサイズも本物の地球の男とまるッきり同じなんだとさ。
触りゃあ硬ーくなるし、扱きゃあ出るモンは出るし……あ、出るっつっても別売りのローションだけどな。
使用者のお好みを分析していい感じにヤってくれるらしいぜ。
男前のツラした機械メイドの男版ってえのもあるみてーだけど、それじゃあ目的バレバレだし、
”ここ”の方がそれほど良くないらしいんだよ。
その点コイツなら見てくれがコレだし、”ここ”はすげーし。セレブの奥様は心置きなく買えるってモンさ。
こんなモン、神楽や新八にゃあとてもじゃないが見せらンねえだろ? だから置かせて貰いに来たんだよ」
「た……確かにそんなもの、神楽ちゃんや新ちゃんに見せるのは教育上宜しくないわね……」
お妙の頬は赤らみが引かず、声が上ずっていた。
「そうだろ? 宜しくねえだろ? っつうわけで、客に納品すんのが夕方だから、
それまでコイツをよろしくメカドック。軒下にでも入れといてくれよ。んじゃ俺は夕方まで別の仕事が入ってッから」
銀時は手でパチンコを打つ仕草をしながら、志村家を後にした。

「………」
銀時が門をくぐって出た後も、お妙はリヤカーに載せられた機械の傍に突っ立っていた。
未だ収まらぬ胸の鼓動と湧き上がる興味。
唾を飲み込むと、先程銀時がちらりと見せてくれたカバーの下のモノがもう一度見たくてたまらず、
お妙は震える手をそっと伸ばした。
「見るだけ……見るだけだから……」
自分に言い聞かせているのか呟きながらカバーを外すと、そこには確かにあった。
生い茂った陰毛から伸びた陰茎。サイズは標準より少し大きいくらいだろうか。勃起はしておらず、下を向いている。
作り物とは思えないほどリアルなそれに、お妙の鼓動がさらに早まっていく。
「ちょっとだけ……触ってもいいかしら……」
恐る恐る、お妙はそれに手を伸ばす。

そっと、触れた。
193マダオ×お妙:2009/05/20(水) 21:33:47 ID:VQp9HHYI
少し柔らかな感触は、まさに人間の男のそれと同じだった。
「本物みたいだわ……」
お妙はそれを幾度か撫でた。

説明するまでも無く、これは銀時の嘘八百。機械は源外のところからタダ同然で貰ってきた古いもので、
中の部品を取り除いて長谷川が入り、股間だけを出している状態だ。
(お……お妙ちゃん……)
機械の中で、長谷川は少々動揺していた。
こうすればお妙とヤれる、と銀時にそそのかされ機械の中に入ったものの、お妙ちゃんはそんなことしない、と
半信半疑だったのだ。
(なんて柔らかい手だ……お妙ちゃん)
優しく撫でられた長谷川のそこに、全身の血液が集中する。

「あ……」
お妙は驚愕した。機械の陰茎が、ムクムクと頭を擡げたのだ。
「すご……ッ」
陰茎はみるみる硬く大きくなり、天を仰いだ。大きめの亀頭。茎には血管がしっかりと浮き出ている。
「……こんなにリアルなんて……」

(やべぇぇぇ!! オジさん勃っちまったよぉぉぉぉぉ!!)
機械の中の長谷川は思わず勃起してしまったマダオ(『ま』ぁなんていうか『だ』めな俺の『お』とこの勲章)
を収めようとしたが、そう簡単に収まるものではない。
それどころかこの倒錯した状況に余計マダオは血液を集め、硬くなっていった。

「……」
勃起した陰茎を前に、お妙は銀時の言葉を思い出した。
『使用者のお好みを分析していい感じにヤってくれるらしいぜ』
「いい感じ……に」
最近は不景気でアフターをしてくれる客もいない。あっちの方はすっかりご無沙汰だった。
いい感じ、ってどんな感じなのだろう。
それを妄想するお妙の頭の中はレディコミの見開きクライマックスシーンだった。
「少しくらい……いいかしら……」
お妙は屹立したそれをそっと手にし、横髪を耳に掛けるとゆっくりと顔を近づけ、そして……咥えた。

(オォォォォォォォォォォォ!!!!!! お妙ちゃんんんんんんっっっ!!!)
長谷川は悶絶した。
マジックミラー式の小窓からは、長谷川のものを咥えるお妙がチリバツ見えた。
柔らかい手と、ぬめった口腔の感触。
(お妙ちゃんが……お妙ちゃんが……フェラーリ……)
先日のさっちゃんと比べれば拙さは否めないが、頬を紅潮させ、顔を上下させている。
その上品そうなお妙の口を出入りするのは紛れもないMYマダオ。
(なんてことだ……キャバクラ勤めしてても身持ちは硬いって思ってたのに……)
軽い絶望感、快感、背徳感に長谷川は興奮した。
(銀さんは知ってたんだな、お妙ちゃんがこういうキャラだってことを……)

「んっ……ん、」
軽く扱きながら懸命に口淫をする。まるで生きているかのように機械の陰茎はお妙の口淫に反応し、脈打っていた。
皮の弛み具合も本物そっくりだ。っていうか本物なのだが。
はぁ、とお妙が息を吐いて口を離すと、陰茎は唾液と先走りらしい液体でテラテラ光っている。
「ちょっとしょっぱいわ……ローションも特別製なのね」
飲み込んだ先走りらしい液体の感想を口にすると、お妙は己の身体の疼きに従うべきか否か、迷った。
コレだけで満足するつもりだったが、そうはいかないのが貪欲な人間の性。

欲しい。
入れたい。
満足したい。
人間とは、三大欲求の前には理性が瓦解する生き物である(徳川茂茂・談)。
194マダオ×お妙:2009/05/20(水) 21:34:10 ID:VQp9HHYI
「壊したりしなければいいわよね、あ…後で、ちゃんと綺麗にすれば…バレないわよね……」
お妙は己に言い聞かせるように呟き、着物の前をそっと肌蹴、荷車に上った。
そして機械に慎重に跨り、下着をずらし、機械の陰茎を逆手に持って亀頭を膣に宛がい―――

(う・嘘ォォォォぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!)
長谷川のマダオに、ぬめっとした感触。その感触は間違いない……。

「んん……ッ」
ズプ、ズプ、と音を立てながら、機械の……もとい、長谷川の陰茎がお妙の中に入っていく。
「ぁ……」既にそこはじっとりと濡れていて、スムーズに入った。
お妙が腰をゆっくりと落とすと、お妙自身の体重でそれは奥へと誘われた。
「ぅ……ん、はぁ―――ッ」
お妙の尻が機械の上で柔らかく潰れた。
白い喉を見せてのけぞったお妙の顔は恍惚としていた。
(は……入っちゃった……入っちゃったよコレェェェェェェ!!!!
どーーすんのォォォォ!!! いいのかコレェェェェ!!!!)
長谷川とお妙は合併した。それも騎上位で。
「すごい熱いわ……奥に当たってる……お金溜まったら……ううん、近藤さんに貢がせちゃおうかしら……」
物騒なことを呟きながら、お妙は己の中で存在を主張する機械のモノの感覚に酔いしれ、
ゆっくりと腰を動かし始めた。
が、機械の中の長谷川は、あまりにもご都合主義な展開に軽くパニック状態だった。
(おおおおおおお妙ちゃんと俺が今ひとつになってるゥゥゥゥゥ!!!
いいのか!? いいのかこれェェェェ!!! 親子くらい年離れてるのにいいのかァァァァ!!!
しかもなんていい具合ッッッ!! 締まり最高人生最高ォー!(※エドはるみ調)
感じてるお妙ちゃんの顔やらしすぎッッッ!!! 銀さんありがとぉぉぉぉぉぉ!!!)
長谷川のことなぞ何も知らないお妙は、腰を激しく動かしながら胸元を乱し、
膨らみの少ない己の胸を慰めていた。
「ん、ふ、あ……、ん、んぅっ……、ッ……」
荷車がギシギシと音を立てる。
鉄●28号の出来損ないのような機械の上に跨って腰を振る女、とは傍目には間抜けな格好に見えるかもしれない。
しかし実際は生身の男と、ヤりたかった女が合併号しているのだ。
「んぁっ……、ひっ……あ、っ」
お妙は喘ぎ、思うが侭に腰を動かしている。むっちりとした太腿が揺れる。


(お妙ちゃん……やらし過ぎるよお妙ちゃん……なんて素敵なんだお妙ちゃん……
嗚呼もうダメだ……オジサン……オジサンもう我慢の限界だあああああああああ!!!)
プチン、と長谷川の中で何かが弾けた。

「……え、」
突如、お妙が跨っていた機械が上半身を起こした。
「ちょっ……え、……なんで……」
お妙があっけに取られる間もなく、機械(IN長谷川)はお妙の身体を狭い荷台の上で四つん這いにすると、
着物の裾をまくり上げ下着を下ろし白い尻をむき出しにさせ、後ろから押し入った。
「あ――あ゛、あ゛あ゛あッッッ!!!!」
お妙が嬌声を上げのけぞった。

――使用者のお好みを分析していい感じにヤってくれるらしいぜ
銀時の言葉がお妙の頭の中で繰り返される。
『こういう意味だったのね……確かに私はバックが大好き……すごいわちゃんと分かるのね……』
偶然である。
195マダオ×お妙:2009/05/20(水) 21:35:23 ID:VQp9HHYI
一方、プッツン(古)した長谷川はマダオモード全開だった。
「マ」ジになったら「ダ」ンディーでヤルときゃヤる「オ」レ、という意味らしい。
後ろからお妙を攻め立てた。久しぶりにハッスル(古)である。
「あぁッ、ひ、ぅんっ……んッ、いいっ……いいわ……すごい……ッ」
お妙は機械に後ろから攻められ、全身が性感帯になったかのような悦びに、自ら腰を振り、
いやらしく喘ぎ、己の胸を弄った。
(お妙ちゃんごめん……でも俺、止まらねえんだ……!!)
長谷川の心の叫びも虚しく、お妙は「ああんっ、イイっ!」などと喘ぎながら尻を押し付けていた。
(もう……もう限界だ……お妙ちゃん、ごめんついでに……――!!)
「はあぁん、イくぅぅっ、イっちゃうっっ!!」
お妙が叫んだのと殆ど同時に、長谷川も絶頂に達した。
お妙の中に、長谷川のマダオ……もうネタがないですいい加減……
だからマダオという名の精子ということでもういいやメンドクセ……が、びゅるびゅると放出された。

「おう、お妙。すまねえな」
銀時がパチンコの景品らしい駄菓子持参で志村家を再び訪れたのは、夕方のことだった。
機械は朝来た時と同じく、荷車に載せられ庭にあった。
朝と違っていたのは、機械がいやに綺麗になっていたことだ。
「あら、銀さん遅かったわね。ちょっとホコリ被ってたから拭いときました」
そして、銀時をそう言って出迎えたお妙の頬が赤かったことと、髪がやや乱れていたこと。
「はいこれ置き賃」銀時が差し出した駄菓子の入った袋を、お妙は素直に受け取った。
「あら、可愛いお菓子ばっかり。ありがとうございます」
それを見た銀時は、計画がうまくいったことを悟る。
いつものお妙なら、『なんで駄菓子ばっかりでハーゲンダッツがないんじゃぁぁぁぁぁ!!』もしくは
『お前置き賃っつっただろ? 賃っつったら普通は金のことだろうがチンチン売ってくるか?』となる筈なのだ。
「それじゃあちょっくらコイツ納品してくるわ」
荷車に手をかけた銀時に、お妙が「ねえ、」と声をかける。
「ん? どうしたお妙」
「あの、これ……お掃除用なのよね」
「ああ。それがどうかしたか」
「いえ、あの……うちのお庭の草むしりでもお願いしたいなって思って……レンタルとかしてないのかしらって」
躊躇いがちなお妙の言葉に、銀時は少し考える振りをし、もったいぶった挙句に言った。
「そうだなぁ。レンタルは確か……一日一万っつってたかなぁ」
「そ・そう……ありがとう、銀さん」
お妙は早速今週末にレンタルしようと決意し、機械の乗った荷車を引いて去っていく銀時を見送った。

荷車の機械の中では、お妙にあの後何度も搾り取られた長谷川が真っ白に燃え尽きていた。
(終わり)
**********************************

以上です
196名無しさん@ピンキー:2009/05/20(水) 22:14:56 ID:Lswa+ogU
>>192-195
GJ!すごい面白かった
時折入る小ネタもいい
何より妙がやらしくていい
197名無しさん@ピンキー:2009/05/20(水) 22:39:43 ID:CHzi+UrS
おもしろい。
普通の小説も読みたくなる位完成度たっけーな
198名無しさん@ピンキー:2009/05/20(水) 22:43:45 ID:LSh2th5L
GJ!
小ネタ挟みすぎwwwネタ切れってwww
個人的にチリバツと合併号がツボに入って抜く所じゃなかったわwww
199名無しさん@ピンキー:2009/05/20(水) 22:46:32 ID:bwN3y+RH
マダオwwwwwwwお前ってやつは!
200名無しさん@ピンキー:2009/05/21(木) 00:01:43 ID:ql6mHhUt
なんだろう、マダオが幸せだとなんかほのぼのするのは…

GJでした!!
201名無しさん@ピンキー:2009/05/21(木) 02:58:44 ID:1SPPoqos
ババ専マダオ
202名無しさん@ピンキー:2009/05/21(木) 14:17:31 ID:eg6s2xzN
山崎とさっちゃんがかくれんぼ大会で忍者っぽく天袋に隠れて、そこでムラムラした山崎がさっちゃんを犯す夢を見た。
山崎がミントンラケットをさっちゃんの中に突っ込んでいて、何やら妙にリアルだった。

ちなみに九ちゃんは天井裏に隠れていた。
203名無しさん@ピンキー:2009/05/21(木) 18:22:19 ID:SsbqGxpl
山崎が天井をうろうろ四つん這いで徘徊してたらさっちゃんのデカいケツとこんにちはしてムラムラしたんですね。


マダオ×妙GJ!
マダオいい職業貰ったなwww
204名無しさん@ピンキー:2009/05/21(木) 19:44:20 ID:xRdAJlDs
>>202
九ちゃんは…



「き・九ちゃん…どこに隠れてるのっ」
「妙ちゃんの着物の中だ」
とかもありか
205名無しさん@ピンキー:2009/05/21(木) 21:13:39 ID:BfXsUx5w
九妙のレズ読みたい
206名無しさん@ピンキー:2009/05/21(木) 21:39:20 ID:c/IhmenI
自分は神楽受けが読みたい
207名無しさん@ピンキー:2009/05/22(金) 01:21:21 ID:GSdyq1q3
前スレの教えて銀さんの作者さーん!!
5時間目はまだですかー!!
208名無しさん@ピンキー:2009/05/22(金) 08:28:02 ID:ERbLORrc
純愛エロな銀妙が読みたいな。
209名無しさん@ピンキー:2009/05/22(金) 10:58:27 ID:4nn+kQDs
>>207
多分今給食食ってんだろ。
210名無しさん@ピンキー:2009/05/22(金) 21:32:02 ID:h/NO10Bl
志村家で銀妙、天井裏でそれを見た近さち、近藤さん迎えに来た土・沖とお妙さんに会いに来た九ちゃん、ついでに新神…
なんかもうぐっちゃぐちゃになればいい
211名無しさん@ピンキー:2009/05/22(金) 21:51:28 ID:+eTfYZGc
神楽受けプリーズ
212名無しさん@ピンキー:2009/05/22(金) 23:34:55 ID:3fqPZ7rV
銀妙新神!!
213名無しさん@ピンキー:2009/05/22(金) 23:39:56 ID:h3FBPClG
しっとりした和なエロスの高妙希望!
214名無しさん@ピンキー:2009/05/23(土) 00:29:17 ID:1+eHPpgv
東九純愛希望
215名無しさん@ピンキー:2009/05/23(土) 08:50:44 ID:JUo8ed23
ラヴラヴ沖神が読みたい
216名無しさん@ピンキー:2009/05/23(土) 11:09:17 ID:yZk2V/90
>>209
オカズは花野アナですか、結野アナですか? 銀さん
217名無しさん@ピンキー:2009/05/23(土) 11:10:25 ID:T2p9LJFi
そりゃ結野アナでしょ
218名無しさん@ピンキー:2009/05/24(日) 10:56:16 ID:HLRns9dp
山崎は本性Sだよね
219名無しさん@ピンキー:2009/05/24(日) 14:43:49 ID:FCZHxFn4
眼鏡外したさっちゃんが山崎を銀さんだと思い込んで…
220名無しさん@ピンキー:2009/05/24(日) 18:05:29 ID:7I3wh9Q5
>>217
結野アナのケツの穴を…
221名無しさん@ピンキー:2009/05/24(日) 23:55:29 ID:82/h6Ixm
万→また→高がみたい。
222名無しさん@ピンキー:2009/05/25(月) 01:40:10 ID:DvAwwaZX
クレクレは スレを滅ぼす
223名無しさん@ピンキー:2009/05/25(月) 12:47:39 ID:LsprVHrs
>>219
眼鏡外せばさっちゃんは誰でもいけそうだww
224名無しさん@ピンキー:2009/05/25(月) 20:03:04 ID:vkDRbwxL
吉原篇の月詠が一番好きだ
225名無しさん@ピンキー:2009/05/25(月) 23:39:52 ID:o/kORn8r
高→妙→銀が再び読みたい。
226名無しさん@ピンキー:2009/05/26(火) 12:25:48 ID:1g7rExPw
>>225
矢印逆に向けてみても面白いかもしれない
銀さんの気持ちに気づきつつも悪い男に惹かれてしまうお妙さん
227名無しさん@ピンキー:2009/05/26(火) 12:29:41 ID:irilJ7WS
そういうの読んだ記憶が
高杉とエロス帰りのお妙さんを銀時がいつも迎えに来るっていうの
その流れの銀妙も読みたかったんだよな
228名無しさん@ピンキー:2009/05/26(火) 12:45:23 ID:1g7rExPw
>>227
エロス帰りにうどん吹いたw
なんか読みたいな、それ
229名無しさん@ピンキー:2009/05/26(火) 13:33:16 ID:+offXIps
エロス帰りwww
230名無しさん@ピンキー:2009/05/26(火) 20:58:40 ID:CSsDtfpu
職人さんいないんかなー
231名無しさん@ピンキー:2009/05/26(火) 23:06:33 ID:7pSSKQ8Y
高妙って2人のキャラのせいかもしれないけど
「エロ」じゃなくて「エロス」って雰囲気だよね。
禁断の秘め事っぽいことしてるってカンジ。
232名無しさん@ピンキー:2009/05/26(火) 23:26:56 ID:irilJ7WS
>>228-229
正直、銭湯帰りみたいになってすまんかった

>>231
いー感じだったんだよ。しっとりエロスでな
お妙さんの寝取り寝取られは実にいい
よろめきキャラがよく似合う
しょぼくれた銀時を放っておけずによろめいたりするわけだ

つーわけで
高→妙←銀とか土→妙←銀とか高←妙前提の銀妙とか土←妙前提の銀妙とか
祈願
233名無しさん@ピンキー:2009/05/27(水) 04:48:17 ID:/E9VfBO+
なぜその中に近藤さんが入らない!?
しっとりエロスにならないもんな、わかります
234名無しさん@ピンキー:2009/05/27(水) 07:38:05 ID:XHuFsM8D
銀→月←高が見たい
二本刺しとか激しいラブ系で
235名無しさん@ピンキー:2009/05/27(水) 08:08:03 ID:mGF4MYKx
>>232

銀時可哀想だなWW
236名無しさん@ピンキー:2009/05/27(水) 12:03:19 ID:k3zAh6+/
月詠でそーゆーの読みたいんだけど銀時の対抗馬が師匠しか思い当たらない悲しさ
237名無しさん@ピンキー:2009/05/27(水) 14:31:44 ID:XHuFsM8D
神威→神楽←高杉は?

もしくは銀時→神楽←トッシーのパパイヤプレイ二本刺しもいい
238名無しさん@ピンキー:2009/05/27(水) 18:33:58 ID:24/z/3lN
>>35さんの神威×神楽がみたいな〜キャラも原作に写実な感じですごくいい
239名無しさん@ピンキー:2009/05/27(水) 21:20:04 ID:SXh79T3C
近妙銀ってナシなの?
ギャグじゃなくて真面目に。
初期はお妙さんの取り合い(形だけ)
川原でしてたじゃん。
240名無しさん@ピンキー:2009/05/27(水) 21:23:55 ID:KGWA2rk8
近妙が読みたい。いや、マジで。
241名無しさん@ピンキー:2009/05/27(水) 21:24:56 ID:xT67aHKM
酔った勢いでの近妙銀とかなら浮かぶなぁ
242名無しさん@ピンキー:2009/05/27(水) 22:01:33 ID:k3zAh6+/
奇跡の近←妙←銀なら禿るわ
243名無しさん@ピンキー:2009/05/27(水) 22:27:14 ID:nsai/mJy
保管庫に銀妙土ならあったな。
銀さんと土方が「俺の方が気持ちよくさせた」「いーや、俺の方がすごい」
などと言いつつ、張り合いながらお妙さんと3P。
ガキみたいにケンカする2人の間で、満足そうにスヤスヤ眠るお妙さんが可愛かった。

244名無しさん@ピンキー:2009/05/27(水) 23:55:55 ID:Q4Kid6CL
保管庫にないんだが近妙の新婚物ってなかったっけ?
削除されてんのかな
お妙さんが怖がってて近藤が中々手が出せないみたいの
結婚して一年位できてなくて新八に怒られる感じの奴だったんだけど
245名無しさん@ピンキー:2009/05/28(木) 00:15:33 ID:D+jKx/Qu
>>244
それすげー見たい
保管庫の妙ものはだいたい読んだはずだが記憶にないわ
何スレ目くらいだろうか
分かる人居たらすんませんが教えてください
246名無しさん@ピンキー:2009/05/28(木) 17:34:31 ID:6/VrcEGC
何気なく保管庫の高妙を読んでみたんだがすごい良いな
高杉がお妙にマジ惚れするやつ
247名無しさん@ピンキー:2009/05/28(木) 17:45:05 ID:J8mMzirf
なんだこりゃ妙厨に占領されてんじゃねーか
神楽厨あやめ厨月詠厨もっと頑張れよ
248名無しさん@ピンキー:2009/05/28(木) 18:33:27 ID:T0jCpnZf
九ちゃんも忘れないで
249名無しさん@ピンキー:2009/05/28(木) 19:26:17 ID:QX0wVOuT
まあお妙さん好きで近妙好きなんて殆どいないよな
250名無しさん@ピンキー:2009/05/28(木) 19:34:59 ID:dvk6ExKC
自分妙好きの近妙無理派だな
和姦は駄目だけどレイポ物なら可
251名無しさん@ピンキー:2009/05/28(木) 19:36:12 ID:MUCYJvKP
神楽もお妙さんもさっちゃんも九ちゃんもお通ちゃんも読みたい。
メインの女の子達はみんな可愛いよ
252名無しさん@ピンキー:2009/05/28(木) 20:06:28 ID:xQhBp3xT
お妙さんは背徳的なエロスが似合う
九ちゃんは開発や調教が似合う
神楽はパンツの匂いかがれたり開けっぴろげなエロが似合う
さっちゃんはAV的なエロが似合う
お通ちゃんはMUTEKIの作品に出て欲しい
253名無しさん@ピンキー:2009/05/28(木) 20:30:53 ID:jLLRagIt
あれだけお妙さんを愛している近藤さんならきっとお妙さんを大事にしてくれる、任せられる的なお妙さんファンもいるんじゃないか?
お妙さんファンではないので断言は出来ないが。
254名無しさん@ピンキー:2009/05/28(木) 20:33:25 ID:0NYadNvr
自分妙好きの近妙派だよ
255名無しさん@ピンキー:2009/05/28(木) 20:38:37 ID:MUCYJvKP
やっぱり、作中でお妙さんが嫌がってるのが原因じゃないかな?あれは実はツンデレ(って言うの?)だ!と思える人じゃなきゃ厳しいのかも。
個人的には無理矢理系のほうが苦手かも。近藤さんの性格があれだからなぁ…。
256名無しさん@ピンキー:2009/05/28(木) 20:49:49 ID:q6k4wwpP
なんでもいいからエロ待ってる
257名無しさん@ピンキー:2009/05/28(木) 20:57:21 ID:MUCYJvKP
近妙
意外に積極的なお妙さんにびっくりな近藤さんとか読みたい。
でも実は耳年増なだけで経験無いんだけど頑張ってたお妙さん…とか。
258名無しさん@ピンキー:2009/05/28(木) 22:05:01 ID:PzTYroMn
で結局近妙新婚モノってここのじゃなかったの?
259名無しさん@ピンキー:2009/05/28(木) 23:16:33 ID:g9BZPR7l
近妙いいじゃん
新婚ものでもなんでもいいから待ってる

あと銀神と銀月も待ってる
260名無しさん@ピンキー:2009/05/28(木) 23:43:33 ID:0NYadNvr
妙厨お妙関連の話やり過ぎ。
これじゃ職人さんも投稿しにくいでしょ。
カプスレがあるので続きは向こうでやりなよ。
261名無しさん@ピンキー:2009/05/28(木) 23:55:12 ID:09rnZx3M
すぐ○厨とか言うのもなんだかなー
近妙エロはどうしてもキャラ崩壊になるから嫌って気持ちはわかるよ
お妙さんがやらせるわけないし、近藤さんが強姦するってのも有り得ないし
262名無しさん@ピンキー:2009/05/29(金) 00:26:29 ID:+bSrWugn
まあでもエロパロだからね。基本的には注意書きさえしてくれてればなんでもOKでしょ。
263名無しさん@ピンキー:2009/05/29(金) 15:53:24 ID:BecHSgHG
なんか呼ばれた気がするので強いて言えば神楽厨が小ネタを落としてみる。
28巻に載ってた4コマを見て自分の頭では下記のように処理。
会話だけ、エロなしっていうかエロくも無いただの卑猥な会話、銀神



とある夜更け、万事屋の銀時の寝室から、ピチャピチャという卑猥な音と共に、こんな会話が聞こえたそうな。

「ねぇ銀ちゃん、なんで同じの2つもついてるの?」
「そりゃ、金玉だからだろ」
「…金玉って、銀魂とどう違うアル?」
「んー金玉は男の大事なモンで、銀魂は銀さんしか持ってない大事なモンかな」
「じゃあこいつらは金玉で銀魂アルか」
「いやそうじゃなくて、金玉と銀魂は別のモンだよ」
「だから2つもついてるのカ」
「あー、もー。それでいいから、ちょっと真ん中しゃぶってくんない」




で、その数日後
---------------
汁粉と善哉
---------------

「で、結局、右と左どっちが金玉でどっちが銀魂アルか、どっちも似たように汚いから見分けがつかないヨ」
「ちょっ、ちょ神楽ちゃん!!!!真昼間に何言ってるの!!!」
「どっちかって言うと左のほうが銀ちゃん弱い気がするアルけど」
「おま、弱いとか言うな!デリケートって言って!!」


新八「おめーら何の話してんだぁァァァ!!!!」
264名無しさん@ピンキー:2009/05/29(金) 16:49:52 ID:ZmrriZHI
>>263
GJです!!
ワロタwwww
265名無しさん@ピンキー:2009/05/29(金) 17:04:33 ID:PLPXUJ68
あんなに可愛いロリヅラたんが立ちションするとか・・・ 
けしからん
266名無しさん@ピンキー:2009/05/29(金) 19:38:40 ID:DY5mREYG
金玉wwwwワロタぜGJ!
267名無しさん@ピンキー:2009/05/30(土) 01:23:29 ID:VGoK9rHm
>>244>>258
たぶんそれ個人サイト
幸で近妙検索して探せばあるよ
268名無しさん@ピンキー:2009/05/30(土) 20:06:15 ID:tLH9OuR3
個人サイトとかはメンドクセーのでいいや
その話だけ貼ってくんねーかな
269名無しさん@ピンキー:2009/05/30(土) 20:13:00 ID:smsdwU4J
何言ってんの馬鹿じゃないの
270名無しさん@ピンキー:2009/05/30(土) 22:20:03 ID:8vMIJBE4
同人サイトからの無断転載は禁止って次スレからテンプレに入れるか
って18禁板で今更だけどな


女の子キャラのオナニーが読みたいな
それぞれやり方が違ってたりするんだろう
271名無しさん@ピンキー:2009/05/30(土) 23:52:50 ID:eUqrcNzd
102です。前回も沢山のコメント有難う御座いました。続き書きましたので投下いたします。今回のみ東城視点です。
272東城×九兵衛:2009/05/30(土) 23:53:31 ID:eUqrcNzd
 東城が柳生家の屋敷に辿り着いたのは、次の日の昼過ぎのことだった。
それでも急いだ方だった。実家での事等何一つ解決していない。彼らの隙をついて、途中で捕まらぬよう逃げるようにここに来た。
後で叱られるだけではすまないだろうがどうでも良かった。そんなことより何よりも――九兵衛の言葉が気になった。
酷く冷たい声だった。
少し掠れた、静かな、しかし激しい怒りを湛えた――そんな声だった。
何をそんなに、彼女を怒らせてしまったのだろう。一昨日のメイドさんプレイがいけなかったのだろうか。何だかんだいって、あの
人だって結構楽しんでいた癖に……。……否、そんな次元の話ではない雰囲気だった。
どうにもこうにも、兎に角彼女の怒りを静めなければ。しかし原因がわからないのでは謝りようがない。それで彼女が納得するはず
もあるまい。
とはいえこうして、自室で静かに一人、一通り考えをめぐらせて見ても思い当たることがなかった。仕方ない、とりあえず彼女に会
おう。そして直接聞くしかない。思って東城が立ち上がった、その時。
「……帰ってくるなと言った筈だが」
いつの間にか開いていた部屋の障子の向こう側から、凛々しく美しい少女が静かにこちらに歩いてくるのに気づく。
「わ……か……」
震える声で、東城は少女の名を呼んだ。
それを気にも留めずにつかつかと、彼女は歩みを進めると、やがて東城の前でぴたりと立ち止まる。小柄な彼女は低い位置から、鳶
色の隻眼で彼を見上げた。
東城を睨み上げるそれは、酷く冷たい目だった。
彼女が冷めた目で東城を見るのは度々あることだった。だがそれは、これまで彼が目にしてきたものとは明らかに違う色をしていた。
それは、人間を見る目ではなかった。
まるで汚らわしい――けだものを見るような目だった。
――これが本当に、彼女の目なのだろうか。
一昨夜、臥所で蕩けるような熱っぽい視線を己に向けていた彼女と、同一とは思えない。
東城は九兵衛のその変化が、俄かに信じられなかった。
「随分と早かったな。……大方、貴様の家での揉め事など適当に放り出して来たのだろう」
「それ、は……若にあの様なことを言われれば……」
淡々とした口調で詰られたのはずばりその通りで、東城は気圧される。
「若。私の主は若ただお一人で御座います。若の為とあらば、親兄弟とても縁を切れる覚悟です」
「……そうか」
きっぱりと言い切ったその言葉にすら、帰ってくる声は酷く静かであっさりとしていた。いつもの彼女なら、そんな事を簡単に口に
するなと、己に小言の一つでも言うだろうに、まるで興味がないといった風情で受け流す。
「なあ、東城」
そして変わらぬ声色で続ける。
「僕はずっとお前を信じていた。何があろうと、お前だけは僕の側にいてくれると。お前だけは僕についてきてくれると。お前だけ
は僕の味方でいてくれると……。色々と困らされたこともあったが、その度にそれほどまでに僕を大事にしてくれているのだと思っ
ていた」
「……! も、勿論で御座います、若……」
心がざわめいた。
九兵衛の言っていることは事実だ。だが、彼女は何故今更、そんなことを言ってくる。
何故――全て過去形で、話を進める。
273名無しさん@ピンキー:2009/05/30(土) 23:54:34 ID:3NvBCu5f
銀妙小説まだかなー
274東城×九兵衛:2009/05/30(土) 23:57:23 ID:eUqrcNzd
「だからな、東城。俄かには信じられなかったぞ。まさか貴様が――」
ふと、九兵衛が懐に手を入れた。かと思うと次の瞬間、それは凄まじい速さで動く。
こん、と顔に何かがぶつかった。反射的に東城はそれを手に取る。
「こんな方法で、僕を裏切っていたとはな! 」
投げつけられたそれは果たして、くしゃくしゃに握り締められて潰れた、避妊具の入っている小箱であった。
そう――己の部屋に置いてあった筈の。
「……もう一度言う。二度と僕の前に姿を現せるな。とっととこの家から出て行け! 」
そこにおいて東城は、漸く全てを理解する。
彼女が如何して、こんなにも冷淡な眼差しを己に向けているのか。
彼女が何に対して、怒りを示していたのか。
「フ……成る程……クク……」
それを知って尚、しかし東城は動揺のあまりに取り乱したりはしなかった。
「アッハハハハハハ! 」
ただ自然――笑みが零れていた。室内に男の高らかな哄笑が響く。
「……何がおかしい……」
気が触れたか、とでも言いたげな九兵衛を見ていると、口の端があがるのを抑えられなかった。
「いえねえ……ただ少し、残念だと思ったのですよ。もう暫く、甘い夢が見られると思っていたものですから……」
気づくのが意外と早かった、というのがまず東城の抱いた感想だった。それというのも、あの不測の事態が原因だ。昨日の朝、慌し
くこの部屋から己が出て行った後、まだここに残っていた彼女が発見したのだろうか。いつもなら彼女が目覚める前に片付けていた
あの小物入れを、昨日に限って隠しておかなかったのが拙かった。彼女は己の部屋のものになど興味はないだろうと、高を括ってい
たせいもあるかもしれない。
だが――それは東城にとって、それ以上の問題ではなかった。気づかなければ彼女は少し不幸にならずに済んだ、その程度の違いで
しかない。
「それにもう暫く、若にもこの私を完全に支配しているのだと、愚かな思い上がりをしていただけると思っていたので……」
「……ッ! 」
その言葉に、九兵衛は明らかに反応し、より深く眉間に皺を寄せた。美しい顔に嫌悪の情が浮かぶ。
「……戯言を……」
「ねえ若。それで貴女は、どうしてここに来たのです? 私にお別れを告げる為ですか? 」
「……何を言っている!? 貴様、僕の話を聞いていなかったのか!? 三度目は言わん! 早く僕の前から――」
「消えませんよ」
九兵衛の言葉の途中で、しかし東城はそれを遮った。
「何――」
「貴女はまだ思い違いをしていらっしゃる。貴女が真実に気づいたから、それが何だと仰るのです。それで何かが変わるとでも? 」
「……どういう意味だ。何も変わらぬとでも言うのか!? 」
九兵衛は声を荒げる。先ほどまでとは完全に立場が入れ替わっていた。彼女の怒りの原因を把握した東城はもう、焦ることなどなか
った。
「そんな風に凄んでみても、貴女は所詮、何もわかっていらっしゃらないお嬢様なのですねえ。真実に気づいて尚、まだこの私を支
配できると思っていらっしゃる。……否、ある意味ではそれは間違いではないでしょう。確かに私を支配しているのは間違いなく貴
女です。しかしそれは、貴女という存在なのであって貴女の意思ではない」
そっ、と東城は九兵衛の両の手を、相手に警戒させぬようあくまでも優しく取った。びくん、と、彼女の身体が震える。
「……何が言いたい……」
「若にここまでしてきた私が、今更貴女に睨まれ罵倒されたからといって、はいそうですかと引き下がると、本気で思ってらっしゃ
ったのですか? 」
そんな言葉を告げながらも、東城は決して、普段の温厚そうな表情を崩しはしなかった。
「無防備な姿で自ら近づいてきた美味しそうな赤頭巾を、狼が食さぬとお思いですか」
「……ッ!? 」
続けた言葉に、愈々九兵衛の身体に緊張が走って強張った。だが彼女が行動に出る前に、東城は掴んだ手を素早く後ろ手に回すと、
既に解いていた己の腰帯で両手を縛り上げた。
「……なっ!? 」
突然の東城のその行動に、当然九兵衛はうろたえた。だが彼女は男に、それも今の今まで裏切られたと憎しみを抱いていた相手にこ
んな事をされて、恐怖で動けなくなって何も出来なくなるような女ではない。
「……のッ! 」
自由を奪われた腕の代わりにと、九兵衛は足を振り上げる。
275東城×九兵衛:2009/05/30(土) 23:59:04 ID:eUqrcNzd
「あッ!? 」
しかしそんなことは、東城にとって予想通りのことだった。彼女の蹴りをあっさりとかわすと、脇で脚を止める。九兵衛がそれでバ
ランスを失うのを見計らって、東城は畳の上に彼女の身体を組み敷き、今度こそ彼女の動きを封じる。
彼女がいかに優れた剣客であろうと、所詮小柄で華奢な少女の身。これだけの体格差のある男の己を相手に力で敵うはずもなかった。
だから初めに手の動きを封じたのだ。彼女が剣を抜けぬように。
「……何の真似だ!? 貴様、早くこれを解けッ!! 」
東城の下で九兵衛が、彼を睨みあげていた。長身の身体に覆い被されて、彼女の顔に暗い影が落ちている。
「何の真似? おやおや、この状況で私が若に何をしようとしているかまだ分かりませんか? 生娘じゃあるまいし……それだから
貴女はいつまでも、無知で愚かなお嬢様なんですよ」
「な……に……」
九兵衛の語気が弱くなる。そんな彼女を、東城は舐めるように見回した。憎悪に寄せられていた細い眉が、驚愕に緩められていく。
赤く色づいた薄い唇からは荒い息が漏れた。後ろで一つに束ねられた長く艶やかな黒髪は、乱れて畳の上に広がっている。白い肌を、
一筋の汗が伝うのが見えた。濃紺の着物の衿元には、薄い鎖骨が浮かび上がっている。
そんな彼女が、今組み敷く己の下に存在してその、涼しげな印象を与える美しい鳶色の隻眼でこちらを見上げてくる。彼女と身体の
関係を持つずっと以前から、何度も頭の中で思い描いていたその光景は、想像よりも数十倍扇情的だった。
「ま……さか、お前……」
己の言葉と、視線の意味を漸く理解したのか、九兵衛は一度大きく見開いた瞳に、次の瞬間力を籠めて再び睨む。
「……下種がッ! 」
澄んだ低い声が、東城を罵った。
「正気か!? 貴様……この僕にこんなことをして、ただですむとでも思っているのか!? 」
「今更どうなると仰るのです」
主人の威圧的な言葉に、しかし東城は微塵も怯まなかった。
「初めに若が言ったように、私をこの家から追い出しでもしますか? まだ当主でもない貴女一人の力で、この私にそんなことが出
来る権限があるとでも?
 それとも、誰かに告げますか? 若の方から訪れた私の部屋で、私に無理やり犯された、とでも。――誰が信じるというのです?
 そんなことを。私と若の関係は周知の事実でしょうに。
 私が避妊する振りをして貴女に中出しし続けていたとでも暴露しますか? それとて私との関係は、妊娠しては困るものだったと
言いふらすようなものですよ。男女愛などない間柄だというのに、一門の皆を欺くために、若がご自身の立場を利用して私に肉体関
係を迫ったと――」
「……黙れッ!! 」
吼えるように叫んだ九兵衛の、隻眼は涙で潤んでいた。もう彼女にはこの状況を打破する手立てなどない。だからこそ――己はこん
な手段に出ているのだ。
ここまで彼女を追い込んだのは彼女自身の行動の結果に他ならない。人喰い狼に美味しそうな身体で近づいて、この森の奥にはもっ
と餌があるのだとまで親切に教えてくれた赤頭巾に、全く非がなかったとどうして言えようか。無知がどれ程残酷な罪か彼女は知ら
ぬのだろうか。己の中の獣を引き摺り起こしてしまったそれが――。
「この鬼畜生が! 何処まで貴様は外道なんだ!? そこまでして僕に貴様の子を孕ませたいか!? 貴様には、倫理観がないのか!? 」
「これはまたおかしなことを仰る……そんなものが何になると言うのです」
己の際限ない欲望は、そんなものをとうに打ち砕く域に達していた。人としての良心も道徳も、他人の目も遵法精神も、彼女を手に
入れたいという際限のない想いの前には何の抑止力にもならなかった。
それでも今まで己が過ちを犯さぬよう思いとどまらせていたのは、ひとえに彼女を絶対に傷つけたくないという愛護の情だけだった。
「こんなことが出来るなど……貴様は人ではない、悪魔だ!! 」
「フ……悪魔、ですか。しかし若、私を悪魔に変えてしまったのは、他でもない貴女なのですよ? 」
「な……に……? 」
「あの雛祭りの前夜。若があんなことを頼んできさえしなければ、若の仰るように私は、一生貴女を大事に出来たでしょうに……」
そう――全てが狂い始めたのは、運命のあの日。
276東城×九兵衛:2009/05/31(日) 00:01:51 ID:eUqrcNzd
「だから私は始めに警告したでしょう。……きっと後悔なさる、と……」
あの時自分は、彼女を守りたいと思う一方で、恐ろしい程素早く、彼女を手に入れる算段を頭の中で計算していた。
「な……ん、だと……? 」
信じられない、という表情で九兵衛は見上げた。だがそれは、直ぐに怒りへと変わる。
「……ふざけるな! 貴様が外道に堕ちたのが、僕のせいだとでも言うのか!? 」
「お怒りはごもっともです。しかし事実なんですよ」
あの夜彼女をずっと大事にしたいという愛情も、彼女に尽くし続けたいという忠誠心も、ついに己の中をずっと渦巻いていたおぞま
しい欲望が屈服させてしまった。
彼女を手に入れたい。何としても。守りたかった筈の彼女の心も身体も、十数年かけて築きあげてきた信頼も、他の何を犠牲にして
も――その為なら、悪魔にでも魂を売れた。
「ああ、それにしても若……今日は本当にどうされたのです? こんな無防備なお姿で……本当に、私に食べられにでも来たのでは
ないですか? 」
九兵衛とそんなやりとりをしている間にも、東城の手は迅速に動いていた。帯を解き、柄一つ無い男物の濃紺の着物を肌蹴させると、
彼女の胸が露わになった。仰向けに寝かされているにも関わらず、確かな質量をもった張りのある若い少女の双丘は、潰されも
せず盛り上がっている。
「いつもあんなにきつく巻いてらしたさらしもせずに……。そんなことも忘れてしまわれる程、昨日は疲れてらしたのですか? 」
「……っ! 」
東城の指摘に、九兵衛は顔を真っ赤にして逸らした。噛み締めた唇が、赤くなっていく。その反応に苦々しい想いを覚え、可憐なそ
れに貪りつきたくなった。全てを奪ってしまいたかった。
「……んぐッ!? 」
九兵衛の小さな顎を掴むと、口を無理やり開かせては強い力で固定する。そうしなければ気丈な彼女のこと、ちらちらと覗くその白
い歯で己の舌を噛み切られよう。そんな抵抗手段も奪った上で、東城は己の唇を彼女の薄くも柔らかいそれに重ねた。
「……っふ……ぅ……!! 」
強引に押し入れたものを、いつもは己に翻弄されながらも懸命に後を追うように絡めてくる彼女の舌は、しかし何とか押し返そうと
動いていた。だがそれすらも、東城を煽りこそすれ何の抵抗の意味を成しはしない。
もう何度目になるか知れない、彼女との口付け。今まで以上に東城は、執拗に九兵衛の口腔内を舐った。彼女の唾液を吸い上げては
飲み干す。いつもの彼女の味だった。己のそれより若干粘度が低めの、生温いそれを、じっくりと味わう。他人のそれなど汚らわし
いと思っていたのに、彼女のものだと思うと、極上の蜂蜜よりも甘美な味がした。何時だか東城は九兵衛に言った。接吻は余り経験
がないと。疑いの眼差しを向けた彼女よりは無論慣れていようが、しかしそれは事実だった。それは病気でも貰ったら面倒だと思っ
たからというのもあったが、何処かで線を引いていたのかもしれない。それが己が彼女達を愛していない証拠だと――。
だがいかに愛する人に捧げる行為であっても、こんな風に無理やり奪うものなら、それは暴力となんら変わりなかった。
「…っ……う……」
すぐ近くで鼻が鳴る音が聞こえて、ふと薄目を開くと、鳶色の瞳が涙に潤んでいるのが見えた。それに気づいて漸く唇を離すと、ぽ
たぽたと、目尻から雫が流れ落ちる。
いつも彼女は、己との接吻に目元を赤くし、瞳を潤ませて酔いしれてくれていたが、そんな快楽からくるものとは、明らかに違う涙
だった。
「……本当に泣き虫なお人ですね、貴女は……」
困ったように漏れ出た声は、自分でも驚くほど優しい色をしていた。彼女がそんな目をするからいけないと、東城は思う。昔から彼
女は泣いてばかりだった。今も尚、その本質がそう簡単に変わったとは思えない。それなのに如何して、普段あんなにも強がってい
られるのだろうか。
「……ぅ…して……」
唇を解放された九兵衛が、ひどく弱弱しい、震える声で呟く。
「ど……うしてだ……東城……どうして……」
「……っ! 」
――どうして、僕にこんなことを。
声以上に、東城を見上げる潤んだ隻眼が、九兵衛の意思を東城の胸に訴えた。睨まれるよりも一層、己の心を乱す彼女の無自覚な反
撃。
「あ……んなに、僕を……大事にしてくれたじゃないか……どうして……こんな……」
「どうして、ですか……。……言ったところで、若にはわからないでしょうな……」
――貴女を愛しているから。
心から愛しているから、これまで貴女のためなら何でも出来たけれど。
矢張り心から愛しているからこそ、貴女にここまで非道なことが出来る。
277東城×九兵衛:2009/05/31(日) 00:02:57 ID:mV8X9KH+
それは彼女には、到底理解できぬ理屈だろう。そんなものは愛ではないと、決して受け入れはしまい。御伽噺の世界のような、穢れ
など一切無い尊い愛に憧れるままの少女には。
彼女は知るまい。相手に身も心も捧げて尽くしたい、そう思う一方で、相手にも同じことを求める心が、相手の全てを手に入れたい、
己だけのものにしてしまいたい、そんな風に思う側面が愛にはあるということを。彼女は知るまい。魅力溢れるお姫様を愛するよ
うになるのは、彼女が選んだ、いつも彼女を守ってくれるばかりの素敵な王子様だけとは限らないと。決して彼女は振り向かぬと知
りながら、愚かしい妄執にとらわれてしまう男もいるのだと。
……そう、彼女の心など己には決して手に入らないと知っている。彼女を想い続けてから十年余り、長きに渡って何度も思い知らさ
れてきた事実。……だから。だからせめて。
「若……」
「……あッ!? 」
ぐっ、と、それまで組み敷いて体重をかけていた彼女の身体を抱えると、膝を立てさせてうつ伏せに寝かせ、彼女が抵抗する前に再
び、動けないように押さえ込んだ。
頭の中でシミュレーションしていたのよりもずっと、それは酷くあっさりと実現できた行為だった。驚くほどに、小柄な彼女の身体
は軽く簡単にあしらえた。こんな身体で如何して彼女は、あれ程までの剣の腕前を身に着けられたのか。こんな身体で如何して、今
までの苦行に耐えてこれたのか……。
あのまま彼女の顔など見ていたら、到底外道になど堕ちれぬと思った。十数年彼女を誰よりも護りたいと、大切にしたいと思ってき
た己の心が、再びそれを邪魔してしまいそうだった。今更止めたところでもう、引き返せる道などありはしないというのに。このま
ま堕ちるところまで堕ちることしか、もう己には出来ぬというのに。
「ひあァッ!? 」
東城は九兵衛の衣服に手をかけると、一思いにそれを引き剥がした。膝辺りまで下ろされて下着も剥がされて、九兵衛の下半身が曝
け出される。
「は……ぁっ! 」
そして後ろから脚を開かせると、張りあがった白く丸い尻の間の、可愛らしい菊門やそれに続く、髪と同じ黒々とした陰毛に覆われ
た性器までもがあらわになった。気位の高い彼女には到底耐え難いであろうその痴態。男の欲望を煽るために存在しているのではな
いかと思うほど扇情的な光景に、東城はごくり、と唾を飲む。
――忘れたかった。
最早己を苦しめるものでしかない、彼女を傷つけたくないと思う高次的な欲求を、もっと原始的な欲望に溺れることで。
「……ひッ!? 」
背後から膣にあてがったそれが何か流石にわかったのだろうか、九兵衛の身体がびくん、と跳ね上がって強張る。焦がれ続けていた
彼女の淫らな姿に、己のそれはとうに勃ちきっていた。
「や……止めろ……」
己に命を下す彼女の低めのその声は、恐怖にか震えていた。そこから余裕のなさが伺える。
「止めてくれ、後生だ……東城、こんなのは……」
この人の望みなら何でも叶えて差し上げたい、そう強く思った少女の懇願する声も、もう東城を思いとどめはしなかった。
「ぅあぁぁぁぁぁぁぁぁぁーッ!! 」
九兵衛の言葉を無視し、東城は既に猛っていた己の逸物で、容赦なく一気に最奥まで彼女を貫く。
まだ濡れてもいないそこをむき出しの肉茎で押し広げ、きついその場所に逸る気持ちのまま無理に侵入するその度に、敏感な皮膚が
擦れて痛みを覚えたが、この質量を受け入れている彼女の苦痛はその比ではないだろう。
「あ……ぐッ……。……嫌だ……! 」
そのまま東城は、強引に腰を動かし、九兵衛の身体に熱い楔を打ち続けた。
「い……ゃだ、東城……こんなの……はッ……! 」
彼女の意思も自尊心も、何もかもをただ力によってねじ伏せた行為の前に、九兵衛はただひたすら、嫌だ、と繰り返す。それをかき
消すように、東城は乱暴に肉茎を捻じ込んだ。
「おやおや……」
激しい摩擦を引き起こすその運動に、やがて彼女の身体は異物から自身を護るべく、粘液を染み出させる。
「お嫌と仰ってる割に……濡れてきているではありませんか」
「……ッ!! 」
それを思い知らせるべく、東城はわざと、大きな水音が立つように動く。ずぷずぷと、卑猥な音が部屋に響いた。
「本当は、気持ち良いのではありませんか……? 若……? 」
「……そっ、そんな、は……ずが……あッ!!」
「嘘はいけませんよ」
278東城×九兵衛:2009/05/31(日) 00:05:16 ID:mV8X9KH+
段々に上手く紡げなくなってくる彼女の言葉の途中で、東城はそれを否定した。
「いつも貴女は、床ではあんなにも素直だったではありませんか……っ。気持ちが良いと、如何にかなってしまいそうだと。私を離
したくないと、仰っていたではありませんか……っ」
「そ……っ、それは……」
「ねえ、聞かせてくださいよ。今どんなご気分か……っ。今度は聞き逃したくないんです……っよ」
囁く東城の脳裏に、一昨夜のことが思い出された。
自ら東城の分身に身体を沈め、快楽に酔いしれながら腰を振り続けた彼女が、最中に己に訴えた言葉。
聞く限り無意味な言葉の羅列のようだったそれは、しかしとてもそうは思えなかった。東城の上に跨る形でも彼に身長の届かぬ彼女
が、切なげな視線で己を見上げながら紡いだそれらの言葉で、彼女は何か、彼女にとってとても大事なことを己に伝えようとしてい
るように見えた。
それは錯覚だったのかもしれない。あの時は己とて彼女の体に溺れていて、まともな判断力などなかった。だから感極まって思わず
呟きそうになってしまった。
――お慕いしております、と。ずっと昔から。今も変わらず。
張り裂けそうな程の胸のうちは、告げてしまえば最後だと思っていた。同情で関係を続けられる程器用な人ではない。きっと己に気
遣って距離をとってしまうだろう。けれどそんなことは耐えられない。ずっと、ずっと側にいたかった。
……否、最早関係のないことだ。
「……ゃ、だ……ッ! 」
そんな東城の期待に反して、九兵衛は先ほどと同じことをただ繰り返す。
「こんな……のぉっ! い、ゃだッ……! やだよぉっ……! 」
「……いけませんね、若……ッ! もっとご自身に素直にならないとッ……! 」
「ふぁぁぁっ! 」
東城は彼女の細い腰を掴んでいた手をすっ、とずらし、肌蹴ていた衿口にそれを差し入れると、彼女の乳房を鷲掴みにした。
「ほら……こんなに、濡れてらっしゃるじゃないですかッ……! 私のものにぴったりと吸い付いて、離すまいと締め上げていらっ
しゃるじゃないですかッ……! 」
言いながら東城は、その先端を探りあてると、執拗にそこを擦り、こねくり回して刺激する。
「ひゃうんッ! 」
それに反応して、九兵衛の口から甘い声が漏れた。
「ふ……ふふっ、びくんっ、となりましたよ? ねえ若、気持ち良いんでしょう……っ? 私に背後から犯されて、感じてらっしゃ
るんでしょうっ……? 乱暴に胸を揉まれて、悦んでらっしゃるのでしょうっ……? 」
「やぁぁぁっ! ち、ちがぁッ!? 」
「何が違うと仰るのですッ!? ……分かってますよ若、ここが気持ち良いんでしょうッ? 」
「はぁぁぁんッ! 」
愛液で溢れかえった九兵衛の膣内の、彼女の弱いところを東城は集中的に擦った。何度も重ねた情交の中で知ったそこを刺激すると、
九兵衛の中は益々びくびくと脈打って、東城の陰茎を締めあげた。生き物のように蠢くそれが、東城の全てを絞り上げるように、
彼を更なる快楽へと導いていく。
「やぁぁぁぁッ! やだぁぁぁぁぁぁっ!! 」
掠れた声が耳に届いた。――泣いているかのような。
「嫌、ではないでしょうっ……!? 若、もっとして欲しいのでしょう……ッ!? もっと……この私が欲しいのでしょう!?」
「いやぁ、やめてぇぇぇッ!! 」
これ程東城の身体を刺激していながら、しかし九兵衛の口からそれを肯定する言葉は決して出てこなかった。
――本当は分かっている。
それらは彼女の意思とは無関係な、生理的な反応でしかないことくらい。彼女自身はその言葉通り、本当は己を拒んでいることくら
い。大嫌いだ、顔も見たくない。早く僕の前から失せろ――こんな形で彼女を抱く前に示した態度が、彼女の己に対する全てである
ことくらい。自ら選んだ相手でなくとも、そこに愛などなくとも、女の身体は男を受け入れられるように出来ている。それでなけれ
ば売春婦という職業は成立しない。
それでも、そんな風に彼女を責め続けなければ、気が狂いそうだった。否、とうに己は狂っている。正気であればこんなことが出来
るはずがない。ずっと愛していた人を乱暴に捻じ伏せて、生物としての本能の前に、気高い彼女の意思を屈服させるなど――。
279東城×九兵衛:2009/05/31(日) 00:06:55 ID:eUqrcNzd
だがもう、他に道はなかった。例えそれが畜生以下の道でも。己の金銭欲しさに夜の女達は、その妖艶な肢体と巧みな言葉で何人も
己を誘惑してくれたが、しかし彼女達に溺れられたことは一度もなかった。そして彼女と結ばれてみて思い知った。自分は彼女でな
ければ駄目なのだ、と――。己は彼女を到底幸せには出来ない。だが己は彼女でなければ満たされない。――遅かれ早かれ、いずれ
こうなっていたのかも知れない。己が折れれば良い話と、これまでのように自身に言い聞かせるには彼女を知りすぎた。その色香に、
骨の髄まで支配されてしまった。
「……ぅじょうっ……とうじょおっ……!! 」
「……っ! 」
その時、彼女が不意に叫んだ己の名に、一瞬、東城の心臓がどくん、と大きく脈打った。
――東城。
――東城。
これまで生きてきた記憶の中で、彼女が己の名を呼んだ光景が幾つも思い出される。或いは泣きながら。或いは嬉しそうに。或いは
呆れるように。そして或いは――切なげに。無限とも思える膨大な記録が、東城の頭の中に甦る。
「ふっ……ぅあぁっ……」
鼻にかかったような声が聞こえた。やはり彼女は泣いているようだった。
――何をしている。
彼女を泣かせているのは誰だ。己の何よりも大切な主人を。小さな身体が震えるのを懸命に抑えながら、過酷な運命に立ち向かって
きたこの気高く凛々しく、美しい人を――。
「……ぁあッ!? 」
不意にこみあげてきたその思いを振り払うように。東城はより激しく、自身の身体を九兵衛に打ち続けた。肉同士がぶつかりあう乾
いた音と、繋がった部分が擦れる濡れた音とが部屋に響き渡る。
――何を、考えている。
何故己が苦しむのだ。こんな風に彼女を蹂躙して犯している己が――……。
「ひぅ……ぅッ! 」
その時ふと目に入った、高く結い上げた髪の下に続く白く細い項に、それらを忘れるように荒々しく吸い付く。
そうして行為に没頭しているうちに、東城は己が益々昂っていくのを感じた。
「……ねえ、若……っ、ご存知ですか……っ? 」
近づいた彼女の、小さな白い耳の側で囁く。
「夫婦同士が望んで子作りに励むよりも……ふ……ぅっ、無理やりされた方が子供は出来やすいそう、ですよ……」
「……っ! 」
東城の言葉に、九兵衛は凍りつく。絶望を覚えたのだろうか。
「……ろっ……」
震える声で九兵衛は訴えた。
「止めろッ……! とぅじょぅッッ……! や……めてくれぇッ……!! 」
「……ふ、ふふ……」
その悲痛な叫びをかき消すように、東城はもっと、もっと奥へと、己自身を九兵衛にあてがう。
「ああ、若……私の子供、孕んでくださいねッ……!! 」
「いやだッッ……! 嫌だァ――ッ!! 」
最後まで己を拒絶した九兵衛の言葉を無視し、東城は先端を子宮口までおし進めると、
「若……ッ! ああ、わかぁっ……!! 」
愛しげにその名を呼びながら、彼女の最奥で己の全てを解き放った。



280東城×九兵衛:2009/05/31(日) 00:08:38 ID:mV8X9KH+
それから実に数時間。東城は九兵衛を犯し続けた。
与えられ続ける快楽の前に、ついには九兵衛はこれまで教えられてきた様に自ら腰を振り、それでも決して東城に折れるような言葉
は口にしなかった。最早抵抗する気力がないのだろう。磨きぬかれた宝石の如く輝いていた筈の瞳は、酷く虚ろで淀んでいた。生物
としての本能のままに、憎いであろう筈の男の子を宿す為に艶かしく動く。その様は限りなく哀れだった。本当にこれが己の望みだ
ったのだろうかと、ここまで追い詰めておきながら、今更そんな後悔の念に囚われそうになる程に。
「……ろせ……」
枯れかけた声で九兵衛は呟く。
「いっそ……殺してくれ……こんな思いをするくらいなら……」
「……ご冗談を」
九兵衛の言葉を残酷に笑い飛ばしてみせる東城は、しかしそんな考えを抱いたこともあったな、と思い出す。
彼女を己の手で殺せば、永遠に手に入る、と、そんな愚かなことを思ったことも――。だが己が愛しているのは、死んで永久の思い
出になる彼女ではない。今目の前で生きている彼女なのだ。不器用にでも美しく、こんなにも生の匂いを発して生きている彼女なのだ。
しかし今の彼女は、本当に自分が手に入れたいと願い続けてきた姿、なのだろうか。
「ねえ若? そんなことを考えるより、もっと楽しいことを考えましょう。もっと楽しいことを沢山して……子供を沢山作りましょ
うね。男の子が良いですか、女の子が良いですか? 若のお子ならきっと飛び切り可愛らしいんでしょうねえ……そうだ、子供が産
まれたら、名前は何にしましょう。それ位は若が決めて良いですよ」
心の内に浮かぶ迷いを隠すように、東城は酷薄に告げる。相手を選ぶ自由を、性行為をするか否かを決める自由を、出産の自由すら
も奪ってしまった今、そんな権利を彼女に与えても、何の慰めにもならないけれど。
「……うして……こんなことをする……」
「またそのご質問ですか……いいでしょう。教えて差し上げます」
狂気に満ちた己の言葉に肩を震わせながら、再び投げかけられた問いに東城は、力なく座り込み壁にもたれかかっている九兵衛の前
に跪くと、耳元で囁く。
「若……貴女を愛しているから……」
「……っ! 」
その言葉を聞くと、泣き続けたためか、赤く腫れ上がった隻眼が東城を睨みあげた。それでも尚美しい、強い意志の宿る瞳。一瞬東
城が愛した九兵衛の姿が甦る。彼への深い憎悪が、彼女を現実へと引き戻したのだろう。……それでいい。もっと己を憎めばいい。
「この期に及んで……まだそんな戯言をっ……」
言って悔しそうに震える唇を噛む。
「女なら……抱かせてくれる女なら、誰でも良い癖に……っ」
「……は! 」
この人は何を恨めしそうに言っている。見当違いもいいところだ。誰でもよければ、それこそこんなことにはならなかっただろうに。
彼女の命令にも気軽に応じ、後腐れなくひと時の関係を楽しみ、頃合いを見計らって適当に別れ、再び今までの日常に戻れただろう。
長い年月をかけて築き上げた固い信頼で結ばれた、主人と従者、それ以上でもそれ以下でもない関係に。
「これまでなら弁明も致しましょう。しかし、若のような節操のない男好きに言われる筋合いは御座いませんな」
「……何? 」
ピクン、と、美しい曲線を描く細い眉が持ち上がる。
「如何いう意味だ」
「とぼけないでくだされ」
身に覚えがない、とでも言わんばかりに睨む彼女に、東城は冷たく言い放った。
「昨日の晩、お部屋に電話しても全然出なかったじゃないですか。一時間以上携帯電話にかけ続けても、気づいてくださらなくて…
…何処で何をしてらっしゃったのです、あんな時間に」
「……な、にを、言って……」
「私とあんなに激しくまぐわったそのすぐ翌晩に、よくもまあ……知りませんでしたよ。普段あんなに凛々しく澄ましていらっしゃ
る貴女が、そんな色狂いだったとは……ねぇ」
「……っ! 」
言いながら東城は、九兵衛の膣口に硬いプラスチックで出来た楕円形の物体を押し込んだ。何度も男の逸物を受け入れて、すっかり
柔らかくなったそこは、あっさりとそれを飲み込む。
「……言ってごらんなさい。昨日は誰に、可愛がって貰ったのですか。誰のものをここに、銜え込んだんですか」
「あぅぅっ……! 」
さらに奥へとそれを押し込むと、九兵衛は身体を仰け反らせた。
「……て、ない……そんなこと、してないッ……! きのうはずっとここにい……って……! 」
281東城×九兵衛:2009/05/31(日) 00:12:53 ID:mV8X9KH+
「またそんな見え透いた嘘を……! 私のいないこの部屋に、貴女が何の用があったというのです!? ……ああ、それとも貴女は、
この部屋に他の男を招きいれたんですか! 随分と大胆なことをなさいますね。興奮するのですか? そういうの。一昨日私が着
せて差し上げた服でもお召しになったんですかねえ? あんなに悦んでらしたものね。一体貴女は何人の男に仕えるメイドさんなんですか? 」
「ひぁぁぁぁぁっ! 」
九兵衛を詰りながら、東城は手元の機械の電源を入れた。それから伸びるコードの先にある、九兵衛の膣内に挿入された先端が小刻
みに震えだし、その振動が堪らぬのか九兵衛は高く擦れた声をあげる。
「ねえ、その男はどんな風に若を抱いたんです? 私よりも良かったですか? ……仰ってくださいよ。何でも同じことをして差し
上げますよ」
「ふ……ぅっ! ……し、してなひっ……! そ、そんなこと……っ! お前以外と……は、本当に……っ! 」
片方だけの瞳をぎゅっと瞑って、九兵衛は東城の言葉を必死に否定した。
「嘘はいけませんね……現に今だって、こんな機械で感じていらっしゃるじゃないですか。びくびくと痙攣して、はしたなくいやら
しい蜜を零していらっしゃるじゃないですか! ……正直に仰ったら如何です? したくて堪らなかったのでしょう? たった一日
すら我慢できなかったのでしょう!? 」
「あぅ……ぅ、し、してない……ほんとに、……なにも……してないんだっ! 」
「強情な方ですね……いい加減白状したら如何なんです。一体誰と寝たんですか。南戸ですか? それとも北大路? 案外西野ですか?
 それとも、門下生でない男を夜に呼び寄せたんですか? 最近は殿方のご友人も多く出来ましたものね……またあの万事屋の
男ですか? それとも新八殿? 大事なご親友の弟君によくもまあ……或いは桂殿あたりですか? 中々美青年ですものね。若も、
どうせ抱かれるのならああいう男が良いと……それとも長谷川殿の方ですか? 貴女の倍は年がいってそうですが、案外……」
「……て、ない……っ! しんじ……てっ! 」
「まだそんなことを! 」
「ひゃうぅぅぅっ! 」
尚も頑として首を横に振る九兵衛の姿に、苛立った東城は手元のスイッチを弄って、出力を上げた。彼女の小さな身体が弓なりにしなる。
「ほんと……だっ、ぼくは……おまぇだけだっ……とぅじょうっ……! 」
「………っ! 」
潤んだ瞳で訴えられ、東城は思わず電源を切った。
「……あ、はぁ……はぁっ……」
その振動から開放され、九兵衛は荒々しく息をつく。
――彼女の言葉を、信じようと思った。
彼女が他の男と関係を持っていたとして、ここまで頑なにそれを否定する理由がない。元々柳生家を治めるという目的のための手段
に過ぎぬ関係だったのだ。彼女が他の男に手を出したとて、如何してそれを隠さねばならぬ理由があるのだ。もっと堂々としていれ
ばいい筈だ。
それになにより、己の知る限り彼女は、そこまで嘘を突き通せる人間ではない。
だが、それでは疑問が残る。
彼女が言っていることが本当ならば、彼女は主のいない筈の部屋を夜中訪れて、何をしていたのだ?
何度電話しても出れぬほどの、翌日サラシを巻くのを忘れてしまうほどの、何を――。
――僕は、お前だけだ。東城……。
不意に、先ほど九兵衛が口にした言葉が反芻された。お前だけ……何と心地良い響きだろうか。
それに伴って、一昨夜もまた己をそんな気持ちにさせた言葉が思い出させられる。
何でも注文してくれて良い。満足させられないかもしれないが、頑張って見る……メイド服に身を包んだ彼女はそう言った。それは
役になりきった彼女が、己の真似でもして言っていたのではないかと思っているが、しかし果たして彼女がそんな安易に言える言葉
だろうか。律儀な彼女は一度口に出したことを簡単に覆しはしない。何度そこに付け入ったか知れない。リップサービスになど慣れ
ているが、しかし商売女でもない彼女がそんなことを口にするメリットが思いつかない。
……否。
考えても仕方がない。諦めた筈ではないか、彼女の心を掌握することなどとうに……。だからこんな、取り返しのつかない愚行にま
で出てしまったのではないか。そう――今更、後になど引けない。
「さて……これからどうしましょうか。私としてはずっと若をここに閉じ込めておきたいくらいなんですよ。そうしなければまた浮
気でもされそうですからなァ……しかしそうもいきませんね。突然この柳生家の次期当主である若が消えたりしたら大騒動です……
そうだ」
282東城×九兵衛:2009/05/31(日) 00:15:27 ID:mV8X9KH+
言いながら東城は九兵衛の手をとった。流し続けた汗に濡れた、酷く冷たい手だった。相変わらずか細い腕、と東城は思う。よく締
まっていながらも柔らかな曲線の残る、紛れもない女子の手。この腕で如何して彼女は、あの神速と謳われた剣を身に着けるまでの
稽古に耐えられたのか。
「こういうのは如何です? 若は腕を骨折してしまって、暫く稽古にも出れないからここで静養する……というのは。そこで私が、
甲斐甲斐しく世話をしてさしあげる、というのは」
「……っ! 」
片方だけの瞳が、恐怖に見開かれた。狂気に取り付かれた今の己ならそんな恐ろしい計画も実行しかねない、そう判断したのだろう。
――そう、本気だった。そうすれば彼女をずっとこの場所に置いておける。本気でそんなおぞましい考えを抱いていた。最早彼女
を手に入れるためならばどんな手段でもとろう。そう思っていた。……だが。
「……」
どうしても、そのか細い腕を握る手に力が入らなかった。
……この期に及んで、意気地のない……。
己の決断力の弱さに毒づきながら、しかしどうあっても、彼女を自ら傷つけることが躊躇われた。
無理もない。彼女の身体に赤い情交の証を残すことすら嫌気が差した自分だ。
――今更馬鹿なことを。もう散々傷つけてしまっただろうに。どんなに丁寧に扱っても、彼女の心に、取り返しのつかない傷を残し
てしまっただろうに……。
「……なんて、冗談ですよ。この服に包帯やギプスは似合わないでしょうからねえ」
「……」
それを隠すように呟いた東城の、眼下にいる九兵衛が身に纏っているのは、漆黒の布地に薔薇の刺繍が施された豪奢な着物だった。
たっぷりとした白いレースが縫い付けられ、真紅の帯は後ろから見れば大きな蝶々が止まっているかの如く見えるように可愛らしい
リボン結びに仕立てられている。それを止める帯締めなども金糸銀糸の華やかなもので、異国のドレスのようにふんわりと広がる短
い裾から伸びた脚には、これまたレースのあしらわれた、膝上まである長い足袋を穿かされていて、裾と足袋の間からちらちらと白
い太腿が覗いている。ヘッドドレスを施した頭の頂点ではレースのついたリボンで長い黒髪がツインテールに結ばれており、毛先は
内巻きに巻かれている。そして永遠に光の差すことの無い左目には、薔薇の形の眼帯が結ばれている。
――まるで人形だ。
「ああ若……素敵です。とてもよくお似合いですよ。本当に……」
完成された芸術品のような美しさの主の姿に、陶然として東城は繰り返す。
こんな形で、この服を彼女に着せる日がこようとは。それは果たして、今年の雛祭りに彼女に贈ろうと、東城が密かに用意していた
服に他ならなかった。彼女が一番気に入ってくれた十四の雛祭りに贈ったものと似た形の、更に豪奢な衣装。思いもかけぬことが起
こりすぎて(何しろあの日は大騒動になってしまった)、あの日は結局渡せなかったプレゼント――この服を見せたら彼女はどんな風
に喜んでくれるだろう。四年前のように笑ってくれるだろうか。矢張り貴女には笑顔が似合う。……そんな風に夢を見ながら用意したのに。
目の前の少女は己の言葉に微塵も表情を変えず、感情を失った人形のように、呆然と姿見に映る彼女自身の姿を見ていた。
先ほど帯できつく締め上げてしまった為に、赤い痕の残ってしまった手首には、薬を塗りガーゼと包帯を巻いて、さらに緩衝材とし
て柔らかいリストバンドを嵌めた上から、足首と同じ拘束具が施されている。
そして短い裾から覗く太腿のもっと奥には、大きく穴の開いた、下着としての意味をなんら成さない白いレースのショーツに包まれた、
先ほど押し入れた桃色の球体をしっかりと咥え込んだ蜜壷から、だらりと愛液が零れている。
「気に入っていただけませんでしたか? 私からのプレゼントは……」
「……れが、こんな……」
「おやおや」
「ふゃぁあああッ! 」
睨みあげた九兵衛の態度に、ふ、と笑みを零し東城は再び、手元のスイッチを操作する。
「悦んでいただいているようではありませんか。こんなにして……」
「あぅ……はぅぅぅぅッ! 」
それを動かす度に、九兵衛の身体は跳ね上がり、花芯から漏れ出た蜜が黒い布地に淫靡な染みを作っていく。
「いけませんねえ……折角の服をこんなに汚して……」
どんなお仕置きをして差し上げましょうか、東城が言いかけた、その時。
283東城×九兵衛:2009/05/31(日) 00:19:50 ID:mV8X9KH+
部屋に備え付けてあった電話が、大きな音を立てて鳴った。
その用件は大方察しがついた。使用人達には自分には通すなと言ったのに。電話線を抜いてしまおうか、思ったがそれは止めた。そ
れでも己に連絡せずにはいられない事態なのだろう。
受話器を取ると、うろたえる女中の声が聞こえた。どうやら実家の人間が、この柳生家にまで押しかけてきているらしい。
面倒な、思いながらも彼らに代わってもらうと、罵声が耳元に届いた。何を考えている、と。
「それはこちらの台詞です。私一人の為にこんなところまでくるなんて、随分と暇なことですな」
もともと後で適当にあしらおうと思っていた程度だったが、正直今は、彼らのことなど心底どうでも良かった。
「……言ったでしょう。私はとうに東城の人間ではありません、と」
そこまで言ったところで、東城の脳裏に、ある考えが浮かぶ。
彼らのことではない。己の頭をいっぱいにしているのは、今も昔も一人の少女のことだけだ。
「……とはいえ、あなた方がそこにいたのでは柳生の方々にも迷惑がかかってしまいますね。良いでしょう。今からそちらに向かい
ます。少し支度がいりますので待っていてくだされ」
しかしそんな内心は決して明かさずに、あっさりと態度を変えて言ってはかちゃり、と受話器を置き、振り返ると、鎖に繋がれた少
女が冷めた目でこちらを睨んでいた。
「実家とはうまくいってないらしいな」
己の問答を聞いていたのか、冷ややかな声を浴びせる。
「己は東城の人間ではない、か――随分と気の早いことだ」
「早くなんてありませんよ」
少女の言葉を、彼女に近づきながら否定する。
「ずっと昔から、あの家に戻るつもりなど微塵もありませんでした。この家で若に出会ってから」
――ずっと、私の主人はただ貴女お一人なのだと、貴女だけに己の全てを捧げようと思っておりました。
身も心も、全てを。
「成る程。この柳生家の唯一の嫡子が女子の僕一人だけだとわかってから、ずっとこの機を伺っていた訳か……」
「……何のことです? 」
しかし返された九兵衛の言葉はどこか焦点がずれていた。ずっと伺っていた? これが計画的な犯行だったとでも? 彼女の言い方
ではまるで、出会い頭から己がこうなることを望んでいたかのようだ。何を馬鹿な。これまで己がどれ程思い悩んできたと思っている。
そんなつもりならばとうにそうしていた。
「とぼけるな。僕に貴様の子を孕ませて、こんな方法で僕を屈服させて……そうして貴様がこの柳生家の支配者に君臨する、そういう
腹なのだろう!? そんなことの為に、こんな、鬼畜生のような真似を……! 」
「なっ……」
吐き捨てられた言葉に、東城は思わず目を丸くした。
そんな風に思っていたのか。
そんなくだらないことの為に、己がここまでのことが出来るとでも――。
「っはははははは! 」
そう思うと東城は次の瞬間、笑わずにはいられなかった。成る程、彼女にはそれが一番納得のいく理由なのだろう。それでなくとも
彼女の周りには、彼女の地位に惹かれて言い寄る輩がごまんといた。そう考えるのが自然だろう。到達できる筈がない。まだ本当の
意味での愛など知らぬ彼女が真実になど。知っていれば愛してもいない男に抱いてくれなどと、彼女が言う筈もないだろう。
「……勘違いなさらないでくだされ。私は柳生家になど一切興味はありませんよ。いかな伝統ある名門といえどこんな家、欲しいと
思ったことは一度もありません」
「な、に……? 」
己を睨みつけていた九兵衛の瞳が、驚愕に見開かれる。
「だってそうでしょう。こんな家に生まれなければ、若はあんなにも苦しい半生を送る必要はなかった。優しいお父上とお爺様に愛
されて、ごく普通の女の子として成長できた筈だった。綺麗な着物を着て、妙殿たちとお弾きだとか飯事だとか、そんな遊びをして
育って、町の子供に男女と罵られて虐められることもなかったんですから……」
「何を言って……」
先ほどまでの勢いは何処にいったのか。東城の発言に、九兵衛の語気が弱くなる。
「……ならお前は……何のためにこんな事を……」
――貴女を手に入れるためですよ。
他の誰にも渡さない、貴女を私だけのものにするために。私は悪魔にさえなった。
柳生家も東城家もどうでもいい。私が欲しいのはただ、貴女自身。それだけです。
284東城×九兵衛:2009/05/31(日) 00:21:33 ID:mV8X9KH+
「さあ、何のためでしょうね。さて、そろそろ私はいかねばなりません。実家の者が待っているようなので。……と、その前に」
心の内で思った言葉を、しかし東城は口には出さなかった。それは戻ってきてから、幾らでも伝えよう。やがて少女が、己のおぞま
しい執着心の前に真に絶望するまで。
奈落の底に落とす前に、せめて泡沫の夢を見せてあげてから。
「帰りは遅くなりそうですからね……」
言って冷蔵庫の中から、箸をつけずに閉まっていた己の昼食を取り出した。今日戻った己の姿を見て、慌てて女中が出したがとても
取る気にならず、放置していたものだ。
もう大分時間が経っているし、彼女がいつそれを口にする気になるかわからない。雑菌でも繁殖していたら困るので、取り合えず全
ての品に再び火を通しておく。添えられていた生卵は出汁巻き卵にした。
己の用意した食事など彼女は口にはしないかもしれない。それでも、それを机の上に並べておく。
「……ああ、それと、そのままではお手洗いに困りますよね……」
彼女を繋ぎとめる鎖は頑丈なものだ。この状態では部屋の外になど出れる筈もない。
「……っ! 」
「ふふ、覚えていらっしゃいます? 幼いとき若がずっと使っていらしたおまるですよ」
押入れから取り出したその古めかしい物体を見せ付けると、羞恥にか、九兵衛は顔を赤くしていた。その様にまた、己の中でよから
ぬ考えが浮かぶ。
「まあ、こんなものをいれていては満足に用を足せないかもしれませんがねえ……」
「はぁぅッ! 」
東城は再び機械の先のスイッチを入れると、そのまま彼女が自分で動かせないよう固定しては九兵衛のショーツにそれをさす。
「私がいない間はこれで愉しんでいてくだされ。……人を呼ぼうとしても無駄ですよ。こんな姿の貴女を見たところで、愉しんでい
るようにしか見えないでしょう。それに……こんな姿の貴女を見て、襲わぬ男がいるとお思いですか? まあ、襲われたいのなら別
ですけどね」
「……」
「……ねえ若。若はずっとシンデレラのようなお姫様になりたかったのでしょう? 」
異国のドレスのような着物に包まれた少女に、傅き東城は囁く。
「私が魔法をかけて差し上げますよ。それも十二時に消えてしまうようなまやかしではない、永遠の魔法を……。綺麗なお召し物を
沢山着せて、たっぷりと可愛がってさしあげます。……でも、私がかけてあげる魔法はそこまで」
「……」
「南瓜の馬車も白い馬も、私は用意して差し上げません。お城の舞踏会に行きたかったら、王子様にお会いになりたいのなら、ご自
身の足だけで城まで歩いてごらんなさい。夜の闇の中を、いつ着くとも知れぬ遥か遠い王城まで。悪い魔法使いに気づかれる前に」
「……」
九兵衛は何も言わず、相変わらず冷めた眼差しで東城を見上げた。
――これが御伽噺だったのなら。幽囚の哀れなお姫様を救うべく、勇敢な王子様が悪い魔法使いを倒して、やがて二人は永遠の幸せ
の中で暮らすのだろう。
先ほどの九兵衛の言葉が思い出された。悲しそうな目で、僕はお前だけだと、涙ながらに訴えた彼女。
貞操など誓う必要もない己に、それでも懸命に告げた彼女の言葉。それが闇に堕ちんとする己の足を踏みとどまらせる。絶対にあり
えもしない、淡い期待を抱かせて仕方が無い。
だからこそ、最後の迷いを振り払うために。東城は九兵衛に鍵を渡した。
そう。この言葉は青髭が妃に託した、禁断の部屋の小さな金の鍵。
それも彼のように、それを使ってはいけないと禁じもせずに煽る。その部屋には素晴らしい宝が眠っているのだと。そこへ行けば彼
女は邪悪の王から逃れられるのだと。己から逃れたいのなら、使えるものならば使ってみろ、と……。
そして彼女が彼の下から逃げ出すためにそれを開けてしまった時。助けが駆けつけるその前に、塔の上で哀れな妃は斬首にされるのだ。
試すように鍵を渡して、結末もわかっている癖に、何処かで彼女を信じたいと思う勝手な自分があった。――散々酷いことをした癖に。
285東城×九兵衛:2009/05/31(日) 00:22:29 ID:mV8X9KH+
それと同時に。これはただ姫の幸せを願う優しい魔法使いが、最後に残した、余りに儚い希望でもある。十二時の鐘がなるのと同時
に、消えてしまう魔法。それまでに城の舞踏会に、真実の愛に辿り着ければ、彼女はいずれ城から迎えに来る王子様によって救われ
るかもしれない。そしてその時――今度こそ己は、全ての迷いを捨てて悪魔になろう。
……本当は、何処かで止めて欲しいと思っているのかもしれない。ここまでのことをして、それでも彼女を護りたいと願っているから。
彼女には彼女の選んだ男と、幸せになってほしいと思っているから。それ故にこんな行動に出てしまうのかも。だがもう……脆
弱になってしまった己の意思だけでは、如何にもならない。だから。
「では私はこれで。……行ってまいります」
物言わぬ少女の手の甲に唇を落とし、繋がれた彼女を残して東城は己の部屋を後にした。





286東城×九兵衛:2009/05/31(日) 00:24:25 ID:mV8X9KH+
思っていた通り、大分時間がかかってしまったが、それでも東城は自室に戻ってきた。これまで何があったかは、取り立てて触れる
べきことでもないので省略するが、若干疲れたのは確かだ。無理もないことだが。
「……これはこれは……」
だが開いた障子の前にあった光景に、そんな疲れも吹き飛んだ。
そこには机の向かいに敷いた座布団の上に、己が着せた豪奢な着物をきっちりと合わせて纏い、静かに座っている九兵衛の姿があった。
手足に嵌めていた鎖は既に外されている。ごく平然とした表情から、出かける前に膣内に埋め込んだ球体も今は取り除かれているこ
とが伺える。机の上に置かれた箱の中にでも入っているのだろうか。
それはある程度は予測できた光景だった。出かけた先の己に、彼女の中に入れた機械が抜かれたことを知らせるサインが届いていた。
ただ一つ、己の予想外だったのが――そこにいた九兵衛自身の姿。
何故彼女は逃げも隠れもせず、堂々とそこに座っているのだろうか。手元には彼女の愛刀が黒塗りの鞘に納められた状態で置かれて
いる。護られるだけのお姫様では満足できない彼女は、勇敢にもあんな屈辱を与えた己に、一人自ら立ち向かおうとしているのか。
それも良い、と東城は考えていた。彼女に殺されるのなら本望だ、と――。殺したい程の憎悪で彼女の心を占めることが出来るのなら、
それは幸せなことだ。だが一度は彼女に捧げようと思っていたこの命を、それでもそう簡単に渡すつもりは既になかった。最後
まで、彼女を永遠に己だけのものにすることを諦める気はない。そう……最早躊躇する理由などなかった。
部屋に備え付けられた電話のボタンを幾つか弄っては、表示された画面に笑みを零す。わざと届く範囲に鎖を伸ばしていた、彼女に
残した部屋の外との唯一の連絡手段。
「……王子様には会えましたかな? 」
これではシンデレラではなくラプンツェルだ。悪い魔法使いに、高い塔の中に閉じ込められて、王子様に救いを求める姫君。だがそ
れと知った今、迷いは無かった。いずれその長い髪を切ってしまおう。
「それにしても……」
しかし予想を上回る、流石のその状況に、呟かずにはいられなかった。
「南戸に北大路……それに西野ですか。いやはや、貴女の節操のなさには敬服すら致します。一日でよくもまあ……それとも、三人
を同時にお相手なさったのですか? 」
「……っ! ……分かるのか」
自嘲気味に笑いながら、九兵衛は呟いた。開き直っているのだろうか。淫乱な雌豚と、月並みだがどこかの忍者がどこかの銀髪の男
にでも言われたら悶えて悦びそうな言葉をぶつけてやろうか。
実に簡単なことだ。部屋の奥の、己が所謂夜のオカズにするものを隠していた場所は雑然と曝け出され、南戸に貸していたAVが押
し込められている。九兵衛を繋いでいた、鉄の鎖は引き千切られていて、それを成したのが尋常ならざる怪力の持ち主であることは
見て取れる。そして何より目に付いたのは、既に空になっている、己が九兵衛の為に作った出汁巻き卵をのせていた筈の皿に残って
いた、毒々しいまでの赤い物体の跡。この部屋にそんなものは置いていない。誰か、たまたまそんな、普通なら常備などしないもの
をここに持ち込みでもしなければ――。
無論最後の件に関してはそれだけでは不十分だ。だれかがあの男の犯行に見せかけるために仕組んだ可能性もある。だが電話の発信
履歴の、この部屋を己が出てきた後からの時刻で一番初めにきっちりと奴の名が残っているのだから、九兵衛が彼を呼んだと読む方
が自然だ。履歴には他に西野の名しかなかったが、それならば南戸はこの部屋に彼女がいると知ってどちらかと同行したのだろう。
……否、相手が誰かなど東城はさして興味がなかった。以前ならば九兵衛の選んだ相手はそれこそ徹底的に調査を重ねていたことだ
ろう。だが今は――。三人ともそれぞれの存在を隠すつもりは無いらしい。だが己に対して挑戦的なアピールもしていない。どうい
うつもりだ。否、奴らのことも如何でも良い。重要なのは九兵衛が確かに、彼らを呼び寄せ、そして彼女の女の部分を曝け出したと
いう点だ。
287東城×九兵衛:2009/05/31(日) 00:25:45 ID:mV8X9KH+
「……誘ってみたのだがな。振られてしまったよ」
「……? 」
――振られた? 彼女が?
意外なその言葉に、東城は眉を顰めた。彼女のような魅力的な女性に求められて、断る男が果たしているのだろうか。己の存在に恐
れをなしたか。南戸は兎も角、北大路までもが? 否、あの二人はさて置き、九兵衛に心酔しているきらいのある西野がそんなこと
をするだろうか。己と違い純粋に慕っているからこそ手を出さなかったという可能性はある。しかしそう考えると矢張り妙なのは北
大路だ。何か……彼なりの思惑があるとしか考えられない。
「……東城」
そんなことを考えると、不意に名を呼ばれた。
「きょろきょろしてないで、座ったら如何なんだ」
言われて視線を落とすと、そこには座布団が敷かれていた。北大路より分からないのは彼女の意図だ。立ち上がろうともしないどこ
ろか自分も座れ、と来た。何を考えている。
「……何故僕の方を見ようとしない」
「は……」
九兵衛の言葉に、思わず声が漏れた。
「何を仰っているのですか。ずっと見ているではありませんか」
そう、ずっと貴女を――貴女だけを見ていた。
貴女以外のものなど、何も目には入らなかった。
貴女は己の全てだった。貴女さえいれば、他には何もいらないのに。
「惚けるな」
しかしそれを、九兵衛はきっぱりと否定した。
「僕を押さえつけてからずっと、お前は僕の顔をちゃんと見ていなかったじゃないか」
「……それは……」
「……なあ東城」
再び九兵衛はその名を呼んだ。じっと東城を真っ直ぐ見据え、一瞬足りとて視線を逸らさずに。
「本当のことを教えてくれ。お前は僕を如何思ってるんだ? 」
「……っ! 」
心の内を探り当てられたようで、一瞬どきり、とする。あの狂乱の宴の果てに、とうとう彼女は気づいたのだろうか。己のこの、狂
気じみた愛に。……否、それにしては妙だ。それに気づいたとして、彼女がこんな訊き方をするだろうか。
「僕はお前を信じていた、と言ったな。だからあんな形で裏切られるとは思っていなかった、と――。
 そしてお前は、そう詰め寄った僕を乱暴に犯した。あの時僕は絶望した。僕の知っているお前は、もういなくなってしまったのか、と……。
 だが未だに信じられないんだ。十八年お前は僕を、世話役として本当に大事にしてくれた。パパ上やお爺様よりも、お前はずっと
近しい存在だった。それがまやかしだったとは、僕を騙すための偽りの姿だったとは、とても思えない。
 僕の知る限りお前は、東城歩という男は、そんな人間ではなかった筈だ。僕を欺いてまで孕ませようと目論み、挙句力で僕を捻じ
伏せて陵辱するような男などでは決して……」
「……」
――今更何を言っている。
九兵衛の言葉を、東城は心の中で嘲笑った。だからあの時の、優しい従者に戻ってくれ、とでも? まるで安っぽい台本だ。今更何
処に戻れというのだ。家族より大切だと言われても、既に己は、彼女の従者という立場だけでは到底満足できない。
「そうですね。それは偽りなどではありませんよ。若は私にとって、何より大切な存在でした。若の為なら命すら惜しくはないと、
本気でそう思っておりました。でもそれは……表層的な一面に過ぎません」
彼女は知るまい。そのうちの中でずっと渦巻き己を苦しめてきた、激しい欲望を。相反する感情はどうしようもない葛藤を生み出し
た。だがそれでも、彼女は幸せになれた筈だ。それを悪戯に引きずり出そうとなどしなければ。そう……それは確かに事実だったが、
今となってはもう、何の意味もなさない。
「……そうか……」
ぽつり、と九兵衛は呟く。
「ならば教えてくれ。お前の全てを」
288東城×九兵衛:2009/05/31(日) 00:28:31 ID:mV8X9KH+
思いもよらぬ言葉を口にして見上げる彼女の視線には、迷いがなかった。それは彼にとってはあまりに唐突な発言で、東城は一瞬そ
の意味が分からなかった。
「は……今更何が知りたいと仰るのです。私は若の信頼に背いて貴女を傷つけた。これ以上何を……」
「傷ついても良い。それでも……知りたいんだ」
「若……? 」
「僕には今のお前がわからない。あんなに大事にしてくれたのに、どうして僕にこんな事をするのか。柳生家などに興味はないとお
前は言った。ならばお前の目的は何だ? そこまでしてお前は僕に何を望んでいる? ……言ってみろ。お前の望みなら叶えてやっ
ても良い」
「知ったところで、更に絶望するだけですよ」
己が望んでいるのが何かは分からないが、それを与えれば全て終わると、己から開放されるとでも思っているのだろうか。
今も昔も――己が求めているのはただ一つ。彼女自身だ。
それを知っても、彼女は自身が己から逃れられぬ事実を知るだけなのに。
「それでも構わないと言っている」
「何……ですと? 」
「前にも一度。僕はお前に裏切られたと思ったことがあった」
「……」
東城は押し黙る。護衛の身でありながら、彼女が窮地に陥ったときに助けに行けなかったことを指しているのだろうか。何度悔いた
か知れないその事を詰られても、東城は受け入れるつもりだった。
「……お前が女を買っていると知ったときだ」
「え……? 」
しかし続けられたそれは意外な言葉だった。買春の事実など彼女は当然好ましく思うはずがないと思っていたので隠してはいたが、
それを知られていたことよりも寧ろ、彼女がそれを『裏切られた』とまで形容することが。南戸の女遊びの激しさなどは目の当たり
にしているだろうに、それに金銭が絡んだだけでそんなにも動揺する事態となるだろうか。
「お前は男として生きることを強要され、泣いてばかりだった僕に、それでも僕は女の子なのだと言って、こっそりと綺麗な服をく
れた。ほんの一瞬だけだが、僕にとっては憧れでしかなかった女の子にしてくれた。だが、そんなお前が金で女子の身体を買ってい
ると知って……分からなくなった。お前にとっての女の子とはなんなのか。お前は僕を、何だと思っているのか……急にお前が、男
というものが理解できない、汚らわしいもののように思えて……今思えばそれも……」
それは初めて知った事実だ。かつての彼女のあの潔癖なまでの男嫌いの原因が、まさか己の買春にあったとは。それ程まで彼女にと
っては重大なことだったのだろうか。だとすれば彼女は男に対して余りに無知だ。否、それよりも。
「……だから、如何してですか。それが本当なら、私は二度も若を裏切ったことになりましょう。私はあの境遇に苦しむ若に貴女は
女の子なのだからと言って、女物の衣服を差し上げて夢見させた一方で、そんな若の憧憬の対象を金で買って汚しました。そして今
とて、何時いかなるときもご自身の味方に立ってくれると思っていらしたという若の私への信頼を裏切って、ずっと若を欺き、避妊
を求めた若の御意思に背いて若を孕まそうと目論み、それと知られると否や若を力付くで犯して監禁した――そんな男の何が理解し
たいと仰るのです」
東城には九兵衛のこの態度こそ理解できなかった。
「……恨めばいいでしょう。憎めばいいでしょう。貴女の期待を悉く踏みにじった男、と……」
その方が一層良かった。例え憎悪の情であっても、この人の心を己で占めることが出来るのなら。ずっと求めて止まなかったこの人
の心を支配することが出来るのなら。
だが己のその期待にすら反して、彼女は己を厭うどころか、理解したい、などと――。
「……無論憎んだ。これではまるで道具のようではないか、と。手の上で踊らされて蹂躙されて良いように着飾らされて、僕はまるで、
お前の人形のようではないか、と……。あんなに大事にしてくれたのに、と……」
「でしたら! 」
「だがお前が本当に僕を道具のように扱っていたとは、思えないんだ」
「……何を仰っているのですか」
「あの時お前は僕の手を折ろうとして、しかし止めた。何故だ? ああ言っておけば僕が恐怖でお前に屈するだろうと判断して脅し
をかけたのか? この格好に包帯が似合わないから? そんな理由で止めれるものか。僕を閉じ込めておきたいのなら、そうするの
が一番合理的じゃないか。お前が言っていたように、こんな状態は長くは続けられまい」
「……それは……」
289東城×九兵衛:2009/05/31(日) 00:32:49 ID:mV8X9KH+
「南戸に言われた。こんな風に包帯を巻かれた上に手足に枷をつけられて、食事まで用意された状態でとても監禁されているとは思
えないと。あいつを欺く為か? だがそもそも僕が奴らを呼べたことが妙じゃないか。食事に毒でも盛られているんじゃないかと思った。
そうすればお前の言ったように僕を看病すると言ってここに置いておくことが出来る。だが北大路はお前の料理をなんなく平
らげた。あいつは味覚は異常だがお前と違って目が利く。妙な点があれば見逃すとは思えない。お前は精々数時間経っただけの食事を、
口にした僕が腹を壊さないよう態々全てに火を通したんじゃないか。
 ……なあ東城。僕にはお前が本当に、人の心を失ってしまったとは、鬱陶しいほど心配性で、僕をとても大事にしてくれたお前が
幻想だったとは思えないんだ。だから僕にはお前が分からない」
「……っ、それが何だと仰るのですか! 」
東城は声を荒げた。
「腕を折らなかったから、傷つかぬよう丁重に手錠をつけたから、腹を壊さぬよう火を通した食事を与えたから、それが何になると
いうのです!? 私が若にしたことは、そんな些細な事の前に癒されるようなことでは到底ないでしょうッ!? 何故その程度のこ
とで私を……」
驚く程焦燥していた。彼女を追い詰めていたのは己の筈なのに、如何してこんなにも己の心が乱れているのか。
「……あの時。お前の買春の事実を知ったとき僕は、厭うあまり逃げていたんだ。お前を理解することから。だから今度は逃げない。
……たとえお前の本性がどんなに忌まわしい悪魔のような人格であっても、受け止めるつもりだ。全部……」
「……分かりませんね! それが若の何になるというのです? そんなことをして若は何を得られると? 」
ここまで言い切るのならば、彼女は別段己に救いを見出したいわけではないのだろう。寧ろ、更なる絶望を望んでいるようにすら見える。
悲劇のヒロインでも気取りたいのだろうか。否、そんな愚かしい少女ではない筈だ。
「……お前がそうしてくれただろう? お前はこれまで僕がどんな道を選んでも、ついてきてくれた。そしてこんな僕でも――何度
お前のところに訪れても、嫌な顔一つせずお前は僕を優しく抱いてくれた。お前は僕の全てを受け入れてくれた。だから……」
フ、と思わず東城は笑みを零した。――こんな僕でも、か。彼女のコンプレックスの大きさは時々理解出来ない。鏡をじっと見たこ
とがないのか。そこには誇るべきでこそあれ何ら恥じる点などない絶世の美少女がいるだろうに。何にそんなにも引け目を感じるこ
とがあるのか。男として育てられて、女子らしい振る舞い方など知らないから? 左目に大きな傷跡があるから? 或いは人より幾
分小柄であるから? それら全てを含めてこんなにも愛しく思っているのに。
彼女に望まれて彼女と身体を重ね、同じ床で共に朝を向かえていたあの頃が、恐らく己の人生の中で最も幸せだった時だろう。先に
も後にも、あんな幸せを味わえることなど到底あるまい。
「……否、漸く思った。ああいうことは矢張り、愛し合った夫婦が子供を望む時以外にすべきではない」
「……は! 」
続けられた言葉を、東城は笑い飛ばす。
「世間知らずのお嬢様らしい考えですな。……それで、お説教でもしてくださるのですか? 年若くして買春に走った私に」
そんな理想論が通るとでも思っているのだろうか。何千年前から娼婦が存在していると思っている? 彼女の父の様に、十八年も昔
に他界した一人の女性の為に、今も尚頑なに操を立てているような男の方が珍しい。妻を持っているうちから、何人も妾を囲ってい
る男を彼女とて幾人も知っているだろうに。そこまで己の買春に拒絶反応を示す彼女には解せがたいものがある。
「それにそれは若が言える様な事ではないでしょう? 愛してもいない男に、肉体関係を求めたのは若ではありませんか。それに今
日も三人もの男を誘って……」
「……そういえば、お前は言っていたな。あの三月二日の夜に、僕があんなことを頼まなければ、こんなことにはならなかったと。
一生僕を大事にするつもりだった、と……」
東城の言葉の途中で、思い出したように九兵衛は呟く。
「あの時落胆したからか? お前が蝶よ花よと愛でてきた、汚れも知らないお嬢様と思っていた女子の口から、お前の厭う柳生家の
為に抱いてくれなどと頼まれて――お前がこれまで尽くしてきた主人は、そんな人間だったのだと失望してしまったから、その余り
に僕にこんなことを? ……それならば僕は、何も躊躇することなんてなかったんだな。失うものなんて、既に何もなかったのなら……」
290東城×九兵衛:2009/05/31(日) 00:33:17 ID:mV8X9KH+
「……? 」
後半は殆ど独り言のようだった。その意味がよく分からず東城は眉を顰める。失うものがない? それは己が悉く奪いつくしたから
、ではないのか?
「お前に言わなければならないことがある。……今更言ったところでどうにかなることではないと知っているが、それでもこれ以上
一人で心の内に抱え込み続けることに意味が無いのなら伝えたい」
真剣な面持ちで、九兵衛は切り出した。
「……一体なんだと仰るのです。大体そんな格好で何を仰られても気圧されなどしませんよ。真面目なお話をなさりたいのならせめ
て正装なされば良いのに、その刀がそこにあるということは当然同じところに置いておいたいつものお召し物の場所とて覚えてらし
たのでしょう? 」
「……否、敢えて着替えなかった。敢えてお前がくれたこの服で待っていたんだ。柳生の御曹司として育てられてきた、お前の主人
としてではなく――ただ、一人の女子としてお前に言いたいから」
「……!? 」
その言葉に、見据えられたどこまでも真っ直ぐなその視線に、それまで優位に立っていた筈の東城の心が、急速にざわめき出した。
「――東城」
一切の迷いの感じられない、静かな声で九兵衛は切り出す。
「……僕はお前が好きだ。従者としてでも兄弟子としてでもなく、一人の男として、お前を愛している」
そして続けられた言葉が――東城の思考を愈々停止させる。
――何を言っている。
このお方は、このお方は一体何を――。
「……は……」
微かに荒い息が漏れる。
酷く長い時間をかけて、告げられた言葉の意味を理解すれば、それは新たな混乱の波を生み出す。ありえない。ありえる筈がない、
そんなことが――!
「馬鹿な……」
思わず呟いた。
――このお方の隣になど立てないから。このお方の心など、到底手には入らないから。せめて求めて止まぬその身体だけでも己のも
のにしたいと、ついには悪魔に心を売り渡して、こんな愚行にまで走ったのに。
それが真実だというのなら、自分は一体何の為に。何の為にこんなことをしてきたというのだ――!?
今までの己の世界を根底から覆す、余りに衝撃的な言葉の前に、東城はただ、呆然としていた。
291名無しさん@ピンキー:2009/05/31(日) 00:43:59 ID:mV8X9KH+
…以上です。もうこの二人だけだと永遠にすれ違ってそうなので第三者介入させて若干強引に結びました。もう少し続きます。すみません…。
292名無しさん@ピンキー:2009/05/31(日) 00:54:59 ID:ZdKGK5VD
>>274-291
凄い…GJです!
相変わらず心理描写が繊細で素敵ですね
毎回クオリティの高さに驚かされます
続きも楽しみにしてますね!!
293名無しさん@ピンキー:2009/05/31(日) 00:57:04 ID:ZdKGK5VD
>>272-291でした
ごめんなさい
294名無しさん@ピンキー:2009/05/31(日) 01:23:18 ID:johmFy4Q
GJ!やっと伝えたか!
続きもwktk待ってるよー
295名無しさん@ピンキー:2009/05/31(日) 07:40:30 ID:jvHcrx/2
GJ! これで晴れて両想いですか?
仲直り編を楽しみにしてますぜ!
296名無しさん@ピンキー:2009/05/31(日) 20:06:28 ID:xDeOoyof
GJGJ!
いいもの読ませてもらいました!
エロ切ない
297小ネタ:2009/06/01(月) 00:52:45 ID:fz3TkzVJ
小ネタ三連発です。

●小ネタの銀阿音

「コレ、何つーの」
うつぶせで布団に寝そべる銀時は、枕元に無造作に置かれた紙垂(しで)をつまんだ。
「注連縄とかに下がってるアレだろ、コレ」
「そう。紙垂っていうの。それ神事に使うんだからイカ臭い汚い手で触るなっつーの」
その紙垂の傍で巫女服を整えながら、阿音は銀時がつまんだ紙垂を取り返した。
「イカだけじゃねえよ。チーズっぽいのも混ざってるよ」
真顔で言う銀時の頭を、阿音は軽くはたいた。
「……なぁ、なんでお前マンコはダメなんだよ」
「だァから巫女は処女じゃなきゃだめだっつってんでしょ。尻の穴でもヤラせてくれるだけありがたいと思いなっ」
「めんどくせーの……」
次こそは阿音の”処女”を頂いてやろう。銀時は密かにケツ意……もとい、決意した。


●銀時と結野アナ

「離婚して綺麗になりましたよね、ケツの穴……じゃなくって結野アナ……」
「ああん、ダメですそんなところっ……広げないで下さいッ」
「別れた旦那さんにはこんなとこ許さなかったんでしょ? 週刊誌に書いてありましたよね?」
四つん這いの結野アナの尻の穴を広げる銀時。
その傍では、定春とラストオブモヒカンリビングオブザデッドマクガフィンが二人に背を向け、
仲良くホットドックプレスを読んでいた。

●桂妄想アワーの桂×松子

松原松子……その日まで、桂にとって彼女は一生徒であり、顧問を務めるバスケ部の一部員だった。
その日までは。

後ろ手で体育用具室の扉を閉めた松子は、酷く落ち着かない様子だった。
しかし意を決したように桂の前に歩み寄ると、
「先生……この前の返事を聞かせてください」
「松原……」
潤んだ眼差しで桂を見上げ、言った。松子の言葉は震えていた。
その眼差しに思わず桂は後退りし、ぐっと息を呑んだ。
「松原、分かっているのか俺達は……」
「知ってます、先生にとっての私はただの生徒だってこと……でも私―――」
悲しそうに一瞬だけふっと微笑んだ松子は、何もかもを悟ったようで、酷く大人びて見えた。
どうしてそれを、と言いかけた桂の口を、背伸びした松子の柔らかな唇が塞いだ。
唇同士が離れ、銀糸が後を引いた。
「まつ――」
「一度だけでいいんです、先生」

「松原、痛いか? いいえ先生、へいき……ッ、無理するんじゃない松原……やめないで先生っ、
……それより松子って呼んで……松子……こうか……?嬉しい先生……ああ……松子可愛いよ松子……
もっと足を開け松子……桂先生のおっきい……バリッ、メリメリッ……あっ血が出てきた。
初めてだったのか松子……
いやっ初めてなのにこんな格好恥ずかしい先生……そんなことはないぞ松子……
松子も俺のことを桂さんと呼んでくれ……それより松子お前のお母さんと一度じっくり個人面談をしたいのだが……」


桂は寝床の中、声色を変え枕を抱えて一人妄想小芝居をしていた。
部屋の外にいたエリザベスは一人夜の街に消えた。その背中は泣いていた。


以上です。小ネタしか思いつかないw
298名無しさん@ピンキー:2009/06/01(月) 02:09:52 ID:qw+oO2Eq
よくこの分量を書けるよな。
うらやましい。
299名無しさん@ピンキー:2009/06/01(月) 23:47:14 ID:2eysOHCv
桂wwwww
300名無しさん@ピンキー:2009/06/02(火) 00:05:17 ID:bU4cSoPI
桂きめえww
301名無しさん@ピンキー:2009/06/02(火) 11:04:52 ID:qGURN4us
こういう小ネタ好きだww
302名無しさん@ピンキー:2009/06/03(水) 01:18:17 ID:v4NB9IPZ
兄神って需要あります?
303名無しさん@ピンキー:2009/06/03(水) 01:39:19 ID:U2MJyLe+
そういう発言は控えた方がいい
304名無しさん@ピンキー:2009/06/03(水) 03:11:42 ID:v5yKvzGj
>>302
あります!投下お願いします!
305名無しさん@ピンキー:2009/06/03(水) 21:02:32 ID:VetiuUJ/
>>302
神楽受け!!
需要あるある
306名無しさん@ピンキー:2009/06/04(木) 02:17:05 ID:2SK6IzeR
>>302
あるあるあるある
待ってます
307名無しさん@ピンキー:2009/06/04(木) 09:11:15 ID:P6I8UuZL
読みたいです! 裸で待ってる
308名無しさん@ピンキー:2009/06/04(木) 21:33:22 ID:jTOhaYyq
今日のアニメ観て、土方、沖田、山崎に3穴責めされる神楽たんを妄想した
309名無しさん@ピンキー:2009/06/04(木) 22:45:38 ID:Awu3C6Tl
>>303
厨腐女子の多いスレでは誘い受けは根絶不可能
もしかしたら神かもしれないし、ハードルも上がったし楽しみに待とう
310名無しさん@ピンキー:2009/06/06(土) 07:22:32 ID:S+ubSGYU
ヅラ受けるwちゃっかり親子丼する気ですねw
311名無しさん@ピンキー:2009/06/06(土) 14:27:50 ID:Xo0/ZdXC
いや、ヅラのことだから母親目当てに娘に近づいたのかも
312名無しさん@ピンキー:2009/06/06(土) 16:02:58 ID:+WmhMXA+
アイツならやりかねない
313名無しさん@ピンキー:2009/06/06(土) 19:53:16 ID:S+ubSGYU
じゃあ松子は崖からオト(落と)されるんだね

可哀想、いい子なのにヅラに関わったばっかりに…
314名無しさん@ピンキー:2009/06/08(月) 18:48:38 ID:zHrmWSJI
今週の本誌を読んで歯医者でいたづらされる女の子キャラが見たくなった
315名無しさん@ピンキー:2009/06/08(月) 20:45:56 ID:sQv5lBVQ
長谷川さんの手を女の子のアレにアレしてアレですね
316名無しさん@ピンキー:2009/06/08(月) 21:11:29 ID:zHrmWSJI
>>315
そうそう
いつでも好きな時にアレ…
317名無しさん@ピンキー:2009/06/09(火) 16:02:02 ID:l3GVjmRg
マダオの股間の歯ブラシで歯磨きするハツさん
318名無しさん@ピンキー:2009/06/09(火) 21:59:01 ID:hPGEXj8Y
下のお口をこすられて絶叫する奥さん
319名無しさん@ピンキー:2009/06/11(木) 22:19:51 ID:r2wU2C7u
マダオ×ハツのSSってあったっけ?
どなたか純愛風で書いてください。
320名無しさん@ピンキー:2009/06/13(土) 02:38:49 ID:jf/ZMOms
ハツさんって顔出たことないよね?
321名無しさん@ピンキー:2009/06/13(土) 23:45:28 ID:J7tpcvcd
松陽先生と同じ扱いで、目だけ描かれてない>ハツさん
322名無しさん@ピンキー:2009/06/14(日) 11:59:39 ID:jkdPAfRT
オナニーネタでも需要ありますか?ちなみにさっちゃん
323名無しさん@ピンキー:2009/06/14(日) 12:12:32 ID:3h+lSDq1
ARIMASU有ります!!
需要有ります!
324さっちゃんオナニー:2009/06/14(日) 14:22:32 ID:jkdPAfRT
初投下!携帯からなんで改行おかしくて見にくかったらスマソ
さっちゃんのオナニーの話です






久しぶりに万事屋に仕事の依頼が来た日。みんな出かけたため誰もいないはずの万事屋に人影が一つ。
薄紫の長く美しい髪で目を反らせなくなるほどの豊満な胸を持つ彼女がここに忍びこんだのには理由があった。

急いでいたのだろう、和室にはまだ布団が敷きっぱなしで、彼女はためらいもなくその上に寝転んだ。うつ伏せになって深呼吸をする。

(あぁ、銀さんの匂いがするわ………)

彼女の想い人の布団からは甘いようななんとも形容しがたい匂いがした。
この匂いが銀時のだと思うと、アソコが疼いて仕方がない。
うつ伏せになっているせいで、布団に押し付けられている豊かな乳房にはその圧迫感さえ快楽になって与えられる。さっちゃんはそれを享受しようと、布団に胸を押し付け身体をくねらせる。

『オイオイ、一人でそんなことして淫乱じゃねぇか。俺も混ぜてくんない?』

もし今、銀時が帰ってきたら……なんてさっちゃんはいやらしい妄想をはじめた。
妄想の銀時は強引で、さっちゃんの言葉なんかきいてくれないのだ。でも、激しいくらいにさっちゃんを求めてくる。

『デケェ胸だな』

妄想の銀時はそう言って、さっちゃんを仰向けにし、大きくてたくましい手で乱暴にさっちゃんの胸をもみしだく。さっちゃんは自分の手で胸を強く、痛いほどに揉んだ。

(ああっ!痛っ、痛いわ銀さん!)

銀時はさっちゃんがそう訴えても全く止めようとはしない。そして、服を剥いで、さっちゃんの胸をじかに揉む。
さっちゃんは大きな胸を露にした。胸の大きさとは対称的な小さく形がよい乳首はこれから与えられる快楽を期待して、控えめながらもしっかり立ちはじめていた。

さっちゃんは乳首には触れないように、胸を揉みしだく。乳房は焦らしたら焦らすほど気持ち良くなると知っているからだ。
白く豊かな乳房はさっちゃんの細い指の動きにあわせて、グニグニと面白いほどに形をかえる。

(銀さんっ、焦らさない…で……)

325さっちゃんオナニー2:2009/06/14(日) 14:25:04 ID:jkdPAfRT

揉んでいる間にすっかり立ち上がってしまった乳首を触られたらどれほどイイだろう。
そのことを考えただけで、さっちゃんのアソコはキュッとしまって、いやらしい液を出してしまう。

『そんなに触ってほしいなら、お望み通り触ってやるよ。』

突然、妄想の銀時は乳首にむしゃぶりつく。

「あんっ!」

さっちゃんは自分の乳首を摘んだ。やっと与えられた刺激に悦びの声があがる。
これは銀時の舌なのだ。そう思いながら、自分の指で乳首を扱く。人差し指と親指でグリグリとこねまわすと、身体を電流のようなものが駆け抜けていき、アソコがじんじんした。

「痛っ!」

乳首に突然、ピリリと痛みが走る。妄想の銀時が歯をたてたのだ。
さっちゃんは乳首を爪でおもいっきり摘んだ。痛くて堪らなくて視界が滲む。

『痛いのがイイんだろ?』

と、銀時は妖しく笑って、さらに歯で乳首を噛む。さっちゃんはイヤイヤ、と首を振るが、銀時は一向に止めようとはしない。

(痛いの、銀さんやめてぇ!)

そう思いながらも身体は正直で、先ほどとは比べものにならないくらい、さっちゃんのアソコは濡れていった。もっともっと、と思っている自分がいるのは否定できない事実だ。

グショグショで気持ち悪くなったのでさっちゃんはパンツを下ろす。
熱く湿っていたさっちゃんのアソコが外気に触れ、キュッと物欲しげにしまった。
そこは遠目からみても明らかなほど濡れていて、テラテラとはしたなく光っている。
さっちゃんは依然として乳首をこねまわしていた。

(き、気持ち良すぎておかしくなっちゃう!)

銀時の匂いに包まれているからか、誰かが帰ってくるかもしれないという緊張感からか、さっちゃんはいつも以上に興奮していた。
いやらしい液は普段と比べものにならないくらい出て、銀時の布団を濡らしていた。
326さっちゃんオナニー3:2009/06/14(日) 14:33:37 ID:jkdPAfRT

ビクンッ、とさっちゃんの身体が面白いほど跳ねた。

(あっ、銀さん……ソコはダメよ!)

さっちゃんの指は薄い陰毛に隠されていたクリストスに触れていた。赤く充血したソレは少し触れただけで、とてつもない快楽が押し寄せてくる。

『こんなんなってるのにダメなわけねぇだろ』

さっちゃんのアソコはいやらしい液でヌルヌルで指が滑らかに動くほどだ。
人差し指と中指で滑らないようにクリストスをつまみ、刺激していく。無意識に快楽を求めて、自然と指の動きが早くなっていった。
小刻みに、強く激しくクリストスをいじりながら、さっちゃんは絶頂へとのぼりつめていく。

「あぁッぁあぁあん!!」


さっちゃんは簡単にイってしまった。肩ではあはあと息をしながら、余韻に浸っていた。気持ちのよい満足感が身をつつむ。


『オレ、まだイってないんだけど』

「あんっ!」

妄想の銀時がさっちゃんのアソコにアレを当ててきた。先っぽが触れただけで、イったばかりのさっちゃんは気持ちよくなってしまう。
逃げようと腰を動かそうとしても、銀時のがっちりした腕に掴まれ、びくともしない。
これ以上したらおかしくなっちゃうわ!、と否定しながらも、さっちゃんは自分の中指と人差し指を銀時のものだと思い、ゆっくりアソコに沈めていく。

「んっ……」
(銀さんの……おっきい……)

イったばかりの膣内はさっちゃんの指をキュウキュウ締め付けて絡み付く。妄想の銀時は顔を歪めて、キツキツじゃねぇか、と苦し気に囁いた。

「あっ……」

さっちゃんはゆるゆると自分の指を出し入れする。気持ち良すぎて彼女の目尻には涙が浮かんでいた。
ゆっくりゆっくり動かしていくことで、絶頂を迎えたときは死にそうなくらい気持ちよくなるのだ。度重なるオナニーでさっちゃんはいやというほどわかっていた。だけども、さっちゃんはその緩慢な動きに物足りなくなってきた。


327さっちゃんオナニー4:2009/06/14(日) 14:35:20 ID:jkdPAfRT


『くっ、もう我慢できねぇわ』

さっちゃんはズンッ、と一突きして、指を早く動かしだした。銀時がさっちゃんのアソコの気持ちよさに理性を手放したのだ。
ぐちゃぐちゃといやらしい音を立てながらさっちゃんは自分を追いたてていく。激しく飛び散った愛液がその激しさを物語っていた。


「あっ銀っ…さん!激しッ!!」


わざと大きく悦びの声をだす。さっちゃんは自分のいやらしい声で自分が興奮しているのがわかった。
律動をますます速めていくと、自然と身体が弓なりに反れていく。足はいやらしく開ききって、髪は布団の上で乱れてしまっている。
気持ち良すぎてもう止めたいと思ったが、もっと激しい快楽を得るためにさっちゃんは無理矢理指を激しく動かす。
残酷で自分勝手な銀時は許しを請っても、決してやめてくれないのだ。指の動きにあわせて、嬌声の間隔も短くなっていく。
ガクガクと身体が震えだして、突然ピンッと張り詰めた。


「あぁーーッッ!!」




それを境にさっちゃんは糸が切れたようにくたっと身体を投げ出す。
絶頂を迎えた余韻で膣がまだ入れたままのさっちゃんの指を時々、切な気にキュッと締めつけた。

一体何時になったら、本当に銀さんとセックス出来るのかしら、とさっちゃんは虚しさを覚えながら、ボーっと天井を見ていた。





終わり


328名無しさん@ピンキー:2009/06/14(日) 16:53:40 ID:mmKohl8Q
GJ!
銀さんが帰ってきてそのままさっちゃんの妄想の斜め上を行くSMプレイを頼む!
329名無しさん@ピンキー:2009/06/14(日) 20:25:24 ID:ecXEZqY7
おおおやらしいなGJ!
さっちゃんオナニーご馳走様でした!
330名無しさん@ピンキー:2009/06/15(月) 00:19:44 ID:Sz9gYNVb
GJ!
さっちゃんいい!この先はあるんでしょうか?
実は帰ってきてて途中から見てた銀さんと続き…とか
新八でもいいなぁ。
331名無しさん@ピンキー:2009/06/15(月) 00:25:18 ID:eIfImelR
おおおお終わりなのかよ!
続編書いて下さい! GJでした!!
332名無しさん@ピンキー:2009/06/15(月) 01:26:25 ID:3Uok7KBO
324です
皆さんコメントありがとうございます。
正直、スルーされるかもと思ってたから、嬉しいです。

続き……書きたいのはやまやまなんですが、恥ずかしながら実際に経験がないので、すごい感じになりそうな……
というか妄想の斜め上を行くSMって何すればいいんッスかね?鞭でビシバーシ?蝋燭?ww
とりあえず頑張ってみますが、帰って来ないかもしれないので期待なさらずにw

333名無しさん@ピンキー:2009/06/15(月) 13:12:57 ID:I6JJMeRM
風俗のネタを毎回ババアでやる空知はどうにかできないものか
334名無しさん@ピンキー:2009/06/15(月) 13:42:29 ID:VJAAbJ7G
>>332 GJ!! 次回作待ってま〜すっ♪
335名無しさん@ピンキー:2009/06/15(月) 15:22:51 ID:0wZgeBRt
はやく銀月を書いてくれよ
旬なのに何で書かないんだ?
月詠に嫉妬してる奴ってほんとにいるんだなと思ってしまう
336名無しさん@ピンキー:2009/06/15(月) 15:31:54 ID:B0zpiAc7
>>335

何でそんなにえらそうなの?
337名無しさん@ピンキー:2009/06/15(月) 15:42:04 ID:ZzBJtMYY
>>333
若い子よりもババアは逆に妙なリアルさがあるよなw
場末の風俗っていうか…ぼったくりっていうか…
338名無しさん@ピンキー:2009/06/15(月) 15:43:55 ID:xwcSQ65z
>>335
自分で書けよチンカス
339名無しさん@ピンキー:2009/06/15(月) 15:46:27 ID:Sz9gYNVb
とうとうここにまで月詠厨が…
340名無しさん@ピンキー:2009/06/15(月) 17:28:37 ID:vLOYS83w
>>335
書き手側から見て書きにくいキャラだからじゃない?
男性向け同人の人気は
1神楽
2九ちゃん
3さっちゃん
この三人が断トツ

キャラそのものの萌え要素が高いというか、(男から見て)かわいらしさがあるタイプ

特に神楽、九ちゃんは甘、シリアス、切、ギャグ
どのエロにももっていける(さっちゃんの切、シリアスは少し難しいが)

逆に書きにくいのが(個人的には)
月詠、妙、たま

キャラ単体ならみんな好きなんだけど、エロパロを書こうとするとキャラ崩壊したりストーリーがワンパターンになったりする

なぜだかは解らないが、濡れ場って書きやすいキャラと書きにくいキャラが居るんだよ
341名無しさん@ピンキー:2009/06/15(月) 22:18:43 ID:fCIMwCpL
>>340
自分はその3人(月・妙・たま)のエロパロ好きだな。
クールビューティで媚を売らない彼女たちが、しどけなく乱れていくのがそそる。
この間の沖田の台詞じゃないけど、プライド高い方が、調教し甲斐があるし。
ギャップルールで、あの美しい顔が恥ずかしさで染まるのがイイ!
是非、職人さん書いてください!
342マダハツ:2009/06/16(火) 00:32:47 ID:yjygV/bw
>>319純愛かどうかは不明ですがマダハツ。エロなしですみません。


夜の帳が折り始めた部屋は暗く、破れたカーテンの隙間からはネオンの色とりどりの灯りが零れてくる。
裏通りの四畳半の角部屋は、つい先程までの熱っぽい時間を忘れたかのように静まり返っていた。
「……終わったんだから帰れよ」
背中を向け胡坐をかいた長谷川は、懐から煙草を取り出すと一本咥えた。
うっとおしげに言い放った後で、「バスがなくなっちまうぞ」と付け加えた。
ライターはオイルがないのか、何度も空回りし、やっと煙草に火が付いた。
ち、と舌打ちをしてから深く一息吸い、紫煙を吐き出す。
「また……来てもいい?」
煎餅布団の上で乱れた着物を正しながら、ハツは呟くように尋ねた。
「月曜以外はバイトで忙しいんだよ……」
しゃがれた声で、長谷川も呟くように答えた。
ちらかった四畳半の長谷川の部屋は、煙草と酒と饐えた匂いと、そしてさっきまで行われていた
男と女の匂いが入り混じっていた。
それはむせ返るほど濃く、けれど懐かしくてどこか離れがたい……そんな匂いだった。

離れて暮らすようになって半年。
原因を作ったのは長谷川の方で、出て行ったのはハツの方だ。

ハツは長谷川の背中を見た。すっかりやつれ、一気に年をとったようなその背中に、
思い切り抱きつけたらどんなに楽だろう、とハツは思った。
やつれて、年をとったような、どうしようもない男の背中。
地位も名誉も肩書きも何もかも失った、けれど世界で一番、愛している男の背中。
長谷川はちらりとハツを見た。痩せたな、と思った。
ハツを思い切り抱きしめてやれない、ふがいない自分を恥じた。
「月曜なら、来てもいいのね」
ハツが再び尋ねた。月曜以外と言うことは、月曜は空いている、ということだ。
「……」長谷川は答えない。沈黙は肯定だ。昔からこうだ。
ハツは己の顔に笑みがこぼれそうになるのを感じた。
別居し始めた頃に比べれば、これでもまだお互い随分と歩み寄った方だ。
343マダハツ:2009/06/16(火) 00:33:15 ID:yjygV/bw
一時の感情に任せて、入管の局長をくびになったのは長谷川。
やはり一時の感情に任せて、家を出たのはハツ。

お互い、バカなことをして、その癖まだ意地を張っている。
意地という糸の端と端を握って、子供の様にうじうじしている。
ここ最近は時々会って、同じ布団に入って夫婦ごとをするまでになったけれど、
昔の様に愛を語り合うわけでもなく、子供を作るでもない。童貞と処女でもない癖に、とてもぎこちない。

その最中なら言いたくても言えない事が言えそうな気がしているのだ。お互い。
だから会って、悪態をつきながらも身体を重ねている。
でも、まだ言えない。

すまなかった、ごめんなさい、やり直そう、やり直しましょう、が言えない。

「今度は、お稲荷さんでも作ってくるわね」
ハツは髪を撫でつけると、荷物を手に立ち上がった。
「これから寒くなるっていうのに、温かいモンくらい持って来れねえのかよ」
「だってここ、ガス止められてるんだもの」
意地という糸の端と端を握って、子供の様にうじうじしている。

ぎしぎしと音を立てるアパートの階段をハツがゆっくりと降りると、知った顔の男が立っていた。
会釈をし、通り過ぎようとするハツに片手を挙げた男――銀時は、口端を軽く上げるとハツに向かって言った。
「長谷川さん、火曜も空いてるみたいだよ」
「……」
「アンタ達見てたら、なんかじれったくてケツがかゆくなっちまうよ」
言い返すことも出来ず、ハツは下を向いて唇をかんだ。
(おわり)


エロがアフターですみません。
マダハツたまには会ってエッチしてたらいいなぁと。
344名無しさん@ピンキー:2009/06/16(火) 00:45:42 ID:az89Bn6P
>>342-343
すまん一言いいか
最高だアンタ
345名無しさん@ピンキー:2009/06/16(火) 01:36:06 ID:bKfEACQf
何だ…ただの神か
346名無しさん@ピンキー:2009/06/16(火) 03:32:48 ID:4d4ml+P3
>>343  じ〜んときたよ GJ!!
347名無しさん@ピンキー:2009/06/16(火) 10:01:35 ID:gpnm2rAt
神GJ!
こういうところがいいよな銀魂って
348名無しさん@ピンキー:2009/06/16(火) 19:54:36 ID:2d4SLkKU
いいもの読ませて貰ったな、ありがとうGJ!
349319:2009/06/16(火) 21:06:30 ID:ikl1eQ0B
GJGJGJ!
リクエストして早速書いてくださってありがとうございます。
マダハツって大人の雰囲気でいいですね。
銀さんもさりげなく2人のキューピッドしてていい味出してる。
いいストーリー読ませてもらいました
350名無しさん@ピンキー:2009/06/16(火) 21:59:49 ID:YaeIXA7v
リクエスト大会とかやったら楽しそう
351名無しさん@ピンキー:2009/06/16(火) 22:46:01 ID:EMOJ0PmO
>>350
個人的には楽しいけど、
別名、初夏のクレクレカプ厨祭り
になりそうじゃないか?
352名無しさん@ピンキー:2009/06/17(水) 20:10:39 ID:6iB/lXGe
そっか、確かにリクエスト大会とかやったらクレクレ厨祭りになってしまうな…

でも住人の何気ないレスから萌え話が産まれたりするのも事実
353名無しさん@ピンキー:2009/06/18(木) 13:49:48 ID:7H8vEbZ+
ここか忘れたけど、色んなカプの萌え話と投下と感想が被りまくってアンカーだらけになった事あったな
複数の(対立関係?)カプ信者同士がむきになってカオスだった
354名無しさん@ピンキー:2009/06/18(木) 21:31:34 ID:VjGhYb+l
まあまあ
まったりいこうぜ



梅雨に入ったことだし梅雨ネタないかな
雨宿りからエロになだれ込んだり
相合い傘からエロになだれ込んだり
紫陽花の柄の着物とかなんか
355名無しさん@ピンキー:2009/06/19(金) 00:24:33 ID:az+R00M2
だれか銀さちお願いします!
さっちゃんは俺専用のメス豚だ。
って感じの嫉妬ものとか最高です!
356名無しさん@ピンキー:2009/06/19(金) 20:37:51 ID:z1nzObvK
徹底的に雌豚扱いされるさっちゃん
357名無しさん@ピンキー:2009/06/19(金) 21:15:41 ID:ec7SSJ62
別の男(長谷川さんとか?)にヤラせて見てるだけな超ドS銀さん。
銀さん以外なんて嫌だと思いつつ、銀さんに見られながら別の男にヤラれる状況に興奮するさっちゃん。

最終的には我慢できなくなった銀さんも参戦。とか読みたい。
358名無しさん@ピンキー:2009/06/19(金) 21:45:32 ID:az+R00M2
それはいわゆる嫉妬ですか!w
なんであいつ俺以外の男に快感得てんだ?
みたいな感じですか!?
359名無しさん@ピンキー:2009/06/19(金) 21:59:42 ID:ec7SSJ62
あーまあそれでもいいかもね。
目の前でさっちゃんが乱れてれば男なら我慢出来ないかなと思っただけだけど。
360名無しさん@ピンキー:2009/06/19(金) 22:07:32 ID:az+R00M2
あ、そー言うことですか(笑)
そりゃぁそうですね笑
361名無しさん@ピンキー:2009/06/19(金) 22:51:47 ID:z1nzObvK
銀さんはSだからなw
いたぶられ罵られて乱れるMな雌豚さっちゃんを見て興奮するわけだな
362名無しさん@ピンキー:2009/06/20(土) 00:23:05 ID:kKkO7Fju
おーなるほどw
そりゃあ興奮しない男がどこにいるって
状況ですね・・w
363名無しさん@ピンキー:2009/06/20(土) 14:04:03 ID:UgIMkPV8
ID:az+R00M2とID:kKkO7Fjuは同じ人?
テンションが統失っぽいね
364名無しさん@ピンキー:2009/06/20(土) 21:51:34 ID:tVofoK5A
NTRとかHRとか読みたいな
365桂幾:2009/06/20(土) 22:24:57 ID:asusnnNW
閉じられた襖の奥で梅雨の様な湿った空気がその部屋に満ちる

窓を閉め切り、小さな豆電球が辛うじて物の輪郭を表す中で
桂は幾松の白い肌に己の唇を這わせていた

啄み、なぞる様にその滑らかな肌の感触と
耳に届く甘い喘ぎを心地よく堪能しながら
久方ぶりに幾松の身体を貪っていた

短い息を吐きながら幾松の手がゆうるりと桂の長い髪を梳く
そして胸元で戯れる桂の顔を優しく撫でた

呼応するかの様に顔を上げて熱を帯びた視線を互いに絡め合わす
桂も同じように掌で幾松の顔を包み込んで
汗で張りついた髪の毛を指先で払いそのまま額に軽く口付けた

どちらともなく小さく笑い合って深く深く唇を合わせる

互いを唯一独占できるこの僅かな時間がとてもいとおしい

次、なんて約束が出来る訳の無い二人
刹那の証を焼き付ける様に求め合い与え合う

志した目標に邁進するしかない程に
どうしようもなく生真面目で

自分を傷つけたかもしれない相手を受け入れてしまう程に
どうしようもなく暖かくて


距離を置くべきだと解っていたのに逆に縮めて果てには交わってしまった

二人はどうしようもない愚か者

桂を全て受け入れた幾松の、一際高く甘い声が悩ましく部屋中に響く

どうしようもなく優しい愚か者

せめて、この時だけは―――
(終)

>>354にちょっとだけ触発されて書いてみた
流れ読まず&相当ヌルですんませんでした
366名無しさん@ピンキー:2009/06/20(土) 22:31:44 ID:k+URvf8r
>>354
雨とか傘といえば、やっぱり銀さんとお妙さんだな。
傘を貸したまま返してもらってないお妙さんと、雨の日に会った銀さんとの
情感に満ちたエロスの香りの高い作品、求めます。
367名無しさん@ピンキー:2009/06/21(日) 03:30:15 ID:gwfisCpg
>>365 GJ! 雰囲気がエロいね
368銀さち1:2009/06/21(日) 17:38:15 ID:1oi072uc
>>324です
性懲りもなくまた帰ってきました。前回のさっちゃんオナニーの続きで、銀さちです。
SMプレイなんて俺には無理だったよ………ぬるくてスマソ





「何してんの?」

突然、頭上から降ってきた言葉にさっちゃんは一瞬で氷のように固まった。思いもよらない人の声に全身の毛穴から汗がにじみ出るようだった。目の前に立っている銀髪のけだるげな男、銀時は濁った眼でさっちゃんを見下ろしていた。

「ッ……銀さん!」

なんということだ。自分としたことが、忍者のくせに気配に全く気付かなかったなんて。
辺りを見渡すと半裸の自分の肌と脱ぎ捨てられたパンツとグショグショになってしまった銀時の布団が目に入る。
どう頑張っても言い逃れるすべはないように思われた。

普段、さっちゃんは銀時が好きだということを公言していたが、いつも銀時には軽くあしらわれていた。
だからこそ、こういう状況――銀時をおかずにオナニーしていたところ――を見られるのは気まずかった。
今までなら銀時への気持ちは冗談ということで済ませられたが今では自分が本気だということを明らかにしてしまったも同然なのだ。

「オイオイ……どうしてくれんの?コレ。銀さんの布団グショグショじゃねーか。」

まるで何もなかったようにしようとする銀時からはなたれた言葉はさっちゃんを突き放した。
いっそのこと、気持ち悪い、と罵ってくれた方がどれだけよかっただろう。結局、さっちゃんのことなんて銀時は相手にしてくれないのだ。
不覚にも急に目頭が熱くなる。ダメだ、と自分で自分に言い聞かせるが今までため込んでいたものがあふれだしてしまいそうで、
さっちゃんはここから逃げようと立ち上がる。しかし、次の瞬間、手首を痛いほど捕まれた。

369銀さち2:2009/06/21(日) 17:40:11 ID:1oi072uc
「逃げんのかよ。」

さっちゃんはグイ、と身体を銀時の方へ寄せられ、そう耳元で囁かれた。
さっきとはうってかわって欲情をはらんだ低い声にさっちゃんは腰が抜けてしまった。するとすかさず銀時が腰に手を回し引き寄せた。
布団と同じ銀時の匂いがして、クラクラと目眩がした。見上げると、銀時の顔がずいぶん近くにあり、たじろいでしまう。
銀時のいつもは死んだ魚のような目が今では獣のようにギラギラと妖しく輝いている。その瞳にとらえられて、さっちゃんは身体が熱くなっていくのを感じた。

「いつも俺がいねぇときに忍び込んで、こんなことしてんの?」

銀時が後ろから覆いかぶさるように抱き締めてきた。わざとからかうようないやらしい声でそう言われるだけで、さっちゃんは感じてしまう。

「ひゃっ!」

ねっとりとした生暖かいものが、さっちゃんの首筋を撫でた。先刻、汗をかいて冷えた身体には銀時の舌はとても熱く感じられる。
腰に回っていた銀時の手がなまめかしくさっちゃんの身体のラインをなぞりながら、だんだん上に上がっていく。
銀時の手に触られると肌は鳥肌が立ったかのようにゾクゾクしてしまう。
「……んっ」

手はさっちゃんの胸にたどり着いたが、銀時は一向に揉もうとしない。胸の上をを行ったり来たり撫でるだけだ。
手が乳首に時々かすり、そのたびにさっちゃんの身体は無意識に跳ねた。
そのせいで、かわいらしい乳首はビンビンに立ち上がってしまい、物欲しげに存在を主張していた。

370銀さち3:2009/06/21(日) 17:41:08 ID:1oi072uc

「銀、さぁん……」

さっちゃんは首ひねらせ銀時を見つめる。かすれた甘い声は物欲しそうで切なげだった。

「何?言葉で言わないとわかんねぇんだけど。」

とぼけた事をいう銀時にさっちゃんは絶望した。いつもはどんなはしたない言葉だって平然と言えるのに、銀時の前ではなけなしの理性がそれを阻んだ。

黙ってしまったさっちゃんに痺れを切らした銀時は手をゆっくり下降させはじめた。
なぜか今日のさっちゃんはしおらしい。すぐに乱れて股を開くものだと思っていた銀時は拍子抜けした。
もちろん、後者よりはこちらの方が好みな銀時には嬉しい誤算だったのだが。

下降していく手にさっちゃんは焦る。なんでもいいからはやく銀時のゴツゴツした手でめちゃくちゃに乳房を揉んで欲しかった。

「……で………さ…い」

さっちゃんは顔を赤らめてボソボソいったが銀時には全く聞き取れない。
ん?と銀時が諭すように聞き返すと

「……おっぱい…揉んで……ください」

ためらいがちながらもはっきりとした言葉に銀時はニヤリといやらしく笑い、さっちゃんの乳房を掴んだ。

「あぁんっ!」

やっと与えられた刺激に思わず声が漏れる。身体から力が抜けて、さっちゃんはもう自力で立っていられなかった。

(やわらけー)

銀時は純粋に驚いた。もちろん、初めての女というわけではないが、この大きさの胸の女は久しぶりだった。
余裕で手からはみ出て、指に吸い付くような白い乳房は、銀時の指の動きに合わせて面白いほど形を変えている。

371銀さち4:2009/06/21(日) 17:42:33 ID:1oi072uc

「……ッ!」

おもいっきり爪を立てて銀時が乳房を掴んだ。さっちゃんはあまりの痛さに息をのむ。
先ほど自分でやったのを遥かにしのぐほどの痛みで、それから逃れようと後ろに下がるも、銀時がいるためかなわない。
そして、さらに銀時と密着してしまったさっちゃんは腰に何か堅いものがあたっているのに気付いて赤面した。
銀時が自分で興奮している、と思うとうれしくてたまらない。

はやく挿入したくなった銀時はあまりの快楽に力が入らなくなって人形のようになったさっちゃんを布団にそっと寝かせる。
トロンとした瞳で目尻に涙を浮かべ、上気した頬に真っ赤なぷっくりした唇、銀時はひかれるようにその唇を貪った。
自分のそれとは違う柔らかい感触を十分味わって、舌を差し入れると、銀時の舌の動きに合わせてさっちゃんは一生懸命に応えようとする。
唾液をさっちゃんに流し込み、さっちゃんがそれを飲み込むと銀時は醜い征服欲が満たされていくのを感じた。
唇を離すと、さっちゃんは名残惜しそうな顔をして銀時を見つめた。無意識なのだろうが、そんな顔を見せられて興奮しない男がいるだろうか。
もう銀時の理性の糸も限界が近かった。銀時が乱暴にさっちゃんの股を開くと、そこはむせ返るような雌の匂いがした。
何も纏っていないグショグショのアソコにいきり立った自分のモノをあてる。


「!!」

一気に奥まで突かれて、さっちゃんは悶絶した。
いくら濡れていても、慣らさずに挿入されたら痛いに決まっている。
銀時はそんなことを知ってか知らずか、さっちゃんのことなどお構い無しに次はゆっくりと引き抜く。
死ぬほど痛かったが、いつもと違って余裕なく切なげに眉を歪め、飢えた獣の瞳で銀時に見つめられたらそんなことはどうでもよくなった。
あの冷たい銀時が自分だけを見て、自分に欲情してくれている。それだけでさっちゃんは十分だった。

372銀さち5:2009/06/21(日) 17:44:13 ID:1oi072uc

「あっ、あっ、あっ!」

銀時が突くのに合わせて声が漏れてしまう。今やすっかり痛みは無くなり、与えられるのは快楽だけになったさっちゃんはもうたがが外れてしまいそうだった。
先ほどの自慰で何度もイったため、もう快楽は拷問に近いものに思えた。


「も、っ……許して!」

おかしくなっちゃう、と涙を流しながらさっちゃんは快楽を拒否しようとするが、まだ達していない銀時が聞き入れてくれるはずもなく、さらにグラインドの速度を速めていく。
それにつれてさっちゃんの嬌声も同じように高く、大きくなっていった。

「あぁあぁぁーーーッ!」

ガクガクと小刻みに震え出して、さっちゃんはすぐに絶頂を迎えた。足が指先までピンッと張り、体がしなやかに弓なりになる。
ギュッと引きちぎらんばかりに締め付けられ銀時は達しそうになるが、なんとかギリギリのところで踏み止まり、また腰を振りだした。
銀時の汗がさっちゃんの上に飛び散った。


「お……れは、ま…だ……イってねぇ…んだ……よ……」

「もぅ…い…あぁあん!」

イったにもかかわらず何度も突き上げられ、さっちゃんはもう理性を無くしていた。眼は薬物をやったかのようにイって、口はだらしなく開かれ涎が垂れていた。
行為の中断を求めようと銀時のたくましい胸板に手を置いているが全く力は入らず、意味をなしてはいなかった。
代わりにさっちゃんの豊満な胸が銀時の動きに合わせて、ぷるんぷるんと上下に動いている。


373銀さち6:2009/06/21(日) 17:45:10 ID:1oi072uc

「あぁっん!あぁああぁああぁあ!!」

もう、いっそのこと殺して欲しいとさっちゃんは思った。気持ちよすぎて、本当に気持ちいいのかわからない。
銀時にぐちゃぐちゃにされて、まるで無理矢理犯されているような気がしてきた。ぐちゃぐちゃという結合部のいやらしい音に耳が侵食されていく。


「くっ……!!」


ずっと続くかに思えたその快楽も、銀時が達したためにあっけなく終わりを迎えた。銀時の熱い精がドクドクとさっちゃんの膣内に放たれた。その精も銀時のだと思うとさっちゃんはいとおしくてたまらくなった。







さっちゃんが後始末をして万事屋を後にしようとすると、それまで黙っていた銀時が躊躇いがちに口を開いた。

「またこいよ。」

さっちゃんは驚きに目を見開いた。セフレとして?彼女として?、とはさすがのさっちゃんでも恐くてきけなかったが、どっちでも同じことだ。銀時を拒む理由など持ち合わせていないのだから。
さっちゃんは肯定の代わりに優しく微笑んだ。




終わり

374名無しさん@ピンキー:2009/06/22(月) 01:31:59 ID:MGXRIgp6
>>373

GJ! 銀さちよかった! 萌えたよ
375名無しさん@ピンキー:2009/06/22(月) 02:26:30 ID:p9x08cno
わー!わー!わーっ!
さっちゃんカワエエ!!銀さちイイッ!!
乙です。また書いて下さい…。
376名無しさん@ピンキー:2009/06/22(月) 05:14:59 ID:stAq9MeZ
マダハツ、桂幾、そして銀さち…

 
職人ありがとぉぉぉぉ!
色々な組み合わせが読めて嬉しいよ
377名無しさん@ピンキー:2009/06/22(月) 14:19:30 ID:WizCW8HB
今週号の女の争いがカプ厨の争いに見えた
378名無しさん@ピンキー:2009/06/22(月) 22:20:36 ID:DhH3frOv
なんだまだ争っているのか。
最近は沖神って何?ってくらい平和だと思っていたんだが。
379名無しさん@ピンキー:2009/06/23(火) 10:02:58 ID:MS3UPkTD
まぁ無理矢理処女を奪われる話で、お妙さんとさっちゃんのどっちが萌えるかというと
お妙さんだなと自分は思うが
380名無しさん@ピンキー:2009/06/23(火) 13:40:48 ID:rLLguFBs
            にヽ
          __ \\
    _    〈::::ヽ__ノ } その話はおいといて
 ┌┘L___,ゝ'´   〈
  `¨` ー―- 、   |
           ヽ.    |
          〉 "´ ヽ
           {.    |
           \.  |
                〉  |ヽ
              /  丿|
          / /||
         く 〈   | L__
          \_>   `ー‐┘
381名無しさん@ピンキー:2009/06/23(火) 18:27:03 ID:g4n6Wll8
>>380
地味に番茶吹いた
382名無しさん@ピンキー:2009/06/23(火) 18:50:13 ID:Qm+ZpWes
>>379
自分もお妙さんに1票。お妙さんの破瓜ものは萌える。
383名無しさん@ピンキー:2009/06/23(火) 19:23:26 ID:zRICDkgM
破瓜モノいいよな
ちんぽ以外のバイブとかで無理やり処女奪うとか
銀魂なら刀の柄の部分や木刀かな
384名無しさん@ピンキー:2009/06/23(火) 19:42:56 ID:67H6OvD0
>>279
自分はさっちゃんに一票
銀さんに捧げる予定だった処女を無理やり奪われて、
嫌ーッ!銀さーんッ!ぎんさぁぁんっっ!!って泣き叫ぶさっちゃん希望
385名無しさん@ピンキー:2009/06/23(火) 20:59:08 ID:ag1DJ6r6
さっちゃんは処女っぽくないよね。
そこがいいんだけど。

やっぱプライド高そうなお妙が狼藉者や
触手ついてるような天人にむりやりされてると萌える。
386名無しさん@ピンキー:2009/06/24(水) 08:58:18 ID:pSAJcv+F
沖田×お妙執筆してんだけど
沖田がキチクすぎて反感買いそうなんだよね。
何処までのキチク具合なら許されるの?
暴力はNG?
387名無しさん@ピンキー:2009/06/24(水) 09:22:40 ID:C01z5Nyb
>>386
個人的には大丈夫です
お願いします!!
388名無しさん@ピンキー:2009/06/24(水) 10:59:16 ID:F2bSKeOz
嫌ならあぼーんするだろ
注記つけりゃ無問題
389沖田×妙:2009/06/24(水) 11:33:35 ID:pSAJcv+F
強姦モノがいやな方は読まないでください
お妙さんスキーにもおすすめしません。
390沖田×妙:2009/06/24(水) 11:34:28 ID:pSAJcv+F
完全に油断していたとしか言いようがない。

妙はその日も勤め先であるキャバクラ「すまいる」から
町外れにある自宅まで歩いて帰っていた。
酒も殆ど飛んでいたし、意識もはっきりしていたので、
タクシーを拾うまでもないと考え、何より倹約のため
散歩がてらフラリと歩いていたのだった。
家に帰ったらまずお風呂に入ろう。
などと考えていると急に後ろから声がかけられた。
「おや、姐さん何してんですかぃ?」
独特な江戸っ子口調のやる気のない声。
彼はパトカーを妙の所へ横付けした。
真撰組の沖田だった。
391沖田×妙:2009/06/24(水) 11:35:02 ID:pSAJcv+F
「今、家に帰るところなんです。」と妙
お互いにあまり面識のない妙と沖田は
「昨日もゴリラが呑みに来ました。」
「いつもお世話になってます。」など当たり障りのない会話をした後、
話すことがなくなり、気まずくなってきた空気の中、
妙が「では、そろそろ失礼いたします。」と丁寧に挨拶し、去ろうとした。
すると沖田が
「なに、家までおくりやすよ。」と持ちかけてきた。
パトカーをタクシー代わりにしてしまうのか、この男は。
と考えた妙だったが、夜中でもないしむしろパトカーなので安心だろう。
と乗ってしまったのが運の尽きだった。

妙ははじめは外の流れる景色を見ていたが
沖田からペットボトルのお茶を渡され、温かいそれをちびちびと飲んでいた。
日ごろの疲れもたまってか、つい、うとうとと眠りについてしまった。
392沖田×妙:2009/06/24(水) 11:35:36 ID:pSAJcv+F
体勢に違和感を感じて目覚めた妙を、
沖田が覗き込んでいた。
「!?」
パトカーにのっていたはずなのに、
此処はどこ、
何よりこの格好は、
と、妙は混乱した。
無理もない。

見たこともない和室で、
両手は後ろでひとつに纏められ、
腹は柱に縛られて
何より全裸のうえ、猿轡までされていた。

縄を解こうとする妙だったが、
特殊な縛り方でもしているのだろう、到底解くことは出来ない。

まさかこの状況を沖田が作ったのでは?という考えにやっと辿り着いたところで、
背後から声がした。
393沖田×妙:2009/06/24(水) 11:36:15 ID:pSAJcv+F
「起きましたかぃ?ったくいつまで寝てんだ。クスリ強すぎたかねぃ。」
紛れも無く、知っている声。
沖田の声だ。

状況を説明して欲しく、何より沖田に罵詈雑言を浴びせたかった妙だが
猿轡のせいで声にならない。
「んー、んー」と唸る妙に、沖田は冷たい一瞥を送ると
唐突に話し始めた。

「姐さん、万事屋とは何処まで言ったんです?
まさかこんなとこまで入っていって何もしてねえってこたあねえよな?」
ピラリと一枚の紙が妙の膝元に落ちてきた
そこに写っているのは銀時と妙が如何わしい宿、所謂ラブホテルの中に入っていく
まさにその姿を収めた写真だった。
394沖田×妙:2009/06/24(水) 11:36:54 ID:pSAJcv+F
流石に混乱しきって、何も言えない妙に沖田が追い討ちをかける
「ソレは俺が趣味でとったものでね。まあ他にもありますよ。
これなんか姐さんいい顔してんじゃねえか。カメラなんか仕掛けるのは簡単でしたぜ。」
さらに取り出された写真は妙が銀時と全裸で絡み合っているものだった。
もはや、声にならない妙は目の前の青年を睨みあげている。
睨むことしかできないのが彼女を更に苛立たせていた。

「ところで、この写真どうしようかねぃ。メモリーは俺が持ってるんで
焼き増しして瓦版にでも流してもらいやしょうか?
新八君に送りつけるのもありですかねぃ。」
根性悪くニヤニヤと笑いながら恐ろしいことを提案する沖田に、
妙は、背筋が寒くなり一気に青ざめた。
首を横にぶんぶんと振ってみるが、
沖田はニヤニヤと嫌な笑みを止めるどころか、
写真を踏みつけながら妙に近づいてきた。

そして一言呟いたのだった
「まあ、お妙さんのがんばり次第ですぜィ。」

395沖田×妙:2009/06/24(水) 11:37:35 ID:pSAJcv+F
狭い室内にクチュクチュと淫らな音が響く。
柱から解かれた妙が沖田の股に顔をうずめ口淫をしていた。
「まあ、初めてにしちゃうまいんじゃないですかぃ。
ああ。初めてじゃねえのか。」
フ、と笑いながら言った沖田を妙は殺意を込めて睨み上げ、歯をたたせようとした。
とたんに右頬に痛みを感じた。平手であったが殴られたのだ。
「てめえ、次そんなことしてみろ・・・。」
男を殴ったことはあっても殴られたことがない妙は、
殴られたショックから涙目になりながらきいているしかなかった。
396沖田×妙:2009/06/24(水) 11:38:04 ID:pSAJcv+F
「気が変わった。」
ぼそっと沖田は呟くと、
口移しで妙に、何かを飲ませたあと、
いきなり妙の膣内にそそり立ったものを埋め込んだ
「いやあああああ!いいいたああううううううううううっ」
猿轡のとれた妙は痛みで叫んだが、それは誰にも届かない。
濡れてもいないそこにいきなり押し込んだものだから、
膣口からは鮮血が流れていた。
「まるで姦通式みたいですねぃ。旦那ともそんなにヤってねえのか。
 うわ、すげえ。ギシギシいってる。」
半分笑っている沖田を妙は睨み付けたが、痛さと悔しさから涙がこぼれ
それが沖田をさらに煽っていた。
「やっぱりプライドは高いほうが折る甲斐があるねぃ。
お妙さん、実はあんた俺と相性ピッタシなんじゃねえの?」
プライドが高い妙は確かに男心を煽るものを持っていると沖田は前々から考えていたのだろう、
グッチュグッチュと妙の陰部に腰を打ち付ける沖田は
いずれこうするつもりであったと、妙に告げた。
ストロークが早くなって、快感が迫ってきていた。
「あ!やだ、なか、やめ・・・」
「おせーよ。残念でしたねぃ。」
妙の膣内に精液を出した沖田は、満足そうにしていた。

一方、妙は絶望的な気持ちでいた。
それというのも排卵日が今日の予定だったからである。
真っ青になりながら、沖田に告げるのだけは止めておこう、
もっと酷いことをされてしまうと直感で感じた。
397名無しさん@ピンキー:2009/06/24(水) 11:38:33 ID:pSAJcv+F

「沖田さん、もういいでしょう?」
涙声で哀願する妙をぱしりと平手打ちをし、
沖田はバイブを取り出した
しかも相当な太さ、長さのサイズである。
「お妙さんは触ったこともねーか。」
バイブにローションを塗りながら、沖田は妙に近づいてくる。
写真のことなども忘れ、逃げようとした妙だが、
体の様子が可笑しい。足腰が立たない上に陰部から愛液が
ドクドクと出てくる。
「あーやっと効いて来ましたねィ。不良品かと思った。さっき飲ませてあげたでしょう。」
妙は先ほど口移しで飲まされた薬が淫剤だとここでしった。
鈍い自分にも苛苛がつのったが、写真のことを忘れて逃げようとした自分に驚いてしまった。
銀時や最愛の弟の新八、もしかしたら神楽にだって迷惑がかかるかもしれないのに。
自分のことしか頭に無かった妙にほの暗い絶望がのしかかってきていた。
398沖田×妙:2009/06/24(水) 11:39:16 ID:pSAJcv+F
「うあっ・・・」
ポニーテールをつかまれ、四つんばいになった妙の秘部を
沖田がローションを塗った手でグチュクチュと愛撫する。
膣口にバイブを当てると、ズプププと押し込んだ。
「いあっ・・・ぃた・・・うっ・・・。」
妙は痛さで声すら出てこない。
押し込んだはいいのだが、半分ほどしか入らなかった。
膣口からはポタポタと愛液のみが滴り落ちている。
「もう血は出ねえか。つまんねえ。」
沖田は呟くと容赦なくスイッチを入れた。
「あああああ。いやああああ・・・やああああ、もう・・・あああ。」
妙は意識を辛うじて留めていたが、精神的にも限界が来ていた。
意識が飛びそうになったところで、ジュプッと沖田がバイブを引き抜いた。
399沖田×妙:2009/06/24(水) 11:39:53 ID:pSAJcv+F

朦朧とした意識で、妙は沖田に騎乗位の形で跨り、
腰を振っていた。
「ああ、もっとぉ・・・あ、らめぇ・・・。」
「薬が強すぎやしたねィ。うあ、出るっ。」
繋がったそこからは、愛液と汗と精液が混じったものが、ゴプと音を立てて
出されていた。
おぼろげな意識で、行為を行っている相手すら分からないのだろう。
もはや妙は危険日などという考えはなく、ただ快楽を求める雌になっていた。
沖田はカメラを妙に向けると、無言でシャッターを切っていた。

400沖田×妙:2009/06/24(水) 11:40:31 ID:pSAJcv+F

数日後
キャバクラ「すまいる」から帰る妙に
パトカーが横付けされた。
沖田がピラリと写真を見せると、
妙は何の抵抗もせずに車に乗っていった。
銀髪の男が見ているのも知らずに。

401名無しさん@ピンキー:2009/06/24(水) 11:41:49 ID:pSAJcv+F
途中
メル欄入れるの忘れた。
ごめんね。

あとDV注意と銀妙注意って入れるの忘れた。
ごめんね。
402名無しさん@ピンキー:2009/06/24(水) 16:59:07 ID:C01z5Nyb
403名無しさん@ピンキー:2009/06/24(水) 17:00:00 ID:C01z5Nyb
>>386-401
GJ!!
すげえ…思ってた以上に沖田鬼畜だ…w
404名無しさん@ピンキー:2009/06/24(水) 18:22:42 ID:WXjAZJ5U
GJ! この後の銀さんのリベンジ編を期待!
405名無しさん@ピンキー:2009/06/25(木) 14:37:00 ID:fhRkHC6n
GJ!!
鬼畜沖妙いいなw
406名無しさん@ピンキー:2009/06/25(木) 18:44:08 ID:4VOlS2ry
銀さんが沖田を半殺しにした後、優しくお妙さんを慰める展開希望。
407名無しさん@ピンキー:2009/06/25(木) 18:44:47 ID:aHBx0YvI
このあと銀さんがどんな行動に出るかが楽しみだ
408名無しさん@ピンキー:2009/06/25(木) 20:56:49 ID:Eu0cAweX
>406
いやいや,半殺しじゃなくて99/100殺しくらいで
409名無しさん@ピンキー:2009/06/25(木) 21:02:27 ID:aFttYXu8
Test
410名無しさん@ピンキー:2009/06/25(木) 21:17:05 ID:fhRkHC6n
そういえば保管庫にある甘めの沖妙よかったな
411名無しさん@ピンキー:2009/06/25(木) 22:15:22 ID:Xj+YeE47
何ゆえ沖田がここまで鬼畜な行為に及んだか、知りたいなあ。
@ミツバさんを懐かしむあまり、同じくお姉さん的な雰囲気のお妙さんに歪んだ愛を抱いた。
A密かに男として憧れていた万事屋の旦那と「兄弟」になりたかった。
B単にサド的欲望を満たしたかっただけ。
412名無しさん@ピンキー:2009/06/25(木) 22:27:54 ID:SzfuE5FJ
>>410
姉上プレイのやつ?


>>411
全部で
413名無しさん@ピンキー:2009/06/25(木) 23:16:27 ID:wR9RZbjE
>>411
やっぱりここは@で

さらに堕ちていくお妙さんが見たい
でも銀さんに救われるお妙さんも見たい…
414名無しさん@ピンキー:2009/06/25(木) 23:20:04 ID:fhRkHC6n
>>412
うん。姉上プレイのやつ

他にも土ミツ前提の銀ミツとかも良かった
本当職人さんは凄いな
415名無しさん@ピンキー:2009/06/25(木) 23:30:54 ID:JuPaZ0fD
銀ミツでカプ妄想って凄いな
416名無しさん@ピンキー:2009/06/25(木) 23:40:20 ID:fhRkHC6n
>>415
銀ミツっていうか銀→ミツかな

ミツバが土方に惚れているのを解っていても惹かれていく切ない感じが良かった

銀神、銀妙、銀さちなどの王道もいい作品いっぱいあるし

沖妙、銀ミツ、高さち、土そよ、近妙なんかも数は少ないけどクオリティ高くてオススメ
417名無しさん@ピンキー:2009/06/26(金) 01:24:27 ID:hAyZMFRa
ここは本当に職人に恵まれてるよな
ありがたい

保管庫にある山とみの短編がすごく好きだ
直接描写は無いけど、エロ切なくて良かった
山とみは他にもあるけど、だんでの美咲は出た事無いよな?方言がネックなんだろうか
418名無しさん@ピンキー:2009/06/26(金) 18:43:26 ID:eyVlCGav
銀魂男女カプSSスレ
ttp://yy701.60.kg/test/read.cgi/tizumusipan/1245933040/

書き手さん待ってます
419名無しさん@ピンキー:2009/06/26(金) 20:32:51 ID:sUH4rfSd
ただでさえ少ない書き手を分散とか
420名無しさん@ピンキー:2009/06/26(金) 20:44:52 ID:G4nXeAyf
というか分ける必要なくね
421名無しさん@ピンキー:2009/06/26(金) 21:12:33 ID:LgbkbKqQ
続きを読みたい話はたくさんあるけど、ぐっとこらえて脳内補完
いい終わり方してたら続きを期待してしまう
422名無しさん@ピンキー:2009/06/26(金) 23:31:38 ID:rmjbrRPW
>>419 420
非エロで書きたい人にはいいんじゃね?
ここにエロ無し投下すると集中的に叩かれるから。
423名無しさん@ピンキー:2009/06/27(土) 01:45:43 ID:FvEVcNfH
だってここ
エロパロだもの
424名無しさん@ピンキー:2009/06/27(土) 14:28:52 ID:xW07q41M
自分は抜きたくてここに来ることが多いから個人的には分けてもいいかと
まあ書き手の好きにすればいいよ
425名無しさん@ピンキー:2009/06/27(土) 21:50:00 ID:VVtvzPxt
>>424
・・・・・・嘘だろ?
エレクトもした事ないわ
426名無しさん@ピンキー:2009/06/27(土) 22:17:09 ID:yFTV7k5b
たちっぱなし
427名無しさん@ピンキー:2009/06/27(土) 22:24:28 ID:xW07q41M
>>425
すげえな
ここには純粋に萌えに来てんの?
428名無しさん@ピンキー:2009/06/27(土) 22:41:27 ID:7X84i2CG
自分は職人さんたちの文章力を味わいたくてここに来てる。
時に空知並みの台詞回しで笑わせ、時に切ない結末で胸をキュンとさせてくれる。
エロは付属品みたいなもので、深い心理描写の方にウエイトを置いて読んでます。
429名無しさん@ピンキー:2009/06/27(土) 22:44:42 ID:xW07q41M
>>428
まじか
なんか職人さんにすごい悪いことしてる気分になってきた
何この罪悪感

でも起つもんは起つんだから仕方ない
430名無しさん@ピンキー:2009/06/27(土) 23:51:26 ID:RMrvN9OJ
エロパロなんだからそれでいいと思うんだけど…

職人さん達はどちらでも好きな方に投下してくれればいいんじゃないかな?ここに投下した話の続きとかならエロ無しでも是非読みたい。
やっぱり「エロ無し」の注意書きは欲しいけどね。
431銀妙:2009/06/28(日) 00:35:25 ID:GIwe6bPK
真面目なお話の途中にお邪魔致します。
初投下ですが、エロなのかそうでないのか自分でもよくわからなくなりました。
432銀妙 1:2009/06/28(日) 00:41:25 ID:GIwe6bPK
広い志村邸の廊下の奥、客間は今は使われていない。姉弟以外に志村邸に泊まる者など今は銀時と神楽くらいしかおらず、それは大概療養中であったから、せめて陽の明るい南の座敷をと妙は都度布団を抱えて支度をする。
その布団は今、仄暗い客間の押入から半ば落ちて妙の膝の上にある。
背から覆い被さるように銀時に抱かれている。
 
訪ねて来たのは四半時程も前か、死んだ魚のようなのとは違う力の無い眼をした男に、また傷でも開いたのかと妙は躊躇なくその黒い上着の襟元を肌蹴させて、前日の夕方に自分が巻いてやったままの包帯がわずかに赤く染まっているのを見て顔をしかめた。
いいかげんになさいと責めるのを、男は黙って首を振り、怪我ァ開いちゃいねえと言い訳がましく呟く。良く見れば返り血のようだった。何故か、ぞっとした。
包帯、取り替えましょう。居間に行っていてくださいな。布団を仕度しますから。傷は開かなくても熱が出てきたでしょう。必要以上に厳しく告げたのは戸惑いを隠すためだった。
客間の押入を開け放ち、今日の昼間に干したばかりの布団を抱えて一歩下がろうとして、背中からぶつかった。気配も無かった。取り落とした布団が崩れて落ちて、妙の両腕は後ろから伸ばされたより太い腕に押さえられ体ごと抱え込まれていた。
何も言おうとしない銀時の呼気は常より僅かに速く、熱かった。
「銀さん」
初めに考えたのは帯のことだった。家着とはいえ、血が染み付いてしまったら物によっては落とせない。駄目にしてしまう。
全く女というものは。こんな時にさえ着物のことを一番に考えるなんて。
「銀さん、放して」
首の後ろにふわりとしたものが寄せられる。横を見ると夕日を受けた白い髪が、やけにきらきらしく傍にある。ぐずぐずと頭を振るのは拗ねた子供のようで、妙は少しだけ安堵した。
押さえ込む太い腕に指をかけて撫ぜる。親指から繋がる内側の筋がぴくりと張った。
「銀さん」
「……無理はねえと思うんですけど。怖がられんのも、辛いもんなのよ」
斬りました。そりゃァね真剣だもの。なまくらだってそれなり斬れますもの。でも俺ァ斬られんのも嫌だけど斬るのも嫌いだよ。痛いのも怖いのも嫌いだよ。
銀さん本当は臆病者なのよ。
433銀妙 2:2009/06/28(日) 00:43:01 ID:GIwe6bPK
「知ってます。図体ばかり大きな子供だこと。でも少しだけ怖くなったのも本当です」
 貴方が誰かを斬るような、そんな切羽詰った破目にまた巻き込まれたかと思うと、臆病者の貴方がいつか壊れてしまったらどうしようかと、怖くて仕方ないんですよ。
「うん」
「貴方は屋根の修理でもしていれば良いんだわ」
「うん、割と得意分野だしね。しんどいけど儲かるし、器用だしね」
 銀時が押さえ込んでいた片腕を放してくれたので、妙は斜めに振り向いて、ふわふわと柔らかい白い髪を、犬の仔でも構うようにかき混ぜてやる。妙の白い手に、赤茶けた筋が引かれた。これも良く見れば返り血だった。
「俺ァ臆病だけど頑丈ですから。そうだな、壊れちまうとしたらそん時は」
 誰もいなくなって、お前もいなくなって、痛くて怖くて、寂しくて。
 そしたら壊れちまいそうな気はするなぁ。嫌だよなぁ。
 肩の骨に呟く声が響いて、もう一方の手が引っ掴んだ袖から前合わせが崩れて、後ろから甘える声が吐息が肩から胸の方にまで、かかる。
「なぁ、甘えさせてよ」
「もう十分に甘えてるじゃありませんか」
 わざわざ断りを入れるような関係じゃない。いざそうしたいならきっとこの男はしたいようにするだろう。
銀時は、妙が己に課した道徳の枷をよくよく承知していて、決定的な何かを口にできるほどの度胸も覚悟も見せてはくれなかった。物思わせな、罪な臆病者。

 右手が差し入れられる。
 襟元から手のひらだけ。喉首の骨から手のひらの分だけ身に添わせて、それ以上進められたことがないから妙は動かなかった。ただ一度身体を僅かに震わせて、努力して息を落ち着かせ、大人しく銀時に寄りかかった。
 心臓の音を探っているのだ。肌を弄るでもなし、胸乳を包むでもなし、むしろ異常な態度なのに、まるで正しいことのような気がして妙は逆らうことができない。
頻繁ではないけれど、半端に酔った雨上がりの夜だったり、やけに静かな早朝だったり、良くない何かにさらされた銀時は子供じみた真面目さで妙に甘える。
初めに払い除けなかったのが悪いのだ。でも払い除けていたら二度と触れられることは無いだろう。そう分かってしまった。愛おしいと思ってしまった。結局自分で許した関係なのだ。
「ちゃんと動いてますでしょう?」
「うん」
434銀妙 3:2009/06/28(日) 00:44:26 ID:GIwe6bPK
「銀さん」
「なに?」
「私に会わないころはどうしていたんです?」
他の誰かにこうして縋る姿がどうしても想像できなかった。嫉妬ではなくて、むしろそんな誰かがかつて居て、それが失われたのだとしたらたまらないと思った。
「さぁ、どうだったっけ? 呑んで潰れてた?」
「どうして疑問形なんです」
「わかんないけど」
なだらかすぎる気がする自分の胸に、銀時の大きな手は確かに触れていて、いやらしいことばかりわざと口にするような普段の態度を思うと、一体どんな我慢をさせているのだろうかと妙は疑問に思う。
男の欲求など知らないし、あまりにも子供じみた様子なので想像すらできない。不能なわけもないだろうし、と失礼なことを考えてみたりする。そんな余裕すらある。
「甘えたいのなら頭ごと抱きしめてあげましょうか」
「うん、いや、いいよ。このままがいい」
好き勝手に触れて、好き勝手に離れていく。男の腕に抱え込まれた妙には主導権がない。触れそうで触れないのは身体も心も同じで、振り回されるにも優しすぎる気がして殴れもしない。
臆病者。卑怯者。選ばせてもくれない。この関係に名前もつけさせてくれない。
「お前はいいな、暖かくて、柔らかい」
上がりすぎる心拍。触れられている胸が熱い。息が詰まって、「銀さん」呼んだつもりの声が音にならない。
「お妙」
滅多に呼ばれない名を呼ばれて身体が震えた。それだけで何もかも満ち足りたような幸福感と、同時に感じる酷い遠さ。堪えていたのに涙が零れた。気付かれないといい。
「お妙」
その後に言葉を続ける代わりに、銀時はただ無闇に抱きしめてくるばかりだ。どうか何もかも打ち破ってしまって。道徳も貞操も知ったことか。そう思いはしても、妙はそれを、口にすることができない。
ああ、なんて、臆病者。
435名無しさん@ピンキー:2009/06/28(日) 00:50:17 ID:GIwe6bPK
投稿してから気付きました。2の行頭、一文字下げたままでした。
読みづらかったらすみません。
というか、内容自体が読みづらかったらすみません。
436名無しさん@ピンキー:2009/06/28(日) 00:53:27 ID:gBckiKrx
猛烈にGJ!!!!
なんだかとっても切ない…
リアルタイム投下で素敵な銀妙見れて幸せだw
437名無しさん@ピンキー:2009/06/28(日) 01:12:02 ID:+L+WmmP+
GJGJGJ!
銀妙のつかず離れずの距離感がいい!
気を張って生きている銀さんが、ふと弱音を吐く相手がお妙さんというのがいい。
438名無しさん@ピンキー:2009/06/28(日) 01:16:36 ID:PtcOk7s0
GJ!
いつもとは違うんだけどなんからしい二人の雰囲気が凄く良かったです。
本当に切ないなー。なんか泣きそうになっちゃったよ。
439名無しさん@ピンキー:2009/06/28(日) 01:58:05 ID:4FK59KdG
GJ!!!!
感動した
440名無しさん@ピンキー:2009/06/28(日) 01:58:23 ID:z/xe4eDC
つか>>424-438まで普通に全員女だろ
腐同士で争うなよ馬鹿馬鹿しい
441名無しさん@ピンキー:2009/06/28(日) 02:24:56 ID:g3hV2oxZ
なんという良作!!!!
442名無しさん@ピンキー:2009/06/28(日) 11:51:23 ID:ZHbs4rGn
切なくて良かった、GJ!是非エロありも読んでみたい
443名無しさん@ピンキー:2009/06/28(日) 17:06:35 ID:4D9bVBeU
大人な雰囲気で切なくなったよ、GJ!!

突っ込むだけがエロじゃない
444名無しさん@ピンキー:2009/06/28(日) 21:56:50 ID:0KQYMGGe
うわああああああ
切なくないですか?
心理描写上手すぎだろ。
続きとかあるのかな?

エロありも読みたいです。
445名無しさん@ピンキー:2009/06/28(日) 22:22:34 ID:PM5JqnPz
これは良い微エロ 銀妙も良いものだな
実にGJと言わざるを得ない
446名無しさん@ピンキー:2009/06/29(月) 00:01:57 ID:qsoA/PQ8
銀さち書きたい!!
447名無しさん@ピンキー:2009/06/29(月) 02:42:45 ID:VjcU7AXG
書けば?
448名無しさん@ピンキー:2009/06/29(月) 06:00:52 ID:7RLJh3dk
>>431-434
理想すぎる銀妙……GJ!!
449名無しさん@ピンキー:2009/06/29(月) 20:38:15 ID:4QoPdGaN

   (●)(●)(●)(●))(●)(●)(●),,r==、(●)(●)(●)
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  ,;;    (:●)●)(●)(●)(●)(●)(●)(●))(●))(●;)      。
       (о●)(●))(●)(●))(●)(●)(●)(●)●》)
         ( ;●ξ巛:)( ;●ξ(●)(●,--'""ヽ●:( ;)
           巛巛ミ巛ミミミ//二二ノ""^ソ彡
             巛((ミミ((巛ヘ`\┼┼┼ ,!ヽ
                 巛王 \"ヽ-;:,,,,,,ノ /'    
                       \,,,,,__,,,ノ
450名無しさん@ピンキー:2009/06/29(月) 23:01:07 ID:zEMKqdXY
キモすぎ吐いた
451名無しさん@ピンキー:2009/07/01(水) 01:19:02 ID:SyKJH0Kz
プラトニックなエロ…!こういうのもいいね!!

是非次は一線越えた銀妙を!!
452名無しさん@ピンキー:2009/07/01(水) 22:39:51 ID:f4VkXczy
銀魂の世界観とは真逆かもしれないけど、格調高いエロスっていうのも読んでみたい。
キャラによってはそういう文学的香り漂うような描写が似合うのもいるしね。
  
453名無しさん@ピンキー:2009/07/01(水) 22:44:46 ID:vFs6XeHc
次はちょっと変わった組み合わせのカップルの話読みたいです
保管庫の作品読んでたらマイナーカプもの見たくなった
454名無しさん@ピンキー:2009/07/02(木) 00:14:55 ID:4kjL6N/W
将軍の足軽を…
さっちゃんあたりで
455名無しさん@ピンキー:2009/07/02(木) 01:59:05 ID:cBx3T7Bq
>>453
銀ミツ、銀九、高妙、沖妙、高さち、土さち、高ミツ、白血球王×たま、桂たま、土たま

神威×初期設定沖田、高月、神ミツ、京次郎×月、京妙、タカティン×ベッティ

土九、銀結、桂ミツ、桂妙、桂さち、偽白血球王×サラダ婆、銀ベティ、土サラダ、近おりょう、

白(白血球王)×神楽、白妙、白さち、白月、伊東×初期設定沖田

マイナーカプってこんな感じ??
456名無しさん@ピンキー:2009/07/02(木) 21:01:56 ID:hfgEwS0j
たまの体重200キロだっけか・・・。
重くて乗せられん。
457名無しさん@ピンキー:2009/07/02(木) 23:43:32 ID:ZgqL9d3i
銀さんが「すまいる」で膝に乗せてたのはなんだったのかと(ry
458名無しさん@ピンキー:2009/07/03(金) 00:19:23 ID:RHJBkV5N
271-291です。前回も沢山のコメントありがとうございます。続きですが、
長くなってしまったので二回に分けようと思います

285-286の九ちゃん視点です。
今回はエロシーン殆どないです すみません
あと、名目上東九としておきますが東城は登場しません
どちらかというと北九・南九っぽいかもしれません
459東城×九兵衛?:2009/07/03(金) 00:21:20 ID:RHJBkV5N
 一人残されて静かになった部屋で、九兵衛は思った。どうしてこんなことになってしまったのか、と。
東城も指摘していたが、己の甘さにも一因があったと、九兵衛は悔いる。考えてもいなかった。あんな風に欺かれていたと知って尚、
彼が己を力で捻じ伏せて組み伏せ、監禁までするなどと。矢張りそれでもまだ何処かで疑いきれていなかったのだ。彼のことを。
九兵衛は唇を噛む。
そういえば、と九兵衛は思う。ここを出る直前、あの男は妙な事を言っていた。城の舞踏会に、王子様の元に行きたいのならば、馬
車も使わず己の力だけで歩いて行け、と。まるで誘惑するように。……何を考えている。歩いてみろと言われても、もう既に、その
場所までに至る道など残ってはいないというのに。どうしたら辿り着けると言うのだ。城の在り処は分かっている、ただ行く術が見
当たらない。窓の外に見えるそれに焦がれるばかりの――遥か東方の城。
否、奴の言葉遊びになど付き合っていても仕方がない。そう、最早その距離は埋まりようがないのだから。
兎に角まずはこの状況を何とかせねば。このままではいずれ戻ってきた奴にまたいいようにされるだけだ。誤解一つまともに解けな
い状況に陥ってしまう。
九兵衛はこの部屋から脱出すべく思いつく限りの方法を試した。だがどれも上手くいかなかった。失敗を重ねる度に九兵衛は焦燥し
始める。何より東城が残して去ってしまった己の体内で暴れる冷たい無機質な塊が、九兵衛の身体を悪戯に燻って頭が上手く回らない。
一度達してしまえば幾分冷静にもなれる気がするが、その微妙な刺激はしかし九兵衛を絶頂まで昂らせるには至らないものだった。
いつまでも開放されることの無い熱が九兵衛の中に蓄積して苛める。早く楽になってしまいたい、少し気を抜けばそんなことば
かりが頭を巡る。
その時ふと、東城の部屋に備え付けられた電話が目に入った。何とか手が届く。今のこの痴態を他人に見られるなど考えただけで顔
から火が出そうだが、そうも言ってられない。誰に助けを求めようか。困ったときは電話しろと、万事屋の言葉が思い出されたが、
彼らも含めて友人の電話番号を登録した携帯電話は取り上げられてしまっている。唯一志村家の番号は空で覚えていたが、こんな姿
を妙や新八にだけは見られる訳にはいかない。そんな事を考えているうちに、内線のボタンが目に付いた。それに手を伸ばして、不
意に東城の言葉が思い出される。こんな姿の貴女を見たところで、愉しんでいるようにしか見えないでしょう。それに、こんな姿の
貴女を見て、襲わぬ男がいるとお思いですか――。女中を呼ぼうかと思ったが、それも憚られた。己に妙な性癖があると誤解されて、
変な噂など立てられては堪らない。女子のそういった性を九兵衛は男の立場からよく見てきた。それよりも、と九兵衛は思う。襲
われたいのなら別ですが、と付け加えた東城の言葉に最早、それでも良いかも知れないと思っていた。
心から抱かれたいと望んだ男は一人だけ。それは今も変わらない。変わらないからこそ、許せなかった。あの男の己に対するこの仕
打ちが。こんなにも愛しているのに、如何して……。それは次第に理不尽な怒りへと変わった。秘めた恋心に気づかない、己を殺さ
んとする愚かな王子様に、それでも人魚姫は彼を護る為、最後まで彼を想いながら泡沫と消えたらしいけれど、そんな真似など如何
して出来ようか。あれ程深く根付き己が心を占めていた愛情は、激しい憎悪にすら変わった。何でもない男にされたことだったのな
らば、ここまでの激情は抱かなかっただろう。だがこんなにも愛していた彼だからこそ――。
彼の胸を貫ける短剣などあるのなら、それで何度でもあの男の心臓を突きたい位だ。しかしそんな隙など今はなかった。だからせめて、
せめて一矢報いたい――。

460東城×九兵衛?:2009/07/03(金) 00:22:34 ID:RHJBkV5N
あの男はやたらと、己を孕ませることに拘っていた。その理由は最早分からない。柳生家を手に入れる為とばかり思っていたが、一
笑と共に否定されてしまった。それどころか柳生家を恨んでいるようですらあった。九兵衛を苦しめた元凶、と……。何を馬鹿な。
これだけ己を苦しめてきた男が他にいるだろうか。そんな男が何を言うのか。しかしこの柳生以上に、彼が己に一体何を求めている
というのか、皆目見当もつかないが、それでも……あの男が己を欺き、こんな手段に出るまでそれに拘っていたのは確かだ。ならば
ここで、己が東城以外の男と孕む可能性のあるようなことをしてしまえば。それは彼の計画を狂わせるきっかけともなりうるのでは
ないか。
……以前の己なら到底考えられないようなことだった。だがしかし、東城への憎しみが、己にそんな考えすらも浮かばせた。
無論それらは万一の時の話だ。今は兎に角、ここを脱出することを考えなければならない。それに――上手くいけば手に入るかもし
れない。あの男の胸を貫く短剣も。
やがて九兵衛は受話器を取ると、静かにそのボタンを押した。



「失礼致します」
暫くして、障子の向こうから聞きなれた男の声がした。
「入れ」
ぶっきら棒にそう告げると、がらりとそれが開けられる。
「……どーしたんですか、若」
「……それはこちらの台詞だ、南戸」
しかし入るなり尋ねられた言葉に、九兵衛は思わずそのまま返す。
「何でお前までここにいる」
黒髪をオールバックにして眼鏡をかけた、生真面目そうな男の隣に平然と立っていた、彼とは対照的な長めの赤毛の、いかにも遊び
人風の男は、いやいや、と手を振った。へらへらと笑っている男の態度に九兵衛は苛立つ。あの電話で彼を呼んだ覚えなどなかった。
「来る途中にこいつに会いましてね、ここに若がいて用があるって聞いたもんで……丁度東城さんに借りたAV返そうかと思ってた
らあの人また外出しちゃったって聞いて困ってたんで。あの人前に勝手に部屋入ったらえらく怒ったんですけど、まア若がいるんな
ら別に良いかと思いまして。……よっと」
隣の男を指差しながら、南戸は状況を説明する。そして手にしていた袋から幾つか箱を取り出すと、証拠とばかりにそれを机の上に
置いた。あられもない姿の看護師らしき服装をした女子が、白い布で緊縛されている写真が見えた。九兵衛は思わず顔を顰める。
「馬鹿か貴様は。そんな物を若に見せたりしたら、寧ろ東城殿は余計に怒るだろう」
眼鏡をくいとあげながら、南戸の隣に立っていた男、北大路は溜め息をついた。そう……九兵衛が呼びつけたのは彼だけだ。
「さァ、東城さんも案外AV見せながらプレイとかしてんじゃねーの。何せ東城さんだし」
北大路のその指摘も気にも留めていない様子で、南戸は部屋の奥に進むと、棚をスライドさせて幾つか動かした。この部屋に何度も
通った九兵衛ですら知らなかったその奥の開いている場所に、手にしていたそれらを無理やりねじ込むと、そ知らぬ顔で戻る。弾み
で本のようなものが一冊落ちたが、大して気にしていないようで無視した。
「にしても若、さっきから何か表情エロくない? 東城さんが出かけちゃってんでたまってるんですか? それでこっそりこいつを
呼んだと……」
そして振り向きざまに、そんなことを九兵衛に告げる。にやにやと、下卑た笑みを浮かべながら。九兵衛は思わず、眉根を寄せて睨
み返す。その言い方ではまるで自分が、夫がいない間に愛人を招き入れる、欲求不満の人妻のようではないか。ふざけるな。誰があ
の男の妻だ。おぞましい。
「貴様のその男性器のようなツラ程いかがわしくはないと思うが、恐らく膣内に何か詰め込まれているんだろう」
「……っ! 」
北大路がクールな表情を微塵も変えずに、淡々と言い当てた言葉はしかし事実で、九兵衛は心の内で流石だな、と思う。彼は柳生に
おいてはブレーンとも言うべき役割を担っていた。優れた観察眼と洞察力、そしてあの男とは圧倒的に差をつけているのがその冷静さだ。
こんな状況ですら眉一つ動かさずに指摘する。
461東城×九兵衛?:2009/07/03(金) 00:27:34 ID:RHJBkV5N
「マジで? 」
興味津々、とばかりに南戸は九兵衛を見つめた。やや遅れて、ああ、と九兵衛は答える。どれどれと、南戸は九兵衛の着物の中を覗
き込んだ。余りに突然の行動に九兵衛の反応が遅れる。そうでなくても北大路の言うように己の膣口に宛がわれたそれは今も尚蠢き、
判断力を悉く奪っていた。
「うっわ、本当だ。つーか若、濡れ濡れじゃん? こんなしっかり銜え込んじゃってさァ……」
「……っ! 」
大事なところをじろじろと、好奇の視線で見られ、そんなことを告げられて、九兵衛は羞恥に顔が赤くなる。
「へェ……こうして見ると、やっぱ若も女なんですね。……東城さんも凄いな。あの若をこんなエロい女にしちゃって……。つーか
放置プレイ中だったんですか。相変わらず趣味悪いな東城さんは。その服も東城さんの趣味でしょ? よくそんなヒラヒラの、脱が
しにくそーな服着せますよね。それとも普段着たまましてるんですか? それでその下着ですか。若もよくつきあいますね。案外好
き者ですよね、若も」
「! 」
悪びれもなく続けられた言葉は、更なる羞恥を煽った。だが繰り返し出された名前に、それとは別の火が九兵衛の頭に点る。
「東城に……無理やり着せられたんだ」
「……はい? 」
なるべく低い声を作って告げた言葉に、南戸はきょとん、とする。
「ここに来たとき突然手を縛られて、無理やり組み敷かれて……散々犯された挙句、こんな格好でここに繋がれて、こんな……もの
まで挿れられて……」
ぽつりぽつりと、九兵衛はこれまでの経緯を語りだす。思い出すだけでも屈辱的だった。どうしてあの男は己にこのようなことを。
彼に対する抑えがたい憎悪の炎が再び、九兵衛の心の中で燃え上がった。
「……またまたァ」
しかしその言葉を、南戸は信じてはいないようだった。世間話でもしているような態度の彼と、未だ奈落の底に落とされたような気
分でいる己との間には、随分と温度差があるように感じられた。
「そういうプレイなんでしょ? 見せ付けちゃって……」
「違う! あの男は……東城はずっと僕を騙して、僕を孕ませようと……」
「東城さんが? まっさか」
「本当なんだ! 信じてくれ」
九兵衛が何度繰り返してもしかし、南戸は冗談のような顔をしていた。そんなことがあろう筈がないと、鼻から決め付けているよう
で、己との温度差など気づいてもいない。
「そう言われてもね……あんたら、あんなに仲良さそうじゃなかったじゃないですか。前に女中が言ってましたよ。東城さんの部屋、
いつもゴムの残骸の数が半端じゃないって、彼女も呆れてましたよ。それにいつだかたまたま東城さんと風呂で入れ違いになった
んですけど、体中キスマーク付けまくってたじゃないですか。東城さんも『私はあなたと違って他人に裸身を見せびらかす趣味は無
いんです、そんなに見るんじゃありません』とか何とか言ってたけど俺がそのこと指摘したらすっげーデレデレだったし。嬢に妙な
痕つけられたらブチ切れてた東城さんがさァ」
「っ……! だからそれは、あの男に騙されていて……」
確かに彼に、専有の証とばかりに無数の痕を残したのは他ならぬ己だ。しかしそれは最早過去の話。そのことを何とかして理解して
もらわねば話が進まない。
「……あの人が口車に乗せて若を手篭めにしたっていうんですか? まさか。昔っから若を目に入れても痛くないんじゃないかって
位可愛がってたじゃないですか」
「だから……それもあの男が僕を欺くために……! 」
全ては恐らく、彼が己の世話役についた頃から始まっていた計略だったのだ。自分達が見てきた彼は偽りの姿でしかない。如何した
らそれを分かってくれるのか。
「またまたァ。東城さんの若への溺愛ぶりのせーで今まで周りがどんだけ被害被ってきたとおもってるんですか。東城さん自身若の
為なら死ねるんじゃないかって位の人だしさ。つーかそもそも若の方から誘ったんでしょ? 東城さんのこと。何だかんだ言って若
も東城さんのことすっげー好きなんですね」
「違ッ……! 大嫌いだあんな男、殺してやりたい……! 」
「……若ァ。吐くんならもっとマシな嘘をついてくださいよ」
幾ら九兵衛が必死に訴えても、南戸は微塵も信じようとはしなかった。飄々とした態度を崩さずに、ついには呆れたように切り出す。
「本当に東城さんのことが嫌いだったら、どんなに迫られたって断れる立場にあんたはいるじゃないですか。でも若は拒むどころか、
東城さんのところに頻繁に通ってたんでしょう? 」
「……! 」
462東城×九兵衛?:2009/07/03(金) 00:29:34 ID:RHJBkV5N
それは確かに真理だった。九兵衛は言葉に詰まる。全てを説明するのは躊躇われた。状況が余りに不利だ。彼に騙されていたと気づ
くまでは確かに彼を愛していたのだと、その果てに彼に女子として愛されてなどいないと知りながら、己に迫られては断れぬ立場に
ある彼の元に通っていたのだと、その上で彼に無理やり力づくで犯されたのだと、そんな事を言って如何して南戸が信じるだろうか。
――誰が信じるというのです。不意に東城の言葉が思い出される。それが現実味を帯びた恐怖となって九兵衛を包んだ。
「ここにだってどうせ、東城さんに抱かれる為に来たんでしょ? 何があったのかよく知らねーけど、実家から飛んで帰ってきたと
思ったらまたすぐ戻ってっちゃった東城さんにさァ。本当、昼間から元気ですよねあんたら」
「だ、だからそれは、東城に無理やり……」
下世話な話をするような調子の南戸に、九兵衛はうろたえながらも弁明しようとする。しかし矢張り、南戸は意にも返さなかった。
「無理やりねえ……。っつっても、繋がれたって言ったってンな、痛くないように包帯ぐるぐる巻きにした上から手錠されて、丁寧
に食事まで用意されてる状態で監禁されたって言われても……説得力ないんですけど。ま、東城さんらしいっちゃらしいですよね。
でも……正直に言ったらどうなんですか」
「……何? 」
「東城さんのせいに何かしてないでさ、ヤリたくて堪んないから北大路に電話したって」
「なッ……! 」
南戸の物言いに、九兵衛は頭に血が上った。ここに刀があれば間違いなく、彼の喉元に刃先を向けていたことだろう。
「本当若って、クールぶっててすっげー淫乱なんですね。東城さんが戻ってくるまで我慢できないんですか。こんな玩具まで貰って
てさ。こんな、エロい格好で北大路を誘惑するなんて。つーか何で北大路なんですか。こんな冷血ケチャップ男より、俺の方が数十
倍はイイ男でしょ? 」
「ち……違う! 僕は、助けて欲しくて……」
「助けるって、こーですか? 」
「ひゃぁあぁ!? 」
不意に南戸は九兵衛のショーツに差し込まれていた機械のスイッチを弄った。身体の中に埋め込まれたそれの振動が激しくなる。
「『ひゃあ』だなんて、若も女みたいな声出せるんですね。そんなに気持ちよかったですか? イケなくてつらそーでしたもんね。
だからあいつを呼んだんでしょ? にしても若って本当にエロい身体してるんですね。俺もちょっとそそられちゃいましたよ」
「はぅ、や、止め……」
凄んで命令を下そうと思ったのに、呂律の回らぬ舌からは酷く淫靡な声が漏れる。屈辱的だった。この男にこんな声を聞かれるなど。
こんな風に弄ばれるなど。
「……まァ俺も、こんな玩具じゃなくて、物欲しそうな若に本物くれてやりたいとこですけど……」
南戸は甘い声で九兵衛に囁くと、しかしそのまま立ち上がる。
「流石に若に手ェ出したりしたら、東城さんに殺されそーなんでやめときますわ」
「なっ……んっ……」
「俺も東城さんの女に手ェ出すほど腐っても、女に不自由してる訳でもないし」
「あぅぅっ……って、みっ……! 」
そしてくるりと背を向けると、その状態で九兵衛に語る。南戸の言葉を全力で否定したかったが、甘い声が漏れぬよう必死に抑える
唇はうまく動かなかった。激しさを増した刺激に崩壊しそうになる理性を、留めようとするだけでせいいっぱいだった。
「俺が言うのもなんですけどね。若も浮気してねーでもうちょっと東城さんのこと大切にしてやったら如何なんですか。あの人若と
付き合いだしてから、あれだけ頻繁に通ってたソープやらイメクラやらにも行ってないみたいだし。あの人がよく一人の女で持つな
ーって感心してるんですよ。ま、でも相変わらずロフトには通ってるみたいですけどね」
絶望的な言葉だった。あの男を大切にしろ、だと? 己を欺き、こんな辱めを与えたあの男を? あの男が一時買春を止めていたから、
それが何だというのだ。感謝しろ、とでもいうのか? 余りに勝手な理屈だ。
あくまでも東城を、己にあのような仕打ちをした男を本位に考える南戸の態度に、九兵衛は目の前が真っ暗になる。
463東城×九兵衛?:2009/07/03(金) 00:31:41 ID:RHJBkV5N
「……行くのか」
「ああ。これから予定あるし」
「どうせ大した用事ではないだろう。また女のところに行くのか」
「俺にとっては大した用事だって。ま、俺はともかくお前も若に変な気起こす前に帰ったほうがいいんじゃね? 今日の若マジエロ
いしさ、どう考えても誘いまくってんじゃん、お前のこと。東城さんと修羅場っても俺は知らねーよ」
「俺は若に呼ばれてここに着たんだ。貴様が男性器らしい下種な想像を若に巡らせるのは勝手だが、若の用事を聞くまでは帰れんだろ」
「あっそう……じゃ、俺はこれで。あんま東城さん怒らせるよーなことはしない方がいいと思うぜ? 」
ひらひらと手を振りながら、南戸は東城の部屋を後にしてしまった。
「……南戸の主張は最もです」
そして二人きりになったその場所で、北大路はぽつり、と呟いた。
「これまでの経緯や今の状況。若が何を仰っても、若と東城殿のプレイの一環にしか見えない……しかし」
「……ふ、ぅ? 」
「若の言が全くの嘘ではない可能性もある」
「き……た、大路……っ」
言い方は引っかかるが、彼は南戸と違い信じてくれるのだろうか、己を。東城に嬲られ、南戸には誤解されたまま詰られて、屈辱の
果てにずたずたにされた九兵衛の心に淡い希望の光が灯る。こんな状況でも或いは北大路ならばと、そう思って九兵衛は彼を呼んだ
のだ。幼い頃から己と共に過ごし、共に剣の修行を重ねてきた彼ならば、その長い時の中で何度も思い知ってきた聡明さを持つ彼な
らば、己のことを理解してくれるのではないかと、この場から助けてくれるのではないかと。――それは即ち、あの男とも縁が深い
ことを意味するのだけれど。
「……東城殿は追い詰められると何をするか分からない人だ。その果てにこんな事をしても……」
しかし呟かれた言葉に、九兵衛は顔を伏せた。この男も東城、か。あの男が門下生達に慕われているのは知っている。南戸はその筆
頭だった。だがこの北大路までも――如何して主である己の立場では考えてくれないのだろうか。単に同性だからあの男の考えの方
が理解し易いのかもしれないが、そう考えると九兵衛は悲しかった。今や己の敵でしかないあの男なしで、本当にこの先次期当主と
して、この柳生一門を纏めていけるのか……。第一追い詰められると、とはどういう意味だ。この状況であの男が如何追い詰められ
ているというのだ。追い詰められているのはこちらの方ではないか。
「そんな顔しないでください。俺はあの顔面男性器のように東城殿に心酔しているから若より彼のことを信じていると言っているん
じゃない。ただ状況から見て奴の判断は一見最もだが、俺はそうでない可能性もあると考えている、と言っているんです」
「……! 」
心の内を見透かすように、北大路は九兵衛を宥めた。否、宥めるというよりは淡々と、事実を語っているに近い。
「……ああ、それで。用件は何なのですか? 態々俺をこんなところに呼び出して……」
「み……見ればわかる、だろっ……!? 助けて、くれ……! 」
南戸が弄って帰ってしまったそれが身体の中で暴れて上手く言葉を紡げないながらも、九兵衛は北大路に訴える。このままではどう
にかなってしまいそうだ。始めにその存在を見抜いた彼ならば、そんなことはわかっているだろうに。
「見ればわかるだろう、と言われてもな……」
しかし対して北大路は、困ったような顔をする。
「見ただけでは南戸の言うように、外出中の東城殿に放置プレイを決め込まれて、耐えかねて俺を呼んだようにしか見えないのです
が。襲ってくれと言わんばかりの状況ですし」
「……っ! ど、どうしたら……信じてくれるんだッ!? 」
「さあ、今の若に俺を説得できるだけの材料なんて用意できないでしょう。だが……説得ではなく取引ならできるんじゃないですか」
「と、取引……だとっ……!? 」
主人の己を何だと思っているのか、叱り付けたかったが北大路の言葉も最もだった。確かにこの状況では、そう思われても仕方がな
いのかもしれない。……それでも彼を呼んだのだ。
「ああ。俺がここから若を開放する見返りに、俺を満足させてくれたら、その手錠を外してやっても良い」
「……わかった」
北大路をじっ、と見て、九兵衛は思った。この男は完全に己の味方という訳ではないが、かといってあの男の側についているのでも
ない、そんな態度だ。それも共に幼馴染である二人のどちらを信じるべきか、そんな情に振り回されて悩んでいるのではなく、あく
まで彼が今まで見てきた事実の中で客観的に判断を下している、と言った風情だ。
「で……見返りとは何だ……? 」
464東城×九兵衛?:2009/07/03(金) 00:34:07 ID:RHJBkV5N
「……若も女なら、何度も東城殿に抱かれた女なら。この状況で俺がどうしたら満足するか、位分かるんじゃないですか」
「……っ! 」
びくん、と九兵衛の身体が強張った。ある程度予想はしていたが、矢張り――。
「若の言うように、本当は若は東城殿の事が嫌いで、それでもあれだけ何度も寝たと言うのなら。俺とだって出来るでしょう? 」
「……」
九兵衛は黙っていた。――何を躊躇している。初めに東城が忠告したように、こうなる可能性があることも分かっている上で、北大
路を呼んだのではないか。
そうだ。今こそあの男に……復讐を。
「……好き、にしろっ……」
それでも九兵衛には、それが精一杯だった。顔を背けて瞳を堅く閉じ、男の次の行動をただじっと待つ。
「では……」
「……! 」
それを聞くなり北大路は、九兵衛の脚をがばと広げた。
――いきなり何て、即物的な男なんだ……!?
九兵衛は混乱した。接吻から始めて、徐々に気分を高めていくものなのではないのか、まるでそこ以外興味がないと言わんばかりに……!
幾ら愛のない関係だからと言って、これはあんまりではないか? 少なくとも東城は、あの男はこんな真似はしなかった――。己の
全身に、余すことなく丁寧な愛撫を施してくれた。焦らされる程時間をかけて、ゆっくりと……。
……何を考えている。己とあの男との間とて、愛など無かったではないか。
それに、と九兵衛は思う。早く終わるのならその方が良いだろう。どの道何も無い関係なら……。
「……はぅ……うっ! ……はぁ……」
ズル、と己のうちから硬質の物体が引き抜かれる。狂いそうなその刺激から開放されて、九兵衛は大きく息を吐いた。
「……」
北大路はそんな九兵衛に労いの言葉一つかけず、それどころか九兵衛のその部分すら見ずに、ただじっ、とそれまで九兵衛の中に埋
め込まれていた物体を見つめていた。
「……っ! 」
ふと、北大路と目が合って、九兵衛はぞっ、とする。
――冷めた目だった。恐ろしい程に。
普段あれ程頼もしいと思っていた、彼のこんな状況においてすら保たれた冷静さが、急に恐怖を煽る。
これが本当に、最中の男の目なのだろうか。九兵衛の脳裏に、情熱的な男の視線が過ぎる。あの男はいつも、最中には切なげな程の
視線を送ってくれたのに。
「や……んっ! あっ……! 」
蜜壷に指を挿れられ、九兵衛の口から甘い声が漏れる。東城のそれとは違う冷たい指が、機械的な運動を続けた。
「……」
それでも北大路は何も言わず、ただ黙々と手を動かす。
「はぁ……あぁっ! 」
その男の何処までも冷めた態度に、熱くなっていく頭の片隅で、九兵衛はふと思った。
――本当にこのまま、北大路と関係を結ぶのだろうか。あの男以外のものなど受け入れたことのないその場所に、彼のものを銜え込んで……。
こんな状況に立って尚、その想像は些か非現実的だった。このまま弄られ続けていれば多分、肉体が絶頂を迎えもするだろう。何処
か冷静な自分がそんな判断を下す。しかしそれで本当に……己は満足するだろうか。
九兵衛には既に見えてしまっていた。その先にあるものが。何もない関係。虚しさしか残さない、本当の意味で無意味な……。
「あッ……! ……とっ」
ふと、この場にいない男の顔が頭に浮かぶ。――この期に及んで何を。あんな事をされて尚、他の男に抱かれてもあの男の事を思い
出してしまうのか。
悔しいが事実だった。こんな冷え切った関係などではなく、一時のようにあの男に情熱的に求められたい。例えそれが泡沫の夢であ
っても、もう一度それに溺れたい……。
「……興が冷めました」
不意に北大路の手が止まる。何事か、思っているうちに指が引き抜かれた。それと同時に、己でも驚くほど急速に、あれ程己を苛め
ていた熱が冷めていく。
「何……の真似だ」
――何を言っている。冷めたも何も、お前は初めから微塵も、熱くなどなっていないではないか。
「俺にもプライドがありますので」
言って北大路は立ち上がる。
「最中に他の男の名を呼びかねない女を抱く趣味はありません」
「……! 」
そして背を向けて水道に向かう男の言葉に、九兵衛はぎくり、とする。
465東城×九兵衛?:2009/07/03(金) 00:36:27 ID:RHJBkV5N
勘付かれた、か……。
嫌に冷たい北大路の愛撫を受けながらも、心に浮かぶのはあの男のことばかりであったことを……。
自分でも愚かだと思う。あれだけの事をされて、確かに憎んでいる筈なのに。それなのに未だ己は、東城を求めている。狂いそうな
くらい、あの男の全てを手に入れたいと望んでいる――。
ここにおいて九兵衛は思い知ってしまった。もう如何にもなりはしないのに。それでも尚、愛しているのは、心から抱かれたいと望
んでいるのは、己にこんな屈辱を与えたあの男ただ一人だけだなんて……。
矢張り分からない。如何してあの男は己を、愛してもいない女を、あんなにも熱っぽく抱けるのだろう。そんなことをしても、虚し
いだけだろうに。
「南戸とてそうですよ。若が本当に好きでもない男に強姦された上に監禁されたというのなら、あの女の弱みに付け込んで誑しこむ
のが趣味の男性器が放っておくわけないでしょう。幾ら東城殿の女と言っても、若が本当に嫌がっているのならあの男の彼への評価
も変わるでしょう」
「……は……」
分かっていたというのか。
それを躊躇させるほど、己はあの男に惚れ込んでいると。
だから手を出さなかったのか。南戸も。そして――北大路も。
「……そうだ。僕はあの男が……東城が好きだ。こんな事をされても尚……気づかせるためにやったのか? 」
「さあ、結果的にそう仕向けたのは若じゃないんですか。俺は主人である若に呼ばれたから来ただけで、そこまでお人よしではあり
ません。子供の頃からの知り合いである若と東城殿の性生活など正直興味ありませんから、見せ付けられても困りますし。言ったと
おり興が冷めたから止めただけです」
「違う、そんなんじゃないんだ! 本当に……僕はあの男に無理やり……。確かに僕は東城のことが好きだが、あの男は僕のことな
ど何とも思ってないんだ。だから僕にこんなことを……! 」
「どうだか」
しかし矢張り、北大路は九兵衛に説得されはしなかった。
「この機械……取り出した瞬間中で妙な音がしていました。センサーか何か入ってたんじゃないですか」
「! 」
気づかなかった。それで先ほどこの男はじっとそれを見ていたのか。全く……恐ろしい洞察力だ。
「……あの男は僕が昨日、別の男と寝てたんじゃないかと疑ってた。それでそんな真似をしたんじゃないか。また僕を詰る材料にで
もする為か……」
「それこそジェラシーの類じゃないんですか」
「違う! 信じてくれないかもしれないが、本当にあの男は……僕をずっと騙していて……避妊具に細工をして、僕を孕ませようと……」
「……成る程」
納得してくれたのだろうか、九兵衛が淡い期待を抱いたのも束の間。
「それでそんな格好で俺を呼んで、東城殿ではない男の子を孕みうるようなことでもさせられても丁度腹いせになると」
「……っ! 」
心の内を言い当てられて、九兵衛は言葉に詰まる。
「そういうことでしたら、一つ納得もいきますが。でも、あんまり無理しない方が良いんじゃないですか。何かと不器用だし、若も
東城殿も。そんなんだといつまで経っても平行線のままですよ」
「……は! あの男が不器用なものか。僕を……愛してもいない僕を何度も抱ける癖に」
「まあ、多かれ少なかれ男とはそういうものですよ。確かに東城殿や、序にあの男性器なんかは『多かれ』の方に含まれるのかも知
れません。……でも」
北大路はくい、と眼鏡を持ち上げる。
「愛しているからこそ抱きたいと思うのも真理でしょう」
「……? 如何いう意味だ……? 」
「さあ、ここから先は若と東城殿の問題でしょうから、俺は口出ししませんよ。……ああ、そういえば手錠を外すという話でしたね」
「あ、ああ……しかし僕はその、お前に見返りは……」
「ふむ……じゃあその、卵焼きを貰えますか」
「! 」
机の上に置かれた出汁巻き卵を指差され、九兵衛は戸惑った。本当にそんなもので良いのか、と。
「……あの男が残していったものだ。何が盛られていても僕は知らんぞ」
「なら尚のこと。東城殿が若に用意したものなら、これ程安心できるものはない」
「……」
己の言葉を肯定と受け取ったか、北大路は懐からケチャップを取り出すと、それを出汁巻き卵の上に勢いよく、余すことなくかけた。
黄色い卵がのっていた筈の皿が、鮮やかな赤に染まっていく。
「お前それ……出汁巻き卵だぞ。普通醤油じゃないのか……? 」
466東城×九兵衛?:2009/07/03(金) 00:39:33 ID:RHJBkV5N
「若もそんなことを言うんですか。東城殿に毒されてるんじゃないですか? あの人以前言ってましたよ、醤油は卵にかける為にあ
るんです、とか……どう考えても卵はケチャップにかけられるために存在しているようなものなのに」
「……」
どちらも極論じゃないのか。訳の分からぬ議論で勝手に東城の仲間にされ敵視されて、九兵衛は頭を抱える。
「若も食べますか? 元々若のために用意されたものですし」
「……いや、いい……というかそれもうお前以外誰も食べられないだろう……」
滴り落ちるほどケチャップをかけられた、最早北大路専用の『赤い何か』と成り果てた物体をジト目で見ながら、呆れるように九兵
衛は呟いた。
「さて……」
やがて食事を終えると、北大路は再び立ち上がった。
「……困ったな。どうやって外すんだ、これは」
跪いて九兵衛の手を取り、少し弄ってみてはしかしぼやく。
「……そこの棚の、上から三番目の引き出しに工具箱があったと思う」
九兵衛に示され、道具を取り出し、暫くそれらを動かしてみたが、それでも一向に外れない。それどころか時折彼の手が滑って、九
兵衛の手に工具が刺さった。
「……案外不器用なんだな、お前……」
「仕方ない。……西野を呼びましょう」
「! 」
己や東城のことをどうこう言えるものかと、思って九兵衛が告げた言葉もさして気にもしてない様子で、ただその手錠に観念したよ
うに、北大路は立つと、九兵衛に宜しいか、と確認を求める。それに九兵衛はああ、と頷いた。
「……そういえば、若はこの電話で俺を呼んだんですよね? 」
「? ああ……」
備え付けの電話を取りながらそんなことを言う北大路の言葉に、九兵衛は訝しげな表情をしながら首を縦に振る。北大路はそれ以上
何も言わず、その電話で西野を呼んでいるようだった。やがて暫くして、スキンヘッドの大男が九兵衛達のいる部屋を訪れる。
「信じられん……」
姿を現すなり、西野は呟く。
「北大路から話は聞いていたが……本当に東城殿が若にこんなことを……? 」
「南戸はこういうプレイなんじゃないかと言っていたがな」
「馬鹿な。あんな顔面男性器の言う事など信じられるか。若が違うと仰ってるなら、何故お前はそれを信じない」
「あの男性器を信じている訳じゃない。俺は俺でこれまでの経緯と見た状況ではとても100パーセントそれが真実とは思えないと
言っている。若も未だ東城殿には恋慕の情を抱いていると言っていたしな。だからお前も信じられないんじゃないのか」
「それは……矢張りあの東城殿が、というのがな……。あの男の若への忠義は大したものだと、拙者も日頃感服していた。若と東城
殿が恋仲になったと聞いたときも、驚きはしたが、あの男なら若を大事にしてくれるだろうと安心していたのに、まさかこんな……」
「その点に関しては俺も南戸も大して驚いてない。逆にあの東城殿ならこれ位のプレイはしてもおかしくないとすんなり受け入れられた」
「いや……拙者は東城殿の性癖など知らんし、知りたくも無いし……」
「俺だって別に知りたくて知ったわけではない。ただこれまでの彼の言動や俺が見聞きしてきたその他諸々のことを総合して推測す
るに、制服やらコスチュームプレイやらが好きなフェティシストで、日に風俗店を梯子する絶倫で、若相手ならスカトロもいけると
か言ってた変態で、」
「いやもういい。……お前の記憶力と洞察力も考え物だな……」
西野は丸く刈った頭を抱えた。
「だが確かに信じられんのだ。東城殿はもしかしたら変態なのではないかというのは拙者も時々感じていたが、それでも……。
 いつぞやもあの男は若の右腕に、そして拙者は左腕にならんと誓いあったというのに」
「お前が左で東城殿が右なら俺は前だな。何をすれば良いのか、前というと一般に女性器の方を指す様だが。それとも口の方か? 」
「いやそういう話じゃないから。何で4Pになってるんだ……まあ、話は後だ。兎に角この手錠を何とかせねばな」
「出来るか」
「ああ、取り合えず、先に鎖の方を何とかしよう。このままでは作業しにくいし、若も辛いだろうし……」
言って西野は鎖を取ると、ふん、と気合を入れてはそれを引き千切る。かなり頑丈な鎖だったはずだが、相変わらずの怪力と、九兵
衛は感心した。
そしてそのまま座り込むと、今度は手錠の開錠にかかる。その武骨で大きな手で、対照的に小さな九兵衛の手にかけられたそれを暫
くかちゃかちゃと弄っていたが、やがていともあっさりと外してしまった。そうして九兵衛は漸く、暫くぶりに完全に手足の自由を得る。
「有難う西野。助かった」
467東城×九兵衛?:2009/07/03(金) 00:42:01 ID:RHJBkV5N
「いやいや、当然のことです。幾ら慕っている男にでも、いや、だからこそ。この様な仕打ち、あんまりでしょう」
「……」
己に同情を示す相手に、九兵衛はこれまでの経緯を彼に話すことが躊躇われた。西野ならば己を信じてくれるかもしれない。しかし、
これ以上彼に心配をかけて良いのだろうか。
「しかし東城殿が、な……。確かに醤油は卵にかけるために存在しているとか、訳の分からんことを言っていたが、決して悪漢では
ないと思っていたのに……許せませんな」
「……。何だかさっき聞いたような話だな……。あの馬鹿……」
あの男は一体何人にくだらない主張をしているのだ。九兵衛は呆れる。
「若もそう思うでしょう。卵は牛乳と砂糖とバニラビーンズと一緒に混ぜて濾して、カラメルソースを入れた器に注いで蒸し焼きに
するのが一番美味いに決まっている」
「……いや、それもう卵というかただの菓子じゃないか……? というかやけに詳しいな。作ったのか」
「いや、稚拙ながら拙者は菓子作りが好きで……侍となるか菓子職人となるか迷ったほどで」
「……相変わらずメルヘンチックな趣味だな……」
「そういえば何時だったか、卵は酢とサラダ油と混ぜてクリーム状にするためにあるんだとか訳のわからん主張をしていた男がいたな」
「それももうただの調味料だろ……」
九兵衛は溜め息を吐いた。如何して己の周りにはこう何処かズレた、おかしな連中ばかりがいるのだろう。己としては卵などについ
て語っている場合ではないのだが。
「そうだ西野」
思い立って九兵衛は側近の一人の名を呼んだ。
「あの棚の、一番上の段に手が届くか? 僕の刀と、いつもの服があるんだ」
「ああ……はい」
言われて西野は立ち上がると、指された棚の引き出しを開け、そこから言われたものを取り出し九兵衛に手渡した。
かちゃり、と手にした刀が鳴る。これで再びあの男に会っても、今度は簡単には好きにはさせまい。それどころか……形勢逆転も狙える。
「……妙だな」
しかしその様を見て、北大路は呟いた。
「東城殿はそれを若に見えるように閉まったのか」
「? ああ……だが僕の身長では全然届かなかった。悔しがらせる為に見せ付けたのか……」
「しかし今のように、誰か人を呼べば届く」
「それは……」
「仮に若が言うように、これが本当に東城殿が若の意に反して為した行為なら。若の手元に刀など持たせてしまえば、もう二度目は
ないと東城殿はわかっている筈だ。東城殿がそんな失態を犯すとは思えない」
「……」
「……若が俺にこの部屋の電話で連絡してきたというのも変だった。本当に東城殿が若を監禁していたのなら、若に連絡手段など残
すはずがない」
「北大路」
考察を続ける北大路を、西野が制した。
「お前はまだ若を疑っているのか? 若は我々に嘘など吐くまい。少なくとも拙者は若を信じるぞ」
「西野……」
「……若の言葉が本当だとすれば。これではまるで、誘っているようだな。東城殿は……彼がいない間に、若が別の男と接触するのを」
「! 」
――誘っていた? 僕が別の男に抱かれたのではないかと、勝手に誤解してあんなに詰ったあの男が?
九兵衛には益々、あの男の目的が何か分からなくなった。己に得物を与えて――これでは殺されたいと言っているようなものではないか。
それとも挑発しているのか。己にあの男が殺せるはずがないと、高を括って――。
「そういえば、東城殿は何処にいる? こうしてここで色々と憶測を立てるより、あの男に直接訊いた方が早いんじゃないか」
「彼の実家の人間がこちらに来てな、彼らと共に出て行ったよ。南戸が誑しこんだ女中から聞いた話だと、何でも昨日も色々と揉め
事があったのに途中で放り出して帰ってきていたらしい。暫く帰ってこないんじゃないか」
「……ああ。そう言っていた。あちらとは上手くいっていないらしい。電話でも口論しているようだった」
北大路の言葉を、九兵衛は補足する。
「まあ東城殿は例え肉親が危篤状態にあっても若に何かあれば放り出しかねない人だからな……大方昨日のその態度が原因だろう。
 彼も俺と同様殆どこの家で育ったような人間だが、それでも血縁関係の柵というのは色々と厄介だからな。俺も親戚の料亭が誰も
継ぐ人間がいないので来ないかとか誘われていて困っている」
『いや、困るも何もお前には絶対無理だろう』
ふうと溜め息を吐く北大路に、西野と九兵衛はほぼ同時にツッコミを入れた。この偏食家が料亭なぞ継いだ日には、皿中真っ赤な料
理を並べかねない。
468東城×九兵衛?:2009/07/03(金) 00:43:48 ID:RHJBkV5N
「まあ兎に角、東城殿が戻ってきても俺は何も言うつもりは無い。それは若と東城殿の問題だからな」
「相変わらず冷淡な男だな。如何あれ拙者は若には協力を惜しまん」
「有難う。……なあ、西野」
ふと思いついて、九兵衛は西野の名を呼ぶ。
「もしもの話だ。もしも僕があの男から逃れる為に……お前に、僕を抱いてくれと頼んだら、お前は応じるか? 」
「……若? 」
「恐らくそれはあの男の目論見を崩す手立てとなりうる。……これでも、あの男に相手をさせている内に、少しは上達したんだ。な
あ……お前は僕の命令だったら聞くか? 」
西野は目を丸くしていた。己とて無論、仮定の話だからこそこんな事が言える。北大路が、そんな事を実行するつもりは己にはない
と分かっている人間がいるからこそ。
「……考えたこともありませんでした」
困ったような顔で、西野は切り出した。
「しかし若……拙者には到底出来ません。若がまだ東城殿を慕っておられるのなら……拙者は若には、心から慕っている人と幸せに
なって欲しい」
「……そうか」
――あの男もそんなことを言っていたな。
ふと九兵衛は東城の言葉を思い出す。だから己を抱くことは出来ないと、冗談なのでしょう、といった顔をしている西野より幾分切
迫した様子で。
あの男は言っていた。あの時己があんな申し出をしたから、彼はあの様な行動に出たのだと。あれが全てを狂わせるきっかけだった
とでも言うのか。
「いや、おかしなことを聞いてすまなかったな。忘れてくれ。西野……お前の気持ちは嬉しい。だが北大路の言うように、ここから
先は僕自身の問題だ」
「若……」
「僕一人で決着をつける。……例えどんな結果になろうとも」
ちゃり、と西野から受け取った愛刀を握り締めながら、九兵衛は静かに告げた。
東城の意図は分からない。だが突破口が開けたのは確かだ。刀さえあれば、もう前と同じ轍は踏むまい。
――この剣で王子様の胸を貫きなさい。そうすればあなたはまた、今までのように海で幸せに暮らせるでしょう。
もう十何年も昔に、布団の中であの男に読み聞かされた物語の一説が頭の中でリピートされる。まだ声変わりも迎えていなかった、
幼くも優しい声……。
だが彼を手にかけたところで、昔に戻れるはずがない。こんな感情を知らなかった頃になど。
刀さえ手元に戻れば、今度こそ己を裏切ったあの男を殺すつもりだった。それなのに。まだ己の中に、確かに残っていると気づかさ
れてしまった彼への愛がそれを躊躇わせる。本当にそれで良いのか。
エピローグを迎えるにはまだ早すぎると、九兵衛は思った。己は声を失ったわけではない。先ほどまでは力で捻じ伏せられて、まと
もに言葉も紡げなかったりもしたが、対抗手段は既に手に入った。
彼に軽蔑されるのが怖くて、ずっと秘めていた想い。このまま胸に抱えたまま終わらせるのは苦しい。無論今のあの男にそれを伝え
たところで、嘲られるだけだろう。意味などないとわかっている。それでも伝えたい。狂おしい程の激情を。もう――逃げも隠れも
しない。
心配そうな眼差しを残しながらも、西野は北大路と共に東城の部屋を去っていった。後には再び、九兵衛だけが残る。
あの男がこの部屋に戻ってくるまでにはまだ時間があるだろう。取り合えず着替えようかと思い、西野が出してくれたいつも己が着
ていた男物の服を取り、鏡の前に立って、しかしそこで九兵衛の手は止まった。
一昨日前からこの部屋にある大きな鏡には、一人の少女の姿が映っていた。長い黒髪を高い位置で二つ分けにして、可愛らしいリボ
ンで結んで毛先を巻き、黒を基とした異国のドレス風の豪奢な着物に身を包んだ、何処から如何見ても女子にしか見えない己の姿。
四年前の雛祭りの日が思い出させられる。あの日あの男に貰った服が、どれ程嬉しかっただろうか。東城さんの趣味なんでしょう、
己の服を南戸はそう形容していた。陵辱の果てに大人しくなった己にあの男が無理やり着せたものだが、本当にこれはいかがわしい
目的で用意した服なのだろうか。少なくとも四年前はそんな目的ではなかった筈だ。――あの頃は思いもしなかった。あの時の優し
い従者が、シンデレラの魔法使いのように己に魔法をかけてくれた彼が、こんな事を己にするなんて。
九兵衛は取り合えず、余りに心もとなかった下着だけを戸棚から取り出したものに替えると、しかしそれ以上の着替えをしなかった
469東城×九兵衛?:2009/07/03(金) 00:45:26 ID:RHJBkV5N
これからどうしようか、思った矢先、ふと先ほど南戸が荒らしていった棚が目に付いた。塵一つなく整理された部屋の中、雑然とさ
れてしまったそこが妙に気になって、直しにかかる。こんなことをしている場合ではないのだが、と思いながらも。しかし男特有の
秘め事の詰められたその場所は九兵衛がとても正視できるものではなくて、そこに近づいたことを後悔しては視線を逸らす。
その時ふと、視線の先の、棚から零れ落ちていた無機質な分厚い冊子が目に止まった。何だろう、思って取り出して広げてみると。
「! 」
そこには一人の少女の成長の痕跡が、写真によって事細かに綴られていた。そう……彼が十八年間ずっと仕えてきた、他ならぬ九兵
衛自身の姿が。何時の間にこんなにと、驚くほど膨大な量だった。そういえば時折あの男は、己の姿を写真やらビデオやらに納めて
いた。柳生家のお抱えの写真家が撮ったのを、焼き増ししてもらったらしいものも入っている。それら全てが一枚一枚実に丁寧に、
アルバムに収められていた。
一通り見終えては、九兵衛はそれを元に戻す。立ち上がって、今度は別のある棚に目が移った。以前東城が、決して見ないでくださ
れと言っていた場所だ。何だというのだろう、思って九兵衛はそこを開く。青髭の恐ろしい秘密を知ってしまった妃は確か殺されて
しまうことになるのだが、それでも九兵衛は知りたかった。あの男が何を隠していたのか。それに己は殺されてやるつもりはないし、
彼との関係は既に終わっているも同然だ。今更何を躊躇うことがある。
「……? 」
開いてみた場所には、矢張り本が置かれていた。それもアルバムとは違う、帳簿のような……。西野も侍になるか菓子職人になるか
迷ったとか何とか言っていたが、まさかあの男は作家か何かでも目指していたのだろうか。思って好奇心から開いてみると。
「……! 」
それは彼の日記帳のようだった。確かに彼の筆跡である整然とした美しい書体で、カーテンが壊れてロフトに行っただとか、取り止
めもないことばかりが書かれている。しかし来る日も来る日も、その冒頭は殆どが同じ言葉で始まっていた。――『麗しの若は、今
日も気高く凛々しく美しい』。……戯言だと思っていた。本心からの言葉では決してない、と。だから嬉しくなるのを必死に堪えて、
今まで耳を傾けないようにしていたのに。
十何年にも及ぶ彼の日常の記録。その何処を開いてみても、綴られているのは己のことばかりだった。そこにあったのは確かに、己
の良く知っている東城の姿だった。もうあの彼はいないのだと、全て偽りだったのだと思っていたそれがその日記の中にはあった。
いつも己のことを心配して、温かく見守ってくれた従者の姿――。
彼がそれを隠していた理由は何となくわかった。彼自身日記を読まれるなど恥ずかしいというのもあるだろうが、こんなものを平常
の己が見たら恥ずかしさの余りに、馬鹿なものを作るなと目の前で焼却処分しかねなかっただろう。――けれど。けれど今は……。
視界が霞む。ぽたぽたと落ちた涙が帳簿の文字を滲ませるのに気づいて、慌ててそれを閉じてもとの場所に戻した。
そういえば、と九兵衛は東城が去り際置いていった、古びたおまるに目がいった。あの時は羞恥と憤怒ばかりで考えもしなかったが、
こんなものをまだ大事にとっておいてあったのは、己もよく知っているあの男だからではないか。
本当にあの男は変わってしまったのだろうか。九兵衛はふと思った。それは俄かには信じられなかった。これまでの仕打ちに絶望し
ていたが、ここに置いて矢張り己のよく知っている彼は幻想ではなかったのではないかという想いに駆られる。
その考えに更なる確証を与えたのが、先ほどまでのあの男の態度だ。掌を返し豹変したようだった彼は、しかし何処か苦しそうな表
情をしていた。舐めるような下劣な視線を己に向け、けれど決して己の顔を直視しようとはしなかった。彼の中にはまだ、葛藤があ
るのではないか。
470東城×九兵衛?:2009/07/03(金) 00:46:34 ID:RHJBkV5N
あの男のことが分からなかった。誰よりも近くにおいていたはずなのに。以前もこんな思いを抱いたことがあったな、と九兵衛は思う。
忘れもしない、東城が女を買っていると知った日のことだ。――もしかしたらその先にあるのは、あの時以上の絶望なのかも知
れない。だが……それでも九兵衛は、今度こそ知りたいと思った。あの男の全てを。あの時のように逃げ出さずに受け止めたいと思った。
……狂おしい程に、誰よりもあの男を愛していると気づいてしまったから。
この想いを伝えてしまえば、彼のその最後の葛藤も打ち破ってしまうのかもしれない。どんな結末が待っているのかは分からない。
それでも良い、と九兵衛は思う。それでももう……己は決して彼から逃げまい。
手にした刀を握り締めながら、九兵衛は静かに机の前に敷いた座布団に腰を下ろし、その部屋の主の帰りを待った。
471名無しさん@ピンキー:2009/07/03(金) 00:57:41 ID:RHJBkV5N
以上です。次で完結です。
472名無しさん@ピンキー:2009/07/03(金) 01:46:54 ID:sqPaP2IM
GJ!!
続編待ってました!!

相変わらず心理描写、情景描写は凄い上手いし
西野達の会話もちゃんとキャラを掴んでいて、それでいて面白くてびっくりしました!!本当に文才があるんですね

ラストも楽しみにしてます
長文失礼しました
473名無しさん@ピンキー:2009/07/03(金) 03:28:41 ID:+v0V3Kq8
GJ! すごくいい! 九ちゃんかわいい!
474名無しさん@ピンキー:2009/07/03(金) 05:43:26 ID:8lgWGllk
GJ!!
保管庫で見た半甘?な高妙にすごく萌えた
誰かおねがいします!!
475名無しさん@ピンキー:2009/07/03(金) 10:55:39 ID:wourccAt
GJGJGJ!!!
九ちゃんがとにかく可愛い…ごちになりました!!


>474
半甘ってどのやつ?

476名無しさん@ピンキー:2009/07/03(金) 18:33:45 ID:gKGhU/LU
GJ!
ちょっと名残惜しくなっちゃうけど、完結、楽しみにしています!
477名無しさん@ピンキー:2009/07/03(金) 20:04:32 ID:Pgq3zOaG
GJ!
東九 待ってましたぁ!!
まさかエロパロでこんなに胸が熱くなるなんて…

次も楽しみにしてます!
478名無しさん@ピンキー:2009/07/04(土) 19:46:40 ID:lpnq+TSP
GJ!!このシリーズ本当に神だなぁ…
479名無しさん@ピンキー:2009/07/05(日) 05:12:21 ID:QjLRp486
>475
13-180様・13-190様のやつかな
半甘・・・でもないか
480名無しさん@ピンキー:2009/07/05(日) 18:24:22 ID:M8mC8W7N
そう必死になって話題変えなくても・・・
481名無しさん@ピンキー:2009/07/05(日) 19:05:41 ID:kyXrO+h9
東×九今読んだ。
GJ!!本当このシリーズすごい完成度だな
482名無しさん@ピンキー:2009/07/06(月) 20:18:47 ID:G+6HQLFI
今週のジャンプ

桂×九、土×妙、土×桂に萌えた

ヅラって東城を顔濃くした感じな気がする
483名無しさん@ピンキー:2009/07/06(月) 22:04:58 ID:XtlKZriM
土×桂・・・?
484名無しさん@ピンキー:2009/07/07(火) 00:20:13 ID:iBiGntZD
桂×九 とか 土×妙とか新たなカップルができてるな。(土×桂は除いて)
どなたか今週号でインスピレーション湧いた方、SS書いて!
485名無しさん@ピンキー:2009/07/07(火) 00:22:27 ID:Q0yvgykj
カップルができてるって…
どこが?
486名無しさん@ピンキー:2009/07/07(火) 01:02:00 ID:Q/vwO/SI
何かへんな人来ちゃったな
487名無しさん@ピンキー:2009/07/07(火) 04:21:29 ID:I8dq1M6b
注:ここは801スレじゃありません。
↑今一度確認。

それはおいといて、桂九は私も思った。
しかしエロ展開に結び付かん…誰か書ける人お願いします。
488名無しさん@ピンキー:2009/07/07(火) 12:01:35 ID:8RXTQ96u
むしろ超パヒュームでのどろっどろな百合を。
489名無しさん@ピンキー:2009/07/07(火) 14:39:04 ID:3CamDY94
銀月!銀月!
ぜったい銀月がいい
490名無しさん@ピンキー:2009/07/07(火) 15:07:45 ID:Bhc69+o/
銀さち!銀さち!
ぜったい銀さちがいい
491名無しさん@ピンキー:2009/07/07(火) 15:07:48 ID:nnYM6Fu7
今週号で、そういや月詠ってかなり良い子だった事思い出した
あの気の遣いっぷり、クナイの話思い出して萌えた
492名無しさん@ピンキー:2009/07/07(火) 19:16:22 ID:OmveSt8p
銀妙!銀妙!
ぜったい銀妙がいい

銀神!銀神!
ぜったい銀神(ry
493名無しさん@ピンキー:2009/07/07(火) 20:16:07 ID:qYjduEU4
カプの押しつけウザイ

しかし桂九はいいな。ヅラの小さい頃、九ちゃんと似てるよね。髪型が
494名無しさん@ピンキー:2009/07/07(火) 21:02:08 ID:Y6u5XWa2
押し付けは多分荒らしだからほっとけばいい
495名無しさん@ピンキー:2009/07/07(火) 21:38:59 ID:vhd5B0BM
>>493
竜宮メンバーだしね、面識あるからやりやすいかも
496名無しさん@ピンキー:2009/07/09(木) 20:14:00 ID:MzWGcoY1
俺は今日のアニメの最初の方の新八とお妙さんに萌えたから、
姉弟ものでもいいかも。
497銀×妙1:2009/07/09(木) 21:07:56 ID:ApeyZoo6
 恋人設定の銀妙青姦ですが、読んでて苦手だと感じたらスルーしてください


    ***


 夜の川辺、橋の下。
 「お前、ちょ、きつい……」
 ろくに愛撫もせず後ろから立ったまま入れた銀時が、勝手な文句を言う。
 「そんな締めつけんなって……ちょっと力抜いてみ?奥まで入れてやるからさー……」
 相手が涙目になっているのも構わず、ぐっと腰に力をいれてもっと奥まではいりこもうと動く。
 「……!」
 「おっと、お前は声出すなよ、言ったろ?」
 たまらず声をあげそうになった相手の口に指をすっといれ、小さくささやく。
 「あえぎ声ってけっこう響くからな……吸っとけよ、指……」
 震える唇が銀時の指を受け入れ、慣れない動きで舌にからめる。
 「あれ、なんだうまいじゃん。あとでやってもらおうかな……と、いいから力抜けって、わかんねーやつだな」
 しかたなく銀時は無理やり奥まで突いた。口に入れた指があまりの衝撃に噛まれてしまったが、銀時は動じず、
口から指をはずす。かすれた声でごめんなさいと聞こえるが、それには答えずにそのまま濡れた指で秘所に
ゆっくり指をはわすことにした。相手の背筋がぶるぶる震えているが、言われたとおりに懸命に声を殺している。
 そんな姿を見ながら、銀時の口元に嗜虐的な笑みがこぼれる。
 「……いてーなァ。お仕置きだな、こりゃ。ま、俺は紳士だから痛いことはしねーけど……」
 唾液と愛液で濡れた指が絶妙に動き出し、女の弱点をこれでもかというほどいじめぬき始めた。
 もう片方の手で相手のあごをおさえて乱暴に唇を重ね、声を奪う。
 「んん、ん……!ん……!」
 どんどん絶頂まで押し上げられていく快感の速さについていけなくなり、相手はとうとう体をのけぞらせて
硬直した。
 細かいふるえが舌をつたって銀時にまで届く。
 銀時はそっと唇を解放すると、頭をかきながらため息をつく。
 相手の息だけが荒い。
 「あー、お仕置きすんのもいいけど、こうきつく締まったままだと動けねーな……」
 ぴくんぴくんと脈打つ腰に手を置いて、くずれそうな体勢を支える。
 「おっと、まだまだ、言っとくけど俺動いてねーんだから……ほら、ゆっくり力抜いてみな……」
 一度達してしまうと濡れ具合が変わるのか、さきほどよりは動きやすくなった感じではある。
 「んーまだきついんだけど。まぁ動けんこともないか、な……」
 優しげな口調とは裏腹に、銀時は激しく腰を突き始める。
 濡れた卑猥な音があたりに響く。
 「あ!ああ!……ん!んん……!」
 「だから声だすなっての。ほれ、今度は噛むなよ」
 さすがにたまらず声をあげてしまう相手の口にもう一度長い指をいれこむ。
 「俺のアレだと思ってなめてろよ……」
 相手の顔が赤くなるのを薄い笑みで見ながら、腰に強く打ちつけ続ける。
 壁に両手をついて体をささえている相手が、快楽に揺さぶられながらも涙でにじんだ瞳で銀時を振り返り、
小さく首をふってきた。
 「……ん?……どした。」
 動きはとめず、にやにやした顔で銀時が楽しそうに聞く。わざとだ。
 「やりかたわかんなくてもいいから。あとでしゃぶる時の練習だと思ってさ……ほら」
 懇願する瞳を楽しみつつ、もう一本指を入れる銀時。
 ちいさな舌がもてあますように震え、しかし絡みつき、動きだす。
 ……やっぱ好きだこいつ。
 銀時の胸の内が高揚していく。それに合わせるかのようにまた相手は絶頂にいたったようだった。
 背が弓ぞる。
 単なる締めつけとは違う複雑な動きをしてきたものだから、不覚にも銀時はおさえきれなかった。
 「あっやべ……っ……」
 理性が飛ぶ。腰を両手でつかみ強くひきつけ、限界まで中に押し込みありえない感触をむさぼる。
498銀×妙2:2009/07/09(木) 21:08:48 ID:ApeyZoo6
 銀時は息を荒くつき、征服欲がむくむくと湧き上がってくるのを感じていた。
 相手はしかし、腰がぬけるほどの快感にたえきれず壁にもたれてぐったりしている。銀時はゆっくりひきぬき、
相手の向きをかえ着物の裾を下におろしてかがませる。その顔の横に片足をあげて石の上にのせ、体勢を
ささえる。つぶったまぶたの上からそっと指をはわせて目を開けるよう促した。
 「……よかったぜ、俺ちょっと休憩するから。なめてくれよ、さっきみたいにさ……」
 相手はうるんだ瞳でぼうっとしていたが、銀時の言葉でまた羞恥が刺激され、顔を赤らめる。
 「あんたきっと上手だぜ、慣れてないくせに舌動かしてたんだから。大丈夫、休憩おわったらまた気持ちよくしてやるし」
 「そんな言い方されたらできません……」
 「めんどくせー女。……いいからしゃぶれよ」
 銀時は口調は乱暴だが恥ずかしがる相手が可愛くてたまらない。それに乱暴な方がやりやすいタイプかもしれない。
 相手はおそるおそる唇を触れてきた。こんな大きなものが入っていたのかと驚いているようでもある。
 おびえるように舌をはわせたあとは覚悟を決めたのか、吸ってみたり触れる箇所を変えたり、なかなか多彩な動きだった。
 「……手も使えよ」
 教えがいがある予感に嬉しそうに口を開く銀時。タイミングさえ教えてやれば後は自分で考えて動くだろう。
 「……口の中にいれて。……大丈夫だよ、入るよ。下の口にだって入っただろ」
 頬をそめてうつむくあごに手をかけ、向きなおさせる。
 躊躇したあとに目をつぶり口を開いて銀時のものをくわえた。
 しかし口に入れるだけで精一杯のようだ。少しだけ眉がよる、苦しそうだ。しかし銀時にはそれがまた愉しい。
 「さっき練習しただろ。教えなくても舌つかってたんだからできるだろ……」
 涙目になりながら上目遣いで相手は舌をからめだす。
 手は遠慮がちに横にそえられているだけだが、これは後々の楽しみにとっておくことにした。
 そのまましばらく愉しんだあと、相手の気持ちがゆるんできた頃合をみはからって、
 「できませんとか言っておいて、いま自分が何してるかわかってんの?」
 銀時は言葉でなぶりはじめた。
 口調が優しいだけにいっそう相手の心をあわだてる。目で許しを請うがはねのけて続ける。
 「なにくわえてんのかな?舌までつかって……」
 ふるふる震えだしながらも奉仕をやめない相手を上から見おろし、銀時はたいそう満足気に相手の髪の毛に
指をからませた。
 「へェーこういうの好きなんだ……俺も好き。でもま、そろそろ再開したくなったし、立って」
 つまりはもっといじめたくなった。泣かせたくなったわけだが。
 そうとはわからずに言われるがままに立ち上がった相手を壁におしつけて、耳元でささやく。
 「……声出すなよ」
 その低い甘い声ですらもう相手は感じてしまうようで、ぴくっと肩をふるわせながらうなづく。
 銀時はすっと腰をおとし、着物をよけて奥へと指をすすませ広げてから、舌を敏感な部分にそっと触れさせはじめた。
 やわらかく熱い舌先にクリトリスをねぶられ身をよじる相手の腰を押さえ込み、無遠慮なまでに指で広げつつ
容赦のない舌先でねぶる。
 声を殺しているはずの相手の喘ぎが離れた銀時の耳にもはっきりと届く。
 「もう少しおさえろって、今からそんなんだと、我慢できなくなるぞ」
 もう相手は熱く湿った息がふきかかるのでさえ、ぴくぴく反応している。
 「ったく……」言いながらも銀時の嗜虐心は相手のクリトリスを執拗にせめることで満たされ、増していく。
 舌先でなぞっていくと、最も感じる部分がわかってくる。熱い舌先でじっくりねぶりつづける。
 たまらなくなってきたのか、足が少しずつ開いてきたのを頃合に、中指をいれた。いれながらクリトリスは舌で
やわらかく強くおしつぶす。相手はもう身も世もなく鳴いている。
 銀時は知っている。女がよがるのはクリトリスなのだ。
 それに入れられた中指を小さく動かされると声が殺せるはずもない。
 絶頂をつげるつぶやきが聞こえてくるが動きは変えない。
 相手の腰が震えるがそのまま舌先でじっくりとこねまわす。
 ひざがふるえて崩折れそうにになるのを腰でおさえこみ無理に立たせたまま、まだ責めたて続ける。
 愛液があふれ銀時のあごに熱く伝った。
499銀×妙3:2009/07/09(木) 21:09:40 ID:ApeyZoo6
 さきほどみつけた最も感じるところをぬめりを絡ませた舌先でなぞりなめあげる。
 「あぁ、そんな、そんな、だめぇ……」
 もうあえぎ声などとめられないほどによがっている相手が可愛くてしょうがない銀時は、中指をゆっくり動かしては
中から執拗にこすりあげ、かたく尖るクリトリスを熱い舌先で容赦なく責めあげてはねぶっていく。
 相手がひときわ身をよじると、いれた中指がきゅうっとしめつけられた。
 苦しげな呻きがもれる、どうやら着物の袖をかみ声を殺して達したようだった。
 ご褒美のつもりですこしだけ優しくなめあげていると、ふるえる小さな声がゆるして、とつぶやく。
 おしつけるだけのやわらかい舌にも敏感に反応してはびくんと腰をふるわす相手を見て、銀時は迷った。
 このまま壊してしまうか……しかし愛しさが優先したので勘弁してやることにした。
 指はそのままで舌先を名残惜しげにゆっくり離す。
 たおれこみそうな相手を正面から抱きしめ、耳元に唇をよせささやく。
 「そんなかわいい声だされちゃーな……よがり方も好みだぜ……もっと気持ちよくしてやりてーけど、また今度な」
 当たり前のように次の約束しつつ中指をまげるものだから相手は色んな感情があふれだして声を抑えられず、
指の動きにおもわず喘いでしまった。
 銀時には喜んでいるようにしか聞こえない。
 音をたてて指をぬいてそのまま相手の片足をかかえあげた。
 「でもそんな喜んでんならやめるのもかわいそうだよな、なぁ?気持ちいいんだろ?……もっと、て言ってみろよ……」
 なめられた唾液と己のがまん汁であやしく濡れた先っぽを敏感な部分にこすりつけながら腰を密着させると、
相手は羞恥と渇望とにはさまれ、なにも言えずに、自分を見据える銀時の瞳から目をそらした。
 「もっと気持ちよくしてやるからさ、言ってみろよ……お前がおねだりするとこ見てみたいんだよ」
 銀時は愛しさのままに優しくキスをして髪をなでた。相手はたまらなくなり、かすれた声で、もっと、とささやいた。
 「ん?もっと何?なにしてほしいの?」
 優しくされるかと思いきや、Sっぷりを出してきた銀時にうろたえつつ身もだえした相手は、しかし体の熱さに負けて、
いれて……と口走る。そしてそのまま銀時に抱きついて、
 「えっちなことして……」と、つぶやいた。
 銀時は女の体を思わずにぎりつぶしたくなる。
 「……お前がエッチなんだよ」
 熱く湿りうごめく秘所にあてがい腰をひきよせて、ぬるりと入れていく。
 最初にむりやり入れた時とは違いすぎる感触に銀時は驚きながらも、手に入れた宝物に歓喜していた。
 動かさなくても快感が背をのぼってくる。
 めずらしく夢中になって腰を動かす。
 「すげぇっ……っ……」
 これって夢中にさせるつもりが、俺のほうが夢中になってんじゃねーか?そう思いながらも悦楽の感触を
楽しむ銀時だった。
 しかし突然おさえきれない何かが体の奥から弾けそうになる。
 (いやいや、ここで出したら俺早すぎ……)
 内心の狼狽を表にはださないようにして、銀時はいったん最奥まで貫いた。
 その衝撃に相手の背がのけぞり、殺しきれないあえぎが響く。
 相手の着物の襟からみえる首筋に、淫らな汗が浮かんでいるのをちらりと見やりながら、
 「締め方ってわかる?」
 と何気なく聞いた。
 惚けていたような相手の頬にばっと赤みがさし、返事もしないうちにきつく銀時を締めあげた。
 「ふーん、知ってんじゃん。じゃ、動くから俺の動きにあわせて締めてくんない?」
 「で、出来ませ…んっ……!」
 銀時は最後まで言わせずにねっとりと腰を動かしはじめた。
 相手はゆっくりと抜き差しされる淫猥さに悶えるだけで応えてこなかったが、何かが理性を焼ききったのだろう、
挿入に合わせてぎっちりと締めつけてきた。
 ねじこむ感触を迎えるように絡みつく熱いヒダが銀時をたぎらせる。
 奥までとどくと中をぐるぐるとかきまわし相手を乱れさせ、ゆるんだ瞬間にじっくり引き抜いていく。
500銀×妙4:2009/07/09(木) 21:11:13 ID:ApeyZoo6
 何度も何度もそうしているうちにふたりの動きが重なりあって、銀時が激しく抜き差ししだしても絶妙さはそのまま
だった。相手の口からはもはや快楽を告げる言葉しかでてこず、銀時は女が堕ちたことを知る。
 (やっとかよ……さて、俺も遠慮なくやらせてもらうとするか)
 「壁にしっかりもたれとけよ、いくぜ」
 いまの悦楽に溺れる相手に理解できるかどうかはわからないが言うだけ言うと、腰をささえていた片手を離した。
 その手を下腹から下にすべらせ熱くふくらんだ卑猥な突起をつまみあげる。
 ぬるぬるとつかみきれない小ぶりなクリをもてあそぶようにいじると、締めつけのリズムが狂いだした。
 だが絡みつきねじりあげて強烈な快楽をうみだしてくる。
 我をわすれるほどの悦楽のなかで、銀時は夢中になって責めぬいていった。
 「銀さ…ん……いい、いい、すご…い……いっちゃう…いっちゃう……」
 否定など微塵もないただの女のよがり声こそ、銀時の望むところだった。
 たとえここで誰かに見つかったとしても誇らしげに腰を動かしつづけるだろう。
 ヘンタイと罵られようが、愛しい女がなにもかもかなぐり捨てて己を受け入れ悦楽に浸っているのだ。
 これ以上の満足があるか。
 口元だけを笑みの形に、目は恍惚で光らせ、うっとりとした気配をまきちらし、溜めに溜め込んだ濁った欲望を
とびだそうとする衝動のままに相手の中にぶちまけた。
 しぼりとられるような蠢きとともに相手の背も激しくふるえ、銀時の名をかぼそく叫んだ。
 「っお妙……!」
 その声にこたえて銀時もまた女の名を呼ぶ。
 心の奥底からわいてくる愛しさになんの疑問も浮かばない。
 強烈な快楽と深い愛情が同居する交わりにこの上ない至福をいだきながら、銀時はお妙をこわれるほどに
だきしめて、そのまましばらく動けないでいた。


 「やっと名前……呼んでくれましたね……」
 少しすねたような色をにじませてお妙はそうつぶやいた。
 銀時は、照れるんだよ、とそっぽをむく。
 そんな彼の仕草をお妙はしあわせそうに見ていた。
 いつものように瞳だけ微笑ませて───


    完
501名無しさん@ピンキー:2009/07/09(木) 22:01:54 ID:y05y77LH
GJ!!
GJGJ!!!!!!!
もうこれしか言えないわ
心からGJ……!!!
502名無しさん@ピンキー:2009/07/09(木) 22:15:24 ID:ilAqr7Gt
GJGJGJ!
Sな銀さんに可憐なお妙さん、いい!!!
お妙さんの名前をなかなか呼ばないのは、銀さんの照れ隠しだったのか。
503名無しさん@ピンキー:2009/07/09(木) 22:39:59 ID:Dwdb3Hf9
エッロオォォォォ!GJ!超GJです!!
いやーエロい。
504名無しさん@ピンキー:2009/07/09(木) 23:24:14 ID:BwHSdVUc
これはいいエロ。
Sっぷりが発揮されていて最高。
505名無しさん@ピンキー:2009/07/09(木) 23:27:03 ID:pPEo4X/B
7/12東京都議選

児童ポルノ法改悪を阻止するためには、自分の票を死票にしないことが一番大事。
一番選びたい政党より、一番選びたくない政党に'最も対抗しうる政党'に入れること。
投票に行かなかったり、票が分散してしまえば、自民党と公明党の思う壺だ。

期日前投票が便利。最寄りの役所で毎晩8時まで、土日も休まず投票できます。

反オタク国会議員リスト
http://otaku.rulez.jp/kill_the_assholes.html
506名無しさん@ピンキー:2009/07/09(木) 23:46:23 ID:EBYRy6oS
妙ものまた続いてんのか
どんだけ飢えてんの
507名無しさん@ピンキー:2009/07/09(木) 23:54:54 ID:oqM8Loc6
今日の放送で銀さちに覚醒した
布団の中で上に乗っかるなんていかがわし過ぎるよ銀さん
508名無しさん@ピンキー:2009/07/10(金) 00:06:36 ID:kE+SkNcr
GJです


次は変わったカプ読みたいな
銀ベティとか銀ミツとか白たまとか土さちとか土サラダ婆とかなんかそんなん
マイナーカプ希望
509名無しさん@ピンキー:2009/07/10(金) 00:17:27 ID:bWYcVeVb
マイナーカプ…

桂たま、桂登瀬、銀キャサ、新たま、新登瀬、新キャサ
スナックお登瀬メンバーで結構できるなw
510名無しさん@ピンキー:2009/07/10(金) 00:31:33 ID:m/jK5hH6
桂また子
高おりょう
坂本神楽
京次郎阿音
伊東百音

とか
511名無しさん@ピンキー:2009/07/10(金) 01:16:58 ID:j9sRe50i
>>497-500
乙です激しくGJ!
純愛っぷりとエロの両立って勝手に難しいと思ってたが
両方てんこ盛りでまいりました
銀さんのドSぶりでお妙さんのエロかわいさが引き立つとは上手すぎる
またよろしくお願いします
512名無しさん@ピンキー:2009/07/10(金) 11:17:36 ID:erlPTOQd
GJGJ!
銀魂のカップリングで銀妙が一番好きです。
銀さん、不器用な男だな。今回のお妙さん、いじらしくて可愛い!!
513名無しさん@ピンキー:2009/07/10(金) 16:55:29 ID:saNsjFAg
質問…ねぶるって書いてあるの(嬲る)なぶるだよね?
514名無しさん@ピンキー:2009/07/10(金) 17:02:13 ID:kE+SkNcr
ねぶるって言葉はあるよ

ねぶ・る【×舐る】

[動ラ五(四)]舌先で物をなめる。しゃぶる。「子供に飴玉(あめだま)を―・らせる」

こういう意味です(^_^)
515名無しさん@ピンキー:2009/07/10(金) 17:14:58 ID:saNsjFAg
>>514
ニホンゴ ムズカシイ\(^o^)/アリガト
516名無しさん@ピンキー:2009/07/10(金) 23:19:37 ID:VmKI+lN6
男女カプヅラ編
桂幾、桂松、桂神、桂九

マイナー
桂妙、桂さち、桂月

マイナーが見たい気がする
517名無しさん@ピンキー:2009/07/10(金) 23:21:35 ID:SveAFNHX
>>497-500
GJ!
銀さんの責めとお妙さんの受けのバランスがお見事。
それにしてもこの話のお妙さん、可憐だなあ。
銀さんじゃなくてもねちっこく責めたくなるぜ。
518名無しさん@ピンキー:2009/07/10(金) 23:32:11 ID:Toh9O96y
中高生じゃ知らん単語もあるよね・・・
519名無しさん@ピンキー:2009/07/10(金) 23:50:20 ID:8SMGVQU2
この板は18才未満立ち入り禁止だと知っての発言か
520名無しさん@ピンキー:2009/07/11(土) 00:16:47 ID:WdbZZMPp
相手は銀さんでも全蔵でも他の誰かでもいいからさっちゃん受けが読みたいなあ
521名無しさん@ピンキー:2009/07/11(土) 00:21:20 ID:PXKD0OD0
依頼で桂を調査するさっちゃん。
エリザベスに変装(?)して桂に近付くがバレてしまい…
522名無しさん@ピンキー:2009/07/11(土) 00:33:38 ID:JFLeI9XK
>>521それお願いします!
523名無しさん@ピンキー:2009/07/11(土) 00:42:21 ID:PXKD0OD0
>>522
ごめんなさい無理です。

さっちゃんはキャラ的に攻める側にも攻められる側にもまわれるからいいよね。
524名無しさん@ピンキー:2009/07/11(土) 00:55:37 ID:1tbPDYuy
なんでもいいや面白ければ
あ、でもお妙さんものはしばらくお腹いっぱいです
525名無しさん@ピンキー:2009/07/11(土) 01:20:02 ID:4D4zL75O
正直者の多いスレだなw
526名無しさん@ピンキー:2009/07/11(土) 01:22:20 ID:A+amiLSD
職人さんの気が向けばなんでもいいす
同キャラ続いても別物として読むし自由にやってくだされ
527名無しさん@ピンキー:2009/07/11(土) 09:59:44 ID:M7+bYRs4
先日の妙フルエンザでの息も絶え絶えな可憐なお妙さんに萌えました。
普段勝気な人が病気で弱々しくなっているのっていいなあ。
まだ需要ありますので、職人さんお願いします!
528名無しさん@ピンキー:2009/07/11(土) 12:00:08 ID:KFDSWLn2
2年携帯規制されてたがようやく解除されたよ
陵辱が読みたい
529名無しさん@ピンキー:2009/07/12(日) 10:48:55 ID:OtC9frXa
俺も陵辱読みたいが桂絡みのエロも読みたい
でも桂は女性を陵辱するイメージ湧かないんだよなあ…
例え相手がドMなさっちゃんであっても
双方同意じゃなきゃヤらないイマゲ
530名無しさん@ピンキー:2009/07/12(日) 11:15:46 ID:ceCnQ9ds
桂は騙されやすいから、さっちゃんが「世間一般では当たり前のことです」
とか言えば、真に受けていろいろやりそう。
531名無しさん@ピンキー:2009/07/12(日) 15:56:56 ID:PoY5eh4+
山崎攻めがみたい…
532名無しさん@ピンキー:2009/07/12(日) 19:12:24 ID:xN8jv6zq
>>531
んじゃ山さちで
たまにはへたれでない山崎を
533名無しさん@ピンキー:2009/07/12(日) 19:21:12 ID:/M7/d33z
面白ければなんでもいいや
あ、でもお妙さんものはしばらくお腹いっぱいです
534名無しさん@ピンキー:2009/07/12(日) 20:00:05 ID:KaY48Fs7
桂が妄想で高校生松子を数年かけて自分好み(人妻)に調教して…
535名無しさん@ピンキー:2009/07/12(日) 20:40:28 ID:tM7EKexq
人妻に調教するって…自分の妻にするわけではないのかw
536名無しさん@ピンキー:2009/07/12(日) 21:38:52 ID:tCQakhUg
人のもの盗るのが好きとか腹黒悪趣味変態だなw>ヅラ
537名無しさん@ピンキー:2009/07/12(日) 22:25:00 ID:tG2rki5G
SOLの回で、ちょっと山崎×鉄子という可能性を考えてみた
538名無しさん@ピンキー:2009/07/12(日) 22:38:50 ID:LEkaXDAB
>>534
「桂先生、お久しぶりです」
「……松原……か?」
「はい、松原松子です」
数年振りに再会したかつての教え子は、すぐにはその名前が出てこないほど
大人の女性へと変貌していた。

「私、離婚したんです……なんだと松原……いわゆるDVで……そうか松原、それは辛かったな……
先生私……! 言うな松原! ここではアレだ、あそこのラブホでゆっくり話を……
いや別にやましい気持ちは無いあくまでも話をするだけだからな話をな松原、な? ……先生……」


「またやっちょるのう」
「ほっとけ」
「アレなぁ、多分死なねーと直らねえわ」
桂の部屋から聞こえる妄想一人芝居に、銀時ら三人は呆れの混じったため息をついた。
そして桂をハブって呑みに出かけた。



こうですかわかりません><
539名無しさん@ピンキー:2009/07/13(月) 23:51:07 ID:H2dFzpNI
>>538またやっちょるのうって言ったのって誰ですか?
540名無しさん@ピンキー:2009/07/13(月) 23:53:58 ID:d/dYcooC
どう考えても坂本辰馬。
541名無しさん@ピンキー:2009/07/14(火) 00:07:41 ID:nc/dVV99
万事屋の三人かと思ってたら攘夷だったのか

今度は牢屋で真選組(土方、沖田、山崎)が聞き手の話がみたい。
542名無しさん@ピンキー:2009/07/15(水) 02:13:24 ID:ql/+4Jpv
5-3クールデレ転入生の柳生さん風でなんか読みたい。
今頃になって九ちゃんの波がきたので。
543名無しさん@ピンキー:2009/07/15(水) 03:08:34 ID:zssK3t2z
>>529
>>521みたいな感じで仕事としてさっちゃんが忍んで来たのを見つけたヅラが
銀時に相手にされなくて欲求不満だから忍んできたと勘違い解釈をしたら
本人の頭の中だけで同意された善意の籠もった無理やりになりそうだ

>>536
ヅラは健気さと儚さを兼ね備え、年を重ねた故の濃厚な色気のある未亡人萌えじゃないか?
只の人妻が暴力をふるう男を夫に持って苦しんでいたのなら男に天誅を下して
夫から解放された未亡人に招かれた家の畳の上や閨の中でしっぽり濃厚な一夜を過ごす

妄想していそうだ
544名無しさん@ピンキー:2009/07/15(水) 20:37:26 ID:oTrTEzyF
桂とハツさんなら……
545名無しさん@ピンキー:2009/07/15(水) 21:31:07 ID:znZXPGtL
>>544それ公式でやりそう
人妻好きのヅラがハツさんと一緒にいたという情報がマダオに届く→喧嘩→結局デマでマダオとヅラ仲直り
という話を1、2訓で
546名無しさん@ピンキー:2009/07/15(水) 23:29:36 ID:w0qYbD6k
ハツさんはほんと、マダオにはもったいない嫁だ。
喧嘩を通してマダオとヅラっちがますます友情を深める展開か。それもまた面白い。
547名無しさん@ピンキー:2009/07/17(金) 04:03:53 ID:utS081HN
>>538
オチの攘夷志士達に笑ったw


桂はすっかり妄想キャラが定着したな。
桂ハツは本当にハツさんを奪ったら友情にヒビが入るので、
マダオに紹介されて会ったハツさんをオカズに、桂が妄想一人芝居をするっていう展開がいいw
548名無しさん@ピンキー:2009/07/17(金) 07:19:47 ID:a2F9xjJ7
ほんとに桂はひとり上手だなwww
549名無しさん@ピンキー:2009/07/17(金) 11:40:48 ID:utS081HN
桂といえば桂幾が好きなんだが、
アニメだと同居(同棲?)してたんだよな。
その間全く手を出さないかわりに、夜中にこっそり幾松さんをオカズにオナニーする桂っていう
妄想が浮かんで仕方ないんだがw
550名無しさん@ピンキー:2009/07/18(土) 01:02:30 ID:R1zME8jO
桂なら桂×幾松+松子の3Pを妄想しながらオナってるんじゃなかろうかw
551名無しさん@ピンキー:2009/07/18(土) 12:26:21 ID:AJgbbAOR
野郎のオナニーの話題に花咲かす
腐女子は心底キモいな
552名無しさん@ピンキー:2009/07/18(土) 20:38:44 ID:o4UcTq+e
>>551
なるほど、
こういう人を文句垂れるだけのゆとりバカっていうんだね。
553名無しさん@ピンキー:2009/07/18(土) 21:17:12 ID:SJytPYv5
ヅラ×松原松子のこんなシチュ希望
ネット上にフルーツポンチ侍(桂)が妄想(感動あり)し書きこむ。そしてフルーツチンポ侍(近藤)が少し前まではフルーツポンチ侍とHNのことで争ってたものの妄想に号泣感動して後日会うことを約束をする。しかしお互い顔合わせていつものオチ…みたいな流れで
554名無しさん@ピンキー:2009/07/18(土) 23:31:19 ID:mgTZx8Yj
ヅラって現実よりも妄想のほうが興奮する性癖なんだろうな。
555名無しさん@ピンキー:2009/07/19(日) 01:33:24 ID:HOKv9Sv8
理想主義の性分がこんなとこで歪んだ発露をww
556名無しさん@ピンキー:2009/07/19(日) 03:33:30 ID:FaRfkFQw
しかしまあ人気投票編読んで以来ヅラと九ちゃん絡ませたいんだが中々ネタがない
>>554みたいな理由のせいかなww
557名無しさん@ピンキー:2009/07/19(日) 11:53:28 ID:bsIFxexv
>>553
そんな展開読んでみたいが、エロ無しな展開になりそうな気がする。

>>556
私も桂九書きたいんだが、文章能力もネタもない。
エロパロあまり関係ないが、桂九といえば、桂がキャプテンカツーラだったら更にキャラ被るぞw
どっちも眼帯キャラだし。
558名無しさん@ピンキー:2009/07/19(日) 17:02:37 ID:ekefPoYM
>>557 >>553だけどやっぱしエロも感動もって難しいよね。自分でレスしてこんな話出来るか!て思ってた…

桂九も好きだけど本編で今後絡ませる土台が人気投票で出来たというだけだからなぁ。まだここでは難しい気がする。でも本編でキャプテンカツーラと九ちゃんの共演ありそう。またキャラ被ってるといがみ合う二人
559>>553さんへ:2009/07/19(日) 18:28:34 ID:cHzm4oYS
【ターミナル】攘夷志士による犯行予告について【爆破】

548 :フルーツポンチ侍:2009/07/17(金) 23:51
ターミナルの爆破予告は頂けんな……
日に日に攘夷志士の過激さに磨きがかかっていくのはいかがな物か
話し合いで解決できる方法があるはずなのだ
例えるなら……そう、あれは俺がかつてある学校のバスケット部の顧問だった頃の話だ……
そこには松子という少女がいて、俺のことを「桂先生(仮名)」と慕ってくれていた
彼女はとても可愛らしく、誰よりも頑張り屋だった
数多い部員の中で彼女が特別俺の目に留まるようになったのは、ごく自然なことだった

549:フルーツチンポ侍:2009/07/17(金) 23:52
>>548
おいコルァァァァ!!またお前かァァァァ!
いい加減そのHNやめろ!!!1
しかもその話なんだ!!全ッ然スレタイと関係ねーし!

550 :フルーツポンチ侍:2009/07/17(金) 23:59
雨の夜だった
彼女はある日、俺のアパート・核戦荘にやってきた
アポなしの訪問に俺は驚いた
「どうしたんだ松子」「先生……抱いてください」
驚く俺の胸に、松子は濡れた顔を埋めた
甘い、少女特有の香りと雨のにおいが俺の鼻腔を擽った
「私、父の仕事の都合でアメリカに行くんです……その前に、一度でいいから……」
「―――松子……」
気が付けば俺は松子を部屋に通していた
そして敷きっ放しの万年床に濡れた松子を横たえ……俺は……
「桂先生、私」
「言うな、松子」
「先生……」
松子は濡れて肌に張り付いたシャツのボタンに手をかけ、プチン、プチンとボタンを外
(省略されました……全てを読むには銀魂銀魂と書き込んでください)

551:フルーツチンポ侍:2009/07/18(土)00:00
銀魂銀魂

552:フルーツチンポ侍:2009/07/18(土)00:05
銀魂銀魂

553:フルーツチンポ侍:2009/07/18(土)00:08
銀魂銀魂
560>>553さんへ:2009/07/19(日) 18:29:01 ID:cHzm4oYS

(中略)

678:フルーツポンチ侍:2009/07/18(土)04:22
松子は泣いていた……彼女の目尻を伝う一筋の涙を、俺は優しく優しく、唇で吸った
それは生涯忘れることの出来ない、悲しみの味だった……
柔らかな肌、俺を映した瞳、俺の名を呼ぶ声
全てが愛しいと気付いた時には、もう全てが遅かったのだ
翌日、目を覚ますと彼女はもう消えていた
机の上には温かな朝食が用意され、さようなら、と可愛らしい文字でメモが残されていた
出勤した俺を待っていたのは、
「桂先生、突然ですが松原松子さんはお父様の仕事の都合でアメリカに引っ越すことになりまして、
昨日転校のの手続きを済ませました」
という、教頭の言葉だった……

679:フルーツチンポ侍:2009/07/18(土)04:30
>>678
ネ申!!!!!!!!!!!!!1111111111111111!!!!!

号泣した! 感動した!

もうアレだよ……俺……泣きながらPCの前に正座だよ……アンタ……か……漢だ……

680:サディスティック侍:2009/07/18(土)04:25
か……漢?

681:フルーツチンポ侍:2009/07/18(土)04:35
ところでフルーツポンチ侍殿
よければ明日にでも急遽オフ会を開催したいのだがいかがだろう?
スレタイの話も勿論だが、上の感動話の、ここでは書けない話も聞きたいんだ
迷惑でなければ、だが……

682:フルーツポンチ侍:2009/07/18(土)04:55
>>681
了解した
では明日……というかもう今日だな
夜の8時に、かぶき町のスナックお登勢で
合言葉は「松子」で

683フルーツチンポ侍:2009/07/18(土)04:37
>>682
おおおおおお!!!!!!!!!!1111111111111111!!!
わかった!! 必ずいく!



そして、その夜、スナックお登勢にて
桂「あ。」
近藤「お。」

以下略。

こうですかわかりません><
561名無しさん@ピンキー:2009/07/19(日) 20:17:16 ID:ekefPoYM
>>559>>560
ありがとうございます。いつも松子妄想書いてくれる方ですよね?
特に今回のはよかったです。色々リアルでした!
562名無しさん@ピンキー:2009/07/19(日) 21:25:45 ID:bsIFxexv
>>559-560
GJ!
こういうの待ってました。

ところでサディスティック侍って、ひょっとして沖田のこと?w
563名無しさん@ピンキー:2009/07/20(月) 00:22:50 ID:AV16Os91
うめえww
564名無しさん@ピンキー:2009/07/20(月) 06:01:05 ID:88Tu+xfA
GJ!
銀魂銀魂
565名無しさん@ピンキー:2009/07/20(月) 08:04:55 ID:i/JeockT
GJ!
銀魂銀魂
566名無しさん@ピンキー:2009/07/20(月) 08:16:54 ID:hLBv6j9S
保管庫管理してる方へ
>>170>>538のも保管庫に入れてください。
567名無しさん@ピンキー:2009/07/20(月) 13:10:19 ID:tQq+A1Sh
>>365も是非。<管理人さん

凄く亀レスだけど>>365もGJ!
桂幾好きだし書き方が上手い。
568名無しさん@ピンキー:2009/07/20(月) 14:28:40 ID:hLBv6j9S
>>365は保管庫にありましたよ
幾松って何歳くらいだろ?遊廓に売られそうになったくらいだし熟女って呼べる歳ではない気がするしヅラとタメだって通せそう。
569名無しさん@ピンキー:2009/07/20(月) 18:49:13 ID:x6rINHew
幾松ってヅラより二つ三つ年上かなって思ってたけど
案外ヅラとタメか年下でも良いかもしれないな。
お互い年齢なんて気にしなさそうだけど。
570名無しさん@ピンキー:2009/07/20(月) 20:30:24 ID:SsR8Y/21
なんだここ最近の桂人気っぷりはw
571名無しさん@ピンキー:2009/07/20(月) 21:08:04 ID:hLBv6j9S
>>570本誌の桂九効果。そこに幾松と松子の便乗ってところかな
572名無しさん@ピンキー:2009/07/20(月) 23:51:05 ID:k952QXC+
459-470です。いつも沢山のコメント有難う御座います。とても励みになりました。続き投下いたします。
573東城×九兵衛:2009/07/20(月) 23:52:31 ID:k952QXC+
『……僕はお前が好きだ。従者としてでも兄弟子としてでもなく、一人の男として、お前を愛している』
それから大分経って、戻ってきた男に、九兵衛は己の心の内をついに曝け出した。
その言葉に、返事は直ぐには返らなかった。長く重い沈黙が、空間を支配する。
「馬鹿な……」
漸く呟かれたのは、微かな、震える声だった。
「……な、にを……何を馬鹿なことを仰ってるのですか! 貴女は!? 」
東城は酷くうろたえている様子だった。
「私は……私はずっと、若を欺いていたんですよ!? 若の誇りも尊厳も奪って、貴女を強姦した上に監禁までした男なんですよ!? 」
「……ああ」
九兵衛はそんな男の態度とは対照的に、静かに頷く。
「自分でも馬鹿だと思っている。無論お前を恨みもした。殺してやりたいと思った。だが……それでもお前が好きなんだ。他の誰で
もない、お前のことだけが……」
「……か、な……だって若は、今日も三人も男をここに招き入れているじゃないですか! 外して貰ったんでしょう!? 手足の枷
も……私が若の中に挿れた機械も! 見せたんでしょう!? 恥ずかしげも無く若の、一番大切なところを奴らに……! 」
「……そうだ。……だが言っただろう、誘ってみたが振られてしまった、と……」
「嘘を仰らないでください! この状況で、若の方から誘って如何して、連中が断るというのですか!? 」
「……あいつらは気づいていたんだ。僕が東城のことが好きだと。だから手をださなかった」
「……っ! そんな、ことが……」
「北大路が言っていたよ。最中に他の男の名を呼びかねない女など興ざめだ、と……。……駄目だな僕は。お前のように、愛してい
ない男とだって寝れると思ったのに。如何したってお前の顔がちらついて……。お前はいつも、あんなに僕の名ばかり呼んでくれたのに」
「……う、そでしょう……!? 」
東城は尚も、信じられない、と言った顔をしていた。――意外だった。何をそこまで、徹底して自分の想いを否定する? 彼からす
れば、愚かな女と、嘲ればいいだけの話だろうに。彼を優位に立たせこそすれ、追い詰めるようなことなど言っていないのに。何故
そんなにも――苦しそうな表情をする。
「柳生家の混乱を収めるため、そう言って私に抱かれたのではありませんか! それが建前だったとでも仰るのですか!? 貴女は
そんな人ではないでしょう! 本当に私のことを慕ってくださっているのなら、初めからそう言っている人でしょう!? それが本
当なら、何故今まで黙っていたというのです!? 躊躇う理由など、若には何一つないではありませんか! 女子の妙殿を嫁にした
いとまで言っていた貴女が、私相手に何を遠慮することがあったと言うのですか! 」
「……。気づくのが、遅すぎたんだ……」
詰め寄る東城に、ぽつり、と九兵衛は呟く。
「初めはお前の言うように、柳生家の為にお前に僕の夜伽の相手を命じた。だがあの夜……お前に優しく抱かれたあの夜に、漸く気
づいてしまったんだ。僕が抱かれたいと想っているのはお前だけだったのだ、と……。けれど言えなかった。言えばお前に軽蔑され
ると思ったから。そんな建前で、好きな男に立場を利用して関係を迫っていた浅ましい女だと……。それにお前が僕のことを、女と
してなど愛していないことは分かっていたから。お前は妙ちゃんを嫁にしたいと言った時も協力してくれたし、ずっと僕がいずれ好
きな男と一緒になって、女としての幸せを掴むのを望んでいるようだった。この先それが変わるなんて思えなかった。だからそれで
良いと思っていたんだ。お前は僕の、どんな命令にも応えてくれた優しい従者……。そんな関係で良いと思っていた。だがその関係
も破綻してしまった。もう失うものなんてない……だから伝えた。いつも苦しかったんだ。ともすればこの想いを、口にしてしまい
そうで、それを必死に押し殺すのが……」
574東城×九兵衛:2009/07/20(月) 23:54:10 ID:k952QXC+
「……っ! 」
「だから東城……僕は知りたいんだ。本当のお前が。それがどんな結果になろうと、受け止めるつもりだ。僕は……お前のことが好
きだから」
「わ……か……」
東城は力なく、ただ九兵衛の名を呼んだ。
「……東城? ……!」
それ以上何も言おうとしない男の態度を不思議に思い、九兵衛は彼の顔を覗き込んだ。
――堅く噛んだ口の端から、血が滲んでいた。
「……た、しは……貴女に何ということを……! 」
身体を震わせながら呟く。閉じられた瞳の端には、涙が浮かんでいた。
「ああ、若……! 私が愚かでした……! 許してくれなどとは申しません、どうか私を如何様にでも処分してくださいませ……!
 今ならばこの命果てようと、惜しくはありません。若に贖うためならば、切腹でも何でも致します故ッ……!! 」
「!? な、何を言って……!? 」
東城の態度に、九兵衛は困惑する。――今更何を言っている。己を道具のように扱い、散々嬲った男が、何を……。
「愚か者の戯言と、嘲ってくださって構いません。私は……私はずっと、若をお慕い申しておりました。無論……一人の女子として」
「……っ!? 」
続けられた言葉に、九兵衛は一瞬、凍りつく。
だが次の瞬間。
「……戯けた事を言うなッ! 」
気づけば力の限りに、東城の顔を張っていた。乾いた音と、怒声とが部屋に響く。
「この期に及んで、何を……! 僕への同情か、優しさのつもりなのかッ!? そんな忠誠心など僕は求めてはいないッ! 」
「同情などでは御座いません……私は、本当に私はずっと……十数年も、若のことだけをお慕いして……来る日も来る日も、気が狂
いそうになるほどに若のことばかりを考えてッ……」
赤く腫れ上がった頬を押さえもせずに、東城は訴える。
「ふざけたことを! だったら何故僕にこんなことが出来た!? 僕を好きだというなら、如何してこんな外道のようなことが…!! 」
言って九兵衛は、東城の胸倉を掴みあげる。無論この体格差だ。大したダメージにはならないだろう。しかしそうと分かっていても、
詰め寄らずにはいられなかった。
「……言った、でしょう? 好きだから……ですよ」
「何」
しかしそこまで詰っても変わらぬ相手の態度に、次第に九兵衛の手から力が抜けていく。
「ずっと貴女が好きだった……貴女を手に入れたかったから。貴女を私だけのものにするために……私は悪魔にも魂を売った」
「……何、を……言って……」
東城の言葉の意味が分からなかった。
この男のあのような非道な行いと、己をずっと女子として慕ってくれていたという事実、相反するようなそれがどう結びつくという
のか。
考えられる筈もなかった。否、考えたこともなかった。
そんな場所に行き着いてしまうほどに、深く狂おしい愛が――ずっと彼の中に存在していたなんて。
「本当なんです……私は……。もうずっと、ずっと昔から貴女を、一人の女子としてお慕いしておりました。今まで何度無理やり奪
ってしまおうかと、思い悩んだか知れません」
「う、嘘だ……ずっと前から、だって……? だってお前は、今まで……」
俄かには信じられなかった。
彼とは五年十年の付き合いではない。それでも彼がそんな素振りをみせたことなど、一度もなかった。
それなのに。ずっと前から、だなんて……。それでは彼は、今までその想いを秘めたまま、己に接してきたとでも?
「……本当は告げるつもりなどありませんでした。一生、墓の中までこの想いは持っていくつもりでした」
「何……で」
「言えば若は、もう私を側になどおいてはくださらなかったでしょう」
「……っ! 」
静かに語る東城の言葉に、九兵衛は一瞬、言葉に詰まる。確かにそれは、事実だったかもしれない。告げられたとて、己が彼の想い
に応えられる筈がなかった。そうなれば、彼がいつか己のことなど忘れて他の女子と幸せになれるようにと、己の元から離れさせて
いたかもしれない。
「それに私は、あの日まで諦めるつもりだったのですよ。若のことは……。だから妙殿の件にも進んで協力しましたし、若に他の殿
方に惚れて頂こうと画策したこともありました。だからあの夜も初め、直ぐにでも応じたい気持ちを押さえつけて若のお言葉をお断
りしたのです。若にはもっと貴女に相応しい、素晴らしい殿方と結ばれるまで貞操を守って頂きたかったから……」
「……あの雛祭りの前夜のことか」
575東城×九兵衛:2009/07/20(月) 23:54:54 ID:k952QXC+
「……ええ。しかしあの夜、十数年ぶりに若のお体を拝見して、気が変わってしまいました。若が他の男と並ぶ姿など、とても耐え
られるものではないと……。若を……誰にも渡したくないと、そんな想いに囚われて……私は若にあのような、恐ろしいことを……! 」
「……だったら! そう言えば良かったじゃないか! こんなことをせずに正々堂々と、僕が欲しいと!  他の誰のものにもなら
ないでくれと、言えば良かったじゃないか! 如何してこんな……」
「勿論申し上げようとしましたよ。しかし……貴女に先手を打たれてしまった」
「え……? 」
「想いを告げようとする前に……若に、私のことは嫌いだと、はっきり言われてしまいましたから……。これまでとてそうでした。
貴女を密かにお慕いし続けて十数年、私の想いが叶う見込みなど到底感じられませんでしたから」
「……! そ、それは……」
「……若のお心など、もう到底手に入らないと思っていたのです。だから……だからせめて、お身体だけでも手に入れてしまいたかった。
それなのに……まさか若が、私と同じお気持ちでいてくださったなんて……」
「……」
「ああ若! いっそ殺してください! 今になって漸く、己のしたことを理解したのです。若のお気持ちも知らずに……私は、私は
……! 」
「……如何してだ……如何してなんだ東城……如何してこんなことを……」
未だに信じられず、九兵衛は繰り返す。
――お前が僕と同じ気持ちだった、だと……?
僕が好きだから……愛しているからこそ、あんな愚行に出た……?
僕の身体を道具のように扱い、あんな屈辱を僕に与えた、お前が……?
「お前は……女なら誰でも良かったんじゃないのか。だからこそ……僕でも抱けたんじゃ……」
「まさか! 私が本当に抱きたいと思ったのは、後にも先にも貴女だけです。貴女と閨を共にしていたあの時程、幸せな時間はあり
ませんでした」
「だったら何で! 如何して買春になど走った!? ずっと僕が好きだったというなら、如何して今までそんなこと一言も告げずに
何人もの女と寝てきたんだ! 僕がどんな想いをしてきたと思ってッ……! 」
「……貴女と褥を共にできる日が来るなど、思いもしませんでしたから……」
「何……」
「言ったでしょう。もう随分前から……私は身を引こうと、若のことは諦めようと思っていたのですよ……。
 如何にかして捨てたかったのです。私を苦しめるものでしかなかった、貴女への慕情を……」
「どうし……てだ。何もしない前から諦めるなんて、如何して……」
「私では、到底若を幸せになど出来ませんから……若には、他の誰よりも幸せになっていただきたかったのです」
「か……勝手なことを言うな。お前に出来ないなどと、如何して決め付ける」
「……私は若をお護りする事が出来なかった。一度ではありません。何度だって……。今とてそうではありませんか。勝手な欲望ば
かりを押し付けて、結局は私自ら若を深く傷つけてしまった……! 」
これで何度目だろうか。再び東城は顔を伏せて唇を噛む。
「ああ若……本当にもう悔いなどないのです。身体だけでなく貴女のお心までも頂けたなど、これ以上の幸せなどありません……!
 私を如何様にでもしてくださいませ……!! 」
彼は本気で後悔しているようだった。
――果たして己は、本当に彼を責めれる立場にあるのだろうか。
少なくとも己がもっと早く彼への慕情に気づいていれば、それを打ち明ける機会を奪ったりしていなければ、こんなことにはならな
かったのではないか?
追い詰められると何をするか分からない、と北大路は東城を評していた。それでは彼がこんな愚行に出てしまうところまで追い詰め
てしまったのは、他ならぬ己自身ではないだろうか。
それに己とて。彼の心など手に入らないだろうからと、己の立場を利用して、彼の身体を貪り続けてきた。それどころか何処かで、
彼の計画と同様のことを、頭に思い描いていたではないか。
そんな己が如何して、被害者顔ができようか。
しっかりしろ、と九兵衛は未だ混乱する己に言い聞かす。
己は彼の主人だ。己が彼を導かねば、進むべき道を誤らずに選択しなければ、彼は惑うばかりではないか。
「……如何様にでもしろ、か。その言葉に偽りはないか」
「無論で御座います若……! もう未練など御座いません。私は……私は本当に幸せで御座いました。若のような素晴らしい主人に
出会え、褥を共にして、あまつさえ一人の女子として、私を愛してくださったなど……! 」
「……僕への気持ちは今でも変わらないのか」
静かな声で、九兵衛は問う。
「そ、それは無論……」
576東城×九兵衛:2009/07/20(月) 23:55:33 ID:k952QXC+
「言っておくが、僕はお前の思うほど清らかな人間ではない。だから何度もここに来た。お前が拒まないのを良いことに……。お前
を独占したくて、放っておけばお前はまた他の女のところに行ってしまうんじゃないかと思って、それが堪らなくてここに通っていた。
……お前が企んでいた様に、僕がお前の子を孕めばお前を永遠に束縛する口実が出来るとすら思っていた。それでもお前の計画
を知ったとき、耐え切れずお前を詰った。ここまでお前を追い詰めていたなんて露知らず……いや、お前の気持ちなんてそれ以前か
ら知りもしなかった。お前がどんな想いで女を買っていたなんて知りもしないで、ただその事実が受け入れられなくて、あの時もお
前のことが嫌いなどと言って……。振り向かずともただ一心にお前を慕う、清らかなお姫様などではいられなかった。こんなに愛し
ているのにお前は如何して僕にこんな酷いことをするのかと、お前を憎んだ。恨みもした。お前が戻ってきたら、この刀でお前を斬
ってやろうと思っていた。腹いせに他の男と寝ようともした。……それでも」
「若……」
「それでも愛せるか。己の想いに気づいて尚、引き下がりもせず立場を利用してお前と、身体だけの関係を迫り続けていたような汚
い人間でも」
「勿論で御座います若! 貴女が汚いなどと……貴女ほど美しい女子を私は他に知りません。何度も申し上げたではありませんか」
詰め寄るように己の言葉を否定され、それでも九兵衛は納得などしなかった。
「……そんな言葉で信じられるものか。どうせ女郎屋の女にとて同じ台詞を言ってるんだろう」
「ま……さか。そのような事……」
「如何して僕を愛しているなどと言える!? 僕への想いを捨てたいからと言っても、それでもお前は他の女子を抱けるのだろう!?
 自ら進んで何人も、相手に出来るというのだろう!? 」
誘われても応じ切れなかった九兵衛には、東城のその行動が理解出来なかった。その事実が、東城の言葉など全てまやかしなのでは
ないかという疑念を九兵衛に抱かせてならない。
「……如何したら信じていただけますか? 」
けれどその指摘にも動じず、酷く静かな声色で、今度は東城の方から尋ねた。
「無論若との関係が始まってから、風俗店の類になど一度も行ってません。しかしそれは単に万一若に変な病気でもうつしてしまっ
たりしたら、私は腹を切らねばならぬと思ったからだけで、若の仰る様にその気になれば今でも他の女子を抱けましょう」
「……」
きっぱりと告げられた言葉に、九兵衛は思わず歯をぎりりと噛み締める。そんなことはとうにわかっていたはずなのに、改めてこの
男の口から言われると堪らなく胸を締め付けられる。
「しかし本当に、私が抱きたいと思っているのは、私が心からお慕いしている姫君は若だけなのです。如何したら信じていただけま
すか? 」
「……それは」
再び尋ねられた問いに、九兵衛は言葉に詰まる。
「……他の女子に一切感じるなと仰るのなら、私の男根ごと削ぎ落としましょう」
「……!? 」
けれど九兵衛がそれに対する答えを見出す前に、東城は顔色一つ変えずそんなことを告げた。あまりに唐突でとんでもない申し出に、
九兵衛は尚も返答に迷う。
「他の女子を目に入れるなと仰るのなら、この目を潰しましょう」
そうして九兵衛が押し黙っていると、東城は再び淡々と言葉を続けた。
「他の女子の声を聞くなと仰るのなら、鼓膜を破りましょう」
その様は一層不気味で、次第に九兵衛の恐怖心を煽る。
「他の女子に触れるなと、他の女子の元に向かうなと仰るのなら、その証拠に手足を切り落としてみせましょう」
――それは得体の知れぬ、非現実的な怪談に対する物とは少し性質の違うものだった。あまりに大仰すぎる、ともすれば馬鹿げた話
だったが、しかし。
「その程度のことは厭いません。元より若が死ねと仰ればいつでも死ぬ覚悟です」
『この男ならやりかねない』……そう思えてならず、九兵衛は息を呑む。
「……は……」
その考えに至った時、思わず九兵衛の口から息が漏れた。
不埒な男、と思っていた。だから彼の言葉など信用できぬと。けれど。
己にそんな思いをさせる程の、そんな大それた話を現実的に感じさせるほどのことを、彼は今まで己にしてくれていたではないか。
彼が『そういう男』であることは、他ならぬ己自身が一番良く知っていることではないか。
それは今まで、己に対する忠誠であり、保護者としての愛情なのだと思っていた。だが本当にそれだけで、これだけのことが出来る
だろうか?
577東城×九兵衛:2009/07/20(月) 23:56:43 ID:k952QXC+
自分はそれだけの忠義に値する程偉大な主人でもなければ、血の繋がった彼の子供や妹でもない。ほんの少し年下の、弱い女子でし
かない。そんな己に、彼が――。
「しかし私にはわからぬのです。如何したらここまで傷つけてしまった貴女の心を癒せるのか、如何したら私のこの、狂いそうな程
に若をお慕いしている心をわかっていただけるのか……。誓って若以外の女子に口説などしたことはございません。だからこそわか
らぬのです。如何したら若のその、私の行動の果てに頑なにしてしまったお心を溶かすことが出来るのか……」
「……もういい。……信じてやる」
東城を制して、九兵衛は漸く答えた。
――それが彼の、己に対する、男としての恋慕の情故に出来たことなのだとしたら。決して振り向くことのなかった己への愛の証な
のだとしたら。……何の見返りも求めぬ愛などありえぬと、感じていたのは己自身ではないか。そんな彼の気持ちなど露知らず、あ
のような命令を下してしまった己に、報われぬ愛に苦しみぬいた彼が、どんな形であれ己を手に入れたいと思いつめた末にあのよう
な行動にでたと言う彼の言葉は、決して理解できぬものではない。それだけ……恋とは決して、ただ美しいばかりのものではないの
だと、知ってしまった今の己には。
「本当ですか」
「ああ、どうやら本当に、女子を口説くのには慣れていないとわかったからな。……僕も『すまいる』に通ってたから分かるんだ。
普通女の子は、そんな重い台詞を言われたら引くらしいぞ」
「……っ。も、申し訳ありません……」
冗談のようにそう言ってやると、東城はすまなそうに、そして少し恥ずかしそうに頬を染めて、顔を伏せた。
「まあ、大仰なのはお前らしいが……」
ふ、と九兵衛は笑みを漏らす。……如何して自分は今まで、彼の言葉に耳を傾けようとしなかったのだろう。こんなにも直向に、愛
していると言ってくれていたのに。直接全てを言葉にはしなかった。言っていたところで多分、己は無視していたところだろう。だ
が変に技巧など凝らさず、彼が言えた限りの中ではっきりと……。
ここにおいて九兵衛は漸く、彼の言葉を信じようと思った。今まで疑うばかりで聞き入れようともしなかった彼の言葉を。
「……今一度訊く。如何様にでもしろ、と言ったな。二言はないか」
「はい。……元より若の為なら……」
「僕の命令になら、何にでも応じるか」
「無論で御座います」
「では一つ、お前に命じる。……僕を幸せにしろ。僕を諦めるだとか、僕の為に身を引くなんて勝手は許さん。お前自身がこの僕を
幸せにしてみせろ」
「……は……? 」
告げた言葉に、覚悟を決めた表情をしていた東城の顔が揺らいだ。
「何を仰って……」
そしてまだ、訳が分からない、といった顔で呟く。
「何を仰ってるのですか……? 私は若にあんなことをして、深く傷つけてしまった男なのですよ……? そんな私に、何を……」
「……ああそうだ! 」
その態度に苛立った九兵衛は声を荒げた。
「お前には散々不幸にさせられた! 勝手に先走ってばかりで、僕の気持ちなど何一つ知らないで……! ……だが僕は、お前じゃ
ないと駄目なんだ。お前じゃないと、幸せにはなれないんだ……!! 」
「わ……か? 」
「お前だってそうだろう!? 十何年も前から僕のことが好きだったんだろう!? お前が如何してそんなに自分を卑下するのか知
らないが、僕を諦めようとして、それでもその想いを捨て切れなくて挙句の果てにこんな愚行に出たのだろう!? そんなお前が僕
から身を引いて、それで耐えられるのか!? 幸せになどなれるのか!? 十何年も、お前は苦しんできたのだろう……!?」
今ならわかる。東城と同じ想いを抱いている今なら。その長い年月の間、どれ程彼が苦しみぬいてきたのか。愛しているのに、心か
ら愛しているのに、伝えることも出来ず、相手の幸せを願ってただ、影からそっと見守る……そんな愛し方しか出来ない苦しさが。
考えただけでもどうにかなってしまいそうだ。そしてそれは、彼を狂わせるのには十分だったのだろう。
「そ……れは……。なれる筈がないでしょう、私は……若でなければ……。しかし私は、若を……。ですから私は……! 」
「如何してお前はそんなに死に急ぐ? 」
「……! 」
「北大路が言っていた。お前にしては詰めが甘すぎる、これではまるで僕が他の男に抱かれるのを誘っているようだ、と……。お前
は最後まで、僕を誰か他の男に明け渡すつもりだったのだろう!? お前はこの刀を、わざと僕に見えるように残していったのだろ
う!? あんなことをしておいて、それでも結局お前は……お前は……」
578東城×九兵衛:2009/07/20(月) 23:57:19 ID:k952QXC+
「若……」
「死んで詫びるつもりか? ふざけるな! お前が死んで、それで何になるというんだ!? 僕はそんなこと望んでない! あれだ
け執着しておいて、今更僕から逃げるな! 追いかけたらどうなんだ! 本当に僕のことが好きなら、手に入れたいと思っているな
ら……! 」
「まさか……生きていても宜しいと? まだ私は、若のお側にいても宜しいと? 若を……想っていても宜しいと? 」
「……。やっと、辿り着いたんだ……」
ぽつり、と九兵衛は呟く。
「長かった。もう道なんてないと思っていたんだ。それでも真っ暗な夜の闇の中を歩いて……漸く城に着いたんだ……」
「若……? 」
「なあ東城。僕と踊ってくれないのか。やっと城に、お前のところに辿りついたのに。やっと王子様に出会えたのに……。お前は僕を、
シンデレラにしてくれるんじゃなかったのか? 」
「……っ! 」
差し出した手に、東城はたじろいだ。
「……ここが若の目指していた城だと、……この私が、若が会いたがっていた王子様だと、そう仰るのですか」
九兵衛の望みを、漸く理解したのか、東城は何処か恐る恐るといった様子で尋ねる。
「ああ」
「……信じられません……」
それに対してはっきりと九兵衛が頷いても尚、東城はそう呟いた。
「……何が信じられない? 僕はお前のことが好きだと、そう言ったじゃないか」
「それが、ですよ……まだ、夢を見ているようで……」
「夢などであるものか。これは現実だ。ちゃんと僕を見ろ」
「……宜しいのですか」
「何がだ」
「私などを選んで……。私は十二時の鐘が鳴っても、若を帰しはしませんよ。それでも若がお逃げになるのなら、地の果てまででも
追いかけますよ。ガラスの靴を落としていったら、返してさしあげなどしませんよ。靴も、それを履いた貴女も全て、おみ足の爪先
から御髪の毛先まで全て手に入れないと満足できない男ですよ」
「知っている。そんなことは……それに、十二時の鐘などとっくに鳴ってしまった。僕は清らな姫の姿でお前の前に現れることは出
来なかった。随分と、灰に塗れて汚れてしまった……。それでも追えるか。手に入れたいと、言ってくれるか」
「勿論です……! どんなお姿であられようと、貴女は他の誰よりも、気高く凛々しく美しい姫君にあらせられるではありませんか
……! 」
「あ……」
――『今日も麗しの若は、気高く凛々しく美しい』……。
ふと九兵衛の脳裏に、先ほど盗み見た東城の日記の一節が思い浮かぶ。
ずっと……そんな風に思っていてくれていたのか。
十数年も前から、この僕のことを、そんな風に……。
「若……! ああ、若……! 愛しいお方……。私は……私は……! 」
「東城……」
長かった。本当に長かった。
すれ違い続けて、傷つけあって。十数年かけて、漸くこの男と心を通い合わせることが出来た気がする。
馬鹿な男と、九兵衛は思う。勝手に思いつめて己にあんなことをして、後でこんなに後悔して。
だが彼のその、不器用な一途さに、何処か心打たれている自分があるのもまた事実だった。
もう二度と、彼に道を間違えさせまいと、九兵衛は思った。己が彼を導こう。彼の主人として、そして……。
「……決まりだな」
ふ、と九兵衛は笑みを漏らす。
「これから宜しく頼むぞ、東城」
「え、ええ……それはこちらこそ。不束者ですがどうぞ宜しく……」
東城は深々と頭を下げた。その様に九兵衛はクスクスと笑う。
「さて東城。式は何時にする? 次の大安で良いか? 」
「……は? 」
九兵衛の言葉に、東城はまの抜けた声をあげた。
「お前、実家とうまくいってないようだがもっと丁重に扱ってやれよ。僕が挨拶に行きにくいだろう」
「え……と、若……話が読めないのですが……。私の実家の者に若が何のご挨拶があると……」
「決まっているだろう、あちらにお前を貰い受けると言っておかねばな。こちらだけで勝手に話を進めて、また妙ちゃんの時のよう
な騒動になっても面倒だ。ただでさえ東城の連中は今日、お前を追ってここに来ていたようだし」
「え……え……では若、お式というのは……」
ここまで言って尚、九兵衛の言っていることが呑めぬらしい東城はうろたえる。
「無論結婚式、だ。他に何があるというのだ? 」
「……っ! 」
そう告げると、漸く全てを理解したのか、東城は言葉を失って赤面する。
579東城×九兵衛:2009/07/20(月) 23:58:51 ID:k952QXC+
「その前にパパ上に報告せねばな。おい東城、お前パパ上に訊かれてもこうなった経緯について余計なことは話すなよ? 十八年も
僕に仕えてきたお前ならパパ上の信頼も厚いだろうから、余計なことさえ言わなければパパ上も納得するだろうからな。間違っても
元々は皆を騙すために形だけ付き合ってたとか、僕を強姦した上に監禁してたとか、そんなこと知られたらきっと許して貰えない」
「い、いやあの……それは勿論ですが若……話が早すぎてついていけません」
「何? 」
「そういうのはもっとその……段階が必要なものではないでしょうか」
「何を言っている」
戸惑う東城の言葉を、九兵衛は一刀両断に薙ぎ捨てる。
「僕はお前が好きで、お前も僕を好きだと言ってくれた。紆余曲折あったが、お互い相思相愛だったと分かったんだ。これ以上何が
必要だと言うのだ」
愛し合う二人が夫婦になるのは、当然の道理ではないか。何を迷う必要がある?
「……それとも、嫌なのか。僕と夫婦になるのは」
「えっ……いやまさか! 滅相も御座いません!! 寧ろそれは……」
九兵衛の問いに、東城は首を大きく横に振った。
「それは……私が、子供の頃から夢見ていたことですから」
「……なら、何も問題はないだろう」
予想以上の答えに、九兵衛は嬉しさを隠せず微笑んだ。
「僕にばっかり語らせないで、お前も考えたら如何なんだ。これからのことを……」
「え……? そうですね……」
言われて東城は、なにやら考え込む。
「式をあげるのでしたら若、白無垢よりウエディング・ドレスを着ていただきたいですねえ」
「ん? 」
「矢張り若には純白のレースがお似合いになると思うのですよ。それとエンゲージ・リングは矢張りダイヤが宜しいでしょうか。若
の誕生石ですしね。若に相応しい可憐で上品なデザインのものを発注して……」
「……お前。気持ちは嬉しいが、もうちょっと現実的なことを考えたらどうなんだ……」
呆れたように九兵衛は溜め息を吐く。
「ああ……すみません。まだ夢なのではないかと思っていて……」
「しつこいな。夢なんかじゃないぞ、これは」
「ええしかし……これまで何度夢見たか分からない状況で……ずっと叶わぬ夢と思っていたものですから、今が恐ろしい程で……」
「……大袈裟だな」
笑みを零しながらも九兵衛は、東城のその、己に対する一途な想いが嬉しくて、同時に少し、切なかった。
「ああ、若……そちらに行っても宜しいでしょうか? 若のお側に行っても……」
「……構わん。来い。そしていい加減早く自覚しろ、これが夢ではないと」
「若……」
九兵衛の許しを得て、東城は立ち上がると、宣言どおり彼女の隣に腰を下ろす。
「本当に……夢ではないのですね。若が本当に、私を婿君にしてくださると、そう仰ってるのですね……? 」
「……本当に、疑り深いな。お前は……僕が信じられないのか? 」
「まさか……そのようなことは。信じております。何があろうとも、私は若を信じます……! ただ、余りにも……幸せ過ぎて、ま
だ夢なのではないかと……」
「そうか。なら……」
「! 」
九兵衛は東城の手を取ると、それを自らの衿口に差し入れて、胸に手を当てさせた。
「わ、若……」
「……分かるか? 」
そして柔和な笑みを浮かべる。
「僕の鼓動が。……おかしいだろう? 十五年も一緒にいる男を前にして、こんなにもドキドキしているんだ」
「若……」
「こんなに……好きなんだ。お前のことが……」
本当はそれでもまだ足りない。
どんなに言葉にして見せたところで、身体で示してみたところで、この想いを表しきれはしない。
「若……! 」
それを感じ取ったのか、東城は九兵衛の身体を強く抱き寄せた。
「東城……」
九兵衛はそれに応じて身を委ねると、腕を伸ばして東城の首元に回す。
「……んっ……! 」
そして東城は深く屈みこむと、九兵衛の唇に彼のそれを重ねた。九兵衛もそれを受け入れ、唇を開いては差し入れられた舌を己のそ
れと絡める。鋭い鉄のような味が口の中に広がった。恐らく彼の血だろう。思って九兵衛は、労わるように東城の、何度も噛んでボ
ロボロになった唇を舌先で舐める。
580東城×九兵衛:2009/07/21(火) 00:02:08 ID:Kq48laB2
――運命の恋なんて、王子様とお姫様の物語なんて、もう信じないと思っていた。酷く回り道をして漸くこの男と結ばれて、けれど
これがエンドなのではないと知っている。ここから始まるのだ。僕達の物語は。でも……でも今は。酔いしれていても良いだろう。
好きな男と結ばれた、この幸せに……。
そんな事を考えながら、九兵衛は丹念に己の口腔内を蹂躙する東城の舌をなぞり上げた。
「……っは……」
一方で衿口に差し入れさせた手で次第に胸を揉みしだかれ、甘美な刺激に頭が痺れた。しゅる、と音を立てて、複雑な飾り結びにさ
れていた筈の帯締めが手際よく外される。
「……! 」
やがて真紅の帯が崩れていくのを感じて、漸く九兵衛は我にかえった。
「……おい、何をする気だ」
低い声で、九兵衛は東城を睨みあげる。
「何って……今更何を仰ってるのですか。また何をしているか分からないとでも? 」
「分かっているから言っているんだ。何を考えているんだ、お前は」
さも当然のように言う東城に、九兵衛は呆れ果てる。人が感傷に浸っていたというのに、この男は……。
「僕を力付くで無理やり犯したこと、反省しているんじゃなかったのか? 」
「まさか……! それは無論、心より反省しております。誓ってもう二度と、あの様な真似は致しません!! 」
「だったら、今のこの状況は何だ」
「それは……。いきなりあんなことをされて、抱き寄せても、接吻をしても抵抗されないどころか、積極的に応じてくださったら、
誰だってそういう雰囲気なんだなあと思うでしょう」
「……」
「……でも無論、若がお嫌と仰るのならしませんよ……若の言うように、あの様なことをしてしまったのですし……」
「嫌という訳ではないが、呆れているんだ。こんな時くらい……そういうのでないことを考えられないのか」
「こんな状況だから、そういうことしか考えられないのではありませんか。私が今どれほど喜んで、舞い上がっていることか。この
まま天にも昇ってしまうのではないかと思っています」
しかし東城も引かない。
「言ったでしょう。私はもう十何年も若のことだけを想い続けていたと……。若とこのような関係になる以前から、何度若と肌を重
ねてみたいと焦がれたことか……。私が何度若のことを想いながら達したと思ってらっしゃるのですか。言っておきますが三桁じゃ
収まりませんよ」
「いや……そういう具体的な数字は数えなくていい。何か生々しいから」
それにしても余りに多すぎる気がしたが、しかし或いはこの男なら……。
「何度ソープやイメクラでも達する瞬間思わず若の名を口にしてしまって、まあ向こうは殆どそのことには敢えて触れないでくれま
したけどたまにつっこんでくる女子がいて、『お兄さんもしかしてホモ? 』とか言われて、あろうことか『ああ〜お兄さん髪長く
て綺麗だし色白だしねえ』とか、同性愛者と誤解された上に私が女役なのかと思われて、しかも形成外科のチラシまで渡されて……

「もういい、わかった。わかったから……」
殆ど愚痴になってしまっている東城の言葉を、九兵衛は遮った。
――お前も同じだったんだな。
残酷なほどに器用な男なのだとばかり思っていた。愛していない女子とでも平気で寝れて、心にもない、その場限りの甘い言葉を囁
けるような……。だがこの男もきっと、何処か虚しかったことだろう。性欲は満たせても、その先には何もない関係。本当に欲しい
異性は他にいて、それでも……。
ふと九兵衛は、北大路の言葉を思い出す。多かれ少なかれ男は好きでもない女でも抱けるが、しかし愛しているからこそ抱きたいと
思う、というのもまた真理でしょう――彼はそう言っていた。東城の気持ちなど知りもしなかったあの時は意味が分からなかった。
だが今なら分かる。彼は気づいていたのだろうか。己だけでなく、東城の気持ちにまでも……。だとしたら。彼は己と東城の問題だ
から口を挟んだりしないと言っていたが、恐らく彼の導きなしでは己はここまで辿りつけなかった。己も東城も不器用だと彼は評し
ていたが、きっと、彼の言うように、ずっとすれ違ったまま平行線を辿っていたことだろう。
「……北大路に、感謝せねばな」
「……え? 」
呟いた言葉に、東城はきょとん、とする。
「……私は複雑ですな」
しかし続けて、それを柔らかく否定した。
「何故だ? 」
「だって……若の一番大切なところを見たのでしょう? 私しか知らなかった部分を……あの機械を外すためとは言え」
「……何を馬鹿なことを言ってるんだ」
581東城×九兵衛:2009/07/21(火) 00:02:49 ID:Kq48laB2
あの機械を挿れたのはお前の癖に。お前など何人も、他の女を抱いたくせに――九兵衛は思ったが、しかし口には出さなかった。今
更過ぎたことを責めても仕方が無い。彼はずっと、今も尚己だけを愛していたと言っているのだし。
「言っただろう。あいつは僕に手を出さなかった。僕が東城のことを好きだと知っていたから……北大路だけじゃない。西野や、あ
の南戸ですら……」
「……二度とそんなことはなさらないでくださいね」
東城は念を押す。
「確かに彼らは若や、或いは私のことを尊重してくれたのでしょう。しかし彼らのような善意で欲望を押さえつけてくれる人間ばか
りではないんですよ。若が誰のことを想っていようが、貴女の様な美しい女子を抱けるのならそれで良いと思う男だって沢山いるの
ですから。若の心が傷つこうと、己の欲さえ満たせればと思う男は幾らでも……いえ、私の言えることではありませんな……」
「……東城は」
自嘲気味になる男に、しかし九兵衛は更に踏み込む。
「東城は抱けるのか。他の男を愛している女子でも」
「……かえって都合が良いと、以前の私ならそう思ったでしょうな。ずっとただ一人の女子しか愛せず、苦しんできた私を想ってく
れるような女子よりは」
東城は否定しなかった。
「……若。確かに私はここに至るまで随分と、爛れた関係にばかり浸っておりました。でもこれからは……誓って貴女ただお一人に、
この身も心も全て捧げましょう。この命続く限り、若のお側におりましょう」
「東城……」
九兵衛は東城の言葉に、ただ彼の名を呼んで応えた。
「……その、しても良いぞ」
「……え? 」
「お前の理屈が分からないわけじゃない。好きだから身体を求めるのは、繋がっていたいと思うのは僕も同じだ」
「若……! 」
「……わっ!? 」
照れながら言った言葉を聞くや否や、東城は突然、九兵衛を強く抱きしめると、そのまま押し倒すような形になる。
「と、東城!? 」
「ああ若……! 私は嬉しゅう御座います。余りに幸せで……このまま死んでしまうのではないかと……! 」
「お、大袈裟な奴だな! 」
「若に……若に、心から私のことを求めて頂けるなんてっ……! 」
「とう……ちょ、ちょっと待て」
「若……? 」
「その……盛り上がってるところすまないが、先に風呂に入らせてくれないか……? 」
「お風呂……で御座いますか? 」
「昨日以来、ずっと入ってないんだ……まさかお前と、こんな関係になれるとは思っていなかったし……だからその……」
「はあ……私は構いませんが。若の汗や垢でしたら、若の体臭でしたら寧ろ私にとってはどんな名品の香よりも芳しい……」
「やっぱりお前変態だろう! お前が構わなくても僕が構うんだ!! 」
「まあ、そういうことでしたら……宜しければ一緒に入りませんか? 」
「何? 」
「お背中お流しいたしますよ。昔よく、していたではありませんか」
「……」
もう十何年以上もの、ずっと昔。まだほんの子供だった頃。女であることを隠していた己の身体を、世話係の東城は洗ってくれてい
た。
「そうだな。……頼もうか」
それも良いかもしれない、と九兵衛は思った。苦難ばかりだった少女時代を、少し懐かしく思いながら。そう……彼はどんな苦難も
己と共にしてくれた。
「はい」
九兵衛の言葉を受けて、東城は立ち上がると、道具やら着替えやらを手早く用意した。


582東城×九兵衛:2009/07/21(火) 00:05:12 ID:Kq48laB2

いつぶりだろうか。昔もこうして東城と共に浴室に向かっていた。本来女中にでもやらせれば良いのだが、あの頃の己は彼女達に裸
身を晒すわけにはいかなかった。かつてのその習慣を終わらせたのは東城の方からだった。あの頃の己は自分が女子で彼が男だとい
うことの意味を深く考えていなかったから、ただ寂しいばかりだったが、今思うと彼はそんな子供の時分から己を意識していたのだ
ろうか。そう思うと少し照れくさい。しかしあの頃は世話役の少年を侍らせて浴室に行くのを周囲は何の疑念も抱かずに通り過ぎて
いったのに、もう夜も遅いのでそれ程の人数ではないが、今日はすれ違う人達がやけに奇異の眼差しを向けてくる。……矢張り女子
の己が男の彼に浴室で世話をさせるのはおかしいのか、如何したってその先にある関係を意識させてしまうものか、そう思うと九兵
衛は恥ずかしくなった。
「あら東城さん」
ふと、通りすがった一人の女中が声をかけた。しかし仮にも次期当主である己を差し置いてどうしてこの男の名を呼ぶのか、九兵衛
が疑問に思っていると。
「そちらの可愛らしい姫君は? 輿矩様のお客様ですか? 」
「……何を言っている」
続けられた言葉の意味が分からず、思わず九兵衛は尋ねた。
「わ、若様!? 」
すると彼女は、声が裏返る程に驚く。
「こ……これは失礼を! 」
女中はぺこりと頭を下げると、そそくさと立ち去ってしまった。
「一体何なんだ……」
呟いてしかし九兵衛は漸く気づく。己の今の姿に。
成る程これでは、おかしな目で見るなという方が無理な話だ。今まで柳生家の嫡男として正装していた筈の己が、突然こんなレース
たっぷりの女子の衣装を着て出歩いていては……。
「と、東城……」
「はい」
「急ぐぞ」
堪らず九兵衛は従者の手を引くと、早足で浴室へと向かった。
そしてたどり着いた浴場で、九兵衛は早々と脱ぎ始めようとしたが、複雑な作りの衣装は脱ごうとすればするほど絡まった。見かね
た東城が手伝いますよ、と言って来て、手際よく外しにかかる。そうして九兵衛は、徐々に産まれたままの姿になった。
薔薇の形の眼帯も外されて、ついに九兵衛は一糸纏わぬ姿となる。ふと、鏡に己の姿が映っているのが見えた。背後には東城が、羽
織を脱いではきっちりと畳んでいる。
こうして下駄も履かずにこの男の隣に立ってみると、その体格の差がはっきりとわかる。理想のカップルの身長差は十五センチだと
か何処かで聞いたが、到底届くまい。年とて大して変わらないのに、相変わらず落ち着いた風情の彼とまだ幼さの残る顔立ちの己は
十か、下手をすると十五も離れて見える。同じ年齢の妙は実際十歳以上年上という近藤と並んで立っても遜色ない程の色香を持って
いるのに、この差は一体何なのか。その上曝け出された左目の古傷は、相変わらず醜く残っていた。
「……東城」
「はい」
九兵衛が名を呼ぶと、東城は手を止めてこちらを向いた。
「……お前は本当に、僕を美しいと思っているのか」
何処もかしこもコンプレックスだらけなのに。あれが本心だというのなら、その殆ど閉じているようなお前のその眼には、己は如何
映っているのか。
「まだ疑ってらっしゃるのですか? ……本当ですよ。本当に私は、若以上に他の女子を美しいと思ったことなどないのです。若が
憧れていらっしゃる妙殿よりも、私には若の方が魅力的に思います」
「妙ちゃんより? まさか……馬鹿も休み休み言え」
妙はこの江戸中の女子を集めても、並ぶ者のない程の美女だ。彼女に遠く及ばない点こそ数多くあれ、己が彼女より優れた点など見
当たらない。
「私は若に嘘は申しませんよ。白雪姫の魔法の鏡の如く、真実だけをただ若にお伝えしましょう。貴女はこの世で最もお美しい」
「それでは僕は、意地悪なお妃様か」
「まさか。それなら話が進みません。私にとって最も美しい女子は、永遠に若ですから。二十年近く変わらなかった事実が、この先
如何して変わりましょうか」
そっ、と東城は九兵衛の髪を撫ぜる。
「この黒く艶やかな、絹の光沢の御髪。陶磁器の様にすべすべとした瑞々しいお肌。琥珀の様に輝く涼しげな瞳。珊瑚色の薄くも柔
らかい唇。少しあどけなさの残る、中性的で凛々しいお顔立ち……御覧なさい。これ程美しい女子が他に、この世におりますか? 」
583東城×九兵衛:2009/07/21(火) 00:06:50 ID:Kq48laB2
甘い声で耳元で囁かれて、九兵衛は一瞬、ぞくり、とする。しかし長身の彼が小柄な己にそうするために、中腰に屈んでいるのを九
兵衛は見逃さなかった。
「無理をしなくて良い。今だってそんなしゃがみ込んで……。僕なんて、未だに子供に間違えられるし。それにお前には、この傷が
見えないのか? 」
「子供だなんて……若はこんなに立派に成長なさったのに」
「成長? 僕がか? 」
「だってそうでしょう。昔はお胸もぺったんこで、腰も寸胴で、手足もただ棒のように細くて……。あの頃のようにただ愛護の情を
そそるだけのお身体でしたら、あの夜私もあんな恐ろしい考えなど抱くことなく過ごせたでしょうに。それがこんなにも、小さなお
身体に関わらずお胸は実に豊かになられて、対照的に腰はきゅっ、と括れて美しい曲線を描くようになられて、お尻もつんと高く張
りあがって……鍛え上げられてよく締まっていながら、それでいて丸みと柔らかさを帯びた、実に女子らしいお身体に成長されて……」
「な……馬鹿かお前は!? あれ以前にお前が最後に僕の裸を見たのは、十何年前のことだと思ってる!? 幾ら僕だってな……! 」
「勘違いなさらないでくだされ。一体何にそんなにも劣等感をもっていらっしゃるのか知りませんが、余り伸びずに止まってしまっ
た身長も、その影で女子らしく立派に成長なさったお身体も、私は若の何処もかしこも愛しく思っているのですよ。その低く澄んだ
お声も、凛とした佇まいも、若のもつ全てを……。……それに、申し上げたではありませんか。私はこの傷も美しいと思っておりま
す、と。この傷は、若が懸命に生き抜いた証ではありませぬか、と」
「……」
「若。私が何よりも美しいと思っているのは、何よりも惹かれてやまないのは、貴女のその気高きお心なのです」
「……何? 」
「何の苦労も知らずに夢のような世界で育って、ただ王子様が来てくれるのを待っているだけのお姫様だったら、私はこんなにも若
に惹かれはしなかったでしょう。あのような苦行に晒されてそれでも捩れもせず、真っ直ぐに生きようとしていた貴女だから愛しく
思えた。ご友人の窮地に可憐なお顔が傷つくことも厭わず敵に立ち向かうような貴女だから一層美しいと思えるのです。優しい母上
に先立たれ、意地悪な継母達に扱き使われても耐え抜いて、ただ一度だけお城の舞踏会に行ってみたい、そんなささやかな望みを抱
いた清らかなシンデレラだったからこそ、魔法使いはその夢を叶えてあげたくなった……そうは思いませんか? 」
「それでお前は、一年に一度だけ、魔法をかけてくれた、と? 」
「……いえ。結局私は魔法使いにもなれなかったのでしょうね。私が貴女に与えたのは希望の光ではなく絶望の闇だった。それでも
若はその闇を自らの力で切り開いて、南瓜の馬車も使わず自力でそこから抜け出してしまった。そうして私の闇に呑まれもせずに、
その眩しい光で私を照らしてくださった。若に救われたのは、私の方ですから」
「……東城。言っただろう? 僕とてそんな清らなシンデレラではいられなかった」
九兵衛は自嘲気味な笑みを零す。
「気高くなんてないんだ、僕はただ……不器用なだけで。お前にずっと護られていたことすら、その鉄壁の城塞を崩されて、侵入し
てきた敵を認めて初めて気づいたくらい鈍感で。況してやお前の気持ちになんて気づきもしなかった。それどころか自分の気持ちに
すら、気づくのが余りに遅かった。昔から泣いてばかりで……それでも、そんな僕でもこれまで真っ直ぐ生きてこられたのは……。
 否、すっかり話が長くなってしまったな。入ろうか? 」
「……承知いたしました。では、続きは中で……」
扉を開かれ風呂場に促され、少し遅れて準備を終えた東城も後から入ってくる。湯加減を確認しては風邪をひかぬようにと言ってか
け湯をして、九兵衛を座らせると宣言通りに東城はその背を流した。まるで一級の骨董品を磨き上げるかのように、丁寧に丹念に、
爪の先まで東城は九兵衛の身体を泡立てた石鹸で洗い上げる。
「……昔を思い出すな……」
九兵衛はふと呟く。
「あの時から随分と、時間が流れた。……色々とあった。お前には散々迷惑をかけられたし、酷いこともされた。僕もお前を苦しめ
てしまった。それでも矢張り、お前がいつも僕の側にいてくれたのは確かだ」
「若……」
「なあ東城。これからもずっと、ずっと僕の側にいてくれ。そして僕を見守ってくれ。昔の様に……」
「無論です。……いえ若、昔と今は違いましょう。これからは……」
「……そうだな。なら東城。これからは僕を支えてくれ。世話役としてではなく、僕の夫として……」
584東城×九兵衛:2009/07/21(火) 00:07:41 ID:Kq48laB2
「若っ……! 」
「わっ!? 」
不意に背後から泡だらけの身体を抱きしめられて、九兵衛は驚く。
耳元にかかる息が荒い。背に感じる鼓動が速い。何よりも、腰に当たる熱い猛りが、東城の行動の意味を九兵衛に訴えた。
「……お前という男は! 何を考えているんだ!? 」
九兵衛は怒りをあらわにした。先ほど叱ったばかりだと言うのに、懲りない男だ、と。
「私が考えているのは、いつでも若のことばかりで御座います」
「……っ! 」
「お許しください。しかし若、何も考えるなという方が無理で御座います。若が、ずっとお慕いしていたお方が私の妻になってくだ
さるなど……今直ぐにでも、今すぐにでも夫婦の契りを交わしたいくらいでっ……! 」
「東城……。だ、だがなお前、場所を考えろ。どうしてお前はこんなところで、そういう気分になれるんだ」
「え、そりゃあ私はそう……いや、それ以前にこの場所で、若の残り湯を味わいながらこれまで何百回一人でしていたことか……」
「だ、だからそういう生々しい告白はいい! だ、大体、こんなところでする気か!? 」
「いけませんか? 」
東城はきょとん、とする。何が悪いのか、と言った具合だ。
「だ、だって……こんな……」
「そうですね……このままではお体を痛めてしまうかもしれません。どうぞこちらに」
「! 」
振り返ると床には、いつだかすまいるに東城が持ち込んでいた赤いマットが敷かれていた。あの時も思ったが、何処からこんなもの
を出したのだろう。
「ほ、本気か? 本当にこんなところで、お前は……」
「若とでしたら、何処ででもしたいですよ。……勿論若がお嫌でしたら強制はしませんが」
「……っ、嫌……では無いが」
そんな風に引かれると、否定したくなってしまう。それをこの男は知っているのか知らないのか……。
「でしたら……」
暫くの間をおいて、九兵衛は頷くと、マットの上に座り込んだ。既に湯のかかっていたらしいそこは温かかった。
「……東城」
しかしそのまま、何故か何処かにいこうとする男の名を、九兵衛は呼んだ。
やがて戻ってきた男がこちらに近づくと、九兵衛は無言で手を伸ばす。
東城はそれに応えるように、九兵衛の前に屈みこむと、その身体を優しく抱いた。九兵衛は東城の首に腕を絡めると、自ら彼の唇に
口付ける。どちらからともなく舌先を絡め、吸いあう度に水音が頭に響く。激しく混ぜあって、最早どちらのものともつかぬ唾液が、
喉元を下っていった。
気の遠くなる程に、二人はそうして互いの唇を貪っていた。これまでの溝を埋めていくように、何時になく濃密な口付け……。
どれ程の間そうしていたのか、それでも漸くゼロだった二人の距離が離れると、恍惚としながら九兵衛は東城の胸にしなだれかかる。
どくどくと脈打つ鼓動の音が聞こえた。いつも憎憎しいほど涼しい表情をしているのに、気持ちは己と同じなのだと思うと嬉しく
なる。
「若……冷たかったら仰ってくださいね」
「え? ……ひゃあッ!? 」
胸に落ちた東城の手は、しかし思いもよらぬ粘性を持っていて、思わず九兵衛は声を上げる。石鹸液でも塗られているのかと思った
が、しかしそれにしては入念に擦り付けられているのに泡立たないのが妙だった。全身に塗られたその液体が何なのか、考えを巡ら
せているうちに九兵衛はある思いに辿りつく。
「……成る程な」
丹念な愛撫で熱くなる身体とは裏腹に、酷く冷めた声が漏れる。
「いつも女郎屋でこういうことばかりしているから、風呂場でそういう気にもなれると……」
「あ……いや……」
九兵衛の指摘に、東城はばつの悪そうな顔をする。
「……最初からその気だったのか。お前は……あんな隅々まで僕の身体を洗って、あの時からもう既に、お前はこんな風になってい
たものな」
「あっ……」
完全に屹立しているそれを握り締めると、一瞬手の中でびくん、と跳ねる。
「今まで普段こういうことをしてきたから、僕にも、と……? 」
「若……」
「……お前に求められるのは嬉しいんだがな、ここまでされると不安になるぞ。お前はただ、僕の身体で性欲を満たしたいだけなん
じゃないかと……そうでなくてもお前は、金を払ってまで他の女とこういうことを何年も前からしている訳だし……僕に気を使って
ああいう店でのサービスとやらを受けれない代わりに、僕で……」
それは自分でも勝手だとは思う。関係を持ち始めていた当初は常に己の方から通っていた状態に、彼からは決して己に情事の痕を、
所有の証を刻もうとはしなかったことを寂しく思い、かといってこんな風に見境なく求められると戸惑う。一体己は如何すれば満足
するのか……。
585東城×九兵衛:2009/07/21(火) 00:08:41 ID:Kq48laB2
「……それは違いますよ、若」
しかしそんな理不尽に詰られて尚、落ち着いた様子で東城は首を横に振った。
「言ったではありませんか。若がお嫌でしたらこういうことはしない、と。性欲処理だなんて……私はただ、若に気持ちよくなって
頂きたいのです。若の悶える様を眺めていたいのです。そして若に……求められたいのです、私を」
「……」
言われた言葉に、九兵衛は少し頬を染めながらも、黙って耳を傾ける。
「店でだってこんなことしてませんよ。如何して客として金を払っている私が、向こうの身体など洗ってやらねばならぬのですか。
私が洗われるのなら兎も角」
「それは……」
「洗うのも洗われるのも大して変わらないと? そうですね。若からすればそうなのかもしれません。結局やっていることは同じな
のですから。けれど……私にとってはその差は大きいのですよ」
「……どういうことだ」
彼の言うように、己にとってはどちらもこの上なく不快であることに変わりはない。他の女に触らせなどして欲しくはないのに。況
してやこの男が金を払ってまで。
「若は床での私を、女子に細やかに尽くす男だとお思いですか? 一々気遣いをして」
「……知らん。そんな事を訊かれても、他の男が閨の中では如何なのかなど知らないし、知りたくもない。比べようがないじゃないか」
今日初めて、北大路とは少しそんな感じになりもしたが、今思えばあの男は初めから己に嫌悪感を抱かせるようなやり方をとってい
たのではないのだろうか。それではなんの参考にもならない。
「そうでしたね、私は若の初めての男でしたし……」
「ああ。そして最後の男だ」
「若……! 
 ……と、まあ、それは兎も角。私も初めてなんですよ。最中にこんなにも相手の事が気になったのは。こんなにも相手に尽くした
いと思ったのは。こんなにも……相手の全てが欲しいと思ったのは」
「? それは、どういう……」
「自分でも……いつも若をどういう風に扱えば良いのか、戸惑っているばかりで……おかしな話でしょう。どの道一番愛しい人は手
に入らないからと、勝手に自暴自棄になって少年の時分から、経験回数だけは重ねてきたのに……」
「……何を言っている。いつも僕を良いようにしているじゃないか。初めてのあの夜から、僕の身体中舐めまわして……足の裏だと
か、僕の……その、あそこだとか……あまつさえ、尻の穴まで……初めてお前に挿れられて、痛がるばかりだった僕をお前は余裕を
持って優しく宥めてくれたし、僕がお前の……あれとか吐いてしまった時だって、お前は直ぐに対処してくれて……お前のその慣れ
た様子に、どれだけ苦々しい想いをしてきたことか……」
「ですから、今まで相手にそこまでしたことなんてないんですよ」
非難めいた九兵衛の言葉を、しかし東城は否定する。
「はっきり申し上げて、私は今まで相手をそれこそ性欲処理の道具にしかしてきませんでした。対価を支払っている以上、私が満た
されるのは当然だと、相手のことなど如何して思いやる必要があるのかと思っておりました。だから怖かったのです。分からなかっ
たのです。そんな経験しかしてこなかったから、誰よりも大切な女子に、どう対処すれば良いのか……」
「東城……」
「若……。辛かったらいつでも仰ってくださいね? もう二度と、若を傷つけたくはないんです」
言って東城はそっ、と九兵衛の身体をマットの上に横たえらせた。壊れ物を扱うように、丁寧に。
「……若。若が私を選んでくださったこと、本当に嬉しく思っております。誇らしくすらあります。しかし若、それでも私は到底、
私が若に相応しい男とは思えぬのです。……狭量なんです、私は。あまりに……」
「東城……? 」
頭上の男は少し悲しげな表情を浮かべた。
586東城×九兵衛:2009/07/21(火) 00:09:34 ID:Kq48laB2
「私は他人のことなど如何でも良いと思っている人間です。今日とて実家の者と随分揉めてきました。血の繋がった彼らですら、ど
うなろうと構わないと思っております。ここまで私を育ててくれたこの柳生の家とて、没落しようが知ったことではない、とすら……。
妙殿との一件の時とてそうです。幼いときから若に仲良くしてくれていた彼女が、若をどのように想っているかなど、若が彼女
の弱みに付け入っているだけだということなど初めから知っておりました。それでも私は若を止めませんでした。幼少の頃からよく
知っている彼女が一生泣くことになっても、それでもそれで貴女が満足なさるなら、幸せになれるのなら、と進んで貴女に協力して、
結果新八殿達とも刃を交えました。……私はただ、貴女さえいればそれで良いのです。例え世界が滅んでも、貴女さえいれば……。
若……貴女は私の全てなんです。それ以外何も要らぬのです。私は……」
「東城……。……っ! 」
突然覆いかぶさるように、東城は倒れこんできた。
「でも私は、もう若から逃れられません。月並みですが、貴女の虜となってしまいました」
「ふっ……あ! 」
首筋を男の舌が這う。何度も確かめるように、じっとりと舐られる。
「若以外の女子など、私が如何して愛せましょうか。花街一の花魁だとて、私を惑わしはしなかったのに。どんな熟練の技巧より、
若の一挙一動が愛おしいのです。私の愛撫に、恥じらいながらも全身で悦んでくださる若が。私の手解きを、懸命に身に着けようと
してくださる若が。破瓜の痛みに、泣き言一つ仰らずに耐え、私を受け入れてくださった若が……」
「ひぁ……ぁっ、東城っ……」
徐々にその舌が下りていく。鎖骨をなぞり、胸の谷間を這って、
「ひゃうぅっ! 」
やがて乳房の頂点に達したとき、九兵衛は甲高い嬌声をあげた。
「……っは……それはな東城、お前だったからだ……」
「……若? 」
一瞬の電撃が走り抜けた合間に九兵衛が告げた言葉に、東城の手が止まる。
「あの時、あの痛みに耐えられたのは東城。お前がいてくれたからだ。お前が優しく、僕の名を呼んでくれたから、僕は安心するこ
とが出来たんだ……。僕が気持ち良いのだって、お前がいつも優しく僕の身体に火を点けてくれるから……だから僕も、それに応え
たかった……」
「若……嬉しゅう御座いますっ……」
「……ふぁっ!? 」
言って東城は、勃ちあがった九兵衛の胸の頂点を口に含むと、或いはそれを舌先で転がし、或いは強く吸い上げて刺激する。
「あっ……は、ぁあぁっ……」
その度に九兵衛の唇からは、甘い声が絶えず漏れた。
「……っふ……ふふ……若……もうこんなに、固くなさって……」
「やんっ……ぅ……」
そして漸く口から開放しては、唾液に塗れたそれを甘く摘み上げる。
「良いですよ、若……もっと感じてくださいっ……この私を……」
「あっ……!? 」
東城は完全に、九兵衛の上に身体を重ねた。全身に体温が伝わる。
「ほらっ……分かりますか? 若……私がっ……」
「んぁぁっ……! 」
言いながら東城はその身体を九兵衛に大きく擦りあわせた。
「ひっ……ぁはぁぁぁっ……! 」
それは強烈な感覚だった。東城が動くその度に、粘性の液体で覆われた身体が刺激される。まるで全ての皮膚が粘膜になってしまっ
たかのような錯覚。全身を同時に舐められているような甘美な刺激に、九兵衛は身を委ねきった。
「ねえっ……若っ……」
「あっ……ふぅっ……! 」
東城は粘液に塗れた手を、九兵衛のそれに重ねた。指の股の間を男の骨ばった、矢張り己のそれよりずっと太くて長い指がぬるりと
擦って、そんな刺激すらもが九兵衛を昂らせる。
「この手も足も、髪の一本一本に至るまでも、こんなにも私は若のものなんですっ……! 身も、心も全てっ……。私の全てを若に
捧げます……。私の全てで若を、こんなにもお慕いしておりますっ……! 張り裂けてしまいそうな程に、私の胸中は若でいっぱい
なんですっ……ああ、若……愛しいお方っ……」
「……っは! とう、じょぅっっ……」
九兵衛はもう片方の手を伸ばすと、東城の頬に触れた。
「良いぞ東城っ……! 貰い受けてやるっ……! お前の全てを僕が……受け止めてやるっ……!! 」
その長い金の髪も。細い瞳の送る優しげな視線も。少し高めの甘い声の響きも。形の整った骨ばった手も。よく鍛えられた逞しい腕
も。厚い胸板も。広い背中も。
全て僕のものだと、そう言ってくれるのか。
それならば。
587東城×九兵衛:2009/07/21(火) 00:12:19 ID:Kq48laB2
「恐れるな東城っ……! もっと……全部曝け出してくれ、お前を……! 二度とお前を暴走させたりしないっ……! お前の手綱
は、僕が握ってやるっ……! 」
「若っ……! 」
するすると、東城の指が上り詰めていく。粘液を纏った十本の指が九兵衛の身体中を忙しなく動き、その度に九兵衛の身体から切な
い声があがった。腕も胸も腰も腹も、耳も背も尻も脚も、爪先に至るところまで、九兵衛の身体を知り尽くした指は余すところなく
愛撫を施した。
「ああ……若……」
そしてその手が、九兵衛の仄暗い茂みに達する。
「ふふ……私はここには、何も塗っておりませんのに……」
「やぅっ……! 」
鋭い刺激が、身体中を走り抜けた。
「……あっ……はぁっ、わ、分かってる……癖にッ……! 」
わざとそんな風に、羞恥を煽るような言い方をして。
「ええ、存じておりますとも……こうして欲しい、のでしょう? 」
「あはァッ! 」
舌先で最も敏感な部分を擦られて、九兵衛の身体は跳ね上がる。
「若……」
東城はそこに顔を埋めると、丹念に舐め上げた。その度に九兵衛はびくびくと、身体を震わせる。
「は……やぁぁぁンッ! 」
「ああ若……ふふ、幾ら舐めとっても一向に減りませんねぇ……それどころか溢れ出る一方で……」
「うっ……くゥううっ! 」
ずず、とそれを吸い込む音が、反響しやすい風呂場の中で大きく響く。汁物を音を立てて啜るのははしたないと、幼少の時分に言っ
たのは他ならぬこの男なのに。実際食事の際には、実に品良く物を口に運ぶ男なのに。そんな彼が、品性も礼儀も忘れて、一心不乱
に己のそこに貪りついて……。
「堪りませんねぇ……本当、いつ口にしても……若のお味は……っ」
「あッッ…はぅ……あはァッ! とうじょっ……! 」
ちらり、とそこに目を向ける。それは何時見ても、ぞくぞくとする光景だった。いつも上品に澄ましているこの男が、愛して止まな
いこの男が、己の股座に顔を埋めて、そこから溢れ出る体液を、美味いと言ってはとり付かれたように啜り続ける……。
ふと、東城と目が合った。情熱的な視線を注がれて、九兵衛の身体が熱くなる。
「ふッ……ゃあァアアァァァァァァァッ! 」
その眼差しで一気に絶頂へと登りつめてしまった九兵衛は、一際高い嬌声を上げて果てた。
「っはぁ……はぁ……」
「若……」
「ふゃぁっ……」
東城は再び、九兵衛の身体の上に覆いかぶさる。擦れるたびに感じる粘性の刺激が、達したばかりで敏感になっている九兵衛の全身
を責めた。
「お慕いしております……若……」
「……ひんッ! 」
耳元で甘い声で囁かれ、胸が高鳴ったのも束の間、次の瞬間東城は九兵衛の耳朶を甘く噛み、その耳孔に舌を差し入れる。
「ひぁあぁっ……! と、東城ッ……僕もだっ……! 」
ぴちゃぴちゃと、奥を突かれる水音が頭の中に響き、どうにかなってしまいそうな刺激の中、九兵衛は何とか言葉を紡ぐ。
「僕もお前が好きだっ……! 東城ッッ……! 」
「……っふ……若……」
「んっ……! 」
そして耳から引き抜いた舌を、今度は九兵衛のそれと絡めた。
鼻を擦り合わせて、舌先で突き合い、触れ合うようにしていた口付けは、徐々に激しく深いものになり……。
ふと九兵衛は、太腿の間に、擦り当てられた猛る熱を感じた。快楽を追い求めるように、己の身体の上で疼いている熱……。
「……かっ……? 」
そっ、とそれに手を伸ばすと、驚いたのか東城は唇を離した。
「東城……」
そしてその隙に九兵衛は彼の名を呼ぶ。
「……今度は僕の番だな」
「若……」
悪戯っぽく笑って見せた九兵衛に、しかし東城は首を横に振る。
「良いんですよ若……私のことは。どうぞ若が気持ちよくなることだけ考えてくだされ。私はそれで……」
「……僕がしたいんだ」
だが東城の制止を、九兵衛はやんわりと拒んだ。
「僕がお前を、気持ちよくしてやりたいんだ……なあ、こういうのって、二人で気持ちよくなるものだろう? 」
「若……。……それでは」
「? 」 
588東城×九兵衛:2009/07/21(火) 00:13:07 ID:Kq48laB2
九兵衛の言葉を受け、すっ、と東城は立ち上がる。
「お言葉に甘えさせて頂きましょうか」
「! 」
東城は今度は頭が互い違いになるように、再び九兵衛の上に身体を横にした。九兵衛の頭上に、東城の漲る逸物が押し当てられる。
愛しげに九兵衛がそれに手を伸ばすと、
「……ひあぁッ! 」 
しかしそれより先に、九兵衛の最も敏感なところを刺激され、思わず九兵衛は手にしたそれを握り締めた。
「……んっ……」
九兵衛も負けじと、その先端に口づけては、ゆっくりとそれを口の中に沈めていく。
「っふ……! ……ぅっ……! 」
男の弱いところに、舌先を這わせ、舐りあげ、時には焦らす様に……しかしその間にも絶え間なく与えられ続ける快楽の波に、溺れ
て意識を手放しそうになる。
「……っは……若ッ……! お辛かったら、止めて構いませんからねッ……! 」
「ぅっ……むぅ……っ! なっ……なめるなッ! なれがッ……! 」
そんなことを言われれば、九兵衛は益々闘争本能に火がつく。一層激しく大胆に、東城の急所を攻め続けた。
「……っぁ……ふぅうぅんッ! 」
膣口に長い指を差し入れられ、抜き差しが繰り返される。そうしてびくん、と跳ね上がる身体の反応に合わせて、九兵衛も口に咥え
たものを強く吸い上げた。
互いが互いの性器を貪る姿。遠くから見れば、きっとこの上なく卑猥な光景だろう。だが……それでも良い。この男となら……何処
までも堕ちてしまいたい。
「っは! あ……ふむぁあぁぁぁァッ! 」
そんな事を思いながら、九兵衛は二度目の絶頂を迎えた。
「……若……」
「ふぁ……? 」
気づくといつのまにか、東城は九兵衛の方へ向き直っていた。熱に浮かされ、焦れたその表情に、男が求めているものを察すると、
九兵衛は頷く。
「……良いぞ、東城……」
「若……」
それに応えるように、東城は彼自身を九兵衛の股間に埋める。
「……ぇっ……ひぁあぁッ!? 」
「は……ッ! 若ッ……! 」
そうして待ちかねたように、激しく腰を動かす。
「……ゃっ! あぁッ……! 」
互いの敏感なところと、粘膜を纏った太腿とが擦れ合って、九兵衛の熱を再び燻らせる。
「ふぁァッ……! はぁあっ……! 」
確かにこれも気持ちが良い。……けれど。
「あぁっ……! とっ……東城ッ……! 」
既に九兵衛は、その程度の刺激では満たされぬ段階にあった。これでは足りない。決定的に……。
「もぅ……もうっ! ……挿れてッ……! そこにッ……! は……早く……ッ! 」
また焦らしているのだろうか。本当に、意地の悪い男だ。
「……っは……」
九兵衛の求めからやや遅れて、東城は立ち上がると、後方に手を伸ばしては、手にした物を手早く装着する。その様を見て何となく、
思った。もしかしたらこの男は、己を意地悪く焦らしているのではなく、まだ躊躇しているのではないか? 己にあのようなこと
をしてしまったことに対する後悔と自責の念に、まだ囚われているのではないか?
「……東城……」
再び覆いかぶさろうとする東城のその部分を、しかし九兵衛は彼の動きに逆らうようにやんわりと握る。
「……そんな顔、なさらないでください。細工なんてしてませんよ……今度は……」
「今更何を言っている」
「……っ」
少し気まずそうな顔をする東城に、九兵衛が静かに言葉を返すと、彼の顔は益々苦痛に歪んだ。
「……責めているんじゃない。その……つけなくて良いと言っているんだ」
「若……!? 」
九兵衛の言葉に、東城は眉を上げる。
「お前も、その方が良いんじゃないのか? こんなゴム越しよりも、直に触れ合った方が……少なくとも僕はそうだった」
「何を仰っているのですか……! 」
そして東城は声を荒げた。
「それがどういう意味か、分からない子供ではないのでしょう……!? ……若、少し冷静になりましょう。貴女は……」
「僕は冷静だ」
「若っ……」
589東城×九兵衛:2009/07/21(火) 00:13:47 ID:Kq48laB2
「……心配するな。無論その方が気持ちが良いからと、焦れた余りにこんなことを言っているのではない。……全くそんな気がない
と言えば嘘になるが、しかし……」
「……覚悟は出来ていらっしゃると」
九兵衛の言葉の途中で、その意図を察したのか東城は言葉を折る。
「万一お子が出来るようなことがあっても、女子として責任は取れると。そう仰るのですか」
「まあ……そういう意味だが。普通こういうのって、男が責任を取るとか言うんじゃないのか。それとも今更……怖気づいたか? 
あれだけ僕を孕ませようとしていた癖して」
「……私に何の責任が取れると仰るのです」
呆れる九兵衛に、しかし東城は真剣な面持ちを崩さぬまま語る。
「如何あれ苦しむのは若の方ではありませんか。十月十日もの間、胎内で子を養い、守りぬき、出産の苦痛に耐え、そして産まれた
お子を育まねばならぬのは若ではありませんか。私に何が出来ると仰るのです。私には若の痛みを代わって差し上げることは出来ま
せん。そんなことが出来れば良いのにと、この十八年の間で私が何度歯痒い想いをしたことか……」
「……お前らしい考えだな。……だから僕は初め、俄かには信じられなかった」
ふ、と九兵衛は笑みを漏らす。
「昨日の夜、お前の計略を知ったときは。こんな手段を使う以上、精神的にも肉体的にも僕へのダメージは大きい。それをやったの
がお前だとは、到底信じられない……信じたくなかったんだ。僕がちょっと擦り剥いただけでも大騒ぎして、手際よく手当てしてく
れたあの鬱陶しいほど過保護お前が、僕にこんなことをする筈がない、と……。だからお前の言っていたように、今朝はサラシを巻
くのも忘れていた程動揺していたよ。……だが、今にして思えば」
九兵衛は身を起こすと、東城の胸にしなだれかかった。
「そこまでお前は思いつめていたのだな。僕が痛い目に遭うと、僕以上に辛そうな顔をしていたお前が。それでも僕を手に入れたいと、
どれ程僕を傷つけても、それでお前がどれ程苦しんでも構わないと……そう思う程に」
「若……」
「……不思議なものだな」
言って九兵衛は顔を上げた。眉間に皺を寄せる東城の顔が視界に入る。
「こんな事を続けていればいずれ孕むかもしれないとお前に言われたとき、僕は初めそれを利用しようとすら思っていた。自分でも
最低だと思ったが、お前を束縛する為に……だがお前が僕を欺き、僕の中に出し続けていたのだと知ったとき、初めて僕はそれが恐
ろしくなった。自分の身体が、自分のものではなくなっていく気がして、お前の道具に成り下がってしまったように思えて……お前
に無理やり犯されてあの部屋に繋がれながら、誰がお前の子など産んでやるものかと思った。あのまま反撃の機が狙えぬのなら、せ
めてお前ではない男の子を身篭ってやろうとすら考えた。……それなのに」
自然、九兵衛の口元が緩んだ。それが東城には自虐的になっているように映っているのだろうか、益々心配そうな顔をする。……そ
うではない。そうではないのだ。
「……今はお前の子なら、産みたいと思う」
「若……? 」
「お前を手に入れるためではない。況してやこの柳生家の為でもない。そんな何かの手段としてではなくて、ただ純然たる目的として、
お前の子が欲しいと思っている……」
「……若……」
「……覚悟は決めたが、自信があるわけじゃない。出産の苦痛がどれ程のものか、僕には想像も出来ない。生半可なものではないと
思ってる。その果てに病弱だったという母上は僕を産んで直ぐに亡くなってしまったと聞いている。それに、だから僕には母がいな
かった。母親が子に何をするものなのかも知らないのに、良い母になれるだなんて思い上がりはしていない。不安はいっぱいある。
それでも……お前となら乗り越えられると、そう思うんだ」
「私と……なら? ……ですが若、私に……」
何が出来る、恐らく彼はそう言おうとしたのだろう。だがそれよりも早く、九兵衛は遮る。
「さっき言いかけただろう。子供の頃の僕は泣いてばかりで……如何してこんな想いをしなければならないのかと、運命を呪うばか
りだった。パパ上やお爺様が僕の為を思ってしていたことだと分かっていても、如何して女の子として生きてはいけないのかと、如
何して強くならねばならないのかと……。でもお前が、僕の苦しみを受け止めてくれたから、お前が僕がどんな道を選んでも、優し
く見守っていてくれたから、僕は真っ直ぐ生きてこられた。地獄のようだった日々の中で、お前がほんの一瞬かけてくれた魔法は、
確かに僕の支えになっていたんだ……」
「若……そのような」
590東城×九兵衛:2009/07/21(火) 00:14:56 ID:Kq48laB2
「……無論ここまでこれたのはお前だけのお陰じゃない。辛かったがパパ上達がそうして僕を育ててくれなければ、僕はこの家で大
した発言権すら得られないまま、それこそ柳生家の為だけに何処かの家に嫁がされて一生を終えていただろう。あれだけセレブだの
に拘るパパ上も、僕には恋愛結婚をさせてくれるつもりらしい。お前達と違って、妙ちゃんとの時は反対したけど、それは妙ちゃん
が女の子だからなだけで……妙ちゃんだってそうだ。お前に護られているばかりでは僕はきっと、到底強くなれなかった。今の僕が
あるのは妙ちゃんのお陰だ。でも妙ちゃんだけでも足りない。新八君がいなければ僕は自分の弱さに目を向けられなかった。お前へ
の想いに気づいてからもそうだ。北大路達がいなければ、お前に辿りつくことも出来なかった。僕は皆に支えられて生きてきて、皆
に囲まれてきて……それでも僕が選んだのは東城、お前なんだ」
九兵衛は東城の手を取っては握った。
「お前が一番好きだとか、そんな単純な感情じゃない。お前のことは何度鬱陶しいと思ったか知れないし、嫌な想いも随分とさせら
れたが、妙ちゃんを嫌いだと思ったことは一度もない。ただ純粋に……憧れていた。僕のお前への想いは、僕が恋だとばかり思って
いた、妙ちゃんへのそれとは随分と違った。あんな綺麗な感情じゃなくて……もっとどす黒い感情だ。お前を僕だけのものにしたくて、
他の女に嫉妬して、劣等感に苛まされて……でもこんなに一人の男に心を翻弄されたのは、欲しいと思ったのは、他にはないん
だ……心も身体も、魂ですらも手に入れたいと思ったのは……」
「若……」
「お前は今でも、お前は僕に相応しくないと、そう思っているのか? いずれもっと素敵な男が現れると……」
「それは……」
東城は視線を逸らす。どうやら図星らしい。
「そんな風に思わないでくれ。多分お前でなければ僕はここまで踏み切れなかった。お前は僕が左目を失ったときもずっと側にいて、
稽古に戻れるまで甲斐甲斐しく世話してくれたし、お前が幼少の頃入門したこの家で、赤の他人の僕の面倒を嫌がりもせず細やか
に見てくれた男だと知っているから僕も頼りに出来る。……お前でなければ到底、女子として責任が持てる気などしなかった」
母も知らぬ己がここまで思い切った決断が出来るのは、相手が他ならぬお前だからだ。十数年の歳月の中でお前が培った実績と己へ
の信頼が、九兵衛の後押しをした。
「僕がいずれ他の男を好きになると、本気で思っているのか? 僕がお前が好きだと気づくのに、どれだけかかったと思っている。
十何年も一緒にいた男に対してそうだったんだ。今更誰を好きになれるというんだ? 」
九兵衛は握っている東城の手の甲を、反対側から己の手で包む。
「もう一度言う。いや、何度だって言うぞ。僕はお前が好きだ、東城。お前でなければ駄目だ、お前でなければ僕は満たされない」
「わ……か」
「これは僕が望んでいることだ。……東城。僕の夫になってくれ。そして僕と子供を作って……僕と家庭を築いてくれないか」
しっかりと手を取ったまま、九兵衛は言った。
「……」
しかし返事はなかった。沈黙が流れるにつれ、九兵衛は次第に不安になる。
「……嫌なのか」
「は……ま、まさか。ただ少し……驚いてしまって。このような状況で、改めてプロポーズされるとは思ってなかったものですから」
「……っ! 」
そういうことに、なるのだろうか。そしてそれは、そんなにも戸惑うこと、なのだろうか。
「……若は本当に、決断が早くていらっしゃいますね」
「何」
「まるで私が、魔法をかけられている様ですよ」
「……どういうことだ」
お前が? 僕にとって魔法使いのようだったお前が、か? 九兵衛は不思議そうな顔をする。
「だって……。私が子供の頃から、ずっと夢見ていたことを、実現してくださるというのですから」
「……! 」
言って東城は、握られた手をやんわりと振りほどきながら、九兵衛の前に跪く。
「……申し訳ありません。返事がすっかり遅れてしまいましたね」
そして再びその手を、今度は東城の方から取る。
「勿論喜んで。私は何処までも、若について行きましょう……。そしてこれからは若の伴侶として、若を支えてまいりましょう。い
かなる試練も共に受け、死ぬ時は同じ場所に骨を埋めましょう」
「東城……。お前こそ」
言っては手の甲に接吻を施され、九兵衛は少し、照れくさくなる。
591東城×九兵衛:2009/07/21(火) 00:18:17 ID:Kq48laB2
「だが……嬉しいぞ、東城……」
「若……」
「……。萎んでしまったようだな……」
「あっ……」
身を起こした東城の、身体の中心にある物を見て、九兵衛は呟く。つい先ほどまで己と、互いに高めあっていた筈のその部分は、し
かし既に大人しくなってしまっている。
「申し訳ありません……」
「馬鹿。何で謝るんだ」
言って九兵衛はそれに手を伸ばすと、今度は彼女の方が身を屈めた。
「直ぐに元気にしてやる……」
「若……っ! 」
被せられていた袋を取り外すと、九兵衛はそれを優しく握っては扱きあげる。そうしているうちに、柔らかかった筈のそれはしかし
徐々に硬度を帯びていく。太い血管に、どくどくと血流が流れているのが伝わる。指先を、腹を、関節も掌も巧みに使い分けて九兵
衛は小さな手で刺激を与え続けた。いつもと違う、ぬるりとした感触が妙に劣情を煽り、攻めている筈のこちらが興奮してくる。
「……んっ……」
物欲しくなって九兵衛は、手の内で愛でるように握り締めていたそれにしゃぶりつく。鈴口に吸い付き、傘の下をじっくりとなぞり
あげ、脈打つ血管にそって舌を滑らせ……幾度となく身体を重ねて尚、まだ知らないところが、もっと彼を高める方法があるのでは
ないかと思えて、九兵衛は貪欲にあらゆる手段を試していく。先走って先端から漏れた体液の味は相変わらず九兵衛の苦手とするも
のだったが、それでも吸い上げて喉奥まで流し込む。先端から根元まで余すところなく舐ると、睾丸を口に咥えては舌と唇で刺激す
る。口も手も、胸も脚も、身体中を使って九兵衛は東城を愛撫した。
「若……」
東城はそんな九兵衛の名を呼びながら、そっと頭を濡れた手で撫でた。
「お上手に……なられましたな……」
「……っふ……お前の指導が、良いからな……」
とうに熱を帯びているそれを口から離しては、零れる唾液を拭いもせずに九兵衛は悪戯に笑ってみせる。
「は……」
そうして再び東城の股座に顔を埋めると、再び猛る男のものを、熱心に貪り始める。
堪らない程の愛しさを覚えた。己の口の中で時折震えるそれも、熱い息を漏らしながら、己の名を紡ぐ唇も、切なげに眉を寄せて、
見上げた己に情熱的な視線を送るその表情も……彼の全てが愛しかった。
まだ知らぬ部分がある、それは当然ではないか。頻繁に通っていたとはいえ、彼とこのような関係になってからそう月日は経ってい
ない。これまで彼と共に過ごした年月の中では、ほんの一瞬のようなことだ。十八年の時をかけて、漸く辿り着いた真実もある。ま
だ知らないことも沢山あるだろう。だから。だからこそ知りたい、彼の全てを――。
「若」
行為に夢中になっていると、ふと頭上から名を呼ばれ、喉元を撫でられる。
「もう……十分ですよ。ですから……」
「……ん」
少し余裕のない声に、東城の言わんとしていることを察しては、名残惜しげに九兵衛は唇を離す。
「ふふ……」
そして熱い肉棒に頬を寄せてから、九兵衛は身を起こした。それを東城は優しく支えては、そうっとマットの上に横たえさせる。
「……あ……」
ふと九兵衛は、彼と迎えた初夜のことを思い出した。……あの時もこうだった。あの時もこうして、まるで壊れ物を扱うように優し
く押し倒されて……。
「……おやおや」
そんなことを考えていると、クスクスと笑う声が耳に入って、思わずそちらに目を向ける。
「折角出しましたのに。どうやらローションは必要ないようですな……」
九兵衛の脚を広げた東城が、新たに手にとったらしい粘性の液体を払いながらそんなことを言う。
「……っ! 」
その言葉の意味を理解して、九兵衛は羞恥に顔が熱くなった。……そう、自分でも分かるほどに、彼の眼前に曝け出されているそこ
は熱くて、蜜が溢れて太腿にまで零れている。
「私のものを舐めながら、興奮してしまいましたか? ……全く若も、本当に淫らな方になってしまいましたなァ……」
「そ、それは……っ! だって……早くっ……」
からかうように責められて、しかし九兵衛にはそれを否定する材料がなかった。
592東城×九兵衛:2009/07/21(火) 00:19:57 ID:Kq48laB2
「早く……欲しいんだっ……お前がっ……! 」
性感帯を触られたわけでもないのに関わらず。それでも己の口の中で次第に質量を増していった逞しい男のものに、身体が疼いて仕
方がなかった。
淫乱と罵られても構わない。それでも身体が狂おしい程に彼を求めていて、切なくて堪らないのは紛うことなき事実だ。
「ふふ……素直になられましたな……良いですよ。実に素敵です。さあ……」
「あっ……」
「もっと乱れて……溺れてしまってくださいっ……! 」
言って東城は、九兵衛のしとどに濡れたその部分に、猛る蓄熱を押し入れた。
「はぁッ……あァあぁぁぁっ……! 」
東城の激しい動きに身体を揺すられながら、何度も男根で突かれて九兵衛は歓喜の声を上げる。
「若……っ! ……っは! 何時になく凄い……締め付けですねッ……! 」
「あはぁっ! すごぃっ! 熱いぃっ! 」
腰を浮かされた状態でいきなり最奥まで貫かれて、どうにかなってしまいそうになる。
満たされていく。
あんなにも飢えて、乾きを覚えて仕方がなかった身体が今、完全になっていく。
「あッ! ……はンッ! やぁぁッ! 」
男の律動にあわせ、甘く媚びた愛らしい、女の声が漏れる。これが己の本来の声なのだと、九兵衛は自覚していた。長年男として、
生きて苦しんできた経緯も、この男の前ではいつも、主人として堂々と振るわねばと思っていた立場も、修行の果てに力をつけ、柳
生始まって以来の天才と謳われた侍としての誇りも、何もかもを脱ぎ捨てて、九兵衛はただ、一人の女子になっていた。一人の男を
一途に愛し、求めてやまぬ女子に……。
「ふぁあッ! あァッ……とっ、とうじょぉっ! 」
ストロークを繰り返す男の腰を、離さぬよう長い脚で絡めつけて、九兵衛は彼の名を切なげに呼ぶ。
「こっ……! 来いッ……! こっちに……もっと、僕にッ……! 」
「若ッ……! 今……そちら……にっ! 」
九兵衛が震える手を伸ばすと、それに応じるように、東城は身を沈めた。その背に彼女の手が下りる。
「ひぁぁぁあぁっ! 」
ずるり、と粘液に覆われた皮膚が滑る。
「ふふ……っ! 若、今っ、中がびくびくっとしてッ……ぎゅうっと私のことを締め付けましたよっ……? 」
「あっ…! んぁあぁっ! 」
「……こんなに絞り上げてッ……! 欲しくていらっしゃるのですねっ……? 私の子種が欲しくて堪らぬのですねっ……? 」
「……ぁあっ……! 」
耳元で囁かれた言葉に、九兵衛は隻眼を潤ませて頷く。
「欲し……いッ! お前の……っ! 東城の子種ッ、ぼくの中にぃっ……! 」
「若……ふふ、愛しいお方……っ」
言いながら東城は、九兵衛に腰を打ち続ける。その度に熱い剛直が、九兵衛の奥を突いた。
「ああ……直ぐにでも、今直ぐにでも貴女の胎内にたっぷりと、注ぎ込んで差し上げたい……っ! 若の子宮を、私の精液で満たし
て差し上げたいっ……! 」
「ぅうっ……んっ! とうじょぅっっ……! 」
「でも若……もう少し、もう少しこのままでいさせてくだされ……っ! まだ……解放するには惜しいのですっ……! 私の熱をっ
……! もっと貴女に……溺れさせてくださいっ……! 」
「んンんっ……! 」
以前挿入を繰り返したまま、九兵衛は唇を奪われた。
「はぁッ……ぁうっ……! 」
九兵衛は餌を与えられた仔犬のように夢中になって、その舌に吸い付いた。互いのそれが絡み合い、縺れ合う。
「ああ……若ッ! お慕いしておりますっ……! 心からっ……! 」
「とう…じょおっ! ぼっ……ぼくもっ……! 」
やがて唇が離れては、熱っぽく告げられた言葉に、九兵衛もまた応じる。
「好きだっ……! 東城っ……! お前を、愛してっ……! 」
「若っ……! 」
「ふぅんっ……! 」
それ以上の言葉は最早必要なかった。どちらともなく差し出した舌先で、互いの情熱を伝え合う。
奥深くまで貫いて、二人の舌は交差しては再び先で突きあう。口腔内の至るところにまで、埋め尽くすように舐りあった。
「んぁあっ! いぃっ……! 」
感じやすいところを集中的に擦るように浅く、かと思えば一気に深く奥にまで、弱いところを巧みに刺激され、己を貫く熱い楔に翻
弄されて、九兵衛は訳が分からなくなっていく。
「あっ……ひぁあぁっ……! 」
互いの身体が擦れる度に胸の先端が刺激される。否、そこだけではない。胸も腹も、粘液に包まれた身体全てが性感帯になってしま
ったかのように、九兵衛の身体は敏感に震える。
「やぁぁぁっ! もう……もぉっ……! 」
背に回していた腕に力を籠めて、東城の身体を抱き寄せる。
593東城×九兵衛:2009/07/21(火) 00:20:56 ID:Kq48laB2
「はぁあぁぁぁぁっ! 」
身体中が、蕩けてしまいそうだった。
「はぁっ……! わ……かっ! 若ぁっ……! 」
そうして吐き出された、熱い吐息すらもが絡み合って、溶けた身体が一つになっていく。
「とっ……とぉじょおッ……! ぼくっ……もぉっ……! 」
「若ッ……! あぁ……今ッ……! 」
もう息も出来ない。目も開けてられない。感じるのはただ、己と相手の溶け合った熱量。九兵衛は絶頂に近づくのを感じた。
「あぁ……来いッ! お……まぇもっ! とうじょぉぉっっ!! 」
「若っ……! 参……りますッ! わかぁぁぁっ!! 」
愛しい名を口にしながら。同時に意識を手放した二人の身体が、やがて糸の切れた人形のように崩れ落ちた。



 達した後も暫くの間、九兵衛はその余韻に浸っていた。
これで漸く――彼と身も心も通じ合えたのだと、実感する。長かった。実に二十年近くにわたる時間をかけて、彼と真に結ばれた……。
これまでは酷く苦しかった。張り裂けそうな程に愛しくて、身体を重ねても好きだと一言も言えず、只管胸のうちに押し殺して。相
手は己のことなど何とも思っていないのだろうと思い悩んで。それが、ただ胸の内を明かすことが、相手に愛していると言われるこ
とが、こんなにもその関係を変えるなんて。心から愛し合えることが、こんなにも幸せなことだったなんて。
九兵衛は身を捻ると、東城の胸に顔を埋めた。そうして愛しげに、そこにそっと唇を寄せる。
「若」
「ん……」
髪を撫でられながら優しく名を呼ばれ、九兵衛はそれでも見上げもせずに曖昧な返事をする。
「いつまでもこうしていては、お身体が冷えてしまいます」
その言葉の直後、不意に直ぐ隣にあった温もりが消える。そこにおいて漸く、九兵衛が東城の方を見ると。
「ほら……こちらへ」
そこには、穏やかな笑みを浮かべ、そっと手を差し伸べる優しい従者の姿があった。
その手に起こされて、九兵衛もまた立ち上がる。行為に耽っているうちに冷めてしまったと、浴槽の湯を沸かしなおす傍ら、東城は
九兵衛の濡れた黒髪を、洗い流し水気をきっては高い位置に結い上げた。そうしてそのまま巻き上げて留めては、今度は彼自身の長
い髪を結いにかかる。
「……」
九兵衛は東城が髪を纏めているのを、久々に見る気がした。こうして髪型を変えられると少し新鮮で、また彼の新しい一面を見れた
ような気になる。
「……ああ、矢張り若にはお団子も似合いますねえ」
「団子? 」
「ええ。ほら……ご覧ください。何と愛らしいことか」
言って東城は、曇った鏡に湯をかけそちらを指し示す。
「!……」
そこで漸く、九兵衛は今の己の髪型を知った。団子というのだろうか、確かに二つに留められた髪は半球状の曲線を描き、丁度神楽
のような髪型になっている。しかも細かな三つ編みが編みこまれていて、妙に時間がかかっていたのはこのためか、と呆れる。
「きっとチャイナ・ドレスなどもお似合いになると思うのですよ。今度是非、お召しになってくださいね」
「チャイナ・ドレス……」
鸚鵡返しに呟いて、ああ、あの中華服のことか、と九兵衛は理解する。可愛い服を着てくれと言われるのは嬉しいがしかし、着物と
違い身体の線がはっきりと出る、露出の高いあの服は些か恥ずかしいのだが……。
「ええ。そして若の美しいおみ足が映えるように……この辺りまでスリットを入れて」
「……!! 」
すっ、と東城の手が太腿を撫で上げては、ピタリと止まった所を指し示す。そこは最早脚と言うより、殆ど腰と言った方が近い気が
する。九兵衛は益々羞恥心にかられて赤くなった。
「そ、そんなに深く入れたら下着が見えてしまうだろう……」
「それも一興かと思いますが、そうですね。それがお嫌でしたらいっそ下には何もつけなければ……」
「なッ……!! 」
馬鹿じゃないのか。言って拳を振り上げると、しかし東城は偶然にもそれを避けるようにふと立ち上がり、浴槽に手を入れた。
「若。漸く良い湯加減になりました。さあ、入りましょう」
「う……そ、そうか……」
そんなことをしているうちに、いつの間にか温まっていたのだろう。九兵衛は避けられて少し不服そうな顔をしながらも、そう告げ
た東城に導かれるまま湯につかった。
「ああ……しかし、これまでは何だったのだろうかと、思ってしまいましたよ」
不意に、東城が漏らす。
594東城×九兵衛:2009/07/21(火) 00:21:46 ID:Kq48laB2
「あの雛祭りの前夜、若と初めて肌を合わせた夜……これ以上の幸せはないと思っておりましたのに。それすらも児戯だったように
思えて……。この想いを口に出来ることが、若に好きだと言って頂けることが、あんなにも私の心を昂らせるものだとは、思っても
おりませんでした」
「……僕も同じことを考えていた。東城」
その言葉に、九兵衛はふふ、と笑みを漏らしながら、目を細めて笑った。
「それです」
「……ん? 」
「私の名は、そんな風に、若の澄んだ美しいお声で愛しげに呼ばれる為にあったのだなあ、と、そんな風にすら思えて……」
「……ふっ。大袈裟な奴だな……」
「いえ、大袈裟などでは……ああ、でも、いけませんね。こんな考えは……」
言葉の途中で、しかし東城は自らそれを窘める。
「? どういうことだ? 」
「だって、折角若自ら求婚のお言葉をくださったと言うのに……」
「うん? 」
東城の言わんとしていることが分からず、九兵衛は尋ね返す。
「ですからいずれ私は、東城とは呼ばれぬ身になるのでしょう? 」
「……! 」
それを聞いて漸く九兵衛ははっ、とする。考えてもいなかった。彼を夫とするのなら当然彼がこの柳生家に婿入りする形になるだろ
う。彼は己のためなら親兄弟でも捨てれると断言してくれたが(それもどうかと思うが)、九兵衛には到底柳生家を捨てることなど
出来ない。己が跡を継がねば、後妻どころか妾の一人すら一切設けず亡き母に操を立て、柳生の掟から彼女の忘れ形見である己を護
ってくれた父達の願いを、そしてそれ故のこれまでの己の苦行を一切無にすることになる。東城とてそれを望んでいよう。だからこそ、
誰よりも己を女子として扱ってくれていながら、今も尚己を『若』と呼ぶのだろう。そこまでは分かっていた。それなのに、何
故今までその考えに至らなかったのだろうか。
「……そうか……そうだな……」
もう十何年も己は彼を東城と、そう呼んできた。だが、いずれそうも行かなくなる。早いうちに慣れてしまった方が良いのかもしれ
ない。
「じゃあ、あ……」
「……え? 」
東城は怪訝そうに、九兵衛の顔を覗き込んだ。
「あっ……」
――駄目だ。
とてもではないが、そんな風にまじまじと見つめられては呼べない。少し呼び名を変えるだけなのに。何故かそれが気恥ずかしくて
九兵衛には堪らなかった。
「……何でもないっ」
「若……? 」
「……名前か……そっ……そういえばお前、子供が産まれたら、僕が名づけて良いと言っていたな? 」
「えっ? ……ええ、それは……」
それを誤魔化すように、九兵衛は話題を切り替える。
「……勿論、その通りですが。突然如何なされたのです? 何か良い名でも浮かびましたか? 」
「い、いや……そういう訳ではないのだが。……そうだな。僕は、名づけ方とかそういうのは良くわからんが」
そしてふと思う。
「もし子供が産まれて……それが女子だったら。女子らしい、可愛らしい名をつけてやりたいと思う」
「若……」
九兵衛の続けた言葉に、東城は心配そうな顔をした。
「……ご自身のお名前はお嫌いですか? 」
「……否。そんなことはない。そんなことはないんだ。この名前にパパ上やお爺様がどれ程の願いを籠めてくれたか知っている。た
だ……子供の頃は嫌いだったな。女中達の華やかな名前が羨ましくて……でも、妙ちゃんが僕に、『九ちゃん』なんてあだ名をつけ
てくれて……」
今でも覚えてる。あの日彼女が差し伸べてくれた手に、自分は救われた。
「それからだ。少しずつ、この名も悪くないと思えてきたのは……」
呼ばれる度に嬉しかった。だからこそ……そんな名を己も与えられれば、と思う。
「……お前はどう思っている? 」
「え? 」
「僕の名を。……お前なら、もっと女子らしい名の方が似合ったとか、言ってくれるのか? 」
欲を言えば己とて、可愛らしい名が欲しかった。それこそアヤだとかユイだとか……。
「……いいえ」
しかし九兵衛の予想に反して、東城は静かに首を横に振った。
「美しいと思います」
595東城×九兵衛:2009/07/21(火) 00:22:58 ID:Kq48laB2
「……まさか! 」
思いもかけぬ言葉に、九兵衛の語気が強くなる。美しい? こんな厳しい男の名が? ……同じ男の名でも、お前の名の方がまだ、
極平凡ではあるが余程優美な響きを持っているのに。
「若がご自身の名を嫌っていらっしゃるのなら、哀れにも思いましょう。しかし今はそうではないのでしょう? あんなにも苦しま
れた少女時代を乗り越えて、こんなにも気高く凛々しく美しく成長なされた……そんな貴女を表す名ですから、とても愛しく思います」
そう言いながら東城は、浴槽の中で九兵衛の、髪を上げられてすっかり露になっている首筋を撫で上げては耳元に手をかける。
「……九兵衛様」
「……っ! 」
少しトーンを低くして囁かれた言葉に、ぞくり、とした。東城の言っていたこともわからなくもないと、そこにおいて九兵衛は思った。
およそ女子らしさとはかけ離れた名でも、こんな風にこの男の声で一途に想われて呼ばれるのなら、好きになれる気もする――。
一瞬流れた沈黙に導かれるままに、どちらからともなく唇を重ねた。初めは啄ばむように軽く、しかし徐々に濃密に……。
「……名だけはありません」
「……あっ? 」
漸くそれが終わりを告げたとき、東城は真剣な面持ちで告げた。
「この瞳も唇も、お鼻も頬もお耳も、お肩もお腕もお手も、お胸もお腹もお背中も、お尻もおみ足も、否、お身体だけではなくお心
や魂に至るまでも、貴女の全てが美しいと思っております」
「……先ほども……言っていたな……」
聞き覚えのある台詞に、九兵衛は笑みを零す。風呂に入る前に、鏡の前でそう……否、もっと以前から、彼はそんなことを言っていた。
運命のあの夜、十数年ぶりに彼の前で裸身を晒したときも、彼はそんな風にこの身体を美しいと言ってくれては、全身に惜しみ
なく愛撫を施してくれた……。
「は……」
そんなことを思い出しながら、己の身体を隅々まで、確かめるように撫で上げる東城の優しい手に、九兵衛は陶然としていた。
しかしそうしている内に、次第に東城の手の動きが大胆になっていく。湯船の中で執拗に弄られた胸の先端の、桜色に充血した部分
は硬くなり、身体中が敏感に反応していく。時折漏れる声に快楽の色が混じる。そして東城の指先が下腹部の茂みに到達した時、耐
えられず九兵衛は抗議の声を上げた。
「止めろっ……妙な気分になる……」
「何を今更……」
すると唐突に、東城は九兵衛の手首を掴んだ。
「……!? 」
「私はもう……とうにそんな気分ですよ」
導かれたその部分は、彼の言うように、完全に勃ちあがっていた。
「お前という男は……っ! 本当に節操のない! 風呂場の床に飽き足らず、風呂の中でまでそんな気を起こせるのか!? 風呂で
くらいゆっくり身体を休めようとは思わんのか!? 」
「仰る割には……ここはそうは思っておられないようですがねえ……」
「やぅうッ!? 」
止まっていた筈の手が再び動き出しては九兵衛の秘められていた部分を弄られ、思わず嬌声が漏れる。
「そ……れはっ……お前が妙なことをするからッ……! 」
「妙なこととは……こういう事、ですか? 」
「はッ……あァッ! 」
「違いますか? では、こう……ですか? 」
「んぁァアあッ! 」
白々しくそんな事を言われながらも、巧みに動くその手に、九兵衛の意識は快楽の波に呑まれていく。
同時に彼女の中で理性が崩壊し始めた、その時。
「……お嫌でしたら止めますよ? 約束ですからね……」
「あっ……? 」
不意に、あれ程まで激しく九兵衛の身体を弄んでいた指の動きがぴたりと止んだ。
「私は若の忠実な僕に御座いますから……もう若のご意思に反する事は致しません」
「っつ……! 」
耳元で囁かれた高めの声が、頭の中に響いていく。その微かな吐息にすら、身体が反応する。
「さあ……若、ご命令を」
「あ……ぅ……! 」
――ずるい。
何が約束だ。何が忠実な僕だ。散々熱くしておいて、一度は限界にまで近づけさせて。僕が今如何して欲しいかなんて、本当は言わ
れなくても分かっている癖に……! よくもぬけぬけと……!
結局は彼の良い様に動かされているようで、九兵衛は悔しかった。
「ぁっ……とっ……とうじょっ……」
心底悔しい。悔しいけれど。
嫌なら止めると繰り返す彼のその行動が、嫌ではないのは確かで。
「ぃ……れろ……っ! 早くッ……そこに、お前をッ……! 」
熱を孕んだ声で、九兵衛は東城を求めた。
596東城×九兵衛:2009/07/21(火) 00:23:25 ID:Kq48laB2
「――仰せのままに」
「ふわぁっ!? 」
言って東城は九兵衛の小柄な身体を抱えあげる。
そうして立ち上がって湯船から出たかと思うと、
「……はぁァあぁあぁぁぁぁぁッ!! 」
秘所に宛がったものを、重力が導くままに一思いに挿し入れる。
「うっ……ふぅぅっ……! 」
仰け反りそうになって、九兵衛は東城の身体に手足を絡めて耐える。濡れた身体同士が密着した。
「若……」
「あっ……!? やっ、あッはぁッ……! 」
名を呼んだかと思うと、立った姿勢のままで東城が腰を突き動かす。
「んっ……! ふぅっ……! 」
身体全体が揺すられて、九兵衛は東城に必死にしがみ付いた。
「あッあッ……! 」
上向きに反った白い首が震えて、東城の動きに合わせて絶えず甘い声が漏れる。そこを舌でなぞられた。
「くっ……ぅああっ! 」
強く抱きしめていた腕が痺れそうになる。離れかけた身体をしかし東城の手が支え、
「ふわッ!? 」
とたんに身体が、がくん、と下に落ちる。じゃぶん、と盛大に水飛沫が飛び散る音がして、二人の身体は再び浴槽に沈んだ。
「……あっ……!? 」
落ちる一方だった身が湯の浮力をうけて少し軽くなる。
「んんっ……! 」
それが少し切なくて、九兵衛は益々強く脚を絡めた。
「ひっ……ぃあぁっ……! 」
じゃぶじゃぶと、男が動くたびに浴槽から湯が溢れ、大きな水音がその運動の激しさを表しているようで、九兵衛は一層昂っていく。
「あっ……んあぁっ! はぁぁんっ! 」
それすらもかき消すように、はしたない声をあげ続ける。沸かしなおした筈の湯よりも、身体のほうが熱く感じられた。
「くぅぅっ! あぁっ……ふぁぁっ! 」
纏わりつく湯の感触に、九兵衛は溺れそうになる。
「はぁ……ぁ、とうっ……じょぅっ……! 」
それを振り払うように、愛しい男の名を口にした。
「す……きだっ! 僕っ……! おまぇがっ……!! 」
これで何度目になろうか。九兵衛は再び想いのたけを口にする。何度言ったところできっと足りぬだろう。だから何度でも伝えたい。
「若……っ。私も……貴女をっ……! 」
それに応えるように、東城もまた言葉を紡ぐ。聞かせて欲しかった。何度でも。
「お慕いしております……ずっと、これまでも……そしてこれからも永久にっ……」
「あぁ……っ! ぼくもだっ……! はぁ……んっ! 東城っ……! 」
「若っ……! 」
「ふぁあぁぁぁぁんっ! 」
その言葉を聞いて、感極まったのだろうか。東城の動きが一層激しくなる。
「ああ……若っ……! 」
「んぁあ……っ!? 」
恍惚として名を呼ぶ声の響きが心地よくて、ふと見上げると、彼の姿が視界に入った。
――ああ、東城。お前はなんて……なんて幸せそうな顔をする。
お前にそんな顔をされると……僕は……。
そんなことを想いながら、九兵衛は迫りあがってくる快楽に完全に身を委ねた。


597東城×九兵衛:2009/07/21(火) 00:23:57 ID:Kq48laB2
「若」
「……ん……? 」
ぼうっとしていると、不意に嗜めるように声をかけられた。
「……そろそろあがりましょうか」
「え……」
思いもかけぬ言葉と共にずるり、と蓄熱を引き抜かれ、九兵衛はきょとん、とする。
「だ……だが……」
ちら、と九兵衛は視線を落とす。己の身体の奥深くまで埋まっていた筈のそれは、未だ熱を解放しきれず怒張している。
「のぼせてしまいますよ。ほら……こんなに頬を赤くされて、汗をかかれて……」
「あ……」
優しく頬を撫でられて、九兵衛は思わず声を漏らした。
「……すまない」
熱くなった途中で中断されるなんて、辛いだろうに。先ほど彼にされた時は恨めしい程だったのにと、九兵衛は俯く。だがそれでも、
己の体調を気にかける彼らしい心遣いが、彼女には嬉しかった。
「いえ……それでは」
ざぶ、と音を立てて東城は湯船から出ると、九兵衛に手を差し出した。
「……ああ」
その手を掴み、九兵衛もまた立ち上がる。酷く身体が重く感じられた。よろめきそうになる身体を、逞しい腕が支える。
「……っと。すまん、東城……」
「いえいえ。このような場所で、無理をさせてしまってすみません。水は存外体力を奪いますからなァ」
東城のフォローに、九兵衛はああ、と頷く。それに、疲れているのも無理はない、と思った。今日は余りにも色々なことがありすぎた。
一日中剣の修行に明け暮れていた日々にも勝る疲労感に、しかし九兵衛は納得していた。奈落の底から幸せの絶頂まで、これま
での人生で最大の浮き沈みを、今日一日で経験したような気がする。
しかし、疲れはしたが今は酷く満ち足りていた。心配そうな顔をする従者に、九兵衛はふ、と笑いかけた。己の心を埋め尽くす幸福が、
零れそうになる。
「……続きは部屋でしましょうね」
「……お前は……」
けれど何を勘違いしたのか、続けるように囁かれた言葉に、九兵衛は呆れたような声をあげた。
そしてこの男の心配などした己が馬鹿だった、と九兵衛はつい先ほどの己の感情に嫌気がさす。
「疲れてないのか」
昨日も朝早くから実家の方にまで出かけて、今日昼過ぎに漸く戻ってきて、それから暫く……色々とあった後も実家の人間がこちら
の方にまで来たとかで応対に出て、戻ってくるまで大分時間がかかっていた筈なのに。憎らしい程落ち着いた風情をしている癖して、
妙なところだけ年相応に若くて困る。
「若がおられれば疲れなど飛んでしまいます」
濡れた身体を拭いながら、東城はしれっとそんなことを言う。
「……っ! ……そういえば、お前……」
少し気恥ずかしくなって九兵衛は、何とか話題を逸らそうとする。
「看護師が好きなのか」
「え……」
ふと思って口にした言葉に、ぴたりと東城の動きが止まる。
おや、と九兵衛は彼のその態度に思った。照れ隠しで出てきた言葉だが、どうやら彼には思いもよらぬ発言だったらしい。
「ど……どうしてそのような」
明らかに動揺している東城に九兵衛は面白い、と思った。どうやら食いつく価値がありそうだ。
「南戸がお前に借りたとか言って返しに来たDVDがそんなのだった。あられもない姿の看護師が、包帯か何かで縛られてて……そう
いえば僕の部屋にも度々お前は看護師の制服を置いていたな」
「あっ……あの全身男性器ィィィィィィッ! 若になんてモノを見せて……! 」
「……前にもそんなことを言っていたが、南戸もこんな、状況も場所も弁えずすぐ欲情できる男に男性器呼ばわりされる覚えはない
んじゃないか? 北大路もお前のこと変態だと思っているようだし、お陰であんな格好だったのに『東城殿ならこれくらいのプレイ
はしてもおかしくない』と微塵も疑ってくれなかったぞ。結局鼻から僕を信じてくれたのは西野だけだった」
「いや……それは……」
「それとも縛るのが好きなのか? 僕の手足も散々縛ってくれたが、手足だけでなくあの看護師のように、身体もあんな妙な縛り方
をしてみたいと……」
「そ、そんな、滅相もない……」
598東城×九兵衛:2009/07/21(火) 00:25:33 ID:Kq48laB2
「そういえば北大路が、すかとろとかいうのがどうとか言っていたのだが、すかとろとは何だ? 昔カラスにもそんな事を言ってい
たな。僕にカラスの格好でもさせたいのか? この前といい、お前は僕に妙な格好をさせるのが好きらしいからな。南戸も呆れていた」
「いえそれは……とても若のお耳に入れられるようなことでは……」
「ほう、この僕にとても言えないような事に、お前は関心を? 」
「わ……若っ! いい加減にしてくだされ! 」
耐え切れなくなったのか東城は叫ぶ。
「もっ……申し上げたではありませんか。私は若の嫌がるようなことはしないと。私の性癖が……その、少々特殊なのではないかと、
心配なさっているのですか? そんなSMとかスカトロとか、そりゃあ興味がないわけじゃないですけど、というか想像したら寧ろ
興奮してしまいましたけど、でも若がお嫌でしたら無理には……」
「……誰が嫌と言った」
「若……? 」
「前に言っただろう。構わず注文してくれて良い、と。無論僕はお前ほどこういう事に慣れてはいないし、まだ経験も浅い。お前の
満足いく結果が出せるかどうかわからんが……それでも、お前の望みなら叶えてやってもいい」
「若……」
彼女の言った通り、それは以前にも彼に伝えた言葉だ。だが、と思う。今なら言える気がする。あの時その言葉の裏で、飲み込んで
いた己の願いを……。
「だから……だからな東城。その代わりと言っては何だが、もう二度と買春など……他の女と関係を持つなどしないでくれないか」
「えっ……」
九兵衛の申し出に、東城は困惑しているようだった。
「それは……申し上げたではありませんか。心配なさらずとも、私は若とこういう関係になってからはずっと風俗店の類には行って
いないと。それ以前からも」
「違う! 病気が怖いとか、そういうことではなくて……」
「……若? 」
「……なあ、東城。お前が今までどれ程頻繁に女子を買っていたか僕は知ってる。南戸も感心していた。あれ程通いつめてた女郎屋
の類に一切いかないようになった、と……。だからお前を大事にしてやれと、な。だが東城……僕は到底耐えられないんだ。お前が
他の女を抱く様など……想像しただけでも虫唾が走る……っ! 
 ……だから、頼む東城。もう二度とっ……」
それ以上は言葉にならなかった。己の中の黒い感情がこみ上げてくる。我慢ならぬのだ。幾ら心は己だけだったと言われても、この
男が金を払ってまで他の女を追い求めた事実が。今なら彼を束縛する権利もあろう。それはずっと己が欲していたものだが、しかし
手に入れてみれば空しいものだ。権利を振りかざすなど……。
「……ああ、そのようなお顔、なさらないでください」
必死に訴える九兵衛の頭を、東城はすっかり水気のひいた手で撫でた。
「若にそのような辛そうなお顔をされると……私は苦しゅう御座います」
「だっ……。だったら……! 」
――だったら。
……何を言う気だ。結局また、この男の優しさに付け入る気なのか。己は……。
「……ご心配なさらずとも、行きませんよ。申し上げたではありませんか。身も心も貴女一人に捧げると。……ああ、でも」
苦い想いを噛み締める九兵衛とは対照的に、東城は穏やかな笑みを浮かべた。
「嬉しいですな」
「……何? 」
それは九兵衛にとって、思いもかけぬ言葉だった。
「……嬉しいとは如何いうことだ」
己は彼を束縛したいだけなのに。己の幸せを願って、他の男を宛がおうとまでした彼の、一時の遊びすらも許せぬのに。何処に彼が
喜びを感じる余地があるのだ。
「だって……まさか若が、私が金で買った嬢などにやきもちをやいていらっしゃったなんて」
「……っ! 」
クスクスと笑う東城の言葉に、九兵衛は顔を赤くした。やきもち? そんな可愛らしい言葉であしらえるのか、このどす黒い想いを。
嫌ではないのか。こんなにも醜く勝手な感情が……。
「ああ……私は幸せで御座います。こんなにも若に愛されて……」
「なっ……! からかうな……! 」
頬を緩ませてそんなことを言う東城を、九兵衛は軽く小突く。
「……からかってなどおりませんよ」
しかしそれをものともせずに、東城は九兵衛を抱きしめた。
「何を妬く必要などあるのです。……私が他の女子では満足できないと、悟らせたのは他ならぬ若でいらっしゃいますのに……ああ、
でもそこまで仰るのなら」
「!? 東城……」
「もう私を他の女子のところになど向かわせないでください。他の女子など決して目に入らぬよう、何処までも若に溺れさせて……
永遠に沈めてください」
599東城×九兵衛:2009/07/21(火) 00:26:05 ID:Kq48laB2
「な……何を言って……」
些か被虐嗜好的な言葉に、九兵衛は戸惑う。これではまるで、自ら己に束縛されたいと言っているようなものではないか。
それでいいのか。それを望んでいるとでもいうのか。お前は……。
「い……良いのか? お前はそれで……」
「ふふ……若こそ。二度と他の男に身体を許したりしないでくださいね? もう私は若なしでは生きられぬのです。貴女のお心が他
の男に移ったのなら私は死なねばなりません」
「お……脅しか!? 」
主人である己を脅迫するとは、何という男だ。それに己が彼に死なれては敵わないと、知っていて言っているのだろうか。
「……心配せずとも僕は、お前以外の男になど興味ないぞ」
「若っ……! 」
「のわッ……!? 」
フン、と顔を背けて言った言葉を聞くや否や、東城は唐突に、九兵衛の身体を濡れた床の上に押し倒した。はらり、と手拭いが舞う。
「……そのような事仰られては……もう我慢なりませんっ……! 」
「と、東城……!? 」
ただならぬ様子で迫られて、九兵衛は焦燥する。影のかかった男の顔が近づいた。
「若……着替えて部屋まで移動する時間など待てません。ここで先ほどの続きをしても宜しいですか? 」
「いっ……良い訳ないだろッ!? どれだけ堪え性がないんだお前は!? この万年発情期がッ!! 」
「げふッ! 」
息を荒げながら襲い掛かろうとする従者の顎に容赦ない一撃を浴びせながらも、九兵衛はこの上ない幸せを感じていたのだった。
――己のこの黒い感情すらも、お前は飲み込んでくれるのか。そんなにも愛されて幸せだと、そう言ってくれるのか。
漸く辿りついた、僕の王子様。
どうしようもない馬鹿で手の施しようのない阿呆で、鬱陶しいほど過保護で心配性で、神経質で口煩くて大仰で、案外短気で腹黒く
て馬鹿で鈍感で、不埒で変態で性欲魔人で、しつこくて馬鹿で粘着質で、悪口など幾らでも思いつくけれど、まあ細やかで気が利く
と言えないこともないし、僕に対してはいつも優しくて真剣で、幼い頃から僕をずっと支えてくれて、そしてこんなにも――僕を愛
してくれている男。
……今度は僕の番だ。
きっとお前を幸せにしてやろう。世界でいっとう幸せだと、思わせてやろう。
お前は僕と結ばれたことを、夢のようだと言っていたな。
ならばずっと、夢を見せてやる。……解けることのない永遠の魔法を、僕がお前にきっとかけてやろう。
そんなことを思いながら。九兵衛は軽く気を失って不恰好な姿で伸びている東城の横に腰を落とすと、その唇にそっと、彼女自身の
それを重ねた。
600名無しさん@ピンキー:2009/07/21(火) 00:31:11 ID:Kq48laB2
以上です。長文失礼致しました。一応これで完結になります。
それでは、ここまでお付き合い頂き本当に有難う御座いました。
601名無しさん@ピンキー:2009/07/21(火) 01:38:30 ID:95SrQPPr
なんだ神か
602名無しさん@ピンキー:2009/07/21(火) 01:39:42 ID:95SrQPPr
>>601

違うよ、>>600は神だよ
603名無しさん@ピンキー:2009/07/21(火) 01:44:10 ID:95SrQPPr
>> 602
補足だが、>>600は神なんだぜ
604名無しさん@ピンキー:2009/07/21(火) 01:48:22 ID:ZJHCh7xu
GJGJGJ!!!やっぱり凄い!!
本当に神作だね
605名無しさん@ピンキー:2009/07/21(火) 03:26:12 ID:RwjqUJlk
GJ!! 待ってたよ! ほんと神作!
606名無しさん@ピンキー:2009/07/21(火) 04:15:39 ID:AMA+cPxA
>>600氏、GJ!!!!
よかったああ!
二人とも、ほんとによかったあああ!!(泣)
若と東城に幸多からん事を
607名無しさん@ピンキー:2009/07/21(火) 06:19:31 ID:2/xWUw4G
>>600
若が若らしくて東城が東城らしくて
エロパロなのにムラムラ通り越して
最後は何故かほっこりしてしまったよ

ともかく長編お疲れさんでした
また神の紡ぎ出す話が読める事を祈る
608名無しさん@ピンキー:2009/07/21(火) 06:45:09 ID:jute2TQp
お疲れさん、GJ
609名無しさん@ピンキー:2009/07/21(火) 09:48:55 ID:sZ4UFwCg
>>600
長編おつかれさまでした&ありがとう!
神のおかげで更にふたりが好きになったよ!
これだから2ちゃんやめられないんだー!
610名無しさん@ピンキー:2009/07/21(火) 10:43:16 ID:fCN7p/35
>>607
> 最後は何故かほっこりしてしまったよ

ほっこりって何?初めて聞いた
611名無しさん@ピンキー:2009/07/21(火) 12:50:41 ID:uvVRhEAr
>>610
マジレスすると
気持ちが暖かくなる事らしい
612名無しさん@ピンキー:2009/07/22(水) 02:44:49 ID:uhNHSUZm
もっこりではないのだよもっこりでは!!
613名無しさん@ピンキー:2009/07/22(水) 03:36:19 ID:Bc4pq41I
18年以上生きてきてほっこりを初めて聞いたのかwwwww
614名無しさん@ピンキー:2009/07/22(水) 07:19:30 ID:hcufqZrx
>>600
おかげでこの二人が大好きになった。
東城の変態っぷりが生きててワロタよ。それに付き合う九ちゃんも可愛い。
615名無しさん@ピンキー:2009/07/23(木) 02:19:24 ID:/40J4gYP
話題にあがってたので桂九書いてみた
エロまで持って行けなかった小ネタの上に、神投下の後で何だが適当に流してくれ
616桂九
季節特有のじめじめとした、水蒸気を十二分に含んでいる空気が身体にまとわりつく。
それがこの上なく暑っ苦しくて仕様がない。しかも大量の太陽光が頭のてっぺんから降り注いでいるのだから煙でもあがってそうだ。
事実、今日は日射病で倒れた人が出たらしいこのままでは暑さで倒れてもおかしくない。
なのでアイスキャンデーの一本くらい買って身体を冷やそうと思い立ち、目に入った駄菓子屋に向かってゆっくり重い足を進めた。
…のが間違いだった。


「「げ」」

綺麗に二つの声が重なる。お目当ての駄菓子屋はすぐそこだというのに、その手前に面倒な男が立っていたのだ。
ちなみに片手にはアイスキャンデー。
奴はこちらに気づくと顔を歪ませたので、続いて僕の眉間にも皺が寄せられた。
この、男のくせに長くのびてる黒髪と、無駄に着こまれた服は…まごうことなく知り合いに一人しかいない。

「…おい長髪。何故そこにいる。邪魔だ。そして暑苦しい」

暑さで機嫌が悪いのもあり、とりあえず第一声から喧嘩腰で奴にのぞんだ。
この間の人気投票の一件以来、遠慮した態度をとるつもりはない。

「それはこちらのセリフだ…。相変わらず紛らわしい堅物キャラを演じおって、今すぐ髪を切れ!丸刈りにしろ!」

向こうも案の定、暑さで頭のリミッターが有頂天である。
鬱陶しい長髪を肩にどかしながら僕に何度も怒鳴りかけてきた。邪魔なら自分こそ髪を切ればいいものを。