144 名前:【ゴブリン娘はブタじゃない(1)】:2009/11/10(火) 15:05:16
「――黒沢双葉(ふたば)いいます。大阪から来ました。見ての通りゴブリンやけど、仲良ぅしてください」
二学期の初めに転校して来た女子生徒は、ゴブリンだった。
黒板の前に立って、にこにこ笑顔で挨拶する。
「ちなみに小学三年までは茨城の水戸にいてたんで、納豆は平気ていうか、むしろ好物やったりします」
はぁぁぁぁ……
窓際の前から三番目の席で、白岡一樹はゴブリン女を見やり、ため息をついた。
エグい身体してるなあ、雌ゴブリンって……
褐色の肌は日焼けした運動部員と、さほど変わらない。
ショートボブの髪は、いくらか赤みを帯びているけど、茶髪の生徒が多い中では目立たない。
顔は丸いけど、くっきりとした眼鼻立ちのおかげで、それなりに可愛いといっていい範囲である。
だが、髪の間から頭の上に突き出しているのは、三角形で先が折れたピンク色の耳――ブタの、耳。
制服のブレザーがはち切れそうな丸々とした身体つきも、まるで仔ブタだ。
しかし服の中身が実は筋肉であろうことは、丈を詰めたスカートから伸びた脚が示している。
艶やかな褐色をしたそれは、ごつごつと筋肉が隆起しているのだ。
彼女がブタの獣娘ではなくゴブリンである所以だろう。
スカートをめくってやれば、腰からは、やっぱりブタに似た尻尾が生えているのだろうけど。
「ほかに好きなものいうと、歌手なら絢香、関ジャニなら緑の人、粉モンならタコ焼きよりお好み焼きですぅ」
あらかじめ考えてきたのか勝手に口をついて出てくるのか、ゴブリン女は調子に乗って喋り続ける。
クラスの皆が、くすくすと笑っているのはウケているのか失笑か。
……うぜ。
と、一樹は思った。顔はそこそこ可愛いと思わないでもないけど、こいつのお喋りは、うざい。
「えっと……自己紹介はこんなトコやけど、ほかにみんな訊きたいこと、ある? ある?」
ゴブリン女は生徒たちにマイクを向ける真似をした。
「何でも訊いてくれてええよ、体重とか答えられへんこともあるけどな。あとスリーサイズも堪忍やけど」
いや、興味ねーからさ。
どうせ体重七十キロオーバー、ウエストも七十センチはあるんだろ……
と、一樹が心の中でツッコミを入れていると。
「そしたら、こっちから指名しよか。窓側の前から三番目の、頬杖ついてる彼。ウチに訊きたいこと、ある?」
ゴブリン女が、わざわざ指名してきやがった。
クラス中の生徒が、くすくす笑いながらこちらに注目する。
テメェッ、黒ブタッ! なに勝手に指名してやがるッ!
一樹は内心、腹を立てながら、しかし学校では冷めたキャラで押し通しているので、
「……前の学校では、何て呼ばれてたの? 普通に黒沢?」
あくまで落ち着いて訊いてやると、ゴブリン女は「あはっ!」と声を上げて笑った。
「いややわ、そんなん訊く? 前のガッコの綽名は捨てて来たつもりやってんけど」
そして笑いながら、べーっと一樹に向かって舌を出してみせ、
「『クロブー』や。由来はまあ、見たらわかるやろ? 言うとくけどゴブリン、ホンマはブタと違うねんで」
クラス中の生徒が、これに大笑いした。
一樹だけは笑えずに、むしろ呆れ果てたけど。
何、こいつ? 自分のブタキャラで笑いをとろうって、完全にオンナ捨ててるじゃん。
アホくさ……
転校初日。一樹の双葉への第一印象は、最悪だった。
しかし双葉の側が彼をどう思ったのかは、この時点での一樹は知る由もないのだった――
145 名前:【ゴブリン娘はブタじゃない(2)】:2009/11/10(火) 15:06:23
「――なあ、白岡くんてサッカーしてたて聞いたんやけど」
ゴブリン女の双葉が転校して来て三日目。
二時限目と三時限目の間の休み時間に、いきなり彼女が話しかけてきた。
机に頬杖をついて居眠りしていた一樹は、双葉が席に近づいて来たことにも気づいていなかったが、
「……え? ああ……」
頭の中がぼんやりしたまま視線だけ相手に向けて、曖昧に頷く。
何だ、このゴブリン女。こっちはオマエに用はないんだけど……
しかし双葉は一樹の前の空いていた席に勝手に腰を下ろして、にこにこしながら、
「ウチもなあ、サッカーしてたんよ。とゆうても小学校までやけどな」
「あ、そう……」
一樹は、また曖昧に頷く。ゴブリン女が話しかけてきた理由がさっぱりわからない。
しかし気のない返事も、双葉はまるで意に介さない様子で、にこにこ笑顔のまま、
「それでな、あのな、相談なんやけど……一緒にJリーグ、観に行かへん?」
「……ほえ?」
一樹は眼を丸くした。思わず変な声を出してしまったのが恥ずかしくなって、すぐに眉をしかめ、
「……何で?」
「何でて、じぶんサッカー好きやろ?」
くすくす笑いながら双葉は答える。
「初めは女子の誰か誘おう思てんけど、サッカー知らん子と観ても、おもろないしなあ」
「Jリーグっても、どこの試合、観に行くつもりだよ? セレッソとか?」
「何でセレッソ? ウチが大阪育ちやから? せやったら先にガンバの名前が出て来そうやけどな」
双葉は、くっくっと苦笑いして、
「まあ、同じJ2には違いないねんけど。観に行きたいんはホーリーホックや」
「……って」
一樹は相手の顔を、まじまじと見つめ、
「……プリマハム?」
「プリマハムって何でやねん。いや、ホーリーホックの前身がプリマハムなのは知ってるけどな……って」
双葉は何かに気づいて、けらけら笑いだした。
「セレッソ言うたのも、それでかい。ニッポンハムがスポンサーやから? いややわあ、白岡くん!」
ばちんっ! と、一樹の肩を思いきりひっぱたく。
「痛ッ!」
一樹は呻いた。本気で痛かった。ゴブリン女の糞馬鹿力!
双葉は、けらけら笑い続けながら、
「ゴブリンはブタと違う言うてるやん。ホーリーホックはウチが生まれた水戸のクラブやねんで」
「いや俺、東京サポだし。よその試合は別に興味は……」
「なんやガスサポかいな。ええやん、漢(おとこ)祭りではガスサポにも毎度お世話になってんで」
双葉は携帯電話を取り出して、ウェブビューアを立ち上げ、
「次節は日曜日の横浜FC戦や。アウェイやけど三ツ沢やから遠ないし、ガスは来週まで試合あれへんやろ」
「そうだけど……」
「なんや渋い顔してはるなあ。チケット代はウチがもつし、スタメシくらいごちそうしたるで」
にっこりと双葉に笑いかけられて、一樹は答えに困った。
問題はゴブリン女そのものよりも、先ほどからこちらを見て、くすくす笑っている女子生徒たちだ。
このゴブリン女、俺をサッカー観戦に誘うことを、ほかの女子に話してやがるのかよ……
これは慎重な対処が必要だった。迂闊に双葉を怒らせれば、クラス中の女子を敵に回すことになりかねない。
双葉は転校して来て早々に、クラスの人気者の地位を占めていた。
146 名前:【ゴブリン娘はブタじゃない(3)】:2009/11/10(火) 15:07:54
一樹には騒がしいだけに思える彼女のお喋りを、特に女子連中が面白がって、もてはやしていたのだ。
お笑い芸人みたいな胡散臭い関西弁が珍しいだけだろうと、一樹は思っているのだけど。
「……三ツ沢のスタメシで何が旨いかなんて知らねえよ」
一樹は、ため息まじりに言った。
双葉の誘いを断るべきではないというのが彼の結論だった。
このクラスで居心地よく過ごすには、人気者のゴブリン女と仲良くしておいて損はないだろう。
もちろん、あくまで友達としてのつき合いだ。それ以上、何がある?
「横浜FCがJ1にいた年は、俺まだサッカー部でアウェイまで観に行く暇なかったし」
「スタメシのオススメはウチもよう知らんわ。行ってみてのお楽しみでええやん」
双葉は一樹のブレザーの袖をつかんで、くいくいと甘えるように引っぱり、
「なあ、頼むわあ、白岡くん。女の子ひとりでアウェイ観戦って寂しすぎるやろ? 一緒に来てえなあ」
「……わかった、行ってやる。言っておくけど俺は観てるだけで、水戸の応援までは、つき合わねえからな」
「ほんま一緒に来てくれるん? ありがとお! 嬉しいわあ!」
双葉は叫ぶと、一樹の腕にぎゅっと抱きついてきた。
「どわっ!?」
一樹は思わずのけぞったが、双葉はぐいっと自分のほうへ引き戻す。
……むッ、胸ッ! ゴブリン女の胸が俺の腕に当たってんじゃねェかッ!!
自分のブレザーの袖と相手の制服越しに、意外に柔らかな肉の感触があった。
仔ブタのような、ぱっつんぱっつんの身体で双葉は一樹の腕に抱きついたのだ。
腕が胸に触れてしまうことは必然といえるだろう。
「応援はしてくれへんのは寂しいけど、他サポに無理は言えんしな」
双葉は一樹の腕に抱きついたまま、彼の顔を見上げて、にっこりと輝くような笑顔を見せる。
「せやけど服は青いの選んで着て来てな。ホーリーホックのクラブカラーやねんから」
一樹は思わず、どきりとした。
こいつ……もう少し痩せたら、マジで可愛いんじゃねえの?
それだけにゴブリンであることが、もったいないとも思う。
贅肉ではなく筋肉で丸っこい体型のゴブリンが、人間のようにダイエットできるわけでもないだろうし。
「……わかった。水色のシャツがあるから、それ着て行くよ」
動揺を隠して言ってやると、双葉は「あはっ!」と笑って、
「水色はアカンわ、横浜FCの色やん。そないな真似したらウチのオーセンティックユニ無理やり着せたるで」
「そしたらオマエは裸族かよ」
「そうそうゴル裏は裸で気合入れていかんとな……って、何でやねん。ウチの裸は安ないで」
ばしんっ! と、また肩を叩かれて一樹は呻く。
「痛ッ!」
「ユニは毎年買うてるから何枚もあるんよ。一緒に応援する気になったときのため、予備で持ってったるわ」
双葉は携帯電話をかざして、にこっと笑い、
「それとな、メルアドと電話番号、交換しとかなあかんね」
「あ……、ああ」
とうとうメルアドまで教える羽目になってしまった。
赤外線通信で送った一樹のメルアドを見て、双葉は小首をかしげ、
「……メルアドが『kazu_s0912@』って、もしかして白岡くんの誕生日、九月十二日?」
ついでに誕生日まで知られてしまった。
「もうじきやないの、えらいタイミングやな。よっしゃ、誕生日祝いに新しいオーセンティック買うたるわ!」
胸を張ってみせる双葉に、一樹は渋い顔をして、
「いや、いらないから。というかオマエ、どうしても一緒に応援させようって気だな」
147 名前:【ゴブリン娘はブタじゃない(4)】:2009/11/10(火) 15:08:39
「だって、そのほうが楽しいやん。他サポも巻き込んで一緒に応援するのんが漢祭り以来の水戸の伝統やで」
にこにこと笑っている双葉に、一樹は小さくため息をつく。
どうしてゴブリン女に、ここまで懐かれたのか。
顔は可愛いと思わないでもないのに、その体型はどうにかならないのか。
ゴブリンである以上、どうにもならないのだろうな……と、一樹は嘆息するほかなかった。
日曜日は台風が関東地方を直撃して、朝から大雨だった。
一樹は朝の九時に起きたけど、部屋のカーテンを閉めたままでもどんな天気か雨音でわかった。
うんざりしながらカーテンを開ける。窓の外は、やっぱり土砂降り。
さすがにゴブリン女も、この天気でサッカーを観に行くとは言わねえよな……?
途中で電車が止まるかもしれないし、現地へ着いても試合自体が中止になる可能性だってある。
携帯にメールが届いていることに気づいて、開いてみると双葉からだった。
『おはよ(^_^)/ 大雨だね(;_;) 試合も延期かも・・・白岡くん雨男と違うよね?(笑)
とりあえず予定通り10時に駅前のマクドで待ち合わせお願いしますm(_ _)m』
大雨の中、駅まで出て行くのも億劫だけど、一樹はあきらめて『了解』と返信した。
自転車が使えないので早めに家を出て、一樹は徒歩で駅へ向かった。
Tシャツと短パン、足元はサンダル。Tシャツは青いものを持っていないので紺色にした。
濡れても上等な格好だけど、駅へ着くまでに、やっぱりびしょ濡れ。
風が強まってきて、傘が役に立たなかったのだ。
ゴブリン女との待ち合わせのために、どうしてここまでしなきゃならんのか……
関西人にはマクド呼ばわりされてる駅前のマックへ着いたのは約束の五分前。
店の二階の客席を覗いてみたけど、ゴブリン女は来ていない。お客自体が二、三組しかいない。
こんな天気で出歩く奴が珍しいのだろう。
朝食がまだなので、ソーセージエッグマフィンのセットを買って、二階の適当なテーブルに着く。
食べ始めたところで、ばたばたと階段を駆け上がって来た仔ブタのような丸い娘……双葉だ。
「……あぁ」
客席を見回してこちらに気づき、ほっとした顔で(ドタキャンされるとでも思ったか?)、歩いて来た。
白いブラウスに、制服のときより少し長めの膝上丈のデニムスカート。相変わらず筋肉質の脚。
肩からは『mitre(マイター)』のエナメルバッグを提げている。
肌が褐色なせいもあり、部活がオフの日の女子サッカー部員みたいだ。それにしては、ちょっと太めすぎか?
「ごめんなあ、バスがさっぱり来おへんで。ウチが誘ったのに時間ぎりぎりで、ホンマ申し訳ない」
「というかオマエ、頭から水かぶったみたいじゃん……」
スカートも水を吸って色が変わっているけど、ブラウスは完全にびしょ濡れで肌に貼りついている。
百センチあってもおかしくないくらいのデカ乳を包む、白いレースの大人びたブラが透けて見えていた。
「いややわあ、ホンマや。急いで来たから気づかへんかってん」
双葉は両手で胸を隠して、ぺろりと悪戯っぽく舌を出す。
一樹は、またどきりとさせられた。
ヤバい。ゴブリン女が可愛く思えてきた……
「ちょっとお手洗いで、着替えて来てええか?」
「着替えるって……水戸のユニに?」
「それでええなら、そうするけどな。せやけど試合は延期になってもうてん。さっきネットで調べたんや」
「そっか……」
148 名前:【ゴブリン娘はブタじゃない(5)】:2009/11/10(火) 15:09:30
「普通の青いTシャツも用意して来たんよ。白岡くんが空気読めない格好で来たら着替えさせよ思てんけど」
双葉は、眉間に皺を寄せて一樹のTシャツに顔を近づけ、
「きょうは必要なくなったけど、用意しといて正解やってんな。ウチは青い服、言うたんやで」
「紺でもダメなのかよ」
「アカンわ。もう少し明るい色なら許容範囲やけど、それ濃紺やんか」
「雨で濡れて色が濃く見えるんだろ」
「アホ。濡れてるのんとそうでないのんの見分けくらいつくわ」
「アホって……」
「待っててな。試合中止やからって帰ったらアカンよ。渡したいものがあるんや」
そう言い残して、双葉はバッグを抱えてトイレへ立ち去った。
一樹はマフィンを食べながら待つしかない。
……それにしても、あいつすげえ乳だな……
先ほど見たものを思い出して、一樹は、慌てて首を振る。
おデブ女の乳がデカいのは当たり前である。そんなものに欲情するほどマニアックな趣味ではないつもりだ。
だが、単純に太っているから大きいといえないほどの高低差も備えていた。
ブラジャーのおかげかもしれないけど、形も悪くなかった気がする……
……って、なに考えてんだ俺は! 俺のアホ!
相手はゴブリンだぞ。ブタの耳と尻尾を生やした筋肉ダルマだぞ。
友達としてつき合う分には悪くない奴だけど、オンナとして見るには微妙すぎるだろ。
双葉が戻って来た。青いTシャツに着替えて、首にホーリーホックのタオルマフラーをかけている。
「白岡くん、タオル使う? タオルマフラー、もう一枚あんねん。頭とか拭いたほうがええよ」
「ああ……じゃあ、借りておく」
一樹が答えると、双葉はにっこりとして、バッグからタオルマフラーを出して広げてみせた。
「これ見てみ。龍の絵と、漢字で『水戸』の字が入ってるんや。カッコええやろ?」
「俺は東京都民だけどな。いまはオマエもな」
「せやけど水戸はウチの魂の故郷やねん」
「バリバリ関西弁喋ってるくせにな」
「そおだごと言うでねえ、ごじゃっぺが」
「……は?」
眼を丸くする一樹に、双葉は、くすくす笑いながらタオルを渡してきて、
「茨城弁や。もう半分忘れてるけどな」
「そっか」
一樹は借りたタオルマフラーで濡れた髪を拭く。
「……で、俺に渡すものって、このタオルマフラーじゃねえだろ?」
「うん。ホーリーホックのシーズンチケットやわ」
「……え?」
「ウソウソ、ホンマはこれや」
双葉はバッグの中を探って、駅弁の釜飯に似た茶色い壺を引っぱり出した。
木の蓋を紐で結わいつけてあるところも釜飯に似ている。
「ゴブリンてのは、もともと、戦士の種族なんや」
壺をテーブルの上に置き、双葉は、じっと真顔で一樹を見た。
「戦士に怪我は、つき物やろ。せやから、それぞれの家に怪我の特効薬がご先祖さんから伝わってるねん」
「……それで?」
一樹が先を促すと、双葉は、言った。
「それでな。この薬なら白岡くんの膝、完治するとは言わんけど、草サッカー楽しめるくらいにはできる筈や」
149 名前:【ゴブリン娘はブタじゃない(6)】:2009/11/10(火) 15:10:19
「…………」
一樹は口をつぐんだ。
何でゴブリン女が、俺の膝のことを知ってるんだ?
いや、知っていてもおかしくねえか。俺がサッカーやってたことも知ってたんだし。
クラスには同じ中学出身の奴が何人かいるから、あいつらから聞いたのだろう。
双葉が言った。
「ウチも小学校でサッカーしてた言うたやろ? でも中学でやめてもうた。魔物は中体連、登録できへんから」
「それは……悔しいな」
一樹が言ってやると、双葉は頷くように顎を引いて、眼を伏せ、
「悔しいに決まってるわ。ゴブリンは人間より筋力も体力もあるけど、それだけでサッカーが有利と違うやろ」
「……ああ」
「ウチがゴブリンに生まれたんは仕方のないことやし、もう割りきったけどな。せやけど」
再び双葉は眼を上げて、一樹を見つめ、
「白岡くんの膝は治せるねん。何もかも元通りとは言わんけどな、練習してないブランクもあるし」
「だから草サッカー?」
「頑張ってトレーニングすれば、大学でサッカー部に入って公式戦に出られるくらいになるかもしらんけど」
「そこまでは無理だろ。怪我がなくても三年もブランクがあるんだ。大学サッカーはそこまで甘くねえよ」
「せやけど草サッカーで芝生の上でボール追いかけるだけでも楽しいやろ。せやから、この薬……」
双葉は壺を一樹のほうへ押しやった。
「…………」
一樹がその壺を手にとると、少し早口になって双葉はつけ足した。
「……あのな、その薬、使い方が少しメンドいねん。毎日朝晩塗り込んで、包帯きっちり巻かなアカンねん」
「そうなのか?」
「せやからウチがやってあげよか? 普段は学校でできるし、休みの日は、きょうみたいに待ち合わせて……」
そこまで言って、双葉は俯き、
「毎日朝晩、顔を会わせることになるけどな。ウチは構へんねん、白岡くん次第や」
「……怪我のあと、必死でリハビリやったよ」
一樹は言った。
「膝の皿が砕けて靱帯も痛めて、かなり酷い怪我だったけど、もういっぺんサッカーやりたくて」
「…………」
双葉は顔を上げて、一樹を見る。
一樹は自嘲気味に笑って、
「でも結局、日常生活は支障がない程度に回復したけど、それ以上は無理だった。いや、自分で無理と決めた」
壺をテーブルに戻す。
「心のどこかに恐怖が残っちまったんだ。あんな痛い思い二度としたくなくて、本気でプレーできなくなった」
「痛いのをゼロにするのは無理やわ」
双葉は言った。
「せやけど、少しでも痛いのを和らげてあげることはできると思う。その薬と……、ウチとでな」
そしてまた俯いた。
肌が褐色なのでわかりづらいけど、人間でいえば顔を赤くしている状態かもしれない。
「……何で俺なの?」
一樹は訊ねた。
「いま俺たち、一緒にサッカー観に行く友達っていう以上の会話、してるよな?」
「魔物の女の子には本能があんねん」
双葉は答えて言った。
150 名前:【ゴブリン娘はブタじゃない(7)】:2009/11/10(火) 15:11:06
「人間が支配してる世の中で、数に乏しい魔物が生き残っていくには、ある種の嗅覚を働かせなあかんねん」
「嗅覚?」
訊き返す一樹に、双葉は頷いて、
「相性ぴったしの相手を見つけ出す嗅覚やわ。魔物の女の子は、それを本能的に備えてるねん」
「オマエと……俺の相性がぴったりだって?」
「一目惚れやねん」
双葉は眼を上げて、一樹を見た。
一樹はまたしても、どきりとさせられた。
彼女の台詞にも驚いたけど、ゴブリンのくせに筋肉ダルマのくせに可愛らしいことに、どきどきさせられた。
「もちろん、ウチはゴブリンや。人間でも魔物でもウチより可愛い女の子はいくらでもいてるやろ、でもな」
壺を手にとって、
「ゴブリンでもそうやのうても、ウチにしかできへんこともある。白岡くんの膝を一緒に治してくこととかな」
「…………」
一樹は次の言葉を待ったけど、双葉が黙り込んでいるので、先を促す。
「一緒に治してくこととか……それと?」
「それと? それと……あとは」
それ以上は考えてなかったのか、双葉は壺をテーブルに戻して、視線を彷徨わせた。
「ええと……なあ、あとは……その」
「……ぷ!」
一樹は吹き出した。「あはは!」と声を上げて笑った。
「な……何がおかしいねん!」
叫ぶ双葉に、一樹は笑いながら、
「オマエさ、可愛いよ。うん、すっげえ可愛い」
「なんや、褒められてる気が少しもせえへん」
「褒められ慣れてねえからだろ。可愛いなんて言われることも滅多にないだろうし」
「そないなことあれへん。クラスの女子は、みぃんなウチを可愛いと言うてくれるわ」
「そりゃ実際、可愛いからな性格の面では。みんなに俺のこと、あれこれ訊きまくったんだろ?」
「そら訊かなしゃあないやろ。ウチ、転校生やねんで。白岡くんのこと、よう知らんねんもん」
「それを可愛いって言うんだよ。女子がみんな俺たちのほうを見て、くすくす笑ってたわけだ」
「あのな、ウチの可愛いとこ、性格だけやあれへんで!」
双葉が語気を強めて、一樹は苦笑いで訊き返す。
「どこだよ? あと頼むから、声はもう少し抑えてな。ほかに客がいないわけじゃねえし」
「ごめん。ウチの可愛いとこは……その」
「ん?」
「……オッパイや」
「あ?」
一樹は、あんぐりと口を開ける。顔とでも言い出すかと思ったのに、そっちに振ってきたか。
双葉は拗ねたように口をとがらせながら、上目遣いに一樹を見て、
「ホンマやで。一緒にトイレ行って見せよか? 乳首はピンクやし、乳輪の小っささはきっと予想外やで」
「……いや、いまは遠慮しとく」
一樹は苦笑いで言った。
「というか、ぶっちゃけすぎだろ、オマエ」
「白岡くんが、ウチの取り柄が性格しかないみたいに言うからや」
双葉は、くすくすと笑って、
「せやけど『いまは遠慮しとく』てことは、いまでなければウチのオッパイ見てくれると思てええのん?」
151 名前:【ゴブリン娘はブタじゃない(8)】:2009/11/10(火) 15:11:56
「いや、だからオマエ、ぶっちゃけすぎだって……」
一樹は苦笑いしながら、椅子の上で姿勢を正し、こほんと咳払いしてから真顔になって、言った。
「……あのさ、黒沢」
「うん?」
にこにこと微笑みながら訊き返す双葉を、一樹は見つめて、
「俺は魔物の女の子とのつき合い方は、よくわからない。だから、オマエを傷つけることもあるかもしれない」
「そんなん怖がってたら、ウチかて人間の男の子とは、つき合えへん」
双葉は笑って答える。
「ウチは見た目からして人間と違うし。ゴブリンはブタやないてなんぼ言うたかて、耳や尻尾はそっくりやし」
「いや、まあ……ごめん。こないだの『ハム』ネタは」
「ええて。貸しにしとく」
「貸しかよ」
「そのほうが、お互い気がねせんで済むやろ。なんや腹の立つことあれば、怒る代わりに貸しにしといたる」
「オマエ……人間できてんのな。いや人間じゃなくてゴブリンだけど」
一樹が感心して言うと、双葉は「あはっ!」と笑って、
「ええ女やろ、ウチってば」
「自分でそれを言うのは、どうかと思うけどな」
一樹も笑って、
「……あのさ、黒沢」
「うん? 何?」
「俺……オマエのこと、好きになってきたみたいだ」
「あはっ!」
双葉は、にっこりとして、
「それを言うなら、『好きになってきた』やのうて『好きになった』やろ」
「ああ……好きになった」
苦笑いする一樹に、双葉は微笑み、
「人間は鈍感やねんな。相性ぴったしの相手と出会うても、すぐには気づかへんのんや」
「相性がどうなのかは……正直、まだよくわかんねえけどな。でも、オマエの鼻を信じることにしとく……」
一樹はテーブルの上に身を乗り出した。
双葉は微笑みのまま、眼をつむる。
一樹は、ゆっくりと顔を近づけていき……唇を、重ねた。
「……んっ……」
双葉が微かに声を上げる。雨で濡れた髪から、シャンプーだかトリートメントだかの甘い香りがする。
やばい。こいつ、普通にオンナじゃん。人間でもゴブリンでも一緒じゃん。
しかし積極性は戦士の種族であるゴブリンならではか。
双葉は自分から唇を緩め、舌で一樹の唇に触れてきた。一樹も舌で応えた。
互いの舌を、舐めるように絡め合う。一樹はエロビデオの見よう見まねだけど。
こそばゆいけど不快ではない。舌は濡れているのに熱く火照っている。
マジでやばい。キスだけでは済まなくなりそうだ。でも、この場所では、まずい。唇を離す。
とろんと蕩けかけた艶っぽい表情で、双葉は一樹を見つめた。
「白岡くん……一樹くんて呼んでも、ええ?」
「ああ……」
「ウチのことは、双葉て呼んでな。『クロブー』はアカンで」
「……ああ」
一樹は苦笑いする。色っぽい顔して笑いのネタは忘れないんだな。
152 名前:【ゴブリン娘はブタじゃない(9)】:2009/11/10(火) 15:12:42
双葉は眼を伏せた。
「……あのな、一樹くん。ウチ、もう抑えきれへん……」
「何を……とは、訊かねえよ。俺も一緒だし」
一樹が答えると、双葉は再び眼を上げて、
「ウチ……ゴブリンやで。服を脱いだらブーちゃんの尻尾も生えてんねんで。それでも、ええの?」
「でも、胸は可愛いんだろ? 見せてくれよ」
一樹は言って、苦笑いでつけ足す。
「いますぐって意味じゃねえよ。ここを出てから」
「……アホ。それくらいわかってる」
双葉は口をとがらせて、一樹は笑う。
「アホ呼ばわりかよ。待ってろ、これ片づけちまう」
一樹は食べかけのマフィンを口に放り込み、ドリンクで流し込んだ。
双葉が自分の唇に指で触れ、
「ウチらの初めてのキス……マクドのマフィンの味やねんな」
「ソーセージエッグマフィンな。きっと食うたびに思い出すぜ」
「あはっ! 言うとくけどウチがソーセージ味なのと違うで、味がついてたのんは一樹くんやからな」
くすくすと双葉が笑って、一樹は苦笑いで、
「誰もそこまで言ってねえよ」
「一樹くん」
「ん?」
「好きや。大好き」
「……ああ」
一樹は赤くなりながら立ちあがった。トレーを返却場所へ運んで行き、ゴミをクズ入れに捨てる。
双葉があとについて来て、
「さっきの薬、ウチのバッグにしまっといたで。包帯も用意して来たし、あとで塗ってあげるな」
「ああ、頼む。それで……」
一樹が何か言うより先に、双葉が横に並んで手の指を絡めてきた。
「……あのな、クラスの子らに聞いてきたんやけど。駅のちょい裏に、ホテルあんねやろ?」
「ああ……、あった、かな……? 電車から、ちらっと見えるやつ」
「ウチから誘うようなこと言って、はしたないと思わんといてな。魔物の女の子は本能に忠実やねん」
「人間の男も一緒だよ。俺らみたいな若い奴が、好きな相手ができたら結局、やりたいことは一つだろ」
「一樹くん、それもういっぺん言うて」
「え? いや、だから俺らみたいな……」
「そのあとや」
「そのあと? だから……」
一樹が双葉の顔を見ると、双葉は、にこにこと笑っている。
赤くなりながら、一樹は言った。
「……好きだよ。好きだ、双葉」
「あはっ! ようやっと、ちゃんと好きて言うてくれた、ついでに名前も呼んでくれた」
輝くような笑顔になる双葉に、一樹は眼を細め、
「オマエ……ホントに、可愛いな……」
その場でもう一度、唇を重ねた。
【ゴブリン娘はブタじゃない(第一部・完)】 規制解除後の第二部にご期待下さい……
ちょうどスレを覗きにきたら代理投下が完了したところでした
投下者の方、ありがとうございました m(_ _)m
いちおうエロシーンも続ける予定はあります
腹筋の割れたゴブリン娘さんにどれだけ需要あるかは不明ですけど(笑
では〜
>>577 ちくしょう可愛いなちくしょう
続き期待してる
筋肉女はニッチ嗜好だからなかなか難しいかもしれんが、さておいてもこの可愛さはイケる
書き込み代行してくれたID:ZJUSj19lもGJ!
なんてかわいいゴブリンなんだ
GJ過ぎる
一樹って妖精スレの数学オタクと同じ名前だから
一瞬びっくりしたわ
>>589 ムチムチゴブリンボディに興奮する日が来るとは思わなかったw
甘くて熱いのを一つ頼む!
どうでもいい話だけど、食用のブタの体脂肪率は14〜18%。
人間で言うと痩せ型の部類に入る。
これ、豆知識な?
そりゃまあ体脂肪率が高いと
脂身だらけで美味しくないだろうからなあ
フォアグラは、カモの脂肪肝。
フランス人も奇妙なものを食う。
ゴブリン娘と海とかプールに行ったらどんな水着着てくれんのかね
普通にビキニ(尻尾の穴あり)なのか
恥ずかしがってワンピースなのか
想像するだけでニヤニヤしちゃうぜ
ゴブリン娘にムラムラしてしまった…
ところでゴブリンは子鬼、もしくは闇妖精で訳されてて、ガタイの良い豚人間はオークって
言うんじゃなかったっけ?
あなたがゴブりんだと思うものがゴブりんです。
※ ただし他人の賛同を得られるとは限りません。
かわいい人外は正義でもういい気がする。
黒小人とかもあるし、闇妖精は駄ークエルフを連想できるし。
むしろ体育のプール授業でのスク水のムチムチっぷりに期待
クラスの男子が全員思わず前かがみになっちゃうくらいのダイナマイツっぷり
でもそれにも気がついてるのか気がついてないのか、一樹にベタベタイチャイチャしちゃうゴブリンっ子を妄想
ゴブリンのメスと言ったら、ブルーフォレスト物語的に獣耳幼女しか思い浮かばない俺が居る。
保守
狐耳巫女まだあああああああ
もう出たでしょ
ゴブリン娘の耳を甘噛みしたい
本来は巫女じゃないけど狐の小話をひとつ
610 :
1:2009/11/23(月) 23:49:29 ID:+dbtH19O
秋も深まり、冬の到来も近づいた昼下がり、譲は屋敷の軒先で空を眺めていた。
山の木々は赤く色づき、吹き抜ける風も冷たさを増すこの季節、
太陽から与えられるわずかな温もりは、ありがたさを増す一方である。
「はぁ、良い風だ」
屋敷に来てから半年も経ち、生活にも落ち着きを見出してもいるが、
実際にこうして表で太陽の光を浴びていられる時間は限られている。
原因といえば、九尾の妖孤である陽炎、その夜伽の激しさだろう。
長い時は三日三晩に渡って弄ばれ、その後は一週間に渡って立ち上がることすらできず、
文字通り精も魂も吸い上げる激しさに、譲は行為の最後まで記憶を持たせた事がない。
「平和だな、こんな日はのんびり日光浴でもして、一日を過ごすのも良いかな」
今の譲には、世間で何が起きているのかも分からないし、知りたいとも思わない。
ただ、この屋敷から逃げる勇気も無く、己の命がいつまで持つかを考えるばかり。
そんな自分の将来を考えると、身震いする。
「譲さま、お茶でございます」
「あ、ありがとう」
譲が将来を悲観していると、見知った女性が熱いお茶を持ってきてくれた。
この屋敷には、陽炎と譲以外に、お手伝いらしきこの女性の3人しか住んでいないらしい。
彼女は、優しく微笑みかけると、風のように姿を消した。何時もながら謎の多い女性だ。
「ふう、お茶がうめぇ」
「まったくじゃ、こんな日は日光浴に限るのう」
「うおっ、いつの間に」
譲の主人であり、天敵ともいえる陽炎の声に、茶碗を落としそうになるが、堪える。
だが、顔を声の主に向け、その姿を見た瞬間、茶碗を地面に落とした。
「あっ、あの、陽炎様、その姿……」
「なんじゃ、あっけに取られおって、隣に座らせてもらうぞ」
譲の隣に腰を下ろし、正座する陽炎はいつもの着物姿ではない。
上は真っ白な白衣、下は対照的に緋色の袴。俗に言う巫女装束だ。
譲にとって、この姿の陽炎を見るのは、初めてのことである。
陽炎は、驚きを隠しもしない譲を気にも留めず、己の尻尾を扇状に広げた。
巨大な尻尾の全てを広げると、その身体が何倍もの大きさに見える。
「それで、陽炎様は一体何をしてらっしゃるんですか、そんな服まで着て」
「貴様と同じ、日光浴じゃ」
「尻尾まで大きく広げて、毛並みでも良くなるんですか」
「我らは太陽の輝きから陽気を、月の煌きから陰気を得ておる、
これも立派なお勤め、正装で挑むのが当然といえよう」
年を重ねた妖艶な色気を醸し出す陽炎に、巫女装束という組み合わせはどうなのかと
心の中で失笑していたのだが、
「貴様、似合わんとか、思わなかったであろうな」
「いっ、いえいえ、まさかそんな事を」
611 :
2:2009/11/23(月) 23:50:29 ID:+dbtH19O
心中を察せられ、その場での御仕置を覚悟し身を縮めたが、陽炎はお茶を啜りつつ、
何事も無かったかのような態度で譲と共に日光浴を続けている。
続けてはいるが、大きく広がった尻尾の一つが先端を譲に向けているのが気になり、
日光浴どころではなくなった譲は、その場から避難すべく腰を上げかける。
「どこへ行く」
腰を上げる動作、身体の重心を前にずらし、両の足に力を込めた瞬間に声を掛けられ、
そのまま硬直、前かがみのまま陽炎の顔を覗き見た。
「譲や、面白いものを見せてやろう、余の尻尾を見ておれ」
「尻尾?」
見慣れた尻尾に何が起きるのかと疑問を抱きつつ、言われたままに尻尾を凝視する。
すると、金色の尻尾がほんのりと赤みを帯び、オレンジ色に染まってゆく。
「うわぁ」
「太陽から陽の気を受けるとな、こうして日の色に染まってゆく、
月から陰の気を受けると、銀色に染まる事もあるのじゃぞ」
神秘的な光景に感慨の声を漏らし、まじまじ見入ると、尻尾と同様に陽炎の顔や身体も
ほんのりと赤みを帯びていくのが分かった。
「ふうっ、暑い暑い、ちぃと気を吸収しすぎたか、このままでは逆上せてしまいそうじゃ」
「陽炎様、いったい何を……」
譲の眼前で着物の襟首を大きく肌蹴ると、形の良い胸が澄みきった空気に触れ、弾む。
堅く尖った乳首を惜しげもなく晒し、譲に視線を向けると、やさしく微笑んだ。
「譲や、近う寄れ」
「いや、そんな、滅相も無い」
「近う寄れと言うに、ええい、手間のかかる奴じゃのう」
「わふっ」
大きく広がっていた尻尾の一つが譲の身体を巻き絞めると、
そのまま陽炎の身体に引き寄せ、譲は胸の谷間に顔を埋める形になった
他の尻尾たちは、陽炎と譲の身体を優しく巻き絞め、
譲の身体は顔が僅かに覗くだけとなった。
「どうじゃ、譲や、いつもの尻尾とは違う心地よさがあろう、ん?」
「は……い……」
胸に顔を埋め、尻尾に巻かれた譲は、強烈な眠気に襲われていた。
太陽の光を一杯に浴び、ほんのりと熱を帯びた尻尾は、二人を優しく巻き絞める。
これが地肌の上からだったなら、譲は体中の性感帯が刺激され、発狂するだろうが、
幸いに服の上から巻き絞められており、胸の柔らかさと尻尾の温もりだけが身体を撫でた。
「このまま眠っても良いのだぞ、じゃが、貴様の安らかな寝顔を見たら、
余は色欲を我慢できぬであろうな」
「そっ、そんなぁ」
612 :
3:2009/11/23(月) 23:52:02 ID:+dbtH19O
陽炎の忠告に、両の瞼か付きそうになるのを必死に押さえる譲であるが、
オレンジ色の尻尾から伝わる温もりが、譲の眠気を増加させる。
顔を抑える胸の柔らかさも加わって、文字通り天にも昇るような心持となり、
譲の意識は白く染まってゆく。
「うぅ、くうっ、すぅー」
無論、かのような愛撫を我慢できる存在は無く、胸と尻尾の中で安らかな寝息を立てる。
陽炎はやわやわと愛撫を加えつつ、狙い通りの展開に笑みを浮かべた。
「ふふふ、眠りおったか、色欲を我慢でぬと言うたのに」
譲を包み込む尻尾は、すぐさま譲を蹂躙する事もなく、優しい温もりを与え続けるが、
安らかな寝顔を覗く陽炎の口には、じんわりと唾液があふれ出す。
「いかん、夜まで我慢するつもりが、このように油断しきった顔を見せられては……」
赤い唇が濡れ濡れと湿り気を増し、尻尾の締め付けが僅かに強まる。
譲が少しでも身悶えをしたのなら、陵辱劇が開始される一触即発の状態が続いていたが、
「おやかたさま、雪風と時雨が参っております」
「わかった、昼餉の間で待たせておけ、ふふっ、二人の驚く顔が目に浮かぶわ」
これが、その変の山にいるような妖孤であったなら我慢は効かぬところだが、
九尾を誇る陽炎ともなれば、引くべきところは引く。
己の胸で一瞬の安堵を享受する男に視線を落とし、髪を撫で摩る。
陽炎の頭に浮かぶのは、娘達の驚く顔か、今宵の男の喘ぐ顔か。
孤高の精神を持ちながら、孤独な狐の心の内を探る事は誰にもできないが、
この後に一騒動待ち受けているであろう事は、容易に想像できた。
【終】
GJ!!このシリーズの続編待ってました!
GJ
>588
>ゴブリン娘はブタじゃない
ゴブリナに萌えちゃったじゃんか! どうしてくれる!
保守
山神狐巫女キテター
狐耳巫女とキャッキャウフフしたい
【ゴブリン娘はブタじゃない(第二部)】はまだですか?
拙僧もぜひ、ぜひ!!
【ゴブリン娘はブタじゃない(第二部)】拝見したく!!
狐耳巫女とキャッキャウフフしたい
622 :
名無しさん@ピンキー:2009/12/12(土) 20:43:40 ID:FrVSDpEt
一旦保守
花子さんとヤミ子さんとにゃんにゃんしたい
猫が恩返し、書き始められたっぽい
動物擬人ものは、妖怪じゃないとダメですかね?
>>625 とりあえず書いてみよう。
結果は後から着いてくる
>>627 わかりました、とりあえず投下してみます。
タイトルは『アミガメ』で。
6レスほどお借りします。
「聞いてくれよ、今日はマジで大変でさぁ……」
家に帰って着替えたら、缶ビール片手に愚痴る。それが俺の日課だ。
ただ、俺は実家暮らしでも、同居人がいるわけでもない。
聞き手は、飼っている亀。
名前はアミ、アカミミガメ(ミドリガメ)でアミだ。
アミは、小学生の頃に縁日で釣ってきた。
母さんは「最後までちゃんと世話をすること」を条件に、飼育セットを買ってくれた。
まあ、よくある話だ。
普通なら、『しかし、一ヶ月もすると面倒になり――』と続くだろう。
でも、俺はなぜだか飽きなかった。
日向に出してやると気持ち良さそうにして俺も和んだし、
餌をやるときには寄ってくる様子を、可愛いと思った。
――そして、いつの間にやら十数年。
俺は大学も出て社会人となり、一人暮らしを始めた。
アミも連れていくことは、俺としては当然だったんだが、母さんは
「まさかここまで『ちゃんと世話をする』とは思わなかったわ」と笑っていた。
「…っと、もうこんな時間か。悪いな、毎日こんなことばっか話して」
そう言うと、アミは首を振ってくれた。
――飼い主補正なのは分かってるけど、そう見えるんだから仕方ない。
「もしアミが人間だったら、一緒に飲めるのに…なんてな」
すっかりぬるくなったビールの残りを飲み干す。さ、風呂入って寝るか。
翌朝、俺はいい香りで目が覚めた。
何の匂いだろう。まだ動き出さない頭で、そんなことを考える。
と、台所から物音が聞こえた。どうやら台所がこの香りの出所のようだ。
俺はフラフラと台所へ向かった。
(俺しかいないはずなのに、誰が料理なんて)なんてこと、考えなかった。
台所では、深緑の和服を着た女が料理をしていた。
俺の足音に、彼女が振り返る。
肩に掛かるくらいのやや緑がかった黒髪に、大きな漆黒の瞳。
それと対比するかのように白い肌。目鼻立ちも整っている、かなりの美人だ。
「あ……おはよ…」
俺の姿を見ても、まったく動揺したそぶりを見せない。
それどころか、構わず調理を続ける。
「ちょ、ちょっとアンタ」
「………なに?」
そうまっすぐに見つめられると、何だか落ち着かない。
だが、聞かないワケにもいかない。
「アンタは誰だ? なんで俺の家にいる?」
「……アミ、洋と一緒……」
「………?」
『洋(ひろし)』って、何で俺の名前を知ってる?
…しかも、アミ? アミに何の関係があるんだ?
訳がわからず、何となしにアミの水槽があるリビングの方を見て――絶句した。
アミがいない。
水槽は割れてない。フタは開いているが、縦は50cmある。
体長30cmほどのアミが自力で出られるはずは無い。
目の前の彼女に視線を戻す。
「…どういうことだ?」
まさかこの女、アミに何か――
「……洋、アミが人間だったら、って言った……」
「何言ってんだ? それがアンタにどう関係あるって――」
「だから……神様に、お願い、した…」
「………ん?」
え?
何?
つまり――
「……アンタは、人間になったアミだ、と?」
彼女は、こくりと頷いた。
* * * *
リビングでの聴取の結果、彼女がアミであることは確かなようだ。
俺が小四まで(個人情報保護)ことや、中二で(自主規制)ことも知ってたし。
彼女――アミによると、昨日の夜に祈って、朝起きたら人になっていた、という。
「で、どうすんの?」
「……?」
首をかしげるその様子に、思わずグッときた。
アミは、人になってもやっぱり可愛…じゃなくて。
「人間になって、それでどうするんだ?」
亀が人間になった、とかそういうことは眉唾ものだとは思うけど、
実際に起こった後だからもういいとしよう(良くないけど)。
鶴の恩返しのように、何か人間になるだけの理由があるはず。
「………」
「………」
無言の睨み合い。さあ、何が来る?
恩返しか? もちろん大歓迎だ。
復讐か? って、俺アミに何かした?
別離か? いや、それはムリ!つーかイヤ。
支配か? アミの言う事なら従うぜ!(爆
「…の………る」
「ん? 何?」
「洋の……お世話、する」
「え? 俺の…世話?」
こくり、と頷くアミ。
「ずっと……してもらう、だけ、だったから……」
「えー…と、つまり、今まで自分が世話になったから、
ヒトになった今は自分が俺の世話をしたい、ってこと?」
アミは無言で、でも大きく頷いた。
恩返しキターーーーーー!! 悶え転げる俺。
その間にアミは台所へ向かい、ご飯と味噌汁を乗せたお盆を持って戻ってきた。
「……朝ご飯」
喜んで頂きます、ハイ。
* * * *
今日は休日だから、部屋の掃除とか、諸々の家事をするつもりだった。
その旨を伝えると、私も手伝う、とのこと。
二人いると、作業は実にはかどった。
終わったときには、まだ二時をまわったところだった。
やることが無くなったので、とりあえずお茶の時間にする。
「時間、余っちまったな」
こくり。
アミはあんまり喋らない。ずっと俺の聞き役に徹してたからそうなったのかもな。
「あ、そういえば、食べ物は人間のでいいのか?」
こくり。
「二人分か…それじゃ、買い物にでも…ん?」
立ち上がろうと床についた俺の手を、アミの手が掴んだ。
「? どうした?」
アミの顔を覗き込んだ、そのとき――
ちゅ。
唇に触れる、柔らかなもの。そして、焦点の合わない程の近さにアミの顔が。
「…………!!!!」
慌てて肩を掴んで、唇を離した。
心臓の鼓動が、尋常じゃない速さになっているのがわかる。
「……ア、ミ……?」
「…ゴメン…嘘、ついた……」
アミは俯きながらそう言った。
朝からずっと、何か言うときには俺の目をまっすぐ見てたのに。
「嘘…?」
「人に…なった、理由」
「恩返し、じゃ、ないの…?」
ふるふる、と首を振る。
「本当は…洋を、私の…ものに、したかった」
あー…それって支配? まさかの支配ですよダンナ!
いや朝はあんなこと考えたけど、それは言葉のアヤってやつで?
「洋と、ずっと一緒にいたい……洋と、一つになりたい、って…ずっと、思ってた…」
「え…」
『私のものにする』って、そういう意味で!?
「でも…私…亀、だから……洋は…いつか…人間…女の人と…け、結婚…する。
それで…私は…洋より、先に……死んじゃうん、だ、って、そう…思って、た…」
声に、鳴咽が混じる。その顔から、いくつか水滴が落ちた。
「で、も…ひ、洋…が、が…他の人の、ものに、なる、のが……嫌…だった…
だから…洋が、わ、私が、人間だったら、って…言った、とき」
「もういい…」
両腕を肩から背中へと回して、その小さな体を抱きしめる。
そういう意味なら、いくらでもお前のものになってやるよ。
ただ、同時にお前にも俺のものになってもらうけどな?
「アミ…」
「……なに?」
「好き」
ポン、という音が聞こえた気がした。
真っ赤になったアミが腕の中でもじもじと動く。
「大好きだ、ずっと一緒だ」
「………ん」
アミが発したのは、『ん』の一文字。でも、俺にはわかった。
『私も、洋が大好き』
* * * *
外は日も傾き、すっかり夕方だった。
俺たちはまだ、布団の上で抱き合っている。
ええ、ヤりましたよ、ヤりましたとも。
ただ、一つ気掛かりなのは、
「…そういえば、避妊してないんだけど」
こくり。
アミが頷いた。一時の乱れっぷりはどこへやら、素に戻っている。
「子供、できるのか?」
「……欲しい…」
片手を下腹部にあてて、期待に満ちた目でこっちを見つめる。
飼い主の子供が欲しいとは、とんだペットの亀さんだよ。
思わず嘆息一つ。
「わかったよ、そのことも含めて、『ちゃんと世話』する」
頬をうっすら赤く染め、こくりと頷く。
「だから、俺の世話も…『最後まで』よろしくな」
一瞬きょとんとした後、満面の笑み。
「一生……洋は、私のもの」
どうやら俺は、『最期』までアミの世話をすることになったようだ。
< 了 >
乙!いい作品だった
以上です。
スレの方向に合ってるのかなコレ…
お目汚し失礼しました。
乙。
なかなかいい感じだと思うよ、ただ一つケチをつけるなら・・・
室内の水槽にいる♂クサガメからの視線が気になってしまうじゃないか!w
これは良いほのぼの異類婚姻譚ですねGJ
>>629 GJ
気が向いたらで結構なんで、是非後日談を!
エロなしでも全然いいんで、お願いします。
\ _n グッジョブ /
\ ( l _、_ /
\ \ \ ( <_,` ) /
\ ヽ___ ̄ ̄ ) /
_、_ グッジョブ \ / / / _、_ グッジョブ
( ,_ノ` ) n \∧∧∧∧/ ( <_,` ) n
 ̄ \ ( E) < の グ >  ̄ \ ( E)
フ /ヽ ヽ_// < ッ > フ /ヽ ヽ_//
─────────────< 予 ジ >───────────────
∩ < ョ >
( ⌒) ∩ グッジョブ < 感 ブ > |┃三 話は聞かせて
/,. ノ l 'uu /∨∨∨∨\ |┃ ガラッ もらった
/ / / /" / \ |┃ ≡ _、_ グッジョブ
/ / _、_ / ノ / グッジョブ \ |ミ\__( <_,` )
/ / ,_ノ` )/ / /| _、_ _、_ \ =___ \
( / /\ \/( ,_ノ` )/( <_,` )ヽ/\≡ ) 人 \
ヽ | / \(uu / uu)/ \
アミさんいいなぁ・・・。
うちも亀飼いたくなった。
齢40に届こうとする今更手遅れだろうし、「ちゃんと世話」できるかわからんから、しないけど・・・。
亀だけに実は俺の股間のryオチもいけるかと思ったが
それだとスレ違いだった
645 :
亀:2009/12/22(火) 12:38:35 ID:SgUYUhCK
予想外の反響に驚いた
>>636です。
後日談…ってほどでもないですが、小ネタを一つ。
『アミガメ 1.5』
「それじゃ、行ってくる」
「……ん」
「おとなしくしてろよ、風邪はひき始めが肝心なんだから」
こくり。
「行ってきま〜す」
何のことはない、アミが風邪をひいただけだ。
微熱と体のだるさ。まぁ、風邪だわな。
そういえば、病院はどうすんだろ。保険証とかあるはずないし…
* * * *
なんで? なんでこんなことになってんの?
『家に帰ったら、この世の終わりかという沈んだ顔で泣いているアミがいた』
な、何を言っているのか自分でもわからねーが、とにかくそうなっていた。
「おい、アミ、どうした、何があった?」
とりあえず、この状況の原因が知りたい。
「ごめん、なさい…わ、私、洋と最期までいられ、ない……」
え。
「ちょっ、どういうことだよ!」
冗談じゃない。そんなことあってたまるか。
「私、きっと…ひ、ひどい病気…なん、だ」
病気? 病気だって? 風邪だとナメていたら…っていうアレか?
「な、何があったんだ」
「洋には、黙って、たん…だけど、朝から、お腹が、い、痛くて」
この馬鹿。異常な腹痛はかなりヤバイじゃねえか。
646 :
亀:2009/12/22(火) 12:39:22 ID:SgUYUhCK
「それで、ト、トイレに行ったら」
「行ったら?」
「な、なんか変なのが、わた、私の…ア、アソコから…」
ん?
「ち、血も混じってたし」
それって…
「なんか、ドロッてしたの、が」
ですよねー。
「あー…アミ、とりあえず落ち着け」
「で、でも…」
「それな、生理って言って、人間の女には普通にあることなんだ」
「ふぇ…?」
「だから、別に病気でもなんでもない」
「え……」
まあ、亀に生理はないよな。
にしても、何もなくて本当によかった。
おまけ。
「あの…ドロってしたの…何?」
「あー、確か…赤ちゃんのもと、だっけか」
「え」
「妊娠中は生理は無くなる、って話だったような…」
「………(目がキラキラ)」
その後、アミは生理の度に悲しそうな顔をするようになりましたとさ。
狐耳巫女マダー
649 :
猫が恩返し:2009/12/23(水) 18:47:10 ID:OrStuXMF
投下します
猫が恩返し 2話 前編
「ただいま」
正博は玄関のドアを開けた。外から室内に流れてくる冷たい空気。
「あれ?」
普段ならシロの出迎えがあるはずである。いつも帰宅時間が正確に分かっているよう
に玄関に立っていた。帰宅予定時刻よりも早くても遅くても、それを外したことはない。
猫の本能っぽいものが正博の帰宅を知らせてくれるらしい。
しかし、今日はその姿がない。
奥の部屋は明るいので、出掛けているわけではないようだった。
訝りつつ靴を脱ぎ、室内サンダルに履き替え、正博はキッチンを通って奥の部屋へと
移った。八畳の一間で、床にはコタツが設置されている。
「シロ?」
「ご主人様……」
そこから首だけだして正博を見上げる少女がいた。
白い髪に白いカチューシャを付け、白い猫耳が小さく動いている。人間に化けた猫又
のシロだった。黄色い瞳に涙を浮かべて、真顔で言ってくる。
「助けて下さい。寒すぎてコタツから出られません!」
「何か分かるなぁ……」
正博はしみじみと苦笑しながら、暖房のスイッチを付けた。天気予報によると、今日は
この冬一番の冷え込みらしい。雪こそ降っていないものの、外の気温は氷点下である。
正博がいない間は電気代節約で暖房を付けていないため、部屋はかなり冷たかった。
ふと時計を見ると、午後六時。
「今晩の料理は……」
普段はシロが夕食を作ってくれるのだが――
シロはコタツ布団の縁を両手でがっしりと押さえている。
「ごめんなさい、無理ですぅ。わたし猫又ですから、寒いのは苦手なんですよ。童謡にも
あるじゃないですか。犬は喜び庭駆け回り、猫はコタツで丸くなる〜♪ って」
そう言い訳して引きつった顔を見せた。シロが猫だった頃コタツに入っている姿を見て
いたが、伸びていることの方が多い。丸まっている姿は見たことが無かった。
正博は荷物を机に置いてから、
「分かった、今日は僕が作るよ。何食べたい?」
「お肉」
黄色い瞳を輝かせながら、シロが即答してくる。
やはり元が猫であるせいか、野菜類よりも肉や魚が好きだった。期待するように猫耳
が動いている。コタツの中では二本の尻尾も動いているだろう。
横の髪を掻き上げてから正博は吐息した。
「野菜も食べないと身体に悪いよ」
「猫は本来肉食なんです」
白い眉毛を斜めにして、そう反論してくる。猫は魚を好むとも言うが、それは魚をよく
食べる日本での話であり、実際には肉の方が好きらしい。もっとも、人間になるには人
間のような食生活をするようにと言われてはいるようだった。
正博はシロの前に腰を下ろした。そっと両手を前に出す。
「何です、ご主人様……? はッ!」
「おしおき」
ぺたりと両手をシロの頬へと触れさせた。
「にゃァ!」
悲鳴とともに、シロが猫耳を立て、黄色い瞳を見開いた。表情も含めて全身の筋肉を
硬直させたのが分かる。さきほどまで冷たい空気に触れていた両手をいきなり頬に触
れさせたのだ。驚かない方がおかしい。
手の冷たさに固まること数秒。
正博が手を放すと、シロは一度脱力してから恨みがましく見つめてきた。
「何するんですか、ご主人様。酷いですよー」
「言い訳しないで、ちゃんと野菜も食べるように。えっと、野菜とラーメンあったから、野
菜ラーメンにしようか?」
「お肉……」
未練がましく呟くシロに、手の甲を見せると。
何も言わぬまま、コタツの中へと引っ込む。
「チャーシューは入れて下さいね」
コタツの中からそう声が聞こえてきた。
* * * *
暖房が効き、部屋は暖かくなている。
「美味しかったです」
こたつの向かい側で満足げにシロが呟いてる。
紺色のワンピースと白いエプロンが見えていた。いまだメイド服以外の服装には変化
できないらしく、家に居るときはいつもこの格好である。脱ぐと消えてしまうのだが、普通
の服を着るのはまだ慣れないらしい。
へなりとこたつの上に突っ伏しながら、顔の筋肉を緩めている。
「暖かいって素敵ですね〜。ご主人様〜」
「好きだな、こたつ」
苦笑しながら、正博はシロの頭を撫でた。人間の髪の毛とは少し毛質の違う白い髪の
毛。心地よさそうに白い猫耳が動いている。
シロは目を閉じて、口元を緩ませた。
「こたつは魔性の道具ですよ〜。一度入った者を絶対に抜け出せなくするって、現代の
怪物です〜。猫も人間も絶対に抜け出せません〜」
こたつの暖かさは確かに凶器だ。実家で暮らしていた頃は、こたつに入ったまま出ら
れず翌朝まで寝ていたこともある。
「ところで、シロ」
「何です〜?」
黄色い目を向けてくるシロに、正博は紙の箱を見せた。長さ四十センチくらいの細長
い紙の箱だった。帰りに寄り道して、ペットショップで買ってきたものである。
「こういうもの買ってきたんだけど」
箱を開けて中から取りだしたのは、三十センチほどのしなりのある細い棒。その先端
に白い綿毛が付けられた。いわゆる、ネコジャラシである。
正博はそれを左右に振ってみせた。
「!」
細かった瞳孔が、一度大きく見開かれる。肩が一度跳ねて、二本の尻尾もぴんと動い
た。分かりやすい反応。しかし、シロは平静を装って笑っていた。
「ネコジャラシなんて、ご主人様も面白いもの買ってきますね。でも、もう私も普通の猫じ
ゃないですから、そんなので遊びませんよ」
返事はせずに、正博はこたつの上でネコジャラシを動かし始めた。
最初はゆっくりと左右に。
その動きを追うようにシロの目が動いている。本人は必死に意識を逸らそうとしている
ようだが、猫としての本能がそうさせない。こたつの上に投げ出された両手が、ぴくぴく
と緊張するように震えている。
ネコジャラシがぴたりと止まった。
「ぅぅ……」
じっとそれを凝視するシロの頬に、汗が滲んでいる。
白い猫耳と二本の尻尾がぴんと立っていた。大きく開かれた瞳がネコジャラシの綿毛
を凝視している。それでも、理性で何とか意識を逸らそうとしているのが分かった。視線
が時折ちらりと明後日の方向に跳ぶが、二秒も持たずにネコジャラシに戻る。
ぱたっとネコジャラシが跳ねた。
「!」
シロの肩が跳ねる。咄嗟に伸ばし掛けた右手を、力一杯握りしめる。
正博は再びネコジャラシの動きを再開した。ぱたぱたと小刻みに振ってから、跳ねる
ように横に移動。そこで小刻みに動いてから、数秒ほどして横に移動。
その動きから目が離せないシロ。
パッ。
脈絡無く伸ばされたシロの右手が、こたつを押さえた。
しかし、ネコジャラシは別の場所にある。移動先を読んで手を出したシロだっが、正博
はさらにその先を読んでいた。シロがじっと自分の手を見つめている。
「くっくっくっ、甘いなぁ」
不敵に微笑みながら、正博はネコジャラシを持ち上げた。ゆらゆらと先端の綿毛を揺
らしながら、悪者顔で尋ねる。真下からライトを当てられている気分で、
「シロが僕の操るネコジャラシを無視できたことあったかなァ?」
悔しげな眼差しが、揺れる綿毛を捉えていた。
普通の猫だった頃から、正博はネコジャラシでシロと戯れていた。最初は興味無い振
りをするシロだが、ほどなく手を出すのが常である。さすがに年を取ってからは控えてい
たのだが、今ならネコジャラシで遊ぶことができるだろう。
こたつに突っ伏していたシロが、おもむろに身体を起こした。口元を引き締め、白い眉
毛を内側へと傾ける。
「ご主人様……。ネコジャラシの恨み、今こそ晴らさせてもらいます」
黄色い瞳に燃える熱い炎。今までシロが正博の操るネコジャラシを無視できたことは
なく、そして一度もネコジャラシを捕まえられたことはない。
「ふっ。返り討ちにしてくれるわ」
そう言って、正博は静かにネコジャラシを前に出した。
以上です
続きはそのうち
_、_
( ,_ノ` ) n
 ̄ \ ( E) グッジョブ!!
フ /ヽ ヽ_//
GJ! 少し早いクリスマスプレゼントだった
GJ
相変わらずクオリティー高いですな。
658 :
猫が恩返し:2009/12/27(日) 22:23:21 ID:zoaooptS
投下します
前回主人公の一人称が間違っていました
僕ではなく、俺でした
第2話 中編
正博が最初にこの遊びを思いついたのは、いつ頃だっただろうか。
小学生の低学年頃だったと思う。ネコジャラシにじゃれつき、それを奪い取ろうとする
シロ。そして、シロに捕まらないようにネコジャラシを動かす正博。いつの間にか遊びと
称した真剣勝負になっていた。
「にゃァ……」
こたつに突っ伏したまま、シロは涙目になっていた。くたりと伏せられた猫耳と、萎え
た二本の尻尾。右手に握りしめられたネコジャラシ。しかし、それは正博から奪い取っ
たものではない。
持っていたネコジャラシを放り投げるのが、この遊びの終わりの合図だった。
ネコジャラシを睨みながら、シロが悔しげに口を動かす。
「また負けてしまいました。ただの白猫その1から猫又になってパワーアップしてたから、
今度こそは勝てると思ったのに。無念です……」
「挑戦はいつでも受け付けるよ」
余裕たっぷりに、正博は微笑んだ。
久しぶりのネコジャラシ争奪戦。二十分ほどの攻防を続けた結果、シロは一度もネコ
ジャラシに触れることもできなかった。今までどれほど同じ事を繰り返したのか覚えてい
ないが、全戦全勝なので対戦成績に意味はない。
「ご主人様って変な才能ありますよね……? わたし以外の猫をじゃらすのも上手かっ
たですし。普段ネコジャラシに反応しない子も、ご主人様のネコジャラシは無視できませ
んでしたし、猫を弄る天才です」
「それ褒めてるのか?」
シロの頭を撫でながら、正博は苦笑した。
言われてみると、昔から猫を相手にするのは得意だった気がする。他人の家の猫や、
野良猫も何の気無くじゃらしていた。それも一種の才能なのだろう。
「それでは、罰ゲームですね……」
握っていたネコジャラシを手放し、静かに呟いた。
「罰ゲーム?」
ネコジャラシを手に取って、正博は首を傾げる。ネコジャラシ争奪戦は、罰ゲームとい
うものはない。ただ、お互いに勝敗を悟ったらそこで終わりである。それが今までの暗
黙のルールだった。人間と猫で文章的な意思疎通もできないが。
「はい。敗者の掟です」
神妙に頷いてから、シロはこたつから出た。
微かな布擦れの音ともにその場に立ち上がる。紺色のワンピースと白いエプロンとい
うメイド服姿。二本の白い尻尾を揺らしながら、部屋の片隅に移動する。
部屋の隅に置かれた『私物入れ』と書かれた箱。
それを開けて何かを取り出し、戻ってきた。
「何コレ?」
こたつの上に置かれたもの。
黒い皮革の輪っかふたつが鎖で繋がれたもの。棒の左右に黒い皮革の付いたもの。
四十センチほどの黒い革の帯。アイマスクのような形の黒い革。
「手枷と足枷と首輪と目隠しです」
至極普通に答えてくるシロに、正博は眉間を押さえた。やはり元が猫であるせいか、
普通の人間とは感覚がズレている。
「いや、それは見て分かるから……」
いわゆるSM道具と言われるもの。主に相手の自由を奪うための拘束具である。ハ
ードなものではないようで、身に付けても痛くないように工夫されている。正博自身も知
識として知っているだけで、実物を見るのは今が初めてだった。
しばし考えてから、ジト目でシロを睨む。
「これで一体何をしろと言いたい?」
「メイドさんのお仕置きはエッチなものと決まっています――」
何故か嬉しそうに言ってくるシロに対して。
顔を近づけるように、正博は指を動かした。
「何です?」
素直に顔を近づけてくるシロ。
そのこめかみに曲げた中指を押しつけ、ぐりぐりと捻る。
「にゃぁぁ!」
悲鳴を上げて両手で腕を掴んでくるが、無視。
「痛い、痛いです……! ご主人様、ぐりぐりはやめて下さい!」
五秒ほどこめかみを抉ってから、正博は手を放した。
解放されたシロが、こたつに突っ伏す。
「うぅぅ」
両手でこめかみを押さえながら、目元に涙を浮かべて唸っていた。数秒で体力を根こ
そぎ奪われたような有様である。
正博は手枷を持ち上げた。マジックテープ式で簡単に取り外しができる構造である。
「これ、どこから調達してきたんだ……? 探せば手に入るだろうけど、まさかシロがそ
ういう専門店行って買ってきたわけじゃないだろうし」
「猫の神様がいる神社の裏手に捨ててあったそうです」
顔を上げて、あっさりと白状する。神社の裏手に捨ててある怪しいもの。よくあるもの
と言えばよくあるものだった。大抵はいかがわしい本であるが、そういう処分に困るもの
を捨てる人間もいるのだろう。
視線で先を促すと、シロは身体を起こし、
「神様が見つけて、さてどうしようと困っていた所にわたしが訪ねてきたので、せっかくだ
からお前にあげるからご主人様とよろしくやりなさい、というわけで貰ってきました。大丈
夫です、未使用みたいですから」
色々とズレている答えであるが、大筋は理解できた。
率直に正博は訪ねる。
「俺にどうしろと……?」
「メイドさんお仕置きモノ好きじゃないですか、ご主人様……!」
黄色い目を大きく開き、シロは人差し指を立てて顔を近づけてくる。二本の白い尻尾
をぴんと立て、ぴくぴくと猫耳を動かしている。シロが人間の性的な営みに対してかなり
好奇心旺盛ということは知っているが、それで納得出来るわけではない。
正博は再びシロのこめかみに曲げた中指を押し当てた。
「あ」
シロの表情が固まるが、気にせず捻る。笑顔で。
グリグリグリ……
「んニャゃぁ! 痛い、いっ、痛いッ――痛たたァ! 痛いですよ、ご主人様? やめ、ソ
レ本当に痛いんですから。ウニャぁぁッ! 待ってください? ご主人様許して、痛い、痛
いですから……許して、下さい。本当に痛い……! ギブ、ギブアップです! ニャァア」
二十秒ほどお仕置きしてから手を放す。
しぅぅ……。
とこめかみから立ち上る煙が見えたような気がした。実際に煙が出ているわけではな
いが、そんな雰囲気が感じられた。こたつに突っ伏したまま、シロは両目から滝涙を流
している。苦しげに震えている両手と猫耳。
「なるほど。よく分かった」
こたつから出て、正博は静かに呟いた。暖房が効いているため、部屋の空気は暖か
い。両手をほぐすように動かし、こたつを回り込むように歩く。
「うぐぅ」
力尽きているシロの背後へと移動してから、コタツの上の手枷を掴んだ。脱力したシ
ロの両腕を背中側に回してから、手枷でしっかりと拘束する。さらに、黒い革の首輪を
首にしっかりと嵌めた。構造は普通の首輪と変わらないので、難なく付けられる。
「あれ、ご主人様……?」
いまさらながら、シロが手枷を外そうと腕を動かしていた。しかし、マジックテープの拘
束は意外と頑丈である。並の腕力では、外すこともできない。
手際のいい動きで、正博はシロの肩を掴み身体を後ろに引っ張った。
こたつの中から両足が引っ張り出される。紺色のワンピースの裾と白いエプロン。白
い靴下が見えた。その足首辺りを、足枷で拘束する。黒い革製の足輪と、プラスチック
製の五十センチほどの棒で、両足を開いた状態を固定された。
最後に、目隠しをして終了。
両手両足を拘束され、目隠しをされたシロ。首には黒い首輪。
「こうして見ると、いかにも襲って下さいって格好だな」
「あうぅ。ご主人様……何でこんな手慣れてるんですかぁ?」
戸惑ったように猫耳と尻尾を動かしながら、シロが目隠しをされた目を向けてくる。普
通は手間取るのだろうが、正博はごく自然に拘束具でシロを動けなくしていた。
「いや今が初めてだけど。そんなに難しくないものだよ」
言いながら、動けないシロの傍らに腰を下ろした。
「もしかして、ご主人様。拘束具の使い方とかそういう道具系のエッチな本を持ってたん
ですか? わたしの調査だとそういうのは見つからなかったですけど」
「人の私物を勝手に漁らないように」
言いながら、シロの頭に手を置く。
自分で言い出したことだが、かなり緊張しているのが分かった。これから何をされるか
分からない恐怖だろう。シロは猫だった時から後の事を考えない行動をすることが多か
った記憶がある。
「えっと、ご主人様……痛いのとかはやめて下さいね?」
「いぢめたくなる格好だけど、虐めたりはしないから安心しろ」
そう笑いかけてから、正博は両腕でそっとシロの身体を抱きしめた。右手でそっと頭を
撫でる。今まで緊張していた身体から、安心したように力が抜ける。
「シロの頼み通りきっちりお仕置きしてあげるから、覚悟してくれ」
「お手柔らかにお願いします、ご主人様」
その台詞に、正博はそっとシロの唇に自分の唇を重ねた。
「んっ……」
薄く柔らかなシロの唇を味わいながら、お互いに舌を絡ませる。ディープキスというほ
ど深くはなく、お互いの存在を確認するような丁寧な口付け。目隠しをされたシロにとっ
ては、抱きしめる手と丁寧な口付が正博が存在を知る手段だった。
そっと正博はシロの唇から自分の唇を放す。
「ご主人様……」
シロが物欲しそうに自分の唇を舐めていた。
「安心しろ、シロ。これからたっぷり可愛がってやるから」
優しく告げてから、正博は丁寧にシロの頭を撫でる。人間とは少し質の違う白い髪の
毛。撫でているだけで、シロが安心しているのが感じ取れた。
そして、微かに動いている白い猫耳に、正博は前触れなく息を吹きかける。
「ニャァ!」
シロが驚きに身体を跳ねさせた。
以上です
続きは、できれば年内に上げたいと思います
+ +
∧_∧ +
(0゚・∀・) ワクワクテカテカ
(0゚∪ ∪ +
と__)__) +
GJとしか言いようがない
そこで・・・そこで止めるかああああああああああああああああああ!
ちくしょう!最低でも年内は全裸待機か世おおおおおおおおおおおおおおおおおお
期待
明日には実家に帰省するんだ…
読めないぜ…
よいお年を
671 :
猫が恩返し:2009/12/31(木) 23:25:49 ID:FiYTYsyJ
投下します
2話 後編
「何するんですか……にゃッ!」
再び猫耳に息を吹きかけられて、シロが肩を跳ねさせた。人間でもいきなり耳に息を
吹き掛けられるのは驚く。敏感な猫耳ならその効果も人間より大きいようだった。
「何するってオシオキ。シロからしてくれって言ったんじゃないか」
笑いながら、正博は右手を下へと移動させていく。背中を撫でていた手を、不安げに
動いている尻尾に触れさせた。
「っ!」
尻尾が一度ぴんと伸びる。
猫にとっては――いや、動物にとって尻尾は最も敏感な部分のひとつだ。他人に触ら
れるのはかなり嫌がる。正博自身もそれを理解しているので、あまりシロの尻尾に触る
ことはない。しかし、今は特別である。
右手で尻尾を撫でながら、正博は小声で訪ねた。
「尻尾触られるのはやっぱり嫌かな?」
「あ、え……ご主人様が触りたいなら……」
尻尾を動かしながら、シロが答える。逃げるように動いていた尻尾が大人しくなった。
右手で尻尾を握り、丁寧に手の平を走らせる。髪の毛とは少し違う尻尾の毛の手触り。
尻尾を往復する刺激に、背筋を硬くしていた。
頬がほんのり赤く染まっている。
正博の左手は優しくシロの頭を撫でていた。
指先で白い猫耳の縁をなぞる。
「ん……」
シロの喉から小さな呻きがこぼれた。目隠しをされているため、それ以外の感覚が鋭
くなっているのだろう。正博は指先で猫耳を摘み、揉みほぐす。
「ご主人、様……」
顎を少し持ち上げ、シロが息を吐いた。
正博は尻尾を撫でていた手を放す。名残惜しそうに動いている二本の白い尻尾を眺
めながら、尻尾の付け根を指先で軽く叩いた。
「ゥなァっ!」
シロの口から放たれる猫のような声。時折口にする猫のような声は人間の声真似の
ようだが、この声は猫そのものの鳴き声だった。
「ご主人様、そこは……!」
「弱いんだろ?」
口端を持ち上げながら、正博は指先で尻尾の付け根をとんとんと軽く叩く。叩かれる
たびに、身体が反応していた。白い尻尾が左右に揺れ、白い猫耳が跳ねる。
「なあっ、うにゃぁ……!」
シロが文字通り猫のような声を上げた。
猫耳を触っていた左手を下ろし、右手と一緒に尻尾の付け根を攻める。
「なぁぅぁぅ……。ご主人様ッ……そこは……にゃあぁぁ」
首を左右に動かし甘い悲鳴を上げながら、シロは正博の手から逃れるように身体を
捩らせている。しかし、手も足も枷で拘束されていて、正博の両手が身体を抱きしめて
いるため、逃げることはできない。
シロは正博の攻めを無抵抗に受け入れることしかできなかった。
「なぁッ! 待って下さい……! うにゃぁ」
甘い吐息と鳴き声を漏らしながら、指の動きを甘受する。
三十秒ほど尻尾の根元を弄ってから、正博は手を止めた。
「あ……ぅ……」
赤く染まった頬と、上がった呼吸。胸が前後に動いている。
正博はシロの身体を持ち上げた。思いの外軽い身体。そのまま、こたつにうつ伏せで
上半身を乗せる。両手腕を動かして体勢を直そうとしているが、枷によって拘束された
身体は思うように動かない。
正博は音もなく右手を動かし、尻尾の付け根に触れた。
「うにゃ!」
シロが尻尾と猫耳を立てる。
だが、構わず正博は尻尾の付け根を手で撫でる。
「どう、シロ。気持ちいい?」
「あっ、ご主人様……。なあぁっ、付け根ばっかり、んにゃぁ、弄らないで下さい……。な
ああッ、にゃぁ。わたし、おかしくなっちゃいます……!」
身体を捩りながら、シロが顔を向けてきた。しかし、目隠しをされているため、正博の
顔を見ることはできない。不安げに白い眉が傾いている。
口元の笑みを左手で隠しつつ、正博は平静を装って答えた。
「お仕置きしてって言ったの、シロじゃないか」
「そうですけど……ンにゃ!」
シロが身体を硬直させる。
正博の両手が尻尾を掴んでいた。両手で包み込むように尻尾のうちの一本を掴み、
上下に扱くように撫でる。手を動かすたびに、硬い毛が痺れるような感覚を送ってきた。
さらに、正博はもう一本の尻尾を器用に口に咥える。シロの身体が一瞬動きを止めた。
だが、それには構わず、前歯を動かし何度も甘噛みを繰り返す。
「ん、あっ……尻尾、ダメです……。んんっ」
逃げるように身体を動かしながら、シロが甘い声を漏らしていた。声では否定している
のに、尻尾はさらなる刺激を求めるように動いてる。
正博は尻尾を弄っていた右手を放し、シロの猫耳を摘んだ。
「にッ」
身体が一瞬固まる。
当たり前であるが、耳も動物にとっては敏感な器官だ。いきなり触られることは嫌がる。
正博も普段はできるだけ猫耳には触らないようにしていた。
しかし、今は遠慮することもない。
くにくにと三角形の猫耳を弄りながら、二本の尻尾を口と右手で攻める。
「やっぱりいいなぁ、シロの耳は」
「ご主人様……あっ。そんなに、んっ、焦らさないで下さい……!」
切なげに、シロが言ってくる。今までずっと尻尾と猫耳を触られているだけで、他の場
所には手を出していない。それがもどかしいのだろう。
しかし、正博は構わず視線を移した。
猫又。尻尾が二本に分かれているから猫又と言われる。先端だけが別れていたり、
根元から分かれていたりと種類はあるとシロは言っていた。だが、どれも変わらぬ猫又
らしい。シロは尻尾の根元から二股に分かれている。
「もしかして……」
尻尾の分かれ目に右手の指を触れさせた。
声もなく、シロの全身が硬直する。
尻尾の分かれ目を指先で触れる程度に撫でながら、正博は声を掛けた。
「ここ、弱い?」
「………」
震えながらきつく唇を閉じ、シロは首を微かに左右に動かす。緊張に猫耳と尻尾がぴ
んと立っていた。否定したいようだが、全く否定にはなっていない。
正博は分かれ目から指を放す。ついでに、両手と口を放した。
「うにゃぁ……」
全身から力を抜くシロ。背中を上下させるほど深い呼吸を繰り返しながら、猫耳と尻
尾を垂らしていた。目隠しされた顔を正博へと向けながら、
「あ、あの……ご主人様……」
ぽんと、尻尾の付け根に右手を乗せる。
シロの肩が跳ねた。やはり、ここは敏感な部分らしい。
「んん、んッ!」
四本の指を動かして尻尾の付け根をくすぐると、シロが辛そうに身体をよじっている。
だが、頬は赤く染まり、呼吸も乱れていた。全身がうっすらと汗ばんでいる。
しかし、正博は何事もなかったかのように問い返してた。
「何だい?」
「あの……。んんっ、尻尾と耳だけじゃなくて、あっ……他も触って下さい……」
苦しげなシロの頼み。さきほどから、尻尾と猫耳しか触っていない。既に発情している
シロにとっては、ひたすら焦らされているようなものだ。それは辛いだろう。
だが、正博はあっさりと告げた。尻尾の付け根をくすぐりながら。
「却下」
「ご主人様ぁ……」
悲しげなシロの声。他の部分も疼いているのだろう。両手を動かそうとするも手枷に
阻まれ動けず、太股を摺り合わせようとするも、足枷に阻まれそれもままらない。
全身が快楽を求めているのが、手に取るように分かった。
「これは、お仕置きだから、今日は耳と尻尾しか触らないよ」
正博はシロの頬に左手を触れさせる。
「酷いですよォ……」
「お仕置きしてって言ったのは、シロじゃないか」
かぷ、と。
猫耳を口に含んだ。
「んっ……!」
シロが声を呑み込む。
正博は尻尾の付け根から手を放し、右手で尻尾の根元を緩く掴んだ。そのまま尻尾
の裏側を引っ掻くように、人差し指と中指を動かす。
「んにゃあぁ! ご、ご主人様っ……。耳と尻尾が、んんっ……おかしいです、よ」
ぱたぱたと激しく動いている尻尾。尻尾は根元の方が敏感らしい。人間として発情し
た状態では、立派な性感帯として機能している。
「このまま、耳と尻尾だけでイケるように、調教でもしてみる?」
猫耳を口に含んだまま、正博はそう問いかけた。
「あっ、な、何言ってるんですか……! ご主人様は……んあっ」
「案外冗談じゃないかも」
慌てるシロの台詞に、そんな感想を漏らす。
正博はシロの猫耳から口を放し、左腕をシロの肩の下に差し入れた。コタツに突っ伏
していた上半身を持ち上げる。膝立ちの状態で、正博と向き合った。
「にゃ?」
「いくよ」
正博は静かに告げてる。そして、尻尾を弄っていた指を、尻尾の分かれ目へと触れさ
せた。これから何をされるのかを悟ったらしく、シロが全身を硬直させる。
「ご主人様ッ。それ、ダメ……」
シロの肩を抱えた左手で猫耳を摘みつつ、正博はにっこりと笑った。拒否したくても、
拒否できないようにするための拘束具である。
「ダメって言われてもやるから」
正博はシロの唇に自分の唇を重ねた。
同時に、右手の指で尻尾の分かれ目を撫でる。
「ンン――!」
シロの身体が跳ねた。
まるで痙攣するように全身の筋肉を収縮させつつ、背中を仰け反らせる。自分の意志
とは無関係に動いている身体。ぴんと伸びた尻尾の毛は爆ぜるように逆立っていた。
「――!」
唇が震えている。予想以上に強い絶頂を迎えているようだった。
爆発する快感に耐えるように、身体をよじりつつ、何度も痙攣する。
手枷や足枷の鎖が鳴っていた。
正博はシロの唇から一度自分の唇を放す。
「……んなああぁぁぁッ! ご主人様ッ、わたし、おかしく……あっ、なああっ! うにゃあ
あっ! やめて、やめて下さい、わたし変になっちゃい――」
悲鳴じみた声を上げるシロの唇を、正博は再び自分の唇で塞いだ。
絶頂が収まらないシロの咥内へと、舌を差し入れる。その舌に自分の舌を絡めるシロ。
お互いに舌で相手の味を確認するような深い口付け。
その間も正博の右手はシロの尻尾の分かれ目を指で撫で、擦り、ひっかき、くすぐっ
ている。猫耳を弄る手も止まらない。
その度にシロは何度も、身体を跳ねさせていた。
「ンンン……!」
正博はシロと舌を絡ませ合いながら、全身が溶けていくような錯覚を味わっていた。
自分とシロが混じり合ってひとつになっていくような、不思議な感覚。
そうして、どれくらい時間が経っただろうか。
一分は経っていないはずだが、異様なほど長く感じた時間。
「にゃぁぁ……」
正博はシロの唇から自分の唇を放し、尻尾を弄っていた右手を放した。猫耳を弄って
いた左手も放し、シロの両目を覆っていた目隠しを取る。
「ご主人様ぁ……」
黄色い瞳に涙を浮かべながら、シロが見つめてきた。真っ赤に染まった頬と、乱れた
呼吸、凍えたように震える身体、猫耳と尻尾を垂らしている。
「酷いですよぉ」
「お仕置きだからね」
悪戯っぽく笑ってから、正博は再びシロの唇に自分の唇を重ねた。
以上です
何とか年内に間に合った…
>>678、明けましてGJでございます。
ギリギリ年内ですね…有言実行、お見事。
…こんな日のこんな時間に…何やってんだろ俺…
焦らしgj
尻尾開発期待
東京に帰ってきた
_、_
( ,_ノ` ) n
 ̄ \ ( E) グッジョブ!!
フ /ヽ ヽ_//
GJ!
gj!
狐耳巫女とキャッキャウフフしたい
ここは動物擬人化は駄目ですかね?
妖狐とか獣人やらの設定じゃなきゃ駄目ですかね?
>>685 「なんかよく分からないけど、ふしぎパワーで動物が人間になっちゃったー」
ってのなら別にいいとオモ
不思議パワーは、長寿だからとか大事にされて恩返しとか適当にw
動物擬人ではないけど
ただ人間に犬耳猫耳狐耳を生やしただけで獣人って設定のキャラでもいいの?
>>687 特にだめな理由はないけど、獣耳が性感帯とか獣人ならではのシチュやプレイが入ってると俺が喜ぶ。
>>687 耳や尻尾をねちっこくねぶってくれると
俺は喜ぶ
>>687 とりあえず書いてみよう、話はそれからだ。
自分は正直、人外娘で萌えるか抜けるかすれば問題ないと思う。
691 :
アミガメ:2010/01/11(月) 21:24:10 ID:8Fyd+E6I
続編、7レスほど投下します。
今回エロに初挑戦なので、指摘などありましたら是非。
キタ━━(゚∀゚)⌒Y⌒(。A。)⌒Y⌒(゚∀゚)⌒Y⌒(。A。)⌒Y⌒(゚∀゚)━━!!!
早いもので、アミが人になってからもう一ヶ月が過ぎた。
あの日は、翌日起きたら亀に戻ってるんじゃないか、という不安もあったけど、
そんなことはなく、俺は今日も台所から漂ってくる味噌汁の香りで目が覚める。
「…おはよ」
「ああ、おはよう」
洗面所で顔を洗ったりヒゲを剃ったり、身嗜みを整えてから食卓につく。
その辺はちゃんとするように、とアミに注意されたのだ。
亀の頃から、アミに触っても手を洗わずに食事したりしていたのが気がかりだったとか。
※亀はサルモネラ菌を持っているので、触ったらきちんと手を洗うべし。
「じゃ、いただきます」
「…めしあがれ」
朝食を抜くこともあった俺が規則正しい生活を送れるのは、この世話焼き女房のおかげだよ。
女房って言っても、アミに戸籍があるはずもなく、正式な結婚はできないのが悩みなんだけどな。
「やっぱり美味いな、アミの卵焼き」
「…ありがと……」
アミの料理は今まで一ヶ月、全部もれなく美味かった。俺のお気に入りは卵焼き。
野菜系が多めで、肉や油ものはやや少なめ。その辺りは亀だったからか。
栄養バランスもよく考えられている。最近疲れが翌日まで残らないのはそのおかげだろう。
そもそも、どうして料理ができるのかが疑問だったので聞いてみたら、
「神様ができるようにしてくれた」らしい。……美味いから別にいいか。
「さて、行くか」
「……」
無言で曲がったネクタイを直してくれるアミ。本当に、よく気がつくよなあ。
なんて思ってたら、
「ん……」
目をつぶってこちらに顔を向けてくる。ちなみにここは玄関。
そう、新婚バカップル特有の『行ってきますのキス』というヤツだ。
「あいよ」
ちゅ。
背中を屈めて、軽くついばむ程度に唇を重ねる。毎日のように要求されるので、もう慣れた。
そのくせ、キスしてやると、求めた当人は頬をほんのり赤く染めるんだ。
「それじゃ、行ってき」
そこで言葉が止まる。ぐい、と袖を引かれたから。
振り返ってアミの方を見ると、耳まで真っ赤になって俯いたまま、
「今日…あの……ね」
消え入りそうな小さな呟きだったが、その意味を理解して俺も顔が熱くなる。
「…わかった、今日は急いで帰る」
こくり。
今日の俺の仕事はかなり効率的なものになることを、ここに宣言しておこう。
――ちょっと小話――
ところで、アミの年齢について考えてみたんだ。
アミ自身も自分が何歳なのかわからないらしいから、推定してみた。
亀だった頃なら、甲羅の年輪見ればわかったけど…見なかった俺が悪いですかそうですか。
アミは、俺が小学二年生(8歳)のときに釣ってきた。で今、俺は24歳。
つまり、最低でも16歳は越えている。
じゃあ、釣った時点で何歳だったのか、ということなんだが。
屋台で釣ったときのだいたいの大きさ、と……それに対応した年齢は……
結論:ほぼ確実に1歳、もしかすると2歳(推定)。
したがって、アミは17、8歳ということになった。
…それからというもの、アミを抱く度、胸に若干妙なモヤモヤを感じる。
6、7歳差…それくらい問題ないよな…? アミはむしろ大人っぽいもんな?
そうそう、ミドリガメの寿命は20〜30歳らしい。17、8なら立派なおば(ry
――閑話休題――
「亀沼(きぬま)、お前最近料理の盛り付けが上達してるよな」
食堂で弁当(アミ製)を食べていると、天岡(あまおか)さんにそんなことを言われた。
俺は以前からごくたまーにではあるが弁当を作ってきていて、その見た目は確かに悪かった。
アミは綺麗に詰めてるが、それほど派手な弁当じゃないせいか、俺の自作と思われてるようだ。
「いや、これは俺じゃなくて彼女が作ってくれてるんスよ」
幸い、他人をイジったりネタを言い触らしたりする人ではないので、正直にバラす。
天岡さんは、俺より2歳年上の先輩。机が近いこともあり、ちょくちょく話をする。
それに、たしか妻子持ちだったはずだ。ちょっとその辺の話を聞いてみたい。
「そうなのか……よかったな」
案の定あっさりした答えが返ってきたが、一瞬遠い目をしたように見えた。
そういえば天岡さんは以前、重箱入りのやたら派手な弁当を持ってきたことがあったらしい。
今では普通だけど、そんな物を持たせるなんて、この人の奥さんはどんな人なんだか。
「あー、弁当と言えば天岡さんは「やめろ、その話は」
俺の言葉に素早く反応し、途中で遮る。そんなに追求されたくないことなのか…
「いや、その話じゃなくて。天岡さんの奥さんについて聞いてみたいんスけど」
すると天岡さんは、弁当をつついていた箸の動きをピタリと止めた。
というより、天岡さん自体の動きが、凍りついたように止まっている。
「…なんかマズいこと聞きました?」
「あー、いや……アイツはなぁ……」
バツが悪そうにポリポリと頬をかき、俺から目を逸らした。
照れてるのとは違う、と思う。まあ、それほど感情を表に出す人でもないけど。
なんか話しづらそうだし、こっちから話を振ってみるか。
「どんな人なんスか? イイ家のお嬢様だとかって噂も…」
「そんなわけ無いだろう」
「箱入りのご令嬢だからあんな弁当を……え?」
「アイツは令嬢なんかからは最も遠い人種だぞ。はっきり言えば馬鹿だ」
「…バカって…天岡さんがそういう人を奥さんに選ぶとは思えないんスけど」
この人なら、甲斐甲斐しく家を守ってくれる…そう、アミみたいな人を選びそうなのに。
「俺が選んだんじゃない、アイツが俺の所に転がり込んできたんだ。
その後はなし崩し式でいつの間にやら……ハァ」
奥さんとは小さい頃からいつも一緒で、大学生のときに家に押しかけてきたらしい。
天岡さん曰く、「猫のように気まぐれで、アホみたいに能天気」な人だそうだ。
「…そろそろ戻る」
一通り話すと、天岡さんは早々に昼食を終えて行ってしまった。
俺も仕事に戻ろう。さっさと終わらせて早く帰らなきゃな。
「上がります! お疲れ様でしたっ!」
午後6時を少し過ぎた頃。俺は仕事を切り上げ、ものすごい勢いで会社を後にした。
課長が書類片手に何か言おうとしたけど、ダッシュで逃走。今日は残業なんかできません。
なにせ、今日はこれから夫婦の営みが待っているんだ。それも、アミからのお誘い。
アミは無口だけど、自分の意思ははっきり示す。気分が乗らないときは絶対にさせてくれない。
俺も無理させてまでヤりたくないし、毎日するほど盛ってないから別にいいんだけども。
でも、今日は違う。さっきも言ったように、アミは意思をはっきり示す。
しないと言ったら絶対しない。逆に、すると言ったら…?
* * * *
「はあぁ……ひろしぃ…んっ…」
――こうなる。
風呂上がりに全裸で待ち構えられて、襲いかからずにいられるはずもない。
自分から求めたときのアミは、ちょっと不自然なくらい積極的だ。
まるで、繋がってないと俺がどこかへ行ってしまうとでも言うかのように。
今も、舌を絡めあっているというよりは、俺の舌がアミに絡め取られている。
「ん…っ……む…」
「………ん…」
ああ、幸せそうな顔しやがってコイツは。俺はいい加減、息が苦しいよ。
ぴちゃぴちゃ、と舌が絡み合う水音だけが部屋に響く。
「ぷは…アミ、いいか?」
こくり。
覆いかぶさって、改めてその体を眺める。
元々亀だったからか、髪と眉、睫毛くらいしか毛がない。ゆで卵のようにつるつるの肌だ。
着痩せするのか、胸はやや大きめ…だと思う。そのきれいなお椀型の先端はもう勃っていた。
「アミ…乳首、勃ってる」
「あう……」
言ってみると、耳まで赤くなってもじもじする。うんうん、やっぱり可愛いな。
まず、左の膨らみをやわやわとほぐすように揉んでやる。
右手は体を支えるのに使っているので、右の乳房は舌で外側からなぞっていく。
アミの胸は弾力があって、手にもっちりと吸い付いてくる。
擬音で表すなら、『もにゅ』って感じだろうか。
「っ、ふ……ん、っっ」
アミは胸や腹など、前は甲羅に覆われていただろう胴体がかなり敏感だ。
それなりの大きさはあるにも関わらず、胸をいじるとすぐに反応が返ってくる。
口からは小さな声が漏れたけど、それじゃあ俺は満足しない。
それまであえて避けていた薄桃色の頂点を、指でつつき、つまみ、擦る。
同時に、右のそれを唇でねぶり、舌で嘗め、吸い付く。
「あっ、や、あああっ…!」
アミは声のボリュームを上げ、俺の攻勢から逃れようと全身をよじる。
なので、手も口も離して攻撃を中断してやった。
「あ、うぁ……え……?」
「どうした?」
素知らぬ顔…は多分できてない。引き攣って変な顔になってると思う。
「う、うぅ……」
アミの瞳の中に、羞恥と情欲とが混じり合っているのがはっきりと見て取れた。
と、手が自然と胸を掴む。
うん、やっぱ無理。俺はSにはなりきれないわ。
「はう……あ、んんっ…」
乳房への愛撫を再開する。乳首はもう、これ以上ないくらい張り詰めていた。
あんまり張ると痛い、って話をどこかで聞いたような気がするので、やさしめに。
だいぶ盛り上がってきたところで、手をゆっくりと下へ持っていく。
ただし、その行き先は秘所ではなく、お腹から腰にかけての辺り。
その辺の柔らかな手触りが俺は大好きだ。
柔らかいって言っても、下腹のぜい肉とかそういうのじゃない。
むしろアミの腰まわりは、くびれが美しい曲線を描いている。
「アミの体って、柔らかいよな」
「んんっ……」
表面をなぞるよう指を這わせると、ぶるぶるっと震える。
実際の所はただ撫でたりつついたりしてるだけだけど、胴が敏感なアミには充分な刺激なようだ。
そうこうしている内に、アミの腰が浮いてきているのに気付く。
喘ぎに合わせてビクビクと動くのを見て、思わず手を伸ばした。
そこは、もうぐっしょりと濡れていた。ちなみに、ここにも毛は生えてない。
「もう濡れてるな…」
「〜ッ!」
恥ずかしさのあまりの行動なんだろう、アミは顔を両手で覆い隠した。
その姿は、あまりにも扇情的で。
ああ、お前はどこまで俺を興奮させれば気が済むんだ。
「足、開くぞ」
足側にまわってそう言うと、顔を隠したままでいやいやと首を振る。
もちろん閉じた足に力はなく、簡単に開く。いやよいやよも何とやら…ってか。
そして、既に蜜をとろりと垂らしたそこが露になる。
同時に、鱗に覆われた尻尾も見えてくる。もう見慣れてしまった、亀だった証。
ただ、『お約束』通りとはいかず、性感帯ではない。表面が鱗のせいで感覚が鈍いらしい。
「もうぐちゃぐちゃだな…」
「んぅ……はあぁ……」
軽く指でなぞるだけで、蜜は糸を引き、アミも甘い吐息を漏らす。
「アミはエッチだよな、こんなに溢れ出させて」
「あっ、ん……い、いじわる…」
にちゃにちゃ、わざと音がたつように弄りながら、ちょっといぢめてみた。
「これだけ濡れてれば…っと」
入り口を左手でほぐしつつ、右の中指をゆっくりとアミの中に挿れていく。
膣壁を擦るように指を動かすと、アミの腰が一段と高く跳ね上がった。
指の隙間からは留まることなく蜜が溢れ、尻尾を伝ってシーツに落ちる。
「っああ…あ、あ、あぅ…」
「アミはここ弱いんだよな」
俺はそう言って指を曲げ、お腹側の壁を擦りあげてやった。
「ひぃっ、ああーーーーっ!」
アミはたまらず両手を顔から離し、体をくねらせて何とか快感を逃がそうとする。
長く艶やかな黒髪を振り乱して悶えるその姿に、俺の興奮はますます高まった。
「アミ、気持ちいいか?」
「あ、あ、あ…も、もう、ひっ…やめっ、あああ」
「いいぞ、イっちゃって」
指の動きを激しくしようとすると、アミの手が下りてきて俺の腕を掴んだ。
目で抜いてと訴えかけられて、いったん指を引き抜く。
「はぁ…はぁ……い、一緒にぃ…」
アミは俺の腕を離すと、震える手で自分の割れ目を開いた。
情欲に染まった目でそんな風におねだりされて、我慢できる雄がいるか? いや、いない。
俺は再びアミに覆いかぶさると、いきり立ったモノを秘裂にあてがった。
「いくぞ…」
「……ん、来て…」
すっかりほぐれきった秘所は、俺を根本までつるりと飲み込んだ。
――アミの中はちょうど良い締め付けで、奥へ導くかのようにうねって、暖かくて。
「ふあ、あぁぁあぁ…」
「アミ…動くぞ…」
愛液をとろとろと溢れさせるそこから、ゆっくりと自身を抜く。
その途中、まわりを包みこむ肉襞が逃がさないとばかりに絡み付いてくる。
正直、気を緩めればすぐに出してしまいそうな程に気持ちいい。
全部出るかどうかまで引きずり出したら、直ぐさま今来た道を引き返す。
「はああぁぁぁ…」
角度を変え、壁に擦りつけてやると、アミは震えながら恍惚の表情で息を吐いた。
その背中に手をまわして抱き起こし、対面座位にすると、
すぐにアミの両腕が首にまわされ、繋がったまま抱きしめあう形になる。
「あんっ…洋ぃ……深、いぃっ…」
この体勢だと、ちょうどアミの最奥を俺の先端が小突く。
結合部からは愛液が溢れ続け、下腹部をビショビショに濡らしていく。
腰を揺らして子宮口を刺激してやると、俺を包む襞がさらに激しく蠢いた。
「ア、アミっ…、すご、イイっ」
「あっ、あ、あ、洋っ、ひろしいっ!」
アミが普段からは想像できない大きな声で俺の名前を呼ぶ。
普段無口なのは、その声を聞くと俺が発情してしまうからだ、そうに違いない。
そんな考えが浮かぶほどに、その嬌声は俺を昂らせる。
もっとアミの声が聞きたい、もっと乱れさせたい。
そう思うと腰の動きは速まり、それに伴って膣壁もより強く締め付けてきた。
腰が離れる度に、下腹部の愛液がいくつもの糸を引き、ぱちゅぱちゅと音をたてる。
「っあ、アミ、俺、もう…っ!」
「ん…っ、来てっ、洋のっ、あうっ」
最後に、アミを思いきり抱きしめて引き寄せ、腰を密着させた。
「く、うっ」
「あっ、あ、あはぁぁっ…あ、熱いぃぃ…」
白い奔流が、アミの中へと流れ込んでいく。
俺の先端から熱いものが飛び出す度に、腕の中で柔らかな体が小刻みに震える。
その顔には、目をとろけさせ、だらしなく口を開けた、淫らな悦びの表情が浮かんでいた。
* * * *
「…じゃ、行ってくる」
体が重い。腰が痛い。昨日は結局、何回やったのか覚えてない。
それでもいつもの時間に目が覚める。身体がそういう風になってしまっているから。
「疲れてる…?」
「んー…少し怠いけど、大丈夫」
ずっと一緒にいるから、アミは俺の様子からだいたいの調子を読み取ってくれる。
夜の生活が原因で体調崩すなんてことになったら、旦那の面目丸つぶれだ。
この程度だったら、ちょっと時間が経てばほっといても自然に治るだろう。
「じゃあ……今日は、私が上」
え?
今 な ん て 言 っ た ?
ギギギ、という音がしそうな動きで首を動かし、視線をアミへと向ける。
「…いってらっしゃい」
笑顔で手を振ってくるアミ。
あー…これは有無を言わさぬパターンだ。もう今日も搾られることは確定。
どうやら、明日も黄色い太陽を拝むことになりそうだ。
<続く>
700 :
アミガメ:2010/01/11(月) 21:37:19 ID:8Fyd+E6I
以上です。
続きモノにしたからには、ちゃんと完結させられるように頑張ります…
GJ&乙
しっぽは性感帯じゃないのか、残念……だが、付け根なら、付け根ならきっと……!
gj
いいカップルだ。
それと、天岡さんの奥さんが気になる。
もしかして、天岡さんの奥さんって・・・・(謎
┐
└ ● /
_,◆ /
_, ◆
‐― ◆' ̄
-― ◆ ―
― ◆ ―
― ◆ ― すみません。ちょっとGJしますよ〜
― ◆ ―
― ◆―
_,◆⌒
_,◆⌒
,◆⌒/
/ ,◆
/ ●┐
. └
こんにちは1匹のムカデ
GGXXのザッパかよw 向こうは三匹だけど
しまった…なんでそこでS子や犬や三つ子とのお話につなげられないんだ…orz
ムカデつながりで、ちょっとネタ投下してもよいですか?
長さのわりにエロくないけど……
へんじがない ただのしかばねのよう ……なので投下。
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『夫婦神善哉』
3月頭にしては珍しく風もなく日差しも暖かな、とある午後。
この安倍乃橋MH事務所の主とその秘書が揃って出かけているため、女子高生バイトの見習い所員である護堂鈴(ごどう・りん)は、いささか暇をもてあましていた。
一応、電話番を兼ねた留守番役と言えるだろうが、生憎この事務所には、真っ当なルートで依頼が来ることはあまりない。電話帳などにも最低限の広告は載せているはずなのだが……。
もっとも、所長と秘書兼助手のコンビは、個人レベルでのMH(ミスティック・ハンター)──既知外現象防止家としての実力に関しては関東、いや日本でも有数と言われている。
そのぶんツテやコネから面倒な仕事が持ち込まれる機会も多いが、報酬も相応なので、事務所の家計が火の車ということはないはずだ……たぶん。先月の給料も残業手当込みでしっかり振り込まれてたし。
とは言え、あてのない電話をボーッと待つと言うのは限りなく暇だった。
鈴の相棒である化け猫のジョニーは、早々に見切りをつけて窓から遊びに出かけている。
鈴としてもそうしたいのは山々だったが、尊敬する秘書(この事務所の金庫番でもある)の女性に、「妾(わらわ)らのおらぬあいだの留守居役、頼んだぞえ」とキレイな笑顔で言われては、いろんな意味で逆らえなかった。
710 :
夫婦神善哉:2010/01/20(水) 10:52:59 ID:kQM01JQa
「ぬぉっ、まさか、二頭いっぺんにくると言うのか!? クッ、よかろう、この三上勇矢(みかみ・ゆうや)、逃げも隠れもせん!!」
居間(この事務所は所長達の自宅も兼ねている)の方から漏れ聞こえてくる「客」の罵声に苦笑する。
「客」といっても事務所の仕事関係ではなく、雇い主の個人的な知己だ。
本来は彼女の雇い主にとって恩人にして大先輩にあたる存在だそうで、一介の平アルバイトである鈴は話しかけるのにも緊張していたのだが、存外気さくな相手の「ハッハッハッ、もっと気楽に接してくれていいぞ、嬢ちゃん」という言葉に甘えて、親しくさせてもらっている。
「あらあら、ゲームに夢中みたいね。ん〜、そろそろ夕方だし、お買い物にでも行って来ようかしら」
お客の片割れである女性が、昭和期の藤子アニメに出てきそうなちょっと懐かしい感じの買い物かごを腕にかけて、現れた。
「おや、鈴ちゃん」
「こ、こんにちは、紫苑さん」
「はい、こんにちは。そうだ! 鈴ちゃんは、今日のお夕飯はコッチで食べていくのかしら?」
「えーと、そのつもりでしたけど……」
鈴の家は両親が共働きのため、家に帰ってもひとりで夕飯を食べるハメになる。
それを知った所長たちは、普段から鈴にここで食べていくように勧め、鈴も喜んでその好意に甘えていた。
「なら、5人分ね。じゃあお鍋でもしようかしら」
どうやら客の身で、主に代わって今日の夕飯を作る気満々みたいだ。
「えっと……よろしいんですか?」
「ええ、今回の件は青ちゃんたちにずいぶんお世話になったから、そのお礼も兼ねて腕をふるうわ」
もっとも、私の料理の腕前なんて、葉ちゃんと比べるとタカが知れてるんだけど。だから鍋なんだけどね〜、とペロッと舌を出す女性。
パッと見、20代半ば位のグラマラスな長身の美人が、そんな表情を浮かべている様は、年下の同性である鈴から見ても妙に愛嬌があって可愛らしかった。
711 :
夫婦神善哉:2010/01/20(水) 10:54:46 ID:kQM01JQa
彼女の言うとおり、鈴の上司たち──所長の阿倍野橋青月(あべのばし・せいげつ)と、秘書の葛城葉子(かつらぎ・ようこ)は、ここ数日ずいぶんと疲れた様子をしていた。
ただ、その事件もようやく昨夜でカタがつき、今日は事後処理に奔走しているらしい。
せめてそれくらい連れて行ってくれても……と思うが、見習いと言うのもおこがましい三免──MHとしての三級免許をとったばかりの鈴がついて行っても、手助けなんてほとんどできないだろう。
ちなみに、三級免許はMHの実務現場に同行するための最低限の資格で、「MH助手」とも呼ばれている。
猛勉強の末ようやく先月獲得した、高校生の鈴にとっては初めての「国家資格」だが、あのふたりは鈴のことを妹同然に可愛がっているため、少々過保護なところがある。
無論、鈴もふたりを兄、姉のように慕ってはいるが、それとこれとは別問題。未だ危険な実務には連れて行ってもらったことがないのが、密かな不満であった。
「すき焼きか寄せ鍋にしようと思うんだけど、鈴ちゃん、嫌いなものある?」
軽くも物思いにフケっていた鈴は、目の前の女性、三上紫苑(みかみ・しおん)の言葉であわてて我に返った。
「あ、いえ、たいていのものは好き嫌いなく食べられます」
「そう、エラいわねぇ。それに比べて、ウチの人と来たら……」
ため息をつく紫苑。彼女の連れ合い──居間のゲーム機で巨大モンスターを狩るゲームに熱中している男、勇矢は筋肉質の巨漢なのだが、意外と偏食家らしかった。
「春菊とかネギとかはわかるけど、玉ねぎも人参もダメなのよ。あと、豚肉もあまり食べないし」
「そうなんですか!?」
あの豪快な大男が、それらをちまちま除けて食べるところを想像すると、確かにおかしい。ちょっと和んだ。
ふと、話が途切れた隙に、鈴はかねてから聞いてみたかったことを思い切って尋ねることにした。
「えっと……三上さんご夫妻って、そのぅ……」
712 :
夫婦神善哉:2010/01/20(水) 10:55:24 ID:kQM01JQa
口ごもる鈴の言いたいことがわかったのか、紫苑は軽く微笑んだ。
「ええ、いわゆる”神様”よ、一応」
そうなのである。目の前の、ニコニコと人の良さそうな笑みを浮かべている美人若奥様風の女性は、夫共々まがりなりにも八百万の末席に名前を連ねる神のひと柱であった。
それも、破邪顕正と悪鬼調伏を旨とする武神だ。鈴たちMHを志す者にとっては守り神と言ってもよい。
もっとも、本人達に言わせれば「運がよかっただけ」らしいが……。
「おふたりが知り合った時は、どちらも神様じゃなかったんですよね? その……馴れ初めとか聞かせてもらってもいいですか?」
以前、青月たちからチラと聞いた話では、勇矢は元人間(当時は武士)だが、紫苑の方はいわゆる妖怪変化の類いだったらしい。そのふたりが、どのように出会い、どんな経過を経て愛を育んだのかは、年頃の女の子として大いに興味をそそられた。
「うーーん、隠すほどのことじゃないけど……」
今北産業ってワケにもいかないから先にお買い物してくるわね、と妙に現代風の言い回しを残して、夫婦神のかたわれは買い物かごを提げて事務所を出て行ったのだった。
30分ほどして紫苑が買い物から帰って来た直後に、ちょうど青月たちも戻ってきた。
客人(しかも神様)に食事の支度をさせてしまったことに恐縮する常識人の葉子と、久しぶりに葉子以外の美女の手料理が食べられるとヒャッホイしている青月。
念のために言っておくと、このペアも男性が人間、女性が人外である。もっとも、葉子の場合、とある事情から人として育ち、戸籍もしっかり持ってるし、有名短大を優秀な成績で卒業した才媛だったりするのだが。
神様に平気でおさんどんさせるあたり、青月の器が大きいと見るべきか、あるいは単に何も考えてないだけか……。
雇い主兼兄代わりの青年の良識と度量に、いささか疑念を抱きつつ、鈴もしばし紫苑が準備した鍋に舌鼓を打つ。
ちなみに、勇矢のほうは、あれから何とか火竜のつがいを闘技場で倒したものの、ひとつも天鱗が出なかったらしくふて寝していたのだが、ご飯の時間になったら一気に機嫌が回復していた。……本当に神様なのだろうか?
「あの……それで、おふたりの馴れ初めですけど」
ひとしきり鍋をつついて満足したのか、鈴が話を蒸し返した。
「おや、覚えてたのねー。そうね、そこまで言うなら……」
「紫苑様、鈴はまだ子供ですので、その…あまり生々しい話は……」
葉子が、止めようとするが、「子供」と言う言葉にカチンときた鈴は、「ぜひ続きを!」と促した。微妙なお年頃というヤツである。
「あらあら、葉子ちゃんは心配性ねー、ま、そのあたりも考慮してR指定ぐらいで話すわ」
* * *
713 :
夫婦神善哉:2010/01/20(水) 10:57:40 ID:kQM01JQa
人間界では三上紫苑と名乗り、八百万の神としての名は「御祇永智蟲媛命(ミカミナガチムシヒメノミコト)」と呼ばれる存在は、もともとは一介の地妖──大地の霊気が人の意識と呼応して生まれた妖怪に過ぎなかった。
その本性は、全長三丈八尺(約12m)の大百足である。もっとも、夫と連れ添って以来およそ千年になるが、その姿に戻ったことは数えるほどしかない。
出産すら今の「人」としての姿で行っているため、ややもすると本人ですら「そういえば、私ってムカデの化身だっけ」と失念してたりするのだが。
ともあれ、「ミカミ」「ムカデ」というキーワードで民話伝承に詳しい人はピンと来たかもしれない。
そう、有名な「俵藤太のムカデ退治」の話に出てくる、三上山のあの大百足である。となると、勇矢の正体は、当然俵藤太その人というコトになる。
もっとも、正確には、「彼らの逸話を元に、話に尾ひれがついて、やたらスケールがデカくなったのが、俵藤太こと藤原秀郷の伝説」なのだが。
そして、例の伝説は、面白おかしく脚色された結果、幾つか事実と食い違っている点もある。
ひとつは、もともと三上山は紫苑の基となった大百足の故郷であり、彼女はいわば山の主であったこと。
さらに言えば、別段非道な行いで人々を苦しめていたわけでもない。むしろ、地元の民からは、「大地虫様」と敬われていたくらいだ。
(だからと言って、彼女が何か人に益をもたらしたと言うワケでもないが)
つまり、勇矢(当時は別の名前を名乗っていたが)は、龍神の娘に騙され、彼女らの勢力拡大のお先棒を担がされてたワケだ。
そして、もうひとつは戦いの勝敗。解釈の仕方にもよるが、純粋な戦闘においては、武士は大百足に敗北していたのだ。
当時の勇矢は優れた武士ではあったが、三国時代の呂布やのちの源平時代の鎮西八郎のような「万夫不当の勇士」と言える域には達していなかった。
これまた後世の源頼光の如く頼もしい部下がいたわけでもないし、青月の遠いご先祖様である安倍晴明のごとく陰陽の術に長けていたわけでもない。
美しい娘の涙ながらの懇願(実は演技だったわけだが)に義侠心を刺激され、また自分の腕試し武者修行にもなるからと大百足に戦いを挑んだ、単純な猪武者に過ぎなかった。
もっとも、ただ己が一身に備わった武の力のみを頼りに、単騎大百足に戦いを挑んだ者としては、異例なほど善戦したことも確かだった。
軍勢を率いているわけでも、陰陽師や法力僧の加護を受けたわけでもない、ただひとりの若武者に、時には生命の危険さえ感じさせられるほど肉薄されたことに、大百足は驚き、同時に彼に興味を持った。
普段は人間など食べない(そもそも食べてもさして美味くないし)彼女も、自分に戦いを挑んだ者だけは例外で、見せしめ半分、勇敢な戦士への敬意半分で敗者を喰らうことにしている。
しかし、目の前で矢尽き、刀折れてもなお、素手で彼女の岩より固い甲殻に殴りかかってくるほどの気迫を持った武士(もののふ)を、このまま死なせるのは少々惜しいという感傷が、いつしか彼女の中に生じていた。
具足もボロボロになり、両手の拳さえ砕けながらも、なお目だけは死んでいないかの武士に、大百足は人の言葉で問いかけた。
「なにゆえ、我を討伐しに来たのか」と。
ここ数年、たて続けに何人もの人間が襲ってきたが、実はどうにも狙われる理由がわからなかったからだ。
ならば、聞けはよかろうと言われるかもしれないが、これまでの相手は彼女の大きさと強さに半狂乱になるか、ろくに刃を交えもせずに逃げ去るかのいずれかだった。
恐ろしげな大百足が、人語を、しかも意外と理性的な口調で話しかけてきたことに武士も驚いたが、それでも変なところで律儀な彼は、事の経緯を話した。
714 :
夫婦神善哉:2010/01/20(水) 10:58:31 ID:kQM01JQa
武士の口から事の次第を聞いた大百足は嘆息した。
「お主、たばかられたのぅ」と。
大百足の口から、龍神族のたくらみを聞かされた武士は半信半疑と言った様子だったが、彼女の言うことを頭から嘘だと決めつけるようなこともなかった。
「我のような化け物の言うことは信じきれぬかえ? ならば、これでどうじゃ?」
俄かに湧き出た黒煙が大百足を包む。
何事かと目を見張る武士の目の前で黒煙の塊りはみるみる小さくなり、彼の背丈ほどの大きさで縮小が止まった。
「ふむ、こんなものかの」
と、煙の中から美しい声が聞こえたかと思うと、次の瞬間そこには、目を見張るような美女が立っていた。
黒を主体にした艶やかな袿(うちぎ)一枚をまとい、足元まで流れる髪の毛は赤毛に近い赤褐色。ピョンと2本だけ飛び出た前髪は、触角の名残りか。
着物と対照的に白い肌は、彼が京で見たどんな女性よりも白く艶めかしい。化粧はしてないようだが、仙女のごとく整った顔(かんばせ)の中で、そこだけ朱を佩いたように紅い唇と、神秘的な紫の瞳が印象的だ。
背丈は大柄な彼の眉までもあり、この時代の女性としては破格に長身だが、それに見合った豊かな胸や腰つきは女性らしさを十二分にアピールしている。
包み隠さず言うと、彼の好みにドンピシャストライク、ホールインワン! であった(いや、当時そんな言葉はなかったわけだが)。
「ホホホ、龍神の娘の色香にたぶらかされたと言うのであれば、今の我の言葉も信じられるのではないかえ?」
「あ、ああ……」
ニコリと笑いかけられても、生返事を返すのが精一杯だった。
「さて、本来、我は我を殺そうとしてきた無謀者には、その愚かさを自らの命をもって教授してやることを常としておるのじゃが……」
チラと流し目を投げられただけで、武士の心臓の鼓動が数割方跳ね上がった。
無論、恐怖からではなく、牡として牝の色香に反応して、だ。
「お主ほど、愚直ながら気持ちのよい戦いっぷりを示した若者をあたら死なすのは惜しい。ゆえに、我と賭けをせぬか?」
フッと女が息を吹きかけると、たちまち武士の体の傷がふさがった。完治には程遠いが、このままで死に至るということもないだろう。
「──賭け、とは?」
と答えつつ、武士の視線は着物の下でたゆんと揺れる彼女の乳房に釘付け。なにせ、サイズがスゴいうえに、布一枚しかまとってないから、モロに動きがわかるのだ。
「なに、簡単なことよ。先ほどは「武」による戦いでお主が負けたワケじゃが、もう一度、今度はそれ以外の戦いをする機会をお主にやろう。それでお主が勝てば、お主の命は見逃そうぞ」
成程、賭けの代金は彼の生命。今は彼女に抵当権があるが、賭けに勝ってそれを取り戻せというわけなのだろう。
「勝負の方法はお主に任せよう。双六でも囲碁でも偏継でもよいぞ。あいにくと投壺(ダーツ)や輪鼓(ヨーヨー)なぞは道具がないが……」
むしろ、双六盤や碁石があることのほうが驚きだった。
しかしながら、雅な遊びの類いは彼が苦手とするもの。多少は腕に覚えがある投壺や輪鼓は無理と来たものだ。
だが、せっかくの生き延びる機会をあきらめる手はない。後世の武士道とは無縁の彼は、生存本能に忠実だった。
(何かないか……)
必死で考える彼の頭に奇想天外なアイデアが浮かぶ。
「……なんでもよいのか?」
「うむ、この場で簡単にできることならの」
おもしろがっているような、ムカデが化身した女の言葉に、武士の覚悟が決まる。あるいは、己れの欲望に素直になっただけとも言うが。
715 :
夫婦神善哉:2010/01/20(水) 10:59:10 ID:kQM01JQa
「勝負は……男女のまぐわい、勝敗の判定は、先にイッた方が負けじゃ!」
「な!?」
女に異議を差し挟む隙を与えず、躍りかかる若武者。虚を突かれたのか女が一瞬反応できなかったのをいいことに、あっさり彼女がまとう袿を脱がせてしまう。
「ちょ……」
待てと言おうとして、とっさに胸と下腹部を手で隠すムカデの化身。
この姿は仮初のもの、それにそもそもムカデが裸体に羞恥心なぞ感じるはずもないのだが、なぜかそんな行動に出てしまっていた。
そして、その微かな恥じらいは、若武者の意欲(性欲?)にとって、まさに火に油を注ぐようなモノだった。
豊満な女の身体を抱きしめつつ、彼女の唇を奪う。
「ん! んむッ……」
女は一瞬だけもがいたものの、唇から伝わる未知の感覚の虜になったのか、すぐにクタリとおとなしくなる。
実は、ムカデなどの虫妖は人間の唾液が弱点だったりするのだが、この場ではそれがちょうどよい媚薬代わりとなっていた。
すなわち、ピリピリとした軽い刺激を女に与えると同時に、彼女の体が痺れ、力が入らなくなっていたのだ。
とは言え、今この場にいる男女はどちらもいっぱいいっぱいなので、そんなコトにまで頭が回っていなかった。
男の方は、何度か浮かれ女などに手をつけたことはあるものの、さして経験は多くなく、また、これほど己れ好みの美しい女性を抱けるとあって完全に頭に血が上っている。
女の方は言わずもがな。実は何度か人間に化けてコッソリ人里に忍び込んだことはあるものの、「人間の女性」としての性体験なぞあろうはずもない。
わずかに聞きかじった耳知識で、「こ、コレが女子の「感じる」という感覚なのか」と思い至りながら、初めて知る「快感」という刺激に、こちらも我を忘れていた。
胸元に忍び込んで来た若武者の指が、今まで誰にも触れられた事のない柔らかな桜色の頂きをまさぐる。
宮中の色事に慣れた雅男などとは違う不器用な手つきだったが、逆にその懸命さがよりいっそう愛しさを募らせる。
これまでの自分を密かに縛っていた孤独と言う名の氷の鎖が、胸の内で燃え上がる暖かな炎に溶かされ、音を立てて剥がれ落ちていくのを、女は感じていた。
「ま、待って……お願いじゃから……」
そう半泣きで訴えられてなお強行できるほど、男は鬼畜ではなかった。
「いや、ココでやめろと言われると、正直男として辛いのだが……」
それでも、なんとか堪えて動きを止め、腕の中で喘ぐ女の顔を覗き込む。
「たわけ、この期に及んでやめよとは、我も言わぬわ。ただ……」
白磁の肌がサッと桃色に染まる。
「その……我は、初めて故、やさしくしてたもれ?」
無論、この局面で、そんな可愛らしい言葉を絶世の美女から投げられて、燃え/萌えないヤツがいたら漢(オトコ)じゃない。
「ひゃんッ!? こ、コラ、じゃから優しくと……あ……アーーーーッッッッ!!!」
その後、ふたりの「勝負」は丸半日にも及んだという。無論、武士の圧勝だ。
大百足の化身した女は、完全な敗北を認め、武士に隷従することを申し出たが、武士はそれを拒絶。
泣き出しそうになる女を抱きしめ、婢女(はしため)ではなく、己れの連れ合い──つまり妻として共に生きることを願ったのだった。
* * *
716 :
夫婦神善哉:2010/01/20(水) 11:00:05 ID:kQM01JQa
「……とまぁ、大体こんなところかしら。それから100年ばかり、この人と一緒に日本各地を回って武者修行がてら、いろいろ悪さをしてる妖しを懲らしめてたら、いつの間にか有名になっちゃってねー」
「ああ。こいつと夫婦(めおと)になって体重ねることで儂(わし)も半妖化して、仙人のごとき不老不死に近い体質になってたこともぷらすに働いたのか、地元の神社で祀られるようになってな」
その結果、八百万の神々の一柱として認められ、神籍を得たと言うわけだ。ま、日本には800万とは言わないまでも10000柱を超える「神」がいるし、その中でもペーペーに近い下っ端ではあるのだが。
ちなみに、勇矢の神名は「御祇弓丈夫尊(ミカミユマスラオノミコト)」。その名のとおり、武芸とりわけ弓や飛び道具に加護を与える武神として知られている。
「はぁ……ロマンスと言えばロマンスなんですけど……」
ロマンチックとは程遠いですねぇ、と意気消沈する鈴。
1000年前から仲の良い夫婦神ということで、恋愛未体験の女の子らしい「夢」を思い描いていたのだろう。
「そうかのぅ? 妾に言わせれば、十分に浪漫ちっくじゃと思うがの」
敵味方の立場を超えた愛じゃぞ? と含み笑いする葉子。
陰陽師に追われていたところを青月の先祖に救われたという前世を持つ彼女には、何やら思うところがあるのかもしれない。
「しかも、種族の壁すら越えて、ついには永遠の愛を誓う神様にまでなったワケじゃし」
「ぅわぁ、確かにそう聞くと、一大ロマンスですねぇ」
「あ〜ん、ふたりとも、恥ずかしいからやめてよ〜」
かしましい女性陣に比べて、男性ふたりは妙に静かだ。
「……にしても、半日もよく続きましたね、先輩」
「あー、若気の至りだな。もっとも、最初がソレだったせいか、しばらくは紫苑の夜の求め方がハンパなくてなぁ」
よく赤玉出なかったな、儂……と遠い目をする武神の片割れだった。
-FIN-
---------------------------------------
実は、書きかけているオリジナルの退魔物小説(多少えっちぃけど、一応一般向け)のサブキャラ使った番外編。あまりエロくなくて申し訳ない。
三上夫妻の発想の元は、昔、ココの板に掲載された「ムカデ姫」のお話。
ちなみに紫苑の外見は、山本正枝のキャラ・千蟲姫をアダルトにしたような姿を想定(性格の方はデレ状態の向坂環って感じ?)。
本来の主人公は鈴・青月・葉子で、こちらは某GSマンガに加えて、某三番娘漫画を多少意識してます……って、元ネタ知ってる人が今時どれだけいるんだろう。
好評だったら青月と葉子のラブいちゃシーン(18禁含む)を書くやも。
GJ
とりあえず乙かれ。
ああ、なんか文量のワリに名前持ちキャラが多かったのは
>オリジナルの退魔物小説
ってことか。
>三上紫苑(みかみ・しおん)
が出てきた時点で脳がウニャとなった。
>好評だったら青月と葉子のラブいちゃシーン(18禁含む)を書くやも
さあ、早く投稿するんだ!
18禁!18禁!
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([[[[[)< おおっとここでダンゴムシのGJが! ([[[[[)<
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黒神二次創作物
舞凪自慰
ふたなり
「あの…ところで…あなたのお名前は…?」
「あ……あなたのような人間に教える名前など…私は持ち合わせておりません…」
舞凪(マナ)はその小さな身体を抱え込むように縮こまりながら、呟くように言った。
「お…おいそんな冗談はいいからさ、ちゃんと自己紹介してくれよ」
慶太(けいた)は軽い口調で舞凪に言ったが、舞凪は身体を抱いたまま
視線をずらし、後ずさっただけだ。
「お…お願いですからもっと離れて下さい!!手が触れるではありませんか!」
「お前そんな言い方ないだろ?これから一緒に暮らしていくってのにさ」
慶太は舞凪の言い方を注意するという格好で、その手をポンと少女の肩に置いた。
ぞわっ……
慶太の置いた手の位置、そこを起点として少女の身体が総毛だった。
「なんで触るんですか!!汚らわしい!!身体が腐ったらどうしてくれるんです!!」
少女は叫びながらバチバチバチッと正掌で慶太の頬を2〜3回、程突っ張った。
紫龍一族の4つの属性である飛龍・地龍・水龍・雷龍の秘伎を統合し誕生した帝龍流。
その奥義を究めた唯一の継承者である舞凪。その突っ張りの威力は横綱力士よりも強力だ。
そのまま吹っ飛び、意識も吹っ飛んだ慶太は気を失った。口から魂らしきものが
昇天しかけているのは気のせいだろうか。
「い…生きてますか慶太さん!!」
「慶太君しっかりして!!」
あまりのできごとにぽかんと口を開け、見ていたクロと茜が慶太に駆け寄った。
「舞凪さん!どうしてこんな酷い事するんです!?今すぐ慶太さんに謝ってください!!」
クロが慶太を介抱しながら声を上げた。
「あ…謝る…?」
身体を頑なに抱き、ビクビクしながら舞凪は言った。
「人間は下品で下等な生き物ですよ?指一本触れられるのもおぞましいです
人間なんかと同じ空気を吸う事すら私には耐えられる自信がありません!!
ですから…私だけの個室を要求します!!これは絶対に譲歩するつもりはありませんわ!!」
「ふぅ……」
あれから数日後、佐野 茜の家で2つしかない個室の占有権を
取得した舞凪は椅子に腰掛けた。
時刻は昼をまわった頃だろうか、茜は仕事へ行き、夜遅くに帰ってくると言っていた。
クロと慶太は蒼鷹(そうよう)一族の織慧(おりえ)と共に朝早くから出て行った。
何やらシュンジュクというところへ行くらしい。
今、現在この佐野家にいる者は韓国より来日した山神霊(サンシンリョン)のナムのみ。
それも今は再放送の韓流ドラマに釘付けだ。
(今なら……)
舞凪に出で立ちは少々問題がある。
表情を悟られぬように顔を覆う狐の面に肌着である襦袢に着物。
その着物が問題なのである。
本来、着物という着衣は足元まであり、およそ『走る』という行為を
想定していない作りである。
が、しかし、帝龍流はクロとの戦闘においてみられたように
激しい立ち回りに、間接伎を基調としており相手に組み付く速度、回避が
重視される。結果、舞凪の着物は膝の上でカットされ、女性の股間を
下帯…つまりは褌で覆う大胆な作りになっている。それに付け加え、ニーソックス…
いくら紫龍一族が他部族との接触を断っていたとはいえ、
これを考案した者の卑猥な思案が存分に盛り込まれた事に違いない。逆に言えば、
他部族との接触を断っていたが為に何ら恥じることなく着衣として認められたといえるだろう。
「……ん……」
舞凪はそっとその下帯越しに股間に触れた。既にそこは微かな湿り気を帯びている。
「は…く…」
実は、個室を要求した事にはもう一つ、理由があった。
帝龍流の奥義を会得するまでにおよそ物心ついた年齢から4属性の伎を叩き込まれてきた舞凪。
同年代の者はなく、ただ一人で師より与えられる厳しい修練。
ただひたすらに修練を重ねる日々は想像を絶する程のストレスがその精神を蝕む。
そんな折りにふとした事からそのストレスを発散するために興じた事――――――それは自慰であった。
「ん…ふ……くぅ」
下帯の上からかるく秘部をさすり、その花弁のような唇からこもれる吐息。
「ん…んんんっ……」
十分に緩ませた事を悟ると少女は直に秘部に触れ、下帯の紐を解いた。
愛液で濡れた下帯を口にくわえ、すううとその甘美なニオイを鼻孔に満たす。
少女の秘部はその口を閉じ、まだ淡い恥毛すら生えていない年相応の
女性器であった。その淫核にあたる部分に手をかざし、舞凪は唇を噛んだ。
「あはっ…ん…んんんっ…くうううっ!」
舞凪が手を当てた箇所が、ありえないモノがムクムクと顔を上げた。
「はぁ…はぁ…んっ…んふっ…は…はぁ……」
それは男性の性器から睾丸部を取り除いた肉棒であった。
神経が連結しているのか天に向かって反り返り、どくどくと脈を打っている。
紫龍一族の純血者にままある女性でありながらも男性器を持つ、特異な身体。
普段は術式で隠しているが、ここ数日はご無沙汰であった。
本来なら毎日、扱いてその青臭い精を存分に解き放つ事ができるのだが、
新しい環境では、そこの住人の生活を数日、観察する必要がある。
もし協力を求められた者が敵対する部族の者だったら?
味方と言いつつも、その中に間者(スパイ)がいたら?
そして――――――問題なく自慰ができる環境なのか?
「が…我慢…できませんわ……た、溜まって……んんっ」
そして一呼吸おくと、隠し持っていたコンドームを被せ、
その繊細な手で軽くしごき、舞凪はピリピリとくる快楽に酔った。
「こ、こんな…淫らな行為……見られるわけにはいけませんもの……くっ」
自らの下着を口に、その匂いを嗅ぎながらの自慰。
そんなものを他人に見られるわけにはいけない。
「あはっ……すぅ…し、刺激的な…んっ…あはっんんっ」
ギチギチに反り返った肉棒から下腹部にかけてチリチリと軽い電が走る、
下腹部にわだかまりを感じ始めた。
「ん…あ…でる…もう…ん…少し」
舞凪はぐっと下帯を噛みながらシュッシュと音が出るほど激しく肉棒を扱き上げた。
圧迫感が最高潮に達する。ぐぐぐっと煮立った精液が手の刺激によって肉棒の中を昇り始める。
「はっ出る…で、出ちゃ…んあ…あはっで、出る」
肉棒の中を精子が駆け上る感覚に舞凪は脳がとろけそうになった。
椅子の上で腰に渾身の力を込め、グッと前のめりの姿勢を取った瞬間、
「あはっあ……んんんうう〜!!」
ぴゅっとその鈴口から透明な汁が飛び出し、
間髪おかずびゅるるるっと白いゼラチン状の塊が飛び出した。
数日、抜いていなかったから結構な量だ。
コンドームの中で混じり合い、ぬるりとした感触が気持ち悪い。
「はっ…は…はぁ…ん、くぅ…ん、んんっ」
しばらくその小振りな尻を振るわせ、余韻に耽っていた舞凪、
途端に来る脱力感を感じ、口に噛んだ下帯をもう一度鼻に押しつけ、嗅いだ。
後はさっさとこのコンドームを処理して……
「ほう……なかなかどうして…
日本の元神霊(もとつみたま)はこうも性倒錯者が多いのかの?」
その声にビクッとして舞凪は後ろを振り返った。
「のう……舞凪?」
そこには韓国の山神霊ナムが立っていた。
続
やたらと専門用語がでてきて元ネタ知らない方
すうません。
マルチ乙
東鳩のマルチとかロボ娘って
分類するならここなのかな?
素朴な疑問
>>4参照
一応ロボ&アンドロイドスレが別にある
まあ見た目がヒトとほとんど変わらないレベルだったら
向こうではあんまり歓迎されないかもしれないが
皆さん、もうすぐ節分ですよ。
そろそろ鬼っ娘を迎える準備に取り掛からねば。
逆に福の神娘で
エルフ娘の外見って耳が突き出てる以外人間と変わんないから難しいな
>>729 エルフの外見の特徴というと、伝統的な所では…
「目がアーモンド形に釣り上がっている」
「耳の先端が尖っている」
と言った所。
日本産エルフの外見はディードが全ての諸悪の根源。
耳はあんなに長くないし、むしろ目の方が特徴的。
瞳孔のあるシルバーグレイみたいな目と言えば良いだろうか?
エルフは専用スレがあるからな。
SSを投下するなら向こうにした方が喜ばれるよ。
いろんなスレがありすぎて何を書いてもスレ違いになりそうだな・・・
>>732 逆に考えるんだ
「人外なら、何を書いても大体許容範囲」と考えるんだ
異星人ネタで
「密猟者」
傭兵達は背と背を合わせて震えた。怯えの震えだ。部隊の生存者はわずか
しかいない。残りは全て、得体の知れない何かに殺された。今は視界の死角を
減らし、得体の知れない何かを見逃さない体制で安全地帯に逃れるのが目標で
ある。だがしかし、見逃さず見つけたとしてどうするのか。この残りわずか
になった人数で逃げながら追い払えるのか。それよりも残る限りの体力で、
追撃を受ける事を覚悟で逃げる事に専念するべきではなかったか。しかし半
ば本能的に生存者は見張りながらの撤退を続けた。
諸大国は遠く離れた外国の凄惨な内戦の鎮圧に人手が足りなかった。その足
りない人手を埋める為に傭兵の手を借りる事が決まった。傭兵達は損害を出
しながらも着実に任務を果たして行った。敵は内戦の間に素人から熟練の戦
士へと変わっていた。しかし苦戦はしても敗退は無い。傭兵は契約相手
と世界の期待に応えて任務を果たして行った。
賊が集結しつつある村に傭兵の部隊の一つが迫った。しかし村に賊の姿は無か
った。代わりにあったのは武器を抱えた死体だった。村には生き残った人間
がいた。生き残った死体のような病人は言った。わけのわからない死に方だ
ったと言った。事実わけがわからなかった。突如として起きた仲間割れ、自
殺、どこからかわからない何かもわからない武器、理解を超えていた。
部隊は村での任務を終えて立ち去った。襲撃は帰路で起きた。突然アルプ
レヒト隊長が発狂して暴れだした。それを抑えようとしたラーべが同じく発
狂した。殺害を始めた二人をやむなく残りは殺害した。地に伏した死体を遠
巻きに見ながら連絡を取っていた傭兵が同じく狂い出した。思いついた別の
傭兵がそれを突き倒した。まもなく発狂は消えた。立っていた空間に人を狂
わせる何かがあった。生き残った傭兵達はそこを足を速めて去った。フリッ
ツが死んだ。死因は何かわからないが、恐らくは武器による物だった。村の
死体と同じだった。傭兵達は理解した。敵は自分達を次の標的にしていた。
更に一人、更に一人武器で死んだ。生存者は集まって周りを凝視した。敵を
探した。
移動手段は発狂した隊長たち二人の蛮行で破壊された。救援は要請した。
おそらくはそれが安全地帯まで届けてくれるはずである。発進した方角へと
生存者は警戒しながらの移動を続けた。汗が生存者の肌を伝う。生きている
証だ。警戒するにしても、遅すぎるとあの人を狂わす何かに捕捉される恐れ
があった。動きの向きを一定にしても捉えられる恐れがあった。敵を探しつ
つ傭兵達は救援の来る方へと動く。待望の救援はついに迫った。追伸の要請
で強力な武器で辺りを一掃してまでくれた。快哉を叫んだ生存者達の見守る
前で、救援は炎上墜落した。駆け寄ったミュンツァーを巻き込んで爆発し、
生存者は更に減った。涙が頬を伝った。今までも傭兵は死んできた。だが絶
望は今日が初めてだった。
「取り乱せば、助かるものも助からなくなる」
古参兵ダシュナーの低い声が、切れかけた緊張と冷静の糸を確かな強さに
した。
「誰か見なかったか。何でもいい。撃墜の瞬間に」
誰も見ていなかった。前兆も何も無い完全な攻撃にダシュナーは低くうな
った。
「まず、地上にいるとは思えない。さっきのあれだ。生きてるとすれば、
人間並みの小ささでちょっとした戦車並みの頑丈さだ。と言う事は」
一斉に見上げた。しかし影も形も見えない。
「もうたくさんだ!!殺しに来い!!殺してやる!!」
耐え切れなくなったハイネマンが手榴弾を取っては投げ出した。何も無い
空間に、何も無い焼け跡に向かって次々と投げた。手榴弾の尽きた後は更に
銃を乱射した。
「ハーニッヒ!!グラウェルト!!ハイネマンを止めろ!!クンテは連絡だ」
その時救援の残骸がひときわ大きく爆発した。衝撃で5人は吹き飛ばされて
倒れた。
ダシュナーはゆっくりと目を開けた。信じられない光景だった。3人の部下
が不可思議なあの武器で既に死んでいた。生き残ったグラウェルトが丁度
殺された。ダシュナーは見た。グラウェルトの間近の空間になにかが間違い
なくいた。一呼吸置くと飛び上がったダシュナーは銃を連射した。その何か
は、はっきりと倒れた。
ダシュナーは辺りを見回した。見慣れない、何かがあった。本で読んだラ
イト兄弟以前の飛行研究に使われたグライダーの様な形に見たことも無い機
械が組み合わさっていた。振り返って、何かが倒れた所を見た。ダシュナーは
目を見開いた。空間に色が浮かび上がった。現れたのは奇妙な鎧だった。恐
る恐る近寄ってダシュナーは眺めた。頑丈そうな鎧だった。銃創は、どうや
ら急所を偶然破壊したらしかった。どうみても、尋常の鎧ではなかった。
ダシュナーは当然の欲求に襲われた。鎧であるからには誰かが着ている。
ダシュナーは中身を見たくなったのである。ダシュナーは鎧のあちこちを
調べた。継ぎ目の様に見えた隙間の周りをいじっていると、金属音とともに
鎧が外れた。息を呑んでダシュナーは鎧を持ち上げた。中身は、女、に似
ていた。兜を外した。緑色の髪と、風変わりな髪飾り、褐色の肌に赤のアイ
シャドウが引いてある。生意気な蛮族への怒りにも、恐怖にも見える表情
が浮かんでいた。美しかった。
貿易商社の経営者として活躍する彼女の趣味は戦争である。発展途上の
知的生命体を見つけては攻撃を仕掛け、理解不能な技術で相手を翻弄して
嬲り殺しにしていた。彼女の友人の地方法廷長を誘ってまた遊びに出かけ
た。二人は禁じられた遊びに熱中していた。発覚すれば地位を失う事は確
実だった。しかしその危うさが更に二人を燃え上がらせた。そうして訪れ
たのがここだった。
追い詰めた生物達は爆発に巻き込まれて吹き飛ばされた。気になって地
上に降り立ち、一体づつ様子を見ては殺害した。そこへ予想外の反撃が加
わった。破損するはずがない軍用の強化装甲服の動力が故障し、装甲服は
鉄の棺おけとなった。それをあの生物が開けてしまった。見るからに喧嘩
慣れしていそうな生物だった。驚愕の目で見ていた生物は、刃物を取り出
して服を切り裂いた。
女、に見えるそれは抵抗してきた。普通の女よりははるかに強い力だが
たやすくねじ伏せた。服の下はまるで女と変わりが無かった。ダシュナー
は押さえ切れなかった。女の唇を奪った。
胸を揉まれている。押しのけようとするが敵わない。強烈な刺激が走る
。生物は唇を重ねながら片方の手で胸を揉んでいる。顔を背けても相手は
追ってきた。相手の手が揉むのを止めた。離れた手は刃物を握ると、さら
に服を裂いた。
女の胸の感触はひさしぶりだった。場違いでもあった。死を目前にした
直後の甘美な感覚は、戦地から遠く離れてのそれとは全く比べ物にならな
かった。直前の恐怖と絶望が悦楽を盛り立てた。いつまでも触っていたい
感触だったが、ダシュナーは更に冒険した。女を完全に裸にした。下の毛
はやはり緑色をしていた。聞いた事の無い言葉を女は発した。多くの言語
を理解できなくとも聞いてきたがどれとも合致しない言葉だった。
(異星人か)
その想像もダシュナーを思いとどまらせなかった。震える女にダシュナ
ーは突き入れた。
彼女は苦悶の表情を浮かべ、悲鳴を上げた。恐怖だけではない。痛みが
あった。それも構わずダシュナーは引いて押した。塩梅は文句無しだった。
気配を感じた。いる。仲間がいる。ダシュナーは彼女を放り出して駆け
出した。横たわった彼女に救出が遅れた友人は平謝りに謝った。
ダシュナーは逃げた。ひたすらに逃げた。隊長の上司のクネッパーとの
連絡をしようにも機材を取りに帰れない。カンを当てにダシュナーは走っ
た。
(了)
>>735-737 GJ。たった3レスなんだけれども「異星人」というシチュがいいなあ。
>女の胸の感触はひさしぶりだった。
から
>震える女にダシュナーは突き入れた。
の下りが特に好き。
了とは云わずに続編希望。
>>730 日本産エルフ耳は輸出されて本家のアメやヨーロッパでもデカ耳いるからなぁ
ある意味ディードの影響力はすごいなw
なんかプレデターっぽくて好きよん
女 プレデターでぐぐったらクソワロタ
設定でも一応はあるんだなあ
昨日は節分でした、というわけで鬼娘ものを。
タイトルは『節分と鬼畜』、8レスです。
744 :
1/8:2010/02/04(木) 21:52:55 ID:e8T8ICxI
節分。一般的には暦が冬から春へと移る日、またはその前日を指す。
鬼(邪気)に豆(魔滅)をぶつけて払うことにより、一年の無病息災を願う。
しかしこの現代、家で豆まきをしない人々も増えていることだろう。
世に溢れる邪気もあいまって、そういう意味では鬼は生きやすいのかも知れない。
* * * *
既に十一時をまわって街灯もまばらな暗い夜道を、疲れた様子で歩く男。
彼もまた、豆まきなどしてる余裕はない独身男性の一人。
上司に押し付けられた残業をやっとの思いで終わらせ、帰る途中である。
(くっそ……部長のヤロウ、何が「早く帰って鬼をやると娘と約束したんだ」だ!
オレにとっちゃ、そんなアンタこそ本物の鬼だっつーんだよ!)
男は心の中で悪態をつきつつ、不機嫌な顔で家路を急ぐ。
今日が節分であることなど、彼にとってはそれこそ何の意味も持たなかった。
……そう、持たないはずだった。
「……んあ? 何だありゃ?」
男が住む小さなアパートの前に、何やら白いものがあった。
彼はそれに近づいていく――まあ、家に向かっているだけなのだが。
すると、それは白い上着を着た女だった。
この寒い夜道の端に座り込んで、その女は一人泣いていた。
「おいアンタ、どうしたんだ」
腕っ節には自信があった男は、不審に思いながらも彼女に声をかけた。
もしもヤバイ事態になっても相手は女、どうにかなるだろうと思ったのだ。
「……!」
ビクリと肩を震わせ、女は顔を上げる。歳は二十台前半というところだろうか。
泣き腫らしたその目は赤く充血し、黒髪のセミロングもボサボサになっていた。
しかし、そんなことよりも先に男が思ったこと、それは――
(うわ……スゲー美人じゃねえか)
745 :
2/8:2010/02/04(木) 21:53:44 ID:e8T8ICxI
吊り上がった大きな目に細い柳眉、すっと通った鼻、薄い唇。
それはまさに、男の好み直球ど真ん中ストライクを撃ち抜いた。
その上、女は今の今まで泣いていたせいで『うるうる』になっており、
男の目にはその美しさは、倍率ドン!さらに倍!な状態で映った。
だからだろうか、次に口をついて出た言葉は、男自身でさえ意外なものだった。
「あ、あのさ、オレの家、このアパートなんだけど……よかったら、来る?」
(っ、何言ってんだオレは! こんなこと言ったらヒかれるに決まってんだろ!)
しかし、その問いに対する女の答えは、彼にとってさらに予想外なものだった。
「い、行っても、いいの……?」
「え……あ、ああ、アンタがいいならオレは別に」
「ありがとう……」
男は知るよしもない。彼の目が泳いだほんの一瞬、女が口角を吊り上げたことを。
そして、この数秒のやり取りが原因で彼がこの先どうなるのかを。
* * * *
女を家に上げた男は、とりあえず風呂(シャワー)に入れて暖めてやることにした。
普通に考えれば、女が言われるままに知らない男の部屋へ入る時点で変なのだが、
女に一目惚れしておかしなテンションになっている男に、その判断はできなかった。
(なんでオレ、自分で風呂薦めといてこんな緊張してんだ?
別にあの人がシャワー浴びてんのはそういうアレじゃねえっての!
だから鎮まれマイサン! お前の出番はねぇから! ……たぶん)
彼も若い健康な男である。前の彼女と別れてから一年近くはご無沙汰な状態で、
好みの女性と部屋に二人きり、しかも彼女がシャワー中、とくれば仕方ないことだろう。
そんな調子で男がしばらく悶々としているうちに、女が風呂からあがってきた。
風呂上がりだからだろうか、その顔はうっすら上気し、色っぽい美しさを醸し出している。
「なぁ、どうしてあんなところで泣いてたんだ?
あ、いや、言いたくないなら別に無理して言わなくても」
「黙れこの下心丸出しの独男。……もう十二時は過ぎたな」
「な……!?」
746 :
3/8:2010/02/04(木) 21:54:22 ID:e8T8ICxI
男は自分の耳を疑った。
さっきまでのしおらしい雰囲気とはまったく違った女の言動。
「貴様は何かを……ナニを期待して吾を家に招いたのだろう? 違うか?」
「なっ!! なんてこと言ってんだアンタ!?」
「五月蝿い」
女の口から突如飛び出した言葉に、男は思わず大きな声を出してしまう。
すると、その脳天にとても女性とは思えない力のチョップが落ちてきた。
「〜〜〜〜〜〜!!!」
「大声出しおって。近所迷惑だろうが、この馬鹿が」
あまりの激痛に悶え転がる男に向かって、理不尽極まりない言動。
いくら容姿が好みとはいえ、これには彼も勘忍袋の緒が切れた。
「だああっ! アンタなんか拾ったオレがバカだった!
もういい、さっさと出てってくれ!」
男は片手で頭をさすりながらどうにか上体を起こし、もう一方の手で玄関を指差す。
しかし、女は腕を組み、鼻をフンと鳴らしてそれを拒否した。
「無理だな」
「何ふざけたこと言ってんだ! 出・て・け!」
「たとえ吾が出ていきたくとも無理だ、もう節分は終わったからな」
「ハァ? 節分? だから何だっ……て……」
男の語気は、尻窄みにどんどん弱くなっていく。
というのも、目の前で女の黒かった髪がみるみる赤く染まっていき、
その髪の下からは天を突く二本の角が生えたからだ。
「これでわかるか? 吾は、貴様ら人間が『鬼』と呼ぶものだ」
「お、鬼……?」
「もう日付は変わった。『呪』に従い、来年の節分までの一年、吾は貴様に取り憑く」
「取り憑く!?」
「最近は躍起になって我々を払おうとする者も少なくなり、過ごしやすくてな。
しかも、少し猫をかぶって色目を使うだけで貴様のような馬鹿が家に招いてくれる」
鬼女は悪の組織の女幹部のような、人を蔑む笑みを浮かべ――男を押し倒した。
747 :
4/8:2010/02/04(木) 21:55:07 ID:e8T8ICxI
「な、何しやがる! 放せ!」
「断る」
男は抜け出そうともがくが、鬼である彼女の力の前では何の意味も無い。
やがて男が脱出を諦めおとなしくなると、彼女は満足げに口を歪める。
そして、両手で男の頬を包み込み、唇を重ねた。
「んむっ……な、何だってんだ!?」
「ふぅ、吾も久しぶりに男を味わいたい、協力しろ」
実はこの鬼女、かなりの好きモノであり、最初からこれが目的だった。
ちなみに、一年取り憑くというのも人間相手に使うデマカセなのだが、
霊能力者でも退魔師でもない、ただの一般人の男にそんなことがわかるはずもない。
「ふ、ふざけんな、なんでお前なんかと……」
「ほう? 体は正直に反応しているようだが?」
口では強がってみる男だが、相手は(少なくとも容姿は)好みの女性である。
既に男の股間にはテントが張っており、準備ができていることを示していた。
鬼女が体を押し付け、腿でムスコを刺激する度に男は顔を歪める。
「ふふ、この程度で反応するとはな……よほど溜め込んでいるか、はたまた初物か?」
「ぐっ……るせぇ、テメェなんか、っ……」
「快楽に必死で抗っている、という顔で言っても説得力はないぞ。
それにだ、どうせこの先一年間、吾と貴様は離れられん。
貴様、一年ずっと吾の誘いに耐え続けるとでも言うのか?」
鬼女は激しく前後に動き、自らの体で男のテントを擦りあげる。
服の上からの刺激とはいえ、ここ二週間ほど溜め込んでいた男は敏感になっていた。
その上、豊満な二つの膨らみが胸で潰れる感触も男にやわやわと快感を与えてくる。
そして、男が限界を迎えようとしたその瞬間――突然鬼女の動きが止まった。
男が何事かと目を開けると、すぐ目の前に鬼女の悪そうな笑顔があった。
「おや、どうしたその残念そうな顔は? 止めて欲しかったのではないのか?」
「う……」
「吾としてはこのまま――と行きたいところだが、そちらが拒むのならばしかたない」
もちろんこの鬼女、仮に男が拒否したとしてもやめる気などさらさら無い。
それがわかったのか生殺しに耐えられなかったのか、男も抵抗はしなかった。
748 :
5/8:2010/02/04(木) 21:55:38 ID:e8T8ICxI
「……もう、いい。好きに犯せよ」
「ふむ。言い方は気にいらんが、もう吾も我慢の限界だ。よしとしよう」
鬼女は立ち上がり、服を脱いでいく。
女性らしい丸みを残しながらも、適度に筋肉がついて締まった躯が露になる。
男は何を考えるでもなく、仰向けになったまま彼女の肢体に見惚れていた。
「ふふふ……どうだ?」
「………」
「すっかり呆けおって、気の利いたことぐらい言えんのか。
まあ、いい。貴様はそこを勃ててさえいれば、吾に文句はない」
鬼女は男のズボンに手をのばし、ベルトを外していく。
ズボンとパンツを掴むと、モノに引っかからないようにして一気にずり落ろした。
「さて、貴様はどれほどのモノ……を……」
男のムスコを見るやいなや、鬼女は絶句した。
なぜなら、そこにあったのは凄まじい――まさに人間離れの――巨砲だったからだ。
この男、人はいいのだが、あまりに巨大なコレのせいで女性と長続きしないのだ。
女たちの別れの言葉が「死にたくない」だったと言えば、その巨大さがわかるだろうか。
「ば、馬鹿な……人間風情がっ、こ、こんな……」
(有り得ない……こんなモノ、鬼の男にもいなかったぞ……だが……)
鬼女はそのとき、自分の中の牝が疼くのを感じていた。
この女もまた、その性欲の強さ故に鬼の中でも浮いていたのだ。
これまで、人妖問わず多くの男を食い荒らしてきたが、彼女を満足させる者はいなかった。
(もしかすると、コレなら、こやつなら……吾を……)
目の前にある企画外のコレなら、という期待に、鬼女の体が反応する。
息が荒くなって肌も紅潮し、下の口も涎を垂らし始めた。
彼女は男に跨がると、モノに手を添えて角度を調整し、自らの女に狙いを定める。
「もう、挿れるぞ」
「なっ……いきなりで大丈夫なのかよ」
「むしろ逆だ。今すぐシないと吾はおかしくなりそうだ」
「でもよ……」
「ええい、黙れ!」
「ちょっ、おま――うっ!!」
「んんッ、うっ、くうっ……」
749 :
6/8:2010/02/04(木) 21:56:27 ID:e8T8ICxI
男の意向などまったく無視で、鬼女は腰を沈めていく。
内臓を押し上げられるような、という比喩があるが、まさにその感覚を――
いや、内臓どころか脳天に至るまでを貫かれるような感覚を彼女は感じていた。
そして同時に、自分がソレの大きさをまだ侮っていたことに気付く。
腰をどうにか落とし終えたときには、男の巨砲は彼女の中を完全に埋め尽くしていた。
「か、はっ……こ、こんな、の、知らな……」
「く、あっ……う……」
「ひあっ!?……ま、また、おっ、きくぅ!?」
常軌を遥かに逸脱したその大きさに、鬼女は動くこともできずガクガクと震えるだけ。
しかしその震えが男を刺激し、モノはさらにその大きさを増す。
そんな調子でしばらくつながっていた二人だったが、
やがて鬼女の体からヘナヘナと力が抜け、男の胸へ突っ伏した。
「あ、ああぁ……無、理ぃ、……動け、な、いぃ……」
「………」
鬼女は既にヘロヘロだが、実際のところ男はまだ挿れただけである。
男は鬼女の腰を掴んで起き上がり、繋がったまま体の上下を入れ替えた。
「ひあっ! や、やめっ……」
「悪い……けど、無理」
「ちょっ、や、ああ゙――――――ッ!!」
* * * *
「あ゙ぁ……やぁ……も、やらぁ……」
「く……そろそろ……出、るっ」
男は鬼女の腰をがっちりと掴み、後ろから文字通り『犯して』いた。
鬼女は男に掴まれた腰だけが上がり、全身をだらりと力なく投げ出している。
虚ろな目からは涙を、だらしなく開いた口からは涎を垂らし、ほとんど動かない。
……実はもう七回戦目、彼女が意識も朦朧として言葉すらまともに出ないのも無理はない。
「うぐっ……で、出るっ!」
「ゔぁ……あ、うぅ……」
男が七度目の絶頂を迎え、鬼女の中に精を放った。
鬼女は呻き声とともに二、三度小さく震え、また動かなくなる。
「ハァ、ハァ……あー、その……生きてるか?」
「ぅ……ぁ……」
男が自身を引き抜いて呼びかけると、鬼女は小さな声でかすかに反応を示した。
問い掛けに応える辺り、どうやらかろうじて意識はあるようだ。
さすがに男も限界を迎えたのかベッドに倒れこみ、二人はそのまま眠りに落ちた。
750 :
7/8:2010/02/04(木) 21:57:15 ID:e8T8ICxI
* * * *
翌朝、二人はリビングで向かい合っていた。
正座で座る男の前、鬼女が腕を組んで仁王立ちになっている。
「……昨晩はよくもやってくれたな」
「いや、でも元はといえば」
「やかましい」
「ぐぶ!?」
元々はそっちが襲い掛かってきたんだろ、と男が反論しようとしたところで、
昨晩と同様に凄まじい威力のチョップが彼の脳天を直撃する。
「吾は昨晩、『来年の節分まで取り憑く』と言ったな」
「そうだな」
「あれは嘘だ、本当はいつでも出て行ける」
「あぁ、そうかい」
頭をさすりながらそっけない返事をする男だが、どこか残念に思っていた。
心ゆくまでヤりきったのも、最後まで相手に意識があったのも初めてだったからだ。
(もしかすると、コイツなら……オレと……)
彼はいつの間にか、心の奥底でそんな期待を持っていた。
(でもこんな話するってことは、きっと「死にたくないから出てく」なんだろうな。
しゃーないか、昨日のは自分でもやり過ぎたと思うし――)
「だが、お前にはこれからもしばらく、吾の相手をしてもらう」
「……え?」
男が呆然としていると、鬼女は男の横に座り、彼の肩に頭を預けてきた。
その頬に朱がさしているのに気付いて、男は不覚にも鬼女をかわいいと思ってしまう。
751 :
8/8:2010/02/04(木) 21:58:10 ID:e8T8ICxI
「……吾を満足させるどころか、あそこまで壊したのはお前だけだ。
誇るがいい、お前のモノは数多の妖怪よりも凄まじかったぞ」
「あー、そうかい。そりゃ光栄なこって。
ところでお前、オレのこと『貴様』じゃなくて『お前』って言った?」
ささいな変化だったが、何となく違和感を感じた男。
指摘された鬼女は、頬を赤くして俯き気味になりながら、ぼそぼそと呟く。
「……吾は、お前の名を知らない。だが、『貴様』では……あー、なんだ……」
「何だよ?」
「いずれ……お、夫となる相手に、あまりに……」
「夫ぉ!?」
「いや、そ、それはだな……わ、忘れろっ!!」
「ぶっ!!」
鬼女が真っ赤になって放ったビンタは、これまで以上に力が入っていた。
あまりの衝撃に、男の体が宙に浮き上がる。
(こんな奴が嫁とか……オレ、いつまで生きられるかな)
壁に向かって吹き飛びながら、男は不思議と悪い気はしていなかった。
そしてこの一年後の節分、男の側から正式にプロポーズし、二人は結婚する。
鬼嫁となった彼女は、最終的に七人の子供の母となるのだが――
それはまだ、先の話。
< 完 >
以上です。
こんな鬼嫁、どうですかね?
鬼嫁www
いいなあ。続きが読みたい!
GJ!
このスレの鬼っ娘は可愛い娘が多くてニヨニヨしちまうなぁw
保守?
バレンタイン向きの妖怪はいないものか
チョコレートスライムとか?
美味しそう
760 :
アミガメの人:2010/02/19(金) 01:02:37 ID:znv2wEIz
>>758と
>>759から
「甘くて食べられるスライム娘(二重の意味で)」
という電波を受信したので書いてみました。
即興なので短め。エロはないです。
『甘々で不定型な彼女』
ある休日の午後、なんか口が寂しかったオレはつまみを置いた棚を漁っていた。
しかし、そこにあるのは菓子がわりにするには重いものばかり。
柿ピーとかベビースターとか、あると思ったんだけど。
「どれも微妙だな……」
「なにしてるの?」
顔を上げると、そこには同棲中の彼女がいる。
つやつやとした茶色の肌とストレートの黒髪からはいつもの甘い香りが……
先に言っておくが、断じて性的な意味ではないぞ。
「ああ、なんか軽くつまめるもんないかと思って」
「チョコでも食べる?」
「お、いいな」
すると、彼女は自らのほっぺたを抓り、そのまま引っ張った。
むにゅ〜……プチッ。
「はい、どーぞ」
そう言って差し出す手の上には、彼女の肌と同じ色の物体。
プルプルと揺れるそれは、チョコムースのようなチョコプリンのような。
「なんでわざわざ顔から取るかな……お前は〇ンパ〇マンか」
「チョコスライムだよ」
そう、彼女の正体はRPGその他もろもろでお馴染みのあのゲル状生物だ。
それも、目の前のコイツはチョコレートでできた特殊な個体。
「いや、それは知ってるけどさ……」
とりあえず、その欠片を受け取って口にほうり込む。
食感はプリンみたいな感じで、味はチョコ(当然だ)。
ちなみに、茶色い肌の部分はミルク、黒い髪の部分はビターらしい。
最初こそ体内でこの欠片がどーにかなるんじゃないかとビビったもんだが、
今ではなんの抵抗もなく飲み込める。これ食って腹下したこともないし。
761 :
アミガメの人:2010/02/19(金) 01:04:22 ID:znv2wEIz
「ん、甘い。ありがとな」
「お礼なら、ぎゅーってしてくれる方がいいな」
毎度のことながら、思わず苦笑い。
コイツはなにかと理由をつけては、オレにくっつきたがる。
なぜだか服がチョコで汚れることはないが、やっぱ恥ずかしくはあるわけで。
「……わかったよ。ほれ」
両手を広げて、さあどうぞ。
まあオレだって嫌じゃないさ、好きな女とくっつくのは。
「えへへ」
ぎゅ。
「あったかい……わたし、溶けちゃいそう」
頬を朱く染め、満面の笑みでそう呟く。
いわゆるテンプレってやつなわけだが、コイツの場合はマジだ。
「つーか、もう足が崩れ始めてるぞ」
その下半身はヒトの足の形を失い、二本の棒になりつつある。
このまま放っておくと、いずれ両足がくっついて一本になるだろう。
「え!? あ、ホントだ。すぐ直し――」
ペロッ。
「ひゃうん!?」
うなじの辺りに舌を這わせると、ビクリと震えて声をあげた。
コイツの体は全部チョコなので、うなじもやっぱり甘い。声色も甘い。
「な、何?」
「ん、ちょっと食べたくなった」
「なら、そう言ってくれればいいのに……」
そう言うとまた自分の頬を抓り、引っ張る。
むにゅ〜……
「いや、そうじゃなくて」
「へ?」
ちぎれる前に、その行為をやめさせた。
引っ張るのをやめると、伸びた頬がにゅるにゅると元に戻っていく。
彼女の目が、じゃあどういう意味? と問い掛けてくる。
――オレは答えを言わずに、彼女をそばにあった座布団の上に押し倒した。
「ちょ、これって……」
「いただきます」
「もう……バカぁ (////)」
< 完 >
うん、こんな感じで。
もはやバレンタイン関係無くなってますけども。
>>761 なんとゆーほのぼのカニバリズム…いや、厳密にはちがうかw
GJでした
次スレは大丈夫?
>>761 もうそろそろトリップをつけてくれないかなあ。
ベラ様ぁ