男主スレとの合併話がありましたが
反対が多かったので、とりあえず女主限定のまま立てました。
ちなみに現在男主スレは立っていません。
>>1 家庭教師「これはこれは立派な乙ですね。お嬢様」
即死防止
投下します。
お城を舞台にした絵本チックな話。AAの会話系SSのように顔文字が出てきます。
NGはタイトルの『エリカと秘密の城』でお願いします。
エリカは不安げに部屋の中を見回した。
高価な調度品で飾られた部屋は掃除も行き届いて清潔だが、人の出入りが少ないためか空気が冷たく停滞していた。
(:○_ゝ-) 「お嬢様、こちらの部屋はお気に召しませんか?」
エリカの浮かない顔色に目ざとく気付き、片眼鏡の男が声を掛けた。
エリカは慌てて首を左右に振る。
ルイ・д・リ 「ううん。エリカこのお部屋好き…」
子供ながらに謙虚な嘘をつき、エリカはベビードールのドレスの裾を小さく握った。
両親と離れて暮らすのは心細く寂しいが、我が侭を言っても両親の元へ行ける訳ではない。
ここで良い子にしていれば、きっとまた両親が迎えに来てくれるはずだとエリカは信じた。
ルイ・_・リ 「あの…執事さん」
(:○_ゝ-) 「はい」
ルイ・◇・リ 「パパやママといつぐらいに会えるかな」
(:○_ゝ-) 「…」
(:○_ゝ-) 「旦那様も奥様もお仕事でお忙しいですから…まだ先になられるかと」
ルイ゜д゜リ
ルイ´д`リ 「…そう…」
部屋に一人残ると、がらんとした空間に広がるよそよそしさが身に染み、エリカの孤独感を強く煽った。
ルイ∩д∩リ 「う…う…ママ…さみしいよう…会いたいよ」
(:○_ゝ-) (…困りましたね)
朝靄が森を白く包んだ。
日の出前の藍色の空の下、石碑は黒い影となって林立する。
墓地の隣にそびえるこの城は未だ寝静まり、凍り付いた湖のような静寂と冷気に満ちていた。
:ルイ´д`リ: 「寒いよう…」
城の廊下。小さな人影がぽつりとある。
バルーンキャミソールの寝間着姿のエリカは、おぼつかない足取りで薄暗い廊下を歩いていた。
早朝用を足しに目覚め、寝ぼけ眼で近場のトイレに辿り着いたはいいが、その後部屋に戻れず迷子になったのだ。
:ルイ´д`リ: 「エリカのお部屋…どこ?」
頭に付けたバブーシュカすら湿気で重みを増した気がする。
一刻も早く自室の温かなベッドに潜りたい。
見覚えのあるドアはないかと、エリカは辺りを見回した。
ルイ・A・リζ 「!」
ルイ・_・リ 「…?何かな…あれ」
エリカは突き当たりの廊下の角に目を止めた。
その片隅に落ちる影だけが周囲より一段と暗い。
真っ黒な影がうずたかく固まり、厚みを持っていた。
エリカはその影に歩み寄る。
○
大 テコテコ…
あと一歩踏み出せば、伸ばした手が影に触れるかと思われた瞬間、突如影は揺らいだ。
(ΦwΦ)
影の中、真っ赤な二つの目玉が爛と見開かれた。
ルイ;゜х゜リ
深紅に射竦められエリカは息を飲む。
瞳は猫のように縦に細く、闇を割く光源となって影に浮かんでいる。
しかし、エリカと瞳が見つめ合ったのはほんの一瞬だった。
赤い瞳の影は一個の生物のように収縮すると、風の速さでエリカの脇をすり抜けた。
ε⌒γ⌒γ⌒● ビョンビョン
反射的に姿を追って振り向くエリカの目に、尖った三角の耳の残像が刻まれる。
あっという間に影は廊下の向こうへと消え、エリカ一人だけが廊下に残された。
ルイ゜д゜リ 「…」
ルイ・д・リ (…今の、何だったのかな…)
静寂の戻った長い廊下に光が広がる。
窓から温かな朝日が差し込み、冷えきった体を優しく照らした。
呆然と影を見送っていたエリカだが、廊下の正面にあるドアに気付いて声を上げた。
ルイ・∀・リ 「エリカのお部屋!」
エリカは笑顔で自室へと駆け出した。
この城には、何かが潜んでいる。
――つづく
投下以上です。
ホントに絵本ぽい。AAで新機軸開拓なのかな。これはこれで新鮮。
続きおまちしてます。投下乙。
>1
新スレも乙
姫パンツやアリスと家庭教師書いた人のSS大好きだったんだけど
またできたら書いて欲しいです。
連投スマソ
>>14乙!
続きすごく楽しみです。自分はこういうヒロインが好きだ
すごい。
顔文字嫌いなのにこれは自然に読めた。面白かった。
続きでも新作でもいいのでもっと読みたいです。
GJです!
面白いし可愛い
続きが読みたいです
前スレの村上さんの心中とかアリスとエドガーも気になるし、同作者さんの
顔に傷を負った家庭教師の話もまた読みたいです
ちょいお尋ねしますがこのスレではお嬢様にその場限りの金で雇われた男、なんかも主従として扱ってくれますかね?
もっと格調が要りますか?
私は、忠義というか忠誠心らしきものが存在すればいいと思います
>>20 どんな形であれ主従ならおk。
金の切れ目が縁の切れ目みたいな関係も主従の一形態だと思う。
投下待ってます。
お嬢様と家庭教師で前編投下します。
NGは名前欄の「アリスのハロウィン」でお願いします。
板型のチョコレートのような扉を、家庭教師の白い手袋が硬い音を立ててノックする。
「アリス様、授業を始めます」
エドガーが勉強部屋の内開きのドアを開けた時、机の前に居るはずの少女が消えていた。
エドガーは眼鏡の奥の瞳だけを巡らせざっと部屋を見渡した。
温かみのあるヘイゼルを基調としたこの部屋は屋敷の中では珍しくちんまりとしている。
目立つ家具はアンティークの横長の机と二脚の椅子、壁際の本棚と小さなチェストが一つずつ。
部屋で身を隠せる場所はただ一つだけ…
ドアの影からふいに可憐な声が弾けた。
「トリックオアトリート!」
声と共に戸板裏の死角から白い人影がぴょこんと飛び出す。
真っ白なコットンのシーツをすっぽり被ったゴーストは、両手を突き出しわさわさと動かした。
「昨日の生物の復習から始めますから、教本の170ページを開いて下さい」
エドガーは欠片程の動揺もなく無表情のままドアを閉め机へ向かった。
「トリックオアトリート」
そう明るく歌い上げながらわさわさとゴーストが後を追う。
「教本を開くように」
テーブルに幾つかの資料を広げると、エドガーは肘掛け付きのチェアに腰を降ろした。
「トリックオアトリート」わさわさ
エドガーは真横でうごめくシーツに水平に手刀を放った。
「トリックオうぎぇっ!!」
喉元の位置に一閃を受け、中の人から潰れたような悲鳴が上がる。
「教本の170ページを」
エドガーは鉄面皮のまま再度警告をした。
「ケホゲホッ…痛い〜先生ひどい…」
シーツが内側からずるずると捲り上げられ、金髪のショートカットが露になった。
「ああ、アリス様でしたか。てっきり不審者かと」
興味無さそうに嫌味を言うエドガーにアリスの頬がぷくっとむくれる。
(前はもうちょっと手加減してくれたのにー!)
不満気に尖らせた唇はほんのりとストロベリーに色付き、まだ初々しいが十分に女の子としての魅力を持っている。
大きな瞳と小さな鼻口が絶妙に配置された顔はかなりキュートで、それなりに美少女に成長したアリスである。
しかし、アリスがすくすくと大きくなるにつれ、エドガーの折檻から手加減が消えてきた。
壮年のエドガー、健康体の若者には容赦無し。
(だけど…大きくなった今だからこそできる事があるんだもん)
シーツにくるまりムフフと含み笑いし、アリスはエドガーの椅子に擦り寄った。
「ねえ先生、ハロウィンなんだし今日はお勉強お休みしようよ」
「却下します」
「えー、季節の行事を楽しむことも立派な教育だと思うなぁ」
エドガーの神経質そうな細い眉がピクンと跳ねる。
アリスがこういう胡散臭い言い回しをする時は、大抵エドガーを貶めるために何か作戦を練っているのだ。
ハロウィンにかこつけて何かやらかす気か。エドガーはやれやれと軽く天井を仰いだ。
アリスはそんなエドガーの様子に気付かずに、シーツ内で何かをゴソゴソ漁る。
取り出した黒いカチューシャを頭にチョイッと付け、体を覆うシーツをパラリと落とした。
「ハロウィンだから仮装しました!」
じゃーん!
隠されていたアリスの体がお披露目された。
セクシーな黒いビスチェに、紫色のフリルのミニミニスカート。
頭のカチューシャには牛の角に似た小さな突起が二つ生えている。
えっへん。アリスはビスチェから覗く胸を寄せポーズを取った。
可愛いけどちょっぴり扇情的なセクシーさ…。そう、この装いは―
「なるほど、カリカチュア的に擬人化したバイ菌の仮装ですね」
エドガーは冷たい目のまま言った。
「違う違う!!小悪魔!小悪魔ちゃんなの!」
アリスは慌てて訂正する。
恥ずかしいなと思いつつもお色気コスチュームに挑戦したのに、バイ菌!?
(嘘…?先生、このスタイルを見てもコーフンしないの?)
ガーン
頭上にホーローの鍋を落とされたようなショックがアリスを襲った。
小さな頃から数年間、ただこのムカつく家庭教師をなびかせるためだけに磨いてきたボディなのに。
キュッとした細い腰にすらりと伸びた手足。ビスチェの胸元からはみ出そうな丸い胸。
苦手だったバレエのお稽古も、将来良いスタイルを手に入れるために頑張った。
毎日綺麗なお水をたくさん飲んでストレッチした。胸も大きくなるようにお風呂でモミモミした。
やっとその成果が今日試されると張り切って準備して…それなのに、なのに…
そんな馬鹿な!
アリスの目にボッと炎が灯る。
「先生、ほら!私成長したでしょ?」
アリスはムキになってエドガーの前に進み出た。椅子の肘掛けに両手を着いてどうだ!と身を屈ませる。
エドガーは鼻先で揺れる胸を鬱陶しそうに教本で叩いた。
スパン!
「きゃっ」
鋭く叩かれビスチェからこぼれそうに胸が揺れる。アリスはたまらずに引っ込んだ。
「邪魔です」我れ関せずなエドガー。
アリスは両手でヒリヒリする胸を庇い、悔しさ一杯にエドガーを睨む。
ムッキー!
つづく
以上です
アリス来たー!
職人様乙です!!
エドガー壮年テ良いお年だたか。一度落ちたら手のひら返しそうな御人だが
どうなる。
ワクワクしながら続きまってる。
待ってたよ〜
アリスおバカ可愛いよアリス
美少女に成長したんだね!続きwktk
アリスとエドガー来たー!
無い頭(失礼!)絞って策略をめぐらすアリスと、
ツッコミに容赦ないエドガーの関係が良いなあ。
テカテカしながら続きまってるよ〜。
エロ無し小ネタ
プレイボーイでスケベな執事とお目付け役お嬢様
人差し指が結露で曇る窓ガラスにピトリと押し当てられた。
桜貝のような爪に雫が滑り込み、指先は冷たく潤う。
杏種(あんじゅ)はガラスに指を付けたきりしばし止まった。つぶらな目をぱちぱち瞬かせ思案する。
左にある泣きぼくろのせいか、その童顔はどこかコケティッシュだ。
やがて指が動き出し、軌跡が透明な文字となって綴られた。
――かしわぎ
横一列に並ぶ丸っこい癖字の平仮名四文字。
杏種はさらに続きを書き込む。
――死ね
かしわぎ死ね。
小学校低学年レベルの落書きだった。
「なんですかそれ」
背後から呆れたような声がした。
振り向いた拍子に、杏種のあんず色の髪が広がり、ブラウスの肩にサラリと落ちる。
そこには、情けなく眉を下げて苦笑する執事の姿があった。
「…呪い」
杏種は問われるままに簡潔に答え、彼の顎髭を一瞥すると直ぐに窓ガラスに向き直った。
「呪殺?怖いなぁ。ジャパニーズホラーの読み過ぎでしょ」
アウトローな風貌の軟派執事はおどけながら窓辺へ歩み寄る。
執事は文字を眺めようと身を屈め、杏種の背に自分の体をわざと密着させた。
「ていうかお嬢様。なんで俺の名前平仮名なんです?」
「…ド忘れ」
「愛がないなぁ。こうですよ。“木”に“白”で“柏”ね」
ヒョイと窓ガラスに手を伸ばし、執事は平仮名の下に達筆で「柏木」と漢字を書いてやった。
「それで、こうでしょ」
さらに「死ね」の文字に上から二重線を引いて消し、すぐ下に達筆で「好き」と書き足した。
「柏木好き、と。これが正解ね」
柏木は満足気に笑って杏種の泣きぼくろにキスを落とす。
「…不快」
柏木と対照的に杏種はむっつり顔だ。
普通、恋仲でもない男に馴れ馴れしくキスされて喜ぶ女の子はいない。しかも男は自分の部下だ。
杏種は早速思い出した漢字表記で「柏木去勢」「柏木断罪」などと新たな標語を書き込んだ。
「あーひでぇ。何?俺に何か恨みがあんですか」
ブーイングに杏種は切り返す。
「…昨日のパーティー」
「はいはい、菱山様のお招きで豪華客船でクルーズ!いやー燃えた燃えた」
「…優衣子さんをヤッた」
「あ、バレちゃった。優衣子様とふけこんだけど、あれ同意の下ですって。男女の火遊び」
悪びれず、柏木は気障に前髪をかき上げた。
「そっか。お嬢様ヤキモチ焼いちゃったんだ。う〜ん可愛いなぁお嬢様は」
「…私の交友関係に手当たり次第手を付けられて…迷惑」
「なるほど、俺への独占欲ですね。嬉しいな」
杏種は面倒くさくなって窓を押し開いた。外は冷たい小雨が降り注ぎ空気を冷やしている。
目にも止まらぬ速度で柏木の脇に潜り、背後からジャケット下のベルトを掴んで釣り上げた。
ポイと窓から投げ捨てる。
「ああああぁあぁぁぁー…」
悲鳴が三階から遠のいて落ちていく。
一族秘伝の古武術を嗜む杏種にとって大の男一人を投げ飛ばすなど造作もない。
パタンと窓を閉め直すと、ガラスの文字は水滴が垂れ下がりおどろおどろしく変貌していた。
杏種は「好き」の文字だけを指で掻き消し、すっきりした顔でその場を立ち去った。
おわり
軽い執事が新感覚。
続いてくれると嬉しいな。
こういうノリ好きだ
続けてほしい
お嬢様と訳有りの使用人で残念な感じの小ネタ投下。
話は短いけど非人道的な描写があるので、駄目な人はスルーしてね。
「何ニヤついてるの?」
リンテは語尾に不快を含ませ、黒いストッキングの足を組み直す。
ひざまずいてリンテの靴を磨いていたマルトは驚いて身を引くが、勢いよく移動するストラップシューズをかわせずにガツンと額を打った。
蹴るつもりはなかったリンテは思わず息を飲む。しかし彼女が何か言い掛ける前にマルトはにこにこと顔を上げた。
「ぼく、自分のなまえが書けるようになったからうれしくて」
赤くなった額など気にせずにマルトは答えた。成人した男とは思えないほど無邪気な言葉だが、瞳は偽り無く輝いている。
リンテは謝るタイミングを失った上、プライドの高さが災いして頭を下げる事が出来ない。
「…勉強続けてんのね」
動揺がばれぬよう、背もたれに身を沈めて顔を反らした。
「はい」
マルトは再びリンテの小さな靴に向き直る。そっと手で靴底を支え、ブラシで艶をかけ出した。
「すこしだけなら、文字も読めるようになりました」
生まれて初め知る学ぶ喜びが、彼の全身から滲んでいた。
勉強―。リンテは自らの服に目を落とす。
金の髪が胸まで垂れた、黒いボレロとグレーのジャンパースカート。貴族の子息ばかりが通う名門校の制服。
彼女が幼少部で使っていた教材を彼に与えたのは、数日前。
リンテもたまに文字を教えてはいたが、彼は毎晩夢中で読み書きの練習をし、ゆっくりだが確実に知識を増やしていった。
足元で体を屈める彼に視線を移すと、痩せてゴツゴツした背中が小刻みに揺れている。
教養はないが、雑用だけはマルトの身に刻まれており、靴を磨く手つきは鮮やかだ。
オニキスのカフスの袖口から覗く素手に、ミミズ腫れに似た傷跡が幾筋も這う。
―その赤い筋を目にした瞬間、反射的にリンテの記憶が掘り返された。
今は立派なスーツを着せられているマルトだが、初めて彼を見た時は、ほとんど裸でボロ布しか纏ってなかった。
首輪から伸びた鎖は、どこかに繋がれていて―
「お嬢さま、ありがとう」
古い悪夢に落ち掛けていたリンテをマルトの声が呼び戻す。
「何が」
胸を読まれたようなタイミングで声を掛けられ、内心飛び上がりそうだったが、リンテはなんとかそう返す。
「犬のぼくにいっぱいやさしくしてくれる。お嬢さまは、とってもいいひと」
そう笑う顔が本当に嬉しそうで、嬉しそうで、リンテの胸にチクリと嫉妬の針が刺した。
こんな風に無邪気に主人を慕える彼が憎い。
憐れな境遇の彼をかしずかせ、椅子でふんぞり返っている自分は何だ。
親の金で制服で飾られ、親の金で当然のように学校に通う。そして親の金で買い上げた、マルト。
「じゃあお礼にキスして」
困らせてやりたい一心で、リンテはそう彼に命令を下した。
マルトはリンテを仰ぎ見る。しばらくきょとんと瞬いていたが、言葉の意味の理解して目を見開いた。
リンテは自分の唇を意識し軽く噛み締める。自分でそう分かるほどに顔が熱かった。
主人に接吻など出来ないと言い出すのか、従順に命令のままに唇を重ねるのか。リンテの胸が緊張に締め付けられる。
リンテの不安をよそに、マルトは直ぐに微笑んだ。リンテの耳に朱が走る。
マルトの手にした靴が、うやうやしく掲げられた。
リンテが制止する間もなく、マルトの唇はストラップシューズの先に落ちる。
その光景に呆然とする彼女を、靴から口を離したマルトが無邪気な笑顔で見上げた。
「お嬢さま…どうして泣いているのですか」
了
以上です
全多摩が泣いた!
GJ
GJです
続きとかあったらまた投下して下さいな
2キャラとも魅力的で、もっと読みたいです
45 :
名無しさん@ピンキー:2008/10/14(火) 21:40:00 ID:gpqDD0W6
なほとか
美に傾倒した偏執的な使用人と、顔だけ美人なお嬢様。エロ無し愛無し。
NGはタイトルの「人形の昇華」でお願いします。
僕が彼女を敬愛できない理由は幾つあるだろうか。
バンバンと手を叩き大口を開けて馬鹿笑いする所。
食事の仕方が汚い所。
喋る言葉やその口調にまるで品が感じられない所。
他にも理由は幾らでも思い浮かぶが、総合して、僕にとって彼女は全く苦手なタイプの女性であると言えた。
「えー何、馬鹿でしょ。コイツらこんな漢字も読めないとか」
テレビ画面のタレントを嬉々として指差し、彼女はカラカラと明るい笑い声を上げている。
モダンなデザインの重厚なソファーの上、細い足を投げ出してはしゃぐ彼女の存在はとても軽薄だ。
ボーダーのロングニットとレッグウォーマーの部屋着はいずれも彼女の趣味に沿った派手な物で、ジャラジャラと下げられたブレスレットやリングの輝きがチラチラと鬱陶しい。
なるべくそちらを見ないように控えていた僕に「お茶」と一言命令が飛んだ。
彼女もこちらの顔など見ていない。テレビを注視したまま独り言のようにオーダーを出し、僕はそれを聞き漏らさずに受けるのだ。
「アッサムで宜しいですか?」
ソファーに向いて微かに身を屈める僕に、即座に投げ遣りな声が返る。
「いいんじゃない」
彼女は茶の銘柄などに興味はない。紅茶はアールグレイ以外は味の違いが判らないと公言しているし、その大雑把さは野卑な彼女にふさわしいと思えた。
「かしこまりました」
僕が茶を淹れに部屋を出ると、丁度テレビのタレントが会心の珍回答を出したようで、彼女はみっともない声で爆発したように笑い出した。
雑音を背に、僕は無感動に廊下を進む。
彼女の挙動はいちいち不快だ。
だが僕は、それらを苦手に感じる事はあれど、彼女自身を嫌ったことは一度もない。
理由は、彼女を形造る細胞の美しさ。
日本人特有の平坦な丸みと、西洋の起伏に富んだ骨格が絶妙に合わさり、海外の子役のような愛らしさを構築している。
その素晴らしい容姿は、彼女に仕える価値を十分に僕に与えていた。
外見など、内面の美しさとは関係のない所詮はただの殻。
しかし、その外皮のみを愛するという不健全な行為は、絵画や彫像に恋をするように、病的で甘美な陶酔を僕にもたらす。
僕は、まるで自分が悲劇的で甘美な古い物語の主人公になったように、この倒錯した想いに酔いしれた。
神様が中身を入れ間違ったとしか思えない、神秘的な美貌と俗世にまみれた魂。
彼女は軽蔑すべき雇い主であり、愛すべき鑑賞対象。敬愛は払えないが、偏愛はできるデク人形。
僕がティーセットを乗せた盆を手に部屋に戻った時、彼女はコマーシャルの合間を縫って激しくザッピングをしていた。
極彩色の口紅の女優、新発売の菓子、雑誌、派手な動画が騒がしく移り変わる。見苦しい色彩の洪水は、彼女の内面そのものに見えた。
その日の夜。窓から見る満月は白く朧を纏い、ひどくロマンティックな情景だった。
僕は初めて、夜中に庭を散歩しようと思い立った。月明かりの下で彼女の横顔や瞳を夢想すれば、それは更に素敵な一時となる筈だ。
僕は運良くスーツを脱ぐ前だったので、そのままの恰好でふらりと庭に降りた。
緑の発する新鮮な香りを含み、芝生を撫でる夜風が心地よく僕に吹き付けた。煉瓦の小路に点々と付いた灯かりに導かれ、のんびりと歩き出す。
この空間に彼女を置きたい。月明かりを髪に受け佇む姿は、きっと印象派の絵のようだろう。
美しい彼女。美しい外皮。
緩やかな妄想の一時に身を落とす僕の耳は、ふと外界の小さな音を捉えた。
自分の他に誰か庭に居るのかと微かに驚き、僕は物音の方向を見遣る。そちらにも路は延びているが行き止まりの筈だ。
先に在るのは、古い温室。僕は音に誘われるままに温室へと足を進めた。
近付けば、温室の一角に明かりが点けられ、内側に人影が揺れているのが分かる。その影を認めた瞬間僕は小さく息を飲んだ。
例えぼんやりと硝子の向こうで揺れる影であっても、僕がその人物を判別できない訳はない。
彼女がここに居る。
普段僕は温室に立ち寄らないので、この密閉された部屋に何が秘められて居るか判らない。曇った白い硝子越しには内部がうっすらと透けて見えるだけで、大きな棚や鉢以外にはこちらから確認はできなかった。
だが、満月の夜と温室という美しいキーワードだけで、それが彼女の容姿を淫靡に引き立てる背景であろうことを僕は疑わない。
一目、温室内の彼女の画を目にできれば満足なのだ。直ぐに醜い怒鳴り声で追い返されてもいいと、僕は迷わず温室の戸を押し開いた。
蝶番からキィと甘い悲鳴が上がる。中腰で下段の棚を眺めていた彼女は、今まで他人の気配に気が付かなかったのか驚いて振り向いた。
そして、固まってしまった彼女と同じく、僕もまたノブを握ったまま彫像のように動けなくなった。
そこは細やかな薔薇園だった。
花弁はピンクとイエローが多いだろうか。全て花が小ぶりの品種で、鉢に植えられた物も、床に造られた花壇に根を張る物もある。
そして、その場に屈んでいる彼女は、小汚い作業着に身を包み両手に土の付いた軍手をはめている。髪はシニヨンで無造作にまとめられ、普段の過剰な装飾は全て削ぎ落とされたシンプルな姿だった。
僕はしばしそれを呆然と眺め、また、入口近くのテーブルに気付き驚愕する。
テーブルの上には使い込まれた数冊のノートが重ねられ、一番上のノートの開かれたページには、辞典のようにびっしりと流麗な文字が並び、緻密なイラストと共に整然と配置されていた。
「見ないで」
彼女の強い声に、僕はその興味深いページから直ぐ目を反らさねばならなかった。
しかし僕の目には、美しくスケッチされた薔薇の図や、そこに記された「肥料の違いは薔薇の芳香へと」「トップノート」という断片的な単語が既に焼き付いている。
一つの鉢植えを見れば、鉢にアルファベットと三桁の数字と日付が書き込まれたプレートが付けられ、薔薇の根本には、モザイク模様のように卵の殻が散りばめられている。
嗚呼。
僕は理解して歓喜に震えた。
ここは彼女だけの可憐な実験室なのだ。
まるで錬金術を模倣して遊ぶ子供のように、自ら手作りの肥料を与え、温度や季節を変えて、無数の薔薇を育てている。
さらに、おそらくは採取した薔薇を使い香料を作っているのだろう。トップノートやミドルノートの微かな違いを味わい、文章として記録に残す。
そんな彼女が、紅茶の銘柄の違いが判らぬというのは、嘘だ。
そして、こちらを懍然として見据える彼女に、普段の猥雑で薄っぺらい態度もまた偽りなのだと確信した。
「なんで勝手に入って来るの?」
「申し訳ありません」
鋭い威圧感が僕を突き放す。僕は悦びに声を上擦らせて答えた。胸は感動に打ち震え、肺を狭めては甘い痛みを背骨に這わせる。
彼女が僕に対し仮面を被って過ごしていたという事実。欺かれていたという耐えがたい屈辱と感服。
ただ美しいだけの挿絵の少女が魔術によって肉付けされ、生ある立体として現世に抜け出たように、僕の胸の中で、彼女の像は重みと厚みを持って生まれ変わった。
馬鹿の振りをしては、密やかに薔薇の研究に興じるという、如何にも妖しく麗しいお伽話。それは僕の胸の琴線を掻き鳴らした。
僕は、気が付いた時には地に膝を付き、彼女を見上げ賛美していた。
絶対の忠義を捧げると、どうか自分が貴方に忠節を誓う事を赦して欲しいと、彼女に懇願していた。
そんな僕を彼女は嘲笑う。
「駄目」
拒絶という、えもいえぬ甘い罰。
「あんたが私を人形扱いしていたように、私にとってもあんたは唯のお茶汲み人形なの。今更、人間の顔をしては駄目よ」
隠微な妄想に傾倒する愚かな僕を、彼女が突き落とす。
僕はうっとりと目を伏せ、負け犬という名の快楽に滑り墜ちて行った。
了
以上
雰囲気あるなぁ。GJ。執事歪み過ぎ。お嬢様欺きテクニック凄すぎ。
下克上が発生しないSM関係が容易に想像できてしまった。
GJ!!これはかなりツボに入った。いくらでもエロくなりそうだw
表現が細かくてこの執事の良く性格が出てるなあ。
GJです!
面白かった
このお嬢様を落とすのは大変そうだなぁ
なんという良作ラッシュ…
そろそろめぼしい主従は出尽くしたと思ってたが
まだまだあるんだな。
>人形の昇華
「エロ無し愛無し」ってどうなんだと思いましたがすげえ。
なんつーかエロ無しなのが最高にエロいですね。
投下します。
16レスほど借ります。NGは"Yearning Heart"で。
「かぁーさまぁ!」
手すりから身を乗り出して、一階の砂被り席に座る奥様に手を振るお嬢様を慌てて
抱き止める。
「だ、ダメです。お嬢様!」
「はなしてぇ、はなしてぇ、荒木!かぁーさま!」
足をバタつかせたお嬢様の黄色いスカートから熊さんのアップリケが施された可愛らしい
パンツが見えてしまう。しかし、今はそれを気にしている場合ではない。このまま落ちるような
ことがあれば取り返しのつかないことになってしまう。
「危ないですから、お嬢様!」
「見て見て、荒木!かぁーさまが手を振っているわ!かぁーさま!」
周りの年配客からは微笑ましい目線で見てもらえるのがせめてもの救いだ。お嬢様に頬を
抓られ、仕方なく一階席を見るとこちらを見上げ、控え目に手を振る奥様の姿があった。
胸元に大きなリボンを装った上品な白のツーピース、両耳で小気味よく揺れる銀色に輝く
イアリング、左右に分けた絹糸のような黒髪、切れ長の瞳には気品が溢れ、口元には
穏やかな笑みを湛えていらっしゃるお姿は見るものを惹かずにはいられない麗しさがある。
「ねぇ、荒木。どうして、わたしはかぁーさまと今日は離れていなくちゃダメなの?」
やっと大人しく席についてくれたお嬢様の質問に答えを窮してしまう。
「奥様は……お嬢様の未来のお父様になられるかもしれない方とお相撲を見ながら、
お話されているのです」
嘘は──幼いお嬢様相手とは言え、つけなかった。
「私、新しいお父様なんていらない」
「お嬢様。我が侭を仰らないでください。きっとお優しい御方ですよ」
奥様は今回のデートのお話に乗り気ではなかった。しかし、周囲の懸命の説得で
不承不承ながらも了解を取り付けたのだ。
「どーしてもなら、私、荒木が良い!」
「はっ?」
「荒木が私の新しいおとーさま!」
意外な一言に呆気を取られた私を尻目に、お嬢様は目を輝かせこちらを見ている。
「だって、荒木はずっとかぁーさまと私の側にいてくれるじゃないの。だから、おとーさまに
なってくれたって良いでしょ?きっと、かぁーさまも喜ぶわ!」
純粋な子供の視線にいつの時代も我々大人は弱く、口ごもってしまう。
「そ、そういうわけには……」
「だめなの……荒木は私や、かぁーさまが嫌いなの?」
「そういう意味ではありませんが、その……」
何故、子供の戯事だと軽く受け流してしまえないのだろうか。理由は明らかだ。私自身が
奥様に──魅かれてしまっているからだ。執事が女主人に懸想する──昔からよくある話だが、
自分には縁遠いと思っていた。そもそも私は初め、今は亡き奥様の夫──旦那様にお仕え
していたのだ。もし旦那様が奥様とご結婚されなければ、あのようなお美しい御方の執事に
なることなど有り得なかったのだ。
◇ ◆ ◇ ◆
「荒木、お前を妻の執事にしようかと思うのだが?」
まだ二十代半ばの私を、娶ったばかりの新妻の執事にしようなどと言い出した旦那様に
思わず真意をお尋ねした。通例であれば、お若い女性の執事役は年配の人間と決まって
いる。
「ああ、お前が私の執事の中で一番、妻に嫌われているようだからさ」
可笑しそうに旦那様はクスクスとお笑いになって、私を旦那様付きの執事から奥様付き、
へとその日のうちに配置転換してしまった。元々、旦那様付きの執事は私を含め三人
いたため、私一人抜けたところで困ることはなかったのだろう。
奥様付きになってからは色々と苦労したことも多かったが、何とか職務をこなせるよう
になった。しかし、奥様は相変わらず私を警戒されているかのような御様子で、旦那様との
間にあった主人と執事の信頼関係のようなものは築くことはできなかった。
やがて、お二人の間にお嬢様がお生まれになったが、奥様はお嬢様の世話を乳母を
付けるのではなく私の仕事としてしまった。子供の世話をした経験などなく、まして旦那様と
奥様の大事な一人娘を預かるという大役に、暫くは胃に穴が開きそうなプレッシャーを
感じながら暫く過ごすこととなった。
旦那様と奥様は仲睦まじくお嬢様と三人、益々幸せな家庭を築かれるはずだった。
しかし、お嬢様がお生まれになってから一年後、旦那様は難病を患い呆気なくこの世を
去られてしまった。初めてお仕えした御方の死のショックで、私は三日三晩寝込む始末だったが、
奥様は気丈にも旦那様の葬式を取り仕切り、葬儀が済むと旦那様の代わりに一大企業グループの
総帥の座にお座りになられた。これには喧々諤々の論争が巻き起こったが、
決め手となったものは、旦那様が病床で書かれた遺書──
「私の会社も含めた全ての財産を、我が妻に譲る」
この一文で全てが決まった。
その後の奥様は目覚しい活躍ぶりで、旦那様の残したグループを更に大きく成長させ、老獪が
蔓延る経済界においても「麗しき新風」として高い評価を受けている。
旦那様が世を去られて五年、二十八歳になられた奥様に四方八方から引っ切り無しに交際の
申し込みや、お見合いの薦めが来るのは当然のことであった。当初は固辞されていた奥様も徐々に
外堀を埋められ、最近は断り切れなくなってきている。
お嬢様に新しいお父上が見つかるのも時間の問題だ、と私もそう思う。
今日のお相手も名門財閥グループの跡取り息子で、見た目も悪くないし評判を聞く限り
中々できた人物のようだ。どこぞのパーティーで奥様を見初められ、デートの根回しを
整えられたと聞いている。相撲が好きということでお二人は砂被り席で仲睦まじく談笑され
ながら、目の前で繰り広げられる取り組みを御覧になっている。
さすがにデートの場にやんちゃ盛りのお嬢様を同伴できるはずはない。かと言って大人しく
お屋敷でお留守番頂けるほどお嬢様は母離れされていない。仕方なく、私は自腹を切って
お嬢様を国技館の二階席の最前列にご招待することにした。
「ねぇ、荒木?どうしたの、ボーッとして」
「なんでもありませんよ。さあ、ほら大きなお相撲さんがでてきましたよ」
私が指差した方をお嬢様は嬉しそうに眺める。そんなお嬢様を横目に一階の砂被り席を
盗み見ると、お二人が愉しそうに談笑していた。
──きっと今度はうまくいきそうだ。
安堵とともに、キリキリと胸が痛む。
◇ ◆ ◇ ◆
相撲観戦が終わると、奥様とお相手は都内にあるフレンチの名店へと向かわれる。
さすがにそこまでお二人の邪魔をする訳にはいかず、私とお嬢様は──余韻醒めやらぬまま
お屋敷へと戻る。
お屋敷に帰ってからお嬢様のお世話をしながら、その合間を縫って明日の準備を整える。
そうこうするうちに時刻は二十二時を回っていた。おそらく、奥様は今晩お帰りにならないで
あろうから駄々を捏ねてベッドに入らないお嬢様を寝かしつけるのは私の役目だ。
「さっ、もうお休みください。お嬢様」
「荒木、かぁーさまは?」
「今日はお戻りになられぬやも知れません。ですから、お先にお眠りください」
怪訝そうな顔で私を見つめるお嬢様の髪を優しく撫でる。奥様の見事な黒髪とは対照的な
栗毛色の柔らかな髪は指通りが良く、いつまででも触っていたい。
「……そうなんだ。お忙しいのね。ねぇ、荒木。ご本を読んで、ご本!」
「はい。それでは何に致しましょうか?」
あれでもない、これでもないとお嬢様は大騒ぎで本を選んでいた。やっとお決めになられた本を
手に私はお嬢様の枕元の椅子に座り、本を開いて少し抑えた低い声でゆっくりと読み始める。
「ということで、王子様は……おや、もうお休みか」
両の目をピタリと閉じて、心地良さそうに寝息を立ててお嬢様は眠りに落ちていた。風邪を
引かれぬように乱れた掛け布団を直した。
「……ぁら……き」
「はい」
両の目は閉じられたままだから、寝言なのだろう。
「……かぁーさま…………」
私の名前と奥様を呼ばれた後、お嬢様はまた安らかな寝息を立て始めた。シーツを節くれ一つない
小さな手で掴み、一体どんな夢を御覧になっているのだろうか。
音を立てないように立ち上がり、部屋の電気を消して小さく「おやすみなさい」と呟き退出する。
「ふぅぅ」
「荒木?」
小さく溜息ついた私を呼び止めたのは──奥様だった。白いツーピースの上にピンクのショールを
お掛けになられている。
「奥様。お帰りだったのですか?」
「屋敷に戻ってきてはいけないのかしら」
奥様の細い眉が僅かに吊り上る。
「いえ。お戻りになられるとは思っていなかったもので……」
「荒木!」
鋭い声に思わず身が竦む。確かに余計な一言だった。幸いなことにお屋敷の東棟は
家人の私室があるだけなので、こんな時間に他の使用人が通りがかることは滅多になく、
この失態を見られる心配はなかった。
「いつから、勝手に執事が主人の予定を決めるようになったのかしら?」
「申し訳ございません」
頭を下げて非礼を詫びる。確かに執事としてあるまじき言動だったと自己嫌悪に陥る。
奥様の冷たい口調が今日は酷く堪える。とは言え、奥様は普段とまるで変わらない。
違うのは、私が今日、奥様が見知らぬ男性とご一緒されている姿を見てしまったからだ。
「もういいわ。紅茶をいれて頂戴」
奥様はそれだけを私に命じられると、ヒールの音を小気味良く立てながら部屋へとお戻りに
なられた。
「どうぞ」
「ありがとう」
奥様は自室のデスクにお座りになられ、私がいれた紅茶を美味しそうにお飲みになって
いる。切れ長の目を細めるお姿をお側で拝見できるのは至福の極みだ。
「あの子のこと、迷惑を掛けたわね」
「いえ。お嬢様に喜んで頂けたならば、それ以上は何も」
それは嘘、偽りない本音だ。僭越ながら、赤ん坊の頃から見守ってきただけにまるで
自分の子供のようにお嬢様に対して親愛の情を抱いてしまう。
「……あの子は何か言っていた?」
奥様はティーカップを置かれると、ほっそりとした両手を組み合わせた。そして、組んだ手の
甲の上に顎をのせて、乗り出すようにこちらを見ている。
「喜んで頂いて、力士が出てくる度に名前を尋ねられたり、取り組みが終わる度に『すごい、
すごい』とはしゃがれ……そうそう、お弁当が美味しいとも仰られていました」
はしゃいでいらっしゃったお嬢様のお姿がありありと甦ってきて、思わず頬が弛む。
「それだけ?」
意外な奥様の言葉に私は首を傾げてしまった。
「それだけと申しますと?」
「他に何かあの子は言っていなかったかしら?」
他にと尋ねられた奥様の目が真剣だったために、私も笑って流すわけにはいかず真剣に
記憶を辿る。静かな部屋に響く壁時計の音が自分を急かしているようにすら感じてしまう。
「ああ。あのご冗談で、その……」
あのことを思い出し、いざ奥様に告げようとしたが内容が内容なだけに幾らなんでも面と
向かって告げることは気が引けた。
「早く仰いなさい、荒木」
口籠もる私の様子を見て、奥様は苛立たしげに問い詰める。
「奥様のお相手の話になりまして、その、ご冗談交じりに私が……お嬢様の父親に
なれば良いのではいか、と申されまして……」
「それで、お前は何と答えたの?」
目をすっと細められた奥様のご様子から、つまらないことを口にしてしまったと激しく
後悔した。きっと、奥様は私が無礼なことを言い出したために不機嫌におなりになったの
だろう。
「……いえ。取り組みが始まりましたものでお答えしないままです」
要は誤魔化したということだ。奥様の細い眉が鋭角に吊り上り、眉間に皺が寄る。あまり
奥様の御機嫌はよろしくないようである。
「夜も遅いので、この辺りで失礼させていただきます」
「待ちなさい」
「……奥様?」
「もし、有耶無耶にできなかったら、お前はあの子にどう答えるつもりだったの?」
冷笑を浮かべ、私を試すかのような視線でこちらを見つめていらっしゃる。もうこれ以上の
失態は許されない、私の理性がそう囁く。
「それは……執事の私がお答えすべきご質問ではございません」
この話を打ち切るにはこれが一番だと考えた。奥様に自分が執事としても好かれてはいない
ことぐらい分かっている。それでも自分の中に奥様へ抱いてはならない想いが眠っていることは
嘘偽りない事実だ。こんな話を続けていると、それを吐露してしまいそうで恐ろしい。
「失礼致します」
お辞儀もそこそこにティーポットをのせたワゴンを押して、逃げるように奥様のお部屋を
失礼して使用人棟にある自室に駆け込む。
「はぁっ……はぁっ……」
口からは壊れたふいごみたいに掠れた息が何度も零れる。運動不足だ、と反省する。だが、
今はこの苦しさがむしろ心地良い──先ほどまでの奥様との遣り取りを暫し忘れることが
できるからだ。あの奥様の涼しげな視線に当てられると、いつも胸が熱くなる。
亡くなられた旦那様から初めてご紹介を受けた時から、私は奥様に心を奪われていた。
「……はっ、はっ……ハハハ。何を考えているんだ、私は」
そのまま、寝台に倒れこむ。今日一日で色々なことがあり過ぎた。あまり外出などするもの
ではないな、と思う。普段通り決められた日課をこなし、お屋敷という閉じた世界で静かに
過ごしていれば何もこんな風に心を掻き乱されることはないのだ。
お嬢様のお守りを口実に奥様のお相手を見ようなどと思わなければ良かったのだ。そして、
自分と較べて奥様に相応しい御方かどうか、などと間の抜けたことを考えた罰なのだ。
「バカなことを……」
その声を掻き消すかのように、ノックもなくドアが開いた。
私は慌てて身を起し、不躾な蘭入者を睨みつけた。いくら使用人部屋とは言え、一応は
私室であり個人のスペースである。ノックは最低限のマナーだ。
「……荒木」
戸口に立っていたのは、奥様だった。
「お、奥様!?ここは使用人棟です。こんな所にいらしてはいけません!」
主家の御方が執事やメイドが暮らすエリアに踏み入ることは滅多にない。まして、このような
夜更けに使用人の部屋に訪れるなどあってはならぬことだ。だが、奥様はまるで気にする
様子も無く私の部屋に入ってくる。
「荒木、私はもう少しお前と話がしたいのです」
「では、後ほどもう一度お部屋にお伺いいたしますので」
「いえ、ここで結構です」
頑なな口調の奥様は梃子でも動きそうにない。仕方なく、ドアを閉めて椅子を勧める。
「あまり、広くないのね?」
「使用人部屋ですから。何かお飲みになりますか?」
「いいえ、大丈夫。それより、荒木。さっきの質問、私は答えなさいと命じました。あのような
はぐらかしは答えとは言いません」
鋭く射抜くような瞳に思わず言葉に詰まる。どうやら、本当に答えなければ許しては
もらえないようだ。
「……分かりました。正直にお答えします」
すると、奥様の目がグッと身を乗り出され、まるで何かを待ち望むかのようにこちらを見て
いらっしゃる。
「お嬢様のお言葉は身に余る光栄でございます」
奥様の顔が一瞬、綻んだように見えたのは私の錯覚だろうか。
「しかし、私が旦那様のお代わりになどなれますまい。お嬢様もいずれは、私がただの
使用人であるとご理解くださるでしょう。ですから、今日のことはこの場限りで忘れよう
と思います」
「ダメ!ダメです、荒木!」
次の瞬間、バネ仕掛けの人形みたいに勢い良く奥様が立ち上がった。その勢いで胸元の
リボンがふわりと揺れる。
「あの人が亡くなって、あの子の父親代わりは、荒木、あなただったのです。だから、
あの子は……」
「御安心ください。私はどこにも行くつもりはございません。今後も引き続きお側に参ります」
きっと奥様は私がどこかのお屋敷に移ってしまうことを心配されているのだろ。確かに
旦那様が亡くなられた当初は行末を危ぶんだ使用人が一時、大量に退職した。
だが、私にはそうすることはできなかった。そのままお屋敷に残った私は、今や年齢も
三十歳ちょうどだ。今更、新しいところで働くつもりは毛頭ない。
「違うのよ、荒木」
立ち上がった奥様が、私ににじり寄ってくる。
何が違うというのだろうか、私はどこにも行かないと言っているにも関らずどうしてこの御方は
珍しく慌てた表情でこちらを見つめているのだろうか。
「荒木!」
突然の強い口調に思わず背筋が伸びるのは職業病だ。
「はい!」
「私はお前のせいで……お前のせいで傷つきました。だから、お前が慰めなさい!」
「えっ?はっ?」
何を言われたのか一瞬理解できず、執事としてあるまじき間の抜けた要領の得ない言葉が
口を突いて出てしまう。
「早くなさい!」
「いや、あの……奥様」
「もう、あの人が亡くなって五年よ。五年もずっと一人の夜を通してきたのよ!好い加減、
許されても良い筈よ!」
雷に打たれる時にはこんな激しい衝撃がきっと走るのだろう。奥様の荒げた声が自分の
何かを揺すぶっていた。きっと、それは私が描いた旦那様を心から愛し、貞淑であらせられた
奥様のイメージだったに違いない。瓦解する音は私の中の激しい感情を焚きつけた。
「奥様!そのようなこと……そのようなことを仰らないでください!」
今度は奥様が驚く順番であった。私は普段から声を荒立てたりしない。執事たるもの
どのような事態にも沈着冷静かつ優雅に対応すべしとはこの世界に入って一番初めに習う
鉄則である。だが、今の私は完全にそれを忘れていた。
「あなた様は旦那様が愛された女性です!それが……そのように……そのように淫らな……」
次の瞬間、頬に焼けるような痛みが走り、遅れて平手打ちの音が室内に響く。
「荒木!お前には……お前には私がそんなふしだらな女に見えるのですか!」
打たれた頬に手を当てながら、呆然と私が見遣った奥様の瞳は潤んでいた。
「……どうして、お前はそんなに鈍感なのですか!」
「えっ!?」
不意を突いて、奥様の華奢な身体が私の胸に飛び込んできた。反射的に彼女の細い
身体を抱え込んでしまう。
「私は好きでもない相手に抱いて欲しいなどと頼むような女ではありません」
その声はさっきまでの叱りつけるような声ではなく、拗ねるような、それでいてどことなく
甘えるような囁きだった。
「そ、そんな」
私は奥様に嫌われていると思ったことは数知れずあれど、好かれているなどと考えたことは
夢にもなかった。
奥様の私だけに向けられる冷たい態度に、何度心が折れそうになったことか。
旦那様がご存命の時は、幾度も辞表を出そうとお部屋の前まで足を運んだことか。
最後の最後、やはり奥様にご信頼頂いていないと感じ、今度こそはと辞表を書き上げた時、
旦那様が亡くなられた。それからは目の回るような忙しさで辞めるに辞められなくなってしまった。
今は辞めようという気は起きないが、いつ奥様が私のことを気に入らないと仰ってクビになっても
おかしくないと思っていた。
それだけに──それだけに──。
「……怖かったのです」
私の表情を読み取った奥様が私の執事服を掴み、ポツリと呟かれた。
「初めて会った時、もう私はお前に魅かれていました。だから、怖かったのです。この
気持ちが誰かに知られしまうことが……だから、必要以上にお前にきつく接したのかも
しれません」
悔悟に震えた奥様の声が、私を──私のこれまでの全てを激しく揺さぶった。
「まさか、あの人がお前を私の執事にするなど思いもよりませんでした。嬉しくもあった
反面、想いを隠し通せなくなる日が来てしまうのではないかと怯えていたわ……
そういう意味ではお前がさっき叱ってくれたみたいに、私はふしだらで不貞な女なのかも
しれないわね」
私は硬直したまま、奥様を腕の中に収め呆けたように立ち尽くしていた。
「ねぇ、荒木」
「はい」
「お前は私のことが嫌いでしょう?あんなに冷淡に接したものね……分っているの」
奥様の肩が震えだし、そして目尻から透明な雫が流れ出る。
「ごめんなさい……ごめんなさい……」
嗚咽交じりのか細い声が私の意識を目覚めさせ、固まっていた思考が動き出す。
「謝らないでください。奥様にそのように想って頂けていたとは……」
「荒木」
「……ずっと、私は奥様に嫌われているものだと思っておりました。何せ、旦那様も奥様が
私に厳しいのを御覧になって、これなら過ちも起こるまいと執事になされたのですよ」
私が笑いかけると奥様は執事服の胸元を握ったまま、上目遣いにこちらを御覧になって
いる。普段の凛然とした様子とはまるで違い、愛らしく映る。
「まさか、奥様に好かれているなど思いもよりませんでした。だから、ずっと私の想いは
大事に仕舞って、死ぬまで大切にしておこうと思っていました」
主人と執事──その間に横たわる踏み越えてはいけない一線を侵していることは分っている。
しかし、もう後戻りはできない。
「あ、荒木?」
「奥様。あなたは御存知ないでしょう?私がどれだけあなたのお姿に胸を焦がし、眠れぬ夜を
過ごしたか」
奥様は驚きのあまり目を見開き、ポカリと口を開けている。そんな彼女を尻目に私は
腕に力を込め、ガラス細工のように繊細でしかし柔らかな身体を強く抱き寄せる。
「……荒木。お前……」
「執事、失格ですね。主人に恋心を抱くなどあるまじきこと、とお叱りを受けても文句は
申しません。こんなことを申しますのは今宵限りです。だから、お許しを」
そのまま、目を閉じ奥様の肢体を全身で感じる。ずっと前からこうしてみたいという願望を
抱いていたに違いない。その証拠に罪悪感や背徳感よりも早く、歓喜がやってきた。
「お前が執事失格ならば、私は主人失格です。だからせめて、一人の女として私を幸せに
して欲しい。もうこれ以上は……堪えられそうにないの」
搾り出すような奥様の懇願が私の執事としての最後の良心を押し流してしまった。
奥様の身体を少し離し、ほっそりとした鋭角の顎に手を掛け顔を上げさせる。涙に濡れた
その顔は今まで見た中で一番美しく魅力的だった。
「失礼します」
律儀な挨拶は自分なりのケジメだった。震える奥様の唇を奪い、そのまま舌を捻りこむ。
性急な私の行為に驚いたのか奥様は一瞬身を硬くされたが、長い睫毛を震わせながら
見開いた目を閉じると、積極的に舌を絡めてきた。やがて、柔らかな奥様の舌はうねりながら
私の口内へと滑り込み、舌先で歯茎や頬の裏まで飽きることなく弄っている。
「ん、ふぁ……はっ」
まだキスだけだというのに奥様の頬は桜色に上気し、再び開かれた瞳はトロンとしている。
普段の凛々しいお顔とは違い、やけに色気が感じられて目のやり場に困ってしまう。
奥様はキスがお気に召したらしく、唇を離すたびにもっともっととせがまれ、中々それ以上
先に進めない。だが、冷静な自分が脳裏で囁く、「時間はたっぷりあるのだから、焦ることは
何もない」、と。
どれだけの時間、互いの口唇を貪りあっていたか覚えてはいないが、溢れ出たどちらの
ものとも判別がつかない唾液で二人の口元はベットリと濡れていた。
「これでは行儀のことであの子を叱れませんわ」
「まったくです」
二人でクスクスと笑いながら、どちらともなく互いの身体に手を這わせる。ここから先に
進んで良いものかどうか一瞬躊躇った私を見透かしたかのように、奥様が落ち着いた口調で
告げる。
「良いのよ、荒木。私はもう自分の気持ちを隠さないと決めましたから」
奥様はそう仰って、より身体を密着されてきた。ピタリと身体が触れ合うと襟の合間に
チラリと覗く鎖骨、控えめながらも柔らかな胸の膨らみや、髪が揺れる度に薫る花の蜜のような
甘い匂いと今まで知らなかった奥様を感じることができ、幸福感で充たされた。
もう後戻りはできない。
私は奥様を抱いたまま姿勢を入れ替えると、彼女をベッドに押し倒す。粗末なシングル
ベッドは倒れこんだ勢いで激しくスプリングが軋み、皺くちゃのシーツが波打つ。
胸元のリボンに手を掛けスルリと解くと、僅かに奥様の顔が曇る。
「……奥様」
「続けて」
奥様の声に促され小さな細工の施されたボタンを一つずつ外していく。その行為は大事に
包装されたプレゼントを解く子供の頃の高揚感を思い出させた。上質な生地のジャケットを脱がし、
その下のスリップの肩紐をずらして引き降ろすと奥様の肢体が顕になる。とてもお嬢様を
産まれたとは思えない細く見事な身体つきで、腰周りは美しい湾曲を描いて括れている。
シルクの下着に覆われた控えめな胸の膨らみを、無意識のうちにマジマジと見つめていると、
恥ずかしいのか奥様はその可愛らしい乳房を手で隠し、身を捩る。
「荒木もやっぱり胸は……大きい方が好きよね」
「そんなことはありません」
沈んだ奥様の声に慌てて答える。まさか、そんなことをコンプレックスに思っていたなど
想像もしていなかった。
「好きな人のものであれば、大きさなど関係ありません」
言葉の真偽を探る彼女の視線に晒されながらも、ここで目を逸らしては負けだと真摯に
見つめ返す。
「……本当?」
「嘘は申しません」
奥様の額にかかった黒髪を払いのけて、色素の薄い澄んだ瞳を覗き込む。こんな間近に
顔を寄せたことなど滅多にないだけに、自分でやっておきながらドギマギしてしまう。
フロントホックを外し、小ぶりな乳房を手の中に収める。丁度、掌で覆い隠せるぐらいの
膨らみは、揉むと驚くほど柔らかかった。先端の突起と乳輪はお嬢様をお育てになったためか、
僅かに黒ずんではいるものの十分に魅力的な色合いだ。力を入れて愛撫すると柔肌に指先が
食い込み、鮮やかな桜色の唇が開いて悩ましい微かな吐息が漏れ出す。
「んっ……ふぁっ、んん」
頬を桜色に染め、潤んだ瞳の奥様が細身をくねらせながら喘ぐ姿が興奮を煽る。普段は
絶対に抱いてはいけない感情も、今は堰き止める必要はない。ただ、湧き上がる想いに従って
この夢のような時間を楽しむことしか頭になかった。
掌で包み込んだり、指先で輪郭をなぞったりする度に奥様の反応が変わっていく。
「荒木……はぁん……んぅ」
眉間に浅い皺を寄せ、悩ましげな表情で奥様は浅い吐息を繰り返す。
左手で乳房を愛撫しながら、右手をそっと奥様の腹部に滑らせる。
陶磁器の表面のように滑らかな肌、縦に細長く窪んだ臍をなぞる。さするたびにビクビクと
震える奥様が愛らしい。普段は、楚々として冷たい奥様が今はただ一人の女性として自分の
愛撫に悶えている。興奮しないはずがなかった。
お嬢様をお産みになったにも関らず、奥様の体型はまるで変わらない──いや、むしろ、
以前よりもさらにスリムになられ、女性としての魅力により一層磨きがかかっている。
だからこそ、今日のお相手のように奥様に魅了されて言い寄ってくる輩が途絶えないのだ。
そういった人々に嫉妬を覚えていなかったと言えば嘘になる。だが、煌びやかな方々と
黒子の自分ではあまりに違いがあり過ぎ、奥様への想い同様、嫉妬も心の奥底に沈めて
しまおうと諦めていた。それだけに今、奥様が高貴なお方ではなく私などを選んでくれたことは
信じられ難いほどの幸福感を呼び起こしていた。
彼女の優美な曲線を描く腰に巻きついたベルトを外し、膝丈のタイトスカートと最後に残った
一枚を脱がす。微かに恥じらいの色は見えたが、拒絶はされていない。
しかし、若草のような繊毛に触れた瞬間、奥様は膝頭を合わせ脚を堅く閉ざしてしまった。
表情を伺うと瞼を閉ざし重なりあった長い睫が震えていた。さきほどまでほんのりと上気していた
顔は、心なしか蒼褪めている。
「……奥様?」
私の呼びかけに、ハッとした表情で目を開けた。
「あ……らき。ご、ごめんなさい」
「お嫌ならば、ここでやめましょう」
私はできる限りにこやかに申し出たが、奥様は激しく首を振って拒絶の意を示された。
「いけません!最後まで、最後までやりなさい」
「しかし……」
私が口ごもると、奥様は俯いて搾り出すような声で呟いた。
「ごめんなさい。私……あの人と、あまり一夜を共にしたことがないの」
衝撃的な一言だった。奥様と旦那様はとても仲むつまじく、夜の生活もきっと順調なのだ、
と私に限らずお屋敷の人間がそう信じていた。驚きを隠せない私の表情に奥様は苦笑いを
浮かべて答えた。
「三回だけだったわ。私がダメだったの。痛くて、痛くて……。それでも、子供を
作らなくてはと思い頑張った……三度目の時にあの子を授かって、それっきりに
なってしまったの」
「では何故、私など相手にご無理なさってまで……」
突如、奥様は身体を起こし、私に抱きついてきた。手早く背中に回された腕はガッチリと
組み合わさっている。猫が飛び掛るような素早い動作に、私は何もできなかった。
「お願い、荒木!私は痛くても構わないから、最後までして頂戴……お願い」
有無を言わせない強い奥様の口調に、私は渋々頷くしかなかった。
事態を上手く飲み込めてはいないが、ただ一つ──奥様に求められているのだ、と思うと
優越感が抑え切れないほど込み上げて来る。
奥様の身体を組み敷き、相変わらず堅く閉ざされた腿の内側を摩る。初めこそ、震えて
強張っていたが何度も掌を上下させるうちに、徐々に脚に込められた力が緩みだしたので
膝頭に手を掛け、一気に脚を割り開かせる。
「えっ!?」
短い驚きの声が上がったが、左右に開いた白い脚が再び閉じられることはなかった。
割り開いたそこには、薄い陰毛が縁取った桜色の裂け目が顔を覗かせていた。その
割れ目から僅かにはみ出た花弁がまるで私を誘っているかのように見える。薄紅色のそこは
処女地のように鮮やかで、経験が薄いことを如実に物語っていた。
「……あ、荒木。そ、そんなにマジマジと見ないで……は、恥ずかしいわ」
「す、すみません」
慌てて視線を外し、奥様にお詫びする。
「でも……良いの。荒木がそうしたいなら、良いわ」
。しかし、いつまでも見ている訳にはいかないので、心の中で旦那様に詫びて桃色の
柔肉に指を這わせる。
「んんっ……ぁぁああ」
奥様の声が一際大きくなり、白い指は乱れたシーツを必死に掴んでいた。
花弁を掻き分けて愛撫を繰り返すうちに、指先に愛液が纏わりつきクチュリという淫靡な
水音が立ち出す。その音を聞いた奥様は恥ずかしそうに顔を両手で覆い、イヤイヤする
ように首を振る。
「ち、違うの、違うのよ、荒木!」
突然、発せられた奥様の甲高い声に指の動きを止める。
「どうかされましたか?」
「今まで、こ、こんなこと無かったのよ。こんな、子供みたいに……も、も、漏れちゃうなんて」
言葉に詰まってしまう。奥様は自分が失禁してしまったと勘違いしてしまっているらしい。
旦那様とされていた時は、こうなる──濡れることはなかったのだろうか。
「恥ずかしい」
赤みを帯びた顔を覆ったまま、彼女は恥じらい混じりの小さな声を搾り出す。
「ハハハ」
「どうして、笑うの!」
「失礼。お気になされなくて良いのですよ、奥様」
怪訝な眼差しで私を見つめられる奥様の頬を優しく摩る。すると、その手の上に奥様が
右の掌が重ねられる。
「女性がこうなるのは自然なことなのですよ」
「……」
「むしろ、こうなって頂かなくては私の立つ瀬がありません」
奥様は細い目を見開いて私を見ている。
「この音は奥様のお考えになられているようなものではありませんから、ご安心ください」
「……嘘……だったら、許さないわよ」
「嘘は申しません。ですから、お任せください」
奥様は小さく頷き、目を伏せながらも顔を覆っていた手をどけた。奥様の頬を撫ぜ、顎先まで
手を滑らせる。その動きで奥様は伏せた目を細めた。
その反応を確認してから再び桜色の女性器に触れる。粘り気のある愛液は途絶えることなく
湧き出、私の愛撫を助ける。包皮が捲れ、少し顔を覗かせたクリトリスを指の腹で軽く擦り刺激する。
触れるか触れないかぐらいの微妙な摩擦ではあるものの、それでも経験の少ない奥様には
充分だろうと思ったが予想通りだった。
「ぁぁぁあっ!」
奥様が身体を弓なりに反らし、半開きの口元から歓喜の呻きをこぼす。その光景に私の心は
躍ったが、逸る気持ちは何とか鎮め奥様が落ち着かれるのを待つ。
クリトリスをガラス細工でも扱うかのように控えめに刺激しながら、膣の入り口にも指を差し入れる。
みっちりと詰まった襞が異物の侵入を拒むように私の指を押し返す。それでも潤滑油代わりの愛液の
お蔭で、少し強引に押し込むと内側の肉を掻き分けるように埋まっていく。
「はぁっ……はぁぁ、あっ、あらきぃ」
潤んだ瞳でこちらを見つめる奥様に心が締め付けられる。
「痛みますか?」
私の問い掛けに奥様は弱々しく被りを振って応える。
「大丈夫よ。不思議……お前が相手だと痛くないなんて」
旦那様は女性経験が少なかった分、奥様とうまくいかなかったのだろうと思う。
物静かなお優しい御方で、上流階級ではお決まりの奔放な女性関係には縁遠い
方だった。真面目で誠実、その上使用人も優しい、そんな聖人君子のような御方の
奥様だった人を抱いている──自分の行為に強い罪悪感を覚えながらも、それでも
それを振り払ってしまえるほど奥様への慕情は強かった。
「体調が宜しいのでしょう?そうでなければ、痛みがないのは偶然です」
私の嘘を奥様は強く首を振って否定し、少し悲しげな目で私を見つめている。
「違うわ、荒木。私、お前が好きだったのよ……誰よりも。あの人よりも」
その言葉に私は固まってしまう。
「あの人との結婚も望んだものではなかった」
えてして、上流階級の婚姻とはそういうものだ。
「でも、嬉しい誤算だったのは、あの人が優しい人だったこと。だから、あの人のことを
好きになろうとしたわ。きっと好きになれると思った。でも……ダメだった。だって……
……お前がいたもの」
その言葉は嬉しくもあったが、そう思う自分はあの素晴らしい旦那様を裏切っているようで
心は乱れた。
「お前が側にいるだけで胸はドキドキするし、お前がいなくなると急に寂しくなるし……」
「奥様」
「私は悪い女でしょ?あの人があんなにも大切にしてくれたのに……!?」
次の言葉を紡ごうとした奥様の唇を反射的に塞いでいた。奥様は驚いて、目を見開く。
私だけではないのだ──奥様もまた悔悟と罪の意識に苛まれている。
それならば──。
「これ以上は仰らないでください。罪は私が全て被ります。責めを受けるならば、あなたを
かどわかした私でしょう。ですから、奥様は何も悪くないのです。あなたはただ望み、
お命じになれば良いのです」
暫くの沈黙の後、奥様は何も言わぬまま細い腕を私の首に回し耳元で甘く囁かれた。
「……荒木、私を愛して」
全身が激しく震えた。
「はい、奥様」
だが、次の奥様の一言で私は失態に気づき、蒼褪めさせる。
「後、荒木……服を、脱いで頂戴。私だけ裸なのは恥ずかしいわ」
「し、失礼しました!」
奥様を愛することができる幸福感に、服を脱ぐのを完全に失念していた。慌てて奥様に
背を向けて、ベッドに腰掛けながら身につけていた執事服を脱いでいく。その最中に
チラチラと背中に視線を感じる。肩越しにそっと盗み見ると、横目で奥様が私を見ていた。
何だか気恥ずかしいので急いで全部脱ぎ去り、寝台に戻る。
見詰め合ったまま、どちらともなく唇を重ね合わせる。
無言のまま奥様を組み敷き、自分のペニスを濡れた割れ目に宛がう。
「……荒木」
「御安心ください。痛むようであれば遠慮なく……」
「違うわ、荒木。最後までお願いね」
私が無言で頷くと、奥様は柔和な表情を浮かべられた。それに促され私は奥様の内側に
分け入った。締り具合は申し分なくきついが、充分に解したことと豊富な愛液が潤滑油の
代わりとなり、侵入は思っていたよりも容易だった。
「あ、ぁぁああぅ……ぅくぁぁあ」
奥様は白い喉を見せながら、仰け反りつつ断続的に言葉にならない呻きを漏らす。
全て収めるのはさすがに難しく、三分の二ほど入ったところで動きを止める。
「はぁっ、はっ、はっ」
荒い息で揺れる奥様の絹糸のような黒髪を優しく撫でる。焦ってはいけない、と
心に留め無駄な動きを抑える。
「痛みますか?」
それだけは気がかりだった。奥様を苦しめ、痛めつけることなど私は望んでいない。だが、
私の言葉を振り払うかのように奥様は気丈にも首を振り、吸い込まれるような黒い瞳を
閉じて口付けを強請る。私は彼女のしなやかな肢体の上に覆いかぶさり唇を重ねる。
その瞬間、奥様の温かく潤った内側が私の性器を強く締め上げる。
「んっ……荒木が入っている」
満足そうな笑顔を奥様が浮かべる。
私はあまりの強い締め付けに挿れて間もないというのに、射精感が込み上げてくる。狭い
入り口は異物をキュウキュウと締めつけ、内側の柔襞は入り込んだ私の先端に絡みつき嬲る。
その時、私は大事なことに気がついた。
極上の快感を与えてくる奥様の膣から自分の無骨な性器を慎重に引き抜くと、私はそのまま
ベッドから転げ出る。
「荒木!?」
半身を起こされた奥様の声を無視して、私は机の引き出しの三番目を開けて銀色の
小さな袋を取り出す。
「どうして止めてしまうの、荒木!」
「違います、奥様。その……これを忘れていました。あやうく奥様に、ご迷惑をお掛けして
しまうところでした」
何のことか分らなかったのか、奥様は首を傾げ私を見ていた。私はベッドの端に腰掛けると
避妊具の袋を破り、中身を自分のものに着ける。
「何をしているの?」
「避妊具を着けているのです」
そこまで言って気がついた。旦那様と奥様の褥ではこのような無粋なものは不要だった
はずだ。きっと、こんなものを御覧になること自体、初めてなのだろう。
「それを着けなくてはダメなの?」
奥様は不満顔でこちらを見ている。さすがに避妊具を御覧になるのは初めてだとしても、
避妊の意味ぐらいは知っているはずだ。寡婦の奥様が妊娠なされたとなれば一騒動が
巻き起こり、ましてそれが卑しい使用人の子だと知れれば一大事にも発展しかねない。
避妊具無しで"こと"に及ぶわけには絶対にいかない。
「……はい。ご迷惑をお掛けするわけには参りませんので」
まだ不満そうな奥様の上に圧し掛かり、もう一度彼女の入り口に男性器を差し入れる。
今度はすんなりと内側に滑り込むことができた。
「続けますよ?」
渋々と頷かれた奥様に苦笑しながら、ゆっくりと腰を動かす。
「はっ、はぁっ、ぁぁあん……あらきぃ、あらきぃぃ」
不満そうな顔は直ぐに崩れ、咽び泣きながら奥様は私の名前を掠れた声で繰り返し呼び、
しがみ付いてくる。
背中に爪が立てられ、鈍い痛みが走る。しかし、それすら今は心地よい。
「あら……きぃ。ぃい……ぁぁあんぅ……いい」
目の端に透明な雫を浮かべながら、奥様は髪を振り乱して歓喜に打ち震えている。
腰を打ち付けるリズムを徐々に早める。知らぬ間に私の性器は奥様の内側に根元まで
飲み込まれるようになり、深いストロークが生み出す快感はえもいわれぬものだった。
結合が呼び起こす興奮は高まる一方で、私は満足するどころか更なる快楽を希求したい、
という思いに囚われ何度も何度も奥様の内側を往復する。そしてその度に、うわ言のように
繰り返される奥様の喘ぎが耳に心地よく響く。
「ぁぁ……んぁぁ……ん、はぁ……ふっ、ぅぁあン、ぁン」
私が限界を迎えたのは想像よりも早かった。身体を駆け巡る快感と淫らでありながら尚も
美しい奥様の姿に呼び起こされた興奮が限界まで膨れ上がり、理性が薄れた瞬間に堰を
切ったように精液が溢れ出た。
いつまでも続きそうな長い射精が終わると充足感と喪失感が入り混じった倦怠を味わいながら、
薄い胸を上下させ荒い呼吸を繰り返す奥様の隣に身体を横たえた。
◇ ◆ ◇ ◆
「ねぇ、荒木」
「何でしょう」
照明を消して、二人とも生まれた姿のまま薄い布団に包まり抱き合っている。行為の後の
余韻を二人して愉しんでいた。
「私のこと、愛している?」
「ええ。愛しております」
即答した私にご褒美とばかりに奥様から唇を重ねてくる。
「そう。じゃあ、あの子の父親になって頂戴」
「えっ!?」
突然の奥様の発言に私は夜更けにも関らず大声を上げてしまった。そんな私を咎めるかのような
彼女の視線に、慌てて口元を押さえる。
「嫌なの、荒木?」
「違います……が、奥様と私ではあまりに身分が違い過ぎます。それに、悪いお噂も
立つでしょうし、奥様にとってよろしくないのではないかと」
「そんなことは気にもしていないから、安心なさい。私が何とかするから、お前は私を
愛してくれるだけ……それだけで良いの」
やけに男前の台詞を言われてしまい、それ以上何も返せない私は彼女を強く抱き締め、
そっとキスすることぐらいしかできなかった。
◇ ◆ ◇ ◆
「奥様、アイスティーが入りました」
初秋の強い日差しを遮る白いパラソルの下で、奥様はサングラスの奥からお嬢様が
芝生の上ではしゃぎ回る姿を見つめている。
あの情事から、三ヶ月──結局、私を夫に迎え入れようとした奥様の計画は失敗に
終わった。残念ながら奥様のお話以外に事の顛末に触れる術はなく、私は全ての
経緯を知っている訳ではないが、それでも目論見通りにはいかなかったことだけは
確かだ。
予想されたことではあったが、財閥を裏から操る"老人"達は、自らの系譜にどこの
馬の骨とも分からぬ私を入れることを徹頭徹尾、拒絶した。奥様も相当粘られたと
聞いたが、さすがの彼女も"老人"達に一致団結されて反対されたとなると、勝ち目は
なかった。
本来であれば私は執事をクビになりお屋敷を追われる破目になってもおかしく
なかったが、そこまではさすがの"老人"達もできなかった。
今や奥様は数百あるグループ会社を傘下に収める財閥の総帥なのだ。初めはその
手腕に疑問を呈していた"老人"達も、奥様が瞬く間に積み上げた業績の数々を
認めぬわけにはいかず、今や彼女は名実共に"財閥"に無くてはならない人材に
なっていた。そんな奥様の我侭を”老人”達も完全に無視することはできなかったのだ。
それにもう一人、トンでもない"爺殺し"がいらっしゃった。
「荒木!ほら、見て見て綺麗でしょう?」
ストローの先から次々と宙に浮かび上がるシャボン玉をはしゃぎながら見つめて
いらっしゃる愛らしいお嬢様。彼女が"老人"達に放った一言──
「ねぇ、どうして、荒木が私のおとーさまではダメなの?私は荒木が好き。荒木をキライな
人はキライよ」
それが最後の一撃となり雌雄は決したらしい。結局はグループを影から操っていると
言われる"老人"達も可愛い孫には適わなかったのだ。
その結果、"老人"達は奥様に譲歩して、私を内縁の良人として認めた。
つまり、私は引き続き執事という立場ではあるものの、プライベートでは奥様と愛し合う
ことを許されたのである。同時に、奥様は”老人”達が秘密裏に進めていたお見合い話を
全部キャンセルさせた。「私には荒木がいれば充分ですから」と仰って、お見合いの計画を
残そうと画策した”老人”達を蹴散らしたらしい。
パラソルとおそろいの白いウッドチェアに座った奥様がサングラスを外し、私を手招くので
側に跪き御用を待つ。すると、奥様は顔を寄せお嬢様や周りに控えたメイド達に聞こえない
よう小さな声で囁かれた。
「荒木。今夜はお前の部屋に行くことにしたわ」
「お、奥様!」
真昼間から何と言うことを言い出すのだろうか、この御方は。
「ねっ、良いでしょ?……あなた」
(了)
以上です。
お付き合い頂いた方ありがとう。
またどこかで。
GJ〜!!!
素晴らしかった。
ありがとうありがとう。
GJ!!
奥様ものも良いね
超GJ!
凄いエロいし、奥様にも荒木にも萌えましたww
また投下して下さるのをお待ちしてます!
これはGJ
GJGJ!
アリスとハロウィン後編投下します。
少しいかがわしい描写がある程度。
NGは名前欄の「アリスとハロウィン」でお願いします。
「歌う」
その脅迫は、二人きりの勉強部屋に強かに響いた。
テーブルの上を静かに見ていたエドガーは数秒その姿勢のまま沈黙すると、やがて凍り付いた顔をアリスへと向ける。
窓を背に、逆光の中で仁王立ちする肌も露な小悪魔一人。
エドガーを見据える眼差しはメラメラと怒りに燃えていた。
「今度のコンサートで、二番を歌ってやる」
ズキン!とエドガーの胃に太い針が刺さったような痛みが走った。
名の知れたソプラノとして何度もコンサートを成功させているアリスは、今年の12月に単独のクリスマスコンサートを控えている。
その舞台で例のアレを暴露してやると。そう仰る。
この二人の間に数年間眠っていた絶対のタブーに、彼女は満を持して踏み入ったのだ。
エドガーは表情を険しくした。
「…あの歌は」
「歌は自由!子供の自由な感性を奪うな!」
エドガーを遮ってアリスは何かのスローガンのように声を張る。
さらに音頭に合わせ片手をブンブンと振るい出し、目にも煩い。
こういう時だけ達者に回る口がプロの声量と合わさって、流石のエドガーをも黙らせる強烈な波状攻撃となる。
「歌うぞ!繰り返す、我々は本気である。歌うぞ!」
一人デモ隊と化したアリスはジワジワとエドガーに向け進行を始めた。
こっち来るなとエドガーは椅子ごと身を引く。
しかし残念な事に、この圧力に対しエドガー側から正論で返せる要素が無い。
近付くアリスの白い太ももがエドガーの膝にぶつかった瞬間、エドガーは一度目を閉じ、腹を括った。
「何が望みです」
「むっ」
アリスはピタッと歩を止める。
「そちらの要望を聞きましょう」
エドガーは肘掛けに肘を付け、両手の指を組んでこちらを見ている。
わー、悪人ヅラだなぁ。まるでギャングの商談みたいな雰囲気だとアリスは内心盛り上がった。
コホンと咳払いを一つ。
「じゃあ、私の要望です」
アリスは腕を腰に当て、ふっくらした胸をプリッと張った。
「抱っこをして下さい」
ばーん
何言ってんだ。
エドガーの呆れかえる視線にもアリスは怯まない。むしろ勝ち誇って余裕の笑みを浮かべている。
(多分先生はもう老眼なんだ。だから視覚だけじゃ女の子の体にコーフンしないんだ!)
だから触らせればいい。
実に短絡的な思考によって出された仮説を、躊躇なく試せるのがアリスの悪い所。
エドガーは眼鏡を外し目頭を揉み出した。
(おおー、先生動揺してるよ!えへへ)
「頭痛が…」
眼鏡を掛け直しそうぼやくエドガーには気付かずに、アリスは意気揚々とエドガーの腕を引いた。
「こっちに引越しして下さい。先生の椅子だと肘掛けが邪魔なのです」
勉強部屋の二つの椅子は各々デザインが違うのだ。
アリス用の椅子はエドガーの物より少し華奢で肘掛けがない。
スーツの袖を引っ張り、後ろに回って広い背中を押し、もう一つの椅子に向けて無抵抗のエドガーの体を移動させる。
身長差があるのでなかなか力仕事だが、アリスは抱っこの為にフルパワーで頑張った。
「よいしょ…てい!」
エドガーをアリスの椅子に座らせ、アリスは嬉しそうにエドガーに向き直った。
ぴょんっと飛び付く。
ドムッ!
「ぐっ」
「あ、ごめんなさい」
いくら標準体重より相当軽いとはいえ、女の子一人の体重投下は辛い。可哀想なエドガーから呻き声が漏れた。
アリスはエドガーの両腿の上に跨りぴったりと腰を付けている。
紫のフリルの短いスカートから真っ白な足が大きく伸び、かなりはしたない格好だ。
しかしアリスにしてみれば、小さい頃はよく登っていた勝手知ったるエドガーの膝の上。
子供が木馬に乗るような無邪気さで足をぷらぷら揺らしている。
(ふぅーい…あったかい…)
胸に顔をうずめれば、清潔なスーツの生地やシャツの香りの向こうに、微かにエドガーのにおいがした。
幸せぇ。
…ん?大嫌いな先生に抱っこされて幸せって訳はないな。それは気のせいか。
アリスは一人納得する。
「さあ先生。腕をちゃんと回して下さい。これは取引きですよー。不祥事をバラされたくなきゃ抱っこするんですよー」
アリスはエドガーの顎の下に頭を滑り込ませゴツゴツ頭突きした。
カチューシャの角と金髪が喉に擦れてくすぐったい。
エドガーは顎でそのうるさい頭を押さえ込み、眉間に皺を寄せる。
「この行為が貴方にどのような利益をもたらすのか理解不能です」
「うっふっふっふ」
「不気味な」
そう言いつつも従う他ないエドガーはアリスの背中に腕を回した。
大きく背中の開いたビスチェから覗く白い肌は手袋越しにもみずみずしく、ツルリとすべらかな感触だ。
よしよし。早速アリスはエドガーの胸に耳を押し当てる。
トクントクン
脈打つ心臓の音が聞こえるが、特に興奮や緊張で動悸が早まったりはしていない。
んん!?アリスは体を離し、エドガーと顔を突き合わせた。
(せ、せんせーい…反応してよーぅ…)
心の中で呼び掛けるが、エドガーは冷たい目のまま見返してくるだけだ。
(あれ?…あれ?)
アリスは途端に堪らなく心細くなった。
はしゃいでヨットに乗っていたら、急に床板に穴が開いて浸水したように。
晴れた日にピクニックに出かけたら、不意にゴロゴロと空に雷鳴が響いたように。
目の前がスーッと暗くなる嫌な感覚。
アリスは今まで、喧嘩しようが叱られようが、先生は自分を女の子として見てくれると漠然と信じていた。
しかし、その自信は勘違いだったのだろうか。自分はエドガーに嫌われているだけなのだろうか。
不安と寂しさが一遍に胸に押し寄せ、目の奥からお湯が涌き出る。
アリスはクシュッと泣きそうに顔を歪めた。
すると、ずくんとアリスのお尻の下で何かが動く。
「あっ」
アリスは驚いて声を立てるが、自分の声の大きさに慌てて口をつぐむ。
…あれ。反応が。
開いた足の間、下敷きになったエドガーの股間をきょとんと見下ろした後、アリスはエドガーの顔を見上げた。
エドガーは無表情のまま、そっぽを向いている。
「…先生」
「さて、もう取引の条件に足りる時間が経過したと思いますが。降りて下さい」
「先生」
「降りなさい。生温かくて不快です」
「先生って私の泣き顔に反応する!」
凛々しい顔でアリスは仮説を発表した。
「有り得ませんね」
しらを切るエドガーを無視し、アリスは顎に手を当ててブツブツと考え込む。
「そうだ…白いのかけられた日もそうだった…。私が泣きそうになったら先生はいきなり…」
さすがは男を惑わす知的な小悪魔。今日の自分は冴えているとアリスは目を光らせた。
「よーし!実験によってこの仮説を証明して見せましょう!はははは…きゃー!!」
いきなり両足を抱え上げられ、膝の上から引き剥がされる。
アリスはズデンと背中から床にひっくり返った。
「ふぎゅっ!」
「授業を再開します」
涼しい顔でエドガーが椅子から立ち上がりかけた瞬間、何か鋭い音が部屋に走った。
バキッ
「…っ」
「いった…背中打った…。…何?今のバキッて音?」
コロンと起き上がるアリスの前には、椅子から腰を浮かせた格好のまま石のように固まったエドガーが居る。
「先生どうしたの?」
「……腰が」
「ええ!ギックリ!?」
「…いえ、…何とか」
ギギギ、とゆっくり体を起こし腰に手をやるエドガーに、アリスは慌てて駆け寄った。
エドガーの背後に回りさすさすと腰を擦る。
「痛い?」
「大丈夫です」
一応ギックリ腰未経験のエドガーだが冷や汗をかいた。アリスももちろん肝を冷やした。
だって、エドガーが腰を痛めたらアリスだってとっても困る。
先生なんて大っっ嫌いだけど、それはやっぱり、何というか、困るのだ。
アリスはエドガーの腰に頑張れ頑張れと念を入れながら擦った。
―お菓子をくれなきゃ悪戯しちゃうぞ。
アリスは年中トリックオアトリートな思考回路だ。
―言うこと聞かなきゃ悪戯しちゃうぞ。
そんな小悪魔を制するには、自らが大魔王と化して力ずくで抑えるべきだろうか。
ただ、それでまた泣かれると色々余計な何かが生まれてしまう気がする。
いや、いきなり笑顔になられても、結局は面倒な何かが生じるのだけれども。
エドガーは背中から抱き付いてきた腕を抓りつつ、お菓子はやれないが、今日は課題を少し減らそうかと思案した。
おしまい
投下以上です。
6の名前欄を間違えてました。ごめんなさい。
リアル遭遇ktkr!
GGGGJ!
最近アリスが可愛くてたまらないw
GJGJ!
アリスかわいいよアリス。
そしてアリスに老眼だと思われたり腰痛めちゃったりするエドガーカワイソスw
エリカと秘密の城2投下します
NGはタイトルの「エリカと秘密の城」でお願いします
(:○_ゝ-) 「お早うございます。お嬢様」
闇を穏やかに払う上品なテノール。そして、窓の外から届く小鳥の囀りが耳を打つ。
瞼を越しにも感じる陽の眩しさが、深いまどろみにたゆたうエリカの意識を朝の活気へと救い上げた。
ヽハ.,ハ,ノ
γノノノハヽ
ルイ´х`リ 「…おはようございます…」
ベールを幾重にも絞った天幕の寝具の上、エリカはふんわりと厚い掛け布団に埋もれている。
アイボリーのくせっ毛は強固な寝癖となり、ピンピンと四方八方に撥ねていた。
(:○_ゝ-) 「お目覚めは如何ですか」
ルイ∩о`リ〜゚ 「あれ…もう朝…?眠いよう…」
(:○_ゝ-) 「昨晩は良く眠られませんでしたか?」
ルイ∩∀`リ 「ううん…すごく早起き…暗い内に…早…起…」
ルイ∩∀`リ
ルイ∩◇`リ。oO 「すー」
(:○_ゝ-) 「お嬢様、お嬢様」
ルイ゜p゜リζ゚.
エリカは眠い目を擦って身を起こした。
これからは両親と離れた生活が始まるのだ。まだ互いに面識の浅い使用人達に迷惑を掛けてはならない。
特に、目の前に居る彼に対して――
ルイ・д・リ (エリカの執事さん…)
三日前に元の屋敷で両親に紹介されたばかりだが、初めてエリカ個人に付けられた執事である。
エリカはあまり物怖じしない子であるが、主として立つ実感に緊張を覚えていた。
執事はいつの間に運び込んだのか、服を仕立てる際に使われるような一体のトルソーを手の平で示した。
о
[]
⊥
(:○_ゝ-) 「本日のお召し物ですが、こちらのワンピースは如何でしょうか」
トルソーにはドレスが一式着せられている。
エリカの予定に合わせワーブローフから見立てたのか、活動的な休日にふさわしいコーディネートだ。
スカートに二段のレースがあしらわれた水色のミニワンピースとふんだんに重ねたパニエ、裾から覗くドロワーズ風のパンツ。
つばの広いボンネットと、膝までの編み上げリボンが付いた白いバレエシューズも添えられている。
ルイ=E∀・リ 「…かわいい!うん、これがいいな」
レディが身だしなみを整える間、当然執事は部屋を後にする。
エリカは急いで身支度をする。
用意された洗面器で顔を洗い、手強い寝癖をなんとか押さえ付け、そして胸を高鳴らせてトルソーの洋服へと向かう。
釦をとめリボンを結び、着替え終わるとエリカはアールヌーボー風の大きな姿見の前に立つ。
*.゚・ルイ*・∀・リ+.・゚* 「…!」
まるで、おてんばなお姫様といった可憐な装い。
どれも既に袖を通した服の筈が、絶妙なコーディネートによって新しく仕立て直したような新鮮な輝きを吹き込まれている。
エリカはうきうきと部屋を出て、扉の側に待機していた執事と合流した。
(:○_ゝ-) 「とてもお似合いです」
ルイ´∀`リ 「執事さんはお洋服を選ぶ天才なのね」
(:○_ゝ-) 「勿体無いお言葉です。出過ぎた真似を致しまして…」
エリカはそのまま食堂へとエスコートされた。
長い廊下を進む傍ら、執事は道筋にある部屋を幾つか紹介してくれた。
夜明け前の薄闇の中では迷路に思えた冷たい路は、品格ある重厚な廊下へと表情を変えている。
どこまでも続く壁には等間隔で燭台の装飾が施され、朝陽に金色のレリーフが誇らし気に光った。
闇の姿など何処にも無い。
エリカは執事の説明に耳を傾けつつ、そっと執事の横顔を仰ぎ見た。
ルイ・д・リ (執事さん…)
ルイ・ν・リ (お洋服が好きな執事さん…エリカの執事さん)
ルイ*´ー`リ
――つづく
以上です
このシリーズ好き。
独特の空気感がいい。
あまりに誤字が多いので(1/3)の冒頭を訂正。申し訳ないです。
(:○_ゝ-) 「お早うございます。お嬢様」
闇を穏やかに払う上品なテノール。そして、窓の外から届く小鳥の囀りが耳を打つ。
瞼越しにも感じる陽の眩しさが、深いまどろみにたゆたうエリカの意識を朝の活気へと掬い上げた。
,,,,_
/,'3 `ァ
`ー-‐`,ノ
γノノノハヽ
ルイ´х`リ 「…以上です…」
>100
ちょ、頭の上!
…遅らばせながら、GJ!
>>100 噴いたw
くそっ、顔文字とか大っ嫌いなのに何でこんなに萌えるんだ…!!
続きも楽しみにしてます。
かわいいなあw
続き楽しみにしています
可愛い〜
続き楽しみにしてます
105 :
名無しさん@ピンキー:2008/11/06(木) 10:45:15 ID:QsfahFmV
最後のルイ*´ー`リ可愛い
名前はエリカなのに脳内ではルイリちゃんと呼んでしまう…
何ヶ月もまとめ更新してないからやろうと思ったけどやり方が分からない…
過疎だにゅ
リクエストとかあったらゆってぬぇ
孤独…
顔文字絵文字きらい
でもエリカすきールイリ
今日思いつきでこのスレ用小ネタをメモ帳に書いてて
本格的にまとめる前に仮保存しようと思ったら、パソコンが固まってしまったよ。
もう簡単には思い出せないほど書いてしまってたから、二度はムリだよ。
自分にしては珍しく書き上げられそうだったのにな…
うん、「だから何?」だよね。ごめん。
この喪失感を誰かに聞いてもらいたかっただけなんだ(号泣
>>111 よちよち
わかるぞ、エロパロのみならずレポートが消えたことあるから…
気を取り直してまたエロいの書いてくりゃれ
ドドンマイ!
姫と騎士ラブコメ投下します
NGは名前欄の姫パンツ冬でお願いします
115 :
姫パンツ冬:2008/11/14(金) 23:22:43 ID:/sWZ6H2s
1.
「ぎゃああああ!!」
耳をつんざく金切り声が庭園に木霊した。
「姫様!どうされましたか!」
コートを翻し、お付きの騎士が姫様の元へと駆け寄る。姫君はピーンと棒を飲んだように立ちすくんでいた。
「姫様?」
騎士が心配そうに様子を窺うと、こわばった顔で両手を入れたマフを騎士の顔の前に突き出してくる。
何ぞやと眉を寄せ、騎士はそれを覗き込んだ。
一見そこには何も無いが、目を凝らせば、毛足の長いファーの上に微小な六角形の一欠片が乗っている。
「おお、初雪ですね」
騎士は顔をほころばせ、冷たい雲に覆われた高い空を仰ぎ見た。もう今年も暮れに近いのか…。
ボフッ
季節感に浸っていた騎士の顎がマフのアッパーを受けた。
「雪がっ!雪が降って来た!」
「もが…」
騎士の顔面をマフでぐりぐりしながら姫は怒鳴る。
「何ぼっとつっ立ってんのよ馬鹿!早く城に戻んないと死ぬ!」
寒がりな姫様はもこもこしたポンチョや毛皮のドレスで完全防備しているが、それでも寒さには非常に過敏だ。
騎士を押し退けると肩を怒らせて城に向かった。
姫の背を追おうとした騎士だが、突如鼻がムズムズしし出す。「フェ…ヘッキシ!ブェックシ!」
大きなクシャミを連発した。
「もう風邪ひいたの?騎士の分際で主より先に風邪をひくなんて何なの?馬鹿騎士!」
いえ、ファーの遊び毛が鼻に入っただけです。そうは言えず、騎士は鼻をすすりながら姫の後を歩く。
ふりふりふり
両手を前に揃えているためか、お尻を左右にふりふり振って小走りする姫様。
姫様のお尻は小さい。まだ発展途上という事もあるが、柔らかいながらもキュッと締まった愛らしいサイズなのだ。
(撫でる時に丁度いいサイズで……いかんいかん。勤務中に何を考えてる)
気を引き締めようとするが、ぷりぷり揺れるスカートを前にどうしてもその中身を意識してしまう。
今日はガーターベルトを付けておられるのか。いや、紐のパンティー一枚かも知れない。
(今日は…姫様のパンツを拝見できるだろうか)
ブエッキシ!
でかいクシャミを最後に一つし、騎士はハレンチな妄想を何とか食い止めた。
116 :
姫パンツ冬:2008/11/14(金) 23:24:00 ID:/sWZ6H2s
2.
主の姫を追い越さないように、背の高い騎士はゆっくりとした歩みで後をついて行く。
寒がりな姫様は大暖炉の間に行かれると思ったのだが、部屋を素通りしどんどん廊下を進んで行った。
「どちらへ行かれるのですか?」
不思議に思い騎士は尋ねると、「湯殿。迅速に温まりたいの」とぶっきらぼうに返された。
なんだ、お風呂か。そこまでは男の自分では護衛できない。
「では、また必要になりましたらお呼び下さい」
そう言って騎士は踵を返そうとするが、即座に厳しいお叱りを受けてしまった。。
「ふざけるな。騎士ならバスタイムもちゃんと護衛しろ」
「いえ、御婦人の湯殿の前で警備をするというわけにも…」
「万が一湯船の中に曲者がいて私が襲われたらどうすんのよ。あんた騎士なんでしょ?身を挺して盾になりなさいよ」
そんな所に曲者など居る訳が――ん?湯船?
「お…お風呂場の中に、自分もついて行くのですか?」
「他に何があるのよ」
これはもしや、一緒にお風呂に入りましょうとのお誘いか!?騎士はボワワンと頭を沸騰させる。
「そんな!そのような事は出来ません!出来ませんが姫様の御身をお守りするのが我が使命ですので、お供します!」
「どっちだ」
姫はジトッと騎士を一瞥し、長い巻き髪を指でいじった。
「どっちにしろあんたに選択権なんかないの。とっとと来い。―雪が降ってんのよ?私、体が冷えてるんだから」
こうして、姫は侍女達を下がらせる為に一人先行して湯殿へ向かった。
一国の姫が家臣を風呂に連れ込むなど、バレたら勿論大騒ぎになる。人払いは徹底しなければならない。
騎士は遠ざかる姫様の後ろ姿を見送りながら、自らの顔を片手で覆った。駄目だ、にやける。
雪のせいにしてちゃっかり甘えてくる姫様は、やはり可愛いと思う騎士である。
117 :
姫パンツ冬:2008/11/14(金) 23:25:04 ID:/sWZ6H2s
3.
磨き抜かれた鏡が、壁一面に貼られた白い大理石の美しい部屋。
隣の浴場から漂う湯気は高い天井にまで届き、部屋全体に染み込んだ甘い香りがほのかに鼻孔をくすぐる。
ここが、高貴な女性の秘められた肌が晒されるという、だだだ脱衣所…。ゴクリ―。
本来ならば、騎士の身では一生立ち入る事が出来ない筈の場所だ。騎士はすでに湯にのぼせたように赤くなっていた。
「馬鹿力」
姫が、入り口の扉前に騎士が築いたバリケードを見て呟く。重い戸棚や女神像など、常人なら数人がかりで運ぶような物ばかりだ。
「安全のためです」
騎士としては、やはり外野からの乱入に脅えながらスリリングにいたすのは御免被りたい。
お誘いを戴く事もそうそうないのだから、一回一回、全身全霊でだっこしたい所存なのだ。
それに、高貴な方の女風呂に男が居るとバレたら最後、自分と姫様の密やかな関係も自分の一生もそこで途絶える。恐ろしや。
――さて、
では、許されざる甘い時間を共に過ごしましょうか…。騎士は緊張と期待で血走った目で姫へと向き直った。
「鼻息荒い」
振り向き様にビンタ一発!騎士が調子に乗る事は決して許さない姫様である。
ペコペコ頭を下げる騎士を生意気そうな目でツンとねめつけ、姫は自らのドレスを指差した。
「脱がせなさい」
ドキン――。騎士の胸が鳴る。
ここには姫様と自分の二人きり。今は誰の目も気にせずにこの方を存分に愛せる。
「し、失礼します…」
無骨な手を毛皮のドレスの胸元に伸ばす。ボアの下に隠れたホックを探り当ててそっと外した。
ぷゆんっ
小さな乳房がブラジャーごと揺れる振動を感じ、騎士は再びゴクリと喉を鳴らす。
我慢出来ずに胸の先端を目指し指を滑らせると、まだ駄目と言わんばかりに二の腕を殴られた。
お楽しみは命令をこなした後なのか。もう騎士の物は熱く張り詰めているのに、姫様は易々とご褒美を下さらない。
プレゼントの包みを開けるような気持ちで、騎士はわくわくせかせかとドレスを脱がせていった。
118 :
姫パンツ冬:2008/11/14(金) 23:26:13 ID:/sWZ6H2s
しかしドレスの構造という物は騎士にとって未知の領域だ。留め具や釦が他にもないかと、脇やお腹に指を迷わせる。
「やめろっ馬鹿」
まさぐられるくすぐったさにヒクヒク震えていた姫だが、堪えかねて声を上げた。
くるりと騎士に背を向ける。
「ここ…」
長い髪を片手でかき上げて、華奢な背中を騎士に示した。
ドレスの釦が背に沿って縦に並んでいたが、騎士の目は姫の眩しいうなじに釘付けである。
「ああありがとうございます」
興奮のあまり荒くなった鼻息がうなじの産毛をふわりと揺らした。「やめろ!」と言われても不可抗力である。
焦る指で必死に釦を外すと、ようやくドレスはブカブカに緩んだ。襟ぐりに手を差し込み生地を引き下ろす。
果物の皮がペロンと剥けるように姫様の身からドレスが落ちてゆく。
まだ幼い肩や背中を暴く毎、切ないような背徳感が騎士の腰を焙る。
今、背を向けた姫様はどのような顔をしておられるのだろう?
―怯えているのか、それとも苛々と口を尖らせているのか。
どちらの表情も、騎士の大好きな姫様である。
(もう、我慢できん!)
一気にドレスを剥ぎ取った。
待ちに待った姫様のパンツが目の前に……
「!?」
騎士は、そこに現れたランジェリーに目を見開いた。
「――あ、や…っ!」
姫も動揺し慌てて手でお尻を隠す。今日穿いたパンツを忘れていたのだろうか。
それは、毛糸のパンツ――
淡いピンクで編まれたパンツのお尻の真ん中に、レモンイエローの毛糸でヒヨコの柄が入っている。
正真正銘のお子様パンツであった…
ツヅク
以上です
姫カワユス
ちょwひよこパンツw
続きも期待してます。姫様かわいいよ姫様。騎士ガッツリ頑張れ
騎士興奮しすぎw
続き楽しみにしてます!
疑問に思ったんだが
女神さまとその神官とかの関係は
このスレの範疇にはいるかい?
女神さまにお仕えする神官ならば、ある意味主従ともいえるのでは?
女神と人間の神官ならば、定番気味ながら
寿命の違いとかに悩んだりといったスパイスとか
女神さまと天使もあり?
仕えているんならありじゃね?
投下します
軟派な執事と暴力お嬢様
直接エッチはありませんが、全年齢に落とすにはオゲレツなので
こちらに投下させていただきます
NGはタイトルのアプリコットでお願いします
冷え込んだ朝。
研ぎ澄まされた空気に全身が釘を打たれたように痛む。
たった数分庭に出ただけで、杏種の鼻の頭も耳も、あんず色の髪に負けぬ程赤く色付いてしまった。
「……」
杏種は無言で玄関に上がった。
暖房の効いた室内の温度が引き攣った身体をじんわりとほぐす。
その温もりに、杏種の胸に言いようのない切なさが去来した。この暖かさと外界の身を切る寒さ、そして花壇の無惨な姿を比較してしまう。
その時、杏種に気付かずに玄関前をヘラヘラと横切る軽薄極まりない男がいた。
「――次は週末になるかな、また会いにいくよ。うん、うん。あ、本当?嬉しいね。俺も早く桜子様の顔が見たいな」
肩で顔に携帯をはさんで固定し、手ではおざなりにグラスを磨いている。
さすが、バ柏木。目を離せば勤務中に女に電話である。
杏種は電話の向こうの桜子さんに聞こえるよう鋭く叫んだ。
「こいつ昨日は紫さんを抱いてたぞー!!」
「ぎゃっ」
柏木は飛び退いて慌てて電話を切る。
わななきながら杏種に噛みついた。
「ちょ、ちょっと!最悪っ、何考えてんですか!絶対今の向こうに聞こえてるって!」
「殺すぞ」
「あ、いえ。すんませんした」
明らかに機嫌の悪い杏種に直ぐ様姿勢を正す。普段から顔色が読めない彼女だが、本気で怒れば鬼のように恐ろしい。
杏種は深々と頭を下げるクズ執事をジロリと睨むと、横をすり抜けてズカズカと上がりこむ。
すれ違う様、彼女は恨み節のようにポツリとこぼした。
「…霜が立った」
「ワタクシめのシモも立っております」
よせばいいのに脊髄反射で下ネタを被せる柏木。
バリンッ
彼が片手に持ったグラスが凄まじい速度と力で握り潰された。
「お前のシモもへし折るか」
杏種がグラスを握った手を開けば床にパラパラとクリスタルの破片が落ちた。
柏木は笑顔を引き攣らせる。
「こ、これ、奥様のコレクションのグラス。デキャンタとセットの一点物…」
「知らん。弁償代は柏木の給料から天引く」
「い、いやっ、下ネタは謝るからさぁ、それは無しでしょう?これ割ったのお嬢様でしょー?」
涙目で追いすがる柏木の首筋に手刀がつきつけられた。
「それが嫌なら朝顔を元にもどして」
頑是無い子供のような杏種に柏木は大仰にのけぞった。
「はぁ?朝顔?――ああ、霜で枯れたんですか」
「そう」
「んなもん今日まで咲いてたのが奇跡でしょ。普通秋にゃ枯れて種付けるでしょうが」
「だって今年は花のまま凍死してんだもん。あれ小一の時から育ててる大事な朝顔なの」
「そりゃ知ってるけどさ…」
毎年種を収穫し、翌年に蒔いては連綿と咲かせ続けてきた由緒ある朝顔なのだ。
一系の朝顔という所が杏種にとってポイントらしく、市販の種では代わりがきかないと言う。
「…ガーデニングに精だす主婦かよ。ティーンらしくマニキュア塗るとか可愛い趣味持ちなさいよ」
「うるさいなあ。朝顔ー!」
いよいよ杏種は幼児退行を始めバタバタと廊下で足を踏み鳴らしだした。
普段ならば周囲の人間に何が起ころうともスルーを決め込む杏種であるのに、なんと異様な騒ぎ方。
つまり周りの人間より自らの朝顔が大切なのか。我がお嬢様ながらさもしい娘よと柏木は胸中で毒づいた。
「……へいへい、じゃあオジサンが朝顔さんの種をあげるでちゅよ」
「え!マジ!?店で買ってくるのじゃだめだかんね」
「あのねえ、お嬢様は知らないだろうけど、俺は毎年もしもの時に備えて同じ種でスペアの朝顔育ててんのよ」
「…はー」
杏種もこれには感心するしかない。
「今年も数は少ないけどちゃんと種は採れてるからさ、それをあげればいいでしょ?」
「うん!」
手の平を返してご機嫌になる杏種に肩をすくめると、柏木はおもむろに携帯を取り出し電話をかけだした。
「―…あ、おはよ。ごめんね急に。うん、あのさ、優衣子様んとこに朝顔の種預けてあるでしょ。あれが急遽必要になってさ――」
お前、よそのお嬢様の屋敷で朝顔育てるなよ。
杏種は突っ込みたくなったが、今回は全てに目をつぶることにする。
ふと床を見れば花壇の霜よりもまぶしく破片がキラキラと輝いている。杏種は今更青くなった。
(……バ柏木と二分すれば、多少罪も軽くなるかな)
そうだ、あれも悪い。あれと自分はセットで悪い。
このスケベな軟派執事と暴力お嬢様は、どうせ地獄の底までくされ縁なのだ。
おちまい
以上です
女神といえば、清楚なお嬢様や奥様がひそかに
女神行為に勤しんでいたら良いとオモタ。
女神行為の意味がわからんw
女神行為・・・
「×××しないと死ぬぞ」とか予言して僕に奇異な行動させるとか?
お嬢様も朝顔育てるんだーと思いつつこの主従は同年代だろうか
柏木は三十路で杏種は十四、五のイメージです。
女神行為というのは…↓
「金曜夜は女神板の貧乳スレに限りますな…フヒヒ…」
閉めきった暗い部屋に、パソコンの画面だけが明るく灯っている。
執事は普段のキリッとした紳士の仮面を脱ぎ捨て、だらしない笑みで「おっぱい!おっぱい!」と掲示板で画像投下を煽る書き込みを続けている。
「――お、新人女神か?」
リロードした途端、新たに付いたレスに執事は注目した。
そのレスには「初めてなので不安ですが、画像ちゃんと見れるかな?」とあり、携帯用画像アップローダーのurlが貼られていた。
初々しいレスに目尻を下げつつさっそく踏む。画面は即座に、携帯の待受サイズの小さな写真へと飛んだ。
それは、正に貧乳スレにふさわしい、小さな胸から臍までを映したみずみずしいヌード写真であった。
「ちゃんと画像貼れてるよ〜!イイヨイイヨー、いい脱ぎっぷり……」
可憐な裸体にしばし興奮していたが、画面に釘付けになったまま執事は徐々に真顔になってゆく。
「…胸元の二つ並んだほくろ…。この乳首の色。くびれの感じ…。まさか、まさかこの体は、お嬢様!?」
脳天に落雷を喰らったような衝撃にしばし身動きが取れない。
あの大人しいお嬢様が、女神行為を――?
こういう奴だべさ。
個人的に女神、と冠するからには
見る者には欲情だけでなく、畏敬や崇拝とか抱かせるべき
と考えた俺って異端?
最後の行の後の執事はそういった感情もおぼえてるかもしれんが
女神にwktkしつつ投下。
エロなし。
財閥のお嬢様:小早川アリス
執事:藤田
NGは名前欄のとある執事とお嬢様でお願いします。
藤田視点で行きます。
慌しく進められたお嬢様の結婚の準備。
それもこれが最後だ。
「――では、こちらになります。受け取りにサインをお願い致します」
先程確かめたウェディングドレスを箱に詰めたものを示して店員が笑顔を向ける。
「藤田、サインしておいて」
爪を見ながら興味なさそうに指示するお嬢様。
サインをして、箱を持つとそれを見計らったお嬢様が立ち上がる。
「小早川様、この度は本当におめでとうございます。ありがとうございました!」
店員の声に送られて店を出る。
「……藤田。何か話したそうね?」
「お嬢様が直接店の方に出向かれなくても、よろしかったのではありませんか?」
しかも店までは歩きで、という条件付で、だ。
二日後に結婚を控えたお嬢様のスケジュールは多忙なんていうものじゃない。
それというのも今回の結婚は急な話だった。
ご両親が亡くなられ、次期小早川財閥の後継者として育てられたお嬢様。
現在は祖父であられる大旦那様が社長を務めている。
いや、「いる」というのはもう正しくはない。
社長を務めていた大旦那様は今は病の床に伏している。
大旦那様がいなくとも会社は回る。
だが、病のために気弱になってしまわれたのか、大旦那様はお嬢様にあるお願いをされた。
それが『結婚』である。
『自分の目の黒いうちに孫とは言わん。アリスの花嫁姿が見たい』
大旦那様はそう、仰ったと聞く。
そうして部屋にこもられた三日後にお嬢様は数ある見合い話のうちから一つを決めて、あと二日でお嫁に行ってしまわれるのだ。
いや、お嬢様が女性としての幸せを掴まれるのならばそれは執事としては喜ばしいことなのだが。
「だって、私が店に行ったら藤田がついてくるじゃない…」
「何か、仰いましたか?」
周囲に気を配りつつもこれまでの日々を思い返していたためにお嬢様の言葉を聞き逃すとは。
「紅葉がきれいねって言ったの」
「ええ、そうですね」
確かに。
お嬢様が店のすぐそばに車を寄せずに少し散歩をしたいと仰られた道はそれは見事に色付いていた。
そういえば、この道は『恋人通り』という少々下世話な名前がついており、手を繋いで歩くといつまでも幸せになれるという…
私の思考はそこで中断された。
大事なウェディングドレスの箱を持っていない方の手が暖かい。
……いや、やはり冷たい。
「お嬢様?」
「寒いのよ!片方だけでいいから温めなさい」
確かに、お嬢様の手は冷たく、震えている。
「手袋をお持ちだったと思いましたが」
「さっきの店に忘れてきたみたい」
「ではすぐに取りに戻って…」
踵を返しかけた私をお嬢様が引く。
「それまで私の手を冷たいままにしておくつもり?」
確かに、お嬢様を一人にするわけにはいかない。
手袋はあとで誰かを使いにやるとして。
荷物を持ったままコートのポケットから自分の手袋を出す。
男物ではあるがないよりはましだろう。
お嬢様の手は本当に冷たい。
「よろしければこれを」
手袋を見せるとお嬢様は非常に困惑したような表情をされた。
「藤田の?」
「お嫌かもしれませんが、これでは冷たすぎます」
じっと、手袋にお嬢様の視線が注がれる。
「ご結婚を控えられた、大事なお体なのですから」
付け加えると奪うように片方だけ手袋をつける。
そして私たちの間の手は繋がれたまま。
「藤田だって風邪引いたら困るんだから、半分だけ借りるわ」
「しかし…」
なお言い募ろうとする私を片手で制してお嬢様が言う。
「人肌がいいの。温めなさい、藤田。これは命令です」
命令。
私にとって絶対に遵守しなければならないものである。
「では、失礼します」
そう言ってお嬢様の手をぎゅっと包み込む。
冷たい風から守るように。
今日のことは忙しい日々の中での息抜きだったのかもしれない。
車が見えるまで、というより『恋人通り』を最後まで歩いて手を離すとお嬢様は笑った。
「私、ここを歩くのが夢だったの」
嬉しそうに微笑む。
それなら、今度旦那様になられる方と歩けばいいではないですか。
言葉にするにはお嬢様が幸せそうに笑うので、何も言えずに飲み込んだ。
これは政略結婚である。
お嬢様は会社や財閥にとって一番益のあるお相手を選び、見合いをして結婚を決められた。
相手に望む条件は一つ。
お嬢様はまだ未成年(ちなみに19歳だ)のため、旦那様となられる方と同居し、本格的な結婚生活を送るのは当分待って欲しいこと。
話し合いの結果、通われている学校を卒業するまでは学業に専念することで合意した…らしい。
らしい、というのはその場に自分は同席させてもらえなかったからだ。
結婚の話が決まってからはその関連はメイド頭が受け持っている。
同じ女性であるし、色々と思うこともあったのかもしれない。
それまではどんなことだろうと「藤田はいないの?」と私を呼んでから采配していたので少し寂しい気もする。
いや、寂しい、などと思うこと自体が不敬なのだ。
相手は――お嬢様なのだから。
車に乗り、屋敷につくまでの間お嬢様は手をもう一方の手で包み込むようにしていらした。
寒い、といってらしたことだしお風邪を召されたのかもしれない。
戻り次第、厨房に暖かいものを用意させて部屋の暖房の調節と、念のために医師を手配しよう。
運転手がドアを開け、お嬢様が車を降りられるのを手伝う。
お嬢様が屋敷の扉までの道で待っていた私に目を止めると両手を差し出す。
「ドレス、ここからは私が持っていくわ」
「あ、ああ。はい」
荷物を自分で持つ、と言われたことに驚いて反応が遅れる。
ウェディングドレスというものはやはり女性にとって特別なのだろうか。
ドレスを選ぶときには私も同行させて頂いた。
更衣室から出てくるたびに幾通りもの純白の衣装に飾られたお嬢様。
「どうかしら、似合う?」と自信なさ気に俯いておられたが正直な所、どの衣装に身を包まれても目が眩むばかりで。
本当に旦那様になられる方はどれだけお幸せなのかと思った。
「よく……お似合いです」
馬鹿の一つ覚えのようにそう言って「もう、ちゃんと見てよ!」と少し拗ねたように笑う姿のお嬢様。
しかし最終的に候補を二つに絞られて「藤田は、どっちが好き?」と聞かれたのには困った。
何を言っても「もう十分に吟味は済んだのよ!どちらに決まってもいいのだからお前が決めなさい」と仰られ…
わからないなりに必死で考えた末に選んだものがこの箱には入っていた。
箱が手を離れると、お嬢様は少し表情を崩されて微笑まれた。
「お前の好きなドレスを選んでも、お前のところへお嫁に行ける訳じゃないのよね」
そしてそのまま私を手で制すと屋敷の中に入っていかれた。
車の中で考えていた手配や、こまごまとした用事を済ませて部屋に戻ると外はもう闇に包まれていた。
お嬢様には他の者がついている。
ご機嫌を損ねたのだろうか、今夜は藤田は呼ばないと仰っていると聞く。
医師が言うには体調に問題ないようだが油断はできない。
明後日にはご結婚を控えられているのだ。
あと数分で終わる今日が終わればもう、すぐだ。
ぼんやりとお嬢様のことを考えながら部屋を片付ける。
片付ける、と言ってももうあらかた荷物は運び出しているのですぐに終わってしまう。
ベッドに腰掛けると、思い出す。
初めてお会いしたのはお嬢様が四歳の頃。
その頃はまだ旦那様も奥様も健在で、絵に描いたような幸せな家庭だった。
何が気に入られたのか、お嬢様付きの執事になって十五年。
数いる執事の中から「私、それなら藤田がいいわ!」と仰られた声を今でも覚えている。
それまで居並ぶ執事の中でどれにしたらいいのかわからないというように悩んでいたお嬢様が
奥様になにか囁かれて、すぐに自分に決められたのだ。
あの時、奥様はなんと仰ったのか。
まだ経験の浅い自分が選ばれたのが不思議で、何度かお伺いしたことはあったが、軽くかわされてしまった。
ご多忙の中、外出した先で事故に遇われ、亡くなってしまった今ではもう伺うことは叶わない。
お屋敷にはお嬢様にはお爺様であられる大旦那様と、沢山の使用人がいたが、お嬢様をお慰めすることは叶わなかった。
そして、確かこんな夜だった。
お嬢様が「藤田」と私の名前を呼んで、この部屋にいらしたことが…
「…藤田?」
幻聴ではなかった。
部屋のドアを開けた隙間からあの時と同じように、お嬢様の小さな顔が覗いていた。
「返事がないからいないのかと思って…勝手に開けてごめんなさい」
使用人ごときに頭を下げる必要などないのに。
だがそんな所も私のお嬢様の育ちのよく、可愛らしい所である。
幼少の頃から、変わらず……いや、美しくなられた。
「いえ、こちらの方こそ申し訳ありません。少し考え事をしていたもので」
ベッドから立ち上がる。
主人が立っているのに使用人が座っていていい道理があるはずもない。
「どうかされましたか?呼んでくださればこちらから伺いますのに」
他の使用人達は何をしているんだ。
お嬢様に足を運ばせるなんて。
「本当に何もないのね」
私の質問には答えず、部屋を見回す。
「他の使用人は下がらせたわ。話があります」
ああ、お嬢様の耳にできるだけ入らぬようにと思っていたが、聞いてしまわれたんだな。
「ここを辞めるって本当なの?」
「はい」
返事を聞いて俯いてしまうお嬢様。
ああ、そんな表情をさせたくなかったのに。
「じゃあ、明日まで…っていうのも?」
絞り出すように、か細い声でお嬢様が聞く。
「はい。ですがお嬢様のスケジュール管理は半年先まで済んでおりますし学校の方も…」
「そんなことを聞いてるんじゃない!」
叫んだお嬢様の頬は濡れていた。
「どうして黙っていたの」
「私事ですから」
使用人の都合をお嬢様の耳に入れるまでもない。
「だから最近、新しい執事が入っていたのね」
確認、するように。
噛み締めるようにしてこちらを睨むお嬢様。
「はい。引継ぎは全て済んでおります。今からでも私がいなくても何の不自由もおかけしません」
「今からでも?」
今度は目を丸くして、こちらを見上げる。
本当に、よく表情の変わるお人だ。
そんな所も、いや、これはやめておこう。
「はい。しかしお嬢様、そろそろお部屋に戻られませんと…」
よくみればお嬢様は夜着の上からカーディガンを羽織っただけの軽装である。
こんな格好でいたら風邪を引いてしまう。
明後日は……いや、もう日付が変わったので明日には結婚されるお方のすることではない。
「では藤田。お前は即刻解雇よ」
少し考え込んでいた風のお嬢様はそんなことを口に出した。
「主人の意向を汲み取れない執事なんて要らないわ」
「はあ」
いきなりのことに間の抜けた返事を返す。
日付の変わった本日、お暇を頂くのが今すぐに変わっただけだ。
「では、今すぐに荷物をまとめてこちらを出ます」
そう言うとお嬢様は深く、深くため息を吐いた。
「お前は本当に馬鹿ね」
笑って、お嬢様はこちらに身を預けた。
いきなりのことに対応できずにいると胸の辺りで声がする。
「どうして、ドレスを選ぶのにお前を連れて行ったと思う?」
白い生地に包まれたお嬢様が思い浮かぶ。
「どうして、この寒い中手袋を失くしたなんて嘘を吐いたと思う?」
そう、ドレスを頼んだ店に連絡したが忘れ物はなく、手袋は今日お嬢様の着ていらしたコートから見つかった。
「どうして、あの道を二人で歩きたかったのだと思う?」
それは……
「どうして、結婚相手をこの家に入れずに三年も待たせるのだと思う?」
答えられない。
思いつく、答えはある。
だがそれをお嬢様の口から聞きたい。
「……どうして、ですか?」
自分でも笑ってしまうくらい、声が震えたのがわかった。
それがおかしかったのか、私に身を預けたまま顔を向けたお嬢様は笑顔だった。
「お前に綺麗だと言ってもらいたかったし、お前と手を繋ぎたかったし、お前と恋人同士のようなこともしてみたかったし」
まくし立てるようにそう言うと、そこで息を継ぐ。
「それに――お前と一緒にいたかったからよ」
少し、顔を赤くしたお嬢様は女の顔をしていた。
「もう一つ、教えてあげる」
そっと、お嬢様が私の背に腕を回す。
「お嫁に行くときには藤田を連れて行っていいといったから、私は結婚を決めたの」
じわりとお嬢様の熱が伝わってくる。
「そうしたら離れないでずっと一緒にいられると思って」
ずっと、見ないように、気付かないようにしていた。
もうお嬢様は、出会った頃の少女ではなく女性になっていたことに。
お嬢様から向けられる視線の意味に。
年齢や、立場を弁えろと言い聞かせなくてはならないほど、
結婚式を見届けられず、前日に屋敷を逃げ出すように職を辞するほど、自分がお嬢様に囚われていたことに。
そろそろと普段の自分からは考えられないくらいに鈍い動きでお嬢様の背に腕を回す。
壊れないように、そっと包み込むと息を整える。
「お嬢様、私からも聞いて頂きたいことがあります」
「なあに?」
少し身じろぎしてお嬢様が上を向く。
「アリス様、ずっと…………お慕いしておりました」
やっとのことで口に上らせる。
「初めて、名前で呼んでくれたわね」
蕩けるような笑顔を見せられて、今更ながらに心臓の音がうるさく聞こえる。
視線をそらすと弁解するようにまくし立てる。
「他所はどうかわかりませんがこちらのお屋敷では、使用人は主人の名を呼んではいけないことになっております」
「そうなの?!」
顔をそらしてもお嬢さまが覗き込もうとしてくる。
そうすると身長差で自然とお嬢様が上目遣いになるわけで。
「どうりで呼んでくれないはずだわ…」
腕の中でお嬢様は小声でそんなことを言う。
それが愛しくてたまらない。
「でも私は解雇された身ですので」
背に回されていたアリス様の手を取り、口付ける。
「これくらいはお許しください、アリス様」
手の甲へのキスは尊敬。
「ちょ、ちょっと藤田、お前……何を!!」
自分から抱きついてきた人とは思えないほどに体中を赤くしているアリス様。
どうにも言葉にならないようだ。
名前を呼ぶだけでこんなに喜んで頂けるなら、これから何度でも呼ぼう。
「な、なに笑っているのよ!」
「いえ、自分はアリス様のことが本当に好きだなあと思いまして」
これ以上赤くはならないと思っていた顔がますます赤くなる。
「ふじっ、お、まえ…」
すべるように後ろに下がったアリス様がこちらを指差して何事か話そうとするがわからない。
しかしこれ以上は無理そうだ。
自覚した上に、お嬢様と使用人という箍が外れた今、自分に迷うことはない。
だが――名前を呼んで愛を囁いただけでこれでは、先は長そうだ。
これからの長期戦を覚悟しながらアリス様が落ち着くのを待つ。
「そ、そういえば、もう一つ藤田が聞きたがっていたことを教えてあげるわ」
アリス様は深く、息を吐き出すとそう切り出した。
「私が執事を選ぶときにお母様が耳打ちしてくれたことよ」
平静を装ってはいるが多少上擦った声になる。
自分のためにここまで心を乱してくれているというのは微笑ましいというか、正直に愛しい。
手招きに応じてお嬢様の顔に耳を寄せる。
「ずっと、一緒にいてもいいと思える人を選びなさい、って」
何を言われたのか理解できなくて動きが止まる。
四歳の頃から、自分と一緒にいたいと思ってくださっていたわけで。
頬に血が上っていくのを感じながら幸せに浸っていると両頬を抑えられる。
「……え?」
声が出たがどうか。
唇に暖かい感触があって、すぐに離れた。
キス、と言うには稚拙あったそれをされたと理解したときにはアリス様はこちらに背を向けていた。
「私は負けず嫌いなの!」
前言を撤回するべきかも知れない。
たった今お嬢様のそれが触れていたであろう唇を手で押さえながらぼんやりと考えた。
それから、ですか?
二人がどうなったかなんてお話しするまでもありませんよ。
私は小早川のお屋敷に相変わらず勤めております。
まあ、雇い主は変わりましたが。
「藤田、藤田はいないの?!」
「すぐに参ります!」
では、主人が呼んでおりますので私はこれで。
**終**
結婚式当日の花嫁の控え室で背徳のヴァージンロードと悩んだ。
お邪魔しました。
>>144 ふむ、「卒業」しなかったのですね
GJ !!
GJ!!
じっくり読み込んでしまった。
アリス、可愛い!!
GJ!!
二人とも可愛くて堪らんね〜
GJ!
萌えた!!
もっと読みたかったです
あ〜続き物のが気になる。
ルイリちゃんのや姫パンツやらアリスとエドガーのなどなど。
毎日覗いてまだかな〜とため息
150 :
名無しさん@ピンキー:2008/12/01(月) 00:25:34 ID:O6k1aOFR
「じいや、上へ行くわよ」
「かしこまりました」
「お嬢様、あげれば必ず作品がくるというわけではありませんよ」
「ではどうすればいいの?」
「一番いいのは萌える主従の妄想、ではないでしょうか?」
「妄想?」
「もしかしたら職人の方々の琴線に触れて投下があるやも知れません」
「ではお前、妄想なさい」
「お嬢様、色んな方のレスがあってこその妄想でございますよ。お嬢様も実践してみられては?」
「そ、そうね、私も頑張ってみるわ」
「「保守」」
そういや従者側が老人っていう設定ってあったっけ?
>>153 これまで投下されたSSの中に
ということだと解釈した
>>151 「妄想…妄想…」
「何をそんなに悩まれているのですか?お嬢様の得意分野でしょう?」
「べっ、別にそんなもの得意でも何でもないわよっ!」
「嘘おっしゃい。毎夜毎夜私の名を呼ぶお嬢様の艶やかな声が聞こえてきますよ」
「う、嘘よっ!シーツ噛んで声が漏れないようにしてるんだから!」
「はい、嘘です」
「へ…?」
「どれだけ部屋が離れていると思っているのですか。絶叫しても聞こえません」
「………〜〜〜お、おまっ、お前えぇぇ!!!」
「ですから今思い出したことを文にすればいいのです。簡単でしょう?」
「できるかー!」
文に出来ないので職人様待ち。
妄想癖のあるお嬢はツボです
>>118の姫パンツ冬続き投下します
NGはタイトルの「姫パンツ冬」でお願いします
158 :
姫パンツ冬:2008/12/09(火) 22:51:52 ID:7KYpuYxG
4.
おお、何たる事…。
騎士を誘惑して振り回す小悪魔姫が、実はヒヨコでぬくぬくしていただなんて……。
「――ぷっ。くっ……ふはははは!」
騎士は盛大に吹き出した。
貴人を笑うなど無礼千万と頭では理解できるのだが、あまりの姫様のお子様っぷりに大人の優越感がくすぐられてしまう。
「ふふ…、ゲフッ、ゲフン!」
空咳で笑いを誤魔化そうと苦心するが、時すでに遅し。
「もう知らない」
冷たく言い放つ姫様の声に場の空気は凍りついた。
―怒らせた!
姫様はくるりと身を反転し、お尻を騎士の視線からガードしてじりじりと後退る。
俯いた顔は前髪に隠れ、表情は分からない。しかし、ボリューミーな巻き髪から覗く耳たぶが赤かった。
「し…失礼致しました…」
てっきり猛烈なキックやビンタをもらうと思っていた騎士は、意外な姫様の様子に眉を寄せる。
「…あの…姫様?」
「うるさい」
声にいつものつんけんした覇気がない。そのむき出しの肩は、肌寒さからか微かに震えていた。
そこで、騎士はようやく自分のしでかした事を悟った。
怒らせたのではなく、傷つけたのだ。――頭から冷水を被ったように全身が冷えた。
159 :
姫パンツ冬:2008/12/09(火) 22:54:18 ID:7KYpuYxG
男に下着を笑われる事が、乙女にとってどれほどの傷となるのか。今の姫の様子を見れば一目瞭然だ。
鏡貼りの壁に背を付け、ちんまりと萎れた姿――。
顔面蒼白となった騎士は、すがるように姫の前へと歩み寄った。
「姫様…。なんとお詫びしたらよいか…。どうか、私をお気の済むまでボコボコにして下さい…」
懇願するも、姫様は俯いたまま目を合わせてくれない。きゅっと眉間に皺を寄せ床を睨み続けている。
………。
騎士には永遠とも思えた数秒の沈黙の後、噛み締めていた赤い唇が開かれた。
「…どうせヒヨコに興ざめしたんでしょ?…大嫌い。死ね」
「さめていません」
騎士はきっぱりと否定した。
「嘘…」
「本当です」
疑わしそうに視線を上げた姫様だが、その目は騎士の顔まで辿り着かず腰の位置で止まってしまった。
「……」
目を丸くして瞬くが、すぐにツンとそっぽを向く。
「…こんなパンツで勃つなんて、変態」
ぶっきらぼうに呟くと、一歩踏み出して目の前の胸に顔を埋めた。ついでにボフッと一発殴る。
騎士は姫様を抱き締めながら、あまりに単純な自分の劣情に顔を赤くした。
「私がお慕いしているのは下着ではなく…姫様の御身ですから…」
そして、毛糸パンツに手をかけ、中の下着と共に引き下ろす。
姫様の背後の鏡に、むき玉子のようなお尻がツルンと反射した。
160 :
姫パンツ冬:2008/12/09(火) 22:57:03 ID:7KYpuYxG
5.
騎士は、湯で温まった姫様を背中から抱き込み、自らの膝の上に座らせた。
ふかふかに泡立てたスポンジを胸に滑らせ、ホイップクリームのような泡で肌を覆ってゆく。
「ふ、く、んうぅ…っ」
乳首をくるくると円を描いて撫でられ、姫様の喉がコクンと上下した。
まるで何かを欲しがっているようなその仕草は、愛らしく、いやらしい。
騎士の胸を背もたれにして、スポンジが微細な場所に泡を運ぶ度に悲鳴を漏らす。
弱点の脇腹とおへそをたっぷりと洗われた後には、すっかり息も荒くなっていた。
「ふぁ…はう、ン…んっ」
「姫様…」
騎士が足を開けば、乗せられた姫様のおみ足も開いてしまう。
「こちらも洗わなくては…」
「や…そっちは…あっ!…うぁっ」
開いた姫様の足の間にスポンジを伸ばす。
うぶ毛に覆われたそこをスポンジの角でいじれば、溢れ出た蜜がトロトロと泡に溶け出した。
「馬鹿っ騎士ぃ、…あっ、やぅ…や。…そんな…擦るのっ駄目…」
スポンジがそこをいくら洗っても、新たな蜜で汚れてしまいきりがない。
「もう駄目っ、もう、終わりっ。……次は、中も洗って…」
「はい…」
中にはスポンジは届かない。
姫様を一度抱き上げ、今度は向かい合った姿勢で股間に跨らせた。
起立した騎士の芯の上に、姫様の泡まみれの割れ目がぴとっと合わさる。
ズッ――
「はっう!ぁあっ、ふぁあぅっ!」
161 :
姫パンツ冬:2008/12/09(火) 22:59:38 ID:7KYpuYxG
泡の滑りと自分の体重で姫様がずり落ちる。太い芯がどんどんと細い腰の中を埋めていった。
「やぁああっ、ひうっ!ひゃん、っん、んうっ!」
きつく閉じた目から涙がこぼれる。
ズッ ズッ
下から激しく揺さぶられ、姫様は滑り落ちぬよう騎士の首にしがみ付いた。
重なった胸と胸が擦れ、小さなシャボン玉がぷくぷくと飛び散る。
ズッ グチュッ チュッ
騎士も、姫様の体が飛んでしまわぬようそのお尻を両手で掴んだ。
抜き挿しされるごとに泡立つ小さな入口。手にすっぽりと収まる小さなお尻。小さな、小さな姫様。
例えどんな下着を纏っていても、こうして裸になれば変わらない。
同じ、姫様だ。
「あやぁ、ふっ…くぅ、うぅ…っ!…ふあぁやあっあああっ!」
姫様の中が、きつく締まった。
湯上がりにポカポカに温まった体をしっかり保温――。
「やはり、女性の腰とお腹は冷やしてはいけませんね」
「当たり前だ」
姫様は跪かせた騎士の頭に手を着き、着替えの毛糸パンツに片足ずつ足を通していた。
「いつか、あんたの赤ちゃん産むかもしれないんだから」
ポソッと呟いた小さな声は騎士の耳には届かなかった。
「はい?何かおっしゃいましたか」
「何でもない」
ペンッと騎士の頭を叩くと、姫様は小ブタの柄のパンツをきゅっと引き上げた。
おしまい
以上です
うわあぁぁぁ!待ってた!待ってたよー!!!
姫様可愛すぎっ!コロコロ表情が変わる様子が目に浮かびました。
GJ!!
>>155 冬コミに参加する同人作家なお嬢様想像した
>>152 の影響受けて若い頃は漫画のアシスタントやった事もあるしつじいさんとか
>冬コミに参加する同人作家なお嬢様
三千院ナギっぽい趣味のお嬢様連想した
>>164>>165 801好きなお嬢様が同人誌の参考に自分の執事を脱がせて模写する姿が浮かんだ。
そしてだんだんエスカレートしていき遂には自分のアニャルに入れさせるのだ。
そこはお嬢様が執事のアニャルにぶち込む、だろ
>>167 そうか。そのあとさすがに切れた執事に処女を奪われるんだな。
これも悪くないわと眼覚めてしまったお嬢様は
実体験に基づいた赤裸々な男女エロも描いて人気を博し、
執事への要求がエスカレートしていくんだなw
そのエロマンガ買ってくるからタイトル教えてくれ
もうキャンとばでいいよ
姫パンツきてた。騎士かわってくれwGJ!!
後で自分がどんな顔してるかとか
確認するためビデオで撮影しちゃってたりするんだな
どうしようもない駄目お嬢様だwしかし読んでみたい…
どっちを?
書いた漫画を?そのスレを?
年上お嬢様と年下従者で来ないかしら。
神経質そうな年老いたじぃと奥様モノ希望。しかしエロに問題ありか?
不能なじぃ様が熟れた奥様に若い庭師とかピアノの個人教授とかを
あてがって、見ているという王道展開を期待してもいいですか
王道?(笑)
そのじいさまは執事とかよりむしろ年の差夫婦な旦那さまじゃね?
旦那を早くに無くしてて未亡人なんだよきっと。
奥様が小さい時からじぃは仕えていて一人寂しい夜を過ごしている奥様を不憫に思い
でも自分じゃもう相手できないから調達してくるのさ。
その内悔しくなって
若返るなり精力を取り戻す方法を探して
医学や魔術の情報を集めてったりするんだな
昨日BSで何気なく見たデズニー映画に
いい感じに渋いボディーガードと未亡人女王様のカプが出てきて不覚にも萌えたw
年齢的にスレチな程いい大人すぎる大人だし、ティーン向けの映画だからエロがある訳でもないんだけど
プリンセスへのダンスレッスンの後に、二人きりでタンゴ踊るんだ…
そういえば今日は続編の放送があるんだったな…
うん、別にそれをネタに何か書いたとかじゃないんだ 悪かった
「可憐王女(要英訳)」か。
あの祖母女王様とボディガードのカプ、自分も好きだ。
このスレ的には二人の若き日(亡王との結婚前後)の話を
妄想したら楽しいと思う。
ジュリーアンドリュースか
>>178
若い頃から絶倫で
としとっても一人位なら満足させれる
とかでもよくはなかろうか
うわぁ…まさかここでこのカプの話を目にするとわ。
海外ならいざ知らず、日本じゃあまりにアレな二人なもんで
この板で好きな人見つけるのは宝くじを当てる並に無理だと思ってた‥
>>182 「ワンゴ」のシーンはあの映画の中で異質な位萌える場面だ。
昨日の2は観た?ダンスの距離感の変化に二人の歴史を感じられる。
>>183 そうかそういう手もあるね。
きっと亡き王に嫁いだときに出会って、2で結ばれるまでの間
最後の一線は越えないなりに何かイロイロと…それともとっくに越えてる?
それにしても深夜アニメにでもありそうな>可憐王女
話がまったく見えないであろう大多数の皆、一人暴走してスマンカッタ
いや、すげー気になったよ可憐王女。
しかしウチはBSが入らない悲しい家で見れなかった。悔しい。
以前ハマってた十二国記もバッチリ主従関係があったな。
そんな気なくアニメ見てたけど、どこもかしこも主従だらけw
>>187 あの映画は内容的に地上波じゃやりそうな枠が無いからなぁ。
もしまだ見る気があるなら、喜んでつべにでも字幕版落とすけど
そこまで布教活動するのはやっぱりウザいよね…
投下がないからって調子に乗ってしまったな。
>>189 金曜ロードショー(日テレ)ならガールズムービーもやるんじゃない?
それに今ならまだレンタル店にも置いてある。
横レスだけどすごく興味深い
題名調べて借りてこよう!!
>>190 いや、残念だけどたぶん金曜‥でやることはないと思うな。
それにごり押しするのに、是非レンタルしてー、なんて
わざわざお金使わすのは気が引けて…(愛はあるが正直に)
>191
興味を持ってくれてありがとう。感想待ってる。
投下します
家庭教師がお嬢様をお仕置き
NGはタイトルのアリスのサンタさんでお願いします
聖夜は生憎の悪天候に見舞われた。
特注のオーナメントで飾られた庭のツリーも、雨垂れを落とし佇む姿は寒々しい。
濡れた敷地に吹く風は一層の冷気を孕み、皆を身震いさせる。パーティーが終わるなり大人達は早々とベッドに潜ってしまった。
いまだに明かりを灯すのは、サンタクロースを心待ちにする子どもの部屋のみだった。
「サンタさん遅いなぁ…」
ハート型のカウチの上で少女が呟く。大人びた肢体をローブで包み、毛布を被ってしどけなく寝転んでいる。
部屋はトランプの柄やチェスをモチーフにした家具で揃えられ、さながらおとぎの国のようだ。
様々な家具の中、ドレッサーとクローゼットからは賑やかに小物が溢れ、使い込まれているのがありありと分かる。
それに対し、壁際に置かれた本棚の中はすっからかんである。
本は一冊も入っておらず、棚の最上段にクマのぬいぐるみとその衣装がディスプレイされているだけだ。
つまりこの少女、アリスさん満16歳は本などまるで読まない、ついでに勉強も大嫌い―
ついでのついでに、脳を酷使せず体に栄養を送っているためか、見た目だけはかなり可愛い女の子である。
「ふわ〜ぁ…」
その可愛い顔を歪めアリスは盛大にあくびをした。拍子に金髪がハラリと顔に掛かる。ショートカットの髪は大分伸びてボブに近い。
アリスは髪を払う気力もなく眠い目をモゴモゴ擦る。
今まで粘って起きていたが、やはり眠い。アリスは見る間に糸目になっていった。
「ねむぅ…。でも今年のプレゼントは現品でちゃんと確認しなきゃ…」
しかし、自らの欲望に正直なアリスは眠気にあらがえず、うつらうつらと意識がとろけだす。
ミノムシのように毛布にくるまれ完全に寝る体勢となった。
(プレ…ゼン……ト……ぐう…)
コンコン―
アリスはぱちっと瞳を見開く。
今の物音――。ともすれば聞き逃しそうな微かな音だが、確かに部屋の戸をノックする音だった。
「もうお休みでしょうか?」
そして、ドア越しに囁く聞き慣れた声に、アリスの眠気は粉砕した。
毛布からスポンッと離脱して全力で扉に突っ込む。
バタンッ
「起きてまーす!」
鳩時計のように飛び出たアリスの前には、果たして待ち焦がれていた人物が立っていた。
「深夜です。お静かに」
騒々しい出迎えに、彼は眼鏡の奥の目を冷やかに細めた。
アリスが8つの頃からの腐れ縁、住み込みの家庭教師エドガー先生である。
常に身だしなみに気を配る彼は今宵もスーツだ。しかし深夜とあって髪はセットせず下ろしており、普段より若々しい印象だった。
「うん!!静かにするよ!!いらっしゃ……もぎゅっ」
顔面をわし掴みにされ、アリスはそのまま部屋に押し込まれた。
「姑息な根回しをしたものですね」
エドガーの嫌味にアリスはニヒヒと悪い笑みを浮かべた。エドガーのスーツをハンガーラックに掛けると、手を引いてベッドへ誘う。
「姑息じゃないよ。パパに『クリスマスのプレゼントは何が欲しい?』って聞かれたから素直に答えただけだもん」
そう、アリスがプレゼントにリクエストしたのは「エドガー先生」である。エドガーはアリスの物となってしまったのだ。
「権力を盾にする馬鹿に未来はありませんよ」
ベッドに腰掛けたエドガーがギロリと睨む。しかしアリスは怯まない。
「ふーんだ、何とでも言えです。…それより、ジャーン!この日のために新調したんだよ」
ローブをパサリと脱ぎ捨てる。中は透け透けのキャミソールと白いレースのショーツ一枚だ。
辛うじて胸やお尻がレースで隠れるような危ういデザインだが、エドガーは興味なさそうに一瞥する。
「この寒い中…。体感機能が狂っていますね」
「う…。駄目!今日から私への悪口厳禁!さ、さっさとズボンを脱ぎなさい!」
「淫売な。何をする気です」
「ほら、私がちっちゃい頃にやったアレのリベンジするの。おちんち…コホン、をアレするやつ」
エドガーは頭痛を覚えた。
昨日教えた方程式は即座に忘れるくせに、8年前の不祥事は鮮明に記憶しているアリスである。
「私あれから練習したんだよ。特訓の成果を体感して下さい」
アリスの言葉にエドガーの鉄面皮が凍り付く。
「――どなたと練習をしたんですか?」
険しい声で尋ねるエドガーに、アリスはあっけらかんと、
「アイスキャンディーと」
「……」
そういえば、毎年夏に口の周りを赤くして「づべだい〜」とベソをかいていた気がする。
安堵の息をつきながら、エドガーは、言われた通りベルトを外した。
アリスはエドガーの股の間で猫のように丸く屈んでいる。
まだ萎えた男性器に小さな舌を伸ばし、ちるるっと舐め上げた。
――苦ッ!クシャッと顔をしかめて身を離す。
「なぜ学習していないのですか」
まったく成長していないアリスに呆れるエドガーだが、アリスは「でも今年は平気〜」とサイドラックから何かを取り出した。
「ちゃんと傾向と対策を練ったんだもん。ジャーン」
「……」
アリスが得意気に見せた物は、どう見ても生クリームの絞り袋だ。
「ねぇ先生、これ塗っていいよね」
「……好きにしなさい」
ようし。アリスは真剣な表情で陰茎にクリームをトッピングし始めた。袋を絞り、ウニウニとクリームの線を引いていく。
「…うー…よし、上手にできた。ケーキみたい!そう、これはケーキ。マズくないマズくない」
アリスは自分に暗示を掛けながらドキドキと顔を埋めた。生クリームにまみれた先端をチゥッと吸ってみる。
甘い!
アリスは安心して幹を頬張った。口中に柔らかな生クリームが一杯に広がり、何とも美味だ。
「はむ…うちゅっ…うに」
「くっ…」
激しい口内の愛撫に耐えかね、エドガーの快楽は容易く起立する。
アリスの技巧は確かに上達しており、小さい口を一杯に開いて上手く男性器をくわえていた。
裏筋を舐め、亀頭をついばみ、幹を横向きにくわえて愛撫する。
前髪や鼻の頭にクリームを付けて奉仕をするアリスは愛らしく、エドガーの下半身は強くうずいた。
「ふぅぐ…んぐっ…ちゅっ…――うっ!?うびゃっ!」
頑張ってあむあむしていたアリスだが、急に陰茎を吐き出した。
「ぺふ、けふっ…な、なんかいきなりマズくなった…」
当たり前だ。あれだけしゃぶれば生クリームもはげるし液も溢れてくる。
生クリームの甘ったるさにしょっぱさと苦味と青臭さが入り混じり、奥深い不味さを構築したのだ。
「うっ…、この味口に残る…。駄目、もう無理。気持ち悪い…」
オエーッと舌を出すアリスに、エドガーは冷たく言い放った。
「続けなさい」
「え!?」
アリスはまんまるに目を見張る。
「私は馬鹿の中でも食べ物を粗末にする馬鹿が一番嫌いです。これは全部貴方が舐めなさい」
「そ、そんなのやだ!何で急に偉そうにするの?先生は私の物になったんでしょ!」
すると、エドガーは枕元の時計を指した。
「今は何時でしょうか?」
「え?えーと、12時」
「つまり日付が変わりました」
「う、うん…」
何のこっちゃと首を傾げていると、頭をガシッと掴まれた。
エドガーはもう片手で眼鏡を直しながら淡々と告げる。
「私が旦那様から頼まれたのは、クリスマスプレゼントとして1日のみ、アリス様の我が侭に付き合って欲しいという事だけです」
アリスは一瞬ポカンと固まってしまった。
――大人って汚い!1日だけ!?何それ?詐欺だ!
「やだやだ!ふぎゃっ、やだようマズいのやだ!」
火が付いたように暴れだすアリスだが、頭をエドガーの股間に力づくで押し込まれた。
口にグイグイと陰茎を突っ込まれる。
「うぎゅ、い、息できない、死にゅ〜!」
「喋れるなら息もできます」
「…う…、ちぅ…、じゅぷ…」
アリスは涙目で渋々と舌を使い出した。膨張を増した陰茎で口の中はパンパンで、頭を動かす余裕もない。
必死に先端を舐め続けると口中で陰茎がビクンと波打った。喉に勢い良く射精される。
「つっ…!」
「んぐっ!!ケホッ!ゲホッ、んっ……ごくん…」
アリスがしっかりと飲み干したのを確認し、エドガーはやっと手を離した。
アリスはぽてっと力無く伏せる。
「…うう…ぐすっ。パパも先生も酷い…。人間不信になりそうだよ…」
「どうぞご勝手に。これに懲りたら二度と下劣な真似はしないように」
エドガーはさっさと股間を拭うとベッドから降りた。ハンガーラックから自分のスーツを取り出す。
自分だけすっきりしてもう帰るつもりなのだろうか。アリスは本気で泣けてきた。
「ああん…プレゼントが消えて無くなった…ぐすっ」
しかし、エドガーはベッドへと戻って来た。
「まったく、卑しい人間ですね。プレゼントならありますよ」
スーツの内ポケットから小さな箱を取り出し、涙でボロボロのアリスの前へと差し出す。
「え…、これは本当?本物のプレゼント?」
「はい。旦那様から預かりました」
アリスパパは娘のリクエストを冗談だと思い、別な品をちゃんと用意していたらしい。
さすが16年間アリスのサンタさんをしているパパである。アリスは涙を吹いて歓喜した。
「やったー!やっぱりパパは大好き!早く、早くちょうだい」
エドガーからプレゼントをひったくると、アリスは夢中で包みを破る。
「何かな何かな…、わぁっ、リング!可愛い〜!」
一人で盛り上がるアリスにばれぬよう、エドガーはそっと本棚に歩み寄った。
空っぽの棚に、赤いリボンを掛けられた一冊の本を差し入れる。
「ねえ先生、ここでお泊まりするでしょ。もう寝ようよ。なんかホッとしたら眠くなったよ」
「不衛生ですが仕方ありませんね」
エドガーはいつもの鉄面皮で無愛想に答えた。
おしまい
以上です
スレ住人にもクリスマスプレゼントキタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!!!
>>193 GJです!しかしお嬢様は何をやってもばかだなぁ(ほめ言葉)
何だかんだいって先生優しいな。先生の贈った本をお嬢様が読む日は来るんだろうか
GGGGGGGGGJです!
アリスは馬鹿で可愛いしエドガーはS入っててどストライク
最後の後がどうなったか気になるですよ。ハイ。
GJ!
いつもながらさりげなくてテンポがいいなぁ〜
アリスのエドガー好きっぷりとエドガーのドS加減がツボで読んでいて楽しかったです
エドガーがアリスをどう思ってるのか気になるw
それとアリス可愛すぎる
おもしろかった
前スレから読んでるが二人の関係が微妙に進んでる?
次も楽しみにしてるよ
204 :
名無しさん@ピンキー:2008/12/25(木) 23:44:58 ID:aJVahwT3
GGGGGGGGJJJJJJJJJJJJJJJJJすぎる!こんなの待ってた!
お嬢様と家庭教師とか執事とか好きだ。
お嬢様や姫パンツ、絵本ぽい人ってみんな同じ書き手さんだよね?
間違ってたらごめん。全部好きです!
そうなのか?アリスと姫パンは同じかと思ってたが…
そうだとしたらこの方にメロメロしすぎてるw
GJ! 相変わらず可愛いな。
こういうコメディタッチなのは気軽にほんわか読めるからいいね
ところで、唯一や青信号の続き、ずっと待ってるんだぜ。ここんとこ、前々スレくらいまで主流だったシリアスな本格派がないからちょいと寂しい
基本的に全部続き待ってる。
なんかここのスレのキャラ達には愛着が沸くんだ。不思議
209 :
名無しさん@ピンキー:2008/12/28(日) 22:09:35 ID:ZHJQQAtX
同意。なんでもこーい。体育座りして待ってる!
個人的にお嬢様はおっとりした性格も好きだ。
家庭教師との純愛物だったらヤバい…!!
でも日本人設定より英国とかが萌える。
自分は和物も洋物も好きだなあ
アラビアンナイトっぽいのも読んでみたいんだぜ
アラビアンナイト風・・・
お嬢様と家庭教師(男)つーか
お坊ちゃまと家庭教師(女)の方が
想像しやすいなあ、習俗的に
アラビアンナイトっぽくなら
船に乗ったものの嵐とかで沈没して
海に投げ出された知識人が
ジンか人魚のお姫様の家庭教師として
雇われる、とかどうだろう?
>>211 人魚姫のいいねー
書いてみたいんだけど、ネタを拝借してよいですか?
アラビアンナイトというと真っ先にハレムを思いついてしまう
女主でハレムは凄いな。どんな感じになるか想像がつかん。
すね毛が絡み合って歩けない・・・とか想像した
女主ハレム
執事「お嬢様」
じいや「お嬢様」
家庭教師「お嬢様」
料理長「お嬢様」
庭師「お嬢様」
使用人「お嬢様」
メイド「お嬢様」
>>216 シンプルすぎてワロタwww
広く見ればなんでもハレムしてんだね
>>212
211だけど、別にいいよ
もっとも人魚つーか、海中で暮らす国の人
位の意味で書き込んだけど
>>216
女主というか逆ハーレムじゃないw
>>218 ありがとう
ロマンチックでいい設定だなぁと思ったお
221 :
名無しさん@ピンキー:2009/01/01(木) 02:20:13 ID:A8U8NWJm
皆凄いなぁ・・・
自分は男前な坊主×おしとやかな姫巫女
という神社というか和物が見たいかな。
あ。別に坊主はハゲてなくても平気。
ルイ・д・リ 「年が…明けてる!」
(:○_ゝ-) 「皆様、今年もよい主従を」
お嬢様に飼育されたい
ルイリタンあけおめ!皆様今年もヨロシク!
愛称がすっかりルイリタンに…w
エルイリカたんあけおめ!みんなあけおめ!
和モノいいなぁ
巫女というと神様に仕えてるイメージあるな。しかしそれだと女主じゃないか
坊主×巫女じゃないけど
思いついたので和モノを投下してみます。
どこからどう見ても残念なくらい江戸時代で
妖の祓い屋とか自分一人だけ楽しくてゴメン。
タイトルとか思いつかんwww
柱から吊し上げられた手首は血の巡りが悪くなり体とは反対にひんやりとしていた。
「んんっ…ふぅ、っふ…!」
もう半刻は経っただろうか。初雪は秘部の入り口への愛撫から逃れようと体を捻る。しかしほとんど爪先しか床に着かない状態での抵抗はたかがしれている。
相手は空いているほうの手を羽で触れるようにそわそわと脇腹や内股を撫で、舌と歯で乳首を交互に弄る。強弱をつけて長い間擦られ続けている蕾は上気した頬と同様に赤く紅潮していた。
「あ、ぁ…も…やっ…です…」
吐く息さえ熱を持つのに、指先は白く震えていた。
先代が大きくした芸妓一家に長女として生まれた初雪は、これといった不自由もなく育った。
そのためか、我が儘と言うほどではないにしろ、女中や丁稚ばかりが周りにいる環境で育った彼女は誰かに従うという行為を何となく疎ましく思った。
生まれつき見えざるもの“妖”が見えていた彼女はある日弟と共に祓い屋に入らないかと京紫という何処となく胡散臭い男に誘われた。そこで初めて誰かの下につくという窮屈さを知り、
つい姉弟で反抗に近い態度をとってしまったのだ。
それでこの「躾」だ。なぜこのような方法で、なぜ自分だけ、という疑問は長時間の愛撫にとうに頭から飛んでいた。
「ひぃっ!っひ、あ、あぅ…」
それまで執拗に入り口だけを弄っていた指先が僅かに中に押しこまれ、恐らく第一関節の半分程度埋め込まれただけなのに、初めてであるせいか大袈裟に息が詰まる。
しかしそれ以上指は侵入せず、息を潜めるようにじっと静止した。
「…あっ…ぃ、痛……っ」
「…物足りないですか?」
「はぁ…っそんな…」
「ぴくぴく震えて、私の指飲み込まれそうですよ」
「ふああっ!あっゃ、ひぃ、ひやぁぁっ!」
荒い呼吸を繰り返しながら反抗的に睨みつけると、笑って揶揄しながら浅いところを激しく掻き回された。京紫に言われた通りにきゅうきゅうと痙攣して指を奥まで誘い込もうとする内部の蜜に気付いてしまい、顔が熱くなる。
「あぁ、あ、あっ、ぁ、はぁっ」
足の力が抜けて頭上に縛られた手にほとんどの体重がかかり、それでも快感は膨れ上がっていく。遊ばれている秘部から蜜が太腿を伝って零れ、それさえも刺激となって初雪を追い詰める。
「一度いきたいでしょう?」
「…そ、な…こと…んんっ」
「言ってしまったほうが楽になりますよ?」
「……っ…ぁ…」快楽を誘う言葉を唇が耳に触れるほどの距離で囁かれ、初雪は無意識に物欲しげな視線を返す。
取り敢えず↑まで。
何かまだ序の口なのに長くてスマン。
そして読みづらいよな。本当にスマン。
そして続き書いたほうが良い?
誰かタイトル考えてくれ。
主従っぽさが薄い気がするのう。ちなみに男が主だったらスレ違いみたいだよ。
それはさておき、『とけた初雪』、もしくは『胡散臭いが霊感の強いK』みたいなそんな感じで。
個人的にはめっちゃ好みなんだが女主ではない気が。
これから女主っぽくなってくんかな?
つか、誤るくらいならせめて体裁整えてから投下してくれ。
思わせぶりな前フリだけ書き散らして誘い受け&タイトル考えてくれじゃ
イラネって言われても仕方ない
>>232 >>233 >>234 ご意見有難う御座いました。
参考して一応、少し訂正しましたので
気が向いたら見てやって下さい。
気に食わない内容でしたら消して下さって結構です。
タイトルは
じゃじゃ馬遊戯でお願いします。
柱から吊し上げられた手首は血の巡りが悪くなり体とは反対にひんやりとしていた。
「んんっ…ふぅ、っふ…!」
もう半刻は経っただろうか。初雪は秘部の入り口への愛撫から逃れようと体を捻る。
しかしほとんど爪先しか床に着かない状態での抵抗はたかがしれている。
相手は空いているほうの手を羽で触れるようにそわそわと脇腹や内股を撫で、
舌と歯で乳首を交互に弄る。
強弱をつけて長い間擦られ続けている蕾は上気した頬と同様に赤く紅潮していた。
「あ、ぁ…も…やっ…です…」
吐く息さえ熱を持つのに、指先は白く震えていた。
先代が大きくした芸妓一家に長女として生まれた初雪は、
これといった不自由もなく育った。
そのためか、我が儘と言うほどではないにしろ、
女中や丁稚ばかりが周りにいる環境で育った彼女は
誰かに従うという行為を何となく疎ましく思った。
生まれつき見えざるもの“妖”が見えていた彼女はある日、
弟と共に祓い屋に入らないかと京紫という―― 後に自分達の従者となった ――
何処となく胡散臭い笑顔が絶えない男に誘われた。
そこで初めて誰かの下につきながら働くという窮屈さを知り、
つい姉弟で、祓い屋の頭領に対し反抗に近い態度をとってしまったのだ。
それで従者であり、保護者である京紫からお説教の後に、この「躾」だ。
なぜこのような方法で、なぜ自分だけ、
という疑問は長時間の愛撫にとうに頭から飛んでいた。
「ひぃっ!っひ、あ、あぅ…」
それまで執拗に入り口だけを弄っていた指先が僅かに中に押しこまれ、
恐らく第一関節の半分程度埋め込まれただけなのに、
初めてであるせいか大袈裟に息が詰まる。
しかしそれ以上指は侵入せず、息を潜めるようにじっと静止した。
「…あっ…ぃ、痛……っ」
「…物足りないですか?」
「はぁ…っそんな…」
「ぴくぴく震えて、私の指飲み込まれそうですよ」
「ふああっ!あっゃ、ひぃ、ひやぁぁっ!」
荒い呼吸を繰り返しながら反抗的に睨みつけると、
笑って揶揄しながら浅いところを激しく掻き回された。
京紫に言われた通りにきゅうきゅうと痙攣して
指を奥まで誘い込もうとする内部の蜜に気付いてしまい、顔が熱くなる。
「あぁ、あ、あっ、ぁ、はぁっ」
足の力が抜けて頭上に縛られた手にほとんどの体重がかかり、
それでも快感は膨れ上がっていく。
遊ばれている秘部から蜜が太腿を伝って零れ、
それさえも刺激となって初雪を追い詰める。
「一度いきたいでしょう?」
「…そ、な…こと…んんっ」
「言ってしまったほうが楽になりますよ?」
「……っ…ぁ…」
快楽を誘う言葉を唇が耳に触れるほどの距離で囁かれ、
初雪は無意識に物欲しげな視線を返す。
「初雪さま」
「ぅ……」
「………」
すると、再び指の動きが止まる。
ねだるように腰が揺れてしまい初雪は俯いた。
「…っあ……あの、もっと、奥…」
「…奥が何ですか?」
「……奥、に…っ…ください…」
震えた声で告げるも更に言葉を強要されて、瞳を揺らしていた涙が零れる。
下を向いていたために頬を濡らすことはなくそれは床に落ちた。
「まあ初めてですからね、それでいいでしょう」
嘘みたいに優しく頭を撫でられたかと思うと、
中にほんの少しだけ埋められた指に僅かに力がこめられ更に侵入してきた。
「や、っぅ、ふっ…」
「初雪さま、ここを開くように意識をしてください」
「や、いゃあっぁぁあっ…!」
弱々しく首を振るが、節の目立つ男性らしい指は構わずに押し入ってくる。
しかしそれも一寸半ほど侵入したところで止まった。
「ふえ? ……」
「この辺、ちょっと痛いですかね?」
「んぅっ…は、い…少し…」
少し奥側の内壁を押し揉まれ、今まで体験した事のない痛みに感覚が襲われる。
正直に頷くと、そうですかと満足げに微笑まれた。
「じゃ、その感じ覚えておいてくださいね。とりあえず一度いかせてあげます」
指が入ったまま、もう一方の手が自身に伸ばされる。
蜜で濡れたものがゆるゆると扱かれ、びくんと赤く染まった体が跳ねた。
「ああっ!!やっ、嫌ぁっ!ひ、っあ、あ、んんっーー…!!」
快楽感を我慢できずに、ぐりぐりと弄られる陰核への刺激から
分泌液を吐き出すと、きゅうと膣に差し込まれたままの指を締め付けてしまう。
長時間愛撫を受けた入り口の襞から何だかよく分からない
じんわりとした感覚が背筋を這って、自分に与えられる快感に一瞬の出来事が長く感じた。
「はぁっ……ぅ…ぐすっ」
力の入らない足で立たされたまま、嗚咽を漏らして俯く。
ぽろぽろと涙が零れ、先程出た分泌液同様に床に落ちた。
「それじゃあ今度はこちらを使いましょうか」
「ぇ、やっ…そんなもう無理です…京紫さん…」
「大丈夫ですよ」
ゆっくり埋められた指が動きだし、自然と体が強張る。
京紫は初雪の足を、膝が胸につくほど持ち上げる。
自分の着物を前だけ緩めてそれを取り出すと、散々指で弄った場所にあてがった。
自分の体の事なのにまるで相手のほうがその状態を
把握しているような口振りに初雪は怯えながらも口を噤んだ。
「はーい。深呼吸。吸ってー」
「え、えっ」
狼狽えながらも、有無を言わせない緩やかな命令と笑顔に、
思わず、すうっ、と息を吸い込む。
するとそれに合わせて、拒否させる暇も与えずに奥まで強引に押し進める。
「や、やあ!!っひ、ぃ!あ、ぁっやめっ、んんーーッ!!!」
散々弄ったせいか、それとも中で処女膜が切れて
出血したのか途中で滑りが良くなって、根本まで埋めこんだ。
息をついて組み敷いた相手を見遣ると、初雪は腕で口を押さえていた。
強く噛んで、声をあげないようにしているようだ。
「駄目ですよう。止めたら。さ、吐いてー」
「あっ、ぃぃ!!!ぁ、も、ャ…ッッ!!」
抗えない言葉はまるで呪文のようだ。
ゆっくりと先程確認をとられた場所を再び押されて、ひ、と呼吸が止まった。
震える息を恐々吐き出すと、今度はある一点を押さえていた異物が力を緩めていくので、
初雪は少し安心してきたのか、嗚咽をあげながら息を吐ききった。
「はい、今度は吸う番ですよー」
「ゃ……」
異物を動かされたくなくて中をきつく締め付けると思わぬ快感に襲われる。
まだそんなに強く締めては駄目だと注意しながら、腰を揺すると初雪が小さく呻くのが聞こえる。
力の抜き方を知らない彼女の中は京紫さえ痛みを覚えるほどの締め付けだった。
「じゃもう一度ですよ。吸ってー」
「…ぅ、んんっ…」
「吐いてー」
「っは…ぁぁあっ」
「吸ってー」
「ぃやあああっ」
息を吸ってその部分をゆっくり押され、信じられないほどの強い痛みに体が硬直した。
痛い目に会うことの多いはずの職に手を染めている女が泣くほどの激痛なのだ。
それでも京紫は気にしないで吐いてと続ける。
やめてと震えた声を絞り出す力もなく、何とか拒絶を訴えようとふるふると頭を振る。
そんな彼女の必死の哀願を無視して注挿を繰り返すと、
もはや鳴咽は殺しきれず、その口端からつぅと唾液が伝う。
「い、あぁ…っ、無理で、す…」
「どうしたんですか?」
「やっ…」
「嫌、じゃ分かりませんよ」
「…きょ、…ぁ、っ…!!」
僅かだったが相手が反応を示したので、京紫は一度動きを止めた。
「私の事、憎いですか?」
尋ねると、初雪は、まともに言葉を発せられないほど乱れた呼吸の間に途切れ途切れに、
前に迷惑をかけたから祓い屋は辞めさせられるのかと紡いだ。
私こそ嫌われたのか、と。
その質問には答えずに、いつも通りの胡散臭い笑顔で強く揺さぶった。
「ひ!やあっんぅぅっ!!」
「こら。声をあげたら深呼吸できないでしょう」
「っい…無、理…っは、ぅ」
それでも、形だけでも繕うように努めてゆっくり空気を取り込むと、
すっかり快楽源となったそこを擦られて悲痛な叫び声は喘ぎによく似ている。
長い絶頂に飛びそうになる意識を繋ぎ止めていると、
埋められた異物が更にそこを弄り続けるので、
自分ではもう動かせない体が大きく跳ねた。
極めたと思ったのにそこからさらに浮上する快感を
きつく目を瞑って逃がそうとするが、高まる熱は歯止めを知らずに理性を狂わせていく。
「ひぃ!ひ、ぁあっも、もぉ…っ!」
何度も訪れる絶頂に限界を訴えるが
愛撫する手は止めてもらえず、もう一度申し出ようと口を開く。
しかしあまりに強い快楽に声が出なくなっていた。
「……ッぁ…ーーー!っーー…!」
喘ぎ声すら漏らせない事に軽い恐慌状態に陥り、
開いた口の端から飲み込むのを忘れた唾液が伝い落ちる。
これ以上感じては本当に気が狂いそうだ。
しかしそれを伝える術は失われ、初雪は腕を吊られたまま悶えるしかなかった。
「ゃ…ーーーっ!…ーー…っく、ーーー…ッッ!!」
「もう少しですよ、頑張ってください」
すると初雪は早くそうしてと急かすように
感じたことのない中全体がとろけそうな快感にぼろぼろと涙を零し、小さく頷いた。
何度目かの刺激で初雪は体を硬直させた。
腰ががくがくと震え、強すぎる快感に絶頂に達したのだと悟る。
「…、くっ……!」
痙攣するような締め付けで極めて、京紫は中に熱を放った。
どろどろとした流れを初めて感じた初雪は僅かに身を捩ったが、
京紫が最後の一滴まで搾るように奥を突くと、
動かない体は性感にのみ従順に震え、最後にびくん、びくんと痙攣し、
初雪はようやく意識を飛ばすことで快楽地獄から解放された。
目が覚めると先程と同じ部屋だったが、拘束は解かれていた。
働かない頭が夢だっただろうかと錯覚させ、しかし手首の擦れた縄の痕が事実を突き付ける。
「………」
いくら初めて触れられるところを使ったとはいえ、
幼子でもないのにあんなに声をあげて泣き、喘いだなんて。
恥ずかしすぎて涙が出そうになったところに、襖が開いて京紫が戻ってきた。
「喉が渇いたでしょう。お水持ってきました」
「え……あ、…その、……ありがとう…」
「顔真っ赤ですよ」
「だって…あ、あんな事の後で、平然となんかしてられませんよ」
視線を合わせられないまま小さな湯呑みを受け取ると、からかうように笑われる。
「いけませんねぇ、そんなに顔に出やすくて私の主が務まると思っているのです?」
「主…?だって、京紫さんの事いっぱい怒らせたし…」
「それだけで主を外れて貰うと?
私は貴女様の能力も買っているんですよ、初雪さま」
「え……」
「でなければ、甘えたがりで世間知らずのお嬢さまに従ったりしませんよ」
思わず喜びそうになったところにすかさず
水を差すように当てこすりの言葉を繋げられて、初雪は口を噤んだ。
「私は、祓い屋の規則として、一生尽くす主が必要です。なので、貴女様には
弟君の紫苑様と共に私の主を続けて頂きます。なので、今の行為も全ては正統な主の形成の為。
分かってやって下さい。…初雪さま、これは命令ですよ。ほら、頭領相手でしたら、こういう場合は?」
「あ……え…う…承り、まして…えっと…候…?」
慣れない謙譲語でたどたどしく返事をすると、
やはり何か可笑しかったのか京紫は苦笑する。
何度か瞬くと、不安が表情に出たのかやんわりとそれを否定された。
「大丈夫です。可笑しくないですよ、様になってないだけですから。
…さてと。これは良いとして、」
にっこりと笑む従者に嫌な予感がして初雪は思わず身構える。
「内心が顔に出るのは、直していくしかありませんね」
「え」
「今日と同じ方法で訓練していきましょうね?主さま」
「それって………えええええ!!
い、嫌ですよ!大体、さっき言った通りに『主を形成する躾』なのでしょう!?
私、もう生意気言ったりしないもんっ…」
「ほら、そうやってすぐ動揺するのがいけないと言っているんです。
それに、気持ち良かったなら一石二鳥じゃないですか」
「それとこれは話が別です!!」
「…というのが私と入りたての初雪さまのなれそめで」
「そうだったのか。でも…」
蘇芳はそこで言葉を切った。廊下を駆ける足音が喧しく近づいてきたためだ。
部屋の前まで来ると、スパンと音を立てて外れそうな勢いで障子が力一杯に開く。
「きょーうーしーさーんー!!紫苑に何か変なこと吹き込んだでしょう!?
だって今日、なんか余所余所しいものっ!って…蘇芳さん、いらっしゃったのですか」
「その話、たった今、俺も聞いた」
「ええええええええ?!」
「別に可笑しなことは話していません。初雪さまの幼く、可愛らしい頃のお前の昔話です」
「む、かしの、話って?」
嫌な予感が走り、美しい面差しを引き攣らせる初雪を見上げ、
蘇芳は苦笑する京紫に先程切った言葉の続きを紡ぐ。
「お初専用従者の教育は、ある意味祓い屋随一だね」
ですが、余り躾とやらは効かなかったようで、と笑いながら京紫の苦笑いが深まる。
二人の発言の意味に気付いたのか、それってまさか、
と瞬く間に初雪は顔を赤く染め上げていき、
「な、な、何でベラベラ話すのですか!やっぱり京紫さんなんて大っ嫌い!!!!」
と、叫んだ。
芸妓の仕事をしている時や表での人間関係では腹芸が巧いと言われるほどで、
周りの人達に、ちょっとした悪戯をする方の立場だというのに
従者の京紫が年上だという事もあるのか祓い屋ではその調子が狂わされてしまう。
「はぁ……」
「おや、落ち込んでしまいましたね。大丈夫ですよ、初雪さま
私は初雪さまのそういう愛らしい所が凄く好きですよ。」
「う、うう、う嬉しくないもん…」
「だから鍛えればいいじゃありませんか。私も協力しますしー、蘇芳殿も手伝ってくれるようですよ?ねぇ」
「あ、勿論」
「い、いえいえ!結構ですっ!!じゃあ私はこれで」
同僚二人の笑顔に空気が冷えたような寒気を覚えて初雪はそそくさと部屋を後にした。
顔が熱く、自分でもわかるほど鼓動が激しくなっている。
こんな生理現象、経験でどうにかなるとは思えないのだが。
「―― はぁ」
取り敢えず、弟に忘れて貰いに行こうか。
多分、今頃に過去の自分を責めているだろう事実を知った哀れな彼を思い、
それで初雪は、ようやく少し笑うことが出来た。
終了。
GJ!!エロいよエロいよ〜
初雪ツン系かと思いきや意外にも従順でまた萌えす
245 :
名無しさん@ピンキー:2009/01/04(日) 10:11:19 ID:Dy/2nbPj
うお!!
和物キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!
二人の関係が何か良いな
っていうか弟w
アリスたんに会いたい!
お嬢様、奥様、お姫様、会いたいぜ!カモン!
エロエロ執事にエロエロ家庭教師カモンッ!!
あんみツ姫今回もおもすれー
お転婆姫様お嬢様好きは早くフジを見るんだ
あんみつ姫っ?!と思ったがドラマでやってるのか
昔のアニメが浮かんだからビックリした
日の出前にも関わらず、杏種はあまりの寝苦しさに目を覚ましてしまった。
「…あつい…おもい…うぅ…」
掛け布団を蹴り飛ばそうともがくが、濡れた綿に縛られたように身動きがとれない。
ピンときて杏種は華奢な眉を寄せる。
腕を拘束から引き抜き布団をめくると、案の定そこにはスケベ執事の姿があった。
どうせ酔っ払って部屋に侵入したんだろう。杏種の胸を湯たんぽにしてグースカ寝息を立てていた。
「…やっぱり柏木か」
念のため、杏種は自分の体をあらためた。
パジャマは脱がされていないしショーツも穿いたまま。念のため股間を指先で触れてみるが、特に違和感はない。
胸元に柏木の顎髭と不精髭が当たって痛痒いくらいだ。
―どうやら今日も、杏種の処女膜は無事らしい。
「……」
杏種は口をへの字に曲げた。何だか釈然としない。
よそのお宅のお嬢様とはすぐエッチするくせに。
そりゃ、杏種はちんちくりんで童顔で、バストだって76センチしかないけど…ちょっとくらいはムラムラしないのだろうか。
別にセックスしたい訳じゃないし、処女を卒業したい訳じゃない。
不特定多数のお嬢様と関係を持つ柏木も、簡単に柏木に口説かれてしまうお嬢様も杏種は軽蔑してる。
…でも、この、なんというか、なんだその、蚊帳の外に置かれたような嫌〜なモヤモヤ感。
「…………バ柏木…死ね」
ぐにっ
頬をつねってやると、柏木は何の夢を見ているのか幸せそうに寝言を呟いた。
「もう…痛いってば麻理奈様ぁ…」
杏種の鉄拳が柏木の顔面に落ちた。
おしまい
メイちゃん○執事楽しみだお!
杏種の複雑な乙女心がおいしいですなぁ。GJ!
執事モノのドラマが出てくるとは時代もかわったな…
仮面ライダーが執事の奴?
若い執事もいいが、ちょっと枯れた執事の方が好きだ
>>253 だね。見たけどキャラがイマイチ…お嬢様がそろいもそろって下品でただの女子校みたいだ
原作は違うのかな
>>254 同志よ。
執事はちび●子に出てるくらいが好きだ
執事ドラマ見てないけど、公式サイト見るかぎりでは手袋してる執事がいない。
白手袋と眼鏡は必修アイテムじゃなかったのか…
減るシングの英国執事が理想だ。
ドラマ見て、
天才ロリお嬢様をムキムキ執事が抱っこしてるのに萌えたのは俺だけでいい。
新米っぽいドジ執事と落ち着いたお嬢様に萌えたのも俺だけでいい。
ただ、根津とフジコは単なるお水エロップルでした(^O^)
原作マンガ4巻まで既読、ドラマ未見。
出てくるカップルみんな
「立場だけお嬢さま」と「執事という名のホスト」って感じだった
>>259 ホストか…漫画喫茶行って読もうと思ったけどやめとこ
なぜか荒木のが読みたくなって読み直した。そうだよ執事はこうだよ!
あらためてGJ
原作が少女漫画だから仕方ないっちゃー仕方ないのかね
>執事という名のホスト
ホストという表現すげえ的確だな。見てて全然執事じゃねえと思った。
四六時中べったりくっついて手取り足取りお世話して
お前ら幼稚園児のお守りかよと。
といいつつ自分は普通に楽しんだ。
少女漫画の王道(ちんくしゃでがんばりやなヒロインが
美人集団に放り込まれていじめられるがかっこいい王子様が助けてくれる)
もここまで徹底してると逆に笑って楽しめる。
執事にランクがついてるってのも面白かった。
あと執事の万能っぷりはちょっと黒執事思い出したよ。
作品の方向性も主従の形も全然違うけど。
やっぱりお嬢様にも執事を従える主人としての品格が欲しいよな
少女マンガ原作なら、感情移入しやすい等身大の女の子?と
分かりやすいホスト風従者の方がいいんだろうけどさ
あと、万能執事を見て、『天の道を往き、総てを司る男』を思い出した
ζ*´∀`)=3 <あぁ〜ん 根津ちゃぁ〜んソコソコぉ
_, ,_
J´ー`) <お嬢を綺麗にするのも執事の仕事さ
この二人のためにDVD(BD)購入決定しました
メイちゃんの執事、原作はすごくロリで可愛い小さいメイちゃんなのにね。
同じ台詞でも、小柄な子が言えば可愛く感じたものを…
水島のはよかった
>四六時中べったりくっついて手取り足取りお世話して
お前ら幼稚園児のお守りかよと。
いや、執事にもいろいろだろうから、手取り足取りがあってもいいんじゃない?
自分はベタベタしてるのが好きだな〜
ドラマは小柄な子が言えば可愛く聞こえそうなものを、
大柄女が言うから余計ガサつに見えて嫌だ。
やさしく入れてよ、の部分だけよかった
原作コミックのためし読みあったから読んだら飲んでたお茶フイタ
これがあれ!?ヒロイン全然違うやんwドラマの方はただの泰葉やんww
なんだかんだ言いつつ来週も見てしまう予感
>>266 そもそも、お嬢様のお世話をするのは執事の役ではないとか、
みんなわかっていて、あえて触れない無粋な突っ込みを口にしそうになったり
私は漫画ヒロインよりドラマのほうが好きだけどな。
漫画はヒロインの頭がゆるすぎで萎えてしまった。
がんばらなくても執事の力で問題解決しちゃうしなあ。
>>268 お嬢様のお世話をするのが執事だよw
あまり深いところまでつっこむと何事も楽しめなくなるぞ〜
執事についての見解も色々ですな、せっかくだからwikiで調べてみよ
ドラマみて触発された職人さんのご登場をお待ちしております
個人的なお嬢様番付
―女神レベル(雲の上におわすアマテラス)
富豪刑事・深キョン美和子様
―女帝レベル(見た者を全てを服従させる地上の覇者)
C.C.さくら・知世様
犬神家の人々・松子様
マリア様がみてる・志摩子さん
―王女レベル(金星のごとく輝く一国の宝)
コードギアス・ミレイ会長様
マリア様がみてる・瞳子様
ハヤテのごとく!・ナギ様
―お嬢様レベル(ただそこに居るだけで気高さを放つ薔薇)
こち亀・麗子様
マリア様がみてる・全校生徒の皆様
―お嬢さんレベル(タンポポような可憐な笑みが我々癒してくれる)
Paboの皆さん
女子アナの皆さん
女装した杉浦太陽さん
―その他(電車で同じ車両になっても何も感じない。むしろ不快)
ドラマ、メイちゃんのなんたら・東雲なんたら
>>272 志摩子様の敬称を間違えたのはメイちゃんのせい
寝違えたのもメイちゃんのせい
今日も主従スレが平和なのは水嶋のお陰
リリーナ様が入っておらんではないか
リリーナ様&ノインの男装主従、マリーメイア&レディの複雑な関係主従と、
ガンダムWは女性同士の主従関係がいい
ID:P6T2rWxiがどんだけメイちゃんが嫌いなのかはよくわかったw
>>272 ベルばらのオスカル様も一応ご令嬢なのだがランク外ですか?
リリーナ様とアントワネット様(各王女)が抜けていたのはメイちゃんのせい
オスカル様(女帝)が抜けたのもメイちゃんのせい
そういえばごくせんのヤンクミもお嬢様だと思い出したのは根津ちゃんのお陰
>>273 間違ってないぞ。志摩子さんで正解だ!乃梨子的に考えて
「ちょっと執事!職人様はまだ来ないのっ!?」
「申し訳ありません。約束の時間は過ぎているのですが一向に到着されないのです。
どうやら広大な屋敷の敷地内で迷ってしまったようで…」
「そんな…、う〜〜〜…執事!ついていらっしゃい、探しに行くわよ!」
「すでに屋敷の者が総出で捜索しております。
職人様が辿り着いた時の為に私とお嬢様がここにいないとすれ違いになる可能性が」
「…そうね。わかった、待つわ。…待つけど…待つのは苦手なのよぉ〜」
「今私達に出来ることは待つことです」
「ぐすん。職人さまぁ、待ってる…待ってるから出来れば早くいらしてくださいね」
待ってる
>>272 ミレイ会長は・・・なんていうか暴君・女帝の印象が強いなあ
従者側が限定されそう(具体的には九の一)
エリカと秘密の城3を投下します
お城を舞台にした絵本ぽい話で
AA系SSのように顔文字が出てきます
NGはタイトルのエリカと秘密の城でお願いします
シャンデリアの煌めきの下、純白のテーブルクロスが一条の雪道を描く。
その長大なテーブルの席に着くのはエリカ一人だ。
母の居ない食卓は落ち着かず、エリカは誰も居ない左右の席をキョロキョロと見ていた。
ルイ´‐`リ (今日からエリカ一人でお食事するのかな…)
エリカが顔を曇らせていると、一人のメイドが料理を運んで現れた。
ζソ 'ヮ'レ 「白身魚の焙りとハーブのサラダでございます」
ルイ*・д・リ (きれいなメイドさん…)
ほっそりとした手がエリカの前に次々と皿を並べていく。
各メニューはエリカに合わせ少なめに、オードブルのように可愛いらしく盛られていた。
ルイ・∀・リっ-∈「いただきまーす」
ルイ・〜・リモグモグ
ルイ´。〜`リ=uおいしいな」
料理はとても美味だった。
緑と水に恵まれたのどかな土地が、この城に新鮮な食材を運んでくれるらしい。
エリカは銀のフォークとナイフを休まずに動かし、朝食を残さずたいらげた。
ルイ´。∀`リ=3 「ごちそうさまでした」
ζソ 'ν'レ 「紅茶をお持ちしますわ。お嬢様は茶葉は何がお好きでしょうか」
ルイ・。д・リ 「?…ミルクティーかな?」
ζソ´ヮ`レ 「ではミルクティーをご用意しますわね。…あら、お嬢様、お口にパンが…」
ルイ・。◇・リ 「?」
二人のやり取りを、壁際に控えた執事が静かに見守る。
(:○_ゝ=)
c□~
 ̄
ウバの香りが鮮やかにけぶる中で、小さな唇をミルクティーに濡らすエリカ。
エリカが無邪気に笑う度、執事の陶器の面のような冷たい貌が、微かにほどけた。
やがて、頃合いを見計らい執事がエリカに声を掛けた。
(:○_ゝ-) 「お嬢様。これよりお目通しのため使用人達が参ります」
ルイ・А・リ 「は、はい」
エリカは緊張して居住まいを正す。
元の屋敷ではメイドだけでも十人以上抱えていた。
ましてや城で働く人間となればどれほどの数になるのか、エリカには想像がつかない。
「失礼します」
λλ...スタスタ
室内に二人の男が通された。
メイドも給仕の手を止め、彼らと共に一列に並ぶ。
ルイ・д・リ (…?)
それきり入室の流れが途絶えたため、エリカは食堂の入り口を見た。
(:○_ゝ-) ボソ(これで全員です)
ルイ;゜ω゜リ
慌てて三人に向き直る。
一瞬言葉に詰まったが、両親に習った通りきちんと挨拶をした。
ルイ・д・リ 「エリカです。今年十歳になります。これからよろしくお願いします」
ΩΩΩ <よろしくお願い致します。エリカお嬢様。
―エリカの前に居るのは、
[ヽ´⊇`] 年老いた庭師
ζソ 'ヮ'レ 給仕をしていたメイド
( ^c_^ ) ずんぐりとしたコック
そして、片眼鏡の執事(:○_ゝ-)
それがこの城にいる全員だった。
エリカはしばらく呆然と瞬いていたが、ふっと緊張が抜けたように微笑んだ。
ルイ ´ー`リ (不思議…。こんなに大きなお城なのに、少しの人しかいないのね)
( ^c_^ ) 「お食事はお口に合いましたか?」
ルイ・∀・リ 「うん。ハーブのいいにおいがしてとってもおいしかったの」
( ^c_^ ) 「それはようございました。お城特製のハーブですからね」
ルイ・д・リ 「お城特製?」
[ヽ´⊇`] 「お城の庭に様々な薬草が生えておるのです」
ルイ*・∀・リ ホー…
√ト~ ̄~フ
∞ノ ハ ハリ
ルイ・ν・リ
oゞ∞ヾo
.~u―u~
エリカはボンネットを被り直し、ポシェットを斜めに掛けて身支度を整えた。
(:○_ゝ-) 「行ってらっしゃいませ。お気を付けて」
ルイ´∀`リ 「いってきまーす」
ルイ*´ν`リノシ
(:○_ゝ=) (良かった…すっかりお元気になられて…)
(ё) チュンチュン…ピチチ…
門を抜け、石造りのアーチをくぐると、目の前には一面の緑が広がっていた。
踏みしめる芝生は力強く萌え、高原の清らかな風が庭木の枝葉を揺らす。
.+ルイ*゜∀゜リ.+
まるでエメラルドの宝石箱に飛び込んだようだ。
街で生まれ育ったエリカにとって、自然のままのこの庭園はどんな遊園地よりも眩しく見えた。
ルイ*´∀`リ ワーイ!
,○
≡大 テテテッ
エリカはポシェットを揺らし、庭へと駆け出した。
――つづく
以上です
エリカたんカワユスw
この執事さんいつ見てもいいなぁ。なんかすごい和む。
かわいい
GJ!GJ!
おお!全身エリカたん!
メイドさんの髪の毛のくるり具合とか簡単なAAなのに分かって面白いな!
このシリーズ本当好きだ!!GJ!!
なんだかんだ言って執事ドラマおもしろいね
ロリちゃんと大門モエー
執事さんの顔がジャムおじさんっぽいのに補完されたorz
>( ^c_^ ) ずんぐりとしたコック
と混じってないか?
>>291 自分は青山とリカお嬢様萌えだ。
主役二人より好き。ツンデレお嬢様と実はSなお嬢様大好きな青山モエス
>>271 見解が様々というより、「執事」自体が今いろんな解釈や方向性を持ってるんだよ。
まあwikiでガチガチに決められた一つの定義を知識として飲み込むならそれでもいいけどw
エリカタンGJ!
執事の穏やかな表情が目に浮かぶよ。続きも楽しみにしてます
執事ドラマはすでにお腹いっぱい
毎週感想掲示板になるのか…ハァ
ドラマ後にある書き込みは2、3ぐらいで放送は週1回だ。
ちょっとくらい大目にみてはどうだろうか。
でもドラマの感想は同人板の男女カップリングスレのほうが
気持ちよく叫べるんじゃないかと思われた。
主従とは違うかもしれないが
依存スレに神と神主ってのがあった
299 :
名無しさん@ピンキー:2009/01/24(土) 16:29:32 ID:d8YYqYd/
執事と家庭教師カモーン
待望のエルイリカたんキタ━━━(*´д`*)━━━!!GJ!
301 :
名無しさん@ピンキー:2009/01/25(日) 09:12:38 ID:mq7Olf3C
朝からまってるんだけどおぉー
職人さんマダアアー?
ドラマは女の子役?が背が高すぎて萎える…
自分はイケメン執事よりもっと古い感じのがいい…
ドラマだから仕方ないけどさー
眼鏡のお爺さん執事とか最高だ(^ω^)
ゆとりは去れ
339 名無しさん@ピンキー sage 2009/01/20(火) 23:44:09 ID:F+z89MAz
これエロどころか萌えにもなってないよな
登場人物がそれぞれの役割淡々とこなしてるだけじゃん
AAでごまかすな
小説書け
という誤爆
ここの女主は気が強かったりしっかりした方が多いね
のんびりおっとりウジウジ系も見てみたいな。従者にいいようにやられてる感じの
なんとなく中世っぽい話を投下します
NG指定は「アラベルとフレッド」でどうぞ
アラベルが待っていると、ドアがノックされた。
「入って」
蝶つがいがきしみ、下男が姿を見せた。おどおどと室内に足を踏み入れる。
大きなたらいを抱え、左手には桶をさげていた。
「ここよ、ここに置いてちょうだい」
アラベルは長椅子に腰かけたまま、足元を指さした。
下男は黙ってたらいを置くと、そこに桶の湯を流し込んだ。
「あの、俺なんかでなくて、どなたか侍女を呼んだほうが……」
下男が膝をついたまま、不安そうにアラベルを見上げた。
「わたしがお前を呼んだのよ。いいからわたしの足を洗いなさい」
アラベルは靴を脱ぎ捨てると、たらいの湯に足をひたした。
「あの、ですが、アラベル姫様。俺はただの下男です……」
下男がためらいがちに言った。アラベルは片足を跳ね上げ、下男に湯を浴びせかけた。
「わたしの言う通りにしなさい」
「でも……」
下男が戸惑うように、シャツの袖で顔を拭う。アラベルはまた足を使って湯をかけた。
「暴れた馬からわたしを助けたのはお前じゃない」
「でも、俺はたまたまあそこに居合わせただけですから」
「わたしの足にさわれるっていうのに、何が不満なのよ」
アラベルは三たび、湯をかけた。下男の上半身がぐっしょりと濡れる。
力仕事で鍛え上げられた筋肉が、くっきりと浮かび上がっていた。
「さあ、洗いなさい」
「……わかりました」
下男はタオルを湿らせると、アラベルの白い足を渋々洗いはじめた。
「ねえ、名はなんというの?」
「フレッドです」
フレッドが顔も上げずに答える。
「フレッド、お前はいつもどんなことをしているの?」
「薪割りや水汲みや、そういった雑用ばかりです」
「まあ、楽しそうね」
アラベルは上の空で呟いた。ごつごつしたフレッドの指が肌の上を行き来するたび、
身体の芯がぞくぞくするのだ。
「ええ、楽しいですよ。お姫様の足を洗う仕事なんかに比べればね」
フレッドの口の端に馬鹿にしたような笑いが浮かんだ。
アラベルはそれを見逃さなかった。足を思いきり蹴り上げる。
爪先がフレッドのあごに当たり、フレッドは仰向けに倒れてしまった。
「口を慎みなさい」
フレッドは無言で起き上がると、あごをさすった。その眼差しには
反抗的な意思がありありと表れている。
「わたしに向かってなんて目をするの。今すぐ謝りなさい」
アラベルが命ずると、フレッドが不満そうに顔を背けた。
「ほら、どうしたのよ。謝りなさい」
アラベルは強い口調で促した。
「……申し訳ございませんでした」
フレッドが下を向いたまま謝った。その声は小さく、薪のはぜる音に
かき消されてしまいそうだった。
「だめよ、その程度では許せないわ」
フレッドは俯いたままだ。そのうち、広い肩がかすかに震えはじめた。
声を押し殺して泣いているのだ。
「まあ、お前泣いているのね」
アラベルは思わず叫んでしまった。男性の泣いている姿など、生まれてこのかた
見たことがなかった。フレッドが憎々しげな目でアラベルを睨む。
「何よ、お前は男ではないの。さあ、こちらへきなさい」
アラベルはたらいのそばを指さした。フレッドは袖でほおを拭うと、にじり寄った。
「わたしの足をきれいにするのよ。そうしたら許してあげるわ」
「かしこまりました」
フレッドがぞんざいに頭を下げた。タオルをとって洗い出そうとする。
「違うわ、そうじゃないの。タオルを使ってはだめよ」
フレッドが問うような目でアラベルを見上げる。
「口を使ってわたしの足をきれいにしなさい」
アラベルは内心、得意になっていた。我ながら上出来の思いつきだった。
「そんな、アラベル姫様。俺、そんなことしたくありません」
フレッドがびっくりしたように言う。
「口答えするんじゃないの、わたしの言う通りにしなさい」
アラベルは足を持ち上げると、フレッドの前に差し出した。
フレッドは足首に手をそえると、おずおずと口を開いて親指を含んだ。
とたんに、アラベルの太ももの内側を甘いしびれが走る。
秘所がじんじんと脈打ち、うずく。アラベルは声を上げてしまいそうになるのを、
唇を噛みしめて堪えた。
フレッドは親指をなめおわると、隣の人さし指を含んだ。軽く吸い、指の股に舌を這わせる。
フレッドはそうやって一本一本なめていった。十本目が終わるころには、アラベルの息は荒くなり、
ほおは燃えるように上気していた。秘所から熱いものが滴っているのがわかる。こんなことは
生まれて初めてだった。
すると、小指から口を離したフレッドが、薄笑いを浮かべてアラベルを見た。
「アラベル姫様、どうしたんです? 風邪でも引かれたんですか?」
アラベルは目をしばたたいた。視界がぼんやりして、頭がくらくらする。
「いえ、なんでもないわ」
「でも、顔がひどく赤いですよ。やっぱり風邪じゃないですか?」
「気にしないでちょうだい、本当に何でもないのよ」
「いいえ、絶対に病気ですよ。さあ、俺が寝台まで運んであげましょう」
フレッドの声音は、姫を気遣う従者のそれではなかった。どこか小馬鹿にした
響きを含んでいる。だが、たくましいフレッドの腕に抱きかかえられたとたん、
そんなことはどうでもよくなってしまった。
フレッドは天蓋つきの寝台にアラベルを寝かせると、なぜか濡れたシャツを脱ぎはじめた。
「お前、何をしているの?」
アラベルは半身を起こした。フレッドは何も答えないままズボンを脱ぐと、
下ばきも脱ぎ捨ててしまった。アラベルの目の前に硬くなったペニスが現れる。
「まあ、そのような姿になるなど、お前は何を考えているのです」
アラベルは身体をひねって顔を伏せた。フレッドがその腕をとり、強引に仰向けにさせる。
「いや、何をするの?」
フレッドが無言で太ももに手を這わせた。アラベルは反射的にももを固く閉じ合わせた。
だが、遅かった。フレッドが秘所にあふれた蜜をすくう。
「こんなに濡れてますよ、アラベル姫様」
フレッドはそう言うと、ぬらぬらと光る指先をなめた。あまりの恥ずかしさに、
アラベルは喉をかき切って死にたくなった。
「ひどい、ひどいわ。やめて、お願い、もうやめて」
アラベルは涙をこぼしながら懇願した。だが、フレッドは言うことを聞かない。
アラベルの両手をひとつにまとめると、片手でアラベルのドレスを引きちぎった。
「いや、こんなこと、お父様がお許しになるはずがないわ。お前は首をはねられるのよ」
フレッドは肌着をめくりあげると、アラベルの乳首を舌で転がした。
たちまち、アラベルの秘所がどくんと脈打つ。下半身が溶けてしまいそうだった。
「ああん、ああ、やめて、やめて」
アラベルはうわ言のように呟いた。フレッドが乳首をなめながら、
アラベルの秘所に手を伸ばし、ずぶりと指を入れる。
「ああっ、だめよ、だめ、そんなところ、いけないわ」
フレッドは秘所に指を入れたまま、脈打つ中心を親指でいじりはじめた。
アラベルの小さな硬い芽が、こりこりとまわされる。アラベルは身体をのけぞらせ、悲鳴を上げた。
「いやあっ、ああん、ああん、ああっ、ああっ」
フレッドは乳首に軽く歯を立てたかと思うと、それを吸い、優しくなめた。
人さし指は秘所の奥をびちゃびちゃと行き来し、親指は小さな芽を責め続けている。
「あん、あん、だめよ、だめ、ああん」
アラベルは身をよじって抵抗した。だが、フレッドの強靭な身体に組み敷かれいてるため、
胸を突き上げて苦しさを訴えるのが精一杯だった。
「アラベル姫様、その声、すごくいやらしいですよ」
フレッドが乳房をしゃぶりながら囁いた。アラベルははっと我に返ると、
唇を強く噛んだ。だが、今度は鼻からいやらしい声がもれてしまう。
「アラベル姫様が淫乱女だったなんて、俺、知りませんでしたよ」
フレッドが二本目の指を秘所に差し入れた。アラベルはあえぎ声を我慢することも忘れて、
泣き叫んだ。
「いやあ、ああん、ああん、いや、ああっ、ああっ」
二本の指がアラベルの敏感な場所を刺激する。アラベルの目尻からはいまや、
大粒の涙が次々にこぼれ落ちていた。それが熱いほおを伝い、寝台のシーツに吸い込まれていく。
シーツはびっしょりと濡れて、小さな水たまりのようだった。下腹部のあたりでは、
粘りのある蜜が別の水たまりを作っていた。
そのとき、ふいに指が抜かれた。乳房から口が離れる。両手も解放された。
アラベルは薄目を開けた。暖炉のほのかな灯かりに照らされたフレッドの顔が、
こちらを見下ろしていた。表情まではわからない。アラベルはこの隙に深呼吸した。
すると、フレッドがアラベルの髪を鷲づかみにした。アラベルは首を左右に振って抵抗した。
「アラベル姫様。何をして欲しいか、自分でちゃんと言ってください」
フレッドが耳元に口を寄せて囁く。アラベルは自由になった両手でフレッドの顔を押しやった。
「な、何を言い出すのです、お前は。口を慎みなさいと言ったではありませんか」
フレッドが大げさにため息をつく。
「それじゃあ、俺はもう帰りますよ。どこかのお姫様と違って、あしたも早いんでね」
フレッドはそう言うと、寝台から下りた。どろどろの指をなめ、服をかき集める。
「待ちなさい、待って」
アラベルは這いつくばるように手をついた。腰が立たないのだ。
フレッドが薄笑いを浮かべてこちらに目を向ける。アラベルは怒りに総身が震えるのを感じた。
だが、フレッドのアレが欲しいのも事実だった。
「わ、わたし……」
「何です?」
フレッドが耳に手を当ててたずねる。まるで子どもを相手にしているようだ。
アラベルは必死になって、言葉を搾り出そうとした。だが、言えない。
「わたし、わたし……」
「どうしたんです、俺の何が欲しいんです?」
フレッドは服を放ると、アラベルの片手をとった。それを自分のペニスに導く。
アラベルの目から涙があふれ出た。身体の奥がうずいてしょうがない。
手に握りしめたものを、ケダモノのようにしゃぶりたかった。
「わたし、お前の……」
「だから、俺の何です? 口があるんだからちゃんと言えるでしょう?」
フレッドがアラベルのあごを乱暴につかんだ。ぐいと上向かせる。
アラベルはペニスを握ったまま、フレッドと見つめ合った。
「いやらしいアラベル姫様。あなたは頭が悪いんですか? え?」
フレッドが冷ややかに言う。経験したことのない屈辱に、アラベルは滂沱の涙を流した。
同時に、秘所からも滝のような蜜が滴り落ちていた。
「わ、わたし、お、お前の、ペニスが、欲しいの」
アラベルはようやくそれだけを口にした。
「聞こえませんでしたよ、もう一度言ってください」
フレッドがあごをつかむ手に力を入れる。アラベルはしゃくりあげながら繰り返した。
「お前の、お前のペニスが欲しいの」
いきなり、フレッドがキスをした。アラベルの唇を吸い、舌をねじこむ。
アラベルは荒い息を吐きながら、それに応じた。フレッドの舌がアラベルの舌に絡みつき、
きつく抱きすくめる。
フレッドが顔を離すと、よだれがつーと糸を引いた。フレッドはそれをなめとり、
もう一度キスをした。アラベルの唇を何度も何度も吸う。アラベルは、今度は自分から舌を入れた。
フレッドが舌を絡ませたまま、アラベルを押し倒す。アラベルは両手をフレッドの背にまわし、
ぎゅっと抱き寄せた。フレッドはスカートの裾をはねあげると、炎のようなペニスを突き入れた。
アラベルはよがり声をあげて、身体をのけぞらせた。ふたりの口をよだれの長い糸が結ぶ。
フレッドが一心に腰を動かす。そのたびに、じゅぷじゅぷと卑猥な音が響いた。
「ああっ、ああん、ああん、だめ、だめ、ああっ」
アラベルの胸にフレッドの激しい息がかかる。アラベルは意識がぎりぎりまで昇りつめるのを感じた。
と思った次の瞬間、アラベルは達した。秘所の奥が収縮し、フレッドが呻き声をあげる。
熱いものが数度、アラベルの中に放たれた。
フレッドはアラベルに覆いかぶさるようにして倒れこんだ。その肌は汗でじっとりと湿っている。
アラベルも涙やらよだれやらで、全身がぬめぬめとしていた。フレッドのペニスはまだ、挿入されたままだ。
アラベルはそっと顔を近づけると、フレッドにキスをした。フレッドがアラベルの頭をくしゃくしゃに抱きしめる。
ふたりは長い間、キスしつづけた。暖炉の火が消えても、朝になっても、互いを抱きしめて離さなかった。
(了)
以上です
GJ!!!
GJ!
話題の執事ドラマ見逃した…くそう
アラベルとフレッドの続きです
NGは「湖にて」
317 :
湖にて1:2009/01/28(水) 12:48:27 ID:uTFXPi4A
足元に目を配りながら、ギルバート王の領地の森を歩いていると、
背後から声がかかった。
「フレッド」
フレッドは籠を抱えたまま振り返った。ななめにかけた革ひもを
片手で押さえながら、キャロラインが小走りに近づいてくる。
「あたしと一緒に来て」
キャロラインはフレッドの手を握ると、森の奥に向かって歩き出した。
フレッドはなされるがまま従った。見ると、キャロラインの籠には
マッシュルームがぎっしり詰まっている。自分の籠と比べるまでもなく、
その差は歴然だった。
「確か、このあたりよ」
木立が途切れたあたりで、キャロラインが立ち止まった。何を探しているのか、
きょろきょろと周囲を見まわしている。
「そんなに俺が恋しかったのかよ」
フレッドは籠を置くと、キャロラインをうしろから抱きすくめた。
キャロラインが身体を硬直させる。
「違うわ、そうじゃないのよ」
キャロラインは身をよじって、フレッドの腕から逃れようとした。
フレッドはそんなキャロラインのうなじに舌を這わせた。
「お前なんか死んでしまえばいいのよ」
突然、フレッドの後頭部に強い衝撃が走った。フレッドは頭を抱えてうずくまった。
手をやるとぬるっとする。
頭上から「アラベル姫様」というキャロラインの声が降ってきた。キャロラインが
うやうやしくお辞儀をする。フレッドは涙を浮かべたまま、振り向いた。
318 :
湖にて2:2009/01/28(水) 12:49:24 ID:uTFXPi4A
アラベルが腕を組んでこちらを見下ろしていた。
「ご苦労でした、キャロライン。下がってよろしい」
アラベルの声音は、吹雪も凍てつくほどの冷たさだった。キャロラインが
そそくさと木立の向こうに消えていく。
「なんで、姫様がここに……?」
フレッドは掌を目の前にかざしてみた。やはり、血がついている。
「まあ、死ななかったのね、残念だわ」
アラベルが冷淡に呟いた。ふと横を見れば、子どもの頭ほどもある石くれが
転がっていた。
「もしかして、こんなでかいので俺を殴ったんですか?」
「殴ってないわ。投げたのよ」
アラベルが声を荒らげて反論した。
「どっちだって同じですよ」
フレッドも負けじと大声で言い返す。
「お前が悪いのじゃない。何よ、もう知らないわ」
アラベルはいじけたようにぷいと顔を背けてしまった。白い横顔にそえられた
金色のまつ毛が、何度もしばたたかれ、しまいには完全に閉じる。
そこから、涙が伝い落ちた。
「許してください、アラベル姫様。てっきり、キャロラインが俺を誘ってるのかと
思ったんです」
フレッドは膝をつくと、アラベルの靴にキスをした。アラベルがすぐに、
フレッドの顔を蹴り上げる。フレッドはそれをもろに受け、下生えの上を転がった。
「わたしに近寄らないで、汚らわしい。この馬鹿、馬鹿、馬鹿、馬鹿!」
アラベルはぼろぼろと涙を流していた。フレッドはここへきて初めて、
自分の犯した過ちの大きさを思い知った。
319 :
湖にて3:2009/01/28(水) 12:51:21 ID:uTFXPi4A
「わたし、マッシュルームなんか大嫌い」
突然、アラベルが叫んだ。フレッドは話が見えず困惑した。
「本当は名前を口にするのも嫌なのよ。でも、お前とふたりで会うには、
城の召し使いたちにマッシュルーム狩りをさせるほかないじゃない。
それなのに、それなのに……」
アラベルはぺたんと座り込むと、顔を覆って泣き出した。フレッドは放心した。
十日前の朝、アラベルの寝室で別れて以来、フレッドはアラベルを思い続けてきた。
だが、恋に落ちてしまったのは自分だけなのだと、潔く諦めてもいた。
そうではなかった。アラベルも同じように俺を思ってくれていたのだ。
フレッドは神に感謝した。アラベルが自分を思ってくれることに深く感謝した。
「わかったわ、そんなにあの娘がいいのね」
アラベルが涙を拭いながら囁いた。存分に泣いたせいで、まぶたが腫れぼったい。
「アラベル姫様、許してくれとは言いません。どうか、俺の命を奪ってください」
フレッドは頭を下げて懇願した。
「アラベル姫様に愛してもらえないのなら、死んだほうがましです。どうか、そのお手で
このちっぽけな命を奪ってください」
事実、フレッドは震えていた。命が惜しいからではなかった。自分のしでかしたことを
思い返せば返すほど、自分が許せず、またアラベルが去ってしまうのも当然だと思えたのだ。
「あそこに湖があるわ。死にたければ、あそこに身を投げるのね」
アラベラが抑揚のない声で言う。フレッドは首を巡らせた。なだらかな斜面の下に湖が見えた。
湖面が陽光を反射し、銀の盆のように硬く輝いていた。
フレッドはふらりと立ち上がると、斜面をくだりはじめた。気持ちは沈んでいるのに、身体は軽い。
絶望とはなんと空疎なものなのか。
フレッドは湖岸にたどり着くと、そのまま湖にばしゃばしゃと入っていった。
六月の水の冷たさは、冬のそれと大差なかった。たちまち、フレッドの身体に悪寒が走る。
320 :
湖にて4:2009/01/28(水) 12:52:27 ID:uTFXPi4A
フレッドはシャツの中に入れる石を探した。
ひとつふたつ見繕っていると、背後で水しぶきが聞こえた。
「フレッド、待って、いかないで」
アラベルがフレッドの背にしがみついた。フレッドは身体をひねると、正面からアラベルを抱きしめた。
「お前に死なれたら、わたしはどうすればいいの? 生きてなんかいけないわ」
フレッドは涙をこぼすアラベルの髪に、キスの雨を降らせた。アラベルはフレッドの胸に鼻を押しつけている。
「お願い、どこにもいかないで。お前がどこかにいくときは、わたしも一緒よ」
フレッドは、その小さくあえぐ唇にむしゃぶりついた。アラベルが舌を入れてくる。
フレッドはその舌を音を立てて吸いながら、ドレスごしに胸をもんだ。
たわわな胸がひしゃげ、掌からあふれる。アラベルの鼻からあえぎ声がもれた。
フレッドはドレスのボタンを探して、アラベルの身体をまさぐった。アラベルはすでに、
フレッドのシャツを脱がせはじめている。
フレッドはボタンを見つけると、自分でも嫌になるほどのろのろと外していった。
ここでドレスを破いてしまえば、アラベルは城に帰れなくなってしまう。
見かねたアラベルが、自分でドレスを脱ぎはじめた。すぐに丸い乳房が現れ、
腰と金色の茂みが、おごそかに姿を見せた。
フレッドは下ばきとズボンをまとめて脱ぐと、アラベルの乳房を吸った。アラベルが
フレッドの髪をぎゅうと握りしめる。フレッドのペニスはすっかり怒張し、腹につかんばかりだった。
フレッドはペニスをアラベルの股に挟み、前後に動かした。すると、アラベルの身体が
急に沈み込んだ。
「ああん、ああっ、すごく、ああっ、熱いわ」
アラベルはうわ言のように繰り返しながら、首をのけぞらせた。フレッドはアラベルが溺れないよう
抱えると、すでに潤っている秘所にペニスをねじこんだ。
「ああっ、ああん、そこ、そこよ、ああん」
アラベルはフレッドの首に両手をまわすと、波の動きに合わせて腰を振りはじめた。
321 :
湖にて5:2009/01/28(水) 12:53:19 ID:uTFXPi4A
水の冷たさなど、もはや感じられない。波がふたりのまわりに押し寄せ、ぶつかり、
激しく砕け散った。フレッドは水中で腰を動かしながら、このまま死んでも構わないと思った。
むしろ、アラベルの中で死ぬことこそ本望だった。
フレッドの心中を察知したのか、アラベルのひだがペニスにきゅうと吸いついた。
フレッドは情けない声をあげそうになるのを寸前で堪えた。頭の芯が麻痺して、
波に飲まれてしまいそうだった。
フレッドは腰を抱えたまま、手を移動させた。指先でアラベルの尻の穴をつつく。
「あんっ、いや、そこはだめよ、いけないわ」
「そこってどこですか、アラベル姫様?」
フレッドが意地悪く聞くと、アラベルが低い声で呻いた。
「そこは……、ああん、そこよ……、ああっ、ああっ」
「そんなはしたない声を出したら、一マイル先のみんなに聞こえちまいますよ」
案の定、アラベルは唇を噛みしめて我慢しようとした。フレッドはそんなアラベルの
耳を口に含んだ。アラベルが「ひっ」と小さな悲鳴をあげる。フレッドはその隙に、
尻の穴に指を入れた。アラベルの身体が強ばる。
「いやあ、ああっ、ああっ、だめよ、ああっ、ああん」
「何がだめなんですか、アラベル姫様?」
フレッドはしつこく食い下がった。ぶしつけな質問を浴びせるたびに、
アラベル自身がきゅうと締まるのだ。果ててしまわないよう耐えるのが辛かった。
「だめな……、ああん、ああっ、ものは……、ああっ、ああっ、だめよ……」
アラベルが荒い息のもと、途切れ途切れに言った。フレッドは腰の動きを止めると、
アラベルからペニスを引き抜いた。アラベルが涙ぐんだ目で、フレッドを呆然と見つめる。
「ちゃんと自分の口で言ってください」
熱くたぎったペニスが、冷たい水中に戻されて縮かまる。アラベルは熱に浮かされたような目で
フレッドを仰いでいた。
322 :
湖にて6:2009/01/28(水) 12:54:12 ID:uTFXPi4A
「どの場所がだめなんですか?」
フレッドは再度たずねた。
「あそこよ」
アラベルが小声で答える。
「ここですか?」
フレッドはアラベルの尻の穴のまわりに指を這わせた。アラベルがぶるぶると身震いする。
「ちゃんと言ってくれなきゃ、もっとひどいことしちまいますよ」
「いやよ、ひどいことはいや」
アラベルが幼い子どものようにかぶりを振る。フレッドはアラベルに足を開かせると、
水中に潜った。アラベルの尻の肉をかきわけ、舌を穴に入れる。水中にいても、
アラベルのあえぎ声はよく聞こえた。
フレッドは出し入れを繰り返した。一度、水面で息を継ぎ、また潜る。今度は尻の穴を責めながら、
アラベルの小さな芽を人さし指で転がした。
突然、あえぎ声が途絶えたと思ったら、アラベルが倒れ伏した。フレッドは急いでアラベルを抱え上げた。
湖岸の柔らかな下生えの上にそっと横たわらせる。
フレッドが服を集めて木の枝にかけていると、アラベルが目を覚ました。その目はしばらくぼんやりと
していたが、フレッドを認めると、たちまち光を取り戻した。フレッドはアラベルのそばに膝をついた。
「寒くないですか、アラベル姫様?」
アラベルが微笑んだまま、かぶりを振る。フレッドはそっとキスをした。顔を離すと、
アラベルがフレッドの手に自分の手を重ねた。
「わたし、このままお前とどこか遠くへいきたいわ」
「いけませんよ、そんなこと」
「いいえ、絶対そうしてみせるわ。このまま誰か知らない人と結婚するなんて、
わたしには耐えられないもの」
フレッドはアラベルの髪を優しくなでた。本当は、アラベルとふたりだけで暮らしたいと、
心の底から願っていた。だが、城の暮らししか知らないアラベルに、貧しい生活など
それこそ耐えられるものではないだろう。いつか、貧しさに追い詰められたアラベルが、
自分を呪う日が来るかもしれない。そう考えると、フレッドのみぞおちは
氷のやいばで刺されたように冷え込んだ。
323 :
湖にて7:2009/01/28(水) 12:55:08 ID:uTFXPi4A
「ねえ、ふたりだけで暮らすならどんなおうちがいい?」
アラベルが無邪気にたずねる。フレッドは胸が張り裂けそうだった。このまま、
アラベルをさらって遠い地へ逃げられるなら、己の命など未練はなかった。
「アラベル姫様、俺、まだイッてないんですよ」
フレッドは「一緒に逃げよう」と叫びたくなる衝動を抑えて立ち上がった。
アラベルが半身を起こす。フレッドはアラベルのあごをつかむと、その愛らしい口に
ペニスをあてがった。
「待って、待ってちょうだい。まだ心の準備ができてないわ」
アラベルが顔を背けて拒絶の意を示す。フレッドはアラベルを強引にこちらに向かせると、
ふたたびペニスを突っ込んだ。アラベルが苦しそうに呻く。
「歯を立てないでくださいよ、アラベル姫様。唇だけでしごいてください」
アラベルが言われた通り、唇だけでしごきはじめた。上目遣いでこれでいいのかと問う。
フレッドはさらにペニスを奥に入れた。アラベルの眉間にしわが寄る。
「舌も使うんです。舌でなめてください」
アラベルがペニスをくわえたまま、その裏側をなめた。だが、すぐに口を離し、
ごほごほと咳をする。
「わかりました、アラベル姫様は何もしなくていいです」
「ごめんなさい、わたし、何がいけなかったのかしら」
アラベルがうるんだ瞳でフレッドを見上げた。
「とにかく、唇だけを使うようにしてください」
フレッドはうなずいたアラベルの口にペニスを入れると、腰を前後に動かした。
アラベルがフレッドの太ももにすがる。フレッドはアラベルの喉にペニスを押し込むように、
出し入れを繰り返した。そうするうちに、とうとう絶頂に達した。フレッドは動きを止めて
アラベルの頭を抱え込んだ。フレッドの精が、二度三度と放たれる。
フレッドがアラベルの頭を解放すると、アラベルが身体を折り曲げて激しい咳をした。
324 :
湖にて8:2009/01/28(水) 12:56:03 ID:uTFXPi4A
フレッドは我に返ると、掌で水をくみ、それをアラベルに飲ませた。だが、せき込むアラベルの口に
水がうまく入らない。
フレッドは湖面に顔をつけると、水を吸い込んだ。そのままアラベルの元にいき、口移しで水を飲ませる。
アラベルの咳がやんだ。目は赤く、涙がにじんでいる。フレッドはアラベルを抱きしめた。
「すいません、アラベル姫様。苦しい思いをさせちまって。すいません」
すると、アラベルがフレッドの背に両手をまわした。
「わたし、いま幸せなの、だから、謝らないで」
フレッドはアラベルを抱きしめたまま、横たわった。どこかでコマドリがのどかに鳴いていた。
(了)
以上です
GJ!
アラベル姫様かわいい
ここか、娼婦スレか、追い出しスレかで散々迷ったのだが、とある事情でこちらに投下させていただきます。
主従分薄め。エロも薄め。陵辱あり。
娼婦と、彼女に命を救われた少年の物語。
どこか昼メロっぽくなってしまったので、その辺も苦手な方は「その名を呼ぶのは」をNGワードにぶちこんどいてください。
その男がやってきたのは、俺と彼女が出会った時と同じ、雨の夜だった。
冷たい雨が地面を叩く音がしていて、俺は雨の音を聞きながら彼女の隣で文字を書く練習をしていた。宿題の書き取りに彼女が丸をつけてくれたと同時に、屋敷の入り口のほうからカラカラとベルが聞こえてきた。
俺と彼女は顔を見合わせ、彼女は練習帳を早く片付けるように俺にいいつけ、髪を整えるために鏡の前に立った。俺はノートと鉛筆をまとめて、彼女を未練がましく見ながら隣の続き部屋に移った。
ここは、娼館だ。
外からではそれとはまったくわからないし、実情を知る人間もごく限られているが、彼女を含めて三人の女が三階建ての広い屋敷に暮らしている。一階ごとにひとりの女が春をひさいで生きているのだ。
三人の女の客になりたい男は、ここの主人、黄に連絡をする。客にしてもよいと黄とオーナーが判断すると、男は客として年間契約を結ばされる。
決してここのことを他人にはいわないことなどを誓わされて、やっとこの館に入ることが許されるのだという。
黄はいつか絵本で見た吸血鬼のような顔をした老人で、実際、昔ここから逃げ出そうとした女を絞め殺して血を飲んだ、と使用人たちに恐れられている。
本当かどうかは知らないが、もしもそれが事実でも俺は驚かない。文句をいう使用人たちを、持っている杖で何度も打ちつけるのを、俺は見たことがある。
もちろん俺自身も何度も何度も痛めつけられている。あの細く小さな体のどこからこんな力が出てくるのだ、と思うほどの力で、殴り、蹴り、杖でぶたれるのはもうすでに日常だ。
何かで苛立つと、必ず俺を呼び出して暴力を振るう。商品である女をぶつわけにはいかないから、その腹いせに俺をぶつのだ。
そのせいで俺の体には、無数の傷が残ってしまった。それでも俺はここを離れるつもりはない。なぜなら、俺の命は彼女のものだからだ。
あの雨の夜、川に飛び込んで死のうとしていた俺の命を、彼女は買ってくれた。
それ以来、俺は彼女のそばで生きている。いつか、彼女をこんなクソみたいなところから救うために。
俺は黒孩子だ。黒孩子とは、中国の産児制限、いわゆる一人っ子政策によって、生まれたものの出生届を出されない子供のことをいう。
出生届が出されないということは戸籍がない。あらゆる社会制度からは外されてしまう。生きていながら生きていない。存在を国から認められていない、闇の子供だ。
中国の農村に生まれた俺は、兄が体を壊して労働力としてあてにならなくなった、ということを理由に、黒孩子になることを承知の上で生まれた子供だった。
もちろん、そうしないと家族全員が暮らしていけないという実情があったから、という理由は俺にも十分わかっていた。
兄の病気療養にも金がかかり、年の離れた一番上の姉は、一人都会へ出て働き、仕送りをしてきてくれたが、それでもやはり金は足りなかった。
姉が何をして金を稼いでいるのか、その頃まだ子供だった俺にはわからなかった。たまに帰ってくる姉が甘い菓子をたくさん持ってきてくれることしか、俺は興味がなかったからだ。
ある日、俺は帰ってきていた姉に手を引かれ、列車に乗った。この時の俺は初めての列車、初めての旅、初めての都会を楽しむことに必死で、別れの時に両親が涙を流していた理由に気がつかなかった。
今にして思えば、両親は両親なりに、俺のことを愛してくれていたのだろう。
たとえ、金のために俺をマフィアに売ったとしても。たとえ、俺が人間ではなく臓器として売られていくのだと、うすうす気づいていたのだとしても。俺も別に怨みはしない。その金で曽祖父を始めとする家族が生き延びるためには、仕方がないのだ。
姉もまた、俺の手をつないでいる間中、ずっと泣いていた。俺に腹は減ってないか、疲れてないか、もっと遊ぼうか、とあらゆる贅沢をさせてくれた。そして最後に俺に菓子を買ってくれ、人目もはばからず俺を抱きしめ、声を上げて泣いた。
「姉さん、何故泣いているの?」
姉の気持ちも知らず、俺は尋ねた。姉は俺を見て、また泣いた。そして涙を拭くと、俺の手をまたつないだ。
「あんたは、姉さんが守ってあげる」
その時の姉の毅然とした表情は、今でも記憶に残っている。俺を路地裏のゴミ置き場へ隠して、姉はどこかへ立ち去った。決してここから出ないように、誰にも見つからないように、といいおいて。
ねずみの赤い目に怯え、ゴミにまみれながら、俺は姉の帰りを待った。どれだけ待っても帰ってこない姉を求めて街を歩くと、人だかりを見かけた。その中心に姉が横たわっているのを見て、俺は恐ろしくて駆け出した。
姉がさんざん慰み者にされた挙句、嬲り殺され、ビルの屋上から紙くずでも捨てるかのように落とされていたことを知るのは、もう少し先のことだ。
それからは、俺は残飯をむさぼり、軒下や橋の下で雨露をしのいで過ごした。最後に姉が買ってくれた菓子の包み紙をお守りのようにポケットに入れ、寂しくなったらそれを握って自分を勇気づけていた。
だがそれも限界だった。もう数日間も何も食べておらず、浮浪者や浮浪児から新参者として攻撃され、俺の生きる気力は無に等しくなっていた。
いつものように姉の菓子の包み紙をポケットの中で握っていると、年かさの浮浪児が俺の腕をねじりあげた。その拍子に菓子の包み紙が風に飛ばされていった。
ひらひらと風に舞い、あっけなくどこかへ消えてしまった包み紙の頼りなげな姿が、自分と重なり、俺の中の何かがぷつりと音をたてて切れた。
気がつくと、立ち上がることすら困難なほどに叩きのめされて、俺は路地裏に転がっていた。ねずみが俺の脇を駆け抜けていく。ぽつりぽつりと雨粒が落ちてきて、俺の体力を更に奪っていく。
涙を流す力もなくし、俺はよろよろと立ち上がった。
血を吐き、壁を伝うようにして、地面を這うようにして、俺は歩いた。歩いているうちに、雨は激しさを増してきていた。痛めつけられた結果の発熱と、冷たい雨とで俺は震え、歯はがちがちと音を立てていた。
雨が俺を川に誘ったのか、彼女が俺を呼んだのか、俺にはわからない。ただわかるのは、この時、欄干に手をかけて、荒れる川に身を投げようとしていた俺を、彼女の腕が救ってくれたことだけだ。
「ひどい熱ね」
そっと俺に傘をさしかけてくれ、彼女はいった。
「ほっといてくれ、もう、俺は死ぬんだ」
彼女の手を振り払おうとしたが、その力すら俺からはもう失われていた。彼女は俺を欄干から引きおろした。
「ならば、死になさい。そして、私のために生き返って。あなたの新しい命、私が買うわ」
俺はぼんやりと彼女を見上げた。
「あなたの命は、私のものよ。これからは私のために生きなさい」
何故か、俺は彼女に頷いていた。それまでの俺の人生は、ずっと誰かに使われ、誰かのために生きてきた。それ以外の生き方など考えもつかなかった。
どうせ誰かのために生きるのなら、こんな綺麗な女の人のために生きるのがいい、子供ながらにそう思ったのかもしれない。
彼女は頷いた俺を抱きしめ、近くの車に乗っていた威厳のある風体の老人に、俺を養うことを求めた。老人が頷き、俺は車に乗せられた。彼女がずっと俺を抱きしめていてくれた。
暖かかった。
このぬくもりを失わないためなら、なんでもできると思った。
それが、今から五年前、十歳の時のことだった。
俺が隣の部屋に移り、宿題の続きをしていると、彼女が扉を開ける音がした。男の声と彼女の声が重なるようにして聞こえてきて、俺は耳を塞ぐ。
やがて彼女は男に抱かれ、あられもない声をあげる。男の要求に従って、彼女は男を悦ばせるために自分を殺す。満足するまで彼女を抱いた男が、シャワーを浴びて帰っていくと、彼女は俺がいる部屋の扉を叩く。
「英毅。薬をちょうだい」
乱れた髪を直そうとも、男がつけた情事の痕跡を隠そうともせず、彼女は俺に手を差し出す。ここに来て最初に彼女からもらったもの――新しい俺の名前を繰り返し呼ぶ。
「だめだよ、香梅。やっと、抜けたんじゃないか」
五年前、俺が彼女と出会った頃、彼女はひどいヤク中だった。娼婦として男に抱かれると、狂ったように薬を求めた。
男に抱かれるたび、昔愛した男を思い出して胸に穴があいたようになるのだと、ある時彼女はいった。その穴を埋めたくて、薬に頼ってきたのだと。
代わりに俺を抱けばいい、といったのは俺だった。子供だったからいえたことだ。俺がそういうと、彼女は目を見開いて、そして弱々しく笑った。それ以来、彼女は薬をやめた。
けれど俺を抱くことだけは、決してしなかった。それが俺は寂しかった。
「ああ、そうだったわね。ごめんなさい」
うつろな瞳の彼女の夜着の胸元を整えてやり、俺は手を引いて彼女をソファに座らせる。それから小さなキッチンでお茶をいれて、彼女に渡す。心を落ち着かせる漢方茶だ。おいしくない、といつものように彼女は文句をいいながら、お茶をすする。
その間に俺はベッドを整える。シーツや毛布を新しいものにとりかえ、風呂場と部屋を簡単に掃き清める。窓を開けて空気も入れ替えたいところだったが、雨脚が強くなっていたためにあきらめた。
「落ち着いた?」
「ええ、少しね。ありがとう。もう一杯くれるかしら」
「もちろん。すぐにいれてくるよ。何か果物も切ってくる」
俺がキッチンに下がった時、その男はやってきた。
その男は、今までにも何度か彼女を訪れていた。けれど必ず事前に黄に連絡があり、黄が俺を地下室へ閉じ込めてから、やってきていた。地下室へ閉じ込められるため、俺はその男の姿を見たことはなかった。
だが彼女がどんな男の時よりも陰鬱な顔をすることと、男が去ってからの錯乱ぶりがひどいことがあって、俺は見たこともないその男を憎んでいた。
おそらく、黄はそれに感づいていたのだろう。だから俺を地下室に閉じ込めるのだ。そうでなければ、俺はそいつに何をしているかわからない。それなのに、今日は突然そいつはやってきた。
「ジジイが死んだぞ」
扉を開けるなり、男は勝ち誇ったように叫んだ。
「嘘よ」
「嘘でこんなことをいうか。本当だ。長男である俺が名実ともに、李家の主、組織の長だ。いいか、お前の主だったジジイはもういない。お前は俺のものだ」
「離してッ!」
彼女の叫び声を聞いて、はっと我に返り俺は部屋に駆け戻った。
「彼女に何をする」
「なんだ、この餓鬼は」
「俺は彼女の僕(しもべ)だ。お前こそなんだ。彼女から手を離せ!」
手にしていた果物ナイフを男に向けて、俺は走った。もう少しで男にたどり着く、というところで、いつの間にかやってきていた黄の杖が俺の腕を打った。床にナイフが落ちるのを、俺は愕然として見た。そして黄に食って掛かろうとした瞬間、杖が首筋に振り下ろされた。
「英毅!」
彼女の悲鳴を最後に、俺は意識を失った。
意識を取り戻すと、俺は椅子に縛り付けられていた。椅子の背に手を回され、椅子の足にしっかりと俺の足も結び付けられていて、身動きが取れなかった。かろうじて動く首を振って、意識を集中させる。
ここはどこだ、と思っている俺に、男女の睦みあいの音が聞こえてきた。
睦みあいなどという優しいものではなかった。男――李は彼女の手首を縛り、ねじ伏せるようにして彼女を抱いていた。
李のたるんだ腹が、彼女のしなやかな腰に打ちつけられている。
「香梅!」
俺が叫ぶと、李は彼女を抱きながら俺を見てにやりと笑った。
「お前、こいつに惚れてるだろう。こいつの裸を見たいと思っていたんじゃないのか? え、小僧? 見せてやるよ、俺に抱かれてよがってる女でよけりゃあな」
そしてずるりと彼女の中から自身を抜き、彼女を膝に抱えるようにして後ろから再び貫いた。
その瞬間、彼女がああ、と声をもらした。見ないで、と彼女の目が訴えていた。俺から顔を背けようとした彼女の顎を掴んで、李は俺のほうに向けさせた。長い舌が彼女の頬を伝い、閉じていた彼女のまぶたを舐めまわした。
「目を閉じるな。小僧、お前もだ。よく見ろよ。ほら、お前が望んでいた女の裸だ」
李の手がわしづかみにした彼女の乳房は、李の手の中から零れ落ちるほどに豊かだった。
李の太い指が撫で回している彼女の乳首は、先端まで硬くそそりたっていた。
李のたるんだ腹が包み込んでいる彼女の肌は、桜色に上気していた。
李が持ち上げている彼女の脚の間には黒い茂みがあり、その中へ李の一物が滑り込んでいた。
李の一物が貫いている彼女の秘所は赤く割れていて、李の動きに従ってひくりひくりとうごめいていた。
見ないでという彼女の祈りに、俺は目を閉じようとした。けれど、俺は彼女の裸体を見続けた。
俺が釘付けになっていることに満足したのか、李は高笑いをしてから彼女の顔をベッドに押しつけて、犬のようによつんばいにさせた。
そして館の主人を呼ぶ。俺の死角に立っていたらしい黄がベッドに近づくと、脱げ、と李は黄に命令した。黄がためらいもせずにベルトをはずしズボンと下着を下ろす。
次に李は彼女の髪を掴んで顔を持ち上げた。
「しゃぶってやれ」
しわだらけの老人の下半身を、黄は彼女の口元に押しつける。あきらめたように彼女は口を開け、しなびた性器を唇にくわえた。
「歯は立てるなよ、香梅?」
大きく開いた彼女の脚の間を、李が動く。そのたびに、俺の耳にふたりの性器から溢れた粘液が混ざる音と、肌と肌がぶつかる音が鳴り響く。
だらしなく口をあけて彼女の愛撫を受けている黄が、腰を振っていた。彼女の喉の奥まで突いているようで、彼女が苦しそうにうめく声が聞こえる。
彼女がそうやってふたりの男に蹂躙されるのを、俺はただ見ていた。
守りたいと思った彼女が苦しんでいるのを、こんなに傍にいるのに助けてやることもできずに、椅子に縛りつけられているだけだった。
なにより俺を絶望に追いやったのは、こんな状況なのに、俺自身が勃起していることだった。
やがて獣のような唸り声をあげて、李が彼女の中に射精して果てた。黄もすぐに、彼女の口の中に精を吐き出し、崩れ落ちるようにしてベッドに腰をついていた。
「吐き出すな、飲め。飲み干せ」
李が彼女の顎と頭を押さえ込み、彼女の喉を黄の精液が下っていった。
「お前、興奮してるのか。勃ってるじゃないか」
まだ全身で息をしている黄が俺を見て、荒い息をしながら俺を指差した。その指摘が、李の嗜虐心を刺激したらしく、李は下卑た笑みを浮かべて彼女の髪を掴んだ。
「お前の可愛い小僧が、お前と俺たちの交わりを見て興奮してるそうだよ。可哀想に。慰めてやれ」
彼女の髪を掴んでベッドからひきずりおろし、彼女が小さく悲鳴をあげるのもお構いなしに、李は俺の椅子の前へやってきた。ぐっと俺の股間へ彼女の顔を無理やり寄せる。それから、俺が持っていた果物ナイフで俺のズボンを切り裂いた。
すでにぎりぎりまで昂っていた俺自身が、切り裂かれた下着の間から飛び出すようにして跳ね上がる。
「ほうら、もうこんなになってお前を待ってる。さあ、ほら」
「やめて、香梅。お願いだ。ごめん、ごめんよ……。俺、俺……」
「謝ることはないだろう、小僧。実際、いい体をしているよ、この女は。お前が勃起するのも無理はない――だがな、お前がこいつを抱くことはない。こいつは俺の所有物だからだ。
明日からはお前はもうどこへでも行くがいい。こいつはいるが、お前はいらんからな。けど、俺は優しい男だ。最後にこいつにしゃぶってもらうことは、許してやろう。ゆっくり味わえよ、小僧」
「い、いやだ、いやだよ、香梅、やめてくれよ」
俺が情けない声を出すと、李と黄はゲラゲラと笑い、そして彼女の顔を俺の股間に押し付けた。さっき黄の股間にしたのと同じように。
彼女はゆっくりと唇を開き、硬直した俺を飲み込んだ。
彼女の涙が、俺の性器を伝っていった。
「いやだ、いやだ。香梅。お願い、許して。やめてくれ、香梅!」
けれど心が抵抗するのと反比例して、俺の体は素直だった。あっという間に俺は彼女の唇を白い粘液で汚していた。後悔という言葉ではいいあらわせないほどの後悔が、俺を襲う。
さきほどとは違い今度は、吐き出せ、と李は彼女に命令した。のろのろと彼女は、俺の膝に俺の穢れを吐き出した。それを見て、ふたりの男は再び笑った。そうして、彼女をまた引きずり倒し、かわるがわる、時には同時に、彼女を犯した。
彼女はもう抵抗しなかったし、俺ももう彼女を見ようとしなかった。
李たちが陵辱に飽きるのを、ただただ願いつつ、ぼんやりとしていた。頭がうまく回転せず、けだものが二頭、獲物に喰らいついている映画のワンシーンを見ているような感覚だった。
頭も、心も、全てがからっぽになった気分だった。いまだ衰えない雨の音だけが、俺の頭に響いていた。
夜が終わり、さすがにくたびれたのか、ふたりのけだものは部屋を出て行った。彼女はふたりが消えてから扉の前に崩れ落ちた。
どれだけ時間が経ったのか、やがて彼女は力なく立ち上がり、俺の拘束を解いてくれた。
「ごめんなさい、ごめんなさい、英毅。弱い私を許して。ごめんなさい」
座ったままの俺の頭を抱きしめ、彼女はむせび泣いていた。目の前にある彼女の肌には、無数の打ち傷と情事の痕が残っていた。
「もう私はあなたを守ってあげられない。あの時買ったあなたの命、あなたに返すわ。だから、あなたは逃げて。早く、ここから」
「俺は、そんなもの、いらない。俺の命も、未来も、何もかも全てお前のものだ、香梅。だから、今更手放すなんていわないで」
どれだけ俺がいっても、彼女は首を横に振るだけだった。
しびれていた手足にやっと感覚が戻り、俺の頭を抱きかかえている彼女を、できるだけ優しく自分から離す。裸のままの彼女を、今まで俺が座っていた椅子に座らせる。ソファもベッドもやつらの痕跡がくっきりとしみついていて、そんなところに彼女を座らせたくなかった。
ぐったりと椅子の背にもたれかかっている彼女を置いて、俺は風呂場を洗い、湯をためる。新しい夜着を用意してから、俺は彼女の手を引いて風呂場へ行った。
湯はまだたまりきっていなかったが、シャワーを使って彼女の体を丁寧に洗う。やつらが残した白い粘液が、すっかり乾いて彼女の肌を汚している。それをたっぷりの泡を使って洗い流した。
乱暴された痕が、うっすらとあざとなって浮かび上がってきていた。悔しくて、悲しくて、俺は涙を浮かべながら手ぬぐいを使っていた。
「英毅……」
なすがままになっていた彼女が、ぼんやりと俺の名を呼んだ。
「なに、香梅。痛い?」
「いいえ。ちっとも痛くなんかないわ。大きくなったのね、私よりももう、背も高い」
「当たり前だ、もう俺、十五だぞ」
「そう、そうね。あなたを橋の上で拾ってから、もう五年も経つのね。私も年をとるはずだわ」
自嘲するように彼女は喉の奥で笑った。片手で覆った両の目からは、大粒の涙があふれていた。
「何いってんだ。香梅は、出会った時も今もずっと綺麗だよ。けど俺は、あの頃の子供とは違う。もう大人だ」
「英毅。大人になったというのなら、もう私があなたを守ってあげる必要はないでしょう。ここから出てい――」
「さっきもいったろ、香梅。俺の命はお前に渡したんだ。離れるなんて、まっぴらごめんだ。香梅がここにいるなら、俺もここにいる。ここから逃げるなら、俺も一緒だ」
「逃げる……? ここから……?」
そうだ、逃げればいいんだ。
話の勢いでいったことだったが、俺の頭は香梅を連れてここから逃げ出すことでいっぱいになる。逃げた先に幸せがあるとは思わないが、ここにいたって幸せはかけらもない。それなら、せめてこんな場所から逃げたほうがまだましだ。
「逃げてどこにいくの」
「わからない。けど、どこに逃げたとしたって、ここよりはマシだよ」
呆然としていた彼女の目に、少しずつ生気が戻ってくるのを、俺は見た。
それから俺たちは逃げ出す準備をした。
とはいえ、お互い走りやすいような格好をして、それから彼女がめていた金や宝石を、分割して俺の服の裏地に縫いこむことくらいだった。
「いい? 何かあってもあなたは逃げるのよ、私のことは置いていきなさい」
「嫌だ。香梅がいないのなら、ここから逃げたって意味がない」
「生きていれば、またきっと会えるわ。約束して、何があっても命を捨てることだけはしないって」
「ああ、香梅にもらった命だ。捨てない、大事にするよ。だから、香梅も死なないで」
そして俺たちは館に火をつけて逃げ出した。逃げるという意志さえあれば、こんなにも簡単に逃げ出せる場所だったのだと、あっけなさに笑ってしまう。
ふたりで必死に走り、場末の木賃宿へ逃げ込んだ。そこは、昔、館で働いていた男が開いた宿だった。
「よく連れて出てきてくれた、坊主。俺にもできなかったことをお前は成し遂げたんだ。すごいぞ、坊主」
くしゃくしゃと俺の頭を撫でる男は、本当に彼女を救おうとしてくれているようだった。
俺は体を拭い、服を部屋で乾かした。彼女もためらいながらも服を脱ぎ、そして俺に背中を向けて濡れた体を拭き始めた。痛々しいその肌に、恐る恐る俺は唇を寄せた。
「痛い?」
「いいえ。痛くなんかないわ、英毅」
もっと優しく口づけて、と彼女がいった。
雷が、どこかに落ちた音が遠く響いていた。今にも崩れそうなこの宿を揺らすほどの勢いで、雨が降っている。
俺は彼女を抱きしめながら、もっと雨と雷が激しくなればいいと思っていた。そうすれば、俺たちの声は誰にも聞こえない。彼女のささやき声や吐息を独り占めできる。
「初めて、英毅?」
暗闇の中、俺たちは向かい合っていた。彼女が俺の頬をそっと撫でながらそう訊いた。
俺は未だ童貞ではあったが、口や手での経験ならあった。館のほかのふたりの女は、俺が女の体を洗っている時に勃起しているのをからかいながら、気が向くと手や口でしごいてくれた
俺はそのことを彼女に伝えた。
「そう。女を抱いたことはないの?」
初めての経験は、彼女がよかった。それがかなう夢かどうかなんかはまったくわからなかったが、俺は彼女で童貞を捨てたいと、いつしか願っていた。
使いで街に出ればいい寄ってくる女がくることもあったが、そんな女はどうでもよかった。
「俺、童貞は香梅で捨てたかったんだ」
「女の子みたいなこというのね」
くすりと彼女が笑い、恥ずかしさに顔が赤くなり、俺はうつむいた。
「ありがとう、嬉しいわ、英毅」
ゆっくりと彼女の顔が俺の顔に近づいてきて、俺たちは口づけを交わした。彼女が俺の体を強く抱きしめ、柔らかな彼女の体の丸みを、俺は全身で感じていた。
愛してる、と俺はうわごとのように繰り返していた。そのたび、彼女は目を細めて微笑んだ。
長く抱き合った後、彼女は固く屹立した俺自身に触れた。体を横たえ、なまめかしく脚を広げる。
「英毅、いらっしゃい」
脚と同じように広げた腕に誘われるように、俺は彼女の脚の間に体を滑り込ませた。
目の前で揺れる豊かな乳房にむしゃぶりつく。彼女は俺の頭を抱き、髪をずっと撫でてくれた。
「そんなに強く吸ったら痛いわ。もう少し優しく吸って。そう、舌の先で飴玉を舐めるみたいに、先端を転がして……。ああ、上手よ、英毅」
そんな調子で彼女は俺に女の抱き方を教えてくれた。いわれるがまま、俺はただ彼女を喜ばせたくて、必死で愛撫を繰り返した。
舐める、吸う、撫でる、触れる、揉む。その全てに彼女はため息のような声をもらす。彼女の吐息が俺の耳たぶをくすぐり、俺の背中で踊る彼女の指が俺を高めていった。
「香梅、もういいだろ。俺、我慢できない」
「いいわ。おいで、英毅」
子供扱いするなよ、といいたかったが、そんな余裕は俺にはなかった。自分の屹立を手にして、すっかり濡れそぼっている彼女の秘所へ当てる。
「ここ?」
「そうよ、そこ。わかる? 濡れてるでしょ?」
「うん……」
「中までいらっしゃい、英毅。焦らさないで」
ごくりと息を飲み、俺は彼女の中へ進んでいった。すっぽりと俺を包み込んでくれる彼女の中の感覚は、普段の彼女の姿と同じだった。優しくときおり激しく導き、うねる。
俺の名を小さく呼び、吐息をもらし、俺の背中にしがみつき、甘い香りをふりまく彼女を、俺の五感はどこまでも敏感に捉えた。俺は本能の赴くままに、腰を動かしていた。
「ああ、香梅。もう……、だめだ」
「いいのよ、いって。英毅、あなたが好きよ」
彼女の言葉が俺の脳髄を打ち砕き、俺は彼女の中で果てた。
荒い息を整えながら、俺は彼女の隣に横になった。そっと俺の胸に彼女が寄り添ってくる。その肩を抱き、彼女の額に口づけを落とした。
「ねえ香梅、気持ちよかった?」
「ええ、とっても」
「ほんとう?」
「なんでそんなに疑うの?」
「だって、お客としてる時みたいに、声を出してなかったし……」
俺がいうと、ばかねえ、と彼女が笑った。笑うと俺の腕の中の彼女の肩が揺れ、息が俺の胸をくすぐった。
「お客としてる時は、演技しているのよ。ちっとも気持ちよくなんかないから、自分で自分の気持ちを高めていかなくちゃ、できないのよ」
「そうなの? じゃあ、今は?」
「演技なんか必要ないくらい、ほんとうに気持ちよかった、ほんとうよ」
もう一度、俺たちは長く口づけをした。そして彼女は起き上がり、服を着込んだ。
「あなたももう着なさい。ここを出て行くから」
「え?」
「聞こえるでしょう、雨に混じって、何かを探している声がする」
「どういうこと?」
「悲しいけれど、売られたのよ。さあ、早く」
慌てて服を着て、そっと扉を開ける。
階段を上がってくる男を見つけるや、彼女はナイフを手の中に閃かせた。俺を背後に守るようにして、男の喉笛を横に切り裂く。血飛沫が俺たちを赤く染める。
「武器を持っている!」
後ろから来ていた男が慌ててあとずさった。彼女は何かの拳法使いのように男を殴り倒し、彼女はそいつの首をへし折った。
驚いている俺の手を掴み、彼女は階段を駆け下りた。
階下にいた宿の男が、すまない、と彼女に謝った。
「恨まないわ、陳。お互い生きるためには仕方がない」
にこりと笑顔を宿に残し、彼女は扉を開けて入ってきた黄を羽交い絞めにして、外に出た。
「な、何をする、香梅」
「何もしない。ただ、盾になってもらうだけよ」
外は激しい雨が降り続き、俺たちを染めた血をあっという間に洗い流していった。
黄は、俺たちを追ってきていた男たちを全員引き上げさせた。自分の命と引き換えにするつもりはなかったのだろう。もしくは、李の力を持ってすれば、俺たちがどこへ逃げてもすぐに探し出せるという考えがそうさせたのかもしれない。
それでも黄を盾に俺たちは進み、大通りへ出る瞬間に彼女は黄の喉にナイフを突き立てた。
驚愕の表情を黄は浮かべて凍りついたまま、黄は死んだ。
「八つ裂きにしても収まらないけど、あんたも使われてるだけだから、可哀想といえば可哀想よね。さようなら」
彼女はそういい捨てて、黄の死体を路地に捨てた。
そしてまた俺たちは走り出した。
彼女が倒れるまで、俺たちは走った。どこへ向かっているのかもだんだんわからなくなっていた。ただわかっていたのは、彼女の体が限界だということだけだった。
その昔、姉と別れた俺がやっていたように、俺たちは軒下や橋の下で体を休めた。
彼女のための薬や食事を買おうとするのを、彼女は止めた。けれど数日の後、俺は我慢がならず薬を買うために薬局へ向かった。彼女にはもう俺を止める力すら、残っていなかった。
橋の下にダンボールを敷き、彼女をその上に横たえて、俺は通りに出る。
その道すがら、体格のいい鋭い目つきをした男とすれ違った。間違いなく、そいつは中国人ではなかった。そしておそらく、表の世界の人間でもなかった。一緒にいた男は中国人とわかった。通訳として雇われているに違いない。
韓国か、日本か、もしくは香港あたりの人間かもしれないな、と俺は思い、立ち止まりそうになった足を再び通りへと向けた。
彼女が縫い付けてくれた金で薬と温かい食べ物を買う。
これで少しは彼女が元気になってくれると思うと、俺の足取りも軽くなる。
「香梅!」
彼女と別れた場所に、彼女はいなかった。
こうして俺の中国での物語は終わった。
一年後、成田空港。
手荷物ひとつで日本に下り立つ俺を、彼女が迎えてくれる。
「香梅」
「ああ、英毅。よかった、生きていてくれたのね」
「当たり前だ、死なないって、約束したじゃないか」
「悪ィが、日本語で会話してもらえないか、おふたりさん」
彼女の隣にいた男が薄ら笑いを浮かべていった。あの日すれ違った男だった。
この一年、必死で学んだ日本語の脳みそをフル回転させる。
そうだ、これからは日本で暮らすのだ。彼女のために日本で生きることを選んだのだ。
「まだ、日本語は上手じゃない。変な言葉使いをしたら、許してください。島津さん」
「それだけしゃべれりゃ、十分だ。うちの馬鹿娘よりゃ丁寧だぜ」
豪快に笑ったその男の名は、島津隆尚。日本のマフィア――ヤクザの親分だと聞いている。そして彼女はその妻として生きているのだと。
彼女が認めた男は、俺から見ても立派な男だった。
「あなたと、あなたのファミリーと、それから――それから、あなたの家族のために、俺の命と忠誠を捧げます」
「いや、俺は忠誠だけもらっておこう」
島津隆尚は、そういった。
「お前の命はとうの昔に、彩に捧げたままなんだろう。俺はそれを奪うつもりはねえよ。その代わり、何があっても彩だけは守ってやってくれ」
彼は俺の知らない名前で彼女を呼ぶ。そのたびに俺の胸に、年月の重み――離れていた年月、知らない年月がのしかかり、心が軋む。痛む心に気づかないふりをして、俺は頷いた。
「……はい。もちろんです」
じゃあ行こうか、と彼は踵を返して歩き出した。
振り返りもしない彼の背中を見つめた。今の彼女を守り、幸せを与え、与えられている男の背中は、実に大きく存在感があり、そして堂々としていた。成功も苦労も知る、年月が積み重なった背中だった。
俺が中国で彼女を幸せにできなかった分、島津隆尚が日本で彼女を幸せにしているというのなら、俺は彼らの幸せを守る。それが俺の幸せだ。俺の命も、未来も、運命も、なにもかも全て彼女のものなのだから、それでいい。
私のために死ぬ覚悟があるというのなら、お願いだから、私のために生きて。
彼女がいつもいっていた言葉。今、俺はこの言葉をかみしめて、新しい人生を生きる決意をする。きっとあの雨の夜、俺と彼女が出会い、俺の命を彼女が買ったのは、このためだから。
「英毅」
彼女が俺を呼んで、わずかの時間、俺の手に触れてくれた。
そのぬくもりだけで、十分だった。
この名前は彼女から授けられた、彼女だけのものだ。彼女以外にこの名前を呼ぶ人はもういない。彼女が俺を「英毅」と呼ぶ限り、俺は彼女の忠実なしもべだ。何度生まれ変わろうと、それだけは変わらないだろう。
けれどもし、次に生まれ変わるなら、恋人や夫婦でなくていい、あなたの子供として生まれたい。
そうすれば、あなたが死ぬまで見守ってあげられる。最期の瞬間にあなたの傍にいてあげられる。
「英毅」
彼女がもう一度俺を呼んだ。
「すみません、今、行きます」
俺は、新しい一歩を踏み出した。
――了
以上です。
思えば保管庫から過去作は削除してもらったので、最近の方にはラストはさっぱりかもしれませんね、そのこと、すっかり忘れてました。
すみません。
そしてやはり保管庫への保管は遠慮します。
それでは、他の方の作品を楽しみに、名無しに戻ります。
>>337 島津組のアニキお久しぶりです〜〜〜!!!
保管庫から削除される前からファンだったからすっごく嬉しいです。
まさか組長の「運命の女性」にこんな壮絶な過去があったとは……
続きが激しく気になりますがまさかここまでの寸止め!?
そして瀬里奈、はつくづく世間しらずのお嬢さんなんだな…と思いました。
GJ!!!
お久しぶりです
切なくて雰囲気のある文章に引き込まれました
機会があれば、また投下待ってます
GJです
懐かしい名前が最後に出てきてびっくり
良かったです
このスレに投下してくれてありがとう!!
うわ〜最後の部分胸にきたわ
新参なので前の作品保管庫で見れないのが悔しい。GJでした!
同じく、島津組の名前にびっくり&思わずやったーと叫びたい気持ちにw
>>341 ぐぐると幸せがみつかるかもしれない。
>>342 幸せみつけちゃいました。ありがとう〜!
一気読みしちゃった。(どんだけ暇人とかいわない)
>>342 幸せの青い鳥ってお前のことだったんだな。ありがとん
お嬢様、恥ずかしがらずにいつでも来て来て〜
「いやっ、いやったら絶対にいやなのっ!」
「お嬢様…我が儘をおっしゃらずに出てきて下さい」
「いやよ!そ、その、おおおおしっこをしている所をみんなに見せるなんで!」
「民は喜びますよ。なにせ神の御加護に包まれたお嬢様なのですから」
「いやいやいや!」
「……………ふぅ」
「……………?」
「……仕様がありませんね」
どす、がす、ばったーん
「きゃ! レディの部屋に勝手に入らないでよ!」
「……いつものように、何も考えられないようにしてあげましょう」
「え、え? え? な何をするの?……やんっ、脱がせないで!」
「いつも気持ちいいと、そこから噴き出すではありませんか。
そんなに嫌なら、何もわからないように壊してさしあげます」
「やめっ、止めなさ、ぁん! いやんっ」
「……あっという間に洪水ですね。これならすぐ民のもとへ連れていける」
「たみ…、そんな、やっ! 恥ずかしい!」
「どうせ恥ずかしいなら、多少の刺激は変わりませんよ。ほら、ここはどうですか?」
「な、なかにゆびぃ…あふ、やぁあっ、ざらざらこすっちゃだめぇぇえええっ。また漏れちゃうぅぅ!」
「……そろそろ行きましょうか。最高の瞬間を迎えさせてあげましょう」
「ひゃ、え、どこに行くの?!」
「言ったでしょう。民の前でその聖水を放ってあげるのです」
「無理! 恥ずかし……!」
「……大丈夫。みな目が見えません。あなたはただ感じて、彼らに向かって放つのです」
「むかって……?」
「そう。神から与えられし力を少し分けてあげるのです。それだけなのですよ」
「……………みえない?」
「はい。……では行きましょう」
カッとなってや(ry
後悔はしていない。
ちょwなにがどうして民に聖水www
気になるからちゃんとSSにしてくださいw
聖水とかけまして個人情報ととく。
その心は、漏らすとry
ラブコメ風のお嬢様と家庭教師投下します。
NGはタイトルのアリスのお茶会でお願いします。
午後2時58分。
秒針の音がしんしんとページの間に染みてゆく。
ここは、家庭教師として住み込みで働くエドガー先生のお部屋。
広々とした室内は塵一つなく磨き抜かれ、壁一面に陣取る本棚には膨大な量の書籍が並ぶ。
そんな自分好みの癒しの空間で、エドガーはお気に入りの長椅子に腰掛け優雅に読書を進めていた――のだが、
「遅いですね…」
エドガーは苛立った瞳で置き時計の文字盤を見た。
時刻は2時59分。もう4分も遅刻している。
55分には部屋にアフタヌーンティーが到着している筈なのに、未だにメイドが来る気配がない。
最近の若い者は仕事の時間すら守れないのか。
眉間にキリキリと皺を刻んでいると、ようやく廊下からワゴンの音が聞こえてきた。
ゴロロガロロロロロロ…カチャッ…カチャンカチャン…
長い床をタイヤが爆走し、食器が音を立てて跳ね回る。
遅刻に焦っているのだろうが、それにしても酷い運行だ。まるで子どもがはしゃいでワゴンを押しているような…。
ん、子ども?エドガーの胸に嫌な予感がよぎった瞬間、ワゴンは部屋の前でピタリと止まった。
「こんにちは〜!アリスのケーキサービスでーす」
可憐なハイトーンボイスと共に部屋の扉が開かれる。
まさかと言うかやはりと言うか、そこに居たのはメイドではなく、金髪のショートカットの美少女だった。
「――アリス様」
むっつりとしてエドガーは小説を閉じた。手袋の指で軽く眼鏡を押し上げる。
「メイドはどうしました?お嬢様にお茶は頼んでいませんよ」
「えへ、今日はメイドさんに代わってウエイトレスさんが出動なのです」
閉まりかけた扉をお尻で押さえ、アリスはよいしょよいしょとワゴンを室内に押し入れた。
ワゴンにはそれらしくケーキスタンドやティーセットが乗っている。
そして、頭にホワイトプリム、胸元にリボン。純白のエプロンドレスのアリスは確かにウエイトレスに見えなくもない。
ただ、その短過ぎるスカートはいかがなものか。
アリスがテーブルにワゴンを運ぶ最中、目の前の長椅子に座ったエドガーからはスカートの中が丸見えになった。
本日のアリス様のショーツは、フロントにハートの刺繍が付いたベビーピンクである。
「はぁ…」
思わずエドガーが漏らした吐息にアリスは喜々として食いついた。
「え?今見えた?私のパンツ見ちゃってハアハアしたの?」
「いえ、見苦しくて汚らわしくて喩えようもなく無様な物を目にして溜め息が出ました」
「ムッ…!」
綿毛が弾けたようにアリスの頬がプクッと膨れる。
「また下らない企みがおありなのでしょうが、気味の悪い接待はお断りしますよ」
き、気味が悪い!?
その侮辱がとどめとなり、プックプクに膨れたアリスの頬はとうとう噴火した。
「もおぉぉお!バレンタイン!!今日はバレンタインデーだから来たの!先生の馬鹿!」
「……」
「いいい痛い痛い〜!馬鹿じゃないですごめんなさい」
「…バレンタインですか」
「そうだよ、せっかく先生のためにケーキ焼いたのに意地悪ばっか言ってさ!どうしてこんなに性格悪いの!?」
「……」
「いたっ、痛い!ケーキトングで太ももつねるのやめて下さいってば!」
トングをトレイに戻し、エドガーは再び溜め息をついた。
そういえば今日は2月14日だ。
(バレンタイン…先生のためにケーキ焼いた…)
アリスの言葉が頭の中でふわふわと反響する。
まったく、お馬鹿の分際でどうしてこういう事はマメなのだ。
こんな馬鹿なものに努力を費やす前に、淑女としての教養とマナーを身につけろこの馬鹿。
エドガーの鉄面皮の下で、複雑な感情が幾つも交錯した。
「そんな怖い顔して…、先生キライ…。もう帰る」
トボトボとワゴンを押すアリスの背に向かい、エドガーは咳払いをした。
「待ちなさい。全く気が進みませんがケーキを頂きます。これも調理実習の一環と言えるでしょう」
「え?先生食べるの?」
期待半分、不信半分な目でアリスが振り向く。
「仕方ありません。食育のためです」
テーブルにはナプキンやカットラリーが並び、アフターヌーンティーの支度が着々と進められていた。
張り切ってお茶を淹れるアリスを後目に、エドガーはテーブルに置かれたケーキを注意深く観察した。
ざっくりした生地に白い粉砂糖がふるわれ、きちんと1ピースに切り分けられて皿に盛られている。
生地の断面から覗くのはチェリーだろうか。
アリスお手製という怪しい一品だが、見た目はいたって素朴な焼き菓子である。
食べられなくはなさそうだと安堵していると、アリスが危なっかしい手つきでカップ運んで来た。
「お待たせ〜、お茶ですよ」
カップを満たすのは不透明の褐色だ。エドガーは意外そうにカップを持ち上げた。
「ほう、コーヒーですか」
お茶といえば紅茶だと思い込んでいたが、アリスのチョイスは違ったようだ。
珍しい香りだが何という豆なのだろう。
しかし、アリスはふるふる首を振って笑った。
「これ紅茶だよ」
ギョッとしてエドガーはカップの中を凝視する。
ドス黒く煮詰まった液体は到底紅茶には見えない。一口飲めば二日は不眠になりそうな代物だ。
「不思議だよね。普通に葉っぱをザクザクってポットに入れてドバーってお湯を注いだのに、紅茶の色にならないんだよ」
流石はアリス。人にお茶を淹れてもらう事はあれど、自分では淹れた事などないお嬢様である。
「…アリス様は、生まれて初めてご自分でお茶を淹れたのですね」
「うんっ!」
アリスはエドガーの隣に腰を下ろすと素早く擦り寄った。
初めてのお茶汲みを褒めてもらえると期待しているのだろう。撫でて撫でてと青い瞳が輝いている。
エドガーはアリスのキラキラ目をばっさり無視して質問を続けた。
「ケーキ作りも初めてですか?」
「うんっ!アリス史上初手作り!初めて厨房に立ったんだよ」
食の安全性が大きく揺らぐ発言である。
このケーキも紅茶同様にザバザバ、ドバーっと非常識な目分量で作られたに違いない。
「味見はしたのでしょうね」
暗雲たる思いで念を押す。
すると、何故かアリスは焦ったように目を反らした。
「味見…してないの」
「は?」
「このケーキ、アリスは食べられないから」
何を言っているのだ。
俄然険しくなったエドガーの視線に耐えきれず、アリスは困ったようにピヨッと唇を突き出す。
このアヒル口、宿題を忘れたのを誤魔化そうとしている時と同じ顔だ。
…さては。
エドガーの目が鋭く光った。
「ぷっ!」
アヒル口を指で摘まれアリスが悲鳴を上げる。
「食べられないのは、ケーキに一服盛ったからですか」
「ぶっ…ぷはっ!そんな事してないもん!」
「毎日毎日馬鹿な悪企みをなさっているアリス様の事です。信用出来ません。何を入れました?下剤ですか?」
「入れてない!」
「ならば、その証拠にここでケーキを召し上がって下さい」
「やだ!」
「ほう…」
エドガーはケーキサーバーを手に取ると、鞭のように手の平で打ち鳴らし始めた。
その姿はまるで野獣を躾る調教師である。アリスは震え上がってフォークを手にした。
「わっ、分かったよう!食べるよう!」
ケーキを一口頬張る。
「あむっ」
アリスは複雑な顔でもぐもぐと小さな口を動かした。
直ぐに吐き出したり目を回したりしないということは、味の攻撃力はさほど高くはないらしい。
もぐもぐ…ごっくん。
「さあ、どうですか。胃の洗浄が必要な事態ならば医者を呼んで差し上げますよ」
「ひぃっく」
返事の代わりにすっとんきょうな声が上がった。
「ひっ…く、ひっく…」
しゃっくり?
エドガーの見守る中、次第にアリスの目がトロンと下がりだした。
風呂上がりのように桃色に染まる顔。ふらふらと頼りなく揺れる上体。
「…これは…」
エドガーは皿に残ったケーキを一欠片口に入れてみた。
微かに酒の香りが口に広がる。生地に練り込まれたブランデー漬けのチェリーの風味だ。
「…うぅ〜…ひぃっく」
恐ろしい事に、たかがお菓子に使われた少量のブランデーで酔っ払ってしまったらしい。
「子どもだ…」
思わずそう呟いたエドガーに、アリスは真っ赤になって踊りかかった。
「ほらぁ!やっぱり子ども扱いするや〜!らから食べるのやらっていったんにゃらい!」
「ぐっ…」
飛び付かれた勢いでエドガーは長椅子に押し倒される。
「なーにが毒を盛ったりゃ!こなくしょー!」
馬乗りになったアリスがエドガーの胸ぐらを掴んで吠えた。
エドガーは強張った顔でずり落ちた眼鏡を掛け直した。見上げれば、完全に目が座ったアリスの顔がある。
まさかアリス様、酒乱なのか。
「分かりました。分かりましたから落ち着きなさい」
何とか鎮めようとするエドガーだが、怒りに火の着いたアリスは興奮した小型犬のように暴れまくった。
「先生にこの乙女心が分かってたまゆか!ひぃっく、いい加減なことゆうなら!」
元気一杯にキャンキャンキャンキャン喚きたてる。エドガーは渋い顔で耳を塞ごうとした。
「アリスはなぁ、先生が好きらっていうかやお酒のケーキ作ったんりゃもん!ちゃあんとリサーチしたんら!」
耳に突っ込みかけた指がピクリと止まる。
確かに、ブランデーやウイスキーの効いた菓子をメイドによく発注していた。
思いがけないアリスの気遣いにエドガーはしばし沈黙した。
規則正しい秒針の音を掻き消して、キャンキャン、ひっくひっくとやかましいアリスの声が部屋に響く。
「ひぃっく、うう…アリスはいっつも努力をしてうのに…先生は全然好きににゃってくれないんら〜…ひっく……」
やがて怒りが燃え尽きたのか、アリスはぽてっとエドガーの上に倒れ込んだ。
小ぶりなメロン程ある胸がクッションのようにプニュッと潰れる。
「うぅん…ひっく…早くアリスを好きになえ〜……ひっ…く」
「……いつの間に手段が目的にすり替わったのですか」
しかし、それには答えず、アリスはそのままエドガーの胸に顔を埋めて寝息を立てだした。
はあ。
三度目の溜め息をつき、エドガーはアリスの体をそっと抱き起こした。
「まったく、体ばかり大きくなって」
立派な胸の下から脱出し、アリスをごろんと長椅子に寝かせてやる。
そこで、エドガーはふとアリスの胸に目を止めた。
胸元を飾るリボンに見覚えがある。
あの本を包んでいた赤いリボン――。
エドガー自ら選んで結った、アリスに一番似合う色の絹のリボンだった。
「んぅ…わらひのお茶が飲めないんれふかぁ…」
寝言でまでくだを巻いているお馬鹿が風邪をひかぬよう、エドガーは脱いだジャケットをアリスにそっと掛けてやった。
おしまい
以上です
GJ !!!!!
アリスとエドガーの掛け合い良いですな
アリス可愛い〜
GJです!
アリスとエドガー読めて嬉しい!
なんかこれアニメ化したら人気でそうw
エドガーが恋に落ちたらどうなってしまうのか興味深い
gjgj!!
アリスの愛情表現方法はいつもぶっとんでてエドガー大変だなw
もうちょっと違う方法でいけばいいのに・・・と思いつつ
そこがおばかでかわいいw
エドガーもエドガーでどのくらいアリスを思っているのか気になる
また楽しみにしています!
358 :
名無しさん@ピンキー:2009/02/12(木) 21:58:22 ID:lwTh9iBK
あげるッツ!!
さげるッツ!!
お嬢様の手作りチョコをいただいたので、お返しにこちらも手作りの逆チョコをお渡ししたら、
こちらの逆チョコのほうが遥かに出来が良かったため、気まずい空気になってしまったでございますの巻
エドガーとアリス萌えすぎるwwwww
プライドばっか高くて何も出来ないお嬢様に萌える
>>360を微妙に参考にしてエロなしを書きました
NG指定は「奈々子の憂鬱」です
奈々子は伸び上がって道路のかなたを見やった。
バスはまだ来ない。
今年のバレンタインデーは都合のいいことに土曜日だ。
私立高校に通う奈々子は休みだが、公立高校に通う耕介には授業がある。
奈々子は考え抜いた末、手作りチョコ作戦に出ることにした。
毎年、高級チョコをプレゼントしても、耕介はひたすら恐縮するばかりで、
こちらの好意に気づいてなどくれないのだ。
奈々子は今年こそ、チョコとともに思いの丈をぶつけるつもりだった。
胸には、耕介の母の千鶴子に教わったチョコレートガナッシュがある。
ガナッシュなら簡単に作れるという千鶴子のアドバイスだった。
奈々子はこちらにやってくるバスに気づき、慌てて髪を整えた。
ラッピングした箱を背中に隠す。
バスはゆっくり停車すると、もったいぶるように後部ドアを開けた。
まず、おばあさんが降りてきて、次に子ども連れの若い母親が現れた。
奈々子は、はやる気持ちを抑えて耕介を待った。
三番目は、丸々と太った中年女性だった。奈々子はため息をついた。
このバスには乗っていないのだろうか。
そのとき、ブレザー姿の耕介が現れた。
「耕介!」
奈々子は急いで走り寄った。奈々子を認めた耕介が、白い歯を見せる。
だが、バスからはもうひとり、同じ校章をつけた女の子が降りてきた。
耕介になれなれしく話しかける。
「ねえ、この人が奈々子お嬢さん?」
「うん、そうだよ」
耕介が振り向いて答える。奈々子には見せない気さくな表情だった。
「あ、ごめんなさい、お嬢さん。この人は同じクラスの益田詩織さんです」
耕介が紹介する。詩織が「初めまして」と言いながら、頭をちょっと下げる。
奈々子は渋々お辞儀を返した。
「益田さん、こちらが奈々子お嬢さん。俺とお袋にいつも親切にしてくれるんだ」
「それで、今日はどんなご用件なのかしら?」
奈々子は尋ねてから、しまったと悔やんだ。明らかに敵意をむき出しにした尋ね方だった。
嫌な女だと思われてしまうかもしれない。
「あの、耕介くんと一緒に勉強しようかなと思って。ね?」
詩織が耕介を見上げながら答える。
「あの、今日は庭仕事ってない日ですよね? もちろん、仕事があれば
真っ先に片づけますけど」
「いえ、やってもらうことはないわ。大丈夫よ」
「よかった」
耕介がほっとしたように笑う。
詩織と一緒に勉強することがそんなに楽しみなのだろうか。
奈々子は、ほの暗い怒りが胸にふつふつと湧き上がってくるのを感じた。
「あれ、もしかしてそれってチョコ?」
詩織が奈々子の背中を指さす。奈々子はとっさに耕介を見た。
耕介はどんな反応を示すだろう。
だが、耕介はいつも通り、すまなそうな顔をするだけだった。
「ひ、暇だからチョコレートガナッシュを作ってみたのよ。よかったらふたりで食べて」
奈々子は箱をぞんざいに突き出した。耕介は受け取ると、頭を下げた。
「ありがとうございます。お嬢さんの手作りをもらえるなんて、俺、夢を見てるみたいです」
奈々子は呆然と立ち尽くした。
それが耕介の本心ならば、今ここで死んでも悔いはなかった。
「ねえ、吉岡。家庭科で作ったトリュフ、渡しちゃったら?」
詩織が耕介の脇腹を突つく。耕介は恥ずかしそうにかぶりを振った。
「無理だよ、あんなの。お嬢さんにあげられるわけないだろ」
「なんで? よくできてたじゃんか」
詩織が耕介のバッグパックをはたく。
耕介が「マジでできてねえって」と言いながら、詩織をはたき返す。
奈々子はじゃれるふたりを見て、心の底から羨ましいと思った。
耕介はどんな時だろうと、自分をお嬢さんとしか見てくれないのだ。
「っていうか、あたしがあげたやつ全部食べたじゃん。あれより、吉岡の作った
やつのほうが絶対よくできてるってば」
「……もらったんだ」
奈々子はハッと我に返った。無意識のうちに呟いていたようだった。
耕介がうなずく。
「全然おいしくありませんでしたけどね」
「何それ、ひどーい」
詩織がまた耕介のバッグパックをはたいた。耕介が「ほんとのことだろ」と返す。
奈々子は寂しくなった。
毎年、耕介にチョコを贈るのは自分ひとりだけだと、固く信じて疑わなかったのだ。
「あたし、トリュフ食べたいな」
また無意識のうちに口走っていた。耕介が意外そうに奈々子を見る。
「絶対、後悔しますよ」
「何よ、あたしにチョコをあげるのは嫌なの?」
奈々子が睨むと、耕介が首をすくめた。
「ほんとにいいんですか?」
耕介はまだ心配そうだ。奈々子は力強くうなずいた。
「わかりました。それなら……」
耕介はバッグパックのジッパーを開けると、中からタッパーを取り出した。
それを奈々子に手渡す。奈々子はタッパーを開けて、息を呑んだ。
まるで売り物かと見まごうようなトリュフが詰まっていたのだ。
奈々子は急に不安になった。
このトリュフに比べれば、自分の作ったチョコレートガナッシュは児戯に等しい。
渡さなければよかった。
「奈々子お嬢さん、マジよくできてると思わない?」
詩織が同意を求めるように尋ねる。奈々子はにっこり微笑んだ。
「ええ、本当にそうね。うちのシェフだってこんなにうまくは作れないわ」
「そんな、お嬢さん。褒めすぎですよ」
耕介が照れくさそうに鼻の頭をかく。いつもの癖だ。
「すごーい、専属のシェフがいるんだ」
詩織が無邪気に目を丸くする。奈々子は笑顔がひきつるのを感じた。
「ねえ、吉岡。奈々子お嬢さんのやつも開けてみてよ。あたし、どんなのか見たい」
耕介が機嫌をうかがうように、上目遣いでこちらを見る。
奈々子は反射的に「いいわよ」と答えてしまった。
耕介にあんな顔をされると、とてもだめだとは言えなかった。
すると、詩織が耕介から箱を奪い、かわりにラッピングをはがした。
耕介に開けてもらいたかったのに、と奈々子は心中で詩織を呪った。
詩織が丸いピンクの箱を開ける。
中から現れたのは、ぺたんこにしぼんだガナッシュだった。
小麦粉の塊がところどころ浮き出ていて、まるで白カビでも生えたかのようだ。
耕介と詩織は何も言わない。言葉を失ったのだろう。
奈々子は耐え切れずに、耕介から箱を奪い返した。
「いいのよ、こんな失敗作食べなくて。暇だから作ってみただけなんだもの」
奈々子は試しに端っこをつまんでみた。この世のものとは思えないほどまずい。
手作りが愛情の証だなんて思ったのが、そもそもの間違いだった。
最初から最後まで千鶴子に作ってもらえばよかったのだ。
奈々子は何だか泣きたくなった。菓子もまともに作れない自分が情けない。
「そんなことありませんて。おいしそうですよ」
耕介はひょいと手を伸ばすと、ガナッシュをつまんだ。
奈々子が止める間もなかった。
口に含んだとたん、耕介の目が死んだように見えた。
だが、耕介はなんとか飲み込むと、もうひとかけらつまんだ。
「お願いだからやめて、耕介。無理しなくていいのよ」
「無理なんかしてませんよ」
耕介が白い歯を見せてにっと笑う。
「俺、めちゃくちゃ嬉しいんですよ。だって、お嬢さんが俺のために作って
くれたんですもん。今だって踊り出したいくらいなんですから」
「やだ、いくらなんでも大げさよ」
奈々子は笑ったが、本当は大声で泣きたかった。嬉しくて仕方なかった。
耕介が再びガナッシュをつまむ。奈々子もそれにならった。
耕介と目が合うと、ふたり揃って吹き出してしまった。
うしろで、詩織が不満そうに口を尖らしているのが見えた。
(完)
以上です
奈々子よかったよ奈々子
GJ!!萌えた〜
市民の気安い会話に嫉妬するとは、お嬢さんならではですな
庵野監督は、永井豪の「デビルマン」やウルトラマン、ガンダムシリーズなどから影響を受けたと認めているが実は永井豪作品の「マジン・サーガ」と多く共通する点がある。
内気な少年主人公がロボットに乗るため都市に引っ越してくるところが初盤で、 「ロボットとパイロットの神経系統の接続による操縦」 「ロボットのダメージがそのままパイロットに」
「液体でコックピットを満たすシステム」 「研究所にある垂直発進装置からロボットが迎撃出撃」 「突如目覚めた先住民族が人間を攻撃」 「分析したら敵のDNAが人間と同じ」
「クローン人間には魂が無いので、そこに先住民族の魂を入れて新人類を作り出すマッドサイエンティスト」
「正体不明の美少年天使と主人公のやおい的関係」 「先住民族の超古代科学遺跡・地獄の門に先住民族の魂が封印されている」 「主人公がロボットの力を使って、地球を滅ぼしてしまう」等である。
また研究所/要塞もはどちらも富士山近郊。ロボットの手足がちぎれると血が吹き出る
エヴァの顔の造詣は漫画のZ似。前傾屈で走っているところはZそのまんま。さらに劇場版のラストはデビルマン
エヴァが鎧つけてるのは、強すぎる筋肉で内臓を潰さないためだがこれは「バイオレンスジャック」のキングのパクリまた、「戦闘妖精・雪風」には両作品の共通点、
「国連直属の地球防衛特務機関」が「謎の敵」に対して「地下都市構造の基地」から時折制御不能になる謎めいた 人型戦闘兵器に特別に選ばれたまたは人間性というものが全くない人間を乗せて発進させるというものがある。
深井零=綾波レイ
どこの誤爆だよ
つい全部読んじゃった
永井版のが面白そうだな・・・って誤爆じゃねえか
これは何か
マジンガーっぽい作品でやろうという先触れか?
お嬢様=兜甲児ポジ、マジンガー=従者
とか
デッカードと勇太くんを主従的にアレンジして
警察ロボと特命警察お嬢様(ロリ)とか萌えた
お嬢様=弓さやか
従者=兜甲児
でひとつ
誤爆に食いつき過ぎだろw
誤爆から名作もある
かもしれないw
ゴッドマジンガー風味ならなんとか・・・?
戦国バサラの家康→ヤンチャ系お嬢様
ホンダム→無口巨体ロボ従者
うむ
>>377 ジェイデッカーよりもマイトガインの方がらしい気もするがな
というか護とギャレオンも
>>381だが
間違えた
「誤爆から名作もある」だ
>>381だが
間違えた
「誤爆から名作もある」だが
「誤爆から生まれる名作もある」と打とうとしたんだ
・・・途中できれちゃったorz
マイトガインの主人公が女なら…
女の子のび太にドラえもんってよくないかい?
387がそんなこと言うから、秘密道具という言葉がいやらしく思えて来たじゃないか
>>388 こっちまでイヤらしいと思ってきたじゃないか。責任取れよ!
>>389 言い出したのはお前だw
さきっちょてっかてっか
ぬれてぴっかぴーか
とか?(笑)
軽いのばっかだな。
姫スレみたいに物語がしっかりしたエロ書いてくれる人いないのか?
そのスレごとに雰囲気違ってるもんだよ
姫スレ覗いたことあるけど俺にはあわなかった
4スレ目くらいまではキャラや世界や物語がっつり作りこんだ長期連載物がメインだったけど、ここんとこは一話読み切り萌えコネタ的なのが主流になってきたからな
なんで、保管庫へいけばお望みのような作品が並んでるよ
>>386 エースのジョーが主人公を狙うストーカーと妄想してしまったw
緑川ファンに殺される・・・(汗)
むしろがっつり系は敬遠されてると思っていたんだぜ
そんなことないんだぜ。待ってるんだぜ。
執事といえば黒川さん
あーみんいいよあーみん
投下します
顔文字を使った絵本風の話です
NGはタイトルの「エリカと秘密の城」でお願いします
ルイ・∀・リ..・♪・..♯..・♭
「マリアさまの たっとき涙 だいちに落ち すずらんの花 めばえた」
歌声は風に乗り、緑の濃淡の狭間へ溶けていく。
久しく忘れていた開放的な気分だ。エリカはフリルをなびかせて青空の下を歩いた。
昨夜入城した際は長旅の疲れに景色を眺める余裕もなかったが、
一夜明け改めて見渡す庭は如何にも質朴とした風情があった。
蔦の絡まった柱や古い園路がぽつりぽつりと在る他は自然のままに草花が生い茂っている。
ルイ*・ν・リ (童話に出てくる森のお庭みたい…)
画一的に剪定された庭園にはない自然美にエリカは顔をほころばせた。
ルイ・д・リζ 「……あ!」
ルイ*・∀・リっo 「野イチゴ!たくさんなってる!」
足元に可憐な野イチゴを見つけてしゃがみ込む。
エリカは何粒か実を摘むとハンカチに包んで大切にポシェットへ入れた。
∴
Ψ
ポシェットの仕切りからは先程手折った花が一輪覗いている。
薄紫の萼に白い小花が集まって咲いた花。
華美な花ではないが、日陰にしんと佇む様が不思議とエリカの心を捉えたのだ。
ルイ・д・リっ∴ (見たことのないお花だけど、これもハーブなのかな?)
ルイ・ν・リヾ (後で庭師さんとコックさんに聞こう…)
さらなる種類の花を求め、エリカは庭の深くへ足を運んだ。
しばらく進むと庭木が途切れ視界が大きく開ける。
ルイ・д・リ
そこには墓地が広がっていた。
長らく風雨に晒された墓石は苔蒸し、遺跡のように静謐な気を纏う。
屹立する墓標の群れを前に、エリカの胸にも粛然とした想いが迫った。
故人の眠りを妨げぬようエリカはそっと口を噤んだ。
ルイ・х・リ (……)
ルイ゜х゜リ!(…あれ?あれは…)
並んだ墓石に違和感を覚え目を凝らす。
一つの墓石の影だけが周囲より濃い――。
薄墨に黒炭が滲むように、本来の陰りの色を侵蝕する何かがそこに在る。
┌―┐
│╋│
┴┸┴┐●
√ト~ ̄~フ
∞ノ ハ ハリ
ルイ・х・リ
oゞ∞ヾo
.~u―○~ テクテク…
エリカが歩み寄ると一対の耳が影から突き出た。
∧_∧
(ΦwΦ)
やはり件の影だ。
真昼の陽光を嫌ってか、墓石を日避けに猫のように蹲っている。
ルイ・ν・リ 「……」
ルイ・∀・リ 「……ここに座ってもいい?」
エリカは影を驚かさぬように気を払い、やや距離を置いた芝生の上に腰を下ろした。
ルイ*・ν・リ ジーッ (ΦwΦ)
エリカと影はしばし無言で見つめ合った。
朝方は脱兎の勢いで消えた影だが、大人しいエリカの様子に警戒を解いたようだ。
紅い双眸をゆるゆると細め、物珍しそうにエリカを観察しだした。
ルイ*‐ν‐リ ムー… (‐w‐)
ルイ*・ν・リ パチッ (ΦwΦ)
ルイ*‐ν‐リ ムー… (‐w‐)
――お友達になれるかもしれない。
そんな淡い期待がエリカの胸を高鳴らせた。
ルイ*‐ν‐リ ムー…フフフ
ルイ*・∀・リっヾ「…そうだ、野イチゴがあるよ。食べる?」
芝生にハンカチを広げると小さな果実がこぼれ出る。
エリカは手本を示すように実を一粒摘んで見せた。
ルイ・к・リ=uおいしいよ」
すると、イチゴを食む甘い香りに誘われたのか影が身を乗り出した。
;(ΦwΦ)〜〜○; ニューッ
闇の塊から糸を縒るようにゆるゆると繊手を生やす。
しかし手は、野イチゴを素通りし向かいに座るエリカへと伸びた。
(ΦwΦ)〜〜〜○)`ω・リ ポヨポヨ
晩秋の風を思わせる冷えた手がエリカの頬を撫で擦る。
頬のふっくらとした肉付きを吟味すると、満足したように引いていった。
ルイ・∀・リ 「…なぁに?遊びたいの?――」
∧_∧
(ΦwΦ)。 ジュル…
グ
ワ
ッ
,∧_∧
γΦiWiΦヽ
┃ |m| ┃
ヽ_ ̄_ノ
ルイ゜◇゜リ
エリカの眼前を牙と舌とが覆う。
次の瞬間、エリカは途方もない闇の中に放り込まれた。
∧_∧
(ΦкΦ) パク
( ^c_^ )〜♪「今日のお昼は燻製ベーコンとレタスのサンドイッチ、コーンスープ…」
( ^c_^ ) 「おおい、下ごしらえが終わったよ。火を入れちゃっていいかい?」
ζソ 'о'レ 「待って。お嬢様がお戻りになってないみたい」
厨房から聞こえる会話を背に、執事はスーツの内から懐中時計を取り出して見た。
正午はとうに回っている。
(:○_ゝ-) (お昼には戻るとおっしゃっていましたが…どうされたのでしょう)
――つづく
以上です
待ってました!!
GJ!!
エリカお嬢様かわええのぅ(*´Д`)
かなりピンチげな展開で続きが気になります
>>397 あーみんいいよねあーみんw
思えば先取りだったんだなあーみんて
出てくるのが20年ほど早かった…
おー、何やら急展開だ。
今から続き楽しみに待ってます。
こんなところで切れるとは…ドSめ
続き待ってるからな!
エリカたんとアリスたんのためにこのスレ通ってます
僕は他の新たな書き手さんのためにもこのスレに通っていますよ!
「お嬢ー、もう起きないとー」
「ん゙〜…」
「お嬢ー、起きて下さ〜い」
「うるさ〜い…」
体をゆすっても耳元で呼んでも起きない少女に呆れ混じりの溜め息をつき、ふにふにと彼女の頬を指でつつく。
「お嬢ー、起きてくれないとオレが怒られるんすけどー」
「……くー…」
駄目だ。きっと何回やっても同じだろう。
いい加減この寝起きの悪さを改善してくれないだろうかと青年は思い悩む。
時計はもうすぐ6で重なり合う。
後30分寝かせておく許可を取りに行こうと座っていた枕元から立ち上がる。
が、歩き出せなかった。
「……」
少女の手が、青年のズボンの裾を掴んでいた。
青年はそっと微笑むと、優しくその手を外して手の甲に口づけ、布団の中に入れた。
「お休みお嬢、後30分程いい夢を」
部屋を暗くすると、音もなく青年は部屋を後にした。
残ったのは、幸せそうに微笑みながら眠る少女。
彼女の口が、モゴモゴと動いた。
「ん…むにゃ…」
「ほしゅ」
ギャル嬢「見てぇ、今年限定のキチィちゃんのお雛様ぬいぐるみだお♪」
爺や「テラカワユス」
ギャル嬢「でしょ?三日までリビングに飾っておくお」
爺や「いやいや、三月一杯まで飾りましょう」
ギャル嬢「えー?どんだけ期間延長だよ。パネェ〜」
爺や「キチィちゃんは毎年デザインが変わりますから、今年のキチィ雛をゆっくり愛でるのですよ」
ギャル嬢「確かに」
爺や「キチィウィッシュ!」
ギャル嬢「ウィッシュ!」
こうして、爺やは毎年雛飾りの片付けをさりげなく妨害し、
愛しのお嬢様の婚期を遅らせているのです。
ギャル嬢新しいな、しかもいい!
ギャル嬢さまは
二女三女で、ご両親から閨閥の道具とかに思われてて
そんな自分を大切かつ親身に接してくれたのは爺やだから慕ってる
とか妄想してしまった
ギャル嬢いいのう
ギャル嬢はあれだな
ずっと食べてると飽きる感じ
またキャビア〜? 超ありえないんだけど〜! みたいな?
たまに食べるならいいけど、主食にするなら正統派お嬢様がいいってことだべな?
キモオタ執事「フヒヒwwwwお嬢様、新作の手書きMADも反応が宜しいでござるなww」
腐嬢様「バロスw買い換えたペンタブの練習のつもりだったんだけどwまあこのカプは今人気あるから」
オタ執事「ご謙遜をwww原作人気もありますが、お嬢様の神作画がたまらんのでござるよw」
腐嬢様「褒め過ぎwww……よーし、みなぎってきたから今度リアルにアニメ一本作るか!!」
オタ執事「wwwwwwマジでござるかwww脚本は拙者がしたためる所存www」
腐嬢様「おk、制作会社立ち上げる!ジャパニメーションを守るべく、アニメーターの地位向上をモットーに超高級スタジオを作るのよ!!」
オタ執事「ちょwwwwww一生ついてくわwwwwww」
小ネタラッシュスバラシスwww
アップルティー返せ! 返せ!
むせたじゃねーかwww
キモオタ執事のセリフが吉野裕行で再生された。
>>419 今期アニメで一番お気に入りキャラの声優さん挙げられて泣いた
421 :
名無しさん@ピンキー:2009/03/07(土) 23:00:06 ID:1+ASs5zq
お嬢様と執事ええのう…
最近のアニメやドラマとかみたいに変な設定いらない。もっと本格的なドラマや映画があればなぁ…
なんかお勧めない?
やっぱりすれ違いかな。
教えたげたいけど案外ないねぇ。
少女小説かロマンス小説のがあるんじゃないかと思うけど正直探しづらい。
執事だけで考えるならジーヴスが一番好きだなぁ。
ドSだし。
正確にいうとジーヴスは執事じゃなくて
主人専属の従者にあたるんだっけ?
ヴァイパイア執事とかどうだった?
>>424 吸血描写はエロイけどそのズバリはないよ
少女向けだししょうがないw
426 :
名無しさん@ピンキー:2009/03/10(火) 22:45:51 ID:spzuA3ti
そうなんだ…
やっぱり作品少ないんだ…
それにしても最近なかなか作品が落下されませんね。
職人さん待ってます
日の名残りは?
ジェームス・アイヴォリー監督作品には他にも英国上流社会を
描いたものが多い。
結局主従(女主)って女向けが多いよな
そうか?
ルイズたんは男向けだろ。
女だがゼロ魔好きだよ
男性向けにしては、サイトがかっこいい
投下します
お嬢様と執事
顔文字を使った絵本風の話です
NGはタイトルのエリカと秘密の城でお願いします
川
√ト~ ̄~フ
∞ノ ハ ハリ
ルイ;゚д゜リ おぶおぶ
((cゞ∞ヾっ
~○―u~)) おぶおぶ…
天地を失いエリカはひたすらに転げ落ちた。
闇の口腔より嚥下された先はさらなる闇だ。底の無い井戸のように、永遠に続く空洞をエリカは落下する。
落ちる。落ちる――。
深みへ落ちる毎、底冷えのする闇はエリカの体温を蝕んだ。
果たして自分はいったい何処に墜落するのか。
それを想像した時、ぞっと胃が縮むような喪失感がエリカを襲った。
cルイ;゚◇゜リっ"「し、死んじゃう…!」
エリカは火が付いたように激しくもがいた。伸ばした手足は空を掻くばかりで手応えがない。
と、暴れた拍子にボンネットが頭から外れて闇に消える。
次いで、編み上げリボンのバレエシューズが両足からするりと脱げた。
cルイ;‐;リっ"(ママに買ってもらったお洋服が…)
きちんとリボンを結ったのに何故容易く脱げてしまうのか。
ワンピースもドロワーズパンツさえも、エリカの体からがぶがぶと緩んで今にも脱げてしまいそうだ。
ルイ;д∩リ (どうしよう!死んじゃう…裸んぼうになっちゃう!)
cルイ。>_<リっ" ウッ…ウッ…
エリカは涙を溢しきつく目を瞑った。望みを捨てず、なおも必死に手を掻く。
やがて、残りの着衣全てと共にポシェットが体から離れ、細々とした荷が虚空に散乱した。
cルイ。´д`リっ/ ガシッ 「!?」
エリカの掌に何かが収まった。硬く、ずっしりと重い棍棒のような何か。
その天啓を逃さず、エリカは瞼を閉じたまま無我夢中で棒を振り回した。
ルイ。`Λ´リっ/ヾ「…えい、えい!えいっ!」
一振りする度に強い負荷で肘が震える。
幼弱の腕が痺れようともエリカは決して手を放さなかった。
ルイ。`Λ´リっ/ ゚・*
ルイ。`Λ´リっ― ・.。;・゚*. フワリ…
ルイ。´д`リ・゚*;.・ (!…何の香り?)
(ΦwΦ)ζ゚.!!
:(;ΦwΦ): ガクガク…
((((ルイ;゙゚ ◇ ゚リ)))) 「うわあ!」
芳香が闇の襞に触れるやいなや、エリカを内包する空間に凄まじい振動が起きた。
闇の管は異物を拒むように波打ち、エリカの身を勢い良く打ち上げた。
○
大
lll
lll ドヒューン
ill
cルイ。・∀・リっ" パタパタ 「うわーい!昇ってく!」
どれだけの距離を飛行しただろうか。
爽快な浮遊感はふつと途切れ、エリカは唐突に堅い大地の上に吐き落とされた。
ミ
○+< ポイッ
ルイ +д +リ。o シパシパ
暗闇に慣れた瞳に突き刺さる陽射しと、素肌を撫でる外気の揺らぎ。
どうやら無事に墓地への帰還を果たしたらしい。
安堵と疲労がない交ぜになった長い息がエリカの唇を震わせる。
既に影の姿は無く、エリカ一人がぽつりと地に残されていた。
ルイ;・д・リ〜з ハフウー…
ルイ・д・リっ/「…これのお陰で助かっ……」
ルイ ゚д ゚リっ/
手に握ったままだった棍棒に目をやり、エリカは絶句した。
∴
Ψ
エリカが握っていたのは巨大な花の茎だった。
自らが城の庭で摘み採った、薄紫の萼に白い小花が集まった清楚な花。
あの一輪の花が巨大に変貌している。
あえかな繊維の束は強固な柄となり、花弁は一つ一つが大人の握り拳程に大きい。
ルイ;゜ω゜リっ=Q ポロ…
ルイ;゜д゜リ 「どうして…どうしてお花が大きく…」
ルイ; ゚◇ ゚リ" キョロキョロ
辺りにはエリカよりもずっと背の高い草が密林のように茂っている。
見通しの悪い草影の向こうに、都会の街並みのような巨大な立方体の列がそびえていた。
高層の建物と見紛うそれは、ひび割れて苔蒸した墓石である。
己を囲む世界の異変を前に、エリカはようやく思い至った。
ルイ・д・リ 「……周りが大きくなってるんじゃない…」
レイ・д・リ 「…エリカが…」
レイ'・'リ 「小さくなってるんだ…」
γハヽ
レイ'・'リ
.゚しJ゚
レイ'+`リ、 ハックチュン
呆然と立ち尽くしていたエリカは肌寒さに我に返った。
たとえどんな姿形になろうとも裸のままではいられない。
小さな小さな手で草を掻き分け進んでみるが、闇の中で失った洋服は見当たらなかった。
エリカが芝生の海をさ迷っていると、強張った男の声が墓地に響いた。
(:○_ゝ-) 「お嬢様!どちらにおいでですか!」
レイ'・'リ (執事さんだ!)
彼の姿を求めて爪先立つも、視界は草の柵に阻まれている。
エリカは懸命に叫んだ。
、レイ'・'リ, 「執事さーん!ここなの…!エリカはここにいるの!」
(:○_ゝ-) (む?何やら囁き声が……幻聴でしょうか)
\シツジサーン/
(:○_ゝ-) 「!」
\ココー、ココダヨー/
僅かな音源を頼りに執事は一つの墓石の傍へ歩み寄った。
石の近く、カサカサと怪しく蠢く芝生をそっと掻き分けてみる。
レイ'・'リ, ココデス
ビーズのような瞳と目が合った。
(:○_ゝ-) 「……お嬢…様…?」
――つづく
以上です
うわー、予想外の展開。
執事さんの反応が超気になるw
こうなるとはw裸んぼのレイリタン手にのせてぇ〜
GJッス!
439 :
名無しさん@ピンキー:2009/03/15(日) 22:19:10 ID:C/LlRiTn
お嬢様北ーー!
待ってました。
さぁ、続きを
可愛い!!!!!
続きwktk
GJ!
エリカたん欲しい!おぶおぶとかビーズのような目とか可愛すぐるw
続き楽しみにしてます
久しぶりに来たがもはやここの看板だなぁ
エリカと秘密の城楽しみにしてます!
(:○_ゝ-) 「いえ、看板などとはおこがましい…。他のお方の投下がやや少なくなられただけでございます…」
レイ'・'リ サミシイ…
ミニエリカタンだw
書き手としては俺ターン寂しいよな……
俺の為にもお前の為にも職人さんが来ることを祈るっ!
ではちょっと書かせてもらいます。
その琵琶法師は、深々と一礼をした後、ゆっくりと語り始めた。
夜闇の中、冷たい風が吹く。
そんな京の五条の橋の上、一人の少年が立っていた。
「いよいよ今日で1000人目だ長かったなぁ……」
ぶつぶつと言いながら少し可愛らしい顔立ちをしたその少年は、ここを通る者を待ち受けていた。
彼は何をしているのだろうか?
それを少し説明せねばなるまい。
彼がまさにこの世に生を受けんとしていたその日、彼の家の者達は女子が生まれてくるのを待ちわびていた。
彼の家では今この都、いや、この日の本で一番力を持ちたる一族
『平家』の長である平清盛のところに娘を嫁入りさせようとする計画が持ち上がっていた。
だが、肝心要の女子が生まれてこない。
そこに来て、熊野神社より 『この家に繁栄をもたらす子が生まれる』とのお告げがあり、
今や遅しと皆が待っていた。
だが生まれたのは男の子であった。
始め父親はこれを怒り殺そうとしたが、母が泣いて止め
2歳になった時、尼寺に娘として放り込んだのだ。
彼は『御尼若子(おにわこ)』と呼ばれてすくすくと育った。
だが、
「いやいや、僕男の子だよ」という気持ちがすくすくと芽生え、
ある日、尼寺での皆からの苛め(性的な意味での)に耐えきれず、
逃げ出したのであった。
ではそんな、彼女、いや、彼が何をしているのか?
それは、
彼がある日行くあてもなく木の根を枕に寝ていたところ。
夢枕に観音様が現れて、
「五条大橋で1000ぼんの刀を集めればお主は真の強き漢になれるであろう」
と、告げた。
そしてこの五条大橋にて通る人たちに喧嘩を売り続けること幾星霜、剣の修業を独学で積み、その見た目にコロリト騙される者数絶えず、今日が待ちわびた千人目で会った。
「だれか早く来ないかな……」
段々と夜が深くなって来る、と、そのとき、
シャリ、シャリ、
石を踏む音が近づいてくる。
音のほうに顔を向けると、
それは一人の少年であった。
「しめしめ」
心の中でほくそ笑むと若子はゆっくりと相手に近づいて行った。
「お、おい、ここをとおりたければ、このおれと勝負しろ!!」
目の前の少年はどこかの貴族の子供見たく見える、きっと怯えて刀を手渡すだろう。
そう思い精一杯凄んで見せる御尼若子、だが。
「ふ、む、わらわは、これから鎌倉の姉上の下に向かうのじゃ、邪魔するなら容赦せぬぞ?」
予想に反して、少年はさして恐れた風も無く、むしろ逆に若子を脅すように
目深にかぶった笠よりちらりと顔をのぞかせる。
その端正な顔に、一瞬ドキリとする。
(うう、可愛いかも) だが慌ててぶるぶると顔を振る。
(ぼ、僕は男の子だぞ、なんで男の子に可愛いなんて)
そんな若子の様子をじっと見ていたその少年は口を開いた。
「と、言いたいが、生憎と女子には手を出さん、さあ、帰るがいい」
その言葉は若子の心をグサリと撃った。
「ぼ、僕、いや俺様は男だ! つ、つべこべ言わず勝負しろ!!」
女人扱いされて思わず若子は声を張り上げる。
一瞬目の前の少年は驚きで目を見開くが、
「ほ、う、おぬし男、か、ふむ」
と言ったかと思うと、
ドス!!
急に腹部へと重い一撃を叩き込んだ。
「あ!? あ、あがぁぁ……」
口からゴフリと涎を垂らし、前かがみの姿勢になった若子をじっと見下すと
「ふん、ホントに男らしいの、じゃがまるで女子の如き弱さじゃ」
そう呟き、お腹を押さえながらうずくまる若子をじっと見ながらクスクスと少年は笑った。
「ひ、ひどい、よ、急に」
ごほごほと咳をしながらな瞳に涙を浮かべて恨みがましそうに見上げる若子。
「泣くな! そもそもおぬしが先に挑んできたのだろう……」
「だ、だからって……」
いつまでもしくしく泣く若子を見てやがてその少年は意を決したように言った。
「わかった! ほら、お主も腹を叩け! それで合い対無しじゃ、よいな?」
ペロリ、
少年が着ていた上着を脱ぎ上半身裸になるとそこでは初めて若子は彼の性別を知った。
「えっ!? き、きみ女の子だったの?」
「だからなんじゃ! ほ、ほら、はようせい」
胸がわずかに膨らみ、それが彼が女であることを告げていた。
「で、でも女の子のお腹なんて叩け……」
「なら私がお前の腹を今一度叩くぞ!! それで良いのか?」
「わ、わかったよ、わかったよ」
少女の剣幕に押されて、よろよろと立ちあがると、少女のお腹に手を当てる。
ほっそりとし、白く柔らかい感覚と同時に、しっかりとした筋肉の硬さも伝わってくる。
どうやら相当鍛えているらしい。
「じゃ、じゃあいくよ」
「う、うむ!」
手を頭の上で組みぐっとお腹に力をこめる。
と、
「え、えーい!」
男にしては情けなく、可愛らしい掛け声と共に、
ボス!
少女のお腹に大きく拳が叩き込まれる。
「あ! くっ、うううぅぅ」
ゴフリ、口から少年と同じように涎を飛ばすと、がくがくとひざを震わせる。
「ううう、お、おい、変な声を出すな!!力が抜けたわ!」
「ご、ごめん、でも、ただ掛け声を……」
痛そうにお腹をさすっていた少女は、痛みをこらえ、すうっと立ち上がり、
「これで会い対無しじゃ」上着を着込むと歩き出そうとする。
さっさと歩きだそうとする少女を慌てて少年が止める。
「ね、ねえ、きみお姉さんに会いに行くんだろ? ぼ、僕も一緒に行ってあげるよ」
突然の物言いに一瞬怪訝そうな顔をした少女は、だが、じっと少年の顔を見やると、
「ふむ、足手纏いに成りそうじゃがの……、まあ良い、名は?」
「え、ぼ、ぼく『御尼若子』ていうんだ」
「そうか、で、そう言えばお主なぜこんな所に居る?」
其れについて御尼若子はぽつぽつと観音様の夢の話を語り始める。
「成程、ならばまだ真の男には程遠い難儀じゃのう」
「えっ!?」
驚く御尼若子の顔を見て逆に少女は不思議そうな顔をする。
「そうであろう、お主はまだこの剣を手にしておらぬからのう」
「え!?で、でも……」
「……そうじゃ! おぬし部下になったのだから名を新しくやるとしよう!弁財天のようにかわいく、わらわと出会いめでたき故『慶』の字を加え『弁慶』と名乗るがよいぞ」
「ちょ、ちょっと勝手に決めないでよ!! それに何で僕が君の部下なの!?」
少年が猛抗議を始めると、それまで楽しそうだった少女の顔が曇る。
「弁慶はわらわが嫌いなのか?」
じっと、少年の顔を見つめて今にも泣きそうな顔をする。
「え!?」
「きらい………か?」
「えっ、い、いや、そうじゃないけど……うう、いいよ、弁慶で」
「よし! 今日から宜しくな弁慶!!」
一瞬にしてパアッと明るい顔を取り戻すとナデナデと『御尼若子』改め『弁慶』の頭を
嬉しそうに撫でる少女。
「はううう、僕、真の男の子になろうと思ってたのに……」
今度は弁慶の顔が暗くなる。
「おおそうじゃ! こちらの名をまだ名乗っておらんかったのう、
わらわは源氏の棟梁、源頼朝が妹、九郎義経じゃ、よろしくのぅ」
そんな弁慶の気持ちを知ってか知らずか、そう名乗ると大きな口を開けてにっこりと笑う義経、その笑い顔に先ほどのように一瞬ドキリとする弁慶。
京の五条の橋の上、こうして二人は運命的な出会いを遂げるのであった。
以上です、一応続きとかありますので、また書きに来ます。
ではまた〜。
期待してます!
wktk
これは期待せざるを得ないw
腹責めスレからのコピペか。ダメだよそんなことしちゃ。
あらら本当だ。
冗談かと思ったらマジだった。
書き手さん本人が転載という可能性もあるけれど、もし違ったら…(*)`ω'(*)コラッ!
失礼しました。
自分の作品を改変した物だからと乗っけましたけど一言申し添えておくべきでしたね。
不快な思いをした方申し訳ありませんでした。
しかし自分の書いた物を覚えてくれてる方がいたとは、うれしいですね。
むこうで読んでくれてたかた、ありがとうございます。
(*)`ω'(*)うたがってごめんね…
一安心。続き待ってる
では続きを、展開は一緒で内容が多少違います。
「ああ、あぁぁぁ……」 暗い暗い部屋の中ただ蝋燭の明かりだけが二人を照らす。
時折聞こえるものは、肉を打つ音と、
後は、
女のあえぎ声。
「ア!! ァァァァ……うう、もっと、もっと激しくお願いします!!」
「フン、そうか……なら此れならどうじゃ!!」
バシン!!
凄まじい音が部屋に響き渡る。
何重にも巻いた藁束が女の柔らかき肉を打つ音だ。
「うあ……! オオオゥォォ……いい、いいです」
女はだがその痛みに快楽を覚え大きく体を揺らし恍惚の表情を浮かべる。
その身は何処も真っ赤に染まり、
巻いた藁束の衝撃は柔らかき内腸まで届いているであろう。
血や汗が汗がぽたぽたと床にこぼれる。
だが床にこぼれるものはそれだけではなかった。
ねっとりとした体液が股坐より垂れさがる。
女は被虐性癖者(マゾヒスト)であった。
「ふん、どうじゃ、これで満足か? 」
巻き藁で女を叩いていた男がそう呟く、
頭をつるつるにそり上げた大入道である。
問いかけてにやりと笑うその顔はまるで京の都に出没する鬼を思わせた。
だが人であった。
そしてその男は、
この世の栄華を手中に収めた男であった。
男の名は平清盛
日ノ本を治める平家の棟梁で合った。
「ああ、いい……すさまじき悦楽にございます……」
女はそう言うと恍惚の表情を浮かべて気絶した。
―――――――――――――――
「ねえ、ヨシツネのお姉さんってめちゃめちゃ美人だね」
うっとりとした顔で弁慶はつぶやいた。
「ムう、当り前であろう? わらわの姉上じゃぞ?」
口をアヒルのような形にして義経はつぶやいた。
何かちょっと不満がある時の彼女の癖だ。
すぐに言葉と顔に出る。
(全く子供だよ)
その顔を見る度に弁慶は思う。
「なんじゃ弁慶何を考えておる」
「え? 義経の言うとうりだなって」
「ふむ、そうじゃろう! わらわの姉じゃ! 綺麗なのは当たり前じゃ!」
にっこりと笑い、『弁慶はやはり正直ものじゃ、可愛いのう』
そう言いながら頭をなでてくる。
そんな彼女の様子を見ながら、
(全く子供だよ)
と、弁慶は思った。
二人は京より鎌倉に向い、そこで義経の姉である
源氏の棟梁『源頼朝』と会い
平家討伐の任を任された。
「きっと平家を打ち倒したら姉上は大喜びをしてくれるぞ、弁慶お主もそう思うだろう?」
「え、ああ、は、はい」
生半可な返事をして頷く。
そうは思わなかった。
はるばる京から妹が来たのにほとんど話もせずに
「大義です義経、あなたには平家討伐の一軍を与えます、期待しておりますよ」
とだけ告げた。
言われた義経は一瞬悲しそうな顔をした後
また元の明るい顔に戻った。
無理をしているのが弁慶には痛いほどわかる。
(全く子供……だよ)
弁慶は思った。
――――――――――――――――――――――
「お集まりの皆さま、これよりこの場所をあの世間知らずの田舎者、
源氏の軍を率いる源義経が通ります」
馬上から、大勢の兵士が並ぶ中よく透き通る声でその少女は兵たちに話しかける。
その少女は美しいがどこか冷たい感じの印象を与える少女であった。
知恵随一と呼ばれる清盛の長女『平維盛(たいらの これもり)』である。
「私の分析によれば義経は山奥に引きこもり、世間知らずで幼稚さが目立つとの事
その様な者にわれら平家が負けるわけありません」
「うおおお!!!」
一斉に上がる勝鬨、それを維盛は嬉しそうに眺めていた。
――――――――――――――――――――――
「義経様! ココより先に平氏の軍勢が」
物見から帰った兵が義経に報告をあげる。
「ええ!! そ、そんな、ど、どうしよう、ヨシツネ」
「ふむ、大将は誰かわかるか?」
狼狽する弁慶を尻目に静かに呟く義経。
「おそらく……知将と謳われる維盛かと」
それを聞き義経は腕組みをする、
そして、
「よし、弁慶ついて参れ! そのものに会いに行くぞ! 」
馬に鞭を入れるが早いか、単騎で駆けだした。
「え!? ヨ、ヨシツネ! ま、まってよ」
驚く一同を尻目にかけ出した義経を追いかけて弁慶もまた駈け出した。
(全く、子供なんだから!!)
手綱を握りながら弁慶は心の中で毒づいた。
「平家の将はいずこか? 九郎義経が参った!」
どこからこんな大きな声が? と言わんばかりの声で叫ぶと兵士の軍が二つに割れて
ゆっくりと見るも見事な女性が静々と歩いてきた。
間違いなく平氏の軍を率いる平維盛であった。
「おお、お主がこの軍の将か」
そう叫ぶとぴょんと馬を下りてつかつかと歩み寄る。
警戒する平氏の軍勢をすっと維盛は手で制する。
「お主は平家一門で最も知恵者と聞く、真か?」
その質問に平家方から失笑が出る、あまりにも間の抜けた質問だからだ。
その質問に対して維盛は
「私が随一か、わかりませんが」
と、告げた。
だが、義経が次に発した言葉を聞き居並ぶものは皆腹を抱えて大笑いを始めた。
義経が
「ならば知恵比べをしようではないか」
と、告げたからである。
「ちょ、義経、君、そう言うの苦手だろ!?」
いつも弁慶が寺で覚えたことをいろいろ教えようとすると、
「わらわはあたまをつかうの、にがてじゃぁ……」
と言い、すぐ投げ出してしまう。
そんな義経が知恵勝負。
勝てるわけがないのにすぐ対抗しようとする。
(全く子供なんだから)
弁慶は心の中で舌打ちをした。
「ほほう? どのように比べますかな?」
「簡単じゃ、わらわが問題を出す、お主はそれに答えれば良い、
正解を出すまでだれも手助けはしてはいかん、3問答えられればお主の勝ち
これでどうじゃ?」
「良いでしょう、ですがこちらからも条件があります、あなたしか分からない様な
特別な質問は無にいたしませんか?」
義経は少し考えた後、
「そうじゃのう……、うむ、ではいくぞ、皆の者手出しは無だぞ約束せよ!!」
かなり動揺している、如何やら大方『今日の朝ごはんは何だったでしょう?』
などと言いだすつもりだったのだろう。
(うう、いざとなったら、僕が義経を助けなきゃ)
弁慶の全身から嫌な汗がどっと沸いてくる。
義経は言い終わると、維盛の方を向き、にやりと笑う。
(いつも何か悪いことを思いついた時の顔だ)弁慶がそう思ったとき。
「では第一門じゃ、いまわらわが触っておるお主のこのコリコリした物を何と言う?さあ皆に聞こえるように大きな声で言うがよい」
そう言いながら義経はコレモリの服の胸元に素早く手を差し入れて少し固くなった胸の先端を指で摘まんでいた。あまりの早業にだれもあっと言う暇もなかった。
「な! そんなもんだい……」
「分からんのか? お主の身体じゃぞ?」
そう言いながら指先を器用に使いコレモリの胸を攻め立ててゆく。
「ひゃぁあぁ!」
涎を飛ばしながらコレモリの口から悲鳴が上がった。
「よ、義経たばかったか!!」
平氏方が刃を抜き切りかかろうとした刹那、馬で弁慶が間に割って入る。
「し、静まりなさい! 義経様はたばかってなどおられぬ! 約定道理に問題を出しているだけです、平家方は約束一つ守れぬ卑怯物か!?」
精一杯の大声であった、今までのどんな時よりも。
それに圧倒されたか、
平氏方は静まりまた下がってゆく。
その間も義経の問答が続きコレモリは悲鳴を上げていた。
大勢の前で恥をかくか、それともこのまま恥辱を受け続けるか、
ならば答えは一つ。
そう判断したコレモリはぎゅっと唇をかみしめてキッときつく義経を睨みつけると、
震えるような声で言葉を発した。
「そ、そなたが触っているのは、私の乳首だ……」
オオオっ!!
コレモリの意を察した平家方から歓声が飛ぶ。
「ほう、この大勢の前で弄られて固くピーンと張ったものは乳首と言うのか」
大きな声を出してコレモリの羞恥心を煽る義経、あまりの恥辱のために
顔を真っ赤にして彼女は打ち震えていた。
「さてと、では第二問目に行くぞ」
そう言うと
チュプリ
先ほどと同じ素早さで、下袴の中に手を差し伸べると今度はコレモリの秘所へと指を差し入れた。
「うはぁ!? あ、あおお」
クチュクチュとわざと大きな音を立てるように動かし続けて、義経はコレモリの陰核と
陰部を攻め続ける。
先ほどまでの胸責めでコレモリの股坐は限界に達しようとしていた。
「くっ、お、オノレ義経!!」
顔を真っ赤にして、快感と恥辱に耐えながらコレモリは義経を睨みつける。
トロトロとした愛蜜がピチャピチャと義経の指先を濡らしてゆく。
何とか体をそらし逃れようとするコレモリに対して、
器用に手を使い休むすきを与えずに義経はコレモリを攻め立てて行った。
「フム、コレモリ殿、股間がビチャビチャに濡れておるが大丈夫かの?」
「うっ!?」
コレモリはじっと義経の顔を睨みつける。
(く、どこまでも汚い手を)
ここで自分が感じてないと言えば嘘になる、すなわち、問答に負けたと言う事だ。
だが大勢の見守る中、憎い敵に弄られて感じているなどとは、コレモリの自尊心に掛けて、口にすることなどできなかった。
「う、あ、ああ」
そうしている間にも義経の指技は止まらない。
足ががくがくと震えて力が入らない。
目の裏がじんじんと熱くなり、開きっぱなしの口からは、たらたらと涎が垂れてくる。
快感の漣がコレモリの全身を支配してゆく。
このままでは達してしまう!!
(わ、わたしは、平家の武士! このような恥辱耐えてみせる!!)
そう、意を決すると、ゆっくりと言葉を吐きだした。
「あ、ああ……、感じておる……! お主の指技で狂う寸前じゃ!!」
勝った!!
コレモリは屈辱を噛みしめ、血を吐くような思いで義経に告げて、勝利を確信した。
次に何を聞かれようとこれ以上の屈辱はあるまい。
(平家の武士として今はこの屈辱に耐えてみせる!!)
そう覚悟した瞬間、義経の口から信じられない言葉が飛び出した。
「ふむ? わらわは、そなたの身を案じて『平気か?』と、ただ聴いただけだったのだが
まあ良い、では第二の質問いくぞ」
「なぁ!?」
コレモリは呆気に取られて大きく目を見開いた。
(わ、私は唯思い違いをしてただけ、私は)
「ああ、ああ!!」
その瞬間身を大きくビクンと震わせると白目をむいてコレモリは大きく気を吐いた。
コレモリの袴がビシャビシャと濡れてゆく。
自らの恥辱のために遂にコレモリは達してしまったのだ。
「ふむ、これでは答えを言えぬのう、では問答はわらわの勝ちじゃな、はよう、お主らの大将を手当てしてやるがよい、今ならまだ助かろう」
ダラダラと涎を垂らし、それどころかベットリと下袴まで濡らしている大将を手渡されて、
平家方の将たちは一斉に兵を引いた。
「フム弁慶どうじゃ、われらの勝ちだぞ」
そう言いながらコレモリの愛液でべたべたになった指をパクリと加える義経を見て弁慶は
(なんて子供だろう)
と思った。
以上です、次も一応展開は同じでその次からは新作?になるはずです。
ちょっと違う義経もよろしくお願いします。
ではまた〜。
はい
よかった!
アリスお嬢様と家庭教師エドガー。春の小ネタ。
NGはタイトルの「アリスの春の日」でお願いします。
「先生!助けてっ!」
長い廊下に悲壮な声が木霊した。
エドガーは、駆け寄って来たアリスの尋常でない様子に眉を寄せた。
「どうかしましたか?」
「先生っ…私、結婚させられちゃうよ!」
結婚――。エドガーの体が微かに硬直する。
アリスの顔を凝視すると、大きな瞳が溢れ落ちそうにうるうると濡れていた。
震える声でアリスは続ける。
「さっき…パパから大事な話があるって呼び出されて…私の結婚話が水面下で進んでたって明かされたの。
お仕事の都合で絶対破談には出来ないって…。わ、私…どうしたら…」
正に晴天の霹靂である。
エドガーは胸の奥に鈍痛を覚え、呆然と瞬いた。
「…とりあえず部屋で話しましょう。落ち着きなさい」
「先生…」
エドガーに肩を抱かれ、アリスは勉強部屋の戸を抜けた。
机の前に並んで座り、しばし沈黙する。
エドガーは空咳を一つすると、胸ポケットのハンカチーフをアリスにそっと差し出した。
「……相手の方は、どのような?」
「うぅ…グシュン…」
ハンカチーフで口元を覆うと、アリスは蚊の鳴くような声で語り出した。
「…すごく優秀な実業家で、こないだのパーティーで見かけた私に一目惚れしたんだって…。
街を歩けば老若男女誰もが振り向くほどのハンサムで、若干25歳で幾つもの会社を束ねる天才なの。
背が高くて足が長くて、スマートなんだけど決して細過ぎず適度に胸板もあって、脱ぐと意外に逞しいの。
もちろん頭脳明晰で大学は首席で卒業して、さらにスポーツ万能でテニスとフェンシングはプロ級。
女性に優しい紳士だけど、二人きりの夜にはちょっと意地悪な狼へと変貌するエッチな一面も持つの」
怒涛のような説明を終えると、アリスはわっと机に泣き伏せた。
「あぁ〜ん!きっとアリスを大切にしてくれるって思うけど…、好きでもない人といきなり結婚するなんてぇ〜」
「……安心しなさい」
アリスの背に温かな手が置かれる。
手袋越しにも分かる骨ばった長い指に、ドキンとアリスの体が跳ね上がった。
「私が旦那様を必ず説得します。アリス様は何も心配する事はありません」
エドガーの極めて真摯な声。
「…ぇ…ええと」
アリスは机にうっ伏したまま目をキョトキョトさせた。
「大丈夫です。私が守ります。…信じて下さい」
あれ――?
何だか思った展開と違うよう…?
何だかこのままじゃとってもマズイ……。
危険を感じたアリスはピョコッと机から顔を上げた。
「アリス様?」
驚くエドガーを見上げると、引き攣った顔でポケットから目薬を取り出して見せた。
「エ、エイプリルフールだよーぉ!!……ははは…」
――その後数分間、勉強部屋からは悲鳴と激しい物音が絶えなかった。
アリスはぐったりと壁にもたれた。
「お、お尻が熱いぃ…」
ミニスカートを捲り、パンティーを下ろして恐る恐る被害を確認する。
エドガーに強烈な尻叩きを食らった双丘はポカポカと熱を放って腫れていた。
むき卵のような肌にレースの凹凸がくっきり転写され、お間抜けな赤い模様を描いている。
「ふぎゃー……お、お尻が赤い…」
お尻をそーっと撫で、アリスは痛みにスンスン鼻をすすった。
「また目薬ですか?アリス様の涙は今後一切信用しません」
エドガーはいつもの冷たい調子でさっさと授業の用意を進めている。
アリスの唇がプンと尖った。
「エイプリルフールの嘘をこんな厳しく怒るなんて……先生、大人気な〜い」
パンティーを上げると、お尻を刺激しないようにゆっくりと椅子に座る。
「いだだ…ふぅ。……でも、あんなに本気で心配したり怒ったり。やっぱり先生はアリスが大好きなのね」
「まさか。私のあの反応もエイプリルフールのジョークです」
「まぁた〜!見事に引っかかったくせにぃ!あんな嘘くさい架空の人物を信じちゃって恥ずかしいなーっ。
わははははは……あ、嘘、嘘です!もうお尻叩きはヤ…んぎゃ〜!!」
アリスのお尻はサクランボのように赤くなり、すっかり春めいてしまいましたとさ。
おしまい
おつかれさま
あんな胡散臭い説明に引っ掛かるなんてエドガー可愛いぞw
アリスの説明に吹いたww
この二人は和むな〜
アリスたんがちょっと上手だ!
とうとうエドガーにも自覚の兆しが…?w
練習相手がアイスだと分かったときよりも進んでいるのかな。
二人可愛いww
GJ!
この二人大好きだ〜
アリスが順調にちょっとオマヌケな小悪魔になって
エドガーをもっともっと本気にさせるところが見たい(読みたい)!
素敵……
480 :
だぶん:2009/04/08(水) 14:50:56 ID:KhIvuAk3
誰も書き込まないので保守ついでに投下
481 :
だぶん:2009/04/08(水) 14:51:35 ID:KhIvuAk3
鯖が焼けてきた、僕は釜戸から立ち上る炎に風を送り、一息つく。
「ふぅーー!ふぅーー!あちぃ‥‥ここなんで薪なんだろう。」
ご飯も、玄米から近所の精製機にて精米
なんとこの玄米、本家近隣の農家から、
年貢の慣習で献上されたそうな。
「無洗米だって売ってる御時世に。」
なぜ愚痴を言いながら料理を?それは無償だからかな。
子供の頃は親父が「阿武家を支えるのが我が家の喜び。」
などと言って、それに従っていた、でも正直この都会にお嬢様と二人で来て、
それは洗脳の類だったと、僕は確信した。
だが、確信したとしても、それをお嬢様に言う事はできない、
なぜなら‥‥‥
「おう!ター坊、今帰ったぞ〜飯はまだか!」
乱暴に戸を引き襖を両手で開け放つお嬢様、規則正しく切り揃えられた黒髪長髪はふわりと花開き、
それを彩る儚げな色の白い肌、ここぞとばかりに咲き誇る芍薬の様、
表情は飯が余程楽しみだったのだろう、満面の笑みで満たされていた。
しかし彼女以外を見れば嵐が通過したとしか思えない有様だった、
玄関に乱雑に脱ぎ散らかされた学校指定の革靴、
学校鞄と剣道着を入れたバックを廊下に投げ出し、
冬用コートは鞄の近くで無残にも脱ぎ捨てられている‥‥また皺になる。
スポーツのエリート高校の剣道部から帰ってきたこのお嬢様、
僕も同じ高校に通っているが、帰宅部として帰ってきて、
こうして衣食住の世話をすることとなっている。
約束を破れば、多分両親と僕はとんでもないことになるだろう。
「はい、ここに。」
武家、それもかなり名の知れた外様の腹心であった名残で山盛りご飯の茶碗、
鯖の開きを塩焼きしたものが一匹、沢庵は好物なので大きめに切り、
味噌汁の味噌はこれまた農家からの白味噌。
「おう、では‥‥頂く!」
そしてがつがつとまぁー、なんという食いっぷり、学校では文武両道の名家のお嬢様として
482 :
だぶん:2009/04/08(水) 14:52:07 ID:KhIvuAk3
主に同姓から、熱烈な支持を得ている顔が一気に崩れる、
栗鼠みたいに頬張ったほっぺがひどく間抜けで、笑みがこぼれそうになるが、
笑うと冗談抜きで百叩きの刑なのでおくびにも出さない。
「フルぅ‥‥ぶふぅ!ハフハフがぶがぶ!」
そろそろ残念な美人過ぎて見ているこっちがつらい、情緒もへったくれもない、昔からこんな調子だった。
昔はお嬢様の父が咎めると直したが、中学生になると咎めた父を倒し黙らせて、
以来家族と僕の前以外では礼儀は捨てている。
「ふぅ‥‥馳走。」
軽く4人前はあったであろう、この間5分、早飯は才能とはいうがこれは大したものだ。
「風呂、沸いてますので、先にどうぞ。」
熱い風呂でないといやだというお嬢様たっての願いで1番風呂はお嬢様が入る。
「おう。」とお嬢様が答えるともはや誰も日常ではやらない摺り足で風呂へと行く。
「本当に‥‥‥雅とか美しさとか投げ捨ててるなぁ」
気を取り直し皿洗いして、終わったら‥‥廊下と玄関を片付けないとな。
なぜ、年頃の男女二人を同じ屋根の下に置いておくかというと、
本家に居るお嬢様の父上が原因だ。
実の娘ではあるが、嫁入り前の娘に負けたこと、
これがあの方の計画を狂わせた。
だから二人で家を出る前にお嬢様の父上は僕に
「孫を作りお前と孫だけ帰って来い、あの我が儘娘は要らん。」
とか物騒なことを言われた、要は一番信頼されてる僕が
お嬢様と関係すること前提で送り出した格好だ。
恐れ多いなどと僕が返しても
「本当に我が娘を怖れているのは100も承知だ、
だが誰かが作らせなければ奴は確実に婚期を逃してしまう、
あの剣への執着では女としてではなく野武士として一生を終えかねん!
だから‥‥この通り、家系存続の為なのだ。
居間家の末裔として、この阿武家の頼みを聞いて欲しい。」
と念を押された。事情の知らない他人が聞けば悪い話ではないだろう。
お嬢様は周りでは容姿端麗かつ大和撫子として通してる、高校でラブレター(大半は♀)が
ロッカーから流れ出てくるほど届いた日もあるらしい。
だが、この状況を見たものにはとてもそうは思えない。
「ばばんばばんばーん♪あびばばぉーん♪」
ひどく調子はずれだが楽しげな歌が、風呂の方から聞こえてくる。
483 :
だぶん:2009/04/08(水) 14:52:40 ID:KhIvuAk3
「古いなーお嬢様。」
ここからは聞こえない声でツッコミを入れ、僕は新しい薪を風呂の火に放り込む。
「ター坊、もういいぞぉー。」
その声を聞いて薪をくべる手を止める。
「はーい」
僕は冷水を足した残り湯でのぼせそうになるのに、
よくもまあこんな地獄風呂に毎回気持ちよさそうに入れるものだ。
さて、風呂から出た後のコーヒー牛乳を用意しなくちゃ。
「ん、んぐんぐ‥‥ぷはぁぁぁぁ!うーまーいーぞぉぉぉぉぉぉ!」
「近所どころか隣町まで響きますからこの辺でやめて下さい、
裏声使って僕が叫んでるという言い訳も限界です。」
「ふふふ、イイじゃないか、風呂上りはうまいんだからなぁ‥‥。」
意味深な笑みを浮かべたかと思うと、お嬢様は持っていた牛乳瓶を手から離した。
「あっ!!」
今思えば失敗だった、まさかこんな形で誘いをかけるなんて、
だがもう遅い、僕は倒れながら仰向けになり牛乳瓶を両手で受け止める
依然やった転倒時白刃取りの要領で、お嬢様の股間の真下に顔を向ける形になった。
「どうだ、絶景だろう。」
たしかにこれは、下着が見事にお嬢様の割れ目に食い込んでる様が一番解りやすい視点、
まさに絶景、などと冷静に見ている場合ではない。
「う、し、失礼し、ま、ま?、あいだがががが!」
お嬢様は両足のくるぶしで僕の側頭部をがっちり固定する、鍛えようが無い部分の痛みに思考を取られ
体が動かないことを良いことにお嬢様はどんどんしゃがんでいく。
「おお、早速反応してるな、愛い奴め!」
そして鼻先にお嬢様のパンツがぶつかると、僕のズボンのチャックに手をのばし、
半勃ちになった僕のものをいじり始めた。
「ははは、お馴染みの皮かむりっぷりだな、よし剥いてやる。
はぁーー!いつ見てもかわいい色してるじゃないか。」
息がかかる、正直な話、それだけで限界。
「あの、もうやめて「出せ早漏、美味しく頂いてやるぞ。」
お嬢様が言葉を遮り、僕の愚息を飲み込んだ直後、
頭が真っ白になった。
「ひいやぁぁぁあああああああぁぁぁ!」
飲み込まれた一瞬で達してしまった。正直怖かった、お嬢様の顔は、
極上の甘味を食べた乙女の様にうっとりと、夢見るように目を閉じ恍惚に浸っていた。
だが、その顔からは想像できないほどの肺活量でもって僕の精巣から
無慈悲に精子を抜き取るのだ、冗談抜きで「ゴクッ!ゴクッ!」と喉を鳴らして、
ぼくといえば情けなくひぃひぃと肩で息をしてその責めに耐えた。
永劫とも思える一方的な性の搾取は、お嬢様が目を見開き、僕の精巣が空になった頃合に終わった、
お嬢様は口を離してしばらく、舌で口内を舐めまわし、残った精子を嚥下した。
「ふむ、今日も中々のお手前だ、また明日も溜めておけ。」
正直真っ白になって反論も返事もできず、僕はお嬢様の声を聞き、
眠るように気を失ってしまった。
484 :
だぶん:2009/04/08(水) 14:53:20 ID:KhIvuAk3
投下終了しました。
保守終わり。
お嬢様スゴス。
美味しくいただきました(!)・・・
風呂上がりの一杯なのでつね
お嬢様カッコイイぞ。このお方と子作りはかなり大変だなwGJでした
男前だな。せっかくの据え膳だから食っておけ
投下します。
一人遊びをしてしまうダメなお嬢様とサド執事。
定番の設定ですが、よろしければどうぞー。
※まだ未完で、続きは書き途中です※
489 :
自慰や:2009/04/10(金) 01:56:52 ID:hgYha865
1
昼下がり、気持ちの良い日が差し込むころ。
この屋敷の執事であるアサトは高級な絨毯を踏みしめ歩いていた。手には薄茶色の小包をもっている。
濃い色の目、濃い色の髪、けれど出身は想像が出来ない。
その容姿から年齢を読むことも難しく、奇妙だが不快ではない男だった。
アサトはある扉の前で立ち止まり、白い手袋に包まれた拳で軽く叩く。控えめなノックの音が響くが、部屋の主は何も答えない。
「お嬢様……いらっしゃらないのですか?」
アサトは少し待ち、静かに扉を開けた。
すると、ばさばさと布を大げさに捌く音。
アサトは足を部屋に踏み入れ後ろ手に扉を閉める。訝しげな視線を部屋の奥にやると、ベッドの中央が不自然に盛り上がっていた。
「……ユメノお嬢様?」
「勝手に……入ってくるなんて!」
厚い上掛けの中から篭った声が答えた。
察するに、屋敷の主人の一人娘のユメノお嬢様は、昼間からベッドの中に居たらしい。
「失礼いたしました。外出なさっているのかと。外は良い天気ですよ」
「ああ、そう。でも私は今日は部屋でこもって読書の気分なの」
申し訳なさそうな様子は一切感じられないアサトの声音にひるんだユメノは「それに昨日は、遅くまでキャンベル邸で夜会で疲れたし……」と言い訳がましく続けた。
「ノックにも気付かずに熱中していらしたと……読書に」
「そう! そうなの。で、何か?」
「はい。密林商会からお嬢様にお届け物だそうです。お買い物の心当たりはございますか?」
「密林……あるわ。ありがとう。置いていって」
「かしこまりました」
アサトはベッドに歩み寄る。
その気配を察した布の塊は内部で身じろいだ。
もぞもぞとうごめき続けるそれを一瞥し、アサトはベッドサイドのテーブルに小包を置く。
布の塊は動きを止め、役目を終えた執事の退室を無言で待っているように見えた。
490 :
自慰や:2009/04/10(金) 02:01:05 ID:hgYha865
2
「……ところでユメノお嬢様」
そこで言葉を切りアサトが息を吐く。
それがため息なのか、笑いなのかはアサト本人にも解らない。
「お探しの下着はベッドの下に落ちていますよ」
たしかに、アサトの足元には丸まった女性用の下着が落ちていた。その近くには揃いのレースのキャミソール。ユメノが包まっている上掛けからは部屋着に使っているワンピースがはみ出て床まで垂れている。
「いいかげんにしたらどうですか。隠しきれているとでも?」
「なんの……こと?」
まだ顔も出さないユメノに、アサトはため息をつく。
「お嬢様、あなたのお召し物をランドリーまで運ぶのは、誰だと思っておいでですか?」
「人の、洗濯物を!? そんなの卑怯よ!」
「偶然、気付いただけですよ……おや、後ろ暗いことが何も無いのなら、どうして声を荒げるんです?」
「……大体あなたも! そんなの見て見ない振りくらいしなさいよ、執事でしょ!?」
「今までは目をつぶって差し上げていましたが、最近のお嬢様はすこし活発すぎます。……失礼いたします」
言うなり、アサトは勢いよく上掛けを引いた。
ユメノはとっさに手を上げるが空を掴む。
そこには予想通り、全裸のユメノが顔を赤くしていた。
横向きに寝て膝を曲げ、腕で体をかばうが意図した意味をまったく成さず何も隠せてはいない。
「良い格好ですね、ユメノお嬢様。まさに読書にふさわしい」
アサトの無表情での皮肉にユメノは顔を赤くするが、さらに無遠慮に言葉が続けられる。
「別に、ユメノお嬢様くらいの年頃の子が、そういう事に興味を抱くのは自然なことです」
アサトは上掛けを床に放ると、ベッドサイドに片膝をついてかがみこんだ。
顔の距離が近くなり、反射的に身を固めたユメノは目を硬く瞑る。すると、いつのまにか手を掴まれた。アサトの片手はユメノの右手首を握り、もう片手は肘辺りをしっかりと押さえている。
ユメノは右腕の自由が利かなくなった事よりも、いつもとは違う執事の無礼に目を剥いている
「アサト! あなた何を!」
「しかし……こんなに長い爪で弄ってしまっては、傷でも付けたらどうするおつもりですか」
ユメノの爪は過剰ではないが、それなりに飾り立てて手入れをしてある。
その指にアサトは口付けた。
ユメノが驚いて手を引こうとするが、アサトは手首をしっかりと掴んだまま放さない。手袋越しに細くも骨ばった男の手の感触にユメノは身を竦める。
アサトはユメノの指に舌先で触れ、そのまま付け根まで舌を這わせる。そして指の股を押し開くように舌を押し付け唇でついばんだ。
「悪い指ですね」
「あ……うぁ……、……痛っ!」
指の付け根に歯を当てられて、ユメノは声を上げる。
皮膚だけを甘く齧られただけなのに体中が痺れた。
その場所をさらに舐め上げられて肩をすくめる。唇はいつの間にか手のひらに押し付けられて、舌先はゆらゆらと動いていた。
噛まれ、舐められ、ユメノがどう感じていいのか解らずに混乱していると、いつの間にか手は開放されていた。
ユメノが見上げると、唇を舌で舐めているアサトの顔があった。
「私は、あなたの世話をする為にこのお屋敷にいるんですよ」
「……それが?」
「あなたはご自分の指を汚すよりも、私を呼べば良いんです」
すっかり涙目になったユメノは、相変わらず無表情のアサトを精一杯睨みつける。
「そんなこと……出来るわけがないじゃない!」
「自らを慰めるよりは、恥ずかしげのない行為だと思いますがね」
冷たく言い放つアサトに、ユメノはまた顔をかっと熱くさせる。
「ユメノお嬢様。あなはもいつかはどなたかに嫁ぐ身ですよ? その前に悪い癖をつけてしまうなど……それに」
「それに……?」
「それに、一人で悦んでいるよりは、おねだり上手なお嬢様のほうがよっぽど可愛い」
あまりの言い様にユメノが絶句していると、アサトは肩をすくめて苦笑した。
以上です。
これから続きを推敲してくるノシ
gj
アマゾンw
一人でするのよりは僕を呼んで
ってのもどーかと
待ってるのに…待ってるのにまだなのかああああああああ!!!
自分も待ってる!
500 :
名無しさん@ピンキー:2009/04/15(水) 11:27:32 ID:q6UFLVWz
保守あげ
圧縮回避
久しぶりに書かせてもらいます。
「ひま……ですわ……」
三子髪璃瑠お嬢様の夕方は長い。
学校が終わり家に帰ると映りの悪いテレビの前でゴロゴロする。
手でくるくると自分の髪の毛を弄り見事なまでの立てロール(ドリル)を作り上げていく。
ドライヤーもカールも必要としないまさに地道な手作業である。
「残りは明日の朝にでも結城につくらせましょう」
サイド部分を造り終えた瑠璃はポソリトつぶやくとはぁーとため息を吐いた。
「まったく結城ったらいつになったら帰ってくるのかしら……」
数年前に父親が事業に失敗して、今は元使用人である間中家に転がり込み二人での生活を送っていた。
「お腹がすきましたわ、はやく結城帰って来ないかしら……」またゴロゴロし始めると、ぷつりとテレビを消す、見るモノがないのではなく、電気代がかからないように一時間だけと決めているからだ。
「ふにゅぅ、おなかぺこぺこですわぁ」いまだバイトから帰らぬ元使用人の少年を思い続けながらハムハムと傍にあったタオルの端っこを口でくわえ始める。
そのまま床をゴロゴロと転がり続けていたがしばらくするとピタリとその意味不明な動きを止めた。どうやら動くと余計にお腹が減ることに気がついたようだ。
「うう、でもここで寝る訳にも行きませんし……」
前に昼寝をして夜中に目が覚めてしまい困った経験を思い出し「ふにゅぅ」と意味不明な言葉を発して考え込む。
そしてどうしたら良いか考えながら、ゆっくりと眠りに落ちて行った。
「……さま、………り…ま、るりさ……、」
「瑠璃様!!!」
「は、はわわわ!!」
ガバリと瑠璃が飛び起きると其処にはバイトから戻った元使用人の結城の姿がそこにあった。
「まったく、こんなとこで寝たら風邪ひきますよ、それにまた夜寝れなくなっても知りませんからね」
年のころは瑠璃と全く変わらない少年がやれやれと言った顔で瑠璃を覗き込む。
「ね、寝てなどいませんわ! 瞑想をしておりましたのよ! それより今日はずいぶんと帰りが遅いのではなくて?」
「ああ、すいません、買い物をしていたら少し遅くなってしまいまして、その代り今日は腕によりをかけて作りましたから、きッとお嬢様の曲がったおへそもまっすぐになるはずですよ」
目を細めて笑いかける少年の顔を見つめて一瞬何かを言いかけた少女は
「う、腕によりをかけるのは当然の事ですわ! それよりも遅れた上に美味しくなかったら承知しませんわよ!」
すっくと立ち上がると湯気の立つ料理の並んだテーブルへとチョコリと座る。
「はいはい」
少年はやれやれと言う顔でそれに続き少女の向かい側に座ると、狭いテーブルで足がぶつからないように気を使いながら、食事を口へと運ぶ少女の様子をじっと見つめた。
可愛らしい真っ赤な唇に次々と料理を運びこみながら幸せそうな顔をして食事を続ける主の姿を見て自身もまた自分の作ったものを口へと運びこんだ。
やがてスッカリとテーブルの上に並んだ皿がきれいさっぱりかたづくと、
「全然ダメね、おいしくも何ともなかったわ、て言うか食べれたもんじゃないわね」
口のまわりを汚した少女はおもむろに呟く。
別に本当に不味くて言っているわけではない、そのことを理解している少年は頭を下げる。
「申し訳ありません瑠璃お嬢様、次はお気に召す物を御作りします、ですからどうぞお許しを……」
「駄目よ、罰としてまず私の口の周りの子の汚れをどうにかなさい、手を使わずにね」
「はい」
結城は「失礼」と、一言つぶやくとゆっくりと唇を瑠璃の赤くて柔らかな唇へと近づける。
そして優しく舌を使って唇のまわりと、口の中を舌でなめとって行った。
舌が唇や口の中、そして自分の下に触れる度に押し殺したような悲鳴を上げながら、プルプルと小さく身を震わせる瑠璃。
いつの間にか上半身は既に少年の手によって脱がされて、舌先で唇や顔、首筋などを舐め取っていく。
その間も脇にきちんと脱がせた服を折りたたんでおいてある。
「瑠璃お嬢様、もし宜しければこのまま全身の方も続けますか?」
意地わるでは無く、遠慮しがちに聞くと、コクリと瑠璃は小さく頷く、どうやら完全に体の方はできあっがてしまい、まともに返事もできないようである。
「では下の方も失礼します」
そう言うと慣れた手つきで素早く下着を脱がしていく、前に脱がすのが遅れてお嬢様の愛液でべとべとになり、洗濯に苦労した苦い経験がある。
ツゥーっと舌先を徐々に下半身へと向けてゆくたびに鈴の様な声を震わせて仔猫のように小さく悲鳴を漏らしてゆく。
「ふ、んん、うにゅぅ……」 鳩尾を、白くて柔らかいお腹を、おへそを、舌が通り過ぎゆっくりと、瑠璃の大事な大事な部分へと舌が到着する。
ペロリ。
ピックん!!
「ひゃぁ――!!」
思わず大きな声が漏れた瞬間、ぐっと少女の口に結城の手がかぶさる。
『駄目ですお嬢様! もう時間が遅いので大きな声を出すと迷惑になります!』
結城が耳元で囁くと瑠璃は刻々と二回頷く。
その間も愛撫が途切れる事がないようにゆっくりと指が瑠璃の敏感な部分を慰めてゆく。
(こ、声が出ない様にこらえないと!)
そう決心すると、先ほど腹ペコな気分を紛らわすために噛り付いていたタオルにカプリと
齧りつきぎゅっと目を閉じる。
優しい指が意地悪をするかのように、優しく大事な部分を撫でてゆく。
「ふうう! んん! んん!」
まるで嫌々をするかのように首をフルフルとふる瑠璃。
時折、
「やめましょうか?」
の問いに、嫌々と首を横に振ってこたえる。
「それではちょっと失礼します……」
ゆっくりと体勢を入れ替えてゆき、自分の物が瑠璃の顔の辺りに来るように入れ替えをすると、そのまま自分が下に来るように体勢を素早く入れ替える。
69の体勢で自分が下に来るように持ち込むとそのままゆっくりと瑠璃の大事な部分に舌を這わせる。
「はぁ……ん!! ひゅあううん」「ほら、お嬢様舌がお留守ですよ」 舌先が大事な部分
をなぞるたびに悲鳴を上げて体をのけ反らせる瑠璃を見ながら結城は声をかけると、
思い出したかのように結城の物にしゃぶり付いて行くが、
しばらくすると快感のため唇を離してしまい、またも結城に指摘されて慌てて口を近づける。
しばらくそんなやり取りを続けた後、グニュ。
「ん? あわわわ……」
堪えきれなくなった瑠璃が自分の部分を激しく結城の顔に擦りつけてきた。
「お、お願い、結城……」
息も絶え絶えになりながら、瑠璃が懇願してくる。
「わかりました、お嬢様」
そう告げるとそっと体の下より這いだし、そのまま、
「失礼します」 そう呟くと、うつぶせ状態の瑠璃のお尻を掴み、ゆっくりと左右に押し広げる。
「あっ!?」 驚きで小さく悲鳴を上げるのを気にせずにそのままゆっくりと自分の物を瑠璃の中へと押し入れて行った。
「あ! あう…………んン」 最初に大きな悲鳴を上げた後、慌ててタオルを拾い上げて声が出ないように口にくわえて瑠璃は悲鳴が出るのをこらえる。
その間にも結城の物はゆっくりと肉壁を押し広げながら瑠璃の胎内へと押し入ってゆく。
(き、気持ちいいよ……結城)声にならない声を上げながら、官気に身をふるわせ続ける
瑠璃。
結城の腰使いに合わせて自身もまた体全体で答えていく。
「ア、ア、ンン、ンンあ、ああ」
しっかりとタオルを咥えながらも、悲鳴が漏れだしていく。
段々と二人のリズムは激しくなってゆき、二人のクライマックスが近いことを表している。
「お、おじょうさま、も、もう!」
「あ、あうう、き、きて! ユウキ!」
やがて二人は、同時の高みへと至ると、其のまま荒い息を繰り返して、ゆっくりと倒れこんだ。
「ふー、むにゃむにゃ……」
幸せそうな顔で眠りこける瑠璃、その横で同じ布団にもぐりこみ、結城もとなりで眠りにつこうとする。
「ふにゅぅ、大好きだよ……ユウキ……」
そうポソリトつぶやいた瑠璃の寝顔をちらりと見やると、心の中でそれの答えて結城もゆっくりと眠りに落ちてゆくのであった。
以上です、お付き合いいただいた方有難うございました。
ではまた〜。
瑠璃が退屈してる所の方が挿入→絶頂より長いのは何故ですか?
連休に向けての序章だからじゃね?
誰かまとめwikiに5章の残り追加してくれ…
今再放送してるセーラー服と機関銃の主従関係がたまらなくいい。。
お母様「あぁっ!…はあっ…柏木ぃ…もっとちょうだい…!」
執事「はい奥様」
お母様「んああっ!いいわぁ…。どんなエステよりもアンチエイジングに効くわよぉ」
ギシギシ アンアン
杏種(もう!お父様が留守だとすぐこれだ!)
杏種(……あれ?もしかして私、お母様と柏木の間に生まれた子供なんじゃ…)
杏種(だから柏木は私には手を出さないんだ!きっとそうだ!)
杏種(………寝るか。独りで)
これは続きなのか…?
正午を過ぎ、晩春の陽射しは熱を振るう。
執事は黒いスーツを焙られながら、ひたと芝生の一点に見入っていた。
(:○_ゝ-)
レイ'・'リ。ヾ
芝生にうずまった、小さな小さなエリカ――。
遥か頭上の執事を見上げ、ちんまりとした手を懸命に振っている。
レイ'・'リ。 ホッ(見つけてくれたみたい…)
レイ'・`リ 「あのね…エリカ縮んじゃったの」
(:○_ゝ-) 「…………………っ」
(:○_ゝ-)ベリッ 「…そのようでございますね」
幾拍かの沈黙の後、執事は上顎に張り付いた舌をやっとで引き剥がした。
しかしそれきり言葉が継げない。
何故お嬢様が小さくなられたのか。何故何も身に付けていらっしゃらないのか。
数々の異変を一息に飲み込めるほど執事は老成していない。
エリカに見苦しい狼狽を晒さぬよう、感情を抑え込むだけで精一杯だった。
:(:○_ゝ-): 「……」
(:○_ゝ-)" ハッ
カサカサ ...。
その時、土を這う天道虫が視界に入った。
虫はエリカの小さな裸にそろそろと近付いてゆく。
カサ γハヽ
コソ レイ'・'リ ?
...。 ゚しJ゚
(:○_ゝ-) ガバッ「危ない!虫が!」
。ζ レイ'・'リζ ビクッ
ブビビビ〜〜゚ ≡レイ'・`リ「うわぁーん」
急に動いた執事に弾かれ天道虫が飛び立った。
すばしこく草間を飛び、逃げるエリカを追い回す。
ビブビビブ〜レイ'・`リ〜゚ <ウエーン
(:○_ゝ-)つヾ あわわわわ
阿鼻叫喚である。
執事は慌ててエリカを手で掬い、城へと駆け出した。
フラフラ…(:○_ゝ-)つ□
ζソ 'о`レ 「おかえりなさい。…お嬢様は墓地にもいらっしゃらなかったの?」
(:○_ゝ-)つ□「いえ、お嬢様は…こちらに…」
ζソ '‐'レ 「何?その包み。…ポケットチーフ?」
ζソ 'о'レ 「――あっ!」
┌―――┐
│γハヽ │
│レイ-.-リ│くた…
│ ゚しJ゚ │
└〜―〜┘
ζソ 'о'レ
:ζソ*゚ヮ゚レ:「……か、可愛いっ!ちょっと、寄越しなさいよ!」
ガシッ ζソ*'ヮ'レつ□⊂(○<_ - )
キャッキャッ 彡ζソ*'ヮ'レつ□
(:○_ゝ-)つ「………」
( ΦwΦ ) =3 ゲプー
――つづく
保
516 :
名無しさん@ピンキー:2009/05/03(日) 09:50:49 ID:m3+MGHxJ
猫が狙ってる?
とりあえず乙
GJ!!
GJ!
エリカたんもメイドさんもカワユスw
>>513 エリカと秘密の城、楽しみにしてました!
振り回されてる執事さん、いいなw
GJです
>>513 GJ!
また投下楽しみにしてる!
アリスとエドガーも待ってます
お嬢様もいいけど奥様も好き
奥様が未亡人か
旦那様が健在かで
意見別れたりするんだろうか
どっちもウメェw
実は俺、喪服萌えなんだ・・・
526 :
名無しさん@ピンキー:2009/05/14(木) 12:18:21 ID:whRnEAYK
女主従萌
未亡人だと
夫の墓の前で喘がせるのは鉄板だと思ってる俺w
仏壇返し
にこやかに笑っている遺影の前もなかなか…
結婚する前は
旦那さまの方に仕えてたか
奥様の嫁入りに付いてきたかで
差分ができないか考え中
ビデオ借りて観て思ったが
キカイダーって女主男従に入るのか?
>>529 西洋なら肖像画とか旦那の書斎とか私室とか?
旦那が残した日記を朗読しながら
とかw
言葉攻めってレベルじゃねえw
黒歴史として引き出しの奥に仕舞い込んでたポエムノートとかは?
犯られながら腹筋崩壊しちゃうんですね
>ポエムノート
趣旨ちげえw
ちなみにオタクな部活やサークルの部長・部員って
このスレに該当する?
>>537 アリじゃないか?
生徒会長(♀)×書記(♂)とかアリだろうし。
539 :
名無しさん@ピンキー:2009/06/01(月) 03:03:01 ID:Pp2+H1UG
投下は……まだか……!
エドガーに会いたい
姫パンツ読みたい
ほ
さ、寂しいな
嬢「わたちがプイキュアをするから、爺やは怪人の役ね」
爺「かしこまりました」
嬢「じゃあいくよ。――ていっ、プイキュア参上!覚悟しなさい!」
爺「ガオー」
嬢「えい!やあっ!」キャッキャッ
爺「敵の捕縛攻撃!」ガバッ
嬢「きゃははは!離せ離せぇ!」
爺「ガオーッ」スリスリ
嬢「きゃはは、爺やズルいぞー」
主従と言うより孫とお爺ちゃんみたいですのぅ
なんという新規開拓
孫とおじいちゃんだったら萌えないはずなのに、嬢とじぃやだったらなにこの萌えはやべぇ
お嬢様、上へ参ります
550 :
名無しさん@ピンキー:2009/06/20(土) 00:32:54 ID:V0sB6gIz
萌えた
またお願いします
552 :
名無しさん@ピンキー:2009/06/21(日) 14:16:38 ID:6MHtEUoV
ほすす
じ、爺や萌え…。
「捕縛」いい。さりげな〜く時代劇ファンな爺やだと、個人的に更に萌え。
「じぃ、今帰った」
『お帰りなさいませ、お嬢様。今日も一日ご活躍だったとか……』
「うむ。来月のお遊戯会で演ずる劇の題目の希望が多くてな。仕方なく私が、話がうまく纏まるように先導することになった」
『それはそれは。して、題目は何になりましたか?』
「桃太郎だ」
『王道でございますな』
「うむ、鬼が島での殺陣が見所になる予定だ」
『……殺陣、でございますか』
「そうだ。私の監修の元、桃太郎一行と鬼30人の10分にも渡るノンストップアクションだ」
『お嬢様、それは……いささかレベルが高すぎるのではないですか?』
「なに、無理ならば多少の妥協は仕方が無い。しかし、級友は皆やる気なのでな」
『(そう言ったカリスマは旦那様譲りではありますが……いやはや)』
「ところで、暴れん坊将軍はちゃんと録画できているか?」
『もちろんです。今日のおやつは豆大福と玉露でよろしいですかな?』
「完璧だ!」
『(しかし、5歳にして趣味が時代劇観賞というのは……やはり私のせいなのでしょうか。せめて、せめて幼児向けのアニメに見向きをしてくれるようになれば……)』
「そうだ、じぃ。来週から日曜日のアニメも録画をしておいてくれ」
『――! わかりました』
「うむ、たっ君が言うには今期のアニメは作画が素晴らしいモノ揃いなのだそうだ」
『……('A`)』
じぃ、シンケンジャー見せてやれw
シンケン視聴後
嬢「ぃらっしゃーい!!」
爺「へいお待ち」
そういやあの爺さん、黄門の角さんだったんだよなあ
と思うと従側が板に付いてるといえんのかね
ここって2次創作はダメ?
ダメってこた無いだろうけど、
読者は元ネタを知らない、ってつもりでないと辛いかも。
>558
元ネタによるとしか。
少女漫画&少女小説・ライトノベル・週刊少年ジャンプ等ジャンル別の総合スレあるし、
作家によっては作家総合スレもあるから
作品名とか作家名とか掲載誌とかで板内検索したら
もっと適切なスレあるかも知れない。
色んな要素があるので投下するスレに悩んだが、
女主的主従ものを書こう思って書き始めたのでここに投下します
NGはタイトルの「翼或鬼異聞」でお願いします
私”椿綾乃”の人生は順調とはいえないまでも、それなりに普通の人生だったと思う。
=『椿さん……口開けて?』
=肺腑の中の空気を全て奪い尽くす様に舌を絡められ咥内を嬲られる
=鋭い爪を持つ分厚い手で肌を弄られる度に若干の嫌悪感とそれを凌駕する快感が全身を苛む
=声を上げる事も出来ずはぁはぁと獣染みた息しか出す事が出来ない
=つい先日快楽を覚えたばかりの身体は甘美な毒を与える侵略者に酷く従順で
=あまりにも儚く脆い己の理性に、私は声をあげて叫びたくなる
小学校受験に失敗してからは、普通の公立学校に通い、
小中学校とバレーボールで汗を流したが
特に成績がよかった訳ではなかったので、普通に高校を受験した。
至って普通の偏差値の公立高校の普通科に入り、
スレてない、かといって垢抜けてもいない至極普通の友達が出来た。
=「やっ…嫌なのっ…そこ舐めたら…やぁっ!!」
=軽々と私の腰を抱き両足を抱え込み、男が太股の間に顔を埋めた
=「でも、こうしないと椿さんが辛いよ?」
=「やっ…駄目駄目駄目ぇえええっ!」
=一番敏感な処を咬みつく様に吸いつかれ、私は嬌声をあげて背を反らせるしか出来ない。
=身を捩って逃げようとしても軽々と捉えられ、赤く爛れた蕩ける内腑を長い舌で奥まで探られる
=ジュブジュブ…という粘質をもった音が響き耳の奥まで犯されている気がした
=その一方的に与えられる技巧に誘い出されるように溢れ出したはしたない私の体液は
=未だ股座に食らいついて離さない男の顔を覆う人外の証をべっとりと濡らしぽたぽたと滴っている。
容姿は身長が152cm、体重は40kgと少し小さい。
まぁ、スタイルは特別恵まれもせず、かといって問題がある訳でもなく、
一応胸は年齢相応に育っている…と思うし、顔は自分自身で判断はつかないけれど
整形したい位にここが嫌だという処もないので、まぁ際立って不細工ではないと思う。
=もう十二分に綻び潤いを持ったそこに野太い指が探るように侵入する
=「凄い…前と違ってキュウキュウ吸いついてくるみたいだ」
=指は私の中を探りながら、まだ足りぬとどんどん押し広げていく
=慣れぬ無粋な侵入者を締め付けるようにキュンと内壁が蠢けば
=男の指にびっしり生えた毛のささくれ立ち一本一本までも敏感な粘膜は感じとってしまい
=無意識にもっと深く激しい刺激を求めて腰が戦慄く
=「はうぅ…も…ダメ…ダメだからぁ…」
=獣のような男の舌で指で高みの渕まで連れていかれ、頭がチカチカしてくる
相も変わらず成績は良くもなく悪くもなく、
期末考査にはほどほどに真ん中位の順位になり、
補習を受けること無く無事夏休みを迎えられるお墨付きを貰った。
テストの最中は、教室の窓から快晴の空を見上げて思春期らしく
”高一の夏が一番刺激的って言ってたなぁ”とか、考えたりしていた。
=いや、獣のような男というのは語弊がある
=小山のような私を覆い隠す大きな体躯は四肢までも真っ黒い毛皮に覆われ、
=裂けた様な口からだらりと長い舌を垂れさせ、肉食獣特有の生臭い息を放つ
=鋭い凶悪な爪と眼はギラギラと光を放ちその顔<かんばせ>は狼そのものだ
=私を喰らおうと圧し掛かり蹂躙する男は、文字通り「獣」
=しかし、私はその異形に蹂躙される事に恐怖はなかった
=だって私はもう何度も彼に喰われていたから
私は多分、どこにでもいるような、普通の女子校生だった。
そうだった筈なのだ。
=「さぁ……椿…さ…いや、主様…」
=奥まで解された蜜肉の口に獣の雄が触れゆっくりと擦り付けられる
=黒々と屹立する獣の雄は、私の手首程の太さで血管を浮かび上がらせてビクンビクンと震えて
=堪えきれぬ昂りでその拳のような肉欲の先からヌラヌラと先走りを滾らせていた
=こんな太いの挿れられたら今度こそ裂けちゃうかもしれないとか他人事のようにボンヤリ見ていたら
=「”神返し”を始めましょう…っ」
=甘い声色の言葉と同時に残酷な程の剛直が私をゆっくりと割り裂いた
=「か…か…み…山…っ!あああああっ!!!」
あの日までは。
ちょうど昼近く、太陽はちょうど天の中央に上った辺りで一学期最後のチャイムが響く。
外ではワンワンとうるさい位に蝉が鳴いて、まるで初夏の暑さを演出しているようだ。
ホームルームを終えた私が机の中の物をサブバックに詰めていると、
後ろからトンと肩を叩かれた。
「椿さん。ちょっといいかな」
馴れ馴れしく肩に置いたままの手の感触に、私は思わず眉根を寄せた。
まさか教室でこんな風に声をかけてくるなんて思わなかった。
出来ればコイツとは関わらないままに夏休みを迎え、
そしてそのまま夏休みを終えるまで会うことがなければよかったのに。
これから一ヶ月半も会わないという選択肢は絶対選べないのだが、
心の中で舌打ちせずにはいられなかった。
「ねえ、何シカトしてんだよー、椿さぁん」
「…慣れ慣れしくしないでもらえる? 神 山 く ん」
振り向きざま周りから見えないように、
私は同級生の男、神山司狼(かみやましろう)の手を払う。
まさか手を払われるとは思っていなかったらしく、
一瞬の事に神山は目を白黒させている。
あんまりかと思ったけど、未だクラスメイトも残る教室内で、
学校外で会う時と同じ態度を取られると困るし。
神山司狼と椿綾乃がつき合ってるとかいう噂を立てられるなんて真っ平ごめんだ。
そういった意志を込めて、でかい態度と体で私を見下ろす神山の顔を、
下から睨みつけた。
あくまで、周りにはわからないように。
高校では目立たないように、努めて大人しくして、
人当たりが良くも悪くもないようにしつつ、人の視線を集めないようにしてきた。
それなのに、性格がちゃらんぽらんのお調子者のくせに二枚目顔で、
さらにクラスのムードメーカーな、とにかく無駄に目立つ派手な男とセットに考えられたら困る。
目立つのは嫌いだし、学校では埋もれた人間になりたいのに。
そんな私の顔を見て、神山はニヤリと人を小馬鹿にしたような腹の立つ笑顔で、
私の耳元に顔を寄せ囁いた。
「何、そんなにツンケンしてんの?今更他人の関係でもないじゃん?」
ひぃっ!
意識してだろう、本当に同じ年齢?と思うくらい低いイイ声で囁かれたのと、
その内容に思わずゾワワっと首筋が泡立つ。
悲鳴を声に出さなかった自分を誉めてやりたいよ、本当に。
「か…神山くん、あんまり仲良くもないのにこんな事されたら困るの。
なんか話があるならメールで…」
私の言葉に、ヤツは片眉を上げる。
「…仲良くない?」
「あ…当たり前じゃない。別に神山くんとは友達でもなんでもないじゃん。
ただの同級生で…」
「へー…椿綾乃さんは仲良くないただの同級生と、あ ー ん な 事するんだ?」
声を落としてボソリと呟かれた言葉に、私は凍り付いた。
「な……な…な…それはっ…」
「あんな事して、あんな事までさせておいて、ただの同級生?へぇ〜…そっかぁ」
詰るように私の机の前で、神山は腕を組んで見せつけるように首を傾げている。
「た…ただの…同級生に決まって…」
「本当に、本当にただの同級生?」
ヤバい…なんかコイツ…この状況、面白がってる。
イヤな予感するし、これ以上この話ここでは無理だっ!!!!!
「オレはあんなに気持ちよかったのになぁ、ご 主 人 さ…」
ギャーーーーー!!!予感的中。
神山が最後まで言葉を紡ぐ前に、
私はヤツの手首を両手で引っ張って教室から飛び出すしかなかった。
「はぁ…はぁ……この…バカみやまー!」
校舎裏まで引っ張ってきて、辺りに誰もいないのを確認してから、
私は思いきり神山の頭をグーで殴ってやった。
普通にやってもヤツの頭に手が届かないからジャンプしたわよ。
ジャンピング拳固だ、バカめ。
「っ痛ってー!!!椿さん、関節の部分でゲンコしないでよ、マジで痛い!」
「マジで痛くしてんのよ、このおバカーっ!
あんだけ学校で慣れ慣れしくすんなって言ったでしょ!
し…しかも、き、もちいいとかご…ご…ごしゅじんさまって…」
怒りで口元も震えるわ、このアホタレ。
私と神山の関係は、学校では…というか私生活においては
どこまでも限りなく他人でなければならないのだ。
それを他の人間に邪推されたりする可能性のある言葉を、
人目につくような場所で言うなんて…
ああああ…明日から夏休みでよかったぁああああ!
少なくても、噂がドカンと広がるような事はないだろうし、
うまくいけば興味のない事で忘れていてくれるだろう。
「椿さんが人の事無視するから悪いんでしょ」
「な…私が悪いっていうの?!」
「あれ以来僕の事ガン無視するし、あれじゃ返って不自然だって。
せめて前みたいに普通のクラスメイトっぽくしたらいいのに」
校舎に背をもたれさせながら口をへの字に曲げる神山の言い種に、私も少しカチンとくる。
それが出来たら私だって苦労なんてしない。
「あ…あんな事しといて、今まで通りなんて無理に決まってるじゃない…」
「なら、もうつき合ってる設定でいいんじゃない?」
「アホみたいに目立つ神山なんかと恋人設定なんか絶対嫌っ!ってか無理っ!」
「じゃあ、どーすんの。これからも僕を無視し続けるの?無理じゃない?」
彼の言うとおり、正直無視し続けるのは限界だったのも事実だ。
仲の良い友達から神山くんと何かあったのかと、この一週間に何度か聞かれた。
笑って適当に誤魔化したけれど、それも限界がある。
でも、この男とつき合ってるなんて事にしたら、そっちの方が問題なのだ。
元々目立つのが嫌いだったのに、あの日から、”目立ってはいけない”になってしまった。
一週間前の自分のとってしまった行動に、私は頭を抱えるしかなかった。
『ねぇ、助けてあげようか』
「……何でこんな男を、”神降ろしの形代”にしちゃったんだろ…
もうちょっと選べば…もう少しマシ…だったのかなぁ?」
「今からでも変更きくなら変えれば?」
「それが出来たら悩まないわよ。こんな言うコト聞かない従者なんて、
契約なかったら速攻捨ててるもん!」
「はいはい、私はご主人様の意を汲めない反抗的な駄目下僕ですよ。」
自分を下僕といいながら全く私を敬うような気配も、
隷属する気もさらさら無いのが丸わかりで尚更腹が立つ。
一週間前の夜。
ある事件に巻き込まれた神山司狼を、或る条件を飲む事と引き換えに助けた。
『今日から貴方は私の……』
私と彼が結んだ契約。
…ああ、あの夜がなかったらよかったのに。
「もおいい……で、教室で言ってた話って何だったのよ。
重要じゃなかったらもう一発殴るからね」
私に問われて、思い出したというように神山がぽんと手を打つ。
「あー、そうだった。学校ん中で”畏怖”の気配がしたんだ」
「畏怖が校内に?どこよ?」
「え?ここ」
神山が何でもないように自分の足下の地面を指さす。
「……は?」
「いや、椿さんわかっててここまで僕を連れてきたんだと思ったんだけど、違うの?」
思わず足下をみると、何かドス黒いタールみたいなぬめりが
私と神山の間の地面から少量だが沸いていた。
「いやー、”畏怖”ってこんな風に地面から沸くもんなんだねー。初めて知った」
「早く言いなさいよーっ!!!まだ意識体になる前なら封印の石だけでどうにかなるんだから!」
慌ててバッグの中に仕舞ってある小さな卵大の尖った石を取り出したら、
その聖なる気を感じたのか目の前の粘体の闇が大きくうねる。
まだ闇の念の固まりだと思ったら、これはもうすでに意識と実体をもっている。
「一足遅かった……」
こうなったら封印の石では、どうにもならない。力で強引に畏怖を滅しなければならない。
どろりとした畏怖は大きくうねったと思うと、地べたに広がっていたその身を波打たせた。
粘菌のように私達を包み込んで食べる気らしい。
活動を始めたと同時に今まで押さえていたであろう禍々しい気配が辺りを包み込み始める。
気づけば少し大きな水たまり程度だった闇は、小さな車位の大きさに膨れ上がっていた。
「ってーか、デカっ。畏怖ってのは人型だけじゃないの?」
見る間に形を変えていくその姿に、畏怖を見慣れていない神山が眉根を寄せる。
「それこそピンからキリまでよ。口伝で残ってる話で一番大きかったのは、屋敷一つ丸々畏怖だったっていう」
「……そんなん来たら僕真っ先に逃げる」
まだ体が固定されていない畏怖がゆっくりと襲ってくるのをひらりと避けながら、神山が毒づく。
「アンタが戦わないで誰が戦うのよ、お馬鹿!契約したでしょ、契約!」
ベシャっと音を立てて畏怖が倒れ込むとまた少し闇が地面に広がると
思わず吐き気をもよおすような異臭が辺りに漂う。
「いや、人型だったら楽勝だと思ったんだって、人型位ならさー!」
人の天敵で人外の化け物、人を食らう恐ろしいあやかし”畏怖”を前にして
まじめにしなきゃいけない場面なんだろうけども…
「どーにかして半分くらいになんねーかな。コイツ」
コイツ…形代の分際で使役者の言うこと聞かなさすぎる!!
「もー、うるさい!とにかく今はどーにかする方が先なんだから!
早く、”神降ろし”するわよ!」
「よっしゃ、とっとと犬太郎でも蛇子でも降ろして。」
「神様の名前勝手に変えるなーっ!しかも、犬でもないし蛇でもないわよ!」
ムガ――――――っ!
この態度のどこが下僕?
主従って言葉の意味知ってんのか、この野郎。
どうしてもイライラが先に立ったが、今はそんな事している余裕もない。
このまま放置し続けたら、多分半刻もしない内に生徒なり先生なりが襲われるだろう。
冷静に、クールになって仕事をやるしかないのだ、どんなにイラついても、嫌でも。
「天つ国八百万の神々よ、我が傀儡に畏怖調伏の御力降ろしたまえ」
片手に持ったままだった封印の石を両手で包みながら、瞳を閉じ己を守護する神にその力を乞う。
「早くしてー、のんびりしてたら食われる。ご主人さま!」
急に体が浮き上がったと思ってはっとして目をあけると、神山の顔がすぐ傍にある。
抱き上げられた身体の下を見ればじわりじわりと、
新鮮な血を求めて畏怖はじりじりと私達との距離を詰めていた。
意識を集中するのに夢中で周りの状態が見えなくなっていたみたいだ。
「わ…わかってるわよ…石に力が集まらないと…」
不安定な状態が怖くて、不本意ながら私は神山の背中に両手を回した。
早く、早く、早く、降りて来い!
心の中で叫んだその時、手の中の石が強烈な熱を孕んだ。
それに呼応するように私までも、まるで全身の血液が沸騰したかのように熱くなる。
き た っ !
「聖なる鬼の末裔たる翼或鬼<つばき>一族の盟約により、召喚する!」
瞼の裏に映るその神の名を私は叫んだ。
「出でませ、狼丸様!」
絶叫しながら、私は神山の背中に封印の石を思い切り突き立てた。
その瞬間、目の前に広がったのは神山の血柱…ではなく目も眩む程のまっ白な光。
そして、地が揺れる程の激しい咆哮が轟く。
あまりの眩さに思わず閉じてしまった瞼をうっすらと開けると、
目の前には犬科の鼻口部が付きだされ、少しだけ開いた口の間からはチロりと真っ赤な舌が覗く。
私を抱きかかえる腕や夏服の間から見えていた肌は生えそろったふさふさの毛皮に覆われている。
これを形容するのは、ホラー映画で見たような『狼男』で全く差しさわりがないだろう。
私を抱きかかえていた男は、異形の人獣へと姿を変えていた。
以上が、とりあえず前編です
軽度のエロは入れたけれど、本格的エロは後編になります
ってーか、亜人かなー主従かなーと思いながら書いてたので
もし亜人の方が適当だったら後編はあっちに投下した方がいいですかね
ターミネーターのような感じの
ロボット従者と戦うお嬢様
みたいなの結構好きなんだけど
ここの方達は嫌いでしょうか…?
>>562 GJ!
後編も楽しみだ!
自分はここでいいと思う
>>572 ありがとう御座います。
わざわざ済みません。
自分もここでいいと思う。
面白かった、続きが楽しみだ!
エドガー「まだ荷造りが終わらないのですか?」
アリス「枕がトランクに入らないの…。私デリケートだから枕が変わると熟睡できないのに」
エドガー「アリス様の簡素な脳が枕の変化を感じ取れるとは思えません。木の板でも敷いておきなさい」
アリス「そんな固いの枕にしたら顔がペシャッて平たくなっちゃう!」
エドガー「平面だろうが立体だろうが馬鹿は馬鹿。顔の美醜よりも知能の低さを案じるように」
アリス「むむむっきぃー!!五泊六日のこのバカンスに、アリスはたぎる復讐の炎をぶつけるのだ!」
エドガー(温泉に浸かってのんびりしたい…)
レイ'・'リ 「ほ」
エリカお嬢様!
まだ小さいままなんですね。早く元に戻れるといいですね
エリカお嬢様が大好きなので、よかったらどうぞ
つ【チョコ】
つ【キャンディー】
つ【ケーキ】
執事さんと仲良く食べて下さいねw
>>571 過去スレで人外系従者がでてくる作品でてるからおkだと思う。
と両方のスレ渡り歩いてる住人がいってみる。
後編全裸で待ってます!
一寸失礼します。
小高い丘の上に一つの豪勢な屋敷が立っていた。
長い歴史と伝統を誇る『レイフィールド』家である。
現当主は 『アルバート』 最近‘ある,功績が認められて、女王陛下より勲章を賜った。
その妻 『クローディア』 夫と同じ世界で活躍していた所、彼、アルバートより激しいプロポーズを受けついにある日二人は結ばれた。
そんな二人の間に生まれたのが、この話の主人公の一人 『セシリア』
ブロンドの長い髪の毛と、硝子のような青いきれいな瞳を持ち、天使のような愛らしさを持つ少女だ。
もう間も無く学校が終わり迎えの物と共に屋敷へと戻ってくるであろう。
一人の少年が疲れて帰ってくるであろう少女のために、少女の好きなりんごジャムを乗せた焼き菓子と、ローズヒップティーを用意し、席を作って待っている。
少年は黒い髪の毛と同じ黒い瞳がエキゾチックな美しさを持っていた。
彼は皆から 『ダイゴロー』 と呼ばれていた。
そう、彼はこの国の人間ではなく日本人であり、年はセシリアより一つ年下、
今回の話のもう一人の主人公であった。
(もうそろそろかな?)
時計に目を向け、ダイゴローは学校から帰ってくるお嬢様を出迎えるために玄関へと足を運ぶ、
と、
バタン!!
すさまじい勢いで玄関が開き。
「あの娘ボコボコにしてやりますわ!!!」
美しいブロンドと美しい青い瞳の少女が、美しい声で、
鬼のようにほえていた。
何があったかはわからない、だが少年はそれを見て、
大きくため息を吐くのであった。
「……ねっ!!? 酷いと思うでしょ!?」
少年の作った焼き菓子を頬張りながら少女が今日学校であったことを説明する。
喋りながら、食べながら、なおかつ怒りながらの説明は、理解するのに困難を極めたが。
今日、前から話しのあった日本からの留学者が学校に来たという。
美しく長い黒髪と、きれいな黒い瞳、独特の『日本文化』という物に皆が引きこまれたと言う。
だが事件は昼休みに起こった。
彼女が日本の格闘術である『ジュツツ』という物の話をしていた時に、
最初はそれを大人しくセシリアは聞いていたのだが、
『倒れた相手をまだ攻撃したり、相手の手足を痛めつけて動けなくするなど卑怯だ』
と、発言し、
相手の少女に
『貴方の言うボクシングこそ野蛮です』
と、返されて
互いの名誉をかけて勝負することになったそうだ。
「ダイゴロー! 別に私は貴方の国の格闘技がどうとか言うつもりじゃない!でもやっぱり倒れた相手を攻撃するのはずるいわ!」
最後の焼き菓子を口に入れ、それをぐいっと、紅茶で流し込む。
と、
「…………焼き方は、もう少し長めで焼いてもいいわよ、それに今度は紅茶の茶葉を蒸らす時間をもう少し短めにして」
いつ味わってたんだろう? そう感じるほどバクバク食べてた少女は一言感想を漏らし、
「はい」
少年はその感想を受け止めた。
そして、やはり血は争えない物だな、と、少女の瞳を見つめながら心の中で少年はつぶやいた。
セシリアの父親であるアルバートも、母親のクローディアも、共にこの国で一番のボクシング選手であった。
そしてそんな血を引く彼女も、近隣の学園で知らぬ者のないボクサーである。
「さてと、お腹も膨れたし、ダイゴロー練習に付き合いなさい」
「は? はい……畏まりました」
がたんと席を立ち上がると、両親が今なおトレーニングをするために使用している部屋へと足を進める。
「許せないわ! ボクシングを馬鹿にするってことはこの国の文化、そしてお父様とお母様を馬鹿にするってこと!」 セシリアの足がどんどん速くなってゆく、それにあわせ後ろを歩くダイゴローも歩幅を合わせる。
そもそも、軽率な発言を先にしたのはセシリアのほうではなかろうか?
だが誰もその疑問を口にしないまま二人はトレーニングルームまでたどり着く。
「見てなさい、絶対に後悔させてあげるんだから!」
乱暴に扉を開けて中に入り、続く少年がそっと続いた。
「ダイゴロー、着替えてリングに上がって」
「!? あ、は、はい」
予想はしていたが突然の事に一瞬惑うダイゴロー、そそくさと動きやすいようにタキシードの上着を脱ぐ。
一応護身術みたいな物は心得てはいるが、其れでもあまりにも無茶な話である。
一応ネクタイをはずし、ワイシャツのボタンを外した所で、
バサ!
セシリアは下着を脱ぎ捨てると、自分のタンクトップへと手を伸ばしている。
「もう少しだけ待っててダイゴロー」
男性の目の前で全裸になっているのに左程気にした風も無く告げるといそいそと、白いタンクトップを身につける。
元々貴人は召使に着替えをさせることが多いために、セシリアもダイゴローの前で裸になるのはどうとも思っていなかった。
だが、心の準備が出来てなかったダイゴローはそうとは気がつけれないようにそっと目線をはずすと、靴を脱ぎ先にリングへと上がるのだった。
「ダイゴロー、思いっきり掛かってきて良いのよ」
髪の毛を頭の上で一つに縛り、上下を白色でそろえたタンクトップとホットパンツに身を包み、しっかりとリングシューズまで身につけている。
「セシリア様と僕とではあまりに実力差がありすぎると思いますが?」
「大丈夫よ、ある程度は手加減してあげる、ただ『ジュウツツ』がどんな物かわかればいいから」
やれやれ、ため息を吐き目の前の少女にチラリと視線を送る。
白いタンクトップと白いホットパンツの間から適度に付いたお腹の筋肉が覗き、
その白いホットパンツからは程よく筋肉の付いた白い足がすらりと伸びる。
美しいブロンドの髪の毛が目に眩しい。
世の男性であればこんな美少女と二人っきりになれると言うのは、なんとも好ましい
シュチュエーションであったろう。
無論、彼女が手に皮のバンドを巻いてる事無く、
周りがリングで無く、
彼女の親がこの国でも一、二を争うボクサーでなく、
彼女自身が何度か他のハイスクールの生徒との試合のためにリングに上がり、『閃光のセシリア』の二つ名で呼ばれてさえいなければの話だが。
「早くなさい! 掛かってこなければ練習にならないでしょ?」
イライラしたようにセシリアが叫ぶ。
この時代、まだグローブなどと言う物は存在しない。
大人も子供も、金持ちから一般市民に至るまで、通常は手には革のベルトのようなものを巻きつけ打ち合うのが当たり前となっている。
その為に大怪我をする事も珍しくなかった。
(まいったなぁ)
手を前に出しダイゴローは動けずにいる。下手をすれば自身も大怪我を追ってしまうし、かと言ってセシリアを怪我させるわけにも行かない。
と、
ボス!
一気に距離をつめてきたセシリアのボディブローがダイゴローのみぞおちにヒットした。
「あっ! …………が、がぁぁ」
苦しさのあまり背中を丸めてその場に蹲る。
「立てる? ダイゴロー?」
少し心配そうにその様子をセシリアは眺める。
「手加減はしたつもりだったんだけど……たてる?」
「だ、大丈夫です」
苦しそうに顔をゆがめながらよろよろと立ち上がるダイゴローを心配そうに見ていたセシリアは少し様子を見た後、
「大丈夫そうね、じゃあ続けるわよ」
そう言うとまた閃光のような速さで踏み込んでくる。
「くっ!」
それを何とかガードしようととっさに手を出すがそのガードをかいくぐるように素早いラッシュがダイゴローの体を叩いていった。
(仕方ない、お嬢様には悪いけど少しだけ痛い思いをしてもらうか)
執事としては本来あるまじき行為だが、このままでは自分の身がもたない。
「失礼します」 「えっ? きゃ!?」
ダイゴローはタンクトップを掴むと、怪我をしないように優しく背中から落とす。
可愛らしい悲鳴を上げながらセシリアの身体が一回転をした。
ドタン!!
白いリングのマットに其のまま背中から大きく叩きつけられて、「あっ! きゅぅぅ………」
小さな悲鳴がセシリアの口からこぼれた。
何が起こったか分からないという顔でポカーンとした顔をしていたセシリアは、
「!? うあぁっ! い、いたたたた!!」
不意に沸いた腕の痛みに大きく悲鳴を上げる。
ダイゴローがセシリアの腕を締め上げていたのだ。
「い、いたたたたた!! ひ、卑怯よダイゴロー!!」
「これが腕関節技ですお嬢様」
「…………!!!」
声にならない悲鳴を上げながら必死に腕をはずそうとセシリアはもがくが簡単には関節技は外れることなど無い。
「どうでしたか?」ぱっと腕を放した途端
ドス!!
再びダイゴローのわき腹に鋭いパンチが叩き込まれる。
「ぐはぁ!! あ、アギゴォォ…………」
「どう? お返しよダイゴロー」
荒い息を吐きながらじっと恨めしそうにダイゴローの顔を見つめるセシリア。
「は、はい、失礼しましたお嬢様」
脇腹をさすりながら、ダイゴローは頭を下げた。
「やっぱり倒れてる相手を攻撃するなんてサイテーの行為よ」
腕をさすりながら立ちあがる。
「立てる? ダイゴロー」
「はい……あっ!……お、お嬢様……」
「?…………!!」
ダイゴローの視線に気が付きふとその先に目を向けると、タンクトップが外れて胸があらわになってる自分の姿であった。
「み、みた?」 顔を赤くしながら胸を手で隠すとそそくさと試合中に外れたタンクトップを回収する。
先ほど着替える際には自分から脱いだために左程気にはならなかったが、今のは
『ダイゴローに自分のタンクトップを脱がされた』
その事実の恥ずかしさに打ち震えていた。
「大丈夫ですお嬢様、すぐに視線をはずしましたので!!」
後ろを向くと先ほどの着替えのシーンと、今のシーンを思い出されてくる。
適度な大きさの形のよい胸は白くて柔らかそうな印象を受ける。
「すいませんが一寸体調が、今日の練習は……」
そういってクルリと振り向いたダイゴローに、
ドン! 視線いっぱいに広がるぐらいセシリアの顔が近づき、
其のままもつれ込んで倒れるように二人はリングの上に転がった。
「お、おじゅうしゃま?」
思わず変な発音がダイゴローの口から漏れる。
そこには上半身裸で馬乗りになったセシリアの姿が広がった。
「……お仕置きよ!! ダイゴロー!」
そう言うとぺちぺちと自分の胸をダイゴローの顔に打ち付ける、汗と甘い体臭と柔らかな感触がダイゴローの口や頬に当たっていく。
「や、やめてください、お嬢様」
「何言ってんのダイゴロー、ここはファイティングポーズをとってやる気満々よ」
股間をまさぐられて思わずかすかな悲鳴がダイゴローの口から漏れ、クスクスとセシリアはその様子をおかしそうに見つめた。
「どう? ダイゴロー、倒れて動けないところを攻撃される気分は?」
そう言いながら皮のベルトを巻いた手がダイゴローの物に触れる。
「ふわぁ!?」
奇妙な悲鳴を上げながらダイゴローは身を震わせた。
「良いのよダイゴロー、私の胸触って、反撃しても」
そういわれダイゴローの手がすっとセシリアの胸へと伸び、
「ふにゃぁ!」
その柔らかな胸に触れた。
可愛い声を上げながらセシリアはダイゴローの身体の上でイヤイヤをする。
だが、その手は休むことなくダイゴローの物へとラッシュを続ける。
その巧みな指捌きは徐々にダイゴローを高みへと押し上げて行く。
ダイゴローの指先にも柔らかな胸の感触が手に気持ちよく、触るたびに顔を真っ赤にしたセシリアが動くのも、見ていてとても気持ちのいい物である。
「あ、あ、あぅぅう、気持ち、気持ちいよぉダイゴロー!」
そんなセシリアを眺めていたダイゴローは、
「あ、くぁああ!」
堪え切れずセシリアの手の中へと自分の物を発射してしまった。
「ああ、ダイゴローのものが私のに……」
ウットリとしていたセシリアは、
「ふふふ、大事なベルトを汚したわね」
そう言うとクルリと後ろを向き、
「罰として、このまま私の口で舐めとってあげますわね」
そう言うと白いホットパンツに包まったお尻を顔に近づけ、そのまま口をダイゴローの物に近づけるとぺろぺろと残った精液を舐め取り、口の中にカプリと咥え込んだ。
「くぅあぁぁぁぁぁああ!!」
あまりの刺激に大きくダイゴローは悲鳴を上げる。
目の前にはホットパンツを履いたままのセシリアの可愛いお尻が挑発的に揺れている。
「……どう? 脱がしてみる?」
「……はい」 そう一声声をかけるとホットパンツをずりさげ、
チュプリ
「フニャン!!」
大事な割れ目部分に指を突っ込んだ。
先ほどからもうすでにたっぷりと濡れており、金色の毛も自らの愛液でたっぷりと濡れている。
「……可愛く濡れておりますよお嬢様」
「そ、それでは私がHな子みたいではないですかダイゴロー、これ貴方への罰です〜」
しゃぶっていた口を離すとイヤイヤと首とお尻を同時に振るセシリア。
「そうでしたね、僕の‘物,とお嬢様の‘口,の真剣勝負でした」
そう言うと少し指を強くかき混ぜる。
「ああん、ん、ダ、ダイゴローちょっと待ちなさい!」
「だめですお嬢様、止めて欲しければもっと頑張って口を動かしてください」
「ふ、ふぅぅぅうう…………!!」
ダイゴローに言われてセシリアは夢中で目の前の物にしゃぶりついて行く。
「ほらほら、早くしないとここがヒクヒクして参ったしそうですよ? 良いんですか?」
「ひゃ、ひゃめ〜」
必死になってダイゴローを気持ちよくさせようとしているのがセシリアの様子から伝わってくるが一度発射した後だと次の充電には時間がかかるため、いくらどう頑張ってみても、セシリアの負けは動かない物であった。
(まあ、意地悪せずに逝かせてあげるか)
クリッ
「ア!! ハニャアアン!」
セシリアの肉突起を優しく捻ると、お尻の穴に指をゆっくりと挿しいれ、そのまま割れ目の指を激しく揺すり始める。
それははっきりとセシリアをKOさせる目的の動きであった。
「アアア!! も、もうだめ、我慢できない!! だ、駄目! 駄目!」
金色の髪を振り乱し、白い肌を全身汗でテラテラと濡らしながら、野生の馬のように大きくセシリアは全身を仰け反らせる。
「ああ、好き! 好きよダイゴロー!! 駄目! もうだめええぇぇ!!」
ブシュウウウ!!
ダイゴローの顔に大きく愛液を掛けながらガクリと倒れこむセシリア。
「……ぼ、ぼくも、もう!!」
その顔にダイゴローは自分の精液を浴びせかける。
「あああん、 ダイゴローの温かくて美味しいですわぁぁ……」
ぺろぺろと自分の顔にかかった物を舐め採りながらゆっくりと少女は失神して行くのであった。
「ダイゴロー、それでね、こう、きたところに、こう、パンチを当てましたのよ」
「はいはい」
体中痣だらけでうれしそうに何度も今日あった出来事を説明するセシリア。
よほど、その日本人娘に勝ったのが嬉しかったのであろう。
紅茶を啜り、焼き菓子を食べながら話は尽きない。
「でね、て……聞いてますの? ダイゴロー!?」
もう何度も同じ話を聞かされている。
「もちろんですよお嬢様」
「そう………ところでダイゴロー、今日のはいつもより温めみたいですけど?」
ティーカップを手に持ち不思議そうな顔をするセシリア。
「ああ」
ダイゴローはそれに答えた。
「だって今日は口の中を少し斬っているのではないですか?」
そう言われてセシリアは口を押さえる。
「だから沁みないように、ですよ、セシリア様」
そう言うと少年はクスリと微笑んだ。
漢字に変換する所とひらがなで表記する所の使い分けはどういう基準でやってるのか気になる
格闘派お嬢様……これは新しいw
ダイゴローもカワイイよダイゴロー。
一応通し番号振ってあるから投下終了なのは分かるんだが、
終わったら一言くれるとレスしやすくなると思う。
しかしだが、寝技卑怯となると
西洋的にレスリングはどーなんだ?
たったままに拘るとなると・・・相撲?(笑
細かいところですまん
人が倒れる=ノックダウンしてる、って思考なんだろ。だから倒れてる相手に攻撃は卑怯ってなる
ただ抑え込むために倒すって考えがそもそも無いだけかと
593 :
名無しさん@ピンキー:2009/07/24(金) 09:24:45 ID:setuXEG9
あげ
挙げ
いいもの読んだ
おぜうさま
なにかしら
じいや、だいしゅき。
「くぅぅ!儂よりこの執事の方が良いというのか孫よ!
ええぃ!こうなったら首にして……いやそうするとますます嫌われて……。
ああ、儂はどうすればいいのだ!!?」
「旦那様落ち着いてください」
なんだその可愛らしい爺さんたちは
萌えてしまったじゃないかw
久しぶりに書き込みです。
「ちょうど良かったわ、ダイゴロー見てこれ」
この屋敷の使用人であるダイゴローが部屋に入って来たのを見て
名門『レイフィールド』家の一人娘『セシリア』は、
ペロリ。
と、自身のスカートを捲り上げた。
当然、あまりにもとっぴな行動に、ダイゴローは慌てふためく。
「わ、わわわ!! ナ、何をされてるんですか!?」
「新しい下着が届きましたの、可愛いでしょ?」
使用人である『ダイゴロー』は慌てて目を背けるが、
スカートを胸の辺りまで捲り上げて『これこれ』と指をさす。
シルクで出来たそれは2段重ねのレースがついた、銀色のショーツであった。
「これね、すっごく履き心地がいいのよ、ねえダイゴローどう?」
「えっ!? 私が履くんですか!?」
「違うわよ!」
思わず間抜けな質問をする使用人に驚いて目を見開く。
「触っても良いわよ」
『ほれほれ』 と、セシリアはスカートを捲り上げたままにこりと笑う。
「どうせこれからは貴方が着替えのとき履かせてくれるんだし今から触ってみてもいいじゃない?」
(何て理屈だろう)
年頃の娘とも思えないセリフだ。 が、しかし、実際これから着替えの時にセシリアにショーツを履かせるのは確かにダイゴローの仕事だ。
第一、今までも幾度と無くセシリアの肌に触れてきた。
「それでは……」
ひざ立ちになると恐る恐るダイゴローは指を近づけ、
ピト。
指をショーツにあてがう。
「きゅうぅ………!」
その途端セシリアが小さな声で鳴く。
ハッとして手を離そうとするダイゴローの手をそれより早くセシリアの手が握る。
「いいから続けて!」
「あ、は、はい」
ペタペタ、サワサワ。
セシリアはダイゴローの手を握ったままゆっくりと動かし続ける。
「ど、どう……ダイゴロー、き、きもちいい?」
「はい」
シルクで出来たスベスベとしたショーツ越しに、セシリアのふにふにと柔らかい感触と温かな感触がじっくりと伝わってくる。
ふと見ると、しっとりと濡れ始めているようにも感じる。
(これが対戦相手から『閃光』と恐れられてるボクサーだとは……)
きっと誰も信じられないだろう。
つウィー。
「きゅううぅぅ!!」
大きく上半身を仰け反らせて、大きな鳴き声をあげるセシリア。
喉を上に向けて体を揺する。
ダイゴローの指が、クレバスに食い込んでるショーツに触れたからだ。
「あ、ああ、ダ、ダイ、ダイゴロー、そこはいやらしいとこですぅ!」
「自分から触らしておいて何を仰っているんですか?」
「ひ、ひゆいです、ダイゴロー……」
ろれつが回ってない。
顔を真っ赤にしながら、止めようとしているのか、それとももっと続けようとしているのか解らない強さでギュウと手を締め付けてくる痛さに顔をしかめると、
「痛いですよセシリア様」 そう呟き、開いてるほうの手で、
クリ。
と、ちょっとショーツを押し上げてるふくらみを弄る。
「あ、ひ! ひゃああ!!」
ひときわ大きな声を上げた瞬間スカートを持っていた手を離してしまいパサリと手にかかる。
「も、もう駄目!」」
そう言うと、スカートをすると脱ぎ去りそのままダイゴローの頭を掴むと、ぎゅっと自分のショーツに押し当てる。
「あ、うく、んんん」 「お、お願いもう我慢できないのダイゴロー」
ダイゴローの顔に暖かいセシリアの体温がじかに感じられ、セシリアの‘匂い,が直接感じられる。
「ちょ、ちょっと待って下さい!」 「だめ! ダイゴローもう我慢できない!」
くにゅくにゅとダイゴローの顔に激しく自分のショーツを押し当てていたその時、
『あ、あんた達、いったい何ヤッテンのヨ!!』
「なっ!?」
大慌てでセシリアはそちらを向いた。
何時の間にドアのところに立っていたのであろう。
フリルのついたピンクのドレスを身につけ、頭の横に金色の‘ドリル,をつけた少女が、驚愕の表情を浮かべ、じっとこちらを睨んでいた。
「な、な……!! 何で、あなたが……ここにいますの!?」
慌ててセシリアはダイゴローから離れると動揺しながらも、キッと目の前の少女を睨みつける。
『いつまで呼んでもあんたが来ないからヨ、ソコのあンたの召使もあンたを呼びに言ったっきり戻ってこないシ』
「だ、だからって、勝手に入ってくるなんて、ま、まあ、無礼なのはしかたありませんわね、流石シャーロッテさんですわ」
「フン、客を待たせて昼まっから情事に耽るなんて流石に‘名門,はちがいますワネ」
お互い今にも噛み付かんばかりの勢いでジッとにらみ合う。
(まるで縄張り争いをする猫みたいだな) 服の乱れを直しながらダイゴローはそんな事をふと思う。
‘ドリル,の美少女は、マクファーレン家の一人娘で『シャーロッテ』
事あるごとに、セシリアと喧嘩しているいわばライバルのような存在だ。
ただ残念な事に、勉学でも、スポーツでも、頭一つ以上セシリアに差をつけられている。
近隣の学園どころか国内でも有数の実力を持ち、親善試合として各国の選手と試合をしているセシリアに対して、学年チャンピオン止まりのシャーロッテとしたら、好ましくは無いのは当然だろう。
フゥー、フゥー! と荒い息を立てて睨み合う両者を、それぞれ引き剥がす。
「セシリア様落ち着いてください、確かにお客様を待たせた此方にも非はあるのですから」
「お嬢様、宜しいではないですか、どうせ後で……」
シャーロッテを引き剥がした少年がこっそりと耳打ちをする。彼の名前はリオン。
代々マクファーレン家に仕え、シャーロッテが学校に通い始めたのをきっかけに、彼女の身の回りを世話している。
一見すると女の子と間違えそうな容貌と体格をし、少し長めに伸ばした亜麻色の髪がソレに拍車を掛けている。
「で、いったい何の用かしら?」
少し落ち着いたセシリアがシャーロッテを睨みながら不躾に質問をする。
今にも
グルルルル、と、喉を鳴らしそうだ。
「今日こそ貴方との決着をつけに来たのヨ!!」
ビシリ!
シャーロッテが指をセシリアに向ける。
「決着って……貴方との勝負なら全て付いてますけど? わ・た・し・の全勝で」
「う、うるさい! うるさい! うるさい!! い、いいからさっさと勝負しなさい!」
「お帰りくださる? 私はそんなに暇じゃないですし」
ソッポを向いて手のひらをパタパタと振る。
「な、なによ! さっきの事皆に言いふらしてもいいの!?」
「別に」
もう殆ど相手にもしない。
と、突然シャーロッテは目に涙を浮かべると大声で泣き出した。
「な、何よ! 何よ! 人がわざわざ時間を作って来たのに散々待たせてその態度!! 最低! 最低! 最低いぃぃぃいい!!」
ばたばたと暴れまわる。
「解りました、では少しだけお相手してあげますわ、ダイゴローこの方たちを案内してあげて、私も着替えてすぐ行きますから」
「承知いたしました」
ぺこりと頭を下げると、二人をリングの置いてあるトレーニング室へと案内するため、部屋を後にした。
「さっきも言ったけど私忙しいの、さっさと終わらせるから」
トレーニング用のウェアを身につけて、コーナーポストを背にするセシリア。
グレーを基調とし、トップスが胸周りを、ボトムが腰まわりをわずかに隠している。
「さっさと着替えなさい、それともそのまま試合するの?」
リング下のシャルを睨むと、
「誰がアンタ程度と私が試合するの、闘うのはコイツよ」
グイ、と、傍らに立つ執事の影にシャルは隠れる。
「は、ん、大口叩いといて逃げるの? まあ良いですけど、誰が相手だって」
「やれやれ、失礼します」
そう言うとリオンがロープをくぐりリングへ入ってくる。
上着と靴だけを脱ぐと軽く身構えた。
「な、男相手なんてそんな……!」
「私は良いわよ、ダイゴロー」
スッと抗議を手で制す。
上着を脱いで分かったが、やはりさほど筋肉が付いていると言うわけではない。
いや、体格にしろ、背丈にしろセシリアと比べると小さく感じる。
「まあ、運が悪かったと思って諦めてね、私手加減しないから」
パン! パン! 皮布を巻いた手を叩き合わせながらジッとリング下のシャルを睨みつけるセシリア。
それにビクリと気落とされながら、
「ま、負けたら承知しないわよ! リオン!」
檄を飛ばす。
「ま、本当なら女の人を傷つけたくは無いんですが、ご主人様の命令なので」
シュ、シュと軽くパンチを打つ動きをする。
「どうでしょう、セシリア殿、どうせなら完全決着のためにもどちらかが戦闘不能になるまで、というのは」
「たいした自身ね……私はかまわないわよ」
「ちょっ! セシリア様! いけませんそんな事を」
慌ててダイゴローが停めに入るが、
カツカツとシャルが歩み寄ってくる、そして 「さっきからアンタうるさいわよ! 少し黙ってなさ……い」 そう叫んだ後に、じっとダイゴローの顔を覗き込んだ。
「そういえばアンタその黒髪、その目、もしかしてチャイニーズ?」
「いや、ぼくは日本人ですが」
ジッと、シャルはダイゴローの目を見た後、フゥン、と言い、
「決めた! 私が勝ったらセシリア、アンタの‘大事な物,もらうわよ!」
大声で宣言し、びしりと指をさす。セシリアは一瞬驚きで目を丸くした後、
「いいけど、私がコイツをボコボコにした後は貴方にはイングランド中を全裸で走ってもらうわよ」
冷たく言い放つ。
「いいですよ、どうせ私は負けませんので」
リオンはチラリとセシリアを見つめる。
「良い執事を持ってるわねシャーロッテ、二人仲良くボコボコにした後、全裸確定ね」
ギロリとリオンを睨み付け試合のゴングが鳴らされた。
その瞬間セシリアは矢のように飛び出す。
今までの怒りをぶつけるように矢継ぎ早にパンチを繰り出していく、リオンはそれをかろうじて避けている。 いや時々何発かパンチを受けて苦痛の表情をしている。
やがてロープ際まで追い詰められて、セシリアの怒涛のラッシュが始まる。
リオンは亀のように縮こまり、ガードを固めているが、ガードをこじ開けるように情け容赦なくパンチの集中砲火が飛び続けていた。
「ちょ、ちょっと!! リオン早くやり返しなさいよ!!」
リング下でのシャルが悲鳴を上げる。
「……かわいそうね、貴方も困った主人を持って」
「いえいえ、あれでなかなか、可愛いとこも在りまして、たとえば…………」
そういった正に瞬間。
ヒュンとリオンはセシリアの腰の下辺りにタックルを掛けた。
「あっ! うくぅ……」
ドシン! 急に組み付かれてそのまましりもちを突いた、まさにその瞬間、
「ふにゃああああ!!」
セシリアは大きく悲鳴を上げた。 リオンの舌先が、セシリアのおへその辺りを嘗め回している。
「ふふふ、うちのシャルもね、可愛いい声をあげて鳴くんですよ?」
ピチャピチャ、いやらしい音がリングの上に響く。
「ひ、卑怯だぞ!」 ダイゴローがロープをくぐり中へ入ろうとするのを見たリオンは、それを手で制する。
「入ってきたら、お前の主人の負けだぞ? いいのか?」
「!? だ……駄目……ダイゴロー」
自分が負けたら、ダイゴローがあいつらの手に渡ってしまう、そんな事は絶対にさせるわけには行かない。リングの下でダイゴローは悔しさと不甲斐無さで唇をかみながら両手をきつく握り締める。
「良い召使をお持ちで、では続けますよ」
ネットリと舌先がセシリアの体を嘗め回し、その度にビクビクと身体が震えていく。
「おやおや試合中なのにここがほら、こんなになってますよ?」
すっと、ウェアーのトップを捲り上げ、ぷっくと膨らんだ二個の突起に指をはわし、クリクリと弄り回す。
「ふああっー!!」 大声を上げら上半身を仰け反らせ、ばたばたとセシリアはもがく。
「良い感度ですね、うちのシャルよりイヤラシイ体かもしれませんね」
胸を揉み解しながら、体に舌を這わしていくリオン。
形良く、大きな膨らみは手の形に合わせてムニムニと形を変えていく。
「ギブアップしたらどうです? セシリア殿?」
リオンが耳元でセシリアにささやく、フゥーと息を吹きかけるのも忘れない。
「ああ!! だ、だれが! うううぅぅ」
身体が異常なまでに反応し、全く抵抗できない。 ロープを掴んで、歯を食いしばり、攻撃に耐えるので精一杯だった。
耐え切ればきっとチャンスは巡って来る。それに今ここで降参をしたら。
(ダイゴローがあいつらの手に渡っちゃう、それだけはなんとしても防がなければ!)
「ここはもう我慢の限界ですよ、お嬢様」
ピンと張った胸の先端を指で何度もコリコリと弄り回される度に、きつく結んだ唇から悲鳴が漏れる。
「この真っ白い肌、この美しい髪、程よく付いた筋肉に、このすばらしいまでの感度、全く主人を取り替えたい物ですよ」
執拗なまでに胸を責め立て、お腹の周りは唾液と汗が入り混じり、てかてかと光を放っている。 それ以上にグレーのボトムはセシリア自身の体液でびしょびしょに濡れていた。
だが心の奥底の誇りと‘大切な物を守りたい,と言う気持ちが、小さなか細い炎の様に、
セシリアの心を繋ぎ止めていた。
「リオン! 何もたもたしてるの! 速くイカセちゃいなさいよ!!」
「はいはい、ご主人様、今ヤリますから……まったく、悪いけどそう言う訳だから遊びはここまでにしますよ」
そう言うとリオンはセシリアのボトムに手を掛ける。
「い、いや、止めて! そ、それだけわ……!」 力なく掴む両手を払いのけ、
セシリアの懇願もむなしくリオンはボトムをずり下ろす。 良く手入れをされた薄い金色の草原は、露草に濡れて、てらてらと輝いている。
「僕は女性を見ただけで性感帯を探り当てる事が出来るんですだからどんなに抵抗しても無駄ですよ」 にこりと告げると、
チュプリ。
「あ!? だ、だめ!!」
セシリアの蜜壷に指を差込み、ぐチュぐチュと、ワザとイヤラシイ音を立てながら拡販し始めた。
「あああ、いや! や、やめて! とけちゃうう! ドロドロに解けちゃうう!」
体を激しく揺さぶりながらもがくが、二本の指はセシリアの中で激しく拡販を続け、さらに、ぷっくりと膨らんだ突起も情け容赦なく責め立てる。
「ほらほら、抵抗してると、お腹の中の蜜がぜーんぶかきだされちゃいますよ〜」
フンフンと鼻歌交じりに、セシリアが抵抗する姿をリオンは楽しむ。
体を仰け反らせ、口から唾液交じりの悲鳴を上げながら、それでもセシリアは襲い掛かる快楽の波に必死に耐えていた。
「まったく、うちのシャルは3分と持たなかったのに……」
半ば呆れた様に告げると、
「では特別にがんばるセシリア様にご褒美を上げちゃいましょう『らめ〜、セシリアのイヤラシイおXXXからイヤラシイミルクがどぴゅどぴゅれチャウの〜』と言えたら赦してあげますよ」
トントンと三ヶ所の突起物を指で軽く叩きながら、意地悪な笑みをリオンは浮かべた。
「おい、お前! いい加減にしろ!! これ以上セシリア様を愚弄するな!!」
思わず激情に駆られたダイゴローは大声で叫び、シャーロッテと、リオンはそちらを振り向く、
と、
(今だ!!) 考えるより先に右手が動いていた。
ヒュンと音を上げて走った稲妻は、狙いたがわず目の前の標的の顎を打ち抜いた。
「ぶぅお!!」
間抜けな悲鳴を上げてリオンが吹き飛ぶ。
「ほ、本当なら、こんな事したくないのですが……」
そう言うと、ドカリとリオンの上に馬乗りになり、拳を顔と言わず腹と言わずに振り下ろしてゆく。
しばらくし、リオンが完全に動けなくなったのを確認すると、ゆっくりと立ち上がり右手を高々と上げた。
「ひ、卑怯よ! 声をかけた隙を突くなんて」
恐怖で腰を抜かし、動けなくなっているシャルにゆっくりと近づいてゆくセシリア。
「遺言はそれだけ? 」 ボトムだけ履き直し、上半身はそのままにゆっくりと近づいていく。
「安心なさい、御家には、貴方は立派に闘って死んだって告げますので」
全身から殺意のオーラを放ち、まるで魔王のような有様に、シャーロッテはガクガクと振るえ、ジョロジョロと足の間から温かい液体がこぼれる。
そしてまさに拳が振り下ろされようとした瞬間。
「ま、まて、僕はまだ……闘えます、リングに……戻りなさい」
ヨロヨロとリングの上ではリオンがロープに捕まり立ち上がっていた。
「そう」 冷たく一言言うと、ゆっくりとリングへとセシリアが向かう。
「ちょ、ちょっと待ってください、ど、どうでしょう、皆さん、ここは両者カウントアウトで引き分けってことで」
ダイゴローが慌ててセシリアをとめに入る。
「そ、そ、そう? じゃあ、ぜ、是非そうさせて頂くわ」
ぼろぼろと涙をこぼしながらゆっくりとシャーロッテが立ち上がる。
「い、い、行くわよリオン!」
「は、はい、お嬢様」
よろよろとシャルに近づくと、ぺこりとセシリアとダイゴローに頭を下げる。
「う、うう、つ、次は、次は勝って見せるんだから……」
泣きながらずるずるとリオンを引きづる様に肩で支えて、シャーロッテは退散していく。
「あきれるわ、しつこさだけなら貴方がチャンピオンね」
ハァとセシリアがため息をつくと、
「なっ!? あんたこそイングランドチャンプのベルトに固執してあんなに辱めに耐えてたじゃない!!」
「え? ああ!?」
どうやら勝手にセシリアが勘違いしていたのだ。
「ま、紛らわしい事するから……!」
よろよろと立ち去る二人を見つめ、完全に姿が消えるのを見届けると。
「ン、ンン、ダイゴロー、こういった試合のためにも訓練しときましょう、今すぐ!」
ドキドキしながらクルリとダイゴローの方をセシリアは振り向くと、
「セシリア様、残念ですが今そこまでご両親が戻ってきてます」
窓の外をチラリと見やり、
「ふにゅうううぅぅぅ……」
セシリアは寂しげに鳴き声を上げた。
有難うございました。 次回があればもう少しHにします。
ではまた〜。
あればって何だよ
お前自身のやる気の問題だけだろ
N2RwWQ2qのような馬鹿の有無だな。
GJ!おもろかった
私用が立て込んで一か月以上間が空きましたがようやく後編になります
誘導先のスレもあったのですがここでいいという方が多かったので
こちらに投下させていただきたいと思います
他スレにも投下してるので今回よりトリつけました。
NGワードは「翼或鬼異聞」でお願いします。
あの日、私が神山と交わした契約。
『その身が滅するまで人間の天敵と闘い続ける
盾となり、剣になりなさい
私の下僕になるなら貴方に命をあげる』
命を助ける代わりに、その身を捧げ使役する。
神々の現し世での器、人という身でありながら
畏怖と戦う唯一の力を持つ事が出来る
異形の戦士”神降ろしの形代”として生きる事。
それが命の代償。
その日から神山司狼は、
私が「畏怖」と対峙し続ける限り戦い続ける隷属の徒となった…筈だった。
ただ、私の中の一族の血がすっごく薄いせいで従順な下僕にする予定が
少々、狂った、訳ですが…
神山はぐるると喉を鳴らしながらその大きく裂けた獣の口を開いた。
「我が主よ、御命令を」
声色は彼のそれだけれども、口調は全然違う。
彼の体には私達の一族を守護する数多の獣神の内の1柱、
地の神・狼丸の魂が宿っている。
今彼の喉を震わせているのは狼丸なのだ。
『痛ーっ…体が作り替えられんのは何回やっても慣れないなぁ』
同じ声色でまた彼が口を開くが、こっちは神山本人の言葉だろう。
今、神山の体の中には狼丸と神山司狼の二つの人格が存在しているのだ。
人だった時よりも体が二回り位大きくなり、筋骨隆々としている。
獣の顔が人語を話す奇異にも慣れたつもりだったけど、こうやって至近距離で
それを見ると、やっぱり未だに不思議だ。
声帯だって人のそれとは違うだろうに…と私がまじまじと見てると
目の前の獣はその視線に困ったように人の姿だった頃と同じように少しだけ片眉をあげた。
毛むくじゃらの犬面なので表情はよくわからないけれど、そう見えた。
『ご主人サマー?早く片づけないと人が来るよー?』
抱えたままだった私を水飲み場の上に座らせて、
神山だった獣はニヤリと鋭い歯を剥いて笑う。
そうだった、何度見ても不思議な神降ろしに気を取られていたけれど、
今は緊急事態でした。
水飲み場の上に立ち上がって、畏怖に向き直ると両手を翳し精神を統一する。
畏怖の弱点を感じられる事
鬼の血が薄い私が使える数少ない能力だ。
ただし、すんごい集中しないと出来ないんだけども。
『なー、早くーめいれーしろよ。こんなデロデロの奴相手にすんの初めてなんだからさー』
「司狼、貴様はまだ主様にそのような口の聞き方しておるのか!」
「………」
集中…集中しなきゃ…無視よ、無視無視!
『えー、だって椿さんはクラスメイトだしー?今更無理っしょ。
いいじゃん、今は体半分犬太郎が傅いてんだから』
「我の名は狼丸じゃ!誰が犬太郎ぞ!ただの肉の器の分際で神をも愚弄するか、司狼!」
「二人ともうっさい!精神集中出来ないでしょ!喧嘩なら脳内でやりなさい脳内で!」
私が水飲み場に立ったせいで見下ろす形となった狼頭に
思い切りグーでゲンコツを落とした。
なんか狼丸も最近神山の影響からかすっとぼけた性格になっている気がする。
そうこうしている間にも、私達の周りを取り囲むように
ゲル状の畏怖がヌラヌラと泥寧のように広がっていく。
ただ先ほどまでとは違い己が天敵である獣神を前にして
不用意に襲ってくる真似はしてこない。
円を描くように間合いをとりこちらの様子を伺っているようだ。
改めて気をこめて畏怖に手を翳すと、ある一点で手のひらにジクリと痛みが走る。
あそこだ!
「右奥の泥濘の中にひと際強い念の塊を感じる!
きっとこの畏怖を形成している核があるわ。そこ中心を攻撃して」
「承知!」
言うが早いか、神山は右手を目の前の畏怖に振り上げた。
無尽蔵に広がっていた畏怖が潮が引くように後ずさる。
次の瞬間、獣の雄叫びをあげ神山は畏怖の中に飛び込んでいった。
まるでサバイバルナイフのような鋭利な獣の大きな爪が
無尽蔵に広がった畏怖を滅多切りしていくと、それは断末魔の叫びをあげて蒸発していく。
『何だ、大きさの割に対して強くもないな。トロくてモロい』
意識と実体をもっているとはいえ動きの遅いゲル状の畏怖は、
素早い獣神・狼丸の敵ではなかった。
あっという間に畏怖は当初の半分ほどまで小さく削られた。
その圧倒的な力の差に形勢不利と判断したのか逃走を図ろうと畏怖は
再び這いでてきた地面の割れ目に戻り始めた。
「むっ!逃げるか!」
地面の中に戻られると、再び地上に現れるまで待つしか
もう倒す方法はなくなってしまう。
大きな泥だまりのように動かなかった畏怖が
堰をきったように割れ目に流れ込み始めると、
ドス黒い物体の中に赤く光る小さなゴムボールのような固まりが覗いた。
その赤い塊が一際濃い瘴気を放っているのを私は見逃さなかった。
「割れ目に入っちゃう!あの赤いのを狙って」
『よっしゃ!あれだな!』
それは一瞬だった。
身構えた神山の両手が勢いよく空を斬る。
その瞬間、畏怖の泥の闇が一直線に斬り裂かれた。
そして地面を蹴り上げた影は一気に裂け目の末にたどり着き、
核を守らんと分厚く重なる泥寧の中より強引に畏怖の核を奪い取った。
核の周りにはまるで眼球に絡まる血管のように
畏怖の枝葉が纏わりついていたが無理やり引き千切る。
ブチブチと嫌な音がして核を引き剥がすと、畏怖は意志を失い絶叫をあげた後、
そのままドロリと固まったまま動かなくなった。
「滅せよ、異形め」
赤くまがまがしい光を放つ核を神山は思い切り爪をたてて握り潰す。
核はぶちゅりと気味の悪い音を立て潰れ、赤黒い液体を神山の右手に滴らせた。
その途端、辺りを包んでいた禍々しい気配は消え去り、
先程までと同じ、わんわんと蝉の鳴く蒸し暑い夏の午後に戻った。
「……やった…の?」
張り詰めていた空気が緩むのを感じ、私は大きく息をついた。
畏怖がいる場所には、どのような生物も本能的に恐怖を抱き近寄らない。
全ての生きとし生けるもの天敵である畏怖の気配を感じる事が出来ないのは、
生物としての色々な本能が薄れた人間位だ。
だから畏怖は容易に捕らえる事の出来る人を襲い、喰らう。
こうしてまた蝉がやかましい位に鳴いているという事は、
どうやら今回の畏怖も私達はきちんと始末出来たという事のようだ。
『……うぉおおおお、汚いぃぃぃ。何か臭いし』
何か喚く神山を見れば己の右手にまとわりつく赤黒い液体に愚痴を漏らしていた。
「仕方ないわよ。悪意の塊はヘドロみたいなモンなんだから、汚いわよ。」
畏怖を形成していた泥寧と同じような粘質を持ったそれに神山は、
耳を逆立て尻尾をパタパタさせて嫌がった。
悪臭を放つそれに大きな口をパクパクさせ、鼻をキュウキュウ鳴らして嫌がる
その様子は子犬の様で、先程まで咆哮をあげていた
恐ろしい人狼の表情とは全然違っていて、
私は思わず吹き出してしまった。
「アハハハ、そうしてると狼丸って本当に犬みたい」
「主様!狼丸は狼にございます、主様まで
人なぞに飼い慣らされた犬如きと一緒にしないで下さい」
『狼飼ってると犬になるんだろ?一緒じゃないか?』
「違うと言っておろう!貴様も一緒にするな、司狼!……むっ、誰か来る」
耳を欹てた神山が校舎の方に向き直ると、緊張が走った。
「何だ?そこに誰かいるのか?」
校舎の方から人の声。やばっ、見回りの先生か?それとも用務員?
「まずいっ…隠れなきゃ。神山こっち!」
『え?この畏怖の死骸どーする…』
「馬鹿!今のあんたが見つかる方がもっとマズいの!こっちこっち」
まだ大量のヘドロ化した畏怖の残骸とか残ってたけど、それどころじゃないし!
用務員さんには悪いけど、
これは謎のヘドロ投棄事件という事で後始末お願いしますっ。
えーっと、ここより人目に付かないって言うと…旧校舎?
私は神山の手を引っ張って、今はもう使われていない旧部室長屋まで走った。
3年前からほとんど使われなくなった木造の旧校舎は、玄関こそ鍵がかかっているけど
一階に並んだ教室の窓のいくつかは施錠されていない事は生徒達の間の公然の秘密。
たまに入り込んで落書きしたり悪さしたりしている不良さんもいるみたいだけど
今日みたいな茹だる様な暑さの昼日中、窓も開けられないような通気の悪い場所に
誰も好き好んで居座るような気合の入った馬鹿はいない。
ここならば今の時間でも目立つ狼男を隠せる。
『はー、冷たくて気持ちいいー…生き返るー』
まだ生きている水道で腕を洗っている神山の尻尾がぱたぱたと揺れている。
後姿だけを見ると服を着て後ろ脚で立つ大型犬といった風情だ。
「ハイハイ、どーでもいいから早くしてよね。
ここだっていつ先生来るかわかんないんだから」
『だいじょーぶだって。夜によーむいんのおっさんが見回りくるまで誰もこないって』
「ってこらっ!こっちに水飛ぶっ!洗うのは手だけにしなさいよ!」
水道の蛇口の下に頭まで潜り込んだ神山がぷるぷると身震いをして水気を飛ばす。
「申し訳ない主様…どうにも水を被るとこうせずにはおられず…」
どうやら神山の意志とはまた別に狼丸の無意識下の行動でもあるらしい。
『別にいいじゃん。暑いんだから椿さんにもお裾分けだよ、どうせすぐ乾くし』
細かい水飛沫がかかって私の制服も
神山のそれと同じようにびしょびしょになり、
もう剥がれかかったワックスの床にも大きな水たまりがひろがっていく。
「あー…もう! いくら暑くてすぐ乾いても制服張り付いて気持ち悪いでしょっ!」
飛沫を飛ばすのを止めようとしない神山に焦れて、
私は開けっぱなしだった水道の蛇口を閉めた。
憤慨遣る方なしといった顔で未だ蛇口の下に頭を潜らせたままの神山を見下ろすと
悪びれない琥珀色の獣が水を滴らせ私をチロリと見上げた。
『気持ち悪いなら、脱げば?』
「……え?」
『どうせ最初から脱ぐ予定だったんだから、今脱げばいいじゃん』
獣がぐるりと喉を鳴らした。
「ちょっ……こ、ここでするの?」
『だってここから出て他の場所でって訳にもいかないでしょ?
俺も早く戻りたいし。早く”神返し”しようよ』
神山が私の手を取り、ぐいぐいと校舎の奥へと引っ張っていく。
じたばたと焦れる私をガン無視した神山は目当ての部屋の前に来たのか、
強引に教室に押し込める。
「嫌よ!こんな埃っぽくて暑苦しい場所なんて……って、えっ!?」
教室の中に入って私は絶句した。
連れ込まれた教室はカーテンが閉め切られ、
黒板側に重ねられた椅子と机が寄せて積まれている。
が、大きくあけられている筈の床の上には
学校という場所には不似合いな物が堂々と鎮座していた。
「…何で教室の中にマットレス!?」
教室のど真ん中にはダブルサイズはあるだろう大きさの
黒いエアベッドマットレスが設えられていた。
『何だ、椿さん知らないの?ここ”保健体育の教室”って言われてんだよ?』
「はぁ!?何それ!」
そういえばよく見てみればこの教室、
扉には鍵がかかるようになっているし
窓が全部カーテンが引かれたままの状態で、
しかも扉の小窓には御丁寧に黒い紙が貼ってあり
外からは一切中の様子が見られないようになっている。
成程、思いっきり連れ込み仕様になっている。
”保健体育の教室”とはよく言ったものだ。
でも、いくら教師の目の届きづらい旧校舎だと知っていても、
まさかこんな所、連れ込み目的で使われているなんて知ってる訳ないでしょー!
『まぁ夏の間は暑苦しくて誰も近寄らないけどねー。ほら、椿さん、脱いで脱いで』
マットレスに座り込んだ神山は両手を広げて手招きをする。
その機嫌を現すように尻尾はパタパタと揺れ、
文字通り物欲しそうなダラシナイ躾のなっていない犬のように
ハッハッと舌を出している。
ああ可哀想に、狼丸。
戦っている時は凛々しい獣の王の品格なのに、
器が神山なばっかりにこんなアホ犬っぽくなって。
…何かこんな感じでだらしない顔で
準備万端に待たれると、思いっきり腰が引けてきた。
しかし、そんな私の気持ちなぞ知る由もない獣は
フンフンと耳元に鼻先を埋めながら
私のセーラー服のスカーフを、
先ほど畏怖を切り裂いた鋭い爪の先で器用に解いていく。
「も…もう少し涼しくなってからに、しない?」
大きな狼の顔を必死に押し返しても、
私よりもふた回り以上大きな身体はびくともしない。
『だってもうさっきから椿さんの汗の匂いとか超ヤバいんだって…早く突っ込みたい…』
「きゃーきゃーっ!何言ってんのよ、ばかみやっ……っひっ!」
スカート越しにお尻に物騒な塊を押し付けられた。
サカリのついた雄の激しい息が絶え間なく首筋に当たって
思わず私は身を縮こませる。
=うう…ケモノくさい……毛がうっとおしい……=
改めて自分の抱きかかえる神山が今は人外なのだと認識する。
「主様……不甲斐無くもこの狼丸、畏怖の血に昂っております。
先程の闘いが容易過ぎて不完全燃焼だった故と思われますが…
これ以上”神返し”を延ばされますと、我も主様を気遣えぬやもしれません」
物騒な事を呟きながら、私を抱きしめる獣の体に力が入る。
いつもは器たる神山の身勝手な行動を制御する獣神に気遣われなくなったら
…っていうか獣の神様に本気なんて出されたら色んな意味で壊される。
マジで。
真夏なのに薄ら寒くなった。
「……わかったから、服位自分で脱がせて?」
私は、観念して自分で制服のボタンを外した。
召喚された神は、召喚した者しか天つ国に戻す事は出来ない
故に、召喚された神を宿らせた”形代”から神を抜く事が出来るのも召喚した者
即ち形代の契約者のみである。
神降ろしとは、神を天つ国より召喚し形代に宿らせる儀式であり
翼或鬼一族の者が契約した神降ろしの形代に封印の石を埋め込む事で成立する
神返しとは、神降ろしをした形代より神を天つ国へと還す儀式であり
形代の神を気を契約者に戻す行為がそれにあたり
それは交接する事により、形代の陽物から放たれる神の気を
主の女陰に吐き出す事で成立する
……簡単な言い方をすれば、獣化した神山とセックスして中出しされなきゃ
狼丸は帰ってくれないって事だ、コンチクショー!
本当に何よそれ、それなんてエロゲ?みたいなさー!
「……ねえ神山、一生獣のまんまでいる気ない?」
『…さっきから何か上の空と思ったら、そんな事考えてたの?』
傷つけないように細心の注意を払いながら、
私の乳房にやわやわと牙を立て舌を這わせていた神山は
顔をあげて怪訝そうに眼を狭める。
「だって、そうすればいちいち呼び出さなくて済むしー、いちいち還さなくていいしー…
ほら、毎回畏怖が出現する度に呼び出してちゃ効率悪いじゃない!って
無視して先に進めないでよう」
何事もなかったかのようにそのゴツイ手で、再び私の体を弄り始めた。
『そんなの却下に決まってる』
獣の鋭い眼光でじとりと睨まれたようで私は思わず身を竦める…が、よく考えたら
私が御主人さまなんだから遠慮する必要なんてないんじゃない!
「ここは御主人様の言う通りに、一生獣のまんまという事で」
『僕、学校どーすんの。退学?ずーっと面倒みてくれるの?』
意外と冷静に正論を返されて、私は言葉を失う。
まぁ、こんな意見が普通に通るなんて思ってなかったけどさー…
「う…でもでも…ここは下僕は下僕らしくさー…」
「いけません、主様。獣神が務めを果たした後も現世に残るのは御法度です。
仮に滅する畏怖もない状態で現世に居座った場合、多くの獣神は荒ぶる神となり
畏怖よりも手のつけられない、人に仇成す怨敵になりましょうぞ」
うう…狼丸にまで忠言されたら何も言えないじゃない。
私が諦め悪く唇を尖らせていると、ぺろりと大きな舌先で舐められた。
『まぁ、妙な事は考えてないで、今日も一緒に気持ちよくなろうよ御主人サマ?』
目の前の獣がだらしなく笑う。
ぴんと張った地の王者の風格がある筈の耳をヘタらせ、
裂けた真っ赤な恐ろしい口の端をやんわりと上げ、
眼光鋭い筈の野生の眼は下弦を描く。
人間よりも表情筋は発達してないだろうに、
ここまでよくも獣の顔が崩せるものだと感心する。
「か…神山はいいわよ。勝手に突っ込んで気持よくなる側なんだから!
そんな丸太みたいな物騒なモン突っ込まれるこっちの身にもなってよっ
い、痛いだけで…全然気持よくなんてないんだから」
『そうかなー?もう何回もしたから慣れたでしょ?ここ』
それでも大きな毛むくじゃらの腕の中で諦め悪くギャンギャンと喚いていると
何の前触れもなく人の股にその野太い指を遠慮も無しに突っ込んできた。
「ぎゃーっ!何勝手に指突っ込んでんのよ!ばかみやまっ、やだっ!やめて!」
『何だ、ホラ。ちゃんと濡れてきてるじゃない…っていうかヌルヌル?』
鋭い爪は収納がきくらしく大きめのつるりとした肉球と
固い毛の感触が私の敏感な部分に擦れる。
そこはもう音が聞こえてくる位に、十二分に潤いを帯びて獣の指を捕らえた。
「いやっ…っち…違うもんっ。汗!汗なの、それっ」
『そうかなぁ?汗ってこんなに粘っこくなかったような気がするけど……』
必死に押し倒されたマットレスの上へ上へと逃げようとするけれど叶わず
強引に仰向けにされた脚を広げさせられる。
夏の暑さもあって強引に割り広げられたそこは、むわっとした汗の匂いと共に
確かに淫らな牝の蜜の匂いがたつ。
「いやぁっ……開くな、馬鹿ぁっ!」
慌てて身体の間を隠そうと手を両手で隠そうとすると
神山の片手でやんわりと捕まえられてしまう。
「主様…しかし、慣らしませぬと辛ろうございます」
「やっ!こんな時にまた狼丸出てこないでっ!何かヤダっ!」
基本的に一族を守護する神は、守護という契約が存在する為に
己の意志で主たる一族の者に汚すような真似は出来ない。
しかし、その神が天つ国へと戻る為には主と身を交わらせなければ
ならないという言わば全く逆の制約がある。
それ故に、神返しを行う際は神の意志ではなく器である形代の意志が必要となる。
器である人間が主を汚すのを本来ならば黙って見ていなければならない…のだが、
狼丸は主たる私への従順さからか黙っていてくれない事が何度かあった。
行為へのアドバイスとか……
正直、本当に勘弁してもらいたい。
行為の参加人数的は2人だけど一人冷静に視姦で参加の3Pみたいな、
何とも形容しがたい気分になるからだ。
または犬の着ぐるみ被った人が一人二役腹話術、みたいな。
「……って、それどんなマニアックプレイ?」
『え、何。椿さん、マニアックプレイがいいの?』
「ぎゃーっ!違う違う、そんな訳ないでしょーっ!!」
思っていた事が思わず口から出てしまったらしく、
その鋭敏になった聴力で聞き取った神山が股の間から訊ねてくる。
『まぁこの状況でセックスも、充分にマニアックプレイだと思うけどなぁ』
「だからっあっ…やあっ!マニアックとか…言わないで…あああっ」
ぽってりと濡れたその秘裂を分厚くてざらつく舌がべろりとなぞる。
その長い鼻先を押し付け、溢れ出してくる蜜を全て舐めとるように舌は動く。
敏感な突起に硬い牙が掠めると、びくりと腰が浮きたった。
『狼男に襲われる女子校生…って十分マニアックだよ』
「はっ…あああっ!やあっ!中、嫌ぁっ!舌やだぁっ」
濡れた表面を舐めとるだけだった舌が、強引に私の奥を割り入ってくる。
長い舌は膣の締め付けに逆らい、獣の唾液と蜜を纏って敏感な膣内を自在に蠢く。
じゅぷじゅぷと勢いよく奥を突いたり、ぐねぐねと中を探るように動いたり
長大な舌の動きは到底人間にはマネの出来ないもので
人の身には過ぎる快感に、意識が白み焼き切れそうになる。
<…普通の人ともエッチした事ないのに…こんなのされたら私駄目になっちゃうぅ…>
一週間前までは、真っ更な処女だったのに。
神山と契約する前まではこんな快感知らなかったのにぃっ!
「かみや…まっ……も…駄目っ…ダメなのっ」
もう耐えきれなくなった私の懇願を聞いてか戦慄き始めた私の内部から
長い舌がズルリと抜き取られる。
獣らしく舌をだらりと下げ忙しなくハアハアと息を上がらせる神山は
太い舌が抜かれてぱっくりと口を開けた肉色の秘裂に
臍まで反った太い欲望に手を添えてゴリゴリと擦りつけた。
『ね…もう入れていい?ハァっ…もう僕も我慢出来な…』
開けっぱなしの獣の口からはポタポタと涎が滴り、
擦りつけてくるその丸太のような狂暴な肉の棒からも先走りが滴り私のお腹を汚す。
「ひぃっん!いやぁっ…そんなの無理ぃっ!そんなの死んじゃうからぁっ」
硬く長大なだけでなくゴツゴツとした血管を浮き上がらせた
凶悪な欲望が秘裂に擦り付けられる度に、
握り拳の様な大きさの先端の張ったエラが敏感な突起を擦りあげる度に
私のそこはまるで娼婦のようにビクビクとはしたない蜜を溢れさせる。
「そんな腕みたいなのなんて入んないよぉっ!裂けちゃうっ!」
それでも、私はもうこの凶器に与えられる快楽を知ってしまっている。
そんな事したくないのに腰が更なる刺激を求めて動いてしまう。
『大丈夫だって…この間も入ったし…ほら、先っぽの方ぱっくり咥えこんでるしっ…』
「っ…やだぁっ!無理ぃ無理なのっそんなの駄目なのっだめだめだめぇっ!」
溢れ返りお尻の下まで濡らした蜜の湧き上がる元に、凶器の切っ先が強引にめり込んだ。
無理っ…本当に無理だよっ!
そんなの挿れたら、裂けちゃう!死んじゃう!
声に出して抗議しようにも音は喉に張り付いて前に出ず、
荒い息を吐いて力の入らないか細い腕で神山の胸を押し返す事しか出来なかった。
私の力ない抵抗などもう獣の肉欲の前には無力だ。
『ヤバい、もう無理無理。我慢なんか無理だからっ…くっ!』
神山が小さなため息をつくと、私の腰を強引に自分の元へと引き寄せた。
その刹那、まるで灼けた鉄の様な熱さをもった肉の楔が私の身を割り裂く。
「ひっぎ…いあああああああああああああああああああああああっ!!!!」
石のように硬く反り返った獣の雄は私の最奥を目指して突きこまれた。
その無慈悲な凶器は赤く熟れた蜜口をミチリと音がたつ位限界まで広げている。
『……椿さんっ…大丈夫?』
荒い息を吐いた神山が長い舌を出しながら私に問う。
全然大丈夫な訳ないの、わかってるくせに。
「はっ…無理って…言っ…たぁあああ」
口を開けば、悲鳴のような言葉しか出ない。
根元までそれが納められれば身を裂かれるような暴虐は一旦止まる。
深い所まで凶器が収められたようで、一番奥を切っ先でコツリと突かれる。
少し動かれるだけでも限界を超えて広げられた内壁は引きつり痛みが走るが
それ以上にピリッとした電気の様な痺れに似た熱さが奥に広がった。
「主様、力を抜いて下さい…力めばそれだけ身体に負担が」
「ふっ…ぅん…んんぅうう」
痛みとも快楽とも取れない刺激に引き攣った頬を
狼丸の優しい舌がぺろりと舐めあげる。
少し嫌悪を持っていたその獣臭さを何故か求めてしまい、
その慰める大きな舌に自ら舌を這わせた。
力なく下がっていた両手を獣の首に回し、ぬらりと涎を垂らす舌を夢中でしゃぶる。
人の何倍もある獣の舌は咥内に収める事は出来ないが、
上あごや内頬を探るように動く舌先はまるで膣を犯すかのように蠢き
それに合わせて肉杭を埋め込まれた下肢も無意識に動く。
衝撃に委縮していた内壁も口腔を探られるのに合わせて自然と蠢き、
肉体を侵食する異物を奥に誘い込むように締め付けはじめた。
『椿さん、ねぇもう痛くない…でしょ?』
「ひっ…い…嫌ぁ…」
私の体の反応に気を良くした神山は腰を尚深く押し付け、
奥に到達させた凶器で何度も最奥を探る。
子宮の硬い口をコツリコツリと小刻みに突かれる度に鋭い刺激が腰の奥に走った。
痛みはまだ確かにあるが身体の限界を、快楽が凌駕する。
「やだぁ…痛いのも、気持ちぃ…のも…やぁっ!」
軽く腰を引かれて、一気に奥まで打ち込まれると思い切り仰け反った。
余裕のない肉壁は相変わらずギチギチと凶器を締め付けるが
内側より溢れ出した愛液が、銜え込んだそれが前後するのを助ける。
「ひぃっ!ぃいいっ…嫌ぁっ」
奥まで強引に割り開かれているのに、
こんなの痛くなければいけないのに
脳髄が焼けるような快感が全身を苛む。
もう神山の動きに遠慮などなく、
腰骨の辺りを両手で掴みガツガツと腰を振り始めた。
突きあげられるままに、放り出された私の上半身がその衝撃に何度も弧を描く。
『本当スゴいな…こんな太いの入っちゃうんだからっ』
「違うぅ…違うのぉっ!こんなの嫌なのっ」
儀式的な事だけでいえば、神山が中ですぐ果ててくれれば終わる。
私がこれだけ感じる必要もないのに。
こんな狂暴な肉塊を身体の中に収めて快楽に酔っている。
『あー…ヤバい、もうイキそう』
早いスピードで打ちつけられる腰が粘液でぱちゅぱちゅと音がする。
繋がった部分から漏れ出す愛液なのか体液なのか
もうわからない液体は泡立っていた。
「っ、もう出して、終わってっ…終わってよぉっ」
『ごめん。もーちょっとだけ…後もうちょい』
暑さでどろどろだし、中もどろどろ、
頭の中もどろどろで考えるのをやめた。
ラストスパートに激しく腰を振り始めた獣の首にしがみついて
中で乱暴に暴れまわる快楽に身を任せた。
限界は不意に訪れて、目の前が真っ白になる。
「あっ駄目っ、イクっイッちゃう…!」
『あ…出る…出るよ…んっ!』
中に埋め込まれた凶器が中でひと際大きく膨張する。
それと同時にきゅうぅと肉壁が強烈に奥へと締め付けるように戦慄いた。
『イくよ…椿さ…ん!』
「あっ…ああああああ――――っ!」
絶頂を迎える内部に獣が最後の一突きをすると、亀頭の先が硬い子宮口に
ゴリリと押し付けられる。
そしてそのまま、中に熱い精液が噴き出された。
『くぅっ…!』
「あ……あぅ…ん…」
びゅくびゅくと細かく震える凶器から注がれるのを感じられる程
大量の精子が迸り、長い時間をかけて無遠慮に子宮に流し込まれ続ける。
「あっ…ひゃああぁぁぁ…奥に…熱いのがぁ…」
染み渡るように広がる精液の熱さに、
また奥にジワジワと絶頂の余韻が広がった。
全てを吐き出し終えた陰茎がぐぷりと音を立てて抜き取られる。
あまりに太いモノで蹂躙されたそこは
ぽっかりと穴が空いたように口を開けたままヒクついた。
私の上に倒れ込んでくる神山を抱きしめれば、
つるりとした汗ばむ肌の感触。
そこには頬を紅潮させたクラスメイトの男がいるだけで
獣の姿はなくなっていた。
「……っは…ぁん」
喪失感に腰を震わせると、膣の中から
どろりとした粘液が零れおちてくるのを感じた。
圧倒的な存在感で私の中を蹂躙し
最奥で爆ぜた大量の液が流れだしてきたのだ。
「あっ…あぅっ!出る…出ちゃう…っ!」
その大量の精液の滑りの中に、
敏感な肉壁をゴリゴリと刺激する異物が生まれ
私の奥で蠢くのを感じた。
中の敏感な粘膜を刺激しながら、精液塗れの卵大の塊が
膣の圧に押され絞り出され秘裂より顔を覗かせる。
「あっ…あああっ…またイっちゃ…ぅうん!」
ゴポリと音を立てて生み出されるそれは、
私に最後の軽い絶頂を与えて、マットレスの上に転がり落ちる。
“神降ろし“の時に、
神山の身に付きたてられた筈のその石は
ぬらりと白濁した液体に塗れて、仄かな光を放っていた。
子宮へと吐き出された獣神の陽の気は、再び封印の石と形を換える。
封印の石が再び契約者の手に戻る事で”神返し”の儀式は完了した。
「……最っ低……」
旧校舎を出る頃には、もう辺りは暗くなっていた。
ガツガツと遠慮なしに突き上げられた腰はガクガクで、
歩調が乱れまっすぐ歩くのも辛い。
自転車小屋を通るまでに、結構な時間を有した。
「歩けないなら無理しないで俺に捕まってよ」
「っ……ここまでやらかした馬鹿が何言ってんのよ、絶対嫌っ!」
さり気に腰に手を回してきた神山の手を思い切り叩いて足を速めた…が
思うように力がまだ入らずまた足がふらつく。
「わかったから…触らないけど鞄は持つから。ほら、貸して?」
「………やだ…」
差し伸べられた手に眉をしかめて顔を反らせる。
正直、”神返し”の後にこうして普通にしていられる事が理解出来ない。
契約者の私がそれを未だ受け入れ難く思ってるのに、神山が順応しすぎなんだ。
赤らんだ頬を自覚して唇を噛んで目を伏せてると、
ぱっと手の中の鞄を奪われた。
「それくらい奉仕させてよ、ゴシュジンサマ」
「ばっ!……だから、そんな事外で言わないでって…っ!」
奪われた鞄を取り戻そうと振り上げた手を取られたと思ったら、
ふわりと体が宙に浮く。
考える間もなく、自転車の後ろに横座りに乗せられていた。
「下僕なんだから、これくらいはね?」
私が呆気に取られている間に神山は二人分の鞄をカゴに入れて、自転車に跨った。
大声をあげてやろうかと思ったけれど、
ここは大人しく運ばれた方が目立たないのかもしれない。
夏休みの終業式の夕方。
どうせもうこんな時間、ここらに私達の事を知っている人はいないのだ。
「……壊れモノ載せてると思って、丁寧に運転してよね」
抵抗するのを諦めた私は、大人しく神山の制服の腰に手を回す。
近くに感じる夏服のシャツに、さっきまでの獣臭さは無いが
その代りに、神山の男の子の匂いが鼻先を擽る。
「それってお願い?」
「バカ…命令よ」
獣の時よりも幾分小さくなった背中を見上げると、
封印の石を突き立てた箇所に小さな穴が開いている。
それに先程までの情交を思い出し、私はまた顔を赤らめた。
私、椿綾乃の人生は順調とはいえないまでも、それなりに普通の人生だったと思う。
私は多分、どこにでもいるような、普通の女子校生だった。
そうだった筈なのだ。
あの日までは。
もう薄れてしまった筈の鬼の血が目覚め
畏怖という人間の敵の駆除を課せられと、
駄目下僕の人生がプラスされたあの日までは。
交わってしまった運命は、今更元に戻す事は出来ないけれど
契約をしてしまったあの日に戻れるのならば
あの日の自分を引き止めてやりたいとこんな時いつも思う。
日々後悔する事は、これまでの普通の人生でもデフォルトだ。
けれども。
「やっぱり、身捨てる事出来ないんだろうな…」
それと同時に、あの日血だまりの中で倒れる神山の姿も思い出すのだ。
あの日、私と契約していなければ彼は間違いなく死んでいた。
「えー?椿さん、何か言った?」
「…何でもないわよ」
何度考えても仕方がない事だ。
契約した事は後悔しても、彼の命を助けた事は後悔していないんだし。
この先、気の遠くなるような長い付き合いになるのだから
今は言う事聞かなくても、まぁこの先従順になるかもしれない。
……それまで持つかなぁ、私が
馬鹿な下僕に体が壊されるのが先か、
それとも奴が隷属するようになるのが先か
「いやー、それにしても学校の中ってスリルがあって燃えたなー!」
「!!!馬鹿、突然何言い出すのよっ」
「今度はさー、脱がないで制服のままでする?」
「いやーっ!もう降りる!っていうか降ろせっ!這ってでも帰るーっ!」
……体が壊れる方が早い気がする。
「これは命令なの、降ろしなさい――――っ!」
<つづく?>
長くなりましたが以上になります
人外系従者っていいよなーと思いながら書いた話でしたが
思ったより人外成分が少なかった…
楽しんでいただければ幸いです
_n
( l _、_
\ \ ( <_,` )
ヽ___ ̄ ̄ ) グッジョブ!!
/ /
椿がかわいいなあ。
・・・
狼丸がかわいいっす。
>>632 何か言いたそうですが、当該スレで言った方がいいんじゃない。
>>630 退魔物しかも人外とオニャノコはデフォだけれど燃える。
次のアイディア浮かんだら是非
司狼が優しいかんじなのがとてもよかった
良かったー
ギャグっぽいのにエロのところはエロスでいがった
そこはかとなくラブが漂ってるのもGJ
638 :
ほ:2009/08/20(木) 20:05:09 ID:kK/4GyLn
いただきまーす
レイ'・'リ【チョコ】【キャンディー】【ケーキ】
ぱくぱく
レイ'・'リ"コ】【キャンディー】【ケーキ】
もぐもぐもぐ
レイ'・'リ"ディー】【ケーキ】
がつがつがつがつがつ
レイ'・'リ"ーキ】
けふー
レイ'・`リ=3
前回投下した話の前日譚になる話を投下します
また長くなったので前後編になりますので
少しだけお付き合い下さい
NGワードは「翼或鬼異聞」でお願いします
180センチ近い自分の体がふわりと宙に浮いたかと思うと
これ以上ない位の勢いで地面に叩きつけられた。
「がっ……はっ!!」
メキリと体のどこかにヒビが入ったような嫌な音がした。
ぱっと見に中肉中背の冴えない中年相手なのにその力の差は圧倒的なもので
背中に走る激痛に身動きが取れなくなった身体を、革靴で思い切り踏みつけられる。
ギリギリと靴の先を鳩尾にめり込ませる非情な相手の顔を見上げれば
まるで感情の見えない表情で、非道を強いているのにまるで生気が感じられなかった。
「な……何なんだよ…おっさん……」
男は何も答えない。
悠然と見下ろした男は言葉を発しないまま、動けない俺に手を延ばした。
殴られる!
本能的に目を閉じ顔を背けたが、拳は来ない。
不審に思った俺の耳に飛び込んだのは、
ぶちぶちと太い糸を何本も引き千切る様な不可解な音。
その違和感を感じた瞬間、今まで感じた事のない様な激しい痛みが肩口に走った。
「っが!!!!!があああああああああっ!」
見開かれた眼に映ったのは俺の身体から、離れていく俺の右腕。
男の手には、力無くダラリと下がった俺の右肩から先が握られていた。
未だ踏みつけられる足によって大きく身動きは取れない。
しかしそのあまりの激痛に、唯一動かせる足が勝手にバタついた。
心臓の鼓動に合わせて肩から大量の血が噴き出している。
顔はその大量の血と、勝手に溢れ出した涙と鼻水と涎でドロドロになった。
誰にも届かない助けを求める喉からはヒュウヒュウとした音しか出ない。
地上に打ち上げられた魚の如く無様にのたうち回る俺を嘲笑うかのように
それまで全く表情が無かった男の口が大きく醜く歪んだ。
俺は、死ぬ。
機能が停止しかけている脳が
唯一理解したのは、目前に迫った、死。
大きく開かれたその男の口は一気に耳まで裂け、
血のように赤く垂れ下った長い舌が、
動かなくなった俺の右腕をまるで飴でも旨そうにしゃぶった。
「ば……バケモ…ノ……」
ようやく音に出来た言葉は、ただその事実
俺は、今、ここで、死ぬ。
背中に感じるアスファストの籠った熱
噎せ返るような鉄の匂い
吐き気を催すような、人じゃない何かの気配
目の前は、血の赤
ヒ ト じ ゃ な い 、ナ ニ カ に 殺 さ れ る。
俺に、はっきりとした意識があったのはそれまでだった
それが俺の、ただの高校生だった神山司狼の、最後の記憶。
「という事でー、最近巷じゃ無差別連続殺人事件なんて物騒な事件が起きてるー
まぁとにかくーそんな物騒な事件のー、被害者になるのも困るがー
加害者になられるともっと困るー、まぁという訳だからー、
遊んでないでー、なるべく家には早く帰るようにー。以上」
相変わらずやる気のない担任・山本のホームルームがチャイムと共に終わった。
いつもやる気がない感じだが、今日は暑かったので特に短かった気がする。
テキトーにワイドショー辺りのニュース持ってきて話を切り上げたな。
「……まー、こんなもんだろ」
58点、65点、72点、68点、67点……
良くも悪くもない点数をつけられたテスト用紙が机の上に並ぶ。
今日期末考査の全ての結果が返ってきたが
どのテストも赤点を免れたおかげで、夏季補習も受けずに済んだ。
放課後の教室の中は、天国と地獄に分かれているが、
自分は辛くも天国の方に属する事が出来たようだ。
「おーい、しろー。来週、海行こうぜ、海!」
見ていても面白くもないテストをサブバックに片付けていると
悪友の柘植が、携帯片手に声をかけてきた。
「何で暑い時にわざわざクソ暑い人ごみに行くんだよ、パス」
「はぁ?お前ワカモノが枯れた事言ってんじゃねーよ。
青い海、広い砂浜、真夏の海岸は
ビキニやローレグのねーちゃんがいっぱいだぜ?
ってーか、お前来なかったら女の食いつき悪ぃんだって…
なぁ、行こうぜ。ってか、絶対来い」
「暑いの苦手なんだって…カラオケだったら付き合う。海はパス」
「お前アホかっ、カラオケには水着のおねーちゃんいねーじゃんよ!」
尚もしつこく食い下がる柘植に閉口しながらも、適当に相槌を打っていると
後ろの席でダベっていたクラスの何人かの女子が声をかけてきた。
「神山くんたち海行くのぉ?私達も一緒したぁい」
「アタシもアタシもぉ!今年新しい水着買ったんだぁ♪行こうよぉ」
媚びるように語尾上がりの声をあげ、
席の周りに群がってくる名字しか知らないようなクラスメイト達に
表面上だけのにこやかな笑みを浮かべる。
『えーと…岡本と…横井…だっけ?相変わらずウザいな…』
同年の女子の甲高い声は耳に障る。
精一杯の背延びなのか、身の丈に合わない美しさを求め
華美な物を好む彼女達を俺はあまり好きではなかった。
しかしそんな俺の思いとは逆に、人に合わせるのが得意で派手な外見の俺は
彼女達から見れば魅力的に映るらしく、とにかく纏わりつかれた。
適当な愛想笑いを浮かべるのにも疲れて、彼女達の取り留めのないお喋りを聞き流し
ひきつった笑みのまま、意識を窓辺に向けた。
俺の視線は、一番窓際の奥から3番目の席に座る同級生に釘付けになる。
『今日はどんな本読んでんのかなぁ…』
じっとしていても汗ばむような暑さの中、彼女は涼やかな顔で手元の文庫本の頁を捲る。
クラスメイトの椿綾乃だ。
クラスメイトだから話をした事がない訳ではなかったが
俺の事は苦手なのか、友人に見せるような笑顔が向けられた事はない。
前に強引に話しかけたら少しだけ引き攣った笑みを浮かべられた。
特別な用事でも無い限り、彼女から俺に話しかけてくる事は無い、そんな間柄。
椿綾乃にとっての俺は、ただの騒がしいクラスメイト。
でも、俺にとっての椿綾乃はただのクラスメイトではなかった。
彼女は自分の周りに寄ってくる他の女生徒達とは一線を画していた。
今ドキ、珍しいようなきっちり編まれた三つ編みに
飾りっ気のない黒いピンで留められた前髪
まぁ髪型はその日の気分とかで一つにまとめたり編み込んでたりもするので
いつもその姿という訳じゃないが、基本的にスタイルは校則遵守。
膝にかかる程度のひざ丈スカートから伸びる足は細く、
さながら一昔前の女学生といった風情だが
すっきりと綺麗な弧を描く眉、大きな眼の長いまつ毛は印象的で
肌も真白く、はっきりとした目鼻立ちは作られたものではなく、
格好の清楚さとは違い少しエキゾチックな印象を与える。
その地味な格好に皆誤魔化されるが、彼女はかなりの美人だと思う。
少し髪型を今風に変えたり、自分を華やかに見せようと思えば
クラスで、いや学年でも1番の魅力的な女性に変わるだろう。
しかし、彼女は俺のように周りに適当に合わせる事もなく
クラスの中心にいようとするような性格の強引さもなく至って地味に日々を送っている。
いつも教室の端の方で、同じような雰囲気の友人数人と楽しげに話していた。
=彼女の美しさは、自分しか知らないんだ=
最初はたったそんな事の優越感。
しかし、それが糸口になって少しずつ彼女が気になり始める。
普通の生活の中の彼女の小さな仕草ひとつも特別に見えた。
教室では大人しいが、存外と気が強い事。
お固く見えて、けっこうヌケてる事。
声がまだ幼さが抜けず鼻にかかって高くて甘い事。
小柄なせいで、笑うととても幼く見えるのを実はとても気にしている事。
その内、自然に入ってくる情報だけでは物足りなくなった。
意識して目と耳で彼女を追っていくと、どんどん欲が出てきた。
心の求めるままに増々彼女を知りたくなる。
彼女が、今日教室で何度笑ったのか
彼女が、今日どんな話をしているのか
彼女が、何を見つめているのか
彼女が、何を考えているのか
小さな優越感はいつしか心の大半を占める独占欲になる。
気がつけば、俺の毎日は全部、椿綾乃で溢れていた。
『……椿さんが一緒だったら、海もいいなぁ…』
あまり日に焼けていない小柄な彼女に似合うのはきっと白い水着だ。
体育の時間に見る体操服の彼女のスタイルは、
少女然としていて若干成長途中な感は否めなかったが、
健康的な15歳の至って年齢相応の身体だった。
小振りだけど可愛く丸みを帯びた胸とお尻に
全体的に細い身体から伸びる長い手足、
ワンピースの水着よりもビキニの方が似合うかもしれない。
場所はごった返す海水浴場なんかじゃなく、
もちろん人気のないプライベートビーチで二人きり
優しい色のパレオなんか腰に巻いて、
波打ち際で潮風に解いた長い髪を揺らす椿さん。
親しい友人に向けられるような屈託のない笑みを向けられて
あの少しだけ高い声で、「神山くん」
…いや「司狼くん」と名前を呼ばれて…
「……おい、司狼。何ぼーっとしてんだ」
「っわぁっ!何だよ、柘植!」
幸せな妄想を繰り広げていたのに、
目の前に柘植のニキビ面が現れたせいで大声をあげた。
今晩のおかずにだって使えそうだったのに、一気に萎えちまった。
「ったく、お前がぼーっと余所見してるから美弥子達行っちまったじゃねぇか」
「美弥子?…あ、ああ、美弥子達ね」
名字しか知らなかった彼女達の機嫌を損ねたと言われてもぴんと来ない。
いなくなってしまった事も気づかない位、興味がないのだとそろそろ気づいて欲しい。
俺の視線の先に気づいた柘植が、からかうような視線を寄越す。
「何だよ、お前椿の事見てたの?あんなのタイプだっけ?」
柘植…お前その顔で椿さんをあんなのとか言うな。
しかも呼び捨てにしやがって。
所謂渋谷系の派手好きなケバめの女が好みのコイツは椿さんの魅力には
興味がないというか全く気づいていないようだ。
まぁ、気づかれても困るんだが。
「別に…この暑い中、よく本なんか読めるなぁと思っただけだよ」
本当はずっと、もっと近くで見たい。
いや、見るだけじゃなくて喋ったり、出来れば触ったり、
させてもらえるなら口では言えない事を色々したい位だ。
しかし、あまりじっと見ているとすぐに口さがない噂を立てられる。
俺は彼女の事を想っている事を、誰にも口外する気はない。
それは、椿さん自身にも。
俺のような男に好かれているという噂など立てられたら、
目立つ事が嫌いな彼女はきっと嫌な思いをするだろうから。
わざと椿さんから視線を外して、窓の外を眺める。
冷房設備のない教室の窓は開け放たれて、微かな風が前髪を揺らした。
「今年の夏も、暑いなぁ…帰りに氷食べてくか」
呟きながら往生際悪くも、帰る前にもう一度、と彼女を横目で盗み見ると
彼女の涼しげな顔のこめかみ辺りをじわりと浮かんだ汗が滴になっている。
俺の意識は、一瞬でその滴に吸いつけられた。
それは、ゆっくりと彼女の頬をつーっと伝って、首筋を辿り、
鎖骨に流れて制服の中に見えなくなる。
彼女はそれに合わせたかの様に、熱の籠った小さな息を吐きながら
セーラー服の襟に指を引っかける。
服の中の熱を逃すべく喉元で白い細い指が襟をパタパタとさせる度に、
それは見えてしまった。
暑気にあてられて頬を少し紅潮させた彼女の襟元から
悩ましげに見え隠れする、白いブラの肩紐が。
絶対そんな訳はないのだが、まるで俺に見せつけるような
無防備な彼女のエロい仕草に、頬にカーッと血が上る。
盗み見ていた事実を忘れ思わずニヤけそうになる顔を覆って、慌てて俯いた。
『やっべ…キタ…今、本気でキタ』
さっきの妄想と今の映像で、今晩どころかきっと今週一週間はオカズには困らないだろう。
「何だ、司狼。暑くて鼻血でも出たか」
柘植ぇぇぇ!!お前、今は俺の前に顔を見せるな。
お前の暑苦しい顔なんかで、せっかくの椿さんを台無しにしたくないんだ!
「あーもう!!そうだよ。鼻血だよ、鼻血!!もう止まった!帰る!」
「あ、オイ。司狼!待てよ、何慌ててんだよ!」
慌ただしく鞄を持って立ち上がった俺の後を、柘植が慌てて追いかけてくる。
この映像が頭に鮮明な間にとっとと家に帰ってしまいたい。
「お、神山帰んのかー。じゃーなー」
「おー、じゃー」
扉の辺りで声をかけてきたクラスメイトに振り向いたのに
俺の目線はまた椿さんの元へと自然に吸い寄せられる。
ここまで来るともう相当重症だ。
大人ぶろうとしてても所詮は今がサカりの若造なんだ。
好きな彼女は穴を開けたい…もとい、穴が開く程見ているけれど
度胸も何もなくて、日常会話すら儘ならない。
高校一年男子、15歳、夏。
「…ああ、もう、何やってんだか」
あまりにも年齢相応に青春しちゃってる自分が気恥ずかしく、
誰にも聞こえないように小さく呟いた。
ページを捲る手を不意に止めると、先程まで騒いでいた級友達が皆いなくなり
一人教室に残っている事に気づく。
ふと頬に手を当てると、結構な汗が滲んでいた。
「……またぼーっとしちゃった…」
本にのめり込むと周りが見えなくなる事はままある事だったが
今日はいくらページを捲っても、文字の世界に飛び込む事は難しかった。
昨夜、色々考えてあまり深く眠れなかったせいだ。
『お母さんが、変な事言い出すから…』
手元の本の半分ほどの所で糸しおりを挟んで、私は昨日の事を思い出し目を閉じた。
母が話した事は、目の前の文学小説のように現実味が感じられなかった。
天然ボケだとずっと思ってた母が、本当にイっちゃったのかと思った。
そりゃあそうよね…
母が夕食の席で突然喋り出した事は、私の脳の働きを止めるには十分すぎた。
「という訳で、貴方は正義の味方なのよ!」
「………は?」
「言ってなかったけども、うちの家系は代々鬼の血が流れてるのよ」
「………お、お母さん…?」
「っていうかねぇ、うちは分家筋の末の末だから
もう鬼の血の濃さで言ったらファンタの果汁かっていう位に薄いのよねぇ
だから本来なら、流れてるっていうより遠い御先祖様が
鬼だったらしいって言う位が一番正しいのよね」
「……え、あの何の話…」
長いまつげをバシバシと瞬かせて話を繰る母が、変だ。
オカしい。
日本昔話の再放送でも見たのか。
どこの家庭に、夕食の話題に鬼なんか。
「でもね、稀に…本当に稀に、先祖返りっていうの?
血は遠いのに突然鬼の力を持った子どもが生まれるって言うのよ、これが
信じらんないでしょー?まぁ、それがアンタだったりするんだわ」
「はぁっ!?私が、鬼?」
「もーそうなのよー、超信じらんないでしょ?
足も遅くてちょっとドン臭い綾乃が鬼ですってー
もー、アタシ信じらんなかったんだけど、総本家に血のサンプル送ったら間違いないって!」
「血ぃっ!?そんなのいつの間に取って送ったのよっ!そんなの聞いてないよ!」
「とにかくその総本家の方が言うには、今はその鬼の力を目覚めさせて
開放して戦わなきゃいけない畏怖が…ああ、畏怖っていうのが悪モノらしいのね。
とにかくその畏怖ってのが世間にいーっぱいなんですって
すぐに戦いを始める準備をしてくれって」
素麺を啜りながら事もなげに話す母は日常なのに、その口から発せられる言葉は異常だった。
テレビの中の戦隊モノとか、アニメの話を聞いているようで
イマイチというか、全く信じられない。
っていうかそんな話、どこをどうやって信じろっていうのよ!!
「でー、明日本家の方が畏怖との戦い方とかを教えに来てくれるらしいから
アタシはいないけど、綾乃しっかりとお勉強しとくのよ!」
「…い、いないの?何で」
「何でって、アタシは総本家の人なんて苦手だものー。
すっごい遠い縁だから会った事もないのよ?
アタシその間パパの所にいるわ♪ちゃーんと接待よろしくね」
「え…ええぇぇえええっ!い、嫌よ!私もお父さんの所に行くっ!」
「馬鹿ねぇ、総本家の方は綾乃だけに用事があるんだもの。無理に決まってるでしょ!
それに、パパのマンションは単身者用なんだからアタシが行ったらもう綾乃の居場所はないわよ
久しぶりにパパと一つのベッドでラブラブの予定なんだから!
単身赴任4年の間に生まれてるかもしれない溝を、アツぅく、濃く埋めるの!邪魔しないでネ」
「お……おかあさん……」
今年で36歳の子持ちとは思えない言動に目の前がクラクラした。
他人に近い会った事も無い程遠い親戚が家に来るっていうのに
全部子供に任せて単身赴任の旦那との時間を優先させるなんてありえない
っていうか、話の展開に全くついていけない。
正義の味方?鬼?総本家?
その後も色々なんかお母さんは話をしていたが、全く頭の中に入ってこなかった。
正直その記憶はあまりなく、気づいたら朝だった。
そして、朝の食卓にはもうすでに母の姿はなく、
その代り机の上に朝食のサンドイッチと書き置きがあった。
そこには、待ちきれないから早朝からお父さんの所へ向かう事が
ピンクのハートマークだらけの丸文字で記されていた。
あくまで考えるという行為をさせないつもりなのかと、朝からひどく脱力した。
私は壮大なドッキリを仕掛けられているのかもしれない。
きっと、通学途中の電信柱の陰からとか
授業中の教室の後ろからとか、安っぽい売り出し中の芸人とかが出てきたりするんだよ
そうであって欲しい、っていうかそうじゃないと困る。
そんなしょうもない事を願っていたけれど、もちろんそんな事はある筈もなく
気がついたらいつもどおりの放課後だった
この日差しの中、汗だくになりながら本を開きっぱなしって私は馬鹿か
正義の味方、という言葉以上に私を混乱させたのは、”鬼”という言葉。
普通の人間だと思っていたけど私の中には鬼の血が流れている
鬼は敵と戦わなければならない
戦う為には鬼の血を目覚めさせなければいけない
とにかく帰ろうと本を閉じた手元を見れば、中島敦の「山月記」
休憩時間にでも図書室で無意識にチョイスしたのだろうか
鬼の血を目覚めさせるという事は、私は人から鬼になるという事なのだろうか
狂える虎へと身を変えた李徴のように
15年間、普通の人生を、普通の人間として生きてきた。
今、こうして在る私が、私でなくなってしまうという事なのだろうか。
日常が、日常ではなくなる恐怖
異端となる恐怖
誰もいなくなった教室にひとり
それが丸で世間から隔絶された様に感じられ、
急に静けさに怖くなって慌てて帰り支度を始めた
「きっと…お母さんのタチの悪い冗談よ。きっとそう、絶対そう!」
言い聞かせるように教科書を鞄に詰めていると、バイブにしてあった携帯が震えていた。
ほら、やっぱり。
きっとこの電話はお母さんからで、面白い冗談だったでしょ!ってネタばらしをするんだ。
家に帰ったらもう帰ってきて、私の怯えっぷりを笑うんだ。
そんな願いを込めて携帯を耳に当てる。
「もしもし?お母さん?」
「椿綾乃さんですか?私、本家の使いの者ですが……」
期待した電話の向こうの声は、母のものではなかった。
「神山くぅん、次は何歌うー?」
隣に座った馴れ馴れしい女がワザとらしくしな垂れてくる。
強引にくっつけられた短いスカートから覗く肉感的な太股がうっとおしい。
同じ高校生のハズなのにやけに粉っぽく化粧クサい女。
「そーだなー…福山でも歌うかなぁ…」
自分でも自覚出来る位に声に覇気がない。
いつもは八方美人で猫かぶりな自分を取り繕うのも面倒だ。
結局あの後、まっすぐ帰ろうとする俺を柘植が引っ張って強引にここまで連れてこられた。
どうやら勝手に他の学校のオンナと約束をしていたらしい、俺付きカラオケ。
毎度毎度勝手に人を出汁に使うのはやめてもらいたい。
恨みがましい視線を柘植に送れば、
我関せずといった顔で目当ての派手な女と盛り上がっている。
『…せっかくの新鮮な椿さんのエロい記憶が、いらん映像で塗りつぶされる…』
俺にとっては、アップの柘植のニキビ顔も、この名前も覚えない女の体も一緒だ。
ついでにこのヘタクそのな音程の外れた声もいらない。
リモコンの液晶画面を気の入らない顔でタッチしながら、帰り際に見た映像を思い出す。
というよりも何度も先程から脳裏に再生され続けている。
まるで記憶が薄れるのを恐れるように。
映像がリフレインする毎に、それは歪曲されて。
白い肌に滴る汗、紅潮した頬に熱い吐息
ちらりと覗く紅い舌、俺を見つめる潤んだ瞳
舌ったらずに甘く俺の名を呼ぶ、声
『しろぉ…くぅん…』
白魚のような指先で柔らかそうなその胸のラインを辿る
鈴が転がる様だった笑みは、今は婀娜っぽく誘うように妖しい
教室で自分の席に座り文庫本を読んでいた筈の清廉な彼女は、
数時間を経て俺の頭の中では、
純白の下着姿で四つん這いになり淫らに俺を誘っていた。
ここまで妄想を発展させる自分が空恐ろしい
……10代男子の妄想ってすげぇな
妄想の出来の凄さに、己をスタンディングオベーションしたい位だ
そこでふと我に帰り、自分の一部分が昂っている事に気づく。
マズい…この状況でこれはちょっとマズい。
「何?神山くんどーしたのー?」
この女に勃ってる事がバレたら面倒な事になる。
嫌悪してくれればまだいいが、
調子に乗って文字通り乗っかってこようとするかもしれない。
『抜くだけならこんなメンドイ女より自分の手の方がよっぽどイイし』
「何でもない。ちょっと電話しに行ってくるよ」
頭の中では舌打ちして毒を吐きながら、努めて好青年風を装ってほほ笑む。
俺は携帯を片手に部屋を後にした。
…若干前屈みになるのは仕方がない。
防音扉を後ろ手に閉めてしまえばこっちのもので、
とっととここを後にする事にした。
三十六計逃げるにしかずだ。
柘植を置き去りにしたら後々面倒だけど、適当に理由をつけとこう。
一回海に付き合う位でチャラに出来るだろう。
携帯と財布は持ってるんだし。
置いてきた鞄が気になったが、どうせ中には今日のテスト位しか入ってない。
「あー、無駄な時間だった」
とりあえず今は頭の中の椿さんをどうにかしたい。
記憶を薄れさせないようにまた映像を思い出せば、
写真週刊誌の袋とじレベルから、風俗雑誌レベルまで妄想が発展している。
それを脳裏に浮かべれば尾骶骨から電気が走るように
準備万端になりつつあるそこに熱が集まった。
「やばいやばい…ここで完ダチさせたらただの変質者だ」
何かもう本当に若いな…俺。
もったいないが暴走する妄想の詰まった頭をすっきりさせるのに
少しフルフルと頭を振りながら、ロビーに続くエレベーターに乗り込む。
自分の部屋に帰ってしまえば、己の右手は椿さんになる。
それまでの辛抱だ、我慢しろ、俺!
そう思って視線を落とせば1Fと表示されたボタンを押す右手の指先が少し熱く感じる。
「早く帰ろう」
我慢出来ずに帰り道でどこかのトイレに籠ってしまいそうだ。
少し浮足立つ自分を感じて、俺はまた一つため息をついた。
=========================
以上が前編になります
今回はエロ入らなかったけど、後編には入ります
主従慣れそめ的前日譚と思って長い目で見て下さると嬉しいです
>>638 リロって無かったので被ってしまってすいません"orz
レイ'・'リお嬢様に久々に会えて嬉しゅうございます
御無礼失礼いたしました
(━━━━_━━━━)
長い目で見ます
ファンタにはそもそも果汁入ってないよ母さん!!
>>638 レイ'・`リちゃんは相変わらずかわいいな
>>639 GJ!
初めからお嬢様のこと大好きすぎるのがよく伝わってきた
後編が楽しみ。
(━━━━_━━━━)
なにそれこわい
あげ!
(〈●〉〈●〉)いつでもお嬢様を見守っております
ξ'д`) …
>>652 最近のファンタには果汁はいってるよ!!
ネコみたいな女の子と世話をするはめになる男の話書いたんだが、このスレでいいのかな?
>>663 とりあえず立場が合うなら良いと思う
しかしネコみたいなで猫耳とか思う俺orz
(⌒),,(⌒)
r ハ 从ノ
ルイ・д・リ ネズミもネコさんを歓迎します
oミ ∞ ミo
〜゙u…u"
裸体に褌引き締め、待ち続けて早2日…
風邪引いてしまう…。
投下します。13レスほど借ります。
なお一応、人外なのでダメな方はタイトルかIDでスルーしてください。
「閣下……しかし、幾らなんでも今宵というのは、急では?」
ウルフィは、困惑した顔で苦笑いを浮かべている。
その彼を山積みになった書類の隙間から、若い女性が愉快げに眺めている。
彼女が何者であるかは、細い銀髪の合間から突き出る鋭く尖った褐色の耳が雄弁に
物語っていた。
「お前は生娘か?それとも、私が相手だから覚悟がいるとでも」
子供が悪戯を思いついた時のように、真紅の瞳が細まる。
節くれ一つ無い細く長い指先で銀髪を弄びながら、呆然と立ち尽くすウルフィを彼女は
愉快げに見つめる。「閣下」と呼ばれた彼女の方が、二十五歳のウルフィよりも五つか六つ
ばかり若く見える。しかし、それはあくまで外見だけならば──の話だ。実年齢は、五百歳以上
離れている。
「いえ、滅相もない」
口籠もるウルフィを一瞥すると、彼女は笑いながらわざとらしく訊ねる。
「まさか、私に逆らうなどとは言わぬな?」
「それは──ッ」
言葉を失い、口籠もるウルフィを相手は楽しげに眺めている。
「明日から”これ”のせいで集中力が落ちて、執務の能率が下がると”お前が”困るのでないか?」
「……確かに」
痛いところを突くと、不承不承にウルフィは頷く。
「では、決まりだな」
話を一方的に打ち切った彼女は腰まで伸びるしなやかな髪を躍らせながら、さっさと部屋を
出て行ってしまう。一人残されたウルフィはただ首を振って、長い溜息をついた。
◆ ◇ ◆ ◇
「ウルフィ=クレナガン。三等書記官です」
黒髪の青年は直立不動の姿勢で促されるままに名乗る。
本人は平静を装っているつもりだが、膝はガクガクと笑っている。
これから彼が臨むのは、命を賭した審問である。少しでも相手が不快に思うようなことが
あれば、明日には彼の首と胴は別々になってしまう。
故に自分の意識とは別に、額には汗が滲み、心臓は早鐘のように打ち鳴らされてしまう。
緊張を隠そうとしても、顔をが強張り、血の気が引いていくのが自分でも分かる。
そして、そんな彼の前に審問者である”敵”は悠然と座っていた。
敵──妖魔は種毎の能力差はあるもの総じて、人間よりも優れた身体能力を有している。また、
上位種は並外れた知性を備え、人間など知る由もない高度な古代魔術にも長けている。
残念ながら、一対一では人間の歯が立つ相手ではない。だから、平和ボケしていた人間が
その領地の半分を彼に瞬く間に奪われたとしても驚くには値しない。
しかし、そんな妖魔にも欠点があった。彼らは繁殖力が極めて低いのだ。
だからこそ、緒戦で痛い目を見た人間は一致団結し文字通りの人海戦術で妖魔の進撃を
押しとどめた。しかし、それでも失地を回復するには遠く及ばず、やがて戦況は膠着を迎え、
長期戦の様相を呈し始めていた。
ウルフィの故郷、オルトス公国バルフォア領は、まさに人間達が呼ぶところの”失地”
──すなわち、妖魔に奪われた領土であった。
「ウルフィとやら、我々は”仲間”を探している」
屈強なオークの衛士を左右に控えさせ、人間の太守が使っていた執務机に座った相手が、
澄んだ声で告げた。その声は妖魔と云えども賞賛に値するほど魅力的なもので、ウルフィも
思わず聞き惚れてしまった。
「侵略し、略奪するだけであれば、我々でも充分足りるが、統治となるとそうはいかない」
さすがに妖魔の指揮官の一人である。その落ち着いた話しぶりからは、横に立つ下等な
オークなど及びもつかない知性が感じ取れる。
「……協力しろと?」
「違うな。お前が役に立つか、どうかは私が決める」
その言葉にウルフィの背筋が冷えた。一方の相手は瞳の色と同じ紅い宝玉の収まった
サークレットを指先で弄りながら、薄ら笑いを浮かべている。今更ながら敗北者とは命すら、
保証されていない存在なのだということを思い知らされる。
「これを読め。これが我々の統治方法だ」
投げ渡された小冊子には、人間の言葉で妖魔の支配のやり方が書かれていた。そして、
それを読むうちに、ウルフィは全身の血が沸騰していくのを覚えざるを得なかった。
「こ、これは──我々を家畜同然に扱うおつもりですか!」
ウルフィは大人しく生真面目な性格で、書記官の中で特に目立つ存在ではない。しかし、
誰よりも領民のためを思い働いてきた官吏である彼には、その冊子に書かれている人を
人とも思わぬ酷い統治方法は到底許せなかった。だから、後先考えずに、反射的に異議を
唱えてしまったのである。
「それのどこが悪い。お前たちは敗者だ。勝者が敗者をどう扱おうと関係あるまい?それに、
私はお前を統治する側に加えてやろうと言うのだ。他人がどうなろうと関係あるまい」
「こんな尊厳を踏みにじるような扱いでは、いずれ人々は耐え切れなくなって反乱を起こす
でしょう!」
「ならば、鎮圧すれば良い。それだけのことだ」
「……ッ!しかし、これはひど過ぎる。民衆が疲弊するのは目に見えているではないですか!」
「それがどうした?疲弊すれば、代わりをつれてこれば良い。代わりがいなければ、
繁殖させれば良い」
口元を意地悪く歪める相手にウルフィは激しい怒りを覚えずにはいられなかった。
「まあ、いい。我々の考えに対するお前の意見は分かった。評価は追ってする。下がれ」
その言葉にウルフィはハッと現実に醒めたが、もう後の祭りだった。
「……分かりました」
ウルフィが一礼をすると、手がヒラヒラと振られる。”さっさと出て行け”ということである。
妖魔の司令官は手元の書類を読み始め、再び頭を下げて退室するウルフィには目も
くれなかった。
それから三日後、結論が出た。
ウルフィは半ば死を覚悟していた。運が良ければ、他の人間と同じく家畜のような扱いで
済むかもしれない。そのいずれにしろ、地獄であることに違いはなかった。
今にも逃げ出したくなる思いを堪えながら、太守の執務室で一人待つ。
程なくして控え室の扉が開き、細身の妖魔の司令官が漆黒のマントを翻して現れる。
腰まで伸びた銀髪は一本一本が絹糸のようにしなやかで、歩くたびに軽やかに揺れる。
そして、その容姿は同じ妖魔であっても豚鼻のオークなどとは比べものにならないほど美しい。
相手がゆっくりと肘掛け椅子に座るまでの間が、永遠の如き長さに感じられる。
妖魔の司令官の血に濡れたような紅い双眸に見据えられたウルフィは背筋が凍り、全身の
毛穴という毛穴から嫌な汗が吹き出た。
「さて、先日の審査の結果だが──」
褐色の肌に映える白い唇を僅かに緩め、浮かべた薄っすらとした笑み。
「……はい」
声が恐怖で掠れる。足元すら覚束なく、視界がグニャリと歪む。
「私に仕えろ、ウルフィ=クレナガン」
「えっ?」
「聞こえなかったのか?私の役に立ってもらうと言ったのだ、ウルフィ」
「ど、どうしてですか?」
ウルフィの口を突いて出たのは疑問だった。
「私はあなた達の計画に反対しているのですよ?」
「フフ……ハハハハ」
よく通るソプラノの哄笑が部屋に響き渡る。
「あんな無茶苦茶な計画で、占領地の統治ができると考えるほど、私は能天気でも、間抜け
でもない」
太守の椅子に座る相手は愉快げに、目を丸くしているウルフィを眺める。
「あれはお前を試したのだ。いや、お前だけではない、他の連中もな。だが、同胞のために
身を張ったのは、お前だけだったな」
すうっと、切れ長の瞳が細まる。
「私は”仲間”が必要だと言った。同族を簡単に裏切るような奴は、異種族など言うに及ばずだ。
分かるな?──お前ならば、我々を易く裏切ることもあるまい」
「……」
「統治するにあたっては、相手側の文化、慣習、論理を熟知しなければならない。そうでなくて、
どうして統治などできようか。圧政も良いがいずれ反発を招く。我々にはここで無駄に血を
流すつもりはない。良いな、ウルフィ=クレナガン。貴様には、領民の懐柔に一役買ってもらうぞ」
呆然自失のウルフィを前に、相手はニヤリと笑う。
「私の名は、ダークエルフ族のメトラン。妖魔王様の第六師団を任されている」
銀髪の数条を尖った耳に掛けると彼女はそう名乗り、ウルフィの前に歩み寄って手を差し伸べた。
◇ ◆ ◇ ◆
その後、ウルフィがダークエルフの女太守のもとで民衆の統治に携わって二年が経った。
最初は妖魔の支配者を怖れていた領民も、メトランの治世が驚くほど公平で
配慮の行き届いたものであったことから、今では彼女を慕う者が増えてきている。
中には、人間の領主よりも良いと言い出すものまで出る始末だった。
そこにはメトランの知性と英断に拠るところも多くあったが、ウルフィが人間の
慣習や文化を踏まえ、異種族の為政者が反感を買わぬようきめ細かな気配りを
絶やさなかった功が大きい。
メトランもまた、そんなウルフィを信頼し、副官にまで取り立てた。異例の抜擢だったが、
生真面目なウルフィはそれに応える働きぶりを見せ、メトランの期待を裏切ることは
なかった。
そんなある日のこと──午前の政務が終わり、ほっと一息ついた時に、余人を交えず
話がしたいとメトランから声が掛かった。
人払いがなされ、大柄なオークの衛士すら追い出されてしまった。
「なんでしょうか?」
「ああ、大したことではないのだが──実は私は今、五十年に一度の生殖適応期を
迎えている」
「……ええっと、あの──それは?」
「簡単に言うとだな、私は男女の交わりを渇望しているということだ」
あっけらかんと、まるで今日は雨が降っていますよ、ぐらいの軽い感じでメトランは
とんでもないことを告げた。むしろ、聞いているウルフィの方が赤面してしまう。
「これまでは、同族かトロールの男どもに相手をさせていたが、残念ながら手近に
適当なのが見つからない」
トロールは、サイズ的には人間と同じだが額に短く突き出た角を生やした
上位妖魔である。オークをも凌ぐ屈強な肉体と強力な魔術を操るその能力は
人間にとって脅威以外の何ものでもなく、一匹で一国の騎士団を壊滅させたものすら
いるという。彼らであれば、ダークエルフのメトランを相手にしても遜色ない。
「というわけで、お前に白羽の矢を立てた。今宵、付き合え」
「か、閣下──私は人間ですよ?」
メトランに異性としての魅力を感じないわけではない。むしろ、ウルフィとしても日に
日に募っていく淡い感情にどうやってケリをつけるべきなのか煩悶していた。理知的な
美貌のダークエルフの女太守──人を困らせることが好きな点はいただけないが、
それでもそれも含めて彼女に魅かれていっていることぐらいウルフィも自覚していた。
「知っている。人間だったな、ウルフィ」
「……ええ」
「で、それが何か重要か?人間は器官上は、我々やトロールと同じだ。サイズ的にも
問題ないだろう」
「サ、サイズ?」
メトランはわざとらしく頷く。
「冗談ではないぞ、ウルフィ。オークなんかを相手にした日は、こちらの股が避けて
しまうし、ゴブリンなどではあまりに小さくて相手にならん。そもそも、ああいう醜悪な
連中を相手にする趣味など、私には無いが、な」
「はぁ」
気の抜けたウルフィの返事に、メトランの眦が釣りあがり、細く形の良い眉が顰められる。
「お前、私の話を軽く考えているだろう?」
「えっ、いや!」
必死に首を振って、弁解しようとするが、間髪入れずメトランが続ける。
「私だって、生殖適応期が来るのは憂鬱なのだぞ!こう腹の奥が疼くというか、熱くなって、
おまけに身体の到る所が敏感になって、集中力が削がれて、仕事が手につかなくなる。
なにかにつけて面倒で、厄介なのだ!」
かなり真剣な様子でメトランは不満をぶちまけ、長い溜息を吐く。滅多に見せない
その仕草から想像するに、自分が思っているよりも相当深刻なのだ、とウルフィは悟った。
しかし、幾らなんでもこれはあんまりだ、とウルフィは思う。定期的に訪れるどうしようもない
性欲を解消するため”だけの”相手──と暗に言いたげなメトランの口調は彼を気落ちさせるに
充分過ぎた。
が、やはり──ウルフィはメトランに勝てないのだ。
◇ ◆ ◇ ◆
ドアを開けて、中に入ると豪奢な家具が目に飛び込んでくる。全てに見事な装飾が
施され、随所に惜しみなく金をあしらったそれらに、ウルフィは思わず”ほう”と唸ってしまう。
ここは元領主の私室で、それをそのままメトランが使っている。ただし、今の太守は
五つもあった太守の部屋のうち一つしか使っていない。残りは、他の部下に割り与えられて
いるから、その分、現太守の方が慎ましいと言える。
この部屋の右隅には、レースの天蓋が付いた三人ぐらいは楽に眠れる大きな寝台が
置かれている。天井から吊り下げられた薄い布越しに片膝を立て、もう一方の脚を真っ直ぐ
伸ばした姿勢で座っている褐色の人物が透けて見える。
「……閣下」
「遅かったな、さっさと来い」
迷いや恥じらいの伺いしれない応えに、ウルフィは緊張していた自分の方が馬鹿に思えてくる。
長い毛足の絨毯のフワフワとした感触も相俟って、地に足のつかぬままウルフィは寝台の
横まで歩み寄る。白い布地の向こうの人物は身動ぎもせず、ただ座っていた。
ドア際からでは見えなかった女性らしい胸や臀部の膨らみ、優美な曲線美を描く身体のラインが
影としてくっきりと浮かび上がり、ウルフィは見惚れてしまう。
「どうした?」
「い、いえ。失礼致します」
怪訝そうなメトランの声にウルフィは現実へと帰り、二人の間を遮る布地を押し開ける。
そこには、美の女神ですら嫉妬せずにはいられないほどの見目麗しいダークエルフの女が、
生成りのシーツに腰を下ろしていた。
彼女──メトランは薄いシルク地の布を纏ってはいるが、それも胸と局所を隠すだけという
あまりに扇情的な衣装だ。そして、惜しげもなく晒された褐色の肌が蝋燭の灯りに艶めかしく輝く。
「少しは見直したか、ウルフィ?」
「見直す、とは?」
「誘いを断られかけたのはお前が初めてだ。お前のせいで、私は自分の容姿に自信を失いかけた」
メトランは愉快げに笑う。すると胸の二つの膨らみも軽く揺すぶられる。着痩するのか、
意外と量感のあるそれにウルフィの目は知らず知らずのうちに奪われる。
「人間と言う奴らは、つくづく変わった連中だ」
「申し訳ありません」
別に何が悪いわけではないものの、頭を下げてしまったのは副官故の職業病だろう。
「……違うな、お前が変わっているだけか。まったく、面倒な奴だ」
わざとらしく、ウルフィに聞こえるように息を吐く。
「まあ、いい。さあ、上がって来い」
婉然としたダークエルフの美女は、ゆっくりと人間の副官を手招く。
「し、失礼致します」
靴を脱ぎ、ウルフィは気後れしながらもベッドに上がる。その姿を眺めながらメトランは
腰をそっと浮かし、スペースを空けた。
「……閣下」
「心配するな。お前は何もしなくて良い」
何とも豪気な台詞を吐くと、メトランはウルフィの両肩を掴み、まるで豹の如き俊敏な
動きで寝台の上に押し倒す。目にも留まらぬ早業である。ウルフィの腰の辺りに
馬乗りになったメトランは、相手を見下しながら白く冷めた唇を緩める。
「しかし、本当に生娘を犯すような気分だな」
「閣下、それはあまりにも──」
「安心しろ。生娘を犯したことはないから、あくまでも勝手な想像だ」
そういう意味ではないと思ったウルフィだったが、ここは黙っておくことにした。
そんなウルフィを尻目にメトランは相手の纏っている服のボタンを次々と外していく。
されるがままのウルフィも手馴れたものだ、と感心してしまう。
「経験がご豊富ですね」
「冗談は止せ、ウルフィ。まだ、二十回目だ」
どこが、”冗談は止せ”なのだろうか、と思いつつ、このまま主導権を握られっぱなし
というのも何だか悔しくて、ウルフィはそっと主人の腰布に手を掛け結ばれた紐を解く。
その動きを察したメトランがニヤリと笑う。
「ほう、やっとその気になったか、この堅物」
「あまり、お世話になり過ぎるのも失礼かと存じまして。しかし、際どいご装束ですね」
「普段は眠るだけだからな、極力邪魔にならないものが良い。眠るときも、執務服を着る
ようなお前のような堅物と違って、な」
冗談交じりにウルフィの生真面目さを詰りながら、彼女は目尻を下げて心底楽しそうに
笑う。そんなやり取りを交わすうちに、ウルフィもメトランも一糸纏わぬ生まれたままの
姿になる。二人の肌は対照的で、ウルフィは日に焼けたことのない青白い肌、メトランは
闇の一族の証である褐色の肌。
「……さてと、そろそろ始めるか」
「ええ」
あまり乗り気ではないウルフィだったが、こうなっては止む無く頷くしかない。
それを確かめるとメトランはいきなり、しなやかな指でウルフィの男性器を握った。
「ッ!?」
柔らかく包み込んだそれをメトランはゆっくりとした動きで上下に擦りあげる。
しっとりした彼女の掌の感触だけでウルフィの雄の器官は隆々と立ち上がってくる。
「ふふん。朴念仁でも反応するものなのだな、勉強になった」
「…………うっ、わぁ」
だんまりを決め込んだウルフィだったが、性器の先端をメトランの指でねっとりと
撫ぜ回されるとると、堅く引き結んだつもりでも口から声が漏れてしまう。そして、
彼女はとどめとばかり指の腹で鈴口を軽く叩き、先端から滲み出た先走りでイヤらしい
糸を何度も引かせる。
「アハハハ、お前がそんな声を出すとは思わなかったぞ」
甚振り甲斐のある獲物を見つけた猫のように、彼女は獰猛な笑みを浮かべる。
それからタップリと、ウルフィはメトランに嬲られた。血管がゴツゴツと浮き出た
裏側を刷毛で掃くかの如くなぞり上げられ、先端の突起は掌で包み込まれると
絶妙な力加減で捏ね繰り回される。ウルフィ自身の分泌液とメトランが垂らした
唾液で濡れたペニスは痛い程に隆起し、チリチリと焼けるような堪え難い感覚に
蝕まれる。
「さてと、そろそろ良いか」
身悶えして、ぐったりと疲れ切ったウルフィを横目にメトランはペニスに手を添え、
そこ目掛けて腰を下ろそうとする。
「ちょ、ちょっと待ってください!」
「……なんだ?」
そろそろというところで止められたメトランは不満を隠さず眉根を寄せて答える。一方の
ウルフィは上半身を起こして逃げるように後退りしたお蔭で、メトランの手から自分のモノを
スルリと引き抜くのに成功した。
「あの──その……い、挿れるんですか?」
「人間の男女の交わりは、挿れないで済むものなのか?」
ウルフィの言葉に対してメトランは苛立たしげに返す。
「いえ。しかし、この状態で交わって痛くはないのですか?」
「……痛いが、それが何だ?仕方ないだろ、そうしないと疼きが収まらないのだから」
「ちょ、ちょっと待ってください!」
獲物を追い詰めるようににじり寄ってくるメトランをウルフィは押しとどめる。
「何だ!どういうつもりだ!ウルフィ!」
少し癇癪気味にメトランが叫ぶ。
「ええっと、あの──できれば人間のやり方でさせてもらえませんか?」
「えっ?」
「ダメでしょうか?」
暫く探るようにウルフィを眺めた後、メトランはプイと横を向いて「勝手にしろ」と呟いた。
メトランには疼きさえ収まるなら何でも良いという思いが少なからずあったのだ。
それほど彼女にとって、生殖適応期の身体の変化は煩わしいものだった。
「ありがとうございます。では、閣下、横になって頂いても宜しいでしょうか?」
彼女はウルフィの言葉に従ってベッドに横たわる。白いシーツに褐色の裸身が映える。
「……ふん。、これで良いのか」
「結構です、閣下」
ウルフィは負担が掛からないように、メトランのキュッと括れた腰の辺りに膝立ちになる。
これで先ほどまでと姿勢が逆転したことになる。ウルフィはメトランを見下ろし、彼女は
自分の副官を見上げていた。
「上官を見下して、良い気分か、ウルフィ?」
棘のある言葉に、ウルフィは苦笑することしかできなかった。
「そんなつもりは毛頭ありません」
「ああ、そうか──どちらでも良いから、さっさと終わらせろ」
気の無いように答え、横を向きメトランは短い溜息を漏らす。
しかし、ウルフィは彼女の言葉に反して、まずメトランの柔らかな銀髪の指どおりを
確かめながら優しく撫でる。その行為にメトランは身をビクリと震わせ、眦を吊り上げて
ウルフィを睨みつけた。
「な、何のつもりだ!?何をしている!」
「えっ──いえ、これが人間のやり方でして……」
「髪に触ることに何の意味がある?こんなことをして、どうやって私の疼きを満たす
というのだ!?」
「ええっと、言葉で説明するのは難しいので、今しばらくお時間を下さい」
「……くっ──好きにしろ」
言い捨てると、再びメトランはプイと顔を背ける。
困った表情をしながらウルフィは数回メトランの髪を梳った後、彼女の首筋を掌で
撫ぜる。
「!?」
今度もまた慣れない刺激に戸惑いはしたが、メトランは唇を噛み締め何も言わない。
首筋、肩、鎖骨と辿り、薄っすらと骨の浮いた脇腹を確かめ、そっと胸の盛り上がりへと
ウルフィは手を伸ばす。こんもりと盛り上がった柔らかな膨らみは、均整が取れ、
その頂には桜色の控えめな突起がのっている。ウルフィが下側から掬い上げると乳房は、
従順に指を受け入れて形を変える。
「……んっ」
浅い吐息が、メトランの口元から漏れた。彼女の瞳は固く閉ざされ、折り重なった睫毛が
時折微かに震える。だらりと投げ出されていた手に力が籠もり、長い指はシーツを握り
締めていた。
断続的に聞こえる微かなメトランの喘ぎが、ウルフィの欲情を加速させていく。
ウルフィは左手で褐色の乳房を捏ねながら、もう一方の手で腰の湾曲したラインを辿り、
薄っすらと汗の浮いた肌理の細かいメトランの肌の感触を掌で堪能する。
魅力的な身体のラインと女性らしい豊かな膨らみが合わさったメトランの肉体にウルフィの
心は虜になってしまった。
やがてウルフィの手が薄っすらと生えた柔毛を撫で、閉ざされた股間に滑り込んで肉つきの
良い太腿を押し開く段になって、初めて慌てたメトランが様子で目を見開く。
「ウ、ウルフィ!」
「何でしょう、閣下?」
先ほどまでとは、立場が逆転してしまったな、とウルフィは苦笑する。
「……に、人間はこんなにも時間を掛けるのか?」
「ええ。お望みなら一晩中でも」
「そんなに時間を無駄にできるものか!」
込み上げて来る笑いを堪えながら、メトランが堅く閉ざしている両脚の隙間にウルフィは
右手を差し込む。
「ッ、あ!ぃ──やぁ」
短い悲鳴と共に、メトランが首を左右に振る。すると銀色の髪が光芒を引きながら、
数条、汗ばんだ首筋や額に纏いつく。さっきまであれほど明け透けだったにも関わらず、
メトランは今や恥じらいの色さえ浮かべていた。
ウルフィが手を滑り込ませたそこは、じっとりと熱く潤みを帯びていた。それを確かめた
彼は無意識のうちに、安堵の溜息を吐いていた。
一つは、ダークエルフでも人間と同じく性的に興奮するという自分の見立てが間違って
いなかったこと、そして、自分がメトランの情欲をある程度、昂ぶらせることに成功した
という達成感からである。
むっちりとした両腿に挟まれてはいたものの、僅かに自由が効く指先で愛撫を続けると
くちゅ、くちゅりと淫猥な音が部屋に響く。
「な、な……」
言葉にならない驚愕の声を上げたメトランは慌てて口元を手で抑える。今まで知らなかった
感覚に、彼女自身戸惑いを隠せないのだ。
「……んっ……ん、くっ……」
だが、抑えた指の隙間から、徐々に鼻にかかった喘ぎが漏れ出すのに時間はさほど
かからなかった。意外に可愛い、と不覚にもウルフィは思ってしまう。年齢差にして五百歳以上、
ダークエルフと人間、征服者と被征服民──そして、普段の傲岸不遜なメトランをよく知るだけに、
そんな想いをまさか抱くとは思ってもみなかった。
「ぁ、ん……んんぅ」
堪えようとしても漏れ出すメトランの声にそそられ、ウルフィは半ば強引に彼女の
閉じ合わさった両脚を割り開く。一度鋭い眼光を放って睨みつけたメトランだったが、
結局は何も言わないまま、大人しくウルフィの行為を受け入れた。
これは後が怖いな、と思いながらも、ウルフィは眼前に曝け出されたメトランの秘所を
見つめる。そこは人間のものと変わらない形状で、人間のものより鮮やかな桜色をして
いた。膣口から溢れ出るぬらぬらとした愛液で濡れそぼり、ウルフィを誘うように妖しく
ヒクついていた。
そして、そこに迷わずウルフィは口付ける。
「……お、おい!……あぁ、うぁぁ、はっ」
強力な刺激が背中を伝って這いずり上がり、彼女の理性を奪い取る。
生殖適応期の度にメトランは何度も異性と交わってきた──それにも関わらず、この人間の男は
これまで一度として味わったことの無い強い感覚を呼び覚まし、彼女の心を掻き乱す。
「こ、こら、ウルフィ!お前、どういうつもりだ!?」
「はっ?」
「人間どもの遣り方では疼きが、全然収まらんではないか!むしろ、ますます
酷くなっている。いい加減にしろ!」
褐色の頬を上気させながらも、細い眉を吊り上げてウルフィを睨みつける。
「──私は、この疼きが収まればそれで良いのだ!意味のないことは必要ない!」
暫し、視線を交わした後、不承不承ながらもウルフィが小さく頷く。
「分かりました。恐らく……もう大丈夫だと思いますから」
「何が、だ?」
「いえ、こちらの話です」
不可解そうに見つめるメトランの視線を無視して、ウルフィは自分の硬くなった性器を
桜色の割れ目に宛がう。その先端が触れた瞬間、メトランの身体が一度小さく震える。
それでも簡単にはメトランの”そこ”はウルフィを受け入れてはくれなかった。メトランの
言葉に間違いがないとするならば、彼女が他人を受け入れたのは前回の生殖適応期である
五十年前、そして、それから次の生殖適応期──すなわち、今日までの間一度も性交渉が
なかったことになる。当然、秘部は”慣れ”を失い、未経験に近い状態にまで戻っていても
おかしくない。
だから、ウルフィはそしてすぐにでも突き込みたいという欲望を必死に抑えつつ、少しずつ
自分をメトランの内側に埋めていった。そこは彼の予想通り激しい締め付けのもてなしが
待っていた。一方でその内側は柔らかく温かな秘肉が充溢し、奥から溢れ出てくる愛液が
ウルフィのペニスに絡みつく。
「……くっ、ううぅぅ」
苦しげに目を瞑り、喘ぎというよりは苦悶の呻きに近いものを漏らす上司の姿をウルフィは、
申し訳なさげに見守る。先っぽだけでもこれでは、全部どころか半分収めるのも無理かも
しれない、と彼は感じる。
だが、理性と裏腹に腰はじわりじわりと勝手に動き、その度にメトランが壊れたふいごのように
声にならない息を漏らす。気遣わなければと分かっていても、ウルフィのオスの本能がもっとこの
ダークエルフの美女の内側に突き入れろと喚きたてて、どうしようもないのだ。
「んんんっ、あああ!!!」
ついに根元までメトランの中に収まった瞬間、堪え切れなくなった彼女の口から声が迸る。
それと同時に彼女の細身が微かに跳ねる。
身体を裂かれるようないつもの痛みとともに、メトランは痺れにも似た甘美な感覚があることを
薄れかかった意識の中で感じ取った。今日は驚くことばかりだ、と彼女は内心で自嘲する。
そして、メトランは自分を組み敷いている誠実を画に描いたような男の顔を眺める。
一方のウルフィもまた、身体を重ねているダークエルフの美女を改めてまじまじと見つめる。
普段は圧倒的な自尊心に満ちた光を放つ紅い瞳は、焦点が定まらず胡乱なままウルフィを
見つめていた。白い唇はわなわなと震えながら、漏れ出しそうになる何かを必死に堪えている。
銀色の髪の隙間から突き出た鋭く尖った耳も時折ビクりと跳ねる。
「はっ……はっ──あっ、はっぅ」
荒い呼吸に併せて、形の良い乳房が上下する。
「痛みますか?」
括れた腰を優しく撫でながらウルフィが訊ねる。
「……っ、う、煩い!」
言っている内容はきついが、口調は弱々しい。
ウルフィは掌を円を描くように引き締まった腹部を撫で、それから少しずつ上へと移動させる。
「これぐらい──お、お前に心配されるまでもない。さっさと、出すものを出して済ませろ!」
妖魔のエリート相手に被征服民である人間の自分が同等の立場に立てるとは思わないが、
こんなことをしているのだから、もう少し──こう、何かが芽生えるものがあってもいいのではないか、
というウルフィの淡い期待は今の一言で見事に打ち砕かれた。
がっくり肩を落とすが、それでも失意のウルフィはメトランに配慮し、すぐに抽挿を始めるのではなく、
労わるようにメトランの身体を愛撫する。
「こ、こら!いつまで、そうやって私の身体を触っているつもりだ……んっ!」
「いきなりですと、やはり負担が掛かりますので──」
「何を言って……っぁ、んん、言っている!?」
「人間の場合は──ですけど」
わざと惚けた口調で誤魔化してウルフィはメトランの胸を捏ねる。それだけでは飽き
足らず、上体を倒して舌先で桜色の蕾みを口に含む。
「んぁあ!な、何を考えているんだ、ぁあ……ウルフィ!そんなところ……くっ、ぁ──
舐めても何も出ない!」
別に出るとは自分も思わない、と応えることすらもどかしく、ウルフィは含んだ乳頭を
啄み、舌先で器用に突き、時に押し潰し、焦らす様に舐め上げ、そして優しく吸い上げる。
その度に、メトランの内側に入ったウルフィの男性器は甘く締め付けられる。
丹念な愛撫により、メトランの奥からは次々と蜜が溢れ出て、襞が彼女の意思とは無関係に
侵入した異物をさわさわと撫ぜる。意識的か無意識かは別にして、それは間違いなくウルフィの
行為に悦んでいることを意味していた。
暫くそれを続けた後、ウルフィはゆっくりと上体を起こし、メトランの太腿に手を絡める。
そして、それが始まりの合図だった。
「……やっと、その気になったか」
疎ましげに答えた自分の声が、まるで違う他の誰かのもののようにメトランには聞こえた。
「お待たせしました」
返事と同時に律動を始める。
最初は、浅く弱くゆっくりとしたペースで動き出す。
ギチギチとした締め付けは相変わらずだが、滾々と湧き出る愛液が潤滑油となり少しは
動く余裕がある。
「ぁっ……っぅ……はっ、ぅ」
鼻にかかった甘い嬌声がメトランの口から零れるのに、そう時間は掛からなかった。
痛みに混ざりながら、はっきりと感得できる性交の快楽に彼女は戸惑いを覚えていた。それ
をウルフィに悟られないように、シーツに爪を立て自制心を保持する。しかし、弱く遅いペース
ながら、ウルフィの動きは少しずつメトランの理性を追い詰めていく。
「んんぁぁ、はぁ……ぁう、ウルフィ」
知らず知らずのうちに、彼女は副官の名前を呼んでしまう。呼ばれたウルフィは動きを一旦止め、
メトランの顔を覗きこむ。
「──はい」
こんな時も気真面目な奴だ、と頭の片隅で思いながら、黒髪黒目の到って普通な副官を
ボンヤリと眺める。すると、散々見慣れたはずの顔なのに、今まで感じたことがない感情が
込み上げて来る。それは擦り切れそうな甘い痛みで心を掻き毟り、メトランをどうしようもなく
落ち着かない気分にさせる。
「こ、これは何だ?」
「はぁ──ええっと、人間が行う性交です」
「これは何かの術か?」
「と、申されますと?」
「いつもは酷い痛みだけだが、今日は痛み以外にも何かを感じる。これは一体何だ、ウルフィ?」
「不快な感覚ですか?」
メトランは弱々しく首を振る。
「違う──だが、私には分らない。上手く説明できない」
すると、ウルフィが安堵の表情と共に微笑を浮かべる。
「そうですか。不快でないならば何よりです」
「どういう──意味だ」
訝しげに訊ねるメトランに今度は、はっきりとウルフィが笑顔で応える。
「普段は痛いだけなのでしょう?それが少しでも紛れたならば、人間のやり方でやった
甲斐があったというものです」
「……」
中断された抽挿が再開され緩やかだった律動も徐々に速度を増し、彼女の奥まで
突き上げる頃になると、互いの荒い呼吸だけが静まり返った寝室に木霊するようになった。
二人とも一心不乱に、快楽を貪ることに没頭している──もっとも、メトランはまだそれが
”女としての悦び”だとは知らなかったが。
そして、その時はやって来てた。
ウルフィの性器がメトランの身体の奥に突き込まれ、彼女の細い身体が弓なりに反る。
あまりに強い刺激に特徴的な耳をヒクつかせ、髪を振り乱しながら必死に悶える。彼女の中で
渦巻いていた昂ぶりは限界を迎えた。
「っ……ぁん、ウ、ウルフィ──く、来る」
半ば手放し掛けた意識の中で、うわ言のようにメトランの口から言葉が零れ出る。
と同時に膣壁が収縮し、突き込まれた男性器を離すまいと締め上げる。
その強烈な刺激にウルフィもコントロールを失い、込み上げる欲望のままに
解き放ってしまう。
「っう……ぅ」
奥歯を噛み締めたウルフィの口から短い呻きが漏れる。
ウルフィの性器は熱い精液を吐き出し、メトランの内側はそれを最後の一滴まで
搾り出させようと柔々と包み込む。二人は暫く、身体を重ねたまま互いの温もりを
感じあっていた。
◇ ◆ ◇ ◆
だるそうに肢体を寝台の上に投げ出すメトランをウルフィはそっと眺める。
並んで横になった二人の間に僅かな隙間があるのは、主従の遠慮からである。いくら、
情を交わしたと云えども、ウルフィにとってメトランは征服者であり、そして上司であることに
変わりは無い。
その彼女は太陽を仰ぎ見る時のように額に前腕をあて、まだ整わぬ荒い呼吸を繰り返して
いる。時折、突き出た耳が小刻みに痙攣しているのが愛らしく見える。
あまりに魅惑的なメトランの姿にもう一回──という邪な気持ちがウルフィに無い訳では
ないが、これ以上調子に乗ると、彼女の性格からして手痛いしっぺ返しを喰うに違いない、
と必死に自重しているのだ。
そのため、こうやっていては間が持たないと感じたウルフィは水でも飲もうと身を起こした
──その瞬間、手首に細い指が巻きつき、引き留められる。
「ウルフィ」
「か、閣下!?」
まだ、情交の余韻にまどろんでいるのか、と思われたメトランに呼び止める。
「……だるい。酷くだるい」
「は、はぁ」
「いつもは痛みは残るが、こんな気だるい感じはしない。どういうことだ、説明しろ」
詰問口調だが、メトランの声にはどこか先ほどまでの余情が残っていた。
「あの、人間のやり方ですと──そうなるのが普通なのです」
「……」
「嘘じゃありません。そういうものですから」
それでも訝しげに睨みつけるメトランから強引に目を背ける。別に、嘘はついていないのだが、
何だかウルフィは逃げ出したい気分だった。
「いずれにしても、これでは明日の政務は取り止めだ。だるくてかなわないから、な」
「そ、そんな閣下!未決裁の書類があれほど──」
「知らんな。大体、お前が自分で言い出したのだろ、”人間のやり方でやりたい”と」
明日のことを考えてうろたえるウルフィを、メトランは目を細めて、悪戯っぽい笑みを
浮かべる。
「私は休む。明日はお前が私の分も働け」
そう言うと彼女は掛け布に包まり、ウルフィに背を向け目を閉じた。
(終)
以上です。
お付き合い頂いた方ありがとう。
では、またどこかで。
快感を知らなかったメトラン様に萌えたw
ていうか続き……続きを!
萌えた!!
メトラン様、可愛すぎる。
是非続きをお願いします!!
GJ!この微妙な距離感がイイ。
ウルフィにメロメロになっていくメトラン様をお待ちしたい
圧縮回避保守。
グッジョブだぜ
今、464KBか
少なくなってきたね
今年も豊作だった
小ネタ
お嬢「じい……お腹……ぺこぺこ」
じいや「!? 分かりました今すぐに!」
程なくしてじいやが笑顔で戻ってくる。
じいや「お待たせしました、世界チャンピオンのお腹をベコベコにしてきました」
お嬢「?? ……おうどん……たべたい……」
じいや「!? はい、今すぐ!」
程なくしてじいやが笑顔で帰ってくる。
じいや「お待たせしました、アラブの石油王(おう)とマフィアの首領(ドン)の持っていた財産が全てお嬢様の物となりましたぞ」
お嬢「??????」
じいや「さ、今日はお嬢様の好きな肉じゃがを用意しております、早く食堂へ」
お嬢(人とお話するのって、難しい)
じじい補聴器買うか引退しろよ!
じじい…わざとなんだろ?そうだと言ってくれよ!
捕手
ハイスペックつーか灰スペックw
しかしこまったな
俺老執事っていうと無敵鋼人の人の外見で想像してしまうんだ
皆さんそういう人どうしてる?
ギャリソン時田だっけ。
俺も老執事はそれで刷り込みされてるからあまり気にしてない。
老執事はヘルシングのあの人で
私が仕えるに値した主だった、とか言われて裏切るじゃねーか
自分はヤマオカさんだな
ペルソナになった時の衝撃と言ったら
また小ネタを
お嬢サマ「じいや、先ほどから気になっているのですけど」
じいや 「ハイなんでしょう?」
お嬢サマ「いつもなら三羽いる筈の ‘うさちゃんリンゴ, が二羽しかいませんが? 」
じいや 「はい」
お嬢サマ「まだ学校に行けない妹と違い、私は小学校に通わなければいけません」
じいや 「はい」
お嬢サマ「授業中にお腹が鳴ったら大変ではありませんか? 」
じいや 「はい」
お嬢サマ「あっ……!! (コホン)今日はコックに暇をあげたのでしたっけ……」
じいや 「はい」
お嬢サマ「仕方ありません、お昼までお腹が鳴らないようにレディとしてがんばってみせます」
じいや 「……」
お嬢サマ「じい、帰ったら皆で外食します、ですからそれまでにその指の怪我もっとしっかり治療しときなさい」
じいや 「……!? は、はい! 有難うございますお嬢さま! 」
小ネタっていうか、正直意味がわからないんだが…。
うさぎは羽じゃなくて匹だぞ
>>704 その昔、「鳥は食べてもいいが獣はだめ」という決まりがある坊さんが、
「ウサギは耳が長くて鳥っぽいから、鳥って事で」と言い張って食ったらしい。
以来、ウサギを数えるのには「羽」でもよくなった。
そういや「匹」と「頭」の境ってどの辺だろう?
>>696 俺はケロロのポールさんだな
人が抱えられるかどうか、という辺りにラインがある気がする。>匹と頭の境
「じいや」と呼ばれるタイプだと、
・眉毛と口ひげが白くもっさりしてて目と口が見えない
・有事の際のみ「くわっ!!!」っと開かれる
というイメージが
主従共に女の場合はこのスレでいいのかしら?
>>696 「北条家執事っ!セ・バ・ス・チャーーーーン!!」
…がデフォルト
皆様特に反対されておられないので宜しいのではないでしょうか?
>>709お嬢さま
>>707 板違いの話題だけど、
人間と同じ大きさか、それ以上なら、一般的に「頭」を使うと言われている。
犬とかブタとかイノシシとかは微妙なあたりで、「頭」と「匹」の両方が使える。
ζソ 'ヮ'レ 「湯加減はいかがですか?」
γハヽ 「ぽかぽかだよ」
レイ'・'リ
「 ̄ ̄ ̄|ヽ。 チャプン…
\ /
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
数分後、エリカはお盆の上で湯浴みをしていた。
バスタブに使用しているのは白い陶磁器のシュガーボウル。手頃なティーセットからメイドが用意したものだ。
ζソ*'ヮ`レ おままごとみたーい♪
ボウルから上る湯気が二人きりのサロンに溶けていく。
ようやく訪れた長閑な時間にエリカの心身も解れていった。
湿気に膨れるアイボリーの髪を撫で、湯舟にゆっくりと身を沈めた。
レイ'・'リ チャプン「ふー…、いいきもち」
レイ'・'リ" ん?
水面からのぞく膝頭にほんのりと痣が浮いている。
影から吐き出された時に怪我をしたのか、ぴたぴたとばた足を打つと僅かに痛んだ。
しかしこの程度の怪我で済んだのは幸運だった。
あのまま影に飲まれていれば、エリカは二度と日の下へ戻れなかったろう。
レイ'・'リ …
思わず辺りを見回したが、瀟洒なサロンは隅々まで外光に照らされ闇の一片も見当たらなかった。
コンコン"⊂( ^c_^ ) 「もしもーし、ミニミニランチをお持ちしましたよ」
[ヽ´⊇`] 「僕は遊びに来ましたよ」
<はあい、ちょっと待ってね
ノックの音にメイドが応じる。メイドを待つ僅かな間、ドアの外でコックと庭師は顔を見合わせた。
[ヽ´⊇`] 「どうしたんだろうね。いきなり体が小さくなるだなんて……」
( ^c_^ ) 「ねえ、そんな魔法みたいな事があるのかしら」
実際にエリカを目にしていない二人にはいまいち現実味がわかなかった。
暢気に首を傾げていると、ややあってドアが薄く開かれる。隙間からメイドの悪戯っぽい瞳が覗いていた。
( ^c_^ ; ) 「ちょっと……遊んでないで早く開けて。お嬢様はどこ?」
ζソ 'ヮ'レ 「お嬢様は今入浴中だから殿方は面会できません」
( ^c_^ ; ) えっ!?
[ヽ´⊇`] ぶー「もう、お風呂より先にすることがあるでしょうに!」
ζソ 'ε'レ ぶー「だって裸んぼうだったんですもの。お風呂で温まりたいに決まってるわ」
ζソ 'ヮ'レつ 「それよりほら、ランチをこちらにちょうだい」
仕方なくコックが皿を差し出した。皿には一口大のアルミカップが二つ。
一つのカップは細かく刻んだサンドイッチを盛ったランチプレート。
もう一つはペパーミントを浮かべたアイスティーだ。
ζソ*'ヮ`レつ皿 「きゃあ、ちいさーい!お人形さんのご飯みたい」
ζソ 'ヮ'レノシ 「じゃあご苦労様でした。また後でね」
二人の前で扉は無下に閉められた。
呆然とする男達を置いて部屋からはメイドの楽しそうな声があがった。
ζソ*'ヮ`レ さあお食事にしましょうねー うふふ…
[ヽ;´⊇`] お嬢様を独占しようとしてる! ( ^c_^ ; )
全然進まない保守
ええええエリカの人っすか
お久しぶりです投下乙ですお待ちしておりました
一瞬別の職人さんのパロかと思った
ルイリたん!ルイリたん!
もう続きないかと思ってた…嬉しす
>ルイリたん!ルイリたん!
待て待て待てw
下がり過ぎage
720 :
名無しさん@ピンキー:2009/10/13(火) 22:43:54 ID:PB3EPSF6
上がってないっすよ
エリカの人キタワァ
メイドさんの行動wktk
久し振りに来たらエリカお嬢様が…!
毎回文章もAAもすごく上手くて、話に引き込まれます。
今回もGJです!
保守ですお嬢様
「ホセですお嬢様」「誰よ」
726 :
名無しさん@ピンキー:2009/10/24(土) 13:30:52 ID:yElGD7iH
保守上げしときますね。
「ホセですお嬢様」「え、オリックスの?」
「ホセですお嬢様」「メンドーサ?」
「ホセですお嬢さま」
「メンドーサ?」
執事の言葉をにわかに信じられないのか、白木葉子はもう一度質問する。
「間違い、ないの、ね?」
「はい」
目の前の主の心境を思い執事は苦渋に満ちた顔でコクリ頷く。
「分かったわ……ご苦労様、下がりなさい」
「はい」
執事の立ち去る足音を聞き、そのままベットに顔をうずめると声を押し殺すように呟いた。
「矢吹くん……っ!」
続かない!
ジョーが真っ白に燃え尽きてしまった時のお嬢様か
血染めのグローブ貰ってたもんな
ホモです。お嬢様。
まぁ…あちらが?
そういった方はここにはいらっしゃらないと思っていましたのに…困りましたわ
申し訳ないけれど、早くお帰りいただくように取りはからって頂戴
畏まりました、お嬢様
γハヽ
レイ'・'リ <ホシュ
.゚しJ゚
ルイリたんじゃなくてレイリたん…
保守ですお嬢さん
「あ、あのぅ……ほしゅ、ではなく……『ほしい』……です」
承知しました、お嬢様
じっと待機
「あら執事さん、何でそんなところでジッとしておりますの?」
なんなりとお申し付け下さい、お嬢様
743 :
名無しさん@ピンキー:2009/11/28(土) 23:57:49 ID:Vcqwj/PJ
上げなさい!
744 :
名無しさん@ピンキー:2009/11/30(月) 00:29:16 ID:55InUuRe
お嬢様、
「革命だかクーデターだかで壮年の国王と国を去らねばならなくなった若い王妃、彼女に仕えていた同年代の侍従か執事か近衛兵も
国を捨てる。功成り名を遂げ、はじめてやってきた避暑地で見かけたあの貴婦人はもしや・・・」
といった電波を受信いたしました。厳密には主従といえない気も致しますが。
ほっしゅ
保守代わりに海外SSで読んだ話。
某小国の名家に生まれた一人娘と、ひとつ年下の乳母の息子
「ぼくがおうじさまになってずっとおひめさまをまもるからね」
と毎日のように約束を交わしていたのに
年頃になった娘は皇太子に嫁ぐこととなり、傷心の青年は傭兵となって他国の戦に身を投じる
時を経て王家直属警護隊再編に伴い彼は祖国に戻ることになったが…(尚これでも現代設定)
王子と姫にはなれなかったけれど、誤解や拒絶や絶望や悲嘆や何やかやあった末に
女王と騎士という新たな絆を見つける二人に不覚にも涙腺が緩んだり。
でもこうやって書くとハーレクイソみたいでなんだろう。
>>746 騎士切ないよ騎士
そういうの好きだわ
現代設定とは思えないけど好きだわ
現代設定はさておき、1945年以前の20世紀なら出来なくもなさそうな感じじゃな。
「できた!みてみてぼくのおしろ。もちろんリシーがすむおへやもあるからね」
「だめよジョーイ!いっしょにくらすなんて」
リシーと呼ばれたその少女は、横で得意になっている男の子の言葉に
海より碧い大きな目をまんまるにしました。
「どうして?」
「だってドクシンのダンジョがおなじいえにくらすのははしたないことなのよ、ママがいってたもの」
ドクシン? ダンジョ?
春に3歳になったばかりのジョーイには意味のわからない言葉ばかり。
でもリシーの表情から、それがすごーくいけないことだけはわかりました。
「じゃあ、どうしたらいいの?」
「ケッコンするのよ」
「ケッコン?!なんで??」
「だっておはなしのおひめさまだって、まずはおうじさまとケッコンするでしょ」
砂浜に両膝をついたまま、手を腰に置くお得意のポーズでリシーは胸を張ります。
ジョーイはますますわかりません。
ケッコンという言葉の意味はなんとなく知っています。
この間いとこのイザベラおねえちゃんのケッコン式に行ったのです。
真っ白なドレスを着たおねえちゃんはまるで絵本に出てくる天使のようにきれいで、
とっても幸せそうでした。
(リシーもケッコンしたら白いドレス着るのかな…)
(きっとかわいいとおもうけど…)
でもどうしてリシーとケッコンしなくちゃならないんだろう。
ジョーイはただこの大きな砂のお城で、いっしょに遊びたいだけなのです。
二人はいつもいろんなことをして遊びます。
海賊ごっこや探検ごっこ、女の子だけど男の子みたいに木登りをして、
ヒラヒラやリボンがいっぱいついた服が汚れてもへっちゃら。
リシーは一番の仲よしで、一番だいすきでした。
それでも時々、こうやってよくわからない難しいことを言ってお姉さんぶるところはちょっとめんどうでした。
小さな眉間にシワを寄せて考えても、
やっぱりジョーイの頭の中で砂のお城とケッコンはつながりません。
でも、とっても上手にできた砂のお城で遊びたい。
リシーといっしょに遊びたい。
そう思ったジョーイは、自分より少し背の高い女の子を見上げて言いました。
「わかった。いいよ。ぼくとケッコンしよう」
返事を待っている榛色の瞳を黙って見つめる碧い眼がきらきらと輝いたことに、
たぶん少年は気がつかなかったでしょう。
それは瞬きをしたくらいのほんの僅かな間で、
次の瞬間には目の前にいたはずのリシーは砂のお城の反対側に飛びのき
「いや!」
とジョーイに砂をひとつかみ投げつけてきたのです。
訳のわからないこと続きの上、おまけに砂までかけられて、
辛抱強いジョーイもいい加減腹が立ってきました。
負けじと足元の砂をつかんでリシーの方へと投げ返します。
「もうきめたもん!ぼくがおうじさまになったらリシーはおひめさまで、
ぜったいケッコンするんだもん!」
ジョーイ3歳、リシー4歳。
これが初めてのプロポーズでした。
751 :
746:2009/12/09(水) 05:01:58 ID:6xk3Qp3T
調子に乗って冒頭の一部分を切ってはつって意訳して書いちまった。
後悔はしてないけど、海の向こうの作者さんごめんなさい。
コドモだし主従でもエロでもなくて、ここのみんなもごめんなさい。
>>747,748
思えないよね現代設定ww
実はこのSSあるネズミー映画が元ネタで…と説明しようと思ったら
一年前既に話題に出てて驚愕。あのカプ好きな人ここにいるのなw
だからして748の予想はかなり近い。正確にいえば1930〜70年代にかけての話。
ネズミー?
きっとダンホ''でち!
保守なのじゃ
というか容量が。
本当だ
容量やばい
500までだっけ?
そうそう
あれこれ書いてはみるものの、どうも台本調になってしまう。難しい話だ。
台本調てどんなだ?
執事:「台本調と申しますのは、このようにカギ括弧の左側に発言者の名前を書き込んだ会話文が続き、地の文が1つも、あるいはほとんど含まれていない文章のことでございます。」
お嬢様:「スレによっては随分叩かれることもあるので759は気になるみたいね。」
分かり易い説明だ
γ〃 `ヽ
i ノレ 从 ノ
ルイ・ν・リ Merry X'mas
( ̄ ̄ ̄ ̄)
│ ̄人 ̄│
│ ○○ 、
│____)
,,ノ
∞⌒ ̄`∞
!ιル从 ハノ
ycV゜∀゜ノy 先生!私が
( ̄∪ ̄∪) プレゼントだヨ
│ ̄人 ̄│
│ ○○ 、
│____)
カワイイ……
今年も終わりだね
終わらせません
代行していただいて1レスずつ投下します。NGは名前欄の「アリスのエステ紀行」でお願いします。
ぶつ切り投下ですので、他の書き手さんは割り込みなど気にせず投下してください。すみませんm(._.)m
年末保守〜〜〜〜〜〜
エントランスホールに立つ柱から金髪の端がヒョコヒョコはみ出ている。
(正面玄関に潜入成功!……むむむ、お客は小洒落たおじ様ばっかりですねぇ)
柱の影に身を隠したアリスは慎重に周囲を盗み見た。
辺りに広がるのは極めてリュクスな空間だった。
吹き抜けの広々としたロビーは全面黒の大理石張り。研磨された壁の表面に砂金のような
細かな模様が入っている。しつらえられた家具調度も全て黒地にゴールドのアール・デコだ。
事前にアリスがホームページでチェックした情報によると、
ロビーは日本の漆塗りをイメージしたデザインらしい……。でも、ウルシヌリってなーに?
アリスにはまるで見当がつかなかったが、恐らく黒くてツヤツヤ、ギラギラしたグロテスクな物だろう。
ソファーを立ったおじ様が近くを横切り、アリスは慌てて柱の向こうに引っ込んだ。
ここは、ネイルサロンからスパに宿泊施設まで、あらゆるサービスを内包したメンズエステの総本山。
お金をたっぷり注いで男を磨く、魅惑の高級リゾートなのだ。
(はー、ここで無数のおじさんが世俗の垢や加齢臭を落としてるんですなぁ。……なんかきちゃない)
思わずおでこに皺を寄せる。
十代少女の残酷な価値観の前では、おっさんの皮脂など激毒に等しかった。
ツヅク
あけおめ!
わくてか
明けましておめでとう
男騎士「どうやら私は姫様に嫌われているらしい……だが」
男騎士「それでも、この命をかけてお守りしよう」
姫(うぜえええ……)
侍女「キャーッ!!」
城の中庭からの悲鳴を聞きつけ、重い甲冑を身に付けたまま騎士が馳せ参じる。
騎士「何事か!?」
侍女「ひっ、ひっ、姫さまが落ちっ、落ちてっ!」
そこには震える指先で井戸を指し示す侍女がいた。
騎士「なんとっ!」
慌てて覗き込む騎士の背後に、小さな影が忍び寄る。
姫「ば〜〜〜〜〜っかじゃないの?」
嘲るような声と共に騎士へ与えられたのは、背中への鈍い衝撃。
騎士「ぐっ、う、うわぁ〜〜〜っ!!」
縁に半身を乗り出していた騎士は、仄暗い井戸の中にあっさりと吸い込まれていった。
騎士「ぐふっ、ぶ、ぶはあっ……。な、何をする!?」
騎士が持ち前の素早さを以て甲冑を脱ぎ捨て、立ち泳ぎの姿勢で見上げると、そこには悪戯っぽい笑みを浮かべて中を覗き込む姫の姿があった。
騎士「姫さまっ!?」
姫「ふふっ、不様ね。こんな単純な手に騙されるようでは騎士として失格よ。暫らくそこで反省なさい」
騎士「ご無体な!」
姫「なによ。情けないあんたにはこれがお似合いよ」
衣擦れの音
騎士「姫? いったい何を……お、おやめください!」
姫「ほらほら」
井戸の端にしゃがみ込み、放尿する姫。
騎士「うぷっ、お、おやめくだ」
姫「ほらほら、顔にかかってるわよ」
黄金飛沫を浴びながら、恨めしそうに見上げる騎士。
しかし、そこにいるのは高笑いを続ける姫一人だった。
騎士「侍女殿! そこにおられるのであろう! 姫の無体を止めてはくれぬか!」
姫「ふーん。騎士ともあろう者が、そんな簡単に助けを求めるんだ。しかも女子供に」
騎士「くっ……私個人の助けを求めているのではありませぬ。姫をお止めしたいと言っているのです」
姫「あっそ。そんな言われなくてもすぐに止まるわよ」
放尿が止まり、姫はすっくと立つ。
姫「そんなにいつまでも出続けるわけないでしょう? 人をなんだと思っているの? さっさと上がってきなさい」
騎士は脱ぎ捨てた甲冑をひもで縛り、沈まないように壁に引っかける。
こうしておけば後で回収することもできるだろう。
姫「早く昇ってきなさい」
騎士「は。ただいま!」
壁のあるかなしかの凹凸を探り、騎士は自らの身体を引き上げていく。
ほとんど光の差さない井戸内での登攀は困難を極めたが、そこは国内でも有数の騎士である。
なんとか、半分ほどを登ったところで……
姫「あ、また催してきたわ」
騎士「ひ、姫!?」
再び、衣擦れの音。
姫「ほらほら」
騎士「うっぷ。姫、おやめ、おやめくださいっ!」
姫「そう言いながらも顔はこっちに向けられているけど」
騎士「登って……うぷっ……いる途中だからです!」
姫「見てるでしょ?」
騎士「そのようなご無礼、考えたことも……うぷっ……ございません!」
姫「見てるよね?」
騎士「そもそも逆光です!」
姫「見ようとはしたのね?」
騎士「あ、いえ、そのような……」
あれから何とかして上がることのできた騎士。
すでに姫の姿はなく、侍女がタオルと温かいスープを用意して待っていた。
騎士「すまないな。貴方達にも迷惑をかけている」
侍女「いいえ。姫様が無茶をなさるのは貴女相手の時だけです」
騎士「なんですと?」
侍女「貴女がいない時は、慈悲深く聡明で、とっても愛らしい姫様なのですよ」
騎士「……人に尿をかけるのが?」
侍女「きっと、姫様なりの親愛のあらわれかと」
騎士「どこの獣ですか。そんな王族は困ります」
侍女「ですよね」
騎士「しかし……あのお戯れが私相手の時だけだとすれば……」
侍女「ええ。貴殿一人が我慢すれば済むことです」
騎士「な……」
侍女「これも国のため。忠誠を誓った王のため。騎士の務めではないですか」
騎士「…………」
772 :
名無しさん@ピンキー:2010/01/10(日) 03:06:29 ID:5ENg2vuV
胸がちくちくするのは何故だ
痴女はちょっと
マーキングですね、わかります
いつもどれくらいで次スレ立ててたっけ?
490KB過ぎ?
そろそろ立てるか?
テンプレ変更なしでいいよね
778 :
テンプレ:2010/01/11(月) 23:25:59 ID:TdeZbhK/
779 :
テンプレ:2010/01/11(月) 23:27:06 ID:TdeZbhK/
立ててこよう
781 :
誘導:2010/01/11(月) 23:34:39 ID:+W/hkdew
ありがとうございます
お嬢様
スレ立てありがとうございます
〜〜〜〜〜〜〜
(そういや建物全体がオーデコロン臭い気が……!おっさんによる大気汚染の影響か!)
思わず小さな鼻と口を手で覆った。
呼吸を止めると頬がリスようにぷっくり膨らむ。く、苦しいけれど、肺までおっさんに侵食されたくない。
その時、
「公共の場での奇行は自重して下さい」
冷たい言葉と共に天から手刀が落ちてきた。
脳天に直撃を喰らったアリスは「ぶぎっ!」と勢いよく空気を吹き出す。
「まったく。チェックインを済ませる間大人しく座っているようにと言ったはずですが」
よろめくアリスを見下ろし、エドガーは細い眉を僅かにひそめた。
エドガー先生、御年四十六歳。壮年の独身貴族である。
(いったたたぁ……!ちょ、ちょっと静かにしてよ。私は今潜伏中なんだから!
騒ぎ立てて女の子が居るってバレたらつまみ出されちゃう!)
何やらメンズエステという場所を凄まじく誤解しているようで、アリスは辺りを気にして声を潜める。
「まさかとは思っていましたが、アリス様のそれは男装のおつもりですか?」
アリスの服装を顎で示して問うと、真面目な顔で頷かれた。
今日のアリスは白いシャツにアーガイルのベスト、茶色のキュロットで
お坊ちゃん学校の制服風ファッションだ。ダブダブのベストで体を洋梨型に覆っているため、
ぱっと見は女の子だか男の子だか判別がつかないかもしれない。
ツヅク
楽しみにしてます
よろしく
原作を読み終わったので、尼さんから買った『日の名残り』のDVDを見てみた。
もちろんアンソニー・ホプキンスは素晴らしかったけれど、彼の仕えてるご主人様(英国人の方)役の役者さんも中々執事が似合いそうだった。
でも、どうしてか妄想する20世紀の主従は、革命か何かで途中立場が逆転するんだよなあ。
〜〜〜〜〜〜〜
(お嬢様からお坊ちゃんへ、アリスの変身能力はついに性の壁を越えた!)
えっへん!とアリスは内股ぶりっ子ポーズを決めた。
キュロットから零れたふわふわの内ももが擦れ合い、グレープフルーツの香りが弾ける。
ぴっちぴち。ふんわふわ。おっさんの世界を切り裂いてアリスの半径50センチが甘く染まった。
「……」
エドガーは迅速だった。
トランクを持つと凄まじい早足でエレベーターホールへ。
フロント前のスタッフが荷物持ちと部屋への案内を申し出るが、軽く手で制してそのまま直進。
エレベーターに乗り込み間髪入れずにドアの閉めるボタンを連打。連打連打連打。
「わー!ちょーっと待ってってば!」閉じる寸前のドアから金色の影が転がり込んで来た。
「どうして大切なお連れ様を放置しようとするのかなぁ!」
「置き去りにしようなどとは思っていません。小娘の香害から避難しただけです」
お気に入りのフレーバーソープをけなされアリスは唇を尖らせる。
グレープフルーツの香りには美容効果があると言われてるのに。先生の無知!阿呆!
口に出したら最後恐ろしい目に合うので、黙って壁の四隅の角をツンツンいじくった。
「……それにしても、先生がエステ通いしてるなんて意外だよ。先生も美しくなりたいの?」
エドガーが無表情で「身嗜みです」と返す。
流石は潔癖症の神経質。全身きっちりケアしないと気が済まないらしい。
ツヅク
wktkwktk!
続き待ってます。
わっふるわっふる
〜〜〜〜〜〜〜
(オフはせっせとボディケアねぇ)
苦節八年、やっとこさ先生の休暇スケジュールを暴けたというのに、内容は割りかし普通ですにゃー。
アリスは眼鏡の横顔をまじまじと見つめてしまった。
そう、エドガーのオフは今まで謎に包まれていたのだ。
屋敷に住み込みで働くエドガーだが、一年中業務に縛り付けという訳ではない。
季節毎に長い休暇を貰ってはプイとどこかへ消えてしまう。遊びに行くのか、はたまた故郷へ帰るのか、
出掛ける先は雇い主であるアリスパパですら分からない、完全プライベートのホリデーだ。
毎回エドガーが旅立った直後は、うるさい監視役が消えてせいせいしているアリスだが、
一週間も経てば何となくつまらなくなってくる。
残された宿題にぼちぼち着手し、一人ぼっちで予習復習。
さらに幾日も過ぎ、ようやくエドガーの帰還が近付く頃にはすっかり萎れ、
大きな目を曇らせている。
親の迎えを待つ子供のように、玄関アプローチにしゃがみ込んでエドガーの乗るハイヤーの到着を待つ……。
うう、侘しいよ……。
そこで今回、「私も先生と一緒に行きたいよ」と、駄目元で我が儘を言ってみたのだ。
ツヅク
続きが気になる…
GJ