☆魔法少女リリカルなのは総合エロ小説_第90話☆

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1レティ提督が振り返らせた男、90人
魔法少女、続いてます。

 ここは、 魔法少女リリカルなのはシリーズ のエロパロスレです。


『ローカル ルール』
1.リリカルあぷろだ等、他所でのネタを持ち込まないようにしましょう。
2.エロは無くても大丈夫です。
3.特殊な嗜好の作品(18禁を含む)は投稿前に必ず確認又は注意書きをお願いします。
  あと可能な限り、カップリングについても投稿前に注意書きをお願いします。
【補記】
1.また、以下の事柄を含む作品の場合も、注意書きまたは事前の相談をした方が無難です。
  ・オリキャラ
  ・原作の設定の改変
2.以下の事柄を含む作品の場合は、特に注意書きを絶対忘れないようにお願いします。
  ・凌辱あるいは鬱エンド(過去に殺人予告があったそうです)

『マナー』
【書き手】
1.割込み等を予防するためにも投稿前のリロードをオススメします。
  投稿前に注意書きも兼ねて、これから投下する旨を予告すると安全です。
2.スレッドに書き込みを行いながらSSを執筆するのはやめましょう。
  SSはワードやメモ帳などできちんと書きあげてから投下してください。
3.名前欄にタイトルまたはハンドルネームを入れましょう。
4.投下終了時に「続く」「ここまでです」などの一言を入れたり、あとがきを入れるか、
   「1/10」「2/10」……「10/10」といった風に全体の投下レス数がわかるような配慮をお願いします。

【読み手 & 全員】
1.書き手側には創作する自由・書きこむ自由があるのと同様に、
  読み手側には読む自由・読まない自由があります。
  読みたくないと感じた場合は、迷わず「読まない自由」を選ぶ事が出来ます。
  書き手側・読み手側は双方の意思を尊重するよう心がけて下さい。
2.粗暴あるいは慇懃無礼な文体のレス、感情的・挑発的なレスは慎みましょう。
3.カプ・シチュ等の希望を出すのは構いませんが、度をわきまえましょう。
  頻度や書き方によっては「乞食」として嫌われます。
4.書き手が作品投下途中に、読み手が割り込んでコメントする事が多発しています。
  読み手もコメントする前に必ずリロードして確認しましょう。

『注意情報・臨時』(暫定)
 書き込みが反映されないトラブルが発生しています。
 特に、1行目改行、且つ22行以上の長文は、エラー表示無しで異次元に消えることがあるそうです。
 投下時はなるべく1レスごとにリロードし、ちゃんと書き込めているかどうか確認をしましょう。

リンクは>2
2名無しさん@ピンキー:2008/12/01(月) 12:13:34 ID:dNaI2JUh
【前スレ】
☆魔法少女リリカルなのは総合エロ小説_第89話☆
 ttp://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1227101705/l50

【クロスものはこちらに】
 リリカルなのはクロスSS倉庫
 ttp://www38.atwiki.jp/nanohass/
 (ここからクロススレの現行スレッドに飛べます)

【書き手さん向け:マナー】
 読みやすいSSを書くために
 ttp://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/5301/1126975768/

【参考資料】
 ・Nanoha Wiki
  ttp://nanoha.julynet.jp/
  (用語集・人物・魔法・時系列考察などさまざまな情報有)
 ・R&R
  ttp://asagi-s.sakura.ne.jp/data_strikers.html
  ttp://asagi-s.sakura.ne.jp/date_SSX.html
  (キャラの一人称・他人への呼び方がまとめられてます)

☆魔法少女リリカルなのはエロ小説☆スレの保管庫
 ttp://red.ribbon.to/~lyrical/nanoha/index.html  (旧)
 ttp://wiki.livedoor.jp/raisingheartexcelion/   (wiki)
3名無しさん@ピンキー:2008/12/01(月) 12:16:48 ID:rzAsOdjr
>>1乙&卒寿おめ
4名無しさん@ピンキー:2008/12/01(月) 12:30:16 ID:niwK5H4B
スレ立て乙。とうとう卒寿を数えましたか・・・
5名無しさん@ピンキー:2008/12/01(月) 13:43:15 ID:NrqLFDR/
>>1乙〜。
6名無しさん@ピンキー:2008/12/01(月) 14:26:08 ID:/wzWg4Dd
>>1


>>ID:NrqLFDR/
反応すんのイクナイ
もし次があったら、安価はずせ。削除依頼が通らなくなる
7ぷよ ◆aWSXUOcrjU :2008/12/01(月) 16:14:35 ID:mSAKzb9S
はじめまして。こちらでは初めて作品を投下させていただく、ぷよと申します。
1つ短編モノを書きましたので、これより投下します。
ノーヴェ主役モノで、ちょっぴり百合っぽいような、そうでないような?(ぉ
8ノーヴェの勘違い(前編):2008/12/01(月) 16:15:45 ID:mSAKzb9S
ノーヴェの勘違い(前編)



 性別:不明。
 この無口で無表情な家族の特徴を述べるとすれば、いの一番に浮かんでくるのが、そんな言葉だった。
 少なくとも、不機嫌そうな眼差しを見せる彼女にとっては。
 戦闘機人ナンバー\・ノーヴェの金色の目には、そいつは男とも女とも、どちらともつかぬように見える。
 茶髪を短く切り揃えた頭。彼女自身も、髪の毛は短くまとまっている方だったが、そいつの髪は更に短かった。
 専用のジャケットと長ズボン――ステルス機能を持った装備だ――の上からは、身体のラインは認識しづらい。
 男性の直線的なものなのか、女性の曲線的なものなのか。
 下手をすると、家族の中では目立って平坦な胸の分、十中八九は男でないかとさえ。
 かといって、ジャケットの袖からすらりと伸びた両腕も、男のそれにしては妙に細い。むしろ、前衛型の自分の方が太いくらいだ。
 そして極めつけが、
「さっきから僕のことをじっと見てるけど……どうしたの?」
 この口調である。
 特筆すべきは一人称。
 「僕」という表現は、間違いなく男性の用いるそれだ。口の悪いノーヴェですら、そんな言い回しはしない。
 世の中には、「ボクッ娘」という訳の分からない人種がいるらしい。それは同じ姉妹のウェンディからの情報。
 だからといって、それで納得はできなかった。
 声変わりしていない少年、という線は未だに捨てきれない。そもそもあのいい加減な妹の情報を、どこまで信じていいものか。
「う」
 視線に感付かれたノーヴェは、一瞬言葉に詰まった。
 ぎくり、とした様子で身を震わすと、ばつの悪そうな表情をうつむかせる。
 先ほどまで、彼とも彼女ともつかぬそいつを見ていた視界が、食堂のテーブルを捉えていた。
 ややあって、ようやくそこから顔を持ち上げる。ほんのり頬を紅潮させた顔。
 普段から悪かった目付きは更に悪くなり、じと目で視線の先の人間を睨んでいるようにも見えた。
「……結局、お前はどっちなんだよ」
「なにが?」
 相変わらずの無表情――ナンバー[・オットーが、聞き返した。
 ぼんやりとした眠そうな瞳に、没個性的かつ無感情な声。
 どこかすっとぼけたように見えるそれらとコミュニケーションを取るのが、実はノーヴェは、苦手だ。
 果たして自分の発する言葉は、本当に届いているのだろうか。
 そんな風に思いたくなるのはしょっちゅうだし、事実、今の問いの意味も伝わっていない。
「だから、お前の性別だよ! 男なのか女なのか、どっちなんだって聞いてんだ」
 この手の人間とはどう接していいか分からない。故に苛立ち、語気も荒くなる。
 いかにも機嫌が悪いといった様子のノーヴェの声音が、2人きりの食堂に響き渡った。
 普段はセインやウェンディもいるはずだが、この時は珍しく、彼女ら2人以外の人間の姿がない。
 皆訓練が長引いたり、外回りがあったりといった偶然が重なって、おやつ時でありながら、入室が遅れているのだ。
 前述の2人は、今頃はトーレ直々にみっちりしごかれていることだろう。
 ついでに言えば、オットーと常に連れ添っているディードもだ。
 身内でもまことしやかに囁かれている、オットー男性説。その根拠の1つとも言える、いつもべったりと引っ付いている双子の妹。
 これでもなお女性だとしたら、恐らくそっちの趣味でもあるのだろう。そうまで言われるラブラブぶり。
 そんなディードがいないという状況に、これ幸いと思ったノーヴェは、オットーを食堂へと連れ出したのである。
 理由は簡単。先ほどぶちまけた、かねてよりの疑問の解決のため。
「どうして? どっちの性別だとしても、特に問題はないと思うんだけど」
 だが、その返答がこれだ。
 ああ、やはりこいつは世間知らずなんだな。本気で首を傾げてるあたり、そう実感せざるを得なかった。
 戦闘目的に特化された教育を受けたこいつら最後発組は、それまでの姉妹よりも更に一般常識に疎い。
9ノーヴェの勘違い(前編):2008/12/01(月) 16:17:29 ID:mSAKzb9S
「……その……集団洗浄の時とか……気になるじゃねえか」
 ぶすっとした様子で、視線を逸らしながら呟く。その顔はもうトマトのように真っ赤だ。
 本当に男だったらぶっ飛ばしてやりたい。曲がりなりにも女の自分に、わざわざこんなことを言わせるだなんて。
 仮にオットーが男性だったとすると、そうしたいわゆる入浴の時に、自分は男の前で裸身をさらしているということになる。
 それが前々から気になっていたのだ。
 前述の通り、ノーヴェも曲がりなりにも女。男に素っ裸を見られるというのはいい気がしないし、何より恥ずかしかった。
「なんだ、そんなこと」
 びゅん。ぱしっ。
 今度こそ怒りの鉄拳が飛んだ。そして直撃寸前で止められた。
 改造人間たるノーヴェの拳は、空を切り裂き一直線にオットーへと向かった。
 だが、いかに遠距離戦型の細身の体格といえど、オットーだって改造人間である。そう易々と喰らってやるはずもない。
 片や今にも喚きだしそうな形相で。片やいつものぼんやりとした表情で。
 一瞬のうちに交わされた攻防は、思いっきり不機嫌な顔をしたノーヴェが、席に座り直すことで事なきを得た。
「……でも、ごめん。クアットロ姉様に、性別は隠せってきつく言われてるから」
 それを確認すると、オットーは改めて口を開いた。
「どうしても言えねぇのか?」
「どうしても」
「ホントに?」
「うん」
「くそっ! あの嫌味メガネめ……!」
 忌々しげに、ノーヴェが吐き捨てた。オットーの前でなければ、唾も吐いていたかもしれない。
 元々お世辞にも性格がいいとは言えないクアットロだったが、今日ほど彼女に苛立ちを覚えたことはない。
 大体、何で性別を隠さなければならないんだ。ようやく積年の疑問に決着がつくところだったというのに。
 いや、あの人のことだ。明らかにこうした状況を想定しているだろう。
 12人の姉妹の中に、1人だけ男かもしれない人間がいる。当然、こうした問題も起きてくる。
 こうして自分があたふたしている状況は、まさにクアットロの言葉を借りるならば、「面白い」といったところだろう。
「本当にごめん。……じゃあ、僕はこれで」
 言いながら、オットーが席を立つ。
 恐らくディードのもとにでも行くつもりなのだろう。そのまま入り口をくぐり、食堂を出ていった。
 後に残されたのはノーヴェ1人。普段は大勢の姉妹で賑わうこの部屋の、なんと広く感じることか。
「……となると、ディードに聞いても同じだろうしなぁ……クア姉に聞くのも癪だし」
 左腕で頬杖をつきながら、次なる手を模索する。その態勢のまま、右手のスプーンでプリンを掬って食べた。
 随時と行儀の悪い姿勢だが、今はそれをたしなめる姉達がいない。
 ディードもオットー同様、上からの指示には従順だ。
 いくら何でも、彼女まで性別を知らされてないということはないだろうが、口止めはされているに違いない。
 クアットロなら尚更で、絶対に意地の悪い笑顔と共に軽くいなしてくる。 となれば、取るべき方法は1つ。
「……自力で調べるしかねーな、うんっ」
 ぐっと拳を握りしめながら、ノーヴェが呟いた。
 他人からの情報が全く頼りにできない以上、自分の目で確かめるしかない。
 じっくり、じっくりと。あの何を考えているかも分からない、男とも女ともつかぬ、正体不明の存在の真実を。
 もちろん、そうしたスパイ紛いの仕事など、猪突猛進タイプのノーヴェに経験があるはずもない。
 短い生涯の中でも、初めて実行する情報作戦だ。自然と、彼女の緊張感も高まった。
10ノーヴェの勘違い(前編):2008/12/01(月) 16:18:32 ID:mSAKzb9S
 それからというもの、ノーヴェはひたすらオットーに張りついていた。
 もちろん、面と向かってあれこれと交流を重ねていたわけではない。
 単細胞なノーヴェには、誘導尋問などという発想は浮かばない。そもそもそれの実行にはディードが邪魔だ。
 じゃあどうしたのかというと、そこは要するに、推理モノ・探偵モノのお約束に従ったわけである。
 すなわち――尾行。
 物陰に潜みながら様子を伺った。
 角に隠れながら後をつけた。
 ひどい時には段ボールが動き出した。
 そんなバレバレの尾行をたっぷり2週間は続けながら、ノーヴェはオットーがボロを出す瞬間を待ったのである。
 もっとも彼女自身が、そんなことを微塵も思っていないのだから、なおのこと質が悪かったのだが。
 そんなこんなで今日もまた、曲がり角でじっと息を潜めるノーヴェの姿があった。
 視線の向こうにいるオットーの様子を伺い、時折そっと頭を出しながら。
 思ったよりも、尾行というのは骨が折れるものだ。
 未だ何の手がかりも得られぬノーヴェは、そう痛感する。
 当然自室にまでは侵入できないわけだし、集団洗浄の際も、自分だけ隠れていては感付かれる。
 この際セインに協力を仰ぐべきかとも思ったのだが、どう考えても不利にしかならなさそうだったのでやめた。
(にしても、あたしもよく頑張るよな……)
 缶コーヒーを一口含みながら、内心で呟いた。
 ちなみにこのコーヒー、刑事ドラマの尾行シーンなどで飲んでいたのを、そのまま真似しただけだ。
 まずは形から入らねば、と思って携帯し始めたようだが、やっぱりどこかずれている。
 軽い気持ちから始めた尾行だったが、その割には随分と長続きしているし、随分と頑張っている。
 オットーの性別がどちらなのか。本人いわく「そんなこと」の解明に、随分と躍起になっている自分がいた。
(単純なことの割に……どうも気になるんだよなぁ)
 毎日オットーの顔ばかり見る日が続いているわけだが、そうでもしてないといやに落ち着かない。
 いつしか彼とも彼女ともつかぬそいつを見るのが当たり前になり、そいつのことを考えるのが日課になった。
 だが、それは何故だろう。最初はともかく、今こうして続けている動機は何なのだろう。
 そう考えているうちに、ふと、あらぬ仮説が脳裏をよぎった。
(……い、いや……そんなことはねーよ?)
 ぽっ、と。
 瞬間、ノーヴェの顔に赤みが差した。
 どくどくと鼓動が加速し、上昇した体温がだらだらと汗を流させる。どうみても不審人物。
(うん、そんなことはない。断じて違う。べ、別にアイツ個人のことが気になるとかじゃなくてだな? た、単に疑問がハッキリしないと、もも、もやもやして気持ち悪いからであって――)
「何をしているんだ?」
「うわあああぁぁぁぁ!?」
 仰天。
 どきり、と。
 人工の心臓が脈動を止めるどころか、粉々に吹っ飛ぶかと錯覚するほどの衝撃。
 突然背後からかけられた声に、ノーヴェは大声を張り上げて全身を硬直させた。
 かの忌々しき、機動六課の真竜もかくやという大絶叫。既にオットーがこの場を離れていたことが、幸いとしか言いようがない。
 さながら小動物のように、おどおどとしながら振り返る。そこに顔が見えないのに気付き、更に慌てて視線を落とした。
 銀色の髪をロングストレートにした隻眼の幼女は、ナンバーXのチンクである。
「い、いいいや違うんだチンク姉っ! べ、べべ別に何も怪しいことは、し、してねーですよっ!? 不審人物とかそんなんじゃ全然なくて……」
「いや……先ほどまで、そこで見てたんだが」
 思いっきり不審者全開であたふたする妹へと、半ば呆れたような表情で姉が告げる。
 両者の身長を客観的に比較すると、何ともシュールな光景なのだが、当人達にしてみればこれが普通なのだ。
11ノーヴェの勘違い(前編):2008/12/01(月) 16:19:48 ID:mSAKzb9S
「あ……そっか……」
 先ほどまでの慌てぶりが嘘のように、一瞬で意気消沈となるノーヴェ。
 どうやら、自分が何を熱心に見ていたのかは、もうチンクにはばれていたらしい。しゅんとした様相をうつむかせる。
「オットーと何かあったのか? 姉でよければ、話を聞いてやるが」
 目線を少し動かせば、チンクが若干心配そうに、自分の顔を覗き込んでいる。ノーヴェと同じ金色の目。
 この場にいたのが、この心優しい小さな姉でよかった。これがセインやウェンディならば、今頃どうなっていたことか。
「……最初は、アイツが男なのか女なのか、ってのが気になってただけなんだけどさ……」
 この人になら、話してもいいと思えた。この人なら信じられると思った。
 故に、ノーヴェの口は正直に言葉を紡ぐ。
「なんだかよく分からないけど……気付いたら、アイツのことが気になってるんだ。アイツのこと見てないと、どうも落ち着かなくて」
 いいや、最近に始まった話ではない。
 程度の違いこそあれど、彼女がこうした調査を始める前から、その兆候は見られていた。
 アイツが男なのかもしれない。そう気付いたその瞬間から、いつも心のどこかにその存在があった。
 でなければ、わざわざオットーを呼びつけたりはしない。それも、2人っきりの時を狙ってなど。
「何か、変だよな……どうしたのかな、あたし……?」
 僅かに困ったような表情を浮かべ、ノーヴェが問いかけた。
「うむ……」
 眉間に皺を寄せ、チンクが小さく唸る。
 己が右手を顎に当てると、そのまま思考の態勢へと移った。
 難しい問題であることは、なんとなくだが理解している。でなければ、チンクに答えを求めたりはしない。
「……そうだな……」
 どれほど沈黙が続いただろうか。思考の海へと意識を沈めていたチンクが、静かに呟く。
 胸をどきどきとさせながら答えを待つノーヴェへと向けて、口を開いた。

「要するに……惚れたんじゃないか?」

「……なななななななんなあああぁぁぁぁぁぁっ!?」
 再度、ノーヴェは飛び上がる。
 平静はほんの一瞬で粉々に打ち砕かれ、顔面は耳に至るまで真っ赤に染まった。
 チンクの思考を見守っていた時とは、比較にならない激動が、心臓から五体全てへと伝達されていく。
 頭から湯気でも出ているんじゃないのだろうか。そう錯覚させるほどの狼狽ぶり。
「いや、姉も色恋沙汰に詳しいわけではないのだがな? だが、前にウーノから聞いた話と照らし合わせると――」
「ちちち違う違う絶対違うからっ! そそ、そんなアイツのことなんて、す、す、す、好きとも何とも思ってないってば! それじゃっ!」
 真っ赤にした顔全体を汗ばませて。その前で両手をブンブンと振り回して。
 チンクが言い終えるよりも早くに盛大に喚き散らすと、そのまま一目散に逃げ出した。
 電光石火。疾風迅雷。ジェットエッジより速いんじゃなかろうか、これ。
 ぴゅーん!という擬音が聞こえてきそうな見事な逃走の後、取り残されたのは、半ば呆然とするチンク1人。
「……私は何か、おかしなことを言ったのだろうか?」
 ふぅむと小さな首を傾げながら、心底怪訝そうな響きと共に呟いた。
12ノーヴェの勘違い(前編):2008/12/01(月) 16:21:16 ID:mSAKzb9S
 暗い部屋の自動扉を、開く。
 割り当てられた個室へと入ったのは、やはり赤毛のノーヴェだった。
 その表情は冴えない。部屋の明かりもつけないまま、ぼふっとベッドに上半身を投げ出す。
「……チンク姉のいじわる」
 ぽつり、と。
 他の誰にも聞き取れないような音量で、呟いた。
 溺愛する姉を否定する言葉は、そうそう滅多に聞けるものではない。
 チンクに例の相談をした日から、既に3日が経過していた。
 その間にオットーに関して、何か進展があったわけでもない。だがノーヴェ自身の心境は、明らかに変化していた。
「まともにアイツの顔……見れなくなっちゃったじゃないか」
 彼女のあの発言以来、自分は確実にオットーを意識するようになっている。
 今では顔を合わせるだけで、どくどくと心臓が暴れだす始末だ。噂好きなセイン達が異変を嗅ぎ付けるのも、時間の問題だろう。
 どうしてこんなことになってしまったのか。こんな感触を覚えるのは初めてだ。
 敢えて例えるのならば、集団洗浄の時に、男かもしれないあいつを意識した時の緊張。あれが一番近いのか。
 そしてそれを近いとするならば、自分は間違いなく、異性としてのあいつを意識しているのではないか。
 どうしてあいつが気になるのか分からない。
 あの無感情な瞳は自分の理解をことごとくはね除けるし、少女のようにか細い腕には、男らしさなど欠片もない。
 万が一、自分が誰かと結ばれるならば、自分以上に逞しい奴がよかった。それが第一条件のはずだった。
 そんな自分が、あんな奴を好きになるはずがない。好きになんてなれるはずがない。
 そもそも、あいつが男であるという確証すらもないのだから。
(でも……)
 す、と。
 まどろみかけた意識を揺り起こし、布団に飲み込まれた身体へと、力を込める。
 柔らかな感触から引き剥がすように、ぐ、と上体を持ち上げた。
 科学者ジェイル・スカリエッティにより産み出されし、戦闘機人ナンバーズ。その身を包むフィットスーツの身体を一望する。
 首元のファスナーへと手をかけ、それを臍の辺りの高さまで一気に引き下ろした。
 ぷるん、と踊る胸元。
 女性のシンボルとでも言うべきそれが露わになる。
 決して姉妹達の中では目立つ方でもないが、それでも人並み以上のサイズは有した双丘。
 つんと立ったピンクの天頂が、みずみずしい肌色の乳房の中心で、その存在をアピールしていた。
 女性らしい起伏に富んだ肢体から、左右の胸と臍周りのみが露出した、一種扇情的な光景。
 自分のスタイルに自惚れる趣味はないが、それでも客観的事実として、自分とあいつの体格は大きく異なっていた。
 この豊かな乳房に比べれば、まな板のようなあいつの胸。胸板と表現してもいいかもしれない、男性的なそれ。
「アイツにはこんなもん、ついてないしな……」
 ふに、とした感触が指に伝わる。
 自身に備わった女性を確かめるように、ノーヴェの両手が下部から胸をなぞった。
13ノーヴェの勘違い(前編):2008/12/01(月) 16:22:35 ID:mSAKzb9S
「――っ」
 瞬間、びくり、と。
 微かにノーヴェの肩が跳ねる。
 不意に身体を襲った感触に、筋肉が細かく振動した。
 両手の中で2つの果実が躍動。反射的に閉じた瞼を恐る恐る開き、何事かを引き起こしたそれへ視線を向ける。
(なんだ、今の……)
 ゆっくりと視野に入れた両手のうち、片方の人差し指が、頂点の肉豆に当たっているのが分かった。
 どうやらこの未知の感覚は、ちょうどこの辺りから湧き出したものらしい。
 自然と、両の指が左右の乳頭へと、伸びた。ほとんど無意識的に、両手が突き動かされていた。
 人差し指と親指を器用に操り、赤みの差したそれを摘まむ。
「んんっ……!」
 全身を電流が駆け巡ったか。
 途端、ノーヴェの身体が、そんな錯覚を訴えかけた。
 先ほどよりも強烈な刺激。肩を震わす程度には留まらず女の肢体が弓なりにしなる。
 呼吸が苦しくなった。身体が熱くなった。脳裏に浮かんだのは、漠然とした背徳感。
 これを続けていてはいけない。何故だか、そう思えていた。
 だがその思考に反し、ノーヴェの手のひらは、更なる刺激を乳房に加えようとする。
(駄目だ……これ以上、続けちゃ……)
 可能な限りの自制を働かせ、その手を理性のもとに従わせようとする。
 全神経を手先へと集中させた。そうでもしなければ止められなかった。
(待て待て待て……駄目だって……それはやっちゃまずいってばぁ……!)
 されど、止まらず。
 自分の両手でありながら、さながら別の生き物のようにその意識をはね除ける。
 一切の命令に応えることなく、ただその麻薬のごとき感触を求めて。
 未知の刺激の中に見出した、禁忌の果実のごとき悦楽を目指し。
「あぁっ!」
 遂にノーヴェの両指が、その肉豆を弄んだ。
 ころころと指先で転がされ、徐々に乳首がその硬度を増していく。快楽の源泉から溢れ出す刺激が、少女の脳を貫いていく。
(止まれよ……とまれよぉ……っ!)
 もはやノーヴェの黄金の瞳は、ほとんど涙目になっていた。
 上気した頬、艶っぽく潤んだ瞳。理性では快感を拒絶しつつも、その表情は既に、蕩けるような女のそれだ。
 自制の檻より解き放たれた、獣のような両の腕。触れているのは自分なのに、他の誰かに触れられているような。
 こうなればもう、堕ちるまでに時間はかからない。
「はぁっ、ん……あっ……」
 乳首のみを重点的に責めていたたどたどしい手付きは、やがて胸全体を揉みしだくに至る。
 悦楽の波に煽られ、朦朧とする理性は、緩やかに深淵の底へと沈んでいった。
 ぬかるんでいく意識の中、ふと、昔どこかで聞いた記憶を思い出す。
 人間の乳房というものは、基本は自らの子供への授乳を目的とした器官である。
 だがその一方で、この胸という部分は、人体の中でもとりわけ敏感な性感帯でもあるのだそうだ。
 どうやら自分は、いわゆる「感じている」状態にあるらしい。うすのろになった脳味噌で、どうにかそれを理解する。
(人間ってのは、こういう風にヤッてんのか……)
 今一度自らの痴態を見つめ直し、羞恥に頬を赤く染めた。
 普段は気丈な突撃娘の、何と淫靡に乱れたことよ。この部屋に鏡でもあろうものなら、自責でどうにかなってしまうかもしれない。
 それでも、もうこの手を止めることはできなかった。
 貪るべき快感の味を知ってしまったから。情欲に脳髄を犯されてしまったから。
14ノーヴェの勘違い(前編):2008/12/01(月) 16:23:53 ID:mSAKzb9S
「く……はぁっ! あ、あん……っ」
 口から漏れる甘い嬌声を止めようともせず、独りぼっちの情交の快楽に身を委ねる。
 スーツの手袋の生地の質感が、敏感な皮膚と擦れ合い、更なる刺激を与えていく。
 興奮に火照った身体は、次の瞬間には溶けてしまいそうな熱量を孕む。
 不意に、1人の人間の顔が浮かんだ。
(なんで……アイツのこと、考えてんだよ……っ)
 自分のそれよりも更に短い、茶色に染まったツンツン頭。
 自分のそれよりも更に細い、触れたら折れてしまいそうな華奢な身体。
 どうして今、自分はあいつを連想している。
 男と女のまぐわいのイメージに、どうしてあいつの顔が重なる。
「ひあぁっ! はあ、んんん……っ!」
 びくり、びくりと。
 押し寄せる快楽の波に足をとられ、遂にノーヴェの上半身がベッドに倒れた。
 もはやがくがくと震える両足は、身体を支えることはかなわない。己が体重を布団に預け、ただひたすらに乳房を揉み続ける。
 不思議と、胸元より溢れる快感の度合いが、先ほどよりも増した気がした。
 あの緑色の瞳を感じた瞬間、ぴんと立った乳首の感度が増した気がした。
 これがあいつの指だったら。
 自分があいつに抱かれているとしたら。
「オットー……おっとおぉぉ……っ」
 口はひたすらに名を呟く。
 瞳はひたすらに姿を求める。
 あいつが女かもしれないというのは、もう彼女にとってはどうでもいい。
 今この瞬間、ノーヴェにとってオットーとは、紛れもなく1人の雄であり。
 ノーヴェの乳を貪るのは、紛れもなくオットーの手のひらであった。
「ひゃうっ! んぁ、あああっ!」
 ぞくぞくとした感触が背筋を襲う。全身が粟立つ感覚に囚われる。
 記憶の中のオットーが、自分をその手で犯している。
 客観的には、ありもしない虚構であることは明白だった。
 だが、脳まで痺れた彼女の主観という一点において、それは何物にも揺るがせぬ事実となった。
「やっ、ああぁ! なんか……なんか、くるぅ……っ!」
 快楽の振れ幅は次第に増幅していく。絶頂というものが近いのかもしれない。
 何よりも、徐々にボリュームを上げていくノーヴェ自身の声が、それを雄弁に物語っていた。
 未体験の悦楽に、半ば麻痺しかけた脳髄を渦巻く感情が2つ。
 1つは恐怖。
 今ですら快感に翻弄されているというのに、これ以上の刺激を与えられ続ければ、一体どうなってしまうのか。
 五体も意識も何もかも、ぐちゃぐちゃに溶けて壊れてしまう。それが堪らなく怖い。
 しかしその一方で、それとはまた別の思考が、ノーヴェの手を絶え間なく動かしていた。
 それは――期待。
 更なる高みがもたらす興奮への、漠然とした期待。
 もっと先を知りたい。もっと気持ちよくなりたい。
 いっそ壊れても構わない。
 あいつと一緒ならば――怖くない。
 不思議と、そう思えていた。
「ひぅ、あ……ぁああああんっ!! ふぁあああぁぁぁっ!!」
 びくん、びくん、びくん。
 一際大きな叫びをぶちまけると共に、ベッドに預けた上体が暴れ回る。
 朱に染まりきった顔をを振り回し、玉のような汗を振り撒いて。
 理性も自制も投げ出した、本能そのものが放つ咆哮。
 遂に達した。絶頂の高みを迎えた。ただ胸への愛撫を重ねただけで。
 理性で怖れ、本能で求めた。
 轟々と逆巻くカオスの最中で受け止めた、極大の快楽に身を委ね、雌の獣の叫びを上げる。
 急速な興奮と強烈な刺激が、光の速さで五体全てを駆け回る。
 全ての思考は真っ白に蕩け、打ち寄せる波に任せるままに、思いっきり吼えながら果てた。
15ノーヴェの勘違い(前編):2008/12/01(月) 16:25:17 ID:mSAKzb9S
「……はぁ……はぁ……はぁ……」
 戦闘後の疲労以上の何かが呼吸を妨げるのを感じながら、上半身を仰向けになるように転がす。
「あっ」
 オルガスムスを迎えた直後で鋭敏になった乳首がシーツに触れ、また短く声が上がった。
 乱れた息を整えながら、ただ天井をぼうっと見つめる。
 その焦点は天井にすら合わず。その遥か先にある、茶髪の少年の姿に、黄金の双眸は向けられていたのだろうか。
 初めて知った手淫の味は、どこか恐ろしくて、すごく心地よくて――少し、切ない。
「オットー……」
 誰もいない天井へと、呟く。
 絶頂を終えたノーヴェの思考は、急速に冷静さを取り戻していく。
 自分の身体を抱いたのは、実像を持ったオットーではない。そう見えただけの、ただの虚構だ。
 自分の乳房を陵辱したのは所詮妄想の産物であり、自分を犯したのは自分自身だ。
 ただ快楽に支配されるままに、ノーヴェの腕がノーヴェ自身を慰めた。
(誰かに惚れる、ってのは……こういうことなのかな……)
 今はまだ、分からない。
 この一瞬の出来事が、男女の恋愛感情に基づくものなのかは定かではない。
 それを他の誰かに問うつもりはなかったし、言ってはいけないことのような気もした。
 未だもやもやとした、どこか満たされぬ想いを胸に抱えたまま、ベッドに預けた身体を起こす。
 と、不意に、違和感を感じた。
 奇妙な感触は下半身から来る。恐る恐るそちらを見ると、スーツの色が微かに変化していた。
(濡れてら……)
 ノーヴェの花弁から漏れた蜜が、股ぐらにじわりと浮いている。
 太腿を動かしてみれば、尿とはまた違う、粘性を伴った湿り気が感じられた。
 何故かは分からない。ただ何となく、ひどく淫猥な雰囲気を漂わせる自身の愛液。
(ここを触れば、もっと気持ちよくなれるかな……)
 す、と。
 布団をついていた腕が動く。 ただ本能的な直感のままに、自らの蜜壺を目指していく。
 この身を火照らす快感も、この身を苛む切なさも、全てが肉欲によるものならば。
 男の怒張を受け止めるべく生まれたその場所ならば、より高次の感情へと、導いてくれるのだろうか。
 胸を締め付けられる感触も、未知に迷う恐怖心も。
 何もかも飲み込み、忘却の彼方へと洗い流してくれるような――

「――遅くにごめん。ドクターからの連絡、が……」

 突如、割り込む声。
 扉の方より差し込む光。
 はっ、と。
 反射的に持ち上げられたノーヴェの顔が、そちらを向く。
 そして、上気した顔色が、一気に青ざめた。
 開かれた入り口に立っていたのは、まさしく渦中の少年の姿。
 短い茶髪をつんつんと逆立たせ、フィットスーツの上からジャケットとズボンを羽織った男。
 彼女自身も知らぬ俗な言い回しをするならば、自慰に当たって「おかず」にしていた相手。
 そのオットーの無表情な視線が、今まさにノーヴェに向けられている。
 そして、自らの姿を省みると同時に、再びその顔が紅潮していく。
 ノーヴェから見れば、性欲のままに乱れる自身の痴態。
 事情を知らぬオットーの立場を考慮しても、剥き出しの裸の乳を見られたことになる。
 あられもない姿を、異性に。
「……じ……」
 わなわなと震えるノーヴェの手が、スーツ越しに触れようとしていた股間を離れ、床に転がったガンナックルを掴んだ。
「……じろじろと見てんじゃねええぇぇぇぇ―――っ!!!」
 がんっ、と。
 怒号と共に放り投げた鉄塊が、オットーの額を直撃していた。
16ぷよ ◆aWSXUOcrjU :2008/12/01(月) 16:27:41 ID:mSAKzb9S
以上、投下終了。
「(集団洗浄の際に)ノーヴェがオットーの存在を意識していた」という知人の発言から、
何故か一瞬でこの話を妄想した次第。もう駄目かもしんない、俺w

(前編)とある通り、もう少しだけ続きます。
後編の方は、また完成次第、後ほど。
17名無しさん@ピンキー:2008/12/01(月) 18:04:25 ID:3Vin0g5C
>前スレ、B・A氏
GJっした!
いやはや、始まりましたね決戦が。
もうルーやヴァイスがどうなるかとか、色々と期待と不安で脳汁が溢れまくりますです。
そしてウェンディ……君は良い子だったよ。

>>1
ってかレティさんすげえwww
流石は人妻、あの淫蕩な魅力に90人もの男が振り返るかwww
とりあえず本スレ中にレティさんのエロを投下する事をお約束しよう。

>>16
ぷよ氏GJ!
オットー×ノーヴェとは、なんという新次元開拓。
そのフロンティアスピリッツは見習いたいものです!
しかしノーヴェ、胸だけでこれだけ乱れるとは、こりゃ相当なスキモノと見た。
次回はどんな姿を見せてくれるか、期待してお待ちしております。
18名無しさん@ピンキー:2008/12/01(月) 18:27:39 ID:ha/WQtyO
♪どうやっても、勝てない悪魔(なのは)が〜、女神の顔をしてちゃっかり〜。
19名無しさん@ピンキー:2008/12/01(月) 18:33:54 ID:kPLxjVLl
あたしゃてっきりまだガ○アネタが続いててゾグのことかと思ったよ
20名無しさん@ピンキー:2008/12/01(月) 19:24:20 ID:b9TX8BN0
…何と言うか、とんだ災難でしたね(前スレ)。
こっちが立ち上がらなかったら、ホント如何しようかと。
21名無しさん@ピンキー:2008/12/01(月) 19:45:41 ID:niwK5H4B
よせよ兄弟。それ以上言うのは野暮ってもんだ
さぁ、新たな兄弟のGJな投下作品を楽しもうぜ
22名無しさん@ピンキー:2008/12/01(月) 22:04:14 ID:0OcbpC5p
>>16
GJだ!
ノーヴェかわゆいな
惚れっぽそうなイメージはあったけど、面白い空回り方だw
23名無しさん@ピンキー:2008/12/01(月) 22:34:27 ID:c01/SPg6
前スレ野狗氏
GJ!!!
なのは、フェイト、はやて軍団怖すぎる
確かに三人いれば街一つ吹き飛ばすくらい何ともないパーティだ…
そしてローヴェン、まだ何か重要なことを隠してるような感じが
ルーテシアとキャロの救出、ローヴェンとクアの討伐、色々気になる展開だ…

前スレB・A氏
GJ!!!
。゜。゜(ノД`)゜。゜。ウェンディ…本当に涙目になってもうた…
野狗氏の方ではまだ生き残る可能性があるけど、こっちではもう本当に……
そしてスバルとカルタスは自分の姉妹と殺し合って、エリオはルーテシアと…
しかしルーテシアがウェンディも殺してしまったようなものなのか
エリルーの(性的な)絡み…ゲフンゲフンいや、邂逅が待ちきれねえ!
24野狗:2008/12/02(火) 00:14:13 ID:gXuoySTp
 さて。
 欝・エロ・鬼畜アットロ。三題噺で参りますよ。

 駄目な人は注意してください。
 あぼんはコテハンで。
25野狗:2008/12/02(火) 00:15:00 ID:gXuoySTp
     1/3

 メガーヌは、不自然な振動に意識を呼び起こされつつあった。

 ……いったい……?
 
 ゼストに率いられた部隊は全滅した。最後に覚えているのは、クイントと互いの背中を守りあっていたことだけだ。
 おそらく、高速機動を可能としていた戦闘機人にやられたのだろう。
 しかし、それにしては自分は生きている。ゼストがあれから盛り返したのだろうか。いや、それはない。すでにゼストは傷だらけだった。
仮にあの場を切り抜けたとしても、自分たちを連れて帰る余力はなかっただろう。
 レジアスが助けをよこした。それはますますありそうにない。戦闘機人に混じってレジアスの部下がいた、と言われた方がまだわかるというものだ。
 徐々に意識がはっきりとしていく、それに連れて、自分の身体の異変もわかってくる。
 この振動は……

 ビクン、と衝撃が下半身を揺らした。

「あうっ!」

 声が漏れてしまう。それも、衝撃の中に艶の混ざった声が。
 紛れもない快楽の響きをメガーヌは自分の声の中に感じていた。
 勘違いではない。意識が蘇るにつれ快楽も同じように、いや、自乗倍で上がっていく。
 何かが背後から貫いている。
 秘部ではない。そこには何の感触もない。
 後ろを貫かれていた。肛門を、ざらついたなにかで。

「いっいっ…………」

 あげかけた声を必死で抑える。いったい、何が起きているのか。
 快楽を感じる身体を理性で押さえつけながら、メガーヌは周囲の様子を見ようとした。
 一糸纏わない自分の身体が、柱のようなものに抱きつく形で拘束されているのがわかる。
 柱の反対側にはもう一人いた。

「ひっひっ……あ……」

 同じように自分を抑えながら喘いでいる姿はクイントだ。

「く……クイント?」
「ひっ、ひぁっ……き、気付い……ああっ!」
「いったい……何がぁあっ!!!」

 言葉を交わそうとすると尻への刺激がさらに強くなる。どうやら、クイントも同じようだった。
 メガーヌは必死で状況を確認した。
 そしてわかったのは、自分とクイントが一つの柱に抱きつくように向かい合わせで縛られていること。
 両足は開く形で固定され、アナルにバイブのようなものが固定されていること。
 そして二人の横に立つ影。

「あら〜、ようやく気付きましたかぁ〜♪」

 クアットロだった。
26野狗:2008/12/02(火) 00:15:48 ID:gXuoySTp
      2/3

「なかなか目が覚めないから、どうしたのかと思いましたよぉ。そんなにお尻って気持ちいいんですかぁ? ものすごく喘いでますけどぉ〜♪」
「これは……くっ……いった…ぁあっ!!」

 話そうとするたびに、絶妙な動きでバイブは腸内をえぐるのだ。バイブではない。少なくとも普通のバイブではない。
 表面に柔毛のようなものが生え、表面をくすぐりながら振動している。
 そのうえ、いつからそうなっているのかはわからないが、自分の尻穴はバイブを受け入れきっているのだ。
まるでそこだけが別の意志を持つように、バイブをくわえ込んでいる。

「イクときは素直にイクといいですよぉ、クアットロはそんなこと全然気にしませんからぁ」

 クアットロはニコニコと笑っている。

「ゼスト隊の生き残りは貴方達二人だけです。もっとも、もうすぐ一人になりますけれど」

 クアットロは一本の試験管を取り出す。

「今、母親候補を探している所なんです。悔しいけれど、クアットロは戦闘機人なのでドクターの子供が産めないんですよぉ。
だからぁ、このドクターの遺伝子で子供を作ってくる人を募集中なんです。ちなみに、子供を作れなかった方には死んでもらいますから」

 汗で見えづらくなってきた視界で、メガーヌはクアットロをにらみつけていた。後ろの刺激に耐えながら、何とか抜け出す方法を模索する。
 ふと気付くと、柱が異常に濡れている。
 そしてすぐに気付いた。
 自分の愛液と小水だと。
 尻の刺激が高まるたびに潮を吹くように愛液を分泌し、わずかだが小水を漏らしているのだ。
 屈辱に歯がみしつつ、それでも快楽が否定できない、感じていなければこうはなっていないのだから。

「はうっ! だめっ、止めてっ! もう、もうだめっ!!」
「クイント! 駄目よ、頑張って」

 言ったメガーヌのバイブもより強く動き出す。
 さらに、柱の表面に仕込まれていたのだろうローターが、クリトリスを刺激し始めたのだ。

「やっ、嫌ッ!! 止めて!!! あ、あああっ!! はぁっ!」

 強制された快楽に喘ぐクイントの顔が目の前にあった。それがひどく美しく見える自分を、メガーヌは恐れていた。

「子供を作りたくなったらいつでも言ってくださいね。作りたくなったら、前にも入れてあげますから」

 クアットロはそう言うと、くるりと振り向いて、歩いていく。
 放置される。そう悟ったメガーヌが必死でもがいた。

「離して!! 離してぇ……あ、あああああっひぃっ!!」
「子供が産みたくなったら、前にして欲しくなったらいつでも言ってください。この部屋はモニターされてますから」

 歩き出し、そしてふと止まる。

「管理局の偉い人たちも、見てますよ?」

 メガーヌとクイントの悲鳴が上がる。微妙に別の何かをを含んだ悲鳴が。
27野狗:2008/12/02(火) 00:16:36 ID:gXuoySTp
         3/3

 声を上げ、えびぞり、脱力する。それを何度繰り返しただろうか。
 絶頂を感じるたびに、縛られた身体から体力が奪われていく。それがわかってはいても、快楽を断ち切ることはできない。
 もがき続けて多少は拘束が甘くなったのか、それとも最初からそのように作られていたのか。
いつの間にかメガーヌとクイントの顔は、少し首を伸ばせば届く位置まで近づいていた。
 最初はただ、励ますつもりだった。
 いつの間にか、それは情熱的な口づけに変わっていた。
 そして、絶頂を同時に迎えるたびに二人は互いの唇をむさぼった。
 こんな機械に絶頂へと押しやられるのなら、大事なパートナーとの交合で絶頂を感じた方がいい。
 それが誤魔化しだとは二人とも気付いていた。それでもその行為は、二人の理性をギリギリで押しとどめていた。
 いずれ、どちらかがより以上の刺激を望むのだろうか。そのときは、相手を裏切るのだろうか。
 尻をえぐられ、腸を撫でられ、下半身から駆け上る快楽にうちふるえながら、二人は唇を貪るように合わせ続ける。


 
 クアットロは管理局の施設を訪れていた。
 今から帰るところである。
 ふと足元を見ると、あり得ないことに返り血がついている。
 死体は完璧に始末したのに、これでは画竜点睛を欠くというものだ。
 跪いて、足下を丁寧に拭く。
 子供であっても、体内にあれだけの血が流れているのか、とクアットロは妙なところで感心する。
 そしてもう一度、ドアの前の名前を確認する。

 ルーテシア・アルピーノ

 もう、決まっているのだ。
 殺すのは、悲しむ家族の多い方が楽しいに決まっている。つまり、夫と娘のいる方。しかも、その娘もただ者ではない。
ドクターから研究成果をかすめ取った愚か者のでっち上げた戦闘機人もどきである。
 だったら、これは天罰と言ってもいいだろう、とクアットロは思う。
 そしてメガーヌには子供を産んでもらおう。いい実験材料になるはずだ。メガーヌ自身も人造魔道師の素体としては悪くない。
 なに、生まれた子供にはルーテシアと名付けて、少しだけ成長を早めてやればいい。
 ほんの少し脳みそを弄ってやれば、互いに自分たちが母娘だと思ってくれるだろう。

「ゼストの一味のことだが、後始末は全て君に一任するよ。報告はいらない。ただし、使える素材があれば取っておくこと、いいね、クアットロ」
「はい、ドクター」

 これなら、ドクターの出した指示には従っている。そして自分の趣味も満足している。
 
 ……クアットロってば、天才ですわぁ。

 クアットロは、鼻高々な思いで帰っていくのだった。 
28野狗:2008/12/02(火) 00:17:20 ID:gXuoySTp
 以上 お粗末様でした。

 IrregularSの没エピソードだっていうことは内緒だ!
29野狗:2008/12/02(火) 00:18:20 ID:gXuoySTp
タイトル忘れてた「エンバーミング前日」
30名無しさん@ピンキー:2008/12/02(火) 01:04:00 ID:5V5MkC55
な、なんという外道……流石は鬼畜眼鏡姉。

GJでした。
しかしメガーヌさんは出番少ないのにやたらエロい印象があるなぁwww
31名無しさん@ピンキー:2008/12/02(火) 01:36:02 ID:pxyRR9ZJ
初登場は全裸でポットに浮いていたしw
32名無しさん@ピンキー:2008/12/02(火) 02:03:58 ID:mczR8YkG
>>16
ノーヴェの自慰………
ハァハァさせていただきました!!


>>28
テメェ……、クアットロォッッ!!

好きです!
結婚してください!!1
33うふ〜ん:うふ〜ん ID:DELETED
うふ〜ん
34うふ〜ん:うふ〜ん ID:DELETED
うふ〜ん
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うふ〜ん
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うふ〜ん
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うふ〜ん
47うふ〜ん:うふ〜ん ID:DELETED
うふ〜ん
48名無しさん@ピンキー:2008/12/02(火) 14:15:40 ID:y0Zs5hkh
コピペ連投荒らしって報告したら規制して貰えるとか無かったっけ
まぁ、NGすればいいだけといえばそれだけだけど
49名無しさん@ピンキー:2008/12/02(火) 16:03:29 ID:9rkvYWiN
温泉につかってる猿ってすげぇ可愛いよな

ところで風呂につかってるウェンディってすげえ可愛いよな
50うふ〜ん:うふ〜ん ID:DELETED
うふ〜ん
51名無しさん@ピンキー:2008/12/02(火) 17:18:02 ID:BBWRRvK3
>>50
三番目のはそこまで酷くなくね?w
というか未だU1書いてるヤツいるとは思わなんだwww

あと
http://www9.nhk.or.jp/kaigai/alf/
・・・アルフ。。。
52名無しさん@ピンキー:2008/12/02(火) 17:19:58 ID:y0wos+B3
はいはい自演乙
53名無しさん@ピンキー:2008/12/02(火) 17:22:25 ID:Vim0ef7D
>>51
それは荒らしだから触るなよ
ID見てみ
54名無しさん@ピンキー:2008/12/02(火) 17:25:46 ID:y0Zs5hkh
例えID違ったとしても他のサイトのアドレス貼る奴が荒らしだなんて分かるだろうに・・・
>>51はおまけに中傷じみたことも言ってるし自演に一票かな
55名無しさん@ピンキー:2008/12/02(火) 17:56:02 ID:WZxU4Gov
>>49
確かに可愛いなぁ。
これがギンガやディードになると色っぽくなる。
56名無しさん@ピンキー:2008/12/02(火) 20:07:16 ID:mpK3LgIn
>>前スレB・A氏
GJ!!
ウェンディも死んでしまい、またしてもルーは手を汚してしまった
エリオとガリューには何としてでも助けて欲しい
でも心を壊してしまった相手をどうやって助ければ…
57名無しさん@ピンキー:2008/12/02(火) 21:33:46 ID:pxyRR9ZJ
>>49
きっと、頭に畳んだタオル置いて「あー、ビバビバ」ってしているんだろうな。
で、湯上りには腰に手を当てフルーツジュースorコーヒー牛乳。
ところで、何故か傍らにヴィヴィオがいて一緒に「グビッ・・・ぷはぁっ・・・・・」ってしている画が浮かんだ。
58名無しさん@ピンキー:2008/12/02(火) 21:39:39 ID:gXuoySTp
「あー、せめて身体にタオルはまかないと、はしたないッスよ、陛下」
「陛下禁止ーーー。ついでにタオルも禁止ーーーー」
「ええええーーーーっ!!」
59野狗:2008/12/02(火) 22:59:56 ID:gXuoySTp
なんかスイッチが入ったみたいですわ。
連発ごめん。

4レス。
あぼんはコテハンで。
タイトル「雨の日は外に出しません」
60野狗:2008/12/02(火) 23:00:38 ID:gXuoySTp
       1

 盾の守護獣ザフィーラ。今は子供のお守り犬として重宝されている。
 そのことは別にいい。子供を守るというのは大切なことだ。幸い、ヴィヴィオも自分には懐いてくれている。

「ザフィーラ、ご飯だよ」

 ヴィヴィオの置いたご飯に口を付ける。ヴィヴィオは、その横でテーブルに座ってごはんを食べている。
 当然食べているのは同じものではないが、一緒に食べるということはそれだけでも気分が全然違う。心が豊かになれるのだ。

「食べたら、歯磨きだよ」
 
 ヴィヴィオはいい子だ。アイナさんやなのはに言われたことをきちんと守っている。
それどころか、食後の歯磨きの大切さを言い聞かされた結果、ザフィーラにまで歯磨きを勧めるのだ。
 食後に歯磨きをする狼など聞いたことがない。そもそも、どうやって歯ブラシを持てばいいのか。
 最初にヴィヴィオに歯磨きを勧められたときは正直途方に暮れたものだ。失望はさせたくないが、こればかりは無理である。
まさか歯を磨くために人間型になるわけにもいくまい。
 どうしたものかと考えていると、ヴィヴィオが新しい歯ブラシを用意していた。

「ザフィーラはお手手がないから、ヴィヴィオが磨いてあげるね」

 本当に優しい子だ。こんな子を守るためなら、自分は喜んでこの姿のままでいよう。
 ザフィーラは決意を新たにしていた。

「はい、お水」

 水を口に含んでうがいする。実際の狼なら無理だろうが、ザフィーラにはできるし、この程度ならやって見せても問題はないだろう。

「えーと」

 ヴィヴィオが辺りを見回した。どうやら、ザフィーラが口に含んだ水をどうするか考えているらしい。
 ザフィーラは、今自分が飲んだ水入れの中に戻すつもりだった。水はまた新たに汲んでもらえばいい。
 顔を水入れに近づけると、ヴィヴィオが制止した。

「駄目、汚いから。こっちだよ。お外に出してね」

 ベランダに連れて行かれる。なるほど、外なら、地面に吐いてもどうということはない。
 ザフィーラは素直に、しかしなるべく隅の方、すぐに排水溝に流れていく側に水を吐いた。

61野狗:2008/12/02(火) 23:01:14 ID:gXuoySTp
   2

 フェイトはソファに寝そべったまま、漫然と窓の外を眺めていた。
 雨。せっかくのお休みなのに雨。
 なのはやヴィヴィオとずっと過ごせるという意味ではありがたいのだけど。

(いいのか? 私はいつでも帰るぞ?)
(あ、いいよいいよ、ザフィーラ。気にしないで。ヴィヴィオも一緒にいられて喜んでるし)

 家族団欒を邪魔していると思っているのか、ザフィーラは居心地が悪そうだ。
 女だらけの中に男が一人、という状況は八神家で嫌と言うほど慣れているはずなので、気後れしているわけではあるまい。

(だったら、せめてその格好を何とかしてくれないか。目のやり場に困る)

 言われてフェイトは、自分が下着姿だと言うことに思い当たる。

(別に、見慣れてるでしょう? はやての所にはよくお泊まりに行ったし)
(……それはお前たちがまだ子供の頃だ。今の年齢を考えろ)
(私は気にしないよ?)
(私が気になると言ってるんだ!)
(気になるの? アルフとはやてに言いつけてやる)
(何故そうなる)

 ザフィーラは、器用に念話で溜息をついた。

(まったく、将がこのていたらくを知ったら嘆くぞ。やつのお前への評価は高いというのに)
(う。それを言われると……)
(第一、ヴィヴィオの教育にも良くないだろう。室内では下着姿が当たり前だと覚えてしまったらどうするんだ)
(そういうのは、なのはとアイナさんに任せてるから)
(……キャロがあんな風に育ったのが奇跡だな)

 実際、キャロもあまり羞恥心はないのだけれど。

(頼むから服を着ろ)
(えー。めんどくさいよ)
(ティアナやハラオウンが見たら泣くぞ)
(クロノは喜ぶと思うよ。ああ見えてむっつりだから)
(そんな裏情報はいらん)
62野狗:2008/12/02(火) 23:01:49 ID:gXuoySTp
     3

 ヴィヴィオは台所にいる。今日、大好きなママが二人ともお休みだと知ったヴィヴィオが「朝ご飯を作る」と言い出したのだ。
 ちなみに、昨夜から言い出したことなので、フェイトとなのはは昨夜の内にサラダを作って冷蔵庫に入れてある。
 ヴィヴィオがやることはパンを焼くこと、冷蔵庫からサラダと牛乳を出すこと、コーヒーメーカーのスイッチを入れること。それだけだ。
勿論、立派なお手伝いである。
 並べられたパンとサラダを見て、ヴィヴィオを褒めるフェイト。見ると、ザフィーラのご飯もちゃんと準備されてある。
 何故かヴィヴィオは、フェイトに褒められるとベランダへと駆けていく。

「雨、降ってるね」
「そうだよ。今日はずっと雨だよ」
「ねえ、フェイトママ。ザフィーラがお外に出ると濡れちゃうよ」
「それじゃあ今日はザフィーラもお家の中だね」
「お外に出せないと、ザフィーラがお水を出すところがないの」

 慌ててザフィーラが状況を念話で説明する。

(…ということだ。水飲み用のボウルが余分にあれば、それを出してくれれば助かる)
(あるよ。別に、水飲み用でなくてもいいよね? 吐き出すだけだから)
(それはそうだが)
(洗面器が余分にあるよ)
(充分だ)

「良かったね、ザフィーラ。これで濡れなくて済むよ」

(本当に、いい子だな、ヴィヴィオは)
(それは、私となのはの子供だもの)
(その高町はどうした。休みの日はいつもこんなに遅くまで寝ているのか?)
(普段が早起きだからね。お休みの日はこんなものだよ)

「ヴィヴィオ、そろそろなのはママを起こしてきて」
「はーい」

(高町の寝覚めはいいのか?)
(うーん。ヴィヴィオはしばらく戻ってこれないかも)
(なら、ちょうどいい)

 ヴィヴィオの背を見送って、人間型になるザフィーラ。

「あれ? どうしたの?」
「腕ずくでも服を着てもらう」
「え」
63野狗:2008/12/02(火) 23:02:31 ID:gXuoySTp
     4

 ユーノがなのはの胸元で喘いでいる。

「出すよ、なのは、出すよ」
「出して、ユーノ君、中に、中にいっぱいっ!」

「起きてよ、なのはママ」

 一瞬で夢の世界が消えて、現実に戻されるなのは。

 ……うわ……なんて夢………

 顔が真っ赤なのが自分でもわかる。ユーノに抱かれている夢なんて。
 欲求不満だろうか? いや、昨夜は久しぶりに休暇が合ったフェイトと遅くまで……………。うん。欲求不満はないはず。

「今日はヴィヴィオが朝ご飯作ったんだよ」

 その言葉がなのはの意識をさらに覚醒した。
 そうだった。なのはは思い出して上半身を起こす。ヴィヴィオの作った朝ご飯を食べないなんて、それは絶対に駄目だ。
 夢なんて忘れてしまっていい。

「今日は雨が降ってるから、お外に出れないんだよ」

 室内着に着替えるなのはの周りで、ヴィヴィオが踊るようにはしゃぎながらその朝の出来事を報告している。

「それでね、フェイトママが許してくれたから、外じゃなくて中で出せるの」
「え?」

 思わず聞き返すなのは。

「だからね、ザフィーラが中で出せるの」

 脳裏に蘇る夢の内容。
 いや、フェイトとザフィーラがそんな関係だとなんて聞いたことがない。
 なのはは軽く頭を振って部屋を出た。

「いいからはやくしろっ!」
「ちょ、ザフィーラ……」

 そこでは、下着姿のフェイトがザフィーラに押し倒されていた。

 何やってるの? と聞く前に反射的にディバインバスターを放った自分は間違ってなかった。なのは今でもそう信じている。
64野狗:2008/12/02(火) 23:04:00 ID:gXuoySTp
以上、お粗末様でした
65名無しさん@ピンキー:2008/12/02(火) 23:11:02 ID:ezwZcRhj
GJです!
なのはさんは……まぁ間違ってはないと思いますよ?www
しかしなのはさんとフェイトが遅くまで××してる所で一晩過ごしたザフィーラ、羨ましい様なそうでないような。
気分はパパさんなのにも吹いたww
66名無しさん@ピンキー:2008/12/02(火) 23:19:55 ID:P9eB75TQ
ちょっと一ついいか?
……なのはさんの夢はいつ正夢になるんすかwwwwwwwww

ともあれGJ。冒頭からこのオチは予想外すぎた
67名無しさん@ピンキー:2008/12/02(火) 23:22:48 ID:2jdc97C/
>>66
このなのはさんガチっぽいし、トワになさそうだがw

そして野狗氏GJ
68名無しさん@ピンキー:2008/12/03(水) 00:17:30 ID:ktlu2jjD
なんかなのはの夢で萎えた
69名無しさん@ピンキー:2008/12/03(水) 00:20:44 ID:7RxcB3EG
>>66
野狗氏が書くなのユーフェ3Pか……読んでみたい気がする。
70名無しさん@ピンキー:2008/12/03(水) 00:28:56 ID:PefO3Hn6
>>49
・朝一の銭湯の湯に浸かり、日々の疲れ(?)を癒そうとするゼスト
   ↓
・そこにチンクが!
 「背中を流すぐらいしてもいいだろう!」
   ↓
・チンクの外見年齢がアレだから無問題!!
   ↓
・逞しい身体に接する内に……
   ↓
・疲れを取るはずが、精根吸い取られたように疲労を感じるゼスト。
 一方チンクはお肌がピチピチになっていた

風呂と聴いてここまで幻視できた。
チンクの外見って卑怯だよな!!
71名無しさん@ピンキー:2008/12/03(水) 00:32:08 ID:WNdQ26nQ
このなのはさんなら男も女もばっち来いな感じが
72名無しさん@ピンキー:2008/12/03(水) 01:49:52 ID:mCwtjlxB
>>64
精力的ですな(執筆活動的に)
GJ
ザフィーラにゃ眼福にならないのにディバられるとか読んだ後で微笑ましい気持ちになりました

しかし幼女なのフェイ、八神家のお泊り会とか妄想しただけでごはんトーレ杯はいける
パジャマ姿の女の子(シャマル含)がこんなにたくさん!!このままではフトンに入ってみんなで好きな人白状大会はもはや避けられん!!
73B・A:2008/12/03(水) 04:13:16 ID:P2CcfmE2
>>64
GJ。
なのはさん、それは飛躍し過ぎだってw
ザフィーラの忠犬っぷりとヴィヴィオの可愛さにほのぼのしました。


ええ、では打って変ってハードな時間を提供したいと思います。
軽く世界一巡したくらいの温度差で。


注意事項
・非エロでバトルです
・時間軸はJS事件から3年後
・JS事件でもしもスカ側が勝利していたら
・捏造満載
・一部のキャラクターは死亡しています
・一部のキャラクターはスカ側に寝返っています
・色んなキャラが悲惨な目にあっています、鬱要素あり
・物騒な単語(「殺す」とか「復讐」とか)いっぱい出てきます
・クアットロが悪女全開
・名前のあるキャラが死にます←注目(今度から、こうしておこう)
・主人公その1:エリオ
     その2:スバル(絶賛姉妹喧嘩中につき、出番なし)
・タイトルは「UNDERDOGS」  訳:負け犬
74UNDERDOGS 第九話@:2008/12/03(水) 04:14:31 ID:P2CcfmE2
戦場で再会したルーテシアは、明らかに様子がおかしかった。
いつもの物静かな表情も、暗闇の洞窟で見せた不器用な笑みもそこにはない。
とめどなく涙が溢れる目は焦点が合っておらず、小さな唇からは絶えず呪詛のような叫びが漏れている。
繰り出される魔法も戦略的な意味などないただの暴力であり、敵と味方の区別すらついていないようだ。
あれほど信頼していたガリューすら、自分を傷つけようとする敵として認識しており、自分の言葉にも耳を貸そうとしない。
3年前にも似たようなことがあった。一度は自分とキャロの言葉に耳を傾けようとした瞬間、
まるでスイッチが入ったかのように激情に駆られて襲いかかってきた時が。
だが、今回はそれとはまた少し違う。ルーテシアからはあの時のような憎悪や憤怒は感じられない。
あるのは恐怖と悲哀。差し伸べられる手すら悪意として認識しているかのような拒絶だ。
まるで世界の全てを恐れているかのような態度に、エリオは幼き頃の暗黒の日々を思い出した。
今のルーテシアは研究所で実験動物扱いされていた頃の自分と同じなのだ。
憎悪と恐怖という違いこそあれど、溢れ出る感情に心を蝕まれて何も信じられなくなっている。

「ルー、これ以上魔法を使うんじゃない! 君のリンカーコアが、命が・・・・・」

「ううああぁぁぁじらいおうぅぅぅぅぅぅっ!!!」

エリオの制止を聞かず、ルーテシアは限界を遙かに超える魔力を汲み上げて飛翔する地雷王達へと注ぎ込む。
途端に、地雷王達は感電したかのように痙攣し、全身から眩い金色の光を発しながら周囲を手当たり次第に攻撃し始めた。
放射された電撃は飛び交っていたガジェットや戦闘機も巻き込み、地雷王が通り過ぎた後に黒煙が立ち上る。
それと共に、地雷王達の体は崩壊を始めていた。過剰なブーストによって肉体の限界を超えた発電を行わされ、
刃をも弾く強固な外骨格が溶けだしているのだ。身を守る外郭を失って脆い内側を曝け出した彼らは、
それでも発電を止めずに肉体を燃やし尽くしながら敵味方諸とも巻き込んで爆発していく。
空を引き裂く金切り音は、放電の激痛に苦しむ地雷王の慟哭だ。

「やめろ! ルー、止めさせるんだ!」

《Düsenform》

フリードの上から飛び降り、ガリューと共にルーテシアへと斬りかかる。
ルーテシアに彼らを止める気がないのなら、力づくで黙らせるしかない。
だが、展開された防壁は2人の斬撃を持ってしても破ることはできなかった。

「つう・・あ・あ・・あ・あ・ぁぁぁ・・・・・」

「ルー、地雷王を止めるんだ! 彼らの苦しみが、聞こえないのか!?」

「ううああぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」

瞬時に放たれた無数の短剣が言葉をかき消し、エリオはバランスを失ってガリューに抱えられる。
そこへルーテシアは更なる追撃をかけんと、インゼクトを召喚して突撃させる。
いつもなら簡単に払うことのできるインゼクトも、今回は射撃魔法並の脅威だった。
召喚されたインゼクト一匹一匹に、ルーテシアが補助魔法をかけているからだ。
だが、それは同時にインゼクトの死を意味している。彼らはその小さな体では許容し切れない魔力を受け、
爆弾と化して突撃してきているのだ。

「・・・・・・フリード、ブレストレイ!」

身を引き裂かれるような痛みを覚えながら、エリオはフリードに命じる。
直後、突撃してきたインゼクト達はフリードの火炎放射によって跡形もなく消滅した。

「ルー、約束したじゃないか! 新しい自分を始めるために頑張ってみるって。これが君の答えかい!?」

背後から襲いかかって来た地雷王をガリューが食い止めようとするが、我が身を省みない放電で黒い外骨格が溶かされていく。
フリードが体当たりで地雷王を突き飛ばすが、純白の翼はあちこちに焦げた跡や返り血の跡が見て取れる。
75UNDERDOGS 第九話A:2008/12/03(水) 04:15:49 ID:P2CcfmE2
「お願いだ、戦いを止めて! ガリューだってこんなことは望んでいない! これ以上、召喚蟲を傷つけちゃいけない!」

放たれた短剣をストラーダで薙ぎ払い、再びルーテシアへと肉薄する。
一瞬、彼女と視線が重なった。
恐怖と絶望に彩られた瞳がこちらを見つめている。
覚えるような眼差しが突き刺さり、それに気を取られた隙に衝撃波がエリオを吹き飛ばした。
だが、吹っ飛ばされる直前、エリオはルーテシアが怨念の呪詛に紛れて何かを自分に訴えていることに気づいた。

『殺して』

ただ一言、彼女の唇はそう告げていた。
自分自身でも止められないのだ。
3年前と同じく、ルーテシアは何者かに操られている状態にある。

「ルー・・・・・・・・止めろろぉぉっ! もう止めさせろっ! ルーをこれ以上、傷つけるのは止めろぉっ!!」

『だったら、自分でとどめを刺してあげれば良いんじゃない?』

エリオの悲痛な叫びに呼ばれたように、仮想ディスプレイが開いて栗色の髪の女性が映し出される。
見覚えのあるその顔に、ストラーダを握る手に力がこもる。
忘れもしない、彼女は3年前の戦いでルーテシアを暴走させた張本人だ。

「あなた・・・・・あなたはまたルーを!」

『ええ、お嬢様ってば顔に似合わず意外とわがままみたいで、ちょっぴりお灸を据えてあげたら何でも言うことを聞く
良い子になってくれました。今のルーお嬢様は、誰もが認める殺・戮・兵・器! 目に映るもの全てを壊し尽くすまで
戦いを止めることはないわ。人も建物も自然も、自分自身や召喚蟲でさえも、何もかも壊し切るまでね。
誰かが止めてあげなくちゃ、お嬢様は止まらないんですぅ』

「すぐに止めさせてください。あなたならそれができるはずだ!」

『できますよぉ。けど、しちゃって良いのかなぁ?』

画面が切り替わり、瓦礫の街が映し出される。それは、3年前の戦いの映像だった。
自分がガリューとの戦いで自滅し、気を失っている間に起きた出来事。
キャロ・ル・ルシエが、ルーテシア・アルピーノによって殺される瞬間。

『エリオ・・・・くん・・・・・』

映像の中のキャロがか細い声で自分を呼び、息絶える。
紫紺の短剣によって胸を貫かれ、地雷王の電撃で無残にも焼け爛れた肌が露出する。
傍らに横たわるフリードが悲痛な声で慟哭していた。
吹き荒ぶ風がバリアジャケットの帽子を吹き飛ばし、二度と微笑むことのないキャロの顔が映る。

「キャロ・・・・・」

冷たくなった彼女の死体を抱きかかえた感触が蘇る。
込み上げてくるのは自身の運命を呪う嘆きと、ルーテシアに対する憎しみ。
あんなにも必死になって呼び掛けたのに、傷つきながらも諦めずに手を差し伸ばしたのに、
あの娘はそれを拒んで自分から大事なものを奪った。
76UNDERDOGS 第九話B:2008/12/03(水) 04:16:49 ID:P2CcfmE2
『今なら、お嬢様を殺しても咎める人はいませんよ。暴走したお嬢様を止めるには、殺すしかなかった。
それで良いじゃない? 誰もあなたを責めたりしないわ。さあ、今こそあの女の子の仇を討つ時なの。
大事な人だったんでしょう? ルーお嬢様のことを殺しても殺し足りないくらい憎んでいるんでしょう? 
さあ、その手の槍でお嬢様の胸を貫くの。あの娘が味わった苦しみを、今度はお嬢様に味あわせるの。
でないと地雷王はまだまだ暴れ続けるわ。主の命に従って、自分の命が消えるその瞬間まで人を殺し続けるの。
そんなのを許してはおけないでしょう、勇敢なベルカの騎士さん』

悪魔の囁きがエリオの心を激しく揺さぶる。
憎しみに身を委ねる。それはとても簡単なことだった。
目の前にいる相手が、自分と同じ人ではないと思えば良いのだ。
そんな風に考えるのはいけないことだとわかってはいたが、今度ばかりは抑えが利きそうにない。
内側から込み上げてくる怒りと憎しみは、既に沸点を超越して堰すら破壊し、全身を隈なく駆け回っていく。
そして、エリオは憎悪に駆り立てられるまま、画面の向こうでほくそ笑むクアットロへとストラーダを突き立てた。

『なっ・・・・』

クアットロの表情が驚愕で歪む。
それを無視して、エリオは消費したカートリッジを再装填し、ストラーダの先端をルーテシアへと向ける。

「ストラーダ、飛ぶよ」

《Jawohl》

魔力噴射に引きずられ、エリオは体ごとルーテシアが展開するバリアにぶつかった。
たちまち、全身に激しい痛みが走る。だが、そんなものは気にならなかった。
ルーテシアは、限界を超えた魔力行使をさせられて死の苦しみを味わっているのだ。
大切な召喚蟲を自らの手で傷つけさせられ、辛い痛みを味わっているのだ。
この程度の激痛、痛みの内になど入らない。

「ルー、あんな奴の言いなりになっちゃダメだ! 今の君にならできる。あの日、あの美しい高原で、
前を向くことを約束してくれた君になら!」

「ううああっぁぁああふあうはぁあがうあぁっぁぁぁっぁっ!!」

「僕の声を聞くんだ! ルー、拒絶するだけじゃ何も変わらない! 自分から変わらなきゃいけないんだ! 
自分から変えなきゃいけないんだ! 君は、守られるだけで良いのかい!? 助けられるだけで、
救われるだけで!? また奪われるよ! 何度だって、何度だって、悪い奴らは君から平穏を奪おうとする」

バリアの熱量で手の平が焦げていく。
バリアジャケットも上着が焼け落ちてインナーのみになっていた。ストラーダの刀身も少しずつ溶け始めており、
何度も視界がスパークする。それでもエリオは説得を止めなかった。あんな悪魔みたいな女の好きになどさせない。
自分はルーテシアを救うのだ。絶対に、彼女を呪縛から解き放つのだ。

『馬鹿な子、そんことをしても自分が傷つくだけなのに。お嬢様、そんな奴さっさと振り払ってくださいな』

「お前は黙っていろ!」

『ぅ・・・・!』

悪鬼もかくやというエリオの形相に、さしものクアットロも息を飲んでしまう。
エリオは今、本気で怒っているのだ。クアットロの非道な仕打ちが、エリオの精神テンションを監禁時代へと引き戻したのだ。

「ルー、目を覚ますんだ!」

「いあやぁぁぁぁぁぁっ! 来ないでぇぇっ、誰も来ないでぇぇぇぇぇっ、誰も、誰もぉっ・・・はくてんおぉぉっ!!!」

ルーテシアの叫びに呼応し、天空に紫紺の召喚陣が展開する。
そこから出現したのは天を衝くほどの威容。全てを無に帰す究極召喚、白天王だ。
77UNDERDOGS 第九話C:2008/12/03(水) 04:17:51 ID:P2CcfmE2
「わたしはひとり・・・ひとりなんだぁぁぁっぁぁぁっ!!」

白天王の巨大な爪が、エリオの体を叩き潰さんと振り下ろされる。
咄嗟にエリオはバリアを蹴って離脱するものの、あまりにも大きな腕から逃れることはできず、
背中をやすりのように削られてしまう。

「ぐあぁぁっ!!」

何とかフリードの上に着地したが、激痛で意識が飛びそうになった。
背中の傷からどくどくと血が流れ、急速に熱が奪われていく。
流れ落ちた血はフリードの純白の羽根を真っ赤に染めていった。

『つまらない子ね、エリオ・モンディアル。憎むことも嘆くこともできるのに、
あなたはそれをしようとしない。殺しちゃえば良いじゃない。それとも殺される方が良いの? 
あなたって、ひょっとしてマゾ?』

「黙れ」

『・・・・・・・良いわ。お嬢様、さっさと殺しちゃいなさい!』

白天王の威容が迫る。
その巨大な腕でフリードごと叩き落とす気だ。
体はボロボロで、魔力も残り少ない。あんな巨大な召喚蟲を相手にすることはできない。
どう転んだとしても、待ちうけるのは死だけだ。
それでも、エリオは抗うことを止めなかった。
ストラーダを杖にして立ち上がり、霞む目でルーテシアを見上げる。

「1人だぁっ! 僕を殺しても、世界を拒絶しても、君は一人ぼっちだ! 誰にも理解されない! 
誰にも必要とされない・・・・・・・・君は、自分からそんな世界に行く気なのか!?」

自分でも何を言っているのかわからなくなっていた。
だが、込み上げてくる怒りが傷ついた体を突き動かしていく。
理性ではなく感情で、彼は言葉をまくしたてる。

「ずっと一人ぼっちで、それで良いのかぁっ! そんなのは、僕が許さない! もう僕は、君に何も奪わせやしない! 
キャロを殺されて、騎士の誇りも傷つけられて、今度は僕から君を救う機会すら奪うのか!? 僕から何もかも奪って、
そんなに楽しいか!? だったら許さない、君はキャロを殺したんだ、僕を殺すんだ! 許さないぞ! 
どんな理由があったって、どれだけ時間が過ぎ去ったって、僕は君を許さない! この憎しみを忘れない! 
世界中の人間が君に恐れをなしたとしても、僕は君を許さない。君の罪を、君が受けるべき罰を、僕は訴える! 
君がどこに逃げたって、次元の果てまでも追いかけてしかってやる! 罰してやる! だから、ずっと僕の側にいろ、ルーテシア! 
僕は君を、1人にはさせない! 目を覚ますんだ、ルーテシアァァァァァっ!!」

叫びと共に、桃色の光がエリオの体を包み込む。
その優しい光に、戦場にいた誰もが目を奪われた。
その輝きに込められた意味に、シグナムとザフィーラは静かに頷き、
ティアナとリインは慟哭し、スバルは胸に痛みを覚えた。
あれほど叫び狂っていたルーテシアですら大人しくなり、白天王も攻撃を躊躇っている。
見上げた空には、白天王が呼び出されたのと同じ大きさの召喚陣が描かれていた。
それを彩るのは、今は亡き召喚師の桃色の魔力だ。

《stand by ready》

輝きの源は、エリオの両手であった。焼け爛れてケロイド状になった彼の手を、宝玉が嵌めこまれたグローブが包んでいる。
3年前に持ち主が死んで以来、ずっと沈黙を守り続けてきたケリュケイオンが起動しているのだ。
78UNDERDOGS 第九話D:2008/12/03(水) 04:18:43 ID:P2CcfmE2
「ケリュケイオン・・・・・・・」

《我が主が遺せし祈り、今こそ唱える時だと判断しました》

ケリュケイオンに蓄えられていた魔力がエリオの体を満たし、激痛が引いていく。
懐かしい温もりに、エリオは思わず涙した。これは、キャロの魔力だ。

《召喚師キャロ・ル・ルシエは、死の直前に祈りを遺しました。自分ではあの召喚師の少女を救うことができない。
自分の力では及ばない。だから、主は死の間際に残された魔力を私に託し、ある術式を唱えたのです。
自分の後に続く者が、彼女を救える力添えになるようにと》

「キャロが・・・・・・・・キャロ、そこにいるんだね。まだ、一緒に戦っていたんだ」

《さあ、あなたにはそれを唱える資格があります。ただの一度、今回限りの奇跡。
我が主の無念を今こそ晴らしてください、竜騎士エリオ》

「いくよ、キャロ・・・・・・ケリュケイオン!」

呼吸を整え、生成した魔力をケリュケイオンへと流し込む。
桃色の輝きに黄色の光が混じり、二色のコントラストが青空を染め上げていく。
キャロが遺した祈りは、エリオの紡ぐ詠唱と重なって召喚の調べとなる。
それは彼女に託された最後の希望、召喚魔法の遅延発生。

「竜騎召喚、天地轟鳴・・・・・・・来よ、ヴォルテール!」

一際輝きが増し、空間すら引き裂くように黒い威容が姿を現す。
アルザスの守護竜。それは黒き火竜として恐れられ、神として崇められている稀少古代種だ。
本来ならば竜使役の技能、それもキャロのような天賦の才がなければ力を貸すどころか逆に自身を滅ぼされかねない
凶暴性と凶悪性を兼ね備えた生きた神。事実、彼を召喚したことでエリオは心臓を鷲掴みにされたかのような苦痛に
苛まれた。真竜とまで呼ばれるヴォルテールが求めている魔力量が桁外れなのだ。
エリオのキャパシティもそれなりだが、神の求める贄はそれよりも遙かに多い。
このままでは、1分と保たずにヴォルテールは強制送還されてしまう。
だが、こんな奇跡は一度しか起こせない。アルザスの巫女にしか使役されないヴォルテールが、
生前の巫女の祈りに応えて力を貸してくれているのだ。このチャンスを逃せば、もうルーテシアを救うことはできない。

「ヴォルテール、キャロの願いを果たすんだぁっ! 白天王をぉぉぉっ!!」

咆哮を上げて、ヴォルテールは白天王を押さえつける。
力は完全に互角、放出される膨大な魔力は空間すら捻じ曲げ、大気そのものが爆ぜる。
それは3年前の焼き直しであった。
飛び交うガジェット、対峙する2匹の巨大召喚獣、暴走した少女とそれを救い出そうとする者。
その構図が、ルーテシアの精神を激しく揺さぶった。彼女は覚えているのだ。
あの竜を使役していた少女が、何度も自分に呼びかけてくれていたことを。
そして、その手を振り払って自分が彼女を殺してしまったことを。
込み上げてくる罪の意識に、ルーテシは怯えるように後退する。
だが、逃げようとすると激しい頭痛が彼女を襲った。体内に埋め込まれた機械が彼女に逃走を許そうとしない。
残る生命力の一滴までもを絞り出して、敵を倒せと訴えている。

「あぐあぐあ・・ああ・・あ・・ああぁぁぁっ・・・・・」

「ルー、これが君の罪だ! 目を反らすな! 逃げるんじゃない! 逃げたって何も変わらない!」

再度、エリオはルーテシアへの特攻を試みる。
しかし、彼の前には無数のインゼクト達が待ち構えていた。
ボロボロのバリアジャケットでは、たった一匹のインゼクトの特攻を受けただけでも致命傷となる。
ヴォルテールが消滅するまで後40秒。迫りくるインゼクトと全て薙ぎ払っている暇はない。
その時、漆黒の影がエリオの前に躍り出た。
79UNDERDOGS 第九話E:2008/12/03(水) 04:19:41 ID:P2CcfmE2
「・・・・!」

「ガリュー!?」

「・・!」

全身にインゼクトの突撃を受けながら、ガリューは無言でエリオに「行け」と命じた。
行ってルーテシアを解放しろと。
自分にはそれができないから、お前がやれと。
ヴォルテールが消滅するまで後35秒。エリオは残った魔力を総動員し、ストラーダのブースターを点火した。
立ち塞がるガジェットは、全てフリードの火炎放射が焼き払ってくれた。
エリオとルーテシアを阻むものはもう何もなく、光の弾丸と化したエリオの体は凄まじい衝撃を伴って
ルーテシアのバリアに叩きつけられる。

「ルー!」

「いや・・・・こないでぇ・・・・こないでぇ・・・・」

「嫌だ、君はそうやってまた逃げる気だ。いつも自分勝手で、自分の都合しか考えていなくて、
気紛れでわがままで・・・・人殺しだ!」

「ひぃっ・・・・あ・・・やぁぁ・・・・・」

「それでも、僕は君が・・・・君のことが・・・・・・」

渾身の力を込めて、エリオはストラーダをバリアに突き立てる。
背後からとてつもなく大きな気配が近づいてきている。白天王が主に纏わりつく敵を払い落とそうとしているのだ。
だが、臆することはない。ヴォルテールが文字通り我が身を賭けて押さえ込んでくれている。ガリューもフリードも、
敵を近づけぬために奮闘している。だから、自分がするべきことは思いを言葉にしてルーテシアに届けることだけだ。

「君のことが放っておけない! 君のことが好きなんだ! ずっと友達でいたいんだ!
だから、一生僕の側にいろ! 僕は君を、1人にはしない!」

過負荷に耐えきれず、とうとうバリアが砕け散る。

「ルウゥゥゥゥゥッ!」

転がり込むようにねじ込んだ体が、ルーテシアと重なり合った。
そのまま2人はもつれ合うようにガジェットU型の上から転がり落ち、回り込んでいたフリードの背中に着地する。
戦場に場違いな静寂が訪れた。
あれほど荒れ狂っていた白天王が沈黙し、地雷王達にも安らかな死が訪れていく。インゼクトも次々に送還されていき、
戦場のただ中でありながらも穏やかな風が彼らを包み込んだ。
やがて、ルーテシアはおずおずとエリオの背中に手を回し擦れるような弱々しい声で囁いた。
80UNDERDOGS 第九話F:2008/12/03(水) 04:20:32 ID:P2CcfmE2
「側にいて、良いの?」

か細くも、ハッキリとした声でルーテシアは思いを形にする。

「私、いっぱい人を殺した・・・・・・あなたのことも傷つけた。そんな私が友達で、良いの?」

「良いんだよ。一緒に歩いていこう。守ったり守られたりじゃない、手を繋いで、一緒に並んで歩くんだ。
僕は君を放さない。君が嫌だって言っても、1人になんかさせるものか」

「私、1人じゃないんだ」

「1人になんかさせない。世界中の人達が君のことを忘れても、僕は君を覚えている。
君への憎しみを忘れない、君の犯した罪を忘れない。僕が君への罰になる。君が自分の罪から目を反らしたら、
引っ叩いてでも目を覚まさせる。君が罪から逃げ出したら、追いかけていって罰してあげる。
君は一生を賭けて罪を償わなくちゃいけない。君が償いを終えるその日まで、僕は君を許さない」

そっとルーテシアの頬に手を添える。すると、ケリュケイオンに残っていた魔力残滓が小さな少女の姿を形取り、
傷つきながらもようやく分かり合えた2人を祝福するかのように微笑むと、儚い塵となって崩れていく。
死してなお、自分のことを気にかけてくれていた少女の優しさに、ルーテシアはとうとう耐えきれずにエリオの胸の中で涙した。

「ごめ・・・・ごめんな、さい・・・・ごめんなさい・・・・・ごめんなさい・・・・・・」

まるで幼子のように泣きじゃくるルーテシアを抱きしめ、エリオはキャロの願いに応えてくれたヴォルテールに目をやった。
役目を終えたアルザスの守護竜はただ静かに頷き、透けるように消えていく。同時に、ケリュケイオンのコアに亀裂が走り、
指の先端からひび割れて消滅していく。3年間、ずっと主の無念を晴らすことだけを思い続けてきたケリュケイオンもまた、
主の待つ天へと昇ろうとしているのだ。

「ありがとう、ケリュケイオン。ありがとう、ヴォルテール。そして・・・・・・・さようなら、キャロ」

砕け散ったケリュケイオンと桃色の塵が混ざり合い、空へと還っていく。
ケリュケイオンからの答えはなかった。ひょっとしたら、ヴォルテールを呼び出した時点で彼女は既に壊れていたのかもしれない。
それでも、自分がルーテシアのもとに辿り着くまでヴォルテールの存在を維持し続けてくれたのだ。
過酷な戦いの果ての、あまりに呆気ない別れ。だが、これで良かったのだ。
死者は死者のいるべき世界へ。ルーテシア・アルピーノの解放は、キャロ・ル・ルシエの解放でもあったのだ。
それに気づいた時、エリオもまた静かに涙した。





元の世界へ送還されていくヴォルテールを見届け、ティアナは安堵の息を吐いた。
ここからでは詳しい様子はわからないが、白天王の動きが止まったところを見ると、
エリオがルーテシアに何かしたのだろう。とりあえず、地雷王の暴走が治まっただけでも僥倖だ。
あのまま暴れ続けられれば、そう遠くない内に全滅していたかもしれない。

(こちらティアナ、状況の報告をお願いします)

(ギャレットだ。召喚蟲に足止めを食らったが、ザフィーラのおかげで被害は軽微だ。作戦続行に問題はない)

(了解、そのまま北上すればアインヘリアルに辿り着けるはずです)

(敵の防衛線を突破できれば、だけどな。とにかくやるしかないか)

ギャレットとの念話を切り、ティアナは戦局図を睨みつける。
召喚蟲の暴走で戦況はかなり混乱したが、立て直しはまだ利くレベルだ。
エリオ達は戦線離脱するだろうが、シグナムやオットー、ディードにはまだ余力がある。
地雷王達が敵も巻き込んで自滅してくれたので、エリオ達が抜けた穴も3人で十分埋めることができるはずだ。
場合によっては、ザフィーラを空に上げることもできる。
81UNDERDOGS 第九話G:2008/12/03(水) 04:21:50 ID:P2CcfmE2
(けど、どうしてあんなことを? 確かにルーテシアの召喚蟲は強敵だけど、あんな爆弾みたいな使い方じゃ味方の被害も大きくなる。
そもそも、自分が巻き込まれるかもしれないのに、わざと暴走させるなんて・・・・・・・・・まさか、自分は確実に安全な場所に隠れている?)

「ティアナ、どうしたですか?」

「リイン曹長、エリアサーチできますね。クロスミラージュとリンクさせて、調べて欲しいことが・・・・・・・」

言い終わる寸前、ティアナは弾かれたようにリインに覆いかぶさった。直後、さっきまでリインがいた場所を
浅葱色の直射弾が通り過ぎていく。ティアナが危険を感じてリインを押し倒さなければ、彼女はその小さな体に
大きな穴を空けられていた。

「曹長、消えます」

「はいです!」

何者かは知らないが、自分達の位置を嗅ぎつけてきた者がいる。
しかも、狙撃の精度から考えてかなりの手練のようだ。幻術で姿を隠さねば、狙い撃ちにされてしまう。

(さっきの魔力弾の色、ヴァイス陸曹のと同じだった。まさか、あの人がここに・・・・・・・・・)

動揺した瞬間、足下に魔力弾が飛来する。
姿を消しているにも関わらず、向こうはこちらを探知しているようだ。
ジッとしていてはまずい。とにかく動き回って狙いをつけさせないようにしなければ。
自分とリインだけで狙撃兵を相手にするにはあまりに分が悪い。だが、今から救援を呼んでも間に合わないだろう。
ここは、何としてでも自分達だけで切り抜けるしかない。





スコープの向こうで敵が幻術を使用したのを見ても、ヴァイスは慌てずにスコープの倍率を上げて敵の動きを追いかけていく。
魔力資質が低く、狙撃以外の技能は壊滅的ではあるが、彼は狙撃でエースと呼ばれた男だ。
それはつまり、如何なる状況、如何なる相手であろうとも、その頭蓋骨に魔力弾を叩き込んできたことを意味している。
あの管制らしき融合デバイスを庇った女は良いカンをしていた。何百メートルも離れた場所から、魔力反応も探知されぬよう
細心の注意を払っていたにも関わらず、自分達が狙われていることに気づいたようだ。
恐らく、彼女は自分と同じガンナーだ。反応と動きから推測するに、相当の訓練を積んでいる。
だが、狙撃手ではない。相手に狙わせないように動き回るのは、真っ向から撃ち合って場を制圧するフォワードの戦い方だ。
あれではいくら姿を消したとしても、草木を踏み締めた跡を追えば容易に現在地を割り出すことができる。

(だが、俺の弾を避けたことは褒めてやるよ)

狙撃と言うのは、基本的に標的がこちらの存在に気づく前に行うものである。
相手が決定的な隙を見せ、油断し切っているところに探知不能の距離から防御不能の一撃を叩き込む。
だから、狙撃手にとって二度目の狙撃は屈辱にも等しい。
自分は今まで、一度も撃ち損じをしたことがない。その経歴に、あの女は泥を塗ったのだ。
82UNDERDOGS 第九話H:2008/12/03(水) 04:23:17 ID:P2CcfmE2
(・・・・・いや、違う。俺は・・・・・確かラグナの・・・・・いや、ミスなんてしたことないはずだ。
けど、ならラグナはどうして目を・・・・・そもそも、ラグナが失明したのは右目だったか? 
左目だったような気も・・・・・・いや、考えるな。それよりも仕事だ、仕事をするんだ)

呼吸を整え、スコープの向こうに映る仮想の敵に狙いを定める。
無言で引き金を引き、発射された直射弾が標的の足を捉える。
見えない相手の頭を狙うなんて不確かな真似はしない。あの幻術使いは2発で仕留める。
次の1発で彼女は終わりだ。
だが、足を撃たれたショックで姿を現した幻術使いの少女の顔を見て、ヴァイスは衝撃の余り引き金にかけた指を硬直させてしまった。

(・・ティアナ!?)

途端に、脳裏に覚えのない光景が蘇る。
瓦礫の街。
逃げ惑う人々。
廃墟の中で戦う橙色の髪の少女。
救うために手に取った愛用のデバイス。
スコープの向こうに映る敵。
撃ち出された魔力弾。
少女の右目へと吸い込まれていく魔力弾。
二度目の狙撃ミス。

「あああぁぁ・・・・わああぁぁぁぁぁぁっ!! そうだ、俺は・・・・俺は・・・・わああぁぁぁぁぁぁぁっっ!! 
俺はぁ・・・・・俺の、俺のせいで・・・・・俺のぉぉっ!!」

真横の地面に橙色の直射弾が飛んでくる。
動揺してこちらの居場所を突き止められたのだ。
狙撃手としての本能でヴァイスは逃げ出そうとするが、パニックを起こした頭では満足に体を動かすこともできず、
無様に躓きながら坂を転がり落ちていく。

『どうした? お兄ちゃん、何かあったの? ヴァイス、返事をしろ!?』

知らぬ間に通信気のスイッチが入っていたのか、ラグナの声がイヤホンから聞こえてくる。
戦いの最中なのか、背後では樹木の倒れる音や何かが爆ぜる音が聞こえてきた。
83UNDERDOGS 第九話I:2008/12/03(水) 04:24:18 ID:P2CcfmE2
『ヴァイス!? ヴァイス!?』

「ラグナ、ラグナぁ、俺、俺・・・・ああぁ・・・ううわぁぁっぁぁぁっ!!」

『・・・・すぐにそっちに行く、通信機を切るな! 良いか、すぐにそっちに行くからな!』

泥水に顔面から突っ込み、ヴァイスは震える手で黒い土の上を這いつくばりながら岩陰へと身を潜める。
混乱を鎮めようとしているラグナの言葉も耳には入らなかった。
身に覚えのない記憶に震えながら、ヴァイスは救いを乞うように虚空へと手を伸ばす。
何か大事なことを忘れている。
自身の記憶に欠落があることを、ヴァイスは今、初めて自覚した。





「チンクちゃん! チンクちゃん、戦域を離れているわよ、チンクちゃん!」

『ヴァイスに何かあった。彼を保護しなければ』

「捨てておきなさい、それよりも敵を倒さなきゃ・・・・・・」

『私の兄だ、放ってなどおけるか!』

半ば一方的に通信を切られ、クアットロは苛立ちからギリギリと歯を噛みしめた。
何もかも計算違いばかりだ。こちらの戦力が自動機械と自我のない戦闘機人ばかりなら、
いっそルーテシアの召喚蟲を大暴れさせて敵味方諸とも殲滅させる心づもりだった。
それは半ばまではうまくいっていたが、あの巨大な竜が現れたことで状況が一変した。
虎の子の白天王は抑え込まれ、完膚無きまでに心を破壊したはずのルーテシアはエリオ・モンディアルの説得によって
自力でコンシデレーション・コンソールを解く始末だ。飼い犬に手を噛まれたような気分に、
クアットロは端正な美貌を歪めながらエリオ・モンディアルへの怒りを露にした。

「何なの・・・・何なのよあのガキ。何なのよいったい!?」

エリオ・モンディアルはこちらの目論見通り、激しい怒りを露にして自分に憎悪をぶつけてきた。
だが、そこから先の行動は理解不能だった。クアットロが望んでいた結末は、エリオ・モンディアルが
怒りと憎悪で自身の身を滅ぼす最期を見届けることだ。
自分への恨み言を吐きながらルーテシアに殺される。
大切な家族の復讐を果たし、それでも晴れぬ憎悪に押し潰されて自滅する。
どちらに転んでも、クアットロにとって好ましい結末であった。
だが、現実はそのどちらでもなかった。エリオ・モンディアルはまるで自分に興味がないかのように一喝するだけで、
ルーテシアへの説得を止めようとしなかった。いや、あれはそもそも説得などではない。
ただ憎しみをぶつけただけだ。他人に傷つけられることを何よりも嫌うルーテシアがあれで自我を取り戻すことができた訳が、
クアットロにはまるで理解できなかった。

「・・つぅっ!?」

不意に大きな揺れが襲い、クアットロはバランスを崩してコンソールの上に倒れ込んだ。
何者かの攻撃を受けている。
クアットロはすぐにコンソールを操作し、モニターにその人物の姿を映し出した。

「オットー、ディード・・・・・・・」

『見つけたよ、クアットロ姉様』

『こそこそ隠れて悲劇を観覧する、あなたらしい趣向ですね』

オットーのレイストームが直撃し、グラリと船体が揺れる。
同時に、景色が明滅するように変色し、船体に施していたシルバーカーテンの偽装が解けていく。
84UNDERDOGS 第九話J:2008/12/03(水) 04:25:00 ID:P2CcfmE2
「しまった・・・・・・」

『なるほど、次元航行艦を透明化させて司令部にしていた訳か。それなら、下でどれだけ召喚蟲が暴走していても安全だ』

次元の海を航海する次元航行艦の装甲ならば、ちょっとやそっとの衝撃を受けたところで傷一つつかない。
それに次元航行艦の管制室には高度な演算機や通信機、各種センサーも完備されているため、
下手に基地を作るよりも有効な場合がある。そして念には念を入れてシルバーカーテンで透明化させていた
即席の司令部を、幻術使いのティアナがリインと協力して見つけ出したのだ。
無論、そんなことはクアットロの知る由もないが。

『大人しく投降した方が良いよ、今の僕達は気が立っている』

『あなたが地雷王を暴走させなければ、ウェンディは死なずに済んだかもしれない。
これは姉妹としての最大限の譲歩です。でなければ、私はあなたを殺してしまう』

怒りに震えるディードの手には、ウェンディのライディングボードが握られていた。
地雷王から守るために突っ込んできたそれを、ディードは放さずにずっと保持していたのだ。

「何よ・・・・・裏切り者の癖に、私に指図する気!? どうせ、あなた達はドクターの夢のために使い潰される駒、
戦略のために死んだって文句は言えないはずよ!」

通信を繋ぎ、クアットロは自分に敵意を向けるかつての妹に罵倒を浴びせる。
だが、返って来た言葉は罵りではなく哀れみの込められた言葉だった。

『あなただって、その駒の1つに過ぎないんですよ』

一際大きな衝撃が船体を襲う。
見れば、強化ガラスの向こうに紫紺の瞳を怒りの炎で燃やす白天王の顔があった。
いつの間にか、取りつかれていたのだ。

「ああ・・・あああぁ・・・・・・」

白天王の爪が強化ガラスを突き破り、管制室内の空気が勢いよく外へと漏れだす。
その流れに逆らって、漆黒の異形が自分の前へと降り立った。
召喚蟲ガリュー。
この結末の原因となったと思われる、ルーテシアが最も信頼する従者。
この虫野郎を逃しさえしなければ、全てうまくいっていたかもしれない。
こいつが、あの男を呼んでしまったばかりに。

「この、む・・・・・・・」

言葉が紡がれる前に、ガリューの爪が喉を一閃した。
焼けつく様な激痛に悶えるが、叫び声は笛のような空気の抜ける音しかでなかった。
気道を切断され、声帯が機能していないのだ。

「・・・・・・・・!」

ガリューの深紅の瞳は憎悪に燃えていた。
外骨格は剥げ落ち、全身を血みどろにしながらも、黒いオーラにも似た怒りが滲み出ている。
悪魔の如きその姿を見て、クアットロは自分が震えていることに気づいた。
違う、恐怖を与えるのは自分だ。
このクアットロにこそ、虫けらどもの命と心を弄ぶ権利があるのだ。
断じて、自分は恐怖を与えられる側ではない。
憎悪を向けられることは心地よいことだ。無力な虫けらが罵詈雑言で自分を罵りながら破滅していく様は絶頂にも似た悦びを覚える。
弱いくせに生き足掻こうとする姿を観察し、目の前から希望を奪い取ってやることは堪らなく愉快だった。
それも全部、自分が相手に絶望と恐怖を与えることができるからだ。
今の自分のように、情けない姿を晒すのは真っ平だ。
85UNDERDOGS 第九話K:2008/12/03(水) 04:25:36 ID:P2CcfmE2
(ISシルバー・・・・・・)

透明化が発動するよりも早く、ガリューの爪が煌いた。
次の瞬間、四肢の腱が切断されていた。
余りにも鮮やかな手つきに、クアットロ自身もいつ切られたのかわからなかった。
常人ならばショック死していてもおかしくはない激痛に、クアットロは声なき声を上げて悶える。
直後、シルバーカーテンによってクアットロの体は透明になったが、身動きが取れなければ消えた意味がない。
そして、戦闘機人である自分はこの程度では死ぬことはできない。
喉を潰されようと、手足をもがれようと、頭か心臓を破壊されない限り死ねないのだ。
ガリューは、クアットロが今までそうしてきたように、絶望と恐怖を味わわせるために喉と四肢を破壊したのだ。

「・・・!!!」

船体にしがみついている白天王の腹部に、凶悪な光が集まっていく。
魔力砲で、船ごと自分を吹き飛ばす気だ。
禍々しい輝きにクアットロは思わず目を閉じようとしたが、あるべきはずの瞼がそこにはなかった。
既に、ガリューが四肢の腱を断った時に一緒に剥いでおいたのだ。
迫りくる死の恐怖に叫ぶこともできず、目も耳も塞ぐことはできない。
塞ぎこみたくても四肢が動かねばしゃがむこともできない。
自分はこのまま、自分が死んでいく瞬間を見届けねばならないのだ。

(違う、私はクアットロ。ナンバーズの4番にして、幻惑の使い手の異名を持つ女。
こんな、こんなチンケな虫野郎の好きにはさせない)

残る力を総動員し、クアットロは最大出力でISを発動する。
既にこちらが無力化していると思い込んだガリューは船外に逃れている。
自分の死は決定事項だ。だが、ただでは死なない。あんな連中に勝利の余韻など味わわせてはならない。
味わわせるのは絶望と失望、そして恐怖。それこそが自分の生きる糧、生きた証。

(あははははははっ、消え去りなさい、虫けらども。私はあなた達には屈しない。
屈してなるものですか・・・・・・・・絶望しなさい、この私をこの世から消し去ったことを!)

視界が輝きで満たされ、真っ白に染まって何も見えなくなる。
直後、零距離で発射された白天王の魔力砲は、クアットロ諸とも次元航行艦を跡形もなく消滅させた。





光の中に消え去っていく次元航行艦の最期を見て、エリオは虚しい思いに駆られていた。
復讐は果たした。
クアットロはもういない。
ルーテシアも解放した。
けれど、キャロは戻ってこない。
フェイトのケガも治らない。
自分とルーテシアが犯した罪も消えない。
それでも終わったのだ。
後味が悪くても、その結果が自分を取り巻く世界に何の影響も及ぼさなかったとしても、
これで止まっていた時計の針は進む。自分はこれから、ルーテシアと共に歩いていくのだ。
また傷つけてしまうかもしれない。
キャロを殺したことは、絶対に許せない。ルーテシアのためにも、許してはいけない。
彼女は、その憎しみを受け止めながら生きねばならないのだ。
それが、彼女に課せられた罰だ。
86UNDERDOGS 第九話L:2008/12/03(水) 04:26:23 ID:P2CcfmE2
「ルー・・・・・・」

「エリオ、まだ・・・・・終わっていない」

「ルー?」

「まだ、みんな戦っている。私も手伝うから、こんな戦い終わらせよう。一緒に歩くのは、それからでも良い?」

「・・・・・・うん。それからにしよう。今は、悲しい戦いを終わらせよう」

立ち上がろうとするルーテシアに手を貸し、エリオは未だ戦いの続く戦場を見つめた。
司令官であるクアットロを倒しても、まだ戦いは終わっていない。
だが、指揮系統が乱れたことで敵の足並みは悪くなっている。
それに白天王だっているのだ。彼の力を借りれば、アインヘリアルを破壊することなど造作でもない。
そう思った刹那、飛来した魔力砲が白天王の腹部に巨大な大穴を穿った。
グラリと巨体が揺らぎ、夥しい量の血を流しながら眼下の大地に落下していく。
そして、白天王はそのまま二度と動くことはなかった。

「いやあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」



                                                       to be continued
87名無しさん@ピンキー:2008/12/03(水) 04:35:15 ID:opnVuDU5
自分で支援
88B・A:2008/12/03(水) 04:39:13 ID:P2CcfmE2
以上です。
今回はかなり賛否両論になるのではと思います。
ただ、ルーテシアには自力で目覚めて欲しいと考えた結果です。
クアットロを殺すのは誰にするかも最後まで迷いましたけど、書いている間に動けるのが彼らだけになってしまって必然的にこうなりました。
あの状況じゃエリオはルーを放っておけないし、他のみんなはまだ戦っているしで。
89名無しさん@ピンキー:2008/12/03(水) 09:11:13 ID:DFq/MmkJ
GJ!!
いやクアがエリオかガリューの手にかかって最期を終えただけで充分です。
しかしせっかく意識を取り戻したのにルーテシアが可哀想すぎる。
とうとう白天王まで…
エリオとガリューだけでもずっと側にいてあげて欲しい!
90名無しさん@ピンキー:2008/12/03(水) 11:29:25 ID:3ZthKO8M
エリオの必死の呼び掛けが起因でルーが正気を戻す
予測通り過ぎる展開
91名無しさん@ピンキー:2008/12/03(水) 13:07:56 ID:eMdO6iSk
最後のはアインヘリアルの砲撃かなこれは、GJです
ちょっとラインアークの彼にVOBでの出撃依頼出してくるね
92名無しさん@ピンキー:2008/12/03(水) 13:17:08 ID:FWGykbi7
ルー、助かっちまったんかぁ
ここで無惨に死んで更なる欝を期待してたのにっ!

ともあれGJです
93名無しさん@ピンキー:2008/12/03(水) 15:18:42 ID:ogSQCRoz
>>65
オチでワロタGJ!
94名無しさん@ピンキー:2008/12/03(水) 19:57:48 ID:mANTc20e
GJ!
自分はウェンディが死んでしまった時点でもう鬱々です…
ルーは助かってマジ良かった
でも白天王まで逝っちまったのかよ…
せっかくキャロの優しい思いを受け取り、エリオと共にずっと歩むと決めたんだ
エリオとルーは生き延びてくれ!!
95名無しさん@ピンキー:2008/12/03(水) 20:41:49 ID:UJyfCqwH
クアットロの死に様は、綺麗過ぎますね。
それはそれとして、白天王も死んだ。
次はアンリヘリアル破壊といくか、それとも奪取アンリへリアルvsゆりかご
でアンリへリアル完全破壊→クラウディアvsゆりかご→ゆりかご轟沈(ヴィヴィオ&なのはあぽーん)
という展開でしょうか?
96名無しさん@ピンキー:2008/12/03(水) 21:08:21 ID:2ZByahc7
>>95ー、アインへリアルアインへリアルー!
97名無しさん@ピンキー:2008/12/03(水) 21:42:48 ID:PGwt0hW9
>>64
ザッフィーGJ!
ヴィヴィオかわええ、癒されるぜこの子には。
でもザッフィー、なにヤってんだ君はwww

>>88
GJっした。
いやはや、ルー救助できてよかったよかった。
ウェンディの件もあって死ぬかもしれないと不安だったぜ。

そして現在一番の懸念事項はヴァイス、過去の事を思い出したら精神が崩壊しかねん。
チンク姉に頑張って助けてほしいのう。
98名無しさん@ピンキー:2008/12/03(水) 22:21:04 ID:ij+xC5Bm
勝手になのは、フェイト、はやて、アリサ、すずかに囲まれてイチャイチャウハウハなエリオを想像して、
勝手にエリオをぶっ飛ばしたくなった俺がいる。
そう言うシチュエーションっていかがなのかな。
例えば温泉とか他に誰もいないビーチとか。
99名無しさん@ピンキー:2008/12/03(水) 23:08:59 ID:pcLjCoth
死と隣合わせの危険な仕事をしている男は強いフェロモンを出している。
職業柄、女性達がエリオに惹かれるというのはあり得る話。
しかもこの匂い、男は全く判らない。女だとはっきりと嗅ぎ分ける。
先週、テレビ番組で実験していて驚いた。
100名無しさん@ピンキー:2008/12/03(水) 23:10:17 ID:zjZGm6uk
>>98
とりあえずsageれ
101名無しさん@ピンキー:2008/12/03(水) 23:10:45 ID:mIQ1WjR3
まあエリオは自然保護区で伸び伸び育ってるわけですが。
10226-111:2008/12/03(水) 23:16:37 ID:vTlR4WfR
それじゃあ、軽くエリオの話でもしようか
投下予告です

・メインは新人4人
・非エロです
・タイムテーブルはsts本編で言うと大体14.6話くらいです。SS02より後。ギンガの合流より前
・使用レス数14レス
・タイトル:小さな騎士・スバル編

では、投下します
103小さな騎士・スバル編:2008/12/03(水) 23:17:16 ID:vTlR4WfR
「みんな、おはよう!」
「「「「おはようございます!!」」」」

時刻は早朝だが真夏の太陽は既に顔を覗かせており、疑似構築された木々の緑にまで、その恵みを分け与えている
機動六課隊舎の外れ、野外戦仕様の訓練場には今日も六課の新人フォワード4名がびしっと整列しており、若年ながら凛々しい顔付きを朝焼けが照らしていた
そして、彼らの前には白いジャケットで身を包んだ高町なのは教導官殿の姿がある

「さて、以前からの変則コンビネーションも昨日で一段落付いたから・・・今日からは、もう一度コンビを替えるよ」
「「「「はいっ!」」」」
「スバルはエリオと。ティアナはキャロとのコンビを、今日から三日間。短期間だけど、しっかり物にしていこう。
前衛同士のコンビネーション。後衛同士のコンビネーション。これが上手くできるようになれば、フォーマンセルでの戦闘ももっと強くなれるからね」
「「「「お願いしますっ!」」」」

気合いの入った、良い返事を返す教え子4人の姿に、なのははどこか不敵な笑みを唇に宿すと、こくりと一つ頷いて見せた

「それじゃあ、今日も頑張っていこう!!」



○小さな騎士・スバル編



「さて、と。それじゃあ今日から三日間。頑張ろうね!エリオ!」
「はい!よろしくお願いします。スバルさん!」

握り拳を小突き合わせるのは、フロントアタッカー:スバルと、ガードウィング:エリオである

「それじゃあ、よろしくお願いね。キャロ」
「はい、ティアさん!一生懸命頑張ります!」

こちらは、センターガード:ティアナと、フルバック:キャロのやり取り
104小さな騎士・スバル編:2008/12/03(水) 23:17:48 ID:vTlR4WfR
先日までは、スバルはキャロと。ティアナはエリオとコンビを組んで訓練をしていたが、今日から3日間は更にコンビを入れ替えての訓練となる
その真意は、先日初めて経験した“隊長戦”の折りになのは達から教わった・・・曰く、“味方を知ること”、“集団としての完成度を高める事”
それぞれ、互いのパートナーと違った視点で向き合う事で、その実力を深く知り、互いの力量を把握して新たな戦術を組み立てる・・・

それが、この変則コンビネーション訓練の目的である

「さて、それじゃあ訓練に入りたいところなんだけど・・・今日は先生役が私だけなんだよね・・・」

そう呟いて、なのはは少々困った顔を作った。地上本部での公開意見陳述会を一月先に控えており、隊長陣は結構忙しいのである
普段ならばスターズ分隊の副隊長:ヴィータも教導には参加してくれているのだが、生憎、ライトニング分隊の副隊長:シグナムと二人で地上本部に出向いている
ライトニング分隊隊長:フェイトも今日は執務官モードで、彼女の補佐官であるシャーリーを伴って本局に出向中
まさか、機動六課の部隊長として激務に励むはやてに頼むわけにもいかず、彼女の守護獣ことザフィーラはヴィヴィオの子守り役・・・無い袖は振れない状況であった

「それじゃあ、まずはティアナとキャロの二人から見ようか。スバルとエリオは・・・悪いけど、しばらく自主練。良い?」
「「「「はいっ!」」」」

少し困り顔の教導官殿にびしっと返事を返し、
――― そうして今日の訓練は始まった


二人でストレッチをこなし、身体をほぐしたスバルとエリオはそれぞれのデバイスを手に向かい合い・・・向かい合って・・・

「それじゃあ・・・何しよっか?」
「何、しましょうか・・・?」

何となく、苦笑を交わしてしまう二人である。二人で自主練、と言われてできることなど、一つしかないのだが

「じゃあ、やっぱり組み手だね。いつも通りの模擬戦ルールで。ヒットはそれぞれのデバイスが公正に判定すること。お願いね、マッハキャリバー」
『Ok』
「はい!やるよ、ストラーダ!」
『Yes,Sir』
105小さな騎士・スバル編:2008/12/03(水) 23:18:19 ID:vTlR4WfR
本当は、こんな風に監督官を立てない模擬戦はあまり良い顔はされないのだが、“組み手”ならばまだ容認されている
実戦形式でぶつかり合う模擬戦とは違い、組み手は“動作の再確認の為のスパーリング”、というのが主目的であり、模擬戦よりも一段階敷居が低い

マッハキャリバーの車輪が地を噛み、猛然と突撃してきたスバルの拳をエリオは飛び退って避け、返す刀で振り下ろしたストラーダの一撃はシールドで阻まれる

どちらの動きも実戦形式と言うには緩やかで、“勝負”という気配は微塵も無い
もっと鋭く繰り出せる蹴打でも、力を籠めて、狙いを定めて蹴りを打つ・・・避けられるのは当たり前だ。だが、回避したエリオは素早く、自分の立ち位置や姿勢を確認している
身を捻れば回避できる緩やかな刺突だが、敢えてスバルは防壁を展開し、真っ向から受けて立つ・・・防壁の強度はどうか。受け流した角度は、体勢は崩れていないか
さながら、型稽古の様な訓練だが、傍目には暢気とさえ映るそんな光景も長くは続かない
身体が温まってきた二人の動きは徐々に速さを増し、5分が経過する頃には実戦さながらのスピードで攻防が繰り広げられることになる。こうなると既に模擬戦だ

「てやぁっ!!」

裂帛の気合、というには少年の掛け声は少々甲高かったが、それでも籠められた気迫は本物だ
ストラーダの穂先は大気を突き破りながらスバルに迫り、それを彼女は極狭領域で掌に展開したシールドを使い、“撫でる”様にその先端をいなす
気勢を削いだスバルはクロスレンジよりも更に踏み込む。ゼロレンジ、それでも彼女の間合い。素早く小刻みなワンツーは仰け反って避けられた
エリオは後ろに飛び退って距離を取ろうとするが、

「まだまだっ!」
「ッ!?」

不敵な笑みと共に、スバルはエリオに肉迫。間合いを詰めたまま、食い付いて離さない
両手両脚を使った猛烈な乱打で、守勢に回ったエリオを突き崩そうと言うのが彼女の目論見だ
数瞬でも暇を与えたら、彼お得意の高速移動魔法:ソニックムーブで逃げられる。だから、逃がさない

「この前の、お返しーっ!!」
「えぇっ!?」

彼女が言う“この前”とは、先日行われた模擬戦の事である。スバルとキャロ、ティアナとエリオのコンビで分かれて行われた模擬戦の中で、
絶対有利と思われた局面で、スバル達は鮮やかに逆転されてしまったのだ・・・ティアナ達としても、ギリギリだったのだが

「くっ、うわっ!」
106小さな騎士・スバル編:2008/12/03(水) 23:18:49 ID:vTlR4WfR
スバルの動きを牽制しようと突き出したストラーダを逆に掴み取られて、上体が泳いだエリオの姿にスバルは会心の笑みを唇に刻み・・・!

「えいやっ」

むにっ、と、少年の柔らかい頬にリボルバーナックルに鎧われた右の掌抵を押し付けた

『Hit』

どこか嬉しそうに聞こえる合成音声で、マッハキャリバーはスバルの打撃(?)を有効打と判定し、

『Damaged』

どこか沈んだ合成音声で、ストラーダはエリオの敗北と判定した

「勝利ーっ!」
「はぁ、参りました・・・悔しいなぁ」

快活に、空に向かって高らかに勝利宣言をするスバルに、少しだけ悔しさが滲んだ笑顔を浮かべて、エリオは頭を下げた
組み手の開始から10分程の攻防だったが、その激しさを物語るように訓練服は汗を帯びていた。生温いが、何とか涼気を帯びた朝の風が肌に心地良い・・・
そんな二人の立ち回りを、少し前から眺めていたなのはは笑顔で二人の方に歩いて行き、

「うん、良い仕上がりだね。二人共」
「ありがとうございますっ!」
「ありがとうございます。でも、僕は課題ができちゃいましたね」
「欠点が自分で解るなら、それは良いことだよ。今回見つけたエリオの課題は、何かな・・・?」

なのはに促されて、エリオは自分なりに見つけた、先の組み手での“課題”を口にした

「クロスレンジ以上に踏み込まれた時の対処法です。フェイトさんとシグナム副隊長からも、こういうのは少し指摘されていたんですが・・・」

なのはは、うん、と一つ頷いた
107小さな騎士・スバル編:2008/12/03(水) 23:19:21 ID:vTlR4WfR
エリオのスタイルは、高速機動を主軸に置いた一撃離脱型だ・・・それ故に、張り付かれたり、自分より早い相手が敵手の場合は、少々苦しい
この度のスバルは、弱点の両方を突いた形である。逃げる暇を与えないゼロレンジでの格闘戦。“体術”という、攻守どちらにも小回りが効くスタイル

「少し、大胆な手を考えていた方が良いかもしれないね・・・う〜ん・・・」

首を捻るなのはであった。モード3が解禁になれば対処の幅も増えるのだが、現状ではそうも言ってられない
できれば、こうした問題は専業騎士であるシグナムやヴィータに相談したいところであるが・・・何となく、相談する前から返事が読めてしまうなのはである

Q:デバイスが振るえないくらいに詰め寄られたらどうしますか?
A:殴る

シグナムあたりは本気でそう言うし、そうするだろう
実際、彼女は実戦の中でもレヴァンティンの柄頭で殴ったり蹴り付けたりと、邪道・・・もとい、剣だけに頼らない柔軟且つ実戦的な剣術を扱う
手足の短いヴィータなら何か違う手段で切り抜けるかも知れないが・・・彼女はディフェンスにも長けているので、スピード型のエリオとは少々事情が異なる

「あの、なのはさん」
「ん〜・・・ん?何?スバル」

スバルの控えめな呼び掛けに、考え込んでいたなのはは顔を上げた

「その、素人考えではあるんですが・・・シューティングアーツの基礎を、やってみるっていうのは、どうでしょう?あ、その、出過ぎた真似って言うのは承知ですけど・・・」
「シューティングアーツ・・・零距離格闘戦かぁ・・・」

なのはの私見ではあるが、エリオはまだ体格が未発達という事もあり、格闘技術を鍛えてもあまり意味が無いだろう。と思っている
体格の不利を補う為に、彼は“槍”という長尺の武器を選んだのだから、槍術一本で伸ばしていくべきだ
しかし、長期的に見た場合どうだろうか?成長し、体格が良くなれば、それに合わせてストラーダの長さを伸ばすだろう。そうなれば、リーチは伸びるが先程の様な隙も大きくなる
今と同じ欠点を引き摺ったままというのは、将来、下手をすると致命的な事態を招く事があるかもしれない

そう考えれば、ここでシューティングアーツの基礎を覚えておくのも悪くない。スバルの腕は確かだし、エリオの飲み込みも早い。基礎鍛錬の一環と思えば一石二鳥と言える

「うーん・・・それじゃあ、スバル」
108小さな騎士・スバル編:2008/12/03(水) 23:19:51 ID:vTlR4WfR
「はいっ!」
「先生役・・・やってみる?」

なのはの出した結論に、スバルはぱっと顔を輝かせた
勿論なのはとしては、いきなりエリオにスバル級の格闘技術を求めはしないし、対応策に関しては、後々、フェイトやシグナムにも相談してみるつもりだ
だが、今のこの変則コンビネーションの中で格闘訓練ができるのは都合が良い。人手不足でもあるし、二人の連携も緊密になるだろう
丸投げにするつもりは毛頭無いが、ここは一つスバルに師範代を務めてもらおう・・・それが、なのはの出した結論である

「い、良いんですかっ!?」
「スバルから言い出したんじゃない。頼りにしてるから、頑張ってね。但し、指導に関して危険な事や無茶はさせちゃ駄目だからね」
「はいっ!ありがとうございます!頑張りますっ!」
「それじゃあ、ちょっとティアナ達の方も見てくるから・・・エリオ」
「は、はいっ!」

びしっと気を付けの姿勢を取ったエリオに、なのははにっこりと笑って、

「“先生”にしっかり教わるんだよ。課題の克服を目標にね」
「わ、わかりました!」

うん。それじゃあ頑張ってね、と言い残し、サイドテールを揺らしながらなのははティアナとキャロの方に歩いて行き・・・スバルとエリオは顔を見合わせて・・・

「・・・んふ、んふふうふふふふ」
「ス、スバルさん!?」
「あぁ、もう。違うよエリオ!今この瞬間から、お姉さんの事はスバル“先生”!」
「・・・」

反らした胸を拳で叩いて、彼女は満面の笑みと共にそう言った。期待に充ち満ちた眼差しで見詰められて、エリオは何となく腰が引けた口調で、

「・・・ス、スバル、先生」
「ん、よろしい!」
「はぁ・・・」
109小さな騎士・スバル編:2008/12/03(水) 23:20:23 ID:vTlR4WfR
知らなかったわけではないが、スバルは案外悪ノリするタイプである

「それじゃあ、エリオ。スバル先生がシューティングアーツの基本をバッチリ教えてあげるからね」
「あ、はい。頑張ります!」
「まぁ、そんなに難しくも無いんだけどね。エリオくらいなら、基礎くらいあっという間に物にできちゃうよ。
それじゃあ、まずは基本中の基本。握り拳の作り方と、基本の姿勢から ―――



「あ、なのはさん。スバル達はどうしてました?」

なのはが課題として設置していたサーチャー40基は、既に撃墜済みらしい
木の枝を片手に、地面に何やら作戦図らしき図形を描いて話し込んでいたティアナとキャロは、彼女の足音を聞きつけ、顔を上げるなりそう尋ねた
やはり、パートナーの事は気になるらしい

「うん。うまくやってた。今特訓中だと思うよ」
「特訓、ですか・・・?」
「そうだよ。うまく物にできれば、エリオの強さはぐっと変わるね」

振り返ったなのはの視線を追ってみると、そこにはスバルの指導を受けながら、拳を突き出しているエリオの姿があった
格闘技術は未経験の筈だが、やはり彼は近代ベルカの騎士という事か。なかなか堂に入った構えである

「・・・格闘訓練、ですか?」
「そうだよ。スバルが先生役で、シューティングアーツの特訓中。実戦で使うならフィールド強度の調整に、術式のコピーとかもしてあげないとね」
「すごいですね、エリオ君・・・新しい事を覚えるんだ」

感心したように呟くキャロに、ティアナは苦笑を拵えて彼女の背中をぽんと叩いた

「私達だって、新しい技術を覚えようとしてるでしょ?」
「?そうなの?」
「あ、いえ、その・・・エリオ君みたいに、全く新しい事じゃないんですが・・・」
110小さな騎士・スバル編:2008/12/03(水) 23:20:54 ID:vTlR4WfR
疑問符を頭上に浮かべたなのはの言葉に、キャロは少し照れの混じった表情で小さく頷いて、

「ブーストの応用を・・・新しい使い方をティアさんと考えてるんです」
「今まで、キャロのブーストは射撃や打撃への“上乗せ”がメインだったんですが、幻術へのブーストってできないかな、って思ったので」
「うーん・・・ちょっと、難しくないかな?」

ティアナが創る幻影:フェイク・シルエットは幻術魔法としては高位に位置する、扱いが難しい魔法だ
彼女は主に、創り出した幻影を囮や牽制に用いるが、例えば戦闘中に複数の幻影を生み出して襲わせたりするのは、かなりの集中を要する
シルエットの動作の設定・計算・制御をこなさなくてはならないからだ。ティアナは優秀ではあるが、マルチタスクには限界があるし、そこで精度が落ちては幻術の意味が無い
まして、複数の幻影を生み出した場合、一体一体それぞれを制御しなければならないのだ。それを更にブーストとなると、なのはであっても頭がパンクしかねない

「はい、なので・・・ちょっと考え方を変えたんです。見てもらえますか?」

確かな自信を帯びた、不敵な笑みを口元に小さく浮かべながら、ティアナはキャロに目配せを一つすると、瞼を閉じてじっと集中した

「・・・行きます、ティアさん」
「お願い」

短いやり取りと共に、二人の足元に魔法陣が浮かび上がる
そして・・・

『Silhouette,Open』
『Energyboost』
「っ!?」

クロスミラージュとケリュケイオンの合成音声が小さく響くと同時に、彼女ら三人を取り囲むように、ティアナとキャロの姿を映した無数の幻影が現れた
単純に現れただけでなく、それぞれが木陰に隠れていたり、時に茂みから茂みへ飛び移ったりと、なかなか芸が細かい

「茂みの動きや、足音のエミュレーションもできてる・・・でも、これだけの数を・・・」
「・・・っ、はぁっ・・・どうです?なのはさん。なかなかの出来じゃないかと、ちょっとは自信が、有るんですが」
「うん、これは凄いよ。でも、どうやって?」
111小さな騎士・スバル編:2008/12/03(水) 23:21:25 ID:vTlR4WfR
なのはから質問されるという、普段とは逆転した立場に少しだけ面映ゆいが、ティアナとキャロは息を整えながら答えを口にした

「シルエットの制御術式を、少し変えたんです。今までみたいな単体制御じゃなくて、複数体を“群れ”として一括制御できるように。
発生地点の細かい指定なんかは、クロスミラージュに任せちゃってるんですけどね」
「そんなシルエットの“群れ”を幾つも創り出すのは大変ですから、私が主にシルエットを維持する為にブーストをしているんです」
「なるほど・・・制御と維持の役割を分担したんだ」

感心したように呟くなのはに、ティアナは苦笑を拵えて本音を漏らした

「キャロのサポートがあってこそ、ですけどね。私はむしろ、いつもより楽してるくらいで」
「そ、そんなこと!私は、単純にブーストをしてるだけですから・・・」

頬を赤くして、キャロは縮こまるが・・・実際の所、ティアナの言葉の方が正しい
インクリースタイプの魔法は、対象となった人物や魔法に能力を付与する補助魔法であるが・・・高位魔法へのブーストは難しく、術式に干渉する恐れがある
その結果が発動の失敗で済めば僥倖。下手をすれば、暴発という最悪の事態を招きかねない
「ブーストしてるだけ」などとキャロは言ったが、その「ブースト」がこなせる魔導師は、管理局でも一握り程度の数しか居ないだろう
誇張抜きで、彼女が見せたのは間違いなく、基本をそのまま昇華させた高等技術と言える

「まぁ、そんなキャロの頑張りに応えるためにも、私の方はもう一工夫するつもりなんです」
「もう一工夫・・・?それは、どんな風に?」
「このシルエット達に射撃をさせる、っていうアイデアです。勿論、幻影ですけど・・・その為に数を絞るか、シルエットの精度を落とすか。なかなかうまく決まらなくて」

なるほど。となのはは頷いた
幻術とは、詰まるところ所詮“幻”であり、何の力も持たない・・・だが、幻とは言え、いきなり一斉射撃に見舞われたら?
大概の相手は、大きな隙を作ってしまうだろう。そして、その隙を全力で突く。それが、ティアナのプランだ

「・・・これは、楽しみだなぁ」
「何がです?」

ぽつりと漏らしたなのはの呟きに、キャロは首を傾げて尋ね返した
なのはは、徐々に鮮やかさを増しつつある青空を見上げながら、近い未来に思いを馳せて・・・にっこりと笑ってキャロに応えた
112小さな騎士・スバル編:2008/12/03(水) 23:21:57 ID:vTlR4WfR
「みんなが、いつか結果を見せてくれる時が、ね」
「結果、ですか・・・?」
「うん。六課の運用期間、一年が過ぎた時。私とフェイト隊長、ヴィータ副隊長とシグナム副隊長の教導の結果をどんな風に見せてくれるのかが、今から本当に楽しみだよ」

いつもならば、嬉しそうに物騒な笑みを浮かべる教導官殿には引き攣った笑みしか返せないところだが、半年先の自分も、そうだろうか?
エースオブエースに一年間鍛えられて、それでもそんな情けない顔しか向けられないだろうか?
先のことは解らないが、それでも、そんな情けない姿は見せられない・・・!

ティアナは口元にどこか不敵な感じが漂う強気な笑みを浮かべ、キャロは唇を引き結んで両手を胸元で握り締め、二人は揃って、なのはに言った
ティアナ曰く、

「楽しみの種、もっと増やしておきますね」

キャロ曰く、

「きっとみんなで、勝ちますからっ!」

そんな言葉に、なのはとティアナは思わず顔を見合わせ、意外に強気な台詞を打ったキャロの顔をまじまじと眺めてしまい、視線に負けて身を縮こまらせるキャロであった


――― だが、そのくらいの気概がなくては ―――


なのはは現在、教導官となって6年になる。書き表せばたった2文字だが、その間には多くの人々との交流があり、多くの生徒との出会いと別れがあった

彼女は思う
“出来損ない”な生徒なんて一人も居なかった。けど・・・この子達は、この4人は、きっと自分が死ぬまで誇れるような、飛びっきり優秀な教え子になる。と

願わくば、この子達が、もっと高みへと羽ばたけるように。そして、叶うなら ―――

「その意気だよ、キャロ。私なんかよりももっと強くなって先に進まなきゃ、私達が・・・“先生”が居た意味が無いんだからね」
113小さな騎士・スバル編:2008/12/03(水) 23:22:28 ID:vTlR4WfR
後半部分は胸の裡だけで呟いて、彼女は二人をそう励ました



「うーん、やっぱり筋が良いね。流石男の子」
「そ、そうでしょうか?まだまだ全然だと思うんですが・・・」

スバル先生の格闘技講習は拳の握り方から始まり、基本の構え。真っ直ぐな突きの放ち方を経て、防御の基礎を丁寧に教えていた
実際にスバルは自分の突きを受け止めさせて、その動作を何度も反復して身体の動かし方を教え込む・・・
格闘技歴は4年程しか経験がないスバルだが、血筋と猛特訓のお陰か。その技術は練達の域に差し掛かっていると言っても過言ではなく、そんな彼女の目から見てもエリオは筋が良い
慣れない格闘訓練に汗だくになったエリオ本人としては、投げ渡されたスポーツドリンクに口を付けながら、少々自信薄な言葉を返していたけれど

「ううん、そんなこと無いよ。スバル先生が保証してあげる!何か、エリオの訓練を見る時のシグナム副隊長の気持ち、分かるなぁ・・・
エリオくらい優秀な生徒だと、自分ができること、全部教えたくなっちゃうね」
「あ、でも、シグナム副隊長は厳しいですから・・・まだまだ、そんな風に認めてもらえていませんよ。きっと」
「そんなこと無いよ。厳しいのはね、見込みがあるって言うことの裏返しなんだよ。エリオ」
「だと、自信が持てるんですが・・・あ、でもいつかザフィーラがそんな風に言ってたっけ」

盾の守護獣と巡回路を共にした時、彼は励ましてくれていた。『我らの将は見込みのある者には、少々厳しく接する節がある』と

「あっはは、そうなんだぁ・・・うん、それじゃ、もう一本基本の型を通したら、今朝は上がろうか。ティア達もそろそろ切り上げるみたいだし」
「あ、ですね」
「帰ったら、シャワー浴びて朝ご飯食べて、あ、午前中はデスクワークだぁ・・・」

がっくりと項垂れるスバルに、苦笑を浮かべてしまうエリオである
エリオとキャロの年少コンビがデスクワークに不慣れなのは、まぁ仕方が無いと思えるのだが、386部隊での実務経験が有る筈なのにスバルは何故か書類に弱い
訓練生時代から座学の成績は良かったし、勉強嫌い、というわけでは無いのだが、どうにも書類仕事は苦手なのだ
盛大な溜息を吐き出したスバルは、だらけた顔をきりっと引き締めると、両腕を掲げて構えを取った

「よっし!それじゃあもう一本行くよ!防御の型、構え!」
「はいっ!」
114小さな騎士・スバル編:2008/12/03(水) 23:22:58 ID:vTlR4WfR
スバルの号令にエリオはさっと身構えた。相対しているスバルは拳骨を固めると、軽く、素早い突きを胸元目掛けて放つ
いつも着けているリボルバーナックルを外した握り拳は、思い掛けない程白くて、華奢に思えたが・・・拳を捌くエリオの両腕には小さな青痣が幾つか浮かんでいる
どんなに細く見えても、やはり“実戦”を何度も潜り抜けてきた拳なのであった


そんなこんなで、陽も高くなり・・・早朝の涼しさがすっかり薄れてしまった頃、ようやく朝練が終わる

「ふぃーっ。それじゃ今日の早朝訓練はこれまで。っと」
「はい、ありがとうございました。スバルさん」

ぺこっと頭を下げるエリオだが、何故かスバルはぶすっ面である
思わずたじろいでしまうエリオだが、その理由に思い至って、慌てて最前の言葉を言い直す

「あ、ありがとうございました。スバル先生」
「うん、よく頑張りました、と。どうだった?シューティングアーツ。基本中の基本だけだったけど・・・?」
「はい!楽しかったです!」

楽しかった、と明るい笑顔でこちらを見上げてくるエリオに、少し複雑な表情を浮かべてしまうスバルであった

「・・・そっか。楽しんで練習できるのは、良いことだよね」
「あの・・・スバルさん」

思わぬ翳りを見て取ったエリオは、少し遠慮がちに尋ねてみた

「スバルさんが、シューティングアーツを始めた切っ掛けって・・・11歳の時になのはさんに助けられて、それから、なんですよね」
「うん、そうだよ。それまでは・・・あんまり、って言うか・・・全然好きじゃなかったんだ。シューティングアーツ。弱虫で、泣き虫だったって言ったら、信じる?」

悪戯っぽい笑みの中に、少しだけ翳りが残っている・・・嘘では、無いのである
言葉を詰まらせるエリオに小さく苦笑を見せながら、スバルはぎゅっと拳を握って見せた。白く、細い手だが、固められた拳骨からは凄味さえ感じられる・・・

「最初はね、なのはさんに憧れてミッド式の魔法を覚えたかったんだけど・・・あんまり上手くいかなかったんだよね。
その分、シューティングアーツに、近代ベルカ式に適正が合ったみたいなんだけど」
115小さな騎士・スバル編:2008/12/03(水) 23:23:31 ID:vTlR4WfR
血筋、と言う理由もあろう。スバルの母:クイント・ナカジマはシューティングアーツのマスタークラスであったのだし

「あの人みたいに強くなりたい。泣いてばかりで何もできない自分かわ変わりたいってずっと思ってたんだ。
それが、11歳の頃の話だから・・・今のエリオよりも、ちょっと年上だったんだよね。なんかそう考えたら・・・エリオとキャロってすごいよねー」
「え?あ、いえ、そんな事無いですよ」
「でも、キャロから聞いたんだよー?フェイトさんに憧れて、フェイトさんの力になりたくて局員に・・・“騎士”になったんでしょ?」
「そ、それはそうですけど・・・でも、キャロも同じ気持ちで局員になったんですし、別にすごくは無いですよ」

少しだけ顔を赤くして、顔の前で両手を振るエリオの頭を、スバルは問答無用の素早さで小脇に抱え込むように抱き締めた

「んっふふー、照れるな照れるな愛い奴め♪」
「う、うわぁっ!?ス、スバルさん離してくださいっ!」
「いーやーだーよー」

割と遠慮無くぶんぶん振り回されているのが苦しい、というよりも、
耳の辺りに当たる柔らかい感触と、汗で湿り気を帯びたシャツに顔面を密着させて恥ずかしくないんですか、という少年らしからぬ紳士的な理由があるのだが
まぁ、スバルとしてはそんな些末な理由など気にならないらしく、少々過剰なスキンシップを満喫している
振り回されっぱなしのエリオとしては何としてでも、この柔らかい拘束から抜け出したいところなのだが、生憎スバルの力は強い。ノリノリな時は特に

「さーて、それじゃあ一旦部屋に戻ったらシャワー済ませて朝ご飯食べて!デスクワークは正直嫌いだけど頑張ろっかぁ!」
「その前に離してくださいっ!」
「良ーじゃん。部屋はどうせ一緒なんだし。あ、頭洗ってあげるよ?」
「け、結構ですっ!」
「そんな、遠慮しなくても良いってば」
「話を聞いてぇぇぇっ!!」

そんな悲鳴をあげながら、頭を小脇に抱え込まれたままぐいぐい引き摺られる少年騎士の姿があったとか・・・





116小さな騎士・スバル編:2008/12/03(水) 23:24:02 ID:vTlR4WfR
「あ・・・ティアさん」
「ん、何?キャロ」
「ほら、あれ・・・スバルさんと、エリオ君。ふふっ、二人共、いつの間にかすっごく仲良しですね」

ちょっとだけ、妬けちゃいます。という台詞は胸の裡に止めておいて、エリオを半ば連行するように引き摺って歩くスバルの図という、
隊舎の玄関先で見掛けるのは少々奇異な組み合わせを目の当たりにしても、キャロはにっこりと口元を綻ばせていたが・・・

「・・・ちょっとごめんね」
「え?あ、は、はい」

ティアナはタオルやスポーツドリンクの入った小さなバッグをキャロの腕に押し付けると、猛然と駆け出し、

「何をやっとるかこの馬鹿スバルーッ!!!!」

実に見事な飛び蹴りを、相棒の後頭部に見舞うティアナであった
玄関先に顔面から倒れ込むスバルの腕からエリオを救助し、涙目でひっくり返っているスバルに何やら怒号を放つが、
どこか意地悪な笑みを浮かべたスバルが何事かをぼそっと呟き、ティアナとエリオは揃って顔を真っ赤にしている

そんな三人の姿に、はふ、とキャロは小さな溜息を吐き出すのであった

「・・・キャロ?一人でどうしたの?」
「あ、なのはさん。いえ、何でもないです。ただ・・・」
「ただ・・・どうしたの?」

首を傾げるなのはに、キャロはほやっと、少しだけ困り顔な笑みを浮かべて、こう言った

「スバルさんとティアさんが、いつの間にかエリオ君とあんなに仲良しになってるのが、嬉しいような、ちょっと悔しいような、そんな感じです」
「あはは・・・ちょっと、やり過ぎな気もするけどね・・・でも、また元のコンビに戻った時に、きっと実感できる筈だよ。
隣にいる時には見えなかったパートナーの姿と、隣にいる時にだけ感じられるパートナーの姿・・・今まで以上の、絆と、繋がりを、ね」
「・・・はいっ!」

花が咲くような笑顔で応えるキャロに、釣られるように微笑み返すなのはだが・・・視線を上げると、スバルを正座させてガミガミと叱り倒しているティアナの姿が

「まぁ・・・アレはアレで・・・あの二人なりのコミュニケーション・・・なのかなぁ・・・?」
「あはは・・・きっと、そうですよ・・・ね・・・?」
11726-111:2008/12/03(水) 23:29:21 ID:vTlR4WfR
はい、以上です
本編であった紫電一閃のフラグ立て“だけ”の展開ですね
特にそれ以外は見所がない話でありますコンチクショウ

・・・番外編?あんまり期待しないでください
取りあえず、スバルに(良い声で)なかされるエリオのエロさは異常。という事が私の中では決定事項です
早ければ今週中には仕上げて落とせるかな?

しかし、キャロが不憫。良い子だけど不憫。どうにかできぬものか

それでは、スレ汚し失礼しました
11826-111:2008/12/03(水) 23:34:42 ID:vTlR4WfR
だから、何で私はいつも最初に書くべき事を書き忘れるのか・・・

「小さな騎士・スバル編」は、随分前に投下した「小さな騎士・後編」から続く話です
エロ展開である「小さな騎士・番外編」は読んでいなくても楽しめる内容に止めております

・・・というのを書き忘れていました。書き上げたら吊ってくる
119名無しさん@ピンキー:2008/12/03(水) 23:43:58 ID:eqkUB2sK
GJです! スバルの少々過激なフィジカルコンタクトにどっきどきなエリオ君が可愛い。
120名無しさん@ピンキー:2008/12/03(水) 23:59:33 ID:mANTc20e
>>118
GJ!!!
スバエリも改めて見るといいカプだなあと強く思ったぜ
あわあわで少し奥手のエリオにちょっと強引なスバル
相性もいいし、何より数年もたてばエリオの背の方が高くなって互いに支え合う関係に。うん、実にいい
121名無しさん@ピンキー:2008/12/04(木) 00:50:07 ID:rgSBCYU2
>>88
キャロは本当に聖母のような女性だと思う
自分を殺した相手であっても許し、大切なパートナーとの幸せな未来を望む優しい子
エリオとそしてキャロのおかげでルーが助かったのは嬉しいけど、彼女はまた大切な友達を失ってしまったのか…
きっとエリオがいなくなったら今度こそ完全に壊れて二度と元には戻れないだろうな
だからこそ互いが死ぬまで永遠に二人一緒にいて欲しい
後コワレテしまっているのはヴァイスとなのは
チンク、スバルとヴィヴィオが救いの人となるのかな
もし全員助かったとしても、もうすでに失われた命は戻らない所がきつい…
ああ…前回のウェンディがいまだに忘れられない。GJ!!

>>117
小さな騎士…どこかで見た記憶があったので保管庫確認で納得
あの話の続編か!!!
好きだったけど、とうとう完結してしまったのか…と嘆いておりました
前回はティアと結ばれる一歩手前までいっただけに今回はどこまでいくのかドッキドキ
それだけに一歩間違えればティアの目からハイライトが消えそうで、そこがまた楽しみ
キャロは純粋な子だからまだ恋愛ごとには疎くて不憫なのは仕方がないこと
二人のちょっと過剰になってしまったスキンシップ(?)を待ち望んでおります
GJ!!
122うふ〜ん:うふ〜ん ID:DELETED
うふ〜ん
123うふ〜ん:うふ〜ん ID:DELETED
うふ〜ん
124うふ〜ん:うふ〜ん ID:DELETED
うふ〜ん
125うふ〜ん:うふ〜ん ID:DELETED
うふ〜ん
126うふ〜ん:うふ〜ん ID:DELETED
うふ〜ん
127名無しさん@ピンキー:2008/12/04(木) 13:43:54 ID:k04SCi7x
悪気のないスバルに攻められるエリオのエロさは最高だと俺も思っていただけに嬉しいものです
小さな騎士といえば最期でとうとうティアナがデレた所で同棲期間が終了になってしまったのでしたね
今回はスバルと同棲することになった続きですか
奥手なティアナに対して(薬を飲んだ場合は除く)スバルはごーいんぐまいうぇい
果たしてエリオの運命は?
そしてはぶられたキャロもエリオといちゃつける時が来るのか
続きをもの凄いwktkしながら待っております
128うふ〜ん:うふ〜ん ID:DELETED
うふ〜ん
129うふ〜ん:うふ〜ん ID:DELETED
うふ〜ん
130名無しさん@ピンキー:2008/12/04(木) 15:22:42 ID:uBNVpVIT
>>118
26-111氏GJです。
今まで男キャラだから興味がなかったエリオだけど、氏の書くエリオは凄く可愛いですね。
131名無しさん@ピンキー:2008/12/04(木) 22:59:36 ID:bzJW0iLD
>>117
>しかし、キャロが不憫。良い子だけど不憫。どうにかできぬものか
さあ一線を越える(by散様)んだ!

越え過ぎて孕まs(ry
132名無しさん@ピンキー:2008/12/04(木) 23:19:19 ID:gf/2RBZX
そんなSSあったなw
エリオじゃなくてユーノだけど
133サイヒ:2008/12/04(木) 23:39:41 ID:86EQo8jE
うい、どうもお久しぶりです。
会社の短期出張と、積みゲー崩しが忙しくてご無沙汰してました。

とりあえず復帰第一弾は、クライド×リンディで母乳。
例によってクライドが半分オリキャラなのと、搾乳には程遠い内容です。
というかリンディさんの方がミルクを(ry
おまけで、クロフェといつものオリキャラ子供勢が出てます。

オリキャラは嫌、という人は全体的にスルーよろしく。
134伴侶と子供と:2008/12/04(木) 23:40:34 ID:86EQo8jE
「ほーらクロノ、たかいたかーい」

 寝そべったクライドが、両腕を高く上げた。
 その手に抱かれているのは、愛息のクロノ。まだ生まれて一ヶ月と経っていないが、浮遊感が楽しいの
かきゃはきゃはと笑って喜んでいる。それを見て、クライドがクロノに負けないぐらい満面の笑みを浮か
べた。
 その様子を、リンディは夕ご飯の支度をしながら眺めていた。

「赤ちゃんって本当に可愛いなあ。どうしてこんなに可愛いんだろうな、リンディ?」
「……そうね。私とあなたの子供だからじゃないかしら」
「なるほど」

 曖昧かつ適当にした返答にも、クライドはやたら感心して何度も頷いていた。
 自分の声がひどく硬かったのが、リンディには嫌というほど分かった。表情もあまり浮かないものになっ
ている。
 目線を手元に戻すが、夫とクロノのはしゃぐ声が聞こえると無意識のうちに顔を上げてしまう。おかげ
で食事の準備はほとんど進まない。

「つっ……!」

 指先に僅かな痛みを覚える。よそ見しながら魚を捌いていたせいで、包丁が指を掠っていた。
 幸い皮一枚切っただけだが、血がじんわりとにじんでくる。指を口元へ運びながらもう一度クライドを
見るが、夫はクロノとにらめっこ始めており全く気づいた様子は無い。
 出産前まではこうではなかった。リンディの小さく悲鳴を上げた時点で飛んできて、大慌てで治癒魔法
をかけてくれただろう。
 仕方なく自分で指をしゃぶれば、鉄錆の嫌な味がした。
 血は止まったが舌に残る味を忘れるようにリンディは、声を出してクライドを呼んだ。

「あなた、そろそろクロノが眠くなる時間だから」
「ん、もうそんな時間か。遊んでると時間が経つのが早いな。じゃあおやすみクロノ」
「あー」

 クライドの言葉に反応したクロノが嬉しかったのか、またクライドは相好を崩しながらリンディにクロ
ノを手渡した。
 ベビーベッドのある自室へクロノを運んでやるリンディだが、寝かせもせずじっと顔を見つめる。
 そのままおもむろに、クロノのほっぺたを軽く捻った。
 本当に触れるのと大差ない程度の力しかこめなかったのだが、赤子のとんでもなく柔らかい頬にはそれ
でも痛かったのか、クロノの眼の端にあっという間に涙が盛り上がってきた。

「ふぇっ……。ふぇぇぇん……!」
「ご、ごめんなさいクロノ!」

 慌ててあやすリンディだが、クロノはぐずぐずと泣き止まない。おっぱいを口に含ませて、ようやく涙
が止まった。
 ふぅとため息をついてリンディは呟く。
135伴侶と子供と:2008/12/04(木) 23:41:14 ID:86EQo8jE
「…………なにやってるのかしら私」

 リンディも、クライドに負けない程の愛情を息子に抱いている。もしクロノに危害を加えるものが現れ
たとしたら、身命を賭して守るだろう。
 だがその一方で、リンディは間違いなくクロノに嫉妬していた。
 恋人同士になってからこれまでの時間、クライドの心の大半を占めてきたのはリンディただ一人である。
 しかし息子が生まれてからこちら、クライドはクロノにかまってばかりだった。
 そのことに、時折強い不満を感じている自分がいた。
 抓って泣かせてしまったことを反省しつつも、ついついクロノのほっぺたをリンディはぷにぷにと突っ
ついてしまう。
 しかし息子は母の胸中など全く知らぬふうに、おっぱいを飲むだけ飲むと乳首を咥えたまますやすやと
眠ってしまった。

「はぁ……。子供を産んで一ヶ月なのにこんなで、私これからお母さんやっていけるのかしら……」

 頭を振ってリンディはベッドにクロノを横たえ布団をかけてやる。
 もやもやした気分もクライドと夕食を食べながらしゃべっていれば晴れるだろう、と思いながら部屋を
出た時だった。
 いきなり腕が引っ張られたかと思うと、強く抱きしめられる。
 驚きの声を上げる隙もなく、唇が唇で塞がれた。

「んんんっ!?」

 反射的に暴れようとしたが、至近距離にあるのが夫の顔だと気づく。突き飛ばそうとした腕は止まった
が、今度は全身が硬直してしまう。
 その間にもクライドの舌がリンディの舌を絡め取り、自分の唾液でリンディの口の中を汚していく。
 一分以上経ってから唇は離れたが、顔の近さはそのままでクライドは微笑んだ。

「ごめんリンディ。最近クロノのことばっかりかまってて、寂しい思いさせて」
「わ、私は別に……」
「ごまかさなくていい。俺には分かるよ。だって、リンディの夫なんだから」

 今度は頬に口づけが降ってくる。柔らかい感触に、続けようとしていたリンディの反論は熱い吐息に変
わってしまった。

「それに、俺もクロノに嫉妬してたんだよ」
「え?」
「だって、リンディに抱きしめられるのも頬ずりされるのもキスされるのも、これまでずっと俺一人の特
権だったんだから」

 その一言で、やっぱり夫も何も変わらず愛していてくれたのだとリンディは悟る。胸にあった不満や不
安が嘘のように晴れた。
 もう一度クライドの唇が、リンディの唇に戻ってくる。今度はリンディの方から積極的に舌を絡めていっ
た。

「息子を本気で羨ましがるなんて、駄目な父親と母親だな」
「そうね。……だったら」

 一瞬だけ下拵え中の食材を思い出したが、すぐにリンディは頭から消して自分から顔をクライドに近づ
けていく。

「今晩は駄目なままで、クロノのこと完全に忘れちゃいましょうか?」

 返答は聞くまでもない。クライドの唇が上がってきて、情熱的なキスで応えてくれた。
136伴侶と子供と:2008/12/04(木) 23:42:03 ID:86EQo8jE
          ※



「ああっ……ちゅっ、んん…………クライドぉ……」

 場所をクライドの寝室に変え、身につけていた物の一切を脱ぎ捨てた二人は、舌だけでなく全身で絡み
合っていた。
 つよくクライドの背中を抱きしめるリンディだが、温もりがいまいち伝わってこない。クライドが上半
身を浮かせて、僅かな隙間をリンディとの間に作っているのだ。
 なぜだろうと考えるリンディはすぐに思い当たることがあった。
 出産後にセックスをするのはこれが三回目だが、最初にした時にクライドは母乳が出るようになったリ
ンディの胸を触らないようにすると言ったのだ。
 リンディも成人男性の力で吸ったり搾られたりすればどうなるかが少し不安だったので頷いたが、今晩
はそんな不安は無かった。
 リンディの身体はそれこそ秘所から脇下、足裏、そして尻穴にいたるまでも全てクライドの舌で味わい
尽くされている。
 ならば、今の時期だけ身体から出る液体も存分に味わってもらいたい。

「ねえクライド、私のおっぱい飲んでみないかしら?」

 リンディの首筋に舌を這わせていたクライドがぴたりと止まる。
 けっこうな時間迷った様子を見せてからクライドは口を開いた。

「…………正直に言えば、飲みたいよ。けどリンディのおっぱいは本来クロノのものなんだし」
「そうは言うけど、本当はクロノが私のおっぱい飲んでるの見て羨ましかったんじゃないの?」

 図星だったのか、クライドは横を向いて恥ずかしそうに頬をかく。

「それに……今晩はクロノのこと忘れるんでしょう?」

 微笑みながら、リンディはクライドの頭を胸元へ抱き寄せた。母乳をたたえたことでさらにボリューム
を増したリンディの乳房は、完全にクライドの顔面を埋もれさせてしまう。

「ほら、この中身、飲みたくないかしら?」

 押しつけたまま軽く身体を揺らせて、迷っている夫の背中を押す。
 ちらりと上目遣いになったクライドと視線が交わった。それだけでリンディは夫が乗り気になったこと
を知り、いっそう笑みを深めながら腕の拘束を緩める。
 頭が自由になったクライドの口が、乳首に吸いつく。
 しかし吸われる力はひどく弱く、クライドの唇を湿らせる程度しか母乳は出ていない。

「あんっ……遠慮しなくてもいいのに……」

 不満を見せるリンディだがクライドの吸う量は変わらず、三口分ぐらいを口にしただけで離れてしまっ
た。

「美味しくなかったかしら?」
「まさか。リンディのおっぱいならいくらでも飲めるよ。けど一気に飲むのが惜しいんだ。それにさ、俺
ばっかりっていうのも悪いから」

 リンディを跨いだ状態でクライドが立ち上がる。

「今度は交代で、リンディに飲ませてあげるよ」

 猛々しく屹立した肉棒が近づいてくる。鼻腔を刺す生々しい匂いにうっとりしながら、リンディは口を
開いて一気の喉奥までクライドを受け入れた。
 こうやって上から口の中に突き入れられた状態で奉仕するのが、リンディは好きだった。クライドが深
く奥まで入ってきてくれる。
137伴侶と子供と:2008/12/04(木) 23:42:58 ID:86EQo8jE
「ちゅぷ……ちぅ…………んふぅん……」

 頭を激しく動かし唾を垂らしながら夫に快感を与えるべく情熱的に動くリンディを見て頬を緩ませてい
たクライドだが、ふっとほんの僅かに眼を細めて言った。

「そうだリンディ。自分のおっぱい飲んでみないか?」
「ふひゅっ!?」

 いきなりな提案に、肉棒を咥えたまま眼を丸くするリンディ。
 いくら愛しい夫の提案だろうが、自分の分泌物を自分で飲むというのには抵抗があったが、リンディに
構わずクライドは乳房に手を当てる。

「ほら、こうやったら吸えるだろう」

 下乳が持ち上げられ、右胸の形がたゆんと歪む。天を向いた乳首は、唇のほんの数センチ先にあった。

「味は俺が保障するよ。ほら、吸ってみて」

 指に力が加えられ、母乳がぴゅっと飛沫いて顔にかかった。頬にかかった一滴が垂れて、唇の隙間から
入り込み、喉を通っていった。
 ほんの数瞬だけ舌に感じた甘味。それで、リンディの抵抗は一気に無くなった。
 口の中に入りっぱなしの性器が喉を突くのも構わず、リンディは自分の乳首に吸いついて音高く乳をす
すった。

「そうそうそんな感じ。どうせだからこっちも」

 逆の胸も同じようにされ、口の中が三つの突起でいっぱいになる。呼吸が苦しくなりながらも、リンディ
は頬を喜色に染めながら喉を鳴らして飲み干し続けた。
 とくとくと溢れ出していた苦味のある先走りと甘ったるい乳が混ざって、なんとも形容し難い味となる。
だが、一口飲む度に胸が幸せに満ち溢れる。
 枯れるまで飲み続けたかったが、流石に肺活量に限界が訪れてリンディは一度口から全てを抜いた。

「はぁ……あはぁ……あなたの言うとおりね。私のおっぱい凄く美味しいわ」

 息を整えつつ、いつのまにかクライドが離していた乳房を自分で持ち上げたリンディは、母乳を絞って
はクライドの肉棒にまぶしていき、滴るぐらいになれば舌で舐め取っていく。

「こうやってもあなたのおちんちんとおっぱいの味が混ざって、美味しいわ。次は、あなたのミルクと一
緒に飲ませて、ね」

 再び亀頭と乳首を口に含んだリンディだが、今度はひたすら吸うことはしない。
 先端の括れを乳首で弄くりつつ、鈴口を舌で突っつく。かと思えば一気に飲み込んで喉肉で擦りたてた
りもしつつ甘噛んだ。

「あぐっ……くぅぅ……」

 クライドの声が呻きに近くなり、先端が膨れ上がってきた。
 限界を見て取ったリンディは、最後の堰を壊すべく舌を巻きつけ一気にずるりと引き抜いた。

「リンディ、出るっ!」

 溜まりに溜まった精液が食道へ向かって放たれる。舌の上に止める暇さえ無い勢いだった。

「んぐぅ……たっぷり出たわね。こんなに粘ついているわ」

 口の中に僅かに残った残滓を慎重に舌で集めて手の平に垂らした。さらにその上から母乳をかけては、
舌で舐める。
 母乳の甘さを舐め取ると、先走りとは比べ物にならない濃ゆい精液の味が舌に広がり、変態的な行為の
羞恥心を感じさせないぐらいリンディを陶酔させた。
138伴侶と子供と:2008/12/04(木) 23:44:35 ID:86EQo8jE
「ふふふ、本当に、一度で飲んでしまうのはもったいないわ」

 クライドにもよく見えるようにしながら、手の平ので作った窪みに溜めた二種類の白濁液を、リンディ
は惜しみ惜しみ飲んでいく。
 わざと舌だけ出して淫卑に舐め取れば、放出して少し萎えていたクライドの男根が、みるみる大きくな
る。

「これならもう一回飲ませてもらえそうね。でも今度はあなたが飲む番かしら」
「どうせなら一緒にしよう。口かそれともあそこに飲ませてあげるのか、どっちがいい」
「……そうね。どっちにしましょうか」

 考えるふりをしながらも、リンディの心は決まっていた。
 すっかりぐしょぐしょになった場所は、愛液だけでなく疼きも発している。上の口ではなく下にある口、
正確には一段奥まった場所にある口へたっぷり注いで欲しい。

「やっぱりあそこかな」

 答えるより早く、リンディの眼の色だけで察した夫は腰をリンディの胸元から下半身へと移動させる。
 リンディも、腿を開いて秘所を晒した。

「来て、クライド」

 顎を引いてクライドは頷き、一秒の間もなく逞しい男の象徴が潜り込んできた。

「あふ、ぁあんっ!!」

 突き入れられる瞬間が、リンディは好きだった。馴染んでいるはずなのに、指や器具では絶対に無理な
痛烈すぎる快感が、頭のてっぺんまでも突き刺さる。
 うねるようにリンディの膣を抉りながら、クライドは乳房を吸いついてくる。
 こんな時でもクライドは優しく、さっきと変わらぬ弱さでしか胸を吸おうとしない。それでも、一滴吸
われただけでリンディの身体は肉の悦びにくねった。
 母乳を吸われながら交わるという初めての行為に、神経の伝えてくる情報が全て官能に直結してしまう。
少し敏感な部分を亀頭で擦られただけで、リンディは全身を痙攣させて達した。
 イッたのを感じたクライドが一度動きを緩めるが、それでも断続的に波が来てリンディの身体の震えは
止まらない。止めるには、もっと強い快感をもらう意外に無かった。

「もっとぉ! もっとしてぇ!!」

 学生時代に交わりを持ってから数年。リンディの身体は、クライドを悦ばせるための術を何十通りと覚
えこんでいた。
 だが、膣を締めることも、自分から腰を突き上げることも、クライドの陰嚢を指で転がすこともせず、
リンディはひたすら受身で喘ぐだけだった。
 何をするよりも、こうしてただひたすらに貫かれるのが一番クライドを感じられる。
139伴侶と子供と:2008/12/04(木) 23:45:25 ID:86EQo8jE
「愛してるよリンディ」

 腰を止めぬまま、耳元でクライドが囁く。

「クロノと君。僕の世界で誰よりも、次元世界よりも大切な二人だ」

 愛の囁きを聞くうちに、硬く太いはずの肉棒が身体の中で溶けていくような錯覚をリンディは覚えた。
クライドが溶けてリンディの全身に広がっていき、女性の一番大事な部分に集まろうとしている。

「頂戴! クライドの精液私の子宮に頂戴!!」
「ああ全部、リンディに全部出してあげるよ!」
「あ…もう…………イク、イッちゃ……うああんんんん!!」

 熱く激しく、子種が注がれる。
 女として最大の幸福に、リンディは浸りきった。



          ※



「ほーらクロノ君、いないいないばあっ!」
「うえええん!!」
「…………どうしてこの子、私には全然懐いてくれないのかしら」
「お酒の匂いが嫌なんじゃない?」
「染みつかせるほど飲んじゃいないわ」

 憮然としているレティから、リンディは泣いているクロノを受け取った。
 リンディが軽く数回揺らしてあやすだけでクロノはぴたりと泣き止むのを見て、いっそうレティは面白
くなさそうな顔をする。

「……まあ、私じゃなくてあなたの息子だからね。それにしてもリンディ、あなた子供産んでから変わっ
たわね」
「そうかしら?」
「前はクライドといつでもどこでも馬鹿ップルだったけど、最近ちょっと節度が出てきたわよ」
「そう言われればそうかもしれないわね。分かったのよ」
「なにが?」
「くっついたりご飯を食べさせあったりキスしたりしなくても、クライドはいつだって私のことを一番に
考えてくれてるってね」
「…………訂正。何も変わってないわ。どうやったって惚気に行き着くわけね」
「それともう一つ。私はクライドと同じぐらい、クロノのことが大好きだっていうこと」
「やっぱり赤ちゃんって可愛い?」
「当たり前よ。私とクライドの子供なんだから。ええ、私の人生最大の幸せは、あの人と出会えたことと、
この子が今ここにいることよ」

 リンディはありったけの愛情を込めてクロノのほっぺたにキスしてあげる。

「生まれてきてくれてありがとう、クロノ」



          終わり
140伴侶と子供と:2008/12/04(木) 23:46:26 ID:86EQo8jE
          おまけその一「新暦〇〇七七年 クロノ・ハラオウン宅にて」



 ちゅぅっという音と、液体が喉を通る時の音。そして自分のかすかな喘ぎ声だけが、フェイトの耳には
入ってきた。

「ふうぁぁ……」

 うなじの辺りに集まった快感が、背骨を伝って降りていく。いつもとは逆の昂り方に、フェイトぶるり
と身震いした。
 赤子を出産し、生物の摂理に従って母乳が出る肉体にとなったフェイト。しかし夜の夫婦の時間、母乳
を飲んでいるのは息子のクロードではなく、夫のクロノだった。
 そしてクロノに乳房を吸われると、フェイトの内側で母でも妻でもない純粋な女の部分がかき立てられ、
否応なく官能が高まっていく。
 片方を飲み終えたクロノが、反対側の乳房も吸いだす。だがそちらもすぐに途切れてしまう。
 息子を産んでから早数ヶ月。フェイトの身体から出る乳の量はだんだんと少なくなっていた。
 名残惜しそうに、クロノは乳房を丹念に揉みしだいては出てくる吸い残しを舐め取っている。
 息子に授乳する時と同じようにクロノの頭を撫でつつ、クロードには絶対に見せない淫らな表情でフェ
イトは囁いた。

「ふふ、残念だねクロノ。せっかくクロードが離乳食だけになったからクロノが全部飲めるようになった
のに」
「残念なのは君もだろう? 母乳を吸われて気持ちよくなれなくなるんだから」

 クロノの指がフェイトの秘裂をついっと撫で上げ、眼前に持ってくる。指に絡んだ蜜は、透明ではなく
うっすらと白い色になっていた。
 ベッドに入ってからクロノに受けた愛撫は、キスと胸を吸われただけ。それなのに、フェイトの身体は
完全にクロノを受け入れる準備が出来上がっていた。
 淫乱である証拠を見せつけられたようなものだが、フェイトは恥ずかしがるどころか逆に眼の奥の艶を
増しながら自分もクロノの肉棒へ、そっと手を伸ばす。
 クロノの先端も、フェイトに負けないぐらい濡れている。ねとつく先走りを肉棒に塗布していきながら
フェイトは言った。

「そうだけど、クロノが頑張ってもう一人作ってくれたら、またこういうことができるんだよ」

 フェイトの言葉に、クロノは顔から肉欲を消して優しくそうだな、と同意してくれた。フェイトも一度
にこりと笑って、性器の先端を女陰に導く。
 交わりで気持ちよくなるのも確かに嬉しいが、愛しい人の子供を産むのはもっと嬉しい。
 ゆっくりと二人は繋がり、新たな生命を育む行為に没頭した。



          まだ続く
141伴侶と子供と:2008/12/04(木) 23:47:18 ID:86EQo8jE
          おまけその二「新暦〇〇九七年 クロード・ハラオウン宅にて」



「ちょ、ちょっとお姉ちゃん、そんなに注がれても飲めないよぅ」
「まだ二杯目だよ。本当にお酒弱いんだから。そんなのだと、宴会とかに出席しなくちゃいけなくなった
時に大変だよ」
「ビール二本は飲めるようになったよ」
「瓶じゃなくて缶で、でしょ」

 ユーナ・T・ハラオウンの対面に座ってからかいながら酒を注いでくるのは、姉のヴィヴィオ・T・ス
クライアである。
 最近一人暮らしを始めたヴィヴィオだが、仕事後に一人でする食事は侘しいとかで実家やユーナの新婚
宅にけっこうな頻度でやってくる。
 ちなみに今晩、ユーナの夫であるクロード・T・ハラオウンと、同居人の人狼のロウはいない。両方と
も今は次元の海の彼方で仕事中だ。ただ今邸内にいるのは、ユーナとヴィヴィオ、そしてユーナの部屋で
寝ている最近生まれたばかりである娘のクロナだけである。

(ご飯出すのはいいけど、お酒に付き合わされるのは勘弁してほしいなぁ)

 教導隊は体育会系なところがあり、日頃のハードスケジュールの鬱憤晴らしとばかりに酒飲みが多い。
ヴィヴィオも教導隊入りした頃から母の目をかすめて飲んでいた口であり、立派な酒豪に育ってしまった。
ウィスキーを一本空けてけろっとしているレベルである。
 ちなみにユーナは初めて酒を飲んだ時の記憶は、ビール一口飲んだところから半日分がきれいさっぱり
消えており、起きたら顔中に落書きされていた。その犯人は今現在、目の前で笑いながらユーナのグラス
に炭酸水を入れて勝手にソーダ割りを作っている。
 一杯目を飲んだ時点ですでにユーナのアルコール摂取量は限界だったのだが、差し出されるとついつい
断れずに飲んでしまう。
 グラス半分飲んだところで、自分でもはっきり分かるぐらいユーナは酔っ払ってしまった。くらくら揺
れだした視線で姉の身体を見て、ユーナは普段から思っていたことをぼそりと呟いた。

「お姉ちゃんはいいなぁ。胸が大きくて……」
「そんなにいいものじゃないと思うけど。近接戦闘の時とか邪魔になるし」
「私みたいなぺったんこよりはずっといいよ」

 ユーナは首を九十度下に傾ける。眼に入るのは大平原と申し訳程度にある丘であり、自分のへその部分
がいともたやすく見えてしまった。ヴィヴィオが同じことをやったら、間違いなく二つのご立派な山脈に
視界が阻まれるだろう。
 このちっとも育ってくれない胸を、ユーナは子供の頃から大いに気にしていた。特に結婚後は、旦那の
家族は母も祖母も使い魔もおっぱいがいっぱいな人々ばかりなので、なおさら落ちこみ安くなっている。

「やっぱり胸が大きいと、おっぱいもたくさん出るんだよね」
「へ? そんな話聞いたことは……」
「そしたらクロード君の分だけじゃなくてクロナの分もあったのになぁ」
「ちょ、ちょっとユーナ、なに言って……」
「美味しい美味しいって言って全部飲んじゃうんだから」

 いつもは自分にとことん優しいくせに、ベッドの上では豹変して意地悪く荒々しくなる夫の愚痴を口ず
さむユーナ。
 まあ、ユーナも激しい方が好みだからそれはそれでいいのだが。
142伴侶と子供と:2008/12/04(木) 23:48:53 ID:86EQo8jE
「でも、この間着たスクール水着は胸が無い方が似合うってクロード君大喜びしてくれたし」
「…………」
「今度フェイトさんが昔着てたバリアジャケットを着てしようかな。あれちょっとスクール水着に似てる
よね」
「…………」
「でもクロード君マザコンなところあるし逆効果に……ふへぅっ!?」

 いきなり顔を挟まれたかと思うと、頬の肉がぐいっと引き伸ばされ激痛が走る。
 引っ張っているのはもちろん、額に太っとい癇筋浮かべている姉だった。

「い、いふぁいいふぁいおねえひゃん!!」
「お姉ちゃんがまだ独り身なのを知ってるのに堂々とのろけるのはこの口かなー?」
「のびりゅ!! ほっぺのびひゃうから!!」
「母乳プレイとかイメクラもどきの変態なことする淫獣二世に育てた覚えはないんだけどなー?」
「へ、変態でも淫獣でもないよ!」

 なんとか姉の手を振り払ったユーナは反論する。

「クロード君だって、女の子はちょっとエッチな方が可愛いって言ってくれてる!」
「あんなユーナ限定女たらしの言うこと信じちゃだめ!!」
「だいたいお姉ちゃんにいい人ができないのは、厳しすぎる教導やって怖がられてるからだよ!」
「どこが!? ママより全然優しくしてるよ!!」
「普通の魔導師の人はアクセルシューター二十発も避けれないの!」

 姉妹の言い争いは、おしめが濡れた気持ち悪さで目覚めた娘が泣き出すまで続いた。



          ※



 次元航行部隊のクルーは航海が終了すると、一部の例外を除いて数日間の休暇がもらえる。長期間、見
慣れすぎた艦内で暮らさざるをえなかったクルー達は、皆が皆保釈日を迎えた囚人のような顔をしてグラ
ナガンへと繰り出していく。
 八神トウヤもそれらの群れに混じりたかったが、浮世の義理というものがあった。今のトウヤは、ひた
すら気だるい表情を浮かべながら本局内訓練所の隅っこで煙草をふかしていた。

「…………本当にあの馬鹿は懲りねえよなあ。何回目だよ?」

 最初がユーナの妊娠がばれた時だから、と指折り数えつつ上空を見上げれば、訓練所の空はホログラム
装置を作動させていないのに実に色とりどりな光に満ち溢れていた。七色の魔力弾が複雑な軌道で飛び交っ
たかと思えば、天空に描かれる虹を思わせる極太の集束砲がぶっ放される。
 やがて空の一角から、人影が落下していた。素早くトウヤは駆け寄って地面に激突する寸前で抱きとめ
た。
 腕の中でのびているのは、トウヤの親友であり、自他共に認める『ハラオウンの犬』ことロウだった。
 腰まであるロングストレートの美しい白髪は一部焦げて縮れており普段の面影はなく、手足はびくびく
と痙攣している。

「ディバインバスター二発まで耐えたか。お前はよくがんばった」

 完全に眼を回している守護獣見習いを背中に背負ってやるトウヤ。もちろんその時に、しっかり胸を揉
んでおくのも忘れない。
143伴侶と子供と:2008/12/04(木) 23:50:25 ID:86EQo8jE
(……88……いや、89のD。ついにアルフと同サイズまできたか)

 ロウとアルフに血縁関係は無いが、母親に劣らぬ見事なスタイルに育った。特に胸周り。やはり絆は血
よりも濃い。
 おまけにロウは使い魔ではないので魔力消費を抑えるためにぺったんこ幼女になることはない。極めつ
けに、頭さえ下げればいくらでも揉ませてくれる。なんとも素晴らしい。
 俺は良い友人に恵まれたと感動しつつ、目的を果たして出口へ向かおうとするトウヤの前に、もう一つ
ぼとりと落ちてきた物体があった。
 普段から黒づくめの格好だが、今日は焼け焦げ痕がついていっそう真っ黒けになったクロードだった。
よたよたと手が伸ばされる。

「ぼ……ぼくも……たすけてくれ……」
「やなこった。どうせいつもどおり、ユーナにエロイことしてたのがばれたんだろ? 今回はユーノさん
がいないだけましだと思ってボコられとけ」
「この……はくじょうものぉ……」

 力尽きたのか手が落ちた。そしてそれが合図だったかのように、天からもう一人黒いバリアジャケット
を纏った魔導師が降りてくる。
 ただしこちらの髪の毛はクロードと違って亜麻色で、なおかつ一切無傷だった。口元に魔王の如き笑み
を浮かべカートリッジを全弾ロードしているその人物に、トウヤは恐る恐る声をかけた。

「あー、ヴィヴィオさん。そこの自業自得なエロードはどうでもいいですけど、こいつは見逃してやって
くれません? ほら、こいつ父親に似て体は忠義で出来ているところがあるから……」
「ふふふふふ、まだだよクロード君……ユーナにどんないやらしいことしてるか、全部お話聞かせてもら
うから……!!」
「俺のお話聞く気はないんですね。わかります」

 とばっちりを食らう前に、トウヤはとっとと逃げ出す。途中で振り向くと、ヴィヴィオのデバイスの先
にクロードが引っ掛けられているのが見えた。これから起こる惨劇が容易く予想できる光景に一瞬だけ助
けてやろうかと思ったが、友情より恐怖が勝ったため引き返すことはなかった。

「シャマ姉うちにいるかな」
「全力全開!! 零距離スターライトブレイカーーーー!!!!」
「……ついでに三日ぐらい絶対安静の診断でも出してもらってうちに泊めるか。その方がザフィーラも喜
ぶだろう」

 背後から聞こえてきた死刑宣告もそれに続く轟音も一切合財無視して、トウヤはようやっと実家へ帰る
のだった。



          今度こそ終わり
144サイヒ:2008/12/04(木) 23:52:09 ID:86EQo8jE
以上です。
孫が二十歳の嫁にスク水着せるという暴挙に出てるのは、
「母さんだって二十○歳まで似たような真ソニックフォーム着てたから大丈夫」という認識に基づくものです。


過去話書いたり未来話書いたりで時間軸が自分でもよく分からなくなってきたんでクロフェ時空年表とか作ってみたら、
今回の本編とおまけその二の間が半世紀近く空いてた。
そりゃリンディさん曾お祖母ちゃんになるわな。
145名無しさん@ピンキー:2008/12/05(金) 00:12:59 ID:gPbEK0g1
>>117
GJ!!
スバルのかわいさとエリオのエロさにやられた
二人がパートナーになってもすごく似合うだろうな
そして恋人通しのパートナーになっても末永く暮らせるはず

>>144
GJ!!
蛙の子は蛙ということわざを思い出した
アナル好きはアナル好き、おっぱいはおっぱい、すごく自然だ
146名無しさん@ピンキー:2008/12/05(金) 00:30:15 ID:qFXe7vWY
>>144
GJ!!!
そしてヴィヴィオ…○○路まえでまだ独り身か
たぶん、高町家の長女は行き遅れるという運命でもあるんだろうな…
147名無しさん@ピンキー:2008/12/05(金) 00:52:59 ID:1EMIDsb0
>>144
GJ。
親子三代のワイフ限定女ったらしは遺伝子レベルで継承されているんですね。
ユーナもユーナでユーノの血が混じっているわけだから・・・・・・・恐るべき淫獣の血統。
サラブレットのクロナはどんな子に育つのか、想像の羽が広がっていくw

>>146
その代わり、高町家の長女は達人になる素質があるのかもw
ヴィヴィオは素の魔力は平均ちょい上程度だし、美由希さんと同じく大器晩成型か。
148名無しさん@ピンキー:2008/12/05(金) 03:01:14 ID:BnZeTeRK
>>147
ヴィヴィオは元からして、現代ミッドに蘇った聖王様な訳だし。
ソレが更に、戦闘民族高町家の一員ともなれば、
状況次第によっては、『管理局の白い魔王』を超える事も…(SLB
149名無しさん@ピンキー:2008/12/05(金) 07:19:15 ID:qbKl+os7
なのはたちが涼宮ハルヒの聖地巡礼をするSS書いたんですけど
どこに投下したらいいんでしょうか
クロススレあたり?
150名無しさん@ピンキー:2008/12/05(金) 07:56:03 ID:X6S0ebVE
クロススレへどうぞ

リリカルなのはクロスSSその84
ttp://changi.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1228053325/l50
151名無しさん@ピンキー:2008/12/05(金) 08:01:39 ID:72FizX43
>>149
ハルヒキャラがちょっとでも登場するならクロススレ池だな
観光メインだったら……まぁギリギリ許されるんじゃないかな?
理想郷におとすのも一つの手だと思うよ
152名無しさん@ピンキー:2008/12/05(金) 11:54:46 ID:PHBb5EjI
最近、原作とちと性格が違う(いい意味でと、さらに外道に行ってて悪役になっているのも含め)クアットロの性格が違うのが読みたいなぁ。
人を苛立たせるような言動や態度を演じるが、実は、姉妹の仲で一番機械的なのは、彼女で残虐に敵を苦しめるのは、
感情が理解できないゆえに人間の感情の研究の為の観察とか。
もう一つは、本当は、ナンバーズの中で一番、日和見主義で小心者、精神は一般人、あるのはISで騙す技能と策を練るのが上手いぐらいで、
スカ博士とかのやってる事には内心引いてる、生まれて教育終了後に、GDや私達の性能、ゆりかごがあれば管理局相手でも、いけるなと、
ニヤソとしていたら、存分にあるレリックで爆弾作ったりして管理局部隊を襲わない、基本殺さないでやるとかスカ博士がトチ狂い出したので、
駄目だこりゃって、いかにスカ博士たちに気づかれないように管理局との戦争で自分が有利に負けるかとかを精一杯考えるとか。
後々の為に、ヴィヴィオにメッチャ優しくしたりとか、ゼスト隊がアジトに気づいたのは実はリークしていたからとかw
153名無しさん@ピンキー:2008/12/05(金) 12:44:38 ID:xS8Ewp0j
>>152
クァットロは死ぬほど怨まれながら、汚物でも見るような眼で見られるのが大好きなどM説を今ここに高らかに宣言してみる
154名無しさん@ピンキー:2008/12/05(金) 13:17:37 ID:CVe3vukC
戦闘面でまるで役に立てないからどうにか役に立とうとしてるうちに歪んでしまった
とかなら少し考えたことがある
155名無しさん@ピンキー:2008/12/05(金) 14:06:55 ID:GB6KKFGh
このスレの流れに、クアットロ登場連載作者がドキドキとしていると勝手に言ってみるw
156名無しさん@ピンキー:2008/12/05(金) 17:40:24 ID:WnniYOTa
クアットロは悪巧みが何一つ成功せずにゴミみたいにすり潰されて無意味に死んでほしい。
157名無しさん@ピンキー:2008/12/05(金) 18:30:16 ID:vYlGXFDW
可愛いクア姉のネタはあるのだが、いまいちまとまらない。
いずれやってやるぜ。
158名無しさん@ピンキー:2008/12/05(金) 19:09:27 ID:0XIuRerl
>>155
クア姉は可愛いよ!
どんなクア姉でも、きっと心の奥底には乙女チックな行動原理があると信じてるよ!
クア姉は最高に可愛いよ! 、とドキドキしながら主張してみる。
159名無しさん@ピンキー:2008/12/05(金) 19:21:42 ID:X6S0ebVE
もし、ドゥーエが生きていたら・・・とか、考えてしまう
160名無しさん@ピンキー:2008/12/05(金) 20:36:53 ID:dx8e5pLb
ドゥーエ姉様に強い影響を受けてるなら、姉妹には優しくてもいいはずなのよね
ディエチとかを馬鹿とかつまんない子呼ばわりする裏側には「だからこそ私が頑張ってあの子達を
正しい(悪の)道に導いてあげなくっちゃ」的な思考があるのかも……と妄想したり
161名無しさん@ピンキー:2008/12/05(金) 20:55:59 ID:qbKl+os7
>>151
慣行・巡礼レポートがメインでハルヒとかは一切出てきません
登場するキャラもなのは・フィイト・すずか・アリサ・アルフ・はやての6人のみ
他の物語のキャラクターはおろか
守護騎士たちやナンバーズなども出てきません
設定はAs終了後だし

エロもないし(ちょっとフェイトがなのはに対して百合入ってるけど)
無難なのでクロススレに投下させてもらうことにします
というよりUPしたファイルの張り付けだけど
162名無しさん@ピンキー:2008/12/05(金) 21:41:22 ID:PHBb5EjI
クアットロは指揮官ってのも分かるが、能力的に前線に出ても強いタイプでもいいと思うんだ。
ISを戦闘補助に使って、GDに攻めさせて相手がそっちに集中している時にGDごと吹き飛ばす一撃を入れるとか、
デスサイズ・ヘル・カスタムみたいに、GDを始末して安心している敵をISで隠れ、死角から忍び寄り、斬殺したり、射殺したりとか。
もしくは、いつどこから来るか分からないっていう、恐怖を武器に一回奇襲して、ISで隠れ、相手が警戒しているのを見て何もせず、
相手が奇襲に備えて精神を削っている中、数十分間は本とか読んで時間つぶしし待って、去ったようだと気を抜いた時に殺るとか。
163名無しさん@ピンキー:2008/12/05(金) 21:45:41 ID:FJNdZ4eP
JS事件で死人出たよー、って話は明確にされてる?
ゼストやレジアス、脳ミソとか特殊な例じゃなくて地上本部とかゆりかご周辺空域とかの現場の人的被害についてなんだけど
164名無しさん@ピンキー:2008/12/05(金) 21:47:16 ID:vYlGXFDW
 少なくとも、映像媒体では明確な描写はなかったと思う。
165名無しさん@ピンキー:2008/12/05(金) 21:55:23 ID:1EMIDsb0
>>162
まずクアに攻撃手段がないのがネックなんだよな。
ちょっと丈夫な体だけじゃ前に出ても的になるだけだし。
だから指揮官能力身につけて余計に後ろに下がってしまったのかな?

後は性格的に前に出るタイプじゃないというか・・・・ネタを仕込んで戦う前に勝つってスタイルみたいだからね。
本人が汗臭く戦うの嫌う性格なんじゃないのかという妄想もできる。

相手の悔しがる顔を見るためにプライベートの時間に手間暇かけて嫌がらせの準備をするクア姉ってなんか良いな。
166名無しさん@ピンキー:2008/12/05(金) 22:05:08 ID:vYlGXFDW
>>165
で、いざ仕掛けを開陳しようとすると、トーレたちが突撃していくんですね?

「ん? 今何かあったか? セッテ」
「さあ?」

「せ、せっかくの仕掛けが……」
167名無しさん@ピンキー:2008/12/05(金) 22:26:39 ID:PHBb5EjI
>>165
この能力こそ、優れた肉体と武器、性格がちゃんとした奴が使えば、これほど強いものはいないというのに。
もう戦闘能力は質量兵器に依存でいいよw
カラシニコフおじいちゃんが作ったAKをスカ博士の技術で魔改造したの装備とかwww
168名無しさん@ピンキー:2008/12/05(金) 23:19:44 ID:gnUz8KMv
>>144
GJ!
クライドもリンディもエロいなあ。
そして、相変わらずのクロフェのだだ甘っぷりが素敵です。

あと、何気にヴィヴィオが未だに独り身なのがw
てっきりルーテシアとタッグを組んで、エリーに紫色の髪の毛の弟妹を作るのと同時に、
亜麻色の髪の毛の弟妹を作ろうとしてるのかと思っていたのに。
……そうなったら、今度はエリオがバインド砲撃地獄を巡ることになりそうですが。
ヴォルテールは白天王が抑えるとしても。
169名無しさん@ピンキー:2008/12/05(金) 23:28:13 ID:oJcn6whC
>>144
GJ!
うおお!母親から呪われた運命を受け継いだトウヤが
まさかこんな安息の地を得ていたとは!
しかも頼めばやらせて貰えるとは、なんとうらやましい……。
170名無しさん@ピンキー:2008/12/06(土) 03:05:31 ID:/JmmCRuq
>>162
クアットロは指揮官と言うより、参謀といった方が良さそうな感じ。
策謀がえげつないが、シャマルと似た立ち位置なんじゃないかと。

前線指揮官に相当するのは、トーレ・チンク・オットーだと思う。
171名無しさん@ピンキー:2008/12/06(土) 09:34:42 ID:5IL8JOpN
>>144
GJ!
そして未だに寝とり成功編を待ち望む者がここに一人…
気が向けば是非ともお願いします
172名無しさん@ピンキー:2008/12/06(土) 09:45:57 ID:3e7rccts
>>144
>クロフェ時空年表

うおおお、見てえええええw
なんかもう、ヴィヴィオのボイスがなのはさんと同じ声で
脳内再生される俺は、もうダメなのかのしれん。
173名無しさん@ピンキー:2008/12/06(土) 11:13:28 ID:h6Ov0vak
>>169
揉ませてくれるだけだぞ
ヤラしてくれるのはむしろアル(ry
174名無しさん@ピンキー:2008/12/06(土) 17:07:47 ID:pd6SN9PD
ロリとは身体ではない。心だ。
175174:2008/12/06(土) 17:08:37 ID:pd6SN9PD
すまん、誤爆した。
176名無しさん@ピンキー:2008/12/06(土) 17:55:56 ID:2w3A6Wl7
誤爆に見えませんw
177名無しさん@ピンキー:2008/12/06(土) 17:57:01 ID:HIZsq/v7
子供っぽいばあさんなど見たくない。
178名無しさん@ピンキー:2008/12/06(土) 18:39:19 ID:lkq7DUiq
よろしい、ならばミゼット×ヴィータだ
179名無しさん@ピンキー:2008/12/06(土) 20:11:29 ID:oBNOCh6C
本編最年少のセッテ、オットー、ディードの3人はSSX時点で3歳か。
最年長はイクスorリインフォース(闇の書の意思)&ヴォルケンズの数百歳だな。
ヴィヴィオは精神年齢5歳(本編)らしいが、肉体年齢は不明。

A's以降、精神年齢と実年齢が合わないキャラが増えたよな。
180名無しさん@ピンキー:2008/12/06(土) 20:46:33 ID:UMWTOyV8
>>179
そうか?1期のころからなのは、アリサ、すずかは妙に大人びていたし(小3にして将来について悩んでた)
フェイトも実年齢は4歳ぐらいじゃなかった?
181名無しさん@ピンキー:2008/12/06(土) 21:00:37 ID:cvzwppbs
というか、精神年齢と実年齢のあっているキャラの方が珍しい作品だからなぁ。
182名無しさん@ピンキー:2008/12/06(土) 21:08:42 ID:pp49/t01
都築氏、子供が嫌いらしいからな

なのちゃんとかも大人びた雰囲気はなくても異様に物わかりがいいが
そういう方向性の根底にはたぶんその辺が関わってるんだと思う
183名無しさん@ピンキー:2008/12/06(土) 22:29:06 ID:Yrx9haKp
とらハでまだ子供っぽかったのは、2の美緒くらいか。
あとは、なのちゃんすら霞んでしまうアリサやクロノなんていう
チートキャラと言わざるをえないキャラばかり。
184名無しさん@ピンキー:2008/12/06(土) 23:07:32 ID:M+TESHi4
苦手じゃなくて嫌いかぁ
確かに納得してしまう作風だよなぁ。
185名無しさん@ピンキー:2008/12/06(土) 23:47:10 ID:oBNOCh6C
そのおかげでなのはは恋する乙女から冥王まで幅広い属性を秘めたキャラクターへと成長することができたわけか。
186名無しさん@ピンキー:2008/12/06(土) 23:55:38 ID:nWj1Y9Q6
>>185
将来のヴィジョンは〜と言ってた一期からヴィヴィオのママンの三期だからなあ。
187名無しさん@ピンキー:2008/12/07(日) 00:11:58 ID:84r5u9te
ちょっと質問なんですが、ここの作品でスカリエッティといった原作の人物以外のオリジナルを敵方のボスに据えた話ってどの程度あるのでしょう?
188名無しさん@ピンキー:2008/12/07(日) 01:00:57 ID:x1sWSNcC
>>182
ああ〜何か今まで腑に落ちなかった部分がなんとなくww
きっと子供の無邪気さとかが気に入らない人種なんでしょうね…
189名無しさん@ピンキー:2008/12/07(日) 01:03:32 ID:wIF5/4ZT
>>187
沢山ありますよ〜 特にAFTERものなどに多いようです。
190名無しさん@ピンキー:2008/12/07(日) 01:16:32 ID:4/oElZ8H
>>189
再構成で実は黒幕は別にいるってのはあまり見たことない気はするけどね。
アフターものは、まあ仕方がないとしか言えない。
191名無しさん@ピンキー:2008/12/07(日) 04:30:33 ID:oe0O/YL4
>>188
らしい。
随分昔の日記で、銭湯かどっかで子供がギャーギャー騒ぎまくりで
みんな引きまくりの状況に遭遇した時のことで
ああいう頭の足りない生き物は好きになれんねとか何とか言ってた。
192名無しさん@ピンキー:2008/12/07(日) 05:22:51 ID:+Vu36Xz7
かつて自分も子どもだった癖して随分と傲慢だな。
子どもが騒ぎまくっていたなら親がちゃんと注意しろ、と思うが。
193名無しさん@ピンキー:2008/12/07(日) 07:11:12 ID:YyZa5/U+
普通に3次の子供が嫌いなだけじゃね?
2次なら実害ねえけど3次はあるし
194名無しさん@ピンキー:2008/12/07(日) 08:04:51 ID:+gX58Rg8
それ以上は別スレでやれ
195名無しさん@ピンキー:2008/12/07(日) 14:35:43 ID:3eeGGGFc
>>190
クロススレだと、教会や三提督が黒幕だった。
って感じのがあったな。
196名無しさん@ピンキー:2008/12/07(日) 16:14:47 ID:4/oElZ8H
>>195
まあ、オリジナルで黒幕を作るよりはやりやすいしね。
黒幕といえば、最高評議会が登場する前は管理局の頂点(局長)は某勇者王の長官みたいな人か、
三提督みたいな陽気なじい様を想像してた。
で、ラストにリミッター解除を使いきって苦戦しているなのは達を助けるために超法規的手段で持って解除を認めるという展開を。

今にして思えばなんてご都合主義なと恥ずかしくなってくる。
197名無しさん@ピンキー:2008/12/07(日) 16:18:56 ID:DldlPnpx
三脳が無能過ぎだったからな
最高評議会とか偉そうな名前で黒幕臭プンプンのくせして何もせず消えていった
198名無しさん@ピンキー:2008/12/07(日) 16:40:57 ID:Nmy4hZo7
>>196
それは「王道的展開」と言ってな。

紙一重とはいえ、そういう展開、嫌いじゃない。
199名無しさん@ピンキー:2008/12/07(日) 17:20:59 ID:ju3z8WVp
そして都築は王道が嫌いとのこと
200名無しさん@ピンキー:2008/12/07(日) 17:24:53 ID:IU+oKDUI
まぁ都築パパンと俺らの嗜好が完全に一致しなきゃいけないかって訳でもないし
……しかしスパロボ好きなのに王道嫌いってのも珍しいな、都築
201名無しさん@ピンキー:2008/12/07(日) 18:13:57 ID:XMgPeSN4
王道から少しはずれたとこが好きなのか、王道を意図的に外してウケを狙ってるのか
盛り上がりよりキャラ単体のドラマを優先させた結果として王道からずれたのか…

とりあえず、肝心なとこでここをちょっとこうすればド直球の王道なのにって部分が
非常に多いらしいな都築作品は
202名無しさん@ピンキー:2008/12/07(日) 18:14:26 ID:wbB8AAVT
投下が無くて寂しいんで、スレ内における男キャラ総括とかやってみた。
かなり俺の主観が入ってる。


ユーノ……魔王様と一緒に出番減退中。
     スバティアあたりまで手を出してた時代は遠くなったものである。

クロノ……もはやここでの嫁は義妹。息子まで作ってしまった。
     男女を問わず尻を掘る。

エリオ……男性キャラ登場率NO1。
     最近保護者が相手の作品は少なく、ダブル召喚師がメイン(紫多め)。

ザフィーラ……ロリアルフを獣姦してる雰囲気がだいぶ前からあるが、作品ではまだない。
       我こそはと思う職人求む。

ヴァイス……ソープナンバーズにトラウマぶちまけに行っている男。ちょくちょく姐さんも。
      もうちょっとツンデレとかヘリパイにも目を向けようよ。

ゲンヤ……SSXで娘ハーレムを形成した生涯現役の男。
     その反動でチビ狸が割りを食いつつある。

グリフィス……最終鬼畜メガネ。
       生真面目な青年キャラのまま出番が無かった頃とどっちがいいのだろうか。

ロッサ……義姉さんピンチです。僕の存在忘れられてます。

レジアス……なのはさんとくっつくという予想外ジャンルを開拓中。
      もっとも、それ以外に誰とくっつくんだと言われたら困るが。

カルタス……「あ…ありのまま 今 起こった事を話すぜ!
       『ナンバーズ更正担当としてフラグが立つと
        思ったらいつのまにかナカジマ隊長とグリフィスに食われてた』
       な… 何を言ってるのか わからねーと思うが(ry)。
203名無しさん@ピンキー:2008/12/07(日) 18:22:39 ID:Nmy4hZo7
>>202
スカは?
204名無しさん@ピンキー:2008/12/07(日) 18:45:31 ID:wbB8AAVT
スカリエッティ……ウーノさんとお幸せに。
         でも時々はフェイトそんを陵辱してた頃のガッツも思い出してください。
205名無しさん@ピンキー:2008/12/07(日) 19:55:56 ID:+gX58Rg8
>>202
ほんとに主観入りまくりだな

それにしてもこうも投下ないと寂しい
みんなコミケの準備でもしてんのかね・・・
206名無しさん@ピンキー:2008/12/07(日) 20:26:17 ID:+2/tWqww
>>204
スカリエッティに強姦されて泣き叫ぶフェイトそん…

(*´∀`)
207名無しさん@ピンキー:2008/12/07(日) 20:52:31 ID:uRjFxWA3
正直スカって性欲薄そうなんだよなぁ……数の子ハーレムで毎晩ウハウハとか言うならまだしも、そういう風でもないし。
208名無しさん@ピンキー:2008/12/07(日) 22:21:31 ID:cRiI5jNT
>スカやん
インポな気がしてしかたがないのだが…
あんだけ色んなタイプのおにゃのこはべらしながら
やった事といえば子宮に自分のクローン仕込むだけ

あえて性欲カットされた設定なのかもしれない
勝手に種まかれないようにとか
209名無しさん@ピンキー:2008/12/07(日) 22:26:48 ID:JU+y/8Bt
ドクターに一番ベタ惚れしてるのはクアットロな気がするが
彼女がウーノに嫉妬して彼女を陥れて陵辱す…あ、ドクターいらねーやこの展開
210Foolish Form ◆UEcU7qAhfM :2008/12/07(日) 22:38:16 ID:YcE7GjRT
あー……スレの流れを激しくぶった切ってしまうようで申し訳ないが、
この辺で投下させてもらいま。
何か世間は冬コミの原稿とか言ってるようだが、俺はもう入稿したぜ(`・ω・´)

ちょっと久々にSS書いたからいまいちかも知れないが、生温かく見守って下さい。


・なのは&ユーノ 非エロ
・二人は同棲してる設定なので、ユーなの派じゃない人には微妙かも
・タイトルに偽り(?)あり。ヴィヴィオ率ちょっと高し

ではでは、お楽しみあれ。
211バカップル観察日記 1/4:2008/12/07(日) 22:39:42 ID:YcE7GjRT
「まったく、ママもパパも……はぁ」
その日の夜も、ヴィヴィオは辟易していた。
「はいユーノ君、あーん」
「うん、いつ食べてもなのはの料理は美味しいね」
「そう? それじゃもう一口、どうぞ♪」
「あぁ、もう、なのはごと食べたくなっちゃうよ」
「だぁめ。ヴィヴィオが見てるよ」

終始、この調子である。『見てるよ』と口では言いつつも、さっぱり見ていない。
食事の最中くらい、封鎖領域を解除してくれてもいいんじゃないかと思う。
Aクラスの結界魔道師が以下に厄介か、身体で分かってきた自分が悲しい。

事件の後、色々あって二人は恋人になったらしい。
一度だけ、その時の話を聞いてみようと思ったが、果てしない長さののろけを貰ったので諦めた。
……が。
聞きたくないのに聞かされた。それはもう延々と、眠くなるまで、否、眠くなってもずっと。
その話は、いずれまたされるだろうから、今は思い出したくない──確かに良い話だけど、それ以上にいちゃつきすぎだ。

「ほら、ヴィヴィオも食べなよ」
「ヴィヴィオ、あーんしてあげようか?」
「もうっ、二人ともご飯の時くらいいちゃいちゃするのやめてよ!」
言っても無駄だろうが、取り敢えず提言する。
「ねぇ、ヴィヴィオ、ヴィヴィオには素敵な男の子とかいないの?」
「うんうん、僕となのはみたいに一緒に過ごす人はいないのかい?」
「な、な……」
開いた口が塞がらないとはこのことを言うのだろう、文字通り口がパクパクいって声が出ない。
「まだ見つからなくても、大丈夫だよ。わたしたちはお互いに9歳の頃知り合ったから」
「あれ、あの頃なのはまだ誕生日来てたっけ? この嘘つきさん」
「にゃはは、そういうユーノ君だって──」

頭が痛い。

「でもさ、なのはと僕が出会ったのって、ホント運命だよね」
「そうだね〜。ヴィヴィオも、いつか運命の人が見つかると良いね」
「この僕でも見つかったんだから、ヴィヴィオならきっと大丈夫だよ」
「わたしよりも美人だもんねー、ヴィヴィオってば」
「なのは、君の方がキレイだよ」
「もう、ユーノ君なに言ってるのー」
この二人、いちゃいちゃするに飽き足らず娘の前でのろけたい放題……
「あー、ヴィヴィオむくれちゃってるよ」
「ヴィヴィオ、好きな男の子とかいないの?」
「……」
何とか口を閉じて、無言を突き通す。一種の抗議活動だった。
「ん〜、図星でしょ!」
「そうか、ヴィヴィオもついに好きな男の子が見つかったのかぁ……でもお嫁に行くのは早い、まだ早いよ!」
「ユーノ君、それこそまだ早いよ」
「あはは、それもそうだね」
212バカップル観察日記 2/4:2008/12/07(日) 22:41:18 ID:YcE7GjRT
怒りともなんともいえないものが胸からこみ上げてきて、ヴィヴィオはテーブルを叩きつけた。
「ま、ま、ママたちのバカー!!」
思わず、口を突いて出てしまった言葉。
立ち上がって、そのままダイニングを後にする。
「あっ、ヴィヴィオ──」
後ろから声が聞こえたが、もうどうでもいい。
ドアをバタンと勢いよく閉めて、走り出す。
そして飛び上がるように階段を駆け抜けて、自室のベッドに突っ伏した。
「ママのバカ。パパの、バカ……」
ぼふっと枕に顔を埋めて、視界を遮る。
暗闇の中で浮かんでくるのは、笑ってる二人の顔。
でも、それは自分の方を向いていない。

「なんでそんなにいちゃいちゃしてるの? 私のことはどうでもいいの?」
もっと、自分を見てほしい。
二人だけの世界を作ってないで、三人で一緒にいたい。
仕事が忙しくて、二人が中々一緒にいられないのは、もちろん知っている。
でも、たまの休みだからこそ、三人がいい。
遊園地に行きたいとか、レストランで美味しいものを食べたいとか、そんなことはどうでもいい。
ただ、笑いながら手を繋いでいたい。それだけなのに。
それだけなのに、言葉が出ない。
「パパ……ママ……ひぐ、えっぐ」
涙が出てくる。止めたいのに、止まらない。
「パパぁ……ママぁ……うあああああああああん」
もう、ぐちゃぐちゃだ。何も分からないし、何も感じられない。
ただ、悲しかった。ただ、泣きたかった。
そして、誰かに受け止めてほしかった──

「ヴィヴィオ!」
泣き疲れて眠りそうになった頃、誰かが抱きしめてきた。
「ごめんね、ごめんね、ヴィヴィオ。わたしたちばっかり……」
頭がぼーっとしていて、誰なのかわからない。
「ヴィヴィオ、ごめん。ちょっと、ふざけすぎたよ」
ちょっとじゃないよ、と言おうとしたが、上手く舌が回らなかった。
「マ、マ……パ、パ……」
「ママはここにいるよ、ヴィヴィオ。ここにいるよ」
身体が温かい。"誰か"の体温が、伝わってくる。
「ママ……」
パパの声を聞こうとしたが、それは無理だった。
フッと、スイッチを切ったように、眠ってしまったからだった。
213バカップル観察日記 3/4:2008/12/07(日) 22:43:13 ID:YcE7GjRT
「明日、ヴィヴィオに謝っておかないとね」
「そうだね……」
所移り変わって、居間。
「はしゃぎ、過ぎてたね。ユーノ君と一緒にいられることを……ヴィヴィオのこと、ちっとも考えてあげられなかった」
「それは僕も一緒だよ。ヴィヴィオ、独りぼっちであんなに泣いて」
謝罪とも後悔ともつかぬ溜息が、場を支配する。
「ね、明日はさ」
なのはが提案する。
「ヴィヴィオを精一杯、可愛がろう?」
すると、待ってましたとばかりにユーノも同意した。
「たった今、それを言おうとしてたところだよ」
二人は顔を見合わせて笑い、そして互いに頷いた。
「明日は、ヴィヴィオの日だね」

***

次の日。
「ヴィヴィオー、ちょっと来て」
休みの朝早く、ヴィヴィオは起こされた。
「なぁに、ママ?」
「朝ご飯作るの、手伝ってちょうだい」
「うん」
ここまでは、普通のできごとだった。
しかし、次にママの言った言葉は、ヴィヴィオを大喜びさせるには十分だった。
「ママもパパも、たまにはヴィヴィオの朝ご飯、食べてみたいの」
「……うん!」
二人で作り始めるご飯は、何よりも素晴らしいスパイスだった。
「これ、ヴィヴィオが切った大根?」
「うん! えとね、こっちがママの切った大根で、こっちが私の!」
「へぇ〜。うん、ヴィヴィオのはママよりも美味しいね」
「ホント! えへへ……」

掃除、洗濯、買い物。
そのどれ一つをとっても、必ずヴィヴィオの隣には二人がいた。
「一緒にシーツ広げようね、ヴィヴィオ」
ママと一緒に洗濯物を干して、
「ヴィヴィオ、これを戸棚に持って行って」
パパと一緒に洗い物をして、
「この二つ、どっちがお得かな、ヴィヴィオ?」
パパと、ママと、三人で買い物をして。
こんなに楽しい日は、なんと久しぶりなことか。
「ママ、パパ」
スーパーからの帰り道、二人に手をつながれながら、ヴィヴィオは言った。
「「どうしたの?」」
二人の声が綺麗にハモって、聞き返してくる。
ヴィヴィオは、元気一杯に答えた。
「だーいすき!」

その笑顔が両親をどんなにか涙ぐませたのかを、この時のヴィヴィオは知る由もないのだった。
214バカップル観察日記 4/4:2008/12/07(日) 22:44:54 ID:YcE7GjRT
夕飯のあと、三人で仲良くお風呂に入った。
「ママの髪、長くてキレイ。私も、もっと伸ばしたいな」
「ふふっ、じゃあヴィヴィオ、伸ばすの頑張ってみようか」
「うん!」
ママに髪を洗ってもらうのが、凄く気持ちいい。
代りに、シャンプーをいっぱいつけて、ママの髪も洗い返す。
しかし、
「僕は短いヴィヴィオも好きだけどなー」
とパパが言うものだから、ちょっと意地を張りたくなった。
「パパも、ママくらい髪伸ばせばいいのに」
「えー、あー、いやそれはちょっと……」
「はははっ」
「でもユーノ君、伸ばしてみても面白いかもね」
「もう、なのはまで」
皆で洗いっこしながらシャワーを浴びるだけなのに無性に楽しかったのは、気のせいではない。
絶対に、気のせいじゃない。

今日だけは、一緒のベッド。
二人が大きなベッドで一緒に寝てるから、そこに潜りこむのは簡単だった。
右手はママ。左手はパパ。
「えへへ、今日、私、とっても楽しかったよ。パパ、ママ!」
「そう? よかった……ごめんね、昨日は。ヴィヴィオのこと考えないで、わたしたちばっかり」
「僕もごめんね、ヴィヴィオ」
「ううん、いいの」
嫌いになったわけじゃない。いらない子じゃない。
「私は、パパと、ママと、一緒にいられるだけでいいの」

二人に挟まれて眠って、とても素敵な夢をみた。
それが何なのかは、ママにもパパにも、秘密だった。

***

数日後。
「ユーノ君、あーん」
「なのはも、あーん」
「……はぁ」
元の木阿弥、という訳ではない。
だが、それにしてもこの年中新婚カップル、どうにかならないものか。
「私の家のママとパパ、一緒にお風呂入ってるし、『あーん』ってやってるよ」
と学校の友達に言ったら、クラス中の笑いものになった。
曰く、「大人はそんなことしない」。
曰く、「いい年の父と母は一緒の風呂に入らない」。
色々なものが当たり前ではない場所に生きてきたから、カルチャーショックも大概だった。

そんな二人は、相も変わらずいちゃいちゃし続けている。
これを「バカップル」と呼ぶのだと知ったのは、ちょうどこの日だった。
「まったく、パパもママも……」
ただ、一つだけ言えることがある。

このバカップルが、ヴィヴィオは誰よりも好きなのだ。
215Foolish Form ◆UEcU7qAhfM :2008/12/07(日) 22:48:15 ID:YcE7GjRT
以上です。

……うん、最初はバカップルっぷりを書くことに専念してたはずが、
いつの間にかこうなってしまったんだ。
しかもえちぃ展開にしようと思ったら機会を逸してしまった。
反省している。

ヴィヴィオの口調とかかなり違うかもだけど勘弁。
っていうか全体的に(ry

それでも、楽しんで貰えれば幸い。
216名無しさん@ピンキー:2008/12/07(日) 22:51:06 ID:Nmy4hZo7
……こんなバカップルでさらにええ話って……新鮮だ。
GJ!!

あまりの甘さに砂糖吐きかけたけどな。
217名無しさん@ピンキー:2008/12/07(日) 23:00:26 ID:NskYJW9G
>>215GJ
なのはとユーノよりむしろヴィヴィオにニヤニヤした

>>208
スカが生命科学を研究するのは自分のイソポを治す為って電波がきたじゃないかww
218名無しさん@ピンキー:2008/12/07(日) 23:23:31 ID:IU+oKDUI
GJー。こういう短編は心癒されるね

個人的にはスカは三大欲求全部が薄いイメージだな。
存在としての純粋さつーか、そういう感じを持っていて欲しいというか
219名無しさん@ピンキー:2008/12/07(日) 23:45:25 ID:4/oElZ8H
探究心が服着て歩いているような感じだな。
まあ、その希薄さが、狂気の天才科学者からはた迷惑な三枚目、果ては心優しきお父さんと芸の幅が広がった訳で。
220名無しさん@ピンキー:2008/12/07(日) 23:54:10 ID:n68i1sgN
もしやスカ博士は最初から「ついてない」のでは
子種がないからクローンで増える
221名無しさん@ピンキー:2008/12/08(月) 00:00:03 ID:pDRXj+l0
>>215
GJ! 砂糖吐きだしそうなほど甘い! 甘すぎる!!
それにしても、こういうのを読んでると他作品であったカップリング結婚後IFとか
書いてみたくなるね。
222名無しさん@ピンキー:2008/12/08(月) 00:03:38 ID:L3bgxO0+
つまりスカの興味が女体に向いてしまえば、無限の欲望の赴くままに色狂いになるとな!?

……それって、数の子初期生産組がうまいこと欲望を誘導したんじゃないだろうか? 自分達の貞操を守る的な意味で。
223名無しさん@ピンキー:2008/12/08(月) 00:08:09 ID:+mfRRCE9
>>215
糖分補給しないと
224名無しさん@ピンキー:2008/12/08(月) 00:18:33 ID:1LXV6Leo
>>215
最高でした。
225名無しさん@ピンキー:2008/12/08(月) 00:18:52 ID:zHYxrlSb
>>222
おいおい。
悲劇を回避するために色仕掛けの限りを尽くすフェイトさんというデンパがなぁ……
226名無しさん@ピンキー:2008/12/08(月) 00:39:51 ID:fdeFWafw
>>222
レジなのもいいがスカなのも見てみたい今日この頃
227名無しさん@ピンキー:2008/12/08(月) 00:46:07 ID:13yT3E3q
>>215
GJ!
久しぶりに砂糖吐かせて貰ったw
228名無しさん@ピンキー:2008/12/08(月) 01:00:44 ID:PYKZVPUc
GJだす!!
甘いだけじゃなく柔らかくて暖かいとは、この季節には丁度イイお話でしたね〜
229名無しさん@ピンキー:2008/12/08(月) 01:11:26 ID:mq63u46v
>>215

GJ!!
砂糖吐くと同時に優しい気持ちになれる作品をありがとう。
なんか活力が湧いてきたよ。
230B・A:2008/12/08(月) 05:51:06 ID:RQP/UZZJ
投下いきます。


注意事項
・非エロでバトルです
・時間軸はJS事件から3年後
・JS事件でもしもスカ側が勝利していたら
・捏造満載
・一部のキャラクターは死亡しています
・一部のキャラクターはスカ側に寝返っています
・色んなキャラが悲惨な目にあっています、鬱要素あり
・物騒な単語(「殺す」とか「復讐」とか)いっぱい出てきます
・名前のあるキャラ死にます
・ガリューファンにはかなり鬱かも
・主人公その1:エリオ
     その2:スバル
・タイトルは「UNDERDOGS」  訳:負け犬
231UNDERDOGS 第十話@:2008/12/08(月) 05:51:53 ID:RQP/UZZJ
吹き荒ぶ風が埃を舞い上げ、グリフィス・ロウラン少将はティーカップから口を離して眉をしかめた。
長期遠征になるからと愛飲している紅茶の葉を買い込んで来たのだが、この世界の風土がこんなにも埃っぽいとは思わなかった。
これでは、折角の紅茶が台無しである。

「少将に昇進した途端、最前線送りか。上層部は僕に死ねと言っているんだね」

眼鏡のレンズの曇りを拭い、グリフィスは呟く。
ここ、第56管理世界は管理局の政策に真っ向から対立している勢力の1つで、管理局とは戦争状態にある。
戦局は第56管理世界の粘り強い抵抗によって硬直状態であり、グリフィスは大隊指揮官として部隊のテコ入れを任されたのだ。
まだ30にも満たない若者が大隊の指揮を執る。端から見れば大出世ではあるが、実質的には左遷と同じだ。
若手でありながら局内で発言力を高め、出世街道を歩むグリフィスを上層部は危険視しているようなのだ。
特に前回、アテンザ研究所が襲撃された際に対応が遅れ、テロリストが研究員2名を拉致するのを許してしまったことが
明るみに出てしまい、彼への風当たりはかなり厳しいものへと変わってしまった。
今回の配属も、魔力弾の飛び交う戦場に送りつけ、あわよくば流れ弾で戦死してくれることが本音なのだ。
だが、同時にこれは昇進のチャンスでもある。硬直した戦況を打開し、勝利すれば自分の発言力は益々高まるだろう。
それに、ミッドチルダではレジスタンス活動が活発化してきており、ナンバーズが中心となって掃討作戦を展開しているらしい。
今まで、だんまりを決め込んでいたスカリエッティが再び表舞台に立とうとしているのだ。
近い内に歴史が動くと、グリフィスは踏んでいた。
そして、自分がその瞬間に立ち会うためにはこの戦に勝たねばならないことを彼は確信していた。

「まあ、それはもう少し先のことだるけどね。それまでは、優雅に待たせてもうらさ」

そう言って、グリフィスは埃っぽい味の紅茶を啜る。
その時、テーブルの上に置かれていた通信機が受信を告げ、すぐ横で待機していたルキノがスイッチを入れてグリフィスに通信を繋ぐ。

「こちら、ロングアーチ」

『こちら、第2中隊の・・・・・です。先ほど、敵が再び進軍を開始しました。数は大よそ200・・・・内訳は・・・・・
なに、これは・・・・ああぁぁぁぁっ!!』

「どうした? 何かあったのか!?」

『・・・こいつら、どうして・・・ぐあぁぁ・・・・・ロングアーチ、至急増援を・・・・・』

『奴ら、AMFの中をどうやって・・・ぐあぁぁっ!!』

『まさか、こいつら・・・あぁぁあ・・・・・うわぁぁっぁぁぁっ!!』

通信機から複数の悲鳴が聞こえ、背後で爆音のようなものが聞こえてくる。
すぐにグリフィスは仮想ディスプレイを展開し、付近を哨戒していたガジェットを偵察に向かわせる。
そして、映し出された映像に驚愕したグリフィスは、手にしていたティーカップを思わず落としてしまう。

「こ、これは・・・・・・・・・」

画面に映し出されたのは、ラインディングボードを駆る兵士達だった。
障害物のない空中を自由自在に飛び回り、魔導師の砲撃を悉く回避しながら質量兵器を投下してこちらの部隊を翻弄している。
更に両腕からエネルギー刃を出現させた兵士が高速で戦場を駆け抜け、擦れ違い様に指揮官の首を引き千切る映像、
巨大な大砲を携えた兵士が戦車部隊を焼き払う映像が次々と映し出されていく。
AMFを物ともせず、まるで赤子の手を捻るように敵を蹴散らしていく兵士達。その姿はまるで血に汚れた戦鬼のようだった。

「何故・・・・・何故、敵が戦闘機人を運用している!?」

力任せにテーブルを叩き、拳に鈍い痛みが走る。
ありえない。戦闘機人の製造技術は管理局が一元管理している。
その製造法は最重要機密とされており、ダミーの広報番組を制作して報道させるなどの隠蔽工作も抜かりはない。
なのに、どうして敵軍が戦闘機人を保有し、戦力としているのか。
232UNDERDOGS 第十話A:2008/12/08(月) 05:52:34 ID:RQP/UZZJ
「はっ・・・・・そうか・・・・それが狙いか、スカリエッティ!」

「グリフィス?」

「僕達は・・・・いや、管理局は彼に騙されたんだ」

ギリギリと奥歯を噛み締め、グリフィスはスカリエッティへの怒りを露にする。
戦闘機人の製造技術を流出させたのは間違いなくスカリエッティだ。
彼は最初から、自らが確立した技術を次元世界に拡散させる腹積もりだったのだ。
己の欲望を満足させるための舞台を作るために。
そして、恐らくはあの技術も流されているはず。

「ルキノ、前線の偵察部隊に連絡。すぐにアレを見つけるようにと!」

「りょ、了解!」

事の重大さを悟ったルキノは、大慌てで通信機のスイッチを入れる。
程なくして、グリフィスの予想は現実のものとなった。
敵の一部隊に、大型質量兵器を装備した戦車が配備されている。しかも、既に照準はこちらに向けられており、
いつ発射されてもおかしくはない状況であった。

「グリフィス」

「やるしかないのか、撃たれる前に・・・・・・・」

ここで死ぬわけにはいかない。
自分には成さねばならない目的がある。それを成し遂げるまでは、何が何でも死ぬわけにはいかない。

「第3中隊に通達・・・・・・質量兵器を使用する」

爪を手の平に食い込ませながら、グリフィスは断腸の思いで決断する。
無数の亡霊に羽交い絞めにされたような息苦しさを、彼は生涯忘れることはなかった。





魔力砲によって胴体に大きな穴を穿たれ、落下した白天王の巨体が大地を震撼させる。
その瞳からは生気が消え、見る見る内に魔力反応は小さくなっていく。
真竜ヴォルテールと拮抗する力を持ち、立ち塞がる敵を悉く焼き払ってきたその威容が立ち上がることは、
もう二度とありはしなかった。

「いや・・・そんな・・・・白天王・・・白天王!」

ルーテシアの悲痛な叫びが空に吸い込まれていく。
彼女が何度呼びかけても、枯れる寸前のリンカーコアから絞り出した魔力を注ぎ込んでも、白天王は動かない。
時の逆行と死者の蘇生は魔法の不可能領域だ。どんなに思いのこもった祈りを捧げても、膨大な魔力を秘めたレリックの力を借りたとしても、
その原則が覆ることはない。
白天王は、その生涯を終えたのだ。
そして、白天王の命を奪ったのは他でもない、山頂に設置された、まだ未完成のはずのアインヘリアルの砲撃であった。

「馬鹿な、アインヘリアルはまだ完成していないはず!? どういうことだ、リイン!?」

(わかりません。けど、急に機関部の魔力反応が大きくなったです)

空の管制を担当していたリインにも状況は掴めていないのか、彼女の声からは混乱している様子が伺えた。
それはユニゾン中のアギトも同じようで、いつものなら悪態の1つでも吐く生意気な唇はきつく噛みしめられている。
233UNDERDOGS 第十話B:2008/12/08(月) 05:53:17 ID:RQP/UZZJ
「まさか、クアットロ姉様が・・・・・・」

「馬鹿な、あの女は死んだはずだ。艦ごと消滅させられたのだぞ!」

「いや、姉様のISなら可能だ。あの人のシルバーカーテンの本質は、幻術ではなく騙す力。
幻を作るんじゃなくて、生み出した幻を本物だと錯覚させるものなんだ」

(そういや、応用すれば機械も騙せるって・・・・・・)

「ハッキングしたんだ。動力が確保されているのなら、例え未完成でも本体の強度を無視すれば砲撃は撃てる。
システムを外部から起動して、発射プログラムを走らせたんだ。アインヘリアル自身に、これから砲撃を撃つと思い込ませることで」

「だとしたら、あれは・・・・・・・・」

先ほどの砲撃で、3本ある砲塔の内の1つが内側から暴発したかのように焼け爛れている。
恐らく、魔力砲の出力に砲塔が耐えられなかったのだ。しかし、まだ無傷の砲塔が2本も残っている。
後2発、アインヘリアルは最低でも後2発の砲撃を撃ってくる。

「ザフィーラ、まだアインヘリアルには辿り着けないのか!?」

(後少しだ。だが、敵の抵抗が思いのほか激しく、足止めを食らっている)

相当の苦戦を強いられているのか、念話越しに聞こえるザフィーラの声からは疲労の色が感じられた。
ならばと、シグナムは左手に鞘を出現させ、レヴァンティンをボーゲンフォルムへと変化させる。
剣を主体に戦うシグナムにとって、レヴァンティンの第三形態はいわば対人戦ではなく対軍戦を想定した武器だ。
そこから放たれるのは僅かに一矢。だが、その一矢は音速の壁を超え、魔力的な障壁をも突き破って目標を殲滅する凶鳥の化身だ。
発動するまでに若干の溜めを有するため、決闘や乱戦ではほとんど使いものにならないが、こうなってしまっては被弾覚悟で
アインヘリアルを狙撃するしかない。

「いくぞ、アギト」

(おう。炎熱加速!)

「翔けよ、はや・・・・・」

その瞬間、息苦しさにも似た重圧感が2人を襲った。
空気が鉛に変化してしまったかのように重く、指一本動かすこともままならない。
額からは玉のような汗が滲み出ており、呼吸困難で表情は険しく歪んでいた。
直後、まるで磁力に弾かれるように、シグナムとアギトは強制的にユニゾンを解除されてしまう。
シグナムは咄嗟に態勢を立て直そうとするが、何かに魔力の結合を阻害されて飛行を維持することすらできない。

「・・!?」

「危ない」

重力に引かれて自由落下が始まった瞬間、オットーとディードが2人の体をキャッチする。
234UNDERDOGS 第十話C:2008/12/08(月) 05:53:55 ID:RQP/UZZJ
「す、すまない。助かった・・・・・・だが、これは・・・・・・」

「AMFです。アインヘリアルからもの凄い出力のAMFが展開されています。
そのせいで、お2人のユニゾンが解除され、飛行魔法もかき消されたようです」

「AMFだと? だが、それでもアインヘリアルも砲撃は撃てないはず?」

「出力が違いすぎます。バケツ一杯の水を汲んでも、海の水は減りません」

「現状でまともに動けるのは戦闘機人か、ガリューやフリードのような魔力を用いずに飛行できる獣のみみたいだ。
陸士隊は何とかザフィーラとギャレットで持ちこたえているけど、魔法が使えないから戦力としては期待できない。
カルタスが合流のために向かっているけど、今からじゃ間に合わないだろうね」

「どうすんだよ、これじゃ狙い撃ちにされるだけだぜ」

「僕とディードでやるしかない。けど、そのためには・・・・・・・・・」

クアットロが死の間際に発動したシルバーカーテンにより、戦い続けることを命じられたガジェット達がまるで壁のように周囲を取り囲んでいる。
この包囲網を突破しなければ、アインヘリアルに到達することはできない。オットーのレイストームでどこまで焼き払うことができるか、
そしてディードのツインブレイズで砲撃のチャージが完了するよりも早くアインヘリアルに辿り着くことができるのか。
こうしている間にも、アインヘリアルの照準装置は次なるターゲットに狙いを定めている。
何もすることのできない無力感に、シグナムは歯を食いしばることしかできなかった。





苛烈な攻め技の応酬に、ノーヴェは自分が戦いに酔っていることに気づいた。
ゼロ・セカンドと拳を交えてかなりの時間が過ぎたが、こんなにも心躍る時間は初めてだった。
背筋を駆け抜けるこの震えは、武者震いというものなのだろうか。
まるで羽根が生えているかのように体が軽く、面白いように攻撃が決まる。
正攻法からの一撃、フェイトを交えたコンビネーション、目にも止まらぬ連撃、距離を取っての撃ち合い。
相手の腹を読み、こちらの真意を誤認させ、針の隙間のような隙を突いて突きや蹴りを打ち込む。
無論、敵も数々の修羅場を潜り抜けてきた強者だ、そう簡単には倒されてくれない。
だが、今のノーヴェにはその困難すら楽しいと感じることができた。
気分が良い。
突きを防がれても、蹴りを弾かれても、射撃を避けられても、すぐに次の攻撃の動作が思いつく。
どのように動けば相手がどのように動き、どうすれば攻撃を当てられるのかがわかる。
万能の神にでもなったかのような気分。自分が自分でないかのような錯覚。
いつしかノーヴェは笑っていた。
苛立ちしか覚えなかった相手との闘争に、彼女は楽しみを見出したのだ。

「はははっ、楽しいな、セロ・セカンド。お前をぶっ壊せる。今日こそはぶっ壊せる。
そう思うと震えが止まらない。この緊張が堪らない!」

「あたしは、戦いを楽しいだなんて思ったことはない」

「お前の気持ちなんざ知ったこっちゃねぇ。初めてだ、こんなに楽しいのは初めてだ。
もっと、もっとあたしを楽しませろ。お前との戦いにはそれがある。その先にあるものを、あたしは掴む!」

「この命は、まだ誰にも渡すわけにはいかないんだ」

肺の中の空気を絞り出すかのように、ゼロ・セカンドは深呼吸をする。
すると、彼女の体から魔力反応が消えていき、瞳の色が徐々に自分と同じ金色を帯びていく。
235UNDERDOGS 第十話D:2008/12/08(月) 05:54:44 ID:RQP/UZZJ
「やっと本気を出したか」

「一発だ・・・・・・一発で決める」

「良いぜ、あたしも一発だ」

ノーヴェは残るエネルギーの全てをまだ稼働しているブレイクギアに注ぎ込み、砲撃のチャージを開始する。
対するゼロ・セカンドもまた、ナックルスピナーを高速回転させてテンプレートの光を右腕に集束していく。
撃つか、打たれるか。
ディバインバスターのチャージが完了するのが先か、相手のISが命中するのが先か。
ギリギリの緊張感が神経を焼き、高揚にも似た快感が駆け上がる。
戦闘機人の定め。
姉を傷つけられたことへの復讐。
どうして自分はそんなことに拘っていたのだろう。
物事はもっとシンプルだ。自分は、あの生意気なハチマキと真っ向からぶつかって勝利したい。
戦って勝利した先にある何かを掴みたい。
その何かがわかる瞬間まで戦いたい。
これが戦う理由。戦闘機人ノーヴェが、戦いの果てに見出した答え。

「来いぃっ、ナカジマァァッ!!」

「ノーヴェ、覚悟ぉっ!!」

鋼鉄すら破砕する拳がうねりを上げ、金色の砲撃が大気を引き裂かんとする。
互いの視線は宿敵の命に狙いを定め、必殺の一撃が解放の瞬間を待つ。
決まればそれで終わり。
死の恐怖は戦慄となり、それを押しのけるように闘志が2人を後押しする。

「振動・・・・・!」

「ディバイン・・・・・・!!」

だが、その一撃が放たれる瞬間、上空を一条の魔力砲が駆け抜けた。
直後、巨大な何かが落下した衝撃が大地を震わせ、山岳部全体を強力なAMFが包み込んでいく。
突然の異常事態に、2人は攻撃の手を止め、互いに警戒し合うように距離を取った。

「クア姉、何があったんだ・・・・・・・クア姉? クア姉! チンク姉、ウェンディ・・・・・ダメだ、繋がらない」

通信機から聞こえてくるのはノイズばかりで、誰とも繋がらない。
特に指揮官であるクアットロと連絡が取れないのは非常に良くないことが起きていることを意味している。
最悪の場合、彼女が撃墜されたという可能性も捨てきれない。
あの殺しても死なない姉がそう簡単に倒されるとは思えないが、何が起こるかわからないのが戦場だ。
ここは、一旦引いた方が良いかもしれない。
236UNDERDOGS 第十話E:2008/12/08(月) 05:55:47 ID:RQP/UZZJ
「ナカジマ、決着はいつか着ける。勝手に死ぬんじゃねぇぞ!」

追って来られないようにガンシューターで牽制し、エアライナーを展開して疾走する。
とにかく、まずは状況を掴まねばならない。それと負傷者の救援だ。
まだ生きている戦闘機人達を回収して、修理してやらねばならない。
そんなことを考えながらも、ノーヴェの心はまだゼロ・セカンドとの戦いに後ろ髪を引かれていた。
あの女との戦いは胸が躍る。
また戦いたい。戦えば、きっとまた新しい自分を見つけることができる。
あの女を倒せば、きっと自分は強くなれる。
その実感に、ノーヴェは笑みすら零していた。





そうして、1人取り残されたスバルは走り去っていくノーヴェの背中をジッと見つめていた。
怖かった。
戦闘機人なのに感情がある。
怒って、笑って、そして戦うことに意味を見出している。
自分が生きている理由を、自分の力で見つけている。
あの少女は他の戦闘機人達とは違う。
うまく口では言い表せないが、何かが違うのだ。
彼女は寧ろ、自分に近い。意味もなく、そんな気がしてくる。
それに、戦闘中に彼女が口走った言葉も耳に残って離れなかった。

「あいつ、あたしの名前を呼んでいた」

それが何を意味するのか、今の彼女には、まだわからなかった。





ガリューは思った。
今、この状況を打開できるのは自分しかいないと。
AMFによって魔法を封じられ、魔導師達が戦えない以上、自分やフリード、戦闘機人達が奮闘するしかない。
だが、オットーとディードはガジェット達からシグナムを守るので手一杯であり、スバルやカルタスでは位置的にもう間に合わない。
敵の包囲網を突破し、アインヘリアルを攻撃することができるのは自分かフリードだけだ。
しかし、フリードにはエリオや主を無事に地上まで送り届けて貰わねばならない。だから、この場は自分が何とかしなければならないのだ。
フリードもそれを承知しているのか、何も言わずに目だけで語りかけてくる。
237UNDERDOGS 第十話F:2008/12/08(月) 05:56:20 ID:RQP/UZZJ
『行くのか』

と。
だから答えた。

『無論』

と。
それが召喚蟲の使命。主を危険から守り、死の脅威を打ち払うことこそが己の本分。
そして、主を守るためならば命令にすら背く覚悟が必要なことを、エリオやフリードが気づかせてくれた。
従うばかりだったかつての自分。
何も言わず、ただ命令に従っていればそれで良いと思っていた。
主の望むままに拳を振るうことが、召喚蟲の使命であると思っていた。
だが、違うのだ。真に主のことを思うならば、その命令に背かねばならぬ時もあるのだ。
召喚蟲の使命とは、主の身をあらゆる脅威から守り抜くこと。
例え主に「生きろ」と命じられても、「死ぬ」ことを覚悟する時が必要なのだ。
己の命を投げ出すことになろうと、主が笑うことのできる居場所を守ることなのだ。
だから、絶対にエリオ・モンディアルを死なせるわけにはいかない。
今、初めてガリューは主以外の人間のためにその命を使おうと覚悟を決めた。

「ガリュー?」

こちらの様子がおかしいことに気づいたのか、主が縋るような目で見上げてくる。
この無垢な瞳を、再び悲しみの涙で濡らさねばならないことを、ガリューは深く後悔した。
できることならば、その生涯を最後まで見届けたかった。
きっと、母親に似て美しい女性に成長するはずだ。
もしも、運命が変わっていれば彼女は穏やかな時を過ごせたかもしれない。
母親と共に料理を作り、古文を嗜み、ごく普通に恋をして、結婚し、子どもを設けて幸せな家庭を築く。
そんな、当り前な人生があったかもしれない。
いいや、これから歩むのだ。
彼女はこれから、本当の笑顔を見つけるための旅に出るのだ。その旅は辛く険しく、何度も挫折しそうになるだろう。
そして、傍らに立つ友達に励まされてまた歩き出す。
時間はかかるかもしれない。だが、必ずくるはずだ。
彼女の償いが終わる時が、きっと。

「・・・・・・・・」

「ガリュー!?」

主の小さな体を抱き締める。
小さい。
とても小さい。
けれど、3年前よりも確実に大きくなっている。
彼女は成長している。これからもっと大きくなる。
当たり前のように大人になり、そして老いて死んでいく。
その時間を、こんなところで終わらせる訳にはいかない。
自分はその移ろいゆく時間を見届けることができないから、後のことは全てエリオに託そう。
彼ならば大丈夫だ。エリオは強く、決して挫けない。何度も辛酸を舐め、辛い思いをしながらも、
主を暗闇から解放することを諦めなかった。大切な家族を主に殺されて、騎士としての誇りすら傷つけられたというのに、
彼は自分の思いを曲げず、まっすぐな気持ちをぶつけてくれた。
その強さは弱さでもある。
弱いからこそ、強くあろうと前を向ける。
自分の中の弱い部分を知るからこそ、ひたむきな強さを持つことができる。
きっとこれからも、傷つき悩むだろう。彼の目指す騎士は大切なものを守るために、それ以外のものを切り捨てる覚悟が必要となる。
彼はまだその矛盾に気づいていない。そしてそれに気づいた時、彼は悔やみながらもその道を進むだろう。
何故なら、彼は既に選んでしまったのだから。ルーテシア・アルピーノの側にいるという誓いを、交わしてしまったのだから。
だから、彼はきっと何かに絶望する。何かを悔やみ、何かに怯えながら、みっともなく情けない醜態を晒し、
それでも自分で選んだ道を貫き通す。本来ならば自分がやらねばならないことを、彼が代わりに成そうとする。
それがとても心苦しい。
だからこそ、祈らずにはいられない。
238UNDERDOGS 第十話G:2008/12/08(月) 05:57:12 ID:RQP/UZZJ
『強くなれ』

お前は我が宿敵、永遠の好敵手。
決着はあの世に先送りだ。
お前が来るのを待っているぞ。

「ガリュー!」

「フリード、何を!?」

フリードが火炎を吐き、立ち塞がるガジェット達を焼き払う。
その一瞬の隙を突いて、ガリューは飛翔した。纏わりつく炎を払い、守るべき主達に背を向けてまっすぐにアインヘリアルを目指す。
だが、それを許すほどガジェットは愚鈍ではない。すぐに隊列を立て直し、こちらを行かせまいと立ち塞がる。
目障りだ、邪魔をするな。
激痛を押し殺し、全身を武器化させてガジェットを切り捨てる。
それはまるで刃の嵐。
竜巻と化したガリューは立ち塞がるガジェットを悉く切り裂いていき、魔力が膨れ上がりつつあるアインヘリアルを己の間合いへと捉える。

(ガリュー、止めてぇっ! ガリュー、あなたまで・・・・・・・)

主からの思念通話を一方的に切り、ガジェットからの攻撃で手足を撃ち抜かれながらもガリューは飛翔することを止めない。
肩の外骨格が剝がれ落ちた。
左腕が千切れ飛んだ。
足も動かなくなった。
脇腹には大きな穴が空いている。
4つある目の内の2つが既に機能していない。
自分が切り捨ててきたガジェットが爆発する音ももう聞こえない。
風だ。
自分は風になったのだ。
地雷王、白天王、主を守れずにさぞかし無念であっただろう。
お前達の思いを、自分が代わりに果たそう。
アルピーノの召喚蟲は常に誇り高く、主のためにあれ。
この命は、最後の一滴まで召喚師ルーテシアのためにある。
エリオ・モンディアル、我が主を暗闇から解放してくれたことを感謝する。
キャロ・ル・ルシエ、我が主を心から思っていてくれたことに感謝する。
飛竜フリードリヒ、主死してもなお潰えぬ忠誠を尊敬する。
真竜ヴォルテール、主を解放するためにお出でくれたことを恐悦至極に存じます
そして、主ルーテシア。
あなたに仕えることができたことに、感謝とこの上ない名誉を感じる。
美しき主、最高の好敵手、誇り高き戦友。
自分は十分過ぎるくらいの幸福を賜った。
これは最後のご奉公だ。
視界を焼き尽くす光は不確定な未来への希望だ。
この輝きを、主はきっと掴み取ってくれる。
だから、自分はこの命をあなたに捧げることができる。
我は召喚蟲ガリュー。
我こそは、エリオ・モンディアルの好敵手。
我こそは、飛竜フリードリヒの戦友。
我こそは、ルーテシア・アルピーノの・・・・・・・・・・・・・・。





ガリューの姿が砲口の中へと消える。
一陣の風が吹いた。
それは黒い風。
ガリューの死を悼む漆黒の風だ。
239UNDERDOGS 第十話H:2008/12/08(月) 05:57:50 ID:RQP/UZZJ
「ア、アインヘリアルが・・・・・・・・」

まるで地上に太陽が落ちてきたかのような輝きがアインヘリアルから漏れ、膨れ上がった魔力が指向性を失って
内部に溜まっていくのがここからでもわかる。
直後、輝きがほんの一瞬だけ収まったかと思うと、天地を揺るがす程の大爆発が起き、アインヘリアルが光の渦へと飲み込まれていった。
召喚蟲ガリュー。
彼の尊い犠牲が、ここにいる全ての者の命を救ったのだ。

「ガリュー・・・・・君は・・・・君って奴は・・・・・・・・」

あまりにも気高い自己犠牲の精神に、エリオは言葉では言い表せない何かを感じ取っていた。
言葉は交わさなかった。
だが、彼は最後に自分を認めてくれた気がする。
そして、ルーテシアを託していったのだ。
その儚くも鮮烈な生き様には、共感もすれば嫌悪も湧き上がってくる。
彼はルーテシアを守るために逝った。だが、どうしてこの先もルーテシアを自分の手で守り抜く道を捨ててまで逝ったのか。
答えはすぐに辿り着いた。
自分になら任せられると、彼が認めてくれたからだ。
自分の思いがそこに生きていると思ってくれたから、全てを託して逝ったのだ。
彼の思いは死んではいない。例え、その身は尽きてもその魂は自分の中で永遠に生き続ける。
だからルーテシアも泣かなかった。
ガリューは今でも自分の心の中で生きている。
その気高い魂がある限り、自分はもう暗闇に堕ちることはないと。
その時、風に吹かれて1枚の布切れが2人のもとへと舞い降りた。

「あ・・・・あああ・・・・・・」

「こ、これは・・・・・・・まさか・・・・・・・」

ルーテシアの手に落ちた1枚の布切れ、それはガリューが常に肌身離さず身に付けていた紫紺のマフラーであった。
これはガリューだ。
血に染まり、焼け焦げてもなお原型を保ったままのマフラーは、死してなお主のもとへと舞い戻ろうとしたガリューの化身なのだ。

「ああ・・・うああぁぁ・・・・・・・ガリュュュゥゥゥゥゥゥゥゥッ!!!」

ここは戦場、未だ戦いは続いている。だが、2人は感情を抑えることができなかった。
エリオは叫んだ、ルーテシアは泣いた。堪え切れぬ感情の波が2人を苛んだ。
しかし、名前を呼んでも返ってくるのは風の吹く音ばかり。
ガリューは風になったのだ。
風になって、この青い空へと還っていったのだ。
残酷なその事実に、2人はただ湧き上がる感情のままに涙し、フリードの悲痛な慟哭がガリューの死を悼む鎮魂歌となった。





熱を失ったゆりかごの管制室の照明を灯し、スカリエッティは何度もそうしてきたようにスタンバイ状態のコンピューターを立ち上げていく。
そこに映し出されたのは第56管理世界の戦況と、先ほど終わったばかりのアインヘリアル攻略戦の結果であった。

「クアットロ、君は実に良い娘だった。本当に、デコイとして君ほど相応しい者はいないだろう。
おかげで、こちらは予定通りに計画を第三段階に移行することができる」

第56管理世界では、政府軍が戦況の巻き返しのために戦闘機人や質量兵器を導入し、
これを殲滅するために管理局は質量兵器を使用した。
無論、第56管理世界に戦闘機人や質量兵器の製造技術を持ち込んだのはスカリエッティだ。
彼がここ数日、ゆりかごを離れていたのは各次元世界に自らの技術を売り込んでいたからである。
そして、硬直状態のまま戦況に動きがないことに業を煮やした第56管理世界が、
管理局やミッドチルダに次いで新たなクライアントとなったのだ。管理局の強引な政策に反対する者達が、
管理局と同じく戦闘機人や質量兵器を使用する。これほどまでに痛烈な皮肉はない。
240UNDERDOGS 第十話I:2008/12/08(月) 06:03:26 ID:RQP/UZZJ
「これが、ドクターの夢なのですか?」

いつの間にそこにいたのか、チンクが背後に立っていた。
帰還したばかりなのか、着るものもそのままの状態だ。
特殊素材で作られたインナースーツはボロボロで、色の白い肌にはいくつもの傷が走っている。

「ああ、チンク。そうだね、これもまた私の夢の一側面だ。だが、全てではない。
チンク、技術を最も発展させるものは何だと思う?」

「・・・・・考えたこともありません」

「それは戦争さ。いや、それは少し俗っぽいな。とにかく、争いこそが技術を発展させる。
争うためには何がいる? 武器だ、武器を創ろう。敵が武器を使うなら、それに耐えうる鎧を創ろう。
ならばそれを撃ち抜く銃を創ろう。だったらそれよりも威力の大きい兵器を生み出そう。
それは自然を破壊する、魔法を使おう。魔法を使える者は少ない、誰でも使える質量兵器を復活させよう。
争いは需要を生み、需要は研究を加速させる。私はね、退屈な時間が我慢ならないんだ。
穏やかに心行くまで研究できるのは良い。しかし、何も必要とされない世界では進歩は起きず、
技術は停滞する。今よりももっと優れたものを生み出すためには、新たなニーズが必要なのだ」

「あなたの夢は、生命操作技術の完成なのではないのですか? それと争いを呼ぶことに何の関係が?」

「では聞くが、生命とはなんだい? 何を以て完成と言うのだい? そんなもの、誰にも答えられない。
死者の蘇生? 遺伝子操作? そんなものは一面に過ぎない。技術というものは、求められれば求められただけ進歩するんだ。
だから私は私の技術を必要としてくれる世界を作るのさ。私自身の夢のために」

「クアットロは、そのために死んだのですか?」

「不服かい?」

「彼女は本心からあなたのことを敬愛していた。例え、性格が破綻していたとしても、あなたへの思いは本物だったはずだ。
だから、ゆりかごと今の情勢を維持するためにレジスタンスを葬ろうとした。やり方はどうあれ、彼女はドクターのために行動していました」

「そうだね。で、それが?」

「なっ・・・・・・・」

「ああ、実に惜しい娘を亡くした。彼女の代わりはそうそういないだろう。本当に、困ったものだ」

そう言って、彼はコンソールを操作してゆりかご内の工場施設を動かしていく。
まるで何事もなかったかのように、彼はいつもと変わりない作業を行っていた。
241UNDERDOGS 第十話J:2008/12/08(月) 06:04:37 ID:RQP/UZZJ
(ああ、そうなのか・・・・・・・・)

彼は間違いなく自分達に愛情を注いでいる。
しかし、それは道具に対するものと何ら変わらない。
お気にいりの靴があれば、それを毎日履くだろうし、汚れれば丁寧に磨いてワックスを塗るかもしれない。
そして、破れてしまえば何の躊躇もなくゴミ箱へと投棄する。
捨てたことを後悔し、失ったことを悼むだろうが、心から悲しみはしない。
彼にとって、自分達はその程度の存在なのだ。
そんな男のために死んだのかと思うと、クアットロが不憫でならない。
ディエチは、法に縛られぬ自分達は自由であると言った。
だが、こんなものは自由でも何でもない。ヴァイスが口にしていた「自由に生きろ」という言葉の意味が、
今ようやく理解できた。
自由とは、自分の意思で何かをすると決めることだ。
クアットロはそれが当然であるかのように疑問も持たず、ドクターにつき従っていた。
そして、彼に命じられるままに戦って命を失った。
そこに彼女自身の意思はない、全てがジェイル・スカリエッティという男によって決められた結果があるだけだ。
このままここにいれば、いつか自分はヴァイスを失うことになるかもしれない。
自分が死ぬのはまだ良い。この身は所詮、戦闘機人。戦うための道具にしか過ぎない自分が、戦場で死ぬことに文句はない。
だが、ヴァイスが死ぬのは駄目だ。彼をここにいさせては、いつかはドクターに利用されてその命を奪われるかもしれない。
それだけは、絶対に嫌だ。
そう思った瞬間、既に彼女の心はできあがっていた。
作業に夢中になっているドクターに一礼し、チンクは駆け足でヴァイスの部屋へと向かう。
中に入ると、部屋は照明が消えて真っ暗になってり、ヴァイスは頭からシーツを被ってベッドの上で縮こまっていた。
戦闘でのフラッシュバックが相当堪えたのか、落ち着かせるまでかなりの時間を有したことを思い出す。
今、無理をさせるのは酷かもしれない。だが、事は一刻を争うかもしれないのだ。
彼をどこか、安全な場所に逃がさなければ。

「ヴァイス、ここを出よう」

それは、自分がラグナ・グランセニックを演じることの終わりを意味していた。





「さて、少々目障りになってきたので、レジスタンスの諸君には消えてもらわなければいけないな」

コンソールを操作しながら、スカリエッティは呟く。
全ては計画の内だった。
グリフィスに戦力の大半が渡り、クアットロにガジェットや性能の不安定な試作機、実戦経験のない新人達しか残らなかったのも、
スカリエッティが裏から手を回したからだったのだ。
レジスタンスには、どうしてもアインヘリアルを全力で落としに来てもらわねばならなかった。
そのために完成間近のアインヘリアルを奪取、加えて白天王という強力な手駒がこちらにあることをアピールして、
レジスタンスに全力に近い戦力を集めさせたのだ。クアットロがルーテシアを操って戦力に組み込むことも、
彼は全て予見していたのである。彼女が最後の最後でアインヘリアルを起動させた時はさすがに驚いたが、
彼らは無事に彼女を打ち破り、拠点へと引き上げていっている。
それこそが、こちらの狙いだとも知らずに。

「さあ、いよいよ君の出番だよ」

モニターに映し出された肢体を見て、スカリエッティはほくそ笑む。
培養液の中に浮いていたのは、色白の肌に豊満な肢体、そしてたゆたう金色の髪。
それはまるで、女神のような美しさであった。
彼女は死神だ。
無限の欲望が生み出した、運命の名を冠した死神。
培養液の中で、彼女は静かに胎動していた。


                                                         to be continued
242B・A:2008/12/08(月) 06:07:08 ID:RQP/UZZJ
以上です。
これにより、ルーテシアはインゼクトを除く全ての召喚蟲を失うことになりました。
無論、ヴォルテールは1回限りの奇跡なので再登場はなしです。
そして、ノーヴェとチンクがこんなに動き回るとは思わなかった。
特にノーヴェはあそこまで生き生きと動くとは。
243名無しさん@ピンキー:2008/12/08(月) 08:59:12 ID:uswnLDJq
GJ!!
まさか…まさかガリューまでもが…
自分の好敵手に主を託し散っていく姿が泣きそうなぐらいやばかった
せめて彼ぐらい最期までルーテシアの召喚虫でいて欲しかった

しかしこれでエリオはますます、死ねなくなったな
せめて彼ぐらいは生き残ってルーと暮らし続けてくれ
そしてスカが表舞台に出てきて何をするつもりなのかなど、相変わらずwktkが止まらない!
244名無しさん@ピンキー:2008/12/08(月) 09:04:08 ID:bbxMV2vX
GJ!

けど、誤字が…
<正攻法からの一撃、フェイトを交えたコンビネーション、目にも止まらぬ連撃、距離を取っての撃ち合い。
               ↑フェイントだと思うんですが
245名無しさん@ピンキー:2008/12/08(月) 20:09:03 ID:BJZrNVYo
GJ
まあ、このスカリエッティは許せるキャラですね。
次回は、金色夜叉の出撃ですな。
246名無しさん@ピンキー:2008/12/08(月) 22:06:50 ID:0qBW2GIu
GJ!!
最後に出てきたのはフェイトのクローン?それとも?
そしてスカリエッティのクアットロを超えるやもしれぬ外道っぷりとガリューの見事としか言いようのない散りっぷりに感動
どうかエリオはルーテシアにとっての良き夫であり最高の騎士であり続けて!
24726-111:2008/12/09(火) 00:55:43 ID:o7Svkjs9
夜も更けて参りました。投下予告です

・「小さな騎士・スバル編」の後日談になります
・以前に投下した「小さな騎士・番外編」(ティアナとのエロ展開)を踏まえた内容になっています。ご注意ください
・メインはスバルとエリオ
・使用レス数27レス。どう考えても一気には落とせないので二分割します
・エロ有り。ですが、使用レス数の都合上、エロ展開まで届きません。寸止めです。酷ぇ所で切れます。苛めないでください
・タイトルは「小さな騎士・スバル番外編」
・ベタなフリでベタなヤマでベタなオチが付きます

では、投下を開始します
248小さな騎士・スバル番外編:2008/12/09(火) 00:56:15 ID:o7Svkjs9
「スマンっ!ちょっと匿ってくれ!!」

いきなり必死な形相でそう訴えられて、エリオは何も考えることができず頷いてしまい、彼はさっとエリオがへたりこんでいたベンチの下に素早く潜り込む
何なんですか一体。と問い出す暇もなく、向こうの方から土煙が上がるほどの勢いで駆けてくる一人の女性の姿に、エリオは唇を引き攣らせた

ライトニング02こと、ライトニング分隊副隊長:シグナム二等空尉の姿がそこにはあった。騎士甲冑完全着装。しかも手には陽光を照り返してギラリと輝くレヴァンティン
鋭い眼差しで周囲を睥睨しながら駆けるその様は、正に戦場を往く鬼神の如き気迫に満ちたものである

そんな彼女と目が合った

「エリオ!ヴァイスがここを通っただろう!何処へ行った!!」
「あ、あっちの方に・・・」
「済まんな。感謝する!」

明後日の方向に向かって、結わえた髪を炎の様に揺らしながら彼女は走り去っていった。あまりの剣幕に、思わずヴァイスを庇ってしまったが・・・本当に良かったのだろうか?
シグナムの背中が見えなくなってからたっぷり3分後・・・ようやく、かさこそとベンチの下から這い出て来た彼・・・ヴァイス・グランセニックは汗を拭いながら大きく息を吐いた

「ふぅ、おっかねぇ・・・悪ぃなエリオ。助かったぜ」
「ヴァイス陸曹・・・一体、今度は何をしたんですか?」
「お、おぃおぃ。まるで俺がいつも姐さんにどやしつけられてるみたいじゃねぇか」
「でも、レヴァンティンまで構えて追い掛けられるなんてただ事じゃないですよ。事の次第によっては、報告の義務が「あースマン!悪かった!これやるから黙っててくれ!」

ヴァイスは、何やら後生大事に抱え込んでいた箱から缶入り飲料を二本掴み出し、エリオに投げ渡すとそのまま走り去ってしまった

「・・・何だったんだろう?一体・・・???」

首を傾げながら、エリオはヴァイスがくれた缶を眺める・・・カットされたフルーツと、炭酸が弾けるカラフルな液体がグラスに注がれているラベルで、
商品名なのかでっかく「スクリュードライバー」と書かれている

「・・・見たこと無いけど、何だか強そうな名前のジュースだな・・・?」

首を傾げながらもエリオはベンチから立ち上がって、背伸びをしながら空を仰ぐ
249小さな騎士・スバル番外編:2008/12/09(火) 00:56:46 ID:o7Svkjs9
時刻は夕方・・・今日は夜の訓練も無く、隊舎に戻って済ませるべき事と言えば夕食と入浴くらいだ。その分、今日は先程まで続いていた昼の訓練がきつかった・・・
基礎訓練は勿論のこと。コンビでの模擬戦にフェイト抜きの隊長戦を一戦。そこから更にスバルの個人指導による格闘訓練
訓練終了と同時にキャロがひっくり返ってしまい、スバルとティアナが大慌てで医務室に担ぎ込んでいった一幕もあったりしたのだ
自分も追い掛けようと思ったのだが、情けないことに疲労困憊した身体はちっとも言うことを聞いてくれず、引き摺るような足取りでやっとここまで辿り着いた所だったのである

「・・・フェイトさんが居なくて、ちょっとだけ良かった・・・」

安堵の溜息と共に、そんな台詞を小さく呟くエリオである。今日もフェイトは執務官モードだった為、六課には居なかった
訓練の内容としては、厳しい物のほぼいつも通り・・・キャロがグロッキーになったのは猛暑の所為もあろう
もしも、自分達の保護者であるあの人がこんな姿を見たならば、間違いなく悲鳴と共に二人を抱き上げて医務室までソニックムーヴだ
頑張っている姿を見て貰えないのがちょっと寂しいが、騎士を志す者として、抱っこで医務室に担ぎ込まれるような醜態を晒したくない・・・

「ん、ん〜っ・・・はぁ・・・戻ろうか」

ぐぐっと背伸びをして身体をほぐし、彼は夕焼け色に染まる隊舎に歩き始めた
ヴァイスに貰った、“缶ジュース”を、ズボンのポケットに突っ込んで・・・



最早、説明するまでもない様な気がするが、ヴァイスが持っていたのは、ミッドチルダでは珍しい第97管理外世界:地球製の“酒”である
本来は無許可で管理外世界の飲食物を持ち込むことはできず、検疫をクリアした物に限られる・・・つまりは検疫を通過していれば問題は無いのだが、
酒類というのは何かと面倒臭い物だ。何せ、これを巡る争いで滅んだ世界が有るくらいなのだから
そんな事情もあるので、酒類の個人輸入というのは規制が厳しく、なかなか難しい・・・だが、この度ヴァイスは、まんまと地球の酒を“密輸”する事に成功したのである

まぁ、密輸といっても、

「久しぶりに日本のお酒が飲みたくなっちゃった」

と言って、ふらりと買い出しに出掛けた某医務官殿に頼み込んで買ってきて貰っただけなのだが
ちなみに、某医務官殿の所業については某部隊長曰く、
250小さな騎士・スバル番外編:2008/12/09(火) 00:57:17 ID:o7Svkjs9
「承認や」

だそうである
そんなこんなで、ヴァイスは密かに憧れていた97管理外世界製の酒を色々ゲット。整備班を相手に格安ぼったくり闇酒場でも開くか。などと考えていた所をシグナムに察知され、
段平片手におっかない目付きで追いかけ回される身となっている。訓練が捌けたばかりだというのに、烈火の将は今日も元気だ

なので、エリオが受け取ったのは缶ジュースではなく歴としたお酒である。お酒はハタチになってから?古代ベルカ風に考えれば10歳を越したら一人前なのだ
勿論、彼の少年が第97管理外世界の缶入りアルコール飲料のラベルの種類まで知っていなかったので、ジュースと誤認したのは無理もないことなのだが・・・


――― さて、場面を隊舎に戻ったエリオに戻そう


隊舎まで戻ってくると、エリオは一番に医務室に向かった
医務室の主であるシャマルは居らず、ベッドにキャロが横になっていて、ティアナが付き添っている

「キャロ、大丈夫?いきなり倒れた時は心配したけど・・・?」
「う、うん。ごめんね、エリオ君・・・今はもう大丈夫だから、心配しないで」

少しだけ青ざめて見える顔だが、キャロは気丈にも小さく笑みを浮かべてそう言う・・・そんな台詞に、呆れ顔のティアナが盛大な溜息を吐いたけれど

「でもね、キャロ。辛い時は早めに言いなさいよ。今は良くても、何かあってからじゃ遅いんだからね」
「す、すみません、ティアさん・・・」
「ったく、ちびっ子の癖に我慢しすぎ。アンタもよ、エリオ」
「き、気を付けます・・・」

“隊長”からの叱責に、エリオはしゅんと項垂れて、キャロはシーツで顔を半ばまで隠してしまった
そんな二人の様子に、少しだけ気まずい顔をしながらティアナは頭を掻いて、そっぽを向いたまま言葉を続ける

「・・・ま、良いわ。私達も気付いてあげられなかったんだし・・・
でも、夏場の疲れは一気に“来る”んだし、本当に気を付けなさいよ。倒れて、駄目になってからじゃ遅いんだから」
251小さな騎士・スバル番外編:2008/12/09(火) 00:57:48 ID:o7Svkjs9
「・・・はい。気を付けます・・・ごめんなさい」

シーツの中から、蚊が鳴くような声音が聞こえてきた
キャロのそんな姿に苦笑を浮かべながらも、エリオは少し頬を赤くしてティアナに頭を下げた

「はい。でも、その・・・ありがとうございます、ティアさん」
「な、何でいきなりそんな事言うのよ」

ベッド脇の小さな丸椅子に腰掛けていたティアナはぶすっ面になり、行儀悪く椅子の上で片膝を立てた
じっとりとした視線で睨み付けられるエリオだが、彼女のそんな様子が一風変わった照れ隠しだと受け止めることができるのは・・・先日まで続いていた共同生活の成果だろうか?
だが、それをはっきり口にするとムキになってしまうので、これ以上は言わないでおこう

「いえ、何でもないです。以後、気を付けます」
「ん、結構。それじゃ、アンタもとっとと部屋に戻って休んでなさいよ。キャロの面倒は私が看てるから」
「良いんですか?シャマル先生は・・・?」
「それが・・・何処に行ったのか居ないのよね。リイン曹長が探してくれてる筈なんだけど・・・まぁ、戻ってくるまで安静にして待ってるわ。
部屋でも良いんだけど、こっちの方が確実だしね」
「それじゃあ、食事はどうします?持ってきましょうか?」
「あぁ、平気よ。それくらいは自分でするから、スバルと食べてきなさい。二度も、いつかみたいな手間を掛けさせるわけにはいかないしね」

申し出をやんわりと断りながら・・・不意に頬を赤くするティアナに首を傾げつつも、エリオは医務室を後にした
空調が静かに空気を掻き混ぜる、静かな一室に二人きりになったティアナとキャロだが・・・そっと、ティアナの様子を伺ったキャロは、思わず目を丸くした

「ティ、ティアさん!?何か、お顔が真っ赤ですけど、どこか悪いんじゃ・・・!?」
「え!?あ、い、い、いや、その、何でもないのよ!な、何でもないの!」
「でも、そんな・・・あの、私はシャマル先生にお薬でも出して貰いますから、ティアさんも休ん「だーっ!薬とかは駄目よ!特に滋養強壮剤とかドリンク剤は絶対駄目!」

息を切らしてまくしたてるティアナの思わぬ剣幕に、キャロはこくこくととにかく頷いた
瞠目したまま、怯えたようにシーツで顔を半分隠しているキャロの姿に、ようやくティアナは自分の口調の激しさに気付き・・・慌てて大袈裟な身振りを交えながら言い訳を始めた

「・・・あ、ご、ごめんね。実はその・・・あの、ちょっと前に私もシャマル先生のお薬貰ったんだけどさ、飲んだらすっごく苦くてマズくて」
252小さな騎士・スバル番外編:2008/12/09(火) 00:58:21 ID:o7Svkjs9
「そ、そうだったんですか・・・?」
「体調は良くなったけど、なんかしばらく偏頭痛っぽい症状が続いたし・・・あれくらいなら、しっかり休んでいっぱい食べた方が良いわよ?」
「は、はい・・・そうします」

苦い薬が得意な子供は滅多に居ない・・・キャロも、そのご多分に漏れぬ子供だったらしい
素直に頷く姿に、安堵の溜息を吐き出すティアナであった



医務室を出たエリオは真っ直ぐに食堂に向かう・・・つもりだったのだが、一度、先に自室に戻ることにした
ポケットの中でゴロゴロ邪魔だった缶ジュースを、備え付けの冷蔵庫に放り込んでおく
今、エリオ達フォワードメンバーが居室としている部屋は、本来、賓客向けの客室であり、平隊員風情に宛がわれることは有り得ないくらいの、備品も充実した良い部屋だ
変則コンビネーションの訓練期間中は、それぞれのパートナーと同居するように、という部隊長命令もあって、現在、エリオはスバルと昨日から共同生活を送っている

「・・・はぁ」

しかし、夜の事を考えると少しだけ気が重いエリオである
ティアナとは、互いの領分に線引き、というか。二人共に気遣い合う空気があったし、良い意味で“壁”が有ったと思う・・・同衾したりもしたが
しかし、スバルは違う。キャロと過ごしていた時もそうだったらしいが、とにかく弟分、妹分の世話がしたくて仕方がないらしい
同性であるキャロならばまだしも、10歳児とは言え異性である自分の前で、あまりにも無防備に振る舞われるのは・・・少々、困る。
内心、少しだけ嬉しかったり、いや、騎士たる者そんなことではいかん
しかし、今のままでは、シグナムが言っていた『戦技の訓練だけでは互いの呼吸を伺い知ることはできん』という言葉を粗略に扱うことになる

「・・・逃げ回ってばかりじゃ、意味が無いんだよね・・・」

本音を言えば、できればティアナと接した時のように少しずつ歩み寄って行ければ良いのだが、生憎3日間という短期の訓練期間である
せめて、真っ直ぐ向き合えるようにしようとエリオは決めて、少し晴れやかな表情で自室を後にした
向かう先は食堂・・・多分、スバルは今頃、空きっ腹を抱えてテーブルに突っ伏しているはずだ
先に食べていれば良さそうなものだが、『一人の食事って味気無いじゃない』というのが彼女の言い分である

「よし、急ごう」
253小さな騎士・スバル番外編:2008/12/09(火) 00:58:52 ID:o7Svkjs9
自分にそう呟いて、エリオは隊舎の廊下を早足で駆け抜けた



「遅ーい!!」

開口一番、スバルは涙目でそう訴えた
確かに、年頃の少女らしからぬ豪快且つ旺盛な食欲を誇る彼女でなくても、空きっ腹のまま湯気を立てる食事を前にして『待て』されるのは拷問と言えよう

「すみません。医務室に寄ってたら少し遅くなっちゃって」
「あ、キャロの具合、どうだった?」
「それほど悪くは無いみたいですけど・・・疲れが出たんでしょうか。しばらく安静にしておくって。今はティアさんが付いてくれてます」
「そっか・・・なら、ひとまずは安心、かな?」
「ですね。食事は、先に食べてなさいって言ってましたし」
「それじゃ、遠慮無く!」

食卓の上には、スバルが取り分けて来たらしい料理の山ができている。文字通りの“山”である
大皿の上にはサラダが山になっており、籠には長い堅焼きパンがそのまま立てられている。極めつけはテーブルの中央で湯気を立てるシチューの鍋
普通に考えて鍋ごと持って来るというのはありえないと思うのだが、夕食時には必ず二桁近い回数のおかわりに通い詰めるスバルの姿に、食堂のおばちゃんが鍋ごと持たせたのである
きっちり完食して返すあたりが何ともスバルらしいと言うか、それ故に許されている特権というか、良識ある人間がみたら唇の端をひくつかせるような食卓になっているのだが
スバルとエリオはぱちんと両手を合わせて食卓に向かいお辞儀をし、いただきますと唱和

そして、二人としては“平然”と、
しかし、周囲の認識としては“猛然”と、食卓に並んだ料理を平らげ始めた

「しかし、アレだね。エリオも随分様になったね」
「?・・・あぁ、シューティングアーツですか?まだまだですよ」
「そりゃそうだよ。私だってまだまだ修行中なんだから・・・でも、二日間の特訓でここまで伸びるって言うのはすごいよ。流石、男の子だね」
「あはは、ありがとうございます」
「最終日には、師匠らしく必殺技の一つでも伝授してあげたら良いんだけどねー」

スプーンを咥えたまま真剣に悩み始めるスバルに、エリオは首を傾げて見せた
254小さな騎士・スバル番外編:2008/12/09(火) 00:59:23 ID:o7Svkjs9
「必殺技、ですか・・・?」
「うん、必殺技。ここぞと言う時にガツーン!と行ける奴があるとカッコイイでしょ?」

何ともスバル先生らしい(?)言葉に、思わず、引き攣った笑みを浮かべてしまうエリオである

「でも、私のバスターは教えてあげるわけにはいかないし・・・」
「・・・名前だけの問題なんですか?」
「む、そんな事無いよ。でも、名前って言うのは大事なんだよ?」
「そうですか?」
「そうだよ!叫んだ時に気合の入る名前じゃないと!」

拳を握って、そう力説するスバルである。少々げんなりした表情を浮かべてしまうエリオだが・・・

「私のバスター・・・“ディバインバスター”は、元々なのはさんの砲撃魔法の名前。って、知ってるよね?」
「あ、はい」
「最初は単純に、なのはさんへの憧れから名前を借りたんだけどさ。教導を受けるようになって・・・本当は、“ディバインバスター”って名前はやめるつもりだったんだ」
「え?何でですか?」
「そんなの、恥ずかしかったからに決まってるじゃない。でもね、なのはさんが褒めてくれたし、認めてくれた・・・
勿論、なのはさんが使うバスターには何一つ適うわけないけど・・・いつか、きっと追い付ける様に、憧れをただの憧れにしない為に、今もバスターって言ってるんだよ」
「そう、だったんですか・・・」

にっこり笑うスバルの顔に、エリオは少しだけばつが悪い表情で頷いて見せた
スバルの発想を子供扱いしていたというか、あまり真剣に聞いていなかったのだが、彼女の言い分を聞くと、頷かざるを得なかったのだ
だが、そんなエリオにスバルは笑顔で詰め寄り、先程の提案を猛烈にお薦めした

「だからさ!エリオも何か作ろうよ、必殺技!カッコイイ騎士の必須条件だよきっと!」
「あ、あはは・・・考えて、みます。はい・・・」

どこかズレたスバルの提案に、引き攣った笑顔で応えるエリオであった

そんなこんなで、スバルの必殺技談義(?)を交えた賑やかな夕食も終わり、あとは部屋に戻って休むだけ。となった
255小さな騎士・スバル番外編:2008/12/09(火) 00:59:54 ID:o7Svkjs9
休むだけ。と、なったのだが・・・



「・・・あの、スバルさん」
「んふふふふふ、なーに?」

嗚呼、最早何処からツッコめば良いのだろうか?エリオの心中はそんな感じである

面倒なので取りあえずありったけを描写してしまえば、
二人は今、自室に戻るべく廊下を歩いている。客室の近辺を歩き回る職員は少なく、二人以外の人通りは見当たらない
そんな人気の無い廊下で、“にっこり”というよりも、“ニマニマ”という笑みを浮かべたスバルがエリオの頭の上に両腕と顎を乗せている
重い、というよりも、エリオ的関心事項はそこではなく、スバルが提げているビニール袋の中に入っているのがシャンプーハットにしか見えないし、
小さく腰を振ってリズムを取りながら口ずさんでいる「おっふろ♪おっふろ♪」というけしからん鼻歌が気になって仕方無い
傍目には微笑ましく、且つ、羨ましくも見える光景だが、スバルにくっつかれているエリオとしては嬉しさと困惑が3:7くらいである

振り解いてしまえば良さそうなものだが、『せめて、真っ直ぐ向き合えるようにしよう』と、夕食前に決めたばかりの身である
だが、しかし、エリオは不退転の決意を籠めて、はっきりと宣言した

「・・・お風呂は、一人で入りますからね」
「えぇっ!?折角秘密兵器まで用意したのに!?」
「・・・全然秘密になってないですよ。それ(シャンプーハット)・・・」
「これも師弟のスキンシップじゃない。駄目?」
「お気持ちだけいただきます。スキンシップならお風呂上がりに肩でも揉みましょうか?」
「お、嬉しい事言ってくれるじゃない。じゃ、そっちを楽しみにしてようっと」

赤毛にぐりぐり頬擦りまでされるのは少々恥ずかしいが、難局(?)を乗り切れたことと、申し出を喜んで貰えることは、エリオにとっても嬉しかった

「ヴァイス陸曹に変わったジュースも貰ってるんです。冷蔵庫に入れてありますから」
「じゃあ、風呂上がりは冷えたジュースで一杯やって、エリオのマッサージかぁ・・・贅沢だねー」
「贅沢、ですか?」
256小さな騎士・スバル番外編:2008/12/09(火) 01:00:25 ID:o7Svkjs9
「うん、贅沢だよ。これで一緒にお風呂に入れたら最高なんだけどなー・・・?」
「それは駄目ですってば」
「ちぇー」

ぶー垂れながらも嬉しそうなスバルと共に、エリオは自室に辿り着いた
取りあえずソファのどかっと腰掛けて、満腹のお腹をぽんぽん撫でながら今日の訓練の反省点をアレコレ話し合う
なのは達指導陣からのレポートを眺めれば、二人の連携に関しては概ね好感触。というところである
時々、やたら辛口な指摘があるのはヴィータだろうか?口は悪いが的外れではないので、これも貴重な意見だ

「・・・でも、ちょっとヘコんじゃうよね・・・」
「あはは・・・そうですね・・・」

珍しく、じっとりした表情のスバルに、乾いた笑みを返してしまうエリオであった

「ん、それじゃあ今日の反省会はおしまい。と」
「はい。じゃあスバルさん、お風呂、お先にどうぞ」

エリオの申し出を、スバルは笑顔で遮った

「ん、エリオが先で良いよ」
「そうですか?それじゃあお先に・・・って、スバルさん」
「ん?何?」
「・・・乱入しないでくださいね」
「しないしない。大丈夫。ゆっくり温まるんだよ」

そんな風に、着替えを片手に脱衣所に入るエリオを見送って、スバルはだらしない格好でソファに座り込んだまま、はぁ、と溜息を吐いた

「・・・ちょっと、やりすぎかな・・・?」

天井に向かって、そんな台詞を呟いてみる
エリオと変則コンビを組む期間は3日間。今日は2日目で、明日は最終日だ
257小さな騎士・スバル番外編:2008/12/09(火) 01:00:55 ID:o7Svkjs9
いつぞやの、エリオとキャロの幼少(今でも幼いと言うべき年齢だが)の頃の話を聞いて以来、スバルは何とか二人を甘えさせてやりたいと思うようになった
勿論、訓練中や任務中はそうも言っていられないが、こんな風にのんびり過ごしている時くらいは何かしてあげたいのだが・・・

「難しいお年頃、か・・・フェイトさんも大変だぁ」

苦笑と共に、長い金髪の美貌を思い浮かべる・・・優しくて、少し過保護な、毎日忙しいお母さん
彼女の代わりなど、おこがましいにも程があるが、エリオがティアナに相談したように、スバルもキャロから、

『甘えたい時ってどうすれば良いんでしょうか?』

などと相談された事があった
そんな弟分、妹分の為にも、少しやりすぎなくらいべたべたした接し方で、触れ合う事に慣れて欲しい・・・そんな理由が一応ある。あまりうまく進んでいないが

「・・・でも、ティアとエリオは随分打ち解けてたんだよねー」

少しだけ、そんな対抗心もあるようだ
日頃からツンケンしている相棒と、固く抱き合った寝姿という衝撃映像を目の当たりにした身としては、何があったのかは激しく気になる
それに・・・

何を思いだしたのか、ぽっ、とスバルの頬が赤く染まった。そんな彼女に、脱衣所から出てきたエリオが声を掛ける

「スバルさん、お待たせしました。お風呂どうぞ」
「へあっ?エリオ?もう上がったの?」
「え、そんなに早くもないと思うんですけど・・・?」

時計を見れば、エリオがシャワールームに消えてから、既に20分ほど経過していた
どうやら、思索に耽る余り時間を忘れていたらしい。生欠伸を噛み殺すフリをしながら、座ったまま背伸びをし、肩越しにエリオの方を振り返る

「あぁ、ごめんごめん。ちょっとウトウトしてたみたい」
「大丈夫ですか?お風呂で溺れないでくださいね?」
「ダイジョブだよ。あー、でも、もしあんまり出てこないようだったら、寝てたりするかも・・・?」
258小さな騎士・スバル番外編:2008/12/09(火) 01:01:27 ID:o7Svkjs9
少し悪戯っぽい上目遣いで見上げてやる
案の定、エリオは頬を赤く染めて、そうなった時に助けに入るべきかどうするべきかを考え込みはじめた

「あはは、ゴメンゴメン。寝たりしないよ」
「本当ですか・・・?」
「うん。だって、お風呂上がりに冷えたジュースとエリオの肩揉みを堪能しなきゃいけないからね」
「そんなに大した物でも無いですよ」
「そうかなぁ?まぁ、楽しみにしてることは確かだし。さて、それじゃ一っ風呂浴びてきますかぁ!」

そんな軽口と共に、スバルは着替えを片手に脱衣所に向かった
鼻歌交じりに汚れた訓練服をすぽぽーんと脱ぎ散らかし、踊るような足取りでシャワールームに入る・・・前に、脱衣所のドアを小さく開けて、
隙間から顔だけを覗かせたスバルは、驚いた顔でこちらを振り返ったエリオにこんな一言を投げ掛けた

「・・・乱入してもOKだよ?」
「しませんよっ!!」

入浴前に彼の少年が呟いた台詞とは真逆の言葉に、エリオは耳の裏まで真っ赤にして大喝を放つが、
スバルは予想通りの展開にけたけた笑いながらドアを閉め、今度こそシャワールームに入った

「ふんふふーん♪」

ざっと湯を浴び、少し調子の外れた鼻歌と共にスポンジを手に取り、ボディソープをたっぷり含ませて身体を丹念に擦ってゆく
ティアナが言うには『最近ちょっと汗臭いわよ』との事である。毎度毎度、汗だくになっている所為で自分ではあまりわからないのだが
汗や土埃で汚れた身体を一通り洗い終えると・・・何となく、傍らを見下ろすスバルである
先日まではキャロと一緒に入浴していて、彼女を洗ってやるのも日課だったが・・・

「うーん、やっぱりちょっと物足りないなぁ・・・」

そんな独り言を呟いてから、シャワーを被って肌に纏い付く泡を流す
1日分の汚れと疲れが石鹸の泡と一緒に流れてゆくようなこの感覚こそが、入浴の醍醐味だと彼女は豪語する

「・・・んー・・・はぁっ」
259小さな騎士・スバル番外編:2008/12/09(火) 01:01:58 ID:o7Svkjs9
うっとりとした溜息を吐きながら、小さく背伸び
続いてシャンプーを手に取ると、割と豪快な手付きで髪の毛をガシガシ洗う。頭を手早く洗い終えると水弾きの良い肌の上に残っていた水滴を掌で撫で落とし、
髪に含んだ水気もなるべく払って、湯気が立ち籠めるシャワールームを後にした
バスタオルで身体を拭き、下着を着け、少し着古した感じの漂う部屋着を身に付けると、髪の毛に残る湿り気をタオルで拭きながら脱衣所を出る

「ふー、良い湯だった」

つやつやした茹でたての頬を緩ませて、そんな言葉を呟くスバルである
彼女が出てきた事に気付いたエリオは、今までストレッチをしていたらしい。顔だけ上げて言葉を返す

「でも、少しだけ大浴場の湯船が恋しくなってきますね」
「そうだねー。一応、ちっちゃい湯船があるんだし、お湯張って入ろうかな・・・?」

一応、ここのシャワールームにも、狭いながらバスタブがある・・・そういう意味ではユニットバスと言った方が正確だろうか?
しかし、殆ど正方形の、エリオでも膝を折らなくては腰が下ろせないような大きさの湯船はあまり使う気にもなれず、専らシャワーしか使っていないのだけれど

「さーて、と。それじゃあ、風呂上がりのお楽しみターイム!」

大袈裟な口振りでテンションを上げるスバルには少しだけ困った笑みを浮かべながらも、エリオは立ち上がると冷蔵庫から良く冷えた缶ジュースを二本取り出した
逃避行中のヴァイスから貰った物で、正しくはジュースではなくその中身は酒なのだが・・・

「それじゃ、今日も一日お疲れ様って事で、カンパーイ!」
「あはは。かんぱーい!」

ぷしっ、とプルトップを開けて、缶を軽く打ち合わせるスバルとエリオである
唇を付け、一口呷ると・・・

「ん?何か変わった味だね。こんなジュースあったんだ」

未知の味わいに首を捻りながらも、笑顔を作るスバルである
260小さな騎士・スバル番外編:2008/12/09(火) 01:02:28 ID:o7Svkjs9
少し炭酸のキツいオレンジジュース・・・微かに苦味を感じるのは、柑橘の成分だろう・・・と彼女は考えたが、実際はアルコールである
そんな事実は露知らず、スバルとエリオはくぴくぴと缶を傾け・・・

「ぷはーっ、ん、結構美味しかったね」
「ですね。後でヴァイス陸曹にお礼を言っておかないと」
「うん。それじゃ、お楽しみタイム第二だーん!」

いぇーい!、と妙なテンションで盛り上がるスバルに、エリオは殉教者の様な笑みを浮かべていぇーい、と相の手を入れている

「デスクワークでちょっと肩が凝り気味だったから、えへへ、助かるなー」

ちなみに、本日の書類業務はものの30分も掛かっていないのだが

「それじゃあ、えっと・・・ソファじゃやりにくいよね。ベッドで良い?」
「そうですね。そっちでお願いします」
「りょーかい。んしょ、っと」

スバルはベッドの縁に腰掛け、彼女の背後でエリオは膝立ちになって両肩に掌を置いた
スバルは、両肩に感じる掌の感触が意外に堅く、大きい事に驚き、エリオは、掌で包んだ両肩が思い掛けず細い事に驚いていた

「エリオ、結構てのひら大きいんだね」
「そうでしょうか?誰かと比べたことが無いからわからないですけど。それじゃあ、始めますよ」
「うん、お願い」

湯上がりの為か、少しだけ汗を帯びたスバルの肩を触る感触にドキドキしながらも、エリオはそっと彼女の肩に乗せた掌に力を籠めた
掌と指先でゆっくりと力を入れて掴み、同じくゆっくりと力を緩めてゆく。鎖骨に沿うように左右に掌をスライドさせながら、じっくりと揉んでゆく

「・・・エリオ。もっとぎゅ〜ってしてくれたら良いよ?」
「強く揉んでも肩凝りは解れないんです。ゆっくり、血行が良くなるように揉むのが一番だ、って教わりました」
「へぇ、誰が教えてくれたの?」
「アルフに習ったんです。折角教えて貰っても、肩揉みをしてあげる人があんまり居ないんですけどね」
261小さな騎士・スバル番外編:2008/12/09(火) 01:03:00 ID:o7Svkjs9
エリオとしては、恐らくは書類仕事でガチガチになっているであろうフェイトの為に覚えたようなものなのだが、生憎彼女は留守がちである
近日開催される予定の公開意見陳述会の絡みなのか、最近は特に帰りの遅い外出が多く、ゆっくり肩を揉んであげる暇もそうそう無いのであった

「えー、でもきもちいいよー?肩、ぽかぽかしてきたし」
「血行が良くなってる証拠ですね。少し強くしていきますよ」
「うん。ぎゅってして・・・く〜っ・・・きく〜っ・・・!」

ぎゅっと肩を揉み込まれて、静かに悶絶するスバルである
むず痒いような、こそばゆいような、そんな微妙な顔のままエリオのマッサージに身を任せていたが、不意に彼女はこんな事を尋ねた

「ね、エリオ。ティアにもこういうの、してあげた?」
「あ、いえ。ティアさんには・・・」
「ふーん・・・そうなんだ」

何だかぽかぽかと身体が温かくて、頭もふわふわしてきたような気がする
マッサージのお陰だろうか?と内心、そう思うが・・・実際の所は酔いが回ってきただけである。悪酔いでは無いのが救いだが

「でも、ティアとは随分仲良しになってたんだよねー。ねぇ、こっそり教えてよ。ティアと何かあったんでしょ?」
「な、何も無かったですよ」

赤面の理由は照れなのだろうか。アルコールなのだろうか?エリオはスバルの問い掛けに顔を真っ赤に染めて俯いた
そんな少年の様子が何とも怪しく、そして面白く、スバルは唇を尖らせながらも問い掛けを重ねる

「ホントにー?怪しいなぁ。何も無かった相手と、あのティアが一緒に寝てたなんて」
「あ、あれは、その・・・って、もうこの話はしないって約束したじゃないですか!」
「あ、そうだったね、ごめんごめん」

エリオは、少しむくれた顔でスバルの肩をぱんと叩き、肩揉みを終えようとしたが、それより数瞬早くスバルが口にした言葉に動きが凍り付いた

それは、“夢”だった。と、そう思っていた筈の ―――


「でも、ティアと一緒にお風呂まで入ってたじゃない」
26226-111:2008/12/09(火) 01:04:49 ID:o7Svkjs9
・・・うん、酷いね。我ながら
続きは大体24時間後。IDが変わった頃に

それでは、スレ汚し失礼しました
263名無しさん@ピンキー:2008/12/09(火) 01:32:57 ID:19QZjj8z
>>242
GJ!
何だよあのガリューの死に方は…ち、ちくしょう、泣いてなんかいないんだからね!
強敵(とも)に自分の大切な主を託し、主の幸せをただひたすらに思い、散り逝く様はまさしく、漢(おとこ)だった
そしてガリューの影響を受けてストラーダ二刀流モードを装着し、ルーを守るエリオが浮かんでしまった

>>262
GJ!
どう考えても生殺しです。ほんとうに(ry
スバルはエリオとティアナが一緒に入って風呂入ってたこと知ってたのか(さすがにロストバージンと脱・童貞する一歩手前だったのは知らないっぽいけど)
エリオも現実だったと気付いたし、アルコールも二人とも程よく回ってるはず
ここで濃厚ないちゃラブを期待しない方がおかしい
ただ前回ティアナは小さな騎士様に淡い恋心を抱いてしまった様子
にも関わらず、二人がいちゃラブしたとなると…
264名無しさん@ピンキー:2008/12/09(火) 06:48:26 ID:763Hz33K
>>262
ヴォォォォォ生殺しぃッ!!
だが果てしなくGJ、続きを期待セザールを得ない
265名無しさん@ピンキー:2008/12/09(火) 18:42:20 ID:+FtMcsNF
ここではスカ+男のオリキャラに管理局敗北→女子凌辱な感じのはありなの?
266名無しさん@ピンキー:2008/12/09(火) 19:23:00 ID:K6coiPyU
>>265
カモオォ〜ン!щ(゚Д゚щ)ハヤクコイコイ
267名無しさん@ピンキー:2008/12/09(火) 19:31:33 ID:FW6GlU25
>>265
愚問だな・・・ありに決まってるジャマイカ!!
268名無しさん@ピンキー:2008/12/09(火) 19:56:25 ID:GOHVT4iB
じゃあ俺は少女時代のフェイトちゃん陵辱モノでも書くぽ
269名無しさん@ピンキー:2008/12/09(火) 20:19:15 ID:BRRCjo67
>>265
だけど似たような奴なら見た事はあるんだけど、
逆って(ナンバーズ陵辱)全く見た事ないな〜。
270名無しさん@ピンキー:2008/12/09(火) 20:24:43 ID:rh6DONzP
>>269
矯正施設で凌辱されるネタなら何度か見た気が
271名無しさん@ピンキー:2008/12/09(火) 21:48:15 ID:UiqI5Yo8
>>265
基本的に注意書きがあればなんでもいい
272名無しさん@ピンキー:2008/12/09(火) 22:07:11 ID:XQVaXuhU
>>269
こっちの方も心引かれるな。
273名無しさん@ピンキー:2008/12/09(火) 22:17:12 ID:VWYTl4ye
B・A氏
GJ!!
ガリューの死そして

>自分の中の弱い部分を知るからこそ、ひたむきな強さを持つことができる。
きっとこれからも、傷つき悩むだろう。彼の目指す騎士は大切なものを守るために、それ以外のものを切り捨てる覚悟が必要となる。
彼はまだその矛盾に気づいていない。そしてそれに気づいた時、彼は悔やみながらもその道を進むだろう。
何故なら、彼は既に選んでしまったのだから。ルーテシア・アルピーノの側にいるという誓いを、交わしてしまったのだから。
だから、彼はきっと何かに絶望する。何かを悔やみ、何かに怯えながら、みっともなく情けない醜態を晒し、
それでも自分で選んだ道を貫き通す。

の部分にものすごく眼を引かれました。
別次元ではあるが、まさしくルーテシアの騎士に繋がっているのではと感じられました。
あちらの次元においても初期の時のエリオはルーテシアとずっと共にいることを選んだが、そのために多くの人間を傷つけて自らも傷ついて
結果として守るべき人自身の心も傷つけることになった。
この世界のエリオも例えルーテシアと共に生き延びても(生き延びて貰わないと悲しすぎますが)きっと同じ道を辿ってしまうんだなあと深く感じました。
その上こちらのルーテシアは罪を重ねすぎた上に支えてくれる人もエリオ以外誰もいなくなった。
あちらでは一度自らエリオの元から去ったけど、こちらではエリオの為と考えても離れることは絶対できないと思います。
だからこそ、エリオはルーテシアと共にずっと歩む為に彼女の罪を裁こうとする人を切り伏せ、それでもルーテシアは彼に依存することしかできない。
だって今度エリオと離れることは自身の心が死ぬことを嫌でも理解してしまうだろうから。
こちらのエリオはルーテシアと結ばれて子供ができても家族を守るという己の正義の為に人を切り続けるのでしょうね。
その部分が今回の本編で描かれるかは分かりませんが、ここまで意味深な言葉を残せる氏に改めてGJ!!!

26-111氏
GJ!!
今晩の投下を全力前回でお待ちしてます。
絶倫っぽい天然スバルに襲われる(?)エリオは果てしなくエロそうです。
そしてティアキャロも乱入してと果てしない妄想が広がっていく…
274名無しさん@ピンキー:2008/12/09(火) 23:55:23 ID:4MLc4j3X
前のバレンタインの時みたいにクリスマス特番とかお正月ナンバーズとか期待シテル
職人様どうかよろしく
27526-111:2008/12/10(水) 00:06:05 ID:y76mWzfh
夜も更けて参りました
昨日投下した「小さな騎士・スバル番外編」の続きを投下させていただきたく

>>261からの続きになります
・ようやくエロ展開に入ります
・使用レス数14レス

書いてる途中でいつもの病気が出ました
果たして、これはエロパロとして、エロいのかどうか・・・

では、投下を開始します
276小さな騎士・スバル番外編:2008/12/10(水) 00:06:37 ID:y76mWzfh
それを口にしてしまってから、アレ?と内心で首を傾げるスバルである。ポロッと喋ってしまったが・・・まぁ、良いか
ふわふわする頭の中でそう結論付けたが、エリオの方は彼女ほど平静でいられない。いられる筈がない

「え?な、何を言って・・・スバルさん?そんな事、してませんよ」
「んー?見間違いなんかじゃ無かったよ。エリオ、ティアと一緒にお風呂に入ってたじゃない。
ティアがオプティック・ハイドで隠したからツッコまなかったけど。ほら、シャンプーとリンスを借りに行った時があったでしょ?憶えてないの?」

いや、憶えている・・・そんな夢を見た筈だったことは、はっきりと憶えている
一瞬で酔いが醒めたエリオは、顔を青ざめさせたまま、とある一つの可能性に思い至る

『妙にリアルな夢だったと思っていたけど・・・アレは、まさか、本当に夢じゃなかった・・・?』

そもそも、何であの夜のことが夢だったと?
翌朝に目覚めて、何事も無かった様な顔のティアナに、そう言われたからだ。「夢でも見たの?」と
確かな証拠は何も無いし、あまりにも現実離れしていたので、“夢”という言葉をそのまま信じていたが・・・

「エリオかわいそー。ティアが隠したいのもわかるけど、エリオにまで隠さなくても良いのにねー」
「・・・そんな、じゃあ、あの時、スバルさんは・・・僕が、“見えて”いたんですか・・・?」

顔面蒼白になって、震える声でそう尋ねてくるエリオに、スバルは肩越しに顔を向けてにへっと笑う

「うん、私の目はちょっと特別だからね。あ、一目で気付いたわけじゃ無かったよ?リンスも貸してって入り直した時にようやく。ティアの演技もそんなに上手じゃなかったし」

普段ならば、スバルの言葉に小さな違和感を感じたかも知れないが、生憎今はそれどころではない
真っ青になっていた顔が、見られていた、という事実を思い知って一気に赤くなる。単に裸を見られたというだけでも相当に恥ずかしく思うだろうが、あの時は・・・

「でも、まさかエリオが赤ちゃんみたいにティアのおっぱ「ぅわーっ!!ス、スバルさん!!お願いですからもう勘弁してください!!」

エリオに涙目で制止を訴えられて、スバルは魔物の様にうひひひひひひひひひと笑う

「どーしよっかなー?」
277小さな騎士・スバル番外編:2008/12/10(水) 00:07:08 ID:y76mWzfh
わざとらしく、下唇に人差し指を当てた格好で空とぼけるスバル@酔っぱらいに、エリオは土下座でもしそうな勢いである
そんな少年をチラッと見やり、

「・・・秘密にしてて欲しい?」
「は、はい・・・」

赤かった顔を今度は青くして、ベッドの上に正座したエリオはがくがく頷く・・・だが、彼のそんな必死さとは裏腹に、スバルはいともあっさり頷いた

「うん、良いよ」
「へっ?ほ、本当ですか!?」
「うん。だから、ちょっとだけ質問に答えて欲しいな」
「な、何ですか?」

きっとロクでもない質問だろう。エリオは内心で決めて掛かり、腹を括る

「先に手を出したのはどっち?」

予想通りと言えば予想通りだったのだが、ぼんっ、という音が聞こえそうなくらい、一瞬でエリオの顔は真っ赤になった
真っ赤になりながらも、エリオは消え入りそうな口調でぼそぼそと応える。夢だったと思っていた、あの夜の出来事。確か、発端は・・・

「・・・あ、あの時、は・・・ティアさんが、お風呂に・・・その、入ってきて・・・」
「え?エリオがティアのシャワーシーンに乱入したんじゃなくて?」
「し、しませんよそんなこと!!」
「ふーん、それじゃあ、次の質問」
「まだあるんですか!?」

最早涙声を通り越して悲鳴に近いエリオの訴えにはこれっぽっちも耳を貸さず、スバルは酔っぱらいなりに表情を引き締め、実に真面目な口調で尋ねた

「気持ち良かった?」
「スバルさんお願いですからもう許してください」
「え?ティアじゃ気持ち良くなかったの?」
「何でそうなるんですか!?」
278小さな騎士・スバル番外編:2008/12/10(水) 00:07:39 ID:y76mWzfh
どう考えても遊ばれているような気がするエリオだが、このままスバルを放置しておくわけにはいかない
何せ酔っぱらい(双方共、無自覚だが)である。下手をすれば隣の部屋に乱入して真偽の程を確認しかねない
頭に血が上ったり顔から血の気が引いたりを繰り返している所為か、何だか頭がクラクラしてきたような気さえする

だから、スバルが身体を捻ってこちらを振り返り、チェシャ猫の様な笑みを浮かべて飛び掛かってきた瞬間、咄嗟に反応することができなかった

「うりゃ♪」
「うわぁっ!?ス、ス、ス、ス、スバルさん!?」

いきなり抱き付かれて慌てふためくエリオだが、スバルは意にも介さずそのままベッドに押し倒した
抱き締めた格好のまま、スバルは甘えるようにエリオの胸元に頬を押し付ける

「スバルさん、く、苦しいですよ。離して、くださいっ!」

と、そんな苦情はこれぽっちも頭に入らないらしく、とろりと潤んだ酔眼を嬉しそうに細めて、スバルはエリオの胸に頬を擦り付けるのであった
エリオはこの柔らかくも温かい拘束から抜け出そうと必死の努力を試みるが、膂力と体格で勝る相手に組み敷かれた状態での抵抗が如何に無意味かを思い知っただけに終わる
一頻り足掻いた挙げ句、息を切らしたエリオを面白そうに眺めていたスバルは、荒い息遣いに合わせて上下する胸板にぺったり頬を乗せ、
少し上目遣い気味にクッション代わりにしている少年をじっと見上げた

「・・・ねぇ、エリオ」
「ぜぇ、はぁ、な、何ですか?」
「私にくっつかれるの、そんなに嫌?ティアの裸にはあんなにがっついてたのに」

うっ、と言葉に詰まるエリオである
嫌、というよりも単に恥ずかしいだけなのだが、ティアナとの情事(?)を引き合いに出されると、返答に困る
雄の本能として、スバルの抱擁を心地良く思っていることは確かだし、シャツの襟ぐりから少しだけ覗く、押し潰された膨らみには何故だか目が離せない
だが、それら全てをを引っくるめても、流石に羞恥が勝る。まして、ティアナに“甘えて”いた姿を見られていた事を知らされたばかりでは尚更だ

「そ、それは・・・」

なるべく、スバルを傷付けない拒絶の言葉を探して口にしようとするエリオだが、生憎、そんな気の利いた言葉はすぐには出てこない
279小さな騎士・スバル番外編:2008/12/10(水) 00:08:10 ID:y76mWzfh
困惑顔で固まるエリオに、スバルはどこか悪巧みの匂いがする笑みを唇に浮かべ、少しだけ唇を尖らせながらこんな風に言った

「あーあ、私もティアくらいエリオと仲良くなりたいんだけどなー」
「な、仲良く、って・・・」

その言葉に、微かな怯えと期待が混じったのを、スバルは聞き逃さない
そして、胸の下に敷いているエリオの腰元で、固い感触が押し潰された乳房を僅かに押し上げている事も

「・・・ドキドキしちゃった?」

わざとらしく驚いた顔を作って自分の胸元を見下ろし、ズボンの中で徐々に固く勃ち上がりつつあるナニかを確かめて、スバルは意地悪な笑みのままエリオにそう尋ねた
だが、エリオの方は既にドキドキで済んでいるレベルではない
期待と興奮と、怯えと羞恥の所為で、思考回路は既に機能していない。消え入りたいほど恥ずかしいのに、スバルの媚態に期待と興奮を隠せない
結局、ベッドに組み敷かれている格好の彼ができた事はと言えば、真っ赤に染まった顔を僅かでも伏せるように、真横に向けたことだけだ

「あはっ、エリオ可愛い・・・そういう所、何だかティアみたいだよ?」
「〜ッ!?」

スバルの華やいだ声に、頬が熱くなる。心臓が早鐘を打つ。「やめてください」と一喝すれば良い筈なのに、口の中は喉の奥までカラカラで声が出ない

「それじゃあ、エリオ・・・」

エリオの身体を抱き締めたまま、背伸びをするような格好でスバルが顔を寄せてくる。もぞもぞと、身体の上を這ってくる心地よい柔らかさと、

「・・・“仲良く”、しよう?いっぱい、ね?」

悪戯っぽく笑う、蠱惑的な眼差しに魂を奪われたエリオは、真っ赤に染まった頬を真横に向けたまま、諦めたように瞼を伏せて、そして小さく頷いた

「・・・はい・・・」

微かな声音は、小さかったがはっきりと二人きりの部屋に響き渡り、二人の唇はそっと触れ合い、しかし深く、重ね合わされた・・・


280小さな騎士・スバル番外編:2008/12/10(水) 00:08:41 ID:y76mWzfh
ぺちゃ、ぴちゃ、という湿った音と、小さな呻きが空気を震わせている

「・・・ん、はぁっ・・・んふふ、気持ち良い?」

シャツが捲り上げられた、裸の胸の上に顎を乗せたまま、スバルはそう尋ねた
尋ねられたエリオは、欠片も余裕が無い表情を真っ赤に染めたまま、唇を噛み締めている

二人の体勢は先程のまま・・・スバルが、仰向けに横たわるエリオの上に寝そべるようにのし掛かった格好で彼の身体を抱き締めている
抵抗を封じるように、エリオの両手を彼の背中の下で握り締めたまま、シャツの裾を唇で咥えて捲り上げたスバルは、年齢の割に引き締まった上体にそっと舌を這わせていた

「ねぇ、エリオ。気持ち良いでしょ?気持ち良いって言ってくれなきゃつまんないし・・・もっと、しちゃうよ?」

そんな言葉に思わず目を見開くが、スバルは再びエリオの胸の上に顔を伏せて、彼の胸板を舌先でくすぐり始める

「っ!?・・・ぅぁっ・・・!!」

生暖かい感触が肌の上を滑る度に、柔らかい唇が押し当てられる度に、電流の様な快感が身体に走る・・・その度に、嬌声が上がり、身体が跳ね上がりそうになるが、
エリオはずっと、唇を噛み締めてそれに耐えていた・・・肉体的な享楽を受け入れてしまえる程、彼はまだ大人ではなかったからなのだが・・・
勿論、抗い続けて終わるものでも無いし、スバルとしては必死で喘ぎを押し止めているエリオの、羞恥に染まった真っ赤な顔が可愛くてたまらなかった

「ねぇ、エリオ。キス、しても良い?」

そう尋ねたスバルだが、彼からの返答は待たず胸板に唇を押し当て、啄むように吸い付いた
しっとりと汗ばんだ素肌の味は、少しだけ塩辛い・・・そんなエリオの味を堪能するように、スバルは震える胸元にキスの雨を降らせてやる

「ぁっ!ひゃ、ぅぅ・・・っ!?」

ちゅば、ちゅぱ、という音が響く度に、組み敷かれたエリオはビクビクと身体を震わせ、その度に白い肌の上に微かに赤い痕が浮かび上がる

「あはっ。キスマーク、付けちゃおっかな・・・?」
「はぁ、はぁっ・・・ふぇっ?・・・キス、マーク・・・?」
281小さな騎士・スバル番外編:2008/12/10(水) 00:09:12 ID:y76mWzfh
息も絶え絶えなエリオが、熱に浮かされたような顔で尋ねてくる

「んふふ、もし誰かに見られたら・・・“仲良し”なのがバレちゃうかもね」
「あっ、だ、だめです。それ、だめですよっ!」

慌てて頭を振るエリオににっこりと微笑み返して、スバルは大丈夫だよ。と声を掛けた

「しないよ。エリオを困らせたくないからね・・・あ、でも、ココならバレないかな?」
「ド、ドコで、ッ!!?ひ、ぅぅっ!!?」

ちゅっ、と彼女の唇が触れたのは、白い胸板の上で薄紅色をしている円い乳首・・・ソコを唇で触れられた瞬間、エリオの身体はのたうつ様に跳ね上がった
極端な反応に少しだけ驚きながらも、スバルは意地悪な笑みを再び口元に宿して、

「凄い・・・敏感なんだね、エリオ」
「し、知りませんっ!!」

あられもない嬌態を晒してしまったエリオはきつい口調でそう言い捨てたが、羞恥と、快感の余韻に震える身体を隠せない為に少しも脅しにならない

「知らないの?自分のことなのに・・・?」
「し、知らないし、わかりませんっ!そんなことっ!」
「じゃあ、教えてあげるね」
「えっ?・・・ふぁっ・・・!?」

鳩尾の上に、涎が滴り落ちる生暖かい舌先が押し当てられた
それだけでエリオは小さく声を上げてしまったが、きゅっと唇を噛み締めて声を押し止める・・・
だが、押し付けられた舌の感触と肌に感じるスバルの息遣いに、抑えきれない喘ぎが唇から漏れ聞こえていた

「うぁっ・・・ぁっ・・・ん、ぅぅっ・・・!?」

ゆっくりと、ナメクジが這うような速度で、キャンパスの上に絵筆を滑らせるように、スバルの舌先がエリオの白い肌をゆっくりと舐めてゆく
じわじわと、右へ。乳首の頂に触れる直前で軌道を変え、色の薄い乳輪をなぞるように、くるりと舌先が一周した
282小さな騎士・スバル番外編:2008/12/10(水) 00:09:43 ID:y76mWzfh
「ふ、あぁぅぅっ・・・!!」

ゾクゾクとした快感が背筋を駆け抜け、エリオは目尻に涙の粒を浮かべながら身体を弓形に仰け反らせる
口では拒絶しながらも胸を突き出してくる少年騎士の姿に、スバルは涎で濡れ光る唇をぺろりと舐めて、息を切らせたエリオの痴態を眺めながら含み笑いを漏らす

「んふふ、男の人も胸で感じるって、本当なんだね」
「そ、そんなの、僕で確かめないでくださいよぉっ!」
「でも、本当じゃない・・・ぴくぴくしちゃって、もう、可愛いんだから♪それに、さっきからコッチの方もぴくぴくしてるよ・・・?」
「あ、くぅっ・・・!ス、スバルさん・・・っ!?」

部屋着のズボンの中から、のし掛かる乳房を押し上げる固い感触・・・屹立した性器の主張を揶揄しながら、スバルはむにっとエリオの腰に胸を擦り付けた
衣服越しとはいえ、痛いほどに勃起した性器を柔らかい感触に押し包まれて、それだけでエリオは悲鳴のような嬌声を上げさせられてしまう

「こっちも・・・直接舐めてあげたらどうなるんだろ・・・?ん〜っ・・・」
「ひっ、うあっ、やっ、ス、スバル、さんっ!や、やめっ・・・!!」

ちゅっ、ちゅっ、ちゅっ、ちゅっ、とリズミカルに、脇腹にキスを落としながら何やら不穏な呟きを漏らすスバルを、エリオは制止しようとした
だが、当然の様にスバルはそれを無視して・・・ついに、エリオの乳首に唇を押し当て、舌先で押し込むようにしながらその頂を舐り尽くす

「ぅあぁぁっ!だ、だめです、スバルさんっ!それ、やめ、てっ、許し、ひっ!?んくぅっ・・・ふあぁぁっ!?」

エリオは唇の端から涎を垂らしながら、涙ながらに許しを請うが、勿論スバルはやめるつもり等、毛頭無い
音を立てて乳首をきつく吸い立てながら、上体を揺すってズボンの中で屹立している性器を縦横に押し潰す
その度に組み敷いているエリオの身体がビクビクと跳ね、最早押し殺すこともできなくなった涙声の嬌声が部屋中に満ち、

「くぁっ・・・だ、だめです、もう、だめなんですスバルさんっ!このままじゃ、もう・・・っ!!」
「ん、ちゅ・・・はぁっ、駄目になると・・・どうなるの?」
「ひぅっ!?だ、だめなものはだめなんです!ゆるしてください、おねがいですからぁっ!!」

涙ながらの訴えに、スバルは吸い付いていた乳首から唇を離し・・・実に優しい微笑みを浮かべて、

「・・・んふっ・・・ごめんね、エリオ。でも、きっと駄目になったエリオも可愛いよ?」
283小さな騎士・スバル番外編:2008/12/10(水) 00:10:15 ID:y76mWzfh
実に優しい笑みと共に、泣き笑いのような表情で固まったエリオを絶望の崖っぷちから突き落とし、再びスバルはエリオの身体を責め立てる

「うっ、ぁあああっ!だめです、もう、ほんとうに・・・ひ、きぅぅっ・・・!!」

スバルの抱擁から抜け出そうと藻掻いていた身体の動きが、少々変わる
上半身は快感に打ち震えながらも逃げだそうと躍起だが、下半身は大きく痙攣しながら、スバルの胸に腰を押し付けるように迫り出してきた
胸の下で腰をくねらせるエリオに応えるように、スバルもぺったりと乳房を押し付けてやる。激しい腰使いに胸を捏ね回される様で、
エリオの乳首に吸い付いていた唇からは熱い溜息が混じり始めていた

「ふ、はぁっ・・・ん、あっ・・・ふふっ、エリオ。もう・・・限界?」
「はぁぅぅっ・・・スバルさん、もう、でちゃ、ぅああぁぁっ!!」

一際大きく、腰が突き上がるようにびくりと打ち震え、それに合わせてスバルは嘗め回していたエリオの乳首を思い切りきつく吸い上げた
脳味噌が弾け飛ぶような、強過ぎる快楽の奔流にエリオは涙の粒を散らしながら目を見開き、ブリッジを描くように身体を仰け反らせて・・・


「ぃ、ひああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ・・・・!!!!」


甲高い、絶叫のような嬌声を上げると、ガクガクと腰を震わせながら絶頂に達し・・・やがて、くったりと崩れ落ちた
エリオの腰の上にぺったり伏せた胸元で、じわっと温もりが広がってゆくのがわかる・・・どうやら、ズボンの奥、パンツの中は大変な惨事になっているようだ

「ぅ、うっ・・・ひくっ・・・ぐすっ・・・スバルさん・・・酷いですよぉっ・・・」
「・・・ごめんね、エリオがあんまり可愛いから、つい、苛め過ぎちゃった」

そんな風に謝ってみるものの、エリオは顔を隠すように枕を抱き締めて、そのまましゃくり上げている・・・
流石に、少々頭が冷えたスバルは、何と言って慰めようかと頭を捻るが、気の利いた台詞など出てくる筈も無い。だから・・・

「ねぇ、エリオ」

返事が返ってこないことは承知の上で、スバルはそう呼び掛け・・・エリオの身体からそっと離れると、おもむろに部屋着にしているスパッツをずり下ろした
284小さな騎士・スバル番外編:2008/12/10(水) 00:10:46 ID:y76mWzfh
「エリオ・・・ほら、私のも、見て・・・?」
「・・・?・・・!!?!」

ちらりと、顔に押し付けた枕の隙間から視線を送ったエリオの前で、スバルはショーツをゆっくりとずらして見せた
滲み出た愛液が染みを作っているショーツのクロッチと、しとどに濡れそぼった彼女の秘部の間には、涎が糸を引くように愛液で細く繋がっていた

「私も・・・んっ、エリオと同じだよ。エリオの可愛い顔みてたら・・・はぁっ、こんなになっちゃった・・・」

指先が股間に触れ・・・くちゅり、と小さな水音を立てる
淫らに咲いた秘部から“雌”の匂いが溢れ、スバルは横たわるエリオの上に跨るような膝立ちになると、見せつけるように秘部を指先で弄り始める

「ふぁっ、ん、んっ・・・あぅっ・・・!」

エリオの視線を感じながら、スバルは片手で胸を捏ね回し、熱くぬかるむ股間を撫で上げる
エリオへの責めに没頭する余り燻るような快楽を秘めていた身体には、あっという間に火が付いた
魂を抜かれたような顔で、眼前の痴態から目を離せない少年に向けてスバルは妖しく微笑み掛け、火照る体を艶めかしくくねらせながら彼を誘う

「だから・・・ねぇ、エリオ・・・一緒に、気持ち良くなろう?・・・私にも、して・・・?」


湿った音と、二人分のくぐもった喘ぎが部屋に小さく響いている

「ちゅ、んく・・・ぷ、はぁっ・・・んぐっ、ん、あふ、んむっ・・・」
「ひゃぅっ!?ん、は、むっ、ひぅっ!くっ、はぁぁっ・・・!!」

ベッドの上では、全裸でもつれ合うように抱き合っているスバルとエリオの姿があった
いや、抱き合っている、という言葉は少々外れているかも知れない・・・互いに向かい合った姿が天地が逆さまの・・・平たく言ってしまえば、シックスナインの状態である
互いに顔を股間に寄せて、快楽を享受し合う体位だが、その関係はどうもイーブンでは無いようだ
エリオは必死に、愛液が滴り落ちるほどに熱く潤ったスバルの秘部にむしゃぶり付いているけれど、その顔が時々、快楽と羞恥に歪んでいる
彼の腰に顔を寄せて、性器を咥え込んでいるスバルの所為だ。強すぎる快感の為に思わず腰が引けてしまうことがあり、その度にスバルに尻を押さえ込まれている
最も敏感な部分をしゃぶられながら尻を撫でさすられて・・・こんな状況ではとても、初めてのクンニに集中なんてできる筈が無い
285小さな騎士・スバル番外編:2008/12/10(水) 00:11:17 ID:y76mWzfh
しかし、スバルとしてはそれが少々不満らしく、先程からエリオの頬を引き締まった太腿でぎゅっと挟み込み、彼の唇に秘部を自分から押し付けている

「んはっ、ふっ、ん、ちゅっ・・・けほっ、ふぁぁっ!?・・・んむっ、はぁっ・・・!」

スバルの舌遣いに、脳髄まで痺れるような快感が身体を駆け抜けるが、ぼさっとしていては、溺れかねない程の愛液を滴らせた秘部を口元に押し付けられる
精神的にも物理的にも息を詰まらせながら、エリオは必死で舌を伸ばし、顔に向かって迫り出してくるスバルの秘裂をとにかく嘗め回す
スバルの秘部にかぶりつくように口を大きく開けて、膣口に伸ばした舌を挿し入れ、股間全体を唇で揉むように甘噛みする

「ふぁっ、ん、ぁん・・・!んくっ、ふ、はぁっ・・・」

スバルの背中がビクビクと跳ねる事を少し嬉しく思うが、お返しとばかりに性器を吸い立てられて、逆に背筋を仰け反らせる羽目になる
勿論、しがみつくように腰に回された両腕も、頬を挟むむっちりとした太腿も緩みはしなかったのだけれど

(そろそろ、もう一回イカせてあげよっかな・・・)

のたうつように震える性器を咥えながら、スバルはそんな事を考えていたが・・・正直、それでは自分が物足りない
口一杯、というには少々無理のあるサイズの男性器をすぼめた唇で扱きながら、スバルは横向きに抱き合っている裸体を転がして、エリオの上にうつ伏せに覆い被さる格好になった
快楽によって熱を帯びた、汗ばむ身体を擦り付けながら、スバルは丹念にエリオの性器を舐め上げる。口に含み、舌先で鈴口をノックするように押し当てる

「はぁぅぅっ!?ス、スバルさん、それ、すご、あっ、だ、だめですっ!また、ぼく、もう・・・!!」
「ふあ、あむっ・・・ぷはっ・・・うん、良いよ・・・私もそろそろだから・・・ん、あむっ、ん、んーっ!」

スバルの唇を犯す様に、エリオはベッドのスプリングを軋ませながら腰を突き上げる
イマラチオの様で少々苦しいが、組み敷いた身体の下で愛液に溺れそうになりながらも、必死に舌を伸ばしてくれるエリオが愛おしくて、
スバルはされるままに、喉まで突き込まれてくる性器を、目尻に涙を滲ませながらも受け入れている
お互いに限界が近い身体を絡ませ合い、擦り合わせ、そしてきつくきつく抱き締めながら、二人の交歓はついに絶頂の高みへと駆け上がり・・・

「ん、えひお、えりおぉ!んはっ、ん、ぶっ、んんっ!!んむぅっ、ん、んんん ――― !!!」
「ぅあぁっ!!スバルさん、もう、うあっ、あ、くっ、あぁぁぁっ!!?」

一際大きな痙攣が二人の身体に走り・・・スバルは口の中で炸裂した精液の熱さを、エリオは秘部から飛沫を上げて噴き出してきた愛液を受け止め、
そして、きつく抱き締め合っていた身体が、くったりと崩れ落ちる・・・


スバルは、脱力しきった身体をのっそりと起こすと、真っ赤な顔のまま肩で息をしているエリオの頬に啄む様なキスを落とし・・・抱き合ったまま意識は闇に落ちてゆく ―――
286小さな騎士・スバル番外編:2008/12/10(水) 00:11:49 ID:y76mWzfh



明けて翌朝である
廊下に出たティアナとキャロは、ちょうど隣室から出てきたスバルに鉢合わせた

「あ、ティア、キャロ!おっはよー!」
「スバルさん、おはようございます」
「朝から無駄に元気ね、ったく・・・あれ、エリオは?」
「ん、もうすぐ出てくるよ。キャロ、今日も訓練だけど・・・平気?無理しちゃ駄目だよ?」
「はい、大丈夫です!ティアさんに付きっきりで看護して貰って、元気一杯ですから!」

本当に元気一杯な様子のキャロに、スバルはそっかそっかと笑顔で頷き、ティアナは少し照れくさそうな顔をそっぽに向けている
昨夜は結局、シャマルが医務室に帰って来ず、ティアナはキャロにずっと付き添って医務室にお泊まりだったのだ

「にひひ〜。ティアも良いお姉ちゃんだね〜?」
「はい!」
「ちょ、キャロ!べ、別に私は、そんな・・・」

そんな風に話していると、部屋から訓練服を身に着けた赤毛の少年が飛び出してきた

「す、すみません、お待たせしました!」
「ううん、全然待ってないよ。平気」

スバルはそう言ってにっこり微笑み、慌てた様子で飛び出してきたエリオの頭をガシガシ撫でてやる
そんな様子にでっかい溜息を吐き出すティアナである

「全く、すぐベタベタするんだから・・・おはよ、エリオ」
「あ、ティアさん。おはよう、ござ、い・・・ます・・・」
「「???」」

ティアナと対面した瞬間、茹で上がったように頬を真っ赤に染めるエリオの姿に、ティアナとキャロは首を傾げるが、
二人がその理由を問い質すよりも早く、エリオは、

「あ、あのっ、しょ、食堂の準備しておきますから!それじゃ、お先に失礼します!」
287小さな騎士・スバル番外編:2008/12/10(水) 00:12:20 ID:y76mWzfh
逃げ出すように駆けてゆくのであった
廊下は走っちゃ駄目だよー。というスバルの脳天気な呼び掛けは、彼の背中に追い付けたかどうか

「・・・ねぇ、スバル。エリオと、何かあったの?」
「え?私は何にもしてないよ?」

どこか、すっとぼけた感じがするスバルの態度に、ティアナは柳眉を吊り上げるが・・・

「本当に、何も無かったわけ?」
「うん、無かったよ?」
「本当に本当でしょうね?」
「本当だってばー」
「・・・怪しいわ」

どこまでも空とぼけるスバルをジト目で睨み付けるティアナだが、二人の間にキャロが割って入った

「あの、スバルさん、ティアさん。そろそろ行きませんか?朝ご飯、早く食べないと遅刻しちゃいますよ・・・?」

その言葉に時間を確かめた二人は、ひとまず食堂へと急ぐ ――― その道中でさえ、何故か口元が緩みっぱなしなスバルを、訝しげに見やるティアナであった


「・・・ねー、ティア」
「何よ?」
「エリオって、可愛いよね」
「・・・アンタ、ホントに何もしてないんでしょうね!?」
「そんな、ティアが心配するようなことはしてないよ。強いて言えば・・・」

にっこりと、少しだけ照れが滲んだ笑顔を見せて、スバルは言った

「今までよりもちょっとだけ、“仲良し”になっただけだよ」

そんな言葉に、ティアナとキャロは顔を見合わせて首を傾げるが・・・今頃、準備を終えたエリオが待っているであろう食堂に、駆け足で向かうのであった


288小さな騎士・スバル番外編、おまけ:2008/12/10(水) 00:12:55 ID:y76mWzfh
スバルとエリオが身体を重ね合わせた夜のこと。格納庫では・・・
ヴァイスが密輸した地球製の酒でこっそりと、しかしドンチャン騒ぎを繰り広げているメカニック達の姿があった

「お、こいつもなかなかイケるぜ!」
「どれも美味いな・・・97管理外世界の、ちっこい島国の酒なんだって?こんなに美味い酒が普通に売ってるなんざ、天国みたいな所だな」
「あぁ、俺もいつか行ってみてぇよ。っつうか移住してぇ」

そんな風に盛り上げっているメカニック達をぶすっ面で眺めながら、ヴァイスはグラスのジュースを一息で飲み干した
買い付けたのは彼な筈なのだが、ヴァイスが飲んでいるのは酒ではなく、ただのジュースだ。正真正銘アルコール0%の

その理由を簡単に説明しよう

決死の逃避行を試みたヴァイスだが、結局シグナムにとっ捕まり、きついお叱りを受けてしまった
しかし、『日陰者の裏方への慰労の為なんです。どうかお許しをー』と、どこか白々しい台詞と共に土下座までしたヴァイスに、シグナムも頷かざるを得なかった様で、
こうして、メカニック達“だけ”は酒盛りに興じていられる・・・
ただ、ヴァイスだけは、

『メカニックへの慰労なら、お前は飲まなくても構わないな?金銭の徴収も不要だな?』

という脅し文句をレヴァンティン片手に告げられた次第である

「あぁ畜生、うるせぇぞお前ら!もちっと静かにありがたがって飲みやがれ!」
「へぃへーぃ」
「ありがとよー」
「いよっ、陸曹の太っ腹!」
「お大尽!ひゅーひゅー!」

怒声を浴びせるも、妙なテンションで盛り上がるメカニック達にげんなりしながら、ヴァイスは椅子代わりにしていた木箱から立ち上がり、
ずかずかと酒の残りがどのくらい有るかを確かめる

「くそっ、ちっとは残してあるんだろうな・・・!一瓶くらいは手ぇ出さずに残しとけよ!?」
289小さな騎士・スバル番外編、おまけ:2008/12/10(水) 00:13:25 ID:y76mWzfh
そんな風に愚痴りながら箱の中身を改める・・・まだもう何本かは残っているが、果たしてこの飲み会が終わるまでに無事でいられるかどうか・・・
情けない溜息と共に、未練たらしい視線を箱に落とし・・・

「・・・あれ?」

素っ頓狂な言葉を呟くヴァイスである

「あ、あぁっ!?何でだ!?アレが無ぇっ!!」
「アレ・・・って何だよ?」
「幻の銘酒でも有ったのかぁ?」
「バ、バッカ野郎!そんなもんじゃねーよ!畜生、何でだ!?誰か飲みやがったのか!!?」
「お、おぃおぃ、落ち着けよ。一体、どんな酒だよ?」
「缶入りのカクテルだよ!」
「缶入りのカクテルだぁ?」

ぎろりと周囲を見回すが、誰もが首を横に振る・・・

「ちっくしょぉぉっ!!落としちまったのか!?本当に誰も手ぇつけてねぇのか!!?」
「あ、あぁ。一体何なんだよ?ソレ・・・??」

バリバリと頭を掻き毟りながら、ヴァイスは悲鳴の様な口調でその問い掛けに応えた

「ザ・カクテルパブ“お持ち帰り・朝チュンスペシャル”だよ!!口当たりの割にアルコールがきつくてしかもエロい気分になっちまうっていう代物だ!!
シャマル先生に随分ふっかけられたってのに、何でだぁぁぁっ!!!?」

世界の果てまで届きそうな絶叫を迸らせるヴァイスに、こんな問い掛けが投げ掛けられた

「ほぅ・・・それで、お前はソレを誰に飲ませるつもりだったんだ・・・?」
「決まってんだろ!シグナム姐さんにティアナにアルトだ!くっそぉ!グラスに移せば缶2本でも3杯くらいには

ヴァイスの台詞は最後まで続かなかった
「やれ」、という合図と共に、剣呑な眼差しの酔っ払い達が躍り掛かり、よってたかって関節技の餌食に「ぎゃぁぁぁぁっ!!ぎ、ぎぶ!ぎぶぎぶぎばーっぷ!!!」
問答無用のパロスペシャル(3人掛かり)にヴァイスは悲鳴を上げるが、格納庫を揺るがすような大歓声+殺せコールに悲鳴は掻き消された

「ひぎゃああ!!た、たすけ、んぐあぁぁぁぁ!!!!の、のぉぉぉぉぉっ!!!!」

ゴリラの如き肉体を持つ整備班長(腕にアルトの名前の刺青入り)必殺の吊り天井固めが炸裂。女誑しヘリパイの絶叫に爆発のような歓声が巻き起こる

結局、夜空が白け始める頃までこの関節技祭りは続き、翌朝、ヴァイスは陵辱し尽くされたような有様で発見されるのだが・・・まぁ、自業自得と言えよう・・・?
29026-111:2008/12/10(水) 00:18:29 ID:y76mWzfh
以上です

結局この後、スバルが実は“見えて”いた事がティアナにもばれてしまい、
それが為に、彼女の幻術に機人対策が施された、なんて裏設定は絶対に存在しません。ご安心ください

プロットだけはアレコレあるのですが、エロ展開を絡めていこうとするとなかなか形にできません
次に書くとしたら・・・キャロ編か、SSXバッドエンドか・・・
それでは、スレ汚し失礼しました
291名無しさん@ピンキー:2008/12/10(水) 01:05:24 ID:RBRevF0F
すみません、もう少し時間を開けるのが礼儀かもしれませんが、今日は早めに就寝したいので投下させて頂いても良いでしょうか?
292名無しさん@ピンキー:2008/12/10(水) 01:06:58 ID:l74g6urz
ノープロブレム、熱い夜にしてくれ。
293アルカディア ◆vyCuygcBYc :2008/12/10(水) 01:12:22 ID:RBRevF0F
では、失礼して逝かせて頂ます。

「伊達眼鏡と狙撃銃」

 注意事項
・ザ・シガー氏原案の短編連作『ソープ・ナンバーズ』シリーズからのスピンアウトです。
・長編一部、微エロ描写有り。シリアス気味。エロ描写は基本薄め。
・ネトラレ気味な描写とかも有るので、苦手な方はご注意を。
・NGワードはトリップでお願いします。
・原作『ソープ・ナンバーズ』からの設定改変、こじつけ解釈の部分も存在します。
・原作者のザ・シガー氏に最高の敬意を表して―――

*エロ描写は、このスレの普通のエロSSが普通のエロ漫画位だとすると、レディコミ位だと考えて下さい。
294伊達眼鏡と狙撃銃4話 1/7 ◆vyCuygcBYc :2008/12/10(水) 01:13:41 ID:RBRevF0F
 ぱん、と頬を打擲する乾いた音が響いた。
 騒がしかったソープ・ナンバーズの控え室は、一気にしんと静まり返った。
 打った側も、打たれた側も、共に状況が理解出来ないと言うような顔で呆然としていた。
 ディエチが、緩慢な動作で左の頬に指を滑らせる。―――微かに赤く腫れたそこには、打擲された証である鈍い痛みがあった。
 彼女は頬を押えたまま、感情の無い瞳でクアットロを見つめる。
 ディエチは一言も発さず、ただその頬を一筋の涙が伝った。
 クアットロは、震える右手を左手で押さえつけた。……決して、意図して叩いて訳では無かったのだが。
 何か言わなければ、と思うが頭が混乱し思うように言葉が出ない。
 普段の冷静で能弁な彼女はどこに行ったのか、酸欠の金魚のようにただ口をぱくぱくと開閉させる。
 何か言わなければ。その一念がクアットロを束縛する。
 
「――――――……っっ!!」

 ディエチは、そんなクアットロを見限ったかのように踵を反し、嗚咽を漏らす口許を押えながら控え室から走り去った。
 追わなければ、追って謝らなければ。
 そんな思いがクアットロの脳裏を過ぎるが、足は意に反して動かない。根を下ろしたかのようだ。
 ディエチの背中に手を伸ばしかけ、その手が力なく垂れる。
 失意に俯くクアットロに、口々に非難の声が浴びせられた。

「ヒドイっすよ、クア姉! いくら何でも、顔叩くなんてあんまりっス!」
「そうだよ!! ディエチが彼氏をつくるのが、そんなにいけないことなの!?」

 チンクが怒気の篭った瞳でクアットロを睨んだ。

「クアットロ、確かにお前はディエチの教育を担当した。今までディエチを導いてきた。
 だが、ディエチだっていつまでも子供じゃない。お前とは別の一人の人間なんだ。
 認めてやれ。お前の気持ちも解るが、今は優しく見守ってやれ、クアットロ」

 ……解りきったことをクドクドと―――、かっと頭に血が上り、罵詈雑言が口を突いて出そうになる。
 それを、何とか飲み込んでクアットロは何とか営業用の作り笑いを浮かべる。

「はいはい、悪うございました! どうせ私は悪役、このソープの汚れ役ですよーだ」

 拗ねたようにそう言って踵を反した。―――こんな子供っぽい負け惜しみ、自分らしくも無い。
 もう、この場には一時たりとも居られなかった。―――本当は、素直に謝りたかったのに。

「おい、クアットロ、その言い方は―――」

 チンクの呼び止める声と、姉妹達のもの言いたげな視線を背中に受けて、クアットロは控え室を出た。
 ……扉を閉めた瞬間、膝が崩れそうになる。誰か―――視線を彷徨わせるが、都合の良い救い手など居る筈も無い。
 叩くつもりなんて、本当に無かった。ただ、ディエチをあの男から遠ざけたかっただけなのに。
 あの男の毒に染められる前に、首まで泥沼に嵌って身動きができなくなる前に。
 残酷過ぎる真実を見せずに、ただの悲しい失恋として終わらせてあげたかっただけなのに。
 ディエチは、あまりにも少女だった。純粋に、無垢な心のままに、ただあの男を想っていた。
 それは、絶対にクアットロにはできないことだった。何の打算も勘繰りもなく、ただ人を愛するなど、一度たりとできなかった。
 ディエチに向き合う程、自分の醜さが背後から圧し掛かってきた。
 絶対に届かないディエチの純真さが、嫉ましくてたまらなくなった。
 何時の間にか言い回しに棘が混じり、語調が厳しいものとなり、遂にはディエチを睨みつけ、そして―――
 己の、背骨が折れる。
 いつ如何なる時でも冷静であれ。感情の起伏は自己の内に隠し、理を以って万象を操れ。
 それが、自分の在り方では無かったのか。おかしい。こんなのは、自分では無い。
 自分を、取り戻さなくては。

「ドゥーエ姉様―――」

 意図せずに、足が最上階へと向かおうとする。敬愛する、姉の下へ。
 その足を、クアットロは意地と意志で地に縫い付けた。
 ―――恥を知れ。妹を叩いて泣かせておいて、自分だけ姉の下で慰めてもらうつもりか!?
 クアットロは、伊達眼鏡を少しだけずらしてごしごしと目元を擦る。
 宙を仰いだ。―――ディエチは、今何処で何をしているのだろう?
295伊達眼鏡と狙撃銃4話 2/7 ◆vyCuygcBYc :2008/12/10(水) 01:14:55 ID:RBRevF0F
 腕の下に組み伏せた少女が、白い裸身を震わせて悶える。
 ―――逢いたい、とディエチからグリフィスに連絡を寄越したのはこれが始めてだった。
 喉奥から含み笑いが漏れそうになるが、眼鏡の奥の瞳は柔らかな微笑を絶やさない。
 少女を抱きしめ、欲望を叩きつけるその瞬間瞬間に、ちらちらとその仮面の下から黒い本性が顔を出す。
 勿論、息も絶え絶えの少女がそれに気付く筈も無い。
 
“私、もうどうしたらいいか解らなくて”

 そう言って、ディエチはグリフィスの胸の中で泣いた。
 
“心配いらないよ。むしろこれは、君が自分の道を歩むための切っ掛けと捉えればいいんじゃないのかな?”

 優しくそう諭すと、ディエチは戸惑いながらも静かに肯いた。
 そして、何時もの如く熱く情交を交わした。
 グリフィスは幾度もディエチの名を呼び、ディエチは求められる度に縋るようにグリフィスの名を呼んだ。
 ―――グリフィスは、腕の中の少女を抱き潰さんとするように強く掻き抱き、己の欲望をぶつけた。
 頬にソバカスの浮いた巻き毛の少女は、幸福そうな顔でグリフィスを見つめる。
 喘ぎ声の上がるその口を唇で塞ぎ、髪を撫でる。
 優しげな愛撫に見えて黒い欲望を叩きつける自慰にも似た行為の中で、グリフィスはふと疑問に思った。
 この少女の名前は何だったかと。
 グリフィスはディエチを幾度となく絶頂に導き、己も三度精を放ったが、その欲望が満たされることは無かった。
 ディエチと別れて数分もしないうちに腹のそこから黒いマグマのような欲望が鎌首を擡げ、次なる欲望の捌け口にキープしていた少女の元に時化こんだのである。
 ごく、普通の少女だった。平均的な容姿と体格。自己主張しない控え目な挙措から、気の弱さが伺える。
 欲望の捌け口の肉体としては、ディエチに及ぶべくも無い。
 グリフィスの古巣でもある、陸の仕官学校で引っ掛けた少女だったが、そこでの彼女の容姿は中の下といった所だった。
 勿論、その中で彼女を選んだのは思惑あってのことである。
 腕の下で、ソバカスの少女が喘ぎ乱れる。―――最初の時は、シーツの端を掴んで震えていた初々しい少女だったのだが。
 グリフィスは知っていた。異性に耐性がないまま成長した女性は、一度快楽を教え込むと感嘆する程の淫婦に仕上がるのだ。
 しかし、グリフィスにとってそんな十束一絡げの淫婦など、別段珍しくもなければ欲望の対象でもない。

「―――グリフィス先輩、愛してます……」

 ソバカスの少女は、満ち足りた微笑を浮かべる。
 それは、出会ったばかりの時の小動物のような気弱な少女の笑みではない。満ち足りた女の笑みだ。
 グリフィスは、その微笑に自信と紙一枚隔てた傲慢さを見た。
 彼女は今、満ち足りている。
 士官学校では周囲に押しのけられ埋没していたコンプレックスだらけの自分が、他の女の誰もが手の届かない最高の男に抱かれることに優越を感じている。
 苦笑した。自分自身は、ベッドの上で悶える以外の何一つの成長もしていないくせに。
 どうせ三等品の果実だ。熟れさせるにしてもこの程度が限度だろう。
 さあ、収穫時だ。
 グリフィスは名残惜しむように、烈しく己の欲望をソバカスの少女に叩き込んだ。

「グリフィス先輩、私も一緒に―――」

 少女はグリフィスの腕の中で、雲上人のような存在だったグリフィスに抱かれる至福を噛み締めながら、悶え果てた。
 グリフィスは腕の中の少女を欲望に満ちた瞳で見下ろす。
 ディエチの時から合わせれば、今日一日で何度精を放ったか解らない。常人ならとうに肉欲など散り果てているだろう。
 グリフィスの人並み外れた性欲も、一旦は鎮火しているようだ。
 それでも、彼の瞳の奥の黒い欲望の炎は微塵も翳りを見せない。
 ―――いや、むしろ少女を抱いている時よりもおぞまい勢いで燃え盛っている。
 グリフィスは眼鏡越しに柔和に微笑み、やや癖のある少女の髪を撫で上げた。

「久しぶりに士官学校を見学に行きたいんだけど―――、……一緒に来てくれるかな?」
「グリフィス先輩、こんにちはっ! いらっしゃってたんですね!」

 士官学校の少女が掛け値なしの笑顔を浮かべてグリフィスに挨拶をする。
 グリフィスはこの士官学校では大の人気者だ。
 若くしてキャリアの道に乗り、とんとん拍子で昇進を果たし、航空武装隊第2038部隊所属管制司令補を経て。
 今や、かのエース・オブ・エースらの所属する機動六課で部隊長補佐を勤める美形の准陸尉。
 グリフィスは、いつだってこの士官学校の生徒達の羨望と尊敬の的だ。
 機動六課の仕事は決して閑職では無い筈だが、後輩達を気遣い暇を見つけては士官学校に足を運んでくれる。
 そして、先達としての励ましの言葉をかけ、より一層勉学に邁進できるよう、自身の経験や現在の仕事の様子を語ってくれるのだ。
 女子生徒にとって、グリフィスはアイドルも同然だ。
 少女達は彼の姿を目にするなり足を止め、着ずまいを正して手鏡を取り出し顔や髪を整える。
 雑誌の表紙を飾るなのは達も、確かにアイドル的な人気を持った六課の隊員だろう。
 だが、魔法資質を持たず、内勤キャリアを目指す彼女達にとっては、別世界の住人である魔導師達よりも―――。
 自分達の理想を体現したかのような、グリフィス・ロウランこそが現実感を伴った真のアイドル足り得る存在なのだ。

「やあ、みんな元気そうだね。勉強の調子はどうだい?」

 グリフィスは気さくな笑みを返し、少女達に手を振る。それは、いつもと同じアイドルの姿だ。
 だが、彼女達はすぐに異物に気付いた。彼の隣に立つソバカスの少女の姿。
 グリフィスはアイドル的存在であるが―――抜け駆けをして彼に告白をしたり、交際を迫ったりしてはならない。
 そんな無言の協定が、不文律としてこの士官学校の少女達の間に存在していた。
 そのアイドルの―――ルックスもキャリアも誠実な人柄も、どこをとっても最高級の男であるグリフィスの隣に、平凡極まりない少女が立っている。
 グリフィスは少しだけ、困ったように顔を曇らせた。

「実は……今日は、少し皆に相談したいことがあって来たんだ」  
「相談、ですか? はい、私達に出来ることならなんだって致しますが……」

 少女達は困惑する。あのグリフィスが、たかが士官学校の生徒でしかない自分達に相談なければならない大事とは一体何だろう?
 グリフィスは、隣に居るソバカスの少女に掌を向け、歯切れの悪い口調で爆弾を投下した。
「実は、彼女の事なんだけど、その……この娘、自分の事を僕の交際相手だと勘違いして付きまとって来るんだよ。
 ……いや、気持ちは確かに嬉しいんだけど、僕は彼女の好意には応えられないんだ。何度も、そう伝えたんだけどね……」

 ……はあ?
 少女達の笑顔が凍りつき、その場の温度がみるみる冷めていく。
 ―――何の取り得も無い不細工の癖に、何をトチ狂って勘違いしてるんだこの女は?
 そんあ冷笑混じりの視線と、誰に対しても無害で無益だった日陰者が、グリフィスに纏わりついて迷惑を掛けていることに対する怒りが広がっていく。
 その中で、誰よりも驚愕したのはそのソバカスの少女自身だっただろう。

「そんなっ!? グリフィスさん、私を愛してくれているんじゃなかったんですか!?
 愛してる、って言ってくれたじゃないですか! 私達、あんなに何度も愛し合ったじゃないですか!?」

 胸元を押えて叫ぶ少女に対して、グリフィスはこめかみを押えて悲しげに首を振る。

「万事がこの調子なんだ。その……悪いんだけど、君達からも言い聞かせてくれないかな?」
「酷いですグリフィスさん、私の事愛してるって――――――んっ」

 パニックを起こしてグリフィスに掴み掛かろうとするソバカスの少女を、周囲の少女達が取り押さえた。
 彼女達の中で一番の美貌を誇るリーダー格の少女が、自信有りげに微笑んだ。

「グリフィスさん、私達の同輩がお手を煩わせ、わたくしとしても心苦しい限りです。
 彼女には、私達が『よく言い聞かせて』おきますので、どうか私達をお嫌いにならず、またお暇な時には是非いらして下さい―――」

 ……―――グリフィスが去った後、士官学校の校舎の影で、無残に泥に這うソバカスの少女の姿があった。
  
「あんた、一体何考えてんのよ? あんたのようなゴミ虫とグリフィス先輩が恋人同士? 頭の病気も大概にしなさい」

 リーダーの少女が再びソバカスの少女を蹴り転がし、周囲からクスクスと冷笑が上がる。
 ソバカスの少女は未だに自分が玩弄された事を認知できず、自分はグリフィスの恋人だと声高に叫び、状況に火に油を注いでいる。
 グリフィスは知っていた。女は、時に同性に対してどこまでも残酷になることに。
 尤も、ソバカスの少女がどうなるかなど、グリフィスにとっては、もう吐き捨てたガムの行方よりもどうでもいい些事に過ぎないのだが。

 
 ―――スバルは、遥か彼方の少女を見つめる。
 彼女は、いつに無く着飾りそわそわとした人待ち顔で胸元を押えていた。
 寮での簡素な普段着の他には、制服やバリアジャケットの姿以外を目にする事は殆ど無い珍しい相棒の姿だ。
 可愛らしいコンパクトを取り出し、彼女の健康的な美しさを損なわない薄いメイクの様子を確かめ、毛先に乱れが無いか髪を手櫛で梳いて確かめる。
 それは、紛れも無い恋する乙女の姿だ。
 根は真っ直ぐな癖に恥ずかしがりの彼女が、相棒ではある自分には決して見せてくれない姿だ。
 スバルは、口元を綻ばせながら、そのレアショットを楽しむ。
 彼女の手には、ミッドチルダ最高級の魔力双眼鏡がある。魔力を通す事でキロ単位先の相手を明瞭に視界に納める簡易デバイスだ。
 元は六課を覗こうとした不届き者をヴィータ副隊長が鉄槌制裁した際の没収品だとかなんとか。
 レンズ越しの彼女は、何かに気付いたかのように顔を上げる。……もしかして、待ち人が現れたのだろうか?
 彼女は微笑んだ。にっこりと爽やかに、美しく微笑み―――右手のクロスミラージュをこちらに向けた。
 やば、とスバル思考すると同時に視界いっぱいに光弾が広がり―――


『伊達眼鏡と狙撃銃』 第四話:オルタナティブ


 ふう、とティアナは息を吐いた。不届き者は制裁した。30分は自慢の双眼鏡で青空を眺めていてもらおう。
 あんなにあからさまに好奇の視線を向けて、気付かれないとでも思ったのだろうか? ガンナーの目を甘く見て貰っては困る。
 額に絶好球を喰らって倒れる瞬間、スバルはにっこり笑って親指を立てていた。
 ―――どこまでもお節介な相棒だが、その応援の気持ちだけはしっかりと受け取っておこう。
 ティアナは、最近一つの発見をした。
 何事にも人間生まれ持った才能があるが、凡人でも汗と努力によって覆す機会があるというのがティアナの持論である。
 どうやら、幸せな恋だの愛だのをするもの、一つの生まれ持った才能らしい。
 それはきっと、スバルやキャロのような、純粋で一途で真っ直ぐなオンナノコらしい少女に与えられる才能なのだ。
 その才能に掛けては、何事も疑い裏を考えてしまう自分は凡才どころではない。完膚なきまでの劣等生だ。
 このスタートダッシュを覆すためには、それ相応の苦行困難が待ち受けているだろうし、その向こうに想いの成就が待っている保障は何もない。
 それでも、今の気持ちを自分の裡に抱えて何もしないのは、何だか気持ちを澱ませていくようでしっくり来ない。
 お弁当の用意で寝不足にはなるし、鏡とにらめっこする時間はどんどん増えるし、慣れないメイクに挑戦して相棒には笑われるし。
 挙句、迷信鼻で笑っていた雑誌の運勢占いの、恋愛成就の部分を真剣に見入ってしまう始末だ。
 こんなのは、自分ではない。
 結果がどうなるにせよ、きちんと告白して、いつもの自分を取り戻すのだ。
 最近、心強い味方も得た。自分の理想像を形にしたような、スタイリッシュな大人の女性だ。
 彼女はいつも真剣に自分の話をくれる。自分の恋を応援してくれる。
 ……ティアナは思う。彼女なら、こんなに恋に心乱したりしないだろうと。
 いつもの余裕持った大人の笑顔を浮かべ、スマートでお洒落な大人の恋愛をするのだろうと。

「待たせたな」

 唐突に背中から声が掛かった。びくり、とティアナの背筋が震える。今日に限って、違う通路を使って来たようだ。
 初っ端から失態だ。物思いに耽るあまり、思い人が近づくのにも気付かないなんて! 
 落ち着いて笑顔で出迎えよう、という計画はいきなり頓挫、それでも精一杯の笑顔を作って、裏返りそうな声を抑えて彼を出迎える。
 
「こんにちはヴァイスさん、あたしもついさっき来たところなんです。いつもごめんなさい、あたしの我が侭に付き合ってもらっちゃって」
「気にしない気にしない。思いっきり我が侭を言えるのは若者の特権だぜ。今のうちにたっぷり使っとけ」
「あはは、その言い回し、なんだか凄く年寄りくさい感じですよ」
「ん〜、そうかな? まだまだ俺も若いつもりなんだが……」

 普段と同じ、取り留めのない談笑。……まずはこれでいい。いきなり深刻な表情で告白を切り出しても引かせてしまうだけだから。
 ―――自分は、思いをそのままぶつけるような純粋な恋なんて出来ない。
 こんな、震えそうな手を隠して、打算交じりの会話をジャブとして行うのがせいぜいだ。
 でも、それでいい。これがあたしのやりかたなんだから―――
 それと分からないように小さく深呼吸を一回。いつまでも雑談を続けて先延ばしにする訳には行かない。
 その瞬間は、自分の意志で迎えたいから。ちらちらとヴァイスを見上げながら、深呼吸をもう一回。
 
 ティアナは祈った。自分の恋を応援してくれている彼女に。
 クアットロさん。どうかあたしに、貴女のように振舞うための勇気を貸して下さい、と。
「―――ヴァイスさん、あたしは貴方のことが好きです」

 ティアナ・ランスターはそう告げた。震えだしそうな拳を握り締め、揺れる瞳で真っ直ぐに己を見つめて。
 不安に掠れる声を勇気で膨らませ、力強くきっぱりと万感の想いをその言葉に乗せて口にした。
 ……こんな日が来るのは解っていた。ティアナの瞳を見た瞬間に、今日がその日だと言うこともすぐにで解った。
 ティアナの体当たりのような告白は、幼く、無垢で、純粋で―――とても美しかった。
 きっと、少女らしく時に悩んで、時に苦しんで、この告白に挑んだのだろう。
 彼女の、今まで抱えてきた想いや悩みを清算しようとするかのような、ティアナらしい見事な告白。
 それを、ヴァイスは―――

「え……いや、その、……はは、いきなりだったから驚いたぜ。
 ありがとう、ティアナ。お前の気持ちは嬉しいよ。でも俺は―――」

 普段と同じ、顔に貼り付けた虚飾で虚偽の仮面の演技で受け止めた。

「ごめんなさい、ヴァイスさん! あたし、ヴァイスさんがあたしの事を応援してくれるのは、女性としてじゃなくて後輩としてだということは知ってました。
 いきなりこんなこと言っても、ヴァイスさんを困らせるだけだってことも解ってました。それでも、あたしの気持ちを知っていて貰いたかったんです……」

 ティアナにとっては予想できた結末。見栄えよく振舞おうなんて気持ちはとうに消えうせ、ただ、しどろもどろに弁解じみた言葉を口にする。
 そんなティアナに、ヴァイスは彼女にとって真に予想外の言葉を投げかけた。

「いや、謝るは俺の方だ。すまないティアナ。俺はお前の気持ちに全然気付かなかった。
 正直言って―――お前の言う通り、今まで俺はお前のことを女としてじゃなく、一後輩として見てきた。
 だから、お前の気持ちを聞いた今も、どう答えればいいか解らない。後輩としてのお前のことは勿論気に入っているが……
 女として、お前を見たことが無かったんだ。
 ―――だから、返事をするまでもう少し時間をくれないか? 
 もう少し、下らない話で笑いあうような今の関係を続けて、お前のことを女として見れるようになってから返事をするってのじゃ駄目か?
 ……こういう言い方は、卑怯か?」

 涙ぐんでいたティアナは顔を上げた。―――信じられない。回答は、YESかNOの二つに一つだと思っていた。
 これで、どちらか片方に決まれば、もう片方の道は消えてしまうものだと思っていた。
 ―――今のこの甘酸っぱい日々は、壊れてしまうものだと思っていた。
 それが、こんな形で続けられる可能性があったなんて……! 

「はい……! それでいいです! ヴァイスさんが女としてあたしを見てくれるまで、いつまででも待ちます!
 ……あたし、頑張りますから! あたし、ヴァイスさんに振り向いてもらえるようないい女になりますから!
 だから―――これからも、あたしを見て下さいね、ヴァイスさん!」

 目尻の涙を拭って、ひまわりのような笑顔で胸を張ってティアナは笑った。少しだけ大人びた笑顔だった。

「ああ、しっかりと見といてやるから、今まで通りお前らしくな」
「はいっ!」

 威勢良く返事をするティアナの透明な表情に、ぐるり、とヴァイスの腹の奥で黒い塊が蠢いた。
 ―――お前は最低だ、蛆虫以下の下種だ、と腹の奥に押し込めた筈の良心が疼く。
 俺は今、この少女を喰らっているのだとヴァイスは感じる。
 あのグリフィスのように頭から捕食するのでは無く、相手の中に潜り込んで腸を齧るのだ。―――まるで、寄生虫のように。
 グリフィスの言う通り、所詮奴と俺は同じ穴の狢だ。いや、見方によっては自分の方がより汚らしい。
 他人から攻撃を受けるのが嫌だ、自分の内面を晒したくない―――そんな定形通りの対人恐怖など珍しくも無い。
 しかし、ヴァイス・グランセニックのそれは余人のそれより遥かに歪で畸形的だ。
 人に己の醜い内面を覗かれるのが嫌だ、他人の嫌悪や憎悪の視線が怖い―――……それならば、山奥や無人世界にでも篭ってしまえばいいのだ。
 だが、ヴァイスにはそれが出来なかった。何よりも―――誰も居ない、孤独な世界に独り佇むのが怖かった。
 ヴァイスは、元来人の感情の機微には敏く、他人と円満な関係を作るのも得意だった。だからこそ、誰からも好かれる好青年で居られた。
 今のヴァイスは、優れた社交能力だけを生かして表面だけを取り繕って生きている。
 日常生活の他愛無い会話や、仕事の中での仲間達との協力。その中で、他人から向けられる笑顔や好意を受け取ることで己で成り立たせている。
 折れた背骨の代わりに、寄生するように得た他者からの好意を差し込んで己を支えている。
 好意と等量の自己嫌悪を裡に溜め込み、この方法ではいつか来る破滅を予感しながらも、日々を過ごしている。
 
 ―――ティアナの混じりけない純粋な好意。そんな最高級のドラッグを、ヴァイスが手放せる筈も無かった。
 ティアナの告白の顛末を聞き終えたクアットロは、静かにティーカップを口にした。
 これで幾度目かの、クアットロとティアナのささやかなティータイム、OL姿のクアットロの恋愛相談の時間だ。
 嬉しくてたまらない、というような喜色を全身から迸らせているティアナを一目見ただけで、彼女の告白が成功したことは解ったのだが。
 ティアナの恋する『彼』の対応は、正直予想外だった。
 クアットロは『彼』の名前を聞こうとしなかったし、ティアナもまた語ろうとしなかった。二人の間の暗黙の了解である。
 ティアナの話を聞くに、『彼』はティアナに対して齢の離れた後輩として接しているようだった。
 対応から察するに、ティアナの恋が成就する望みは薄いのクアットロも予感していたのだが。
 予想より早く体当たりの告白に望んだティアナにも少々驚いたが、『彼』の対応にも感心した。
 世に溢れる、女と見れば食いつくような男と違って誠実な対応をし、己の気持ちを偽らず、尚且つティアナの想いを酌んで今後の在り方を示すとは。
 流石はティアナの恋した男性だと、クアットロは胸中で賞賛を贈る。
 穴として以外の女の機能を悉く欠いている自分でも、良い男性だと讃えることができる。

「良かったじゃない。素敵な人ね、その彼。とりあえずでOKされるよりずっといい結果だと思うわ」
「はい、あたしもそう思ってます。本当に、あたしのこと考えてくれているのが、伝わってくるんです」

 ティアナは指を胸に当てながら、幸せそうに頬を紅潮させて答えた。きっと、その時のやり取りを思い出しているのだろう。
 彼女は頭の回転が速く、精神年齢も高い聡明な少女だ。会話の端々に、自分が打算的過ぎることを恥じているようなフレーズが滲む。
 だが、真の策謀家であるクアットロにとっては、ティアナの打算程度は可愛らしい少女の悩みにしか見えない。
 ティアナは、クアットロから見れば眩しい程に純情で純粋だ。
 
「あたし、今日が勝負の日だと思ってました。でも―――」
「ふふ、これがら本当の勝負ね」
「はいっ!!」

 クアットロは夢想する。これからのティアナと『彼』との、これまで以上に互いの関係を意識して過ごす切ない日々を。
 それこそが、自分には決して叶わない普通の少女としての日々だ。
 ―――同時に、ちくりと胸を刺すものがある。
 ティアナと『彼』との顛末を聞いた際に、クアットロは微かな安堵を覚えた。
 それは、二人の関係が曖昧なまま存続することに対する安堵だ。
 簡単に二人の関係が決着してしまい、自分がお役御免となってしまうことに対する恐怖の裏返しである安堵だ。
 ……ティアナの恋を応援していた筈なのに、いつしかティアナを自分を投影して擬似恋愛をするための人形と見ているかもしれない、薄汚い自分に対する嫌悪。
 でも、まだ大丈夫だ。クアットロは努めて平静を装う。
 ティアナと居る時の自分が、一番素直に笑えている気がする。ティアナと居る時が、一番自分らしく居られる。
 SMの女王である自分よりも、夜の街で下らない男を狩り食らっているときの自分よりも。
 一番、自分が望む自分に近い形でいられる。……例えそれが、虚飾に塗れた姿であったとしても。

 ―――帰り道、クアットロは一人の男と出会った。
 言葉を交わした事は無かったが、顔だけは良く見知っている男だった。六課に帰還する途中なのか、やや早足で帰路を歩んでいる。
 立ち姿、服の着こなし、歩み方までもが美しい。男が顔を上げる。清潔に切りそろえられた髪の下の、端整な貌が夕日に照らし出された。
 グリフィス・ロウラン。
 クアットロは、ティアナと逢って少しだけ晴れた胸の裡が、再びどす黒く曇るのを感じていた。
 グリフィスがクアットロに気付く。彼もまた、クアットロの事は閲覧を許された資料によって見知っていた。

「こんにちは」

 グリフィスは、掛け値なしの笑顔で爽やかに微笑んで、クアットロに挨拶をした。
 その善人然とした笑顔から、彼の内心は何一つとして読み取れない。
 だが、クアットロの眸はその笑顔に含まれた微かな感情を見て取った。―――それは、嘲笑だ。

「こんにちは」

 クアットロもにっこりと微笑み、礼儀正しく静かに会釈をする。
 誰から見ても完璧なその笑顔。そこから見てとれるのは、純然たる好意のみだ。
 だが、グリフィスもそこに含まれたものを見て取った。―――それは、掛け値なしの敵意だ。
 ……交錯は一瞬。二人はそれ以上言葉を交わすことなく、ただ道で擦れ違っただけの他人としてそれぞれの帰途に着く。
 グリフィスは、去り往くクアットロを背にし、微かに口の端を吊り上げた。あの女は、この自分を挑発していた。
 必ず叩き潰してやると、自分を高みから見下していた。―――あの女は、間違いなく自分の同類だ。
 背筋をぞくぞくぞくと熱いものが駆け抜けた。面白い、とグリフィスは瞳を爛と輝かせる。
 ディエチを喰らってしまえば、もう当分は良い玩具にはありつけないだろうと思っていた。だが、こんな逸材が居たなんて……!
 クアットロ、だったか。あの女、この僕が堕としてやる―――グリフィスは、クアットロの笑顔を胸に刻みつけた。
 悪いことというのは重なるものだ。
 ティアナと逢った帰りにグリフィスと出遭って落ち込んだ気分を更に滅入らせるかのように、仕事では件の客が待っていた。
 さあ、体を売るソープではなく、SMプレイで魅せる観客皆無のストリップの始まりだ。
 馴染みのインポ男は今日も今日とて巌のように押し黙り、ただ身に浴びる苦痛に耐えている。
 ―――寄生虫のように人の中に棲み、好意を啜りながら生きるヴァイスは、同時に憎悪を欲していた。
 人との交わりの中で、誰かに憎まれ拒絶されることは怖くて溜まらない。
 その癖、身につけた虚飾の演技で、仲間達から好意を受けることの罪悪感を薄める為の激しい憎悪が欲しかった。
 社会の中で、自分を拒絶することなく、自分の内面を何一つ覗かず、ただ憎んでくれる相手。そんな都合の良い人間が存在しようはずも無い。
 だが、ここに存在する筈の無い例外が存在していた。
 ソープ・ナンバーズのNo.4クアットロ。彼女は、ただ純粋にグリフィスを嫌悪し、憎悪していた。
 他のソープで同様のプレイを注文しても、皆多少驚きはしたものの、ノルマとして淡々と無感情に職務として自分を打ち、詰った。
 だが、クアットロだけは違う。彼女は心の芯から自分を憎悪し、敵意を籠めた瞳で見つめている。
 自分の注文がソープ嬢に対して侮蔑的なものだということは理解している。彼女はソープ嬢として高いプライドを持って職務に臨んでいるのだろうか?
 それとも、彼女の憎悪の視線は、自分にも虚偽に見えない程のソープ嬢としての極北の演技なのだろうか。
 いずれにせよ、ヴァイスにとって、クアットロの憎悪も六課の日々と対を成す、手放すことの出来ないドラッグなのだ。

「アンタのコレ、本当に役立たずなのね。ションベン専用の×××、ぶら下げてて楽しい?
 勃ち上がれば随分のモノなんでしょうけど……これじゃあ腐りかけのソーセージね。いっそ犬にでも食わせてみる?」

 クアットロは全裸に剥いたヴァイスを打ちながら、気だるげな表情で股間の逸物を玩ぶ。
 ピンヒールで踏みつけながら、ヴァイスの顔の上の自分の股をぱっくり開いて見せ付けてみる。

「どう? 挿れてみたいと思わない? まぁ、あんたのインポ×××じゃ永久に無理なんだけどね」

 世の男達が涎を流して羨むようなその体勢でも、ヴァイスの表情は変わらない。
 腐りかけた魚のような澱んだ視線を、ただ宙に彷徨わせている。クアットロは嘆息する。

「それとも、余程おかしな性癖なのかしら。掘られなきゃ勃たたない真性のホモ野郎だとか―――
 う〜ん、特殊なシチュエーションじゃなきゃ悦ばない変態野郎だとか?
 メイド好きなら他に良い娘が沢山いるわよ。『お帰りなさいませ、ご主人様』とかね。
 ロリロリな妹好みなら5番がお勧めね。『おにいちゃん、だぁい好き!』なんてね。
 まあ、アンタは本当のインポみたいだからどんなプレイも関係ないだろうけ―――」

 絶句する。クアットロはそこに、本当の恐怖の表情を見た。どんな責め苦も受け流していた男が、歯軋りして怖れ慄いていた。
 男はかっと目を見開いて、唇を戦慄かせて全身をガタガタと震わせる。ついには、髪を滅茶苦茶に掻き毟って絶叫した。
「うわあぁぁっ!! やめてくれっ……! 頼む、頼むからそれだけは止めてくれっっ!」
「―――やめてくれ、って何の事?」

 クアットロは、記憶を巻き戻し、ヴァイスが豹変した瞬間の自分の言葉を思い出す。

「……お兄ちゃん、大好き?」
「ああああああっ、頼む、やめ、やめ、やめてくれぇぇっ!」

 クアットロは呆気に取られたようにヴァイスを見つめていたが―――その口元が、静かに三日月形に吊り上った。
 この男は、今真に恐怖している。心の底からの苦痛を感じている。その事実に、彼女の嗜虐思考がゆっくりと首を擡げる。
 彼女はヴァイスを押さえつけ、妖艶に笑むと紅い唇をその耳元に寄せ、耳穴に息を吹き込むように囁く。

「素敵よ、おにいちゃん。カッコいいわ。おにいちゃん。だ〜〜い好きよ、おにいちゃん。おにいちゃん、おにいちゃん!!」
「ひぃ、ぃ、ぃ、ぃ、やめて、やめて、やめてくれぇぇぇっ!」

 ヴァイスは惨めにもがいて逃げようとするが、クアットロは決してそれを許さない。
 涙を流し、鼻水を垂らして止めてくれと懇願するヴァイスの耳元に、『おにいちゃん』と囁き続ける。
 ―――SMプレイは形こそ攻撃的であるものの、変則的であっても相手を悦ばせる為のものだ。
 言うまでも無く、相手が心から止めて欲しいと懇願しているのに虐待するようなプレイは法度である。
 だが、クアットロはそんなソープ嬢の基本である理すら忘れ、美酒に酔ったようにヴァイスをいたぶり続ける。
 これまでのヴァイスに対する蓄積した憎悪、ディエチとの不仲の悩み。グリフィスへの嫌悪、全てをぶつけるかのようにヴァイスを嬲る。
 ヴァイスが逃げようともがき、部屋の花瓶が床に落ちて砕け散る。この部屋の主好みの紅い薔薇が床に散らばる。
 クアットロはそれを乱暴に掴み、ヴァイスの背中を鞭打った。『おにいちゃん』と連呼しながら幾度も鞭打った。
 逞しい背中が、薔薇の棘に傷つけられて血を流し、紅い花弁がそれを更に彩る。
 
「おにいちゃんは痛いのが大好きなのよね! 本当に変態のおにいちゃんね! ねえ、何とか言ってよインポのおにいちゃん!」
 
 ヴァイスは、拷問に等しい苦痛の中で、頭の隅に冷えた部分が広がっていくのを感じていた。
 そこで、ふと考える。……自分がここに通うのは、彼女の掛け値無しの憎悪を受け取ることが出来るからだ。
 だが、今の彼女の視線には、憎悪以外のものが混じっている気がする。
 それは何だろう、とヴァイスは叫びながら思案する。
 ……一番近いものを挙げるなら、愛、情?

「きゃはは、おにいちゃん、だ〜い好きだよぉ」

 意地悪な表情で狂笑しながら背中を抱きしめられ、ヴァイスは絶叫する。
 彼の頭の隅で生まれかけた胡乱な思考は、砕けて消えた。


 ―――此処は『ソープ・ナンバーズ』ただ一晩の春を求めて男達が集う、ミッドチルダの不夜城―――
306アルカディア ◆vyCuygcBYc :2008/12/10(水) 01:31:57 ID:RBRevF0F
 頑張って一回の投下を60行以内に収めてみたのですが、本文長すぎでエラーが出て止む無く分割。ちょっぴりしょぼんです。
 スレを無駄遣いしてすみません。


 不良在庫になっている短編SSプロットの消化のために、クリスマス用に一本書こうと思っているのですが、どんなSSがいいか思案中です。
 クリスマス舞台のプロットは一本あるのですが鬱のための鬱話で、これを書くのはちょっとまずい気がするので、普通のコメディ系を書こうかと思っています。
 折角のクリスマスなのでリクエストで書いても面白いかな、と思ってみたりみなかったり。

 まったくどうでもいい話ですが、過去主人公が左腕を失う話を書いたら自分も左腕を怪我したのですが、
 主人公が不感症の話を書いている最近、どうも自分も不感症気味になっている気が……。

>>司書様
 毎度お手数ですが、保管庫に保存の際に、投下のレスとレスの間の部分に、↓の挿入をお願い致します。


     ◆

 
 内訳は、改行二つ、全角スペース5つと◆、改行二つです。
 投下の番号が同じで「その1」「その2」となっている部分の間はそのままでお願いします。
 度々お手数をお掛け致します。
307名無しさん@ピンキー:2008/12/10(水) 02:17:35 ID:kMyrSuB4
>>306
GJです。ヴァイスについに禁断の台詞がwww クアットロマジ外道(良い意味で)w
とうとうグリフィスともフラグが立ってしまったようで、捩れて交差する人間関係にワクワクして続きが待ちきれません。
次回も楽しみにしてます。





気にし過ぎだとは思いますが、験を担いでしばらくは危ないネタは書かないほうが良いかもしれませんねw
308名無しさん@ピンキー:2008/12/10(水) 02:57:52 ID:i9S+VV9j
お二人ともGJ!
>>290
受けエリオはエロカワイイと再確認しました。
無邪気なスバルと戸惑いながらもチュッチュするエリオがまた興奮を誘いますた。
何とかナイスなボートは避けられたようですが、下手すりゃ完全な修羅場だったところがまたw
でもスバルに取られてたまるか!みたいな感じで起爆剤になって多少無理矢理気味でも関係を結ぶという感じにもなりえたと思うと少し残念な気も
裏話にも凄い納得です。

自分的にはここまで出番の少なかったキャロ編に期待したいです。
これまではスバルやティアナとエリオの絡みも仲良しで羨ましいというぶっ飛んだ発言をしたり、天然ゆえの発言で場の空気を壊してきたキャロ
そんなキャロ子がエリオといちゃつけるのか?とうとうエリオが攻めに回るのか?など色々見たくて仕方ありません。

>>アルカディア氏
クアットロは誰よりも大人である。それが一番思いました。
ティアナの恋を全てを知らずとも応援し、その裏でその恋の相手を罵倒する。
もし、クアットロがティアナの恋の全てを知ってもきっとおくびにも出さずこれまでの生活を続けるのでしょうね。
そしてヴァイスはそんな彼女から一生逃げられないと。

うーん、クリスマスはコメディの方がいいと思いますが、ストーリーと言うと…
コメディかはわかりませんが、リトラン後のクリスマスという話はどうでしょう。
ユノなのヴィは97管理外世界のクリスマスを楽しもうということになり、三人でなのはの実家に。
そこで巻き起こる嵐!
クリスマスに娘が久しぶりに帰って来たと思ったら孫娘が誕生してる!
誰だその男は!
果たしてヴィヴィオは初めてのクリスマスを楽しめるのか!?

一方エリオは97管理外世界で辺境の土地とはいえ三年近く暮らしていたのでクリスマスは知っている。
でもミッドチルダでは関係ないかと思っていたらタヌキ部隊長が面白がって、私達が生まれてエリオが数年過ごした世界ではクリスマスは家族で祝ったり、恋人どうし二人っきりで過ごしたりするんやで!
とキャロルーに教えてしまう。
エリオが家族で過ごすのが正しいんだよと二人に説明しても話はこじれるばかり。
果たして三人は幸せなクリスマスを過ごせるのか!?

案だけで長文になってしまいましたが、お体には気をつけて(特にアルカディア氏)これからも頑張って下さい!
309名無しさん@ピンキー:2008/12/10(水) 03:04:32 ID:kMyrSuB4
ちょっとやめなよ>>308氏、そんなこと言ってるとホントに誰かが書いちゃうからw
310名無しさん@ピンキー:2008/12/10(水) 05:46:07 ID:1pmR/JdT
馴れ合い
うざ
311名無しさん@ピンキー:2008/12/10(水) 08:29:02 ID:dXFZ4g6N
何を今更。数十スレ遅いぞw
312名無しさん@ピンキー:2008/12/10(水) 08:43:40 ID:5et8TxDJ
>>306
朝っぱらからキタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!!!

やばい、グリフィスとクアットロ接触まじやばい!!
どんだけやばいかっていうと、原作がアニメに見えるくらいにやばい!
しかもトラウマ放出だからオラワクワクしてきたぞw
313名無しさん@ピンキー:2008/12/10(水) 10:02:12 ID:KDbLQxba
>小さな騎士・スバル番外編

スバルがはちゃけてるなーと思ったらそーいうお酒だったんですね、納得ですw
エリオは大人の階段をあがっているようで、この先がとても楽しみです。
個人的にはティアナに頑張ってもらいたいですが、フラグを乱立するエリオの未来はどっちだかw
314名無しさん@ピンキー:2008/12/10(水) 11:57:36 ID:DcXr9OnF
>>310
今更
うざ
315名無しさん@ピンキー:2008/12/10(水) 18:35:58 ID:9gHaBAqQ
>>290
GJ。スバルよ、お前は何てエロい子だ。だがそれがいい!!
そしてヴァイス。やすらかに眠れwww
316ザ・シガー:2008/12/10(水) 18:41:07 ID:l74g6urz
うひゃはぁ! GJだあああ〜!!

恋する乙女ティアナが鬼可愛かったり、クアットロとグリフィスの暗黒メガネズが接触したり、妹トラウマ発動するヴァイスが泣き喚いたり。
と、伊達眼鏡〜は毎回見所が多すぎて困るわホント。

んで、氏の書くグリフィスの超ステキ外道鬼畜眼鏡っぷりが素晴らしくて感動すら覚えましたね。
少女をボロ雑巾の如く捨てるとか、クアットロを超えるんじゃねえかと思う程の鬼外道。
駄目だこいつ……早くなんとかしないと。

しかし、こいつに引っ掛けられてるディエチが地味に心配。
この流れだと、マジで異郷の地で襤褸屑の如く捨てられてしまう。


あと、トンデモな誤字発見。
>>304 の

 ソープ・ナンバーズのNo.4クアットロ。彼女は、ただ純粋にグリフィスを嫌悪し、憎悪していた。

って所、ここはグリフィスじゃなくヴァイスだよね?



んで、>>17で宣言した通りレティさんのSS投下するっす。
相手グリフィスでエロエロサンダーです。
実の親子が仲良くセッ○クスとかするので、そういうの駄目な人は静かに目を閉じて震えて眠ってください、大丈夫な人は目を血走らせて魅入ってください。
317部隊長補佐の初体験:2008/12/10(水) 18:44:27 ID:l74g6urz
部隊長補佐の初体験


「ただいまぁ〜」


 ドアを開けて玄関に転がり込むや否や、女性、レティ・ロウランはその場で床に転がる。
 甘ったるい声に混じるアルコール臭、紅潮して淡く桃色に染まった頬、彼女が酔っていることはどう見ても明らかだった。
 レティを迎える為に玄関まで二回から下りてきた彼女の一人息子はくいとメガネの位置を正しながら溜息混じりに母親のだらしない姿を見下ろす。


「お帰り母さん」

「ただいまぁ〜、私の可愛いグリフィスぅ〜♪」


 だらしなく床に寝転がっていたレティは、息子の姿を見るとすぐに起き上がって彼に抱きついた。
 息子の背中に腕を回すと、実りに実った豊かな爆乳に自分と同じようなメガネをかけた彼の顔を思い切り抱き寄せる。
 母親のモノとは言えど女性のセックスアピールを詰め込んだ柔い乳肉に顔を押し付けられ、少年、グリフィス・ロウランは僅かに頬を羞恥で紅く染めた。
 だが相手は実の母親、理知的な少年は邪欲を即座に振り払うと母の身体を手で押しのける。


「お酒臭いなぁ……今日は随分と飲んできたみたいだね」

「そんな大した量じゃないわよぉ〜、ちょっとワインを二本とぉ、ウォッカを三本とぉ……」


 息子の言葉に反論しようと、レティは自分が飲んだ酒の種類と量を指折りながら数えだす。
 世間一般での常識的範囲と酒好きで知られるレティのそれが一致するまでもなく、彼女がその日飲んだ酒量は随分とまあ膨大なものだった。
 大丈夫とは言っているが所詮は酔っ払いの主張である。
 母のそんな様子に、グリフィスはヤレヤレと額に手を当てて呆れていた。


「世間では大した量って言うと思うよ母さん……まあ、それはともかくとして早く部屋に行きなよ、そこで寝たら風邪引くよ?」

「うぅ〜ん……一人で起きれない〜、連れてって〜♪」

「しょうがないなぁ、まったく……」


 グリフィスはそう言うと、自分にもたれかかる母に肩を貸して立ち上がらせた。
 もうすぐ12歳になり、成長期へと差し掛かった少年の体躯はまだまだ背が低いながらも自分より大きな母の身体をしっかりと支える。
 その瞬間、少年は肌に訪れた未知の感触に怖気にも似た感触を覚えた。


(……こ、これってまさか……)


 自分に身体をのしかけてくる母の身体、その胸に実った豊かな二つの果実が少年に押し付けられる。
 マシュマロのように柔らかく、肌が溶けてしまいそうな微熱を孕んだ柔い乳房。
 母親のモノと分かっていても、思春期の少年はどこか背徳的とも呼べる興奮を感じてしまう。
 服越しに感じる至福の感触に、グリフィスは羞恥で顔を真っ赤に染めてあげた。


「あらぁ? グリフィス顔が真っ赤よ?」

「そ、そんなことないよ!」


 恥ずかしそうに顔を伏せる息子の様子にレティは即座に原因を察した。
318部隊長補佐の初体験:2008/12/10(水) 18:46:39 ID:l74g6urz
 自分の豊満な乳房が当たる度に少年の頬の赤みが増しているのだ、女ならば容易に理解できる。
 年頃の少年らしく異性を意識している息子の様子に、レティは口元に悪戯っぽい笑みを浮かべた。


「あ、もしかしてお母さんのオッパイに興奮しちゃったぁ? 恥ずかしがらなくても、グリフィスが触りたいなら好きなだけ触って良いのよぉ〜」

「し、しないよそんな事!」

「もう、昔は嬉しそうに飲んでたのにぃ〜」

「それは凄く小さい頃の話だよ……」


 メチャクチャな理屈を言いながら柔らかな胸を押し付けてくる母の悪戯に、グリフィスは顔をさらに真っ赤にして恥らう。
 性への意識が芽生え始めた年頃の少年に、レティの身体はあまりにも無視し難いものだった。
 メガネの良く似合う理知的な美貌、出る所は出て締まる場所は引き締まった艶めかしい肢体、肌にいたっては未だ20代で通じるような瑞々しい潤いを有している。
 男なら誰しもが抱いてみたいと夢想する、匂い立つような艶めいた女体。
 たとえ相手が実の息子であろうと、その甘い誘惑は圧倒的なまでの破壊力を見せ付ける。
 並みの男なら一瞬で理性を手放しかねないその魅力に抗いながら、グリフィスはなんとか母を寝室まで運ぶ事に成功した。
 ドアを開ければベッドまではあとほんの数歩、これで肉の誘惑とも呼べる拷問から解放される。
 少年は支えた母の身体をベッドに寝かせようと、彼女の腰に回した手に力を込めた。
 その瞬間、彼の足がもつれて支えていたレティと共に二人纏めてベッドへと転倒してしまう。


「っと!」

「きゃっ!」


 倒れ行く中、グリフィスは中空で咄嗟に身体を捻り自分の身体が母の下敷きになるように滑り込ませた。
 ベッドのスプリングが僅かに軋み、二人の身体はその上に転がる。
 柔らかなシーツと柔らかな肌が重なり合って痛みは無い、むしろあるのは心地良い感触。
 自分に押し倒されるような形になった息子にレティは酔った思考ながらも心配そうな顔をした。


「グリフィス大丈夫?」

「う、うん……」

「ごめんなさいね、ちょっと足がフラついちゃって……って……あら?」


 言いながらレティは自分の太股に当たる“ナニか”の感触に気付く。
 何か硬く熱いモノが押し付けられている、視線をそこへ向ければグリフィスの股ぐらと自分の太股が接していた。
 自身の状態を知られた美少年は、顔を羞恥により真っ赤に染め上げる。


「グリフィス、あなた……」

「ち、違うよ! こ、これは……その」


 弁明の言葉など語れなかった、彼は実の母の媚態に性的な興奮を感じていたのだ。
 それは覆せぬ事実、隠せぬ真実、どうしようもない現実として肉体が有言に語っている。
 理知的な少年は肉欲に正直な己の醜態を知られ、顔に恥じらいを浮かべた。
 だがそれがいけなかった。
319部隊長補佐の初体験:2008/12/10(水) 18:48:11 ID:l74g6urz
 彼のその様は母の、レティ・ロウランの中に淫蕩な火を灯してしまう。


(グリフィスったら……私相手に立っちゃうなんて……可愛い)


 美少女と言っても通じそうな美貌を持つ息子、普段は理知的で年不相応に冷静な彼が自身の色香に当てられて幼い肉棒を滾らせている。
 その事実がレティの子宮を甘く疼かせた。
 レティは、レティ・ロウランという女ははっきり言ってしまえば淫乱だった。
 たわわに実った乳房、肉付きの良い尻、熟れきった肢体の隅々から雄を誘惑する色香を撒き散らし内面もまたそれに負けず劣らずの淫蕩極まりない様である。
 一度雄を意識し、劣情に火が点けば後は奈落の底まで真っ逆さまだ。
 普段は自分の手で慰めるなり夫との情事で解消するなり方法があるのだが、それは叶わない。
 現在彼女の夫は出張中で帰ってくるのは早くて三日後だ、アルコールを摂取して火照りきった淫靡な肉体ではとても一人で慰めきれはしない、三日もお預けを喰らうなどなおの事無理だ。
 目の前で震える自分の息子、苦痛に耐えて産み落とした愛しい我が子を前に彼女は母でなく一人の女に変わる。
 この世で最も大切な子供の純潔を奪うという背徳感がゾクゾクと背筋を駆け上り、脳髄に甘い恍惚を呼び起こす。
 一度理性が制動をかけようとしたが、酒の力で蕩けた思考はそれを一瞬で踏破。
 レティは妖しくペロリと唇を舐めて獲物に狙いを定めた。


「あらぁ、グリフィスもしかしてお母さんに興奮しちゃったの?」


 ゆっくり指が宙を滑ったかと思えば、妖しい手つきで蠢いたそれが服の上から少年の股ぐらを撫でた。
 一筋指が這っただけで少年の身体はビクンと跳ね上がる。


「ひゃぁっ!……か、母さん?」

「ふふ、自分の母親で勃起しちゃうなんていけない子ねぇ」

「ち、違うよ! 僕は……」

「嘘をつくのは良くないわよ?」

「ひゃぁっ!!」


 瞬間、少年の股間を弄るレティの指に力が込められる。
 服越しだというのに正確に肉棒の先端、そのカリ首を爪で引っ掻くように指が動く。
 さながら電撃のような衝撃が幼い肉棒を通して背筋を駆け上り、グリフィスはその凄まじい未知の感覚に背筋をのけ反らせて喘いだ。


「あらあら、随分と反応強いわねぇ、グリフィス自分で弄ったりしないの?」

「い、いじる?」


 母の言葉にグリフィス疑問符を浮かべた。
 少年は自慰は愚かまだ精通しすらしていなかったのだ、それも無理はあるまい。
 友人からそれとなくそういう話題を聞いた程度で、具体的に性衝動をどう処理するかの知識は皆無である。
320部隊長補佐の初体験:2008/12/10(水) 18:49:26 ID:l74g6urz
 初心な息子の反応に、レティは笑みにさらなる艶を宿した。


「ふふ……オナニーとかした事ないのかしら」

「ちょ! お、お母さん!?」

「それじゃあ、今からお母さんが色々教えてあげるわね♪」


 そう言うや、レティは淀みない手つきで彼のズボンのファスナーを下ろしベルトを外すとズボンを一気に脱がせた。
 その手並みたるや一瞬で、グリフィスは抵抗など少しもする余裕はなかった。
 現れるのは包皮に覆われた幼い肉棒、まだ快楽と言うものを欠片も知らない雄の権化。
 だがそれは幼くともしっかりと屹立し、雌への欲望をこれでもかとアピールしていた。
 レティはその姿にうっとりとした笑み、自分に向けられる劣情への悦びを溶かした雌の笑みを浮かべる。


「口ではなんと言っても身体は正直ねぇ、こんなに硬くしちゃって」

「ひゃぁっ!?」


 肉棒の先端、皮を被ったそこを指先が艶めかしいラインを描いて蠢く。
 少年の口からはまるで少女が吐くような甘い声が漏れた。
 痛みともむず痒さとも取れる感覚が走ったかと思えば、少年の性器は先端を覆っていた包皮をめくられる。
 途端に漂うすえた匂い、酸っぱい様な性臭が鼻腔を刺激した。
 皮を剥かれた肉棒の先端には白い汚れ、痴垢(ちこう)がたっぷりと溜まっており、考えずともそれが異臭の源だと分かる。
 何とも言えぬ香りだが、レティは迷わず顔を近づけると軽く鼻を鳴らして鼻腔に吸い込んだ。


「ふふ……チンカスこんなに溜め込んで、凄い匂い……嗅いでるだけで頭がクラクラしちゃうわぁ」

「や、やだ……母さん、匂いなんて嗅がないでよ……」


 自分の痴臭を母に嗅ぎ取られ、少年は弱弱しい声を上げる。
 だがそれは無意味、いやむしろ状況を悪化させる効果しか生まない。
 グリフィスの愛らしい懇願により彼女の中の嗜虐的で淫蕩な雌の欲望がさらなる熱を帯びた。
 そしておもむろに唇から舌を伸ばしたかと思えば、次の瞬間には目の前の肉棒をむしゃぶりつく。
 ペニスにこびり付いた痴垢、まるでチーズのようなそれをご馳走にでもするかのように舌先でこそげ落とすと、レティは躊躇う事無く嚥下する。
 むせ返るような濃い性臭、青臭い精の香り、通常なら吐き気すら覚えるそれを彼女は心底美味しそうに貪った。
 いや“美味しそうに”、この表現は語弊があるか。
 彼女にとって雄の吐き出す精は間違いなく美味であったのだから。


「ぴちゃ……グリフィスの、んぅぅ……コッテリ濃厚で美味しいわぁ……ちゅぷっ」


 天性の淫婦の如くに淫蕩で色欲の強い彼女にとって、雄との交合がもたらす単純な快楽はもとよりその他全ての要素が“悦”である。
321部隊長補佐の初体験:2008/12/10(水) 18:52:11 ID:l74g6urz
 無論、肉棒の凄まじい臭気や形容し難い味もまたしかり。
 レティは口内に広がるそれらを残らず平らげ、それでも飽き足らずに息子の肉棒をしゃぶる。


「ひゃぁっ! ダメ! 母さんダメ! なにか出る……出ちゃうよぉ!!」


 グリフィスは必死に母親を制止しようと声を紡いだが、その言葉が聞き届けられることはなく無情にも熟練の口淫奉仕は続けられる。
 産まれて初めて味わうには強すぎる快楽、それはもはや拷問にも近い。
 強烈なるその未知の刺激に、少年はただ為す術もなくただ震えるしかなかった。
 男を絶頂へと導く手管を知り尽くしたレティの行う口淫は相当なもので、グリフィスの快楽指数は即座にマックスへと登り詰める。
 快楽刺激の果てに、若い精は盛大に決壊した。


「くふぅああっ!!!」


 青臭い芳香と共に濁った白が幼い肉棒の先端から吹き出す。
 レティの口内が一瞬で満たし尽くされ、思わずむせ返りそうになる。
 だが彼女はそれを制し、喉を鳴らして口の中に吐き出された精液を残らず飲み干した。


「んくっ……ぷはぁ……こってり濃厚で凄く青臭い……美味しかったわよグリフィス」


 精液を全て飲むと、レティは妖しくペロリと唇を舐めた。
 正に魔性の雌、男を貪る悦びに狂う一匹の淫婦の如き淫らさである。
 青臭く苦味を孕んだ精液独特の味に舌鼓を打ち、母雌はうっとりとした笑みを浮かべた。
 それに対してグリフィスは、初めて味わう絶頂の快楽にただ荒い息を吐いて呆然としている。
 射精の余韻がもたらす陶酔感に浸り、焦点の定まらぬ瞳で宙を見るグリフィスのその姿は愛らしくそしてひどく淫靡だった。
 少年というよりはむしろ美少女とでも言うべき容貌は美しくすらある。
 実の息子の艶姿に、レティの内の劣情はさらなる熱を孕んで行った。
 一度発射した程度では若い雄の滾りは萎える事無く、まだ立派に天を向いて屹立している。
 もうこのままでは納まりが付かない。
 目の前の幼い雄を、自分の実の息子を、もっともっと深く貪りたい。
 気が付けば、既にレティの下着を膣から溢れ出た淫蜜がぐっしょりと濡らしていた。
 ならばもう、する事など一つしかなかった。


「ねえグリフィス、もっと気持ち良い事したくない?」

「きもち……いいこと?」

「ええ、とぉっても気持ち良い事よ」


 そう言うが早いか、レティは瞬く間に着ていた服を脱ぎだした。
 制服が一枚、また一枚と剥かれる度に酒気を帯びて淡く紅潮した肌に彩られた豊満な女体が露になる。
 最後の一枚、下半身を覆っていた下着がベッドの外に放り投げられれば、とても子供を生んだ女性とは思えぬ艶めかしい裸身がグリフィスのトロンと蕩けた目に映りこんだ。
 彼女はそそり立つ自分の肉棒の上に跨るようにしていた。
 そしてそう認識した瞬間……ヌチョリという音と共に親子の肉体は唐突に繋がった。


「くぅあぁっ!!」


 溶けそうなくらい熱く、ぬるりとしていてキュっと締まる肉の穴に幼い男根が飲み込まれる。
 少年のまだ未発達な肉棒が相手でも十分に締め付け、存分に雄へと快楽を与える膣の前にグリフィスは背筋に先ほどの感覚が迫るのを覚えた。
 さっき背筋から肉棒まで駆け巡ったあの感覚、まるで電撃のような甘い痺れが再び発生し、快楽に慣れぬ少年の脳を蕩かす。
322部隊長補佐の初体験:2008/12/10(水) 18:56:24 ID:l74g6urz
 彼に出来るのはただその痺れに呼応して喘ぎ、震えるだけだった。


「ふぁあっ!!」 

「んっ……グリフィスのチンポ、小さいけど硬くて気持ち良いわぁ。
グリフィスはどう? ちゃんと気持ち良い?」

「いい……きもちいいよぉ……あつくてとろとろでぇ……ぼくのチンチン……とけちゃうよぉ」

「そう、良かった。それじゃもっと気持ち良くなってね♪」


 淫蕩なる笑みが浮かんだかと思えば、レティはその肉付きの良い尻を思い切り上下に揺らし始めた。
 硬い雄の肉と柔い雌の肉がたっぷりと溢れる淫汁を絡めて繋がり、一気に最高加速をつけたピストン運動を行う。
 グチョグチョという淫猥なる水音が結合部から奏でられ、少年の喘ぎ、雌母の嬌声と交じり合って壮絶なる狂想曲を織り成す。
 題目は【禁忌】、血の繋がった実の親子が織り成す禁断の楽曲。
 響き渡る淫らな旋律の元で、レティは蕩けるような甘い快楽の美酒に酔い痴れた。


「ああぁっ! 良いわぁ、凄く良い……グリフィスのチンポ、小さいのにこんなに硬くって……あんっ♪……私の中突きまくってるぅ」


 己を貫く幼い肉の槍のその硬さに、レティは髪を振り乱し、尻を振っては肉穴で存分に貪り悦ぶ。
 もはやそこには母性など欠片も存在せず、ただ悦楽の深き奈落に落ちた雌の性があるのみ。
 性欲の本能に堕ち果てた母に喰らわれ、少年は必死に理性に縋ろうと喘ぎ悶えた。


「ふあぁっ! ダメぇ……ダメだよかあさん! ぼく……またでちゃうよぉ」

「良いじゃない……んっ……こんなに気持ち良いんですもの、我慢しないでドンドン出しちゃいなさい」

「んぅぅ!?」


 レティの濡れた唇が妖しく誘う言葉を淫らに吐き出した刹那、彼女は腰を振りつつ上体をかがめて己の顔を息子に近寄せた。
 そして重なる唇と唇。
 少年、グリフィス・ロウランの産まれて初めての口付けが実母の手で奪われる。
 彼は突然のキスに、暴力的快楽に蹂躙されつつ驚愕を覚えた。
 セックスとキス、知識だけは知っていた、それが実の母により奪われ与えられ、形容し難い悦楽を身体に刻み込む。
 少年の中に構築されていた理性と言う名の骨格が溶けてしまうのに、それほど時間はかからなかった。
 舌と舌が絡まり合い、深い口付けが交わされる。
 つう、と唾液の糸を引かせて顔を離すと、レティは顔を陶酔で蕩かせた息子にそっと囁きかけた。


「初めてのキスはどう? 気持ち良かった?」

「……う、ん……」

「こんな気持ちの良い事、我慢なんてできないでしょ? お母さんコレが大好きなの。だから、ね? もっとたくさん気持ち良くなりましょ?」


 淫欲に狂った雌の囁き、夢魔の誘惑、これに逆らえる者などありはしない。
 全身を駆け巡る快楽に頬を紅潮させたレティの姿はあまりに淫蕩で背徳的だった。
 少年は母の言葉に、ただ静かに頷く。
 彼の返答、無言の了承を得て、レティはそのだらしない淫らな笑みをより一層濃くする。
323部隊長補佐の初体験:2008/12/10(水) 18:59:45 ID:l74g6urz
 そしてグリフィスの顔を自分の胸に抱き寄せて、そっと耳元に囁いた。


「じゃあもっと楽しみましょう。ほら、私のオッパイ吸って? 昔みたいに」


 熟れに熟れたるたわわな乳房の果実、その先端の桃色の肉豆を差し出され、グリフィスは母が請うままに口をつけた。
 口の中に含んだその少し硬い弾力性を持つ乳首を、少年は頬をすぼめて吸い上げ軽く歯を立てる。
 途端に、彼に跨っていた淫母は膣を締め、背をのけ反らせてよがった。


「ふあぁぁっ!! いい……すごくいいわぁ……わたしもうイっちゃいそうよ。
ねえ、グリフィスももうイきそうでしょ? んぅ! ほらぁ、はやくちょうだい、グリフィスのチンポミルクはやくママにちょうだぁい♪」


 乳房と膣に満ちる快楽刺激に、レティは完全に色欲の中に狂い果て、全力をあげて腰を振った。
 淫母は肉穴を締め、“早く精が欲しい”と肉棒を扱きあげる。
 二人とも既に快楽の大波は決壊寸前、決定的なその瞬間が訪れるまで、そう時間はかからなかった。
 幼い肉棒を雄を知り尽くした肉穴が何度か貪れば、少年は容易く絶頂のうちに果てた。


「うああぁぁっっ!!!」


 絶叫にも似た喘ぎと共に、子が親の中に己の種を注ぎこむ。
 熱い、それこそ身体の芯から焼け焦げてしまいそうな熱を孕んだ精がドクドクと流し込まれ、雌を満たす。
 その熱と肉棒の震え、そして実の子を犯すという背徳の果実は同時に母をも昇らせる。
 己の内側に撃ち込まれた少年の快楽に、レティの背筋から脳髄を絶頂の雷撃が駆け巡った。


「んふぅぅあっ!……しゅごぉ……チンポミルクあつくって……わたしもイちゃったぁ♪」


 快楽の奈落に堕ち、レティはそのまま身体を弛緩させてベッドの中に沈んだ。
 軽くスプリングを軋み、大きなベッドの上で親子の身体が重なり合う。
 両者共に瞳は恍惚に蕩け、正気の光は失っている。
 淫母は息子の四肢に己のソレを絡ませると、そっと顔を寄せて口付けた。
 舌で舌を貪り、唾液をたっぷりと交換する濃密な甘いキス。
 絶頂の余韻をより深くする愛撫を存分楽しむと、頬に舌を這わせながら唇を彼の耳に移す。
 そして小さな、だが確かに耳に届く声で妖しく囁いた。


「良かったわグリフィス……とぉっても気持ち良かった……“また今度”しましょうね?」


 母に、いや人にあるまじきあまりに蕩けた淫靡な誘惑。
 それはもはや淫魔以外の何者でもない背徳の囁きだった。
 恍惚に沈み行く思考の中、少年は言葉を紡ぐ事も出来ず、ただ静かに頷いた。


 母と子の睦み合い、背徳で異常な関係は今始まったばかりだった……



 終幕。
324ザ・シガー:2008/12/10(水) 19:08:52 ID:l74g6urz
投下終了。
オッパイで、メガネで、美熟女と美少年なターンでした〜。
いや、やっぱレティさんええわ、凄くええわ。
ここでレティさんのエロSS投下したのが俺しかいないのが信じられねえ、皆もっと書こうぜお姉さま達をよぉ。

あとアレね、グリフィスきゅんはこれで雌(おんな)の味に目覚めちゃうのね。
極上の淫母で経験地を稼いで成長し、最終的に鬼畜眼鏡に進化しちゃいますです、ハイ。
325名無しさん@ピンキー:2008/12/10(水) 20:01:28 ID:wDINejNm
鬼畜グリフィスの誕生はレティさんのせいだったのかー!
超GJすw

まあ、お姉様方も大変よろしいのですが、ヴィヴィオ編続編きぼんぬw
326名無しさん@ピンキー:2008/12/10(水) 20:05:01 ID:JXUsHXsZ
誰か、美由希やアリサ達普通の人々にもスポットライトを……
327野狗:2008/12/10(水) 21:08:01 ID:aJ6+s9IN
魔法少女リリカルなのはIrregularS 第八話です。(全十三話予定)

捏造まみれです。
SSX前提です。
あぼんはコテで


レス数16
328野狗:2008/12/10(水) 21:08:39 ID:aJ6+s9IN
      1

 スバルはじっとシミュレーション画面を見ていた。

「うん。やっぱりできるよ、これ」
「……そうか?」

 半信半疑のノーヴェ。

「確かにこれで見るとできそうだけどな……」
「ジュニアは可能だって言ってたよ」
「ジュニアは時々、理論が先走ってとんでもないこと言うからなぁ……」
「そうなの?」
「この前なんか、チンク姉のスティンガーをセッテのブーメランブレードみたいにしたら強いんじゃないか、って、試作品まで作ってたんだぞ」
「それで、どうなったの?」
「コントロールがうまくいかなくてオットーの首を落としかけて、ディードが激怒した。そもそも、大きすぎてランブルデトネイターが使えないってのに」
「……ジュニア、そんな大ボケかますんだ」
「時々な。あいつ、結構馬鹿だぞ。……ディエチには言うなよ。本気で怒るからな」

 一歩間違えたら、ノーヴェは自分がジュニアを生んでいたかも知れないのに。とスバルは思う。
 それを読みとったのか、ノーヴェが渋い顔になった。

「そもそも、あたしはドクターのクローンなんて欲しくなかったんだ。クアットロが勝手にやったんだから」

 スバルが難しい顔になるのを見て、今度は逆にノーヴェが尋ねる。

「どうした?」
「……ギン姉に入れられなくて良かったなと思って」
「ギンガに?」
「もしかすると、ジュニアってあたしの甥になってたかも?」
「いや、その辺は深く考えなくていいんじゃないかな」

 そういうものかな、と呟きながらスバルは遊撃隊宿舎前の広場に出る。

「とにかく、やってみようよ、ノーヴェ」
「仕方ねえな。無理だったらすぐに諦めるんだぞ」


 ――30分後

「できた」
「……結構うまくいくもんだな」
「じゃあ、この共同技の名前だけど」
「ああ、どうするんだ?」
「必殺グルグルアタック」
「却下! 大却下!」
「えー」
「そんなかっこわるい名前絶対嫌だからな!」



            魔法少女リリカルなのはIrregularS
                  第八話
            「トーレの敗北 セッテの勝利」
329野狗:2008/12/10(水) 21:09:12 ID:aJ6+s9IN
          2


 看守と呼ぶべきか、それとも監視人。あるいは、管理局が言うようにただ単に係員と呼べばいいのか。
 今となってはどうでもいいことだった。
 どう呼ぶにしろ、その男はすでに死んでいる。

「助けてくれ!」

 そんな義理などない。せめて「一緒に戦おう」と言われたのなら、少しは気持ちも動いたかも知れない。しかし、男のはそこまでの気概はなかった。
監視対象に無様にも助けを請うのが、男の最後の行動だった。
 そんな男など、トーレは助けようとは思わない。ましてや、助けてくれと言いつつ拘置室の鍵すら開けなかった男である。
 開けるつもりはあったのだろう。砲撃の直撃を受けるまでポケットを必死に探していたのだから。
 男の死を確認すると、トーレは無言でドアを蹴り破った。
 その気になればこの程度の力はある。
 建物の外に出てみると、惑星地表へ降りる連絡艇が残されていた。襲撃者の姿はどこにもない。
 降りてこいということか。トーレはそう判断すると連絡艇に乗り込んだ。
 地表に降りる前に連絡艇から飛び降りる。
 上空から見えるのは、戦闘機人の集団だ。それも、虫酸が走るほど統制のとれていない、まさに烏合の衆だ。

「こんなガラクタ連中を集めてどうするつもりだ」

(ガラクタ連中とは聞き捨てなりませんわ、トーレ姉様)
(クアットロか。やはり、生きていたのだな)
(あら、ばれちゃってました?)
(少なくとも、私にはな。ウーノとドクターもそうだろう)
(つまんない)
(で、何のようだ。まさか、私一人の身のためにこれだけのガラクタを集めたとは言うまいな)
(トーレ姉様を迎えに来たのですわ)
(今更、この私にお前の傘下に入れと言う気か)
(チンクちゃんたちみたいに、管理局の傘下に入るつもりもないのでしょう?)
(当然だ。私は管理局に負けたつもりなどない。フェイトお嬢様に負けただけだ)
(それはあまりよろしくないと、クアットロは思うんですぅ♪)

「ならば、どうする」

 トーレは落下の途中で止まり、声に出して尋ねた。

「……さすが、トーレ姉様」

 トーレの目前の空間が揺らめくと、クアットロの姿が出現する。
330野狗:2008/12/10(水) 21:09:49 ID:aJ6+s9IN
     3


「久しぶりだな、クアットロ」
「ええ。トーレ姉様。お久しぶりです」
「ドクターの指示ではないはずだが。何を考えている?」
「変節したドクターなど、ドクターではありませんわ」
「そうか。別のドクターを旗印にしたか」

 トーレの理解は早い。その早さに、クアットロの表情がやや曇る。

「何でもお見通しですのね、さすがはトーレ姉様」
「妹の考えることだからな」

 クアットロの笑みが消えた。

「そうやって、姉様ぶるのも、今日までですわ」

 無言でうなずくトーレに、クアットロはさらに言い募る。

「たかが個体の戦闘力ごとき、どれほど凌駕しようとも戦術なくてはただの無意味。それをさも重要な能力だと言い張り、
あげくにはAMF下で魔道師に敗れる凋落ぶり。本当に、役立たずな人!」

 トーレは何も言わない。
 ただ、クアットロを静かに見つめている。

 ……ドゥーエ。お前の言ったとおりになったな……

 トーレはかつて姉妹と交わした会話を思い出していた。
331名無しさん@ピンキー:2008/12/10(水) 21:09:51 ID:3eKprmKH
>>290
グッドエロス!
エリオの初めてを奪わなかっただけ、スバルにも良心があったと見るべきか
ティアにばれたら本当にやばいってのにこのわんこはもうw
しかし一夜の夢ではなかったと気づかせ、エリ→ティアの好感度を上げた功績はでかい
さてここにキャロはどうやってエリオと"仲良し"になるのかすごく楽しみ。GJ!
332野狗:2008/12/10(水) 21:10:23 ID:aJ6+s9IN
    4

「クアットロは誰にも従わないでしょうね」

 ドゥーエの言葉に、トーレは即座に言葉を返す。

「そうか。ドクターにすら従わないと言うのなら、処分するほかないが」
「トーレ。それは短絡に過ぎるわ」

 ウーノの言葉にトーレは眉をひそめる。

「これは、ウーノの言葉とも思えんな」

 三人の中では、最もスカリエッティの身の安全を願う長女である。

「クアットロは、故あればドクターにすら牙を剥く。ドゥーエはそう言っていると理解したが。ウーノはそれでいいのか?」
「ドゥーエがいる限り、ドゥーエがドクターに従っている限り、クアットロは造反などしないわ。そして、ドゥーエはドクターに造反などしない。違うかしら?」
「当然ね」

 ドゥーエはうなずいた。

「チンク以降の妹たちは、私たちと違ってドクターの因子を受け継いではいない。だから、場合によってはどうなるかわからない。
だけど、クアットロの場合はそれとは違うのよ」
「管理局に造反するドクターの意志。その部分が最も濃くクアットロには受け継がれている」
「だから、反抗はあの子の癖みたいなもの。大目に見るしかないのよ」
「ドゥーエは、クアットロには甘いわね」
「……妹ですもの」
「私の妹でもあるのよ」
「私もだ、ドゥーエ」
「ええ。それは、わかってる」
3331:2008/12/10(水) 21:10:55 ID:qMvHoBAW
>324
乙。

それ以上の言葉は不要と存じます。
334野狗:2008/12/10(水) 21:10:57 ID:aJ6+s9IN
      5

 そして今、トーレは静かに、クアットロを見つめていた。
 やがてクアットロの面罵が尽きた頃、静かに尋ねる。

「それで、お前は誰だ?」

 返事を待たず、トーレの質問は続く。

「私と話をしているのは確かにクアットロだ。だが、そこに立っているお前はクアットロではない。クアットロのホログラムをまとっているお前は誰だ」
「……やっぱり、トーレ姉様。いいわよ、ハーヴェストちゃん、後は任せるわ」

 クアットロの言葉と同時にその姿は消える。いや、クアットロのいた場所には別の戦闘機人の姿があった。

「はじめまして。トーレお姉さま。ラストナンバーズのハーヴェストと申します」
「ラストナンバーズ……?」
「ナンバーズ最後の二人。その内の一人になる予定です」
「やめた方がいい」
「はい?」
「クアットロと二人きりになるのに耐えられる者などそうはいない。そんなお人好しはディエチくらいだ」
「クアットロ様の悪口は許しませんよ」
「今のは、ディエチを褒めたつもりだが」

 トーレが突進するよりも早く、ハーヴェストは後退し、急速に降下していく。
 替わって上がってくるのはセッテタイプの群、ライナーズ。
 その動きを支援するかのように、ディエチタイプの援護砲撃が始まっている。
 ISを発動しようとして、トーレは背後の気配に気付いた。
 別の者が、地上の別の場所から上がってきたのだ。その地点には、次元移動用のプラットフォームがあったはず。つまりは、今ここを訪れた者がいる。
 考えるまでもなく、その気配には覚えがあった。
 振り向きもせず、トーレは言う。

「ディードか。見ての通り先客がいてな。お前の相手はしばらく無理だ」
「構いません」

 ディードは無造作にトーレの背後につく。

「よろしければ、応対を手伝いましょうか?」
「ふむ。そうだな、身内の気安さだ。頼もうか」
「はい」
「互いに、近接に特化した身だ。砲撃組を最初に潰すぞ」
「了解です」

 ISライドインパルス
 ISツインブレイズ

 二人は急降下をかける。
335野狗:2008/12/10(水) 21:11:30 ID:aJ6+s9IN
      6

 トーレとの通信を終えると、クアットロはモニターを覗き込んだ。
 そこには、部屋に閉じこめられているキャロとルーテシアが映っている。

「ルーお嬢様、御気分はいかがですか?」

 その声に気付いたのか、キャロが辺りを見回しクアットロの名を呼ぶ。

「ごめんなさい。そちらからの音声はカットしているから、何を言っているかわからないの」

 部屋に充満しているのは絶え間なく響くルーテシアの悲鳴、キャロの哀願の叫びだった。

「やめて止めて! お願い!! ルーちゃんが死んじゃう!!!」

 一糸纏わぬ姿で椅子に固定されたルーテシア。その頭に被せられた拘束具は目を覆っている。そして、その拘束具からは純粋な苦痛が送られているのだ。

「キャ……ロ……大丈夫……だか……ら」

 ルーテシアの言葉にクアットロは笑う。

「大丈夫なら、苦痛のレベルを上げましょうね」

 さらなる悲鳴が響いた。
 その瞬間、キャロはモニターをにらみつける。

「……聞こえてる……聞こえてるじゃない!!」

 返ってきたのは、クアットロの哄笑だった。
 笑うクアットロの肩を叩くローヴェン。

「まだ壊さないでよ」
「ルーお嬢様がこの程度で壊れるものですか」
「ま、百歩譲っても殺さないでよね。二人ともだよ」
「わかってますわ。あの二人の価値なんてヴォルテールと白天王の召喚主だってことくらいですから」

 クアットロがラボのモニターに目をやる。

「新しい召喚主が生まれるまでは、生かしておきますわよ」
「あと、ルーの転移魔法も忘れないでよ」
「そちらは、時間の問題ですわ」
「楽しみだね」
336野狗:2008/12/10(水) 21:12:04 ID:aJ6+s9IN
      7

 言いながらローヴェンはキャロとルーテシアのモニターを見る。

「それにしても、いい声だ。もう少し艶っぽくてもいいかな」
「それならぁ、エッチな拷問に切り替えます?」
「それもいいけど、それはエリオたちを倒してからの話だな。あいつの目の前でやってやろうよ」
「まずは手足を落として……」

 うっとりとクアットロは歌うようなメロディで言う。

「愛する者が嬲られるのを見せつけられて……」

 ローヴェンがそれに続いた。

「失意と絶望、憤怒にまみれて……」
「惨めに死んでいく……」
「ああ……」

 肉体的な愉悦を感じているかのように、クアットロの身体が微かに震えた。暖かな吐息が漏れ、震えた身体が弛緩する。

「素敵……」
「まったくだね」

 弛緩したクアットロの身体を受け止めるようにローヴェンは手をさしのべた。
 その手が、クアットロの背筋から腰へと降りていく。
 ふと、クアットロの手がモニターの音声レベルに触れる。
 響き渡るのは、ルーテシアの絶叫とキャロの哀願。

「最高のBGMだ。いい選択だよ、さすがだね、クアットロ」
「ありがとうございます、ドクター」

 ローヴェンの手がクアットロの表面をなぞるように、そして衣服を散らしていく。
 荒々しくテーブルの上に横たえ、ローヴェンは前戯なしに中へと突き入れた。クアットロは一瞬苦痛に表情を歪めるが、
苦痛を糧とする快楽がすぐに身体の中に広がっていく。
 荒々しい、交わるというよりも一方的な陵辱にすら感じられる交合に、クアットロは息を荒げ、ローヴェンの打ち付ける腰に身を委ねる。
 クアットロの喘ぎがルーテシアの悲鳴、キャロの叫びに重なる。
 狂った三重唱は、ローヴェンには天の調べと聴こえていた。
337野狗:2008/12/10(水) 21:12:39 ID:aJ6+s9IN
        8

 セッテはオットーの来訪を冷静に受け止めた。

「どうして私の所へ」

 オットーは正直に状況を話す。

「そう。だけど誰か来ようとも同じ。私はトーレに従う。管理局にも、貴方達にも従わない」
「そう言うと思っていた。だったら、これから一緒にトーレの所へ行こう。ディードが先に行っている」
「私はここから出てもいいの?」

 出られるのか、とは聞かない。その気になれば、出ること自体は難しくないのだから。

「許可は取る。いや、必要ないかも知れない」

 オットーが言い終えるよりも早く、拘置所が揺れた。

「何が起きているの?」
「攻撃を受けているのだと思う。多分、ディエチタイプの一斉砲撃」
「ディエチタイプ?」

 オットーが答えようとすると、拘置監視室からの連絡が入った。

「こ、攻撃を受け……」

 連絡が途絶え、すぐに別の声が。

「……セッテ? 聞こえる? 先ほどの攻撃で部屋のロックが開いているはずよ。私は監視室にいる。監視員は死んだわ。貴方は脱出しなさい」

 それは、同じ拘置所にいるウーノの声だった。

「ウーノ姉様は?」
「私は飛行できないから、一緒では貴方が逃げられない。いいから逃げなさい」
「ウーノ姉様。状況を」
「オットー? なら話が早いわ。例の敵がここに近づいています。機影は多数。セッテを連れて脱出しなさい」
「嫌だ」
「オットー、長姉である私の命令よ。逃げなさい」
「僕はもうナンバーズじゃないよ。僕は、管理局遊撃部隊に所属するオットー二等空士。ウーノ姉様は僕の姉だけど、命令は聞けない」
「セッテ、貴方なら聞いてくれるわね」
「命令には従います」
「それなら…」
「しかし、私に命令できるのはトーレだけです」
「二人とも、いい加減にしなさい」
338野狗:2008/12/10(水) 21:13:08 ID:aJ6+s9IN
         9

 セッテが無言でインターコムを殴りつけた。

「敵対する者がいるなら、排除する」
「賛成だ。行こう、セッテ」
「ウーノ姉様の話では、敵の陣営を知っているようですが?」
「君の偽物、ディエチの偽物、ノーヴェの偽物がいる」
「わかった」
「これ」

 オットーが差し出したのは四本のブーメランブレード。

「君が協力するならこれを渡せと、エリオが」

 セッテとオットーは地上との連絡艇格納庫へと走った。
 乗り込んだ二人はすぐに機動から離脱する。空戦可能空域にはいると、オートパイロットを拘置所へセット。セッテが最初に飛び出した。

 ISスローターアームズ

 外へ出ると同時にセッテは二本を投擲。一番近い群の先頭の二機をたたき落とす。
 オットーはライナーズの半分近くがガンナーズ、ディエチタイプを抱えてるのを確認した。その一斉砲撃が先ほど拘置所を襲ったのだろう。

「……あれが、私のコピー?」
「まがい物、劣化コピーといった方がいい」

 オットーは宙へと身を躍らせる。そして、次の光景に顔をしかめた。
 何の逡巡もなく、ライナーズがガンナーズを抱えていた手を離したのだ。落ちていくガンナーズ。この距離ではいくら戦闘機人でも助からない。
確かに、これでライナーズは空戦が可能になる。しかし……
 オットーの逡巡を余所に、セッテはすでに戦闘を開始していた。
 ライナーズ、セッテタイプが構えたブーメランブレードは、投擲する前に次々とへし折られていく。セッテの両腕はブーメランブレードを投擲し、
それが返ってくる前に次の二つを投擲する。事実上、四本同時の投擲と替わらないのだ。
 それをかいくぐった者には、すぐに自分を取り戻したオットーのレイストームが唸る。
 総崩れになって地表へ逃げるライナーズを追うと、敵の戦術が変わった。
 地上に残されていたガンナーズの砲撃をメインに、数の減ったライナーズが周囲を囲む。
そして、地上から最短距離で上がってくるのはノーヴェタイプであるクローラーズ。
 砲撃で動きを封じて、包囲を縮めていくつもりだろうか。

「私が包囲を破る」
「僕は中から潰していく」
339野狗:2008/12/10(水) 21:13:39 ID:aJ6+s9IN
       10

 セッテはブレードを投擲すると、それに併走するように飛ぶ。
 手持ちのブレードで障害物を叩き伏せ、両脇を高速回転で飛ぶブレードが障害物を切り裂く。
 包囲を抜け、振り向くと手持ちのブレードを再び内側へと投擲し、ここまで併走してきたブレードを掴む。
 包囲を崩され、セッテに向いたライナーズの背後をレイストームが叩く。そのオットーの視線は前に向いたまま、右腕だけが背後に向けられている。
その顔は、セッテの方には向けられない。
 すかさず、クローラーズの矛先がオットーへと向く。しかし、ライナーズに撃ち込まれたレイストームの光条はそのまま軌道を変え、
クローラーズの上昇を待ち受けていたかのようにオットーの足下に展開する。
 一瞬たじろいで行き先を変えようとしたクローラーズを、先ほど投擲されたブーメランブレードが襲った。予想外の方向からの攻撃に打ち砕かれるクローラーズ。
 セッテを追ったライナーズを狙ったのはオットー。そして、オットーを狙ったクローラーズを襲ったのはセッテ。襲撃者は反撃を受けたわけではない。
自ら、仕掛けられた罠に飛びこんだのだ。

「セッテ、僕は地上の砲撃班を叩く」

 返事を待たず、オットーはその場でひっくり返った。頭を下に、自由落下にさらなる加速をつけて降下していく。
 通りすがりのレイストームが、クローラーズを砕く。
 コピーである限り、いや、基本的な戦術のない相手など、どれだけのパワーやISがあろうとも敵ではない。
 ガンナーズの砲撃を潜り抜け降下していくと、その横をセッテがさらなる高速で通り越していく。

「セッテ?」
「高速機動による一気殲滅は、私の方が上手だ。オットーは追撃を落とせ」

 通りすがりにそれだけを言うと、セッテはさらに速度を上げた。それでもガンナーズの砲撃を避け、地上寸前で直角に近い急転回、
そのまま地面と平行の状態でガンナーズに近づき、ブレードを振るう。
 オリジナルのディエチと違ってジュニアの改良したイノーメスカノンを持たないコピーには、接近戦の武装はない。
セッテにとってはかごの中の鶏を撃っているようなものだった。
 一方オットーはセッテに抜かれた位置で滞空し、降下してくるクローラーズ、ライナーズに向かってレイストームを突き上げる。
 コピーによるブレード投擲は全てレイストームに弾かれ、クローラーズのエアライナーも破壊されていく。

 ……オリジナルのブーメランブレードやエアライナーなら、こんなに簡単にはいかないんだろうな……

 勝利の興奮よりも、コピー部隊への虚しさだけがオットーの胸に募る。

 ……正面からの戦いなら、きっと管理局の普通の部隊にも負けてしまだろうな……

 コピー部隊の存在意義とは何なのだろうか。本当に、数だけで勝負するための、消耗部隊なのだろうか。
 少なくとも、ドクターは自分たちをそう考えていなかった。失ってもいい手駒だとは考えていたかも知れない。
だけど、少なくとも個性を殺した量産化には着手していなかった。それは時間の問題だったのかも知れない。だけど、少なくとも実行はしていなかった。
 少なくとも……
 オットーは機械的にレイストームを打ち続けた。次々と落ちていくライナーズ、クローラーズ。

「終わった」

 横にセッテが並んで、ようやくオットーは思いを中断する。
340野狗:2008/12/10(水) 21:14:11 ID:aJ6+s9IN
         11

「ウーノ姉様を迎えに行く」

 拘置所へ向かうまでもなく、連絡艇が降下してきていた。
 二人はそれをエスコートにするように並び、一緒に着地する。
 降りてきたのは、当然のようにウーノだった。

「姉様、ご無事で」
「まさか、妹二人に直接反抗されるとは思ってなかったわ」
「僕とセッテはこのままトーレ姉様の所へ行きます。ウーノ姉様はどうするの?」
「このままここにいてもいいけれど、下手すると島流しのままね。体よく忘れられてしまうかも知れないわ」
「隊長なら、保護してくれると思いますが」
「プロジェクトFの残滓に保護を求めろ、と?」

 ウーノは言って、すぐに首を振った。

「ごめんなさい。貴方にとっては、隊長ね」
「管理局へ出頭するのなら、相手を選んでください。ハラオウン提督かナカジマ特佐なら、悪いようにはしないと思います」
「可能なら、このままドクターの所へ行きたいのだけれどね」
「それは、許されないでしょう」
「貴方はディードと毎日会えるのに?」

 オットーは言葉に詰まる。

「管理局に尻尾を振った甲斐はあったようですね、オットー」
「そうだね」

 しかし、オットーはセッテの言葉に答えた。

「それだけの価値がある。僕にとってのディードには、それだけの価値がある」

 セッテがブレードを構えるように持ち上げる。と、ウーノが二人の間に入り、オットーの頭を抱いた。

「また、ごめんなさいを言わないとね」
「姉様?」
「私もセッテも、貴方とディードに嫉妬しているだけ。ドクターやトーレに会うことができないから」

 セッテはブレードを降ろすと、その言葉を否定するように小さく首を振る。その様子に、ウーノは優しく笑った。

「セッテ。オットーと一緒にトーレの所へ行きなさい」

341野狗:2008/12/10(水) 21:14:45 ID:aJ6+s9IN
       12

 ディードは内心舌を巻いていた。
 模擬戦の経験はある。トーレの強さも知っていた。いや、知っているつもりだった。
 しかし、これほどとは……
 ディードの出る幕などなく、ガンナーズ、ライナーズ、クローラーズが粉砕されていく。まさに鎧袖一触の勢いだった。
 トーレのISライドインパルス相手に、攻撃どころか守勢一方、いや、防御の動きですらついていくことができないのだ。

「少し、実戦の勘が鈍ったかもしれん。やはり、実戦に勝る訓練はないな」

 残存兵力をまとめる敵陣営を眺めながら、トーレはディードに語りかけていた。

「それで、他の者の調子はどうなのだ。チンクやノーヴェは?」
「皆、元気です。チンク姉様は、私たちの小隊長として実戦指揮を執ることが多いですね。ノーヴェは相変わらずですが、元気にやっています」
「そうか。今の部隊とは、水が合っているのだな」
「元ナンバーズが全員所属している部隊ですから、部隊指揮という意味では以前とあまり変わりがないのでしょう」
「元気にやっているのならそれでいい。指揮官が替われば、戦う相手も替わる。それは仕方のないことだろう」

 それに……、とトーレは続ける。

「あいつらは私と違って、戦い以外のことも多く知っている。私と同じ道など歩むことはないのだ」
「セッテも……ですか?」
「そうだな」

 トーレはあっさりと答えた。

「セッテは私よりもお前やオットーに近いはずだ。教育担当者が私だったのが、あいつの不運かもしれんな」
「そうでしょうか?」

 トーレがディードの問いに答えるより早く、二人は咄嗟にその場からそれぞれ別方向へ散った。
 二人のいた空間を薙ぐように通過する光条。

「レイストーム?」

 その発射源をディードは見た。懐かしい、ナンバーズのボディスーツに身を包んだ姿。
 ハーヴェストが、無造作に立っていた。
 トーレがディードの前に出る。

「ディード。下がって、オットーとセッテを待て」
「トーレ姉様?」
「生涯一度ぐらい、妹を守って戦うのもいいだろう」

 不吉な物言いに眉をひそめるディード。しかし、トーレは半ば無理矢理にディードを下がらせてしまう。

「一対一の必要はありませんよ?」

 ハーヴェストが両腕を左右へ伸ばす。

 ISレイブレイズ
342野狗:2008/12/10(水) 21:15:15 ID:aJ6+s9IN
         13    

 右手首から派生した光条が弧を描き、ハーヴェストの頭上を越えて左手へと吸い込まれていく。そのまま光条は消えず、弧の形をした力場が残された。

「レイブレイズ、アークモード」

 膨れあがる弧はきっかり半円の形を保って回転し始める。半円の弧は次第に、伸ばした両腕を直径とする球の外殻へ。
 球形に注意を奪われるトーレを見計らっていたかのように、クローラーズの一人が背後から襲う。
 が、逆にそれを待っていたかのようにトーレがインパルスブレードをたたき込む。さらにその身体を、その突進力を利用してハーヴェストへと投げつける。
 高速回転する光条に触れた、と見た瞬間、クローラーズの身体は切り刻まれ四散する。
 高速回転の刃に包まれた球体が少しずつ、動き始めていた。
 球体形態による突撃。トーレはハーヴェストの技をそう判断した。
 確かに、巻き込まれれば無事では済まないだろう。それは今のクローラーズを見れば一目瞭然だ。
 逆に考えれば、近づかなければどうと言うことはない。しかし近づかなければ、球体を解除して光条の力場を撃ち込んでくるだけのことだろう。
 トーレは下がる。すると案の定、光条が撃ち込まれてきた。
 紙一重で避ける。そしてアークモードに入る前に懐へ飛び込んでインパルスブレードを展開させる。それで終わり、のはずだった。

 ISライドインパルス

 動き出す瞬前、右脇腹に激痛。それは切り裂かれるダメージだと身体が覚えているものだ。
 やり過ごしたはずの光条がまるでエアライナーのように実体化し、長大な刃となってトーレの脇腹に食い込んでいる。
 致命的なダメージではない。致命的なものとなる一歩手前、紙一重のところで刃は止められていた。
 ディードのツインブレイズに。

「……なるほど、レイストームとは違うようだな」

 レイストームとエアライナーの性質を併せ持ったISだろうか。

「レイストームと同じと言った覚えはありません」
「そうだな」

 トーレがディードを突き飛ばすように飛んだ。
 ディードの制止も無視するように、全速でハーヴェストへと向かう。
 光条の一撃をかわし、二撃、三撃。ハーヴェストは四撃目を出さずにアークモードから球状の力場を作る。
 トーレの狙い通りだった。
 最初の球状力場でトーレは確かに見た。アークモードの回転軸が両腕であることを。つまり両腕自体は動いていない、そして力場に守られていないのだ。
 ……外側から両腕の軸を狙えば、刃の高速回転は止まる。
 止めてしまえば、懐に入った側の勝ちだ。脇腹の痛みなど、今は問題ではない。
 ハーヴェストは動かない。トーレから近づくのならばそれを迎え撃つ体勢だ。その力場の形状を考えるのならば、それを最高の手とするはずだった。
 トーレが球体に接近した。その右腕のインパルスブレードが立ち上がり、唯一回転しない手を狙う。

「お馬鹿さん…」
「!?」

 呟きを聞いたトーレの動きはすでに止まらない。
 回転軸が動いた。いや、両腕は回転軸などではなかった。両腕の位置にかかわらず、刃の力場は回転を続けるのだ。長さを変え、角度を変え、
刃自体の形状を変化させながら高速回転は続く。
 そして、ハーヴェストが動いた。トーレを回転に巻き込む方向に。
 金属を、肉を切り裂く嫌な音が辺りに響いた。
343野狗:2008/12/10(水) 21:15:48 ID:aJ6+s9IN
      14


 セッテが状況を把握するのに二秒。戦場ならば命を落とすに充分な遅延だ、とトーレに指摘されていただろう。
 しかし、セッテは理解してしまった。もう二度と、トーレに注意されることも、訓練を受けることもないであろうことを。
 血飛沫を上げて宙に舞うトーレの姿を、セッテは目の当たりにしていた。
 オットーの言葉など耳に入らない。ディードの姿も見えなかった。
 ただ、セッテは飛んだ。一直線に。トーレへと。
 その身体を抱き留め、一歩でも遠く、一瞬でも早くその場から離れようとする。

「……セッテ?」
「黙っていてください。安全なところまで運びます」
「……そんなものはない」
「お願いです、黙っていてください」
「……やめ」
「トーレは黙って!!」

 トーレは見た。セッテの頬に流れているものを。
 そして、何故か自分の頬が緩むのを感じていた。

 ……ああ、セッテ。お前はやはり、私よりももっとディードたちに近いのだな……私は、お前の心を殺してしまっていたのだな……

「……済まなかったな、セッテ」
「お願いです……トーレ……黙ってください。それ以上……喋らないで」
「いいんだ。もう……」
「嫌!!」

 トーレは、セッテの手に力が込められているのを感じた。何故、こんなに温かいのだろう。ただの手のはずなのに。ただの、戦闘機人の手のはずなのに。
どうして、これほど温かいんだろう……

「トーレは、死にません。私が守ります」
「心強いな……」
「だから、今は休んでいてください」
「セッテ……」
「はい」
「もし私が負けても、お前が勝てばいい。お前が勝てば、それは私たちの勝利だ」
「トーレは負けません」
「負けただろう、フェイトお嬢様に」
「再び戦えば勝ちます」
「そうか。そうだな……。勝てるな」
「はい」
「お前が、ディードやチンクたちと手を取れば、負けることなどあり得ない」
「私が手を取るのはトーレだけです」
「駄目だ。これは、私からの最後の教育だ。姉妹と手を取り合うことを考えろ。考えたうえで別れるのはお前の自由だ」
「トーレ、私は……」
344野狗:2008/12/10(水) 21:16:20 ID:aJ6+s9IN
       15

 セッテは言を止めた。突然、トーレの身体が軽くなったと感じたのだ。

「トーレ?」

 トーレの身体から何かが抜けた。なにか、大事なものが。目には見えないが、トーレを為す大事なものが。

「トーレ!」

 立ち止まったしまうセッテ。
 その両脇にディードとオットーがつくと、強引に引きずるようにして飛び始める。
 面白そうに見ていたハーヴェストがそこで動いた。

「ディード。セッテ姉様とトーレ姉様を」
「オットー、あんなの相手に一人で行くなんて考えないで」
「言ったはずだよ。僕は、ディードを守る」
「二人なら、勝ち目があるかも知れないのよ」
「僕はあの人を倒すためには戦わない」

 オットーの唇が、ディードの額に触れた。

「ディードを無事逃がせば、僕の勝ちだ」

 オットーがディードを突き飛ばす。

 ISレイストーム
 プリズナーボックス発現

 ディードとセッテが結界の中に封じ込められる。そしてその結界の中には一つの施設も一緒に封じられていた。次元移動用のプラットフォームである。

「早く逃げて。僕が保っている間に」
「オットー!」
「僕も、トーレ姉様と同じだよ。ディードが勝てば、それは僕たちの勝利だ。だから、いずれあの人を倒して欲しい。それは、今じゃなくても……」

 光条がオットーの腹部を貫く。

「……いいんだ……」
「オットー!!」

 オットーは振り向き、両手を掲げた。
 レイストームの光条が放たれるが、ハーヴェストの光条にあっさりとたたき落とされ、あるいは消失されられていく。

「ごめん、ディード。早く行って。長くは保たない……」

 レイストームを放つたびに打ち消され、攻撃しているはずのオットー自身が消耗していく。
 そしてその合間にオットーの身体を貫く幾多もの光条。
 がくんと尻餅をつくオットー。すでに両足は膝から先が消えている。
 即座に殺してディードたちを追う、その発想はハーヴェストにはなかった。いや、その必要がないのだ。
 どのナンバーズであろうと勝つ。それはハーヴェストの自信ではない。ハーヴェストにとっての単なる事実だった。
 だから、無理に追いかける必要はない。自分の邪魔をした者を嬲り殺しにする。無様に命乞いをさせることができればこれに勝る喜びはない。
それがハーヴェストの、いや、ローヴェンの、クアットロの、思想なのだ。
 そしてそれを、オットーも望んでいた。
 時間がかかればかかるだけ、ディードたちは容易く逃げられるのだから。
 だから、オットーは微笑んでいた。
 見る者がいれば気付いただろう。それは、トーレの最後の微笑みにそっくりだったと。
345野狗:2008/12/10(水) 21:17:01 ID:aJ6+s9IN
     16

  次回予告



ジュニア「世界は、思ったよりも簡単に崩壊していく。広がるパニック、燃えさかる街、泣き叫ぶ人々」
スバル「必ず止めてみせる」
ノーヴェ「全力を尽くして」
チンク「思うままにはさせない」
ディエチ「あたしたちは進む」
ディード「オットーの力も」
セイン「ウェンディの力も」
ヴィヴィオ「皆の力を集めて」
エリオ「決着をつける」
ジ「次回、魔法少女リリカルなのはIrregularS 第九話『ガラスの人形が砕けるように』 僕たちは進む。IRREGULARS ASSEMBLE!」
346野狗:2008/12/10(水) 21:17:38 ID:aJ6+s9IN
以上です。
お粗末様でした。
347名無しさん@ピンキー:2008/12/10(水) 21:22:23 ID:qMvHoBAW
乙。
リロードせず割り込んでご免なさい。
348名無しさん@ピンキー:2008/12/10(水) 21:24:18 ID:y76mWzfh
>>アルカディア氏

GJ。ヴァイスが今後どうなるのかに超期待
度胸一発、下克上となるのか。クアットロに飼い慣らされてしまうのか・・・下克上しても、結局最後に笑うのはクアットロですね・・・
ティアナもけっぱれ、超けっぱれ。続きも楽しみにしてます

>>シガー氏
これは良いレティ提督
キャラの露出が少ない所為で(設定的な意味で)、イマイチ描きにくいんですよね
単にメガネ装備のお堅いオンナ。ってだけじゃオーリスと被るし。GJでした
>実の親子が仲良くセッ○クスとかするので、そういうの駄目な人は静かに目を閉じて震えて眠ってください、大丈夫な人は目を血走らせて魅入ってください
兄弟、ソコは伏せようぜw

しかし、シガー氏発端のグリフィス鬼畜眼鏡キャラはすっかり定着しちまってるぜ・・・これは、白グリフィスで中和しなくてはならないか?
しなくても良いような気がするけれど

>>野狗氏
GJ、オットーまでも、ついに殉職・・・
しかし、オットー敗北→命乞い→助けるつもりは毛頭無い強姦、という展開が即座に浮かんだ私は間違いなくエロパロ脳。吊ってきます


投下ラッシュではあったが、ちょっと割り込みが多いぜ兄弟
今一度、書き込む前にはリロード、という初心を思い出そうぜ

349名無しさん@ピンキー:2008/12/10(水) 22:12:54 ID:G5yQ2syJ
>>346GJ
オットーが死んじゃったか……これはエリオが凹みそうだ

>「必殺グルグルアタック」
私は一向にかまわんッッッ!!!
350名無しさん@ピンキー:2008/12/10(水) 23:22:08 ID:UVe+2nJa
>>349
塩漬けに腕なり足なり齧られてろwwww
351名無しさん@ピンキー:2008/12/10(水) 23:43:19 ID:3eKprmKH
>>346
GJ!!そして今更割り込みに気づきました。
すみませんorz

トーレとオットー、二人の死が重すぎる
二人とも本当に姉妹思いだったと今更ながら感じた
そしてエリオは戦いの前に全てを助けると誓ったばかりなのに
もうこれ以上犠牲は出さず、キャロとルーテシア二人とも救ってほしい
352名無しさん@ピンキー:2008/12/10(水) 23:56:33 ID:i9S+VV9j
>>346
GJ!
ああ…またウェンディに続いて優しき戦士が命を落としてしまったのか…
そして初期の頃はローヴェンも味方になるのかと予想していましたが、もう完全に許せる対象じゃないですね。
何が何でも裁きに身を焼かれるべきだと小一時間。
そしてルーテシアがあれだけの苦痛を味わっても報われないというのがまた悲しすぎます。
もうエリオの愛人で構わないので彼女も幸せに…
353名無しさん@ピンキー:2008/12/11(木) 07:43:10 ID:d5sD7EWB
>>290
GJ。
本編と繋がりすぎてる所がまたすげえ
これで強化フェイクシルエットと紫電一閃が生まれたのかと思わず納得
エロもスバルの攻めというのがたまらない
エリオの感じる様にハアハアしてしまった
354名無しさん@ピンキー:2008/12/11(木) 12:44:29 ID:tj0U0Jqh
なのはヲタキモイなのはヲタキモイなのはヲタキモイなのはヲタキモイなのはヲタキモイ
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355名無しさん@ピンキー:2008/12/11(木) 12:45:22 ID:tj0U0Jqh
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356名無しさん@ピンキー:2008/12/11(木) 12:46:22 ID:tj0U0Jqh
なのはヲタキモイなのはヲタキモイなのはヲタキモイなのはヲタキモイなのはヲタキモイ
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357名無しさん@ピンキー:2008/12/11(木) 12:46:40 ID:bHV4PhP6
>>326
ついでに振動拳もこっちの方向で編み出すんですね

「振動破砕をちょっと応用してみたんだ(ヴヴヴヴ)」
「────!? そんな握ったままISとかアーッ!!」
358名無しさん@ピンキー:2008/12/11(木) 12:47:23 ID:tj0U0Jqh
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359名無しさん@ピンキー:2008/12/11(木) 12:48:11 ID:tj0U0Jqh
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360名無しさん@ピンキー:2008/12/11(木) 12:49:12 ID:tj0U0Jqh
なのはヲタキモイなのはヲタキモイなのはヲタキモイなのはヲタキモイなのはヲタキモイ
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361名無しさん@ピンキー:2008/12/11(木) 12:50:18 ID:tj0U0Jqh
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362名無しさん@ピンキー:2008/12/11(木) 12:51:31 ID:tj0U0Jqh
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364名無しさん@ピンキー:2008/12/11(木) 12:53:33 ID:tj0U0Jqh
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365名無しさん@ピンキー:2008/12/11(木) 12:54:32 ID:tj0U0Jqh
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366名無しさん@ピンキー:2008/12/11(木) 12:55:31 ID:tj0U0Jqh
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367名無しさん@ピンキー:2008/12/11(木) 12:56:26 ID:tj0U0Jqh
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368名無しさん@ピンキー:2008/12/11(木) 12:57:30 ID:tj0U0Jqh
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369名無しさん@ピンキー:2008/12/11(木) 12:57:48 ID:YNVGROWL
>>357
それだと振動拳にやられたナンバーズがかわいそうだww
370名無しさん@ピンキー:2008/12/11(木) 12:58:31 ID:tj0U0Jqh
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371名無しさん@ピンキー:2008/12/11(木) 12:59:30 ID:tj0U0Jqh
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372名無しさん@ピンキー:2008/12/11(木) 13:00:33 ID:tj0U0Jqh
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373名無しさん@ピンキー:2008/12/11(木) 13:01:31 ID:tj0U0Jqh
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374名無しさん@ピンキー:2008/12/11(木) 13:02:29 ID:tj0U0Jqh
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375名無しさん@ピンキー:2008/12/11(木) 13:03:29 ID:tj0U0Jqh
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377名無しさん@ピンキー:2008/12/11(木) 13:05:32 ID:tj0U0Jqh
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378名無しさん@ピンキー:2008/12/11(木) 13:06:35 ID:tj0U0Jqh
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379名無しさん@ピンキー:2008/12/11(木) 13:07:28 ID:tj0U0Jqh
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382名無しさん@ピンキー:2008/12/11(木) 13:10:34 ID:tj0U0Jqh
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383名無しさん@ピンキー:2008/12/11(木) 13:11:31 ID:tj0U0Jqh
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384名無しさん@ピンキー:2008/12/11(木) 13:12:30 ID:tj0U0Jqh
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385名無しさん@ピンキー:2008/12/11(木) 13:13:34 ID:tj0U0Jqh
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386名無しさん@ピンキー:2008/12/11(木) 13:14:33 ID:tj0U0Jqh
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387名無しさん@ピンキー:2008/12/11(木) 13:14:58 ID:6pct6lrZ
   ____________
       <○√  <うおおおおおお!!
        ‖      なのはさん最高ーーーー!!!
        くく 
388名無しさん@ピンキー:2008/12/11(木) 13:15:37 ID:tj0U0Jqh
なのはヲタキモイなのはヲタキモイなのはヲタキモイなのはヲタキモイなのはヲタキモイ
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389名無しさん@ピンキー:2008/12/11(木) 13:16:30 ID:tj0U0Jqh
なのはヲタキモイなのはヲタキモイなのはヲタキモイなのはヲタキモイなのはヲタキモイ
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390名無しさん@ピンキー:2008/12/11(木) 13:17:30 ID:tj0U0Jqh
なのはヲタキモイなのはヲタキモイなのはヲタキモイなのはヲタキモイなのはヲタキモイ
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391名無しさん@ピンキー:2008/12/11(木) 13:18:28 ID:tj0U0Jqh
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392名無しさん@ピンキー
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