キモ姉&キモウト小説を書こう!part19

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1名無しさん@ピンキー
ここは、キモ姉&キモウトの小説を書いて投稿するためのスレッドです。

○キモ姉&キモウトの小説やネタやプロットは大歓迎です。
愛しいお兄ちゃん又は弟くんに欲情してしまったキモ姉又はキモウトによる
尋常ではない独占欲から・・ライバルの泥棒猫を抹殺するまでの

お兄ちゃん、どいてそいつ殺せない!! とハードなネタまで・・。

主にキモ姉&キモウトの常識外の行動を扱うSSスレです。

■関連サイト

キモ姉&キモウトの小説を書こう第二保管庫@ ウィキ
http://www7.atwiki.jp/kimo-sisters/pages/1.html

キモ姉&キモウト小説まとめサイト
http://matomeya.web.fc2.com/
2名無しさん@ピンキー:2009/03/23(月) 21:11:02 ID:OBPOaSrt
■18スレ目
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1234811862/
■17スレ目
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1231856153/
■16スレ目
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1228375917/
■15スレ目
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1225361041/
■14スレ目
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1219681216/
■13スレ目
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1214584636/
■12スレ目
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1211102097/
■11スレ目
キモ姉&キモウト小説を書こう!Part10
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1208334060/
■10スレ目
キモ姉&キモウト小説を書こう!Part10
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1204530288/
■9スレ目
キモ姉&キモウト小説を書こう!Part9
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1202484150/
■8スレ目
キモ姉&キモウト小説を書こう!Part8
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1200062906/
■7スレ目
キモ姉&キモウト小説を書こう!Part7
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1196281702/
■6スレ目
キモ姉&キモウト小説を書こう!Part6
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1193888223/
■5スレ目
キモ姉&キモウト小説を書こう!
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1190487974/
■4スレ目
キモ姉&キモウト小説を書こう!Part4
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1187005483/
■3スレ目
キモ姉&キモウト小説を書こう!Part3
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1181762579/
■2スレ目
キモ姉&キモウト小説を書こう!Part2
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1179863962/
■初代
キモ姉&キモウト小説を書こう!
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1176013240/
3名無しさん@ピンキー:2009/03/23(月) 21:11:38 ID:OBPOaSrt
■お約束
 ・sage進行でお願いします。
 ・荒らしはスルーしましょう。
  削除対象ですが、もし反応した場合削除人に「荒らしにかまっている」と判断され、
  削除されない場合があります。必ずスルーでお願いします。
 ・趣味嗜好に合わない作品は読み飛ばすようにしてください。
 ・作者さんへの意見は実になるものを。罵倒、バッシングはお門違いです。議論にならないよう、控えめに。

■投稿のお約束
 ・名前欄にはなるべく作品タイトルを。
 ・長編になる場合は見分けやすくするためトリップ使用推奨。
 ・投稿の前後には、「投稿します」「投稿終わりです」の一言をお願いします。(投稿への割り込み防止のため)
 ・苦手な人がいるかな、と思うような表現がある場合は、投稿のはじめに宣言してください。お願いします。
 ・作品はできるだけ完結させるようにしてください。

SSスレのお約束
・指摘するなら誤字脱字
・展開に口出しするな
・嫌いな作品なら見るな。飛ばせ
・荒らしはスルー!荒らしに構う人も荒らしです!!
・職人さんが投下しづらい空気はやめよう
・指摘してほしい職人さんは事前に書いてね
・過剰なクレクレは考え物
・スレは作品を評価する場ではありません
4名無しさん@ピンキー:2009/03/23(月) 21:12:45 ID:OBPOaSrt
■誘導用スレ

嫉妬・三角関係・修羅場系総合SSスレ 第54章
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1233068387/
ヤンデレの小説を書こう!Part22
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1233930672/
お姉さん大好き PART6
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1216187910/
いもうと大好きスレッド! Part5
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1230646963/
5上原くんの一日 安全な日編:2009/03/23(月) 21:14:08 ID:OBPOaSrt
で、前スレ>>879の続き


 カバンを持ち、高校へと通学する。高校までは徒歩で10分程度の近場なのでいつも歩いて通っている。
別にチャリ通でもかまわないのだが、なぜか夏海が拒むため徒歩オンリーだ。
通学中、暇なので先ほどの夢の話でもしてみることにした。
「そういや、今日懐かしい夢みたわ」
「どんな夢ですか?」
興味ありそうに俺の顔を覗いてくる。そんなに面白くないだろこんな話題。
「昔、お前がいじめられてる事があってな。確か…金(キム)としたっぱ二人に人形パクられてたのを俺が取り返したって夢」
まぁ俺が幼稚園の園長組みだからもうかれこれ10年以上前になるわけか…なんか時の流れは速いなぁ。とかしみじみ思う。
「まっもう何年も前の事だしお前も覚えてないわな。俺も全然覚えてなかったし」
「いえ、よ〜く覚えてますよ。……むしろ忘れられませんよ」
なんか最後の方聞き取れなかったんだけど…まぁいいや。
自分の頭を右手で撫でているがちょっと照れ臭かったのか?…まぁ虐められてたし、妙に俺ヒーローやってたしな。
そんな事を思ってたら俺は後ろから迫ってくる足音を聞き逃していた。

「おっはよー和君!」
不意に後ろから抱きつかれた。背中に胸が当たる。
この大きいが決して大きすぎることのないバストサイズの中でもっとも人気のあると思われるDな感触を醸し出すのは一人しかいない。
「毎朝よくやるぜ。おはようメグ」
「おうおうおう!その可憐な美少女に胸を当てられているってのになに?その淡白な反応は!」
「"可憐な美少女"ってのは自分から男に自分の胸当ててきたりしねーよ」
「も〜和君ったら〜」
「…ッ!兄さんから離れてください!」
「ハイハイ…今から離れますよーだ!」
そう言ってゆっくり俺から離れるコイツは桜木 巡(めぐる)俺の幼稚園の時からの幼馴染だ。
家も近所だし結構頻繁に遊んだりしている。正直女友達というよりツレって感覚だ。
因みに胸は本人とクラスメイトの自称"おっぱいマスター"いわくDカップだとの事だ。因みに夏海はBくらい。
「毎朝毎朝兄さんに変なことしないでくれますか?」
「ふ〜ん。別にいいじゃん」
「よくありません!」
っとこんな感じで夏海とメグはなぜか仲が悪い。こいつらの前世は犬と猿だったんじゃないのかと思うほどにそりゃあもう。
「お前らちょっとは仲良くしろ。つか、こんなとこで道草食ってたら遅刻すっぞ」
「そうね。じゃっ行きましょうか!」
そう言ってメグは俺の右手と自分の左手を組んで俺にすり寄ってきた。
「…お前、恋人同士かなんかに見えるから離れろ」
「いいじゃない別に」
「やれやれ、だから俺もお前も恋人ができねーんだよ。」
っとか溜息をついてたら夏海が俺とメグの間に入ってきてメグを俺から引き離した。
「兄さんから離れてくださいと言ったはずです!」
「…もういいから早く学校行くぞ」
そんな感じで俺は登校だけで妙に体力を使うのであった。
6上原くんの一日 作者:2009/03/23(月) 21:16:14 ID:OBPOaSrt
っと言うわけで色々中途半端な形での投下で物凄く見づらくなってすみません。
続きは見直しながら明日にでも投下します。
7名無しさん@ピンキー:2009/03/23(月) 22:12:18 ID:J0ntSXKK
>>6
お疲れさま。続き楽しみにしてますよ。あと>>1乙。
8名無しさん@ピンキー:2009/03/23(月) 22:17:29 ID:U4PNDMXd
乙&GJ!
続き待ってます!
9名無しさん@ピンキー:2009/03/23(月) 23:25:02 ID:+SKQTQIE
>>1 乙!
>>6 GJ!続き楽しみです
10名無しさん@ピンキー:2009/03/24(火) 00:06:03 ID:Fz93b6g2
>>1>>6、乙&GJ
11名無しさん@ピンキー:2009/03/24(火) 00:15:25 ID:lR/YZDXN
前スレ877-879&>>1-6
スレ立て乙&作品投下GJ!

次スレ立つ前に埋まった時は少しビビった…
続きを楽しみにしてます。
12名無しさん@ピンキー:2009/03/24(火) 01:38:23 ID:NDpze9Qr
>>6
GJ!!

敬語を使ってる辺りディケイドの夏みかん思い出したw
13名無しさん@ピンキー:2009/03/24(火) 02:14:25 ID:Jh7yY371
乙&GJ! 続き期待
14名無しさん@ピンキー:2009/03/24(火) 02:50:15 ID:3zywj2x4
きむwwwwwwwww
15名無しさん@ピンキー:2009/03/24(火) 13:10:31 ID:FPmAMIIu
スレタテ&投下gj!
>>12笑いのツボ突いてきそう(?
16名無しさん@ピンキー:2009/03/24(火) 13:39:55 ID:hq0AZyIR
キムは将来テコンドーの達人になりそうだな。白い胴着を着てネリチャギが得意な格闘家に…
17名無しさん@ピンキー:2009/03/24(火) 17:15:50 ID:i5IUGyuo
>>12
SSの主人公、9人の姉妹に監禁され、その瞳は何を見る。
18上原くんの一日 安全な日編:2009/03/24(火) 20:51:28 ID:JEHRDZH9

「あ〜つっかれた〜」
授業も半分終わり、昼休みに入る。半日勉強でフル活用した脳みそをリフレッシュだ!
ってのは一般人のすることだ。俺の場合は…
「兄さん!お弁当持って来ましたよ!一緒に食べましょう!」
クラスメイトが…というよりクラスの男子が一斉に教室の入口へと視線を移す。
そこには我が妹が…昼休みのコイツの扱いは授業より疲れるぜ。授業寝てるし。
「毎日毎日ご苦労なこって…朝俺に渡してくれればいいのに」
「いえいえ、兄さんが持たなくてもいいような荷物は私が持ちますよ」
毎日こんな感じだ。普通自分の弁当位自分で持つもんだろjk。
「まぁいいや、とっとと場所を移すぞ」
「ハイ、そうですね」
前に食堂へ行ったヤツの机を無断で借りて教室で食ってたらクラスの連中から質問攻めに会うわ、夏海を紹介してくれとか言ってくる鬱陶しい連中が沸いてきたのでいつも屋上で食ってる。
雨が降ってる日はテキトーに空いてる教室を無断拝借だがな。

 っとまぁ屋上に来たわけだ。今日は雲ひとつ出てない見事な快晴ため、屋上で弁当を食べるのにはもってこいの日和である。
難点といえば少々風が強いってのがあるが、さほど気にはならない程度のものだ。
目を正面にやると先客が一人。
わざわざカラフルなビニールシートを広げて俺たちを待っていた。
「ヤッホー!和君〜もう待ちくたびれたよ〜」
まぁ言わずもがなメグである。
「じゃあクラスの友達と食えよ友達と…」
「そうですよ。でないと友達いなくなってしまいますよ?」
そう思うならお前もクラスで食えよ。俺のツレがいなくなるだろうが。
「え〜だって和君が一番私と仲いいもん!もう恋人以上夫婦未満の関係?」
「何時から俺たちはそんな関係になった!まだつきあってもねーだろうが!」
「ふ〜ん…"まだ"ね〜じゃあいつかは付き合ってくれるのかな?かな?」
「"まだ"もなにも言葉のあやって奴ですよ巡さん。お勉強だけ出来てもそんな簡単なことも解らないようじゃダメダメですよ」
妹がくろ〜い笑顔を振り向きながら何やらドキツイ事をメグに向けて言い放った。
そしてお互い笑顔のまま向き合ってる。勿論のこと眼は笑っていない。
「ったく…夏海、お前もこのくらいの冗談くらい解らないとダメダメだぞ?」
「ッ!?…そうですね」
そういうと夏海はようやく普通の笑顔を見せた。
「とっとと飯にするぞ。馬鹿なこと話してて次の授業に遅刻とかいったらカッコ悪いからな」
「んっ!?兄さんはいつでもかっこいいですよ」
「いいからとっとと弁当をよこせ」
「ハイ!」
そういうと夏海は鞄から大きめのビニールシートを取り出し、床に敷いた。
俺たちはそこに腰を下ろし、俺は夏海から弁当を受け取った。


「……さっきの事、別に冗談じゃないんだけどなー」


メグがなにかを言った気がしたが、ちょうど吹いてきた風にかき消され、なにを言ったのかよく聞き取れなかった。
19上原くんの一日 安全な日編:2009/03/24(火) 20:52:42 ID:JEHRDZH9

スパーン!パ――ン!!!

キャッチャーミットから気持ちのいい乾いた音が鳴る。今は放課後。俺のような健全なスポーツマン、スポーツウーマンは部活動に励む時間だ。
そんな俺は野球部。1年生の時からベンチに入り、2年になってエースも任されたりしてる。
公式戦で結構いい成績を残したことがあり、球速が調子が良ければ150キロを超える事があるせいか、たまにプロのスカウトの方が訪ねてきたりすることだってある。
っとここまでくれば普通に考えれば俺ってモテモテって感じがするじゃん?64時代の某野球ゲーム的に考えて。
でも俺は女の子にモテたとかそういうのが全くない。しいて言うならウチの部活のマネージャーに言い寄られるとかいうのがあるが、そのマネージャーってのはメグなのでそんなモンはノーカンだ。
「ふぅ…」
「ん?ちょっと休憩入れるか?」
「そーする」
っとまぁさっきから50球程度投げ込んでいる。ためちょいと疲労が来た。
たくさん投げて練習するってのもいいが、適度に休憩を取りながら練習するほうが効率が良い。
そんな感じでベンチに戻ろうとすると俺に二人の女の子が駆け寄ってくる。
「ハイ!和君、タオル」
「兄さん!こっちのタオルをどうぞ!」
うん、メグだけじゃなくて夏海もマネージャーやってんだ…。
で、毎回練習が終わるたびに二人が俺のほうへ駆けてくる。
「ありがと、でもキムにもタオル持ってきてやれよな」
「「キムくん(さん)はどーでもいいよ(です)」」
毎回これである。キム、涙拭けよ。
俺とコンビを組んでるキムとは昔夏海をいじめていた金と同一人物。小学校でばったり再会して以来の付き合いだ。
因みに初めて会った時、全てを忘れていた俺に対していきなり喧嘩を売ってきたが、余裕で返り討ちにした記憶がある。…あん時は5人くらいで襲いかかってきたっけ?
そんでもって小学校の時からずっとバッテリーを組んでるため皆からはまんまゴールデンバッテリーとか言われている。
「まぁいいや、夏海ドリンクある?」
「ハイ!ちゃんと持ってきてますよ!」
そういうと夏海は持ってきたタオルの中からペットボトルをとりだし、俺に渡した。
「サンキュ!」
ペットボトルを受け取るとキャップを開けてチビチビ飲みだす。
ここで一気飲みのほうが漢らしいとか言うやつもたまにいるが、少しずつ飲むほうが体に吸収されやすいのだ。
因みにこのスポーツドリンクは夏海手作りの特別製。とにかく美味い。甘すぎず、でも味が薄いわけでもない最高の一品だが、原料を聞いてもさっぱり教えてくれない。
まぁうまいしいいや。
それと涙眼でベンチに戻ったキムはスポーツドリンクを一気飲み。因みに市販のスポーツドリンクをそのまま飲むのはあまりオススメしない。
美味しさを重視しているせいか、甘くしすぎているため、そのままだと糖分が多すぎるのだ。だから半分くらい水で薄めて飲むのがベストだ。…まぁ全部夏海の受け入りなんだけど。
「ねぇねぇ和君。いつも夏海ちゃんが作ったの飲んでるけどおいしいの?」
休憩してたらそんな事をメグが聞いてきた。
「ん。飲んでみ?」
そういって俺はメグにペットボトルを差し出した。
手に持ってすぐに飲み始める…そんなに焦らなくてもいいのに…。
「ダメーーーーーーーー!!!!!」
そんな事を考えてたら耳元から甲高い声が聞こえた。…どう考えても夏海だ。
なんか怒ってるけどどないしたねん。
「ケチんなよ…いいだろ?少しくらい」
「よくありません!それにスポーツドリンクを飲まれた事なんかどうでもいいですよ」
「よく解らんが落ち着け…な?」
そう言って俺は夏海をなだめる。ったくいつもは冷静だってのにメグといる時だけは感情の突起が激しいんだよな。
「ん。夏海ちゃん怒ってるし、返すね」
そう言って俺にペットボトルを返す。
「どうよ?」
「おいしかったよ。それより……これって間接キスだよね?和君」
「ハイハイ、そんな中学生みたいなこと言わないでいいから」
やれやれ、どっかで見た漫画かなんかに影響でもされてんのかねぇ?
今更間接キス気にするとかねーよ。
「んじゃそろそろ練習に戻るわ」
「うん!頑張ってね和君。」
そう言って見送るメグを尻目に俺はグラウンドへと向かって行った。
20上原くんの一日 安全な日編:2009/03/24(火) 20:53:18 ID:JEHRDZH9
 さて、部活も終わり、帰る時間だ。
今の時間は6時半くらい。正直他校と比べて練習時間は短いと思う。
とまぁそんな事情は置いといて帰宅。
メンツは俺と夏海とメグの三人だ。
大昔にキムが仲間に入れて欲しそうにこっちを見ていたが夏海とメグに睨まれてた。どこまでも可哀そうな奴め。
で、帰るのはいいが…
「なぁ、いい加減機嫌直せよ夏海」
っとまぁさっきからそんな感じで機嫌が悪い。
そんなにメグにスポーツドリンクを飲まれたくなかったか。
コイツらほんと仲悪すぎだろ。
「ったく…いつも大人びてるクセに変なトコだけ子供だな」
「しょうがないよ。夏海ちゃんは私の"大人の魅力"ってのに嫉妬してるんだから」
スポーツドリンク飲んだだけなのに大人の魅力はまったくカンケーないだろjk。
つか年も一個しか変わらん。
ったく仕方がない。
「よっと…」
俺は左手で夏海の腰を持ち、倒れかかった背中を右手で支えて夏海を持ち上げた。
いわゆるお姫様だっこである。
両手が完璧に空くのはスポーツバッグ最大のメリットだ。
これには流石の夏海さんも驚いたようだ。
「ほ〜ら恥ずかしいだろ?早く機嫌を直さねーとおろさねーぞ」
ニカニカしながら夏海に告げる。普通の女子高生ならこんな事を自分の兄貴にやられたら恥ずかしさで死にたくなるはずだ。
ほ〜ら顔が赤くなってきた。
「あ〜いいなぁ夏海ちゃん。ねぇカ〜ズくぅ〜ん私もお姫様だっこしてよ」
己は黙ってろ。因みにメグはかなり男子から人気がある。
幼馴染だってこと抜きにしても顔は十分可愛い。というか可愛いと美人を足して2で割ったような大人と子供の中間って感じだ。
大人の魅力を出しつつ子供のようなあどけなさも残ってるってやつだ。
んで性格はこのように明るく、誰とでも話すから人受けもよい。
まぁさすがに男子に俺と同じような態度は取らないけどな。
そんなため、俺はコイツとの仲を持つようにと言われることも多々ある。
そんなヤツに俺がお姫様だっことか明日からいじめの対象になるがな。
とまぁそんなアイドルは放置して妹の反応を待った。
「…じゃあ家に帰るまで機嫌直しません。」
なんでやねん。
しかし、俺も男の子。言ってしまったからには意地ってもんがある。
「ったく、明日クラスの連中に何言われても知らねーからな」
不機嫌を演技してるのだろうか返事はなかったが、俺の腕の中の夏海はどこか幸せそうな顔をしていた。
「ねーねー和君。明日は私の番ね。」
「思いからヤダ」
「んな!レディに向かって失礼な!」
俺らは陽が今にも沈むかと言うような帰り道を笑いながら帰って行った。
21上原くんの一日 安全な日編:2009/03/24(火) 20:55:17 ID:JEHRDZH9
 家に帰ってきてから30分くらいたった。
今はリビングで晩御飯のハンバーグを食べてる。
テーブルの上には大きなハンバーグの横に副菜で厚切りポテトとニンジンが。
それとどんぶりに山盛りになった御飯に、キャベツなどをベースに色々な野菜の入ったサラダがある。
俺が食べたい物+栄養素 という食のコンボを高校1年生にて実現させる夏海は凄すぎる。
つかこれを帰ってきて30分で作り上げるとか魔法使いじゃねーのか?
「スミマセン、遅くなってしまって」
「寧ろ早すぎるわ。いつも思うんだけどお前スゲーよな。」
「そんなに褒めないで下さいよ。…それに仕込だって昨日の晩のうちにやってしまっててあんまりすることもありませんですから」
「それでも十分スゲーよ。お前を嫁にした奴はよほどの事がない限り幸せになるよ。」
飯はうまいし、量は多いしすぐ出来るしで最高だ。
「お嫁さんには行きませんよ」
「え?」
なんかずいぶんはっきりした声が聞こえてきた。
「私、ずっと兄さんと一緒にいますからお嫁さんには行きません。」
はっきりと、そして、俺に訴えかけるように強く。
「ずっと俺とって…まっそのうちわかるか…」
まぁ今は好きな人がいないってだけだろう。
俺に仲介役を頼んだ連中なんて悪いが夏海と釣り合うとか思わなかったし、実際ロクに相手にもされなかったらしい。
きっと本気の恋ってやつをすれば変わるはずだ。…まぁ俺もまだそういう恋はしたことないけど。

 そんなこんなで飯を食い終わった。特に見たいテレビはなかったため、いつも通りナイターをつけてる。
最近の番組はクイズ番組ばっかりで正直面白くない。
とある番組でおバカキャラが流行り、ブームを巻き起こしたが、そのブームの流れに飛び込もうと別の番組でもおバカを売りにしている俳優を呼び出して似たようなクイズを展開しているのは見苦しかった。オリジナリティに欠けすぎ。
ポケモンが大ブレークしたからって似たようなコンセプトのゲームが出まくった小学校の時を思い出した。でも、メダロットは好きだったよ。
「兄さん。お風呂わきましたよー」
っと兎さんチームが虎さんチーム相手にホームランをうった所で夏海が俺に言った。
「あいよー。すぐに入るわ」
「お背中流しますね」
「高校生にもなってそんな冗談は笑えないぞ」
この間、風呂に入ってたら普通にタオルも巻かずに入ってきたから困る。
釘をさしておかないとまた入って来そうだ。
「別に冗談じゃないんですけど…」
聞こえないふりをして俺は風呂場へと向かった。

「風呂あいたぞー」
俺は黒いTシャツにジャージというラフな格好で夏海の部屋へと向かった。
軽くノックをし、ドアノブを開ける。
「あっ兄さん。今から入りますね。」
「うん。まぁ今日は眠いから先寝るな」
「あっちょっと待ってください!じゃあ疲れを残さないためにマッサージしてあげますよ」
「マジで?じゃあお願い」
「じゃあ兄さんの部屋へ行きましょう」
そう言って俺の部屋へ向かった自分の妹の事だが夏海は本当によくできた妹だと思う。
俺もなんか恩返ししてやらないとバチがあたりそうだ。つかいい加減妹離れしないと将来やばい気が…。
「じゃあベットにうつ伏せで寝転がってくださいね」
「あぁ」
そう言って俺は夏海に背中を向けるように寝ころんだ。
夏海のマッサージはうちの部員の誰と比べても一番うまい。力は無いのだが、要所要所の力加減がうまい。
スポーツドリンクといい、飯の栄養バランスといい、このマッサージといい、夏海は俺のためにスポーツ医学を勉強してくれてるんだろうな。
「ここ気持ちいいですか?」
「うん、最高〜きもちい〜」
「あっ眠たかったらそのまま寝ちゃっていいですよ。」
「うん。そうする。」
夏海のマッサージを受けながら俺の意識はだんだんと無くなって行った。
こうして俺の一日が終わる。
22上原くんの一日 安全な日編:2009/03/24(火) 21:00:22 ID:JEHRDZH9
今日はここまでです。エロがまったくなくてスミマセン。
エロはもうちょい時間がかかりそうです。
gjレスや感想をくれた方、ありがとうございました。
文法がおかしいとこや物語ももっと面白く出来るように心がけていきます。

わしの育てなかった侍Japan優勝してテンションあがっているのでこの勢いで続き書いてきますノシ
23名無しさん@ピンキー:2009/03/24(火) 21:15:27 ID:ufGeR5VX
自作のスポーツドリンクやハンバーグにはアレやコレが混入されてるんだろうなぁw
風呂やマッサージ中にもよっぽどダラけた顔になっているに違いない
24名無しさん@ピンキー:2009/03/24(火) 21:35:53 ID:FeJPUaQ6
GJ!
相変わらずキムに噴くwww
25名無しさん@ピンキー:2009/03/24(火) 22:17:19 ID:Jh7yY371
GJ! 同じくキムの扱いがツボに入るw
26名無しさん@ピンキー:2009/03/24(火) 22:41:58 ID:KnNKXWCb
>>21
ふむふむ、次回は危険な日ですかね。楽しみにしてます。GJ
27名無しさん@ピンキー:2009/03/25(水) 00:32:31 ID:g6lx3qw7
ウォーバニットは俺の相棒な俺がGJ!
次回もお待ちしてます。
28名無しさん@ピンキー:2009/03/25(水) 00:58:31 ID:PUy+lC8p
>>21GJ

それにしてもポケモンブーム懐かしいな。
お兄さんはメダロットですか。俺はディノブリーダー派
29名無しさん@ピンキー:2009/03/25(水) 01:28:42 ID:Fs8lX03t
ゆすゎぁ…
30名無しさん@ピンキー:2009/03/25(水) 01:49:47 ID:0GE13ntC
>>21GJ!
ジャイアン○のことかー!

キムツンデレwww俺も吹いてしまうw
31名無しさん@ピンキー:2009/03/25(水) 02:12:50 ID:tREhw5Az
>>21
メダロットはフルコンプした俺もGJ!続き期待してます。
32名無しさん@ピンキー:2009/03/25(水) 02:16:08 ID:tREhw5Az
訂正
あたり前だがGJは21殿宛てで自分自身じゃないぜ。スレ汚スマン
33名無しさん@ピンキー:2009/03/25(水) 03:36:36 ID:V9muewQ+
>>2 GJ!!続きが楽しみです

サブタイトルが「安全な日」ってことは・・・
34名無しさん@ピンキー:2009/03/25(水) 03:37:59 ID:V9muewQ+
訂正
>>2ではなくて>>22でした、すみません
35名無しさん@ピンキー:2009/03/25(水) 11:52:53 ID:T05jU6t5
>>33
安全日ってことか。

つまりエロは『危険な日』までおあずけですね?


全裸待機してます
36名無しさん@ピンキー:2009/03/25(水) 12:09:50 ID:z9ClRi2M
エロはり
37名無しさん@ピンキー:2009/03/25(水) 21:04:21 ID:IalY8LXl
>>35
今夜は冷える、妹のニーソぐらい穿いとけ・・・
38名無しさん@ピンキー:2009/03/25(水) 21:54:58 ID:gy5aHnWo
>>37
それはお勧めしない方がいい。
何仕掛けてあるか分かったもんじゃないからな・・
それと全裸待機も上と同じ為お勧めできないな・・・
俺は姉に見つからないように隠れながら待機するぜ!
39名無しさん@ピンキー:2009/03/25(水) 21:58:04 ID:+hpy9Gbm
キモ姉とキモうとはここの範囲内だというのは理解したんだが、キモ二卵性双生児なんかは範囲内なのか?
教えてエロい人
40名無しさん@ピンキー:2009/03/25(水) 22:04:14 ID:0ZrLm8NK
当然OKだぜ、マイブラザー!
41名無しさん@ピンキー:2009/03/25(水) 23:27:46 ID:dO1qSsA4
未来のあなたへの続きはまだか…
42名無しさん@ピンキー:2009/03/25(水) 23:39:09 ID:5T5TwEvc
いま大規模規制祭りだからなあ。
アレに巻き込まれた、一部の長編書き手さんは、投稿しにくいんじゃないかな、と思う。
43名無しさん@ピンキー:2009/03/26(木) 00:35:46 ID:OT4rBKOT
今そんな祭状態なのか。じゃあ俺のPCの規制もそのせいかな?
仕方ないから今は携帯からレスとかやってるけど
キモ姉妹に携帯チェックされてこのスレ見られたらどうしようかと
44名無しさん@ピンキー:2009/03/26(木) 00:53:17 ID:KR0bD7Sg
男みたいな名前の女の子とだけ仲良くなってキモ姉妹の携帯チェックを回避するぜ!
45名無しさん@ピンキー:2009/03/26(木) 00:56:28 ID:Gf6gxf4R
>>43
履歴リセットすりゃわかんないと言ってた弟が昨日から姉とどっかに消えたんだ
46名無しさん@ピンキー:2009/03/26(木) 01:41:59 ID:HOR5J0nw
ここは気持ちの悪いインターネッツですね。
47名無しさん@ピンキー:2009/03/26(木) 02:36:40 ID:gi7bW0rq
>>45
お前は大丈夫なのか?
48名無しさん@ピンキー:2009/03/26(木) 05:53:58 ID:5twY+uM2
うちの姉ちゃんエルファシルの英雄って呼ばれてるんだぜ!
49 ◆6AvI.Mne7c :2009/03/26(木) 06:35:12 ID:Ne204A2G
少し貯まってきたので、久々に小ネタを投下。
タイトルは適当に『ただ、あなたとともに 〜みらいがたり〜』。前書いたネタと繋がった話。
やや時代モノの姉弟話。キモ成分薄めなので注意。

次レスより投下。3レス使います。
 
「やっと着いた。相変わらず此処は遠いなあ」
 独り言を呟きながら、私は手に持った水桶を地面に置いた。
 
 此処は、私の暮らす村から遠く離れた、岩塚だけしかない山林の奥地。
 この塚は、過去の『かみかくし』の主犯、鬼神(おにがみ)さまの塚らしい。
 私は死んだ母のいいつけを守り、毎月一度は此処を訪れている。
 
 母は、ある日突然、父と共に自ら命を絶ってしまった。
 もう数年前のことなので、私にもその理由はよくわからないままだ。
「早く此処を綺麗にして、弟の許に帰らないといけないね。
 あの子もそろそろ、畑仕事から家に帰ってくる頃だから」
 
 私の住む村は、有り体に言って、廃村の憂き目にあっている。
 まるで呪われたように、新しく子供が生まれず、跡を継ぐ若者がいないのだ。
 その理由として、村に伝わる『かみかくし』の伝説が、関係しているらしい。
 
 その昔、村の若者に恋する鬼神さまによって、村の半数の人間が斬殺された。
 村人が若者になにかしたせいで、鬼神さまの怒りを買ったための惨劇らしい。
 村を襲った鬼神さまは、若者と夫婦になると、病で死ぬまで幸せに暮らした。
 鬼神さまの没後、村ではどの夫婦も、なかなか子宝に恵まれなくなったという。
 まるで、鬼神さまが若者を奪おうとした村人を、呪い続けたかのように。
 
 そしてこの塚には、その鬼神さまの遺骨と魂が封印されているそうだ。
 だから私以外の村人は、此処には近寄ろうとさえしないのだ。
 別に此処に来ても、何も怖いことなんてないというのに。
 
 そんなことを考えながら、ふと塚の本体に触れたとき、変化が起きた。
 岩でできているはずの塚が、まるで砂のように崩れ出したのだ。
「あれ……えっ、何なの? 私、何かしたのかな……?」
 驚く私を尻目に、塚が完全に崩れ落ちた後、そこには何かが、居た。
 
 ぼんやり浮かぶ、美しい女性の姿。着物姿の艶やかな、人外と思しき存在。
「あのぅ……貴女が、村に伝わる、鬼神さまなのですか?」
 私の問いかけに、彼女は私の心の中に直接語りかけてきた。
「あら、村ではそのように語られているのですね、私は。まあ別にいいけれど。
 それより貴女。どうやら私の姿が見えるらしいけれど、何者かしら?
 私の姿が見えるのは――私を見てくれるのは、あの人だけで構わないのに。
 さあ答えなさい。貴女は、何故私が見えるの?」
 
 そんなことを聞かれても困るので、私は自分のことを全部話すことにした。
 私は村では唯一の若い娘で、両親が没して、齢の近い弟しか家族がいないこと。
 村では、過去の事件を『かみかくし』と称し、それを代々語り継いでいること。
 殺戮の犯人を『鬼神』と蔑み、若者を『守神(もりがみ)』と崇めていること。
 今現在、村では『しきたり』の準備がされ、次は私がそれに参加すること。
 
 それを聞いた鬼神さまは、私の顔を覗き込みながら、何か考えている。
「ふぅん、『しきたり』ねぇ――本当にくだらないわね、彼奴らは!!」
 鬼神さまから突如溢れ出した、殺意――呪詛の如き黒い感情の嵐。
 周辺にいた、山林に住まう小動物たちが、一斉に逃げ出した。
 私は――不思議と、彼女のことが、怖くなかった。
 
「あのぅ……鬼神さま? 貴女は『しきたり』が何か、知っているのですか?」
 実は私も、『しきたり』の内容は知らされていなかった。
 数日後に迫っていて、村長(むらおさ)から、参加するように命じられただけだ。
 
「いいえ。でも貴女の話と、昔からの村の風習を合わせると、簡単に予想できるわ。
 多分貴女のご両親も、その『しきたり』に関わるいざこざで、自決したのね。
 内容は――口にしたくもないわ。胸糞悪いもの。貴女も参加しちゃ駄目よ」
 
 そう言われても、少し困るんだけどなぁ。私も村の者だから、逆らえないもの。
 逃げるには、村を出ればいいけれど、私は村の出口の場所を知らされていない。
 それに、弟と一緒に逃げないといけないし、先立つ資金も持ち合わせていない。
 
「まあ、その事はおいおい話すとして、私は貴女にお願いがあるの。聞いてくれる?」
 考え事をしている時に、急に鬼神さまに話しかけられた。
 ものすごく真剣な顔をしている鬼神さま。本当に美人な顔立ちの人だ。
 
「私を、村の中まで連れて行って欲しいの。私一人じゃ村に入れないのよ。
 もしできるなら、その『守神さま』のところまで、案内して欲しいのよ。
 ああ、別に村人に危害は加えないわ。彼奴らなんて、どうでもいいもの。
 ねえ、お願いできないかしら? 私もあの人に逢いたいの――お願いします」
 
 
 結局、私は断りきれずに、彼女を村の『守神の石碑』まで案内することにした。
 その道中、私は鬼神さまといろいろなお話をした。
 鬼神さまと守神さまの、結婚してから十数年間の、仲睦まじい夫婦生活。
 守神さまが隣の国に旅立っていた時の、異国の知識と暮らし方の又聞き話。
 村人が生前の守神さまに、村から旅立つことを決心させた、いざこざの話。
 そして、鬼神さまの死後、守神さまから引き離された、孤独な数十年間の話。
 
 村の敷地内には、案外あっさり侵入できた。
 鬼神さま曰く、通常は結界があるせいで入れなかった、とのこと。
 守神さまの加護が弱っているのだろうか。少し心配になった。
 けれど、鬼神さまはあまり心配していないようだ。
 
「ああそうだ。あなたの言うところの守神さまだけど、結構いい男なのよ?
 でもね、惚れたりしたら、承知しないからね。まあ心配してないけれど」
 ちょっぴり怖いことを言う鬼神さま。大丈夫ですってば。
 私は弟以外に、村のどの男たちも、好きだと思ったことはないもの。
 
 そうこう言っているうちに、守神の石碑の前に到着した。
 そこには既に、おぼろげな何者かの姿があった。
 近づくと、どこか鬼神さまに似た、美しく精悍な顔立ちの男性だった。
 たぶん、この人が伝説の『守神さま』なんだと、なんとなく思った。
 
「――ああ、ついに来たのか。姉さん、久しぶりだね。
 村の結界は、少し前に弱めていたから、そろそろだと思ったよ」
 守神さまの言葉に私は驚いた。鬼神さまは、守神さまの姉だったのだ。
 ということは、鬼神さまと守神さまは、姉弟で契りを交わしたの?
 ――ナンテ、ウラヤマシイ。
 
 一瞬の思考の陰り。まるで無意識から来たような心の慟哭。
「あ、あれ? 私は今、何を考えていたの?」
 姉と弟で契ることができた二人が、羨ましい?
 そんな……私は……あの子を、そんな邪な目で――
 
「別に恥じることではないのよ。人を好きになることは。
 ただ相手が、近しい人だっただけのこと。それだけだもの。
 貴女は、自身が信じた道を進めば、それでいいの。わかった?」
 
 そう――なのかな? 幸せなら、愛してもいいのかな?
 そう言われてみれば、守神さまに逢えた鬼神さまは、とても幸せそうだ。
 鬼神さまに逢えた守神さまも、なんだか救われたような、満ちた顔をしている。
 
「ねえ、姉さん。僕は――僕はもう疲れたんだ。
 僕はこの村を、ずっと見守り続けてきた。本当は守り続けるつもりだった。
 でももう駄目だ。あんな『しきたり』を妄信する人たちなど、守りたくない。
 アレのせいで、自ら命を絶った人間を、たくさん見てきた。もううんざりだ。
 だから姉さん。僕と共に逝こう。そして共に彼岸で暮らそう」
「ええ、わかったわ。本当にありがとう、私の愛しい弟……」
 
 どうやら、鬼神さまと守神さまは、この村から離れ、彼岸へ渡るしい。
 私は、彼らの最期の結び役になれたことが、少しだけ誇らしく思えた。
 
 
「ひとつ、いいことを教えてあげる。この村からの抜け道よ。
 私はこの村から出られなかったから、弟を追い出した村人を殺したの。
 でも貴女の体力なら、弟さんを連れて、この村から出られるでしょうね」
 鬼神さまが、成仏する前に、私にそんな言葉を掛けてくれた。
 後ろで守神さまも、ほんの少し苦笑しながら、頷いてくれている。
 
「村の『しきたり』、貴女が従う必要なんてどこにもないのよ。
 貴女は貴女の愛する人だけを愛し、結ばれ、交わればいいの。
 村のことなんて忘れて、他の国に旅立ちなさいな。わかった?」
 
 
 鬼神さまが、守神さまと手を取り合い、共に天界へ昇った次の日の夜。
 私は弟を連れて、長く暮らしていた村から抜け出した。
「姉ちゃんがそうしたいなら、僕もついてく。行こうよ」
 不安げながらも、そうしっかり言ってくれた弟を、私は力一杯抱きしめた。
 そして、その日のうちに準備を済ませ、村が寝静まった頃、密かに出奔した。
 
 ちなみに資金に関しては、鬼神さまが生前の家宝(現・村の神宝)の刀を譲ってくれた。
「向こうの国で売っちゃいなさい。結構高価だから、しばらくは生活できるからね」
「ちょっと惜しいけど、餞別がわりにあげるよ。あとはちゃんと働いて稼ぎなよ?」
 悪戯っ子のように微笑んだ、鬼神さまと守神さま。本当に、ありがとうございました。
 
 
 まだほんの少し幼い弟には、多少苦しい道のりだったが、2人とも無事に切り抜けた。
 ついでに、追っ手や馬鹿な人攫いを封じるため、村を繋ぐ道を斬り崩しておいた。
 吃驚した弟の手を繋ぎ、その日一番の笑顔を浮かべて、その場を離れたのが2日前。
 
 さて、あとはこの山道を抜ければ、まだ見たことのない国に辿りつける。
 私と弟が暮らす新天地。私が弟と幸せになることのできる、桃源郷。
 少し眠そうな弟を、背に負ぶって歩きながら、私は彼に語りかける。
 
「ねえ弟? 私ね、貴方に教えてあげたいことがあるの。
 山を降りて他の国に着いたら、楽しみにしていて頂戴ね」
 
――この数年後、村は滅んだらしい。それはかの惨劇の日から、丁度百年後のことだったそうだ。
 
 
                                           〜終劇〜
53名無しさん@ピンキー:2009/03/26(木) 09:42:21 ID:+M1fAZy2
おはよう。
GJ! こうの好きです
54名無しさん@ピンキー:2009/03/26(木) 15:14:20 ID:HOR5J0nw
>>53 告ったw
55名無しさん@ピンキー:2009/03/26(木) 17:52:09 ID:+d+73/kW
GJ!

>>39
男女の双子は情死者の生まれ変わりと昔から言うそうです。
56上原さんの一日 普通の日:2009/03/26(木) 23:41:37 ID:e1vguPL9

 いつもと変わらない朝、今日はいい天気なので小鳥の鳴き声が聞こえてきて一日の始まりを私に教えてくれる。
私は上原 夏海。どこにでもいる一般的な女子高生です。
っと言いたいところですが、私は親の都合上、実質兄と二人暮らしをしているのでそこの所は一般的ではないかなっと思います。
え?両親が家にいなくて寂しくないのかって?ノープロブレムです。むしろ帰ってくんなって感じです。
まぁ、母親は物心ついた時から無くなっているため、何かと私が家の家事全般こなしています。
今、朝ごはんをつくり終えましたので、少しねぼすけな私の兄さんを起こしに行かなければなりません。
この兄さんがとても素敵な人なんです。
っと言う訳で兄さんの部屋までやってきました。
ノックをしても反応がないのは解ってます。だから私は兄さんの部屋へと入って行きます。
そこには無防備な顔で寝入っている兄さんの寝顔が…。いつもは男前で顔も性格もカッコよくて凛々しい兄さんも寝顔だけは可愛く見えます。
写メを取って待ち受けにしたいですが、もしそんな事が兄さんにバレたら怒られちゃいます。
もし、そんな事をして嫌われでもしたら…私生きていけません。
そんな兄さんの寝顔を眺めていたらふと兄さんの枕もとに置いてあった機能を全く活かせていない目覚まし時計が目に入りました。
現在の時刻、AM 8:00。いつも起こしている時間、AM 7:45。
不味いです"また"兄さんの寝顔を見入ってしまったようです。早く起こさないと遅刻です。
「兄さん兄さん!起きてください!朝ですよ!」
「ん…おはよう夏海…」
眠そうに瞼を擦りながら目を覚ましました。
上原 和也。私の兄さん。そして、最愛の男性です。

 リビングに降りてきた私と兄さんは先ほど作った朝ごはんを食べます。
兄さんが私の作ったごはんを食べてくれる。毎日のことなのに物凄く幸せに感じます。
まず初めにお味噌汁を飲んでくれてますが、しかし、ここで重大なミスをしてしまった用です。
「なんか味噌汁ぬるくね?」
「えっ!?本当ですか!?スミマセン今すぐ温めてきます」
「いや、いいよ時間ないし」
「本当にスミマセン」
またやってしまいました…。自分が長い時間兄さんの寝顔を見入ってしまったから兄さんのお味噌汁が冷めてしまいました。
こうやって私は週に何回か同じミスを重ねてしまうんです。兄さんはやさしい言葉をかけてくれますが、私は私が許せません。
で、気がついたらご飯を食べてます。兄さんは固めに炊かれたご飯が好きなので若干硬めに炊くのが私流です。
私流の定義はまぁ色々ありますが、とりあえず、兄さんの好み=私流ってことでいいでしょう。
ん?兄さんの口元にご飯粒がついてる。これはチャンスです。
「あっ兄さんご飯粒ついてますよ。」
気づけば私の手は自然と兄さんの口元へと延びて行きました。そして指先でご飯粒を取り、そのまま私の口の中へと。
「フフフ、おいしい」
これでもかって位、口の中にご飯粒の甘さが広がります。いや、これはご飯粒の甘さというよりは兄さんの甘さですね。
「…お前は俺の彼女か…」
「それでもいいですよ」
というかそれがいいですよ!今からでも付き合いましょう!っと言いたいところですが"妹"と言う立場では中々踏み切る事が出来ません。
最愛の兄さんと同居出来るというメリットには恋人同士になるにはとてつもなく大きな壁があるというデメリットもあります。
難しい所ですが、色々と策は立ててますよフフフ。
57上原さんの一日 普通の日:2009/03/26(木) 23:44:21 ID:e1vguPL9

 しかし、あまり悠長な事は言ってられません。兄さんは知っているかいないかは知りませんが、私たちの通っている学校での兄さんは女の子から大人気。
最近ちょっと兄さんの魅力にちょっと気づいただけの女子が兄さんに色目を使う姿は盛りのついた雌豚にしか見えない。
私はそんな雌豚共から"お兄さんを紹介して"だとか"友達のよしみでここはひとつ…"とか言われますが、誰がこんな豚以下の脳みそのお友達(笑)に最愛の兄さんを紹介してあげなければならないのでしょうか。まったくもって不釣り合いなのに…。
そんな人たちはちょいと工作して潰してあげました。当然の報いです。
また、私に紹介させようとしないまでも兄さんにすり寄ってくるような豚は今まで何人も潰して来ました。
全く、兄さんといるという貴重な時間を割いてまで貴方達を潰す計画を立てなくてはならない私の身にもなってほしいものです。
 
 それはそうと、兄さんはおいしそうに私の作った出汁巻き卵を食べてます。
これは私たちがまだ小学生の頃、お父さんと兄さんの三人で居酒屋へ食事に行ったときに兄さんが頼んで絶賛していたものをベースに作ってます。
勿論あくまでもベースですので完全なものまねではありません。そこから更に兄さんの好みに合わせたアレンジを加えています。
それと…出汁の中には私の兄さんへの思いを込めた液体を隠し味でたっぷりと入れています。フフフ、あんなもの兄さんの事を少し考えただけでいくらでもあふれ出てきますよ。
そして、私のお汁が入っていることも知らない兄さんは美味しそうに口の中に出汁巻き卵を運びます。もうそれだけで私のアソコは濡れてきてしまいます。
そんな事を思っているうちに兄さんはご飯を食べ終わってしまいました。私も早く食べないと…

 カバンを持って高校へと通学します。毎朝、兄さんとの登校幸せです。
そんな幸せに浸っている私に兄さんが話しかけてくれました。
「そういや、今日懐かしい夢見たわ」
夢?…どんな夢でしょうか?私はその夢に出てきているのでしょうか?
兄さんの顔を覗き込みます。
「昔、お前がいじめられてる事があってな。キムと下っ端二人に人形パクられてたのを俺が取り返したって夢」
その出来事は…
「まっ何年も前の事だしお前も覚えてないわな。俺も全然覚えてなかったし」
今でもハッキリと覚えています。絶対に私が忘れられない日。どんな記念日でも色あせてしまうほど重要な日。
私が兄さんを男の人として好きになった日の話だ。
「いえ、よ〜く覚えてますよ。……むしろ忘れられませんよ」
そんな重要なことを兄さんが思い出してくれるなんて…とても嬉しいです。
しかし、私は嬉しさのあまり、この時間に現れる悪魔の存在を忘れてしまっていたのでした。
58上原さんの一日 普通の日:2009/03/26(木) 23:45:56 ID:e1vguPL9
「おっはよー和君!」
悪魔は突然やってきました。そしていきなり兄さんの逞しい背中に抱きついてます。
それも自慢なのか自分のでかい胸をこれでもかというくらい兄さんの背中に擦りつけてます。許せません。
「毎朝よくやるぜメグ」
しかし、流石兄さん。こんな発情期の牝牛には全く心を動かしていません。
それでもこのバカ牛は懲りずに未だ兄さんの背中に自慢(笑)の胸を押しつけてます。
そして段々と迷惑そうな顔をしてきた兄さん。乳の押し売りってとこでしょうか。
「…ッ!兄さんから離れてください」
そこで私の出番。この淫乱な雌から兄さんを遠ざけないと兄さんが大変なことになってしまいます。
「ハイハイ…今から離れますよーだ!」
そう言ってゆっくり兄さんから離れているのは桜木 巡。一応私と兄さんの幼馴染という存在です。
顔は良く、人気はあるのですが、性格が悪いです。むしろ、最悪と言っても過言ではありません。
こいつはどんなに兄さんに近づかないように策を練ってもそれをことごとく破って近づいてきます。
それどころか今まで他の人には気づかれなかった兄さんへ会わせないようにする妨害工作もあっさりと見抜いて私へ宣戦布告をしてきました。
"私、和君のこと、大好きだから邪魔しないでね。妹さん"だそうです。死ねばいいです。
やさしい兄さんがハッキリと拒否しないのをいいことにその優しさにとことん付け込もうとします。
だから、私はこんな女から兄さんを守らなければならない。そういう義務があるのです。
そんな私の気を知ってか知らずか今度は兄さんの右腕に自分の左手を組み出しました。
許せません。私はすぐさま引き離しにかかります。
「兄さんから離れてくださいと言ったはずです!」
「…もういいから学校行くぞ」
朝から兄さんが疲れてます。全部この女のせいです。
いつか、絶対にこの女を兄さんに近づけないようにします。

いつか、必ず…
59上原さんの一日 普通の日:2009/03/26(木) 23:48:36 ID:e1vguPL9
現在は数学の授業の時間。私は教科書にかかれた問題の方程式を解いて、授業の終わりを待っています。
正直、簡単すぎます。こんな数字の組み合わせが将来なんの役に立つのやら…。
昔兄さんが"数学が社会に出てなんの役に立つんだよ!"とか言ってましたがまったくその通りだと思います。
この程度の問題が世の中に溢れているのでしたらもっと日本は平和なはずです。
そんな事を思いながら外を眺めていると待ちに待った授業の終わりを告げるチャイムが鳴り響きました。
私は先生への挨拶もそこそこにあらかじめ机の横に引っかけておいた鞄を持って迅速に兄さんのいる教室へ向かいます。
私のいる教室は公舎の4階。兄さんのいる教室は3階。ひとつ階段を下りれば良いだけなんで楽勝です。
「兄さん!お弁当持って来ましたよ!一緒に食べましょう!」
やたらと視線を感じますがそんなのは無視して兄さんに近づきます。
「毎日毎日ご苦労なこって…朝俺に渡してくれればいいのに」
「いえいえ、兄さんが持たなくてもいいような荷物は私が持ちますよ」
あぁ…やっぱり兄さんは優しくて素敵です。
雌豚共が擦り寄ってくる理由も解ります。…近づけさせませんけど。
「まぁいいや、とっとと場所を移すぞ」
「ハイ、そうですね」
そう言って私たちは移動を始めました。私たちはいつも屋上で一緒にご飯を食べてます。
本当は二人きりで食べたいのですが、邪魔者が一人いまして…。まぁなかなかうまくいかないのです。

 屋上に来ました。兄さんが屋上へ出るドアを開けると少し強めの風が私たちの体に当たります。
しかし、多少は気になりますが、そんなに神経質になるほどのものではありません。
寧ろ、天気が快晴の6月だと言うこともあってこの風はちょうどいいです。
難点と言えば…
「ヤッホー!和君!待ちくたびれたよ〜」
牝牛が一匹。とっとと出荷されればいいのに…。
「じゃあクラスの友達と食えよ友達と…」
兄さんが言います。まったくです。
この女は兄さんが好きすぎてストーカー紛いの事を平気でやってのける危険な奴ですから近づかないでほしいです。
「え〜だって和君が一番仲いいもん!もう恋人以上夫婦未満の関係?」
この発情期はなにいってるんでしょうか?
兄さんが好きすぎて幻覚でも見えているのでしょうか?
気持ちは解りますが正直気持ち悪いです。
「何時から俺たちはそんな関係になった!まだつきあってもねーだろうが!」
「ふ〜ん…"まだ"ね〜じゃあいつかは付き合ってくれるのかな?かな?」
なんかそんな事言ってます。頭にウジでも沸いているんじゃないでしょうか。
「"まだ"もなにも言葉のあやって奴ですよ巡さん。お勉強だけ出来てもそんな簡単なことも解らないようじゃダメダメですよ」
だから私が"笑顔"でちゃんと教えてあげます。
あなたが兄さんと付き合えるハズがないということを。
「ったく…夏海、お前もこのくらいの冗談くらい解らないとダメダメだぞ?」
そう兄さんに言われました。頭を軽くポカンと叩かれた感じです。
兄さんはまったくこの牝牛と付き合う気はないんですね。わかります。
「とっとと飯にするぞ。馬鹿なこと話してて次の授業に遅刻とかいったらカッコ悪いからな」
「んっ!?兄さんはいつでもかっこいいですよ」
…?兄さんがかっこ悪い?そんなハズありません!テストで0点取ったって兄さんはかっこいいです!
「いいからとっとと弁当よこせ」
「ハイ!」
鞄に入れてたビニールシートを取り出し、床に敷きます。
兄さんが座ると私は兄さんのとなりに腰をおろし、兄さんにお弁当を渡します。
兄さんと食べるご飯は本当に美味しいです。ですからクラスのみんなとお弁当を食べるなんて出来ません。

 そういえばさっき風が吹いた時に牝牛がなんか言った気がしますが聞こえなかったことにしてあげましょう。
60上原さんの一日 普通の日:2009/03/26(木) 23:51:03 ID:e1vguPL9
 ブルペンで兄さんが投球練習をしています。
今は放課後。兄さんは野球部に所属しているので部活動に励んでいます。
そんな私は野球部のマネージャー。
いつでも兄さんのかっこいい姿を見れ、兄さんの世話を焼ける最高の仕事をしています。
難点と言えば一緒にマネージャーをしている人が例の牝牛である事と、キムとかいうキャッチャーがチラチラこっちを見てくることでしょうか。
あっ兄さんが休憩をするみたいです。
私はタオルを持ち、それとクーラーボックスから私の作った特製のドリンクを取り出し、兄さんの元へと駆けて行きます。
早くしないと牝牛に先を越されます。牛なのに運動神経がいいのは何故なのでしょうか。
「ハイ!和君、タオル!」
「兄さん!こっちのタオルをどうぞ!」
クッ…足が速いだけあって先を越されてしまいました…不覚。
私は勉強は出来るのですが、昔から運動系は全般が苦手なのです。
「ありがと、でもキムにも持ってきてやれよな」
「「キムくん(さん)はどーでもいいよ(です)」」
珍しく牝牛と声がハモリました。発情期のくせにキムさんには発情しないのでしょうか?
そういえばキムさんは名前の通りキムチが大好きで夏場でもお構いなしに学校にMYキムチを持参します。
だから牝牛はキムチの匂いでも感知して近づかなかったのでしょうか?
因みにそんな事をしているので昔、私たちとお昼ごはんを一緒に食べようとしたキムさんが腐ったキムチを持ってきて兄さんに殴られてました。いい気味です。
「まぁいいや、夏海ドリンクある?」
私は目を輝かせます。タオルと違ってこのドリンクは私しか持ってこれませんから。
「ハイ!ちゃんと持ってきてますよ!」
ドリンクを渡すとキャップをはずして飲み始めました。
因みに中に私の愛液をたくさん入れてあります。それを美味しそうに飲む兄さんを見ると発情しそうです。

「ねぇねぇ和君。いつも夏海ちゃんの作ったの飲んでるけどおいしいの?」
え?美味しいに決まってるじゃないですか!このドリンクはこの十数年間で私が知った兄さんの味覚を完璧に抑えて作ったシロモノなんですから。
どこぞの牝牛じゃ真似できないようにしてるんです。
「ん?飲んでみ?」
そういって兄さんは牝牛にペットボトルを渡しました。
…?口をつけて直接飲んでます。これってまさか…
「ダメーーーーーーーーーーー!!!!!!!」
すぐに私は声を張り上げました。これは間接キス…私は兄さんの知らないところでたくさんしてますが、この牝牛が許されていいことではありません。
「ん。夏海ちゃん怒ってるし返すね」
「どうよ?」
私の気持ちを知ってか知らずか兄さんは牝牛にそんな事を聞いてます。
「おいしかったよ。それより……これって間接キスだよね?和君」
「ハイハイ、そんな中学生みたいなこと言わないでいいから」
……
「んじゃそろそろ練習に戻るわ」
「うん!頑張ってね和君。」
……




 メウシナニヤッテイルンダ



61上原さんの一日 普通の日:2009/03/26(木) 23:52:38 ID:e1vguPL9

 六時半がきて帰る時間になりました。
正直あの牝牛がしてきたことを許せません。
「なぁ、いい加減機嫌直せよ夏海」
そんな事を兄さんが言ってます。正直今日中にはこの怒りを抑えられそうにありません。
今はなんか兄さんに牝牛がほざいてます。目ざわりです。
そう思っていたら急に体が宙に浮きました。
一瞬何が起こったのかわかりませんでしたが、しかし、少しして状況を理解しました。
私は兄さんにお姫様だっこされていたのです。
顔が熱くなり心臓の音がバクバクなるのが自分でも解ります。
それと同時にこれ以上にない喜びがあふれてきました。
「ほ〜ら恥ずかしいだろ?早く機嫌直さねーとおろさねーぞ」
兄さんが笑いながら私のほうを見ます。
まったくそんな事を言われたら機嫌を直したくなくなるじゃないですか…。
「いいなぁ〜夏海ちゃん。ねぇカ〜ズくぅ〜ん私もお姫様だっこしてよ」
駄目ですよ巡さん。兄さんは私専用なんですから。
「…じゃあ家に帰るまで機嫌直しません」
だから私は家に帰るまで兄さんに返事をしません。
「ったく、明日クラスの連中に何を言われてもしらねーからな」
そういう兄さんの腕に抱かれながら私は幸せな不機嫌で家へと帰って行きました。
62上原さんの一日 普通の日:2009/03/26(木) 23:56:57 ID:e1vguPL9
今日はここまでです。
前回は兄ちゃんの視点で書きましたが今回は妹の視線で書いてみましたが正直難しいです。

というかキムが妙に人気が出ててびっくりです。
妹視点だとキムが使いにくいのでこれからは兄一本で行きます。
63上原さんの一日 普通の日:2009/03/27(金) 00:03:16 ID:e1vguPL9
後それと>>52様 GJです!
64名無しさん@ピンキー:2009/03/27(金) 00:47:45 ID:J2CY7NcA
以前、あるTV番組で見たんだが
ヒトは臭い(匂い)に支配されている、と
生理を迎えると、より近い遺伝子を避けるために、兄や父を(匂いで本能的に)避けるようになったり
逆に、妊娠中は自己や胎児の安全確保(金銭的な意味でも)の為に
遠い遺伝子を受け入れたりするらしい
65名無しさん@ピンキー:2009/03/27(金) 00:49:43 ID:J2CY7NcA
つまり、キモウトってのは、生物学的に「ありえない」ってことさ
66名無しさん@ピンキー:2009/03/27(金) 01:04:18 ID:I1upBNev
その書き込みも流れ的に「ありえない」ってwww
67名無しさん@ピンキー:2009/03/27(金) 01:41:55 ID:R12Or2Eg
>>63
GJ!
68名無しさん@ピンキー:2009/03/27(金) 01:58:37 ID:+9p1DSfH
>>65
生物学的にとか言ってるくせに進化を否定すんな
69名無しさん@ピンキー:2009/03/27(金) 02:38:16 ID:S61hI256
>>62
GJ! 夏海視点乙です
妹視点で使いにくいなら妹視点では無理にキムを使わなくてもいいと思います
あの可哀想な扱いキャラが個人的に好きではありますけど

>>64-65
どこで聞いたか忘れてしまったんだけど
確かにそういう傾向が強いらしいけど
あくまで「傾向が強い」ってだけで完全に0ではないから
生物学的にあり得ないとまでは言えないとかって話のハズだったけど
70名無しさん@ピンキー:2009/03/27(金) 04:47:55 ID:mj7zFtzB
>>62
GJ。恋する少女目線って、いいね。
このテンションで行くのか、それとも多少狂化するのか……。
続きを楽しみにしてます。

あと、キムチ好きのキムに吹いた。キャラ立ちすぎ。
71名無しさん@ピンキー:2009/03/27(金) 06:32:06 ID:e7kYXbOr
>>62
GJ!
これは良いキモウトですね。

このあとキムの姉が・・・
72名無しさん@ピンキー:2009/03/27(金) 13:15:33 ID:GGmcs35W
キモ姉妹が中心じゃないとやはりスレチですか?
登場はするんですがそれがメインではなかったりします

73名無しさん@ピンキー:2009/03/27(金) 13:17:29 ID:9nc6hZ5J
>>72
展開による ド鈍い主人公で、付き合った女性がことごとく不幸な事故にあう度に実姉妹に慰められるとか
74名無しさん@ピンキー:2009/03/27(金) 14:24:45 ID:mj7zFtzB
>>72
書く力量にもよる。
1人の少女が、好きになった男の子が彼の姉妹に堕とされるのを、見せつけられてしまうとか。
75名無しさん@ピンキー:2009/03/27(金) 17:11:29 ID:mjxS0edw
ためしに投下して見ては?
76名無しさん@ピンキー:2009/03/27(金) 23:32:07 ID:BZY2W1tG
聖理ちゃんに……会いたいです……
77名無しさん@ピンキー:2009/03/28(土) 01:04:32 ID:iQn6m9sU
キモ姉妹がメインのスレなんで、
他の要素がメインならふさわしいスレに投下したほうが
78名無しさん@ピンキー:2009/03/28(土) 04:31:26 ID:S9M96is7
メインがどんなのかによるな
79名無しさん@ピンキー:2009/03/28(土) 11:50:49 ID:IB6nDsyK
出てきておもしろければそれでいいんじゃない?
結局メインがキモ姉妹でも駄文すぎたら叩かれることあるんだし
80名無しさん@ピンキー:2009/03/28(土) 18:09:23 ID:LdJ9qvMl
そろそろ新年度ですなぁ。
81名無しさん@ピンキー:2009/03/28(土) 19:59:17 ID:2w/lzvo0
弟が違う学校に進学してショックを受けるキモ姉
兄と同じ学校に進学してほくそ笑むキモウト
82名無しさん@ピンキー:2009/03/28(土) 19:59:37 ID:kJkB8mx2
兄弟がキモ姉妹から逃げる為に一人暮らしを始める時期という事ですね
83名無しさん@ピンキー:2009/03/28(土) 20:12:01 ID:kJkB8mx2
一時間以上レスが無かったのに書き込んで更新してみたら俺の前に>>81がいてビビったw
はっ! まさか>>81は内容や書き込まれたタイミング的に俺を付け狙っているキモウト!?
俺が書き込もうとするのを見て俺より早く>>81を書き込む事で
俺のあらゆる行動がお見通しなんだという警告を!?
84名無しさん@ピンキー:2009/03/28(土) 21:16:28 ID:Pi+eyB7m
もうすぐ一人暮らしw
家族に気兼ねなくこのスレを見ることが出来てうれしいわwww
85名無しさん@ピンキー:2009/03/28(土) 21:24:25 ID:skLK7a+y
だがしかし、>>84のPCにはキモ姉またはキモウトが仕掛けたスパイプログラムが入り込んでいたのだった……
一人暮らしを始めた彼がゴールデンウィークの帰省から部屋に戻ることは無かった

こうですね?
86名無しさん@ピンキー:2009/03/28(土) 21:33:39 ID:2w/lzvo0
>>84
一人暮らししても妹が料理作って待ってるよ
いくら鍵を変えても待ってるよ
住む場所を変えても待ってるよ
87名無しさん@ピンキー:2009/03/28(土) 22:10:59 ID:LdJ9qvMl
「4月から実家から1000km離れた全寮制の私立高校での寮生活」

「実家で姉さんが強要してくる、思春期の少年には拷問に等しい、
 混浴と添い寝という支配からは卒業さ!w」
88名無しさん@ピンキー:2009/03/28(土) 22:19:13 ID:jIz3/1WH
しかし意気揚々と帰宅した彼を待ち受けていたのは、裸エプロンのキモ姉妹であった
「おかえりなさい、ア・ナ・タ♥」
有無を言わさず部屋に連れ込まれ、翌日から彼には「鈴虫(夜泣き野郎)」とのあだ名が付きましたとさ
めでたしめでたし
89名無しさん@ピンキー:2009/03/28(土) 22:40:31 ID:RGKAt7rh
みろ、このノリのよさw
90名無しさん@ピンキー:2009/03/29(日) 01:34:15 ID:ZH+gKUy7
僕、姉さんのこと大好きだよ。
一緒にいてあげるから、エッチなことはしないでね。
エッチなことをする姉さんは嫌いだから♪
(これで安心して生活できるw好きなのも嘘に決まってるだろw)
91名無しさん@ピンキー:2009/03/29(日) 01:44:05 ID:rIAG2S0u
グヘヘヘ
92名無しさん@ピンキー:2009/03/29(日) 03:10:24 ID:cJonnnCM
お前等にとある有名な人の有名な台詞を教えよう

「大魔王からは逃げられない」
93 ◆6AvI.Mne7c :2009/03/29(日) 07:30:15 ID:wFcKzH+Z
>>80-92
もうアナタら全員で、リレーネタでも作ればいい。
そう思ったのは、自分だけではないと思いたい。
 
あまりモノの小ネタを投下。今月はコレで最後です。
タイトルは「オタクの妹さん 〜after〜」。例の兄妹の蛇足的後日談。
キモさ薄めのさわやか系&別方向のキモさ。前の話が好きだった人は注意。
 
次レスより投下。3レスの予定。
94オタクの妹さん 〜after〜 (1/3) ◆6AvI.Mne7c :2009/03/29(日) 07:34:01 ID:wFcKzH+Z
 
「なあ、俺はこんな時に、どんな顔をすればいいんだ?」
「ん〜、笑えばいいと思うよ?」
 
 まずは現状を説明しよう。
 俺は妹に連れられて、無理矢理デートに出かけさせられたはずだった。
 だがしかし、現在俺達が居るのは、どうみてもイベント会場。
 そう、俗に「同人誌即売会」と呼ばれる、祭りの真っ只中だった。
 
「なあ――もう何があっても驚かないつもりだが、デートはどうなった?」
「やだなぁお兄ちゃん。これがデートだよ。ほら、2人で一緒だし。
 それに、一昨日まで同人誌製作やコピー本印刷、手伝ってくれたじゃない?」
 ああ、あの修羅場って、今日の為の布石だったわけね。
 あの兄妹系18禁本の製本と発送、終わってからマジでぶっ倒れたっけな〜。
 
「ってそうじゃないわボケ! なんで俺まで売り子やらにゃいかんのだ!」
「えぇ〜、あの時お兄ちゃんも売り子の件、OKしてくれてたじゃんか〜」
「い、いつだよ? そんな約束した覚えは」
「一週間前、もう無理だっていう私を後ろから犯した時、手伝うってやk」
「わー! うわー! 悪かった! 思い出したよ! ごめんなさい!!」
 
 
 そう、笑えないことに、俺と妹は「近親相姦」の関係にある。
 俺は知らなかったのだが、妹は昔から、俺を1人の男として愛していたらしい。
 そしてつい数ヶ月前、俺は妹に襲われ、無抵抗のままに身体の関係を持たされた。
 事前に兄妹恋愛の意識を刷り込まれていた俺には、なす術がなかったのだ。
 
「それでタガが外れたように、私の身体を求め出したのは、誰だっけ?」
「俺の思考を読むな。そして誰ががっついてるってんだよ?」
 まあ、今では半分以上諦めて、妹と恋人の真似事を楽しんでいる。
 それにしても、今回のはオイタが過ぎないか。正直恥ずいっての。
 
「まあまあ。実はさ、今回のサークルカットに、兄と一緒に出るって書いちゃって。
 だから、今日はなんとしても、お兄ちゃんを連れてくるつもりだったの」
「何しとるかオマエは。それでジロジロ見られてるのか」
 さっきから、俺達のブースに買いに来る連中が、何故か俺の顔をジロジロ見てきていた。
 ああつまり、こんな本を書いた少女の兄とやらを、一目見たかったってわけだ。
 
「なあ、こんな内容の本を売っているからさ、俺達の関係を誤解されてないか?
 本の内容みたいなセックスしてるとか思われてそうで、心配だよ……」
「あ、それなら心配ないよ。多分8割以上が、そういう目で見てるハズだから」
「おい待て。なんでそうなる?」
 思わず突っ込んだ。そういや周りにも、なんか兄妹や姉弟のような連中が多いが……。
 
「お兄ちゃん。今回のイベントはね、『しすぶら・inせすとらばーず4』っていうの。
 お兄ちゃんなら、このくらいの捩りネタ、なんて読むか解るよね〜?」
 ああはいはい、そういうことね〜そういうことか〜……
「要するに『兄弟姉妹恋愛オンリー』ってことじゃねぇかあああああぁぁぁぁぁぁ!!」
 
 
 あまりに騒がしかったために、スタッフに怒られました。猛省。
「はあ、もういいや。全部あきらめたよ俺は――
 あ、まいど〜。そちらの本は、一冊500円になります」
「丁度お預かりしま〜す。こちらオマケになりま〜す。ありがとうございました〜」
95オタクの妹さん 〜after〜 (2/3) ◆6AvI.Mne7c :2009/03/29(日) 07:40:59 ID:wFcKzH+Z
 
――少しだけ時間を遡り、4日前のこと。
 
 俺と妹は、自宅で缶詰になり、原稿を仕上げていた。
「うああああっ、午前中に仕上げないと、印刷所が! 製本がああぁぁぁ!」
「ええい! 五月蝿いわアホ妹! なんでこんなギリなんだよこの原稿!?」
 俗に言う修羅場状態。基本妹1人でやってるから、俺がヘルプに入ったが――
 
「しょうがないじゃないのー! お兄ちゃんにやられて、腰が痛かったのよー!」
「ああもうそれは言うな! ちょっとは反省して――よし、こっち終わったあ!」
「おおっ! お兄ちゃんでかしたっ! あとはコッチのベタ――よしできたっ!」
「それで、今日はあとコレを近所の印刷所に持ってくだけなんだな!?」
「そうだよっ! でも腰が痛くて――お兄ちゃん、1人で行って来てぇ……」
「何その公開セクハラ!? 恥ずくて行けるかぁ! オマエも連れてくわぁ!」
「に゛ゃあああぁぁぁぁ………もっとやさしくしてえぇぇぇ………」
 
 まあ、そんなこんなで、無事製本までこぎつけることができましたとさ。
 どうやら、今回のイベント目玉の新刊だったそうで、落とせなかったそうだ。
 内容はもちろん兄妹モノ18禁。妹曰く、俺に見せた例の冊子の続編らしい。
「お兄ちゃん。本当に助かったよ。だから、ありがと〜のちゅ〜!」
 印刷所の待合室でやるなというのに。人がいたらどうする気だオマエは。
 
 
「しかし、オマエは今の関係になって、コレを作る必要はないだろうに。
 なんでまだ同人作家を続けているかなぁ? 俺に教えてくれないか?」
 
 そう、妹が同人作家になったのは、俺とのセックスの代償行為だったはずだ。
 だから、関係を持てた今では、コレを作る必要はまったくない、と言える。
 
「う〜ん、一番の理由は『惰性』とか『習慣』って感じなのかな?
 やっぱり今までやってたことだから、急にやめると寂しいし。
 お兄ちゃんと恋人になれたのは本当に嬉しい。今は満たされているよ。
 でもだからって、これまでやってきたことを投げ出しちゃ、駄目だもん。
 お兄ちゃんだって、何かを中途半端にするのは、嫌いでしょう?」
 
 普段はふにゃっとした感じの妹から、そんな真面目な言葉をかけられた。
 こんな真面目な妹を見るのは、あの日俺に関係を持ちかけた時以来だ。
 そういや確かに、俺は妹に「半端ならやるな」と日頃から言ってたっけな。
 
「それに、不純な動機だったけど、友達や同志だって、少しは増えたんだよ。
 映像作品の『向ダブルサイド』さんトコみたいな、仲のいい創作友達がいる。
 『The-Fortune-Diary』さんトコみたいに、応援してくれるブロガーさんがいる。
 私は、そんな些細な人との繋がりだって、大事にしていきたいんだよ」
 
 そうだよな。妹は誰にも相談できなかったんだよなぁ。
 兄妹での恋愛なんて、誰もが否定するだろうから、1人で抱え、悩んだはずだ。
 今みたいに心から笑えてるのだって、俺に告白してくれてからだもんな。
 
「というわけでお兄ちゃん。もうちょっと待っててね?
 私の同人活動が一通り終わったら、お兄ちゃんに独占されてあ・げ・る!」
 
 ああ。やっぱもう少し同人活動を続けやがれ、このバカ妹。
96オタクの妹さん 〜after〜 (3/3) ◆6AvI.Mne7c :2009/03/29(日) 07:45:34 ID:wFcKzH+Z
 
――閑話休題。現在の話に戻る。
 
 とりあえず、本日用意した部数をあらかた売り払い、ひと段落した頃。
 妹は余裕ができたらしく、数人分のスケブに絵を描いていたりする。
 確かに、妹はこの非日常の場で、生き生きとしている。
 俺と恋人として向き合う時以外にも、こんな顔をしているのか。
 そう思うと、なんか悔しいな。早く俺に独占させやがれ。
 
 そんな忙しそうな妹の横で、俺自身もそこそこ忙しかった。
 妹が応対できない間、他サークルの連中を始め、いろんな人間に挨拶していた。
 その大半が「こんな可愛い妹、大事にしてあげなさいよ」との冷やかしだった。
 まったく。言われなくても、ちゃんと解ってるっての。
 
「よし、ひと段落ついたー! おつかれお兄ちゃん」
「おつかれさん。さあて、あともう少しだから、頑張ろうか」
「うん。ところでお兄ちゃん。私に何か言うことない?」
 な、なんだ急に。まさか、さっき考えてたこと、少し読まれてたのか?
 
「ふーん、だんまりなのかー。ひどいな〜。
 私はお兄ちゃんのこと、と〜っても好きなのに」
 ああもう、改めて言うな。かなり恥ずいし、顔が赤くなる。
 ええい、もうずっとだんまりを決め込んで―――
 
「私は、お兄ちゃんのことを、世界一愛しているんだよ」
「真面目なところも、たまに見せる間抜けさも、全部好き」
「私はこれだけ好きなのに、お兄ちゃんは、違うの?」
 
 くそぅ、この恥ずかしい娘め!
「ああもう! 解ってるよ! オマエが俺を愛しているのは!
 俺だってオマエを愛してるよ! さあどうだ、文句あっか!?」
 
 ああ、なに天下のイベント会場で叫んでるんだ俺。おや、妹の様子が……?
「き、きききき……キター! ツンデレお兄ちゃんのデレがキター!!」
「なんじゃそらあああああ!! 台無しだよもう! 俺の告白かえせ!?」
「やだもーんっ! お兄ちゃん好き好き大好き超愛してるうぅぅ!!
 キャッホォウ!! ……ってああん!? 興奮しすぎて鼻血が出たぁ!」
「ああもう何やってんだよこのオタク馬鹿いもうとおおぉぉ!!
 すみませんそこの人! ティッシュはありませんかー!?」
 
 
 またもや騒ぎすぎて、やっぱりスタッフに怒られました。猛省その2。
 次やったらここから追い出されるそうだ。その方が良い気がしてきたよ。
「まだまだぁ! 私ここでは結構有名だし、もう少し頑張るもん!
 さあ、兄妹愛を全国に発信だ! まずはあの本の第3弾を書くぞぉ!!」
 だから叫ぶな。向こうから怖いスタッフさんが、ずっとこっちを睨んでるぞ。
 
 まったく、厄介な妹に惚れてしまったようだ。
 まあいいか。このバカに、とことん付き合ってやる。
「俺が決めた。今決めた。離してやらねえぞ、このバカ妹!」
「望むところだ! 死んだって愛してるからね、お兄ちゃん!」
 
――ちなみに例の本は、コピー本もあわせて無事完売できた。店舗委託や再販はないそうだ。
 
 
                                      ― Soldout & Thank you ―
97名無しさん@ピンキー:2009/03/29(日) 08:40:18 ID:hvrjrAMC
おお、ぐっじょ!!
98名無しさん@ピンキー:2009/03/29(日) 09:47:05 ID:rIAG2S0u
GJ!!!
ハッピーエンドですなぁ
99名無しさん@ピンキー:2009/03/29(日) 11:52:23 ID:DG/WUR3Y
自分の姉や妹ってさ、よほどのことがない限り「しょうがねぇなぁ」
で許しちゃうよね

>>96
GJっした!
100名無しさん@ピンキー:2009/03/29(日) 14:34:38 ID:WhlK5/1O
GGGJJJ!!!

どんなにキモい姉や妹でも構わず受け入れる
そんな男が一人ぐらいいてもいい
101名無しさん@ピンキー:2009/03/30(月) 07:17:41 ID:Lc46yzOO
そろそろ永遠のしろが来てもいい頃。
102名無しさん@ピンキー:2009/03/30(月) 19:06:51 ID:LznDPIsg
そろそろノスタルジアがきてもいい頃
103名無しさん@ピンキー:2009/03/30(月) 20:17:04 ID:m2ziUMu4
そろそろ待ちきれない読み手が書き手になってもいい頃
104名無しさん@ピンキー:2009/03/30(月) 23:39:54 ID:Uy4SnZA0
永遠のしろ来て欲しい…
105名無しさん@ピンキー:2009/03/30(月) 23:58:15 ID:+dR+UKIN
やっぱり弟くんは姉ちゃんより姉さんって言うとテンションあがる
106名無しさん@ピンキー:2009/03/31(火) 00:38:22 ID:Oizu0ZFf
もしくは、 お姉さま だな。

ショタウト「ヤメてお姉さま!!」

107名無しさん@ピンキー:2009/03/31(火) 00:45:07 ID:+PCV5vWI
もういい俺は今から小説の書き方を勉強してくる
待つのはもうこりごりだ
108名無しさん@ピンキー:2009/03/31(火) 01:44:50 ID:bxwYJlU7
未来のあなたへはまだか
優香に会いたいぞ
109名無しさん@ピンキー:2009/03/31(火) 02:19:20 ID:eLAxm7mm
「ん、クチュ、ちゅぱ…お姉さ、ま…もう、やめて…」
深夜も二時を回ったかという頃、二人の男女がベッドの上で唇を貪りあっていた。
男の方は男と呼ぶには幼すぎる少年であり、女の方は女と呼ぶに相応しい美しい女だった。
「何言ってるの?実の姉にこんなに興奮して。ホント変態ね貴方は」
そう言うと女は少年の股間に手を延ばし、パンツ中のペニスを扱き始めた。
二人は姉弟だった。間違なく血の繋がった。
しかし、姉は毎夜弟の部屋に来ては弟への凌辱を繰り返していた。
「うっ!くっ、はぁ…」
弟の息が上がるの感じると姉は更に少年のペニスを扱く速度を上げる。
「んあぁっ!」
もう限界と弟が悲鳴を上げ、達する寸前で姉は手淫を止めた。
生殺しにされたペニスはビクンビクンと脈打つ。
「誰が許可なく逝って良いといいました?」
「お、お姉様…!ご、ごめんなさい…」
姉の高圧的な言葉に弟は恐ろしいと言わんばかりに謝罪する。
もし姉の許可なく弟が欲望を吐き出していたら、彼は躾と称した更なる凌辱に耐えなければならなかった。
110名無しさん@ピンキー:2009/03/31(火) 02:20:02 ID:eLAxm7mm
「いつも出すのは何処だと教えましたか?」
姉はクリクリと親指と人差し指で弟の亀頭を弄りながら問う。
「お、お姉様の、な、中にですっ!」
「分かれば良いのです。」
弟の答えに満足したのか姉は亀頭を弄るのを止め、立ち上がった。
そして自らのスカートをたくし上げ、愛液でベトベトになった秘所を弟の前に晒した。
「ほら、今度は好きに出しても良いのですよ」
姉は弟の上に跨がり狙いを定めると潤った秘所はズブズブと弟のペニスを飲み込んでいく。
「あぁ!お姉様!気持ちいいよお!」
弟は自分のペニスが飲み込まれていく快感に身を捩らせる。
よだれを垂らしながら悶える弟に姉も興奮したのかペニスを締め上げ、腰の速度を一気に上げていく。
「いくっ!逝っちゃう!お姉様の中に出ちゃう!」
「ふふ…いいわよ。いっぱいお姉様の中に出しなさい…」
姉はトドメとばかりに先程以上の締め上げと速度で攻め立てる。
「お姉さまぁ!!」
絶叫と同時にドピュドピュと弟は姉の中に射精した。
それに合わせ姉も達し、再び弟の唇を貪りながら余韻に浸った。



「今日もいっぱい出たわね。明日はもっといっぱい出しなさいね」
姉はなでなでと疲れ切った弟の頭を撫でる。
弟は姉の胸に抱かれながら、こんなに幸せなら変態いいやと幸福な眠りに落ちた。
111名無しさん@ピンキー:2009/03/31(火) 02:20:56 ID:eLAxm7mm
保守代わりに作ったから変なとこあっても簡便な
112名無しさん@ピンキー:2009/03/31(火) 02:36:47 ID:jORBd5Ea
>>111
おお、保守お疲れさま&GJ!
既に躾が完了してるなこの弟くん。
また書いていってくださいな。
113名無しさん@ピンキー:2009/03/31(火) 11:26:45 ID:+QvbKPrq
>>111
GJ!!!
114名無しさん@ピンキー:2009/03/31(火) 11:43:36 ID:Kr8faE9Y
しつけ終わった弟を保守する図ですか…お見事。
115名無しさん@ピンキー:2009/03/31(火) 22:57:46 ID:eLAxm7mm
>>110
訂正
×変態いいや
○変態でいいや
116 ◆6AvI.Mne7c :2009/04/01(水) 00:43:28 ID:5NrxqyhD
日付かわったのでエイプリルフールネタ投下。小ネタ×2っぽい短編。
タイトルは適当に「わたぬきのひ、あざむかれて」。姉×弟/兄×妹な話。
わかりづらいエセ叙述トラップ注意。解答は4頁目にあります。

次レスより投下。4レス借ります。
117わたぬきのひ、あざむかれて (1/4) ◆6AvI.Mne7c :2009/04/01(水) 00:47:04 ID:5NrxqyhD
 
「ねえ弟。私はあんたのことが、大っ嫌いなのよ」
 突然こんなことを言われたら、俺はどうすればいいのだろうか。
 
 時計の針が3本とも頂点に達した瞬間、俺の目の前にいた姉貴がそう言った。
 自慢じゃないが、俺の姉貴は結構な美人で、豊かな才能の持ち主だ。
 だがなぜだか、姉貴はいつも俺に冷たく当たる。俺が何をした?
 そのくせ、いつも俺の部屋に入り浸るんだから、納得いかねぇ。
 結論、俺の姉貴はツンデレ(但しツン9割)だ。そう思っていた。
 そう思っていた――その結果がこれだよ!
 
「あんたはだらしないから、面倒を見ることが面倒くさい」
「あんたを見てたって、私はなんにも感じないのよ」
「あんたがいなくなると、私はなんでもできそうだわ」
 何も返せずに黙っていると、なにやら酷いことばっかり言われている。
 だから俺が何をしたよ。ああもうイライラしてきた。
 一言ぐらい言い返さないと、俺の立場がなくなるっての。
 
「俺だって、姉貴のことは、大っ嫌いだよ!
 いつも俺の部屋に来るのは、うっとうしいし!
 俺の視界に入ってこられると、迷惑だしさあ!
 姉貴がいないほうが、恋人も作れるだろうしな!?」
 
 一息に捲くし立てる。ああ、顔が赤い。
 あんまりこんなことを、姉貴に向かって言ったことないしな。
 まあ恋人に関しては、姉貴がいないほうが、ってのは合っている。
 姉貴が美人なせいか、俺はいまいち女子に近づいて来てもらえない。
 むしろこっちが近づくと、なんでかみんな少し引き気味になる。
 ………言っとくけど、俺が極端に不細工とか、ウザイという訳ではない。
 どちらかというと、俺は顔だけは姉貴似だ。そう信じている。
 
「そう……そっかぁ……」
 俺が叫んだあと、姉貴が急に黙りこくる。
 少々言い過ぎの感があったかな。謝らないと。
 そう思って、口を開こうとした瞬間。
 俺の身体は宙を舞い、なぜかベッドの上に仰向けに倒れこんだ。
「アレ? なんで俺、ベッドに倒れ――」
 ベッドの発条に跳ね返された勢いで、身体を起こす――ことに失敗。
 俺の身体に、なにやら温かい重みが加わり、その場に押さえつけられる。
 何事かと、顔をその方向に向けてみようとして――
 
「ん、んむぅ……」
 姉貴の顔が目の前に――いつの間にか、キスされていた。
118わたぬきのひ、あざむかれて (2/4) ◆6AvI.Mne7c :2009/04/01(水) 00:49:40 ID:5NrxqyhD
 
 ああ、姉貴の顔って、近くで見るとこんなに綺麗なんだな。
 女の子の香りがするし、髪の毛はサラサラだし、唇も柔らかい。
 俺の舌に絡まってくる姉貴の舌も、くすぐったくて気持ちよくて――
 
「って待てえええええ!? 何しとるか姉貴いぃぃぃぃ!?」
 正気に戻って、両腕で姉貴を押しのける。
 突き飛ばすのではなく、30センチ程度持ち上げたのは、俺の優しさだ。
 実のところ、姉貴を含めて女性を怪我させるのは、いただけないし。
 
「もう……オアズケだなんて♪ どこで覚えてきたのかしら?」
 言いながら唇を舐める姉貴。顔立ちがいいためか、とても艶っぽいです。
「ああ、その……、なんだ。なんで、こんなことしたん?」
 対してこちらは、どもってしまってとにかくみっともない。
 
「んふふ。アンタってばもう、ホントにもう……ねっ♪」
 いやいや意味がわからんよ姉貴。説明になってないってば。
「あらあら、なんでキスされたか、理解していないって顔ね。
 教えて欲しいのなら、そこのカレンダーを見たらいいわ」
 
 言われて振り向くと、3月と4月の日程が書かれたカレンダーがある。
 そして、いつの間にか「4月1日」のところに、赤丸で印がつけてあった。
「あ〜っと、そういや今日は、エイプリルフ」
 言葉の途中でまた、唇を塞がれる。今度はいきなり舌がもつれ込んできた。
 柔らかくて激しくて、もう頭がフットーしちゃいそうだよぉ――
 
「じゃなくて!! だからキスをする理由はなんだよオイ!?」
 もう1回姉貴を引き離し、問いただす。だから唇舐めるな。
「ふぅ……、キスする前の会話を、ちゃんと思い出しなさい。
 そこに答えがあるから。じゃあ続きを………それっ♪」
 
 言うと同時に、俺の両手を封じる姉貴。って足も封じられてるし。
 それを確認して、3度目のキスに突入してくれやがる姉貴。
 そりゃあ姉貴は美人だ。ときどき俺もオカズにしてたりするさ。
 だけど、それとこれとは別問題だ。そうだ別問題だ。
 大事なコトなので2回考えました。じゃないと姉貴に――
 
「んちゅ……むぅ………んうぅ…………」
 ああもう駄目だ。姉貴に欲情して、勃ててしまった。
 しかも姉貴に気づかれた。オマケに姉貴の瞳が、淫靡に輝いた。
「実の姉に興奮するなんてねぇ…………」
 そう言って、俺の服を器用に剥がす姉貴。両手足は封じられたままだ。
 
「じゃあ…………はじめよっか♪」
「あ、あわ、わわ…………やめてえええぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!?」
 
――その夜、哀れにも1人の青少年が、1匹の雌豹にいただかれましたとさ。
119わたぬきのひ、あざむかれて (3/4) ◆6AvI.Mne7c :2009/04/01(水) 00:53:31 ID:5NrxqyhD
 
 4月1日の朝。俺は布団の中で、1人目を覚ました。
 同時に、とんでもない快感の記憶と、後悔の渦が頭を駆け巡った。
 
「まあ待て俺。アレは夢だったんだ。そうに違いない……」
 そう考えて布団をめくり……もう1度絶望する俺。
 布団の中で俺は全裸で、全身が汗や体液でベタベタしている。
 オマケに、布団はなにやら湿っていて、所々に白い液と、赤い斑点がある。
 
「おはようございます、現実。おやすみなさい、淡い希望。
 ああああああああああ……もう俺、死にてぇ〜〜」
 向こうから襲ってきたとはいえ、俺は姉貴と繋がっちまった。
 しかも向こうは一切悪びれず、限度なしにぶつかってくる始末。
 最後はもう、俺から積極的にいってたような気がするからなぁ……。
 
「姉貴は……大学に行ったのか? たしか授業登録の日だったか。
 まあいいか。正直今は、顔合わせらんねぇし……」
 いかん、マジで気分が沈んできた。しかも全裸。こんな時に誰かが――
 
 
「1人で何をブツブツ喚いてんのよ、そこの馬鹿兄貴。
 それよりホラ、コーヒー用意してやったわよ?」
「ってうわぁっ!? なんでオマエがここにいるんだよ!?
 つうか何でオマエがモーニングコーヒー用意してんだよ!?」
 
 悩む俺の横に現れたのは、県外の高校に通っているハズの妹だった。
 コイツは確か、今年の春は帰省しないって言ってたハズなのだが?
「なあ、なんでオマエが帰って来てんだよ。連絡くらい――」
「別にいいでしょそんなこと。それよりさっさと飲んでよコレ。
 冷めたら不味いし、片付かないでしょうが。ホラ早くして」
 
 やっぱりかわいくねぇ。帰省の度にいつもコレだ。
 俺のこと嫌いなのか知らないが、いちいち突っかかって来んな。
 いくら外見が姉貴みたく綺麗だっつっても、ちっともかわいくねぇよ。
「わかったよもう。わかったからそのコーヒーくれよ。
 それと、あまりこの部屋でゆっくりすんなよ。早く――」
 
「ふぅん。それはこの部屋が性的な意味で臭いから、ってコトなの?
 それだったら別にいいよ。もう姉貴から全部聞いてるしさ♪」
「あ、あ、あんのアホ姉貴ィィィィィ!!」
 なんつーことをサラリとバラしてやがる! 信じらんねぇ!?
 よりにもよってコイツにバラすか普通? 釈明の余地さえねぇぞ!?
 
「言い訳はしなくていいよ、それだけ時間の無駄だから。
 それよりコレ、姉貴から預かってた手紙よ。目が覚めたらって。
 そんで、内容は私と一緒に読みなさい、って言ってたわ」
 
 正直なところ、嫌な予感しかしない。
 だが、ここでコレを読んでおかないと、また後が怖いし。
「悩まないでよ、私も読めって言われてんだし。
 ホラもう開けたよ。そんでさっさと兄貴が読んでよ?」
 
 まったくためらわずに便箋を開いて、手紙を見せてくる妹。
 こっちの心の準備くらいさせやがれ、この馬鹿妹が。
120わたぬきのひ、あざむかれて (4/4) ◆6AvI.Mne7c :2009/04/01(水) 00:57:48 ID:5NrxqyhD
 
『ああ、わが愛しの弟よ。
 この手紙を読んでいるということは、もう私は大学に(以下略)
 
 単刀直入に言います。私はあんたを愛しています。
 だけど、あんたに面と向かってそれを言えないわ。恥ずかしいもの。
 そういうわけで、このエイプリルフールを利用されてもらったわ。
 
 簡単なことよ。いつもあんたに冷たく当たってるように、悪口を言うだけ。
 それで怒ったあんたが反撃して、私に「嫌い」とか言ってくるのを待つ。
 でもそれはエイプリルフールってことで、今日に限り『嘘』扱いになるの。
 つまり、私もあんたもお互いに「好き」と言ったことになる。
 
 まあ、照れ隠しみたいなものね。許してとは言わないわ。
 とにかく、私はあんたが好き。大好き。心から愛してる。
 この手紙の内容は、『嘘』なんかじゃないから、安心しなさい。
 ふふっ♪ 今夜は楽しみにしてて。さっきの2倍は楽しくなるからね♪
                               あんたを愛する姉貴より』
 
 
「……………………読むんじゃなかった」
「ふぅん。姉貴ってば、あんな性格の癖して、いじらしいじゃないの。
 こんな乙女心全開の手紙なんて、いまどき誰も書かないのにねえ」
「いやちょっと待て! そんな判断でいいのかこの手紙!?」
 
 つまりこの手紙によると、姉貴が昨日言ったことは、全て逆だったらしい。
 「何でもできる」は「何もできなくなる」って感じの変換か……。
 どこが乙女だっつーの。紛らわしくてわかりにくいだけじゃないか。
 というかさ、最初っから手紙で――書いたら、読んだ俺が逃げてたもんな。
 
「ああもう馬鹿馬鹿しいなホントに。もう不貞寝したい気分だ。
 というわけで、出てってくれよ馬鹿妹。オマエがいると寝られないし」
「いいよ、出てってあげる。兄貴、私はあんたのことが大っ嫌いだからね」
「あっそう。俺だってオマエのことは大っ嫌いだし、別に構わん――」
 
 あれ? ちょっと待て。このパターンはどこかで――
 というか、目の前の馬鹿妹の瞳の色が、変わってやがるんですけどコレ。
「兄貴。いつも言ってたけどさ、兄貴ってば本当に、アレだよね♪」
 アレとか言うな。というか鼻息荒くして俺に近づくな、怖いから。
 
「なあ、もしかしなくても、オマエも俺のコト、好きだとか言うのか?」
「ふ、ふふふ、うふふふふふ……女の子の口から、それを言わせるの?
 それにあの手紙の『2倍は楽しくなる』の部分に気づかないと、ね♪」
 なんてこった。つい数時間前に姉貴に騙されたというのに!
 たった今読んだ手紙に種明かしが書いてあったというのに!
 また引っかかってしまったのか? あのアホな『嘘トラップ』に!?
 
「さあ兄貴、覚悟はできてる? もちろん私は…………えいっ♪」
「あ、あわ、わわ…………やめてえええぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!?」
 
――その朝、哀れにも1人の青少年が、またも1匹の雌豹にいただかれましたとさ。
 
 
                                      ― Is a deceived person bad? ―
121 ◆6AvI.Mne7c :2009/04/01(水) 01:04:17 ID:5NrxqyhD
投下終了。最初のレスで宣言アリと書き忘れた。

月がかわって年度もかわったし、また職人さん達が増えたらいいな。
122名無しさん@ピンキー:2009/04/01(水) 01:09:28 ID:9gV3aV6K
>>121
姉妹丼だと…GJ!!!
123名無しさん@ピンキー:2009/04/01(水) 01:40:53 ID:9/iA8t5i
>>121
エイプリルフールGJ!

なんて言ってあげないんだからね!
124名無しさん@ピンキー:2009/04/01(水) 04:27:58 ID:700qlrR4
>>121

てめぇの作品読んでると吐き気がすんだよ!
2度とこのスレに投下すんじゃねぇ、このクズ!!


……ふぅ。ごめん、うそだ。
125名無しさん@ピンキー:2009/04/01(水) 18:25:55 ID:oJDDOio7
>>121
GJ!
今日、投下してくれなかったら同じ手に引っかかるとこだった
キモウトに襲われそうになったら愛の告白してみるわ
126名無しさん@ピンキー:2009/04/01(水) 19:50:02 ID:9/iA8t5i
今日はキモ姉妹に「嫌い」と言っても喜んで襲って来ますのでご注意ください
裏をかいて「好き」と言ったらそのまま受け止めて襲って来ますのでご注意ください
127名無しさん@ピンキー:2009/04/01(水) 21:31:39 ID:2uNhI7Xc
>>126

つまり話し掛けなければいいのか ありがとう参考になったわ
128名無しさん@ピンキー:2009/04/01(水) 21:37:15 ID:aoiYAllH
姉じゃなくて妹がほしいなぁ
どうしよ
129名無しさん@ピンキー:2009/04/01(水) 23:16:29 ID:700qlrR4
>>128

姉「今日からお前をお兄ちゃんと呼ぶコトにしたぞ。」
130名無しさん@ピンキー:2009/04/02(木) 00:03:46 ID:9/iA8t5i
>>128
キモ姉「仕方ないなあ♪三年間コールドスリープして来るから待っててね♪」



キモ姉「もし寝てる間に浮気したら…」
131名無しさん@ピンキー:2009/04/02(木) 00:24:14 ID:UF8D24Ht
タイムリープして未来へ
132名無しさん@ピンキー:2009/04/02(木) 00:29:33 ID:W582Ml18
>>130
弟「アハハ兄ちゃん大変だねw」
兄「えっ?」
弟「じゃあ、僕久々に幼馴染家へ行ってくる」

兄「弟乙…いやこのフラグは幼馴染乙か…」
133名無しさん@ピンキー:2009/04/02(木) 00:55:51 ID:+HugOklh
くせぇ
134名無しさん@ピンキー:2009/04/02(木) 10:29:57 ID:AQ4HXjBV
>>128
簡単なこと。
自分に弟が居るなら、誰かと結婚させなさい。
自分に弟が居ないなら、妹の居る女性と結婚しなさい。

どちらも『義』が頭に付いちゃうけどな!
135名無しさん@ピンキー:2009/04/02(木) 11:46:47 ID:B9zB/Ari
>妹の居る女性と結婚〜
キモ姉の居る家庭でそれやったら
物凄い修羅場になるような

妻VS姉VS義理のキモウト・・・
136名無しさん@ピンキー:2009/04/02(木) 11:51:54 ID:WvDH9cnO
その方法には欠陥がある
実の妹と同じく許されない恋愛だという事だ

その問題点を解決したパターンがこれだ
・自分(A)と相手(B)共に兄弟姉妹(C、D)がいる事
・CとDの性別が逆でこの2人が結婚する事
・AよりBの方が年下である事
これで勝つる
137名無しさん@ピンキー:2009/04/02(木) 15:38:13 ID:UiOTtFBm
>>136
熱く語ってるようだけど、それって結局一人っ子には使えないじゃん。

そして楽しそうな>>134-136の面々へ。
自身の兄弟姉妹の結婚相手の姉妹って、このスレではキモ姉妹扱いにならないんじゃない?
だってそれって、義理の姉妹とはいうけど、要はただの親戚だし。
138名無しさん@ピンキー:2009/04/02(木) 19:47:49 ID:XGS1kb9U
このスレだと従姉妹だったり血縁関係がなかったりするキモ姉キモウトも結構いるぜ。

が…まあ、なんか違うなって気持ちは解る。
139名無しさん@ピンキー:2009/04/02(木) 21:12:55 ID:UuFFTIqi
ところで姉と妹どちらのほうが好き?

俺はねえs(アーーーーーー
140名無しさん@ピンキー:2009/04/02(木) 21:24:44 ID:5S1SHNv4
やっぱり妹だろ JK
141名無しさん@ピンキー:2009/04/02(木) 21:37:59 ID:UiOTtFBm
雑談の流れは見てないけど、たぶんぶったぎりになると思うが……

>>138
なんと言うか、義理の場合は、親の再婚や養子縁組で、一応戸籍上の繋がりがないと、キモ姉妹だと思えないんさ。
それ以外はもうヤンデレの認識というか……

かなり心の狭い、自分ルールだなあ。
それにしても、無駄話が過ぎた……
お詫びになんか小ネタ用意してきます。
142名無しさん@ピンキー:2009/04/02(木) 21:44:39 ID:dp1cehzU
>>141
親の再婚の場合、養子縁組をしてなければ法律上は「赤の他人」
143名無しさん@ピンキー:2009/04/02(木) 23:06:26 ID:yjhlKzzE
血より濃いものがあったっていいと思うんだ
144名無しさん@ピンキー:2009/04/02(木) 23:11:55 ID:++aoLhgO
>>143
兄or弟の濃厚な精液とか?
145名無しさん@ピンキー:2009/04/02(木) 23:21:32 ID:CPERMk/q
>>144
キモ姉妹「それだ!!」
146名無しさん@ピンキー:2009/04/02(木) 23:35:13 ID:AgsDhPnB
妹と姉か・・・・・
ここはやっぱ妹だろw

姉?
ないない
147名無しさん@ピンキー:2009/04/02(木) 23:38:55 ID:EwMAnQBx
いやここは姉だろ
148名無しさん@ピンキー:2009/04/02(木) 23:39:22 ID:6/1lvQac
戸籍上従姉妹だが、実姉妹だな
149 ◆6AvI.Mne7c :2009/04/02(木) 23:52:44 ID:UiOTtFBm
>>145
「「いや、それかぁ!?」」←全国のキモ姉妹に愛される弟や兄の叫び。

というわけで、前言どおりに小ネタ――短編を投下します。
タイトルは「貴方専用の等価交換」。前スレでちょろっと出た赤貧ネタの流用。
姉×弟/兄×妹のお話。ネットオークションネタ以外、特に注意点はなし。

次レスより投下。5レス借ります。投下終了宣言アリ。
150貴方専用の等価交換(1/5) ◆6AvI.Mne7c :2009/04/02(木) 23:55:52 ID:UiOTtFBm
 
「あ〜、腹減ったあぁぁぁぁ……」
 4畳半のアパートの一室に、空腹で1人転がる俺がいた。
「困った……、マジで金がない」
 俺は貧乏学生をやっている、一人暮らしのしがない男子学生だ。
 実家から2県ほど離れた、2流大学に通うためのアパート暮らし。
 他の家族は、実家に両親と妹が、隣県に会社員の姉が寮を借りて暮らしている。
 
「親父たちに、仕送りの前借りは……無理だろうなあ」
 最近親父の会社でも、今流行の不況による活動自粛が続いていると聞いた。
 結果、給料もギリギリらしく、毎月ローン返済でカツカツだと言っていた。
 金を貸してくれ、なんて頼んだ日にゃあ、まず間違いなく殴られるだろうな。
 
「あーもう、なーんで、あんなCD1枚にあそこまで高値がつくかなあ」
 自分で購入しといてなんだが、3日前の競売について、1人愚痴ってみる。
 欲しかった絶版のCDをネトオクで落札したら、かなりの高額になったのだ。
 最後まで競り合ってきたヤツのせいで、落札価格が初期価格の5倍に膨れ上がった。
 それがいくらかって? 俺の生活費が、残り3,000円になるくらいだよ、チクショー。
 
 ああ、このままじゃホントに死ぬ。バイトの給料日は半月後だ。
 なのに明後日は光熱費の支払いがある。それよりなにより腹減った。
 なんてひたすら嘆くしかなかった俺に、救世主が姿を現した。
 
「やっほう、マイブラザー! 元気に……してそうじゃないけど、どしたん?」
 このテンションが高いのは、俺の姉貴。ウチの近所の社員寮で生活している。
 どうでもいいけど、今年で2○歳なんだから、少しは落ち着けよな。
「ほっほう、なにやら失礼なことを考えているようだね。放置して帰ろっか?」
「い、いえいえ滅相もありません。御姉様は相変わらず麗しゅう御座いますわね」
 自分でも何言っているのかサッパリだが、この希望の星を逃してたまるもんか。
 
 
「――ほうほう。つまりアンタは、そのCD1枚のために、現在死の淵に立っている、と」
「そこまで非道い状況――ですね、ハイ。つーかマジに腹減りました」
 一通り状況説明を終えての姉の反応。やっぱ小馬鹿にされている。ダチとおんなじ反応だ。
 
「んで、もしかしてアンタは、アタシになんらかの期待をしているのではないのかい?」
「ああそうだよ。とりあえず……スモークチーズはあるかい?」
「あるよ」 ゴソゴソ、ズィッ
「にょろ〜……ホントに持ってたああああああぁぁぁぁぁぁ!
 てゆーかでけぇ! 姉貴ィ、有難く頂戴しますぅ!」
 冗談で言ったんだけど、マジであるんなら助かった。実は3日ぶりの食事なんだ。
 
「あはは、ホントに食ってる。うまいか? なんてね」
「なんとでも、ゲフッ、言ってくれ。本当に死を覚悟してたんだからな」
「ホント、しょうがないわね、アンタってヤツは。昔から考えなしなんだから」
 悪かったな。いま通っている大学だって、微妙についてけてないっつーの。
 
「ふふ、かわいいヤツだねアンタは。ようしわかった。
 アンタの姉ちゃんが、そんな不肖の弟に、少しばかりお金を工面したげようじゃないか」
「な、なんだってーーーーーーーー!?」
 素直に驚いた。こと金銭に関してはお堅い姉貴が、俺に融資してくれるだと?
 何か裏がある……? まさか俺に、恐ろしい任務を課そうとしているのか?
 
「なんか失礼なこと考えてるわね。別に見返りは求めてるけどさ」
 求めてやがるのかい。
「大したことはないよ。ちゃんと金額に見合った内容、等価交換だってば」
「等価交換、ねぇ……」
 なんにせよ助かった。多分借りる金額は、すぐに返せる額じゃないしな。
151貴方専用の等価交換(2/5) ◆6AvI.Mne7c :2009/04/02(木) 23:58:47 ID:UiOTtFBm
 
「――というわけで、諸々合わせて125,000円だな。大丈夫か? 無理なら別に」
「ふふん、甘いわねマイブラザー。社会人の貯金、なめんなよ。
 ……ホントのところはさ、アタシも買いたかったものがあったのさ……。
 でもね、目の前で他の人に買われてしまって、買えなかったのよ」
 
 そうだったのか。だったら、さっきの買い物話は結構無神経だったのかも。
「だから、憂さ晴らしも兼ねて、浮いた金でアンタと遊ぼうと思ってたんだよね。
 でもちょうど良かった。金欠のアンタを助けることができそうだしね」
「そっかあ……、でもサンキュ、姉貴。おかげで助かった。
 今月はこれで暮らしていける。やっぱ持つべきは優しい姉貴だよな」
「あぅ……あ、ありが、と……」
 おおう、姉貴が照れてる。久しぶりに、顔が赤くなってるのを見たぞ。
 なんというか、素の顔が可愛いから、見てるこっちが照れるぜ。
 
「あー、そんでさ姉貴。例の等価交換って、なんなんだ?
 ホントに感謝してるからさ、少しくらいならムチャ言ってくれていいよ」
 俺がそう言うと、なにやら姉貴は真剣な眼をして、俺を見つめてきた。
 な、何が始まるというんだ? いったい何をすればいいんだ俺は?
「にひひ、別に怯えなくてもいいよん、マイブラザー。
 だから、ぜ〜ったいに、抵抗しないでね?」
 
 そう言って、姉貴は俺の正面に立った。女の子独特の甘い香り。そして――
 
 次の瞬間、俺は姉貴に、キスされていた。
 当然の如く唇同士。姉貴の白い肌、長めの睫毛、さらさらの黒髪の感触が――
 
「―――――!??!!? んななな何してんだよアネキぃぃぃぃぃ!!??」
 やばいと思って、抱きついてくる姉貴をむりやりひっぺがした。
 唇が離れる直前、わずかだが舌の入ってきた感触があった。
 あれはそのままだと、ディープキス、だった?
 それより、目の前で乱れた髪を整える姉貴が、やたら妖しく見える。
 さっきのキスで糸を引いた唾液を、可愛らしい舌で舐めとり――
 
「う、うわ……なんか、スッゲーやらしいよ姉貴ぃ……」
 って、おちつけ俺! 姉貴に欲情してる場合かっ!
「にへへぇ、弟のクチビル、奪っちゃった。美味しかったよ」
「そうじゃなくて! なんであんなコトしやがっt」
 言い終わる前に、姉貴は俺の唇を、人差し指で押さえて、言った。
「等価交換、って言ったじゃないの、マイブラザー。
 ホントならあの流れで、アンタとエッチするつもりだったんだよ?」
 悪びれた様子もなく言い放つ姉貴。等価交換って、これじゃあ――
 
「そんなの……金で性を買っているようなもんじゃないか!
 なんでだよ!? なんでそんなこと言うんだよ!?
 姉貴……いったい姉貴に、何があったんだよ?
 悩みでもあるなら、俺も聞くから、言ってくれよ!?」
 
 ホントにどうしたんだ姉貴は? いつもの快活なくせに照れ屋な姉貴じゃない?
「ま、まさか会社とかで、上司や同僚から苛められているから、暴走したのか?
 それとも、ナンパしてきたオトコにこっぴどくヤリ捨てられて、自暴自棄とかか?」
 
「失礼ね弟。なんでこのアタシが、あんな俗物にイジメられなきゃならんのよ?
 なんでこのアタシが、アンタ以外の男なんぞに、貞操を許さにゃならんのよ?
 ていうか、やっぱり気づいてなかったのねアンタ。ほんとニブチン。
 雰囲気壊れるからヤだったけど、仕方ないから、今ここで言うわ。
 ――アタシは、姉ちゃんは、アンタのことを愛しているのよ、弟」
152貴方専用の等価交換(3/5) ◆6AvI.Mne7c :2009/04/03(金) 00:02:37 ID:kqSmnS5M
 
「――――――はい? 何を」
「にひひ、不本意だけど、告白終わり。さあ弟、等価交換の時間だよ。
 さっさとアンタの童貞を渡しなさい。アタシも処女をあげるんだから」
 姉貴が何を言っているのかわからない。ワカラナイ。俺が、スキ?
 
「姉貴……あのさ」
「言い訳は結構だっての。等価交換だって、ずっと言ってるのに。
 それから確認を一つ。お金を払うのはアタシだっての、忘れないで。
 つまりアンタを、アタシが買ったのよ。コレに文句は言わせない」
 
 姉貴がわからない。なんでこんなマネをする?
「あら弟、アンタまさか、アタシがいつもこんな破廉恥なマネしてると思ってる?
 違うわよ、アンタだからこうしたの。アンタ以外には、するわけがない。
 よく聞きなさい。アタシはアンタ専用なの。アンタはアタシ専用なの。
 だから、おとなしくアタシとエッチしなさい。どぅーゆーあんだすたん?」
 
 そう言って、今度は片腕を使い、俺の両腕を器用に封じ込める姉貴。
 同時に残った片腕で、俺のズボンとトランクスに手をかけ、力を込める。
 
 マズい。このままだと、確実に姉貴に喰われる
 そんなとき、俺にまた、救いの天使が現れた――
 
 
「久しぶ――2人とも、なにやってんのさ。鍵も掛けずに」
「あ、い、妹か……! 助けてくれ!」
「あーもー、来ちゃったのかいもーとー。残念だわー」
 
 俺たちの可愛い妹が、実家からわざわざ遊びに来てくれた。
 よかった。なんでかわからないけど、コレで姉貴に勝てる!
「とりあえず話を聞くから、2人とも落ち着いて座んなよ、正座で」
 
 
「兄貴が悪い。等価交換は絶対にして真理でしょうが。従えなきゃ死ね」
 説明を終えた直後に、妹から放たれた言葉は、辛辣の一言に尽きた。
 なんで!? 俺いま、姉貴に性的に喰われかけたって、言ったよね?
 
「やっぱりいもーともそう思うよね! 融資の代わりになんか差し出ないと、ダメだって」
 よっしゃ味方が増えた、と言わんばかりに捲くし立てる姉貴。
「その通りだね。あたしも賛成だ。だから兄貴、助かりたければ、あたしに等価を差し出せ」
 ひでぇ。この件に関しては、妹は俺の味方をしてくれないのか……。
 というかヤな予感がする。姉貴のときと同じだ。次のセリフが予想できるんだゼ。
 
「姉貴から助けて欲しければ、かわりに兄貴のドウテイ、あたしにちょうだい。
 異論は認めない。イヤなら姉貴に性的に喰われるんだね。わりとマジで」
 
 うわ、マジで言いやがったコイツ! この世には神も仏もいないのか……!
「どっちm「「どっちもイヤだなんて、認めないよ」」……なんでもない」
 逃げようがない。このままじゃ、どっちかとセックス――近親相姦ですかぁ?
153貴方専用の等価交換(4/5) ◆6AvI.Mne7c :2009/04/03(金) 00:10:11 ID:kqSmnS5M
 
「というかラチがあかないから、妹、アンタ手伝いなさい。等価は何がいい?」
「あたしは……うん、あたしは兄貴のドウテイ……テイソウがもらえたらいいや」
「オーケー。2人で愛しのマイブラザーを、男にしてやりますか」
「交渉成立。兄貴、ご愁傷さま。あたしもあんた専用ってことで。
 ……ああ、順番間違ってた。あたしも、兄貴を愛しているから」
 あれ? 俺の意思をムシして、姉妹包囲網が完成しやがった……?
 まずい、逃げ――あ、足が痺れて、うまく動かせねぇ……!?
 
「正座させて説教して正解だった。では、いただきます」
「持つべきは頭の良いいもーとだ。では、いただきます」
 
 ただでさえ狭い室内、痺れた足で逃げる俺を、両端から鷲掴みにした姉妹。
 まるで最初から示し合わせたかのように、手早く俺の衣服が剥ぎ取られる。
「や、やめろ、やめるんだマイシスターズうぅぅぅぅぅぅぅぅ!!?」
 
 
 近所迷惑を顧みず、必死に叫ぶ俺。
 けれどすっかり失念していた。最近は世間ってヤツもとっても無常だ。
 たとえば昨日の話だが、大声で野球中継を応援しても、誰も苦情を言ってこなかった。
 だから、今回の騒ぎでも、誰も助けに来てくれないだろうなぁ……。
 
「なにを黄昏ているか知らんけど、降参してくれたのかな?」
「だったら遠慮はしない。いただきます、兄貴」
 アカン、まじでどうしようもない。
 すでに俺の身体は一糸纏わぬ、全裸の状態にされている。
 そして姉貴と妹が交代で、自分の服を脱いでいる。
 
 姉貴の身体は、大きな胸と細い腰、そして形の良い尻という、すばらしいバディ。
 妹の身体は、小ぶりながら形の良いバストと、程よい肉付きの、スレンダーなバディ。
 そして2人とも、きめ細かな白い肌と、万人受けする均衡の取れた端正な顔。
 俺は……ダチに言われたんだが、とりあえず理想的な筋肉のついた身体らしい。

 さて、そんな男女3人が、アパートの部屋という密室に詰め込まれている。
 エロゲやエロ本なら、この先の展開はただ1つ。くんずほぐれつだ。
 だがしかし、俺達は血の繋がった、きょうだいなんだ。
 実は養子だったという隠し設定がない限りは、そのはずだ。

「ああ、愛しの弟のペニス……おいしそうだ」
「ああ、兄貴の身体、もう我慢できないよ」
「ああ、俺の葛藤とか、無視なのねオマエら」
 ああもう頼むから勃起したペニスを2人で握んな。舐めんな。
 2人してそんな淫らな顔をしてくるな。うわマジで出る。
 
 うあああ……、ついに射精させられてしまった。
「「うふふ、いいよね? じゃあいただきます♪」」
 こうして俺の視界は、2人の淫乱美人の身体で埋め尽くされてしまった。
154貴方専用の等価交換(5/5) ◆6AvI.Mne7c :2009/04/03(金) 00:13:04 ID:kqSmnS5M
 
――そして、数時間後。

「あは。痛かったけど、キモチよかった……弟の身体はサイコーね♪」
「そだね。あたしも今日ここに来て、ホントによかったと思ってる♪」
「しくしくしくしくしくしくしくしくしく…………」
 
 結局俺は、この2人に童貞を捧げましたとさ。
 まあ、この2人も揃って処女だったりしたので、なんだか複雑な気分だ。
 俺達みんな初めてで、揃って大人になりました、とか……。
 いくらなんでも、虚しすぎるだろJK。
 
「♪ああ、汚れぇちまったぁ、二十歳の悲しみにぃ……」
「兄貴……なんか変な歌だな。いろいろ歌詞が混じってないか?」
「あはは、ショック受けてるー。やっぱカワイーわ、マイブラザー」
 おのれコイツラ。近親相姦にちっとも禁忌とか恐怖心とか持ってねえよな。
 
「ああもう。だいたいさぁ妹、オマエは何しにココに来たんだよ?」
 コイツが来なければ、たぶん姉貴だけなら、なんとか逃げられただろうに。
「え? ああ、あたしはちょいと、兄貴が落札したCDを直接持って来ただけ」
 
「おい、ちょっと待て。あのCDの出品者、オマエだったのか!?」
「うん。あのCDは、兄貴がここに越してから、あたしが中古屋で見つけたヤツ。
 兄貴の音楽の趣味、あまり知らなかったから、いらないと思って出品してさ。
 入金確認後に住所見たら、兄貴んとこだったんで、遊ぶついでに持ってきた」

 え〜何ソレ? 最初っから、妹に相談しとけば、あんなひもじい思いは――
「あ〜弟妹よ。それの競売ん時に弟と競ってたもう片方のヤツ、多分アタシだ」
「おい、ちょっと待て。あの競り合いとバカ高い落札価格、姉貴のせいか!?」

「いや〜あのCDをさ、アタシが買って、弟にプレゼントするつもりだったのさ。
 まさか、あの競争相手が弟だったとは――世間は狭いね〜、あっはっはっ」
 ツッコむ俺に向けて、あっけらかんと言い放つ姉貴。ええい笑うな。
 
 え〜と? 俺は競売で妹からCD買って、金払って……姉貴は買いそびれて……。
 そんで、金を使わなかった姉貴が来て、金のない俺は、姉貴に金を無心して……。

「つまり、俺が最初から妹に相談して、そのCDを直接もらってたら、
 2人が俺んとこに来ることも、俺が逆レイプされることなかったのかよ……」
 なんちゅうおバカな『きょうだいプレー』だ。もうツッコむ気力もねぇよ。
 
 
「まあ、不幸な事故だったわけだ。あたしには幸運だったけど。
 兄貴、CDはあげる。後で入金してくれた金も返す。んで――」
「弟、さっきの125,000円、せっかくだしアンタに譲ってあげる。
 なんだかんだで楽しかったし、お小遣いにしたる。んで――」
 ははは、ここまで来たらバカでも解る。姉貴と妹が、俺にナニを望んでやがるのか。
 
「さあ兄貴、次の等価交換な。オヤジにばらされたくなかったら、あたしらと一生付き合って」
「さあ弟、次の等価交換ね。オフクロにばらされたくなかったら、アタシらと一生付き合って」
 
 
――ああそうか。この世には神も仏も天使もなく、平等を騙る悪魔しかいなかったんだなぁ……
 
 
                                       ― What do you trade with? ―
155 ◆6AvI.Mne7c :2009/04/03(金) 00:16:50 ID:kqSmnS5M
以上、投下終了。

今日はちょっと、ネタ投下しすぎで疲れた……。
ていうか、日付変わってた。

あ、そうそう忘れてた。
>>142さん、ツッコミありがとう。マジで知らなかったっス。
156名無しさん@ピンキー:2009/04/03(金) 00:20:46 ID:qTXVjqUg
GJ!
笑わせてもらったよ!
157名無しさん@ピンキー:2009/04/03(金) 00:21:17 ID:pJ1Ho/QB
GJ
158名無しさん@ピンキー:2009/04/03(金) 00:27:32 ID:Fs7Xg2G1
>>155
ヤンデレスレといいGJ!!!
159名無しさん@ピンキー:2009/04/03(金) 01:33:08 ID:Sw+zOo9B
GJ
160名無しさん@ピンキー:2009/04/03(金) 06:14:47 ID:fQSi6zxl
GJ!
両方というのもアリだなw
161名無しさん@ピンキー:2009/04/03(金) 10:51:53 ID:ry5AnNgX
>>155
キモくないがGJだ。
重要なことなので2回言う。GJだ。
162名無しさん@ピンキー:2009/04/03(金) 23:53:34 ID:HSlxRR44
うん、このスレッド的にはキモ度は低いよなw
でも良かった。
163名無しさん@ピンキー:2009/04/04(土) 10:02:01 ID:Pv0Or2mN
姉に誕生日にプレゼントをしたということを忘れてはいけない
ましてやその事を覚えているかと尋ねられて、すぐさま「ごめん、覚えていない」などと言ってはいけない
特に過去にトリップしたときに自分の夫となる人物の姿を弟の容姿にする姉なんかには要注意
164名無しさん@ピンキー:2009/04/04(土) 13:21:29 ID:xaoz6eSn
>>163、うるさい!
わたしに家族などいない、わたしはクィンシィ・イッサーだ!
165名無しさん@ピンキー:2009/04/04(土) 17:18:16 ID:bSV1E96m
>>163-164
あーっと、「○レン○ワード」ネタかい、それは……
軽く調べてみたけど、キモ姉の素質は一応あったようだけど。
むしろ二次創作動画でのあまりのキモっぷりに吹いた。
166名無しさん@ピンキー:2009/04/05(日) 01:38:45 ID:/OYPU/X5
ああ、もしかしてまた書き込み減ったのかな?
短編か長編が明日くらいに投下されたらいいなぁ。
167名無しさん@ピンキー:2009/04/05(日) 06:36:33 ID:0CqHFU/i
まさかここでイイコお姉ちゃんを見るとは思わなかったw
イイコお姉ちゃんは最終的に弟をゲットしたからキモ姉的には勝ち組
168 ◆6AvI.Mne7c :2009/04/05(日) 11:19:20 ID:7+RnvYum
やった! 大規模規制が解除された!
これで長文とか、だいぶ書き込みやすくなる!
投下できなかった他の書き手さんたちも、帰ってきてくれるかな!?

というわけで、テンション上がりすぎたので、作りたての小ネタを投下。
タイトルは「はっぴーはっぴーばーすでい!」。義理もの兄妹ネタ。
本当は誰かが「俺、きょう誕生日なんだ」とかレスした時用だったけど、まあいいや。

次レスより投下。3レス借ります。
 
 ふと壁の時計を見上げると、針が3つとも頂点に達していた。
 どうも夜更かしが過ぎたようだ。もう日付がかわったじゃないか。
「さあて、明日は面倒だが、ちょっと外出しなくちゃならない。
 というわけで我が妹よ、俺の膝上から降りてくれないか?」
 
 そう言って、俺の膝で眠っていた妹の目を覚まさせる。
 かわいい寝顔を見ていると、ついそのままにしてやりたくなるが、そうはいかない。
 明日俺は大学の用事で、銀行に出向かなくちゃならない。非常に面倒だ。
 たけど、授業料支払いに関する手続きがあるから、行かないと大学に通えなくなる。
 そういうわけで、少しでも寝ておかないといけないのだが……
 
「起きろ、起きろ、お〜き〜ろ〜よ〜。
 俺を眠らせないつもりか〜、やらしいな〜俺の妹は〜」
 やらしいのは俺だった。誰もツッコまないから自分でツッコんだ。
 こんなセクハラ発言する兄を慕ってくれるこの妹には、頭が上がらないね。
 
「んゅ〜〜……はれ? 兄ちゃん、いま何時?」
 そうこうしているうちに、妹が目を覚ました。
「ああこらじっとしてなさい。ヨダレが服につくから。吹いてやるから」
 甲斐甲斐しく妹の口元をぬぐってやる俺。どこのパパさんだ?
「……で、兄ちゃん。今は何時なの?」
「今はもう午前0時だ。俺もそろそろ寝たい。
 だから、お前もそろそろ部屋に帰って寝なさい」
 
 そう言うと、妹の目つきが何か、一瞬だけ変わったような気がした。
 …………まあ、気のせいだろう。
「そっか〜。兄ちゃん、おんぶしてもらっていい?」
「あん? 別にいいけど、どうしたんだ?」
「別に。ちょっと足が痺れただけだよ。折り曲げて寝てたからさ」
 
 そう言って、俺の背中に回りこみ、首筋にもたれかかる妹。
 いつも通りの重みを背負い、立ち上がってバランスを取る。
「兄ちゃん、もうちょっとお尻のほうに手まわして。
 じゃないと、兄ちゃんの首に力入れちゃいそうだから」
「それは怖いなぁ。首が折れちまうかも知れんし」
「なにおぅ!? じゃあいますぐ首を折ってやるぅ!」
「ぎゃああぁぁぁ! お前は俺が嫌いなのかよぉ!?」
 
 真夜中に近所迷惑な声をあげる俺達兄妹。
 明日のご近所井戸端会議のお題は、俺達がいただいた!
 嘘ですごめんなさい。静かにしますから許してください。
 
「ねえ兄ちゃん、あたしが兄ちゃんのこと、嫌いっていったら、どうする?」
 背負っていた妹が、突然そんなことを聞いてきた。
「ええ? お前は俺のことが嫌いだったんか? 初耳だぞそれ」
 わざと驚いてやる。嘘なのは解ってるんだぜ? このブラコンちゃん。
 
「いやいや、兄ちゃんのこと、本当に嫌いなんかじゃないよ?
 でもあたしに嫌われたら、兄ちゃんを好きな女の人なんて、いなくなるでしょ?」
「失敬な! 俺にだって、俺のことを好きだといってくれる女の人くらい……」
「いないんだね。強がんなくていいのに。兄ちゃんカーワイー♪」
 
 なあ、俺が何をしたよ何を。まあ別にいいけど。
 実際、俺達がシスコンでブラコンなのは周知の事実なのだし。
 おかげで、2人とも今まで、恋人なんていたことねぇよ。
「まあね、兄ちゃんが結婚できなかったら、あたしが嫁さんになったげる。
 あたしなら、兄ちゃんのコトなんでも知ってるから、問題ないでしょ?」 
「問題はそこじゃねぇだろう。まあいいけどさ。
 そら、お前の部屋に着いたぞ。ベッドの上までは運んでやるよ」
 
 妹の部屋のドアを片手で開けて、中に入る。
 相変わらず、女の子の部屋に男モノが混在しているカオス空間。
 男モノの正体は、いうまでもなく俺の元私物たちだ。
 なんでか、妹は俺のものばっかり欲しがる。なにが嬉しいのか……。
 
「兄ちゃん、ありがと。ベッドに倒れこむから、力抜いてよ」
「あいあい了解〜。よっこらせ……」
 妹を背中から降ろそうとして、尻を支えていた手を離す。
 しかし妹は、俺の首元から回した手を、片方だけ離さない。
 結果俺達は、2人で一緒にベッドに倒れこむことになり――
 俺はいつの間にか、妹を押し倒す形で、キスしていた。
 
 
「あ〜その〜あれだ〜〜……。悪い、キスしちまった。
 ごめんな。俺もだけど、お前もファーストキス、だったよな?」
 ちょっとばかり申し訳なくて、妹に謝ってしまう俺。
 正直コイツの唇が気持ちよかったのは、内緒だかんな?
 
「えへへぇ♪ 別にいいよん♪ 兄ちゃんの反応がカワイイから許す。
 それにね、コレはあたしからのプレゼントの1つだよ?」
「プレゼント? そっか、そういや今日は誕生日か……」
 すっかり忘れていた。日付が変わって今日は、俺の誕生日だった。
 イヤ待て、それと今のキスと、なんの関係があるんだよ?
 
「なぁに? あたしのキスはイヤだったって言いたいの?
 じゃあいいよ、プレゼントどころか、今日からご飯つくってあげな」
「いいえ、イヤではありませんでしたぁ! だからゴメン!
 お願いですから、料理はやめないでください、マイラバーシスター!」
 
 我が家――っても俺と妹の2人だけだが――の食卓は、妹の料理で成り立っている。
「えへへぇ♪ 別にいいよん♪ じゃあまた目が覚めたらキスしたげる♪
 その時までオヤスミナサイ、兄ちゃん♪」
「ああ、悪かった。じゃあ朝は頼むな。オヤスミ〜」
 
 何とかなったらしい。今日の夕方には、なにか買ってきてやろう。
 俺の誕生日だけど、妹と一緒に祝うなら、それだけで俺にはプレゼントになる。
 そんなことを考えながら、不穏なセリフを聞き逃したフリをして、俺は部屋に戻った。
 
 
               −※−※−※−※−※−※−※−
 
 兄ちゃんが自分の部屋に帰ってから、あたしは部屋のドアにカギをかけた。
 本当はかけないほうがいいんだけど、ちょっとやりたいことがあったからだ。
「えへへぇ♪ 兄ちゃんが『マイラバー』って言ってくれた〜♪
 兄ちゃんカワイイよ兄ちゃん♪ もう食べてあげちゃいた〜い♪」
 
 我ながら不気味な歌を口ずさむ。兄ちゃんに聞かれたら、ヒかれるかなぁ?
 いやそれどころか嫌われるかも。そんなのイヤだ。絶対イヤだ。
 あたしは兄ちゃんが大好き。抱きつきたいくらい大好き。
 ううん、キスしたいくらい好き。エッチしたいくらい大好き。
 いいえ、結婚して、子供つくって、死ぬまで一緒に居たいくらい、愛してる!
 
 気づいたら、どのへんからか声に出していたらしい。
 兄ちゃんに聞こえないように、壁は防音のものになっているけど、大丈夫かな?
 
 兄ちゃんがあたしを、いじめっ子から助けてくれた時、あたしは兄ちゃんに恋をした。
 あの時から、あたしの恋心は、全部兄ちゃんに向かうようになってしまった。
 兄ちゃんは結婚できないと思っているけど、大丈夫。あたしたちは義理の兄妹だから。
 あたしが0才で、兄ちゃんが3才の時に、親の再婚で兄妹になったあたしたち。
 兄ちゃんはもう忘れてるみたい。でもあたしは母さんから聞かされて知っている。
 今は2人とも、遠くに行ってしまったけれど、これはまぎれもない事実だ。
 
 実はあたしも、明日が誕生日だ。兄ちゃんの誕生日の次の日という、すごい偶然だ。
 そしてあたしは、明日で16歳になる。そう、法的に結婚の可能な年齢だ。
 だから、さっきみたいな暴挙に踏み切った。あのキスはわざとだ。
 ずっと昔から、兄ちゃんに甘え倒して、あたしの成長やオンナを意識させてきた。
 ずっと昔から、兄ちゃんに纏わりつき、邪魔な泥棒猫共を追い払ってやってきた。
 すべてはこの2日間のために。ずっとそのために生きてきたと言ってもいい。
 
「今日の夜は、兄ちゃんに誕生日という名目で、豪華なご馳走を食べてもらうんだ♪
 でも残念、その料理の中には、軽い睡眠薬の入った料理が混ざっていたりするの♪
 食べ終わって眠った哀れな兄ちゃんは、日付が変わるまでソファで眠らされるの♪
 そして、0時と同時に、あたしが兄ちゃんと繋がって、ようやく目を覚ますのよ♪」
 
 いけない。妄想――犯行計画を垂れ流してしまったみたい。
 題して「兄ちゃんとあたしの初エッチ計画」が、明るみにでちゃいけない。
 全ては兄ちゃんとずっと2人で生きていくための布石。
 明日繋がり終えたら、兄ちゃんに戸籍抄本と婚姻届を渡すんだ。
 そしたら、あたしに好意を寄せている兄ちゃんも、たぶんイチコロになる。
 
 それまでは耐えなきゃ。だから今晩は、兄ちゃんの写真をオカズに、我慢しよう。
 なぁに、明日は絶対成功させてやるから♪ だから今は、さっさと眠ろう。
 
――兄ちゃん、あたしの人生初のサプライズプレゼント、楽しみにしててね♪
 
 
                                 ― Congratulations on our

birthday. ―
172 ◆6AvI.Mne7c :2009/04/05(日) 11:36:14 ID:7+RnvYum
投下終了。
宣言はしないつもりだったけど、なんか本文ミスってた。
>>171の最後のところが、なぜか勝手に改行されている……
正しくは、ひとつなぎで『― Congratulations on our birthday. ―』なのに。

まあいいか。それでは次は、他の書き手さんに任せます。
173名無しさん@ピンキー:2009/04/05(日) 13:05:48 ID:I4QvCVBm
GJ
174名無しさん@ピンキー:2009/04/05(日) 14:22:32 ID:pMNXDPeh
GJ!!
175名無しさん@ピンキー:2009/04/05(日) 15:53:44 ID:NF5ja+iv
じーじぇい!
ジージェイ!
GJ!!
176名無しさん@ピンキー:2009/04/05(日) 15:58:54 ID:yTfnwqYC
GJ
177名無しさん@ピンキー:2009/04/05(日) 16:26:06 ID:BnJY9g3H
じーちゃん!
ジージャン!
BJ!!
178名無しさん@ピンキー:2009/04/05(日) 20:24:06 ID:WmJuA8W7
GJ!
nice 祝辞!
179名無しさん@ピンキー:2009/04/06(月) 01:05:15 ID:79GS//+W
サイボーグGちゃん!

なんか違う…
180傷 (その15):2009/04/06(月) 02:34:52 ID:DEMcr3+x
投下します。
規制に巻き込まれてしばらく投稿していなかったので、忘れられていないか不安は残りますが……。
181傷 (その15):2009/04/06(月) 02:36:28 ID:DEMcr3+x

「ねえねえ冬馬くん、このゴハンおいしい? あなたが朝は少し固めのゴハンがいいって言ったから水加減を変えたんだよ?」

 そう言いながら冬馬の背に抱きつく弥生。
 もう慣れたのか、弟もそんな姉の様子に動じる事もなく、肩越しに弥生の頭をそっと撫でる。
「おいしいですよ姉さん。やっぱ朝から食べる姉さんのめしは最高ですよ」
「うふふふ、嬉しい。すごく嬉しいわ冬馬くん」
 背後から弟の耳に熱い息を吹きかけながら、弥生はさらに弟を抱き締める腕に力を込める。椅子の背もたれがなければ、自慢のバストの感触を、思う存分彼の背に味あわせてあげれるのに。――そう思いながら。

 無論、そんな弥生に冷静でいられるのは冬馬だけだ。
「……弥生、あなたも早く食べちゃいなさい」
 おそるおそるといった感じで母が弥生に口を開く。
 そして長女は、弟とのスキンシップを妨げる発言をする母に、じろりと鋭い一瞥を投げかけ、しかし敢えて逆らう様子も見せず、冬馬の隣の席に腰を降ろす。
 そんな弥生に、両親は露骨に安堵の溜め息を漏らした。

(お母さん、ごめんなさい)
 胸の裡で弥生は詫びる。
 だが、まだダメなのだ。
 今はまだ、このキャラを崩すわけにはいかない。
 気丈で、利発で、親の手のかからないしっかり者の長女という、両親の知る弥生はここにはいない。
 受験前の情緒不安定から、弟の冬馬にべったりになる姉。
 これがいま彼女が演じている弥生だ。
 もっとも、家族は弥生という人間が受験のプレッシャーごときで情緒不安定になるようなタマではないと知っている。だからなおのこと、いまの弥生を奇異に感じられるはずだ。彼女が変わってしまった理由が、家族には思いつかないのだから。

 それでいいのだ。
 家族には、この不可解な弥生の変化についてもっともっと思い悩み、考え続けて欲しい。それこそが弥生の目的なのだから。
 無論、永遠にこの病んだ自分を演じ続ける気は彼女にはさらさら無い。
 受験が終了次第、プレッシャーから解放されたという態で、本来の彼女――理性的で沈着冷静な人格に徐々に戻していく予定ではある。
 だから心の中で弥生は母に詫びたのだ。

 だが、弥生からすれば、この人格豹変は無意味な遊びではない。
 冬馬に依存する狂的な一面が弥生には在るという事実を、家族に知らしめておかねばならない、そう思わせねばならないと判断したからこその芝居なのだ。
 いずれ冬馬との正式な交際を両親に認めさせるために――彼を得ようとする自分の行動を邪魔するならば何をするか分からない。何をしても不思議ではない。両親に、そう考えさせるために。
 そういう意味では、受験というのは二十歳前の思春期の娘が悩乱するには格好の口実であろう。

 妹の葉月は、そんな姉に一瞥を送るでもなくそっぽを向いて朝食を取っている。
 彼女には、先日、自分の真意について話し終えたばかりだ。
 この妹は、弥生が冬馬を共有してもいいと思う唯一の同志ではあるが、やはりいい顔はしなかった。

――ずるい。
 それが葉月の言い分だった。
 姉の弥生が悩乱を装って冬馬にべったりになる。それはいい。だが、自分はその間、兄の冬馬に甘える事が出来なくなるではないか、というのだ。
 普段は姉以上に理知的な妹が、そんな事を言い出したことに、さすがの弥生も思わず苦笑を禁じ得なかったのだが、どうやらそれが葉月の癪に障ったらしく、
「勝手にすればいい」
 と言い捨てると、葉月はぷいっと顔をそむけてしまった。それ以来、妹はずっと姉に冷ややかな態度を取り続けている。
 まあ、弥生から直接話を聞くまで、葉月は葉月なりに姉の豹変を心配していたので、真相のあまりのバカバカしさに閉口したということもあるのであろう。


「兄さん、最近妙に疲れていませんか?」
182傷 (その15):2009/04/06(月) 02:38:11 ID:DEMcr3+x
 葉月が、姉を敢えて無視するようにが吐いた怜悧な言葉に、弥生はどきりとした。
 無論、姉から四六時中べったり張り付かれている彼としては、疲れを覚えていないはずが無いのだが、葉月が言いたいのはそういう事ではない。両親はともかく、冬馬はもはや弥生の豹変に対応し切っているからだ。
 だから、葉月が言いたいのは、純然たる彼の体調についてだ。

 確かに冬馬はここ数日というもの顔色が悪い。
 腫れぼったい瞼と連発されるあくびは明らかに睡眠不足の兆候だし、足腰も微妙にふらついている。以前に比べて言葉も少なめだし、何より彼独特の溌剌とした雰囲気がすっかり消えてしまっている。
 まるで徹夜を重ねる漫画家のようなくたびれ方だが――しかし、その形容はあるいは正しくは無いかも知れない。冬馬には締め切り寸前の焦燥感は微塵も無いのだから。
 つまり――、

「わからねえ。最近はいつもこうなんだ。熱いシャワーを浴びても全然目が覚めた気がしないんだ。体に鉛が詰まってるような感覚が抜けないんだよ」

 気だるげに、しかしかなり不思議そうに冬馬が答える。
 冬馬が自分の不可解な疲労に首をひねるのも当然だ。催眠術によって意識をいじられている彼は、自分が弥生と情交を重ねている事実を知らないのだから。
 が、しかし彼に疲労が蓄積しているのも当然だ。現在、彼がもう何日連続で自分と夜の営みを重ねているのか、弥生自身も指を折って数えねば咄嗟に答えられないくらいなのだ。
 しかし“逢瀬”は常に弥生の部屋で行われているから、弟が自室に「事後の空気」を嗅ぐことは無いし、そもそも弥生は冬馬に、毎朝のシャワーを浴びる終わるまで明確に意識が覚醒しないよう刷り込んである。だから彼が自分の体臭から異変の正体に気付くことも無い。

 だが……やはりそろそろ限界かも知れない。
 自分が装っている依存キャラの小芝居とは違う。
 弥生が冬馬と毎夜のように情を通じている事実を、いま家族に知られるわけには行かないのだ。それはたとえ、弥生が同志と認めている妹であっても例外は無い。知れば葉月といえど怒り狂って姉を敵視し始めるかも知れないのだから。
 なにより冬馬自身が、無意識の自分を凌辱していた弥生を決して許さないだろう。

「冬馬、一度病院で診て貰った方がいいんじゃないか?」
 父がそう言うと、冬馬も朝食を掻き込む箸を止め、笑った。
「大丈夫ですよ。食欲だってあるし病気じゃありませんって」
「しかし万が一という事もある」
「そうよ冬馬、母さんもその方がいいと思うわ」
 だが冬馬は容易に頷かない。
「疲れが溜まっているだけです。何でもありませんよ」
「冬馬……」

 弟が両親に逆らうのはハッキリ言って珍しい。両親はおろか姉の弥生にさえ、いまだに敬語を使う冬馬は、柊木家の家族に最大限の気を遣って生活しているからだ。
 だがそれでも、この展開は予測できた事だった。
 可能な限り他者に肌を見せる事を嫌う弟にとって、病院は間違いなく鬼門だったからだ。
 そしてそれを知っている両親も、不満気な顔をしながらもそれ以上は言葉を重ねない。
「行ってきます」
 そんな家族たちに、寂しげに笑って冬馬は席を立つ。
 朝食はすでに、綺麗に彼の胃袋の中に消え失せてしまっていた。



 授業中の図書室は静かなものだ。
 問題集を一冊やり終えた弥生は、ノートを閉じるとシャーペンを置いて伸びをした。
 伸びた背骨から、こきりという音が、意外に大きく周囲の静寂に響く。
 彼女の隣席にいたクラスメートの女生徒が、こちらを見て眼鏡の奥で小さく笑う。
 弥生も目だけで微笑を返し、頭を軽く掻きながら周囲を見回した。
 周囲の者――といっても、室内を埋め尽くすほどの人垣があるわけではない。弥生たち以外にも数人、ちらほらと机に向かう生徒たちの姿が目に入るだけだ。彼らは別段、弥生が立てた音になど気付いた様子もなく、各々が机にかじりついて勉強している。
 弥生は少しホッとした。
183傷 (その15):2009/04/06(月) 02:44:09 ID:DEMcr3+x

 彼らは全員三年生。
 本来、三年生の三学期にもなれば授業はすべて終了しているので、受験に勤しむ彼らは、もはや学校に用は無いはずの生徒たちであった。しかし、自由登校になったからといって三年生全員が一斉に学校に来なくなるわけではない。
 今ここにいる生徒たちは、受験勉強用の自習室として図書室を使っているのだ。
 同じ自習に励むならば自宅や予備校、公共の図書館でする方が落ち着くという者たちも多いだろう。だが、それと同様に、勉強とは学校でやる方が頭に入るという者たちも決して少なくは無い。
 弥生と共にここにいる彼らは、殆どそういう者たちであると言えるだろう。
 無論、弥生がそうであるということではない。
 彼女は自宅であろうと学校であろうと、勉強の作業能率が変わるようなナイーブな性格はしていない。そんな彼女がここにいるのは、あくまでも弥生の意思からだ。この学校という空間に居ることの必要性を、弥生自身感じているからだ。

(いまごろ冬馬くんは……ちゃんと勉強しているかしら……?)
 気付けば、また弟の事を考えている自分に内心苦笑し、弥生は終了した問題集をカバンにしまうと、新しい問題集を取り出した。
 
 実は、弥生は己の現状にやや危機感を覚えていた。
 冬馬の出現以降、弥生の生活はすべて彼を中心に回ってきたといっても過言ではない。
 それは今も変わらない。現にいま、弥生は受験前の情緒不安定から弟にべったりな姉というキャラを演じている。だが、今の自分の人格が完全な虚偽であるとは言い切れなくなっているということに、最近になってようやく弥生は気付き始めていたのだ。

 冬馬に甘え、冬馬に従い、常に冬馬の傍らに身を置く。
 冬馬の体臭を嗅ぎ、冬馬の体温を感じ、冬馬に言葉をかけ、冬馬に声をかけてもらう。
――それによって精神を安堵させ、敵だらけの外界から身を守る。

 そんなキャラは、後々の事を考えて始めた小芝居に過ぎないはずだったのに、どうやらそうではないらしい。自分には、どうやら本気で冬馬に依存したいと考えている一面が存在すると気付いた瞬間の恐怖は、まさしく弥生にとって筆舌に尽くしがたいものであった。
 なぜなら、男に依存せねば生きてはいけない女など、弥生にとって唾棄の対象でしかないからだ。
 たとえ現在の弥生が、そういう自分を演じているといえど、これは芝居で、嘘で、演技に過ぎない。――そう自分を納得させてはいた。
 だが、もし“今の自分”がこれまで知り得なかった“本当の自分”であるとしたら。こんな弱い女こそが自分の本性であるとしたら。弟を支配し、管理し、思うがままに心服させたい。そう考えていたはずの自分の本音が、全くの真逆であったとしたなら。

(冗談じゃない……ッッ!!)
 そんな自分を認められるほど、柊木弥生は己に寛容な女ではない。
 弱い女の何が悪い?
 そう開き直れる柔軟さを弥生は持っていない。
 あるいはそれが、完璧超人と呼ばれた柊木弥生の限界であるかも知れなかった。
 まあ、それはとにかく、自分の“弱さ”を図らずも意識した結果は、弥生に――彼女にとって意外な事に――両親の目が無い場所では冬馬から距離を取る、という行為を選択させたのだ。
 弥生が自宅ではなく、学校の図書室を自習空間としたのも、そのためだ。

 教室と図書室という空間は違えど、同じ学校の校舎内ではないかと突っ込まれそうだが、そうではない。
 弥生の自室には、たとえ弟が学校にいようが、24時間フルタイムで監視できるだけの設備がある。だから、彼女にとって弟が自分を置いて登校してしまうのは、孤独でも何でもない。
 無論、彼の姿を直に視界に納められない、身近に感じられないという寂寥感は在る。
 かと言って、パソコンを起動しさえすれば、いつでも無警戒な弟の姿を、教室の防犯カメラを介して、好きなだけ覗き放題だという事実は、弥生に孤独を感じる暇を与えない。
 だが、それは本来ならば冬馬を監視し管理するためのものであり、依存のためのシステムではない。
 だからこそ――弥生は敢えて自室を後にして、ここにいるのだ。
184傷 (その15):2009/04/06(月) 02:46:14 ID:DEMcr3+x

 無論、冬馬と互いの体温さえ感じるほどに密着して登校するのも心地良いものではある。
 先代のカリスマ生徒会長として知られた柊木弥生が、弟と腕を組んで歩く姿に、周囲の一般生徒が投げかける驚愕の視線も、慣れれば決して不快なものではない。しかし、それを楽しむためだけに、わざわざ学校くんだりまで来たりはしない。
 依存を演じていても、演技以上のものを自分の心から引っ張り出す気は弥生には無い。
 自室でパソコンに張り付いて、弟の事だけを考えて時間を過ごす自分など、今の弥生にとっては恐怖の対象でしかない。だが、自室に篭もってしまえば、間違いなく冬馬の映像を前に時間を浪費してしまいそうな確実な予感が弥生にはある。
 

 弥生とて鈍重ではない。
 自分の変化が、内的なものではなく外的要因によってもたらされた変質であると気付いてはいる。
 すなわち、冬馬との情事。
 夜ごとに行われる、肉の交歓。
 そこに彼の愛が無いことは承知の上だ。
 ドラッグを利用して冬馬に仕掛けた後催眠暗示――不能であるはずの『柊木冬馬』を、かつて女殺しを謳われた男娼『芹沢冬馬』に戻す魔法――によって行われるセックスに、弟が持つ弥生への感情は何ら関与していない。
 当然だろう。暗示に掛かった冬馬は、弥生を弥生として認識していないのだから。

 だから、そこにあるのは純粋な肉の快楽のみであるかといえば、あながちそうではない。
 たとえ、冬馬の心が弥生を見ていなくとも、弥生にとって冬馬は冬馬なのだ。どんな形にせよ彼が弥生にとっての想い人である事実は消しようが無いのだから。
 それは、ただでさえ卓絶した『芹沢冬馬』のセックステクニックのもたらす快楽が、さらに弥生の感情移入によって二倍・三倍化する余地があったという事に他ならない。
 まともな精神状態でなかったとしても、愛する男の手によって自らの性感帯を開発される感覚が、処女であった弥生の精神にどれほどの影響を与えたか計り知れない。
 麻薬中毒患者がドラッグに溺れるように。
 アルコール依存症患者が酒に溺れるように。
 弥生が冬馬という存在に改めて溺れてしまったのは必然といえるだろう。
 そして、彼によって刻み込まれてしまった女体の悦びが、弥生をか弱い女に変えてしまったのだ。
 
 ならば、対処法は簡単だ。
 彼とのセックスを止めればいい。
 彼との距離を測りなおせばいい。
(それが出来るなら苦労はしないわ……ッッ)
 弥生は胸の内で舌打ちをする。
 その圧倒的な快楽によって、自分が一幅のボロ布のように扱われる感覚。自分が一塊のの肉でしかないと思い知らされる感覚。
 完璧超人と呼ばれた自分に対する矜持があればあるほど、そんな弥生を嬲り抜く冬馬への想いは深まり、それほどの冬馬を思うがままに操る自分に、さらにプライドは満たされる。

 だが、そろそろ限界が近いのも分かっている。
 もはや、これ以上は葉月や両親の目をごまかせないだろう。
 なにより連日連夜の荒淫に、弟の肉体が悲鳴を上げ始めている。
 あの黄金の美酒のような彼の肉体を味わえなくなるのはつらいが、しかしそれでも弥生は多少の克己心を持ち合わせている自負もある。いくら美味い酒だからといって、いつまでも酔い続けるわけにもいかない。
 なにより胸の内側で密かに育ち続けている、冬馬への依存心への恐怖を拭わねばならない。
(むしろ、いい機会だ)
 と思うしかない。
 二時間目終了のチャイムが鳴ったのは、そんなときだった。


 そろそろ昼休みも終わろうとする頃、学食で食事を取っていた弥生の携帯に、着信があった。
 冬馬からであった。
 弥生は思わず瞳を細める。
 メールならともかく、この少年が電話を寄越すなどかなり珍奇な事件と言わねばならない。とりあえず弥生は電話に出る。

「もしもし」
185傷 (その15):2009/04/06(月) 02:47:59 ID:DEMcr3+x

 人間関係に細心の注意を払う冬馬は、友人知人への連絡をかなりマメにする方であったが、本当に信頼できる人間には、いちいち下らぬ用件で連絡は取らないと言っていたのを思い出す。便りが無いのは元気な証拠というわけだ。
 だからというわけではないが、冬馬が弥生に電話を寄越すなど、いかにも急を要する事態でなければ在り得ないというのは、彼女にも分かる。
 だから、泡を食った口調で弟が何か答える前に一言、たしなめるような鋭い口調で尋ねた。
「何かあったの冬馬?」

 依存キャラを演じている以上、そんな口調で話すのはマズイと思わぬでもなかったが、やはり冬馬からすれば、それどころではなかったらしい。
 彼は何かを言いかけ、しかし、それでも姉の一言でかろうじて冷静さを取り戻し、言った。

「おゆきが……事故に遭ったらしいんだ。いま千夏から連絡があった」


 おゆき。
 勿論、弥生はそれが誰か知っている。
 冬馬を親の仇と憎悪する小学生。
 まあ実際、彼女の母親・美也子は、関係修復を拒絶する冬馬の言葉にショックを受け、獄中で自殺したわけだから「親の仇」という言葉はあながち間違ってはいない。
 だが、冬馬の側にも言い分はあるだろう。
 美也子はかつて冬馬にとっても母であった。だが、彼女は浮気相手の医大生に身も心も調教された挙げ句、夫(つまり冬馬の義父)を刺し殺してしまったのだ。
 しかも、その後に冬馬を引き取った芹沢家で、次なる両親から売春行為を強要されたとあっては、家庭崩壊の張本人たる義母・美也子を冬馬が許せないのも当然過ぎる話なのだ。
 その当時、彼が舐めた辛酸をおゆきは直接知らない。美也子がおゆきを産んだのは服役中、つまり冬馬と千夏が芹沢家に引き取られて以降だからだ。
 そしてその数年後、冬馬と千夏が芹沢から解放されて後、“父殺しの母”は獄中の面会室で言った。
『あと何年か経ったら自分は仮釈放になる。そうしたらまた一緒に暮らそう』と。
 冬馬は、その言葉を一言の元に拒絶し、その場を去った。
 結果、美也子は自殺し、その日まで兄と慕っていた冬馬を、おゆきが一方的に憎むようになったのはそういうわけだ。

 だが、一方的に憎まれているはずの冬馬は、いまだにおゆきに対し罪悪感を持ち続けており、おゆきが冷たい面罵の言葉をぶつけるたびに彼は、いたたまれない表情をする。
 それはそうだろう。
 事情はどうあれ、彼が人ひとり死に追いやった事実は消しようが無い。その過去を前に平気な顔でいられるほど、冬馬は厚顔無恥な男ではない。
 だが、弥生からすれば、双方の意見はどっちもどっちだ。互いが互いを許せぬとて仕方が無いように思える。ならばこそ、おゆきの言動はやはり、冬馬のそういう罪悪感に付け込んだ“甘え”と見えてしまうので、――やはり弥生はおゆきを好きになれない。
 だが、だからと言って、それを冬馬に主張するような愚劣な真似はしない。
 感情論に感情論をぶつけることほど無意味な行為は無い。弥生はそれを知っているからだ。

「病院に行く」
「いまから」
「学校も授業も今日はもうさぼりだ」
「夕食までには帰る」

 慌しく自分の意見だけを言ってしまうと、そのまま冬馬は電話を切った。
 弥生に何かを言う暇さえ与えない。
 もっとも、どれだけ嫌われていたとしてもやはり彼にとって、おゆきは妹のような存在である事は変わりが無いわけだから、冷静でいられないのは仕方が無いだろう。
 だが、それだけではあるまい。
 下手に何かを言わせる時間を与えれば、弥生は自分も同行すると言いかねない。朝から自分にべったりな姉は、当然のように学校からの帰路も冬馬にくっついて帰る。だが、仮にもおゆきが担ぎ込まれた病院にまで、空気を読まずに随伴されてはたまらない。
 そう思ったのだろう。
(そこまで困らせるような真似はしないわよ)
 弥生は苦笑すると、隣席から心配そうな目付きでこっちを見ている眼鏡のクラスメートに言った。
「そろそろ図書室に戻りましょうか」
186傷 (その15):2009/04/06(月) 02:49:46 ID:DEMcr3+x

「遅かったわね」
 と、少し拗ねたように言ったのは、弥生が帰ってきた弟の胸に抱きついてからだ。
 玄関先の冷たい空気も、冬馬の体温と体臭の前には気にもならない。
 だが、そんな弥生に、彼は緊張を緩ませる事はなかった。
「姉さん、話があります」
 眉間に皺を寄せながら、それでいてどこかすがりつくような口調で、弟は言った。
 弥生は冬馬に抱きついたまま呆気に取られた。
 こんな表情を見せる彼を、かつて弥生は見たことが無かったからだ。
「先に部屋に上がっていて下さい。夕食はいらないと母さんに言ってから行きます」

 
――何も言わずに自分にカネを貸してくれ。
 言葉を飾らずに冬馬の言い分を要約するなら、つまりはそういう事であった。
 弥生は、しかし驚かなかった。
 彼の様子から、この事態は予想できたことであったからだ。
 実際、株式売買で弥生が稼いだ財は、柊木家の両親が共働きでコツコツ貯蓄した額を遥かに上回る。借金の相談ならば、この弟が両親よりもまず真っ先に姉を頼るのは道理というものだ。
 そして借金の内容も。
 
「おゆきちゃんの治療費を、この私に出せってこと?」

 冬馬は静かに頷いた。
 事故はかなり酷いものであったらしいが、とりあえず彼女の命に別状は無いらしい。だからこそ、それ以上の治療には費用が掛かるということなのだ。
「お金がなければ再生手術はできない。手術が出来なければ、おゆきの足は一生元には戻らなくなるそうです」
「あの子は事故に遭ったって言ってたわよね? だったら事故の責任者に請求すればいいじゃないの」
 
 確かにそうだ。
 それが出来れば、誰だってそうする。
「轢き逃げ……」
「はい」
 口惜しそうに冬馬が口を歪ませる。
「なんでアイツが……こんな目に……!!」

 弥生は静かに目を閉じた。
 冬馬が嘆くのも無理はない。
 夫殺しの殺人犯・景浦美也子の娘として獄中に生まれ、後ろ指を差されながら施設で育てられたおゆきは、世間的な意味では決して幸福な子ではない。
 まあ、引き取られた先で客を取ることを強制された冬馬や千夏に比べれば、まだマシというものではあるが、それでも弥生や葉月からすれば十分に同情すべき子供であろう。

 だが……。
 そこで弥生は考える。
 冬馬が直々に頼んできた話だ。弥生としては是非とも彼の信頼に応じてやりたい。
 だが、そこで利益を享受するのが、あの姉妹――千夏とおゆきの姉妹だというなら話は別だ。

 弥生には分かる。
 あのおゆきという少女は、本来の意味では決して冬馬を憎んでなどいない。
 彼女の冬馬へ向ける憎悪は、単に愛情が裏返っただけのものに過ぎない。
“事件”の後、芹沢家に引き取られた冬馬と千夏の二人は、母・美也子の獄中出産から施設に引き取られたおゆきに、よく会いに行っていたそうであり、そして、当時おゆきは千夏よりもむしろ冬馬の方にこそ懐いていたそうだ。――冬馬が美也子を拒絶する、その日までは。
 しかし、何かキッカケがあれば、おゆきの心は簡単に冬馬への想いを取り戻すだろう。今回の一件は、まさしくその契機としては申し分が無い。
 しかも、おゆきと、その姉の千夏には、法的な意味での冬馬との血縁が無い。千夏やおゆきは景浦美也子の実子であるが、冬馬はあくまで景浦家にとっては養子に過ぎないからだ。
 自分たちがあれほど苦戦し、その存在に辛酸を舐めている世間や常識という“敵”がいない。近親相姦の禁忌という鎖がない。つまり、その気になりさえすれば簡単に行き着くところまで行くことが出来る……。
 そして、なにより弥生は――あのおゆきという子供が決して好きではない。
187傷 (その15):2009/04/06(月) 02:53:57 ID:DEMcr3+x

「もし……」
 弥生が苦々しく言う。
「もし、断ると私が言ったら……あなたはどうするの?」

 どうするもクソも無い。
 冬馬も千夏も、年齢的には所詮ガキである。他に金策の当てなどあろうはずがない。あるとすれば芹沢家での娼夫時代の顧客を脅迫する事くらいしかないはずだ。
 だが、冬馬は顔色を変えなかった。
「どうもしません」
――え?
 そう訊き返す暇さえなかった。
「姉さんはそんな事は言わない……必ず金を出してくれるはずだからです」
「冬馬くん……? 何を言ってるのか私にも分かるように言って欲しいんだけど……」
「姉さんはおれの“お願い”を断れないはずだと言っているんですよ」

 その瞬間、弥生の血の気が一気に引いた。
(まさか)
 まさかもクソもない。
 ここまでヒントを出されては、いくら何でも理解できぬはずがない。
 そして冬馬は、弥生の想像通りの言葉を吐いた。



「姉さん……知ってるんですよ……あなたが、おれに薬を飲ませて慰み物にしている事をね」



 弥生は何も考えられなくなった。
 空気が凍りつき、全身の血が一瞬で鉛と化したかと思われた。
 やはり弟は気付いていたのだ。
 弥生が自分をよこしまな欲望の対象として日夜嬲り抜いている事実を。

「いまさら、それをあげつらって何かを言う気はありません。ただ、姉さんはおれに誠意を見せる義務があるはずでしょう?」

――誠意。
 その言葉が弥生の胸を深く貫く。
 そうだ。
 確かに弥生がやった事は許される事ではない。
 詫びても追いつかないならば、せめて形の上で彼の要求を飲むのは当然ではないか。
「冬馬くん、わたしは……」
 だが、その瞬間、弥生の舌は停止した。
 冬馬に感じた一分の違和感が、弥生の言葉を封じたのだ。

 弥生は、常に陽気さを失わないこの弟が、実は並外れて荒い気性を内に秘めている事を知っている。薬で自分を前後不覚にして弄んだ女など、たとえ姉といえど彼が容赦するとは思えない。
 しかし彼は、その事実を知っていると告白したにもかかわらず、いささかも憤っている様子が見えない。むしろその気色は沈鬱でさえあった。
(なぜ?)
 その問いは当然と言えたであろう。
 とっさに沸いた疑問こそが、ふたたび弥生の脳髄に平常の冷静さを供給するよすがとなった。
(冬馬くんは、焦っている……?)


「くっ……くっくっくっ……っっ……」


188傷 (その15):2009/04/06(月) 02:55:17 ID:DEMcr3+x

「姉さん……?」
「だめよ冬馬くん……弱味があるときは絶対に自然体を崩しちゃダメ……あそこでもし、私を張り飛ばすくらい出来たなら……間違いなく勝ちはあなたのものだったのに……」
 弥生は俯いていた顔――薄笑いを貼り付けた美貌を――弟に向けた。
「そんなザマじゃあ、この私の駆け引きで勝とうなんて百年経っても無理よ……」
 その嘲笑に、さすがの冬馬も顔色を変える。
「姉さんっっ!!」
 だが、弥生はまるで動じない。
「だめだめ、そんな大声を出したところで、もう何も変わらないわ」

 弥生は、ゆっくり伸ばした手を、紅潮した弟の頬に添える。
 彼は憤っていた。
 間違いなく。
 かつて弥生に直接向けられた事の無いほどの激昂の表情。
 だが、もうダメだ。
 もう騙されてはやらない。
 現に、弥生を刺すような鋭い眼差しで睨みつける冬馬の瞳の奥には、ほんの僅かだが困惑が見える。己の組み上げたシナリオ通りに反応しない姉の姿に戸惑っている弟が、弥生には見えるのだ。


「あなたには分かっているはずよ……たとえ、どういう経緯を踏もうとも、この私から金を引っ張り出せなかった時点で、それ即ち、あなたの負けだってことを、ね」


 冬馬は依然として弥生を睨み続ける。
 だが、その雰囲気には明らかに隠し切れない動揺が見える。
「あなたが勝てるとすれば、私があなたに“悪戯”をしている事実を突きつけてパニックを誘い、冷静さを失った私からカネを引き出すしかない。そうでもしなけりゃ、おゆきちゃんを嫌っている私が、彼女の治療費なんか出すわけが無いと踏んだんでしょうが……」
「あの場で姉さんを張り倒さなかったのがマズかったと?」

 やはりと言うべきか、さすがに、この男はたいしたタマだ。
 眼に憤りこそ湛えたままだが、それでも口元には、うっすらと笑みさえ浮かんでいる。
 彼なりに、この姉が何を言い出す気なのか興味が生じたのだろう。

「そうかもね。――でも、私は気付いてしまった。どう取り繕うとも私は出資者。そしてあなたは借金の代理人兼保証人に過ぎない。話の主導権は最初から冬馬くんではなく私にあって、あなたはそれに条件を付けられる立場には無いってね」
「自分が何を言っているのか分かってるのかい姉さん。あんたは俺を凌辱していた女だ。金を貸してくれるなら、それを許してやると言ってるのに――」
「許してくれなくとも構わないわ。でも、その結果おゆきちゃんの身体には、この先ずっと障害が残る。あなたが私を怒らせなければ、そんな事にはならないはずだったのにね」
「…………ッッッ!!」

 その言葉を聞いた瞬間に、冬馬の口元から笑いが消えた。
 きゅっと真一文字に結ばれた唇からは、先程に倍する激しい怒りが垣間見えるが、弥生は歯牙にもかけなかった。
――これは賭けだった。
 冬馬にとっても駆け引きであったのと同様に、ここから先の駆け引きは、弥生にとっても重要極まりない駆け引きなのだ。成り行き次第では弥生はもはや、明日から冬馬に口も利いてもらえない関係になるだろう。だが、弥生の賭けが図に当たっていたなら……!


 ふん……。
 冬馬の鼻から息が洩れたのが見えた。
 瞼は閉じられ、紅潮していた頬からも、みるみるうちに血の気が引いていき、水のような静けさをたたえた冷静な貌に戻った。
(賭けに、勝った……ッッ!!)
 弥生は小躍りしたい気分だった。やはり弟は本気で弥生に怒ってはいなかったのだ。
 やがて彼は力なく笑った。
「……まあ、頭のどっかでこうなるとは思ってはいたけどね……。やっぱり姉さんは簡単にこっちの思惑には乗ってはくれねえか……」
 ぼりぼりと頭を掻くと、どこか諦めたような顔で彼は言った。
「分かったよ。条件は……姉さんを“女性”として愛する事で、いいかい?」

 その言葉を聞いた瞬間、弥生は自分の骨髄が紛れも無いオルガスムスに包まれているのを感じた。だが、まだだ。イってしまうのはまだ早い。自失する前に弥生は抜け目なく一言付け加える事を忘れなかった。
「私だけじゃない。愛するのは……葉月ちゃんもよ」
189傷 (その15):2009/04/06(月) 02:57:08 ID:DEMcr3+x
今回はここまでです。
190名無しさん@ピンキー:2009/04/06(月) 03:02:16 ID:jI3HLl2g
リアルタイム&一番槍GJ!
191名無しさん@ピンキー:2009/04/06(月) 03:18:11 ID:idfqOa/e
紫煙
192名無しさん@ピンキー:2009/04/06(月) 03:22:22 ID:DMyg3G86
GJ!!
193名無しさん@ピンキー:2009/04/06(月) 03:40:33 ID:WIiAHIct
傷キテターーGJ!!
弥生さんラスボスっぽいなw
194名無しさん@ピンキー:2009/04/06(月) 03:51:49 ID:paI5q7i8
傷キタ━━━( ´∀`)・ω・) ゚Д゚)゚∀゚)・∀・) ̄ー ̄)´_ゝ`)−_)゚∋゚)´Д`)゚ー゚)━━━!!!! 
なんだろう、姉弟間の亀裂が妙に気になる…
195名無しさん@ピンキー:2009/04/06(月) 06:34:05 ID:Noc5UU6N
>>189
おかえりなさい&GJ!
う〜ん、なんか現実的かつきな臭くなってきたゼ!
最後に出てきた、取引の上での「肉体関係」が、どう展開していくのか? 楽しみです。
それじゃあ、続きをのんびり待ってます。
196名無しさん@ピンキー:2009/04/06(月) 12:39:20 ID:KbVBGXhY
傷待ってました!

冷静な愛憎劇がたまらん
197名無しさん@ピンキー:2009/04/06(月) 20:02:13 ID:FqssgTPp
首から上が豹なキモウト希望
198名無しさん@ピンキー:2009/04/07(火) 00:00:17 ID:jI3HLl2g
某引き隠り協会のチーターマンか
199名無しさん@ピンキー:2009/04/07(火) 01:50:35 ID:SbkGIvUG
100話いっても終わらなそうだな
200名無しさん@ピンキー:2009/04/07(火) 03:29:48 ID:h1XNKXHW
>>199
グイン・サーガ?
201名無しさん@ピンキー:2009/04/07(火) 16:29:23 ID:8lB4aK5R
「某引き隠り協会」とか聞くと、あのN○Kを思い出す。
超うろ覚えだけど、あれにも兄大好きの妹が出てたような……?
202 ◆6AvI.Mne7c :2009/04/08(水) 04:12:56 ID:LPxhJHHY
桜の時期にぴったりの短編ができたので、これより投下。
タイトルは「サクラサク、さくらちる」。兄妹もの。
事前注意としては、とにかくペドいので注意。○学生のエッチ描写……

次レスより投下。12レス借ります。投下終了宣言あり。
203サクラサク、さくらちる (01/12) ◆6AvI.Mne7c :2009/04/08(水) 04:14:21 ID:LPxhJHHY
 
 4月の陽気と春の風、初々しい少年少女の笑い声。
 まだまだ桜が満開のこの時期は、入学式に桜の花びらが舞い踊る。
「おにーたん、はやくきてよ〜!」
「ああこらっ、そんなに慌てるなよ、さくら。
 せっかくの新しい制服を、土まみれにしたくないだろ?」
 
 前を駆けていく、まだ幼年の少女をなだめ、落ち着かせようとする。
 この少女の名は「さくら」。僕の大切な妹だ。
 今年でようやく小学生になれたせいか、今朝からとてもテンションが高い。
 
 そういう僕自身も、今年中学生になったばかりの、まだ子供だったりする。
 僕の名は「桜華(おうか)」。妹とお揃いの漢字が入っていて、結構気に入っている。
 齢は12才。なので、目の前にいる妹とは、6才離れた兄妹ということになる。
 なお、中学校の入学式は明日なので、今回の出席はサボリにはならない。
 僕はこう見えても、いちおうマジメな部類の人間なんだ。
 
「も〜お、おにーたんのばかぁ〜。
 せ〜ふくじゃなくて、あたいのからだをしんぱいしてよ〜」
「はいはい、それもそうだったね。
 転んでケガして泣いちゃう妹なんて、見たくないしね」
「むむぅ〜イヤイヤっぽいなあ。まあいいけどね〜。
 だったら、あたいをもっと、だいじにし〜な〜さ〜い〜っ!」
 
 まったく、そんな恋人同士みたいな言葉、どこで覚えてきたんだろうな。
 6才児のくせして、時々マセた発言をするからあなどれない。
 でもまあ、それはおいおい、僕が直してやればいいんだ。
 
「で、僕のかわいい妹は、どうしたら落ち着いてくれるのかな?
 手をつないで、一緒に並んで歩くのなら、僕も安心するんだけど……」
「あ……うん! あたい、おにーたんとおててつなぐ〜!
 ならんでいっしょに、ももいろのみちをあるくんだ〜!」
 
 やれやれ、「手をつなぐ」と言っただけで、こんなにはしゃいで。
 まったく、扱いやすくて、かわいらしい妹だ。
「ほらはやくはやく〜! おててつないでいこ〜!
 そんで、いっしょにたいくかんにはいろうよ〜!」
 はしゃぐ妹の差し出した手を握り、歩幅を狭くして歩調を合わせてやる。
「はいはい、それじゃあいこうか」
「うんっ!」
204サクラサク、さくらちる (02/12) ◆6AvI.Mne7c :2009/04/08(水) 04:15:36 ID:LPxhJHHY
 
 妹の入学式は、とくに問題なく終わった。
 というか、たかが小学校の入学式で何かあるほうが、よっぽど問題だ。
 むしろ、入学式に親じゃなくて、兄である僕が参加してるほうがアレだ。
 でもしょうがない。僕らの両親は、どうにも仕事で家を空けっ放しなのだ。
 
 
 昔から僕の家では、父さんと母さんが共働きのため、僕はよく1人ぼっちになった。
 だから、僕が6才の頃に妹が生まれたときは、心の底から嬉しかった。
 それにしばらくは、妹を育てるために、母さんが家にいてくれた。
 けれど、それも妹が生まれて1年と少しだけで、2年もするとまた元通り。
 どちらかというと、父さんのお姉さんが、僕や妹の育ての親って感じだった。
 
 そして妹が4才のとき、父さんのお姉さんが突然、遠くに引っ越すことになった。
 同時期に、父さんや母さんも、本格的にウチから離れることになった。
 父さんは国内の遠方の仕事場に、母さんは国外の仕事場にそれぞれ通うために。
 その結果、必然的に僕が妹の世話をしなければならなくなってしまった。
 父さんの他の親族も、母さんの親族も、すでに全員亡くなっていたから、なおさらだ。
  
 それでもなんとか、小学生の僕と幼稚園児の妹の2人だけで、無事暮らしてこれた。
 事前に父さんのお姉さんが、僕に子守のいろはや家事全般を叩き込んでくれたのだ。
 まあ、妹が僕になついてくれていたから、僕の負担が軽かったというのもあるけど。
 
 そんなこんなで、僕は妹くらいの齢の子供の扱いが、異様にうまくなっていった。
 将来は、保父さんでも目指してやろうか、なんて考えていたりする。
 そういや、妹の幼稚園に迎えに行くたびに、他の幼児にモテモテだったなあ、僕。
 ……同年代の女子には、ぜんっぜんモテないんだけどね〜。
 
 
 さて、だいぶ話が脱線したので、一度戻そう。
 結局、父さんと母さんは、今回もまた仕事で戻れないとのことだ。
 僕のケータイに、2人からそれぞれメールが届いたから、これは確かだ。
 だから僕が、妹の入学式に、いつもどおり親代わりで参加した。
 まわりの父兄さん達から、色眼鏡で見られるのは、もう慣れている。
 僕がいることで妹が喜んでくれるなら、もうそれだけでいいや。
 今も僕の横で、鼻歌を歌いながら、楽しそうにはしゃいでるし。
 
「ねえおにーたん。おにーたんは、あたいのことすき〜?」
 ああ、また妹の「好き好き攻撃」だな。
 まったく、僕は兄だからやめなさいって、何回言っても聞かないな。
「はいはい。僕もさくらのこと、大好きだからね」 
「えへへ〜、あたいも、おにーたんだいすき〜!」
 ああ、世界は今日も平和だねえ。
205サクラサク、さくらちる (03/12) ◆6AvI.Mne7c :2009/04/08(水) 04:16:11 ID:LPxhJHHY
 
 妹と一緒に買い物し、夕方にウチに帰ってから、いつもどおり晩ご飯の準備を始める。
 妹の世話をし始めた頃からやっているので、腕前は相応のものだと自負している。
 実際、僕が小学生だった時の家庭科の調理実習では、けっこう好評だった。
 「将来、調理師になりなよ」って、クラスの女の子に言われた時は、嬉しかったな。
 その話を妹にしたら、なぜかむくれて、一日じゅう機嫌が悪かったけど。
 
「なあさくら、冷蔵庫からたまねぎをとってくれないか?」
「うん……と、これだよね、ハイ!」
 僕がおかずを料理して、妹が食器などを準備する。ウチのいつもの光景。
 最初は危なっかしくて怖かったけど、妹が成長してからは、安心して料理に専念できる。
 
「さくら、コレを机の上に持っていったら、むこうで待っててくれ。
 いまやっているこの野菜炒めができたら、一緒に食べ始めような?」
「うん、わかった〜! でもやさいいためにニンジンは……」
「もちろん入ってる。好き嫌いはダメだよ、さくら」
「うえぇぇ……」
 ロコツに嫌そうな顔をする妹。いくつになってもこれだ。
「ニンジンを食べたら、ごほうびにデザートをあげるから、頑張りなさい」
「でざーと? もしかして、プリンなの!?」
「うん。ご褒美のプリンとニンジン残し、どっちを取るかな?」
 本気で悩む妹。今度ニンジン入りプリンとか、こっそり作ってみようかな?
 
「……わかった〜、イヤだけど、ニンジンたべるぅ。
 だからおにーたん、ごはんのあとは、ぜったいプリンちょ〜だいよ〜!」
「うん、約束するよ。っとと、ちょっと火を通しすぎたかな?」
 目の前の野菜炒めに再度集中。火を止めたあと皿に盛りつけようとして、
「ねえ、おにーたん」 
 すぐ後ろからの妹の声に振り向いた瞬間、僕の唇に、なにかのやわらかい感触。
「えへへ、ちゅ〜しちゃった♪」
「まったく……」
「ニンジンたべるゆーきがでてきた〜! がんばるもんねっ!」
 踏み台とかを片付けて、元気そうにリビングの食卓へ駆けていく妹。
 家の中で走るなって、いつも言ってるのに――まあいいか。
206サクラサク、さくらちる (04/12) ◆6AvI.Mne7c :2009/04/08(水) 04:17:28 ID:LPxhJHHY
 
「ごちそうさまでした」
「ごちそ〜さまでしたっ!」
 つつがなく晩ご飯を食べ終わり、妹にプリンを食べさせてやった。
 「あ〜んしてっ」なんて言う妹に、いつもどおりに食べさせてやる。
 いつか僕に恋人ができたらやってあげたい行為だが、今のところ妹専用だ。
 
「よし、じゃあ歯を磨いておいで。そしたらお風呂に入ろうか。
 ――あ、その前にお話があるから、やっぱりココに来なさい」
「うん、わかった〜!」
 元気よく駆け出していく妹。だから家の中は(ry
 まあ、今回の話をしたらしょげるだろうから、少しは見逃してやらないとね……。
 
「おわったよ〜! ねぇねぇおにーたん、おはなしってな〜にっ?」
 妹が戻ってきて、僕の膝の上に座る。もう走ることは注意しない。
 僕の真剣な態度を感じ取ったのか、妹も少しだけ身体を強張らせる。
「さくら。大事な話だから、僕の膝じゃなくて、前に座ってくれないかい?」
 
 
 
「いやだ! ぜ〜ったい、イヤだかんねっ! いやだいいやだいいやだい!?」
「さくら、頼むから聞いてくれよ。いい子だから、聞き分けてくれ……」
 ああ、やっぱり妹は納得してくれなかったか。まあ当然かな……。
 
 僕が妹に話した内容は、ざっと分けて次の3つ。
 1つめ。もういい年だから、一緒にお風呂に入ったり、一つの布団で寝ないこと。
 2つめ。お互いもう大きくなったから、お口にキスとかするのをやめること。
 3つめ。小学生になったんだから、登下校は僕の付き添いなしですること。
 
「なんで……なんでなんでなんでよぅ……。
 おにーたん、あたいのこと、キライになっちゃったのぉ……?」
 我慢できずに、僕に抱きつき――すがりついてくる妹。
「ちがうよ。僕はさくらのことは、今でも大好きだよ。
 でもね、もうさくらも小学生になったんだ。幼稚園児じゃないんだよ。
 だから、僕に甘えなくても、1人でできるよね?」
 
 昔から、僕を信じて僕についてきてくれた、かわいい妹。
 でも、そろそろ兄離れをさせないといけない。
 ただでさえ、僕のこれから通う中学校は、ウチからの距離が小学校より近い。
 だから、妹1人で小学校まで行ってもらわないと困る。
 そのついでに、ひたすら僕に甘えっぱなしの妹を、1人立ちさせてやらないと。
 僕に甘える時間は終わり。自立して頑張ることを教えないと、妹はダメになる。
 
 いま妹にしている説得で、妹の未来が決まる。
 ソレくらいの覚悟で、僕は妹と向き合っている――つもりだ。
207サクラサク、さくらちる (05/12) ◆6AvI.Mne7c :2009/04/08(水) 04:19:18 ID:LPxhJHHY
 
「おにーたん、あたいのこと、スキなんだよね?
 だったら、おっきくなっても、いっしょにいてほし〜よぉ!
 おにーたんといっしょに、おにーたんとすごしたいもん!」
「ダメだよ。今まではさくらが幼稚園児だったから、僕も甘やかしてきた。
 でもね、さくらは明日から新しい学校に通う、立派な小学生だ。
 だから、今までみたいな、ベタベタした甘え方は許しません!」
 
 実際、妹の僕への甘えっぷり――依存度は、かなり大きく、かなり重い。
 僕と一緒にいる時は、常に僕にくっついている。ここ最近は特にそうだ。
 お手伝いとか、買い物とか、用事がある時でも、可能な限りは近くにいる。
 そして僕の友達(特に女の子)が来ると、威嚇さえする。
 今まで妹が懐いていたのは、僕を除けば、父さんのお姉さんくらいだ。
 
「さくらはもう、だいたいのことは1人でできるだろう?
 僕がどうしても手伝わないといけないこともあるけど、それ以外は大丈夫だろう?
 だったら、さくらが1人でがんばれるってトコロ、見せておくれよ?
 どうしてもできないことがある時だけ、手伝ってあげるから、ね?」
 さあ、これで妹がどう出てくるか。もう少しきつく言えばよかったか……。
 
 ところが妹は意外にもあっさり、さっきまで抱きついていた僕の身体から離れた。
 そして、5歩ほど下がった位置で、「きをつけ」の姿勢になって言った。
「わかった。おにーたんのいうこと、あたいちゃんときく。
 だから、おにーたん……。あたいのこと、キライにならないでね?」
 
 よかった。妹はちゃんとわかってくれた。
 さすがに僕には、アレ以上説得の手立てはなかったから、内心ヒヤヒヤだった。
 でも、妹がちゃんと聞いてくれたおかげで、長期戦にはならなくてすんだ。
 
「でも……でもね? きょうの――あしたのあさまでは、おにーたんにあまえさせて。
 これでさいごにするから、やくそくするから――おねがいします、おにーたん」
「わかったよ。じゃあ最後にいっぱい甘えておいでよ。
 そのかわり、明日の朝目が覚めたら、1人でご飯を食べて、学校に行くんだよ?
 朝ご飯はいつもどおりに、僕がちゃんと用意するけど、そこからは全部1人でやるんだ」
「うん、わかった……」
 
 つい約束しちゃった僕。まあいいか、なんだかんだで僕も寂しい気がするし。
 親離れする子を見守る気持ち――ホントはたった6才差だけど――ってこんなものかな?
「うんうん、さくらの聞き分けが良くて、僕は嬉しいよ。
 よし、今お風呂を沸かしてるから、洗い物が終わったら一緒に入ろうか?」
「うん! あたい、おにーたんのせなかながしたげる〜!」
 
 ふふ、かわいいヤツめ。
 なんて、僕のほうが妹離れできてない気がしてきたなぁ。
208サクラサク、さくらちる (06/12) ◆6AvI.Mne7c :2009/04/08(水) 04:21:22 ID:LPxhJHHY
 
 入浴後。入浴シーンは割愛。
 だって、小学生女子の裸体描写とか、中学生男子の裸体描写なんて、いらないよね?
 ただひとつ言っておくと――最後だからと、妹がとにかくひっついてきた。
 べ、別に裸の妹に抱きつかれたからって、興奮なんて(ry
 
 なんて何かに言い訳していると、パジャマ姿の妹がやってきた。
 最後だからか、なにやらぬいぐるみと、ノートみたいな薄い本を持参している。
「じゃあおにーたん、おふとんにはいりましょ〜♪」
「はいはい。髪の毛はちゃんと乾かしてるな? 戸締りもしたね?
 よし、じゃあ今夜は、僕の部屋のベッドに行こうか」
 
 
 時計は夜の9時を指している。ウチでは早寝早起きを心がけているのだ。
 おかげで、僕も妹もやたら健康体だ。みんなに話したら、驚かれるけれど。
「えへへ〜、おにーたんのからだ、あったか〜い♪」
「まったく、最後の最後まで、さくらは甘えんぼうだよなあ」
「いいでしょ〜、さいごなんだからね〜♪」
「はいはい。じゃあその本を貸してごらん。僕が読んであげる――」
 
 僕としては、妹が頼んでくる前に、先に読んであげるくらいのつもりだった。
 でも、なぜか急に妹の表情がくもり、同時に雰囲気が変わったような気がした。
「ううん、いいの。それより、おにーたんにききたいことがあるの」
「え……あ、うん。聞きたいことって何? 知っていることなら、答えるけど」
「ねえ、おにーたん。ちゅ〜とかしていい?」
 上目づかいで可愛らしく尋ねてくる妹。ダメだ、断らないと。
「ダメだよ。ちゅ〜はもう禁止する。約束したじゃないか。
 そういうのは、さくらに好きな男の子ができたら、してあげれば」
「あたいは、おにーたんがすきだけど、ダメなの?」
「ダメだよ。キスってのは好き合っている、兄妹以外の男の子と女の子が――」
 
 瞬間、布団の中だというのに、温度が下がったような感覚――悪寒。
 そしてそれは、目の前にいる6才の妹から、発せられている。
「そっか〜、そうなんだ〜。おにーたん、あたいをすてるんだね。
 それで、あたいいがいのメスブタに、ちゅ〜がしたいんだね……」
 
 妹の口から、聞きなれない言葉が聞こえ、少々混乱する僕。
 その瞬間を、妹は逃さなかった。僕にいっそう抱きつき、そして――
「ちゅ〜〜〜〜〜!!」
 妹のキス。それもいつもの触れるキスではなく、舌をもぐりこませる、深めのキス。
 小学5年生の頃、友人に見せてもらったエロ雑誌に載っていたような、大人のキス。
 僕と妹の口内で響く、唾液の混ざる音、舌の這い回る音。
 そして、それとは別に、僕の胸元で、なにか金属のかみ合う音が聞こえた。
 
「っぷはぁ! さ、さくらおまえ――アレ? 手が動かない?」
 驚いて両腕の手首を見る僕。目に入ったのは――鋼鉄製の、手錠?
 それに気づくと同時に、足元で金属のかみ合う音。今度は2つ。
 左足首と右足首にそれぞれ、ベッドの足へ鎖でつながれた足枷があった。
 そして次の瞬間、今度は両腕の手錠を頭側の壁に、鎖でつながれてしまった。
 
「えへへ。これでもう、おにーたんはうごけません。
 だから、これからするあたいのはなし、ぜんぶきいて」
 蛇に睨まれた蛙、ということわざの意味を、身をもって体感した――気がした。
209サクラサク、さくらちる (07/12) ◆6AvI.Mne7c :2009/04/08(水) 04:23:18 ID:LPxhJHHY
 
 まるで漢字の「人」のような体勢で、両手足を固定された僕。
 そして動けない僕の目の前で、パジャマや下着を脱ぎだす妹。
 さっき入浴中に見た、成熟していない年相応の肢体があらわになる。
「おにーたん。いつもあたい、おにーたんにいってたよね?
 あたいはおにーたんのこと、だいすきって。けっこんしたいって。
 あれ、ウソだとおもってた? もしかして」
 
 妹からの質問。でも妹じゃないような会話。
 いつもの妹のような、波形線で伸ばすような、あの独特の伸びが一切ない。
 ただ淡々と、僕の内心を読み取ろうとするような、そんな態度を感じる。
 
「こたえないってことは、ウソだっておもってたんだね。
 ヒドイよね、あたいはホンキだったのにさ」
「本気って、悪い冗談だろ? さくら、自分が何を言って――」
 ようやく口を開いて反論できた。けれど、今の妹には逆効果だったようだ。
「おにーたん、それおせっきょう? だったら、きいてあげないよ。
 さきにいっとくけど、さっきのさいごってやくそく、あたいまもらないからね」
「な、何でだ? さくら、おまえはそういう約束を破るような」
「おにーたん、そうやってまた、あたいをただのいもーとあつかいする。
 おにーたんにとっては、あたいはただのいもーとかもしれないけど――
 あたいにとっておにーたんは、いちばんさいあいの、おとこのこなんだよ」
 
 まずい。妹と長く過ごしてきた僕だからわかる。妹の言葉に迷いはない。
 だから、妹が僕のことを兄として以上に、男として好きなのは、本当だ。
「で、でもなさくら」
「あにだから? いもーとだから? ききあきたよそんなの。
 あたいはさいしょっから、がまんもあきらめもしないよ。あたりまえじゃない」
「でも」
「わかってる。おにーたんも、あたいのいうことだけじゃ、なっとくしないんでしょ?
 だから、これからなっとくできるように、あたいががんばってあげるね。
 えへへ……コレはなんでしょうか、おにーたん?」
 
 そう言って、妹がぬいぐるみから取り出したのは、ウチにある布用の裁断バサミ。
 それを小さな両手で器用に扱いながら、妹は僕のパジャマを切り裂いていく。
 僕にはそれを止める術がない。両腕と左足と右足が、それぞれ別々につながれている。
 事前に準備していたとしか思えないほどに、とても手際よくベッドにつながれている。
 
 結局、何も抵抗できないまま、僕は全裸にされた。
210サクラサク、さくらちる (08/12) ◆6AvI.Mne7c :2009/04/08(水) 04:25:03 ID:LPxhJHHY
 
「えへへ。おにーたんのハダカ、すっごくおいしそうだね。
 おふろのなかでみるより、おふとんのなかでみたほうが、なんかいやらしいよね……」
 恍惚(?)の表情を浮かべた妹。そのまま僕の身体にすがりついて来る。
 そしてなんの迷いもなく、僕の乳首に舌を這わせてきた。
 
「うはぁっ!? や、やめてくれ、さくら! ちょっまてっ……うあっ!
 ダメだ! こんなこと兄妹で――うぅっ! やっちゃいけな……あぁ!」
 なんとか妹を止めたい、けど止められない。
「くすくす。よくいうよね、おにーたん。からだはしょうじきだよ。
 だってほら、おにーたんのおちんちん、すごくおっきくなってるもん」
 妹の指摘に、僕は顔を赤くする。妹の言うとおりだったからだ。
 僕はよりにもよって、妹の舌で胸を舐められただけで、勃起してしまったのだ。
 
「ちが……これは、最近1回も、そういうエッチな息抜きをしてなかったから――」
 まだ小学生になりたての妹に対して、動転してとんでもない言い訳をしてしまう。
「わかってるよ、ヌいてないんでしょ? このところさんしゅうかんくらい。
 とうぜんだよね。あたいがずっとずっとはりついて、そんなヒマあげなかったもん」
 
 妹の言葉に唖然とする。あのじゃれつきっぷりは、今日のための布石だった?
 ここで僕に勃起させるために、ずっと僕のオナニーを邪魔してたってことか?
「なんでそんな――まさか……さくらっ!?
 だ、ダメだ。それだけはダメなんださくら! 僕とおまえは兄妹で――」
「それはもうききあきたんだよ、おにーたん。
 あたいはきょうのために、なんにちも、なんかげつもまって、じゅんびしたの。
 いまさら、ひいてなんかあげないよ。わかってくれないのかな?」
 
 妹の――さくらの、覚悟。ゆるぎない、信念。
 
 絶対に止めないと。このままじゃ、僕も妹も、他のみんなに――
「そ、そうだ! こんなこと、父さんと母さんが知ったら、僕らは離されるぞ!
 そうでなくても、父さんのお姉さん――ちえりさんが知ったりしたらどうs」
「――っ、ふふふ、あははははははははははははははははははは!」
 僕の最後の抵抗に、妹は狂ったように笑った。
 なんで? なんで大人の介入を恐れないんだ? なんで?
 
「おにーたん。パパはこのことをしっても、なにもいってこないよ。
 ママもこのことをしっても――ううん、しることもできないよ。
 ちえりおば――おねーさんは、よろこんでくれるだけだからね」
 
 なんだ、その返答は。なんで、母さんだけ、もういないみたいな言い方をする?
 なんで、父さん達はもう知っているような言い方を? なんで……どうして!?
「えへへ、あきらめたね。じゃあ、おにーたんをいただきます」
211サクラサク、さくらちる (09/12) ◆6AvI.Mne7c :2009/04/08(水) 04:27:10 ID:LPxhJHHY
 
 何も言葉を返さない僕を降参したとみたのか、僕のペニスに口付ける妹。
 同年代の男子よりも、ほんの少し大きい僕のペニスを観察し、凄惨な笑みを浮かべる妹。
 その絵は、なんだかとても淫靡で、それだけで射精をしてしまいそうで――
「やめるんだ! さくら、それ以上は――」
「それいじょうは、なに? いっとくけど、もうおそいよ。
 おにーたんのおちんちんをおくちにいれるのは、いちねんまえからやってたもん」
 
 絶望的な告白。僕はずっと前から、妹に夜這いされていた?
 いや、同じ布団のなかで、性的なイタズラをされていたのか?
「でもね、きょうはおくちのなかでださせてあげないもんね。
 きょうは、あたしのしたのおくち――おまんこで、ださせてあげる」
 
 数瞬の思考停止。その直後の思考再開。
「な……だめだだめだだめだっ! そんなことやっちゃあだめだ!
 さくらっ! 兄妹同士のエッチは――セックスは、近親相姦になるから!?」
 僕の必死の抵抗。妹は耳を貸さない。ただ無言で僕の腰に跨り――
「――っ!? っくぅ、ああああああああああああぁぁっ!?」
 そのまま腰を落として、僕とつながってみせた。
 
 
 ものすごく痛がる妹。当然だ、処女だったうえに、身体が成熟してないんだ!
「っく……うぅ………うぁ、あぁあ…………あは♪ あはは♪ あはぁ♪」
 だというのに、たった数秒で、痛みを感じさせずに、ゆるく上下に動きだす妹。
「な……、さくら、オマエ……痛く、ないのかっ!?」
「えへへ♪ いたかった……けど、おにーたんとつながってるんだよ?
 そうかんがえたら、いたいより、うれしくて――きもちいぃんだもん♪」
 その言葉に僕は驚愕する。快感が、痛みを超越している?
 漫画なんかの作り話だと思っていたのに、妹はいまその状態だと?
「えへ♪ イイ♪ おまんこきもちいぃ♪ いた、きもちいぃ!?」
「――しまった! 止まれ、さくら! だめだ、早くそれを抜くんだ!」
 
 思い出したかのように、必死で懇願する僕。当然妹はそれを聞かない。
 そんなことよりも、気持ちよすぎる。どんどん気持ちよくなる。 
 まずい、もう我慢できない。このままだと、妹のナカに――
「ねえ、おにーたん。あぅ♪ あたいまだ、おせきはんたいてないよね?
 だから、いまならナカに、ひゅ♪ ぴゅるぴゅるって、だしていいんだよ?」
「そういう問題じゃあ――っ、だめだっ! もう我慢が――」
 両足がそれぞれ反対方向に固定されているため、踏ん張ることさえできない。
 僕のペニスが、妹の小さい身体で締め上げられて、ついに我慢できず――
 
「うあ、ああああああああああああああああああぁぁぁぁぁっ!!?」
「きたぁ、ああああああああああぁぁぁぁぁぁぁあああん!?」
 
 妹のナカで、射精。初めての、快感。頭が、まっしろに―― 
「えへへ……、おにーたんみて? せーえきとけつえきが、まじってきれい。
 ゆびでまぜたら、さくらのいろみたいな、きれいなももいろにならないかなぁ?」
 なることさえ許されない。幼い子供のように言われ、現実に引き戻される。
 
「あたい、ホントにおにーたんと、つながれたんだね。うれしいなあ……」
 指ですくった血交じりの精液を差し出され、妹とつながった証拠を見せつけられた。
212サクラサク、さくらちる (10/12) ◆6AvI.Mne7c :2009/04/08(水) 04:29:03 ID:LPxhJHHY
 
 翌朝。とてつもなく全身が、そして頭の中が重たかった。
 結局、あのあと僕は妹のナカで、5回は射精させられてしまった。
 はっきりいって、気持ちよかった。だからこそ、僕はいま落ち込んでいる。
 妹を守ることもできず、それどころか罠にかかって、傷をつけてしまった。
 オマケに僕の身体が、まだまだ妹とつながりたいと、うずくようになった。
 父さん母さん、本当にごめんなさい。僕は最低の兄になりました。
 
 朝になって目を覚ますと、妹はすでに1人で小学校に行っていた。
 朝ご飯は買い置きのコーンシリアル。昼ご飯は給食らしいから問題ない。
「この後に及んで、まだ僕は妹の世話を焼いているつもりなのか……?
 あははは、笑える――笑えないや。あははははははは……」
 
 そんな最低の気分のまま、中学校の入学式に出席した。
 とても顔色が悪かったらしく、新しい先生や友人たちにとても心配された。
 ごめん。みんなが心配してくれる僕は、妹とつながった、最低の人間なんだ。
 
 
 その日はずっと、自虐し続けることで、必死に気をもたせていた。
 妹を顔をあわせたくなくて、なるべく遅くまで、学校や商店街を徘徊した。
 それでも、晩ご飯は作らないといけないから、夕方ごろには機械的に帰宅した。
 妹は――帰ってきているはずだけど、今日は玄関まで迎えに来ない。
 そのほうがよかった。いま妹に会うと、何か酷いことを言ってしまいそうだから。
 
「……はあ、晩ご飯の準備でもして気分を――なんだコレ?」
 リビングの机の上に、無造作に置かれていた昨日の本――いや、ノート。
 僕が父さんのお姉さんからもらった『育成ノート』とは別の色で、同じ形式のノート。
 疑問に思いながらそれを開き――僕はその内容に、震えるしかなかった。
 そこには、男女の身体の仕組みやら性技やら、そういうのがびっしりと書いてあった。
 しかもコレは、僕の字でも妹の字でもない――父さんのお姉さんの字だ……!
 
「なんで………なんでこんなモノがあるんだよ………!」
 つい手を滑らせてノートを手から落とす。それと同時に何かが出てきた。
 挫けそうな気力を振り絞って、それを拾う。どうやら手紙入りの封筒のようだ。
 表側には『桜華くんへ』と書いてある。裏側には『ちえりより』の文字。
「これは――僕あての手紙なのか? 文字は――ちえりさんの字だよな?」
 
 不審に思いつつ、封筒を開けて、中の手紙を読む。
 読むべきじゃあなかった、ということに1秒で気づいたが、どうしようもなかった。
213サクラサク、さくらちる (11/12) ◆6AvI.Mne7c :2009/04/08(水) 04:30:31 ID:LPxhJHHY
 
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
 親愛なる、桜華くんへ
 
 この手紙を読んでいる頃、貴方のお父さんと私は、貴方の前にはいないでしょう。
 なぜなら、私が貴方のお父さんと一緒に、遠くの村に隠れ住んでいるからです。
 ほんとうにゴメンね。貴方の家族を奪ってしまって。
 でもかわりに、妹さん――さくらちゃんは、貴方のところに残しておきます。
 
 あの娘はまだ元気かしら? 多分いまも、貴方にべったりしているでしょう。
 あの娘の気持ちは、3週間前に本人から聞かされました。貴方がいない時にです。
 うふふ、昔の私を思い出しました。私もあの娘と同い年のころ――失礼、話を戻すね。
 
 そんなこんなで、私ももう、いっさい我慢しないことにしました。
 けどその前に、あの娘にはちゃんと、性や愛に関する知識を叩き込んでおきました。
 ちょうど貴方に、子供のお世話や家事を教えてあげたのと、同じようにね。
 だから、これからも今まで通り、2人で仲良く暮らしてください。
 いえ、これまで以上に仲良く、夫婦のように睦まじく暮らしてください。
 大丈夫。ちゃんと生活費や学費は、2人が高校を出るまで振り込んでおきます。
 あと、どうしても大人の手続きが必要なときは、こっそり私がやっておきます。
 
 それでは、何年後かはわからないけれど、また手紙で連絡します。
 貴方とさくらちゃんが、いつまでも幸せでありますように。
 
                                                  ちえり
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
 
 
 全て読みきって、僕はこの文面に恐怖した。
 なんてことだ。父さんは、自分のお姉さんに、無理矢理……?
 それよりも、母さんに関する内容が、何ひとつ書かれていない!?
 なんで? どうして母さんはもういない、みたいな空気に……!?
 
「おにーたん、おかえり。ちゃんとそのてがみ、よんだみたいだね?
 それはおととしのさんがつに、ポストにとどいてたの。
 ちえりおねーさんも、どこかでしあわせになったんだってね」
 いつの間にか近づいていた妹に、背後から抱きしめられた。
 まだ小さいから、僕の腰あたりに、腕を回す形だけれど。
 
「さくら――なんで、この手紙のことを黙ってたんだ?」
「きまってるでしょ? おにーたんがそのことをしったら、おしまいだもん。
 だから、あたいがおにーたんとつながるまで、ずっとかくしてたんだよ」
 
 負けてはいけない。飲まれてはいけない。
「さくら、それじゃあこのノートはどうしたんだ。まさか、ちえりさんが――」
「そうだよ。あたいのために、ちえりおねーさんがのこしてくれたの。
 おねーさんが、あたいがおっきくなるまでの、じゅんびのためにつくったの」 
 
 明らかにおかしい妹。昨日までの幼稚だった妹は、ここにはいない。
 舌っ足らずなのは変わらないのに、幼稚さが少しも感じられない。
「おにーたん、あたいはもう、いもーととしてはあまえません。
 かわりに、きょうからは、こいびととしてあまえてあげる。
 もうエッチもしちゃったから、もんくはいえないよね?」
214サクラサク、さくらちる (12/12) ◆6AvI.Mne7c :2009/04/08(水) 04:32:12 ID:LPxhJHHY
 
 妹からの死刑宣告。絶望の一言。
 だめだ、まだ戻れるかもしれない。だから――
「なあ、さくら。昨日のことは忘れよう。僕も忘れるから。
 そうしたら、僕たちはまた、仲のいい兄妹に戻れるんだ。
 周りの人たちにも、異物を見る目で見られないから、それなら」
「あはは。あきらめがわるいよね、おにーたん。
 さいごまであきらめない、ってのがおにーたんのすきなことばだもんね」
 笑いながら、妹が言う。もしかしたら、これでなんとか――
 
「でも、ここではあきらめてほしいから、とどめをささないとね。
 ほら、おにーたん。コレをみてくれたら、すぐにわかるよ」
 そう言って妹が渡してきたのは、父さんのデジタルビデオカメラ。
 妹がそれを僕に渡すと同時に、再生ボタンらしき部分を押した。
 そしてカメラの画面に流れた映像は――昨日繰り広げられた痴態だった。
 
「おにーたん。あたいだって、カメラのつかいかたくらい、しってるよ?
 それとね、このえいぞうはいま、いんたーねっとにあっぷろーどだけしてあるの。
 ゆうめいなどうがさいとだよ。じゅうしょもなまえも、ぜんぶかいてるよ。
 だからコレをこわしてもいみがないし、そんなことしたらもうがまんしない。
 あっぷろーどしたどうがふぁいるを、みんなにみられるようにするよ?」
 
 妹はただの6才児だ。こんな知識や知恵を持っていないはずだ。なのに――
「やりかたはみんなしってる。ちえりおねーさんのノートにかいてあったから。
 ねえ、おにーたんはあたいのこと、だれからでもまもってくれるんだよね?」
 
 脅されている。僕は今、妹に脅迫されている。
 逃げ出すことも許されず、拒絶することも許されない。
 そんなことをしたら、僕と妹の両方が破滅するという、狂気の取引。
 このまま妹と、恋人のような関係を続け、カラダの関係を持たされ続ける?
 怯えると同時にそれを歓ぶ僕。そこに妹が囁きかけてくる。
 
「おにーたんはね、ぜんぜんまよわなくていいんだよ?
 あたいとおにーたんのじゃまをするやつらは、あたいがはらいのけるから。
 だから、おにーたん――おーかくん、あたいを……あいしてください……」
 
 妹の告白。いつもの「おにーたん」ではなく、僕の名前を呼んできた。
「はは、ホンキなんだな、さくら。もう僕も耐えられそうにないよ……」
 僕は妹の誘惑に抗えずに膝をついて、とうとう彼女の唇を受け入れた。
 この瞬間を境に、僕は彼女のモノになった。彼女は僕のモノになった。
 
――さくらのももいろは恋の色。この恋色の花が、永遠に散ることがありませんように……
 
 
                                     ― A cherry tree flowering ―
215 ◆6AvI.Mne7c :2009/04/08(水) 04:34:14 ID:LPxhJHHY
以上、投下終了。眠い……。

入学式って、一応今日やるところが多かったと思うから、投下してみた。
とりあえず、さくらの台詞の読みにくさ(オール仮名)にはごめんなさい。

それでは、おやすみなさい……。
216名無しさん@ピンキー:2009/04/08(水) 04:40:51 ID:IGdyv2pW
一番槍おやすみなさい
ちえりさん仕込み過ぎですw
217名無しさん@ピンキー:2009/04/08(水) 06:45:25 ID:IrbVRCL3
>>215
GJ!
恐るべき幼児ですねw
218名無しさん@ピンキー:2009/04/08(水) 07:14:19 ID:iPpo1CYT
>>215GJ
読んでたら目がさめたよ
219名無しさん@ピンキー:2009/04/08(水) 12:07:16 ID:ZwYsYw1z
>>215
この歳で何という恐ろしさ…
成長が実に楽しみですね

GJ!
220名無しさん@ピンキー:2009/04/08(水) 14:48:35 ID:pzM5VR9+
>>215
GJ
今日は妹が6年の始業式だった。
221名無しさん@ピンキー:2009/04/08(水) 15:16:24 ID:116ntN/i
昨日はキモ姉妹スレ二歳の誕生日だったんだな
222名無しさん@ピンキー:2009/04/08(水) 19:08:57 ID:hUhdltZR
キモ姉妹のいる兄、弟は新歓とかそういう行事に出れるのだろうか
223名無しさん@ピンキー:2009/04/08(水) 19:18:02 ID:ou9cDzvx
二年前に姉と妹は正しい愛に気づいたのか
それで愛する兄弟を第一に考える立派なキモ姉妹になったと
なんていい話なんだ
224名無しさん@ピンキー:2009/04/08(水) 20:07:38 ID:ZwYsYw1z
2周年なんか関係ない
キモ姉妹にとって兄弟と過ごす毎日が記念日だ
225名無しさん@ピンキー:2009/04/09(木) 00:09:25 ID:7DkRtPRh
や あ
今から俺, オ ナ. ニ ー始めようと
思 う ん だ け ど,何か良 い
オ カ ズ.あ. っ たら提供 .し .て貰.えないだろ か
出 来 る .事 な .ら .ば
近親相姦 は 勘 弁 し. て
く .れ た. ら. 嬉 し. い
近 親相 姦 も の .っ て
俺には理. 解 出 来 な い
も し, 良 さ が 判 る
作 品が あ れば 教えて
226名無しさん@ピンキー:2009/04/09(木) 00:27:48 ID:D5hlEhHT










227名無しさん@ピンキー:2009/04/09(木) 10:02:23 ID:V5V7eIxp
228名無しさん@ピンキー:2009/04/09(木) 22:14:30 ID:p7qKx49Z
最近おどしてくっつくお話に慣れて来た。良くない傾向。
はじめてこのスレをみたときの感動を思い出してくる。
229名無しさん@ピンキー:2009/04/09(木) 23:31:37 ID:s4nrgmJ1
春先は冬眠から冷めた娘に襲われるから山には入るなよ!絶対だぞ!
230名無しさん@ピンキー:2009/04/09(木) 23:33:06 ID:s4nrgmJ1
誤爆したスマソorz
231名無しさん@ピンキー:2009/04/10(金) 19:44:28 ID:1Y47ho+m
絶対、擬人逆レスレだな
232名無しさん@ピンキー:2009/04/10(金) 20:21:48 ID:eyULTS2x
ヘラ神ってすごいな…
233名無しさん@ピンキー:2009/04/11(土) 00:49:39 ID:FgUcWMdc
女神だからね!気合い入ってるからね!キモイを通り越して怖いけど女神だからね!
近親相姦?なにそれ美味しいのかしら?みたいなノリで平気で禁忌を犯すけど女神だからね!
234名無しさん@ピンキー:2009/04/11(土) 01:19:15 ID:di6H/Ake
日本も負けてないさ
235名無しさん@ピンキー:2009/04/11(土) 09:16:37 ID:N8eOoxv/
多神教の創世神話って、たいがいスタート地点は近親相姦から始まるか、
さもなきゃ大地から湧いてきただの最初に死んだ神の遺体から湧いてきただのだからな

姉弟とか兄妹で夫婦というのは多い

ヘラ様の嫉妬深さとヤンデレっぷりはやはり最強だと思うがw
236名無しさん@ピンキー:2009/04/11(土) 09:33:07 ID:8/kNYPbw
だって天地開闢直後だったら近親交配して増やすしかないもんなぁ
手塚治虫の火の鳥にもそんな話しあるわけだし
237名無しさん@ピンキー:2009/04/11(土) 09:34:53 ID:fMa3T/XM
キモ姉の守護神ってわけか。
238名無しさん@ピンキー:2009/04/11(土) 12:37:16 ID:kvSWTR4R
>183
239名無しさん@ピンキー:2009/04/11(土) 14:17:49 ID:49Z/oaHb
>>234
そう思って、自分もイザナギ&イザナミの創作話を考えようと、調べてみたさ。
――数分後、調べなきゃよかった、という判断に至っちまったんだぜ。

それはそうと、ギリシャ神話には、アポロンとアルテミスの双子がいたっけ……
240名無しさん@ピンキー:2009/04/11(土) 15:18:01 ID:yhcKEl11
>>239
調べて一体なにがあったんだ?
241名無しさん@ピンキー:2009/04/11(土) 15:38:31 ID:VRlFVmnt
・最初の子供は妹の方から誘ったんで蛭子(奇形児)に
・妹が死んでしまったので、黄泉の国に迎えに行ったら既にゾンビ化
・そのまま猛烈に追いかけてくるんで桃を投げて撃退
・果てには「お前の子供を一日100人殺してやる!」「ならば101人産んでやる!」と醜い夫婦喧嘩

どうだい、ヘビーだろ?w
242名無しさん@ピンキー:2009/04/11(土) 15:49:08 ID:fMa3T/XM
>>241
「千人殺す!」「ならば千五百人産んでやるわ!!」じゃなかったっけ?
243 ◆6AvI.Mne7c :2009/04/11(土) 15:55:39 ID:49Z/oaHb
違うんだ、>>241さん。そのあたりの逸話は、実は知ってたんだ。
あれだ。日本語の「単語」には、他国語より多くの「意味」が込められているってことだ。

なんだかがっかりしないうちに、新作投下。3レスの小ネタ系。
タイトルは「りふらわりんぐ」。一言でいうなら姉弟もの。
前がペド臭満開だったので、今回は(年齢的に)アダルトにしてみた。

次レスより投下。3レス借ります。
244りふらわりんぐ (1/3) ◆6AvI.Mne7c :2009/04/11(土) 15:56:42 ID:49Z/oaHb
 
――……ニュースです。昨夜○○市で起きた、交通事故の続報を……
 
 消したはずのラジオ放送のニュースで目が覚める。
 ラジオを消そうと手を伸ば――せずに、自分の身体が動かないことに気づいた。
「ははは……、あははは……、なんだよこの状況は………」
 あの頃の悪夢を呼び覚ますこの現状。一体どうしたというんだ?
 
 とりあえず、今の状況を再確認する。
 まず、ここは自分がいま借りている仮住まい――安アパートの自室のようだ。
 次に身体は――左足と右足がそれぞれ、反対方向にある部屋の柱に繋がれている。
 そして、両腕は手首を交差するように縛られ、頭の上に回されて柱に繋がれている。
 つまり、俺の身体は「人」という漢字のような形で、完全に固定されているのだ。
 
 間違いない。この独特なクセのある拘束は、あの頃にやられていたものと同じだ。 
 だから、俺を此処に固定したのは、間違いなく――
 
「おはよう、よく眠れたかしら、秋桜(しゅうさく)君。
 いいえ、ここは昔みたいに、『しゅーくん』って呼んであげる。
 ふふ、こんな呼び方をするのは、もう10年ぶりになるのかしら?」
 
 予想通りの声。あの頃とほとんど変わらない、美しい女性。
 俺の実の姉、ちえり姉さん――俺の子供たちを除けば、現在唯一の血縁者。
 俺が尊敬し、同時に畏怖する彼女が、全裸の状態で俺のすぐ横に現れた。
 
「ちえり姉さん、これはいったい、何の冗談なんだ?
 俺にはもう、こんなことをされる筋合いも、理由もないだろう?」
 俺の言葉に、姉さんは眉1つ微動だにせず、ただ微笑んでいる。
 同じだ。俺が10年間苦しめられた、あの頃の表情と同じだ。
「聞いているのか姉さん? 俺はもう、姉さんとはこんなことをするつもりはない!
 姉さんだって、あの時ちゃんと納得して、承諾してくれたじゃないか!?」
 
 俺のその言葉に反応してか、ようやく口を開いて言葉を放つ姉さん。
「そうね。確かに私は、貴方の結婚を認めてあげた。あの女が身篭っていたから。
 そして、あの頃の関係をもう続けないと、貴方に誓ってあげたのよね?」
 
――……今朝6時過ぎに、搬送先の病院で意識不明の重体だった女性が亡くn
 
 話の途中で、先程からやかましかったラジオの電源を切る姉さん。
 そして、再び布団の上に拘束された俺に振り向き、話を続ける。
「ふふ、あの時は本当に、私としたことが、どうかしていたみたい。
 貴方をこうしているだけで、私はもう全身がオカしくなっているのに……!
 貴方に触れるだけで、本当に簡単に、私の身体は絶頂に達するというのに!?」
 
 懐かしい狂気の声音。俺の青春時代を食いつぶした、姉さんの暗黒面。
 普段は人当たりも良く、勉強も運動もソツなくこなす、誰もが羨む自慢の姉。
 しかし一度スイッチが入ると、俺に過剰な愛を向ける、狂気のオンナになるのだ。
245りふらわりんぐ (2/3) ◆6AvI.Mne7c :2009/04/11(土) 15:57:28 ID:49Z/oaHb
 
 始まりは9才の時、俺が女友達を家に連れてきた日の夜だった。
 ――あんなメスブタにはわたさない。しゅーくんはワタシのモノなのよ!――
 そう囁かれながら、俺は全身を拘束されて、何も知らないままに犯された。
 それ以降、俺が他の女の子に触れるたび、会話するたび、同様の行為を繰り返された。
 両親にも気づかれないように巧みに、そして邪魔な人間を容易くかわしながら。
 
 けれどそんな悪夢も、俺が18歳の時に終焉を迎えることになった。
 姉から隠れて告白してきたクラスメイトの女子――今の妻を孕ませてしまったのだ。
 まあ正確には、孕まさせられた、というべきだと思う。排卵誘発剤と睡眠薬は反則だ。
 
 ……とにかく、それを機会に「責任をとる」の一点張りで、姉さんを必死で説得した。
 俺の両親にも、相手の両親にも頭を下げ、数ヶ月かけて無理矢理入籍に漕ぎ着けた。
 そうして姉さん以外の周囲の人間を全員味方にして、最終的には姉さんを納得させた。
 
 一応結婚を認めてくれた姉さんは、産まれてきた俺の息子を可愛がってくれた。
 俺達も結婚したはいいが、共働きする必要があったので、本当に感謝していた。
 そして6年経って娘が産まれた頃には、姉さんもすっかり落ち着いてくれた――
 
 
「――そう思っていたのに、どうしてこのザマなんだよ!
 なあ姉さん。なんで今になって、こんなことをするんだ……!?」
 姉さんは、微笑を浮かべたまま、再びなにも答えない。
 
「あの時の姉さんに酷いことをしたのは、心の底から謝るよ。
 なんだかんだで、俺も姉さんのことは、好きだったんだから。
 けど、俺にはもう、姉さん以外に愛する妻と子供ができたんだ。
 俺は残りの一生をかけて、あいつらを守りたいんだ。だから」
「ふふふ、わかってるわよ。貴方はいつもそうだったわね。
 『何があっても家族を守る』のが、貴方のモットーだったものね。
 酷いことをした私のことも、『姉だから』って黙っててくれたものね」
 
 また反応を返してくれた。これならまだ説得の余地は――
「だから、黙っててくれたぶん、私も周りの人には、秘密にしてあげる。
 私と貴方が、また昔みたいな関係になっても、ばらさなきゃ大丈夫よ」
 ありそうになかった。姉さんはホンキだ。
 
「姉さん、俺の話を聞いてなかったのかよ?
 今の俺には、妻と、子供達がいるんだ。だから――」
「だから、貴方と私が、他の連中の知らないところに行けばいいのよ。
 今までの人間関係を捨てて、2人でどこかに行きましょう?」
 
 信じられないことをいう姉さん。
「待て! 家族を捨てろっていうのか! そんな――」 
「家族ね……。うふふ、貴方の息子と娘のことなら、心配はいらないわ。
 桜華(おうか)くんとさくらちゃんは、2人だけでちゃんと生きていけるわ。
 そのために、私が直々に生活も性活も、きっちり仕込んでおいたからね。
 生活費と学費さえあれば、問題なくあの2人は幸せになれるわ」
246りふらわりんぐ (3/3) ◆6AvI.Mne7c :2009/04/11(土) 15:58:08 ID:49Z/oaHb
  
 とんでもないことを言い出す姉さん。
 ただの幼稚園児と小学生を、たった2人で暮らさせる?
 そんなこと、無理に決まっている! 早く止めなければ――
 
「ねえ聞いてよ、しゅーくん。さくらちゃんは見所があるわ。
 あの娘ってば、たった4才で私みたいなことを言ってきたのよ?
 『あたい、おにーたんとけっこんしたい』って、すごいと思わない?
 あの目とあの気迫、あの齢じゃあ私にも出せなかったのにねぇ」
 
 
 既視感――脳内再生される記憶。
 あの時――俺を逆レイプする時の、姉さんの言葉がよみがえる。
 いつも俺を拘束して、半裸でのしかかってきた姉さんの言葉が。
 
「『私は弟と結婚したい。だから今ここで、しゅーくんをオカす』だっけ?」
 そうだ。あの時俺はそう言われて……って、なんで考えてることがバレた?
「わかるよ。私は昔っから、ず〜っと、しゅーくんしか見てないもの。
 他の雑多なオトコになんざ、心も身体も、許してたまるもんですか。
 おかげで独身のまま三十路手前になったけど、これでよかったのね。うふふ」
 
 改めてこの人が怖くなった。俺の思考が、みんな筒抜けなのか?
 だったら、俺がもう既に、10年ぶりの姉さんの匂いに負けそうなのも――
「もちろん理解してるわ。だからさっさと私を抱きなさいな。
 あの頃みたいには、私からはこれ以上、何もしてあげないわよ?」
 そう言って、逃げられないように固定していた拘束を、解除していく姉さん。
 まるで、俺が一切抵抗しないと、妄信し――確信しているかのように。
 
「ねえ、しゅーくん。私の身体を見てくれないかな?」
 久しぶりの、姉さんからの誘惑。
 目にするな。今姉さんのいいなりになると、あとは流されるだけだ。
「綺麗でしょ? 私もうすぐ三十路だけど、職場ではモテるほうなのよ?」
 そんなこと、9年近く囚われていた俺には、わかっているんだよ!
 だからこそ俺はいま、姉さんの身体に魅入っているんだよ!
 
 
「ねえしゅーくん。私はずっとずっと、辛かったんだよ?
 貴方が私に、同窓生やお見合い相手を紹介してくれたときも。
 私が泣きたい時に、貴方が他の連中に構っているときも。
 でもこれからは、あんな寂しい思いをしなくて、いいんだよね?」
 
 涙を流しながら、俺の身体の上で、じっと待っている姉さん。
 俺はいつしか、姉さんに向けて、開放された両腕を伸ばしていた。
「さあおいで、しゅーくん。貴方が昔から大好きだった私は、ここにいるわ。
 つかまえて、私を2度と離さないでください。お願いします、しゅーくん……」
 
 
 さようなら、桃枝(ももえ)。なぜかお前はもう、この世にいないと思えたんだ。
 それから――本当にすまないな、桜華。本当にごめんな、さくら。
 俺はもうお前達には、父親として何もしてやれそうにない。
 だから桜華……、さくらのことをよろしく頼む。
 
――俺のかわいい子供達が、どうかいつまでも、桜の花のように美しく咲いていてくれますように。
 
 
                                       〜 Happiness of the re-flowering 〜
247名無しさん@ピンキー:2009/04/11(土) 16:13:36 ID:gXczp21c
GJ
前回の裏側なのか
248名無しさん@ピンキー:2009/04/11(土) 17:08:45 ID:xTzGLpqw
GJ
249名無しさん@ピンキー:2009/04/11(土) 18:19:30 ID:p9NQAHji
ムハー!これはたまらんGJ!
俺のツボを刺激しまくりだ
250名無しさん@ピンキー:2009/04/11(土) 21:56:44 ID:sOz9vYzr
>>246
GJ!!!!
お姉さんの最後のセリフにキュンとした
251名無しさん@ピンキー:2009/04/11(土) 22:01:51 ID:2i2NBUJ6
人生経験が少なすぎて、GJとしか言えない俺を許してください
とにかくGJ!!

>孕まさせられた
ってことは奥さんはヤンデレだったのか?
252名無しさん@ピンキー:2009/04/12(日) 01:43:24 ID:mAcriouu
GJ
俺のvocabularyが少なすぎてGJしか言えないこと許してくれ。


>>241
そんな話があったのか初めてしった。確かにヘビーだわ。
>>243
そういう意味だったのね。理解した
253名無しさん@ピンキー:2009/04/12(日) 20:30:40 ID:E3lqm2Tf
キモ姉妹を持つ兄(弟)にとっては平日が休日なんだろうな…
254名無しさん@ピンキー:2009/04/12(日) 20:31:45 ID:+GnPakDq
>>243 GJ!

ヤンデレスレの>>171の作品を先に読んでおくと…

255名無しさん@ピンキー:2009/04/12(日) 20:39:18 ID:+GnPakDq
「サクラサク、さくらちる」→「枯れ落ちて朽ちゆく枝」→
「りふらわりんぐ」 の順に読んだらすごいことに…作者様の文章力に脱帽

二連レスごめんなさい
256名無しさん@ピンキー:2009/04/12(日) 23:40:08 ID:zV3cYgLk
>>253
学校でいったいどんなことさせられてる事やら…

いや、本当に姉妹がいなくてよかった。こういうのは傍観に限る
257名無しさん@ピンキー:2009/04/13(月) 00:41:41 ID:0ikupgmz
わからないぞ?ひょっとしたら近いうに256と兄妹(姉弟)になる娘が
くるかもしれないぞ?
258名無しさん@ピンキー:2009/04/13(月) 01:20:04 ID:T/Hyf3ys
なんとなく触発されたので駄文を投下してみる



皆さんこんにちは。今日は僕の友人のことを書こうと思います。
どうして自分の事じゃないのかって?僕には姉もいなければ妹もいないからですよ。

コホン。僕の友人、彼の名はあk…あ、実名はまずいですかね?では、Aとしておきましょう。
Aには、かお…じゃなかった、Kちゃんという妹がいるんです。
彼とは所謂幼馴染で、僕、A、Kちゃんの3人でよく遊んでいました。
どんな遊びだったかって?そうですね、やっぱりヒーローごっこが多かったですね。
正義の味方A、とらわれのヒロインKちゃん、そして悪の怪人僕という役で。

…そういえば悪役しかやったことなかったですよ、はい。

さて、そんな僕達が高校生になった頃(3人とも同じ学校に通っていました)のこと、
ある日、Aから相談を受けました。
曰く、「俺、今日の授業が終わったら、S先輩に告白するんだ…」とのこと。

ええ、正気を疑いましたよ。彼の。

そのS先輩というのは生徒会長でして、少々キツイ性格をしているものの、
頭がよく、美人であり、また巨乳の持ち主でもありました。
しかし一つだけ、たった一つだけ欠点がありまして、彼女は僕のクラスメイトであり、
彼女の実の弟でもあるYを溺愛していたのです。
所謂ブラ紺…じゃなかった、ブラコンという奴ですね。
それはもう凄まじいほどで、普段はツンケンしていて先生方もタジタジなのですが、
Yの前ではそれはもうデレデレで、
「普段の会長はどこへ行ってしまったんだ?」
「これが本当にS先輩なのか?」
「いや、S先輩には双子の姉か妹がいて、今日はたまたま入れ替わっているんだよ!」
「「「ナ、ナンダッテー!?」」」
という有様でした。

失礼、少々脱線してしまいましたね
とにかく、Aの玉砕は火を見るより明らかだったのです。
一応警告はしておいたのですが、Aは耳を貸しませんでした。

「これが若さか…」と思わず呟いてしまいましたよ、ええ。

259名無しさん@ピンキー:2009/04/13(月) 01:20:46 ID:T/Hyf3ys
まぁとにかく、そんな訳でAの失恋は決まりきっていた(何せ、S先輩は全校生徒の前で、
Yへの熱愛を宣言するほどでしたから)ので、Aと分かれた後、Kちゃんを呼び出したのです。

「何の用」

…Aといない時のKちゃんはこんなものです。僕を人として見ていないというか、Aのオプション
としてしか認識していないと言うか…
とりあえず、その辺はさらっとスルーして、AとS先輩のことを話しました。
「フ〜ン…Sセンパイネェ…」
「うん。S先輩はあの通りY命だから、Aは多分振られると思うんだ。だから…」
「解ったわ!傷心のお兄ちゃんに付け込んで、既成事実を作ってしまえというのね!?」
「え?あぁ、まぁそうなるかな」
「解ったわ!任せて!こんなこともあろうかと、色々準備しておいた苦労がようやく結ばれるのね!」
言うが早いか、彼女は僕の前から姿を消してしまいました。それはもう「あっ」と言う間に。
え?どうして「既成事実」を否定しなかったのかって?普通思うでしょう?「冗談だ」と。

…言わないで下さい。僕も後悔しているんですから。
「あの時、是が非でも彼女を止めておけばよかった」って…

その日から、Aは学校へ来なくなりました。当時は「S先輩に振られたのが
そんなにショックだったのか?」と思ったのですが、一月後、彼は復学しました。

救い様の無い程シスコンになって。

やれ、妹が慰めてくれただの、妹とキスしただの、S先輩よりKちゃんの方が素晴らしいだの、
聞いているだけで洗脳されそうになりましたよ、ホントに。
でも、アレなんですよね。Kちゃんのことを愛しそうに話している割には、目が虚ろなんですよ。
しかも微妙に片言だったし。
何となく、本当に何となくですが、Kちゃんが彼に何をしたのか想像できてしまいました。
そんな彼に、僕はたった一言しか言ってあげられませんでした。

「諦めろ」と。

そんな彼も今では32歳。妻と3人のお子さんに囲まれて(傍から見る分には)幸せそうです。
え?奥さんは誰か?それをこのスレで聞きますか?



以上。
つまらないでしょうからさらっとスルーして下さい。
260名無しさん@ピンキー:2009/04/13(月) 01:28:29 ID:a/h/TqV2
>>258-259
むむ、寝る前にステキな文章を……GJ!
ところで、S先輩とY君の現在は……このスレでは愚問だったね。
261名無しさん@ピンキー:2009/04/13(月) 07:07:52 ID:kjH7qgIC
GJ
いいね傍観物は。
そういや傍観で思い出したが「ヤンデレ家族と傍観者の兄」はどうなったのだろう
262名無しさん@ピンキー:2009/04/13(月) 07:08:50 ID:kjH7qgIC
sage忘れた。すいません
263名無しさん@ピンキー:2009/04/13(月) 07:21:10 ID:aHUnlEbs
>>259
GJー
Yは結局どうなったのか…いや、聞くまでもないか

>>261
ここはヤンデレスレじゃない件
264名無しさん@ピンキー:2009/04/13(月) 11:35:18 ID:8zXgCyFa
>>259
あれだ、自分が書いたのを自分でつまらないなんて言うくらいなら最初から書き込むな
みんな優しい言葉をかけてくれてるが俺はハッキリ言うぞ
つまらない?スルーしてくれ?なら投下すんなよ。自分を卑下するヤツにGJなんて言えるかボケ!
自分で自分の書いた作品をつまらないからスルーしてくれって言ってるヤツには一生良い作品なんてできねぇんだよ

もしまた書くこむなら二度と「つまらないからスルーしてくれ」なんて二度と言うな
265名無しさん@ピンキー:2009/04/13(月) 14:07:03 ID:/kivuvVK
そんなに力むなよ
266259:2009/04/13(月) 14:21:41 ID:T/Hyf3ys
>>264
ありがとうございます
そうやってハッキリ言ってくれた方が気が楽です
別の版で総スカン食らったばかりだったので自信がなかったんですよ
267名無しさん@ピンキー:2009/04/13(月) 14:37:03 ID:GWfJCnZf
ほんと自治厨ってウザイわ
268名無しさん@ピンキー:2009/04/13(月) 15:02:09 ID:Sg8KXAfi
それに反応するの自治厨だよ
269名無しさん@ピンキー:2009/04/13(月) 15:30:16 ID:8zXgCyFa
>>266
別にお前のために言ったわけじゃないんだからな。勘違いすんじゃねーぞ
270名無しさん@ピンキー:2009/04/13(月) 15:43:20 ID:BZQ6hyr9
>>269
此処はツンデレスレじゃねーぞ
271名無しさん@ピンキー:2009/04/13(月) 18:12:55 ID:kjH7qgIC
>>263
すまん。勘違いを起こした。
272名無しさん@ピンキー:2009/04/13(月) 18:19:58 ID:7vjqYw4J
あんまり揉めてると姉ちゃんに拉致監禁されっぞ
273名無しさん@ピンキー:2009/04/13(月) 18:33:30 ID:Buwqnrmv
>>272
姉さんの乳なら揉んでみたいものだ。
おや?こんな時間にd(ry
274名無しさん@ピンキー:2009/04/13(月) 19:20:27 ID:NBmvRznR
そういえば何処で読んだか忘れたけど弟にやたら自分の胸を揉ませようとするキモ姉のSSがあったな
当の弟は乳好きではあるけど流石に姉の胸を揉む気は全く無いから当然拒否してたけど
275名無しさん@ピンキー:2009/04/13(月) 19:32:34 ID:AccbkUXz
乳は好きってことは、姉以外の乳は揉みまくったりするのか? このスレ的には
巨大な人生終了フラグっぽいが。
276名無しさん@ピンキー:2009/04/13(月) 19:44:12 ID:mzjNtSiL
>>275
泥棒猫と弟君の人生はそれぞれ終了。
ずっと姉のターンw
277名無しさん@ピンキー:2009/04/13(月) 19:50:03 ID:T/Hyf3ys
>>274
ヤンデレスレのまとめサイトで見たな、そんな話



弟 「あ〜…おっぱい揉みてぇ」
バァン!
姉1「話は聞かせてもらったわ弟君!さぁ!お姉ちゃんのDカップのおっぱいを揉み揉みしなさい!」
姉2「ちょっと待った姉貴!弟に胸を揉んでもらうのはあたしだ!今はBだけど目指せDカップ!」
姉3「お下がりなさいあなた達。さあ弟、この私のFカップのおっぱいを揉ませてあげますよ?」
弟 「姉さん達…いや、俺が揉みたいのは姉さんのおっぱいじゃなくてだな…」
妹1「ほぉぅ兄よ…ということは、この双子の妹である私の胸を揉みたいというのか?
   この変体め!だ、だがどうしてもというなら、揉ませてやらなくもないぞ、うん」
妹2「お姉ちゃん達ずるい!私もお兄ちゃんにおっぱい揉んでもらいたいもん!」
弟 「いや、だからな…(くいくい)ん?どうした?」
妹3「あの、お兄様…お姉様達の後でよいので、で、できれば、私のむ、むむむ、胸も…」



あなたは誰の胸を揉みたいですか?
278名無しさん@ピンキー:2009/04/13(月) 20:08:46 ID:h+8W6XI7
>>277
オドオドしてる妹3を……
279名無しさん@ピンキー:2009/04/13(月) 20:48:20 ID:c3bQ7wHj
>>278
  `¨ − 、     __      _,. -‐' ¨´
      | `Tーて_,_` `ー<^ヽ
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  ` ー   ヽイ⌒r-、ヽ ヽ__j´   `¨´
           ̄ー┴'^´
280名無しさん@ピンキー:2009/04/13(月) 21:10:41 ID:wBkwjZOK
>>277
姉2でお願いします!!
281名無しさん@ピンキー:2009/04/13(月) 21:26:21 ID:TVpNN+il
全部ってだめなの?
「お姉ちゃん3人とも大好きだからみんなさわりたい!」
って言ったら許してくれそう
282名無しさん@ピンキー:2009/04/13(月) 21:28:05 ID:I9r5EtaD
>>277
妹2でお願いします!
283名無しさん@ピンキー:2009/04/13(月) 21:33:28 ID:TVpNN+il
あ、6人もいるのか…手がつかれそうだなぁ…
284名無しさん@ピンキー:2009/04/13(月) 21:54:54 ID:h+8W6XI7
>>277
「あーごめんやっぱナシ。つうか姉も妹もそーゆーのキモいからね(笑)勉強するのに邪魔だから部屋からでてってね(^-^」
285名無しさん@ピンキー:2009/04/13(月) 22:47:09 ID:3juZeuMS
そしてブッ殺された長男の死体を姉妹六人で解体して平等に分け合うんですね?
286名無しさん@ピンキー:2009/04/13(月) 22:49:17 ID:WJvjud8S
いや、カニスレじゃないから
287名無しさん@ピンキー:2009/04/13(月) 23:05:13 ID:pi1Cdb+B
臭い
288名無しさん@ピンキー:2009/04/13(月) 23:25:36 ID:S74qA//D
イカ臭いぜよ
289名無しさん@ピンキー:2009/04/13(月) 23:44:42 ID:a/h/TqV2
>>277
せっかく姉妹6人のキャラが立ってるっぽいから………
3レス程度の長さでいいから、なにかお話書いてきたらいいんじゃね?
290名無しさん@ピンキー:2009/04/14(火) 02:50:03 ID:776q1Zw/
上から目線うぜえ
291名無しさん@ピンキー:2009/04/14(火) 02:57:00 ID:e4ySVX33
>>290
惜しいな、実に惜しい。あともう少しで奇跡のIDだったのに…
だからIDの数だけ腹筋な。キモ姉・キモウトに刺されても大丈夫な腹筋を作るんだ!
292名無しさん@ピンキー:2009/04/14(火) 10:36:02 ID:kfIiPsRy
腹筋がエロイマッチョなキモ姉もしくはキモウトかと思った





それもいいなぁ
293名無しさん@ピンキー:2009/04/14(火) 15:33:40 ID:59qhBLGc
ガッツ
294名無しさん@ピンキー:2009/04/14(火) 19:43:48 ID:N/HXJy9B
>>293
鉄塊のような剣で泥棒猫を***
295名無しさん@ピンキー:2009/04/14(火) 21:01:19 ID:Wz7mSVHA
>>294
そういやフリアエってキモウトだったよな…
296名無しさん@ピンキー:2009/04/14(火) 21:15:53 ID:da7CetRO
少しキモさが足らん気もしたな
297名無しさん@ピンキー:2009/04/14(火) 22:12:18 ID:hAWMgPoa
アレは怪物化しただけだw
298名無しさん@ピンキー:2009/04/14(火) 22:26:59 ID:MhLXpsbN
ときどきみんなの話題についていけない時がある…
俺がキモ姉妹初心者だからか?

ちょっと勉強しなおしてくる
299名無しさん@ピンキー:2009/04/14(火) 22:28:57 ID:BvRy2mMX
ガッツについてはあまり勉強しなk…
300名無しさん@ピンキー:2009/04/14(火) 22:50:35 ID:48duezpM
ザ・ガッツと聞いて
301名無しさん@ピンキー:2009/04/14(火) 23:54:10 ID:czlaBrDd
ガッツと言えばベルセルク以外思い付かないんだぜ
302名無しさん@ピンキー:2009/04/15(水) 01:31:32 ID:lBJb1kxF
いいからバナナでも喰ってろ
303名無しさん@ピンキー:2009/04/15(水) 01:32:44 ID:mmsN1g5y
どうして石松が思いつかないんだ?
腰の入った左フックが得意なキモウトとかフリッカーと反則が得意なキモ姉とか良いじゃないか
304名無しさん@ピンキー:2009/04/15(水) 01:39:48 ID:FmXc5hcu
そこでガッツ星人ですよ
305名無しさん@ピンキー:2009/04/15(水) 01:40:36 ID:RTWySZQb
「打撃の鬼」の異名をとるキモウトとか……
「おちゃめなヒールさん」と恐れられるキモ姉とか……
そんな小話を読みたくなってしまったじゃないか。
306名無しさん@ピンキー:2009/04/15(水) 08:20:53 ID:BPuM4XhB
弟を誘惑した泥棒猫を殺して警察に捕まった時、
こう言い訳するんですね。

「キモ姉はいついかなる時でも誰の挑戦でも受けなければならない」
307名無しさん@ピンキー:2009/04/15(水) 16:18:37 ID:DdLTa0ML
なんかロム兄さんならぬロム姉さんみたいな人がいたら…
「人の弟を誘惑し、あまつさえ肉体関係を持とうとする女… 人それを、雌豚と言う…」
「アナタ何者よ!」
「雌豚に名乗る名前は無い!」
308名無しさん@ピンキー:2009/04/15(水) 16:21:47 ID:/OnwjoO1
>>307
フイタwwwwww
309名無しさん@ピンキー:2009/04/15(水) 19:26:23 ID:Av9bnocO
待てぃ!と成敗!はないのかwww
310名無しさん@ピンキー:2009/04/16(木) 00:09:17 ID:gNP3+Syi
弟の目の前で殺っちゃったら嫌われるから無理だろ>成敗!
311名無しさん@ピンキー:2009/04/16(木) 00:10:17 ID:G7NdZu8j
最近作品投下ないな
姉妹に監禁されてんのか…
312未来のあなたへ6.0:2009/04/16(木) 00:50:15 ID:Ng41C3Ud
ずいぶん間が空いてしまいましたが投下します。
313未来のあなたへ6.0:2009/04/16(木) 00:51:17 ID:Ng41C3Ud
12/24 駅前広場 PM6:48

はあ、とお腹の底から息を吐く。
白くなった息が目の前にもわっと湧いて、ゆっくりと消えていく。
今日は一日快晴だった。昼間はとにかく、日が暮れると一気に寒くなる。手袋とジャンパーで防寒はしているけど、ちくちくと冷気が肌を刺す。
既に指先の感覚はなくなっていて、こんなことならホッカイロでも持ってくればよかったと後悔した。いや、一時間前から待っている俺もバカだけど。
暇つぶしにもう一度周囲を見回す。駅前にある広場で俺は、噴水の淵に一人座っていた。待ち合わせによく使われている場所で、俺の他にも人待ちの男女は大勢いる。
なんといっても今日はクリスマスイブだ。
月もよく見えるから残念ながらホワイトクリスマスはなさそうだけど、それでも一年に一度の大切な日には違いない。
時計をもう一度確認する。PM6:49。さっきよりは一分進んだ。待ち合わせは七時。
俺の待っている人は
片羽先輩だ。


片羽先輩のことを好きだと自覚してから半年が経っている。
まだ告白はしていない。


待ち合わせの時間五分前に、バス乗り場の方から歩いてくる片羽先輩を発見した。
冬に入ってからわかったことだけど、片羽先輩は寒さに弱い。コタツをこよなく愛している。まあ、普段からして体温の低い人だから当たり前か。
今日もベージュのコートはセーターで着膨れしている。他にもマフラー、毛糸の帽子、ミトン型の手袋と完全武装だ。履いているものもスカートじゃなく、暖かそうな綿のズボン。パンツが毛糸でも驚かない。
露出しているのは目の周りぐらいで、それでも寒いのか先輩は肘を抱えるようにして歩いてくる。俺は急いで立ち上がり、先輩の元に駆け寄った。
「こんばんは、先輩っ」
「こ、こ、こ、こ、こんばんは、榊君。さ、寒いねえ。バスの中は暖房が利いてたんだけど、一気に落差が来たよ」
「うわあ、大丈夫ですか先輩っ! と、とりあえずどこかに入りましょうよ」
「いやいや、僕が寒さに弱いだけだから気にしないでくれ」
飄々と答えながら、プルプルと小さく震える先輩。うわあ、不謹慎だけど可愛いなあ。抱き締めてあげたい。
と、と。妄想に浸ってる場合じゃなかった。とにかく今は、先輩を早く暖かい場所に入れないと。
今日は、俺が先輩をエスコートすると決めたんだ。
「それじゃ、先輩。立ち話もなんだし、行きましょうか」
「ああそうだね。今日はよろしく頼むよ、榊君」
今日こそ告白する。
今日こそ告白するんだ。
314未来のあなたへ6.0:2009/04/16(木) 00:52:55 ID:Ng41C3Ud

俺はまだ、片羽先輩に告白していない。
もう十二月なのになんでだよ、といわれるかもしれない。自分でもそう思うし、実際もう言われた。
なにしろ先輩は三年生で、あと三カ月もしたら卒業してしまうのだから。
けど、言い訳も聞いてほしい。なんというか、毎日が忙しくて、ついずるずると現状維持を望んでしまい、こんな時期まで来てしまったというか。
夏休みに入ったころは、先輩への思いが溢れて空回りして仕方なかったけど、今はだいぶ落ち着いている。消えたわけじゃない、俺は間違いなく片羽先輩のことが好きだ。
あの夏から四か月。あの頃からいくつか変わったことがある。
一つは、空手部に入ったこと。
夏祭りの時に先輩からアドバイスを受けて、翌日入部届けを空手部の部室に持っていった(夏休みだけど練習はしていたから即入部)。
もちろん、空手なんてやったことはない。喧嘩だって小学校の時に取っ組み合いをしたぐらいだ。誰かを殴りたいなんて願望もない。
ならどうして空手かといえば、まあ妹が柔道だから、程度の理由でしかない。
ともあれその日から、俺は空手部として練習を開始した。最初は慣れないことばかりで辛かった(痛かった)けど、もともと体を動かすのは好きだから、毎日練習するのはすぐに慣れた。
全く新しく始めたことが数ヶ月でどれだけ身につくのかといえば、せいぜい構えができてきたぐらいだ。拳を出すともうへろへろってなる。全然まだまだで。
それは中学の時のように倒れるまで打ち込んでいないせいかもしれない。加えて、他にやることがある。
一つは当たり前だけど、成績が落ちないように毎日勉強を続けること。それからもう一つ、始めたことがある。
それは、優香の受験勉強に付き合うこと。
妹は中学三年生、受験を控えた年頃だ。受験生として一年先輩でもある俺は、勉強のやり方とか、苦手な分野とかを見ていたりする。
もちろん優香は優等生だ。間違いなく俺よりも頭はいい。教えることなんてほとんどない。
ただそれでも、受験勉強に対しては榊家の長男として一日の長があるし、優香だって完璧人間じゃないんだから毎日単調な勉強は苦痛だろう。
椅子を並べてあーだこーだと雑談混じりに勉強するのだって、立派なガス抜きになるはずだ。
そのおかげなのか、最近妹とは以前より打ち解けられたような気がする。
細かな気遣いをされたり、それにお礼をしたらそのまま受け入れられたり。不意に「兄さんは頑張ってますね」と褒められたり、部活の朝練に出る時間を合わせたり(妹はもう部活を引退したけど、毎朝自主的にランニングを行っている)。
優香は俺のことを嫌っているかと思ったけれど、そんなことはなくて、もしかしたらお互いに壁を張っていただけなのかもしれない。
俺にとって、妹とは放っておいても大丈夫な強い存在だったけど。優香もまた、守るべき存在なのかもしれないと、なんとなく思うようになった。
朝は部活の朝練に行き、授業をきっちり受けて、放課後も部活で適度に体を動かし、家に帰ってから予習復習をして、優香の受験勉強に付き合う。思えばかなり忙しい。
けれど何故だか、一時期……片羽先輩と会った頃のように辛いという感じはあまりしない。充実している。毎日が充実している感じだ。
もちろん、先輩と会える時間は減っている。放課後が丸々潰れたんだから当たり前だ。
だけど逆にその分、合間を見つけて先輩に時間を見つけて能動的に会いに行くようになった。休みの日に遊んだり、天気のいい日はよく昼食も一緒にした。
先輩が病院にいない日は、寝る前にメールのやりとりをして、一日の出来事を報告するのも日課になった。
一時の燃えるような衝動はなくなったけど、片羽先輩のことは異性として、普通に好きだ。
朝起きて、顔を洗って、朝食を取って、歯を磨いて。身に染みついた動作と同じように、当たり前の好意に変化してきている。
顎を引いて、胸を張って、小さな体で堂々と立っている、そんな先輩を、俺は守りたいし好きだと思う。
思えば夏の自分は、やることがないという焦燥を先輩への感情にすり替えていただけなんだろう。
だから自分を鍛えているという実感がある限り、その欲求は満たされていた。
部活と勉強に打ち込んで、先輩と話をする。そんな日々に満足していて、そんな毎日がずっと続けばいいと思って、だからこそ……もう一歩が踏み出せなかったんだ。
柳沢からそんなところを注意されたのは、今から二週間前のことだ。
315未来のあなたへ6.0:2009/04/16(木) 00:53:30 ID:Ng41C3Ud
「あーあ、クリスマス一緒に過ごして熱い夜にしてくれる女の子はいねーかなあ。一日でいいからさ」
「教室で堂々となに言ってんだよ柳沢。みんな慣れてるけど、そういうとこが駄目なんじゃないのか?」
「はー。優香ちゃんがOKしてくれればなあー。なあ榊、もう一回口利いてくれねえか?」
「もう断られただろ。それに、優香は受験生なんだから駄目だって」
「ちくしょう、お前はいいよなー、彼女いるしな。くそう、カップルなんて呪われろ!」
「え、いや、俺は別に彼女いないぞ」
「は? お前、あの先輩と付き合ってんだろ? よく一緒に飯食ってるし」
「ベ、別に付き合ってるわけじゃないよ。そりゃ、俺はごにょごにょ……だけど」
「……マジ?」
「マジだけど」
「おい榊。お前、どうすんだよ、これから」
「え、どうって?」
「バッカお前、もう十二月だってのに何やってたんだよ。しかもあの先輩、三年生じゃねえか。あと数ヶ月で卒業だろ」
「え……あ、そうだけど……」
「つーかお前は半年以上も何やってたんだ? 毎日一緒に飯食うだけで満足してたのか?」
「あ、ああ。まあ、うん……いてっ!」
「お前なあ、んなこと言ってて三月になったらどーすんだ? 土壇場で告ったって、何もできねーじゃんか」
「何もってなんだよ! ていうか、ほら。卒業しても縁が切れるわけじゃないし……」
「それマジで言ってんじゃないよな? ロクに会えもしなくなるだろ」
「う、そりゃ、そうかもしれないけど……」
「ほれ、悪いこと言わないからさっさと当たって砕けろって。もうすぐクリスマスだしよ」
「ん……わかった! じゃあ俺、クリスマスに告白する!」
「おー、頑張れよ。そしてフラれちまえ!」
「うおいっ!」
そんなわけで。柳沢から冗談混じりの叱咤激励を受けて、俺はクリスマスイブに先輩を誘ったのだった。
柄にもなく、勝率を考える。普段はそんなもの気にしないのに、どうしても考えてしまう。
片羽先輩は、俺のことをどう思っているんだろう。
嫌われてはいないと思う。それは、四月から先輩と話して来た俺の実感だ。
何気ない会話の中で、他愛ないじゃれあいの中で、さりげない助言の中で、先輩の好意を俺は受けてきたと思う。
けど、その好意が一体どういう種類のものなのか、それが大問題だ。ただの後輩と思われていたらどうしよう。
例えば(彼女は彼氏持ちだけど)俺が晶ちゃんから告白されたら「えっ!?」という感じになるだろう。そして困ってしまう。
ああ、今日俺が告白したとして、先輩が困った顔をしたらどうしよう。想像だけでのたうち回りたくなる。
前も思ったことだけど、俺と先輩の関係は、俺が頼って先輩が気遣うという構図にある。この半年努力してきたけど、構図は結局変わっていない。
俺も少しは強くなって、先輩との距離は縮まったと思うけど、まだまだ力関係が逆転するほどじゃない。
理想を言うなら、先輩に頼られるぐらい強くなってから告白したいところだけど、そんな暇はない。
まあ幸いというか、クリスマスイブに誘いを受けてくれたんだから、脈はあるんだと思いたい。
というか、そんな日に誘った時点で、先輩に気があるんだと大声で叫んだようなものかもしれない。
けど、それでも来てくれたということは、勝算があると考えていいんだろうか。
柄にもなく、勝算を考えてしまう。考えても仕方ないのに、考えてしまう。
失敗したくないから。
片羽先輩にいいところを見せたいから。
――――未来も、この人と歩いていきたいと想うから。
316未来のあなたへ6.0:2009/04/16(木) 00:54:39 ID:Ng41C3Ud
12/23 市立病院個室 PM4:20

「こんにちは、片羽さん」
「やあ、いらっしゃい優香君。君が一人で来るなんて珍しいね。最近受験勉強を頑張っていると、榊君から聞いてたよ」
「それなりには。兄さんが手伝ってくれますから」
「いや、榊君が誰かに勉強を教える段階になるとは感慨深いものだよ。それも優香君が教え子とは、やればできる子だったんだね」
「自分が育てた的な物言いはやめてください。自助努力の賜物ですし、それを言うなら私の方が兄さんの学力には貢献しているはずです」
「底上げしたのは君のスパルタだしね。にしても実際のところ、榊君の指導って優香君にとって意味あるのかい?」
「内容的にはほぼ無意味ですが、気力的にはオールオーケイです」
「ああ、やっぱり。そういえばお茶も出さないで済まないね。今入れるよ」
「いえ、自分で入れますからどうかお構いなく」
「ありがとう。それで今日はなんの用だい?」
「釘を刺しに来ました」
こぽこぽこぽ。
「一応確認するけど、それにハンマーとネイルは関係ないよね?」
「ええ、まあ、おそらく」
「そこは断言して欲しかったよ。おっと、お茶ありがとう」
「礼をしつつ一口も飲まないのは混入物を警戒しているからですか」
「単なる猫舌だから気にしないでくれ。で、釘刺しってなんだい?」
「兄さんからクリスマスのデートに誘われたらしいですね」
「うん、まあね」
…………………………
「ふむ、少し意外だったかな。それこそ釘とハンマーで襲いかかって来るかと思ったのに、殺気一つ漏らさないなんて」
「両指の第一関節から順に釘を打って欲しいならそうしますが、まずは握りしめたナースコールを降ろしたらどうですか」
「まあ僕もまだ命が惜しいからねえ。それにしても優香君、前々から思っていたけど、少し雰囲気が変わったかな」
「成長期ですから。それで、明日は?」
「野暮なことを聞かないでくれ。榊君は大切な後輩だし、断る理由なんてありはしないさ。寒そうだけど行くよ、勿論」
「片羽さんは兄さんと交際、及び性交するつもりはないと明言してましたね」
「……ん、ああ、まあね」
「何故口籠もるのですか」
「いやあ、ちょっとした乙女の恥じらいだよ。気にしないでくれ」
「私は兄さんが幸福なら、兄さんが女性と交際するのもやぶさかではありませんが……」
「ぶっ!? ちょ、ちょっと待ってくれ優香君。今なんて言った?」
「兄さんが幸せであるなら、女性と交際するのもやぶさかではないと」
「え、ええーと。でも君はなんというか、榊君に対してアレなんだろ? しかも相当なレベルで」
「自分のことよりその人の幸せを思いやるのが、愛しているということではないのですか?」
「ま、まあそうかもしれないけれど、ちょっとその手の話に遠い人生だったんでね。にしても、何か悪いものでも食べたのかい?」
「どういう意味ですか。私が私利私欲で兄さんを不幸にして、何ら省みない人間とでも思っていたのですか」
「いやあ、そのなんというかねえ。腰を折って悪かったね、話を続けてくれ」
「しかしそれは、兄さんが幸福ならば、という条件が前提です。片羽さん、貴女がその条件を満たすとは思えない」
「…………。なるほど、そう繋げるわけかい?」
「別に結論ありきで喋っているわけではないので、そのような言い方は心外です」
「けど、それなら榊君を幸福にできる相手というのは、どういう基準で選ぶんだい? そこに君の私情が絡まないと言えるのかな」
「少なくとも、貴女自身は兄さんを不幸にすると思ったから、交際しないのでしょう?」
「……ん、そうなんだけど」
「片羽さん、先ほどからどうも一部分で歯切れが悪いんですが」
「いやいや、わかってるよ。僕は何時死ぬかもわからないし、女としての役割も果たせない。そんなものに榊君を付き合わせるわけにはいかない、以前に言った通りだよ」
「貴女が賢明で助かります。兄さんを思いやるという点では私達は同士なのですから、明日もきっぱり兄さんを振ってくださいね」
…………
317未来のあなたへ6.0:2009/04/16(木) 00:55:54 ID:Ng41C3Ud
「お茶、美味しいね」
「ありがとうございます」
「……」
「片羽さん、たとえば」
「うん?」
「誰かと出会って、付き合って、一緒に住んで、結婚して、子供を産んで、育てて、年を取っていく……片羽さんはそういう人生を望みますか?」
「絵に描いたような平凡だね。望みたいのは山々だけど、僕は以前話した通り恋愛は無理だからね」
「仮に、貴女の病が治癒したとしても?」
「言ったはずだよ、難病だと。それとも優香君は僕に合う心臓のあてでもあるのかい?」
「いえ、まさか。ですが、そういう問題ですか?」
「……どういう意味だい?」
「気にしないでください、ただの言葉遊びです」


12/24 ファミリーレストラン PM7:34

太い釘を刺されたような気分だった。
「先輩? どうしたんですか?」
「ん、ああ、なんでもない。ちょっとうとうとしてたよ。調子に乗って食べ過ぎたかな」
「大丈夫ですか? 今日はもう帰ります?」
「大丈夫。外に出れば目も覚めると思うよ、そろそろ行こうか」
「はいっ。ここ、俺が奢りますね」
「おっと。それこそ大丈夫かい、榊君? 自分で払うつもりだったから、結構高めのものを頼んでしまったよ」
「あはは、平気ですよファミレスですし。それにいつもお世話になっているんですから、こういう日ぐらい俺に奢らせてくださいよ」
「そうか。では甘えさせてもらおうかな。ありがとう、榊君」
榊君に会計を任せ、一足先にファミレスを出る。暖房の効いた店内から外に出るのは、冷水に入るような思い切りが必要だった。息を吸うと刺すような冷気が体の隅々まで行き渡り、思わずぶるりと身震いした。
歩道では数日前から飾り付けられた街路樹のイルミネーションが、きらきらと夜闇を照らしている。カップルらしき男女が店内に入るのを、入り口からどいて道を譲る。流石に今日はと言うべきか、店内の席はいっぱいだった。
駅前で合流した僕たちは、暖を取るのも兼ねて近くのファミレスで食事をした。今日の予定は榊君に一任していたから、あらかじめ店は決めていたんだろう。まあ榊君のことだし、この後の予定も大体想像は付く。
道行く時も食事中も他愛ない話を続けてはいたけれど、榊君は少し緊張しているようだった。僕にはよくわからないが、それは好意から来る緊張なのだろう。頬を僅かに紅潮させて幾度もつっかえるのは、まあ正直可愛かった。
もちろん人の好意はありがたくはあるけれど、種類によっては困ったことになる。そしてこんな日に女性を誘うこと自体が、好意の種類をはっきりと示している。そうでなくても仕草、言質、行動、その他。榊君はとても隠し事ができるタイプじゃない。
榊君が会計をすませてくるまでの僅かな間、入り口脇の暗がりに立って、夜空を見上げながら物思いにふける。
318未来のあなたへ6.0:2009/04/16(木) 00:56:57 ID:Ng41C3Ud
さて困った。
優香君に恨まれる、ことじゃない。確かに彼女の行動力は物理的な脅威ではあるけれど、ひとまず僕は安全牌として見逃されている。これ以上の進展さえなければ、優香君の堪忍袋が切れるまでは大丈夫だろう。
深夜に押さえ込まれた日、彼女に白状した事情は概ね事実だ。重度の心臓病であること、治る見込みはほぼないこと、両親は既に死んでいること、性交と興奮は死に繋がること、遺書代わりに絵を描いていること、命はまだ惜しいこと……
話さなかったのは二つ。両親の素性と、予想される余命だ。
両親の素性は……まあ、わかるだろう? 姉弟でもそういう関係が『あり』なんだと、優香君に吹き込むことは後輩の人生に多大な影響を与えかねない。いくらなんでも目覚めが悪すぎる。
予想される余命のことを優香君に話さなかったのは、自身の保身のためだ。僕は最大限命は惜しむつもりだが、優香君の思考パターンはいまいち掴み切れていない。『あと数年で死ぬなら何をするかわからない』と思われて念のために殺されるなんてことは避けたかったわけだ。
両親のことはさておき、余命のことを話さなかったのは詐欺に近い。ただし僕の行動パターンを分析すれば想像できる事実だし、優香君も薄々気付いている節もある。確信した彼女が逆上するかどうかはガクブルだ。
ただまあ前述した通り、それはそこまでせっぱ詰まったことじゃない。本当に困っているのは兄の方だ。
その、なんだ。あれだよ……有り体に言って、落ちそうだ。
このところ、榊君の好意がまんざらでもなくなってきた。それが現時点での最大の問題だ。
でも言い訳させてくれ。憎からず思う相手に、八ヶ月も一緒にいて好き好きビームを照射されたら、誰だって心が動くに決まっているじゃないか。いや、一般論をよくは知らないんだけどね。
それに僕は恋愛に関しては(優香君や榊君のように)『この人がいい』と常に求め続けてきたわけじゃない。恋愛対象を選ぶとしても『この人でいい』という消極的な選択になる。ある意味無防備だったんだよ。
とはいえ、僕にとって恋愛が天敵という認識と事実は消えたわけじゃない。今は二つの気持ちが拮抗している。
一つは以前の通り、榊君の好意に甘えることはできないという気持ちだ。彼のためを思えばそれが当たり前だし、今まで通りアプローチをかわし続けて卒業まで漕ぎ着ければよい。
更に目指すなら、それまでに榊君が好きになれる別の人を探してあげるか、あるいは優香君の牙を何とか抜いてしまえば上々か。正直、そのあたりは榊君が自力でどうにかしろと言いたくもあるけれど。
そしてもう一つ、拮抗してるのは……そこまで言うなら、いっそ道連れにしてやろうかという濁った気持ちだ。
この僕に訪れる死をその能天気な精神に焼き付けてやろうか、なに遠慮することはない、本人がそれを望んでいるんだ、と。
気持ちが拮抗するに至ったのは、ことさら特別なことがあったわけじゃない。全ては他愛ない日々の積み重ねだ。例えるなら日焼けのようなもので、僕は強い日差しにも弱い。
純粋な好意で(まあ榊君の場合は年相応に不純もある)話しかけられ、じゃれ合い、からかって、褒めてけなして、共に過ごすのは楽しかった。一人ではけして得られない、人生に対する張り合いというものを僕は知った。
こんなに長く、誰か一人と楽しく過ごしたのは初めてだったんだ。ああ、楽しかったさ。
母は父のみを愛していた。父は僕も愛してくれたけど、僕は生まれ持った病によって捻れていた。
目が覚めた時、側には誰もいなかった。余命は決まっていて、入退院と留年を重ねることで親しい友人を作ることもできなかった。
僕は教室の隅で、景色の影で、人目に触れない場所で一人、絵を描いていた。
後悔しているわけじゃない、後悔しているような余命はない。
僕は死と隣り合わせになることで、死を乗り越えた。生まれ持った蝋燭が、他人よりも短いものだったという、ただそれだけだと受け入れた。その蝋燭で何をするかは、完全に僕の自由だと。
そう……死は乗り越えたと思っていたのに。
319未来のあなたへ6.0:2009/04/16(木) 00:57:29 ID:Ng41C3Ud
「先輩、寒くないですか?」
「ん、慣れてきたし大丈夫だよ。ところで何処に向かっているんだい?」
「はい。せっかく飾り付けられてるんだし、アーケードでも一緒に回ろうかと思って」
「なるほど、ウインドウショッピングか。それにしても、絵に描いたようにクリスマスイブのデートだね」
「そ、そうですか? その、つまらなかったらごめんなさい」
「いや、別に責めてるわけじゃない、むしろ逆だよ。こういう経験はなかなかないからね」
「ありがとうございます。ふう、よかった」
「それにしても手慣れてるよね。榊君はこういう経験豊富なのかな」
「えええ、いえいえいえ。そんなことないですよ。クリスマスにデートなんて、先輩が初めてです」
「ふふん、そうか。まあ初めて同士よろしく頼むよ」
可哀相に、優香君。なんだかんだと毎年のように共に聖夜を祝ったであろう彼女に同情する。
まあ、榊君が気付かないのは鈍感と言うよりも思いつきもしないんだろう。妹と二人でクリスマスを過ごしても、家族仲としか感じないに決まってるし、それが正しい。
けれど優香君の行動原理も、今一わからないことがある。なりふり構わないのなら、一服盛って強姦に至っても不思議じゃない。
何しろ元々からして不義の恋だ。今更不義を重ねたところでなんだというんだろう。チャンスはいくらでもあったはずだ。それこそ、僕の母のように。
勿論、そんなことをしている気配はない。榊君の能天気は、そんな関係の元で維持できるものじゃない。
もしかしたら優香君は、榊君のそんな純粋にこそ惚れたんだろうか。だとしたらあまりに難儀すぎる。素直に想いを発露することこそが、相手の魅力を破壊するなんて。
まあ……それでも相手を気遣っているだけ、僕よりはマシかな。
「流石に少し寒くなってきたね。そろそろどこかに入ろうか?」
「あ、そうだ先輩。せっかくクリスマスなんだし、何かプレゼントしますから、そのお店で」
「ほほう。それじゃあ宝石店にでも入ろうかな」
「ひい! 調子に乗ってごめんなさい!」
「ふふ、冗談さ。そうだな、こんな時まで画材というのも難だし、服でも見ようか」
「はいっ」
それからしばらく、衣料品店でやいのやいのと着せ替えを楽しむ。結局、榊君はセーターとマフラーを、僕はジーンズとベルトをお互いにプレゼントした。

榊君の好意を受け入れる気持ちが強くなってきたと言っても、それは優香君のような激しい感情ではなく、ぬるま湯に浸かるような穏やかな感覚だった。
春眠暁を覚えず。心地よい空間から寒い外へ、出たくないとむずがる子供のような我が侭だ。
そう。予想の外であることに、それは僕の天敵である興奮を伴うものではなかった。この僕のひ弱な心臓にも受け入れられる感情だった。
果たしてこの気持ちは、愛や恋と呼ぶべきものなのだろうか。少なくとも、僕の知る限りではそうではない。
もちろん、受け入れ可能といってもそんな真似をすれば、榊君の人生を少なからず奪い取ることになる。死という絶望に付き合わせ、子供もできず、残るのは骨壺だけだ。性交すら不可能なのは、取引としてあまりに不公平だろう。詐欺とも言う。
道義的に許されないのはわかっている。けれどその倫理と拮抗するほどに、まどろみに心惹かれる自分もいる。
言い換えるなら
榊君を思いやるか、自分の都合を押しつけるか。僕が今陥ってるのはそんな葛藤だ。
まどろみの中で死ねたならどんなに楽だろう。看取る相手がいてくれたらどんなに楽だろう。無理をして胸を張らなくて良いのなら、どんなに楽だろう。
320未来のあなたへ6.0:2009/04/16(木) 00:59:20 ID:Ng41C3Ud
「少し、座ろうか」
「あ、はい。でもここじゃ寒くないですか?」
「なあに、さっきコンビニでカイロを補充したから大丈夫さ。むしろ熱いぐらいだよ、ちち」
「あはは。それじゃ先輩、ここどうぞ」
榊君の払ってくれたベンチに座る。冷え切った木材が布地越しでお尻に当たってひんやりと冷たい。隣に座った榊君との距離は微妙な感覚だ。
目の前には針金と電線と光電で構成された人造のクリスマスツリー。アーケードの広場には、僕たちの他にもカップルが大勢いた。都合良くベンチが空いていたのは非常に運が良いのかもしれない。
マスクを外し、息を吐くと、白く染まる。
「綺麗ですね」
「ありがとう、僕は確かに美人だけどね、ふふん」
「ツリーのことですから。いや、先輩もその、ごにょごにょ……」
「確かに見事なものだね。スケッチブックを持ってこなかったこと、少し後悔したよ。瞼に焼き付けておこう」
「先輩は本当に絵が好きなんですね」
「ライフワークを好きと言うべきかどうか、少々疑問だね。あれは暇つぶしの手段として選択しなければいけなかった結果だし」
それに僕がこの世界に残す遺言も兼ねている。
「そんなことないですよ。俺は、先輩は絵が好きなんだと思いますよ」
「ほほう、なんでだい」
「だって先輩、絵を描いてる時、すごく楽しそうだから」
「……なるほど。それは気付かなかったな」
それこそ、無邪気な夢を見た子供のように、とても楽しそうに笑う榊君。
そのシンプルな情動の美しさに、僕も釣られて微笑んだ。本当に、スケッチブックを持ってくれば良かったな


こんな榊君の純粋さも、想いを受け入れれば破壊することになる。死という絶望で穢すことになる。
優香君ならばここで踏みとどまるのだろう。彼女は彼の、こんなところに惚れたのだろうから。
けれど僕はきっと踏みとどまらない。僕は榊君に惚れたのではなく、ただ死への道連れが欲しいだけだから。
言ってしまえば、誰でも良かった。僕の都合で利用しようというだけなんだ。
愛とは何だろう。
僕の母は二親等を異性として求め、添い遂げ、最後は無理心中した。他一切に価値を求めず認めず、その生き方ははっきりと毒だった。
僕の父は自分の姉兼妻に、自らの人生も命も奪われた。そこには選択肢などなかったはずなのに、父は母を恨まなかったし、その毒を受け入れていた。
死んでしまった両親の、血を継いでいることをはっきりと感じる。
受け入れるだけの人生と、触れるものを破滅させる毒としての生き方。
父よ、母よ、どうして僕を産んだのですか。


アーケードの広場で、針金作りのイルミネーションツリーに照らされながら、その向こう、星の見えない空を見上げる。
息も白くなるような寒さの中、隣には温もりが一つ。
失いたくはなかった。両親が死んで以来、自らの運命を悟って以来、ずっと感じていた孤独に戻りたくなかった。

「あ、あの……先輩っ! 俺っ」
「うん」
「俺……先輩のこと、好きです。付き合ってください!」
「……ありがとう、嬉しいよ」

死は乗り越えたと思っていた。けれど今更になって膝が震える。それは冬の寒さからくるものではない。
まどろみの中で死ねたらどれだけ楽だろう。今更抱いたその欲求が、死への恐怖をぶり返していた。
希望があるからこそ人は恐れる。絶望を受け入れてしまえば自由が手に入る。人とは難儀なものだ。
僕は……

僕は自由などいらなかった。本当に欲しいのは希望だった。けれどそんなものはどこにもなくて、だから恐怖を克服するために死を受け入れた。でなければ生きていられなかった。
愛や恋など、僕は知らない。ただ一人は嫌だった。一人で恐怖に震えながら死にたくはなかった。
『誰かと出会って、付き合って、一緒に住んで、結婚して、子供を産んで、育てて、年を取っていく……片羽さんはそういう人生を望みますか?』
『仮に貴女の病が治癒したとしても?』
だから、僕は





「すまない、榊君。僕は君とは付き合えない」
321未来のあなたへ6.0:2009/04/16(木) 01:00:36 ID:Ng41C3Ud
そうして、終わった。
僕の人生に於ける、きっと最後の、転機と言えるものは無為に終わった。
あと数年、僕は一人で生きて、そして死ぬ。
死ぬ時は一人だ。きっと怖いだろう。けれどわかってさえれば、希望さえなければ、耐えられる。
後悔はするだろう。あのとき、どうして彼を受け入れなかったのか。後悔し続けるに違いない。
だけど……それでも……


12/24 アーケード広場 PM9:02

片羽桜子が、一人広場に残ってからしばらく経った。
幾度か彼が送ると誘ったけれど、片羽桜子は頑として断った。一人で帰る彼は、泣いていたのかしれない。いや、多分泣いていただろう。
ベンチに座った片羽桜子が、夜空を見上げるようにして投げやりに声をあげた。
「……あーあ、なんでだろうね」
「何故ですか」
呼びかけられ、答えて、ついでに立ちあがる。
私が潜んでいたのはベンチの後ろにある植え込みの陰、跳躍すれば届く程度の距離だ。万が一の時に阻止行動が可能な間合いだが、気付かれる可能性も比例して高い。
「気付いていたのですか?」
「いいや、さっぱり。大したスキルだ。声をかけたのは純粋な推測だよ、君がいないとおかしいからね」
「なるほど」
ベンチの前までぐるりと回り、服の汚れを払って彼女の隣に座る。私の服装は作業着にも似た上着とズボン、髪は帽子の中にまとめてマスクで口元を覆っている。
あまりにもあまりな格好だが、日付が日付だ。万が一にも尾行中にナンパ目的で声など掛けられたくはなかった。
マスクと帽子を外す、息が白い。彼女の隣に座る。
「それで、何故ですか」
「何がだい?」
「何故、兄を」
「おいおい、榊君を振ってくれと言ったのは君じゃないか。僕たちは目的が一致しているんじゃなかったのかい」
「そうです。ですが片羽さん。貴女は、兄のことを憎からず思っていたでしょう。異性として」
片羽桜子が目を丸くして、隣の私をまじまじと見た。オーバーアクションは抜きにしても、よほど意外だったらしい。
「根拠は?」
「論理的帰結です。それに、兄ですから」
「僕が言うのも難だけど、彼は魅力で見るならば、典型的な良い人で終わる人種だと思うんだが」
「でしょうね」
兄のことを思う。確かに兄は、世間一般に見て魅力に溢れた人間ではない。人より多少純粋で、人より多少情が深いだけだ。
それならどうして私は兄を選んだのだろう。そこには様々な要素があるように思えたけど、わざわざ言葉にしたくはなかった。
「けれど兄個人に対して思うところがなければ、そんなにも迷いはしないでしょう。感情を読んだわけではなく、ただの論理的帰結です」
「それはこじつけな逆説だよ。僕は別に、榊君個人に対して恋愛感情を抱いていたわけじゃない。身勝手な事情さ」
「なんですか」
「今更だよ。今更、一人で死ぬのが怖くなったんだ」
ミトン形の手袋で頬を支えながら、何故か恥ずかしそうに片羽桜子が呟く。
彼女は以前、自分は死を恐れないと言っていた。不治の病で余命は数年、けれどその絶望を受け入れたからこそ、命は惜しくても死は恐れない、と。
ならばその恥ずかしさとはつまり。
「格好悪いですね」
「ああ、格好悪いね。これでも一応、若いなりに悟りの一つも開いたつもりだったけど、なかなか上手くはいかないものだよ」
一度決めたことを、淡々と死ぬ間際まで貫くことができたのならば楽なのだろう。
けれど実際のところ、人間はそんなに都合良くはできていない。それを貫くには歯を食いしばって迷いと戦い続けなければならない。
それは私がこの上なく実感していることだし、だからこそ尊いものだとされるのだろう。
けれど今回、彼女が転んだ理由は何となく見当が付いている。以前マウントを取っておきなが圧倒された件の意趣返しを、今ここでしても良い。
322未来のあなたへ6.0:2009/04/16(木) 01:02:03 ID:Ng41C3Ud
「片羽さん、貴女は」
「うん?」
「確かに、死という絶望は克服していたと思います。それについては驚嘆しました。しかし絶望とはそれだけではありません。世の中には、生きることに対する絶望もあるんです」
「……ああ、なるほどね」

生きている限り、何とかなると人は言う。
けれど……けれど、なんともならない希望を鼻先にぶら下げられて、走り続けなければいけないのなら、それもまた絶望ではないだろうか。
諦めればいいのかもしれない。けれど諦めたとしても後悔は続く、生きている限り後悔は続く。
ならば忘れればいいのかもしれない。けれど忘れられるくらいなら、そもそも希望になりはしない。
愛した人が兄だった。
その絶望こそ、私が慣れ親しみ、そして乗り越えてきたものだった。

「はは、そうか……僕は、生きたかったのか。誰かと一緒に、生きたかったのか」
「そうです」
「なるほど、なるほどね。僕は死に向かうことに関してはベテランだ。けれど生きること関して素人同然。手近にいた榊君を、見苦しく道連れにしようとしたいと思ったのも……生きたかったからか」
「生きるというのは、人を求めるということ。私にはそちらの境地はよくわかりませんが」
「ああ、死ぬ時は一人だ。死ぬというのは一人になることだよ」
片方は笑いをこらえながら、片方はくすりとも笑わず、女二人がベンチに並んで聖夜の星空を見上げる。加えて話題が生死だなんて色気のない話だ。
……
今まで私の越えてきた、多くの絶望。兄妹は結婚できないと知った時、それでも兄を嫌いになれなかった時、兄が藍園晶を好きなのだと勘違いした時、片羽桜子が現れた時、兄の思慕を知った時。
たくさんの絶望を味わって、それでも乗り越えてこれたのは。この人と一緒に生きたいという、ただそれだけの理由だった。
人は一人では生きていけない。ならば私はこの人がいい。
それだけだし、それが私の自由だ。
そのことを再度自覚できただけでも……片羽桜子との邂逅は、私にとって有意義なものだったのだろう。
そして
「どうして僕は榊君を振ったんだろう」
「自明でしょう」
生きることが人を求めることであり、死ぬことが一人でいることならば。
「ああ、そうか、そうだね。僕は死ぬことを選んだんだ。今まで通り、死ぬために生きることを選んだんだ。
 もしも僕が榊君を受け入れたなら、それは二人で生きていくということだ。けれど僕は怖かった、恐ろしくてたまらなかった。
 かつて両親がそうだったように、この手に得たものが失われることが、信じたものに裏切られることが。
 何より僕は榊君を信じられそうになかった。だって僕は僕の事情を何一つとして話していない、隠してきたんだ。
 寿命のこと、病のこと、恋愛感情がないこと。どれか一つでも知られれば愛想を尽かされるんじゃないかと、どうしても思ってしまったんだ。
 榊君の中の僕は張りぼてだ、実際の姿とはほど遠い。打ち明ける勇気がなかったから、僕は榊君を騙してここまで来た。そのツケがとうとう襲ってきた。
 僕はこの人生で、生きるために生きることを諦めたんだ。つい、先刻、ここで」
くくく、ははは、とついに腹を抱えて片羽桜子は笑い出した。少し長くなりそうだったので、広場の隅にある自販機まで歩いていってホットのコーヒー(微糖)を購入する。
缶の熱さで指を暖めながら戻ると、彼女は片腹を押さえながら息を整えているところだった。笑いすぎてお腹が痛いらしい。
既に九時を大分回っている、あたりに人気はないため注視されることもなかった。コーヒーを一口、啜る。
「ふー、はー……優香君はこうなることを予測してたのかい? どうも動きが鈍いとは思っていたんだけど」
「まさか、そんな予測が立てられるほど万能ではありません。そもそも私が尾けてきたのは、キスでもしそうなら物理的に割り込むためです。見抜いていたならそんな保険ははいらないでしょう」
誘導があるとしたらその前日、病室でほのめかした方がまだ影響があるはずだ。
『誰かと出会い、付き合って、一緒に住んで、結婚して、子供を産んで、育てて、年を取っていく……片羽さんはそういう人生を望みますか?』
『仮に貴女の病が治癒したとしても?』
けどそれより、彼女は元々一人でいるべき人間だった。生まれついた環境と体質により確固とした自我になったのかもしれない。榊優香がこういう生物であるように、片羽桜子はああいう生物なのだろう。
蔑視するでも誇張するでもなく、あの女は死に一人向かう人間だった。
それだけだ。
323未来のあなたへ6.0:2009/04/16(木) 01:03:51 ID:Ng41C3Ud
「夢を見ていた気がするんだ。暖かい布団の中で微睡むように」
「幸せでしたか?」
「僕にはそういうのはわからない。でも、良い夢だった」
道が別れる。
「それでは」
「ああ」
「さようなら、片羽さん。頑張って死んでください」
「さよなら、優香君。頑張って生きてくれ」






3/1 公立高校校門 PM12:10

早咲きの桜がちらほらと芽吹いて通学路が色付いている。
その花と同じ名前を持つ人が、校門の前で黒い筒を『どうだ』と掲げて微笑んだ。



片羽先輩に振られてから二ヶ月と少し経つ。
アレから俺は泣いた。しばらく、家にこもってずっと泣いていた。一応空手部の練習には出てたけど、ほとんど屍のような状態だったと思う。何度も休んだ。
片羽先輩に会って、八か月。積もりに積もった想いが、水になってそのまま溢れ出たみたいだった。
あるいは……単に、先輩と歩いて行きたいと思った未来が閉ざされて、悲しかったのかもしれない。
いいや、今も。
俺は……まだ割り切れていない、割り切れるわけがない。
涙が枯れた後、胸の中に固いしこりが残ったようだった。
冬休みが明けて学校に通い始めて、片羽先輩は何事もなかったように接してくれてるけど、俺は先輩の笑顔を見る度に胸のしこりを意識する。
うまく笑えない。もう二ヶ月も経つのにあの日からずっと、俺はうまく笑えないでいる。
……けど、今日は笑わないと。笑わないといけない。
今日は卒業式で、別れの日なのだから。


暖かい春の陽気が訪れようとしていた。空は青く日は穏やかで、文句の付けようのない門出の日。
校門から出ればすぐにバス停がある。普段はそこでお別れだけど、今日は先輩の家まで送ることになっていた。
それでも距離は近い、ほんの百mほどだ。先輩は近くにあるからこの高校を選んだと言っていたけど、それだけで合格できるんだから本当は頭がいいんだと思う。
僅かな距離で、最後に何を話すべきか、迷いに迷う。今日が最後、今日が最後だ。
「もう、荷物は纏めたんですか?」
「ああ、朝方業者がきていたからね。もう家には何も残ってない。一度家には寄るけれど、このまま向かう予定だよ」
片羽先輩が卒業と同時に引っ越すと知ったのは年が明けてからだった。
ここよりずっと田舎のもっと空気の綺麗な場所に引っ越すらしい。写真を見せてもらったけど、緑が豊富で民家が点在しているようなところだった。
もちろん、毎日のように会えることはなくなる。いや、もしかしたらもう二度と会えないかもしれない。
先輩自身からも、引っ越し先は凄い田舎だから来なくてもいいと言われているし、俺もまたそこまでするような熱意を(少なくとも今は)失ってしまっていた。
もしかしたら……先輩は、このことがあるから、俺を振ったのかもしれない。そう思いたい自分がいる。
「向こうに着いたら手紙を出すよ。いや、それより景色を描いて送った方が僕らしいかな」
「いいですね、それ。楽しみにしてます。それなら俺も何か送らないと」
「ふふん、期待してるよ」
道の脇に植えられた桜の下を、先輩と二人並んで歩く。これが最後だ、何か言わないと、何を言おう。
俺が先輩に伝えたいこと。
『俺……先輩のこと、好きです。付き合ってください!』
それはもう、あの日に終わってしまっている。そのことを思うと、胸がひどく痛い。
胸のしこりはひどく硬く、それが溶けるにはどれだけの時間が掛かるのか想像も付かない。けれどそれを待っている余裕はない。
それでも言うべきことが見つからなくて、あるいは言うべきことを言えなくて
324未来のあなたへ6.0:2009/04/16(木) 01:04:25 ID:Ng41C3Ud
「……」
「……あ」
無言で歩くうち、迷っているうちに、とうとう時間が切れた。
何度か来たことのある先輩の家。小振りな一戸建てだけど、住んでいるのは先輩だけだ。招待されたこともあって、やけにがらんとした内装だったことを覚えている。
今は門の横に引っ越し会社のトラックが止まっている。家の中には何もないはずだ。ここでもう、俺は最後の挨拶をして、さよならしないといけない。
先輩が俺に向き直る。ふわりと、綺麗な髪が風を含んで広がり、収まった。
「ここまでありがとう、榊君」
「……先輩」
不意に、走馬燈のように今までの思い出が溢れかえった。旧校舎の脇で出会ったこと、桜の公園に案内してくれたこと、雨の中で絵を描くのを手伝った、みんなで一緒に出かけたこと、病院にお見舞いに行ったこと、初めて好きだと自覚したこと。
恋は破れたけれど、最初の気持ちを思い出す。
細い体で、胸を張って、空元気だけを頼りに、なんでもないことのように笑うこの人を、俺は。
ああ、思えば俺は自分の気持ちを押しつけようとするだけだった。一緒に生きていくことは無理だったけど、この人を支えたいという気持ちには変わりないと、今わかった。
遅すぎたけど、伝えよう。
「片羽先輩。なにか辛いことがあったら、俺でよければ相談してくださいね」
「ん……立派になったね、榊君」
先輩が僅かに目を丸くして、それからかすかに口の端をつり上げた。成長した弟を見るように、あるいは自分を笑い飛ばすように。
「大丈夫。僕は一人でも大丈夫だし、そういう生き方を選んだんだ。後悔を残さないように生きてるさ。けど」
腰に手を当てて、僅かに顎を上げて、俺の目をまっすぐ見つめる。
「前にも言ったけど、君に会えて良かったよ、榊君」
そうして、ふふん、と。胸を張って、先輩は笑った。
それは空元気だけを頼りに世界に対してまっすぐに立つ、あの笑い方だった。
そして、俺は
「はい。俺も、先輩に会えて良かったです」
今日、初めて。年が明けてから、初めて。先輩に振られてから、初めて。
笑うことができた。


そうして、俺の初恋は終わった。
高校にもなって初恋なんて、ずいぶん遅かったと思う。けれど決して恥じるような恋じゃなかったと、胸を張って言える。
残念ながら恋破れたけれど、この人には幸せになって欲しいと、今も変わらず願っている。

「さよなら、榊君」
「はい。先輩も、元気で」
325未来のあなたへ6.0:2009/04/16(木) 01:06:09 ID:Ng41C3Ud
以上です。延々とキモウト関係なしで申し訳ありませんでした。
先輩キャラは普通に退場して、次からやっと妹が高校生になります。
326名無しさん@ピンキー:2009/04/16(木) 02:10:25 ID:bVR/i4+L
>>325
お久しぶりです&GJ!
なんというか、純粋にジュブナイル的恋愛なお話で、とても引き込まれました。
途中で優香が出てきて「あ、ここキモウトスレだった」と思い出したというか。

今回の2つの「別れ」の場面が、今後のストーリーの重要な布石ですね。
それでは、次回を楽しみにしています。お疲れ様でした。
327名無しさん@ピンキー:2009/04/16(木) 02:31:22 ID:jUe8Pmie
。・゚・(ノД`)・゚・。 榊君がかわいそう過ぎる
328名無しさん@ピンキー:2009/04/16(木) 03:43:57 ID:1kMGuzYN
切なすぎるorz
片羽ルートも欲しかった所だな。
何にせよGJ!
329名無しさん@ピンキー:2009/04/16(木) 04:23:22 ID:KUamwJca
先輩がいなくなるのは凄く寂しいですね
GJ
330名無しさん@ピンキー:2009/04/16(木) 04:39:52 ID:GCM0VXx/
何だろう、この喪失感は
叫びながら全力疾走したい気持ちだ
とにかくGJ
331名無しさん@ピンキー:2009/04/16(木) 07:00:31 ID:HKw4aTrm
久し振りに来てたGJ
先輩ルートも欲しいくらいに良キャラだっただけに残念
332名無しさん@ピンキー:2009/04/16(木) 08:15:42 ID:X5QgbmGo
クオリティたけぇよ、意図的誤爆かと思ったよ、うわぁん。・゚・(ノД`)・゚・。
333名無しさん@ピンキー:2009/04/16(木) 14:22:56 ID:rTFvuJ/R
これはきっと
先輩退場→再登場→先輩ルート
という展開の複線だ!

すまん、俺の妄想だ
334名無しさん@ピンキー:2009/04/16(木) 17:39:36 ID:Nuu+G78p
ちょっと信仰たんが表に出てるなw
335名無しさん@ピンキー:2009/04/16(木) 17:58:55 ID:ElpvYDob
いいキャラしてただけに、なんとも虚しさが残るな まあ妹ちゃんを喰ってたのは明らかだがw

この後は落ち窪む兄君を慰めようとする妹と、殺っちゃってもイイ感じの泥棒猫だなw
336名無しさん@ピンキー:2009/04/16(木) 20:45:02 ID:NY/i1JAh
GJ。
先輩…。悲しいなあ…。
337名無しさん@ピンキー:2009/04/16(木) 21:32:34 ID:gzCVyPDt
GJ!
携帯だから最新10レスの感想を見て、先輩が死んでしまったのかと思ってびびった
338名無しさん@ピンキー:2009/04/16(木) 22:42:34 ID://7DNnv0
GJ! 優香の心臓がフルマッチという展開がこなさそうでひとまず安心した
…こないよな? もう妹が死ぬ話は読みたくないんだ
339名無しさん@ピンキー:2009/04/17(金) 00:18:42 ID:dRMR/00d
GJ
先輩大好きでした
340名無しさん@ピンキー:2009/04/17(金) 12:54:14 ID:Ahb38nKW
>>338
妹死亡、漁夫の利で大勝利。
このテンプレから抜け出すか、あえてそのままで更に化けるのを狙うか。
まあ、作者さん、なんというか、頑張って。
341名無しさん@ピンキー:2009/04/17(金) 13:06:19 ID:ZQjzc4li
ん?
342名無しさん@ピンキー:2009/04/17(金) 19:44:44 ID:3WYXu6kT
兄貴を抑えこむために柔道習得したのに空手で対抗されるじゃまいか
343 ◆6AvI.Mne7c :2009/04/17(金) 20:04:21 ID:DENplbl5
うん、これまでの流れに入り込んで投下するのって、少し勇気がいるよね?

でもせっかく作品(らしきモノ)ができたので、投下していきます。
タイトルは「N.J.オトウトは、生意気なのか?」。姉弟もの+αな小ネタ。
前スレ半ばのアレと、あといろいろパク――リスペクトして書いてみた。

次レスより投下。3レスほど借ります。投下終了宣言はありません。
 
 ボクの名前は純(じゅん)。今年中学1年の若人だ。そんなボクの朝は――
 
「ねえ純ちゃん、忘れ物はない? あるなら私が貸してあげる」
「ねえ純ちゃん、歯は磨いてた? まだなら私が磨いてあげる」
「ねえ純ちゃん、まだ居るよね? 一緒に学校まで、手をつないで行こ?」
 
 いつもの姉ちゃんからのマシンガン可愛がり。
 とにかくボクのことに口出しして、甘やかして、そして構いたがる。
 正直うっとうしいので、またいつもどおりに、ボクは姉ちゃんから、逃げるように駆け出した。
 
「もう、姉ちゃん! ボクにばかり構わないで、自分のことをしてくれよ!」
 
 
「とまあ、今朝もそんなコトがあったとさ。
 なんなんだろうね、ボクの姉ちゃんは、どっかおかしいのかな?」
 本人が聞いたら失礼だと思うけど、あいにくここには姉ちゃんは居ない。
 そんなワケで、ボクは姉ちゃんに遠慮せず、親友の新太(しんた)にぼやいてみた。
 
「ふぅん、オマエんちもなんか大変そうだよな。
 オマエんトコは姉ちゃんか。オレんトコは妹がそんな感じだぜ?」
 コイツは本当にいいやつだ。
 本来ならボクが姉ちゃんの普段の素行を話題に出すと、みんな何故か怯えたようにヒいていく。
 だけどコイツは似た悩みを持つからか、ちゃんとボクの話を最後まで聞いてくれるのだ。
 
「なあ、オレ思ったんだけど、オマエの姉ちゃん――潤さんだっけ?
 漢字が違うだけで同じ名前なんて面白い姉弟だよな――オマエのこと、好きなんじゃね?」
「まあ好きってんなら、今までの態度からそう思うけど――」
「違うよバカ。そうじゃなくてさ、なんかこう、近親相姦――キンカン的な意味で、だぜ?」
 
 何気なく言って来た新太の言葉に、なぜかボクは背筋が震えた――ような気がした。
「まさかぁ、そりゃないだろうよ。それだったらボク、とっくにヤられちゃってるって!
 だいたいそれがマジだったら、新太んトコの妹さんだって、とっくに新太を――」
「まあ、そりゃそうだよな。あっはっはっはっは―――」
 
 
「話に割り込むけどさ。もしホントに、その――キンカン的愛情だったら、2人ともどうするの?」
 そんなバカ話をしていると、後ろからクラスメイトのおー君が話しかけてきた。
 こいつは放課後だけは人付き合いが悪いが、普段はめちゃくちゃ気の利く、いいヤツだ。
 とにかく、そんな質問をしてきたおー君に返す言葉は、ボクらにとっては、これしかない。
 
「えーマジ『キンカン愛ブラコン』!?」
「キモーイ」
「『キンカン愛ブラコン』が許されるのは小学生までだよねー」
「「キャハハハハハハ」」
 
 よし、即席でよく合わせられた。嬉しくて、ボクと新太とで、ハイタッチをしてみる。
 こないだ2人で拾ったエロ漫画のセリフを、とっさに改変してみたのだ。
「まあ、普通はそうだよね……。
 うん、アレだ。その、2人とも、すっごく頑張ってね……」
 
 何故か意味深なセリフを残し、自分の席に向かうおー君。
 そういえば、なんでか教室の入り口のほうを見て喋っていたような気が――
 
――♪きーん、こーん、かーん、こーん……
 
「おっといけね。もう授業が始まるのか。
 じゃあな純、オレは席に戻るぜ。また後で、今日遊びに行く場所、決めようぜ?」
「そうだね、それじゃあまた、放課後にね!」
 
 そして放課後、とりあえず今日は新太の家に集まって、ゲームをすることにした。
 多分帰りが遅くなるので、まずは家に一度帰って、学校の荷物を置くつもりだった。
 
「ただいまーっ! 姉ちゃんはもう帰ってきてる?
 いるんなら、今日はボク、出かけるから留守番よろしくーっ!」
「あ、おかえり純くん。今日はでかけるの?
 でもゴメンね。その前に、ちょっと私と、オハナシしてくれない?」
 
 なぜかボクと顔を合わせるなり、やたら真剣な目をしてくる姉ちゃん。
 いつものボクを甘やかす時の、子供っぽい表情は、今は完全になくなっている。
 
「うん、わかったよ姉ちゃん。でも今日は新太の家に遊びに行くんだ。
 友達を待たせちゃ悪いから、なるべく早くしてよね?」
「わかってるよ。だから純くん、もうちょっとコッチに近づいてくれない?」
 
 なんだか嫌な予感がするけど、おとなしく姉ちゃんの指示に従うボク。
 そしてあと5歩の距離に近づいた時――姉ちゃんの両手から、何かがしなって飛んできた。
 
「うわあぁぁっ!? な、なにコレ――なわとび用の、ポリなわ?
 何でこんなもの――ってアレ? なんで両手と両足に巻きつ――ほどけない!?」
 
 完全に油断していた。なにも言い訳できないくらいに。
 こうしてボクは、両手足の自由を奪われたままで、姉ちゃんの前で無様にこけた。
「ごめんね。痛かった? ううん、間違いなく痛かったよね?
 だから、ぶつけたトコとか、ちゃんと舐めて治してあげるね?」
 
 そう言って、さっきこけた時にぶつけた膝の部分を捲くり、そこに舌を這わせる姉ちゃん。
 くすぐったい。でもどうして? そんな感情がごちゃまぜになって、状況が理解できない。
「な、なあななななんで、なんでボクに、こんなことすんのさ姉ちゃん?」
「あ、ビックリさせてゴメンね。でも純くんが悪いんだよ?
 姉ちゃんのことキモイって言うから。中学3年のワタシの愛を、否定したりするから」
 
 キモイ? 中学生? ――って、そうか、昼間の話題か!?
 でもなんで、姉ちゃんがそのことを知ってたんだ? どうしてこんなことに?
「あの時ね、ワタシのかばんに、純くんの鉛筆が数本、入ってたままだったの。
 だからね、返してあげるために、純くんのクラスの前まで行ったんだ。
 そしたら、あんなこと言うんだもん。姉ちゃん、その場で倒れそうになったんだよ?」
 
 それは悪かったけど、いま倒れそうなのはボクのほうだ! いやもうこけてるけど!
「ってそうじゃない! 姉ちゃんまさか、いつもボクに構っていたのは、こうしたくて――」
 
「うん、そうだよ。ようやくわかってくれたんだね♪
 ――好きで悪い? キモくてごめんね? でも仕方ないじゃない。
 だってさ、純くんがとっても、とぉ〜っても、可愛いんだもの。
 でもね、キモイって言われるのは、さすがに姉ちゃんも許せないな〜。
 ねえ、純くんはいつ、そんな悪い子になったの?」
 
 そう言いながら、自分の服とボクの服を交互に脱がせて、お互い裸になろうとする姉ちゃん。
「姉ちゃんは悲しいな〜、すっごく傷ついたな〜、もう生きてけないかも。
 ………ねえ、傷ついた責任、とってもらうから、ね? いいでしょ!?」
 
「やめてよ姉ちゃん! ボクはこんなの……嫌だイヤダ、誰か助け――
 そうだ! 今日は新太と遊ぶから、新太の家に行かないと、多分ウチに――」
 必死の抵抗。最後の言い訳。でも姉ちゃんは止まらない。
 それどころか、いつもみたいな甘え声で、恐ろしい言葉を返してくる。
 
「大丈夫。今日は新太くんの家でも、急用ができて遊べない――はずだから。
 だからね、純くん。今日と明日で、めいっぱいワタシと遊びましょう?」
 
――そして、次の日――ではなく2日後の朝。
 
 あのままボクは、まる1日近くかけて、姉ちゃんに性的に喰われた。
 ボクは当然だけど、姉ちゃんもハジメテで、最初はとても痛かった。
 でもどんどん気持ちよくなって――もう姉ちゃんから離れられそうにない。
 そう、ボクは姉ちゃんと同じくらいの「キンカン的シスコン」に改造されたのです。
 
 
「やあ、おはよう純く――その分だと、もう堕ちてるみたいだね……」
 いきなり背後から、おー君に声をかけられた。
 気になって話を聞くと、どうやらあの時、ボクの姉ちゃんがいたことに、気づいていたらしい。
 そして、ボクと同じように、何故か新太も昨日、学校を休んでいたそうだ。
 
「あの時はゴメン。ちゃんと教えてあげたらよかったんだけどね。
 でもそんなことしたら、余計危なかったんだ。これは僕の経験則からだけどさ。
 じゃあ、僕は先に学校に行くよ。――姉ちゃんを、大事にしてあげなよ?」
 
 そう言って先を急ぐおー君の後姿は、なんだか無駄に背が煤けて見えて、カッコよかった。
 そういや、おー君には小学校低学年の妹が――いや、詮索はよそう。
 
 
「やあ おはよう じゅん  きのうは おたのしみ でしたね 
 オレも きのうは とても たのしかった です……  ▼」
 突然背後から話しかけてくる新太。
 なんでカタコト――つうか、昔のロープレ風な喋り方なんだ?
 ――なんて、聞くまでもないか。だって、新太の家にも、構いたがりの妹が――
 
「あはは、妹ってさ、いいもんなんだぜ、純?
 カワイイし、愛おしいし、柔らかいし、気持ちいいし、美味しいし……」
「待て、もういい、もういいから、それ以上喋るな新太ぁ!
 オマエの心の傷は、ボクがよぅくわかっている! だから、だから……」
 
 最後には2人して泣き出すボクたち。通学路のど真ん中だから、他の生徒に見られまくる。
 でも構うもんか。オマエラなんかに、この絶望的な気持ちが、わかってたまるかぁ!?
 
 
 しかし神様は、そんな弱者の嘆きすら、許してはくれなかった。
「「おはよう♪ 2人とも、待っててくれたの?」」
 
 背後から女の子の声が2つ。すごく楽しそうで、すごく恋している声音。
 というかアナタら2人、最初から知り合いだったのか?
 そんな疑問の視線には答えず、彼女らは一段と高い声で、こう言って来た。
 
――さあ、学校に行きましょう? そして放課後は、2人だけでまた、アイシアイマショウ?
 
 
                                    ― A feel sick? No, it is love. ―
 
347名無しさん@ピンキー:2009/04/17(金) 20:26:17 ID:mZhouYX4
すごく、キモ過ぎです
348名無しさん@ピンキー:2009/04/17(金) 20:41:23 ID:RfPvt+6o
うわっキモっ
349名無しさん@ピンキー:2009/04/17(金) 20:56:26 ID:9n1bIwlp
キモGJ
350名無しさん@ピンキー:2009/04/17(金) 22:39:33 ID:909oGbqp
ナイス キモ姉キモウト!
351名無しさん@ピンキー:2009/04/17(金) 23:55:15 ID:L9jL2e33
なるほど桜華だからおー君なのか
352名無しさん@ピンキー:2009/04/18(土) 00:11:37 ID:mPJLpJBL
キモすぎるGJ
353名無しさん@ピンキー:2009/04/18(土) 00:47:31 ID:mTlXB8/R
最終鬼畜姉GJ
354名無しさん@ピンキー:2009/04/18(土) 02:30:09 ID:fwVVqNQL
きもねぇ おいしかった です
355名無しさん@ピンキー:2009/04/18(土) 02:55:39 ID:1FVbu/fX
kimoi
356名無しさん@ピンキー:2009/04/18(土) 20:18:53 ID:oIaaw2IS
エロパロ板にいる奴、全員キモい!!
357名無しさん@ピンキー:2009/04/18(土) 20:43:30 ID:QFMY+zHs
だがそれがいいGJ
358名無しさん@ピンキー:2009/04/18(土) 23:29:50 ID:3Z7Gd7LW
ほう、キモ姉SSを投下するキモ姉とな?
359名無しさん@ピンキー:2009/04/19(日) 13:03:13 ID:0RMbHh8o
オエエッ
ゲロギモ…
360名無しさん@ピンキー:2009/04/19(日) 14:58:42 ID:3gtw3Qcx
>>359

ありがとう
最高の誉め言葉だ
361 ◆6AvI.Mne7c :2009/04/20(月) 02:27:03 ID:qCn+g8lw
キモ姉妹の話を投下するキモ姉妹だなんて、我々の世界ではご褒美です!
まあ、その弟や兄にとっては、地獄だろうけどね。

休日を丸々使って書いた短編ができたので、投下します。
タイトルは「Reincarnation 〜17820」。元兄妹の現姉弟ネタ。
ぶっちゃけるまでもなく、「17スレ820」のネタの無断流用&改変作。
姉(元妹)視点。キモ度はだいぶ拡散してしまいました。

次レスより投下。10レス借ります。投下終了宣言アリ。
362Reincarnation 〜17820 (01/10) ◆6AvI.Mne7c :2009/04/20(月) 02:28:19 ID:qCn+g8lw
 
 今からほんの少し昔、ある一般家庭に、仲のいい双子の兄妹がいました。
 けれど2人は他所の子とは違う、彼氏彼女の関係で愛し合う、禁忌を犯した兄妹でした。
 2人は惹かれ合い、愛し合い、毎日のように生中出しでセックスをし、将来を誓い合っていました。
 まだ社会を知らない彼らは、近親相姦がイケないということを、知らなかったのです。
 
 そんな彼らに、神様が天罰を与えたのでしょうか……?
 彼らが中学生になろうという時、兄が交通事故に巻き込まれ、死んでしまったのです。
 妹はたいへん悲しみました。哀しんで、哭いて、次の日さらに泣きました。
 その末に、自分も後を追うことを考えましたが、それだけは思いとどまりました。
 自殺なんてしたら、兄のいる天国に行けなくなる。今度こそ、兄に逢えなくなる――
 そう考え、兄と愛し合った日々を胸に、生き続けていくことに決めました。
 
 そうして1ヶ月が過ぎようとした頃、不思議なことが起きました。
 なんと、ある日突然、母親が男の子を出産したのです。
 もちろん、母親は妊娠どころか、身篭っていたことすら自覚していませんでした。
 妹は、これを神様からの贈り物と思い、新しい弟に亡き兄を重ねるように、とても可愛がりました。
 兄に与える筈であった愛を、両親よりも、誰よりも、この弟に注ぐ――
 弟もそれに応えるように、両親よりも彼女に懐くようになりました。
 
 
 そして月日は流れ、弟が5歳、姉(元妹)が17歳になった頃、またも不思議なことが起きました。
 それまで何をするにも姉と一緒だった弟が、急に姉とのスキンシップを拒むようになりました。
 最初はトイレの世話、次に一緒の入浴、そして最後には布団を共にする事まで、拒絶し始めたのです。
 当然、姉は納得できませんでした。
 お風呂で背中を流しながら、弟の日々の成長を糧に、毎日頑張っていたのに。
 トイレの世話にかこつけて、わざとペニスやお尻をいじって、持て余した性欲を処理していたのに。
 布団を共にすることで、失った双子の片割れの匂いを思い出しながら、毎日ぐっすりと眠っていたのに!
 
 そんなこんなで1週間後、とうとう姉は半狂乱になって、5歳の弟に対し駄々をこねました。
 もちろん彼女だって17歳。喚くだけでなく、しっかり弟を問い詰めます。
 それに何か怖いものを感じたのか、ようやく弟は真実を語り始めました。
 
 
 なんと、弟は5歳の誕生日と共に、12歳年上の姉の片割れ――兄だった頃の記憶を取り戻したらしいのです。
 死が2人を分かつまで――どころか、死さえもその絆を断ち切れなかったのです。
 そうした彼らの未練が、かつて死んだ兄を、同じ家の弟として、転生させてしまったのです。
 ところが、そこでさらに不幸なことが起こりました。
 過ぎ去った5年という歳月が、弟――兄の考えに、社会的な常識を植えつけてしまったのです。
 近親相姦なんて、よくない。双子の兄妹が、結ばれるなんてオカシイ。
 それも、今では12歳も齢の差ができた、元妹とだなんて。
 
 そんなコト関係ない、と言い張る元妹に、元兄はもう1つの真実を語り出しました。
 5歳の誕生日前から兆候はあったのですが、身体の一部分が、異常な速度で成長し始めたのです。
 他は周囲の5歳児と同じ、なのに「ペニス」だけが、大人のようにぐんぐん大きくなり――
 いまや5歳であるはずの弟のおちんちんは、17歳である姉と、年齢的にタメをはる大きさを誇っています。
 陰毛さえないのに、女性を悦ばせられる、凶悪な凶器を下腹部に備える男の子。
 前述の精神的な理由に加えて、後述の肉体的な理由。
 ここ数日の反抗は、自分に密かに性的な眼を向ける元妹を恐れた、元兄のプライドだったのです――
 
363Reincarnation 〜17820 (02/10) ◆6AvI.Mne7c :2009/04/20(月) 02:29:47 ID:qCn+g8lw
 
「――けれどそんな彼も、彼女の心からの説得に感服し、ついに5年ぶりに身体の関係を」
「うそをつくな! おれがいつ、そんなやくそくをしたぁ!?」
 私が「愛と奇跡の物語(途中から捏造)」を語っていたら、突然背後から邪魔された。
「ちぇっ、別にいいじゃない。けいくんのケチ〜」
 
 おっと、紹介が遅れたわね。
 私の名前は舞音(まいね)。さっきの語りに出てきた、元妹で現姉の17歳女子高生。
 そして目の前にいる少年が、私の最愛の弟である、境内(けいだい)くん、5歳。
 まあ、最愛の弟にして、かつての最愛の兄、でもあるんだけどね。
 詳しくは、1つ前のレスでも、勝手に読んで下さいな。
 
 
 それはさておき、最近なにやら、けいくんの様子がおかしい。
 いつも幼稚園から帰ってきては、なにやら溜息ばかりついている。
 実は5歳の誕生日を迎えてからは、よくこんな日が続いていた。
 理由を聞くと、どうも過去の記憶のせいで、純粋に幼稚園のクラスに馴染めなくなったらしい。
 まあそうだよね。過去12年間のけーくんの記憶プラス、5年の記憶だもん。
 要するに、17年間生きているのと、あまり変わらないんだから。
 あ、けーくんってのは、けいくんが兄だった頃の呼び名ね。
 兄にして双子だったから、境外(けいがい)の最初の2文字をとって、けーくんと呼んでいたの。
 発音のポイントは、『けーがい』で『けーくん』と、『けいだい』で『けいくん』、ってところね。
 
「ねえ、また幼稚園で苛められたの?
 けいくんは昔から優しかったから、ケンカなんてできないもんね?」
 そういいながら、けいくんの目線まで姿勢を下げて、頭を撫でてあげる私。
 けいくんは、兄だったけーくんの頃から、とにかく優しいヒトだった。
 虫も殺せない、とは言い得て妙で、ゴキブリとかだって、私が退治していたくらいだ。
 そんな頼りなさげなところも、私にとってはすっごく萌えポイントだからいいんだけど。
 
「ううん、ちがうよまいねえ……って、なんでおれをそこまで、ようちえんじあつかいするか。
 いまはこんなに『したったらず』だけど、いちおうおまえと『おないどし』だっての!」
 うわぁ〜、なんだか背伸びしてるちびっ子って感じで、冗談抜きに可愛すぎる〜♪
 まあ記憶があるから中身はけーくんだろうけど、肉体はけいくんだから別にいいじゃないの。
 これまでけいくんとして可愛がってきたのと、なんにも変わらないし。
 まあでも、確かに納得はできないかもね。17歳(おないどし)に5歳扱いなんてさ。
 ……それにしても、「まいねえ」って呼ばれるのは、ちょっと嬉しいわね。
 
「う〜ん……、じゃあさ、これから一緒に遊びに行こっか?
 少しでも運動すれば、今の暗い気分が、少しは晴れると思うから、ね!?」
「うぅ……、わかったよまいねえ。ちょっとだけだからね?
 それから、いじわるなことをしたら、ゆるさないからね?」
 うふふ、怯えてる。けいくん可愛いよけいくん。
 でも昔みたく、「まいね」って呼び捨てにして欲しいな〜。
 
 
「…………お〜い、まいねえ〜!
 でかけるっていったの、まいねえのほうじゃないか〜!
 なんでそんなに、じゅんびにじかんがかかるんだよ〜!」
 玄関で叫んでるけいくん。
 しょうがないじゃない。けいくんにバレないようにしないといけないんだから。
「よし。準備できたよ〜! それじゃあ、すぐに出発しよ〜っ!」
 
 うふふ、けいくんの驚く顔、楽しみだなぁ〜♪ 
 
364Reincarnation 〜17820 (03/10) ◆6AvI.Mne7c :2009/04/20(月) 02:30:37 ID:qCn+g8lw
 
「まいねえ、じつはおれのこと、きらいなんだろ………!
 そうだ……ぜったいそうにちがいない…………」
 
 ドッキリ成功。いぇい♪
 ここは1駅離れたスポーツクラブの温水プール。
 基本はスクール制だけど、時間外には有料で一般に貸し出されている。
 その時間を知っていたから、今回わざわざ電車で、ここまで遊びに来たのだ。
 
「こんなトコロにつれてこられるってしってたら、ついてこなかったよ、おれは……」
 そう、最近何故かけいくんは、プールとか銭湯とかを嫌がる。
 初めは水が怖いのかと思っていたけど、家でお風呂に入れるから、そうじゃないみたい。
 ――ああ、そういえばけいくんとお風呂に入れなくなって、何ヶ月経ったんだろう……。
 
「もう、そんなに嫌がんなくてもいいじゃないのよ。
 なぁに? 私と一緒に遊ぶのが、そんなに嫌なのかしら、けいくんは……?」
「べ、べつにそういうわけじゃないんだけどさ……」
 うん、今日もけいくんの1日1回ツンデレ(?)が拝めたぜ♪
 こういう風に、私に気遣ってくれるのは、けーくんのころからずっと変わってないな〜。

「じゃあさ、一緒に水の中に入って遊ぼうよ?
 ほら、足は届かなくても、だっこしたら水の中に顔を着けなくて済むから、ね!?」
「いや、そういうもんだいじゃあ――」
「ええい、ぶつくさ言わない! それじゃあダイビーング!」
「ってうわああぁっ!?」
 
 まだぶつくさ文句を言うけいくんを抱えて、私はプールの中へ勢いよく飛び込んだ。
 ちゃんと飛び込む時に、けいくんの鼻とかに水が入らないよう、ちゃんとギュッと抱きしめてある。
 ちなみに私の水着は、競泳水着に限りなく似た、ちょっと露出控えめのワンピース水着。
 最近おっきくなった胸のラインと、必死に細めた腰の括れのラインで、けいくんを悩殺するのが目的だ。
 対するけいくんは、特に奇を衒わない、普通の幼稚園用の水着。だがそれがいい。
 だって、例の大人サイズのおちんちんが、水着から浮き上がって――やらしいから。
 
 そんな私のいやらしい視線に気づいたのか、こちらをジト目で睨むけいくん。
「はぁ。もういいから、ちゃんとおれのからだを、つかんでてよ。
 もしおぼれたりしたら、まいねえのせいになるんだからな?」
「なに言ってんのよ。けいくんが危険な目に遭うようなこと、私が許すと思う?
 ちゃんと、ちゃ〜んと、けいくんのことを抱きしめてあげるんだからね♪」
 
 そう言って、けいくんの後頭部に、自分のおっぱいを押し付けてみせる。
 うふふ、照れてる照れてる。顔が赤いよけいくん。
 そのどさくさにまぎれて、こっそりけいくんの水着――おちんちんに手を伸ばそうとして――
 
365Reincarnation 〜17820 (04/10) ◆6AvI.Mne7c :2009/04/20(月) 02:32:28 ID:qCn+g8lw
 
「あ、けいだい! オマエもココにきてたのか!」
「あれ? もしかして、けいだいくんのおねえさんですか? こんにちは♪」
 背後から私たちに向かって、話しかけてくる幼稚園児らしい子供の声。
 振り向くと、なにやらけいくんと同じくらいの背の高さをした、2人組みの男女がいた。
 さっきの挨拶からして、たぶんけいくんと同じクラスの子だったと思う。
 正直、けいくん以外の、ただの子供には興味がありません。
 
「な、なんだよヒロくん、それにアヤちゃん。
 おれになにかようなのか? じゃなきゃあっちいってくれよ」
「もう、なに友達にヒドいこと言ってんのよけいくん。
 こんにちは、私はけいくんの姉で、舞音って言うの。ヨロシクね♪」
 
 とりあえず年上のお姉さんらしく、優しい笑顔で挨拶しておく。
 そういえば、けいくんがけーくんだった頃は、お兄さんらしく振舞ってたっけ。
 やっぱり私たちは、似た者きょうだいなんだなぁ。
 
「こんにちは。けいだいのねえちゃんって、こんなひとだったんだ」
「うん。けいだいくんって、あんまりおねえさんのはなしを、ようちえんでしてくれないんですよ」
 ほほぅ……、けいくんってば、私のことをいないことにしようとしてるのかなぁ?
 私は、高校ではいつも、クラスメート連中に、けいくんの話をしているのにさ。
 おかげで「子煩悩兼ブラコン」として、あんまりアホな男が寄ってこなくなったからね。
 それでも寄ってくるバカは、適当に転がしておくんだけどね。
 
「けいだいのねえちゃんって、すっごくスタイルがいいよな。けいだいがうらやましいな」
「そうだね。でもけいだいくんだって、すっごくカッコイイとおもうよ?」
 ひそひそ話のつもりだろうけど、全部筒抜けだっての。
 このちびっ子たち、私やけいくんに、変な色目を使ってきてるんじゃないよね?
 特にアヤちゃんなんか、微妙に頬を赤く染めてるみたいだし。
 
 なんだか気分が悪くなったので、だっこしていたけいくんを、さらにぎゅっと抱きしめる。
 腕の中でけいくんが恥ずかしそうにしているけど、この際そんなのは無視だ。 
 私はけいくん以外にこの身を許さないし、けいくんを誰かに譲る気だってない。
 
 
「あれ? けいだいおまえ、またそこにつちのこいれてんのか〜?」
「つちのこ? あの蛇のツチノコのこと?」
「うん、そうだよけいだいのねえちゃん。こいつね――」
 
 このヒロくんとかいう子が喋ろうとすると同時に、急に腕の中のけいくんが暴れ出した。
 そして、私の腕を無理矢理ふりほどくと、なぜか無言で更衣室のあるほうに逃げていった。
「あれ、けいだいくんってば、どうしたのかな?」
「ああ、アイツはいつも、コカンのつちのこのはなしになると――」
「……ちょっと待ちなさい。ヒロくんだっけ? 詳しく話を聞かせなさい」 
 たぶんこの時の私の顔は、ものすごく恐ろしい表情をしていたと思う。 
 
 
「へえ……、ふぅん……、そうだったんだ……!」
 ヒロくんとやらから話を聞いて、私はちょっと、色々反省したり後悔したりすることになった。
 まあとりあえず、けいくんを追いかけないと。でもその前に――
「ヒロくん……だっけ? 2度とその話を、けいくんの前でするなよこの糞ガキ。
 あとアヤちゃん、けいくんは貴女になんか、譲る気はないから。それじゃ」 
 唖然とする2人を尻目に、私はけいくんの後を追いかけた。 
 
366Reincarnation 〜17820 (05/10) ◆6AvI.Mne7c :2009/04/20(月) 02:33:10 ID:qCn+g8lw
 
 けいくんは、女子更衣室の手前にある、個室のシャワールームの中に居た。
 ここのシャワールームは、足首あたりまで隠れる扉になってるから、探すのに苦労した。
 ちなみに、けいくんはわざと、女子更衣室で着替えさせた。だって幼児扱いだし。
 もちろん、他の女性客の裸を見せないように、けいくんの視界は隠させてもらったけど。
 
「けいくん、そのね……ゴメン。
 私さ、けいくんの悩み、全然わかってなかったんだよね……?」
「………………………………」

 けいくんの悩み。例の、5歳児の身体につく17歳級のおちんちんのこと。
 どうも、今日機嫌が悪かったのは、コレのせいだったらしい。
 あのヒロとかいうガキの話によると、事件は屋外運動の着替え中に起こったそうだ。
 普段はソレがみんなにバレないように、こそこそ着替えていたけいくん。
 けどそういうのを目ざとく見つけ、いらないちょっかいをかけるガキは、どこにでもいる。
 それがさっきの、ヒロとかいうガキで、後ろからいきなり、パンツを摺り下げられた。
 それからはもう、けいくんのおちんちんに、みんなビックリしたりからかったりだったらしい。
 終いには騒ぎを止めに来た保母さん(25歳独身)が、おちんちんを見て喉をゴクリと鳴らす始末。
 そんなこんなで、けいくんはその日1日じゅう、そのことでからかわれ続けたそうだ。
 
「けいくん……悪いけど勝手に入るね」
 無言を了承と受け取り、勝手に中に入る私。
「あのさ、私じゃあ、けいくんを助けることって、できないかなぁ?」
「………………………………」
「ねえけいくん、ちゃんとこっちを見て、私とおしゃべ――」

 思わず言葉が途切れた。だって、けいくんのおちんちんが、目に入ったから。
 別にけいくんのおちんちんを見慣れていないわけじゃない。
 大きくなる前は、一緒にお風呂に入っていたし、大きくなってからも、サイズだけは知っていた。
 だけど、これは一体、なんなの……? さっきまでより、全然大きさが違う!?
 明らかに、水着から半分以上がはみ出すほど大きくて、ヒクヒクと血管が浮き出している。
 他のオトコどものペニスなんか見たことないけど、これが大人サイズのペニスの勃起なの!?
 
「……ほら、まいねえ。こんなおちんちん、キモチワルイだろ?
 さっきもさ、まいねえのおっぱいにドキドキして、きゅうにでっかくなったんだ。
 おれがちゅうがくいちねんになるまえより、ばいいじょうにでかくて、ぶきみだろ?
 だから、だからイヤだったんだ。だから――」
 
 最後のほうは言葉にならないまま呟き続けるけいくんを、私はギュッと抱きしめてあげる。
 そして、耳元で優しく、慰めの言葉をかけてあげた。
「大丈夫、大丈夫だよ。私はけいくんをキライにならないから。
 だって、けいくんは私の大好きな兄で――大切な弟なんだから」
 その言葉に、けいくんはいっそう深く、私に抱きついてくれた。
 
 
 そう。ここまでで終わっていれば、ただの美談だったんだ。
 でも、私にはそれはできなかった。終わらせるなんて、できなかった。
 だって抱きしめている間、ずっと私の水着越しに、けいくんのおちんちんが、触れていたから。
 幼稚園児用の水着じゃあ隠し切れない、勃起しっ放しの17歳おちんちんが、触れていたから。
 そしてついうっかり、私の水着に触れていたけいくんのおちんちんを、目にしてしまったから。
 
 だから、私は、とうとう―――
 
367Reincarnation 〜17820 (06/10) ◆6AvI.Mne7c :2009/04/20(月) 02:33:48 ID:qCn+g8lw
 
「ねえけいくん。それじゃあもう、プールはいいよね?
 だからさ、2人で一緒に、ここでシャワーを浴びちゃわない?」
 欲情した目を向けないよう、必死でどうでもいいことを考えながら、けいくんに話しかける。
 たぶん上辺だけの笑顔も、ちゃんと成功していると思う――思いたい。
 
「……わかった。じゃあもうきょうはかえろう?」
「うん、じゃあシャワーを流すね。それと鍵を、閉めとかないと」
 そう言いながら、後ろ手でドアを施錠する。そしてシャワーを流す。
 よし、これで舞台は整った。それから、次に水着を――
 あれ? 下着とかタオルとか無いのに、どう自然に脱がせばいいんだろう?
 
「まいねえ、おれからさきにからだをながすから、むこうむいててよ」
 なんと驚いたことに、けいくんが自分から、水着を脱いでくれた。
 同時に、あのでっかいおちんちんが、ボロリとこぼれ出した。
 今すぐけいくんに飛び掛りたい――衝動を抑えるのに必死だ。
 アレが、私のナカに、入る……? 入るのかな……?
 
 息を殺しながら、けいくんのほうをチラリと覗き見る。
 けいくんは、壁の方に向かって、何も疑わずにシャワーを浴び続けている。
 どうやら天然で、ここから更衣室までの距離のことを、忘れているらしい。
 でも好都合だ。たぶんこのタイミングを逃せば、もう次はしばらくないだろうから。
 
 私も静かに水着を脱いでいく。ただし腰の辺りで止めて、おっぱいだけを晒してみる。
 なにせ私も5年ぶりのエッチだから、少し気合を入れないと、けいくんを堕とせない。
 それより何より、身長差と年齢差が結構あるから、失敗すると容易く逃げられてしまう。
 けいくんは5歳児だから、裸でも前さえ隠せられれば、違和感無く逃げられる。
 でも私は17歳。水着を着直して、けいくんを追いかけるのに少々時間がかかる。
 せめて家だったら、もう少し楽だったけど、嘆いたって始まらない、よね。
 さあ、昔のように、楽しい楽しい「えっちのじかん」の始まりだ♪
 
 
 まずはけいくんの口、ひいては呼吸を乱すことから。
「ねぇけいくん。ちょっとだけこっち向いて―――えいっ♪」
「なぁにまいねぇ―――ぶぁムグ………!?」
 けいくんが振り向くと同時に、その顔面を、私のむき出しのおっぱいで包み込む。
 叫ばせないで、さらに息をできなくすることで、逃げる気力を一時的に失わせるのだ。
 ついでに、私のおっぱいの先端を、けいくんの唇や鼻とかがくすぐるので、ちょっと気持ちいい。
「あんっ♪ けいくんそこは……乳首だよぉ♪ 口に入れちゃイヤン♪」
 
 だいぶグッタリしてきたけいくん。次はおちんちんをペロペロして、咥える――んだけど……。
 呼吸ができずにへたり込んだ、けいくんのおちんちんを、改めて食い入るように観察する。
 どう考えても、私の口をいっぱい開けてようやく、というくらいの大きさだ。
 これを咥えて、えっちな動かし方なんて、できそうに思えない。
 う〜ん……、5年前のけーくんのおちんちんなら、もう少し楽だったんだけどなぁ……。
 
「…………………………ふ…………ぅうん……」
 マズイ、けいくんが正気を取り戻しそうだ。その前に――
 
368Reincarnation 〜17820 (07/10) ◆6AvI.Mne7c :2009/04/20(月) 02:34:46 ID:qCn+g8lw
 
「………ぁ……んひゃ! な、なにしてんだ……よぉ!? まいねえ……ぁぅっ!?」
「ひーはら、おろらしふしへらはい(いいから、おとなしくしてなさい)」
 舌先でちろちろと、けいくんのおちんちんの先端を舐めとる。
 そして徐々に、口の中におちんちんのてっぺんを含んでいき、舌の動きを早くする。
 目は常に上目遣いで、けいくんが叫びそうになると、おちんちんを甘噛みしておとなしくさせる。
 
「んうう、はっはひ、ほほはれひはふひは♪(うんん、やっぱり、ここまでしか無理か♪)」
 結局、けいくんのおちんちんの頭のところ――亀頭だっけ?――までしか口に入らなかった。
 まあ、けいくんのおちんちんが大きいし、私の口が小さいしだから、しょうがない。
 とりあえず数秒間ほど舐め続け、不意に口内から、おちんちんを吐き出してあげる。
 
「ひぁ……な………なんでと、ちゅうで……やめ……?」
 気持ちよさで息も絶え絶えなけいくん。すっごくかわいい。抱きしめたい。
 でもまだまだ足りない。最後にもう一押ししておかないと、最後の最後で正気に戻られてしまう。
「さあ、けいくん。じっとしててちょうだいね♪
 ――んふふ……、よぉし、これでいいから、ちょっと動いてごらん?」
 そう言って、わかりやすいように、少しだけ私の身体のほうを、上下に揺らしてみせる。
「…………!? うあ……! なにコレきもちいぃよぉ…………!?」
 
 そう、最後に跪いて姿勢を下げ、私の水着と肌の隙間に、けいくんのおちんちんを潜らせたのだ。
 そしてそのまま、軽く上下にスライドさせて、おちんちんに擬似的な挿入の感覚を与える。
 こうすることで、昔みたいに生中出しでエッチしてた頃の感覚を、けいくんの身体に再起させるのだ。
 
 たぶんけいくんがこれまで私の誘惑や性的刺激に耐えてきたのは、身体が5歳児だったからだと思う。
 生まれ変わって身体も変わり、まだ性的にも未成熟なため、いまいち思考がエッチの方向に向かなかった。
 だけど、今のけいくんの身体には、以前と同じ――むしろ以前より性的に進んでいる部分がある。
 そう、おちんちんを重点的に攻めれば、篭絡できる――と、私は考えたのだ。
 そしてその目論見は、ひととおり成功したらしい。
 もはやけいくんは何ひとつ我慢せずに、私の水着と肌の間で、おちんちんをこすり続けている。
 時々だけど弱弱しくも雄たけびを上げるように、声を出そうとしている。
 ん、一応シャワーの音でごまかしているけど、どうだろうか……、外にばれてないよね?
 
 そんな心配をする私を他所に、けいくんはちっとも、止まる気配がない。
 おそらく完全に、というわけではないだろうけど、5年前のエッチの記憶が、身体に繋がったんだ。
 だからあと少し、もう一言をかけることができたら、たぶん間違いなく陥落する。
 
 
 そして私は、最後のとどめの言葉を、けいくんに投げかけた。
 
「ねえ、けいくん。本物の膣内に入れて、昔みたいにエッチしてみない?」
 
369Reincarnation 〜17820 (08/10) ◆6AvI.Mne7c :2009/04/20(月) 02:35:53 ID:qCn+g8lw
 
 彼の悩んだ時間は約1秒。動き出して位置を合わせるのに2秒、そして最後に――
「ふ、ふぐぅ…………ああああぁぁぁぁぁぁぁ!?」
「いっ、くふぅ…………きゃああああああぁぁ!?」
 勢いよく、遠慮容赦忌憚なく、自分の大きなおちんちんを挿入してきたけいくん。
 私の膣は、5年ぶりの快感に、容赦なく蠢動する――よりも早く――
「ぃっきゃあああぁっ! いたいいだいいたい!? なんでなんでっ!?」
 そうなのだ。思いっきり、痛かったのだ。
 
 いやまあ、理由も理屈もわかる。
 これまでけいくん――けーくんとエッチをしたのは、5年前が最後だ。
 それ以来ご無沙汰だから、ホンモノによる刺激を、少し忘れてたのもある。
 けれどそれ以上に、今のけいくんのおちんちんが、本当に大きすぎるのだ。
 だって、最後に入れたけーくんのおちんちんの、ゆうに3倍くらいあるんだもん。
 
「あっ、ああっ……まいねえ………! まいねえっ!?」
「なぁ……っ!? いつっ! いたい……いた………あ…………♪」
 それでも人間とは不思議なものでして、3分もするうちに、慣れてしまいました。
 そして、痛みに慣れたと同時に来るのは、当時の3倍の威力による、5年ぶりの快楽――
「――! ひゃあぁん!? ひぃ♪ すごい、いぃすぎ♪ きもちぃ!? きもちぃすぎるぅ♪」
 
 すごい!? あの頃の何倍も気持ちいい!?
 だめ、私の身体のほうが止まらない!? けいくんを振りほどけない!?
 相手はたった5歳の幼稚園児なのに、それなのにこんないいなんて…………!?
「うくっ……きゅっ♪ 悔しいけど、かんじちゃ……あぁぁっ♪」
「まいねえ、まいねぇ、…………駄目だ、もう、クるから離し………っ!?」
 けれど私は逆に、けいくんの背中に回した両腕を締め、離さないようにする。
「んっ!? な、なんで…………?」
「大丈夫よ。私に考えがあるからっ。私を信用しなさい、けいくん♪」
 
 その言葉に、なんとか暴れるのを止めて、おとなしくなるけいくん。
 多分、大きさならともかく、5歳の身で射精はしないだろうって安心感も、あるんだと思う。
「ああっ!? けいくん! けいくん! けい――けーくん!? 来てぇ♪」
「ううっ!? まいねえ! まいねぇ! まい――まいねっ!? 行くぞ!」
 最後にお互いの昔の呼び名を叫ぶ私たち。ふふ、呼び捨てで呼んでくれたね♪
 やっぱり元双子らしく、こういう時はピッタリと揃ってくれる。
 
 でもゴメンね。私はあなたに、最後の最後で嘘をついちゃったんだ。
 
 ――どくっ! どぴゅる! びゅくくん!
 
「え!? な、なんで射精が――駄目だ! 早く抜いてくれ、まいね!?」
 5年ぶりの射精の感覚に、そして生中出しした事実に驚く、けーくん。
 そんな彼に、私は精をもらう感覚に酔いながら、冷静に言葉を返す。
「けいくん、いいえけーくん。私の無言のイタズラにひっかかったね?
 今までさ、たくさんの奇跡が起きてたじゃない?
 死んでしまったはずの人間が、愛する女性の弟として、転生したんだよ?
 その子のおちんちんだけが、本来の年齢に追いついて、成長したんだよ?
 だったら、その5歳児のおちんちんからせーえきが出ても、おかしくないじゃない!?」
 
 5年ぶりの膣内射精――生中出しの快感と記憶に、嬉し涙を流す私。
 驚愕の表情を浮かべ、次になんとかおちんちんを外そうとするけーくん。
 無理だよ。そんなこと、この私が許すわけないでしょう?
 そのまま腕を更にきつく締めて、さらにけーくんのおちんちんを締めつける私。
 
「気持ちよかった………やっぱり私は、けーくんじゃないとダメだよ。けーくんしかいらない。
 また昔みたいに、生中出しい〜っぱいして、今度こそ2人で赤ちゃんをつくろ? けーくん♪」
 
370Reincarnation 〜17820 (09/10) ◆6AvI.Mne7c :2009/04/20(月) 02:36:32 ID:qCn+g8lw
 
 スポーツクラブからの帰り道。
 けーくん――今は「けいくん」か――は、あれからずっと無言のままだ。
 まあ、あんなヒドイ意地悪をしたんじゃ、しょうがないか。
 
 
 結局あの後、私が膣内を締め上げ、最後までけーくんから精液を搾り取った。
 1滴さえ漏らすのがもったいないので、挿入時にずらしていた水着で蓋をした。
 それでも漏れ出して、垂れそうなくらい、けーくんの精液はとにかく多かった。
 けーくんは最後まで掻き出そうとしたけど、それだけは断固拒否させてもらった。
 
 とりあえずはそれで精液以外の処理にかかり、2人の性行為の痕跡をすべて消した。
 この辺の後片付けは、5年前までいつもやっていたから、手馴れたものだった。
 一番怖かったのは、声が漏れて、外にいる人間に行為がバレること。
 一応シャワーを全開にして流していたから、水音でかき消せたはずなんだけど。
 こっそり扉から覗いても、人だかりができてなかったから、どうやらバレてはいないらしい。
 
 
「けいく〜ん、ねえ機嫌直してよ〜。
 確かに私もひどいことしたけどさぁ、いいじゃないの久しぶりだったんだし〜」
 猫撫で声でけいくん(5歳)の機嫌をとる私(17歳)。ちょっぴり痛い。
 
 まあそれでも努力が功を奏したのか、ようやくけいくんが口をきいてくれた。
「まったく………まいねえのやったことは、『みせいねんなんとか』って『せいはんざい』なんだよ?
 おれはね、たったひとりのだいすきなあね――いもうとをさ、はんざいしゃにしたくないんだよ。
 まったく、いくらなんでもじゆうすぎて、かってすぎるよ、まいねえは…………」
 
 んもう、心配してくれるのはわかるけど、お小言ばっかり。
 でもうれしいな。なんだか今日だけでも、兄だったころのけーくんが、戻ってきてくれたみたい。
「で、けっきょくさぁ、おれのなやみはかいけつしてないんだよなぁ……」
「まあ、それは仕方ないでしょ。でも今回のエッチで、だいぶ落ち着いたんでしょ?」
「ああうん、なんだかすこしだけ、じせいがきくようになったっていうか………」
 
 そう、「5歳児の身体」としての初体験を済ませたためか、やたらに勃起はしなくなったらしい。
 それに心なしか、以前よりも大きさがやや落ち着いた、とはけいくんの談。
「でもなあ、あいつらおもしろがって、ようちえんじゅうにウワサをばらまいたからなぁ。
 どうやっても、かんたんにはウワサがしずまることは――」
「だったら、私にいい案があるんだけど、やってみない?」
「…………うさんくさい。ちなみに、どんな『あん』なのさ?」
 
「――けいくんを苛める連中の前で、私たちがすっごい濃厚なエッチをしてやるのよ。
 けいくんのおちんちんの凄さを、馬鹿なガキどもに知らしめてやればいいの。
 けいくんのおちんちんのでかさは、私のためだって知らしめてやればいいの。
 ついでに、欲情してくるようなメスどもには、私が直々に一撃をお見舞いし――」
「はい、ストップ! はんざいはダメ! ゼッタイ!?」
 
 むう、即効で却下された。
 泥棒猫どもへの牽制としては、最高の手だと思ったんだけどなあ。
 まあいいか。そのへんはおいおい考えていけばいいよね?
 
371Reincarnation 〜17820 (10/10) ◆6AvI.Mne7c :2009/04/20(月) 02:37:35 ID:qCn+g8lw
 
 夕焼け空に赤く染まる町。帰りの住宅街も同様に赤一色になる。
 私とけいくんは手を繋いで、人通りもまばらな道を歩いている。
 ホントはけいくんも嫌がったのだけど、私が無理矢理繋がせてもらった。
 
 その歩みの途中で、私たちは立ち止まる。
 私たちの視線の先には、今もなお絶えない、ささやかな数本の献花。
 そう、ここはけいくん――けーくんが、以前事故で亡くなった場所だ。
 
「けーくん、大丈夫? 今でもまだ怖い?」
「だいじょうぶ。もうまえみたいには、きょうふとかはないから。
 それにいまは、まいねえがとなりにいてくれるから」
「そっか…………」
 
 けーくんはここで、飲酒運転の車にひき逃げされた。
 犯人は案外すぐにつかまり、もう裁判とかもとっくに終わっている。
 ここに花があるのは、今でも犯人とその家族が、この事故を悔やんでいるからだ。
「しんでからも、そのひとのことをおもってくれるひとが、いてくれる。
 これってたぶん、しんだひとにとっては、しあわせなことなんだとおもう。
 けれど、やっぱりだれかをかなしませるから、なるべくならしにたくないな――」
 そう呟くけいくんは、なぜか17歳の男の子みたいな顔をしているように見えた。
 
「こんどおれがしぬときは、だれもいなくなってからにしたいな――」
「……もうたとえ話でも、私の前で『死ぬ』なんて、言わないで。お願いだから」
 けーくんが死んだ直後のあの1ヶ月間なんて、もう2度と思い出したくない。
「…………ごめん、まいねえ」
 それっきり私もけいくんも、何も口にすることなく、黙祷を捧げて。
 私たちは結局、その場を無言で立ち去ることにした。
 
 
 どうも私は重い空気に弱い。家の数百メートル手前で、思い出したことを口にしてみた。
「あ、そういや私たち、まだまともにキスしてなかったよね、けいくん?
 今からでもいいから、ちゃんと正面からキスしましょう♪」
 あはは、呆れてる呆れてる。さあ今度は――
 
 ちゅっ。
 
「…………さあ、さっさとウチにかえるぞ、まいね。
 そんでおれのだいすきな、ケチャップハンバーグをやいてくれよ。
 それと、まいねがおれのこどもをうむなら、はんたいするきはないからなっ!?」
「…………あっ、待ってよけいくーん!?」
 恥ずかしかったのか、先に駆け出していくけいくん。
 たぶん無理をして、けーくんの頃みたく呼び捨ててくれた。
 同じく恥ずかしかったけど、彼を追いかけていく私。
 そして数歩で追いつき、また2人で手を繋ぎ、並んで歩いていく。
 
 2人で共に死にゆくため、共に生きてゆくため、2人で共に歩いていく。
 この光景は、いつか願った私の幸せ。そして多分、けいくんの願った幸せ。
 あなたがいる、隣にあなたが居てくれる。ただそれだけでも、充分だよ。
 
――けーくん、生まれてきてくれてありがとう。けいくん、また生まれてきてくれて、ありがとう。
 
 
                                    ― Love revives many times. ―
372 ◆6AvI.Mne7c :2009/04/20(月) 02:39:13 ID:qCn+g8lw
以上、投下終了。

前々レスの最後のほうに出た、あのレスがなんとなく忘れられなかった。
そして気がついたら、とんでもない改変と改悪がされた、短編が出来上がったんだ。
せっかくの休日に、パソコンに向かい続けた結果が、コレだよ!

やたらゴテゴテした文章なのは、仕様です。
「17スレ820」を投下した人が、こんな作品を望んでいたかどうかは不明。
でも、コレでよかったんだと思いたい。まだ見てるかな、あの人は。

最後まで読んで戴いた人に、ありがとうございました。
373名無しさん@ピンキー:2009/04/20(月) 12:39:49 ID:tXVQuYJQ
1レス目を読んでて、
強盗に生まれて間もない弟を殺された姉がレイプされて、生んだ子供を弟だと思い込むやつを思い出した
実は姉が母親で、ってやつ

なにはともあれGJ
374名無しさん@ピンキー:2009/04/20(月) 12:43:24 ID:MMacR7sN
よかった。

休日にPCに向かい続けたとあるけど、1日で書いたのだとしたら尊敬する。
375名無しさん@ピンキー:2009/04/20(月) 15:27:03 ID:JBcclMF0
これ逆verもすごいことになりそうだな
ともかくgj
376名無しさん@ピンキー:2009/04/20(月) 17:02:03 ID:P6osbVLb
GJ
377名無しさん@ピンキー:2009/04/20(月) 17:25:56 ID:cuhbPMlV
>>362ぐっじょ!!
まさか自分の考えたネタを書いて貰えるとは。
378名無しさん@ピンキー:2009/04/21(火) 19:28:45 ID:QNEy8LxD
また大規模規制……
一部の長編書き手さんが、また来られなくなるのかな?
379未来のあなたへ6.5:2009/04/21(火) 23:41:43 ID:go0V6KJ3
投下します。
前振り的な閑話。
380未来のあなたへ6.5:2009/04/21(火) 23:42:31 ID:go0V6KJ3

「あ」

三月の中旬、日曜日。市内にある公立高校の校庭に、私服姿の人垣ができていた。その前には数個を連結された掲示板がそびえている。
人垣の構成人員は主に中学生の少年少女。付き添いらしき大人の姿もある。皆一様に期待と不安を抱きながら、立てられた掲示板の番号を目で追っていた。
結果を確認した人間から人垣から離れ、数人のグループがあちこちにできて雑談に興じたり、携帯電話で結果報告を行ったり、さっさと帰宅したりしている。
そんな光景の中、人垣からやや後ろに陣取っていた少女は小さな声を上げた。数字羅列の中に、あっさり自分の番号を発見したのだ。そのこと自体に、特に感慨はなかった。
隣で本人以上に緊張して掲示板を睨んでいる、付き添いの少年の袖を軽く引っ張る。
「兄さん、番号、ありましたよ」
「えっ!? 本当か優香、どこだ!?」
短髪でやんちゃそうな少年が、大声を上げて周囲の注目を浴びた。悲喜交々の溢れる場所だが、集中と緊張のために感情を露わにするのは控えられている。
少女はにこやかに微笑んで兄の足を踏んづけた。小さく悲鳴を上げる少年を尻目に小さく一礼、それで衆目の視線は掲示板に戻る。
抗議の視線を向けてくる兄に、少女は目線と人差し指で受験番号の一つを示した。その番号と記憶の一致を果たした少年は再度大声を上げながらあろう事か少女に抱きついた。
「やった、やったな優香!」
「きゃ……!」
周囲の人間も、事前の件で少年が感情的だとわかっていたので今度はそこまで注目しなかったのが、少女にとって不幸中の幸いだった。柄にもない悲鳴を上げてしまったことに焦る。後で説教一時間コース決定。
そうして榊優香は、兄こと榊健太と同じ高校に合格し、来年度から高校生になることが確定したのだった。
381未来のあなたへ6.5:2009/04/21(火) 23:43:26 ID:go0V6KJ3

それからしばらくして、榊兄妹は高校と家を繋ぐ通学路を二人並んで歩いていた。八分咲きとなった桜の花が、あちこちで風に揺られている。
来る時はバスだったのだが妹の希望で、今日は徒歩で帰宅することになっていた。既に家には合格の旨を連絡しており、両親は小躍りしながら娘の帰宅を待っている。昼食は豪勢なものになりそうだ。
二人の格好は軽装で、兄がチェック柄のワイシャツにズボン、妹は厚手のワンピースにカーディガンを羽織っている。既に日は昇り、春も近い。
「全くもう。公衆の面前で女性に抱きつくなんて何を考えているんですか兄さんは。いえ何も考えていませんでしたね申し訳ありません。これが私でなければ痴漢扱いされて最悪逮捕、実刑です。そんなことで人生を棒に振りたいんですか」
「だから悪かったって。嬉しかったんだから仕方ないじゃないか。それにほら、家族のスキンシップだって」
「通報しますよ?」
「ごめんなさい」
がみがみとした説教は既に一時間に及んでいる。頭も下げて謝る健太だったが、結局商店街に寄ってアイスを奢ることになった。三月とはいえ昼間の陽気はやや汗ばむほどだ。
こういう態度の妹は珍しい、まあ長い長い受験戦争がやっと終わったのだから、しばらく羽目を外したいんだろう、と健太は考えて納得した。
それに勿論、兄として一足早いお祝いの意味もある。
「でもさ、優香だって嬉しいだろ?」
「いえ、別に。元々合格圏内でしたし、充分以上に勉強はしてきましたから、予想できる結果でしたよ」
「そうだよな、優香はずっと頑張ってきてたから、当たり前か。あ、けどそれなら推薦受けれたんじゃないのか?」
「そういう話もありましたね。ですがこの際、知識を深めておきたかったので勉強の時間を長く取らせてもらいました」
「とにかく、優香が頑張っていたことは俺が知ってるから、もっと自慢していいんだぞ」
「人の話を聞いていますか?」
推薦の中には県外の高偏差値校の話もあったのだが、優香はばっさり断っている。面倒なので兄には話していない。
実際のところ、ここ半年における榊優香の勉強は学力を伸ばすと言うよりひたすら知識を深めるためのものだった。彼女が求めるのは成績ではなく賢くあることなのだから。
とはいえ彼女は学力自体も同年代からは傑出した水準にある。進学先でもトップクラスの成績を維持することはほぼ間違いなかった。
そんな雑談をしている内にアーケードへたどり着く。表通りにあるアイスクリーム屋は、日曜日の昼前と言うこともあり短い行列ができていた。カップルの姿も多い。
二人並んで雑談の続きをしながら列が縮むのを待つ。
「優香は、また柔道部に入るんだろ?」
「はい、そのつもりです。兄さんは空手部ですから見る機会もありますよね。女子柔道部はどんな感じですか?」
「やっぱり男子柔道部の方がずっと大きいかな。女子の方の部員は十人ぐらいだと思う。けどかなり熱心にやってるよ」
「そうですか、特に問題はなさそうで何よりです」
部活動の細々としたことを話していると、行列が縮んで店員が現れた。
妹はさっさと抹茶のシングルに決めるが、兄は唸りに唸ってやっと新製品のパンプキンジェラートを買い求めた。この時決断に要した時間差は約二分、このカップルめと店員の笑顔をやや引きつらせることに成功。
店先を離れて、アイスを一舐めしてから早速妹が文句を付ける。
「兄さん、ああいう場所での注文は並んでる内に決めておくものですよ。恥ずかしい真似は辞めてください」
「いや、決めてたんだけど列で見えなかったところに新製品があってさ。両方頼もうかとも思ったけど、昼近いのにダブルは無理だろ? どうしようかなーって」
「ふう。言ってくれれば私が新製品の方を頼んで半分ずつ分けるということもできましたが」
「おお、頭いいな……ってダメだろっ! その、俺と優香は兄妹とはいえ男女なんだからさ」
「ああ、間接キスですか? そんなことをいちいち気にしてるから兄さんはガキなんですよ」
「とほほ……」
がっくりと肩を落としてパンプキンジェラートを舐める少年。彼からは見えない位置だったが、少女の首筋はその時真っ赤に染まっていた。
382未来のあなたへ6.5:2009/04/21(火) 23:44:11 ID:go0V6KJ3

しばらく二人、アイスを舐めながら無言で歩く。やがてコーンまで囓り終えてから、そういえば、と優香は切り出した。
既にアーケードは抜けて、住宅街に向かう川に沿った道を歩いている。川沿いに植えられた桜の木が、ぱらぱらと桃色の花びらを散らしていた。
「桜、綺麗ですね。去年と違って今年は咲きが早いですから、入学式までには雨に打たれて散ってしまうでしょうね」
「ん……そうかもな」
声のトーンがダウンする。健太は目を細めて、桜の花とその向こうを眺めているようだった。おそらく、その花と同じ名前を持つ少女のことを。
つい二週間前に、榊健太は初恋の先輩と離別した。恋自体は片思いで、聖夜に告白して振られている。そしてその先輩は、卒業と同時に引っ越して行ってもう会えもしない。
どう考えても恋は終わっていて、吹っ切っていくしかない状況だった。
けれど、それでも二週間しか経っていないのだ。とても吹っ切れてはいない。
「なあ、優香。雨に打たれた花びらには意味がないのかな」
「は? いえ、率直に言わせてもらえばゴミかと思いますが」
「俺はそうは思わない。落ちた花びらは悲しいものだけど、そこにしかない悲しさがあるんだ。だったら、それはまっすぐに見れば価値があるものじゃないか」
「…………」
兄が桜を眺めながら口にする屁理屈に、妹はその背中を見ながら眉を寄せた。珍しく、はっきりと不機嫌な表情だった。
榊健太は物事を言語化するのが苦手で、更に詩的な表現を気恥かしがる。元々こういう表現をするような人間ではなく、明らかに誰かの影響、入れ知恵だ。
春という季節が嫌いになりそうだと優香は思った。この桃色の花びらを見るたびに、汚されたことを思い出す、そんな季節になりそうだと。
嘆息し、二度手を鳴らす。パンパンと乾いた音が響いて、健太は夢から覚めたようにはっと体を震わせた。どんな夢を見ていたのかは定かではない。
「行きましょう」
「……ああ」

383未来のあなたへ6.5:2009/04/21(火) 23:45:07 ID:go0V6KJ3

その日の榊家の昼食は寿司(松)の出前だった。言うまでもなく長女の合格祝いである。
両親は喜んでいたが、特に母親の小躍りっぷりは半端ではなかった。何か欲しいものがあったらなんでも言ってと、何度も聞き出そうとするくらいだった。娘からは特に希望もなかったが。
榊家では母親はどちらかといえば娘を、そして父親の方は息子を贔屓している。母親にとって(出来の悪い息子と違い)娘は自慢の種なのだった。とはいえ、娘がそれに感謝しているのかと言えばまた別の話となる。
さておき、一緒に出かけようとひっつく母親を振りきって、優香は午後から町にある喫茶店に来ていた。待ち合わせた相手は友人である。
「やほー、優香ちゃんお久しぶり。合格おめでとーございます」
「卒業式以来ですね、久しぶりです。ここは奢るから好きなもの頼んでいいですよ」
「え、いいんですか? っていうか、普通奢るのは逆じゃないんですかね、お祝い的に」
「そちらの金欠は理解してますし先程母からお祝いということで現金をもらいましたから問題ありません」
「ちーっす! それじゃ店員さん、えーと……オレンジジュースとイチゴショートお願いしまーす」
友人こと藍園晶は店員にいそいそと注文した。服装は短めのスカートに厚手のシャツ、その上にパーカーを羽織り足元はスニーカーで固めている。小さな体躯を活発的に飾っているが、実はほぼ一張羅に近い。
藍園晶と榊優香は、概ね親友と言っても良い間柄にある。中学では大体『つるんで』いたし、二人とも色々と猫を被っているので率直な物言いをできるのはお互いだけだ。
進路は完全に別れたのでこれからは疎遠になっていくだろうが、ささやかな祝いの席を開くぐらいの関係はこれからも維持していくつもりだった。
ちなみに公立高校に進学した優香とは対照的に、晶は若い身空でフリーターだった。今のところは近所の総菜店(コロッケ屋と言った方が正確)とカラオケボックスで働いている。
「藍園さん、仕事の方はどうですか?」
「いやー、立ちっぱなしで働くのはやっぱ辛いっすねー。仕事終わる頃にはもう脚がくがくですよ」
「お疲れさま。やっぱり大変そうですね」
「今更ですが、世の労働者は尊敬ものですね。最近の日課は彼氏にマッサージしてもらうことっすよ」
「ふうん……あれ、呼び方変えたんですか?」
「はい。何時までも先輩先輩って、学生気分じゃいられませんから。卒業を機会に義明さん呼ばわりにさせてもらいましたよ、えへへ」
「よかったですね」
ややげんなりとしながら優香は紅茶を啜る。晶は確かに数少ない友人ではあるのだが、恋人との惚気話を頻繁に持ち出すのが難点だった。
とはいえその方向での先達として実に頼りになるし、劣悪な環境で生きてきたせいか犯罪じみた思考にも柔軟だ。貧困であることも含めて欠点も色々あるが、基本的に自立した人間であることも大きい。
ついでに晶は妙な尊敬を優香に抱いているようで(報酬は必要だが)大抵の頼み事は引き受けてくれる。今の優香にとって重要な関係と言えた。
そして何より、彼女は現時点で唯一の協力者だった。
384未来のあなたへ6.5:2009/04/21(火) 23:45:43 ID:go0V6KJ3
「それで高校入学したらどうするんです?」
「何がですか」
「攻勢かけるにしても微妙ですよね。条件は中学までと一緒になっただけだし、それができるんだったらとっくにやってるって話です。もう一つくらいはプラスαが欲しいんじゃないですか?」
「……」
「ていうか、それが片羽先輩だったわけですけど。あれはぶっ飛びましたよね。考えてみれば充分有り得る話だったんですけど、なんとなく榊先輩は色恋に無縁な気がしてて」
「私もです。あの人が誰かに恋することを……想定はしていたはずですが、まるで実感がありませんでした」
「ですよねー。まあそれでも、惚れられるって展開はまるでなさそうなのが榊先輩らしいっていえばそうですが」
「それは私に対する侮辱か何かですか?」
「おっと失礼しました。約一名を除き、ですね」
仏頂面の優香に対して、にゃははと笑う晶。そこで注文したケーキとジュースが届き、晶は歓声を上げてスプーンを取った。一心不乱にクリームへ集中する姿に優香は嘆息する。
藍園晶が榊優香の特殊な嗜好を言い当てたのは中学二年の頃にまで遡る。教室で昼食後に雑談をしている最中、まるきり他愛ない話題のように言い出したのだ。
勿論優香は当初徹底的に否定したし、口封じも考えた。しかし晶はあっさりと白旗を振って、協力するから助けてと冗談交じりに頭を下げた。優香の思考を読み切った対応であり、彼女に取っては敗北に等しい。
とはいえ、敗北感だけで殺人に至るほど榊優香も愚かではない。いざというときの準備はしているが、利用できる相手であることは理解している。
勿論いくつか疑問もある。どうして異端視しないのか、どうして協力など申し出たのか、そして何よりどうして見抜けたのか。特に最後は、好いた相手にその事実を徹底的に秘匿している優香にとっては死活問題だ。
ちなみに訪ねてみた時の返答は『見る人が見れば一発っすよ。だって好き好きビーム発射してるし』という訳のわからないものだった。
動機は不明だし、手の内を全て明かしたりはしないが、こういったことを話題にできるガス抜きとしては藍園晶は極めて貴重な関係と言えた。
「同じ場所に通うわけですから、この一年間よりは遙かに状況の把握はできると思います。ただしリミットは二年間、その範囲内で攻勢は必要でしょうね」
「あまあま。大方針に変わりなしってところですか。まあ脅威は去ったし、性急に事を進める必要はないですからね」
「……いえ」
「そういえば、柳沢先輩どうするんですか? ぶっちゃけ、もう用済みっしょ?」
晶がさらりと話題に出したのは、健太の同級生にして友人のことだった。
柳沢浩一はやや長身に身だしなみを崩した少年で、性格は軽薄で積極的。そして榊優香に惚れていて、今まで何度もアプローチをかけている。
今まで優香はその好意を利用し雑談しながら健太の行動を逐一報告させ、アプローチは巧みにかわしていくという日々を送っていた。
しかし先程彼女自身が口にした通り、同じ学校に通うのなら状況の把握は容易になる。そういう意味では彼の利用価値は減少する。
「そうですね。身辺整理をして、それから……」
「あ、やるんですか? やっちゃうんですか? 経路は動機は日付は時間は現場は凶器は人数は始末はトリックはアリバイは?」
「突然生き生きしないでください。どうしてそこで刑事事件になるんですか。普通に交際の意思がないことを伝えるつもりですよ」
「えー、でもそれで諦めなかったらどうするんですか?」
「浅い付き合いですが、頭はおかしくないと思いますよ」
良くも悪くも常人だ。片羽桜子に振られて諦めた、榊健太と同じように。
それとは逆に榊優香は、何をどうしても諦められない、ある種おかしな人間だと自己評価している。そこに自嘲はない。
「でもあれですね、せっかく自分に惚れてる相手なんだし、普通に振るよりなんかに利用できないですかね」
「口元が邪悪な子鬼のように歪んでますよ、藍園さん」
「おっとと、えへへっ」
かくして藍園晶がもう一つケーキを完食し、別れの挨拶をかわして茶会は終わった。
385未来のあなたへ6.5:2009/04/21(火) 23:47:25 ID:go0V6KJ3

その日の夜。
夕食(洋食レストランで家族揃って外食)が終わり、榊優香は部屋で一人、日課の採集物整理を行っていた。
概ね整理が終わった頃にきっちり二度、部屋のドアがノックされる。彼女は即座に収集物を机に仕舞い鍵をかけ、席を立ってゆっくりと部屋の鍵を開けた。
部屋の前に立っていたのは彼女の父親である。手には小さな紙袋を携えていた。
「いいか?」
「何の用でしょう」
「たまには親子の語らいでもしようかと思ってな」
「とってつけたような理由で不自然なのですが断る理由もありませんね、どうぞ」
招かれ、榊父が部屋にあがる。ひょろりとした長身に黒縁メガネ。ゴルフシャツに綿ズボンと、あたりさわりのない格好をしている。
まだ四十に届くかどうかといったところだが、きっかりとした立ち居振る舞いのせいでいくつか老けて見える。表情に乏しく、冗談が下手で、雰囲気自体も薄い。それでよく商社に勤めているものだと、家族は常々感心している。
部屋に入った榊父は椅子が一つしかないと見るや、さっさと壁に背中を預けた。いい年をした男性が娘のベッドに腰掛けるもどうかという判断らしい。優香は椅子に腰掛けて向き合った。
「それで、なんでしょう」
「まずは改めて、合格おめでとう」
「ありがとうございます」
「これは僕からの合格祝いだ」
ぽん、と紙袋が渡される。軽い。優香が中身を確認したところ、見慣れない医薬品の箱が入っていた。軽量薄型十二回分。
「説明を求めます」
「コンドーム。男性用避妊具だ。使用方法は取扱説明書を参考にすれば良い。箱を持ち歩くのが嵩張るなら、一回分だけを財布に入れるのが一般的な携帯方法だろう」
「ぶっ殺しますよ父さん。私が聞きたいのは用語説明ではなく、どうしてこんなものを渡すのかという動機です」
「お前も来年度から高校生だ。責任能力としては望ましくないが、可能性がある以上は事態の悪化を回避するために適度な予防策を講じるのは当然だろう」
とりあえず優香は紙袋を力の限り、父親に向かって投げつけた。空気抵抗で減速したそれは、ぱしりと簡単に受け止められる。
ふむ、と紙袋を一瞥して榊父は頷いた。その動作に多分意味はない。
「不必要か?」
「不必要です」
「なるほど、わかった。必要になった際はコンビニエンスストアか薬局で買い求めるように」
「二つよろしいですか」
「ああ」
「嫌がらせですか?」
「いや、そのような意図はない」
「ではもう一つ……兄にも渡したんですか?」
「ああ、去年に」
返答を耳にするや否や、榊優香は自室を飛び出して隣室に突入した。娘の部屋に残った父親からは、どたんばたんと物音及び悲鳴、聞き苦しいやりとりが続き、しばらく後に着衣を乱した優香が意気揚々と凱旋した。
手にはティッシュに包んだ未使用のゴム製品。それがゴミ箱に捨てられるのを見届けてから、榊父は口を開いた。
「言い忘れたが、去年の健太も受け取りを拒否したぞ」
「ああ、では兄さんの言い訳は本当だったんですね。なら柳沢さん経由でしょうか……まあ結果オーライです」
「優香よ、なにやら男の尊厳が打ち砕かれたような気がするのだが」
「だからなんですか」
特に弊害はないと判断したのか、榊父は軽く首肯した。この場に榊母か息子がいれば、盛大に非難の声が上がっていただろう。
昔からそうなのだが、この父娘は思考形態が似通っていた。性格が似ているわけではない。優香はかなりの潔癖性だし実のところ沸点も低いが、榊父にはそういったところはない。
共通しているのは、まず論理を組立てることを何より優先する点だった。感情すらも論理に組み込み、なんとなくという概念を嫌う、言ってしまえば学者バカ的なところが二人にはあった。
そのため二人で会話をする時は、ほぼかみ合う。そういう会話はストレスが溜まりにくいものだし、優香は父親に対してそれなりに敬意と気安さを感じていた。反面、母親との会話はかみ合わないこと夥しい。
「ところで優香」
「はい」
「健太に思うところでもあるのか?」
「いえ、別に」
「そうか」

386未来のあなたへ6.5:2009/04/21(火) 23:47:57 ID:go0V6KJ3
用は済んだとばかり榊父が壁から背を離すのを、優香が片手を上げて押しとどめた。もう片方の手は呆れたとばかりこめかみに当てられている。
目を閉じて小さくため息をつき、彼女は父親を非難した。
「父さん。自分の中の結論から話す癖をやめてください」
「ふむ……優香、受験に当たって県外高校への推薦をいくつか断ったようだが」
「今更ですね。はい、断りましたよ」
「それは家から離れたくなかったからか?」
「ある意味では。一人暮らしや遠距離通学までして進学する必要を感じなかったからです」
「だとして、進学先が健太と同じ高校なのは何故だ?」
「何故も何も、市内で最も偏差値の高い公立高校はあそこだけでしょう。私なりに我が家の財政を考慮したつもりですが」
「うむ、一見不自然ではないな。それでは何故、健太があの高校にいる?」
「進学したからでしょう。そんなことは本人に聞いてください」
「しかし息子の学力は、中学三年に進級時点で、とても合格ラインには届かなかった。それを監督し懲罰し指導したのはお前だ」
「まあそうですね」
「であるなら逆説的に、お前は健太と同じ高校に通うために、健太を監督したのではないか?」
論理の筋道を説明し終え、人差し指を立てて確認する榊父。優香は即座に否定した。
「そんな意図はありません。私は最低限、兄さんが落伍者になるのを阻止しただけです。そういう意味で心配だったのかと聞かれれば、その通りですが」
「なるほどな」
「そもそも、父さんの言う『思うところ』とはどういう意味合いですか?」
「いわゆるブラザーコンプレックスを想定していた」
「範囲が曖昧すぎますね。いえ、それでも私が兄さんに対してコンプレックスを抱くどんな由縁があるというのですか?」
「ないな、お前は優秀だ。母さんも優香の方を可愛がっている。健太がお前にコンプレックスを抱くというのなら理解もできるのだが」
「兄さんのコンプレックスなんて背丈ぐらいのものでしょう。あんな能天気な人間はそうそういませんよ」
実際は、片羽桜子に盛大に振られた後なので女性コンプレックス気味だが、そのことを優香は飲み込んでおく。
榊父の方も、能天気具合では息子と妻のどっちが上かと思案し、更に娘の胸に対する偏った拘りについても考えたが、本筋に関係ないので捨て置いた。
「確かに由縁は何もないが、しかし優香の行動がそう見えたのでな」
「だから私に確認してみたということですか。相も変わらずストレートですね」
「褒めるな」
「褒めてません」
そうして榊父は、後は雑談も交わさず娘の部屋を後にした。優香が食い下がらなければ質問に答えた時点で退室していただろう。
他人の話を聞かない、というわけではない。無駄と判断したことは徹底的に省いているだけで、聞かれない限り自分の意見を口に出すことも滅多にない。
自分とまるで違う息子にはかなり甘かったりもするが、分かりづらいし誤解を解く努力もしないし、冷血と言われても仕方のない人間ではあった。
さておき父親が出て行ってから、優香は深刻な顔になって手帳を取り出し、何ページかを修正した。
熟考。

「もう……あまり時間はなさそうですね」

「……終わり、か」



かくして、年は進み

榊優香の地獄が、口を開く。
387未来のあなたへ6.5:2009/04/21(火) 23:49:16 ID:go0V6KJ3
以上です。
次回は状況が進む話になるので、遅くなるかと思います。
388名無しさん@ピンキー:2009/04/21(火) 23:56:04 ID:ae/nKz+e
リアルタイム投下に遭遇とは
おおぉGJ
 
0.03mmの心使いを渡す父親も壮絶吹いた
389名無しさん@ピンキー:2009/04/22(水) 00:09:48 ID:A6fSdTxD
おお、GJでした。

晶は、なんか幸せそうだな〜
それより榊父、キャラが薄いのか濃いのか。
そこはかとなく、ラスボス臭もするけれどね。

次回、気長にお待ちしております。
390名無しさん@ピンキー:2009/04/22(水) 07:37:54 ID:kdLLDdS+
どどどどどどうなってしまうんだGJ

優香はいちいち可愛いなぁ!
391名無しさん@ピンキー:2009/04/22(水) 08:49:43 ID:sYuaIwFR
毎回楽しみにしてるぜ職人!GJ!!

優香ーッ 俺だーッ 結婚してくれーッ
392名無しさん@ピンキー:2009/04/22(水) 10:10:49 ID:gOF67eFe
GJだが、あまり意味ないならもう少しタイトル考えてくれ
俺はあんまり良い気がしない
393名無しさん@ピンキー:2009/04/22(水) 10:11:58 ID:gOF67eFe
すまん、誤爆した
394名無しさん@ピンキー:2009/04/22(水) 10:12:24 ID:CwBVbEs3
父良キャラ過ぎるwww
とにかくGJ!
395名無しさん@ピンキー:2009/04/22(水) 17:51:03 ID:jskcX8qG
まさか・・・父を殺るのか!?
396名無しさん@ピンキー:2009/04/22(水) 17:56:03 ID:1pcyHd9i
なんて漫才コンビのような打てば響くやり取り。
GJした!

それはそれとして、榊父はすでに娘の思惑を見抜いているように見える
397名無しさん@ピンキー:2009/04/22(水) 20:02:17 ID:sYuaIwFR
父「息子の×××は俺様のモノだ。
優香なぞには渡さんぞ、このメス豚め!!」


ムシャクシャしてやった。今は反省している。
398名無しさん@ピンキー:2009/04/22(水) 21:44:38 ID:rLrs4EBl
GJっすー。

前半は優香有頂天シナリオかと思いきや…。
父、恐るべし…。
399名無しさん@ピンキー:2009/04/23(木) 00:42:11 ID:4iRNRoU6
投下します
実験作品
寝取られ、女装注意

「戦場に至る」  60kb

23レス予定
400戦場に至る 2:2009/04/23(木) 00:42:56 ID:4iRNRoU6

 私は秘密を知ってしまった。
 
 いつも教室の片隅で本を読んでいるあの子。
 なんでも悲劇的な事故で身寄りを失ってしまい、地元の有名な財閥に養子として引き取られてこの学園に転入することになったとい
う。
 転入してきた当時は、閉鎖的な女学園ということも相まって周囲に人垣を作っていたものだが、見た目通りの大人しさにすぐに人気
は下火になり、今では話題に上ることも少ない地味な子として周囲に馴染んでいる。
 綺麗な黒髪、細い体つき、小さな身長の彼女が窓際で本を読む姿はまさに文学少女といった様子で、優しげな垂れ目を矯めつ眇めつ
本を捲る仕草には妙に愛嬌がある。
 注視しなければわからない程度のその変化を観察するのが、彼女が転校してきて以来の私の楽しみだ。
 しかし少々、内気に過ぎるのではないかと個人的に思う。
 自分から誰かに話しかけているのはあまり見かけず、こちらから話しかけても如才ない態度ですぐに話の流れを切られてしまう。陰
気、ではなく地味と周囲に認識されるのもそのためだろう。
 たしかに転入生というのは色々と難しい立場だ。おまけにお嬢様方の通う学園とあっては目を付けられないよう注意しなくてはなら
ないのかもしれないが……私としてはもっと親しくなりたい。仲良くなりたい。
 
 というのも、私には友人と呼べるような知り合いがこの学園にはいないからだ。
 歴史と風格、実績までもを兼ね備えたこの学園には高いプライドと相応の家柄を兼ね備えた子女達が多く存在するわけだが、他の学
校、中学などと比べてもいい、そんな学園でもご他聞に漏れず派閥というものが存在する。
 私はその派閥に馴染めないタイプというか、違った方向にプライドが高いと言うべきか。どの派閥にも属さない、属せない人間なの
だ。
 私も名家を継ぐ者として、来るべき卒業、女子大進学、社交界での人脈作りの基礎とすべき縁作りを行っているのだが、入学当初、
利害より心情を重視した人間関係を作るのも悪くないのではと思い派閥……ようするに仲良しグループが催すお茶会とやらに参加して
みたことがある。
 しかしそこにいたのは空虚な自慢と他人を貶めることで自分を高い位置に置こうという、プライドだけが成長したお嬢様ばかり。
 その態度に頭に血が上り、ついつい品の無い言葉で一同を罵って会場を後にして以来、もちろん未練なんてないが、行こうとも思っ
ていない。。
 なにしろヤツらときたら、日がな一日、誰某が喧嘩していた、あの子の行動は家柄が知れている、あの教師が気に食わないから辞め
させるだとか、そんな陰険な話しかしていないのだ。
 周囲に愛想笑いを浮かべるばかりの子を侍らせてそんな会話を日々繰り返すのはバカらしい。
 私がほしいのは家柄と自分の評価も区別できない人間ではなく、権力に媚びへつらいご機嫌取りに忙しい形ばかりの友人でもない。
 だが幸いだったのは、入学して間もないころに、良い悪いは別にして目立ったために、そういったくだらない輩からの誘いがなくな
ったことか。
 もちろん、陰湿な嫌がらせもないではないが、程度が知れている。馴れ合い関係に否定的な人脈を作りたい、利害を重視した人間に
は好意的に受け止められたため、感謝してもいいぐらいだ。

 だが、まあ、そうはいっても私は花も恥らう女子学生。親しい友人関係となると、村八分に近い状態からの開始ではうまく行く筈も
ない。
 しかも、どうやら私が暴言を吐いた相手の中に結構な家柄の娘がいたらしい。
 多くの生徒が寮で暮らすこの学園では、多かれ少なかれ家の期待や再興を強く言いつけられて入学してくる。御家の事業に有利な人
間関係の構築然り、傾きかけた家を支える人柱としてのステータスを得ようとする人間然り、関係強化のため、将来仕える人間の付き
添いなんてのもある。
 必要の無い被害を受けまいとすれば当然、私と関わろうという人間も居なくなるのだ。
 私が名家の者として権威を振りかざせばあるいは、だが、それも今回は意味が無いし、私がそんなことしたくない。
 結果として、私は孤立してしまった。最近は、将来の仕事仲間になりそうな、つまり利害関係を結んだ相手との堅苦しい会話がわず
かに心安らぐ一時だ。
 顔には出さないが、もう少し、こう、普通の会話があってもいいのではないかと思う。
 そんなこと言い出せばたちまち切って捨てられる事がわかっているので言わないが。
401戦場に至る 2:2009/04/23(木) 00:43:34 ID:4iRNRoU6

 つまり、彼女……本を読み終えたらしく、ふうと可愛らしく肩を上下させて立ち上がった彼女は、私の友人を作るとう目的において
 最適の人物なのだ。
 家柄という点でも、無論私と釣り合うなどという下種な意味ではなく、地元を拠点にしているという点で申し分ない。私を敵視する
連中が害を及ぼす心配も無いからだ。
 彼女の家はこの学園を含む広大な土地の所有者であり、実利主義で知られる学園の経営方針に深く関わっているという背景がある。
 ブランドネームを目的に強引な権力や圧力で入学させようという輩を次々と切り捨て、優秀な人材を多く輩出した実績を後ろ盾に、
実に様々な方面に顔が利く。半端に圧力や陰湿な攻撃を掛ければ、どこから反撃がくるかわからないのだ。
 遠方の中流階級であった家庭から養子に引き取られたという彼女がそのことを理解しているのかは怪しいが、周りはそのことを理解
しているらしく、件のお茶会やグループへの誘いは、あっても控えめなものだ。
 家柄や話題性という意味では強引にでも彼女を派閥に引き込みたいのだろうが、当の本人があまり係わり合いになりたくないらしく
、かといって強硬に勧めるわけにもいかず、手付かずの物件として今に至っている。

 数冊の本を抱えて教室を出て行く彼女は、おそらく図書室に向かうのだろう。
 私の知る限り彼女は一日を授業と読書で過ごし、放課後にはいつも図書室で本を返却、新しい本を借りて帰る、というサイクルで過
ごしている。
 借りる本は二冊か三冊で、学園で一冊を読みきっていることからして、家でも読書に励んでいるのだろう。家で読み切れなかった分
を学校で読んでいる、という印象だ。
 私も素早く帰り支度を整えて席を立ち、彼女の後を追う。
 ……私なりに気を使って彼女のことを色々と調べはしたが、まだ親しくなれてはいない。というより、私が一方的に彼女のことを知
っているといった程度でしかない。
 無論、クラスメイトとして当たり障りの無い会話や挨拶は交わすのだが、いかんせん私自身がそういった方面い疎いことと彼女の消
極的な受け答えもあって、距離は一向に縮まらないのだ。
 彼女が放課後の多くを図書室で過ごすことを知り、これで周囲の目も気にせずに話すことができると喜んでいたのだが、なかなか機
会に恵まれなかった。
 あと数ヶ月で現三年生が卒業するため、根回しやらなんやらで最近は特に忙しかったせいもある。
 しかし今日の私には何の予定も無い、まさに絶好の機会というわけだ。

 今日こそは親しくなる、と心に決めて前を歩く小柄な少女の、腰の辺りで揺れる黒髪を眺めながらなんと声を掛けるかを模索する。
 どんな本を読むのか。
 どうして本ばかり読んでいるのか。
 今の家の人は親切にしてくれるか。これはさすがに馴れ馴れしいか。
 以前からのシミュレートどうり、これだという考えが浮かばないまま、あれこれと考えている内に図書室に到着してしまった。
 汗ばんだ手のひらから鞄を逆の腕に持ち替える。扉を静かに開けた彼女の後を追い、その時ふと振り返った彼女の瞳が私を捉えた。
 その目にわずかに驚きが混じっただろうかと思う暇も無く、廊下で見知らぬ他人がすれ違うようにフイと視線をはずして扉の向こう
に消えてしまう。
 いまは、これが彼女と私の距離だ。一時はねた心臓を落ち着かせ、彼女に続いて開けられたままの扉をくぐる。
 古い紙の匂いと完全ではない静寂が妙に心地よい。私自身はあまり利用していないが、寮生活をする身としては試験前によくお世話
になっている。今日も長机には参考書を片手に熱心に机に向かう生徒の姿があった。
 向上心を擽られる光景だが、今日の目的にはあまり関係ないが、彼女と親しくなったらここで一緒に勉強するのも悪くないだろう。
 是が非でも彼女と親しくなりたい。私の熱い視線にはまったく気づかず、彼女は脇に抱えていた本をカウンターに差し出し、図書委
員と一言二言交わすと早々に本棚の隙間に消えてしまった。
 その後を追いながら、再び汗ばんできた手のひらをスカートに押し付ける。とにかく声を掛けよう。まずはそこからだ。
 さっそく腕を伸ばして本を取り出している彼女に歩み寄る。
 目当ての本ではなかったか、単に気が変わったのか、抜きかけた本を戻し、棚の上段の本に手を伸ばす。
 ピンと閃いた。
402戦場に至る 3:2009/04/23(木) 00:44:44 ID:4iRNRoU6

 無駄に高い身長を生かし、彼女が抜き取ろうとしていた本に後ろから手を伸ばす。
 古くから親しまれ、今なお多くのファンを魅了するハイ・ファンタジー作品の第三部だ。すでに装丁は薄くなっているが、それほど
に読まれ続けている小説である。
「あ、あ……すいません」
 こんな本も読むのかと感心してると、胸の辺りから聞こえた少女の言葉に我に返る。
 いけない、これでは本を横取りしてしまった嫌な人だ。抜き出した本を差し出して、震えそうになる声をなんとか誤魔化しながら
言葉を選ぶ。
「いえ、取り辛そうにしていたから……迷惑だったかしら」
「そ、そうですか。ありがとうございます」
 本を受け取り、俯いてしまう。端から見れば可愛らしいのだろうが、その前に立っているとなっては頬を緩ませるわけにも行かない。
 早計だったか。いや、こうなっては逃げることもできない。むしろ好都合だ。
「そういう本も読むのね」
「え、ええ、はい。本を読むのが好きなんです」
「そうでしょうね。いつも本を読んでいるものね」
「……はい」
 緊張からか、なぜか高圧的になってしまった。
 胸に文庫本を抱えてうつむく少女の旋毛を見下ろしながら、なんと言っていいものか、言葉を探る。
 こういうときは相手の持ち札と手持の札を見比べて冷静に、といつもの相手には腹の探りあいをするのだが、と迷っている間に少女
は体を小さくして脇を通り抜けようとする。
 その進路を反射的に足を踏み出して遮った。
 え、と驚いた様子で顔を上げる少女と目が会う。いけない。なにも考えずに行動してしてドツボに嵌っている気がする。
「あ、あー、ちょっと、お話しない?」
 目をそらさず、頬が熱くなるのを感じながらも提案する。まるで恐喝しているようではないか。
 垂れ目がちな大きな瞳が戸惑うように揺れ、もう一度うつむく。手入れの行き届いた黒髪にキューティクルが浮かび上がり、ほのか
に香る花の香りに視界が揺れた。
 
 この少女は、魅力的だ。
 容姿や家柄などではない、一つ一つの仕草や行動が、妙に私の琴線に触れる。
 その心も、外見に相応しく可憐といっても良いくらいだ。様々な権謀術数が渦巻く学園で過ごすには似つかわしくない、それ故に引
き寄せられる純粋さ。
 花壇が荒れていれば丁寧に手入れをし、教室などの掃除にも手を抜かず、人が転べば心配して駆け寄る。誰が見ていなくとも、見て
いたとしても打算や飾り気の無い行動をする。
 そのことを誇るでもなく、恩に着せることも無い。むしろなるべく関わらないよう、しかし放ってはおけないという行動に私は尊敬
の念さえ抱いてしまう。
 朴訥と言うには少々垢抜けないが、人間として敬うに値する少女。
 私や、この学園に通う子女にはない魅力を持つこの子と、ぜひ友人になりたい。

403戦場に至る 4:2009/04/23(木) 00:45:15 ID:4iRNRoU6


 ……以前からそう思い続けていたのだが、どうやらこの子の魅力というのは、私を想像以上に捕らえていたらしい。
 私はこの子と友人になりたい。心の底からそう思う。だが、私の中にはどうやらもっと強い感情があったのだ。
 事故で失われてしまったという彼女の以前の家族、周囲の人間関係、現在の状況、はては生活パターンまで調べ上げた行動力に、当
時は私自身が驚いたものだ。
 そんなにまでして友人がほしいのか、自分はそんな人間だったのかといぶかしんだが、その疑問も今となっては意味をなさない。
 俯いたままの華奢な少女がぽつりと呟く。
「すぐ、帰りますから」
 つれない。だが、予想していた。この少女は、こちらから関わろうとすると妙に逃げるのだ。
 進路を塞ぐ私の足を避けて、歩き出そうとした少女の腕を掴む。驚くほどの細さに怯みかけるが、ここで引くわけにはいかない。
「いつも、本を読んでから帰るじゃない」
「き……今日は、すぐ、帰るんです」
 以前ならこのまま素直に引くところだが、私にも、今日こそはとの意気込みがある。
 明日からはまた忙しくなる。この行き場の無い感情を何とかしなければ、睡眠不足の日々は解消されないだろう。
「そんなこと言わずに、ね。貴女と仲良くしたいのよ」
 なるべく穏便に事を運びたい。腕を引き寄せて向かい合う。内心の羞恥心が顔にでないよう注意を払いつつ腰に腕を回して抱き寄せ
た。
 我ながら大胆な行動だが、嫌悪感は微塵も無い。あるいは少し前の私なら、それを感じたかもしれないのだけど。
「な、何をっ」
「静かにね。ここは図書室よ」
 測るまでもなく私より細い腰に若干の嫉妬と、得体の知れない魅力を感じながら体を押し付ける。
 身長差から、私の胸が彼女の顎下に触れる。彼女にもその感触は十分に伝わっているのだろう。戸惑いと混乱を浮かべた顔に見る見
る血が上り、気の毒なほどに赤くなる。
「は、放してください!」
「静かに。少しだけ、少しだけ私と話をしてくれればいいの」
 少女を混乱させまいとするも、まるで変質者のような台詞に内心で頭を抱えた。
 無茶苦茶な言い方だが、私も冷静ではないのだろう。腰を抱いた腕と、密着した腰に異様な熱を感じる。
「ほ、本当に今日は用事があるんです」
 そうなのか、そうでないのか。
 平静を装うのも限界だ。私も彼女と同様に顔は赤くなっているだろう。少女が身を捩るたびに伝わる体の精細さと髪から立ち上る芳
香が冷静でいようとする私を急速に溶かす。
 意識せず、両腕に力がこもる。胸を押し付けて、小さな耳に唇を寄せる。清楚な髪の香りの中に汗の匂いを微かに嗅ぎ取り、その生
々しさに喉がなった。
「どうしても、私とは仲良くしてくれない?」
「だ、だから、今日は、その、用事があるから
 少女の言葉を聴きつつも、その意味にまで頭が回らない。
 ずっと思い続けていた感情だけしか考えられなくなる。
 今日、関係を進めよう。名前を知っているだけのクラスメイトではなく、名前を呼び合う親しい間柄になるのだ。
 ある程度親しくなるまで使うまいと思っていたカードを切ろう。
 彼女の秘密。つい数週間前、廊下の角でぶつかって図らずも押し倒してしまったときに生じた疑問から生まれた、幸運のカード。
 疑問は、彼女の以前の家族を調べていくうちに確信へと変わり、私の欲求を加速させた。彼女との関係を深めるための切り札にする
つもりだったが、こうなっては仕方ない。
 ここまでして何もなしでは、気まずさから以前より距離が遠のくのは明らかだ。強引にでも、彼女との繋がりを作っておかなければ
ならない。
 なにより私がもう我慢できそうにない。この子との距離を縮めたい。
 それほどにこの少女は、魅力的だ。
 ……白状しよう。
 私はこの子に恋をしている。
 そしてこの子は、少女ではない。
 
「あなた、男でしょ」


404戦場に至る 5:2009/04/23(木) 00:46:28 ID:4iRNRoU6



 真っ赤になっていた顔色が一転、見る見る血の気を失った。
 私を押しのけようと抵抗していた腕がぴたりと止まり、大きな瞳をさらに大きく見開いて見つめ返してくる。
「な、そ、そんなわけ」
「そんなわけ、ないと思っていたわ、私も」
 体重を掛けて、小さな体を書架に押し付ける。足をスカートの間に滑り込ませ、太ももを股間に押し付けた。
「ひっ」
 女ならありえない感触と太ももから伝わってくる熱に、悦びとも恥じらいともとれる感情が湧き上がった。
 陰部への感触に少女の……少女そのものの顔立ちをした少年が呻き声をあげて、可憐な表情を歪ませる。乾いた唇を舐め、その顔を
間近で覗き込んだ。
「本当に、外見だけは女の子ね。私も、あの時ぶつからなかったら、今でも気づいていないと思うわ」
「あ、あの時って……?」
 男にあるまじきソプラノボイスに首筋に疼きが走る。あまり声を聞く機会が無いので気づかなかった、というより注意することすら
なかったが、とても耳障りの良い声だ。
「前にね、廊下の角でぶつかったでしょ。あの時に、こうやって……」
「あ、や、やめッ」
「こうやって、足にね、なんか暖かいものがあたってるなーって思ったのよ」
「ぅあ、あ、ん」
 言いながら、ぐりぐりと足を押し付けてやる。図書室に来たときには冷静に事を運ぶつもりだったのだが、もうそんな考えは微塵も
無かった。
 本人は抵抗しているつもりなのだろう、細い足がか弱い力で私の足を挟みこむ。スカートが捲れ上がり、足に直接伝わってくる素肌
のなめらかな感触と、厚手の布越しに感じる柔らかな熱に陶然となる。
 腰を抱いていた腕を滑らせてスカートの中にもぐりこませ、薄い尻たぶを手のひらで揉みつぶす。想像していた通り、彼がスカート
の下に着用しているのは学園指定の短パンのようだ。
 さらに指をすべらせ、逃さないように体を強く押し付けながら短パンの中に進入する。
「さすがに、下着まで女ものをはいている訳ではないのね」
「そ、そんな、や、やめて、ください」
 短パンの下にスパッツをはいている念の入れようとは恐れ入る。だがそれも、こうして強く触れて確認してしまえば、性差は明らか
だ。
 ナイロンの滑らかさと加虐欲をそそる柔らかさを楽しみながら、再び赤く染まりだした頬に手を添えた。
「別に、あなたを脅迫したいとか、この学園から追い出したいとか考えているわけじゃないのよ」
「はう、あ、うぅ、は、離して、くださいっ」
「ただ、私と仲良くなってくれればいいだけ。できれば……そう。彼氏彼女の関係になれると、最高ね」
 それが、日々睡眠不足に悩み、彼に上品とは言い難い感情を抱えて過ごす私の願いだ。
 彼が男であることを確信したときの私の喜びは、きっと彼にも理解できないだろう。
405戦場に至る 6:2009/04/23(木) 00:49:02 ID:4iRNRoU6

 転入してきた少女が自分と友人関係に慣れるかもしれないと思い、周辺を様々な形で調べた。
 迷惑がかからない家柄であること、それを笠に着てくだらないプライドを振りかざす人間ではないこと、そして、何より大切な人間性。
 彼女は魅力的だった。保護欲を刺激する容姿が私の見知らぬ部分を刺激したせいもあるだろう、気がつけばいつも目で追うようになっていた。
 授業中、休憩時間、食事中、そのコケティッシュな魅力を眺めては一人悦に浸っていた。
 もしや私はレズなのかと悩み始め、こんな有様では友人として過ごすことなどできるはずがないと思い始めた矢先に、例の件が起きたのだ。
 廊下の角で出会いがしらにぶつかった。体重に劣る彼女を押し倒し、故意ではなく太ももを少女の足の間に強く押し付けてしまった。
 そして彼女が男かもしれないという、常ならば一笑に付す疑問が生まれたのだ。
 しかし私はそれに縋った。いや、その時は縋ったという意識はなかった。ただ、彼女が女ではないかもしれないという疑問を解消したかった。
 ツテを頼り、頼りたくは無かった家の力も多少使って、彼女が転校してくる前の事を調べた。初めは期待していた成果も無く、その
ことにひどく落ち込んで、初めて自分があの少女を恋しく思っていたのだと自覚した。
 この学園は女学園だ。私はそれまで見向きもしなかったが、そういった、同姓で交際関係になっている生徒というのは居ないわけではない。
 ならば私も彼女とそういった関係に、というわけにもいかない。
 どう足掻いたところでそれは異常だ。よしんば私の思いを打ち明けたとしても、彼女が拒否することは明らかだった。
 悩みながら過ごす日々に辟易とし始めたころ、件の彼女の身辺調査が完了した旨を伝える報告書が届いた。
 まるでストーカーのようだと思いながらも、解消の仕方がわからない疲労にかすむ目でまとめられた資料をめくった私は、驚きと安
堵に胸を撫で下ろした。
 やはり彼女は男だった。事故で両親を失い、遠縁にあたる財閥に引き取られ、どういった経緯でか名門女学園に籍を置いているが、
彼女は確かに女性ではない。
 簡潔に彼の性別と、その周囲の人間の事が綴られた資料を一晩中読み、私はその日、初めて彼女…彼に犯され、愛し合う様を想像して自慰をした。
 私の思いは、何も間違っていない。ただの恋心だった。
 そうと決まれば話は簡単だ。彼と仲良くなり、もっと親しい仲になる。
 なぜ男の身で女学園に、とか、異性には見せたくない様々な行為を見られていた事に羞恥を感じはしたが、なぜか嫌悪の感情はまったく沸かなかった。
 彼がこの学園に存在することを感謝こそすれ、それを排斥したいなどと思うはずが無い
「う、あっ、そん、そんな、の」
「無理……かしら?」
 並みの少女よりよほどきめ細かいのではないかという頬をなで、額を合わせて瞳を覗き込む。
 こちらにその気がなくとも。彼からしてみれば脅迫以外の何者でもないだろう。なぜ女装しまでこの学園にいるのか、その正確な理
由までは私も知らないが、他の学生に知られてしまえば少なくともこの学園には居られなくなる。
 悪くすれば、いや、そうでなくとも学園の経営にまで関わる一族の不祥事だ。本人が学園を追放されるだけに留まらず、様々な方面
で混乱を招くだろう。
 そんなものは私も望んでいない。彼もそうだろう。
 ぐっと足を押し付け、お尻を強く握って持ち上げた。彼の体は軽い。すでに爪先立ちでいるのだろう、強張った足からは震えが伝わ
ってくる。それがまた、なんとも心を擽る。
 太ももから伝わってくる熱が腰のあたりに伝染して、はしたない雫となってあふれてしまいそうだ。
 誘うように瞳を閉じて、唇を引き結ぶ少女のような少年。このまま唇を奪ってしまおうかと思ったが、それはさすがに、と思いとどまる。
 私は彼と良い仲になりたいだけだ。勢いで暴漢まがいの行為に走ってしまっているが、本来なら軽く会話を交わして親交を深める程度に済ませるつもりだったのだ。
 このままこの少年を組み敷いて、欲求の赴くままに淫らな行為に及べば、私と彼との間に残るのは肉体の繋がりだけになってしまうだろう。
 手のひらに吸い付く肌の心地よさに、それも悪くないと囁く声が私の内側から聞こえる。
 頬に添えた手を滑らせて、耳の裏を撫でる。肌が敏感なのか、切なげな声を漏らす見目麗しい少年の姿に引き込まれ、理性を働かせる暇もなく唇を近づけた。
 その瞬間、彼の手から文庫本がバサリと音を立てて床に落ちた。

406戦場に至る 7:2009/04/23(木) 00:49:38 ID:4iRNRoU6

 甘い吐息を唇で感じ取れるほど近づいていた顔を、理性を振り絞って遠ざける。目を瞑り、短パンの中から手を引き抜き、
耳たぶを摘んでいた指先をすべらせて肩を掴む。
 危なかった。理性の壁を次々と切り崩す少年の魅力と私の弱さには恐れ入る。
 熱を帯びた太ももから力を抜き、小さな体を開放する。足に触れる空気の冷たさが罪悪感と羞恥心を呼び起こした。
 掴んだ肩には男らしさの欠片もないが、信じられないくらい柔らかい肌の下、細い骨格を生々しく感じ取ることができる。
 その気になれば簡単に手折れそうな感触に、子供のころ、ウサギを抱いた際に感じた頼りなさと愛らしさを思い出した。
 ……心が平静を取り戻す。
 顔を赤く染め、表情に羞恥と恐怖…そして嫌悪を滲ませるクラスメイトの顔を、もう一度正面から見据える。
「私、友達がいないのよ」
「っ……はぁ……そうなんですか」
 私に押さえつけらたことで様々な感情を揺さぶられたのだろう。潤んだ瞳をしかめ、胸のリボンを両手で押さえる。
 その仕草がいちいち色っぽいと思ってしまうのは、やはりこの子が男であるからなのか、それとも単純にそういう部分に秀でている
からなのか。
 私は今まで異性や恋愛に特別な感情を抱いたことが無いので彼が初恋の相手ということになるのだが、彼の容姿に一目惚れしたわけ
ではなく、同性愛に興味を持てないことを鑑みるに、やはり彼の個性が私を引き付けるのだろう。
「だから、私とお友達になってくれないかしら」
「えっと……その……」
「だめかしら。あ、いえ、本当にイヤなら、イヤと言ってくれて良いわ」
 私と親交を深めるのはごめんだ、近づきたくも無い、と彼が思うのなら私は潔く身を引こうと思う。彼の素性を知っているとはいえ
、それは私にとって正常な交際の免罪符でしかない。
 脅迫手段として使うつもりも無いではなかったが、あくまで話題づくりの一環に留めておくつもりだった。脅迫から始まる関係が、
私の望む関係に発展するとは思えないからだ。
 とはいえ、破廉恥な行為に及んだ直後にそんなことを言っても信じてもらえるはずが無い。
「さっきも言ったけれど、貴方を脅迫したいわけじゃないの。ただ仲良くなりたいだけで……」
 いきなり体を押し付けて、貞淑であるべき子女にあるまじき狼藉を働いたことにいまさら後悔の念が湧き上がる。
 仮に立場が逆であったなら、いや、たぶん私は相手を殴り飛ばすだろうけど、きっと相手と友好関係を築こうなどとは思わないはず
だ。
 すでに私の計画は失敗しているという事実を、しかし受け入れがたい。
 潔く身を引くと言ったのは嘘ではない。親しくなったその先、彼が男だと知っていると打ち明け、私の魅力及ばず男女としての交際
を断られた後にはそうすることを決めていた。
 得がたい友としてお互いを頼りにするような、そんな関係を維持できればとの思いからだったし、もとより彼が男だと知る前はそん
な関係を望んでいたのだ。
「本当に貴方と、その、友達になりたいだけなのよ。それだけは信じてほしい」
 薄汚れた情欲と勢いにまかせた浅はかな行為は、本来なら簡単だったはずの友人関係を結ぶことさえ難しくしてしまった。
 彼は孤独を好むわけではなく、明かすことのできない秘密をより強固に守るために親密な人間関係の構築を拒んでいるのだろう。
 一言二言の言葉を交わし、少しずつでもお互いのことを知り合っていけば自然と友人関係になれるのではないかという私の思いは、
私自身さえ理解していなかった彼への激しい欲求によって難になってしまった。
407戦場に至る 8:2009/04/23(木) 00:50:14 ID:4iRNRoU6

 ほんの少し前、恋する彼と友達になるために意気揚々と図書室に入ったのが遠い過去のことのようにさえ思える。
 自分を罵ってやりたくなることは数あれど、こんなにまで自分の至らなさを憎んだのは初めてだ。
 奥歯を静かにかみ締め、眉間にこもった力を抜く。気がつけば握りつぶさんばかりに掴んでいた少年の細肩から力を抜き、しかしす
ぐに逃げられてしまうかもと思うと手は離せない。
「……ご、ごめん、なさい」
 次になんと言葉をかければ良いのか、どうすればこの状況を好転させることができるのか。
 今までに無い経験に、出るはずの無い案を模索し続ける私に、目を伏せ、顔を俯けた少女が呟くような小声で謝る。
 それは、問いただすまでも無い答えだった。そう理解しつつも、理解したくは無い。
「わ、私とは、友人には、なりたくない?」
「……はい」
 顔を俯けたまま、しかし今度こそ間違えようの無い意味で、彼女が肯定の意志を示す。
 ぶるりと足が震えた。いや、落胆が視界を振るわせたのだ。
 俯いたままの少年の髪を眺める。
 
 私は失敗したのだ。
 乾燥した日々を過ごす私の前に現れた麗しの転入生、その魅力を好ましく思い、事務的な会話しかできない己を呪い、少年だと知っ
た日からは経験したことの無い眠れぬ日々を過ごした。
 良き友人、良き交際相手を得られるはずだった私は、そのどちらも失ってしまったばかりか、蔑みと嫌悪の対象になってしまったのか。
「どうしても、だめなの?」
「わたしは……あまり、人と関わりたくありません」
 彼がそう言うのは当然だろう。秘密が露見することを思えば、容易に人と付き合うべきではないのだ。
 だが彼は優しい人だ。見ていればわかる。周囲にそれとなく気を使い、校外清掃のボランティアや教師がちょっとした手伝いを募る
際、誰もが消極的であればそれとなく役を買って出たりする。
 その仕草はあくまでも自然で、クラスメイトに注目されることもない。だけど、私はいつもそんな彼を見ていた。
 彼の秘密を知ってる私ならば、仲良くなれるはず。彼の秘密を暴こうとせず、少しずつ距離を詰めていけば仲良くなれるはず。そん
なふうに考えていた。
「どうして。私は、あなたが男だって知っているのよ?」
「…………」
「違う、脅迫とかではないの。あなたが人と付き合いたくないのはわかるわ。でも私はもうあなたが男だって知ってるのだから、仲良
くなってくれてもいいでしょう?」
「それは……」
 肩を強く掴む。今度は意識して、私の強い意志が伝わることを願って指先に力をこめる。
 だが顔を上げてさえくれない。私の目を見ることを恐れるように俯いたままだ。
「そういうことじゃ、ないんです。わたしは確かに男ですけど、だから人と関わりたくないって言っているわけではないんです」
「なら、せめて理由を教えてほしいわ。性別を隠している事と別に理由があるなら、教えてほしい」
408戦場に至る 9:2009/04/23(木) 00:50:46 ID:4iRNRoU6

 力をこめた腕が震える。痛みに顔をしかめる少女のような面に、俄かに気持ちが高ぶりはじめた。
 言葉に熱が入り、ここが図書室で、すぐそばには他の生徒だっているということを忘れたくなる。
「…………言えません」
 薄く小さな唇が震えて言葉を紡ぐ。
 男の身でありながら女学園に在籍している事より重大な秘密があるのか、私では測れない心の底から希薄な人間関係のみを望んでい
るのか。
 あるいは、そう思いたくは無いが私という個人が彼にとって疎ましいのか。
 だとしたら、どちらにしても、もはや私にできることは無い。
 心から望んだ友人関係も、その先に見据えた恋人関係も、もしかしたらさらにその先までもが、私には届かない領域に行ってしまった。
 じっと俯く少年の小さな体を眺める。
 お嬢様然とした美しい黒髪、見るものを安心させるような垂れ目に小さな鼻と薄い唇。芸術的なフェイスラインを支える細い首、薄
い肩と同じ厚みの胸、男らしさより女らしさを兼ね備えた腰付き、プリーツスカートからの伸びる足は子供のように細く、黒いハイソ
ックスが少女的な脹脛のラインを浮かび上がらせている。
 私の視線が全身を嘗め回していることに、少年は気づかない。
 女なら、こういった視線に敏感なものなのだろうが、彼は女ではない。
 細い首筋に顔を埋めたくなる衝動をこらえながら、少年に最後の質問をする。
「本当に、誰かと友人になるつもりはない?」
「はい。この学校……学園に入るときに、そう決めました」
 ここで引き下がるべきだ。もうなにもかも遅い。脳裏でか細い理性が警鐘を鳴らす。
 しかし腕は彼の肩を掴んだまま、足は一歩を大きく踏み出した。
 彼も私の行動の意味を察したのか、素早く身をよじって逃れようとする。だが遅い。
 細い肩を再び書架に押し付け、胸を押し付け、足を押し付ける。
 抱きしめた少年の感触と体温に体の内側から抑えがたい歓喜が湧き上がった。
「あ、や、やめっ……!」
 声を上げようとした口を手で塞ぐ。
 もう彼の声を聞く意味は無い。私は、私のやりたいことをしよう。
 体をそのままに、腰に腕を回して力をこめる。今度は足ではなく腰の下に、小さくは無い肉の感触が伝わった。
 はじめに足で触れた感じより、僅かに大きくなっている。
 私の体の感触に、彼の男は欲情したのだろう。こんな外見でも彼は立派な男というわけだ。
 そして、私は女だ。
409戦場に至る 10:2009/04/23(木) 00:51:31 ID:4iRNRoU6

 この子を犯す。
 これ以上、利害と御家に尽くすことだけを求める乾いた生活を送ることになど耐えられない。
 もともと才能に恵まれているわけでも秀でた部分があるわけでもない私には、今の日々は辛すぎるのだ。
 小賢しい理屈を並べ立てて誤魔化してきたが、綻びはじめている事は私自身がよくわかっている。
 拠り所が必要なのだ。ガス抜きをする場所と言い換えてもいい。腹の探りあいをするばかりの日々を癒す手段を、求めているのだ。
 生まれて十数年、探し続けていたことさえ自覚していなかったその思いは、彼の登場によって日の目を浴びた。
 彼が、こんな女学園に入学してきた可愛らしい少年が、この都合のよすぎる存在が私には必要なのだ。
 だから私は、彼にとっての友人にも恋人にもなれないのなら、脅迫者になるしかない。
 潔く身を引くなんて嘘っぱちだ。いつも寝る前には彼のことを思い悩んで、火照る体を慰めた。そういった行為を見越して、性の勉
強もした。
 このまま何事も無かったかのように立ち去ることなどできるはずもない。
「んぅっ、ぐうぅ!」
「静かにして。男だってこと、知られてもいいわけじゃないのでしょう?」
 このまま何も無かったことにされてしまうのなら、淫らで哀れな女として認識されるくらいなら。
「貴方を、犯すわ。私のものにならないのなら、体だけでも、私のものにする」
「ぃっ、ぁん、……!」
 おかしな女だと思えば良い。いきなり話しかけて、脅迫しないと言った直後に乱暴を働いているのだ。今はそう思ってくれれば良い。
「私のこと、忘れられなくしてあげる。毎日抱いてあげる。だから、私のものにならなくていいから、私の傍にいて」
 手を離し、顎を持ち上げる。恐怖と羞恥を浮かべる、たまらなく魅力的な瞳を見つめ返しながら、その唇を唇で塞ぐ。

「無理よ。その子はもう私のものになっているの」

 不意に聞こえた声に背筋が伸びた。
 誰なのか、いや、この場面をなんと言い訳するか、欲情に支配された頭が急速に冷え、触れかけた唇を離して振り返る。
 視界を白いものが埋めて、私は何か疑問に思う暇さえなく意識を失った。
410戦場に至る 11:2009/04/23(木) 00:52:04 ID:4iRNRoU6

「友達、ね」
 友人になれないとわかったとたんに脅迫し、強姦に及ぼうとするような輩では、それは友達がいなくて当然だろう。
 眠らせた二人の生徒を、なるべく音を立てないように引きずって棚と棚の奥、古ぼけた扉の前まで運ぶ。
 忘れられた書庫だ。以前から密かに改造を進め、貴重な、あるいは廃棄することが決まった書物が並べられた空間は防音と機密性に
優れた部屋へと変貌している。
 もともと弟が図書室に入り浸っていることもあり、いずれはとの思いから人目につかないよう改築を進めていたのだが、まさかこん
なに早く使用する機会が訪れるとは思わなかった。
 見た目どうりの重厚な扉を、鍵を使って押し開いて入り込む。気を使わずとも音も無く閉まる様子に満足しつつ内鍵を落とした。
 壁際に設置された大きなソファベッドに弟を、それと対面に位置する床に無礼な女を寝かせて、そのスカーフを抜き取る。
 ついで自分のスカーフも抜き取ってよじり合わせて女の両手を縛り、弟の制服からも同じくスカーフを抜き取って足を縛った。
 よい素材を使っているのが関係するのか知らないが、存外に頑丈に縛り上げることができた。
 何度か力をこめて解けないことを確認すし、二人の意識を瞬時に奪った薬品を染み込ませた布巾を、部屋の改造の際に設置させた流
しで丁寧に洗い流す。
 この薬品は効果が高いかわりに揮発性が高く、放っておいては私にまで薬品の効果が現れてしまうためだ。
 無論、口元をハンカチで多い、呼吸も浅くしているが、ここで倒れては元も子もない。丁寧に水洗いしたハンカチを軽く絞って流し
にかける。
 これでひと段落、といったところか。
 これも新たに設置させた小型の冷蔵庫からミネラルウォーターのボトルを取り出し、一口含んだ。
「それにしても、まったく……」
 この子……いまは私の妹としてこの女学園に在籍する弟の隣に腰掛け、その頬を撫でた。
 可愛い私の弟。だけど少し魅力的すぎるのが、悩みといえば悩みか。
 目の届く場所に置いておくために学園に入れたが、私の監視も完璧ではない。鼻の聴く牝というのは本当にどこにでもいるものだ。
 それぞれのパーツが小さくまとまって配置された、丸みを帯びた華奢な面にはうっすらと汗が滲んでいる。
 さきほどそこの女に迫られていた際に滲んだのだろう。それを袖でぬぐいつつ、懐からいつもの薬を取り出して口に含む。
 とても男とは思えない弟の細い顎を掴んで口を開けさせ、唇を合わせた。薄い皮膜に包まれた薬をその口に押し込み、舌で喉の奥に
押し込んだ。
 意識を失っているためか、従順に従うその様子に嗜虐心をそそらせながらも一度唇を離し、水を口に含んで再度口付ける。
 いつもなら多かれ少なかれ抵抗を見せ、その様子を楽しむのだが、まったく意識のない弟の口腔粘膜を貪ることに普段とはまた別の
興奮を抱きつつ、水を流し込んだ。
「な、何をしている!」
 いつのまにか閉じていた目を開き、目を覚ましたらしい女のほうを見た。
 それなりに大きな権力を持つ家柄の長女として入学当初に話題になり、私と同じ学年の、家柄が自分の価値だと吹聴して回る下等生
物に暴言を吐いたという、なかなか骨のある下級生だ。
 その身長は並みの男より高く、発育も年齢にしては著しい。私もそれなりであると自負してはいるが、豊満、という意味では敗北を
認めざるを得ないだろう。
 美少女、あるいは美女と呼んでもいいかもしれないが、今はただ、私の弟を強姦しようとした不埒ものとして処罰するとしよう。
411戦場に至る 12:2009/04/23(木) 00:52:42 ID:4iRNRoU6

「お早いお目覚めね、強姦魔さん」
「な、なにを。いや、それよりも、あなたこそ何をやっているんですか!」
 この状況で相手に敬語を使うとは、なかなか躾の行き届いた娘のようだ。
 さきほど彼女がそうしていたように、まだ意識を取り戻さない弟の腰を抱き寄せてその下半身に手を伸ばす。
「見てわからないかしら。あなたがやろうとしていたことよ」
「な、ま、まさか。あなた方は姉弟でしょう!」
 やはり私のことを知っていたようだ。
 この女学園に弟を無理やり入学させたその日から、様々な方法で私の家や、今は亡き弟の家族の事を調べる輩が周囲に現れだした。
 弟が言い付け通り大人しく学園生活を過ごしてくれていたため、大半は弟の詳しい素性を調べようとするにとどまる輩であり、あら
かじめ用意しておいた経歴を渡してやれば素直に引き下がってくれる連中ばかりだった。
 しかしそれが油断を生んだのだろう。すでに弟の経歴を調べ終えているはずの調査団体が、それに付随して弟の行動にまで目を配る
ようになり、数週間前、ついに私の妹が弟であるということを突き止められてしまったのだ。
 無論、こちらとてその調査団体に圧力をかけてそれなりの対処をほどこしたのだが、調査結果がこの女に渡ることは防げなかった。
この町に根ざす権力の大半は従えたが、どこにでも反発する集団というのは現れるものなのだ。
「この子は養子よ。血の繋がらない、こんなに素敵な異性がそばにいたら恋をするのも仕方がないのではなくて?」
 誰が見ても男とは信じないだろう、女性的な可愛らしさを備えた弟に頬ずりをしつつ、腰を抱いた腕を服の中に差し入れる。
 人肌の温もりの心地よさと、赤ん坊のような肌の手触りを楽しみながら、逆の手でスカートの股間部分を撫でる。わずかに硬さを増
しているその部分に、嫉妬の心がくすぐられる。
 弟には、この学園に入学させるにあたり、いっそ調教とも呼べる徹底した教育を施したのだが、ここは相変わらず男のまま、女に触
れられれば反応してしまうようだ。
 女としての振る舞いや言葉遣いはすでに完璧に躾けたと思っていたが、さすがに本能を従えるまでには至らなかったらしい。あるい
は私のせいかも知れないが。
「それでも、そんな、そんなのは、倫理に反します!」
「あら、倫理なんて関係ないわ。それに。さっき言ったでしょ、私はあなたと同じ事をしているだけよ」
「……ま、まさか!」
 なかなか人格者なのか、彼女の言うことは実にまともだ。
 きつく吊りあがったまなじりで流し目でもしてやれば、いずれできる下級生にたちまち黄色い声を上げさせるだろう。
 おそらく異分子である弟が彼女の前に現れなければ、評判どうりの、まるで武芸者のような凛々しい少女としていまも学園生活を送
っていただろうに。
「まさか、そんな事を、あなたは何時も…?」
 おまけに頭の回転も悪くない。
 スカートの下、柔らかさと危ういまでの細さを併せ持つ太ももを撫で回し、指先を短パンの裾から潜り込ませて陰嚢に触れる。
 女装した美しい少年を、意識の無いまま弄ぶ事にたまらない興奮を覚えながら、目を見開いて怒気を露にした少女を見る。
「ええ。この子はね、私の弟になるほんの少し前から、私が慰み者にしているわ」
 ぎり、と歯軋りの音がここまで聞こえた。やはり彼女は、弟に恋をしていたようだ。
412戦場に至る 13:2009/04/23(木) 00:53:14 ID:4iRNRoU6

 目の前で強姦したいほど好きな異性が、その姉に弄ばれるどころか、すでに何度も汚されたと知らされたのだ。私なら発狂していた
だろう。
 だが怒るのは筋違いだ。
 弟の制服と、胸部に少し厚みのある布を仕込んだサポーターをずらし、私以外の目には触れぬように静かな手つきで乳首に指を這わ
せる。小さな突起の感触が、他ならぬ私の手で硬くなっていくのを感じ、腰の辺りが妖しく疼いた。
 指先で軽く引っかいていたスパッツ越しの陰嚢がわずかに硬度をます。
「そんな、そんなことが許されると思っているのですか!」
 顔を真っ赤に染めた女が声を震わせながら叫び声を上げる。おそらくここが、防音処理の行き届いた場所だとは認識していないだろ
うが、そうでなくとも彼女は声を荒げていただろう。
 その凛々しい顔立ちがぎりりと歯を食いしばる様子にはなかなか迫力がある。
「許されないのかしら?」
 膝頭で弟の足を撫であげる様にしてスカートをめくり上げた。
 狼狽と羞恥にか彼女が目を大きく見開いたのもつかの間、その腰部を守る短パンの中に指先が潜り込んでいるのを目の当たりにして
目を見開く。
 その様を鼻で笑いながら、弟の顔に唇を寄せた。
「……あ、やめろ!」
 制止の声を聞くはずも無く、見せ付けるように舌を唇に這わせ、しどけなく開かれた口にむしゃぶりつくいた。
 感じるはずも無い蜜のような甘さを弟の唾液の中に感じながら、意識がなくとも胸や股間からの刺激のせいか、わずかに乱れた呼気
を吸い込む。
 前歯の表面に這わせた舌を犬歯に滑らせ、そのまま唇を合わせつつ奥歯の複雑な隆起を舌先で感じ取る。歯茎の柔らかさ、なすがま
まの舌を舐り、頬の裏側に私の唾液を塗りたくる。
「んぁ、あ……ぁん」
 少女のようなあえぎ声に耳をくすぐられ、その愛らしさにじわりと下腹部が液体を滲ませるのを感じた。
 それを、本人も自覚していないのだろう、実に羨ましそうに眺める彼女を横目に眺める。もっと見せ付けてやろう。
 めくり上げたスカートをそのままに、片手で短パンをずりおろす。片手が弟の薄い乳房を弄ぶのに忙しいために、少しずつずらしな
がら倒錯的な快感に心を振るわせた。
 太ももの半ばを過ぎた辺りでストンと抵抗無く弟の足首にまで落ちた短パンをそのままに、陰茎の形が浮かび上がった黒いスパッツ
に指を這わせる。
 不埒にも女に欲情した際に勃起を隠すためのスパッツだが、こんな状態ではその役目を果たせるはずも無い。私の与えた刺激に反応
した陰茎は大きく勃起し、少女のように華奢で白い太ももと相まってとてつもなくいやらしく感じられた。
 見せ付けられているはずの彼女も、先ほどまでの怒気はどこにいったのか、食い入るように弟の股間部分を凝視する。
「……ねぇ、さん?」
 与えられた刺激からか、ようやく弟が目を覚ました。
 しかしその目は焦点を結ばず、わずかに身じろぎしたきり、体を起こすことも胸と腰を撫でる私の腕に抵抗もしない。
413戦場に至る 14:2009/04/23(木) 00:53:44 ID:4iRNRoU6

「ぁっ、ぃ、ぁ…っ」
 目に涙を浮かべて、初めて自分の状態を理解したのだろう、抵抗するそぶりを見せるものの、その悩ましい姿が欲情に火を注ぐ。
 この子に飲ませた薬は、この子がまだ私の弟になって間もないころに何度も服用させたものだ。
 意識の覚醒レベルを低下させ、全身の自由を奪いつつ神経は過敏にする、弟を篭絡するために私が直々に調合した逸品である。
「大丈夫なの、目が覚めたなら、今すぐこれを……」
 拘束を解いてくれと言おうとしたのだろう、しかし彼女も弟の様子がおかしいことに気づいたようだ。
「なにを、まさか薬か。本当にただの強姦ではないか!」
「私は強姦する意思があってこうしているし、この子は私に強姦されることを望んでいるのよ」
「だったら、なぜ薬を使ってまで!」
「こうしたほうが気持ち良いからよ。言ったでしょ。私はこの子を慰み者にしているの」
 無論、私の弟への愛情は本物だ。幼少のころ、私の弟への並々ならぬ感情を過敏に察した父母が、弟に記憶操作を施して他所の家に
預けてなお、ずっと育み続けいていた感情だ。
 その美しくも可愛らしい体に欲情することを禁じえないとしても、それは愛情あればこそ、数十年の月日を一人で慰めることしかで
きなかった反動でしかない。
 私はこの実弟を愛している。
 スパッツの内側に指を潜り込ませ、すっかり硬くなった陰茎を握りこむ。
 家族の不幸な事故に心理障害を負ってしまった、当時はまだ髪が短かった弟に薬を盛って犯し、その後の生活の面倒を見ることを条
件にその体を差し出させた。
 しばらくは家族として暮らし、そうする上で私に心を向けさせる腹積もりだったのが、久方ぶりに目にしたその姿に矢も立ても無く
、気がつけば薬を用意して犯していたのだ。
 まだ一年とたっていないが、家では毎晩その細腰にまたがって逞しさを確かめている陰茎の熱に、漏れた雫が足を伝って流れ落ちる
のを感じた。
「や、ぇさん、やめ……」
「見ろ、嫌がっているじゃないか!」
 それはそうだろう。
 この子にすれば、いきなり目の前に現れた人間に犯され、家族の死を悼む間もなく体を差し出すことを要求されたのだ。
 私が彼の実の姉であると明かせばまた反応は違っただろうが、私から長く離れ、一般の家庭でごく普通に暮らしていた彼にそれを打
ち明けたとて恋の障害を増やすことにしかならないだろう。
 こんな外見でも立派な男だし、私が犯したときにはすでに自慰の経験はあったというが、いかんせん貞操観念がしっかりしている。
 私は彼にとって、少なくとも今は、ただの脅迫者なのだ。そんな相手に身を弄ばれるのをよしとするには、この子は潔癖すぎる。
 もっともその潔癖さが私の欲情を煽り、いつまでたっても優しい姉として振舞えないジレンマとなってもいるのだが。
「まあ、そこで見ていなさいな、強姦未遂の犯罪者さん」
「なっ……!」
 体を起こそうとした弟の薄い胸をソファに押し付け、抵抗の薄い腕を掴んで頭の上で一まとめに掴む。薬に力を奪われた弟の体はこ
の程度で拘束が可能なのだ。
 身をよじろうとする弟の腹の上に腰を落とし、健気にも先端で尾てい骨をつつく逸物の熱に目を細める。
 口紅を引いたわけでもないのに艶やかな唇に舌を這わせ、腰をずり下げて陰茎に性器を押し付けた。
 弟の潤んだ瞳から涙が一筋零れ落ちる。屈辱か羞恥か、ぞくりとこみ上げてきた感情に、私はこの子の姉なのだなと強く実感した。
 散々に弄繰り回したせいで胸元にまで捲れあがった制服ごしに胸を押し付け、涙の跡に舌を這わせながらその耳元で囁いた。
「抵抗しちゃだめよ。お姉ちゃんが、全部やってあげるからね」
414戦場に至る 15:2009/04/23(木) 00:54:15 ID:4iRNRoU6

 我ながら、見方を変えれば微笑ましい台詞だ。できれば弟の成長を見守りながら言いたい台詞だったが、こんな時に言うのも悪くない。
「んふっ、ぅっ、ふぁぅ」
 唇を奪う。
 薬を押し込んだときより念入りに、歪み無く並んだ小さな歯の一つ一つをつつき、敏感な上あごの粘膜を舌先でなでる。
 くすぐったさに跳ねる腰の動きが下肢に伝わり、すでに潤んでいた下腹部がくちゅりとなった。
 甘い唇に後ろ髪を惹かれつつ、限界まで吸い上げて離し、その顔を覗き込みながら体に手を這わせる。
 かわいい弟。私と血のつながった家族。この子は私を狂わせる。
 首筋を舌先でなで、愛らしい乳首に吸い付き、ヘソのくぼみに涎を落とす。
 倒錯的な、しかし似合いすぎるスカートの下、スパッツに浮き出した怒張の先端に鼻先を埋めて大きく息を吸い込んだ。
 中毒というのはこういう状態のことを言うのだろう。隠しようのないオスの匂いに脳髄が痺れ、弟の腰を這う腕がぶるぶると震えた。
 私の体に興奮し、心では否定しつつも体は姉の体を犯すことを望んでいるのだ。早く素直になればいいものを、だからこそ、嫌がる
弟を無理やり犯すというのも悪くないのだけど。
 スパッツをずらし、その少女的な体には似合わない立派な牡器官を露出させる。
 薄布一枚をむいただけで、おもわず意識を手放したくなるほどの性臭が再び脳髄を痺れさせた。
 愛しい弟のものを赤の他人に見せたくはないので、スカートで隠しつつ事を運ぶつもりだったが、私が我慢できない。
 視界の端で息を呑んだ女が、汚らしくも太ももを僅かにこすり合せたのが見えてしまったが、いまは、弟の愛らしさに免じて見逃し
てやろう。
「ひゃ、ねぇ、や……あっ、ああ!」
 真っ赤に膨れ上がった艶やかな亀頭にべったりと舌を押し付け、そのまま一息に根元まで飲み込んだ。
 弟を犯すとき、まず初めに欠かさずに行う口淫だ。
「んあぁ、やっ!」
 僅かに生えそろった陰毛に鼻先を埋める。
 そのまま食べ物を飲み込むようにぐびりと咽喉を動かして咽喉を埋める亀頭を粘膜で揉みしだく。愛おしい熱に、表現しきれない愛
情が湧き上がった。
 唇をすぼめ、蠢かせた咽喉のさらにおくまで弟の肉柱を迎え入れる。
 視界が涙でにじみ、幸せな圧迫感に意識が飛びそうになる寸前、咽喉奥に慣れ親しんだ粘液の感触を感じた。同時に、はしたなく緩
んだ下の口から淫液が飛び散り、足を伝っていく。
 鼻を抜ける生臭さと味蕾を刺激する愛しい苦味、そして唇から咽喉までを占領する肉の熱さに目の前が白くなる。
「んぐっ、うぐっ、ごぐっ、こくっ……っ……ふはっ」
「ぅっ、はぅ、あ……はぁ」
 いつもとは順序が違ったが私が弟を犯すときはいつもこうだ。
 脅迫者らしく高圧的な態度で体を要求し、抵抗する弟を優しく、あるいは厳しく説き伏せて、勃起した陰茎を限界まで口に含んであ
げて、一緒に絶頂を迎える。
 当然、愛しい弟の子種汁をこぼすなどというはしたない真似はしない。咽喉から食道へと続く経路で亀頭をしごき、弟の細い腰をが
っちりとつかんで射精させる。こうすることで空気にさえ触れさせること無く弟の精液は私の体内に収まるのだ。
 他でもない私の唾液で濡れ光る弟の陰棒を指先で撫でる。初めのころは無理やり刺激して勃起を維持させていたものだが、最近では
触れるまでも無くさらなる欲望を求めるようになった。
 まさに、体は正直というやつだ。
415戦場に至る 16:2009/04/23(木) 00:54:56 ID:4iRNRoU6

「はぁ、はぁ……ふふっ、今日もおいしいわよ」
「……っ……っ……ぐずっ……」
 悔しいのだろうが、弟である以上、姉に愛されれば射精を我慢することなどできるはずも無い。
 毎回、ストロークするまでもなく口内に導かれただけで射精してしまうのは弟も男である以上悔しいのだろうが、それは薬の作用で
もある。
 少し前まで、弟の食事にはかならず媚薬やそれに類するものを含ませていた。元々の体質もあったのだろうが、弟の肌は異常なまで
に敏感になっているのだ。
 加えて、毎日かかさず私の肉体で射精しているのだ。弟の体は、私が愛撫してやればたちまち絶頂に至るよう改造されてしまっている。
 本人は抵抗していても、体はとっくに姉の肉体に溺れてしまっているというわけだ。
 もっとも、私も弟を愛しすぎたせいか、口内に精液を注ぎ込まれただけで頭が真っ白になってしまうのだが。
「し、しない、って……」
「ん?」
 このまま弟を飲み込みこんで快楽にふけるか、先に女のほうを処分してしまうか考えていると、弟の涙交じりの声が聞こえた。
「が、学校、では、……っ、なに、ぃも…ひない……」
「ああ、そんな約束もしたわね」
 弟が言っているのは、私が弟を脅迫した際の条件のことだろう。
 初めて弟を押し倒し、さんざんに犯し犯され、愛し合ったあとのことだ。
 弟を開放した例の事故だが、実は生き残ったのは弟だけではない。弟とは血の繋がりの無い、もちろん私とも無関係な妹が一人、生
き残っているのだ。
 まだ男と女の違いも区別できないような年齢の娘なのだが、事故で弟と同様に、あるいはそれ以上に心に深い傷を負い………そうい
えば、今日が退院の日だったか。
 弟が私の脅迫に涙を飲んで頷いたのもその妹があってのことなのだろう。まだ幼い妹と、学生の弟はとうぜん二人で生きていけるは
ずも無く、弟が私に体を差し出す代わりに生活の面倒を見てあげる、という条件が私と弟の間にはある。
「でもあれは、もう無効でしょ」
 そして、それとは別に私は弟にある条件を飲ませた。
 私と一緒にこの学園に通うことだ。
 私は弟と少しでも長く一緒にいたいから、また当時弟の周りに蔓延っていたクズ女から弟を守るためにこの学園に入れる。
 純真な弟は、周囲の牝が自分を薄汚い目で見ているなどと気づくわけも無く、あと当然の理由として弟は男なので、それを拒否した。
 そこで、先ほどの言葉である。
 女であることを隠して学園に通う代わりに、学園では性的な接触はしない、というものだ。
 おそらく自分が女として学園に通うことが私の弱みにもなると踏んでの条件提示だったのだろう。
「そこの犯罪者さんに、少しだけ感謝しなくちゃね」
「な、なにを!」
「あなたがこの子を男だって見破ってくれたから、わざわざ用意したこの部屋も無駄にならずにすんだってことよ」
416戦場に至る 17:2009/04/23(木) 00:55:41 ID:4iRNRoU6

 件の妹が退院するころにあわせてこの部屋を改造し、適当な文句でいずれは学園でも弟を犯す算段はつけていたのだが、手間が省け
たという意味ではこの女に感謝してもいい。
 あえぎ声をあげながらも気丈に条件を提示する弟が愛らしくてついつい条件を飲んでしまったのだが、弟は学園ではあからさまに私
を避けるのでやきもきしていたのだ。
「なんだと……!」
「っ、くぅ、……ぁ、ぅ」
 私を求めて震える肉棒に深く指を絡め、逞しい反り返りにあわせて上下に扱く。唾液と先走りの混ざった液体が卑猥な音を立て、芳
しい性の臭いが立ち上った。
「実はね、前にもいたのよ、この子が男だって気づいた生徒」
「な、なに?」
 一度精を放ったというのに張り詰めた陰嚢を揉み解してやりながら、間抜けな女の方を見た。
 もっとも、以前、そのことに気づいた女は、こいつよりもさらに間抜けで救いようのない雌猿だった。
 スキャンダルがどうの、経営権がどうのとわめき散らした挙句、私の弟を自分のものにして飼い殺すなんてことを言い出したものだ
から、思いつく限りの方法で苦しめてやろうと思っていたのだが。
「もうこの学園にはいないけどね」
「なにをしたんだ……」
「あら怖い顔。別に殺したりはしてないわ。そうしてもよかったんだけど、私の弟は優しい子でね」
 意識がなくなるまで椅子で殴りつけた程度なのだが、あんまりにも汚らしい悲鳴をあげたものだから弟が同情してしまったのだ。
 まあ、そのときは弟に愛してるって言わせることを条件に開放したのだが、さて、いまごろあの女はどうしていることやら。
「薬で発情させて浮浪者に売ってあげたわ。業者にまわされて、今では立派な女優になっているみたいよ」
「なっ、まさか、そんなことが!」
 もちろん嘘なわけもなく、少し前には弟と愛し合いながら、獣のような悲鳴と嬌声を上げる少女を撮影したアダルトビデオを鑑賞し
たりもした。
 弟には見せたくなかったが、女のその後の様子が気になっていたようだったので、汚い女の本性を教える意味で一緒に見たのだ。
 もっとも、その後にあの女は発狂したらしく、その手のものを取り扱う業者の間をたらい回しにされたあげく、私ですら手の届かな
い闇に飲まれたらしいが、自業自得というものだ。
「貴方はどうなりたいかしら。犯罪者だから、刑務所に慰安婦として行ってみる。それとも、警察のお偉いさんに性欲処理道具として
使われてみる?」
「……ぐっ、そんなことをすれば、あなたも唯では済まないぞ」
「そんなことないわよ。発情した牝が自分から腰振って牡を誘うんだもの。私は弟を守るために、牝にふさわしい牡を探してあげるだけ」
「は、発情などしていない!」
 本人も意識していないのか、さっきから腰をもぞもぞと蠢かせていてはどんな言葉も滑稽だ。
 私の弟に目をつけたのは、女としては賛同するが、愛する弟を奪おうとするなら容赦する気にもなれない。
 とりあえず弟に処方したものを濃度を高めて注射し、縄で縛って繁華街の路地裏にでも放置するか、と考えていると弟が私の手を取
った。
 ビクビクとけなげに震える肉茎の先端に口付ける。あまり焦らしては可愛そうだ。汚らしい女の目に、愛らしい射精シーンを拝ませ
てやるのもシャクなので、もう一度くわえ込んであげようかと口をあける。
「ね、さん、……やめ、……」
「……?」
「やめ、て、くだ……なんでも、……だから……」
417戦場に至る 18:2009/04/23(木) 00:56:19 ID:4iRNRoU6

 なんでもするから、この女に手を出すのはやめてください、か?
 判断するに、そういうことだろう。やさしさは美徳だが、姉の独占欲を満たすという意味では失格だ。押さえつけていた加虐心をほ
んの少しだけ表に出した。
 手のひらで転がしていた陰嚢を強く握り締め、小指の爪で鈴口を抉る。陰棒の幹を唇でやさしくなぞり上げつつ、犬歯でちくちくと
刺激した。
「ひっ、ぁ、ぉ、…ぃしま、す。……も、やめぇ」
 ふん、まあ、骨があると思って、今回は諦めよう。あの女には、私の弟に触れた償いと強姦未遂の罪がある。それを弟が償うという
のもおかしな話だが。
 さて、何をさせるかと、再び弟の肉柱を優しく攻めながら頭を回転させる。このまま弟を犯すのでは面白みが無いが、私もさきほど
からずっと弟と愛し合いたくてうずうずしているのだ。
 と、閃いた。
「じゃあ、これからは学校でも私の慰み者になってちょうだい」
「き、貴様!」
「前の時はすぐに制裁しちゃって、男だってばれる心配はなくなってしまったものね」
「…………」
「私の妹が男って事がばれたら、貴方はもちろん、私も困るのよ。もしかすると妹ちゃんも、ね」
 本人は悔しげに顔をゆがめているつもりなのか、まるで陵辱された少女のような可愛いらしい表情でにらみつけてくる弟に微笑みか
ける。
「もちろん、積極的に私とセックスするのよ。いままでみたいに逃げ回ってたら、変わりにそこの女が浮浪者の子供でも孕んじゃうか
もね」
 私としてはそれはそれで構わないのだが、私の手をつかむ弟の手に若干の力がこもる。
「わ、わかり……し、た」
「だ、だめだ、そんな女の言う事を聞くな!」
「ふふ、交渉成立ね。あともう一つ、お姉ちゃんのお願いを聞いてほしいんだけどな」
 騒ぐ女はこの際無視だ。利用価値ができたことを感謝するがいい。
 弟の性器から手を離す。絡み付いてくる先走りの液体に愛しさを覚えつつ、膝立ちで弟にまたがる。
 私ももう我慢できそうに無いが、せっかく弟が私の言う事を聞いてくれるというのだ。つい先ほどの自分の言葉で思いついた台詞を
、弟に言ってもらおう。
 スカートの中に手を差し入れて、下着を太ももの半ばまでずらす。股布がぴったりと股間に張り付いている事にかすかに羞恥心わき
 あがった。
 それを誤魔化すように、期待に震える弟の肉茎に手を添えて膣口に導いた。あふれる愛液を亀頭に塗りつけ、鈴口の窪みをクリトリ
スで刺激する。
 腰を支えるのに苦労しつつかがみこみ、弟の耳元で、囁く。
「……そ、そん、な」
「言って、くれるだけ、で、いいんだけどな。嫌、なら、いいのよ。そこの女が……」
「わ、わかり、まひた。ぃい、ます」
 人質として効果がある程度には弟の心を占める女に激しい嫉妬が掻き立てられた。だがそれも、私の劣情をあおるスパイスになる。
 はしたなく腰をくねらせて弟を飲む込む瞬間を今か今かと待ち受ける。
418戦場に至る 19:2009/04/23(木) 00:56:59 ID:4iRNRoU6

「お、ねえ、おねえ、ちゃん」
「んぁ、はぁい」
「お、男、として、お姉、ひゃん、を、愛してます……」
「っぐ、う、うん」
「おねえちゃん、……わた、しの、子供、産んで、ください」
 羞恥と屈辱と快楽で真っ赤に染まった弟の言葉に、頭の中が真っ白になった。不覚にも言葉だけで絶頂に押し上げられた体から力が
抜け、腰が落ちる。
 ずぶりと体の柔らかな部分を愛しい人の剛直が突き上げ、膣壁を押し広げながら最奥に到達する。自重をそのまま子宮で受け止め、
私はあまりの快楽に意識を飛ばしそうになった。
「あお、っあ、うぁぁあ!」
「は、いぎっあ、っはぁ!」
 毎晩繰り返した上下運動を脊椎反射で行う。蜜壷を実の弟の男性器の形に押し広げられる。
 あまりにも幸せな快楽は私から言葉を奪い、意識せず仰け反らせた咽喉からは呼気と快楽の呻き声しか出なくなる。
 頂に押し上げられたままの痙攣する膣を抉られる暴力的な快楽と、愛する弟が私を孕ませるために必死になって腰を突き上げている
という事実に、とてつもない快楽が湧き上がった。
「や、やめろ!」
「あひっ、あっはぁ!」
「っ、ぁう、ね、さん、はぁ、ねえ、さんっ」
 ここ最近ではそうであるように、弟もすでに快楽の虜なのだろう。薬と実の姉の肉体を知った弟の体は、ついに高潔な精神を、一時
的とはいえ犯すことに成功していた。
 このまま私の虜にして、本当に、心の底から私を愛するように調教するのが、私の目下の目標である。
「やめ、やめてくれ……頼む、お願いだ……」
「あ、でる、のねっ、お姉ちゃんの、子宮に、精液、いっぱい流し込むのね!」
「はっ、あっ、ぅあ、も、だめッ……!」
 粘膜を激しく擦りあげる弟の肉柱が、ぶくりと膨れ上がるのを感じた。射精の前兆を感じ取った私は、引きつった背筋を強引に縮め
、涙と涎でくしゃくしゃになった弟の顔を覗き込む。
 もう一つ、弟が頑として譲らなかった一線を越えさせる。
「今日ね、お姉ちゃん、危険日なんだぁ」
 その瞬間、熱に浮かされたようだった弟は、潤んだ瞳を目いっぱい見開き、ガツンとひときわ激しく腰を打ち上げたまま硬直した。
 私の太ももをつかんでいた腕に力がこもったのは、私を押しのけるためか、それとも姉を孕ませようとする弟の本能なのか。
「ぁ、だ、だめ、ダメ、だめぇ、だめだぁあ!」
「ぁひっ、ひゃ、き、きたぁ!」
 子宮口頚部にがっちりとはまった亀頭が、凄まじい勢いで射精を開始した。子宮内で弟の子種を今か今かと待ち望んでいたわたしの
卵が、ついに犯されるのだ。
 実の弟の精子を子宮で受け止める喜び。弟にだけ許された、姉を孕ませる権利を行使されている。
 熱湯を注がれているような熱を下腹部に感じつつ、私は愛する男の子供を孕む、圧倒的な喜びに意識を失った。

419戦場に至る 20:2009/04/23(木) 00:57:49 ID:4iRNRoU6


「ごめんなさいね、ほったらかしにしてしまって」
「…………」
 意識を失っていたのはほんの僅かな時間だったのだろう。
 本来なら今頃は退院した妹に教育を施していたのだろうけど、その妹は、一向に来ない兄のお迎えに首をかしげているだろうか。
 幼いながらも賢しい子なので、弟が女学園に通っている事や、私のツガイとして将来を添い遂げる事になっている事を早く教えてお
きたかったのだけど、次の機会に持ち越すとしよう。
 化学準備室に密かに保管していた教育用の薬物は、偶然にも弟を救い、私を孕ませることになったのだ。手間はかかるが、妹に使う
分はまた調合しておくとしよう。
 気丈に睨み返してくる女生徒は、頬を伝う涙のせいか、先ほどよりも可憐に見えた。
「さて、本題よ」
「……本題、だと?」
「ええ。残念ながら、あなたを守るナイトは、私を愛するあまり気を失ってしまったようだから」
 弟は、私と同じく絶頂と同時に気を失ってしまったようなのだ。もっとも、失神したのが同時ではないのは、胎内に感じる幸せな重
みから明らかだ。
 私が弟の種付けに早々に意識を失ってしまったあとも、劣情を抑えることができなかったのだろう、薬で力が入らない体に鞭打って
まで姉の肉体をむさぼり、排卵日を迎えた子宮に精液を注ぎ込み続けたのだ。
 何度かの射精でタガが外れて素直になるのが、ここ最近の弟の可愛いところだ。いつもなら私が主導権を握り、弟が失神したあとも
その体に念入りに愛撫を施して反応を楽しむのだが、今日は立場が逆転してしまったようだ。
 力を失った弟のモノが膣から抜け落ちる前に目が覚めなかったのが残念でならない。愛しい人の子種汁は、膝まで下ろしたままの私
のショーツと弟のスパッツにべったりと付着し、異臭を放っている。
「聞いてたでしょ、さっきこの子が言ったこと。わたしを好きにしていいからあなたに手を出さないでください、ですって」
「……これほど、人間が憎いと思ったことはない」
「心配しなくても、私の方が憎しみは深いと思うわよ。危うく、愛する人が強姦されかかったんですからね」
「…………」
「しかもその愛する人が強姦魔をかばうのよ。いまは、少し落ち着いているけどね」
 精液をたっぷりと注ぎ込まれた下腹部を、見せ付けるようにして撫でる。今頃、私の卵子は愛する弟の数億匹の精子に囲まれて幸せ
の最中だろう。
 ま、これもこの女のおかげといえなくも無いのだ。無論こんな出来事がなくても、いずれ弟は実姉たる私を孕ませる喜びを見出し、
私たちは心と体で結ばれただろうが。
 ひとまず肉体の繋がりは強固なものになったわけだ。膨らんでいく私の腹を見れば、弟も考えを改め、私を心の底から愛するように
なってくれるだろう。
 ……それには、私がまず弟に欲情しすぎないようにしなければな。
420戦場に至る 20:2009/04/23(木) 00:58:27 ID:4iRNRoU6

 精液が付着したままのショーツを引き上げる。冷たい感触はお世辞にも気持ち良いとはいえないが、弟のものと思えば、何度でも情
欲を呼び起こすことができそうだ。
 これからは学園でいつでも弟と交わることができるのだ。あるいは、心の繋がりを強固にしていくには、私は弟の魅力にハマりすぎ
ているのが、問題といえば問題かもしれない。
「というわけだから、あなたには消えてほしいの」
「……私を殺すのか」
「嫌ね、そんな面倒なことをするつもりはないわ」
「…………」
 なんなら今ここで裸にひん剥いて、きっと濡れているであろう女陰に足でも突っ込んで悶死させるのも悪くないが、それは弟との約
束に反してしまう。
 自身だけでなく妹の生活がかかっている以上、私に逆らうことはできないだろうが、以前、例の女を始末したときはかなり自分を責
めていたようだ。あまり心労をかけるのも可愛そうだし、約束は守るとしよう。
 だがもちろん、このまま返すわけにも行かない。
 この女が自棄になって弟のことを吹聴して回れば、弟との学園生活は終わってしまう。あと数ヶ月で卒業する身としては、学園生活
の思い出は少しでも多い方がいい。
 弟の優しさに漬け込んでいらないことをしないとも限らないし、ここは一つ、得意の薬にでも頼るとしよう。
 指先で弟の陰部に付着した精液をぬぐいとって唇に含む。名残惜しさをこらえてスパッツと短パンを履かせてやった。
 そういえば、この短パンを着用し始めたのは、女とばれないかぎり弟と学校ではセックスしないという約束を結んだからだったか。
 可愛い弟だ。この女さえ現れなければ……まあ、男だとばれていなくとも、妹をダシにしてどうこうしてやるつもりだったので、関
係ないか。
 気を失った弟の額に口付けてソファに寝かせる。冷蔵庫に入れていたビンから、これは手製のものではないスタンダードな薬品をい
くつか取り出した。
「これ、飲んでちょうだい。催眠薬よ」
「催眠薬?」
「そ、あなたの記憶をちょっといじらせてもらうわ。弟が男だって事、忘れてもらうの」
「…………」
「弟に近づいてほしくないから他にも条件付けを施すけど、かまわないわよね」
「断れば、私を辱めるのだろう」
「もちろん。弟にもあなたと今後一切、関係を持たないように言いつけておくわ」
「……好きにしろ」
 コップに少量の水を注いで振り返る。
「……あら、解けていたの」
「ついさっきだがな。もっと早くに解けていれば……」
「そ。でも薬は飲んでね。弟の献身を無駄にしてくれるんなら、私としても手間が省けるのだけど」
 掴み掛かって私をくびり殺すくらいのことはしてのけどうだが、そうなればいよいよ弟は破滅だ。
 相手の冷静さに期待しつつ、それでも警戒しながらシンクにコップと数錠の薬を置いた。
 余裕のある足取りでシンクを離れ、弟の眠るソファに腰掛けて、手入れの行き届いた髪に手を這わせた。
 入れ替わるようにして、しっかりとした足取りでシンクまで歩み寄った女が、いっそ男らしいほどに勢いよく薬とコップをあおる。
「……飲んだぞ」
「じゃあ、効果が現れるまで20分くらいだから待ってて。私と弟の愛の営みでもみながら、ね」
 今日何度目かの弟との口付けを交わす。
 この女にとっては弟との最後の記憶になるだろう。せいぜい、弟が私の指先に悶える様でも脳裏に焼き付けておくがいい。
 その嫌悪だけはそのままに、弟への思慕は抉り取ってやる。


421戦場に至る 22:2009/04/23(木) 00:59:19 ID:4iRNRoU6



 気がつくと、椅子に座っていた。目の前には、見覚えのある木目調のテーブルがある。
 利用いている生徒のいない図書室は、必要以上に閑散としていた。
 ひどい頭痛がする。吐き気もだ。ふらつく足に無理やり力を入れて立ち上がる。
 トイレ、は、間に合いそうにない。倒れこむようにして窓際にたどり着くと、引っかくようにして鍵をはずした。落下防止柵を超えるのも
、間に合わないだろう。
「うっ、ぶっ、げぇ、うぇ……」
 吐いた。あの女が気を失っていた時間、飲めるだけ飲んだ水が咽喉を逆流する不快感に涙が滲んだ。
 腕を縛っていたスカーフは、あの女が弟を強姦してる間になんとか外れたのだ。機会をうかがって飛び掛るつもりでいたのだが、彼
は体を差し出すことであの女が私に危害を加えるのを防ごうとしてくれた。
 なら私がするべきは、その場限りの特攻ではなく、彼を永続的に悪女の魔手から守ることだ。
「げふっ、けほっ、……はぁ、ふぅ」
 図書室の明かりに照らされた、飛び散った吐瀉物の中、あの女が飲むように指示した薬のいくつかが、白い粒のようになって浮かび
上がっていた。
 その数を朦朧とする頭で数える。いくつかの薬は完全に吸収されてしまったようだが、水溶性の低いいくつかの薬はなんとか吸収さ
れずにすんだようだ。
 昼食を食べなかったせいか、口の中に胃液の味がほとんど無い。今日こそは彼と、と悩みに悩んでいたのがこんな結果を生むとは。
「はぁ、はぁ、お、覚えてる」
 私は忘れていない。
 いつも教室の隅にいる女の子が、男の子であること。
 彼に嫌悪を持ち、接触を自分から遠ざけるようにという悪魔のような暗示にも、きっとかかっていない。
 覚えている。あの毒婦めが、逆らえないのをいいことに少年を組み敷いて、私が意識を失うその瞬間にも汚らしく腰を振りたくっつ
いた姿を。
 望まぬ子供を生み出してしまうかもしれない恐怖と、それでも自分の体を差し出さなければならない理不尽に涙を流して悲鳴を上げ
る彼の姿も、瞼に焼き付いている。
「く、そっ……」
 許さない。彼の優しさと境遇に漬け込んでその身を弄ぶ義理の姉。
 彼を救い出してみせる。
 無味乾燥だった日々は癒されることはないが、その苦しい日々が、いつか身を結ぶだろう。
 口元をハンカチでぬぐって、スカートのポケットから三枚のスカーフを取り出した。
 私のものと、彼のものと、その姉のもの。
 私と彼のスカーフを結び合わせ、三年生のスカーフを、私の吐瀉物の上に落とした。
 見る間に汚らしく変貌していくスカーフ。あの女も、いずれはこうしてやろう。
422戦場に至る 23:2009/04/23(木) 00:59:50 ID:4iRNRoU6

 あの女は、あと一月たらずで卒業する。おそらく大学に進むだろうが、それまでは涙を呑んで彼との接触も控えよう。
 油断に漬け込み、力を蓄える。乾いた日々大いに結構。その先に待っているのが彼の救済であるならば、喜んでこの身を投じよう。
 友達になるだとか、告白だとかはその後でいい。女と力を磨き上げ、彼への思いはそのままに、権謀渦巻く日々に飛び込もうではな
いか。
「やってやる……」
 スカーフを握り締めた。窓枠に手を突いて体を起こし、痛む頭を叩く。
 義理とはいえ弟を慰み者にする女。少女のような少年を脅迫して己の快楽を押し付ける卑劣漢と同類のクズ。気持ち悪い。排除する
べきだ。
 ふらつく足で図書室を出る。カウンターの奥には、見覚えの無い教師がこちらに背を向けてなにかしらの作業にいそしんでいる。
 あの人は、書庫で陵辱劇が行われていたことを知っているのだろうか。毎日のように図書室を利用している生徒が、汚らしい情欲に
組み敷かれた泣いている事を知っているのだろうか。
 まずは、あの女がどれだけの力と影響力を持っているのか、そこから調べなければならないだろう。
 確実に上回る力と権力で、彼を奪う。
 日々に潤いは戻らない。しかし闘志が湧き上がる。

 私は秘密を知ってしまった。
 秘めなければならない魅力を持った少女のこと。
 その清らかな少女がおぞましい毒婦に蹂躙されていること。
 
 きっと助けてみせる。きっと打ち砕いてみせる。
 秘密は心の奥に、暴発しそうな怒気に拳を固めて、私は決意を新たにした。
 
 願わくば、今しばらくあの子が姉の毒肉に耐えてくれますように。

423戦場に至る 23:2009/04/23(木) 01:00:42 ID:4iRNRoU6
以上、レイアウトの実験作でした
いまいちキモくならんなぁ
424名無しさん@ピンキー:2009/04/23(木) 01:32:36 ID:np2bNnLo
またえらいロングだったけど、GJ!
ちゃんと姉さんのキモさはでてたよ。
特に弟調教&雌猫制裁の描写は、かなりエグかったし。
多分、最初と最後の、泥棒猫視点の文章で、キモさが拡散されたんだと思う。

何にせよ、よかったです。
またの投稿を、よろしくお願いします。
425名無しさん@ピンキー:2009/04/23(木) 10:10:07 ID:dRczjFIo
すげぇ。
こんなに長いのに「ココ冗長だな…」というところがない!
キモいキモくないとか関係なくハイクオリティ。
タイトルも良いと思う。

泥棒猫の方に感情移入して読んじまった。
このスレの住人としては失格なのか、俺?w

とにかく、激しく乙!!

あと、ナンバリングがところどころ間違ってるよね?
最初が2になってるけど、1が別のところにあるわけじゃないんだよね?
426名無しさん@ピンキー:2009/04/23(木) 12:28:49 ID:4iRNRoU6
ごめんな、ナンバリングは素で間違えた
427名無しさん@ピンキー:2009/04/23(木) 21:05:53 ID:sk6aFmRD
>>423
ありし日の大映ドラマや、東海テレビ制作の『〜の嵐』シリーズを彷彿とさせます。
428名無しさん@ピンキー:2009/04/24(金) 21:38:32 ID:J+Pvqgk4
>>346
そして誰もいなくなった的な展開を期待した
429名無しさん@ピンキー:2009/04/24(金) 23:24:57 ID:LvgXhz4W
>>423
とてもおもしろかった
俺も泥棒猫のほうを応援してしまった・・・不覚w
430名無しさん@ピンキー:2009/04/25(土) 16:17:00 ID:MsIcUF7d
主人公が熱すぎる…!いいね。

ってこれって泥棒猫の方が主人公だよね?w
431名無しさん@ピンキー:2009/04/26(日) 02:39:41 ID:1QXBjcbL
将来に「兄の正妻」と化したキモウトに殺られそうな気もするけどなw
乙でした
432 ◆6AvI.Mne7c :2009/04/26(日) 04:45:29 ID:pCuQ9bSg
なんだか勢い任せにできたので、小ネタを投下。
タイトルは「あなたが私のデトックス」。
注意事項としては、暴力描写、陵辱描写、その他諸々に注意を。

次レスより投下。3レス借ります。
433あなたが私のデトックス (1/3) ◆6AvI.Mne7c :2009/04/26(日) 04:47:56 ID:pCuQ9bSg
 
「――気色悪(キモ)いのよ、アンタは。
 その手を離して、とっとと生まれ変わってきなさい!」
 
 『元先輩』『金持ちの次男坊』などと喚くブ男のナンパを蹴り倒して。
 私は愛しい弟の手を引きながら、夕暮れに染まる商店街を歩いていた。
「まったく。あんな程度の低い男に、時間を無駄にされちゃったわ。
 さあ優輝(ゆうき)、早く帰って夕飯にしましょう?」
「あのさ、由佳(ゆか)姉ちゃん……。あの人は別に、不細工じゃなかったよ?
 なんでいつも、他の男の人の告白を断って、僕に構ってくれるのさ?」
 
 私のかわいい優輝が、そんなとぼけた質問をしてくる。
「なんでって……、別に構わないでしょ? イヤなものはイヤ、なのよ。
 それとも何? 優輝は私に、付き合いたくもない男と、付き合えっての?」
「ううん、そんなことは言わないよ。僕は由佳姉ちゃんが、笑顔ならそれで……」
「にひひ、あんがと優輝。じゃあ、帰りましょう?」
「そうだね。早く帰って、ごはんにしようよ由佳姉ちゃんっ」
 いつものやりとりの後、私たちは帰宅し、いつも通りの生活を続けた。
 
 
 そして、午前0時を過ぎた、真夜中の頃。
 私の1日は、このひとときで終わりを告げる。

 いま私がいる場所は、優輝の寝室――のベッドの上、寝ている優輝のとなり。
 そう、私はいま、優輝に夜這いをかけている最中だ。
 といっても、別に逆レイプをするわけではない。
 そんなことして、もしばれたら、両親に私と優輝との間を引き離される。
 だから、まだ今は、もうちょっとおとなしく――

「ふふっ……、よしっ、今夜もしっかり、起っているみたいね」
 独り言を呟きながら取り出したのは、優輝のホーケーちんぽ。
 コレを私は――口いっぱいに頬張ってあげる。
 
「んむ……、むぐ……、にゅぐ〜〜、んふ〜〜♪」
 口内でちんぽを上下にストロークすると共に、舌でグリグリ本体を捏ね繰り回す。
 口元から唾液を垂らし、口内から唾液と汁の混ざる音を響かせ、淫れ狂う私。
 ああ、優輝のちんぽが、ふるふるって震え出した。そろそろ――
 
「んう、んんんっ、んぐうぅぅぅっ…………!?」
 口内で、舌の上から喉奥にかけて、優輝のせーえきが暴れまわる。
 その感触だけで、私の脳内は蕩け――下着越しにわかるほどに――果てた。
 
「んぐぅ……っぷはぁっ♪ よ、よよよよかった〜♪
 結構なお手前でした。ありがとう優輝、美味しかったし、気持ちよかったよ♪
 今日1日の見たくも触れたくもなかった嫌な記憶が、全部吹っ飛んだからね♪」
 
 そして、私は優輝のちんぽをパンツの中にもう一度しまって、証拠を隠滅した。
 よし、今日はもうこの勢いで布団に入って、さっさと眠っちゃおう。
 これで、今夜もまた夢の中で、優輝に乱暴に抱かれながら、安らかに眠れる。
 
 それが、私の1日の最後を彩る、最高の日課だった。
434あなたが私のデトックス (2/3) ◆6AvI.Mne7c :2009/04/26(日) 04:50:05 ID:pCuQ9bSg
 
 
 事件は、唐突に起きた。
 その日は、優輝が部活の日帰り遠征で、傍にいなかった帰り道。

「帰ってきたら、優輝にどんなごちそうを作ろうかな〜?」
 そんなのんきなことばかり考えていて、ちっとも気づけなかった。
 私の後ろに現れた、やたらガタイのいい大男に、つけられていたことに。
 私自身が、いつの間にか人気のない寂れた公園の前を、歩いていたことに。
 
 
 気がつくと、私はどこかのトイレの中にいた。
 どうやら、時々優輝と一緒に通る、人気のない公園のトイレのようだ。
 あまり掃除が行き届いてないらしく、糞尿特有の臭いが充満している。
 
「はっ! 起きたかこのアバズレ女!
 この俺の顔、見忘れたとは言わせねーぜコラぁ!?」
 突然、前から聞いたことのあるようなないような、うざったい叫び声。
「俺だよ俺、テメーが袖にしてくれた、先輩で金持ちの次男坊さまだよ!
 ったくよぉ……、よくもまあ、俺の好意を無下に――」
 
「誰アンタ…………?」
 本気で忘れた。悪いわねどこかの誰かさん。
 私ってば、本気で優輝のこと以外はどうだっていいから、忘れちゃった。
 
「あっ……がああああぁぁぁぁっ!?
 てめぇ……、この……、もういいっ、もう容赦しねぇ!?
 今ココで、テメェがただのアバズレだってこと、証明してやらぁっ!?」
 うっとうしい男が、何か喚きながら、私の口を無理矢理抉じ開けてきた。
 そして、間髪いれずに、勢いよく何かを突っ込んできた。
 ――って、コレの生臭いモノは、まさか…………!?
 
「はっ! ようやく気がついたかよ?
 そうさ、テメェはこの俺を振ったバツとして、俺らに犯されるんだよ!
 ここには今、テメェにこっぴどく振られた男共が、10人はいるからよぉ。
 万が一にも、逃げることなんざ、考えるんじゃねぇぞ?」
「ふぐ……、むぐご………! ふんごがが…………!?」
 
 抵抗しようとしたが、駄目らしい。両腕が、水道管に繋がれている。
 両隣は壁だし、足のほうは、目の前の馬鹿に踏まれて、うまく動かせない。
 このまま、こんな駄犬どもに犯されて、処女を散らす………?
 このまま、優輝に純潔を捧げられず、汚されてしまうの……?
 
「ははっ、ざまえねぇな!? 高慢ちきなお嬢が、いまや肉便器寸前だ!?
 このまま俺たちが、テメェで荒稼ぎしてやっからよ、歓べブタ女っ!」
 好き勝手に喚く雑菌ども。そんなことより、口の中のモノが苦くて苦しい。

「――そうだな、テメェが大事にする弟とやらも、ついでに売ってやるよ!
 知り合いに、アレくらいのガキが好物のペド野郎がいるんだったよ。
 ソイツに売って、テメェと一緒に並べられるよう、調教して――」
 
 
 ああ、この男が何か喚いているけど、もうホントにどうでもいい。
 私を穢して、おもちゃにするって? もうホントにどうでもいい。
 私の優輝を、おもちゃにするって? もうホントにどうでもいい。
 もうがまんをするひつようなんて、どこにもないしどうでもいい。

 ワタシハ――アゴノアタリニ――セイイッパイノチカラヲコメテ――
435あなたが私のデトックス (3/3) ◆6AvI.Mne7c :2009/04/26(日) 04:51:56 ID:pCuQ9bSg
 
 夕暮れの寂れた公園内のトイレにて。
 私は壊れかけた洗面台の蛇口を全開にし、ひたすら口を漱いでいた。
 
「ああもう、最低最低最低……! 気持ち悪いきもちわるいキモチワルイ……!?」
 何度洗っても、何度洗っても、汚れは取れそうにない。取れた気にならない。
 私は必死になって、口元にこびりついた液体を、水で洗い流す。

「ふん。いくら洗ったところで、不快感だけは、絶対取れやしない!」
 苛立ちのあまり、大声で独り言を呟く私。
 望むなら、数時間前に戻って、さっさと別の道から家に帰りたい。
 そうしたら、こんなとこで、こんなヒドイ目に遭わずに済んだのに。
 そうしたら、家に遅く帰ってくる、優輝と一緒に遊べたはずなのに。
 
 こんなヨゴれた私のこと、優輝は好きになってくれるのかなぁ……?
 私の目下の心配事は、たったそれだけだ。
 今回の件は、油断しすぎた私にも、大きく責任がある。
 これまで後始末も放置して、赴くままに振舞った、因果応報だったんだ。
 
 
「――あ、そうだ。バレなきゃいいんだ。
 優輝にバレなきゃ、私はまだ、清らかな由佳姉ちゃんで居られるんだ。
 それに、今ならまだ、優輝のおかげで、私は生まれ変われるんだ!?」
 
 もう二度と、こんな目に遭わないうちに、私はコトを進めることに決めた。
 今までみたいにチンタラやっていたら、それこそ取り返しがつかなくなる。
 むしろ、今まで理性で本能を我慢していたことが、馬鹿馬鹿しかったんだ。
 そうだ、何も遠慮することなどない。むしろ、遠慮するほうが失礼なんだ。

 今夜こそ、私は――由佳姉ちゃんは、優輝を犯してあげよう。
 そう思い、私は振り向いて――いまだ便器に顔を沈めた、駄犬の姿を眺めた。
 ついでに、そこいらに倒れている、下腹部から血を流した下僕犬どもを一瞥する。
 
 
 あの時、全てが馬鹿馬鹿しくなった瞬間に、私は思いっきり、牙を剥いた。
 喉の苦しみを一切無視した、首から上の全筋肉と全関節を利用した、噛み付き。
 思惑は成功し、目の前にいた駄犬から、汚らしい肉棒をもぎ取ることに成功した。
 そして私は勢いのままに、後ろの水道管ごと、両腕の戒めを引きちぎった。
 
 それから先は、正直ちゃんと覚えていない。
 たしか、駄犬の悲鳴に集まった下僕犬どもを、水道管で全員ぶち殴って――
 ついでにトドメとばかりに、全員の下腹部に、水道管の割れた切っ先を――

 ああそうか。これは別に思い出さなくても、いい記憶だった。
 こんな駄犬や下僕犬の末路なんて、別に興味もないしどうでもいい。
 どうせこの場所は、とことん人通りのない道にしか隣接していない。
 私が放っておけば、発見されるのは2週間くらいは先になるだろう。
 この連中の連絡手段(携帯電話など)は、既に全部ぶち壊したし。


「待っててね、優輝。私があなたを、オトナのオトコにしてあげる♪
 だから、私にこびりついた汚れを全て、あなたの愛で洗い流して♪
 私は一生、あなたを愛するから、あなたも私を愛してちょうだい♪」
 
――軽くスキップしながら、私は足元の肉どもを踏み砕き、その場を後にした。

 
                            ― The nuisance smashes it!? ―
436 ◆6AvI.Mne7c :2009/04/26(日) 04:54:19 ID:pCuQ9bSg
以上、投下終了。

いろいろ痛めの話。誰が一番痛い目を見たか?
チンピラ男のチャラい口調、うまく書けなかったな……
437名無しさん@ピンキー:2009/04/26(日) 08:49:09 ID:lidN99fk
GJ
お姉ちゃん強し!
優輝はお姉ちゃんをいたわってあげるように!!
438名無しさん@ピンキー:2009/04/26(日) 13:54:54 ID:rLGmx2hE
このスレを見る時は

姉=東鳩2のタマ姉
妹=DCの朝倉音夢

に変換してるよw
439名無しさん@ピンキー:2009/04/26(日) 16:48:56 ID:O2DVQHAv
うざっ タヒね
440名無しさん@ピンキー:2009/04/26(日) 16:49:23 ID:O2DVQHAv
臭っうざっ タヒね
441名無しさん@ピンキー:2009/04/26(日) 17:57:33 ID:jUX9p5dp
妹は片瀬雪希か水原明鐘だろ……
442名無しさん@ピンキー:2009/04/26(日) 18:00:06 ID:aoNzrEUw
雪希はキモウトというより淫妹
443名無しさん@ピンキー:2009/04/26(日) 18:24:25 ID:rLGmx2hE
>>440
キモいは良いが臭いは許さんぞ!
444名無しさん@ピンキー:2009/04/26(日) 18:57:26 ID:Aal8Cf9S
雪希は精液飛ばしというキモウトすら考え付かないような荒業をやってのけるからな
445名無しさん@ピンキー:2009/04/26(日) 19:00:36 ID:aoNzrEUw
あのぴゅぴゅっには当時唖然とした記憶
446名無しさん@ピンキー:2009/04/26(日) 19:16:26 ID:rLGmx2hE
お前ら俺のタマ姉や音夢について何が褒め称える事はないのか?
447名無しさん@ピンキー:2009/04/26(日) 21:24:48 ID:O2DVQHAv
自分が作った料理に最初から調味料ぶっかけられる様なもんだぞ。
楽しみ方は人それぞれだがわざわざ書き込む事も無いな。
だがタマ姉は俺のな
448名無しさん@ピンキー:2009/04/26(日) 21:39:55 ID:rLGmx2hE
>>447
そう来たか
終いにゃ泣くぞ
俺が泣いたらかなり面倒臭いぞ
449名無しさん@ピンキー:2009/04/26(日) 21:41:17 ID:aoNzrEUw
緑のたまねえはいらねぇ
450名無しさん@ピンキー:2009/04/27(月) 09:11:13 ID:agCU6B8j
>>441
自ルートと相手がそんなのキモウトじゃなくても身内なら怒るわって行動した百合佳ルート以外
真人間になっちゃってる明鐘はキモウトといえるのだろうか
実妹ヒロインとしては大好きだけど

>>446
音夢だけはなぜか好きになれない
手紙捨てでさくらへの同情が上回る俺はキモウトの兄失格

まあ、それだけ音夢の執念凄いってことで
執念言い出したら2のさくらも逝ってるけど
451名無しさん@ピンキー:2009/04/27(月) 12:22:33 ID:2O7ZostT
葱板行こうぜ
452名無しさん@ピンキー:2009/04/27(月) 12:33:28 ID:GaKzp86g
曲芸はそもそも好きじゃない
453名無しさん@ピンキー:2009/04/27(月) 12:46:35 ID:ZVAurGRx
ギャルゲやエロゲはそんなに詳しくないけれど、ただひとつだけ、わかっていることがある。
キモ姉妹を語る以上の版権キャラ大好き宣言なんざ、考えるまでもなくスレ違いだと。

そんな暇があるのなら、なんか話のタネでも考えてたほうが、有意義だっつーの。
454名無しさん@ピンキー:2009/04/27(月) 16:44:18 ID:CpFJuUqP
守護霊が前世の姉と言われた件
455名無しさん@ピンキー:2009/04/27(月) 17:02:10 ID:t2lojLr8
>>454
お前が未だに童貞な理由が分かって良かったじゃないか
456名無しさん@ピンキー:2009/04/27(月) 19:39:47 ID:CvKKW9vR
まさか、俺にも…
457名無しさん@ピンキー:2009/04/27(月) 19:42:27 ID:fWZA7lJG
前世
俺:姉
妹:弟
だったよw
458名無しさん@ピンキー:2009/04/27(月) 19:51:24 ID:bXRVjUpv
>>454
守護霊が前世の姉だぁ?姉なんかどうでもいいんだよ

…おや?急に寒気が_
459名無しさん@ピンキー:2009/04/27(月) 20:42:22 ID:j/cy8ddl
女を遠ざける守護霊って迷惑な話だよなあ
八雲立つの主人公みたいだ
460名無しさん@ピンキー:2009/04/27(月) 21:31:42 ID:rJPChFyh
せめてGWは姉から逃れられますように…
461名無しさん@ピンキー:2009/04/27(月) 21:52:36 ID:om6p8gvI
>>460
と、願うも逆に一日中一緒に居るハメに
いや、GW期間中だから一日どころか……
462名無しさん@ピンキー:2009/04/27(月) 23:29:29 ID:4gUb7pvQ
転生恋生の続きまだかなー
463名無しさん@ピンキー:2009/04/28(火) 01:08:29 ID:0xCsvOby
前世の姉VS現世の姉

勝敗は如何に…!
464名無しさん@ピンキー:2009/04/28(火) 01:31:11 ID:z2KrWoPa
>>461
GW中は一日中ハメられるんですねわかります
465名無しさん@ピンキー:2009/04/28(火) 12:48:06 ID:PaU6cfGj
>>459
オレはキモ姉目当てで八雲集めたぜ。
466名無しさん@ピンキー:2009/04/28(火) 14:14:09 ID:l9rZntDh
そうか
467名無しさん@ピンキー:2009/04/28(火) 19:58:55 ID:2Nk02XCe
俺には生き別れの妹がいるような気がしていたが、別にそんなことはなかったぜ!
468名無しさん@ピンキー:2009/04/28(火) 20:04:48 ID:1fLKQHsl
>>467
なるほど、別れていないのか。え?だって君の背中に貼り付いてる
ものすごく怖い目をした女の子…
469名無しさん@ピンキー:2009/04/28(火) 20:19:49 ID:DkvRmoCt
>>467お兄ちゃん
>>467兄ちゃま
>>467兄さん
>>467アニキ
>>467兄君
>>467おにいさま
>>467あにぃ
>>467ゴキブリ兄君様
>>467チンカスあにや
>>467ほーけー死んじゃえ♪
>>467兄者! もう辛抱たまらんわい!!
470名無しさん@ピンキー:2009/04/28(火) 21:57:48 ID:1awGVfNl
おめでとう>>467
471名無しさん@ピンキー:2009/04/28(火) 23:06:43 ID:AM9OSf4b
俺には生き別れの姉がいるような気がしていたが、別にそんなことはなかったぜ!
472名無しさん@ピンキー:2009/04/29(水) 00:21:13 ID:1+Q2nYVh
>>471
それが現実だドンマイ(´・ω・)ノ
473名無しさん@ピンキー:2009/04/29(水) 00:24:57 ID:IiQ06rhw
最近朝起きたらパンツとズボンが脱げてることがあるから、キモウトに襲われたと脳内変換してる
474名無しさん@ピンキー:2009/04/29(水) 00:49:32 ID:jNMys6dG
俺も最近アサダチしなくなったが、歳のせいではなくキモ姉妹に吸われたんだと脳内変換してる
475名無しさん@ピンキー:2009/04/29(水) 04:52:09 ID:euQItqFu
臭い
476名無しさん@ピンキー:2009/04/29(水) 06:39:46 ID:A1q3OnT7
風呂入れば?
477名無しさん@ピンキー:2009/04/30(木) 04:15:03 ID:PDDS4XID
風呂はいってたら妹が乱入してきた。
で、アナルプレイを強要したらガチで怒られた。

という夢をさっきまで見た。
俺はアホなのかね。
478名無しさん@ピンキー:2009/04/30(木) 06:42:44 ID:wBOQqzWK
それが住民
479 ◆6AvI.Mne7c :2009/04/30(木) 08:40:38 ID:07W500MU
複数の大手プロバの全規制のせいか、それともGW休暇のせいか――
なんだか、書き手の人間が、とても少ないように感じる。

ごりごり書いていた作品が一通り仕上がったので、投下します。
タイトルは「かまわれたがりのしゃぼんだま」。姉弟もの。
鬱展開かつ弟もかなりキモめなので、苦手な人は注意。

次レスより投下。11レスほど借ります。
 
「ねえ、あっちゃん。私がんばって、あなたに朝ご飯を作ったの。
 あなたの大好きな、目玉焼きと味噌汁だよ。ねえ、褒めて?」
 
 目を覚ますと同時に、姉さんからのお決まりの一言。
 正直最初は戸惑いもしたが、いまや朝の風物詩となったやりとり。
 だから、僕の次に取る行動は、ただひとつ。
 
「ありがとう、姉さん。毎朝僕のために、早起きしてくれて」
 そう言いながら、近づいて来た姉さんの頭を、軽く撫でてあげる。
 それを受けて、とても朗らかな笑顔で、身を捩る姉さん。
「うん……、ありがとうあっちゃん。
 あっちゃんが私を見てくれるから、私は頑張れるんだよ♪」
 
 そう言いながら、姉さんは僕に張り付いてくる。
 正面から抱きつかれているから、胸がぁ……、唇がぁ……。
「ね、ねねね姉さん、お願いだから……、その、離れて……」
 しどろもどろになりながら、最後は小声になって、姉さんを引き離す。
 
 そんな僕に対して、姉さんはとんでもないことを言い出した。
「あ、そのゴメンね。私また調子に乗って、あっちゃんを困らせたね。
 駄目だよね。朝だからアレかも知れないあっちゃんに、抱きついて。
 ごめんなさい。私はやっぱり、悪い子だったんだよね、あっちゃん。 
 こんな悪いお姉ちゃんを、思いっきり叩いて叱ってね、あっちゃん」
 
 そう言いながら、またも自分の頭を差し出して来た姉さん。
 僕はそんな姉さんの態度に呆れながら、左手で握りこぶしを作る。
 そしてそれを――姉さんのつむじあたりに、軽くコツンと当てる。

「ほら、姉さん。もうあんまり、僕に抱きついちゃダメだよ?
 よし、おしかりオシマイ。じゃあ姉さん、朝ご飯にしよう?」
 僕の言葉に、さっき頭を撫でた時と同様に、朗らかに微笑む姉さん。
 僕はそんな姉さんの手を引いて、一緒に台所へ向かった。
 
 
 僕の家族――もとい、姉弟を紹介しようと思う。
 正直、父さんや母さんについては、僕も姉さんも興味がないから。
 
 僕の名前は唄方沫雪(うたかたあわゆき)。
 近隣の高校に通う、今年2年目の学生だ。
 姉さんには、「あっちゃん」と呼ばれて可愛がられている。
 学業は――まあまあ平均、といったところだ。
 
 そして僕の隣にいるのは、僕の姉である泡姫(ほうき)姉さん。
 いろいろあって大学を中退した、今年で20歳のニートさんだ。
 僕のことを「あっちゃん」と呼んで、ひたすらくっついてくるブラコン。
 学業は――結構良かったんだけど、それがいけなかったようだ。
 
 姉さんは、僕とは違いかなり要領よく、学業でもトップの立場にいた。
 そんな姉さんに、父さんと母さんは期待と羨望と嫉妬の眼差しを向けていた。
 その結果、姉さんの人生を勝手に縛り、挙句の果てに、姉さんは将来を閉ざされた。
 
 確かに姉さんは、その辺の連中に比べ、出来はよかった。
 でも、本来は年相応の夢をみるような、普通の少女だったのだ。
 確か数年前に「私は誰かと一緒に、小さな定食屋とかをやってみたい」と言ってたっけ。
 姉さんは料理が好きだったから、そんなささやかな夢を見ていたんだと思う。
 
 なのに、何を勘違いしたのか、父さんと母さんは姉さんに、えげつない進路を強要した。
 ありえないことに、姉さん本来の学力の2つ上くらいの大学に、無理矢理進ませたのだ。
 
 当然、姉さんは父さんと母さんに反発した。
 自分がやりたいことは、こんなことじゃあない、と。
 しかし両親はその言葉に耳を貸さず、姉さんをその大学に進学させた。
 
 
 その結末は、よくありふれた悲劇でしかなかった。
 やる気のない人間に、それ以上の難度の学問など、苦痛でしかない。
 結局、姉さんは大学に行くのを拒否し、家に引きこもるようになり――
 最終的に、その大学自体を「自首退学」という形で否定した。
 
 当然、父さんと母さんはこの結果に、大いに憤った。
 高校中退のくせに学歴主義という、面倒な人間達の勝手な怒り。
 姉さんは、毎朝毎晩蛇蝎の如く攻めたてられ、日に日に傷つき窶れていった。
 正直なところ、あの頃の姉さんは、見ていられるような状態じゃあなかった。
 
 そのうち、父さんも母さんも、何かを放棄するように、姉さんを無視し始めた。
 あとに残されたのは、言われなき誹謗中傷に、ボロボロに蹂躙された姉さん1人。
 だから、僕は必死になって、姉さんを慰め、助け、構うことにした。
 最初から僕は、父さんと母さんには、目をかけられていなかったからだ。
 
 とにかく、僕の努力の甲斐あってか、姉さんは無事に持ち直した。
 一時は放っておくと、自殺しそうなほどに壊れかけていた。
 それでも、僕の言葉に喜怒哀楽を見せ、声を出して、手を触れてくれるようになった。
 僕はその事実だけで、自分がこの場にいることができてよかったと、本気で思った。
 
 
 ただし、ここで困ったことが起きてしまった。
 もともと姉さんは、僕のことを可愛がり過ぎるきらいのある、弱ブラコンの姉だった。
 それが、たった半年の地獄と救済により、悪い方向へ化学変化を起こしたらしい。
 そう、僕のためにばかり動いて構いたがる、排他的な女性になってしまったのだ。
 
 まあ、わかりやすく言ってしまえば、「完全陶酔型の超ブラコン」というところか。
 
「――やっぱり、こんなことじゃあ、ダメなのかなぁ…………」
「へ? なぁにどうしたの、あっちゃん?
 あ、その……、もしかして、今日の朝ご飯、美味しくな――」
「ああ、いやいや違うよ! 考えコトをしてただけなんだよ。
 今日の授業である発表に備えて、いろいろ準備があるからさ」
 
 何気なく呟いた言葉が、偶然姉さんの耳に入ってしまったらしい。
 その中の「ダメ」という言葉に反応して、姉さんがネガティブに走りだした。
 この状態を放っておくと、姉さんはまた、昔の状態に戻り始めるのだ。
 だから、僕は必死で、姉さんの恐れるものを否定してあげる。
 
「あ、なんだ。そうだったんだねあっちゃん。
 大丈夫、あっちゃんがやってるくらいの勉強なら、私が手伝ってあげる」
 姉さんなりの、僕への構い方のひとつ。
 確かに、昔から要領よかった姉さんなら、僕の学習内容にはついてこられる。
 けれど、さすがに存在しない課題に対し、助言を貰うわけにはいかない。
 
「大丈夫だよ。僕がなんとかできるレベルだから、姉さんは心配しないで。
 ――あ、でもね姉さん、そう言ってくれて、嬉しかったんだ。ありがと」
 そう言いながら、姉さんの頭をまた撫でてあげる。
 僕の前半の発言で、姉さんの表情がわずかに曇ったのが、見えたからだ。
 
「えへへ、ありがとあっちゃん。頭撫でられると、すっごく嬉しい。
 だから、あっちゃんの頭も、私が優しく撫でてあげる」
 そう言いながら、朝食そっちのけで、僕の頭を撫でてくる姉さん。
 やっぱり、いつでも姉さんの手は柔らかくて優しくて、暖かい。
 
 
 僕は昔から、父さんや母さんに頭を撫でられた記憶がない。
 学生で出来婚→退学→中卒就職のコンボを決めた両親は、正直毎日が多忙だ。
 今朝だって、2人して朝の6時から、職場に出向いている。
 それ自体は自業自得だろうが、その被害――苦労を被るのは、子供達なのだ。

 だから姉さんは、父さんや母さんに褒められるように、ひたすら要領よく成長した。
 その結果、出来が良く見られるようになり、最後に崩壊したのは、悲しすぎるけど。
 対して僕は、生まれた時から姉さんの優しさに触れて育っていった。
 おかげで要領はあまり良くなかったが、あの両親に干渉されずに済んだ。
 その結果、僕はなんとか狂わされずに済み、姉さんを救い出すことができた。
 
 
「あのぅ、姉さん……。そろそろ僕、学校に行かないと……」
 なでなでされながら、僕は時計を見て、姉さんに懇願する。
「ごめんね、もう少しだけ、あっちゃんの頭に、触らせて……」
 消え入りそうな声に、結局姉さんの行為を許す僕。
 あはは、今学期何度目かの遅刻、確定しちゃったかなぁ…………。
 
「ふぅん。それでまた、遅刻したというわけか。
 オマエも大概、ややこしい生活、やってんだなぁ〜」
「まぁ、僕が好きでやってるから、別に構わないけどね」
 
 学校での昼休み。僕は友人の絹裡角(きぬうちすみ)と、昼食を囲む。
 これも毎日の風物詩。僕が学校に通う、日常の風景。
 姉さんも、昔はこんな風に、青春を謳歌してたんだろうなぁ。
 ちなみに、僕の昼食は当然の如く、姉さん手作りのお弁当(激ウマ)だ。
 
「しかし、それにしてもオマエの弁当は、毎度美味しそうだよな。
 俺のコッペパンを半分やるから、おかずのから揚げを、少しだけくれ」
「ダメ、絶対。姉さんは何故か、僕がおかずを食べてないと、気づくんだ。
 そんで、そのことについて何度も理由を尋ねてくる。だから、禁止する」
 
 そう、姉さんは僕がおかずに口をつけていないことがあると、それを察知する。
 その後は、またいつもの詰問&自虐モードに入るのだ。
 一番辛かったのは「美味しくなかったんだね?」って、一晩中囁かれたことだ。
 あの時はひたすら謝り倒して、1週間くらい同じおかずを食べさせられたっけ。
 
 
「……前から思ってたけど、オマエの姉さん、ホントに凄いよな〜。
 どうなんだ? そろそろ社会復帰というか、バイトくらいさせてあげたら?
 一応、俺のほうにもいろいろ、働き口のつてはあるんだが、どうだろうか?」
「魅力的な提案なんだけど、それは丁重にお断りさせてもらうよ。
 姉さんは、いまだに僕のためにしか――あれ? 教室の入り口にいるのは――」
 
 真面目な話をしていたが、つい僕は気づいたことを口にしていた。
 姉さんのおかげで、周囲の微細な変化には、結構敏くなっているみたいだ。
「あ――しまった。すまねえ泡雪、今日は俺、もう行くわ。
 これ以上ボケっとしてると、アイツにどやされちまうから、さ……」
「ああ、そうなのか。それなら仕方ないか。じゃあ、また放課後に一緒に帰ろう。
 というか、もうちょっと円(まどか)ちゃんを、大事にしてやんなよ?」
「うっせ。わかってるよそんなこたぁ……」
 そう言って、角は教室に来ていた円ちゃん――彼の妹と共に、どこかへ行ってしまった。
 
 
「さあて、僕はさっさと、姉さん特製の弁当を――」
「ねえ、沫雪くん。お話があるから、着いて来てよ」
 
 なんというか、今日の僕は、ゆっくり昼飯も食えないらしい。
 
「面倒だから、ココで話してくれよ、水包(みつつみ)さん。
 でも僕は貴女の言葉には、応えるつもりはないから、そのつもりでね」
 まず真っ先に、僕は声をかけてきた女の子に、牽制をかける。
 
 彼女は水包さんといって、僕のクラスメートだ。
 ただ何をどう間違えたのか、僕に惚れたらしく、先月告白された。
 けれど僕は、そんな彼女の気持ちに応える気なんて、毛頭ない。
 僕には彼女を愛するつもりはないから、いつも断っている。
 僕は今は誰かを見る気はない。姉さんの面倒を、ずっと見ていたい。
 ……こう考えると、僕も姉さんに負けず、シスコンであるようだ。
 
「そんなこと言わないでよ、沫雪くん。私達はクラスメートでしょう?
 それに、いま沫雪くんには、特定の恋人はいないって聞いたよ?
 なのに、なんで私の一世一代の告白を、断ったりするの?」
 いつもこれだ。正直なところ、邪険にもできないから困っている。
 別に僕は女の子を泣かせる趣味もないのに、影で「女泣かせ」などと言われている。
 
「何でって言われても、僕は恋人を作るつもりはないんだよ。
 別にホモとかロリコンではないけれど、あと数年は、そのつもりだから――」
「知ってるよ。沫雪くんは、お姉さんのことばかり、みてるんでしょう?」
 突然そんなことを言われて、僕は硬直せざるをえなかった。
 なんでだ? 僕は姉さんのことなんて、学校では角のヤツにしか話していない。
 そしてアイツは、こういうことを言いふらす人間じゃあないはずだというのに!
 
「知ってるよ。だって私、あなたのことはいつだって、みているんだもの。
 あなたが絹裡くんと喋っている内容だって、ちゃんと聞いてるもの。
 ねえ、お姉さんばっかり見てないで、私みたいな普通の女の子をみてよ?」
 とんでもない話だ。こっそり立ち聞きされていたということか。
 それよりも、僕は水包さんの言い方に、妙に腹が立ってしまった。
 
「ねえ、なんでお姉さんだけ見て、他の女の子を見ないの?
 おかしいよ、姉弟同士で仲良くしているだけなんて、絶対おかしいよ?
 そんな働きもせずに、あなたに構われたがるだけの女なんか、ほっとけばいi」
「水包さん、姉さんの悪口なら、そこまでにしてくれないか?
 僕の悪口までなら構わない。けれど姉さんを悪く言うな。
 ――正直に言うよ、僕はあなたが大っ嫌いだ。顔も見たくない。
 だから、もう僕の目の前に来て、話しかけないでくれ!」
 
 つい頭に血が上って、ヒドイことを言い返しすぎた。
 これまで姉さんを含めた女性に対して、ここまでキツイ言い方はしたことがない。
 どうやら、僕は姉さんのことが、よっぽど大切らしい。
 
「…………っ!? ご、ごめんなさ……い……!」
 泣いて謝りながら、教室の外に走っていく水包さん。
 僕に追いかけるつもりはない。そんな資格はないだろうから。
「…………」
 気がつくと、教室内の全員の目が、こちらに向いている。
 まずいな、今の口喧嘩も、僕の姉さんのことも、全部聞かれてしまったのか……。
 
「もう、来週からはどうやっても、普通に学生なんてできないかも……」
 そう1人ごちて、僕は全てから逃避するように、机に突っ伏した。
 
 結局昼休みから放課後まで、角も水包さんも、1度も戻ってこなかった。
 というか、姉さん手作りの弁当を食べるのを、5時間目開始まで忘れていた。
 そんな訳で、残りの弁当を1人公園で食べきって、帰宅する。
 しかし、いつもなら姉さんが迎えに出てくるはずの玄関に、誰もいなかった。
 
「姉さん……? 今日は出かけているの?
 買い物なら、僕と一緒に行くって、一昨日から約束して……」
 そういうと同時に、立っていた横手の扉が開いて、急に姉さんが飛び出してきた。
 しかし、姉さんは僕の姿を一瞥することもなく、僕の部屋に駆け込んでいった。
 一瞬、たった一瞬の出来事。だけど僕は気づいてしまった。
 姉さんの顔が、まるで泣きはらしたかのように、真っ赤になっていることに。
 
 
「――沫雪か。オマエに話がある。さっさと中に入って来い」
 突然、姉さんが出てきた部屋から、僕を呼ぶ声が聞こえてきた。
 中を見ると、なぜかこの時間に、父さんと母さんが座っていた。
「沫雪、早くしなさい。あなたにも関係のある話だから、さっさと来なさい。
 出来が悪いならともかく、耳まで悪くなったなんて、恥ずかしいんだからやめてよね」
 
 母さんの、耳に障るイヤミ。いつ聞いたって、冷静ではいられない。
 この人は、他人を小馬鹿にすることで、自分を保っている節がある。
 正直、こんな人間が自分の親であることなんて、とてもじゃないが信じたくない。
 
「で、話ってなんだよ、父さ――」
「父親に向かって、そういう軽い口の聞き方をするな。
 ――まあ、そんなことはどうでもいい。これから大事な話がある」
 いいから、さっさと座るんだこの馬鹿息子」
 
 父さんは、体育会系出身らしく、自分の目下の人間に対する態度を崩さない。
 はっきり言って、この人を父親だと呼びたくなったことなんて、1度もない。
 だけど、呼ばないと怒鳴り散らすか殴られるかなので、仕方なく父さんと呼んでいるだけだ。
 
「これからする話は、オマエと泡姫の今後のことだ。1度でさっさと覚えるようにな」
 
 
「ふっ……っざけんなぁっ!? アンタら、それを本気で言っているのか!?」
 2人の話を聞いて、真っ先に僕は激昂した。仮にも自分の両親に向かって。
 話の内容は、正直この2人の正気を疑うような内容だった。
 
「何度言われようと、何を言われようと、これは決定事項だ。
 オマエの高校の学費を出すために、あの馬鹿娘を追い出す。ただそれだけだ」
「正直、あの娘には失望してるのよ。タダ飯食らいの上に、家に引きこもり。
 大体にして、あの娘がいるから、ウチの家計は火の車もいいところなの。
 オマケに、あの馬鹿はあなたに構われたがって、迷惑ばかりかけてるじゃない?
 だから、さっさと厄介払いして、あなたにはまともに、高校を出て欲しいのよ」
 
 実の両親から、子を子とも思わないような、酷すぎる発言が連続で放たれる。
 ふざけるな、アンタらが姉さんを、あそこまで貶めたんだろうが!
 アンタらの無謀さが、これまで僕らを、苦しめてきたんだろうが!
 
「なにか文句があるようだが、受け付ける気などないからな。
 それともオマエが、高校を退学して、学費分の出費を抑えるのか?
 ……無理だろうな、以上だ。さっさと、この部屋から出て行け!」
 
 結局、僕はこの両親に殴りかかることもできず、部屋を後にしてしまった。
 
 1時間後、僕は姉さんの部屋のベッドに、腰掛けていた。
 僕の部屋には、今姉さんが入っている。
 僕も自分の部屋に入って、姉さんを慰めるべきなんだと思う。
 けれど、今の僕にはそんな資格さえないだろうから、何もできないでいる。
 
「なんで、あの時父さんを、殴れなかったんだよ……。
 なんで、姉さんを守ろうと、出来なかったんだよ……!」
 そう、僕は何も出来ずに、すごすごと引き下がってしまった。
 父さんから、「オマエが高校を辞めるか?」と問われて、手を出せなかった。
 そう、僕は必ず、高校だけは卒業しようと思っている。
 正直、父さんや母さんみたいなことになりたくないから、ずっと必死でやってきている。
 けれど、だからって、姉さんを庇うことに、躊躇するだなんて…………!?
 
 そんなことを、正面のアクアリウムを眺めたまま、ずっと考え続けていた。
 このアクアリウムは、姉さんを立ち直らせるために、僕が一緒に造ったものだ。
 姉さんが立ち直った後も、こうして常に綺麗なままに保つため、姉さんは頑張っている。
 
 そのアクアリウム内で噴出す泡に、僕は姉さんの姿を重ね合わせる。
 空気循環器から出る泡は、最初は小さく、水面に上昇するまでに、徐々に大きくなる。
 大きくなるのは、他の小さな泡とぶつかり合体して、膨らんでいくからだ。
 けれど残念ながら、水面に浮き上がる直前で、泡は自壊するように弾けてしまう。
 膨らんだ分、壊れやすく脆くなり、水面や水自体に、耐えられなくなるからだ。
「姉さんも、こんな風に期待されて膨らんで、自分を保てなくなったのかな……」
 落ち込みながらも、僕はそんなことを思考している。
 
 そう言えば、姉さんは小さい頃、シャボン玉とかが好きだったな。
 あの時も、姉さんは僕の吹くシャボン玉に、自分のシャボン玉をよくぶつけてきた。
「わたしのしゃぼんだまと、あっちゃんのしゃぼんだまがかさなって、おおきくなるの。
 わたしたちのこころがつながって、おおきくなってあんしんして、うれしいんだよ」
 舌足らずな姉さんの言葉に、なぜか気恥ずかしくなって、ムキになった記憶がある。
 あの時の姉さんの笑顔に、僕はとっくに、心奪われていたんだよなぁ……。
 
 
 そんなことばかり考えているうちに、僕の心の中のモヤモヤが、だいぶ落ち着いてきた。
 とりあえず、目元にこびりついた涙を拭って、顔を洗ってこよう。
 そしたら、まずはあの両親のことよりも、先に姉さんを慰めに行くんだ。
 とりあえず、姉さんが泣いてしまうのは、もう避けなきゃならない。
 
 そう自分の中で結論付けて、姉さんのベッドから立ち上がろうとすると――
「…………あ、あっちゃんだ。ここで待っててくれたんだね?」
 まだ涙のあとが消えてない姉さんと、鉢合わせすることになった。
 
 2人きり。姉さんの部屋のベッドの上で、姉さんと2人きり。
 どうしよう、正直なところ、何かを言い出せないくらい、気まずい。
 姉さんも、そんな僕の態度に敏感に気づいたのか、何もしてこない。
 いつもなら、姉さんのほうから構ってくるけど、僕から何をすればいいのかわからない。
 
「ああ、姉さん、その……、すぐに追いかけなくてゴメン。
 あの後、父さんと母さんから話を聞かされてさ。
 それで、どうしようもなくて、姉さんに会いに行けなくて……」
 最初に勇気を出しての発言が、いきなり言い訳というのは、姉さんに悪すぎるだろうに。
 しかし姉さんは、そんな僕の発言に、少し頬を緩めて、クスクス笑ってくれた。
 
「ううん、いいの。あっちゃんは、私に自分が泣いてるのを、見せたくなかったんでしょう?
 まずは自分が落ち着いて、それから私を慰めに、私のトコに来るつもりだったんでしょう?
 仕方ないんだよ、それでもあの2人は親なんだから。あっちゃんが殴れなくってもね」
 
 なんというか、心の中が全部見透かされているような気がして、少し怖くも恥ずかしい。
 やっぱりこの人は、僕の姉さんだ。僕が強がっても、この人には敵わないみたいだ。
 だから僕は、姉さんに向かって、ちょっと苦手だけど笑顔を返してみせた。
 
「だから、謝るのは私のほうなの。ゴメンねあっちゃん、ツライ思いさせて。
 私が、もっと私が頑張っていれば、こんなことにはならなかったのに、ね……」
 けれど姉さんは、僕の笑顔に反応することなく、突然謝罪を始めた。
 まずい、姉さんの思考が、徐々にネガティブに移行していくのがわかる。
 
「姉さん、違うよ。姉さんは全然悪くない!
 僕も何も出来なかったけど、悪いのは間違いなく、あの両親2人で――」
「ううん、私が悪いの! 私が、あの時抵抗したから……!
 あの時、父さんに犯されるのを、必死で抵抗したから…………!?」
 
 
 姉さんの言葉を聞いた瞬間、僕は一瞬、理解ができなかった。
 そして数秒後、思考が回復した僕は、瞬間で激昂することになる。
「な……、なんなんだよソレは!?
 そんなこと……、なんでそんなことが…………!?
 ふざけるな……、ふざけんなよあの馬鹿親父が…………!!」
 
 飛び出しそうになった瞬間、姉さんの両腕が、僕の身体を包み込む。
「待って、大丈夫だから。私は本当に、無事だったから……。
 ちゃんと抵抗して、身体はキレイなままだから、大丈夫なの……」
 けれど僕の激昂を、姉さんが両手で抱え込んで、落ち着かせてくれる。
 まだ怒りは収まらないけど、とりあえず無謀に部屋を飛び出す気はなくなった。
 
「けれど、どういうことなんだよ姉さん。
 アイツは今日帰ってきてから、急にそんなことを…………?」
「ううん、違うの。本当は、一昨日の夜中くらいに、襲われたの。
 なんだか酔っ払って帰ってきて、急に私の部屋に入ってきて――」
 そんな話をしながら、震え出す姉さん。まだ恐怖が残っているんだろう。
 そんな姉さんを優しく抱きしめて、今度は僕が、姉さんを宥める。
 
「突然『極潰しなら、このくらい役に立て』とか言いながら、私を押し倒して――
 口に詰め物を無理矢理押し込まれて、パジャマも下着もビリビリに破られて――
 でも、私はそんなのイヤだから、必死で抵抗したの。蹴って蹴って、押し返したの……」
「わかったよ、もういいよ姉さん、よく喋ってくれたね?
 姉さんが無事なら、よかった。ツライ思いをしたんだね?」
 
 そう慰めながら、僕は姉さんの頭を、いつも通りに撫でてあげる。
 姉さんは震えながらも、いつもみたく頬を緩め、身を捩って反応を返してくれた。
 
「でも、多分そのせいだと思うんだけど、今日あんなことを言われちゃったの。
 ゴメンね、私がもう少し頑張れていれば――耐えていればよかったんだよね。
 そうして私が我慢したら、あっちゃんにもこんな思い、させなかったのにね」
 最後まで、僕に謝ってくる姉さん。
 そこまで謝られると、逆に僕自身が不甲斐なくなってくる。
 
「ねえあっちゃん、やっぱり私、この家から出て行くよ。
 あっちゃんと離れたくないから、今まであの2人に何をされても、我慢できた。
 でも、あっちゃんがこれから、暮らしていけなくなるなら、私ココを離れるよ」
 そう言って、僕から身体を離そうとする姉さん。
「待ってくれよ姉さん。僕だって、姉さんと離れたくないよ」
 そんな姉さんを、必死で抱きとめて、離すまいとする僕。
  
「だから、僕がなんとかする。僕は姉さんと一緒にいたい。
 なんとかして生活費を工面して、僕と一緒に暮らすんだ!」
 もう自分が何を言っているのかわからないけれど、心の底から叫んでいた。
「ありがとう、あっちゃん。私はあっちゃんを、愛しています」
 姉さんも、そんな僕の気持ちに、まっすぐに答えてくれていた。
 
「でも大丈夫よ。あの人たちは、私をただ放り出すのは嫌がっているから。
 あの人たちにも世間体があるみたい。アパートだけは、確保するらしいの」
 そうなのか? じゃあ、姉さんはそれでも、なんとか路頭に迷わないのか?
「だったら、僕も毎日、姉さんのところに通って――」
 けれど、姉さんは僕の目の前に手をかざして、僕を拒絶しようとする。
 
  
「その時は私、もうあっちゃんの前に顔を出す資格、ないんだよ。
 多分そのアパートで、カラダを売るもの。客を取らされるもの。
 母さんが、そんなことを言ってた。父さんも、それに頷いてた。
 その稼ぎから、私の生活費と足りない収入を、工面するんだって――」
 
 もう、姉さんの言葉を最後まで聞く気にはなれなかった。
 僕は、ほとんど無意識のままに、姉さんに強く抱きついて――
 そのスキだらけの唇に、深い口付けを落とした。
 
 
「……ん、あっちゃん、ここまでしてくれて、本当にありがとう……。
 ……ねえ、もっとやってほしいの。もっと、あっちゃんをちょうだい?
 ……乱暴されないように頑張った私に、もっとごほうびをちょうだい?」
  
 ベッドの上に倒れこみながら、両腕を僕の身体に絡ませてくる姉さん。
 着ている服をわざわざ着崩して、艶っぽく僕に囁きかけてくる姉さん。
 
 そんな姉さんに対して、僕は、抗うことなんかできずに――
 
 目が覚めたのは、そろそろ朝日が昇ろうかという時間だった。
 隣を見ると、一緒に眠ったはずの姉さんの姿がなかった。
 まさかあの両親に遠くへ連れて行かれたのかと思ったけど、違うようだ。
 まだ姉さんの荷物が残っている以上、さすがにそれはないはずだ。
 
 結局僕は、姉さんと身体を重ねてしまった。
 今にして思えば、ずっと姉さんは、こうなりたがっていたんだと思う。
 多分ずっと僕も、姉さんとこうして、一緒になりたかったんだと思う。
「やっぱり僕は、姉さんと離れたくなんか……ないんだよなぁ………」 

 僕はもう止まれない。子供の戯言と笑われても構わない。
 僕はこれから、姉さんを守る。姉さんと引き離されるものか。
 姉さんと最期まで共に居られるように、手段は選んだりなんかしない!
 
 そう決意する――その瞬間、僕は気づいてしまった。
 姉さんが大事にしていたアクアリウム内の、空気循環器が停止していることに。
 そろそろ出勤するはずの父さんと母さんの足音が、まったく聞こえないことに。
 
 
「あっちゃん、ただいま。私帰ってきたよ……」
 姉さんの声に僕は振り向き――姉さんの右手にあるモノを見て、言葉を失った。
 
「あのね、あっちゃん。私とってもとっても、がんばってきたんだよ?
 私とあっちゃんを引き離そうとした父さんと母さん、殺してきたよ?
 それと前に話してくれた、あっちゃんにちょっかい出してた雌猫――
 えっと確か、水包さんとかだっけ? あれもちゃんと殺してきたよ?」 
 
 姉さんがいつものように、頑張ったことを報告してくる。
 刃先にべったりと赤色の付着した、料理用包丁を携えて。
 自分の身体には1滴さえも、赤色を付着させないままで。
 
「そうだったんだよね。最初っから、こうすればよかったんだ。
 私とあっちゃんの邪魔をするヤツラなんて、皆刺しちゃえばよかったんだ。
 そうしたら、あっちゃんはどこにもいかない。私もどこにもいかないで済む。
 なんて、簡単だったんだろ……、なんて、いい考えだったんだろ!?」
 
 姉さんの言っていることが、瞬時には理解できない。
 ただ、姉さんは純粋な瞳で、微笑みで、自分の行為を説明している。
 そうすることで、またいつものように、僕に構われると信じながら。
 
「私たちにちょっかいを出す連中は殲滅したよ。あっちゃん、褒めてくれない?
 あ、でも殺しちゃったのはダメかな? じゃああっちゃん、叱ってくれない?
 ねえ、あっちゃん。褒めて撫でて叱って叩いて褒めて撫でて叱って叩いて……」

 姉さんの言葉が理解できた頃には、僕の心には絶望しかなかった。
 姉さんはもう、僕の手に届かないところに、行ってしまっていた。
 もう僕には、姉さんを守ることが、できなくなってしまっていた。
 一度壊されて、なんとか再起した姉さんが、また壊れてしまった。
 だから僕が、姉さんに対して、できることはもう、ひとつだけだ。
 
 
 僕は、近づいた姉さんから包丁を奪い取り――
 
 姉さんの臍のあたりを、その刃先で、深く薙いだ。

 そしてそのまま返す刃で、自分の胴も深く薙いだ。
 
「あ、あっちゃん………、どうしたの………、なんで………?」
 かすれ気味の言葉とともに、崩れ落ちそうになる姉さん。
「ごめん、ごめんなさい、姉さん…………」
 僕も崩れ落ちそうになり――姉さんの身体にもたれかかって、留まった。
 今僕たちは、互いの身体にもたれあって、なんとか立ち止まっている状態だ。
 
「姉さん、泡姫……姉さん、ごめんなさい姉さん。
 姉さんは頑張ったんだけど、それはやっちゃいけないんだ。
 そんなことしたら、今度こそ僕らは、一緒に居られなくなる。
 だから、僕は姉さんを……。本当に、ごめんなさい姉さん……」
 腹部の痛みに耐えながら、なんとか姉さんと僕の傷口をぴったりと合わせる。
 最期の瞬間まで、姉さんと1秒でも長く、会話を続けるために。
 
「そっかぁ……、私やっぱり、悪いことしちゃったんだね………?
 だから、あっちゃんはわざわざ、こうやって叱ってくれたんだよね?」
 僕に殺される直前でも、いつものように僕を信じてくれる姉さん。
 僕は、そんな姉さんに、こういう形でしか、最期をあげられなかった。

「姉さんごめんね、僕は姉さんを守れなかったんだよ……。
 僕は姉さんに、最期まで付き合うって、誓ってたんだ……。
 だから、僕も一緒に逝くから、許してください、姉さん……」
「えへへ、いいんだよ、許してあげる。頭だって撫でてあげる。
 あっちゃんと一緒に死ねるのなら、私はそれだけで嬉しいの。
 懐かしいなぁ……、昔は私から、たくさん撫でてたのにねぇ……」
 
 そう言って、僕の頭を片手で撫でてくれる姉さん。
 バランスを崩し、よろめきながら、僕たちはベッドの上に倒れこむ。
 それでも僕も姉さんも、お互いを掴む腕を離さなかった。
 けれど倒れた衝撃で、くっつけていた傷口から、ますます血が流れ出す。
 
「姉さん、眠くなってきたね。子守唄でも歌ってよ。それで2人で眠ろう?」
「いいよ。でも子守唄は覚えてないから、シャボン玉の唄を歌ってあげる。 
 ……ううん、一緒に歌おうよ。歌詞はちゃんと、覚えてるんだよね?」
 その言葉に、僕は肯定の意思を言葉で返す。もう首さえ動かすのがツライ。
 
 
「しゃ〜ぼんだ〜ま〜と〜ん〜だ〜♪」「や〜ね〜ま〜で〜と〜ん〜だ〜♪」
 姉さんは――泡姫は、死んでもずっと、僕を愛してくれると思う。
 
「や〜ね〜ま〜で〜と〜ん〜で〜♪」「こ〜わ〜れ〜て〜き〜え〜た〜♪」
 だから僕も、死んでもずっと、泡姫を愛してあげようと思う。
 
「「か〜ぜか〜ぜ〜ふ〜く〜な〜……しゃ〜ぼんだ〜ま〜と〜ば〜そ〜……」」
 もし生まれ変われるなら、また泡姫と――今度は恋人として、生きていきたいな――
 
――最後の瞬間に、泡姫の口付けの感触を唇に感じて、僕の意識は泡のように弾け飛んだ。
 
 
                                ― The good-bye that we split open. ―
491 ◆6AvI.Mne7c :2009/04/30(木) 09:34:21 ID:07W500MU
以上、投下終了。

オチを心中ネタにするに当たって、えらく弟がキモくなってしまった。
姉さんもキモいはずなんだけど、どこか喰われた感が………
全体的に暗い話って、書いてるほうが微妙に滅入ります。
492名無しさん@ピンキー:2009/04/30(木) 09:35:05 ID:r8usurlU
りりりりリアルタイムGJ!!!!!!!

できれば省略部分も欲しかったけどすごく、秀逸でした。
493名無しさん@ピンキー:2009/04/30(木) 09:49:05 ID:dMq/JkD7
あっちゃんカッコいい!!
494名無しさん@ピンキー:2009/04/30(木) 15:06:42 ID:omO68KQz
GJ
姉の名前がまんまソープ嬢でフイタ
495名無しさん@ピンキー:2009/04/30(木) 21:10:47 ID:knC2ElhH
GJです

でも、
姉より弟のほうがシスコンすぎてちょっと…
496名無しさん@ピンキー:2009/04/30(木) 22:06:34 ID:R81+kgS9
>>491 糞親の泣き叫ぶ姿が読みたかったが、ともかくGJ!!
497名無しさん@ピンキー:2009/05/01(金) 00:32:03 ID:L9vfVE/2
GJ!
俺が好きな結末だw
病んでるな、俺w
498名無しさん@ピンキー:2009/05/01(金) 02:08:02 ID:i7jQs0X+
悲しい
499名無しさん@ピンキー:2009/05/01(金) 11:12:09 ID:oO0lSOIz
スレ的には覚醒した姉に両親ぶっ殺してほしかった
500名無しさん@ピンキー:2009/05/01(金) 11:58:53 ID:0dxM2hIE
>>499
いや、その通りなってるだろ
501名無しさん@ピンキー:2009/05/01(金) 13:28:44 ID:P2g70tSP
>>499
つまりこういうことだ↓

弟「姉貴ィッ! やっぱり姉貴ィは、キメェーやッ!」
姉「『ブッ殺す』と心の中で思ったならッ!その時スデに行動は終わっているんだッ!」
502名無しさん@ピンキー:2009/05/01(金) 19:04:01 ID:pBgS9RRp
プロシュート姉貴乙w
503名無しさん@ピンキー:2009/05/01(金) 20:24:42 ID:7F0illNZ
やっぱり直はすばやいんだろうなwwwww
504名無しさん@ピンキー:2009/05/01(金) 23:03:59 ID:gSeO9u0e
愛し合ってたお姉ちゃんと弟の血が繋がってないことが判明→駆け落ちして結婚
http://tsushima.2ch.net/test/read.cgi/news/1241185752/
505名無しさん@ピンキー:2009/05/01(金) 23:37:59 ID:XreEIJAY
>>504
はいはい。
ダム板、ダム板。
506名無しさん@ピンキー:2009/05/02(土) 00:47:17 ID:bWwMJHiv
恐ロシア
507名無しさん@ピンキー:2009/05/02(土) 01:48:21 ID:YmhQVo1q
やっぱりキモさを出すには最終的に
殺人犯さないと駄目なんだろうか…
508名無しさん@ピンキー:2009/05/02(土) 01:49:41 ID:N8rGMsWh
んなこたぁない
509名無しさん@ピンキー:2009/05/02(土) 01:57:12 ID:naEEPXEe
兄、弟に対する狂おしいまでの愛があればキモエロくなる
510名無しさん@ピンキー:2009/05/02(土) 02:39:09 ID:QEXh2cz1
キモ姉キモウトってのはブラコンの度が常人の理解を超えていること
兄や弟の洗濯前の衣類の匂いでウフンアハンとか使用してるアイテムでウフンアハンとか
寝てる時に奇襲したり風呂やトイレに入ってる時に強襲したり食事に一服盛ったり体液入れたり
プロシュート流に直に吸ったり口にする前に行動したりとそこにしびれる憧れるぅなキモさが肝心
でも愛と倫理の狭間で葛藤したり苦悩したりも良いし愛故に狂ったりも良い。必要なのは愛なんだよ

そんなわけで今日も俺は元気に紳士的に全裸で投下を待つ日々です!
511名無しさん@ピンキー:2009/05/02(土) 02:55:59 ID:fFs22dDv
俺が小学5年のとき、兄ちゃんは持田香織がめっちゃ可愛いといった。
俺は兄ちゃんの部屋に忍び込んでELTのCD全部にさりげなくキズをつけた。
俺が中学1年のとき、兄ちゃんの部屋でえっち本を見つけた。
俺は容赦なく母親にチクッた。母親は兄ちゃんの留守中に黙って本を捨てた。
俺が中学3年のとき、兄ちゃんが彼女を家に連れてきた。
俺は玄関にあった彼女の靴の底にロウを塗った。彼女は帰りがけに玄関で派手にコケた。
俺が高校3年のとき、兄ちゃんは親に内緒で彼女と旅行にいった。
俺は彼女の両親に匿名でチクッた。兄ちゃんは彼女と別れさせられた。
みんなほんとは俺のせいなんだ。いつもいつも嫉妬してごめんな兄ちゃん。
俺のマンコに免じて許せ。兄ちゃんの好きにしていいから。
512名無しさん@ピンキー:2009/05/02(土) 03:29:25 ID:Sl+OqvDr
>>511
俺っ娘も良いな。
513名無しさん@ピンキー:2009/05/02(土) 09:49:16 ID:AZgaeNAG
キモ姉キモウトの行動力って、昨日の必殺仕事人2009の
ストーカー同心を思い起こせばいいんですね。
514 ◆DqcSfilCKg :2009/05/02(土) 10:59:31 ID:S4VNV60q
初めて投下したいと思います。

タイトルは「負い目」。
ちゃんとキモ姉になれてるか不安ですが、よろしくお願いします。
515負い目1 ◆DqcSfilCKg :2009/05/02(土) 11:03:10 ID:S4VNV60q
sage付け忘れすいません。以下、本文です。


 ねえ、しゅーくん。
 家のドアを開けると同時に、廊下に立っていた姉さんが僕を呼んだ。ほぼ反射的に言ったのだ

ろう、僕を認めるとパァッという音が聞えてきそうなぐらいに姉さんは表情を明るくさせる。け

れど、その直後にはまたどんよりとその顔に暗雲が立ち込める。正直、こういうときの姉さんは

少し苦手だ。僅かに俯き、長いまっすぐとした髪で顔の見えない姉さんに「ただいま」と言うと

、姉さんはすぐに満面の笑みを浮かべた。
「おかえり、しゅーくん」

 そのまま居間に引っ張られて正座。テーブル一つ挟んで姉さんと対峙する。要は姉さんなりの

お説教なのだが、こうなると姉さんは長い。なにより先ほどまでの真剣な眼差しは、僕と相対す

ることでフワフワとなんとも怪しいものに変わっていた。
 姉さん、と呼びかけるとまるで今しがた目覚めたかのような反応が返ってくる。じゅるりと、

付けたままのエプロンで口元を拭う音が聞こえた。
 居住まいを正した姉さんは「そうよ、そう」と口を尖らせてテーブルの上に一枚の紙を置いた

。全体が淡いピンク色で色づいた手紙には丸っこい文字が並んでいる。とても格好良い。友達で

も良いから。僕から見てもなんとも健気なラブレター。それでも姉さんは手紙を手に戻して眉を

潜めた。
「お姉ちゃんね。こういうの良くないと思うんだ」
 姉さんの目はゆっくりと文字を追う。おそらく何度も読み返したのだろう。何度かその目が左

右にぶれた後、僕の方へ返ってきた。
「しゅーくんが、しゅーくんがね。その、もてるのは分かるよ。お姉ちゃんから見てもしゅーく

んは格好良いなあって思うもん。でも、でもだよ? こうやって手紙で一方的に好きです、なん

て言われてもどうしたら良いか分からないよね?」
 くしゃりと、両手で持っていた紙が姉さんの手の中で歪んだ。姉さんの話は続く。
「それで嫌いですって。あなたとは付き合いたくありませんなんて断っても、ヒドイ。せっかく

告白したのに、なんて言われて。とってもしゅーくんが可哀そうだよ。中にはしゅーくんが好き

で好きで堪らないのに、それでもその気持ちを押し隠してでもしゅーくんの為ならって我慢して

しゅーくんの為だけを考えてしゅーくんの気持ちを尊重している子だっているのに。こうやって

一方的に自分の気持ちだけ押し付けるなんてさ、あまりしゅーくんにも良い子だとは思わないな

。そうでしょ? そう思うでしょ? ね? しゅーくん。ね?」
516負い目1再投下 ◆DqcSfilCKg :2009/05/02(土) 11:04:57 ID:S4VNV60q
投下失敗すいません。もう一度お願いします。


 ねえ、しゅーくん。
 家のドアを開けると同時に、廊下に立っていた姉さんが僕を呼んだ。ほぼ反射的に言ったのだ
ろう、僕を認めるとパァッという音が聞えてきそうなぐらいに姉さんは表情を明るくさせる。け
れど、その直後にはまたどんよりとその顔に暗雲が立ち込める。正直、こういうときの姉さんは
少し苦手だ。僅かに俯き、長いまっすぐとした髪で顔の見えない姉さんに「ただいま」と言うと
、姉さんはすぐに満面の笑みを浮かべた。
「おかえり、しゅーくん」

 そのまま居間に引っ張られて正座。テーブル一つ挟んで姉さんと対峙する。要は姉さんなりの
お説教なのだが、こうなると姉さんは長い。なにより先ほどまでの真剣な眼差しは、僕と相対す
ることでフワフワとなんとも怪しいものに変わっていた。
 姉さん、と呼びかけるとまるで今しがた目覚めたかのような反応が返ってくる。じゅるりと、
付けたままのエプロンで口元を拭う音が聞こえた。
 居住まいを正した姉さんは「そうよ、そう」と口を尖らせてテーブルの上に一枚の紙を置いた
。全体が淡いピンク色で色づいた手紙には丸っこい文字が並んでいる。とても格好良い。友達で
も良いから。僕から見てもなんとも健気なラブレター。それでも姉さんは手紙を手に戻して眉を
潜めた。
「お姉ちゃんね。こういうの良くないと思うんだ」
 姉さんの目はゆっくりと文字を追う。おそらく何度も読み返したのだろう。何度かその目が左
右にぶれた後、僕の方へ返ってきた。
「しゅーくんが、しゅーくんがね。その、もてるのは分かるよ。お姉ちゃんから見てもしゅーく
んは格好良いなあって思うもん。でも、でもだよ? こうやって手紙で一方的に好きです、なん
て言われてもどうしたら良いか分からないよね?」
 くしゃりと、両手で持っていた紙が姉さんの手の中で歪んだ。姉さんの話は続く。
「それで嫌いですって。あなたとは付き合いたくありませんなんて断っても、ヒドイ。せっかく
告白したのに、なんて言われて。とってもしゅーくんが可哀そうだよ。中にはしゅーくんが好き
で好きで堪らないのに、それでもその気持ちを押し隠してでもしゅーくんの為ならって我慢して
しゅーくんの為だけを考えてしゅーくんの気持ちを尊重している子だっているのに。こうやって
一方的に自分の気持ちだけ押し付けるなんてさ、あまりしゅーくんにも良い子だとは思わないな
。そうでしょ? そう思うでしょ? ね? しゅーくん。ね?」

517負い目2 ◆DqcSfilCKg :2009/05/02(土) 11:06:57 ID:S4VNV60q

 もうくしゃくしゃになった手紙のことは姉さんの中ではどうでもよくなっている。あとは僕が
頷けば良い。首を僅かに縦に動かすと、また姉さんは花が綻ぶように笑った。姉さんは定位置で
ある僕の隣に移ると腕を取り、体ごと寄せてくる。そうして猫のように顔を僕の胸にすり寄せる
のは日課のようなもの。見上げてくるその瞳の片方が僅かに濁っているのを見て、僕はいつも体
を強張らせる。
 姉さんは昔、僕を守って片目に怪我を負った。幸い、顔に傷が残るようなことはなかったもの
の、今も殆ど視力の無い瞳が僕を見てくる。姉さんは気にする事なんてない、とは言うけれどそ
こまで無責任な人間にはなれない。それこそ怪我を境に僕への依存が強くなった姉さんを無下に
出来ないのも、嫌らしいけれどそんな負い目が関係していた。許してくれなんていえないのに、

なんて僕はズルイ人間なのだろう。そんな僕の心根を、姉はいつも抱きしめられた後にお返しと
ばかりに抱きしめてくれる。そうして優しく語り掛けるのだ。
「しゅーくんは何も悪いことなんてないんだよ? でもしゅーくんはとても優しい子だもんね。
お姉ちゃんの目のことを想ってそうやって優しくしてくれるって分かってる。本当ならこんな女
、気持ち悪いって拒絶しても良いのにしゅーくんは優しいからさっきみたいに抱きしめてくれる
んだよね? お姉ちゃんはずるいからそうやって抱きしめてくれるしゅーくんにすぐ甘えちゃう
ダメでいやな女。目のことが無いならすぐにお姉ちゃんのことなんて引き剥がして蹴り倒して、
こんな家からいなくなってるよね。でもそれでも、しゅーくんは本当は心の底ではお姉ちゃんの
ことを気持ち悪いって思ってても殴りたいぐらい嫌いでもお姉ちゃんはそれでも良いよ。だって
お姉ちゃんの片目は見えなくなったけど、おかげでしゅーくんが、しゅーくんだけが見てくれる
目になれたもの。それなら何も見えなくたって良いよ。しゅーくんがお姉ちゃんだけを見てくれ
るならそれだけで十分だもん。だけどしゅーくんは優しいから、とっても優しいからこんな気持
ち悪いお姉ちゃんでも抱きしめてくれるんだよね。ねえしゅーくん、お姉ちゃんはお姉ちゃんの
目になれてとっても良かったよ」
 姉さんの豊満な胸に強く包まれる。はしたなくも熱を帯びる股間に気づいた姉さんはゆっくり
と手をその上に移す。ズボンからでも分かる強張りに姉さんは「だからね」と、笑みを浮かべた。
「だからそんな優しいしゅーくんの為ならお姉ちゃんはどんなことでもやるからね。こうやって
しゅーくんが苦しそうになったらお姉ちゃんを好きに使ってくれて良いから。兄弟で気持ち悪い
って拒絶してくれても良いよ。でもしゅーくんだって年頃の男の子だから。性欲を優先したい気
持ちはこの目でも痛いほど分かるから。だからお姉ちゃんに誘われて、襲われて仕方なくしゅー
くんは犯されちゃうの。どうしようもないお姉ちゃんに童貞も奪われて、可哀そうなしゅーくん
。だからそんな可哀そうなしゅーくんをまたお姉ちゃんが守ってあげる。たとえもう一つの目を
潰されてもしゅーくんを守ってあげるから。お姉ちゃんはしゅーくんのお姉ちゃんだから。ね?
しゅーくん。ね?」
 姉はズボンに手をかける。今日も姉さんはその濁った綺麗な瞳で僕を見つめてくるのだ。


518 ◆DqcSfilCKg :2009/05/02(土) 11:07:58 ID:S4VNV60q
以上です。sage忘れ等など失礼致しました。
また出来ましたらよろしくお願いします。
519名無しさん@ピンキー:2009/05/02(土) 11:39:56 ID:2AisNwoZ
兄弟?だと、まさか……
520名無しさん@ピンキー:2009/05/02(土) 14:47:14 ID:0sWehwH1
>>518
GJ〜
過去の傷を見せ付けて縛り付けてくるタイプのキモ姉、すごくキモくて大好物です。
改行の設定には気を付けてくださいな。

次の機会があったら、また投下よろしくお願いします。
521名無しさん@ピンキー:2009/05/02(土) 20:55:29 ID:ZXsuf/ag
ソビエトロシアでは、作品が読者をGJする
522名無しさん@ピンキー:2009/05/02(土) 23:39:37 ID:3icsmMXG
>>518
ハートと股間が熱くなった!GJ!
523名無しさん@ピンキー:2009/05/03(日) 00:36:58 ID:mne0ylW+
キモ姉キモウトに内緒で風俗で童貞捨ててきたらどうなるんだろう
524名無しさん@ピンキー:2009/05/03(日) 00:42:22 ID:RPrRqist
>>523
店に入って奥に進むとクロロホルムを嗅がされて昏倒。
気が付いた別室でキモ姉妹が待っている。

「もー、商売女は病気が怖いから、性欲はあなた専用の私だけにぶつけてね☆」
525名無しさん@ピンキー:2009/05/03(日) 00:45:38 ID:uukLnfU2
ヤった相手が確実に絶命します
526名無しさん@ピンキー:2009/05/03(日) 00:55:33 ID:peKPLY2k
ヤル前に絶命だろうに・・・
527名無しさん@ピンキー:2009/05/03(日) 01:04:16 ID:PF2AjQtj
実はすでに失われた童貞(自覚なし)。
528名無しさん@ピンキー:2009/05/03(日) 04:03:36 ID:chGxmgyr
クロックタワーみたいな追跡してくるホラーゲームみたいにキモ姉妹から逃げるゲームをやってみたい
529 ◆6AvI.Mne7c :2009/05/03(日) 06:02:06 ID:l/N6b/cZ
話題に乗り遅れたけど、ロシアって意外と、ネタ的においしい国だよね。
こないだも、女美容師が強盗を逆監禁・逆レイプしてた事件があったし。
 
関係ない話題を出しおえたところで、小ネタを投下。
タイトルは「そーぜつな、いろ…けぇ?」。兄妹もの。
前の話が暗かったので、明るい話を。最後の視点変更に注意。
 
次レスより投下開始。3レスほど借ります。投下終了宣言アリ。
530そーぜつな、いろ…けぇ? (1/3) ◆6AvI.Mne7c :2009/05/03(日) 06:34:31 ID:l/N6b/cZ

 突然ですが、初めまして。私は今、とある悩みを抱えています。
 私の名前は才媛(さえ)。おそらく皆さんよりも、若輩者かと思います。
 それよりも、私の悩みを、聞いていただけませんか?
 
 私は今、10歳ほど年の離れた兄さんに、恋をしているのです。
 私の学友に相談したところ、「それはブラコンだよ?」と一蹴されました。
 もちろんそれは違います。そんな子供じみた感情ではありません。
 私だって「ただのブラコン」と「近親愛」の違いくらい、理解しています!
 ……失礼、つい興奮してしまいました。謝罪します。
 
 とにかく、私はオトナで魅力的な兄さんに、この身体を委ねたいのです。
 そして、できれば私が年老いて亡くなるまで、共に生きてゆきたいのです。
 そのような旨を主張したところ、なんと理解してくださる方が現れました。
 彼女の名前はさくらさん。私の1つ下の後輩にあたる女性です。
 彼女だけは、誰もが一笑するような私の言葉を、真面目に受け止めてくださいました。
 
 
 そして私は今、彼女から譲っていただいた、さまざまな文献を読み漁っています。
 彼女曰く、殿方はなんだかんだで、色仕掛けには多少揺らぐそうなのです。
 そして揺らいだところで、告白し身を委ね、将来を誓い合えばいいのだそうです。
 その為に必要な知識の書かれた書籍を、彼女は快く譲ってくださいました。
 
 なぜ彼女がこのようなものを持っていたのかを疑問に思い、尋ねたことがありました。
 すると、彼女には6歳も年上の恋人がいる、というではありませんか。
 そしてその恋人さんがこっそり隠し持っていた本を、勝手に持ち出してきたそうです。
 羨ましい限りです。それを語る彼女の笑顔は、普段よりも美しいものでしたし。
 けれどその恋人さん、今頃隠していた本を処分されて、泣いているのではないですか?
 
 
 さて、話が逸れそうなので、舞台を現在に戻そうかと思います。
 いま私が読んでいるのは、ある兄妹が恋人の関係に至るまでを書いた、所謂漫画です。
 少々本の厚みとしては、薄いきらいがありますが、その内容は充分に魅力的です。
 その漫画の中では、妹が長年好意を寄せていた兄に、色仕掛けをして行為を迫っています。
 そして兄は、そんな妹に抵抗できず、とうとうお互いの身体と想いをぶつけあって――
 
 おっと、すみません。つい興奮して我を忘れかけていました。
 それだけこの話が素晴らしくて、これからの私にとって参考になるものだということですね。
 しかし、このような本を、本当に男性である彼女の恋人さんが、持っていたのでしょうか?
 そう思って彼女に尋ねたところ、親戚のおねーさんから譲ってもらったものと判明しました。
 ……つくづく、彼女の人間関係に疑問が沸いてきた、不可解な一件でした。
 
 
「さて、それでは座学の時間は、ここまでにしておきましょうか……」
 私は兄さんにバレないように、借りてきた文献をすべて、天井裏に隠しました。
 おそらく家族の誰にもバレていないと思うのですが、最近少し心配です。
 特に兄さんは、よく自分の部屋のついでに、私の部屋を掃除してくださいますし。
 
 まあでも、もし見つけられたなら、それを足がかりに攻めていけばいいだけです。
 そんな話が、あの資料の中にも、図解つきで解説されていましたし。
 そんなことよりも、私自身がもっと、気合を入れないといけません。
 年の差のせいか、私はいつも兄さんに、子供扱いされていますから。
 
 さあ、それでは明日から、さっそく色仕掛けを始めましょう。
531そーぜつな、いろ…けぇ? (2/3) ◆6AvI.Mne7c :2009/05/03(日) 06:38:11 ID:l/N6b/cZ
 
 まずは、朝起こす時に、薄着で色仕掛けをしてみようと思います。
 兄さんはちょっとだけ朝が弱いので、彼を起こすのは、私の日課なのです。
 いつもなら普通に横から声をかけて起こすのですが、今日は違います。
 はしたないですが、多少胸元を開けて、兄さんの身体に馬乗りになります。
 そして前傾姿勢で、甘えるような幼い声で、兄さんの耳元に唇を近づけ――
「兄さん――にいにい、朝ですよ? 起きないと、イタズラしちゃいますよ?」
 他にももっと科白があるそうなのですが、恥ずかしいのでこう囁きました。
 すると意外にも兄さんは、いつもより快調そうに目を開きました。
「ああ、おはよう才媛。今日はえらく密着しているんだね。目が覚めたよ。
 さあ、才媛も着替えなさい。それから朝ご飯を一緒に食べようか?」
 
 うぅん……、あまり効果がなかったようです。にいにい呼びも気づかれませんでした。
 
 
 次は帰ってきた兄さんに、新婚夫婦のような問答を仕掛けてみます。
 兄さんは最近、遅くまで働いて帰ってきます。理由はわかりません。
 私達の両親は今夜家にいないので、私が兄さんをお迎えしてあげます。
 ただし、ただのお迎えではありません。制服にエプロン姿でお出迎えです。
 どうも『裸エプロン』なるものもあるそうですが、まだ肌寒いので、それは控えます。
 そうこうしているうちに、兄さんが玄関を開けて、帰ってきました。
「ただいま……、あれ? 才媛はまだ起きてたのかい?」
「おかえりなさい、兄さん。ご飯にしますか? お風呂にしますか? それとも――」
「ああ、それじゃあ先にご飯を食べようか。用意は才媛がしてくれたのかい?
 今日はありがとう。多分待っててくれたんだよね? じゃあ一緒に食べようか」
 そう言って、兄さんは私の頭を撫でて、先に自室に向かってしまいました。
 
 むうぅ……、制服エプロンも、新婚ごっこトークも、軽くいなされてしまいました。
 
 
 気を取り直して、晩ご飯をあ〜んってしてあげることにします。
 いつも兄さんと一緒の食事ですが、色仕掛けのために、私はいつもより緊張しています。
 この心音と心情が、隣の兄さんにそのまま伝われば、話は早いのですけれどね……。
「に、兄さん……その、今日は私が、兄さんに食べさせて差し上げますねっ」
 上目遣い、間接キス、その他いろいろ含まれている、私からの攻撃。
「えっと、ありがとう才媛。……うん、やっぱり才媛と一緒に食べるご飯は美味しいね」
 そんな言葉と共に、私も兄さんから「あ〜ん」をしてもらえました。
 
 あれれ? 嬉しかったのですが、兄さんはあまり照れてくれてはいないようです。
 
 
 本日最後の攻撃です。お風呂あがりに、下着なしのワンピースパシャマで密着してあげます。
 先に入浴してそろそろ眠そうな兄さんに、湯上り状態の私が突撃して、深く抱きつきます。
「あ、才媛ももう寝る――って、どうしたのさ才媛? なんだか今日は――」
 少しびっくりした兄さんの言葉を最後まで聞かず、私は全身を兄さんに擦りつけます。
 あまり発育の良くない私ですが、女の子に擦りつかれて、興奮しない殿方は――
「どうしたのさ才媛。もしかして寒いのかい? だったら早く布団に入って寝ないと――」
 
 あ、相手にしてくださらないのですか……? もう、こうなったら最後の手段を――
「えいっ……!? あ、あのどうですか兄さん……? こ、こんな私はどうですか……?」
 そう、最後まで使いたくなかった必殺技、『スカートを捲ってぱんつみせる』攻撃です。
 しかも『ぱんつはいてない』攻撃との併合――つまり、私のオンナを、着衣のまま見せています。
 これで堕ちてくださらないと、私がただの痴女であるか、兄さんが男性不全かのどちらかに――
「こら、だめじゃないか、才媛。そんなはしたない格好してたら、風邪ひいちゃうよ?
 それに、ぱんつを穿き忘れちゃだめだ――って、急にどうしたんだい、才媛!?」
 
 兄さんに問われて、ようやく私は気づきました。
 どうやら、私はいつの間にか、涙を流していたようです。
532そーぜつな、いろ…けぇ? (3/3) ◆6AvI.Mne7c :2009/05/03(日) 06:45:48 ID:l/N6b/cZ
 
 本当は今日、この他にもいろいろ仕掛けていたのですが、あまり効果がありませんでした。
 どれも軽くあしらわれているようで、なんだか私は悲しくなって、泣いてしまったのです。
 そんな私を、優しくてオトナな兄さんは、ちゃんと優しく慰めてくださいました。
「どうしたんだい、才媛? もしかして、何か悩み事でもあるのかい?」
 
 やはり気づかれるのですね……。兄さんは、私をちゃんと見てくださっているのですね。
「はい兄さん。私には、やりたいことかあるんです。けれど、なかなかうまくいきません……」
 半ば自棄になりかけた私に、兄さんは優しく私の頭を撫でながら、言ってくださいました。
「僕は才媛が何を悩んでいるのかは知らないけれど、諦めなくてもいいと思うよ。
 才媛は頭のいい子だし、優しいし、なにより良い子だ。それは僕が保障するよ。
 だから、最後まで頑張れば、才媛の願いは絶対に、叶うと思う。だから――」
 
「ありがとうございます、兄さん。……ふふ♪ やはり私は、兄さんが大好きです。
 ……わかりました。もっと頑張りますから、次はちゃんと協力してくださいね?」
「? ああ、いいよ。次になにかするなら、僕も協力するからね、才媛」
「ありがとうございます、兄さん。その言葉が聞けて、私は嬉しいです。
 それでは、もう夜も遅いですし、今日はこれにて失礼しますね」
 なんだかんだで、収穫もあったから、今日は1人で眠ることにしましょう。
 また明日から、今まで以上に頑張って、ぜったいに兄さんを篭絡させます!
「ああ、また明日の朝に会おうね。オヤスミ、才媛」
「はい、それではオヤスミナサイ、おにいちゃん♪」
 
               −※−※−※−※−※−※−※−
 
 才媛が自分の部屋に帰ってから、僕はゆっくりと、ベッドの上に腰を下ろした。
「う〜ん、なんだかよくわからないけど、今日の才媛はどこか変だったな……」
 なんというか、いつもよりやたらに、僕にからんできたのだ。
 そう、例えるならば、愛撫されるのをせがむ、恋する少女のような……。
「まさか、僕にイケナイ恋心を抱いていて、僕を本気にするために、色仕掛けを?
 ――いやいや、そんなことあるわけないよね。僕の考えすぎだろうな」
 
 だって、あの娘はまだ、小学2年生の子供なのだから。
 昔から才媛は名前の通りに頭が良く、特に文字を読んで理解する能力に長けていた。
 それ自体は喜ばしいことだけど、いつの間にか、妙に丁寧語を話す娘になってしまった。
 おそらく面白がった両親が、やたら難しめの本ばかりを読ませすぎたせいだと思うけど。
 
 けれど、一見しっかりしているように見える才媛も、やはり年頃の女の子だ。
 今日みたいに、やたら甘えついてきたり、泣いたりすることだってある。
 よくよく考えたら、最近僕もバイトに明け暮れて、才媛に構っていない気がする。
 だから、あの娘も寂しくて、あれほど暴走気味に擦り寄ってきたのかもしれない。
「よし、明日くらいはバイトを休ませてもらって、才媛と遊んであげよう。
 昼休みに高校から電話をかけて、交替の手続きをとらないといけないかな……」
 もともとは、来月誕生日の才媛のために、小遣いを溜めようと始めたバイトだ。
 プレゼントは豪勢にしてあげたいけど、そのために今あの娘を泣かしては、本末転倒だ。
 だから明日はしっかり一緒にいて、めいっぱい甘やかしてあげよう。
 ちょっと構いすぎかもしれないけど、大事な可愛い妹だし、仕方ないよね?
 
「ああ、そういえば才媛って、いま何が欲しいのかな……?
 まあいいか、明日の夕方にでも、それとなく聞き出してみよう」
 1人でそんなことを呟きながら、僕は布団に入って、眠ることにした。
 また明日、なんだかんだで起こしてくれる、妹の才媛を待つために。
 
――その数週間後、なんだかんだで才媛の望みは叶うのだけれど、それはまた別のおはなし。
 
 
                                  ― In age impropriety bewitchingly. ―
533 ◆6AvI.Mne7c :2009/05/03(日) 06:51:26 ID:l/N6b/cZ
以上、投下終了。
 
ネタバレ注意話――またペド話です、なんか書きやすいんだ――以上。
 
それから今回は、ちょっと質問があります。
時々見かける、投下前に記載されていることのある、文章の容量(KB数)なんですが、
あれはいったい、どうやって算出しているのでしょうか?
わかる人がいたら、ぜひ教えてください。
 
それでは、また次の機会に。
534名無しさん@ピンキー:2009/05/03(日) 08:25:51 ID:knLZnBF4
年齢差、そして制服エプロンの時点でオチが読めた…と思ったら、最後の一行でやられたぁ!
書きやすい件は、きっとそれが貴殿の得意分野なのですよ。好きこそものの上手なれ。
書きたい分野に暴走してください。
KBですが、私もよくわかりません。テキストファイルにしたときのサイズかな?
535名無しさん@ピンキー:2009/05/03(日) 12:14:08 ID:JDMqY+L+


天才気味の幼女はいいものだ
キモウトなら尚更

確か、全角1文字が2Bだったはずです
画像と比べれば文書はかなり軽い
536名無しさん@ピンキー:2009/05/03(日) 17:13:54 ID:t4v6tjFP
>>533
GJ!!!
>――その数週間後、なんだかんだで才媛の望みは叶うのだけれど、それはまた別のおはなし。

これに期待w
537名無しさん@ピンキー:2009/05/03(日) 23:47:52 ID:15UcNWex
飾りのないただの文章なら、基本的には文字数*2を1024で割ればKBが出てくると考えていい。
538名無しさん@ピンキー:2009/05/04(月) 07:41:58 ID:l350MXXD
AAEditorならリアルタイムでサイズが表示されるぜ
539名無しさん@ピンキー:2009/05/04(月) 20:16:26 ID:nQ1haD9C
おませなさえちゃん!
よかったわ
540名無しさん@ピンキー:2009/05/05(火) 12:27:49 ID:Z0PbhZzs
GJ!!
541 ◆6AvI.Mne7c :2009/05/05(火) 12:54:00 ID:jtaXz4lJ
前回の投稿の際、質問に答えていただき、ありがとうございました。
残念ながら、XPではAAEditorが使えなかったので、別の品で代用することにします。

お礼も兼ねて、さっき出来たばかりの即興小ネタを投下。
タイトルは「おおきなお子様たち」。姉-弟/兄-妹の話。多分8.3KB程度。
内容は、あんまりキモくなくなってしまった。ちなみに今日はこどもの日。

次レスより投下。3レスほど借ります。投下終了宣言はナシ。
542おおきなお子様たち (1/3) ◆6AvI.Mne7c :2009/05/05(火) 12:56:38 ID:jtaXz4lJ
 
「え〜っと、悪いんだが妹よ、もう一度言ってくれないか?」
「うん……。お兄ちゃん……、わたしを抱いてくださいっ!?」
 
 冒頭からなんだかよくわからん問答ですんません。
 なんせ、俺にも良くわからない事態なんで、説明が難しいんだ。
「お兄ちゃん、またどっかにトリップしてるの?
 わたし、ちゃんとお兄ちゃんに言ったでしょう?
 お兄ちゃんに、わたしの身体を、抱いて欲しいって!」
 
 いいから黙れ。いきなり何を言っているんだおまえは。
 ここが俺の自室じゃなかったら、俺らマジでハブにされるだろうが。
「あ〜ハイハイ、そういうことねそういうことか〜。
 よし妹よ、抱いてやるからこっちゃコイコイ♪」
「は〜い♪」
 
 そうして近寄ってきた妹を、俺は両腕で抱えて――お姫様抱っこしてやる。
 そして、1分ほど抱えた後、もう一度その場に、優しく降ろしてやる。
「…………お兄ちゃん、わたしのこと、子供扱いしてごまかさないでよ〜!
 わたしはね、お兄ちゃんに、この身体を捧げるの。わかりやすく言えばセックs」
「ああもう、みなまで言うな! 何したいかはわかってんだから!
 つうかできるかンなこと!? お兄ちゃんの倫理観を舐めんじゃネェ!!」
 
 そうしてしばらく妹と俺は、やいのやいのと痴話げんかを繰り広げた。
 正直、兄妹同士で性愛を語り合うのって、かなり間抜けな風景じゃないんかね〜。
 
「ハァ、ハァ……、わたしの気持ちは、ちゃんとわかってくれたでしょ?」
「ハァ、ハァ……、理解はする。だが納得は出来ないな。つうか兄妹でエッチはダメ!?
 俺のこと好きなのは嬉しいけど、どうしておまえはこんなんに育っちゃうかなぁ……」
 ハッキリいって、俺の妹は相当なブラコンだ。俺だってシスコンって言われるタイプだ。
 親父もお袋も、自分らより妹が懐いている俺に、妹の世話を任せっぱなしだ。
 だからといって、最終的に行き着く先が、こんなカオスだとはなぁ……。
 
「わかったわかった。今度2日くらい休みあるからさ。
 そんときにめいっぱい遊んでやるから、それで勘弁して――」
「そ、その時が、わたしたちが身も心も、結ばれる時なの…………?
 お、お兄ちゃん……。わたし、覚悟できてるから。妊娠しちゃってもいi」
「わ……、わかってねええぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!?」
 
 俺が妹の鼓膜の心配も、近所迷惑も考えずに絶叫したその時。
 不意に閉めていた部屋の扉が、ゆっくりと開いた。
543おおきなお子様たち (2/3) ◆6AvI.Mne7c :2009/05/05(火) 12:57:56 ID:jtaXz4lJ
 
「妹……、あなたもやっぱり、そうだったのね……?
 でもそんなことはどうでもいいわ。私もね、弟くんにお願いがあるの。
 ねえ弟くん、私を大人に――女にしてくださいっ!」
「いや姉ちゃん、あんたもかあぁぁぁぁぁぁぁ!?」
 
 ああ、なんで次から次へとカオスな展開が続くんだ。
 こんだけ続くと、いい加減「うちゅうの ほうそくが みだれる!」っての。
「馬鹿ねぇ弟くん。妹と私が身体の関係をお願いしたくらいじゃ、宇宙は壊れないよ?
 そんなことで崩れてたら、もうとっくに、宇宙はおかしくなって、壊れてるもの」
「うるさい。アホな要求を出す女に、馬鹿呼ばわりされたくねぇよ。
 というか、姉ちゃんがなんで、宇宙崩壊の話題を引き伸ばすのか、全くわかんねぇよ」
 
「まあいいじゃない。ところで弟くん、私のお願い、聞いてくれないの?
 私を弟くんのそのおっきなおちんちんで、女にしてくれるって約束は?」
「そんな約束は、俺が生まれてから今まで、1回でさえした覚えはないな。
 それになんで、俺のおちんちんの大きさを知っている口ぶりなんだよ……」
 いや、子供の頃「けっこんしよう」とか、そんな幼い約束したような気はしないでもないさ。
 でもさ、まさか「からだのかんけいをもとうよ」なんて、いくら子供でも言わねえだろうよ。
 ホントにもう……。妹もそうだけど、なんで姉ちゃんも、ココまで酷いブラコンなのか……。
 
「それより姉ちゃん、あんたあの彼氏くんはどうしたよ。
 そいつにお願いすれば、いっちゃん早いじゃないかと、俺は思うのだが……」
 そう、姉ちゃんには、告白されて1月前から付き合っているらしい、彼氏が居たはずだ。
 結構いいヤツで、どっかずれてる姉ちゃんを、任せるに足る人物だと思っていたのだが。
 
「ああ、アレには何にも期待してないし、魅力なんて一切感じないもの。
 アレとは、キスをするどころか、手を繋ぐのだって、いつもお断りして――」
「頼む姉ちゃん! ソイツとさっさと、別れてやってくれ!?」
 可哀相過ぎるだろその彼氏くん!? なんでこんな悪女を選ぶかな!?
 ていうか姉ちゃん、それならソイツの告白を、最初からうけんなや!?
 
「え〜だってさ〜、昔弟くんがキスしようとした私に、言ったじゃないの〜?
 頼むから姉ちゃん、俺以外に親しい男の人――彼氏でも作ってイチャつけよ、ってさ〜。
 だから彼氏を作ったけど、なにも楽しくないし、もっと弟くんのこと、大好きになるし――」
 いやそれって俺のせいかよ! もういいから、今すぐ彼氏くんを開放してやれ!
 ゴメンね彼氏くん!? また後日菓子折りでも持って、土下座して謝罪するからねっ!?
 
「まあ実は先週くらいに、お別れのメールを送ってるから、その心配はどうでもいいよ。
 それより、考えてくれたの? 私のことを、女にしてくれるかどうか……」
「ダメ、絶対! 近親間の性愛は、世間的にも俺的にも、認められませんっ!?」
 
 結局また妹の時みたいに、姉ちゃんと近親性愛の禁忌を語り合うことになる俺。
 まあ幸い、姉ちゃんは俺の話を理解してくれるから、妹みたいに喧嘩腰にならないから楽だ。
 
「……ふぅ、弟くんの言うことも最もだけど、私の気持ちも、わかってくれたよね?」
「理解はするけど納得はしねぇよ。妹にも言ったけど、姉弟でエッチはダメだっての。
 そもそも姉ちゃん、単に経験がないから、手近な俺でやっておきたいだけだろ?」
 
「そんなことないよ……。彼氏なんて要らないし、私の好きな人は1人だけ」
 なんでもいいけどその言葉、元彼氏くんに聞かせるには、かなり残酷だよな。
「私はね――お姉ちゃんは昔から、弟くんのことだけを、愛しているのっ!?」
 そう言って、全力で俺の身体に飛びついて、両腕で抱きしめてくる姉ちゃん。
「だからね、弟くん……。私の唇に、あなたのキスを、ちょうだい……?」
 そう言って姉ちゃんは、俺の返事を待つことなく、ゆっくりと自分の顔を近づけ――
544おおきなお子様たち (3/3) ◆6AvI.Mne7c :2009/05/05(火) 13:00:59 ID:jtaXz4lJ
 
「わ、わたしだって……、お兄ちゃんのこと、ずっとずっと愛していたもんっ!?
 なのに、お姉ちゃんだけキスするなんて、ずるいずるいっ!? わたしもっ!?」
 そう言って、なぜか部屋の外に出ていたらしい妹が、突然俺に抱きついてきた。
 もしかして妹よ、おまえは空気を読んで、部屋から出ていたのか?
 
「ずっと前から愛してました、弟くん。私はあなたが大好きです」
「ずっと前から愛してました、お兄ちゃん。わたしも大好きです」
 純真馬鹿な妹と、天然残酷な姉ちゃんからの、心からの告白。
 うれしいけど、おまえらは実の姉と妹だから、そういう目で見れないっての!?
 
「「さあ弟くん(お兄ちゃん)、わたしたちに、熱くて蕩けるキスをちょうだいっ!?」」
 ああうるさい耳元で騒ぐな抱きつくな2人分は重いからってか押し倒すなぁっ!?
 
「い・い・か・げ・んにしてくれよおまえらああぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?」
 
 
 それから1日じゅう、俺は妹と姉ちゃんを諭すために、ずっと一緒に行動していた。
 
 例えば、両親が目の前にいるはずの、夕食時のダイニングにて。
「というわけでだな、おまえらが外に目を向ければ、ちゃんと互いに分かり合えるヤツが――」
「もう、夕食の席で文句なんか言わないの。ほら弟くん、ポテトあげるから、口開けて♪」
「お兄ちゃんはトマトが嫌いだよね〜。わたしはお兄ちゃんを、ちゃんと理解してるよ♪」
 ああもう、あ〜んとかしてくんな。親父もお袋も、ニヤニヤ見てないで助けてくれ。
 
 例えば、湯気が立ち上り石鹸の香りが漂う、3人だと狭い風呂場の浴槽の中にて。
「大体にして2人とも可愛いんだし、スタイルも抜群だ。憧れる男どもは結構いるし――」
「そんな有象無象どもを見るより、私は弟くんだけ見てたら、それでいいもん♪」
「そうだよ〜、お兄ちゃんだって、わたしたちをちゃんと、見てくれているし♪」
 ああもう、おっぱいとかお尻とか、すりつけてくんな。しかし発育が悪いないもu『パシーン!』。 
 
 例えば、やっぱり3人だと少し狭い、俺の部屋のベッドの上――布団の中にて。
「そもそも2人が俺に構うのは、単に人の温もりを、家族の俺で代用しているだけで――」
「何言ってんのよ弟くん。私はあなただから、安心して身を委ねているのよ♪」
「そうだよお兄ちゃん。わたしもお兄ちゃんを男性として、愛しているもん♪」
 ああもう、薄着で抱きつくな。つうかクンクンするな。むしろ腕枕はそろそろ勘弁して――
 
 
「っておい!? 気がついたら俺、いつの間にかおまえらと、かなりハズイことしてね!?
 てゆうか途中で気づけよ俺!? 何こいつらに流されてんだよ俺!?」
 両隣を見回すと、やたらとニヤニヤ顔した、妹と姉ちゃん。
 くそう、なんかアホの2人にハメられた、俺が馬鹿みたいじゃないかよ……。
 心なしか、なんか恥ずかしさのあまりに、俺の顔が熱くなってるし!?
 
「あ〜もういいよ……、今日は一緒に寝てやるからさ、これ以上は何もすんなよ?
 そのかわり、明日からは毎日毎日、おまえらに俺のことを諦めるよう、説得するからな!?」
「望むところだよ、弟くん……(ちゅっ♪)それじゃあ、オヤスミなさい♪」
「わたしもね、お兄ちゃん……(ちゅっ♪)それじゃあ、おやすみなさい♪」
 そう言って、2人とも頬を赤く染めながら、俺の両隣で寝息を立て始めた。
 
――なんか俺、さっさと諦めて、このお子様2人の面倒を見てたほうがいい気がしてきたよ……。
 
 
                                       ― The girl of the fool is pretty ―
545名無しさん@ピンキー:2009/05/05(火) 16:11:47 ID:BSgk8VMm
キスシスGJ
546名無しさん@ピンキー:2009/05/05(火) 16:37:34 ID:POsWY1zJ
GJ

両親はなんでニヤニヤしてるんだろうねえ
下手したら本人よりその辺うるさいはずなんだが
義理か?義理なのか?
それとも実は両親もきょうd
547名無しさん@ピンキー:2009/05/05(火) 17:02:30 ID:uCpRbL9o
GJ!!!

>>546
ギリギリなのは兄(弟)だろう。理性的に考えて。
548名無しさん@ピンキー:2009/05/05(火) 22:17:53 ID:6ubClJ0t
あぁ…癒される……
549名無しさん@ピンキー:2009/05/06(水) 00:17:39 ID:rXCVr6xV
>>548
死ね
550名無しさん@ピンキー:2009/05/06(水) 00:18:58 ID:kMfZeed0
あと少しでGWが終わる…

さあ!学校という安息の地へ!!
551名無しさん@ピンキー:2009/05/06(水) 00:25:54 ID:cVk6f37j
キモ姉妹が同じ学校に通っている場合は……
552名無しさん@ピンキー:2009/05/06(水) 00:35:27 ID:OZd1Y09d
全員中学生で同じところに通ってるなら一緒に登校だな。
全員高校生とか、あるいは中高一貫なら一緒に登校して
冷やかされるってのはできるか。

なんにしろ姉妹ともにかわいかったぜ!
553名無しさん@ピンキー:2009/05/06(水) 10:54:50 ID:mJdGAcQu
どうしてSSに登場する姉や妹たちは可愛いんだろうな
うちの姉なんて外見はともかく性格は最悪
がさつで横暴
風呂上がりに裸のまま俺の前をウロウロして
眼が合うと「見てんじゃねーよ!」と蹴りが飛んでくる
見たくて見てんじゃねーよ! てか見せてんのそっちじゃん!

……って、あ?
何か用、姉貴?

「黙って見てないで襲いかかって来いっつってんだよっ!」

うわ何をする姉qあwせdrftgyふじこlp
554名無しさん@ピンキー:2009/05/06(水) 14:36:23 ID:fwk/KRxY
 俺・・・このGWが終わったらキモ姉と結婚するんだ・・・・・


あれ?
555名無しさん@ピンキー:2009/05/06(水) 15:07:05 ID:mJdGAcQu
うちにはキモ姉なんていませんよ? >>554 くん
だってお姉ちゃんと >>554 くんは相思相愛だもの
愛し合って結ばれた2人の関係がキモい筈ないでしょう?
556名無しさん@ピンキー:2009/05/06(水) 15:42:24 ID:9Ujfrfx0
>>554
これは・・・秘孔『解唖門天聴』を突かれたようですね。
557名無しさん@ピンキー:2009/05/06(水) 16:00:21 ID:arPos312
亀レスだけど、戦場に至るがすごい神だった
寝とられ注意とかあったからスルーしてたけど、
ああいうのは注意いらないと思うぞ。ここは寝とられとは水と油だからその分スルーも増えちゃうだろうし

とにかく続編頼む
558 ◆DqcSfilCKg :2009/05/06(水) 16:35:01 ID:aLPCW3kr
前回の負い目キモ姉にご感想ありがとうございました。
一レス分のSSですが。小ネタってことでどうぞ。
559家族のお節介 ◆DqcSfilCKg :2009/05/06(水) 16:36:16 ID:aLPCW3kr

 あ、いたいた。アンタねえ、いるならいるって返事しなさいよね。私だって暇じゃないんだから、もう。
 え? 何の用って? ああそうそう。アンタさあ、うちの部の後輩と付き合ってるでしょ。って、うるさ。
そんなビックリすることないじゃない。
 ま、いちおうOGだしね。そこらへんの情報は、ねえ? なによ、姉の交友関係に文句つけようっての? 
別にいいのよ。いつだったかなー? アンタがお姉ちゃんの下着盗んであんな、ってそんな凹むことないで
しょ。なんならまたお姉様の下着、貸してあげましょうかしら? ほれほれ脱ぎたてよー、ほほほ。

 ああ、用事ってのはね。そのー、まあ言いにくいんだけどさー。これでもアンタは弟なわけだし、家族っ
て意味でまあその、大事っていうの? あー、なんか恥かしいなー。まあいいや。それで用件なんだけど。
 ……アンタさ、正直遊ばれてるよ? いや、その、アンタの付き合う事になった子なんだけど。どうも評
判がよくないっていうか。今の部長いるじゃない。うんそう、私の代ん時に一年だった子。結構仲良いんだ
けどさー、その子の話でもなんか部内でも浮いちゃってる感じらしくてさ。ほら、男のアンタには可愛く見
えるかもしれないけど、ああいうのって女から嫌われるし。まあ今更仲良しこよしって部じゃないけど、ち
ょっとねー。
 はあ。まあ男はそう言うわよね。でもさー、噂レベルだけどやってること結構エグイよ? 校外に男何人
もキープして、なんかおっさんとホテルから出てきたって話もあるし。え? いやでもさあ、火の無い所に
煙はたたないって言うじゃない。私も少し話したけどなんかなーって感じだし。アンタってこういうの好み
なんだなーって思ったしさ。
 だからさあ、ちょっと冷静になってみれば? 流石にアンタが遊ばれてボロボロになるのをただ見てるだ
けってのも良い気分しないし。社会勉強ったって、アンタ童貞でしょ? ショックで勃たなくなったりでも
したら困るからね。家的に。
 なによー、そんな逆切れしなくても良いじゃない。アンタは人が良いって言うか、いまいち人を疑う事知
らないっていうか。それもまた長所だと思うけど、今回は私の目から見てもちょっと危ないかなーって。な
に? それとも溜まってんの? って、だから大声出さないでようるさいなー。
 まあしばらく私も様子見させてもらうから。は? いやだから今度、デート行くんでしょ? 週末。そう
そう。私も適当に男見繕ってくるから。大丈夫よー、こっちはOGなんだし。それともなに? 私に逆らおう
っての?
 うんうん。素直でよろしい。ま、今回は家族のお節介ってことでさ。じゃあよろしくねー。
560 ◆DqcSfilCKg :2009/05/06(水) 16:39:31 ID:aLPCW3kr
前後は各自妄想で。
ホントヤサシイオネエサンデスヨネ!
561名無しさん@ピンキー:2009/05/06(水) 18:41:38 ID:wUIgw3XD
これはいい「キモ姉妹好きホイホイ」でした。
この姉ちゃんは間違いなく、弟の恋人を全力でつぶしにかかりそうだ。

ところで、改行の件ですが、もしかしてパソコン→携帯で投下してます?
その場合、一部のメールソフトだと、勝手に改行するので、注意してくださいね。

それでは、次回を楽しみにしています。
562名無しさん@ピンキー:2009/05/07(木) 03:11:16 ID:RVGbN4Ig
GW終わっちゃったけど投下しちゃうよ

一応暴力表現あり注意
563キモウト日記〜SからMへ〜:2009/05/07(木) 03:14:42 ID:RVGbN4Ig
○月×日

 今日は朝から兄さんに怒鳴られた。
 理由は昨夜私が兄さんの大切にしていた本を破り捨てたからだ。
 兄さんが寝静まった後部屋に入り、本棚から取り出したそれを部屋中に破り散らかしてやった。
 余程大切な物だったのか、先週目の前で携帯をへし折った時より兄さんは遥かに熱り立っていた。
 いつ見ても兄さんの怒る顔は気持ちが良い。
 最近は兄さんもかなり腹に据え兼ねているのか、私に対して怒りや嫌悪以外の態度を示さなくなった。少し寂しい。
 でも兄さんを怒らせるのは凄く楽しい。
 次は何を壊してやろうか。
564キモウト日記〜SからMへ〜:2009/05/07(木) 03:15:09 ID:RVGbN4Ig
○月△日

 今日兄さんが知らない女と一緒に歩いていた。楽しそうに談笑していた。
 兄さんは家では見た事がないぐらい笑顔だった。
 私にはそんな顔してくれないのに。
 気がつくと私は兄さんの後をつけていた。
 聞き耳を立ててみると、兄さんは仕切りにゴメンねと繰り返し、女はいいよと笑顔を返していた。
 どうやら私が破り捨てた本はあの女からの贈り物だった様だ。いい気味だ。
 いい気味のはずなのに、なぜだか腹が立つ。イライラする。吐き気がする。
 なんで私が兄さんに苛つかされなきゃならない?
 苛つかなきゃいけないのは兄さんなのに。
565キモウト日記〜SからMへ〜:2009/05/07(木) 03:15:34 ID:RVGbN4Ig
○月□日

 今日も兄さんがあの女と歩いていた。
 しかも手をつないでいた。
 二人の、とりわけ兄さんの顔は今まで見た事がないくらい幸せそうだった。
 その時、私の頭に鈍器で殴られたみたいな衝撃が走った。
 気分が悪過ぎてそれ以上はよく覚えていない。多分放心状態で家に帰ったんだと思う。
 ありえない。
 なんで兄さんはそんなに幸せそうなの?嬉しそうなの?
 なんで私はこんなにイライラしなきゃいけないの?
 今こうして日記を書いている最中も頭が痛い。
 帰宅してから既に四回は嘔吐している。
 なんで私がこんな目にあわなきちゃいけないの。
 悪いのは全部兄さんだ。本当にイライラしなくちゃいけないのは兄さんなのに。
 決めた、次はあの女を壊そう。
566キモウト日記〜SからMへ〜:2009/05/07(木) 03:18:08 ID:RVGbN4Ig
×月○日

 今のうちに昨日の出来事を書いておこう。
 昨日は兄さんに殴られた。
 ビンタや叩くなんて生易しい物じゃなく、本気で殴り飛ばされた。
 口の中が血の味でいっぱいになり、鼻血が止めどなく出るぐらい。
 どうやらあの女を■■したのが私だと直感したようだ。
 殴られうずくまっている私のお腹を兄さんは容赦なく蹴りつけた。
 何度も何度も。それこそ死んじゃうんじゃないかというくらい。
 今にも気を失いそうな痛みの中で私はある事に気がついた。
 私は兄さんの怒った顔が好きなんじゃなくて、兄さんに怒られるのが好きなんだと。
 だから痛いのにこんなにも気持ち良いんだと。
567キモウト日記〜SからMへ〜:2009/05/07(木) 03:18:41 ID:RVGbN4Ig
×月○日続き

 今日はいつもより書くことが多い。
 兄さんは私を二、三十回は蹴りつけた後、私の髪を掴み、倒れた体を無理矢理起き上がらせ耳元でこう言った
 「今度は俺がお前を壊してやる」
 そう言うと所々血の付いた私の服を引き千切り、同様に下着も引き千切られた。
 それから一日中私は兄さんに犯され続けた。
 少しでも抵抗すれば頬をぶたれ、後ろから犯されている間は常にお尻を叩かれた。
 今や私の体は全身傷と痣でいっぱいだ。
 でも嬉しい。私が嫌がれば嫌がるほど兄さんは私を怒ってくれる。
 次に日記を書けるのがいつになるのかはわからないが、兄さんが起きたらまたしばらく怒ってくれる。
 今日は昨日より怒られるだろう、もしかしたら殺されちゃうかもしれない。
 でも幸せだからいいや。
568名無しさん@ピンキー:2009/05/07(木) 03:20:53 ID:RVGbN4Ig
以上
やっつけ仕事だけど勘弁な
569名無しさん@ピンキー:2009/05/07(木) 04:22:54 ID:fZj3FMc4
>>568
あれ? 暴力&凌辱オチは苦手なのに、マゾキモウトのおかげで、ちっとも悪くないや。
むしろ兄さんてば、どんだけ抑圧されてたんだ……?

ともあれGJでした!
570名無しさん@ピンキー:2009/05/07(木) 10:59:55 ID:7qIpqDau
>>568
GJっす
やっつけとは思えないクオリティーっす

>>569
よう、同志

俺も暴力&陵辱苦手な筈なのに不思議と嫌悪感が湧かないんだせ
571名無しさん@ピンキー:2009/05/07(木) 11:14:13 ID:ZkUJ8LNB
ちょっと失礼します・・・投下するスレ間違えたので、誘導されてここに来ました・・・
貼り付けておきますね・・

・・・カタカタ・・・カチッ・・・(私はいつものようにネットのファッションサイトを見ている)
妹「今日は、なんか収穫ないぁ・・・いい服でないかぁ・・・このスカート・・たかーい・・・ねっ、お兄ちゃん!」
そういいながらパソコンモニタの右下にあるWebカメラの画像に問いかける・・
その画像には一人の男の子・・・そう、私のお兄ちゃんの映像がライブ形式に流れている。
部屋の天井に設置されてるのであろうそのカメラに本人はまったく気が付いていない・・・
(・・・だって私がこっそり設置したんだもん・・・)思わずよだれが出そうになる。

・・・ん、おにいちゃんしちゃうの??ん?出したいのぉかなぁ?
画面に問いかける
画面の中の男の子は机の方に向かい、引き出しを開ける・・・・
そして・・・一番したの引き出しを取り外し、その裏から1冊の本を取り出す。
妹「そっか、出したいんだね・・・いいよ♪」
・・・カチッ・・・
マウスのクリック音と共に●REC(録画)のマークが点灯する。
妹「お兄ちゃん可愛い・・・えっ、ちょっと、今、目あっちゃったよぉ。」(足をバタつかせてしまう)
Webカメラ越しに目がたまに会ってしまう・・・
妹「イキそうなの?お兄ちゃん!・・・いっちゃうの?」
その男の子はテッィッシュの箱に手をかける
Webカメラの映像を凝視しながら
妹「1、2、3、4、5、、、5枚か、、、」ティッシュのとった枚数を数える。
すぐさま、自分の杖の上にあるティッシュ箱からから、同じ枚数を取る
そして、工作用のノリを取り出し、おもむろに染み込ませる・・
妹「今日は少ない方だねぇ・・・よっ・・・・完成っと。」さっきのティッシュを丸める。
1分後・・・
そろそろ、お兄ちゃんもキレイキレイしたいよね・・・・せーの、
妹「お兄ちゃんーお風呂沸いたよー!早く入ってーー!」
兄「うん、わかったよー」
Webカメラ映像から兄の姿が消える・・・・
妹「潜入開始♪」
席をたって、さっきの丸めたティッシュを持って部屋を出る・・・
妹「あった、あった・・・ゴミ箱に入れられたティッシュの塊と手元のティッシュを交換する」
その後、部屋の枕を一瞬抱きしめて部屋を後にする。
妹「さて、お兄ちゃんセックス、しよっか♪」
ノートパソコンをベットの上に運ぶ。
丸められたティッシュの塊を丁寧に解くと、その中心部にはべったりと精液がこびりついていた
妹「今日は五枚だから、3枚でいいかな♪」
3枚の精液がべったり付いたティッシュをもう一度丸める。
そして、それを自分のショーツのクロッチをずらし、性器にくわえさせて、もう一度クロッチを戻す
妹「あん、おにいちゃんの当たってる」
残りの2枚を鼻元にあてがう・・・
妹「お兄様の匂い・・・・」目がトロンとしてしまう・・・
そして、パソコンの再生をクリックすると、先ほどの男の子はしきりに自分のペニスをしごく映像が流れる・・・
妹「あんっ、、、お兄様そんなに強引にしないで下さい・・・」
自分の股間にくわえさせられた、精液まみれのティッシュをグイグイ、ショーツ越しに押し込む
妹「いやん・・・あんっ!、やめてください、お兄様!!」クンクン、スー・・・ハー
精液まみれのティッシュを鼻にあてがい、鼻のみで呼吸する
妹「あんっ、あんっ、あんっ・・・あーーーーーーーいやーーーー」
その瞬間にショーツにシミが広がっていく・・・・
口元から垂れたよだれを拭きとり・・・
妹「携帯に入れて・・・明日の昼休みも見ないとね♪」
・・・・そういって、携帯電話が繋がれた、パソコンの転送ボタンをクリックする・・・
572名無しさん@ピンキー:2009/05/07(木) 14:10:22 ID:tC6fFmbG
ぐっじょぶ!
573名無しさん@ピンキー:2009/05/07(木) 15:34:16 ID:ZkUJ8LNB
ピッピピピピ・・・・・カチッ(目覚ましを止める)
妹「ふぁ・・・眠いよぉ・・・お、お兄ちゃんは・・・・」
あわててパソコンの起動スイッチを押す。
画面右下のWebカメラの映像が映し出される・・・
妹「よかった、、、まだ寝てて・・・おはよっ、おにいちゃん♪」
時計を見る・・・・7時15分だ・・・
妹「危ない危ない、あと、15分でお兄ちゃん起きちゃうよ・・・早く行かないと!!」
朝シャワーの為、自分のタンスの引き出しから洗濯済みのショーツを取り出す。
妹「れっつごーー♪」
・・・カチャッ・・・・・(そーっとその男の子が眠る部屋に入る・・・姿勢を低くし、ベッドに近寄る)
妹「(小声で)・・・おはよっ、お兄ちゃん」
・・・顔を覗き込む・・・よだれを垂らしながら寝ている男の子に挨拶する
妹「ラッキー♪今日は、出てる♪・・・頂きますね、おにいちゃん♪」
・・・・・ズズズッ・・・チュルッ(口元のよだれを吸い取る)
妹「おいしぃ・・・(目がトロンっとしてくる)・・・駄目駄目、早くしないと・・)
よいしょっと・・・(掛け布団の下半身をめくる)
妹「え、えっ!!今日ダブルラッキーだー♪お兄ちゃんのおちんちんはみ出てるーー可愛い〜〜」
トランクスの付け根から、ポロンっとでたペニスは朝勃ちしていた。
妹「失礼します・・・クンクン・・・(匂いを嗅ぐ)・・今日も、いい匂いだよー♪」
・・・・・・何かその先端に光るモノを見つけてしまう。
妹「・・・・え、ええっ!!!今日、何でこんなにツイてるの!やばいよぉ・・嬉しすぎ!!
朝立ちで、カウパーなんて・・・おにいちゃん、そんなに溜まってるんだぁ・・・私はいつでも準備おっけぇなのに・・・」
・・・チラッ・・・目覚まし時計を見る7時27分
妹「時間がなくないよぉ・・・どうしよう・・・・そ、そうだ・・・」
手に持ってるショーツを一度、開けてクロッチ部分(股間部分)をつまむ・・・
妹「綺麗にしてあげるからねぇ〜ちょっとまってね〜」
自分の洗濯済みショーツのクロッチ部分を指に巻きつけ、気づかれないように、やさしく、カウパーを拭き取る。
妹「綺麗になったよぉ・・・それじゃぁお休み」
・・・・(静かにドアを閉める)カッチャッ・・・・・
・・・・・20秒後・・・・・・ピピピピピピピ・・・・

〜 シャワー室 〜
妹「今日、何でこんなについてるんだろ、もしかして、お兄ちゃんと結ばれる日が近いって事かなぁ♪」
シャワーを浴び終え、身体を丁寧に拭き取る・・・
妹「お兄ちゃん、朝からエッチなんだからぁ・・・・」
さっき、お兄ちゃんのカウパーを拭き取ったショーツに足を通す・・・
いつも異常にショーツを引き上げる、股間に、しっかりとシミの付いた部分を食い込ませる
妹「お兄ちゃんのエッチ・・・当たってるぅ・・・」
股間部分を何回も撫で回す・・・
妹「さてと・・・カチャッ(ドアを開ける)・・・・お兄ちゃんおはよ♪今日もおね坊さんかな??」
目の前にいる男の股間に視線を落とし、次に自分のスカートを見ながら(本当は今着けている下着を想像して)
妹「今日も一緒だね♪」
574名無しさん@ピンキー:2009/05/07(木) 17:33:35 ID:X9JBmU5j
死ねよ
575名無しさん@ピンキー:2009/05/07(木) 17:38:45 ID:C86TwGYG
キモい(妹じゃなくてお前が)
576名無しさん@ピンキー:2009/05/07(木) 18:26:26 ID:BqkLpvfq
黙ってGJしときゃいいんだよ
577名無しさん@ピンキー:2009/05/07(木) 18:36:16 ID:UA9WZ4UD
GJ

兄は妹が寝てる間に実は…とか考えた俺は終わってる
両想いなのにダブル片想いの可能性が浮かんでしかたない
578名無しさん@ピンキー:2009/05/07(木) 19:12:05 ID:ZkUJ8LNB
キモ過ぎましたかね・・・
やりすぎですか?
579名無しさん@ピンキー:2009/05/07(木) 19:39:42 ID:bdHJINLQ
>>578
んなことないしGJだけど

あんまへこへこしてるとよく思わない人もいるから
堂々としてたらいいよ
580名無しさん@ピンキー:2009/05/07(木) 19:53:54 ID:juGGj9qP
>>578
GJ!!!
続きは・・・あるよなw
581名無しさん@ピンキー:2009/05/07(木) 20:03:46 ID:ZkUJ8LNB
もちろんあるぜ!
582名無しさん@ピンキー:2009/05/07(木) 20:28:19 ID:RVGbN4Ig
>>578
キモいは褒め言葉
バンバン投下カモーン
583名無しさん@ピンキー:2009/05/07(木) 20:33:39 ID:N5G05gdo
ナイスきもうと!!
584名無しさん@ピンキー:2009/05/07(木) 20:36:05 ID:juGGj9qP
>>581
楽しみにしてるよw
焦らず投下してくれ
585名無しさん@ピンキー:2009/05/07(木) 22:17:58 ID:+J+4OcjE
>>578
GJ
すげぇキモくていい
586名無しさん@ピンキー:2009/05/07(木) 22:47:19 ID:+YyXHMjP
愛し合っていた姉弟が実の姉弟ではないと知って駆け落ち。そして結婚
http://digimaga.net/2009/05/russian-couple-happy-to-find-out-its-not-incest.html
587名無しさん@ピンキー:2009/05/07(木) 23:35:22 ID:fZj3FMc4
>>573
GJ! 続きもよかったっす。
だから卑屈にならなくていいっすよ。
勢いに任せて、投下後のレスに返答しすぎるのには注意を。
昔某スレでやりすぎて、一部の住人に追い立てられた、不遇の書き手さんがいたから……

>>586
えっと、このスレ読み直してきて。
>>504で同じ内容の記事、もうでちゃってるから。
588名無しさん@ピンキー:2009/05/07(木) 23:37:47 ID:g2nwpZQ9
>>578
GJ!! 全力で続き楽しみにしてる!
589名無しさん@ピンキー:2009/05/07(木) 23:40:56 ID:jUqGCWh5
既出
590名無しさん@ピンキー:2009/05/08(金) 01:15:22 ID:LMS4t2tP
妹「今日はどこに出かけるの?」
兄「今日は図書館に行ってくるつもりだけど、昼飯には帰ってくるよー」
妹「じゃあ、今日はお昼ご飯作っておくよ♪」
兄「有難う、じゃぁ行ってくるよ・・・行ってきまーす。」
妹「気を付けてね〜」
・・・バタンッ・・(玄関のドアが閉まる)
妹「今日の予定はどうなってるのかなぁ・・・」
ポケットから、スマートフォンを取り出し、スケジュール管理表を起動させる・・
妹「図書館っと・・・」
一日の利用者数、衛星写真からの駐車場の車の数、兄のクラス名簿に載っている女子の住所等を照合させる・・
妹「今日は午前中の3時間くらいだし、利用状況も大丈夫だね・・・っと、お昼の準備しないとね♪」
・・自分の部屋に戻ってくる・・・
妹「アレが必要だね、今日は・・・(ポーチのチェックを開ける)・・・あちゃーっ切らしてるよ・・・買いに行かないと・・」
財布を握り締め、部屋を出て、近所のドラッグストアーに到着する。
妹「アレはどこかな〜あ、あったあった・・・これこれ・・・」
生理用品売り場においてあるタンポンを手に取る・・・
妹「ちょっと多い日用は・・・あ、あったあった、コレコレあとは、シェーバーも・・・」
購入した後、ドラッグストアーのトイレに入る・・・
スカートをまくりあげる・・
妹「やだぁ・・ちょっと出てるよぉ・・・これも、お兄ちゃんのエッチな液が原因なんだからね・・・」
今朝、ショーツを穿くときに上げ過ぎたのと、カウパーを意識し過ぎたためにクロッチにシミを作ってしまっていた。
・・・ペリッ・・・カサカサ・・・(女性器の入り口にタンポンのアプリケータの先を付ける)・・・
妹「おにぃちゃんの為だもん・・・・クチュッ〜(アプリケーター押し入れ)・・いやんっ・・・きついよぉ・・・ニュルッ・・キュッ(すべて押し込めたようだ・・・)」
少し濡れたショーツを再度穿きなおす。
妹「家に向けてダシュだーーーー♪」走って家に帰る・・・
家に着くや、すぐに腹筋やら、腿(もも)上げなんかをして、身体を動かす・・・
妹「こんなもんで、運動はいいかな。(ほんのりブラがムレはじめ、ショーツも足の付け根が汗で湿ってきた)」
・・・ポーチから、リモコンタイプのローターを取り出す。
三日月の様な形をしたそれは、ショーツの中に入れてしまえば、ずっと押し当てないでリモコンで操作することが出来る。
妹「今日のお兄ちゃんは「3」だね♪・・・あんまり強くすると感じすぎちゃうから・・・」
・・・ヴィィーーーーーン・・・・・・
ショーツの中で、快楽の振動のみを送り付けるそれに何度も気をとられたが、、何とか料理を完成することが出来た・・
妹「そろそろ、仕上げないとね♪」
スカートをまくり、ショーツを脱ぐ・・・しかし、先ほどの行為をまったく感じさせないくらい、ショーツはドライだった・・・
妹「それじゃ・・そろそろ、、(タンポンの紐をつまむ)・・・(クチュ)アンッ・・・・(ニュルッ)アンッ!・・・ポタポタポタ・・・・」
生理でもないのに入れられたタンポンは、汗と精液をたっぷり含みヒタヒタになっていた・・・
・・・吸収できなかった液体がポタポタっとフローリングの床に落ちる。
妹「生理じゃなかったから、入れるのちょっと痛かったんだよぉ・・・運動もいっぱいしたし・・・でも、コレもお兄ちゃんのためだよ♪」
タンポンに含まれた汗と、精液をボウルにしっかりと搾り取り、シェーバーで剃った陰毛を、ミキサーで細かくし、出来た粉末を入れる。
妹「あとは調味用を入れてソースは完成♪・・そろそろかなぁ〜」
・・・
兄「ただいまーご飯にしよっかー、出来てる?」
妹「もちろんだよ♪」
・・・・
兄「お!おいしいよ。どんどん料理上手くなるね、関心したよ!」
妹「当然だよ、だって、それは私の汗と涙の結晶だもん♪」
591名無しさん@ピンキー:2009/05/08(金) 06:43:16 ID:cW+iiycz
>>590
GJ!
キモいw
あと、精液→愛液で・・・
592名無しさん@ピンキー:2009/05/08(金) 12:56:00 ID:hmt85WyR
GJ

この妹はもう駄目だ…
593名無しさん@ピンキー:2009/05/08(金) 12:58:30 ID:LMS4t2tP
まだ続けるつもりなんですが、いいっすか?
594名無しさん@ピンキー:2009/05/08(金) 14:18:47 ID:hmt85WyR
続けるといったときにはもう続きをやってるのがキモウトだ
続きを書いた、なら使っていい
595名無しさん@ピンキー:2009/05/08(金) 14:30:59 ID:LMS4t2tP
今書いてるから。待ってね♪
596名無しさん@ピンキー:2009/05/08(金) 14:35:23 ID:LMS4t2tP
感想っていう声援がほしぃです!
そしたら、がんばれるから・・・!!
597名無しさん@ピンキー:2009/05/08(金) 16:31:31 ID:3c8fRI7v
お疲れ様。内容的にもGJっす。
だけど一言だけ。

少し黙れ。
感想や声援が欲しいとか、書き手が自分から催促するもんじゃない。

VIPの新ジャンルスレでさえ、そんな「構って臭」をだす書き手さんはいねえよ。
いや、今はこんなんばっかなのか?

とにかく、誰も続きを書くなとは言わないから、もう少し落ち着いて作品を投下してください。
598名無しさん@ピンキー:2009/05/08(金) 16:37:42 ID:LMS4t2tP
なるほどね・・
わかりました。ちょくちょくかいていきますわ〜
599名無しさん@ピンキー:2009/05/08(金) 16:45:41 ID:QdD08+TO
感想がほしくて書いてるなら別のスレでどうぞ
叩きたいやつは愚痴スレへ
もうちょい真摯に紳士的な批判をしてやろうぜ


うん、まあ、なんだ
文章が致命的に下手だな
妹のグロテスクで幼稚なキモさを表現したいなら成功してるけど
600 ◆DqcSfilCKg :2009/05/08(金) 17:24:56 ID:yWwmABvO
>>599
つまりこういうことですね

 ……あれ? おかしいなあ。
 お兄ちゃん、なんでそんな女に構うの? そんな女、ただお兄ちゃんの気を引きたいだけでお兄ちゃんのことなんか
全然これっぽっちも考えてないんだよ? それなのにお兄ちゃん、そんな女に優しくして……うん、お兄ちゃんが優
しいのは知ってるよ。私もちっちゃい時からお兄ちゃんの優しさに触れて、だから不良とかにもならずにこうやって
お兄ちゃんの妹として頑張ってるんだよ? 知ってる? 最近ね、周りの友達から私は良いお嫁さんになれるねって
言われたんだよ? その時ね、その、私が奥さんでお兄ちゃんが旦那さんっていう想像しちゃった、えへへ。だって、
だってね? その話の前に友達が私のことをブラコンだって言うんだもん。そういう話の後にお嫁さんとか言われた
ら、そりゃあそういう想像しても仕方ないよね? ね? それでね、想像の中で毎朝してるみたいに、ねぼすけのお
兄ちゃんを私が優しく起こしにいくの。目覚めのキスをして起きた旦那さんは奥さんのご飯を食べてお仕事に行くの。
帰ってきて疲れている旦那さんをわた、奥さんが優しく出迎えて、ご飯食べてお風呂入ってそれで最後にいっぱいエ
ッチして。もうそこまで考えてすっごく興奮しちゃった。ほら、今も私、お兄ちゃんに抱かれてるのを想像してこん
なになっちゃった……。だから、だからね? そんなどうでもいい女の相手なんてしないでお兄ちゃん。
 あ、お薬効いてきた? もう、せっかくこんな話をしてるのに全然襲ってこないお兄ちゃんが悪いんだよ?
 それじゃあお兄ちゃん。もうあんな女のことなんか思い出さなくてもいいぐらいに愛し合おうね? ね? お兄ちゃん。
601名無しさん@ピンキー:2009/05/08(金) 21:52:30 ID:nfvOma8G
うんうん!
鰻屋で肝吸い頼んでる奴見た時、ちょっと反応しちゃうよな!
602名無しさん@ピンキー:2009/05/09(土) 00:06:22 ID:ngcz2dDN
>600
滲み出る中の人のキモさが足りない
603名無しさん@ピンキー:2009/05/09(土) 00:39:43 ID:1gQoCx/3
ふ〜…、考えられないな。
いいか兄さん。よく聞いて欲しい。何故そうまでしてあの女性の相手をしようとする?
私から見れば、あの女性はただ兄さんの気を引きたいだけであって、兄さんのことは欠片も頭の中には存在していないだろうな。
それなのにあの女に優しくするということは、ハイリスクでありながら何のリターンもない。
つまり何の利益もない、究極に馬鹿な行動を兄さんはとっていることなん……当然だ。
兄さんが愚直なまでに優しいのは十分理解している。
私も幼い頃から兄さんのその優しさに触れていたから、ちゃんと人並みの人付き合いができるようになった。兄さんの妹として今までやってこれたんだ。
…知ってるかい?最近、友人たちから私は良い嫁になると言われたんだ。
フフフ、その時私は思わず想像したよ。自分の相手、自分の夫の姿を。
誰だか分かるかい?私の隣にいたのはね、兄さん…、貴方だったんだ。
だがそれも仕方が無いことだ。何故なら友人はその話の前私のことをブラザーコンプレックスだと行ってきたんだから。
そんな話の後に良い嫁になるとか言われたら、私がこんな想像してもなんらおかしなことではない、そうだろう?
そして私はその想像の中で、毎朝やってるみたいに、兄さんを起こしにいったんだ。
もちろん起こし方は優しく、しかし確かな情熱を秘めたキスだ。……まぁ話は最後まで聞け。
そして目を覚ました夫は妻の朝食を食べ、仕事へ向かうんだ。そして仕事で疲れて帰宅した夫を私は優しく出迎えるんだ。
腕によりをかけた夕飯を共に食べ、風呂に入り、そして二人は我を忘れてしまうほど濃厚で激しいセックスをする。
あぁ、何て幸せな日々なのだろうか。考えるだけでぞくぞくするよ。
証拠にほら兄さん、私のここは貴方に抱かれることを想像しただけでこんなにはしたなくなってしまったよ……。
だから、だから兄さん…。もう、あの女の相手なんかするんじゃない。
ん、少々早いが薬が回ってきたようだな。大体、私がこんな話をしているのに全く襲う素振りを見せない兄さんが悪いんだ。
まぁいい、これで貴方は私のものになるのだから。
さぁ兄さんたっぷり愛し合おう、そして愛してくれよ。私は愛してるよ、この世の誰よりも、この世の誰よりもね。
ー兄さん。




クールで頭脳明晰なキモウト大好きです^p^
604名無しさん@ピンキー:2009/05/09(土) 00:53:49 ID:cpT6CrEV
>>603
クールキモ姉妹好きはここにもいるぜ。
ってあれ? 話の内容は>>600の文章の改変なのか?

まあいいか。>>600と併せて、ぐっじょぶ!
605名無しさん@ピンキー:2009/05/09(土) 01:08:55 ID:ngcz2dDN
>557
亀であれだが、寝取りだろうが寝取られだろうがダメな人はいる
まあ、前スレの家族愛とかもそうだが、姉が泥棒猫から女を寝取る、という話は、スレ的に寝取られとはちょっと違うかもね
戦場に至るはまぁ、泥棒猫に感情移入するように仕向けられてるみたいだからあれだが
スルーするならスルでおk
606名無しさん@ピンキー:2009/05/10(日) 02:02:07 ID:geQnqg0L
>>605
でもあんまりどうでもいいことで警告を発していると、
時期にみんな警告に耳を貸さなくなって狼少年の結末になるからな。
それはそれで被害者を増やすんだよな。

作者さんには基準をうまく見極めてもらいたいね。
607名無しさん@ピンキー:2009/05/10(日) 08:42:04 ID:4Q1xGbeT
■投稿のお約束
 ・苦手な人がいるかな、と思うような表現がある場合は、投稿のはじめに宣言してください。お願いします。

テンプレに書いてあるんだから必要
608名無しさん@ピンキー:2009/05/11(月) 01:21:01 ID:ctguoENb
マサヒロ君のお父さんシリーズ
609名無しさん@ピンキー:2009/05/11(月) 01:22:08 ID:ctguoENb
誤爆しました…
610名無しさん@ピンキー:2009/05/11(月) 01:25:53 ID:ssAobFcN
>604
まあ、前スレの家族愛とかもそうだが、姉が泥棒猫から女を寝取る、という話は、スレ的に寝取られとはちょっと違うかもね

姉が泥棒猫から弟をを寝取る、だな。失礼
611名無しさん@ピンキー:2009/05/11(月) 18:04:52 ID:uXp7NEGP
キモウトフーヅ
そんな電波を受信したんだが
612名無しさん@ピンキー:2009/05/11(月) 19:27:34 ID:xXgwA88e
夜の7時台にフジテレビでCMが流れてそうだな
613名無しさん@ピンキー:2009/05/11(月) 20:02:50 ID:sjA91z5a
シャキッとコーンの様に敷き詰められたキモウトがこっちを見てくるCMですね
614広小路淳 ◆3AtYOpAcmY :2009/05/11(月) 20:24:41 ID:+xmfhEdg
>>600>>603
友人が大きな役割を果たすことがある、というのは兄弟側でもあるんじゃないですかね。
ということで一発。
615人を祝わば穴二つ ◆3AtYOpAcmY :2009/05/11(月) 20:25:37 ID:+xmfhEdg
「で、相談って?」
縄手博は、彼の無二の親友、天方雄一郎の相談を受けていた。
その声には、若干のイラつきがあった。雄一郎が一向に本題を切り出そうとせず、他愛のない世間話をしていたからである。
「あ、ああ」
躊躇いがちなのが傍目にもわかる。
「実はな……」
「もったいぶらずに教えろ。お前から持ちかけてきたことだろうが」
「俺の姉貴が、……俺と、男女として付き合いたい、って……」
博は、間髪を置かず返した。
「おお、おめでとう!お前もいよいよ彼女ができたんだな!」
雄一郎は、予想もせぬ答えに憤然となった。
「本気で言っているのか!」
「お前、恋愛にタブーなんてあると思っているのか?最初から何らかの条件をつけるのが愛だといえるのか?」
「……」
「相手が本気で愛しているというのならそれに真摯な態度をとるのが当然だろう!」
一呼吸おいて、言葉を続けた。
「いいか、今お姉さんを、友香さんを愛してあげられなかったらな、一生誰も愛せないぞ!」
博は、そう言い置くと、伝票をばしっと引ったくり、まっすぐレジに向かう。
今日は相談があるから奢る、と言われている上でのこの行動は、紛れもない意思表示だ。
その時、雄一郎から、
「……わかった」
静寂を裂く、というより、鈴の音のように響かせた声。
「俺、やってみる」
彼の眼に、もう迷いはなかった。
「さすが、俺の親友だ。今日はその眼を見られただけでも十分な報酬だ」
そう言うと、博は二人分のコーヒー代を支払って出て行った。
616人を祝わば穴二つ ◆3AtYOpAcmY :2009/05/11(月) 20:27:46 ID:+xmfhEdg
 数日後の深夜、
「その後、どうなりましたか?天方先輩」
「上々よ。もう天にも昇る思いだわ」
 俺と天方友香は、あるサービスエリアの駐車場にそれぞれ横付けされた車越しに話をしていた。
「約束は果たしてくれるんでしょうね」
「はい、博くん」
 催促され、友香は俺に札束の入ったマニラ封筒を渡した。
「……ふんふん、いいんですか?こんなに」
「雄くんが手に入ったんだもの、惜しくはないわよ。それより、いいの?」
「何がです」
「親友を売るような真似をしちゃって。アールズホテルの御曹司がそんなにお金に困っていたの?」
 非難でも軽蔑でもなく、純粋におどけている。今という時が楽しいのだろう。
「恋人とのデートにはお金もかかるんです。それに」
「それに?」
「彼が必要とするアドバイスを与えたまでのこと。
 あなただって、三宮さんに後押しされたことも大きかったんでしょう?
 俺が非難されるいわれはありませんよ」
「そうね」
 と心底嬉しそうに微笑む。
「じゃあ、またね。困ったことがあったら何でもいってちょうだいね。
 あなた方の幸せのためなら、力を貸してあげるから」
 そう言って、走り去っていった。
「俺も帰るか。美耶子が待っているしな」
 ひとが兄弟姉妹で愛し合う分には構わないが、俺には大切な恋人がいる。
 携帯を開いて待ち受けを眺める。俺の最愛の人、望月美耶子。
「さあ、次の休みは楽しくなるぞ」
 そうして、財布と心を暖めた俺は、帰途に就くのだった。
617広小路淳 ◆3AtYOpAcmY :2009/05/11(月) 20:30:02 ID:+xmfhEdg
今回は以上です。
縄手については機会があればまた書くこともあるかと思いますので、
それまで展開を予想されながらお待ちください。
618名無しさん@ピンキー:2009/05/11(月) 20:37:49 ID:1CTsDfVU
GJ、前回の話とつながってるね。
次回を楽しみにしています。

そういえば、もう次スレの季節なのな……
619名無しさん@ピンキー:2009/05/11(月) 21:53:07 ID:KFVxZW7O
1000まで行かないのは職人がいる証拠。
620名無しさん@ピンキー:2009/05/11(月) 23:10:43 ID:Z3pzWVyh
それは良いことだ
621名無しさん@ピンキー:2009/05/12(火) 15:58:14 ID:Dk4mv/Rc
そうか、次スレがたった途端、長文を投下する気だな
まったく奥ゆかしい職人たちだぜ
622名無しさん@ピンキー:2009/05/12(火) 19:54:43 ID:3X5Nh4Qa
>>617 なんでこんなもんの展開を予想しなきゃいけねーんだww
もうちょいましなもん書いてから言えpgr
623名無しさん@ピンキー:2009/05/12(火) 22:27:34 ID:cwNvI8GC
だが釣られンぞ
>>617GJ
624名無しさん@ピンキー:2009/05/13(水) 01:04:56 ID:6Kruanuu
>>622
一万年、やはり腐っては生きられんか
625名無しさん@ピンキー:2009/05/13(水) 01:58:43 ID:wpzHnNcZ
そんなことより>>624のIDを見てくれ
こいつを見てどう思う?
626名無しさん@ピンキー:2009/05/13(水) 02:28:18 ID:0WAlaaYQ
すごく…ルアヌウです…
627名無しさん@ピンキー:2009/05/13(水) 23:10:49 ID:wpzHnNcZ
そして>>626はオワイアア
628名無しさん@ピンキー:2009/05/14(木) 00:38:31 ID:Opmf8bOW
そしてこの俺はというと・・・!
629名無しさん@ピンキー:2009/05/14(木) 00:52:05 ID:SzIXBPyc
オプムフ8ブオワゥ
630名無しさん@ピンキー:2009/05/14(木) 01:21:05 ID:Bnh/HLYi
IDがキモかったら小ネタを書く
631名無しさん@ピンキー:2009/05/14(木) 03:56:25 ID:2A6vT9DR
昭和初期の名士の家のキモウトとかいいなぁ……
632名無しさん@ピンキー:2009/05/14(木) 20:04:41 ID:1WFSvjDF
大正ロマンとかの、古きよき時代のキモ姉妹か……
面白いかも知れない。
次スレで誰か長めの話を書いてくれる人がいたらいいな。

ところで次スレまだー?
633名無しさん@ピンキー:2009/05/14(木) 20:11:49 ID:AETXuQW2
大正ロマンとか古き良き時代とかいうと
奏介さんが頭に浮かぶ俺はもうダメだ
634名無しさん@ピンキー:2009/05/14(木) 20:18:39 ID:6d0XrVmF
アベさんの妹or姉

という小ネタで埋めれば次スレで職人さんが大量投下してくれるはず
635名無しさん@ピンキー:2009/05/15(金) 01:09:46 ID:Rdk/BKxf
姉「弟くん…」
妹「お兄ちゃん…」

姉妹「「や ら な い か ?」」

こんな感じか?
636名無しさん@ピンキー:2009/05/15(金) 01:26:44 ID:f2crRARJ
>>635
やらないよ(・∀・)

キモ姉キモウトが許されるのは二次元だけだよねー
637名無しさん@ピンキー:2009/05/15(金) 01:36:53 ID:+FnRVT3D
キモ姉&キモウト小説を書こう!part20
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1242318704/

たてたよねえさん
638名無しさん@ピンキー:2009/05/15(金) 01:38:33 ID:M29dJX8b
>>631-633
戦前は大新聞なんかでも下品なゴシップ記事を取り扱っていたりしてたから
大変だったと思うぞー。プライバシーなんて概念もなかったし。
キモ姉妹たちにとっては受難の時代だったんじゃないかな。
639名無しさん@ピンキー:2009/05/15(金) 02:48:12 ID:8HoXg1iW
>>634-636
本当に、このスレは「ツナギ姿のイイ男」の話題が、時々だけど出てくるな〜
キモ姉妹好きに意外と人気あるのか、彼は。
そして>>635はアベさんの性格的に「実の姉妹に、それより女に興味はない」で終わるオチしか見えない……

>>638
その代わりに人権的に戦後ほど優遇はされないから、口封じに手段は問わないでも良さそうだけど。
「私たちの邪魔をする不穏分子どもは、これで綺麗に片付いたわ」って感じに。

>>637
あ、あの……次スレ、ありがとう。
ごめんね、携帯でスレ立てできない、腑甲斐ないねえさんで、ごめんね?

まあそれはともかく、ここ3日ほど投下がなかったし、適当に埋めネタか短編でも用意してきます。
えらく縦長いレスになったなあ。
しかし、あと5KBくらいあるのか〜
640 ◆6AvI.Mne7c :2009/05/15(金) 05:44:35 ID:8HoXg1iW
舌の根の乾かないうちに、再度帰ってきてみた。
最近スレの動きが停滞してたけど、なんとか走り切れたな〜
 
埋めネタが2つ用意できたので、連続で投下。多分2.5KB。
タイトルはそれぞれ「思考埋没」「身命埋葬」。姉弟ネタと兄妹ネタ。
1レスなのに鬱エンド(片方死にネタ)なので、嫌いな人は注意。

次レスより投下。2レスお借りします。多分まだ埋まらないな〜。
641埋めネタ「思考埋没」 ◆6AvI.Mne7c :2009/05/15(金) 05:51:11 ID:8HoXg1iW
 
弟君……僕は――姉さんは、君を心から愛しているんだ。
だから、君の頭の中を、僕のことだけで埋め尽くしてあげる。
 
 
おや、目が覚めたようだね、愛しい弟君。
ふふ、いつ見ても、君は可愛いよ。
特に、全裸で縛られている姿は格別だね。
 
む? 「いいから離してくれ」だって……?
ああ、それは無理な相談だよ、弟君。
だって、いま君を解放すれば、君は僕を忘れるだろう?
だから駄目だ。僕の目的を達成するまで、君を離しはしない。
 
目的が何かって? ふふ、言われなくても解っているだろう?
君の頭の中に、僕しかいないようにすることさ……!
そうすれば、僕が傍に居なくても、君は僕を忘れない。
それどころか君は常に、僕の傍に居たがるようになるだろう。
 
 
ははは。ほら、もう何人も覚えていないだろう?
あともう少しで、君は僕と君以外の人間を忘れる。
そうしたら、僕と君とで、一緒に新しい家庭を作ろう。
誰も居ない新しい世界、そこで僕たちは幸せになるんだ。
 
――さあ、次の性交で最後だ。これで弟君は、ずっと姉さんのものだ。
 
 
                         ― A thought is forgotten ―
642埋めネタ「身命埋葬」 ◆6AvI.Mne7c :2009/05/15(金) 06:09:24 ID:8HoXg1iW
 
兄さん……私は――貴方の妹は、貴方を心から愛しているの。
だから、兄さんのことを、絶対に私から離れなくしてあげる。
 
 
ふふ、目が覚めたみたいね、愛しい兄さん。
うん、いつ見ても、兄さんの身体は、逞しいよね。
特に、全裸で縛られている姿は、とっても色っぽいよ。
 
え? 「いいから離してくれ」だって……?
うん、それ無理。離してあげないよ、兄さん。
だって、いま兄さんを放したら、1人でどこか行くんでしょ?
だからダメ。最後の最後まで、決して離しはしないからね。
 
ほら聞こえる? ふふ、ここの上にあるミキサー車を全部壊したの。
ここにセメントが流れてくる――そしてここは密閉空間なの。
だから、もう助からないし逃げられないんだよ。
じきにこの部屋はセメントで埋まって、私も兄さんも死んでしまうわ。
 
 
あはは、もうセメントが足元に溜まってきたみたいよ?
あともう少しで、私たちは固められて、命を失うよね。
そうしたら、私と兄さんとで、一緒に「あっち」に行こうね。
新しい世界に旅立って、そこで誰にも邪魔されず、幸せになろうよ。
 
――さあ、生涯最後のセックスをしよう? 兄さん、死んだって離さないからね。
 
 
                                  ― We were buried ―
643名無しさん@ピンキー:2009/05/15(金) 09:55:48 ID:+EphNgJ1
文字通り埋まったわけか…
644名無しさん@ピンキー:2009/05/15(金) 11:32:15 ID:nm1ltZyC
>>643が上手いこと言ったからこのスレ終了で
645名無しさん@ピンキー:2009/05/15(金) 19:18:56 ID:p2N4jiJ7
お兄ちゃん好きだー!
646名無しさん@ピンキー:2009/05/16(土) 00:18:07 ID:btbiJ+HY
キモ姉&キモウト小説を書こう!part20
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1242318704/
647名無しさん@ピンキー:2009/05/16(土) 07:52:40 ID:iIKrVW50
まだ埋まってないんだぜ
648名無しさん@ピンキー:2009/05/16(土) 09:09:22 ID:XlPhybBB
新しい世界へ旅立ちましょうお兄様
649名無しさん@ピンキー
隙間が、まだ隙間があるぞ!
そうだ、ここを使えば逃げられる

自由だ〜! 俺は自由を掴んだぞ〜!