キモ姉&キモウト小説を書こう!Part16

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1名無しさん@ピンキー
ここは、キモ姉&キモウトの小説を書いて投稿するためのスレッドです。

○キモ姉&キモウトの小説やネタやプロットは大歓迎です。
愛しいお兄ちゃん又は弟くんに欲情してしまったキモ姉又はキモウトによる
尋常ではない独占欲から・・ライバルの泥棒猫を抹殺するまでの

お兄ちゃん、どいてそいつ殺せない!! とハードなネタまで・・。

主にキモ姉&キモウトの常識外の行動を扱うSSスレです。

■関連サイト

キモ姉&キモウトの小説を書こう第二保管庫@ ウィキ
http://www7.atwiki.jp/kimo-sisters/pages/1.html

キモ姉&キモウト小説まとめサイト
http://matomeya.web.fc2.com/

■15スレ目
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1225361041/
■14スレ目
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1219681216/
■13スレ目
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1214584636/
■12スレ目
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1211102097/
■11スレ目
キモ姉&キモウト小説を書こう!Part10
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1208334060/
■10スレ目
キモ姉&キモウト小説を書こう!Part10
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1204530288/
■9スレ目
キモ姉&キモウト小説を書こう!Part9
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1202484150/
■8スレ目
キモ姉&キモウト小説を書こう!Part8
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■7スレ目
キモ姉&キモウト小説を書こう!Part7
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■6スレ目
キモ姉&キモウト小説を書こう!Part6
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■5スレ目
キモ姉&キモウト小説を書こう!
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■4スレ目
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■3スレ目
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■2スレ目
キモ姉&キモウト小説を書こう!Part2
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■初代
キモ姉&キモウト小説を書こう!
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2名無しさん@ピンキー:2008/12/04(木) 16:32:46 ID:xrC9/Bf2
■お約束
 ・sage進行でお願いします。
 ・荒らしはスルーしましょう。
  削除対象ですが、もし反応した場合削除人に「荒らしにかまっている」と判断され、
  削除されない場合があります。必ずスルーでお願いします。
 ・趣味嗜好に合わない作品は読み飛ばすようにしてください。
 ・作者さんへの意見は実になるものを。罵倒、バッシングはお門違いです。議論にならないよう、控えめに。

■投稿のお約束
 ・名前欄にはなるべく作品タイトルを。
 ・長編になる場合は見分けやすくするためトリップ使用推奨。
 ・投稿の前後には、「投稿します」「投稿終わりです」の一言をお願いします。(投稿への割り込み防止のため)
 ・苦手な人がいるかな、と思うような表現がある場合は、投稿のはじめに宣言してください。お願いします。
 ・作品はできるだけ完結させるようにしてください。

SSスレのお約束
・指摘するなら誤字脱字
・展開に口出しするな
・嫌いな作品なら見るな。飛ばせ
・荒らしはスルー!荒らしに構う人も荒らしです!!
・職人さんが投下しづらい空気はやめよう
・指摘してほしい職人さんは事前に書いてね
・過剰なクレクレは考え物
・スレは作品を評価する場ではありません
3名無しさん@ピンキー:2008/12/04(木) 16:33:48 ID:xrC9/Bf2
■誘導用スレ

嫉妬・三角関係・修羅場系総合SSスレ 第53章
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1227055723/
ヤンデレの小説を書こう!Part20
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1226635080/
お姉さん大好き PART6
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1216187910/
いもうと大好きスレッド! Part4
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1188824773/
4名無しさん@ピンキー:2008/12/04(木) 17:22:33 ID:6nS0VrGh
>>1
乙(おと)うと君
5名無しさん@ピンキー:2008/12/04(木) 19:26:35 ID:hzfL24v7
>>1 乙。
やっと15姉から解放される…
6名無しさん@ピンキー:2008/12/04(木) 20:48:25 ID:VkdSTKjB
>>1


…ここなら流石に妹は来ないな…



「…ここにいたんですか…兄さん…」

ヒィッ!


「…さあ…私達の楽園に帰りましょう…」


イャァァァァッ!!!!
7名無しさん@ピンキー:2008/12/04(木) 22:35:32 ID:Hf3OnEsR
15姉「何言ってるの?>>5君…
あなたは私からは逃げられないわ」
8名無しさん@ピンキー:2008/12/04(木) 23:35:11 ID:ar9gPjjP
立ったばかりなのに既にクライマックスだなぁ・・・
9名無しさん@ピンキー:2008/12/05(金) 02:46:40 ID:J4wecOu6
15妹「何言ってるの?
 >>8お兄ちゃんみたいなダメでクズな非モテ野郎には、
 新スレなんかクライマックスでも関係ないのよ。
 でも大丈夫、>>8お兄ちゃんがどんな人でも、私だけは
 お兄ちゃんをクライマックスにしてあげる。
 新スレは怖いでしょう? 知らない人がいっぱいくるんだよ、
 私とお兄ちゃんの間に入り込む人がいっぱい、いっぱい(ギリッ)
 さあ、いっしょに帰ろう? 
 頼りない駄目なお兄ちゃんでも、私だけはずっといっしょにいてあげるから」
10名無しさん@ピンキー:2008/12/05(金) 06:07:34 ID:kUiJGfzj
ヤンデレの脳味噌に「飽き」って言うものはないのであろうか。
11名無しさん@ピンキー:2008/12/05(金) 07:58:21 ID:mforFZK/
弟に飽きるようならキモ姉になってない!
兄に飽きるようならキモウトになってない!
12未来のあなたへ2.6:2008/12/05(金) 17:34:51 ID:vBiNaN59
投下します。
晶ちゃんのDOKI☆DOKI恋の大作戦、の顛末です。
書くつもりはなかったんですが、皆さんの予想が当たりまくりなので簡単に書いてみました。
予想通りの展開です。
13未来のあなたへ2.6:2008/12/05(金) 17:36:03 ID:vBiNaN59
こんばんは。雨宮秋菜です。シングルマザーをやっています。
突然ですが聞いてください。しばらく前のことなんですが、ありのままに起こったことを話します。

息子が嫁を連れてきたと思ったら、わたしの娘だった。

何を言っているのかわからないと思いますが、わたしもわかりたくありません。頭がどうにかなりそうでした。
他人の空似とか同姓同名とか、そんなちゃちなものじゃあ断じてありません。完全に兄妹です。
もっと恐ろしいことに、お互いそのことに気付いていないようです。
何のドラマなんでしょう。
娘に会ったのは十年以上ぶりです。息子は、自分に妹がいたことすら覚えていないようです。
わたしも、写真を一枚だけ残しておかなければ、判別は難しかったかもしれません。わたしと娘はあまり似ていませんし。
ともあれ。兄妹で交際なんてとんでもない話です。正気の沙汰じゃありません。
けれど、事故をわざわざ大げさにすることもありません。娘にそのことを教えれば、それとなく別れてくれるでしょう。
というわけで、わたしは娘を呼び出しました。万が一にも漏れないように、夜の公園に車を停めて。
おっと、考え込んでいるうちにもう来たようです。娘が手を振って、助手席に入ってきました。

「こんばんは。わざわざごめんなさいね、藍園さん」
「いえいえ、おかーさんの頼みですから断れませんって」
「えっ!?」

おかあさん……あ、ああ。お義母さん、ね。驚いちゃったわ。

「お義母さん、なんて気が早いわね。婚約したいって義明が言ってたけど、本気なのかしら」
「雨宮先輩は真顔ですごいこと言いますからねー。あ、でも今のはそっちの意味じゃないですよ」
「え?」
「お母さん、ですよね? 改めて、はじめまして」
「!?」

こ、こここの娘……知って!?

「わたしも流石にビビりましたよー。お母さんの部屋を漁ってたら、見知った顔の集合写真が出てきたんですもん。そういえば約一名顔が切り抜いてありましたけど。これなんのドラマかって感じですね」
「な、なんでそんなこと……!」
「だって雨宮先輩がお母さんの話ばっかりするんですもん。ちょっと嫉妬しちゃって嫌がらせでもしようかなって思ったんすよ。思わぬ藪蛇でしたねー」
「な……な……」
「それで今日は何ですか? やっぱりわたし達に別れてほしいってことですか?」
「そ、そうよ。そう、わかってもらえてるなら早いわ。偶然会ってしまったのは不運だったけど、兄妹でなんてとんでもないでしょう?」
「だが断る」

え!? な、なにこの娘。今、どうして、なんて……?

「今さら何言ってんですか。せめて付き合う前に言ってくれってんですよ。もうね、わたしは雨宮先輩がいないと生きていけない心にされちゃったんすよ」
「こ、心?」
「わたしにとって雨宮先輩は、このクソだめの中で拾った宝石みたいなものなんです。今更の他人に明け渡すなんて、とてもとても。とてもとても」
「だ……だって兄妹なのよ!?」
「だから何? ハッキリ言ってそんな繋がり、わたしにはゴミクズほどの価値もないんです。一体どうして、わたしに『家族を大事にする』なんて価値観があると思ってたんです?」
「そ、それは……」
「大体、お母さんはわたしを何も助けてくれなかったじゃないですか。その上、わたしを助けてくれた雨宮先輩を奪おうっていうんですか? あはは」
「ひっ……!」
14未来のあなたへ2.6:2008/12/05(金) 17:36:59 ID:vBiNaN59

娘が笑った、その瞬間。わたしは凄まじい悪寒に襲われた。目が、まるで笑っていない。思わず、怖じ気づきそうになる。
い、いけない。わたしが息子を守らなくてどうするというんだろう。

「い、いい加減にしなさい! 義明にこのこと、教えるわよ!」
「えー、困ったら誰かに言いつけるって、さすがにガキ過ぎやしませんか。でもそれをされると困りますねえ。雨宮先輩も、まだそこまでわたしに惚れてないし」
「でしょう? 今なら許してあげるから、義明と別れ……」
「そんなことしたらわたしも父を呼びますよ」
「!?」

父……父親……この娘の、父親……
と、いうことは、あの人……

ひいいいいいいいいいいいっ!

「いやあっ! いやあああああああ!!」
「おー、すごい反応。本当にトラウマになってるんすねえ。雨宮先輩から常々伺ってますよ」
「ひっ! いっ……!」
「ま、あの父親がクズなのは確かですけどね。どのくらい殴られました? 風呂に入ると古傷が浮かび上がってきますか? あはは」
「ひっ……!」
「でもですね、お母さん。あなただって相当、クズですよね?」

あ。
あ、あ、あ、あ、あ、あ、あ、あ、あ、あ、あ、あ、あ。

「こいつは父から耳がタコになるほど聞かされたネタなんすが、離婚する時がっぽり慰謝料とってたんですよね。おかげでわたしは生まれてこの方アパート暮らしですよ。あはは」
「そ、それは。しかた、仕方なかったのよ……」
「そもそも話の道筋がおかしくありませんか、お母さん。普通生き別れの娘を見つけたら、家族に迎えるってことになりません? こんな呼び出しなんてしてないで、最初から雨宮先輩に話せばいいことです」
「う、そ、それ、は……」
「うん、わかりますよ、わかります。要するに、わたしを引き取るつもりなんて毛ほどもないんすよね? さっきからお母さん、わたしのこと絶対に名前で呼ばないし」
「そ……!」
「それにもう一つ。クズの案件があるんですがお母さん。雨宮先輩に、セクハラしてますね?」

!!

「なんでわかったかって感じっすね。単に、わたしが雨宮先輩にセクハラして股間に触れたら、すっげえビビられたんすよ」
「よ、よしあきに……!?」
「ああ、もうその反応だけで状況証拠ものですね。息子を男として見てるとか、そんなんでよくわたしのこと責められますよね?」
「そ、そんなこと……そんなこと、あるわけ……」
「あ、そうそう。そう言えばこの件で、確認しなきゃいけないことがあったんですが……えへへ」

娘が照れくさそうに微笑んで。次の瞬間、伸びてきた小さな手がわたしの首をがしりと、掴んだ。
ひ……!

「お母さんは、雨宮先輩と、SEXしたんですか?」
「かっ……あっ……」
「雨宮先輩は、まだ童貞なのかって聞いてるんですよこのクズババア!」
「ひっ……! してない、してません……!」

首を掴まれながら、必死で頬を左右に振る。わたしの顔をまじまじと覗きんでいた娘が、ふと表情を綻ばせて手を離した。

「げほっ……げほっ……!」
「ああ、どうやら事実みたいでお互いよかったですね。さすがに雨宮先輩がそんなことで汚されてたら、わたしもちょっと何の保証できませんでしたから。あはは」
「ごほ……あ……悪魔よ……あなたは……」
「えー? わたしが悪魔だったら、友達に大魔王がいますよ。それにわたしなんて、クズとクズが結婚してすごいクズが産まれただけなんです。当たり前じゃないですか」
「……」
「ついでに物心ついたときからクズのスパルタ教育を受けてますしねー。お母さんが何年で、トラウマ負うほど耐えられなくなったかは知りませんが。わたしは物心ついてからの腐れ縁ですもん。クズレベルが違うんですよ」
15未来のあなたへ2.6:2008/12/05(金) 17:37:43 ID:vBiNaN59

歌うように自慢げに、娘が語る。こんな夜中に、こんな車の中になんて、呼び出したわたしの愚かを死ぬほど後悔した。
けれどどうしたら良かったんだろう。この娘は、怪物だ。わたしの手になんか負えない、怪物になってしまっていた……!

「けれど雨宮先輩は違うんです。クズとクズの間に生まれて、クズにセクハラ受けながら育てられて。それでも奇跡みたいに素直に育って、わたしを救ってくれたんです」
「……」
「ねえ、それがどんな偶然か、想像がつきます? それこそ奇跡なんですよ。わたしは、この奇跡に殉じて生きていくんです。お母さんはいい加減、いい歳なんだから子供に依存しないでくださいよね」
「な……なんであなたは……そんな風に、なったの……?」
「雨宮先輩のせいですよ。今まで我慢に我慢を重ねてため込んできたのが、あの人のせいでぷっつーんと切れちゃったんです。ホント罪深い人ですよね。愛しちゃうぐらいです。えへへ」

嬉しそうに娘が笑う。実の兄のことを語るその様子は、まるで、先輩に恋するただの少女のようだった。近親相姦の禁忌なんて、まるで感じさせない。
悟った。
この娘にとって、家族なんてものは真実どうでもいいものなのだ。わたしに対する『お母さん』という呼称にも、特別な感情はなにも込められていない。
わたしや父親個人に対する憎悪ではなく、家族という概念に対する無価値。それは義明にとってもそうなのだ。この娘にとって、兄という概念はゴミに等しい。
家族を知らない怪物。それが今、わたしの前にいる少女の正体だった。
どうしよう、どうすればいいのだろう。このままじゃ息子が奪われる。息子はわたしの生き甲斐なのに。どうしたら。
警察? いや、だめだ。公事にしたら必ず親が出てくる、あの人と関わる。もう二度と、二度と人生を狂わされたくない。いやだ、いやだ。
なら……いっそ……この手で……

「そんなに父のことは心配しなくてもいいですよ。そのうち消しますから。えへへ」
「……け、す?」
「だって考えてみてくださいよ。あのロクデナシは絶対、わたしが結婚したら相手の家にたかりに行きますよね?」
「ひっ……!」
「そうそう、怖いですよね。そうなれば一発でばれますから、わたしとしても都合が悪いんです。だから籍を入れる前に消しておかないと」
「……」

人を殺すということ、父を殺すということを、楽しげに扱う姿に、再度怖気が走った。
けれど……そうか……あの男が、死ぬのか……
そうすれば、もう夜中に飛び起きることもない。あの男の影に怯えることもない……

「本当に……殺せるの?」
「あはは、クズ同士らしい会話になってきましたね。父の食事はわたしが作ってるんで、何だって盛りたい放題ですよ」
「……」
「誰にも見られず殺して誰にも見られず埋めれば、ああいう男が消えても誰も探しませんよ。ね、お母さん。そのときは協力してくれますよね?」
「……ええ、わかったわ」
「えへへ。いい約束ができてうれしいですよ。それじゃお母さん、また会いましょうね」
「……」

娘が最後に笑って、車を出ていく。夜の闇に消えた。
それを見送ってから、わたしは緊張の糸が切れてハンドルに突っ伏した。幸いクラクションは鳴らなかった。
なんて……恐ろしい娘。けど……大丈夫だ。まだチャンスはある。
あの娘が自分の父親を殺したら、わたしには恐れるものなんてなくなる。義明に真実を教えてあげればいい。警察に突き出したっていい。
それまでは仕方ない、我慢しよう。わたしの生き甲斐を取られるのは癪だけど、最後に取り戻せばそれでいいもの。
既成事実を作られると面倒だから、婚前交渉はダメと息子にはきつくきつく言っておかないと。
義明……ごめんね、今は我慢してね。あの男さえいなくなれば、ちゃんとお母さんが守ってあげるから。
わたしを見捨てないで……一人にしないでね、義明……






「心配しなくても大丈夫ですよ、お母さん。ちゃんと夫婦仲良く送ってあげますから、ね? あはは」
16未来のあなたへ2.6:2008/12/05(金) 17:38:26 ID:vBiNaN59
以上です。
17名無しさん@ピンキー:2008/12/05(金) 17:47:02 ID:J9RuU/Rc
一番乗りGJ!
最初JOJOネタで流すのかと思いきや、ごっつ怖い方向に……
つか、その糞親父に少し興味が
18名無しさん@ピンキー:2008/12/05(金) 18:10:55 ID:w2XSA5A1
GJ
キモいなさすが晶キモい
19名無しさん@ピンキー:2008/12/05(金) 18:30:31 ID:OO9BOvr5
GJ
今まで全部真っ暗だったから見えなかったけど光に照らされた事で影の部分が見えるようになったか…
んで悪魔でこのレベルなんだから大魔王の方はもっと恐ろしい事になるって事かい
20名無しさん@ピンキー:2008/12/05(金) 18:59:06 ID:7h4meNIG
GJ!

>>19
悪魔と大魔王の妹同盟結成だな。
21名無しさん@ピンキー:2008/12/05(金) 20:40:44 ID:n7P/pu3H
晶がキモウトなのは最初から分かっていたぜ!

…ごめん、嘘。そしてGJだ!
22名無しさん@ピンキー:2008/12/05(金) 21:24:15 ID:o4+nbTaE
自分が妹であるということを知っている人間をすべて始末し兄を手に入れるキモウト
これは恐ろしい新パターンじゃないか?

GJ!
23名無しさん@ピンキー:2008/12/05(金) 22:30:08 ID:J4wecOu6
兄であることは晶にとって後付けなので、キモウトかどうかはちょっと疑問
でも晶は優香の理解者になれるね
よかったね優香よかったね
24名無しさん@ピンキー:2008/12/05(金) 23:02:54 ID:o4+nbTaE
共犯者と書いて「よきりかいしゃ」と読むんですね
わかります
25名無しさん@ピンキー:2008/12/05(金) 23:10:10 ID:EJKwfuzN
キモウト同士が組んだら……ゴクリ
26名無しさん@ピンキー:2008/12/06(土) 00:34:35 ID:cgRhRvkl
キモウト×キモウト=1000万パワー
27名無しさん@ピンキー:2008/12/06(土) 00:48:27 ID:UmeEPeF8
>>26
さらに普段の3倍の回転速度で3000万パワー
28名無しさん@ピンキー:2008/12/06(土) 00:48:29 ID:AxQteUu8
晶と優香によるキモウトタッグだと…!?
いいぞもっとやれGJ!
29名無しさん@ピンキー:2008/12/06(土) 01:20:07 ID:qMateo2d
恐るべし、ソランザム
30名無しさん@ピンキー:2008/12/06(土) 03:06:14 ID:7vna2Aud
そういえばキモ姉やキモウトの愛を積極的に受け入れる主人公っていなくない?
31名無しさん@ピンキー:2008/12/06(土) 04:07:26 ID:Qoo+7MYR
>>30
積極的…と言えるかどうかは解らないが
最終的に主人公が全てを受け入れて姉や妹とつきあっていく という終わり方はそう珍しい物ではないと思う。

というか、最初から積極的に受け入れたら、それってただのバカップルじゃないか?
32名無しさん@ピンキー:2008/12/06(土) 04:25:12 ID:qr1pbtJP
キモサに覚醒したりキモサを見せつける必要がないしな
33名無しさん@ピンキー:2008/12/06(土) 12:08:20 ID:KrW91mqL
主人公が姉妹を他の女と同時攻略してりゃキモさを発揮する余地はある。
34名無しさん@ピンキー:2008/12/06(土) 13:32:45 ID:LwnC/xOc
>>16
「だが断る」であの先生の顔がはっきり見えたw
悔しい……でも踊らされちゃうビクビク
GJでした。
35名無しさん@ピンキー:2008/12/06(土) 15:32:11 ID:7J4DSM7C
キモ姉妹で泥棒猫を撃退する話が好きだな
36名無しさん@ピンキー:2008/12/06(土) 16:47:39 ID:EslRYzm2
泥棒犬
泥棒狐
泥棒馬
37名無しさん@ピンキー:2008/12/06(土) 16:59:34 ID:vViTuyY+
夫の暴力が理由で離婚してて、がっぽり慰謝料とってて
それで娘だけ残してったんなら確かにクズだなこの母親
始末しちゃってよし!
38名無しさん@ピンキー:2008/12/06(土) 18:06:59 ID:KiD4v/ta
ゆるキモでもいい?殺したりとかは書けない、普通の人が見たらキモいやつくらいでいいか?
39名無しさん@ピンキー:2008/12/06(土) 18:09:04 ID:cvqKKmfj
いいんじゃね。
40名無しさん@ピンキー:2008/12/06(土) 18:18:32 ID:sYxM//UP
>>38
大歓迎。
41名無しさん@ピンキー:2008/12/06(土) 18:41:41 ID:7J4DSM7C
>>38
期待してます。
42名無しさん@ピンキー:2008/12/06(土) 18:44:27 ID:7J4DSM7C
sage忘れスマソ
43名無しさん@ピンキー:2008/12/06(土) 23:55:45 ID:ajqg8a1a
ゆる→キツ でキモウトをやるのがもっとも衝撃的になるよ、というへんちくりんなアドバイス
44名無しさん@ピンキー:2008/12/07(日) 03:15:32 ID:EJhLvE19
キモウトやキモ姉が幸せになれるならどんな作品でもかまわない
と思っているのは俺だけか?
45名無しさん@ピンキー:2008/12/07(日) 08:54:16 ID:JLv3oLgP
ギモウトに罵倒されて洗脳されたい
46名無しさん@ピンキー:2008/12/07(日) 12:41:10 ID:JcAIarYm
ギモウト・・・?
一段と怖そうな呼び方ですな
47名無しさん@ピンキー:2008/12/07(日) 12:46:10 ID:TU1VT1mw
義妹だろ
48名無しさん@ピンキー:2008/12/07(日) 13:40:44 ID:fln/D7ba
てか、このスレは実妹はOKなのか?
49名無しさん@ピンキー:2008/12/07(日) 13:42:21 ID:9eeJGAjM
ほとんど実な気がするけど
50名無しさん@ピンキー:2008/12/07(日) 13:43:48 ID:4Y4vtUmb
今まで何を見てきたんだ
51名無しさん@ピンキー:2008/12/07(日) 13:46:07 ID:56wyakkj
まずはキモ姉キモウトの愛で前スレ埋めようぜ。
52名無しさん@ピンキー:2008/12/07(日) 13:46:34 ID:fln/D7ba
ソランザムみたいな話はアリなのかw
53名無しさん@ピンキー:2008/12/07(日) 13:49:33 ID:6Ao4h0T6
双子ならデンドロビウムにスクールドズブリドルだな
54名無しさん@ピンキー:2008/12/07(日) 15:52:20 ID:EFhgDaXD
そう言えば、しばらく来てないな
5515スレ650 ◆p1tVcxS07Q :2008/12/07(日) 16:22:46 ID:UwAXIIuj
今回からタイトルと主人公と妹に名前を付けてみました。
では投下します。
56妹嫌い:2008/12/07(日) 16:24:58 ID:UwAXIIuj
姉弟に近親相姦・・・何この胸騒ぎは・・・
前にも似たような胸騒ぎがした事があったわ。
あの時の胸騒ぎは、お父さんの前の奥さんの子が家に来た時だったわ。
たしか裕子って名前だったわね。あの女ときたら、兄さんに付きまとってばかりいて、私の大好きな兄さんを奪おうとしてたわね。
でもあの時はお父さんに頼んで、あいつの縁を完全に切ってもらったけど。
お父さんは、私の頼みとなると弱いのよね。

「どうしたの?気分悪いの?」
「ちょっと考え事をしてただけよ」
「お兄さんの事?」
「違うって言ってるじゃない!そもそも兄さんの事馴れ馴れしく呼ばないでくれない」
「そうね、裕香ってキ・・ブラコンだもんね〜」
「あんたいい加減にしないと怒るわよ」
「まあ悩みがあるなら私にでも相談しなさいよ♪」
「それはないから安心して」

今私は、あの時と同じ胸騒ぎがする。
この胸騒ぎを確かめるには、あの男子共が持ってたAVを確認しないと。
体育の時間なら教室がガラ空きになる。
私はその時間を利用して、ガラ空きの教室に入った。
別に見たいわけじゃないけど、この胸騒ぎと関係あるなら確かめなければならない。
私は、AVを借りてた男子のバッグを開けた。
コピーしたのを貸したみたい。けどこれを見れば・・
「裕香〜体育の授業に出ないの?」
「鞘」
不味いところ見られちゃったわ。よりにもよって裕香に。
「裕香何やってんの?」
「学業に関係ない物だから没収してたのよ」
私は、冷静に装ってそう答える。我ながら見苦しい言い訳ね。
「裕香も年頃だからね〜気になるのね!」
「そうじゃなくて・・」
「恥ずかしがらなくていいのよ。さあパソコン室行って見に行きましょ。今なら誰も使ってないから大丈夫よ」
私は鞘に引っ張られながら、こっそりパソコン室へ向かった。
57妹嫌い:2008/12/07(日) 16:26:07 ID:UwAXIIuj
「裕香もエロイわね〜」
「だからそうじゃなくて・・」
「でも内容が気になるんでしょ?」
「それは鞘じゃないの」
鞘って惚けた雰囲気してるわりには鋭いわね・・
「私は血の繋がった姉弟物、もしくは兄妹物って私は好きだけどな〜」
「鞘?」
「さあ早く見ようよ」
本当は1人でこっそり見るつもりでいたけど、鞘なら秘密にしてくれそうだし大丈夫よね。

私達は、パソコン室へ入り、パソコンを起動させた。
こんな事の為に授業をサボるなんて・・・けどこの胸騒ぎじゃ授業に集中できないし・・
「ワクワクw」
「・・・」
こっちは嫌な予感がするのに、鞘ったら・・
けど鞘になら素直に打ち明けても・・・
「始まったわよ」
パソコンの画面に映し出された映像は・・・

「あっ!駄目だよ・・・お姉ちゃん・・」
「うふふふwこんなになっちゃって♪」
「こればかりは駄目っすよ!姉弟でこんな事しちゃ・・・」
「姉弟だからこそよ。大好きな裕君だからこうやって・・・」
「家族、あんな妹の事なんか忘れて、一つになりましょ。この日をずっと待ってたわ・・・」
兄さん!何で兄さんがAVに・・・兄さんがそんな仕事をするなんて・・・それとあの女は裕子!
「裕香、この人ってまさか裕香の・・・」
「嘘よ嘘よ嘘よ嘘よ嘘よ嘘よ嘘よ!!!」
「裕香落ち着いて!誰か来たら大変な事になるわよ」
「そ・・そうね・・って落ち着いていられるわけないじゃない!!」
どうしたらいいのよ・・・兄さんも兄さんよ・・・
あんな女と一緒にAVに出るなんて・・・
「裕香、貴方がもっと素直になってたら、裕さんは家を出ることはなかったんじゃないの?」
・・・たしかに私は兄さんに対して素っ気ない態度をとっていて、人一倍、それ以上に頑張ってる兄さんを馬鹿にしたり・・・私がもっと素直になってたら、もしかしたら兄さんは出て行かずにすんだのかもしれない・・・
「裕香、一緒に裕さんを探そうよ。裕さんの事大好きなんでしょ?」
「鞘・・」

58妹嫌い:2008/12/07(日) 16:26:57 ID:UwAXIIuj
家を出て、裕子さんが働いてる会社に就職して、六日経つのか・・・
この六日で、裕子さん・・・お姉ちゃんに色々と会社の商品の玩具で、性的行為を受けている。
今まで禁欲してたのに・・・いや、バイトばっかだったから、全然その気になれなかっただけか?
それも仕事だけでなく、朝も夜も・・・
そのわけは、初仕事が終わって、いきなりお姉ちゃんが家に押し掛けて来て、急に同棲する事になったからだ。
けれど、部屋は狭くなったものの、そのおかげで生活面には一切困らなくなった。
ちなみに辛うじてまだ童貞だけは奪われていない。
こんな事いけないのに。
「さあ今日はこれを試しましょ」

早速だ・・・でもこれって・・・
「これってコンドームじゃないっすか!」
「家の会社はコンドームも扱ってるのよ」
着けるだけ・・だよな。
「私が着けてあげるわ」
「自分で着けますから!」
「私が着けるの!」
情けねー事に抵抗しても勝てねーから諦めて、着けさせてもらった・・・本当に情けねー
・・・
萎めようと思っても、あそこもビンビンになってしまう。
これって男のサガってやつなのか?

「外国人用なのにこんなにキツキツなんて、やっぱ裕君の大きいわね!」
「はぁ・・じゃあ着けましたし、外しますよ」
「駄目よ!それじゃあ実験の意味ないじゃない!」
「ハッ?」
着けるだけじゃねーのか!?

「それって誰かとやれって事ですか?」
「誰かじゃなくて私とセックスするのよ」
「そ・・それは駄目っす!絶対駄目っすよ!!」

59妹嫌い:2008/12/07(日) 16:27:54 ID:UwAXIIuj
ただでさえ姉弟でいけない事をしてるのに、セックスだけは絶対やっちゃ駄目た!
こればかりは、俺は抵抗したが・・・

ガチャ

この会社で生産してる手錠とついでに首輪も付けられてしまった。
「あっ!駄目だよ・・・お姉ちゃん・・」
「うふふふwこんなになっちゃって♪」
「こればかりは駄目っすよ!姉弟でこんな事しちゃ・・・」
「姉弟だからこそよ。大好きな裕君だからこうやって・・・」
俺はそのままお姉ちゃんに押し倒された。
「もう充分濡れてるから入れても大丈夫♪」
「あぁぁぁ・・・」
「家族、あんな妹の事なんか忘れて、一つになりましょ。この日をずっと待ってたわ・・」
お姉ちゃんが腰を沈めて、俺のを飲み込んでく・・
「あぁぁ・・・大きいわ・・・」
悔しいけど気持ちいい・・・んっ!?
「血!?大変だ!血が出てるっすよ!」
「大丈夫、初めてだからよ・・あんっ!」
「出ちゃうから抜いて・・・」
「んっ!このまま・・私の中に出して!!!」
駄目だ・・でちゃう!

びゅるるるるぅぅぅぅぅぅぅぅぅ
「んぁぁぁぁぁぁ・・・・」
膣に出しちゃったけど、ゴムがあるから大丈夫・・か・・・
「あはっ凄い量ね!いっぱい膣に溜まったわ♪」
「お姉ちゃん・・何言ってるの・・」
「ゴム破けちゃったみたいね♪これは失敗作ね!」
「えっ・・・」

60妹嫌い:2008/12/07(日) 16:28:37 ID:UwAXIIuj
気持ち良すぎて、全然気付かなかった・・・。どうしよう・・・
けれど、お姉ちゃんが自分で試すくらいだから、大丈夫・・だよな。
「さあ続けましょ」
「少し休ませて・・・」
「駄目よ、まだこんなにあるんだから」
「ひぃぃぃぃぃぃぃ」

その後も、俺はお姉ちゃんに様々な玩具で搾り取られていった。
「もう無理・・・」
仕事が終わってもまた、お姉ちゃんにやられそうだ・・・
「今日はここまでね。裕君先帰っててもいいわよ」
「えっ・・・」
「疲れたでしょ?先に帰ってゆっくり休むといいわ」
「じゃあお先に失礼しまーす」
珍しいな。俺一人で、帰らせてくれるなんて・・・
まあせっかく一人になれたし、羽目外させてもらわなきゃ

今日の弟君、あんなに喘いで可愛かったわ〜
当たってくれるといいな〜

さてと、今日撮ったフィルムを編集しなくちゃ。
これをあの小娘に送りつけてやらなきゃ。
そうすれば、あいつの精神は完全にボロボロになるわ!
そのまま送るとすぐばれそうだし、知り合いを使って、間接的に送ろうかしら。
別に見られても減るもんじゃないし。むしろ私と裕君の愛を見てほしいくらいよw

さて、編集も終わったし、これを適当にあの小娘のクラスの奴に渡して、あいつが見てくれればOK。
ショックを受ける小娘の顔が見れないのが残念だけどね。
そんな事より早く帰って裕君を可愛がらなくちゃw

6115スレ650 ◆p1tVcxS07Q :2008/12/07(日) 16:30:00 ID:UwAXIIuj
以上です。
つけ忘れましたが6話目です。

>>38
先投下しちゃってすいません。
62名無しさん@ピンキー:2008/12/07(日) 17:17:45 ID:lxTg4G5E
>>61
GJ!
おっきした
63名無しさん@ピンキー:2008/12/07(日) 21:18:28 ID:riGf/aM5
79 名前: ガザミ(関東)[] 投稿日:2008/12/07(日) 19:50:32.32 ID:04KzIpP+
兄が就職決まって一人暮らしするため家を出る時、さみしかったから下着(洗濯した後の)を盗んだ
64名無しさん@ピンキー:2008/12/07(日) 21:24:40 ID:riGf/aM5
65名無しさん@ピンキー:2008/12/07(日) 21:30:41 ID:riGf/aM5
66名無しさん@ピンキー:2008/12/07(日) 21:47:40 ID:REbYWBjj
zipで
67名無しさん@ピンキー:2008/12/07(日) 21:49:12 ID:EMdynyz6
半虹で
68名無しさん@ピンキー:2008/12/07(日) 22:19:21 ID:2bq/GLww
購入した俺は勝ち組?
69名無しさん@ピンキー:2008/12/07(日) 22:23:45 ID:H6lfUHhC
メガストアか板前
70名無しさん@ピンキー:2008/12/07(日) 23:33:51 ID:lxTg4G5E
zip de kure
71名無しさん@ピンキー:2008/12/08(月) 00:19:15 ID:y58hrrDN
ZIPとか言っているガキ共はここがどこかよく考えるんだな
72名無しさん@ピンキー:2008/12/08(月) 00:46:45 ID:biaz7eBP
前スレにも落としたんだが………12月8日記念小ネタ

アニ・アニ・アニ(我お兄ちゃんを奪取せり)

「あ、兄たんおはよっ!」
妙に暖かく心地好い感触によって目が覚めると、俺の上で我が妹・南雲忠美が下半身裸でエロい顔しながら飛び跳ねていた。
にちゃ、くちゃ、と響く水音、濃い雌の臭い、そして我が紳士を包むこむ感触。
俺はそれら五感からの情報を信じたくはなかった。
「どう?きもちい?忠美のとろとろまんこ」
今の一言で信じたくはなかったことが、現実の実体を持ち出した。
「忠美!お前何を………」
いますぐこいつを振り落とそうと手を伸ばそうてしたが、動かない。
見ると両手両足が手錠でベッドの柵と繋がれている。
「兄たん寝とってるの♪」
いや、寝とるって……って待てよ!寝とるとか以前に近親姦にはノータッチかよ!
まあコイツ、普段から俺のシャツとかでオナってたり、机のマットの下に自分の名前書いた婚姻届挟んで「あとは兄たんがサインすれば、忠美は兄たん専用の妹嫁オナホだよ」とかほざくキモウトだったし、当たり前と言えば当たり前たが。
「あ、安心して」忠美が口を開く。
「あのアメリカ娘たちはいー姉とみーちゃんとみったん達と一緒にぐちゃぐちゃに犯しといたから♪
みんなでエッチの練習台にして、身も心も私達でメロメロにしちゃった」
妹は俺の数少ないGF達を匂わせる三人称と、一緒に彼女達に関わっていた友人や先輩達の姉妹の名前を上げていく。
「いまごろみんな私と兄たんみたいにラブラブセックスしてるかもね」
山本先輩、源田、淵田、ご愁傷さま。あんまり人のこと言えないが。
73名無しさん@ピンキー:2008/12/08(月) 00:47:42 ID:biaz7eBP
「さて、と。兄たんもっ、早くっ、出して、よねっ!」
「ちょ、まっ、おま………」
妹の腰の動きが加速する。
背筋に嫌な快感が走りはじめる。
「あ、さきっぽ、おっきく、んぁ、なって、きた。」
出してたまるか。と、必死に堪えるが、節操なしの紳士はもう限界だと告げはじめる。
「兄、たん、ふぁぁっ、きょっ、大丈、夫だよ」
妹の言葉に、俺は少しだけ気が緩む。
そして、妹は一段と深く腰を下ろす。
こつん、と紳士が何かに触れる感覚。


「今日、わたし危険日だから」


しまった。と思った時には遅かった。
きゅっ、と締め付けた妹の膣に反応して、子宮と触れ合っていた紳士が爆発する。
「ひぁぁぁぁぁぁんっ!にいたんのせーしっっ!しきゅーにかかってる!あかちゃん。できちゃうよぉぉぉぉぉぉぉっっっ!!!」
終わった。俺の人生。そう思いながら俺はもたれかかる妹を胸板で受け止めるはめになった。



一方その頃
黛晴菜「ちょっとずつおにぃとの仲を埋めていって、最後におにぃとも同意の上でセックスするのが一番ラブラブになれる方法なんだから………
大丈夫よ晴菜。私とおにぃとの受精率は三倍………私とおにぃとの受精率は三倍………」


ちなみに俺は強気でつり目巨乳なメリケン妹のウィルマたんに「私とシて!私とシて!もっと私とシて!」って言われながら犯されたい
74名無しさん@ピンキー:2008/12/08(月) 00:49:44 ID:X/uBjTtv
>>71
2chだよ^^
75名無しさん@ピンキー:2008/12/08(月) 01:35:09 ID:zdqw3Jds
何かが開戦しそうだな…
さて、私は降下作戦があるので失礼する。
76名無しさん@ピンキー:2008/12/08(月) 02:03:06 ID:yxfXpglW
俺は監獄から大脱走するぜ
77名無しさん@ピンキー:2008/12/08(月) 06:37:10 ID:vhP0fJ5o
GJ!
GF→ガールフレンドと連合艦隊を掛けるところとかの小ネタにニヤソ
ウィルマって誰?
ハルゼー?
78傷 (その7):2008/12/08(月) 14:58:10 ID:m55LyRJ7
投下します。
79傷 (その7):2008/12/08(月) 14:59:18 ID:m55LyRJ7

「葉月、まだ部屋から出る気にならないの?」

 次女の部屋をノックした母親が、半分いらだち混じりの声をドアにぶつける。
 だが、その扉からは、分厚い沈黙を保ったきり、物音一つ聞こえない。
 母は深い溜め息をついて、食事を盛られたトレイを廊下に置いた。
「とりあえず、お昼ごはん、ここに置いていくからね。――ちゃんと残さず食べるのよ!」
 半ば叫ぶように言うと、母はそのまま振り返り、自分の後ろに立っていた弥生に目で合図する。
 不安げな母親に、弥生はニッコリ頷いた。

 このまま母は立ち去る。
 葉月に、来訪者は立ち去ったと感じさせねばならない。廊下が無人になったと思わねば、用心深い葉月が、廊下に放置された昼食を取ろうとするはずがないからだ。
 無論、彼女たちが自室の前まで来た時点で、二人分の足音を葉月が聞き取っているかもしれないが、その可能性は薄い、と弥生は踏んでいる。
 弥生はその運動神経を最大限利用し、猫のように体重を感じさせない、しなやかな動きでここまで来たし、現に母に随伴して妹の部屋の前に到着するまで、廊下の床板は、彼女の身ごなしの前にみしりとも音を立てなかった。
 そして母は、弥生の僅かな気配を更にごまかすように、必要以上に不機嫌っぽい、荒い足音を立てて、ここまでやってきている。
 弥生のように家中にカメラを仕掛けているならいざ知らず、部屋に居ながらにして廊下を見通す眼をもたない葉月ならば、扉の前に潜む姉の存在に気付きようもないはずであった。

 彼女の部屋からは気配一つ感じないが、室内では、食事を持って来た母親が立ち去る足音を、葉月が息を殺して窺っているはずだ。
 逆に言えば、母が立ち去ったと確認すれば、葉月はむしろ安心してドアを開き、昼食のトレイを取ろうとするだろう。その瞬間を狙って捕捉すればいい。
 柊木葉月は姉とは違い、その身体能力に見るべきものはない。あくまで彼女の本貫は卓抜した頭脳にこそあり、体力的には、年齢相応のただの女の子に過ぎない。
 なので、弥生からすれば、ドアが開きさえすれば、妹を取り押さえることなど簡単な作業であった。スポーツ万能はダテではない。弥生は冬馬ほど多趣味ではないが、これでも合気道の有段者で、一対一の喧嘩なら、弟にさえ遅れをとらない自信があったからだ。
 

 葉月が自室に引き篭もって、もう五日になる。
 その間、この末っ子の顔を見た者は、柊木家にはいない。
 両親も、弟も、姉の自分でさえも、この葉月の唐突な行動に驚愕し、動揺し、入れ替わり立ち代りでドアの外から彼女の説得を試みたが、妹は、それら家族の行動一切に、硬い沈黙を以って応えた。
 業を煮やした父親が、篭城を決め込む葉月に、部屋から出てこぬ限り一切の食事を取らせないとドアの外で叫び、兵糧攻めが開始されたが、……その根競べも、妹の頑固さの前に、脆くも家族側が敗退した。
 なんと葉月は、篭城開始から三日間、水一滴さえ要求せずに――いや、要求どころか全くの沈黙を保ったまま、とうとう父親を屈服させてしまったのだ。
 このまま兵糧攻めを継続していれば、おそらく葉月は餓死するまで部屋から出てこないだろう。葉月の沈黙には、彼女を見守る家族にそう予感させるだけの、無言の気迫があった。

 葉月が通学している中学校や、所属している大学や企業の研究室には、やむを得ず病欠の旨を届け、仕方なく柊木一家は交替で会社や学校の休みを取り、突如として理由なき反抗を開始した末娘を、困惑しながらも見守ることにしたのである。
 とにかく家に葉月を独りにする事態だけは避けねばならない。万が一、彼女が篭城を止める気になった時、家が無人であったなら、せっかくの葉月の決意をふたたび翻させる事になりかねない。――そういう配慮からの決定であった。

(もう一時か……。そろそろ三時間目が始まる頃ね)
 携帯を取り出し、時間を確認しながら、弥生はパソコン経由で、カメラの映像回線を携帯の画面に接続した。携帯のディスプレイに、真上から見た葉月の部屋の俯瞰――部屋の蛍光灯に仕込まれた極小の広角カメラからの映像――が映し出される。
 葉月は、ベッドにうずくまったきり、身じろぎ一つしない。起き上がる様子はないが、かといって眠っているわけでも無さそうだ。
80傷 (その7):2008/12/08(月) 15:00:18 ID:m55LyRJ7

 弥生が自宅内に配置した監視カメラは、当然ながら葉月の部屋にも存在している。
 無論、カメラの設置目的は冬馬の監視にあるので、トイレや風呂といった共有空間ならばともかく、本来ならば、そんなカメラを妹の個室に設置する意味などないはずなのだが、弥生はそうは考えなかった。
(あの子はいずれ必ず冬馬くんへの愛に気付く)
 ならば姉として、弥生は葉月の行動を把握しておく必要がある。妹が冬馬をどう誘惑し、それに弟がどう応えるのか、弥生はそれを見届けねばならないからだ。
 そう思って仕込んだカメラであったが、まさか弥生としても、いきなり引き篭もりを開始した妹の様子を見るために、この監視回線を使用するハメになるとは思わなかった。

(まさか……こんなことになるなんて、ね)
 実は、弥生だけが、妹が部屋から出ようとしない理由を知っていた。

 葉月が突然引き篭もりを開始したのが五日前。彼女の身に何があったのか調査する事は、弥生にとってはむしろ容易な事であった。
 なにしろ弥生は、家中に仕掛けられた監視映像の記録を持っている。そして、“事件”の発端が、五日前の早朝に長瀬透子から冬馬にかかってきた一本の電話であるという事実を掴むまでに、それほどの時間を要さなかった。

 冬馬が『おれが好きなのは弥生である』と言い切ったその電話。
 長瀬を沈黙させ、弥生を狂喜させた、その電話。
 廊下に仕掛けられたカメラは、弟の部屋のドアに張り付き、その一言をしっかり盗み聞きしていた葉月の映像を捉えていたのだ。さらにそれから、やけどしそうな湯温50度のシャワーを、泣きじゃくりながら浴び続ける彼女の姿も。
 そして、その入浴を最後に、葉月は部屋から一歩も出てこなくなった……。

 弥生としても、理由が理由であるだけに、事の真相を家族の誰かに話すことはためらわれた。近親相姦が禁忌であるのは世間的にも常識であったし、妹の名誉のためにも、厳格な父や潔癖な母に、口が裂けても報告できる事実ではない。
 もっとも、矛盾するようだが、弥生自身は冬馬を愛する事に何ら迷いを感じてはいない。その想いを現時点でこそ両親に秘してはいるが、いずれ父と母を黙らせるための手筈は、着々と進行しつつある。

 まあ、いい。
 葉月が、冬馬に懸想しているという事実は、弥生にとって忌むべき事態でも何でもない。
 むしろ弥生は、ことあるごとに葉月の心を煽ってきたのだから。
 葉月本人はおろか、冬馬を含めた家族全員が気付いていなかったが、それでも弥生だけが見抜いていた。――柊木葉月が、自分の兄を一個の男性として間違いなく意識していることを。

 そう仕向けたのは弥生ではない。
 あくまで彼女は油をかけただけだ。葉月が抱く、微かな種火に等しい冬馬への憧憬が、やがて妹の身も心も燃やし尽くす燎原の恋火と化すように。あくまで自分たち姉妹二人によって、冬馬を幸せにするという目的のために。
 冬馬に接触する女を排除するために巨費を投じ、水も洩らさぬ監視システムを作り上げたほどの弥生の独占欲と行動力は、葉月が相手の場合に限りまったく機能しない。なぜなら弥生にとって葉月は、恋敵というよりむしろ、パートナーとでも呼ぶべき相手だったからだ。

 だが、それゆえに弥生は忘れていたというしかない。
 葉月には、葉月の独占欲があるのだという事を。
 葉月を“相棒”と認める弥生の恋愛観は、あくまでも弥生の完全な主観に基づくものでしかないという事を。
 それも、葉月の、冬馬に対する慕情をさんざん煽っておきながらだ。
(なんとバカだ、私は……っっ!)
 そして、姉によって育まれた、葉月の冬馬に対する恋心は――考えられる限り、最悪の形で結実してしまった。

 携帯画面の映像に動きがあった。
 死んだようにベッドに横たわっていた葉月が、むくりと身を起こしたのだ。
 そのまま妹はドアに向かってくる。
(よし、いいわよ)
 葉月がそのままドアを開ければ、その瞬間に扉をこじ開け、妹をこの手で取り押さえる。どういう説得をするにしろ話はそこからだ。この目で葉月を見られる間合いに入らねば、彼女の心を開かせる事などとても出来はしない。
――が、ドアの前一歩のところで、葉月はぴたりと足を止めた。

「姉さん、そこにいるんでしょう? 分かっていますよ」
81傷 (その7):2008/12/08(月) 15:01:49 ID:m55LyRJ7

 弥生は、うめき声一つ立てられない。
「どうしたのです? 妹相手に“居留守”を使うなんて、姉さんらしくないですよ」
 数日振りに聞く葉月の声は、以前と同じ力強さを失ってはいない。いや、声のみならず、その勘の冴えも全く衰えていないことに、弥生はむしろ姉として嬉しくさえ思った。
 普通の状況ではない。引き篭もって五日の葉月だが、そのうち食事を取ったのは二日間だけなのだ。まともに頭が働く体調であるはずがない。

「いつから気付いていたの?」

 弥生は、完全に脱帽したと言わんばかりに、むしろ笑いを含んだ声をドアに返す。
 それに対する葉月の答えもまた、そっけないものではなかった。
「最初からです」
「最初?」
「母さんの足音が妙にわざとらしかったので、すぐに気付きました。母さんは姉さんと違って不器用ですからね。……少なくとも芝居が上手いタイプではありません」

「なるほど……」
 正しい問いは、すでにして正しい解答を含んでいる。――それはかつて葉月が言った言葉であるが、なるほど確かに真理を突いている。
 母の荒々しい物腰に、もし何らかの意図があるとすれば、そこには当然、足音によって何を隠蔽しようとしているのではないかという考えには、すぐに到達できる。疑問の着眼点さえ間違わなければ、導かれるべき正解は、いつでもすぐ傍にあるというわけだ。

 それから、かちゃり、――とロックが外れる音が響き、開いたドアから、数日振りに葉月が、少しやつれた笑顔を見せた。
「どうぞ」
 そんなに泣きそうな顔で、無理して笑わなくてもいいのに……。
 そう思いながらも部屋に入ろうとした弥生に、葉月が、
「ああ姉さん、ついでに、そこの昼食もお願いします」
 と言い、弥生は頷いてトレイを抱えた。
 昼食のメニューは、昨夜の残りのビーフカレーだが、なかなか葉月が部屋から出てこなかったため、ラッピングされたカレーも、若干冷めてしまっている。
「じゃ、お邪魔します」
 そう言いつつ、弥生が部屋に入った瞬間、葉月の右手が素早く動いた。


「……ッッッ!!?」


 声にならない声を上げたのは、むしろ葉月であった。
 ドアの脇に立ち、室内に招き入れた姉の背後からの襲撃――しかも、姉の腕には昼食のトレイを持たせて、その動きを最大限封じてあったというのに……、
「物騒なおもちゃね。痴漢対策?」
 弥生は、まるで背中に目を持つがごとく、流れるような自然な動きで、葉月の右手に握られたスタンガンを躱したのだ。しかも、葉月を振り返った姉の、トレイ上のカレー皿とグラス、さらに氷水を満たしたピッチャーは、まるで微動だにしていなかった。
「あなたの部屋に入るの久し振りだけど、模様替えしたの?」
 いまさっきの葉月の襲撃をまるで歯牙にもかけない姉の言葉。
 現に弥生の視線は、もうすでにスタンガンを構えて殺気立つ葉月ではなく、室内のインテリアに向けられている。

 その瞬間、こわばっていた葉月の顔が、ふっと和らいだ。
 ただの相手ではない。
 この女は、柊木弥生だ。
 天才と言われ、神童と称される葉月に、この世で唯一劣等感を抱かせるほどの姉なのだ。
「……予測していたのですか?」
 言うまでもなくその質問は、自分の害意を察知していたのか、という意味だ。
 弥生はいたずらっぽく答えた。
「だって、ツンデレのあなたが、ただで私を部屋に入れるわけがないでしょう? 素直になったかと思えば次の瞬間にはひねくれる。それがツンデレの行動パターンですもの」
「ツンデレって……わたしは、そんなに頭の悪そうな性格をしていますか?」
「うふふふ、性格と頭の良し悪しは関係ないわ」
 そう言って弥生は何もかも見透かしたような微笑を浮かべると、トレイを葉月の学習机に置き、
「さあ、食べましょう。少し冷めちゃったけど、このカレーは美味しいわよ。何と言っても、私の自信作なんだから!!」
 と、高らかに言った。
82傷 (その7):2008/12/08(月) 15:02:56 ID:m55LyRJ7

 葉月は、デスクではなくベッドに腰掛けて食事を取っている。
(おいしい)
 下品にがっつく食べ方は、自分のキャラではない。そう思いながらも、葉月の口元に運ばれるスプーンの速度は、どうしても早くなる。
 少し冷めてはいたが、それでいきなり味が落ちるものでもない。
 チョコレートと生クリームでコクをつけ、ガランマサラでパンチを利かせた姉のビーフカレーは、空腹だった葉月の胃に非常に美味に感じられた。
 おかわりが欲しいところだったが、三日間のハンストで収縮した自分の胃袋は、おそらく二杯目のボリュームには耐えられず、吐いてしまうだろう。
 お冷を飲み干し、口元を拭うと、ちらりと姉を見る。
 
 キャスター付きの学習椅子に座り、「――ん?」とばかりに、にっこりと笑う弥生。
 姉は相変わらず、ほがらかだ。
 この世に、一切の悩みなど存在しないような表情で、にこにこしている。
 だが、葉月には分かっていた。
 微笑んでこそいるが、姉は、いまだ警戒を解いてはいない。
 なぜなら、葉月もまた、姉への攻撃を諦めてはいないからだ。

「ごちそうさま」
 葉月は、空になったカレー皿とスプーンをトレイに置き、そのままピッチャーから空のグラスに冷水を注ぐ。
「姉さんもお冷いかがですか?」
「私はいいわ。それより、カレーおいしかった?」
「はい。とっても」
 葉月も、弥生の微笑を、笑って見返した。

 傍らのスタンガンは、隙あらばいつでも姉へ突き立てられる用意が出来ている。
 しかし、それでも所詮、自分の攻撃は弥生には通用しないだろう。
 身体を動かす事に関しては、弥生の足元にも及ばないという事を、この妹は充分に知っていた。
 現に今も、弥生は微笑してこそいるが、葉月が一挙動で襲撃できる間合いから、わずかに半歩遠い位置に椅子を据えている。いや、キャスター付きの椅子ならば、床を少し蹴るだけで、彼女は葉月の手の届かない距離まで、やすやすと移動する事が出来るだろう。
 奇襲なればこそ成功も望めたが、姉があくまで油断をしてくれない以上、飛び道具でもない限り、自分の攻撃はまず届くことはないはずだ。
 だが、不意を突くやり方は――まだ、ある。


「姉さん、一つ質問がありますが、宜しいですか?」
「なあに?」
 あくまであどけない顔を向ける姉に、葉月は抵抗するように冷たい視線を向けた。
 弥生にペースを握らせるわけにはいかない。
 そのためには後手に回ってはならない。常に先手先手と自分から打って出なければダメなのだ。
「姉さんが兄さんの事を好きなのは知っています。でも結局のところ、あなたは兄さんを一体どうしたいのですか?」

 いきなりの問いかけに、――しかし、それでも弥生の表情が変わる事はなかった。
 美貌の姉は、その形のいい口元をむしろ嬉しげにほころばせ、胸を張って答えた。

「そんなの――決まっているでしょう? 女が愛する殿方に望む将来は、永久に添い遂げること以外に何があるというの?」

 いつもの葉月なら、ここで鼻白んでそっぽを向いてしまうところだが、今日は違った。
「話に具体性がありませんね。姉さんらしくもない」
「具体性?」
「永久に添い遂げるとはどういう意味ですか? それが結婚を指す言葉であるなら残念ですが、姉さんも知っての通り、三親等以内の血縁同士での婚姻は、この国では法的に認められないんですよ?」
 そこまで早口で一気に言い切り、葉月は上気した顔で姉を睨みつけたが、しかし弥生は反論しない。可愛らしい駄々ッ子を見るような生ぬるい眼差しを返すのみだ。
 葉月は、そんな姉にカッとなりそうな自分を、懸命にこらえた。
「姉さんは、事あるごとに主張してきました。兄さんを幸せにしてあげられるのはわたしたちだけだと。――しかし、結局のところ、我々はどうあがいても兄さんの伴侶にはなれないのですよ!? バージンロードをともに歩くことは出来ないのですよ!?」
83傷 (その7):2008/12/08(月) 15:05:41 ID:m55LyRJ7

 弥生は、やはり答えない。
 必然的に、葉月の目付きと舌鋒も鋭くなっていく。

「わたしたちを兄さんに選ばせるということは、実の姉妹に手を出した狂人と、白眼視される人生を兄さんに強いるという事です。誰に祝福される事もない生涯――姉さんが言う『兄さんを幸せにする』とは、そういう事なのですかっ!?」

――くすっ。

 葉月は、思わず目を剥いた。
 弥生は笑ったのだ。
 それも、さっきまで自分に向けていた優しげな微笑ではない。
 その笑いは小さかったが、むしろ嘲笑のニュアンスさえ含んでいるように見えた。
「なっ、何が可笑しいんですかっ!!」
 思わず葉月は立ち上がる。
 その振動で、今まで腰掛けていたベッドが揺れ、トレイ上のピッチャーがぐらりと揺れ、あわてて葉月は、倒れそうなそのピッチャーを抑えた。
 その、いかにも泡を食った自分の素振りが、たまらない羞恥を喚起させ、彼女はさらに真っ赤に頬を染めて姉を振り返る。
「笑う暇があったら答えて下さいっ!! 姉さんが言うところの幸せとは何ですかっ!? 婚姻さえ結べない我々が、一体どうやって、兄さんを幸せにするというのですかっ!?」

「結婚できなきゃ幸せになれない。葉月ちゃんはそう言いたいの? 世間に認められなければ、どんな愛情も意味を為さない。葉月ちゃんはそう言いたいの?」
「結婚が全てとは言いません。しかし我々が近親者である以上、どんな崇高な愛情も、世間からは罪にまみれた異質な愛だとしか見てはもらえないでしょう。ならば、誰も知らない街に行って、二人でひっそりと暮らせばいい。そういう選択肢もあるかも知れません。――でも」
「でも……?」
「そうなってしまったら、親や友達とも二度と会えなくなるでしょう。子供が生まれても、戸籍上では永久に私生児扱いです。どんなに精神的に満ち足りていたとしても、わたしはそんな生活が幸せだとは思いません。やはりそれは――不幸なことでしょう!?」



「若いのねえ……葉月ちゃんは……」



 一瞬、言葉を失った葉月に、弥生は肩をすくめて苦笑いを浮かべる。

「人間、純粋なのは美点だと思うけど、度が過ぎると周りが見えなくなっちゃうわよ?」

 その台詞は葉月にとって、これ以上ない侮辱と解釈してもいい言葉であった。
 中学一年生にして、いくつもの新しい理論を学界に発表し、天才の誉れも高い葉月にとって、“持説に囚われすぎて周囲が見えていない者”というのは、単純に、彼女が最も嫌う人間のかたちだったからだ。
 だが、それでも葉月は、激昂しそうになる自分を懸命に抑えた。
 これ以上、感情を剥き出しにすれば、もう二度と姉からペースを奪うことは出来ない。
 なんのかんのと、現時点で充分、姉に会話の主導権を握られつつある葉月としては、いま冷静さを失うことは、最も避けねばならない道だった。
「……説明を要求します」
 そう答える葉月の声は、少し震えていた。

「葉月ちゃん、私たちは冬馬くんと結婚できない。――貴女はそう言ったわよね?」
 そう問う弥生の表情は、もはや緩んではいない。
「はい、言いました」
「でも、その現実は果たして絶対かしら?」
「……え?」

「確かに貴女の言う通り、近親相姦は人類の三大禁忌に含まれるほどのタブー。世界中の殆どあらゆる民族・宗教・国家に於いて、その是非を問う論争さえ起きないほどの一般常識よ」
「それが分かっているなら――」
「ただし、それが当てはまるのは、冬馬くんが私たちの血縁者であると証明された時のみ、よね?」
 何をわけの分からないことを言っているのですか!?
 そう言いかけて、むしろ葉月の表情は愕然と凍りついた。
 その瞬間、姉の言わんとしている事を彼女は理解してしまったからだ。
84傷 (その7):2008/12/08(月) 15:07:36 ID:m55LyRJ7
「……まさか……姉さんは……用意したというのですか……“証拠”を……ッッ!?」
慄然と震える葉月とは対照的に、弥生は、まるで合格発表を報告するかのように、瞳を嬉しげに輝かせて頷いた。



「近日中に、冬馬くんのDNA鑑定結果が手に入る事になっているわ。彼が柊木家の一族と非近親者であるという事を証明する報告書がね」
「…………ッッッ!?」
「それがあれば、もう誰も私たちの邪魔をする事は出来ない。たとえそれが国であってもね」



(……そこまで……そこまでやるの……姉さんッッ!?)
 葉月は絶句していた。
 いま弥生が入手すると言った、その書類が本物であるかどうかは葉月には分からない。
 いや、会話の流れ的には、まず偽造であると判断するべきであろう。
 もっとも、生き別れを名乗って数年前にひょっこり両親が連れ帰ってきた兄である。実際、本当に血が繋がっていなかったとしても、いまさら葉月はそれを不審とは思わない。
 だが、問題はそこではない。
 弥生は、おそらく冬馬が近親者であろうとなかろうと全く関係なく、その鑑定書を根拠として“非血縁”を主張するつもりに違いない。
 ならば、その道の専門家が見ても、一瞥で贋作だと露見するようなチャチな紙切れではあるはずがない。出所を手繰られても、すぐにボロが出るような相手に依頼してもいないだろう。
 おそらくは、弥生の持つカネと人脈をフルに使わねば入手できないような代物であろう。

「姉さんは、本気なのですか……!? 兄さんを手に入れるためならば、兄さんを家族から追い出すことさえ躊躇はないと……本気そうで仰っているのですか……っっっ!?」
 そう尋ねながらも葉月の背筋を伝わる冷たい汗は、まぎれもなく弥生の“本気”を感じ取っていた。はたして弥生は答えた。この穏やかな姉にして滅多に見せない厳しい瞳とともに、弥生はまさに葉月の予想通りの言葉を吐き出した。
「当たり前でしょう。家族であるがために想い人と結ばれる事が許されないというのなら、家族の絆など私にとっては、何の価値も持たないわ」
「でもっ! でもそれは、あくまで姉さん個人の意見でしょう!? 兄さん本人からすれば、納得できる話なワケがないでしょうっ!!」
「同じことよ。冬馬くんも少しはショックもあるかも知れないけど、結局これは、あの子の幸せために必要不可欠なプロセスなんだから。説明すれば、冬馬くんだってきっと分かってくれるわ」
「そんなはずないっ! 姉さんはどうかしているっ! そんな事をされて兄さんが喜ぶはずがないでしょうっっ!? わたしには姉さんが分かりませんっっ!!」


「――うそ、ね」


 葉月は、その言葉に、全身の血が凍りついたかのような寒気を感じた。
「葉月ちゃんの本心は私と同じはずよ。私には分かる。冬馬くんのためなら、貴女だって何でも出来るはずよ。たとえそれが、冬馬くん本人の意に添わないことでもね」
「…………」
「現に葉月ちゃんはスタンガンを私に向けたじゃない。それで私をどうするつもりだったの? 動けなくして縛り上げて、無理やり言うことを聞かせるつもりだったの? 冬馬くんから手を引けと、私に命令したかったの?」
「……姉さん……」

「でも、安心なさい」
 弥生はゆっくりと椅子から立ち上がり、目を細めた。
「私は嬉しいのよ。葉月ちゃんが自分の本心に気付いてくれて。私と“同じところ”に、やっと貴女は来てくれた。これでようやく話を先に進める事が出来るわ」
 そう言いながら弥生は、先程までの警戒を忘れたように、葉月に向かって無雑作に歩を進める。そんな姉の態度にむしろ慌てたのは葉月の方だった。
「待って下さい姉さん、わたしは――」
「もういいのよ、これ以上嘘をつかなくても。私はみんな分かっているんだから」
 気がつけば、葉月の頬に細くて白い姉の手が触れていた。
85傷 (その7):2008/12/08(月) 15:10:18 ID:m55LyRJ7

 もう、ごまかしは利かない。
 姉は何もかも見抜いている。
 そう、――嘘だ。何もかも。
 姉を論破しようと言葉を並べてはいたものの、そんな常識論で弥生を黙らせられるとは、いくら葉月でも思わない。弥生が、そんな甘い人間でない事は、この世の誰よりも自分が一番知っている。
 なにより、語っている葉月自身、そんな一般論など正しいとも思っていない。冬馬への想いを自覚してしまった以上、弥生の本音は紛れもなく葉月の本音でもあったからだ。

 だが、いかに兄を慕おうとも、近親相姦の禁忌という厚い壁の前には、しょせん葉月は絶望せざるを得ない。感情に身を任せて暴走すれば、結果としてそれは、冬馬を不幸に巻き込むだけだ。
 ならば諦めるしかない。ことに、冬馬本人も、姉である弥生を好きだったと聞いた以上は――。
 弥生に現実の厳しさを語る言葉は、むしろ、それを語る葉月自身に、冬馬への思慕を諦めさせるための言葉であったと言える。姉は耳を貸さないと承知していながらもなお、言わずにおれなかったのは、その説得が誰よりも自分自身への言葉である事を知っていたからだ。

――弥生は冬馬が好き。
――冬馬も弥生が好き。
 そう考えるだけで、あまりの胸の痛みに吐き気さえ催す思いだが、それでも、二人の恋が結実する事だけは、何としても回避しなければならないのだ。
 近親相姦は兄を不幸にする。
 その結論に従う限り、どんな手段を使ってでも弥生を諦めさせねばならない。たとえ、それが冬馬にとって“失恋”を意味する行為であったとしても。
 無論、葛藤はある。
 近親者であるという理由で、弥生の想いを否定するということは、とりもなおさず、自分の恋心さえも否定することと同義なのだから。
 だが、現実という強大な壁を前に、そんな苦悩など、それこそ何の意味も持たない。
 だからこそ葉月は――それこそ弥生が言う通り――スタンガンを使うような手荒な真似を強行したのだ。暴力に訴えてでも弥生の気持ちを翻させるために。

 無論、嫉妬はある。
 それは当然だ。葉月とて木石ではないのだから。
 自分を選ばなかった冬馬にも、自分の代わりに選ばれた弥生にも、殺意に似た感情を葉月は抑えきれない。そして、そんな二人の仲を引き裂く行為に、黒い悦びを少しも感じなかったと言えば、さすがにそれは嘘になる。
――葉月は、そんな自分に当然のごとく後ろめたさを覚えていた。
 だが、
(結局それが、兄さんのためになるんだ)
 その考えは、葉月にとって、あらゆる行為を正当化する。
 兄と姉の恋を破壊する事も。そして――自分の恋を永遠に封印する事さえも。

(でも、姉さんは違う)
 弥生は諦めなかった。現実に膝を屈しなかった。
 世間がこの恋を認めぬならば、世間を騙せば済む話ではないか。
 彼女は、そう言い切った。
――そんな発想の飛躍は、とてもではないが葉月にはできない。
(かなわない)
 葉月は戦慄と同時に、骨が震えるような畏敬の念を、今あらためて姉に抱いた。柊木弥生という女性が只者でないのは承知しているつもりだったが、それでもなお葉月は、この姉を完全に見くびっていたことを骨身に思い知ったのだ。
 しかし、そんな葉月をしてもなお、さらにそこから弥生が吐いた台詞は、あまりにも予想外だにしないものであった。

「でもね葉月ちゃん、……私は自分ひとりだけが幸せになろうなんて考えちゃいないわ」

 え?
 と訊き返しそうになる葉月を制し、弥生は葉月の頬に当てた指を、つつ……と動かしながら、あどけない表情で言葉を続けた。


「葉月ちゃん……あなたを冬馬くんと結婚させてあげる」
「この世でたった一つしかない、柊木冬馬の“妻”の座を、あなたにあげるわ」

86傷 (その7):2008/12/08(月) 15:12:17 ID:m55LyRJ7

 弥生が何を言っているのか、葉月には皆目見当も付かない――。
 冬馬が姉を好きだと言ったことを葉月は知っている。そして、弥生もまた冬馬を愛しているということも、葉月からすればそれは歴然たる事実だ。
 にもかかわらず、なぜ弥生は――冬馬を自分に譲ろうというのだろうか。
 弥生が、そんな事を言い出す理由が、葉月には全く理解できなかった。

「ただし条件があるわ」
「じょうけん……?」
「ええ、――別に難しい事じゃないわ。あなたと冬馬くんが結婚したら、私と冬馬くんの子供も、あなたたち夫婦の子供として籍を入れてあげて欲しいの。私生児扱いじゃ、子供が可哀想だからね」


 なるほど、そういうことか。
 姉が吐いた、あまりにも不可解な言葉によって、思考停止状態になっていた葉月の脳漿にも、ようやく血の気が戻り始める。
(譲る気なんか……さらさらないってワケなのね)
 冬馬の妻の座はくれてやる。
 だが、それはあくまで戸籍上の話だ。閨の中まで葉月に独占させる気は毛頭ない。あくまでも「女」としての自分の権利は主張させてもらう。――弥生はそう言いたいのだろう。
『冬馬を幸せに出来るのは、あくまで私たちだけ』
 というのが弥生の口癖であったが、葉月はその言葉の本当の意味がようやく理解できた気がした。
 姉の最終目的は、冬馬の“独占”ではなく“共有”にある――そういうことなのだ。

 そして、その提案は同時に、脅迫でもあった。
 先程の鑑定書の話が事実ならば、近親婚の倫理観は、法的に問題になることはない。
 つまり、弥生がその気になれば、葉月を無視して、冬馬を完全に独占する事も可能なのだ。ならば葉月としても他に選択肢はない。弥生はそう言いたいのだ。

 いや、むしろ破格の条件と言うべきかも知れない。
 DNA鑑定の報告書を、弥生が独力で入手する手筈を調えている以上、葉月としては指をくわえて見守る以外になすすべはない。ならばもし、葉月と弥生の立場が逆であったならどうだろう。自分は、姉に正妻の座を与えようなどと言えただろうか。
(……無理だ)
 ならば、姉のこの提案は妥協案などではなく、まぎれもない姉の本心であると判断して差し支えはないだろう。なにしろ姉には葉月と妥協する理由自体が、そもそもないのだから。

 そう思った瞬間、葉月は肩の力が抜けた。
 やはり姉にはかなわない――そう思う心は変わらない。
 だが、弥生の本心を悟った以上、畏敬はふたたび尊敬に姿を変える。
(やはり姉は敵ではなかった。最後まで姉はわたしの味方だった)
 ならば敵視すべきは――両親であり世間であり、いまだ全貌が明らかにならない冬馬の過去のみであるということになる。

「分かりました」

 葉月はスタンガンを取り出すと、電源を切り、ひょいっと部屋の片隅に放り投げた。
 もはや害意はない。そういうアピールのつもりであった。
「葉月ちゃん……っっ」
 葉月の、その意思が通じたのか、弥生は、安堵の溜め息をついた。
「引き篭もりは、もう終わりです」
 そう言いながら葉月は、すっと右手を差し出す。
「兄さんは、私たち二人のものです。誰にも渡さないし、邪魔するものは許さない。――そうですよね、姉さん?」
「うれしいわ葉月ちゃん……あなたがそう言ってくれる日を、私はずっと待っていたのよ……!!」
 瞳を潤ませながら、差し出された妹の右手を、姉もがっちりと握り締めた。

 

 その日。
 柊木弥生と柊木葉月は、固い握手を交わした。
 それが、冬馬の不幸をさらに加速させる結果となる事実を、神ならぬ姉妹たちは、まだ知らない。
87傷 (その7):2008/12/08(月) 15:15:04 ID:m55LyRJ7
今回はここまでです。
88名無しさん@ピンキー:2008/12/08(月) 15:16:53 ID:IeEjvmos
すばらしいっ、ぷらしーぼ!!
89名無しさん@ピンキー:2008/12/08(月) 15:17:21 ID:NaT8XDip
一番槍GJ!
風邪で仕事休んでて良かった
90名無しさん@ピンキー:2008/12/08(月) 15:19:05 ID:NaT8XDip
一番槍じゃなかった...orz
91名無しさん@ピンキー:2008/12/08(月) 15:43:11 ID:58j3TpZl
GJなんだけどちょっと気になる点が一つ(スレチなのでスルーしてもらっても構わない
DNA鑑定が偽造、金云々って出てるけど今時DNA鑑定なんてそんな敷居の高いものじゃないと思うのだが…
指5本でも十分に足りる金額で依頼できたと思うぞ(まあ証拠能力としてのものなら話は別かもしれんが…
まぁスレチだし余計な書き込みだとは思うが我慢できなかったので書かせてもらったスマソ
92名無しさん@ピンキー:2008/12/08(月) 16:04:47 ID:W/mFNLLE
>>91 鑑定内容によってマチマチ 親子判定は判定だけで20くらい、あとは忘れた
93名無しさん@ピンキー:2008/12/08(月) 16:26:25 ID:0AT4hJ5W
GJ!!!!
どういう展開になるのか今から次回にwktkしてます。
94名無しさん@ピンキー:2008/12/08(月) 17:09:06 ID:aVm5Nnwk
>>91
確か初期の方で、本物は冬馬本人の同意も得なければ依頼出来ないとか言ってたし、
もし本当にきょうだいだった場合全てオジャンな訳で、そう考えれば高い金使ってアシがつかない
自分にとって都合のいい結果が載った鑑定書を手に入れようとするのもそうおかしくはない。
95名無しさん@ピンキー:2008/12/08(月) 17:23:25 ID:uSsQpETS
キモければ何でもいい
96名無しさん@ピンキー:2008/12/08(月) 21:41:21 ID:bjVCSsm/
キモ姉妹結束キタワァ*・゜゚・*:.。..。.:*・゜(n‘∀‘)η゚・*:.。. .。.:*・゜゚・* !!!!!
相手の考えを屈服、変更させるのって大変なんだなぁ
97名無しさん@ピンキー:2008/12/08(月) 23:40:00 ID:XnN9/5C3
ぶっちゃけ戸籍法改正問題のせいでDNA鑑定の話に過敏になってるので、
できれば避けたい話題ではある。忘れていたいので
98名無しさん@ピンキー:2008/12/09(火) 00:10:16 ID:LEB7r1jT
目を背けるな
チョンと中国人はすぐそこにきている
99名無しさん@ピンキー:2008/12/09(火) 00:30:28 ID:hZOw1L8m
なるほど
戸籍法改正で、キモ姉の朝鮮人と、キモウトの中国人がやってくる話をご所望なのですね?
流石の俺もその二人はお断りしたいです
100名無しさん@ピンキー:2008/12/09(火) 00:35:40 ID:KHNEv+Ge
キモウトの中国人てルイリーだろ?
全力で歓迎するけど
101名無しさん@ピンキー:2008/12/09(火) 00:43:59 ID:hZOw1L8m
>>100
やるじゃん

父:>>100よ……お前に新しい家族が出来たぞ
<丶`∀´>:弟は姉に絶対服従ニダ
( `ハ´):早く可愛い妹に貢ぐアル
102名無しさん@ピンキー:2008/12/09(火) 00:49:58 ID:QV8659G2
関係ないところまで政治ネタを持ってくるなよ
こういうことばっかりやってるから気味悪がられるのにまだ気付かないのか
103名無しさん@ピンキー:2008/12/09(火) 01:36:55 ID:eB1R1WlC
北欧系のハーフのキモウトに迫られたい。
104名無しさん@ピンキー:2008/12/09(火) 05:54:31 ID:kwpUxOR4
南米の褐色肌も(*´д`)
105名無しさん@ピンキー:2008/12/09(火) 08:14:57 ID:PcERA91f
>>102
彼らはそれを愛国だと思ってるんだよ
察してやれ
106名無しさん@ピンキー:2008/12/09(火) 09:12:55 ID:LTFyipE8
アメリカ女性はマジヤンデレ
休日に一人で外出したくらいで大半の女性がどこ行ってたのとか騒ぎ出すらしい

あくまで聞いた話ですが
107名無しさん@ピンキー:2008/12/09(火) 09:27:27 ID:BFI2vG4r
それはキチガイなだけ
つかここはキモウトキモ姉スレだろ
108名無しさん@ピンキー:2008/12/09(火) 09:40:53 ID:FmtIGAKi
余所の話題を持ち出す奴は、しまっちゃうお姉ちゃんに監禁されてしまえばいいのに
109名無しさん@ピンキー:2008/12/09(火) 09:42:47 ID:WS7t1k/h
あえてアメリカネタでいくなら
アメリカだと外出は基本車なので免許とるまで一人で遠くまで遊びにいけないって地方も多い
つまり中学生くらいまでの弟くんの外出をすべてキモ姉がコントロールすることも可能!
110名無しさん@ピンキー:2008/12/09(火) 15:08:37 ID:oJ3/YjwT
あれ、確か一度でも家族になってたら…
111名無しさん@ピンキー:2008/12/09(火) 15:52:52 ID:Ik2O5HjT
>>110
柊木さん家のケース?
冬馬は戸籍上実子の扱いだろうから、よくある「実子と養子のカップル」より事情は
複雑ですが可能じゃないかな?
まずはDNA鑑定の結果を出して、親子関係不存在を確認する必要があります。
おそらく民法第734条第2項を気にしているのだと思いますが、これは特別養子
縁組に絡むもので当面気にしなくてOK。
また同条第1項については、親子関係不存在の訴えが認められれば冬馬は
「行方不明の柊木冬馬とは別人」と認定されることになりますので、まったくの
他人という扱いになります。異議を申し立てる人もいなそうだし、DNA鑑定結果に
疑義が出なければ結婚にたどり着けそう。
112名無しさん@ピンキー:2008/12/09(火) 16:15:11 ID:nCVpoFVe
終了
113名無しさん@ピンキー:2008/12/09(火) 17:36:43 ID:rXciO78I
再会(兄妹的な意味で
114未来のあなたへ3:2008/12/09(火) 18:52:08 ID:TC1OyeSP
投下します。
区切りどころが微妙だったので、一度に投下します。
長くなりますのでご注意ください。
115未来のあなたへ3:2008/12/09(火) 18:53:00 ID:TC1OyeSP
最終目的:目標の半永久的拘束。
前提条件:反社会行動のため、状況の隠匿。





一次目的:目標との男女関係構築。達成後、二次目的に移行。
予備目的:目標の初性交体験の奪取。


一次作戦A:強姦。
作戦概要 :目標を物理的に拘束して性交を行う。
必要条件 :薬物。両親の不在。目標を物理拘束するための技能、習得中。
遂行利点 :実行が容易。確実な効果。予備目的の確実な達成。
遂行難点 :目標の自発的協力が得られないため、一次目的達成後、最終目的の達成が困難。
検討事項 :排卵日に実行することで妊娠が可能。目標に精神的拘束を施す効果が期待されるが、前提条件の維持が困難となる。
総括   :一次作戦B破綻時の予備作戦として準備のみ行う。



一次作戦B:洗脳。
作戦概要 :目標に継続的に間接干渉することにより精神的拘束を行う。
必要条件 :異性としての魅力。アプローチ能力。時間。
遂行利点 :目標の自発的協力を得られて私が嬉しい。最終目的の達成が容易となる。
遂行難点 :目標の倫理観を突破しなければならない。時間がかかり、効果が不確実。
検討事項 :目標は思春期のため性欲の利用が有効と思われる。
総括   :実地中。



予備作戦:排除。
作戦概要:本次作戦において障害となる人物の物理的、精神的、社会的排除。
必要条件:殺人、拘束、脅迫、尾行、情報収集、情報工作のための各種技能。習得中。
候補分類
 目標が恋愛感情を向ける人物      :最優先:未確認
 目標に恋愛感情を向ける人物      :優先 :未確認
 目標が恋愛感情を向ける可能性がある人物:準優先:目標の交友関係(別紙)を参照
 目標に恋愛感情を向ける可能性がある人物:準優先:目標の交友関係(別紙)を参照
 状況の把握を試みる人物        :優先 :藍染晶(暫定協力者のため留保)
 状況の把握を試みる可能性がある人物  :準優先:父、母
総括  :最優先候補、優先候補ともに存在しないため、準備のみ行う。

116未来のあなたへ3:2008/12/09(火) 18:54:04 ID:TC1OyeSP
副次作戦A:監視。
作戦概要 :目標を継続的に監視する体制を構築、維持。
達成条項
 生活サイクルの一致:未
 監視カメラの設置 :済
 盗聴器の設置   :済
 授業態度の把握  :未
 学力の把握    :済
 交友関係の把握  :済
 携帯履歴の把握  :未(目標は携帯電話不所持)
 放課後行動の把握 :未
 休日行動の把握  :済
 座標の把握    :済
 性的嗜好の把握  :済
 自慰回数の把握  :済
検討事項
 目標の留年:却下
 協力者の作成:要検討
 目標行動の制限:実地中
総括:実地中。達成率は必要不十分。監視体制の更なる強化が必要。



副次作戦B:収集。
作戦概要 :目標体組織の収集、消費。
収集状況
 部位:髪
  収集:目標のベッドから毎日採取。
  消費:ブラシを作成中。
 部位:皮膚
  収集:夏休み後、剥離したものを素手にて直接採取。
  消費:貴重品のため瓶詰めし保存。
 部位:爪
  収集:目標の爪切り後採取。
  消費:瓶詰めし日付のラベルを張って保存。
 部位:唾液
  収集:未採取。
 部位:血液
  収集:未採取。
 部位:涙
  収集:未採取。
 部位:耳垢
  収集:定期的に耳掃除にて採取。
  消費:咀嚼後嚥下。
 部位:陰毛
  収集:目標のベッドで採取。
  消費:咀嚼後嚥下。
 部位:体臭
  収集:脱衣直後の下着から採取。
  消費:咀嚼後吸引。
 部位:小水
  収集:未採取。
 部位:大便
  収集:未採取。
 部位:精液
  収集:ゴミ箱のティッシュから採取。
  消費:自慰に使用後咀嚼、嚥下。
総括   :実行中。性欲の鎮静に効果有。エスカレートには注意。
117未来のあなたへ3:2008/12/09(火) 18:54:53 ID:TC1OyeSP
副次作戦C:マーキング。
作戦概要:自己の体組織を対象に付与する。
付与状況
 部位:髪
  用法:ブラシを作成中。
 部位:皮膚
  用法:未使用。
 部位:爪
  用法:寸断後、食事に混入。
 部位:唾液
  用法:目標の歯ブラシに塗布。
 部位:経血
  用法:食事に混入。
 部位:涙
  用法:目薬に混入後、目標に贈呈。
 部位:耳垢
  用法:食事に混入。
 部位:陰毛
  用法:目標のベッドに散布。
 部位:体臭
  用法:未使用。
 部位:小水
  用法:乾燥後、目標のシャンプーに混入。
 部位:大便
  用法:未使用。
 部位:愛液
  用法:香水に混入し、目標に贈呈。
総括  :実行中。精神的安定に効果有。エスカレートには注意。






118未来のあなたへ3:2008/12/09(火) 18:55:37 ID:TC1OyeSP
夕食の後。
俺は自分の部屋でごろごろしながらマンガを読んでいた。帰りに本屋に寄って買ってきた新刊だ。
おっ。そうきたかー。ふんふん。お、おおおおお。すげー!
内容に没頭していると、いきなり部屋の扉が開いた。
「……まったく」
「げっ!?」
部屋に入って来たのは妹の優香だった。両親は外食に行っているので当然といえば当然だけど。
人差し指を額に当て、軽蔑しきった視線が俺に突き刺さる。ぐさぐさ。
うう、自業自得ではあるけれど、やっぱり痛い。
いや、それよりも。
「ゆ、ゆうか。いきなり入ってくるなよ!」
「……今、この状況で、真っ先に私に掛けるべき言葉がそれですか?」
え? 俺、何か間違ったこと言ってる?
「兄さんは受験生です。そして今月は十二月です。更に兄さんの成績はクラスで38人中30位です。さて、この条件でどうして兄さんは……」
「あー、もうわかった! わかったから! 俺が悪かったよ! けど……」
「私に謝ってどうするんですか。兄さんは論理的思考能力がないんですか?」
「……」
こてんぱんに打ちのめされて、とぼとぼと勉強机に向かう。ああ、マンガいいところだったのになあ……
昨日のまま放り出してあったノートと参考書に向きあう。ちらりと後ろを見ると、優香は入れ替わりでベッドに座ってマンガを手に取っていた。
「帰りに、本屋に寄ったのですね」
「ん? ああ。ちゃんと参考書も買ったぞ」
「他には何か買いませんでしたか」
「え。い、いや別に?」
「そうですか」
声が若干上ずったけど、妹には気づかれなかったようだった。手にしたマンガを本棚に入れている。
危ない危ない。ついでにエロ本も買ってたなんて、優香に知られたらどんな説教が飛んでくるかわかったもんじゃない。ウブな妹を持つと困るぜ。
背後からプレッシャーを受けつつ、参考書とにらめっこする。あれ、これどういう意味だ? えーと、戻る戻る……うーん、むつかしい……
「今日の夕食はどうでしたか?」
「へ? あ、うーんとえーと。うまかったぞ」
「兄さん。私は詳細な評価を求めているのですが。気になった点があれば何でも言ってください」
「え、え〜〜〜〜と、う〜〜〜〜んと……」
「……」
「え〜〜と。そういえば、ハンバーグが少し生ぐさかったかも」
「やはりそうでしたか。次からは香草の類で臭いを消しますね」
ポシェットから手帳を取り出して手早くメモを走らせる優香。ホント、俺と違ってマメな奴だなあ。
しばらく前から優香は料理に凝っているようで、いろんな料理を試してくれる。まあ、今日みたいに当たり外れもあるけれど。
基本的に俺は世話になっているだけなので、こんな風に勉強に関して尻を叩かれても優香に頭が上がらないのだった。
119未来のあなたへ3:2008/12/09(火) 18:56:10 ID:TC1OyeSP

「……」(かりかり)
「……」
「……」(かりかり)
「……」
「……」(かりかり)
「……」
「……優香? 別に監視してなくても、勉強はさぼらないぞ?」
「兄さんに頼みたいことがあります」
「ん?」
椅子ごと振り返る。なんだって自分一人でこなせてしまう妹が頼み事なんて珍しい。
優香はベッドに座って、ポシェットから一枚の封筒を取り出した。何故か、ビニールパックに入れてある。
そういえば、あのポシェットも何時からか常に身につけるようになってたな。色々出てくるけど、何が入ってるんだろう。
「今日、帰り際。開いた下駄箱に入っていました」
「ああー、ラブレターか。最近多くないか?」
「もう十二月ですからね。クリスマスが近いからではないでしょうか」
「なるほど……クリスマスか」
はあ。俺は今年も今年も一人寂しく過ごすことになりそうだ。友達の義明は、晶ちゃんと付き合ってるのになあ。
「私が」
「ん?」
「いえ。それで明日の放課後に呼び出されているので、同行して下さい」
「……う〜ん」
優香のこういうお願いは、前からちょくちょくあるものだった。いわく護身用らしいけど、目の前で告白沙汰を見せられる身にもなってほしい。
まあ、それでも。妹の数少ないお願いだし、兄として基本的には引き受けていた。
けれど、そろそろ俺をあてにするのはやめさせた方がいいのかもしれない。何しろ、あと三ヶ月で卒業してしまうわけだし。
まあ、そもそも俺を頼るのだって『他に頼む男がいないから』ぐらいの理由だしな。
「いや、そろそろ俺も卒業するし。誰か他の人に頼めないか? ほら、晶ちゃんとか、柔道部の友達と一緒にいくとかさ」
「……」
「ていうか、優香は彼氏作らないのか? そりゃ、悪い奴に騙されたりするのは気をつけた方がいいと思うけど。友達から始めればどんな男かもわかるだろ

うしさ」
「……」
「優香?」
「……あ゛」
優香の表情は変わらなかった。泣きもしないし笑いもしなかった。ただ、大きく息を吸って、吐いた。
すぅーーーー、はぁーーーー。
120未来のあなたへ3:2008/12/09(火) 18:57:04 ID:TC1OyeSP

「兄さん、そこに立ってくれませんか」
「あ、うん」
椅子から立って、のこのこと優香の前に立つ。
瞬間、ぎしりとベッドを軋ませて、優香が跳びついて来た。胸元にぶら下がるようにされて前のめりになったところを、内側から足を払われてあっという間に転倒した。
床に仰向けに倒れ、さらに優香が一緒に倒れてくる。二人分の体重が背中に叩きつけられる。
どすん!
「げふっ!?」
肺の中の空気が残らず吐きだされた。頭を打たなかったのは、優香が後頭部に腕を回していたからだ。
俺が衝撃で身動きできない間に、妹が素早く腹の上に乗って両足で胴体をロックした。同時に右腕と頭がひとまとめにされ、首ごと小脇に抱えるよう両腕

でロックされる。
優香の両腕が締まった。窒息。
「ぐえっ!」
「小内刈りからの縦四方固め、です」
頭の上で、優香が囁いた。蝉のように、俺に真正面からしがみついたような体勢で。
というか、息! 息……!
する、と腕が緩められて、俺は盛大に呼吸した。ぜーはー、ぜーはー。
大きく息を吸うたびに、顔に当てられた柔らかいものがむにむにと変形する……って優香の胸じゃん!!
「ごほごほっ! な、何やってるんだよゆうか! 離れなさい!」
「何を慌てているんですか兄さん。これはれっきとした柔道の練習ですよ」
「いや本当かよそれ! なんか技の掛かりが柔道っぽくなかったし、これマウントじゃん!」
「乱取りでは禁止されていますが当身技もあるし、袖と襟を掴むだけが入り方ではないんですよ」
「へー。って、それはわかったから離れろって!」
左腕と両足が自由なので、じたばたと暴れてひっくり返そうとしたり、妹をひきはがそうとするけれど。
その度に重心を操られたり、肩を床に押さえつけられたりで全然返せない。しまいにはまた首を絞められた。
「ぐえっ!」
「静かにしてください。夜中に近所迷惑ですよ」
だからって強制的に静かにさせるのはどうなんだ。あとその理屈はおかしい。
ともあれ静かになった部屋で、妹は淡々と話し始めた。俺の頭を小脇に抱えたまま(腕は緩めてもらった)

「兄さんは、私がこのように、誰かに組み伏せられても良いと言うんですね」
「え、いやむしろ組み敷いてるのはお前……げふ」
「この技なんて、兄さんが相手だから決まったようなものです。私はまだまだ未熟ですし、男性に格闘能力で勝るとも思ってません」
「え、そうか? 一応俺、運動部だったし結構自信あったんだけど……」
「兄さん。男と女の差というのは、それほど大きなものなんですよ。あらゆる格闘技が、重量別男女別なのはそういうことです」
「あ、うん……」
「もしも。もしも私が、見知らぬ誰かに組み敷かれて、服を破かれて、胸を触られて、無理矢理キスされて」
「優香!? なにいってんだ!?」
「顔を何度も殴られて、抵抗する気力を奪われて、性器を好きに弄られて……うぐっ」
「ゆ……ゆうか?」
首を脇に抱えられているので優香の顔は見えないけれど。顔に押し付けられた胸から、ごぼりと何かが流れてる音がして。ごくりと、優香が何かを飲み込ん

だ。
え……今、吐きそうになって……それを飲み込んだのか?
「ゆ、優香! わかった!わかったからもうやめろって!」
「想像してください。私が、男に襲われて、無理矢理処女を奪われて、精液を子宮に吐きだされて、ゴミみたいにその場に捨てられて、その後の人生も繰り

返し、繰り返し……」
「わかった! ごめん! 俺が悪かったから! 一緒に行く! 呼び出しに付き合うから!」
「……分かってもらえればいいんです」
121未来のあなたへ3:2008/12/09(火) 18:58:29 ID:TC1OyeSP
ぱっ、と。優香が技を解いて立ち上がった。唖然としている俺を尻目に「失礼」と机に置いてあったコップの水をガラガラして飲み込んだ。
あ、やっぱりさっきのは吐きかけたのか。でも、なんか優香とゲロって嫌な組み合わせだなあ。いや、誰だってゲロとの組み合わせは嫌か。
「それでは兄さん。明日の放課後、教室に迎えに行きますから」
「あ、ああ……うん」
まるで何事もなかったかのようにベッドに座り直す妹。
俺は、今起きたことを頭の中で整理しながら、立ち上がって机についた。背中が鈍く痛い。
妹に投げられ、固められ、絞められた。それから。妹が無理やり襲われる想像を話し、吐きかけて、明日の約束をした。
俺はいったい、どっちにショックを受けているんだろう。投げられた方か、あんなことを言った方か。
それは俺の、最近の悩みに関係することでもあった。
う〜〜〜ん。
悩んでいる俺を尻目に、妹がポシェットから紙切れを一枚取り出した。
「勿論、お礼はします。どうぞ」
「ん? えーと……これ、映画のペアチケットじゃないか」
「今月まで有効です。勉強ばかりでは気が詰まるでしょうし、暇を見つけて好きな相手と行ってください」
「いや、別にわざわざこんなもん貰うほどじゃないって。付いていくだけだし」
「私は正当な依頼をし、兄さんは代価を受け取る。それが社会のルールです、遠慮なく」
「大体、こんなもの貰っても一緒に行く相手なんかいないぞ、俺」
「使い方まで私は関知しません。受け取ってもらえればそれで結構です。建設的に、両方収まる方法を考えてみたらどうでしょう」
「う〜ん」
俺は要らないって言ってるのに、頑固な奴だ。
けど、もうチケットは買ってしまってるし、今月までだし。けれど妹の金で楽しむっていうのも兄としてどうなんだろう。
で、両方収まる方法、となると……おお、あったあった。俺にも優香みたいな論理的思考って奴が身についたのかも。
「じゃあ優香。部活が休みの時にでも、一緒に見に行くか」
「妹以外に誘う相手がいないなんて、兄さんは本当に甲斐性がないんですね」
「うるさいなっ!」
「まあ、構いませんよ。どう使うかはそちら次第ですから」
嬉しそうでも嫌そうでもなく、淡々と優香は頷いた。
やれやれ、頑固な妹を持つと兄は苦労するなあ。
「何かバカなことを考えていませんか、兄さん」
「んー。いやいや、なんでもないぞ。というか、いきなりバカ扱いは酷いぞ」
「違いましたか? ああ、そういえばそろそろ御風呂が沸きますから、入って来たらどうですか」
「ん? あー、でも今は勉強してるし優香先に入っていいぞ」
「お断りします。兄さんが私の残り湯を飲んだら不快ですから」
「ぶふっ、するわけないだろっ!」
「冗談です。今からすることがあるので、お先にどうぞ」
「んー。わかった。じゃあ一番風呂貰うよ」
「はい」
122未来のあなたへ3:2008/12/09(火) 18:59:26 ID:TC1OyeSP


熱い湯を張った風呂桶に、ゆっくりと体をつけていく。熱さがじわじわと体を上がっていき、押し出されるように声が出た。
「ふ〜〜〜〜……」
この季節の風呂は格別だ。冷えた体が芯から温まる。
鼻まで潜ってぶくぶくとしてみる。熱いのですぐにやめた。
「いちち。部屋で投げ飛ばすなよ、優香の奴」
いまだに鈍痛の残る背中を、湯の中でゆっくりと伸ばす。痛みがほぐれていくように取れていった。
に、しても驚いたなあ……
投げと固めを食らったことを思い出す。これでも俺は男だし、部活で結構鍛えてた。それを簡単に抑え込むとか、柔道部に入って半年とは思えない。
まあ、優香が部活に打ち込んでいるのはよく知っている。朝練も毎日欠かさず出ているし、よく居間で薄着になって筋トレしてるし。
随分たくましくなったなあ、ほんと。母さんなんかは女の子が、なんてよく愚痴ってるけど。
それでも、優香は男には勝てないと言っていた。
まあ勝てないかどうかはさておき、他の男にあんな真似をするというのもちょっとなあ、と右頬を撫でる。
妹の胸が当たっていた頬だ。
一瞬で落ち込んだ。反省し、ぶくぶくと湯船に沈む。
これが、ここ最近抱えている悩みの種だった。

変な話になるけれど、最近優香を意識することがある。
妹としてではなく、異性として。
……溜まってんのかなあ、俺。
夏、友達と一緒にプールに行った時が最初だったと思う。優香が大胆な水着を着てきて、一緒にウォータースライダーで滑りまくった。
まあそれは晶ちゃんのための作戦だったわけだけど、ずっと肌をくっつけていて……何でか、勃った。
なんでだろう。とりあえず、パッドを入れて増胸してたみたいだけど、それは関係ないような気がする。
まあ……そもそも、優香と肌を合わせるということ自体、憶えている限りでは初めての経験なのだ。お風呂だって一緒に入った覚えはない。
男友達の話を聞くと、妹なんて家の中ではだらだらしてるし可愛くなんて何ともない、ということだけど。俺は少なくとも、妹のそんな姿を見たことはない


優香の考えていることなんて全然わからないし。そういう意味じゃ、俺にとって優香は、家族と言うよりももっと遠い存在なのかもしれない。
昔から、そんなことを何となく感じていて。どんなに冷たく当たられても、兄であろうと心がけてきたけど。
優香はやっぱり俺には心を開いてくれなくて。それが時々、寂しいと思う。
そういえば……さっきの優香は、泣いていたんだろうか。
俺を固めて、男に襲われたらどうするんだと訴えていたとき。立ち上がりざま、服の袖で目尻をぬぐっていたような気がする。
まあ、ゲロするときは何故か涙が出るから、不思議な話じゃないんだけど。
優香は本当に、男に襲われるのが吐くほど嫌だったのだ。いや、それは誰だってそうだけど。
手紙で呼び出されることから、そんなことを連想するほど……たぶん、男というものが怖いんだろう。
優香はいつもそんな恐怖を抱えてきたんだろうか。だから、いつも俺を同行させたんだろうか。
妹が俺に冷たいのは、その恐怖をまた俺にも抱いているから何だろうか。
「……けど、それで俺もチンコ大きくさせてんだもんなあ」
何でなんだろう。自分をぶん殴りたい。ぶくぶく。
確かに優香は可愛い。美人だし、髪はさらさらだし、目は綺麗だし、声は落ち着いているし、体型もすらりとしている。まあ胸は小さいかな。
世間一般的に可愛いし、俺も可愛いと思う。
最近は、たまに一緒に出かけると。すごくめかし込んできて、ドキッとすることもある。
けど……俺が優香に欲情してどうするんだ。しんとうめっきゃく、しんとうめっきゃく……ふう。
やっぱり溜まってるのかなあ。とりあえず、風呂出たらエロ本で一発抜こう。
でも優香の奴。俺が卒業したらどうするんだろう。男の欲望から、ちゃんと自分を守っていけるんだろうか……心配だなあ。
ぶくぶく。
123未来のあなたへ3:2008/12/09(火) 19:00:15 ID:TC1OyeSP

「あ〜。クラクラする〜」
風呂上がり。
考え事をしていたせいで、すっかり茹で上がってしまった俺は。シャツとパンツだけで脱衣所を出た。あー、空気が冷たくて気持ちいい。
居間では、優香がタンクトップにズボンという格好で腕立て伏せをしていた。おお、がんばってるなあ。
「ゆーかー、でたぞー」
「……間の抜けた声ですね。またそんな格好で歩き回っているんですか。恥という文化を知らないんですか」
「いや、ちょっとのぼせちゃってさ。あー、すずしー」
「とにかく兄さんの下着姿なんて見苦しいだけです。さっさと着替えてください」
「いいじゃん、優香だって薄着だろ」
「なんですか。兄さんは私の薄着をじろじろ鑑賞するために、自分も薄着で来たのですか」
「ばっ。そんなこと言ってないだろ!」
なんか最近、優香はこの手の返し方が多くなった気がする。
だから意識してしまうのか、妹相手に意識してしまう俺がおかしいのか。きっと後者だ。
「とにかく、親父達が帰ってくる前に入っておけって」
「ふう……そうですね。では」
腕立て伏せを終え、優香がポニーテールを振って立ち上がる。うっすらと汗の浮かんだ肌が、光を反射してきらきらとしていた。
……って、やれやれ。だからそういうところを見てるから嫌われるんじゃないか。しんとうめっきゃく。
妹は着替えを持って風呂に入っていった。今の内に、俺もエロ本で抜いておこう。それから勉強だ。


124未来のあなたへ3:2008/12/09(火) 19:00:52 ID:TC1OyeSP

湯船に入ってから。洗濯機の中にあったトランクスをくわえる。
いただきます、兄さん。今日の恵みに感謝します。

もしゃもしゃもしゃもしゃ

つーんと、頭が芯から痺れた。鼻腔いっぱいに広がる、生臭い雄の体臭。
生地を傷つけないように、兄の下着をゆっくりと噛みしめる。
兄の直後に入浴し、下着の臭いと味を楽しみ、出る際に戻しておくのが最近の日課だった。これなら交換下着を用意することなく毎日楽しめる。

ちゅぱ ちゅぱ ちゅぱ

今日はいつもと味が違った。小水のアンモニア臭と、汗の塩辛さ。それから、一際生臭い。精液。先走りと、ほんの少しの精液の味だ。
あは。兄さん、やっぱりさっき、勃起してたんですね。
兄さんは気付かなかったかもしれませんけど。縦四方固めのとき、固くなったおちんちんがお尻に当たっていたんですよ。私もすごく濡れました。
兄さん、兄さん、兄さん。
私を女として、雌として意識してくれたんですね。
一次作戦Bは順調に進行中。
今まで全く行ってこなかった肉体的接触の増加。
特定のイベント時に着飾ることによって驚かせること。
男性に対する性的恐怖を訴え、庇護を求めること。
全て、意外性。
兄の中で堅く硬く凝り固まった、妹という固定観念を破壊するための意外性。
榊優香は、榊健太にとって確かに妹なのだが、しかし同時にSEXの可能な女である、という概念を植え付ける。
嗜好への間接的な干渉は、成果が大きい代わりに効果が不確実で不透明だったけど、確かに効果が上がっていることが確認できた。
嬉しい、嬉しい、嬉しい。
今は性欲に引きずられているだけでしょうが。いずれ、兄さんの理想そのものを私に書き換えてあげますから。
そうすれば、二人とも幸せですよね。

じゅる じゅる じゅる

ああ、美味しい、美味しいですよ、兄さん。
男と女に力の差があるというのは本当です。男が本気で襲いかかってきたら、非力な女性は多少の技術があっても簡単に負けてしまう。
だから、ちゃんと私を守ってください。兄さん。
兄さん以外の男なんて、吐くほど嫌なんです。あの嘔吐は本当です。想像だけでも耐えられない。
だから、もしも私が兄さん以外の男に襲われたら。
そのときは、目とか喉とか股間とか小指とか、ちゃんと狙いますから。ナイフとかスタンガンとか警棒とか寸鉄とか、ちゃんと使いますから。
兄さんだけなんですよ。私の処女を破っていいのは、兄さんだけなんですよ。

ずーずずずずずずずず……

ごちそうさまでした、兄さん。今日も美味しかったです。
125未来のあなたへ3:2008/12/09(火) 19:02:37 ID:TC1OyeSP
以上です。
改行が一部変になってしまいました。申し訳ありません。
できればまとめ時に直してもらえないでしょうか。
126名無しさん@ピンキー:2008/12/09(火) 19:23:15 ID:wvIe+Jo3
>>125
このキモウトまじでキモいな(褒め言葉)

GJ!
127名無しさん@ピンキー:2008/12/09(火) 19:36:00 ID:dXsmbdob
キモウトの戦闘力が凄い勢いで増している
GJ!
128名無しさん@ピンキー:2008/12/09(火) 19:40:06 ID:R6Irzc1G
兄にあれだけ言っといて最低なキモウトだなw(良い意味で)
129名無しさん@ピンキー:2008/12/09(火) 19:56:56 ID:XexPh7a/
初めの行動計画のくだりにものすごい興奮を覚えたGJ!
130名無しさん@ピンキー:2008/12/09(火) 20:15:42 ID:vdVFZT2h
GJ!
>>115-117を読んでてキーボードを叩く音がリアルに聞こえてきた
131名無しさん@ピンキー:2008/12/09(火) 21:20:47 ID:bMWE8pOi
GJ

本当にキモイな〜妹(もちろんいい意味で)
132名無しさん@ピンキー:2008/12/09(火) 21:55:01 ID:H52Ab4rz
キモォォォォイ!
いやもうホントキモイ……だが…素晴らしい。
133名無しさん@ピンキー:2008/12/09(火) 22:16:28 ID:ytr1Hv7b
GJ!
これほどキモいという言葉が褒め言葉になるキモウトがいただろうか…
134名無しさん@ピンキー:2008/12/09(火) 22:47:02 ID:sNZ900S9
これは素晴らしい。続き期待しています
135名無しさん@ピンキー:2008/12/09(火) 23:15:21 ID:Co4Xe1Ib
すげぇ…これがキモイということか。

と、ここで一つネタ紹介。上の方で話題になってる結婚についての法的ネタ
ttp://www.takaoka.ac.jp/zatsugaku/index.htm の、「インセスト・タブーの謎」が
結構面白く、参考になるので興味あるかたはごらんあれ。
近親結婚禁止の範囲は国によって異なり、日本ではOKの「養子と実子のカップル」も
イタリアでは不可だそうな。イタリアンキモ義理姉が、観光旅行と弟を騙して来日、即座に
成田市役所に駆け込んで婚姻届…なんてパターンが成立するかも。
136名無しさん@ピンキー:2008/12/10(水) 00:09:53 ID:fz/kJITS
>>86
遅れたがGJ
キモ姉妹のどちらも当の本人の意思を無視しているところが
実にイイ! MOTTO MOTTO!!

>>125
これは上質なキモさ
なんとおいしそうにおにぃのパンツ食べるんざんしょ
GJです
137名無しさん@ピンキー:2008/12/10(水) 00:33:45 ID:v4tZLGm7
GJ
四方固めハァハァ
138名無しさん@ピンキー:2008/12/10(水) 00:40:43 ID:k0zY6avj
俺の両親は従姉弟で結婚してるんだが血が濃くなるなんて嘘だろ
だって俺はこんなに健常者だぜ?
139名無しさん@ピンキー:2008/12/10(水) 01:02:31 ID:yHjhaqaT
キモ姉妹が好きな時点で異常です
140名無しさん@ピンキー:2008/12/10(水) 01:26:35 ID:5rpmPDiZ
ノスタルジア待ち
141名無しさん@ピンキー:2008/12/10(水) 01:49:42 ID:ouo9KuLa
>>138
兄妹で作った子供は70%の確率で天才、美系、80%の確率で池沼、30%の確率で奇形らしい。
本で見たことある
142名無しさん@ピンキー:2008/12/10(水) 01:58:59 ID:+ESpHNss
>>141
そのりくつはおかしい
143名無しさん@ピンキー:2008/12/10(水) 02:58:37 ID:zVEstTDq
きのう寒風の中ふと気付いたんだ
もうクリスマスなんだなって
うらやましいとかそんなわけじゃないんだけど、街を歩く恋人達を見て、どうかと思ったよ
とんでもない連中で、恥じらいとかそういうものが何も無い
スキーだのスノボだのなんとかランドだのに行く予定を語りながら、公衆の面前で抱き合ったりキスしたり
レズカップルもいたりして、そいつらも羞恥心とか一切無しで乳繰り合ってる
はかない世の中だと思ったね
神様の悪戯のせいで愛していても表立って愛せない人が居る一方で、これだけおおっぴらに愛し合ってる奴らが居る
のぞまぬ血縁に縛られて苦しんでいる姉妹はこうはいかないよ
集団の面前ではもちろんのこと、愛するその人にすら自分の想いを明かせない
うそで自分を塗り固めて生きていくしかない
園児にも学生にも大人にもわからない苦しさを味わい続ける彼女達のためにも、クリスマスは廃止するべきだと思うんだ
144名無しさん@ピンキー:2008/12/10(水) 06:05:08 ID:Bz5G359b
>>143
その小さな脳みそでよく頑張ったね
偉い偉い
145名無しさん@ピンキー:2008/12/10(水) 07:20:33 ID:h8A7fpm3
>>138
近親婚=異常、というのは必ずしも当てはまらず、疑問視する意見もある。
ただ、白血球パターンなどの多様性がなくなり病気等に感染しやすくなるというのはあり、
ある意味死にやすいというのはあるかもしれない。
でも、ひたすら近親婚を繰り返している家系ならともかく、
普通に従姉弟同士の子ではさして気にする必要もない。
146名無しさん@ピンキー:2008/12/10(水) 09:36:41 ID:WAwPEmcI
>>143
お前大丈夫か?
147名無しさん@ピンキー:2008/12/10(水) 09:58:47 ID:FuRxayz2
>>143は純粋よ
148名無しさん@ピンキー:2008/12/10(水) 11:03:33 ID:uWmwfT9i
>>143は姉と弟がくっついてしまってやっかんでる妹
149名無しさん@ピンキー:2008/12/10(水) 12:05:47 ID:UqfmIDX8
妹(姉)が兄(弟)の下着奪取とか食料に体組織混入etcとか見てもキモいと思わなくなってしまった
それがキモ姉・キモウトという存在にとって当たり前・普遍的行為という事
俺はこのスレに馴染み過ぎてしまったのだろうか
150名無しさん@ピンキー:2008/12/10(水) 12:24:04 ID:eORI3Y52
刺激に馴れてしまうとより強い刺激を欲する…
151名無しさん@ピンキー:2008/12/10(水) 12:55:11 ID:LT4lXRnj
こんなん見つけた
「キモウト@ウィキ」
ttp://www1.atwiki.jp/kimouto/
152名無しさん@ピンキー:2008/12/10(水) 13:02:23 ID:NI3wv2Jo
宣伝乙
153名無しさん@ピンキー:2008/12/10(水) 16:38:15 ID:5fdd8Ccc
こういうのやめろよな・・・
全然キモウトじゃないのばっかりだし、ツンデレやヤンデレみたいに誤解されそうだ
154名無しさん@ピンキー:2008/12/10(水) 22:34:01 ID:I2EGWJRt
ヤンデレのことを最初「ヤンキーデレデレ」と勘違いしてたのは俺だけではないはずだっ・・・・・・!
155名無しさん@ピンキー:2008/12/10(水) 22:34:30 ID:mTGQUTEG
それはない
156名無しさん@ピンキー:2008/12/10(水) 23:25:00 ID:43bg6XOM
そもそもヤンデレとは何かよく分かっていない俺もいる。おかげで
「キモ姉妹とは近親+ヤンデレが基本だ」と言われてもその通りに書けない。
157名無しさん@ピンキー:2008/12/11(木) 00:08:06 ID:YVk4iDrA
えっと・・・なぜここにいるんだい?
158名無しさん@ピンキー:2008/12/11(木) 00:36:46 ID:MhmFtNne
>>156は一人っ子じゃないんだ………
あとはわかるな
159名無しさん@ピンキー:2008/12/11(木) 01:23:56 ID:PzhTzYfN
つまりリアルキモウトがいる>>156が実体験を書いてくれるんですね?分かりますよ!
160名無しさん@ピンキー:2008/12/11(木) 01:25:03 ID:6ZIBOkPd
まとめサイトで『お嫁さん』とか検索してるところを目撃されたいようなされたくないような
161名無しさん@ピンキー:2008/12/11(木) 01:45:59 ID:v5k7VGpi
>>156の行動はキモウトによって監視されています
162名無しさん@ピンキー:2008/12/11(木) 02:18:51 ID:Lo9Nd1Eo
投下しようと思いきや、未来のあなたへの職人さんがうますぎて躊躇ww
推敲して今月中に投下します。
163名無しさん@ピンキー:2008/12/11(木) 03:36:26 ID:7hoPabWm
誘い受けはお腹いっぱいですので次の話題へ行ってください
164名無しさん@ピンキー:2008/12/11(木) 04:10:31 ID:HnNPpLZN
おっぱい…おっぱいッ!
165名無しさん@ピンキー:2008/12/11(木) 05:43:13 ID:I2ZFdptu
ちっぱい!
166名無しさん@ピンキー:2008/12/11(木) 17:26:21 ID:OU4XKEyE
神様「お前はとってもキモいので、特別な力を授けよう」

妹「やった! それじゃあ神様、オナホールに変身できる力をください!」
167名無しさん@ピンキー:2008/12/11(木) 17:31:35 ID:5C/jlaQf
>>166
それで東名にでもされたら10回以内にポイの運命…
168名無しさん@ピンキー:2008/12/11(木) 18:27:58 ID:OU4XKEyE
オナホに変身して中出しされた後に変身を解いて、
「これで、お兄ちゃんの赤ちゃん妊娠しちゃうね♪」
とかやりたかった妹だが、フレラ(貫通型)に変身してしまい失敗。
169名無しさん@ピンキー:2008/12/11(木) 23:54:04 ID:EaprQ4cW
オナホに変身ってヘビお姉ちゃんじゃないか!
もう知ってると思うがヘビお姉ちゃんの新作来てたぞ
170名無しさん@ピンキー:2008/12/12(金) 01:30:58 ID:nanpSRV6
キモウト菌をついに完成させた。

あとはこれを使い……

妹をキモウトにする。
171名無しさん@ピンキー:2008/12/12(金) 01:52:05 ID:5YSQXMAi
>>170
危険だからそのシャーレは俺が預かっておこう
172名無しさん@ピンキー:2008/12/12(金) 02:05:02 ID:YKTqTial
どうせなら地下鉄に散布してやれ! 
後にヒト姉妹近親発情ウイルスと名付けられる事になるとは>>170も予想しえなかった。

感染人口は未確認だが4500人以上だと思われる。
173名無しさん@ピンキー:2008/12/12(金) 04:09:15 ID:7/RW31B/
数多の人が入り乱れる地下鉄に撒いて、感染者がたったの4500人程度とはどう考えても計算が合わない……
ハッ!!まさか政府は情報統制を布いているのか?!
こうしてはいられない!
一刻も早くこの恐るべき新種のウィルスに関する情報を収集し、世間に公開しなければ手遅れになる……
ということで留守は頼んだぞ、姉さんと妹!
174名無しさん@ピンキー:2008/12/12(金) 04:21:36 ID:MDrPV9nD
>>169
まじ? どこで読める? 
175名無しさん@ピンキー:2008/12/12(金) 07:37:34 ID:fMfU0uwe
>>174
擬人化した狂暴な♀動物が逆レイプするスレなんだぜ
176名無しさん@ピンキー:2008/12/12(金) 12:13:54 ID:9epcni6s
ロボット・アンドロイド萌えスレに、なかなか良きキモ姉が。
177名無しさん@ピンキー:2008/12/12(金) 18:25:43 ID:8/22eq5c
「……!!」
「……!!」
俺の姉と妹が論争を始めたようだ。

仲が良いか悪いか身内の俺ですら分からないが、二人は些細な事で言い争う。
この前は『年上妻と年下妻のどちらが夫に相応しいか』、昨日は『ギャルゲーの姉妹ヒロイン、どちらが優先されるべき』。
……いやはや、よくもまあ(馬鹿)ネタの尽きないことだ。


さて本日のお題は…

「ギリシャ神話こそが世界で一番よ!!」
「日本神話なの!!」
おっ、久しぶりにまとも?な論争らしい。


「主神ゼウスは姉のヘラと結婚して天界を統べるのよ、ギリシャ神話こそ一番!!」
「妹のイザナミと多くの子供を設ける日本神話が一番よ!!」
…訂正。本日もまたいつものパターンだった。

そしていつものように俺に結論を求め、体を密着させる姉妹を俺はこう呼ぶ。


このキモ姉妹どもめ!!
178名無しさん@ピンキー:2008/12/12(金) 23:35:05 ID:AIPO/1Ks
>>177
ギリシャにはかなわないなw
だが日本人は昔からHENTAIだったことに感心した!
179名無しさん@ピンキー:2008/12/12(金) 23:43:52 ID:jR4UuDYf
日本神話はよく見ると実はギリシャ越えてる部分もあるかもしれない
スサノオの姉レイプ→孕ませとか、スサノオのマザコン化→ニート化とか、アマテラスの引きこもり化とか。現代日本を構成する要素がたくさんある。
しかしイザナミたん萌えは揺るがない。
180名無しさん@ピンキー:2008/12/13(土) 14:09:37 ID:52b2KBF/
美神も岐神も事戸のときに「愛しいあなたよ」って言ってから
「青人草を1000人殺す」、「産屋を1500建てる」って言い合っている
同じ世界に住めないけども関係は絶たれていないってのがいいよね

須神レイパー説ってあの「天照大御神、坐忌服屋而、令織神御衣之時、
穿其服屋之頂、逆剥天斑馬剥而、所墮人時、天衣織女見驚而、
於梭衝陰上而死」のところの「織女」が大神で、「梭」が須神の一物の隠喩だという説?

宇気比は賭けのような占いの事だから、あれは近親婚には入らないよ
須神も神生みしてるし
181名無しさん@ピンキー:2008/12/13(土) 18:58:48 ID:lbJn/VQj
イザナミはキモウト、アマテラスはキモ姉と信じて疑わない俺が一つ小ネタ投下。


あるところにお父さんとお兄ちゃん、そして双子の妹達のいる家がありました。
双子の妹たちはとびきり可愛く、とびきり賢い妹たちで、二人ともお父さんとお兄ちゃんの誇りでした。
ですがお父さんとお兄ちゃんは知りませんでした。
双子の妹は、それぞれお父さんとお兄ちゃんを酷く愛している、キモウトとキムスメだったのです。

「お父さん」「お兄ちゃん」「「これで私達、本当に身も心も繋がった家族だね」」
お父さんとお兄ちゃんを飲み込んだキモ双子の可愛らしい花弁からは一筋の血が流れ、同じように可愛らしい顔は痛々しい花弁に相反して、幸せそうに歪んでいました。
「やめっ……離れろ美奈!俺達兄妹だろ!」
「茉奈!いい加減にしろ!」
睡眠薬と怪しい薬を夕食に盛られたお兄ちゃんとお父さんは必死に二人を止めますが効果はありません。むしろキモ双子の愛欲を煽ってます。
「やだよっ!お兄ちゃんは美奈だけのお兄ちゃんなんだからぁっ!お兄ちゃんのおちんちんは美奈だけ孕ませるためのおちんちんなんだからぁっ!」
「お父さん、もし今やめたら父親にレイプされた。って通報しちゃうよ?お父さんは犯罪者になるのイヤでしょ?」
「……お前たちが全うな道を進むなら、俺は犯罪者でも構わん……っ!」
お父さん、かっこいいです。
ですがキモ双子には何を言っても逆効果でした。
「大丈夫っ、お父さんは、犯罪者になんか、しないよっ!ずーっと、ずーっとっ!茉奈が側にいてあげるよっ!」
「お兄ちゃん!美奈のおなか、お兄ちゃんのこと大好き大好きってすっごくあっついんだよ!お兄ちゃんのおちんちんですっごく喜んでるんだよ!
もっとあっつくして!美奈がっ!うれしくてっ!しんじゃうくらいぃぃぃぃぃっっっっっ!!!!」
「ほら、お父さん、私のシキュウも、お父さんのあっつい精子で、私を作ったお父さん精子で愛娘のシキュウいっぱいにしてぇぇぇぇっっ!!」
双子の妹たちはほぼ同時に達しました。
それにつられてお父さんとお兄ちゃんもキモ双子の中へ、彼女達が待ち望んでいた生命の素を注ぎこんでしまったのです………


「茉奈ちゃん、やったね。これでやっと美奈に注がれるべきお兄ちゃんせーしが注がれたよ」
「うん……おなかの中でお父さんのせえし、私のあつあつたまごと合体してるんだって考えると………〜〜〜っっ!!」
あ、茉奈ちゃんまたイきました。よっぽど嬉しいんですね。
「ねぇ茉奈ちゃん、これ、すっごく役にたったね」
「うん、美奈。天国のお母さんが私達のために残してくれたこれ。お父さんなんかまた引っ掛かっちゃってたよね」




「「弟くんお婿さん計画ノート」」


どうやら双子のキモ属性はお母さんの遺伝みたいです。
182名無しさん@ピンキー:2008/12/13(土) 19:42:05 ID:G/1zF5c3
>>181

GJっす!
これわ良い家族構成
183名無しさん@ピンキー:2008/12/13(土) 20:07:39 ID:be8XiPa2
日本人はまじめってイメージがあるけど実は変態だったのね
184名無しさん@ピンキー:2008/12/13(土) 20:14:06 ID:ZzN3elto
たとえ変態の道でも大まじめに突き進みます。
185名無しさん@ピンキー:2008/12/13(土) 20:30:42 ID:DQ5FCOO5
脅しにも屈しないお父さんが素敵。
186名無しさん@ピンキー:2008/12/13(土) 21:14:46 ID:EgRBOcQ5
お父さんまじカッコヨス
187名無しさん@ピンキー:2008/12/13(土) 22:03:35 ID:oTu1GvpB
父娘はきついッス
188名無しさん@ピンキー:2008/12/13(土) 22:40:35 ID:Je2vRo/u
キムスメw
189名無しさん@ピンキー:2008/12/13(土) 23:21:40 ID:3mA9clyK
日本は元々ムラ社会だし。
ムラ社会だから、よそ者を拒み、その土地の者で生活している。
しかも夜這い文化があるから、年頃の男が年頃の女のところにいく。
そうやって子どもが出来るが、女のところには何人もの男が夜這いにいっているから誰の子かわからん。
夜這いに行った者で適当な者が選ばれて女と結婚する。
それでも、ムラ社会でみんな親戚なので、元々血が近いからさして問題なくうまくいく。
近親が悪いと言い出したのは、文明開化以後でしょ。
190名無しさん@ピンキー:2008/12/13(土) 23:24:12 ID:KUQ9pXLk
>>188
キ×××娘みたいやね
191名無しさん@ピンキー:2008/12/13(土) 23:51:09 ID:nFgQUTXb
キンタマ娘
192名無しさん@ピンキー:2008/12/14(日) 00:41:05 ID:e+zzIGz7
>>181
イザナミってイザナギだかを喰ったんだっけ?
カニバリズム的な意味で
193名無しさん@ピンキー:2008/12/14(日) 02:16:51 ID:f+TKwaMJ
また失敗した…もう俺はだめだ
194名無しさん@ピンキー:2008/12/14(日) 02:38:03 ID:dmoyOD/I
娘スレに来れば幸せになれまっせw
195名無しさん@ピンキー:2008/12/14(日) 16:20:03 ID:MGMx8MuK
全盛期のキモ姉伝説
・キスしただけで妊娠、手を繋いでつわりが来たことも
・弟くんが胚の段階で婚姻届にサイン
・泥棒猫の返り血を一滴ずつ避けながら弟くんへモーニングコール
・外国へ逃げても、行き先の空港でお出迎え
・学年が違うのに隣の席は姉
・教師として壇上に立ったことも
・あまりに出没するのでワンマンシスターのライセンスを国からもらった
・弟くんの鉛筆に嫉妬して、製造会社を襲撃
・キモ姉集団でスパイ衛星を打ち上げ
・閻魔帳を改ざん

案外普通…
196名無しさん@ピンキー:2008/12/14(日) 16:31:38 ID:2yS5i9aj
>>195
巻田の改変wwwwww
197名無しさん@ピンキー:2008/12/14(日) 16:48:23 ID:rSDy0z85
閻魔帳の改竄……!?
198名無しさん@ピンキー:2008/12/14(日) 16:53:08 ID:WyERyh2g
まさか地獄の閻魔様を締め上げて、死後も弟と同じ所に行くように…
199キモ双子の作者:2008/12/14(日) 18:49:21 ID:vvjjNtRj
>>194
むしろあのスレのROM専だったりします
200名無しさん@ピンキー:2008/12/14(日) 21:37:27 ID:+msbHQwC
キモウトから逃れるため全寮制の男子校へ入学した兄
だが翌年の春、寮で兄と同室になった新入生の美少年は
実は男装したキモウトだった!

キモウト   「今夜から毎晩、同じベッドで寝ような、ア・ニ・キ♪」
兄の同級生A「男子校でホモってマジ洒落になんねーし」
兄の同級生B「オマエとは短いつき合いだったが、これで縁を切らせてもらうわ」
兄の同級生C「というかエンガチョ♪ 二度と話しかけてくんなよホモ野郎♪」
不幸な兄  「いや待て誤解! こいつ実はオンナ! というか妹だし!」
兄の同級生D「嘘でももっとマシなこと言えよ(笑) 妹と一緒に寝るのも充分ヘンタイだろ(笑)」


『花ざかりのキモウトへ』 〜HAPPY END(キモウト的に)〜
201名無しさん@ピンキー:2008/12/14(日) 21:40:13 ID:zzgAnyX1
おい!擬人化逆レスレで、ヘビお姉ちゃんやってるじゃねぇか!
どうして誰も知らせてくれなんだ。
202名無しさん@ピンキー:2008/12/14(日) 21:43:42 ID:6HOUnj6a
作者本人が言ってたぞ
203名無しさん@ピンキー:2008/12/14(日) 23:27:45 ID:uExbqDfM
>>195
>・外国へ逃げても、行き先の空港でお出迎え
怖いwwwww
204名無しさん@ピンキー:2008/12/15(月) 00:45:53 ID:zOeTTK3o
>>200
その発想はなかった
205名無しさん@ピンキー:2008/12/15(月) 00:58:06 ID:eTkRvntk
書いてるんだけどさ、みんなは兄貴視点と妹視点どっちの方が好き?
206名無しさん@ピンキー:2008/12/15(月) 01:08:05 ID:02H6ItPE
一粒で二粒美味しいという言葉があるように、迷ったら両方書けば良いと思う
二つの描写で苦労も二倍といわず書いて下さい
207名無しさん@ピンキー:2008/12/15(月) 02:49:52 ID:MIMTRKqZ
なんで三人称にすれば?と言ってやらないwww
208名無しさん@ピンキー:2008/12/15(月) 10:11:32 ID:Xx4izaWo
>>205
キモウトの脳内描写を濃厚に書いてください
209名無しさん@ピンキー:2008/12/15(月) 13:36:31 ID:X/ibCiny
とりあえず作者さんたちを応援

個人的にはノスタルジアが早くきてほすぃ
210名無しさん@ピンキー:2008/12/15(月) 22:16:56 ID:TaWnL2R6
とりあえずキモウトたちを応援
個人的にはお兄ちゃんをねっとり監禁してほしい
211名無しさん@ピンキー:2008/12/15(月) 22:21:35 ID:ZTRrpsyg
とりあえずキモウトたちを応援
個人的にはお兄ちゃんをねっとりエロエロ監禁してほしい
212名無しさん@ピンキー:2008/12/15(月) 23:24:25 ID:gLKmcx9U
とりあえずキモウトたちを応援
個人的にはお兄ちゃんをねっとりエロエロラブラブ監禁してほしい
213名無しさん@ピンキー:2008/12/15(月) 23:35:32 ID:zImN/+BB
とりあえずキモウトたちを応援
個人的にはお兄ちゃんをねっとりエロエロラブラブニャンニャン監禁してほしい
214名無しさん@ピンキー:2008/12/16(火) 00:05:11 ID:iEMhZsks
とりあえずお兄ちゃんを応援
個人的にはお兄ちゃんを解放してほしい
215名無しさん@ピンキー:2008/12/16(火) 00:39:20 ID:XOsA3cpx
>>214
こんな所にいたの、>>214お兄ちゃん?
全くもう!勝手に家から出ちゃダメだってあれほど言ってるのに……
でもお兄ちゃんのいる所なんてすぐに分かっちゃうんだから!
愛の力の前には全て御見通しです。
分かったらさっさと私達の愛の巣へ帰るよ!
今度はもう絶対に逃がさないんだから……
216名無しさん@ピンキー:2008/12/16(火) 07:56:45 ID:w0mIa66c
キミョウトってあれだよな…

兄の勃起チンポを見るとハレグゥのダマのように4足歩行で襲ってくる妹の事を言うんだよな
217名無しさん@ピンキー:2008/12/16(火) 13:56:14 ID:MtpUkyHQ
キモウト…キモい妹
キモオタ…キモい俺
キモオト…キモい弟
キモウソ…キモい妄想



仲間外れはどーれだ?
218名無しさん@ピンキー:2008/12/16(火) 15:02:46 ID:3s3nbuGT
>>217
キモ姉

さてクリスマス1週間前、計画も大詰めといった所でしょうか
219名無しさん@ピンキー:2008/12/16(火) 18:11:20 ID:LVkvT/uq
クリスマスとか
姉さんも妹もいないからあんまり関係ないなぁ
久しぶりに人と関わってみるかな
220名無しさん@ピンキー:2008/12/16(火) 20:46:53 ID:fz6Kwpxq
>>219
騙されるな
クリスマスは姉や妹とすごす日ではない
クリスマスは恋人とすごs
221名無しさん@ピンキー:2008/12/16(火) 21:57:08 ID:Uli+sPRf
クリスマスは恋人と過ごす。
そんなの当たり前だよね。

だから、ずっと私と過ごしてきたんだから。

今年は他の人と過ごしたいなんて…
そんなの有り得る訳ないじゃない。

今年もお兄ちゃんは私と一緒だよ。


そう、
”永遠”に、ね!
222 ◆.DrVLAlxBI :2008/12/17(水) 00:35:58 ID:xihrhaXe
投下させていただきます。
223 ◆.DrVLAlxBI :2008/12/17(水) 00:36:28 ID:xihrhaXe
『蝶変態超変態』

「ヒロ、お前はいつまでもあたしの下僕なのよ!」

姉に関して思い出すのは、辛いことばかりだ。
冒頭のセリフが俺の姉の酷さを象徴しているだろう。俺の姉は尋常ではないほどの俺様主義であり、俺は姉に逆らえたためしがなかった。
男なら腕っ節は上だろうと何度も人からは言われたのだが、姉は凶悪なまでの俊敏さと、その源である脚力をふんだんに使用したキックによって俺のささやかな反抗すら過剰鎮圧した。
曰く、「姉たるあたしに下僕(=弟)程度のあんたが逆らうとは、いつからあんたは戦国大名を気取るようになったのかしら? 日本史の教師が悪影響なのかしらね。あのハゲが……あたしの下僕に何を吹き込んだのかしら」
日本史の先生ごめんなさい。カツラはバレバレですが、俺はあなたの教育は偉大だと思っています。
とにかく、そんなこんなで理不尽に姉に下僕あつかいされ、俺の少年時代は抑圧とともに歩んだ歴史だったのだ。
俺は主張した。俺曰く、「友達の家に行きたい」「姉ちゃんの買い物長い」「荷物重い」「俺に金出させるのやめて」。
姉は反論した。姉曰く、「友達とお姉ちゃんどっちが好きなの?」「あんたはあたしに適当でダサい服を着たブス姉になってほしいの?」「男の子なんだから重いのを持つのが当然」「デートは男が貢ぐものよ」。
ああ、マイシスターよ。確かにそなたは美しかった。しかし、その美しさをたたえるのは弟たる俺ではないと思うんだ。
姉は美人だった。気の強そうなツリ目、艶のある黒髪、自信満々の笑顔、スタイルも良い。どこをとっても、男受けしそうな要素をもっている。
しかし姉はそれを特に有効活用しようとはしなかった。彼氏を作らないばかりか、男の友人を作らなかった。
言い寄ってくる男は多数いただろうに、姉はその全てを断り、中学高校の青春の時間を全て俺いじめにつぎ込んでいた。
俺は姉をなんだかんだで心配していたから、あるときこう聞いたことがある。
「姉ちゃんは、なんで俺ばっかりにかまっているんだ? 姉ちゃんだったらどんな男でもつかまえられるだろ?」
姉は小ばかにしたようにふんと息を吐き、即答した。
「下僕はあんたで足りてるわ、ヒロ。お姉ちゃんの一番好きな玩具は、あんたなのよ」
姉にとって、男とは下僕にすぎず、今の時点では俺という存在がその立場をまっとうしていて、それ以外はいらないらしい。
なるほど、俺は逃れられないのだな。そのとき俺はそう悟った。
しかし、別れというものは案外簡単にやってくるものだった。
224名無しさん@ピンキー:2008/12/17(水) 00:36:59 ID:xihrhaXe
姉は非常に頭が良かった。ゆえに、高校時代俺にばかりかまって、たいして勉強していなかったにも関わらず東大理三に合格してしまったのだ。
しかしここは京都。通うには遠すぎる。姉は一人ぐらしせざるを得ない状況に追い込まれた。
姉は行きたくないとだだをこねたが、学歴至上主義の両親は「他人を蹴落として合格したんだ。お前が行かなければ、おちた人々はもっと惨めになるぞ」ともっともらしい理由をつけて姉を追い出した。
姉は泣いて俺にすがってきた。
「ヒロ、あんたもお姉ちゃんと別れたくないでしょ! あんたからも父さんと母さんに頼んでよ!」
俺は、その時はまだ反抗期のガキだった。だから、あんな酷いことを平気で言えた。
「姉ちゃん。俺は、東京行くべきだと思う」
「え……」
「父さんの言うとおりだ。俺はあんまり頭よくないから、わかる。姉ちゃんに負けて落ちた人――たとえ一人でも存在するなら、その人のために行くべきだよ」
俺は姉より三歳下だから、当時中三の受験時期。俺は姉のような天才ではなく、偏差値は六十程度だった。それで両親に常に姉と比較されつづけて、姉に対する反抗心が溜まっていた。
だから……。
「ヒロ……あんた、なんで……あたしが……お姉ちゃんが、好きじゃないの……?」
わなわなと震えながら、姉は俺に問い掛けた。
「俺は姉ちゃんなんて……好きじゃ、ない……」
たぶん、本心じゃなかった。横暴な姉でも、姉は姉。大切な家族だったし、俺にだってそんなこと分かっていた。
でも、その時の俺は、くだらないコンプレックスから、無神経にもそう言い放っていた。
「ヒロ……なんで……なんでよぉ……」
力なく崩れ落ちる姉。

――その時、俺は姉の涙を初めて見た。
225 ◆VLzMxlQDWY :2008/12/17(水) 00:37:35 ID:xihrhaXe
それから、姉はいままでの自信家な性格はどこにいったのやら、急激に大人しくなり、両親の意見に従って東京にいってしまった。
東京に行くまでの数日間、俺と姉は一度も口をきかなかった。
今では、後悔している。あの時、何故親身になって姉の意見を聞いてやらなかったのか。なぜ、素直になれなかったのか。
東京へ行ったほうが姉の人生に良かったであろうことは事実だと思う。しかし、それを奨めるにしろ、もっと良い言い方はなかったのか。
謝りたい。ずっとそう思っていた。
そして、半年が過ぎた。この夏休みに、姉が帰ってくると母が俺に伝えてきて、俺はついに謝るチャンスを得た。
そう、今日、姉が半年ぶりに帰って来る。
今は午後五時。姉が家に到着する七時にはまだ二時間ある。両親は姉を歓迎するための御馳走を作ろうと、材料を買いに行っている。あと一時間は帰ってこないだろう。
ふぅ。俺は息をつき、考える。姉にどう言おう。
姉の姿を想像する。
たぶん、相変わらず美人なのだろう。大学生になったのだから、彼氏もできているかもしれない。そうだ、俺の分が空席だから、下僕として彼氏がいるんだ!
そう、きっとそうだ。
それなら、姉もきっと変わらない明るくて自信家な姉だろう。そう願いたい。俺程度の男の行動など、全く覚えてすらいない。そうあってほしい。
もし俺に対して何らかの嫌悪を持っていたら……。俺は、土下座でもなんでもして謝りたい。
半年前のことなど引き摺っていないだろうという楽天的な考えと同時に、姉が俺を拒絶するかもしれないという恐怖に俺は背中が寒くなる。
――あんがい、姉に依存していたのは俺なのかもしれない。
と、その時、インターホンが鳴った。だれだろう。新聞屋なら丁重にお帰りいただきたい。
玄関にさっさと歩き、扉をあける。そこには……。
「姉……ちゃん……?」
「ヒロ君。久しぶりだね……」
紛れも無い、姉の姿があった。
眼鏡をかけていて一目見た雰囲気は違っているが、間違いない。
俺の姉、澪(みお)。彼女が、帰ってきたのだった。
「姉ちゃん、随分早いんだね」
食卓の、指定席に座る姉。その感触が懐かしいのか、妙に穏やかな顔をしている。眼鏡の効果もあるのか。以前より眼力が若干緩和されている。威圧感が無い。
俺がそこに姉の好物のホットミルクを出してやると、姉はそれをふーふーしてから二口ほどすすり、一息ついてから答えた。
「うん、ヒロ君に早く会いたくて帰ってきたの」
ここで俺は違和感を覚える。
ヒロ君? 姉は俺を呼び捨てにしていたはずだ。それに、口調もなんだか柔らかい。
俺に後ろめたさを感じているのか……? だとしたら、悲しくなる。
いや、しかし、だとしても姉は勇気を出して、自分を傷つけた俺とも話をしてくれるのだ。その気持ちを無駄にしたくはない。
「ヒロ君……考え事、してるの?」
「い、いや、別に。それより、姉ちゃんが東京に行ってからのこと、聞きたいなぁ」
とにかく、気軽に会話できるようにならねば。姉も、たぶん俺との関係を修復したがっているのだ。
だから、俺も最大限、努力すべきなんだ。
「東大……、楽しいよ。ヒロ君の言うとおり、行って良かったと思う」
「そうなんだ。友達とか、できた?」
「うん、いい人がたくさんいて、みんな親切だったよ。私に、色んな知識を教えてくれて」
そりゃ、東大だ。日本最高の頭脳集団だ。当たり前だろう。やはり、両親と俺の判断は正しかった。
「生活は、苦労してない?」
「うん。バイトもしてるし、お金にも困ること無いよ……でも」
「でも?」
「ヒロ君に会えなくて……淋しかったよ……」
しゅんと眉がつりさがる姉。俺は人生最大かもしれないほどにびっくりした。
あの姉が、こんなにしおらしい女の子だったというのか? 半年の歳月は、人をこれほどまでに変えるというのか?
「な、なら、電話とかメールとかすればよかったんじゃ……?」
「そんなものじゃ、ヒロ君成分は補給できないよ」

227 ◆.DrVLAlxBI :2008/12/17(水) 00:39:43 ID:xihrhaXe
ヒロ君成分って、なんなんだ? いや、これはまさか、姉のジョークなのかもしれない。東大式というやつか。
うん、確かに成分がどうのとか、理三っぽいかもしれない。
「でも、これからは『ずっと』一緒だからね……ヒロ君」
そう言って、姉は微笑んだ。一夏の短い間だが、一緒にいられるのがそれほど嬉しいのか。
俺はもちろんただの高校生であり、一人暮らしの経験はない。だから、ホームシックという感覚はわからない。
姉は、ホームシックゆえにこんなに大人しいのだろうか。それとも、東大で性格が変わったのか。
どちらにせよ、姉は家族のぬくもりを求めている。ならば、俺はそれに答えるべきだろう。
もうすぐ父さんと母さんが帰ってくる。そうすれば、豪勢な料理を前にして、以前の姉の自信に溢れた笑顔が見られるかもしれない。
そんな期待をしていると、突如、携帯のバイブレーションが作動した。
メールだ。母さんから。「急用ができて、お父さんと一緒に実家に行かなければならなくなりました。今日は帰れません。しばらく澪と一緒に仲良く過ごしてください」。
はぁ……? 急用って、なんだよ。娘を迎えるより大事なようなんて、あるのか?
家族のぬくもりを求めているであろう姉、澪にとっては、両親の不在は致命的だろう。
これでは、何のために帰ってきたのかが分からないじゃないか。
なら、このような時、俺はなにができるのか。わからない。わからないけど、やるしかない。俺一人でも、姉を労うんだ。
「姉ちゃん、ごめん。父さんと母さん、今日帰ってこないみたいだ。料理は俺が作るけど、良い?」
「うん、ヒロ君のお料理、好きだから。それと……私も、手伝うよ」
またまた驚きだ。姉がこんなに協力的だとは。昔は、両親不在時にも俺に料理を作らせた姉が。
「いや、姉さんは新幹線にずっと乗って疲れてるだろ。大丈夫、俺一人でできるさ」
「そう、ありがとう。ヒロ君」
姉の感謝の言葉を聞けるのも珍しかった。
「じゃあ、私、部屋に荷物を置きに行くからね」
「ああ、ありあわせの材料だけど、腕によりをかけて美味いものを作るよ」
「うん、楽しみにしてるからね」
姉は重そうなカバンを持って二階に上がっていった。
俺はキッチンで料理の製作に取り掛かった。
228名無しさん@ピンキー:2008/12/17(水) 00:40:12 ID:RJqMknsH
リアルタイムGJ!
229 ◆.DrVLAlxBI :2008/12/17(水) 00:40:13 ID:xihrhaXe
我ながら見事な出来栄えの料理をさらに盛り付け、食卓に並べる。うん、本当に美味そうだ。いや、実際美味い。味見したら完璧だった。
姉も喜んでくれるだろう。そう思い、二階の姉を呼びに行く。
二階の姉の部屋の扉をこんこんとノック。しかし、応答無し。
「入るよ、姉ちゃん」
ゆっくりと遠慮がちにあけたが、中は薄暗くて殺風景。姉が入った痕跡の無い、引っ越し後からずっと同じ状態の姉の部屋。
どういうことだ。
俺が疑問に思っている間に、隣の部屋――俺の部屋から物音が聞こえた。
不審に思いながら、俺は自分の部屋――ゆえに、ノックしなくて良いだろう――を勢いよく開けた。
「あ、ヒロ君」
姉は俺を見ると、ぱあっと顔を輝かせた。なんかかわいいなぁ。しかし、そんなことはどうでも良いんだ。
「姉ちゃん、何で俺の部屋に荷物置いてるの?」
「ヒロ君の部屋がいいの」
「部屋変われってこと? 夏休みの間くらいなら、交換してもいいけど……」
「違うよ。同じ部屋がいいの」
「……?」
さっぱりわからない。
「ヒロ君と、同じ部屋にいたいの」
眼鏡越しに見える、姉の潤んだ瞳。うっとする。だめだ。涙にはどうも弱い。
それに、俺はもう姉を泣かせたくない。
「……わかった」
それに、母も『仲良くしろ』と言っていたし、仕方が無い。
230 ◆.DrVLAlxBI :2008/12/17(水) 00:40:46 ID:xihrhaXe
食事を終えた後、姉に風呂を奨めた。長旅の汗を流して欲しいと思ったが、姉は拒否した。
「いいよ、ヒロ君が先に入って」
まただ。また、姉は昔と違う行動をとる。昔は、「あんたの残り湯なんかにつかりたくないのよ!」とか言って、絶対に一番風呂だった。
姉は、俺に遠慮しているのか?
やはり、あのときのことを引き摺っているのだろうか。ならば、俺は謝ったほうが良いのか?
しかし、こうしてぎこちないがうまくいっている関係を、今俺が乱すことはしたくない。姉の努力をむげにしたくないのだ。
俺は風呂で頭を洗いながら、悩んでいた。姉の言うとおり、一番風呂をいただいたのだ。
がちゃり。
と、その時、突然扉が開く。
「な、なんだ!?」
「ヒロ君。一緒に入ろう」
姉だった。いや、姉以外にはいないのだが、以外というか常識的に考えられない状況。混乱する。
「お、おいおい」
戸惑っている間に、姉は強引に突入していた。既に服を脱いでいたようだ。
さらに、温泉レポーターのように全く身体を隠す様子もなく、堂々とした――しかし、どこかおどおどしている――出で立ちでこちらに近づいてきた。
まずい、姉のすばらしいスタイルに目がいく。というより、剥き出しの……その、おっぱいとか、そういう感じのところとか……。
俺は目を逸らし、訴える。
「姉ちゃん、いくらホームシックだからって、これは!」
「だって……淋しかったし……ヒロ君と一緒にお風呂に入りたくて……。迷惑、かな?」
その声にある、深い悲しみを感じ取って、俺は姉の顔をみた。
眼に涙が浮かんでいる。だから、俺はこれに弱いんだってば。
「ごめん……。わかったよ、一緒に入ろう」
「うん!」
今まで浮かんでいた涙はどこに消えたのやら、姉は顔を輝かせた。
よく見ると、眼鏡をとっていて、昔の顔に戻っている。やはり、俺にはこのほうが自然だ。
相変わらず超絶的な美女だった。客観的に見れば、その美女と風呂に入れるなんて美味しいのではないか。それが姉でなければ。
しかし、その……姉だろうがだれだろうが、とにかく……。隠して、くれないかな?
俺は今、狭い風呂場の中ですし詰めになるのを防ぐため、湯船に移動した。姉は先に身体を流している。当たり前だ、湯船に入る前に簡単に身体を清めるのが、我が家だけでない、風呂のしきたり。
231 ◆.DrVLAlxBI :2008/12/17(水) 00:41:16 ID:xihrhaXe
横目にちらちらと見えるその姉の身体と動作は、一回の、つまり、盛った年頃である男子高校生にとっては、あまりに刺激の強いものだった。
全体的に肉感的な体つきをしている姉が手を動かすたびに、大き目の胸がぷるぷると揺れ、その弾力を感じさせる。
むっちりとした脚の付け根にある、茂みも本当にちらりとだが見てしまった。
姉はそんな俺の視線なぞ全く気にしないかのように、急ににっこりと俺に微笑みかけ、言う。
「ヒロ君。背中流したげるね」
何度も言うが、俺は姉に償わなければならない罪を抱いている。ゆえに、断ることができなかった。
「ヒロ君の背中、広くなったね」
姉は俺の背中をこすりながら、ぽつりと漏らした。
そうか。やっと理解した。姉は、俺の成長が見たかったのだ。
姉にあのような暴言を吐いた過去から、俺がどれだけ『大人』になったか。それを見極めたかったのだろう。
もちろんこれは身体的な成長であるから、精神的なものと直接は結びつかない。しかし、俺が大きくなったことは、姉に実感として過去の払拭を伝えることなのだろう。
「ヒロ君、かっこよくなったよ。もう、彼女とか、できたのかな?」
おもむろに姉はそんな言葉を後ろから俺に投げかけた。ああ、なんと言う残酷。
どうせ俺は非モテですよ。その旨を姉に伝える。
「そっか。そうなんだ」
なんだか、その言葉には明るいというか、喜びというか、そういった何かが含まれているような気がして、ちょいと後ろをみやる。
姉は、異様にニコニコしていた。気持ち悪いまでに。昔も、このような笑みを見たことがある。俺をいじめていたとき。
ぞっとして、前を向きなおす。
大人しい姉の殻を脱ぎ捨て、ついに昔の姉に戻ろうとしているのだろうか。いや、それはない、と、信じたい。
ここまできてそんな落ちだったら、俺はもう駄目だ。人間不信に陥ってしまう。
それを見極めるため、俺は姉に質問をし返す。
「そういう姉ちゃんは、彼氏とかできたんじゃないの? 大学生なんだしさ」
――それに、美人だし。
そう付け加えた。
姉は黙り込む。俺は答えてくれないのだろうかとかんぐったが、次の瞬間に姉は口を開いた。
「いないよ」
簡潔な答えだった。その声には何の感情もない。何の感慨も含まれていない。冷徹な否定。
「いらない」
姉はそう付け加えると、いきなり俺の背中に抱きついた。
つまりそれはそういうことで、裸で俺の背中にだきついて……背中に……背中にイチゴが……!!
「お姉ちゃんには、ヒロ君だけいればいいよ」
――昔、そう言ったはずだよね?
俺は完全に硬直して動けない。恐怖か、驚きか、よくわからない何かに身体を縛られていた。
姉は、ふっと笑い、俺の胸をしなやかな指でなぞった。
232 ◆.DrVLAlxBI :2008/12/17(水) 00:41:46 ID:xihrhaXe
「もっといろんなところ、洗ってあげるね」
俺の胸と腹を、ボディソープをつけた手で撫で始める。姉ちゃんよ、それはなんだか別の職業の人みたいな手つきですぜっ!?
抵抗できないのをいいことに、やりたい放題だった。
姉は一旦俺から離れると、なんと自分の豊かな胸にボディソープを垂らして再び後ろから俺の背中に抱き付き、さっきの行為を再開した。
今度は、押し付けた胸をにゅるにゅると俺の背中の上で動かす動作も含めてだ。
「どう、気持ちいいよね、ヒロ君」
俺は、全くこの状況に対応できていない。情報処理がまるで追いつかなかった。されるがままになる。
姉は、俺の首筋を舌で舐め始める。それは、洗っているつもりだろうか。
どうするか、皆目検討がつかない。これがどういう状況下もわからないのに、対応する策など思いつくはずが無い。
――否。俺の体の一部は、この謎の事件に既に対応していた。
「あ……。ヒロ君、おっきくなってるよ」
「ひぃ……!」
変な声を出してしまった。その変化を目ざとく見つけた姉が、それを手に握ったのだ。それも、ボディソープでぬるぬるの手で。
そう、大変下品なんですが……その……勃起、してしまいましてね。
そりゃそうだ。ぶっちゃけていうなら、この状況、官能的な場面だろう。
姉のおぱーいと乳首と手を俺の全身に撫で付けられて、なんていうかさ。その、あれだよね。鳴り響け、俺のエロス! って感じ。
いかんいかん、何を馬鹿なことを考えているのだ、俺。冷静になれ。姉は一体、どうしてこのような暴挙に?
まさか、彼氏について聞いたのが地雷だったのか?
こっぴどくフられたとか、ヤリ逃げされたとか、そういう苦い経験でもあったのか?
それとも、非モテなのに聞かれたのが不快だったか?
――うおぉ!
急に俺を襲った刺激に、俺の身体は一気にびくんと跳ねた。
「姉ちゃん!?」
「ヒロ君の、おっきくしちゃったの、お姉ちゃんなんだよね。なら、責任、とらなきゃ」
俺の膨張したマグナムを小さな手で掴み、しゅこしゅこと上下する。
だ、だめだだめだ! お兄さん――いや弟だけど――許しませんよ!
「だめだって……! やばいから!」
「なにが駄目なの……?」
姉が可愛らしく首をかしげる。いや、そう聞かれると、なんか説明は難しいけどな。
でも、感覚的に分かるだろうに。
233 ◆.DrVLAlxBI :2008/12/17(水) 00:42:17 ID:xihrhaXe
姉は、依然俺のブツを扱きつづけている。まずいな。このままでは情けないことに、姉の前でマグナム弾を発射してしまうことになる。それは避けなければ。
「そっか!」
姉はぴんと閃いたように言って、手をとめた。
やった。やっとわかってくれたか……。
「やっぱり、手じゃだめだよね。おっぱいでしてあげるよ!」
――待て。その思考は斜め上すぎるだろう。
俺はとっさに逃走を試みたが、先に動いていたのは姉だった。
俺の両肩を掴んで、風呂場の床に組み伏せる。信じ難い筋力だった。とても東大生とは思えない。
もやしっ子ばかりというのは都市伝説だったか!
姉はそのまま、俺のマグナムをその巨大な果実のようなものではさみ上げ、ぬるぬると動かし始める。
「ひ、ひぃ……」
俺は驚きと恐怖のあまり、情けない抗議の声をあげることしかできない。
しかも、その声すら、姉にとっては『興奮を示している証』と解釈されたらしく、気を良くしたのかにっこりと笑った姉は、またとんでもない行動に出た。
挟んだマグナムを、その舌でぺろりと舐め上げたのだ。
「……!?」
声にならない声で叫ぶ。今までに自慰行為で感じたことが無いような、言葉にならない感触だった。
「ふふっ、気持ち良いんだね。ヒロ君のおちんちん、おっきくて良いね。おっぱいで挟んでも舌で触れられるくらい長いよ……ほら」
と言って、姉はさらにちろちろと舌先で愛撫する。
ひ、ひえぇ。どうすりゃいいんだ。俺は昔と実質変わらないままだ。姉に全く逆らえず、玩具にされている。
思えば、似たような状況が昔あったかもしれない。
「お姉ちゃん、昔、ヒロ君に、目の前でオナニーしろって命令したことあったよね?」
それだ。
「あ、ああ」
「ごめんね、ヒロ君。昔のお姉ちゃんは悪いお姉ちゃんだったね」
そう、昔の姉は、俺をわざわざ部屋に呼びつけて、目の前でオナニーさせたことがあった。
肉親とは言え、美人の姉に見られていたのだから、興奮もひとしきりであり、すぐに果ててしまった。
問題だったのは、その時精液が、近づいて凝視していた姉の顔にかかってしまったこと。姉は激怒し、俺を部屋から追い出した。
「あの時ね、本当はね、お姉ちゃんがオナニーしたくて、その……おかずが欲しくて、ヒロ君の精液が欲しかったの……。だから、見てるとき、凄く濡れてて。ヒロ君の精子が顔にかかったとき、もうひとりえっちしたくてたまらなくて……追い出して、ごめんね」
なんというか、もう、このころには驚くのには慣れていて、姉の言葉を素直に聞くことができた。
「ちゃんとあの後、ヒロ君の精子全部口に入れて味わったから、許してね……。それに、これからは、オナニーしろなんていわないからね。お姉ちゃんが、直接飲むから……」
――だから、お姉ちゃんを嫌わないで。
234 ◆.DrVLAlxBI :2008/12/17(水) 00:42:47 ID:xihrhaXe
姉はそう言って、俺の巨砲(というにはおこがましいか)を唇で器用に吸い上げる。
俺はとてつもない快感を感じながらも、姉の言葉を冷静にかみしめていた。
姉は、つまり、つぐないのためにこういった変化を起こした。大人しくなったのは、昔の反動というか、反省なのだ。それも、主に俺にたいする。
姉は俺に嫌われたと思い込んでいて、その原因が、昔のあの横暴な女王様的態度にあったとして、それを自分から排除した。
その証しをいまここで、実に極端な形で実践している。おかずが欲しいとき、命令して精子を出させるのではなく、自分のご奉仕で出させるという方針に変えたという、その事実を。
それが昔と何も変わらないということに気付かず。
「う、うあぁ!」
情けない声をあげて、果ててしまう。
勢いよく――今までこんなに強い射精は見たことが無い――精液が飛び出し、姉の顔を汚した。
「はぁ……はぁ……いっぱい、出たね。偉いよ、ヒロ君」
興奮気味で、息が荒い姉。指で、顔にかかった精液をすくいとり、口に入れる。
「おいしい……おいしいよぉ、ヒロ君……!」
さらに興奮が加速されていくようで、姉は俺の性器周辺に何度も口付けを落とす。
「ヒロ君、もう、お姉ちゃん我慢できない。ちょうだい。ヒロ君の、お姉ちゃんに……」
姉は狭い風呂の床に身体を投げ出すと、足を大きく広げて俺に見せつけるように指で『そこ』を押し広げた。
「――!?」
俺は姉による拘束が解けた瞬間に、反射的に走り出していた。
「お、俺、のぼせたから、あとはごゆっくり!」
「ひ、ヒロ君!」
聞く耳持たぬ!
俺はバスタオルでさっさと身体を拭くと、まるで鎧でも着るかのようにありがたがりながら服を着て、自分の部屋に逃げていた。
さっさとベッドに潜り込み、もはや泣き寝入りだ。
姉は、本質的には昔と全く同じだった。結局、自分のエゴを俺に押し付けるだけなのだ。
またしばらくはこの生活なのかと思うと、震えが止まらない。
「ヒロ君……?」
少し後に、姉は俺の部屋に入ってきた。あたりまえだ。姉の荷物は既にここにはこばれていて、俺達は共同で部屋を使うと、もう姉に決められたのだ。
「ごめんね」
お。俺は姉の再度の反省に、関心をよせる。やはり、昔とは違う。反省ができるらしい。
235 ◆.DrVLAlxBI :2008/12/17(水) 00:43:19 ID:xihrhaXe
「ヒロ君と会えなくて、淋しくて。あんなことしちゃった。ごめんね。ヒロ君のこと、もっとよく考えなきゃ、お姉ちゃん失格だね……」
おお、あの姉が! あの、自分勝手で女王様気質だった姉が、俺に譲歩している。
東大に入って、理知的になったんだ。そうだ、間違いない。
「今度は、何もしないよ。だから、一緒に寝よう、ね?」
ここまで言われては、断るわけには行かない。俺は「しゃーないな。怒ってないよ」と、ベッドの奥のほうに詰めた。
姉は、ぱぁっと顔を明るくして、俺の隣に潜り込んだ。
「昔は、何回かこうやって一緒に寝たね」
そうだったな。しかし、それも姉に命令されてのことだ。
「一緒にこの映画を見なさい、じゃなきゃ死刑!」と、ホラー映画に誘ったと思えば、その夜は「あんた、怖くて眠れないでしょ? あたしが一緒に寝てあげるわ。べ、別にあたしは怖くないわ! お姉ちゃんだもの!」とか言ったきがするな。
思えば、姉の俺いじめの中では可愛いものだった。
さて、さっき出したから、疲労感が溜まっている。俺はすぐに眠りに落ちた。
「おやすみ、ヒロ君」
俺は、そのことばに返すこともなく、意識を失った。
236 ◆.DrVLAlxBI :2008/12/17(水) 00:43:50 ID:xihrhaXe
結局、姉は姉だった。朝のことだ。
「なにしてんの、姉ちゃん?」
俺は俺の股間辺りでもぞもぞとうごめく物体に声をかけた。
物体X=姉は、顔をこちらに向け、エンジェルスマイルで答える。
「朝だちを狙ってモーニングスペルマとでも洒落込もうかと」
何がモーニングスペルマだ! ただの痴女じゃないか!
姉は、東大に言って、サディストでなくなった代わりに、変態になったのだ。変態に変態したのだ。
もうやだ! 俺はそう叫び、一階に駆け下りていく。
モーニングスペルマならぬ、モーニングコーヒーを飲みつつ、朝のニュース番組をつける。
大事故のニュースだ。何人もの被害者が出たと報じられている。現場は結構近い。俺はそれをぼーっと見つめていた。
「父さんと、母さん、大丈夫かな」
なんとなく、なぜかは分からないが不安になって、携帯を取り出し、電話をかけてみる。
すると、不思議なことがおこった。着信音がする。この家からだ。
ばかな。昨日は母からメールが来たのだ。そんなことがあるわけがない。
着信音がするほうを目指して歩くと、いつの間にか俺は二階に上がっていた。
音の方角を見ると、俺の部屋の扉がある。
なぜ?
さっぱり意味がわからない。
その時、さらに信じられないことが起こる。
「もしもし」
電話にでたのだ。しかしそれは母ではない。
「姉ちゃん……?」
――姉だった。
「ヒロ君、お部屋に、入ってきてよ」
「……」
ごくり。俺は唾を飲み込み、意を決して扉を開く。
中には、俺のベッドに腰掛ける姉がいた。なぜか服を着ていない。投げ出された肢体があでやかで、俺は一瞬目を奪われた。
「母さんの携帯を、何で姉ちゃんが」
俺は携帯に向かって話し掛けた。眼は、姉の目を見る。姉も同様だった。
携帯に話し掛ける。
237 ◆.DrVLAlxBI :2008/12/17(水) 00:44:20 ID:xihrhaXe
「そうだね……。昨日、早く帰ってきた、その前にお母さんに会ったんだよ」
「先に?」
「そう。お母さんと、お父さんを、『送って』あげないといけないから」
「送る? どこに?」
「もう、お姉ちゃんとヒロ君の仲を邪魔できない場所。二度と帰ってこれない場所」
――それってつまり。
「そう。殺しちゃった」
あ……ああ……。
俺はその言葉をすんなり信じていた。姉の目は、本気だった。
「朝のニュース見た? 結構盛大にやったんだよ。いろんな人を巻き込んで、たぶん二人も喜んでるよ」
――最近は、死ぬにしても道連れが欲しい人が多いみたいだから。
くすくすと笑いながら、姉は饒舌を続ける。
「昨日の、『お姉ちゃんと仲良くしなさい』っていうメールも、お姉ちゃんの自作自演。でも、ヒロ君は律儀に守ってくれたね。偉いよ」
姉は、母の携帯を奪い、眠らせるか何かして、車にのせ、大事故をわざと引き起こし、事故死に見せかける。
それらの行動を、平気でして、いま、こうして笑っている。尋常な人間のすることじゃない。
だが。――お前は、人殺しだ――この言葉が、俺の喉につかえて、出てこなかった。
「ヒロ君は、お姉ちゃんのこと、好き?」
「……俺は」
「正直に言っていいよ」
姉は已然にこにこと語りかけてくる。まるで、「好きだ」といわれることに疑いが無いように。
「……俺は、好きだよ……」
……。そうだ。俺は、姉に結局、逆らうことができない。
両親が死んだ今、残された俺達が仲たがいしては、何もできない。それが両親を殺した張本人の、この狂人であろうと。
そして、もうひとつの理由。
それは、ほかでもない、俺が姉を変えてしまったという事実に気付いたからだ。
俺の心無い一言が、姉の心を壊し、ここまで追い込んでしまった。
「ヒロ君……嬉しいよ。お姉ちゃんが好きなんだね。なら、ここに来て」
裸の姉が、ベッドの上でなまめかしく手招きをする。
「お父さんとお母さんはね、私がヒロ君のこと、とってもとっても愛してるっていうことに気付いて、嫉妬しちゃったんだ。だから、東京に行かせて、仲を引き裂こうとしたの」
俺はふらふらと、姉に近づいてゆく。もう、なにもかもがどうでもよかった。
「ヒロ君も、こんなに私のことが好きなのに。あ、そうか。お父さんとお母さんに、無理矢理『好きじゃない』って言わされたんだね。だって、ヒロ君がお姉ちゃんを嫌いだなんて思うはず無いもん」
俺がベッドの上に力なく倒れると、姉はズボンをさっと脱がし、跨った。
「あはは……。これで、やっと……。ヒロ君と、ヒロ君と……」
何故かは分からない。俺はこの状況下で、とんでもないほどに勃起していた。
この絶望感が。この無力感が。この支配が。俺を締め付けているからか?
俺は、姉に縛られることを望んでいるのか……?
姉は俺のモノをつかみ、その上に勢い欲腰をおろした。
「い……いたいよぅ。ヒロ君のに、膜やぶられちゃった……。責任、とってくれるよね?」
もう、何もかもがどうでもよかった。
「ヒロ君……! ヒロ君……!」
俺は、嬌声を上げながら腰を振る姉を無気力な眼で見つめることしかできなかった。
238 ◆.DrVLAlxBI :2008/12/17(水) 00:46:44 ID:xihrhaXe
終了です。途中トリップがむちゃくちゃになりましたが、同一人物です。
なんか後半の展開が無理矢理すぎですが、時間があれば補完するかもしれません。
239名無しさん@ピンキー:2008/12/17(水) 00:46:59 ID:daqLamED
お姉ちゃん、自分の犯行だとばれないようにしなねw
240名無しさん@ピンキー:2008/12/17(水) 00:51:04 ID:54ppfNGf
つまんね
241名無しさん@ピンキー:2008/12/17(水) 01:44:36 ID:T+VsBG5Y
>>238
GJだ!!
242名無しさん@ピンキー:2008/12/17(水) 01:54:31 ID:usbxqwnr
>>238
GJ!
243名無しさん@ピンキー:2008/12/17(水) 03:09:40 ID:fVwub0/k
GJすぎる!
244名無しさん@ピンキー:2008/12/17(水) 05:06:52 ID:AJzIfWXC
タイトル見た瞬間に、パピ☆ヨン!
かと思ったじゃないか
245名無しさん@ピンキー:2008/12/17(水) 09:18:31 ID:ktCVI35b
蝶GJ
246名無しさん@ピンキー:2008/12/17(水) 09:36:00 ID:r8YwFyNc
キモいですGJです
247名無しさん@ピンキー:2008/12/17(水) 11:13:59 ID:PiKhISTR
クリスマスに絡めてキリスト教の話を入れたいんだけど、やめた方がいい?冒頭の意図はないんだけど
イエスの血は赤ワインで肉がパンでとかの話を、エロを交えて入れたんだが
架空の宗教にするか、注意書き入れるか、どっちがいいすか?
因みにそんなに詳しくないから結構適当。
248名無しさん@ピンキー:2008/12/17(水) 11:37:26 ID:koFa2vE2
さあ……こんなところを見ている敬虔なクリスチャンなんて存在するのだろうか?
極端な話、キリストとマグダラのマリアでエロ書いても誰も怒らなさそうな気がするが
249名無しさん@ピンキー:2008/12/17(水) 11:37:56 ID:hAI2gg+1
序盤のみという意味で冒頭なのか、侮辱する意味の冒涜なのか
それとも釣りなのかわからんが一言あればいいんじゃね?

創作を否定するくらい厳格なカトリックなら近親スレに来ないし
250名無しさん@ピンキー:2008/12/17(水) 11:52:38 ID:PiKhISTR
>>249、250 レスサンクス。冒頭じゃなく冒涜でした、スマン。
ちなみにプラス思考な妹で、兄とエロいことが出来たら神に感謝するって設定。

雑談再開。
251名無しさん@ピンキー:2008/12/17(水) 12:16:17 ID:Hc/Mv0xE
あれ?確かキリスト教って、近親は認めてるけど浮気は認めないんじゃなかったけ?
252名無しさん@ピンキー:2008/12/17(水) 14:36:16 ID:PvEZ/9hd
巨乳の妹の作品がないのはどういうことなんだ
253名無しさん@ピンキー:2008/12/17(水) 14:46:30 ID:GEqL5e5f
>>251
キリスト教といってもいろいろだが、歴史的にカソリックの場合、結婚を司るのは教会なので
基本的にはローマ法王庁がどこまでの関係で結婚していいのか許可を出してた

で、これが変更されるときはたいがい政治的な理由だったりする
このルールをコントロールすることで、特定の王族同士の結婚を認めたり認めなかったりして、
法王庁がカソリック諸国の政治に影響力を保持する手段の1つにしてたわけだ
254名無しさん@ピンキー:2008/12/17(水) 15:59:00 ID:Ac6IT+eS
いつもよくわかからないのは、なぜ教会が政治的影響力を欲したか、なんだけどね。
なんとなくわかるけど、つきつめるとよくわからん。
カトリックは「精神的近新婚」とかで事実上の離婚を認めていたらしい。
そこで質問だが、今の日本で、×1奥さんの連れ子は当然に新しい夫の子になるの?
法律を知ってる人教えてください。
255名無しさん@ピンキー:2008/12/17(水) 17:17:02 ID:m5TlNCgq
>>247
宗教ネタはヤバいと思うなら濁しておくのも一つの手段じゃないか
『ねずみの国』、『夢の国』みたいに
近年声優が代わった国民的アイドルも絵だと一発アウトだけど、文章だと明言しない限り訴えにくいらしいから
256名無しさん@ピンキー:2008/12/17(水) 17:55:54 ID:bedcAViY
>>254
なりません。連れ子とは別途養子縁組しない限り親子関係は発生しません。
連れ子系義姉妹は獲物を引きずって最寄の市役所婚姻届窓口にGo!
257名無しさん@ピンキー:2008/12/17(水) 22:18:33 ID:54ppfNGf
うぜえ
258名無しさん@ピンキー:2008/12/17(水) 22:19:40 ID:RJqMknsH
目の前には澄み渡った空。
眼下には金色の砂の海。
高度8000m、私の得物にして約束された棺、武器商人がウクライナ経由で格安で手に入れたSu-27が蒼空を駆ける。
「マコト!私の獲物に手を出さないでね!」
レシーバーから入ったのは隣を飛ぶF-14のミキの声だ。
「MiGにミキの名前が書いてあればとって置くわ」
「そっちこそ、自分の稼ぎまで盗られても知らないわよ」
と、早速レーダーに反応がきた。
機体はいつもの反政府軍のMiG、カモだ。
私は機体を下降させて相手の死角に潜り込む。対してミキは一気に加速をかけた。
「FOX2!」
ミキが叫ぶ。何秒かして、静かだった空に赤い花が咲いた。
MiG編隊はいきなりの襲撃にあわてふためき、編隊も崩れはじめてきている。
私は編隊から少し離れかけたMiGに死角を生かしながら接近する。
MiGがやっとこちらに気付いた時には、最早そいつはこちらの機銃射程内だ。
「本当に鈍いわね……まあいいわ」
私は機銃ボタンを指で軽く押してやる。
ヴォォォン、と重い唸り。そして次の瞬間、爆散するMiG。
これで1機。
もう少し、あともう少しだ。

あと少しで最愛のあの人のいる日本に帰れる。


「待っててね、お兄ちゃん」

私をこの場所に追いやったあの雌犬をぶち殺して、最愛の兄と身も心も血も繋がったつがいになるためにも。
私は一人でも多く殺すだけだ。



ここは中東……作戦地区名エリア83(病み)……

最前線中の最前線!地獄の激戦区エリア83!!

生きて滑走路を踏める運は全てアラーの神まかせ!!

私達は神さまと手をきって、地獄の悪魔と手をとった……百戦錬磨のキモ姉妹!!
259名無しさん@ピンキー:2008/12/17(水) 22:43:01 ID:RJqMknsH
と、ドキッ!キモ姉・キモウトだらけのエリア88を想像してみた。

従姉妹の策略によって傭兵部隊に送られ、日本に帰ろうと一人でも多く敵を殺す日本生まれのキモウト
敵側にいるパパを無理矢理奪って自分の愛で埋めつくそうとするでこっぱち指揮官
弟にまとわりつく泥棒猫を殺しまくって、自分と弟とは済む世界が違いすぎると弟を忘れるべく戦場に身を投じたメリケンキモ姉。
その他いろいろな病んだ娘たちがそれぞれの想い人への愛を叫び、子宮をうずかせながら空戦を繰り広げる……


やばい。読みたい
260名無しさん@ピンキー:2008/12/17(水) 22:44:19 ID:3uT4slbb
妄想が暴走とな
261名無しさん@ピンキー:2008/12/17(水) 23:29:40 ID:EUEnn7QM
次はエースコンバットキモ姉妹だw
262名無しさん@ピンキー:2008/12/17(水) 23:58:10 ID:Nj1IFwC2
>>259
退役してやっと愛する兄と過ごす日が来るんだ、って空港に行った妹が
通りすがりのひったくりに刺されちゃうよー
263名無しさん@ピンキー:2008/12/18(木) 00:02:36 ID:zn496/PK
>>238のss読んでて思ったんだけど、姉が上京するのヤダって言ったとき
弟に泣いてすがってきて、そのあと弟が拒絶した時に弟がはじめて姉の涙を
見たって言ってたけど、やっぱりキモ姉キモウトとなると泣いても涙を
出さないこともできんのかな?
264名無しさん@ピンキー:2008/12/18(木) 02:02:23 ID:Kai+a4n3
聖母マリア様に似てる女性のヌードを本に乗っけただけで反発する国があるらしいが
ここはそんなことねぇよな
265名無しさん@ピンキー:2008/12/18(木) 03:32:52 ID:p22B8l7P
>>263
鳴いたんだって
266名無しさん@ピンキー:2008/12/18(木) 20:18:56 ID:/UK5uhla
キモウトに愛の鉄槌を下されたい
267名無しさん@ピンキー:2008/12/18(木) 20:35:19 ID:TO2aRMXL
そういう技術はキモ耐性がある兄弟のほうができそうだがね
268名無しさん@ピンキー:2008/12/18(木) 20:52:40 ID:SVRqPFQL
アイーダってこのスレにぴったりなんじゃ。転生させて云々
女→男→仲良くあの世行き←女

既出かな
269フライングですが:2008/12/18(木) 23:02:22 ID:D8CxRh7A
 気付けば、”その日”を迎えるのに10日を切っていた。

 12月24日、クリスマスイヴ
 そして、私が生まれた日…。

 誕生日とクリスマスが一緒だった事が、昔は本当に嫌だった。
 クリスマスも誕生日もどちらもついでになるこの日に生まれた事を、何度恨んだか分からない。

 でも、今年は違う。
 今年には、クリスマスと誕生日の二つが揃った最高のプレゼントが、私にあるんだ。

 言ったよね、兄さん。
 今年はお前が望むプレゼントを上げるって、
 クリスマスと誕生日、両方を満たせるプレゼントをくれるって。

 分かってるよね、兄さん、それが何なのかを。
 もし分かってなかったとしたら、
 それでも良いよ、
 私が貰いに行くだけだから。

 最高の日に最高のプレゼント…

 待ってるよ、兄さん

 その日が私と兄さんの始まりの日になる事を。
270名無しさん@ピンキー:2008/12/19(金) 01:33:31 ID:Z+1kOOIQ
流石に兄が幼女にキスされて嫉妬狂うキモウトはいないだろう
もしそれで幼女を殺すようなら、そんなのキモウトじゃなくて…キミョウトだよ!
271名無しさん@ピンキー:2008/12/19(金) 01:46:26 ID:u+4o1Nfa
>>270
将来の禍根を断つのは当たり前
272名無しさん@ピンキー:2008/12/19(金) 02:24:47 ID:R3wo8ffk
>>270
つまり年の離れた幼女キモウトが姉の目を盗んでお兄ちゃんを横取りですね
相手が幼女なら兄も甘ガードが緩むだろうし、幼女の特権で兄にキスしたりベタベタ甘えたりもできる
・・・やっぱ姉に邪魔されそうじゃね?
273名無しさん@ピンキー:2008/12/19(金) 03:14:19 ID:C3zgQuwf
キモウト大明神
274名無しさん@ピンキー:2008/12/19(金) 05:35:54 ID:2/2blhUb
>>270
おまえ、それではキモウト補ですら落ちるぞ
もっと勉強せな、あかんな
275名無しさん@ピンキー:2008/12/19(金) 07:31:47 ID:XvCtnY99
>>269
むしろ誕生日ぐらい一緒に祝って攻撃できる
276名無しさん@ピンキー:2008/12/19(金) 09:52:09 ID:axI37K8j
キモイのは歓迎するんだが、キチ○イは困るんだなーチョットさ
277名無しさん@ピンキー:2008/12/19(金) 13:08:26 ID:pdUSFd5F
要求レベルが高すぎてそれスレスレじゃないとダメになってきてるんですがw
278名無しさん@ピンキー:2008/12/19(金) 13:30:06 ID:hT8GS8BB
>>261
ナイスバディなフランカー姉さんと小柄なロリッ娘ファルクラム姉さんが力を合わせて可愛い弟のベルクート君を守り抜く感動秘話

まで思い浮かんだが、ラプターを敵に回すと勝負にならなさそうなので却下だな
279名無しさん@ピンキー:2008/12/19(金) 14:10:42 ID:z/gRh9cL
なぁに、ロシア生まれのキモ姉妹には射程300キロ以上の味噌がある
280名無しさん@ピンキー:2008/12/19(金) 16:31:21 ID:cCJrbIiP
>>270
確か幼女キモウトのssが短編であったはず。確かクラナドみたいなキャラが使われてるの
281名無しさん@ピンキー:2008/12/19(金) 16:35:17 ID:cCJrbIiP
・・・い、一応言っとくが、作者じゃないぞ。本当だぞ!?
282名無しさん@ピンキー:2008/12/19(金) 16:53:20 ID:NIIiAmLj
なんか可愛いぞ。作者本人のほうがむしろ萌え
283名無しさん@ピンキー:2008/12/19(金) 18:59:08 ID:UcLfLpR4
ジョジョネタで書いてもいいんかね? 荒れる?
284名無しさん@ピンキー:2008/12/19(金) 19:00:16 ID:QpY9uy2Z
>>261

Pixy《このV2で私達の愛を阻む全てをゼロに戻して、私達は晴れて永遠に結ばれるの。素敵でしょ、弟くん》

PJ《うるさい!お姉ちゃんにお兄ちゃんは渡さないんだからぁっ!今ここで死ねやぁぁぁぁっっ!!》


二機のモルガンが円卓で殺しあいを演ずるなか、『円卓の鬼神』のイーグルは恐ろしくなったのかさっさと逃げたと言う。
彼の消息はそこで絶たれ、今も彼は逃げているらしい。


ちなみに、彼の最後の言葉は「MiG-31でこればよかった……」らしい。
285やぶ:2008/12/19(金) 19:49:13 ID:OKiGyU6L
『姉と僕の1』

 昼寝中にふと目が覚めた。
「あれ?」
 身体が動かない。いわゆる金縛り、というやつだ。
 とりあえず首から上は動かせるので、辺りを見回してみる。
「えーと。なにやってんだ、姉貴?」
 金縛りではなかった。姉が一生懸命、俺をロープで縛り上げていた。
「あらっ?起きるの早いわよ。ちょっと待ってて、もうすぐ終わるから」
「ん、わかった」
 そう返事をすると俺はまた心地良い眠りの世界へと…。
「行けるかーっ!なにやってんだ姉貴っ!?」
 抗議をしようとしたが、すでに自由は奪われているわけで。
「んしょっ!おーわった♪」
 俺の抗議などどこ吹く風。姉はにんまりと笑みを浮かべ、勝ち誇った表情で俺を見下ろす。
「んっふっふ。教えて欲しい?」
「まあ、一応は…」
 なんかどーせろくでもないことを聞かされて、後悔するんだろうが。
「聞いて驚け!題して『生意気な弟を再教育しちゃうよ計画』発動なのよ!」
 ほら、後悔した。
「で?」
「で、っていうな!だいたいあんた姉に対する口の聞き方がなってないのよ!おまけに、勝手にいつの間に
か巨大化しちゃうし!」
 えーと、俺は背の順で列ぶと相変わらず前の方な訳で。
「いや、姉貴の背が伸びてないだげふぅっ!」
 姉貴のニーソに包まれた足先がえぐるように腹を貫く。
「ゆーてはならんことを。よほど死にたいようね?」
「ゴメ、悪かった!」
 実はたいして痛くないが、この場合そうした方が早く飽きるので下手にでる。
「んっふっふ、分かればよろしい。さてと、えーと、どうしよう?」
「考えてねーのかよ!?ガキか!」
 とりあえず俺を縛る、というところまでしか考えていなかったのだろう。
「ガ、ガキとはなによ!ガキとは!?私のいったいどこがガキだってゆーのよ!?」
「全体的に!」
 姉は身長が小学4年生の平均と一緒で体つきも同等、おまけに童顔なうえこの性格なので、何と言うか、
お子様のオーラを発しているのだ。姉は高校生だが、はっきりいって10人中10人が中坊の俺の妹と間違
える。特に今日は服装も子供っぽい。てか、高校生にもなってクマさんパンツはやめとけ。ベッドに縛り付
けられてる俺を平気で跨ぐから、スカートの中がよく見える。色気というものが皆無なので、全然嬉しくな
いが。
「特に今日の服装はどっからどーみてもガキ」
 とりあえずパンツのことは伏せて服装を指摘してみた。
「今日は映画見に行ったからよ!」
 あー、姉貴、普通にお子様料金で済むもんな。
「って、お子様料金で済ましてる時点でガキじゃん!」
「うっ!?」
 痛いところを突かれたらしく一瞬言葉に詰まる姉。が、すぐににんまりと不敵な笑みを浮かべる。
「ふふ、そんなことを言ってられるのも今のうちよ。あんたが早く目覚めるから忘れてたけど、弟再教育計
画のために大人のアイテム買ってきたんだから!」
 お、大人のアイテム?なんか、そういうもの買ってきたことを誇らしげに言う時点でガキと言わないか?
286やぶ:2008/12/19(金) 19:52:06 ID:OKiGyU6L
『姉と僕の2』

「ちょっと着替えるからあんた目をつむってなさい!」
 へいへい。とりあえず素直に目をつむると、ガサゴソと紙袋をまさぐる音が響く。
「ちょ、何よコレ?XSなのにダブついちゃう。仕方ない、念のため買ってきた膝下までの方を…。ってなん
で太腿まで来ちゃうのよ!?」
 やばい、すごい見たい。そーっと目を開けると、本来膝下丈のストッキングタイプのソックスをダブつか
ないよう一生懸命に合わせている姉がいた。
「ちょ、あんた何見てんのよ!」
 かなり恥ずかしいらしく、顔を真っ赤にして怒る姉。だったらちゃんと自分の部屋で着替えてこいよ。

http://imepita.jp/20081206/497170

 俺の顔の上に布団を被せ、着替えを再開する。
「うーっ、ガーターベルトも落ちちゃうーっ。しくしく、高かったのにー」
 大人用のXSだとサイズが大きいのだろう。お子様体形のずん胴腹のせい、という真実はさすがにかわいそ
うで言えない。
「いいや、ソックタッチで固定しちゃえば。よっと」
 布団が引きはがされると氷の微笑よろしくストッキングを強調するように脚を組んで椅子に座っていた。
 学習机の椅子、というのが姉らしくて笑えるが。
「ちょ、なに笑ってるのよ!」
 大人っぽい自分を見てドキマギする弟、というのを期待していたのか、抗議の声をあげる姉。
「いやだってソレ、太腿までの丈じゃなくてほんとは膝下丈なんでしょ?」
「き、聞いてたの!?…わ、笑うなぁーっ!」
 ニヤつく俺の顔を、そのストッキングに包まれた足先でフニフニと踏み付ける。椅子に座ったままなので
体重がかからず、全く痛くない。それどころかマッサージを受けてるようで心地良いくらいだ。
 が、顔に足を乗せられるのはさすがに腹が立つので、口の近くに来たときにぱくっと噛み付く。
「いたぁっ!ちょっと離してよ!」
 姉の小さな足先は俺の口にすっぽりはまり込み、そこから引き抜こうとして自由な方の足でポカポカと蹴
りつける。相変わらず痛くないのだが。
「あ、ちょ、ふぁ!?ん、んぁ、や、そんなとこ舐め、やぁんっ!」
 俺は捕まえた足先を舌でくすぐってやる。案の定極端にくすぐったがりの姉は蹴るのをやめ、むず痒さに
身を悶えさせる。
「ちょ、お願いやめ、ふぁあっ!」
 顔を真っ赤にし身もだえる姉は、その手の趣味がある人からみれば絶大な破壊力を有しているかもしれない。
 調子に乗って足の指をストッキング越しに舐めまわしていると、不意に大きくぶるぶると身体を震わせ、押し殺した悲鳴をあげた。
 びっくりして思わず足を離したが、姉はそれに気付かず身体をわななかせ続ける。
 しばらくすると、しくしくと泣き始める姉。
「ご、ごめん、やり過ぎた」
 さすがに気まずくなって謝る俺。だが、イヤイヤをするように首を振り、顔を伏せる。
 うぁー、やっちゃった。こうなると長いんだよな。「…されちゃった…」
 姉がぼそりと呟く。
「え?ごめん、よく聞こえなかった」
 俺が聞き返すと、涙でぐしょぐしょになった顔をあげる。その顔はどこかボンヤリしていた。
「弟に、イかされちゃった…」
え?
 最初なんのことかわからなかった。が、意味を理解したとたん、カッと頭に血が上る。
「ふぇぇ。これじゃ、たまってるって言われても言い返せないよぉ。うぇぇ…!」
287やぶ:2008/12/19(金) 20:01:06 ID:OKiGyU6L
『姉と僕の3』

 や、やばい、本格的に泣き出す!一瞬でクールダウンすると、姉の機嫌を直すべく紫色の脳細胞をフル活
動させる。
 が、緊急事態過ぎて何も思い付かない。
「あれ?」
 どうしようか悩んでいると、姉が不意に素っ頓狂な声を出した。
「な、なに?」
 俺が恐る恐る声をあげると、姉は泣き顔のままにんまりと笑みを浮かべた。
「なーんだ、あんたこそたまってるんじゃない!」
へ?
 ニヤつく姉の目線にそって下を見ると、俺の股間のところに大きな膨らみが。「あ、いや、これはその、ちょっと」

 クールダウンし過ぎて血が全部下半身にいってしまった、とか苦しい言い訳を考えてみる。
「ふふ、私がイってるとこ見て興奮しちゃったんだ。あんなとこ舐めるし、お姉ちゃんのこと辱めるし、あ
んたってば変態?」
 さっきまでの泣き顔はどこにいったのか、新しいおもちゃを見つけた子供のように、生き生きとした表情
になる姉。
「ほらほら、何か言い返してみなさいよ」
 椅子に座ったまま、俺のジュニアをズボン越しにグニグニと足で踏み付ける。
「ちょ、姉貴、まって」
「なーに?ふふ、もどかしい?直接触って欲しいの?そうよね、だってあんた変態さんだもんね」
 そういうと器用に両足の指でズボンのチャックを下ろす。
 Gパンの下は何も履かない主義なので、その途端俺の息子がどーんと飛び出す。
「お、大きいじゃない。弟のくせに生意気よ」
 そうなのか?たぶん人並みなはずだけど?
「ふ、ふふん、急所をなぶられて喜ぶんだから、男ってみんなマゾよね」
 ストッキングに包まれた足がグニグニと俺の息子を蹂躙する。
「びくびくしてる…」
 興奮して顔を真っ赤にした姉は、やばいぐらい可愛いくて。
「もっと恥ずかしい目にあわせちゃうんだから!」
 いきり立った息子の上で口をグニグニ動かし、たっぷりためた唾液をとろーっ、と垂らす。
 姉貴、それ凄くやらしいです…。
「うっわ最低!こんなことされてるのにビンビン!」
 これで興奮しなかったらインポだって。
 にっちゃにっちゃという卑猥な音をさせながら、姉の足の動きが速まる。
「くっ…!」
 あと1擦りでイく。そんなぎりぎりのところで足の動きが止まった。ちょ、そこで止めるか!?
「ねぇ…。」
 鼻にかかったような、上ずった声。
「しちゃお…、っか?」
そういって俺を見つめる顔は、今まで見たこともないエロい表情なわけで。
「だ、駄目だよ。俺達きょうだ、うぷ!?」
 思い止めさせようと開いた口が姉の柔らかな唇にふさがれ。
 ぬちゃ、ぬちゃっ、といやらしい音をたてる。
「んっ!?」
 口内に姉の唾液が流し込まれる。それはとても甘くて切なくて。俺は夢中で吸い上げ、お代わりを急かすように舌を突き入れる。
 侵入してきた俺の舌を、姉の小さな舌先が躊躇いがちにつんつんと突く。
 我慢出来ずに絡めとると、あふっ、と熱い吐息が漏れた。
「お尻でするから。ね、それならいいでしょ?おもちゃでいっぱい練習したから、たぶん大丈夫だよ」
 お、お尻!?初めてがお尻っていうのは…。しかし、かといって血の繋がった姉弟で万が一子供が出来たことを考えると。
「お願い、我慢出来ないの…」
 涙をいっぱい浮かべた瞳で、俺にすがるような目。俺の理性は簡単にふっとんだ。
288やぶ:2008/12/19(金) 20:04:49 ID:OKiGyU6L
『姉と僕のラスト』

「うっ!んぁっ!くぁぁ…!」
 普段からは想像もつかないような甘い声。その声だけでイってしまいそうになる。
 本来排泄物を出すだけの矮小な穴。そこにローションをたっぷりと塗した剛直がぐっちゃぐっちゃと卑猥
な音をたてて掻き回す。
「おねが…、もうやめっ、うぁ!」
 何度白い液体を吐き出しただろう。もうぐったりしているというのに、私の欲望は全然収まらない。



「ほらほら何休んでるのよ!?お尻犯されながらチンチンしごかれるの、気持ちいいんでしょ!?」
「お、俺が掘られる方だなんて聞いてな…、うぁあん!」
 まるで女の子のような声をあげ、びくびくと身体を震わせる可愛い弟。
 小遣いをはたいて買ったかいがあるというものだ。私の股間からは巨大な双頭バイブがそそり立ち、片方
はもちろん私のアソコ、もう一方は弟の可愛いらしいアナルに突き立てられている。
「ほーら、チンチンシュッシュッ♪」
 激しく腰を振りながらチンチンをしごく。
「あと何回イけるかしらねー♪」
「アッー!」
 またも悲鳴をあげ、おチンチンから赤ちゃんの元をほとばしらせる弟。
 うふふ。これってクセになりそう♪
289名無しさん@ピンキー:2008/12/19(金) 21:12:15 ID:OWLO/rOK
>>288
えぐい……でも、こういうの大好きです。
290名無しさん@ピンキー:2008/12/20(土) 03:25:28 ID:3W2VMt8o
>>288
『お姉ちゃんに足を舐めさせられたい』とか書こうと思ったら先にもっと上質なのを書かれた
こうなったら俺と結婚してくれないか……?
291名無しさん@ピンキー:2008/12/20(土) 05:02:57 ID:qqrNPySK
うぜえ
292名無しさん@ピンキー:2008/12/20(土) 10:06:08 ID:YPS1ti1J
投下します。
293傷 (その8):2008/12/20(土) 10:07:28 ID:YPS1ti1J

「弥生さん、少し、いいですか?」

 放課後、教室を出て廊下を歩いていた弥生が振り返ると、長瀬透子がそこにいた。
 もっとも、確認するまでもなく、背後から聞こえる、あけっぴろげな足音から、自分を追ってきた者の見当は付いてはいたのだが。
「あら生徒会長……どうしたの一体?」
 だが、まあ、弥生はさあらぬ態を装い、あどけなく笑った。

「会長呼ばわりは勘弁して下さいよ……先代生徒会長閣下」

 そう言って長瀬は苦笑いした。
 なにせ弥生は、抜群の指導力と企画力で、臨海学校・体育祭・文化祭・球技大会・修学旅行とあらゆるイベントに口を出し、任期中の学園の日常に空前の盛り上がりを演出して見せた元カリスマ生徒会長である。
 いかに長瀬が当代の生徒会執行部を率いているといえど、弥生の前では口の悪いタダの後輩に戻らざるを得ない。かつて弥生の下で生徒会副会長を務めていた長瀬は、弥生のことを心から尊敬しているからだ。

「で、用件は何なの、とーこ? 私これから図書館で勉強しようと思ってたんだけど」
 そう言われて長瀬は、少し奥歯に物が挟まったような顔をしたが、何かをごまかすように乾いた笑いを浮かべると、
「あ、その……とりあえず、ちょっと生徒会室までいいですか? 立ち話では、ちょっとアレですので」
 と言って、弥生の返事も聞かずに振り返り、ずんずんと歩き始めた。
 いかにも傲岸不遜・唯我独尊で鳴らした長瀬透子らしい言動であるが、実は、そうではない。余人ならば知らず、弥生相手に長瀬が、こんな失礼な真似をする事はめったにない。もし例外があるとすれば、よほど長瀬が照れている時か、困っている時くらいなのだ。

(存外、遅かったわね。もっと早く来ると思ってたんだけど)
 無論、弥生には、長瀬の用件とやらの見当は付いている。おそらく、ほぼ100%近い確率で、冬馬の話をする気であろう。――むしろ弥生は、長瀬が声を掛けてくるのを待っていたとも言える。

 弥生は、長瀬が冬馬にフラれた事実も知っているし、執拗に拒絶の理由を追求する長瀬に、冬馬が姉の自分の名を出したことも知っている。そして彼が、弥生の名を出したことを、永遠の秘密としてくれと長瀬に頼んだ事も。
 しかし、弥生に個人的な縁を持つ長瀬としては、やはり黙ってはいられないのであろう。
 可能な限り、彼の“禁じられた恋”に干渉し、その成就のために世話を焼くつもりに違いない。
 弥生としては、そんな長瀬のお節介がくすぐったくもあるし、後輩として可愛くも思うのだが、それでもやはり困惑せざるを得ない。
 冬馬が長瀬の告白を拒絶する口実として出した自分の名。そこに果たして、どれほどの真実が込められているのか、現段階では、まだまだ未知数であったからだ。
 
 弥生は冬馬を愛している。
 家族の一員である弟としてではなく、純粋に、そこにいる一人の男としてだ。
 だから、彼の言葉が嬉しくないと言えば、嘘になる。
 しかし、冬馬という少年が、普段のあっけらかんとした態度とは裏腹に、その内面はかなり食えない人間である事を弥生は知っている。
 彼は嘘つきではない。
 だが、それは嘘が不得手だという意味ではない。必要とあらば、冬馬は他人にも自分にも平然と嘘をつける男である。こういう言い方は哀しいが、そんな冬馬が吐いた言葉を、簡単に信用するわけにはいかなかった。


 生徒会室。
 かつて生徒会長であった弥生が、その辣腕を校内に振るう司令室として存在した空間。
 そこに存在する、これ見よがしに豪華なアンティークが目を引く。数人がけのフカフカのソファと彫刻を施したテーブル。一見しただけで値打ち物とわかる逸品だが、これらはみな、弥生が会長だった時代に自費で購入したものだ。
 現会長が直々に淹れた紅茶を、そのソファに座った前会長が、形のいい鼻を鳴らして香りを楽しむ。
「へえ……」
 一口、軽く口に含む。
 おいしい。
 湯温、茶葉の量、ともに申し分ない。
294傷 (その8):2008/12/20(土) 10:09:19 ID:YPS1ti1J

「少しは上達したじゃない、とーこ。おいしいわよ」
「でも、あたしが直々に紅茶なんか淹れてあげる相手は、弥生さんだけですよ?」
「貴女自身と、でしょ?」
 そう言われて、長瀬は一瞬、棒を呑んだような顔になり、たははと笑う。
 生徒会時代、副会長だった長瀬に、紅茶の旨さと美味しい淹れ方を教えたのは弥生自身であった。その長瀬が、こんなに紅茶の淹れ方が上達しているということは、誰よりも彼女自身が紅茶の味の魅力に取り付かれたからだろう。

「相変わらず、何でもお見通しなんですね」
 呆れたように長瀬は頭を掻き、そんな彼女に、弥生はにっこりと笑う。
 弥生が生徒会を引退するまで、よく二人はこうしてティータイムを楽しんだものだ。
 かつて学園No.1百合カップルと噂されたのは、ダテではない。彼女たち二人に同性愛の事実はあくまで存在しなかったが、柊木弥生と長瀬透子という美女たちが、こうして一時を過ごしている空間は、まるで一幅の絵画のように、余人の入り込む隙をまったく感じさせない。
 弥生自身はまるでその気がなかったが、実は、そんな自分に性別を超えた憧れを長瀬が抱いていたことも、弥生は見抜いていた。長瀬ほどに我の強い少女が、冬馬に興味を持ったのは、なによりも“弥生の弟”という要因が強く働いているからであろう。弥生には、それが分かる。

(私の代償として冬馬くんに目をつけるなんて、……身の程知らずもいいところね)
 そう思っても、弥生はそんな長瀬を小面憎くは思わない。
 やはり弥生にとっても長瀬は――葉月ほどではないが――それでも損得抜きに可愛気を感じることができる、貴重な存在だったからだ。
 だが、冬馬に手を出そうとしたことだけは、あまりいただけない。
 しかもそれが、男性としての冬馬自身に魅力を覚えたからではなく、あくまで「弥生の実弟である」という事実が根底にあるような好意ならば尚更だ。自分の愛した男に、他の女の目が注がれるのも面白くないが、その男を軽く見られるというのは、さらに不愉快だ。

(でも、それも……とーこなら仕方ないか)
 あとは考え方次第だ。
 その手の好意ならば、一度感情面での決着がついてしまえば、たとえフラれても後にしこりを残さない。長瀬は後腐れなく冬馬のことを忘れてくれるであろう。
 ならば、彼女の存在は利用できる。
(いや、利用できるできないの話じゃないわ)
 せっかく自分と弟のために、お節介を焼いてくれる気になっているのだ。それを分かっていて無下に扱うバカはいない。長瀬には思う存分キューピッドになってもらおう。

「弥生さんは、ずっと彼氏とか作らないですよね」

――きた。
 おずおずと口を開いた長瀬に弥生は、何故そんなことを訊くのかという表情を見せる。
「その……やっぱり心に決めた男とかいるんですか?」
「私は受験生よ。そんな暇があると思って?」
「でも、弥生さんは、ほら、受験が忙しくなる前からオトコなんかに目もくれなかったじゃないですか? やっぱりそれって……?」

 何気ない会話を装いながらも、ちらちらとこちらに向ける瞳に込められた熱は、まぎれもなく長瀬の言葉が真剣なものである事を物語っている。その、あまりの大根役者ぶりに、弥生は失笑しそうになるのを懸命にこらえながら、うつむいた。
 笑っている場合ではない。楽しんでいる場合ではない。
 これから会話の主導権を奪い、気付かせぬまま、長瀬の心理を操作せねばならないのだ。
 会話という情報操作によって、相手の心理を巧妙に誘導し、己の意図を、それと気付かせずに相手に刷り込ませ、その行動をコントロールする。――こう説明すれば、心理学的な超絶技術に聞こえなくもないが、しかし、弥生にとってはそれほどの難事ではない。
(でも、それが本当にベスト……?)

 無論、問題もある。
 長瀬はかなり非常識な人間だ。
 彼女の思考パターンを完璧に把握しない限り、その意思を誘導したつもりでも、長瀬が弥生の想定外の行動を取る可能性は非常に高い。そして、弥生は二年の付き合いなれど、長瀬の考え方を完全に理解しているとは、とても言えなかった。
 だからこそ弥生は、そういう長瀬を面白がっていたと言えなくもないが、この場合は少し話が違う。
 ならば、どうすればいい?
(仕方ないわね)
295傷 (その8):2008/12/20(土) 10:10:27 ID:YPS1ti1J

「――いたわ。好きな男なら、確かにね」
「いた? 過去形ですか?」
「あきらめたのよ」
「あきらめたって……弥生さんなら、男なんて選り取りみどりでしょう?」
「ただの男なら、ね」

 そのとき、長瀬は凍りついた。
 成績はいいが、弥生と違って彼女は人間の心の機微にうとい。長瀬独特の尊大さや突拍子のなさはそれゆえなのだが、いくら何でも、ここまで話を誘導してやれば分かるはずだ。
「まさか……弥生さんの好きな男って……!?」
 弥生は静かに頷いた。
「好きになっちゃいけない人を好きになるなんて……この世に本当にあるのね」
「じゃあ……弥生さんも……柊木のことを……ッッッ!!」
――この場合、長瀬が言った“柊木”とは、無論、ここにいる柊木弥生でも、ここにいない柊木葉月のことでもない。渦中の人物たる弥生の弟・柊木冬馬その人のことである。

 カミングアウト。
 これこそが、この場におけるベストの選択であるはずだ。
 弥生の洞察力をしても長瀬の行動や心理を誘導しきれない可能性がある以上、上から目線で、こちらが望む行動を直接に指定してやる方が、まだリスクは少ない。
 さいわい、長瀬は弥生を慕っている。弥生の指示ならば、彼女はまず逆らわないだろうし、なにより現役の生徒会長という校内随一の権力者でもある。ただの利用相手としてより、協力者――または共犯者――として、傍らに置いた方が何かと役に立つはずだ。
 だが、それをこっちから頼み込むつもりはない。
 葉月の言い草ではないが、やはり弥生にとっても、恋愛感情などというプライベートすぎる話に積極的に関わってくれと、第三者に頭を下げる趣味はない。
 たとえ相手が、自分を慕う可愛い後輩であったとしても、そんなことを身内以外に頼み込むなど、弥生の自尊心が許さないのだ。つまり、この場合――長瀬の方から自発的に協力を申し出る形に持ってゆかねば、弥生としては話が始まらない。

「ふんっ……バカなこと言ったわ」
 紅茶をくいっと飲み干すと、弥生は照れたように顔を赤らめて立ち上がり、
「今の話は忘れなさい。ここにいるのが貴女だからこんな恥かしい話をしたけども、やっぱり他人に話せるような事じゃないわよね」
「え……?」
「お紅茶ごちそうさま。おいしかったわ」
 そう言って、大股にドアに向けて歩き出そうとした弥生に、長瀬があわてて立ち塞がる。
「まっ、待って下さい、弥生さんっ!!」
「え?」
「もし、もしもですよ、もし柊木のやつが、――弥生さんを好きだったとしたら、どうします……?」

 しかし、弥生は顔色も変えない。
 むしろ、バカなこと言ってるんじゃないわよ、とでも言いたげな表情で長瀬を見つめる。
 そんな弥生の冷静な視線に、話を振ったはずの長瀬が逆に焦りだす。
「本当なんですよ弥生さんっ!! 正真正銘、柊木の本命は弥生さんなんですってば!!」
「とーこ……貴女、私をからかっているの? それとも一体どういう意図で――」
「ストップ!! だからマジなんですってば!! だいたい、あたしが弥生さんにウソをつくわけないでしょうっっ!?」
「いい加減にしなさいっ!! 冬馬くんは私の――いい? あの子は私の実の弟なのよ!? そんなバカな話があるわけないでしょうっっ!!」
「とにかく!! 座って下さいっ!! ちゃんと順を追って話しますからっっ!!」

 長瀬は、ぽつりぽつりと話し出した。
 その内容は、弥生も先刻承知しているとおり、長瀬が冬馬にフラれ、その際に彼が弥生の名を想い人として出したという話だったが、そこから顔を上げた長瀬の表情は、妙にサッパリしていた。
「でも、そこで弥生さんの名前を出されちゃ、あたしにゃ手も足も出ませんよ。いくら何でも、女としての魅力で弥生さんに勝てると思う程、自惚れちゃいませんからね」
「…………」
「まあ、確かに話を聞いた瞬間、ばかな相手に惚れやがったと思ったのは事実です。よりにもよって、実の姉なんですからね。でも、そんな報われぬ相手に操を立てて、近寄る女を片っ端から断っている柊木に、少し感動しちゃったのも本当なんです」
「……で?」
「ですから、あたし『応援する』って約束したんですよ、柊木のやつに。――でも、弥生さんまでアイツに気があったなんて、……ちょっとスゴイですよね、これって?」
296傷 (その8):2008/12/20(土) 10:12:30 ID:YPS1ti1J

 しかし弥生はしかめっ面を崩さない。
「他人事みたいに貴女は言うけど、実際どうしようもないでしょう? 私とあの子は姉弟なんだから」
「え?」
 そこで長瀬は、初めて意外そうな表情を弥生に向けた。
「じゃあ……弥生さんは、成就させるつもりがないんですか、アイツとのことを……?」
「なにバカなこと言っているのっ!? 私とあの子じゃ近親相姦になっちゃうのよ!? 成就もクソも、そんなことできるわけ無いでしょうっっ!!」
「……弥生さん」

 弥生はそこで、しばし顔を伏せた。
「そりゃあ……嬉しくないと言ったら嘘になるわ。好きだった男が、実は私を好いてくれていたなんて聞いたらね。でも……でも、それを聞いた以上は、なおさら諦めざるを得ないじゃないの……!!」
「でも……そんな……せっかく……」
「自ら進んで畜生道に堕ちるわけにはいかないのよ。禁忌を破っても、その先に待っているのは不幸しかないんだから」

(我ながら、よくもまあ、ぬけぬけと言えるものね)
 凝然と俯きながらも、その心中では苦笑しそうになる。
 実際、弥生は近親相姦など屁とも思ってはいないし、それどころか近親婚さえも、段取り的には手に届くところまで来ているのだが、いかに何でも、それを言えるものではない。
 ここは、世間の一般常識の前に膝を屈して、自らの想いを諦める女を演じなければ、長瀬のような女を、その気にさせることはできない。弥生にはその確信があった。

「何をだらしない事を言ってるんですかぁっ!!」

 果たして長瀬は乗ってきた。
 生徒会長在職中の弥生は、穏やかな笑みをつねに崩さず、それでいて、必要とあらば校長や理事会とも対立を辞さなかった女傑であった。その彼女が、こんな弱気な顔を見せたのは、家族以外では、この場の長瀬透子が初めてであろう。
 そして、予想通り長瀬は、そんな弥生を見過ごせなかった。
「なにが畜生道ですか! なにが禁忌ですかっ!! 柊木弥生ともあろう者が、そんな常識に囚われて自分の恋を捨てるなんて、そんなのおかしいですよっ!! あたしの弥生さんは、自分がほしいものは、何が何でも手に入れる人だったはずですっ!!」
「…………」
「オンナという生き物は、恋に生きてこその存在でしょう? それを……それを……諦めるなんて軽々しく言わないで下さいっ!!」

「冬馬くんを……諦めるなと言うの……?」
「はい!」
「でも――」
「でもじゃありません!! せめて弥生さんと柊木が幸せになってくれなくちゃ、あたしが何のためにフラれたのか分からないじゃありませんかっ!!」
「とーこ……」
「弥生さん」
 そのまま長瀬は、ぐいっと弥生に顔を近づけると、
「柊木を口説いて下さい。口説いてモノにして下さい。近親相姦がどうとか、そんなことで悩むなんて哀しいこと言わないで下さい。弥生さんは、弥生さんである事を貫いて下さい」
 と、熱っぽく語った。

 その言葉は弥生にとって、目が眩みそうになるほど嬉しいものだった。
 しかし、弥生はそんな喜びをおくびにも出さずに、近寄る長瀬をぐいっと押しやり、
「とーこ、冷静になりなさい。だいたい諦めるなって貴方は言うけど、それはもう私一人では、どうにもならないことでしょう?」
「え?」
「貴女も知ってのとおり恋愛には相手が要るわ。もし私がその気になったとしても、肝心の冬馬くんがすでに諦めてしまっていたら、どうにもならないんじゃないの?」
「そんな……っ!!」
 長瀬は絶句した。
297傷 (その8):2008/12/20(土) 10:14:30 ID:YPS1ti1J

 ようやく話をここまで持って来た。
 だが、ここからだ。
 弥生が、長瀬という後輩を協力者として欲するのも、彼女の暴れ馬のような行動力を、現状打破の起爆剤と睨んでいるからだ。
 現状――すなわち、さっき弥生が言った“冬馬の気持ち”であった。
 いかに“非血縁”の根拠となりうるDNA鑑定の偽造報告書を用意したところで、肝心の柊木冬馬本人が弥生を拒絶したならば、彼女にはもう、なすすべがないのだ。
 いや、鑑定書だけではない。弥生は、冬馬との仲を妨げる全てを排除する自信があるが、それでも、柊木冬馬の意思がどっちに転ぶかは、いまだ確信を持てるに至ってはいない。

 冬馬の過去は、弥生の綿密な調査にもかかわらず、かつて完全に薮の中であった。だから彼女としては、冬馬の“現在”から、彼の人格形成を洞察するしかなかった。
 しかし、弥生はその点、事態を楽観視していたといっていい。
 この数年の生活で、冬馬の人となりは大体把握したつもりだったし、いざとなれば、なりふり構わず誘惑してしまえば、冬馬が自分を拒絶できるとは考えていなかった。
 弥生は自分自身の魅力について十分自覚していたし、しょせん相手は年頃の少年に過ぎないと甘く見ていたからだ。最悪、薬物を使用してでも、既成事実を作ってしまえば、もうこっちのもの。――その程度に考えていたのだ。

 だが先日、冬馬の“元妹”千夏と会い、彼の過去を聞いた瞬間、さすがに弥生は、己の危機感が足りなかった事を改めて意識せずにはいられなかった。
 芹沢事件――少年少女強制売春事件の関係者という酸鼻きわまる過去を、冬馬が持つと判明した以上、性に対する多大なトラウマを彼が抱えている可能性がある。ならば、色仕掛けを含め、普通のやり方で冬馬をなびかせるのは困難だと判断せざるを得ない。
(やっぱ一歩ずつ外堀を埋めていくしかないか……)
 とは思うものの、そのためには、どうしても自分ひとりでは手が足りない。葉月をプライベートにおける“共犯者”とするなら、学校生活における“共犯者”というべきポジションを誰かに振り分ける必要がある。
 弥生が、長瀬に自ら志願させようとしている役目は、まさしくそれであった。


「……あたしが、手伝います」
「とーこ?」
「不肖・長瀬透子、全力を尽くして弥生さんの恋を手伝います。近親相姦がどうこうと理屈をこねて、あいつがへっぴり腰になるようなら、ケツ蹴り飛ばしてでも目を覚まさせてやりますよ」
「…………」
「昔を思い出してください。あたしが副会長で弥生さんが会長だった頃は、どんな仕事だろうが誰が相手だろうが、不可能なんて無かったじゃないですか? あたしたちが手を組めば、それこそ鬼に金棒みたいなもんですよ!」
「……本当にいいの? 仮にも貴女、冬馬くんにフラれたんでしょう? ……つらくないの?」
 長瀬が一瞬、喉に何か詰まったような顔をしたが、それでも彼女の瞳に迷いは無かった。
「手伝わせて下さい。弥生さんのためなら、あたし何でもします――!!」


 弥生の空気が変わった。
(気のせい、よね……?)
 長瀬には、そのとき、弥生が密かに笑ったような気がしたのだ。無論、気がしただけだ。表情を変えるどころか、外見的には、弥生はその体勢を微動だにさせていない。

「そう……わかったわ」
 弥生は染み入るような声で呟いた。
「条件は二つ。私の指示には絶対に従うこと。それと勝手な独断専行は絶対にしない事。誓える?」
 その瞬間、長瀬は愁眉を開いた。
「弥生さん、じゃあ……ッッッ!?」
 これが嬉しくないわけが無い。
 彼女が唯一尊敬する先輩・柊木弥生が、ようやく一般論の軛(くびき)から脱し、その本心のままに振舞うことを決意したのだ。かつて教師さえも歯牙にかけず、学園を思うがままに支配した美しい女王が帰ってきたのだ。
 そう、これが嬉しくないわけが無い。
 長瀬透子にとって、かつて“女帝”と謳われた弥生の姿は、永遠の目標であると同時に、神聖不可侵たる絶対の偶像だったのだから。
 だが――すぐに長瀬は眼前の弥生に違和感を覚えた。

「貴女は『何でもする』って言ったわよね……それは、本気なの……?」
「え……?」
298傷 (その8):2008/12/20(土) 10:16:25 ID:YPS1ti1J

 そこにいる弥生は、長瀬が知っている、かつての光り輝くカリスマではなかった。
「冬馬くんを私のものにする。そのためには、彼を誰もいない場所に誘い出してもらう事もあるだろうし、嫌がる冬馬くんの手足を押さえ付ける手伝いをしてもらうかも知れない。あの子に近付く雌ネコの排除にも手を貸して貰うわ」
 長瀬は何かを言おうとしたが、弥生の口調は、さらに有無を言わせぬものだった。
「一度こうと決めた以上は、私は冬馬くんを落とすために何でもするわ。だから念のためにもう一度だけ訊くけど、――貴女は本気で、こんな私を手伝ってくれるのよね……?」

 そう尋ねる弥生の眼差しは、かつて長瀬が見たことも無い、妖しさを――いや、妖しさだけではない、おそろしいほどに強圧的な意思を含んだ瞳だった。
 一応、質問の形は取っているが、これは間違いなく“命令”だ。『NO』と答える選択肢など初めから存在しない、ただ『YES』と頷くしかない命令だ。
 長瀬は、自分が憧れてやまなかった弥生の姿は、単なる一面に過ぎなかったのではないかと、ようやく思った。これこそが、初めて剥き出しにした弥生の“オンナ”の顔なのだ。
 だが――そこに嫌悪感は生まれなかった。
(弥生さんが、あたしに、ナマの自分を見せてくれている……!!)
 そこにあったのは、感動だった。

「はい。あたしは……弥生さんあっての長瀬透子ですから……!!」


//////////////////////////

「――なるほど、じゃあ兄さんは、好きな女性などはいらっしゃらないのですか?」

 会話の流れ的に、自然と口に出た質問。
 だが葉月は、その瞬間に、猛烈な後悔に襲われた。
 それはタブーとすべき話題だった。口にしてはいけない言葉のはずだった。
 もしも自分が弥生だったなら、こんな質問はタイミングと空気を十分に考慮した上でなければ、まず口にしなかったろう。少なくとも、いま自分がしたような、いかにも「口が滑りました」と言わんばかりの迂闊な訊き方は、絶対しないに違いない。
(なんでわたしは……いつもいつも……っっ!!)
 葉月は数秒前の自分を、歯軋りするほどに呪ったが、しかしもう遅い。
 言葉はすでに放たれてしまったからだ。


 葉月が引き篭もりから復帰して、すでに三日。
 彼女はすでに、以前の生活を取り戻している。
 中学校への通学と、大学や企業の研究機関への出向。そして自室でパソコンに向かい、論文やレポートの作成に時間を費やす日常。だが、いかに葉月といえど、勉強と研究にどっぷり肩まで浸からせた24時間を、年中無休で過ごしているわけではない。
 研究室に於ける葉月は、基本的に客員研究員という立場だし、プライベートの時間まで学者としての顔をしてはいない。彼女は、あくまで自分を“中学生”だと定義していたし、家族の前では、一家の末っ子としての自己を崩さない。
 TVやゲームに興じて我を忘れる事もあったし、母に言われればお使いにも行くし、掃除も手伝う。そしていま、葉月は兄とともに台所に立ち、夕食の準備を手伝っていた。

 今宵は両親の帰りが遅い。
 夫婦水入らずでディナーを楽しんでくる、と連絡があったのだ。
(子供をほったらかして贅沢なんて……あの二人は親としての自覚があるのかしら)
 そう思うのも事実だが、いまさら葉月は両親に怒りを覚えたりはしない。
 二月に一度ほどの頻度だが、両親が二人だけで出掛けるのは毎度のことだし、むしろ、今でもそういう恋人気分が抜け切らぬ両親に、羨望さえ感じるくらいだ。
 そういう晩は、残された子供たちだけで、外食をするなり出前を取るなり勝手にしろと言われているし、そのための必要経費(晩飯代)を、生活費から抜く許可も貰っている。
 だが、そんな両親不在の晩に、子供たちが指示どおり素直に金を使うことはあまりない。冷蔵庫のありあわせで自炊し、晩飯代を山分けして懐に入れてしまうのが常だった。

 姉は、まだ学校から戻ってこない。
 いつもならば両親不在の夜は、弥生は、待ってましたとばかりに冬馬にべったり甘えるのが常なのだが、今宵は何故か帰って来ない。父も母もいない夜だとすでに知りながらだ。
 引き篭もりを止めた葉月に、久し振りに、冬馬と二人だけの時間をプレゼントしてくれたつもりなのだろうか。――しかし、
(ちょっと、裏目に出ちゃいましたね)
 二人きりだと気まずくなった時、それを打破するのが、やや難しい。
 弥生がいれば、こんな雰囲気はたちまち何とかしてくれるのだろうが……。
299傷 (その8):2008/12/20(土) 10:18:02 ID:YPS1ti1J

 冬馬は、いかにも手慣れた様子で包丁を操り、キャベツの千切りを作っている。
 今晩のメニューはお好み焼きなのだそうだ。
 一時期、母とともにキッチンに張り付き、花嫁修業と見紛う熱意で料理を覚えていた兄の手際のよさは、不器用な葉月の比ではない。しかし葉月も、危なっかしい手付きながらも、何とか豚肉を切っている。
 そして、とりとめのない会話をしながら、葉月がその質問をしてしまったのは、そういう、あくびが出そうになるほどに穏やかな瞬間だった。


 規則正しい、包丁の音がキッチンに響く。
 葉月の質問を境に二人の会話は止まったが、それでも兄の手は止まらない。
 キャベツを刻むその音に乱れが生じた様子も、ほとんど無い。
 だが、冬馬の背中から漂う空気は、明らかに変わっていた。
(まずい……)
 怒らせてしまったかも知れない。
 そう思うと、葉月は冬馬に視線を向けることさえ怖くなってくる。


 弥生と秘密攻守同盟を結び、兄に対する情報交換を済ませた今、葉月は冬馬の過去の事情を少なからず知っていた。そして問題視すべきは、彼の肉体に刻み込まれた大量の傷ではなく、その悲惨な経験がもたらした精神の傷であるということも。
 無論、冬馬は、弥生と葉月が自分の過去を知っている事実を知らない。
 それでも兄の過去の片鱗を知った以上は、彼に男女の話はタブーだ。道理としての次元ではない。それは純粋な思いやりとしての話だ。
 だが葉月は、現役の研究者であるだけに、胸のうちの疑問をそのままにしておけない性分であった。それだけについ――口に出た。

 冬馬が、女性全般に対して無差別的な苦手意識を抱いていない事は、これまでの生活で分かっている。何故なら、彼は、自分たち姉妹に向けて、そういう生理的な拒絶反応を示した事が無いからだ。
 柊木家の姉妹と冬馬は『生まれながらの家族』では決してない。数年前に再会を果たすまでは、単なる他人でしかなかった仲なのだ。そういう意味では、出会った当初の自分たちは、冬馬にとって転校先のクラスメートに等しい関係しか持っていなかったことになる。
 だが、葉月の記憶が確かならば、その当時の冬馬が自分たちに向けた眼差しは、むしろ染み入るような人懐っこさを伴ったものだった。相手が女性であるという理由だけで怯えるような真似を、かつて冬馬がした事はなかったはずなのだ。

 つまりそれは、兄が言い寄る女たちを近づけない理由が無意識的なものではなく、あくまで意図的なものだという事を意味する。ならば葉月は――いや葉月のみならず弥生も――そんな理由があるならば、絶対に知っておかねばならない。

 考えようによっては、これはいい機会なのかも知れない。
 柊木冬馬という人間が、一般的な女性をどういう視点で捉えているのか。多少成り行き任せな話だが、今はそれを聞きだすチャンスだと考えれば、さっきの失言も少しは意味あるものと、葉月は自分を慰めることができる。
 結果として、冬馬を怒らせてしまうかも知れないが、それでも葉月は兄を信じていた。
 さっき前述したが、なにしろ冬馬は、自分たち姉妹が、彼の過去についての情報を握っている事を、まだ知らない。ならば、妹が兄に『好きな女はいないのか?』と訊くこと自体は、単なる兄妹のコミュニケーションの範疇をさほど逸脱しないやりとりのはずだ。
(だったら兄さんが、わたしの質問を“無神経”だと考えるはずがない)
 
「ねえ兄さ――」
「葉月」

 いつもながらの兄の、のんびりとした声。
 だがタイミング的には、同時というよりむしろ、葉月には冬馬が自分の言葉を遮ったように聞こえた。
 だが、そのことを兄に突っ込むつもりは葉月には無い。
 まったくペースを崩さずキャベツを刻む小気味いい音を響かせる冬馬の背中には、ぴんと伸びた緊張の糸が張り詰めているのが、葉月にも見て取れたからだ。

「……なんですか、兄さん」
300傷 (その8):2008/12/20(土) 10:18:44 ID:YPS1ti1J

「お前はなんで、おれのことをそんなに気にするんだ?」
 その語調に咎めるような勢いは無い。だが、その言葉には明確に、のんきな声音に隠された棘があった。――いや、兄のことだ。語尾の裏にうっすら見え隠れする緊張すらも、実は意図的なものかも知れない。
「おかしいじゃないか。普通はお前、年頃のオンナノコって言えばよ、おれみたいな男の家族を避け始めるのが当たり前なんだろ?」

 それはそうだ。
 思春期に突入した年齢の女性は、まず“家庭”という最も身近な環境にいる異性を、敏感に意識し始める。幼い頃はともかく、普通の家族ならば思春期以降は、なかなか以前の親密さを保持することは難しい。
 葉月にとっても、例を挙げろと言われれば、それこそ枚挙にいとまが無い。クラスの女の子たちは、ほぼ例外なく、実家に同居する父親や兄弟の“男臭さ”に辟易している者たちばかりだからだ。
 だが、この際、問題はそこではない。どう考えても兄の発言は、葉月の質問をはぐらかそうとしているのが丸見えなのだから。
 こういう時、弥生ならばどう答えるのだろうか。――しかし葉月には、それがまったく想像できない。



「それは多分……わたしが兄さんのことを好きだから、でしょう」



 言ってから唖然とした。
 迂闊どころではない。何故こんなムチャクチャな発言をしているのか、葉月は自分が、まったく分からない。
 いや、唖然としているのは、葉月だけではない。
 冬馬もその口をあんぐりとさせて、呆然とこちらを振り返っている。

 葉月はバカではない。少なくとも机に向かった彼女を指して、バカと呼べる人間は、今の日本にはいないはずだった。だが例外が無いわけではない。
 柊木冬馬。
 事態が彼に関わると、途端に葉月はいつものペースを崩し、失言・失態を繰り返す。たとえば――そう、いまだ。
 そして、こうなってしまった以上、もはや仕方が無い。
 さっきの失言にしてもそうだが、一度口に出した言葉は、もう無かったことにはできないのだ。
 葉月は肚をくくった。

「兄さんはどうなのですか? こんなわたしを、迷惑に思いますか……?」

 行けるところまで行ってやる。
 姉が不在の夜、妹は兄を前にそう思った。
301名無しさん@ピンキー:2008/12/20(土) 10:19:19 ID:YPS1ti1J
今回はここまでです。
302名無しさん@ピンキー:2008/12/20(土) 10:30:42 ID:5nrLqgl1
303名無しさん@ピンキー:2008/12/20(土) 10:41:18 ID:OLjzfiqu
いつも楽しみにしてます
304名無しさん@ピンキー:2008/12/20(土) 19:59:25 ID:Z3w856Kt
GJ!今からキモウトのターン!!
305名無しさん@ピンキー:2008/12/20(土) 23:31:33 ID:HuDEMH60
葉月なかなか突っ込んだな
これは弥生の反応が気になるw
GJ!
306名無しさん@ピンキー:2008/12/21(日) 01:01:57 ID:p6BAdOdj
307名無しさん@ピンキー:2008/12/21(日) 03:01:28 ID:gbbAP/4r
>>306
zip
308名無しさん@ピンキー:2008/12/21(日) 11:48:22 ID:p6BAdOdj
309名無しさん@ピンキー:2008/12/21(日) 12:12:29 ID:azFxlQ6s
よくもまぁこんなのがアニメ化されたものだ。。
310名無しさん@ピンキー:2008/12/21(日) 12:28:56 ID:Sd2hiilo
>>306
詳細教えて
311名無しさん@ピンキー:2008/12/21(日) 12:41:30 ID:fOjE0+7H
おや、>>310は興味津々みたいだぞ、みんな?
312名無しさん@ピンキー:2008/12/21(日) 13:01:08 ID:YthJTRgz
>>310
vipでやれカス

めいびいっぽいけどどうだろ
313名無しさん@ピンキー:2008/12/21(日) 13:57:44 ID:EqYAilIG
>>306
>>308
タイトルが知りたい
314名無しさん@ピンキー:2008/12/21(日) 14:22:46 ID:Q58ox4Of
>>306
これヤングチャンピオン烈の7代目のとまりとかいうめいびいの作品だったはず。
>>308
これキスシスとかいうやつだったような?尿で有名な人だったはず
315ユルキモ1:2008/12/21(日) 15:20:38 ID:NhB+tg9W
 文香、君こそ真ノキモウトダ、君には「敵意」がナイ。「敵意」には力が向カッテ来ル…。
ヨリ強い力が「敵意」を必ずタタキにヤッテ来ル…。「敵意」はイツカ倒サレル、実に単純ダ。
ダガ君は違ウ。君には「敵意」もナケレバ悪気もナイシ。兄にも迷惑ナンカかけてナイと思っテイル。
だがソレコソ、スイーツ(笑)より悪い「キモウト」と呼バレルものダ。

この物語は、妹と兄による100年以上にわたる戦いの歴史だ。
彼女の名前は文香。ツヤのあるセミロングの黒髪、
お人形のように小さな顔にくりっとした丸い目をした少女。口癖は語尾に〜でし、〜じょ。


「お兄ちゃまが、帰って来る前にキレイにしなきゃ!」

それにしても、お兄ちゃまはお片付けが下手でしねぇ〜。あたしが、毎日掃除してるのに…。
でもそれを口実に、お兄ちゃまの部屋に入れるんだから良しとしよっ。
まぁ、本当の目的は掃除なんかじゃないんでし…ぐひっ…ぐふ

「まずは…ゴミ箱、ゴミ箱っと」

まず目的1は、ゴミ箱の中の精液の回収。大体はティッシュにへばりついて、カピカピになってるけど。

「ラッキー!今日はコンドームじゃん…うはっ」

たまにこうやって、コンドームに入っている原液が手に入るんだよ。
しかもお兄ちゃまは、コンドームを縛って中身を出さない様にしているから、
意外と新鮮な精液が採集できるんでし。お兄ちゃまは、
文香が部屋掃除をしてゴミ捨てをしているのも知ってるのに、いつもティッシュとかコンドームを、
ゴミ箱に捨ててある。一応コンビニの袋に入れて、入り口を縛ってからゴミ箱に入れているが、
あんまりにも無防備だ。しかも一階までトイレに行くのが面倒らしく、ペットボトルにオシッコをしてあって、
それを片付けるのもあたしの役目だ。1日以上経つと菌が繁殖してるのか発酵してるのか、
開けるときに炭酸飲料みたいにプシュッと音がして、なんとも言えない匂いがする。
でもこの匂いを嗅げるのは、世界中でたったの一人だけ。とは言ってもさすがに行儀が悪い、
オシッコを手に入れる手段がこれしかないからしょうがないけど、
なにか方法が見つかったらすぐに止めさせなきゃ。
文香に相応しいお婿さんになってもらうんでし、お行儀も大事でし。
316ユルキモ2:2008/12/21(日) 15:22:23 ID:NhB+tg9W
「それはさておき、これだけ有れば精液を培養出来るじょ〜!培養して、増殖させて…
お料理しよ〜…でひっ…ストック切れそうだから助かったでし!ん〜…なんでこんなにいい匂いなの〜?
でもお兄ちゃまは、こんなゴムに出さないであたしに出せばいいって、何回言ったらわかるんでしぃ?」

指でコンドームの先端を触ると、 精液がグニュっと音を立てて変形する。
直接触らないでも、ドロドロとした感触が伝わる。
次に文香は、アーンッと小さな口を開けて精子の詰まったコンドームの先端を口に含み、
モゴモゴと口の中で楽しむ。ゴムの苦い感触も慣れたものだ。
まるで母親のおっぱいを吸うように口から離さない。
手にコンドームのローションがついているが、気にせずに制服のポケットにそれをしまう。
 そして回収の次は排除だ。文香は、お人形のようなクリクリした丸い目で室内を見渡す。
そして机の上の一枚の写真を発見した。

「んっ…このビッチ、お兄ちゃまとツーショット…き〜!キー!」

ビリッ、ビリッ…ビリリリリッ

あたしでも、たまにしか撮ってもらえないのに〜。
顔は覚えたから今度会ったら、ただじゃおかないんでし。はぁ…はぁ…

「おいっ、文香?」

「でしぃ?」

排除に夢中になっていたために、兄が帰宅していたのに気がつかなかったようだ。
文香は、慌てて写真の残骸をゴミ箱に入れる。

「あはっ…あははっ、お兄ちゃま…お帰りなさい。」

「お帰りなさいって、コンビニ行っただけだし。あれっ、ここにあった写真知らない?
阿部さんとツーショットのやつ」

「アベドゥルは…粉みじんになって…死んだ…」

「えっ…アベドゥ?…粉みじん?…まぁいいや、見つけたら言って」

「うん…」

「あれっ…部屋掃除してくれたのか?」

「うんっ!あと、ベッドの下からこんなの出て来たよ」
317ユルキモ3:2008/12/21(日) 15:25:15 ID:NhB+tg9W
文香の手には、アダルトな雑誌やらアイテムやらが。

「いっ…それは…」

「あたしがいるんだから、こんなの要らないでしょ?」

ピリッ、ビリリリリッ

文香はまずアダルト雑誌を力任せにビリビリ破り、次にアダルトDVDを真っ二つにする。
さらには、オナホールを裂けるチーズの如く細かくむいていく。

「面白〜い!ほら…このオナホール簡単に裂けるよ〜!お兄ちゃまもやるぅ?」

顔は笑っているが声は笑っていない。この調子だから、兄のアダルトグッズは寿命はかなり短い。
彼女を作りたくない訳ではないが、
アダルトグッズと同じ運命を辿ってしまうのではないかと考えると気が進まない。

「この写真集さぁ…前も燃やしたのに〜。どう考えても文香の方が可愛いのに、おかしいな〜?もう一回燃やさなきゃ」

「おいっ!それ限定版だぞっ、止めろっ…」

「離してよっ…こんなカキタレ、お兄ちゃまには似合わないっ」

「写真集くらいいだろっ」

ビリビリ、ビリりッ!ビリッヒィィィーンッ!

取っ組み合いの結果、限定版の大事な写真集はグシャグシャのビリビリ状態だ。

「あぁ…限定版が…二万もしたのに」

余程気に入っていたのか少年は、床に女の子のようにへたり込んだ。

「大丈夫、大丈夫ぅ〜!今度ぉ〜、文香の写真集プレゼントしてあげるからぁ。
もっと過激なポーズしてあげるでし…ぐひっ…それみてぇ…いっぱいシコってね!
写真集に直接ぶっかけてもいいんだじょ!」


アダルト・DVD→殺害
アダルト・雑誌→殺害
アダルト・グッズ→殺害
アイドル・写真集→間接的に(協力して)殺害


 キモ妹第一部の主人公は女性です。なぜ女性なのか、そこのところなのだ問題は。
キモ妹の主人公なのだから、兄にパンチをされてもへこたれないタフさが必要だ。
兄のベッドを無断で這いずり回ることもあるし、時には大股開きで兄の腰に落下する事もあるだろう。
女性にはちょっとキツい設定だ。でも考えてみると、そのギャップが面白いかもしれないと考えた。
しかも、聖母マリア様のような大きな兄妹愛を持つ女性。主人公は女性しかいないと思った。
318名無しさん@ピンキー:2008/12/21(日) 15:27:17 ID:NhB+tg9W
かわりにジョジョネタ書いたわ。ビッリヒヒィィーーンッはジョッリヒヒィィーーンッね。ちなみに続きます。
319名無しさん@ピンキー:2008/12/21(日) 17:17:48 ID:p6BAdOdj
320名無しさん@ピンキー:2008/12/21(日) 21:52:09 ID:P3pjOHXd
はっとりみつる先生の作品だということまでは分かるがそこから先が分からん
321名無しさん@ピンキー:2008/12/21(日) 21:54:00 ID:yCBIl0kB
キモウトがよかろうなのだァッ!
322名無しさん@ピンキー:2008/12/22(月) 00:03:23 ID:YTTJ5YSl
>>319
修羅場かよ
323名無しさん@ピンキー:2008/12/22(月) 00:56:51 ID:VoH+OaT1
キモ姉妹系の漫画ならコミックハイで連載中(現在3話)の「ぶらこんッ!?」がいい感じ
「2人で近親相姦の扉を開けましょう」「BLに比べたら生産的よ」などのキモウト発言があり
兄が「何を生産するんだ」って心の中で突っ込んでたのが笑ったw
324名無しさん@ピンキー:2008/12/22(月) 15:44:01 ID:sf2Otdzc
>>323
ありゃ駄作だろ
325名無しさん@ピンキー:2008/12/22(月) 21:27:45 ID:K1wkkm1D
>>324
では、君のお勧めなのか教えてくれないか?

俺のお勧めは……ベタだが、「でろでろ」。ああいうつかず離れずの距離関係ってめちゃくちゃいいぜ……!
326名無しさん@ピンキー:2008/12/22(月) 21:56:46 ID:ELUN/PIi
まとめの「蝶変態超変態」ってやつにリアルタイムGJ!ってレスも入ってて吹いた
327名無しさん@ピンキー:2008/12/22(月) 23:09:02 ID:+kF5yHWd
>>325
でろでろは兄妹コミックであってキモウトコミックではないだろ
妹もデレるけど基本はシスコン兄の暴走だし
328名無しさん@ピンキー:2008/12/23(火) 08:09:42 ID:JMHcbQxa
漫画のキモウトと言えば、普段はそっけないくせに、兄に彼女ができそうになったら殺すこともいとわない妹がいたっけ
よく兄の持ち物を盗んでたやつ
329名無しさん@ピンキー:2008/12/23(火) 11:01:51 ID:GaWdN7gb
>>328
なんだその俺の好物はkwsk
330名無しさん@ピンキー:2008/12/23(火) 11:18:39 ID:rmmPVrlr
>普段はそっけないくせに
俺もツボだ
331名無しさん@ピンキー:2008/12/23(火) 12:54:27 ID:38e9UILQ
332未来のあなたへ3.5:2008/12/23(火) 17:30:36 ID:IN/7LRg9
遅くなりましたが投下します。
今回も完全にスレチです。こんなんばっかりでごめんなさい。
実はキモ姉とか、そんな予定もありません。あしからず。
333未来のあなたへ3.5:2008/12/23(火) 17:31:48 ID:IN/7LRg9
世界はなんて美しい。






高校に入学してから一週間ぐらい経ったある日。
良い天気だったので、俺は散歩がてら学校の敷地内を探検するつもりで歩いていた。
この高校は割と広くて、古い。戦前からある進学校という奴だった。ちなみに公立で、家からはバス通学になる。
このあたりでは普通に偏差値の高い高校だ。俺のような馬鹿がここにいることが、今でも信じられない。
全ては半年前の、何気ない会話から始まった。

『兄さん。ところで進学先は何処にするか決めているんですか?』
『ん? いや、別に。近くの適当なところにしようかと思ってるけど。歩いて通えるところがいいかな』
『…………』
『なんだよ、その盛大なため息は』
『兄さん。世の中には、定職に就けず毎日すり切れるほど働いて、それでも貯金もできない人間がたくさんいます。そうして、体を壊して働けなくなりゴミ

のように死んでいく……』
『そういった人間と、そうでない人間を分けるのはいったい何なのか、兄さんにはわかりますか? 幸運? 生まれ? いいえ、いいえ』
『天は人の上に人を造らず、人の下に人を造らずと言われている。けれど人の立場に上下があるのは何故なのか。それは学問の差から生まれるものなり』
『人生の上下を決定づけるのは、幸運でも生まれでもなく、それまで積み上げてきた努力のみ。それが唯一、有意義な信仰というものですよ』
『自分の将来を想像してください。惨めな大人になるのが怖いのなら、今、努力するしかないんですよ。しないと言うのなら、未来を捨てると言うことです』
『あ……ああ』
そんなわけで、次の日から受験勉強の日々が始まったのだった。とほほ。
当初から目標は、偏差値が高く学費の安い公立高校と言うことで決まっていたけど、当時の学力ではとても無理にしか思えなかった。
それでもこうして入学できたのは、妹に尻を叩かれて遊びにも行かず、この半年ひたすら勉強をしてきた成果だ。
辛かったなあ……人生であれだけ、長期間勉強したのは間違いなく初めてだ。
しかし優香の奴、この高校一本に絞って、もし落ちたらどうするつもりだったんだ。
334未来のあなたへ3.5:2008/12/23(火) 17:34:40 ID:IN/7LRg9
そういうわけで。
そうして入った高校の敷地内を、俺は感慨深く歩いていた。
放課後の学校。
グラウンドでは野球部とサッカー部、陸上部が掛け声をあげながら練習している。体育館ではバスケとバレー、他にも弓道部、剣道部、柔道部、空手部と、活発に活動しているみたいだった。
とりあえず、しばらくサッカー部の練習を見ている。うーん、人が多いし結構熱心に練習してる。血が騒ぐ。
けど、部活に入るかどうかといえば否定的だった。
これは妹にも注意されていることだけど、俺は元々あまり頭がよくないから。毎日勉強していないと、あっという間に授業に追い付けなくなってしまう。
なので気晴らし程度に遊ぶならともかく、中学のように毎日部活に打ち込むというのは無理だ。まあ、妹は両立させてるけど、あいつは出来が違うからなあ。
「ふう」
軽くため息をついて、旧校舎の裏に回る。
木造の旧校舎は、今ではもう使っていないようだ。窓には板が打ちつけられ、周囲にも人気はない。
その裏手。なにもないと思ったそこでは、女生徒が一人倒れていた。

「いや、すまなかったね。助かったよ」
「あの、本当に大丈夫なんですか? 救急車とか……」
「ふふん、気にすることはない。この程度は日常茶飯事さ。ちょっとした運動不足に過ぎないよ」
「倒れるのが日常茶飯事って……それに、なんか薬飲んでましたけど」
正確には。俺が半分パニックになりながら彼女に駆け寄ると。ひゅーひゅーと息をしながらポケットを叩いていたので、そこに入っていた薬を二粒飲ませたのだった。
とても、本人が言うような軽い貧血には思えなかったけどなあ……
「ああ、昔から少し体が弱くてね。これはそのための薬だよ。運動不足とは関係ない。ふふん」
鼻で笑われた。そこは笑うところなんだろうか。
その人はどうも上級生のようだった。リボンの色を見るに三年生、最上級生だ。当たり前だけど初対面。
綺麗な人だった。
まず目に付くのは、とてもボリュームのある黒髪。お腹のあたりまで伸ばされて、毛先は一直線に切り揃えられている。
優香も髪は背中まで伸ばしてるけど、運動のために側面は切り落としている。けれど彼女は前髪以外が全てストレートで伸ばしている。運動するとき邪魔そうだ。
切れ長の瞳に、薄い唇。よく不適に笑う口元にギャップがあるけれど、俺は妹以上(かもしれない)美人には初めて会った。
背は、同じクラスの女子平均ぐらいだろうか。年長ということを考慮すると、若干低めなのかもしれない。
体の線は細い。スレンダーと言うよりは痩せている。プロポーションもまあ推して知るべし。肌はびっくりするほど白く、そのあたりはやっぱり体が弱い関係だろうか。
着ているのは紺のセーラー服で、これは学校指定のもの。特徴的な装備といえば、小脇に抱えたスケッチブック。
「ああ、これかい? 見ての通り、スケッチのつもりだったんだけどね。目的地に着く前に貧血でばったり倒れてしまったよ。我ながら不甲斐ないね」
「はあ……え、と。美術部の人ですか?」
「一応ね。君は一年生だね」
「あ、はい」
「なるほど。暇ならちょっとついてくるといい。お礼と言っては難だが、いい場所に案内してあげよう」
さっと髪をなびかせて、偉そうにきびすを返した先輩に、俺は言われるままに着いていった。やたら胸を張っているのが、この人のデフォルトなんだろうか。
旧校舎の裏を抜けて、破れたフェンスを潜って、林の中に入り、獣道を抜けて。その先は。
335未来のあなたへ3.5:2008/12/23(火) 17:35:21 ID:IN/7LRg9
「わあ……」
思わず、感嘆の声が漏れる。
その先は急に開けて、桜でいっぱいの公園になっていた。満開だ。
風が吹くたびに、ぱらぱらと花びらが舞っている。
公園は石畳の立派なもので、生徒や老人が数人、ベンチで花見やおしゃべりに興じていた。
「ふふん、どうだい。残念ながら独り占めとは言わないが、この季節はなかなかだろう」
「そうですね。へえ……裏にこんな公園があったんだ」
「道沿いだと、ぐるりと回らなければいけないからね。あまり人は来ないが、裏手を抜ければすぐそこだ」
言いながら先輩はスケッチブックを手に、桜の方に歩いていく。ああ、ここでスケッチするつもりだったのか。
なるほど確かに、絵に残さなければ勿体ないぐらいの風景だ。実際、写真を撮っている人もいる。
ざあ、と風が吹いた。
一際舞い散る桃色の中で、彼女は風になびく黒髪を片手で押さえる。
それは。それ自体が一つの絵として成り立つような、とても綺麗な光景だった。
何かが、胸を押し上げるように溢れる。たぶんそれは、感動だったんだろう。
先輩が微笑んだ。
「そういえば、名乗っていなかったね。僕は片羽、桜子だ」
「俺は榊健太っていいます、先輩」
「そうか。よろしくな、榊君」
そうして俺は。高校に入学して一週間で、片羽桜子という奇妙な先輩に出会ったのだった。

片羽先輩は、初対面の時から、妙に気になる人だった。
それは彼女がすごく美人だとか、発見したときに倒れているとか、そういうインパクトを除いたとしても。なんだか気になる人だった。
なんというか……二つ上で赤の他人なんだけど、すごく放っておけない気がした。
それが何故なのかは、うまく口では言えない。もしかしたらそれは、一目惚れという類のものだったのかもしれない。
その日は再会の約束もなく、ただ普通に別れた。家に帰って、勉強して、家族と話して、勉強して、寝た。
その人のことが胸に焼き付いて寝れなかったとか、そんなことはなかった。
ただ
次の日から。登校して、授業を受けて、友達と帰って、勉強して、寝る。その繰り返しの中で何となく、あの妙な先輩のことを捜すようになっていたと思う。
もしかしたら、またどっかで倒れてるんじゃないんだろうか、と。たぶんそんな心配をしていたんだと思う。
片羽先輩と次に会ったのは、一週間後のことだった。
336未来のあなたへ3.5:2008/12/23(火) 17:35:50 ID:IN/7LRg9
「こんにちは、片羽先輩」
「やあ、榊君」
その日。片羽先輩はグラウンドの隅で、石段にぽつんと腰掛けていた。
膝の上には例によってスケッチブックを広げて、鉛筆を走らせている。
今日はどうやら、グラウンドのサッカー部を描いているようだった。先輩の指先が、魔法のように輪郭を書き出していく。あ、袖がテカテカだ。
言うべきことを探して、そんな自分に戸惑った。自慢じゃないが人付き合いは得意な方だ。普通に話す方法ぐらい、意識するまでもなく身に付いているはずだった。
そうだ、考えてみれば作業の邪魔をするなんて馬鹿げている。俺も倣ってサッカー部の練習風景を見ていることにした。
グラウンドを見やる先輩の横顔は、普段と違って笑うことなく口を真一文字に引き結んで真剣だった。そうしていると一つの彫像のような美しさがある。
邪魔はしないと決めたはずなのに、気付けば口を開いていた
「サッカー、好きなんですか?」
「ん? いや、競技に特別な興味はないよ。被写体としての彼等には魅力を感じるけどね」
「魅力的……」
自分の足を見る。去年までボールを蹴っていた、制服のズボンに包まれた脚。
たぶん。いや、間違いなく、すごくなまっている。もう半年近くも練習してないのだ。
それに、サッカーに打ち込んだら今のペースで勉強ができるわけがない。今のペースで勉強してたら、満足な練習ができるわけがな……はあ。
「ふふん。君の方はサッカーが好きみたいだね」
「え? いや、好きっていうか、中学までサッカー部にいたんで」
「なるほど。トランペットを見つめる黒人少年のような目つきだったよ」
「トランペット……え?」
はてな顔になった俺を見て、また軽く笑う先輩。冷たい感じの美人なんだけど、よく笑う人だ。
その笑顔は無邪気とはとても言えず、明らかに毒を含んでいるはずなのに。俺は悪い気はしなかった。
うーん……俺ってマゾなのか。それとも、普段から毒舌を浴びてるせいで耐性ができてしまったんだろうか。
まあ、単に美人は得だってだけかもしれない。
それから、横に座って、とりとめのない話をした。
天気のこと、スケッチのこと、この前の公園のこと、サッカーのこと。
「榊君は、もうサッカーをやらないのかな」
「ん……いやあ。俺、バカだから勉強しないとあっという間に赤点まみれになっちゃうんで」
「なるほどね。君が辛くなければそれでいいけど」
「……!」

言われて気付いた。
そうか……俺は、辛いのか。
この半年、ずっと勉強してきて、幸運と努力のおかげでこの高校に合格できたけど。
身の丈に合わない場所にいる俺は、やはり努力をし続けなければ、落ち零れてしまう。
半年、頑張れば終わると思って来たけれど。その先にあったのは、変わらない日々だった。
中学の時のように、自分のやりたいことに最大限打ち込むような自由は、もうない。サッカー部を引退したときに、そんな自由は終わってしまった。
圧力。
俺は、人生にかかる圧力を、初めて明確に意識する。ああ、今まで気付かなかったなんて、俺はなんて鈍感なんだ。
水の中に、潜り続けているような憂鬱。

「先輩は、成績いい方ですか?」
「はは、立派な劣等生さ。まあ、僕の場合は既に諦めてしまってこの位置だけどね」
「うわあ、気楽そうですねえ……」
「ふふん」
けれど、そんなことを知り合ったばかりの先輩に言えるわけもなく。しばらく、どうでもいい話をして、その日は別れた。
それに。そんなことを考えてもどうしようもないから……結局、深く考えることはやめた。
337未来のあなたへ3.5:2008/12/23(火) 17:36:51 ID:IN/7LRg9
高校に入ってしばらくしても、友達はあまりできなかった。
中学の時は、自慢じゃないけど交友関係は広かったと思う。
それは部活という接点があったんだろうけど、やっぱり自由だったからだ。
受け続ける圧力が小さく、精神的な自由があったから、他人のことに気を回すことができた。
今だって、友達といるときは馬鹿でいられるけど。一人になるとため息をついていることが多い。
けれど、これくらいの圧力なんて、誰だって背負っているはずなんだ。少なくとも、今の高校に合格した人間は、俺と同じぐらい勉強してきたはずだ。
それでも、屈託無く笑っていられる生徒がいるのだから……単に、俺の器が狭いだけなんだろう。
妹のことを思う。
俺の知る範囲で、間違いなく俺よりも努力し続けている人間。
部活に、勉強に、家事において、絶え間なく努力し続けている、俺の妹。
優香は、どうしてそんな生き方ができるんだろう。
俺は妹が休んでいる時を、特にここ最近見たことがなかった。俺と違って、日々の努力を誰かに強制される場面も見たことがない。
いったい、どうして優香は。そんな日々に一言も弱音を吐かずにいられるのだろう。
それともやっぱり、俺の知らない場所で、我慢し続けているだけなのだろうか。
だとしたら、俺はやっぱり。妹のことを何もわかっていないんだな……
338未来のあなたへ3.5:2008/12/23(火) 17:37:42 ID:IN/7LRg9
そんなある日。
帰宅時。友達の一人と一緒にアーケードを歩いていると、制服姿の優香と出会った。
あれ? 行動範囲的に遭遇しても不思議はないけど……部活の時間、だよな?
「優香? なにやってるんだ、こんなところで」
「あら、奇遇ですね。今日はどうしても買いたいものがあったので、部活は休ませてもらいました」
「買いたいもの?」
「携帯電話です。近くのショップで契約してきたところですよ」
「へえー、母さんは反対してた気がするけど許したのか。頑張ったなあ、優香」
「……ちょっと待ってもらおうか、榊」
がしい、と一緒にいた友人に襟首を捕まれてずるりと引きずられた。
「てんめええ! 何めちゃくちゃ可愛い娘とナチュラルに会話してんだよ! 彼女いないって言ったじゃねえかっ!」
「おおお、落ち着けっ! 首を絞めるな柳沢!」
俺をがっくんがっくんと揺するのは、柳沢というクラスメイト兼友人だった。
席が後ろなので自然に話すようになり、お互い帰宅部なのでたまに(途中まで)一緒に帰ったり、こうして寄り道したりする。
ちなみに性格は……悪い奴ではないんだけど女好き。今の高校も、レベルの高い女子が多いということで死にものぐるいの勉強をしてきたらしい。
外見は茶髪の愛嬌ある顔立ち。俺が言える義理じゃないけれど、相当アホだ。そんな努力に関わらず、未だに彼女は募集中。
「ち、ちがっ! 妹! 妹だって!」
「ああん? 適当な嘘じゃないだろうな、全然似てねえじゃんか」
「俺は母さんに、妹は親父に似たんだよ! いいから離せって!」
「なんだ、そういうことは早く言えよな。可愛いなら特に!」
ぱっと満面の笑みを浮かべて、俺から離れる友人。と思ったら、今度は優香にアピールを始めた。
「俺は柳沢浩一。お兄さんの親友です」
「親友だったのか……?」
「柳沢さんですね。兄からいつもお話は伺っています」
「おい、榊。俺のこと、ちゃんとよろしく伝えてるんだろうな……?」
「普通に言ってるよ。ていうか、俺と妹でよくそこまで表情変えられるなあ」
むしろ感心した。やっぱり、彼女を作るにはこれくらい積極的でないとダメなのかもな。
ちなみに柳沢のことを妹には『スケベでアホだけど悪い奴じゃない』と話している。すまん。でも、どうせ優香は色恋沙汰に関しては鉄壁だから許してくれ。
「優香ちゃん、携帯買ったんだって? じゃあ、せっかくだから番号交換しようぜ」
「あのなあ柳沢。いきなり……」
「メールで良ければ構いませんよ」
「ぶっ!?」
えええええええええええええ!
ど、どういうことだ? 優香の奴、確かに今間まで携帯は持ってなかったけど。好きと言われた相手に何一つ譲歩なんてしたこと無かったのに。熱でもあるのか?
いや、もしかして柳沢みたいな奴が好みのタイプなのか? いやいや、今までだって同じような奴から求愛はされてるって。いやいやいや、優香にしかわからないものがあったのかもしれない。
いや、しかし、けど……
「何を目を白黒させているんですか。兄の御学友と交友を結ぶのに何か問題でもありますか? 登録しますから、兄さんも携帯を出してください」
「あ、ああ……ん? 俺と同じ型式じゃんか」
「そうでしたか、偶然ですね……はい。登録しました。次は柳沢さんですね」
「おうっ」
こうしてつつがなく、番号交換は終了した。優香は、柳沢にはメールアドレスしか教えなかったようだけど、それでもすごい譲歩だなあ。
「柳沢。優香は携帯買ったばっかりなんだから、あんまりメールするんじゃないぞ」
「おいおい、いきなり兄貴面するなよ。俺と優香ちゃんの関係じゃねえか」
「兄貴だってーの」
「残念ながらその通りです。それから確かに、まだ慣れてませんから返事は遅れるかもしれません」
「おっけーおっけー。帰ったらメールするからさ!」
うーん……なんか釈然としないな。
339未来のあなたへ3.5:2008/12/23(火) 17:38:54 ID:IN/7LRg9

その日から、妹と友人は定期的にメール交換しているようだった。
何でそんなことがわかるかというと、柳沢が毎日優香があーだーこーだと自慢してくるからだった。うーん、正直うざい。
考えられる可能性は二つ。優香は意外と、メールでのやりとりが好きなのか。それとも柳沢本人を気に入ってるのか。
けれど、優香から俺にメールが来ることなんてほとんど無い。かといって、優香本人から柳沢について聞くこともない。
うーん、妹に彼氏ができても別におかしいとは思わないけど、それが柳沢だっているのはなあ……ちょっとどうかと思うが、口出しするのも筋違いだ。
それにしても……メール、か。携帯電話は高校入学の時に買ってもらったけど、あまり活用はしていない。
そういえば俺、片羽先輩の携帯番号もメールアドレスも知らないんだよな……
放課後にちょくちょく探してはいるんだけど、見つかったり見つからなかったりのレアモンスターみたいな人なので。
今度会ったら、携帯の番号を交換しよう。

それからまた、しばらくして。
桜の季節が終わる頃。
小雨の降る放課後、学校の裏手にある公園までふと出向いた俺は。公園の中で一人、傘を差してベンチに座る先輩を見つけた。
サアアアアアアアアア……
「片羽せんぱーい」
「おや、榊君じゃないか。久しぶりだね」
「ですね。でも、雨の日にこんなところで何やってるんですか?」
「ああ。まあ、桜を見に来たんだよ」
「桜? でも……」
雨に打たれた花びらは、既に軒並み地面に落ちてしまっている。あれだけ綺麗だった光景は、もう見る影もない。
前は、桃色の絨毯のようだった花びらも。泥にまみれた今となっては、ただのゴミでしかなかった。
そういう、末路を直視すると。胸が締め付けられるような思いがする。
「悪いけど。傘、持っていてくれないかな」
「……あ、どうぞ」
先輩から傘を受け取り、二本の傘を持つことになる。どちらも地味な紺色の物。受け取った小さな方を、先輩の上にかざす。
傘を受け取る時に触れた手は、とても冷たく、とても細かった。思わず、戸惑ってしまうほどに。
「産まれてこの方、ダイエットの努力が必要なかったことが僕の密かな自慢なんだ。世の女性から非難されてしかるべき体質だね」
俺の表情を読みとったのか、軽口を叩きながら先輩がスケッチブックを取り出して広げる。この人、ほんとに絵を描くのが好きなんだなあ。
けど、この間の桜吹雪なともかく。なんでこんな雨の日の桜を描きたがるんだろう。
サアアアアアアアアアア……
「悲しいね。美しい物の末路は、やはり悲しい」
「あ……はい。けど……どうして、そんなものを描くんですか?」
「悲しいからだよ」
「え……」
「悲しみは、けして間違った感情じゃない。怒りも、絶望も、人が生きるのに必要な感情だと、僕は思うよ。ただ、人はそこから目を逸らしたがる」
「……」
「今のこの悲しみを、できるかぎり形にして残しておきたい。まあ、僕が絵を描く理由は、大なり小なりそんなものさ。日記のようなものだ」
「……」
悲しみ……怒り……目を逸らしたがる……
俺も……目を反らしていることがある。
どうにかして忘れようとしている。
けれど……けれど、仕方ないじゃないか。
考えたってどうにもならないことなんだ。目を逸らさずにいたって、辛いだけじゃないか。
毎日勉強を続けなければいけないこと。俺はバカだから、他の趣味に打ち込むような余裕はないこと。
そして何より。この状況を打開する方法が思いつかず、きっとずっと続いていくという……閉塞感。
どうしようもない。
どうしようもないじゃないか。
どうしようもないことを直視したって辛いだけだ。
誰でもこの程度の閉塞感は感じているっていうのなら、誰だって目を逸らしているはずだ。
……
340未来のあなたへ3.5:2008/12/23(火) 17:40:12 ID:IN/7LRg9
「どうしようもないことだって……あるじゃないですか」
「うん?」
「見続けたって、辛いことは、たくさんあるじゃないですか」
「たとえば?」
スケッチブックに走らせる鉛筆を止めず、無残な桜を描き続けながら。
先輩が、俺に背を向けたまま。思わず漏れた、俺の情けない言葉を当たり前のように問い返していた。
たとえば。
勉強が辛い、なんて。下らない泣きごとでしかない。言えば誰だって軽蔑するだろう。
成績を保つために、誰だって勉強はしているのだ。それに耐えられないのは、俺が小さい人間だから。それ以外にはない。
飲み込め、飲み込め。苦痛は、飲み込め。そうして生きていくしか、ないんだ。
「勉強が……辛いとか」
ああ。
「これから。ずっと、勉強し続けなきゃいけなくて……卒業しても、働き続けなくちゃいけなくて……」
「うん」
「それなら、もう二度と……うまく言えないんですけど。二度と……」
「人生に二度と自由は訪れない。それが君の絶望なのか」
先輩が。
鉛筆を動かしながら、自分自身形にできなかったことを、あっさりと言い当てた。
ああ……いや……そうじゃない。
俺が、形にしたくなかったもの。わかっていて、形にしたくなかったものを。
絶望……ああ、そうか。これが絶望、っていうものなのか。こんなよくあるものが、絶望なのか。
何処にも行けないという閉塞感。大切なものを奪われ二度と戻らないという喪失感。それこそが絶望なのか。
「幼年期の終わり。労苦への絶望……まあ、それ自体はどうしようもないね。この桜と同じで、どうしようもないことはいくらでもある」
「だったら……!」
「どうしようもないことに直面したとき、どうすればいいのか。君は絶望への対処の仕方を知っているかな?」
「え……」
絶望を、どうすればいいのか?
俺は……知らない。今まで絶望なんてものに遭ったことがなかった。今まで、どんなぬるま湯の中で生きてきたのか、よくわかる。
だから、目を逸らすことしかできなかった。見ない振りをして、気付いたことを忘れようとするしかできなかった。
何故か、優香のことを思いだした。物心ついたときから、心の中で誰からも離れた場所にいた妹のことを。
先輩は。
「越えるんだ。絶望は、強固な目的意識で越えられるものなんだよ」
きっぱりと。
「絶望を越えたとき、それはとても強いものになる。怒りも、悲しみも、絶望も。人が生きていく上で糧になるものだと、僕は思うよ」
ひどいことを言った。とてもとてもひどいことを、振り向きもせずに堂々と言った。

目的……意識。
俺の、目的意識。
それは……
それは……
それは……ない。
ないんだ。
俺には、目的意識なんて、何もないんだ。
ただ
『兄さん。世の中には、定職に就けず毎日すり切れるほど働いて、それでも貯金もできない人間がたくさんいます。そうして、体を壊して働けなくなりゴミのように死んでいく……』
『そういった人間と、そうでない人間を分けるのはいったい何なのか、兄さんにはわかりますか? 幸運? 生まれ? いいえ、いいえ』
『天は人の上に人を造らず、人の下に人を造らずと言われている。けれど人の立場に上下があるのは何故なのか。それは学問の差から生まれるものなり』
『人生の上下を決定づけるのは、幸運でも生まれでもなく、それまで積み上げてきた努力のみ。それが唯一、有意義な信仰というものですよ』
『自分の将来を想像してください。惨めな大人になるのが怖いのなら、今、努力するしかないんですよ。しないと言うのなら、未来を捨てると言うことです』
『想像してください、兄さん。恐ろしいでしょう?』
ただ、怖かった。
俺には目的意識なんてものはなく、ただ背後から恐怖に追い立てられてきただけだった。
そして、これからも一生、追い立てられていくしかないという……絶望。
ああ。
この絶望からは逃げられない。逃げてしまえばそれこそ、優香に散々言い聞かされたような惨めな人生しか待ってはいない。
けれど、そんな恐怖に追い立てられ続けたとしても……待っているのは、永遠に続く未来への絶望だけ。
先輩の言うように、立ち向かうしかない。
けれど、俺には……立ち向かうための確固たる目的意識なんて、無いんだ。
341未来のあなたへ3.5:2008/12/23(火) 17:42:23 ID:IN/7LRg9

「無いんです……」
泣き言。
気がつけば、俺は本当に泣いていた。ぼろぼろと、涙が零れて頬を濡らす。
情けない、情けない。何で俺は、こんなことで泣いてるんだ。
目尻を拭おうとしたけれど、両手で傘を持っているせいで無理だった。せめて嗚咽を噛み殺して、先輩が振り向かないよう祈る。
「俺には……そんな、目的意識なんて、無くて……」
「目的なんて、ほんの小さなことでいいのさ。この学校は、好きじゃないのかい? 一緒にいたい友達はいないのかい?」
「それも……」
この学校に対して少なくとも今は、辛い勉強というイメージが強すぎる。友達だって何人かはいるけれど、心底一緒にいたい存在は、いないと思う。
そもそも。学校や友達に対する好意で……毎日、毎日、勉強をし続けることなんてできるとは思えない。
俺が今、戻りたいのは。何も考えずに部活へ打ち込めたあの頃だ。けれど時間は戻らない。それもまた、一種の絶望だ。
うう。
「やれやれ、困った後輩だね、君は」
ぱたん、と先輩がスケッチブックを閉じて膝の上に載せる。ポケットからハンカチを取り出して、振り向いた。
突然の行動にあっけにとられ、直後。涙まみれであろう自分の顔に気付く。
見られっ……!
「ふふん、思ったより泣き虫だね、榊君。よしよし」
「わぷっ」
ぐいぐい、と顔にハンカチを押しつけられる。布は水色単色のシンプルなものだった。やっぱり指が、とても細い。
咄嗟に抵抗しようとしたけれど、両手に傘じゃ動くのもままならない。あっという間に顔の涙は拭われた。
な……なんで?
俺が混乱している間に、先輩はハンカチを手早くしまって偉そうに胸を張った。
「さて。榊君。どうやら君は自分から動くための目的意識に欠けているようだね」
「は、はい」
「つまり、自ら学校に来るような目的意識さえあれば、いい年してぴーぴー泣き喚くようなこともない、と」
「うぐっ……」
「ふふん。それなら榊君。僕と付き合ってみないか」
「……え?」
………………………………………………………え?
「恋人の一人でも作ったらどうか、ということだよ。青春の張り合いといえばこれだろう」
「え、いや、ていうか、ええ!?」
「ああ。他にお目当てがあるならそれでいいんだ。僕と、というのはただの保険さ。一応僕は美人だからね、ふふん」
偉そうに胸を張る片羽先輩は、ちょっと細いところがあったけど、確かに文句なしの美人だった。
一方十人並みな外見の俺は、極度の混乱で呆然としていた。当たり前だ。
俺がみっともなく泣きだして、それがどうして付き合うかどうかと言う話になるんだろう。むしろ逆に、愛想を尽かされるのが当然じゃないんだろうか。
わけがわからない。
大体、恋人になるというのは。一緒に過ごすうちに、好きになって、告白して、それを受け入れてもらって、そうしてやっとなるものなんじゃないか。
確かに、俺には狙っているというか今好きな人なんていないけど、そんな風に自分を軽々しく扱うっていうのはどうなんだってすごく思う。
「おっと、ちなみに恋人になったからといって、すぐ不埒な真似ができるなんて思わない方がいいよ。僕に触れるまでは長い長い審査が待っているからね」
「え、審査……ですか?」
「あからさまにがっかりしたね。当然だろう? 榊君に対する僕の好感度は初期値のままなんだからね」
「は、はあ……」
え、えーと……これはなんというか。恋人、というよりも。友達から始めよう、ということなのかな?
ふふんと偉そうに胸を張る、すごい美人の先輩をもう一度見やる。なんだか、笑えた。
は、はは。
あはははは。
笑うことで、少し楽になった。少しだけ、自由になれた気がした。
先輩は、慰めてくれたんだろうな。
発想も言い方も無茶苦茶だったけど、心の中で感謝する。色恋かどうかはまあ別にして、この人のことを俺は好きになれそうだった。
ああ、悪くない。この変な先輩と話をするために、この学校に来るために、勉強をし続けるのだって悪くない。
ほんの些細な理由だけれど、それを自ら望むのなら。
しとしとと降りしきる雨の日だけど、視界が少しだけ開けた気がした。
342未来のあなたへ3.5:2008/12/23(火) 17:43:17 ID:IN/7LRg9
「ありがとうございます。でもとりあえず、友達から始めませんか?」
「その意見はやぶさかではないよ。そうそう、それを言いたかったんだ」
「あ、それじゃ先輩。携帯の番号交換しましょうよ」
「おっと、それもそうだね」
お互いそれぞれの傘を持って、片手で携帯番号とメールアドレスを交換する。先輩の携帯はシンプルなストレートタイプだった。
「これでよし、と。先輩って何処にいるかわからないから、これで普通に会えますね」
「おや、わざわざ探していたのか。それは悪いことをしたね。ただ僕は携帯の電源が切れてることが多いから、あまり期待はしないでくれよ」
「そ、それって携帯の意味がないんじゃ……」
「ふふん。いちいち充電するのが面倒でね」
それから、先輩が桜のスケッチを再開して。俺は結局それが終わるまで、先輩に傘を差していた。
会話はほとんど無かったし、腕は疲れたし、体は冷えたけど、けして嫌じゃなかった。
真剣に絵を描く先輩の横顔はとても綺麗で見ていて飽きなかったし、雨に打たれる桜の悲しさに俺もまた引き込まれていた。
その後、校門のバス停まで並んで歩き、そこで別れた。先輩は徒歩通学のようだ。
「それじゃ、後でメールしますね」
「ああ。さよなら、榊君」




送信
件名:こんばんわ
本文:
今日はありがとうございました。
描いていた絵ができたら教えてくださいね。
体が冷えたと思うのでゆっくりお風呂に入ってください。


受信
件名:Re:こんばんは
本文:
子供か、僕は。心配されなくても、可能な限り毎日入浴しているとも。
絵については、何時になるかはまだわからないが、完成したら君に見せることを約束しよう。
それから、言いそびれたが傘を持ってくれて感謝するよ。結局最後まで付き合わせてしまったな。
機会があれば何か礼をしよう。それでは。



「…………登録は『先輩』…………」

「………………誰?」
343未来のあなたへ3.5:2008/12/23(火) 17:44:21 ID:IN/7LRg9
以上です。
次はキモウトのターン。
344名無しさん@ピンキー:2008/12/23(火) 18:14:05 ID:vc+ppYCj
会いたかった…会いたかったぞ職人!
君の圧倒的な妹愛に心奪われた…この気持ち、まさしくGJだ!
345名無しさん@ピンキー:2008/12/23(火) 18:54:13 ID:teAiMZKR
GJ!なんというラブ米・・・
ていうか兄貴逃げてー
346名無しさん@ピンキー:2008/12/23(火) 19:50:25 ID:X+dh/AmN
というか先輩逃げてー
GJ!
347名無しさん@ピンキー:2008/12/23(火) 20:29:50 ID:JsJLMiAj
GJ! 
話は変わるが、クールな感じのキモ姉の場合
内面もクールな感じで溺愛してるパターンか、それとも弟ハァハァなキモい感じの内面だったらどっちが好みだ?
348名無しさん@ピンキー:2008/12/23(火) 20:32:24 ID:CDWU6rE3

先輩Re:なのに件名直しとるなんて細かいな
349名無しさん@ピンキー:2008/12/23(火) 21:03:26 ID:Z8V6j7Ls
350名無しさん@ピンキー:2008/12/23(火) 21:13:35 ID:7meSZcWn
――――あの人は歪んでいます。
幼馴染にそう言われたのはいつのことだったろう。
「あの人」が私の姉を指すと気づいたのも最近のことだ。

姉さんはいつも私に優しかった。
それこそ、生まれたときから私は姉さんの怒った姿をあまり見たことがない。
年の近い弟だからか、姉さんはいつも私と遊んでくれた。
傍にいてくれた。

けれど、そのことに違和感を覚えたのはつい先日のことだった。
私は幼馴染の娘と恋仲になった。
初恋は叶わないとはよく言うが、私たちにはどうやら当てはまらなかったらしい。

姉さんも喜んでくれる――
そう思って一番に姉さんに報告しに行ったのだ。
ことあるごとに、いつも私が付いていますからね、お前の面倒はずっと見ますから、などと
言われ続けてきたのだ。周りでも評判になるほど美人の姉さんが、縁談を断り続けてきたのも
私が不甲斐ないせいだったのだと思っていた。
しかし、これで姉さんの肩の荷を降ろしてやることができる。良い相手を探してくれる。

そう思っていた。
351名無しさん@ピンキー:2008/12/23(火) 21:14:54 ID:7meSZcWn

最初、姉さんは無表情で聞いていた。
しかし、話が進むにつれてその顔は少しづつ、私の知らないものになっていった。
驚かそうとしてもそうはいきませんから、と笑っていた時はまだ良かった。
ところが、次第に顔が紅潮し、私の大切な宗太郎さんを、とか、あの糞猫が、とか喚き始めた。
かと思うと、私にもたれ掛かり、愛しています、だからどこにも行かないで、などと泣き出す始末。

ぞっとした。そしてその時初めて気が付いた。
姉さんは私のことを男として見ていたことに。

――確かに姉さんは歪んでいた。
けれども、私も姉さんのことは家族として愛していた。
だからこそ、真っ当な道に進んでほしかった。
――故に私は姉さんを拒絶した。

それからの姉さんは抜け殻のようだった。
あんなに美しかった長い髪も乱れ、生気を吸い取られたかのよう。
だが、私には距離を取ることしかできなかった。
時間が解決してくれる――私は根拠もなくそう思っていた。いや、ただ逃げていただけだった。

しばらくして姉さんは立ち直った。
以前と変わらない、淑やかな姉さんに戻ったのだ。
私は嬉しかった。これで家族として、お互いが上手くやっていけるのだと。

なのに、ここに転がっている幼馴染の首は何なのだろう。
出来の悪い人形のようになってしまった胴体に、何度も何度も刃を突き立てているあの人は誰なんだろう。

嗚呼。そうか。
彼女が言っていた言葉の意味が、真意がようやく理解できた。
確かに姉さんは歪んでいる。こんなにも醜く、美しく。
私に気付いて振り返った姉さんの顔は、私が見たこともないくらい綺麗な血染めの笑顔だった。
352名無しさん@ピンキー:2008/12/23(火) 21:17:36 ID:7meSZcWn
スレ汚しすんません。
でもキモ姉が大好きなんです。
イメージは和服です。
わかりにくくてすんません。
353名無しさん@ピンキー:2008/12/23(火) 21:22:07 ID:GaWdN7gb
>>352
とんでもない
激しくGJ
和風お姉ちゃんとかたまんねぇ
354名無しさん@ピンキー:2008/12/23(火) 21:55:54 ID:QCRuNdUP
久しぶりの泥棒猫惨殺だ…
だが352にGJ!
355名無しさん@ピンキー:2008/12/23(火) 22:52:27 ID:ciEBB7Qk
>>347
後者
356名無しさん@ピンキー:2008/12/24(水) 00:15:17 ID:QUVb76yr
おいおい、疲れてるんだからよ…>>343>>352もGJなんて言わせるんじゃねえよちくしょう……
357名無しさん@ピンキー:2008/12/24(水) 07:32:16 ID:8x+G3Hg7
>>352
GJなんだぜ
あんたのいう和風キモ姉、俺は大好きなんだぜ
今度は長編を頼むんだぜ
358名無しさん@ピンキー:2008/12/24(水) 12:17:22 ID:TJdOh3Gd
イヴの朝に絶望し、夜に妹が来て、次の日の朝に違う意味で絶望するわけですよ
359名無しさん@ピンキー:2008/12/24(水) 17:24:20 ID:zQWkANeJ
>>343>>352もGJ。

イブに良い物を見れた。もう悔いはない。
360名無しさん@ピンキー:2008/12/24(水) 18:34:13 ID:qX8Lmz++
>>352
感想を一言だけ言わせてくれ。

歪み姉(ねぇ)な。
361名無しさん@ピンキー:2008/12/24(水) 20:35:40 ID:Jb1NFb86
く、クリスマスネタはないんですか?
362名無しさん@ピンキー:2008/12/24(水) 20:41:31 ID:xDZcvYIk
処女をプレゼントして、お返しに子どもの種を膣内にプレゼントしてもらうんですね。
363名無しさん@ピンキー:2008/12/24(水) 21:03:52 ID:fr/l5YJA
そういや、去年の妄執のサンタクロースは神過ぎだったな
364352:2008/12/24(水) 21:54:26 ID:pZsmsMbQ
「お兄ちゃん。私、クリスマスプレゼントが欲しいんだけど。」

いつも通り二人で飯を食ってる最中に、妹がそんなことを言ってきた。
中学3年にもなって高校生の兄貴にプレゼントをねだるな、とも思ったが、
可愛い妹の頼みだ。できるだけ聞いてやりたい。とはいっても・・・

「お前、今日になってそんなこと言うなよ。」

そう。今日はクリスマスイブ。言ってくるのが少しばかり遅いんじゃないか?
もっと早く言ってくれれば、まあ、大したものじゃないけど買ってやれたのに。

「大丈夫。すぐにあげれるものだから。」
「何だそれ?まさか現金か?」

だとしたら夢もロマンもあったもんじゃない。

「違うよ。私が欲しいのは・・・お兄ちゃん。」
「・・・は?」

俺?俺をあげる?妹に?

「なんだ?肉体労働でもしろってか?
 そんなのクリスマスじゃなくたってやってやるのに。」
「ふふふ・・・肉体労働といえば肉体労働かな。」

わけわからん。まあ、でもあいつのたまのおねだりだ。

「よくわからんが、まあお前がそうしろって言えばやってやるさ。」
「・・・うん。じゃあ、後でお兄ちゃんの部屋に行くね。」
「え?・・・ああ、うん。」

妹が俺の部屋に来ることは珍しいことじゃない。
いつもゲームをやったり、ウダウダとテレビを見たり。
なんだ。結局普通のことじゃないか。
それとも、クリスマスだからって一人で家にいる兄に気をつかってくれているのだろうか。
・・・だとしたら俺、惨め過ぎる・・・
365352:2008/12/24(水) 21:55:41 ID:pZsmsMbQ
そんな俺の軽いヘコミ具合も知らずに、風呂上りの妹がやってきた。
綺麗なショートヘアがまだ軽く湿っている。

「ちゃんと拭かないと風邪ひくぞ。」
「うん。ありがと。」

全く。いつまでたっても子供なんだからなあ。

「じゃあ、テレビでも見るか?」
「うん!」

・・・まあ、可愛いからいっか。

それからしばらく二人でいつも通りの時間を過ごした。
なんだかんだでもう日付が変わる時間だ。俺も眠い。

「なあ。そろそろ寝ようか。」
「そうだね。・・・でもその前にやっておきたいことがあるの。」
「ん?何だ?もう一対戦やってく・・・」

いつの間にか。
俺の口は妹の唇で塞がれていた。
何だこれ。何が・・・?あれ?
思考が追いつかない。
どれくらいたったか。妹がようやく唇を離した。

「・・・お、おま、何やって・・・」
「言ったじゃん。お兄ちゃんが欲しいって。お兄ちゃんもいいっていったじゃない。」
「いや、でもお前・・・」

違う。こんなんじゃない。
俺が言いたかったのは、こんなんじゃ・・・・!

「お前な!俺はそんな・・・」

その瞬間
妹が俺の首に顔を近づけて
歯を
突き立てようと
366352:2008/12/24(水) 21:57:31 ID:pZsmsMbQ
「・・・・・え?」

噛み千切られる。
何故か反射的にそう思った。
妹の顔はよく見えないけれど、確信があった。
けれど。

チュッ・・・チゥ・・・ンチュ・・・

・・・キスしてるのか?俺の首に?妹が?
よくわからないが俺は生き永らえたらしい。
それと同時に言いようのない興奮と、気持ちよさが襲ってくる。
俺の首筋が妹の唾液まみれになって、ようやくあいつは顔を離した。
口の周りが輝いていて、何故か目が離せなかった。

「ふふ・・・噛み付いたりしないから安心してよ。
 それより、私プレゼントが欲しいな。」

・・・何言ってる?プレゼント?・・・俺が欲しい?

「それもあるけど・・・今年はお兄ちゃんをもらうでしょ。
 で、来年のプレゼントも考えちゃった。」

来年?

「うん。
 私ね。来年は」

お兄ちゃんとの赤ちゃんが欲しいな
367352:2008/12/24(水) 21:59:06 ID:pZsmsMbQ
ごめんなさい。
キモウトも大好きなんです。
大してキモくなくてすんません。
368名無しさん@ピンキー:2008/12/24(水) 22:04:50 ID:2lWQPJW7

GJ!長編希望!
369名無しさん@ピンキー:2008/12/24(水) 22:12:52 ID:Jb1NFb86
マーヴェラス!!!!!!!!
……こういうのが、いいんだよ、やっぱり!
370名無しさん@ピンキー:2008/12/25(木) 01:15:08 ID:E+Gyo6hI
 クリスマスは家族で過ごすというのが我が家のルールである。
 それは姉さんと二人だけで暮らしている今も変わらないルールだと、姉さんは言っていた。
 もとよりクリスマスを他のだれかと過ごせるあてもなく、料理上手の姉さんがいつも以上に気合を入れて作る料理は、とてもおいしい。
 そんな感じで今年も姉さんとクリスマスを過ごすことになったわけだが。

「姉さん、さすがにこれは作りすぎじゃない?」
 と、目の前に広がる料理の山を見ながら言ったら、いつも冷静な姉は少し頬を染めながら。
「少し、はしゃぎすぎた」
「少しって量じゃないよ姉さん、そこは途中で気付こうよ」
「あなたのためって思うと、つい」

 その反応は反則だろ、と思うと同時にそのまま姉さんに襲い掛かりたくなる衝動に襲われるが、そこは我慢だ。
 相手は実の姉だ、いくら無防備でいつも一緒の布団で寝たり、一緒に風呂に入ったり、子どもの頃からおはようとおやすみのキスを欠かさなかったりしてるが、その一線は越えてはいけない。
 倫理感がどうとかではなく、それは眠れる獅子を起こす行為であり、虎穴に入って虎との子を得る行為でもある。
 
「いただきます」
「いただかれます」

 危ない思考に耽っていたせいか、反射的にそんな返事にを返してしまう。
 姉さんの瞳に怪しい光が灯るが、気にせず料理に手を付けようとすると。

「待って、忘れてた」
 と言って、姉さんは冷蔵庫へ向いシャンパンらしきものを持ってきた。
「姉さん、お酒は……」
「大丈夫、アルコールは入ってない」
 発言を途中で遮り、グラスになみなみと注いでくる、当然瞳に灯った怪しい光はそのままに。
 つい嘘だっ、とか叫びたくなるのを堪えつつ、席に戻った姉さんとグラスを交わす。
371名無しさん@ピンキー:2008/12/25(木) 01:16:15 ID:E+Gyo6hI
 姉さんがやけにシャンパンもどきを勧めてきたことを除けば、無事平穏に食事とその後片付けも終わったんだが、姉さんの顔がやたら赤い、そのことを姉さんに言っても、気のせいだの一点張りだ。
 姉さんこっちの酌を断らなかったからなあ、とか考えつつ風呂の準備をしていると、ソファに倒れこんでいた姉さんから声が掛かる。

「お風呂行くなら私も」
「姉さん、お風呂入って大丈夫なの?」
「あなたと一緒なら問題ない」

 だから姉さんはこう不意打ちというか、なんというか、アルコールによって理性が麻痺している今の状態にはハードなことをする。
 そしてさらに追い打ちをかけてきた。

「だっこ」
 
 無言で姉さんを持ち上げ、脱衣所まで連れて行く。

「脱がして」

 またも無言で手早く脱がせるが、息が荒くなっているのを自覚できる。
 手早くこちらも裸になり、また姉さんを抱え直し風呂場に侵入する。
 ほのかに赤く色付いた白い肌に目を毒されつつ、湯船のお湯をかける。

「ん」

 ……今日の姉さんはやばい、赤いからなのかいつもの3倍はやばい。
 なんとか平静を保ちつつ、後ろから抱き抱える形で湯船に入っていく、一気にお湯が溢れるが気にしない。
 ただでさえ蕩けていた姉さんの表情が一層、ふにゃっとしたものになる。
 逆に普段はふにゃっとした部分が元気になりそうだったが、ポジショニングに著しい問題があるので涙ぐましい努力をして鎮める。
 うつら、うつらと船を漕いでいる姉さんに注意を払いつつ、いったん体を洗うため一緒に湯船から出る。

「洗って」
「わかってますよ」
「全部、隅々まで」
372名無しさん@ピンキー:2008/12/25(木) 01:17:21 ID:E+Gyo6hI
 姉さんの長い黒髪に丁寧にシャワーをかける、容器から洗髪料を取り出し手に馴染ませる。
 姉さんの髪は一日中触ったり、なでたり、弄ったりしても飽きがこない程、素晴らしい部分なので、驚くほどに艶やかで指通りのよい髪をひたすら丁寧に丁寧に洗っていく。
 そしてシャワーで洗髪料を流しきると、ついに問題のゾーンに突入だ。
 姉さんの皮膚は強くないのでスポンジではなく手を使って洗わなければならない。
 弱くしたシャワーの水流を姉さんにかけ、石鹸を泡立てなめらかなな肌に手を伸ばす。
 
「あ…ん、」
 いきなり艶めいた声を出してくる、意識的に気にせず、首筋から背中。
「ん」
 脇を通って腕。
「ひゃ」
 そこからお腹、そして第一の関門である胸へ、思わず喉を鳴らしてしてしまう。
 やさしく、やさしくなでていく。
「もっと」
 リクエストに応える。
「いいよぉ、もっとして」
 
 その声にいつの間にか飛んでいた理性を精一杯手繰り寄せつつ、なんとか胸から手を放し、尻をスルーして脚を洗う。
 付け根の辺りは、とばしてふともも、ひざ、膝裏、ふくらはぎ、すね、足首、くるぶし、足の甲を順にこすっていき、最後に足の指を一本、一本丁寧に洗っていく。
「あはぁ」
 さようなら理性、こんにちは本能、脳内で馬鹿なやりとりをして懸命に堪えるが、次がこの苦行のクライマックスだ。
 再び石鹸で手を泡立たせつつ、尻を撫でて、撫でて撫でる。
「ん、ん」
 そしてそのまま女性器に取り掛かる、神経をすり減らしつつ、繊細に、繊細に指先で洗っていく。
「いいのぉ、そこぉ」
 
 耐えた、耐えた、耐えきったぞ、と全行程の終了に安堵した後に興奮のしすぎなのか、意識は白く染まっていった。


 意識を失った弟はその後スタッフがおいしく頂きました。
373名無しさん@ピンキー:2008/12/25(木) 01:18:05 ID:E+Gyo6hI
以上
374名無しさん@ピンキー:2008/12/25(木) 01:54:41 ID:UMR1TJKu
>>318 見事にスルーされてるww だが俺は嫌いじゃない。
キモウトのぶっ飛びぶりとジョジョのぶっ飛びぶりが、シンクロすればいい感じになるかも?
相性は悪くないと思います。もしかしてただの荒らしだった?
375名無しさん@ピンキー:2008/12/25(木) 02:05:17 ID:Ju5ahuTx
スタッフ……だと……。
まさか、キモ姉妹による自作自演とか
376名無しさん@ピンキー:2008/12/25(木) 02:20:47 ID:5ddlGLVJ
なん・・・だと・・・
377名無しさん@ピンキー:2008/12/25(木) 03:42:39 ID:pej+gs/V
>>367
GJ
>>373
GJ
378名無しさん@ピンキー:2008/12/25(木) 13:39:53 ID:6Zg/2ra5
>>378
GJ
379名無しさん@ピンキー:2008/12/25(木) 13:57:18 ID:c/wtncet
待てコラw
380名無しさん@ピンキー:2008/12/25(木) 14:51:05 ID:cvm9hd0I
つまりはワンマンスタッフ。
たった一人のスタッフということだよ。>>373GJ!
381名無しさん@ピンキー:2008/12/25(木) 16:19:23 ID:Ju5ahuTx
>>378
よし、お前家にいる妹の婿に来い
382名無しさん@ピンキー:2008/12/25(木) 18:27:38 ID:6kZrpBn3
>>378はこれから小説を投下してくれるんだよ。
383名無しさん@ピンキー:2008/12/25(木) 20:03:49 ID:Zrll3Egb
>>378
GJ
384名無しさん@ピンキー:2008/12/25(木) 22:54:00 ID:YHKqLH1L
378じゃないけど投下します。
まださわりだけですがご容赦ください。
あと、事前に言っておくとキモ弟にはなりません。
ちゃんとキモ姉ものにするつもりです。
385名無しさん@ピンキー:2008/12/25(木) 22:54:37 ID:YHKqLH1L
初恋は姉さんだった。
気付いたときにはもう手遅れで。
あれから10年近くたつけど、僕の初恋は終わってくれない。
昔から姉さんは聡明で、美人で、優しくて、僕の自慢の人だった。
だからこそ、こんなにも魅かれてしまったのだろう。
そして、何回も繰り返してきた自己嫌悪―――

―――誰も幸せにしないこんな想いなんて、とっとと劣化してしまえばいいのに


僕の朝はバスケ部の朝練があるため割と早い。
けど、そんなぼくよりも少しだけ早く、姉さんは食卓に座っている。
「おはよう。姉さん。」
「うん。おはよう。幸一。」
そんな挨拶ひとつにもぼくの心臓の鼓動は高鳴る。
「ホント姉さんは朝早いよね。もっと寝てればいいのに。」
「だって幸一の顔を一秒でも長く見てたいんだもん。」
―――嘘だ。いつもは優しい姉さんだが、僕をからかって遊ぶことも多い。
なのに。悪戯だとわかっているのに体の反応を止めることは出来ない。
「顔、赤いよ。」
ほら。クスクスと意地の悪い微笑みを浮かべてる。
「―――行ってきます。」
わざと機嫌が悪そうに家を出て行く。
子供じみた、せめてもの反抗。でも、姉さんにはバレバレなんだろう。
「いってらっしゃい。」
―――だって、あんなに優しい顔で送り出すんだから

この気持ちまで気付かれていたらと思うと―――
いや、やめよう。
考えれば考えるほど憂鬱になってくる。
だから僕はそんな考えを吹き飛ばすように
「行ってきます。」
ほんの少しだけ大きな声で言って家を出た。


「うん……いってらっしゃい……幸一」
386名無しさん@ピンキー:2008/12/25(木) 22:55:09 ID:YHKqLH1L
「あ〜羨ましいかつ妬ましい。」
「何だよ、いきなり。」
「いいよなお前は。沙智さんとひとつ屋根の下なんてさ。」
沙智は姉さんの名前だ。
高校生になってますます綺麗になった姉さんは、やっぱりモテる。
肩まで伸びた黒髪に、パッチリとした眼。そして本を読んでいるときの神秘的な佇まい。
図書委員の姉さんを見るために、ここ最近の図書室は男の比率が圧倒的に増えたとの噂まである。
……僕なんか毎日見てるもんね。

「あのなぁ。僕は弟だっての。」
「だとしても羨ましいんだよ!全く、お前は何もわかってないよな〜」

何もわかってないのはそっちだろ。
弟になんて生まれてきたくなかったのに。
少しでも姉さんに良く見られようと色々な努力をしてきた。
姉さんのいる高い偏差値の高校に入るために必死に勉強したし、
スポーツマン=カッコいいなんて短絡的な考えでバスケ部にも入った。
それでも―――姉弟という壁は大きすぎた。
いくら頑張ったところで、振り向いてなんてくれやしない。
幸せになんてなれやしない。

―――この想いは、いつか必ず僕を殺す。



「幸一。こっちこっち。」
部活が終わり帰ろうとすると、姉さんに呼び止められた。
こうやって帰りに姉さんと一緒になることは多い。
そしてそのまま買い物の荷物もちになるのだ。
両親が海外に行ってしまっていて、かつ僕の料理センスが壊滅的なために料理は姉さんの役割になった。
かといってそのまま押し付けるわけにもいかず、せめてものお役に立とうとこうして働いているわけだ。
……まあ役得とも言えるが。
387名無しさん@ピンキー:2008/12/25(木) 22:55:40 ID:YHKqLH1L
買い物を終えて二人で歩いていると、前から腕を組んだカップルが歩いてきた。
―――いいなぁ。僕も姉さんと……
「ねえ、幸一は彼女とかいないの?」
いきなり。姉さんがそんな話を振ってきた。
「彼女は…いないよ。……好きな人はいるけど。」
後半は小声だったが、すぐに後悔した。
姉さんの前で何言ってるんだ僕は!
「ふーん。告白とかしないの?」
残酷なことを聞いてくる。そんな簡単に言えたらこんなに悩んだりしないのに。
「しないよ。片思いだから。」
はっきりと言う。なんでこういうことはすんなり言えてしまうんだろう。
「そっか……幸一、モテそうなのに。」
「一番モテてほしい人にはモテてないんです。」
「へぇ……」
「そういう姉さんはどうなのさ。」
「私?」

何聞いてんだ俺は!
いや。待って。やっぱ聞きたくない―――


「好きな人、いるよ。
 ふふ…しかも……両思いなんだ。」


あーあ。輝くような笑顔で嬉しそうに言っちゃったよこの人は。
僕の初恋は終わった。ようやく。
でもそんな感傷に浸る前にこの涙をどうしてくれよう。
とりあえず、一人になるまでは流れないでくれ―――

「そう……なんだ。おめでとう。」
それだけはなんとか言えた。
「うん。ありがとう。」
「つ、付き合ったりしないの?」
「うーん…まだタイミングが合わないっていうか、期が熟してないというか。」
「そう…………」
それからの記憶はあまりない。
はっきりとわかったのは、これで姉さんが幸せになれるってことだけだ。
気持ち悪い、こんな想いに縛られることなく。
でもまだ、この想いは消えてくれそうにない。
宇宙飛行士になるって夢も、自転車で世界一周したいなんて望みもあんなに早く僕の中から消え去っていったのに。
まだまだ僕の苦しみは続いていく。


「両思いなんだよ。
 私も……君も、ね―――」
388名無しさん@ピンキー:2008/12/25(木) 22:56:58 ID:YHKqLH1L
例によってまだあんまりキモくありません。
すいません。
389388:2008/12/25(木) 23:09:50 ID:YHKqLH1L
すいません。弟の一人称は「僕」です。
「俺」ってなってるところもありますが気にしないでください・・・
390名無しさん@ピンキー:2008/12/26(金) 00:14:06 ID:PIukQ5c8
お姉ちゃんは何でもお見通しか。

391名無しさん@ピンキー:2008/12/26(金) 00:49:34 ID:UfHlhx6x
>>389
気にするな? 気になるよ・・・とっても気になるよお兄ちゃん!!!!
責任(長編化)とってくれるよね??
392名無しさん@ピンキー:2008/12/26(金) 12:32:13 ID:K1Jz5V4A
確かに今のところキモ姉妹というよりむしろシスコン弟…だが、お姉さん大好きでなく
このスレを選択したということは…期待と恐怖が増幅の一途。
393名無しさん@ピンキー:2008/12/26(金) 15:19:45 ID:lY+Pu9d4
キモ姉と涎の相性は異常
394名無しさん@ピンキー:2008/12/26(金) 17:41:50 ID:wd0+I6+P
ごくり…
じゅる…
シャリ・・・
メロ・・・
395名無しさん@ピンキー:2008/12/26(金) 18:06:21 ID:2vowO5Uu
まるでバキの食事シーンのような擬音だが、食べられているのは兄か弟なのか…
396名無しさん@ピンキー:2008/12/26(金) 18:08:51 ID:h61zuJQu
実はブラコン&シスコンの両思いカップルってのは珍しいかも。
お互いの気持ちに気づけばバカップル一直線の危うい配置だけに難易度高い?
397名無しさん@ピンキー:2008/12/26(金) 19:00:22 ID:SWkxFcVw
クリスマスイブに、「兄さんは彼女も居ないんですか? 私は好きな人と一緒に過ごしますから」と言って
結局、一日中兄と一緒に居るキモウトのSS書こうと思ったが間に合わなかった
398名無しさん@ピンキー:2008/12/26(金) 19:27:58 ID:5+C1WsL8
>>397
今からでもおk
399名無しさん@ピンキー:2008/12/26(金) 20:03:36 ID:mrC8HLE1
>>397
今でもいいんじゃね?
400名無しさん@ピンキー:2008/12/26(金) 20:22:58 ID:r0Xkj5Ty
>>397
この遅漏め

どんどんやれ
401名無しさん@ピンキー:2008/12/26(金) 20:31:10 ID:e+Kfxv0j
>>397
(`・ω・´)やることは一つなんよ
402名無しさん@ピンキー:2008/12/26(金) 20:36:26 ID:6J0F/aJ4
えぇい!
兄「Xmasケーキならぬ兄ケーキで召し上がれますた」
弟「Xmasプレゼントは身体中にリボン巻かれハァハァされますた」
というSSはまだかぁぁ!!
403名無しさん@ピンキー:2008/12/26(金) 20:40:04 ID:e+Kfxv0j
ツンデレのキモウトって考えてみたけどヤンデレでツンデレはないな
キャラがおかしくなる
404名無しさん@ピンキー:2008/12/26(金) 21:15:35 ID:mBkVRoE5
綾とかキモウトの反応とかスレチだが修羅場スレの作品にもある
405名無しさん@ピンキー:2008/12/26(金) 21:16:35 ID:ZEXPvFhf
べ、別にあんたのために殺ったんじゃないんだからねっ!
406【ショタ☆ウト】(1レス完結):2008/12/26(金) 22:04:18 ID:lSXcU8GD
 おっとうとの〜♪ ショタ★チンチン〜♪
 ずっとツルツル〜♪ ショタ★チンチン〜♪

 弟くんは毎晩、寝る前に牛乳を飲むのが日課です。もっと背を伸ばして男らしくなりたいのだそうです。
 お姉ちゃんとしては、いまの可愛い弟くんのままで充分ですけど、それを口には出しません。
 弟くんのご機嫌を損ねたくないですからね。
 黙って牛乳をレンジでチンしておいて、風呂上りの弟くんに差し出すだけです。
「ありがと、姉ちゃん」
 ごくっ、ごくっ、ごくっ……と、パジャマ姿で片手を腰に当てた弟くん、いい飲みっぷりです。
 えへへへ、美味しいですか? お姉ちゃんの愛情&睡眠薬入りホットミルクは?
「……ふぁぁぁ……、じゃあ、寝るから」
「はい、おやすみなさい♪」
 寝室へ向かう弟くんを見送ったお姉ちゃん。
 弟くんの使ったマグカップに間接キスしてから、もったいないけどそれを洗って。
 そして、弟くんが出たばかりのお風呂に入っちゃいます。
 弟くんの出汁がよく出たお風呂で身も心も温まったあとは。
 いよいよお姉ちゃん、弟くんに夜討ちをかけちゃいま〜す♪

 ベッドの上で可愛い寝顔の弟くん。
 部屋の電気を点けても眼を覚ます気配はありません。さすがネットのアングラサイトで手に入れた睡眠薬♪
 もちろん安全性は事前にクラスメートで確かめておきました♪
 昼休みに飲ませたら午後の授業の間じゅう、教師に怒鳴られても眼を覚まさなくて問題になったけど。
 でも、あたしが分けたお弁当のおかずに薬を仕込んでおいたことはバレてないから無問題(もーまんたい)♪
 それじゃ、弟くんを剥いちゃいましょっか♪
 パジャマのズボンとトランクスをいっぺんに引き下ろすと、ぽろりと飛び出すショタ★チンチン♪
 きゅぅ〜〜〜っ!!! その可愛らしさにお姉ちゃん、悶絶しちゃいそうです♪
 いますぐ★ぱっくん★したいけど、そこは我慢。
 まずはショタ★チンチンのショタ★チンチンらしさを守る大事な作業。
 ショタ★チンチンの根元に顔を近づけ、じーっと観察。
 すると……ありましたありました、無粋な「じんじろ毛」。
 正確には「じんじろ毛」になりかけの、産毛にしては色の濃い無駄毛です。
 即決裁判、判決、死刑! 用意してきた毛抜きで、ぷつっと引き抜きます!
 そうした無駄毛を三本ばかり抜いて。
 綺麗になった弟くんのショタ★チンチンの根元に、さらに脱毛クリームを塗り込みます。
 んふふふふ♪ 弟くん、いつまでも可愛いショタ★チンチンでいてね♪
 あとは腿から下にも脱毛クリームを塗っておいてあげます。脛毛の生えた弟くんなんて見たくないもの。
 そうして弟@キュート★ショタくんのメンテナンス作業が完了したら。
 おもむろにお姉ちゃん、大きく口を開けて、ショタ★チンチンを★ぱっくん★しちゃいます♪
 むふふふ……美味しっ♪ よだれあふれちゃう……じゅるるるっ♪
 お姉ちゃんの下のお口で★ぱっくん★してあげるには、まだまだ小さなショタ★チンチン。
 でも、大丈夫♪ お姉ちゃん、大好きな弟くんのショタ★チンチンなら舌と喉の感触だけで逝けちゃうから♪
 ……あっ、あっ、いっ……逝くぅぅぅ〜〜〜〜♪♪♪

 ――ところが、ある日のこと。
 いつも通りお風呂を出る頃合を見計らって牛乳を温めておいたのに、弟くん、なかなか姿を現しません。
 痺れを切らしたお姉ちゃん、お風呂場まで様子を見に行くことにしました。
 とんとん、とノックと同時に洗面所のドアを開けるお姉ちゃん。
 あわよくばお風呂上りの弟くんのヌードを鑑賞……なんて下心は、ほんのちょっとありましたけど。
「……わあっ!? なんだよ、姉ちゃん!?」
 残念ながら弟くん、下はしっかりパジャマのズボンを穿いてました。……ちっ!
 でも上半身は裸。そんな格好で洗面台の鏡の前で、何やら片腕を上げて自分の腋の下を観察しています。
「……何してるの? せっかく牛乳温めておいたのに冷めちゃうよ?」
 訊ねるお姉ちゃんに、弟くん、照れくさそうに笑いながら答えます。
「ああ、ありがと。いや、なんか……腋毛が生えてきたみたいで。ようやく俺も、オトナの仲間入り?」

 ……ガ〜〜〜〜ンッッ! ……ガ〜〜ンッ! …ガ〜ンッ!

 お姉ちゃん、完全に抜かってました。下半身ばかりに気をとられ、上半身の無駄毛対策を忘れていたのです。
 これが本当の……「脇が甘い」? 【チャンチャン♪】
407名無しさん@ピンキー:2008/12/26(金) 22:37:46 ID:r0Xkj5Ty
誰が上手いことを言えと
408名無しさん@ピンキー:2008/12/26(金) 22:38:53 ID:wj6VaA17
駄洒落おちGJ!
是非続編を
409名無しさん@ピンキー:2008/12/26(金) 23:12:49 ID:Q6MlLLOT
ワロタ
最初の部分は岩下の新生姜のメロディで再生されたんだけど、あってるんだろうかw
410【ショタ☆ウト】作者:2008/12/27(土) 06:15:24 ID:d1vmtCt5
どうもです〜
新生姜のメロディは意識してませんでしたが語呂はあってますね〜(笑)

でも関係者が見ていたら
「ちょwwwうちの商品wwwチンチン呼ばわりwww」
と悶絶しそうなので、そこはあえて触れない方向で(笑)
411名無しさん@ピンキー:2008/12/27(土) 09:34:26 ID:6pPFl4Gp
「御託はいらねえ会話で萌やせ!」


会話のみの作品を見てみたいのう…
412名無しさん@ピンキー:2008/12/27(土) 14:26:30 ID:U+EzpZ14
>>411
開祖になるんだ
413名無しさん@ピンキー:2008/12/27(土) 15:19:17 ID:rGjGGyeT
この静けさ……まさしく『お姉ちゃん大勝利!』なのか?
414名無しさん@ピンキー:2008/12/27(土) 15:59:02 ID:65ZwFKEu
妹派の逆襲はなるか?
415名無しさん@ピンキー:2008/12/27(土) 16:17:04 ID:P+hchhfz
兄「やめろ!そんなもん地球に落としたら人が住めなくなる!核の冬が来るぞ!」
妹「私とお兄ちゃんの愛を認めない地球なんて、この私がみんな粛清してやるっ!」
兄「エゴだよ!それは!」
416名無しさん@ピンキー:2008/12/27(土) 17:09:13 ID:JwWygRnS
大学2年の夏休み、帰省せずにバイトしていた。
当時の俺は京王線沿いのワンルームに一人暮らし。
ある日、母から電話があり
「○ちゃん(従妹 当時中3)が友達と一緒に5日間ほど東京に遊びに行くって言うんだけど、
二人面倒みてあげてよ」と。
俺「5日もかよ!ガキンチョの相手なんかめんどくせーよ」
母「そう言わずに、ちょっとお金送っとくから」
当初は本当にお守なんか面倒だった。

当日、新宿駅まで迎えに行く。
人ごみの中、○○を探していると
「☆兄!」
日焼けしたショートカットの垢抜けないが可愛い少女…、○○だった。
○○と会うのは二年半ぶり。最後に合ったのは○○がまだ小学生のときだった。
俺「おー、ひさしぶり。なんだ、お前まっ黒じゃん。田舎者まる出しw」
○○「陸上部だからね。もう引退だけど…って、自分だって田舎もんでしょ!」
俺「やれやれ、無事着いたか。おのぼりさんのガキンチョだから心配したよ」
○○「もうガキじゃないよ!」
         ・
「こんにちは△です!よろしくおねがいします!」
隣を見ると、これもまた日に焼けたポニーテールの子。
「おー、よろしく。じゃあ、とりあえず行くか」
そっけなく先導したが、俺は内心ドキドキしてた。
ヤベー、めっちゃカワイイ…

その日はサンシャイン行って、展望台・水族館。
最初のうちははしゃいてた二人も夕方になると段々口数が少なくなった。
慣れない移動と人ごみで疲れたようだ。
晩飯食って早々に俺の部屋に引き揚げた。

部屋に着くと狭いワンルーム、ユニットバスに驚きながら
すぐに元気になり
「汗かいたからシャワー浴びたい」
「△ちゃん、狭いけど一緒に入っちゃお!」
バッグから着替えを用意する二人、それぞれ手作りらしき巾着を持ちバスルームに向かう。
ふと二人の動きが止まる。
俺の部屋はワンルーム。
脱衣所などない。
417名無しさん@ピンキー:2008/12/27(土) 17:42:11 ID:zMPZNXHx
ほほう…
418名無しさん@ピンキー:2008/12/27(土) 18:04:31 ID:R9wG0AEH
妹も姉も出てこないわけだが……!
419名無しさん@ピンキー:2008/12/27(土) 18:15:54 ID:x2SW7M3E
こっちに来てくれ
ロリ萌え妄想 〜小学生・中学生〜 その5
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1220547053/l50
420名無しさん@ピンキー:2008/12/27(土) 18:56:11 ID:jPCqjt+e
実は二人とも血の繋がった兄妹なんですね。わかります
421名無しさん@ピンキー:2008/12/27(土) 18:56:45 ID:VkEI88eR
妹がいるがどうも嫌われているみたいだ
やさしいお姉ちゃんが欲しい
422名無しさん@ピンキー:2008/12/27(土) 19:09:23 ID:MeP64FIa
快楽中枢が繋がってる兄と妹。
兄がオナニーを始めると妹も濡れて感じてしまい、妹がオナニーすると兄も勃起して射精しする。

そんで兄が、学校で好きだった人を呼び出して告白しようとしたら、急に勃起してしまう。
兄はビックリしてその場を離れて妹を探すと、トイレでオナニーしている妹を発見。
兄の告白を邪魔する為にオナニーしてたと暴露。
「はやくおちんちん出さないと、ズボンの中で射精しちゃうよ?」



みたいなのを誰か……
423名無しさん@ピンキー:2008/12/27(土) 22:00:58 ID:SO6cO3Bl
なんか双子みたいだな
やっぱり双子の兄妹だと感覚とか繋がっているのだろうか
424名無しさん@ピンキー:2008/12/27(土) 22:38:57 ID:VA1f3Cne
俺がさっきまで読んでたエロ漫画じゃねえかww
425名無しさん@ピンキー:2008/12/27(土) 22:50:58 ID:bsDueqUm
>>422>>424が双子の兄妹だという事がわかりました。

あ、急に…
426名無しさん@ピンキー:2008/12/27(土) 23:30:32 ID:6ULX2BNP
newsnetworkの社会人兄妹って良いよな。
キモウトじゃないけど。素質はあるから何か妄想してしまう。

あれの三次創作を作りたくなる。
427名無しさん@ピンキー:2008/12/28(日) 02:42:51 ID:Aa5J88xF
ポケットモンスター=チ○コ
らしいね
428名無しさん@ピンキー:2008/12/28(日) 20:57:34 ID:xYrKU43A
>>426
現状でも充分アレだと今日更新ので思った

つか三次?あれ二次なのか?
429名無しさん@ピンキー:2008/12/28(日) 21:11:16 ID:3Mz983DI
三次といったら三次元、つまり実の妹で(以下略
430 ◆U4keKIluqE :2008/12/28(日) 23:00:42 ID:Q34fdWsJ
ちょっと間隔が空きましたが、今年最後の投下です。5分割です。
431転生恋生 第八幕(1/5) ◆U4keKIluqE :2008/12/28(日) 23:01:51 ID:Q34fdWsJ
 日曜日の午前中、部屋で漫画を読みながらだらけていると、携帯の着メロが鳴った。発信者名を見ると猿島だった。これは初めてのことだ。
「もしもし?」
「桃川君、おはよう。今日は暇かしら?」
「ああ、暇だけど」
「始業式の日に私の芝居が見たいって言っていたわよね?」
「おう、言った」
「用意ができたから、見せてあげるわ」
「そうか。わざわざすまないな」
 猿島の演劇部での公演を撮影したビデオでも貸してくれるのだろう。特にすることもないし、暇つぶしにはちょうどいい。
「それじゃあ、午後1時にF駅の改札で待ち合わせしましょう」
 F駅は俺たちが通っている学校の最寄駅だ。猿島も電車通学だったと思うが、たぶん俺の家とはF駅を挟んで反対方向にあるんだな。それで中間地点のF駅でビデオの受け渡しをするというわけか。
 ……いや、ビデオの受け渡しなら月曜日に学校でやってもかまわないはずだ。
「俺は急がないぞ。月曜日でもいい」
「学校では無理」
 ビデオを渡すくらいがどうして無理なんだ? まあ、わざわざ時間を割いて貸してくれるというんだから、あえて逆らうこともないか。
「それなら、改札を出る前のところで落ち合うってことでいいか?」
 改札を出なければ、運賃を払わずに済む。ちょっとせこいが、これも生活の知恵だ。
「うん、その方がいいわね」
 猿島も小市民的感覚の持ち主らしい。
「じゃあ、F駅の改札のホーム側で、1時に」
「ええ、また後で」
 それで電話を切ると、俺は午前中はだらだらと過ごした。おふくろに頼んでちょっと早めの昼食をとらせてもらってから、簡単に身だしなみを整えて12時20分に家を出た。
 普段なら俺の外出には必ずといっていいほどついてくる姉貴は、今日は居間のソファでぐったりしていて元気がない。
「たろーちゃん、お出かけ?」
「ああ、ちょっとクラスメートにビデオを借りに行ってくる」
「AVだったら、一緒に見ようね」
「アホ!」
 姉貴としてはAVを見て気分が盛り上がったところで禁断の姉弟愛になだれ込みたいところだろうが、こっちも手の内はわかっているから引っかからない。そもそも高校の演劇で性的興奮を覚えるやつがいるか。
432転生恋生 第八幕(2/5) ◆U4keKIluqE :2008/12/28(日) 23:02:59 ID:Q34fdWsJ
 悪態をついたが、俺は姉貴にいつものうっとうしい元気がないのに気づいていた。といっても、特に心配する必要はない。病気以外の原因だとわかっているからだ。
 そう、健康な女性なら月が満ち欠けする度に必ず訪れる試練の日だ。姉貴もこの運命からは逃れられない。腕力で並ぶ者がいない姉貴が俺よりも弱くなり、そのために俺が貞操の危機を感じずに済む、月に1度の安息日だ。
「うー、今日は何もしたくないー」
 姉貴は本当に辛そうだ。こればかりは気の毒だが、俺にはどうしようもない。
「でもいいの。将来たろーちゃんの赤ちゃんを産むための苦しみだと思えば耐えられるわ」
「……耐えなくていい」
 キモい姉貴は放っておいて、俺は猿島との待ち合わせ場所に向かった。

 F駅の改札に着いたのは午後1時ちょうどだった。猿島はまだ到着していないらしく、見当たらない。時間には正確そうだったから、ちょっと意外だ。
 配信ゲームで時間を潰そうかと携帯電話を取り出したとき、俺を呼ぶ女の子の声がした。
「桃川くーん!」
 声のした方を見ると、知らない人だった。茶髪のロングヘアで、下はミニスカートとブーツ、上はこざっぱりとしたシャツだが、ボタンをほとんどとめていないのでキャミソールが覗いている。
 ……誰だろう? 明らかに俺の方へ駆け寄ってくるが、人違いか? でも桃川なんて苗字はそんなに多くはないしなぁ。
 その子は俺のすぐ傍まで来ると、ぱっちりした目を輝かせてニコッと微笑んだ。目元や頬、唇などうっすらと化粧をしており、かなりかわいい。
「ごめん、ごめん。待った?」
「いや……待つも何も……誰?」
「やだなぁ、けいちゃんだよ」
「けいちゃん?」
 多分、俺は眉を寄せたと思う。彼女は左肩に提げていたショルダーバッグから手帳を取り出して俺に突きつけた。
「ほら、見て」
 それは生徒手帳だった。氏名は『猿島景』と記入されており、教室で俺の隣に座っている地味な眼鏡の女の子の証明写真が貼ってある。
 つまり、目の前の『けいちゃん』と猿島は同一人物ということらしい。
「え!? おまえ、猿島なの?」
 あからさまに動揺した俺に、猿島は変わらずニコニコしている。
「けいちゃんだよ。そう呼んで」
「けい……ちゃん?」
 物凄く違和感がある。だが、猿島は「よくできました」と言うと、いきなり俺の手を取った。
「髪を触ってみて」
 言われるままに髪を指で梳いてみると違和感がある。どうやらウィッグらしい。すると眼鏡の代わりにコンタクトをしているわけか。
 私服で化粧をしているということもあるけど、女は化けるっていうのは本当だな。
433転生恋生 第八幕(3/5) ◆U4keKIluqE :2008/12/28(日) 23:04:01 ID:Q34fdWsJ
「わかった? じゃあ、行きましょう」
 猿島は俺の手を取ったままホームの方へ歩き出した。
「え? どこへ行くんだ?」
「T駅よ。ほら、急いで」
 てっきりビデオをもらって別れるものと思っていた俺は戸惑うばかりだったが、猿島の予想外に柔らかい手の感触に逆らえなかった。
 言われるままに俺はT駅へ向かう電車に乗り込んだ。中は空いていて、俺たちはボックス席に向かい合って座ることができた。
「なあ、いったいこれはどういう……」
「せっかくの日曜日なんだから、遊びましょうよ」
 猿島は楽しげに笑う。同じクラスになってから2週間だが、隣の席にいながら、俺はこいつの表情を1種類しか見たことがない。
 普段はまるっきり無口で無愛想で無表情なこいつが、こんなフレンドリーな、悪く言えば媚びるような笑顔を持っているなんて夢にも思わなかった。
 とりあえず、このまま誘いに乗ってみるか。貴重な体験だもんな。
 気を楽にすると、俺は目の前にいる女の子をけいちゃんとして受け入れることにした。
 T駅までは15分程度なのでさして話すこともなかったが、俺は何か場を持たそうと、彼女が着ている服を誉めてみた。
 けいちゃんは素直に喜んだ。実際、よく似合っている。フェミニンでかわいらしいし、キャミソールの胸元の慎ましやかな谷間やミニスカートが作る絶対領域など、男心をくすぐる色っぽい要素も満載だ。
 俺が特に目を奪われたのは脚というか太ももだった。細いというより、引き締まっている。そこそこ筋肉質らしい。猿島は本の虫という印象だったから、これは驚きだ。
「何か、普段運動しているの?」
「どうして?」
「脚が引き締まっているからさ」
「けいちゃんの脚ばかり見てたんだ。やーらしーな」
「あ……、ごめん。じろじろ見ちゃって……」
 スケベと思われたか。せっかくの雰囲気を壊したか。
 うろたえる俺を楽しむように、けいちゃんは右手の甲を口元に当ててクスクスと笑う。
「べつにいいよ。見せたくてミニを穿いてきたんだから」
「そうなのか?」
「女の子は男の子の視線を集めたいものよ」
「さし……けいちゃんもか?」
「そうよ。でも今日は桃川君の視線がほしいかな。だから、けいちゃんのことだけをいっぱい見つめてね」
 何なんだ、この歯の浮くようなやりとりは。漫画やラノベの中でしか目にしたことのない台詞だ。まさか、俺の人生でリアルに体験できるなんて。
 けいちゃんの説明によると、彼女はダンスのレッスンを受けているのだという。将来舞台女優になるための修行の一環だそうで、つまり猿島がそのような志望を持っているということか。
 ダンサーは皆筋肉質だから、猿島も見かけに寄らず引き締まった体をしているということになる。見た感じウェストが細いし、おそらく腹筋も割れているんだろう。
434転生恋生 第八幕(4/5) ◆U4keKIluqE :2008/12/28(日) 23:05:07 ID:Q34fdWsJ
 電車がT駅に着いた。改札を出るとすぐにショッピングモールが広がっている。けいちゃんは通り抜けるついでにウィンドウショッピングがしたいと言った。
 女物のアクセサリーの店には、姉貴に無理やり引っ張り回されて入ることが多い。俺はいつもうんざりさせられるんだが、けいちゃんと一緒に彼女に似合うアクセサリーを探すのはとても楽しかった。
 それから帽子屋とジーンズショップに入った。けいちゃんが試着して見せてくれたが、どれもかわいかった。コスメショップにも入ったが、ランジェリーショップはスルーしてくれたので助かった。
 ショッピングモールを抜ける頃には、けいちゃんは自然に俺と腕を組んでいた。腕に当るけいちゃんの体の控え目な感触が心地よい。
 この街には近隣の高校生が遊び場にしているアミューズメントパークがある。ゲームセンターやボーリング、ビリヤード、カラオケといった安い遊びが詰まっていて、金はないけど時間はあるという学生が遊ぶにはもってこいの場所だ。
 俺たちはビリヤードをやった。俺はこれが人生3回目のビリヤードだったが、けいちゃんは初めてだそうで、まるでうまくできなかった。どうやら手先は不器用らしい。
 けいちゃんはミニスカートなので、台に乗り出して球を打つとき、俺は他の客にスカートの中身を見られないよう、ガードする位置に立つことを心がけた。
「桃川君は紳士だね」
 けいちゃんはそう言って笑ったが、俺自身がけいちゃんを他の男どもの邪な視線に晒したくないという気持ちになっていた。
 次にクレーンゲームをやった。俺はけいちゃんが欲しいというぬいぐるみを取るのに挑戦したが、成功しなかった。千円を投資して失敗したところで、けいちゃんが止めたのだ。
「そんなに無駄遣いしちゃダメだよ。申し訳なくなっちゃう」
 これでますますけいちゃんに対する好感が高まった。男に金を使わせるのが女のステータスだと思い込んでいるやつらに、けいちゃんの爪の垢を煎じて飲ませたいくらいだ。
 クレーンゲームのお返しということで、けいちゃんのおごりでプリクラを撮った。過去にグループで撮ったのは別として、女の子と二人でプリクラを撮るのは初めてだった。
 姉貴には無理やり撮らされたことがあるが、もちろんそんなものはカウントしていない。
 それほど新しい機種ではなかったが、手書きの文字を書き込める機能がついていた。
「ねぇ、何て書こうか?」
「けいちゃんに任せるよ」
 そんなやり取りを経てけいちゃんが書き込んだのは、「ふたりの初デート記念」という一文だった。
 印刷されたプリクラを見ると、俺の顔は真っ赤になって写っていた。
 
 あっという間に夕方になった。最後に、けいちゃんの願いで観覧車に乗ることにした。
 係員に誘導されて二人で乗り込み、向かい合うように座った。夕日の赤い光に照らされるけいちゃんの顔は文字通り輝いて見えて、眩しかった。
 またこんな風に二人で会いたい。そう口に出そうとしたとき、けいちゃんは自分の髪をゆっくりと引き剥がした。
 ウィッグを外した後には、黒髪ショートヘアの無表情な女の子が残された。
「今日はお疲れ様」
 猿島は普段教室でそうしているように、無機質な口調で俺をねぎらった。
 ああ、そうか。目の前にいるのは猿島なんだ。シンデレラタイムはもう終わりというわけか。
 俺は自分でも不思議なくらい冷静に気持ちを切り替えることができた。
「お疲れ……。というか、今日のは何だったんだ?」
「桃川君が私の芝居を見たいと言ったから、ご要望にお答えしたまでよ」
 化粧はそのままなのに、まるっきり猿島だ。そうとしか言いようがないほどに淡々とした口調で、熱のない視線を俺に向けている。いつもと違うのは眼鏡がないことだけだ。
435転生恋生 第八幕(5/5) ◆U4keKIluqE :2008/12/28(日) 23:05:50 ID:Q34fdWsJ
「今日のは全部芝居だったのか」
「そう。いつもの私とは違うキャラクターを演じて見せたの。ご感想は?」
「凄いな。本当に別人だった。……でも、どうしてこんな手の込んだことをしたんだ?」
 俺はてっきり、過去の公演を録画したビデオでも貸してくれるものと思っていた。まさかこんな長時間にわたる実演になるとは思ってもみなかった。
「芝居は生で見るものよ。ビデオで見たって、何も伝わらないわ」
「そういうものか?」
「そうよ」
 猿島はきっぱりと言い切った。芝居とは役者の演技に対する観客の反応がその場で役者にフィードバックされ、その後の演技を左右する。それを繰り返して一回限りの空間を作り上げるものだという。
 だから、自分の演技をチェックする以外の目的で、ビデオで芝居を見ることなど意味がないというのだ。
「桃川君は理想的な観客だったわ。私の芝居にのめり込んでくれたから、私も役に入り込むことができたもの」
 ちょっとだけ猿島の言葉に熱がこもったような気がしたが、気のせいか。
「最初は面食らったけどな」
「無理もないわね。どんな舞台でも、幕が上がってから観客をその世界に引き込むまではタイムラグが生じるわ」
 猿島がウィッグを付け直した。いつの間にか観覧車が1回転して、俺たちの入っているボックスが地表に戻ってきていたのだ。
 茶髪のロングヘアに戻っても、もはや俺の目にはけいちゃんではなく猿島以外の誰にも見えなかった。
 猿島自身も、これ以上芝居を続ける気はないらしく、いつもの口調で話し続けた。
「芝居は自分と全く違う人間になれるから、楽しいの。今日のキャラクターはオリジナルだから、作るのに時間がかかったわ。桃川君の目から見て、どうだったかしら?」
「けいちゃんの感想ってこと?」
「そうよ。鼻の下を伸ばしていたみたいだけど、わりと気に入ってもらえた?」
「ああ……、凄くかわいかった。普段もあんな風にしたら、男は9割方落ちると思う」
「それは無理。日常生活でまで芝居を続けていたら、体と心がもたないわ」
 田中山は見たがると思うが。
「猿島の芝居が見たいって言ったら、今日みたいなことをまたやってくれるのか?」
「新しいキャラクターができたら、私の方から見てくれるようにお願いするかもしれないわね」
 その口ぶりからすると、けいちゃんは今日限りで見納めらしい。
「ああ、そうそう、念のために言っておくけど、今日のことは黙っていてね。中山田君たちに知られると面倒くさいから」
 確かに、連中に知られると「濡れ場」までリクエストしかねない。

 帰路に乗る電車の方向が反対向きだったので、猿島とはT駅で別れた。猿島は一度も振り返らなかったが、俺はその後ろ姿をひたすら見つめ続けて、目に焼きつけた。
 一人きりになった帰りの電車の中でも、俺は目を閉じてひたすらけいちゃんの姿を思い起こした。
 姉貴は相変わらず体調不良だったから、今日の俺はのんびりと風呂に入ることができた。浴場で俺はけいちゃんの裸を妄想して抜いた。
 その後もけいちゃんのことが頭から離れなかった。胸が焼けつくような感じがして、就寝時間まで悶々として何も手につかなかった。
 なかなか寝つけなかったので、もう1回抜いた。自分がとてつもなく下らない男に思えて、切なくなった。
 それでも体が疲労したせいか、やっと眠れることができた。
436 ◆U4keKIluqE :2008/12/28(日) 23:08:36 ID:Q34fdWsJ
投下終了です。皆様、良いお年を。
437名無しさん@ピンキー:2008/12/28(日) 23:10:58 ID:nxS7SUJq
超GJ!!!
来年も楽しみに待っています。
438名無しさん@ピンキー:2008/12/28(日) 23:13:06 ID:IwBarmhq
GJ!
桃太郎も普通の思春期少年なんですね
439名無しさん@ピンキー:2008/12/28(日) 23:16:44 ID:V+ObVFOY
続きキタ━(゚∀゚)━!!ついに桃太郎の従者によるアピール作戦が始まりましたね。
これからが楽しみです。がんばってください。それではいい年を。(・∀・)ノシ
440名無しさん@ピンキー:2008/12/28(日) 23:36:39 ID:M4h/iF8A
GJ!
猿島の読み方は、さしまでいいのかな?
441名無しさん@ピンキー:2008/12/29(月) 01:31:51 ID:3m8UvHkY
そのプリクラを姉貴が見つけたらどうなるか今からwktkしてきた―――!
442名無しさん@ピンキー:2008/12/29(月) 02:34:23 ID:NfyxVJc1
GJ!!
俺は犬ッ娘派だけどGJ!!!
443名無しさん@ピンキー:2008/12/29(月) 03:29:48 ID:y0DH4t3V
>>436
GJ!
あなたも良いお年を。
444名無しさん@ピンキー:2008/12/29(月) 07:36:00 ID:NCBtFDrn
自分がキモウトだと言うのを隠してるより、最初からキモウトをさらけ出してる作品のほうが面白い?
445名無しさん@ピンキー:2008/12/29(月) 08:10:49 ID:zMXqzNL8
ボクは、キモウトを隠していた方がいいように思うな……
446名無しさん@ピンキー:2008/12/29(月) 09:04:42 ID:NziQcKfb
>>445
死ね
447名無しさん@ピンキー:2008/12/29(月) 09:21:03 ID:gPd1a7sQ
と言うか、誰にどの程度さらけ出すかが話の展開を決めちゃうから
筋書き次第じゃないか?
448名無しさん@ピンキー:2008/12/29(月) 09:44:09 ID:KttZxtkj
けいちゃんで抜いてる桃太郎のダメ人間具合にGJ!

しかし猿島、そのままけいちゃんを演じ続けてたほうが桃太郎を落とせただろうに
けいちゃんを演じるのは疲れるってことだけど
桃太郎が落ちてから正体を表せばいいわけで
犬や雉との間で何か協定でもあるのかな
449名無しさん@ピンキー:2008/12/29(月) 10:40:22 ID:ISg2LZ4l
>>448
猿島とけいちゃん、そのギャップでアピールしてるのかも
450名無しさん@ピンキー:2008/12/30(火) 00:17:05 ID:39zrYJg0
>>448
真の自分を好きになって欲しい、という乙女心じゃないか。
いじましくて可愛いなあ。
451名無しさん@ピンキー:2008/12/30(火) 12:08:53 ID:lxGrCtBb
>>448
浮気者だ!浮気者がいる!

しかし最近では不況→財布の紐がかたくなる→家で飲む
のコンボでキモ姉妹歓喜だとか
452名無しさん@ピンキー:2008/12/30(火) 13:21:52 ID:i09lXtcT
一般の女性の貞操が緩くなる→女性不振

キモ姉妹涙目
453名無しさん@ピンキー:2008/12/30(火) 16:01:27 ID:9ig0TeoG
なんで俺の気に入ってる作品は来ないんだよ!
そろそろ来てもいいだろ!作者、ちゃんと書いてんのか!?
・・・・頼むよ、いい年明けを迎えさせてくれよ・・・・
いや、転成とかきて嬉しいんだけどさ・・・・
454名無しさん@ピンキー:2008/12/30(火) 17:52:50 ID:7yXCq3Z3
>>453
来年まで待てんのかカス
455名無しさん@ピンキー:2008/12/30(火) 18:04:23 ID:hE4d8usT
まあ気持ちがわからんでもない。
が、そんなレスしてるぐらいなら職人のやる気を出させるようなレスをしたほうが現実的
456名無しさん@ピンキー:2008/12/30(火) 20:18:54 ID:uyWB6pmg
>>431
キモ姉の勝因が一つも見当たらない
が、頑張れキモ姉!
457名無しさん@ピンキー:2008/12/30(火) 20:22:44 ID:PRIyaEs3
結局来世に繰り越しだったらおもしろい
458名無しさん@ピンキー:2008/12/30(火) 20:34:41 ID:7VXsI/j4
>>457
そうか、今生で姉に対する嗜好を刻み込んでおいて、来世に自分が姉として生まれるなんて
裏技もありなんだな
459名無しさん@ピンキー:2008/12/30(火) 21:12:27 ID:sNpHGnKK
>>458
このスレ的には妹もありじゃない。
460名無しさん@ピンキー:2008/12/30(火) 22:22:10 ID:5KTuUos2
現世は姉で弟にアタックしまくった末に嫌われて
「やっぱ俺、妹が欲しかったなあ。」といわれ来世では妹として生まれ変わるんですね
461名無しさん@ピンキー:2008/12/30(火) 23:31:06 ID:VD85smRj
姉弟心中とな?
462名無しさん@ピンキー:2008/12/31(水) 12:42:20 ID:iEicP2Qe
まさか猿だけに猿まねなのか?
とりあえず次の投下まで全裸待機だな
正月?関係ねえよ
463ねえたん家の年越し:2008/12/31(水) 17:59:44 ID:rC1zFgPj
『さー始まりました!カウントダウンお笑い紅白ネタ合戦!笑って年越し大スペシャル〜!!』
テレビ画面のベテラン芸人が高らかに番組名を読み上げる。
豪華絢爛なタイトルテロップと、雛段にぎっしりと詰まった人気芸人の面々。
ありがちな年末のお笑い番組だ。
『はい!今回20組の芸人達を審査していただく特別ゲストの登場です!』
カメラが審査員席に移動すると、弾かれたように政人はテレビ前に飛び出した。
「居た!ねえたん映った!!今チラッと映った!顔ちっちゃい!可愛い!」
「ははは。政人君落ち着いて、ちゃんと録画してるから」
「未来ちゃん大晦日もお仕事なんて大変ねぇ」

頑張る姉を夜通し実況する弟であった。
よいお年を。
464名無しさん@ピンキー:2008/12/31(水) 19:03:46 ID:nA0sRVBT
デレのターン
465名無しさん@ピンキー:2008/12/31(水) 19:20:05 ID:tdJCEDdX
ほほえましい
466名無しさん@ピンキー:2008/12/31(水) 19:38:15 ID:DKmDlLKo
まーちゃん、すっかり陥落しちゃってw
467名無しさん@ピンキー:2008/12/31(水) 19:50:31 ID:brdrdgn8
落ちたな…まーちゃんww
468名無しさん@ピンキー:2009/01/01(木) 00:03:16 ID:AhqtFenx
明けましておめでとうマイシスターズ
そして同胞達よ
469名無しさん@ピンキー:2009/01/01(木) 00:58:38 ID:WB23FP/0
「お兄ちゃん、ずっと携帯見てるけど誰かからメール来たの?」
「……サーバーが混雑しててメールが来にくくなってるだけさ……きっと……」
「でももう、朝の五時よ。いくらなんでも、もう」
「黙ってろ! あと、あと一時間は混雑してるから来ないだけなんだって俺は信じる!」
「信じるって……じゃあ、問い合わせしてみたら?」
「問い合わせたら負けかな、って思ってる」
「は?」
「いや、いい。とにかくお前は口を出すな。これは俺の戦いなんだ。妹の出る幕じゃない」
「そこまで向きになってる時点で、もう来ないと思うけど」
「黙ってろって言ってんだろ!!」
「はいはい」
「……? そういや、お前は何通来たんだ?」
「私? ……教えてもいいけど、本当に言っていいの?」
「何?」
「もし私が何十通って来てるって言ったら、お兄ちゃんヤバいんじゃない?」
「う」
「それでも、聞く?」
「いや、や、やっぱりいい」
「ふふ、なんてね。嘘よ。私も一通も来てないわ」
「え? そ、そっか。なんか悪いこと聞いちゃったな」
「大丈夫よ、気にしてないわ」
「……あー、何だったら、俺が今から送ろうか?」
「やあよ。こんなこと言ったあとじゃ強制したみたいだもん」
「いや、そんなことないと思うけど」
「……じゃあ、お兄ちゃん一緒にお参りに行かない?」
「え?」
「だって、お互い誰も行く相手がいないんだから丁度いいでしょう?」
「そうだなぁ。行くか?」
「うん。行こうお兄ちゃん」
「じゃあ、準備してくるから待っててくれ」
「うん、私はもうほとんど準備できてるからここで待ってるね」
「ああ」
「…………さて、と。アドレスを元に戻しておこうかしら。もちろん、両方、ね」
470名無しさん@ピンキー:2009/01/01(木) 01:03:10 ID:WB23FP/0
今日あけおめメールが来なかったお兄ちゃん、つまりこういうことです
471名無しさん@ピンキー:2009/01/01(木) 01:09:54 ID:y8svybNL
>>470
これってキモウト?
472名無しさん@ピンキー:2009/01/01(木) 01:23:07 ID:r5Vm6Uys
>>471
わたしにはキモウトにみえましたがあなたはちがうのですか
473名無しさん@ピンキー:2009/01/01(木) 01:31:18 ID:1c5+powc
>>471
最後の一文を声に出して嫁
474名無しさん@ピンキー:2009/01/01(木) 02:28:46 ID:g/UKlAiB
このあと妹には作業がありそうだな
475名無しさん@ピンキー:2009/01/01(木) 11:49:55 ID:S7oTxUXO
 初詣に着物で行って、仕込みしていた鼻緒が切れて、帰りはおんぶして貰う。
 胸を押し当て、首に手を回し、兄の耳を舐めながら、
「あんっ♪ オシリにあたってるお兄ちゃんの手、感じちゃうよぉっ♪」
 と挑発する。その後に酒を飲ませて、翌日の朝に、衣服を破り、嘘泣きしながら、
「責任、とってね?」
 でハッピーニューイヤー。
476名無しさん@ピンキー:2009/01/01(木) 12:11:56 ID:NSdUA5S5
問い合わせメールの削除ですね わかります
あとおめでとう同志達
477 【末吉】 :2009/01/01(木) 16:46:44 ID:Sd+sxdH0
今年も同志たちにキモウトの祝福がありますようね
478名無しさん@ピンキー:2009/01/01(木) 16:54:03 ID:xHvvjrXh
妹を正常にする薬アンチキモウトを手に入れた。
後はこれを妹に怪しまれないように服用させれば。

説明
キモウトの妹にこの薬を飲ませるのは至難です。
なので口うつしで飲ませましょう。

これを一年間服用させましょう。

見事あなたにとってキモウトではなくなっています。
479 【豚】 【56円】 :2009/01/01(木) 16:56:43 ID:ilM1ErlF
今年もよろしく。兄さん
480名無しさん@ピンキー:2009/01/01(木) 20:09:15 ID:czA1VjcR
>>479
雌豚ってことですね、わかります

近親相姦なんて不純です
あなたのお兄さんは私が責任もって幸せにしますから
481【キモウトの論理】:2009/01/01(木) 22:08:02 ID:gBwVE81R
ねえ、お兄ちゃん。

お兄ちゃんは、まだ学生で、
女の子とエッチしたら責任とって結婚しなくちゃいけないとか、
エッチは子供を作る目的でしかしちゃダメだと考えるほど頭が堅くもないわよね。
つまり、女の子とエッチすることと、結婚したり子供を作ったりはイコールでは結ばれないわけ。

だとしたらだよ?
法律上は結婚できないし子供を作るのもちょっと問題あるような関係の相手とでも、
エッチするのは全く問題ないわけで……
何の話かって?

あのね、日本には姫初めという伝統行事があって、
それをすると一年の運気が開けると言い伝えられてるわけ。

でね、彼女イナイ歴十八年のお兄ちゃんと、
彼氏作る気ない歴十六年の私たち兄妹の一年間の幸福のために……

……ねえ、お兄ちゃん?
どこに行くの?
ちょっと、まだ話、終わってないってば……ねえ!
部屋? 部屋に行くの? その気になってくれた?

……って、なにドア閉めてんの!
鍵なんかかけないで……ねえ!
開けてよ、お兄ちゃん! お兄ちゃんってば!
やろうよ、姫初め……!

【UN-HAPPY END(妹的に)】
482 ◆sw3k/91jTQ :2009/01/01(木) 23:31:30 ID:lGjcFKa1
>>481 GJ
&酉テスト
483思い出の村1話  ◆sw3k/91jTQ :2009/01/01(木) 23:38:01 ID:lGjcFKa1
短いですが、投下します。因みにSS書くの初めてなので、改善点などがありましたら、
教えて下さい。
484思い出の村1話  ◆sw3k/91jTQ :2009/01/01(木) 23:38:42 ID:lGjcFKa1

「うふふふふ。」
目の前で女が笑う。嫌な笑い方だ。まるでこの世は自分の思う通りに回っているとでも言いたげだ。
思い返してみる。どうしてこうなったのかを。



 俺、水野秀樹は中肉中背、妹曰く可もなく不可もなくな容姿をしている高校二年生だ。
容姿と同様に、成績も普通。強いてフォローするならば人よりもちょっとだけ頭の回転が速い(自称)事くらいか。
そんな俺は夏休みを利用して小学三年生の時まで過ごした離島に妹と二人でやってきている。
「兄さん、あれは何という生き物ですか?」
「ハハッ、瑞樹よ。あれはどこからどう見てもエチゼンクラゲじゃないか。刺身にするとうまいぞ。」
こいつは俺の妹、水野瑞樹。誰に似たのかスタイル抜群、容姿端麗な花の高校一年生だ。
「知ってます。聞いてみただけです。因みにエチゼンクラゲは食べれないこともありませんが美味しくはないですよ。」
ツンツンしてるがその表情は普段より柔らかい。久しぶりの旅行で内心はしゃいでるのかもな。
「久しぶりの旅行で気持ちはわかるがあんまりはしゃぐと海に落ちるぞ。」
「はしゃいでなどいませんよ。でももしそうなっても絶対に兄さんが助けにきてくれますから大丈夫ですよ。」
そして結構なブラコンである。
学校でもその容姿から男女問わずにもてた。しかし言い寄ってくる男はすべて振り、浮いた話は今まで一度も聞いたことがない。
しかも先日何で男を作らないかを聞いたところ、「兄さん以外の男に興味がないんです。」と、さらっと言われてしまった。
兄としてこんな妹を心配する気持ちが無いことも無いけど。ま、そういうのは時が解決してくれるだろう。
 なんて物思いにふけっているともう船着場に着いていて妹が急かしてくる。とっとと降りなきゃな。
「なにか考え事ですか?兄さん。」
「ああ、瑞樹についてちょっと考えてた。急がず焦らずいこうな。」
瑞樹は一瞬逡巡し、急に顔を赤らめて何を思ったのか、
「こっ、こちらにも心の準備がありますのでいきなりプロポーズに入るのはやめていただけませんか?」
と言ってきた。さっきの台詞のどこをどう取ればプロポーズになるのかは分からないが一応、
「おおすまん、プロポーズにも順序があったな。すまんすまん。」
とツッコミを入れておいた。そして妹の反応を待たずにわが故郷を見渡す。
そういえば、あの子は元気だろうか。茜ちゃん。元気にしてればいいんだけどな……

side瑞樹
 私、水野瑞樹は今、小学二年生までを過ごした離島に最愛の人と来ている。新婚旅行気分だ。
あの人は私を妹としてしか見ていないが、いつか絶対手に入れてやる。あわよくば既成事実でも作ってしまおうとかとさえ思っている。
そのためにこの旅行もセッティングしたのだ。これで夏休みは兄と二人の時間が増えて、間違いが(私にとってはバッチこいだが)起こる可能性も高くなるだろう。
しかしこの時私は浮かれて忘れていた。最強で最狂の敵、楢崎茜(ならざき あかね)の存在を。
485 ◆sw3k/91jTQ :2009/01/01(木) 23:41:16 ID:lGjcFKa1
1レス分しか無かった...orz
次回はもっと書き溜めます。
スレ汚しすみませんでした
486名無しさん@ピンキー:2009/01/01(木) 23:45:22 ID:2ZG88VVx
よし、全裸で待ってます
がんばって続きかいてください
487名無しさん@ピンキー:2009/01/01(木) 23:46:24 ID:9scU010v
イイヨイイヨー!
GJ!
最初からオープンなキモウトもまたタマラン!
488名無しさん@ピンキー:2009/01/02(金) 00:43:38 ID:kQsU/zZ1
期待してるぜ!
489名無しさん@ピンキー:2009/01/02(金) 01:20:01 ID:n2yP90xU

妹「お兄ちゃん!お年玉ちょ〜だい?」
兄「は?俺まだ中学生だぞ?あげるわけないじゃん」
妹「いいじゃ〜ん!」
兄(…無視無視)
妹「うー!…なら、こっちの玉ちょ〜らい♪」
兄「ホゲッ!」



…オヤジ臭い
490名無しさん@ピンキー:2009/01/02(金) 01:32:42 ID:UcunR8EI
妹「お兄ちゃん!おかねちょ〜だい?」
兄「は?俺まだ中学生だぞ?あげるわけないじゃん」
妹「いいじゃ〜ん!」
兄(…無視無視)
妹「うー!…なら、こだねちょ〜らい♪」
兄「ホゲッ!」



…改変してごめんね。
491【世界の黄昏に愛する人と】投下予告:2009/01/02(金) 03:20:20 ID:3B1y5CUw
9レス分、投下します。
セカイ系のラノベっぽい話の途中まで。
(いちおう結末まで書き上がってますが、スレ投下用に改稿しながら小分けしていきます。)

えっちっぽい描写は後の展開で出てきますが、直接的なエロは……ごにょごにょ
その辺りもラノベ並みですね。
それでは↓
492【世界の黄昏に愛する人と】(1) 1/4 :2009/01/02(金) 03:21:18 ID:3B1y5CUw
 黄金色をした金属製の球体だった。
 地球儀をかたどっているのだろうか、表面には各大陸の輪郭と経緯線が彫り込んである。
 それに加えて太平洋に相当する部分には人間の眼のかたちが彫られている。
 地球儀に描かれた眼。
 美術品として作られたとすれば、さほど優れた作品とはいえない。
 奇妙なデザインではあるが強く印象に残るものではない。
 素材が純金であるとすれば、その重量分の経済価値しかないであろう。
 そして――それが、たとえば駐輪場に停めた自転車のカゴの中に入っていたとすれば。
 本物の金で作られたものだとは誰も考えまい。ただのガラクタとしか思わないであろう。
 外見的には。
 手を触れてみるまでは――
 自分の自転車のカゴの中に、いつの間にかそのようなものが入っていれば、誰でも手を触れてしまうだろう。
 その場に捨てていくか、他人の自転車のカゴに黙って移し替えるか。
 あるいは落とし物として駐輪場の管理人に預けるかは、人それぞれとしても。
 だが。
 手を触れた途端、彼あるいは彼女は、知ってしまうのだ。
 それの、真の価値を。
 それが持つ、力を――


   【世界の黄昏に愛する人と   第一章 陽祐】


「ふぁ……、あ……」
 校門からバス停までの坂道を下りながら、陽祐(ようすけ)は、あくびした。
 授業中ほとんど寝ていたのに、まだ眠い。予備校で寝るわけにはいかないけど。
「――セ・ン・パイッ!」
 肩を叩かれ、振り向いた。
 麻生夏花(あそう・なつか)が微笑んでいた。陽祐に追いついて隣に並び、
「陽祐センパイ、朝も帰りも一日中、眠そうですねぇー?」
「朝なんか会ったか?」
「駅で見かけたんですよぉ。でも声かける前にセンパイ、電車に乗っちゃって。あたしは乗り遅れて次の電車」
「……はーん」
 陽祐は曖昧にうなずく。
 電車に乗ったというから地元の駅のことだろうが、陽祐にとっては、どうでもいいことだ。
 陽祐は私立高校の三年生で、夏花は二年下の後輩だった。
 地元が一緒で同じ中学の出身である。
 並んで歩けば、陽祐と夏花は絵になるコンビだ。
 白いシャツと紺のネクタイという夏の制服が二人ともよく似合う。
 陽祐は先月の県総体を最後に引退するまでは水泳部員で、肩幅があって引き締まった体つき。
 端正な顔が日に焼けていないのは学校のプールが屋内にあるからだ。
 一方、夏花は現役の水泳部員である。
 セミロングの艶やかな黒髪に、かたちのいい眉と涼しげな眼。通った鼻筋に、ぷっくりした唇。
 体つきはスレンダーで、きわどく丈を詰めたスカートから伸びた脚が周囲の視線を惹きつけずにおかない。
 もっとも陽祐は、あえて眼を向けないようにしていたが……
493【世界の黄昏に愛する人と】(1) 2/4 :2009/01/02(金) 03:22:10 ID:3B1y5CUw
「……おまえ、部活はどうした?」
 陽祐はたずねた。
 たとえサボりでも夏花自身の競技成績が落ちるだけで知ったことではないが、ほかに話題がない。
 すると夏花は、くすくす笑い、
「やだなぁ、きょうはサボりじゃですよぉ。テスト前だからお休みでぇす」
「ああ、そっか……」
 苦い顔でうなずく陽祐に、夏花は屈託のない様子で、
「陽祐センパイもテスト勉強で眠いんじゃないんですかぁ?」
「学校のテストなんか無視だよ。こっちは受験で手一杯だ」
「そっかぁ、受験生だから。そうでしたよねぇー……」
 ふむふむと夏花はうなずくと、ちらりと上目遣いに陽祐の顔を見た。
「じ・つ・はぁ、クラスの子に、陽祐センパイを紹介してくれって頼まれたんですけどぉ?」
「……あ?」
 眉をひそめる陽祐に、夏花は、にんまりと笑い、
「可愛い子ですよぉ? ほら、こないだ学食でセンパイと会ったとき、一緒にいた子ですけどぉ」
「ンなの、相手してる暇ねーよ」
 さらに渋い顔になる陽祐に、夏花は笑顔のままで、
「もちろん受験生だし答えはそうでしょうけど、いまフリーかどうかだけ確かめてくれって頼まれちゃってぇ」
「聞いても答えなかったと言っておけ」
「うーん、そうですかぁ」
 夏花は両手を広げて肩をすくめる芝居じみた仕草をした。
「彼女、センパイの趣味とか好きな歌手は誰かとか、しつこく聞いてくるんですよねぇ」
「…………」
 陽祐が仏頂面のまま答えずにいると、夏花は、ふふっと悪戯っぽく笑い、
「まぁ、あたしも中学のとき、美沙(みさ)に同じことしたから文句言えないですけどぉ……」
 美沙は陽祐の妹で、夏花とは中学の同級生だった。いまは県立の女子高に通っている。
「……でも、元カノのあたしにそんなこと聞くなんて、遠慮ないですよねぇー?」
 陽祐は返事をしなかった。
 一方的にフラれた元カノに、いま彼女がいるのかと訊かれても答える気になれない。
 坂の下の停留所にバスが着くのが見えた。並んでいた生徒たちが乗り込み始める。
「……俺、予備校急ぐけど、おまえは?」
 たずねる陽祐に、夏花は微笑み、
「どうぞぉ、行っちゃってくださぁい」
「わりーな」
 陽祐は駆け出した。
 ぎりぎりでバスに乗り込み、吊り革につかまって窓の外を見ると、夏花がこちらに手を振っていた。
 だが、すぐにバスは角を曲がり、夏花の姿は見えなくなった。


 陽祐が予備校から家に帰り着いたのは夜の九時半過ぎだった。
 ドアの鍵を開けて玄関に入る。
「……たでーまー」
「おかえりー」
 奥から美沙の声がして、パタパタとスリッパで駆けて来た。
「ネギは?」
494【世界の黄昏に愛する人と】(1) 3/4 :2009/01/02(金) 03:22:55 ID:3B1y5CUw
「……え?」
 通学靴を脱ぎながら陽祐はきき返す。
 何故だかエプロン姿の美沙は、腰に手を当てて口をとがらせ、
「メールしたじゃない、買って来てって」
「わりー、読んでねーよ。オフクロは?」
 たずねながらスリッパを履く。
 美沙がエプロンなど着けて主婦の真似をしているのは母親が風邪でもひいたのかと思ったのだが、
「まだ帰ってない」
「まだ? どこか出かけてんの?」
 美沙の横を抜けて陽祐は居間へ向かう。美沙はあとを追って来て、
「なに言ってんの、クラス会でしょ。きのうも今朝もママが言ってたじゃない」
「そうだったか?」
「だから晩ごはんは美沙が作るって。もうっ、お兄ちゃんってば、いつも人の話を聞いてない!」
 ふくれ面をする美沙に、陽祐は気まずく口をつぐむ。
 美沙は陽祐から見ても、よくできた妹だった。家の手伝いは当然のようにやるし、学校の成績も優秀だ。
 おまけに見映えも悪くなかった。
 生まれつき栗色のふわふわした髪に、くりくりと表情豊かな眼に、人形みたいに整った小作りな鼻と口。
 中学時代はよくモテて、複数の男子から告白されたが全て断っていたとは夏花からの情報だった。
「なんだか美沙ってぇ、男嫌いじゃないかと思ってぇ……」
 実際、美沙は県立を含めて女子校ばかり受験していたから、夏花の分析も当たっているのかもしれない。
 とはいえ、妹の恋愛事情など兄が心配することでもないと陽祐は思っている。
 つまらない男に遊ばれて泣かされるようでは困るが、しっかり者の美沙にはその心配もないだろう。
 居間にはソファにテレビ、AVラックにパソコン一式などが揃えてある。
 美沙はアニメのDVDを観ていたようだ。
 一時停止された画面には虎縞のビキニを着た鬼娘のキャラクターが映っている。
 アニメに興味がない陽祐はソファに通学鞄を放り投げ、続き部屋のダイニングキッチンへ向かう。
 だがテーブルに夕食が並べてあるのかと思ったら、箸しか用意されていなかった。
「冷蔵庫に冷しゃぶサラダが入ってるから出して。お皿二つに分けてあって、一つはパパの分だから」
 美沙が種明かしのように言いながらキッチンに立った。
「いまお素麺、茹でるから。ネギがないから薬味は生姜だけで我慢してね」
「ああ……」
 言われた通りに冷蔵庫を開けると、きちんと皿に盛りつけてラップをかけられた料理が作り置いてあった。
 見た目は母親の料理と遜色ない。
 美沙が水を張った鍋を火にかけて、振り向き、
「あと麦茶も冷やしてあるけど、それとも温かいお茶がいい?」
「とりあえず、ビールにするわ」
 陽祐が缶ビールを冷蔵庫から引っぱり出すと、美沙は眉を吊り上げた。
「ばか、なに言ってんの。ちょっと、やめて!」
「いいじゃん。オフクロもオヤジもいねーんだから、飲ませろよ」
「だめ、絶対だめ! どうしても飲みたいなら美沙が見てないところで独りで飲んで!」
 本気で怒りだした美沙に、陽祐は苦笑いして、
「ほんと優等生だな、おまえ。クラス委員長向きだよ、来年こそ立候補しろ」
「ほんっと、頭にくる! お兄ちゃんには二度とごはん作ってあげない!」
「じゃあ、これが最後の晩餐か。じっくり味わって食うとするか」
 陽祐はビールを冷蔵庫に戻し、自分の分の料理をテーブルに並べた。
495【世界の黄昏に愛する人と】(1) 4/4 :2009/01/02(金) 03:23:43 ID:3B1y5CUw
 美沙は、くすくす笑いだす。
「……まったく、お兄ちゃんってば悪い冗談ばっかり」
 どうやら冗談だと思ってくれたらしい。ビールを出したのは本気だったけど、機嫌が直ったのはありがたい。
 素麺が茹で上がる前に、陽祐は冷しゃぶサラダから食べ始めた。
 味は母親と遜色ない。妹の手料理を口にする機会は多くはないが、なかなかの腕前と認めていい。
 やがて出てきた素麺の茹で具合も問題なしだった。
 美沙は父親の分も一緒に茹でて水にさらしてから、ざるに移しラップをかけて冷蔵庫にしまった。
 食後は皿洗いをしようと陽祐は申し出たが、それより風呂に入るよう勧められた。
「このあとも勉強するんでしょ、お兄ちゃん?」
 にっこり笑顔で言われると、やらざるを得ない気分になる。
 きょうは眠いから自宅学習はナシにしようと思ったのだけど。


 二階の自室で陽祐が勉強しているうちに、母親が帰って来たらしい。
 玄関まで迎えに出た美沙と話す声が聞こえてきた。十一時過ぎのことだ。
 やがて、零時を回って父親が帰宅した。美沙はまだ起きていたようで、母親と三人で話す声がした。
 陽祐は机に広げていた勉強道具を片づけてダイニングへ降りていった。
 父親と母親がテーブルについてビールを飲んでいた。
 母親は風呂を済ませたらしくパジャマ姿で、父親は背広の上着だけ脱いでいる。
 キッチンで素麺を茹でていた美沙が、陽祐に気づいて振り返り、
「お兄ちゃんも、お素麺食べる? ママが夜食にするって」
「素麺はいいや」
 陽祐は食器棚からグラスを出して、テーブルについた。父親にグラスを突き出して、
「俺も、いい?」
「まあ」
 クラス会帰りでテンションが上がっているらしい母親は、おどけるように眼を丸くした。
「オヤジと酒を酌み交わそうなんて、一年早いぞ」
 言いながらも父親はまんざらでもない顔で、陽祐のグラスにビールを注ぐ。
 陽祐は美沙の顔を見て、にやりと笑ってみせた。
 美沙は口をとがらせながら、皿に盛りつけたキュウリの糠漬けを運んで来て、
「一年じゃ、まだお兄ちゃん十九じゃないの」
「大学生になれば酒と煙草と賭け麻雀は解禁だよ。なあ、陽祐?」
 父親が言って、母親が、
「あら、賭け麻雀はまずいでしょ。せめてパチンコじゃないの?」
「やだもう、この家のオトナ。つき合いきれない。先に寝ちゃえばよかった」
 美沙はあきれた顔で、火にかけた素麺の鍋の前に戻る。
 その背に向かって母親が、
「美沙ちゃんも一杯やる? 仲間にお入りなさいな」
「結構です!」
 美沙は振り返らずに答えた。
 本気で怒っているような口ぶりだったが、母親も父親も笑うばかりだった。


 ――そして翌朝、陽祐は異変を知った。
【第一章 幕】
496【世界の黄昏に愛する人と】(2) 1/5 :2009/01/02(金) 03:24:33 ID:3B1y5CUw
   【世界の黄昏に愛する人と   第二章 美沙】


「――て、――ちゃん。ねえ、起きて……」
 揺り起こされた。
「んあ……?」
 陽祐は、しかめ面で目を開ける。美沙が不安げな顔で自分を見下ろしていた。
「変なの。ママもパパも、どこにもいないの」
 美沙は女子高のセーラー服姿だった。カーテンの隙間から差し込む日の明るさで、いまが朝だとわかる。
 じきに自分の目覚ましも鳴る頃だったろうが、なんだか損をさせられたように陽祐は思う。
「いないって……オフクロなら台所で朝メシと弁当作ってるだろうし、オヤジはまだ寝てるだろ?」
 眠い眼をこすりながら陽祐が言うと、泣きそうな顔で美沙は叫んだ。
「だからキッチンにもいないし、ベッドも空なの! 家じゅう捜したけど、いないんだってば!」
「…………」
 陽祐は眉をしかめた。起きぬけに両親が失踪したなどと言われても頭がついていかない。
 ベッドから起き上がろうとして、
「……わりーけど」
「えっ……?」
「ちょっと外に出ていてくれ。着替えるから」
 タオルケットの下はトランクス姿だった。最近はパジャマを着ないで寝ているのだ。
 おまけに男の朝の生理現象が起きていた。


 陽祐は手早くTシャツとジーンズに着替えた。
 部屋の外で待っていた美沙と二人でもう一度、家じゅうを捜してみることにする。
「……いつもはママ、美沙より先に起きてごはん作ってくれてるのに、キッチンは昨日の夜、片づけたままで」
 階段を降りながら美沙が説明する。
「寝坊かなと思って起こしに行ったら、ママもパパもベッドが空だし、ほかのどこにもいないの……」
「置き手紙とか、なかったか? 誰か親戚が死にかけて病院に駆けつけるとか?」
「何もなかった。二人とも携帯も置きっぱなしで」
 両親の寝室は一階にあった。念のため途中にある居間とダイニングも覗いたが、誰もいない。
 寝室もやはり無人だった。家具はダブルベッドと、その脇にサイドテーブル。クロゼットは作りつけ。
 ほかに鏡台があり、両親の携帯がその上に置かれていた。
 母親の携帯の着信履歴を見たが、昨日の昼間、登録名『聡子ちゃん』という相手からかかってきたきりだ。
 恐らくは母親の友人だろう。発信履歴は、おとといまで遡る。
 メールも発着信を過去十件ずつチェックしたが、不審なところはないように思えた。
 父親の携帯はロックがかかっていた。試しに父親の誕生日を暗証番号に入れてみたが、違っていた。
 サイドテーブルの引き出しを開けると、父親の財布とキーホルダーが入っていた。
 四つある鍵は、自宅と車と、あとは会社の机やロッカーのものだろうか。
 そういや、車はあるのか? キーなら居間にスペアがある。
 カーテンを開けて、窓の外の車庫を見た。車は車庫にあった。
 クロゼットも開けてみたが、両親の服が下がっているだけだった。
 誰からか連絡があるかもしれないので、両親の携帯はジーンズのポケットに入れて持ち歩くことにした。
 一階にはもう一部屋、六畳の和室があった。
 この家が建てられた当時は客間という想定だったようだが、陽祐が知る限り、客が泊まったことはない。
497【世界の黄昏に愛する人と】(2) 2/5 :2009/01/02(金) 03:25:16 ID:3B1y5CUw
 その客間にも当然のように誰もおらず、念のため開けた押入れも、布団が二組、入っているだけだった。
 和室を出て玄関へ向かう。美沙があとからついてくる。
 靴入れを開けながら美沙にたずねる。
「オフクロの靴がなくなってるか、わかるか?」
「ママがどんな靴もってるか、全部は知らないよ」
「オヤジの靴はあるみたいだ。いつも同じのしか履かないから、すぐわかる」
 ドアの鍵はかかっていた。鍵が開いたままなら、いよいよ不審だったけど。
 サンダルを突っかけて玄関の外に出た。
 日差しがいやに眩しかった。顔をしかめて、門の脇の郵便受けを確かめた。
 手紙などは入ってなかった。それに、朝刊もない。
 玄関から心配そうに見ている美沙にたずねた。
「……新聞、とったか?」
「まだとってない。いつもパパがとりに行くでしょ」
「オヤジは何時に起きてる、いつも?」
「美沙より少しあとだよ」
 それなら、今朝は父親が新聞をとったわけではないのだろう。配達を忘れられただけかもしれない。
「…………」
 ふと違和感を覚えて、家の前の道を左右、見渡した。
 物音がしなかった。人も車も通らない。
「……きょう、日曜じゃねーよな?」
「木曜だよ。なに言ってんの」
「そうだよな。日曜ならオヤジたち、二人で早起きして散歩かもしんねーけど……」
 もう一度、辺りを見渡す。
 景色はいつもと変わりないようでいて、庭木の葉っぱが風にそよぐほか、何も動くものがない。
 あまりにも静寂。
「……隣近所をピンポンダッシュして回ったら、怒られるよな?」
「ばか、当たり前でしょ! 冗談を言ってる場合じゃないんだよ!」
「逃げるから怒られるんだ。適当なこと言って、ごまかせばいいのか」
「ちょっと、お兄ちゃん……?」
 陽祐は門の外に出た。道を横切り、向かいの家を門の前から覗き込んだ。
 いつもなら、たちまち吠えかかってくるはずの、玄関脇の犬小屋のラブラドールがいなかった。
 もちろん、散歩に出かけているだけかもしれない。
 チャイムを押した。
 ――応答なし。
 開いていた門の中に入り、玄関のドアをノックして「すいません」と呼びかけたが、返事はなかった。
 その隣の家へ行って、またチャイムを押した。やはり応答なし。
 ドンドンとドアを叩き、「すいませーん!」と叫んだ。
 反応がないので、そのまた隣の家へ走った。チャイムを押し、ドアを叩いた。
 そしてまた次の家で、同じことの繰り返し。
 面倒になって、道の真ん中で怒鳴ってみた。
「おーいっ! 誰か、いねーのかっ!」
「お兄ちゃん……」
 心配そうな顔をして、そばまで来た美沙に、陽祐は言った。
「おまえ、向こう側の家、チャイム鳴らして回れ」
「ママたちが来てるって言うの?」
498【世界の黄昏に愛する人と】(2) 3/5 :2009/01/02(金) 03:26:11 ID:3B1y5CUw
「……いや。どの家も、誰も出て来ねーと思うから」
「そんなこと……」
 美沙は眼を丸くして、陽祐の顔を見つめた。


 家に戻って居間のテレビをつけた。どのチャンネルも砂嵐だった。
「……くそっ」
 テレビを消した陽祐に、美沙が、
「どういうこと、お兄ちゃん……?」
「わからん。だけど、消えたのはオヤジやオフクロだけじゃない」
「え……?」
「隣近所の人間がみんな消えた。向かいの犬もいないから、人間だけじゃないかもな」
「どうして? 漫画やSFじゃないんだよ?」
「考えられるのは、地震とか災害が予知されて、みんな避難したのかも」
「でも、ママやパパまで……」
「……ああ。オヤジやオフクロが、俺たちを置いて逃げるわけがない」
 その点は両親を信頼していいはずだ。
 ならば、何故みんな消えたのか? いったい、どこへ消えたのか?
 自分たち兄妹を残して……
「……いや、消えたのは、うちの近所だけか? テレビも映らないってことは……」
「美沙、友達に電話してみる。携帯とってくるね」
「俺も自分の携帯とりに行く。なるべく一緒に行動したほうがいいだろ、俺たち」
 離れた途端に、もう一人まで消えるかもしれないから……とは恐ろしすぎて口には出せず。
 二人で二階に上がって、それぞれの部屋から携帯を回収した。
 廊下に出て美沙は、すぐに何人かの友達に電話したが、
「誰も出ない……」
 陽祐も同じことを試したが、無駄だった。
「北海道の伯父さんはどうだ?」
 母親の携帯に登録されていた番号にかけてみたが、やはり相手は出なかった。父親の実家も同様だ。
 二人は、無言で居間に戻った。
 陽祐はソファに座り、役立たずな携帯を傍らに投げ出す。
 美沙はうつむきながら、その前に立った。いまにも泣き出しそうな赤い顔。
「…………、美沙が……」
 何やらつぶやき、陽祐はきき返す。
「え?」
「……まさか、こんなこと……。だって、そんな……」
 意味のある言葉ではなかった。よほど混乱しているのだろう。
 陽祐はソファの上で胡坐をかいて、膝に頬杖をついた。
 何やら考え込むようなポーズだったけど、実際には何も考られなかった。
 父親と母親が消えた。隣近所の住人も消えた。
 親戚や友人に電話しても誰も出ない。テレビも映らない。その事実を反芻しているだけだ。
 どうして、みんな消えた?
 ――考えたって、わかるわけがない。
「……おまえも座ったら? とりあえず、これからどうするか、考えてみるから」
 陽祐が声をかけると、美沙は首を振る。
499【世界の黄昏に愛する人と】(2) 4/5 :2009/01/02(金) 03:26:57 ID:3B1y5CUw
 それから、思いきったように顔を上げて、美沙は微笑んでみせ、
「とりあえず、朝ごはん作るね。タイマーでごはんだけ炊けちゃってるから」
 食欲なんて、あるはずなかった。
 けれども、美沙が料理で気を紛らわしてくれるのなら、ありがたかった。
 泣かれたりするのが一番困るのだ。
 陽祐自身、途方に暮れて、意味もなく叫び出したい気分なのだから。


 美沙が料理をしている間、陽祐は居間のパソコンのネットで、思いつく限りの場所にアクセスしてみた。
 二十四時間随時更新が売りのはずのニュースサイトは、夜中の一時以降、新しいニュースがなかった。
 不特定多数が書き込む匿名掲示板も、最後の投稿が午前一時。
 一時といえば、陽祐が寝た時間だ。
 その頃に、みんな消えたのだ。おそらく、日本中の人間が。
 海外のサイトも見てみたが、陽祐の語学力では、いつから更新されていないのか判断がつかなかった。
 国際電話をかければいいと思いつく。
 相手が出れば、少なくとも日本以外の国では、まだ全ての人間が消えたわけじゃないとわかる。
 各国の観光協会あたりなら、日本語の通じるスタッフがいるだろう。彼らにこちらの事情を説明してみよう。
 日本と連絡がとれなくなっていることは海外でも騒ぎになっているはずだ。
 自分たち兄妹に、救いの手が差し延べられるかもしれない。
 ――世界中の人間が消えたわけじゃなければ。
 ネットの世界時計で時差を確かめ、オーストラリア政府とハワイ州とロサンゼルス市の観光局を検索。
 それぞれの公式サイトに掲載されていた代表番号に電話してみた。
 いずれも相手は出なかった。
 この世界に自分たち二人だけが取り残されたと思うほか、なくなってきた。
 いまさらだけど、夢じゃねーよな?
 頬をつねったら痛かった。
「お兄ちゃん、ごはんだよ」
 美沙に呼ばれてダイニングへ行く。
 ごはんと味噌汁、卵焼きとトマトとキャベツの千切りという、申し分のない朝食が用意されていた。
「……おまえがいてくれてよかったよ」
 ぽつりと言った陽祐に、きょとんとした顔で美沙は、
「えっ……?」
「とりあえず温かい食い物にありつけるもんな。これがオヤジと二人だったら、どうなってたか」
「なに言ってるの」
 美沙は笑う。
 二人で「いただきます」と言い合って、食べ始めた。
 うるさいことは言わない両親だけど、食事の挨拶はしつけられてきた。
 たぶん、この世界で一人きりになっても自分は「いただきます」を言うだろうと陽祐は思った。
 それが食べ物に対する礼儀だというのが両親の教えだ。
 美沙は小さな茶碗によそったごはんを、小鳥がついばむように少しずつ口に運んでいる。
 少食なのは元からなので、食欲がないわけではないらしい。
 陽祐も、食べ始めてしまえば失せていたはずの食欲が戻って来た。
 美沙がきいてきた。
「ネットで何かわかったの?」
「ああ。あとで話そうと思ったけど……」
500【世界の黄昏に愛する人と】(2) 5/5 :2009/01/02(金) 03:27:47 ID:3B1y5CUw
「何? いま聞いても平気だから、教えて」
「俺たちがいるこの世界には、いま、おまえと俺の二人きりしかいない。ほかの人間は誰もいないと思う」
「…………」
 さすがに美沙は箸を止めた。
「……待って。『俺たちがいるこの世界』って、どういう意味?」
 微妙な言い回しに、美沙も気づいたらしい。
 陽祐は味噌汁をすすって、
「何の確証もないけど、ここは俺たちがいた世界とは別の、パラレルワールドみたいなもんかと思えてきた」
 お椀を置いて、トマトを一切れ、口に運びながら言い添える。
「おまえのほうが、こういう話は詳しいんじゃねーか、漫画とかアニメで?」
「…………」
 美沙は、じっと陽祐を見つめている。
「……どうして、そう思うの?」
「だって、そうじゃなければ本当にみんな消えたことになるだろ? オヤジやオフクロを含め、人類全てが」
 陽祐は再び味噌汁をすすり、
「それよりは、俺たち二人だけが違う世界に迷い込んだと考えたほうが納得いく」
「ママやパパか、美沙たちか、世界から消えたのは、どちらかってこと……?」
 美沙は箸を置いて、うつむいた。
 陽祐はごはんを口に運んで、
「……あとで聞いたほうがよかったろ?」
「どうせ聞くなら、早いほうがいい。悪い話は……」
 美沙は、うつむいたまま首を振り、
「……でも、確かに現実感ないね。世界中の人間が消えて、美沙たち二人が残ったなんて」
「戦争とか疫病で全滅したならわかるけどな。いや、そのほうがいいって言ってるわけじゃねーけど」
 卵焼きを口に運び、
「全人類が跡形もなく消えるよりは、理解できるってことで」
「なんだかお兄ちゃんって、冷静だね」
「現実感がねーからな、おまえの言う通り。だけど、まだ消えただけのほうが救いがあるか」
「救いって……?」
「消えたときと同じように、そのうち急にまた、みんな戻って来るかもしれねーだろ?」
 あるいは、俺たちが元の世界に戻れるか……と、陽祐は付け加える。
「…………」
 美沙は無言のままもう一度、箸を手にとった。
「無理して食わねーでいいぞ」
 陽祐が言うと、美沙は首を振り、
「食べる。ママやパパがいつか戻って来るのなら、この世界で美沙たちも、元気に頑張らなくちゃ」
 美沙は顔を上げて、まっすぐ陽祐の顔を見た。
「そうでしょ、お兄ちゃん?」
「そうだな……」
 陽祐は眼を細めた。
 しっかり者の妹が意外と芯まで強いことは、新しい発見だと思った。


【第二章 幕】
501【世界の黄昏に愛する人と】投下終了:2009/01/02(金) 03:30:20 ID:3B1y5CUw
次の投下は1月3日以降になります。
この手の話はダメ、つまらねー! って方は、NGワード【世界の黄昏に愛する人と】で……
502名無しさん@ピンキー:2009/01/02(金) 03:45:52 ID:Ppa4ZhbD
まさかのリアルタイムに遭遇w

GJですた
503名無しさん@ピンキー:2009/01/02(金) 04:06:11 ID:jJVI5mEY
GJ!! まじGJ!
504名無しさん@ピンキー:2009/01/02(金) 04:07:28 ID:ZtMlyIiv
おもしろくなりそう、
頑張って
505名無しさん@ピンキー:2009/01/02(金) 21:37:10 ID:Ebtf1zdN
GJダヨー!
ウヒョヒョーだよー!
506名無しさん@ピンキー:2009/01/02(金) 22:19:13 ID:7v5XG9eV
>>501
GJ!
富樫義博の漫画「レベルE」にでてきた超能力の例を思い出した
娘が両親の喧嘩による極度のストレスから父親を自分の心の中に閉じ込めて父親を改心させたって話
507名無しさん@ピンキー:2009/01/02(金) 23:46:42 ID:cpI9k2Ei
なるほどね、兄以外はいらない・・・と
508 ◆3vvI.YsCT2 :2009/01/03(土) 04:53:21 ID:JdF7eMxf
かくなる上は拙者も作品を投下いたしたいと思う所存に在りますでござる。
……全然キモくないけど、なんというか、最近の妹もの作品の内容を反映させた作品になれれば幸いでござる。
(参考文献:忘却録音とか俺妹とか)

ちょっと長めの作品になり、しかも完結してないという最悪のパターンでござるが、
とりあえず現状の状態で投下するでござる。

タイトル:サワーデイズ(仮)
内容:クローズドタイプのキモウトが出てきます。

↓いざ!
509名無しさん@ピンキー:2009/01/03(土) 04:55:21 ID:JdF7eMxf
この想い。もし遂げられるなら、悪魔に魂を売り渡してもいい。
――そう思っている。本気で。

私は夢を見る。私の年子の兄――御門迅(みかど じん)と手を繋いで一緒に春の野を行く夢を。
花咲き誇る丘の上。桜舞い散るその場所で、私は兄に抱きつく。
兄はそんな私をやさしく受け止め、唇にキスをするのである。
――そして二人は結ばれる。

そういう夢を見る。願わくば、これが夢でなければ良いとも思う。
しかして現実はそうともいかない。

何の間違いか、私こと御門華音(みかど かのん)は実の兄のことを一人の男性として愛してしまった。
いつの頃からか。ずっと昔からだ。
初めの頃は、これが人間として普通のことだと思っていた。
家族のことを好きでいて、愛しているのは誰しもそうである、と小学校の道徳の授業ではそう教えていた。
だから、小学校の、高学年まではずっとお兄ちゃん好きで通していた。
お風呂にも一緒に入っていたし、一緒の布団でも寝ていた。
ある日突然、それが許されなくなった。
母は兄と私が一緒の風呂に入ることを禁じ、一緒の布団に入ることを禁じられた。
何故? きっかけは単純だ。禁止令が発布される前の日に、私には初潮が訪れていた。
母にそのことを話したらその日の晩にはお赤飯が出されていたことを覚えている。
二つの事象は繋がっていた。……母は何も言っていなかったが、今ならそう言える。
もちろんその時の私は理不尽な命令に対して拒絶をした。何故なのか、説明を求めた。
だが、返ってきた答えは「みんなそうしてるし、あなたたちもそうするべき」との一点張りだった。
母は従兄弟の努お兄ちゃんと友香お姉ちゃんを例に出して私たちにそう言い包めた。
努お兄ちゃんと友香お姉ちゃんは5歳ほど歳の離れた姉弟で、友香お姉ちゃんはその時丁度二十歳だった。
二人は小学生の頃から別々の部屋を与えられており、私たちよりずっと早く別々に風呂に入るようになったそうだ。
だから、それに比べたら私たちのそれは、遅すぎるというのだ。
私は納得できていなかった。しかし、兄は納得した様子だった。
それどころか「華音は甘えんぼさん過ぎるんだ。だから、もうちょっと大人にならないとな」とまで言ってきた。
そして、「分かったかい、華音。大人しく言うこと聞いてくれたら、お兄ちゃんちゅーしてあげるからな」
と頭を撫でてくれたのが決定打となった。
私はうん、とそのまま頷くと、その日から独りでなんでもするようになった。
それからもう五年にもなるだろうか。私はもう16歳になった。しかし、約束はまだ果たされていない。

――私はまだ、子供だということだろうか。
510サワーデイズ 2 上のは1 ◆3vvI.YsCT2 :2009/01/03(土) 04:57:21 ID:JdF7eMxf
暗闇の中、ひたすらに兄を想う。目を開けたまま見る夢があるとすれば、私は瞬きすら惜しんでその夢を見るだろう。
せめて、夢の中ならば、私は兄と自由にいられる。一緒にキスをすることも、抱き合うことも――
股間に手が伸びる。
兄を想い、寂しくなり、涙が出そうなときは、こうやって自分を慰める。
それが一時の快楽でしかなく、心の隙間を埋められる行為でないことは百も承知の上だ。
体だけが大人になってしまった。心はまだ子供のまま。兄離れは、できていない。
繰り返される虚無との対面。私は、この家に於いて、世界に於いて孤独を患う。


「華音。朝だよ、起きなさい」
とうに目は覚めている。兄が起こしに来るまで、ずっと目を瞑って待っていた。
すう、すう。寝ている振りだ。
私は、そうそう良い子と認められるような娘ではなく、ちょっとだけわがままで手のかかる娘である。
少なからず、そう思われるように生きていくつもりだ。――兄に構ってもらう為に。
「華音は全くお寝坊さんなんだからなぁ、これだから、世話が焼けるよ……っと」
兄が布団をめくりにかかる。
「……寝相も悪いし……」
そんなことは無い。兄が部屋に来る直前に、寝巻きをはだけさせておいたのである。
胸元のボタンはいくつか開けておいた。下半分も、下品にならない程度にずり下げておいた。
寝るときにブラジャーは着けない。見えているはずだ。
自慢ではないが、私はスタイルに自信がある。胸はDカップだし、ウエストも綺麗にくびれている。
身長はちょっと低めだけれど、でも雑誌の読者モデルに誘われたことだってあるし、
結構良い線行ってるんじゃないかなって思ってる。
会ったことも無い男子からラブレターを貰った事だってある。全部、開封もせずに捨てたけど。キモいし。
だから、兄だって、そうそう私の体を意識しないということも無いだろう、と睨んでいる。
私は女の子である。兄は、男の子である。
理性が私と兄との関係を抑制しようと、本能のレベルではそのくびきからも開放されるだろう。そう信じている。
……ただ残念なことは、これを続けてから今までに兄がそういう気分になった気配がない、ということだ。
「なにしてるのよ、お兄ちゃんのエッチ!」
しかし、恥じらいは必要である。私はだらしの無い娘かもしれないが、貞操観念の緩い女ではない。

511サワーデイズ 3 ◆3vvI.YsCT2 :2009/01/03(土) 05:00:09 ID:JdF7eMxf
ある年の四月に兄が生まれた。翌年三月に私が生まれた。
年子ではあるが、学校での学年は同じである。
ゆえに、私と兄とが距離的に離れたことは無い。
幼稚園から小学校、中学校。高校に至るまで。
私は兄と一緒の空間にいることを選択した。
この選択が正しかったのかどうか、疑問に思うこともある。

私と兄が近親者であること以前の問題である。
接触回数の非常に多い人間、例えばそのもの親や親 友間に於いて、
男女間の関係に発展することは全くといって良いほど無い。
これはウェスターマー ク効果といって、我々生物全般に刷り込まれた遺伝子の命令のようなものらしい。
卵から孵った雛 が初めて視る動物を親だと思い込むそれと同じ類である。
それらは誰に教えられるでもなく、みん な自然にそうなるという。

だとすれば、生まれてからずっと一緒にいる兄が、
私のことを異性と見做さないのもまた自然にな された選択だといえる。
――だが、現に私は兄を異性として認識している。
兄は、私と血の繋がりを持つ者だ。私だけがそ うであるはずなど、ない。そう思いたい。そうであって欲しい。

いっそのこと、兄と離れて暮らし、より女性らしくなり
兄妹という関係を薄らげた状態で兄と接すればよいのではないか、と考えたこともあった。
しかし、それをやるためには私が我慢をし続ければいけないこと、
及び兄にたかる「何か」の存在 を軽視できなかったため、今に至っている。

兄は取り立てて特徴のある顔をしているわけではない。
いわゆるイケメンかと聞かれれば、私であ ってもそうでもない、と答えてしまうほどに普通の顔をしている。
服飾センスは無い。(もっとも 、これは私が任意で兄をごまかしているからだが)
積極性はあまり無い。――だけれど、一つだけ 大きな欠点がある。
兄は、決定的に人に甘い。私に対してもそうだが、万人に対して甘い。
まるで宮沢賢治の詩に出てくる人間のように。
我慢強く、いつもにこやかに笑い、困った人を放っ ておけず、人と一緒に泣き、笑い、励ましてもくれる。
優しすぎるのである。――私が、手放したくなくなるほどに!

そんな兄のことだから、いつ私以外の女が纏わりつくか知れたものじゃない。
だからいつ何処であ ろうと監視の目を光らせておかなければ気が気でない。
そのためにずっと一緒にいる道を選んだ。
お陰で、今のところ兄は彼女いない暦は年齢と同じに保たれている。
もっとも、私を彼女とカウントしたならば、彼女いない暦は常にゼロで固定だが。
512サワーデイズ 4 ◆3vvI.YsCT2 :2009/01/03(土) 05:02:07 ID:JdF7eMxf
問題はある。

私と兄が兄妹の関係であることは周知であり、これをして極度にいちゃつくようなことがあれば
関係が疑われるだろうことにある。

仲の良い兄妹。
それすらなるべくならば避けておくべき領域だ。……外聞上は。
目の前にいるのに。友達のように接することすら控えねばならないというのは、とても辛いものだ。
せめてもの救いは、兄が帰宅部で、私も帰宅部で「偶然」帰り道が一緒になるということくらいか。
あまり学校とは関係が無いが。その時だって雑談をする程度で、手を握ったりなんてとんでもない。
普通の恋人同士がやるようなことは何一つ出来ない。
だって、私たちは体面上恋人同士ではないし、もしそのような噂が立てば一番困るのは兄である。
兄に迷惑をかけることだけは全力で避けたい。
例えば手作り弁当。やってみたいと思っているが、周囲から冷やかされるのが怖くて出来ない。
同じクラスであるのに一緒にお弁当を食べることさえままならない。
これで、本当にいいのかな……と思うことしきりである。

兄を好きでいること。
そのことに後悔は、したくない。
そのために出来ることはないか――
一人で考えていてもなかなか思いつかない。時間は刻々と過ぎてゆく。

相談相手がいないわけでもない。私にだってちゃんと心の内を吐き出せる友人の一人や二人はいる。
ただし、ちょっとだけ変わっている娘なのでそんなにまともな回答は返ってこない。
……ま、話を聞いてもらえるだけでも有難いし、秘密を守ってくれているだけでも感謝すべきなんだけどね。
513サワーデイズ 5 ◆3vvI.YsCT2 :2009/01/03(土) 05:04:43 ID:JdF7eMxf
相談しましょう。そうしましょう。

一日のうちで一番の楽しみである、兄との下校ツアーをキャンセルして向かうは学校の図書室。
そこには司書席に座りながらBL小説を机に積み上げ、ものすごい速度でページを捲る少女がいる。
名前は神楽坂朱未(かぐらざか あけみ)。私と同じく高校二年生である。
分厚い瓶底メガネは小さ い頃に暗いところで本を読みすぎたせいだとかなんとか。
今はちゃんと本を読むときは明るい場所で 読むようになったので、近視は進まなくなったのだとか。
いやに長い髪をゴムで纏めてポニーテール のようにしている。
本人曰く、「これが一番本読みに適した髪型さね。前髪かからんし」とのことだ 。
切ればよいんじゃないのか? との意見に対しては「切るの面倒」との返答だった。
髪を洗う手間 は度外視されているらしい。
実際のところ、朱未の髪はオタク特有の――手入れされていないぼさぼ さのそれとは違い、
エナメルの如きキューティクルが女の命たる輝きを存分に発揮していた。
ただし 、それに気づくものは私のほかにはいない。


ひたすらにBL小説を読む、朱未の存在こそが彼女を魅力のある異性とは映していなかった。
それは同性にとってもそうであるようで、一時期彼女が教室内で常に浮いた存在であったことは否定 はしない。
ただし本人は浮いていようが浮いていまいが他人に興味など無く、
ひたすら小説や物語にのみ興味の矛先が向いていたため、寂しさなどは感じなかったようだ。
人から見て孤独であるように 見えたが、彼女は決して孤独ではなかった。
――私とは正反対だ。

だから、私は彼女に憧れた。
彼女の強さを手に入れたいと思った。
なので、勇気を出して彼女に話し かけてみることにしたのだ。
514名無しさん@ピンキー:2009/01/03(土) 05:05:42 ID:6eCGb/0t
連投支援
515サワーデイズ 6 ◆3vvI.YsCT2 :2009/01/03(土) 05:07:28 ID:JdF7eMxf
「ねえ、あなた、何でそんなにいつも幸せそうなの?」

今思えば嫌味な質問だったかもしれない。
でも実際に私は彼女の生き方と言うものに憧れていたし、 その疑問は嘘ではなく本当に知りたかったことだ。
「知りたいかいな? うひひ、ならこれあげるから読んでみ〜」
朱未が私に渡してくれたのは一冊の小説だった。
表紙には線の細い男性とボーイッシュな女の子が描かれている。
何かの漫画だろう。その時はそう思 った。
「これ、貸してくれるの? ありがとう。早速、家に帰って読んでみるね」
その渡された本にどういった秘密が隠されているのか。
なんてことはなかった。秘密など隠されていなかった。

渡された本は俗に言うBL(ボーイズ・ラブ)と呼ばれるジャンルの本であり、
漫画ではなく小説、 それもライトノベルというジャンルになるだろうキャラクタ小説の一種であった。
表紙に書かれてい たカップルは男女のペアではなく、両方男であり、作中この二人は行為にまで発展する。
行為は男女間のそれと変わりなく(多分)、性別を除いて通常の恋愛小説とそう変わりなく話は展開 していく。
そこに「男同士だから宜しくない」というような社会通念は入り込まない。
まるで、男と男が愛する ことは当然かのように描かれる。
女性の存在は極めて薄く描かれる。それが、その世界での価値観だった。
はっきり言う。訳が、分からなかった。
だから、私は朱未にも、ちゃんとそう言った。すると
「ふふふふふ。最初は誰だってそうさね。でもね、これがまた辞められんのですよ……」
と言い、今度は二冊程鞄に捻じ込まれた。そして家に帰って読みきってみせた。
やはり感想は変わりなかった。何が面白いのか? 疑問はそれに尽きる。
「説明させるのかい? なぁーがーいよぉ。それでも聞く?」
したり顔で笑いながら私に問いかける朱未に、「……うん」と答えてしまったことが
彼女に私を友人 だと認められた瞬間であったような気がする。
場所を図書館に移して、朱未の講義は閉門まで続いた。私はただ聞いてるだけだった。
相変わらず、理解は出来なかった。だけど一つだけ分かったことがあった。
好きなものを好きでいることを厭わないこと。これが彼女の、朱未の強さだということだ。

「やぁ御門くんじゃないかい。あちきのお勧めBLでも借りていくんかい?」
私の接近を音だけで感知したらしい。本から目を離さずとも私を認識できているようだ。行儀は悪い が。
「あのね、今日は乙女の方」
乙女、というは隠語のようなものである。本来なら乙女といえば乙女小説、
つまり女性向けのハーレム小説を指すものだが、私と朱未の間ではその意味が違ってくる。
――お兄ちゃんのことで相談がある。
朱未と私の間だけで通じる言葉のやり取り、である。
朱未はこの言葉の重要さを良く知っている。だから、軽い意味で私がこのような相談を持ち掛けないことを理解している。
「ん、ああ。OKですお。今人居ないみたいだしの」
朱未はBLから目を離し、辺りを確認しながらそう言った。
516 ◆3vvI.YsCT2 :2009/01/03(土) 05:10:50 ID:JdF7eMxf
というわけで今のところはここまででござる。
(実は今日書いた内の半分であることは内緒)
展開の遅さ、gdgdじゃねえ?など、文句は随時受け付けておりまする。無視するけど。

あと、「ぼくの考えた妹」は作品に登場する可能性がありますのでどんどんアイデアをくださいまし。
以上。お目汚し失礼いたし申した。これにて!
517名無しさん@ピンキー:2009/01/03(土) 08:56:22 ID:+oqnqCp8
僕の考えた妹
・右手がドリル
・汗がニトロ
・スカートの中から武器が出てくる
・物凄く細かいゴリラのモノマネができる

・・・これどうすんだよ・・・w
518名無しさん@ピンキー:2009/01/03(土) 09:19:01 ID:GvKmgHqR
シスマゲドン?
519名無しさん@ピンキー:2009/01/03(土) 09:35:19 ID:5dn1iHFy
他のはともかく。
『スカートの中から武器が出て来る』はキモ姉妹のたしなみじゃないか?
520名無しさん@ピンキー:2009/01/03(土) 11:01:18 ID:IUGs019M
>>516
GJ!!
521名無しさん@ピンキー:2009/01/03(土) 11:47:29 ID:K3ZLfhsn
>>516
乙です。

このBLちゃんが、兄を巡る、恋のライヴァルとなっていくわけですか。
となると、兄がどういう人間なのか、もう少し詳しい描写が欲しいところですな。
522名無しさん@ピンキー:2009/01/03(土) 12:44:31 ID:U7Hs43nc
不思議に思ったんだが
キモ姉やキモウトは寵愛対象が性転換した場合
どういう反応をするのだろう
523名無しさん@ピンキー:2009/01/03(土) 12:57:16 ID:3sKtPPUD
>>519
そんなっ!胸の谷間から凶器が出てくるのはキモ姉妹じゃないのか?
524名無しさん@ピンキー:2009/01/03(土) 13:24:49 ID:dDqsySjR
>>522
TSものでは日常茶飯事だが
「兄は女としては0歳も同然だから私が上」という論法で徹底的に性的な意味で攻めまくってくるのが常道
525名無しさん@ピンキー:2009/01/03(土) 17:17:06 ID:znOQ3miP
>>519

それはなんというかメイドさんの嗜みな気がする
526名無しさん@ピンキー:2009/01/03(土) 17:17:27 ID:wJcXqFOd
>>523
むしろ、対兄弟用の凶器が足の間に(ry
527名無しさん@ピンキー:2009/01/03(土) 21:21:27 ID:LcZf8gXq
こえ〜
俺もキモウトに襲われてーな
528名無しさん@ピンキー:2009/01/03(土) 21:23:16 ID:9AzPi92b
529名無しさん@ピンキー:2009/01/03(土) 22:14:24 ID:gTbBxhHK
>>528
kwsk
530名無しさん@ピンキー:2009/01/03(土) 22:16:01 ID:gTbBxhHK
あげちまった……
早く自宅から書き込みたいぜ
531名無しさん@ピンキー:2009/01/03(土) 22:24:06 ID:nenYoCDT
犬星?
532名無しさん@ピンキー:2009/01/03(土) 22:40:47 ID:uYdddhBJ
巻田佳春だと思うよ?
533名無しさん@ピンキー:2009/01/03(土) 22:56:55 ID:dLSzsSSq
>>528
・・・ゴクリ
534名無しさん@ピンキー:2009/01/03(土) 23:42:17 ID:2U2EZF/A
中に     \  きゅんきゅん        / 子
  出したら   \      どぷんっ!   /  作
  赤ちゃんが!!\  きゅうっ      /    り
            \    びゅぷっ/中出し
精  ふあああんっ!!! \∧∧∧∧/       小学生嫁
液            <      >   和
で  中はいやあ… < 予 巻  >    姦
おなか熱いよおっ…!!<    田  >        妊娠
─────────< 感 佳 >──────────
  八王子海パン   <   春 >           び
   突         <  !!! の > びゅるるっ     く
と   撃        /∨∨∨∨\            ん
ら    騎      / テンプレ   \ きゅっきゅっ  っ
ぶ     兵   /下      RiN  \          び
る      隊/  の  中学生     \ ずぷっ   く
すくらんぶる/   口         ロリ  \ずぷぷっ んっ
535名無しさん@ピンキー:2009/01/03(土) 23:50:03 ID:Hy8Qw6j1
態度のデカイ男キャラがウザくて(流される女キャラもだが)
どうも受け付けられないんだよな、この人の漫画
536名無しさん@ピンキー:2009/01/04(日) 01:39:04 ID:CfpJ+Id8
このスレってどっちかっていうと迫られるほうだしね
537【世界の黄昏に愛する人と】投下予告:2009/01/04(日) 01:40:33 ID:EcflRkum
全11レス、投下します。
続きものの途中まで。まだキモウト性は発揮してません。

それでは↓
538【世界の黄昏に愛する人と】(3) 1/11:2009/01/04(日) 01:41:26 ID:EcflRkum
   【世界の黄昏に愛する人と   第三章 美沙(二)】


 朝食後、陽祐と美沙は自転車に乗って町を探索した。
 世界中の「ほとんど」全ての人間が消えたらしい。
 だが、わずかな例外である自分たち兄妹と同様、この世界に残っている人間が、ほかにいるかもしれない。
 あるいは、なぜ自分たち以外の人間が跡形もなく消えたのか謎を解く手がかりが見つかるかもしれない。
 それとも、この世界が推測通りのパラレルワールドであるならば、その証拠が見つかるかもしれない。
 車が通らないので、車道上を二人並んで自転車を走らせた。
 バス通りを駅へ向かう。道沿いに並ぶ商店はシャッターを下ろしたままだ。
「……午前一時にみんなが消えたとして、その時間でも道を走ってる車やトラックはいたはずだよな?」
 陽祐は言う。
「だったら、運転手が消えた車が事故を起こしてもいいのに、そんな形跡は見当たらねーな」
「でも、道端に停まってる車はあるね。路上駐車っていうの?」
 美沙が言って、陽祐はうなずき、
「可能性としては、走行中の車だけが全て、運転手ごと消えたってことか」
 行く手の信号が赤になり、美沙がブレーキをかけようとしたが、陽祐はスピードを落とさない。
 美沙は「もうっ!」と怒りながらも、それに従った。横から車が飛び出して来ることは当然、なかった。
 その先にコンビニがあった。店内は明かりがついているが、外から見える範囲で人影はない。
「ちょっと寄ってみよう」
 店の前に自転車を停めて、中に入った。
 客も店員もいないこと以外は何の変哲もないコンビニエンスストアだった。
 陳列棚が寂しく見えるのは早朝に行なうはずの商品補充がされていないからだろう。
 残っていた弁当を手にとってみた。賞味期限はきょうの昼まで。おにぎりやお惣菜も同じ。
 だが、冷凍食品のコーナーには、それなりの数の商品が並んでいる。
「食料は当分、なんとかなりそうだ。冷凍庫の電源が切れなきゃだけど」
「停電とかするかな?」
「わからん。トラブルさえなければ、発電所は自動で送電してるもんだと思うけど」
「ここで食べ物を手に入れるとして、お金はどうする? パパのお財布から借りておく?」
「店員もいないのに、誰に金を払うんだよ」
「レジに入れておけば……」
「本気で言ってる?」
 陽祐は美沙の顔を、じっと見つめた。美沙は気まずそうに眼を伏せ、
「いちおう本気だけど……変?」
「いや、おまえらしいけどな」
 コンビニを出て、再び駅へ向かって二人で自転車を走らせた。
 駅へ行って何をしようという考えはなかったが、ほかに目指す場所もない。
 駅前の大型スーパーは駐車場のゲートバーが閉まり、案内板に『定休日』と表示されている。
 本来は水曜定休だから、きのうからそのままということだ。
 駐車場の奥にある店舗の入口はシャッターは下りていないが当然、施錠されているだろう。
 いざとなればガラス戸を割って押し入るほかはない。
 駅前にも、やはり人の姿がなかった。
 ロータリーにタクシーを含めて数台の車が停まっているが、いずれも車内は無人だ。
 銀行はシャッターが下りていた。それを指差して、陽祐は言う。
「世界が元に戻るときに備えて、いくらかカネを持ち出しておくか? いまなら誰も追いかけて来ないし」
539【世界の黄昏に愛する人と】(3) 2/11:2009/01/04(日) 01:42:12 ID:EcflRkum
「閉店してるから、お金は全部、金庫にしまってあるんじゃない?」
 美沙が冷静に答えて、陽祐は苦笑いする。
「おまえの言うとおりだな。どこからか爆弾でも手に入れてくるしかねーや」
 交番も無人だった。中を探せば拳銃が見つかるのだろうか。
 そんなものに触ってみたいと思わない自分は、まだ正常なのだろう。
 いずれ、この世界に絶望したら、どうなるかわからないけど。
 駅のシャッターは下りていなかった。午前一時といえば最終電車が到着する前後だ。
 終点は、まだ先である。この駅を出発した電車は、そのまま乗客ごと消えたのか。
「駅の中を見てみる?」
 美沙が言って、陽祐は首を振る。
「いや、無駄だろう。それより、ほかに確かめておきたい場所がある」
「どこ?」
「スタンド」
「えっ……?」
 きょとんとしている美沙にそれ以上は説明せず、陽祐は自転車を出す。
 ロータリーから放射状に伸びている道の一本を進むと、すぐ先にセルフ式のガソリンスタンドがあった。
 給油機の前まで自転車を乗りつけて、料金投入口のイルミネーションが点滅しているのを確かめる。
 どうやら使える状態だ。料金は前払いで機械に入れなければならないけど。
 美沙がたずねた。
「ガソリンなんてどうするの?」
「車で移動することになったとき、必要だろ?」
「車? お兄ちゃん、運転できるの?」
「たぶん。うちのオートマなんてオモチャみたいなもんだろ」
「……美沙、一緒に乗らなきゃダメ?」
 陽祐は妹の顔を、じろりと睨む。美沙は苦笑いして、
「冗談だって」
「この世界で一人きりになるのと俺の運転、どっちが怖いだろうかね?」
「……やめて! やだ、一人になるのは考えたくない……」
 美沙は本気で怖がる顔をした。冗談のつもりが脅かしてしまったようだ。
 これは自分が道化を演じるしかないと、陽祐は苦笑いしながら、
「情けねーこと言っていいか?」
「え……?」
「俺も一人きりになるのはごめんだ。頼むから一緒に乗ってくれ」
 両手を合わせてみせると、美沙は笑ってくれた。
「……いいよ。これから、どこへ行くときも一緒ね」


 先ほどのコンビニまで戻って、当面の食料と必要な物資を調達することにした。
 もったいないので賞味期限寸前の弁当は昼食に充てる。
 さらに夕食以降の食材としてカット野菜と冷凍肉を手に入れる。
 ガスや水道が止まったときに備えてミネラルウォーターと缶詰も確保した。
 バンソウコウや薬は家にあるはずだが、予備があってもいいだろう。
 ほかに入用のものはないか探して、買い物カゴを手に店内を回る陽祐のそばから、
「ちょっとだけ待ってて」
 と、美沙が離れて行き、棚から何かの商品をとってレジに向かった。
540【世界の黄昏に愛する人と】(3) 3/11:2009/01/04(日) 01:43:00 ID:EcflRkum
「どうした?」
「ごめん、ちょっと……」
 美沙はカウンターの向こうに回り、手にした商品をレジ袋に入れている。
 陽祐にも何となく理解できた。つまりは女の事情だ。
 考えたら、美沙もいちおう女なのだ。実の妹だから意識しなかったけど。
 世界中の人間が消えて、自分以外でたった一人残った相手が妹だったというのも色気のない話である。
 この世界のアダムとイブにはなれねーな、俺たちじゃ。
 いっぱいにふくらんだレジ袋をそれぞれの自転車のカゴに押し込み、陽祐と美沙はコンビニをあとにした。
 結局、金は置いてこなかったが、美沙は何も言わなかった。
 バス通りを家に向かって走りながら、美沙が言う。
「もし、世界がずっとこのままなら、どこか田舎に引っ越して農業を始めるのもいいんじゃない?」
「農業?」
「だって、コンビニやスーパーの食料なんて、すぐになくなっちゃうだろうし」
「そっか……。コメは長持ちするから当分は米屋の倉庫を漁るにしても、野菜がな……」
 陽祐は、ふと気がついて、
「この世界って、俺たちのほかに動物もいないのか?」
「えっ……?」
「向かいの家の犬は消えてたし、鳥が空を飛んでる様子もないだろ? それに、蝉の声もしないし……」
「そういえば……」
「人間だけが消えて、牧場の牛や豚とかペットの犬や猫が取り残されてたら悲惨なことになるけど」
「そうだね、その点は救われてるみたい……」
 うなずく美沙に、陽祐は眉をひそめて、
「でも、それじゃ俺たち、肉も魚も食えねーじゃん。せめてニワトリを飼って卵くらい食いたかったけど」
「そうだね……」
 美沙は苦笑いする。


 家に帰ったが、まだ昼食には早かった。
 陽祐と美沙は、プリンター用のA4の白紙を三枚、ダイニングのテーブルに広げて、

  1・いま現在わかっていること
  2・考えられる原因
  3・今後の対策

 を、思いつく限り書き出した。
 わかっているのは、世界中の人間がきょうの午前一時前後に消えた「らしい」こと。
 この町も調べた限りでは無人である「らしい」こと。動物も全て消えた「らしい」が植物は残っていること。
 いまのところ、世界のどことも連絡がつかないこと。
「『らしい』ってのは、この世界に残って途方に暮れている人間が俺たちのほかにいないと言いきれないから」
「そうだね……」
 そのほか、先ほど見て来た町の状況についても一枚目の紙に書き足した。

  ・コンビニ △(品揃えに限りあり)
  ・スーパー ?(ガラスを割って押し入れば?)
  ・ガソリンスタンド ○(ただし現金で前払い)
541【世界の黄昏に愛する人と】(3) 4/11:2009/01/04(日) 01:43:46 ID:EcflRkum
「これは今後の対策に絡んでくるけど、もし野生動物まで全部消えてたら、自然の生態系はどうなるんだ?」
 腕組みをして言った陽祐に、美沙がきき返す。
「食物連鎖とか、そういう話?」
「植物の中には昆虫が花粉を運んで育つのもあるだろ? 農業やるにしても、そこをきちんと考えないと」
「そうだね……」
 二枚目の「考えられる原因」は、全てが想像でしかなかった。推理といえるほどの根拠もない。
 陽祐は最初に『パラレルワールド』と書いた。
「でも、普通はパラレルワールドって歴史のIF(イフ)みたいな世界だよな? 信長が桶狭間で負けたとか」
 クエスチョンマークを書き加えながら、
「人間が誰ひとり存在しないのに家や車があるこの世界は、それとは違う気がするんだ」
「そうだね……」
 うなずいている美沙に、陽祐は苦笑いして、
「おまえって、さっきから『そうだね』ばかりだな」
「えっ? ……ごめんなさい」
 美沙がうつむいてしまい、陽祐はあわてた。
「いや、悪いってわけじゃなくて。こんな状況じゃ、ほかに言葉が出てこなくても仕方ねーよな」
 書いたばかりの文字を棒線で消しながら、
「俺が適当に思いつく限りのことを書くから、おまえも何か気づいたら意見を言ってくれ」
 陽祐は原因の二番目として『コピーワールド』と書いた。
「コピーってのは、元の世界から人間だけ取り除いて、そっくり同じものを作ったってことだ。つまり……」
 下に線を引っぱって、書き添える――『ニセモノの世界』
 美沙がその文字を見つめながら、
「……世界をコピーするなんて、仮にそんなことができたとしても、誰が何のためにやるの?」
「わからんけど、宇宙人か、どこかの秘密機関が、追い込まれた人間の心理を観察するためとか」
「よくそんなこと思いつくね、お兄ちゃん……」
 あきれているのか感心したのか、美沙は、まじまじと陽祐の顔を見た。陽祐は苦笑いして、
「俺だって漫画くらい読むからな。予備校に通い始めてから、ほとんど買ってないけど」
 三番目には『夢またはバーチャル』と書いた。
 美沙が小首をかしげ、
「夢……?」
「世界を丸ごとコピーするより早いだろ。本当は俺たち、頭に電極つけられて怪しい夢を見せられてるのかも」
「夢だとしたら、ここまでリアルな夢はないと思うよ」
「そこが宇宙人の超科学だよ。さっき頬をつねったら痛かったし」
 陽祐は言って、にやりとした。
「おまえは試した?」
「えっ?」
「つねってやろうか、頬?」
「やめてよ」
 ふくれ面をする美沙の頬に、陽祐は手を伸ばす真似をして、
「そのふくれた頬、つねり甲斐ありそーだ」
 美沙は、じっと陽祐を睨んだ。
「……あー、すまん」
 陽祐は手を引っ込めて、自分の頬を掻く。
「真面目にやろうな」
「そうだよ」
542【世界の黄昏に愛する人と】(3) 5/11:2009/01/04(日) 01:44:37 ID:EcflRkum
「……で、お次は『超常現象』だが」
 陽祐は用紙にそのままの言葉を書いた。
「人が原因不明のまま突然消えるといったら、普通はこれだけど」
「つまり、この世界は美沙たちが元いた世界だけど、ほかのみんながいなくなったって可能性ね?」
 美沙が言って、陽祐はうなずき、
「乗員全員が姿を消した『マリー・セレスト号』が有名だが、世界中の人間が消えるのとは規模が違いすぎる」
 もっとも……と、陽祐は言い添えて、
「常識じゃ説明つかないことが起こるのが超常現象だ。どんな規模で起きてもおかしくないとは言えるけど」
「そうだね……」
 言ってから美沙は、はっと気づいたように、うつむき、
「……ごめんなさい」
「いいって」
 陽祐は笑って、
「超常現象の場合だけど、消えた人間がどうなるか、二通り考えられるな」
 そう言うと、用紙に書き加える。

  ・別の世界で生きている
  ・ブラックホール? に飲み込まれて消滅

 それを見た美沙が眉をしかめた。
「やだ……」
「……すまん、俺のほうは謝ってばかりだ」
 陽祐は『消滅』の字を棒線で消した。
 美沙が陽祐を、じっと見つめて、
「お兄ちゃんは、ママやパパがいなくなって平気なの?」
「まだ現実感がない。とか言ってる場合じゃねーけど、オヤジやオフクロが完全に消えたとは考えられない」
 陽祐は消した字を、さらに塗り潰しながら、
「そのうち何でもない顔をして帰って来るんじゃないかと思う。だったら消滅なんて書くなって話だけど……」
「美沙も、ママたちはどこかで無事にいると思う。そう思いたいよ。でなきゃ美沙、普通でいられないよ」
「ああ……、俺だってそうだ」
 陽祐は二枚目の紙を脇によけて、三枚目を引き寄せた。
「今後のことだが、一つは、この世界を徹底的に調べるって選択肢がある。世界中を飛び回るくらいの覚悟で」
「……それでママたちが帰って来ると思う?」
 美沙が陽祐を見つめながら言って、陽祐は首を振り、
「わからん。世界中の人間を消すとか世界をコピーするとか、とんでもない超常現象だか超能力が相手だし」
「でも……何もしないよりは、いいのかも」
「いや、何もしないのも一つの選択肢だと思う」
「え……?」
 きょとんとする美沙に、陽祐は用紙に『平凡な日常』と書いてみせ、
「俺は、いまの状況は何らかの意図があって作り出されたものだと思う。偶発的な超常現象とかじゃなくて」
「…………、どうして……?」
 じっと見つめてたずねる美沙を、陽祐は真っすぐ見つめ返し、
「世界中の人間の中で、俺たち兄妹だけが選ばれたみたいに、この世界に残るなんて偶然は考えられないだろ」
「それは……そうかもしれないけど」
「だとすれば、誰だか知らないが俺たちをいまの状況に放り込んだ奴がいるってことだ」
543【世界の黄昏に愛する人と】(3) 6/11:2009/01/04(日) 01:45:27 ID:EcflRkum
 陽祐は『平凡な日常』と書いた文字に向かって矢印を引き、逆側の一端に『退屈』と書いた。
「そいつの目的はわからん。世界で二人きりという状況に置かれた俺たちに何を期待してるのか。……でも」
 矢印の横に『観察』と書き添えて、
「一つ言えるのは、そいつがいま俺たちを観察してるだろうってことだ。だったら裏を掻いてやるんだよ」
「裏を掻く……?」
「俺たち二人で全く普通の日常を演じてみせるんだ。観察してる奴には、さぞ退屈だろうけどそれこそ狙いだ」
「…………」
 美沙は、ぽかんと口を開けて陽祐の顔を見た。
「……お兄ちゃんって、ホントにいろいろ思いつくね」
「まーな、俺たちが観察対象として役立たずとわかれば、元の世界に戻してもらえるかと期待してるんだが」
 陽祐は眉をしかめて腕組みをする。
「だけど、あまりに退屈で逆ギレした相手が天変地異とかイベントを押しつけてくる可能性も否定できねーか」
「いや、でも……うん、それが一番だと思う」
 うんうんと美沙はうなずいてみせ、
「ママたちも、そのうち帰って来るかもしれないんだから、なるべく普通にして待ってたほうがいいよね」
「ま、ほかにもう一つ選択肢はあるんだけど」
 陽祐は用紙に『世界の終わり』と書いた。
「俺たちのほかに誰もいない世界だ。町中のガラスを割ろうが火をつけようが、やりたい放題できるだろ」
「お兄ちゃん、それ本気で言ってるの?」
 あきれた顔をする美沙に、陽祐は肩をすくめ、
「いや。それじゃ観察野郎を楽しませるだけだし、それに俺だってオヤジたちが帰って来ると思ってるんだ」
 用紙の余白に、わざと乱暴な字体で書いてみせる――『陽祐参上★夜露死苦』
「暴走族(ゾク)が暴れたみたいにガラスが割れたりペンキで落書きしてあるのをオヤジに見せられねーだろ」
「そうだね」
 美沙は、くすくす笑う。
「だったら答えは決まりだね。美沙たちは、できるだけ普通に生活する」
「そーゆーことだ」


 昼食のあとは、駅とは反対の方向を自転車で探索することにした。
「何も発見はないと思うけど、家に閉じこもってるより気が晴れるだろ?」
 住宅地を抜け、国道を越えて、その向こう側の団地も抜けた先には大きな川の堤防がそびえていた。
 一面、緑の草に覆われているのが鮮やかだ。
 自転車を停めて、堤防の斜面を登っていく。
 離れた場所に階段もあったが、そこまで行くのが面倒だし、草を踏みしめていくほうが心地いい。
 陽祐と美沙は、並んで堤防の上に立った。
 眼下には河川敷のグラウンド。その向こうに、夏の日差しに輝く水面。
 対岸には、こちらと同じような堤防。その奥に、どこまでも広がる町並み。
 何でもないような風景を眺めて、陽祐は、ため息をついた。
「川の向こうが世界の果てだったりしないかと思ったんだけどな……」
「世界の果て……?」
「そんなものが見つかれば、この世界がニセモノだって確信できるだろ?」
 美沙はそれには答えず、
「あした……」
「ん?」
544【世界の黄昏に愛する人と】(3) 7/11:2009/01/04(日) 01:46:19 ID:EcflRkum
「お昼、ここに食べに来ようよ。サンドイッチ作るよ」
 そう言って、美沙は微笑んだ。陽祐も笑って、
「じゃあ、どこかでパンを仕入れねーとか」
 自転車を停めた場所まで戻り、帰りに団地を抜けるときは先ほどと違う道を通ることにした。
 国道との交差点の角にレンタルビデオ屋があった。
 入口のシャッターが半分下りた状態で、ガラス戸が開いている。
「閉店直後だったみたいだな。何か借りていくか?」
「お兄ちゃんが観たいものがあるなら……」
 自転車を停め、シャッターをくぐって店内に入った。
 明かりはついているが、営業時間中なら流れているはずのBGMは止まっている。
 陽祐は新作のスパイ映画と刑事アクション映画と戦争アクション映画のDVDを借りることにした。
 返しに来ることがあるのかは、わからない。
「おまえも何か選んでおけよ」
 美沙に声をかけると、動物のキャラが主人公のアメリカ製CGアニメを一本だけ選んできた。
 陽祐は見本のパッケージを手に貸出カウンターの向こうに回った。
 後ろの棚に並んだDVDの整理番号と、パッケージに記された番号を照らし合わせて目当ての作品を探す。
 美沙が感心したように、
「お兄ちゃん、ビデオ屋でバイトしたことあったっけ?」
「いや……でも、いつも店員がやってるの見てるから」
 DVDを手に入れて店の外に出た。
 ふと思いついて、陽祐は言う。
「駅前のスーパーって、通用口に回れば開いてないかな?」
「そうだね……。できればお野菜とか、ちゃんとしたの欲しいし」
「あした、買い出しに行ってみようぜ。買うと言っても、金は払わねーけど」
 国道を挟んでビデオ屋の斜め向かいにコンビニがあった。
 二人はそこで八枚切りの食パンとハムとスライスチーズを手に入れてから、家に帰った。


 美沙が夕食の支度をしている間、陽祐は居間で戦争アクション物のDVDを観ることにした。
 ほかの二本は一緒に観たいけど、これだけは興味がないと美沙が言ったからだ。
 映画の中の兵隊たちは、ばたばたと容赦なく敵弾に撃ち倒されていた。
 同じような光景がフィクションではなく現実として、つい十数時間前まで世界中で見られたのだろう。
 世界中から人間が消えて、戦争もなくなった。
 考えたら空しくなり、陽祐はリモコンの停止ボタンを押してDVDをデッキから取り出した。
「どうしたの?」
 美沙がキッチンから声をかけてきた。
「つまんねー映画だった」
 陽祐は美沙のそばへ行き、
「俺も何か手伝うよ」
「え? いいよ。お兄ちゃん、きのうまで毎日、受験勉強だったでしょ? 少し休みなよ」
「そう言われりゃ、そうだけど」
「ね? ちょっと早いけど、夏休み」
 美沙は微笑む。
 陽祐は妹の言葉に甘えて、代わりにネットで超常現象について調べることにした。
 本当の夏休みが来たときは、陽祐は休む暇などなく夏期講習に通いつめる予定だったけど。
545【世界の黄昏に愛する人と】(3) 8/11:2009/01/04(日) 01:47:30 ID:EcflRkum
 夕食のメニューは豚肉の生姜焼きだった。
 食事の間、陽祐は超常現象について調べたところを美沙に披露した。
 人間が原因不明のまま忽然と消えた事件は、過去に世界中で起きている。
 一八七二年、大西洋上の帆船『マリー・セレスト号』事件、乗員乗客計十一名消失。
 第一次世界大戦中のトルコにおける『ノーフォーク連隊』事件、イギリス軍兵士三百四十一名消失。
 遡って十六世紀末、当時イギリス領だった北アメリカの『ロアノーク島』事件、入植者百十六名が消失。
「どうしても人が消えてそれっきりの事件が有名になるけど、ちゃんと帰って来るケースもないわけじゃない」
 それは数ヵ月後であったり、数百キロ離れた場所で保護されたりであるのだが――
「でも、やっぱり帰って来ることもあるんだね」
 美沙が言って、陽祐はうなずき、
「ただしその場合、戻って来た人間は自分が消えていた間の記憶を失っていることが多い」
「何が起きたか覚えてないってこと?」
「だから、あしたの朝、みんなが戻って来たとすると、本当は金曜なのに木曜だと思って生活することになる」
「でも時計は丸一日、進んでるよね? それはそれで謎の事件になりそうだけど……」
 美沙は眼を伏せて、ため息をついた。
「……お兄ちゃんも最初に言ってたけど、やっぱり消えたのは世界中の人間じゃなくて、美沙たちのほうかも」
「おまえもコピーワールド説に転向か?」
 陽祐が笑うと、美沙は眼を伏せたまま、
「だって……そのほうが世界のみんなは普通に暮らしてるってことでしょ?」
「まあ、オヤジやオフクロには心配かけてるだろうけど。俺たち二人がいなくなって」
「そうだね……」
 美沙は首をかしげて考え込む様子を見せてから、ふと思いついたように陽祐に視線を向け、
「……お兄ちゃん、ビール飲む?」
「え? いいのかよ、委員長?」
 陽祐が眼を丸くすると、美沙は笑って、
「委員長はヤメてよ。次にそれ言ったら、もうお兄ちゃんにはごはん作ってあげないから」
 席を立って冷蔵庫から缶ビールと、食器棚からグラスを二つ出してきた。
「おまえも飲むのか?」
「ダメ?」
「許す。というか飲め、俺ひとりで飲んでもつまらん」
 お互いのグラスにビールを注いで、乾杯した。
 陽祐は一息にグラスを干した。旨かった。
 だが、美沙はほんの少し口をつけただけで、咳き込んだ。
「……けほっ! 何これ? よくお兄ちゃんやママたち、こんなの美味しそうに飲むね」
「この味がわかんねーんじゃ、まだまだ子供だな」
「子供だもん、どうせ。きのうも本屋で中学生と間違われたし」
 美沙はふくれ面で、もう一口、飲んでみせ、
「参考書の売り場を店員に聞いたら、小中学生用のコーナーに案内されたし」
「おい、無理して飲むな。酒の味がわかんねー奴が飲んでも、もったいねーだろ」
「わかるようになるまで飲むの! ママやパパの子供だもん、美沙だってお酒に強いに決まってるんだから!」
「むしろ酒癖の悪さを発揮しそうだけどな、おまえ……」
 陽祐は苦笑いするしかない。


 食後は陽祐が皿洗いをした。美沙は赤い顔をしていたので、ソファで休ませた。
546【世界の黄昏に愛する人と】(3) 9/11:2009/01/04(日) 01:49:02 ID:EcflRkum
 突然、携帯の着メロが聞こえて、陽祐は思わず皿を落としそうになった。
 まさか――誰からの着信だ!?
 振り返ると、ソファに寝転がった美沙が陽祐の携帯をいじっていた。
 着メロの設定を操作していただけだ。あきれ返って陽祐はたずねた。
「……おまえ、何してんの?」
「ん? あ、ちょっと借りてた」
 美沙は悪びれた様子もなく笑ってみせる。本当に酔っているようだ。普段と態度が違う。
 陽祐は、ため息をついて、
「まあ、見られて困るよーなもんは、ねーけどな」
「そうなの? メールとかも?」
「前の彼女とのは全部消したぞ、そのこと言ってるなら」
「ふうん」
 美沙はつまらなそうな顔で、ソファの上で寝返りを打って陽祐に背を向けたが、携帯は手放さない。
 陽祐は肩をすくめ、皿洗いを再開した。
 しばらくしてから美沙が言った。
「……お兄ちゃんって、今年に入って携帯買い換えたよね?」
「ああ」
「電話帳は昔のまま?」
「データはそのまま移してもらったけど、なんで?」
「べつに……」
 見られて困るものが本当になかったか心配になってきた。
 だが、登録名にはフルネームを入れているだけでクラスメートも部活の女子も同じ扱いだ。
 元カノ――麻生夏花の名前も、つき合っていた当時からフルネームで特別扱いはしていない。
 部活の後輩という関係でなければ、別れた時点で登録自体を消してもよかったのだが……
 夏花のことを頭から追いやるためと、携帯から美沙の気をそらすために陽祐は言った。
「おまえ……きのう観てたアニメは、どんなやつ?」
「え? どんなって……何で?」
「……あん?」
 陽祐が振り返ると、美沙は携帯をいじる手を止めて、じっとこちらを見ている。
 きかれて困ることでもないだろうにと思いながら、陽祐は苦笑いで、
「いや……昔のアニメなのかなって、ちょっと画面を見た感じが」
「ああ、友達に借りたんだけど……」
 美沙はアニメのタイトルと原作者名を挙げた。そのタイトルは知らなかったが作者は陽祐も知っていた。
 少し前に少年漫画誌で別の人気作品を完結させた大物漫画家だ。
 美沙が観ていたアニメは、その作家が二十年ほど前まで連載していた漫画が原作だという。
「きのうのは劇場版で、漫研の子と文化祭の相談してるときに話題が出て。文化祭が舞台で面白いからって」
「漫研の……文化祭? おまえ、漫研入ってたの?」
 妹のアニメや漫画好きは知っていたが、自分で漫画を描くとまでは思わなかった。だが、美沙は首を振り、
「そうじゃないけど、漫研が文化祭に向けてドラマCDを自主制作するから声優やってみないかって誘われて」
「声優?」
 陽祐が眼を丸くすると、美沙は口をとがらせた。
「もうっ、いいでしょ! 美沙の趣味なんだから!」
「悪いとは言ってねーだろ」
「どうせ美沙、アニヲタだもん……将来の夢は声優って小学校でも中学でも卒業文集に書いたもん……」
 ぶつぶつ言いながら背を向けてしまう美沙に、陽祐は苦笑いするほかない。本当に酒癖が悪いようだ。
547【世界の黄昏に愛する人と】(3) 10/11:2009/01/04(日) 01:50:01 ID:EcflRkum
 皿洗いを終えた陽祐は、機嫌を直した美沙と一緒にレンタル屋から持ち出したCGアニメを観ることにした。
 あまり子供向けとはいえないブラックなジョークが利いていて、二人で大笑いした。
 アニメが終わって、美沙はソファから立ち上がり、「うーん」と伸びをした。
「……美沙、そろそろシャワー浴びようかな」
「ああ、行ってこい」
 デッキからDVDを取り出しながら陽祐が答えると、
「ねえ」
「……あん?」
 振り向いた陽祐に、美沙が頬を赤らめて言った。
「お兄ちゃん、ついて来てくれない?」


 まったく、色気のねー話だな……
 陽祐は文庫本を片手に脱衣場の床にあぐらをかきながら、ため息をついた。
 曇りガラス一枚隔てた風呂場では、うら若き十六歳の娘がシャワー中である。
 それが実の妹でなければ少しは興奮していいシチュエーションだろう。
 美沙がもう少しくだけた性格ならば、ガラス戸をちょっと開けて「背中流そうか?」と声をかけるところだ。
 しかし、美沙にそれをしたら、悲鳴を上げたあとに泣き出すか、本気で怒り出すかだろう。
 かといって、戸を閉めたまま脱衣場から話しかけても、シャワーの水音で美沙には聞こえない。
 だから陽祐は、黙って本を読んで待つしかないのである。
 しばらく前に買ったけど、読む暇のなかった歴史小説だった。
 これから毎晩、妹のシャワーの間に脱衣場で待たされるならば、しっかり読み終えることができそうだ。
 シャワーの音が止まった。風呂場から美沙の声。
「お兄ちゃん、ありがと。もう出るから、廊下で待ってて」
「ああ」
 やれやれと陽祐は立ち上がり、脱衣場から廊下に出て、ドアを閉めた。
 逆に自分がシャワーを浴びている間、美沙は脱衣場で待つつもりだろうか。
 勘弁してほしいけど、仕方ないのか。
 理由もわからず消えた両親に続いて、兄まで消えるのではないかと不安なのだろう。
 そのうちトイレまでついて来てほしいと言い出さなければいいけど。


 予想した通り、陽祐がシャワーを浴びている間、パジャマ姿の美沙は脱衣場で待つと申し出た。
 やむを得ず陽祐は承知した。
 シャワーを終えて、脱衣場でTシャツと短パンに着替えていると、ドアの向こうの廊下から美沙が言った。
「ねえ、きょうは一階で一緒に寝ない?」
「いいけど」
 夏場だし、枕とタオルケットだけ用意して居間でゴロ寝もいいだろう。
 ところが美沙は、
「じゃあ、あとでママたちのベッドのシーツ替えるね」
「ちょっ……ちょっと待て、そりゃー……アレだろ」
「ママとパパのベッドで寝るの、嫌?」
「オフクロたちがどうのってんじゃなくて……」
 ダブルベッドで妹と一緒に寝る気にはならんぞ、さすがに。
「だったら和室で寝ようぜ、そのほうがいいだろ」
548【世界の黄昏に愛する人と】(3) 11/11:2009/01/04(日) 01:51:18 ID:EcflRkum
「でも、お布団ずっと干してないと思うよ」
「敷布団だけなら我慢できるだろ。枕とかは自分のを用意して」
「いいけど……」
 納得してくれ。それで。


 和室に布団を並べて、二人で横になった。
 窓は開けて、網戸だけ閉めておいた。この世界では虫が入ってくることはないと思ったけど。
「二人で一緒の部屋で寝るのって、いつ以来?」
 美沙がきいてきた。
 陽祐は、天井を見上げたまま、
「さあ……」
「おじいちゃんの家に泊まるときは、お兄ちゃんはパパと二人で寝るし」
「うん」
「家族旅行はお兄ちゃん、嫌がるし」
「中学一年か二年のときから行ってないな、そういえば」
「そうだよ。お兄ちゃんが留守番するとか言うから、美沙たちも日帰りになったりして」
「そりゃ悪かった」
「……ねえ」
 指先に美沙の手が触れた。陽祐は妹の顔を見た。
 窓から差し込む月明かりの中で、美沙は、じっと陽祐を見つめていた。
「子供だよね、美沙。お風呂場までついて来てとか言って、一人になるのが怖いなんて」
「俺だって怖いよ。その点は安心しろ」
 陽祐は美沙の手を握ってやった。そんなことをするのも幼い頃以来だったけど。
 美沙は安心したように微笑んだ。
「……おやすみ、お兄ちゃん」
「ああ、おやすみ……」


 二人きりの世界での一日目が終わった。
【第三章 幕】
549【世界の黄昏に愛する人と】投下終了:2009/01/04(日) 01:53:04 ID:EcflRkum
次の投下は、また何日かおきます。
いちおう書き上がってる話なんですが……投下前に各章ごとに見直すと、結構な修正が必要だったり……
550名無しさん@ピンキー:2009/01/04(日) 02:01:05 ID:gcAarOR+
>>549
リアルタイムGJ
これからどんな展開で進むのか全く分からないw
早く続きが読みたいものですな
551名無しさん@ピンキー:2009/01/04(日) 02:02:45 ID:xaZZb3FN
GJ!
wktk。
552名無しさん@ピンキー:2009/01/04(日) 02:51:38 ID:u24pYsjP
やべぇ一瞬なんのスレか忘れちまってたぜ
553名無しさん@ピンキー:2009/01/04(日) 05:51:58 ID:KHRtUkBc
>>549
GJ
確かに今の美沙タンはちょっとブラコンの入った普通の妹だが
所々にキモウトの兆しが見えたのがたまらん
554名無しさん@ピンキー:2009/01/04(日) 12:21:54 ID:oLJ80NDX
>少し前に少年漫画誌で別の人気作品を完結させた大物漫画家だ。

ガモウひろしですね。わかります。
555燃料投下:2009/01/04(日) 15:47:05 ID:5ZFo1qmH
ここから泥棒猫のターン↓
556 ◆sw3k/91jTQ :2009/01/04(日) 16:22:38 ID:sIGuX/zK
投下します。
4レス予定
557思い出の村 2話(1/4)  ◆sw3k/91jTQ :2009/01/04(日) 16:23:38 ID:sIGuX/zK


side秀樹
 俺達は実家を目指して歩いていた。
「月並みですが懐かしいですね、兄さん。」
「ああ、こっからの夕日が凄く綺麗なんだよな。」
昔まだ新しかったアスファルトが、今ところどころ欠けて、古めかしくなっているのを見て、なんとなくノスタルジックな感じになる。
そういえば気になったいた事を聞いてみる。
「なあ、瑞樹。」
「何ですか?兄さん。……ハッまさか!」
「プロポーズネタはくどいぞ。」
「ネタじゃ無いのに…。」
そっちのがこええよ!、とは突っ込まない。
「楢崎茜ちゃんのこと、覚えてるか?仲良かっただろ瑞樹。」
「楢崎...ッッッ」
瑞樹は急に何かを思い出したような顔をしてひどくうろたえた。
「に、兄さん……。私急にハウスダストになってしまって、ええと、その、つまり……、かっ、帰りましょう!!」
「マテ瑞樹、落ち着くんだ。言いたいことはわかるがお前は決してアレルゲンではない。それにじっちゃやばっちゃが待ってるからさ、
急には帰れないよ。大丈夫、かっこいい兄さんがついてるから。」
しかし瑞樹はまだどこか落ち着かない様子で、「しまった...、でも、どうして?」だのとブツブツつぶやいている。
コイツ大丈夫かよ...。
「兄さん、用事が出来たのでおじいさんおばあさんの所には先に兄さんだけで行ってて下さい。」
ようやく落ち着きを取り戻した瑞樹はそう言い残し来た道を戻って行った。
「ちょっと!お〜い。何かあったらメールしろよ〜。」
「ちゃんと見ましたか〜?圏外ですよ〜。」
あらホントだ。見慣れたディスプレイには圏外の文字。
「...っかしーな。電波悪いんかな?」
無事に島に着いたことも親に報告したいし、実家ついたら電話でも借りるか。
心配性な親のためにも電話しとかなきゃな。
558思い出の村 2話(2/4)  ◆sw3k/91jTQ :2009/01/04(日) 16:24:27 ID:sIGuX/zK



side瑞樹
「おかしい、忘れるはずなんて無いのに...どうして?」
さっきから私はずっと自問している。
自慢ではないが私は記憶力が良い。それなのになぜこんなに大事な事を忘れてしまっていたのだろう。
あのたぶん私にとって一番の敵、楢崎茜の事を。
兎に角一刻も早くこの島から脱出しなければ。
あの汚らわしい雌犬を兄さんに会わせてはいけない。
明日の朝に帰るための連絡船のチケットを買おうと営業所まで戻ってきた。
営業所の中は、じめっとしていて、夏特有の不快感が体を巡る。
とっとと用事を済ませてしまおう。
私は販売員らしき初老の男性に話しかけた。
「すみません。明日の朝の船のチケット2枚いただきたいのですが。」
男性はこちらに一瞥をくれ、無愛想に言い放った。
「船は来ん。」
男性の態度に腹が立った。
「ふざけないで下さい。船が来ないわけ無いじゃないですか。」
「ふふふふふ、その人は冗談を言っている訳じゃないのよ。瑞樹ちゃん。私の許可がないと物流船以外の船は緊急時を除いて入港しないわ。」
突然の乱入者。何の気配もなく、私の背後に回っていた。
「くっ...楢崎...さん。」
「茜でいいわよ。"トモダチ"でしょ。」
その眼は昔となんら変わらずに、どうしようもないほどに、濁っていた。
「あの人はどこ?教えて。"トモダチ"なら教えてくれるわよね。」
こんな女に、負けたくない。
「学校があった所に行きましたよ。」
「あっはっはっは嘘おっしゃい。あなたたちの実家とは逆方向じゃない。」
怖い。怖い。すべて見透かされている。逆らえない。昔みたいに、屈伏させられる。
「そうそう。言い忘れてたけど、あなた達のおじいさんおばあさんね、昨日から旅行に行っちゃってるの。残念ねぇ。
でも安心して。船が来るまで、私の屋敷に住む事になったから。ご両親からの許可はとってあるわ。」
ここまでするのか。この女は。
「昔の様にはいきませんから。」
自分を奮い立たせる呪文。
「そう、残念ねぇ。」
それさえも、この女はあっさりと打ち消した。
「それじゃあ私あの人に会ってくるけど、邪魔したら、ワカルヨネ。瑞樹"ちゃん"。
それと、私の事忘れてたのあなたのせいじゃないから、そんなに思いつめる事無いのよ。」
そう言い残し、茜は去って行く。止めることなんて、できなかった。
559思い出の村 2話(3/4)  ◆sw3k/91jTQ :2009/01/04(日) 16:25:13 ID:sIGuX/zK


茜side
 あの人のことを好きになったのは、小学校に上がってすぐの事だった。
もともと人口が少ない離島だけあって、クラスは小中学年、高学年で、2つのクラスしかなかった。
そんな中、屋敷の生まれで、常に他者との間に壁を作っていた私は、いじめられていた。
そんな私に一番最初に声をかけてくれたのがあの人、水野秀樹さんだった。
いつものようにいじめられていて、お気に入りの人形を隠されてしまったとき、雨の中ずぶぬれになって探し出してきてくれた。
髪の毛を引っ張られて泣いていた私に、立ち向かうことを教えてくれた。
当時の私にとって彼は、ピンチの時に来てくれる、王子様のような存在だったのだ。
そんな彼に恋をしないほうがおかしいのだ。
二年生にあがると、あの人の妹が入ってきた。
彼の妹、瑞樹は、何かにつけてよく泣く子だった。
私が彼と遊んでいるのを見ると、兄を取られまいと泣き落としにかかる。
そんな瑞樹のことが、私は大嫌いだった。
彼の見ていないところで、昔私がされたことをした。
彼女は臆病だったので、口封じは簡単だった。
愉悦に顔を歪めながら、「"トモダチ"だからゆるしてくれるよね?おにいちゃんにいわないよね?」
と言うと、泣きながら頷いてくれた。
それに味をしめ、強者の立場に酔ってしまった私は、今まで私をいじめてきた人に復讐し始めた。
各界に顔が利く親に頼み、いじめっ子の親に圧力をかけ、島から追い出した。
裏ではこんなに黒い事をしていた私だが、あの人の前では、猫をかぶっていた。
一人、また一人とクラスメイトがクラスから消え、幸せな日々が続いた。ずっと続くと思っていた。
しかし、今度は別の問題が起きた。
ただでさえ子供が少ないのに、島から追い出してしまったから、学校が廃校になってしまったのだ。
今思うととても馬鹿なことだが、まだ子供だった私には想像が出来なかったのだ。
私は父が教師を雇っていて大丈夫だったが、彼は学校へ通わなければならない。
彼はあっけなく本土に帰ることになった。
私はすでに傀儡となっていた瑞樹の私に関する記憶を操作し、恐怖による支配がなくても私の悪行を彼にばらされないようにした。
別れの日、ぼろぼろに泣いた事と、泣いている私に彼が「またあえる。だからもう泣かないで」と言ってくれた事を覚えている。
また会える。その言葉を信じ、私は必死に自分を磨いた。その日を夢見て。
560思い出の村 2話(4/4)  ◆sw3k/91jTQ :2009/01/04(日) 16:25:45 ID:sIGuX/zK
 あの人が帰って来る。
そのことを知ったのは、七月に入ってからのことだった。
いつものようにあの人の実家に仕掛けた盗聴器のログを確認していた時、あの人の声で、夏休みにこっちに帰ってくる。
と言う内容のメッセージが入っていた。
私は飛び上がりそうになるのを抑え、刻々と準備に取り掛かった。
病床に伏している父を操り、連絡船を操作し、うまく計画が進むまでこの島から彼らが出られないように仕向けた。
彼の祖父母には、屋敷の地下に旅行に来てもらっている。これは切り札だ。出来れば使いたくない。
だがもし万が一彼が私を拒んだら、このカードを切るしかない。
優しい彼のことだ。祖父母の事をちらつかせればこちらの言いなりになってくれるだろう。
いつも彼に羽虫のように付きまとっていた妹は、この時あまり問題視していなかった。
また力で屈伏させればいい。それに彼女は私に関する負の記憶は消してあるから大丈夫だ。
ふとしたことで戻るかもしれないが、この島にきた時点で、思い出そうが思いださまいが私の勝ちは決まりだ。
もう待つのは嫌だ。独りは嫌だ。

 そして、運命の日。
船着場で瑞樹を見た時、彼女は欲情した女の眼をしていた。
彼は気づいていないと思うが、あれはだらしなく発情した雌犬の眼。
許せなかった。今すぐ殺してやろうかとも思った。
だが彼を悲しませる様な事はしたくない。
唇を強く噛みすぎて、口の中に鉄の味が広がる。
彼の実家までの道中、彼が私の事について何か言っていた。
遠くて聞き取りづらかったが、私の事を覚えていてくれて、とてもうれしかった。
茜というワードで、私の事を思い出したのか、青ざめた顔をした瑞樹が船着場まで戻って行く。
ちょうどいい。釘をさしておこう。
そう思い、気配を殺し、近づいた。
船のチケットが欲しいらしい。馬鹿な子。
声をかけると、ポーカーフェイスでこちらを睨んできた。怖がってるのばればれよ。お馬鹿さん。
やっぱりあの子は私には逆らえない。
内心の笑いをこらえ、彼のところに行くことにした。
561 ◆sw3k/91jTQ :2009/01/04(日) 16:27:27 ID:sIGuX/zK
以上です。
なんかgdgdですみません。
生産力が低いのでスローペースになりますが、お付き合いください。
562燃料……:2009/01/04(日) 16:40:13 ID:5ZFo1qmH
本当に泥棒猫のターン
キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!!!

ここから瑞樹が逆転できるのか、続きにキタイ
563名無しさん@ピンキー:2009/01/04(日) 17:25:50 ID:OJhLUWp/
<<561
この作品の1話目ってどこにある?
564名無しさん@ピンキー:2009/01/04(日) 17:28:15 ID:TeYKFLir
>>563
「思いでの村」でページ内単語検索かけろ
後アンカーの方向が逆だろ
「<」ではなく「>」だ
565名無しさん@ピンキー:2009/01/04(日) 17:31:54 ID:wPX43vda
記憶の操作ってどうやったの? 催眠術?
566名無しさん@ピンキー:2009/01/04(日) 17:32:09 ID:7WGDGjpM
>>562
死ね
567名無しさん@ピンキー:2009/01/04(日) 17:34:54 ID:OJhLUWp/
563です
普通にありましたorz
568名無しさん@ピンキー:2009/01/04(日) 20:52:23 ID:5ZFo1qmH
>>566
お兄ちゃんってば、また勝手に抜け出して!
ほら、お兄ちゃんの居場所まで、一緒についてってあげるから!
ttp://changi.2ch.net/mental/
569傷 (その9):2009/01/05(月) 01:32:20 ID:X9LVBZCy
投稿します。
570傷 (その9):2009/01/05(月) 01:33:42 ID:X9LVBZCy

「兄さんはどうなのですか? こんなわたしを、迷惑に思いますか……?」

 やぶれかぶれになったわけではない。
 口に出した瞬間、葉月は、自分の言葉が紛れも無い本心であることを知った。
 自分はこの男を愛している。
――そう考えたとき、今まで欠けていたパズルのピースが、音を立てて当て嵌まったのを感じたのだ。
 無論、今までは弥生の冬馬に対するストレートすぎる愛情表現に顔をしかめる立場を取っていた彼女だ。変節とも言うべき心境の変化には、当然ながら葛藤がある。
 だが、五日間の引き篭もりを含む紆余曲折の結果、葉月の心理は、もはや意地を張ることに、あまり意味を見出せなくなっていた。

「迷惑に思うかって……それはこっちの台詞だろうが」
 
 たっぷり二呼吸ほど間を取り、冬馬はぼそりと呟いた。
「おれがいなければ、お前は何も迷うことも悩むことも無く、研究や論文に全力を尽くせたはずだろうが。おれがここにいたことが、結果として、お前を苦しませることに繋がったんじゃねえのか?」

 葉月は何も言えなかった。
 彼の言葉は、確かに一面の真実を突いていたからだ。
 もしも冬馬が、兄として我が家に現れることさえなかったら。
 単なる知人友人として違う出会い方をしていたなら、自分はこんなに苦しまずに済んだに違いない。
――そう思うのは、あまりにも当然だ。
 だが、いま問題とすべきはそんな事ではない。
 そんなことは、いまさら考えても仕方のないことだし、なにより葉月はもう覚悟を決めたのだ。
――行けるところまで行く、と。


「……はぐらかさないで下さい、兄さん」
 葉月の視線は、もはや揺るぎない。
 近親相姦もクソも知ったことか。
 好きな異性と結ばれたい。その想いの、いったい何が間違っているというのか。
 現に姉は、タブーの向こう側にいとも無雑作に足を踏み入れている。姉にできたことが自分にできない道理があるものか。
(わたしは柊木葉月。柊木弥生の妹です!!)
 弥生の名は、葉月にとって現世に存在する唯一の劣等感であるが、それだけではない。彼女自身、“完璧超人”と謳われた弥生の妹であることに、大いに誇りを持っている。

「質問に質問を返すのはマナー違反です。二度は許しませんよ」
「葉月……」
「さあ、答えて下さい兄さん。兄に男性としての好意を抱く妹は、迷惑ですか?」

 冬馬はやがて、太い溜め息をついた。
 葉月の硬い視線から目を逸らすようにして、だ。
「迷惑なわけ、ないだろ」
 だが、そう言い切る彼の表情に、いつもの明るさは無い。
 その事実に、心が折れそうになるのを必死にこらえながら、葉月はなおも食い下がる。
「兄さんの表情は、そうは言っていませんが」
「だって、それは、――当たり前だろっ!!」
 冬馬の口から、ハッキリそれと分かる唾が一滴飛ぶのが葉月には見えた。


「おれたちは兄妹なんだぞ!? 好きとか嫌いとか、そんな感情を抱いていい関係じゃねえだろ!?」

571傷 (その9):2009/01/05(月) 01:35:15 ID:X9LVBZCy

――来た。
 浮世の正義たる一般論。
 兄を男性として意識する妹にとっては、最初に乗り越えなければならない常識の壁。
 だが、その言葉に反論の余地が無いわけではない。
 そう、近親相姦の禁忌を主張するのが冬馬本人である限り、葉月は彼の常識に言葉を返すことが出来る。なにしろ反論の論拠を実証したのは、柊木冬馬その人なのだから。


「白々しい事を言わないで下さいっ!! 兄さんはかつて、『おれが好きなのは弥生姉さんだ』とハッキリ言ってるじゃないですかっっ!!?」


 呆然と目を見開く兄に、葉月は半ば、凶暴な気分で言葉をぶつける。
「……なんで……」
「何故わたしがそれを知っているのか訊きたいなら答えます。――聞いたんですよ、この耳で。一週間ほど前の早朝に、兄さんが電話の相手にそう言っているのを、ドア越しに盗み聞きさせてもらったんですよ!!」

 いまや葉月の心の内には、あの時の激情がふつふつと甦っていた。冬馬が自分ではなく、姉の弥生を選んだとハッキリ言い切った一言を聞いた瞬間の、我ながらどうしようもない絶望感と屈辱を、いまの葉月は明確に思い出していたのだ。
 無論、その言葉のフォローは弥生から受けている。
――冬馬の言葉は当てにならない。
――あれは、しつこい電話相手を黙らせるための、彼一流の方便だ。
 確かに弥生はそう言った。そして葉月も、その姉の言葉には納得せざるを得ない。
 だがその時、込み上げる歓喜を懸命に押し殺そうとしている光が、姉の瞳に宿っていたのを気付かぬほどに、葉月は鈍感な少女ではない。
(姉さんは、喜んでいる……!!)
 姉が喜ぶのは分からない話ではない。普段の言動から察すれば、むしろ当然だと言えよう。だが、それでも葉月は、そんな姉に殺意すら伴う嫉妬を感じずにはいられない。
 また、たとえ弥生の言う通り、兄の言葉が偽りであるならば、葉月としては、その釈明を、やはり他ならぬ兄本人から聞きたかったのだ。

「おれは嘘をついちゃいないよ」
 冬馬は、ごりごりと頭を掻きながら、そう言った。
 見方によっては、痛いところを突かれて不貞腐れているような口調に聞こえないでもないが、葉月は辛抱強く、引き続き兄の言葉を待った。
 もし冬馬が話の矛先を逸らすつもりなら、葉月が自白した盗み聞きというマナー違反を話題に持ち出し、空気を変えればいい。だが、彼はそうはしなかった。兄は兄なりに、自分の言葉を真摯なものとして受け止め、応えようとしている。――葉月はそう判断した。
 そして冬馬は、煩悶の極限のような表情の末、搾り出すように言った。
「……分かった。泥を吐くよ」

「姉さんのことは嫌いじゃない。客観的に見て、あの人はやっぱり……ふるいつきたくなるようないい女だからな……。でも、それはお前にしても同じだ。あと五年もすれば、お前は姉さんに負けないくらいのいい女になるだろう。――そう思うよ」
「……お世辞ですか?」
 だが、冷たく言い放つ葉月の皮肉にも、冬馬はひるまない。むしろ話の腰を折るんじゃねえと言いたげな尖った一瞥を向ける兄に、妹は黙らざるを得なかった。
「お前にしても、姉さんにしても、おゆきや千夏にしてもそうだ。――この四人は特別なんだよ、おれの中じゃあな。だから、柊木冬馬としては、お前の女性としての魅力が、弥生姉さんに劣っているなんて言うつもりはないんだ。あくまでな」
「…………」
「だから、姉さんの存在を口実に、お前の気持ちに応えられないとか、そんなことを言う気は無いよ」
「……どういうことですか」
「だから――おれは、女とは付き合えないんだよ。姉だったらOKで妹ならNGだとか、血縁ならNGで義理ならOKだとか、そんな下らねえ事を言うつもりは無いんだ。地球上のどんな女にアプローチをかけられても、おれにはその好意に応えられない理由があるんだよ」

 そこまで聞いては、いかに葉月といえど、気付かざるを得ない。
 兄は、尋常な人間だ。変わり者の部類に入ると言えば入るだろうが、それでも世間並みには、充分に“普通”の範疇に入るであろう人間だ。だが、彼の過去は尋常ではない。
「――まさか、トラウマですか……虐待されたときの……?」
572傷 (その9):2009/01/05(月) 01:41:24 ID:X9LVBZCy

 冬馬の目の色が、その一瞬で変わった。
 彼が虐待の経験者であるということは、肌の無残な傷痕を見ればバカでも分かる。
 だが、その傷痕が“性的虐待”の痕跡であることは、事前に情報を知っていなければ、すぐに結びつけるのは難しい。彼の全身に刻まれた傷は、傍目に見て、セックスを基本とする性的虐待など、とても連想できないほどに無残極まりないものだったからだ。
 そして、冬馬が柊木家に於いて、過去の虐待の具体的内容を語った事実はない。
 つまり――。

「誰から聞いた?」
 さっきまでとはまるで別人のような冷たい声が、彼の口から飛ぶ。
 その迫力に、葉月は反射的に口をつぐんだ。
 だが、冬馬とて鈍重ではない。葉月が口篭もった数瞬の間に、たちまち正解に辿り着いた。
「なるほど……千夏のやつか。なら、弥生姉さん経由のネタってところか」
 葉月としては、俯かざるを得ない。

 いままで柊木家においては、冬馬の過去――それも虐待に関して、直接的に言及することは控えられてきた。父も母も姉も、そして自分も、その肌の傷痕についての質問を冬馬にしたことが無い。それが家族としての気遣いだと信じていたからだ。
 だが――知っていたのに、あえて知らないフリをしていたというなら話は違う。知らないフリというのは、捉え方によっては明確な嘘であり、欺瞞であるからだ。
 そして、その事実がアッサリ露見してしまった今、少なくとも葉月の抱く気まずさは、それまでの流れの攻守を入れ替えてしまった。追求する側に冬馬が立ち、葉月は劣勢に立ってしまった。……少なくとも葉月の心中には、それまでの攻撃性は跡形も無く消失してしまっていた。
 だが、


「なんだよ……知ってるんなら、話は早えじゃねえか」


 そう呟いた兄の声は、先程の質問の鋭さはまるでない、飄々としたものだった。
――え? 
 と、言わんばかりの表情で葉月が顔を上げると、兄は、拍子抜けしたような顔で、冷蔵庫のドアに歩み寄るところだった。
「どこまで知ってる?」
 きんきんに冷えたトマトジュースのスチール缶を一本取り出しながら、冬馬は訊く。
 冷蔵庫の位置的に、彼がどんな表情で、その台詞を吐いたのかは分からないが、少なくとも葉月には、その声と背に緊張の様子は見えない。

「兄さんと千夏さんを引き取ったのが、――あの芹沢家だったということは聞きました。ですが、そこで兄さんが、どういう虐待を受けたのかまでは知りません」
「なるほど」
 プルタブを押し開け、そのまま缶ビールでも飲む父のような姿勢で、冬馬はトマトジュースを一口飲む。
「ん〜〜〜〜デルモンテもいいけど、やっぱトマトジュースはカゴメだよね」
 冬馬の表情には、一点の曇りも無い。
 だが、葉月としては、カゴメだよねと言われても『そうですね』と答える状況には無い。

「おれも千夏も非道い目にあったよ。色々とな」

 カゴメだよね、と言ったまったく同じ表情で、冬馬はいきなり切り出した。
「以前、墓参りの時にした話と同じだ。暗くて長くて、ひたすら救いの無い話だ。まあ、お袋が親父を刺した話よりも、少しだけこっちの方が……ひどい、かな」
「…………」
「だから、お前が知っているなら、それはそれで構わねえんだ。むしろ、くどくど詳細を説明する手間が省けるってもんだ。だから――」
 冬馬はそこで言葉を切ると、冷蔵庫からトマトジュースをもう一本取り出し、葉月に放り投げた。
「だから、そんなツラすんなって言ってるのさ。知らねえフリしてた事に罪悪感を覚える必要はないって言ってるんだよ」
 そう言って、冬馬は笑った。
573傷 (その9):2009/01/05(月) 01:42:47 ID:X9LVBZCy

「警察に保護されて、また施設に放り込まれたのが5年前――おれが11歳の時だ」
 そこで言葉を切ると、冬馬は一口トマトジュースを飲み、
「トラウマは無いって言えば、さすがに嘘になるけど、でも後遺症は無いんだよ。日常生活に支障をきたすようなヤツはさ。少なくとも暗闇が怖いとか、悪夢にうなされて眠れないとか、メシの味がしなくなるとか、そういうひどい症状はマジでおれには無縁なんだ」
 と、言った。
 だが、その言い方に葉月は引っ掛った。
「――では、日常生活に支障をきたさない程度なら、後遺症はあるということですか?」

 冬馬は薄く笑った。
 そして、またトマトジュースを一口あおると、
「つまり、それさ。おれがこれから言おうとしていたのは」
 と、自嘲するように言い、彼はスチール缶をそのまま不燃ゴミ用のくず入れに投げ入れた。


「勃たなくなっちまった」


「――は?」
 葉月は、目をぱちくりさせながら、訊き返す。
 冬馬は、そんな葉月に頬をゆがめると、足りない台詞をさらに言い直した。
「勃起不全、ED、インポテンツ。……呼び方はいろいろだが、早い話が、朝勃ちすらもしやしねえ。排尿以外に全く役に立たない飾り物になっちまったのさ、おれの“男”はな」

「……だから、女性と交際はできない、ということなのですか……たった、それだけの理由で……?」

 冬馬は微動だにしなかった。
 だが、やがて、先程に倍するほどの太い溜め息をつくと、
「ま、――お前には分かんねえか」
 と言い、寂しげに笑った。
 だが、葉月は彼のそんな笑顔に激しく苛立ちを覚えた。
 冬馬が嘘をついていないことは分かる。そして彼が話をはぐらかそうとしていないという事もだ。だが、だからこそ葉月は、自分が全く理解できないところで話を完結させている兄に、激しい憤りを覚えたのだ。

「わたしには分かりません。だって、そうじゃないですか!? 生殖機能を失ったからといって、人としての兄さんの価値がいかほどに変わるものではないでしょう!? わたしたちが求めているのは兄さんそのものであって、兄さんとのセックスだけではありませんよ!?」
「当たり前だ。人が人として在る理由をセックスだけに求められてたまるかよ」
「だったら――」
「だがな葉月、それはあくまでも人間論としての話だ。“男女交際”という生臭いものを正視するためには、前提条件として、おれたちそれぞれが一対の牡であり牝である事実から目を逸らすことは出来ない。そして、おれは牡としての機能を失っている……」
「わたしはそんなものを兄さんに求めてはいませんっ!!」
「だったらお前が、兄妹という関係に不服を抱く必要はないはずだ。男としてのおれに、女としての扱いを求めるからこそ、お前は本音を吐いたんだろう? だが、男としての機能を持たないおれには、お前という“女”を受け入れることなど出来はしない」
「……ッッ!!」
 その冬馬の言葉に、葉月は絶句した。


「おれという人間はここにいる。だが、おれという“男”は、もう死んだんだよ。死んだ男に家族や隣人を愛することは出来ても、“女”を愛することは出来ないんだ」


 冬馬の言い分が正しいとは思わない。
 性的不能者には異性を愛する資格は無いと言わんばかりの冬馬の言い分には、少女独特の潔癖さを差し引いてもなお、やはり葉月は納得がいかなかった。
 だが、それでも葉月は、彼に何を言い返すことも出来なかった。
 冬馬の口調は、さほど重々しいものではない。
 だが、彼の発する雰囲気は、今の言葉が、その場しのぎのいい加減なものではない、歴とした思想に基づいたものであることを厳然と証明している。
 男にとって、“男”を失うという現実がどういう意味を持つのか、いまだ若すぎる葉月には見当も付かない。たとえ天才と謳われた学識の所有者であっても、彼女は弱冠13歳の少女に過ぎないからだ。
574傷 (その9):2009/01/05(月) 01:44:36 ID:X9LVBZCy

(もし、ここに姉さんがいたなら……)
 弥生ならば、ただ絶句するしかない自分とは違い、頑なな兄に、違う言葉をかけてやれるかも知れない。――葉月は、そう思わずにはいられない。
 だが、そう期待しながらも、同時に葉月は絶望する。
 彼女にも分かるのだ。兄の信念は、他者の理解を必要としない境地まで辿り着いているということが。おそらく、姉妹が百万言を費やして反論しても、彼に自説を翻させることは不可能に違いない。
 ならばどうする?
 どうすれば兄の心を開くことが出来る?


「信用……できません」


「え?」
 今度ぽかんとなったのは、冬馬の方であった。
「兄さんの言葉の全てが真実であると確認するまでは、わたしとしても引くわけには行きません。兄さんが本当に勃起不全なのかどうか、本当に女性を諦めねばならない身体なのか、わたしに証明する義務があるはずでしょう」
「おれが嘘ついてるってのか?」
「わたしには、兄さんの言葉がすべて真実なのかどうか知る権利がある。そう言っているのです」
「おい葉月……てめえ、さっきから何言ってやがる……!」

 冬馬の瞳に、ふたたび剣呑な光が宿りつつある。
 彼が怒るのは当然だ。
 兄といえど、一人の少年に過ぎない。
 少年の身ながら、男として不能である事実を吐露することがどれほどの苦痛を伴うものだったか、それこそ計り知れない。おそらくその羞恥は、葉月の“愛の告白”の比ではないはずだ。その言葉を信じられないと言い切られては、彼としても立つ瀬が無かろう。
 だが、葉月としても、もはや退路は無い。
 兄の静かな怒りに、身の毛もよだつような恐怖を覚えながらも、それでも彼女は踏み止まった。冬馬の殺気に対抗するために――萎え果てそうな己を奮い立たせ、毅然と兄に向き合うために、懸命に心の内の激情をかき集める。

(わたしは、この男にフラれたのだ)
 勃起できない。――それがどうした?
 セックスができない。――だから何だ?
 兄が何と言おうが、その程度のことが、他者からの愛を拒む条件になり得るわけが無い。

 兄の告白にどれほどの意味があろうが、それは葉月にとって重要ではない。どういう理由にせよ、葉月の愛が冬馬に拒絶されたという事実には何ら変わりは無いのだから。
 ならば、ここで問題にすべきは彼の証言の真偽――ではない。彼の信念が、前提条件として、すでにして間違っていると証明することだ。
(――そう、証明だ)
 不能の告白が真実かどうか、証明して見せろと言った葉月だが、いまから自分が為すべきことこそ、真実の証明に他ならない。説得が通じぬ相手に、言葉で交渉を続ける愚を葉月は知っている。ならば彼女としては兄に対し、その目で、その身体で証明して見せねばならない。
 そのためには、むしろ兄の怒りは幸いとも言える。
 いまの彼は、とても冷静な判断が出来そうも無いからだ。


「人が人を愛するということは、もっと高い次元で語られるべき話のはずです。兄さんの身体が、女性をもはや愛せないと言うのなら、わたしが証明して見せます。――そんなことはないのだと。たとえ、どんな兄さんであろうとも、愛を交わすことはできるのだと」


 そういう話をしているつもりは無い。
 冬馬はそう言おうとしたのだろうか、だが、彼は口をつぐんだ。そして、押し殺すような口調で、訊き返した。
「口で言うのは簡単だ。だが、どう証明する?」
「お風呂場に行きましょう。どんな兄さんでもわたしには関係ないということを、生身の肉体で証明します。兄さんが抱く絶望など、浅はかな男根信仰でしかないと、兄さんに教えて差し上げます」
――葉月はそう、凛然と言い放った。
575傷 (その9):2009/01/05(月) 01:47:58 ID:X9LVBZCy

「ごちそうさま」

 冬馬がそう言って箸を置いた。
 葉月はびくりと身を震わせる。
 兄は、そんな葉月の様子に一瞬、目を細めたが、
「お茶、淹れるな」
 そう言うと、冬馬は立ち上がり、食器棚から急須と茶葉を取り出し、ポッドから熱い湯を注いで、煎茶を二人前用意する。

 葉月の皿には、まだ三分の一ほどお好み焼きが残っている。
 だが、彼女には、今更それを口にする気はなかった。食欲など、とっくの昔に無くなっている。それどころか、今はひたすらに喉が渇いて仕方が無い。
 湯飲みに手を伸ばすと、ぐいっと喉に流し込む。
 だが――、

「〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っっっ!!!」

 何とか、口中の熱茶を飲み下すまで、たっぷり30秒はかかったろうか。
 当然兄は、そんな妹の様子を見て、腹を抱えて笑っている。
「ひっ、ひどいです兄さんッッ!! そんなに笑うことは無いじゃありませんか!!」
「いっ、いやっ、だってよ……くっくっくっくっ……っっっ!!」
「ひどいですっ、ひどいですっ、ひどいですっっ!!」
 懸命に笑いを押し殺そうとする冬馬の背中を、真っ赤になった葉月はぽかぽかと殴る。まるで、重圧に押し潰されそうになっていた鬱憤を、ただひたすらに晴らそうとするように。

「――葉月」

 兄の声で、葉月の手がぴたりと止まった。
 その声に、彼女の動きを封じる鋭いものが含まれていたからではない。むしろ逆だ。兄の声は、さっきまでの重苦しい雰囲気とうって変わった、のんびりとした日常の声だった。その声が与えてくれる、いつもの安心感こそが葉月の手を止めたのだ。
「もう……やめとくか?」

 優しい瞳で、冬馬は尋ねる。
 これは質問ではない。提案だ。
――そんなに怯えるくらいなら、そんなに無理をするくらいなら、もう、やめようよ。
 彼の目がそう言っているのが葉月にも分かる。
 だが、その気遣いが、今の葉月には逆に気に入らなかった。
 兄が自分のことを気遣ってくれているという嬉しさは、当然、ある。
 でも葉月は、それ以上に、冬馬に子供扱いされているという現実が、非常に癇に障った。
 いや、それだけではない。その瞬間、彼女は気付いてしまったのだ。
 
「いやです。やめません」
「でも、よう……」
「わたしはやめないと言っているんです」
「…………」
「さあ、お風呂に行きますよ、兄さん」
 そう言うと、自らの両頬をぱんと叩いて気合を入れ、葉月は冬馬の手を曳き、脱衣場まで歩き始めた。
 すでに彼女を襲っていた恐怖はない。
 冬馬の目を見た瞬間、その恐怖は、まるで化学変化を起こしたかのように、別のものになっていた。


 食事というワンクッションを置いたことで、少しはものを考える余裕が生まれた。
 その余裕こそが、少女としての自分に恐怖を感じさせたことは事実であるにしても、それでも葉月は、兄の心理を推し量るだけの時間を持てたことは僥倖だと思う。
『もう……やめとくか?』
 と言った時の、あの冬馬の表情。陽気で優しい、いつもの兄の素顔。だが、葉月には、その優しげな瞳の奥に潜む、冬馬の、もう一つの感情が見えた気がしたのだ。
 その瞬間、葉月は自分の推論に、確信を持った。
(兄さんは、おびえている……)
 おそらくはそのおびえこそが、彼の紛れも無い本音なのだろう。
576傷 (その9):2009/01/05(月) 01:49:03 ID:X9LVBZCy

 勃起不全という現実が、冬馬の心理にいかほどの衝撃を与えたか、それは葉月に想像することは出来ない。だが、強制売春の手駒として、おびただしい性行為を強要されたトラウマを持つ少年にとって、それは喪失であると同時に、解放でもあったのではないか。
 己の“男”を売り物とされた少年からすれば、“男”を失って、初めて男娼たる自分の過去との決別が果たせたのかも知れない。ならば、現在の彼を、心的外傷の後遺症が襲わないのも、ある意味、必然だとも言える。

 だが、その結論は、女としての葉月を著しく不快にさせる。
 女性を愛せない――なら分かる。まだいい。
 しかし、女性を愛せなくなったことによって解放された――というなら、客観的に見てそれは、トラウマからの逃避に他ならない。
(兄さんが、“女”から尻尾を丸めて逃げ回っているだけの男であるわけが無い)
 少なくとも、自分や弥生が魅力を覚えた冬馬という少年が、そんなだらしない男であるとは、葉月としては信じたくは無かった。

 彼のトラウマが「女性」でなければ、あるいは、葉月自身が彼を慕う一人の女性でさえなければ、もっと違う考え方が出来たかも知れない。
 だが、葉月は認めたく無かった。
 自分を魅了した男ならば、やはり、一人で世界と対峙し得る男であって欲しかったのだ。
 わがままだとは思う。
 だが、理不尽だとは思わない。
(女の理想に応えられる男だと思わねば、誰が禁忌を犯してまで惚れるものか)
 冬馬の手を曳きながら葉月は、内心にそう毒づいた。


「兄さん、まさか今になって、逃げようなんて思っちゃいないでしょうね?」
「……バカ言え」
「フフフ、そうでなければ困ります。――ま、どのみち逃がしませんけどね」



 心に傷を負った一人の人間の心理がどれほど微妙なものであるか、それを想像するよりも先に、女性としての感情を優先して「女体」というトラウマを兄に突き付ける事を選択した自分を、のちに葉月は死ぬほど悔やむことになる。
 だが、神ならぬ今の彼女には、そんな未来は知るよしも無い。

577傷 (その9):2009/01/05(月) 01:50:07 ID:X9LVBZCy
今回はここまでです。
578名無しさん@ピンキー:2009/01/05(月) 01:51:28 ID:07LSO3RV
リアルタイムGJ!!
579名無しさん@ピンキー:2009/01/05(月) 01:52:24 ID:/O7wW74F
リアルタイムGJ!だけど・・・
ここで終わるのかああああ!!!今から全裸待機してますね。
580名無しさん@ピンキー:2009/01/05(月) 02:25:56 ID:ngfiz04p
GJ!!
今後の展開と兄のイチモツが復活することに期待
581名無しさん@ピンキー:2009/01/05(月) 02:26:32 ID:ngfiz04p
・・・sage忘れorz
582名無しさん@ピンキー:2009/01/05(月) 03:54:28 ID:Y0iV1Ze7
勃たぬなら勃たせてしまえインポテンツ
583名無しさん@ピンキー:2009/01/05(月) 10:51:32 ID:0Cm5z0wI
なんだこの投下ラッシュは…
興奮してきた…全裸で待つ
584未来のあなたへ4:2009/01/05(月) 17:23:00 ID:8b01TZGy
投下します。
585未来のあなたへ4:2009/01/05(月) 17:23:49 ID:8b01TZGy
PRRRRRRRR
PRRRRRRRR
『もしもし』
ガチャン
ツーッ、ツーッ、ツーッ…………
「…………女…………」



作戦構築。
予備作戦B:索敵。
作戦概要:敵A(目標からの仮称『先輩』)に対する情報収集。
手法条項:
 手法:目標に、敵Aに関して直接尋問を行う。ただし、敵Aに関する情報を私は知らないはずなので、誘導尋問に留める。
 手法:情報源Yを使用しての情報収集。同高校に属しているため効果が見込める。
 手法:協力者Aを使用しての情報収集。
総括:
 本作戦において最も重要なのは、敵Aの個人情報ではなく。目標−敵A間における恋愛感情有無の確認。
 また、最終目的を達成するのに必要なのは敵Aの排除ではなく、あくまで本次作戦(一次作戦B:洗脳)の遂行。
 それを念頭に置き、手段と目的を履き違えないよう、感情のコントロールを行わなければいけない。
 だが……もしも一線を越えていたら……その時は…………殺してやる。憎悪と共に殺してやる。
586未来のあなたへ4:2009/01/05(月) 17:25:27 ID:8b01TZGy
「ふうん、榊君には妹さんがいるのか」
「はい。これが、俺と違ってすごく出来のいい奴なんですよ」

五月も半ばを過ぎた頃の放課後。
その日、俺は図書室で片羽先輩に勉強を教えてもらっていた。
図書室には他にも勉強をする生徒がたくさんいて(さすが進学校!)勉強を教えてもらうのも目立つというほどじゃなかったけど。
なにしろ先輩はすごい美人なわけで、そんな人が横に座ってこちらを覗き込んでいるというのは、むしろ俺の方が周囲を意識してしまった。
先輩が俺の勉強を見てくれてるのは今日で三日目だけど、なんでそんなことになったのかといえば。
『ところで、榊君は勉強が辛いと泣き言を吐いていたわけだが』
『うう。まあ、そうなんですが……先輩、俺のこといじめて楽しいんですか』
『まあね。で、覚悟を以って乗り越えるのもいいんだが、少しは抜本的な解決も試みてみようか』
『え、ばっぽんてき、ですか? でも、俺の頭が悪いのが原因だし……』
『ふふん、そこだ。つまり頭が良くなれば、この場合言い換えるとしたら効率的な学習ができたなら、諸問題は解決するとは思わないかな』
『えーと……そりゃまあそうですけど。そんなうまい話はないでしょう』
『ああ、基本的にはその考え方でいいと思う。学問に王道なし、と言うしね。まあ、上手くいったら儲け物、程度の気持ちでいいだろう』
『はあ……それで、具体的にはどうすればいいんですか?』
『榊君の勉強の仕方を見てみたいな。良ければ放課後、一緒に勉強しないかい?』
『え、ええっ! そ、そりゃまあいいですけど』
片羽先輩の携帯は、本人が言った通り電源が切れている時が割とある。そんな日を除いて、図書室で待ち合わせて勉強をすること三日目。
『ところで勉強の方法は誰に教わったんだい?』と聞かれたので。妹です、と普通に答えて冒頭の会話に繋がったのだった。

「うーん。でも、やっぱり妹に教わるっておかしいですかね」
「いやいや、愚兄賢弟という言葉もあるさ。ところで兄妹仲は良好かい?」
「う、聞き辛いこと聞きますね。やっぱ思春期だからと思うんですけど、キツいですよ」
実際は物心ついた時からかなりキツかったわけだけど。受験に入ってからは特に厳しい。
けどまあ、それでも優香は立派な人間だと思うし、守るべき妹だ。物心ついてからそれも変わりない。
「では嫌がらせなのかな……」
「へ? 今、なんて」
「いや、なんでもないよ。ところでもう一つ疑問なんだけど。ここしばらく見てたんだが、予習をしないのは何故だい?」
「え、予習……ですか?」
ぽかんとした。予習……そういえば俺、復習ばっかりで全然そんなことしてないな。
けど、受験の時からこんな風に勉強してきたんだし。大体、復習だけで手一杯なんだから、予習している暇なんて無いんじゃないだろうか?
「予習と復習では主旨が違う。予習は授業内容の吸収を効率よく行う意味があり、復習は学んだことを身につける意味がある。まあ、遅れを取り戻すなら復習に重点を置くべきだろうが、追いついているなら予習復習をバランスよく行った方が効率が良いはずだよ」
「そ……そうなんですか」
うーん。けど優香には今までそんなこと、一度だって言われたことはないんだけどなあ。
『復習、復習、復習です。兄さんに他人よりも理解力に劣っているという自覚があるのなら、人の三倍復習を行わなければいけません』
こんな感じで。鞭を持っていてもおかしくないぐらいの気迫だった。
なので予習だなんて、考えたこともない。
「ふふん。教師がいても、授業内容を理解していない復習では自習と同じだよ。せっかく学費を払ってるんだ、活用しない手はないだろう?」
「まあ、それはそうですけど……予習ってどんなふうにやればいいんですか?」
「なあに、そう身構えることはない。教科書の進み具合からあたりをつけて、明日はどのようなことを学ぶのか、それはどんな意味を持つのか、あらかじめ関連付けておくだけだよ」
「ふんふん」
「大事なのは学問に対して能動的に取り組むということさ。事前に疑問が沸いた箇所は授業中にでも教師に質問してみるといい。なに、彼等だってそのために給料を貰ってるんだ、遠慮することはないよ」
「えー、それはさすがにちょっと恥ずかしいっていうか、気後れしますよ」
587未来のあなたへ4:2009/01/05(月) 17:26:19 ID:8b01TZGy
そんな感じで。
周りに迷惑をかけない程度に、片羽先輩と一緒に勉強する。
正直、勉強というよりは雑談がメインで、その時間はとても楽しいものだった。
片羽先輩は、自分では成績が悪いと言っていたけれど、とてもそうとは思えない。頭が良い、というか。物事に対して、明瞭に判断を下すところは優香とタイプが似ているかもしれない。
優香と違うところは、やっぱり態度に余裕があるところだろうか。なんだかんだ言って、この人は俺よりも年長なのだ。
むしろ俺の方が(例えば妹に対するより)甘えている部分が大きいんだろう。
「ところで繰り返しになるけれど、兄妹仲は悪くないのかな?」
「え、まあ。ちょっとキツいところもありますけど、そんなに悪くないと思いますよ。時々一緒に出かけますし」
「ふむふむ。受験勉強も手伝ってもらったのかな? というか、もしかして受験先を決定したのも?」
「まあ、恥ずかしながら、ほとんど妹のおかげで受かったようなものです。でも俺と違って、本当にすごい奴なんですよ。部活……あ、柔道部にも打ち込んでるし、自慢の妹です」
「なるほど。ところで何度も繰り返して悪いんだけど、妹さんになにか恨まれるようなことはしてないかい?」
「それ三回目じゃないですか。別に、ちょっとぎくしゃくする時もありますけど、普通の仲ですよ」
「そうか。いや、すまないね……しかし凄まじい執念だな。気付かれずに縛り付けるとは……」
「ん? なんですか?」
「いやなに。君の妹さんに会ってみたくなったということさ。ふふん」
と。
そこでいきなり、がしい!と背後からヘッドロックを食らった。
く、くるしっ! うぐぐぐぐぐぐっ。
「だ、だれだー! ってお前かよ柳沢!」(小声)
「てめえええ! タレコミで張ってみれば、なに親友に黙ってこんな美人といちゃいちゃしてやがるううう!」(小声)
「普通に話してるだけだろっ! 大体、こんなところで何もあるわけないだろっ! ていうか、タレコミってなんだ!」(小声)
「そいつは企業秘密だ! とにかく許すまじ!」(小声)
お互いに小声なのは図書室だからだ。それでもアクションが派手なせいで、周囲から迷惑そうな視線を向けられる。
というわけで。いきなり背後から忍び寄って俺にヘッドロックをかましたのは俺の友達兼クラスメイトの柳沢だった。
って、このパターン前もあったよな……
一通り見苦しいやりとりを続けた後。柳沢は先輩を挟んで俺の反対側に座った。きらーん、と歯を光らせて笑顔。爽やかなつもりらしい。
「俺、榊の親友の柳沢浩一っていいます。よろしくお願いします」
「いや、だから親友……?」
「ふふん。僕は片羽桜子、三年生で榊君の友達だ。よろしくね」
「うっす!」
「……あれ?」
前みたいなパターンで、てっきり先輩に迫るかと思ったんだけど。柳沢はあっさり引っ込んだ。
いや、先輩を口説こうとするなら断固として阻止するつもりだったけど。普段と違う行動を取られるというのも気味が悪い。
と。柳沢が席を立って俺に顔を寄せてきた。おいおいおいおい。どういう風の吹き回しだ?
「で、だ。榊、物は相談なんだが……」
「なんだなんだ。悪い物でも食ったのか?」
「んなわけあるか。それよりさっき思いついたんだが、今度の週末ダブルデートに行かないか?」
「ダブルって……誰と誰と誰と誰だよ」
「俺とお前、んでもって片羽先輩と優香ちゃんでだ」
「優香ぁ? なんでここで優香が出てくるんだよ?」
「いやあ、毎日メル友やってんだけど、デートに誘ってもなかなかOKしてくれないんだよな。で、兄貴も一緒に出かけるならいけるかな! と」
「あのなあ、勝手に……」
「ふふん、なかなか面白そうだね。僕としては構わないよ」
「頼む、榊!」
手を合わせて拝んでくる友人。一方、先輩の方は意外と乗り気のようだった。そういえば優香と会ってみたいって言ってたしな。
俺としても、休日に片羽先輩と一緒に遊ぶのはとても楽しそうだと思う。
けれど……うーん。なんか妹を裏切るようで、あんまり気が進まなかった。
「それじゃ、家に帰ってから優香に話してみるよ」
「よっしゃ! 結果が出たらメールしてくれよな!」
その時の俺は、優香に話は通すけど、強く進めるつもりはなかった。
妹が少しでも嫌がるようなら、すぐに断ればいいと、そんな風に考えていた。
けれど夜。優香は少し悩んでから、条件付きでOKを出した。
588未来のあなたへ4:2009/01/05(月) 17:27:35 ID:8b01TZGy

優香に、片羽先輩のことを話したことはない。
少し前に『最近楽しそうですけど、彼女でもできたんですか?』と皮肉交じりに聞かれたことはあったけど、その時も適当にお茶を濁すだけだった。
勿論、先輩は彼女なんかじゃない。まあ、そういう期待がないとは言わないけど。話すに値する人であることは確かだ。
けれど、優香に先輩のことを話したことはない。
なんとなくだけど。この二人を関わらせたくない気持ちが、俺の中で働いているようだった。
なんでだろう……まあ、いいか。
今は週末を楽しみにしながら、勉強をしよう。
589未来のあなたへ4:2009/01/05(月) 17:28:55 ID:8b01TZGy
議長「それではこれより一人緊急対策協議を開始します。案件は敵Aこと片羽桜子への対応について」
強行「殺しましょう」
常識「却下」
分析「目標に対する情報が足りなさすぎます。また、殺人というリスクを背負ってまで排除すべき存在なのか、それすら不明です」
議長「それから、ダブルデートの申し込みについての対応も検討してください」
潔癖「反対します。兄さん以外の男とデートなんて絶対に嫌です」
分析「私は賛成します。片羽桜子に対して情報収集を行う絶好の機会です」
常識「まあ、ダブルデートですから。そこまで警戒するものではないのでは」
潔癖「以前雨宮明義に行ったように、二手に分かれるよう嵌められたらどうするんですか。兄さんと片羽桜子を二人きりにすることになりますし、情報収集すらできませんよ」
打算「もしもそうなったら、私は兄さんに売られたことになりますね。片羽桜子とデートするために」
潔癖「…………」
強行「…………」
分析「…………」
議長「…………」
常識「…………」
打算「禁句でしたか」
強行「その時は片羽桜子を殺しましょう」
潔癖「兄さんはそのようなことをする人ではありません」
分析「私に対する好感度はそれなりにあるはずです。問題は、片羽桜子に対する好感度が不明なことですが」
打算「では兄さんの申し出を受ける代わりに、交換条件を提示して。二手に分かれることができないようにしたらどうでしょう」
潔癖「兄さんとずっと手を繋いでいるとか?」
常識「馬鹿ですか」
分析「後一人誘うというのはどうでしょう。そうすれば奇数になるので二手に分かれてもリスクは減ります」
打算「それなら藍園晶を誘いましょう。適当な報酬で動くはずです」
強行「彼女は信用できるのですか?」
分析「お互いに良心などという物では動いてはいませんから、問題ないでしょう」
常識「兄さんに対する理由付けはそうですね。『以前から約束していた』というあたりでいいでしょう」
議長「それではダブルデートは受けると言うことで」
性欲「ちょっといいですか? デートがどうこうはさておき、私としては。兄さんと片羽桜子が既に性的関係を持っているかどうか、の方が気になります」
強行「殺しましょう」
潔癖「兄さんに限って有り得ません」
分析「ダブルデートという申し出、最長で出会って一ヶ月半という期間、以前に『恋人なんていない』と明答したこと。総合的に考えて可能性は低いですよ」
性欲「会って一日で性行為に及ぶ人間はいくらでもいるでしょう」
常識「兄さんはそのような人間ではありませんし、そのような人間に好かれるような容貌でもないのでは」
打算「まあ、ここに一名ベタ惚れがいますけどね」
性欲「それに、性的関係まで行かなくても、デートをする以上はお互いに好意を抱いている可能性は高いと思われます」
強行「殺しましょう」
性欲「その場合、一刻の猶予もありません。一次作戦をAに切り替えて強姦しましょう」
議長「可能性の段階でそのような賭に出ることはできません。一次作戦Aへの切り替えは最終目的の達成を困難にします」
潔癖「いえ、下手をすると兄さんの童貞が奪われてしまいます。私は賛成です」
打算「しかし、童貞を奪うのはあくまで予備目的。最終目的の達成を優先すべきではないでしょうか」
潔癖「嫌です。兄さんの童貞は私のものです」
強行「まどろっこしいですね。片羽桜子を殺してしまえば一緒です」
590未来のあなたへ4:2009/01/05(月) 17:29:32 ID:8b01TZGy
打算「ただ、兄さんが好意を抱いているとしたら、片羽桜子は私よりも魅力的ということになりますね」
潔癖「兄さんは私の一体何が不満だというのですか」
性欲「胸とか」
強行「ぶっ殺しますよ」
常識「まあ、妹補正でマイナスがかかっているからではないでしょうか。私は客観的に見て、十分魅力的です」
分析「私とは全く違うタイプなのかもしれませんね。その場合は比較対象にはなりにくいでしょう」
議長「議論が後退しています。好意の有無を探るために、情報収集を行うのではないですか」
性欲「そもそも、このような事態になったのは長期戦略の誤りが問題ではないですか?」
議長「私が間違っていたというのですか」
分析「確かに。一年間、所属場所が異なることで監視と対応が遅れる可能性は指摘されていましたね」
強行「こんなことなら足でも折ってさっさと留年させておけば良かったんです」
常識「それはあまりに酷すぎるでしょう。人生から落伍したらどうするんですか」
性欲「何を言っているんですか。最終目的がまともな人生からの落伍そのものでしょう」
潔癖「それに、柳沢浩一の相手をするのもいちいち面倒です。吐き気がします」
分析「メールだけなんだから我慢してください。彼は情報源として、最低でも一年間は必要です」
議長「とにかく。この一年間が危険だということはわかっていました。だからこそ、高偏差値校に進学させ、勉強三昧にさせたのではないですか」
常識「しかし非効率的な勉強方法を刷り込むというのは、将来的に大きなマイナスになるのでは」
議長「過ぎたことを議論しても仕方ありません。今年は凌いで、来年再来年で勝負を賭ける。この戦略に変わりはありません」
性欲「しかしあまり戦略に拘りすぎるのも問題です。兄さんが誰かと性交を行えば、一次作戦Aの効果は半減します。快楽で縛り付けるのも目的なのですから」
常識「それでは取れる作戦が無くなってしまいます」
潔癖「そんなことになったら兄さんを殺して私も死にます」
強行「いえ、それより片羽桜子を」
分析「たしかに。不測の事態が発生した以上、戦略の見直しは必要かもしれませんね」
議長「わかりました。戦略の見直しも視野に入れて、週末に臨むことにしましょう。それでは一人緊急対策協議を終了します」
591未来のあなたへ4:2009/01/05(月) 17:30:56 ID:8b01TZGy
とりあえずここまで。残りは明日投下します。
改行の関係で小刻みになってしまい申し訳ありません。
592名無しさん@ピンキー:2009/01/05(月) 17:31:54 ID:yoqBzRV6
強行派ww
593名無しさん@ピンキー:2009/01/05(月) 17:40:06 ID:vwvBNlbW
これが秘技マサル会議か
594名無しさん@ピンキー:2009/01/05(月) 18:00:46 ID:fDvfUoLI
駄目だ強行たんが面白すぐるwww
595名無しさん@ピンキー:2009/01/05(月) 18:10:52 ID:lDgYHpRv
ダメなゼーレみたいだw
596名無しさん@ピンキー:2009/01/05(月) 18:45:19 ID:ngfiz04p
強行wwってかすげー会議だなw
597名無しさん@ピンキー:2009/01/05(月) 18:51:33 ID:y0DqNZyu
潔癖の思考が性欲よりヨゴレていることについて
598名無しさん@ピンキー:2009/01/05(月) 19:46:19 ID:0Cm5z0wI
潔癖w
599名無しさん@ピンキー:2009/01/05(月) 19:53:44 ID:fmCCfw+R
キモ姉妹は正月休みが明けても兄を実家から出さないんだろうな…
600名無しさん@ピンキー:2009/01/05(月) 20:27:22 ID:5faxC5M5
潔癖たんが潔癖じゃない件について。
601名無しさん@ピンキー:2009/01/05(月) 21:31:40 ID:wg4fhTmz
第一話のピュアな優香はどこへやら
602名無しさん@ピンキー:2009/01/05(月) 21:36:26 ID:unHImGbt
やっぱ面白いな
603名無しさん@ピンキー:2009/01/05(月) 22:02:03 ID:P2W60DQX
作者さんGJ
潔癖たんなのに性欲剥き出しでワロタw

>>601
最初は死にたいとか言ってたのになw
604名無しさん@ピンキー:2009/01/05(月) 22:28:13 ID:bFWD56/g
GJ!

しかし優香はどこへ行くんだwww
605名無しさん@ピンキー:2009/01/05(月) 22:40:24 ID:8iox3di+
脳内会議クソワロタ
606未来のあなたへ4:2009/01/06(火) 08:05:28 ID:eKIsSSlG
後半投下します。
特に盛り上がりもなく終わり。
607未来のあなたへ4:2009/01/06(火) 08:06:51 ID:eKIsSSlG
さて、週末。
柳沢の提案によりダブルデート(というより遊び)に集まった俺たちは、アーケードの広場で無事に合流していた。
「ちーっす! はじめまして。優香ちゃんの友達で、藍園晶っていいます。どうか気軽に晶ちゃんと呼んでくださいっ」
「OK! 俺は柳沢幸一。榊の親友だ、よろしくな!」
「ふふん。僕は片羽桜子。彼等の先輩で三年生をやっている。よろしく頼むよ」
「榊優香です。いつも兄が御世話になっております」
とりあえず、お互いに自己紹介合戦。賑やかだなあ。あ、全員知ってるのは俺だけか。
ちなみに、なんで晶ちゃんがいるのかというと。優香が以前から同じ日に遊ぶ約束をしていたらしい。
それならば、と取りやめようと思ったけど。どうせなら一緒に遊べば良いじゃないですか、という妹の言葉で合流することになった。
「晶ちゃん、久しぶりだなあ。サッカー部はどうなってる?」
「頑張ってますよー。新入生が結構入ったんで、びしばし鍛えてるところです。そうそう。雨宮先輩は高校でもサッカー部はいりましたよ」
晶ちゃんは相変わらず元気だった。背も少し伸びたようだ。短めのスカートにパーカーというラフな服装をしている。
優香は女物のジーンズに厚手のシャツ。いつものポシェットにポニーテールという活動的な格好。
片羽先輩は、裾の長いスカートに、水色のサマーセーター、白いブラウスという服装だった。美人って何着ても似合うんだなあ。
あ、俺と柳沢は、まあ適当なズボンと上着。特筆するようなことはない。
「それじゃ映画いこーぜー!」
「「おー!」」
「おっと。榊君には伝えたが、僕はホラー映画が死ぬほど苦手なので、それだけは避けてくれないかな」
「あ、はいはい。わかってますよ」
「そうなんですか。片羽……さん」
「まあね。優香君だって、苦手の一つや二つはあるだろう?」
「そういえば、優香ちゃんの苦手な物って全然聞かないっすね。何かあるんですか、榊先輩」
「おお、そいつは俺も興味ある! 是非とも教えろ、榊!」
「えー、うーん」
優香の弱点……そういえば思いつかないなあ。昔はちょっと運動が苦手だったけど、今はもうそれもこなすようになったし。
あ、そういえば男関係には弱いかな。美人な奴ではあるんだけど、どうも男というものを怖がっている気がする。
そこまで考えたところで「に、い、さ、ん?」と、腕を思いっきりつねられて、その話題はお開きになった。あいたたた。

映画は、柳沢があらかじめ調べておいたんだろう、すんなり見ることができた。
ハリウッドものの映画で、内容は囚人が銃とかで武装した車を使って、釈放のためにレースをするというもの。
席順は、先輩、俺、優香、柳沢、晶ちゃんの順。多分、柳沢は映画中に手を握るとか、そんなアプローチを考えていたんだろう。実を言うと、俺も似たようなことを考えていた。
けれど映画が始まってしまえば、派手なアクションの連続で。思わず見入ってそんな思惑はすっ飛んでしまった。
あ。そういえば、映画の途中で先輩は薬を飲んでたみたいだけど、大丈夫かなあ。
608未来のあなたへ4:2009/01/06(火) 08:08:11 ID:eKIsSSlG

映画の後は、近くのファミレスで食事を取る。運良くテーブル席が空いていたのでそこに座り、それぞれ注文を終えると。さっき見た映画の話題になった。
「いやー、でもすげえアクションだったよな。特にあのバケモノトレーラーがさあ」
「しかもあれ、CG合成とかじゃなく全部実写撮影らしいっすからね。中の人も大変っすね」
「へーへー、すっごいなあ。俺だったらあんな運転、絶対できないよ」
「あれは映画ですよ。けれど、命懸けの行為を見せ物として金を取るなんて趣味の悪い設定でしたね」
「まあ、囚人だって勝ち続ければ出所できるんだ。それを承知で命を賭けているのだし、その自由があるだけマシじゃないかな」
「あの主人公は思いっきり嵌められてましたけどねー」
「まあ、悪い奴はぶっ飛んだんだからそれでいいじゃん」
「ふふん、そうだね。まあ、アクションは見事だったよ」
そんな感じで映画の話をしていると食事が来た。
みんなランチセットを頼んでいて、先輩だけは小食らしくスパゲティ。逆に晶ちゃんは、追加でフルーツパフェなんて頼んでた。
「いあー、こういうところでパフェ頼むのが昔っからの夢だったんすよー」
「夢って大袈裟じゃね? ウチの女子だって、学校帰りに普通に寄ってるしな」
「あー、あるある。そういえば、優香は頼まなくていいのか?」
「いえ……結構です。私も、あまり余裕があるわけではないですから」
「と言いつつ、晶君の方を恨めしげに見ているのは何故なんだろうね」
現役の運動部で、筋トレも欠かさない優香は、見た目は細いけど結構食う。
けど、そういうのは女の子としてあまり注目されたくないことなのかもしれない。気をつけないとなあ。
その後、これからどうするのかと相談して。柳沢の提案で、ボーリングに行くことになった。
というか、最初からそのつもりで決めてあったんだろう。俺は知っているが、柳沢はかなりボーリングが上手い。
俺はといえば、昔何回かやったことがあるぐらい。優香も同レベルだろう。片羽先輩に至ってはなんと初めてだという。
柳沢としては、ここで優香に良いところをアピールしようとする魂胆に違いなかった。
だが

がっこーん。
「スットラーイック、いえーい!」
「なにいいいい! ここでか!」
「おおー。上手いなあ、晶ちゃん」
「はっはーん。負けたほうが全額支払いデスマッチで、鍛えに鍛えた勝負強さ、見たかー!」
「負けるかこのやろー! 俺だって、この勝負は負けられねーんだよ!」
「おおー、柳沢も凄い気迫だ!」
次の順番を待ちながら、歓声を上げる。スコア的には晶ちゃんと柳沢はデットヒートを繰り広げていた。
柳沢は完全に熱中していて、優香をどうこうとか、そんな余裕はかけらもないようだ。
その優香といえば、さっきからずっと片羽先輩と話している。うーん、タイプは似てるし、意外といいコンビなのかもしれない。
ちなみにスコアは、トップ二人から大分離れて俺と優香。そしてぶっちぎり最下位で先輩だった。
この人の非力さはある種感動もので、一番小さなボールの穴にすっぽりと指が入り、しかも片手ではどう頑張っても持ち上げられない。
下手に投げれば指を折る、ということで満場一致し、よちよちと両手で抱えるようにして投げている。そりゃまあスコアを稼げるわけがない。可愛い。
映画のことといい、成績も劣等生、プロポーションもあれだし、体も弱い。見た目と違って弱点の多い人だなあ。その辺、優香とは正反対だ。
「うっし、取ったあ!」
「榊先輩、次ですよー」
おっと、俺の番か。よーし、投げるぞー。
609未来のあなたへ4:2009/01/06(火) 08:09:50 ID:eKIsSSlG
「運動、苦手なんですね」
「ふう、ふう。まあね。歩く以外で体を動かすこと自体、随分久しぶりだよ」
「体育の授業はどうしてるんですか」
「ふふん、毎回のように休ませてもらっているよ。おかげで成績表のあの項目が恐ろしくて仕方がない」
「しかし、そこまで運動能力が低いと、護身が大変ですね」
「そういえば優香君は柔道ガールだったね。まあ、それに関して僕は手を抜いてるかな。日本は治安が良いしね」
「なるほど」
「と。失礼」
「その薬、映画の時も飲んでいましたね」
「目敏いね。それとも、映画はあまり楽しくなかったかな?」
「いえ、そんなことはないのですが、たまたま目についただけです。多分、兄も気付いていると思いますよ」
「ああ。榊君は知っているが、これは貧血の薬でね。今日は激しい運動をするから、飲んでおかないといけない」
「……飲まないとどうなるんですか?」
「ふふん、大変なことになる。少々ぞっとしないね」
「そうですか、お大事に」
「ところで優香君は胸に対して何かこだわりでもあるのかい?」
「……何故そう思うのですか?」
「いやなに。初対面から胸を凝視されているような気がしてね。見ての通り、これ以上ないぐらい貧相なものだし。ならば原因は僕じゃなくて君にあるのかと思ってね」
「まあ、貧相といっても藍園さんには勝ってますよ」
「ああ、彼女は凄いね。僕は肉付きの問題だけど、晶君は肉付きと骨格のダブルパンチだからね!」
「同情しますよ。もしも人知の及ばない領域があるとしたら、それは胸囲のみ……! 少なくとも、私はそう信じてます」
「まあ、性的魅力という点では、僕よりも君の方が遥かに勝ってるから安心したまえ。誰もアバラの浮き出た裸なんて、好きこのんで見たくはないだろう?」
「よくわかりませんが。どうして私が、片羽さんの性的魅力を気にしなければいけないんでしょうか」
「ふふん、だって君は――――」

「ゆうかー。お前の番だぞー」

「おっと。優香君、君が投げる番のようだよ」
「そのようですね。では」
610未来のあなたへ4:2009/01/06(火) 08:10:54 ID:eKIsSSlG
さて。
その後、もう二ゲームやってからボーリングは終わった。
最終的にトップを取ったのは柳沢で、ビリは俺だった。片羽先輩は、結局一ゲーム目でリタイアしたのでカウントしていない。
ボーリング場のロビーで、それぞれ缶ジュースを手にしながら軽くだべる。
「じゃ、今日はお開きにしよっか」
「気を使わせてすまないね、榊君」
「時間的にもちょうどいいと思います」
「あー、疲れたぜ。まあ、最後に勝ったからいいけどな」
「一応。今日は負けてもいい日だったからー、と言い訳をしておきます」
「ああっと! そうだ優香ちゃん。帰るんだったら、家まで送るぜ!」
「……おい、柳沢」
「兄と帰りますから結構です」
「ぎゃー! くそう榊、俺と変われ!」
「俺も帰るところ同じだっての」
「今のは天然だったのか、柳沢君は中々得難い人材なのかもしれないな」
「まあ、同じ方向に帰る者同士で組めば良いのではないのでしょうか。私達はあちらです」
「俺は向こうだ……」
「僕はこっちの方だね」
「おっと、片羽先輩、わたしと同じ方向ですね。途中までご一緒しませんか?」
「あ、そうだったんだ。晶ちゃん」
「ええ、そうですよ。知らなかったんですか、兄さん」
「ではよろしく頼んだよ、晶君」
「それじゃ、今日はお疲れ様でした」
「「「「おつかれさまー」」」」
みんなでお別れの挨拶を交わして、それぞれ帰途に就く。
一人で帰る柳沢はすごく名残惜しげだった。まあ、優香とはほとんど話せてなかったからなあ。ご愁傷様。
それを言うなら、俺もあんまり片羽先輩とは話せなかったしな。そこはお互い様か。
と。帰り際、晶ちゃんを待たせて片羽先輩が俺に声をかけてきた。
「今日はありがとう、榊君。こんな風に一日を楽しんだのは初めてだよ」
「あ。俺も楽しかったですよ。こっちこそ、ありがとうございます」
「おかげで、今日は少々羽目を外しすぎてしまったよ。明日は筋肉痛確定だね、ふふん」
「大丈夫ですか? また倒れたり……」
「晶君も同行するし、問題ないさ。さて。それじゃ榊君。また会おう」
「はいっ。また明日」
611未来のあなたへ4:2009/01/06(火) 08:11:31 ID:eKIsSSlG

「兄さん」
「なんだ?」
帰り道。
優香と二人、夕暮れに染まる道を歩く。妹から声をかけられるまで、なんとなく無言だった。
二人ともボーリングで疲れていたこともあるけれど。それより、無理して話すような間柄ではないのだから。
あまり仲良くはないかもしれないけれど、兄妹っていうのはそういうものじゃないか。
いや。優香も最近は、俺と普通に接してくれてるよな。受験勉強を手伝って(というか叱咤して)くれたり、こうして遊びに出かけたり。
優香のことは、まだあまりわかってやれていないけど。優香は、少しは俺と仲良くしてやろうと、思ってくれたのかな。
こうして、普通に、自然に話せるぐらいには。
「あの人は、どういう人なんですか?」
「あの人って、片羽先輩のこと?」
「はい」
「どんな人って、改めて聞かれると難しいなあ」
片羽先輩。片羽桜子。
同じ高校の先輩で、高校三年生。
髪がとても綺麗な人で、凄い美人。
背は低めで、全体的に華奢で、プロポーションはかなり悪くて、指がとても細い。
体が弱くて、貧血のための薬を常備していて、初対面の時には倒れていたりもした。
運動が壊滅的に苦手で、学校の成績も悪くて、けれどとても頭が良くて、でもホラー映画が苦手で、絵が上手な人。
連絡が取れなくなることが多々あり、そういう時は学校中を探しても見つからなかったりする。
俺から見ても、弱点というか欠点の多い人だ。
だけどあの人は、それらのことを何一つとして負い目にしていない。
ふふんと笑って、無意味に偉そうに、胸を張って生きている。
俺の知る、片羽先輩とは、そんな人だ。
けど、俺にとっての片羽先輩というのは、どういう人なのか。
…………
「ちょっと変わった人だけど。いつもお世話になってるし、俺も尊敬してるよ」
「尊敬、ですか」
「あはは。それに話してると楽しいしね。今日は優香も話してたろ?」
「楽しいというか、鋭い人間だと私は感じました。それと」
「ん?」
「兄さんは、胸の薄い女性が好みなんですか?」
「ぶふっ! な、なに言ってんだよ。そんなことないって!」
「いえ、申し訳ありません。そうではなく……兄さんは、あの人のことが好きなんですか?」
「あのなあ、優香」
「違うのですか」
ひたり、と妹が俺を見据える。優香の目は、ひどく静かで、深く澄んでいた。
嘘は許さない、そんな目だった。
どうして。真面目で冷静で、成績優秀で、部活動も頑張っていて、はっとしてしまうほど美人で、仲もせいぜい普通の、そんな妹が。
兄とはいえ俺みたいな奴に対して、そんな真剣になっているんだろう。
けれど、妹が真剣だということは痛いほどわかった。
だから、真剣に答えないと。
問われる理由はわからなくても、優香は俺の妹なのだから。
「片羽先輩のことは……さっきも言ったけど、尊敬してるし、普通に好きだよ」
「それは、男女として、ですか?」
「んー、どうかな。それはまだわからないけど。今は、普通に話してるだけで十分かな」
「そうですか」
………………
612未来のあなたへ4:2009/01/06(火) 08:12:19 ID:eKIsSSlG
沈黙。
夕陽の朱に染まる中、二人の影法師が長々と道路に伸びている。
優香がゆっくりと、目を閉じて、また開いた。
「もしも兄さんに好きな人ができたら、私に言ってください」
「い!? な、なんでだよ! どんな罰ゲームだ、それっ」
「兄さんはクソったれ鈍感ですから。何時までも結婚できずに三十を超えられても迷惑です」
「汚い言葉を使っちゃいけません。てか、そんなわけないだろ!」
「ふう。もしかして兄さんは、自分が女心をわかっているとか途方もない勘違いをしていませんか?」
「いや、そうは思ってないけどさ……」
なにしろ、十数年の付き合いがある、今目の前にいる妹のことすら、よくわからないというのに。
「フラれ続けて下らない人間と結婚されても、迷惑するのは家族でしょう」
「ま、待て待て待て、落ち着け優香。いくらなんでも、他人の色恋沙汰に首を突っ込むなよ。優香だって、好きな奴ができた時に俺に口出しされたら嫌だろ?」
「…………。他人ではありません、家族です。それに、文句をつけるわけではなく、ただの助言をしてもいい、というだけです」
「もしかして……俺のこと、心配してくれてるのか?」
「まさか。理由は先程述べた通り、問題を事前に処理したいだけです」
「ふーん」
「何故そこで笑うのですか。また何か勘違いしていますね」
にやりと笑った俺に対して、つまらなそうに腕を組む妹。
けれどどうふて腐れようと、優香の申し出は相談の受付だ。心配していなければ、そんなことは言い出さない。
それとも単に、他人の色恋沙汰に興味があるという、女の子らしい理由なのかもしれない。
本人は男を怖がっているみたいだけど。いや、だからこそ、かな?
そう思えば。いつも『すごい妹』である優香が、ごく当たり前の女の子にも見えて。
手を伸ばして、優香の頭を撫でる。そんなことをしたのは子供の頃以来かもしれない。よしよし。
「な……なんですか」
「んー、別に? それじゃまあ、好きな人ができたら優香に相談するよ、うん」
「そうですか。面倒ですが、将来のためです。仕方ありませんね」
「はいはい」
そんな風にやりとりしながら、並んで家路をたどる。
こんな風に帰るのは、二人とも部活をやっていた中学以来だ。
今日は、デートとしては失敗だったかもしれないけれど。
片羽先輩とはまた明日会えるし。優香と少しは仲良くなれたと思うから、まあいいか。
そうして、その日は帰宅した。明日という日を楽しみにして、眠る。

けれど翌日、片羽先輩は学校に来なかった。
次の日も。
その次の日も。





PRRRRRRRR
PI
「もしもし」
「今日はお疲れさまでした」
「はい。経費は私が受け持ちます。後で領収書を提出してください」
「いえ。デザート程度なら適切な報酬だと思いますよ。別に怒ってはいません」
「それで……片羽桜子の住居は突き止めたんですね?」
613未来のあなたへ4:2009/01/06(火) 08:13:32 ID:eKIsSSlG
以上です。
次は端数挟まず5になります。
614名無しさん@ピンキー:2009/01/06(火) 09:18:40 ID:oIztgDDd
>>612

> 沈黙。
> 夕陽の朱に染まる中、二人の影法師が長々と道路に伸びている。
> 優香がゆっくりと、目を閉じて、また開いた。
> 「もしも兄さんに好きな人ができたら、私に言ってください」
> 「い!? な、なんでだよ! どんな罰ゲームだ、それっ」
> 「兄さんはクソったれ鈍感ですから。何時までも結婚できずに三十を超えられても迷惑です」
> 「汚い言葉を使っちゃいけません。てか、そんなわけないだろ!」
> 「ふう。もしかして兄さんは、自分が女心をわかっているとか途方もない勘違いをしていませんか?」
> 「いや、そうは思ってないけどさ……」
> なにしろ、十数年の付き合いがある、今目の前にいる妹のことすら、よくわからないというのに。
> 「フラれ続けて下らない人間と結婚されても、迷惑するのは家族でしょう」
> 「ま、待て待て待て、落ち着け優香。いくらなんでも、他人の色恋沙汰に首を突っ込むなよ。優香だって、好きな奴ができた時に俺に口出しされたら嫌だろ?」
> 「…………。他人ではありません、家族です。それに、文句をつけるわけではなく、ただの助言をしてもいい、というだけです」
> 「もしかして……俺のこと、心配して%
615名無しさん@ピンキー:2009/01/06(火) 09:19:39 ID:oIztgDDd
>>613
GJです。
優香が何かしたのか先輩に普通に何かあったのか
616名無しさん@ピンキー:2009/01/06(火) 09:20:46 ID:oIztgDDd
>>614で変なのかましてすみません。
617名無しさん@ピンキー:2009/01/06(火) 09:25:46 ID:a6AW97t4
強行さんが出てこないように〜って思ってたら最後なんかあるしw 非常に気になる
618名無しさん@ピンキー:2009/01/06(火) 11:40:45 ID:fjADaAz2
強行ちゃん「SATSUGAIせよ SATSUGAIせよ」
潔癖さん「で、出ました……これが強行さんの48の泥棒猫殺し」
619名無しさん@ピンキー:2009/01/06(火) 12:09:14 ID:TWVXji4S
端数を挟まないと言うことはなんか先輩の生命が不安になって来た!
流石に殺されてはないだろうけど…
何はともあれおもしろかったです
620名無しさん@ピンキー:2009/01/06(火) 13:34:17 ID:9UwbU+zj
潔癖たんと強行たんは俺の嫁
621名無しさん@ピンキー:2009/01/06(火) 14:39:55 ID:QIRMFO7v
GJ!
先輩もただでは引き下がる人ではなさそうだし、楽しみだな。



潔癖「>>620の嫁なんて吐き気がします」
強行「殺しましょう」
622名無しさん@ピンキー:2009/01/06(火) 14:48:06 ID:iscNud29
久しぶりに晶ちゃんがでてきて嬉しかったですよ
623名無しさん@ピンキー:2009/01/06(火) 16:52:44 ID:UsblWni5
GJ
これで片羽先輩もキモウトだったら…
624名無しさん@ピンキー:2009/01/06(火) 18:25:53 ID:5p0XX7Cv
>>613
GJ
好きな人を教えたらその子はこの世からいなくなるわけですねわかります

しかし潔癖たんと強行たんは名コンビ過ぎるwww
625名無しさん@ピンキー:2009/01/06(火) 18:44:30 ID:tISWy8AJ
やはりボクッ子はいいな
そして優香可愛いよ優香
626名無しさん@ピンキー:2009/01/06(火) 21:37:42 ID:ZDkuDW+a
晶も栄養状況が改善されて成長が…と思いきや一部絶望的とかある意味悲しすぎる
627名無しさん@ピンキー:2009/01/06(火) 22:43:01 ID:2ZNAQ/TN
凄い罰ゲームキター!!
628名無しさん@ピンキー:2009/01/07(水) 00:18:37 ID:R7UI4689
>>623
その場合、
晶「たまげたー、まさか片羽さんがキモ姉だったなんて」
優香「フッフフ、わたしたちも恐ろしい先輩を持ってしまったものね」
みたいな展開に
そして三十路未婚の俺涙目
629名無しさん@ピンキー:2009/01/07(水) 11:59:13 ID:SWRZDlnu
5人の姉と4人の妹の姉妹に囲まれる男が、夕方自宅で何かの液体でぐしょぐしょになった自分のトランクス
と一緒に置いてあった紙を見つける。

こんや 12じ おとこを おかす

そうして、唯一信頼がおける一つ上の姉と一緒に姉妹の中に潜むキモウトだかキモ姉を暴き出す。

そんな、きもしまいたちの夜が見たいです。
630名無しさん@ピンキー:2009/01/07(水) 13:01:25 ID:64MSG5O9
you書いちゃいなよ
631名無しさん@ピンキー:2009/01/07(水) 13:56:23 ID:2VkYRB2t
>>629
実は信頼してる一つ上の姉がキモ姉ということか
632名無しさん@ピンキー:2009/01/07(水) 13:59:40 ID:NVJlUA4P
犯人はカメラを持ってる奴
633名無しさん@ピンキー:2009/01/07(水) 14:39:25 ID:3eSbOq99
>>631
犯人はヤス子
634名無しさん@ピンキー:2009/01/07(水) 14:55:44 ID:CrcFjl3s
>>631
何言ってるんだ、全員キモ姉妹に決まってるじゃないか
635名無しさん@ピンキー:2009/01/07(水) 15:16:36 ID:G9mJ0OxM
9人姉妹・・・だと・・・!?
隙が・・・ない・・・
636名無しさん@ピンキー:2009/01/07(水) 16:04:50 ID:c6eNmJGI
男を入れれば10人
更に両親が加わると12人
これ何て大家族スペシャル?
637名無しさん@ピンキー:2009/01/07(水) 16:21:46 ID:D3bCxlC1
一番上の姉と一番下の妹では歳の差も結構なものになっていそうだな
638名無しさん@ピンキー:2009/01/07(水) 16:37:41 ID:QksMgaP+
>>637
っ姉しよ
639名無しさん@ピンキー:2009/01/07(水) 16:41:59 ID:APsBRF3s
つまり、長女をロリ姉にしろと?
640名無しさん@ピンキー:2009/01/07(水) 16:47:11 ID:M038aySY
>>637
5人の姉は五つ子とかの力技を用いるのはどうだ?
641名無しさん@ピンキー:2009/01/07(水) 19:28:01 ID:TRhLboLc
俺も姉妹の数増やして主人公の童貞を狙って駆け引きしあう小説を書こうと思ったんだが、
いかんせんキャラが動かないわ、口調の書き分けがめんどいし不自然になるわで挫折した。
筆力がある人、是非多人数物を書いて欲しい。
642名無しさん@ピンキー:2009/01/07(水) 20:14:04 ID:IcvXPjfq
理論的にいえば双子×3なら6人で口調、特徴3つで済む
643名無しさん@ピンキー:2009/01/07(水) 20:20:30 ID:dKLDZwuH
>>641
修羅場スレで誰かが登場人物が多いと大変だと言ってたな
影が薄くなるキャラも必然的に出て、物語が進みにくいから長編になるとかがあるらしい
読者側も全員の名前覚えるの大変だしな
644名無しさん@ピンキー:2009/01/07(水) 21:37:16 ID:vif9I9Gf
陳腐なハーレムコメディになるのが目に見えてる
645名無しさん@ピンキー:2009/01/07(水) 21:54:30 ID:lwPe3KvS
ゆるさない……俺は許さない……
12人の妹という設定にした奴らを許さない……!
646名無しさん@ピンキー:2009/01/07(水) 22:06:51 ID:xnHVUBCc
あれはあれで偉大な試みだったと思うデスよ。何人かキモウトもいたような気がしたし
647名無しさん@ピンキー:2009/01/07(水) 23:10:35 ID:UhIs8pBC
一人の妹は大切なきょうだいだが、百人の妹は統計に過ぎない
648名無しさん@ピンキー:2009/01/07(水) 23:15:43 ID:q15v4CSF
キモウト一人描写するのにも一苦労する身からすれば、
二桁のキャラを個別に扱うなんてもはや神の領域。
649名無しさん@ピンキー:2009/01/08(木) 00:37:36 ID:WX57Foj6
ヒロインの個別ルートがあるゲームと違って、基本的にSSは一本道だ。
複数人だとどうしても一人当たりの描写は薄くならざるを得ないし、
姉妹関係にある以上ヒロイン同士の関係も書く必要がある。
せいぜい4人ぐらいが実用的な限界だと思う。
650名無しさん@ピンキー:2009/01/08(木) 00:46:48 ID:TYqz13vY
だな
ゲームだと何本も道が作れるから
ヒロイン個別をそれぞれつくるんだが
SSは一本道が基本なので
恋に破れるヒロインがでてきたりハーレムルートになったりと
キャラごとの単独エンドがみれないやつもある

まぁ分岐を作ってキャラごとのエンドを作ってる人もいるがな
651名無しさん@ピンキー:2009/01/08(木) 00:46:50 ID:+hjC9H6H
キモウトプリンセスとかいうSSあったじゃん
かなりカオスな設定だったけど
652名無しさん@ピンキー:2009/01/08(木) 00:50:07 ID:vbChb7Yw
そろそろ淫獣の群れが来てもいい頃
653名無しさん@ピンキー:2009/01/08(木) 10:05:34 ID:nNc5a+1J
おそ松くんのうち1人だけが男とか
そんな6つ子とか

・・・キモキャラはどこいった
654名無しさん@ピンキー:2009/01/08(木) 11:43:35 ID:dfYN6Xev
そろそろ転生恋生の続きが来てもいい頃
655名無しさん@ピンキー:2009/01/08(木) 14:03:02 ID:cCReOOuS
そろそろ永遠の白が来てもいい頃
656名無しさん@ピンキー:2009/01/08(木) 14:39:25 ID:LOohjZC6
そろそろ俺にキモウトができていい頃
657名無しさん@ピンキー:2009/01/08(木) 15:48:37 ID:GHhuVias
>>656にいさーん
 
   / ̄ ̄\ 
  i/ ̄\_
  L_Y_|]_」_ ____
  |・  ・ |  | \  |   |
  | <   |  | \|_|__ |
  | ▽  人丿/ /     ∪
 ○\_/ ○=、
 ||_____|| ||_________∧
 ________________/ 
658名無しさん@ピンキー:2009/01/08(木) 18:54:17 ID:t1rvxhMk
そろそろノスタルジアが来てもいい頃
659名無しさん@ピンキー:2009/01/08(木) 20:11:53 ID:2KFHfiqo
ギモウト
660名無しさん@ピンキー:2009/01/08(木) 21:16:54 ID:NMh63LHQ
エロパロ板では
そろそろ = 三ヶ月  
に相当します。
661名無しさん@ピンキー:2009/01/09(金) 04:15:14 ID:ZpZZnG2+
こんな時間に起きてる者はいまい。
キモウトに気づかれずに家を出て行くなら今のうち・・・
662名無しさん@ピンキー:2009/01/09(金) 04:42:11 ID:j3t81zwD
こんな時間に>>661兄さんはどこに行く気かしら?
私から逃げる気なら
せめて兄さんの服全部に発信機がついてることに気付かないとお話にもならないって言うのに。
663名無しさん@ピンキー:2009/01/09(金) 04:44:57 ID:RG/iqOx8
ミぃつケた…





て弟君じゃないじゃない!
まぎらわしいのよ!
このっ!このっ!
664名無しさん@ピンキー:2009/01/09(金) 04:46:10 ID:RG/iqOx8
ごめん
665名無しさん@ピンキー:2009/01/09(金) 06:51:13 ID:vCaXwmlb
俺もキモウトに愛されたい
666名無しさん@ピンキー:2009/01/09(金) 09:30:03 ID:bBSgeaZ/
百万円使ってキモウトとキモ姉から三日間逃げ切ったら縁切り
捕まったら一生監禁される

そんなゲーム出ないかな
行き先と選択肢間違えたらゲームオーバー
667名無しさん@ピンキー:2009/01/09(金) 09:34:31 ID:oAFRwCpe
せっかくだから俺はわざと監禁されるぜ
668名無しさん@ピンキー:2009/01/09(金) 12:57:32 ID:d3mu/Z9D
監禁される間際に

どうして、どうして、何で俺がぁぁ!!
と叫ぶんですねわかります
669名無しさん@ピンキー:2009/01/09(金) 13:15:52 ID:/lAq8iRv
デスノート??
670名無しさん@ピンキー:2009/01/09(金) 15:04:52 ID:gd50TGvv
キモアネ/キモウトなら発振機なんて必要ないだろ。
特に何の理由も無く、素で探知されそう。
671名無しさん@ピンキー:2009/01/09(金) 16:19:26 ID:XtjwXlJz
女のカン・執念は尋常じゃないぞ、あれは怖すぎる…

赤の他人でもそうなのだから、+身内の情 が追加されたらどうなることやら… 
672名無しさん@ピンキー:2009/01/09(金) 16:47:30 ID:mqO21eZr
ある日キモウトは『アニノート』を拾う。
・これに書かれた兄は、思いや言葉とは無関係に、書かれた事を必ず実行してしまう。
 ――すらさらすら
『今夜、兄は、私をレイプする』。
そして、夜。兄は「違うんだ、違うんだ!」と叫びながらキモウトをレイプ。
罪悪感から言いなりになって、二人は一生幸せに暮らしましたとさ。
でめたしでめたし
673名無しさん@ピンキー:2009/01/09(金) 16:50:35 ID:oAFRwCpe
籠の中は最高だったな
674名無しさん@ピンキー:2009/01/09(金) 20:31:01 ID:XRCNxr1x
673…禿げ同。
675名無しさん@ピンキー:2009/01/09(金) 21:03:12 ID:7Y0/lPfJ
仕事から帰って来るなり甘えさせろと抱きついてくる姉

を、拒絶したい
676名無しさん@ピンキー:2009/01/09(金) 22:27:25 ID:D4v1Y9Vg
>>675
分かる分かる
弟に依存してる姉が拒絶されたときの反応と顔と脳内で考えてる事が見たい
そんでそのあとどんな行動に出るのかwktkしたい
677名無しさん@ピンキー:2009/01/09(金) 22:32:25 ID:4aozjFg0
頭の中では自分は無敵だからいくらでも妄想出来るw
678名無しさん@ピンキー:2009/01/10(土) 00:43:39 ID:2w+GAlKB
>>666
それちょっと読んでみたい
679名無しさん@ピンキー:2009/01/10(土) 01:10:15 ID:Mw7vAOXn
強気なキモ姉に「そんなことする姉さんなんか嫌いだ!!」って言うと
どうなるんですか?…ちょっと言ってきてみます
680名無しさん@ピンキー:2009/01/10(土) 08:15:34 ID:gHbOhwK5
キモウトもキモ姉もちょろいぜ
681名無しさん@ピンキー:2009/01/10(土) 08:35:58 ID:320yqiYS
とりあえず>>679はどうしたんだ?
7時間レスなしだが。
682名無しさん@ピンキー:2009/01/10(土) 10:34:11 ID:xKg+9Tmg
>>679
拉致監禁調教→性交妊娠出産
683名無しさん@ピンキー:2009/01/10(土) 10:39:46 ID:6sV3sLcf
>>681
いずれにせよ,>>679さんはもはや書き込みなど出来ない所に行ってしまったのですね
684名無しさん@ピンキー:2009/01/10(土) 13:04:45 ID:OFyjrG5e
奥さまは実姉だったのです!
685名無しさん@ピンキー:2009/01/10(土) 13:28:01 ID:nkx2Wfjn
>>679の父です。
 生前は679が大変お世話になりました。

 679ですが、残念なことに姉のベッドに全裸でくくりつけられ、ショック死しているところを発見されました。
 姉も、679と……大変申し上げにくいのですが……679に上に折り重なった状態で全裸死体がありました。
 解剖の結果ですが、姉の膣内には679の多量の精液が、679の胃内にはバイアグラや興奮剤の未消化分が
多量に発見されました。
 側の机には、大好きな弟と天国で夫婦になると書かれた書き置きがあり、遺書だろうと警察では見ている模様です。

 ただの仲が良い姉弟と思っていたのですが、因果は巡るというか、これが近親相姦の呪いなのかと思うと
自らの所行に深く思いを馳せざるを得ません。
 私も、今から妻であり妹であった最愛の人をこの手に抱きながら、皆様にご迷惑を掛けた報いを精算させていただこうと
思います。妻も笑顔で共に逝けて嬉しいと言っております。

 どうか皆々様方には、この悲しき事件を、親の資格のなき、タブーを踏みにじった者が子供を作った報いと思っていただき、
子達への非難や批判は全て私達のせいであるとお含み置き下さい。
 どうか、679や姉をそっとしてやってくださいますよう、これが最後のお願いでございます。

 それでは、皆様。ごきげんよう。
686名無しさん@ピンキー:2009/01/10(土) 16:03:44 ID:fm2CSgkl
>>685

「お願い…で…ございます、と。よーし完成ー。
679ちゃんの身代わりになってもらったあの人には悪いけど、しょうがないわ、わたしと679ちゃんの幸せのためだもの。
でも、そもそも679ちゃんというものがあるこのわたしに、ナンパなんかしてきたのがいけないのよね。
やたら迫ってきたから思わず顔面つぶしちゃったけど、結局おもわぬところで役に立ってもらえたわ。
わたしの身代わりがあの泥棒猫っていうのが気に入らないけどね。

さーて、遺書通りにお父さんとお母さんの始末をつけてこなくっちゃ」
687名無しさん@ピンキー:2009/01/11(日) 01:10:30 ID:oZF7lYZa
キモ姉Koeeeeeeeeeeeeeeee!
688名無しさん@ピンキー:2009/01/11(日) 01:13:59 ID:qK2Q5rr3
679羨ましいいいぃぃぃぃ!!!
俺にもキモ姉くれ!!!
キモウトなんて全然いらないからさ!
689名無しさん@ピンキー:2009/01/11(日) 01:29:12 ID:eGRF4a/1
今日未明、〜県在住の>>688さんと妹の○○さんが行方不明になりました

>>688さんは「コンビニに行く」と行って家を出てから行方がわからなくなっており

5分ほど遅れて家を出た○○さんの行方もわからなくなっていることから
〜県警は二人が事件に巻き込まれた可能性があるとして捜査しています
690名無しさん@ピンキー:2009/01/11(日) 01:46:30 ID:VA84KB75
test
691未来のあなたへ5:2009/01/11(日) 02:06:23 ID:Q/D96k9j
投下します。
話が進むごとにキモウト分が薄くなっていくのはスレ的にどうなんだろう。
692未来のあなたへ5:2009/01/11(日) 02:07:31 ID:Q/D96k9j
コンコン
「どうぞ」
「失礼します」
「おや、誰かと思ったら優香君じゃないか。よく此処がわかったね」
「藍園さんに伺いました。こんにちは、片羽先輩。こちらお土産です」
「おっと、ありがとう。鉢植えだね、飾っておくよ」
「それにしても、変わった部屋ですね」
「ああ、僕の部屋に入る人は大抵そう言うんだ。ちょっと、らしくないからね」
「体に障ったりはしないんですか?」
「大丈夫。僕の問題は別のところにあるからね」
「なるほど。というと?」
「ふふん。恋することのできない病、さ」
「は?」
「ところで榊君は一緒ではないんだね」
「ええ、まあ。私も、帰る時に思いついただけで、兄さんは違う学校ですから」
「なるほど。特に一緒に来る理由はない、ということかい?」
「そうです」
「優香君は。お兄さんとは、あまり仲は良くないのかな」
「兄さんに聞いたんですか?」
「まあね。榊君は、自慢の妹だとベタ褒めだったよ」
「兄さんは兄さんで、私は私です。別に、わざわざ……仲良くする必要は、ないと思います……が」
「なにか苦しそうだけど大丈夫かい、優香君」
「問題ありません」
「つまり一般的な兄妹の距離感、ということだね。僕はてっきり、何か榊君を恨んでるのかと思ったよ」
「……何を根拠に」
「ああ、気分を害したなら謝るよ。わざわざ来てくれた客人に不躾過ぎたね。この通り」
「いえ、頭を下げられても困ります。それより何故、そう思ったんですか?」
「まあ、そこは環境と勘、さ」
693未来のあなたへ5:2009/01/11(日) 02:08:33 ID:Q/D96k9j
片羽先輩が学校に来なくなって一週間が経った。
あの人とはまだ、連絡が取れない。

「はあ……」
「なんだなんだ榊。今日も冴えねーな」
「ああ……ん、まあな」
「あの先輩にフラれたのがそんなにショックなのかよ。もう一週間なんだし、いい加減吹っ切ったらどうだ?」
「フラれてねーよ!」
「どおお! 落ち着け榊! ギブギブ!」
「そんなんじゃなくて……連絡が取れないだけだよ」
「それをフラれたってーか自然消滅って言うんじゃね?」
「………」
「絞めんなって! わかった、なら会いに行けばいいじゃねーか!」
「先輩のクラスも見て来たんだけど、どうも休んでるみたいでさ……それも心配なんだよなあ……」
「風邪でもこじらせてんじゃね? まだ六月に入ったところだけどよ」
「かもしれないけどさ……だったらお見舞いぐらい行きたいよ」
「家、知ってんのか?」
「わからない……徒歩通学だから、学校の近くだとは思うんだけど……先輩のクラスに行っても教えてくれなかったし」
「あー、個人情報だから仕方ねーな。ていうか、上級生のクラスに毎日顔出してたのかよ。必死すぎ」
「美術部にも顔を出したけど、先輩の家は知らなかったし……あの人、友達いないみたいだ……」
「ふーん。人当たり良さそうな先輩だったけどなあ。美人だし」
「はあ……」

教室での昼休み。食事もそこそこに、机に突っ伏してため息をつく。
この一週間、ため息ばかりついている気がする。
ため息の原因を何とかしようと、できる限り動き回ってみたけど、結局手がかりは得られなかった。
最初は。部活を尋ねていけば、先輩の友達にでも住所を聞けるかと思ったけれど。柳沢の言うとおり、先輩に友達がいないのは誤算だった。
携帯は、やっぱりずっと電源が切れていて。それでも、毎日何回も短縮を押し、メールを打ってしまっている。
それでも諦められず、毎日先輩のクラスに顔を出したり、先輩と一緒に話した場所をうろついてるけど。傍から見ればストーカーなのかもしれない。
けれど……会いたかった。先輩に、会いたかった。
元々、連絡の途切れることが多い人だったけど。一週間も会えないというのは初めてだ。
いや……携帯番号を交換する前は、普通にそれくらいは開いていた。そのときは何てこともなかったけど、今はこんなにも、胸が掻き毟られる。
なんでだろう。
何度も、何度も。日曜日の最後、別れ際に笑った先輩の姿を思い出す。そのときの言葉を思い出す。
『それじゃ榊君。また会おう』
『はいっ。また明日』
あのときの俺は。なんの疑いもなく、次の日もまた片羽先輩に会えると思っていた。
けれど今思えば先輩は、また明日という約束に答えなかった。
あの人は、次の日に会えないと知っていたんだろうか。
けれど、また会おう、と言っていたじゃないか!
あの人の声が、聞きたかった。片羽先輩らしく、また胸を張ってほしかった。
けれど、今の俺には待つことしかできなくて。ああ、先輩に会いに行きたい、会いに行ければいいのに。

「となると、後は夜中に職員室に忍び込んで名簿を盗み出す! とかどうだ?」
「するわけないだろ……」
「ホントにしおれてんなあ。そこはツッコめよ」
「はあ……」
「後はそーだな。あー、そういやボーリングのとき、あっちの方向って言ってたよな」
「そういえばそうだけど。方向だけわかっても仕方ないだろ、どれだけ行けばいいのかもわからないし……」
「いや、ほら。たしか優香ちゃんの友達が、一緒に帰ってたじゃん。途中の道順ぐらいならわかるんじゃね?」
「!」
694未来のあなたへ5:2009/01/11(日) 02:08:59 ID:VA84KB75
そうだ……そうだ! あの日、晶ちゃんは先輩と一緒に帰ったんじゃないか!
もしも晶ちゃんの家のほうが遠かったなら、先輩の家まで付き添ったかもしれない!
そうだ、聞こう。今すぐ聞こう。落ち着け、俺。
晶ちゃんは携帯を持ってはいない。連絡を取るには放課後中学校に行くしか……いや、この時間なら!
自分の携帯を取り出し、アドレスから短縮を呼び出してプッシュする。
PRRRRRRR
PI
『もしもし。なんですか、兄さん』
「優香! 晶ちゃんに代わってくれないか!?」



「教えてよかったんですか?」
「不本意ですが、知らない場所で暴発されるより適度に発散した方がマシでしょう。私も放課後に向かいます」
「しっかし、榊先輩切羽詰ってましたよねー。アレはもう惚れてんじゃ?」
「……釣橋効果の一種かと思います。対象への不安を、恋愛感情と混同しているのではないでしょうか」
「なーるほどー。にしても、思い込んだら一直線なところに、ちょっと血の繋がりを感じましたよ」
「兄妹ですから」
「話は戻るんですが。榊先輩も物好きですよね。知り合って間もない先輩をそこまで気にかけるなんて、やっぱり外見は偉大だってことでしょうか」
「おそらく突然の不在期間で、幻想を膨らませてしまったのでしょう。実際に会えば幻滅しますよ。男女関係というのは、適度に離れた方がうまくいくものです」
「え、その発言は妹キャラ的にどうなんですか?」
「私が兄さんに与えるイメージは完璧です。幻滅だなんて、ボロを出すような真似はしませんよ」
「なんか色々墓穴を掘っている気がしないでもないですが。まあ、参考にさせてもらいますから、適度に頑張ってくださいねー」
695未来のあなたへ5:2009/01/11(日) 02:09:51 ID:VA84KB75
先輩に会うため、早退した。
もちろん。本来なら、その日の放課後まで待って、晶ちゃんに教えてもらった住所に向かうべき、だということはわかっている。
けれど、居ても立ってもいられなかった。あと二時間、我慢するなんてとてもできなかったのだ。
柳沢には盛大に呆れられたけど、体調不良ということで口裏を合わせてくれた。感謝。
校門前で、ちょうど来ていたバスに飛び乗る。
自分でも。
自分でも、こんなに片羽先輩に会いたい気持ちが募っていたなんて、思いもしなかった。
教室からバス停まで走りきったせいだろうか、動悸が激しい。どきどき、どきどき。
けれど動悸が激しいのは、もしかしたら運動のせいだけではないのかもしれない。体温が高いのは、陽気のせいだけではないのかもしれない。
夕陽の中で交わされた、妹の会話を思い出す。
『それは、男女として、ですか?』
『んー、どうかな。それはまだわからないけど。今は、普通に話してるだけで十分かな』
あの時、何気なく口にした言葉は、本音だった。
先輩との会話が、勉強ばかりの日々をどれだけ潤してくれたことか。陳腐な物言いだけど、失って初めて気付いたんだ。
バスの停留所案内を見て、自分が何処で降りるべきか確認する。
市立病院。
それが、晶ちゃんから聞いた、先輩のいる場所だった。



うららかな初夏の日差し。
そよ風にはためく、クリーム色のカーテン。
窓から臨む青い空。ざあざあと伝わる、街の発するざわめき。
ある平日の昼間、市立病院の個室で。
片羽桜子はベッドに腰を降ろして、イーゼルに立てかけられたカンバスに筆を走らせていた。
服装は水色の入院着。膝の上には使い込まれたスケッチブック。窓際にはサフランの小さな鉢植え。
壁の一面には彩色の終わったカンバスが何枚も立てかけられ、反対の一面には画材が積まれている。その上には、ハンガーに掛けられた制服。
病室らしく清潔に保たれてはいるが、まるで画家のアトリエのような一室だった。
「ふう」
一息ついて、片羽桜子が筆を置く。小休止。
テーブルに置かれた水を飲み、自分で肩を揉みながら窓の外を見やる。
そのまましばらく病院の庭を眺めていた彼女は、おや、と目を丸くする。
見覚えのある後輩が正門に止まったバスから飛び出して、正面玄関に走っていくのを発見したのだった。
「おお、まだ授業中のはずなんだが……若いなあ、榊君」
696未来のあなたへ5:2009/01/11(日) 02:10:44 ID:Q/D96k9j
「片羽先輩っ、大丈夫ですかっ!」
「やあ、いらっしゃい榊君。ひとまず水でも飲んで落ち着いたらどうかな、ほら」
「あ、はい」
ごくごくごく。
……あれ?
「落ち着いたかな?」
「じゃなくて! その、先輩……」
「ん? ああ。季節の変わり目だから入院してたけど、体調については大分良くなったよ。あと二三日で登校できるんじゃないかな」
「そ、そうなんですか。よかったあ……」
先輩の無事を確認して、へなへなと力が抜けた。此処まで走ってきた疲労がもろに出て、自分の膝に両手をつく。がっくり。
なでなで、とベッドに半身を起こした先輩が手を伸ばして、俺の頭を撫でた。
「ふふん。榊君は可愛いな。よしよし」
「や、やめてくださいよぅ」
わたわたと先輩とじゃれつく。ああ、癒されるなあ……
いや、男としてどうなんだ榊健太、飼い犬みたいな扱いを受けるというのは。まあ心地よいしどうでもいいか。
けど自分で言うのもなんだけど、先輩はちょっと落ち着きすぎじゃないだろうか。俺は平日の昼間に、学校を早退していきなり訪ねてきたんだから、もうちょっと驚いてもいい気がする。
「なに。この窓から正面玄関に入る君が見えただけだよ。さっきは驚いたとも。授業はちゃんと受けないと損だよ」
「ご、ごめんなさい。けど、先輩が入院してるって聞いて。いても立ってもいられなくて」
「入院なんて僕にとっては実家帰りみたいなものさ。珍しい話でもなし、気にしないでいいよ」
「珍しくもないって……あ。もしかして、時々携帯が通じなかったのは」
「ああ。病院では通話禁止だからね。榊君も電源は切らないとダメだからね」
「あ、すみません」
あたふたと携帯電話を取り出して電源を切る。
けど、そうか。先輩が時々連絡途絶するのは、病院にいるから、だったのか。
けれど逆に考えるなら、電話が通じない間は。先輩は入院、もしくは通院していたことになる。
それは……かなりの頻度だ。
平均して、一週間に二日は連絡が取れない日があったのだから。下手をすれば、学校と同じぐらい病院にいることになる。
そんなに、悪いんだろうか。
改めて先輩を見る。白い肌、長い髪、痩せた体、細い指。水色の病院着を着た先輩は、確かに美人ではあるけれど、紛れもない病人だった。
ベッドの脇にはカンバスと三脚、壁際には先輩の描いたと思わしき色とりどりの絵や、画材。窓際には花の鉢植え。壁にかけられているのは、見慣れた高校の制服。
この部屋は確かに、先輩の帰るべき場所だった。けれど、ここは病室なのだ。
観察の中でふと、壁に立てかけられた一枚の絵が目に付いた。見覚えのある絵柄。
「あれ? 先輩。この絵って……もしかして、雨の日にスケッチした、桜の絵ですか」
その絵は間違いなく。桜の季節が終わる頃、あの雨の日に。先輩と一緒に見た、雨に打たれて花びらの散った桜だった。あの時感じた悲しさが蘇る。
「ああ。入院中は暇だからね。昔から、退院中に書き溜めたものに筆を入れて時間を潰してるんだよ」
「…………」
言われて見てみれば。
壁に立てかけてある絵は、みんな俺にも見覚えのある内容ばかりだった。
夕陽に染まる校舎、人の居ない教室、サッカーに励む生徒、桜が満開の公園、青い空と町並。
この人は。
この人は、昔から、ずっとそうやって生きてきたのか。
絵に書かれた内容は、なんてことはない日々の風景ばかりだった。町を歩けば、学校に通えば、当たり前に目にすることのできる風景。
俺にとっては、当たり前すぎて辟易するほどの、ありふれた景色でしかない。
けれど、この人にとっては。この人の生きてきた道程にとっては。
当たり前の風景は。体の弱さと戦って、退院して、薬を飲みながら日々を過ごして、やっと見られるものなんだ。
限られた、その時間に。この細い体で、この細い指で。できるだけ多く描くだけの価値があるものなんだ。
胸の中に、暖かいものと、冷たいものが、同時に満ちて溢れた。
ああ。
697未来のあなたへ5:2009/01/11(日) 02:12:01 ID:VA84KB75
「う、う、う、う、う……」
「な、待て。ちょっと待て榊君。何故、突然泣き出すんだ」
「ご、ごめんなさい。でも……」
「え、えーと。そうだな、とりあえずほら、落ち着きたまえ」
あたふたと先輩の渡してくれたハンカチを受け取り、ぐしぐしと顔を拭う。なんてみっともない、なんてみっともない。この人の前で泣き出すのは二度目だ。
けれど、胸に満ちた感情はなかなか収まらず、しばらくしてようやく衝動は引いていった。消えるのではなく、胸のどこかに、収まる。
珍しく慌てていた先輩も、目に見えてほっとしたようで。
「やれやれ。体に悪いんだから、あまり驚かせないでほしいな。全く、榊君は泣き虫だなあ」
「ご、ごめんなさい……」
「よくわからないが。僕の絵で泣くほど感動してくれたのかな? もしそうなら、端くれとはいえ絵描き冥利に尽きるけどね」
自分で言っておきながら、先輩はあまりそうとは思っていないようだった。どちらかといえば冗談の調子だ。
俺には絵の善し悪しはよくわからないけれど、先輩の絵は普通に上手だと思う。
俺が泣いてしまったのは、絵の内容そのもののせいじゃない。これらの絵が示す、片羽桜子という人の生き方に、だ。
「いえ。先輩の絵はすごく上手だと思いますよ。なんというか、先輩らしくて」
「ふふん、ありがとう。一応、昔からの趣味だからね。褒められると嬉しいよ」
華奢な胸を張って、片羽先輩が笑う。
気付く。
俺は、先輩と話したくて。学校を早退してまでここに来たと思っていたけれど。
俺がこの人から貰っていたのは、言葉だけじゃなかった。
日々の生活は手応えがなくて。未来のことを考えると、辛いことがいくらでも思い浮かんで挫けそうになるけれど。
片羽先輩の。胸を張って、軽く笑って、この世の全てに相対しているその空元気に。俺は、何度も勇気付けられてきたんだ。
空元気だ。
片羽先輩は、優香のような完璧人間じゃない。俺と同じかそれ以上に、弱い部分を抱えた人だ。未来に対して、不安を抱かないわけがない。
それでも、この人は胸を張って笑っている。それなら、俺だって笑っていられるかもしれない。
人間は。どんなに不完全でも笑ってさえいられるなら、人生に堂々と相対できるということを。片羽先輩は、自らの生き方で教えてくれている。
この人に会えて良かった。
「先輩」
「なんだい、榊君」
「俺、先輩に会えて良かったです」
「なんだい、その唐突に死にフラグな台詞は。まあ、僕も榊君に会えて良かったと思ってるよ」
「そのうちでいいですけど。迷惑でなければ、俺も描いてくれませんか?」
「それは……悪くないね。うん、悪くない。いや、喜んで描かせて貰うよ」
698未来のあなたへ5:2009/01/11(日) 02:13:06 ID:VA84KB75
放課後。
榊優香が藍園晶と別れて柔道部に休む旨を伝え、下駄箱で靴を履き替えたところ。
ぶつんとスニーカーの紐が切れた。
「…………」
しばし沈黙してから、榊優香は鞄からGPS受信機を取り出した。兄の鞄に仕込んだ発信器の電波を受信するもので、携帯よりもかなりごつい。
起動。発信器の座標確認……榊健太の公立高校。
確認を終えた彼女は受信機を鞄にしまい、紐はそのままにして靴を履いた。
目的地である病院へのルートを思い浮かべながら、校門を抜けたところで。
しゅたた、と。電柱の陰から飛び出してきた黒猫が目の前を横切った。
「…………」
しばしの沈黙後、榊優香は携帯を取り出して一番上の短縮を押す。
『お客様のお掛けになった電話番号は、電波の届かない場所にあるか、電源が入っておりません……』
榊優香は携帯を耳に当てたまま硬直した。
仮説1
 榊健太は何らかの事情で高校に残っており、携帯は偶然電池切れ。
仮説2
 榊健太は発信機の入った鞄を学校に置いて病院にいる。
「!」
榊優香は即座に、目標地点に向けて駆け出した。
途中、通りがかったアパートの脇に止めてある自転車の鍵がちゃちと見るや、ドライバー(マイナス)を鍵穴に突っ込んで鞄で一撃。がしゃんと鍵が外れた自転車に盗み乗った。この間僅か五秒。
目撃者は幸運にも居なかったが、居ても同様の行動を取らなかったかどうかは定かではない。最短ルートを検索し、しゃかしゃかと立ち漕ぎをする。
激しい運動に息を弾ませながら、彼女は一人呟いていた。
「っ……どうして……!」
どうして。
既に病院にいるとしたら、時間的に榊健太が放課後になってから病院行きのバスに乗ったとは考えにくい。ならば授業を早退したのだろう。この論理は明解だ。
その理由は、それだけ片羽桜子が心配だったからだろう。他に動機などありはしない。この論理もまた明解。
彼女が納得できないのは。どうして、そこまで、片羽桜子を大事に思っているのか、という点だった。
自分が、榊優香がいるというのに。
確かに片羽桜子と、容姿に於いては同レベル……いや、百歩譲って僅かに劣っているかもしれない。けれど他のあらゆるスペックに於いて、上回っているという自負が彼女にはあった。
頭脳も、運動能力も、戦闘能力も、性的魅力も、胸囲も、精神力も、社会性も、耐久力も、全て。勝っているはずなのだ。
全く違うタイプだというのなら比べようがないかもしれないが、この目で見るに二人の持つ方向性は同じのはずだ。
なのにどうして、劣った方を大事にするのか。
「どうしてっ……!」
その時道半ばで。向かい側から歩いてくる榊健太を発見。
急ブレーキしながらハンドルを切った。道路を横断。途中で迫る障害物を回避回避。
甲高いブレーキ音とクラクションを尻目に、榊優香は目を丸くした兄の元に到着した。
「にい……はーっ、はーっ……さん」
「ななななな、なにやってんだよ優香! 大丈夫か危ないじゃないか!?」
「問題、ありません……ふぅ」
ハンドルに体を預けて肩で息をする榊優香。優等生のイメージなど、どこかに飛んでいってしまっていた。
とはいえ、外面を取り繕うことに関しては年季が違う。深呼吸数回とハンカチで、普段の落ち着きを取り戻した。今更かどうかはさておき。
「兄さん。病院は?」
「あ、ああ。もう行って来た。さっきまで先輩と話してたんだけど、診察の時間になったから帰ることにしたんだ」
「授業を早退して、ですか」
「う」
「兄さん。兄さんは私が今まで散々言ってきた、学生の本分というものを理解しているんですか。放課後に何をしようが勝手ですが、学生として授業を無断で欠席するなどと……」
がみがみ。
以後五分にわたり説教タイム。
あーあーあー、と耳を押さえながら榊健太は自宅に向かって歩き出す。後ろからきこきこと自転車を引きながら、妹が続く。
699未来のあなたへ5:2009/01/11(日) 02:13:52 ID:VA84KB75
しばらくして、ようやくS気を満足させた榊優香が一息をつく。それを見計らって、兄は話題を変えようと話しかけた。
「そういえば。その自転車、どうしたんだ?」
「急いでいたので。一日だけ友達から借りました」
「へえー。そうだ、どうせなら二人乗りで帰るか? 俺が漕ぐからさ」
「ん……危なっかしいですね。体力も衰えてるでしょうし、大丈夫ですか?」
「んなおじいさんみたいに扱うなって。大丈夫だよ、ほら。どいたどいた」
ひょい、と榊健太が妹を押しのけてサドルにまたがる。榊優香はやれやれ、という顔だけして喜び勇んで荷台に腰掛けた。横座りである、無論。
「まあ、私も少々疲れましたから利用させてもらいますが。転倒したら迷わず逃げますからね」
「はいはい」
妹が兄の原に両腕を回す。落ちないようにという名目で強く、広い背中に上半身を押し付ける。計算。以前よりも胸は大きくなっているはず。いや、胸筋だから硬いのか?
知ってか知らずか。兄はよいしょと声をかけて、自転車を漕ぎ出した。
日は傾き始めていたが、まだ夕方には遠い。青空の下、二人乗りの自転車は家路を辿る。
「そういえば。お見舞いに行かなくてもいいのか? わざわざ自転車まで借りたのに」
「また後日にしておきます。ここで兄さんと別れて病院に行くというのも、非効率的ですし」
「んじゃ、また明日にでも一緒に行くか」
「明日ですか? 病人に対して、毎日押しかけるのも迷惑ですよ」
「う、そうかな」
ぐい、と角を曲がるときは二人一緒に体を傾ける。押しa付けられる体と体。
制服に包まれた兄の背中は、彼女が普段妄想する通りの広さと暖かさがあった。
地面をかむ車輪と、ゆっくりと漕がれるペダルの、一定のリズム。
穏やかな気分で、目を閉じる。久しぶりに、本当に久しぶりに、彼女は一切の計算をやめた。
頬を撫でる風さえも、自分達を祝福しているような気分。
「こうして二人乗りなんて、初めてじゃないでしょうか」
「んー、そうかもな。小学校の頃が一番自転車使ってたけど、昔から優香はなんていうか大人びてたしな」
「老けていた、と言いたげですね」
「ああ、そうかも」
「そういう兄さんは、昔からガキッぽいところが抜けませんね」
「ひでえ! ……ってまあ、お互い様か。考えてみれば俺たち、正反対な性格してるよな」
「それは私が心から感謝することの一つですね」
「うおい!」
その言葉に嘘はない。榊優香は心から感謝している。
比翼連理。
互いに互いを補い合う在り方の形。榊健太とそのような形で生まれてきたことに、榊優香は心の底から感謝する。
欠けた自分を補う欠片を持つのが、この榊健太であることに。榊優香は心の底から感謝している。
そんな妹の心を、兄は知らず。
そして妹もまた、兄の心を知らなかった。
「……なあ、優香」
「はい。なんですか、兄さん」


「俺……好きな人ができたよ」


『もしも兄さんに好きな人ができたら、私に―――――
700未来のあなたへ5:2009/01/11(日) 02:15:02 ID:VA84KB75
その日の夜。
僕……片羽桜子は、市立病院の個室にて午後九時に就寝した。
早すぎると言うなかれ。今日は榊君の相手もしたし、何よりずっと絵を描いていた。
休憩を挟みながらとはいえ、結構集中力を使うんだよ、創作活動というのは。
そもそも消灯時間が午後九時だし、入院しているなら体力の回復が優先されるべきじゃないか。
入院中に趣味に熱中しすぎで倒れたなんて、本末転倒の見本にされてしまうよ。
まあとにかく。僕は午後九時に就寝したわけだ。ぐう、とね。
そして、ふと深夜――おそらくは午前一時頃に目を覚ました。
何故か? トイレ……おっと失敬。花摘みは就寝前に行っていたので、それは肉体的欲求ではなく精神的欲求だったのだろう。
もっと言えば虫の知らせ、第六感、そんなものの仕業と思われる。さておき。
目を覚ました僕は、ベッドの上で覆い被さる人影に押さえつけられていた。
「――――!」
驚いたよ、そりゃ驚いたさ。
思わず心臓が止まってしまいそうになるほどだった。悲鳴を上げようにも、口元は手で塞がれていたけどね。
だって想像してみなよ。何事もなく一日が終わって、夜中にふと目が覚めたら。真っ暗な病室で、誰かに押さえ込まれてるんだよ。
しかもその上
「助けを呼んだら殺す。抵抗したら殺す」
こんなことを言われてみなよ。これはもう凄まじい恐怖だね。
ただ、その声を聞いて更なる驚愕が僕を襲ったんだ。やれやれ、強すぎる感情は体に毒なんだけどね。
なにしろ、その声には聞き覚えがあったんだから。
折り良く、雲が流れて月光がカーテンの間から差し込んだ。闇に慣れていた僕の目に映ったのは

榊優香君だった。

「…………」
「――――」
信じられるかい? 僕はまた大声を上げそうになったよ。まあ、口元は押さえられていたけどね。
優香君は中学校のセーラー服を着ていた。まあ、紺一色は夜中での迷彩効果は高いかもしれない。
僕を押さえつけている体勢は、布団の上からお腹に乗り、両膝で僕の両腕を押さえ、左手で口を押さえている。
柔道の技なんだろうか。とにかく、僕の四肢は布団と膝に押さえられて、とても満足な動きはできそうになかった。
優香君は、空いた右手でベッドの脇にあるスイッチ……ナースコールを手にとって、そっと手の届かない場所に置いた。さっき自分で言った通り、まず助けを呼ぶ手段から潰していくらしい。
僕はといえばその間、なんとか興奮と驚愕を落ち着かせようと努力していた。
クールになれ、片羽桜子。落ち着いて素数を数えるんだ。素数は孤独な数字。この僕に勇気を与えてくれる。
2、3、5、7、11、13、17,19、23、28、いや違う29だ……ふう。落ち着いて状況を整理してみよう。
状況から判断するに。優香君が病院に忍び込み、消灯後まで人目をやり過ごし、その上で僕の部屋に押し入ってきた、ということになる。正気だろうか。
僕の記憶が確かなら、看護婦の見回りは三時間ごと。そして午前一時という時間感覚が確かなら、後二時間は見回りは来ない。
おっと、今は看護師と言うんだったね。失敬。
具体的な危険についてだが、警告を受けたということは下手を打たなければ殺されることはなさそうだ。僕もまだ命は惜しいんで、これは非常に助かる。
では彼女の目的は何なのか、というと。これが全く謎なのだった。まあ、優香君が話してくれるだろう。
「…………」
す、と。試すように僕の口元から手が離され、喉に当てられる。軽く絞められた。ぐえ。いつでも絞め殺せるというパフォーマンスらしい。
僕が叫びださないのを確認してから、彼女はこの場に来た目的を、口にした。

「兄さんに……これ以上、近づくな。でなければ……殺す。このことを誰かに話しても、殺す」

……ああ。

「なるほど。つまり君は、榊君のことを異性として愛してる、ということか」
701未来のあなたへ5:2009/01/11(日) 02:16:58 ID:Q/D96k9j

驚きではなかった。
何故かって? まあ、それは環境と勘、さ。
榊君から話を聞いていて、どうも彼の人生に優香君が何かと働きかけているようだ、ということはわかっていた。進学とか勉強法とかね。
わからないのは動機だが、あんな働きかけは並大抵の労力じゃできやしない。しかも本人には気付かれずに、だ。執念としか言いようがない。
であるなら、考えられる動機は二つ。榊君にとてつもない恨みを抱いていて、その復讐だという線。
榊君の人生に影を落とす以上、僕としてはこの線だと疑っていたが。どうもこんな風に脅迫にかかるのでは、もう一つの可能性のほうが高そうだ。
即ち、愛ゆえに。
「どうしてそれが、榊君の人生に影を落とすような真似をするのかわからないが。今こうしてるのは、どう考えても嫉妬に狂った末の行動だからね」
「……っ! 私は、兄さんの人生に、影など落としていない……っ!」
「ああ。そういえば愛とは独占欲を伴うものだったね。となると、榊君を進学校に入れさせた理由も説明がつく。いや、すっきりしたよ」
「……今となっては、後悔していますよ」
「榊君と会えたんだ。僕は感謝しないとね」
僕が答えると、優香君の目付きが一際暗く、沈んだ。
腰につけたポシェットを後ろ手で開くと、凶器の柄が幾本も飛び出す。小型ハンマー、ドライバー、ペンチ、ナイフ、釘。
あ、あれ、柔道って素手でやるんじゃなかったっけ……?
右手を宙に浮かせ、指を鉤爪のように曲げて、優香君が言葉を搾り出す。
「片羽先輩も……兄さんが好きなんですか」
……おや?
「待ってくれ、優香君。『も』ということはつまり、榊君は僕のことが好きだと言うのか?」
「……っ!」
ザン!と
優香君がポシェットから抜き出したドライバー(マイナス)が、僕の顔の真横、枕に突き刺さった。
……や、薮蛇だった。今更ながら、ものすごく怖かった。落ち着け、素数を数えるんだ。
運動能力の圧倒的な差で、反応すらできなかったのだが。それが優香君には余裕と取れたようだった。
呟く。
「夜中に押さえ込まれて、殺すと脅されて、随分余裕があるのですね」
「いや、怖がってるよ。けどまあ、常に平静であらんとするのが僕の信念でね」
「……どうして、兄さんは、貴女のような人を……」
ふむ。
どうやら、榊君が僕のことを好きだというのは、ガセネタではないようだった。だからこそ、こうして今日忍び込んできたのだろうし。
まあ、言われてみれば榊君の態度に思い当たる節もないではない。また泣き出したり、絵を描いてくれと頼まれたりね。
ただ、それがどうしてなのか。
どうして、榊君は僕のことを好きになったのか。
そんなものは弓を持った天使でなければわからない……と言いたい所だが。実は推測がないわけでもなかった。
「前にも言ったが。性的魅力では僕よりも君のほうが遥かに上だよ」
「っざけ……!」
「いや、落ち着きたまえ。侮辱してるわけじゃないんだ、ただの事実だからね」
今度はペンチを抜いて振りかざした優香君を必死で止める。日曜大工用具の、そんな斬新な使い方は絶対体験したくない。
それにしても普段の優等生振りとは掛け離れた激情だ。ぱっと見の方向性は似ていても、中身は僕とは正反対だな。
「逆に言えば、僕と君とは外見の方向性は似ている……それが問題だったんだろうね」
「なにを……」
「まあ推測だよ。君のことだから、日々弛まず気づかれないよう榊君にアプローチしてきたんだろう」
間違った勉強の方法論を教え込んだのと同じように。正しいかはさておき、優香君は日々の努力を怠らないタイプだな。
「そしてその効果は出ていたはずだ。君は客観的に見ても、魅力的だからね」
「嘘をつくな! なら、兄さんは、どうして、私でなく、貴女なんかを……!」
「代償行為だよ」
ぴたりと。
優香君が動きを止めた。
頭のいい彼女のことだ。今の言葉で、どういうことか、完全に理解したのだろう。
「欲しいものが手に入らない時。代わりに似たものを手に入れることで欲求を満たす心理的防衛機能。それが代償だ」
「私が……妹だから……」
「そう。榊君は優香君に強い魅力を感じていた。だが優香君は榊君にとって妹であり、恋愛対象にはできなかった。そこで榊君は」
「無意識に。タイプが似ている貴女を……好きになった、ということですか」
「推測だがね」
「…………!」
702未来のあなたへ5:2009/01/11(日) 02:18:07 ID:VA84KB75
優香君が天井を仰いで絶叫した。声を出すわけにも行かず、音はすべて胸の中で噛み殺し、ただ無言で。
まあ……この推測が正しいなら。思いっきり優香君の自爆だからね。彼女は彼女なりにプライドがあるようだし、衝撃も大きいだろう。
そして。
しばらくして、優香君はまた僕を見下ろし……ペンチを構えなおした。
「……みんな殺す」
おいおいおいおいおい。
「私が妹である限り、代わりを求めるというのなら……兄さんに近付く女は、みんな殺してやる」
そう断言した彼女の瞳は。
僕から見ても……ああ。君も、か。
「絶望の向こうには何がある?」
「自由です」
そうだ。
絶望とは何処にも行き場のないということ。行くべき道全てが、閉ざされているということ。
だからこそ、それを乗り越えたとき。その絶望を受け入れたとき、人は自由になれる。
その境地は、無敵だ。
たが、まあ……だとしても。僕もまだ、命が惜しいんだ。
「待ってくれ、優香君」
「待ちません」
だよね。
優香君がペンチを振り上げる。どうも狙いは喉のようだ。まずは助けを呼ばれないように声を潰すというわけか。この期に及んで冷静だね。
だが。冷静だというのは良いことだ。まだ、僕の言葉で止まる余地はある。さて、もったいぶっている暇はないようだ。言ってしまおう。
「僕は榊君と恋人同士になるつもりはないよ」
ぴたりと、優香君の動きが止まった。
後はもう、賭けだ。これを侮辱か嘘か出任せと受け取り、激情と狂気に身を任せるなら僕はまあ高い確率で殺される。
だが。優香君とは、多少なりとも話はした。僕がどういう人間か、僅かなりとも見抜くかどうか。彼女の知性を信じるしかない。
そうして。
「……何故、ですか」
勝った。


「僕は重度の心臓病でね。過度の興奮は心臓に負担をかけ、死を招く。ホラー映画も、過度の運動も、過激なアトラクションも、そして性的興奮……性交も、全て医者に禁じられているんだ」

「言っただろう。僕は恋することのできない病にかかってる」
703未来のあなたへ5:2009/01/11(日) 02:20:40 ID:VA84KB75
以上です。
次は5.5で先輩キャラのスーパースレチタイム。
キモウトスレ的には余分な展開が続く予定です。
704名無しさん@ピンキー:2009/01/11(日) 03:28:52 ID:eGRF4a/1

先輩クールすぎワロタww
705名無しさん@ピンキー:2009/01/11(日) 03:39:26 ID:zwM/GX//
GJ
天国へ行く方法を考えてそうな先輩カワイイ
ポシェットの中身吹いた
706名無しさん@ピンキー:2009/01/11(日) 09:25:55 ID:nGG7kmrb
キモウト分、減ってねー!
だからこそGJ!
707名無しさん@ピンキー:2009/01/11(日) 09:44:44 ID:NeSTnaEU
素数ワロタww
何もともあれGJ!!!
708名無しさん@ピンキー:2009/01/11(日) 11:29:22 ID:4U6lTPL2
GJ
ついに強行たんが表に出たか
709名無しさん@ピンキー:2009/01/11(日) 15:11:19 ID:7TfXZr+j
兄の告白が来た時、優香の脳内はどうなってたんだろう?
710名無しさん@ピンキー:2009/01/11(日) 15:47:03 ID:folK1dXk
あの状況で話術を駆使してうまいこと誤魔化して、キモウトの憤怒をあらぬ方向に受け流している。
この先輩が仮にヤンデレなら、優香はうまく操られたあげくにボロ負け確実だなww
711名無しさん@ピンキー:2009/01/11(日) 16:27:13 ID:CNvS6CIb
GJ!
優香が策士系キモウトのジンクスに打ち勝てますように
712名無しさん@ピンキー:2009/01/11(日) 16:34:07 ID:wqmhZt5E
すごい面白いです。
先輩に勝ってる部分で戦闘力が出てくるところに笑ったw
713名無しさん@ピンキー:2009/01/11(日) 16:58:13 ID:dULsnkWR
ふふん、GJだな
先輩は良いキャラしてるね
714名無しさん@ピンキー:2009/01/11(日) 18:38:19 ID:Cx3v53hq
>>713
出たわね!この泥棒猫!!
715名無しさん@ピンキー:2009/01/11(日) 19:06:14 ID:G5/yvBkW
泥棒猫
雌豚

動物系の罵り言葉って他にどんなのがある?
716名無しさん@ピンキー:2009/01/11(日) 19:18:58 ID:W8y/b4Op
>>715
・鼠がぁ!!
・○○の飼い犬は引っ込んでろぉ!
717名無しさん@ピンキー:2009/01/11(日) 19:36:11 ID:SUzbcBWe
ビッチ(雌犬)
718名無しさん@ピンキー:2009/01/11(日) 20:15:19 ID:P1hz4VvK
三月ウサギは罵りになるかな?ビッチとか尻軽とかのニュアンスで
719名無しさん@ピンキー:2009/01/11(日) 20:56:54 ID:Y7D9adjn
「この女狐がっ!」が抜けてるぜ。
先輩と妹が主軸だが愛染かつら…じゃないアキラの方がどう絡んでくるのか気になる木。
ともあれGJ!
720名無しさん@ピンキー:2009/01/11(日) 21:25:53 ID:eCmgh4J8
「フッカーの成りそこないが私の弟に手を出そうなんていい度胸してるじゃない。
そんなにヤりたいのならそこら辺にうろつている下衆にでも声をかけたらどうかしら?
下品で教養も無い貴方にはとてもお似合いよ。
それで弟には手出し無用に願います。・・・・あら勘違いしないでね。
お願いではないの、命令よ。あなたの意思は関係ないの。
子宮で物事を考える人は理解がなくて困るわ。」
721名無しさん@ピンキー:2009/01/11(日) 21:44:00 ID:W8y/b4Op
この狸もだな
722名無しさん@ピンキー:2009/01/11(日) 21:47:49 ID:002+NXvz
はぁ・・・片羽先輩によしよししてもらいたい・・・
723名無しさん@ピンキー:2009/01/11(日) 21:55:41 ID:YvxxsqBb
先輩は骨を持っているんだろうか……
724名無しさん@ピンキー:2009/01/11(日) 23:13:50 ID:XMMCyV88
ドミネ・クォ・ヴァディス
725名無しさん@ピンキー:2009/01/11(日) 23:22:54 ID:zUqAyg12
>>724
神よ、貴方は何処へ行くのか……か。
ふふっ、詩人だね。
726名無しさん@ピンキー:2009/01/12(月) 00:42:53 ID:/Tha5lXF
「おまえは磔刑だ―――――ッ!」は優香が言いそうな台詞だ

今回の脳内会議では満場一致で「やろう、ぶっころしてやる!」なのか
727名無しさん@ピンキー:2009/01/12(月) 05:56:49 ID:1A07YLBs
>>726
なぜかドラえもんを思い出したww
728名無しさん@ピンキー:2009/01/12(月) 08:18:25 ID:dAhN2sBM
>>726
キモウトだらけ。
……天国じゃまいか!
729名無しさん@ピンキー:2009/01/12(月) 09:02:37 ID:KTzOv+SK
ジョジョ好きなんだなおまいらw
次は潔癖か性欲のターンかな
730名無しさん@ピンキー:2009/01/12(月) 11:06:54 ID:qpGb82rh
>>726
恐慌に駆られた強行さんが、脳内議場で凶行を…
731名無しさん@ピンキー:2009/01/12(月) 12:47:35 ID:2N/scee7
ボクっ娘ふふん先輩かわいいです
732名無しさん@ピンキー:2009/01/12(月) 14:17:23 ID:TnYTzD0X
先輩サイコー過ぎる……
しかしながらキモウトがいい具合になってきたな。
どちらにも、居なくなってほしくないぜ!
GJです!
733名無しさん@ピンキー:2009/01/12(月) 15:03:12 ID:mlr8ErYc
おいィ?GJすぎるぞォ?
734名無しさん@ピンキー:2009/01/12(月) 18:51:50 ID:nC02IVrZ
>>143

735名無しさん@ピンキー:2009/01/12(月) 18:56:48 ID:6NO+Rz+6
GJ! 先輩も優香も可愛いすぎる
736名無しさん@ピンキー:2009/01/12(月) 22:49:42 ID:1k19hBNF
>>728
だが、そこにお前はいないだろう…
キモウトにとって兄以外の人間は全て映画でいうエキストラだからな
737名無しさん@ピンキー:2009/01/13(火) 00:07:52 ID:dNk3IaxQ
姉「弟くんの純潔は頂きだぁ!」
妹「
ッ! やられる!!

その時、彼の着ていた服が……いや、皮膚を含む彼が着ていた肌着が
全てパージされ中から長髪をの少女が現れた

姉「な、何ッ!?」
妹「お兄ちゃんの中に人が……」

なんという失態だ!こんな早期に、この姿を晒してしまうなんて……
あの子に嫌われてしまった……ぁぁ、神よ、俺は……僕は……私は……


下手で本当にスイマセン
738名無しさん@ピンキー:2009/01/13(火) 00:19:50 ID:UP/oVCOl
>>737
ナドレ…
739名無しさん@ピンキー:2009/01/13(火) 00:27:43 ID:5jRYsJHE
てっきり弟くんが拘束衣やら猿轡やら貞操帯やらをキャストオフして
『羽ばたけ、アジアンビューティードリーム』
とか何とか言ってる間に美味しくいただかれる話かと思った
740名無しさん@ピンキー:2009/01/13(火) 04:17:54 ID:riob2dxp
姉妹「お…

オネニ-サマ?」
741名無しさん@ピンキー:2009/01/13(火) 07:48:09 ID:xcpCFgHT
>>740
かしましじゃねえかwww
742名無しさん@ピンキー:2009/01/13(火) 12:54:04 ID:nnuALlk5
>>740
MAZE爆熱時空かよwww
743名無しさん@ピンキー:2009/01/13(火) 13:19:18 ID:jHQJzEoU
「お兄ちゃん(弟)をどこに隠した?」と拷問されそうだ。自分がそうだと言っても
信じるはずもなく…
744未来のあなたへ5.5:2009/01/13(火) 17:21:02 ID:7GyXmKXk
投下します。
内容は先輩キャラの自分語りなので、基本的にスレチです。
キモウトは全く出てこないので、興味ない方は飛ばしてくれて構いません。
745未来のあなたへ5.5:2009/01/13(火) 17:22:21 ID:7GyXmKXk
絶望を越えたなら、自由はそこにある。
世界はなんて美しい。





片羽桜子の奇妙な人生 〜経絡秘孔の一つを突いた、お前は既に死んでいる!〜





僕は片羽桜子だ。命はまだある。
さて。僕という人間を語るとき、どこから話せばいいのか、少し悩むことがある。
過去の僕を語るか、現在の僕を語るか、未来の僕を語るか。
そういう区分分けになるのだが。それぞれのパートでオチがつくので、どのオチを最後に持って来るべきか悩むわけだ。
というわけで、三項目にざっとした内容を設けたので好きなところから見てほしい。
1.過去編(家族のこととか)
2.未来編(病気と心構えのこととか)
3.現在編(今の環境のこととか)
もっとも、そもそも僕の語りなんて興味ない人もいるだろうから、そういう人は全飛ばしでも構わない。どうせ本筋には影響ないしね。
それにこの先は、多かれ少なかれ死を取り扱った話になる。普通の人にとっては卑怯な話題だから、話半分程度に受け取るのがちょうどいいんじゃないかな。
それでは。退屈な話になるだろうが、片羽桜子という人間の半生を語ろうか。
746未来のあなたへ5.5:2009/01/13(火) 17:24:08 ID:7GyXmKXk

1.過去編
愛ゆえに生き、愛ゆえに死す。

僕も今では身寄りはないが、六年前までは家族がいた。父と母、そして僕という核家族構成。
今はもういない。二人とも死んでしまった。
父は僕が見るに普通の人だった。少々頼りないところがあり、お人好しなのが取り柄、そんな人だった。榊君に少し似ているかもしれないね。
僕の病気は生まれつきで、昔から入退院を頻繁に繰り返していた。昔からその世話を見てくれるのは父の役目で、よく背負われては病院に通った。
少し変な話だけど、僕にとって父は兄のような人だった。無論、僕には兄などいないけど、いたとしたらそんな感じだったんだろう。
父自身が実年齢よりもかなり若く見える、要するに童顔だったせいもあるんだろうけど。何より彼自身の性格に、押しというものが決定的に欠けていたのが原因だろう。
総じて、彼は誰かに害を及ぼすことのない人間だった。静かに生きて、静かに消える。僕にもそういうところがあるのは、遺伝なんだと思うことにしている。
今でも時々思う。父の人生は一体なんだったのだろう。
あんなふうに生きて、あんなふうに死ぬ。そこに父自身の意思は、どこまで通っていたんだろう。
それとも僕みたいに、妙な悟りでも開いていたんだろうか。悲しいことのはずなのに。そう思えば少し微笑ましい、というのは不謹慎なんだろうな。
母は、まあ、その、なんというか。
端的に言うと、狂っていた。母は、夫……父への愛に狂っていた。
あの人の人生には、たった二人。父と自分しか存在せず、父と自分しか必要としなかった。他の人間は障害物程度にしか思っていなかったし、それは僕とて例外じゃない。
愛のためならあらゆる倫理を突破する。そういう気性が存在することを、僕は生い立ちから知っていた。優香君も同じ方向性だね。
母自身のステータスはずば抜けたものがあった。僕の美人は母譲りだし、女ながらに大企業の管理職を勤めていたと聞いている。能力が高いだけにその行動を阻止するのは容易ではなく、母は我が家で絶対権力者だった。
その狂いっぷりを示す事例はいくらでもあるんだが。その中でも特大三つを一気に列挙してみよう。
1.父とは実の姉弟。
2.自分の両親(僕にとっての祖父母)を殺害。
3.死因は父との無理心中。
どうだい、酷いだろう。半端じゃない。
747未来のあなたへ5.5:2009/01/13(火) 17:24:44 ID:7GyXmKXk
まず、1のそもそも血の繋がった姉弟という点からおかしい。しかも僕という子供までいる。近親相姦以外の何物でもない。これはちょっと成歩堂氏でも弁護はしきれない。
ただし、父と母が姉弟という間柄にも関わらず、なぜ未婚とはいえ夫婦なのか。その経緯を推測するとき、僕の存在は鍵となる。つまり近親相姦妊娠逆レイプ。つくづく父のお人好しには頭が下がる。
自身が、父を繋ぎ止めるための道具として生まれた。そのことについて思い悩んだこともある。まあ結論から言えば、他にも色々ありすぎてその程度は埋もれてしまったわけだけど。
そうそう。というわけで、優香君が榊君を愛している、という推測に至ったのはこういう環境からだった。僕にとっては前例ありまくりな訳だからね。二回も係わり合いになるとは、一体どういう確率なんだろう。
ちなみに僕がどうやって1の驚愕事実を知ったのかといえば、母は家で父に姉さんと呼ばせていたからだ。おかげで世間に接するまで、姉というのは妻への呼称だと思ってたさ!
2の祖父母殺害についてだが、実のところ裏付けはない。事故死だったとは聞いているけど、当時の状況も詳しくは知らないのだ。
ならばどうしてそう思うのかといえば、父や母の言葉の端々を集積したとしか言えない。たとえばこんな具合だ。
『大丈夫。泥棒猫はお姉ちゃんが殺してあげるから……ね? 父さんや母さんみたいに』『や、やめてよ姉さんっ! 僕が悪かったから!』
ちなみに姉がそんな凶行に走ったとして考えられる動機は、言うまでもないので省略する。それはまあ、普通の親なら絶対認めないだろうなあ。
3は、僕自身が目の当たりにした最後だ。とはいえ、その瞬間を目にしたわけじゃない。ある日退院して両親の待つ家に戻ったら、二人は血塗れでロビーに倒れていた。凶器は包丁。喉と腹がざっくりと開いていた。
ちなみに僕もその場で卒倒して死にかけた。興奮や驚愕で不整脈に陥るようになったのはこの日からだ。全く、これ以上の驚きが一体どこにあるって言うんだろう!
母がどうして父を刺したのか。その理由は未だにわからない。いい加減父も我慢の限界だったか、あるいは浮気でもしてると誤解したのか。もはや永遠の謎だが、僕としては理由をあまり気にしてはいない。
今思えば、理由なんてきっかけに過ぎない。母がああいう人間である以上、遅かれ早かれこうなっていただろう。生きた不発弾のようなものだ。
僕の母は、愛が強すぎた。
愛は人を殺す。
今はもういない、僕の家族から得たものの幾つか。
僕の、色恋沙汰に対する淡白な態度は。こうした精神的な土台からも生まれてきたものだと思う。
そして、この僕の病も。生まれついての心臓病も。
血の繋がった姉弟で愛し合ったことに対する、神様の辻褄合わせなのかもしれないね。
748未来のあなたへ5.5:2009/01/13(火) 17:25:23 ID:7GyXmKXk
2.未来編
死を恐れるな、だが命は惜しめ。

僕は、生まれついて重度の心臓病を負っている。
簡単に言うと、他人よりも心臓の筋肉が弱いという病気で。普段は何とか普通に行動はできるんだが、ちょっとしたことで心臓がパニックになると心不全に陥ったりする。
いわゆる奇病で、治療法はまだ確立されていない。心臓移植が唯一効果があるそうなんだが、僕は体質的に稀なパターンらしく(血液型にもあるよね)かなり絶望的なんだそうだ。宝くじで前後賞がまとめて当たるぐらいの確率だとか。
というわけで、僕はこの心臓と生涯付き合っていかなければならない。今からこいつのことは心臓君と呼ぼう。
心臓君は貧弱な坊やで、興奮するとすぐにばててしまう。それだけなら僕も倒れるだけで済むんだが、心臓君がひっくり返って気絶してしまったりすると、僕はもれなく心停止で死んでしまうという、困った一蓮托生だったりする。
一応、症状を和らげる薬は常備してはいるけれど、市販の風邪薬と同じ程度の効能らしい。ま、それでも無いより余程心強いけどね。
何より大事なのは、興奮しないこと、平静を心がけること。
そうして僕は生きてきた。
興奮を過剰に煽る諸々、遊園地の絶叫系アトラクション、ホラー映画、急激な運動、恋愛、唐辛子。そういったものを能動的に避けるのは勿論ある。
そして、後は受動。突然遭遇した出来事に対しても、驚愕や動揺をしないように、常に心がけていなければならない。
平静であれ、感情を乱すな、クールになれ、素数を数えろ……
朝起きた時から、夜寝るまで。物心ついた時から、ずっと。
生きるために。

そうして、当たり前だが僕は。感情をほとんど表さない人間になっていった。
いいや。表さないだけじゃない。感情というものを、心底下らないと思うようになっていったんだ。
何があっても笑いもしないし、泣きもしない。美しいものを見ても感動などしないし、自分の病状にも失望しない。逆に、そういった事柄に一喜一憂する人間を軽蔑していた。
愛など僕には不要だ。
世界はなんて下らない。
全く、なんて可愛げのないロリだろう。いや、ガキだろう。ラッシュを見開きで五ページぐらい食らわせたいよ。おらおらー。
心が歪めば世界も歪む。
その時の僕には、世界は平坦にしか見えなかった。外に興味を持たず、病院と家と学校を往復する日々。それだけで満足する日々。
勿論、それは僕自身の心が平坦だったわけだが。けれど、決して自ら改めようとはしなかった。
本当は、怖かったからだ。
そう。下らないと決めつけながら、僕は本当は怖かった。恐ろしくて恐ろしくて仕方がなかった。
脅威と興味に満ちた、外の世界が。そして、脅威と興味の果てに訪れる、死が。僕は恐ろしかったんだ。
まさに、取れないブドウは酸っぱい論理。
まあ、結局僕は甘ったれているだけだった。心の底では、いつか病気が治って普通に生きられると思っていたんだからね。
何故なら、自分はこんなにも我慢しているのだから。我慢して生きているんだから、報われないとおかしい、と。
表では世の中全てを興味がないと見下して、裏では死を恐れながら他人から与えられる救いをただ待っている。いやあ、なんて可愛げのないロリ(略)
さて、そんなガキに皆さんお待ちかねの天罰が二度ほど下る。
正に絶望というものを味わい、その衝撃で発作を起こし、二度ほど死の淵を彷徨うことになる。

ところで。ここで脱線するのだけど、まず絶望の定義からしてみよう。おっと、これは単なる僕の持論だからね。
簡単に言うと、絶望とは『どうしようもなさ』だと僕は思う。
ある問題が存在するとして、それが解決可能なものなら。人は怒ったり悲しんだりするかもしれないが、解決のために手段を執るだろう。
けれど、その問題を解決する方法がないのだとしたら。人はいったい、どうすればいいのか。
勿論、そんな問題は幾らでもある。例えば、死など最たるものだ。人間はどう足掻いても死ぬ。それはどうしようもない。だから、死と絶望は強く結びついている。
ただし人間は面の皮が厚くできている。どうしようもない問題は、スルーすることを知っている。深入りしてもどうしようもないことに、わざわざ自分から深入りする人はあまりいない。
だが、問題は時に。問答無用で人間に突きつけられることがある。スルーしようがないほど、どうしようもなく。
つまり絶望とは。『どうしようもない』問題を『どうしようもなく』突きつけられた時に、起こるものだと思う。
問題そのものに絶望するんじゃない。避けようのない問題に対して一切何の手も取れないことに、絶望するんだ。
749未来のあなたへ5.5:2009/01/13(火) 17:26:05 ID:7GyXmKXk

さて、分かり難いあやふやな話はこれくらいにして。具体例にいってみようか。
第一の絶望は、両親の死。
僕がどう足掻いたところで、父と母は生き返らない。
第二の絶望は、余命の宣告。
僕がどう足掻いたところで、僕はあと数年で死ぬ。
いやはや。間を置かずほぼ二連発だったからね。例えるならガゼルパンチからデンプシーロールを食らったようなものだよ。
余命に関しては、以前からわかっていたことではあるんだろうが。両親は本人に伝えないことを選んだんだろうね。で、二人が死んで本人に来ただけのことだ。
これで、いつかは治るなんて無根拠な願望を抱いていたんだから、全くもって。人生はショートで見れば悲劇、ロングで見れば喜劇だね。
ま、数年と言いつつ余命予測は二十代半ばだったのはさておき。
絶望したよ。
某先生風に表現するなら。絶望した! 両親が死んだことに絶望した! あと数年で死ぬことに絶望した! といったところだね。
目の前で無惨に死んでいた両親。近い内に自分も辿る未来。
正に、『どうしようもない』問題を、『どうしようもなく』突きつけられたわけだ。
死のうと思ったよ。
死のうと思って、病院の屋上に登った。
いずれ死ぬのに今死ぬなんて、馬鹿げてると思うかい? けど、絶望の中で何年も生きるなんて、死ぬより余程辛いとそのときは思ったものさ。
いや、これは今でも思っている。死ぬよりも、生きるほうが余程辛い。
病院の屋上に登ったのは、看護師が最も忙しい夕方だった。シーツが取り込まれ、誰もいないがらんとした屋上に、物干し台だけが立ち並んでいた。墓標のようだと思ったよ。
屋上の端まで歩き、フェンスを乗り越える。死ぬと決めたからか、体は妙に軽かった。
病院暮らしが長いから、たまに飛び降りる患者がいることも知っていた。死にたくない人は、足から落ちて両足を折る。だから、頭から落ちないといけないな、と考えてたよ。
フェンスの向こう側の迫り出しに立つ、その向こうにあるのは、夕焼けと朱に染まった街並みだ。
ま、引っ張るのはこれくらいにしておこう。ありきたりな話だが、結局僕は死ぬのをやめた。直前で心変わりしたんだ。
夕焼けと朱に染まった街並みが、あまりに美しかったから。
死に対する恐怖で、世の中全てを興味がないと見下していた僕は。死が確定したことで、やっとそんな下らなさから開放されたんだ。
君は目が覚める音、というのを知っているかい? めりめりと、目ヤニで固まった瞼が痒痛と共に開いていくんだよ。額にもう一つ、目ができたような感じだったよ。
世界はなんて美しい。
そうして、開いた目で自分を見てみれば。
この美しい世界と同じように。僕が生きていることが、急に惜しくなったんだ。
わかるかい? みんなや僕の足元に共通で広がる死の淵が怖いんじゃない。みんなや僕がそれぞれ持っている、命という火が惜しいんだ。
僕の命は、もうすぐ消える蝋燭の火のようなものだ。
だが、それだけだ。それ以上でも、それ以下でもない。数年後には消えるが、まだ消えてはいない。
それが、僕の持って生まれた命で。それをどうするかは、完全に僕の自由だ。
生きるというのは。死を恐れて逃げ回ることじゃなかった。
この命を、どう使うか。生きるというのは、そういうことじゃないか。

750未来のあなたへ5.5:2009/01/13(火) 17:27:55 ID:7GyXmKXk

3.現代編
覚悟は『幸福』だぞエンポリオ!

両親が死んだ後、僕は数少ない親戚から引取りを断固として拒否された。
そりゃまあそうだろう。なにしろ無理心中した姉弟の娘なんだからね。その上重度の心臓病で、祖父母も不審な死を遂げている。忌まわしいことこの上ない。
結局、一応の保護者として大叔父の庇護下に入るけど、基本的に親族とは断交することになった。まあ両親の遺産がかなりあり、当時すでに十四歳だからこそできた芸当だね。

おっと、少し脱線するがここで数字の誤謬を正しておこう。
問:両親が死んだのは六年前なのに、当時十四歳とはどういうことか。
答:僕は今年で二十歳になる。成人式を迎えられる年齢だ。
はっはっは。いや、別に騙すつもりはなかったんだけど。わざわざ言い出すのも変かなあ、と思ってね。榊君には悪いことをしたなあ。
ま、普通に考えれば当たり前で。これだけ入退院を繰り返してれば、当然出席日数も足りなくなる。ちなみに小学五年生で一回、高校二年生で一回留年してる。
ちなみに今年の誕生日は既に迎えているので、僕は既に二十歳だ。名前の通り、春生まれだったのでね。

すっぱいブドウ理論で武装していたせいで、僕には友達というものができたことが無い。そこから自由になっても、出席日数の少なさと留年による大先輩扱いで結局無理だった、まあ仕方ない。
そんなわけで。僕は入退院を繰り返しながら、一人で絵をかいては暇を潰すという生き方を続けてきた。
それができる程度の遺産は両親、そして祖父母は残してくれていた。というか父と祖父母の保険金……まあいいか。
絵を描き始めたのは父の影響だ。といっても、父が絵描きだったわけじゃない。入院中、退屈そうにしている僕に、クレヨンとお絵かき帳を渡したのが父だった、というだけの話さ。
何しろ暇だけは有り余っていたから、才能はさておき腕前は上達していった。画材もクレヨンからスケッチ、パステル、水彩とエスカレートしていったけど、流石に油絵はやめておいた。体力的に。
けれどそのうち、モチーフに行き詰った。前述の通り、僕は外界に関わることが恐ろしかったから。病院周辺の景色ばかり、いつまでも描いていては飽きもくる。
そうして飽きたということで、その時は絵筆を投げ出した。けれどそれは、ただ自分や周囲を上辺だけで誤魔化しただけだ。
本当は、外の世界を描きたかった。
だから、目が覚めた後は。外の世界を描くことにした。
夕焼けに染まる街並みを。青春を謳歌する生徒達を。日々通う平和な場所を。ゆっくりと巡る季節の移り変わりを。それらの景色を目の当たりにした時に抱く、僕の感情全てを込めて。
この美しい世界を、描きたいと思ったんだ。
感動とか悲しみとか、ありのままを感じた末に、倒れたこともよくあったけど。まあ、まだ生きているから結果オーライでいいだろう。その程度のリスクは織り込み済みだ。
それに、理由はそれだけじゃない。その、なんだ、あれだよ。
僕は死ぬまで性交ができない。膜が破れると同時に心臓も破れてしまうからね。HAHAHA。
逆説的に。性的興奮が御法度なら、下手くそ相手ならいいのか? という考え方もあるが、となると僕は童貞専門というすごいレッテルを貼られてしまう。それに童貞でテクニシャンだったらどうするんだ。
ま、冗談はさておき。この場合の問題は快楽ではなく、その結果。つまり子供だ。
僕の体力で妊娠、出産に耐えられるかどうか、がまずかなり怪しい。更に、僕自身があと数年で死ぬのというのに、子供に対して無責任でしかない。トドメに、僕自身の先天的疾患が遺伝しないとは限らない。
色々あるが、僕は子供を残せそうにない。
だからまあ、絵を描くのはその代償行為だ。いずれ消えるこの命を、形にしてこの世界に残したい。それは生物としてごく自然な欲求じゃないかな。
僕が死んだら、これらの絵は数少ない知人に配布してもらうよう、既に遺言状に書いてある。その中には榊君も柳沢君も優香君も晶君も含まれている。何しろ何時死ぬかわからない身だ、頻繁に書き換えないとね。
勝手に押しつけるわけだから、下手くそだと捨てられないよう、一枚一枚できるだけ上手に描いている。それでなくても、僕の人生を塗り込んでいるようなものだ。手など抜けるわけがない。
ま、ただのオナニーにならないように頑張るよ。
751未来のあなたへ5.5:2009/01/13(火) 17:30:40 ID:7GyXmKXk

僕の語りはこんなところだ。長々と退屈な話題ですまなかったね。
最後に、榊君と優香君のことでも話そうか。
榊君と付き合うつもりはない、と言ったのは本心だ。前述の通り、僕は子供を残せない。性交も無理だ。それなら、男女交際を行う理由がない。
それに僕はあと数年で死ぬ。そんなどうしようもないものを、榊君に突きつけるつもりはない。絶望を越えた時、人は自由になれる。だが、越えられなければ屍と化す。
とはいえ、優香君を応援するのかといえば。それもなんだかな、という気もする。
僕は近親相姦自体を否定するつもりはない。何しろ僕自身がその結果だ。自分自身を否定することになる。
問題は純粋に、果たしてそれで榊君が幸福になれるのか、ということだ。
どうも優香君には僕の母と同じ臭いがするんだよな。その願望だけじゃなく、高いスペックで事態をごり押しするところとか、相手の感情を実は全く思いやっていないところとか。
このまま行くと、父のようになんじゃこりゃーと終わりそうな気がしてならない。いや、父が不幸だったかといえばノーと言いたいけど、妙な悟りを開かなければ幸せとは言えないだろうなあ。
榊君には恋愛感情はないけれど、大事な後輩であることには変わりない。せめて卒業するまでは、面倒を見てあげたい気持ちはある。今まで気付かなかったけど、僕は過保護なタイプなのかもしれないな。
あと数年で死ぬからといって、無責任に投げ出したくはないんだ。
僕が死んでも彼等は生きていくし、僕が影響を与えたことは彼等の中で続いていく。
絵と同じだ。遺伝子ではないけれど、この世界に僕が残す生きた証の一つ。それなら、せめて良い影響でありたいよ。

死は不可避だが、僕はそれを恐れてはいない。
胸を張って、軽く笑って、命を好きに使えばいい。
自由な心さえあるのなら、世界はなんて美しい。
ふふん。
752未来のあなたへ5.5:2009/01/13(火) 17:31:59 ID:7GyXmKXk
以上です。
次の話ですが、5.6を入れて先輩キャラと兄キャラがいちゃつくスレチを無駄に続けるか。
さっさと本編6.0に進めてキモウト的展開への復帰を早めるか(6.0も大分先輩キャラ的な話)
どっちにするか悩んでます。
753名無しさん@ピンキー:2009/01/13(火) 18:16:50 ID:DBQyIuhx
GJ。
スレチなら、6,0進んじゃっていいんじゃないか?
754名無しさん@ピンキー:2009/01/13(火) 18:25:26 ID:9S/wHGrH
スレチか……しかし
賭ける(コール)

なんでかって? フフフ……
つまり、「キモウト」や「キモ姉」という力は、ビッグバンより先に存在していて、
全ての兄や弟は彼女らに導かれ、すでに保有されているからだよ。
しかし、これから先輩が 兄になにをしようと…決して…
…逆上して冷静さを失ってはいけないぞ…
755名無しさん@ピンキー:2009/01/13(火) 19:25:50 ID:F3cqqJyc
>>752
はー、先輩ってこういう人だったのね、惚れちまいそうです。
展開に関しては投下スピードとの兼ね合いによるのではないかと思います。5.6の後に間隔が
空きすぎるのなら、キモウト的展開が薄くなってアレだし、いっそのこと書きだめして間を空けずに投下
してみるとか。
756名無しさん@ピンキー:2009/01/13(火) 19:29:47 ID:dNk3IaxQ
>>743
結局男にプットオン
姉妹「これで元の鞘に……戻れるかぁ!!」
757名無しさん@ピンキー:2009/01/13(火) 19:49:02 ID:zUdDulz3
>>752
GJ
過去話で先輩がさらに可愛く見えてきた、特に20歳っていうのがツボだ

>宝くじで前後賞がまとめて当たるぐらいの確率だとか。
これにはちょっと期待してる
758名無しさん@ピンキー:2009/01/13(火) 20:19:52 ID:R+XWuM2p
>>752ーーーッ!
キミが次を書くまでGJをやめない!!
WRYYYYYYYY
759名無しさん@ピンキー:2009/01/13(火) 20:20:44 ID:8FV44M6Y
>>752
GJ
優香には幸せになってもらいたいんだけどなー
無理なのかなー

先輩の心臓にだけはならんでくれと願うばかりです
760名無しさん@ピンキー:2009/01/13(火) 20:20:57 ID:hPzR3FBg
>>752
GJ

先輩がただの好意→恋愛感情になる(気付く)のが楽しみ
761名無しさん@ピンキー:2009/01/13(火) 20:26:08 ID:A2rBI3vU
GJ
こういうのどっかで見た事あるな、何だっけ















走馬灯?
762名無しさん@ピンキー:2009/01/13(火) 21:05:11 ID:UilVZ9Jg
GJ

5.6が先輩とイチャイチャなら5.7でキモウトとイチャイチャすればバランス取れると思うんだ。

個人的にはキモウトが日常どうやって兄にアプローチしてるか読みたい。
763名無しさん@ピンキー:2009/01/13(火) 21:18:59 ID:lDXHaf6Y
先輩イラネ
764名無しさん@ピンキー:2009/01/13(火) 22:17:28 ID:F3cqqJyc
キモスレとしては、先輩の恋愛パートはいらないと言う意見はうなずける所もある。
でも個人的には先輩の恋愛しているとこともみたいんで、スピンオフで素直クールスレあたりで
先輩主人公でひとつ書いてみてくれないかなぁとか思う
765名無しさん@ピンキー:2009/01/13(火) 22:30:15 ID:f5gTUPVX
なんだよこのスレwwww
姉とか妹とか普通にありえないだろwwww
766名無しさん@ピンキー:2009/01/13(火) 22:30:35 ID:f5gTUPVX
t
767名無しさん@ピンキー:2009/01/13(火) 22:31:21 ID:f5gTUPVX
ごめんごめん(笑)
さっきのはうそだよ〜
お姉ちゃんって最高だよね(笑)
768名無しさん@ピンキー:2009/01/13(火) 22:36:19 ID:ovxTY1Nw
>>752
GJ! 個人的には5.6は物凄く読みたい
769名無しさん@ピンキー:2009/01/13(火) 22:57:32 ID:9Pgh9Mu5
長編だし、キモウトの観察者である先輩のエピソードは入ってもいいんじゃないかな
というか個人的にすごく好きなキャラなので、ぜひおねがいします
770名無しさん@ピンキー:2009/01/13(火) 23:14:12 ID:wO0qph0Y
494kbまで来てるのに次スレなんで立てないの?
771名無しさん@ピンキー:2009/01/13(火) 23:21:22 ID:wO0qph0Y
次スレ
キモ姉&キモウト小説を書こう!Part17
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1231856153/
このスレもギリギリで気づいて立てたのでニ連続で次スレ立てずにスレ落ちするとこでした。
772名無しさん@ピンキー:2009/01/13(火) 23:42:01 ID:H+bpnIQT
キモ分がないとおもったらまとめてtxtでうpするとか
別のスレでひそかに投下するとか工夫したほうがいいかもね
773名無しさん@ピンキー:2009/01/14(水) 01:20:07 ID:kLF69/V+
遅くなったがGJ
しかしまた偉大なる謀略家シスターが志半ばで倒れそうなオーラを感じるぜ
774名無しさん@ピンキー:2009/01/14(水) 07:23:38 ID:dBe8oY7O
おっつっつ
経絡秘孔吹いた
775名無しさん@ピンキー:2009/01/14(水) 07:48:37 ID:tEzZNr4I
先輩の話は是非とも見たい
だがスレ違い話はいらないという意見ももっともだ
ということで↓で投下してはくれまいか
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1208076450/
776名無しさん@ピンキー:2009/01/14(水) 08:48:28 ID:DsN6/Lpg
別にキモウト分が足りなくてもこのスレに投下するべき。

読みたくない人はとばせばいいだけだし。
777名無しさん@ピンキー:2009/01/14(水) 10:43:09 ID:roP1JY1d
その一話にキモウト分が足りなくてもキモウトSSの話の一部な訳だしね
778名無しさん@ピンキー:2009/01/14(水) 10:53:53 ID:139TfjDJ
それにこの先輩は優秀なキモウト観察者だ
こういう視点は面白い
779名無しさん@ピンキー:2009/01/14(水) 15:21:08 ID:guZ+K5wT
長編なんだから、それぞれのキャラへの肉付け的にそういうのは欲しいところ。メインはキモ姉妹だけど、他の登場者(特にライバル)の背景は、個人的に話を面白くすると思う。
780名無しさん@ピンキー:2009/01/14(水) 15:45:25 ID:7P9MDFVT
同意
1話がスレチであってもキモウトSSの一部なことには変わりないし、キャラの個性がでてきていいと思う
ただやっぱり5.6と6.0の間隔をあけるとキモウト分が薄くなるから、5.6を載せるなら書きだめして間隔をあけずに両方のせてほしい


てか5.6がよみたい
781未来のあなたへ:2009/01/14(水) 20:49:17 ID:PKjfu72l
意見どうもありがとうございました。
ではしばらく書き溜めてから投下します。
782名無しさん@ピンキー:2009/01/14(水) 21:14:55 ID:pOISKE1Q
駄目だ! 書きためられたら、こちとら欠乏病を起こして死んでしまう!
783名無しさん@ピンキー:2009/01/14(水) 21:58:30 ID:roP1JY1d
>>781
期待してます。
784名無しさん@ピンキー:2009/01/14(水) 22:50:29 ID:kLF69/V+
>>782…キモウト欠乏症にかかって…
785名無しさん@ピンキー:2009/01/14(水) 23:33:10 ID:JGBVWx5o
押してもダメなら引いてみる。
この戦術を使うキモウトを読んでみたい
786名無しさん@ピンキー:2009/01/15(木) 01:01:52 ID:BS10iA69
たまにはキモウトの想いが成就するSSがあってもいいと思うんだ

ねぇ、おにいちゃんもそう思うよね?
787名無しさん@ピンキー:2009/01/15(木) 01:27:30 ID:bCkLuUJW
そうかぁ?
妹の兄に対する想いが実るって…ありえないだろ
でもお前が普通の妹で本当に良かっ…どうしたんだよそんなにびっくりした顔して
俺はもう寝るからな
お前も早く寝るんだぞ
788名無しさん@ピンキー:2009/01/15(木) 15:16:40 ID:QxyhbHy9
インフルエンザの熱で脳がオーバーヒートする中
「血縁が無いからこそ成立するキモウト」という、わけのわからないテーマが浮かぶ。
18歳の誕生日を迎えたその日から、ありとあらゆる手段を使って婚姻届に署名
させようするキモウト…いまひとつじゃ。
皆様も御身大切に。
789名無しさん@ピンキー:2009/01/15(木) 15:31:36 ID:vvmRITjV
 7時〜15時までの8時間。
 15時〜23時までの8時間。
 23時〜7時までの8時間。
 『中身は』その三交替で順次ループし、
 『二つの身体は』毎日24時に順次移り変わってループする。
 表に出る人格は、8時間ごとに兄と妹で切り替わり、
身体は24時を迎えると、らんま1/2みたいに男と女で切り替わる。
みたいなのを思い付いた。
兄は幼馴染みが好きで、妹は兄が好き。
そんで妹は、男の身体から女の身体に切り替わるギリギリでオナニーして、
射精すると同時に女の身体へ。
その後に、精液の着いた手でオナニーして妊娠しようとする……みたいなの。

誰か書いてくれんかな。
790名無しさん@ピンキー:2009/01/15(木) 16:43:51 ID:QxyhbHy9
また複雑な設定を。中身と体の入れ替わりが別周期ってのは描写が…
791名無しさん@ピンキー:2009/01/15(木) 19:35:04 ID:BS10iA69
>>789
Remember11か
792名無しさん@ピンキー:2009/01/16(金) 00:38:57 ID:vCSzjflK
>>788
やあ、俺は風間信。飛行学校に通っている学生さ!
今は同じ飛行学校に通ってる、孤児院時代から妹みたいな存在だった神崎佐鳥と一緒に飲みにいってるんだ!

「やば……ねむ………」
「お兄ちゃん、起きてよ!起きてこれにサインしてよ!」
「サイン?……どこにだよ、したら寝かせてくれるのか」
「ホラ、ここだよ。外泊許可なんだからしっかり書いてね」
「外泊用紙ってこんな色だったかねぇ………酔ってんのか?……と、これでいいかねぇ……ZZZ」
「お兄ちゃん、ありがとうね♪」


「ん……もう朝か?……頭痛い……」
「おはよう、あ・な・た」
「ああ、佐鳥。おはよう………あなた?」


酒で酔い潰されてサインした書類で傭兵部隊に飛ばされたヤツもいるんだ。酒で酔い潰させて適当な事言えば書くと思うぞ。
793名無しさん@ピンキー:2009/01/16(金) 02:45:33 ID:tfEnhBSp
埋めようか
794名無しさん@ピンキー:2009/01/16(金) 02:57:35 ID:uDiHKlya
>>792
黒髪ロングで某国王女の生徒会長がいるんですね
わかります
795名無しさん@ピンキー
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