☆魔法少女リリカルなのは総合エロ小説_第79話☆

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1名無しさん@ピンキー
魔法少女、続いてます。

 ここは、 魔法少女リリカルなのはシリーズ のエロパロスレです。


『ローカル ルール』
1.リリカルあぷろだ等、他所でのネタを持ち込まないようにしましょう。
2.エロは無くても大丈夫です。
3.特殊な嗜好の作品(18禁を含む)は投稿前に必ず確認又は注意書きをお願いします。
  あと可能な限り、カップリングについても投稿前に注意書きをお願いします。
【補記】
1.また、以下の事柄を含む作品の場合も、注意書きまたは事前の相談をしたほうが無難です。
  ・オリキャラ
  ・原作の設定の改変
2.以下の事柄を含む作品の場合は、特に注意書きを絶対忘れないようにお願いします。
  ・凌辱あるいは鬱エンド(過去に殺人予告があったそうです)

『マナー』
【書き手】
1.割込み等を予防するためにも投稿前のリロードをオススメします。
  投稿前に注意書きも兼ねて、これから投下する旨を予告すると安全です。
2.スレッドに書き込みを行いながらSSを執筆するのはやめましょう。
  SSはワードやメモ帳などできちんと書きあげてから投下してください。
3.名前欄にタイトルまたはハンドルネームを入れましょう。
4.投下終了時に「続く」「ここまでです」などの一言を入れたり、あとがきを入れるか、
   「1/10」「2/10」…「10/10」といった風に全体の投下レス数がわかるような配慮をお願いします。

【読み手 & 全員】
1.書き手側には創作する自由・書きこむ自由があるのと同様に、
  読み手側には読む自由・読まない自由があります。
  読みたくないと感じた場合は、迷わず「読まない自由」を選ぶことが出来ます。
  書き手側・読み手側は双方の意思を尊重するよう心がけてください。
2.粗暴あるいは慇懃無礼な文体のレス、感情的・挑発的なレスは慎みましょう。
3.カプ・シチュ等の希望を出すのは構いませんが、度をわきまえましょう。
  頻度や書き方によっては「乞食」として嫌われます。
4.書き手が作品投下途中に、読み手が割り込んでコメントすることが多発しています。
  読み手もコメントする前に必ずリロードして確認しましょう。

『注意情報・臨時』(暫定)
 書き込みが反映されないトラブルが発生しています。
 特に、1行目改行、且つ22行以上の長文は、エラー表示無しで異次元に消えることがあるそうです。
 投下時はなるべく1レスごとにリロードし、ちゃんと書き込めているかどうか確認をしましょう。

リンクは>>2
2名無しさん@ピンキー:2008/07/30(水) 00:17:41 ID:gyXVT6uX
【前スレ】
☆魔法少女リリカルなのは総合エロ小説_第78話☆
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1216457575/


【クロスものはこちらに】
 リリカルなのはクロスSS倉庫
 http://www38.atwiki.jp/nanohass/
 (ここからクロススレの現行スレッドに飛べます)

【書き手さん向け:マナー】
 読みやすいSSを書くために
 ttp://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/5301/1126975768/

【参考資料】
 ・Nanoha Wiki
  ttp://nanoha.julynet.jp/
  (用語集・人物・魔法・時系列考察などさまざまな情報有)
 ・R&R
  ttp://asagi-s.sakura.ne.jp/data_strikers.html
  (キャラの一人称・他人への呼び方がまとめられてます)

☆魔法少女リリカルなのはエロ小説☆スレの保管庫
 ttp://red.ribbon.to/~lyrical/nanoha/index.html  (旧)
 ttp://wiki.livedoor.jp/raisingheartexcelion/d/  (wiki)
3名無しさん@ピンキー:2008/07/30(水) 00:24:17 ID:I1ssbeV9
新スレ乙です
4名無しさん@ピンキー:2008/07/30(水) 00:30:53 ID:eoSq2b6V
乙じゃないか
5B・A:2008/07/30(水) 00:31:49 ID:YRfhsFnS
新スレ乙です。
さっそくですが一本投下いきます。


注意事項
・B・A版エリルー時空のお話
・主人公はヴィヴィオ
・オリキャラが出ます
・非エロでバトルです
・sts本編から11年後の物語
・フェイトが天寿を全うしております
・その他かなりの捏造多し。今回、一番のビクビクはここ
・タイトルは「Das Erbe zur Zukunft」 意味:未来への遺産
・最初に言っておく、これは「リリカルなのは」の二次創作である
・決して、某怪獣王ではない
6Das Erbe zur Zukunft@:2008/07/30(水) 00:34:03 ID:YRfhsFnS
第21話 「撃ち抜いて、夜も暗闇も」



あちこちで火の手が上がり、爆発で大地が揺れる。
錆色の壁に閉ざされたこの世界は、広大であるにも関わらず息苦しい閉塞感で満たされている。
その中心である高層ビルの屋上から、シエン・ボルギーニは疲れ果てた亡者の目で混沌の坩堝と化したクラナガンを見下ろしていた。

「そうか、ケーニッヒもロデオ・エステートも堕ちたか」

『はい。ですがあの男は十分役目を果たしてくれました。自尊心の強い奴のことです、まさか自分が最初から捨て駒だったとは、思いもしていなかったでしょう』

「予定通り、敵の戦力を削ることには成功したか。それで、傀儡兵は?」

『既に八割方のコントロールは押さえました。ですが、同志ケーニッヒの直属であったガジェットの内の何機かは、彼と共に行方不明です』

「捨てておけ。あいつは義理固い男だ、邪魔立てなどせぬ」

『では、後は手筈通りに』

「うむ。幸運を祈る」

同志との思念通話を切り、シエンは気だるげに周囲を見渡した。いつの間にか、彼の周りを取り囲むように数名の武装局員がデバイスを向けている。

「さて、待たせたかな諸君?」

「元地上本部中将、シエン・ボルギーニだな。大規模騒乱罪により、貴殿の身柄を拘束させていただく!」

指揮官らしき男が語調を強めながら言う。元中将を前にしていながらも、何ら気負った気配も感じられない。
まっすぐにこちらを睨む目からは、強い正義感と自信が感じ取れた。
7Das Erbe zur ZukunftA:2008/07/30(水) 00:38:55 ID:YRfhsFnS
「ふむ、見たところそれなりに場数を踏んでいるようだな。練度も悪くない・・・・だが、些か迂闊だとは思わなかったのかね?
私はまだ、全く手の内を見せておらんぞ」

「黙れ! 犯罪者の戯れ言になど耳を貸さぬ!」

「犯罪者か、悪くない響きだ。ならば、犯罪者らしく振る舞ってみるとするか」

そう呟くと、シエンはグレートソードにかけていた手を放し、無防備なその体を局員達の前にさらけ出した。
殺気すら感じさせない静かな佇まいに、彼らは一瞬、呆気に取られて大きな隙を生み出してしまう。
その瞬間、シエンの首から下げられていた首飾りの宝玉が鈍く輝いた。

「犯罪者らしく、貴公らに地獄を見せるとしよう」





シエン・ボルギーニ発見の知らせは、すぐにはやてがいる地上本部司令部に伝わった。
混迷を極める情勢において、その知らせは正に朗報であり、司令部のスタッフの顔にも俄かに喜びの色が浮かぶ。

「やりましたね、はやてちゃん」

「そやな。けど、まだ油断は禁物や。老いたとはいえ元首都防衛隊の大隊長、どんな隠し玉を持っているかわかれへん」

「本部長、現場から映像です」

通信士の一人がキーボードを叩き、現場の映像を正面モニターに映し出す。
その瞬間、その場にいた全員が絶句した。

「何や、これ・・・・」

はやての乾いた呟きが、薄暗い司令部の壁に木霊した。
モニターに映し出されたのは、シエン・ボルギーニを捕まえるために彼を包囲していた局員達が、味方同士で攻撃しあう地獄絵図であった。
ある者は雄叫びを上げながらデバイスを振るい、ある者は虚ろな瞳を浮かべたまま熱線を放っている。
個人では制御しきれない大魔法を行使しようとして自滅する者もいれば、自ら壁に激突して頭から血を流す者、
自分のデバイスで手足を傷つけている者までいた。

「これはいったい、どないなってんのや・・・・彼らと通信は?」

「駄目です、応答ありません」

こちらからいくら呼びかけても彼らは一切反応せず、何かに取り憑かれたように彼らは殺し合いを演じ続ける。
飛び交う怒号、地の底から響く怨嗟の声、肉を焼く炎と剣戟の音。
その中心で、シエン・ボルギーニは特に何をするでなく黙したまま眼下の情景を見下ろしている。
まるで、目の前で起きていることには何ら関心がないかのように。

「本部長!」

張りつめた空気を裂くように、別の通信士が緊迫した声を張り上げる。

「今度は何や!?」

「そ、それが、機能停止したはずの巨大傀儡兵が・・・・・・」

モニターの映像が切り替わり、哨戒用に飛ばせているヘリコプターからの映像が表示される。
そこには、スバルやティアナ、ナンバーズ達によってその機能を停止させられたはずの巨大傀儡兵“デウス・エクス・マキナ”の姿を映し出されていた。
8Das Erbe zur ZukunftB:2008/07/30(水) 00:43:44 ID:YRfhsFnS
「巨大傀儡兵から超高熱反応・・・・・・・再起動しました!」

モニターの向こうで、人造の神が再び咆哮を上げる。それは正に、悪夢のような光景であった。





それが起きた瞬間、そこにいた全ての人間が言葉を失った。
全身から激発音が響き、焼け焦げたデウス・エクス・マキナの装甲板が弾け飛んだのである。
その下から現れたのは、傷一つついていない真新しい銀色の装甲。そして、内蔵されている大型カートリッジシステムが連続で炸裂し、
膨大な魔力が隈なく全身の駆動システムに満たされると、色を失っていた両の瞳に再び輝きが取り戻していった。

「おい・・・・嘘だろ・・・・・」

「そんな・・・・・」

己の健在を誇示するかのように、デウス・エクス・マキナの咆哮が大気を震わせる。
溢れんばかりの魔力は冷め始めていた戦場の空気を一気に過熱させ、周囲の建造物の窓ガラスが震える。

「まずい、みんな逃げて!」

「ガリュー!」

「セイン、チンク姉を頼む!」

その瞬間、デウス・エクス・マキナの両肩の魔力砲が火を噴いた。
高熱に晒されたアスファルトが瞬く間に溶解し、間髪入れずにゲル状に変化した大地が爆散する。
まるで火山が噴火したかのように周辺の大地が盛り上がり、地面に巨大なクレーターが穿たれる。
ティアナが号令を発したことで何とか逃げ延びることに成功した面々は、その惨状を見て背筋を震わせた。

「嘘でしょ・・・・・あんなのまともに食らったら、欠片も残らずに蒸発しちゃうじゃない!」

「オットー、プリズナーボックスに閉じ込められない?」

「無理だろうね。出力が桁違いだ」

オットーのプリズナーボックスは魔導師が展開する結界と同じ効果を持つが、それにしたって戦艦クラスの出力をぶつけられれば成す術もなく突破されてしまう。
オットーの明晰な頭脳は、現状の戦力ではデウス・エクス・マキナを長時間拘束しておくことはできないという結論を導き出していた。

「なに、だったらもう一回ぶっ潰せば良いんだ。もうAMFはないんだろう?」

「装甲も一枚剝がれているし、前よりは脆くなっているんじゃないかな?」

思案顔になる面々に対し、ノーヴェとスバルはどこか楽観的に言う。一度打ち倒しているだけに、多少なりとも勝てるという自信があるのだろう。
だが、そのような発言ができたのもそこまでだった。
不意に空が暗くなったかと思うと、巨大なカギ爪が頭上に迫っていた。
咄嗟に反応したノーヴェがスバルを突き飛ばし、自身もその反動を利用して離脱する。
直後、標的を捉え損ねたカギ爪が真下にあったビルに叩き込まれ、熾烈な戦いの中で辛うじて原型を留めていたビルが轟音と共に粉々に砕け散った。

「ごめん、ノーヴェ。助かった」

「ボーっとしてんじゃねぇよ。それにしてもこいつ、さっきよりも素早いぜ」

「装甲を剥ぎ棄てて、その分身軽になったのね」

攻撃の後の隙を突き、余力のあるメンバーが射撃を叩き込む。しかし、嵐のような連射をその身に受けながらもデウス・エクス・マキナは全く堪えず、
二本のカギ爪を縦横無尽に振り回して周囲の建造物を破壊していく。その先には、過剰の魔力行使で疲弊しているティアナの姿があった。
9Das Erbe zur ZukunftC:2008/07/30(水) 00:51:15 ID:YRfhsFnS
「・・!」

即座に助けに飛ぼうとしたガリューが膝を着き、全身の至る所から出血する。
ロデオへの攻撃に彼自身もかなり無茶をしたため、傷口が開いてしまったのだ。

「ガリュー!?」

「ヴォルテール、ティアさんを守って!」

キャロの言葉に沈黙していたヴォルテールが再び地を蹴り、肩から体当たりをしてデウス・エクス・マキナの巨体を吹き飛ばす。
その隙に、セインがディープダイバーでティアナを安全なところまで移動させた。

「ありがとう、セイン」

「良いって良いって。それより、さっさとスターなんとかって奴を撃って終わらせようよ」

「ごめん、あれはもう撃てないの」

「えぇっ?」

今度もティアナがSLBでとどめを差してくれるものとばかり思っていたセインが驚きの声を上げる。
ウェンディも同意見だったのか、反対側にいたにも関わらずもの凄い速度でラインディングボードを駆り、ティアナのもとへと詰め寄った。

「どどどどういうことっスか、ティアナ!? さっきみたいにバーンって撃てば良いだけっスよ! できないっスか!?」

「ごめんなさい。あれはそうそう何度も撃てるものじゃないの」

「SLBは普通の砲撃と違って集束砲・・・・・つまり、周りの魔力残滓を再利用するの。だから、放つ分には魔力を余り消費しないんだけど、
さすがに魔力の再利用の再利用まではできない。もう一度あれだけの威力を出すためには、さっきまで使っていたのと同じくらい魔法を使わなくちゃいけないんだ」

元々、集束砲の利点は魔力の残量が僅かでも、周囲の魔力残滓を再利用することで強力な砲撃を放てる点にある。
そのため、集束砲は戦闘の終盤における決め技、切り札として非常に有効であるのだが、同時にその威力が状況に左右されてしまうという欠点もある。
大気中に魔力がなければ大した破壊力を引き出すことはできず、仮に撃てたとしても大規模砲撃は体への負担が大きいため、もし回避されてしまえば度し難い隙を生むことになってしまう。
強力な分、リスクも非常に大きいのだ。
その説明をスバルから聞き、ウェンディとセインは口を半開きにしたまま呆けた表情を浮かべる。
彼女の説明が理解できなかったのではなく、日頃から能天気な発言しかしないスバルが珍しく難しいことを口にしたので意外だったのだ。
最も、余り知られていないがスバルは陸士訓練校を首席卒業した秀才であり、知識だけなら戦術家であるティアナにも負けていなかったりする。

「スバル、あんたの振動拳は?」

「ごめん、エネルギー切れでもう使えない」

見ると、さっきまで禍々しい輝きを放っていたスバルの金色の瞳が元の緑色へと戻っていた。
エネルギー不足から、戦闘機人モードが強制的に解除されたのだ。
SLBに振動拳。デウス・エクス・マキナに対して有効打を与えられる数少ない手段を失い、重苦しい沈黙が場を支配する。
誰もが険しい顔を浮かべていた。
このまま放っておけば、デウス・エクス・マキナはエネルギーが尽きるまで暴れ続けるだろう。
だが、相手は次元航行艦級のパワーと魔法を弾く装甲を備え、大地を陥没させる威力を秘めた大砲を有した化け物だ。
そんな化け物に対抗できるものがあるとすれば・・・・・・・・。
10Das Erbe zur ZukunftD:2008/07/30(水) 00:54:31 ID:YRfhsFnS
「わたしが行きます」

「キャロ?」

「今のデウス・エクス・マキナなら、きっとヴォルテールのギオ・エルガで倒せるはずです」

「けど、ヴォルテールは・・・・・・」

今もなお戦い続けるヴォルテールは、長時間の戦いで満身創痍であった。片腕を失い、大量に血液を損失しながらもよく保った方である。
だが、これ以上の戦闘行為は誰の目にも自殺行為に見えた。弱り切った状態で殲滅砲など撃てば、最悪の場合、反動でヴォルテール自身が死滅する可能性すらある。

『みんな、悪いけれどそんなに話し込んでいる時間はなさそうだ』

ディエチからの念話が届くと同時に、錆色の空にヘヴィバレルの砲撃が駆け抜ける。
直撃を受けたデウス・エクス・マキナの装甲が僅かに軋みを上げ、着弾点にへこみが生まれる。
すかさずヴォルテールは無事な方の腕でデウス・エクス・マキナの首を掴み、渾身の力を込めて投げ飛ばす。
次の瞬間、ヴォルテールの巨体がグラリと傾き、地響きを上げてその膝が大地に屈した。

「ヴォルテール!?」

『もう限界だ。あの竜はこれ以上戦えない』

『ディエチ、何でもいいから撃ちまくれ! ヴォルテールに近づけさせるな!』

『了解』

ディエチとヴァイスの念話が切れ、砲撃と射撃の集中砲火がデウス・エクス・マキナの装甲を焼く。
だが、装甲を陥没させ、態勢を崩しながらも偽りの巨神はゆっくりと立ち上がり、地に伏したヴォルテールへと歩みを進めていく。
そして、再び両肩の主砲の発射態勢に入り、大気を捻じ曲げる程の膨大な魔力が凝縮していく。

「ヴォルテール! 立って、立たなきゃ死んじゃう・・・・ヴォルテール!」

キャロの悲痛な叫びが飛ぶが、ヴォルテールが立ち上がるよりも敵の主砲のチャージが完了する方が早かった。
大地を踏み締める震動が絶望を掻き立てる。
スバル達も駆け出すが、とてもじゃないが間に合いそうにない。いや、そもそも駆けつけたところで何ができるというわけでもなかったが、
ジッとしていられずにはいられなかったのだ。ヴォルテールも今日まで一緒に戦ってきた仲間だ、放ってはおけない。
そして、無常にもデウス・エクス・マキナの魔力砲が全てを燃やし尽くさんと輝きを発した瞬間、もう一つの巨大な影が体当たりをしかけてその巨体を仰向けに転ばした。
直後、発射された魔力砲が天を焦がし、錆色のドームの天井にぶつかって霧散する。

「一人じゃ無理かもしれない。けれど、二人でなら・・・・」

ヴォルテールを庇うように立ち、咆哮を上げてデウス・エクス・マキナを威嚇する白天王をバックに、ルーテシアはそっとその手を差し出す。

「二人でなら勝てる・・・・そう言ったよね、キャロ」

「ルーちゃん・・・・」

「大丈夫、二人でならきっとやれる。私とキャロのタッグは、絶対無敵だから」

恥ずかしげもなく、ルーテシアは言ってのける。
まっすぐなその瞳に迷いは微塵も感じられない。
不安も恐怖もそこにはなかった。
憤怒も憎悪もそこにはなかった。
あるのはただ純粋な思い、強く心に訴えかける確信。
二人でなら、必ず勝てるという自信。
理屈を超えた全能感。
その思いの先にあるのは、パートナーに対する確固たる信頼。
誰にも侵すことのできない固く結びついた友情。
11Das Erbe zur ZukunftE:2008/07/30(水) 00:58:35 ID:YRfhsFnS
「そうだね」

差し出された手を掴み、キャロは微笑み返す。
体力も魔力も尽きかけているというのに、その疲れはもう苦にならなかった。
この娘と一緒ならば怖いものなんて何もない。
どんな困難にだって打ち勝てる。
それは驕りなどではない。
確信だ。

「行こうか、ルーちゃん」

「うん・・・・キャロ」





その瞬間、二体の巨獣から発せられていた空気が一変した。
片や片腕を失い、満身創痍の巨竜。
片や傷つき一度は地に伏した満身創痍の巨蟲。
だが、ぎらついたその双眸に宿る光は些かも衰えを見せず、それどころかどんどん輝きを増していっている。
その巨体が滾らせる魔力の総量も、僅かではあるが上昇を始めていた。有り体に言うと、テンションが上がってきているのである。
もちろん、機械であるデウス・エクス・マキナはそのような些細な変化に気づかず、目の前の敵を葬り去らんと即座に起き上がり、
傍らに建つ巨大な高層ビルをカギ爪で打ち壊してその瓦礫をボールのように投げつけてきた。
ただの投石とはいえ、規格外の力を持つデウス・エクス・マキナが投げたものなので、その破壊力はエース級魔導師の砲撃にも匹敵する。
だが、その一撃を白天王は事もなげに受け止めて見せた。
一瞬、場違いな静寂が訪れる。
白天王は揺るがなかった。
凄まじい破壊の嵐をその身に受けながらも背後のヴォルテールを守るために仁王立ちし、呵責な攻めに耐えきったのだ。
直後、白天王の背後から飛び出したヴォルテールが大地を駆け、デウス・エクス・マキナの懐に入り込んで強烈な体当たりを食らわせた。
完全に不意を突いたその攻撃に、堪らずデウス・エクス・マキナはたたらを踏む。
すかさず、駆けつけた白天王がヴォルテールの横に立ち並び、左右から連続でラッシュが叩き込む。
既に複合装甲ではなくなり、防御の脆くなったデウス・エクス・マキナの体は瞬く間にへこんでいき、美しかった銀色の装甲が見るも無残に歪んでいく。

「白天王!」

「ヴォルテール!」

白天王の蹴りがデウス・エクス・マキナの態勢を崩し、そこにヴォルテールの尻尾の一撃が叩き込まれる。
グラリと傾く鋼の体。だが、それが地に伏すことはなかった。蹴りを放った後、即座に背後に回り込んだ白天王が左肩を掴み、
スバルが大穴を空けた個所に拳を叩き込んで半ば無理やり立ち上がらせたのだ。
悲鳴にも似た金属の擦れる音が響き渡り、デウス・エクス・マキナは白天王から逃れようともがく。
内部に充填されている魔力が隈なく全身を駆け抜け、関節から白い蒸気を噴き出しながら白天王を振り飛ばし、
倒れた瞬間に合わせて蹴りを放とうと片足を持ち上げる。だが、鋭利なカギ爪が叩き込まれる直前でヴォルテールがまだ無事な腕をグルグルと回し、
勢いのつけたラリアットをデウス・エクス・マキナの首筋に叩き込んだ。それによって生じた隙をついて白天王は身を起こし、
まるで選手交代だと言わんばかりにヴォルテールを押しのけて前に躍り出る。
どことなく挑発的なその行動が気に障ったのかどうかはわからないが、デウス・エクス・マキナは激昂したかのように雄叫びを上げて突進をしかけてくる。
すると、白天王は闘牛士のように迫りくる巨体をヒラリとかわし、目標を失ったデウス・エクス・マキナは勢いを殺し切れずに背後のビルに激突した。
地響きと共に白煙が上がり、三体の姿を覆い隠す。しかし、視界が塞がれた程度で二体の猛攻が止まる事はなかった。
全身から軋みを上げている鋼の偽神を蹴り飛ばし、踏みつけ、殴りつけ、容赦のない攻めでその巨体を蹂躙していく。
傍目に見ても白天王達が圧倒的に優勢であったが、デウス・エクス・マキナは侮れない相手であった。
ヴォルテールの片手のハンデに付け込み、執拗にそこばかりを攻撃して二体の連携を突き崩し、装甲を捨てた利点を最大限に活かすために瓦礫の街を縦横無尽に駆け回る。
繰り出される高速のカギ爪が容赦なく二体の鎧を抉り、血飛沫が街を汚していく。
12Das Erbe zur ZukunftF:2008/07/30(水) 01:01:39 ID:YRfhsFnS
「頑張って、ヴォルテール!」

「白天王、負けないで!」

それぞれの主からの声援が飛び、二体に再び活力が漲る。
咆哮を上げて両者は二手に分かれ、好き放題に暴れ回るデウス・エクス・マキナを挟み撃ちにする。
そこは丁度、片側二車線の幹線道路であり、左右に建ち並ぶ建造物がデウス・エクス・マキナの逃げ道を塞いでいた。
咄嗟に、デウス・エクス・マキナは負傷の酷いヴォルテールに狙いを定め、そのカギ爪を振るわんと地を駆ける。
だが、それを良しとしないヴォルテールは低空ドロップキックでデウス・エクス・マキナを転ばし、地面の上でもがいている間に近づいてきた白天王が動きを拘束する。
そして、白天王は全身の力を漲らせてその巨体を持ち上げると、ジャイアントスイングの要領で投げ飛ばす。
その先には、渾身の力を腕に込めているヴォルテールの威容があった。
直後、ヴォルテールと白天王は同時に大地を疾走し、その剛腕でデウス・エクス・マキナの首筋を前後から挟み込んだ。
鈍い音と共にデウス・エクス・マキナの首の装甲が弾け、切断された頭部が虚空を舞う。
通常の生物なら、首を跳ねられれば即死である。それでなくても、白天王とヴォルテールの息の合った連携攻撃を何度も食らっていたのだ。
本来なら、とっくに戦闘不能に陥っていてもおかしくない。だが、悲しいかなデウス・エクス・マキナは生物ではなく機械であった。
例え四肢を失おうと、頭を破壊されようと、動力が続く限り課せられた命令を実行し続ける。
デウス・エクス・マキナは残された力を振り絞り、自分を組み伏せる二体を振り払うと、コンクリートを踏み砕きながら大きく距離を取った。
今度は、一足では近づけない間合いである。
恐らく、機能停止するまで後数分。それまでに敵を葬り去るためには、自爆覚悟で最大出力の主砲を撃つしかない。
そして、それは白天王達も同じであった。
疲弊し切った体でこれ以上の戦いは困難であり、敵を打ち倒すためには魔力砲を撃ち込んで部品一つ残さずに消滅させるしかない。
問題点は二つ。
ヴォルテールがギオ・エルガの反動に耐えられるか。そして、果たして敵の主砲を圧倒することができるのかどうか。

「キャロ・・・・・」

「ルーちゃん!」

躊躇はしなかった。
二人はお互いに手を取り合い、自分達の召喚獣を信じて打ち倒すべき敵を指し示す。

(ごめんなさい・・・・・・こんな形でしか、あなたを救えない)

胸に去来した悔しさに涙しながら、ルーテシアは白天王に魔力を供給する。
デウス・エクス・マキナもまた、この戦いにおける被害者といえた。
己の意思を持たされず、人間の身勝手なエゴのために利用された哀れな人形。
ボロボロに傷ついてもなお戦いから解放してもらえず、戦うこと以外に自分を表現する術を持たない魂なき創造物。
神の名を騙らされた紛い物、それがデウス・エクス・マキナだ。

(だから、もうお休み)

涙を拭い、毅然とした眼差しでデウス・エクス・マキナを見つめる。
直後、三体の砲撃のチャージが完了し、滲み出る膨大な魔力が周辺の空間に重力異常を起こさせる。
13名無しさん@ピンキー:2008/07/30(水) 01:10:34 ID:dRAink5d
支援?
14Das Erbe zur ZukunftG:2008/07/30(水) 01:11:53 ID:YRfhsFnS
「ヴォルテール、ギオ・エルガ!」

「白天王、撃って!」

放たれた二条の砲撃が絡みあい、一つの巨大な渦となってデウス・エクス・マキナの主砲とぶつかり合う。
三体の殲滅砲の衝突と爆砕が空間すらも捻じ曲げ、大気を激しく振動させる。既に周囲は異常な高温に晒されており、
荒れ狂う磁場と重力の渦が周囲のものを根こそぎ破壊していく。
未だかつて、地上でこれ程までのエネルギーの衝突が起きたことはなかっただろう。未知の衝撃に世界そのものがその身を捩り、
痛みに悶え苦しんでいるかのような軋みが聞こえる。
キャロの体がグラリと揺らぎ、ルーテシアが横から抱え上げる。見回すと、おぞましいまでの魔力のぶつかり合いにあてられて気を失っている者までいた。
反動に耐え切れず、白天王とヴォルテールの全身からおびただしい量の血が迸る。そう長くは保ちそうにない。
いや、下手をすれば次の瞬間にも圧倒され、光の渦に飲み込まれるかもしれない。
その時、何かが弾けるような音が聞こえたかと思うと、デウス・エクス・マキナの巨体が揺らいだ。
誰にも知る由もなかったが、ここまでの戦いでデウス・エクス・マキナの脚部は異常なまでに疲労が蓄積しており、
いつ分解してもおかしくない状態だったのである。それが正にこの瞬間、砲撃の過負荷に耐え切れずに金属疲労が限界を超え、
関節を固定しておく部位が吹き飛んだのだ。
それによってバランスを崩したデウス・エクス・マキナは鬩ぎ合う砲撃の反動を支えることができず、余りにも呆気なく暴虐の流れに飲み込まれ、
粉々の残骸と化して風に散っていった。
久しく忘れていた静寂の帰還に、ルーテシアとキャロは力なくその場に尻餅を着いた。

「やった・・・・・勝ったぁっ!」

「大勝利っス!」

「やったあぁぁぁぁぁっ!!」

瓦礫の街のあちこちで勝利の歓声が上がる。
スバルが、ティアナが、ヴァイスが、ナンバーズが、ライトニング分隊のみんなが喜びの余り飛び上がり、近くにいた者達と抱き合って勝利を分かち合う。
すると、白天王とヴォルテールも互いに勝利を称えるように拳をぶつけ合った。
直後、糸の切れた人形のように二体の体が傾き、轟音を上げて大地に倒れ込んだ。どうやら、さっきの砲撃で余力の全てを使い切ってしまったようだ。
即座に我に返ったルーテシアとキャロは、それぞれの召喚獣に回復魔法を施し、その健闘を労った。

「ご苦労さま、ヴォルテール」

「白天王、ここでゆっくり休んでいて」

疲れ果てた体を労り、二人は最愛の召喚獣に背中を向ける。その瞳に宿る闘志は、些かも萎えていなかった。
それどころか、一戦を終えて疲弊しているにも関わらず、なおも熱く燃え滾っている。
そう、まだ戦いは終わっていないのだ。
ロート・シルトの幹部の内、既に二人は堕ちた。だが、未だこの一件の首謀者であるシエン・ボルギーニは捕まっていない。
ケーニッヒと戦っていたエリオもいつの間にかどこかにいなくなってしまっており、ルーテシアの胸中に不安が渦巻く。
15Das Erbe zur ZukunftH:2008/07/30(水) 01:18:24 ID:YRfhsFnS
「エリオ・・・・・・」

地上本部からの通信が届いたのは、正にその時であった。





黒煙を吹き飛ばし、虹色の砲撃が放たれる。
間一髪でそれを回避したセリカは、空中を旋回しながら迎撃のための魔力弾を生成し、突撃してくるヴィヴィオを迎え討つ。
もう、何十回砲撃を撃ち込んだのかわからなくなっていた。
中距離での撃ち合いでは自分が不利であると悟ったヴィヴィオは、危険を承知で無謀な特攻をしかけ、
こちらの聖王の鎧を干渉・無効化して攻撃を叩き込むという戦法を取ってくるようになった。
如何に強固な聖王の鎧とはいえ、それは結界や防御魔法と同じ魔法で造り出された産物であることに変わりはない。
力技で抜かれるか、同じ波長の魔力をぶつけられれば成す術もなく無効化されてしまう。いわば、この二人は世界で唯一の天敵同士なのである。
そうならないために、セリカはヴィヴィオと距離を取って戦うことに専念していた。誘導操作弾で動きを捉え、砲撃を叩き込み、その隙に間合いを取る。
並の魔導師ならば、そのやり取りを数度繰り返しただけで堕ちていただろう。
だが、ヴィヴィオはそうならなかった。
何度も砲撃の直撃を受け、仰け反りながらもまっすぐに向かってくる。
一度としてその闘志が萎えることはなく、リンカーコアを磨り潰される苦しみに歯を噛み締めて堪えながら、こちらとの距離を詰めてくる。

「何で・・・・・・」

まるで向かい風に挑む道化者のように諦めることを知らないヴィヴィオを前にして、セリカは戸惑いの言葉を漏らした。

「何で諦めないのよ・・・・・・」

相手の攻撃を防御しても魔力は削られる。特に聖王の鎧は自分の意思で発動を止めることはできないため、
その消耗の度合いは常人の比ではない。それに聖王の鎧が無効化できるのは物理的なダメージだけであり、
煙や埃による苦しみ、ぶつかった時の衝撃、体力の消耗までは無効化できない。
何度も攻撃を受けて吹っ飛ばされ続けていては、例えノーダメージでもいつかは自滅する。
いや、既にそうなっていてもおかしくない。
しかし、ヴィヴィオは諦めない。
苦しみながらも前を向き、倒れそうになる体を無理やり起こし、魂をすり減らしながらもこちらに向かってくる。

「何で諦めないの!」

怒鳴り散らしながら砲撃を連射し、突進してくるヴィヴィオを弾き飛ばす。

「どうして諦めないの! 何でそんな目で・・・・そんな希望に満ちた目で私を見られるの! 
どうして、こんなに苦しい思いをしてまで私なんかに拘るの!」

喉を振り絞るような叫びは、セリカの本心であった。
原因不明の苛立ちが胸中に渦巻いているのだ。
いつも抱いていた怒りとは決定的に違う何かをヴィヴィオから感じる。
このまま彼女と戦い続けていてはいけないと、本能が訴えかけてきているのだ。

「私は、セリカちゃんと戦いたくない・・・・・けど、セリカちゃんを放っておくこともできない。
どうしたら良いのかなんてわからない。何が正しいのかもわかんない! セリカちゃんが言っていることも間違っていないんだと思う! 
けど・・・・・・・・・・」

一旦言葉を切り、ヴィヴィオはレイジングハートを握り直してセリカを見上げた。
16名無しさん@ピンキー:2008/07/30(水) 01:20:27 ID:eoSq2b6V
支援
17名無しさん@ピンキー:2008/07/30(水) 01:23:03 ID:z+PnEoLo
支援入ります。
18Das Erbe zur ZukunftI:2008/07/30(水) 01:24:01 ID:YRfhsFnS
「けど、平和のために何かを犠牲にすることは間違っている。他の次元世界も、セリカちゃんの命も、平和のために犠牲になんてしちゃいけないんだ! 
それがどんなに大切なことでも、別の大切なものを犠牲にしちゃいけない! だから、私はぶっ飛ばしてでもセリカちゃんを止める! 友達だから、止めてみせる!」

「だったら、前みたいに力で捩じ伏せなさいよ! 一方的に、容赦なく、悪魔みたいに叩き潰せば良いでしょう! 真剣勝負で手加減して、私のプライドを傷つけているのはどっちだ!」

「違う!」

セリカの言葉を、ヴィヴィオは真っ向から否定する。

「私はセリカちゃんを倒したいんじゃない、わかり合いたいんだ。色んなことをセリカちゃんと分け合いたいんだ。真正面から向き合いたいんだ。
だから、あの力は・・・・・・ブラスターモードは使わない。私は私だけの力でセリカちゃんと向き合う。それが私にとっての全力全開。真剣勝負なんだ!」

確かにブラスターモードの力は強大だ。だが、それを使えば相手とわかり合いたいというヴィヴィオの思いを裏切ってしまう程の一方的な戦いとなってしまう可能性がある。
ヴィヴィオの志す戦いは即ち思いのぶつかり合い。自分という信念を賭けた戦いである。そこで最大の力を引き出す要因は、
迷うことなく戦意を研ぎ澄ませることができたかどうかにかかっている。もしも、今ここでブラスターモードを使えば、きっとまた力に振り回され、
お互いにわかりあえぬまま戦いが終わってしまうだろう。それだけは、何としてでも避けたかった。

「くっ・・・・!」

毅然とした眼差しに、セリカは自分が気圧されていることに気づいた。
ヴィヴィオに誰かがダブって見える。
目の前にいるのはヴィヴィオのはずなのに、彼女が違う人物に見える。
ただまっすぐに、愚直なまでに前を見続ける姿勢を自分は知っている。
どこまでも相手のことを労わり、傷つくことを覚悟で向き合おうとするその思いを自分は知っている。
何があっても諦めない、不屈の心の持ち主を自分は知っている。

「嘘・・・・なんで・・・・・・・」

彼女が尊敬し、理想とした魔導師、高町なのはがそこにいた。

「なんで・・・・・なんであんたがぁぁぁぁぁっ!!!」

激昂したセリカは、幻を打ち払うようにやたら滅多に砲撃を乱射する。

「なのはさんになるのは私だぁっ! あんたなんか、あんたなんかに渡さない! ずっと欲しかったんだ、ずっと求めていたんだ! 
中将のために、高町なのはになるって決めたんだ。だからあぁぁぁぁっ!!!」

一際大きな砲撃が空を焼き尽くす。だが、ヴィヴィオはアクセルフィンを羽ばたかせ、巧みに旋回しながら砲撃の雨を搔い潜ると、
制動をかけながらレイジングハートの先端をセリカへと向ける。

《Short Buster》

「シュートっ!!」

擦れ違いざまに放たれたショートバスターがセリカの頬を掠め、赤い血が流れる。
更に距離を取りつつヴィヴィオは立て続けにショートバスターを連射し、セリカに防御する暇も与えぬまま責め立てていく。
本来ならばあらゆる攻撃から身を守ってくれるはずの疑似・聖王の鎧は発動しなかった。
19Das Erbe zur ZukunftJ:2008/07/30(水) 01:27:37 ID:YRfhsFnS
(因子が切れた・・・・・・まずい!)

即座にプロテクションを発動して砲撃をやり過ごし、安全圏まで離脱する。
直後、異物を取り込んだことによる拒絶反応の苦しみがセリカに襲いかかった。

「あああぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!!」

「セリカちゃん!?」

「来るなぁぁっ!!」

敵対していることも忘れ、近づこうとするヴィヴィオを怒鳴り散らすことで制し、セリカは呼吸を整える。
意識を集中してみるが、やはり聖王の鎧は発動しなかった。完全に聖王の因子がその効果を失ってしまったようだ。

(後一回・・・・・もし、次に聖王の因子を取り込んだら、私は・・・・・・・)

最悪、自我を失って自分が誰なのかもわからなくなるかもしれない。
自分が信じた正義も忘れ、何を守りたかったのかも定かでなくなり、混濁する記憶の波に飲まれながら、
セリカ・クロスロードであったことも忘却して暴走するだけの現象に成り下がってしまうかもしれない。

(それでも・・・・・それでも私は・・・・・・・)

震える手で無針注射器を取り出し、最後のアンプルを装填する。
使えば時限爆弾のスイッチが入る。
聖王の因子を取り込めば、導火線に火が点く。
それが爆発するのは一分後か十分後かはわからない。助かるかも知れないし助からないかもしれない。
余りに不明確なことが多すぎる。自分がどのような結末を迎えるのかもイメージできない。

(それでも、私は・・・・・・・)

無針注射器を首筋にあて、引き金に指を添える。

「ごめんなさい、なのはさん・・・・・・約束、破ります」

薬液が血管を駆け巡り、再び異物が入り込んだことで痛みが一層激しくなる。
全身の細胞の一つ一つが痛みでのた打ち回るという苦しみは、最早耐えられるものではない。

「あああぁぁぁぁぁぁっ!!! があぁぁぁぁぁぁっ、あぁぁぁぁぁぁっ!!!!」

「セリカちゃん!?」

「ぐうあぁぁぁっ・・・・・・く、くる・・・・くるなぁっ、聖王!」

大気を震わすセリカの叫びと共に、彼女の体から目に見える程の魔力が迸る。
余りの衝撃にヴィヴィオはバランスを崩し、紙切れのように錐揉みしながら吹き飛ばされてしまう。

「セリカ・・・・ちゃ・・・・・・・」

アクセルフィンを羽ばたかせて態勢を立て直したヴィヴィオは、セリカの姿を見て絶句した。
肉体の変化が瞳だけでなく、髪にまで及んでいる。濁った灰緑色だった髪の半分程が自分と同じ茶色がかった金髪へと変化し、
何とも奇妙なグラデーションを彩っている。疑似・聖王の鎧はさっきとは比べものにならないくらい厚く強固になっており、
灰色の魔力光に見られる明暗はまるで白と黒のカイゼル・ファルベのようであった。
20名無しさん@ピンキー:2008/07/30(水) 01:30:54 ID:z+PnEoLo
再支援
21Das Erbe zur ZukunftK:2008/07/30(水) 01:30:58 ID:YRfhsFnS
「セリカちゃん・・・・そこまで・・・・・・・」

「そうよ・・・・・私は自分のことなんてもうどうでもいい。中将のためなら、命だって何だって捨てて見せる!」

「間違っている! そんなのおかしいよ、絶対! 自分を蔑ろにしてちゃ、幸せになんてなれない!」

「私の幸せなんてどうでも良い!」

「自分を幸せにできない人が、他人の幸せを守ることなんてできない!」

ヴィヴィオはレイジングハートをセリカに向け、明確な怒りのこもった目で彼女を睨みつけた。
それは、一連の事件においてヴィヴィオが初めて抱くことのできた怒り。
かつて、息子のために殉じようとしたもう一人の母親に抱いていたのと同じ怒り。
命を蔑ろにすることに対する、正しき怒りであった。

「来なさい、これが・・・・・これが私の正義だぁっ!!」

「その正義ごと撃ち抜く! レイジングハート、力を貸して!」

《All right, lady》

決して交わることのない思いを再確認し、二人は再びぶつかり合う。
この戦いの果てに、いったいどのような結末が待ちうけるのか。それは誰にもわからない。
だが、奇しくもこの時、ヴィヴィオとセリカは同じ思いを共有していた。


神よ、決着が着くまで、どうかお手をお貸しにならないでください。





どことも知れぬ闇の中で、ソレはまどろみの淵を彷徨っていた。
幾度の争いの果てに辿り着いた平穏、幾星霜と積み重ねられた歴史。
出口のない闇の中で、ソレはずっと重ねられる思いの数々を見つめてきた。
だが、それももう直に終わりを告げる。
だって、自分を呼ぶ声が聞こえるのだから。
力が欲しい、力が欲しいと。
争いの中でしかその存在価値を見いだせないソレを求めている者がいる。
ならば祝福しよう。
ならば応えよう。
無限の苦しみと無窮の闇への堕落を代償に、汝に力を授けよう。
我の名は・・・・・・・・・。

                                                     to be continued
22B・A:2008/07/30(水) 01:33:27 ID:YRfhsFnS
以上です。
時間かけて本当に申し訳ない。
ちゃんと推敲したのに手痛いミスがあちこちにあって。


えー、内容については・・・・・まさかリリなの書くのにゴ○ラを参考にする日が来るとは思わなかったw
23B・A:2008/07/30(水) 01:33:51 ID:YRfhsFnS
それと、支援ありがとうございました。
24詞ツツリ ◆265XGj4R92 :2008/07/30(水) 01:37:34 ID:oT85+EYn
なんというなんという熱い展開!
GJでした!

そして、2時頃から【しんじるものはだれですか?】の続きを投下してもよろしいでしょうか?
希望通りの二回戦、おそらく今までの人生でもっとも濃いエロを書いた自信があります。
参考までに19KBです。
25名無しさん@ピンキー:2008/07/30(水) 01:44:10 ID:eoSq2b6V
GJです。
何という怪獣大決戦。そしてヴィヴィオ対セリカも熱い!寝ないで張り付いていた甲斐があった。

注意書きを見てヴォルテールが白天王に力を与えて死んでいくというゴ○ラvsメカ○ジラのフィヤーラ○ンみたいなのを想像したが
ヴォルテール生きてて良かったよ。

26名無しさん@ピンキー:2008/07/30(水) 01:46:59 ID:CjhyVRY0
B・A氏
なんたる熱血SS!
本編でもこれくらい熱くしてほしかった。
セリカもヴィヴィオもどちらも譲れぬ思いがあり、ある意味間違っていないからこそ面白い。
詞ツツリ氏
全力で支援します
27詞ツツリ ◆265XGj4R92 :2008/07/30(水) 02:01:43 ID:oT85+EYn
投下開始です。



 何度この人に抱かれることがあるんだろうか。
 好きや。
 大好きや。
 例え嫌われても。
 例え憎まれても。
 きっと放せない。
 私は放したくない。
 そんな思いが私を女にする。

 それだけが支えになる。



 しんじるものはだれですか?



 二つの肉体が混じり合っていた。
 ベットの上で一人の少女の背に、一人の男が覆い被さっている。
 質素なベットの上、一人分しかない狭さの上に二人が乗るにはそれしかなく。
 安物のベットはギシギシと軋みを上げて、濃密な性交に耐えていた。

「あかん……あかんってぇ……」

「なにがだ?」

 はやての搾り出すような声を聞きながら、クロノはくちゅりとはやての膣に突き刺していた指を動かした。

「あっっ!」

 喘ぎ声が上がる。耐えられない快楽に背が仰け反って、汗が吹き出し、身体が揺れる。
 そして、その未成熟の肢体を抱きしめているのが鍛えこまれたクロノの手だった。背中から廻された手ははやての乳房を撫で回し、もう片方ははやての股間を弄りながら、密着する熱を逃がさないように、そして味わいつくすように手が動いていた。
 くちゅりくちゅりと湿った音が、狭い寝室に響き渡る。どこまでいやらしい音。
 喘ぎ声を上げるはやての喉をクロノの唇が口付けする。汗を啜り、囁く。

「どうした? 動きが悪いが」

「もぅ、体力がないねん……」

 そう告げるはやての声は力がなかった。
 そもそも艦長室で行った性交すらも幼い中学生、それも長年の車椅子生活で一般的な女子中学生よりも低い体力には厳しいものだったのだ。
 汗は吹き出て、身体は快楽に抵抗することも出来ずに痙攣し、喘ぐしか出来ない。
 そんなはやての状態に、クロノは考えたようにふむっと呟いて。

「それじゃあしょうがないな」

 え? 終了? あ、でもちょっとおしいかも。
 っとはやてが一瞬考えて、それは甘い考えだと粉微塵に踏み砕かれた。

 はやてとクロノの身体の位置が入れ替わる。
 覆い被さっていたはやてがクロノの腕力によって上にひっくり返され、はやてがクロノの胸板に覆いかぶさるような体勢になった。
 騎乗位と呼ばれる体位。
 はやての膨らみ切っていない乳房が重力と体重によってクロノの胸板の上で、淫らに歪んだ。
28しんじるものはだれですか? ◆265XGj4R92 :2008/07/30(水) 02:03:14 ID:oT85+EYn

「クロノ……くん?」

「君は動かなくていい」

 そう告げて、クロノははやてのお尻を片手で鷲掴みにした。
 はやての小さな臀部、さわり心地もいい尻肉が、少々乱暴なクロノの指の間からちらりと白い肌を見せてぐねぐねと歪んだ。
 予想もしない衝撃に、ひゃうっと息を吸い込むような声を上げたのも束の間、その唇がクロノの口によって閉ざされる。
 頭にかけられた右手で、唇への口付けを許容された。

「ん! む、むぅう」

 喘ぎ声が湿った音で塗り潰されながら、唇と唇が、舌と舌が、絡まりあいながら唾液を交換する。
 声は封殺された。
 そして、クロノの手が蜜に濡れた秘所から、その後ろの肛門へと伸びる。

「ん、んん!?」

 クロノの指が、繊細な、誰にも触れられるはずの無い場所に埋もれていく。
 ひくひくと閉じられた穴へと、ゴツゴツとして、それでもどこかほっそりとした人差し指がはやてのお尻の穴へとめり込んでいく。
 穴を押し広げ、繊細な、穴へと指がめり込んでいった。

「んぅん、く、んあ、くぅん!?」

 声すら上げられない。
 ただ目だけ笑うクロノの思いのままだった。弄ばれるのみだった。
 精液と愛液が入り混じった液体で濡れた指は頑強に拒むはやての肛門の中にめり込んで、じゅぴじゅぴとしゃぶるような音を立てて出入りする。
 二種類の唾液が入り混じって、粘着質な蜘蛛の糸のようになった唾を溢れさせながら、クロノははやての唇から顎に口付けて、囁いた。

「ひくひくしてるぞ?」

「っ!!」

 とんでもなく恥ずかしい言葉だった。
 同時に指がめり込んで、はやてが絶叫にも近い言葉を上げる。指がめり込んで、はやての小さなおしりの中で指が肉を広げようと動いているのだ、なれない感覚、未知のくすぐったさにも似た感触。

「へ……へんたぃすぎわぁ」

「そうかな?」

 脱力しながら、肛門を弄られるたびに痙攣するように腰を動かすはやてが汗混じりに呟くのを見ながら、クロノは押さえていた頭を解放して、開いた手ではやての片足を掴んだ。

「ん?!」

 犬の排泄行為のように片足を上げさせられる。
 すると、クロノからははやての秘所が丸出しだった。愛液と精液が入り混じった液体がだらだらと流れ出て、下にいるクロノの腰や布団に垂れていく。
 その行為にはやてがトマトでもこうはならないんじゃないかといわんばかりに顔を赤く染めた。

「……あまりみないでほしいわ」

「綺麗だと僕は思うが?」

 クロノはさらりと告げる。
 恥ずかしいことも厳しいこともはっきりと告げる。
 それが彼の長所でもあり、短所でもあった。
 そういってはやての肉体を持ち上げながら、クロノはゆっくりとその秘所に、己のそそり立つペニスをあてがった。
29しんじるものはだれですか? ◆265XGj4R92 :2008/07/30(水) 02:03:47 ID:oT85+EYn

「もう何度も言っていると思うが」

「力はぬいてるさかい」

「そうか」

 ぐちゅりとを音を立てて、二度目の結合を行う。
 幼い少女の秘所に、クロノ自身が埋もれていく。狭い、まだ二十歳にも満たない少女の蜜壺。
 指でほぐし、快楽でとろかせ、一度貫いているといってもその中はぎゅっと引き締まり、クロノ自身がもっと欲しいと喘ぐかのように締め付けてくる。
 快楽にクロノの口元が僅かに歪む。はやてが吐息を洩らしながら、甘ったるい息を吐いて、己の中に埋没するクロノ自身を味わう。

「ん、あ、あ〜」

 舌を突き出し、はやてが猫のような声を上げる。
 薄暗い部屋の中で見えるはやての顔はまるで発情した猫のようだった。

「クロノくんが、はいっとる……」

 ぐちゅりと音を立てる秘所の感覚に悶えながら、はやてはクロノの胸板に手を這わした。

「ん。もう……うごく?」

「すぐにイキたいのか?」

「ちょっとだけ……味あわせてほしいわぁ」

 そう告げて、はやての手がクロノの胸板から喉へ、顎へ、顔に掛かる。
 秘所から湿った音を立てながら、はやてはクロノの顔にもたれかかり、両手でクロノの髪に触れた。

「ねぇ……クロノくん……」

「なんだい?」

 緩やかに動かして、少女の肉を味わい、貪りながら、それでも淡々とクロノがはやてに聞き返す。

「しゃぶって」

 私のおっぱいとはやてはクロノに囁いた。

「ちいさくて、わるひぃんやけど」

「……まだ気にしてたのか?」

 呆れたようなクロノの声に、ぶーと頬を膨らませるはやて。

「女は気にするんや。好きな男にだったらとくになぁ」

 そう告げてはやてはクロノの額にキスすると、彼の顔を抱きしめるように自分の乳房をクロノの顔の押し付ける。
 汗を掻いて、膨らみきってもいない乳房がクロノの顔に当たって蠱惑的に歪んだ。乳首がクロノの鼻に当たって、ぷるんと揺れた。
 クロノは舌を伸ばす。
 乳首を舐めた。

「んぅっ!」

 ぶつぶつとした乳輪の舌触り。
 それらを舐めて、舌先で弾いて、唇で挟んで、ひっぱる。
 声が洩れる。ぎゅっと膣が締まる、だらだらと愛液が流れて、それにペニスが膨らんだ。興奮の証。
30しんじるものはだれですか? ◆265XGj4R92 :2008/07/30(水) 02:04:14 ID:oT85+EYn

「いやらしいなぁ」

 そう告げて、空いていた両手ではやての身体を抱きしめる。貪るようにはやての乳房に唇を押し付けて、乳首を口に含んだ。
 吸い付く、汗の味、さくらんぼの種のような堅いコリコリとした歯ごたえ。
 絞まる膣。
 はやての肉体が男を貪るように締り、湿った音を、結合部がいやらしい音を、溢れんばかりの快楽を齎す。
 涎のように愛液を垂れ流し、抜き差しされるペニスが愛液と精液に濡れていく。

「すって、すって、もっとなめてやぁ!」

 少女の肢体はまだ完成されていない。
 まだ未成熟の、成長も仕切っていない肉体。
 まだ青い果実のようなものだった。
 熟れることもなく、甘さもまだ足りず、ただ渋い。
 けれども、それは止まらない快楽性を持っていた。
 はやてにそれだけの才能があったのか。
 それともクロノを思うゆえにそれだけの肉体になっていったのか。
 濃厚に二人は愛し合う。
 肉体を貪りあう。
 腰を振りながら、自分の身体の奥までクロノを呑み込んで、汗を流しながら、甘い吐息を上げながら、はやてが快楽に身を委ねる。
 ガクガクと足を痙攣させながらも、必死に貪ろうとはやては努力する。

「愛してるよぉ、クロノくん」

 蕩けるような言葉。
 麻薬にも似た蜂蜜のように濃厚で、決して耳から離れない少女からの愛の囁き。

「僕も君が好きだ」

 クロノは答える。
 心に打ち付けるような言葉を。

「ぃく、ぃく……ぁあ――」

 はやてが絶叫を上げて、クロノに抱きつき、口付けをした。
 絶頂の嬌声を、クロノに取り込まれるかのように。
 そして、それと同時にクロノの腰がずんっと小さなはやての肢体に打ち込まれて。

「うっ!!」

 小さくクロノが声を洩らし、ぁああとはやてが痙攣じみた声を上げる。
 ごぽりと繋がったままの結合部から溢れ出た精液と愛液が涙のように流れる。

「うぅん……いっちゃったわ、クロノくん」

「……二度目、だな」

「そやね。避妊用には魔法使ってるけど、やっぱりなんか……やらし?」

 魔法には身体能力の強化や自分の体調を整える回復魔法なども存在する。
 ミッド式、ベルカ式で得意不得意はあるだろうが、フィジカルコントロールなども魔導師の専門である。
 高い総合性で魔法を習得しているクロノと収集というレアスキルと闇の書のおかげで魔法の習得率だけは高いはやては受精確率なども弄ることが出来ていた。
31名無しさん@ピンキー:2008/07/30(水) 02:04:55 ID:CjhyVRY0
支援
32しんじるものはだれですか? ◆265XGj4R92 :2008/07/30(水) 02:05:18 ID:oT85+EYn

「まあ気にしないでおこう」

「結構いい加減やな、クロノくん」

「君に言われたくないな」

 そう告げて、ぐいっとクロノは再び腰を動かした。
 ぐちゅりと抽挿の音を立てて、はやての肉つぼが淫らに押しろげられていく。

「んっ、クロノ君」

「続けるぞ」

 そう告げてだらだらと精液で汚れたペニスを一度引き抜いて、クロノは最初の時のようにはやてを組み敷いた。
 後背位。獣の体勢。
 淫らに尻肉を掴まれて、はやては腰を上げながら、ベットのシーツを手で掴んだ。

「優しく……してな」

「努力はする」

「うぅ、鬼や」

 そう告げて、クロノは再びはやての秘所に挿入した。
 二度の成功に、射精した精液が入り混じり、抵抗もなくペニスが埋もれる。けれど、その膣肉はどんどんと締りがよくなっているような気がした。

「いやぁんん!!」

 前後運動を始めると、はやてが呻き声を上げる。
 今までの優しい抽挿が嘘だったかのように、クロノのペニスが膣を押し割り、深く埋没していく。
 犯して、犯して、犯すかのように。
 未熟な肢体が壊れそうなほどに揺らいで、性交に慣れていないものならば酔ってしまいそうな雌の香りをはやては全身から発していた。
 汗の香り、愛液の香り、精液の臭い。混じり合う男女の体臭。甘くて、どこか苦い、酒のような臭い。
 それに酔いしれたかのようにクロノのがはやてを犯す。
 ペニスをかき回し、腰を動かしながら、果実を齧り砕くような濃厚な犯し方。
 ペニスを打ちつけ、必死にシーツを掴んで堪えるはやてをいたぶるかのようにその尻肉を味わいながら、全身から淫らな声と動きと汗を発するはやてを陵辱していた。
 クロノの口元に笑みが浮かぶ。はやてには決して見えない位置で笑みが浮かんでいた。
 喘ぎ声を上げるはやては気付かない。
 押し寄せる快楽に涎をたらし、舌で汗臭いシーツを舐めて、愛しい男の名を呼ぶはやては気付かない。
 犯しながら、殺したがっている。
 愛しながら、死なせたがっている。
 何度となくはやての髪を撫でながら、一突きし、悲鳴にも似た嬌声を上げさせる。
 何度なくはやての肩続く首に手を伸ばそうとして、愛液に塗れた手ではやての肌を愛撫する。

「ふぁっ、あっ、あぅう、うっう」

 人語にならない声をはやてが上げる。
 押し寄せる快楽に涙を流しながら、打ち付ける悦楽に秘所に力を込めて肉棒を味わっていた。
 カリ首で擦れる膣の感触。
 熱く打ち付けてくる愛しい誰かの体温。
 女の性か、苦痛すらも快楽に変えて、はやての未成熟な肢体が淫らに狂う。
 もはやはやては男の快楽を奏で立てるだけの楽器のようだった。
 吐息一つ、悲鳴一つ、嬌声も喘ぎ声も何もかも心地よく、犯したくなる音色。
33しんじるものはだれですか? ◆265XGj4R92 :2008/07/30(水) 02:05:41 ID:oT85+EYn

「出すぞ」

「きて、きてぇ!」

 それは絶叫ではなく、嬌声だった。
 響き渡るベットルームの中で、間接から軋みを上げる寝台の上で、はやての中にクロノが射精する。

「     !」

 声にならなかった。
 押し寄せる熱に、快楽に、はやてが握り締めていたシーツも手放して、クロノの下に組み敷かれていた足の指を伸ばして、悶えた。
 絶頂。
 思わず失神してしまいそうな気持ちよさ。
 月経が始まってからまだ数年と立たない少女の子宮に、熱い精子が注ぎ込まれている。
 お腹の中がぱんぱんになったかのような錯覚。

「も……もうらめや」

 はやてが秘所から漏らしたかのように精液を吐き出すと、ぐったりとおしりを突き出したまま脱力する。
 体力の限界だった。
 汗は滝のように流れて、まるで地獄の戦場を潜り抜けてようやく助かったと息を抜いた兵士のような有様だった。
 けれど、はやては忘れていた。
 後ろにいるのは情けも慈悲もない悪魔のような提督だということに。
 終了宣言は出ていないことに。

「ん、そうなのか?」

 荒っぽい声。多少は疲れている、けれどもはっきりと意識のあるクロノの声が聞こえた。
 そして、シーツに崩れ落ちたはやての肢体を、逞しいクロノの手が抱き上げた。

「ふぇ?」

 持ち上げられる。対面座位の体勢。
 向かい合わせに二人が腰を下ろしたかのように、けれどもはやての腰はクロノの上に降りて。

「ずいぶんと吐き出したもんだ」

 正常位に向き直る二人。
 我ながら呆れると、クロノははやての身体を見下ろし、ちょこっとだけ膨れた下腹部を指で押した。
 すると、圧力に負けて流れ出た、クロノの精液自身がクロノの腰に掛かる。生臭い臭いが思い出したかのように立ち込める。

「き、きたない……わぁ」

 恥ずかしいのか、息も絶え絶えにはやてが顔を真っ赤にしながら、自分の顔に手を当てる。
 まるで我慢しきれずに漏らしてしまったかのように気分だった。
 それがクロノによって注ぎ込まれた精液だったとしても。

「構わないさ」

 そう告げて、クロノがはやての身体を見下ろす。
 汗で汚れて、愛液と唾液と精液で汚れたはやての身体を視姦し、指で這った。
 髪は唾液と精液で汚れた手で触っていたせいか、乱れたままで、互いに油でも塗ったかのように濡れていた。
 はやては崩れ落ちそうな身体をクロノに支えられながら愛撫される。
 胸からお腹へ、お腹から下腹部へ、指で沿うように触られながら、下腹部からフトモモに、その奥にある臀部に触れて――指で何かに埋もれた。
34しんじるものはだれですか? ◆265XGj4R92 :2008/07/30(水) 02:06:26 ID:oT85+EYn

「く……くろの……くん?」

 それは肛門だった。
 何度となくいじったお尻の穴に、唾液と精液と愛液で汚れた指が埋もれていく。

「もう少し楽しませてくれ」

 そう告げて、クロノがはやての身体を抱きしめながら、持ち上げる。
 はやては気付く。三度も精を吐き出したペニスがまだ堅くそそり立っていることに。

「あっ!」

 お尻の穴に指以外の硬い感触がした。
 触れるだけで火傷してしまいそうなそれを彼女は知っている。
 犯されるのだ。
 これからお尻の穴を。

「うぅ、しんでまう」

 性欲溢れる20歳のクロノに、まだ十五にも満たない少女が涙を流した。

「死なないさ」

 ダラダラと流れる精液と愛液の熱い液体を入念にペニスに擦り付けて、それを潤滑剤としてはやての菊穴にあてがう。
 指で丹念にほぐし、脱力した排泄口はずぶりと亀頭を迎え入れた。

「ぁあぁ、ぅうううう……」

 はやてが口を開けて、クロノの肩に噛み付いた。
 甘噛みレベルだが、だらだらと涎をたらし、押し寄せてくる感覚に耐えようとする。
 さすがにまだ回数をそんなに超していないアナルはペニスを中々受け入れずに、ゆっくりと前後しながら、その中を蹂躙していく。
 熱くて火傷がしそうだった。
 前面から二人の肉体が密着し、はやては唸り声を上げながら、時々狂ったようにクロノの肩に噛み付いて、喉を舐めて、キスを強請る。
 クロノはそれに答えながら、サクランボウのようにそそり立つ乳首が胸板を擦る感触を楽しみ、柔らかく押し付けられる乳房の膨らみを、触れるだけで心地よい少女の肌を味わいながら、犯していく。
 何度も何度も犯して、愛して、結合して、離れて。
 まるで肉体を使った舞踏のようだった。
 はやての肛門を突き抜けて、中に入り込んだペニスがゆっくりと直腸を犯していく。
 はやてが息を吐き出し、出来うる限り力を抜きながら、クロノの顔をお尻の中で感じる感覚を誤魔化すようにぺろぺろと舐めた。
 犬のような舐めまわしに、クロノの顔が唾液塗れになる。
 それでも彼はゆっくりと抽挿を開始する。
 意図したわけじゃないだろうが、きちんとおしりまで洗ったはやての肛門は綺麗で、犯すのに何の問題もなかった。
 けれども、体中の汗や汚れを落とすにはあとでシャワーを浴びる必要があるなとクロノは考えながら、はやての中にペニスを打ち込んでいく。
 直腸は本来犯されるための器官ではなく、中もきつい。
 けれども、はやての小さな膣よりは広く、独特の絡みつきがあった。
 異物を排除しようとする防衛反応が、クロノのペニスに絡み付いて、なんとも言えない快楽を齎す。
 やってはいけないことだから楽しいのか。
 それとも楽しいからやってはいけないのか。
 まだ未成熟のはやてという少女を犯し、何度となく子宮に精子を注ぎ込み、最後には直腸まで犯すクロノは禁忌を幾つも踏み砕いていた。
 けれども、クロノは気にしないし、はやても気にしないだろう。
 はやては愛する誰かのためならば、幾らでも命と身体を投げ打つことが出来る優しい少女だから。

「出すぞ」

 ゆっくりとしたペースから、パンパンと音が聞こえ、ブルブルとはやての乳房が揺れるほどの抽挿ペースになっていたクロノが告げる。

「ぅぅ、うう、ん……」

 肺の底から吐き出すような潰れた声ではやてが答える。
 その目は正気を無くしかけて、ただ愛を貪るだけだった。
35名無しさん@ピンキー:2008/07/30(水) 02:06:39 ID:CjhyVRY0
いいぞエロノ、支援
36しんじるものはだれですか? ◆265XGj4R92 :2008/07/30(水) 02:06:56 ID:oT85+EYn

「いくぞぉ」

 ドンッと今までになくペニスがはやての中に埋もれてく。
 それは長身のナイフで肉を抉られたに等しい行為。

「ぁああああ!」

 嬌声。
 最後の断末魔のような声が上がり、その口をクロノが唇で閉じた。
 ドラマのようにはやてを抱きしめながら唇を交わす。

 どぷどぷと音を立てて、はやての直腸に精子が注ぎ込まれていった。
 淫らなダンスは少女の失神という形で幕を閉じた。





 濃厚な臭い。
 狂いそうな熱に、淫らな世界。
 シーツを被り、はやてがクロノの身体にもたれかかって眠っていた。
 失神に近い眠り。
 あまり長居すると怪しまれる。五分もたったら起こして、体を洗う必要があるだろう。
 幸い艦長室には個人用のシャワールームがある。
 そこを使わせればいい。

「ふぅ」

 クロノは息を吐き出しながら、手を振るう。
 魔力干渉、大気の流動を早めて、換気を早める。
 この狂った匂いが早く消えるように。
 酔いしれないように。
 彼は小さな魔法を使った後、はやての髪を撫でた。
 彼女は少女だった。
 大人になろうと足掻く少女だった。
 必死に頑張る少女。
 闇の書の罪を引き受けて、贖罪しようとする少女。
 褒められるべきだろう。
 称えられるべき英雄。

 だが、それがどうした?
37しんじるものはだれですか? ◆265XGj4R92 :2008/07/30(水) 02:07:16 ID:oT85+EYn

「はやて」

 囁くような声。
 決して届いてはいないだろう。
 この凍りついたような顔と共に。

「愛してくれ」

 失うのを恐れるように。
 愛して欲しいと願うように。
 依存するといい。
 そして、そして。

「君は後悔する」

 君は全ての鍵だ。
 削除すべき罪を殺すための鍵。
 かつて大切な人を泣かした悪共の支え。
 それらが知ればどうするのだろう。
 それらが苦しめばどれだけ帳尻があうのだろう。

「君には罪は無い。ただ咎そのものだ」

 殺すのは簡単だ。
 首を折ればいい。手を伸ばし、首に手を掛ければ容易い。
 口を閉ざせばいい。手を伸ばし、口を閉ざせば窒息する。
 引き裂いて、焼き尽くして、砕いて、殺戮すればいい。
 だが、それでは意味が無い。
 それは贖いにならない。
 それでは悪の消去にはならない。


 彼は狂っていた。
 彼は歪んでいた。
 彼は狂人。
 狂った正義のための化身。
 誰かを傷つける悪を許さない。

 ただ一人の過去の誓いのために動く歯車だった。


38しんじるものはだれですか? ◆265XGj4R92 :2008/07/30(水) 02:08:18 ID:oT85+EYn

 それは未来。
 終わりそうな崩壊の世界。
 次元が揺らぎ、荒廃した大地、終わりつつある空間。

「止まってくれないんか?」

 少女は手を伸ばす。
 バサリと長い髪を翻し、大切な家族の力を借りて、その手に騎士杖シュベルトクロイツを構えた黒き翼を生やした女神。
 持て得る力を全て発揮したSオーバーの規格外の魔導師。
 少女は美しい。
 少女は気高い。
 少女は神々しい。
 あらゆる形容詞に満ち満ちた少女。
 今ならば不屈の心を持つ白い少女にも、閃光の戦斧を構えた黒き少女にも負けないであろう偉大さ。

 けれど、けれども。

 その前に立つのは。

「そこを退いて欲しい」

 二つの杖を持つ青年。
 漆黒の法衣を纏った人間。
 それは平凡だった。
 それに本来素質などなかった。
 ただ狂気で、努力で、ただ一つの歪んだ誓いのみでAAA+の地位まで駆け上がった狂人。
 歪んだ正義。
 壊れた人格。
 だれもかれも救おうとする、ただ悪だけを許さない機関。
 圧倒的な才気の差も、能力の差も、何も感じていないように佇む。

「なんで、クロノ君がしないとあかんの?」

 少女が青年の名を呼んだ。
 泣き叫ぶような声で。

「答えは明白だ。はやて」

 青年が少女の名を呼んだ。
 淡々と。


「ただ救うだけだ。もっとも効率がいい方法で」

「いやや! そんな方法は間違っとる!」


 少女と青年が違う答えを告げる。
 混じり合わない意思。

 そして。


「なら、僕を止めて見せろ」


 それが少女と青年の戦いの始まりだった。
39名無しさん@ピンキー:2008/07/30(水) 02:09:00 ID:CjhyVRY0
クロノ君はいい具合に壊れてますね。支援
40詞ツツリ ◆265XGj4R92 :2008/07/30(水) 02:10:13 ID:oT85+EYn
投下完了です。
夜分遅く支援ありがとうございました。
ひたすらエロに走らせつつも、どうしてもシリアスを入れたくなる自分 orz
次回はクロノとはやての過去話。
As以後の少しの幕間を語りたいと思います。
少女と狂人、美女と野獣の物語をどうぞお楽しみに。
41名無しさん@ピンキー:2008/07/30(水) 02:14:06 ID:gOPq+LOi
クロノがエロい! はやてはもっとエロい!!!

なんつうカップルだ、ってか何回ヤってんだ!? 避妊しててもガンガン中だしだもんなぁ。
これじゃはやてが中学生でお母さんになっちゃいますwww

そしてなんというシリアスの伏線、先が気になって仕方がないぜ。
これからも氏のSSに大期待で全裸待機しますね!?

そして全身全霊のGJを!!
42名無しさん@ピンキー:2008/07/30(水) 02:15:54 ID:CjhyVRY0
投下乙です!
いや〜、なんとも歪んだクロノ君ですね。そこがまた魅力的なんですが。
エロとシリアスが良くブレンドされているSSですよ。
次回の処女と狂人の物語、頑張って下さい。
43名無しさん@ピンキー:2008/07/30(水) 13:23:51 ID:ELwctZ8a
B・A氏GJ!
セリカとの最終決戦…すごく燃えます
どちらかが悪ではなく、どちらも正義のこの戦い。
またまた続きを期待せざるおえない!
44名無しさん@ピンキー:2008/07/30(水) 15:33:07 ID:dRAink5d
投下される方もおられないようなので、初投下させていただきます。

とはいっても……このスレ的にガチでアッーは大丈夫なのだろうか。
完成した後でエロパロ処女作にこんなもん書くオレの性癖を疑いたくなった。

・クロノ×ユーノ。
・ガ チ ホ モ 注 意。
・もちろん、18禁。
・クロノ途中でS化。
・時期的にはクロノ15歳、ユーノ10歳くらい。
・NGワードは『酒の勢いとは、げに恐ろしき』
45酒の勢いとは、げに恐ろしき:2008/07/30(水) 15:34:28 ID:dRAink5d
海鳴の僕の部屋。
休みの日なのだが、母さんも、フェイトも、アルフも、エイミィもいない日。
やる事もなくボーっとしていたら、同じく休みだったのか、ユーノがやって来た。
別にやる事もないから、二人でぶつくさ言いながら、ボーっとする程度の休日。
だったはずなのに……。

「はふっ、ぁや、あっ、クロノ、くろのぉ!!」

僕の上に跨って、腰を振るユーノ。
何でこんな事になったんだろう。

「くろのぉ、もっとぉ、もっとぉ!!」

腰を激しく振りながら、上体を倒してくる。
僕の乳首とユーノの物が触れる。

「あは、おっぱいこするのきもちいい!」
「こ、こら! ユーノ……いい加減に!!」
「やらっ!!」
「む、ぷっ!?」

止めようとしたら、呂律の回っていない反論と共に口を塞がれた。
更に腰を激しく振り始める。
おまけに締め付けまできつくしてくる始末だ。

「あ、くっ……!?」

腸壁に締め付けられたモノが、ビクンと唸る。
正直、限界だった。
次の瞬間にはユーノの中に迸らせてしまった。

「あ!? あ、あひゃ、し、しゅごいよ! くろのの、いっぱい、いっぱいでてる。おしりのなか、あついぃぃ……」

僕の上に跨って倒れ込んだまま、僕の射精の余韻に浸るユーノ。

ふと腹部にヌルッとする違和感を感じた。
視線を向けてみれば、剥けてもいないくせに小生意気にそそり立ったユーノのモノが痙攣していた。
先端からはピクンと痙攣する度に勢いよく、精液をまき散らしている。
こいつは10歳程度で、もう精通しているのか。

ふう、と息を吐いて、僕はこうなってしまった原因をゆっくりと思い出した。

ほんの些細なイタズラ程度だったのに。

局の仕事柄、打ち上げでどうしても酒が振る舞われる事がある。
自分は未成年だからと、大概、断るのだが、たまに持って帰らされる事があった。

その中から、つい出来心でユーノを騙くらかして飲ませてみたのが悪かったのだ。
まず、最初に暑いと言い出して、脱ぎだした。
次には僕だけ平然としているのが、許せないと言って僕までひん剥いたのだ。
そりゃ平然としていて当たり前だ。素面なんだから。

ついには自分のモノと僕のモノを比べて、
僕がもう剥けているのが納得がいかなかったのか、僕のモノを弄りだして……。
次第にユーノがエスカレートしていって、気が付いたら今だというわけだ。
僕の方が掘られなかったのは、ある意味幸いだったかも知れない。

46酒の勢いとは、げに恐ろしき:2008/07/30(水) 15:35:35 ID:dRAink5d
汗と精液の臭いでむせそうな中、
ユーノの顔を見てみれば、僕の中出しと自分の射精の快感で思い切りイっていた。

目はトロンとして、焦点が合わず、口もだらしなく開いて、甘い声だけが漏れている。

時々、「くろのぉ」なんて、言葉が出る。
思わず、視線を反らした。
反則だ。
こいつは男なのに。だけど。
女顔なのは知っているし、肌だって真っ白だ。
さらに今の顔で、そんな台詞言われたら。
可愛いなんて思ったって仕方ないじゃないか。

もう一度、ユーノの顔を覗いて、思ってしまった。
もっと汚してやりたい。穢してやりたい。辱してやりたい。

征服欲が沸いてくる。元々、何かと気にくわない奴だが、
今、この状況はある意味、おいしくて面白い。

そう考えると、ユーノに繋がったままの僕のモノがイキリ出した。

クスリと笑って、まず手始めに唇を奪う。
ユーノの口から甘い声が漏れるが、関係ない。
舌を絡めて、口で呼吸出来ないくらい、虐めてやる。

「あふ、ぷぁっ……く、くろ、ひぎゃっ!?」

唇を離して、ユーノが何か言いかけて、また声を上げた。
僕がユーノの乳首を抓っていたから。

「く、くろ……そ、そこ、だめ……」
「駄目って、何が駄目なんだ? はっきり言ったら、どうだ?」

わざと意地悪く言って、ひときわ強く抓ってやる。
さらに僕のモノが入ったままの尻を一発、突き上げてやった。

「ひあああっ!? ち、ちくび……ぢくび、つまむのやめでえ……」
「正直に言えばいいんだよ」

そういって、パッと手を離す。
ユーノの口から「あっ……」という言葉が漏れる。

次だ。

腹部に着いているユーノの精液を指ですくう。
そのまま、だらしなく開いているユーノの口へ突っ込んだ。

「んぶ! ちゅ、あふっ……」
「ほら、自分で出したモノなんだから、自分で綺麗にしないと」
「んちゅ、ぷはっ……」
「良い子だ。次は分かるよね?」

僕の指に絡みついた精液を舐めとった後、ユーノはコクンと頷いた。
アルコールとセックス。
もう大分、思考もキているようだ。

僕のモノがユーノの尻から抜ける。
精液と腸液でテカテカに光っていた。
だが、まずは……。
47酒の勢いとは、げに恐ろしき:2008/07/30(水) 15:36:36 ID:dRAink5d
「ほら、おしりこっちに向けて。自分の精液綺麗にしてよ」
「うん……、ちゅ、ぺちゅ……」

僕の頭の上にユーノの尻とモノが来る。
ユーノは僕の腹部に着いている自分の精液を舐め取るのに夢中だ。
興奮からか、ユーノの先端からカウパーが垂れていた。
僕の頬や唇に落ちてかかる。

「くく……」
「ちゅぱ、くろのぉ、きれいになったよぉ……?」
「はは、じゃあ、次だよ」

少し腰を浮かせて僕のモノをユーノの眼前に突き出す。

「ほら、次はこれを綺麗にしてよ」
「はぁい……んちゅ」

ユーノが僕のモノを頬張る。
舌が絡みつくのが分かる。
入れるのとはまた別の快感が僕のモノを支配する。

何とも言えない征服感だった。
これが、あの小生意気なユーノか。
まるで僕の奴隷じゃないか。

「ん、んちゅ。ぷはっ……すんだょぉ、くろのぉ……あふぁ!?」
「ん、だけどね。ユーノ。きみのモノから出たお汁で僕の顔が汚れちゃったよ?」

そう言って、ユーノのモノを掴んだ。
最初はゆっくり、そして段々早く扱いてやる。

「く、くろ、くろのぉ、だ、らめ、でちゃ、でちゃうううう!!」
「だから、お仕置きだよ」
「や、やだ、やああああ!?」

ピュッピュッと、先走りが迸る。
その度にユーノが甘い声で鳴いてくれるのが堪らない。

「ああああああ!?」
「おっと……」

ピクピク痙攣して、もう少しで勢いよく精を放つ、というところで寸止めして手を離してやった。
もう少しでイけると思っていたユーノが恍惚と呆然、両方を合わせた表情で僕を見る。

「や、やら。やらやらぁ!! だしたい、だしだいよぉ、ださせてよぉ!?」
「言ったろ。お仕置きだって」

懇願してくるユーノの顔がたまらない。

「じゃあ、どうして欲しいか。言ってみなよ?」
「………って」
「聞こえないよ?」
「おちんちんいじって! おしりもっとずぼずぼおかしてぇぇ! だしたい! だりないよぉ!!」
「くく、よく出来ました。ほら、こっち向いて足開いて」

ユーノが僕に言われたまま、仰向けになって足を開く。
ギンギンになって、今にも破裂しそうなくせに、まだまだお子様なモノが可愛らしい。

「それじゃまず……」
48酒の勢いとは、げに恐ろしき:2008/07/30(水) 15:37:43 ID:dRAink5d
そういって、僕は自分のモノをユーノのモノにあてがった。
そのまま擦り合わせる。
ユーノが甘い声を上げた。

「どうだい? ユーノ? 変態ぽくて興奮してるんじゃないか?」
「ち、ちが。ぼく、へんたいなんかじゃ……」
「ああ、そう。そうだよね。きみは真面目だもんね。じゃ、もう全部止めようか」
「や、やぁ!? やめないでぇ!! ……へ、へんたいです」
「ん? 何だって」
「ぼくはおちんちんこすりあわせされて、かんじてるどへんだいですぅ!!」
「良い子だ。きちんと言えたから、それじゃここからは本番だ」

あてがっていたモノを滑らせて、ユーノの尻穴へとあてがった。
ユーノが入れられるのに備えて、力を抜く前に一気にねじ込んだ。

「ひぎゃ!? く、くろのぉ……!?」
「大丈夫だよ、最初の精液があるし、裂けないよ」

徐々になんて言わない。
獰猛な獣のように一気に腰を動かしてやる。

「あ、あひゃ、く、くろ、だ、だめ、ごわれちゃう、ごわれるぅ……」
「あはは、大丈夫、大丈夫だよ、ユーノ」

切なそうにそそり立つ、ユーノのモノを握る。
腰を突き上げなら、一緒に扱く。
ひと突き、ひと扱きごとにユーノの鳴き声が部屋中響く。

「どうだい、気持ちいいか? ユーノ?」

耳たぶを甘噛みして、囁いて、そのまま耳をペロリと舐めてみる。
アヘ顔晒して、ただコクコクとだけユーノが頷く。
快感で言葉も無いみたいだ。
半分意識も飛んでるんだろう。
ああ、気持ちいい。楽しくて仕方ない。

だけど。最後まで、これじゃつまらないな。
思いついた僕はユーノの左乳首に吸い付き、そのまま甘噛みしてやった。

「ひぎゃ!? く、くろのぉ、ぞ、ぞこ、らめだっでばあ」
「やっぱり乳首が弱いんだな」

乳首を離した僕の口とユーノの乳首の間に唾液の線がひとすじ。
ユーノの意識が覚醒したのを見て、今度は右乳首に同じ事をしてやる。
その間ももちろん、扱く事はおろか、腰を振る事も止めたりしない。

「や、らめ、らめだってばあ!! おっばい、ずいながら、おちんちん、しごいちゃ、おしひ、づいちゃ、やらあああ!?」
「わがままだなぁ。だけど、もう聞いてあげないよ」
「へっ?」
「そろそろ出そうだからね。さあ、イくよ!!」
「まっ、あぎゃ、ああふぁぁぁぁ!?」

かわいいままのユーノのモノを無理矢理ひん剥いて、大人にしてやった。

「ひ、あ、ぐ………」

苦痛と快感で声にならないんだろう。
ユーノの口からは言葉になっていない単語が出る。

49酒の勢いとは、げに恐ろしき:2008/07/30(水) 15:38:26 ID:dRAink5d
更に尻穴が締まる。
締め上げられる快感に最後のひと突きを突き入れてやった。

そのまま、中に残っているモノをありったけ吐き出す。
ユーノのモノからも勢いよく精液が吹き出して、
僕の腹やら自分の胸やら、あちこちに飛び散って実に厭らしい。

ユーノはあまりの快感に意識は飛び、口をパクパクさせている。
そんなユーノの頬をペロリと舐め、唇を奪った。
もう、声も出せないほど、完全にイっているらしい。

クスクスと僕は笑ってユーノの尻から自分のモノを引き抜いた。
だらしくなく開いた尻穴から、2回分の精液が垂れ流されてくる。

自分のモノを扱いて中に残っていた精液を押し出す。
グッタリしているユーノの胸にタップリかけてやった。
僕の精液とユーノの精液が混ぜ合わさる。
何とも言えないこの淫艶な光景。

自分でも分かるサドい笑みを浮かべて、僕は精液の着いたユーノの肌を手でマッサージするみたいに掻き回す。
さらに尻穴から垂れ流れている分も合わせて、ユーノの乳首に塗りたくった。
僕の手が動く度、ユーノの身体がビクンと痙攣する。
焦点の定まらない目で、僕を見ている。
堪らない、堪らないな、この征服感。
目の前のユーノが可愛くて、汚したくて……それを全部してやった。

「あ、あ………」
「気持ちよかったか?」
「ぁ、ぅ……」
「ふふ、さあ、これが最後の仕上げだ……よ!!」

言うと同時にもう一度、ユーノの乳首を抓り上げた。

「ひ、ひぎゃぃぁああ!?」

絶叫と共にまだ残っていたのだろう。
ユーノのモノから最後の精液が、ものすごい勢いで放たれた。

おかげで僕たちに飛び散るだけじゃなく、ベッド、床、あちこち汚されてしまった。
何てことしてくれるんだ、とは思うけど、それ以上に楽しかった。

「あーあ、後で掃除しなくっちゃなぁ……しかし、ふふ、次から休日が楽しくなりそうだな♪」

恍惚として痙攣しているユーノの髪を、精液で濡れて厭らしく光る手で撫でてやりながら、
最後に唇を奪って、僕はそんな事を思うのだった。


50名無しさん@ピンキー:2008/07/30(水) 15:39:20 ID:dRAink5d
以上です。
先発の作者様方に比べ、稚拙な文章な上、特殊なもんさらしてすいませんでした。
書いた勢いで投下したけど、上のクロはやの方に面目ないなぁorz
51名無しさん@ピンキー:2008/07/30(水) 16:08:33 ID:uc8BOkwt
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   ノ l Jヽ   レ/::/ /:イ:\/l:l l::l   u   !. l / ';:::l ', ';:::::l. ';::::l::::::l::::::::i::::
    ノヌ     レ  /:l l:::::lヽ|l l:l し      !/  ';:l,、-‐、::::l ';::::l:::::l:::::::::l:::
    / ヽ、_      /::l l:::::l  l\l      ヽ-'  / ';!-ー 、';::ト、';::::l:::::l:::::::::l::
   ム ヒ       /::::l/l::::lニ‐-、``        / /;;;;;;;;;;;;;ヽ!   i::::l::::l:::::::::::l:
   月 ヒ      /i::/  l::l;;;;;ヽ \             i;;;;;;;;;;;;;;;;;;;l   l::l::::l:::::::::::::
   ノ l ヽヽノ    /:::l/:l /;;l:!;;;;;;;;;',               ';;;;;;;;;;;;;;;;;ノ    l:l:::l:::::::::::::
      ̄ ̄    /::::;ィ::l. l;;;;!;;;;;;;;;;;l            `‐--‐'´.....:::::::::!l:イ:::::::::::::
   __|_ ヽヽ   /イ//l::l ヽ、;;;;;;;ノ....      し   :::::::::::::::::::::ヽ /!リ l::::::::::::::
    | ー      /::::l';!::::::::::::::::::::  u               ', i ノ l:::::::::::::::
    | ヽー     /イ';::l          ’         し u.  i l  l:::::::::::::::
     |       /';:';:!,.イ   し    入               l l U l::::::::;':::::
     |      /,、-'´/ し      /  ヽ、   u    し ,' ,'  l::::/:;':::::::
     |        /l し     _,.ノ     `フ"       ,' ,'  ,ィ::/:;'::::::::
     |       /::::::ヽ       ヽ    /     し ,' ,' / l::/:;'::::::::::
     |      /::::::::::::`‐、 し      ',  /    u   ,、-'´  l,、-''"´ ̄
     |      ``‐-、._::::::::::` ‐ 、     ',/       , -'´`'´ ,-'´
     |      _,、-‐'"´';:::::::::イ:l';:::` ‐ 、._____,、-‐'"´  u /     し
   | | | |    \ l::/ l::::::/リ ';:::::lリ:::::l';:::l l:l:::::l\  u /
   | | | |      \/  l:::/ ノ  ';::/ ';::::l l::l リ l::l l::/ヽ /   し
   .・. ・ ・. ・     ヽ \ リ    レ  ヽ! り  レノ  `y

変な方向に目覚めそうな俺が。
つまりはGJ!
52名無しさん@ピンキー:2008/07/30(水) 16:41:10 ID:Q6SQUX8+
アッー
53名無しさん@ピンキー:2008/07/30(水) 16:52:11 ID:Q6SQUX8+
早くなのは×ユーノ読みたい
54名無しさん@ピンキー:2008/07/30(水) 16:54:09 ID:gOPq+LOi
なんというガチホモwww新しい次元の世界に目覚めそうじゃないか!?

うん、GJ!
55名無しさん@ピンキー:2008/07/30(水) 17:40:00 ID:jSOoA/d2
不覚にもフル勃起
56名無しさん@ピンキー:2008/07/30(水) 17:57:30 ID:PgxkdGyh
逆に考えるんだ、基本女顔のユーノで良かったと考えるんだ。
これがゼストやスカなら……
57名無しさん@ピンキー:2008/07/30(水) 18:10:49 ID:HR80MfIH
>>54
逆に考えるんだ、『目覚めちゃってもいいさ』と考えるんだ
ちなみに俺はこのスレのおかげでアッーと百合と熟女に目覚めた
58名無しさん@ピンキー:2008/07/30(水) 18:17:59 ID:gyXVT6uX
>>56
そこでレジアスの名を出さないお前のやさしさに泣いた
59名無しさん@ピンキー:2008/07/30(水) 18:25:38 ID:95T386tG
>>56
スカリエッティは無限の欲望というぐらいだから男色のケもあるだろう
60名無しさん@ピンキー:2008/07/30(水) 18:29:00 ID:0esOS+xQ
ちょっと待ったーこれはガチホモじゃなくてショタだろ!アッーはよく解らんw
とにかくよくやったw
61名無しさん@ピンキー:2008/07/30(水) 18:44:05 ID:3VXAtr44
B・A氏
誰も突っ込まないから、突っ込ませてもらう。

>神よ、決着が着くまで、どうかお手をお貸しにならないでください。

クロスボーンガンダム自重www
まぁ、何はともかくGJでした!!
62サイヒ:2008/07/30(水) 20:19:05 ID:3ggDUKWo
クロノ×カリムのいつもどおり不倫エロいきます。

カリムがすっげえ罰当たりな性格になってます。具体的には、深夜の聖堂でエロするぐらい。
うちのカリムさんは淫乱六に腹黒一、乙女度三で構成されているんで信仰度の入る余地はございません。
なおクロフェ時空のフェイトさんは淫乱四、色ボケ三、マゾ二、鬼畜一という構成率。
あれっ、カリムよりひどいぞ?

などと言いつつ、以下どうぞ。
63婚儀:2008/07/30(水) 20:20:07 ID:3ggDUKWo
 聖堂の中には、粛然とした空気が流れていた。
 かといって、重苦しいものではない。皆がかしこまり、しわぶき一つ立てないようにしながらも、祭壇
の手前に立った年若い二人の男女を優しく暖かい眼差しで見つめている。
 祭壇に立つカリムも、厳しさより優しさを込めた声で祝詞を口にする。

「新郎ラギン・カトーシャよ。あなたは妻にしたる女性、クララ・アムロートへの愛を誓いますか?」
「はい。誓います」

 がっしりとした長身の男性は、いかつい顔を緊張のせいで強張らせつつもしっかりと頷いた。

「新婦クララ・アムロートよ。あなたは夫にしたる男性、ラギン・カトーシャへの愛を誓い、同時に己が
姓をカトーシャへと変えたることを認めますか?」
「はい。愛を誓い、認めます」

 純白のドレスを身につけた女性も、頬を染めつつ頷く。

「よろしい。ならばここに、全知全能たる聖王の代行として認めましょう。たった今、二人の男女は伴侶
となり、久遠に渡って共に歩み続ける存在になったと」

 祭壇に乗せてあった指輪を、カリムは二人に差し出した。
 まず男性が白い宝石の輝く指輪を女性にはめて、女性は全く同じ意匠の指輪を男性にはめる。

「一生幸せにするよ、クララ」
「はい、あなた」

 愛の言葉を囁いて、男女が誓いの口づけを交わす。
 次の瞬間、聖堂が壊れんばかりの拍手が起きた。参加者全員が立ち上がって拍手を送り、最前列にいる
新婦の両親に至っては手を叩きながら顔をくしゃくしゃにして感涙にむせいでいた。
 新郎が新婦を横抱きに持ち上げ、歩き出す。
 夫になる男が妻を支えられるだけの力を持っているという証明のため、教会の出口までこうして運ぶの
が聖王教式結婚式の特徴の一つである。男性の体力低下という世情の従った形式変化により、昨今は並ん
で歩くだけでも良しとしているが、この新婦は立派な体格どおり女性一人の重みを苦にすることなく軽々
と持ち上げていた。
 止むことのない拍手の雨の中、幸せさを隠そうともせず顔に表して微笑んでいる二人に、カリムも笑み
と拍手をもって見送った。




「ありがとうございました」

 結婚式が終わり、新郎新婦が友人や職場の同僚達から取り囲まれ祝福を受けている中、新郎の両親が輪
から抜け出てカリムに挨拶をしに来た。
64名無しさん@ピンキー:2008/07/30(水) 20:21:01 ID:YZUPNH28
ガ チ ホ モ 万 歳
ありがとう…ありがとう…
65婚儀:2008/07/30(水) 20:21:15 ID:3ggDUKWo
「わざわざカリム様に司祭役を務めてもらうなど恐れ多いことをしてもらい、本当にありがとうございま
した」
「息子達にとっては生涯最高の喜びとなるでしょう」

 大げさな礼の言葉を繰り返す夫婦は、カリムがもういいと止めるまで何度も何度も頭を下げてきた。

「それで、司祭様のお体はどうだったのでしょうか?」
「病院からの連絡だと、大事には至らなかったので数日安静にすれば治ると言っていました」

 元々この結婚式は別の司祭が行うはずのものだったが、今朝の準備中にその司祭が転んで腰を強打し立
ち上がれなくなった。運悪くその他の司祭が出払っており、代役を探して修道士が駆けずり回ってるのが
たまたまカリムの眼に止まり、事情を知ることにとなった。
 教会の責任者としての仕事はそれなりにあって正直なところ時間を空費するわけにはいかなかったのだ
が、結婚式をやり直すとなれば列席者の日程調整などで明日明後日というわけにはいかない。新郎新婦に
とって一生に一度であろう晴れの舞台がかなり延期というのは忍びなく、カリムは引き受けることにした
のだ。
 周囲も似たような思いだったのか、堅物のシャッハですら仕事を優先すべきだとは言わず、むしろ控え
めながらも結婚式を行ってもらえないかと進言してきたぐらいだ。

「実はあの司祭様には私達の結婚式もしてもらっておりまして」
「そうだったのですか」
「息子も同じ司祭様に式を挙げてもらえればと思って指名させてもらったのですが、まさか準備中にあの
ようなことになるなんて。申し訳ありませんでしたとお伝えください」
「ですからそんなお気になさらずに」

 しばし夫婦と雑談していたカリムだが、ふと後頭部に視線を感じて振り向いた。
 人の顔が見分けられるぐらいの距離にある回廊。そこに立った黒髪で管理局提督の制服を着た男性が、
じっとこちらを見ていた。カリムも見ていることに気づくと、軽く会釈してくる。

「お知り合いの方ですか?」

 カリムの視線を辿って、二人も男性の存在に気づく。
66婚儀:2008/07/30(水) 20:22:05 ID:3ggDUKWo
「ええ、大切な……友人です」

 彼と自分の関係を表現する時、一瞬言葉が詰まった。
 老夫婦に気づいた様子はなかったが、なんとなくやましさを覚えてカリムは顔を横に向ける。
 その先では、まだ誕生したばかりの夫婦が幸せに笑い合っていた。
 ほんの少し胸がきしりと痛み、カリムはさらに天空へと視線を逸らす。
 どこまでも澄み切った、結婚日和の空だった。



           婚儀



 深夜の聖王教会は静寂に満ちる。神に仕える敬虔な信者達は普段から無駄な喧騒を好まず、ましてや日
が落ちた後ともなれば自室で同僚と歓談する時ですら声をひそめて外に漏れないよう配慮する。
 だからカリムは手にした懐中電灯が照らす通路よりも、廊下に響く自分の靴音ばかりに気がいっていた。
一つの音しかしない状況というものは、嫌でも聴覚を数倍に高める。
 その音が、急に二重になった。
 音が聞こえてくるのは、前方の廊下を右に曲がった先。カリムが足を止めると、一テンポ遅れてもう一
つの足音も止まった。

「誰ですか?」
「僕ですけれど……騎士カリム、ですか?」

 疑問に対して疑問が返ってきた。続いてすぐに現れたのは、クロノだった。制服の上着を脱いでワイシャ
ツにズボン姿。風呂はまだ入ってないらしい。
 数ヶ月に一度、クロノは仕事で聖王教会を訪れるとそのまま泊まっていくことがあり、今日はその日だっ
た。

「僕は手洗いに行っていたのですが、そちらはこんな時間にどこへ?」
「夜回りです。本来は修道士の役目なのですが、時々私がやるのです」
「騎士カリム一人というのは、危なくないですか?」
「危ないですね」

 さらりとカリムは答える。

「攻撃魔法は使えますが、私は実戦なんてしたことありませんから。もし本当に不審者がいれば、あっと
いう間に人質になって足を引っ張るだけでしょう。まあ、今晩はそんな無様なことになりはしないでしょ
うが」
「どうしてそう分かるんです?」
「優秀なSランク魔導師の方が、同行してくれるからです」
「…………一緒に見回ってほしいと」
「はい」

 笑って頷くカリムに、クロノは少々渋い顔をした。
67婚儀:2008/07/30(水) 20:23:05 ID:3ggDUKWo
「お嫌でしたら無理にとは言いませんが、ご一緒していただけるなら終わった後に秘蔵の寝酒を出します
が」
「……アルコールはあまり嗜まないんですが」

 気乗り薄なことを言いつつも、カリムが歩き出すと肩をすくめてクロノも同じ方角へとついてきた。




「さっきの続きなのですが」

 カリムの一歩後ろを歩きながら、クロノが訪ねてくる。

「どうして無意味と分かっている見回りを、騎士カリムは続けるのですか?」
「気分転換です。一日中書類仕事ばかりしていることが多いので、軽く身体を動かせる仕事も時々やるこ
とにしているんですよ。提督もそういうことをしたりしませんか?」
「そうですね、僕も軽く戦闘訓練をしたりすることはあります」
「シャッハが色々言うので、あまり大掛かりな肉体労働はさせてもらえませんが。あとは、早朝の掃き掃
除や花壇の水やりぐらいでしょうか」

 この見回りにしたところで、夜間になれば教会の外回りには何重もの警報装置や結界が張られており、
不審者が入れば即座に警備担当の騎士へ連絡が入ることになっているし、内部も夕方に一度数人の修道士
が見回っているので、不審者がいる確立は天文学的に低い。
 深夜の見回りは不審者よりも、盗み食いやこっそり酒盛りをしているいたずら者を発見するのが主目的
と言ってもいい。
 小声で他愛ないことをしゃべっているうちに回廊の終点、最後の見回り場所である聖堂へと至る。
 大きさのせいでひどく重いようでいて実はそうでもない扉は、カリム一人の手でも容易く開く。油の指
しが足りていなかったらしく、ぎぃっと古びた音が響くのだけはどうにもならなかったが。
 聖堂の中は、暗闇が籠っている。昼間は快晴だったが夕方から雲が出てきており、星月は見えない。ス
テンドグラスから光は入ってこず、懐中電灯が無かったら椅子にけつまずいてもおかしくはない。
 いつもなら入り口から覗いて懐中電灯をぐるりと回すだけで終わりなのだが、今夜のカリムはちゃんと
中に入って椅子の間を一つ一つ照らしていく。
 理由は、不真面目な部分をクロノに見せたくないということが一つ。そして、夜の教会を二人っきりで
歩くという、恐らく今後二度と無い体験の時間を、ちょっとでも長く引き伸ばしたいという想い。

(どうせこの後は、部屋で二人一緒に色々やるのにね)

 酒に弱いというならワインぐらいにしてウィスキーは出さない方がいいかもしれない。酔いつぶれられ
でもしたら貴重な一夜がふいになると思案しているうち、祭壇へとたどり着く。
68婚儀:2008/07/30(水) 20:24:20 ID:3ggDUKWo
「昼間結婚式が行われていましたね。参加されていたようですが、知り合いの方だったのですか?」
「いえ、少々訳有りで司祭の代役を」

 祭壇に背中を預けて、カリムは軽く理由を説明する。クロノも礼拝席へ座ろうとはせず、三歩離れた位
置で立ったまま耳を傾けていた。

「こういう儀式を取り仕切ったのは久しぶりでした。最後にしたのはもう十年以上前でしょうか」

 昔を思い出し、カリムはくすりと笑った。

「何か面白い思い出でも?」
「いえ、十五歳の子供に結婚式を仕切られたカップルはずいぶんと複雑な心境だったのだろうなと思って」

 当時の自分は祝詞や手順をとにかく間違えないようにと必死で気づかなかったが、新郎新婦はいったい
どんな顔をしていたのだろう。色々と想像してみて、カリムはクロノを置いてきぼりにしてしばし微笑し
続けた。
 だがそんな笑みも、やがて一つのことに気づいて一気に強張る。

(…………私が結婚式を迎える日なんて、一生来ないのね)

 子供の頃から、この場所で何組もの夫婦が誕生していくのを目にしてきた。
 彼や彼女は数に大小はあれども親戚や友人から惜しみない祝福を受け、幸福な旅路の第一歩を踏み出し
ていく。
 それらを眼にし続けてきたカリムは当然のように、自分もいつか愛する人を見つけ、ああやって結婚す
るのだと信じて疑わなかった。
 なのに今ここにある現実の自分は、妻子ある男との禁断の愛に身を焦がしている。
 世間はもちろんロッサやシャッハですら、こんな関係は認めてくれないだろう。結婚など夢のまた夢だ。
 もしそうなる可能性があるとすれば、エイミィが病死か事故死してカリムが後妻に納まることぐらいだ
ろうが、世の中そうそううまくはいかないと分かっている。

(そんな都合のいい幸運、神が与えてくれるわけもないから)

 祭壇の背後に飾られた神像を、カリムは懐中電灯で照らして見上げる。
 いくら万能の神を模し精巧に作られようと、所詮は木製。瞳の入ってない眼は無機質で、感情など有り
はしない。
 なのにその眼が、カリムを責めているように思えた。
 眼だけでなく、今にもその口が開いて断罪の言葉が吐き出されそうな気がして、カリムは背後に向き直っ
た。
 正面には扉が、すぐ近くにはクロノがいる。なのに、暗闇のせいで薄ぼんやりとした影しか眼に捉えら
れない。気配もよく分からない。
69婚儀:2008/07/30(水) 20:25:27 ID:3ggDUKWo
「どうしたんですか?」

 いきなり黙り込んだカリムを不審に思ったのか、クロノが近づいてくる。もう手さえ届きそうな距離。
なのに、顔だけ見えない。
 焦燥感に駆られたカリムは、クロノの手を掴むとありったけの力で引き寄せた。
 不意を討たれたクロノの身体はあっけなくカリムの胸へと倒れこんだ。床に落ちた懐中電灯が、からん
と乾いた音を立てる。
 密着した身体からは、一日を過ごした男の匂いがした。

「…………騎士カリム?」
「クロノ提督、あなたは」

 あの人々と同じぐらい、私を愛してくれているのですか。
 唇だけ動かし音にならない言葉を形作ってから、カリムは自分から顔を近づけた。
 かちりと、歯がぶつかって小さく鳴る。戸惑いが伝わってくるが、カリムを押し離そうとはせずクロノ
はじっとしていた。
 口づけで頭に上った血が、邪な思考に染まったまま全身へと下りていく。
 純白の花嫁よりも、男を淫欲の道へ手を引く女の方が、自分にはふさわしい。その証拠に、自分が身に
着けている法衣は襟回り以外は、夜のように真っ黒だ。
 唇を離してからもしばしクロノの唇に舌を這わせてから、カリムは唇の端を吊り上げ意地悪げかつ淫卑
な笑みを作る。

「そろそろお代を払うべきだと思います」
「……何の?」
「こうして教会に泊まっていく分です。宿泊費と食事代。普通のホテルだと考えたらけっこうな額になる
んですよ? 対して、提督がしてくれたのは食事が二回に旅行が一回。少し不公平では?」
「そう言われればそうですが……あいにく今手持ちが無くて」
「現金よりも、私とあなたの仲なのですから身体で払ってもらった方が、お互い良いでしょう?」
「…………」

 沈黙から、クロノがかなり混乱していることが知れた。さっきまで普通の会話をしていた相手が、いき
なり淫婦の顔を見せ性交を迫ってきたらそうなるだろう。ましてやここは、聖なる祈りを神に捧げる場所。
このような会話をしているだけでも天罰が下りかねない。

「だ、誰かに見つかったら……」
「こんな時間に礼拝をする人なんかいません。夜回りも私以外はいませんし」

 返答しながら、カリムは徐々にしゃがんでいく。

「部屋に戻ってからでは」
「今、ここでしてもらいたいのです」

 恋人から伴侶へと関係が変わる場所で、自分とクロノの結びつきの大半を占める肉体関係を結ぶ。想像
しただけで、不道徳さにぞくりとした。
 指がジッパーを拾い、チチチと下げていく。
 クロノが本気で嫌がれば身体能力の差からカリムが止められるわけもなかったが、むしろ逆にクロノの
身体は動きを止めていく。
70婚儀:2008/07/30(水) 20:26:22 ID:3ggDUKWo
「……すいません」
「何を謝られるんですか?」
「あなたと僕の間で結婚の話など、無神経すぎました」

 そこに気づいたなら、わざわざ蒸し返さないでほしかった。

「……気にしていません。そういうことは、考えないようにしていますから」

 今日のようなことがなければ、だが。
 カリムは心無し手を早めて、クロノの性器をズボンから出した。
 待機状態でもそれなりの大きさだが、だらりと頼りなく垂れ下がっている。口に入れてしゃぶっても、
なかなかに大きくなりはしない。
 カリムと違って、クロノはこの場で行う性交に抵抗がある。そっちの方が常識的というものだが。
 それでも、舌で執拗なまでに舐め回し指で陰嚢を転がすうち、段々芯が入り始めた。兆候が出てきたと
ころで、カリムは膨らみに切り歯を軽く引っ掛けて攻めを先端だけに絞りこむ。

「ちゅ……る……。うふ……」

 ふと思いついて、カリムは肉棒を口から出すと手で包み込んだ。その上から、もう片方の手をかぶせる。
 出来た体勢は、本来なら神に拝むはずのもの。なのに敬うべき神に背を向けて、自分は醜悪な肉の塊に
手を合わせている。
 神を罵るどころではない罪悪に、カリムは恐れるどころか確実に身体を興奮させていった。
 クロノと関係を持つ毎に、カリムの信仰心は薄らいでいる。信徒達を束ねる役目にあるはずの女が男と
密通していても、天罰が下る気配は一向に無い。そんな非力なのかいい加減なのか分からない神を信じ続
けろというのが無理だった。
 だからもう神の教えを説く法話など、自分は生涯出来ないだろう。嘘くささで唇が火傷しかねない。
 組んだまま、カリムは手を前後する。ねちゃねちゃと、唾液の捏ねられる音がした。

「また大きくなりましたよ。興奮しています?」
「さあ……。どうも自分では、分かりません……から」
「だったら教えてあげます。私の手に入りきらないぐらい大きくなっていますよ。時々、びくびく震えて
いて、とても元気です」

 軽く言葉で攻めつつ、指の間から伸びている先端にもう一度口をつけた。口内に含める範囲はさっきま
でよりずっと少なくなったので、頭を強めに揺らしながら唇でしごく。
 手は指同士で擦り合わせるようにして、揉むとも擦るともつかない動き。傍からは激しく見えるだろう
が、どちらかといえば拙い。軽い生殺し状態。
71婚儀:2008/07/30(水) 20:27:23 ID:3ggDUKWo
「じゅる……んあ……」

 さらに欲情させようと、わざとらしい音を立てる。唇の端に泡が浮くのが、自分で分かった。

「くぁは……!」

 クロノは苦しそうに、それでもリクエストを口にすることはなく掠れ声を上げてただ耐えている。
 どこまで我慢するかとカリムはあの手この手で攻めてみたが、どれだけやってもクロノから言葉を引き
出せることは出来なかった。
 結局、先に我慢できなくなったのはカリムだった。苦味の薄い先走りだけでなく、もっと熱くて濃い液
体が欲しい。
 手を解いて、カリムは喉奥まで一気に飲み込んだ。一瞬、嘔吐感に喉が震えたが、すぐに喉は亀頭を受
け入れ、舌は熱心に幹へと絡みつく。
 口にあふれる肉の味に、カリムは陶酔しきった。股下が、どんどん濡れていく。
 愛液が膝まで達そうかという時になって、明確な言葉はないまま切っ先から粘液が迸った。

「ごふっ……!? ごほっ……。出しすぎ……ですよ」

 奇襲同然な上にちょうど咽頭に押しつけたところだったので、むせたカリムの口から一部が零れる。青
臭い匂いが、顔の周囲に充満した。
 唇から垂れた分を拭うことすらせず、カリムは立ち上がる。精液を飲んだぐらいで、火照った身体は収
まりはしない。
 礼拝席の上と、祭壇の前。どちらか少し迷って、より罰当たりな方を選んだ。
 カリムは後ろ手を祭壇につき、背中を反らして腰を前に出す。最後に、法衣の裾をそっとめくった。

「ほら、まだまだこれからですよ」

 水気を吸って重くなった下着は、口淫の間にちゃんと脱いでいた。やや足も開いているが、暗闇なので
クロノの眼に秘裂が見えているかは怪しい。
 クロノが近づき、密着する。少し腿の辺りで迷ってから、指が濡れそぼった場所に辿り着いた。
 指が谷間に沿って上下して、クロノの眼が細まった。

「これは、また……」

 ずいぶんと準備が出来てますねとでも言うかと思ったが、言葉は切られたまま続かない。
 どうにも今夜のクロノは控えめだ。やはり場所が場所だからだろうか。これだと、自分だけ盛り上がっ
ているカリムが馬鹿のようだ。
 軽く苛立ち、カリムとっとと直接的な行動に移ろうと、まだ露出したままの肉棒を握り、導いた。

「もう大丈夫ですから、早くしてください。…………ぐずぐずしていると、一晩ここから出しませんよ」
「それは困りますね」

 はぁとため息をついたクロノが、改めてカリムの細い腰に手を回す。軽く身体を持ち上げたかと思うと、
一息で貫かれた。
72婚儀:2008/07/30(水) 20:29:24 ID:3ggDUKWo
「んふぁああ!!」

 立ったまま、下から突き上げられる。騎乗位とは似て非なる角度で。
 ここにきてようやくクロノも本腰を入れたのか、身体を突き破らんばかりに叩きつけてくる。そのくせ、
しっかりとカリムが感じる点を亀頭は選んでいた。
 胎内の空洞は収縮することで、みっちりと肉棒を包みきっている。前後される度に、肉が削ぎ落とされ
るような快感があった。同時に、余裕も心から剥がれ落ちていく。

「ふぁ、は……ふぇあぁ! もっと、もっと!」
「これだけ強くしても、まだ足りないんですか……あなたは……!」
「はいっ、もっと、クロノ提督を、くださいっ!!」

 互いの性器が鳴らす粘着質の音が、石造りの聖堂に響く。
 足の長さが違うので、クロノの下半身の力だけでなく重力も抽迭運動に力を貸している。自然、感じる
快感もいつもの倍近かった。
 いきなり位置が変わって子宮口を突かれた時には、爪先まで痺れが走った。肘と膝が、がくがくと震え
て、砕けた。
 繋がったまま座り込みかけた時、腰の手に異常なまでの力が入る。

「えっ……?」

 驚いているうちに、突っ込まれたまま身体が回転させられ全身を快感が突っ切った。
 声も出せないほど感じたカリムの身体が、祭壇の上へと置かれる。法衣が腰の上まで捲り上げられると、
尻が強く掴まれ恥骨が叩かれる。
 祭壇に手をついての後背位は、クロノの力が喉元まで衝撃になって到達する。
 だらしなく涎を零し喘いだ拍子に、首が自然に横を向いた。必然的に、聖王像が闇に慣れきった眼に入
る。
 自分達を祝ってくれるはずもない神の顔など、見たくも無い。見たい顔はただ一つ。

「顔を……提督の顔を、見せてくださいっ……!!」

 正常位に戻りはせず、胸に手を回してカリムの身体を持ち上げることでクロノは答えた。首を捻れば、
何とかクロノの表情が見える。
73婚儀:2008/07/30(水) 20:30:03 ID:3ggDUKWo
「あ、あぁん…………クロノ、提督……」

 前後運動が少し落ち着いた時、カリムは上体をねじってクロノの顔に触れた。
 少し癖のある黒髪を、通った鼻筋を、固めの頬を、何度も口づけた唇を、指で覚えこむようになぞって
いく。
 クロノも同じようにカリムの胸を撫でて、乳腺の柔らかさを感じている。
 一時だけ静かな時間が流れ、また二人の口から嬌声が上がり出す。
 二人の間で湿り気を帯びた空気はいくら吸っても足りず、犬のように呼吸を荒げて空気を求め、即座に
喘ぎに変えて吐き出した。

「いっぱい……注いで、ください!!…………ふぁああ!!」

 願いを口にしてから秒の間もなく、激しい衝撃が胎内を襲った。
 爆ぜた精液は、その放出の強さで子宮を膨張させ女の快楽と安息を同時に与える。
 ここがどこかも、自分と彼の関係がどんなだかも、己の名前すら忘れて、カリムは叫んだ。

「クロノ、クロノ提督っっ!!」




 激情が過ぎ去れば、後には空虚しか残らない。
 罪悪感や背徳感がない交ぜとなり、胸に索漠とした夜気が吹き去っていく。終わった後は、いつだって
こうだった。またとんでもなく馬鹿なことをしたと、嫌というほど認識させられる。

「…………別にあなたと是非とも結婚したいというわけではないのですよ」

 クロノにも聖王像にも背を向けて身づくろいをしながら、カリムは小声で言った。

「提督がご自分から家族と別れない限りは、こうして時々抱いてもらって……時々優しくしてもらえれば
それでけっこうですから」

 口調は平静を保ちながらも、カリムは内心自分で自分を嘲笑していた。
 結婚する積極的な方法は、たしかに考えていない。しかし希望の一つとして心の裏側に、はびこってい
るのもまた事実。
 もし本当にクロノが妻子を捨ててカリムを選ぶという奇跡が起きたなら、自分は心の底から大喜びする
だろう。きっと、こうして影に隠れてこそこそ逢引をした日々をきれいさっぱり忘却するぐらいに。
74婚儀:2008/07/30(水) 20:31:20 ID:3ggDUKWo
(昔は、もう少し冷めていられたのだけれど)

 いつ終わっても平気だとうそぶけたのは過去のこと。こんな関係がだらだらと続くにつれて、もっと確
かな形が欲しいと渇望していた。自然なことだが、自分達には良くない変化。
 軽く頭を振って、カリムが望みを心から追い払っていた時だった。

「……だったら」

 クロノの気配が、すぐ背後まで近づく。

「今すぐ、優しくしましょうか」

 腰と背中に手が回されたかと思うと、カリムの身体は軽々と抱き上げられた。驚く暇も無く、体が横向
きにされクロノの腕の間にすっぽりと収まる。
 聖堂で行うこの体勢。本当なら、将来を誓い合った男女しか行わないはずの、優しい抱擁。

「あ、あの、その……」
「…………出る所まですが」

 突然のことに、舌が空回りして上手くしゃべれない。
 何度も口をぱくぱくさせ二度深呼吸して、ようやくカリムは言葉を出せた。

「外までだけではなく、部屋まで…………このままで、お願いできます……か」
「……今度こそ、誰かに見られてしまいますよ」
「明日、足に包帯でも巻いておきます。転んだと言って。…………始めたんですから、最後まで優しくし
てください」

 頬を真っ赤にしながら告げた願いに、クロノは無言で頷いてくれた。相変わらず暗くてよく見えないが、
彼の顔も赤くなっていることだろう。

(…………本当に、見計らったようにこんなことをされるから…………私がいつまで経ってもあなたを愛
するのを止められないんですよ、提督)

 人にも神にも認められない関係だが、今この瞬間だけはそんなことを忘れて、彼の胸に身を委ねきりた
かった。
 部屋に帰るまでの数分間、カリムの手はずっとクロノの服を握り締めていた。



          終わり
75サイヒ:2008/07/30(水) 20:33:58 ID:3ggDUKWo
以上です。
だいぶ前にクロカリは刃傷沙汰だの鬱方向には行かないと書きましたが、
まかり間違っても結婚幸せエンドにも行きません。せいぜいがこの程度。
なんか完全にひっついたクロカリって想像できないんですよね。カリムにあんまり嫁っぽいとこがないからか。


カリムの何が怖いって、教会でどんぐらい偉い立場にあるのか一言も明言されてないのが怖い。
聖王教についても設定は無いに等しいし。
劇場版が三期まで行ったとしたら、教会は存在そのものから抹消されそうだ。
76名無しさん@ピンキー:2008/07/30(水) 21:16:17 ID:JhyF+YyR
>>22
ヴォルテールが生きてて本当に良かった…
ヴィヴィオVSセリカは本当に燃える戦いだ。
お互い意地でも負けられないだろうな
そしてエリオはまたまたどこへ消えた?
GJ!!!!!
77名無しさん@ピンキー:2008/07/30(水) 21:18:41 ID:CjhyVRY0
サイヒ氏、投下乙です。
不倫は文化ですw 聖王教は規律が緩いそうですからいろいろと大丈夫でしょう、きっと。
貴殿の作品を読むとカリムには幸せになってほしいんですが彼女にはどうしても不倫相手がピッタリですからなんとも難しい。
けれども後妻という文字を見るとそんなSSを読んでみたくなります。
いっそのこと妻公認の愛人とかw
78名無しさん@ピンキー:2008/07/30(水) 21:23:00 ID:gOPq+LOi
GJ!!!

なんつう不倫男女! わざわざこんな場所で事を致すカリムさんは確実に罰当たりです。
そしてそんなカリムを篭絡してるクロノはもっと罰当たり!!
79名無しさん@ピンキー:2008/07/30(水) 21:52:29 ID:jADygNao
>>75
GJ!
確かに、三期見る限りクロノの不倫相手はカリムって似合いすぎてますよね。
公式の嫁を差し置いて出てますし。

それにしても、カリムが本気なのが悲しい。乙女度三どころか五くらいに感じてしまいます。
そしてそれをサラリと読ませるサイヒ氏は流石です。

これで以前アンケート取られてたネタも後二つですが、
何気に人気が高かったクロノ×カリム×フェイト3Pが来るのを楽しみに待ってます。
80名無しさん@ピンキー:2008/07/30(水) 23:01:20 ID:fgV5HIsh
しかしほんとクロエイこないな
読みたいと思う人は割りといると思うのだが……
なんで職人さんには人気がないのだろうか?
81名無しさん@ピンキー:2008/07/30(水) 23:14:54 ID:Ds/zwp37
>>80
エイミィの出番が多くないからね
人気はわかんないけど、なのはやフェイトよりも書きたいと思うほど好きって人が少ないのでは
82名無しさん@ピンキー:2008/07/30(水) 23:18:40 ID:iqztBQHf
やっぱり、何の脈絡もなく結婚してしまった風に思えてしまうから、ってのもあるのかね?
一応、それなりにフラグは重ねてたと思うんだけど。
83名無しさん@ピンキー:2008/07/30(水) 23:22:32 ID:jADygNao
好きな人には悪いが、クロノの弄くり役が似合いすぎるからだと思う。>エイミィ
クロノと好きあってくっつくよりも、クロノが好きになってくっついた子を
クロノ共々弄くるのがスタンスって都築氏の過去ログでも書かれてるし。

あとオチ担当とか、解説役とかで描くなら、本編以上に美味しいキャラになると思う。
84名無しさん@ピンキー:2008/07/31(木) 00:09:27 ID:1K8PQfi9
エイミィは不器用な弟を心配して弄くるキャラだからな。
どうも嫁というキャラに向いてない。
けして悪いキャラではないんだが・・・
カップリングでは他のキャラに負けてしまう。
85名無しさん@ピンキー:2008/07/31(木) 00:20:54 ID:lSo+jJIY
エイミィはぶっちゃけキャラデザがなあ
性格的にはかわいいんだが、外見的にはカリムみたいのが萌えるだろ
クロエイも好きだけどね
86名無しさん@ピンキー:2008/07/31(木) 00:29:32 ID:t2rkvAob
むしろエイミィみたいなタイプの方が妻としてはしっくり来る気もするが
ただあの二人にべたべた甘い恋愛があったとは想像つかないなぁ…

個人的なジャスティスとしてはフェイトがクロノに初恋をして、
そこで初めてクロノはエイミィに対する自分の気持ちを悟るという三角関係
もちろんフェイトとエイミィが姉妹同然に仲がいいってのは変わらずなんだぜ
87名無しさん@ピンキー:2008/07/31(木) 00:34:13 ID:uIGXhVKj
やっぱ、STSはなのは達は中学生ぐらいの時のお話にするべきだったんだろうね。
まあ、その場合、小隊長として頑張るティアナやスバルがみれたかもしれなけどw
88名無しさん@ピンキー:2008/07/31(木) 01:02:33 ID:G6d7ukKO
そういやA'sSS03で「将来の選択肢が狭まるからお姉ちゃんはやめて欲しい」と言ったエイミィだが、
クロノと結婚した今はフェイトにお姉ちゃんと呼ばせてるのだろうか

嬉々として呼ばせまくってそうだな、エイミィの性格なら
89名無しさん@ピンキー:2008/07/31(木) 01:02:50 ID:BiJjyc8e
ハイグレ魔王の光線にやられたというシグナム姐さんの画を見たんだ
すごく…興奮しました
籠手とブーツ残ってるんだ…それでハイグレなんだ…最初笑ってから、すごく…興奮しました
90名無しさん@ピンキー:2008/07/31(木) 01:09:39 ID:Xtkq8rGV
若干古いぞ
91名無しさん@ピンキー:2008/07/31(木) 01:11:15 ID:HuQaSxuP
ここで他所の話題振るのは止めような? 念のために言っておくけど。
92名無しさん@ピンキー:2008/07/31(木) 02:38:53 ID:xm5vLiNl
クロエイも嫌いではないんだが、自分的にはクロなのが一番なんだ。
原作厨だの何だの言われても、やはりあの二人の絡みは至福の一言なんだ。
でもここしばらく全く投下が無いんだ、誰か書いてくんないかなぁ・・
93名無しさん@ピンキー:2008/07/31(木) 03:26:21 ID:TWuHVQh6
>>92
書きたい、けどネタがない。
できれば9歳児で書きたい。
94名無しさん@ピンキー:2008/07/31(木) 05:45:12 ID:WxM7FexU
>>92
ここが原作のスレなら数が増えるかもだが……
アニメ版がメインのスレだからなぁ……
95名無しさん@ピンキー:2008/07/31(木) 06:06:44 ID:Q4ga2bej
原作のクロなのってどんなんだったの?
けっこうバカップルってのは聞くけど、
96名無しさん@ピンキー:2008/07/31(木) 07:38:35 ID:zhKO6k+L
>>95
大体こんなん

・一緒にゲームをやる(なのはも相当強いけれど、クロノに敵わないから何度も再戦)
・クロノのために料理を習う
・すりむいた膝をクロノに舐められ、かつ選択肢によってはおんぶされる
・全てのごたごた(ヒドゥン事件)が終わったあと、草原でクロノの腕枕
・翠屋で一緒にお手伝い
・別れの際、お互いに初めて大好きという感情を告白する(その際、クロノはS2Uを、なのははリボンを渡す)
・数年後の再会の後、5日目には初体験(その前にキスまで済ませてる)
・なのはと違う高校に通うことになったクロノに、お弁当を作ってあげる約束をする

抜けがあったら誰か補足よろ
97名無しさん@ピンキー:2008/07/31(木) 09:56:59 ID:UNdKvrv3
クロなのは専門外だったから気にもしなかったが、
改めて保管庫を見たらクロなの作品の少なさにフイタ
98名無しさん@ピンキー:2008/07/31(木) 12:56:20 ID:i6F+7id8
既に公式に書かれてしまってるのと、その公式自体がある意味黒歴史として葬り去られた経緯があるからな
かといってアニメ版準拠で再構成するには他のキャラとのフラグが強すぎるし、正直やりにくい
99名無しさん@ピンキー:2008/07/31(木) 14:11:09 ID:yiuC6xU6
>>98
あれはあれで別の作品だし、黒歴史はちょっと言いすぎじゃないか。
100名無しさん@ピンキー:2008/07/31(木) 14:46:01 ID:TWuHVQh6
宇宙世紀とそれ以外みたいなものか。
101名無しさん@ピンキー:2008/07/31(木) 14:47:14 ID:LaAOLdPH
無印すら黒歴史にされようとしてるのに、何を今更
102名無しさん@ピンキー:2008/07/31(木) 15:08:00 ID:Xtkq8rGV
>>101
はいはい(笑)
103エリオスレの過去ログより抜粋:2008/07/31(木) 15:33:21 ID:SZfwf+w3
エリフェイ・バッドエンドな小ネタ


ある日、単独任務に就いていたエリオは、突然謎の少女から攻撃を受ける。突然の攻撃に困惑しながらも、応戦するエリオ。
だが、少女の戦闘能力は文字通り桁違いで、瞬く間に打ちのめされ、拉致されてしまう。

少女の正体。それはあのスカリエッティが、己の秘書的存在だったウーノにさえ極秘の内に開発を進めていた究極の戦闘機人だった(スカリエッティが逮捕された後も秘密の研究所で調整が続けられていた)。
ナンバーズ12体、そしてスバル達タイプゼロの持つ特殊能力全てを習得し、さらに独自のISをも所持する少女は、己の欲望=世界征服の為にエリオを自分の下僕にしようとしていたのだ。

エリオの抵抗も空しく、洗脳作業と並行しての強化改造手術が始まった。
体内に注入されたナノマシンが、エリオを内側から強化すると同時に、希少動物の細胞との融合を進めていく…。

数日後―

エリオ捜索の為、再集結した機動6課メンバーの前にフラリと現れるエリオ。
エリオの無事な姿に涙を流しながら駆け寄るキャロ。直後―
「エ、リオ君…」
エリオの右手から放たれた連結刃状の触手が、キャロの体を無慈悲に貫く。
腹部から夥しい量の血を流しながら倒れるキャロに駆け寄るなのは達の前で、エリオはその姿を変えた。
細胞融合した希少動物の特徴を併せ持った、文字通り魔獣のような姿へと!!
変貌したエリオの姿を驚きを隠せないなのは達を尻目に飛び去っていくエリオ。


同じ頃、時空管理局本部に進入していたあの少女は、職員を惨殺しながら瞬く間に管理局のシステムを掌握し、さらには航行中の次元航行艦をも支配していく。
クロノの艦であるクラウディアは、クロノの咄嗟の判断で支配を免れたものの、支配された他の艦からの攻撃を受け、航行不能に陥り、消息を絶ってしまう。
1時間後には、管理局の戦力中99%が敵の支配下となってしまった。
104名無しさん@ピンキー:2008/07/31(木) 15:33:31 ID:Tl1xuYFC
>>102
いや、笑い事じゃないぞ。
映画が無印のパラレルって時点で
真・リリカルなのはとか
105エリオスレの過去ログより抜粋:2008/07/31(木) 15:33:53 ID:SZfwf+w3
キャロを病院へ運んだなのは達の元へ―
・支配された次元航行艦の攻撃で、無数の次元世界に甚大な被害。死者は数十万単位。
・魔獣と化したエリオが無差別攻撃を行い、多数の死傷者が出ている。
等々、耳を覆いたくなるようなニュースが次々と飛び込んでくる。

支配された管理局を取り戻すため、そしてエリオを一刻も早く止める為、なのは達は出撃を決意する。
キャロをスバルとティアナ、そして合流したギンガに任せ、それぞれ飛び立っていくなのは達。

エリオを止める為に、1人エリオの元へ向かうフェイトだったが、エリオはそれを嘲笑うかのように病院へと転移していた。
キャロを、そして入院患者を守る為に立ち向かうスバル達であったが、3人とも返り討ちにあい、意識不明の重体となってしまう。
急ぎ病院へと戻ってきたフェイトをさらなる絶望が襲う。
管理局奪還に向かったなのは、はやて、ヴォルケンリッターが、あの少女との戦いに敗北し、生死不明となったというのだ。

絶望に押しつぶされそうな自分を必死に奮い立たせ、エリオの元へ飛ぶフェイト。
自らの持てる力の全てを振り絞って、エリオと激闘を繰り広げる。
そして、一旦は優勢に立つものの、後一歩のところで非常になりきれず、形勢逆転を許してしまう。
大ダメージを受け、ボロボロになったフェイトを無理やり押し倒し、陵辱するエリオ。逃れようとするフェイトを何度も殴りつけ、幾度も己の欲望を放っていく。
数時間にも及ぶ行為の果て、終わりを告げる陵辱。それと同時に止めを誘うとするエリオ。死を覚悟するフェイトだったが―
「フェ、フェイト、さ、ん…」
ここでエリオ本来の人格が目覚め、魔獣と貸した己を必死に押し留める。
「ご、ごめんなさい…僕、フェイトさんを一杯傷つけて……本当に、ごめんなさい…」
「もうすぐ、僕は僕じゃなくなります……完全に怪物になってしまう…だから、今度会った時は……」
「躊躇わずに、僕を…殺してください」
血の涙を流しながらそう言い残し、飛び去るエリオ。敵のアジトの情報をその場に残して…。


ボロボロの体を引き摺りながら帰還したフェイトは、怪我の応急処置を済ませると、残されたありったけのカートリッジを持って、再出撃する。
目標はエリオが教えてくれた敵のアジトだ。
アジトに乗り込んだフェイトは、戦神の如き強さで手下をなぎ倒し、ついにエリオと対峙する。
完全に魔獣と化したエリオと、文字通りの殺し合いを繰り広げるフェイト。互いにボロボロになり、そして―


ライオットザンバーと魔獣の爪が同時に互いを貫き、2人はそのまま倒れた…。
106エリオスレの過去ログより抜粋:2008/07/31(木) 15:35:05 ID:SZfwf+w3
その光景を見ていた少女は、エリオが死んだ事を嘆きつつも計画の障害がなくなった事を喜ぶ。
そのとき、エリオがゆっくりと立ち上がった。かろうじて命をつないでいたのだ。
そして、エリオは自我を取り戻していた。フェイトの最後の願いが天に通じたのだ。
フェイトを自らの手にかけた事への絶望と少女への怒りが、限界以上の力をエリオに与えた。
アジトを物凄い勢いで破壊しながら、少女の元へ迫るエリオ。その勢いに驚きを隠せない少女は、慌てて逃げようとするが、一瞬早くエリオが少女を捕まえた。
「お前だけは許さない…僕と一緒に地獄へ堕ちてもらう!!」
その言葉とともに己の力を全解放するエリオ。直後、核にも匹敵する爆発がアジトを飲み込んだ…。



こうして、この事件は終わりを告げた。
だが、この事件によってもたらされた被害と混乱は尋常なものではなく。ミッドチルダはこの先数十年に渡って暗黒の日々を迎えることとなる…。


BADEND
107エリオスレの過去ログより抜粋2:2008/07/31(木) 15:36:37 ID:SZfwf+w3
エリオを連れ、潜伏中の犯罪者集団逮捕の任務に就いたフェイト。
エリオとフェイトの実力なら、そう難しい任務でもなかったが、幾つかの悪い偶然が重なり、エリオが敵に捕らえられてしまう。
エリオの首筋に刃を突きつけ、フェイトに降伏を迫る犯罪者達。
エリオは自分に構わず戦うように懇願するが、フェイトはエリオを見捨てる事は出来ず、敵に降伏する。

武装解除したフェイトを待っていたのは、犯罪者達による容赦のない陵辱だった。
最初は感情を押し殺し、ただただ行為が済むのを待っていたフェイトだったが、犯罪者達のボスが人間とは思えないようなサイズのモノを挿入してきた為、とうとう声を出してしまう。
やがて、性感帯も探し当てられ、玩具の様に弄ばれるフェイト。
幾度も中に欲望を注がれる内に、フェイトは心の底に押し込めていた感情を爆発させてしまう。

「嫌、こんなの嫌! 私は、エリオ以外の男になんか抱かれたくないの!!」
「エリオ以外の男の子供を妊娠するなんて、絶対に嫌!!」

「やべぇよ、こいつ、本物のショタコンって奴か」
「管理局のエリートさんの正体が、こんなド変態だったなんてな!」
フェイトの告白を聞いた犯罪者達は口々にフェイトを罵り、更に犯していく。
それから数時間後、身も心もボロボロになったフェイトをエリオに差し出す犯罪者。
無理やりにとはいえ、犯罪者達との行為を全て見せられていたエリオの股間は破裂寸前にまで膨らみ、その理性も吹き飛ぶ寸前だった。

そして、犯罪者達の誘惑に負け、フェイトと1つになるエリオ。
まるで盛りのついた動物のようにフェイトを突き、欲望を放っていく…。

それから暫くして、ミッドチルダの闇ルートに新しい裏ビデオが流れ始めた。
それは金髪の美女と赤い髪の少年が淫らに交わりあう内容だったという…

BADEND
108エリオスレの過去ログより抜粋3:2008/07/31(木) 15:39:03 ID:SZfwf+w3
機動6課解散から3年後、単独任務についていたフェイトの前に現れた意外な人物。
それは十数年前、フェイトの差し伸べた手を拒み、アリシアの遺体と共に虚数空間へ消えていった実母プレシア・テスタロッサだった。
驚きを隠せないフェイトに容赦のない攻撃を仕掛けるプレシア。フェイトは攻撃を掻い潜りながら、反撃を試みるが―
「フェイト、お前は私を斬るのかい? 母親である私を本気で斬るつもりなのかい?」
プレシアのそんな言葉に心を乱され、逆に打ち倒されてしまう。
プレシアは気を失ったフェイトをゴミのように踏みにじると、そのまま自らのアジトへフェイトを拉致してしまう。

フェイト拉致の一報は、瞬く間に時空管理局を駆け巡り、すぐさま元機動6課メンバーを中心とした救出部隊が結成される。
そのメンバーには当然、14歳に成長したエリオの姿もあった。
プレシアのアジトはすぐに発見され、なのは達が一気に突入。
激闘の末、プレシアは狂気に満ちた笑い声をあげながら炎の中へと消えていった。
「お前達の知っているフェイトは、もうこの世界に存在しない…」
最後にそう言い残して…

プレシアのアジトから救出されると、すぐさま管理局の医務室へと運ばれ、検査を受けるフェイト。
結果は何の異常もなし。あとは意識が戻るのを待つだけ。という物だった。
そして、意識を取り戻すフェイト。ベッドの周りは笑顔に包まれる。だが、その笑顔は一瞬で凍りついた。
「フェイトって、だれ? わたしはアリシアだよ」

そして判明する驚愕の事実。
アリシアを『復活』させることができなかったプレシアは、フェイトをアリシアに『作り変えよう』としていたのだ。
フェイトの記憶をすべて消去し、プレシア自身の記憶やさまざまな記録から作り出した『アリシアの記憶』をフェイトに植え付け、自身が望む『理想のアリシア』を作り出そうとしていたのだった。
そして、その試みは成功し、今のフェイトは『フェイトの体を持ったアリシア』とでも呼ぶべき存在になっていたのだ。
管理局の総力を結集し、フェイトを元に戻そうとするなのは達。
しかし、プレシアが使用した技術が遺失技術であった事。なのは達が乗り込んだ際にプレシアがその装置を破壊していた事などもあって、それは難航を極めた。
109エリオスレの過去ログより抜粋3:2008/07/31(木) 15:39:33 ID:SZfwf+w3
同じ頃『フェイトの体を持ったアリシア(以後、Fアリシアと呼称)』は―
「わたし、エリオおにいちゃんがだーいすき! エリオおにいちゃんのおよめさんになるー!」
と、エリオに懐いていた。
Fアリシアを守るように傍にいるエリオ。頼れるお兄ちゃん的存在としてFアリシアと生活を共にするが―
―成熟した大人の体を持ちながら、その情緒は幼児並―
そんな男のエゴを体現したようなFアリシアに振り回され、無邪気な行動や過激なスキンシップ(本人に自覚なし)に晒される内、エリオの心に黒い欲望が芽生え始める。
そして、ついにその欲望が爆発した―

「エリオおにいちゃん、どうしてズボンもパンツもぬいでるの?」「アー、ぞうさんだ!ぞうさんがパオーンってなったぁ!」
「あぁ〜アリシアのふくやぶいちゃだめ! このふくおきにいりなんだよぉ」
「お、おにいちゃんこわいよ…やだ、やだぁ」
「ママ、ママァ! こわいよ!ママァー!!」

異変に気づいたなのは達が部屋に踏み込んだ時、そこには狂気に歪んだ顔でFアリシアを犯し続けるエリオと、それを虚ろな目で受け入れるFアリシアの姿があった…。

BADEND
110エリオスレの過去ログより抜粋4:2008/07/31(木) 15:40:24 ID:SZfwf+w3
>>292
本当に箇条書きになるけどこんな感じ

・古代遺跡で発見された時間移動を可能にするロストロギア。それが突如暴走し、エリオは過去に飛ばされてしまう。

・飛ばされた先はなんと、闇の書事件終了直後の海鳴市だった。
そこでエリオは、ケチな次元犯罪者が起こした事件がきっかけで10年前のなのは達と出会い、フェイトの家に身を寄せる事になる(自分が未来から来た事は伏せている)。

・数日後、元の時間に戻る方法を模索するエリオをなのは達は半ば無理矢理遊びに連れ出す。
最初は戸惑っていたエリオだったが、なのは達に連れ回される内に笑顔になっていく。
そして、そんなエリオを見ている内にフェイトの心にも変化が…

更に数日後。
自分の心の中でエリオがどんどん大きくなっている事に戸惑ったフェイトはリンディに相談する。
同じ頃、エリオもまた膨らんでいくフェイトへの想いを自覚しつつあった。

※このあと色々あって2人は互いの想いを知ります
111エリオスレの過去ログより抜粋4:2008/07/31(木) 15:41:57 ID:SZfwf+w3
・海鳴市の外れに突如出現する謎の物体。
それはエリオを過去に飛ばしたあのロストロギアだった。
暴走したロストロギアは自身も一定期間毎に時間移動を繰り返し、偶然海鳴市に辿り着いたのだ。
これを使えば元の時間に戻れると考えたエリオ。その考えは的中するが、それは必ずしもハッピーエンドには繋がらなかった。
ロストロギアを作り出した古代人がタイムパラドックスを防ぐために埋め込んだ安全装置。
それによって過去の人々は未来からの来訪者が未来へ帰った時点で、彼らの事全てを忘れてしまうのだ。

・エリオの事を忘れる。それを知った途端、パニックとなり逃げるようにその場を離れるフェイト。エリオも直ぐに後を追う。
ロストロギアが再び時間移動するまであまり時間は残されていなかった。

※その後、エリオと別れたくないと泣きじゃくるフェイトをエリオはそっと抱きしめ「未来でまた会える」と説得します。
そして2人は最初で最後の口づけをかわし、エリオは未来へと帰って行きます。

・元の時間に戻ってきたエリオはフェイトへの想いを胸の奥に押し込め、任務に復帰するのだった。


とまあ、こんな感じ。もしもロストロギアになってくれるなら宜しく御願いします




自分じゃ書けないので、ネタを投下
私の行為について、色々意見もあると思う。だが、私は謝らない
112名無しさん@ピンキー:2008/07/31(木) 15:47:23 ID:a/geeFIN
これはどこの誤爆だ?
エリオスレ見てきたけどまだレス数は>>292もいってないから違うっぽいし
113名無しさん@ピンキー:2008/07/31(木) 15:53:52 ID:UKNMHjHM
>>112
過去ログから抜粋と書いてあるから、エリオスレの過去スレからじゃない?
114名無しさん@ピンキー:2008/07/31(木) 15:55:51 ID:BiJjyc8e
エリオスレの>>92にしようとしてミスったレスでしかも誤爆だろう
ちょっとあわてんぼさんが間違ったんだろう
115名無しさん@ピンキー:2008/07/31(木) 16:13:08 ID:QZB2dk1c
>>104
パラレルの意味分かってる?
116名無しさん@ピンキー:2008/07/31(木) 16:22:51 ID:0xCxETOL
>>115
龍騎のアレみたいなもんか?
117名無しさん@ピンキー:2008/07/31(木) 18:03:59 ID:xu1Dq30M
サウンドステージ聞いてギンガ×ザフィもありかなと思えた。
118名無しさん@ピンキー:2008/07/31(木) 18:22:38 ID:dBTH2VkA
>>117
ギン姉とザッフィーというコンビは考えてなかったなぁ〜
しかしアリだな。
119名無しさん@ピンキー:2008/07/31(木) 18:23:58 ID:3n2jSVPy
獣に犯されると言う未知の快感が病み付きなるギンガ

そして実は人型になれると言い出せなくなるザフィーラ
120名無しさん@ピンキー:2008/07/31(木) 18:24:16 ID:BiJjyc8e
>>117
サウンドステージでなんかあったっけ?
121名無しさん@ピンキー:2008/07/31(木) 18:41:51 ID:dBTH2VkA
>>120
今発売中のメガミマガジン100号の付録『サウンドステージM3』にその後のザッフィーの身の振りの話題がでてきています。
122名無しさん@ピンキー:2008/07/31(木) 18:44:13 ID:1EiYFlc1
昨日のメガマガ付属のじゃね。
123名無しさん@ピンキー:2008/07/31(木) 18:45:09 ID:1EiYFlc1
要らぬレスしてしまった…すまぬ
124名無しさん@ピンキー:2008/07/31(木) 18:46:34 ID:RoMh87ck
よく解らんけど
ギン姉「さぁザッフィーいけ!」
ザッフィー「わんわん!」
みたいな警察犬デビューしたの?
125名無しさん@ピンキー:2008/07/31(木) 18:55:56 ID:Ug/IFNoO
どこまでも犬扱いザフィー哀れw

まあなんだ・・・その位置を俺と代われ!!!
126名無しさん@ピンキー:2008/07/31(木) 19:51:33 ID:Jhmhkl8q
>>22
何と熱い!GJ!
ヴィヴィオは生き残ると思うけど、セリカは何となく助からないような気が…
エリオはまたいなくなったのか。愛する人にいい加減連絡ぐらいするべきだ!
まあ二人の絆の強さは本物だからあんま問題ないかw

>>111
これが一番見てみたいな
127名無しさん@ピンキー:2008/07/31(木) 20:34:55 ID:F5AL4j89
ここって二重投下アウトだよな?
128名無しさん@ピンキー:2008/07/31(木) 20:38:23 ID:KA2JK2mE
どういうこっちゃ?
129名無しさん@ピンキー:2008/07/31(木) 20:44:00 ID:Xwd98Dyp
二重投稿?
職人の誰かがやってたの?
130名無しさん@ピンキー:2008/07/31(木) 20:44:28 ID:Ug/IFNoO
二重投稿とな?
131名無しさん@ピンキー:2008/07/31(木) 20:53:38 ID:F5AL4j89
いや、二重投稿って訳じゃないんだけど、ある職人が別の場所にも投稿してたから
こっちでやればいいのにと思って
132名無しさん@ピンキー:2008/07/31(木) 20:55:40 ID:yIB5UX8J
別の場所って、百合スレとか?
133名無しさん@ピンキー:2008/07/31(木) 20:56:31 ID:QZB2dk1c
>>131
それは職人の勝手だよ
読者が何か言うのは間違い
134名無しさん@ピンキー:2008/07/31(木) 20:56:56 ID:KA2JK2mE
どこに投稿するかは職人さんの自由だろ
むしろここで埋もれてるのはもったいないと思う場合もあるし
135名無しさん@ピンキー:2008/07/31(木) 21:03:50 ID:YuP+nztg
第3者が無断で投稿したなら問題だが
本人が投稿したなら何も問題は無いだろ
136名無しさん@ピンキー:2008/07/31(木) 21:06:50 ID:vZNMJe/8
>>131
要するにいろんな場所見るのは面倒だから毎回ここに投下してって言いたいの?

だとしたら自己中な上にワガママすぎるぜ……
137名無しさん@ピンキー:2008/07/31(木) 21:16:16 ID:Md8FREwG
>>B・A氏
GJ!!
なんというゴジラwwヴィヴィオvsセリカも益々ヒートアップしてますね!
次回も楽しみにしています!!

それにしても最後の一行の「我の名は・・・・」で某テイルズの物言う剣が思い浮かんだのは俺だけですか?ww
138名無しさん@ピンキー:2008/07/31(木) 21:16:58 ID:F5AL4j89
続編っぽい内容だったからつい……
すまん
半年ROMっとく
139サイヒ:2008/07/31(木) 21:42:00 ID:InXMLCtI
二日連続投下させてもらいます。

ちょいと前までフィーバーしてた居酒屋ネタに便乗。
といっても、店主はレジアスじゃなくて名前も台詞も無いオリキャラのオヤジ。
とある居酒屋になのはキャラがやってきて酒を飲んで色々語る話です。

例によってクロフェ時空ですが、非エロ。
アルコールが入ったせいでキャラ崩壊してたりおっさん臭くなったりしてるキャラ有り。
同時空列に見せかけて、それぞれのパートの間で数年間の時間軸を行ったり来たり。
夏コミのサウンドステージ情報で戦闘機人の就職先が一部判明しましたが、それとは違う設定になっています。
140居酒屋九十七:2008/07/31(木) 21:43:12 ID:InXMLCtI
 第九十七管理外世界の文化は、あまりミッドチルダには普及していない。
 かといって、高町なのはや八神はやて、グレアム元提督といった例を見れば分かるようにあちらからミッ
ドチルダにやってきた人物は希少だがいるので、全く皆無というわけではない。念入りに探しさえすれば、
第九十七管理外世界の物を商っている店もちゃんと見つかる。
 その数少ない店の一つが、グラナガンの場末にある料理店『居酒屋九十七』である。
 店の名前がそのまま出すものを示しており、壁に並んだお品書きは全て地球のもの。居酒屋と銘打って
いるくせして軟骨の唐揚げ・ソーセージといった酒のツマミ系から、リゾット・天丼といった普通の食事
までやたら豊富な品揃えがあり、食事目的だけに来る客も時々いたりする。
 和洋中なんでもござれな料理を作るのは、机以外は何でも食うと評判の民族出身と思われる無口な店主
兼料理人。従業員は彼一人。本名は誰も知らず、店主だのおっちゃんだのオヤジだの好きなように呼ばれ
ている。
 料理だけでなく、本命の酒もやたらめったら種類があった。料理の材料はミッドチルダの物で代用して
いるふしがあるが、酒はラベルからして本当に地球産のものである。
 どうやって持ち込んできたのか真剣に調査すれば「密輸」の二文字が浮かび上がってきそうな気もする
が、今のところ客の中で気にしている奴はいなかった。
 店は流行ってもいないが、閑古鳥が鳴きっぱなしというわけでもない。宵の口の店開けから適度に客が
来て、適度に飲み食いして帰っていく。


 つまりは、出してる物がちょっと特殊で多様な以外は、どこにでもある料理屋だった。



          居酒屋九十七



(……クロノ以外酒を飲む相手がいないって、ほんとどうなんだろう)

 ジャック・ダニエルをすすりながら、ユーノはじと目で対面にいるクロノを見つめた。
 クロノはこちらの視線に気づくことなく、店主が自分で漬けたという胡瓜のどぶ漬でユーノと同じ銘柄
のウィスキーを飲んでいる。
 漬物で酒を飲むというのは年季の入った酒飲みがやったら絵になるのだろうが、クロノがやっても爺臭
いだけだった。だいたい洋酒に漬物という時点で、破滅的にその手のセンスが欠落している。

(というか、僕って親しくしている男の人少ないよね)

 職場で親しく言葉を交わす男性職員はいるが、どこか上司と部下という空気が抜け切らない。
 考古学関連で作った知り合いも遠方の人物が多くて、顔を合わすのはモニター越しか学会だけであり、
本格的な交友関係は望むべくもなかった。
 少ないどころかこいつしかいないという首をくくりたくなる現実にユーノが顔をしかめていると、クロ
ノがいきなりぽつりとこぼした。
141居酒屋九十七:2008/07/31(木) 21:45:21 ID:InXMLCtI
「どうも最近単調になっている気がする」
「何が?」
「フェイトとの夜の方が」

 普段なら絶対にしないであろうあけすけな話題をあっけらかんと口にするクロノの顔をユーノはしばし
見つめてから、脇に置かれたウィスキーの瓶に眼を転じた。案の定、ほとんど丸々一本が空である。
 ユーノも同様に、かなりの酒量をすごしていた。四杯目まではチェイサーで適度に薄めつつ飲んでいた
が、そこから先はめんどくさくなってストレートで飲みだした。そこまでは覚えているが、トータルでど
んだけ飲んだのかはもうさっぱりである。
 お互い酔っ払ってるなーと理解しつつも、アルコールが回った脳味噌は思ったことを片っ端から口にし
ていく。

「だったら胸で色々してもらえば?」
「もうやってる」
「じゃあバリアジャケット着てとか。けっこう雰囲気変わって燃えるよ」
「それもやった」
「お尻は?」
「何を今更」
「…………薄々分かってたけど、君って相当鬼畜だよね」

 管理局高官のアレな素顔に呆れたが、かんがみてみれば自分だって似たようなもんだった。
 ならば何がよかろうか、とユーノはブルーチーズを口に放り込みつつ思案し、とりあえず思いついたこ
とを言ってみた。

「それならソフトSM」
「それは……まだだな」
「君も僕と一緒でバインド上手いんだから試してみれば? まあ、初心者がやっても痛いだけだと思うけ
ど」
「そのへんの適正はフェイトにあるから大丈夫だろう」
「やっぱりフェイトってそっち系なんだ」
「ああ、ばっちりその方面だ」
「ちなみになのははこっち方面」
「なるほどな。ということは君はあっち系か」
「いや、どっちかといえばその二軒隣あたりかなぁ……。君のベクトル三十度ずらした感じ」

 二人にしか通じない酔っ払い言語会話の果て、双方非常に納得した顔で頷き合うと、なんとなくグラス
を合わせて乾杯した。




 そのまま三十分ほどローテンションだらだらと恋人の話を続け、日付が変わる前に二人は腰を上げた。
 きっちり自分が飲み食いした分だけを払い、店を出ればそれじゃあ、と言葉少なに別れを告げてぶらぶ
らと我が家の方角へ歩き出す。
 ここ三年ばかり続いている、友人同士のいつもどおりな交友風景だった。
142居酒屋九十七:2008/07/31(木) 21:46:33 ID:InXMLCtI
          ※



「うっ、うっ……。クロノがね、ひどいの」
「ふーん」
「今日はちょっと新しいことやろうって言い出して……」
「へー」
「バインドで私の恥ずかしいところあちこち縛って」
「ふーん」
「口でもいろいろ意地悪なこと言っていっぱいいじめられたんだよぉ!!」
「へー」
「…………なのは聞いてる?」
「聞いてるよ。フェイトちゃんがその話するの六回目だけど、ちゃんと聞いてるよ」

 耳に入れた一秒後には酒で頭から洗い流しているが。
 聞いてもらっていると安心したのか、フェイトはまた机につっぷしてぐずぐずと泣きながら酒を飲み出
した。
 この調子が、もう一時間以上続いている。まさしく酔っ払ってでもいないとやってらんない状況だった。
 いつものフェイトは自分の酒量を心得ており過ごしすぎることはまずない。宴会でも最後まで正気を保っ
ており、後片付けをする側に回ることが多い。
 しかし何かの拍子に箍が外れてアルコール摂取量がリミットオーバーすると、ご覧のとおりやっかい極
まる酔っ払いと化す。ぶっちゃけかなりうざい。

「それでね……クロノがこの間の夜にね……」

 また話がループしだす。今度は相槌も打たずに聞いてたなのはだが、つい口を滑らせてしまった。

「でもフェイトちゃんはしっかり感じたんでしょ?」
「そそそそそそんなことないよ!!」

 大声で否定するフェイトだったが、眼があっちゃこっちゃ泳ぎまくって口以上に雄弁に実情を物語って
いた。
 友人である自分の目からみてもマゾっ気たっぷりなフェイトのことだから、そういうSMまがいのこと
には大いに素質があるとは想像したのだが図星だったらしい。

(こういうのはほんと素質が必要だよねぇ。私もユーノ君に縛られた時はあんまり気持ちよくなかったし。
……でもユーノ君縛るのはまたやりたいな)

 晩御飯代わりの豚足をもぐもぐやりつつなのはが追想しているうちに、親友の様子が変化し始めた。
143居酒屋九十七:2008/07/31(木) 21:47:49 ID:InXMLCtI
「……でもね、クロノはちゃんと謝った後、優しく二回もしてくれたし……気持ちよかったなぁ」

 えへへとだらしなく笑う顔を見て、なのはは失言を悔んだ。
 この執務官殿は、酔うと躁鬱が激しくスイッチして泣いたり笑ったり忙しくなる。たぶんこれから三十
分は惚気話オンステージだろう。
 フェイトは酔っ払ってからつぶれるまでがやたら長い。そこまで付き合うのもめんどくさかったので、
自分もとっとと酔って正体を無くすことにした。どうせ明日は休みだし、ユーノは学会でおらずヴィヴィ
オは八神家でお泊り。今頃ザフィーラをモフるのに忙しいだろう。なのはが酔いつぶれて迷惑を被る相手
は、一人しかいない。
 その一人こと店主に向かってなのはは手を上げた。

「おじさんすいませーん。芋焼酎『魔王』もう一瓶お願いします」




 翌朝、店主に叩き起こされ二日酔いの眼で数えれば、足元に転がっていた瓶の数は二桁を越えていた。



          ※



「んっふっふ〜、ザフィーラぁ〜」

 酒臭い息には、普段感じられない多分の艶が混じっていた。
 赤い顔をしたアルフは、椅子ごと身体をすり寄せてくる。

「あ〜、あんたは触り心地が最高だね〜」
「……ヴィヴィオもそう言ってくれるが、今は狼姿ではないぞ」
「狼とか人間とかじゃなくて〜あんたがザフィーラだから気持ちいいんだよ〜」

 なかなかに嬉しいことを言ってくれるアルフだが、口元が半開きで涎を零しそうな目つきで見られてい
ると素直に喜べない。
 なにやら良くない予感がする風向きに、とりあえずアルフの旺盛な食欲に訴えて矛先を逸らそうと試
みるザフィーラ。

「ほ、ほらあんかけ団子はどうだ? 美味かったぞ」
「そんなのとっくに食べたよ。……あ、お酒はまだあるか」

 ものの見事に藪蛇となった。
 ザフィーラが止める暇も無く、年代物の老酒の小甕をアルフは引っつかんでごくごくと飲み出す。あっ
という間に空っぽになった甕を放り出すと、またしだれかかってくる。
 料理の追加を頼もうにも、店主は調理場へと引っ込んだまま出てくる気配が無い。恥ずかしい所を見ら
れなくてすむのは有難いが、迷惑な客として警察に連絡入れられていてはたまらず、ザフィーラは本気で
アルフを引き剥がしにかかった。
144居酒屋九十七:2008/07/31(木) 21:49:21 ID:InXMLCtI
「いい加減見苦しいぞ。離れろ」
「ザフィーラのけち〜。ちょっとぐらいいいじゃないか」

 ザフィーラの手をかいくぐってひっついてこようとするアルフとのもみ合いは数十秒続いたが、不意に
アルフが動きを止めてザフィーラの顔を覗き込んできた。

「…………ザフィーラは、あたしに抱きつかれるの、そんなに嫌かい」
「それは……」

 言葉に詰まった拍子に、今まで意識していなかった今夜のアルフが漂わせている魅力にザフィーラは気
づいてしまう。
 いつもは粗野な言動が目立って女らしさを感じさせないアルフだが、顔立ちはしっかりと美人の部類に
入っているし、スタイルもいい。こうしてくっつかれれば、二つの膨らみが二の腕に当たって嫌というほ
ど自己主張してきた。
 なにより普段なら絶対にしないであろう気弱そうな顔そして、涙に潤んだ瞳で上目遣いでしてくるのが
強烈に可愛い。

「き、嫌いになれるわけがないだろう」
「だったら、ここでキスして」

 言うが早いが、許諾も聞かずアルフは顔を寄せてきた。払いのける暇も無く唇がくっつけられ、舌が入
てくる。
 店主も自分達以外の客もいないことを、ザフィーラは心底感謝した。
 いつもするより数倍長い口づけ。たっぷりキスを堪能したアルフが離れた時には、肺の空気はほとんど
残っていなかった。

「あ〜、こういうのもいいねぇ〜。クロノとべたべたしてるフェイトの気持ちがよぅ〜っく分かったよ」
「……実は醒めていないかアルフ」
「さあね〜」




 それからアルフが酔いつぶれるまでの二時間半。警察は来なかったが店主も出てきてくれなかった。
 店を出た時、入り口にかけられた『只今貸し切り中』の札を見て、思わず回れ右して多目に金を払うザ
フィーラと、その背中で幸せそうな高鼾をしているアルフであった。
145居酒屋九十七:2008/07/31(木) 21:50:42 ID:InXMLCtI
          ※



 キャロにとって、飲酒はその日が初体験だった。
 機動六課時代に何度かあった慰労会で出来上がった部隊長あたりが「これも大人への第一歩や思て一口
だけ飲んでみ」と迫ってきたことはあったが、全て保護者によるトライデントスマッシャーで水際阻止さ
れ、同時に酒の怖さというのをくどいまでに語られたものである。
 だからキャロにとってアルコールは毒薬のようなイメージがあり、勧めてきたのがエリオでなかったら
今日も口にすることはなかっただろう。
 ところが予想に反して、カルーアミルクというカクテルは甘くて美味しかった。口当たりが優しく、そ
れこそコーヒー牛乳のようでいくらでも飲めそうである。
 お代わりを繰り返すうちほわほわと身体が暖かくなり、頭と心のネジが緩んでくる。
 だからエリオがかかってきた電話で店の外に出た時、もう一人の同伴者にいつも疑問に思っていたこと
を言ったのは、ある意味必然だった。

「……ルーちゃん、どうしていつも私とエリオ君が出かけるのについてくるの?」

 エリオの席を挟んで座っていたルーテシア。こちらはカルピスサワーを美味しそうに飲んでいたが、キャ
ロの問いかけにグラスを傾ける手を止め即答した。

「キャロと同じ」
「どういうことなの?」
「エリオが好きだから」
「ぶっ!?」

 直球すぎる答えに、キャロはつまみのナッツを吹いた。

「キャロが抜け駆けしたら困るから、ついてきて見張ってる」
「わ、私はそんなこと……!」
「だったら、キャロはエリオのことが嫌い?」
「そ、そんなわけないよ!!」

 大声上げてしまってから、思わずキャロは自分の口を塞いだ。しかしそんなことをしても、一度吐いた
言葉は飲み込めない。一つ深呼吸して気持ちを落ち着け、キャロはきっぱりと言った。

「うん、ルーちゃんが言うとおり、私もエリオ君が好き。友達じゃなくて、男の子として」
「だったら、勝負。どっちが先に、エリオの恋人になるか。……キャロは大事な友達だけど、これだけは
譲れない」

 一見すると眠そうな眼をしているルーテシアだが、瞳には一歩も引かない強い意志が宿っている。
 キャロも、酔いかけている眼をしっかりと覚ましてルーテシアを正面から見つめた。

「私も、エリオ君は絶対に諦められないよ。だから、これから正々堂々勝負しようね」
「うん」

 決戦開始の合図代わりに、二人はグラスを打ち合わせて同時に中身を飲み干す。
146居酒屋九十七:2008/07/31(木) 21:52:03 ID:InXMLCtI
(でも、ちょっとだけ私の方が有利だよね。機動六課からこの間までずっとエリオ君と一緒の所で働いて
て、思い出もいっぱい作ってるんだし……)

 十分に余裕を持って宣戦布告を受けたキャロだったが、ルーテシアの次の言葉で事態は一変した。

「正々堂々って言ったけど、この勝負私の方が有利」
「……どうして?」
「もうすぐエリオが隊長になる部隊に、私も入るから」
「そんなこと聞いてないよ!?」
「誰にも言ってないから。エリオもまだ知らない。これから私とエリオは、仕事中も任務先でもずっと一
緒。朝も昼も……もちろん夜も」

 相変わらず半眼のまま、ルーテシアの口元が不適に笑う。思わずキャロはひるみかけたがぐっと踏ん張っ
て睨み返した。
 認識に修正。状況は非常に不利だ。過去のきれいな思い出より、今そこにある状況に引っ張られるのが
男だとミラも言っていた。これでは自分のアドバンテージが無くなってしまう。
 もっと頻繁に連絡を取って、休暇は可能な限りこっちに来て一緒に過ごすようにしよう。ルーテシア抜
きで。
 先手必勝。まずは、今すぐこの場から始めなければ。

「電話長引いてご……めん……?」

 折り良くだか折悪しくだか分からない微妙なタイミングでエリオが戻ってくる。
 危険な雰囲気を察知したのか怯えた顔をしながら席に腰を下ろしたエリオの右腕を、すかさずキャロは
抱きしめてくっついた。

「……えっ!?」

 負けじとルーテシアも左腕を抱え込んでくる。

「ええっ!?」
「ほら、エリオ君、私のお酒飲んで」
「私のも。そんな小さいグラスじゃなくてジョッキで」
「い、いや、僕は明日いきなり訓練入ったからそろそろ切り上げようかって思ってたんだけど……」
「飲んで!」
「飲んで」
「…………はい」




 この日一番ババを引いたのは、へべれけ三人を抱えて歩いているところを怪物が誘拐しようとしている
と間違われ、主が目覚めて釈明するまでブタ箱で過ごすことになったガリューだった。
147居酒屋九十七:2008/07/31(木) 21:53:40 ID:InXMLCtI
          ※



 外食をする時は高級レストランが普通で、こういう市井の飲み屋になど来るのは初めてだった。なにし
ろ、ナプキンの出てこない店というのが人生初体験というレベルである。
 酒も料理もあまり期待していなかったのだが、予想に反してスズキという魚のカルパッチョは非常に美
味だった。白ワインとよく合う。

「どや? こういう場末の味ってのもけっこうええやろ?」
「ええ、とっても。紹介してくれてありがとう、はやて」

 カリムは、はやてのグラスにもワインを注ぎながら笑顔で言った。
 くいっと一息で干したはやてが、同じく笑顔を浮かべながら口を開く。

「ところでカリム、酒入ったところでちょっとマジな話させてもらうけどな」
「何かしら?」
「どうして結婚せぇへんの?」

 表情とは逆の、本当にマジな話だった。カリムは苦笑しながら頬をかく。

「私だけやなくて、ロッサもシャッハもかなり心配してんねんで。まだ本格的に焦る年齢やないけど、全
然興味のある気配がしないからこうして訊かせてもらおか思て」
「話自体はけっこう持ち込まれてるし、お見合いもしたことはあるのよ? だけど、どうしても好きにな
れる人がいなくて」
「それやったらしゃあないけど……。いや実はな」

 言葉を選んでいるのか、少し気まずそうな顔をするはやて。

「カリムも知っていかもしれんけど、良くない噂が流れてるんよ。カリムが結婚しないのは」
「妻子持ちの人に恋愛してる、から?」
「……知ってたんか」

 教会のトップという仕事柄、思わぬことで足をすくわれないよう自分に関するどんな噂が流れているか
はきちんと把握するようにしている。

「心配しないで。そんなことは全く無いから。いつかちゃんと、大切な人を見つけるわ。その時は披露宴
にヴォルケンリッターやナカジマ家の人達も連れて参加してね」
「……まあ、焦って結婚して将来夫婦仲が冷めるよりも、好きな人が見つかるまで気長に待った方がいい
のかもしれへんな」

 やや腑に落ちない顔のはやてだったが、カリムの笑顔で押し切られたのかそれ以上追求はしてこなかっ
た。
 そこからはまた明るい話題に戻り、やがてはやてが手洗いに立った。後姿がドアの向こうに消えると、
カリムはそれまでの笑顔を消してグラスの中を見つめた。グラスを満たす透明とも濁っているともつかな
い色の液体が、そのままカリムの心境を表している。
148居酒屋九十七:2008/07/31(木) 21:55:13 ID:InXMLCtI
「…………どうしてこういう想いは、隠していても伝わってしまうのかしら」

 彼としゃべっている時は、周囲にもそれと分かるぐらいあからさまな顔を自分はしているのだろうか。
平然とした表情を作るのは、得意なはずなのだが。
 さっきまで美味しかったはずの酒が、舌にざらついて苦く感じられた。それでもカリムは喉に流し込ん
でいく。
 忘れよう。思い出さないよう酒で忘却の彼方へ流してしまおう。彼とは縁が無かった。ただそれだけの
こと。
 そう自分に言い聞かせる同じ心で、きっと忘れるのは無理だろうとも思っていた。
 もう彼が結婚して二年以上経ち、子宝にさえ恵まれたというのに、未だに想いは心に刺さったままなの
だから。
 かといって、寝取りにいくほどの度胸も無い。
 こんな性格だから、ぐずぐずしている間に彼は意中の人と添い遂げてしまったのだ。
 そっと、酒に濡れたばかりの唇を撫でて、カリムは心に秘した想い人の名を呟く。

「…………クロノ提督」




 その夜、珍しくカリムは悪酔いをしてはやてに散々迷惑をかけた。



          ※



「ああもうノーヴェ、そんなに飲んだら駄目だってば」
「うるへえ……スビャルの奴があんだけのみぇんだから……ヒック……あたひだってビールの十本や二十
本ぐりゃい…………ヒィーック!」
「その意気ッスよノーヴェ。ほらもう一回一気、一気、一気、一気!!……あ痛っ!」
「煽ってんじゃない! ディエチ、あんたも大丈夫?」
「……そろそろ、限界だけど、お酒、まだ、残ってて、もったいないから」
「無理しなくていいよ。残りはお姉ちゃんが飲んどいてあげるから」

 かっくりとうな垂れるように頷いたディエチの手から酒瓶を受け取ったセインは、チンクの隣に腰を下
ろした。その横顔に、チンクは微笑んでやる。

「大変だな。私がいない間は、いつもこんな感じだったのか?」
「うーん、そうでもないよ。みんなちゃんと酒量は心得てる飲み方してる。やっぱり、チンク姉が出てき
たのが嬉しいんだよ」
「それは私も、姉として嬉しいな」
149居酒屋九十七:2008/07/31(木) 21:56:19 ID:InXMLCtI
 今日の正午きっかり。チンクは晴れて更生施設を出所した。
 出口で待ち構えていた妹達にもみくちゃの祝福を受け、社会生活に必要だからと服だのなんだのを山ほ
ど買ってもらい、最後にこうして酒場へと繰り出して騒いでいる。

「あと、やっぱりみんな集まれたのが嬉しくて羽目を外しているのもあるかな。こうして全員集まれる機
会って少なくなったし。ウェンディとは毎日教会で顔を合わせてるけど、オットーなんか次元世界が別だ
しね」

 話題に出たオットーは、ディードと差し向かいで何かしゃべっている。時折熱燗を差しつ差されつして
いる姿は、オットーが一見男性のように見えることもあって、姉妹というよりなにやら夫婦のようだった。

「しかしチンク姉ってけっこうお酒飲めたんだね。ラボで飲んでる姿って見たことないけど、一人で晩酌
とかしてた?」
「いや、酒を飲むのはこれが生まれて二回目だ」
「へえ、そうなんだ。でも私達も更生施設出てから覚えたもんねえ」
「もう少し飲んでみたいのだが、酒の種類はよく分からない。お勧めの酒はないか?」
「うーん、だったら…………おじさんソルティドッグおねがーい」

 店の隅っこで新聞を読んでいた店主が調理場に入り、鮮やかな手つきでシェイカーを振った。素早く流
れるような手さばきは手品でも見ているかのようで、あっという間に黄味がかったカクテルが完成した。

「ここの店主、ああいうことも出来るのか」
「ほんと、場末にいるのが惜しい腕前だよ」

 運ばれてきたグラスを手に取り、チンクはちょっと首を傾げた。縁に白い粉がついている。汚れではな
いぐらいはチンクでも分かるが、正体は分からない。

「これ、あたしのお気に入り。ウォッカをグレープフルーツジュースで割ったものなんだけど、一口飲ん
だら縁のやつ舐めてみて」

 セインに言われたとおり、一口含んでから舌先で濡れた粉末を突いてみると、柑橘系の甘味を感じたば
かりの舌にピリッと刺激が走った。

(……塩?)

 もう二、三口飲んでみると、このカクテルの奥深さが分かってきた。塩の辛味が喉を通り過ぎて行った
ばかりの酒の味を引き立て、同時に味覚を軽くリセットすることで飽きさせない。
 あっという間にチンクはくいくいとグラスを空けてしまった。

「うーん、いい飲みっぷりだねチンク姉。もう一杯いっとく?」
「ああ、もらおうか」
「お代わりおねがーい。それとあたしにも同じ物…………ってちょっと!?」
「あっはっはーー!! でぃえひのやつ、さらにかおつっこんでねてやふぁんのーー!!」
「ああもうこんな髪の毛べたべたになっちゃって。ほら、起きなって。トイレ行って顔洗うよ」
「………………ぐぅ」
「だから寝ない!」

 妹に肩を貸すというより引きずるようにしてセインが手洗いへと向かった。
 手伝いはいらなさそうだと判断したチンクは、店主が持ってきた二杯目に手を出す。今度は時間をかけ
てゆっくりと飲みながら、妹達が座っているのとは逆の右側に顔を向けた。
 チンクが右端の席であり他に客もいないので、そこから先の席には誰もいない。
 この場所に、座っていて欲しい人達がいた。
150居酒屋九十七:2008/07/31(木) 21:58:24 ID:InXMLCtI
「ウォッカ……か」

 チンクの知識の中にある、数少ない酒の名前。それは、どうしても一つの光景を思い出させるものだっ
た。
 もう二十年近く前の光景。まだ自分が末の妹で、二番目の姉が姉妹と一緒に暮らしており、そして管理
局の内部へ潜入するため長くラボを離れることにとなった前日の記憶。


『へえ〜、チンクってばお酒初体験なのにけっこういける口じゃない。ほらもう一杯ぐぐっと』
『ドゥーエ、初心者にウォッカをそんなに飲ませるのはやめなさい』
『なによ、これから当分会えないんだから可愛い妹とお酒飲みたいって思うのは当然でしょ』
『種類を選びなさいと言っているのよ。トーレ、あなたからも言って…………トーレ?』
『あらぁん、トーレ姉様ったら眼を開けたまま寝ちゃってるわ。おもしろ〜い』
『落書きしましょ落書き』
『だからそういうのをやめなさいと……ドクターも笑ってないで止めてください!』


 初めて酒を飲んだあの日、杯を酌み交わした家族は誰一人としてこの場にいない。一人に至っては、記
憶以外の場所では永遠に会えない人になってしまった。
 他の家族も会いに行った妹達の話によれば、更生の勧めを鼻で笑ってろくにしゃべろうともしてこない
という。自分が会いに行っても同じことだろう。
 酒は辛い事を忘却するために飲むというが、自分は飲む度にあの日の姉達を思い出すに違いない。もう
二度と、親しく語り合えない人達を。
 そしてそれは、決して忘れてはいけないことだった。歴史的大悪人として悪名を後世に伝え続けるであ
ろうジェイル・スカリエッティとナンバーズにも、ちゃんと人間らしい優しさや温かさがあったことを。
世間に伝えることは無理だろうが、自分は絶対に忘却などしない。
 姉妹が過ごした日々を思い返しながら手首を返して酒を口に放り込むと、甘味より塩の味をチンクは強
く感じた。




 その夜眠るまで、塩辛さが舌の上で何度も蘇った。
151居酒屋九十七:2008/07/31(木) 22:00:43 ID:InXMLCtI
          ※



 とろんとした眠気が全身に回りだし、もう寝ちゃってもいいよねと判断する頃、笑ったり泣いたり忙し
かったフェイトが急に黙り込んだ。
 ようやくつぶれるかとなのはが見ていると、親友はぽつりと呟いた。

「……私とクロノ、こんなのでいいのかな」

 真剣な色の声から、酔っ払った頭でも今宵初めてフェイトがまともなことをしゃべろうとしていると知
れた。
 なのはは椅子から滑り落ちそうになっていた身体を座り直し、頭を振って眼を覚ます。

「家でもずっとくっついて、アルフに呆れられたりしてる。……エッチなことだっていっぱいしてるし。
だらしないなって自分でも分かってる」
「……でも、フェイトちゃんはクロノ君に甘えたいんでしょ?」

 フェイトはすぐこくりと頷いた。

「でも、私もちゃんと分別つけなきゃいけない年齢なんだし……」
「いいんだよ。それで」

 とかく自分で自分を諌めすぎる癖のある友人を、なのはは優しく諭してやる。

「恋人ってきっとね、他の誰とも出来ないことをする仲のことを言うんだよ。フェイトちゃんはクロノ君
以外に、そういうことしたい人はいる?」
「ううん」
「フェイトちゃんが甘えたら、クロノ君嫌そうな顔してる?」
「恥ずかしそうだけど、嫌がってはいないと思う」
「だったら問題無いよ。甘えさせてくれる人を見つけられたっていうのは、女の子にとって凄く幸せなこ
となんだから」
「……なのはも、ユーノに甘えたりしてるの?」
「うん、ヴィヴィオがいなくてユーノ君と二人っきりで家で過ごしてる時の生活なんか私もユーノ君も凄
くだらしなくて、フェイトちゃん聞いたらびっくりしちゃうよ」
「そんなに? 聞かせてほしいな」
「こればっかりはいくらフェイトちゃんでも駄目かな」
「ずるい、私とクロノのことは無理やり聞こうとしてくるのに。お話聞かせて」

 自分が過去に言った言葉を取られて、思わずなのはは笑ってしまう。
 フェイトも頬を緩めてくすくすと笑っていた。

「三十にも四十にもなったら、べたべたくっつくことなんて絶対出来なくなるんだから、今のうちにやっ
ておこうよ。まだ私達十九歳なんだから」
「そうかもね……なのは」
「うん?」
「ありがとう。悩んでいる時、いつもこうやってアドバイスくれて」
「友達だからね」
「なのはに出会えて私、本当に、良かった」
152居酒屋九十七:2008/07/31(木) 22:02:04 ID:InXMLCtI
 これまでに何度も聞いた言葉。耳にする度に、なのはの胸は温かくなる。
 そのままフェイトの頭が前に倒れていき、すぐに安らかな寝息が聞こえてきた。

(……ちょっとクロノ君が羨ましいな)

 一番の友人だと自負しているなのはにも、フェイトがわがままを言うことは全くといっていいほど無い。
恋人と友人は別物だと分かっているが、少し妬ける。

(私も今度の休み、思いっきりユーノ君に甘えようっと)

 デートコースを思い描きながら、なのははグラスの底に残った最後の酒を、ゆっくりゆっくり味わって
喉に通していった。



          ※



 ボトルの中身はきれいさっぱり空になり、完全にアルコールが回りきった。
 そのせいだろう。いつも心の奥に抑えていた言葉が、ユーノの口からこぼれた。

「僕は君が羨ましい」

 半分閉じかけていたクロノの瞼がゆっくりと開かれるのを見つめながら、ユーノは言葉を続けた。

「君は艦長としてフェイトと一緒の現場に行ける。いざとなったらフェイトを守ってやれる。…………僕
には出来ない話だ」

 昔のように、なのはの隣に立って戦うことはもう不可能だった。片や時空管理局に名高いエース・オブ・
エース。片や検索・翻訳以外に魔法を使うことすらまれになっている司書長。一緒に戦えば、守るどころ
か足手まといになるのは誰の眼にも明らかだった。

「実はさ、ずっと前に僕も戦闘型魔導師になれないかと思って、攻撃魔法の練習をしたことがあるんだ」
「初耳だな」
「本当にこっそりやったからね。なのはもアルフも誰も知らないだろう。…………とことんセンスが無かっ
たよ」

 強固なバリアを張るのと、思い通りの威力の魔法を狙った方向に撃つのに必要な素質は全く別物である。
 射撃に近接、それこそ召喚魔法にまで手を出してみたが、どれもこれもDランク相当の威力しか出せな
かった。
 それからずっと、なのはが向かう現場や敵の情報を見つけるのも立派な手助けだと、自分に言い聞かせ
ながらやってきた。
 だが百万の情報を並べようが、戦場で背後から飛んでくる一発の魔力弾を止める役には立たない。
153居酒屋九十七:2008/07/31(木) 22:03:57 ID:InXMLCtI
「もちろん無限書庫の仕事には誇りを持ってるよ。けど…………僕は君とフェイトのように、なのはと一
緒に戦って、なのはを守ってあげたかったんだ」

 ユーノの愚痴とも嘆きともつかぬ言葉が終わると、クロノは笑った。しかしいつもの悪口を言う時のよ
うに皮肉なものではなく、気弱な笑みだった。付き合いは長いが、こんな顔は初めて見た。

「羨ましがられることはない。……僕だってそのうち、君と同じ立場になる」
「……どうしてだい?」
「提督の次に出世したら少将だ。そうなればずっと本局に詰めっぱなし。大規模戦闘が起こったとしても
ブリッジで指揮するだけで、自分で戦闘することなんてまず無くなる。出動許可を取るだけで一時間はか
かるだろう」

 グラスに残っていた分を呷り、そのまま舌を向いてクロノはぼそりと言った。

「僕がどうやったって助けに行けない場所にフェイトを送り出すのは……正直嫌だ」

 独白するように告げるクロノを見て、ひょっとしたら自分よりも苦悩は深いのかもしれないとユーノは
思う。
 執務官は、教導官以上に戦闘の機会は多い。数年前のなのはのように再起不能寸前とまではいかずとも、
フェイトも何度か負傷して入院したことはある。
 クロノが同じ艦にいてすらそうだったのだ。離れ離れになってしまえば、それこそ命を落とすのではな
いかという不安を感じても仕方が無い。

「一回だけ、執務官を辞めて僕の秘書にでもならないかと訊くつもりなんだが」
「やめときなよ。フェイトに自分の夢と恋人を天秤にかけさせることになる」
「…………そうだな」

 同じ問いをなのはにしようと思ったことは何度かある。教導官を辞めて、僕のお嫁さんだけやってくれ
ないか、と。
 その度に、胸をこみ上げてくる言葉を飲み込んでいた。口に出して言ったのは、今夜が初めてだ。

「お互い、大変な女の子を好きになっちゃったね」
「まったくだ」

 ユーノはクロノのボトルを手に取ると、残っていたほんのわずかな酒を半分ずつそれぞれのグラスに注
ぐ。
 誰よりも近くにいるはずなのにどうしても手の届かない場所に赴いてしまう恋人を持った者同士、グラ
スを合わせながら二人は寂しく笑い合う。
 それでも、こうやって酒を飲みながら恋人にも言えないことを告白し合える友人がいたというのは、小
さな救いではあった。




          終わり
154サイヒ:2008/07/31(木) 22:05:33 ID:InXMLCtI
以上です。
出てる酒は全部実在の物。せっかくだから資料にするため芋焼酎『魔王』を飲んでみようと思ったら、アホみたいに高くて断念。
スバティア・ヴォルケン・ギンゲンあたりも入れたかったんですが、長くなりすぎてこれまた断念。
前後編にするようなタイプの話でも無いですし。


クロフェ時空でもカリムさんがあれなのは、次回から連載始める予定の次世代話第二段の複線。
このままプロット通りに行くなら、この人ほとんど何も悪くないのにめっちゃ不幸なことになるな。
155名無しさん@ピンキー:2008/07/31(木) 22:10:15 ID:yIB5UX8J
GJ!
皆それぞれが、それぞれらしくて、

>>スバティア・ヴォルケン・ギンゲン
いずれ機会があれば是非…
156名無しさん@ピンキー:2008/07/31(木) 22:14:21 ID:ks9WeTAf
面白いが、クロフェ時空とクロエイ時空がもろに混ざってるww
……あれ?混ざってはいないのか?

異なる時空での同じ居酒屋の様子ということか?。
もし、混ざってるとしたら、クロノは3股したことに……ユーノ!巻き込まれないうちに逃げて!!
157名無しさん@ピンキー:2008/07/31(木) 22:22:49 ID:Qvpiz248
GJでしたw


席に座ってるチンク姉の寂しげな背中が見えました。
しかし、主の為に頑張ったのに、ガリュー……何と不憫な……(ホロリ
158名無しさん@ピンキー:2008/07/31(木) 22:24:07 ID:cPB6tWRT
>>154
チンク……。・゚・(ノД`)・゚・。
そうなんだよな〜。チンクだけなんだよな。
他の姉は皆堀の中と墓(研究施設の倉庫?)だし。

しかし最初晩酌の相手はゼストじゃないかと思った俺はやはりチンクゼストだなぁと思った。

GJ!
159名無しさん@ピンキー:2008/07/31(木) 22:24:49 ID:1K8PQfi9
投下乙です。
各キャラの持ち味が出ているSSでした。
>>次世代話
次回作のヒロインは不幸になるカリムですか。
彼女には幸せになってほしいが不倫相手だからどうしても不幸があってしまうキャラ。
連載開始を楽しみです。
160名無しさん@ピンキー:2008/07/31(木) 22:26:09 ID:KA2JK2mE
>>154
GJ!男同士・女同士の会話が何気にシンクロしてるな
にしても、こっちだのあっちだの二軒隣だのわかんねーよw
161名無しさん@ピンキー:2008/07/31(木) 22:36:18 ID:BBx1b1x8
ヴァイス 「マスター。俺ギネスの冷えてない奴ねー」
グリフィス「僕はジンフィズを」
ヴァイス 「あ、こっちはこっちで気楽にやってるんで気にしなくてもいいっすよー」
162名無しさん@ピンキー:2008/07/31(木) 22:47:11 ID:0/GbDFbn
>>154
最初のユーノとクロノでアッー!かと思ったのに
163名無しさん@ピンキー:2008/07/31(木) 22:53:57 ID:yiuC6xU6
>>154
GJ!
クロノとユーノの気持ちに引き込まれました。
164554:2008/07/31(木) 23:17:50 ID:7XkAm8Lu
若干お久しぶりです。

クリニック・Fよろしいですかね?
165名無しさん@ピンキー:2008/07/31(木) 23:19:15 ID:QZB2dk1c
>>164
よろしいですとも!
166名無しさん@ピンキー:2008/07/31(木) 23:24:24 ID:HuQaSxuP
是非是非投下を!!
167554:2008/07/31(木) 23:24:46 ID:7XkAm8Lu
んじゃ行きます。
本当はもうちょっと書いてから投下したかったんですが、これからちょっとばかり忙しくなるんでここで投下します。
今回は完全にオリキャラが目立つ回ですので、あまり期待しないでお待ち下さい。

・カップリングはジェイル(あえてこう表記)×ウーノ
・スカの性格がかなり変化してます。それについては後に触れますが、気になる人はNGしてください。
・なのはキャラはスカとウーノ以外はフェイトくらいしか出ません。しかもかなり後半。よってほぼオリジナルストーリー。
・NGワードは「小さな町の小さな診療所 クリニック・F」です。

それでは原案の73-381氏に多大なGJを送りつつ、投下したいと思います。
168小さな町の小さな診療所 クリニック・F:2008/07/31(木) 23:30:37 ID:7XkAm8Lu
「これ、ウチの母ちゃんから差し入れだって。いつも護と遊んでくれてありがとうございます、だってさ」
「ああ、お使いご苦労様だね」
「うん、それで、ヒマだから外で遊んでても良いかな?」
「ああ、もちろんいいとも」

 土曜日の午後というのは午前中のみの診療であって、午後は何もすることがなければ二人一緒に買い物に出かけるか、あるいはお茶を飲みながらテレビを見るなどリラックスする時間にすることが大概だ。
 今日はお昼の山菜の天ぷら―――先日の牛の治療の件ですっかり気をよくした宇都宮家のご主人から頂いたものである―――を食べ終わり、器具の消毒など治療後の後かたづけをしていると、ちりん、と来店を示す鈴が店内に鳴り響いた。
 休診の札は掛けておいたはずだが、と思いながらジェイルはドアの方を見ると、そこには小さな影がビニール袋を持ってにこにこと笑っていた。
 差し入れの大根や人参、ほうれん草などの入ったビニール袋を届けるお使いにやってきた少年、近所に住む小学生の護の姿はいつもより何倍増しか嬉しそうに見えた。
 そのビニール袋をウーノに手渡すと一目散に外へと駆けていく。この診療所の建っている丘は裏手が森林になっているという自然豊かな場所にある。
 そのために、虫好きの護はよくこの診療所を訪れては裏手の森で虫を探しに駆け回るのが好きだった。
 ジェイルもこうやって元気な子どもをのんびりと見ていることが嫌いではなかったし、何よりこうやって庭の手入れをしながら子どもを見守るというのは研究に明け暮れていた時期には到底出来なかったことで、
ジェイルにとって子どものやること全てが新鮮に映っていた。
 その診療所の庭、と言っても花が咲き乱れているというわけではなく実用第一の家庭菜園と言ったところだろうか。しかしその種類は家庭菜園とは名ばかりに、
大根、人参、ほうれん草、なすといった定番の野菜の他にも春菊やかぶ、トマトのほか、椎茸の原木やハーブさえもあるという凝りようだ。
 だが、これらはジェイル本人が集めたものではなく、診療所にやってくる農家の方々から譲ってもらった苗木を植えて、これも農家の方々に貰った肥料をやって育てているだけである。
 よって、実質的な費用はゼロ。ホームセンターなどで買うと結構な値段のする椎茸の原木もタダで貰ったものである。
 この庭は、いわばこの地の人々のジェイルに対する信頼を目に見える形で具現化したものと言えよう。
 この地に来て半年。最初は一人の農家に貰ったジャガイモの種芋が発端だったのだが、それが今や裏山の森林さえも飲み込まんとする勢いだ。それだけこの診療所が地域の人々にとって欠かせない存在となっているということだろう。
 閑話休題。
 虫取り網を肩に乗せて勢いよく扉を開けて出て行く護を追いかけて、ジェイルは診療所の外に出る。今日も風が涼しく絶好の虫取り日和だ。アキアカネの群れが目の前を通り過ぎてい
く。
169小さな町の小さな診療所 クリニック・F:2008/07/31(木) 23:32:08 ID:7XkAm8Lu
「あ、そうだ」

 護が急ブレーキをしてジェイルの方を振り返る。
 その顔は診療所を訪れたときと同じ笑顔で、ジェイルには話を聞いてくれることの期待感のようなものが浮かんでいるように感じた。

「この間鞍馬さんのところの猫を抱いてた女の子が居たじゃない?」
「ああ、あの子か。それがどうしたんだい?」
「それがさ、なんとウチの小学校に転入してきたんだよ! 名前は剣 藤花(つるぎ とうか)って言うんだって」
「それで?」
「それでさ、オレ、動物好きだから何とかして友達になりたいと思ってるんだけど、あの子無口って言うか、オレたちをわざと寄せ付けないようにしてるって感じがするんだよね。なんでなんだろ」
「話しかけてはみたのかい?」
「藤花ちゃんを見かけたらすぐにでも声かけてるよ。でもその度に無視してどっかへ行っちゃうんだよ。仲良くしてる女の子も居ないみたいだし」
「ふむ……」

 ここでジェイルはいつものいつものように顎に手を当てて深く考えるときのポーズを取る。
 ウーノの言うようにあの子がディエチのように何らかの原因で感情を抑え込んでいると考える。するとその原因は何だろう。
 ディエチの場合は任務遂行の邪魔という理由で自身の心の内に沸き上がる様々な感情を抑えつけていたとする。彼女の場合は果たして何がそこまでさせるのだろうか。
 例えば、自分たちと同じように闇に生きる人間であるということ。
 しかし、この日本という国はそういったものがほとんど無い国だ。あるにはあるが、小学生という肉体的にも精神的にも未発達な存在を使うだろうか。
 どこぞの時空管理局のように駒として使えれば誰でも良いなどという思考が根底から無いのだ。それはあまりにも現実的でなさすぎる。
170小さな町の小さな診療所 クリニック・F:2008/07/31(木) 23:32:48 ID:7XkAm8Lu
 それ以外の要因、外的な要因ではなく例えば精神的な問題なのではないか。
 そうは考えてみるが、精神的な問題はその問題を取り除けば全てが解決するわけではなく、本人の心の傷として一生残ってしまう場合もある。
 友達を作りたがらず、孤独を求める少女。それが何を意味するのかを、作られたこの身でも何となくだが分かる。だが、分かったところで何が出来る。
 闇から這いずり出てきた人間として、助けてやりたいとは思うがこればっかりは個人的かつ精神的な難しい問題だ。そう早くに解決することはないだろう。
 だから、自分が護にアドバイスをするならば「待ってやれ」の一言くらいしか掛けられそうになかった。大人として、情けなくなる。
 そう思って口を開こうとした刹那、向こうから知らない女性がこちら目がけて走ってくる。
 急患であろうか。目は完全に正気を失っており、彼女の雰囲気に疲労や焦りといった負のオーラまとわりついていることが遠くからでも視認できた。
 やがて表情を険しくするジェイルと不思議そうに見つめる護の元へその女性がぜぇぜぇ、と息を整えながらたどり着く。
 彼女は息を整えることもはばからずにかなり切迫した様子でこう言った。

「ウチの娘を見ませんでしたか?!」



     □     □     □     □     □



 姿形を見ると小学生の子どもが居るとは思えないような、スラッとした出で立ちで、スーツを着ていればいかにも丸の内にいそうなこの女性。聞くところによるとあの藤花の母親だと言う。
 一度気持ちを落ち着かせるために診療所の待合室でお茶を飲まされている彼女は疲労困憊した様子で洋服もところどころ擦り切れており、もうかなりの時間探し回っていることが容易に想像できる。

「とりあえず知り合いの青年団のメンバーに防災無線で頼んでおきましたから。今は情報を待ちましょう」
「……はい」
171小さな町の小さな診療所 クリニック・F:2008/07/31(木) 23:34:14 ID:7XkAm8Lu
 こういうときに知り合いが多いというのはかなり役に立つことだ。ジェイルはすぐさま家に戻るとそのまま受話器へ直行し、青年団のメンバーである隼へと連絡を取っていた。
 そして先程、町内の至る所の防災無線用のスピーカーから迷子の女の子が居るという主旨の放送が一斉に流されていた。後は、情報を待つのみである。

「大丈夫ですよ。お子さんはきっと無事です」
「……はい」

 今にも泣きだしそうな母親の元へとウーノが側によって声を掛ける。その行為は焼け石に水だが、一人だという意識が薄まるだけでも精神的には有効な手段と言えよう。
 そんなとき、机に肘を突き、額の前で祈るように両手を合わせる彼女を神妙な面持ちで見つめる影があった。先程までジェイルと喋っていた護である。
 事の重大さを知り、自分にも何かできないかと思うがどうして良いか分からずただ隅で突っ立っていることしかできないもどかしさに護は両手を強く握りしめた。
 その手は今にも血が流れ出るのではないかと言うほど爪が食い込んでおり、自分自身に対する苛立ちがそこに全て表されているようであった。
 やがて、診療所の受付に置いてある電話の子機からピピピピ、というけたたましい音が静寂に支配されていた診療所に音を付ける。
 その音で部屋の住人達は一斉に音のする方向を見つめた。藤花の親に至っては、客観的に見て怖いと形容されるほどの形相だ。愛している娘が居なくなってしまったのだからそれは当たり前のことだが。

「はいこちら診療所……ああ、立川さんですか、はい、はい。……はい、分かりました。はい、それじゃあ、また」

 ワイヤレスの子機を元あった場所に静かに戻すとウーノと母親の座っている方へと向き直る。
 その顔は先程までの険しい顔とは幾分かだが、普段のジェイルの柔らかさが戻っていた。

「とりあえず、誘拐ではないみたいです。どうやら山に入ってそのまま迷ってしまったようですね」
「それで、探すアテはあるんですか?!」
「落ち着いて。このあたりには林業を営んで居られる方々がまだまだたくさん居ます。いわば山のプロフェッショナルですよ。その方々が探してくれているようですから、直に見つかるでしょう」
172小さな町の小さな診療所 クリニック・F:2008/07/31(木) 23:34:44 ID:7XkAm8Lu
 それまでの辛抱です。とジェイルが付け加えるやいなや、何かがもの凄いスピードでジェイルの横をすり抜けていった。
 慌ててジェイルがそれを捕まえようとするが間一髪で逃げられてしまう。仕方なく、ジェイル達は追いかけながら怒鳴り声を上げる。

「護くん! どこへ行くんだい!?」
「ちょっと思うところがあるんだ!!」

 必死の形相で山へと続く道へと向かっていく護。
 それを追いかけようと三人が一斉に外へと飛び出す。既に裏山へと向かっている護とは十メートルほどの差がある。
 女性である二人―――この場合、ウーノのナンバーズとしての固有武装はフローレス・セクレタリーであるために、運動能力は一般の女性よりも若干高い程度である―――よりも体力で勝るジェイルは他の二人よりも一歩先を行きながら後ろを向いて叫ぶ。

「護くんは私が追いかける!! それまで診療所で待っていて欲しい!!」

 後ろを走っていた二人は歩みを止め、心配そうに裏山へと走り去っていくジェイルの背中を心配そうに見つめた。
 もう夕暮れを告げるように、太陽が西の山々へと沈みかけており、先程迷子を知らせる防災無線のスピーカーからは五時を知らせる定番の曲が流れ始めていた。

「大丈夫です。彼と護くんなら、きっと、いえ、絶対に見つけてくれます」
「……あの」
「なんですか?」

 立ち止まったウーノに藤花の母親は不思議そうな顔をして訊く。

「失礼な言い方ですが、何故、そんなにも堂々と断言できるのですか? どうして、そんなにも彼を信頼できるのですか?」

 ウーノは見る者全てを魅了するかのような笑顔でそれに応える。

「ええ、彼を信頼していますから」

 女性ではあるが、その笑顔に藤花の母親は思わず息を呑んだ。


173小さな町の小さな診療所 クリニック・F:2008/07/31(木) 23:36:41 ID:7XkAm8Lu
投下終了です。 もう少し書いてから投下したかったんですけど……。
やっぱり、自分の筆の遅さには定評が有るみたいです。


さて、映画化も決まったことですし、このスレで1st movieオフでも や ら な い か ?
スイマセン、冗談ですww
174B・A:2008/07/31(木) 23:43:21 ID:TWuHVQh6
た、タッチの差で追い抜かれた・・・・・・・orz
出直します。

<<173
投下乙
ドクターはどこまでも綺麗になっていくなぁ。
このまま幸せになってくれれば良いんだけど。
しかし、このドクターは見ているとまるで某Dr.コ(r
175名無しさん@ピンキー:2008/07/31(木) 23:57:43 ID:dmxMDJXX
>>173
GJです!
この時期クリニックFを拝読すると、クワガタ虫取ったり腐った椎茸の原木でローキックの練習をしたりしてた頃を思い出して泣きたくなりますね。
更新は十二分に御早い方かと。いつも楽しませて頂いております。

>このスレで1st movieオフでも や ら な い か ?
ウ ホ ッ !  い い 提 案 !
大人一枚を頼むのが厳しい歳になってきましたし、司書様にはお礼を申し上げたく存知てますし、きっと頼れるガチムチ兄貴な方だと想像しているあの方をはじめ、お会いしてみたい職人の方々も大勢いますので、素晴らしき御提案! 
と、一瞬かなり本気で考えてしまった地方の自分がいますww

次回も楽しみにお待ちしています!


176名無しさん@ピンキー:2008/08/01(金) 00:01:32 ID:mABOrcEp
>>このスレで1st movieオフでも や ら な い か ?
>>ウ ホ ッ !  い い 提 案 !

面白そうだけど、
何故かある種の身の危険を感じるw

くっ、酒入った職人方がそれぞれの設定語り始める…………なんて夢が…


それにしても、>>173のドクターがいい人過ぎて、フェイト登場を恐れる俺がいる。
177554:2008/08/01(金) 00:10:24 ID:R2MgBhZS
>>174
うおっ、先輩職人なのにご無礼を。 すいませんでしたっ。

ああ、ちなみにフェイトは嫌でも出てきますからご安心を。
178B・A:2008/08/01(金) 00:46:15 ID:P7muqEt9
一時間経ったので投下いきます。


注意事項
・B・A版エリルー時空のお話
・主人公はヴィヴィオ(ですが、諸般の事情でまたもハブられます。だって主人公はトリでなきゃ)
・オリキャラが出ます
・非エロでバトルです
・sts本編から11年後の物語
・フェイトが天寿を全うしております
・その他かなりの捏造多し。今回、一番のビクビクはここ
・タイトルは「Das Erbe zur Zukunft」 意味:未来への遺産
・やってきたぜスーパーエリオタイム
・本編の約7割は鬱で構成されています
・残りの約3割は熱血で構成されています
・B・A+エリオにスポットが当たる=エリオ虐め
179B・A:2008/08/01(金) 00:47:12 ID:P7muqEt9
>>177
あ、気にしなくていいですよ。そちらが先に投下していたんですし。
180名無しさん@ピンキー:2008/08/01(金) 00:48:04 ID:HiTX7p6X
>>154
芋焼酎『魔王』
渋いなぁ…… でも、ある意味芋焼酎の最高峰だからね、高くて当たり前。
米焼酎だと『十四代』だけど、売ってるとこも置いてる店もほとんど無いし……
181Das Erbe zur Zukunft@:2008/08/01(金) 00:49:38 ID:P7muqEt9
第22話 「想いを無為にせぬために」



それは過酷な戦いだった。
同じ命から零れ落ちた兄弟同士による熾烈な争い。どちらにも譲れぬものがあり、それ故にどちらも決定的に歪んでいた。
勝ったところで何も残らない。ただ自分の信念を再確認し、それを違えぬように生きることを誓わされる儀式。
その戦いにエリオは勝利した。
手持ちの札をほぼ全て使い切り、ギリギリの一線で敵を打ち倒した。
自分の生き方を決定づけた。
その後のことはよく覚えていない。襲いかかってきた傀儡兵をもう一人の自分が押さえつけ、自分は彼に「生きろ」と告げて彼方に飛び去った。
それから、いったいどうなったのだろうか?
意識がはっきりしない。まるで水に浸かっているかのような浮遊感、それでいて吸い込む空気は粘っこく、呼吸する度に泥のような酸素が喉に絡みつく。
自分が立っているのか、それとも倒れているのか。堕ちているのか浮かんでいるのか。生きているのか死んでいるのか。全てが曖昧で目眩がする。

『エリオ』

不意に名を呼ばれ、感覚が急速に広がっていく。はっきりとした実感を伴って体が浮き上がり、確かな地面の感触が伝わってくる。
そして、気がつくとエリオは懐かしい生家の居間に立っていた。

「えっ・・・?」

突然の事態に戸惑いを隠せず、エリオはキョロキョロと周囲を見回す。
目につくもの全てに見覚えがあった。豪奢なシャンデリア、年代物の調度品、踝まで埋まってしまう羽毛の絨毯、壁にかけられた絵画に棚の上の花瓶。
部屋の隅に放置されている木馬の玩具や悪戯心から引っかいてしまった壁の傷にも見覚えがあった。ここは、何から何まで自分が覚えている通りのモンディアル邸だった。

「どうして・・・・・」

ふと、エリオは自分の目線が低いことに気づいた。二本のデバイスを振り回し、日々鍛錬を欠かすことのなかった長身が五歳児程にまで縮んでいる。
見下ろせば、着ているのは漆黒のバリアジャケットではなく子ども用の半ズボンにワイシャツという出で立ちだった。
もちろん、右腕は義手ではなくちゃんとした本物であり、盲目のはずの右目にも視力の光が宿っていた。

『どうした、エリオ? 食事に出かけるぞ』

『あらあら、この子ったら怖い夢でも見たのかしら?』

耳に届く懐かしい囁きに、エリオはハッとなる。見上げると、記憶と寸分違わぬモンディアル夫妻が、エリオの本当の両親が優しく微笑みかけていた。

「パパ・・・・ママ・・・・・」

『ほら、いらっしゃい、エリオ』

『悪い夢は終わったんだ。さあ、おいで』

(夢・・・・あれが全部・・・・・夢?)

機動六課で過ごした日々も、JS事件も、過酷な逃走劇も、十年間の服役も、ルーテシアとの温かい家庭も、全て夢。
自分は病死したエリオ・モンディアルのクローンなどではなく、正真正銘、エリオ・モンディアル本人だったのだ。
その衝撃にエリオは混乱し、思わず体のバランスを崩す。ずっと自分のことをエリオ・モンディアルの偽物として認識していただけに、
その事実はエリオのアィデンティティを激しく揺さぶった。
182Das Erbe zur ZukunftA:2008/08/01(金) 00:54:43 ID:P7muqEt9
『仕方ない子ね。ほら、もう怖くないでしょ』

混乱する我が子の体を、モンディアル夫人は優しく抱きしめる。
その温もり、胸の柔らかさは、正く彼の魂に刻み込まれた実母のものだった。

「マ・・・マ・・・・」

呟きを漏らした途端、エリオは堪えきれずに涙腺を決壊させた。
全部夢だったのだ。
あの身を削るような苦しみも、命を賭けた戦いも、魂すら凍りつく孤独な日々も、全てが夢の中の出来事だったのだ。
本当の自分はまだ年端もいかない子どもで、親の愛を一身に受けて幸せな日々を送っている。
そう、全部夢だったのだ。

「ママ、僕、怖い夢を見たんだ。夢の中では、僕はママ達に捨てられて、たくさん嫌な目にあって、痛いのを我慢させられて、
怖い怪物と戦わされて、悪いこともいっぱいして、捕まって、それで・・・・・・」

母の胸に顔を埋め、エリオは嗚咽を交えながら、余りにリアル過ぎた夢の恐怖を訴える。
何も聞かずに抱きしめてくれる母の温もりに、夢の中で心が折れないように築き上げてきた鎧が音を立てて崩れていく。

「ママ・・・・ママ・・・・・どこにも行かないで、僕を一人にしないで・・・・・・・」

『よしよし、怖かったのね。もう何も心配しなくて良いのよ。だってあなたは・・・・・・・・・・』

不意に、背後から白衣の男達が腕を取り、エリオを強引に母から引き剥がす。

『ただのお人形なんですもの』

ピシリと、エリオの心にひびが入る。
強い力に引きずられ、慌てて腕を伸ばすも、母はその手を取ってくれなかった。
それどころか、傍らから現れた自分と同じ年頃の赤毛の少年を愛おしげに抱きしめている。

「ママ、パパ!」

『エリオ、やっぱり私の息子はあなただけよ。あんな人形なんてさっさと捨てて、パパと一緒にお出かけしましょうね』

『そうだエリオ、今度新しい玩具を買ってあげよう。何が欲しい?』

「ま、待って・・・・・!」

自分でも信じられないくらいの力で白衣の男達を振り払い、少年を連れて去って行こうとする両親のもとへ駆け寄る。
その時、こちらの声に驚いて振り返った少年の顔を見て、エリオは驚愕した。何故なら、少年は自分と全く同じ顔をしていたからだ。
次の瞬間、憤怒の形相を浮かべた母がエリオを思い切り突き飛ばした。

『私のエリオに触れるな、出来損ない』

「できそこ・・・ない・・・・・」

尻餅をついた痛みよりも、再び腕を掴まれた痛みよりも、その言葉が何よりも痛かった。
嫌だ。
聞きたくない。
これじゃ、あの怖い夢と同じじゃないか。
183Das Erbe zur ZukunftB:2008/08/01(金) 00:58:02 ID:P7muqEt9
『そうよ・・・・・・見た目だけそっくりで、中身はまるで似ていない出来損ない。あなたは所詮、私達の寂しさを紛らわせるためのお人形でしかないの』

『私達の息子はこのエリオだけだ。君は・・・・・もういらないんだ』

「待って・・・・待って、ママ、パパ・・・・マ・・・!」

必死で手足をバタつかせるが、今度は数人がかりで取り押さえられているのでどうすることもできなかった。
どれだけ泣き叫んでも父と母は一瞥もくれず、そのまま本物のエリオ・モンディアルの手を取って闇の中へと去っていく。

「夢じゃ・・・・・夢じゃなかった・・・・・・・」

『そう、夢なんかじゃない。あなたはエリオ・モンディアルという少年の遺伝子を基に造り出された人造生命体』

「なのはさん!?」

バリアジャケットを纏ったなのはが、レイジングハートを手にそっとエリオの前に降り立った。けれど、何かがおかしい。
いつも慈愛に満ちた笑みを絶やさなかったその顔からは、今は何の感情も感じ取れない。

『エリオ、あなたは素直だけど、肝心な時はいつも言うことを聞いてくれなかった。
頑張るのは良いけれど、練習の時だけ言うこと聞くふりで、本番は無茶ばかり』

「なのはさん、それは・・・・・・・」

『自覚はあるんだね。ああ、それと・・・・エリオは一度、わたし達を裏切っていたね。みんな、凄く悲しかったんだよ。
エリオのことを信じていたのに、勝手なこと言っていなくなって・・・・・わたしもはやてちゃんも、
スバル達も・・・・・もちろんあの人も凄く悲しんだんだよ』

聞き覚えのある声の響きに、エリオはかつて目撃したある出来事を思い出した。
背筋が凍り付いてしまいそうな恐怖が込み上げてくる。
脳の裏側で警鐘がなっていた。
早く逃げろと。
あの呟きを聞いてはいけないと。
だが、逃げたくても腕を掴んでいる男達が邪魔で身動きが取れず、エリオは突きつけられたレイジングハートの先端を怯えながら見つめるしかなかった。

『少し、頭冷やそうか』

直後、極大の砲撃が視界を埋め尽くした。
成す術もなく吹き飛ばされ、十歳まで成長したエリオの体はどこともしれない闇の中で二転三転する。
転がり落ちた先は、やはり見覚えのある場所だった。
旧機動六課の屋外訓練場。
映し出されているのは最も慣れ親しんだ廃棄都市区画の立体映像。十二年前、仲間と共に連日駆け回った場所だ。

「く・・・くあ・ぁ・・・・・」

首筋に刺さる激しい痛みに、エリオは声も出すことができなかった。
その耳元で、身も凍るような冷たい言葉が囁かれる。

『返して』

キャロ・ル・ルシエだ。
大切な家族で、かけがえのないパートナーだった人。
自分が愛する女性を選んでしまったがために、他の誰よりも心を傷つけてしまった少女。
184Das Erbe zur ZukunftC:2008/08/01(金) 01:00:59 ID:P7muqEt9
「キャ・・・・ロ・・・・・・」

『返して、エリオくんを返してぇっ!!』

キャロが叫ぶと、首筋に噛みついたフリードが更に深々と牙を突き立ててくる。
否がおうにも肉の食い千切られる音が耳に届き、激痛で気が狂いそうになる。
もがいている最中にどこかで引っかけたのか、指の爪の何枚かは剝がれて痛々しいまでに血が噴き出ていた。

『エリオくんはもっと優しかった。わたしを悲しませたりなんかしなかった・・・・・・・・・どうして? 
どうしてルーちゃんを選んだの? わたしじゃダメなの?』

「ち・・・ちが・・・あぁ・・・・・がぁぁぁぁっ!!!」

『そんなのエリオくんじゃない。あなたは・・・・偽物よ!』

頸動脈に突き刺さった牙がそのまま噛み合い、首の肉がごっそりと剥ぎ取られる。
止めて、と叫ぶこともできなかった。
灼熱の痛みで脳が麻痺し、考えることもできない。
剥き出しとなった呼吸器が壊れたラッパのように音を奏で、意識がどんどん遠のいていく。

『どうした、こんなものじゃまだ足りんぞ』

またも景色が変化し、傷だらけのエリオの体が何者かに持ち上げられる。
今度は、次元航行艦アースラの訓練スペースだった。
ガリューという好敵手に勝つために剣術を学んだ場所。命がけの稽古を通して、必殺の技を盗み取った場所。
エリオにとって、もう一つの思い出の場所だ。
そして、そこに立っているのは文字通り烈火の如き憤怒を携えた緋色髪の女性だった。

「シ・・・・シグナム・・・・さ・・ん・・・」

『黙れ』

躊躇なく、シグナムはエリオの右腕をレヴァンティンで切り落とした。
焼きつくような痛みにのた打ち回るが、足が地面に着いていないのでロクな抵抗もすることができない。
今の自分にできるのは、手足をバタつかせて相手を不快にさせることだけだった。

『仲間に刃を向ける男を、私は弟子だとは思わぬ・・・・・潔くここで死ね』

「ま・・・・」

弁解の余地すら与えられなかった。
レヴァンティンの刀身が深々と右目を抉る。
貫通した刃が脳漿を飛び散らせ、まだ無事な左目も明滅して視界が定まらない。
もう何が痛いのかもわからない。
何に苦しんでいるのかも、どうしてこんなにも辛い目にあっているのかも。
ただ痛くて痛くて堪らない。なのはに焼かれた体も、フリードに噛み千切られた首も、シグナムに切断された腕と抉られた目も。
その全てが致死に至る痛みを発していた。何故生きているのか、どうして死ねないのか、それすらも痛みで考えることができない。
だが、何よりも辛かったのは、信じていた仲間から見捨てられたことだった。
偽物であるという事実を突き付けられ、紛い物であると吐き捨てられ、裏切り者と罵られ、犯罪者と断ぜられる。
体を傷つけられる痛みよりも、心を傷つけられる痛みの方が何倍も苦しかった。
185Das Erbe zur ZukunftD:2008/08/01(金) 01:04:03 ID:P7muqEt9
『あたしの大事なもの、どうして壊したんだよ』

『あんたにはわからないでしょうね、凡人の気持ちなんて』

『お兄ちゃん、私達は所詮、造られた偽物なんだよ』

『役立たずの裏切り者は、さっさと消えてもらおうか』

『お前のせいではやてがどんだけ苦労したと思っているんだ!』

『あんなにみんなを心配させたんですもの、覚悟はできているんでしょう?』

『ヒーロー気取りの小僧が、いっそう英雄らしく死んでみたらどうだ?』

『誰よりも命を粗末にしているのはあなたですぅ』

『彼女の気紛れで拾われた餓鬼め、どうして君がハラオウン姓を名乗っているんだ?』

『みんなの未来を守るために戦うだって? はっ、だったらあたしやあたしのご主人さまの未来はどうして守ってくれなかったのさ!?』

『お前の言っていることは所詮、理想主義者が唱える綺麗事だ。人間は、自分が守りたいものだけ守っていれば良いのさ、こいつはな』

目まぐるしく場面が変わり、見知った人々から罵声を浴びせられる。
信じていた仲間から、信頼する上司から、かけがえのない家族から、そしてもう一人の自分から。
次から次に発せられる負の言葉が容赦なくエリオを責め立て、追い詰めていく。いつしか、二十二歳の大人の体へと成長したエリオは、
ボロボロになった体で膝を着きながら、虚ろな目で虚空を見上げていた。
その姿は見るに無残なものであった。
右腕と右目を失い、首は半分程が竜の牙で噛み千切られている。全身は焼け爛れており、無数の穴が胴体に空いていて、左腕は奇妙な方向にねじ曲がっていた。
両足も片方は凍傷を起こしており、もう片方は膝の骨が粉々に打ち砕かれている。足の指は全て切り落とされていた。

(これが・・・・・・僕なのか・・・・・・こんな・・・・・こんなボロボロになって・・・・・・こんなに傷ついて・・・・・・・)

愛する者のために戦って、恩人の意思を継いで戦って、みんなの未来のために戦って、そして最後に残ったのは傷ついて役目を果たさなくなった壊れた体。
唯一生きている左目も霞み、リンカーコアも衰弱していてほとんど機能していない。
大事なものを守りたかっただけのはずなのに、気がつけばみんなから後ろ指を指され、迫害され、断罪された。
それでも、エリオの心にはまだ微かな希望が残されていた。
まだ彼女がいる。
彼女さえいてくれれば、自分は生きていける。
かつてそうであったように、彼女が自分のことを信じてくれるのなら、こんな機能不全の体であっても立ち上がることができる。
彼女の声さえ聞ければ。
186名無しさん@ピンキー:2008/08/01(金) 01:04:18 ID:vKd/XWKw
支援
187Das Erbe zur ZukunftE:2008/08/01(金) 01:06:38 ID:P7muqEt9
『エリオ・・・・・』

そう、彼女はいつも自分の側にいてくれる。
守り、活かすという機能を己に課したエリオが唯一心を許すことのできる居場所。
この世界でただ一人、彼が甘えることのできる女性。

「ル・・・・ルー・・・・・・」

『・・・・・・・』

「ごめん・・・・・また、こんなに怪我しちゃって・・・・けど、大丈夫。大丈夫だから・・・・・すぐに・・・・そっちに・・・・・・・」

『ガリュー』

伸ばした左腕が、突如現れたガリューによって踏み潰される。
痛覚はとっくに麻痺していたにも関わらず、心が砕け散りそうな程の激痛が腐敗した全身を駆け巡った。

『あなたはいつも私を置いてどこかに消えちゃう・・・・・私はいつも一人ぼっちで、ボロボロに傷ついたあなたが帰ってくるのを待たされている
・・・・・・ねぇ、側にいてくれるって約束したでしょ・・・・・なら、どうしてどこかに行っちゃうの? どうして、心配ばかりかけさせるの?』

「がぁ・・・・ああ・・・ああぁぁ・・・・・・・」

グリグリと踏みつけられる痛みが脳を揺さぶる。
彼女の責めは他の誰よりもエリオの心を傷つけた。
ガリューの一挙一足がエリオの体を蹂躙し、ルーテシアの一言がエリオの魂を削り取る。それだけで心が死んだ。
今まで築き上げてきたものがガラガラと崩れていく。
信頼も勇気も愛情も信念も、全てが意味を成さずに安っぽい言の葉となって散っていく。
わかっていたはずだった。
いつかはこうなるのだと理解していた。
何かを守るために他の全てを切り捨てれば、このような結果になるのだと。
一緒に生きると誓ったところでもう遅い。犯してしまった罪は、もう消えることはないのだ。

「やめろ・・・・・やめろぉっ、やめてくれぇっ!!!」

唸りを上げて打ち込まれる漆黒の拳に悶えながら、エリオは声の限り叫ぶ。
これが多くのものを犠牲にしてきた自分への罰だということは承知している。
甘んじて受け入れる以外に償う術がないことも、彼女が抱いている孤独と絶望も、全て承知している。
だが、それでも死にたくなかった。
生き延びたかった。
生きてルーテシアと未来を目指したかった。
共に愛娘を育て、温かい家庭を築き、そして死にたかった。
こんな形で自分の人生を終わらせたくはなかった。
だって、まだ自分は何も残せていないのだから。

『そうだね、エリオは正しい』

不意に耳元で囁かれた優しい声音に、エリオの硬直が解ける。
いつの間にか、ルーテシアとガリューの姿が消えていた。
代わりに、エリオが誰よりも尊敬する金髪の女性が、生前の美しい姿のままで傷ついたエリオの体を優しく抱きしめていた。
188名無しさん@ピンキー:2008/08/01(金) 01:07:59 ID:iba0c5Dw
支援
189Das Erbe zur ZukunftF:2008/08/01(金) 01:08:57 ID:P7muqEt9
『エリオは間違ってなんかいない、エリオは生きなきゃいけない』

「かあ・・・・・さ・・・ん・・・・・」

『そうだよ、エリオは生きなきゃ・・・・・・だって・・・・・』

絶望が、姿を露にする。

『私は、エリオのために死んだんだから』

瞬く間に全身の傷が塞がり、それと連動するようにフェイトの姿が見る見る内に老いていく。
カサカサの肌に枯れ木のような腕、不整脈を起こして呼吸は乱れており、眼球は白濁していてほとんど視力を有していない。
唇はチアノーゼを起こして紫色になっていた。

「わあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!」

絶叫を上げ、エリオはフェイトの体を突き飛ばす。見えない壁にぶつかって骨がバラバラになったフェイトは、
まるで操り人形のように手足をぶらぶらと揺らしながら立ち上がり、ゆっくりとこちらに向かってくる。

『どうしたの? ルーテシアと生きていたいんでしょ、私はそのために死んだんだよ』

「く、くるなぁっ・・・・くるなあっ!!!」

『酷いなぁ、折角死んであげたのに』

「ち、ちが・・・・だっ・・・・やぁ・・・・・」

『エリオ、死ぬのって凄く苦しいんだよ。どんなに強い心も凍りついちゃう煉獄の世界。そんなところに堕ちるのは嫌でしょ? 
だったら、抵抗しなくちゃ。そのデバイスで私の心臓を貫かなくちゃ、私がエリオを殺しちゃうよ』

ことりと、生身の左手に固い感触が蘇る。
バルディッシュだ。
フェイトのデバイスであり、彼女ら受け継いだ大切な遺品。それを震える手で握り、生きた死体と化した母へと向ける。
これで彼女の心臓を貫かなければ、自分は助からない。
ここで母を殺さなければ、自分はルーテシアと一緒に生きることができない。

「母さん・・・・・」

『さあ、ひと思いに・・・・・・あなたは生きなきゃいけないの。生きて、守らなきゃいけないものがあるんでしょう? 
ほら、あなたの代わりに私が死んであげるから。私の代わりに、あなたは生き続けるの。私と同じ苦しみを味わうために』

「僕は・・・・・・僕は・・・・・・・」

『早く・・・・・できないの? やらなくちゃ私がエリオを殺すよ。嫌だよね? 死にたくないよね? 
だから生きているんでしょ? 私を殺して、私の命を代わりに使って、そうやってみっともなく生き足掻いているんでしょ? 
どうせいつかは死ぬのに、くだらない絆に縋って、安っぽい正義感のために生きているんでしょ?』

「僕は・・・・・・・」

左腕が淀みなく動く。
エリオ自身の思いを裏切り、生き残るために母と慕う女性に向かって刃を振るう。
まるで仕組まれた機械仕掛けのように、フェイトの胸へとバルディッシュを突き立てる。
190名無しさん@ピンキー:2008/08/01(金) 01:11:17 ID:wEZFc9OC
なんという地獄、支援
191Das Erbe zur ZukunftG:2008/08/01(金) 01:13:46 ID:P7muqEt9
「違う!」

突き立てた刃を押し込もうとした瞬間、我に返ったエリオは大きく跳躍してフェイトの姿をした何かから距離を取った。
そして、乱れる呼吸を必死に整えながら、驚愕の表情を浮かべている何かを睨みつける。

「バルディッシュ、サードフォーム!」

《Zamber form》

巨大な剣へと変化したバルディッシュを一閃し、片手だけで正眼に構える。
偽りの虚無の中にあっても、このデバイスは主の願いに応えてくれる。
そう、ここは幻影だ。
どこまでも広がる闇も、目の前で呆然と佇むフェイトの姿をした何かも、全てが幻。
自分の記憶を基にして造り出された、出来の悪い寸劇だ。
それを自覚した瞬間、エリオの体は漆黒のバリアジャケットに包まれ、失った右腕の代わりに取り付けた義手が鋼の相棒であるストラーダを握り締める。

『エリオ・・・・・どうして・・・・・・』

「母さんは、間違っても家族の絆をくだらないなんて言わない」

全てに見放され、絶望の淵に堕とされたエリオがギリギリの窮地から脱することができたのは、フェイトの姿をした何かが口にした言葉だった。
彼女は自分達家族の絆が安っぽくてくだらないものだと口にした。だが、記憶に焼き付いているあの金髪の女性は絶対にそんな言葉を口にしない。
最愛の家族に酷い虐待を受けて育ったからこそ、誰よりも家族の絆、愛情を大切にする人だった。

「確かに、僕と母さんがしていたのは家族ごっこだったかもしれない。肉親の愛情に飢えていた人間が、都合の良い相手を見つけて
傷を舐め合っていただけなのかもしれない。だけど、例え家族ごっこでも、僕達は真剣だった。本当の親子じゃなかったけど、
本物以上に確かな繋がりを持っていた! その絆は、誰にも否定させたりはしない!」

バルディッシュを下段に構えると同時に、金色の魔法陣が広がる。

『エリオ・・・・・・私を殺すの? 何のために? そんな偽物の命に何の意味があるの? 
ルーテシアを・・・・・みんなの未来を守ることに何の意味があるの!?』

「黙れ、偽物だって生きているんだ。その命を侮辱する権利は、どこの誰にもありはしない。そして・・・・・・・・」

振り上げた剣の軌跡が光の粒子を残し、少し遅れて雷光が続く。雷はそのまま周囲の空間を侵食していき、
舞い上がった風がエリオの赤髪を逆立てる。

「僕は、守りたいから戦っているんだ!」

シリンダーが回転し、炸裂した魔力がバルディッシュの魔力回路を満たしていく。
胸を満たすのは激しい怒りと、僅かばかりの後悔。
例え幻影とはいえ、母親の姿をしたものを斬るのは心苦しかった。
だが、それでも彼は歩みを止めない。
この身に刻んだ思いを果たすために。
何よりも、閃光のように駆け抜けた母の人生を無為にさせないために。
こんなところで立ち止まっているわけにはいかなかった。
192Das Erbe zur ZukunftH:2008/08/01(金) 01:16:54 ID:P7muqEt9
「疾風迅雷! スプライトザンバァァァァッ!!!」

刀身に込めた魔力を爆発させ、帯電している空間ごとフェイトの幻影を切り捨てる。
狂乱するフェイトの幻影は、言葉にならない呪詛を吐き出しながら霧散していった。
同時に、硝子が砕け散るように全天を覆い尽くす闇が砕け散り、世界が変転した。





気がつけば、エリオはどこかの高層ビルの屋上に立っていた。
どっと押し寄せる疲労感に膝を着きそうになるのを堪え、周囲を見渡す。
傷つき倒れている武装局員、粉々に打ち砕かれた壁、抉られた地面、壊された給水塔。
いったいどれ程熾烈な戦いが繰り広げられたのか、そこかしこに破壊の跡が見て取れる。
そして、その中心にその男は、一人静かに佇んでいた。
そう、ケーニッヒからの情報を頼りに辿り着いたこの場所で、自分は彼と対峙した。
そして、呆気なく幻術にかけられたのだ。

「目覚めたか・・・・・我が術中より自力で抜け出せたのは、君が初めてだ」

低く、岩のような硬さを連想させる声音。口調そのものは穏やかだが、その声からは微塵も温かみが感じ取れない。
まるで氷のように冷徹で、話に聞いていた温厚なイメージとは余りにかけ離れている。その目は濁った灰色をしており、
佇まいはどこまでも隙がない。無防備にその身を晒し、口には笑みすら浮かべているというのに、彼は全く油断をしていないのだ。
肌がピリピリと疼いている。
この男は強い。
年齢による衰えとは無縁の存在だ。
研ぎ澄まされた殺気はシグナムやザフィーラのものと似ており、戦えば間違いなくこちらが死ぬという実感が沸く。
何より、彼はケーニッヒと同じ危うい雰囲気を纏っていた。放っておけば自らの信念によって傷つき、自滅していく哀れな道化。
そんな危険な空気を全身から醸し出している。

「あなたが、シエン・ボルギーニ?」

「左様・・・・・・君は?」

「エリオ・M・ハラオウン」

「ハラオウン・・・・・英雄ハラオウンの末子か。なるほど、我が幻術を打ち破ったのにも納得がいく」

豪快と呼ぶには些か小さく、上品と呼ぶには少々下卑た笑い声をシエンは上げる。

「僕に・・・・母親の幻は通用しない」

「ほう、お前には母が・・・・・フェイト・T・ハラオウンが見えたか。死してなお息子の心の中で生き続けているとは、何とも健気な話だ」

その言葉に、エリオは違和感を覚えた。
この男は、さっきまでの出来事がまるで自分の預かり知らぬところで起きた出来事のように語っている。
まさか、本人は自分でかけたと言っているが、本当はどこかに仲間が隠れていて、その人物が幻術をかけたのだろうか?
193名無しさん@ピンキー:2008/08/01(金) 01:19:01 ID:wEZFc9OC
漢エリオに支援!
194Das Erbe zur ZukunftI:2008/08/01(金) 01:20:51 ID:P7muqEt9
「あの幻影は、あなたが見せたのではないのですか?」

「少し違うな。確かに幻を見せたのは私だが、幻を形作っているのは君達の深層意識だ」

「深層意識?」

「人間は誰もが心に闇を抱えている。私の幻術はそれを増幅し、その人物が最も恐れているものを具現化させる。
人間の脳を直接揺さぶる幻影だ、誰もそれが幻だとは疑わず、君以外に打ち破れた者は誰一人としていなかった。
最も、それ故に私自身でも精密なコントロールはできないのだがね」

それはつまり、人間が抱く恐怖そのものを実体化させていると言っても良い。虚像を作り出しているのは本人の脳であるため、
それは実感の伴う幻影として表われ、偽物だと看破するのは容易ではない。そして、迫りくる恐怖を振り払おうと抗った結果、
誤って自分や仲間を傷つけてしまう。ここに倒れている人達は、みんな幻影を見破れずに自滅してしまったのだ。
だが、逆にそれは人間の思い込みによって生み出される幻影が左右されてしまうため、エリオが体験したように綻びが生まれてしまうこともあるのだ。
それを見抜くことができたため、エリオはこうして悪夢から脱することができたのである。

「応用すれば人の精神を破壊して操ることもできる。信心深い者に幻術をかければ、信ずる神に見放されて呆気なく自我を手放したよ」

「・・・・・・?」

「おや、平和式典で起きたテロのことを聞いていないのかね? あれは私が過激派のリーダーを操って起こさせたものだ。聖王の記憶を手に入れるためにね」

それを聞いて、エリオの背筋に寒気が走る。
確かに、あんな恐怖を垣間見れば心が砕け散ったとしてもおかしくはない。
もしもあれが幻術だと見抜けなければ、自分もその人物のように精神崩壊を起こしていたかもしれない。

「それを手に入れるために、あなたは一人の人生を破滅させたんですか? たったそれだけのために!?」

「では聞くが、君は聖王と戦って勝利できるかね?」

「それは・・・・・・・」

返答に詰まり、エリオは目を逸らす。
可能性がないことはない。小技で魔力を削り合う持久戦に縺れ込むか、短期決戦狙いでPZBかジェットザンバーを当てることができれば何とかなるだろう。
だが、それで確実に勝利できるかと聞かれれば、イエスと答えることはできない。精密な誘導操作弾にこちらのバリアの上から叩き落としてくる砲撃。
そして、あらゆる攻撃を無効化する聖王の鎧。それらを打ち破るのは容易ではない。。しかもヴィヴィオは騎士だ。こちらの専売特許である接近戦にもある程度順応してくるだろう。
詰まる所、単騎でヴィヴィオに勝てる者はこの世界にほとんどいないということだ。かと言って、物量で攻めるにはロート・シルトは人手不足であり、
百や二百の傀儡兵では相手にもならないだろう。だから、彼らは聖王の記憶を欲したのだ。
聖王という管理局の最終兵器に対抗するために、偽りの聖王を作りだしたのだ。
195Das Erbe zur ZukunftJ:2008/08/01(金) 01:24:07 ID:P7muqEt9
「さて・・・・・・幻術が破られた以上、後はこちらで応じるしかないな」

先程までの笑顔が消え、シエンはゆっくりと鞘からグレートソードを引き抜いた。
瞬間、凄まじい殺気が彼の全身から迸った。
さっきまで纏っていた気配を剃刀の刃に例えるなら、今度はそびえ立つ巨大な山だ。
それもただの山ではない。そこに群生している植物は須く鋭利な刃物で形作られていて、登頂する者の体を容赦なく傷つける針の山。
固く、強く、大きく、そして不動。ただでさえ大きな体が更に膨れ上がったかのような錯覚すら覚える。
そんな気が狂いそうな程の殺気にあてられ、委縮しそうになる心を必死で奮い立たせながら、エリオは両手のデバイスを構える。

「投降する気は・・・・・ないんですね」

「無論だ。ここで私が挫ければ、敵味方問わず今日まで散っていった者達の思いを踏み躙ることになる。
我が諦めるとすれば、それは己の敗北を悟った時だけだ」

「・・・・・・・・」

威圧する視線を無言で堪え、エリオは視線を巡らせる。
ケーニッヒはここが結界の起点だと言っていた。ならば、どこかにバビロンの鍵が隠されているはずだ。
自分の役目はあくまで管理局局員としての職務を遂行すること、ここでシエン・ボルギーニを倒したところで、世界が閉ざされてしまっては意味がないのだ。

「ふっ、目が泳いでいるぞ。差し詰め、バビロンの鍵の在り処を探しているのだろう? ならば無駄だ。それは目につくところには置いておらぬ」

(見透かされた・・・・・)

「君はどうやら抜け目のない男のようだ。もしもバビロンの鍵を見つければ、私との果たし合いを保留にしてでもそれを破壊しにいく、違うかい?」

「・・・・・・ええ、僕はこの世界を閉ざしたくはありませんから」

「そうか。だが、残念なことに君ではあれを見つけることはできんよ。そもそも、君はあれが何のために造られたのか知っているかい?」

「それは・・・・・・」

そういえば、考えたこともなかった。
あらゆる移動・転送魔法を遮断する結界を作り出すロストロギア。一度展開すれば、破壊するまで停止せず、内部に入れば脱出は不可能。
そんなロストロギアにどのような用途があったのだろうか?
しばし逡巡し、エリオはある恐ろしい答えに辿り着いた。
余りの恐怖に言葉を失い、背筋に冷たい汗が伝う。

「ま・・・さか・・・・・」

「そうだ。あれは囚人を捕らえておくためのロストロギアだ。無人世界に閉じ込め、孤独の中で死なせるためのな。
だから入ることはできても出ることはできぬ。そして、破壊することも・・・・・・・・」

「それじゃ、バビロンの鍵は・・・・・・・」

「ここにある」

スッと、シエンは己の胸、心臓を指差した。

「あれの起動方法は、生き物の心臓と融合させることだ。つまり、融合した者が死ぬまで結界は解除されない」

脱出不可能な結界に閉じ込められ、無人の世界で孤独な生活を強いられる囚人。結界を解くには己の心臓を貫かねばならず、
そんなことをすれば逃げ出す前に死んでしまう。正に完全無欠の拷問道具。これ程までに恐ろしい刑罰は存在しない。
しかし、何よりも恐ろしいのは、そんなロストロギアを躊躇なく自分の体に埋め込んだシエン・ボルギーニの方だった。
196名無しさん@ピンキー:2008/08/01(金) 01:27:47 ID:wEZFc9OC
シエン・ボルギーニ、かっこ良過ぎる支援
197Das Erbe zur ZukunftK:2008/08/01(金) 01:28:08 ID:P7muqEt9
「どうして・・・・・・なんでそこまでして世界を閉ざすんだ! そんなにも娘を死なせた次元世界が憎いのか!?」

「憎い? 違うな・・・・・これは私のエゴだ」

隙のない構えのまま、シエンは静かに語る。その目は、エリオを捉えずに忘却の彼方に押しやった別の者を見つめていた。

「私は娘を守ってやることができなかった。私のことをヒーローのように慕い、憧れ、同じようにミッドチルダを守りたいと願った娘を死なせてしまった」

「それは、あなたのせいでは・・・・・・」

「そうだ、私のせいではない。どこにも落ち度はなかった。どれだけ客観的に見ても、私への責は見当たらなかった。
ならば、どうやって償えば良い? 在りもしない罪を、私はどう償えば良いのだ?」

虚ろな瞳に初めて光が宿る。
恐らく、娘を失ってからずっと、彼は自分を責め続けることで自我を保ってきたのだろう。
胸の内に沸く許しを請う感情を悉く切り捨て、断罪し、排斥し、ただただ罰を課し続けてきたのだ。
そうして、いつしか贖罪そのものが生きる糧となってしまった。贖罪のために生きるのではなく、生きるために贖罪する。
生きることが贖罪となる。公的に存在しない罪を求め、手段と目的が入れ替わり、いつしか心が摩耗し果て、ただの現象に成り下がった。
体よりも先に心が死んだ残骸。
全てを失い、生きる意味も失い、それでも生かされ続けている哀れな自動人形。それが、シエン・ボルギーニだ。

「気の遠くなるような倦怠の日々の中で、私は何度も懺悔した。こんなはずではなかったと。私は彼女を死なせるために、管理局の局員になったのではないと。
だから、我は決意した。娘を守れなかったのなら、せめてその思いだけは守ろうと。志半ばで散った娘の意思を引き継ぎ、このミッドに永遠の平穏を敷こうと」

「その思いを否定はしない。あなたの生き方にも共感する。けれど、それで多くの人を巻き込む道理にはならない。
世界はいつだって、こんなはずじゃないことばかりだ。ずっと昔から、いつだって、誰だってそうなんだ!」

震えが消えた。
恐怖がなくなったわけではない。死のイメージは未だ自分を捉えて放さず、執拗に纏わりついてくる。
だが、胸の内から湧き上がる熱い思いがそれに勝っていた。

「こんなはずじゃない現実から逃げるか、それとも立ち向かうかは個人の自由だ。だけど、そのために無関係の人間の未来を犠牲にして良い理由にはならない。
いつだって、どんな時だって、誰にだって!」

「知ったような口を聞くな、二十歳そこそこの餓鬼がぁっ!!!」

シエンの咆哮が大気を震わせ、皮膚が焼けつくような錯覚を覚える。
山が燃えている。
不動の山、そびえ立つ剣山は今や、紅蓮の業火に包まれた灼熱地獄と化している。
シエンの体内で凄まじい魔力が渦巻いていることが、肉眼でもはっきりと見て取れた。

「貴様の理想に付き合う気など甚だない。我がやらねば娘の無念、いったい誰が晴らす? 誰かがやらねば世界は変わらぬ! 
貴様の理想が全てやってくれるのか? ご大層なお題目を掲げて、自分はただ前線で戦うだけの兵隊風情が、悟ったような言葉を口にするな、若造!」

「っ・・・・・」

「犠牲も承知、咎を負うことも覚悟している。例え多くの人々に処断されようと、我は己の我を貫く。
娘の愛したこのミッドチルダを鳥籠の中へと封じ込める!」

ぶつけられる殺気は、既に物理的な力すら持っていた。並の人間ならば、相対しただけで心が死んでいただろう。
数多くの修羅場を潜り抜けてきたエリオにしても、両の手に握った鋼の相棒の感触がなければ臆していたかもしれない。
198Das Erbe zur ZukunftL:2008/08/01(金) 01:31:18 ID:P7muqEt9
「ダメです・・・・・・・・」

「なに?」

「そんなことはさせない。僕達は・・・・・僕達は父親なんです」

静かに、だがはっきりとエリオは告げる。
時空管理局の局員としてではなく、ベルカの騎士としてではなく、一人の父親として、シエン・ボルギーニと対峙する。

「あなたがやろうとしていることも、決して間違いじゃない。それも一つの選択肢、それを必要とするのなら、僕は反対しない。
けれど、未来を作るのは僕達大人じゃない。ヴィヴィオやアリシア・・・・・そしてセリカ・クロスロードのような、後に続く者達だ! 
彼女達が自分の意思で考え、選択したのなら、僕はそれを受け入れる。けれど、身勝手な大人のエゴで、子ども達の可能性を潰させはしない! 
僕達は父親だ。だったら、この世界は子ども達により多くの可能性を残してあげられる世界にしなくちゃいけないんだ!」

「ふっ・・・・・・止まれんよ。私はもう年だ、いつ死んでもおかしくはない。それに、ずっと今日という日が来るのを待っていたのだ。
この世界がJS事件から立ち直り、自立できるだけの力を手にする日がくることを。その間に多くの者を犠牲にしてきた。
セリカがあのような苦しみを味わうことになったのも、全ては私のエゴによるものだ。彼女だけではない、ケーニッヒも、ロート・シルトの同志達も、
我がおらねばその人生は歪まなかっただろう。あ奴らのためにも、私は止まれぬ」

「止めます、何が何でも」

「ならば来い、貴様の信念がどの程度のものか、我が剣で以て推し量ろう。
我が意地、我が誇り、その身にしかと刻みつけてやろう!」

疾風がビルの谷間を駆け上り、二人の髪を激しく揺らす。
未来への希望を抱く騎士と、過去の残照に囚われた騎士。
重厚な槍と斧が錆びた世界に光を反射し、輝きを失ったグレートソードが静かに流れる風を引き裂く。
二人の視線がまっすぐに向き合い、交差した。

「ロート・シルトが首領。“エスパーダ”シエン・ボルギーニ・・・・推して参る」

「時空管理局機動六課陸曹長。“金の閃光”エリオ・M・ハラオウン・・・・受けて立ちます」

交差した視線が火花を散らし、大気が唸りを上げる。
次の瞬間、二人は全く同時に駆けだした。

                                                       to be continued
199名無しさん@ピンキー:2008/08/01(金) 01:31:24 ID:AdzYH6eB
なんかズレてんな支援
200名無しさん@ピンキー:2008/08/01(金) 01:32:15 ID:wEZFc9OC
止まらぬ支援
201B・A:2008/08/01(金) 01:34:09 ID:P7muqEt9
以上です。
ようやく御大の登場です。
ヴィヴィオVSセリカはラストまでお預けになるので、まずはこちらからとなります。
ここまで散々剣士であることをアピールしておいて、シエン爺さん実は幻術使いです。というかこの人、まだデバイスも披露していないんだよなぁ。
支援ありがとうございました。以下の補足説明はネタばれですので保管しないでください。



バビロンの鍵
生き物の心臓と融合させることで効果を発動するロストロギア。あらゆる移動・転送魔法を遮断する脱出不可能な結界を展開する。
その性質上、発動する前でも転送魔法を受け付けないという特性を持ち、持ち運ぶためには次元航行艦に積む必要がある。
結界は物理的な手段で中に入ることはできるが、出ることは不可能。しかも、融合者が生きている限り際限なく広がっていくので、
宇宙全体を覆うまでに拡大すれば実質その世界に侵入することは不可能になる。元々は囚人を無人世界に閉じ込めるために使用されていた。


ネタを挟む余地がなかったorz
202名無しさん@ピンキー:2008/08/01(金) 01:37:26 ID:wEZFc9OC
投下乙!
互いに譲れぬから戦う、賭けるのは命と未来!
両者を応援したい
203名無しさん@ピンキー:2008/08/01(金) 05:08:31 ID:nSkAQYnu
>>201
キャロの悲痛な訴えを読んだ瞬間、
修羅場ktkrと思ってしまったorz

ごめんフリードの火炎で焼かれてくる
それとGJ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
204名無しさん@ピンキー:2008/08/01(金) 06:50:23 ID:mABOrcEp
欝GJ!!!!!
欝展開に飢えている自分にはご馳走過ぎる。
205名無しさん@ピンキー:2008/08/01(金) 08:36:03 ID:3HEP8SxE
>>131の言ってたのって何処なんだろ?
ここの職人のなら読んでみたいんだが
206名無しさん@ピンキー:2008/08/01(金) 09:37:01 ID:kWhwLTEs
ID:F5AL4j89の言ってるのと同じかは分からないけど某大手投稿サイトのとらハの掲示板にあるよ
前書きも含めて現在4話だったと思うが
207名無しさん@ピンキー:2008/08/01(金) 10:07:14 ID:3HEP8SxE
ありがとう
……しかし、あそこだったか
管理局アンチでオリキャラマンセーの作品が人気っぽくて嫌なんだよな
208名無しさん@ピンキー:2008/08/01(金) 10:20:07 ID:SOptpN+D
>>207
言いたい事はわかるな?
209名無しさん@ピンキー:2008/08/01(金) 10:31:04 ID:kWhwLTEs
仕方ない
馬鹿で無能な悪の管理局を公明正大な正義のオリキャラが論破したりするのが需要あるみたいだから
210名無しさん@ピンキー:2008/08/01(金) 10:39:13 ID:KZ3VKCtZ
>>209
外部の話題はほどほどに

    には来て欲しくないぞ
211名無しさん@ピンキー:2008/08/01(金) 10:46:26 ID:4+R55DFm
この話題最近多いね。天麩羅にリリろだだけじゃなく    や         も載せるか?
しかし陰口っぽくてやだな。トラブルの元になるかもしれんし、思っててもここで話すことじゃないだろう。

>>201
GJ!
212名無しさん@ピンキー:2008/08/01(金) 11:24:04 ID:SOptpN+D
陰口ぽいんじゃなく陰口だろう、明らかに
213名無しさん@ピンキー:2008/08/01(金) 12:07:12 ID:csho71qS
リリカル☆ふぇいと待ち
214名無しさん@ピンキー:2008/08/01(金) 12:55:03 ID:Hcof0Llr
だって夏ですから
215名無しさん@ピンキー:2008/08/01(金) 14:25:08 ID:QCI97lQH
つまりなのはさんがぶちきれて太陽に全力全開叩き込むまでガマンしろってことか。
216名無しさん@ピンキー:2008/08/01(金) 14:36:24 ID:2RXIqjDR
無駄だろう。奴らはいつでも湧いて出る。夏だから頻度が上がるが、数そのものが減るわけではないからな。
217名無しさん@ピンキー:2008/08/01(金) 14:41:32 ID:EcVvXSQ4
>>154
サイヒ氏GJ!
キシャーが可哀相だw

>>180
最高峰って伊佐美じゃないの?
218名無しさん@ピンキー:2008/08/01(金) 15:27:29 ID:9nT2TaU5
こう言っちゃ悪いが、氏はちょっと迂闊だったな
まあ、荒らしに粘着されたりしてたから他で書きたい気持ちは分からなくもないが
219名無しさん@ピンキー:2008/08/01(金) 15:38:38 ID:P7muqEt9
劇場版は一期のリメイク。
CDドラマはstsのメンバーのみ出演。
      ・
      ・
      ・
      ・
      ・
はやて「え、私らは?」
ディレクター「大丈夫、ちゃんと出番はあるから」
はやて「って、エキストラかい!」


不意にこんな電波が来たぞ。
220名無しさん@ピンキー:2008/08/01(金) 16:08:53 ID:9nT2TaU5
実際にありえそうだなw
劇場版の日常シーンで画面の隅にちょこちょこと見知った顔が……
221名無しさん@ピンキー:2008/08/01(金) 16:11:32 ID:a7JS2VNp
サウンドステージ聞いてると10年前にあったPT事件を映画にするよ! って話に聞こえる
アレクサンダー大王の話を映画にしたりジャンヌダルクの話を映画にするみたく
222名無しさん@ピンキー:2008/08/01(金) 16:13:48 ID:QCI97lQH
撮影が終わった瞬間に、元から演技ヘタなのと、
初期の「きれいななのはさん」として猫かぶってるストレスから、
「ちょっと頭冷やそうか」な死んだ目になるなのは大魔王さん。
223名無しさん@ピンキー:2008/08/01(金) 16:22:42 ID:9nT2TaU5
マクロスみたいな劇中劇か

>>222
さすがに19歳で9歳の演技は……うわ、何をするやめry
224名無しさん@ピンキー:2008/08/01(金) 18:10:17 ID:vXNi52+D
期待はしてないけど
225名無しさん@ピンキー:2008/08/01(金) 18:32:16 ID:lWJFLATj
>>221
もしそうならフェイト役の小役はヴィヴィオが似合ってるなぁ
声的にはユーノでもいいけど
226サイヒ:2008/08/01(金) 20:45:13 ID:7W7hsirY
>>156
いえ、全部同じクロフェ時空の話です。
>>148で言ってるクロノの結婚相手はフェイトのこと。
カリムがクロノに片思いだけど、クロノもカリムの周囲も全く気づいてないという設定。
ちょい分かりにくかったですね。

>>159
カリムさんの出番たぶん二レス分ぐらいしかないw
ヒロインはスクライア家の二番目のお嬢ちゃん。
……考えてみたら、もう一つ次の世代では鬼畜ロノ・金色夜叉・淫獣・魔王様の血がブレンドされるわけだ。
227名無しさん@ピンキー:2008/08/01(金) 21:19:50 ID:oDDJ0mwh
>>201
ちくしょう!ここまでエリオに惚れてしまうとは!
エリオが幻覚を打ち破る姿とかかっこよすぎる。
そして最終決戦その2!!!
テンション上がりまくりです!是非ともなるべく早めに続きをお願いします
228名無しさん@ピンキー:2008/08/01(金) 21:22:14 ID:mABOrcEp
何故かしらねど、最近キャロが可愛く思えてきた。
229名無しさん@ピンキー:2008/08/01(金) 21:43:22 ID:y5u62feJ
>>228
何故も何も、元から可愛いジャマイカ

ペドじゃない、ペドじゃないんだッ!
230名無しさん@ピンキー:2008/08/01(金) 21:44:17 ID:53V0CbS5
>>226
史上最強の遺伝子じゃないか。
231名無しさん@ピンキー:2008/08/01(金) 21:54:45 ID:iba0c5Dw
>>226
まさにリーサルウェポンだな!!
232名無しさん@ピンキー:2008/08/01(金) 21:58:31 ID:wEZFc9OC
>>226
どんな子供が生まれることやら((((;゚Д゚))))ガクガクブルブル
>>カリムさんの出番たぶん二レス分ぐらいしかないw
ヒロインの座を娘に奪われるカリムさん(´・ω・)カワイソス
いつの日か、彼女に黒髪の伴侶が現れますように。
まあ、カリムさんが策士になって奪い取るのでもいいんですが(*´∀`)
233名無しさん@ピンキー:2008/08/01(金) 22:02:41 ID:mABOrcEp
……クロノのクローンを作るカリム………などという欝展開デンパを俺の脳に送ったのは誰だ。
234名無しさん@ピンキー:2008/08/01(金) 22:10:55 ID:wEZFc9OC
>>233
冒頭に深夜クロノの墓を一人で掘るシーンがあるのなら多分私です。
その後スカに協力を要請、それを止めようとするはやて達との戦い・・・orz
235名無しさん@ピンキー:2008/08/01(金) 22:29:43 ID:cJnsa1pi
>>233
ちょっと違うな。
俺の脳内カリム女史は6課で集まってパーティー開いてるときにアルコールを全然摂らなかったりこれ見よがしにレモンティーをがぶ飲みしたりするだけだ。

その後1年近い長期任務から帰還してきたクラウディアへ黒髪黒瞳の娘を抱えて行ったりするのが

おやこんな時間に誰か来たようだ。それに部屋の四隅からなにやら犬が唸るような声が聞こえて
ティ、ティンダロスの猟犬!?
236名無しさん@ピンキー:2008/08/01(金) 22:36:48 ID:QoYSKFZ1
初期のなのはさんと言うと
不屈のなんとかはこの胸に、リリカルマジカルって唱えてたのも復活すんのかな
237名無しさん@ピンキー:2008/08/01(金) 22:40:15 ID:Q0wkbNPJ
>>236
リリカル本気狩る(マジカル)
ジュエルシードシリアル\粉砕!玉砕!大喝采!

そんな電波が届きますた
238名無しさん@ピンキー:2008/08/01(金) 22:42:30 ID:gE3Kecgz
……ageてるのはいつもの奴かと思いきや、夏だし単純に知らない人も混じってそうだな
書き込むときはメ欄に「sage」いれてなー
239名無しさん@ピンキー:2008/08/01(金) 22:49:15 ID:oyIl+l4/
>>226
大鎌を構えたちょっと露出過多な金髪の美少女が―
数十発の誘導弾で敵を撃ちのめし―
バインドでがんじがらめにしたうえで凍れる棺に閉じ込め―
更に全力全開の砲撃魔法で塵も残さず消し去る訳ですね。
解ります。










あれ?何か忘れているような…
240名無しさん@ピンキー:2008/08/01(金) 23:03:31 ID:QoYSKFZ1
>>237
おおーそうだ!シリアルナンバーとかあったわ、忘れてたマジで
破壊したら中から新装備が出てくるとか映画、そんな筋肉マン希望w
241名無しさん@ピンキー:2008/08/01(金) 23:04:49 ID:y5u62feJ
さて、メガミのSSによってザフィギンフラグが立ったわけですが
242名無しさん@ピンキー:2008/08/01(金) 23:05:46 ID:ORm9aedT
アルフさんにまさかのライバル出現か?
243名無しさん@ピンキー:2008/08/01(金) 23:17:12 ID:QoYSKFZ1
ライバルも何も茶のみ友達じゃないのかあの二匹は…
244名無しさん@ピンキー:2008/08/01(金) 23:19:29 ID:b4VeyXg8
チラっと視線が合っただけ=フラグとなる場所ですぜ?ココは
245名無しさん@ピンキー:2008/08/01(金) 23:19:55 ID:jzNiDBwg
>>222
なのは「ケッ…どうせ汚れちまいましたよ、アタシは…」
フェイト「なの…は…?」
なのは「ァン?」
フェイト「な、なんでもない!なんでもないよ!」

こうですね、分かります
246名無しさん@ピンキー:2008/08/01(金) 23:26:32 ID:mABOrcEp
年齢だけで考えたら、
なのは役にエリオ。(飛べないけど、そこは周りからの補助と撮影技術で)
フェイト役にキャロ。

エリオ「スカートはくんですか!?」
シグ「当然だ!! さ、早くはけ! 高町は、下着が見えることなど気にしてなかったぞ! 見せてもいいぐらいのつもりで動け!」
キャロ(ソニックフォームに)「こ、こんな恥ずかしい格好出来ません!」
フェ「えっと…」
キャロ「恥ずかしいですよ、こんなの!」
フェ「それ、私が着てたんだよ…(泣)」
247名無しさん@ピンキー:2008/08/01(金) 23:33:48 ID:lWJFLATj
>>241
むしろカルタス哀れすぎる
248名無しさん@ピンキー:2008/08/01(金) 23:43:51 ID:a7JS2VNp
シグナムのおっぱいにしてもなのはやヴィータのスカートにしてもシグナムの脇にしてもフェイトのスパッツフォームにしてもシグナムの太ももにしてもシグナムのポニーテールにしてもシグナムの太ももにしても本当けしからんですなぁ
249名無しさん@ピンキー:2008/08/01(金) 23:55:40 ID:9nT2TaU5
>>247
このスレだけの設定だけどな
250名無しさん@ピンキー:2008/08/02(土) 00:05:00 ID:STi+L0eC
>>246
寧ろこっちかもしれない。

エリオ「キャロ、誰から電話?」
キャロ「本局の広報部の人から。宣伝用のアニメ映画を作るから、声優をやって欲しいって」
エリオ「凄いじゃないか!? 役柄はなに?」
キャロ「クロノ提督」


ギンガ「ラッド、最近ベルカ語の練習しているんですって?」
カルタス「ああ、広報映画のオーディション、何が何でも受かりたいからね。
     最終選考はランディさんとの一騎打ちだ、何故だかしらないけれど、彼には負けたくない」


はやて「あれ、ザフィーラはどないしたん?」
シグナム「映画の収録に行っています。何でも、なのはの父親役だとか」
はやて「ええなぁ、私も声優やりたかったわ」
251名無しさん@ピンキー:2008/08/02(土) 01:10:43 ID:7517OITX
B・A氏
GJ!!
なんという燃える展開なんだ…
父親として最後の戦いに望むエリオがガチすぎる。
オラ激しくwktkしてきたぞ!!
252名無しさん@ピンキー:2008/08/02(土) 01:51:14 ID:AIJbyJpU
ギンガのドリルって取り除かれましたっけ?
253名無しさん@ピンキー:2008/08/02(土) 01:57:53 ID:XRQAgRd1
今夜は無しか
254名無しさん@ピンキー:2008/08/02(土) 02:11:05 ID:STi+L0eC
>>252
Wikiじゃ特に明言されてなかった。
職人の裁量次第かも。レリック共々取り除かれたか、機能だけ封印しているか、丸々残しているか。
255名無しさん@ピンキー:2008/08/02(土) 02:13:13 ID:AIJbyJpU
>>254
ならチン○として使わせてもらいますね
有難う御座いました
256名無しさん@ピンキー:2008/08/02(土) 02:16:42 ID:9t3cMuEX
>>252
サウンドステージ04でマリーが、ギンガの腕は元に戻したと言っていたから、ドリルは無くなったと思います。
257名無しさん@ピンキー:2008/08/02(土) 02:22:04 ID:AIJbyJpU
>>256
orz
テキトウニデッチアゲヨウトオモイマス
258名無しさん@ピンキー:2008/08/02(土) 03:45:41 ID:STi+L0eC
>>256
そうだったのか。
サウンドステージ持ってないからなぁorz
259名無しさん@ピンキー:2008/08/02(土) 05:34:12 ID:rU8xPJ46
元に戻す前にそこそこ日数があったと思えばいいんじゃね
260名無しさん@ピンキー:2008/08/02(土) 05:46:00 ID:2Cf5Exbs
>>236
いい年してその呪文唱えてるSSうわなにをする(ry
261名無しさん@ピンキー:2008/08/02(土) 05:55:17 ID:PZrHWJLl
wikiでウーノが結構でてるのないかね
262名無しさん@ピンキー:2008/08/02(土) 07:02:32 ID:Vz9jMba1
>>261
ウーノはチンクの次くらいにナンバーズでは結構出てくると思うが?

ところでサウンドステージM3ってさ、どういう由来?StsのMって今回ので3作品目?
263名無しさん@ピンキー:2008/08/02(土) 07:59:40 ID:oVZFvzfp
2番目なのに出番が少ないドゥーエは?
264名無しさん@ピンキー:2008/08/02(土) 08:06:27 ID:LP09Gwrk
>>262
MはメガミマガジンのM
1つ目はA’sの時
265名無しさん@ピンキー:2008/08/02(土) 08:09:56 ID:Vz9jMba1
>>264
ありがと
Mはわかってたが3はA’s含めて3作品って意味か……だったら去年にでたStsのSSMに2って付けとけよなぁ
266名無しさん@ピンキー:2008/08/02(土) 08:23:21 ID:PJcHDir/
>>265
ついてたはずだが?
267名無しさん@ピンキー:2008/08/02(土) 10:10:15 ID:EAQOHLbz
ウーノ   51年春稼働(24歳) 
ドゥーエ  52年春稼働(23歳)
トーレ   55年夏稼働(20歳) 
クアットロ 61年秋稼働(14歳)
チンク   60年冬稼働(15歳) 
セイン   61年春?稼働(16?歳)
セッテ   75年夏稼働(0歳)
オットー  75年夏稼働(0歳) 
ノーヴェ  69年夏稼働(6歳) 
ディエチ  51(61?)年春稼働(15,6歳?)
ウェンディ 51(71?)年春稼働(5,6歳?) 
ディード  75年夏稼働(0歳)

ナンバーズの稼働時と本編での年齢らしいが、何で今頃になって……
268名無しさん@ピンキー:2008/08/02(土) 10:29:19 ID:45nlBk55
>>267
犯罪者カードが着弾したから。
それとセインとディエチの稼働開始はそれより2〜5年くらい後だと思う。
269名無しさん@ピンキー:2008/08/02(土) 10:43:38 ID:BwnM95Qx
>>236

風は空に
星は天に
輝く光はこの腕に
不屈の心はこの胸に

ですな
270名無しさん@ピンキー:2008/08/02(土) 10:51:59 ID:j37GtZ1q
>>267
年齢ってのは稼働してからどれだけ経つのかってこと?
セイン、ディエチ、ウェンディの年齢、おかしくない?
271名無しさん@ピンキー:2008/08/02(土) 10:53:13 ID:ft16M9bU
>>267
( ゚д゚)
作中で新暦74年頃に稼動していたのはチンクまでで他は調整中って描写した俺涙目w
272名無しさん@ピンキー:2008/08/02(土) 12:08:24 ID:STi+L0eC
>>271
長いシリーズならよくあることっス。
こっちだって、ディードの教会入りのせいで自作の設定とズレが・・・・・。
273名無しさん@ピンキー:2008/08/02(土) 12:21:36 ID:oXZkPcol
>>267
“その後”シリーズ書いてた職人涙目 orz

だが逆に考えるんだ!


 ク ア ッ ト ロ 14 歳 と !


……発展途上国の紛争地帯で
虐殺に加担した少年兵を巡る軍事法廷の話思い出して滅茶苦茶凹んできた(´・ω・`)ショボーン
274名無しさん@ピンキー:2008/08/02(土) 12:49:53 ID:5ouxf/of
しかし稼動年月=年齢として考えると、フェイトも5歳減らさないといけなくなるな
275名無しさん@ピンキー:2008/08/02(土) 13:53:24 ID:96RROEHP
少し見ない間にWIKIに新着情報が大量に更新されてる!
ルーテシアはSランクとな!?
276名無しさん@ピンキー:2008/08/02(土) 16:04:31 ID:jmCAEBN+
>>275
そうらしいですわよ奥様
277名無しさん@ピンキー:2008/08/02(土) 16:08:39 ID:Vz9jMba1
>>274
ヴォルケンは稼動年数=年齢として考えると何歳なんだろうね
結構昔から居たわけだけど常に稼動してるわけじゃないしさ
278名無しさん@ピンキー:2008/08/02(土) 16:36:37 ID:STi+L0eC
>>275
決戦時のキャロは推定A+ランクだから、よくぞまぁ勝てたものだなぁ。
エリオ抜きで一対一をやったらどうなることやら。
279名無しさん@ピンキー:2008/08/02(土) 16:42:02 ID:jmCAEBN+
>>278
いや、ここはエロパロ板的に夜の一対一をやった時の事を考えよう
ハブられたエリオはフリード&ガリューと変則マッチで
280名無しさん@ピンキー:2008/08/02(土) 17:05:22 ID:Vz9jMba1
召還物の白天王とヴォルテールが互角なんだっけ?
なのに召還者のランクが違うんだし、召還対象と本人のランクは無関係なんじゃな?
それとも本来はヴォルテールは白天王より圧倒的なんだけど、召還者のランクのせいでヴォルテールはリミッターかかって互角になってしまったのかね

ところで、ナンバーズのタオルがあるそうだが更生組が使われてるようで一人だけはぶられてないか?
男の子説が公式で認められたってこかね
281名無しさん@ピンキー:2008/08/02(土) 17:12:15 ID:YZQTHN4y
>>277
100歳前後じゃね?
2期のペースだとまじめに蒐集したら半年もあれば集め終わるだろうね。
んで、クライドの死亡からはやてに転生するまでおよそ一年だから休養期間は一年だと仮定できる。
古代ベルカが300年前だから単純計算で100歳
282名無しさん@ピンキー:2008/08/02(土) 17:27:01 ID:dMOS6Rv9
>>280
オットーは公式で女の子だぞ。設定資料集にわざわざ都築氏が「女の子です」って注釈入れてる。
…………つまり見栄えの問題か? そんなにボーイッシュ貧乳はいらないのか!!?
283名無しさん@ピンキー:2008/08/02(土) 17:33:24 ID:geS12JAa
じゃあ俺がもらう。
284名無しさん@ピンキー:2008/08/02(土) 17:36:54 ID:jmCAEBN+
>>282
数の子スレでは
・あの図柄はオットーから見た視点
・メガ姉の言いつけ(姉妹にも性別を秘密にする)を忠実に守っている
・いつか出るかもしれない監獄組Ver.に組み入れられるはずさorz
などの説が出ていた。
285名無しさん@ピンキー:2008/08/02(土) 17:41:31 ID:Vz9jMba1
>>284
監獄組に含まれるとオットーがさらに浮かないか?まぁ人数的には6人だから綺麗に分けられてるか?
ところでメガ姉って誰?メガーヌのことか?
286名無しさん@ピンキー:2008/08/02(土) 17:42:51 ID:STi+L0eC
タオルにプリントする写真をオットーが撮ったということに。
そして、ディードと夜な夜なハメ撮りして・・・・・・・おや、窓の外に緑色の光が(r
287名無しさん@ピンキー:2008/08/02(土) 17:44:50 ID:Vz9jMba1
>>285の浮くってのは体型的な意味だよ?
それとも対比が萌えるのかね?よくわかんないけどさ
288名無しさん@ピンキー:2008/08/02(土) 17:46:59 ID:jmCAEBN+
>>285
クアットロ→メガネ姉→メガ姉
コミックスでセインかウェンディのどっちかが言ってた

……ちょっと雑談が伸びすぎてる気がするのでそろそろ黙して投下を待つぜ
289名無しさん@ピンキー:2008/08/02(土) 18:28:20 ID:dCwU92/Q
>>201
遅レスですが、GJ!!!
ヴィヴィオvsセリカに続いてのエリオvsシエン。
やっぱり今回は主人公のヴィヴィオがトリを務めるべきだと思いました。
でも熱血王道的には二人の漢が世界の運命をかけて戦いあうという展開も捨てがたい…
幻術を打ち破るエリオを見てると本当に強く優しく成長したなあと嬉しく思います。
これはまた熱血ベストバトルになりそうな予感です
290名無しさん@ピンキー:2008/08/02(土) 19:15:59 ID:yZ778oiV
>>281
クライド死んだのってクロノが3歳のときじゃなかったけ?
291名無しさん@ピンキー:2008/08/02(土) 19:21:30 ID:Vz9jMba1
>>281
転生はしてても稼動はしてない時期があっただろ
はやての場合も誕生日以前から闇の書はあったけど、稼動したのは誕生日以降
292名無しさん@ピンキー:2008/08/02(土) 19:54:20 ID:ft16M9bU
ついでに言うならはやての時のヴォルケンズはこっそりやってて2ヶ月で完成させてるんだよな
それで転生してから稼動まで毎回十年かかるとすればヴォルケンズの実働期間は相当短いな
293名無しさん@ピンキー:2008/08/02(土) 21:28:21 ID:Nx+iQ7JW
シガー先生、レジなの はまだに、まだにござりまするか?
せ、拙者はそろそろ…我慢の限界に…
294名無しさん@ピンキー:2008/08/02(土) 21:49:27 ID:Vz9jMba1
>>293
妄想で補え
295名無しさん@ピンキー:2008/08/02(土) 21:57:27 ID:veUG+NfM
>>293
勇気で補え
296名無しさん@ピンキー:2008/08/02(土) 21:57:55 ID:Nx+iQ7JW
>>294
たわけ
妄想できるぐらいなら自ら書いておるわ
297名無しさん@ピンキー:2008/08/02(土) 22:10:25 ID:WFrHx19f
以前「nameless」ってSSがあったじゃん。
なのはがユーノと結婚するけど、生まれたのは魔法でフタナリ化して
なのはをやったフェイトの子だったって奴。余りにも衝撃的な結末は当時相当反響があったじゃん。

それの三次創作でスカリエッティと絡ませた奴を誰かキボン

なのはがスカリエッティに捕まる→スカリエッティに手篭めにされて処女喪失
→どの程度までの陵辱に耐えられるか実験と称して精神崩壊寸前まで犯され続ける
→再起不能寸前の所でフェイトが助けに来て何とか救出される→保護されたなのはだけど
スカリエッティに犯された精神的な傷は余りにも大きく塞ぎ込む→皆の励ましやユーノとの愛で
何とか社会復帰に成功→ユーノと結婚→なのは妊娠→紫の髪と金色の瞳を持った子供を出産
→「nameless」的BADEND

やっぱダメ?
298名無しさん@ピンキー:2008/08/02(土) 22:18:17 ID:QZ7o/0mh
職人としてみりゃ>>297とか上のエリオスレ過去ログみたく、
細部から最後までかっちり書かれた妄想って逆に作品にしにくいなぁ。

「居酒屋中将」みたいにある程度汎用性のあるキーワード一個とかが
一番作品として完成させられる可能性が高い。
299名無しさん@ピンキー:2008/08/02(土) 22:22:35 ID:96RROEHP
>>297
やっぱり、それでは「nameless」は超えられないかと。
あのENDは、やっぱり愛憎絡まったフェイトの子だからこそでしょう。

>>298
「ソープナンバーズ」とか「ヴォル子」とか、そそられるワードが多すぎて困ります。

300名無しさん@ピンキー:2008/08/02(土) 22:23:10 ID:h4Lut0te
>>297
軽いシチュやカプの希望だして書いてーっていうのは分かるんだけど、そこまでいくともう乞食だよ
自分で書くべき
301名無しさん@ピンキー:2008/08/02(土) 22:38:31 ID:geS12JAa
エロエロな、大人ルー子希望。
302名無しさん@ピンキー:2008/08/02(土) 22:51:48 ID:WORubyyC
>>297
以前ギャグだったけどドクターがなのはの卵子を無断で
ナノマシン使って採取して自分の精子とかけ合わせて
子供作ってみたという奴はあった
(当然ドクターはつかまった後の話だったからフルボッコ)
303名無しさん@ピンキー:2008/08/02(土) 23:22:16 ID:k7UomjLd
卵子だか精子だかが話題に上ったら死ぬ間際に命を燃やし尽くしてなのはの子宮に
精子を転送したユーノを思い出す。あれには噴いたんだけどタイトルなんだっけ?
304名無しさん@ピンキー:2008/08/02(土) 23:39:58 ID:t9cTaO6l
246氏が来なくて寂しい
305名無しさん@ピンキー:2008/08/03(日) 00:04:44 ID:HtiTQK1G
>>303
イタチの最後っ屁だとかそんな感じのタイトルじゃなかったっけか?
306名無しさん@ピンキー:2008/08/03(日) 00:11:57 ID:ggZtZXu0
>>303
その作品での二人の関係がどうなってたのは知らんが、関係しだいではそれで妊娠してたら最悪だな
307名無しさん@ピンキー:2008/08/03(日) 00:21:13 ID:t2gfVAws
最低SS系でオリキャラが本編登場キャラ孕ますとか無いのかな
308名無しさん@ピンキー:2008/08/03(日) 00:25:52 ID:p/xGgU8t
笑えない最低SSはさすがに嫌だな…
309名無しさん@ピンキー:2008/08/03(日) 00:28:49 ID:t2gfVAws
310名無しさん@ピンキー:2008/08/03(日) 00:32:10 ID:qZMGuAXI
いろいろひどすぎて吹いたw
311名無しさん@ピンキー:2008/08/03(日) 00:49:39 ID:rOu/AXnG
オリキャラがレイプするのは一杯あるけどな
312名無しさん@ピンキー:2008/08/03(日) 01:00:31 ID:ggZtZXu0
>>311
そんなにたくさんあったっけ?

>>309
ひどすぎ
313名無しさん@ピンキー:2008/08/03(日) 01:07:43 ID:t2gfVAws
ちなみに>>302の言う話も>>309のリンク先のと同じ人だよ
314名無しさん@ピンキー:2008/08/03(日) 01:16:42 ID:DdLpOvfy
ttp://nanoha.com/ssx_story.html

SSXのトラックリストが挙がって来てるけどさ、ディスク1の12「ナカジマ家4姉妹」って、
ギンガとスバルと(多分)ノーヴェと……あと一人誰?
315名無しさん@ピンキー:2008/08/03(日) 01:18:34 ID:p/xGgU8t
別スレによると、チンク姉とディエチとウェンディ。
ギンガとスバルは勘定に入ってない。(施設での四姉妹だからね)
316名無しさん@ピンキー:2008/08/03(日) 01:30:11 ID:X55JU7Ky
なんかナンバーズの出所が3年で、って早すぎないか?
特にチンク、ディエチ、セインは。チンクなんて下手したら出られないかもみたいなことまで言ってたのに。
事件協力するための仮出所みたいなもんかな?
317名無しさん@ピンキー:2008/08/03(日) 01:31:39 ID:a19WioFB
ヒント:フェイト
318名無しさん@ピンキー:2008/08/03(日) 01:33:09 ID:o70/M3c/
>>316
こいつらは更正組だから。
つか1stや2ndで通った道だろ。
319B・A:2008/08/03(日) 01:38:52 ID:8GyDDpZm
順番的に連投になるんですが、良いですか?
エロくないし暑苦しいですが。
320名無しさん@ピンキー:2008/08/03(日) 01:44:31 ID:o70/M3c/
>>319
どぞ
321B・A:2008/08/03(日) 01:48:19 ID:8GyDDpZm
ではいきます。
今回の戦闘、かなり難産だった。


注意事項
・B・A版エリルー時空のお話
・主人公はヴィヴィオ(ですが、諸般の事情でまだハブられます。だって主人公はトリでなきゃ)
・オリキャラが出ます
・非エロでバトルです
・sts本編から11年後の物語
・フェイトが天寿を全うしております
・その他かなりの捏造多し。
・タイトルは「Das Erbe zur Zukunft」 意味:未来への遺産
・オリキャラTUEEEEEEE(まさかこの表記を使う日が来るとは)
・これが本当にリリカルなのはなのか、という戦闘
・スターダストフォールはどうして本編で使われなかったのだろう?
・変身時に消える服の行方という永遠の命題に挑戦
322名無しさん@ピンキー:2008/08/03(日) 01:50:51 ID:60ter7dO
支援します
323Das Erbe zur Zukunft@:2008/08/03(日) 01:52:01 ID:8GyDDpZm
第23話 「エスパーダ」



踏み潰した瓦礫の粒が疾走によって撒き散らされる。
激突は一瞬。得物が弾けた反動を利用してエリオは即座に横っ飛びし、得意のヒット&アウェイで畳みかける。
文字通り疾風と化したエリオはさして広くない屋上を縦横無尽に駆け抜け、神速の斬撃は視認するのも容易ではない。
シエンの緩慢な動きではそれに対応し切れず、辛うじて防御するのが精一杯だった。

「むぅっ、速い!?」

予想を遥かに上回るエリオの速さに、シエンは驚愕の声を漏らす。だが、こんなものはまだ序の口だ。
壊れかけのこの肉体はエリオ自身が念じることでどこまでも速くなる。エリオの認識が及ぶ限り、この身はどこまで限界を突き崩していく。

「うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!」

砕けそうになる体を気合いで繋ぎ止め、エリオはギアを一段押し上げる。
流れる視界がぶつ切りとなり、引き千切れた血管が体内で暴れ回り、全身の筋肉が悉く破壊されていく。
肉体の危険信号はとっくに赤色灯を灯し、不快な警鐘を鳴らしているのにも構わず、ただひたすらに眼前の敵を屠らんと鞭を打つ。
だが、それ程の苛烈な攻めを受けながらも、シエンは涼しい表情を崩さなかった。

「この太刀筋、多少の違いはあるが、烈火の将のものと似ているな」

「・・!?」

「まだ闇の書の傀儡であった頃の彼女と手合わせしたことがあってね。こっぴどく敗北したが、その太刀筋は今でも目に焼き付いている」

乾いた音が大気を震わせる。
岩をも容易く切断するバルディッシュの魔力刃が、何の魔導技術も施されていない鋼の剣に受け止められたのだ。

「丁度良い、あの時の雪辱を晴らさせてもらう!」

言うなり、シエンの体内に渦巻いていた魔力が強烈な破壊エネルギーとなって解放され、その衝撃でエリオの体は通りを挟んだ向かい側のビルの壁に叩きつけられた。

「かあぁっ!?」

痛みで脳が沸騰し、混線した視神経が認識不能な映像を送り込んでくる。呆気なく吹っ飛ばされたこともショックだったが、
それ以上に攻撃を受け止められたことが悔しかった。クロスレンジは彼の得意な領分である。別に管理局最強を自負していた訳ではないが、
単純な速さだけなら誰にも負けない自信はあった。JS事件の時から何度も窮地を救ってくれた、自分の唯一つの取り柄。それが、ああも簡単に打ち破られたのだ、動揺は大きい。
だが、悠長に驚いている暇はエリオには与えられなかった。シエンは追撃をかけるために飛行魔法を発動させ、
滑るように滑空しながらこちらに向かってくる。
回避するか、応戦するか。コンマ2秒で思考し、前者を選択する。不用意に打ち合えば、またあの衝撃波の餌食になるからだ。
エリオの意思を汲んだストラーダがブローバック機構を作動させ、バリアジャケットを高速戦闘用騎士甲冑である新・ソニックフォームへと換装、
シエンの振りかぶった剣が喉元を捉える寸前で、エリオは加速魔法を併用して空中に離脱する。
直後、エリオの左腕はエリオ自身の思惑から外れ、生物の生存本能に突き動かされるように有り得ない方向から繰り出された攻撃を、
バルディッシュの刃で受け止めていた。

「なにっ!?」

「・・!」

背後にいるはずのシエンが、何故か目の前にいた。
お互いが予想していなかった事態に驚愕する中、僅かに早く我に返ったエリオは不自由な体勢のまま左腕を振るい、
シエンの巨体を弾き飛ばしてストラーダを構える。
324Das Erbe zur ZukunftA:2008/08/03(日) 01:56:45 ID:8GyDDpZm
「ぶち抜けえぇぇぇっ!」

紅の鉄騎譲りのかけ声と共にブースターを点火、白煙を撒き散らしながら重力に逆らって突撃をしかける。
シエンが体勢を立て直した時には、既にそれは回避不能の位置にまで迫っていた。

「ぬう・・・ふんっ!」

渾身の魔力を込めたグレートソードを振りかぶり、シエンはエリオの突撃を迎え撃つ。
互いに一歩も退かぬその気迫に、大気までもが恐れをなして震え上がっていた。
裂帛の気合いと不退転の決意。両者の思いが込められた得物がぶつかり合い、轟音が轟く。
反発する磁石のように弾かれた二人は、それぞれのホームグラウンドである地上と空中に分かれて着地する。

「折れたか」

僅かに髪を焦がしただけのシエンは、根元から折れた大剣を一瞥する。
込められた魔力の負荷と衝突の衝撃に耐え切れなかったのだ。

「数百年前の業物だったのだが、こうも容易く折れてしまうとは、味な真似をしよる。体捌きもなかなかのものだし、カンもよく利くようだ。
なるほど、ケーニッヒが苦戦しただけはある。良いセンスだ」

「僕の勝ちです・・・・・・こちらの指示に従ってください」

「私を殺さないのかね?」

「病院に連れて行きます。外科手術であなたの心臓を取り出して、代わりに人工心臓を移植する・・・・・・それなら、あなたを殺す必要はなくなる」

「なるほど、確かに名案だ。だが、そのためにはまず私に勝たねばならないぞ」

皮肉るように呟き、シエンは空中を駆け下りてくる。風が吹いたと感じた時には、既にその巨体は目の前にまで迫っていた。
そして、あろうことかその手には、さっき折れたはずの大剣とそっくり同じ剣が握られており、大気を引き裂きながらエリオの心臓に狙いを定めていた。
驚愕する自身を半ば強引に抑えつけ、エリオはストラーダでその刃を受け止めて思い通りに動かない足で地を蹴る。
腕にかかる負荷が半端ではない。片手持ちのままではそうそう何度も捌き切れるものではなかった。だが、今ここでバルディッシュを待機状態に戻してしまえば、
魔力補助の恩恵も得られなくなる。現状の速さを維持し続けることで辛うじて拮抗状態を造り出せているのだ、例え消耗が激しくても、
生き残れる確率を少しでも上乗せできるのなら、それを手放すわけにはいかない。

「ふむ、こちらが一本では不公平か。ならば・・・・・・」

不意に、予期せぬ方向から斬撃が飛んできた。
またも驚愕がエリオを襲う。
先程まで、確かに一本の剣で戦っていたはずのシエンが、今度は両手にそれぞれ一本ずつ、合計二本の剣を手に自分と打ち合っていたのだ。

「これも幻影・・・・違う!?」

腕に伝わる感触は確かに本物である。
何らかのロストロギアかとも思ったが、魔力らしきものは一切感じられない。断言しても良い、これは本当にただの鉄の塊だ。
ならば、一本の剣が二本に増えたのには必ず何か理由があるはずだ。
325名無しさん@ピンキー:2008/08/03(日) 01:58:14 ID:60ter7dO
エリオに支援
326Das Erbe zur ZukunftB:2008/08/03(日) 01:59:21 ID:8GyDDpZm
「どうした、攻撃に雑念が混じっているぞ」

「くっ、言わせておけば!」

年長者の余裕を見せつけるシエンに心をかき乱され、エリオはより感情を加熱させて嵐のような連撃を繰り出していく。
叩きつけるように袈裟切りを放ち、打突を打ち込み、返す形で切り上げ、身を捻って遠心力を込めた横切りを放つ。
防御は一切考えなかった。疲弊した体では、どんな一撃だろうと入ってしまえばもう終わりなのだ。
ならば、余力は全て攻撃に注ぎ込み、相手の攻撃は尽く避けてやる気概で挑み、巨大な山を突き崩さんと吠え立てる。
間断なく繰り出される怒涛の攻めはお世辞にも鮮やかとは言い難いが、その分有無を言わせぬ迫力があった。
そうして、何十合目かの打ち合いでとうとう二本のグレートソードが砕け散り、シエンの体ががら空きになる。
すかさず、エリオはストラーダを一閃させ、峰打ちを狙おうと地を蹴った。
だが、またしてもシエンの手には折れたはずの剣が握られており、エリオの攻撃を弾かんと構えられていた。
怯まずエリオは攻撃を続ける。
休む暇も与えなければ何れは隙が生まれるはず。条件はどちらも同じなのだ。寧ろ、武器の強度という点においてはこちらが有利である。
仮に壊しても新しい剣が出てくるのなら、何度だって打ち砕くまでだ。

「紫電一閃!」

「ふんぬぅっ!!!」

二人の気迫がぶつかり合い、衝撃が大気を震わせる。耐え切れずに吹き飛んだエリオの体は地面の上を二転三転し、瓦礫の山にぶつかって漸く停止した。

「くぅっ・・・・・・一太刀も、通らない・・・・・」

驚異的な反射神経を誇るケーニッヒですら反応し切れない速度から繰り出される攻撃を、シエンは事もなげに捌いて見せている。
過去にエリオの師と戦ったことがある、ただそれだけの理由でだ。

「スピードはなかなかだが、やや血の気が多くないかね? 攻撃に傾倒し過ぎだ」

「母親似なんだ・・・・」

「冗談を言う余力はあるようだ」

皮肉とも感心とも取れる呟きを漏らし、シエンはエリオが起き上がるのを待った。
地に伏している者を斬るのは本意ではない、そう言っているようだ。

「どこまでも・・・・・癪に障る・・・・・・」

「ケーニッヒに戦い方を教えたのは私だ。似てしまうのは仕方がなかろう」

一瞬でシエンの姿が掻き消え、眼前にその巨体が姿を表わす。
再び始まる壮絶な打ち合いに、それぞれの得物から火花が飛び散って金属同士が擦れる音が瓦礫の街に響き渡る。
聞こえてくるのは地の底から響くような野太い雄叫びだった。
エリオとシエン。
二人の男が互いの意地を賭けて激突し、それぞれの武器をぶつけ合う。
退けば負ける、守れば負ける。打倒と絶殺、希望と絶望、信念と信念。無数の思いが刃にこもり、獰猛な唸りを上げる。
右手が弾かれれば左手で捌き、左手を振り切れば右手を振るう。
愚直なまでに研ぎ澄まされた剣気が鬩ぎ合う。
エリオは体の機能が限界寸前になるまで魔力をひり出し、両手のデバイスを振るう。
シエンは壊れた端から剣を元に戻し、エリオを迎え撃つ。
そうして何百回と打ち合っていく内に、徐々にではあるがエリオに攻勢が傾いていく。
エリオの思惑通り、武器が壊れるという一瞬のタイムラグがある分、打ち合いにおいてシエンは僅かに不利となったのだ。
その僅かな隙をこじ開けようと、エリオは呼吸すら忘れて最速のギアを上げていく。繰り出す攻撃は最早、その全てが紫電一閃と同等の攻撃力を有していた。
327名無しさん@ピンキー:2008/08/03(日) 02:01:09 ID:60ter7dO
信念に生きる漢、シエンに支援
328Das Erbe zur ZukunftC:2008/08/03(日) 02:02:12 ID:8GyDDpZm
「砕けろぉぉぉぉぉっ!!」

そして遂に、エリオの信念がシエンの鉄壁の防御を突き崩した。
シエンの両腕は完全に弾かれており、どうやっても防御は間に合わない。
仮に何らかの防御魔法を発動したとしても、エリオにはそれを打ち抜ける自信があった。

「紫電・・・・・」

一瞬で懐に潜り込み、構えた槍を解き放つ・・・・・・寸前、絶対に有り得ない位置から攻撃が放たれた。

《Sonic Move》

真上から打ち落とされた三本目の剣をバックステップで辛うじて回避し、エリオは攻撃を断念して大きく距離を取る。
ここまでくるともう間違いようはない。シエン・ボルギーニは、無数に用意した武器をどこからか取り出して使用している。
だから武器が壊れることも気にせずに次から次に使い捨てることができるのだ。

「土壇場でこれを回避するとはな。なら、これならどうだ?」

シエンの気配が変わる。
身の丈ほどの剣を片手だけで水平に構え、打突の体勢となる。
距離を取ったエリオは油断なくデバイスを構え、どこから攻撃が来ても良いように周辺を警戒する。
連戦で消耗した体は鉛のように重く、リンカーコアも悲鳴を上げていた。

(来る!?)

「・・!」

ひと呼吸する間もなく、地を蹴ったシエンが迫ってくる。
瞬間、彼の姿が二つにぶれた。
まるで鏡に映し出された虚像のように、二つに分かれたシエンが同じ構えのまま突撃してくる。
それが一歩大地を踏み締めると、二人のシエンは更に二つに分かれ、次の一歩を踏み出せば更に二つに分かれる。
瞬く間に視界を埋め尽くす程に増殖した無数のシエン・ボルギーニが、一斉に散開してエリオを取り囲んだ。

「受け切れるか、我が幻影の舞い」

畳みかけるように無数のシエンが剣を振るい、小鹿を追い立てていく。
それは幻影のはずである。幻影のはずだが、受け止めた剣の実感は確かに本物だった。
どのシエン・ボルギーニが放つ一撃も間違いなく本物で、一つとして紛い物が存在しない。
実体を持たない幻影ならば、絶対に有り得ないことだ。しかもそれらは幻影であるということを敢えて隠さず、
物理的に有り得ない機動、速度で以て襲いかかってくる。
絶え間のない連続攻撃を捌きながら、エリオは思考を巡らせる。とにかく、相手の手の内を暴かなければ話は始まらない。
唯一勝っていると思っていたスピードでも、敵は徐々に圧倒し始めているのだ。
ここまでに出揃っているシエン・ボルギーニの情報はそう多くないが、それでも突破口を開かなければ、何れは大剣の餌食になってしまう。

(大がかりな魔法を使ったようには見えなかった。何らかのロストロギアを使用した形跡もなし、あくまでも魔法による副次効果。
だけど、実体を伴う幻影は存在しない・・・・・・・・はず)

幻術に関する知識が少ないため、断言はできなかった。
自分の得意分野は一撃離脱による殲滅戦だ。旧機動六課時代、こういう渋めの魔法はチームの指揮官であるティアナの領分だった。
329Das Erbe zur ZukunftD:2008/08/03(日) 02:05:37 ID:8GyDDpZm
(僕が知っている幻術なんて、姿を消すオプティックハイドと虚像を造り出すフェイクシルエット、それと・・・・・・・・・・)

瞬間、エリオの脳裏に稲妻が駆け抜ける。
余りに馬鹿馬鹿しい想像ではあったが、幻術の特性を考えればできなくはないはずだ。
だが、そうなると一つだけ疑問点が残る。これだけの幻影の核となるものを、いったいどこに隠しているのかということだ。
騎士甲冑に物をしまえる様な場所は見当たらないし、周りに隠しているものを取り出しているような素振りも見せていない。
ならば、これも馬鹿馬鹿しい想像ではあるが、タネも仕掛けもない空間から取り出していると考えるしかなかった。

「確かめるには、これしかない!」

《Form Drei. Unwetterform》

ストラーダに雷光を纏わせ、エリオは跳躍する。そして、攻撃の起点となる中心点に向けて、その穂先を勢いよく突き刺した。

「サンダァァァレイジィッ!!」

眩い輝きが視界を染め、放射された電撃が周囲を取り囲むシエン達を飲み込んでいく。
至近距離にいた幻影は言うに及ばず、瞬く間に広がった電撃は離れた場所にいる幻影までもを捉え、
耳をつんざく様な雷鳴と金属の表面にぶつかった電子が弾ける音が不快なコントラストを奏でる。
その脳を締めつけるような音に耐えながら、地面を突き殺す勢いで柄を握り締め、全てのシエンの幻影を焼き消していくと、
消滅したシエンの代わりに無数の剣が出現し、乾いた音を立てて地面に転がった。

「はぁ・・・・はぁ・・・・・これが、あなたの手品の正体だ」

「見抜いたか、我が幻影を・・・・・」

息を乱しながらも唇を釣り上げるエリオの姿に、シエンは驚嘆の声を漏らす。
彼自身も、まさかこんなに早くからくりを看破されるとは思っていなかったようだ。

「撃ち出した実剣に幻影を被せて、あたかも実体を持った分身のように振る舞わせていたんだ。
生き物じゃないから、人間では不可能な速度で動かすことができるし、触れれば確かな感触がある。
けれど、所詮はただの無機物。軌道は直線的で、複雑な動きはできない」

これに気づくことができたのは、かつてティアナが口にした何気ない一言を思い出せたからだった。

『私のシルエットは衝撃に弱いんで』

この一言で、自分は今まで幻影は脆くて衝撃を与えれば消滅するものだと思い込んでいた。
だが、よくよく考えればこれはティアナが衝撃に脆い幻影しか生み出せないという意味の発言であり、
衝撃に強く、多少打ち合った程度では消滅しない幻影も存在する可能性はゼロではない。
そこまで考えつけば、後は芋づる式で回答を導き出すことができた。
なのはが対AMF対策として用いていた物質加速魔法スターダストフォール。
ティアナがレリックというロストロギアを偽装するために使用したフェイクシルエット。
幻影と実体を織り交ぜて相手をかく乱する幻術、シューティングシルエット。
シエンが騎士でありながら幻術使いであることや、デバイスを用いずに実剣で戦闘を行っていたこと、
どこからともなく複数の剣を取り出していたことも答えを導き出す材料になった。

「そして、これだけの剣を隠すことができる場所は一つしかない。それは・・・・・・・・・あなたのデバイスだ、シエン・ボルギーニ」

手近な石を蹴り上げ、騎士甲冑を展開する要領でそれに意識を巡らせる。
すると、石は糸のように解けて光の粒子と化し、ストラーダのコアへと吸い込まれていった。
330Das Erbe zur ZukunftE:2008/08/03(日) 02:09:09 ID:8GyDDpZm
「魔力で物体を圧縮し、デバイス内に保管する。本来は、騎士甲冑展開時に不要となる衣類を収納したり、
封印したロストロギアを保管するために使用する機構です。こんな使い方は、訓練校でも教えてくれなかった」

「昔から無才でね。幻術と物質加速以外のスキルはほとんど持っていなかった。だから、私にしかできない戦い方を模索したのだよ。
エスパーダ(刀剣)という二つ名も、過去の友人が私の戦い方を皮肉るために名付けたものだ」

シエンの首から下げられた首飾りが錆びついた赤い輝きを発し、周囲の空間に陽炎にも似た歪みが生じる。
すると、まるで虚空を引き裂くかのように無数の剣が姿を現した。折れたはずの剣がいつの間にか直っていたのも、
折れた剣をしまって新しい剣を瞬時に取り出していただけだったのだ。

「紹介しよう・・・・・我がブーストデバイス。眠りと恐怖を司る悪夢の具現者“イケルス”だ」

その言葉に応えるように、首飾りの宝玉が輝きを放つ。
一見すると不釣り合いのようにも見えるが、シエンの戦い方を鑑みれば決して間違った選択ではない。
ブーストデバイスの特性はある程度の戦闘能力を犠牲にして魔力放出や射出魔力制御に特化していることである。
本来は補助魔法を正確に味方に届けるための機能だが、宙に浮かせた物体に幻術を被せ、敵をかく乱するシエンの戦法との相性も良好だ。
何より、ここまでの戦闘で既に彼が真っ当な騎士でないことは十分痛感しているので、今更何が出てきてももう驚くことはないだろう。

「さて、もう幻影で取り繕う必要もないな」

冷酷な宣言と共に、虚空の剣の柄尻に環状魔法陣が展開され、飛沫が迸るように無数の剣が解き放たれる。
幻影で偽装する必要がなくなったためか、その数はさっきまでの比ではなかった。視界を埋め尽くす無数の剣が壁のように迫り、
引き裂かれた大気が唸りを上げる。だが、所詮はまっすぐ飛ぶことしかできない直射弾である。例え威力がどれ程のものであろうと、
大きく避ければそれ程驚異にはならない。
そう認識して、上空へ逃げようとしたエリオは、見上げた光景に絶句した。

「なっ・・・・・」

空がないのである。
錆色のドームに遮られたクラナガンの空が見えない。目につくのは剣。輝きを失った無骨な剣の群れである。
それがまるで氷柱のように空からぶら下がっており、エリオの逃げ道を塞いでいた。
ならばと振り返れば、背後にも無数の剣が立ち塞がっている。
剣。
剣。
無数の剣だ。
四方八方を埋め尽くす無数の剣。シエン・ボルギーニがデバイス内に収納していた全ての剣を解放し、全方位に設置したのである。
それらは云わば城壁を守る大石弓であり、同時に敵軍を葬り去るファランクスである。
ケーニッヒが己の限界を超えて発動させたジェノサイドシフトなど比較にもならない。シエン・ボルギーニ個人が持つ魔力資質と、
ブーストデバイス“イケルス”による過剰なまでの魔力補助が可能とする離れ業であった。

「貴様の墓標だ、若き騎士よ・・・・・・沈め」

逃げ場を失ったエリオに無数の剣の壁が迫る。
防御は不可能。そもそも、これだけの質量をぶつけられればどんな防御魔法とて過負荷に耐え切れずに突破されてしまう。
唯一この状況を打開できる手段があるとすれば、それは攻撃による迎撃のみであった。

(間に合うか!?)

ストラーダが自身の魔力変換資質を極限まで活性化させ、立ち上る紫電がエリオの赤髪を逆立たせる。
同時に、バルディッシュに装填されたカートリッジが立て続けに炸裂し、回路が焼き切れる程の魔力を注ぎ込んで魔力刃を肥大化させていく。
そうしている間にも、剣の壁はどんどん迫ってきている。
弾けねば必死。その緊張感が背筋に冷たい汗を流させ、高揚とも緊張とも取れる震えが全身を駆け抜ける。
だが、思考はあくまで冷徹に、無慈悲なまでに合理的な演算を続ける。
331名無しさん@ピンキー:2008/08/03(日) 02:10:08 ID:60ter7dO
暑さに負けず支援
332Das Erbe zur ZukunftF:2008/08/03(日) 02:13:03 ID:8GyDDpZm
「・・・・・」

帯電するストラーダを地面に突き刺す。

「間に合え・・・・・・・・」

バルディッシュの柄を両手で握り、思いっきり振りかぶる。
今まで片手で軽々と振るっていたのが嘘のように重々しく、その魔力刃はなおも貪欲にエリオの魔力を吸い上げて質量を増していっている。
エリオの目に映ったのは視界全てを埋め尽くす錆びた青銅色の輝き。それを打ち破らんと、手にしたデバイスに裂帛の気合いをこめる。

「間に合え、バルディッシュ!!」

直後、轟音と共に無数の剣がエリオの体に殺到した。





無数の剣が若き騎士に殺到し、その姿を覆い隠す。
その光景を見届けたシエンは、落胆とも取れる曖昧なため息を漏らした。
あの騎士はなかなかの手練だった。種類の違う武器による二刀流故か少々動きにムラがあったが、
それを補って余りあるスピードを有していた。実際、シエン自身には彼の動きはほとんど見えておらず、
過去にヴォルケンリッターの烈火の将と戦った経験がなければ捌き切れなかったかもしれない。

「やはり、若かったか」

明暗を分けたのが経験の差だったというのが皮肉だった。
自分はまた、己の目的のために未来ある若者の人生を歪めてしまったのだ。
セリカ、ケーニッヒ、ロート・シルトの同志達。そして、エリオ・M・ハラオウン。
彼らにも彼らの人生があり、生きる目標があったはずだ。それを自分は、身勝手なエゴのために奪い去ってしまったのだ。

「迷うな、我が心よ・・・・・・迷いは隙を生む。我は剣、どれ程その刃が曇ろうと、その用途は変わらぬ」

修羅になり切れぬ己に言い聞かせ、シエンはエリオの墓標に背中を向ける。
瞬間、轟音と共に山と折り重なった無数の剣が吹き飛び、その中から巨大な魔力刃が姿を現した。
まるで風船が割れるように剣の山が弾け飛び、その中からバルディッシュを振りかぶったエリオが飛び出してくる。
同時に、弾かれた剣のいくつかが弾丸の如き勢いでこちらに向かってきた。

「ぬぅっ!」

振り返り様に飛来する剣を手にしたグレートソードで薙ぎ払い、迫りくるエリオをその目で捉える。
エリオは無傷だった。消耗はしているようだが、目に見える傷はほとんど見当たらない。
迫りくる無数の剣を全て、その手にした巨大な剣で打ち返したのだ。

「ぬうおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!!」

加速魔法が発動し、エリオの姿が消える。
目で追えないのではなく、目に映らないのだ。速すぎる身のこなしにシエンには透明な獣が高速で大地を駆っているかのように見えている。
そんな中、唯一その存在を強調するかのようにバルディッシュ・ザンバーの刀身が一際輝き、錆色の世界を眩しく照らす。
333名無しさん@ピンキー:2008/08/03(日) 02:14:52 ID:60ter7dO
エリオもシエンもかっこいいぞ、支援!
334Das Erbe zur ZukunftG:2008/08/03(日) 02:15:34 ID:8GyDDpZm
「撃ち抜け、雷神!!」

《Jet Zamber》

星すら両断しかねない極大の刃が迫る。
それを前にして、シエンは狂気に彩られた笑みを浮かべていた。
久しく忘れていた感情に高ぶりに、彼自身の闘争本能が疼き始める。
エリオが放ったのは恐らく彼自身の切り札。あれ程の攻撃ともなると、最早手にした鋼の剣では僅かに軌道を逸らすことすらできないだろう。
打ち合った瞬間に切断され、そのままこの身が引き裂かれるはずだ。
故に、こちらも本気で応じねばならない。
この身は今日まで自分が犠牲にしてきた全ての者達の嘆きでできている。たかが一人の若造の必至で倒れるわけにはいかない。

「イケルス、フォルム・レッツテ」

《Ja, mein Herr》

沸騰する熱に耐え忍ぶかのような静かな呟きと共に、秘められた力が解放される。
眼前には、極大の魔力刃がすぐそこまで迫っていた。





そして、エリオは敗北した。
うつ伏せに倒れ伏したエリオの側には、魔力刃を維持できなくなって柄だけの状態になったバルディッシュと、
雷光を失ったストラーダが転がっている。エリオ自身の体もボロボロで、どうして生きているのか不思議なくらいだった。
実際、五体満足であることを除けばほとんど死んでいるのと変わらない。それほどまでにシエンは強く、不動であった。
完膚なきまでの敗北。
ここまで追い詰められたのは、いったいいつ以来だっただろうか?

「うぅ・・・・ああ・・・あ・・・・・・・」

苦悶の声を漏らし、エリオは辛うじて動く指を傍らのストラーダに伸ばす。
触れたのは僅かに爪先のみであったが、それだけでエリオの心は存分に落ち着くことができた。
大切な家族だ。側にてくれるだけで心強い。

《動けるか、兄弟?》

「動かなきゃ、殺される・・・・・バルディッシュは?」

《・・・・・・・・・・》

「バルディッシュ?」

再度呼びかけるが、核である金色の宝玉が輝くだけで、返答は戻ってこなかった。
どうやら、音声回路が死んでしまったようだ。

「バルディッシュ・・・・・」

《最後まで私達を守ろうと防御魔法を展開していた。我らが未熟なばかりに、先輩に負担を・・・・・・・》

「止すんだ。悲しむのも悔やむのも後だ、今は・・・・・・・・・」

手にしたグレートソードを引きずるように、シエンが近づいてくる。
不甲斐ないことに、エリオはとうとうシエンに一太刀も浴びせることができなかった。
彼の負傷は全て打ち合いの反動や飛び散った瓦礫によるもので、エリオが与えたダメージといえば単に体力と魔力を削った程度であろうか。
それにしたって、この老人はまるで堪えていないようではあるが。
335Das Erbe zur ZukunftH:2008/08/03(日) 02:18:50 ID:8GyDDpZm
「君は強かった。万全の状態で挑んでいれば、或いは一矢報いることもできたかもしれぬな」

「一矢・・・・・・だけ・・・・・・・」

「無論だ。君と私では生きてきた時間が違う。君がいつからデバイスを振るっていたかはしれないが、
仮にその闘争が十年だとしたら、私は七十年戦ってきた。君と私の間には、どうやっても埋められぬ差がある」

「ぐぅ・・・・・う・・・うぅ・・・・・・・」

「せめてもの情けだ。今一度、我が最強の技で以てその命を貰い受けよう」

ふわりと浮かび上がったシエンの体が急速にエリオから離れていく。
すると、彼が通った後の空間が陽炎のように歪み、そこから再び無数の剣が出現する。
天を覆い尽くす無数の剣。ひしめき合う鋼の音は耳障りで、それ故に絶望的だった。
どこまでも広く、限りなく遠い空まで埋め尽くされた剣の雨が、シエンの号令一つでいつでも大地に降り注ぐ手筈が整えられる。
地獄の雨だ。
全てを貫く鋼の雨が、身動きの取れないエリオに降り注がんとしている。

「さらばだ、金の閃光」

射出される無数の剣。
壁となって押し寄せるその群れを捌く術は、今度こそ存在しない。
恐怖すら湧いてこなかった。
あるのは無念と絶望。
勝利できなかった悔しさと、可能性に満ちた未来を守れなかった悔しさと、妻と娘を残して死ぬ悔しさと、もう抗うことができない悔しさだった。
あんまり悔しくて、目から涙が零れる。
いっそのこと、このまま気絶できたらどれだけ幸せだろうと思えた。少なくとも、自分が死ぬ光景を見なくて済むからだ。
だが、胸の奥から湧き上がる悔しさは彼を眠らせてもくれない。だから、眼前に躍り出た四人の女性達の姿を、涙で滲んだ目でしっかりと見ることができた。

《Protection》

最初に飛び出してきた蒼い髪の女性が拳を突き出し、水色のバリアを展開する。
その女性はどこまでも力強く、まっすぐな目で迫りくる無数の剣を見上げていた。

《Defensor》

続いて、蒼い髪の女性の隣に降り立った橙色の髪の女性が、水色のバリアを覆い隠す形で橙色の半円状バリアを形成する。
その女性は少しだけ引きつった笑みを浮かべ、手にした拳銃型デバイスを握り締めていた。

《Boosted Protection》

二人の背後に降り立った桃色の髪の女性が全体を覆い尽くす形で全方位バリアを展開する。
その女性は心配そうにこちらを一瞥したが、すぐに意識を両手のグローブ型デバイスに集中させる。

《Bezaubern Sie Verteidigungsgewinn》

そして、最後に降り立った紫紺の髪の女性が、前方の三人にブーストをかけて防御魔法の強度を強化する。
いつもとは反対の構図に、エリオは半ば自嘲気味に唇を釣り上げた。
直後、構築された三重の盾に無数の剣が降り注ぎ、激しい火花が散る。
単体ではとてもじゃないが耐え切れない異常な負荷に、四人は顔をしかめながらもそれぞれの力を集結させて踏み止まり、鋼の雨が止むのを待つ。
バリアに弾かれた剣が降り注ぐ他の剣とぶつかり、耳障りな音を立てて更に別の剣とぶつかる。
そんな無限とも言える繰り返しが終わった時、五人の周りは無数の剣で埋め尽くされていた。
336Das Erbe zur ZukunftI:2008/08/03(日) 02:22:02 ID:8GyDDpZm
「お前達は・・・・・・・」

上空のシエンが突如乱入してきた四人の女性達を見て問いかける。
だが、その内の三人はそれに答えることなく散開し、大事な友人を傷つけた仇敵目がけて攻撃をしかけていた。

「リボルバー・・・・・・」

「クロスファイヤー・・・・・」

「アクセルシューター・・・・・」

三人の撃発音声が調和し、三色の輝く弾丸が錆色の空を駆け抜ける。

「「「シュートッ!!!」」」

蒼い衝撃波が大気を唸らせ、橙色と桃色の誘導操作弾が複雑な軌道を描きながら飛来する。
大魔法を使用して硬直していたシエンは僅かに反応が遅れ、防御が間に合わない。
そう思った刹那、地上に突き刺さっていた無数の剣の内の何本かが上空に撃ち上がり、
飛来する誘導操作弾をかき消すとともに、折り重なって衝撃波を防ぐ。

「しゃらくさいわぁぁっ、娘ぇっ!!」

バラバラに砕け散った剣が散弾のように撃ち出される。更にシエン自身も天を蹴って滑空し、蒼いレールの上を疾走する女性魔導師を迎え撃つ。

「リボルバァァァァッ・・・・・・」

「ぬうおぉぉっ!!!」

「キャノンっ!!」

激突した瞬間、余りの衝撃にグレートソードの刀身が軋みを上げる。
エリオにとどめを差すために手持ちの剣を全て射出していたシエンは、無手になることを恐れて即座に離脱、
近接型の彼女の射程外へと逃れる。

「お前は・・・・・スバル・ナカジマ!」

続いて、背後から襲い来る無数の誘導操作弾を剣で弾き、スバルが展開したウィングロードを駆け上って高所を確保しようとしている女性に突貫する。

「そして、ティアナ・ランスター!」

「・・っ!」

咄嗟にティアナはダガーモードにしたクロスミラージュで応戦するも、騎士相手に敵うはずもなく、敢え無くウィングロードから転落する。
すかさず、桃色の髪の召喚師が駆る巨大な白竜が落下するティアナの体を受け止めた。

「キャロ・ル・ルシエ・・・・・・・」

忌々しげに呟き、シエンは残る人物を見下ろす。
その女性は、倒れ伏す最愛の夫に治癒魔法を施しながら、毅然とした目で仇敵を見上げていた。
エリオが最も信頼し、頼りとする仲間達だ。彼女達もまた、デウス・エクス・マキナとの戦闘で疲弊しているにも関わらず、
エリオを助けるために駆けつけたのである。

「ルーテシア・・・・・アルピーノか」

その呟きに、ルーテシアは静かに首を振った。そして、抑揚のない声で、どこか諭すように返答する。

「ハラオウンです」

                                                           to be continued
337B・A:2008/08/03(日) 02:26:42 ID:8GyDDpZm
以上です。
ラスボス@なだけに、シエン戦はやりたい放題・・・・・・ええ、謝りますorz
シエン爺さんは最初から真っ当な騎士にする気なかったんです。だからずっと「エスパーダ(スペイン語で刀剣の意)」と呼ばせ続けてきたし。
5VS1の釣り合い取らせる必要もあったしで。
ちなみに、シエン爺さんはクロノやユーノとは相性悪いです。
ストラグルバインド使われると、剣を撃ち出す以外に攻撃方法なくなるんで。

ちょっと忙しくなってきたんで、これから投下のペースが落ちると思います。後、夏中に時事ネタエロを書きたい。
支援ありがとうございました。
338名無しさん@ピンキー:2008/08/03(日) 02:26:59 ID:XnUdrEwV
>>B・A氏
蝶GJ

それと、無限の剣製に吹いた
339名無しさん@ピンキー:2008/08/03(日) 02:28:22 ID:7pWVPjTP
GJGJGJ!!!
此処に来て大ボスVS旧機動六課フォワード勢+ルーテシアとか熱過ぎるにも程がある!!
340名無しさん@ピンキー:2008/08/03(日) 02:32:22 ID:60ter7dO
>>B・A氏
投下乙です。夏の暑さを吹き飛ばす熱血SS、GJ!
5VS1、戦隊モノのお約束ですね。友情とチームワークという名の数の暴力でボス(爺さん)を倒すw
投下ペースは気にせず、頑張って下さい。
341タピオカ:2008/08/03(日) 04:08:47 ID:dJmw/J9q
わーお、B・A氏GJです。
燃える激闘の後にこんなもん落とすのもアレな気がするんですけどちょっとパソコン触れなくなるんで今のうちに置いておきます。申し訳ない。

注意事項
・エロと言えばエロ
・ギャグと言えばギャグ
・ナカジマ姉妹でオリキャラを女男女る(なぶる)お話
・ナカジマ技の特殊な使い方に突っ込まないで下さるとうれしいです
・多分こう言う話他にあると思いますので二番煎じ
342名無しさん@ピンキー:2008/08/03(日) 04:08:50 ID:WVHWI3eR
B・A氏グッジョブ!
オリキャラTUEEEEE!も文章の説得力とちゃんとした描写があると輝くなあ

あとUBWというか殲景・千本桜景厳というかなイケルスに噴いた
343タピオカ:2008/08/03(日) 04:12:25 ID:dJmw/J9q
「戦慄のブルーを受け継ぐ者たちに裁かれし者」


ここに一人、次元犯罪者がいた。
名はジ・ヤーム。魔法を私利私欲のために悪用し多くの人々を傷つけた男である。
魔力や魔法の実力自体は確かにきちんとしたものだが、戦闘レベルが高いわけではない。
ゴーレムの作成が上手なのであり、あくまで魔法を犯罪に利用する事が上手な男だった。
彼の作り成すゴーレムは
「巨体の割に魔力をそう喰わない」
「甘くて美味しい!」
「分厚い材質でコアまで届かぬ」
「ふわふわしてる!」
「三種類の基本的なゴレームは厄介だ。パワーもスピードも兼ね揃えているが……新作はさらに恐ろしい性能を持つらしい。考えたくもないな」
「かりかり!」
「命令に忠実ではあるのだが、ある程度融通が利く自律機能を持っている。気を抜くと出しぬかれてしまうぞ」
「小麦の匂いがとっても香ばしい!」と評価される卓越されたものだった。

そう、彼の創造するゴーレムは全てパンで出来ているのだ。
パンと言え侮るなかれ。こんがり焼かれたブレッドゴーレムはカリカリが超痛い。
もふもふに焼かれたブレッドゴーレムには打撃斬撃がもふっとする。
故に高い戦闘力を誇り、しかも美味しい。具材も栄養ある野菜を結構使ってる。
食品と兵器。生かすモノと壊すモノ。
文明の進歩とともに進化してきた噛み合わざる二つが合わさったこのブレッドゴーレムたちは伊達ではない。

そんなブレッドゴーレムを操るジ・ヤーム一行が先にあったジェイル・スカリエッティ事件のどさくさにまぎれて動き出したのだ。
「ゆりかご」起動の騒ぎにまぎれて希少商品や金品を奪ったり盗んだりやりたい放題。
事件が終わった後は終わった後で被害者の炊き出し集会場に現れては、

「ボクノカオヲオタベ」

とブレッドゴーレムたちが自らを無理やり食べさせてくると言う傍若無人っぷり。
最初は美味しくてもお腹いっぱいになってもまだ食べさせてくる。ウザイ事この上ない。

そんなこんなで強奪行為やら迷惑行為やらで管理局とバチバチやってたジ・ヤームなのだが、今回陸士の活躍によりようやく捕縛に至った。
のだが、この男なかなか盗んだ品々の隠し場所や流した先、ゴーレムの工房場所などの口を割ろうとしない。
魔法で精神の操作をしたり、強引に体に聞いたりしたが頑として喋らずにだんまりだ。
なかなか情報を引き出せずに弱った陸士一同から一人、手が挙がる。

「私に任せてくれませんか?」

ギンガ・ナカジマである。
ジェイル・スカリエッティ事件での損傷もすっかり治ってばっちりキュートなお姉ちゃんだ。
上からやれるだけやってみなさい、と一任される事になり一つ頼み事をギンガはする。
すなわち妹をこちらに召喚してほしいと言うのだ。
これは山火事の被害小さくするためにディバインバスターぶち込んで山を欠けさせた妹がやってきてからの話になる。
344タピオカ:2008/08/03(日) 04:13:05 ID:dJmw/J9q


「……ぅ」

ジ・ヤームが目覚めると取調室らしき密室。そして自分は素っ裸で椅子に座らされているではないか。
両手両足はバインドで縛られている癖に、やたら強烈に自分の魔力は制限されている。これではバインドを破る事は出来まい。
そして寝ぼけ眼が青っぽい人を見た。
僕らの無敵鋼人お姉ちゃんギンガである。

「おはようございます」
「おはよう」
「はじめまして、ギンガ・ナカジマ陸曹です」
「ジ・ヤーム工場長です」
「気分はどうですか?」
「全裸って気持いいものだな」
「でしょう? 私もお風呂上がりはもっぱら何も着ずにいるんです」
「よさそうだな、それ」
「良いものですよ。社会復帰出来たら是非どうぞ」
「社会復帰出来るかどうかが問題だ」
「「HAHAHAHAHAHAHAHA」」

程よく和やかに談笑していればもう一人やってきた。僕らの無敵超人へそ娘スバルである。

「うわ、全裸」
「ザ・ダンディでおなじみのジ・ヤームです」
「はじめまして、スバル・ナカジマ一等陸士です」
「あ、妹さん?」
「そうです、災害救助をしているんですけど、今回ジ・ヤームさんがなかなか口を割ってくれないので来てもらいました」
「それは俺なんかのためにわざわざどうも」
「もう全部服脱がすなんて……ギン姉本気だね」
「本気なのか?」
「本気です」

凛々しい顔立ちのくせににっこりすれば何とも可憐なギンガの笑顔。
思わずジ・ヤームもこれにはにっこり。
スバルもにっこりしてから、うわぁ搾り取る気満々だなぁ、と思った。

「うわぁ搾り取る気満々だなぁ」
「何を?」
「えーっと……情報?」
「あ、俺、拷問されるの?」
「はい、そうです」
「でも俺、これでも結構痛いの大丈夫だぞ」
「知ってます。ですので妹も呼びました」
「はぁ、色じかけか? 是非お願いします」

ぬぎぬぎ。

「ぬぎぬぎとな」
「ジ・ヤームさんこっちを見ないでくださいね」
「言うの遅いです」
345タピオカ:2008/08/03(日) 04:13:59 ID:dJmw/J9q
まるで脈絡なく制服を脱衣し始めるナカジマ姉妹に、素っ裸で縛られてるジ・ヤームの血液がどんどん股間に集中してしまう。
2人そろって実に健康的に伸びた美しい四肢だった。やや痩せているのだが出るところ出てまたそれが情欲に火をつける。
下着もなくして一糸纏わぬ姿となればふるふると揺れる胸。
太ももは女性的な丸みを帯びて適度に弾力ありそうな瑞々しさだわ、
お尻も肉付き良くむっちりと揉みごたえありそうだわでたまらん事ですよこれは。
惜しげなくそんな裸身をさらされてジ・ヤームのモノはもうかちかちだった。そそり立って天指す剛直がビクンと奮えた。

「わ、ジ・ヤームさんの結構おっきい」
「太くて長くて立派ですね」
「ここは天国か」
「取調室です」

よいしょ、とジ・ヤームを少し抱き上げてギンガが椅子に座る。そんな腰掛けるギンガの長く綺麗な足の上にジ・ヤームが座る格好。
全裸同士が密着して背中におっぱい当たったり、座ってる太ももがぷにぷに気持ち良かったり良い匂いがしたりともう辛抱たまらん。
幸せ全開のジ・ヤームだが、さらに両手両足縛られているからか、固定のために後ろからギンガにギュッと抱きしめられてさらに興奮してきた。

「これ本当に拷問?」
「始まるのはこれからなんですけど……えーっと、洗いざらい蓄えた強盗品の場所とかしゃべってくれません?」
「しゃべるとこのサービス終わるの?」
「終わります」
「ならしゃべるはずないだろ。常識的に考えて」
「ですよねぇ……じゃあスバル、お願いね」
「うん……だけど、あの、ジ・ヤームさん、今のうちにしゃべってくれません?」
「これでしゃべると男はいないだろ」
「ですよねぇ……」

よいしょ、とギンガの上に座るジ・ヤームにスバルがのっかかる。ジ・ヤームと向き合う格好だ。
椅子に座ったギンガの上にジ・ヤームが座り、そのジ・ヤームをスバルが前から抱擁する。
後門ギンガの前門スバルである。
姉妹の胸にはさまれて、2人から一緒くたに抱きしめられてもうとろけそうな気分だ。
熱々に充血した股間の一物もスバルの茂みに軽く触れてくすぐったそうに何度も跳ねた。

「じゃ、行きますよ……っと!」

より深くジ・ヤームにスバルが寄れば女陰に男根がすっぽり収まる。

「うわ」

生暖かいスバルの膣内に包み込まれて締め付けられて、ジ・ヤームの身が強張る。
後ろからギンガに抱きしめられて固定されているが、少し不安定だ。スバルが両足でジ・ヤームをカニばさみするに至ってようやく落ち着いた。

「気持いい……けど、これからどうなるんだ?」

まだ濡れ足りなくてきつい感触だが、異物を外に押し出そうとする膣内の窮屈さがジ・ヤームの股間に強い快感だった。
スバルががっちり両足でジ・ヤームの体をはさみこんでるおかげで、男根抜ける事無く律動的に膣内が締まる緩むを繰り返す。

「えっと、こうなります」

スバルが掌をお腹にあてた。丹田の辺りである。丁度、この奥でぎっちりとジ・ヤームの大きな男根に貫かれてるわけだ。
極々小さなテンプレートが現れた。それはまるで魔法陣。しかし明らかに違うものだ。
346タピオカ:2008/08/03(日) 04:14:45 ID:dJmw/J9q
「?」

ジ・ヤームが不思議そうにスバルの腰回りを取り囲むテンプレートを見てると、

「おおおッ! ッ! あああおおッッッ!!」

スバルの膣内に強烈な振動が加わった。暴力的に男根を握りしめられて扱きあげられた錯覚。
竿の全ての部位をまんべんなく揉みしだかれた気分だ―――いや、実際そうなのだろう。
己の男根をすべて飲みこんだこの膣内全体で振動してこね回してくるようなものだ。
気の遠くなりそうな快感に何度も体が跳ねて弓なりになるが、ギンガがしっかり抱きしめて離さない。
射精に至りそうなほどジ・ヤームが昂り始めたころ、ピタリと振動が止まる。
顔真っ赤いして肩で息するジ・ヤームが真正面のスバルの目を見た。

「寸止めの拷問か……」
「そうです。しゃべってくれればきちんと最後まで」
「……いえ、しゃべりませんとも。お願い、続けて」
「早めにしゃべったほうが、あの、ギン姉が 「スバル」

言葉を遮ってギンガが続けろと催促してくる。
少し首を動かして横目でギンガの顔を見やれば、笑顔だった。笑ってるが……不吉な予感がしてしまう。

「!!? おおおおあああがあああッ!!」

そんな予感もスバルに食べられた男根が強烈な振動に見舞われる事で中断する。
さっきよりも弱いバイブレーションだが一度射精しかけた手前、再び絶頂付近に到達するの時間が早めだ。
きゅっと尻がすぼんで射精しそうになれば―――また止まる。
もっと、もっと、とジ・ヤームの男根がスバルのぷりぷりした膣内で元気よく上下しようとするがまるでギチリと締め付けられて動かない。

「しゃべりますか?」
「……しゃ、しゃべらん」
「スバル、続けて」

そんなこんなで時間が経つ。



「痛い痛い痛い痛い………」
「ギ、ギン姉、これもう無理じゃないかな」

射精寸前→ストップを繰り返し、精液が出ようとしたり逆流したりの数時間。
開始とまったく同等の格好をしたままだがジ・ヤームに限界が訪れようとしていた。
汗びっしょりでジ・ヤームがぐったりしてた。ぶつぶつぶつと寸止めくらいまくった男根の痛みを訴える。
付け根のあたりに精液が噴火寸前で溜まりに溜まって激痛だ。

「えーっと、何度も聞きますけど、しゃべります?」
「………」

ジ・ヤームの目が泳ぐ。
それが前方から見つめてくるスバルの「もうしゃべってよ」と語る表情を見てぐっと決意をした。
意地がある。男して、ここまで弄られておめおめと吐露できるのか?
否。断じて否である!
―――これがもし後ろのギンガを見ていれば、もしかすると未来が変わったかもしれなかったが……

「しゃべるか小娘!! 機動パン工場「パンデモニウム」のマスターを舐めるな!」
「分かりました」

涼やかなギンガの声音がジ・ヤームの耳元に吹きかけられた。
爽やかだったギンガの吐息に、ここで初めて熱帯びる。
何か、決定的に自分が間違っちゃったかなぁ、と。
347タピオカ:2008/08/03(日) 04:15:44 ID:dJmw/J9q
ギンガの右手が自分の股間に行った。
ジ・ヤームには見えないが、陰核の包皮をむいたのだ。

「ん…」

桃色のお豆さんがむき出しになり、艶やかなギンガの声。
自分でその陰核をしごき始めれば、ビキ、ビキキ、と何かが蠢く音。それは殻を破って飛び出そうとする音にも聞こえた。
いよいよ音が臨界点っぽく響くのに、ジ・ヤームがびっしょりの汗の上にさらに冷や汗を流す。

「あの、ごめんなさい、やっぱり洗いざ 「聞こえなぁい」

ジ・ヤームのお尻の穴に一直線にナニかが侵入してきた。

「アッー!」

ナニか?
ドリルである。
ジ・ヤームの菊門に無理なく入る、スッポリサイズ。しかもぬらぬら濡れているのはギンガの愛液だろうか?
長さ太さをギンガが自由にできるわやらしい液体でぬるぬるしてるわでとんでもない凶器である。
マリーが除去作業中に「これ股間から出てきたら笑えるよね」と話しかけてきたので、ノリで「笑える笑える」と談笑してたら本当に出てきたと言う。
なのでこれの最初の犠牲者はマリーであるのだが、結構クセになってると言う。ギンガもマリーも。
嫌な汗びっしりかきながら硬直。寒さ以外の原因で歯の根あわないままジ・ヤームの頭の中は降参一色。

「ごめんなさい、すみませんでした、もうしませんのでお願いですから抜 「スバル」
「はいはい」

口にギンガの下着突っ込まれた。もう何の意思も届くまい。むーむーわめくだけ。
あ、ちょっとしょっぱい、とかジ・ヤームが呟くけどそれも音になる事はなかった。

「ごももっご!」
「え、『ギブアップ』って?」

翻訳スバル。意思が届いた。しかしギンガは首を縦に振らない。

「私には『このくらい全然大した事ない』って聞こえたわ。それが正解よ。流石ジ・ヤームさんですね」
「ごもおおおお!」
「じゃ、スバルお願い」
「はいはい」

振動が再開されるわけだが、寸止めする気零のフルドライブだった。
348タピオカ:2008/08/03(日) 04:16:23 ID:dJmw/J9q
「ーーッ! ッ!」

長い時間挿入していたスバルの膣内はもはやとろとろ。最高の柔らかさで男根を包み込むと同時に激しく揉みしだく。
搾り取るように男根を振動でしごきあげれば、ようやくジ・ヤームは射精にいたった。
溜まりに溜まった子種の噴出に尿道が痛むが、それ以上に開放された快感に一時、全身が緊張する。
ドクン、ドクン、と拍子をつけてポンプのように白濁がスバルの中に吐き出されていけば、ある所でジ・ヤームが弛緩していく。
視界の端で火花が散ったりしてる。四肢が勝手に震える。そして、お尻の穴もまた緩んでしまうのだった。
そこを、

「もごおおおおおおおおおおおおおおおお!?」

ギンガのドリルが回転し始める。
腸内かき混ぜられる気味の悪い初めての感触に、逃げようと腰浮かせるがもちろん抱擁で固定された。
先っぽが丸みを帯びたドリルだが、腸壁こそぎ落としてしまいそうな回転で容赦なく蹂躙する。
痛い。痛いけどもむずがゆい。
気持いい?
と思ってすぐにジ・ヤームは首を振って逃げようとする。やはり出る場所から入ってくる感触がおぞましいのだ。

「おごおおお! もごごご! もごごご!」
「えーっと、『助けて。止めて』だって」
「もう、違うでしょ、スバル。『こんなもの効かない、やっても無駄だ』って言ってるのよ」
「んもごおおおお!!」

膣内で男根引っこ抜かれるかと思うほど苛烈に揉まれに揉まれ、蛇口をひねったように精液吐き出し続け、
肛門のドリルで焼け付くような奇妙な感覚に襲われる。

やがて、痙攣するだけでジ・ヤームの射精が終わってしまう。
振動は続いている。ドリルも刺さったままだ。

「あ、ギン姉、萎えてきちゃった」
「ジ・ヤームさん、妹の膣内では射精できないって言うんですか?」
「むごおおお……もごごご…」
「『ごめんなさい、たすけて』だって」
「そう、『お前の妹なんてガバガバで気持ち良くない』…ですか。失礼ですね」
「ギン姉が失礼だよ!?」
「そう言う事言うジ・ヤームさんは、こうです」

ドリルが逆回転し始めた。しかも、明らかにドリルが大きくなってた。丸み帯びた先端が腸壁を押す力が強くなっている。
肛門括約筋がさらに伸びるが思いのほかほぐれててむしろ適度なフィット感。
しかもドリルがえぐるのは腸壁隔てた膀胱の向こう側。前立腺である。

「もぎゃあああああああああああああああああああああッ!!」
「元気になってきた」

断末魔じみた悲鳴。男の証明を屹立させられるジ・ヤームが暴れようとするが、やっぱりギンガに抱きしめられて動けない。
最終的に指先が伸びきって小刻みに奮えるだけで一切動かなくなってしまう。
振動で強制的に射精をさせられ続け、しかもギンガのドリルでしぼんでしまう事も禁止される。
脳みそとろけそうになりながら、視界が明るくなったり暗くなったりを繰り返してジ・ヤームが失神。
スバルの中から溢れ出た精子にくわえ、さらに小水まで放出してしまう。後ろはハマッてるから出ませんでした。

「朝ですよ」

で、無理やり起こされて天国で地獄におかえりなさい。
結局ギンガが飽きるまでジ・ヤームは6度ぐらい失神するが、洗いざらいしゃべれる体力戻るまで時間かかったそうな。



349タピオカ:2008/08/03(日) 04:16:49 ID:dJmw/J9q
終わりです。
350名無しさん@ピンキー:2008/08/03(日) 04:27:15 ID:DdLpOvfy
>>349
GJ! やっべえ、何だこのノリwww 名前で微笑み「かりかり!」で噴き出し「ですよねぇ」で堪えきれず大・爆・笑www
351名無しさん@ピンキー:2008/08/03(日) 04:58:43 ID:a9bdkoCm
>>337
GJ!!!まさかここに来てかつての機動6課メンバー集結とは…やってくれるぜ。
個人的には互いに大切な人の命を背負う立場通しとしてエリオとの一騎打ちで勝負をつける展開もよかったが、
よくよく考えれば、ルー達が何もせずに残りの展開を傍観しているのも変だと気付いた俺…
改めてB・A氏の才能に感服。なるべく早めの御戻りを期待してる!
352名無しさん@ピンキー:2008/08/03(日) 08:33:50 ID:8OFSk9gt
>>349
ギン姉どうしたよw
こういうノリもたまにゃいいなGJ!
353名無しさん@ピンキー:2008/08/03(日) 09:21:33 ID:ggZtZXu0
ところで、クロノの子供もリーゼ姉妹に師事したりしないかね
そして親子二代でリーゼ姉妹に(性的に)食われる
354名無しさん@ピンキー:2008/08/03(日) 09:38:40 ID:p/xGgU8t
>>349
最初の一節でケロ○軍曹のアンパ○マンネタ?
と思った俺はあまりにも甘すぎたようで。

……ちょっと、次元犯罪犯してギン姉に捕まってくる。
355名無しさん@ピンキー:2008/08/03(日) 09:39:34 ID:LVHy9oSh
>>353
リーゼ達がまだ存在してるかどうかが不明だしなぁ。
グレアムおぢさんが死んでたら消えてるだろうし。
それにクロノ自身、どういう教育方針だったかよく分かってるはずだから、そんな無茶させられるかとか言って預けないかも。
356名無しさん@ピンキー:2008/08/03(日) 09:44:27 ID:jGCQ5ORN
>>349
GJ、ギャグとしてもエロとしてもGJ
膣振動に耐え続けるジャムおじさんに共感しすぎて「ガンバレ!」と応援したくなったよ
357名無しさん@ピンキー:2008/08/03(日) 11:51:50 ID:EIrOysFp
なんというバカエロwwww

GJです!!
358ておあー:2008/08/03(日) 16:27:37 ID:6Gkx0edT
>>349
ひどいなあ……本当にひどいなあ(褒め言葉)
GJとしか言いようがないw

前回レス下さった方、ありがとうございました。
最近夜台所に行くとほぼ必ずといっていいほど奴らに遭遇するのでつい書いてしまった小ネタを投下します。
つっても気がつくと20kb弱に膨れ上がっていたんですが……

今回の注意

・非エロ
・ギャグ。パロネタ多量、一部のキャラ崩れが酷い、捏造もあり。ある意味最低SS
・時期は三期のどこか或いはその後
・何組かカプってます
・黒くて速くて頭文字Gなあの虫ネタです。苦手な人は要注意

タイトルは『フォワード陣と台所の黒い悪魔達なの』です。
359フォワード陣と台所の黒い悪魔達なの:2008/08/03(日) 16:28:22 ID:6Gkx0edT
1.


「きゃああー!」

「うええっ!?」
「どうしたの、アルト!?」

 夜の休憩所に突如響き渡ったアルト・クラエッタの悲鳴。
 彼女と一緒にかなり遅めのティータイムを楽しんでいたスバル・ナカジマとルキノ・リリエは何が起こったのかと
椅子から飛び上がった。

「あ、あ、あれ……」
「アレ?」
 
 震える指で壁の一角を指すアルト、その先に視線を移したスバルは白塗りの壁に見慣れない黒い染みを見つける。

「あんなとこに汚れなんかあっ……た……」

 言い終わる前に、戦闘機人の優秀な眼が染みにフォーカスする。
 焦点が合った瞬間、その正体に気づいたスバルも悲鳴を上げた。

「いやああー! ゴ、ゴ、ゴキブリっ!!」
「ど、どうしよどうしよっ! スバル、魔法でババーンとやっつけちゃってよお〜!!」
「そ、そんなの無理だよお〜! 私、ムシとか全然ダメだもんっ!!」

 攻防両面で高い能力を誇る優秀なフロントアタッカーも、黒い悪魔の前ではただの女の子である。
 ていうか間違っても殴らないでください。お母さんの形見が泣きます。あと部隊長も泣きます。穴開いた壁見て。



《Sonic Move》(※音声はイメージです)

 

「あああああぁ! 動いた、動いたよお〜!!」
「アアアアルト、声出したらダメっ、向こうに気づかれちゃうからあ!!」
360フォワード陣と台所の黒い悪魔達なの:2008/08/03(日) 16:29:10 ID:6Gkx0edT
「あああああぁ! 動いた、動いたよお〜!!」
「アアアアルト、声出したらダメっ、向こうに気づかれちゃうからあ!!」

 どう考えても気づかれてます、本当にありがとうございました。
 それでも黒い悪魔はイタズラごころがわくわくしてますと言わんばかりに壁面を動き回る。その姿はまるで、絶対に
手出しされる危険は無いと分かっているかのような傍若無人ぶりである。だが事実アルトとスバルは完全に硬直し、目に涙を
浮かべ悪夢よ早く覚めてと抱きあっていた。

「……もう、しょうがないなあ」

 溜息とともに氷結魔法、じゃなくてスリッパが閃く。

「はっ!」

 不意にスバル達の横を駆け抜け黒い悪魔に叩き込まれたその通信士兼事務員の一撃は、まるで熟練のベルカ騎士の
武技のように美しかった。たぶん。少なくとも二人にはそう見えた。

「ル、ルギノォ……」
「ルキノさぁん……」
「全く、二人ともちょっと情けなさすぎるよ。特にアルトはともかくスバルは任務で下水道とか廃棄都市区画に行く機会も
あるわけだし、ゴキブリぐらいで怖がってちゃダメでしょ」

 重ねたティッシュで後始末をしながらルキノが二人にスーパーお説教タイムを発動する。
 ようやく平静を取り戻したスバルは恥ずかしそうに頬を染めながら頭を掻く。

「そ、そうなんですけど……でもあたし、ゴキブリだけはホントにダメなんです。実は昔家にゴキブリが出た時、母さんが
叩こうとしたゴキブリがあたしに向かって飛んできて……」
「あー止めて、聞いただけで身震いするー!」

 アルトが両耳を押さえてその場でグルグル回転する。

「顔に止まったゴキブリを、母さんが裏拳で叩き潰して……」

 アルトの回転が止まった。ルキノも苦笑気味の笑顔を浮かべたまましばらく行動停止する。

「えっと、スバル」
「なんですか?」
「スバルのお母さんって、確か……」
「あたしと同じ、ベルカ式の魔導師です。まだ私が小さい頃に亡くなりましたけど、バリバリの格闘型で今の私やギン姉より
全然強くて」
「……スバル、よく生きてたね」
「私、頑丈ですから……」

 そう言うスバルの瞳は若干濁っていた。

「それじゃ、もしかしてアルトもゴキブリでトラウマになるような経験が……アルト?」
「……気絶してますねえ」
「立ったままね……ていうか器用だなあ」

 とりあえずアルトを椅子に座らせ、スバルとルキノがティータイムを再開する。

「でもルキノさん、ゴキブリ全然怖くないんですねえ。グリフィスさんが居ない時でも、今みたいに一人で退治してるんですか?」
「居ない時、っていうか居ても私が叩いてるけどね。あの人、ああ見えて虫とか蜘蛛の類は全くダメだから」
「ええー、ホントですかー……」

 数分後、アルトが目を覚ました時にはいつの間にかグリフィスに関するルキノの愚痴大会が開催されていたという。

361フォワード陣と台所の黒い悪魔達なの:2008/08/03(日) 16:29:51 ID:6Gkx0edT
2.

「あの、ヴァイスさん……」
「バカ、話しかけるんじゃねえ。狙撃ってのは集中力が大事なんだ。僅か一ミリ照準がずれただけで、標的に届く頃には
数センチ、数十センチなんてとんでもねえ誤差が生まれちまう。だから俺は引き金を引く時は慎重に慎重を期して……」


 パシィン。


「……あ」
「モタモタしてたら逃げられちゃうじゃないですか。ていうか部屋の中でゴキブリ相手にストームレイダーを起動させるのは
止めてくださいよ。ストームレイダーもそう思うでしょ?」
《I think so.(そうですね)》


 ヴァイス・グランセニックの部屋。
 第97管理外世界の日本でいう六畳くらいの部屋で行われていた狙撃手と黒い悪魔の静かなる攻防は、いい加減飽きてきた
狙撃手の恋人の介入によっていともあっさりと終戦を迎えた。

「へ、お前らはそんな事言うがな……スリッパで叩くっつう事は壁やスリッパに潰されたゴキブリの一部が汚れとして
残っちまう可能性があるって事だぞ。ここに住んでるわけじゃねえお前は部屋を出りゃそれで終わりかもしれねえが、
この部屋に住んでる俺は毎日ゴキブリの一部を見ながら生活せにゃならなくなるかもしれねえんだ。とてもじゃねえがそんな
真似出来ねえっての」
「すぐにティッシュとかで拭いたらそんなに跡は残りませんよ」

 ていうかちっさいですね、アレはともかく……と言う代わりにティアナ・ランスターは至極現実的な意見を述べてみる。
そもそもこの恋人はそこまで潔癖症という訳でも無い筈だが。むしろ自分がしばらく掃除に来ないとコンビニ弁当の空き箱が
タワーを形成したりしているのだが。

「もしかしてゴキブリが怖いんですか?」
「ハァ? 女子供じゃあるまいし、んな訳ねえに決まってんだろ」

 ティアナのセリフに彼が反応するまでの時間、約0.2秒。
 言葉が脳に届くまでの時間とか色々考慮すると驚異的な反応速度である。スナイパーを廃業して高町家に伝わる武術とか
学んだ方がいいかもしれない。多分反応が速いのは別の理由だろうけど。

「だって明らかにおかしいじゃないですか。普通ゴキブリを見かけたらスリッパかその辺の新聞紙とか丸めて……」

 新聞紙が無い。もしかしてミッドってそういうの全部電子書籍だったりするのか? 流石文明レベルが高いだけある。
エコロジー万歳……じゃなくて。
362フォワード陣と台所の黒い悪魔達なの:2008/08/03(日) 16:31:33 ID:6Gkx0edT
「新聞紙がないならその辺の雑誌とか……あ!」
「あ、おい!!」

 積んであった雑誌の山にティアナの手が触れ、ジェ○ガの終盤戦みたいな状態だった山が一気に崩れる。


 バイク雑誌の中に混じって、パッツンパッツンのブロンドお姉ちゃんが真々・ソニックフォーム的な衣装で
表紙を飾っているものがあった。
 パラパラと捲ると、ソニックどころか完全にジャケットがパージされている。袋綴じもしっかりパージされている。

「……」 
「ま、待てティアナ。それは入院中に誰かが勝手に枕元に置いて行ったモンでだな、勿論捨てようかとも思ったんだが
やっぱりそこは持って来てくれた奴に悪いっつうか、乙女座の俺にはセンチメンタリズムな運命を感じられずには
いられなかったと言うか……」
「つまり、持って帰って来たんですね」
「いやだから」
「持って帰ったんですね」
「……はい」

 その日、黒い悪魔が原因で一組のカップルが破局の危機を迎えたという。
 別に浮気をしたとかそんなのではないのだが……


「どうして嘘をつくのカナ? カナ?」
「ちっきしょお、このオチもう何度目だよおおおおおぉぉー!?」




 ちなみに、ヴァイスが件の雑誌のお持ち帰りぃ〜を決定したのは表紙のブロンド娘ではなく巻末の『お兄ちゃん、私貴方の
事が……ロリロリ妹大集合!!』の存在に心奪われたからである。

363フォワード陣と台所の黒い悪魔達なの:2008/08/03(日) 16:32:07 ID:6Gkx0edT
3.

 常人を超える鋭敏な感覚が少年を眠りの世界から現実へと引き戻す。
 目を開いた瞬間そこにあったのは、窓から差し込む月明かりに照らされて揺れる黒い悪魔の触覚だった。


「う、うわあああぁっ!?」

「エリオくんっ!?」
「きゅくるー!?」

 真上で眠っていたパートナーの突然の叫び声に、二段ベッドの下から慌ててキャロ・ル・ルシエと飛竜フリードリヒが
飛び出す。急いで明かりをつけ彼のベッドに通じる梯子に手をかけた時、二度目の叫び声が上がった。

「うわあっ、あ、ああっ!!」
「エリオくん! どうしたの!?」 

 さほど段数も多くない梯子を登れば、すぐに彼の姿を視界に捉えた。

「落ち着いてエリオくん! 何があったの!!」
「あ、や、止めて! お願いだから助けてえっ!!」
「エリオくん!!」

 半狂乱の彼は見えない何かから逃れるように、パジャマ代わりに着ている自分のシャツを引き裂こうとする。
普段の穏やかな彼とは明らかに違うその姿にキャロが混乱していると、その裾から何か黒い物体が飛び出した。

「ゴキブリ……?」

 自然保護隊での生活が長かった事もあって、キャロは女の子らしい外見からは想像できないほどこの手のものに
対する耐性が強い。
 シーツの上を走るゴキブリを素早い動きで手掴み、そのまま顔に近づけて観察する。

「特に変わった種類ってわけじゃない……ミッドならどんな場所でもいるゴキブリだけど……」

 一応特殊な病原菌を持っている可能性も考慮して、小型の簡易結界を張ってその中に放り込む。JS事件後、暇を見て
シャマルから色々と教わっていたが、まさかこんな場面で役立つとは思わなかった。 

「……エリオくん」

 とりあえずゴキブリに関しては一旦放置し、キャロはパートナーに再度声をかける。

「はぁ、はぁ……キャロ……ごめん」

 ようやく少し冷静さを取り戻したエリオ・モンディアルは、まるでこの世の終わりのような顔をしていた。


          ◆

364フォワード陣と台所の黒い悪魔達なの:2008/08/03(日) 16:32:49 ID:6Gkx0edT
「……という事が、この前あったんだ」
「それを聞いて、いったい私はどうすればいいの?」

 全身から負のオーラがだだ漏れのエリオに対して、ルーテシア・アルピーノの表情からは嫉妬とかやり場の無い怒りとか
また彼とは別ベクトルの負のオーラが迸っている。
 母親メガーヌと共に暮らすようになってからルーテシアには急激に感情が生まれ、同時に口も悪くなったと関係者の間では
もっぱらの評判である。もっとも彼女の場合、元からド直球な物言いが口数の少なさに隠れていただけなのだが。
 
「エリオはわざわざ私に自分の情けなさをアピールする為だけにここに来たの?」

 ただし、無表情だった顔に表情がついただけでもイメージはグンと変わる。どこか不機嫌そうな口調に、これまた
不機嫌そうな表情がプラスされたルーテシアのセリフに、エリオは何度も"orz"状態になりそうになっていた。

(違う……こんな事を言いたい訳じゃない。何やってるのよ私、これはエリオをキャロから引き剥がすチャンスなのよ)

 一方のルーテシアもまた、自分の本当に素直な気持ちとなるとなかなか口に出せずにいた。
 何だかよく分からないけど落ち込んでいるらしいエリオを優しく励ます→優しいルーテシアにエリオはメロメロという
メガーヌ直伝の完璧すぎて吹きそうなプランもこれではブチ壊しである。ただでさえキャロには『同じ部隊にいる』という
アドバンテージがあるのにこういう場面でそれを埋めないで、どうして彼をゲット出来るというのか。 

「ていうか、どうしてそんなに虫が苦手なの?」

 ルーテシアは話題を変えるべく、最も気になっていた事について聞いてみた。
 虫を召喚・使役している身にとっては、想いを寄せる相手が虫嫌いというのは由々しき問題である。どうにかして解決
しないと付き合うも何もあったものではない。

「別に、虫そのものが嫌いな訳じゃないんだ。夏頃にシーツに使う写真を撮影する時も僕はフリードと一緒に虫取りに
行ってたし」

 シーツ? 写真? 何の事です? あとチビ竜私と変わりなさい。代わりにガリューを渡すから。今なら漏れなく地雷王も
ついてくるし。

「ただ……"暗闇"とゴキブリみたいな"虫"が組み合わされると、どうしようもなく怖くなるんだ。研究施設に軟禁されていた
時の記憶が蘇ってきて……」
「エリオ……」

 海上隔離施設で何度か面会した時、ルーテシアはエリオの過去についても少し聞いている。
 『プロジェクトF』の技術で亡くなったエリオ・モンディアルのクローンとして生み出されたエリオは、幼い頃両親と
引き離され数年間ある組織の研究施設で監禁されていた事があった。施設にいた頃は非人道的な扱いを受けていたという。
きっと色々と酷い実験もされたのだろう。あんな事やこんな事も……ハァハァ……ゲフンゲフン。許せない。
 あの組織やクローンのエリオを作成した人物はどうなったのだろうか。もしのうのうと暮らしているのであれば絶対に
許さない。次元世界の果てまでも追い詰め絶対に(自主規制)してやる。むしろ四期はエリオと私が主役のそんな話で
どうですか都築先生。私姉キャラからロリ、クール系、ツンデレまで一人でこなせてお得です。
365フォワード陣と台所の黒い悪魔達なの:2008/08/03(日) 16:33:25 ID:6Gkx0edT
「……ルー? ルー?」
「スミマセン、聞イテマセンデシタ」
「なんで片言になるの? ていうかちゃんと聞いてよ……」
「ご、ごめん(あああ私の馬鹿、なんで素直に言っちゃうのよ)」

 ルーテシア、順調に天然ボケからボケキャラへ移行中である。

「とにかく……僕はこんな自分を変えたいんだ。ルー、虫が苦手な体質を克服する為に、力を貸してほしい」
「……分かった。魔力はだいぶ減っちゃったけど、私に出来る事なら何でもするから」

 何でもする。
 ルーテシア会心の一撃である。
 メガーヌ曰く、この一言をぶつけられて揺らがない男は存在しないという魔法の言葉である。このセリフがなければ
ルーテシアは生まれなかったらしい……チンクも言ったのだろうか?
 まあそれはともかく、彼女のその言葉を受けたエリオは――

「ありがとう、ルー。僕頑張るよ。自分の為に……それから、キャロの為に」



 あれ?

 おかしいな、どうしちゃったのかな。


「エリオ?」
「ん? どうしたのルー?」
「なんで……そこでキャロの名前が出てくるの」
「え、あ、え……」


 口籠るエリオの姿を見た瞬間、ルーテシアは女の勘で確信した。


 ――このままでは、自分は確実に負ける。

366フォワード陣と台所の黒い悪魔達なの:2008/08/03(日) 16:33:58 ID:6Gkx0edT
 何故だ。
 自分と彼女と何が違う。

 三期では数少ないロリ担当。
 男心をくすぐる召喚獣達。
 中の人は両方とも一期からの続投組。
 どこを取っても同じでは無いか。 
 それとも、やはり男は遠くより近くの女を選ぶ生き物なのか……ラ○ダーより薔薇○晶を選んだ自分の父のように。

 ルーテシアの中で紅蓮の炎が燃え上がった。 


「エリオ、今すぐ特訓を始めるから表へ出て」
「あ、ちょっと、ルー……」

 ルーテシアはエリオの返事を待たずに部屋を出る。
 背後でエリオがバタバタと立ち上がる気配があった。


(エリオ……虫が好きになりたいなら、徹底的に好きにしてあげる。虫無しじゃ生きていけなくなるぐらいまで)

 とりあえずガリューに後ろを掘らせてみようか。
 二つしか無い初めての一つをガリューに譲るのは勿体ないが、まあ自分はそっちに入れられるモノが無いし。

 とても十歳やそこらの思考回路とは思えないアイデアを、頭の中で次々に組み上げていくルーテシア。


 この後エリオを巡って繰り広げられるキャロとルーテシアの闘いは、彼女達の関係者から"聖戦"ならぬ"性戦"として永く
語り継がれる事になる。


          ◆


『うおっ!?』
「あら、どうしたのガリュー? 風邪でも引いた?」
『どうスかね。ただ、妙な寒気が……メガさん、人間用の風邪薬って俺にも効きますかね?』

367フォワード陣と台所の黒い悪魔達なの:2008/08/03(日) 16:34:30 ID:6Gkx0edT
4.(おまけ)


「きゃあっ!」

 陸士108部隊の隊舎に可愛らしい悲鳴が響き渡る。
 忙しく走り回っていた隊員たちが、何事かと足を止めて声のした方に視線を向けた。

「どうしたんだ、ギンガ?」
「お父さん、アレ、あそこの床!!」

 娘のゲンヤ・ナカジマに言われゲンヤ・ナカジマが目をやると、果たしてそこには黒光りする体を持つ悪魔が居た。

「なんだ、ただのゴキブリじゃねえか」
「だ、だって私とスバルがゴキブリダメなの知ってるでしょう!? 何とかしてください……!」

 自分の胸に顔を埋めるギンガを見ながら、ゲンヤはしょうがねえなあと苦笑いを浮かべる。

「わーったわーった、ちっと叩いてくるからとりあえず離れてくれ」
「いえ、ナカジマ三佐の手を煩わせるまでもありません。縛れ、鋼の軛! てぇえいやアァッ!!」

 渋い声と共にゴキブリのいる床から白い刃が伸び、ゴキブリの体を串刺しにする。

「……いや、その精密さにゃ恐れいるが……屋内で使うな。危なっかしくてしょうがねえぜ、ザフィーラ」
「申し訳ありません」

 名を呼ばれた蒼い狼が頭を垂れる。
 本来は八神はやてに仕えるこの守護獣は、最近縁あって108部隊の事件捜査に協力する機会が増えていた。
 ザフィーラとしても自分の事をよく知る――喋るマユゲ犬を見ても驚かない者達ばかりのこの部隊が居心地が
よいらしい。何だかんだで、気がつけばすっかり部隊に馴染んでいた。今ではこうやって、つい屋内で魔法を
使っちゃうくらいである。


「おい、もう終わったぞギンガ。ザフィーラが退治してくれた」
「……へ?」

 顔を上げたギンガが串刺しのゴキブリとザフィーラの顔をしばらく見比べた後、歓喜の声を上げる。
368フォワード陣と台所の黒い悪魔達なの:2008/08/03(日) 16:35:04 ID:6Gkx0edT
「あ、ありがとうございます! ザフィーラさん!!」
「大した事ではな……」
「一発であのゴキブリに命中させたんですか? あんなに動きが素早いのに? 何かコツがあるんですか?」
「相手の呼吸を読めば自ずと……」
「私にも出来るようになるでしょうか? 私精密な動きっていうのが今一苦手で……」
「……」


 トーキングモードを発動させながら、何故か同時にザフィーラをモフりまくるギンガ。
 ザフィーラ的には返答のタイミングが掴めないので内心困っているのだが、そんな彼の苦悩には気づく事なく、ただ羨望の
眼差しでその光景を見つめる男がいた。


 ――数日後。


「きゃああー!!」
「なんだギンガ、うるせえぞ」
「だ、だって、あそこにまた……!!」

 またか。まあ、この隊舎も結構ガタが来てるからなあ。
 ゲンヤはこきりと首を鳴らすと、迷わず用心棒に御出で願う事にした。

「あー、ザフィーラ。悪いがまた一丁……」


「ちょっと待ったああぁっ!!」
「あん?」

 直後、一つの影が立ち上がり見栄を切り出す。

「因果も定めも突破して! 俺の叫びよギンガに響け! 脇役突破! ラッド・カルタアァァス!! ここは俺に任せて
くださいナカジマ部隊長!!」
「……どうする」
「誰が倒しても同じ事です。彼がやりたいというのであれば任せればいいかと」
「だそうだ」
「お任せください!!」

 カルタスは自信満々に叫ぶと、首にぶら下げた待機状態のデバイスを掴む。

「行くぞ、最後の合体だ! ブラフォード!!」
《Set up》

 光が消えると、デバイスを掴んだ右腕に巨大なドリルが装備される。
369フォワード陣と台所の黒い悪魔達なの:2008/08/03(日) 16:35:57 ID:6Gkx0edT
「カルタス二尉も魔法が使えたのですか?」
「あー、まあ俺も見るのは数年ぶりだがな。Cランク試験に十回連続で不合格になってからはてっきり魔導師としては
引退したと思ってたが……つか一度に複数作品からネタを引っ張ってくんなよ。読者が混乱するぞ」
「それだけ作品中で本人の影が薄いという事でしょう」
「違えねえ。本編でそこそこ出番がある俺は写真撮ったり手から炎出したりしねえもんな」

 ちなみにザフィーラとゲンヤが外野でギリギリの会話を繰り広げる間にもカルタスは長々と口上を述べてますがすべて
カットされてます。
 丁度会話が一段落着いた頃カルタスも向上を終えたらしく、ようやくゴキブリに向かって突進していく。
 
「ブラフォード!!」
《Let's go,friend.(行くぜ、ダチ公)》
「うおおおおおおおおおおお!!」

「デバイスにダチ呼ばわりされてるぞ、アイツ」
「それもまた一つの主従の形でしょう」

 ブラフォードのドリルが回転し、激しい唸りを上げる。

「ところで、俺ァちっとばかし嫌な予感がするんだがよ」
「私もです」


「でやああああああぁぁぁっ!!」

 

 ギュリッ

 プチッ

 ピュッ

 ピチャピチャッ



 ブラフォードのドリルは、それはもう見事にゴキブリを貫いた。
 貫いたっていうか、磨り潰して、ペースト状にして、部屋中にばら撒いた。


 当然、ゴキブリを最初に発見し、その側にいたギンガも破片をもろに食らった。

370フォワード陣と台所の黒い悪魔達なの:2008/08/03(日) 16:36:46 ID:6Gkx0edT
「……あ」
「……」
「……えと、ギンガ?」
「……」
「……おーい、ナカジマ陸曹?」


「……いいいいぃぃやああああああああああああぁぁぁーーーーっ!!!!」


「やっべえ、ギンガの奴暴走しやがった! ザフィーラ、一人で止められるか!?」
「正直彼女は強いですが……やるしかないでしょう」

 人型形態になったザフィーラがギンガを止めるべく立ち向かっていく。

「ちょ、ギンガ落ちつぐへぁ!!」

 同時に彼女を止めようとしてカルタスも駆け出すが、二人の拳舞の嵐に巻き込まれ敢え無く吹っ飛ばされた。
 この日カルタスは骨を十数本とフラグを一本、そして他の隊員達にも複数の負傷者が出る事になる。

 これが後にJS事件を差し置いて108部隊員が選ぶ『二度と思い出したくない事件ランキング』1位を獲得する地獄絵図の
幕開けだった。


5.(おまけのおまけ)


「で、108部隊をリストラされたと」
「リストラじゃない、出向だ。今まで臨時協力という立場だったのが、本格的にこっち一本で行く事になったって事だ」

 それからしばらくして海上隔離施設。
 セインの言葉にミイラ男もといラッド・カルタスが反論した。

「つーかカルタス、ホント馬鹿すぎでしょ」
「セインに言われたらおしまいだな」
「こら、なんつったノーヴェ」

 カルタスをからかっているセインとノーヴェ以外のナンバーズは、事件の発端となったブラフォードを興味深そうに
いじくっている。

「なんでっスかねえ。アタシ、このドリルには妙に心惹かれるっス。あと秘められた力が覚醒しそうな気も……」
「お前もかウェンディ。実は姉もだ」
「私も……」
「ボクも……」
「双子達もっスか? この形に何か秘密でもあるんスかねえ……?」

 顔を見合せながら思案する四人の姉妹達。
 その横ではノーヴェの蹴りがカルタスに炸裂していた。

 
 今日も、海上隔離施設は平和である。


(どうしよう……私だけ何も感じないんだけど。皆に話合わせた方がいいのかな……?)
371ておあー:2008/08/03(日) 16:38:56 ID:6Gkx0edT
以上です。お付き合いくださった方、ありがとうございました。ギン姉だってフォワードさっ!
新作のCDドラマが3期キャラ+新キャラオンリーらしいという事でこの話も一人を除いて3期からのキャラだけで
構成してみました。まだ拾えてないキャラがいっぱいいますが……ザッフィーはギンザフィフラグおめでとうという事で。

こんだけアホな話を書いたのは久しぶりだったので楽しかったですが色んなキャラのファンを怒らせそうな気がするから
戦々恐々だったりします。自由に生きるって難しいのう。
372名無しさん@ピンキー:2008/08/03(日) 17:40:52 ID:uW7w2ou7
久しぶりのGネタだな。GJ
373名無しさん@ピンキー:2008/08/03(日) 17:46:25 ID:ggZtZXu0
んーーそういえば一応、ティアナも妹キャラか
374名無しさん@ピンキー:2008/08/03(日) 19:03:31 ID:9nG4mTwf
>タピオカ氏
なんだこりゃwww
腹筋が崩壊するかと思ったが別にそうは思わなかったぜ!!
なぜなら……実用化させてもらったからSAッッ!!

もうスバル×ヤームで無問題www
と思う俺てorz


>ておあー氏
カルタス君にコレを贈ろう。
『Luck(幸運)』を!
そしてカルタスの今後にこれを持っていけ!!

 PLUCK(勇気)を!
375名無しさん@ピンキー:2008/08/03(日) 19:33:23 ID:EDqBiwuB
>>304
また、ここに来てくれる日を信じて共に待とう 同志よ。
376名無しさん@ピンキー:2008/08/03(日) 20:09:19 ID:MRAgrmkv
氏に限らず人が減ったように感じるな
みんな忙しいのかな?
37769スレ264:2008/08/03(日) 20:11:26 ID:yvBEnoBH
業務連絡です。
78スレ保管完了しました。
職人の方々は確認お願いします。
378名無しさん@ピンキー:2008/08/03(日) 20:16:56 ID:aWYzm3Ra
>>376
それでもエロパロスレとしては異様な速度だけどな
だからこそちょっと来ないだけで心配されるわけだが
379名無しさん@ピンキー:2008/08/03(日) 20:19:17 ID:JRRzIAP8
三日で埋めてた頃が懐かしいぜ
380名無しさん@ピンキー:2008/08/03(日) 20:23:34 ID:qCLofVGf
337
GJ!!
俺の大好きな燃えるこのシチュたまりません!
最後の決着つけるのは、やっぱ旧6課メンバーとヴィヴィオでないと。
これでキャロさんがエリオの第2妻となるフラグがタチマシタナ(ヲイ
381名無しさん@ピンキー:2008/08/03(日) 21:33:50 ID:Wr5gY6uo
リアルで見たことない初期の神とか帰還してくれないかな
382名無しさん@ピンキー:2008/08/03(日) 22:26:25 ID:zXOm8lYJ
神って…どなたのことを言ってるんだ?
割と初期からいるけど神なんて呼ばれてたひとそんなにいたっけか?
383名無しさん@ピンキー:2008/08/03(日) 22:51:06 ID:lbyTaQXA
>>371
相変わらず楽しいSSをGJ!ギンザフィフラグはwktkですなw

とりあえず、黒過ぎるルーから早く逃げて、エリオーーーー!!!!
384名無しさん@ピンキー:2008/08/03(日) 22:57:48 ID:heRkv5d3
>>382
ただ>>381が自分の好きな職人さんのことを神って呼んでるだけだと思うよ
385 ◆6BmcNJgox2 :2008/08/04(月) 00:30:04 ID:9SO3c8Un
超久し振りです…

・本来ならまだ途中の「Nの系譜」の続きをやらなければならない所ですが、
久々なのでリハビリを兼ねて短い話を書きます。
・スカリエッティが脱獄しようとするけど、性欲に現を抜かしたせいで失敗する話
・エロ
・レイプネタあります注意
・一応最後に反撃されますけど、レイプネタ嫌な人はスルーを。
・またなのはがスカの被害に遭いますけど、裏切り者呼ばわりはしないで下さいorz
・序盤はコメディ的だけど結末がかなり鬱っぽくなっちまいました注意!
・衝撃の鬱ENDなので余程寛容な方じゃない限りスルーした方がいいかも…
386スカリエッティ脱獄失敗♥ 1 ◆6BmcNJgox2 :2008/08/04(月) 00:31:03 ID:9SO3c8Un
JS事件の主犯、ジェイル=スカリエッティは軌道拘置所に収監されていたが…
しかし、彼は大人しく刑に服している振りをしながらも恐るべき計画を進めていた。

「ハッハッハッ! ついに完成したぞ! 腕時計型時空転移装置が!」

これが彼の恐るべき計画。彼は腐っても天才だ。こうして収監されている間にも
看守の目を盗んで少しずつ部品や工具を集め、腕時計サイズに小型化された時空転移装置を
作り上げ、それによって軌道拘置所の外へ転移する形で脱獄しようと考えていたのだった。

「それでは早速スイッチオン!」

スカリエッティは左腕の手首にはめた腕時計型時空転移装置のスイッチを入れた。
これが予定通りの性能を発揮出来るならば、スカリエッティは忽ち軌道拘置所の外へ
転移する事が可能となる。そして、実際その通りだった。スカリエッティは軌道拘置所の
外へ転移する事に成功した。ただし…彼の着ていた服と腕時計型時空転移装置をその場に残して…………

「あ…。」

二人は一瞬何が起こったのか分からず、呆然と見詰め合っていた。

スカリエッティが転移した先は風呂場の床の上。しかもその風呂場では高町なのはが
一糸纏わぬ姿でシャワーを浴びており、彼女と一メートルも離れていない至近距離に
スカリエッティは転移していたのだった。

「キ…キャァァァァァァァァ!!」

言うまでも無くなのはは両手で胸と股間を覆い隠し、足を内股に閉じ、顔を真っ赤にして叫んだ。
無理も無い。一人で風呂場でシャワーを浴びていた時に突然全裸の男が転移して来るのだから…

「はっ! あわわわ!」

なのはが顔を真っ赤にして叫んだ事により、スカリエッティも我に返った。
慌てて再転位しようとするが…そこで初めて自分の手首に腕時計型時空転移装置が無く、
あろう事か着ていた服さえも無くなり、全裸体になっていた事に気付いた。

「な! 何と言う事だ! まさか『私だけ』が転移してしまったと言うのか!?
何と言う失敗をしてしまったんだ!」

これは彼にとって非常にショックな事だった。確かに転移する事によって軌道拘置所を脱獄する事を
目的としていたが…まさかスカリエッティ自身のみしか転移されなかったとは彼も想像は出来なかった。
転移装置が全く機能しない事以上に情けない事である。
387スカリエッティ脱獄失敗♥ 2 ◆6BmcNJgox2 :2008/08/04(月) 00:31:45 ID:9SO3c8Un
「流石の天才の私でも裸一貫ではどうする事も…痛!」
「この助平男!! いきなり風呂場に入って来て何考えてるのよ!!」

冷静に考え込もうとしていたのも束の間、全裸体を見られた恥かしさの余り、
顔を真っ赤にしたなのはに洗面器で頭を殴られてしまった。

「痛いでは無いか! 何をする!?」
「それはこっちのセリフ! 全裸で堂々と風呂場に転送して来る覗きなんて前代未聞だよ!!」

なのはは恥かしさの余り、泣きそうになっていたのだが…ここまで来てやっと
お互いについて気付いた。

「あ! 誰かと思えば君はエースオブエースと評判らしい高町なのは!!」
「そっちはジェイル=スカリエッティ! 軌道拘置所に拘束されていたはずなのに
一体どうやって脱獄を!? しかも全裸で…。」

なのはにはどうやってスカリエッティが脱獄…しかも全裸で…なのかは分からなかったが、
脱獄囚とあらば捕えねばならぬ。なのははレイジングハートを手に取ろうとしたが…
あいにくレイジングハートは風呂場の外の脱衣所にあり、その場には無かった。
慌てて取りに戻ろうとするなのはだが、そこで手をスカリエッティに掴まれてしまった。

「デバイスを取りに戻るつもりだろうがそうは行かないぞ。」
「くっ! 離しなさい! ってキャァァァァァ!!」

なのはだって管理局武装隊で戦闘訓練を受けて来た。例えデバイスが無くとも
それなりに戦える技術を持っていたのだが…『ある物』を見てしまったが為にそれが出来なかった。
それはスカリエッティの股間からそそり勃つモノ。

スカリエッティは勃起していた。管理局に捕まる以前ならば、彼のパートナーである
ウーノが良く性欲処理をしてくれていたのだが…軌道拘置所でその様な事が出来るはずも無く、
性欲を持て余したスカリエッティは夢精する事が度々あった。そんな最中に高町なのはの
美しき全裸体を至近距離で目の当たりにしてしまえば…どうなるか…誰の目にも明らかである。
スカリエッティのモノは鋼鉄の様に硬くなり、破裂してしまわんばかりに怒張した。
そして何より、溢れる性欲によって彼自身の天才的な判断力が幾らか削がれてしまっており、
次の瞬間スカリエッティはなのはを浴床に思い切り押し倒していた。

「キャァ!!」
「こうムラムラしてしまっては冷静な判断は出来ん! こうなったら君で一発やらせてもらうぞ!!」
「そ! そんな! 誰が!」

なのはは力一杯スカリエッティを跳ね除けようとするが、スカリエッティの力は
見かけより強く、逆に両手を押さえ付けられてしまった。
388スカリエッティ脱獄失敗♥ 3 ◆6BmcNJgox2 :2008/08/04(月) 00:32:47 ID:9SO3c8Un
「くっ! 離して! 離せ!」
「フッフッフ…恨むなら美しく生まれた自分自身を恨むのだな…。」

スカリエッティはなのはを犯すつもりだった。だがそれだけでは無い。ムラムラと溢れる性欲によって
侵食されたスカリエッティの天才的頭脳は、なのはを犯して性の奴隷へと変える事によって
自分の味方に引き込もうという作戦を考え付いていたのだった。そして、自分自身の溢れる性欲を
満たす事も兼ね、スカリエッティはなのはの豊満な乳房に吸い付き、性欲のままに貪った。

「あ! あん! 嫌ぁ!」
「そんな事を言って…実は気持ちが良いのだろう?」
「そんなワケ…んぁぁ!」

なのはは反論しようとした瞬間、スカリエッティに乳首をなめられ、思わず喘いでしまった。

「それにしても綺麗な肢体だな…。君程の女性は今までお目にかかった事は無いぞ。」
「お前なんかに…そん事言われたって…嬉しくない!」

なのはは必死にもがき、スカリエッティから逃れようとするが、上手く行かない。
逆にスカリエッティに太股を捕まれ、美しい脚をM字に開かれてしまう始末だった。
なのはが慌てて脚を閉じようとしてももう遅い。開いた上にスカリエッティに圧し掛かられ、
嫌でも脚を開かざるを得なくなっていた。

「くっ! レイジングハートさえ…レイジングハートさえあれば…。」
「ハハハ…空では無敵と言われた君も風呂場では弱かったな…。では…。」

スカリエッティはなのはの美しい裸体によって勃起した自身の怒張したモノを
右手に構え、なのはの未だ男を知らぬ膣口へ向けて…押し当てた。

「ああ! ダメェ! そんな大きなの挿らないぃぃぃぃ!!」
「安心したまえ。女性の膣は男の生殖器はおろか、もっと大きな赤子も通る様に出来ているのだよ。」

恐怖の余りなのはの肝は凍り付いた。なのはは処女である。それが何が悲しくて
時空犯罪者…しかも脱獄囚に奪われなければならないのか…。だが現実は厳しい。
スカリエッティの言う通り、彼のモノは少しずつなのはの膣口へ沈み込んでいたのだ。

「あ! あぁぁぁ!! 挿ってる! スカリエッティのカリが私のオマ○コの中に…挿ってるぅぅぅ!!」
「ほら見ろ。私の言った通りであろう? それでは…一思いにやってしまおう。フンッ!!」

スカリエッティは腰に力を入れ、グイッと一気に全てを押し込んだ。
直後、彼の体はなのはの美しく柔らかな肢体と強く密着し合い、彼の怒張の全てが
なのはの膣内へ埋めこまれていた。

「んぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
389スカリエッティ脱獄失敗♥ 4 ◆6BmcNJgox2 :2008/08/04(月) 00:33:24 ID:9SO3c8Un
風呂場中になのはの絶叫が響き渡った。処女膜を貫かれた身体的な痛みか…はたまた初体験を
憎き時空犯罪者…脱獄囚に奪われた心の痛みか…それとも両方なのか…なのはは叫んだ。
激痛に耐えかねた…悲痛の叫びを。だが、それは逆にスカリエッティにとっては心地良い物だった。

「何、安心したまえ。確かに初めては痛いらしいが…直ぐに気持ち良くなる。
私も久々のSEXに胸を躍らせているよ。その相手が君の様に美しい女性で…
しかも管理局のエースオブエースと呼ばれているのだからね…まるで管理局そのものを
蹂躪している様で…爽快感に満ち溢れているよ。」

淡々とした口調でそう言いながら、スカリエッティは腰を動かした。こうなってしまっては
天才もクソも無い。結局はスカリエッティにせよなのはにせよ人間のオスとメスなのだ。
スカリエッティは性欲のままになのはを犯し、なのはも彼に突かれるまま
全身を突き動かすしか無かった。

「はっ! はっ! はっ! はっ! はっ!」
「んぁぁ!! あああ!! 嫌ぁぁぁ!!」

スカリエッティは性欲のままになのはを突き続けていたが…なのはは悔しかった。
こんな男に大切な処女を奪われてしまった事もそうだが…彼の愛撫に快感を感じつつある
自分の中の賤しき雌としての部分が…この上無く悔しかった。だが…

「ハァ…ハァ…中々良かったよ。私もそろそろ出してしまいそうだ。自分で言うのもなんだが…かなり溜まって
いてね…それが全て君の膣内にぶちまけられれば…君は私の子供を妊娠してしまうかもしれないね。」
「え!?」

スカリエッティの言葉になのはの肝は恐怖の余り絶対零度にまで凍り付いた。
スカリエッティはなのはの膣内に射精しようとしていたのだ。

「私がナンバーズに仕込んでいたクローンは全て処分されてしまったが…こう言う形で
私の遺伝子が残されて行くのも悪くは無い。勿論…産んでくれるな?」
「だっ誰が! 誰がお前なんかの子供なんか!」

なのはは必死に抵抗した。例え肢体は支配されても…心までは支配されないとばかりに…だが…

              どびゅっ びゅっ びゅっ びゅっ………

「あ…。」

もう時既に遅かった。なのはの膣内にスカリエッティの大量の濃い精液が注ぎ込まれていたのだから…
390スカリエッティ脱獄失敗♥ 5 ◆6BmcNJgox2 :2008/08/04(月) 00:34:18 ID:9SO3c8Un
「…………………。」

ショックの余り放心したのか、なのはは力を失ってその場にうな垂れるのみだったが、
スカリエッティの顔はこの上無い程の満悦に浸っていた。

「ああ…こんなに心地良い感触は何年ぶりだろう…。出来る物なら私の妻にしたい位だ。
おっと、何時までもこうしている場合では無い。早く逃げないと追っ手が来るかもしれないからね…。」

そう言ってスカリエッティはなのはの膣からモノを引き抜き、立ち上がろうとしたが…
次の瞬間、なのはの脚がキュッとスカリエッティを挟み込み、止めた。

「ん!?」
「逃がさないよ…絶対逃がさないから!!」

なのはは目から涙を流しながら叫んだ。これが今のなのはに出来る精一杯の抵抗だった。
スカリエッティをここで出来る限り食い止め、味方の救援を待つ。
だからこそなのはは脚に力を込めて、必死にスカリエッティを挟み止めた。

「何をする! 離せ!」
「離さない! 絶対離さない!!」

スカリエッティは逃れようとなのはの脚を掴みもがくが、なのはは脚に力を込めており逃れられない。
無論なのはの膣内にはスカリエッティのモノが沈み込んだまま。スカリエッティがなのはを
犯した事が仇となったのである。だがこれは諸刃の剣でもある。もしスカリエッティを
挟み止めずにモノを抜かせていれば、精液が膣口から幾らか外に出るワケで、
その分妊娠の可能性は低くなる。だが、今の様になのはの膣口がスカリエッティのモノによって
栓をされたままでは、濃い精液の全てが子宮内へ向かって流れて行く。当然妊娠の危険性は
限り無く高くなるのである。しかし…

「絶対逃がさない! 絶対に逃がさないから! ここでスカリエッティを野に放てば…
数え切れない位沢山の人が泣く事になってしまう! だから逃がさない!!
例え私がお前の子供を孕んでしまおうとも…ここで逃がすワケにはいかない!!」
「くっ! やめろ! やめろ! 離せぇ!! やめろぉぉ!!」

スカリエッティの抵抗も空しく、彼の身体を挟み止めるなのはの脚から逃れられずに
駆けつけて来た追っ手の手によって彼は御用となった。これを機に、彼はより厳しい
監視下に置かれ、二度と脱獄する事も出来ないであろう。

スカリエッティの脱獄は失敗した。しかしなのはの心は晴れなかった。
無理も無い。スカリエッティによって大切な初めてを無理矢理奪われてしまったのだ。
無論、自分とスカリエッティが全裸で繋がっている現場を他の局員に目撃された点も含め、
彼女の負った心の傷は余りにも大きかった。

恥かしい光景を大勢の者に見られてしまったなのはは…そのトラウマを克服出来ず、
社会復帰も適わなかった。そして自分を知る全ての者から逃げるかの様に管理局を去った。

その後の彼女の行方は不明だが…風の噂では何処かの田舎世界で、
紫の髪と金色の瞳を持った子供を育てながら平和に暮らしていると言う。
たったの一発が…彼女の運命の全てを変えてしまったが…せめてそこでは幸せになって欲しい。
それが例え彼女の憎んだスカリエッティの願いであっても。

                     終劇orz
391 ◆6BmcNJgox2 :2008/08/04(月) 00:35:01 ID:9SO3c8Un
何と言うか…色んな意味でごめんなさいorz
裏切り者とか呼ばないで…

当初は『スカリエッティは人造生命な上に、優秀な科学者とする為に遺伝子弄られまくってるから
普通の人間との生殖は不可能』理論により妊娠しないENDを考えてたんですけど…

結局何時も通りの孕まされちゃったENDになっちまいましたorz
392名無しさん@ピンキー:2008/08/04(月) 00:43:04 ID:oQH8Lm7A
>>391
今回も激しくワロタwww

しかし娘さんの言及がないって事は、某司書長に光源氏されたか、させたかと見て良いのかなw?
393名無しさん@ピンキー:2008/08/04(月) 00:52:23 ID:pun/GNUm
>>391
GJ
自分の肉体だけ転送とか、それなんてToLoveる?
394名無しさん@ピンキー:2008/08/04(月) 01:03:14 ID:+SJGEePE
>>391

ごめん、今回のは色々と中途半端。ギャグとして落とすのなら、普通の人間との生殖は不可能というオチの方が良かったかと。
395 ◆6BmcNJgox2 :2008/08/04(月) 01:06:04 ID:9SO3c8Un
怒られるかと思ってガクブルしてたのですが…ありがとうございます。

>しかし娘さんの言及がないって事は、某司書長に光源氏されたか、させたかと見て良いのかなw?

そこは考えてませんでした。本編でヴィヴィオは司書フラグ立ってるみたいですし、
自分の書いた話の中にも司書長×ヴィヴィオな話ありますから
そういう感じでも別に構いません。

とりあえず明日は朝早いのでもう寝ます。おやすみなさい。
396名無しさん@ピンキー:2008/08/04(月) 01:08:58 ID:vuVQMNhx
>>391
ドクターが天才過ぎて吹きまくったwwwwwww
文字通り身体だけ転送ってどういう意味よ!

ところで
全裸でハッ●ン場に転送してしまったスカという電波を受信し(ry
397名無しさん@ピンキー:2008/08/04(月) 01:33:34 ID:KmX7VSRx
風呂場に転送された瞬間、某青い狸を思い出した。
398シロクジラ ◆bsNe6z3qW2 :2008/08/04(月) 02:19:57 ID:fXgMnNAf
さすがドクター、「あの」なのはさんを孕ます、そこ痺れる憧れるゥ!!
GJでした!!

さて、初エロです(私の人生的に)
夜分遅くですが、投下させていただきます。
注意事項
・オリキャラ×トーレ
・鬼畜なのか純愛なのか曖昧な内容(作者の精神状態によります
・オリキャラが変態
・胎内射精

NGはトリップか「あるいは彼女の幸福 その1」で。
399名無しさん@ピンキー:2008/08/04(月) 02:21:29 ID:Knidd0jT
しかし、懲りずに精液だけフェイトやはやて、そして6課の女共の子宮に転送できる
ナノサイズの転送マシンを造ってそうだな…
400あるいは彼女の幸福 その1 ◆bsNe6z3qW2 :2008/08/04(月) 02:21:36 ID:fXgMnNAf
「あるいは彼女の幸福 その1」

軌道留置場――ミッドチルダの衛星軌道に造られた巨大建造物には、広い居住スペースがある。
これは、半永久的に囚人を閉じ込めておくと言う建前上設けられたもので、当然シャワールームなどもある。
だから、一日2回はシャワーを浴びる権利が、スカリエッティと管理局に恭順しなかったナンバーズの面子にはあった。
食事も美味いと言うほどのものではなかったが、きちんとしたものが出るので問題はなかったし、トーレの日常はある意味不満がないものだった。
毎日筋力が落ちることを防ぐ為にトレーニングを行っているトーレにとって衰えは関係なかったし、唯一不満と言えば可愛い妹達の顔が見れないことだったが、
それも自分で選んだ道だったので声を大にして言うほど我慢が出来ないものでもない。
要するに、武人としてのトーレにとって、変わり映えがない以外は不満がないのが軌道留置場での生活だった。
そんなある日のこと、シャワーを浴び終えたトーレが、その身体を湯に濡らしてタオルで拭いていたとき。
平均的な成人男子並に背丈のあるトーレは、男装が似合いそうなほどきりっと凛々しい美人だ。
青紫のショートカットの髪は水分を吸って重たく頬に張り付き、吊り上がり気味の目は鏡に映った己の裸身を見つめる。
長身にたわわと実った乳房、無駄な脂肪のない引き締まった体つきは、白い肌に水滴をつけて鏡に映り込む。
長い脚はすらりと美しく伸び、尻は発達した筋肉の上からついた脂肪によって柔らかに盛り上がっている。
股間の茂みはやはり水に濡れ、水滴を床に垂らしていた。
頭をがしがしとバスタオルで拭き終えると、身体の隅々までを綺麗に拭き取り溜息をついた。
下着を着けて自己主張する胸と尻の肉を締め付け、虜囚の服を着終えるとバスルームから出て目的の部屋に向かう。
今日は本局から経過査察の為に人が来るのだと言う。そこでもう一度管理局への恭順を薦められることがわかりきっているだけに、トーレの足取りは重い。
白い虜囚服が翻り、気づいたときには目的の部屋のドアの前に着いていた。
むぅ……と唸りながら、ドアをノックした。

「どうぞ」

男の声が響き、トーレの入室を許可するように扉のロックが解除された。
トーレは無言で扉を開き、机越しにその人物と対面し、席に座った。背後で扉のロックが再び行われ、囚人の脱走を防ぐ。
にこにこと微笑む青年――190センチはある背丈の肩幅が広い青年は、その整った面に笑みを湛えている。
その見慣れた笑顔を目にし、知らず、嫌味な声を放っていた。

「また来たんですか、アーノルド査察官」

「また来ました、トーレさん。今日こそ説得して見せます」

白い歯を見せてスマイルを浮かべる査察官に向けて呟く。

「無駄なことを……」

「無駄かどうかは、やってみないとわかりませんから」

青年――アーノルド・ノイマン査察官は、ここ最近ちょくちょく顔を出してはトーレに妹達と同じく更生するように迫る男だった。
風の噂で頑固に恭順を拒否した戦闘機人を知った彼は、即日で軌道留置場の彼女を訪ね、社会復帰の重要性を語った。
実はそのとき、熱弁をふるった彼はトーレに一目惚れしていたのであるが――このときのトーレには知る由もない。
とにかく、と言ってアーノルドはミルクと砂糖を入れた紅茶をマグカップに入れてトーレに手渡した。

「……今日こそ、どんな手を使ってでも、トーレさんにうんと言わせます」

ミルクティーを飲みながら、やかましい男をじろりと睨んだ。
馬鹿に甘い茶だ。風味も何もあったものではない。
スカリエッティの淹れる美味い茶に慣れていたトーレとしては、文句を言わざるを得ない味だった。

「甘すぎる……?」

マグカップを取り落とし、机の上に茶が広がった。
おかしい。身体が動かない。まるで、何か痺れ薬でも盛られたかのような……。
まさかっ、と相変わらずにこにこと微笑む男に視線を向けるが、男は飄々としていた。
席を立ち、椅子の下に置いていた鞄から注射器を取り出しながら語る。透明な筒の中には、妖しく光る液体が詰まっていた。

「ええ、一服盛らせてもらいました。なぁに、軽い痺れ薬ですよ。抵抗されるのは困りますので」
401あるいは彼女の幸福 その1 ◆bsNe6z3qW2 :2008/08/04(月) 02:23:34 ID:fXgMnNAf
部屋の鍵を二重に閉め、誰も入って来れない様にする。

――裏切られた

何故だか、痛烈にそう思った。
とことこと右手に握った注射器を手にこちらに近寄ってくる男――本能的に恐怖を覚えながら、トーレは立ち上がろうとし……椅子から転げ落ちた。
慌てて男は心配そうな顔をして駆け寄ると、トーレの床に横たわった身体を仰向けにした。
服の腕を捲り上げると、すべすべとした肌に注射器の針が突き刺さり、ちくりとした痛みがトーレの脳髄を襲った。

「つぅ……あぁぁ……」

注射器の中の液体が、ひんやりとした感覚と共に血中に流し込まれ、針が引き抜かれた。
粘つくような汗が全身から噴出し、シャワーで洗い流したばかりの髪が濡れて、身体が燃えるように熱くなる。
内側から身体が熱くなり、どくどくと心臓が脈打ちながら血流を通じて全身に注射器の中身を行き渡らせる。
熱い吐息が意図せずに洩れ、目を潤ませながら口を開いた。

「な……なにを……」

「いやぁ、この日の為に買っておいた媚薬ですよ。実に効き目がよいと評判の逸品でして。
私は紳士でありたいと願っていましてね。例えば……」

すっとアーノルドの手が虜囚服の前、トーレの豊麗な胸元の前の服のボタンへ伸び、これを外しはだけさせた。
色気のないブラジャーに包まれた乳房が露になり、羞恥に顔が赤く染まっていく。
思わず叫んでいた。

「み、見るなっ!」

「後学の為に見させていただきます」

ブラジャーのホックがするりと外されて、トーレの大きく形の良い乳房が外気と無遠慮な男の視線に曝された。
ぴんと立った桜色の乳首を目にして、ほぅ、という溜め息がアーノルドの口から洩れた。
生暖かい息が薬物注射で敏感になっている肌に当たり、なんとも言えない感覚がトーレを襲った。

「ひゃんっ! くっ、貴様――」

「可愛い……やっぱり、トーレさんは」

――なに?

男の呟きにトーレの思考が停止し、その意味を理解すると同時に頬が上気した。
はっきり言って強姦されかかっている女の心情とは思えなかったが、どういうわけかトーレにとってその言葉は大きかった。
何せ、戦いに明け暮れ女の子らしいことなどしたこともない戦闘機人の3番目である。
可愛い、などという単語は間違っても聞けなかったのが、今までの彼女の生活だった。
ゆえに、自分へ向けられたその言葉に、トーレはらしくもない痴態を見せていた。
男のゴツゴツとした傷だらけの指がトーレの敏感になっている乳首を弾き、甘い嬌声を出させた。

「はぁん! っっ、だ、騙されな――」

不意に首の後ろにアーノルドの太い腕が回され、トーレの首筋を撫でるように持ち上げた。
自分でも気づかなかった性感帯のある首の裏筋を優しく撫でられ、はぁぁと熱く息をはいた。
電流のようにむずかゆい感覚が彼女の脊椎を突きぬけ、びくり、と身体が震えた。

力の抜けたトーレの身体を抱き寄せるようにして持ち上げた彼は、その耳元で興奮した言葉を放つ。
それは、宣言。女を己のものにするという示威行為。

「トーレさん。貴女のファーストキス、私が貰います」
402あるいは彼女の幸福 その1 ◆bsNe6z3qW2 :2008/08/04(月) 02:28:22 ID:fXgMnNAf
そして、トーレの赤い唇に男のそれが重なった。
血中の薬物によって極限まで敏感になった粘膜にさざなみのような快感が走り、トーレの身体が弓なりになる。
軽いキスだけで頭が真っ白になった彼女は、目元から熱い雫を零して未知の快楽に打ち震え、乳房がプルプルと震えた。
次いで、男の舌がトーレの唇を撫でつけ、押し開くようにして彼女の口腔に割って入った。

「ん……むふぅ……ちゅ」

淫猥な音が響き渡り、男の舌が力の抜けた女の口腔を蹂躙する。
歯茎を残らず舐め回し、柔らかな唇を歪ませていき、トーレの舌と絡まりあう。
アーノルドの手が優しくトーレの敏感な首筋を撫で上げ、彼女の身体が二重の快楽に汗ばみながら震える。
彼の口から唾液が彼女の口に流れ込み……蕩けた表情のトーレはこれを無意識の内に飲んでいた。
ぶはっ、と男が唇をトーレから放し、唾液の糸を引きながら舌を引き抜く。
銀色に輝く糸はぷっつりと途切れ、トーレの視点の定まらぬ目がそれを捉えて熱い涙を流した。
悲しみではなく、快楽の副産物としての雫を。

「はぁ……はぁ……はぁ」

荒い息をつく彼女の様子を目を細めて眺めながら、アーノルドは虜囚服のボタンを一つ一つ外していき――。
やがて白い虜囚服は脱がされ、トーレの素晴らしいプロポーションの引き締まった身体が露になった。
白い肌が汗に濡れ、妖しく艶めきて色香を放つ。雄の欲情を誘う匂いが鼻腔をつき、彼女の体の側の準備が出来ていることを知らせる。
見れば、股間の下着は汗以外の粘液に濡れそぼり、どくどくと溢れ出すそれに股座が濡れていた。
すっ、と手を伸ばして、パンティーの上から股間を撫で上げる――トーレが可愛らしい声を上げた。

「んぁ! や、やめ……」

「こんなに濡れているのに? 嘘はいけません」

「それは……貴様の薬のせいで……」

「それにしても、キスしただけでこんなにはなりませんよ? 
……トーレさんは戦闘だけでなく、こちらの才能もおありだとみえますね」

可愛らしく羞恥に首筋まで真っ赤になるトーレの裸身をしげしげと眺めつつ、己の中の雄がいきり立つのを男は感じた。
長身の女戦士の姿はもはや何処にもなく、らしくもない自分の身体の反応に戸惑う女の子がいるだけであった。
目の前にいる女からただよう雌の色香に身体が反応した。
アーノルドの全身に血流を行き渡らせていた心臓が本格的に脈動し、血流を下半身に向けて集束させて行き、興奮で若干堅くなっていた逸物に血液が流れ込む。
結果、痛いほど勃起した男根がもっこりとしたふくらみをズボンの上から形作り、トーレに恐怖させるほどの威容を見せた。
トーレの白い肌が薄桃色に染まり、長い手足をばたつかせて逃れようとするが、男の太い腕に抱きとめられて逃れることも叶わない。
目に涙を浮かべながら、思わず叫んでいた。男の分厚い胸板に乳房が押し潰され、淫らに歪んだ。
その衝撃すら甘い感覚として感じられ、その違和感に戸惑った。

「くっ……は、はなせ! 貴様の獣欲の餌食など、真っ平だ!」

「嫌です…………私は、貴女のことが好きです! はじめて見たときから、ずっと、ずっと好きでした!」

「っっ?! な、何を……」

突然声を荒げてそう言い放った男に驚愕しつつ、雄の体臭に顔をますます赤らめたトーレは、男の身体が震えていることに気づいた。
まるで、大切なものを吐露するときの心情に似た、失うものを覚悟したときの怯えだった。
190センチの巨躯が小刻みに震え、トーレの裸体を強く抱きしめながら言う。

「……こんなことをした下衆に言う権利なんてないとわかってます……けど、ずっと、ずっと貴女に惚れていた。
貴女は綺麗だ、こんなところで一生を過ごすだなんて――悲し過ぎるっっ」

「……私は武人だ……己で掴み取った道に――」

「それしか生き方を知らなかった貴女が、そこまで世界を知っているのですか? 
私なんかが偉そうに説教できることじゃない、けど、けど――」
403あるいは彼女の幸福 その1 ◆bsNe6z3qW2 :2008/08/04(月) 02:31:37 ID:fXgMnNAf
呟きは男の口の中で消え、その口が彼女の右の乳房の頂点――ぴんと立った桃色の乳首を甘噛みした。
こりっという感触――何かを思考しかけていたトーレの脳髄が白く閃光に染まり、熱い吐息と快楽の余韻が発声となって溢れた。

「ひゃぃ!」

次いで唾液に塗れた舌に舐め潰され、乳首から電流のような波が暴力的に神経網を駆け抜けた。
あたたかな男の口腔に含まれた右乳首の感覚がなくなり、白い閃光のスパークに視界が塗りつぶされる――意識が遠のきかけるが、股間から伝わる感触に意識が戻る。
膣から分泌された粘液でべとべとになったパンティーの中に滑り込むゴツゴツとした指の感触に、覚醒したトーレは抗議の声を上げかけ――甘やかな声を洩らした。
既に股座どころか、白くふっくらした太腿まで濡らしていた愛液の洪水の只中に指が滑り込み、痛々しく充血した陰核にそっと触れた。
普段ならいざ知らず、淫薬で極限まで快楽中枢を刺激されているトーレにとって、ろくに触れたこともないそこを触られるのは責め苦に等しい。
瞬間、今までの快楽が電撃ならば、雷撃に等しいものが神経系を紫電のように駆け上がった。

「んんんぁ! な、何を……」

「……自分の身体の基礎構造くらいご存知でしょう。いや、知らないんですか――クリトリスですよ。
貴女の身体の、一番敏感なところ――耐えられますか?」

そう言い悪戯っぽく微笑むと、アーノルドの指が充血した陰核の皮を剥き、剥き出しになった小粒のそれを摘んだ。
刹那、トーレの背中が痛々しいくらい弓なりに反り返り、どばり、と愛液が潮を噴くように溢れた。
既に汗でべとべとの虜囚服と床に粘液質な水溜りができ、艶めかしい匂いを放った。
呼吸が出来ないほどの、衝撃的な感覚にトーレは息も絶え絶えになり、唾液の糸がつうっ、と頬を伝い落ちた。

「か、はっ……」

ひゅうひゅうと体温の上昇に合わせて熱くなる吐息を胸板に感じながら、アーノルドは己の服を脱ぎ、その鍛え上げられ、同時に傷だらけの身体を裸とした。
股間の逸物が脈動しながら反り返り、黒々とした威容を外気に曝していた。
トーレの薄桃色に染まった美しい均整の整った身体を陶磁器に例えるなら、男の筋肉で隆々とした傷だらけの巨躯は、さしずめ黒鉄の塊。
その股間で反り返る禍々しい銃身は、大口径リボルバー拳銃にも似た男の獣欲の象徴か。
弾丸――子種の詰まった睾丸と接続された男性器が、天を突くように在った。
それを見たトーレの凛々しい――今は蕩けきっていたが――顔立ちが、恐怖に青ざめた。

「そ、それを……ど、どうするつもりだ」

「さぁ? どうしましょうか――」

股間から溢れる淫液の放つ匂いが、トーレ自身の頬を赤くするが、それでも恐怖は消えなかった。
びしょびしょになった股を閉め、力が抜けて自由の利かない身体で背後に後ずさる。とろりと愛液がその度に股座から溢れて、堪らない匂いを放った。
ぬちょぬちょとした淫液と肌の擦れあいが作り出す音が、淫猥に室内に響き渡った。
男はいやに澄んだ瞳でこちらを見据え、にこりと微笑んで声を放った。

「どうして欲しいですか?」

「……な、に?」

「私はどうもしたくありません――ここから先は貴女の自由意志で決めてください。そろそろ薬の効果も切れる頃です。
身体の自由も利くようになるでしょう……今助けを呼ぶことが、貴女にならできるはずですよ?」

なら、どうして身体の火照りが止まらない、と問いかけようとしたがそれは愚問であることがトーレにもわかった。
確かに、徐々に身体の自由が利くようになってきていた。今ならば、インヒューレント・スキル<ライドインパルス>でこの男を出し抜くこともできる。
薬によって引き起こされた快楽に研ぎ澄まされた感覚も収まり、残ったのはどうしようもなく火照った身体のみ。
そう、あの薬は――トーレの眠れる雌の性を起す為に使われたのだ。今となっては、それ以外に使い道などない薬の効果は着実にトーレの理性を揺るがしていた。
臀部の床に着いた感覚すら火照った体には心地よく、心臓の鼓動にあわせるかのように女性器から濁った液体が溢れ出す。
その今までとは異なる色合いの愛液は、身体が本人の意に反して雄を受け入れる準備を終了した証――。
己の身体の思わぬ様子に愕然としつつ、トーレは股を必死で閉じて雄にその状態を見せまいとした。
しかしその動作はかえって扇情的で、並の男ならばそれだけで鼻の下を伸ばして跳びかかっていたことだろう。
が、アーノルド・ノイマン査察官は、凶暴に反り返る亀頭を持ちながら平然と笑っていた。
404あるいは彼女の幸福 その1 ◆bsNe6z3qW2 :2008/08/04(月) 02:33:34 ID:fXgMnNAf
190センチ超の大柄な傷だらけの身体を屈めると、スーツのポケットに入っている軟質素材に保護された非常スイッチをトーレに投げ渡した。
トーレが手で受け止めたそれは、掌に収まるサイズの長方形で、透明なカバーに覆われた中央には押し込む方式のスイッチがあった。

「なんだ……これは?」

「戦闘機人との面会だから、事前に手渡された安全装置……これを押せば外部から警備の人間がやって来るってわけですよ。
今押すのが怖ければ、このまま面会時間終了までじっとしていてもいい。
かなり長めに時間を取りましたが、あと3時間もすれば自動的にセキュリティは解除され、私はあえなく御用となりますから――。
どうするかは、貴女が決めてください……」

その言葉に、自分の中で何かが崩れていくのがわかった。
同時に、先ほど『裏切られた』と感じた理由をトーレは悟っていた。
あるいは、アーノルドに自分は少し……いや、それ以上惹かれつつあったのだ。
ぶっきらぼうな自分にあくまで対等に接し続けるこの男のことが……気に入りかけていたのかもしれない。
だから、どうした? と脳髄の冷静で冷酷な部分が告げる――この男は、自分の純潔を奪ったのだと、理性は訴えかけていた。
報復だ――この男の社会的地位を殺してしまえるのだから、何を躊躇うのだ? とそれは冷静に言っていた。
いや、待て。 と脳髄の中でも一際情に厚い部位が告げる――この男が、お前は気に入っていたのではないかと情念は訴える。
許してしまえ――今、この男を刑務所送りにして何を得るのだ? とそれは囁きかけていた。
わからなかった。
どんな戦況でも確実に勝てる戦術を選択してきたトーレが、十代の初心な乙女のように葛藤にもがき苦しんでいた。
涙が頬を伝い落ち、淫液の水溜りに落ちて波紋を広げた。上気した頬で、赤くはれた瞳でトーレは訴えかけていた。

「私に……選べと言うのか! 貴様の運命を!」

「……はい」

スイッチが放り捨てられ、床に溜まった淫液に反響して水っぽい音を立てる。
ある種覚悟を決めていたアーノルドは、その光景を呆然と見つめ、つうっ、と涙を流して嗚咽するトーレに視線が注がれた。
その姿は……まるっきりどうしていいかわからずに泣き喚く少女のようだった。うっすらと桃色に染まった均整の取れた裸身と相まって、女神のように美しかったが。
男は少しばかり見とれた後、足を動かしてトーレに近寄った。

「トーレさん……」

「ち、近づくなっ!」

「……私が、怖いですか? 
……貴女が受け入れてくれないのはわかっていました。それでもこうせずにはいられなかったのは、私の弱さです。
かくなるうえは、自分でけりをつけます。本当に、すいません――」

その手が、淫液に沈んでいた非常スイッチに伸ばされ――。

「よせっ!」

トーレが目を見開き、思わず制止と同時に足でスイッチを蹴り飛ばしていた。
からん、と壁にぶつかったスイッチが音を立て、アーノルドの巨体がトーレのしなやかな身体に押し倒されていた。
愛液を垂れ流す股座がアーノルドの腹筋を濡らし、その粘っこい暖かな液体に彼は赤面しつつ起き上がろうとするが、
戦闘機人の膂力――常人を超える人工筋肉の生み出す駆動――に押さえ付けられ、動くことも叶わない。
眼前で揺れる、大きな果実のような双乳には赤面するしかないが、同時にぽたぽたと顔にかかる暖かな雫に気づいた。
口に入ったそれは少しばかり塩辛く、悲しみの味がした。見上げれば、青紫の短髪が揺れていて、泣いているトーレの整った顔立ちがある。
彼女の涙腺から止めどなく溢れるそれは、塩辛い味のする雫で……トーレが見せた、はっきりとした感情の表れ。
思いのほかよく通る声でトーレが怒鳴りつけた――感情に揺れる声で、アーノルドが見たことも聞いたこともない様子だった。

「馬鹿か、貴様っ! 自ら破滅を選ぶなど!」

「貴女に選ばれないなら、それでもいい……」

「甘ったれるな!」
405あるいは彼女の幸福 その1 ◆bsNe6z3qW2 :2008/08/04(月) 02:35:45 ID:fXgMnNAf
鉄拳がアーノルドの顔を殴りつけ、軽くない打撃音が室内に響き渡った。
痛み――久しく感じてこなかったものが、男の頬を打った。
殴打に頬を歪ませた彼の太い腕を、トーレの両手が押さえつけて捕縛した。先ほどとは体位が入れ替わった形になる。
トーレのむっちりとした尻の柔らかな肉が男の愚息を挟み込み、それだけで絶頂に至りそうになるのを男は堪えた。
声を荒げてトーレが吼えた。

「私は、ナンバーズの戦闘指揮官だった。大罪人だ、それが――許されるものかっ!
選べ、だと? 私にそんな権利などないっ!」

云わば、それは慟哭だった。
常に己の罪を知り続け、心に刻み続けたがゆえの痛みが、トーレの心にはあった。
そんな己に、人からの告白を受け入れろ? 愛を受け入れろ? あまりにも独善的だった。
ましてや、檻の中でさえ人の運命を左右する決断をしろなど――。

「私は、これ以上何も奪いたくなどないっ! 貴様のエゴは、誰の為のものだぁっ!
答えろ、アーノルド・ノイマン!」

ふと、下のアーノルドの顔が真顔になっていることに気づく。
その視線には揺れる乳房もトーレの裸身もなく、ただ彼女の顔だけを見つめていた。
涙を零しながらそれを見据えて、呟く。

「貴様――」

「私は、その問いには答えられません……ただ……貴女が、好きです。迷惑だとは、わかっていますが――」

その言葉が最後まで続けられることはなかった。
何故ならば。
トーレの接吻が、男の無骨な唇を塞いでいたから。青い雌豹のような美女の口づけは、涙の味がした。
軽いキスかと思いきや、大胆にも舌を入れてきた――その慣れないなりに懸命な愛撫に応えつつ、舌を絡めた。
ん、という声とともにトーレが舌を口腔から引き抜き、唾液の糸を垂らしながら頬を赤らめた。
彼女の整った面から己の口に繋がる銀糸をぼんやりと眺めていると、トーレが言った。

「……どうだ、さっきの借りは返したぞ」

「借り?」

「わ、私の初めてのキスを奪ったことだ! 忘れたとは言わせんぞ」

何処か怒ったような口ぶりながらそう言うと、アーノルドの顔をじっと見つめて決定的な台詞をはいた。
心なしか腹の上の股座が溢れ出た液で濡れているような気がし、愚息がいきり立ってますますトーレの尻に食い込むが、
それを気にする暇も無いほど驚くべき言葉だった。

「せ、責任を取って貰おう……最後まで、しろ」

「は?」

そのときの自分はさぞや間抜け面だったろうな、とアーノルド・ノイマン査察官は後に思う。
トーレの顔がますます赤くなり、胸の乳房を揺らしながらもう一度言った。

「責任を取れといったんだ! 貴様の耳は節穴か?!」

「で、では――」

鼻息も荒く、トーレは憤慨しながらアーノルドの束縛を解き、顔を背けた。
横を向きながら、彼女がぼそりと呟くのを、確かに彼は聞いた。

「……私もお前が好きだ、と言っているんだ、馬鹿」
406あるいは彼女の幸福 その1 ◆bsNe6z3qW2 :2008/08/04(月) 02:37:19 ID:fXgMnNAf
果たして、面会室での初体験というのはどういうものかなぁ、と彼は思ったものの、トーレの勢いに引きずられて抱き合っていた。
まあ、初めに薬を盛ったのはアーノルド自身であるのだが、それにしてもまさかここまで進展するとは予想外だった。
柔らかな肢体を上から筋骨隆々の肉体で抱きしめると、彼女の吐息が胸板に当たった。
トーレは女としてはかなりの長身だが、アーノルドはそれよりも背が高く190センチ超であるから当然だ。
鼻腔をくすぐる雄の匂いに若干肌を薄桃色に染めながら、トーレが言う。

「……は、始めないのか? こういうのは初めてでよくわからんのだが」

「いや、避妊具持って来てないんですが……どうしましょうね?」

トーレは首を傾げると、

「無いと駄目なのか?」

などととんでもないことを呟いた。これにはアーノルドも驚き、改めて彼女が戦闘以外に無知であることを知った。
この説明をすべきか否か迷ったが、結局することに決めた。案外律儀な男である。
四角い頬骨を掻きながら言った。

「避妊具を使わずにすると、妊娠の可能性がありまして」

「……人に薬を盛る準備はできる割に、そういう準備はしていないのか」

「……すいません。うっかりしてました。やはり、やめたほうが――」

トーレの上気した顔がずいっ、とこちらに近づけられる。
何処か潤んだ瞳ながら、刃のような硬質さの表情だ。

「……責任は、取って貰う。今日この日に――ひぃぁ?!」

最後まで彼女が言い終える前に、アーノルドの太い指が陰核の皮を剥き、もっとも敏感な小粒を押し潰していた。
どぷり、と二度目の潮が噴かれ、背が弓なりに反り返ろうとするも上手くいかず、むしろかえって無防備に身体を曝け出す羽目になる。
同時にトーレの豊麗な乳房を揉みしだき、可愛らしい嬌声をあげる唇を塞ぎ、舌と舌を絡めあう。
ぴちゃぴちゃと二人の唾液が混ざり合い、お互いにその混合物を飲みこみながら汗に濡れた肌を押し付けあった。
濃密な情事であり、性に疎いトーレはそれだけでくたくたになる有様だった。
ふーふーと荒い息をする彼女の耳元で、彼は囁いた――確認を。

「孕んでも、いいんですね――? 責任は、取りますが」

「ひゃ……ひゃくごはしている」

上手く舌が回らないらしく、気の抜けた返事を返すトーレに微笑みかけながら、男は上体を起こして剛直を濡れそぼった女の茂みにあてがった。
黒々とした男のそれは、さしずめ大口径リボルバー拳銃の威容。亀頭が覗くそれが、愛液がとろとろと溢れ出す股間の穴を狙い定める。
長い間快楽と興奮に曝されて水溜りが出来るほど流された愛液は、依然粘度を保って男性器の侵入を助けようと溢れ出す。
トーレの髪と同じ青紫の陰毛は、既に溢れ出した体液でねとねとになり、淫らな匂いを放っていた。
前の穴――雄を受け入れる為の膣へ通じる穴はひくひくと開いたり閉じたりを繰り返し、淫らに男の挿入を誘っている。
その穴に今すぐ剛直を突き入れたい衝動を押さえ、アーノルドはゆっくりと体重をかけてトーレを貫いていく。
苦しげな声がトーレの口から洩れ、ふと挿入をしていた彼の動きを止めた。

「トーレさん? まさか――」

「いや、生娘というわけでもないさ……ドクターのクローン胚を埋め込まれるときに、切除された。
もっとも、こうされるのは……初めて、だがな……」
407あるいは彼女の幸福 その1 ◆bsNe6z3qW2 :2008/08/04(月) 02:38:19 ID:fXgMnNAf
なんとも可愛げのないことに、そう言うとトーレは顔を背けて歯を食い縛った。
額には痛みに耐えることによる汗が浮かび、目には心の痛みに耐える為の涙が浮かぶ。
それは、生娘の証を既に失っていたことに対する悔恨か。そういうものがないことに対して、トーレは恐れを抱いていた。
もしかしたら、普通とは違うと拒絶されるのでは?
もしかしたら、戦闘機人であることゆえの異形と断じられるのでは?
そんな不安が靄のように思考を覆ったとき――トーレの身体を強く抱きしめながら、アーノルドが言った。

「トーレさん……貴女は、やっぱり綺麗だ。だから――貫かせて、もらいます」

それは、呪いを解くための囁きだった。トーレの目が見開かれ、男の顔を見据えた。
瞬間、トーレの中に半ばまで埋まっていた男の逸物が、ぐっと力強い腰つきとともに愛液に溢れた膣を突き進んだ。
今まで男の侵入したことのない領域がみちみちと押し広げられ、未通娘の証である未開発の性感帯を亀頭が強く叩いた。
苦痛に呻き声を上げていたトーレの口から、未知の感覚に対する驚きとも取れる嬌声が溢れる。

「ぐ、ぅぅぅ、ぁぁああ……ひぃん?!」

トーレの顔に驚愕が浮かび、唇の端から唾液が垂れた。
痛みとそれを上回る快楽をもたらした、性感帯への突きを見て取ったアーノルドは、いったん腰を引いて肉棒を半ばまで引き抜くと、
愛液に濡れててらてらと光るそれを、トーレの膣に猛烈な突きとして打ち込む。
ぐぷっ、と愛液が泡立つようにして掻き混ぜられ、一旦押し広げられた後再び元の狭さに戻ろうとした膣壁が蹂躙された。
もはや苦しんでいるのか快楽に喘いでいるのか、自分でもわからぬほどトーレの脳髄は白く閃光に染まり、思考は何一つとして纏まらない。
口の端からだらしなく垂れた唾液が床に溜まり、声を上げて喘ぐ彼女の頬を汚した。

「ひ、ひぃぃぃ?! ひゃ、ひゃめろ……く、狂ってしま……」

「狂ってください――存分に。貴女を、苦悩から解放して見せます」

動かす――未開発と知れる狭くきつい膣を男根で己のモノの形に引き伸ばしながら、腰を前後に動かして犯す。
引き抜く――穿つように突き入れ、トーレの高速機動に耐える内臓にGに似た衝撃を加える。
結果――衝撃とともに脳を焼く快楽が彼女に送り込まれ、喘ぎと唾液の混合物として口から放たれる。
じゅぷじゅぷと愛液がトーレとアーノルドの結合部から溢れ出し、彼の剛毛の生え揃う股間を濡らした。

「はっ、はっ、はっ……んひゃぁ! ひぃ、もうだめェだ…………あうぅ!」

身体から力を抜きそうになったトーレの、左の豊満な乳房の先端を甘く噛み締めると、口から唾液を垂らし喘ぐ彼女に囁いた。
そろそろです――と、膣の奥の天井にある性感帯を力いっぱい、今までで最大の力でゴリゴリと抉りながら、笑う。

「あぁぁ、ぁぁあ!」

「初めて、ですよね? そうとは思えない乱れ様ですが……生来の淫乱と見える」

いきなり淫薬を血中に打ち込んだ己の所業を棚に上げて、満面の笑顔でそう言うアーノルド。
所詮、この男も外道である。

「な……ち、ちが――うぅぅ、あはぁぁぁっ!!」

この言葉には頬を真っ赤にしてトーレが反論を試み――堅く閉じられた子宮口に、男の亀頭が迫ると言う前代未聞の事態に掻き消された。
痛みとそれに勝る強烈な感覚に腰が砕け、床に打ち付けそうになった腰のなだらかなラインを太い腕が支えた。
びくん、と男の陰茎が膣壁に擦れて脈打つのを感じたトーレは、アーノルドの顔を見上げて問うた。

「な、ん、だ? 何が――」

「もう少しでトーレさんの胎内(なか)に、出そうです。精液が、ね」

「な――あ、赤子が出来ると――」

「孕んで、くれますか?」
408あるいは彼女の幸福 その1 ◆bsNe6z3qW2 :2008/08/04(月) 02:40:10 ID:fXgMnNAf
ごくり、と息を飲み込んで、トーレはすっかり汗で湿った青紫の髪を揺らす。
激しい情交で忘れていたが、この男は自分の胎内に出そうとしていて、初めに確認もしていた。
戦闘機人とはいえ、身体の基礎構造は人間の雌と変わらない。受精しうる周期のときに雄の子種を受ければ、当然孕むのだ。
これに対するトーレの答えは――。

「か、覚悟はできている――」

「……ありがとう」

トーレの腰を掴んでいたアーノルドの手が強くこれを握り締め、あたたかなトーレの子宮口が男根の鈴口を受け入れるべくぱっくりと開いた。
これを感触で知った彼は迷わず腰を突き出し、狭い子宮口に太い陰茎の鈴口を捻じ込み、トーレの口から悲鳴が洩れた。

「ひ、ぃぃぃん」

「可愛いです、本当にトーレさんは……!」

子宮口に鈴口をくわえ込まれるという甘美な感触に、迷わず彼の中の本能が射精感を脳に伝える。
膣が雄の射精を気配で感じ取り、雌としてこれに応えるべく搾り取るように膣壁が蠢き、びくびくと脈動するそれを搾取せんと締め上げた。
これには堪らず雄の側が折れ、睾丸から管を伝って熱い精液がトーレの子宮壁に直接ぶちまけられた。
びゅくびゅくと勢いよく迸る熱い子種がトーレの子宮を白濁で染め上げ、この灼熱感にトーレが呻く。

「あ、あ、あ、あ――」

その表情はだらしがなく、蕩けきった恍惚に喘ぐ雌のもの。
既に瞳に普段の理性はなく、ただ快楽を搾り取ろうと浅ましく腰を振る女がいるだけだった。
アーノルドは、トーレの白く滑らかな肌に覆われた流麗な腰を痛いほど掴みながら、精液を搾取される感覚に耐えた。
びゅーびゅーと勢いよく射出されていた己の遺伝子の詰まったそれが、やがて小出しになるのを感じながら溜息をつく。
視線が定まらない、蕩けきった表情のトーレの顔を覗きこむ――荒く熱い吐息を感じた。
鼻腔を突く発情しきった雌の匂いを嗅ぎ、真顔で祝詞のように唱えた。愛の、囁きを。

「……愛しています。トーレ」

その言葉に、快楽の海に初めて溺れるのをやめたトーレが、言い返した。

「……よ、呼び捨てにするんじゃない――」

頬を真っ赤にしながら、そう返した彼女と彼は、もう一度口づけし。
互いの舌を絡めることはせずに、ただ視線を交差させて、そうして愛の誓いを確かにしたのであった。

この日、ジェイル・スカリエッティ製戦闘機人ナンバーズの3番目、トーレの時空管理局への恭順が決まった。
突然の態度の変化に、周囲の人間は首を傾げていたが……その背後に、一組の男女の愛があったことは、知られていない。
時空管理局一等査察官アーノルド・ノイマンと、犯罪者たる戦闘機人の愛は、この日から――


――今はまだ――


――運命を知らずに――


――信じて足掻き続けろ――
409シロクジラ ◆bsNe6z3qW2 :2008/08/04(月) 02:46:14 ID:fXgMnNAf
以上で投下終了です。
何故……オリキャラなのかといえば、当初鬼畜ユーノさんの出番も考えましたが、トーレさんにどう考えても制圧されそうなのでマッチョガイを捏造しました。
見た目は映画「300」のレオニダス王みたいなガチムチです。でも上半身裸じゃありません。(もしくはプラネテスのハキム)
何故……トーレなのかは、まったくもって書き始めた動機が不明ですが、今となってはナンバーズで一番いいのはトーレだ! 言えるようになりました。
トーレは確実にヒロインを張れる筈だと――。

そんなこんなで、夜分失礼しました。
ではでは。
410名無しさん@ピンキー:2008/08/04(月) 03:07:03 ID:OzThSWl/
411名無しさん@ピンキー:2008/08/04(月) 10:08:13 ID:tXzpYfm3
>410
だよねぇ。あの糸目がトーレと……そういや、ナタルに似てるかも。
412名無しさん@ピンキー:2008/08/04(月) 10:29:11 ID:5h9FnVKC
◆6BmcNJgox2死ね
413名無しさん@ピンキー:2008/08/04(月) 10:37:45 ID:5h9FnVKC
◆6BmcNJgox2はもう二度と小説書くな
414名無しさん@ピンキー:2008/08/04(月) 10:47:37 ID:5yLQOmqQ
夏だねぇ。
415名無しさん@ピンキー:2008/08/04(月) 10:58:07 ID:MsehZUw1
>>415が死ね
4164人組元ネタ集1/2:2008/08/04(月) 11:01:23 ID:4+tKE58j
エリオ(AERIO)
欧州ではLIANA (リアーナ、Life In A New Ageの略) で販売されていた。
エンジンは1.5Lと1.8LのDOHCガソリンエンジンを搭載。
北米向けのエリオは2.3Lエンジンも搭載している
後継―スズキSX4(事実上)

キャロ
マツダ・キャロル、現在5代目。
初代においてはロータリーエンジン搭載の計画があり試作もされたが、エンジン振動自体が大きい、
燃費等のデメリット、1ローターだと逆作用の力が加わってしまうとローターが逆回転してしまう等もあり問題は克服したが計画は実現しなかった。
軽自動車としては初の3姉妹車である。
姉妹車―アルト(スズキ)ピノ(日産)
4174人組元ネタ集2/2:2008/08/04(月) 11:03:16 ID:4+tKE58j
ティアナ(TEANA)
日産の世界戦略車としての使命を与えられているためセフィーロ同様、世界各国で販売されている。
日本・中国・台湾・インドでは「ティアナ」
香港、シンガポールでは「セフィーロ」
オーストラリアやニュージーランドでは「マキシマ」
と仕向け地により異なるネーミングで発売されている。
特別仕様車「AXIS(アクシス)」がある。
ネイティブ・アメリカンの言葉で「夜明け」を意味する。

スバル
富士重工業の自動車ブランドである「スバル」=「昴」とは、プレアデス星団を意味する。
日本では古くから六連星(むつらぼし)とも言われる。
プレアデス星団の語源となったプレイアデスは、ギリシャ神話の神である巨人アトラスと精女プレイオネーとの間に生まれた7姉妹といわれる。
長女から順に「マイア、エレクトラ、タイゲタ、アルキュオネー、ケラエノ、アステロペ、メロペ」と呼ばれている。
余談だが、GMの経営悪化で株を売りに出した時に世界的に有名な某T社が株を入手しており、この事からT社によるスバルへの干渉が色々と邪推されることがある。
無論性的な(rya
418名無しさん@ピンキー:2008/08/04(月) 11:05:24 ID:4+tKE58j
以上wikiからSSに使えそうな元ネタ(?)を引っ張ってきました。
何かのお役に立てれば幸です。
419シロクジラ ◆bsNe6z3qW2 :2008/08/04(月) 11:09:31 ID:fXgMnNAf
>>410
・・・オーマイガー。
何かぱっと頭に浮かんだ名前そのまんま使ったんですが・・・どうもSEEDのモブ?が頭に残ってたようですorz
あーいや、意図的ではありませんが・・・wiki編集時に修正していただいたほうがよいのでしょうか?
マッチョガイの筈がひょろながにー。
420名無しさん@ピンキー:2008/08/04(月) 11:12:31 ID:MsehZUw1
;y=ー( ゚д゚)・∵. ターン
421名無しさん@ピンキー:2008/08/04(月) 12:10:53 ID:/LRPBqwr
ノイマンさんは撃たれたビームに反応して戦艦でバレルロールして(地上で)避けられる人だぞ!モブなんてもう。
422名無しさん@ピンキー:2008/08/04(月) 12:17:13 ID:2U+bC+ua
>>409
GJうううぅぅぅうぅ!!!

長かった・・・プリケツお披露目の初登場から実に一年以上、遂にトーレ姉さんの純愛エロがやってきた!!
これに歓喜せずにはいられない、しかも安易な美形じゃなくて良い感じのガチムチ系マッチョならなおの事嬉しい限り。

しかもなにやら続きがありそうな終わり方、これは実に大期待ですよ。
是非とも乙女カッコイイ感じのトーレ姉さんとマッチョ旦那の物語を続けてくださいませ。



あとトーレ姉さん孕みそうな予感なので、元気な赤ちゃん産ませてください。
423名無しさん@ピンキー:2008/08/04(月) 12:32:40 ID:NBS+eSWl
何が>>415をそこまで追い詰めたのだろうか……
424名無しさん@ピンキー:2008/08/04(月) 12:38:56 ID:l350ht8n
>>409
GJっス
さあ、次はプリケツだ・・・っていかん、このスレのせいですっかり尻スキーになっちまったw
425名無しさん@ピンキー:2008/08/04(月) 14:03:59 ID:7j1Ru82B
CDドラマ版予想

なのは「えっ? 私17歳だよ?」
426名無しさん@ピンキー:2008/08/04(月) 14:15:58 ID:DgHPR8Kl
>シロクジラ ◆bsNe6z3qW2 氏

トーレエロキタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!!!
しかもラヴラヴ孕ませだぜハァハァ
(さっそく実用させてもらった)

相方が(人数の関係上)居ないナンバーズはまさに買い手市場www
ノイマンもなかなか優しい鬼畜だし、トーレを幸せにしてほしいです。

今のところオリが相方になって幸せになったヒロインはというと……
・シャマル
・トーレ
・クアットロ
・ウェンディ
・リンディさん
・フェイト
ぐらいかな?

特にフェイトさんのその後の話を読んでみたいぜ
GJ!!
427名無しさん@ピンキー:2008/08/04(月) 14:26:15 ID:U76ogK9I
ティアナ(TEANA)
>日産の世界戦略車としての使命を与えられているためセフィーロ同様、世界各国で販売されている。
>日本・中国・台湾・インドでは「ティアナ」
>香港、シンガポールでは「セフィーロ」
>オーストラリアやニュージーランドでは「マキシマ」

>「マキシマ」

ティアナが「モンゴリアン!」と、叫びながらチョップする絵が脳裏に浮かんだ
428名無しさん@ピンキー:2008/08/04(月) 14:28:47 ID:sEaXP7iX
>>418
ここの職人ならわざわざ書かれなくても知ってるだろ

429名無しさん@ピンキー:2008/08/04(月) 14:45:35 ID:/LRPBqwr
K○F思い出した
430名無しさん@ピンキー:2008/08/04(月) 14:49:06 ID:OyBBDTjG
「モンゴリアン!」チョップ
     ↓
「エイドリアーン!」ハグ
     ↓
「パンプキンシザーズ!」ダブルチョップ

……ダンあなた疲れているのよ。
431名無しさん@ピンキー:2008/08/04(月) 15:58:00 ID:94mhMu+O
>>428
>>427のようなひらめきが大事だというのがわからんのか
432名無しさん@ピンキー:2008/08/04(月) 16:13:53 ID:7j1Ru82B
りりかる★ふぇいとマダー?
433サイヒ:2008/08/04(月) 20:23:05 ID:vecB8Nyc
次世代話第二弾、始まります。

以下注意書き。捏造が全力全開な作品なので、苦手な人はスルーしてください。

・「8 years after」の続編となります。そちらを読んでいないとさっぱり分かりません。
・クロフェ、ユーなの、ゲンはや、エリキャロが結婚。それぞれに子供がいます。
・アルフとザフィーラに養子の人狼がいます。
・さらにカリムの養子まで出てきちゃいます。
・本編終了十三年後。原作キャラの年齢はキニシナイ!!
・オリキャラの登場率が余裕で原作キャラを超えてます。
・さらに原作で死んだはずのキャラが生きてたりします。
・全六話予定。全編通して非エロ。


ではどうぞ。
434あの日見上げた空へ:2008/08/04(月) 20:24:32 ID:vecB8Nyc
 カリカリと、何十本ものペンの走る音がする。
 時計を見れば、見直しも含めて予測より十五分早く終わっていた。クロード・T・ハラオウンは、どう
しても分からなかった問題を解き直す。

(ええっと、古代ベルカの住居郡として有名な遺跡は……)

 この分野だけ家庭教師をやってくれた人によれば、当時は小さな地方都市で地図によっては名前すら載っ
ていなかったらしい。そんな予備知識は思い出すのに、肝心な遺跡の名前だけは出てこない。
 洒落で『シャマル遺跡』と書こうかどうしようか考えたが、結局白紙のままに次の問題へと移る。
 そこも含めて空欄は三ヶ所しかなかったので、すぐにまた問題用紙は最終ページに届く。もう一度誤字
脱字のチェックをやろうかどうしようか考えながら少し目線を上げたクロードの視界に、一面の蒼が映っ
た。

(……いい天気だな)

 最近試験勉強ばっかりしていたので、身体をろくに動かしていない。無性に空を飛び回りたくなった。
 一月の大気は冷たいが、氷結魔法を使うからかクロードは熱さよりも寒さに強い。飛行中の防風魔法を
少し緩めて冷気に身が切られるような感触を覚えるのには、小さな快感すら感じる時がある。

(後でトウヤと模擬戦しようか。シグナム先生が今日は非番だったはずだから、二対一で稽古つけてもら
うのもいいな)

 眼を試験用紙に戻したクロードだったが、とりとめの無いことが頭をよぎって見直しに気が入らない。
 どうせ一度見直しているのだからいいかと見切り、試験官に見つかって変な疑惑をもたれぬよう、そっ
ともう一度窓の外へと視線をやる。
 試験終了を告げる鐘が響くまで、クロードは青い空を眺め続けた。



          あの日見上げた空へ  〜邂逅〜



「あ〜、やっと終わったー!!」

 校舎の外に出た八神トウヤが、大声上げて両手を天に突き上げた。
 あまりの大声に何人もが振り返るが、本人は気にせず思う存分大きく伸びをしている。

「これで暗記とシグ姉達のスパルタ缶詰勉強の日々から開放か。ローラーブーツまで取り上げるなんてひ
どいよなあ」
「息抜きにちょっと走ってくるって出て行って、そのまま暴走族と追いかけっこやらかした君が全面的に
悪いんだろうが」
「もっとも、シグナムさん達の教え方にも問題があると思うけど。暗記科目だからって詰め込めばいいも
のじゃないのよね。あれじゃ息が詰まって当然だわ」
435あの日見上げた空へ:2008/08/04(月) 20:25:38 ID:vecB8Nyc
 隣に並んだクロードと、遅れて校舎から出てきたレヴィア・ゲイズは口々に言う。
 もっとも、管理局に名高い勇士ヴォルケンリッターにしても、入試勉強の手伝いをするのはこれが生ま
れて初めてであり、上手くアシスト出来なくても当然といえば当然なのだが。
 ずっとトウヤを文武両道に渡って面倒見てきたギンガならトウヤに合った教え方が出来たかもしれない
が、教師として試験作成に関わったため不正防止で教えてやることが出来なかったのだ。

「で、お前ら試験はどうだった?」

 クロード達四人が今しがたまで受けていたのは、来年から入学予定の士官学校入試である。
 一般な管理局員ではなく高級仕官育成を目的としている学校のため、試験はかなり難関であった。その
代わり内部のコースは多岐に分かれており、魔力資質の無い事務官志望者用のクラスもある。
 将来の志望先が海・陸・空と分かれているクロード達が同じ学校に通おうとするなら、ここしかなかっ
た。

「たぶん受かってると思う」
「俺は正直微妙だな。半分ぐらい山勘で埋めた。ま、俺達ゃ魔導師ランクの分でゲタ履けるから、学科の
得点そこまで高くなくてもいいけど。昨日の実技は相当いい点取れたはずだし」
「いいわよね、あなた達は。私は奨学金取らなきゃいけないから十番以内に入らなきゃいけないのに、国
語だけ満点取れてないかもしれないわ。ああなんてことかしら。絶望で死んでしまいそう」
「嫌味か自慢かどっちだおい」
「両方よ」

 隣でいつもの馬鹿やりだした二人の会話から離れ、クロードは携帯を取り出し時間を見る。

「ロウはまだ試験中だな。あっちも受かってるといいけど」

 Aランク魔導師試験試験を受けている家族のことを思い出す。フェイトとアルフが休憩時間に合わせて
応援に行くと言っていたから、そろそろついているころだろう。こちらの試験と被らなければ、クロード
も行ったのだが。

「昔は誰かがついていないと人ごみにも出れなかったロウが、一番最初に社会に出るとは思わなかったよ。
なあ、ユーナ」
「…………うん」

 先程から一言もしゃべらない幼馴染のユーナ・T・スクライアに話を振るが、浮かない顔をして俯いて
いるばかりで乗ってこない。
 試験が出来なかったのだろうかと思うが、さすがに口には出して訊けない。

(模試じゃけっこういい点数取ってたし、大丈夫だと思ったんだが……。ユーナは時たまうっかりやらか
すからなぁ)

 もしも一人だけ不合格だったらどうしようかと思うが、今更試験がやり直し出来るわけでもない。試験
の結果に思い悩むのはやめて気分転換した方がいいだろうと、クロードは少し考え提案してみた。

「この後、みんなで昼ごはんにでも行こうか?」
「いいな。こないだディー姉に教えてもらった美味いラーメン屋があるんだ」
「激辛系があるなら付き合うわよ」
436あの日見上げた空へ:2008/08/04(月) 20:26:48 ID:vecB8Nyc
 口喧嘩を止めた二人は乗ってきたが、肝心のユーナは首を振る。

「ごめん。私もう家に帰るから」

 言うや否や小走りで去っていくユーナを追いかけようかとしたが、今しがたしたばかりの食事の約束を
思い出し、クロードの踏み出した足は鈍る。その背中に、声がかかった。

「ああしまった。おれあねきにようじをいわれてたんだった」
「わたしもほんやにようがあったのわすれてたわ」
「だからめしはやめとこう。じゃあなくろーど」

 やたらと棒読みな幼馴染二人の言葉に、じゃあまた今度と言い置いてクロードは後を追う。
 外見はただの平凡な十二歳の少女だが、母と姉に鍛えられているユーナの身体能力は高い。少しの間で
あったのに、ずいぶんと先へと進んでいた。
 それでも走るクロードとの距離はすぐに縮まる。
 あと三歩で追いつくという時だった。

「クロード、テスタロッサ、ハラオウンさん?」

 めったと呼ばれぬフルネームに、思わず足を止めて振り返る。
 そこに、真っ黒な少女がいた。
 腰まである艶やかな髪の毛から手袋、ロングスカートの裾から覗くローファーとソックスまで全てが黒
かった。身に着けているのは聖王教で一定以上の位にある者だけが纏える法衣だが、少女の物は本来は鼠
色の部分までもが黒に染められている。
 その中で肌の色だけが病的なまでに白く、唇は果実のように赤くて異物のように目立っている。一瞬、
闇夜に人の顔だけ浮かんでいるような錯覚を覚えてクロードはぞくりとした。
 そんなクロードに、少女は美貌をくすりと歪めながら近づいてくる。後方に一人、同じく教会の修道服
を着た女性がいたが、こちらは近づいて来ず顔も明後日の方角に向けていた。
 目の前の見知らぬ少女よりもユーナを追いたいところだったが、振り向いてしまったものはしょうがな
い。クロードは立ち止まって少女が近づいてくるのを待つ。
 少女は、法衣の裾をついっと持ち上げて優雅に頭を下げた。

「はじめまして。私、カリム・グラシアの娘、フレイヤ・グラシアと申します」

 名前は知らなかったが、カリム・グラシアの娘という言葉にクロードは覚えがあった。
 先日クロノとの会話で、教会のカリムが孤児を養子に貰ったということを聞いた。たしか自分と同い年
で、すでにSランク相当の実力がある神童だとか。それ以上のことは、知らない。

「どうもはじめまして」
「黒いでしょ」
「え?」
「私の格好」

 微笑を保ったまま、フレイヤは風で少し乱れた鬢の毛をかき上げた。

「父がね、好きなのよ。……いえ、好きかどうかは分からないけど、よく黒い服を着ているの」
「そうですか」
「生まれて一回しか会ったことのない父だけど」
「…………」

 いきなり重苦しい領域に突入されて、クロードは沈黙するしかなかった。クロードに構うことなく、フ
レイヤは言葉を続ける。

「知っているかしら。私は育てられた場所を逃げ出して行き倒れているところを、今のお母様に拾われた
の」
「…………」
「そこにいた間は実の父も母も顔すら知らなかったわ。誰も教えてくれなかったし」
「…………」
「血縁者の中で一人だけは、いろいろあってよく知っていたのだけれど」
437あの日見上げた空へ:2008/08/04(月) 20:28:10 ID:vecB8Nyc
 紛れも無く悲惨な過去のはずなのに、フレイヤはくすくす笑いながら己を語り続ける。
 ひたすら沈黙を続けるも、黒味がかった紫の瞳で全身を吟味するように見つめられると、だからどうし
たんですかと思わず反発したくなる。
 何が言いたくて近づいてきたのかさっぱり分からないが、せめて話題を変えようとクロードは当たり障
りのないことを訊ねた。

「今日はここに試験を受けに来たんですよね」
「ええ、そのとおり」
「ということは、将来教会じゃなくて管理局で働くんですか?」
「違うわ。あなたに興味があったから、同じ学校に行くことにしたのよ」
「はっ?」
「……冗談よ」

 そう言った時、初めてフレイヤは真剣な顔になった。細めていた眼が開かれ、放たれた視線が真っ直ぐ
にクロードの瞳を貫いてくる。
 だがまたすぐに唇の端が浮き上がって笑みを形作る。

「それじゃあ、また会いましょう」

 始まった時のように唐突に会話を切り上げ、フレイヤはきびすを返して去っていく。かと思いきや、く
るりと首だけ回して髪をなびかせながら横目で笑った。

「これから長い付き合いになりそうね。クロード、テスタロッサ、ハラオウン」

 フルネームを今度は呼び捨てると、ようやくフレイヤはお付の女性と一緒に去っていった。
 小さくなっていく後姿に、クロードは眉をひそめながら呟いた。

「…………なんなんだいったい」

 会話の内容は脈絡も何もなく、とても初対面同士がするものではなかった。
 こちらを無視して不幸自慢のような一人語りをされたのも十分に嫌だったが、それだけではない不快さ
が心にへばりついていた。きっと話の内容が自分の好きな食べ物や明日の天気でも、同じように自分は感
じただろう。

(あんまり付き合いたくないタイプなんだが……同じクラスになったりしたらそうも言ってられないな。
父さんとカリムさんは友達だし)

 ごくごく短時間の会話だったが、相性が最悪であるという認識しか得られなかった。
 こんなことなら、呼び止められたのを聞こえないふりしてユーナを追いかければよかった。もう幼馴染
の姿は視界のどこにも見当たらない。今頃はバスに乗って家路についているだろう。

(様子がおかしかったっていうだけで家まで押しかけるのも変だし。後で電話だけしようか)

 そう思いながら出口へと足を向けるクロードだが、何故か訳も無くフレイヤのことが気にかかり、もう
一度振り向く。
 しかしもう目当ての人物はおらず、木枯らしがひゅぅっと嘲笑うように吹き抜けているだけだった。
 前髪が乱されクロードが顔をしかめていると、ポケットで携帯が鳴る。着信者を見たクロードは微笑み、
不快感をきれいに消して電話に出た。

「どうしたの父さん?」

 三日ばかり顔を合わせていなかったクロノからの通信だった。
438あの日見上げた空へ:2008/08/04(月) 20:30:10 ID:vecB8Nyc
          ※



「クロード、テスタロッサ、ハラオウン」

 一言ずつ区切って、フレイヤは少年の名を呟く。
 口の中で何度か繰り返し、後ろについてくる女性に訊ねる。

「あなたはどう思ったかしら、マリアンヌ」
「それ、前までの名前。今はセラよ」

 お付の女は全く対等の無礼な口調で訂正してくるが、フレイヤは気にもかけない。

「半年ごとに顔と名前を変えるのやめてくれないかしら。いい加減覚えられないわ」
「同じ顔や名前で暮らしてると飽き飽きしてくるのよ。名前は本名使っていいなら変えなくてもいいけれ
ど」
「それはやめてちょうだい。……それで、どう?」
「そうね。あれぐらいの会話だけじゃ、いいところの坊ちゃんって以上の感想は出なかったわ。……あな
たにとっても期待外れだったみたいだけれど」

 セラが言うとおり、フレイヤにしてみれば長年待ち焦がれた対面はなんとも拍子抜けだった。
 フレイヤの問いにも、凡人そのものな反応しか返さない。変な問いかけをした自分も悪いといえば悪い
が。もっと別なことを語るはずだったのに、自然と自分の生い立ちや家族のことが口をついて出た。
 それでも、もうちょっと何か変わった反応が欲しかったところである。
 玩具と同じだ。店で買い家に持って帰るまでが一番楽しく、箱を開けてみれば入っているのは絶対に期
待よりも小さな出来の物でしかない。
 しかしまだ取り出してみただけなので、弄ってみたらもう少し面白いことを起こしてくれるかもしれな
いが。

「六年越しでようやく会えたのだから、もっと劇的な運命の一つや二つはあったらよかったのに。ああい
う無反応に近いのが一番困るわ。好きとも嫌いとも思えやしない」
「向こうにしてみれば、あなたのそのひねた根性が一番困るでしょうけど」
「仕方ないでしょう。私にとって、あの男の子の存在は大きすぎるのよ。何重もの意味で」
「どうせなら仲良くしなさいよ。私なんか姉妹と血が繋がってなかったけれど、すごく仲良しだったわよ」
「仲良く、ね」

 それだけは絶対にないわ、とフレイヤは心の中で呟く。
 自分がこれからクロードを知っていくうちに親愛と嫌悪のいずれの情を抱くか分からないが、どちらに
しろきっと彼との関係はこれまでの自分の人生がそうだったように、よじれねじくれひん曲がった歪なも
のにとなろうだろう。
 その確信だけが、短時間の邂逅ではっきりと感じ取れた唯一のことだった。
 くつくつと喉で笑いながら、フレイヤはもう一度囁く。

「本当に、長いお付き合いしていきましょう。クロード、テスタロッサ、ハラオウン」
439あの日見上げた空へ:2008/08/04(月) 20:31:17 ID:vecB8Nyc
          ※



「ああいう時に後を追いかけられるようになっただけでも進歩なのかね」
「どうかしら。ユーナじゃなくて私やあなたでも追いかけたんだじゃない」
「…………だな。なんであんだけ好き好きビーム出されてるのに気づかないかね、あのニブチンは」
「ずばっと口に出して言えないユーナのへたれにも問題があると思うけど」

 校門に向かってぶらぶら歩きながら、トウヤとレヴィアはいつまで経ってもくっつかない親友一号二号
についてしゃべっていた。
 恋愛模様を傍から眺めているのはそれなりに楽しいが、かれこれ六年にも渡られればさっさとくっつけ
と尻を蹴り上げたくなる。
 お互いの両親も告白するまでにえらい時間がかかったらしいから、これも遺伝なのかもしれない。

「はやてさんが恋愛を加速されるような魔法知らないかしら」
「知らねぇよ、そんな魔法。ひとの母親をドラえもん扱いするな」
「どらえもん? 何それ」

 八神家と違ってハラオウン家は料理以外の第九十七管理外世界の文化を積極的に取り入れようとはして
いないため、たまにこういう齟齬が出来る。

「覚えとけ。日本で知らない奴は一人もいない青くて丸い機械仕掛けの英雄だ」
「つまりガジェットV型みたいなやつなのね」
「……後で家に来い。徹夜で映画版見せてその間違った認識修正してやる」
「魔界大冒険は絶対入れなさいね」
「思いっきり知ってんじゃねえか!!」
「のび太と恐竜をリメイク版にしたら殺すわよ」
「しかもマニアだ!?」

 まあそれは置いといて、とレヴィアは咳払いを一つする。

「同じ女として言わせてもらえば、多分距離が近すぎるのに問題があるのよ。あの二人、異性じゃなくて
兄妹みたいな関係になっちゃってるところがあるから」
「なんだ、お前自分の性別覚えてたのか」

 あなたに貸した金のことも覚えてるわよ、ぐらい言い返されると思ったが、レヴィアは不意ににっこり
と極上の笑みを作るとトウヤの背後に向かって笑いかける。
 一瞬、真面目なことを言ったのに茶化されて怒ったかと思ったが、違った。

「こんにちは、はやてさん」
「はいこんにちは。久しぶりやねレヴィアちゃん」

 振り向けば、新しい艦に乗り換えたばかりで大忙しなはずの提督やっている母が立っていた。わざわざ
息子の迎えに来てくれたものと見える。
440あの日見上げた空へ:2008/08/04(月) 20:34:23 ID:vecB8Nyc
「母さん今日休みだったっけ?」
「有給どれだけ溜める気やボケ、って怖ーい少将さんに怒られてん。昔はあっちも似たようなことやって
たのにな」
「クロノおじ様、昔はもっとひどかったんですか? 今でも休日はダントツで少ないぐらいなのに」
「三ヶ月間本局に泊まりっぱなしとか普通にやっとったで。……それで、二人とも試験はどうやった?」
「私は少し自信がありませんけど、トウヤ君だったら絶対に受かっていると思います。だって、シグナム
さん達があれだけ親身になって勉強を教えられたんですから」
「……お前さっきと言ってること違うじゃねえか。…………づっ!?」

 ぼそりと呟いた瞬間、にこやかな笑顔のまま小指の爪先をピンポイントで踏み抜かれた。
 意地で悲鳴はこらえつつも、心の中でトウヤは叫ぶ。

(運動神経ゼロなのになんでこういうのだけ上手いんだこの猫かぶり女はっ!!)



          ※



『儀式魔法一種確認しました。一時間休憩の後、午後の実戦試験となります。控え室で休憩してください』

 スピーカー越しに試験官が言い終えると、周囲の景色が一変する。廃ビル郡を作り出していたシミュレー
ター装置が切られ、銀色の壁だけである本局内模擬戦施設へと変わった。
 肩を二、三度回して、ロウは出口から出て控え室へと戻る。同時受験者はいないので控え室には誰もい
ないはずだったが、ドアを開けると中にいた人を眼にしたロウの顔はぱっと明るくなる。

「やっほーロウ。順調みたいだね」
「お弁当持ってきたよ」
『おかーさん。フェイトさん』

 母に駆け寄ったロウを、アルフは軽々と抱き止めて持ち上げる。
 いつもは幼女姿の母だが、娘に見下ろされるのはさすがに気になるとかでフェイトが非番の日には魔力
を戻してもらい大人姿である。そうなれば、ロウよりもまだ頭一つ大きい。

『おとーさんは?』
「ヴィータの手伝いで任務中だから来れないんだ。けど言ってたよ。頑張って一発合格を目指せって」
『うん、頑張る』
「午後の試験は厳しいよ。ここで落ちる人が一番多いから、頑張ってね。相手はロウも知ってる……」
「ちょっとフェイト! それ教えるの違反だってば!」

 慌ててフェイトが口を塞ぐ。同時に、上のスピーカーが試験官の呆れた声を吐き出した。

『ハラオウン執務官、実戦試験の相手の名前を教えられると、私どもとしては失格にせざるを得ないので
すが』
「す、すいません! 悪いのは私なんですから失格だけは……」
『名前は出さなかったわけですし今回は大目に見ますが、まだ話されるつもりなら注意してください。二
度目はさすがに見過ごせませんから』

 スピーカーの向こうからため息が聞こえてきそうだった。

『怒られちゃったね』
「本来ならここに試験者以外が入るのもいけないことだからねえ。フェイトの顔が利いたから特別に入れ
てもらえたんだけど、早めに退散しておこうか。……っと、肝心なことを忘れるとこだった」

 アルフがソファーの上に置いていた鞄から、大きな風呂敷包みを取り出した。漂ってくる匂いを嗅いだ
だけで中身がなんとなく分かり、イヌ科の宿命によって尻尾が自然にぱたぱたと揺れる。
441あの日見上げた空へ:2008/08/04(月) 20:35:16 ID:vecB8Nyc
「はい、お弁当」

 出てきた重箱を開ければ、ハンバーグ・肉団子・豚の生姜焼き・トンカツといった肉料理のオンパレー
ドだった。一段だけはご飯だが、上には肉そぼろが敷き詰められている。食べるまでも無く、全部母の手
作りだと分かった。

「ロウの好きなものばっかりにしてきたから、全部食べて午後に備えて力をつけるんだよ」
『おかーさんありがとう!』
「……お腹いっぱいっていうのも動きにくいだろうから、ほどほどにしておいた方がいいんじゃないかな」
「だから腹六分目の量にしてるんじゃないか、なっ、ロウ」
『うん』

 最後に一度、頭を撫でて頑張れと言い残し、母はげんなりした顔のフェイトと一緒に出て行った。
 さっそく弁当に手をつけたロウは、心づくしの食事をいつもよりゆっくり目の二十分かけて完食すると、
バリアジャケットを解除した。同時に意識を集中すると、三秒経たずしてロウの身体は一匹の白狼と化し
た。
 人間姿でも狼姿でも活動に支障は無いが、狼の時の方が若干リラックス出来ている気がするので、休憩
中や就寝時はこの姿を取ることにしている。
 その姿となり後ろ足で二度床を叩くと、首元で機械質な声がした。

『十二時三十五分』

 しゃべったのは、ロウのデバイスである。青と赤、二色皮バンドで組まれた首輪型のデバイスは、しゃ
べれないロウのためにいくつかの仕草で定められた機能を発動するように設定されている。
 試験開始まであと二十五分。十五分休んで、残りの時間で身体を温めるのがちょうどいいだろう。
 床にぺたりと腹をつけて寝そべりながら、ロウは静かに考える。

(試験官の人って誰だろう?)

 自分が知っている魔導師でAランクの試験を任せられるぐらいの人物を数人頭に浮かべたが、すぐにや
めた。数が多すぎて、対策も何も立てようが無い。誰だろうと、全力を尽くせばいいだけだ。
 思考を切り替えて、今度は受かった後のことを考える。

(ガリューお姉ちゃんの部隊に入りながら経験を積んで、次は一つ飛ばしてAAAランク。もっと色んな
魔法覚えないと)

 ロウには一つ、心に秘した人生の目標がある。
 生涯かけてやろうと思っていること。それは、ハラオウン家への恩返しである。
 物心ついてからの数年間、ロウの世界にあったのは鋼鉄の檻と下卑た顔をしたかつての飼い主だけだっ
た。檻と飼い主の部屋を行き来するだけの生活。外の世界など想像すらしなかった。
 そこから助けてくれて保護してくれたのがフェイトだった。
 ハラオウン家にはこれまで無かった物が全てあった。美味しい食事も、温かい毛布も、殴られることが
無い日々も。なにより、親が、家族が、親友がいた。
 夢見たこともない幸せが、そこにあった。
 こんな幸せをくれた人達に恩を返さないのは、生物として間違っているとロウは堅く信じている。直に
言えば全員口を揃えてそんなことは気にしなくていいと言うに決まっているから、明かしてはいないが。
 恩返しの方法を考え出した時、即座に思い浮かんだのが父と母だった。ああいう風に、ハラオウン家の
誰かを護って生きたい。
 そうなれば自分が護る対象は、クロード以外にいなかった。
442あの日見上げた空へ:2008/08/04(月) 20:36:29 ID:vecB8Nyc
(クロードは、本当に危なっかしいから)

 一見大人しいように見えて、クロードは相当に気が荒い部分がある。特に一度切れると見境がつかなく
なり、それが原因による大乱闘ですでに二回入院を経験している。
 また隣には、無類の喧嘩好き八神トウヤがいる。「導火線の短い炸裂弾が並んで歩いている」と評した
のはレヴィア。そのとおりで、どちらかが爆発すると隣に飛び火して被害が広がる。
 今は一応レヴィアがある程度ストッパーになっているが、いざ腕力沙汰となればはっきり言って役に立
たない。戦場でクロードの隣に並んで走るのはトウヤのポジションだから、後ろを護るのが自分の役目だ
とロウは思い定めている。

(まだおとーさんよりもおかーさんよりも弱くて、とても護るなんて偉そうなことは出来ない。Aランク
試験ぐらい一回で合格して、もっと強くならないと)

 決心を新たにしたロウは立ち上がる。休憩時間は残りジャスト十分。
 模擬戦施設へ移動すると、すでに試験のフィールドが発生していた。ウォーミングアップをやっている
うち、あっという間に時間は来る。
 自分が入ってきたのとは別の入り口が開いて入ってきた人影を見て、ロウは目を丸くした。

「やあ、ロウ。久しぶりだね」
『エリオさん!?』

 試験官は、家族の一人である槍を担いだ赤毛の青年だった。
 ロウが予想した人物の中に入ってはいたが、それでもこうして出てこられるとちょっと驚く。

「試験概要の確認だけど、時間は三十分。魔法が非殺傷設定だったら基本的になんでもあり。ただし死な
ないからといって、あまりに危険な行動に出るのは減点対象。勝ち負けはあまり合否に関係は無い。こん
なところかな。何か質問は?」
『特に無い……ありません。全力で行かせてもらいます』
「ああ、倒すつもりでかかってきてくれていいよ」

 エリオと手合わせするのは初めて。槍を使うことと、電気変換資質があることしか知らない。完全に未
知と言っていいので、気を抜いていては一瞬でやられてしまう可能性もある。
 張り詰めていく空気の中、エリオの掛け声が響いた。

「それじゃあ試験、開始っ!!」




 見学室のモニターの中で戦闘が始まるのと、ドアが開くのはほとんど同時だった。

「試験始まってますか?」
「今からちょうどだよ」

 入ってきたのキャロにフェイトは答える。エリオの妻となって早五年。すっかり落ち着きが出てきて、
大人の女性の風貌を備えている。
 続いて、幼い時のキャロそっくりの顔である赤毛の少女が入ってきて、朗らかな声で挨拶した。

「こんにちはー! フェイトおばあちゃん! アルフ!」
「お、おば……」

 思わずフェイトはすっ転びかけた。顔がはっきりと引きつったのが自分で分かる。前に会った時にはフェ
イトさんだったのに。

「ごめんなさいごめんなさいフェイトさん! だ、駄目だよエリー、そんなこと言っちゃ」
「だって、お母さんのお母さんはおばあちゃんでしょ?」
「そうなんだけど……えっとね、フェイトさんは私とお父さんの元保護者で……」
「い、いいよキャロ。私もキャロのお母さんだって思ってもらえるのは嬉しいから」
443あの日見上げた空へ:2008/08/04(月) 20:37:54 ID:vecB8Nyc
 口ではそう言うフェイトだが、心の中は動揺しまくっている。
 かつてリンディがクロードにおばあちゃんと呼ばれる度に心臓を押さえて呻いていたが、年月を経て自
分もそれを体験する時が来てしまった。しかもリンディと違って自分はまだ孫がいるような年齢ではない。
あと十年はお母さんのままでいたかった。
 そんなフェイトに、キャロの背後で隠れるような形になっていた影が一つ近づいてくる。
 特撮に出てくる怪獣をエリーの身長に縮めたような外見。首に赤い布を巻いており、フェイトの前まで
くるとぺこぺこと頭を下げた。

「あなたまで謝らなくていいよ。えっと……ヒリュー、だったかな?」
「違うよ。この子はキリュー。首に青い布なのがヒリューで、緑色がシリューだよ」

 三匹とも母親そっくりの姿を黒くしただけなので、首の布をつけないと差異を人間が見つけるのは難し
い。父親はカブトムシのような角が生えていて一目瞭然なのだが。
 見学室でのごたごたを他所に、試験の方は白熱していた。
 試験官としての戦闘は、相手を打ち倒すためのものとも、鍛えるための教導とも違う。受験者の力量を
正確に測るため基本的に正面から、時には意外な手を交えて冷静に反応を見つつ行うものである。
 昔は攻撃一辺倒だったエリオにそういう器用なことが出来るのかとフェイトは内心心配していたのだが、
エリオは問題なくロウの攻撃をさばいて実力を測っている。バインドなどの補助魔法もいつの間にか多種
類覚えていた。

「いけー! お父さんがんばれー!」

 そんなことは分かっていないだろうエリーは、無邪気に父を応援している。
 キャロやアルフと苦笑し合うフェイトだったが、ふと真剣な顔になって言った。

「エリオは本当に強くなったね。ひょっとしたら、私でも負けちゃうかもしれない」
「そんなことないです。エリオ君は、ランクだけはフェイトさんと同じになったけど全然勝てる気がしな
い、って時々言ってます」
「そう言ってくれるのは嬉しいけどね、キャロ。……私も、いつまでSランク魔導師のままじゃないんだ
よ?」

 最近、戦闘が終わった時の疲労がほんの僅かだが増えている。一晩ぐっすり寝ても回復しないこともあ
る。反応速度が自分にだけ分かる程度で鈍っていると感じることも多かった。
 確実に、フェイトの身体能力はピークを過ぎている。十数年後には、きっと今のような高速戦主体の戦
闘方法は取れなくなっているだろう。それまでに違う戦闘スタイルを開発するか、完全に前線から引退す
るかを選ばなくてはならない。

「だからエリオやキャロ達これから管理局を背負っていく人は、私を乗り越えていってくれないと駄目な
んだ。私がいなくなった途端に戦力がいきなりがた落ちするなんてことは、いけないんだよ」
「けど……」

 言いよどむキャロの気持ちはよく分かる。
 世話になった師匠を超えるというのは、弟子にとって喜びよりも辛さが勝ることがある。特にエリオや
キャロのように真摯に慕ってくる者にとっては、罪悪感すら覚えることかもしれない。
 もしリニスが在命だったとしたら、自分がリニスよりも完全に強くなった時には引け目を感じたかもし
れない。
 キャロが黙りこくってしまい少し重たくなった空気を破ったのは、少女の一言だった。
444あの日見上げた空へ:2008/08/04(月) 20:40:06 ID:vecB8Nyc
「駄目だよお母さん」

 いつの間にかモニターから目を離していたエリーが、お説教をするように顔の横で指を立ててキャロに
言った。

「お父さん、仕事から帰ったらすごく疲れてるでしょ。フェイトおばあちゃんだっていっぱい仕事したら
いっぱい疲れるんだから、お母さんが頑張って少しでもおばあちゃんを助けてあげないと」

 子供の頭で二人の話を考えたなりの、ピントが少しずれた意見。
 それでも、キャロの表情から暗いものが消えた。

「…………うんそうだね。私達がもっとしっかりして頑張っていかないとね」

 頷いて、キャロは顔を上げる。

「たぶん、まだエリオ君も私もフェイトさんより弱いです。けど、いつか絶対もっと強くなって、フェイ
トさんのようにたくさんの人を助ける局員になってみせるって約束します。……だから」

 キャロが真剣な表情のまま、手を出してくる。

「フェイトさんも約束してください。限界だと思ったら、いつまでも無理に頑張らないで引退して、クロ
ノ少将やリンディさん達と静かに過ごしてください。戦場で倒れてしまうフェイトさんの姿を、私は絶対
に見たくありません」
「うん、約束するよ。……キャロも、いつか誰かと同じ約束をしてほしいな。キャロが後を任せられると
思えるだけの人を見つけたら」
「はい」

 キャロの差し出した手をフェイトは包むようにして握る。
 自分が管理局を引退したとしても、エリオとキャロが、クロードやロウやエリーが、そのまた子供達が
いて、一人でも不幸な目にあう人を救おうと頑張ってくれる。だからきっと、何の心配もいらず自分は穏
やかな老後を迎えられるはずだ。
 そう信じられる強さが宿った、手の平だった。



          続く
445あの日見上げた空へ:2008/08/04(月) 20:41:20 ID:vecB8Nyc
          おまけ



・クロード・T・ハラオウン
外見だけでなくしゃべり方まで父親に似てきた。
シグナム先生にどつきまわされながら育ったため、「押しても駄目なら斬ってみろ」と本気で考えている部分がある。

・八神トウヤ
「俺の人生で一番幸せだったのは八歳までだった……」と何かを揉む手つきをしながら回想している十二歳。
そんな親友の浅ましい姿を見続けたため、クロードは貧乳派へと宗旨替えした。

・ユーナ・T・スクライア
ママよりパパの血が濃いので他人の頭冷やしたりしないが、清純派に見せかけて相当にエロイ。
暴力沙汰は嫌いだが、喧嘩の時クロード達の仲間外れになるのにはちょっと不満を感じている。

・ロウ
ドッグフードは好きだし猫缶をおやつに食べたりするが、生肉は食せない狼。
一番近いのはもちろんクロードだが、一番気が合うのはレヴィア。

・レヴィア・ゲイズ
馬鹿二人の襟首引っつかむ役割だが、止められないと判断した時点で背中押す側に回るので最終安全弁にはなりえない。
祖父と母の次にリンディを尊敬しているが、砂糖入り茶は無理だった辛党。



          これまた次回へ続く
446名無しさん@ピンキー:2008/08/04(月) 20:42:57 ID:5yLQOmqQ
ふと思ったんだけど、ガリュー女性説って、このSSだけ?
447名無しさん@ピンキー:2008/08/04(月) 20:45:02 ID:cHwsBU5P
>>445
うおおおおお!まさかの続編キター!
このシリーズ大好きだったんで、めっちゃ嬉しい!
448サイヒ:2008/08/04(月) 20:45:32 ID:vecB8Nyc
以上です。
昔と比べて性格変わってるのが一人と一匹いますが、年齢一桁時代の五年間は大きいよねということで。
なお二代目忠犬はもう一段進化して、最終的に女ザフィーラ的性格になる。


未来における各キャラの様子は前回書いたんで、こっちはキャラ数かなり絞っていきます。
今回はぶっちゃけ導入部とガキども軽く再紹介なので、次回からはもうちょっとなのはキャラ出します。
キーワードは「夢」と「親子」。
449名無しさん@ピンキー:2008/08/04(月) 20:56:50 ID:BizcWWiH
>>448
うおー!待望の続編キターーー!!GJです!!
そして噂の謎のライバル少女が!!しかも脈ありか。どうする、ユーナ?
・・・・・・・・・・って、あれ?こいつ、もしかして、もしかすると・・・・・
・・・・いや、まさかな・・・・・・

で、びっくりサプライズなエリキャロの子供ですが・・・・・ルーはどうしたんでしょうか?
もしかして、しくじった?
450名無しさん@ピンキー:2008/08/04(月) 21:09:01 ID:3FFlUhWg
>>445
投下乙です。フレイヤ・グラシア、彼女はこの物語をどのように盛り上げてくれるのでしょうか?
各キャラとの絡みが読んでみたい。
451名無しさん@ピンキー:2008/08/04(月) 21:10:14 ID:MsehZUw1
>>448
GJです オリキャラはとっつきにくいですが面白かったです
続き楽しみにしています

ところでA's++の続きは・・・首を長くして待っています
最近見なくなっちゃった職人さんで復活希望の人とかいます?
452246:2008/08/04(月) 21:53:25 ID:PEMgB2Ch
お久しぶりです。というか、お久しぶりすぎてそれ以外何もいえません。
22時くらいに、結構前に言っていたユノフェイ長編したいと思いますが、よろしいでしょうか?
453名無しさん@ピンキー:2008/08/04(月) 21:55:14 ID:5yLQOmqQ
待ってました。
454名無しさん@ピンキー:2008/08/04(月) 21:55:25 ID:vol/qxjs
>>448
GJ!
なんですが…フレイヤが黒い髪?父が黒い服を着ている…?
もしかしてもしかすると父親はクロ

おやこんな時間に誰か来たようだ
455名無しさん@ピンキー:2008/08/04(月) 21:56:28 ID:7cq9XSB4
キャモーン

>>451
密かにリリkルヴィヴィオの続きがちょっとだけ気になっている
忙しいっつてたから、急かすわけではないんだけどな
456246:2008/08/04(月) 22:01:03 ID:PEMgB2Ch
なんか、ほんとに久しぶりなんで緊張する……。
とりあえず、以下ご注意を。
・鬱展開鬱エンドです。誰も救われません。誰も助かりません。
・メインはユノフェイ。最後までなのフェイにはならずにユノフェイです。後、同じくらい高町母娘の物語。
 多分、ユーノ×フェイト←←(ry←←なのは→→→→→→→→→→←ヴィヴィオみたいな感じになるかと。
・ユーノ君が好きな方はご注意を。フェイトさん、高町母娘、八神家、ナカジマ家、テスタロッサ家、ていうか、
 魔法少女リリカルなのはが好きな方ご注意を。
・フェイトさんがかなり病みます。なのはさんもそれなりに。ヴィヴィオも割りとそれなりに。
・エロは恐らくありません。
457Cursed Lily:2008/08/04(月) 22:02:42 ID:PEMgB2Ch
 いつからだっただろう、彼女の事を親友以外の気持ちで見てしまったのは。
 いつからだっただろう、彼女の隣に自分がいない事が、酷く寂しいと知ってしまったのは。
 いつからだっただろう、彼女の隣に自分以外がいる事が、酷く苛立たしいと知ってしまったのは。
 ――でも。
 この手が掴みたい筈の手はここには無くて。あるのは、縋るように握ってくる小さな手。その手の暖かさは彼
女のモノとは全然違くって、それでも暖かいと感じる事が出来たのだ。
 出来るなら、この暖かさを護りたい。
 出来るなら、ずっとこの暖かさを感じていたい。


 そうしないと、この手に残るあの暖かさを忘れる事が出来ないから――。


魔法少女リリカルなのはStrikerS
―Cursed Lily―


 パン、と火薬の破裂する音と共に色とりどりの紙吹雪が宙を舞った。
 つられてそれを見上げる瞳も同様に。何人かは涙を滲ませているが、この瞬間が最後だと言う現実を胸に強く
秘め、それぞれの手に握ったグラスを掲げ紡ぐ言の葉が重なった。

「――乾杯!」

 季節は変わり春を感じる今日この日。窓から覗く星達は満開の花を夜空に咲かせ、しきりに空を走りながら、
ここ起動六課で行われていた解散式――の後である宴会の一員として笑い合い談笑する皆を眺めていた。
 乾杯の前。部隊長として言葉を連ねていたはやてが目ざとく見つけた空席へ向かい、豪快にその身体を押し込
めれば、それと同時に上がるのは悲鳴とも驚愕ともつかない、哀れな少年少女の叫び声だ。
 にやついた笑みを浮かべるはやての頬は既に高揚し、吐く息はどこか酒臭い。主の羽目を外した姿に溜息を吐
いたシグナムが、だがその横、自身の肩に腰掛けているアギトに勺をし、自分もと手に持ったグラスの酒を一気
に胃に押し込め嘆息する。
 いつもなら小言の一つでも言うところだろう。だが、今日だけは何も言う事は無い。僅かに高揚したシグナム
の顔に浮かぶのは、その笑みと比例する別の感情――寂しさと言うやつだった。

「こんな日だ。主はやても同じかな」

 そして、隣でオレンジジュースを飲んでいるヴィータもまたシグナムと同じ。無言のまましきりにあたりを見
渡す姿はまるで、ずっと忘れまいと目に焼き付けるかのようで。
 辺りをゆっくりと見渡しその後、自分達が育て上げたフォワード陣を見つめる時間は、今までも何倍も。その
瞳が若干潤んでいるように見えるのは、きっとシグナムの気のせいではない。
 だから、誰とも言葉を交えず、一人ジュースを飲み菓子を頬張る彼女の目の前。空っぽのグラスにシグナムが
酒を並々と注いでやれば、期待通り返ってきたのはヴィータの険しい視線の矢。
458Cursed Lily:2008/08/04(月) 22:03:51 ID:PEMgB2Ch
「烈火の将が許す。飲んでいいぞ」
「んなもん、苦くて飲めねぇよ。それにあたしは未成年じゃねぇ」
「……そうだったな。失念していた」

 だが、返す言葉にはどこか勢いが見当たらない。
 シグナムの薦める酒を断り、ヴィータは少しずつ舐めるようにジュースを飲んでいた。この時間を終わらせた
くない。そんな気持ちが、ありありと伝わっていた。

「こらっ、エリオッ、キャロもや。スバルもティアナも飲めっちゅうんや! わたしの酒が飲めへんのかぁ?」

 そんな二人の事など全く意識の外へ追いやって、シグナムとヴィータの右方向。エリオとキャロの微妙に開い
た隙間。そこに、未成年に酒を勧める典型的な酔っ払いがいた。シャマルがはやてをエリオ達から引き剥がそう
とするが、酔っ払いはシャマルの手を払いのけエリオとキャロにほお擦りを繰り返す。
 エリオとキャロが、どうにか逃げようと互いの隣に助けを求めていた。キャロはスバルに。エリオは一つ開い
た空席の向こう、カリムと談笑しているクロノに涙目で。

「ごめんキャロ。無理」
「いやぁぁぁぁぁぁ!!!」
「いい経験だ。たまには羽目を外す事くらい覚えるんだな」
「クロノさぁぁぁん!!!」

 スバルが笑顔でキャロを谷底へ突き落とした。クロノがおよそ十年前の彼自身に聞かせてやりたい言葉を吐き
ながら、それなりに飲みなれた酒で喉を潤した。
 涙目のエリオははやてに抱き寄せられ、これまたそれなりに膨らんでいるはやての胸に顔を押し付けられてい
る。もがく少年の耳に届く甘い声ははやてに胸を揉まれているキャロのものなのだが、今の少年には何だかは分
からない。とにかく、ここから逃げたかった。

「冷たいわねぇ……助けてあげたっていいじゃない」
「じゃあ、ティア助けてあげなよ」
「やだっ、冗談言わないでよ」

 女性は元より、男性陣達も席を連ねている宴会場で甘い声を放ち続けるキャロから微妙に距離を取り、スバル
がヴィータと同じオレンジジュースを飲んでいた。その隣、最初の一口目で酒を飲むことを諦めたティアナも同
じように。
 起動六課だけではなく、関係各位を招待した解散式とその後の宴会の盛り上がりは、開始して瞬く間に最高潮
に達していた。
 ヴァイスキャロの発する艶声に耳を済ませながら酒を飲んでいる。隣にいるグリフィスは顔を真っ赤にし、早
々に潰れていた。
 アルトが酔っ払い、男性トイレに駆け込んでいた。ルキノはそれを必死に止めようとしていた。
 シャッハはカリムの隣にちょこんと座り、少しずつ酒を飲んでいる。苦いのを我慢していた。
 ヴェロッサははやての状態に苦笑し、厨房に水を貰う為立ち上がっていた。
 クロノはカリムと談笑しながら、しきりに時計に目を落としている。帰らなければいけない時間が迫っていた。
 この場にいないシャーリーは、現在ゆりかごの戦いで壊れているレイジングハートの最後の修理だ。リインも
同様に。沈黙しているバルディッシュが、数多の器具に蹂躙されようとしているレイジングハートを見つめてい
た。
 ザフィーラは愛用するミルク皿に酒を注いでもらい、ドックフードの代わりに刺身を食べていた。見上げれば、
そこには眩い主たちの白いデルタゾーンがチラチラと覗いていた。
 エリオは相変わらずはやての胸に顔を押し付けられながら、窒息しかかっていた。
 キャロも相変わらずはやてに胸をもまれながら、虚ろな瞳で笑っていた。目の前には何故か裸のエリオがいた。
嬉しかった。
 ギンガとナンバーズ数人も同様に。多少遠慮しながらも薦められるままに喉を潤し、腹を満たし、近くにいる
職員達と談笑している。チンクは無言のまま壁に背を預け、自分の幼児体型が劇的に生まれ変わる瞬間を夢に見
ていた。やはりその体型に見合うように酒は苦手なのだろう。

459Cursed Lily:2008/08/04(月) 22:05:15 ID:PEMgB2Ch
* * *


 そんないつにも増して騒がしい起動六課隊舎。その通路を踵を鳴らして歩く姿があった。
 耳に届く宴会場の喧騒に苦笑しながらも歩みを止めない彼女の名は、高町なのは。
 解散式で隊長としての言葉を満足のいく形で残した彼女が今行っているのは、その解散式の後、いつの間にか
視界から消えてしまっていた愛娘であるヴィヴィオの捜索だった。
 捜索とは言っても慣れ親しんだ起動六課の隊舎を歩く程度のもので、実際彼女自身焦っている訳ではない。す
ぐに戻ってくるだろうとはやて達と席を共にする事も出来た。それをしなかったのは、落ち着かない。この一言
に尽きる。
 途中、同じようにヴィヴィオを探してくれていたアイナを宴会場へ半ば強引に向かわせ、なのはがヴィヴィオ
が消えてから数え切れぬ程になった溜息を小さく零す。
 やはり念話くらい早々に覚えさせてあげないと何かと不便だ。せめて携帯電話が欲しいところだが、生憎買い
に言ってやる時間が無い。やはり、アイナをハウスキーパーに雇うという案を採用すべきなのか。
 と、

「っ……」

 不意に、ズキンと全身を襲う痛みがなのはの歩みを止まらせた。
 ゆりかごでの戦いの代償だ。気にしなければどうと言う事は無いが、一度気にしてしまうと止まらない程度の
体の痛み。
 しばらく無言で壁に背を預け、確かめるようになのはが拳を握れば瞬間、僅かな痛みに頬が引き攣りなのはが
呻く。
 だが、まずはヴィヴィオを探す事を先決と、首を振って痛みを無視した。やらなければいけない事は思いの他
沢山あるのだ。
 スバル達と話がしたい。まだ言い足りない事は沢山ある。ついでに、はやてともきちんと話さないといけない。
ヴィヴィオの事をもっと考えられるように。シャマルの所に行くのは、全て片付けた後で十分だ。

「よし」

 頷き、なのはが歩き出す。向かったのは屋上だ。隊舎を歩き回って最後に残った、だが真っ先に行っても良
かったくらいの星空の見える場所。
 扉のスイッチは横にあった。扉を開こうとして、勝手に開いた扉に目を丸くさせながらもなのはが笑う。

「やっぱりここにいたんだ。お部屋で寝てなさいって言ったでしょ?」
「ごめんなさい、なのはママ。忘れちゃった」

 苦言を漏らすなのはは、されど笑顔。そしてそれを見上げているヴィヴィオも笑顔だ。
 二人はどちらからとも無く手を握り、歩き出す。向かうのは勿論、ヴィヴィオが最も安心できる自室のベッド。

「解散式のママ、格好よかったよ。教導官って感じだった」
「ありがと。でも、ママは最初から教導官だから間違えないよーに」
「はーい」
「ったく、ほんとに分かってるのかなぁ」

 握り締めた手が、暖かかった。ずっと離したくないと思う程に。
 部屋に戻り横にさせてあげて、そっと髪を撫でてやれば、返ってくるのは満面の笑顔だ。愛らしい、まるで
真っ白い天使のように純粋で無垢な笑顔。

「ちょっと、親馬鹿になってるかな」
460Cursed Lily:2008/08/04(月) 22:06:39 ID:PEMgB2Ch
 小さく零し、なのはが娘の寝顔を見つめながら笑みを深いものにする。親馬鹿、そんな言葉でさえヴィヴィオ
の母親なのだと証明されているようで嬉しかった。
 愛娘の寝顔を存分に堪能し、寝かしつける為にベッドに腰をかけていたなのはが立ち上がる。
 さてこれからどうするか。少し前までは今やる事を考えていた筈なのに、既に忘れてしまっている。それくら
いにこの手で握っていた手が暖かかったのだから仕方がない。
 明日起動六課へ出る為の準備をしなければいけない。宴会場へ戻り、酒を飲んでみたい気もする。もう今年で
成人だ。別に誰も文句なんて言ってこない。
 堅苦しい起動六課に出向した教導官と言う立場も今日で終わり。たまには羽目を外してしまっていいだろうか、
となのはが一人思案に耽る。
 とそこへ、

「なのはちゃん、ヴィヴィオは見つかったんかー?」

 端正な顔を破滅的なまでに赤ら顔で崩壊させた、我らが起動六課の部隊長が立っていた。千鳥足で。

「はやてちゃん、飲みすぎだよ。ていうか、ここにお酒は無いよ」
「はやてちゃんや、なーい! やーがーみ、ぶたいちょーや!」
「はいはい、八神部隊長。ここにはお酒なんてありません。とっととお戻りください」

 ずるずると壁に背を預け座り込むはやてには、もう呆れる以外の選択肢が見つからない。
 自分から飛び出したのか対処に困って追い出されたのか分からないが、とにかくこれ以上飲ませる訳には
いかないだろう。

「はやてちゃん今からそんなんじゃ、この先どうなってもしらないからね」
「だーかーらっ、はやてちゃんや無いって――」
「とりあえず、黙って」

 暴れるはやてをバインドで縛り上げ、はやての自室へ運んでいく。途中、はやてを探していたザフィーラに
出くわし、丁度いいからとヴィヴィオの事を見てもらう事にした。

「ほら、はやてちゃんお水」

 ソファにはやてを寝かせ、水を飲ませてやる。僅かに口端から水を零しながらも飲み干したはやての口を拭っ
た後に窓を開ければ、ひんやりとした夜風がなのはのサイドテールを靡かせた。

「――別に、今日で最後やからなんて思ってないんよ?」

 なのはが窓を開け風に当たり、どれくらい無言の時間があっただろうか。不意に、はやてがそう呟いていた。
横になりながら腕で目を隠し、今までよりもほんの少しだけ、真面目な声で。

「部隊長やからって訳でもないし」
「うん」
「ただ、楽しんで……笑ってもらいたかったんや。呆れてでもええし、一緒に騒いでくれてもええ。なんでも
ええ……とにかく最後は楽しくって、思ってたんやけど――」
「だけど?」
「あかんのや……飲みすぎて、キャラ崩壊し始めて、なぁ、なのはちゃん……車椅子の病弱薄倖美少女八神はや
てちゃんは、今どこにいるんやろうなぁ……」

 だが所詮、酔っ払いの戯言である。聞かなかった事にして、なのはは夜風に当たりながらはやてを看るという
作業を続行させることにする。
 別に自業自得と放って置いても良かったが、この酔っ払いが別の誰かに絡みだす事を考えると、自分でいいや
と思ってしまうのだ。我ながら、自分のこの性格を褒めてあげたくなった。
 それからそのまま、何も無い至極ゆったりとした時間が流れる。
 はやてはソファに身体を預けたまま苦しげに喘ぎ、なのはは窓からの風に涼みながら時折はやての要求で水を
飲ませてやるの繰り返し。
 次第に悪かったはやての顔色も元の色を取り戻し始め、よいしょとはやてがソファから上半身を起こし、申し
訳なさそうに苦笑しながら、なのはから手渡された何杯目かの水を飲み干した。
461Cursed Lily:2008/08/04(月) 22:07:52 ID:PEMgB2Ch
「ごめんな、なのはちゃん。大分、楽になってきたみたいや」
「そ。じゃあ、戻るから。後、今度同じ事があってもこんな事してあげないんだからね?」
「何や冷たい。なのはちゃんがそんな事言うなら別にええよ。今度はヴィヴィオにしてもらうから――」
「――ちょっ、何でヴィヴィオが出てくるの!?」

 ドン、と意外な程大きな音が室内に響き渡った。
 その音の原因であるなのはは咄嗟にたたき付けてしまっていたテーブルから慌てて身体を離し、頬を染める。
対するはやてが、にやにやと、そんな擬音さえ聞えてきそうないやらしい笑みで冗談だと謝罪した。

「さっすが、エース・オブ・エース唯一の弱点やな」
「ち、違うもん」
「うちのヴィヴィオにそんな事させません、やろ今の。いやぁ、すっかりなのはちゃんもママやなぁ。やっぱり
あれか? ヴィヴィオに恋人できたら、娘は渡さんとか言うんか?」
「違うもん……パパじゃないもん。私、ヴィヴィオのママだもん……」

 顔面が、燃えそうな程に熱くなっていた。その熱を冷ますというよりもはやてから逃げるように自身の顔を覆
うなのはに、更にはやての口撃は続く。
 はやて曰く、なのはは将来確実に親馬鹿になるらしい。はやてに出くわす寸前まで考えていた事を真っ先に指
摘され、なのはは言い返す事は愚かまともに言葉など発せ無いほどに顔を赤くし、涙目で首を振る。だがそんな
反応をされるからこそ、はやてがもっとからかいたくなるのだがなのはは勿論分かっていない。

「わ、私もう行くから! はやてちゃんもう飲みすぎちゃ駄目だからね!」

 故に、逃げる為はやての元から駆け出そうとする。くくっ、と声を漏らすはやてがそれを自分にされたように
バインドで静止させ、ついでに隣に座らせた。
 拗ねたように顔を背けるなのはの手をはやてが取り、力強く握る。あるのは、細くてそれでいて、優しく力強
い手の感触だ。

「明日やな」
「ふぇ?」
「明日から、ヴィヴィオと新しい生活や。で、なのはちゃんのヴィヴィオのママとしての、本当の最初の一歩や」

 はやての言葉は、本当に今までよりも静かだった。だからこそ、なのはは何も言わずはやての言葉に何も言わ
ず耳を傾けていた。

「多分、大変な事もそれなりにあると思う。大丈夫?」
「うん」
「ならええわ。別に心配してるわけや無いし。なのはちゃんやからな」
462Cursed Lily:2008/08/04(月) 22:08:54 ID:PEMgB2Ch
 はやてが笑う。つられてなのはも。
 そして、もう行くねと立ち上がり部屋を出ようとするなのはが、再びのはやての制止する。彼女の視線の
先にあったのは、起動六課部隊長としての、八神はやての姿だ。

「でも、なのはちゃん。ヴィヴィオの魔力素質は強大や。この後、ヴィヴィオ自身の魔力ももっと大きくなる。
古代ベルカ……聖王陛下の血は多分、なのはちゃんが思ってるよりなのはちゃんを困らせるよ」
「大丈夫。頑張るから」

 レリックが無くなろうとも、聖王の鎧はまだ生きている。そして、ヴィヴィオの高速データ収集能力も。それ
らは全て、古代ベルカから受け継いでしまっているもの。今はまだ、それを扱う程の魔力も技術もない、ただそ
れだけだ。

「ヴィヴィオには、自分の未来をしっかり考えて欲しい。聖王とかそんなの関係ない。そんなものに縛られない
でいて欲しい。その為に私が困る事があるならいくらでもいいよ。私は、ヴィヴィオのママだから」

 はやての険しかった表情が、和らいだ気がした。今度こそ立ち上がり、部屋を出て行くなのはの背中を見つめ
ながら、はやては一人余計な事をしたと苦笑する。
 こんな忠告など無かろうとも、彼女はヴィヴィオを笑顔でいさせられる。絶対にだ。

「想いを叶えられる強い力……ヴィヴィオにも、ちゃんと受け継がれるとええな」

 それは、スバルやティアナ達にもきっと受け継がれたもの。彼女がまだ魔法を知らなかった頃、彼との出会い
で生まれたものじゃない。彼女が初めから持っていた、強い想いを現実とする力。
 フェイトと親友になれたのも。その後の戦い続けられたのも。一度堕ちてまた羽ばたけたのも。ヴィヴィオの
母親になれたのも全て、その力があったからこそなのかもしれない。
 なら大丈夫。彼女が願い続けているならばきっと大丈夫。
 理由は無いけれど、そう思ってしまった。

463Cursed Lily:2008/08/04(月) 22:10:09 ID:PEMgB2Ch
* * *


 数え切れぬ程の星達が、降り注がんばかりにここ、起動六課屋上に佇む二人を眺めていた。
 つい今しがた去っていった少女の背中を思い出しながら、彼女――フェイト・テスタロッサ・ハラオウンは
小さく笑う。
 恐らくなのはが迎えに来たのだろう。走り去っていった少女の横顔には、満面の笑みがあったのだ。

「助かったぁ」

 そしてそんなフェイトの隣、ユーノ・スクライアは疲れ果てていた。
 原因である少女が消えると同時に安堵の息を吐き出し、鉄製の柵に身体を預けて脱力する。その顔は、心底
ヴィヴィオがいなくなった事に安堵していて、それがフェイトの眉を僅かに寄せさせた。
 文句でも言ってやろうとフェイトが一歩近づけば、瞬間ユーノが逃げるように一歩後ずさる。その顔はまさに、
嫌なものがまだ傍にある事を嘆いていて。だからこそ、フェイトはユーノの腕を掴んで離す事は無い。

「そんな嫌そうな顔しないでよ。ヴィヴィオ、かなり期待してるんだからね」
「もういい加減にしてよ。その話はいいって」

 ユーノが聞きたくないと顔を背けるが、フェイトにすれば彼のそんな態度などどうでもいい事。それよりも大
事なのは、先ほどまでヴィヴィオがしていた事の続き――つまりは、この意気地の無い男の背中を何とか叩いて
やる事だ。
 もう十年なのだ。彼となのはが出会いもう十年。そしてもうすぐ十一年目。傍目から見ても似合いの二人であ
るにも関わらず、何ら進展の無い二人の関係は、もう自分が動くしか無いとフェイトに思わせるには、十分すぎ
るものだった。

「ユーノもなのはも、こんなんじゃ仕事が恋人とか言われちゃうよ?」
「勘弁してよ……いきなりこんなところまで引っ張ってきて、そんな事言われたって困るって」
「なのはの事嫌いじゃないでしょ? それとも、ヴィヴィオの事が嫌い?」

 さしあたって、今気になるのはその事だ。どうにもユーノはヴィヴィオを避けているような節がある。いや、
避けていると言うよりも苦手に思っているくらいだろうか。
 なのはの隣に突然現れた、なのはの娘。その存在はユーノにとって、大きくない筈が無い。

「驚いてるし、いきなりとも思ってるよ。でも、ヴィヴィオの事は関係ない。僕自身の問題だから。それに、な
のはだって迷惑がるよ。なのはは多分、僕の事なんて好きでも何でもないんじゃないかな」
「そんな事――」

 そんな事、あるわけが無い。彼の隣にいる時の眩しい笑顔をいつも見ていたのだ。きっと、なのはだってユー
ノの事が好きな筈なのに。
 それをユーノは頭から否定する。その時の彼の顔はとても辛そうで、だからこそフェイトは放って置くなんて
考えたくなかったのだ。

「なのはに告白して、嫌われたりするのが怖いの?」
「……分からないよ、そんなの」
464Cursed Lily:2008/08/04(月) 22:11:27 ID:PEMgB2Ch
 ――あぁ、本当にイライラして仕方が無い。
 ユーノの腕を掴むフェイトの手に、震えるほどの力が込められていた。痛いと漏らすユーノの言葉などフェイ
トの耳には入らず、頭の中で反響するのは彼の煮え切らない言葉だけ。
 最初は、皆と同様どうせその内くっつくだろうと思っていた。少しして、なのはは鈍感だからと苦笑し続けた。
中学に上がる前、なのはが怪我をした時だ。ユーノは寝ずに看病をし続けていた。きっとなのはも、ユーノの気
持ちに気付いてくれるだろうと思っていた。無駄だった。
 中学に入り、なのはが髪型を変えていた。その髪を結っているリボンは彼と同じ緑色。やっとかと思いきや、
冷やかし半分で聞いたなのはから返ってきたのは、せっかく貰ったものを使わないのは勿体無いとの事。
 中学を卒業して、なのはがミッドへ住み始めた。教導官としての仕事が忙しいらしく、ユーノと一緒にいる時
間が減っているようだった。まずいと思っていた矢先、休日は良く二人で遊んでいると耳にした。喜び、いつか
のように浮かれ気分でなのはの元へデートの感想を聞けば、デートって何かなフェイトちゃん、なんてこれまた
見当違いの事を言う始末。
 二度目だが、本当にイライラして仕方が無い。それもこれも全て、はっきりと想いを告げないユーノの所為で
ある事は間違いない。

「に、睨まないでよフェイト……少し怖い」
「睨まれるような事しなければいいんだよ。それに女性に怖いって失礼だよ」

 ユーノの気持ちは分かりきっている。問題は、なのはの気持ちだろう。あの鈍感娘は本人から口にしても首を
傾げるに違い無い。
 ならいっその事、本人に気付かせてやればいいのかもしれない。浮かんだ名案とは言い難い妙案にフェイト
は笑みを浮かべるが、それを間近で見てしまったユーノは思わず後ずさる。
 ユーノから見れば寒気のする笑みを浮かべ、フェイトがまた一歩ユーノに近づいた。対するユーノは背中に柵
の固さを感じ、逃れられないと悟ってしまう。
 フェイトが一歩、また一歩と近づいている。今二人の離れている距離は僅か三歩程。もう、ユーノの眼前に
フェイトはいた。

「ねぇ、ユーノ」
「な、なにかな、フェイト……?」

 ユーノの頬に手をあて、フェイトが彼の翠色の瞳を覗き込む。真っ赤な自分の瞳がそこにはあるがそうじゃな
い。ここにあるべきは、なのはの綺麗な瞳だから。
 だから、その間。この瞳に自分のものを映して欲しいとなのはが願うまででいい。

「私はね、なのはの笑顔が大好きなんだ」
「そ、そうなんだ……」
「それでね、なのははユーノやヴィヴィオと一緒にいるときが一番可愛くて、私は好き」

 ずっとそれを見ていたい。なのはには幸せになって欲しい。勿論ヴィヴィオも。そしてユーノにも、諦めてな
んか欲しくは無い。彼が持っている大切な想いを叶えて欲しいのだ。
 その為だったらどんな苦労も厭わない。それくらいには、なのはとユーノに感謝している。

「だからさ、ユーノ。練習だよ? 今から私とユーノは恋人同士」
「……はい?」
「恋人同士。なのはが嫉妬しちゃうくらいの恋人。ね?」


465Cursed Lily:2008/08/04(月) 22:13:43 ID:PEMgB2Ch
 その言葉の意味が良く分からない。何度聞きなおしても、フェイトは恋人同士という言葉を強調するだけで、
説明も何もあったものじゃない。
 ただ、ユーノ自身、なのはの嫉妬と言うものには興味があった。みんなが大好きを地で行く彼女が、自分に対
して嫉妬なんてものをしてくれるのかは分からない。ただ、してくれるならそれはとても嬉しい事だろう。
 そうユーノが眉を寄せ、思案している。それを見つめるフェイトは一向に答えを出さないユーノにまたも苛つい
たのだろう、しきりに踵を慣らしユーノを急かしている。

「どうなの、ユーノ。なのはが好きなんでしょ?」

 この手で掴みたい光が、間近にある気がした。近くにあると分かりながら手を伸ばせなかった、彼女の輝き。
それは、彼女に娘ができた事で遠のいてしまって。でも、その娘も自分の事に好意を寄せてくれている。そして
今、恐らく彼女の一番信頼を置くであろうフェイトがこうして話を持ちかけている。
 ユーノは相変わらずフェイトから逃れようと視線を右往左往させている。迷っているから。ただ、迷っている
と言う事は、その選択がとても魅力的であるという事もちゃんと彼は分かっている。
 フェイトが言わなくたって、壊したいと思っている。けれども、この十年間も続けてしまった親友と言う関
係は酷く居心地が良くて、壊したくないとも思ってしまう。

「はっきりしないなぁ、もう」

 答えを出さないユーノを見かねたのだろう。実際にユーノ自身、こんなにも迷っている自分に呆れている。

「ごめん……」
「いいよ。もう、ユーノからちゃんと言葉を貰うのなんて待ってられない」

 フェイトがユーノから身を離す。待ってとユーノの伸ばした手を振り払い、そのまま金髪を靡かせユーノに背
を向けて去っていく。
 ユーノは追う事が出来ず立ち尽くすだけ。扉のスイッチの手を伸ばしていたフェイトは、最後まではっきりし
ない彼の態度に溜息を吐いて苦笑した。

「ユーノ、なのはは絶対ユーノの事が好きだよ。自信持って。私がユーノの力になるからさ」

 最後の最後。フェイトがそんな言葉を置いていく。
 それはユーノにとって何ら励ましにはなら無い言葉だったけれど、フェイトがそこまでしてくれるならと思わ
せるには事足りた。
 空を見上げた彼に映るのは、眩しいくらいの星達だ。相変わらず眩しくて、手を伸ばしても届かない事が分か
りきっててしまっている輝き。
 でもきっとここまで遠くは無い。今まで手を伸ばした事なんてこれっぽっちもなかったけれど、フェイトの言うとお
り頑張ればなのはに手が届くのかもしれない――。

466Cursed Lily:2008/08/04(月) 22:15:02 ID:PEMgB2Ch
* * *


「みなさん、お世話になりました」

 出発の日。ヴィヴィオが結っている髪を揺らしながらお辞儀をする。つられて頭を掲げたはやては二日酔いで
若干青い顔をしながらも、確りと皆の出立を見送っていた。

「シャーリー、しばらくレイジングハート預けたから」
「お任せくださいなのはさん、というか昨日中に修理できなくてごめんなさいなのですが、私が責任を持ってレ
イジングハートさんを預かります」

 言うが矢先、シャーリーはティアナを乗せた車へと急ぎ足で消えていく。だがぽっかりと空いていた運転席に、
二人を一緒にクラナガンまで連れて行く筈のフェイトの姿はどこにも無い。先ほどからエリオとキャロがげんな
りとした表情を見せているのはその為だ。
 シャーリーが、いつまでもエリオとキャロから離れようとはしないフェイトの名を叫ぶ。だがやはり意味は無
いらしい。きっとフェイトの耳には届いてすらいないのだろう。

「向こうついたら連絡して。後、キャロはエリオにちゃんと色々教えてあげる事。エリオは大丈夫だと思うけど、
保護隊の方たちに失礼のないようにね? あっ後、どこかに連休あったでしょ? どっか遊びに行こう。迎えに
行くから連絡してね。絶対だよ」
「は、はい! 分かりましたっ!」
「えぇ、と後……後は――」
「もぅ、フェイトちゃんしつこいよ。シャーリー待ちくたびれてるよ」

 見かねたなのはがフェイトの腕を引っ張り、車内へと押し込めた。
 ごめんと謝るフェイトはそれでもエリオとキャロの方から視線をそらせず、二人はその視線に縫いとめられた
まま動けない。
 なのはが聞くには、昨日の夜からこんな状態だったらしいが、自分の身になって考えるとフェイトと同じ事を
してしまいそうだから不思議である。実際には、ヴィヴィオが学校へ初めて赴くにあたって同じ事をしているの
だが、彼女は未だ気付いていない。

「スバル、しっかり頑張んなさいよ」
「ティアもね」
467Cursed Lily:2008/08/04(月) 22:16:34 ID:PEMgB2Ch
 スバルとティアナの会話は意外な程短かった。一言二言言葉を交わし、最後に別れの挨拶代わりに拳を突きつけ
あってそれでおしまい。
 もしかしたら以前からちゃんと話し合っていた結果なのかもしれない。ただスバルがギンガの待つ方へ歩く姿
には迷いが無く、それを見ているティアナにも何ら寂しさを感じさせるものは無い。

「なのは、今日からだよ」
「うん……しっかりやるよ。アイナさんと話してね、ホームキーパーになってもらう事にしたんだ」
「そっか。うん、それがいいね」

 そして、この二人もまた同じ。
 少ない言葉に確りと込められた想いがあって、互いに確りとその想いを受け取っていると思っている。だから
十分だったのだ。

「ヴィヴィオ、期待して待っててね」
「うん、フェイトママ。よろしくお願いします」

 何の話と会話に割り込もうとするなのはの手をヴィヴィオが引っ張り、フェイトから遠ざけた。フェイトはな
のは達の背中をしばらく見つめ、言葉にはしなかった心配事を振り払って車のキーを回す。
 車が発進し、エンジン音が段々と小さくなっていく。その姿をずっと見つめている彼女の視線には気付く事は
無かった。

「しょうがない、明日にしよ」

 呟く小さすぎる声は、すぐ近くにいた少女には聞えない程のもの。だがそれは、ある決意を固めている言葉。
今日からの始まりをきちんと始める為に、絶対に必要な事。
 まずはと握っている小さな手を強く握る。それに応えてくれるように握り返す小さな手に微笑み、なのはが起
動六課に背を向けた。

「ヴィヴィオ、ママと一緒に頑張ろうね」
「うん! あっ、でもアイナさんもいるよ?」
「うん。じゃあ三人だ」

 微笑みあうなのはとヴィヴィオに、アイナが走り寄っていく。三人でこれからの事を話している様子は、傍目
から見ても微笑ましい。
 まずは身の回りの生活用品を買い揃えよう。そんな聞えてきた言葉にさえ、これからの事を想像させられてし
まうのだ。
 ――けれども。
 そのこれからの事を知ってさえいれば、あんな事にはならなかった。
 なのはとヴィヴィオ、二人の後姿を見つめる皆には全く気付く事は出来なかったのだ。
 最後まで気付きはしない。誰も分からない。これから始まる全ての終わりを知る事になるのは、たった一人だ
け――。
468246:2008/08/04(月) 22:17:48 ID:PEMgB2Ch
以上です。ありがとうございました。
うわ、めっちゃありがちな展開っすね。まぁ、ありがちだからこそその後の展開を想像しちゃってくれると嬉し
かったり。
後、なのはさんが病むと漏れなくヴィヴィオが可哀想になりますが、今回は最後までちゃんとなのはママです。

しっかし、劇場版ですかぁ……ドラマCD三年後ですかぁ……23歳なのは姉様とフェイト姉様は出ないようなので
残念ですが、劇場版にはとても期待。でも、八神家の行く末が気になります。
ではでは。
469名無しさん@ピンキー:2008/08/04(月) 22:26:09 ID:7cq9XSB4
>>468
ここまでネガティブな前書き……一体、どれほど恐ろしいSSだというのだ?
…結局、欝は苦手なのに…よせばいいのに…好奇心にかられて読んでしまった馬鹿1匹…
そうかアレは罠か…噂の孔明の罠というやつか……GJだけどコワイヨ、ヨムノガコワイヨ…
この平穏がいつ崩れていくかと思うと…orz
470名無しさん@ピンキー:2008/08/04(月) 22:28:00 ID:5yLQOmqQ
オラ、わくわくしてきたぞ。
欝カモン。ヘイヘイ。
次回がものすごく楽しみですよ。
471名無しさん@ピンキー:2008/08/04(月) 22:33:45 ID:8R+SB6BR
ぃいいやっほおおおおおおお!!!! 遂に来ましたっ、246氏の投下だぁい マンモスウレピー!!
皆、和気藹々とした平和な空気を醸し出していますね〜〜。しかし、それだけにこの風景が崩れ去ってしまった時の反動も大きくなります・・・・。
このゾクゾク感が堪らんとです。続きも期待しておりますっ!!
472名無しさん@ピンキー:2008/08/04(月) 22:34:28 ID:5h9FnVKC
これはひどいな
473名無しさん@ピンキー:2008/08/04(月) 22:40:05 ID:OzThSWl/
これはマジなのか釣りなのか神聖にみせかけた叩きなのかわからんな
474名無しさん@ピンキー:2008/08/04(月) 22:43:14 ID:9qGZ0oRb
>>468
やったー待ってましたよGJ!
今のとこ本編通りの平和な人間関係なのに・・・
これがどう壊れていくのか、怖すぎて想像なんてできないんだぜ
でも続きwktkしつつ待ってます!

ところでザッフィーがさりげなく淫獣しててわろたw
475名無しさん@ピンキー:2008/08/04(月) 22:49:40 ID:02e/HWw8
真の淫獣はザフィーラだったんだよ!!!11
476名無しさん@ピンキー:2008/08/04(月) 23:02:34 ID:zAjEfpDq
>>337
GJ!!
ラストバトルその1キター!!!
ここで全員集合の決戦。まさしく最終戦にふさわしい!
燃える!燃え上るぜええええ!!!
キャロエリルーのラブラブパワー、スバティアの絆の力、今こそ見せる時だ!

>>391
GJ!!
そんなガクブルするほどひどいどころか実にいい出来だとおもいますぞ。
結局なのはさんを孕ませるスカリー!もはやさすがとしか言いようがないぜ。

>>445
GJ!!
まさか続編があるとは!
この未来編シリーズ好きだったのでかなり嬉しいですぞ。
女ガリューに萌えているのは俺だけでいい
477名無しさん@ピンキー:2008/08/04(月) 23:24:34 ID:xVTGDFU6
>>468
GJGJGJ!!
ずっと待ってたんだぜ!
なのはさんがここからどう病んでいくのか楽しみで仕方ないw
次も楽しみにしてますね
478 ◆6BmcNJgox2 :2008/08/04(月) 23:34:53 ID:9SO3c8Un
とりあずリハビリ第二弾ですが…先生またやってしまいましたorz

・懲りずまたなの×スカ考えてしまいました
・Nの系譜の続きはもう少し待ってくださいorz
・例によってなのはを求めるスカネタですが、今回は求める理由が今までと違います。
・最高評議会に作られた際に遺伝子レベルで刷り込まれた『無限の欲望』には
スカ本人さえ持て余す程で、それを抑えてくれるストッパー役を求めていると言う設定。
・上記の理由により、スカがちょっぴりマゾっぽくなってます。
・非エロ
・なのはとスカの夫婦生活が描かれますが全部スカの妄想なので多分無害です。
・オリキャラ出ますが、妄想の産物なので多分無害です。
・最後はスカを拒絶するENDなので安心してください。
・私のアンチとなのスカ嫌いな人はスルー推奨
479ギブミーストッパー 1 ◆6BmcNJgox2 :2008/08/04(月) 23:36:22 ID:9SO3c8Un
ある日突然高町なのはの前に、ジェイル=スカリエッティが現れた。
即座に戦闘態勢を取るなのはだが…スカリエッティは笑って言った。

「そう怖い顔をするな。高町なのは君。私は自首しに来たのだよ。」
「自首!?」

突然現れた上に自首しに来たと言うスカリエッティになのはも信じがたい顔をするが…
そこでスカリエッティは一枚のディスクを取り出した。

「このディスクには私が今まで行って来たプロジェクトFや戦闘機人計画等を初めとする
様々な違法研究のデータの全てが入力されている。私の指定する条件さえ満たしてくれるならば…
これらのデータを全て破棄し、もう二度と違法研究を行わないと誓おう。」
「それ…本当に信用出来るの…?」
「先程言った通り…私の指定する条件さえ満たしてくれるならばな…。」

まだスカリエッティの言う事を信じられないなのはは、次にスカリエッティは
一体どんな条件を求めているのかについて気になった。

「貴方の指定する条件とは? まさか管理局の解散とか…そんな事は聞けないよ。」
「安心したまえ。そんな大それた事を要求する気は無い。もっと簡単な事だよ。」
「簡単な事?」

簡単な事とは一体何だろうか…。だがなのははまだ安心出来ない。スカリエッティにとって
簡単なだけで、なのは達にとっては凄く難しい要求かもしれないのだ。

「条件は至って簡単にしてシンプル。高町なのは君…君が私の所に嫁に来れば良いだけだ。」
「あらら〜! 本当に簡単でシンプル〜! って…えええええ!?」

なのはは思わず叫んでしまった。確かにスカリエッティの指定した条件は至って
簡単にしてシンプルだが…何故なのはを嫁として欲しがるのか…?

「そんな事出来るワケ無いでしょ!? 誰が時空犯罪者なんかと…。」

なのはは顔を真っ赤にして叫んだ。確かに嫁に行く事自体は至極簡単だが、
なのは本人はそんな事はしたくなかった。だが…

「あれれ〜? そんな事言っても良いのかな〜? 君が私の妻となれば…世界は平和になるのだぞ。」
「な…何で…?」

突然語り始めたスカリエッティのヘンテコな理論になのはも呆れるが、彼は真面目に言った。
480ギブミーストッパー 2 ◆6BmcNJgox2 :2008/08/04(月) 23:37:35 ID:9SO3c8Un
「君程強く美しい女性が妻となれば…流石の私も尻に敷かれざるを得ない。
そうなれば…私は迂闊に違法研究に手を出す事が出来ず…おかげで世界は平和!」
「………………。」

無茶苦茶な理論になのはは呆れて物も言えない。だが、一時した後で何か思い出したかの様に口を開いた。

「あのさ…こういうのって私よりフェイトちゃんでやった方が良いと思うんだけど…ダメなの?
ほら、アニメ本編でも色々因縁を作ったりしてたし…。やっぱりホームランされるのが怖いの?」

とか、彼女は彼女で無茶苦茶な事を言うが、スカリエッティは笑って答える。

「いやいや、彼女には失礼だが…彼女はダメだ。そもそもプレシア=テスタロッサが彼女を
作る際、その技術を提供したのは私だ。言うなれば私は彼女の父親も同然。娘と結婚する父親はいまい?
だが…君は私の妻となり得るのだよ。」
「いや…だから嫌だって…。そもそも私が貴方と結婚したら世界が平和になるって理論も
意味不明だし…。」

なのはは手を左右に振って否定するが、直後スカリエッティは何処か深刻な表情となった。

「真面目な話…私も困っているのだよ。そもそも私は管理局最高評議会のメンバーの手によって
アルハザード技術を使って作られた人造生命…。そして、開発コードネームである
『アンリミテッド・デザイア』が指す通り、私には『無限の欲望』が遺伝子レベルで刷り込まれている。
それが私に様々な欲望を掻き立てさせ、違法研究をさせているのだよ! 私はもうそんな生活は嫌だ!
このまま行けば…私は本当に取り返しのつかない事をしてしまうに違いない!」
「そんな事言って…全てを他人のせいにして自分の無罪を主張しても無駄だよ。」
「別にそんな事はするつもりは無い。私が今までして来た事は決して許されない事だ。
だが…このままではそれ以上の事をしてしまうかもしれない。私の遺伝子に刷り込まれた
無限の欲望を何とかしない限り…この後も数え切れない人を苦しめる事になるだろう…。」

その時…スカリエッティの顔は震えていた。言っている事は滅茶苦茶だが…
彼も彼で苦しんでいるのだとなのはも悟った。

「だが! 高町なのは君! 君ならば…君ならば私の無限の欲望を抑えるストッパーになり得る!
お願いだ! 今直ぐ私と結婚して…生涯の伴侶となってくれ! そうするだけで…世界は平和になるんだ!」
「だから嫌だって!」

世界の平和の為と言われてもなのははスカリエッティと結婚するのは嫌だ。
481ギブミーストッパー 3 ◆6BmcNJgox2 :2008/08/04(月) 23:38:22 ID:9SO3c8Un
「誰が時空犯罪者なんかと結婚するもんですか! そんな事になったら私自身破滅だし…
他の皆にも迷惑がかかっちゃう! それに…仮に私が貴方と結婚して…子供が生まれたとしたら…
その子は時空犯罪者の子供と周囲に苛められると思うのよね。そんな可愛そうな事は嫌だよ!」
「大丈夫だ。最高の科学者たる私と最高の魔導師である君の子なら…その程度の苛めは
逆にねじ伏せてみせるに違いないさ!」
「何その根拠も無い理論…。」

スカリエッティは良い意味でも悪い意味でも人並みはずれているのか、彼の理論は
なのはにとってもどうにも理解不能な物だった。

「って言うか! もし仮に私が貴方の子供産んだとしたら…その子にも貴方の言う
『無限の欲望』が受け継がれてさらにどうしようも無い事になるんじゃ…。
災厄の子供量産工場とか言われて世間に迫害されるのは嫌だよ私は!」
「その点は大丈夫だ。君の体に流れる血が中和剤となって…無害な子が生まれるに違いない。」
「何その理論!?」

またスカリエッティの口から出た根拠の無い無茶苦茶な理論になのはも戸惑うが…

「君はただの人間では無い! 恐らくこの私の中に棲む『無限の欲望』は流石の神も
想定出来なかった物に違いない。だが…かと言って安易に私を殺す事は立場上出来ない。
そんな事をしてしまったら…その時点で悪魔と変わらなくなってしまうからだ。
寿命による自然死を待っても…その間に『無限の欲望』に操られた私によって作られた
様々な違法研究物のせいで数え切れない人の命が失われるであろう。神は頭を捻った結果、
唯一私を抑える事の出来るストッパーを作り出し、この世に送り出したのだ!
そう! そのストッパーこそ高町なのは君! 君だ!」
「ええええええ!?」

またもスカリエッティの口から出た(以下略)
だが、スカリエッティはなおも語り始める。

「考えても見たまえ…。先にも説明した通り、君が私の妻となれば…忽ち君は私を尻に敷く。
そして…私が無限の欲望にかられて違法研究を始めても…。」

『貴方! もう危険な研究はしないって約束したでしょ!? 少し頭冷やそうか…。』

「とエプロン姿の君が私の頭を冷やしてくれるのだ…。こんな嬉しい事は無い…。おかげで私の恐るべき
研究は未然に阻止され、世界の平和が守られるのだ…。君は何億と言う人の命を救った英雄になるのだ!」
「……………。」

なのはは呆れて声も出なかった。
482ギブミーストッパー 4 ◆6BmcNJgox2 :2008/08/04(月) 23:40:26 ID:9SO3c8Un
「そして、逆に世の為人の為になる様な平和的な研究を始めると…。」

『ほら〜! ジェイル貴方だってやれば出来るじゃない! 今夜は久し振りに一緒に寝てあげよっか?』

「って感じで忽ちデレるんだ。けど…また私が違法研究を始めるとツンになって頭を冷やしてくれる。
このツンとデレの切り替えっぷりが良いね! 実に素晴らしい!」
「あの…ツンデレな嫁が欲しいなら…私よりもっと別の人が…。」

そもそも自分はツンデレキャラでは無いのだから…となのはは言いたかったが…

「嫌! 君でなければダメなんだ! 君以外の女性では私を押さえ込む事は出来ない上に
あっという間に私の人体実験の材料にされ、人でなくなってしまうだろう!
そうなれば、私の違法研究は誰にも止められず続けられ…多くの人を苦しめる結果となる!
だが君は違う! 仮に私が君を人体実験に使おうとしても、君は逆に私を一蹴し、頭冷やしてくれる!
そして、私の違法研究は未然に阻止され、世界の平和は守られるのだ!
やはり君でなければダメだ! 君こそ私の妻に相応しい人なんだ!」
「……………。」

今のスカリエッティには何を言っても無駄だった。

「君には君で別に好きな人はいるのかもしれないが…私情を捨てて私の嫁になれば…
私の無限の欲望のストッパーとなり、世界の平和は守られるのだ! 悪い話では無いはずだぞ!?
逆に君が自分だけの事を考えればどうか! 私を止める者がいなくなり…逆に世界は暗黒に
飲み込まれてしまうぞ! そこを考えれば…どっちを選ぶかは明白だろう…。
無論…私と結婚する事を選ぶよな!?」
「………………。」

なのはは答えなかった。多分何を言っても無駄だろうから。
そして、すっかり酔ってしまったスカリエッティはなおも語りだす。

「私との結婚を決意した君は私にご両親を紹介する。ただでさえ恐ろしい君のご両親だ。
そちらも相当に恐ろしい人であるに違いない。その時点で私の無限の欲望のストッパーとなり、
私も迂闊に悪さが出来ず…やはり世界の平和が守られる一因になる!」
「…………。」

「そしてついに始まる結婚式。君を母親の様に慕う聖王の器も『ママー行かないでー』と
君に泣き付くだろうが…『世界の平和の為だから…ごめんなさい。達者で暮らしてね…。』
と、今までの様々な仲間達と別れ、私の伴侶として暮らす道を選ぶのだ。」
「……………。」

「一応これは非エロだから初夜のエッチシーンは省略して…次は新婚旅行。
時空航行船に乗って色んな世界に行くんだ。だが…その間も君は注意深く私を
見張っており、私も迂闊に悪さをする事が出来ない。そこでまた世界の平和が守られる!」
「……………。」
483ギブミーストッパー 5 ◆6BmcNJgox2 :2008/08/04(月) 23:41:20 ID:9SO3c8Un
「その後始まる私と君の平和な夫婦生活。表向きには平和的な作業機械なんかの研究をする振りをして、
隠れて違法研究をしていた私を君が発見し、頭冷やしたりする様な平和な毎日が続いて…
ついに君は私の子供を身篭るんだ。そうなればこれまた私は迂闊に違法研究に手を出す事は
出来なくなる。もしそんな事をして、君に無理をさせればお腹の子供にどんな悪影響があるか
分からない。だからこそ、私は君とお腹の子を案じて違法研究を我慢するんだ!
そこでまた世界の平和が守られる!」
「…………………。」

「時は流れ、ついに君は産気付く! かつて管理局でエース・オブ・エースと称され、
空では無敵と呼ばれた君もお産には大苦戦を強いられ、かなりの難産になるが…
それでも何とか私にとても良く似て賢そうな男の子を産む事に成功するんだ!
そうなれば私も嬉しくて…違法研究なんてそっちのけで子供の為に無駄にハイテクな揺り篭を作る。
そこでまた世界の平和が守られる!」
「……………………。」

「恐らくこの後も私はまた無限の欲望を再発させて、再び違法研究に手を出す事もあるだろう。
だが、その度になのは君…君が私の頭を冷やし、恐るべき違法研究は未然に防がれる!
世界の平和は守られるのだ! 勿論家庭の平和も…。そして…この後も沢山子供を作って…
私となのは君と子供達は平和に暮らして行くんだ。どうだ!? 君が私の所に嫁に来るだけで
世界は平和になるんだ! 勿論結婚してくれるよな!?」

スカリエッティは彼なりに必死になのはへ求婚したつもりであったが…

「嫌。」

速攻で拒否され、その場に倒れるしか無かった。

「何故だ!? 君は私の違法研究によって世界が破滅しても良いのか!?」
「大丈夫だよ。別に私が貴方と結婚しなくても世界の平和を守る方法があるから…。」

直後、なのははレイジングハートを構えていた。

「ここで貴方を逮捕して軌道拘置所に放り込めば…世界は平和!」
「うわぁ!」

有無を言わせずディバインバスターが放たれるが、スカリエッティは必死に横へ走って避けた。

「それでは逮捕どころの騒ぎでは無く死んでしまうでは無いか!」
「大丈夫だよ。死ぬ程痛いと思うけど死にはしないから。」

またもなのははスカリエッティへディバインバスターを放とうとするが…

「こうなっては仕方が無い。今日の所はとりあえず退散しよう。だが…これだけは忘れないで欲しい。
君のその選択によって…今後も私の違法研究が続けられ、数え切れない程の人が苦しむ事になるのだ。」
「あ! 待ちなさい!」

なのはが追うのも空しく、スカリエッティは恐らく緊急時の為に用意してあったと思われる
転移装置によって何処かへ転移していた。

「スカリエッティ…貴方の思い通りには…させない!」

確かになのはがスカリエッティを拒絶した事によって、スカリエッティのさらなる違法研究を
助長させ、それが後々に大惨事へ発展する事になるかもしれない。だが…なのははそれを阻止する。
一人の時空管理局員として…スカリエッティの野望を阻止する為…新たな決意を固めていた。

                     おわり
484 ◆6BmcNJgox2 :2008/08/04(月) 23:45:22 ID:9SO3c8Un
いやもう本当ごめんなさい。
なのスカばっかでほんまごめんなさい。

正統なカップリングも好きですけど、こういうギャップ萌え的なのも好きなんですよorz

途中で止まってるNの系譜にも人工授精児とは言えそういう設定のオリキャラを
登場させてたりしますし…orz
485名無しさん@ピンキー:2008/08/04(月) 23:54:16 ID:5yLQOmqQ
ちゃっかりフェイトを生け贄に差し出そうとするなのはさん萌えw
486名無しさん@ピンキー:2008/08/04(月) 23:57:57 ID:JlrqBkbN
最近燃え上がるアリサ御嬢様見ないな…。
無印劇場版リメイク決まったなら旧メンバーの話も上るかと思ったんだが…。
487名無しさん@ピンキー:2008/08/05(火) 00:11:46 ID:Xm03l/AQ
いや、むしろ劇場版が決まってるからこそ書きにくい・・・かもしれない
488名無しさん@ピンキー:2008/08/05(火) 00:15:30 ID:ZKmEtpGX
彼なりの精一杯のプロポーズを感じ取ったよ
489名無しさん@ピンキー:2008/08/05(火) 01:07:42 ID:zYxOkCS3
ここに来てから正統CPよりレジなのとかスカなのとかにはまってる俺からしたら「いいぞもっとやれ」な感じだね
490名無しさん@ピンキー:2008/08/05(火) 02:33:02 ID:VLKsaZ1S
Never give up!の人は今もDVDを視聴している最中だろうか
エイミィさん好きなんだけどなー やっぱ原作のイメージが強くてクロノと結び付かんのだろうか
491名無しさん@ピンキー:2008/08/05(火) 03:03:22 ID:hZXKnQvm
しょうがない。
ここではエイミィさんは職人に嫌われてるんじゃないかと思えるくらいクロノとの絡みはおろか出番もないからね
二次創作とはいえこれほど夫に浮気されるキャラも珍しい
492名無しさん@ピンキー:2008/08/05(火) 03:04:46 ID:yRR0Hyxw
魔法少女ルルカリ☆はなの
493名無しさん@ピンキー:2008/08/05(火) 03:31:33 ID:0fhxjwJW
>>491
嫌われてるって言うよりも「嫌いじゃないけど好きでもない、エイミィ書くより他のキャラ書きたい」って
感じの人が多そうな気がするな
494名無しさん@ピンキー:2008/08/05(火) 05:05:17 ID:PggNhlv3
>>485
てかSSXで下手するとフェイトとスカは本当にフラグ立ってるんじゃないかと
なんかスカが管理局に対して協力的になってるっぽいし

まあその場合確実にスカは尻に敷かれるでしょうな…
495名無しさん@ピンキー:2008/08/05(火) 05:33:04 ID:XTb0AKuQ
>>494
いやフラグがたつことはまずないだろ……
そんな事になったらどれだけのファンがマジギレするか分かったもんじゃないw
そもそもSSXにフェイトそんでないしね
496名無しさん@ピンキー:2008/08/05(火) 05:39:58 ID:sEy6Q1XP
クロノの時みたいに少しだけ触れてあっさり流すかもよ。
まあこれはなのはとユーノの関係にしても同じことが言えるが。
今後なのはやフェイトを出さないつもりなら、
一つのけじめとして身を固めさせてしまう可能性は十分に考えられる。
放っておいても百合派が増長するだけだし、
フェイトがヴィヴィオの「親戚のお姉さん」になったあたり公式としては百合を認めるつもりもないようだし。
497名無しさん@ピンキー:2008/08/05(火) 06:08:06 ID:aENoXC2S
ありゃ百合派の言ってた「ヴィヴィオはなのはとフェイトの愛の結晶」ってのを真っ向から否定する内容だからなぁ

>>495
今さらだろ、そんなこと言ったらクロノが結婚した時も大勢のファンがキレたし界隈から去ってしまった人も多い
今回のSSMでも一部の百合派からは「公式は敵」発言まで飛び出してる
都築は空気を読むようでいて、切り捨てる時は本当にあっさりと切り捨てるからな
498名無しさん@ピンキー:2008/08/05(火) 06:21:32 ID:E5nnBwOc
>>496
フェイトの立ち位置はヴィヴィオとの距離感が変わっただけでなのフェイ派には大した影響ないんじゃない?
人気考えれば今さら百合派にそこまで厳しいこともしないでしょ
百合派増長しても別に誰も困らないし
ってか男キャラは三期じゃ背景と大差ないレベルだからいきなりくっつくには無理があるよ……
売り上げやファンの反応を考えると三人娘を誰かとくっ付けるとはとても思えない

ま、都筑はノマカプも百合も全くやる気ないんだけどな
499名無しさん@ピンキー:2008/08/05(火) 06:30:22 ID:py3XMzll
>>498
そもそもその三人娘自体が切られようとしてるわけで

ところで毎度思うんだが、都筑って誰やねん
500名無しさん@ピンキー:2008/08/05(火) 06:37:40 ID:XTb0AKuQ
>>494-499
俺が言うのもなんなんだけど、スレ違いな話題だからその議論ここまでって事で


↓以下、別の話題
501名無しさん@ピンキー:2008/08/05(火) 08:15:24 ID:th9qd4MK
ノーヴェとゲンヤさんで純愛エロエロなんての

もしかしたら、ノーヴェも亡き妻クイントさんの遺伝子を使ってる可能性もあるから
502名無しさん@ピンキー:2008/08/05(火) 08:17:49 ID:ui+oX8ff
>>501
可能性というか使ってるということでもう確定してる。
503名無しさん@ピンキー:2008/08/05(火) 09:45:23 ID:th9qd4MK
>>502
つまりは髪を伸ばせばギンガ同様にクイントさんに似た顔付きになるって事か
スバルとノーヴェも髪を伸ばしたらゲンヤさん我慢できなくて一人くらいは襲っちゃうんじゃ
504名無しさん@ピンキー:2008/08/05(火) 10:04:02 ID:yDuEE/ik
顔立ちと髪質が最も似てるスバルが一番ヤバそう棚
頑なにショートカットで通すのは本能的に身の危険を察知してるとかしてないとか
505名無しさん@ピンキー:2008/08/05(火) 10:12:02 ID:BnOOoFou
スバルのロングヘアか・・・見てみたいw
506名無しさん@ピンキー:2008/08/05(火) 10:33:07 ID:sg5/EwzE
ここのせいで、ゲンヤ=はやてになってしまった。
507名無しさん@ピンキー:2008/08/05(火) 10:52:36 ID:ezfI1WVX
>>501-502の流れで、一瞬、

「ゲンヤがノーヴェを 使 っ て いる」に見えた俺はどうかしている。
508名無しさん@ピンキー:2008/08/05(火) 10:53:13 ID:xSYY1gir
>>505
つギン(ry
509名無しさん@ピンキー:2008/08/05(火) 11:42:52 ID:sjM+g23N
>>507
クイントさんの亡き後のリビドーを、娘達では晴らせぬ故……。
といけない気持ちになった俺にあや(ry
510名無しさん@ピンキー:2008/08/05(火) 12:52:11 ID:lGfgunJH
>>503

スバルとノーヴェのロングヘアーを想像してみた……
ヤベェ、新たな美力発動で頭がショートしそうになった。
ゲンヤさんといえど理性が吹き飛びそうだ!!
511名無しさん@ピンキー:2008/08/05(火) 13:32:52 ID:zYxOkCS3
ロングのスバルといや某スレであったな
どこぞのヘタレとイチャイチャしていたが
512名無しさん@ピンキー:2008/08/05(火) 14:27:16 ID:5dI845Ze
◆6BmcNJgox2はいい加減なのは×ユーノ書けクソが
513名無しさん@ピンキー:2008/08/05(火) 14:28:21 ID:5dI845Ze
なのユー以外じゃ萌えないから
514名無しさん@ピンキー:2008/08/05(火) 14:32:26 ID:auBNMaWF
>>507
その一言でゲンヤのナカジマ家ハーレムが思い浮かんじまったよw
渋いおじ様のイメージがガラガラと崩れていくw

淫獣「さあ、あなたもこれで僕たちの仲間入りです」
エロノ「堕ちてしまえばなかなかに楽しいものですよ」
エロオ「え、僕も?」
515名無しさん@ピンキー:2008/08/05(火) 14:42:46 ID:6do39Bam
>>514
既に血のつながらない娘が6人だからな。
516名無しさん@ピンキー:2008/08/05(火) 14:45:15 ID:f39zkfI6
それでも・・・それでもゲンやなら「あいつは死んだ」と抑制してくれる
517名無しさん@ピンキー:2008/08/05(火) 14:45:17 ID:WWidKu2a
>>515
もはやそれなんてエロゲ?って状態だな〜
518名無しさん@ピンキー:2008/08/05(火) 15:03:56 ID:+TccfuEy
>>516
違う!

ゲンヤ「あいつは死んだ」
  ↓
夢の中でクイントが出てきて「私に縛られず、貴方は貴方の人生を生きてください……」
  ↓
自己解決しましたw


コレだろう!
519名無しさん@ピンキー:2008/08/05(火) 15:11:35 ID:Bto9QdVc
一人だけならともかく全員とだと、流石にあの世でクイントさんに鉄拳制裁だろうな。
520名無しさん@ピンキー:2008/08/05(火) 16:26:09 ID:ezfI1WVX
…………それではやてとゴールインしたら…………。

スバル、ギンガ、ノーヴェ、チンク、ディエチ、ウェンディ、シグナム、ヴィータ、リィン、シャマル
と同居か。

人として許されざる存在だな。
521名無しさん@ピンキー:2008/08/05(火) 16:42:23 ID:t9FbPCN8
>>445
エリオ、キャロ、クロード、ロウ、エリー…なのはやフェイトの誇りを受け取った者達がこの世界を守って、
その思いも再び誰かに受け継がれていく…まさしくStrikersの集約と言ってもいい話だな。
GJ!!

>>484
GJ!!
これは続きを期待してしまう。
なのスカ好きな自分としては是非とも続けて欲しい。
世界を人質のようにしてもなのはさんと結婚したがるスカ博士に萌えた
厨房に負けず頑張れ!
522名無しさん@ピンキー:2008/08/05(火) 17:03:05 ID:XqRmrxXT
次世代モノ流行ってンな。
523名無しさん@ピンキー:2008/08/05(火) 17:52:44 ID:DU02WjEv
>>520
ザフィーラのこと…たまにでいいから思い出してやってください…
524名無しさん@ピンキー:2008/08/05(火) 18:37:31 ID:Kw3xraim
アギト・・・
525名無しさん@ピンキー:2008/08/05(火) 18:41:49 ID:ezfI1WVX
ザフィーは男だから無視として……
アギトは素でスマン。orz
526名無しさん@ピンキー:2008/08/05(火) 18:42:48 ID:WWidKu2a
もしはやてとゴールインしたら
他の皆は空気呼んで新居用意してそこに二人突っ込むんじゃね?
527名無しさん@ピンキー:2008/08/05(火) 19:02:11 ID:+Y9+t/4n
じゃあstsより前は前世代モンか…
528名無しさん@ピンキー:2008/08/05(火) 20:01:03 ID:k9Q8pxwM
>>526
空気を呼んでって、どうやって呼ぶのかと一瞬真面目に考えてしまったジャマイカw

第一話 恋は突然になの?
第二話 妊娠はホテルでなの?
第三話 守護騎士は大騒ぎなの?
第四話 ライバル!? もうひとりの愛人なの
第五話 ここは戦場、クラナガン温泉なの!
第六話 取り消せない過去なの?
第七話 友情崩壊の危機なの!?
第八話 それは大いなる修羅場なの?
第九話 結婚は書類の上でなの
第十話 それぞれの思惑なの
第十一話 前妻の思い出は空の彼方なの
第十二話 混乱が閉じるときなの
第十三話 空気を呼んで
529名無しさん@ピンキー:2008/08/05(火) 20:04:41 ID:ezfI1WVX
>>528
さあ、サブタイに従ってSSを書く作業に戻るんだ
530名無しさん@ピンキー:2008/08/05(火) 20:11:33 ID:4MnA5rx8
>>528
少し気が早いが

わっふるわっふる
531ておあー:2008/08/05(火) 20:22:02 ID:0cxgUGtg
>>528
13話はクロノが頭冷やされるんですね、わかります

あと5分ほどでキシャーの続きを投下します。
今回もちょっと痛そうな描写があるのでそういうのがダメな人は退避をお願いします
532名無しさん@ピンキー:2008/08/05(火) 20:26:23 ID:vI/mZP3d
待ってたぜ兄弟!
533ておあー:2008/08/05(火) 20:29:44 ID:0cxgUGtg
前回レス下さった方、ありがとうございました。
リリカルやがみけの第8話その2です。

相変わらず全編全員全力全開です。上で書いたように途中流血やら痛そうな描写やらもあります。
それでもいいよ、という方はご覧ください。

今作の注意(さり気なく増減注意)

・非エロ
・時期的には三期が終わった後
・八神家とガリューメイン
・蟲的なものが苦手な方は注意しないといけないはずだったがそんな事もないみたいです
・捏造設定あり
・本編で謎な部分に対する妄想補完あり
・パロ、中の人など各種ネタをフル装備
・それに伴ってほぼ全員凄まじくキャラ崩壊
・目指すは笑いあり涙あり友情あり萌え?あり燃えありなごった煮話
・つまり総合するとデフォルトで超展開

まえがきてきななにかはメンド……容量食うので省略。
あぼーんキーワードは『魔法集団リリカルやがみけInsecterSその8-2』です。
534魔法集団リリカルやがみけInsecterSその8-2:2008/08/05(火) 20:30:24 ID:0cxgUGtg
 槍の穂先が煌めき、血飛沫が宙を舞う。
 八本目の刃がガリューの腕から切り離され、同時にゼストの右肩から鮮血が噴き出した。
 地面との摩擦がガリューの両脚を磨り潰し下草に覆われた大地を緑から土の黒、そして赤へ変えていく。

 『見世物』とゼストが自嘲した両者の闘いは、今や完全な『死合い』に変わっていた。

 左腕から三本、右腕から五本の武装を失い、さらに両脚と尾を負傷しているガリュー。
 対するゼストは今の右肩で負傷個所は三つめ。

 しかし、追い詰められているのはゼストの方だった。


 ガリューの速度が落ちない。
 それどころか逆にさらに速さが増してさえきている。
 何故か。答えは単純にして明快。 
 より速くガリューが動こうと願い、彼の肉体がただその意志に従っているだけ。
 勿論、そんな無茶な加速が永遠に続く事は無い。 
 幾ら肉体のリミッターを外しても出せる速度の限界は厳然として存在し、それを超えれば肉体は崩壊する。
 問題はその限界が、いつ訪れるか。
 ガリューが先かゼストが先か。もはや攻撃を当てるなどという次元ではなくなっていた。


 ガリューの咆哮がゼストの耳を突く。
 聞こえぬ叫びが、形の無い殺意の視線が確かにゼストの体に浴びせかけられる。
 また、召喚虫の姿が消えた。

「ぬおおおおぉっ!!」

 まるで嵐のような暴風がゼストを包み、衝撃波が防護服に叩きつけられた。
 世界そのものが意志を持っているかのような壮絶な力の奔流に、呼吸すらままならなくなる。
 反撃に転じている余裕は、当然無い。
 タイミングを読む事だけに集中し、交錯した瞬間槍で方向をずらして突撃をいなす。
535魔法集団リリカルやがみけInsecterSその8-2:2008/08/05(火) 20:31:30 ID:0cxgUGtg
「ぐううっ……!!」

 凄まじい震動がゼストの手から握力を奪っていく。槍どころか掴んだ腕ごと吹き飛ばされそうになるのを、両腕に全霊を
込めて耐える。槍が弾き飛ばされる寸前、無限とも思える攻防は終わり風が吹き止んだ。

「はあっ、はっ」

 呼吸が再開され、ゼストの体に酸素が取り込まれる。 
 一方ついに停止しきれなくなったガリューは地面に幾筋もの溝を刻みながら木々の密集している場所に突っ込む。
激突の衝撃で、電柱ほどの太さを持つ幹が数本まとめて小枝のように折れ砕けた。
 その様を見ながら、ゼストはガリューの、そして自身の限界が近い事を明確に感じ取る。

(どうする。フルドライブで一気に仕掛けるか?)

 この闘いが始まってから、ゼストは自分からガリューに攻撃を仕掛ける事は一切無かった。
 理由はたとえ目に見えないほどの超スピードであってもガリューの攻撃はあくまで直線的なものであり、回避だけに
集中していればけして捌ききれないものではなかったからだ。
 ガリューの格闘能力の高さはゼストも熟知している。ベルカ式術者の魔力付与打撃に匹敵する破壊力を、己の肉体のみで
叩き出すパワー。人間には殆ど失われた野生の感覚から変幻自在の攻撃を放つテクニック。大柄な体躯に蓄えられた少々の
ダメージでは倒れないスタミナ。勿論スピードは言わずもがなである。
 下手に自分から攻めたり逃亡を試みたりすれば、向こうの動きも当然対応して変化する。そうなった時に繰り出される
ガリューの"次の一手"に、実戦勘が鈍っている今の自分が対応できるか分からない。
 リスクを覚悟して攻めに転じるか、ガリューの限界に期待してジリ貧の防御に徹するか。
 勇気と無謀、慎重と臆病の間でゼストの心が揺れ動く。
 一歩判断を誤れば即命を落としかねないこの状況で結論を出せずにいる事もまた、彼が万全で無い故の"鈍さ"が
齎す優柔不断だった。



 ――だが。その思考の輪廻は、思わぬ形で断ち切られる事になる。



「ゼスト!!」

 聞き覚えのある声にゼストは振り向く。
 瞳に映ったのは、小柄な銀髪の少女と、その少女よりもっと幼い紫の髪の少女。
 森の奥から自分の姿を見つけ、こちらに走り寄る姿。
536魔法集団リリカルやがみけInsecterSその8-2:2008/08/05(火) 20:32:04 ID:0cxgUGtg
「来るなっ!」

 ゼストは咄嗟に手と声で二人を制するが、銀髪の少女はそれを無視して大声を上げながら彼に近づいてくる。

「さっきの轟音はなんだ!? 一体何が起こっている! 返答の次第によっては……」
「説明している時間は無い! とにかく今はこの場所から離れ……」

 
 再度の轟音。
 森がガリューの突っ込んだ場所を中心に爆ぜ、黒い風が飛び出してくる。


 狙いは、二人の少女。


「……だめっ!」
「お嬢様!?」

 銀髪の少女の手から離れた紫髪の少女が両手を広げ銀髪の少女を庇うようにして射線に立つが、すぐに弾かれるように
上体を仰け反らせそのまま地面に倒れ込む。

「……っ!?」

 突然の事に驚きながらも、攻撃を受けたと判断した銀髪の少女が戦闘態勢に入ろうとする。
 しかし――その動きは対峙する敵に対して余りにも遅すぎる。
 少女が得物を取り出す為コートの中に突っ込んだ右手。その手が引き出される前に風は二人の少女の元に到達する
だろう。そして彼女達の小さな体は風に飲み込まれ千の肉片に引き裂かれる――


『Grenzpunkt freilassen!(フルドライブ・スタート)』

 もはや選択の余地は無かった。
 ゼストの意志に呼応し、彼の一部と化した愛槍が禁断の力の使用を宣言する。
 肉体の拒否反応を無視して引き出した膨大な魔力を糧に巨体が躍動した。

 ガリューと自分の速度。
 少女達との距離。
 全てを数値化し脳内でシミュレーションを行う。
 導き出した結論は"いける"。
 このまま射線に割り込む形で突っ込めば、ちょうどガリューの斜め後ろを掠める形でニアミスする事になる。
 だがそれは却って好都合だ。
 背後、死角になる位置から攻撃を叩き込んで、戦闘を終了させる。
 弓を引き絞るようにして槍を持つ腕に力を込めた。
 両者は加速したまま、射線が交差するポイントに近づいていく。 


「ぬおおおぉっ!!」


 ゼストの眼前を黒い風が横切る。
 その瞬間、限界まで収縮した力を一気に爆発させた突きが、ガリューに向けて放たれた――





 ――はずだった。


537魔法集団リリカルやがみけInsecterSその8-2:2008/08/05(火) 20:32:35 ID:0cxgUGtg
          ◆


 その光景を見た時、チンクは何故か『彼の驚いた表情を見たのはこれが初めてだ』と思った。

 ゼスト・グランガイツという男は、寡黙で沈着な人間だった。
 たとえどんな状況に置かれても顔色一つ変えず、何があっても冷静な態度をけして崩さない。
 傍で彼に付き従うようになってから、チンクは『この男には表情や感情というものが一切存在しないのではないか』と
時々思う事があった。

 例えば。
 彼が少し動けるようになり、リハビリを開始して間もない時の事だ。
 一日のメニューを消化した彼とチンクが部屋に戻ると、何の悪戯か全裸のクアットロが彼のベッドの中に潜んで
いた事があった。
 驚きの余り硬直するチンクを尻目に、彼はただ淡々とベッドの脇まで歩み寄り静かな声で「部屋が違うぞ」と言った。
ちなみにそれ以来、クアットロは彼への興味を無くしたらしく悪戯どころか話しかける事すらしていない。


 チンクの視界は、まるでスローモーションの映像を見ているかのようにゆっくりと動いていた。
 槍を突き出した体勢のまま未だ空中で固まっているゼスト。
 その穂先から迸った魔力は大地を穿ち、砂粒から握り拳ほどのものまで大小様々な土石――割られた大地の破片が
周囲に巻き上げられている。
 しかし、槍の刃が貫いたのはあくまで虚空。
 ゼストの表情から察するに、彼の一撃が地面に向かって放たれたものではない事は明らかだった。では、彼が狙った
的は一体何処へ消えたのか。
 その時――チンクはゼストの背後に光る二対の魔眼を見た。

「ゼストーっ!!」
「ぬうっ!!」

 チンクの叫びに呼応するかのように、ゼストが振り返る。
 大上段から振り下ろされる"異形"の両腕。咄嗟に槍の柄で受け止めた。脇腹ががら空きになる。
 剥き出しになったその場所に、半身を捻らせて放った異形の尾がもろに命中した。
 二メートル近い巨体が、まるで小石のように軽々と弾き飛ばされチンクの視界から消える。同時に周囲の風景が
速さを取り戻した。

538魔法集団リリカルやがみけInsecterSその8-2:2008/08/05(火) 20:33:34 ID:0cxgUGtg
「くそっ!」

 チンクは身に纏った固有武装――シェルコートの中に突っ込んだ手を抜き出す。その手には彼女のもう一つの
固有武装である投げナイフ、スティンガーが三本。間髪入れず異形に向けて投擲しようとするが直前でその動きは
止まった。漆黒の異形の全身から、真紅の鮮血が吹き出したからだ。
 怪物はそのまま苦痛に悶える事も無く、糸が切れた操り人形のように力なく崩れ落ちる。

「ど、どういう事だ……?」


「……反動だ」
「ゼスト!?」

 声に目をやれば、倒れていたゼストが槍の助けを借りて上半身を起こすところだった。
 チンクはルーテシアを手近な草むらの上に寝かせ彼の元へと駆け寄る。

「肉眼で捉えきれないほどの高速移動状態からの強引な急停止……そんな事をすれば、当然体にかかる衝撃も尋常ではない」
「そんな事はどうでもいい! 体は? 大丈夫か!?」

 問いながら『無事な訳がないだろう』と自分を叱咤する。あれだけ派手に吹き飛ばされたのだ、いくらバリアジャケットを
身に着けていても本体へのダメージは免れない。

「おそらく肋骨に何本か罅が入っているな。だが、動けないほどではない」
「無理をするんじゃない。すぐに助けを呼ぶ、そのまま動かずにジッとしていろ」
「その、必要は無い……」
「動くなと言っただろう!」

 立ち上がろうとするゼストを強引に押し留めながら、チンクは矢継ぎ早に質問を投げかける。

「というよりも"アレ"は一体何だ? お前の仲間か? 何故お前や私達を襲う?」
「……あれはガリュー。かつてメガーヌ・アルピーノと召喚契約を結んでいた召喚虫で、今は主をルーテシアに
移している」
「ガリュー……メガーヌ……」

 ゼストの口から出た名前にチンクの動きが一瞬硬直する。

(あの怪物がお嬢様の話していた"ガリュー"だと……)

 そしてチンクにはもう一方の名前も聞き覚えがあった。
 あの時、戦闘機人プラントで交戦した魔導師。ゼスト・グランガイツの部下だった女性。そしてチンク達に撃破された
後にスカリエッティの実験体としてゼストや彼の他の部下と共に回収され、人造魔導師素体の適合性を見出された事で
今もこの基地で"保管"されている女性の名前だ。

「ルーテシアは、大丈夫か」

 言われチンクは少し離れた少女を見やる。
 月明かりを浴びて眠る少女の表情は穏やかで、小さな胸は規則正しく上下している。見たところ外傷も無い。

「今は眠っているようだ」
「そうか……おそらく、ガリューの感情が一時的に彼女にフィードバックして、そのショックで、意識を、失ったのだろう……
直に、目を覚ます、筈だ……」

 ゼストは苦しげに、けれど少し安堵した様子で言葉を繋ぐ。
539魔法集団リリカルやがみけInsecterSその8-2:2008/08/05(火) 20:34:15 ID:0cxgUGtg
「しかし……それなら、お前とも仲間のようなものだろう。何故交戦していた? そもそもお嬢様からは"お話中"だと
聞いていたが」
「……」

 都合が悪い話題になると沈黙する。
 最近ルーテシアにも伝染しつつあるこの男の癖だ。ただ最近かなり付き合いが長くなった事もあって、チンクは彼の
沈黙だけである程度の事情を察した。

「……大方の事情はわかった。お前が原因だな」
「……そうだ」

 チンクは大きく溜息をついた。
 やれやれ、まったくこの男は本当に面倒ばかりかけてくれる。

「どんな理由があったかまでは分からんが、今後はこのような無茶は禁止だ。それでなくてもお前の体はまだ……
戦闘……な、ど……?」



 ――場の空気が、変わった。

  

 言いかけた説教の言葉が、喉の奥で凍りつく。

 背後から、怨念にも似た強烈な殺気を感じる。
 殺気そのものが実体を持って自分の心臓を射抜くような、言い知れぬ恐怖と苦痛が入り混じった感覚。
 かつてこれほど強い殺気を感じた事は一度しか無い。
 目の前にいる男と初めて対峙した時。その命が尽きる直前、男が全てを捨てて放った最期の一撃が自分の右目を
貫いた時。

 

「ば……かな……!?」

 チンクは振り返る。

 その尋常ならざる殺気の発生源は自分の背後にあった。
 赤黒い血鎧を纏いながら立つ、"ガリュー"という名の修羅。
 眼帯の下で無い筈の右目が疼く。
 ゼストが立ち上がり、再び臨戦態勢に入った。
540魔法集団リリカルやがみけInsecterSその8-2:2008/08/05(火) 20:35:12 ID:0cxgUGtg
「ゼスト。アイツは……不死身なのか……?」

 陳腐な問い掛け。それでも聞かずにはいられなかった。

「ダメージは、確実にある筈だ」

 そう話すゼストの口調から偽りは欠片ほども感じられない。
 だが同時に彼の声からは、先の戦闘で体に刻まれたダメージの深刻さも明確に感じ取れた。ガリューのレベルには
及ばないが、彼もまた激しく消耗している。

(どうする……) 

 彼我の状況を分析しながら、チンクの頭脳が激しく回転する。
 このまま戦うか。それとも重症のゼストとルーテシアを連れてここから離脱するか。
 判断に要した時間は一瞬だった。
 チンクは恐怖と右目の鈍痛を彼方へと押しやり、足元に歯車に似た戦闘機人独特のテンプレートを展開させる。

「そうか……」
「チンク?」

 チンクの行動に気づいたゼストが彼女の名を呼ぶ。
 その声に、チンクは更なる行動で応えた。

「ならば。戦闘不能になるまでさらにダメージを与えるまでだ」

 チンクがそう言うと同時に、空中に次々とスティンガーが出現する。
 新星の如く現れた刃は月光を浴びて輝き、形成されたのは極小の天象儀。
 前後、左右、上方。刃、刃、刃。周到に計算されたその配置に、逃げ場は文字通り虫一匹が這い出る隙間も無い。
 其々が悉く必殺の威力を持つ爆刃が創り上げた半球は、まるで牢獄のようにガリューの周囲を完全に封鎖する。

 傍らのゼストが息を飲む気配が伝わる。
 きっと今彼の方を見れば、今日二度目の驚き顔を見る事が出来るだろう。
 そうでなくては困る。
 目の前の敵から視線を逸らしはしなかったが、チンクは常に冷静な彼の表情を変えさせた事に少しだけ優越感を
覚えた。

「片目を失った私が何時までも近接中心の戦闘スタイルに拘っていると思ったか? 今の私ならば、触れずに奴と
戦う事が出来る」
541魔法集団リリカルやがみけInsecterSその8-2:2008/08/05(火) 20:35:41 ID:0cxgUGtg
 そう、これはかつてゼスト・グランガイツに敗れた自分が、創造主スカリエッティの助力を得て身につけた新しい力。
 いつか来るであろう完全回復したゼストとの再戦時、彼を打倒する切り札とするべく密かに磨き続けてきた能力。
右目の無い自分が、あえてそのハンデを負ったまま過去の己を超える為に試行錯誤を繰り返し完成させた新たなる
戦闘スタイル。少しぐらい驚いてくれなければ手間と時間をかけた甲斐がないというものだ。 

 ガリューが紫紺の翅を震わせ始める。
 だがその動きが最高速度に達するよりも、チンクが指を鳴らす方が当然速い。

「させると思ったか?」

 直後、全てのスティンガーが一斉にガリューに向かって射出される。
 オーバーデトネイション。
 チンクの戦技の中で最大の攻撃力を誇る、集中射撃から爆撃への連続攻撃。
 爆音と閃光が連続して上がり、周囲の空間が炎に包まれた。
 チンクは勝利を確信し、ゼストに向けて得意げに話しかけようとする。しかし次の瞬間、振り向いた彼女の眼前に
あったのは伸ばされた彼の腕だった。
 
「なっ!?」
 
 抱き寄せられた、と気づいた時にはチンクの体は宙を舞っていた。
 空中を浮遊する感覚を味わいながら、彼女はゼストの肩越しに燃え盛る炎の矢を見た。
 熱風が頬を焼く。矢は一瞬前までチンクが居た場所を凄まじい速度で通過し、視界の遥か先へと消える。

「ぐうっ!」
「あつっ!」

 二人はそのまま倒れ込むように着地し地面を転がる。
 ゼストが庇ってくれたおかげでチンクの体に怪我は無かったが、その心にはまだ今見た光景の衝撃が焼き付いており、
彼女はゼストの体から離れようともせずしばらく自失していた。

「……チンク」
「……」
「チンク!」
「あ、ああ! すまん!」
542魔法集団リリカルやがみけInsecterSその8-2:2008/08/05(火) 20:36:28 ID:0cxgUGtg
 ゼストの声に漸く我に返り、チンクは彼の体から離れる。スティンガーを数本手元に発生させながら彼女は今目の前で
起こった事を冷静に反芻する。

 ガリューへの包囲は完璧だった。
 如何に超高速での移動が可能といえど、何処かに隙間が無ければ駆ける事は出来ない。 
 だからガリューの移動ルートを塞いだ最初の時点で、自分の勝利は半ば確定していた筈だった。

 ……だが、ガリューが取った行動は、自分の予想の範疇を完全に上回っていた。
 回避が不可能と判断するや、即座に強行突破へ移行。
 前面を包囲する刃の壁を自ら飛び込んで突き抜ける事で、他の全ての方向から放たれた刃が到達する前に包囲を
突破する。
 刃が爆発する事を知らないだろうとはいえ、自分を狙う無数の兇器に敢えて身を差し出すとは。

(道がなければ作る。私が甘かった、という事か……)

「来るぞ」

 思考を切り裂くゼストの一言で、チンクは意識を集中し直した。
 
(そうだ、まだ奴は生きている。生きている限り何度でもこちらに向かって来る)

 暗闇の中に、紫の魔力光を纏った召喚虫の姿を確認する。
 全身から噴き出していた血は炎で傷口を焼かれた事で既に止まっていた。
 肉が焼け焦げる臭いが、強化された嗅覚を刺激しチンクの眉を顰めさせる。

(だが、何故だ……何故そこまで奴は闘える……?)






 その時、不意にガリューの膝が崩れた。




543魔法集団リリカルやがみけInsecterSその8-2:2008/08/05(火) 20:38:34 ID:0cxgUGtg
「あ……」

 バランスを失ったガリューは、そのまま姿勢を維持する事が出来ずに倒れ込む。
 ブレーキ代わりに酷使し続けた脚が、ついに完全にイカれたのだ。 
 ガリューは翅の力も使って何とか立ち上がろうともがくが、彼に速度という力を与えてきた翅も今はある物は破れ、
ある物は穴が開きボロボロになっている。今の彼の状態は、正に満身創痍という言葉がぴったりだった。

 やはり限界だったのだ。
 一瞬、そんな思いがチンクの中に過ぎった。「これでもうアレと戦わずに済む」とも。

 しかしその考えがどれほど甘いものだったのか、直後にチンクは嫌というほど思い知らされる。

 不格好な姿で何とか直立したガリューの右腕が、左腕の武装へと伸びる。
 右腕が閃き、左腕から一本刃が斬り落とされた。
 ガリューはゆっくりとした動きで体を曲げると、地面に落ちた刃を拾い上げ――




 そのまま躊躇無く、死んだ脚へと刃を突き立てた。





「なっ……!」


 一本では不十分と判断したのか、もう一本刃を斬り落とし、同じように脚へと突き刺した。
 新たに生まれた傷口から鮮血が噴き出るが、ガリューは歯牙にもかけぬ様子で手についた血を払うと、二本の脚で
しっかりと大地を踏みしめる。すると今度はもう片方の脚にも同様の処置が必要と感じたのか、三度腕から刃を切り落とす。

「自分の、脚に……」

 添え木などという生易しいものではない。
 あんな事をすれば、戦闘が終わっても最悪二度と自分の脚で歩く事は出来なくなるだろう。
 あまりにも常軌を逸したガリューの行動にチンクの全身は震え、手にしたスティンガーを握る手から力が抜けそうになる。
押し殺していた右目の痛みが、一層酷くなったように感じられた。

「あいつは、一体何なのだ……?」
「チンク」

 呆然と呟くチンクに、ゼストが声をかける。

「ゼスト……」
「ここでこれ以上の戦闘はルーテシアに危険が及ぶ。さっき見せた技、もう一度使えるか?」
「あ、ああ。だがオーバーデトネイションでは大したダメージは……」
「ガリューでは無く周りを狙ってくれ。炎と音に紛れてこの場を離脱する」
「わ、分かった」
544魔法集団リリカルやがみけInsecterSその8-2:2008/08/05(火) 20:40:17 ID:0cxgUGtg
 チンクは頷くと、ガリューの周囲に再びデトネイターを起動する。
 ガリューの翅が蠢くのを視界の端で確認して、チンクはその足元にスティンガーを撃ち込んだ。
 爆炎がチンク達とガリューの間に壁を作り、お互いの姿を覆い隠す。


「今だ!」

 ルーテシアを担いだゼストが短くチンクに撤退を伝える。
 去り際、チンクはもう一度炎の壁を見つめた。
 煌々と燃え盛る炎に塞がれ、ガリューの姿を見る事は出来ない。
 今にもその壁を突き破って炎より紅い二対の眼が自分を捉えるような気がして、チンクは全力でその場を離れた。
何があっても絶対に振り返らないよう、目の前を走る槍騎士の背中だけを見つめながら。


          ◆


「ここならば、ガリューも気づく事はないだろう」

 落葉や草を敷き詰めた上にルーテシアを寝かせ、ゼストは誰にともなく呟いた。
 
 ガリューからの逃亡中、偶然発見した小さな洞窟。
 繁茂した蔓草がうまくカモフラージュになっており、相当注意して探さなければ見つけるのは至難の場所だった。

「お前はこれからどうする?」
「そうだな……正直、予想外の出来事が起こりすぎて、全く考えていなかった」

 チンクは弱々しく笑顔を浮かべゼストの問いに答える。多分に自嘲が混じった、彼女の精一杯の虚勢だった。

「ただ……そうだな。ドクターには連絡する。おそらく基地の防衛システムを利用して、奴に総攻撃を加える事に
なるだろう」
「お前達……"ナンバーズ"が出るのか?」
「いや。トーレの高速戦闘技術ならおそらく奴とも互角に渡り合えるだろうが、あいにく今彼女は別任務でこの基地を
離れている。他に交戦が可能なのは辛うじてディエチぐらいだが……」
「五秒と保たんな」

 ゼストが冷静に断じる。
 妹を悪く言われるのは心外だが、今回はチンクも同意見だった。
545魔法集団リリカルやがみけInsecterSその8-2:2008/08/05(火) 20:41:00 ID:0cxgUGtg
「訓練の様子を見た事があるが、あの弾速ならば今のガリューは捉えられん」
「ああ。だが他のメンバーではもっと酷い結果になるだろう」

 実はもう一人、最近稼働したばかりの妹――9番・ノーヴェも近接、それも格闘タイプではある。だが武装も戦い方も
確立されていない今の彼女を戦闘に出す訳にはいかない。何より、あんな凄惨な場面を、生まれてきたばかりの彼女に
見せるのは教育係として躊躇われた。実戦型の戦闘機人として生まれた以上、何時かは同じような局面に遭遇するのは
避けられないだろうが……少なくともそれは今ではあってほしくない。

「おそらく"デコイ"で物量作戦に出る事になるだろう。デコイ(囮)といえどそこそこの戦闘力は備えている。AMFは
ほとんど通用しないだろうが……」

 そこまで口にしてチンクは自分の失言に気づいた。
 通称"デコイ"――スカリエッティ作の機械兵器達は、ゼストの部下達の命を奪った直接の加害者だ。
 喪った部下達の事に話題が及ぶ度、感情を表さないゼストの顔は僅かに歪んだ。
 内に秘めた物が溢れ出るのを必死に抑えようとするかのような苦悶。その表情を見るのがチンクは嫌だった。
 自分達が世界の定めた"法"という物を犯している事は知っている。だがチンクの知らぬ過去の人間が、チンクの
知らぬ所で勝手に作った決め事を破ったと言われても欠片ほども動じない自分の心が、何故か彼のその表情を
見る度にざわつくからだ。
 自分は間違っているのではないかと、何か途轍もなく取り返しのつかない事をしてしまったのではないか、と。
 だからチンクはゼストの前ではなるべく過去の事について話すのは避けていたのだった。

「すまなかった……ゼスト?」
「……あれを使うとなると、殺さずに捕獲する事は難しいか」

 ゼストがいう"アレ"とはデコイの事だろう。デコイはAMF発生能力こそ備えているが、武装は全て質量兵器である。
余り複雑な命令系統も持たない。殺さずに無力化するというのは至難の技だろう。

「無理だろうな」
「……そうか」

 ゼストは少し目を閉じて思案する素振りを見せた後ゆっくりと立ち上がる。

「頼みがある。スカリエッティに報告するのを、数分だけ待ってくれ」
「何をする気だ?」
「ガリューを止める。ああなってしまった原因は俺にある。命に代えてでも、止めねばならん」

 答えは聞くまでも無く分かっていた。
 なにせ、もうかなり付き合いが長い。
546魔法集団リリカルやがみけInsecterSその8-2:2008/08/05(火) 20:41:57 ID:0cxgUGtg
「止める術はあるのか?」
「手段はある。ただ一度フルドライブでの攻撃をかわされている以上、確実に当てられる保証は無い。だから、その時は
ルーテシアを頼む」

 既に洞窟の入口まで歩き出そうとするゼストの背に、チンクはずっと疑問に思っていた質問を投げかけた。

「ゼスト! ……一つ、聞きたい事がある」
「……何だ」
「奴は……ガリューは何故あそこまで戦える? あれだけボロボロになって、それでも奴を突き動かしている物は一体
何だ?」
 
 ゼストがしばし沈黙する。
 彼が答えを口に出すのを逡巡したのは、多少なりともチンクにそれを伝えていいか迷ったからだろうか。

「今のガリューは大切な者を亡くした者の"想い"そのものだ。護れなかった事への怒り、届かなかった事への無念や
後悔、二度と会えない事への悲しみ……"想い"は何よりも強く突き動かす。人も召喚虫も、それは変わらん」
「そうか……」


 ……お前も、そうなのか?


「何か言ったか?」
「いや、何でもない……」

 今度は聞かなかった。
 聞かなくても、疼く右目がきっと答えだ。
 チンクはシェルコートをルーテシアの体にかけると、ゼストの後を追う。

「分かったゼスト。お前の頼みを引き受けよう……その代わり条件が一つある」
「何だ」

「私も協力させろ」

「……」

「危険は承知の上だ。だが世話係として、このままお前を行かせて死なせるような事があってはドクターに申し開きが
出来ん。かといって力づくで止めようとしてもお前は素直に従わんだろう。だからお前が死なないよう、私が手を貸す」

「……打ち合いは俺に任せ、お前は援護に徹しろ」

「……分かった」


          ◆


 月下の森を二つの人影が駆ける。
 
 一人はかつての敵と共に、かつての友を止める為に。

 一人は失った右目に代わる何かを掴み取る為に。


 その姿を、漆黒の風が捉えた。



 ――決戦が、始まる。
547ておあー:2008/08/05(火) 20:44:26 ID:0cxgUGtg
今回は以上です。お付き合いくださった方ありがとうございました。共闘、という響きが好きです。性的な意味での共闘なら
もっと(ry
そしてまさかこの時点でノーヴェが稼働しとるとは思わなかった……今さら新情報とか予想外すぎるぜパパン。
チンクの性格が現在と結構違いますが、個人的に彼女は若い頃結構キツかったのが後になって丸くなったんじゃないかと
思ってたりします。だってギャグならともかく、真面目に考えた場合周りがスカとスカ因子持ちの1〜3姉しかいない
状態では誰に教育を受けてもいきなりあの性格にはならないのではないかと……あ、近接云々の設定は趣味です。半分。

しかし実はメガさん生きてるから困る。
548名無しさん@ピンキー:2008/08/05(火) 20:56:56 ID:Tf2QcNZ/
ナカジマ家で親を生き返らせるために禁断の魔術に手を付ける電波を送ったのは誰だ?

クロススレ行ってきますorz
549名無しさん@ピンキー:2008/08/05(火) 22:53:19 ID:RUusQHAL
>>548
色々と持っていかれるんですね、わかります
550名無しさん@ピンキー:2008/08/05(火) 22:54:30 ID:0jd6wEhe
>>549
残念ながらアリサとは面識がないな
551名無しさん@ピンキー:2008/08/05(火) 23:01:36 ID:vI/mZP3d
>>ておあー氏
GJでした!っていうか重っ!痛ぇっ!!
ガリューの豪快なキレッぷりが実に素晴らしいです。カッコイイよキシャー
しかし、こんな彼も後に芋虫形態で八神家一同に色々弄ばれると思うと涙が止まりません

ゼストとチンクのコンビも良いですね。ちょっとチンクが慢心気味?というか状況が悪くて相手が規格外ですね

色々、新情報も出ましたね
ノーヴェ達の世代が“稼動”しているというのをどこまで考えるか・・・それによってはネタが増えたり減ったりするんですが
ノーヴェがチンクべったりになるまでの経緯とか
個人的には3期終了後のルーテシアの所在がスプールズ(エリオとキャロの赴任地)では無い事が確定してしまったのが最大の痛手です・・・

それでは、続きも楽しみにしてます。GJでしたっ!
552名無しさん@ピンキー:2008/08/05(火) 23:49:51 ID:+d7lhIBh
484
GJ!
何と情熱的なスカ博士なんだ。
なのはがどういう決断するのか、気になる。
553名無しさん@ピンキー:2008/08/06(水) 00:01:37 ID:+u8pZnp4
ネタ振り
突撃!隣の八神家!!なんてどうでしょう
554名無しさん@ピンキー:2008/08/06(水) 00:04:44 ID:f39zkfI6
>>553
いいな、それ!
じゃあ>>553がそれを書いてくれるのをwktkして待ってるよ!
555名無しさん@ピンキー:2008/08/06(水) 00:05:49 ID:1XFf2S6B
>>547
GJ! 共闘はいいよね、かっこいいよね
ゼスト&チンクのコンビに萌えつつも、そろそろ八神家が恋しくなってきた今日この頃
触手×ヴィータの後編も待ってます
556野狗 ◆gaqfQ/QUaU :2008/08/06(水) 01:39:49 ID:6jpM4q4U
♪ミッドチルダに建てられた 自分の家に住んでいる 正義の少女 八神はやて
 スカの野望を砕くため ヴォルケンリッターに命令だ (やー!)
 烈火シグナム空を飛べ 鉄騎ヴィータは槌振るえ ザフィーラ変身 子守しろ


 誰もいないので寝る前に投下しますね。
 レス数七  タイトル「ザフィーラの変身」
 フェイトが微妙。中の人ネタ少しあり。
 非エロ。ごめん、次こそは。
 あぼんはコテか鳥で
557野狗 ◆gaqfQ/QUaU :2008/08/06(水) 01:40:59 ID:6jpM4q4U
       1

 機動六課の稼働期間が伸びたのは、ある意味では自業自得だった。
 あまりにも優秀すぎたのだ。なにしろ、文字通り世界を救ったのである。形はどうあれ、その宣伝効果は絶大である。
 そしてミッドの陸上部隊が一部を除いて事実上壊滅状態の今、六課の解散によるリスクはあまりにも大きいと判断されたのだ。
 フォワード陣にはそれぞれの将来の目標があったが、六課の稼働により遅れたぶんだけは優遇されるという言質が与えられた。
 それに、スバルにしろティアナにしろ、ミッドの平和を犠牲にしてまでキャリアを積む気はさすがにない。エリオやキャロに関しても同じだ。
 はやては、ここで人員と設備の増加を申請した。当たり前のようにあっさり通った。というより、この時期なら何を言っても通っただろう。
 その結果、新人が派遣された。その一人が、ルーテシアである。
 喜んだのはキャロだった。なにしろ、ここには同年代の女の子がいないのだ。それが寂しいと思えるほどキャロは普通の生活は送っていないが、いるといないとでは全然違う。
 しかし、問題はエリオだった。そもそも六課は不自然なまでに男性が少ない。そのうえ、同年代は皆無である。これは教育的にもよろしくない。
かといって、六課に所属できてしかもエリオと同年代の少年などそうそういない。ルーテシアとキャロが幸運なのだ。
 しいて言うならば、昔のユーノやクロノだろう。そんな人材がごろごろしているわけがなかった。
 ちなみに、ルーテシア派遣の話を聞かされたウェンディは、「あの龍巫女やルーお嬢と同年代……見た目だけならチンク姉でもいいっすね」と言って本気で怒られたらしい。

 それが可哀想だ、と考えたのは他ならぬフェイトであった。
 ヴィヴィオが学園に通う姿を見て、エリオには同年代の友達が必要だ。と、フェイトは気づいたのである。
 ちなみに、自分だって学校に行っていたではないかと尋ねると、
「なのは以外どうでも良かったよ?」と答えてくれる。数分後、「…………あああああ! そう言えば、はやても同じ学校だった!」
 本気で忘れていたらしい。
 
 それはさておき、フェイトははやてに新人育成を打診する。
 どちらにしろ、六課の新人育成にも各方面から興味は寄せられているのだ。なにしろ、スバル、ティアナ、キャロ、エリオの四人は六課で鍛え上げられたことになっているのだから。
 ティアナとエリオは管理局新人として全くの無名であったのだ。
タイプゼロであるスバルと、不安定な龍召還士キャロにしても、ここまで戦力として大成するとは誰も思っていなかった。
 六課は新人育成の手腕も高く評価されているのだ。
 だから、はやてさえ望めば新人は任せてもらえる。フェイトはそれを指摘した。
 しかし、前述したように条件に合う少年など早々いない。

「いないなら、作ればいいのよ」
「フェイトちゃん、クローンはあかんで」
「さすがにそこまではしないよ。だけど、エリオのために同年代のお友達は必要だと思う」

 それに関しては、はやても同感だった。

「はやて、私にいいアイデアがあるんだけど」

 フェイトはニッコリと笑った。
558野狗 ◆gaqfQ/QUaU :2008/08/06(水) 01:41:36 ID:6jpM4q4U
            2

 フェイトは言った。
 アルフの子犬フォームは、ザフィーラに伝授された。
 つまり、アルフの変身はザフィーラにも真似ができる、と考えていいのではないだろうか。
 勿論、基本的な形は変えられないのだろうが……

「なるほど。テスタロッサの言うことももっともかもしれません。試してみる価値はあるかも知れません」
「そうね。シグナムの言うとおりだわ。これは盲点だったかも知れないわ」
「うーん。あたしは別にどうでもいいっていうか……」
「リィンよりちっちゃくなるですか?」
「いや、それは流石に……リィンよりちっこいと、人間の枠から外れてしまうからなぁ…」
「ちょ、ちょっと待った、はやて。だったら、確実にあたしよりは小さくできるんだよなっ!」
「そやなぁ…それはできるやろけど……小さすぎてもなぁ……」

 家に戻って守護騎士一同に相談を持ちかけていたはやては、腕を組んで考え込んだ。
 シグナムとシャマルも同じように考え込み、ヴィータとリィンは期待に胸を膨らま――訂正、ヴィータは膨らまない――期待に目を輝かせている。
 シグナムが何事か呟くと、はやてが頷き、シャマルが苦笑した。
 それを見たシグナムの表情が少し曇るが、それでもシグナムははやてに何事か訴え続けている。
 やがてはやてが苦笑気味に頷くと、シャマルもヤレヤレといったように大きく頷く。

「ほな、決まった。エリオぐらいの体格や。シグナムの熱烈なリクエストやで?」
「ちょ…主はやて。私はただ、大きすぎず小さすぎずちょうどいいと進言しただけです。別にエリオが良いという意味ではなく…」
「はいはい。フェイトちゃんやキャロ、それからルー子と喧嘩せんようにな?」

 アルフが美女から可愛らしい少女に変化したように、ザフィーラも変化できるに違いない。それがフェイトの考えだった。
 つき合いの長いヴォルケンリッター達もザフィーラのそんな姿は知らないと言う。しかし、それを言うならザフィーラ子犬フォームだって、今回が初めてなのだ。
 ザフィーラショタッ子フォームがないとは言わせない。はやては燃えていた。
 
「というわけで、ザフィーラ、やってみて?」
「………」
「ザフィーラ?」
「………い、いや、あの…主はやて?」
「どしたん?」
「突然そう仰っても……いきなりそのようなことができるか否かは…」
「できへんの?」
「やはり、いきなりというわけには…」
 そこまで言ったところでザフィーラは絶句した。
 はやてが涙目でザフィーラを見上げている。
「無理なん? めっちゃ見たいのに…」
 
 ザフィーラは敗北する自分に気付きつつ、心の中で呟いた。
 ……主よ…いつの間に「女の武器」を身につけたのですか? ……我は、その武器に敗れて本望です…… 
559野狗 ◆gaqfQ/QUaU :2008/08/06(水) 01:42:16 ID:6jpM4q4U
       3

「そんなに難しいことじゃないよ」とアルフは言ったのだ。
「変に構えると余計難しいからさ、ちっちゃい自分を想像してご覧よ」
「そう簡単に言われてもな……子犬フォームはモデルがいたから楽だったが」
「じゃあ、またアタシをモデルにすればいいじゃないか」
「人間の場合は、未成熟といえども性別の違いは大きい」
「じゃあ、普通の奴をモデルにすればいいじゃないか」
「普通の奴?」
「エリオがいるじゃないかさ。エリオと同じくらいの年格好が、フェイトとはやてのリクエストなんだろう?」
「そうか。エリオか。そうだな。すまなかったアルフ」
「いいって事だよ。じゃあせいぜい頑張るんだよ」
「ああ」

 狼の姿に戻り駆け去っていくザフィーラの後ろ姿に、アルフは呟いた。
「…はやての言うことにはバカ素直なんだから……なんだか、悔しいじゃないか」

 
 食われる。とエリオは、思ってしまった。
 訓練から帰ってくると、大きな狼がこちらを凝視しているのだ。よく見れば何のことはない、ザフィーラなのだけれど。
「あの、何か御用ですか?」
「気にするな。観察しているだけだ」
「観察?」
「そうだ。八神部隊長とテスタロッサからの命令だ。しばらく観察させてもらうぞ」
 部隊長用件と言われては断れない。しかもフェイトさんまで。

 ……なんだろう?
 エリオは考える。なにか、自分の身のこなしに問題があるのだろうか。
 そこでエリオは思い出す。師匠シグナムの言葉を。
「日常座臥、全ての行いが己を高める道だ。それが体得できたとき、おのずと道は開けるだろう」
 これは訓練の一環なのだろうか。だとすれば、あだやおろそかには出来ない。
「…わかりました。とくと観察していって下さい」
「うむ。迷惑をかける」

 そして三日。その間、エリオに気の休まる暇はない。何しろ、隙を見せてはいけない、と四六時中緊張しているのだ。
 疲れないわけがない。
「済まなかったな」
 ザフィーラが去っていく姿を見ながら、エリオはぐったりと崩れ落ちるのだった。
560野狗 ◆gaqfQ/QUaU :2008/08/06(水) 01:42:51 ID:6jpM4q4U
      4

 ただいま。と言った瞬間、はやては絶句した。
 玄関先に出迎えたのは、エリオよりちょっと小さいくらいの狼耳少年。ザフィーラショタっ子フォーム大成功の図である。
 はやての後ろに立っていたシャマルが歓喜の声を上げる。その隣にはやはり絶句しているシグナム。
 そして、しばらくのフリーズの後、ようやくシグナムは動き出す。

「も、も、も……」
「も?」
「萌えっ!」
「萌え!?」
「い、いや、燃えないゴミの日はいつだったかなと」
「…かなり、無理あるで、そのいいわけ」
「す、すいません、主はやて」
「ま、シグナムが思わず口走ったんもしゃあないと思うけど」
 
 はやての言葉にシャマルは深くうなずいていた。

「ヴォルケンリッターとしての活動も長いけれど、ザフィーラにこんなことができたなんて…」
「…我も驚いている。これほどうまくいくとはな」
「あー、ザフィーラ? その喋り方は直したほうがええで、あと、声も」
「喋り方は直せますが……しかし、声までは」
「……リィン。プログラムいじってザフィーラの声変えよか」
「はいです。…あ、でもそんな簡単にはいかないです。一から声を変えるのは…」
「そしたら、ヴィータと同じ声にしてしまおか」
「それなら、なんとかできるですよ」

 一時間後。

「これが、僕の声?」
「うーん。なんや、通販キャンセルが趣味の人形いじりしてる根暗引きこもりっぽいけれど、これはこれや!」
「きっとアルフさんも惚れ直すですよ」

 真田アサミ、もとい、ヴィータと同じ声になり喋り方まで変えたザフィーラはどこから見ても立派なショタっ子だった。

「そしたら早速やけど、来週から一緒に六課に行こか」
「あの、主はやて? 僕はどうすればいいの?」
「エリオやキャロ、ルー子と一緒にしばらくフォワードやってもらおか」
「へ?」
「名前はロンや。ロン・タルボットな」
561野狗 ◆gaqfQ/QUaU :2008/08/06(水) 01:43:26 ID:6jpM4q4U
       5

 ザフィーラ、もとい、ロンが初めて六課に姿を現した日、エリオは端から見てもわかるほど喜んでいた。それにつられて、キャロとルーテシアも嬉しそうだ。
 しかし、ロンは気づいた。キャロとルーテシアの間の隠れた火花を。

「僕は、エリオ・ハラオウンです。よろしくお願いします」
「う、うん。僕はロン・タルボット。ロンでいいよ」
「よろしくね、ロン君。私はキャロ・ル・ルシエ」
「…私は、ルーテシア・ハラオウン…」
「ルーちゃん、名前間違ってるよ(油断も隙もないね、この女狐)」
「…ルーテシア・アルビーノ…(既成事実を作る作戦は失敗……)」

 ちなみにロンの正体は、なのはには知らされていない。教導を普通に行うためである。
 当たり前のようにトップクラスの成績を収めるロン。エリオ、キャロ、ルーどころか、スバルやティアナよりも成績はいいのだ。
 
「……超ルーキーだ…」
「うかうかしてられないわよ、スバル」
「うん。部隊長、どこからあんな凄い子見つけてきたんだろ」
「アレでエリオと同じ年なんでしょう? 信じられないわ」
「でも、なのはさんやフェイトさんはあのくらいの年でもっと凄かったって…」
「う……。気の遠くなるような話ね…」

 その会話を耳に留めて、ロンはふとなのはを見た。
 言われてみればなのはとフェイトは、わずか十歳でヴォルケン四人とやり合って、あげくに闇の書まで打倒したのである。
 本気で化け物だ。と改めてロンは思った。



 キャロの目が丸くなっていた。

「凄いね、ロン君は」
「たいしたことないよ。たまたま僕がシールドをうまく張れただけのことだよ。キャロもすぐにもっとうまくなるよ。たとえば…」

 ロンはシールドのこつをキャロに伝える。
 キャロと同じく、前線から一歩引いて仲間をフォローする役割。それはヴォルケンでの自分の位置と同じなのだ。だから、キャロに有用な知識を分け与えたい。そう、ロンは思っている。
 なんだかキャロが質問に来る回数がどんどん増えているような気がするけれど。

 また別の時は、

「ルー、ほら、重い物を持つときは気をつけて」
「…あ、ありがとう」
「君が怪我をすると、悲しむ人がいるんだからね」
「…う、うん……」

 主はやての守護獣として、主を気遣うガリューの気持ちは非常によくわかるのだ。だからルーテシアのことを庇ってしまう。
 何故か最近、庇うたびにルーテシアが頬を染めているような気がするけれど。 
562野狗 ◆gaqfQ/QUaU :2008/08/06(水) 01:44:02 ID:6jpM4q4U
        6

 まずいような気がする。とはやては思った。
 エリオのためのロンの存在だったはずなのに。
 ルーテシアとキャロの様子がおかしくなってしまった。
 まさか、ザフィーラにこんな才能があったなんて。

「このままじゃ、今まで以上にエリオがひとりぼっちになっちまうぞ」
「ザフィーラがあんな、女たらしの才能持ちやったとはなぁ」
「あんまりひどいようだったら、あたしからルー子とキャロに注意するけど?」
「部隊内恋愛禁止なんて規則はないしなぁ…」      
「あんなガキのどこがいいんだろうな、まったく」
「ヴィータはどんな人やったらええんや?」
「強いやつ」

 逡巡なしの間髪入れない答えに苦笑するはやて。

「ザフィーラ、強いで?」
「や、そういうのじゃなくて。ドカンと一発派手にぶっ放すような強さがいいんだよ」
「それ、なのはちゃんやないの?」
「ち、ち、違うぞ! はやて! 変な勘違いするなよっ」
「ま、ええけど」

 少し考えて、はやてはため息一つ。

「しゃあないな。フェイトちゃんと話してみよか」


「それは困ったね。それじゃあしょうがないかな。ばらしちゃおうか」
「ええ!?」
「元々、エリオと同年代の男の子がいたらいいなって言うだけの話だったんだし、ばらすなら今のうちだよ。後になるほど大変だよ」
「それはそやけど…」
「潜入訓練の一環とか、そういうことにすればわかってくれるよ。キャロもルーテシアもいい子だもの」

 何となく釈然としないモノを感じつつも。でもフェイトの言葉自体は間違いではない。
 はやては内心で首をかしげながらも、代案があるわけでもなく結局はフェイトの言葉通りにすることとなる。     
563野狗 ◆gaqfQ/QUaU :2008/08/06(水) 01:44:35 ID:6jpM4q4U
       7
 
 フェイトの言ったとおり、ルーテシアもキャロも素直に納得した。
 納得できないと言ってどうにかなる問題ではないのは二人にもよくわかっている。
 十年ほどの人生だが、手に入らないモノは諦めなければならない、という人生訓を十二分に理解している二人なのだ。
 だからといって、エリオとの仲が以前通りかというとそうはいかない。やはり釈然としないモノは残ってどうしてもギクシャクしてしまう。
 結果として、エリオは何となく孤立してしまったような状態になっている。

「元気出してね。エリオには私がついてるから」
「フェイトさん…」

 エリオを元気づけながら、フェイトは計画通りに運んだ事を密かに喜ぶのだった。

(思った通り、ザフィーラが二人の気を引いてくれた)
(ルーテシアにもキャロにも、エリオは渡さないからね……)

 ルーテシア&キャロ排除計画、成功
564野狗 ◆gaqfQ/QUaU :2008/08/06(水) 01:45:39 ID:6jpM4q4U
 以上、お粗末様でした。
 次回こそは………。
 現在はやてちゃん九歳をガシガシと(SS内で)蹂躙中。うまくいかない。でもがんばるよ。

 ではお休みなさい
  
565名無しさん@ピンキー:2008/08/06(水) 02:12:44 ID:o8iubKE1
>>564GJ
じつはショターラものはずっと読んでみたかったんですごくうれしいです。
また書いてください

立てました
☆魔法少女リリカルなのは総合エロ小説_第80話☆
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1217956168/l50
566名無しさん@ピンキー:2008/08/06(水) 03:24:31 ID:eMCAmLMO
>>564
ショターラ、想像すると確かに萌えだ。
フェイトさん、黒いよ。某死の記帳のムーンさんばりに黒いよ。
GJでした。
567うめるの:2008/08/06(水) 09:22:21 ID:TVgcavHL
      //      ,.へ          ー‐-、` 、:.:.::/  \ \
__ _,. ‐'´/      /                ヽ/ k'^ヽ、   ヽ ',
`ヽ、__/     /  / / / /            ヽ ∨ !:.:.:.:.:.ヽ、  ', !
     / /  /  ,' / / / /  , ヘ、       ',   |:.:.:.:.:.:.:.:ヽ、 ', |
.    / /  /   l ,' | i_!__| |  | |__|_| !  |  i | ト、:.:.:.:.:.::.:|  |
    /|イ  /   ' | !  ィ'∧ハ∧!  |,ハト、ノノ`ヽ  ,' | ,' \:.:.::.:.::|  |
   ,'  |   !  | .| |  N,r‐=ト    斤―-、 / / N   ヽ、:.:|  |
   /  '., ト、 l  | ト、 〈 ヒ′;;|     ヒ′;;}ヾ//  !      ー'  |
.  /    ヽ|. \ト, |  ヽ| 辷_.リ     辷_.ソ 7  ∧         | 
 /         | |   ', ::::::::::::  ′  ::::::::::: /  ,'  ',         |  
./           /レ∧   ト、 ::::::  - ―  ::::: /   ,   !           |  
       /  / ',   ! > 、     ,. イ   l    !           |  
      /   , '   !  |  _├`-ー- ´┤_ |  |   |         |
    /   /    l   l'´r'::::::::::::::::::::::/ `|   |    !           ',
   /   /   _,.-¬   | ヽ_, -‐- 、_/  |   ト、_  ',         ヽ
 /   /   ,rヘ ', !   !   ', ,r' _ /   |   |/ /ヽ、ヽ
/     /   | ヾ\∨  ,'   丶  /    |   レ' , ' |  \
   /    | \/   i    ,=∨=、,,  |  |/ |   \
 /      |  ,'   | ,..='",.=q=、、゛'' 、!  i|    !     \
/          |   !,ヘ、 ト!",.イ( /ハト、))\ リ  |.   l      ヽ、
            !  . リ ヽ !イ   ー7,':||:i |ー'、 / | ∧!  |        ' ,
           |     ヾ !   〈,'::! !L!! {::::|  レ′   |


あの、そろそろ皆さん、次スレにうつってください




☆魔法少女リリカルなのは総合エロ小説_第80話☆
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568うめるの:2008/08/06(水) 09:24:39 ID:TVgcavHL
 

    ___
   , (フ^^^'ヘ.
    { { 从リハ) 〉
   レVュ゚ヮ゚ノリ
    (フ!,,Y)つ
    (ノ(フ、べ^)
.   /^ヾ ゙̄し′
  |⌒l ト・^・|
  |  | 〕.○.|
  |_l ト・_,・|
  ヽ__ノ_ノ

   ─━━

そろそろ次スレにもぐるよー

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569うめるの:2008/08/06(水) 09:25:24 ID:TVgcavHL
            ,.  ´
        /   ,. -‐
       / , -/     _/ /  /      l  _,. -
        ///    ,. ´/ // / l / / l    l/::::::::::::::
     /  /    /  / / │/ l l` ト 、l l   l::::::::::::::::
       l   //  l /  l/  {l l| 、_l lヽl    l:::::::::::::::
         l / l/   |l   l  ,l l 欣ヽl  l    l::::::::::::::
         l/-‐ l‐‐/ {l,. -「 ̄  迅ン l i〉 l   l::::::::::::::
     ,. ´_ -─./ /  l       _ ..::ヽlヽ│  ト、::::::::::
  /,. ´    / //  /l ヽ  ll ..:ll::::: / ヽl   l ヽ::::::
 //       // /  /  l   ..ll::::``>'   /ヽ} l   lヽ::
/       /   /  / /ハ_...:::_ヽ/  /ニニl ll  l l
        l     l  l 〃 _,. - /_,.. イl:::::::::::: l| l  l l
       l   / ! l| /  l´ /'´ r''i ll l::::::::: /: l l  l
         { // l ll    l     〉┴l l:::::::::::::: l l  l
.       // / ヽl l    l   _, ! -┴┴_ ニ/::ヽヽ
        //  /  l  l   l_, ‐l r '´ ̄::::::::: /::::::::::ヽ\
      //  /  l    r '´  ,.-l l ::::::::::::::::: /::::::::::::::::ヽ
    //  /   l    l  /.:: l l :..:::::::::::::: l :::::::::::::::::::::ヽ
    l l  /l   l     l/.:.:.:.: l l .:.:.:.:.:::::::: l :::::::::::::::::::::::::
   l l   l l   !    / ...:.:.:.:. l l .:.:.:.:.:.:.:::: l :::::::::::::::::::.. ..:
   l l|  l l  l    / .:.:.:.:.:.: l l .:.:.:.:.:.:.:.:.: l ::::::::::::::  ...:.:
  l l | l  l  {     〈 :.:.:.:.:.:.: l l .:.:.:.:.:.:.:.:.:. l ::::::::: .....:.:.:.:.:.


もう、このスレともお別れか……。

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570うめるの:2008/08/06(水) 09:26:42 ID:TVgcavHL
      _ -―――、r─ =三三三`丶- .,
      |: : : : : : : : : : : ‐'"__ ̄ ̄\: : : : :\
.     |: : : : : へ:|:|__: :|:. : : : : : : :. |: : : : : : :\
.      |: : /メ . .||    |:| ̄|: : : : : : :|: : : : : : : : :ヽ
     |/: : /::{ ||.    ||  |: : : : : :. |: : : : : : : : : :.ヽ
.    /|: : :./ :.{ ナー‐‐メ_ |:.: : : : : :.|: : : : : : : : : : :.ハ
    |  |: :./: : { /r─‐-/  ` |: : : : : :./|: : : : : : : : : : :.ハ
    |  |:./: : :.{//∂¨|ヽ   .|: :. : :. / :|: : : : : : : :  | : :}
    |. . | |: : : :.}   })7:ソ   |: : : :./: :.:|ヽ: : : : : : : : | : :|
      |.|: : :ノ  '-‐´   /: : :./| : :.:| .》: : :.:.|: : :. .| : .|
.       |: . .{         /: : :/: | : : :|/: : : :.:.|: : : : | : :|
      |: : :ヽ ,-‐-、   /: : :/: : | .: :.:|: : : : :::.|: : : :..|: :..!
      |: : :| ヽ V_ノ  ./: ::./: : : | : ..::|: : : :.:.::.|: : : : :| : :|
      |: :./|: |.ヽ.  . ./: : / : : : :|: : . .|: : : : :.:.|: : : : :|: : !
      /: / .|: |: : `ー/ : :/: : : : :.|: : : :|: :. : ..: :.|: : : : :|:.: |
.     /: /  ヽ|__r''"/|: : :|: : : : : :|: : : :|\: : :. :.|: : : : :|:.:.:!
    /: /  /.// / .|: : :|: : : : : :|: : : :|  \:.:.:.|: : : : :|: :.|
   // ./ // /  |: : :|: : : :/|: : : :|   \:|: : : : :\.!


次スレで会おうね、アギト

☆魔法少女リリカルなのは総合エロ小説_第80話☆
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571うめるの
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               /二>\ | フ__               /
               \ヽヾ. \l/=/ 、
                 `;r-。、Y/ζ     ヽl   ,、 l/ 
               / ̄\. C)〉ζ    〃"ナ'⌒ ~´ヘヘ^ 
               \` ´ \:: \─‐-- // ,ハノノソヽソハ  
                 \||\_/\\ヾ ハ  ヾl.゚ ヮ゚ノ!.
          ──    /||__|v/^v\`)´\\ ̄ ̄ ̄〉      ──
               /  ,(     `-t‐⊂>‐'´lL二ゝ          _ ,
              / 爪l^"       \)uハ  ━〈           / /
              /ノノ   ヾ -、     `Y´   ,、 .\       / /
                    \\    //|   ,| \ \    / /
                     ∠, .\ /ノ/ .|。 。|  冫、 _>   /ζ
                      ヘヘ、\ /〉/_vVVVv\f\_ ノ,r' 
                          >フ┌-‐'´ `‐--tノ?<   \
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____   r っ    ________   _ __
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| | | | | __  __ |  r┐ ___| |___ r┐  / / | |  /\   ヽ冫L_  _  |   | ┌─────┐ |
| |_| | _| |_| |_| |_  | | | r┐ r┐ | | | /  |   | レ'´ /  く`ヽ,__| |_| |_ !┘| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|‐┘
| r┐| |___  __|. | | | 二 二 | | |く_/l |   |  , ‐'´     ∨|__  ___| r‐、 ̄| | ̄ ̄
| |_.| |   /  ヽ    | | | |__| |__| | | |   | |  | |   __    /`〉  /  \      │ | |   ̄ ̄|
|   | / /\ \.   | |└------┘| |   | |  | |__| |  / /  / /\ `- 、_ 丿 \| | ̄ ̄
 ̄ ̄ く_/   \ `フ |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |   | |  |____丿く / <´ /   `- 、_// ノ\  `ー―--┐
           `´ `‐' ̄ ̄ ̄ ̄ ̄`‐'     ̄          `  `´          `ー'    `ー───-′


皆、映画…もとい、次スレへ行こうなの!
☆魔法少女リリカルなのは総合エロ小説_第80話☆
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