2 :
1:2008/06/17(火) 01:57:24 ID:rR6TfTz8
前スレ落ちたのでたてました。
保守
4 :
名無しさん@ピンキー:2008/06/17(火) 21:34:57 ID:njbUk45/
ほしゅあげ
5 :
名無しさん@ピンキー:2008/06/18(水) 13:30:12 ID:R1UqkS8h
保管庫、ケロロのみの独立ページができてたのな
保管庫管理人GJ!
ほんとだ。保管庫管理人さんGJ!
ということで喜びの保守あげ。
7 :
名無しさん@ピンキー:2008/06/18(水) 18:11:36 ID:3dC/yUN5
ごめん、あげてなかった…
8 :
名無しさん@ピンキー:2008/06/19(木) 02:30:50 ID:/MjSFVXO
1乙
前スレ落ちてたのな
>>690の続きです
「ん…ッ」
夏美が目を覚ます。
ぼんやりと見上げる視線の先には、
ついさっき本当に心が通じ合うようになったばかりの大好きな男の優しい笑顔があった。
「夏美」
「ギロロ…」
気分はとても安らいでいたけれど、しかし、身体中は違和感だらけだった。
そう、リビングのソファーにギロロと並んで座った状態で、
ギロロの胸元に縋り付くように抱きついたまま眠りに落ちたので、体中が凝ってしまっていたのだ。
それはギロロも同じで、
そんな夏美の眠りを妨げぬようにとその身体をちょうど良いと思われる角度のまま支え続けたために、
かなりの負担が両腕と腰にかかっていた。
「ふぁ…。ごめん…」
「気分は、どうだ?」
ちょっと首を傾げながら優しい眼差しで夏美の瞳を覗き込むようにしながら問いかけてくるギロロに、
夏美は柔らかく微笑みながら素直に本音を漏らす。
「うん…、ちょっと、身体、痛いかも…」
夏美の言葉に、その体に無理がかからないように細心の注意を払いながら、
ギロロは、自分の胸元に縋り付いた状態の夏美がソファーから立ち上がるのを上手に補助する。
「ありがと…」
「すこし、ストレッチをしたほうが良かろう」
ギロロがソファーから立ち上がりながら提案すると、夏美は嬉しそうに頷いた。
「うん!」
「では、指を組み合わせて、腕をぐっと上に伸ばしながら背伸びをするように全身を伸ばす…」
夏美は、ギロロの実演付きの丁寧な指導に素直に従う。
大好きな男に体を絡めて寝て、更に起き抜けにその男と一緒にストレッチとは、
いかにもスポーツ万能の夏美らしい素敵な“恋愛初イベント”となった。
ストレッチを一通り終えたところで、
夏美はギロロの前にサッと回りこむと、彼の腕にそっと掌を当てながら一心に顔を見上げて話しかける。
「ねえ」
「ん?」
「お夕飯、一緒に作ってくれる?」
「もちろん手伝うのはかまわんが、俺は余り料理はしたことが無いし、器用でもないぞ」
「傍にいてくれるだけでいいから…」
顔をポッと赤く染めて俯いてしまった夏美の頭上に、ギロロの優しい声音がフワリと降ってくる。
「ああ。夏美が望むなら…」
「ありがと!」
夏美は一瞬にして太陽のような笑顔になる。
それを見て、ギロロもとても嬉しくなった。
キッチンに移動した二人は、早速、料理の準備に取り掛かる。
「じゃ、これを着けて」
「うん」
ギロロのがっしりとした体躯と戦闘服には冬樹用のエプロンは少し小さめで余りに家庭的だったが、
しかし、そのアンバランスさが夏美にはとても好ましいものに感じられた。
ガスレンジとまな板の前に夏美が立ち、ギロロはシンクでの洗い物と食材の移動を担当する。
ギロロがいつケロン人姿に戻るか予測が付かない以上、
彼に刃物や火や熱湯を扱わせるわけにはいかないのであった。
「タマネギはね、こうして飴色になるまで炒めてから入れると、コクが出るのよ」
「ほう…、そうなのか…」
二人は、ごく自然に体を寄せ合いながらフライパンを覗き込む。
ふっと顔を上げた夏美が、夢見るようなうっとりとした眼差しで、
自分のすぐ隣に立ってフライパンを覗き込んでいるギロロの精悍な顔をそっと見上げた。
「ねえ、ギロロ…」
甘い声で呼びかける夏美に、ギロロは慈しみ深く微笑みながら返事をする。
「ん?どうした」
夏美は、もう、ギロロの表情を確かめるためにそれをチラチラと盗み見る必要は無くなった。
この自分が呼びかければ、大好きな男から素晴らしい笑顔がいつでも返ってくるようになったのだ。
また、体格の地球人化はギロロの意識にも大きな変化をもたらした。
今まではいつも見上げていた夏美を今度は見下ろすようになったことで、
ギロロにとって、夏美は、上位或いは対等な存在から保護の対象へと変化した。
一方、ギロロの顔を見上げるようになった夏美も、
ギロロのことを、自分よりもあらゆる意味で“大きな存在”だと認識するようになっていた。
夏美を“護りたい”ギロロと、
そんなギロロに“護られたい”夏美、という理想的な組み合わせが生まれつつあった。
「あのさ、この間クルルが言ってた『アニマ』と『アニムス』って言葉の意味、調べた?」
「いや、クルルに訊ねるのは癪だし、
ケロロに調べてもらおうと思っていたのだが、いろいろバタバタしていたので、あいにく未だだ」
「あのね、冬樹から聞いたことがあるんだけど、
『アニマ』っていうのは、男の人にとっての『理想の女性』で、
『アニムス』っていうのは、女の人にとっての『理想の男性』なんだって…」
「ほう…」
「それでね…、今のギロロの姿が…」
「今の俺の姿が…?」
「…あたしの…」
「夏美の…?」
「…『アニムス』なの…」
「ん…?え…!?…なっ!!」
きわめて初歩的な三段論法に気が付いたギロロが、耳の先までを見る見る真っ赤に染め上げて俯く。
夏美は、たおやかな手つきでフライパンの中のタマネギをゆっくりとかき混ぜながら、
そのヘラの先を見詰めたまま、とても優しい声でギロロに語りかける。
「地球人の姿になっても、顔の傷、あるでしょ?」
「ああ…」
地球人化した後も、うっすらとではあるがはっきりと残っている左頬の縫い傷の跡。
超井の頭公園での“初デート”のとき、
飛び切りの美少女−夏美−と美丈夫−地球人ギロロ−という組み合わせは周囲の注目を集めたが、
しかし、そんな無責任なギャラリーのうちの一部は、ギロロの顔の傷に気付いたような素振りだった。
もし、この傷跡が夏美にとって負担になっていたら申し訳ないことだとギロロは思った。
「あたし、嬉しかった…」
「えっ?」
夏美の意外な言葉に虚を突かれたギロロは、全く無防備な声を上げてしまった。
その声に一拍遅れてゆっくりと顔を上げた夏美は、
ちょっと潤んだ眼差しを、
軽い唸りと共に熱気を吸い上げているレンジフードのフィルターのあたりに彷徨わせながら呟く。
「あたし、ギロロのこと…」
「?」
「傷跡も、何もかも、あたしはギロロの全部が好きなんだってことが分かって、ほんとに嬉しかった…」
「夏美…」
ギロロの胸の奥が、ズキンと甘く痛む。
思わず夏美の肩先を抱こうと手を伸ばしかけたが、
今、夏美がかき混ぜているフライパンの横の大きめの寸胴鍋には熱湯が滾り、
その中ではニンジンとジャガイモが激しいダンスを踊っていたから、
夏美の安全を第一に考えるなら、この場での強い抱擁は諦めざるを得なかった。
「お料理が終わったら、ね」
ギロロの切なげな様子に気付いた夏美が、その顔をそっと見上げながら優しく微笑みかける。
「あ、ああ…」
己の切ない心の内を大好きな女に見透かされてしまった歴戦の勇士は、
顔を真っ赤にしてドギマギしながら所在無く視線を泳がせるしかなかった。
ピンホーン!ピンポーン!
玄関のチャイムが鳴った。
「ただいまー」
図書館から冬樹が帰ってきた。
「冬樹、お帰り!」
「お帰り。研究は順調か?」
リビングに入ってきた冬樹に、
夏美とギロロはお互いにさっと離れるでも照れるでもなく、寄り添った姿のまま振り返って声をかける。
「ただいま…」
そんな二人の余りの違和感の無さに、冬樹のほうが気恥ずかしくなって少しばかり赤くなってしまった。
帰宅早々見事に当てられてしまったが、しかし、冬樹は二人の様子をとても好ましいものとして歓迎した。
確かにギロロはケロロ小隊の中では一番声高に実力での任務の遂行−地球侵略−を主張する“武闘派”だが、
『任務か夏美か』の二者択一の場面では必ず夏美を選択するということを冬樹は良く知っていた。
その意味では、逆に、パートナーである小雪は夏美にべったりであるものの、
ケロロ小隊から半分独立したような立場で独自の道徳律に従って地球を愛しながらも、
『武力を用いずに行うケロン軍の勢力拡大』を『理想的な侵略』と定義するドロロの方が、
万一の場合には夏美に−そして地球に−とって大変危険な存在となる可能性があった。
そうであれば、冬樹にとってのギロロは、
もし、ケロン人と地球人の利益が真っ向から激しく対立した際に大切な姉を託せる唯一の存在となるはずだ。
冬樹は、この二人の関係を静かに、しかし、しっかりと応援することに決めた。
そうした訳で、いつものように冬樹はその場での一番無難な話題を探す。
キッチンにはタマネギを炒めた香ばしい甘い香りが満ちており、
ガスコンロの上には根菜を煮ている寸胴鍋。そして、食卓の上にはカレールーの箱。
「カレーだね!」
本当にお腹が空いている冬樹は、思わず嬉しい声を上げた。
「そうよ!沢山作るから、いっぱい食べなさい!」
「伍長が手伝ってくれたの?」
「ああ、大したことはしてないが」
「ううん、とっても助かるよ。よかったね、姉ちゃん!」
「な…!こ、こら、冬樹!」
さすがの夏美も、冬樹のこの言葉に頬を染めながら唇を尖らせたが、
ギロロは、姉の傍にこの自分がいることを冬樹が肯定的な目で見ているということを感じ取った。
「もう!余計なこと言うと、食べさせないわよ!」
「えー、食事を与えないのは“虐待”に該当するよー」
キッチンに明るい笑い声が満ちる。
と、そこへ、今日の“影の主役”が登場した。
「盛り上がってるところへ、水を差してやりにきたぜ〜」
クルルが、キッチンのドアをゆっくり押しながら入ってきた。
「あら、今日はカレーにしようかと思ってたんだけど…」
夏美は両手を腰に当ててクルルと向かい合うが、その表情はとても穏やかだ。
「変なことを言ったりしたりすると、シチューに変更しちゃうわよ!」
「あ、ああ、それだけは勘弁してください!」
クルルのコミカルな口調の悲鳴に、また、キッチンが暖かい笑い声に包まれた。
「素直でよろしい。いっぱい作ったから、沢山食べなさい!」
「じゃ、しっかりと出発前の腹ごしらえをさせてもらうぜ」
「え?『出発前』って、どっかへ出かけるの?」
「ああ、地球の南米地域にな」
夏美の問いにクルルはさらりと答えたが、この『クルル』と『南米』の組み合わせに食いついたのは冬樹だ。
「何しにいくの?」
クルルによれば、南米の古代の空中都市の交通手段であった『天の浮舟』の原動力は特殊な電磁波であり、
その発生装置は南米大陸の西側の海底にあって、それは今も不安定ながら機能し続けているものの、
もう寿命が近いこともあって時々暴走状態に陥り、
その結果として発生するのが『エルニーニョ現象』と『ラニーニャ現象』だという。
クルルの瓶底メガネをじっと見詰めながらその言葉に聞き入っている冬樹の瞳は、爛々と輝いている。
ここに、クルルの止めの一撃。
「で、その電磁波の発生装置のエネルギー源やら構造やらを調べに行くんだが…」
「?」
ここでクルルは、
もうワクワク・ドキドキに耐えられないという表情で自分の顔を凝視している冬樹から目線を外し、
夏美に許可を求めた。
「弟を借りてぇんだが、いいか?」
「えっ!?」
夏美と冬樹は、同時に驚きの声を上げた。
クルルは、数値の計測や分析だけなら自分ひとりで十分なのだが、
南米の『空中都市伝説』の謎に十全に接近するためには、
是非とも、それを良く知る現地人−つまり地球人−の意見を聞く必要がある。
そこで、“現地人”代表としての冬樹の知識が必要なのだという。
「ダメよ!」
その場の誰もが当然のように予想した、その通りの夏美の一言。
だが…
この言葉に一番落胆したのはもちろん冬樹だが、しかし、一番動揺したのは、誰あろう夏美自身だった。
何のことはない。
この夏美の拒絶は、ケロロたちとの永い付き合いで習い性となった、いわば反射的なものであったからだ。
「えー!」
今度はクルルと冬樹のコンビが、揃って不満の声を上げる。
「(うーん…、頭ごなしに『ダメ』は、ちょっとキツかったかな…。あたしがギロロと仲良くしてるのに、
冬樹には『クルルと遊びに行っちゃダメ』って言うのも、ちょっと気が引けるわ…。
それに、クルルにはこれからもいろいろと世話になるだろうし…。そうよね、ここは一つ…)」
夏美は、威厳を保つためにわざともったいぶった態度でクルルに問う。
「冬樹が危ない目に遭ったりはしないんでしょうね?」
「モチコース!」
「『南米大陸を侵略であります』とか言わないわよね?」
「あくまでも調査だけだ。今回は…」
「『今回は』って何よ!」
と、夏美はまたしてもうっかりとクルルの言葉に反射的に噛み付いてしまった。
だがしかし、ここで夏美はアクロバティックな発想で対話の破綻の危機を乗り切る。
「冬樹!」
「は、はい!」
夏美の本心を知らぬ故に話の行く末に気が気ではない冬樹は、緊張して素っ頓狂な声を上げる。
「もしクルルが妙なまねをしたら、すぐにアタシに知らせるのよ!いいわね!!」
夏美は、冬樹をクルルに対する“お目付け役”に任命した。
もちろん、“お目付け役”たる者、監視対象の行動に逐一目を光らせねばならない。
頭の回転が速い冬樹は、一瞬にしてそれがどういう次第になるのか察した。
「え!?う、うん!了解!!」
そう、冬樹はクルルを監視するために彼と一緒に南米に“行かなければならなくなった”のだった。
こうして八方丸く収まったところでちょうどタマネギの色味も良い頃合いとなり、
夏美はカレーの仕上げに入った。
「いただきます!」
一同の楽しげな食前の挨拶がダイニングに響く。
一口目を慎重に味わった冬樹は「とっても美味しいよ!」と素直な感嘆の声を上げ、
一方、クルルはただひたすらにパクついている。
夏美は、冬樹の反応に嬉しそうに礼を言いつつクルルに「もっと味わって食べなさいよ」と小言を言い、
ギロロは、そんな食卓の様子を幸せそうに見渡している。
「おかわり!」
「えー!もう食べちゃったの?ちゃんと噛んでる?」
「噛んでますとも!で、おかわり!」
「はいはい」
クルルが差し出す皿を夏美が受け取った、その時…
キッチンのドアが、ゆっくりと開いた。
ピタリと会話が途絶え、一同の視線がドアに集まる。
「…ただいまであります…」
現れたのは、すっかりやつれ果てたケロロだった。
「ボケガエル…、あんた…」
夏美は、思わず驚愕の呟きを漏らしてしまった。
いつもなら小憎らしいほどぷくぷくしている頬はゲッソリとこけ落ちて頬骨が突き出し、
目の下にはくっきりと青黒いクマが出来ている。
肌は、汚れてはいなかったけれど、いつもの艶が全く失せてしまっていた。
そして、食卓に歩み寄る足取りは、相当に重かった。
「軍曹…」
「ケロロ…」
心配そうに呼びかける冬樹とギロロに、
ケロロは力の無い目を向けると、ポツリと一言願い事をする。
「冷たいものを一杯、貰えるでありますか…」
冬樹がコップに麦茶を注ぎ分け、丁寧にケロロの目の前に差し出した。
「ありがとうであります…」
みんなが心配そうに見詰める中、
ケロロはぎこちない手つきでコップを受け取るとそれを一気にグイッと煽る。
空になったコップを持ったまま暫くの間ケロロはボーっとしていたが、
力の無い目で壁にかかった時計を見上げ、気の抜けた声でギロロとクルルに告げた。
「一時間後に、第六会議室に集合であります…」
ケロロはそのままふらりと回れ右をすると、
夏美がカレーを勧めるのを「帰りの船内で済ませてきたから」と丁寧に断り、地下の基地へと戻っていった。
「軍曹、だいぶ疲れてるみたいだったね。大丈夫かな…」
ケロロのことが心配で堪らない、といった表情で冬樹がギロロを見る。
「ああ…。あの様子だと今までずっと一週間以上も本部で油を絞られたようだな。
ま、それはこちらの事情だが、しかし、アイツには十分休養をとるように勧めてみる」
「うん…」
軍本部からケロロに加えられた叱責なり叱咤なりの原因は地球侵略の遅延が原因に決まっていたから、
いくらケロロの有様が気の毒過ぎるとはいっても、
まさかそれに「うまくいくといいね」とか「応援してあげる」などと励ますわけにも行かなかった。
ケロロの登場によってすっかり重苦しくなってしまった場の雰囲気は、
彼が去った後もそのままそこに居座り続けた。
一時間後、ギロロたちは地下基地の会議室に集合した。
ケロロは、モアの献身的とも言える補佐を受けながら会議を主催したが、
その目も当てられぬ憔悴振りにタママもドロロも驚愕し、
タママは、桃華に頼んで自分でも滅多に食べられない外国の菓子を沢山送り届けることを、
ドロロは、小雪と一緒に気力体力回復の霊薬を製作して届けることを、それぞれ約束した。
会議そのものは別段内容といえる内容は無く、
度重なる侵略日程の遅延に、軍本部は非常な不快感を持っていること、
とにもかくにも、一刻も早く地球を制圧せよとの厳命、
そして、軍本部としては『ケロン軍による地球の制圧』に関心があるのであって、
それは『ケロロ小隊による地球の制圧』と必ずしも同義ではない
−つまり、交代要員の派遣がありうる−との軍幹部の意向がケロロから伝えられただけであった。
「以上であります。では、解散…」
モアに支えられて会議室から退出するケロロの弱々しい後姿に、小隊全員、かける言葉もなかった。
もちろん、この会議の内容は夏美たちには内密にされたし、
そして、会議の散会後、クルルが密かにケロロの元を訪れたことを、他の小隊員は知らなかった。
ケロロの部屋。
卓袱台を挟んで小声で話し合うケロロとクルル。
「クルルから予め聞いていなかったら、我輩、今頃、銃殺場の露と消えていたところであります…」
「ああ、無事で何よりだ。で、連中は本気なのか?」
「本気も本気。恐ろしいほどでありました…」
日向家を含めた基地全体に
盗聴・盗撮網(?)を張り巡らせている張本人であるクルルまでもが小声で話さなければならないほど、
事態は深刻であった。
ケロロによれば、
今度の作戦が失敗したその時は、“方面軍司令官の署名入りの命令書が届く”とのこと。
『命令書』とは、もちろん、ケロロ小隊の地球戦域からの撤退命令書のことである。
つまり、今度の作戦がケロロ小隊にとっての文字通りのラストチャンスとなるのだ。
「大丈夫でありましょうか…。
もし夏美殿とギロロにばれたら、我々二人とも、銃殺よりも酷い有様になることは確実であります…」
疲れ切ったケロロが、頼りなげな呟きを漏らした。
「隊長、『毒を食らわば皿までも』って地球の諺、知ってるか?」
クルルが、ケロロを宥めるように真面目な口調で答える。
「一応…」
「OK。俺だって、まだ死にたくはねぇからな。とにかく、俺を信じろよ。
俺が今まで肝心なところでしくじったこと、あったか?」
「それは…」
「じゃ、俺は今から日向弟を連れて、南米地域へ“遊び”にいってくるぜ。
いいか?くれぐれも弱気に流されるんじゃねぇぞ。前進あるのみってヤツだ」
普段の彼からは想像できないようなポジティブなことをいいながら、クルルはドアへと歩いていく。
「了解であります…」
クルルが出て行ったドアが閉まりきるのを確かめると、
ケロロは、いかにも大儀そうに溜息を付きながら絨毯の上に仰向けに大の字に伸びてしまった。
「おじさま!入ってもいいでしょうか?」
せわしなくドアをノックする音と共に、モアの切羽詰った呼び掛けが聞こえる。
「モア殿、お待たせしたであります…」
ケロロの優しい声での返事が終わらぬうちに、
勢いよく開いたドアから、クルルとの密談の間ケロロの部屋から退出を命じられていたモアが、
自分自身の心配事でもそんな顔はしないだろうというほど心配そうな面持ちで駆け込んできた。
「おじさまッ!」
ゆっくりと上半身を起こしかけているケロロのすぐ横にペタリとヘタリ込むように座り込んだモアは、
ケロロの両肩先をそっと掌で包み込むようにして支え、彼が身を起こすのを補助する。
「お身体、大丈夫ですか?」
「心配かけて、すまんであります…」
切なさを堪え切れないモアの問いかけに、ケロロは力の入りきらない微笑をモアに返した。
「偉い人に叱られたのですか?」
「ん〜…」
返答しにくい質問に思わず口篭るケロロの様子に、モアの顔色がさっと失せる。
「ごッ、ごめんなさいッ!お仕事のことに口を出したりして…」
「いいんであります…」
肩先を包んだままのモアの優しい手に、ケロロはそっと自分の掌を被せた。
「あっ…」
モアの頬がいつもの血色を取り戻し、そして、そのまま恥ずかしげな桜色に染まっていく。
「モア殿は、いつも優しいであります…」
「おじさまッ!」
心配と気恥ずかしさで不安定な煌きを放っていたモアの美しいアンバーの瞳に、
見る見るうちに涙が溜まっていく。
「おじさまが居ない間…、モアは…、寂しくて…、寂しくて…」
「モア殿…」
「やっと帰ってきてくださったら…、とても、お疲れの様子で…。
モアは…、心配で…、心配で…、もう…、もうッ…」
モアは、可愛らしい頬を次々に伝い落ちる涙で濡らし、ヒックヒックとしゃくり上げながら、
細くて長い腕をそっと伸ばして少し軽くなっているケロロをひょいと持ち上げて膝の上に乗せ、
ふっくらと愛らしく膨らむ両胸の谷間にケロロの頭を埋め込むようにして、
その全身をきゅっと抱きしめた。
「おじさま…。こんなに軽くなってしまって…」
ケロロの体重の減少をありありとその手と膝の上に感じたモアが、悲しげに呟く。
次の瞬間…
「おじさまッ!」
モアは、胸に抱いたケロロの頭をそっとそこから離して優しく腕に抱きなおすと、
力無くモアの顔を見上げるケロロのまん丸の目を、涙に濡れた瞳で軽く睨み付けた。
「はい…、何でしょ…」
「モアに寂しい想いをさせた罰です。このまま、私に抱っこされていてください…!」
普段のモアに似つかわしくない『罰』という言葉と、
この自分の体をとても愛しげに抱く彼女の腕の温もりに、ケロロは抵抗の意志を放棄した。
「了解であります…」
モアは、再びケロロの頭を自分の胸元に愛しげに抱えると、
背中を少し丸めながら、まるで赤子を抱きしめるように、彼を抱く腕にそっと力を込めなおす。
モアの甘い香りと温もりと、胸元のフワフワとした柔らかさ、
そして、その腕に込められた優しい力がもたらすちょうど良い包まれ感がとても心地いい。
なんともいえない安心感に、ケロロの意識がすっと遠のいていく。
「…」
「…、あれ…?おじさま…?」
いつしかケロロは、モアの優しい腕に身体を預けたまま、
プカプカと呑気な鼻提灯を出したり引っ込めたりしながら、安心しきった呆け顔で眠りこけていた。
今回は、以上です。
全然エロくなくて、すみません。
だんだんとエロい事になるのだと期待している。
俺ギロ夏派なのにモアケロにまで開眼しちまったじゃねーか!
小雪×桃華が好きなんだけど何でだろ…絡み皆無なのに
>>27 アニメじゃたまに絡んでるような 自分もそのカプ好きだ
貧乳カップル愛好者の集合所はここですか?
ひんぬーから地球外生命体まで、幅広くお待ちしております
山奥の小屋にモモッチ閉じ込めて二人きり。
外ではドロロが小屋の周りに何かを出して他人に気付かれないようにする。
中では小雪ちゃんが半無理矢理ハァハァ(でも同意)
もしくは雪山の小屋で裸で暖めあう二人。
みたいなの書こうとしてるけど小雪ちゃん口調わからん…
そういえばモモッチって小雪ちゃんの事なんて呼んでるの?
35 :
名無しさん@ピンキー:2008/06/30(月) 07:36:09 ID:RL+7+I1h
静かだな…
ちょっとあげよう
36 :
@:2008/07/01(火) 21:06:57 ID:IK3tlue9
冬樹×アリサなんてどうだ?
保管庫読んでから、ギロ夏の続きをwktkしながら待ってます
作品待ち保守
保守
保守です
なんという過疎
寂しいなあ
ギロ夏書きのお方が帰ってくるまで待ってる。というわけで保守。
暇なんで替え歌を
恥ずかしい染みのちり紙を捨てたら勿体無いんです♪
一昨日の放送のギロ夏見てこのスレ来ちゃいました
ギロ夏待ち保守
46 :
名無しさん@ピンキー:2008/07/23(水) 00:17:57 ID:yawP5Frp
すみません、さげ忘れてしまいました。
大変お待たせいたしました。ギロ夏の続きを投下させていただきます。
>>23の続きです
「冬樹〜。出発は8時半だぜぇ」
「うん、わかった!」
「帰りはいつ頃なの?あんまり遅くなっちゃダメよ」
「おいおい、俺たちゃ小学生かよ。行き先は南米だぜ!ま、明日の今頃には帰れるとは思うが…」
リビングでの今日これからの行動予定の打ち合わせが終わった。
夏美は洗い物に取り掛かり、冬樹は持参したい文献を探しに二階の自室へと足取りも軽く上がっていく。
クルルが告げた出発時刻までには、まだ少々の間があった。
「夏美、洗い物なら、俺が…」
皆がそれぞれの場所へと向かったのでリビングのソファーに一人取り残されたギロロが、夏美に声をかける。
ギロロはまだ地球人姿だった。
「すぐ終わるから。そしたら、そっちへ行くわね!」
夏美は、泡だらけの手と皿をシンクから出さないように気をつけながら、
きゅっと首だけ器用に捻ってギロロを振り返ると、軽くウインクする。
「あ、ああ…」
顔を真っ赤にして目線を当て所も無く泳がせるギロロの初々しい様子に、夏美は思わずクスッと笑った。
暫くして、シンクで水が流れる音が止んだ。
「お・ま・た・せ…!」
スリッパを可愛らしくパタパタと鳴らしながら、洗い物を終えた夏美がソファーに近づいてくる。
そんな夏美の可愛らしい顔からギロロは真剣な視線を外すことなく、また、その熱い視線に夏美も応えて、
二人の間に微妙な視線の絡みあいがうまれる。
「ウフフ…」
夏美は柔らかく微笑みながら、ギロロが腰掛けているところからほんの少し離れたところにちょこんと腰掛け、
そして、テーブルの上のテレビのリモコンを取り上げると、少し音量を上げた。
テレビでは人気のあるお笑いバラエティーが放映されていたが、夏美が今、その番組に興味を持っているとは思えない。
画面の音量の表示バーがふっと消えるのを確認すると、夏美はかろうじて聞こえる声でギロロに話しかけた。
そう、夏美が音量を上げたのは、ギロロとの会話を秘匿したいがためだった。
「さっきの…、約束…」
「?」
怪訝そうな視線を返すギロロに、
夏美は、少し視線を下へと落とし、頬の辺りをちょっと薄紅に染めて、言葉を繋ぐ。
「熱いお鍋が火にかかってたから…。火傷したらさ、大変じゃない…」
そう、夕飯の支度の冒頭で、夏美の言葉に感動したギロロは彼女を抱擁しようとしたが、
コンロ上で沸騰している鍋を危険と見てそれを中止し、
それに気付いた夏美は、料理が終了した後での抱擁を約束したのだった。
もちろんギロロも、『熱いお鍋』のフレーズを聴いた瞬間にその次第を思い出した。
ギロロの耳が、その先端までカッと赤くなる。
「え…、あ!ああ…。ふ、不要なリスクは、慎重にこれを避けねばならんからな…。
と、と、特に、そ、それが…、た、た、た、『大切な存在』の安全にかかわるときには、だ…」
照れ隠しのためにわざわざ小難しく遠回しな言葉を選んでいるが、
その割にそれがすんなりと出てこないところはギロロらしいご愛嬌である。
「ありがと…!」
洗い物で頼りなくふやけてひんやりと冷たくなった夏美の指がギロロの造りの良い手の甲にそっと触れる。
そして、それはそこに浮き出ている筋を辿りながら指へと辿り着くと、ゆっくりとギロロの指に絡まり始めた。
「夏美…」
ギロロの切ない呼びかけに、夏美は、言葉ではなく熱く潤み始めた上目遣いで応える。
ソファーの座面の上では、今の二人の視線と心の有様を表すかのように、指同士がきつく絡まりあっている。
「でも…」
夏美の言葉にギロロはふっと顔を上げ、指先の動きを止めた。
「ん?」
「続きは、冬樹たちが出かけたら…、ね…」
動きを止めているギロロの指先を、夏美は『隙あり!』とばかりきゅっと握り締めた。
その“続き”なるものの行き着く先が何処になるのかは明らかではなかったが、
しかし、そうであったが故に、ギロロは首から上を真っ赤に染め上げて俯く他無かった。
「な…!う、う〜ん…」
「フフフ…」
そんなギロロの様子がとても好ましく、
夏美はわざと下からギロロの顔を覗き込むようにしながらにっこりと微笑みかける。
ピンポーン!ピンポーン!
「えっ!」
「誰だ?」
こんな時間に、そしてこんな体勢をとる中で突然鳴った玄関チャイムに、
思わず夏美はギロロに縋り付こうと身を寄せ、ギロロは、そんな夏美の肩先に手を添えそうになる。
「ただいまー!」
玄関から聞こえてきた声の主は、この家の主人、秋だった。
「ママだわ!」
「ちょっ、夏美!待て…」
表情をぱっと明るく変えた夏美はソファーから身軽に立ち上がると、
驚き慌てるギロロをよそに、指を絡めたままの彼の手を引っ張って、秋を迎えるために小走りで玄関へと向かう。
恥ずかしいなどと躊躇っている場合ではなかった。
『絶対この人!』という男を見つけて、そしてお互いに気持ちをしっかりと確認しあったからには、
一秒でも早くも秋に報告して二人の仲を認めてもらう必要があった。
そして何より夏美は、大好きで大切な母・秋に対して誠実でいたかったのである。
二人が玄関へと出ると、秋が、この時期のバイク乗りが否応無しに着ざるを得ない長袖ジャケットを脱いだところだった。
汗を含んで素肌に纏わり付く薄手の白いTシャツから立ち上る濃くて生々しい秋の匂いが、玄関に満ちてくる。
「お帰りなさい、ママ!」
「あ、秋…。お…、お帰り…」
ライダーブーツを脱ごうと足元に視線を落としていた秋がギロロの声に気付いてヒョイと顔を上げた。
そして、玄関マットの上に手を繋いで並んでいる夏美と見知らぬ若い男性の姿を発見し、たちまちその目が点になる。
「!?」
さすがの秋も、『息を呑む』との表現どおり、暫く呼吸を失念してしまった。
もっとも、夜、年頃の娘が待つ自宅に帰ったところ、その娘が全く見知らぬ男と手を繋いで自分を出迎える、
という状況に遭遇すれば、普通の母親なら悲鳴を上げていたかもしれなかった。
「あの…、夏美…。そちらは…、どちら様…?」
「ギロロ…」
恐る恐る尋ねる秋に、夏美は頬をポッと紅に染めてもじもじと恥ずかしがりながらも、
それでもギロロと絡めた指を解かずにはっきりと言ってのけた。
「ギロちゃん…、なの?」
秋は、目をまん丸に見開いてギロロの顔を覗き込む。
なるほど、美男といっていい整った顔の左側にはギロロの特徴である縫い傷がある。
「ああ。驚かせて、すまん。確かに自分はギロロ伍長だ」
少し落ち着きを取り戻し興味津々といった表情で顔を覗き込んでくる秋の視線をこそばゆく感じながら、
ギロロもきちんと返答した。
「ママの探し物を手伝ってくれたの、このギロロなの…」
地球人の、それもこれだけの偉丈夫ならば、日向魔窟のダンボールの小山も物の数ではないだろう。
「ふ〜ん…、なるほどね…」
秋はまだ完全に驚愕から解放されてはいなかったものの、夏美とギロロの間に存在する只ならぬ雰囲気に、
彼女は我知らずニヤリとしてしまうのだった。
「ママ、お帰り!」
この時、夏美とギロロにとって心強い援軍が到着した。
クルルに同行するための支度を整え、リュックを担いだ冬樹が二階から降りてきたのだ。
冬樹は、玄関の人間模様が微妙な状態に陥っていることを素早く見てとると、
いかにも嬉しそうに小走りにギロロに近づき、
とても親しげに彼の腕に自分の腕を軽く絡めながら満面の笑みで秋に話しかける。
「凄いでしょ?この人、伍長なんだよ!軍曹が変身させたんだ!!」
これらの様子を見て、聡明な秋は大まかながらも事態の概要と本質を悟った。
「事情は大体分かったわ。お風呂に入ってご飯を頂いたら、ゆっくりお話しを聞くわね」
ライダーブーツを脱いだ秋は、ニヤニヤ、いや、ニコニコと夏美たちに微笑みながら廊下に上がる。
と、この時、秋は冬樹の肩にリュックがかかっているのを発見した。
「あら、冬樹はお出かけなの?夜の外出は余り感心しないわね〜」
「え…、あ!こ、これは…」
秋の言葉に、冬樹は思い切り慌ててしまった。
「今からクルルと二人で南米に行く」などといえば、
「宇宙人と子供だけで南米に行かせられない」とかなんとかストップがかかる可能性があったからである。
その時、廊下の床面が小さく開き、そこからウィーンという微かな唸りと共にクルルがせり上がってきた。
「あら、クルちゃん!」
「冬樹にオカルトの知識を借りたくてな。今から俺ん所に来てもらうんだ。
そんで、その代わりに俺が冬樹の宿題の面倒を見るってわけだ。Give and Take!」
宿題のことは初耳だったものの、
クルルの、出かけるとも出かけないとも言わない上手い説明に、冬樹も一生懸命に「うん、うん」と頷いてみせる。
「冬樹、クルちゃんに宿題全部やってもらっちゃダメよ」
「あははは…」
「ま、持ちつ持たれつってことで。クックックッ…」
「じゃ、お風呂をいただくとしますか!」
秋はニッコリと皆に微笑みかけ、
それを合図に、夏美とギロロはカレー鍋を温め直すためにキッチンへ、冬樹はクルルについて地下基地へと向かった。
「ふぅ〜、やっぱり、生き返るわね〜」
湯気に霞む洗い場の中。
一糸纏わぬ秋が、その豊満な肉体をひっきりなしに降り注ぐ熱いシャワーの湯粒に晒していた。
「ギロちゃんが、人間の姿にねぇ…」
湯の滴る白くたっぷりとした乳房を、秋自身の掌がゆっくりと撫で上げる。
それは掌からの圧迫を素直に受け入れ、ふよふよとその形を変えていく。
「ケロちゃんの星の技術って、凄いのね」
掌を離すと、湯によって桜色に染まりつつある熟れ切った乳房は、ぷるるんっ!と元の形に戻った。
「それにしても、ギロちゃん、なかなか格好良かったわね…」
乳房を解放した掌は、鳩尾、わき腹、臍の周辺を撫で回すと、
湯の流れに従って下へと流れる黒々と茂った恥毛へと辿り着いた。
「ふぅ…」
湯のせいでほんのりと薄紅に染まった白い指が、豊かな茂みをそっと掻き分けるように湯で濯ぐ。
この時期、ライダーは股座に大量にかく汗に悩まされる。
特に女性の場合には、穿いているGパンなどに失禁のそれに似た大きな滲みを作るほどにもなる。
だから、清潔を心掛けるとすれば、嫌でもこの箇所を洗わないわけには行かないのだ。
秋は、少し腰を落として股をちょっとだけ開いた。
恥毛に隠された秘裂に導かれるようにして、あっという間に湯が秘所に回りこんでくる。
「…」
湯の滴る秘花に細い指先がそっと近づき、そして、黒い巻き毛が密生する大きな花びらに触れた。
「んッ…」
秋は壁の保持具からシャワーヘッドを外すとそれを秘裂に近づけ、
そして、ヘッドを上向きに返してそこから噴出する湯粒を直に秘所へと吹き付ける。
「…ふっ」
こうしているあいだにも、秋の指先は大きな花びらの上をゆるゆると這い回っていたが、
その動きは、恥毛に染み込んだ汗を濯ぐのが目的なのか、
それとも、花びらに性的な刺激を与えようとしているのか、定かではなくなっていた。
「夏美と…、あ…ッ、ギロちゃん…か…。んッ…」
やがて、大きな花びらを弄っていた指先はそこから離れて花びらと花びらの間を満遍なく濯いだ後、
小さくて薄い花びらへと辿り着く。
指先が、小さくひらひらと頼りないそれをそっと優しく摘むように摩りながら、表面のベタつく汗を濯いでいく。
だが、汗のベタつきがすっかり洗い流されてしまってからも、指先はその動きを緩めなかった。
「はァ…」
汗を流したばかりの秋の艶やかな白い肌は次第に紅に染まり、
シャワーが直接当たっていない背中には再び汗の玉がキラキラと浮かび始めた。
「こんなことするの、ほんと、久しぶり…」
艶っぽい秋の呟きが、シャワーの音に溶けていく。
無毛の小さな花びらを弄り終えた指先は、今度は、秋の女の中心へと辿り着いた。
赤く熟れた膣口は、既に汗とは全く違うヌメリを緩やかに滴らせていた。
「んん…ッ」
指先が、一瞬の躊躇の後、その熱くヌメる秘穴にヌプッと差し込まれる。
「くッ!」
秋の指先が、ヌルヌルと絡みつく愛液を上手く使って、
久しぶりの異物の侵入に少し緊張気味の膣口をクニクニと揉み解していく。
「ああ…」
膣内にそろそろと侵入した指先が、膣壁をさわさわと撫でるように弄り始める。
「んァ…ッ!」
気がつけば、
赤く膨れて包皮から頭を出し始めた大き目のクリトリスに、シャワーの湯粒がバラバラと容赦なく当たっていた。
「こっちも…ッ」
女の部分の前端の、左右の小さな花びらが出会う場所にあるその淫芽を、
秋はクイッと曲げた指の関節を使ってグリグリと押しつぶすように刺激し始める。
「ひ…、あ…ッ!」
ほんの小さな淫芽からの甘い刺激が下腹部全体に染み渡り、自然に腰が艶めかしく蠢きだす。
「あッ、ああッ…」
堪らなくなった秋は、シャワーヘッドを壁の保持具に掛けると、
両手の指を動員して、ブックリと膨れている淫芽を包皮の拘束から解放しにかかる。
淫芽が僅かに顔を覗かせているその周りの皮膚を、体内へと押し込むようにグイッと両脇へと引っ張る。
狭い穴から、ぷるんッ!と極小サイズの男の亀頭のような赤く腫れたクリトリスが顔を出した。
「んんッ…!」
少しの間をおいて、生臭い恥垢の匂いが秋の鼻をくすぐる。
下腹から続く湯の流れを利用して、完全に突出した淫芽を指でそっと摩って恥垢を洗い流す。
だが、そっとやっているつもりでも既に火が点いている女の中心はとても敏感になっており、
ささいな指の動きにも、腰が逐一カクカクと反応する。
「あんッ…」
綺麗に洗いあがった濃いピンク色の淫芽を軽く押し潰すようにぷにぷにと揉むと、
そこからの刺激がまず背骨を突き刺し、それはそのまま突き進んで脳天を直撃した。
「ああッ…、あああ…ッ!」
喉の奥から漏れる声を抑えられない。
それに比例するように淫芽を弄る指先の動きが、だんだんとせわしなさを増してくる。
「も…、もう…、ダメぇ…ッ!!」
全身を美しい桜色に上気させている秋の魅力的な肢体が、湯粒と湯気の中でぐうっと大きく仰け反る。
「ひあああッ!!」
きゅっと締まったウエストがぐいぐいと艶めかしく打ち振られたかと思うと、
次の瞬間、そこは激しくガクガクと痙攣し、秋は久しぶりの激しい絶頂にその身を委ねた。
今回は以上です。
ギロ夏なのに秋ママ独りHですみません。
次回はギロ夏イチャイチャ展開突入を予定していますが、
投下時期は、今回同様少々お時間を頂く事になってしまうかもしれません。
真に勝手ながら、ご了承下さいませ。
乙
なんですかこのエロカオスワールド(別名:桃源郷)は
永住しますね
61 :
名無しさん@ピンキー:2008/07/23(水) 18:09:45 ID:t5dxan7R
冬桃できますか?
保守
64 :
名無しさん@ピンキー:2008/07/26(土) 12:42:17 ID:om1YdNGO
保守
66 :
名無しさん@ピンキー:2008/07/31(木) 00:41:48 ID:huCY9L6I
保守
前みたいな「沈黙の面接」とかそう言う
名作また見たいな〜
カンタンに言えばケロプルorガルプルでやってほしい
68 :
bbbb:2008/08/04(月) 22:51:18 ID:/BxmnUc4
71 :
名無しさん@ピンキー:2008/08/07(木) 01:57:11 ID:zSFK3/YJ
保守
72 :
V3:2008/08/07(木) 21:29:51 ID:vnKteFze
保守
74 :
名無しさん@ピンキー:2008/08/12(火) 01:00:36 ID:AsPQfX88
556のオナニー
いちいち大声出して状況説明して周囲にバレバレなんだろうな
そして近隣の人達に謝りまくるラビー…
>>77 「スミマセン、スミマセン、兄がマスばかりカイてスミマセン... 」
と連呼して謝りまくるワケか。
まるで羞恥プレイだなw
>>78 556のって考えたくもねぇよw
556が女性キャラ犯しまくるエロ同人はあるけども・・・
じゃあ556×カラーボックスで
ラビー!カラーボックスの新しい使い方を発見したぞ!!
よかったね、お兄ちゃん・・・
>>81 ちょwww
こないだうちの方でラビーが結婚する話やって、
その時カラーボックスに空いてた穴から556がその様子を見てたんだけど、
まさか…その穴で…。
おそらく、“H描写無し”の投下というのは、
このスレ始まって以来、今回が最初で最後だろうと思います。
今後の下地作り(伏線)とお考え下さり、温かく見守ってやってください。
この冬桃では、冬樹君と裏桃華をイチャイチャさせていきたいと思います。
>>57の続きです。
>>61にリクを頂きましたので、構想の中にありました冬桃を先行制作・投下させていただきます。
このエピソードの時制はギロ夏イチャイチャの後となります。
郊外の高速道路をのんびりとした速度で流す桃華専用のパールホワイトのリムジンの中。
運転席からパーティションガラスで仕切られた豪華な車室には、桃華とポールとクルルの姿があった。
「で、クルルさん。私にとって、“とても重要なお話”とはなんでしょうか?」
桃華が座っている高級な布張りの座席のその横の、頑丈だが簡素な造りの補助席には、
にこやかにしてはいるものの決して警戒を解かない表情のポールが控えている。
「俺はお嬢さんに『二人きりでお目にかかりたい』って申し上げたはずなんだが…」
クルルは少々の非難が混るジットリとした視線を桃華へと投げるが、
それを受け止めた桃華は、ちょっと小首を傾げながら表面だけの微笑をクルルへ返す。
ポールの同席を許せということらしい。
クルルは、首と両肩を少し竦めた。
「まあいい。で、こういうのに興味はあるかい?」
クルルは何処から取り出したのか一枚のCD−ROMを中指と人差し指に挟んでそれを桃華に示したが、
その表面には、桃華の位置からもはっきりと分かるくらいの大きな字で『極秘・冬樹』と書き込まれていた。
それまで曖昧な微笑みを浮かべていた桃華の眼差しが、一瞬にしてその文字に熱く収斂する。
ポールとクルルは同時にそれに気が付いたが、しかし、どちらもポーカーフェイスに徹した。
「それは?」
ポールが発言の予兆として僅かに上半身を乗り出したが、それを制するかのように桃華が急いで質問を返す。
そのCD−ROMが冬樹に関係あるものであるということ、
或いは少なくともクルルが桃華にそういう風に思わせたがっているということは明白であった。
しかし、こういう心理戦の場合、相手の思惑に乗せられたらもうその時点で負けであり、
桃華としては、クルルの目的や真意が不明である今の段階でCD−ROMへの興味をあからさまにすることによって
クルル主導の会話に引き込まれるという状態だけは避けたかった。
そして、それを避けるには、まず相手に存分にしゃべらせてからその中にある矛盾点を追及するのが最上であった。
だが、そんなことは先刻お見通しのクルルは、その質問を逆用して桃華の興味を煽り立てにかかる。
クルルは、桃華の美しいアメジストの瞳にジトッとした視線を据えながら、ゆっくりと話し始めた。
「このROMには、最新かつ詳細な日向冬樹のデータが入ってる」
「はい」
「アンタんとこに、『スーパーバーチャルシミュレーター』って奴があるだろ?」
「はい」
「このROMをそれにセットしてシミュを展開すりゃ、万事上手くいくって寸法なんだが…」
CD−ROMを摘んだクルルの手が、グイッと桃華の方へと突き出される。
桃華の細くて美しい指先が、それを受け取ろうとすっと伸びたその時…
「ご厚意は真に有り難いのですが、
西澤家も、そしてNPGも諜報部門を擁しておりましてな、独自に調査した情報を少々ながら持っておるのです」
桃華の親代わりを自負するポールの言葉が、CD−ROMの受け渡しを遮った。
ケロロ小隊は、桃華のイギリス留学話に絡んでの梅雄と彼が率いる特殊部隊の地下基地への侵入を体験しており、
その際、小隊は実質的に敗北を喫していたから、
クルルは西澤家の特殊活動部門の存在とその能力の高さを十分に知っていた。
そしてなにより、その時、ポールも共闘者としてその場にいたのである。
つまりこれは、クルルに対しての最大限の牽制なのであった。
「ですが、どうしても受け取れ、とおっしゃるなら致し方ございません。これは、このポールめがお預かりを…」
クルルが差し出すCD−ROMを無遠慮に鷲掴みにしようと伸ばされたポールの白手袋の指先を、
クルルは、CD−ROMを差し出しているその手をスッと引っ込めることで巧みに避ける。
「む!」
「まあ、待ちなって」
クルルが持ちかけた桃華への一方的な便宜供与に明らかな不安と不審を感じたポールは、
いささか強引かつ一方的に会見の幕引きを図ろうとしたが、それは敢え無く失敗した。
「『短気は損気』って言うだろ?」
「ほう…、この私めが“短気”だとおっしゃいますか?」
双方共に相当の抑制を効かせてはいるが、
その言葉や態度の端々には相手をして自らの意志に従わせようという強い意志が強く滲んでいた。
桃華としては、この二人を真っ向から対立させてはならないということは分かっているのだが、
しかし、ポールの行動はこの自分の身を案じてくれるが故であり、
だからといってクルルの目的や真意が読みきれない状況でその機嫌を損じれば、
さっきまでとは一転して、冬樹に関する最新で詳細なデータの提供を拒否されるかも知れない、
というジレンマの只中にあった。
また、この場でクルルからCD−ROMを無理やり奪っても無意味だろう。
結果が読めない交渉の場に『切り札』のすべてを持参するお人好しは居ないだろうし、
何より、それはただの一個の情報記録媒体であっていくらでも複製が可能なのであり、
本当に重視すべきは、
ケロロたちの基地のメインコンピュータの中にある元の、或いはもっと詳細なデータなのであった。
そうであるが故に、尚更、クルルと事を構えるのは得策とは言い難かった。
「クルルさん。お話は大変有り難いのですが、
私たちは、どうしてクルルさんが突然そういうご提案をなさったのか、そのお気持ちを量りかねているのです」
今回を逃せばもう二度と訪れないであろうチャンスをものにするために、桃華は直球で勝負を挑んだ。
直截に問題の核心を突けば、隠し事があるほうの分が悪くなるからだ。
「あんたの親父さんと、差しで話をしてえんだが…」
クルルの言葉が終わらぬうちに、『そらみたことか』と言わぬばかりの勢いでポールが話しに割って入る。
「お嬢様。この話、お断りになられるのがよろしいかと存じます!」
再三のポールの介入に、不愉快さを顕にしながらクルルが声を荒げる。
「話しは最後まで聞きな!ケッ、全く…、年甲斐のねえ爺さんだぜ…」
「何と!少々無礼が過ぎませんかな?クルル殿…」
「無礼、か…」
クルルは、摘んでいたCD−ROMを座席の上に無造作に放り出すと、これまた何処から取り出したのか、
時刻と簡単なコメントがびっしりと印刷されたB5版程度の紙切れを、今度はポールに向けてゆっくりと差し出した。
「これ、何だろうな〜」
桃華の視線と関心は先ずはもちろん放り出されたそのCD−ROMに注がれたが、
その様子を看取したポールは、「動いてはなりません」という意味の視線を素早く桃華に送る。
それに納得した桃華は、
この緊迫した状況下で新たにクルルが提示した紙切れに興味を移し、それをそっと横から覗き込む。
「…!ポ…、ポールッ…!」
紙切れを一瞥した桃華は小さく悲鳴を上げ、その顔色からは見る見るうちに血の気が失せていく。
その様子に驚き、急いで紙切れに視線を落としたポールも、かなりの衝撃を受けた様子だ。
「はて…、それは何ですかな…?」
懸命に動揺を堪えつつしらばくれるポールに、クルルは容赦なく畳み掛ける。
「おいおい、『何ですかな?』はないだろ?ほれ、よく見てみなよ。そしたら思い出せるかもだぜぇ…」
それは紛れも無い、桃華の親衛隊が製作した冬樹をはじめとする日向家全員の行動記録であった。
そこには、起床から就寝までの全行動が分単位で詳細に記録されているだけでなく、
食事の内容やそれを食べる順番、学校での友人との会話の内容、
そして、あろうことか冬樹が自室のPCからアクセスしたサイトとその時間までもが記載されていた。
「それは文章だけのバージョンだが、写真入のレポートも作られてる。そうだな?ポールさんよ…」
「う…」
「それ、全部アンタがやらせてるんだよな?」
「ううむ…」
「まさか、アンタの隣にいるお嬢様の御指示でこんな趣味の悪い“覗き”をしてるんじゃあないよなぁ?」
「…」
勿論、厳密に言えば桃華の直接の指示ではなかったが、しかし、桃華はこの活動に暗黙の了解を与えると共に、
その成果を積極的に利用して何ら憚るところがなかった。
だが、ポールとしてはそうした事情を説明することなど絶対に出来なかった。
もっとも、これらの情報は絶対的に信頼できる少数の諜報部員たちの手で完全に数値化された後、
西澤家のメインコンピュータに入力されてデータベース化された後に利用されるので、
収集した情報が漏洩して冬樹たちの名誉を傷付けるようなことになる心配は無かったが、
しかしそれでも、床下や天井に潜み、
高感度の集音マイクなどの情報収集用の特殊機器を使って長期かつ計画的に行われているこの隠密の活動は、
明らかに非合法であると同時に、それを行っているものの品性を疑わせるに十分なものであった。
それらの活動が桃華の暗黙の了解無しには決して行われるものではないということをクルルは百も承知していたが、
しかしそれでも、いや、そうであればこそクルルはポールをネチネチと追い詰めた。
ポールがその紙切れの内容に関して合理的な説明を行えないとすれば、
ポールに対するクルルの優位は計り知れないものとなる。
また、桃華が自分の黙認下でそれが行われたことを白状した場合、クルルの優位は更に揺ぎ無いものとなるだろう。
「俺が無礼者だってんなら、アンタは“ストーカー”だ。
無礼者は嫌われるだけで逮捕なんぞされやしねぇが、ストーカーは立派な犯罪だぜぇ。
このことを日向家の連中が知ったら、どう思うかねぇ。クックックッ…」
それだけは絶対に避けなければならない。
この場合、「マスコミにバラす」などと言われても地球の経済の半分を牛耳る西澤家の者にとっては痛くも痒くもなかった。
そんな“つまらない”記事を掲載・配信したものは、黙って干し上げるだけだ。
だが、我が家の中のみならず、
学校や勤め先での一挙手一投足までを大規模かつ継続的に盗み見ていた者を簡単に赦免する者がいるなどとは、
さすがの桃華にもポールにも容易に想像できなかった。
「しかし、その資料が当家の製作にかかるものであるという証拠は…」
必死に平静を装ってのポールの反撃−悪足掻き−に、クルルは溜め息混じりに「やれやれ」と呟くと、
またも何処からか数枚の写真を取り出し、それをポールの膝の上にバラっと撒くように投げ出した。
そこには、透明フード付きのヘルメットに防弾・防刃仕様の隊員服を着こんだ桃華の親衛隊員である吉岡平が、
くもの巣が張る狭苦しい縁の下や埃だらけの天井裏で悪戦苦闘しながら通信機材を扱う様子が、
その表情がはっきり分かるくらい鮮明に写っていた。
「(もはや、これまで…)」
追い詰められたポールは、
なるべくクルルの注意を引かぬよう注意しながら、さりげなく車内のバーカウンターににじり寄った。
「いやはや、そこまでご存知だとは…。よろしゅうございます。
では、冷たいものでも飲みながら、詳しいお話を承ることと致しましょう」
神妙な言葉と共に、
ポールは高級材でカバーされた小型冷蔵庫の扉を静かに開けると、その中へと手を伸ばす。
その様子を、顔色を失ったままの桃華が思い詰めたような眼差しで眺めている。
冷蔵庫の中には、ソフトドリンクとそれを注ぐグラスが数個ずつ入っていたが、
それらが並べられている棚の更に奥には、緊急信号の発信ボタンが巧妙に隠されて取り付けられていた。
一度このボタンを押せば、
西澤家精鋭部隊の戦闘員を満載して付かず離れずの距離で随伴している黒塗りの大型ワンボックスカーが、
ものの数秒でこのリムジンのすぐ後ろにピタリと付くという算段になっていた。
慎重に伸ばされたポールの白手袋の指先が、もう少しでボタンに届くというその瞬間。
「高速に乗ってからずっと、この車の4、5台後ろを追尾してる黒くてデカいワゴン。
あん中には、この前、俺たちの基地に侵入した黒ずくめの鍵爪連中が山ほど乗ってるんだよな?」
土壇場でのクルルの直截な問いに、さすがのポールもついに開き直った。
「そうです!得体の知れぬ宇宙人からの不審な提案を、そのまま信じられるはずなどありませんからな!!」
「で、俺が妙なマネをしたら、あいつらに俺を始末させるってわけか…」
「クルル殿から桃華様にコンタクトが会った直後、
旦那様にお願いして本部の精鋭部隊から選り抜きを一個分隊ほど派遣していただいたのです。
いかなる手段を使おうともお守りすべきは、お嬢様お一人…」
「なら、そのスイッチは押さないほうがいいぜ」
「何をいまさら。侵略を事とする宇宙人でも、やはり死は恐ろしいのですかな?」
自らの逆転勝利を確信しクルルの向こうを張って皮肉っぽく口元を歪めてほくそえむポールに、
それ以上にヘラヘラとしたせせら笑いを浮かべたクルルが、大逆転の一撃を放った。
「いいか、爺さん。いま、俺たちの基地の自爆装置は、待機状態になってる。
で、俺の身体に埋め込まれてるセンサーは一定の信号を常時発信しているが、
一、死亡に伴う生体パルスの消失、二、身体への一定以上の物理的衝撃を原因とする神経パルスの異常、
三、極度の心理的動揺を原因とする血中のホルモン濃度の急激な変動、
のうちの一つ以上を感知すると信号の発信を停止する。
すると、それを感知した自爆装置がすぐさま起動するって寸法さ。
もちろん、意図的な妨害によって信号が受信できなくなった場合でも同様だ」
クルルは、まるで他人事のような調子でそう言うと、
『これがその信号の発信用のアンテナだ』といわぬばかりの手つきで
片方のヘッドホンを操作してアンテナをピンと一本突き出すと、
それを弄りながらクーックックックッと心の底から愉快そうに笑った。
「爆発の威力は、地球人に分かりやすくいうなら、戦闘機で運搬・投下が可能な核兵器クラスってところだ。
基地は地下にあるから、当然、爆風は上の方へ抜けることになる。そして、俺たちの基地は、日向家の真下。
確か、冬樹は今頃、オカルト仲間とチャットで大盛り上がりのはずだったな…」
クルルの言わずもがなの説明に、桃華の顔色が蝋のようになる。
「おのれ…」
チリリリリン、チリリリリン、チリリリリン…
逆転勝利にニヤけるクルルを狩るものの目で睨み付け、握り締めた拳を憤怒で小刻みに震わせるポールの横で、
車室備え付けの優雅な形の自動車電話のベルが涼やかに鳴った。
「旦那様…!」
通常、この車にかかってきた電話は、まず助手席のSPが受け、それから車室の電話機へと転送する。
その手順を踏まずにいきなり車室の電話が鳴ったということは、
電話の主は、直通回線の番号を知っている者、すなわち梅雄以外では有り得なかった。
ポールは握り拳を解いて、受話器を取り上げ、耳に当てた。
「もしもし…」
『ポール、なかなか難儀をしているようだな』
「旦那様…」
もちろん梅雄は、今までの車内の会話をすべてモニターしていた。
ポールから精鋭部隊派遣の要請があった以上、これは当然の措置だった。
「いや…、その…」
『そこにいるクルルというのは確か黄色い固体だったな。電話を替わってくれ』
「しかし…」
『大丈夫だよ。久しぶりに面白い交渉が出来そうだ』
「はあ…」
梅雄からの直接の指示を受け、ポールは全く無表情な一使用人の顔に戻って丁寧にクルルへと受話器を差し出す。
クルルもそれを丁寧に受け取ると、ヘッドホン越しに耳に押し当てる。
「もしもし、そちらはNPG総裁、西澤梅雄様でしょうか」
『ああ、そうだ』
「自己紹介させていただいてもよろしいでしょうか?」
『うむ』
「自分は、ガマ星雲第58番惑星宇宙侵攻軍特殊先行工作部隊作戦通信参謀クルル曹長であります。
直接お話しするのは、今回が初めてかと…」
『そうだな。で、私との一対一の直接交渉が望みだとか』
「はい。是非とも…」
『了解した。で、こちらからもいくつかお願いがあるのだが、聞き入れてもらえるかな?』
「はい」
『では、先ず一つ。自爆装置のリンクをなるべく早期に解除してもらいたい。
二つ。ポールたちの行った日向家に対する情報収集活動については、日向家の方々に内密に願いたい』
「了解いたしました」
『有り難う。では、我々が“差し”で話が出来るような環境を整えねばならんな。
秘密回線などの用意があれば、この場で差し支えない程度にそれを承ろうか』
世界の半分を統べる男と宇宙からの侵略者の交渉は、順調に始動した。
西澤家。シミュレーター室。
広大な部屋の真ん中に設置された巨大なシミュレーターの前に佇む桃華とポール。
クルルから提供を受けたデータが入力されたスーパーバーチャルシミュレーターは、
今まさに計算の結果を弾き出そうとしていた。
「桃華様、私は未だにクルル殿の真意が…」
これが最後、とポールは桃華に疑念を伝えるが、桃華はそれににっこり微笑んで答えた。
「お父様が大丈夫とおっしゃったのだからきっと大丈夫です」
あの時、リムジンの中で行われたのはクルルと梅雄が直接交渉するための下準備に関する打ち合わせであり、
後に行われた両者の交渉の内容は桃華にもポールにも知らされなかった。
しかし梅雄は、クルルからもたらされる情報について『有効に使わせてもらったらどうか』と言ったし、
桃華としても、その情報の安全性と有効性にある種の確信を持っていた。
なぜといって、梅雄に紹介してもらう見返りに提供した冬樹のデータが役に立たなかったとなれば、
クルルは、桃華だけでなく梅雄の機嫌をも大いに損じる危険に直面するからだ。
それに、その気になればケロロたちは梅雄と直接コンタクトを取ることが可能なのであり、
それを考えれば、わざわざ桃華を間に入れたということには何か重大な意味が隠されているに違いないからだった。
そして、桃華にとってはこれが一番重要なことだったのだが、
クルルからの情報を有効に活用せよと言うことによって、梅雄は、桃華が冬樹に接近することに許しを与えたのだった。
シミュレーターが計算の終了をブザーで知らせた。
「では、行ってきますね」
桃華は、心配げなポールの視線を背中に感じつつ、シミュレーターの中へと消えていった。
数十分後。
突然、シミュレータールーム内に警報音が響いた。
「何事だ!」
クルルが提供した情報に未だに信を置いていないポールが、苛ついた声を上げる。
すかさず、隣接する制御室の技師からスピーカーを通じて説明がなされる。
『桃華様ご自身により、シミュレーションのリセットおよびリスタートが行われました』
「うむむ…」
心中に盤踞するクルルへの苦々しさをそのまま表情に出しつつ、ポールは唸りとも溜息ともつかぬ声を漏らした。
『シミュレーター、リスタート!』
スピーカーからの技師の声と同時に冷却ファンの音を高鳴らせはじめたシミュレーターを横目で見ながら、
ポールは、厳しい声で指示を出す。
「桃華様の心身に過度の負担がかかっていると判断される場合には、シミュレートを強制終了するのだ。よいな!!」
『はい』
もちろん技師はすぐさま返事をしたが、
しかし、その後も数十分おきに数回に亘って桃華自身の手によるリセットとリスタートが繰り返され、
そして、制御室からの強制終了信号も、桃華自身の操作によって悉く退けられた。
もう、とうに夕食の時間は過ぎていた。
シミュレーションルーム内には、メイド隊によって桃華の食事用のダイニングテーブルが設えられ、
ポールにもサンドウィッチなどの軽食が供されたが、もちろん彼はそれに手をつけなかった。
ポールは、早い時期から技師たちに命じてシミュレーター内の桃華の心身の状態をモニターさせており、
その結果によれば、桃華は大変に疲労してはいるもののその心身に病理学上の異常は生じていないという。
「桃華お嬢様…」
その内部での、
桃華の死闘とも呼べる程の労苦を全く知らぬ気なシミュレーターの静かな佇まいを見上げるポールの胸中に、
さまざまな思いが渦巻く。
やはり、あの宇宙人を信頼してはならなかったのではないか…
いや、桃華様ご自身のご意志でシミュレーションを繰り返しておられるのだから、
桃華様は、そこに何らかの意味や意義を見出していらっしゃるのだろう…
それにしても、これほどの時間がかかるとは、果たして…
その時。
『シミュレーションを終了します』
かすかなモーター音と共にシミュレーターの入り口が開き、そこから静かに桃華が歩み出てきた。
「桃華様ッ!」
桃華の下へと早足で近寄ったポールは、彼女のただならぬ有様に思わず絶句した。
桃華は、普段なら鮮やかな肌色で柔らかな微笑を絶やさない可愛いらしい顔を青白く強張らせ
その視線は定まらず、全身を脂汗でじっとりと濡らしていた。ポールへと歩み寄る足元も覚束無い。
「お嬢様…」
「ポール…。大変なことになりました…」
「何ですと!」
桃華の弱々しい返事に、ポールの目が一瞬にして『狩るものの目』へと変ずる。
「やはりあのクルルという者の言うことなど、信用してはならなかったのです…!」
ポールの激昂を宥め、そして、シミュレーターの中での出来事を説明しようと、
桃華は憔悴しきった顔をふっと上げ、腕を力なく伸ばすと掌をそっと彼の二の腕に当てた。
「そうではないのです…」
「しかし、その御様子は…」
「違うのです…。ですが…、私には…、余りにも…」
力無く俯き青白い頬を涙で濡らしながら呟く桃華の様子に、
ポールは上品な白手袋に包まれたがっしりとした握り拳をぶるぶると震わせる。
「あのクルルなる者…。かくなる上は、私がこの手で…!」
「そうではないのですッ!ポールッ!!」
桃華は悲鳴のような声を上げ、
さっと上げた顔をくしゃくしゃに歪めて半ベソになりながらポールの腕をゆさゆさと揺さぶる。
「ありとあらゆる方法を試しました…。お食事を食べさせてあげたり…、ペルーの遺跡で夕日を観たり
お風呂に無理やり一緒に入ったり、冬樹君の部屋に夜中に忍び込んだり…」
ここで、ツッタカスッポコという暢気なBGMに乗せて桃華の回想が展開される。
『はい、あ〜んしてください。冬樹君!』
『いいよ、自分で食べられるから…』
『そ、そうですか…』
『夕日、綺麗ですね…』
『うん…、でも、国立博物館の特別展示、見たかったな〜』
『はあ…』
『ふ、ふ、ふ、冬樹君…、お、お背中、お流しします…』
『わあっ!だ、ダメだよ、女の子が入ってきちゃ!僕、もう上がるから、良いって言うまで、目、瞑っててくれるかな…』
『すみません…』
『だ、誰!?西澤さん…?西澤さんなの?どうしたの、こんな夜中に!』
『あ、あ、あの…、ふ、ふ、冬樹君と一緒に…、寝たくて…』
『僕のベッド、シングルだから一緒は無理だよ。僕、リビングのソファーで寝るから、西澤さんは僕のベッド使って』
『あ…、有り難うございます…』
「つまり、あのクルルという宇宙人からもたらされた情報は、何の役にも立っていないということではありませんか!」
桃華の回想に尚更いきり立つポールに、がっくりと肩を落とした桃華が首を左右にフルフルと力無く振りながら答える。
「いえ…、最後の最後で、大いに役に立ちましたわ…」
またもツッカタスッポコというBGMに乗せての桃華の回想。
『冬樹君…。その…、女性が苦手とか…、女性が嫌いとか…、そういったことは…』
『ないよ』
『では、今、お付き合いなさっている女性がいるとか…』
『いないよ』
『冬樹君は、私のことが御嫌いですか?そうでなくても、私のことを迷惑とお感じでしょうか?』
『全然そんなこと無いよ』
『では、私とお付き合いしていただけないでしょうか…?』
『うん、いいよ』
『えっ…?いいんですか!?』
『うん』
『…本当に…?』
『うん。これから、宜しくね』
『…はい』
「…ということは、つまり…」
「…はい…」
「直截な申し入れが、最も効果的である、と…」
「…そうなんです…」
この結果に、ポールは、うーむと腹の底からの唸りが混じった溜め息をつき、
桃華は、この結果を他者に告げたことで緊張の糸が切れたのか、へなへなと力なくその場にへたり込んだ
「お嬢様…」
ポールは桃華を優しく助け起こすと、そのままその手をとって、設えられているテーブルへと導いた。
席に着いた桃華の斜め後ろに着いたメイドが、冷たいお絞りをさっと差し出す。
アイスティーが作られ、それは運ばれてきたサンドウィッチと共に桃華に供された。
「ポールにも同じものを」
「かしこまりました」
桃華は身振りでポールにテーブルに着くように勧め、ポールは「恐れ入ります」と深々と一礼してその指示に従う。
桃華の白く細い指先が優雅な仕草でティーカップの取っ手を摘み上げ、そのまま口元へと運んでいく。
金の縁取りが施された白いティーカップの縁が、
ようやく血色を取り戻した桃華の愛らしい唇に軽く押し当てられる。
と、次の瞬間…
桃華はそのままティーカップをグイッと煽り、
細い喉仏をコクコクと鳴らしながら冷たい紅茶を一気に喉の奥へと流し込んだ。
「ぷはーッ!あー、生き返るゼ!!」
「お嬢様…!」
思わずハッと桃華の表情を窺うポール。
そこには、普段は可愛らしくカールしているこめかみの飾り毛をピンと立て、
眉と目を挑戦的にキリリと吊り上げ表情を引き締めた裏桃華の顔があった。
表のそれよりも明らかに逞しい手がスッと差し出すカップに、すぐにメイドがなみなみとアイスティーを注いだ。
「ポール…、早速、明日…、な!」
「承知いたしました…!」
不敵な笑みを浮かべる主に、老執事は丁重だが力強い言葉を返した。
今回は、以上です。
GJ!
続きを期待しております!!
保守
続き気になる! なるべく早くイチャイチャさせてあげてください!
待ってます!
保守
保守
補修
保守
hosyu
保守
保守
保守
ケロ夏が好きな自分は少数派か…
ケロモアも少なくない?王道だと思ってたのに…(泣)
同じ王道でも冬桃は割りと多いよな
ガルプルもまた誰か書いて欲しい
あとついでに景気アゲ
だからおまいら作品化する作業へ戻れと
架空請求メールを配達して届け先のヴァイパーに乱暴されるメルルのSS求む
冬樹×ナスカ(ミルルも可)派は私だけだろうな…。
さぁ、SSを投下して布教活動に入るんだ!
ダークケロロ×ミルル(ナスカ)誰か求む
>>116 たぶん、君だけだ。
けれどナスカの巨乳は鷲掴みにしたいとおもう
ガルプルだよ!!
ダークケロロ×ミルルだよ!!
メルマルだよ!
蛇メルだよ!!
とりあえずケロン人だよ!!
766 名前:風の谷の名無しさん@実況は実況板で[sage] 投稿日:2008/09/13(土) 11:14:26 ID:8wz8olgx
夏美の目に映ってた文字
『夏美どの、そんなことしたらい
きっとほんとうは、やっちゃいけ
分かっていたんでありましょう?』
何の話だろ
ここなら言える
どうみてもオナーニ覗かれてます。本当にありがとうございました
※お詫びとお断り
エロくないし、イチャイチャもしてません。それなのに、めちゃくちゃ長いです。
また、H要素を殆ど持っていない冬樹を桃華に対して何とか合理的にムラムラさせるため、延々と心理描写を展開し、
原作とアニメ(TV・劇場版)のエピソードを混在させると共に二人の年齢と学年を13歳・中学二年とさせていただきました。
「冬樹君…、その…」
「うん。何か気付いたことや特に気になる展示品はあった?」
太陽は完全に傾き空は群青色に染まりかけていたが、まだまだ大気は湿った熱気に満ちていた。
そんな外気と隔絶され快適にエアコンが効いた冬樹の部屋の真ん中には、
床に臨時に設えられた小さな円卓を挟むようにして、
爽やかな緑色の半袖の開襟シャツに白いハーフパンツという如何にも涼しげな姿の冬樹と、
エレガントなデザインの白いノースリーブのワンピースを優雅に着こなした桃華がそれぞれ楽に足を崩して座っている。
円卓の上には『マヤ・インカ・アステカ 古代文明への招待』という表題の厚いパンフレットが二冊と、
よく冷えたミネラルウォーターを満たしたコップが二つ仲良く並んでいた。
二人は、オカルトクラブの活動の一環として、
国立中央博物館で行われている文部科学院主催の特別展示を今日一日を費やしてじっくりと見学したのだった。
この日程自体は、夏休みが始まる前から既に冬樹によって企画されていたもので、
桃華は昨日の疲れがまだ完全には抜けていなかったものの、昨日の決意どおり、今日告白することにしたのである。
だから、桃華にとってこの博物館見学はデート以外の何物でもなかったのだが、
食中りの心配がある時期だけに手作りの弁当の持参は断念して、お昼は館内の簡易食堂で軽く済ませ、
三時のおやつはこれまた売店でお土産用の『縄文クッキー』とやらを一袋買って慎ましく二人で分けて食べ、その代わり、
先ほど済ませた少し早めの夕食は、桃華行きつけのレストランを借り切っての飛び切り豪華なものとしたのだった。
「で、西澤さんが面白いって感じた展示品は、何?」
「あ…、あの…、ですね…」
「ん?」と小首を傾げてこちらを覗き込む冬樹の大きくて澄み切ったサファイアの瞳に、
桃華は一瞬にして頬から耳の先までをその名の通り桃の花びらのような可愛らしい桃色に染め上げて、俯いてしまう。
冬樹へ、自分の想いを伝える…
ただそれだけのことなのに、身体全体がカッと熱くなり、額に脂汗が滲み、心臓は早鐘を打つように高鳴り、
水泳中に息継ぎが上手くゆかないときのように呼吸が苦しくなって、肘と膝の振るえを抑えるのがやっとだ。
そんな桃華の心の中で、いつも通りの裏桃華と表桃華の口喧嘩が開始される。
「(こら、表!さっさとコクらねぇか!!)」
「(そ、そ、そんなに急かさないでください…。こういうことには、タイミングというものが…)」
俄かに美しいアメジストの瞳を伏せて脂汗を流しながらモジモジし始めた桃華に、
朴念仁代表たる冬樹が、悪気など全く無いにしても、どうしようもない一言を浴びせる。
「トイレ?」
「(ほら見ろ!テメェがはっきりしねぇから、トイレ我慢してるみたいに見えてるじゃねぇか!!
早くコクらねぇと、場の雰囲気がコントか堂々巡りの勘違いラブコメみてぇになっちまうぞ!)」
「(う〜…)」
冬樹の善意(?)の勘違いと裏桃華からの核心を突く指摘という十字砲火に曝され、
一瞬にして完全に退路を塞がれた表桃華は激しく動揺し、その人格制御力が著しい低下の兆しを見せ始める。
このままでは、表裏共にそれを望んでいなくても、自動的に裏桃華の人格が肉体を支配することになってしまうだろう。
「(何をぐずぐずしてやがる!!面と向かってバシッとコクりゃ上手くいくってシミュの結果が出てんだろうが!!)」
「(そ…、そうですね…)」
「(『そうですね』じゃねぇよ!早くコクれっつの!)」
「(はい…)」
裏の叱咤を受けた表は、おずおずと冬樹に向かって顔を上げ、話を切り出す。
「あの…、冬樹君…」
「(おっしゃー!いけー!そのまま一気に行けーッ!!)」
「うん?」
「あ…、え〜と…、その…、お、王様などの支配者の埋葬のときに仮面を被せるという習慣は、
ふ、普遍的なものと考えていいのでしょうか?」
「(だあああああああーーーーッ!!馬鹿ヤローッ!!)」
「なかなか面白いところに注目したんだね。さすが西澤さん!
うん、そうだね。確かに今日見たみたいな貴石や宝石を素材にしていたり、エジプトのピラミッドに葬られたような…」
桃華にも分かりやすいようにと言葉を選んでゆっくりと丁寧に自説の開陳を開始する冬樹の嬉しそうな顔を見ながら、
桃華の心の中で、
両肘の先を両外側へとグッと張って胸の前で握り締めた両の拳をプルプルと震わせる裏が、思い切り表を詰りつけた。
「(こらッ!表ぇッ!!この期に及んで、テメェは一体何言ってやがる!
王様のお面の話なんざ、付き合い始めてからゆっくり聞きゃあいいじゃねぇか!!)」
「(ですが『さすが西澤さん』と褒めていただきました…)」
「(馬鹿ヤロ!!褒めてもらうのが目的じゃねぇだろうが!!早くコクれよ、この野郎ッ!!)」
表のこうした優柔不断さや一見コントのようにも見える表裏の遣り取りは、決してただの照れ隠しではなかった。
その根底には、桃華が普段から不知不識の内に感じ抱いている深刻な危機感があったのである。
西澤梅雄という男と西澤家、そして彼が総裁を務めるNPGは全世界の経済の半分を掌握しており、
その影響力は経済のみならず政治を始めとする社会全体に深甚に及んでいた。
だから、そんな西澤家の周囲には、何時も何某かの意図を持った相当数の人物が右往左往していた。
その大半は、西澤家が持つ権勢のおこぼれに何とか預かろうという姑息な意図を持った小物であったが、
中には、極めて危険な意図を持った者もいた。
具体的には、事業に失敗した経営者や社会の落伍者、政治活動家や社会運動家たちなどであり、
彼らのほぼ全てが、己の不遇や社会にある諸悪の根源をNPGの責任として恨み、憎む者だった。
そうした彼らの脅威は、桃華の身の上に『暗殺と誘拐の危険』という具体的な影響を及ぼしていた。
この際、身代金を要求するいわゆる営利誘拐については、さほど心配する必要は無かった。
『西澤家からせしめた金で一生涯遊んで暮らす』などということは、
同家の調査能力と本部直轄の精鋭部隊の実力を見誤った大間抜けの夢想でしかなく、
実際、NPGの海外現地法人の社員を狙った誘拐事件は過去に数件あったのだが、
いずれのケースでも、犯人たちは仲間割れによる撃ち合いなどを原因としてほぼ全員が死亡しており、
生き残った犯人は例外なく警察に駆け込んで自首し、その後の生涯を刑務所の中で“平穏”に過ごしていた。
これについては、鉱山の開発や観光施設の建設の中止を要求しての犯行に関しても同様だった。
何故なら、『NPGの者を誘拐すれば要求が通る』という先例を作れば、
そうした犯行が続発することは火を見るよりも明らかだったからである。
だが、問題は“捨て身”の暗殺者や誘拐者であった。
桃華をその場で、或いは誘拐して殺害した犯人に犯行後に自殺されてしまった場合、
如何に梅雄といえども全く為す術はなかったからだ。
もちろん、こうした深刻で生々しい想定や懸念は桃華本人に直接告げられたことは無かったが、
それでも感受性が豊かな桃華は、ポールや親衛隊の動向などから大体の事情は察知していた。
今現在だって親衛隊が日向家を遠巻きにしていたし、
これからの帰宅も、本当は冬樹に屋敷まで送ってもらいたいのを辛抱して、
迎えのリムジンの通行が可能な大通りまでのほんの数十メートルのエスコートのみに泣く泣く止めたのだった。
そんな状態だったから、桃華にとって、冬樹に交際を申し込むということは、
こうした自分の全く尋常とは言い難い境遇に冬樹を巻き込むということ以外の何物でもなかったのだが、
しかし、逆にそうであったが故にこそ、
冬樹のその何の虚飾も無い純粋で暖かな人柄から滲み出てくる本当の優しさと安らぎを、
どうしても桃華は必要としたである。
「(よぉしッ!決めたッ!!)」
「(…?)」
裏は強い決意を漲らせた眼差しで、困惑に沈む表の顔を睨み付けた。
「(テメェが冬樹君にコクらねぇんなら、俺がコクるぜッ!!)」
「(ええッ…!?)」
二人は同一の人格なのだから、どちらが告白しようとも同じなのではないか?という疑問は、
正しく当事者以外のお気楽なものというべきであろう。根本的には同一の存在であるからこそ、
逆にその些細な相違が当事者同士(?)にとっては重大で決定的なものに感じられるのである。
「(テメェが冬樹君のこと要らねぇってんだったら、この俺が貰う!!)」
「(ちょっと!一体何を言い出すかと思えば…)」
「(ふん!いくらしっかりきっちり段取り整えたって、テメェはコクらねぇじゃねぇかッ!
小学校ん時からずっと想い続けてきた男の心がすぐ手が届くところにあるってのに…)」
「(…)」
「(テメェみてぇな根性無しに、冬樹君はもったいねぇんだよ!
俺だけ冬樹君と幸せになるから、テメェは黙って指銜えて見てな!!)」
ニヤリと口元を歪め、「さぁ〜て」と言いながら身体の支配権を奪取しにかかる裏を、
表が必死に大声で制する。
「(待ちなさいッ!!)」
「(待たないね!俺は、いや、俺たちは、今まで散々待ったろうが!!)」
「(とにかくお待ちなさい!)」
「(何時まで待ちゃいんだよ!十年後か?百年後か?
テメェだけ千年でも一万年でも待ってな!俺は、今すぐコクる!!)」
裏の言葉の正しさも、その苛立ちも、表は痛いほどに十分よく理解していた。
ならば、とるべき行動は、最早一つだった。
「(告白します…!)」
「(またまた〜。無理すんなって。ま、デートの時は付いてきてもいいからよ!だけど、見るだけだぜ〜)」
「(いいえ!私、告白いたします!!)」
ようやく決意を固めた表を、ニヤニヤしながら裏が更に煽り立てる。
「(へ〜え、コクるんだ…)」
「(ええ!)」
「(ホントにか?)」
「(はい!)」
「(この場で?)」
「(そうです!)」
「(今すぐ?)」
「(しつこいですわ!)」
「(ふう〜ん…)」
「じゃあ…」と言うが早いか、表の一瞬の隙を付いて身体の支配権を奪取した裏は、
テーブルの上にバシッと両手をつくとズイッと上半身を冬樹の方へと乗り出し、
その顔を冬樹のそれにぎりぎりまでぐっと近付けた。
「わぁッ!ど、どうしたの!?西澤さん…」
「表の奴が、冬樹君に話があるっていうから、聞いてやってくれッ!」
「お…、『表』って…。君は…」
冬樹は、桃華の表情が先程までと明らかに違うことにすぐ気が付いたが、
そうこうする内に裏は桃華の心の奥にすっと引っ込んで、そして、突き飛ばすように表を前面へと押し出した。
だが、冬樹に思い切り顔を近付けた状態のままの交替だったため、表−つまり何時もの桃華−は、
瞬時に首から上を真っ赤に染め上げながら机の上に大きく乗り出している上半身を素早く手前に引っ込めると、
そのまま腰を引きつつ白くて綺麗な細い足をきちんと畳んで正座し、冬樹にきちんと正対した。
「西澤さん…、その…、今のは確か…」
桃華の様子のめまぐるしい変転に冬樹は目を白黒させているが、しかし裏が言うように、『その時』は今しかない。
桃華は自らを鼓舞するように、
無意識のままぐっと握り締めた拳をもう片方の掌で強く包み、それを自らの心臓の辺りにギュウッと押し当てた。
「冬樹君!!」
「はい!」
その表情と声音を切なさで一杯にしながらの桃華の懸命の呼びかけに、
思わず生来の生真面目さが出た冬樹は胡坐をパッと解き、桃華に倣って慌ててきちんと正座する。
「私は、冬樹君のことが好きです!」
桃華は気恥ずかしさを必死に堪え、戸惑いが浮かんでいる冬樹のサファイアの瞳をじっと見詰めながら、
清水の舞台から飛び降りる覚悟をもって、自分の人生で唯一最大の望みを一気呵成に言の葉に載せて冬樹へと伝えた。
「え…?」
全く予想だにしていなかった桃華の言葉に虚をつかれた冬樹の表情が一瞬虚ろになるが、しかし、
それは決してその申し込みを迷惑だと思ったり断る口実を模索する為のものでない事は、桃華にも容易に理解できた。
品よくぴたりと合わせた膝先の振るえを何とか堪えつつ、桃華は更に話を核心へと導いていく。
「私と、お付き合いしてください!!」
「…、僕と?」
「はい!」
「…、西澤さんが…?」
「はい!小学校の時から好きでした…。ずっと、ずっと…!」
「…、小学校の時って…」
桃華の言葉によって話の概要が見えてきたことで、虚ろだった冬樹の顔に僅かながら表情が戻ってきた。
しかし、その心中(しんちゅう)では何かが激しく揺れ騒いでいるらしく、その目線は微妙に定まりを欠いている。
だが、もう、このまま突き進む他に桃華の採るべき途は無かった。
「是非お願いします!!」
拳を解いた桃華の両掌が、細かく震えるその膝の前にそっと揃えられ、
桃華は美しい所作で深々と頭を下げた。
その際、座っている場所がテーブルに近かったので、
その下げた頭の先がテーブルの縁に軽く当たって小さくコツンと音を立てたが、
双方共にそんなことに関心を向ける余裕など勿論全く持ち合わせてはいなかった。
部屋を、そして二人を支配する沈黙と静寂…
それはほんの数秒も無く、そして決して重苦しいものでもなかったが、
しかし、桃華にとっては永劫にも感じられる永い永いものであった。
冬樹は、「小学校の頃から好きだった」という桃華の言葉に、
小学校時代からの桃華との関わりについてその全てを思い出そうと必死になっていた。
そして…
「(そんな…)」
冬樹は、とんでもないことに気が付いた。
そう、これまで冬樹の傍には何時でも桃華がいたのであり、
そして、それは全く偶然などではなく、桃華の必死の努力の結果であったのだ。
小学校時代、桃華と二人で学校非公認の『オカルトクラブ』を立ち上げ、卒業に際しては、
桃華は進学が決まっていた名門校への入学を辞退して冬樹と同じ吉祥学園への入学を選択した。
ケロン人の居候を抱える者同士が日向家に集合して行った情報交換が終了した後、
玄関で見送った冬樹が「どうして決まってた進学校やめて、吉祥学園に来ることにしたの?」と問うと、
桃華は、暫しの沈黙の後、幸せそうに頬を染めて微笑みながら「ナイショです」と答えた。
中学に入ってからは、西澤家所有のリゾート用の島への旅行に始まり、日向家地下のケロン軍基地の調査、
バレンタインデー、ケロロたちとの怪談勝負、裏桃華の誕生、桃華のイギリス留学騒動での梅雄との対面や、
桃華親衛隊の抜き打ち試験にやってきた桃華の母・桜華との対面など矢継ぎ早にいろいろなイベントが発生したし、
更に、ケロン軍の古代兵器・キルルとの戦闘やNPGの海洋調査隊が発見した謎の生物の正体を探る旅では、
命の危機にも遭遇しながら二人は共に同じ時間を過ごしたのであった。
進学先を変えるということは、その後の人生行路のほぼ全てを変えるに等しいだろう。
また、桃華が表裏二人に分裂した騒動の折には、
大財閥の令嬢という一見華やかな立場は実は“籠の鳥”だと説明するポールの言葉を補足するように、
「それだけではない気がするんです」と表桃華は呟いていたし、
何より、梅雄によってイギリスへ連れて行かれそうになった際、普段なら父に逆らうことなど思いもよらない桃華が、
真正面から必死に梅雄と対峙しつつその背中で自分を庇う冬樹の袖をぎゅっと掴みながら、
「私は、ここにいたいんです!」と涙声で叫んだのではなかったか。
そればかりではない。そうした様々な出来事の最中、
桃華は冬樹に対していきなりモジモジしだしたり謎をかけたりと珍妙に思える言動をとることがままあったが、
それが、冬樹に対しての所謂『アプローチ』だったということは、最早疑いようがなかった。
それに、桃華の分裂の原因の一端がこの自分にあることは今や明白だった。
そうまでしてこの自分の傍に居ることを選択してくれたその上に、
いろいろな機会を捉えて不断に懸命なアプローチを繰り返し、しかしそれが一向に通じなくとも、
それでも諦めずに想い続けてくれていた桃華の切なく真剣なその心情は冬樹にも容易に理解できた。
「(なんてことだ…)」
全身からサァッと音を立てて血の気が引いていくのが分かる。
それと入れ替わりに、とても嫌な冷や汗が首筋や背中、腋の下にじわじわと滲み出してくる。
冬樹は、最早犯罪的とも言うべき己の鈍感さを、今までの人生で一度も経験したことが無い程の激しさで憎み、悔いた。
「(僕は今まで、西澤さんに、どれほど辛い思いをさせてきたんだろう…)」
桃華への申し訳無さと己自身への憤りが嵐のように激しく冬樹の心を苛み、その苦しみは容赦なく身体をも蝕んでゆく。
肋間の筋肉の強張りと横隔膜の鈍痛によって呼吸は深さもリズムも思うに任せず、
心臓はギシギシと軋みながらやっと必要最低限の鼓動を維持している。
その余りの胸苦しさに冬樹はこめかみに脂汗を浮かべ、我知らず奥歯をギリリッと噛み締めて眉間に深い皺を寄せた。
だがしかし、こんな苦しみも、桃華が今までに過ごしてきた眠れぬ夜の苦悶に比べれば遥かに軽いに違いなかった。
とにかく桃華に、今までのことを詫びなければならない。
勿論、たった一言二言の詫びの言葉によって桃華の心が癒されるとは思われないが、しかし、それでも、
詫びることによって、桃華が今までに蒙った精神的苦痛の責任が、
この自分の常軌を逸した一種異常とも言える朴念仁振りにあったのだということを認めるべきだと冬樹は強く思った。
桃華に聞こえぬように注意しながら、冬樹は、んんッと小さな苦しい溜め息を鼻から吐いて胸元の緊張を僅かに解すと、
苦しい喉元を必死に励まし、
テーブルの向こう側で深々と頭を下げている桃華に向けて短い詫びの言葉を何とか搾り出した。
「ごめん…」
シミュレーションの結果と180度相違する冬樹のこの言葉に、心臓が止まるほどの衝撃を受けたのは桃華である。
これを−当然のことながら−交際の申し込みの拒絶と受け取った桃華は、
それまで全くの二つ折りに伏せ続けていた上体を、両の腕を思い切り突っ張って一息に引き起こした。
その顔は既に表情と血の気を失いかけていたが、冬樹のその厳しい表情を目の当たりにするや、
桃華の顔色は、見る見るうちに死人のそれのような半透明の薄青色に変じていった。
「い…、今…、何て…」
喉元を何回もヒクつかせた後でやっとそれだけを呟くことができた桃華の絶望に沈むアメジストの瞳から、
大粒の涙が後から後からぽろぽろと零れ、それは生気と何時ものふくよかな張りの失せた頬を伝い下り、
細かく震える顎先から、同じく力なく震える膝元へと引切り無しに滴り落ちていく。
シミュレーションなどというものは、喩え半日を費やして何度も何度も反復したとしても、
やはりそれは結局のところシミュレーションにしか過ぎないのであろうか…?
「に…、西澤…、さん…?」
この桃華の有様を目の当たりにして驚いたのが冬樹であった。
ただ一言なりと詫びることを許してもらいたいとの思案の末に出た言葉が「ごめん」だったのであり、
冬樹としては、桃華を地獄の縁に追い詰めるようなことを言った覚えなど全くなかったからである。
激しい落胆により気を失わんばかりの桃華は、普段の美しい血色を失った唇を何度か力なくパクパクと動かした後、
消え入るような擦れ声をやっとのことでようやく絞り出した。
「お付き合い…、して…いただけない…のですか…?」
「え…?ええッ!!」
又も冬樹は大いに驚いた。
勿論それは、今、この自分が桃華に対して交際の申し込みを受け入れるか否かについての返答を、
ましてやそれを拒絶するような返答をした覚えなど全くなかったからであるが、
しかし、良くも悪くも、これが『日向冬樹』という男なのであった。
「ちょっと待ってッ!違うよッ!!」
「ヒヘッ!?」
いきなりの冬樹の大声に、勘違いの失意によって腰が抜けかかっていた桃華は小さく飛び上がり、
正座の状態できちんと揃えられていた両足首は外側にずれ、そうしてできた隙間に可愛い尻がポンと嵌まり込んだ。
冬樹は、慣れない正座に痺れかかっていた両足を振り回すように解いて少しよろけながらも素早く立ち上がり、
少しふらつく足首を励まして桃華に歩み寄ると、その真横にペタリと正座し、これ以上無いほどの真剣で深刻な表情で、
涙の跡がくっきりと残る桃華の顔をじっと覗き込んだ。
「違うんだ!」
「は、はい!」
「西澤さんと付き合わないって言ってるんじゃないんだ!」
「はい…」
状況が良く飲み込めない桃華は、泣き腫らした大きなアメジストの瞳をパチクリさせながら冬樹の顔をそっと覗き込む。
自分の言葉が足りぬばかりに桃華の可愛らしい顔を涙で汚してしまった冬樹は、またも謝る他無かった。
「ごめんね…」
「はい…」
桃華は、この自分に対して冬樹が何かを詫びているということは理解できたが、何を詫びて知るのかが分からなかった。
しかし、状況は桃華自身が思っているよりも絶望的ではないということは、何となくではあるが分かった。
「そうじゃなくて…」
「はい…」
やはり何が『そうじゃない』のかは不明だが、しかし、この言葉が更なる何らかの発言の前置きであることは確かだ。
「…、今まで…、気が付かなくって…、ごめんね…」
「はい…」
つまりこの『ごめん』は、自分が『今まで気が付かなかった』ことに対しての詫びの言葉らしい。
ならば冬樹は、今まで『何に』気が付かなかったことをこんなにも真剣にこの自分に対して詫びているのだろうか?
桃華が、ようやく活動を再開し始めた思考で、冬樹と自分の『今まで』のことを思い返し始めた、その時…
「今まで、西澤さんの気持ちに気が付かなくて…、本当に…、本当に、ごめんッ!!」
膝の先に両掌をしっかりとつき、そして深々と頭を下げた冬樹は、
すぐ目の前の絨毯の毛並みをじっと睨み付けながら、桃華に心底から詫び続ける。
「今まで…、ほんとに、ごめん!ほんとに気が付かなかったんだ!
わざと知らん振りしてたわけじゃないんだ。ほんとに、本当に、ごめんなさいッ!!」
滑稽なまでの生真面目さと不器用な誠実さ。
やはりこれが、『日向冬樹』という男なのである。
「西澤さんが二人に分裂したのも、僕の責任だと思う…。
僕が…、もっと早く西澤さんの気持ちに気付いていれば…、あんなことには…」
桃華は、暫くただぼんやりと、
自分のすぐ横で額を絨毯に擦り付けんばかりに身体を全くの二つ折りにして縮こまりながら懸命に詫び続ける冬樹の背中を眺めていたが、
やがて、まだ泣いた後の腫れがうっすらと残る両の瞼をふっと軽く閉じると、重ね合わせた両掌をそっと胸元に押し当てた。
「(冬樹君…)」
桃華の頬が、まだ涙の跡を残しながらも見る見るうちに何時もの美しい血色とふくよかさを取り戻していく。
冬樹のことを好きになってからもう何年も経つけれど、
今この瞬間ほど、冬樹のことを好きになってよかったと思ったことは無かった。
冬樹という男と出会えた幸せを噛み締めながら、桃華は、やはり何時もの愛らしい薄桃色に復した唇を微かに動かして、
そこから、まるで天使が語りかけるような優しく慈しみ深い囁きを冬樹の頭上に降らせた。
「いいえ…、許してあげません…」
「ごめんなさいッ!本当に、ごめんなさいッ!!」
その声音の優しさに一向に気付かず、ただ『許さない』という台詞のみに激しく反応する冬樹に、
桃華は思わず笑い出しそうになったが、しかし、これからのこともあるので、もう少しばかり冬樹を困らせることにした。
「いいえ、許しません!」
「…、どうすれば…、許してくれる…?」
おずおずと頭を上げる冬樹に、すかさず桃華は頬をぷっと膨らませてプイッと反対側を向くと、
先程よりもトーンを落とし硬くした口調で苦情を述べ始める。
「女の子の片思いの辛さというものを、少しは男の子も理解すべきです」
「はい…」
「それを、『気が付きませんでした。ごめんなさい』で済まされては、女の子は皆、恋煩いで死んでしまいます」
「うん…」
冬樹の神妙な相槌が可笑しくて仕方ない桃華だったが、しかし、もう潮時だろう。
桃華は、そっぽを向いたまま、微笑みそうになる口元を必死に力を込めて歪め、
なるべく深刻そうな声音が出るように懸命に喉と声帯を調節して、止めの質問を繰り出した。
「冬樹君は、私が死んでしまってもいいというのですか?」
桃華はこの『死』という単語をしっかりとした覚悟の下で使っていた。
冬樹の“特別な存在”になれないとすれば、桃華にとって、この世での生など全く何の意味も価値も無かったからである。
だが先程、自身の不注意な発言によって桃華を死人のような有様にしてしまった冬樹にとって、
この質問は如何にも生々し過ぎるものだった。
「そんなこと…!とんでもないよ!!そんなこと、一度だって思ったことない!!」
冬樹は弾かれた様に顔を上げ、思わず己の立場を忘れてグッと膝を乗り出しつつキッと引き締めた表情で気色ばむが、
しかし、それに全く動じない桃華は、それまで顔と喉元に入れていた余計な力を全て抜くと、身体はそのままに、まず、
ふんわりと優しく微笑んだ顔だけを冬樹の方へ向けて、
まだ多少の緊張が残っている冬樹の大きなサファイアの瞳をじっと見詰めながら優しい声音でそっと優しく囁く。
「なら、私が死ななくても済むように…」
そして桃華は、
足の両側に掌をついて二挙動ほどをかけて身体全体を冬樹の方へ向け、その正面にきちんと正座すると、
それまで柔らかく微笑んでいたその表情をほんの少しだけ引き締めて、ゆっくりと言葉を完結させた。
「私のことを、好きになってください!」
「西澤さん…」
冬樹は思わず自分でも気恥ずかしさを感じるくらい切ない声で目の前の桃華の名を呼んでしまったが、
それは半ば、桃華がほぼ完全に落ち着きを取り戻したことに安心し、
半ば、その真剣な告白に感動してのことだった。
この、「命懸けです」と言わぬばかりの桃華の告白に、
この自分が桃華に与えている影響が如何に大きいのかを思い知らされた冬樹は、
ついさっきの桃華と同様、しっかりと覚悟を定めて、ちょっと前に屈んですっと両手を伸ばして桃華の手をとると、
それをそっと持ち上げてから優しくキュッと握り締め、
桃華の美しいアメジストの瞳を真正面から見詰め返しながらしっかりと頷いた。
「うん、わかった」
それまで硬く引き締められていた桃華の表情が、
まるで嵐が去った直後の雲間に日差しが差し込むようにパアッと何時もの明るさと柔らかさを取り戻し、
そして、それは更にこれ以上無い位の幸せな満面の笑みへと変わっていく。
「それじゃあ…!」
桃華の劇的な変化の有様を文字通り目の当たりにした冬樹は、自分自身にもしっかりと言い聞かせるように、
一番肝心な言葉を桃華に告げる。
「うん!好きになるッ!」
表情を更にパァッと明るくする桃華に、
冬樹は太陽の様に眩しくて優しくて温かい笑顔を贈りながら、もう一度、その全てをはっきりと告げた。
「僕、西澤さんのこと、好きになるよ!」
今回は、以上です。
GJ!
つーか、素晴らしい最終回ですた
下衆な俺には眩しくてGJとしか言い様がありません
>>135 終わらせんじゃねええw
投稿乙です
じっくりと読ませてもらいましたよ、次回以降も期待しています
言葉遊びになるかも知れないけど、
「西澤さんに死んで欲しくない」
と思っている時点で、もう既に好きになってるのでは?
ぶっちゃけ、何とも思ってない相手なら生きようが死のうが
知ったこっちゃないし...
恋愛感情のないただの友達またはクラスメートや部活仲間でも
死んで欲しくないと思うもんじゃないか、普通は
>>139同意。
138は好きな奴以外どうでもいいのか。
0か1かのデジタル世代なんだろ
保守
新参なんだけどさ、擬人化で女体化でロリなクルルって駄目?
需要あったら書きたいんだけど。
ケロロ小隊全員女体化なら見たい
正直ロリなのに純粋じゃないからダメ
【お詫び】
クル夏が好き過ぎて頭がどうにかしそうだったので文字にしました。
未熟な面の多い文章ですので初めにごめんなさい。
誰か一人にでも楽しんでいただけたら幸いです。
「このっ、ボケガエルー!」
「ケロッ!」
ケロロは反射的に跳ねる。
夏美の回し蹴りはケロロのつま先ギリギリを通過。
思わぬ成功に喜びの表情を浮かべるもつかの間、手のひらを最大限に使った頭部鷲掴み、そして投げられる。思い切り。
背面だけがぺったんこになったケロロに、元通りにしなさいよっ。と背中越しに言い去っていく夏美。
そこでDVDは終了した。
4色のカエルの集まった一室でケロロは机をバンッと叩き、注目を集める。
「諸君!どう思うかね!この怪力!」
「どうっていわれてもぉー・・・」
軍曹への返答に困ったタママはチラリとギロロ、クルルの反応を待つ。
「ふんっ、いつもと変わらないじゃないか」
ギロロと思った事が同じだったのに安心し、そうですよぅ。と頷く。
ところでちゃんと壊した家具は直したんですか?と夏美の怒りの原因について聞こうとタママがお菓子を飲み込み発言しようとしたが、特殊な笑い声が聞こえてやめる。飲み込む前に口内のポテチを増やした。
「クックック、前より力が強くなったな」
「そう!そうであります!さすがクルル曹長!前より体のひねりが少ないのに力が強化されているのであります!これは由々しき事態!」
「貴様の鍛錬が足らんのだ」
「ちょっとギロロ伍長!そんな他人事みたいに!」
「他人事だろうが!悔しければ鍛えろ!軍人だろ!」
「あ、軍曹さん、今日はそろそろ帰りますねぇー」
桃っちと約束があるんですよー。とにこにこと席を立つタママ。
便乗しギロロも今日の議題がこれだけなら帰る。と続く。
タママは笑顔で手を振り、ギロロは眼でケロロを貫く。
それに怯んだケロロは引き止める言葉も喉に詰まる。
大きな眼には部下の背中が扉で完全に遮られる光景が映った。
ガクリ。と大げさに項垂れるケロロ。
だがそのまま控えめなククク笑いをしているクルルに悲劇のヒロインのように弱弱しく、しかししっかりとしがみ付いた。
「ねぇーん。クルルぅー」
「ククっ。それで、オレはどうすればいいんだ?」
「なんかこうーペコポン人の筋力を弱めるーとかそういう発明できないかなぁーなーんてぇー」
これはペコポン侵略にもおおいに役立つと思うんだよね!と私的な恨みをカモフラージュするケロロ。
そして期待していた答えを見事言うクルルにケロロは顔を輝かせた。
後日、『か弱いか弱い夏美殿作戦』の手順が決定、そして決行。
実験対象、日向夏美。
作戦開始。実験対象者帰宅直後。
「くぅー、ドキドキしてきたぁー」
作戦開始までもう少し。ケロロの体内時計が鳴りはじめる。
この作戦が成功すれば、もう夏美殿が我輩にあれこれ偉そうに命令することもなくなるであります。
ペコポン侵略もこれが成功したら予算を集めて規模を大きくすれば・・・。
ケロロの頭に邪な考えが駆け巡り、素敵な未来にケーロケロと鳴いた。
その時無線機が鳴る。とる。
「標的、日向夏美。もうすぐ玄関につくぜぇー。クックック」
「こっちはすでに準備完了であります!」
無線機を端っこに置くとケロロはエプロンのポケットの中の感触を確認する。
準備OK。玄関のドアを瞬きもせずに凝視する。
ドアノブが動く。緊張が走る。
「ただいまー。あれ、ボケガエルどうしたの?」
ドアが閉められる。これで空気の逃げ道は減った。
まるいまるい眼を見開く、ポケットに手を突っ込む、取り出す。
「夏美殿!覚悟であります!」
「え、ちょっ!な」
ポケットから取り出したのはスイッチ。夏美が何か言い終えるの前に押す。
瞬間ブシューっと玄関が白い煙に包まれる。
作戦手順その1、眠らせる。
ケロロはすばやく近くの部屋に非難。
夏美も後追いかけ部屋に入ってくる事も予定していたが、驚きから煙を吸い込んでしまったらしく音がない。
そっ・・・と顔半分を出し覗く。玄関に横たわる赤い髪。
「こちらケロロ軍曹であります。作戦成功!ぐっすりであります」
「じゃぁさっそくこっちまで運ばなきゃな。ククッ」
ケロロは作戦通りクルルの発明品を使って一人夏美を運ぶ。迅速に。
クルルのラボに着くとそこにはペコポン人一人横たわれる台。
そこに夏美を横たえる。
台の上を見れば何か大きく緻密な機械。
「おぉ!これでペコポン人の筋肉を弱めるのでありますな!」
「この機械で特殊な電波を出し筋肉を脂肪に変える。それで筋力は著しく落ちて、か弱い、平均女子以下となる。クークックック」
「ほほーぅ、さすがクルル曹長!でー、どのくらいかかるでありますか?」
「まぁ1時間くらい状況をみながらだな。やりすぎちまうと脂肪しかない大変な状況になっちまう」
「脂肪だけのふにゃふにゃペコポン人になったら大変でありますからな!」
「ほい、スイッチオン」
クルルがスイッチを押すと静かな起動音をたて動き出す。
特殊な見えない電波が夏美を包んでいる証拠だろう。
しかし一時間何をしていようか。とケロロは悩む。
クルルは夏美殿の様子を見ているし。と思った所で眼を見開く。
「ク、クルル曹長?」
実験対象の上着をグイっと捲る。
下着も外すのではなくずり上げる。
弾力のあるものが開放。
「なななななななにをしてるでありますか!?」
突然の行動に頭が混乱するケロロ。
それに見向きもせず今度は2つのものを両手で掴む。揉む。
「筋力が脂肪に変わるのを確認してんだよ。自らの手で確認するのが一番確実だからな。クーッククク」
「い、いやしかし、そそそこは脂肪の塊というか」
そこを確認してもあまり意味はないのではとモゴモゴ口を動かすケロロをさらに無視してクルルは作業を続ける。
グッと力を入れれば力の通りに形が変わる。
もにゅ、もにゅ、もみ、もにゅ。
「わーわー!クルル曹長!夏美殿が起きてしまうでありまーす!」
ケロロは息を吐くように話して静かに騒ぐ。
夏美殿起きないで起きないでと願いつつも夏美殿起きてー!と矛盾した考えがぐるぐるぐるぐる。
「・・・んっ・・・・・」
「ケロッ!」
夏美から吐息が洩れる。
ケロロはビクリと体を硬直させる。
が、少し顔の位置をずらすとまた小さな寝息をたてはじめた。
その間も構わず自在に柔らかいものを動かすクルル。
両側から包み込む。そして揉む。
豊富なそれはどう力を込めても柔らかに動く。
眼で楽しむ手で楽しむ。
そして指の間に突起を挟みこみさらに揉みしだく。
催眠ガスはよほど協力なのか夏美が起きないのに罪悪感が募る。
「ク、クルル曹長、そんなにする必要は・・・なぁぁぁぁぁぁ!!」
片手の力を緩めへその方へと滑らせ、その先へと滑り下りようとする指先にケロロは話途中で絶叫した。
近くにあったものを引っ掴みクルルを力の限りぶっ叩く。
「にょ!」
「さ、作戦は中止であります!」
連れてきたのと同様の方法でケロロは光の速さで夏美を連れて移動する。
とり残されたクルルは頭の痛みをさすって自分を誤魔化しながら椅子に座りなおす。
「感触忘れない内にぬいとくか」
〜fin〜
妄想晒し失礼しました
お読みくださった方はありがとうございました
エロが足りねぇぇ!
が、投下してくれる人には頭下がる。ありがとう。
えろくもないアホなものでごめんなさい。
ぷにっ
夏美は自身の頬をつつく。
「ねぇ冬樹。もしかして私・・・太った?」
「え、全然そんな事ないよ」
冬樹の言う通り、特に以前と変わった様子は見られない。
だが夏美は両の手で頬を包み込むと不服そうな顔だ。
「ゲーロゲロゲロ!夏美殿はどんどんどんどん太ってダルマのようになってしまうのであります」
「ぐ、軍曹・・・」
ケロロの挑発にガーン・・・と夏美の精神に響く音。
嫌ー!そんなの嫌よー!痩せなきゃー!と多くの乙女が通る道、ダイエットを決める。
「ククーッ。顔の部分痩せダイエットにオススメ、小顔棒を持ってきてやったぜぇ。コレを舐めてればあら不思議ー。顔の筋肉シェイプアップー」
「またあんたはどこからともなく現れてくるわね・・・」
「ほらよ」
ポイっと渡される飴のような棒。バナナのような形。持ちやすい。
舐めているだけでいいという事でクルルに礼を言うとさっそく舐めはじめる。なんだか美味しい。
勿論ノンカロリーで美味しく楽しくダイエットだ。ククッ。という開発者の説明に安心すると、味も堪能して舐め続ける。
「たくさん舐めれば舐める程効果は上がるぜぇ」
「もっと舌を使えよ」
「しっかり隅々まで舐めるといいぜ」
「先の方だけ舐めるとかいうのもアリだな」
「あとは吸い上げる感じだ」
一気に説明せず逐一言うのにイラッとしたがそこは良い物を提供してくれた事での感謝で自分を誤魔化す。
しっかり・・・説明の通りしっかりと、口の中に入るだけ突っ込んでみる。
さらに口内で舌を使って念入りに舐める。
一度口からソレを空気に晒すと、下から舐め上げてみたり先だけペロペロ舐めてみたり。
吸い上げる?ちょっと考えて閃く。しっかり口に入れると言葉の通り吸いながら先端が顔を出すまで顔を動かす。
クルルをチラリと上目で見ると、特有の笑い声を発しながら、そうそう。と頷いてくれている。
よし!こうか!と夏美は出し入れを繰り返す。
うぅーん、なんだか口周りの筋肉が疲れてきた。これは絶対痩せられる。
ツインテールを揺り動かしながら、効果を実感すると俄然やる気を出す。
「夏美。芋が焼けたんだが一緒に・・・・・ななななにをしているんだ!?」
「・・んむ・・・・・ふぁっ。何ってダイエットよ。あ、私お芋いらないから、冬樹にあげて」
しばらくお芋は食べないわ。太るから。と拒否されたショックより混乱が大きいギロロ。
夏美の口が舌が一生懸命動くのを真正面のソファに座り眺めるクルルにギロロが詰め寄る。
「ななななななな夏美にななななな何をさせて」
「クーックックックック。ちなみにアレのサイズはオレのサイズだぜぇ」
「なぁぁぁぁああぁぁあぁ」
「ギロロうるさい」
〜fin〜
という保守。連続失礼しました。
読んでくれた方はありがとうございました。
もうなんでも投下してくれる人来ないかな・・・。
投下ありがとっありがとっっっ!!!!
154 :
名無しさん@ピンキー:2008/09/26(金) 20:06:52 ID:zS6z6wgo
保守
仔ケロプルをぉぉぉぉ!!
「このスレが落ちないための・・・保守だからっ・・・」
「それで自らネタを提供しに来たのか・・・健気だな。ならば・・・・・来なさい。望み通りにしてあげよう」
紫の髪が夏美の額に触れる。顔をしっかりと固定し、柔らかな体は片腕に納まる。
唇を触れ合わせるが抵抗はない。
頬を染め、しっかりと目を閉じる彼女はいつになく素直なのかもしれない。
隙間に舌をゆっくりと入れ、口内を犯す。
同じように舌を動かそうとするのがなんとも初々しい。
顔を押さえていた手を服の下に移動させる。ビクっと一瞬彼女は身を引いたが、構わず下着を外す。
下着と肌の間の隙間がガルルの手を受け入れた。先端を指先で弄ぶ。
ずり上がっていく上着。夏美はゆっくりと目を開けたが、ガルルと目が合うと途端に伏せてしまった。
先を胸の中に押し込むように力を込める。
「ぁっ・・!」
喉元で無理矢理押し返していたであろう声が漏れる。
下半身が優越感に浸ったのか、血の巡りがさらに良くなる。ペコポン人の体はまだ把握しきれていないが、これが最大ではない気がする。
ベッドに腰掛けると、夏美の姿勢を低くさせる。
「・・・分かるね」
その一言で夏美を促すと、悦に浸った顔が一度だけ小さく下に振れた。
彼女はたどたどしく彼の下半身を露出させ、出てきたものを口に含む。
生暖かい感触が直に波としてやってきた。顔には出さず、その感覚を受け入れる。
・・・だがそれ以降、やはり知識としてしか蓄えられていないらしいその行為は満足といくものではない。
温度になれた自身のものは、萎える事はないがそれ以上に大きな快感を生み出すものでもなかった。
ガルルは少し想定外の事に苦笑し、夏美の頭を撫でた。
──誘っておいて、これでは生殺しだ。
突然撫でられた事に驚き、咥えながら上目で見たガルルの表情に夏美もなんとなく察した。
恥ずかしさで顔が真っ赤になる。このまま口で奉仕するのも滑稽だと思い、それを開放する。
「さぁ、もう保守もこれくらいでいいだろう。私は十分に満足した。ありがとう」
「うぅ・・・」
ガルルの大人な対応に夏美はどこかの赤蛙の如く恥に染まる。
出さずに終わる事は辛い。それくらいはそういう知識の乏しい彼女だって知っていた。
処女を気遣い初めから散らす事はしない気だったのだろう。
──バカにしないでよ。顔を上げ、ガルルを睨む。
「なんで・・・なんで最後までやらないのよバカ!保守だなんて口実なのは分かるでしょう!」
「夏美君。こんなに長い保守は逆に邪魔となるかもしれない。◆HegzoUyjQsはには自重が必要だ。ヤケを起こすのはよくない」
「・・・・・ヤケじゃないもん。好きなんだから」
拗ねた顔をガルルにずいずいと近づける。真っ直ぐ彼を見据えたまま、もう一度「好きなんだから」と繰り返す。
彼はしばらく悩むように沈黙した後、彼女の頭の撫で、口元を緩ませた。
その表情に夏美は心拍数が上昇する──不意打ちはずるい。彼とかち合っていた目線を外す。
そのまま夏美は意を決して下着ごとホットパンツをずりおろした。あ、なんか色気のない脱ぎ方。上昇した気合が少し落ちる。
おずおずと彼の半身を跨ぐように膝立ちしようと体を安定させるが、ガルルはひょいと夏美を抱くとベッドに押し倒した。
二人分の体重に圧迫されているベッドは心なしか柔らかさに欠ける。
味方が少なくなったような、そんな不思議な気分にさせられた。
彼の指が割れ目をなぞる。自分から分泌された液のおかげで、難なく滑るのが触覚で分かった。
指を1本侵入させられる。なんだか鈍く痛いが、耐えられないわけではない。
「・・・笑わないでよ」
「いや、すまない」
こんなに濡らしてるとは思わなかった。とぬいた指についたのを確認される。
それは薄暗い部屋では分かりにくいが、夏美は彼の指に水のようなものがまとわりついているのを確認してしまった。
──恥ずかしい。
だがそんな弱気な事で言っている場合ではない。
これから行われる行為は、もっともっと恥ずかしいものになる事は容易に想像出来る。
心の準備が出来ると、彼を見る。彼は夏美の肩を押さえると、ゆっくりと挿入していく。
「いっ・・・・・!」
たい。と出た言葉の続きを頭で補う。
彼の首に腕を回し、しかし絞めないように、痛みを自分の中だけで消し去る事に集中した。
じょじょに開拓される内側は、痛みが鈍い痛みに和らいできた事で、彼のすべてを受け入れた事を連想する。
今度は動き始める。下腹部に鈍い痛みが若干残るが、摩擦されている場所は、だんだんとなんとも言えない痺れとなって夏美を襲い始める。
「・・・・んんっ──なんか変な・・・っ!ぁ、・・・あぁっ!」
中で動くものに夏美の感覚が委ねられる。
奥を突けばそれに合わせるように彼女の高い声が鳴る。
しばらく楽しんだ後、スピードを上げた。
「えっ、何──だめっ!ぃぁっ!あっ!あぁ!」
嬌声がだんだんと大きくなる。
──だめっ。これ、ヘンになっちゃ・・・。
静止の言葉を聞いてもその動きを緩めないガルル。
目があうと夏美は糸が切れたように、体を震わし、達した。
が、快感の波の原因は、あと少しピストンを続ける。
「もうだめっ!──ふぁっ!はぁっ。───あっ、あぁっ、ああぁーーー!」
「・・・っ」
彼は欲望を放出する。どくんどくんと脈打つのが、感度の高まった膣に、緩い波として伝わる。
中に液体が溢れると共に、夏美の脚腰がびくんと震える。
ガルルはまた夏美の頭を撫でる。今度はそのまま頬にまで手を下げる。
彼女は法悦した目で見つめた。彼はそれに満足気な笑みで返した。
「お疲れ様だ、夏美君。保守は達成したよ」
「うん・・・保守っ」
〜fin〜
このスレが活気あるスレになりますように。
読んでくれた方、ありがとうございました。
159 :
名無しさん@ピンキー:2008/09/29(月) 12:31:20 ID:Yv81l5Wc
保守SSが一番好みだったとかもうね
ガル夏なんか新しいのぅ
でもやっぱケロロ好きとしてはケロン体絡み好きだな
擬人はあんまり・・・
まぁ人それぞれってことで
夏ギロなんて書いたら怒る?
>>162 ケロン体も勿論好きなんだがチンコどうしようって考えたら擬人にしてしまった。
すまん。
ケロン体のエロ勉強しに過去の他の職人さんのSS読み直してくる。
まったり保守代わりにまたSS投下すると思うけど、
名前欄か、書き始めにちゃんと注意的なものを書くので、
それで読むかどうかの判断材料にしてください。
167 :
名無しさん@ピンキー:2008/10/02(木) 09:36:38 ID:mrcP8hGV
ほすあげ。
168 :
名無しさん@ピンキー:2008/10/07(火) 01:40:17 ID:vMYkDXHj
age
「いたっ!痛い!痛いであります!」
「お・と・な・し・く、しなさーい!」
「ヘチマはぁ、ヘチマはだめぇぇぇぇ!あぁん」
日向家の浴室に絶叫が響く。
長袖を半袖になるまで捲くり、ケロロを買ったばかりのヘチマで擦るのは夏美。
この経緯に至ったのは単純明解である。
散歩中のケロロが肥溜めに落ちる→くさい→洗う→匂いがとれない→ヘチマ(冬樹が少し前に学校の学習の一環として収穫して持って帰ってきた)
「いやいやいやいや!なんでヘチマにな──痛い痛い痛い!自分で!自分でするから!自分でぇぇぇぇぇ!」
「だってアンタ自分ですると柔く洗うから匂いとれないじゃない」
「我輩超デリケート?みたいなー───ぷわっ」
バシャーっと頭から風呂の湯をかけ、両脇を掴み持ち上げると顔を近づけ臭いを確かめる。
ケロロの眼前に少し泡や水の被害を被ったツインテールが揺れる。夏美の額にペタリと引っ付く前髪。
よし、いい匂いになった!とやり遂げた笑顔を向ける夏美。
───我輩、ぬいぐるみ扱いでありますか。
なんだかちょっぴり酷いよ夏美殿。
男として見てなんて贅沢だけれど、生態的には雄だし、夏美殿が開放的な格好をしている時だってムラムラする事もあるし。
リビングで夏美殿が寝てる時に乳を揉み逃げだってするお年頃なんであります。ご馳走様でした。
じゃなくて、とにかく夏美殿は隙が多いのであります。だから好きになっちゃう輩が出てきちゃうのでありますよ。
「たぁぁぁぁぁ!」
「きゃっ、ちょっと何!?いたっ!」
突然のケロロの捨て身タックルに夏美は壁に後頭部を打ち付ける。
強打、という程の事でもないので心配はないが地味に痛いようだ。
──夏美殿をちょっと懲らしめるであります。
てぇい!と夏美の手をケロロは近くにあったタオルで縛る。
夏美はクラリとする頭が機能を再開すると、解くより先に自由な足で攻撃をする。
が、ケーロケロと喉を鳴らしながら蛙はひらりとかわす。
股の間に入り込むとホットパンツの留め金とチャックを器用に開けた。
「ゲロゲロリ。洗濯たたみの経験地が今ここで発揮されるでありま──すぅ!!」
「これ解きなさいよボケガエル!何するつもりよ!」
股の間のケロロを追い出すのは困難。太ももに挟み苦しめる事で自主的な反省を促す。
しかしケロロも負けずに両手で突然の奇襲に応じる。ぐぐぐぐぐぐっと足を閉じる力と開ける力が反発する。
いつも蹴られたりしている鬱憤、軍人の底力を見せてやる!とさらにバカ力を捻り出し、夏美の力を上回る。
ジリジリとV字に開かれているチャックの間から見える下着に近づいていくと夏美の表情にも切羽詰った焦りが浮かぶ。
夏美に勝っている優越感に浸ると気分が乗ってくるというもの。
にやにやした笑みを浮かべると、舌を思いっきり出し、目の前の下着を唾液で湿らせる。
抗議の声も今は悪戯心と優越感を満たすものにしかならなかった。
一番届きやすいのは性器の恥丘の下。クリトリス。舌の先をそこにあてる。
「そんなとこっ・・・んっ!──や、やぁ、あ、ぁ・・・あぁぁ!ボケガエ──んんぅ」
ぐりぐりぐりぐり。舌先でそれを動かすと夏美からは我慢しきれない声が漏れる。
唾液で湿った布が敏感な部位を擦り、擦り、擦り、擦り。
時折違う動きをすれば、ビクンと体が素直な反応を見せる。
既に足には力がなく、ケロロの手は添えるだけとなっていた。
舌を休め、夏美の顔を見れば、目を閉じ、はぁ。と吐息をついていた。
見えた瞳は潤み、何かを求めるようにケロロの丸い目を捉える。
これが雰囲気に流されるというものか。それとも「体が火照っちゃって我慢できない!お願い、頂戴!」というアレか。
─自分から襲っておきながら、なんだか普段見ない可愛い夏美殿に気恥ずかしくなってきた。(後悔はしていないが)
懲らしめている(お仕置き中)の主の如く思考を切り替えるケロロ。
──それにしてもエロい体しているでありますな。
しまった、これではただのエロオヤジではないか。ローアングルから見る夏美殿の体につい本音が。
えぇい!もうとにかく攻めちゃうもんね!もっとエロい夏美殿を誰より早くたくさんみるもんね!と思ったが勝ち、下着の中に手を入れる。
ぬる。とした感触はきっと自分の唾液ではない。ぬるぬるを先ほど攻めた場所まで持っていく。ぬる。ぬるぬる。
ケロロが手を動かせば動かす程夏美の腰が悩ましく動く。
指で虐めれば声が上がる。手を止めると、ひくひく痙攣している場所からまたぬるぬるが溢れる。
夏美は既に肩で息をしていた。
「夏美殿ってばやらしーい。ここがひくひく動いているでありますよ」
調子に乗って冗談めかしく言うケロロ。
緩んだ夏美の脳みそが途端に目を覚ました。
刹那ケロロのバランスを崩させ、蹴りが届くようにする。そして勿論蹴る。
ゲロッ!と対応に遅れたケロロが風呂の壁に張り付く。
──私の・・・バカ。だけど、ボケガエル、あんたはもっとバカ。
初めての快感に酔ってしまった後悔と情けなさと羞恥と他複雑な乙女心エトセトラ。
いろんな感情を吐き出すべく溜息をつくと、拘束された手を口使って頑張って解く。
ひとまずは湿った下着のまま服の乱れを直すと、動かないケロロ(気絶)を抱き上げる。
「順序が違うでしょ───ほんとボケガエルなんだから」
性的な意味でなく、恋愛的な意味で呟いた。
〜fin〜
結局自重しなくてごめんなさい。
他の方を待つためのほっしゅほしゅ、暇つぶしに。
キタ嗚呼嗚呼!
何を隠そうケロ夏大好物であります!
もしよろしければ続きをお待ちしているであります!
ケロ夏好きだ!GJ!
ご馳走様でした。
スレの皆様、お久しぶりです。
◆HegzoUyjQsさんが来て下さったことでスレに往時の活気が戻ってきたこと、
及び、作者の現実世界での生活が少々変化致しました事に鑑み、
>>133をもちまして投下の終了とさせていただきます。
本作品は、保守用の小ネタとしては壮大なストーリー展開を予定しておりました。
その内容は、軍本部からの最後通牒に腹を括ったクルルとケロロの共同謀議によって、
先ずギロロと夏美をくっ付け、次に桃華と冬樹(書かせていただいたのはここまで)、ケロロとモア、
ドロロと小雪、そしてクルルと秋を離れられない位の強さでくっ付けて(つまり、同意の上のハニートラップ)、
地球を無血占領するために訪れたケロン軍との交渉に、
桃華から懇請された冬樹と予めクルルから事前に説明を受けていた梅雄が当たり、
同軍と戦おうとする夏美をギロロが必死で止め、
クルルと軍本部の秘密の合意に気付いたドロロは「それは人の心を弄ぶものだ」とそれを怒るけれども、
小雪との関係を軍法会議で問うと脅かされて沈黙してしまうものの、
ケロロ小隊と関係の深い地球人を『名誉ケロン人』にするということで軍幹部たちとケロロ小隊が妥協し、
かくてケロン軍の地球無血占領が完了する、というものでした。
また、ケロロとモアの組み合わせは、もし同軍がクルルとの事前調整を反故にして武力侵攻の挙に出た時は、
モアからモアパパに働きかけてケロン軍とケロロ小隊と間に仲裁に入ってもらおうという、
クルルが考えた一種の『保険』として構想しました。
なお、本作品の保管庫への収蔵は辞退させて頂きたく思います。
長い間のご愛読、本当に有り難うございました。
めんどくさくなった、と一言いえばいいのに。
>>173 今まで乙でした 良ければ又来てくださいね
>>174 ◆K8Bggv.zV2氏が投下を始めた時のここの状況知ってて言ってんのかよ
お前こそ「僕、オナニーは得意だけど日本語読むのは不得意だから、長文読むのが辛かった」って正直に言ったら?wwww
自宅警備の夜勤中の書き込み乙
>>175 >◆K8Bggv.zV2氏が投下を始めた時のここの状況知ってて言ってんのかよ
そんな事情、誰も興味ないって
なるほど ◆HegzoUyjQs=
>>174ね 失礼しました
>>178 誰かこの超理論を説明してくれ。
俺には何をどうしてそういう結論になるのかわからないんだ
ただのアンカミスだろ
一通り見たんだが、ダークケロロの話はないんか
>>◆K8Bggv.zV2
長い間乙でした!
書き手にしてもROMにしても、また来てくれるといいな。と思います。
>>178 違うよ違うよ(';ω;`)!
突然ですがクル夏投下。クル夏好きはあまりいないみたいだけれども・・・。
夏美オナニー要素含みます。
−−−−−
エロ本。18歳未満の所有、閲覧は禁止されている。
それが、何故弟の部屋にあったかは分からない。ただ、偶然にも見つけてしまった。
そして疼く好奇心を抑えきれず、気付いた時にはしっかりとその内容が脳に焼き付いて離れない。
冬樹の部屋に勝手に入った事がまずよくなかった。
はさみを借りるという些細な理由でも、家族間のプライバシーというものは大切だとしみじみ思う。
文房具なら机の一番取り出しやすい引き出しに入れているものという偏見は間違いではなかったのだが、同時に何かを一時的に隠し、忘れてしまう場所でもあったようだ。
引き出しを開けた途端に、どーん。と見せられたのは平面に描かれた女の子。
前かがみのポーズに、両手を自らの股間にあて、頬は羞恥色に塗られ、口から唾液を垂らす、濃厚に塗られたイラストはいやらしさ満点だった。
家族として、すぐに見なかった事にするのが一番良い対処なのだが、夏美の好奇心と外出したばかりの弟の帰宅時間の想定が『見てから見なかった事にしよう』という悪魔の囁きを支援した。
開いてみればそれは漫画の短編集のようなもの。
一人の部屋。誰もいない。えっちな事しても・・・ばれないよね?もし自分の大事なトコロを触られたら・・・。
あ、あぁん。なんか自分で弄ったら気持ちいいよぉ。手が止まらない・・・!もっと気持ち良くなるには・・・あぁぁぁ!ココ弄ると気持ちいい!
ぁ!お兄ちゃん勝手に部屋に入らな──えっちな事してるのバレちゃったぁ・・・でも、もう気持ちいいの止められないよぅ。
ねぇお兄ちゃん、なんだかもっこりしてるよ?あ、お兄ちゃんもしかして・・・。ねぇ、お兄ちゃん私と───
「夏美?居るのか?」
「ななななにギロロ!?」
突然の呼びかけに光の速さで本を元に戻す。片付けた直後、手には何も持っていないが、なんとなく背中で手を揉み解す。
焼き芋の誘いに「た、食べる食べる」と応じてギロロより先に縁側に向かう。
「・・・冬樹の部屋で何をしていたんだ?」「ち、ちょっとはさみを借りただけよ」「・・・そうか」となんだか挙動不審の夏美にとりあえずの形でギロロは納得。
その後は1人と1匹縁側に並んでもぐもぐと焼き芋の甘さを堪能した。
その日から、夏美は自分を慰める夜が始まる。
あの漫画の女の子の痴態を見てからというもの、夜、ベッドに入ると、秘部に手を伸ばしてしまう。
はじめは少し下着越しに擦るだけ。次の日は指先でクリクリと。その次の日は──。
誰に犯されているだのの妄想は特にない。ただ、自身が誰にも言えないような事をしている背徳感。それでも手を伸ばしてしまう体の疼き。
そんな淫らな自分に興奮して濡らしていたのかもしれない。
慰めて、気付いたら腰を自らほんの少し浮かしていたり、そしてそれがこの快感をさらに高めてくれる事も発見した。
快感を高めて、高めて、高めて・・・・・疼く体をベッドに丸めて朝を迎える日々。
「クーックックック。今夜もオナニーか」
大画面に映し出されるもぞもぞと動く毛布。枕に乗せた頭も映る表情は寝る前の余興に浸っている。
クルルのラボではその映像が生中継されていた。
日向家に取り付けた隠しカメラも、いつしかどんどん追加されていった。
暇だし風呂でも覗くか。夏美の体が成長しているな、データでも取っておこう。着替えも覗いてブラジャーのサイズでもチェックするか。
なんだ日に焼けた肌も結構綺麗だな。覗かれてるとも知らずなんとまぁ無邪気な寝顔。ローアングルもまた堪らないな。ついでにここにもつけとくか。
気付けば机の上、枕の近く、床から天井への斜め目線と夏美の部屋のカメラだけが必要以上に増えていった。
思春期かコノヤロー。と自分で自分に突っ込む。そんな自分の苛立ちをこの女が悪い。と八つ当たりに思っていた矢先のオナニー映像。
───これ、イってんのか?
ふとした疑問。やり始めの頃よりは腰を少し上げたりしてまぁ気持ちいいのだろうが、それにしてもオナニーの時間が短い。
当人の体感では長く感じるのかもしれないが、実際3分としていない。
しばらく思考して、腹の底が笑う。イイ事教えてやろうじゃないか。と。
次の日。アンチバリアで見えなくなった状態でクルルはある物を持って夏美の部屋に潜む。
夏美はいつものように一頻勉強に勤しむと、ベッドに腹ばいになり何やら雑誌を読み、あくびが出た所で電気を消して布団に潜り込んだ。
布団に入ってから自慰行為に至るまでにしばしの時間があるのは、少女の理性と本能の葛藤。
やがて本能が勝ると、横に向き直りもぞもぞもぞもぞ。
──さて。楽しませてくれよ。
事前に部屋から音が漏れないバリアを張った今、準備は完了している。
手に持っているのは、スイッチをオンにするとちょっぴり煩い振動音を立ててぶるぶる震えるアレ。
「お楽しみだな」
「へ? え、えぇ!? ちょ、ななななな」
突然の出現に目を丸くし、途端顔を真っ赤になる夏美。
とりあえず飛び起きベッドに座るが、クルルとより多く距離をとるため壁に背中をくっつける。
一呼吸置いて「何しにきたのよ。覗きなんて悪趣味よ」とは言うが真っ最中だった彼女の未だ朱に染まっている顔には特に凄みもない。
さらに事前に拘束用として待機させていたニョロロに合図を送る。ひょこり、と姿を見せたニョロロに夏美に嫌な予感を過ぎらせる。
「まさか・・・──いやぁぁぁぁ!」
夏美は抵抗から逃亡への作戦変更も虚しく、後ろ手にされ足を引っ張られバランスを崩す。
うつ伏せで足元にいるついでとばかりに下半身を露出させられる。
即座に使命をまっとうし、想像以上の働きのニョロロに満足するクルル。
お尻をよく観察できる位置に移動すると彼はアレのスイッチをオンにした。
ヴヴヴヴヴヴという変な音に、驚き振り向こうとするがうつ伏せではなかなか首の自由がきかない。
「な、何よソレ! 今なら許してあげるからやめ──」
「上から言える状況じゃねーだろ淫乱女。クーックックックク」
「い、淫乱じゃ──っ!」
「オナニーでこんなに濡れてやがる。何想像してたんだかな」
尻を上げさせて性器に触れやすい体制にさせて、さっそくそこに触れると愛液が手につく。
誰を想像していたか予想は出来るがそれが妙に頭にくる。苛立ちついでに先ほどからヴヴヴと煩いやつを性器にあてる。
ビクッと夏美の体が驚く。
「何──ぁん──っ! や・・・ぁ!」
「淫乱には丁度いい玩具だろ?ククク」
「やめ、てぇ・・・・・・あぁ・・・やっ・・・」
「ここを自分で弄ってたんだろ?」
クリトリスに強く押し付けると、夏美は一層高い声を上げた。
びくびくと震える腰。初めての快感に体がついてきていないようだ。
問いかけに否定しないのは肯定の意。否定したとしても事実だ。
今、クルルの力加減一つで彼女は微弱の振動に足を震わせ、大きな波に体を反らせる。
──なんか楽しくねぇ?
おもむろにスイッチを『強』にする。
「ふぇぁ! ──あぁ! はぁ、んっ! あ、あぁぁぁぁぁぁ!!」
動ける範囲を腰が逃げ回る。
勿論たいした移動が出来ないその場所を逃がすはずもなく、動きに合わせて玩具もついてまわる。
「おねが──っ! だ、めぇ! 変、なる──っ、ぁぁ!」
「ほーれ、ほーれ」
「やだぁ! もう、だ───ん、あ、あぁぁぁぁぁ!」
──おもらし?いや、これが潮吹きってやつか。
しつこくに攻めすぎた。予想以上にシーツの上に滴る水分を見るとちょっと焦る。
大丈夫なのかコレ。一度スイッチをオフにする。
びくん、びくんと最後の波を受けると夏美は息を整える事に専念していた。
「は・・・ぁ、はぁ。くる、クルルぅー・・・あんた──」
「なんだまだ元気だな。クーックックック」
「え、ちょっと! 無理に決まって──!」
──今絶対生意気な事口走ろうとしやがった。
喋れるなら元気。そう断定してスイッチをオン。
一度イって敏感になったクリトリスはもはや刺激が強かろうが弱かろうが関係なく、未知の快感を夏美に与える。
勿論、強く的確な場所への刺激はそれ相応の快感となる。
「あ・・・・はっ──だめ! も、だめ、だ、って──あぁ、はぁ! あぁぁぁ!」
しばらくして、また、びくん、と大きく震え、掠れるような声が聞こえたのを機に、スイッチをオフにする。
今度は何か言う様子がない。動かない。
否、酸素を求めて肩が動いている。ニョロロが離れると布団に埋もれる。
──気絶?
まだ楽しむ予定だったのに。と手の玩具を持て余す。
快楽に困惑する顔を見ておけばよかったと少々の後悔はあった。
が、今度大きい玩具で処女喪失の痛みに耐える顔を見よう。その次は快楽に溺れていくのを堪能しよう。
さらにその次は・・・──先の予定を考えてクルルは一頻いつもの笑いを木霊させた。
笑い済んだらちょいちょいと汚れを始末して夏美を温かくして寝かせた。
〜fin〜
あのウネウネした長い触手みたいなのってニョロロだったっけ・・・と自信がないですが・・・。
GJです!
クル夏いいなぁ
GJ! 夏美受けならなんでもおいしい。
ていうかエロ本隠してる冬樹君にちょっと萌えてしまったw
age
貧乳くのいち小雪って需要ありますか?
191 :
名無しさん@ピンキー:2008/10/22(水) 12:19:11 ID:afH/mTp8
アリサは俺の嫁で、小雪は俺の愛人だよ
今月のエースのケロロはタママやギロロが怖じ気付かなきゃ間違いなく18Rな展開になったはず
ボスのケロロに秋ママが凌辱されるSS希望
195 :
名無しさん@ピンキー:2008/10/28(火) 19:31:55 ID:8pCxh/vR
アゲ
196 :
名無しさん@ピンキー:2008/11/02(日) 02:20:47 ID:qDQQxm8e
それにしても、レスもSSも少ないな
とりあえず保守
プルも小説に出してくれ〜〜〜〜
198 :
名無しさん@ピンキー:2008/11/06(木) 00:12:18 ID:rIxH5zLy
保守
199 :
名無しさん@ピンキー:2008/11/08(土) 05:00:55 ID:eDC+wlPo
カラチロのレズ小説下さい。
200 :
名無しさん@ピンキー:2008/11/08(土) 18:20:39 ID:P0rTbVrg
以外にここも持つねぇ
んで ちびの話を書いてください お願いします
夏ギロ読みたい。
書きたい。
>>201 はげど
逆なら多いけど、あえてそのカプで読みたい
逆カプか…
プルガルとか雪ドロとかモアタマとか見てみたい
秋冬はありがちすぎるか
205 :
名無しさん@ピンキー:2008/11/17(月) 00:03:21 ID:UsGklq9d
hosyu
気長に待つ
仔プルを〜〜
それかDケロを〜
208 :
名無しさん@ピンキー:2008/11/22(土) 11:43:20 ID:4Rll2s2z
そういえば劇場版3ネタのSSって無いな
209 :
名無しさん@ピンキー:2008/11/23(日) 11:41:08 ID:KsEI+c81
だからこそやるべきかと
夜、日向家、冬樹の部屋にて
部屋の主は2冊の冊子を本棚から取り出す
その冊子は両方ともアルバムであり学校行事での写真が詰め込まれている
そう、例えば修学旅行や運動会等が定番だろう
アルバムの適当なページを開くと主である冬樹少年は服を脱ぎ捨て、一糸纏わぬ姿となった
何枚かの写真とにらめっこらしきことをした後に少年は自身の尾を握りしめ、そして扱き始めた
少年の相手の定番は普段学校でつるんでいる青髪の少女だ
付き合ってこそいないが常に近くにいる分意識してしまうことが多く、たまに今夜の様に発散する必要に迫られる
ちなみに今夜はプール開きの写真である
最初は四つん這いで扱いていたが気持ちが高ぶったのか発情期の室内犬の如くクッション相手に腰を振り始めた「はあっはあっ・・・西澤さん・・・!」
放出が近くなり再び手による刺激に切り替える
「も、桃華!いく「久しぶりだな冬樹」
・・・・・・
硬直する少年をよそに詰め込みすぎ教育で微妙に空気の読めない元王は持論を述べる
「冬樹よ、桃華が好きならはっきりと告白した方が良いぞ。そうやって溜め込むのが一番良くない」
>>210続き
本人曰く「我はもう王ではないが、友達としてアドバイスをしてやっている」とのこと
友達相手に微妙に尊大な態度で話し終えた元王は踵を返し
「もう一人の我に会ってくる。今日1日はペコポンにいるから、何かあったら友達である我に頼ってくれ。何でもしよう―」
バタン
ドアが閉じられ残された冬樹少年
突然の乱入で尾は萎える一方で放出を止められたために体はまだ軽く興奮を続けている
「・・・」
写真を変え、硬さを失った尾をしつこく扱き始めた
「・・・」
冬樹少年のなんとなく寂しい夜はまだまだ長い―
続くかもしれない?
続いてほしいかもしれない
213 :
名無しさん@ピンキー:2008/11/27(木) 17:04:49 ID:paLpVIiy
214 :
名無しさん@ピンキー:2008/11/29(土) 09:57:08 ID:/pJU7F8f
まぁ・・・うん
・・・いいんじゃない!!?
どせならDケロで 書いて欲しかったがw
軍上層部による夏輪姦フラグ立ちますた
326はカエレ
216 :
名無しさん@ピンキー:2008/12/02(火) 11:17:29 ID:hgExMKQD
ほとんどなさそうなギロモア、ドロモアに興味あり。
217 :
名無しさん@ピンキー:2008/12/02(火) 23:11:48 ID:kllFe6gt
プルタマねーかな
夏ギロとか書いたら読む奴おる?
>>218 全力で頭じべたにこすりつけておぬがいしちゃいます。
書いてください。せひぜひ。
めっちゃ見たいんですが!! 夏ギロ!
この二人の組み合わせなら何でもOKですから!
221 :
名無しさん@ピンキー:2008/12/05(金) 21:24:03 ID:BRbImhkV
ギロ夏もかな〜り好きだがやっぱ
いつも見ないCP見たいな〜
222 :
名無しさん@ピンキー:2008/12/09(火) 08:50:46 ID:db+Pyppe
ほすあげ〜
>>218 夏美攻め派の自分には涎モノです!
書いてください。
夏ギロ萌え!ギロ夏あるのに夏ギロ少なくて悲しい・・・
そのころ日向家近辺は、カエルたちの鳴き声に包まれていた。
・・・といっても別に、軍曹達が共鳴していたわけではない。
「あ〜もう、うるさい!このカエルの声なんとかならないの?!」
夏美が耐えかねて耳をおさえ、叫ぶ。
「ハハ・・・。たしかにスゴイ声だよね。」
「笑い事じゃないわよ冬樹!・・ただでさえ普段からカエルどもには悩まされてんのに、このうえ本物の蛙まで来られちゃたまんないわよ!―――いったいどこから聞こえてくるのかしら?」
「ああこれ、東谷センパイの家からだよ。」
「――――小雪ちゃん家、から?」
冬樹が読んでいたオカルト本を脇において、説明する。
「あのね、宅地造成で近所の池が埋め立てられちゃったんだって。いま蛙の繁殖時期だから、せめてその間だけでも・・・ってドロロがおとなりにため池を作って保護してるらしいよ。
卵が生まれたら田舎へつれていくって言ってたから、それまでの辛抱だよ。」
「う〜ん・・・まあ、そういうことなら・・・。」
夏美がしぶしぶ納得する。
「―――まあ、本物の蛙にツミはないもんね。・・悪ダクミするわけじゃないし。
オフロにでも入って気分をリフレッシュしようかな。」
本の続きを目で追いながら、冬樹もニッコリ笑った。
「そうしなよ。さっき軍曹がおフロ洗っていたからちょうどいいんじゃない?」
・・・さて、その日のフロ掃除当番・われらがケロロ軍曹は―――
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「ゲロ〜〜〜今日もピカピカに磨き上げたであります!」
ケロロ軍曹は、腰に手をあてて自分の作業の成果をながめた。あたりに満ちる蛙の鳴き声が、こころなしか自分の偉業をたたえる歓声に聞こえる。あとは洗剤を流すだけだがまだ水が冷たいこの時期、水作業は
正直気が乗らなかった。――我輩こんだけガンバッたんだし・・あったか〜いお湯で流すくらい、イインジャネ?
思い立ったら即座に実行!が彼・ケロロ軍曹のポリシーである。
過去にそれで何度も事件を引き起こし、そのつど痛い目にあってきたわけであるが―――。このときも即刻シャワーの給湯で熱い湯をひねり出した。モウモウと湯気が立ち、洗い場の鏡が白く曇る。
からだを包む湿気に気分がますます高揚する。うかれて石鹸を足に履き、軍曹はかるくスケートのようにすべらせてみた。
――――――ヲヲヲヲッ!ちょ、ちょっとこの動き!なんかドムのホバーみたいでカッチョイイでありますッ!
「フハハハハハッ連邦の白いモビルスーツめ!覚悟するでありますッ!」
湯の噴出するシャワーの首をオルテガハンマーのように両手で頭上にかかげながら、調子にのって洗い場をところせましと滑走する。のけぞって高笑いをしようとしたところで、ふいに足元の石鹸がはずれた。
「ゲロ―――――――――――――――ッッ!!」
大きくもんどりうって水道の角で腰を打ち、そのままフタが半分閉じられた浴槽の中へと転がりこむ。シャワーの首がお湯を吐き出し続けたまま床に転がった。立ち上がろうとしたがあまりの激痛に声が出ない。
いれちがいに夏美が入ってきた。この惨状をみて、怒りに声をふるわせる。
「・・・あのボケガエルッ!またやりっぱなしでッ!!」
夏美は軍曹の存在には気がつかない。
(・・・・な、ナツミドノッ・・・たすけて、でありますっ・・)
「お湯がもったいないじゃない!――あとでとっちめてやらなきゃッ!!」
夏美は浴槽の栓がはまっているのを目で確認して、シャワーのカランを水道側に切り替えた。
もうすこし奥まで覗きこんでいさえすれば、軍曹が浴槽の隅で倒れていたのを見つけられたであろう。
だが・・・怒り心頭の夏美にそんな余裕はなかった。
(ナツミど・・・・ゴボッガボガボゴボゴボ・・・ッ)
―――この瞬間、せまいオフロ場はさきほどからのシャワーにより充分暖められ、局地的に軍曹の故郷であるケロン星の湿度にかぎりなく近づいていた。この湿気とあたりに満ちみちる発情期の蛙の鳴き声・そして
夏美にたいする暗い復讐心がケロロ軍曹にかつてない変化をもたらし、やがては甚大な被害を自分にもたらすことを、このときの夏美はまだ知るよしもないのであった―――――。
そして夏美は鼻歌を歌いながら、脱衣所でシャツを脱いだ。
―――ん〜、なんか・・また育っちゃったかなァ。ママみたいになると体育の授業ん時にからかわれるし可愛いデザインの服がなくなるし・・・困るなァ。
タオル一枚をからだに巻きつけ、湯気に満ちたオフロ場のガラス戸をひらく。洗い場にしゃがんで水道のお湯を止める。かかり湯をしようとオケを湯船に沈めかけると、ガツンとかたい手ごたえを感じた。
・・・・・ガツン?
とたんにオフロ場にダース・ベイダーのテーマが高らかにひびきわたる。
オケを押しのけて水面が渦をまき、異様な盛りあがりをみせた。あまりの出来事に
あいた口がふさがらない夏美をよそに、水面は高まりつづける。そして・・・。
ぐぽ〜〜〜〜〜〜〜〜ん!
――――――――嫌な機動音をひびかせて、ケロロ軍曹が登場した。
「ち、ちょっとボケガエル!なにしてんのよッ!」
「―――それはこちらのセリフであります・・。キュートでケナゲな我輩がコシを強打して湯船で倒れているにもかかわらず、カイホウどころか熱湯をお見舞いしてくれるとは・・・。
我輩チョーブッチギレでありますッ!・・オノレ夏美殿、いやポコペン人日向夏美め!今日こそ目にモノみせてくれるわァ〜ッ!」
コホオォ―――ッと不気味な呼気を吐き出しながら、軍曹が両手ぶらリ戦法のかたちで体をゆらめかせる。
「いいからさっさと・・・出ていきなさ――いッ!!」
状況を思い出して、夏美が渾身のパンチを軍曹のボディにあびせかける。当たった瞬間、拳がぬるりと滑った。いつもならガラス窓を突き抜けて、おとなりまで吹っ飛んでいくはずの軍曹が今日に限っては微動だにしない。
「・・・な、なんでッ?!」
「フ、フフフ・・・ふはははははッ!今日の我輩はひとあじ違うのだよ・・・ッ!」
夏美は驚愕の表情で軍曹を見つめる。つやつやつやつや・・と、肌に異様な光沢があった。――こ、これってもしかして・・・梅雨の時のアレ?!
「そのとおりッ!アノ頃の我輩だ!しかも・・いつものアノ頃ケロロをマスターグレエドとするならば今日の我輩はパーフェクトグレエドVer,Er!(←十八禁仕様のことらしい)!!
―――発情期のカエルさんたちのタマシイの鳴き声が、我輩に原初のパウァーを思い出させてくれたゼ・・!覚悟するがいい日向夏美ッ!これから大人仕様の我輩がッ!ちいさなお友達立ち入り厳禁なスッゲーことをしてくれるわッ!!」
メゲメゲメゲメゲ・・・とこれまた嫌な呼吸音?をたてながらじりじりと軍曹が夏美に迫った。からだに巻いたタオルの端をむんずとつかまえる。
「さ・・・させるものですかッ!」
夏美も必死でタオルをおさえる。軍曹の手を叩き落そうと手が触れた瞬間、またもやヌルンと滑った。
「ハアァ―――ッッ!!!」
奇声とともに、唯一の砦であるタオルを奪われてしまう。
「イヤアァ〜〜〜〜〜〜〜ッ!」
夏美はあわててからだを隠してしゃがみこんだ。この格好ではもはや反撃できない。
「みるがいい日向夏美。我輩のこの動きを・・・ッ」
軍曹が左右にゆっくりとからだを振りはじめる。その手の動きはまるであの伝説の男のように北斗七星をかたちづくっていた。しかもだんだんと動きが速くなる。それをみているうちに夏美の頭が、なぜだかぼうっと霞んできた。
「さあ、とりあえずは数々の無礼を・・・土下座して謝ってもらうでありますかな?」
「バ、バカいわないで。それはアンタが・・・ええッ?!」
言っているそばから夏美のからだが、意思とは逆に軍曹に向かってひざまずく。
「ゲーロゲロゲロ。よい格好でありますな。夏美殿が催眠術や洗脳電波にかかりやすい体質であることは夏の海岸や623のペンですでに立証済みであります!
・・・さて、ここはエロパロ板にふさわしく、我輩にご奉仕をしてもらうでありますかな?」
「・・・そ、そんな――ことッ・・・んッ、んんんッ!」
浴槽のヘリにドッカと座りこんだ軍曹に、夏美のからだが引き寄せられる。
ひざまづいたかたちのまま、意思に反して夏美は自分から軍曹に唇を重ねた。黒々とひらいた瞳孔が大写しになる。そのしまりのない口に自分から舌を挿しこむ。自分のしていることが信じられない。だが、止められないのだ。
「んう・・ッ・・・ん、ん〜〜〜ッ!」
夏美のキスの奉仕を受けていた軍曹が、いったん口を離してふんぞりかえった。
「―――どうしたのかネ?夏美殿・・・おててがオルスでありますよ?
我輩の股間のMSM−04アッガイの、ヘッドユニットの面倒を見てもらえますかな?
・・・大気圏突入時に耐熱フィルムは出ないが、かわりにもっとスッゲーシロモノが飛び出すことでありましょう。ゲロゲロゲロ・・・。」
言葉の意味はよくわからないが、なにやら非常にヒワイなことを言われているらしい。
ぶっとばしてやりたいが、からだがいうことを聞かなかった。
それどころか、いわれたとおり軍曹の下肢のあいだに手が動いてぎょぎょっとする。
自分のゆびがその未知の器官をそっと包み、前後にさするのを夏美は気が遠くなるような思いで眺めた。
手のなかのその器官が徐々に膨張する。手を動かしつづける夏美の顔に、ケロンスターのついた白い腹が押し付けられる。
このガンプラ職人のからだに染みついたシンナー臭が、鼻をついた。その腹部にキスをする。というか、させられる。
手の動きはそのまま、だんだんと自分の顔が下方にむかって下がっていくことに夏美は慄然とした。
「夏美殿・・・。表面処理はていねいに、であります。バリが残っているとあとで引っかかってイタイ思いをするでありますよ?」
この場合、実際には丁寧にすればするほど逆効果なのであるが――――。
夏美にはそんな知識もなかったし、そもそもそんな考えをめぐらす余裕もなかった。
そんなことより自分の唇が、白い腹部のさらに下―――股間のアッガイにむかってすすんでいくことにパニックに陥る。
夏美のちいさな唇がふるえながらひらかれる。アッガイのモノアイ軌道路に舌がふれた。
舌の先がモノアイ軌道路をつたって、つつつッ・・と105mmバルカン砲射出口をからめとる。唾液が糸をひいた。
さらに伏せようとする自分の頭を懸命に阻止しようと努力する。
夏美の逡巡に業を煮やした軍曹が凶悪な糸目になって、その頭をガッシとつかんで引きおろした。
軍曹のパーフェクトグレエド・アッガイが夏美の口の中を乱暴に侵略する。
「んッ!んぐッ・・・ん―――――〜〜〜〜〜〜ッ!!」
そのくるしさに涙目になりながら、夏美は心のなかで必死に叫んだ。
―――そんな、このままいったらあたし・・ッ・・ダメ!こんなのダメェ〜〜〜ッ!!
からだの強制するままに、身をのりだした夏美のひざがふいにすべった。洗い場の床がそこだけ白くぬめっている。
―――じつはその部分は、軍曹がドムごっこをした際に流しそこねた石鹸の跡だったりするわけなのだが・・・。そんなことは夏美は知らない。ただ滑ったことでからだのバランスを大きくくずし、そのまま軍曹の腹にもろ頭突きをカマすかたちになった。
「オウッ?!」
そのまま軍曹ともども、浴槽になみなみと張られた湯の中へなだれこむ。
夏美のくちのなかに、あきらかに湯ではない苦い液体が満たされた。と、同時に
湯へ飛びこんだショックでからだの拘束が解ける。当然夏美は、ひたいに青筋を浮かべて立ちあがった。
「ボ〜ケ〜ガ〜エ〜ル〜〜〜ッ!!!」
湯船にへろへろと浮かぶへっぽこ侵略者の頭部を片手でわしづかみ、そのまま持ち上げる。
その憤怒の表情に軍曹は、ややビビりながらも果敢にファイティング・ポーズをとった。
「おッ・・や、やる気でありますか?このパーフェクトグレエドな我輩に、かなうものなら・・・。」
夏見が空いている手で、オフロ場の窓をガラリと開けた。―――春間近とはいえ、空気はまだまだ冷たい。
たちまちオフロ場の暖気が消え、ツヤツヤと照り輝く軍曹の肌もその光沢を失う。タオルを巻きなおした夏美が、じりじりとせまった。
「アンタ・・・。ぶつけた腰はもう平気なの・・・?」
「ゲロッ?―――イヤもう、なんともないでありますが・・・・。」
「・・・・倒れてたアンタに気づいてあげられなくて悪かったと思うし、そこは反省してるわよ?でも・・・でもね・・・・ッ!」
「ゲ・・・・ゲロ・・・・夏美殿・・・?」
「飲んじゃったじゃないッ!どうしてくれるのよバカ―――――ッッ!!!」
「ゲ――――ロ―――――――――ッッ!!!」
うなりをあげる夏美のアッパー・カットをまともに浴び、軍曹はキリモミしながら戸外へと飛んだ。
蛙たちの合唱がひときわ大きく聞こえる。昼間だというのに、軍曹の目には満天の星空が見えた。
――ワァ、きれいなお星サマだナァ。北斗七星が良く見える。その脇に輝くちいさな星までも・・ウフフフ・・・。
―――それ以降、ケロロ軍曹が「アノ頃ケロロ・大人仕様」になったという話は聞かない――
[END]
土曜日、午前8時。
週休2日制だから、今日は学校は休みである。
アスカはリビングで面白くなさそうな顔つきで、レモンティーを啜っていた。
キッチンの方で洗い物をしているキョウコは、知らぬ顔をしているが内心面白くて仕方がない。
娘の不満の原因を承知しているからである。
それは…。
まったく!
ど〜して、土曜も日曜も学校は休んじゃうのよ!
お休みだったら、シンジに会うのに理由をつけるのが難しいじゃない!
あ〜あ、小学校の間だったら、『あっそぼっ!』って簡単にお隣へ行けたのにな…。
つまんない…。
やっぱり何かの部活に入って、シンジともっと会えるようにした方が良かったかな?
2年生だから、今更どこかに入るわけにはいかないわよねぇ…。
ま、部活をしていないおかげで、シンジと勉強する時間ができるってもんだけどね。
シンジの成績がいいのは、この天才アスカ様のおかげだって、ユイおば様から感謝されているんだから、
このシンジのお部屋でうっとりする2時間……じゃない、復習と予習の2時間は確保されてるってわけよ。
もうっ!何か、シンジに会えるネタはどっかにころがってないの?
「ママ!回覧版ない?」
「ないわよ」
キョウコの背中が微かに震えている。
昨日の夜、回覧版をだしにして3時間以上お隣に居座ってきたのは、いったい誰?
母親に笑いものにされているのも知らず、アスカは必死に考え続けている。
お隣に侵攻できる作戦はないものかと。
土曜日、午前8時。
週休2日制だから、今日は学校は休みである。
アスカはリビングで面白くなさそうな顔つきで、レモンティーを啜っていた。
キッチンの方で洗い物をしているキョウコは、知らぬ顔をしているが内心面白くて仕方がない。
娘の不満の原因を承知しているからである。
それは…。
まったく!
ど〜して、土曜も日曜も学校は休んじゃうのよ!
お休みだったら、シンジに会うのに理由をつけるのが難しいじゃない!
あ〜あ、小学校の間だったら、『あっそぼっ!』って簡単にお隣へ行けたのにな…。
つまんない…。
やっぱり何かの部活に入って、シンジともっと会えるようにした方が良かったかな?
2年生だから、今更どこかに入るわけにはいかないわよねぇ…。
ま、部活をしていないおかげで、シンジと勉強する時間ができるってもんだけどね。
シンジの成績がいいのは、この天才アスカ様のおかげだって、ユイおば様から感謝されているんだから、
このシンジのお部屋でうっとりする2時間……じゃない、復習と予習の2時間は確保されてるってわけよ。
もうっ!何か、シンジに会えるネタはどっかにころがってないの?
「ママ!回覧版ない?」
「ないわよ」
キョウコの背中が微かに震えている。
昨日の夜、回覧版をだしにして3時間以上お隣に居座ってきたのは、いったい誰?
母親に笑いものにされているのも知らず、アスカは必死に考え続けている。
お隣に侵攻できる作戦はないものかと。
そのお隣から、鴨が葱を背負ってきた。
「キョウコぉ、いるぅ?」
いるに決まっている。
ユイが惣流家の扉を開けるときは、必ずこのセリフなのである。
「いるわよっ!」
手を拭きながら、キョウコが玄関に向かう。
相変わらず仏頂面でテーブルに頬杖をついている娘の横を通り過ぎて。
「ごめんっ!今日一緒に行けなくなっちゃった」
「えっ!ど〜してよ。あんなに楽しみにしてたじゃない!」
「それがねぇ、うちのシンジが…」
そのユイの言葉は、アスカのシンジアンテナに敏感に反応した。
アスカの眼がきらりと光り、即座に玄関に通じる廊下側の壁面に移動した。
二人の様子は見えないが言葉ははっきり聞こえる。
「あら、シンちゃんどうかしたの?」
「うん、実はね…」
もうっ!早く言いなさいよっ!
シンジがどうしたのよっ!
その途端、リビング方向からガタッと音がした。
驚いた拍子に肩で額を落としそうになったのだ。
わかりやすい。実にわかりやすい娘である。
ユイは口を手で蓋をした。むろん、キョウコも同様である。
そして、話の先を促す気配がリビング方面からひしひしと伝わってくる。
「だからねぇ、看病してくれる人がいないと、私、出かけられないのよ。うちのは仕事だし」
「あら、そんなのダメよ。優勝セールは滅多にないんだから」
「わかってるわよ、そんなこと。あ〜あ、どこかに看病してくれる人いないかしら?」
ごとごとと微かに音がする。
出ようかどうしようか迷っているようだ。
ここで、キョウコが救いの手を差し伸べた。
さすがに母親。笑いものにするだけではなかったのだ。
「ちょっとアスカぁ!アンタ、アルバイトしない?」
どたばたっ!
物凄いスピードでアスカが飛び出してきた。
「あら、アスカちゃん。おはよう」
「あ、お、おはようございます!な、何?アルバイトって!」
「あのね、シンちゃんの看病」
「ええ〜っ!馬鹿シンジがどうかしたのぉ?せっかくのお休みなのに、私ヤだな」
キョウコとユイは目だけで笑いあった。
本当に馬鹿娘なんだから、アスカは。
誰にも気付かれてないって、どうして思うのかしら?こんなにバレバレなのに。
「セールでお土産買ってきてあげるから。ねっ!」
「そうそう、おばさんも名物イカ焼き買って来てあげちゃう」
「うっ!」
シンジの看病ができるだけでなく、あのイカ焼きも手に入れることができる。
アスカは内心舌なめずりをした。
「し、し、仕方ないわねぇ。そこまで言われたら、すっごくヤだけど、看病してあげよっかなぁ…?」
首の後で手を組み天井を見上げながら、アスカは嘯いた。
「はいはい、それじゃ、さっさとお隣に行ってきなさい」
「ホントにもう…。熱出すなんて、馬鹿シンジは!人に迷惑かけるんじゃないっての」
「アスカ、どこ行くの?」
「着替えてくる」
スキップしながら階段を上がるのは危険この上ないし、下で母親二人が見ている。
浮き立つ心を必死で押えて、アスカは階段を登った。
そして、アスカの部屋の扉が閉まる音がしたとき、若々しさを失わない母親たちは抱き合って爆笑するのであった。
「き、き、着替えだって。パジャマから着替えて、まだ、さ、30分もたってないのに…」
「わ、わ、笑っちゃダメよ。で、でも、熱なんてワタシ言ってないのに…き、聞いてましたって白状してるじゃない」
階下の喧騒を知らずに、アスカは何を着ていこうか悩みに悩んでいた。
ナース服とか白衣なんて持ってないし…。
メイド服もないわよねぇ…。
クローゼットの前で腕組みをするアスカであった。
シンジは眠っていた。
ただし、息は荒く、顔色も悪い。
その顔を見た途端に、アスカは泣き出しそうになった。
可哀相なシンジ。
ワタシが治してあげるからね。
その一方ではこのまま一生シンジを看病して生きるのも健気でいいかも…と、とんでもないことを妄想してしまってもいたのだが。
散々悩んだ末の服装はというと、白のカッターにピンクの薄手のカーディガン、それにベージュのキュロット。
本人はナース風のつもりらしい。
「さてと、熱を測らなきゃね…」
出かける際に、ユイが言い残していったのだ。
今朝は熱測ってないから、アスカちゃん頼んだわよ…。
そうにっこり笑ってユイは出て行った。
任せなさい!と胸を叩きたいところだが、アスカの恋心は誰にも秘密なのである。
もっともその秘密がしっかりと保たれているのは、当のアスカ本人とシンジの超鈍感カップルだけなのだ。
中学校でもあまりに公然なカップル過ぎて、誰も突っ込みをいれようとしない。
但し、数名の猛者だけがシンジへの恋心が敗れた腹いせにアスカの目の前でわざとらしくシンジにモーションをかけてはいる。
もっともシンジは丁寧にその人たちにお断りを申し上げているので、大丈夫だと確信してごく普通に彼女たちと接している。
ただ、そのことをアスカに一言も話していないのだ。
何故ならそんなことをアスカに言って、自分はもててるんだと自慢してるように誤解されてしまうかもしれない。
そうなれば、アスカに嫌われてしまう。
アスカを好きで好きでたまらないシンジにとっては、告白されたことは絶対に秘守事項なのだ。
ところが、そうやって彼女たちと普通どおりに話していることがアスカの癇に障っていることをシンジは知らない。
それはシンジにも同情される向きもある。
彼女たちはシンジにわからないように、ちらちら見ているアスカに向かって『どうよっ!』と言いたげな視線を送っていたのだ。
単純なアスカは完全に彼女たちのペースにはまっていた。
やたらいらいらして、これ見よがしに「ベタベタしちゃってヤねぇ」などと友人のヒカリに大声で話し掛けたりする。
完全に情緒不安定状態である。
そして、「シンジ、来なさいっ!」と叫び、シンジを教室の外に連れ出す。
その後どこに行くのかは決めていないので、延々と校舎の廊下をずんずん歩いていくのだ。
「アスカ、待ってよ」というシンジの情けない声を引き連れて。
そういったことで、彼女たちはせめてものの腹癒せをしていたのだが。
さて、熱の測定である。
アスカは手の中の電子体温計を見つめた。
やっぱり、計るのって腋に挟むのよね。
アスカは次にシンジの身体の、それに該当する場所を見た。
掛け布団の下。
パジャマ。
その前をはだけて、腋に体温計を挟む…。
前をはだけて…。
シンジの裸の胸…。
ぼふっ!
アスカには自分の頬が真っ赤に染まった音が確かに聞こえた。
し、シンジの裸の胸を至近距離で見る。
そ、そうよね。見なきゃ、体温計を腋に挟めないじゃない。
そ、そうよ。これは立派な医療行為なのよ。
で、でも、し、シンジのパジャマのボタンを外すなんて…。
ぼふっ!ぼふっ!
ダ、ダメ。
想像しただけで…。
熱が出たかも。
ちょっと計ってみよっと。
……。
ピピッ。
36度5分。
何よ、こんなに暑いのに、平熱じゃない!
アスカは体温計を睨みつけた。
事実を公正に伝えているだけなのに、体温計もいい迷惑である。
「う、う〜ん…」
その時、シンジが微かに呻く。
アスカははっとした。
そうだ、看護をしなきゃ!ごめんね、シンジ!
アスカは恐る恐る掛け布団をめくった。
中にこもっていた熱がぶわっとアスカに襲い掛かる。
わっ!気持ち悪い。
でも、こんなになってるなんて、シンジ可哀相…!
アスカは頷くと、パジャマのボタンに手をかけた。
さすがに指が震えている。
白く細い指がたどたどしくボタンを外す。
ようやく一番上を外し終わった時、思わずアスカは溜息を吐いた。
そこから覗くシンジの白い肌。
アスカはフリーズした。
……。
……。
パラパラパッパァッ〜!
フリーズしながらも考えていたアスカはありきたりの回答を導いた。
「そうよ!見なきゃいいんじゃない!目を瞑って…ううん、誘惑に負けちゃあダメだから目隠しすればいいの!
私ってやっぱり天才っ!」
この世は天才ばかりなり。
ただ唯我独尊のアスカは、名案にご満悦で準備に取り掛かった。
乾いたタオルよりも蒸しタオル。
目が見えなくてもわかりやすいように、パジャマと…トランクスを整理してベッドの傍に置く。
アイマスクなど用意していないから、タオルを目に当てて頭の後ろでしっかり結ぶ。
「よし、真っ暗。これで何にも見えないわよ!」
手探りでアスカはシンジのパジャマを脱がせにかかる。
「見えないから、楽勝じゃんっ!」
運動神経や勘の良さには定評のあるアスカだ。
それほど困らずに上半身を剥き出しにできた。
シンジはそれに目を覚ますようなこともない。
時々軽いうめき声を上げるくらいだ。
その声のひとつひとつに、はっとしてしまう。
そして涙さえ瞳に浮かべている、秘めたるアスカの優しさを知るものはその両親くらいなものだろう。
実はシンジもそれを知っているのだけど、彼はそれをおくびにも出さない。
アスカが喜ぶわけがない事を知っているからだ。
複雑怪奇で変化球投手のアスカは単純ではないのだ。
ただし、そのことをシンジが知っていて黙っているということをアスカが知ったならどうだろう?
確実に狂喜乱舞することだろう。
もちろん、シンジの見ていないところだろうが。
さて、アスカの目隠し汗拭き&着替え作戦は進行中である。
上半身の汗を蒸しタオルで拭き、パジャマの上を着せボタンをかける。
その手際は素晴らしく、アスカの身体能力の良さを浮き彫りにした。
だが、次の段階でアスカは再び急停止してしまった。
作業が下半身に向かうということが、彼女の思考をループ状態へ突入させてしまったのである。
下半身…パジャマだけじゃなくて下着も取り替えないと…シンジの下着を脱がす…●△×■◎▼!
目隠しをしているが上に、アスカの想像は膨らむ一方である。
最後にシンジの裸を見たのはいつだっただろうか?
そう、あれは小学校3年生のある夏の日。
シンジが生体解剖された、あの暑い昼下がりのことである。
二人で人生ゲームをし、シンジの楽勝かと思いきや、アスカが大逆転したのである。
すべてを賭けた人生最大の賭けに勝利したのだ。
そして、勝者の権利としてアスカはシンジを解剖した。
そんなことなど約束も了承もまったくしていないシンジは抵抗を重ねたが、当時は10cmも頭が高いアスカに敵うはずもない。
哀れにも身ぐるみを剥がれた上に、全身をチェックされたのである。
もちろん、シンジはついには泣き出し、両親への露見を恐れたアスカが事実の隠蔽に努めたのだ。
簡単に言うと、シンジを脅したわけだ。
『早く服を着なさいよ、馬鹿シンジ!それからこのこと誰にも言ったらダメよ!そんなことしたらもっと酷い目にあわせてやるから』
確かにシンジは一言も言わなかった。
ところが、このことを双方の両親はよく知っている。
シンジはこの事を日記に書いていたのだ。
『ぼくはアスカにすべてを見られてしまった。これでもうぼくはアスカのおよめさんに』
と、書いたところで<およめさん>の<よめ>を2本線で消して、その下に<むこ>と書き加えている。
『ならないとダメだ。すごくはずかしいけど、ものすごくうれしい!!!』
その上、シンジはその簡潔な名文を様々な色のカラーペンで囲っている。
これは過去、及び現在に到る彼の日記を紐解いても例を見ないことだ。
そして、シンジはその日記を机の鍵の掛かる引出しに隠した。
アスカが中を見たい見たいと常々熱望している、その引出しにだ。
では、何故両親たちがその事を知っているばかりか、毎年その日を婚約成立記念日として4人でどんちゃん騒ぎをしているのは…?
当然、目的のためには手段を選ばないゲンドウの仕業であった。
挙動のおかしいシンジの様子に両親がピンと来たわけだ。
興奮の余り寝つきの悪いシンジがようやく寝静まった午前2時、ゲンドウが音もなく息子の部屋に消えた。
その数分後にその重大情報は惣流家に伝わり、1回目の婚約記念パーティーが開催されたのである。
もちろん熟睡している当事者の子供たちを余所にしての話だ。
余話終了。
アスカはまだ戸惑っていた。
しかし、大好きなシンジをこの状態で放っては置けない。
そして、アスカは決意した。
3分58秒後、アスカは目隠しを取った。
彼女の14年近い生涯の中で、この数分ほどドキドキしたことはなかった。
胸を押えて立つアスカの荒い息の下、シンジは気持ち良さそうに寝息をたてている。
この10年余り後に、愛児シンイチのおちんちんをつまみ上げ『きれいきれいにしましょうねぇ〜』と丁寧に汚れを拭き
平然としてオムツの取替えをする自分のことなど、今のアスカには想像もできないだろう。
当然、その長男の父親は言わずと知れた、現在発熱中の彼である。
無論、この時アスカは何もつまみ上げたりはしていないことを彼女の名誉のために書き加えておこう。
嵐は去った。
アスカの興奮も一段落している。
シンジの汗で重くなったパジャマ類も1階の洗濯機で洗っているところだ。
まだまだ汗をかくかもしれないからだ。
ことシンジのことに対してはよく気がつくアスカなのである。
そして、シンジが目を覚ました時に何か欲しがるんじゃないかと考えた。
お水?お茶?スープ?お粥?何がいいのかな?
散々考えた末、アスカは声に出した。
「ねぇ、シンジぃ。アンタ、何が欲しいの?」
アスカとも思えない甘えた声に、シンジが口を開こうとした。
「げっ!今の声聞かれたんじゃないでしょうねっ!」
赤くなるより先に、うろたえてしまったアスカであった。
「うっ……あ……」
必死に何かを言おうとするシンジの様子に、アスカは集中する。
「な、な、何か欲しいの?」
「れ……」
「れ?」
「レイ………」
綾波レイ。
13歳、東京都出身。アスカの同級生にして、シンジに纏わりつく最大最強のライバル。
もちろん、これはアスカの視点にすぎず、現在彼女はシンジにふられたことをアスカを弄ぶことで癒そうとしている。
「れ、れ、レイっ!レイが欲しいんですってっ!」
アスカが青ざめる。
シンジは苦しい息の下で、ぎこちなく頷いた。
息をするのも苦しい。
い、い、いつの間にこの二人は…!
そんなことがないように私はシンジから目を離さないようにしているのに!
ま、まさか!私が入ることの出来ない男子更衣室でシンジを待ち伏せしていたとか…。
「冷凍みかん」
「はい?」
ようやく言いたい事を言えたのに満足したのか、シンジはまた眠りに入った。
後には、エネルギーを使い果たしたかのようにアスカが虚脱状態になって座り込んでいた。
しばらくして、ぼそりと言った。
「はいはい、冷凍みかんね。わかったわよ。どこか売ってるかな……?」
眠ったままのシンジを独りぼっちにしておくことはアスカには許されない。
アスカは超スピードでペダルを踏んだ。
2軒のコンビニ、1軒のスーパーマーケットでそのものずばりがない事を知り、アスカは方針を変える。
果物屋さんで一ざるのみかんを買うと、アスカは疾風の如きスピードで坂を駆け登った。
籠の中の袋からみかんが飛び出さないように注意しながら。
冷凍庫にみかんを収めて、アスカは階段を上がる。
1時間くらいかなぁ…よくわかんないけど。
扉をこっそり開けると、シンジはまだ眠っていた。
アスカは少し笑うと中に入り、そして…仰天した。
枕もとにお皿が置いてあるではないか。
白いお皿の上に、赤くて小さなフォークが一本だけ。
アスカは絶句した。
い、一体誰が…?
部屋の中を素早く見渡したが、誰もいない。
机の下。クローゼットの中。そして、シンジの布団の中。
どこにもいない。
アスカは猟犬のように部屋から飛び出した。
数分後、必死の捜索も虚しくアスカは手ぶらで帰ってきた。
敵は私のいない間に疾風のように現れ、そして疾風のように去っていった。
アスカはそう確信していた。
実際はシンジが目を覚まし、水分を求めて階下に降り、冷蔵庫に半分になったリンゴを発見しただけだったのである。
怪我もなくナイフを使い、律儀にお皿に載せ枕元でその二切ればかりのリンゴを食べたのだ。
アスカに余裕があればキッチンに置かれた俎板の上のナイフに気がついたのだが、今のアスカは猪武者だった。
「シンジ!誰が来たのよっ!」
シンジに隠し妻がいる。
そんなわけは絶対にないのだが、嫉妬に狂うアスカには常識的な判断を求めることができない。
そもそもそこが面白いがゆえに、綾波レイたちにからかわれているのだ。
自分を買い物に出した隙に…しかもそんじょそこらに売っていないものを欲しいと言って…うわごとだったが。
その間に女を引き込んだ……!
アスカの嫉妬パワーは爆発の臨界点に来ていた。
そして、さっきまでの健気な看護ぶりは完全に姿を消したのだった。
冷凍庫にみかんを収めて、アスカは階段を上がる。
1時間くらいかなぁ…よくわかんないけど。
扉をこっそり開けると、シンジはまだ眠っていた。
アスカは少し笑うと中に入り、そして…仰天した。
枕もとにお皿が置いてあるではないか。
白いお皿の上に、赤くて小さなフォークが一本だけ。
アスカは絶句した。
い、一体誰が…?
部屋の中を素早く見渡したが、誰もいない。
机の下。クローゼットの中。そして、シンジの布団の中。
どこにもいない。
アスカは猟犬のように部屋から飛び出した。
数分後、必死の捜索も虚しくアスカは手ぶらで帰ってきた。
敵は私のいない間に疾風のように現れ、そして疾風のように去っていった。
アスカはそう確信していた。
実際はシンジが目を覚まし、水分を求めて階下に降り、冷蔵庫に半分になったリンゴを発見しただけだったのである。
怪我もなくナイフを使い、律儀にお皿に載せ枕元でその二切ればかりのリンゴを食べたのだ。
アスカに余裕があればキッチンに置かれた俎板の上のナイフに気がついたのだが、今のアスカは猪武者だった。
「シンジ!誰が来たのよっ!」
シンジに隠し妻がいる。
そんなわけは絶対にないのだが、嫉妬に狂うアスカには常識的な判断を求めることができない。
そもそもそこが面白いがゆえに、綾波レイたちにからかわれているのだ。
自分を買い物に出した隙に…しかもそんじょそこらに売っていないものを欲しいと言って…うわごとだったが。
その間に女を引き込んだ……!
アスカの嫉妬パワーは爆発の臨界点に来ていた。
そして、さっきまでの健気な看護ぶりは完全に姿を消したのだった。
眠れるシンジの肩を両手で掴み、前後に揺さぶると大声で叫んだ。
「こらっ!馬鹿シンジっ!誰よっ!誰が来たのよっ!何処の女狐を引っ張り込んだのよっ!」
碇シンジ、まだ熱は37度以上あった。
最悪の目覚めである。
「うえっ…」
胃袋にはりんごがまだ消化されていない。
「はん!吐けばいいのよ。そんな女に食べさせてもらったものなんか…!」
アスカは冷たく見下ろした。
そう言いながらも、乱暴に揺さぶるのは止めている。
シンジは何とか吐き気を抑えて、ボケた頭でぼやけた目を開けようと努力した。
アスカが怒ってる。
何だかわからないけど、起きなきゃ…。
「さあ、答えなさいよ、馬鹿シンジ!誰に、何を食べさせてもらったの?」
「あ…」
片付けてなかった。
俎板の上にナイフも置きっ放しだ。
「まな…いた……」
「マナぁっ!」
アスカは了解した。
霧島マナ。
隣のクラスからのスパイ。
シンジを狙って自分たちのクラスに出没する女。
アイツか……。
でも、“いた”って何よ。
いた…いた…板…洗濯板…!
わかったっ!あのツルペタボディのことねっ!
そ、その…洗濯板の様な胸を私のシンジに見せたってことなのっ!
霧島マナ…コロスっ!
少年法に触れる行為を決意した瞬間、シンジの頭が少し回復した。
「ご、ごめん…」
「はん!謝ったって遅いわよっ!私の胸は傷だらけなのっ!」
「えっ!」
シンジが飛び起きた。
「わっ!あ、アンタ、ど、どうしたのよ!」
「アスカ怪我したの!あのナイフで!」
「へ?」
普段からお惚けで通っているシンジだ。
今日は熱があるから、拍車がかかっている。
「ぼ、僕の所為だ。あんなところにナイフを…」
「ちょっと、アンタ何言ってんの?」
アスカの嫉妬パワーは急速に減衰した。
シンジが嘘をついているかどうかは100%見破る自信がある。
彼女の身体を心配するシンジを大丈夫だと寝かしつけて、アスカはキッチンに下りた。
テーブルの上に置きっ放しの俎板の上にナイフ。
ナイフの近くにりんごの皮もくるくるっと丸まって落ちている。
「あ〜あ、これかぁ…」
そして、アスカはりんごの皮をつまみあげてしみじみと言う。
「ホント、熱があるのに、私より巧いなんてちょっと癪よね」
アスカは鼻を鳴らすと、その皮をむしゃむしゃと食べた。
「皮だけって、やっぱまずいわね……」
その3時間後、完全に目覚めたシンジの熱は36度8分まで下がっていた。
「はい、冷凍みかん。これ剥くのって案外むずかしいわね」
「ありがとう。これって熱出すたびに食べてるから、習慣みたいになってるんだ」
「ふ〜ん、そうなんだ」
「うん、だから今度も買ってきてくれたんだな、母さん」
アスカは否定も何も言わなかった。
アンタのために買って来たのだとは、恥ずかしくて言えなかったのだ。
「でも、いつもと少し味が違うような…」
売り物の冷凍みかんと違って、家庭用の冷蔵庫で冷凍したのだ。
どうしても旨みが違ってくる。
その違いがわからずに少し首を捻っているシンジだったが、それでもアスカは幸せだった。
まだ恋人じゃないけど、シンジの看病はこの私の仕事なの。
実際シンジの熱が下がったのだから、アスカの満足感は充足されていた。
ま、いっか…。今日も告白できなかったけど、私、幸せだもん。
シンジはそんな暖かいアスカのまなざしが眩しかった。
早く告白しなきゃ!
こんなに美人なんだから、いつカッコいい男が現れてアスカをかっさらっていくかわかったもんじゃない。
それに、敵は男に限ったわけじゃないんだ。
綾波さんだって言ってた。
碇君が交際しないんだったら、私、惣流さんをいただくわ…って、
あの真剣な目で言われたら冗談だかどうなのか全然わかんないよ。
アスカ…本当に綺麗だな…。
わっ!
シンジったら、何見てんのよ。
そ、そりゃあ、私は天才美少女なんだから見とれるのは当然でしょうけどさ…。
あ、アンタに見つめられたら…私……。
「アスカ、風邪感染ったんじゃないの?顔、赤いよ」
鈍感シンジに効く薬はない。
ところがアスカはさらに顔を赤くして、何も言わずに部屋の外に飛び出していった。
バタバタという足音が下降していく。
「トイレ……?」
熱が下がっても、シンジはやはり馬鹿シンジである。
「あれ?アスカは?」
「あら、ご挨拶ねぇ。やっぱりシンジはアスカちゃんの方がいいのね?」
「な、な、な、何言ってるんだよ、母さんは!」
ユイはニンマリと笑った。
「アスカちゃんなら真っ赤な顔してお家に走って帰ったわよ。
アナタ、まさか無理矢理…?」
「してない、してない!何もしてないよっ!」
「どうだか…?だって、イカ焼き買ってきたのに、目もくれずに帰っちゃったわよ。あやし〜い!」
「怪しくなんかないよ!もうっ!」
毎度ながらの母親のからかいにふてくされるシンジだったが、
やはり回復途上にある所為か“イカ焼き”という単語に卑しくも反応した。
上体を起こすと、ユイに問いかけた。
「ねぇ…、食べていい?イカ焼き」
「ダメ。これで、我慢しなさい」
ユイは後ろで持っていた冷凍みかんをシンジの目の前にぶら下げた。
ゆら〜りゆらりと、揺れるみかんにシンジの目が丸くなる。
「あれ?じゃ、さっき食べたのは?」
「ん?」
ユイはベッド脇のくずかごを覗き込む。
散乱しているみかんの黄色い皮。
「はは〜ん、アスカちゃんか」
「えっ?じゃ…、アスカが買ってきてくれたんだ」
「甘いわよ、シンジ」
「へ?」
「冷凍みかんなんてこのあたりのお店には売ってないわ。きっとみかんを買ってきて冷凍してつくってくれたのね」
「そ、そうだったんだ」
「で、食べる?これ」
なおも赤い網にぶら下がったみかんを揺らせるユイ。
「いらないよ。それより…」
ベッドを降りようとするシンジにユイは指を突きつけた。
「ダメ。今日一日は安静」
「で、でも…!」
「はい、これ」
ユイがみかんを下げて、シンジにぽいっと何かを投げた。
お腹のところで両手で受けるシンジ。
携帯電話である。
「長電話しないでよ。あ、それと、中のデータ見たら酷い目に合わすわよ」
「わかってるよ、そんなことしないよ」
そう言いながら、すでに指はアスカの家の電話番号を叩いている。
「ふ〜ん…」
なおもからかいの種を探そうとするユイだったが、すでに自分の存在を忘れてしまっている息子にユイは唇を尖らせた。
「ばあさんは用済み…ってことかしら?」
もちろんその声もシンジには届いていない。
ユイは冷凍みかんを目の前にかざし、小首を傾げて、そして赤い網越しの少し青いみかんにちゅっとキスした。
数分後、アスカが息を弾ませて飛び込んできた時には、部屋にはシンジ一人しかいなかった。
彼女の真っ赤に染まったその頬は、息弾ませ駆け上がってきたためではなさそうだ。
「電話なんかじゃ許さないからねっ!」
開口一番、これである。
何を許さないのか皆目わからないのだが、当然当事者であるシンジは百も承知だ。
「う、うん。じゃ言うね。
えっと、今日は本当に…」
「あぅぅっ!そこはパス!待ち切れないよぉ!」
「あ、ごめん。あ、あの…好きです!わっ!」
シンジの告白と同時に、アスカはベッドサイドに座っている彼の首にダイブした。
どすんっ!
ユイは天井を見上げた。
電灯のセードから埃がちらほら舞い落ちる。
咄嗟にホットコーヒーのカップに手で蓋をする。
「あっつぅ〜!」
湯気で濡れた手をひらひらさせて、ユイは再び天井を見上げた。
あれから物音はしない。
ユイは肩をすくめて、コーヒーカップを手にした。
よし、ゴミは浮いていない。
これを飲み干すまでは大目に見てあげるわ。
2階では勢いで抱きついたもののユイの期待通りには到底進行できそうもない、
初心な二人は幸せそうに手を繋ぎ、並んで天井を見上げているだけだった。
「来週はデートしよ!」
「うん、映画行こうか?」
「遊園地がいいな」
「うっ、小遣い前だから…」
「はは!じゃ、映画でいいわ。でも、割り勘よ」
「でも…」
「もっと大きくなって、バイトでも始めたら、ばっちり奢ってもらうから」
「う、うん…」
「楽しみだなぁ…何、見る?今からわくわくしちゃうっ!」
ああっ!来週まで、あと何日?
どうして、学校なんかあるんだろう?
毎日がお休みだったらいいのに!
一週間後の土曜日。
アスカは寝込んでいた。
デート前夜に興奮しすぎて、高熱を出したのだ。
おかげでシンジはアスカの看病に土日を費やすことになった。
但し…。
さすがに、キョウコはアスカの汗拭きだけはシンジにさせようとはしなかった。
それをアスカは不満に思ったのかどうか、それは本人にしかわからない。
<おしまい>
…あれ?
ここってケロロスレじゃ…
ここまで盛大な誤爆は久しぶりに見たな
ホッホッホ。
わたくしこの西澤邸で執事を任されておりますポール・森山と申します。
この西澤家についてはもはや説明の必要はございますまい。
みなさまもご存知のとおり、世界経済の半分を手中にしているといっても過
言でない「あの」西澤グループでございます。
旦那様、グループ総帥・西澤梅雄様はあのとおりお忙しいお方でございま
す。このご自宅へお戻りになることも年に数えるほどしかなく・・・。
したがってお留守の間のこの屋敷の管理と、愛娘・桃華様のご養育と
身辺守護は不肖このポールの肩にかかっているのでございます。
イヤハヤなんと責任重大な職務かと、省みてわが身のつたなさに呆然とす
る次第ではございますが・・・。
しかしわが身を捧げて悔いない、男子一生の仕事であると感じております。
お任せいただいた旦那様の期待にこたえるためにも、このポール全身全霊
をかけて桃華様をおまもりし身を粉にして働く所存でございます。
(誇らしげに胸を張る所作)
桃華様がお戻りになる時刻まで、まだ少しございます。
この、屋敷内の清掃も終わり、桃華様が吉祥学園から戻られるまでのわず
かな時間がわたくしポールのささやかな自由時間なのでございます。
もちろん学園内で桃華様の身に、なにか異変でも起こればその限りではご
ざいませんが・・・。基本的に我ら屋敷の者は、桃華様のたいせつな学園生
活には極力踏みこまぬよう、心がけているのでございます。
――――おや、湯が沸きましたな。
英国王室ご用達の紅茶がございますが、お召し上がりになりますか?
いらない?・・・・・ハイ、左様で。
ではこのポールだけが頂戴するといたしましょう。
(湯気の立つ紅茶をひとくち啜りつつ)
ハテ、なんの話でございましたかな。
―――そうそう、桃華様の話でございました。
このポール、まことにふつつかものではございますが、これまで桃華様の
ご成長振りをご幼少の頃より見守ってまいりました。
なんとまあ、おやさしくお可愛らしく育たれたことでございましょう。
傍に控えている者の欲目かとお笑いになるやもしれませんが、このポール
の眼には失礼ながら、桃華様以上に魅力的なお嬢様はこの世界に存在し
ないかと。・・・・ハイ。つねづね考えているのでございます。
大企業のご令嬢として、何不自由なくお育ちになったとお思いでしょうが
桃華様はあれで、たいへんおさびしいお育ちなのでございます。
さきほども申し上げたとおり、お父上である旦那様は滅多にお戻りになら
れません。
まして桃華様がおちいさい頃は、お仕事の都合上なおさらでございました。
この西澤邸には常時二〜三百人は人間がおりますが、いずれも大人の使
用人ばかりでございます。
―――――桃華様は、手のかからないお子でございましたな。
それこそどんな我儘も言える立場にありながら、私ども使用人を煩わせる
ことはほとんどございませなんだ。それどころか雑務の多い私どもを逆に
思いやってくださって、いつもひっそりひとり遊びをしているような――。
そんなおやさしいお子様でございました。
ときには窓ガラスに映った自分をお友達に見立てて、話しかけたりもして
おいででした。もうひとりのお嬢様が生まれた素因は、実際そんなところに
あるのかもしれませんな。まことにおいたわしいことでございます。
身に余る事ながら、このポールめには懐いておいででございました。
わたくしも育児には不慣れながら、精一杯の愛情をお嬢様には注いだつも
りでございます。しかし、やはり主人と使用人では・・・血を分けた家族の
ようにはまいりませんな。
夜になるとちいさな桃華様はいつも窓辺に身を寄せられて、その大きな瞳を
じっと外へ・・・西澤家の専用飛行場の方角へと向けられておいででした。
もしかしたら・・。今日こそはふいに、旦那様がお帰りになるのでは、と・・。
幼心に、そう期待されていたのでございましょうなァ。
その寂しそうな後姿と――。ついに待ちくたびれて眠っておしまいになり、
わたくしがベッドにお運びしようと抱き上げたとき・・・・。
つい見えてしまった、ほおにの残るなみだの跡は・・・・・。
・・・・・・・。
このポール、忘れようとしても忘れられるものではございません。
(ハンカチを取り出し、しばし目頭を押さえる所作。)
そんな風にお育ちになったせいか、お嬢様は同じ年頃のお友達を作る
のが不得手でいらっしゃいますな。それもこれも我らの責任でございます。
桃華様をお守りしようとするあまり、つい他の子供達とのあいだにどうし
ても目に見えないカベを作ってしまうのでございます。
「大富豪のご令嬢」そんなレッテルがついてまわるのですな。
屋敷にお呼びしたお友達が、また遊びに来るようなことは滅多にございま
せん。わたくしなどには見慣れた光景でございますが・・・・。
やはり一般人にこのお屋敷は、気後れするのでございましょう。
逆に桃華様の家柄目当てで近寄ってくる者もございます。
しかしそんな輩の下卑た雰囲気は、鋭い桃華様は敏感にさとられます。
しだいにどちらも、桃華様からは距離を置くことになる次第で。ハイ。
まことに・・・。桃華様の出自をご承知の上で、緊張するでもなく妬んだ
り卑下したりすることなくごくふつうに振舞っておいでなのは
あの、日向冬樹殿くらいでございましょう。
桃華様が冬樹殿に惹かれるのも、無理のないことなのでございます。
冬樹殿に思いを寄せられるようになられてから、桃華様は別人のように
明るくおいでになられました。ましてタママ殿がこの屋敷に住むように
なられてからは共通の話題も出来、ひんぱんにあちらへお行きになられた
りもして・・・これほど活き活きとした桃華様を、かつてポールは見た事が
ございませぬ。―――桃華様の喜びは、我ら屋敷の者みなの喜び。
・・・タママ殿に実はわたくし、ひそかに感謝しているのでございます。
タママ殿は侵略者ではございますが、このポールにとっては地球の命運な
どよりも、桃華様がわらっていてくださる事の方がよほどたいせつな事の
ように思われるのでございます。
―――これはむろん、タママ殿には決して言えぬことではございますが。
ただ、残念なのは桃華様の想いが冬樹殿にはいっかな届いていないこと
でございます。まあ冬樹殿のこだわらない器の大きさというものは、裏を
かえせば鈍感さに通じるわけで。
人間の長所と短所というのはコインの裏表のようなもので、どちらか一つ
をとるという訳にはいかぬもののようですなァ。
しかしこのポール、たとえ旦那様が反対されようと、全力で桃華様の恋を
応援する所存でございますとも。
おや、ドアが開きましたな。ちょっと失礼。(席を立って入り口へ)
・・・これはタママ殿。このポールの私室までお越しになるとはお珍しい。
ハテその大荷物。―――しょんぼりして。どうか、なさいましたかな?
―――ホホウ。今日は朝早くから秘密基地の大掃除を?
ふむふむ。そのために色々な荷物を地上に移動させて。―――ホウ。
そうしたら、夏美殿が大激怒。
・・・・まあ、あそこは一般の民家ですからな。無理ございますまい。
それで・・・?ああ、ケロロ殿が。―――――なるほど。
・・・・・つまりタママ殿は押しつけられた、という訳で。ホッホッホ。
エ?
なんですと?武器もある?
だからお世話になってるこの西澤家に迷惑かける訳にはいかないんですぅ、
―――と。・・・ナニ、そんなことを気にされていたのでございましたか。
タママ殿の自室に置くぶんには何も問題ございますまい。
たしかに我らは、本来は敵同士。
しかしタママ殿とこのポールは、男の友情でかたく結ばれた仲ではござい
ませんかな?お荷物がある間はお部屋に踏みこまぬよう、メイド隊にも
よく言い聞かせておきましょう。困ったときはお互い様でございます。
―――ハイもちろん。このポールが請合います。
それにしても・・・わざわざ事前に許可を求めに来られるとは、タママ殿
の男気と律儀さにこのポールいささか感服つかまつりました。
地球の命運をかけて戦うそのときも、お互いにフェアプレーで参りたいも
のでございますな。ホッホッホ。
・・・・・ああ、行ってしまわれた。
おや、これは忘れ物でございますかな?
なにやら懐かしい。――――ガシャポン、でございますな。
取り出し口になにかが。・・・おやまあ、これは冬樹殿の人形でございますな。
ホッホッホ。よく出来ておりますな。そっくりでございます。
ははあ。さてはタママ殿、荷物のお礼でございますな。
親衛隊の報告によれば、冬樹殿は今日は学校をお休みされているとの事。
桃華様は吉祥学園でさぞ寂しい思いをされていることでございましょう。
そこへきて、このそっくりなお人形。―――なかなか粋な計らいでござい
ますな。それにひきかえ親衛隊どもときたら、GPSで捜索しても冬樹殿
が見つからないなどと。いけませんな。タママ殿の爪の垢でも煎じて飲ま
せてやらなければ。
・・・・・それにしても、この顔など実によく出来て・・・。
(チョンッ)
(むくむくむくむくむくむく・・・・・)
・・・・・・・・。
・・・・・・・・。
・・・・・・・・。
おおおッ?!なにやら目眩が。
冬樹殿の人形の顔を触っていたら、突然。
なにが起こったのですかな?・・・・・ハテ、人形はどこに。
おや?これはわたくしの人形でございますな。冬樹殿の人形はどこに。
―――ふらふらッとした拍子に、どこかへ落としてしまったのですかな。
いけません。このポール、まだまだ若いつもりでおりましたが。
・・・おや?あれは桃華様がお帰りになった合図。こうしてはいられません。
お迎えしなければ。―――――おお、お帰りなさいませ桃華様!!
どうなされたのです?桃華様。
そんな、ビックリしたお顔を。
・・・・・・今日はどうしたのですか、と?―――わたくしが?
むろん、わたくしはこうしてずっと桃華様のお帰りをお待ちしておりまし
たとも。
エエ?!・・・・・・って。なにをそんなに驚かれて。
どうなされたのです?
そんなに赤くなってモジモジされて。
それにしても今まで気づきませなんだが桃華様、おおきく成長されました
な。もはやわたくしめと変わらぬほどの背にお育ちでございます。・・ハテ。
――――桃華様がわたくしの方へとにじり寄ってこられて。
ギュウッと両のこぶしを握りしめて。
「言えッ!!今がチャンスだろうがよ言っちまえ!!」
「そんなッ・・・・でもわたし・・・・・。」
などと裏と表の桃華様が。はは。桃華様はまことにお忙しいお方でござい
ますな。・・・・なんですと?―――自分のことをどう思うか、と?
桃華様。桃華様はわたくしにとってもちろん、だれにも替え難い大切な
お方でございます。
え?・・・・・桃華様にとってもそうだ、と?
―――ありがとうございます。そう言っていただいてこんな嬉しいことは
ございません。
・・・・・・本当にそう思うか、と?もちろんでございますとも。
・・・・・わあッ!
も、桃華様。
どうなされたのです。
そんな、しがみついたりなどなされて。
桃華様の目が見たこともないほどうっとりと、このポールの顔に注がれて。
・・・・・うん?
桃華様の目に映る、わたくしの顔が。
これは――――冬樹殿、でございますな。
わたくしが瞬きすれば、瞳の中の冬樹殿も目をパチパチと。
冬樹殿は今朝、学校をお休みされた――――のでしたな?
親衛隊の報告によれば、居所がまったくわからない――――のでしたな。
タママ殿の荷物に、冬樹殿の人形。
触ったわたくしの姿は、いつのまにか冬樹殿に、と。
・・・・・もしやわたくし、冬樹殿の身体に入ってしまっているのですかな?
ややや。
これはひょっとしてたいへんマズい事態に。
冬樹殿が受けるべき愛の告白をいまわたくしが受け、しかも承諾してしまっ
た・・・・・・ということでございますかな?
も、桃華様。
誤解、誤解でございます。
わたくしは身体こそ冬樹殿ではございますが心はポールなのでございます。
ああッそんな哀しそうなお顔を。
わたくしが茶化して、桃華様の真剣な告白をなかったことにしようとして
いると?
・・とんでもございません。桃華様に対するわたくしの気持ちに嘘偽りのあろ
うはずがございません!――ああッいけない。火に油を注いでしまった!
桃華様が後ろ手にわたくしの私室のドアを閉めて。
二人きりですね。ひなたくん・・・・と。
そ、その前提がすでに間違っているのでございますが。
ああッお嬢様を傷つけず、一体どう申し上げたらわかっていただけるのか。
桃華様のほそいきゃしゃな両腕が、わたくしの頭に廻されて。
やさしい眉がせつなげにひそめられて。
小鳥がくびをかしげるように、桃華様が。
・・・い、いけませぬ。これは、キスのシチュエーションではございませんか。
くッ・・・!困った!!も、桃華様、存外にちからがお強い!
いや、冬樹殿が非力でいらっしゃるのか?しかし裏の桃華様はあのとおり
腕っぷしの強いお方で、もちろんおこころがおやさしいのは裏も表も同じ
桃華様なのでございますが・・・。やはりお父上のお血筋が―――って、
いかんッ!そんな悠長なことを言っている場合ではないッ!!
こ、このままではこのポールが桃華様のファーストキスのお相手という事
に・・・・そ、それは断じてマズいッ!!
―――しかし身体は冬樹殿な訳でございますから、この場合どうなること
なのでございましょう?冬樹殿ならばべつだん差し支えない・・のですかな?
いやいやッ意識はあくまでポールなのでございますから、それはやはりマズ
いのでは。
しかし桃華様から見た場合、相手は冬樹殿であることには違いなく・・・。
ううむ。なにやら頭がこんがらがってまいりましたな。
ああッ・・・ソウコウしている間に、桃華様のやわらかな唇が。
やさしいゆびがそっとわたくしの髪の中に埋められ―――――。
桃華様の甘い吐息が、わたくしの口の中に。
・・・・・・。
・・・・・・。
・・・・〜〜〜〜。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜。
って・・・・ウウッ!も、もももも桃華様ッ!!
い、いったいドコでそんな高等テクニックをッ?!
――――あ、いや、そういう意味ではございません。
桃華様の純潔はむろん言われるまでもなく承知しております。それはもう。
うれしい、とおっしゃる?・・・・う〜ん、どうしたものか。
―――――え?メイド隊の連中に?
想いをうちあけるにはどうしたらいいか相談なされたのでございますか?
・・・・ほう。そうしたら、連中がひそかにまわし読みしている本を。
貸してもらった、と。・・・そしてガンバッテくださいお嬢様!と激励を
受けた、と。・・・・そしてその本が―――なんですと?
『男のコを夢中にさせるヒ・ミ・ツのテクニック(はぁと)』
・・・・・・・・。
――――あやつら・・・。穢れなきお嬢様になんという本を。
けしからん!あの耳年増どもには相応の処遇をきっちり与えておかねば。
・・・・・・・。
あの。
桃華様。
なんと申し上げたものか。
あまりわたくしの足のあいだに・・・そうも踏みこんでこられますと。
いえいえ!近寄って欲しくないという意味ではなく。
その・・・いろいろとマズいのでございます。
なんと申しますか・・・・あまり密着されますと。
このポール、これでも若い頃はそれなりに場数を踏んできております。
東欧の内戦に参加した際の帰り道には、それこそ飾り窓の女達に
「夜の撃墜王」なる異名を冠されたこともございます。
たいていの誘惑には屈せぬ自信がございますが。
しかし――――いかんせん今の身体は冬樹殿の身体。
・・・・・・思春期の男子中学生の身体にはちと、毒で。
ええッ?!
なにを泣いていらっしゃるッ?!
―――――あ、いや。今の話はポールの昔話でございますッ!!
断じて冬樹殿の話ではございません。もちろんでございます。
え?――――ひなたくんにとってわたしのような幼児体型は、きっと魅力
がないでしょう、と?
ああ、またお嘆きになられる。
・・・・・・・・・・・・・・。
あの、桃華様。
わたくしつねづね思っていたのでございますが。
世の男性がすべてしぇくしーな女性を好むとは、あながち申せないのでは
ないかと。
ほっそりした女性がよいという方もいらっしゃいますし。
逆にふくよかな女性でなくてはダメという方もいらっしゃるでしょう。
まして、冬樹殿はお姉様とお母様がああいったお方で。
しぇくしーには、耐性ができていると申しますか。
逆にしぇくしーには性的魅力を感じないといった可能性も充分ありえます。
・・・・・・それほどご自身の体型を卑下なさらないほうが。
桃華様はそのままで充分お可愛らしく魅力的であると、わたくしめは拝察
いたしますが。
・・・・・って、うわぁぁあああああッ!!しまったッ!!
そうでした!!いまわたくしは冬樹殿でございましたッ!!!
い、いかん!自分で自分の退路を絶ってしまった!マズいッ!!
ももももも桃華様ッ!?
あの、お着替えは・・・・ここにはご用意してはおりませんが。
ウッ・・・・・・・そんな、うるうるした瞳で。
わたし、勇気を出します――――って、なにを。も、桃華様ッ?!
あの・・・・な、なにゆえに制服のボタンをッ?!
桃華様―――――ふるえていらっしゃる。
両手でわたくしの手をとって、そっと唇に押しあてて。
そのまま、桃華様のほおに。――――これは、涙?
桃華様・・・・・・ひょっとして泣いておいでなのでございますか?
あの・・・・ブラウスが落ちて。お風邪を召しますぞ?
わあッ!
スッスカートは、お履きになられたままのほうが。
どうか涙をおふきください。桃華様に泣かれるとわたくし辛うございます。
ハイ。それこそ身を切られるように。
うわあッ!!
そんなッ!下着姿で飛びこんでこられてはッ!!
くうッ!あ、あのッ!桃華様なりません!!!
そんなあられもないお姿で、しがみつかれては!
さきほども申し上げたとおり、これはお若い冬樹殿の身体でございまして。
その・・・・同じ年頃の、桃華様のおからだには。
なんというか、抑制が効かなくなってしまうと・・・それはたいへんマズい
ことかと。ハイ。
エ?
・・・・・・かまわない?
も、桃華お嬢様〜〜〜〜〜〜〜〜ッ?!!!
こ・・・・困りましたな。
さきほどから半裸同然の桃華様が、わたくしの胸のなかに。
しがみつくように飛びこんでこられましたので、自然と抱きとめるような
かたちに。
視線を下げますと、ほくろひとつない桃華様のなめらかな肩ときゃしゃな
鎖骨の影。その、さらに下には・・・・ひそやかに息づく胸元が。
これはいかんッ!これ以上、わたくしは見るべきではないッ!
(と、あわてて顔を上向ける。)
うッ・・・・桃華様がわたくしの手をとって。
じれたように。
わたくしの手を桃華様の喉元に押しあてて。
―――――そのまま鎖骨をなぞるように、横に。
も、桃華様のランジェリーの、シルクの肩紐が。――――はらりと。
桃華様がほおを染めて、わたくしの肩にこつんとおでこをお乗せになり・・。
うおッ・・・・・!ててて手を、あの。
わたくしの手を引き下げて、そのまま下に。・・・・・桃華様ッ!
な、なにやら、なにやらやわらかく熱い感触がッ!!
――チクショォ・・ドキドキが止まらねェんだよォッ!・・・と裏の桃華様が。
――ひなたくん・・桃華の気持ち、受けとめてください・・・と表の桃華様が。
ああ・・・。ポール、絶体絶命でございます。
このままその・・そういう行為にいたる訳には断じてまいりません。
それはあるじにお仕えする執事としてご法度、というだけではなく。
そういったことは桃華様の冬樹殿に対するこの純な気持ちをたばかる事に。
とはいえヘタに拒絶すれば、桃華様にとってわたくしはいま冬樹殿なので
ございますから、おこころにそれはそれは深い傷をお残しすることになる
やもしれませぬ。
事ここにいたっては、わたくしが実はポールであることも説明しにくくな
ってまいりました。なぜって・・・。桃華様はいま、渾身の勇気をふりし
ぼっておいでであるからでございます。
いくらそれが現実であるからといって―――執事としてあるじに恥をかか
せるわけにはまいりません。冬樹殿の心がこの身体のどこかに眠っている
ものならば、このポール今すぐにでも喜んでこの身体を明け渡す所存なの
でございますが。・・・・もしやちからいっぱい念じれば、冬樹殿の心に
通じるのではありますまいか。
――――――冬樹殿ッ!
――――――冬樹殿ッ!
――――――冬樹殿、どうかッ!
・・・・・・うッ!
冬樹殿の心に通じるどころか、男子中学生の身体の生理現象のほうがッ!
こ、このポールッ・・・。
職務上、桃華様のこうしたお姿は見慣れている・・・はずなのでございますが。
それこそおしめを換えたり、お風呂に入れてさしあげたりした経験もある
のでございますが。
そもそも桃華様は、このようなせつなく艶っぽいまなざしでわたくしを見
ることはついぞございませんし。
それにやはり、この身体を流れる若い血がそうさせるのでしょうか・・・?
――って、若い血がッ・・・・身体の、ごくかぎられた一部分にどんどんッ!
ええッと円周率はッ!π=3,14159・・・って、アアッ思い出せないッ!
―――ヌウッ!ももも桃華様、あまり太ももを押しつけられますと・・・ッ!
だいたい冬樹殿はこのお年頃で桃華様にこうまで想いを寄せられてどうして
ああも淡白でいらっしゃるのだかッ・・・わたくし、理解不能でございます!
・・・・・・・・・。
――――しかし、いっそここで既成事実を作ってしまうという手も・・・。
冬樹殿はいまだ恋愛には目覚めてはいらっしゃらないご様子。
むしろ先に形式をかためてしまって・・・・・ヌウ。(←狩る者の眼。)
・・・・・ハッ!!
ぬぉおおおおおッッ!!いかんッ!断じていかん!
(両の拳でおのれの頭をポカポカ殴りつつ)何を考えておるのかポールッ!
おまえは桃華様の忠実なしもべではなかったのかッ!!
旦那様に、桃華をくれぐれも頼むと一任されたのではなかったのかッ!!
(←血の涙。)
・・・うッ桃華様がこのわたくしの身体の変化にお気づきになられたッ!
――――お許しください桃華様、その・・・。
申し訳ございませぬ。これ以上は。
わたくしは・・・このわたくしで桃華様を穢したくないのでございます。
どうか・・・・どうかご理解ください。(ふかくうなだれる。)
・・・・・・・・・桃華様?
――――うれしいです、と?
桃華を気遣ってくれているのですね、と?・・・・それはもう。
ご理解、いただけましたか。ありがたい。
――――でも、無理しないでください。ひなたくん、と。・・・・おや?
いま桃華が、ラクにしてあげますね・・・・ッて。フヲォオオオオッ!
桃華様ッそれはッ!そッれッはッ!!なりません!!あああファスナーがッ!
わたくしを抱きしめたまま、桃華様の白いやさしいゆびがそっと。
はずしたズボンのボタンの内側にしのびこみ――――。
あたたかな温度をもったほそいゆびさきが、からみつくように、その。
それからため息に似た桃華様のせつない吐息が、わたくしの首筋に。
その首筋に語りかけるように笑みをふくんだ桃華様の熱くやわらかなお声が。
ひなたくん。―――――こんなに。・・・・・と。
ななななんのことで。
アッいや、よろしいですッ!!
おっしゃらなくて結構ですッ!
桃華様にそのような言葉を言わせる訳にはまいりません!
――――くぅうッ!あの、そのようにキュッっとゆびにちからをこめられ
ますと。
いえ、痛い訳ではございませんが・・・。むしろもっとマズい事態に。
いや、そのように動かされるとッ!ますます事態が悪化いたしますですッ!
手が・・・・桃華様の背に廻されたわたくしの手が、汗ですべる。
なんとかして、桃華様のおからだをわたくしから引きはがさねば。
――――って、抱き寄せてどうするッ!!
いかんッ制御できん!これは一体どうしたことだッ!?
シベリアでのあの消耗戦を思い出すのだポール森山ッ!!
もももも桃華・・・・様ッ?!ひざを折られて、なにを。
そのように、ひざまづかれ・・・・て・・・?
うおおおおおッ!ポ、ポール・・・大ピンチでございますッ!
桃華様にそんなことをさせてしまったら、わたくし旦那様に生涯顔向け
できませぬ!!
・・・・って、桃華様の頭が下がったおかげで、視界がひらけて。
ん?――――入り口のドアが少しあいている?!
ドアの影に、ホホを赤らめながらも興味シンシンといった風情の・・・・
―――――タママ殿。
あああッタママ殿ッ!!ちょうどいいところにッ!!!
助けてくださいッ!(当然声には出せないため、口パクとジェスチャーで)
わたくし、ポールでございますッ!なぜか冬樹殿の身体にッ!!
―――――タママ殿がニヤッと笑って親指を突き出されて、なにか。
(タママの唇の動きを読み取りながら)
・・・・・フッキー、なかなかやるですう、と。
・・・・・お邪魔虫は消えるですう、と。
きッ消えないでくださいッ!ダメェッ行かないでッ!!ど、どうか後生で
ございますッ!!!・・・・アッ足元をごらんください!そう!!
――――その、ポールの人形を。そしてその脇のガシャポンの機械を。
そう、その人形・・・わたくしでございます!!
わかっていただけましたか!!なにとぞ、桃華様をお止めくださいッ!!
―――――って、あああ?!タ、タママ殿、どこへッ?!
アッこ、こちらもたいへんでございましたッ!ひざまづいた桃華様が。
その桜の花びらのような唇を、ちいさくひらかれて。
ゆびがやさしく、先端から根元までをそっとつたい――――。
わたくしの腰に、桃華様が顔を寄せられ――――。
ほおにかかる髪を、かるく頭をかしげて除けられると――――。
ふるえる唇が。・・・・・・ああ。
――――――・・・・・。
ってッ!あきらめるなポール森山ッ!!
あきらめたらそこで試合終了でございますよッ!!!
ヌォオオオッ!!このうえはなんとしてでも桃華様をお止めしなければッ!
〜〜〜〜〜桃華様!!
〜〜〜〜〜桃華様!!!!
〜〜〜〜〜桃ッ華ッ様!!!!
・・・・・・??
ん??????
・・・・桃華さま?
―――突然おからだが崩れ落ちて。桃華様?
そのすぐ向こうに、銃を構えたタママ殿が。
タママ殿?
・・・・・?
・・・・・。
・・・・・!
タ、タママどのぉおおおおおッ!!(←滂沱の涙。)
やっぱりッ!やっぱり戻ってきてくださったんでございますねッ!!
いまッ・・・このポールの眼には、確かにタママ殿のまわりに後光が差して
見えましたッ!!!
ハッ!桃華様は?!―――首筋に矢が。大丈夫なのでございますか?
エ?―――――クルル殿ご愛用の麻酔銃?!荷物の中に?
おからだには問題ないと。ありがとうございます!
このポール、感謝の言葉もありませぬ。・・・え、なにか?
ただクルル先輩に都合がいいよう、撃たれた人の前後の記憶が飛んじゃう
んですぅ、と。
・・・いえいえ!それは問題ございません。むしろ願ったりかなったりで。
クルル殿に都合がいいとは一体どういう状態なのか、いち地球人として
聞きたくもありますが。――――いえ、それはこの際申しますまい。
そのおかげで今回は助かったのでございますから。
ん?――――――ああ、いえこれは。(←目線を下げて、苦笑。)
あ、どうかお気になさらず。(←いそいそと桃華に制服を着せながら。)
・・・・いえいえ、放っておけば治まるものでございます。(←同上。)
・・・本当に大丈夫でございます。どうか、お気になさらずッ(←同上。)
・・・・・・・。
////////・・・。
コホン。
ところでわたくし、もとの姿に戻りたいのでございますが。
それから冬樹殿の心のほうは、どちらに?
・・・・ガシャポンの?・・・・・アッそんなところに?!
ほほう、そのフロッピーが。―――あ、わたくしめの人形は、そこに。
・・・・・・・。
・・・・・・おおっ!
わたくしの、身体でございます!このなかに冬樹殿の心が?
――――なるほどもう一度、今度はわたくしがガシャポンを廻す、と。
了解いたしました。
冬樹殿が意識を取り戻されぬうちにサッサと済ませてしまいましょう!
(冬樹とポール、入れ替わり作業―――以下省略。)
(小声で)おお・・・。冬樹殿が、気がつかれたご様子。
タママ殿われわれは・・ささ、こちらへ。(タママをいざなって扉の影へ)
・・・・おとなりの、桃華様に気がつかれたようですな。
エ?タママ殿のところからはよくわからない?
――――いま冬樹殿は、桃華様をゆすぶって起こしておいでです。
西澤さん、大丈夫?・・・・・と。
――――桃華様もお目覚めのご様子です。
あら?わたし・・・・いったいどうしたのでしょう?と。
――――桃華様が冬樹殿に気づかれてほおを染められましたぞ。
ひ、ひなたくんッ・・・・どうしてここに?と。
・・・・ぼくも覚えていないんだ。朝出かけるとき軍曹の大荷物があって、
面白そうだったんで触ってみようとして・・・ダメだそこから思い出せない
よ、と。――――なるほど。
――――お二人が首をかしげておいでですな。しまった・・・・。
記憶喪失が二人。ウ〜ムそういえばあまりにも不自然すぎる状況でござい
ますな。
・・・わかった!僕たち二人してUFOに攫われたに違いないよやったぁ!
――――って、冬樹殿ッ!ナイス!!ナイスフォローでございますッ!
(こぶしを握りしめ)タママ殿!わたくし邸内の者の力を結集させそのよう
に工作いたしますので!!!タママ殿もなにとぞそのように口裏合わせを
お願いいたしますッ!!
――――――桃華様。・・・・・桃華様は?!
恥ずかしそうにほほえまれて・・・・・。
・・・・ふたりいっしょに?―――それはステキですね、ひなたくん、と。
・・・・・・・・・。
――桃華様・・・。あんなにうれしそうに。よろしゅうございました・・・。
よかった・・未遂ですんで、本当によろしゅうございました・・。(滂沱の涙)
わたくし、タママ殿には大きな借りができてしまいましたな。
ひとまずお礼代わりにパティシエに命じて、タママ様用に特大ケーキを
作らせましょう。
――――桃華様と冬樹殿はオカルト話に花が咲いているご様子。
よい雰囲気でございます。このままここはお二人だけで――――。
折をみて、お二人にもお茶とお菓子をお出しいたしましょう。
それではわたくし手配をいたしますので、タママ殿――――のちほど。
はい。ケーキのほうはご期待に沿えるものを必ず。
・・・・・・。
・・・・・・。
・・・・・・。
(ふり向いて)おや。
ずっと、ご覧になっていたのでございますか。
いや、お恥ずかしい次第でございます。(頭を掻きつつ)
ああ、わたくしの私室にいらっしゃるお二人は、どうかあのままに。
もちろんあそこはむさくるしい所でございますので、あとでわたくしが
客間にお連れいたします。
結局なんにもお構いできませんで、申し訳ございませぬ。
いや、正直申し上げて・・・このポール、寿命が十年は縮まりました・・・。
(嘆息)
お荷物のあるあいだは、わたくしタママ殿の部屋には決して近寄らぬ事に
いたします。今日はたいへんな自由時間でございました・・・・・。
さいごに見た桃華様のあかるい笑顔だけが、せめてもの救いでございます。
実のところ、今すぐ自分のベッドにもぐりこんでしまいたい心境でござい
ますが・・・・。
いや―――このあと・・いろいろなことを手配してしまわなければ。
(蝶ネクタイを締めなおし)では・・・・・わたくし、参ります。
あ。――――さいごにどうか。
このたびの顛末は・・桃華様の名誉としあわせのために、どうかくれぐれも
ご内密にしてくださいますよう。
―――――このポール森山、伏してお願い申し上げます。
〈END〉
私、モールポリ山でございます。
カタカタカタ・・・とキーボードに指を走らせる音が響く。
それに反応して、ヴン・・・ッピピピ!と地下室中のモニタが電子音とともに
起動する。薄暗い室内にその無機質な光が、このラボのあるじの分厚い
メガネを青白く反射した。
しかしおなじみの黄色い身体にナルトマークは、今は見られない。
痩せぎすの身体、金色の頭髪。神経質そうな顔立ち―――。
そこにいるのは、どうみても地球人の男の姿であった。
「あっ!クルルさん。また今日もポコペンのみなさんの姿になってるん
ですか?・・・・てゆ〜か、同一人物?」
「なんだ。―――おまえかヨ。」
顔を出したモアのあかるい微笑みに対し、うるさげにクルルが答えた。
「さっきまでイベンタ星人のヤツが姿を見せてたんでな。・・まあいつもの
ことだ。」
隊のPR活動のため、ちょこちょこCMなどに出演するケロロとは別に
この男も独自にイベンタ星人と接触していた。ただしこちらは主に非合法
な物件に・・・である。ガンプラ始めそのレトロな手作り感のあるポコペン
のホビーや、マニアの間でひそかに人気のポコペン女性の盗撮映像は、
宇宙では非常にプレミアのつく商品である。
クルルはしばしば極秘にポコペン人に姿を変え、アキバに出かけては陰湿
な手段で大量にその手の物を入手して、イベンタ星人に横流ししていた。
その中にはハイ・クオリティな自作の映像も当然含まれている。
この姿でケロロ小隊の代理人を詐称し、正規?の価格とは別に中間マージ
ンをたっぷり取ることも忘れてはいなかった。
捏造ドラマである「ケロロ小隊戦記」のもとネタとなる情報を、捏造映像
とともに高く売りさばくのもクルルの腕の見せ所である。
そんな訳で―――これまでもクルルは、小隊の皆の知らないところで
しばしば地球人の姿になっていた。こんな便利な装置があるのなら、ガン
プラ入手に毎回四苦八苦しているケロロに貸してやればよさそうなものだ
が、それを言ったら間違いなくこの男はこう答えるだろう。
「だって頼まれてねェからな。――まァ隊長が頭下げてお願いに来るんな
ら、貸してやらなくもないぜぇ・・・・く〜っくっくっく。」
―――――つくづく嫌なやつである。
「売れましたかクルルさん?いつもお疲れさまです。てゆ〜か商売繁盛?」
商品の中に自分の映像が含まれているのも知らぬ気に、サンパァアアッ!
とモアが邪気のない笑顔をみせた。クルルが舌打ちして苦々しく答える。
「・・・今回はダメだ。値段の折り合いがつかなかったんでな。」
それきり、無言でキーボードに指を走らせ続ける。
今日のクルルは非常に虫の居所が悪いようであった。イベンタ星人との
交渉がよほど納得いかないらしい。
それとも不機嫌の理由は、イベンタ星人が別れ際に言ったセリフ―――。
「いや〜それにしても厳しい時間帯にもかかわらず、ケロロ小隊さんの
人気は宇宙うなぎ昇りで。・・・あとは黄色だけがその、ねえ?
―――アナタからもケロロ隊長サンになんとか隊員のテコ入れをしてもら
えるよう、口添えしていただく訳にはまいりませんかね?」
・・・・という、よけいな一言にあるのかもしれなかった。
クルルの隣で一緒にモニタを覗きこんでいたモアが、ちらりとクルル
の横顔を盗み見た。そのまま赤くなってうつむき、モジモジとゆびを組み
なおしながらモアが恥ずかしそうにつぶやく。
「あの・・・クルルさん。その姿を変える装置―――。モアにちょっとの
間だけ、貸してもらえないですか?」
「なんだ?――――おめぇが使ってどうする気なんだよ。」
「いえ、わたしにではなくその・・・・おじさまに―――。」
モアがさらに赤面し、消え入りそうな声で続ける。
「・・・・おじさまと一緒にガンプラ買いに行ったり、街をお散歩できれば
いいなって思って・・・・。」
「さてな。この装置は今んとこオレ仕様に作ってあるから、隊長に流用
できるかどうかはわからねェぜ。」
「あ・・・・そうですか。スミマセン・・・。」
しょんぼりとうなだれるモアに、クルルがイライラと言葉を続ける。
「―――たかだか一緒に歩くくらいで何が楽しいんだか。
一文の得にもならねぇじゃねェか。」
「ええっそんなことないですっ!おじさまと並んで堂々とお散歩するのは
モアの夢です!・・・きっとギロロさんも、本当はそう思っているんじゃ
ないかなァ。・・・・・夏美さんと。」
本人がひた隠しにしているのにもかかわらず、機動歩兵の意中の相手は
小隊の中ではすでに周知の事実であるらしい。はたしてモアのいうとおり
ギロロがそんな乙女チックな願望を胸に抱いているかは疑わしいところだ
が―――。うっとりと目を潤ませるモアに、クルルがまぜっかえした。
「興味ねえな。―――オッサンの化石級にアナクロな純愛にも、おめぇの
その、お子様ランチな恋愛ゴッコにもな。」
クルルの不機嫌はどうやら根が深いらしい。
そのままモアに椅子ごと背を向けて、キーボードの操作をし続ける。
その後姿に2,3歩歩み寄り、いたずらっぽく微笑みながらモアが言った。
「そんなコト言って・・・・・・モア、最近わかっちゃいました♪
クルルさんって口では冷たいこと言っても、本当はとってもイイヒトなん
ですよねっ!・・・クルルさんは嫌な奴なんかじゃなくて、嫌なやつ!って
他人から思われたいだけなんだとモアは思いますっ。てゆ〜か面従腹背?」
「なにをぅッ?!」
思ってもいない評価を下され、クルルは無視するつもりだったことも
忘れて振り返った。
――本当はとってもイイヒト、だぁ?・・・なんだそりゃ。このオレが?!
考えただけで身が総毛だった。
これはもう自分に対する侮辱である。イイヒト?――――気色悪い。
女子供のタワゴトは鼻で笑って聞き流すのが信条だが、これだけは聞き捨
てならない。一点の汚れもない澄んだ笑顔で、わかった風な口を利くこの
同盟種族の娘に、ふつふつといらだちがこみ上げてくる。
「オイ・・・口を慎めよテメェ。オレがイイヒトな訳がねえじゃねェか。」
「そんなことないですよっ♪ クルルさんは、いいひとです。」
ニコニコと笑い続けるモアを、クルルは睨みつけた。
―――このアマ・・・ちょっとばかりオペレーターの仕事の手伝いをさせて
るからって図に乗りやがって。クルルさんはいいひと?・・ふざけるな。
陰湿・陰険・陰鬱・嫌な奴。・・加えて傑出した才能。それこそがオレ様だ。
このオレのオリジナリティあふれる性格に怯え嫌悪しつつも、この才能の
おこぼれを頂戴するべく、しぶしぶ頭を下げる他人のヒクツな目を見るの
が楽しいんじゃねえか。
そんなオレ様を形容するのに、始終隣にいるコイツがよりにもよって
「いいひと」!!―――ダメだ。壊滅的にこいつはわかってねぇ。
・・・その言葉が間違いであることを、いっぺん痛いほど思い知らせてやる。
「―――そうかい。思ってもいねェおべんちゃらを、ありがとよ。」
「そんな。モアは本当にそう思っています!クルルさんは頼りになるイイ
ヒトですよっ」
「信じられねェな。きちんと証明されねえことには、オレは信用しないぜ」
純粋な瞳で力説するモアに、不愉快気に喉の奥でうなるクルルの声音
はどんどんと冷えてゆく。
「ハイ!モア、なんでもします!どう証明すれば信じてもらえますか?」
カンタンなことと太陽のようにニッコリ笑うモアに、クルルも笑みを返す。
「なんでもします、ね・・・・。そんなこと言って後悔しなきゃいいけどな。
言っておくがこのオレ様を説得するにゃ、だいぶんホネが折れるぜ。
――おめぇが途中で泣こうがわめこうがオレはやめねェよ。く〜っくっく」
よくわからないままモアが笑う。クルルもかわいた笑い声をたてる。
あかるいモアのとは違い、その笑声にはくらい邪悪な意図が込められていた。
「わぁ・・・クルルさん。なんですかこれ?とってもキレイ!」
モアが自分の両手にはめられた腕輪を見て、うっとりとため息をついた。
銀色の金属でできたその腕輪は、中央にうす青く輝く水晶がはめ込まれて
いる。
「そいつはただのデータ取りの装置さ。・・別に気にすんなよくっくっく。」
あからさまに怪しいクルルの笑いにも、動じる気配はない。
自分の背後に廻りこんだ白衣姿のクルルにモアは天真爛漫な笑顔をみせた。
「わかりました!なにかの実験をするんですね?モア、がんばります!」
「いいねェ。――――ま、せいぜい頑張ってくれ。」
クルルがモアの首筋に、銃の形をした注射器を押し当てる。
プシュッと鋭い音がして、アンプルの液体がモアのからだに打ち込まれた。
モアの瞳が一瞬、焦点を失う。しかし痛みは感じなかったらしく、すぐに
いつもの笑顔に戻る。首をさすりながら、モアがクルルの後姿に聞いた。
「???・・・いまの、なんですか?」
デスクに戻り、なにやら忙しげにキーボードに指を走らせ始めたクルル
が、ひどく優しげに唇をつり上げた。
「そのうちわかるぜ――嫌でもな。なに心配すんな、何せオレはイイヒト
らしいからな。・・・・く〜っくっくっく。」
それからしばらく、ラボの中にクルルがキーボードを叩く小さな音だけ
が響き続ける。モアは部屋の中央にへたり込んだまま、動けない。
モアは上気した顔をうつむかせ、はあ・・はあ・・・っと荒くなる呼吸を
何とか鎮めようと努力している。最後の仕上げとばかりにENTERキー
を押したクルルが、モアに声をかけた。
「さてと。・・・・いま、どんな感じだい?」
「―――――は、はい・・・・あの・・・。」
モアがもじもじと太ももをすり寄せて、顔を恥ずかしげにそむける。
「な、なんだか・・・へんなカンジ、です・・あついような、からだのシンが
キュウッとなるような――それに、ちからがはいらない・・・で、す・・。」
「ああ、力が出ないのは腕輪のせいだねェ・・。そいつはさっきも言ったよう
にただの測定器だが、ちょっとばかり飾りに凝ったからな。
――――その水晶はアンゴルストーンだ。」
こともなげに凄いことをクルルがつぶやく。
「この前のアレをちょいとな、なにせオレ様は物持ちがよくてねぇ。・・・
っていうか、廃物利用?―――てな。あとで暴れられて、星ごと消滅させ
られたんじゃ敵わねェからな。・・・あとの現象は注射のせいだ。ま、気に
すんなヨ。からだが敏感になるだけだからな。」
クルルが再度ENTERキーを押した。すると部屋の隅からぶよぶよ
とした半透明の触手が現れ、モアに向かってたちまち殺到しはじめる。
「あッ・・・なに・・・?―――なん、ですか・・これは・・・ッ」
「何言ってるんだ。おなじみのニョロロじゃねえか。―――ま、オレ好み
に品種改良してあるけどな。」
通常よりはるかに水分の多いニョロロが、モアのからだの上を這いずり
廻りはじめる。そのなめくじのような質感にたまらずモアが悲鳴を上げた。
「あッ・・・ひやぁっ!―――んッ!はあぅう・・・っ」
注射された薬のせいか、その皮膚に感じる悪寒は通常の何倍もするどく
感じられた。あるものはモアのソックスの中にしのびこみ、またあるもの
は制服のブラウスの肩から胸にかけてぶよぶよと蠢きながら移動し、その
裾からさらに内側へ潜りこもうとする。奇怪なことにニョロロが通った後
のぬれた衣服が、徐々に透けて溶け出しはじめた。
「そいつはポコペンの繊維が大好物でな。勝手に溶かしてくれる。
・・・・服を脱ぐ手間がはぶけてラクチンだろ?く〜っくっくっく。」
「あッ・・・!や・・あの・・・ッ―――クルル・・さん・・・」
モアが必死で声をあげた。ぞくぞくする悪寒が、からだのなかで徐々に
異様な熱を生み出しはじめていたからである。
「あのッ――服なら・・モア、じぶんで・・脱ぎますか、らッ!ひあッ!」
その言葉を聞いて、クルルがいかにもおかしそうに声を立てて笑う。
「何言ってんだ。おめェがさくさく自分で脱いだんじゃ、面白くも何とも
ねえじゃねェか。いいか、脱ぎ方にはこだわれよ。―――それが美学って
もんだぜ、覚えとけ。く〜っくっくっく。」
少しずつだが確実にモアの衣服が溶かされてゆく。
もはやプリーツ・スカートは、その原型をほとんど留めていない。
朝顔の蔓が支柱に巻きつくように、ニョロロの触手がモアの褐色の腹に
からみつき、その臍を直接なであげ濡らしてゆく。
白い制服のシャツも同様であった。
外側からだけでなく胸元の合わせ目や半袖の袖口からも、その蠢く先端が
ぐにぐにと侵入し、半透明の触手を波立たせながらモアのからだの表面を
陵辱する。その生暖かいゼリー状の物体がモアにからみついたまま一斉に
ずるり、と動いた。
「あうぅっ!・・・・ひやぁあ、あぁあ・・・・ッ!!」
かつて味わったことがない感覚と嫌悪感に、モアが悲鳴をあげる。
足の、ソックスへと侵入した触手も、その動きは活発であった。
ぶるぶると小刻みに蠕動しながらふくらはぎを舐めあげ、足の裏を包み、
ゆびの股の隙間にしのびこもうとする。
モアのからだがびくびくッ!と痙攣した。
シャツはすでに、辛うじてモアの身にその生地をまとわりつかせている様
な状態だった。出来た大穴からすべすべした褐色の肌と白いブラが姿を
覗かせている。
肩からすべり落ちてきた触手がブラの内側にしのびこみ絡みついて、その
やわらかな双球をじわりと締めあげたからであった。
「きゃぅっ!・・・ひぃぃ、やあぁ――――・・・ッ!!」
触手はモアの胸に吸いつきながら、その敏感な朱鷺色の先端を弄い、こす
りあげはじめる。その異様な快美感にもはや声も出ず、がくがくとモアの
あごがふるえ、目尻に透明な涙がにじんだ。
「ク〜ックック。ずいぶんと楽しんでくれてる様子じゃねェか。そいつは
もともとケロン星原産だから、当然あったかくて湿った所を好む。
・・おっと、お楽しみに夢中になりすぎんなよ。しっかり腿を閉じていねぇ
と、そいつが忍び込むぜ。――まあ、触手相手にロストバージンしたいっ
つう願望があんなら、オレは止めないがね。」
クルルが陰惨に笑う。モアはその言葉に答えることが出来なかった。
なぜならくちの中に、触手の1本がずるずると侵入してきたためであった。
舌に吸いつき上あごを擦りながら、ぶよぶよとした触手がモアの口腔を
犯しはじめる。
なんとも形容しがたい味の粘液が、くちの中に広がったとたん―――。
凄まじく淫らな衝動がからだの内部から突き上げてきて、モアを動揺させた。
―――このまま触手に犯されたい。クルルさんの目の前で粘液にまみれ、
あまい声をあげている自分を思うさま蹂躙してほしい。
・・・・て、ゆ〜か・・・・・・てゆ〜・・か・・・・願望?
別の触手が、下半身を守るモアの最後の砦に侵入しようとしていた。
下腹をこすられ、布地の内側へとたちまち侵入される。いったん腿の方へ
顔を出した触手が、下着の上からモアの秘所を嬲りはじめる。
必死で閉じていたモアの太ももが我知らずゆるんだ。それを敏感に察知し
て、足首にからみついた触手が、巻きつきながら徐々にモアのすねを昇り
はじめる。
もはや抵抗もできず、モアがぐったりとからだの力を抜いて触手の動く
がままに身をゆだねようとしたとき――――。
天井から霧状の液体がモアに向かって噴きつけられた。
その霧は、ニョロロの忌避剤と体液の中和剤を兼ねていたらしい。
モアのからだを弄っていた触手がいっせいにおののき、もとの住処へと
すばやく逃げ帰った。じわじわと溶けていた衣服の侵食もそれで止まる。
白衣のポケットに両手を突っ込んだクルルが、硬い靴音を響かせてモア
の方へと歩み寄った。
「クックック。・・・オイ、ずいぶんといい格好になったじゃねぇか。ええ?」
クルルが冷然と自分の足元に身を横たえたモアを見下ろす。
着ていたモアの制服は、もうあらかた溶けてしまっていた。
残っているのはシャツの襟から第一ボタンまでと、ずり落ちて手首にから
まっている袖の一部。そして穴だらけのソックスの残骸が辛うじてまとわ
りついているのみで、あとは完全な下着姿である。
その下着も、右肩のブラのストラップはすでに溶け落ちてしまいパンティ
は穴だらけという惨状であった。
「どうだい?あいつはイイ味だったろ?・・・なにせそっちの方も特別製
だからな。ひとたび口にすれば、からだに受ける刺激が全て快感に変わる
っつうシロモノだ。」
荒い息をつき、焦点の定まらないモアのあごを、クルルがその長い指
で掴みあげ自分の方へと仰向かせた。
そのまま掴んだ中指と薬指で、モアの喉を引っ掻くように撫であげる。
その微細な刺激にも耐えきれずに痙攣したモアの唇から、やるせない声が
漏れた。
「ふ・・あぅ・・・っ・・・・く、ぅううッ――――っ!!」
「――どうだい?中途半端で止められた感想は。・・・・続けて欲しいかい?」
「・・・は、はひ・・・。つづけて・・・欲しいれ、す・・・・。」
回らない舌で、懸命にモアが答える。
からだの欲求はもはや耐えがたいまでになっていた。
ゆびさきから髪の一筋にいたるまで、燃えあがるように熱い。この焦燥を
はやく埋めてほしくて気が狂いそうだった。
自分の背後に立つクルルの脛に腕をからませ、おねだりするようにモアが
からだを擦りつける。その手をいなしながら、モアを覗きこんだクルルの
分厚い眼鏡がきらりと光った。
「さて。・・・・それじゃ実験開始といこうか。
こいつが済んだあと、おめぇがオレのことをどんな風に評するのか・・・。
―――オレとしちゃ非常に興味深いぜ。ク〜ックックック。」
クルルがモアを背後から抱きしめ、指でそのほおをかるく数回叩いた。
「それじゃ、ルール説明だ。・・・一度しか言わねぇからよく聞いとけよ。」
そのまま粘液で汚れたモアの顔の前に、自分の腕を振りかざす。
手首に時計がはめられていた。その時計の竜頭を押す。すると、ふたりの
前に電磁バリアが出現した。
ラボを真っ二つに分けたその透明なバリアは、すこし揺らぎながらも確実
に存在している。クルルがモアの手をとってそれに触れさせた。電磁バリ
アは、ガラスのような質感をその手のひらにつたえる。
クルルがやわらかな胸の谷間に指をすべらせながら、モアの耳に息をふき
こんだ。
「このバリアはマジックミラーみたいなもんでな。こっちからは透明だが
あっち側へ回ると壁になってるんだ。・・・正確には、壁に巨大なモニタが
かかってるのさ。」
クルルの指がブラを押しあげ、モアの新鮮な果実に似た胸を容赦なく
揉みしだく。その長い硬い指先が敏感な胸の突端をはさみ、こすりあげた。
たまらずモアが甘い吐息を漏らして顔をのけぞらせる。
「――――ッ!・・・あ、んんッ・・・・・!」
「おい、聞いてるかい?・・・・顔をあげて見てみな。」
快楽にかすむ目を、モアがなんとか言われたとおりに上げる。
目線の先に自分とクルルがいた。電磁バリアの向こうにいる二人は、何も
気づかずこちらに向かって席に座り、キーボードを操作している。
自分はいつもの格好で、クルルはケロン人の姿をしていた。
「こいつらは映像だ。放っときゃいつまでもこうやって仕事してるし、
オレ達の受信機で声を拾うと、勝手にアドリヴで演技もしてくれる。
―――――よう。聞こえてるかい?」
クルルが腕時計に向かってそう言うと、向こうのクルルが手を上げた。
「ただし、普通の話し声にしか反応しねぇんだ。ささやき声は拾わねぇし・・」
クルルがモアの穴の開いたパンティをひざがしらまで引き下げた。
すでにその布地は、ぐっしょりと濡れそぼっている。
「全く・・おめェって奴はしょうがねぇな。もうグショグショじゃねぇか」
クルルがモアの耳に口を寄せて、低く笑いながらささやく。
爪先でモアの秘所を弄い、指を入れてゆっくりとこじ開けてゆく。
その刺激に、モアが高い声を放った。
「・・・ひゃうッ!・・・あ!・・・ふ、あ、ぁああああッ!!」
―――――とたんに電磁バリアと、映像の二人が掻き消えた。
クルルがモアの秘所を指で犯し続けながら、歯でもう一度竜頭を押した。
するとまた何事もなかったかのようにバリアと向こうの二人が復活する。
「―――な?キャパを超えたでかい声を受信すると消えちまうのさ。
・・・・・使えねえだろ?」
クルルが腰を擦りつけてくるモアを背後から抱きしめたまま、ズボン
を弛める。モアの両手を電磁バリアに押し付けて腰の高さを合わせ、その
ままおのれをずぶりと侵入させてゆく。クルルが指でモアのくちを塞ぐ。
指とは比べ物にならない質量が、モアを襲った。
(やあぁあッ!ひ、いぃ――――ッ!!!)
まだ男を受け入れたことがない硬い花のつぼみを、無理やりこじ開け
るようにしてクルルがモアを犯してゆく。その破瓜の痛みが、つぎの瞬間
には触手の粘液の効果により、数倍する快感に姿を変えてモアのこころと
からだを麻痺させてゆく。
(あッ!・・・・やうッ!・・・・ひぃいッ・・・ぁうッ!!)
「――――さすがにキツいな。・・・おい、もう少し足を開きな。」
ガクガクと足をふるわせながらも、言われたとおりにモアがからだを
ひらく。――――クルルの抽迭が始まった。
貫かれるたびに打ち寄せるからだの快楽に、モアの意識が遠くなる。
そのほくろ一つない褐色のからだは、羞恥と快感のためにうす紅く染まっ
ていた。クルルが腰を引くたび、くちゅ・・・ッと濡れた音とともにモアの
秘所がめくれ、名残惜しそうにクルルをまた飲み込もうとする。
今度は体内ふかくくさび打たれて、モアがせつなげに眉根を寄せた。
足の爪が痙攣するように、やるせなくラボの冷たい床を引っ掻く。
快感は、強烈であった。
「おい。―――――楽しいかい?」
クルルがモアのくちを塞いだ手をどけて、その耳を甘噛みしながら
ささやいた。
「・・・・・っ・・は・・は、い・・・。きもちいい、れ・・・すっ」
目を虚空にさまよわせながら、モアがようよう答える。
「――――そうかい。そいつはよかった。・・・・だがオレはちっとも楽しく
ねえな。だいたい和姦は趣味じゃねぇんだ。実際のところ、おめェは素直
すぎて張りあいがねぇ。もっと抵抗してくれねェとな。
・・・・・・だからオレ好みの展開にさせてもらうぜ。」
モアを犯したまま、クルルが腕時計の画面を二度押しした。
電話のコールのような電子音が数回して、やがてブツッと回線が繋がる
気配があった。クルルがモアをちらりと眺めてひくく笑い、時計の画面に
口を近づける。・・・・やがてクルルの楽しそうな声がラボに響き渡った。
「よお。・・・・隊長かい?――お待ちかねの小隊PRの映像・・そうアレな。
完成したから今すぐオレ様のラボまで見にきなよ。ク〜ックックック。」
その言葉を聞いて、モアがびくりとからだを強張らせた。
クルルに貫かれ組み伏せられつつも、青ざめたモアが必死でからだを
起こした。
「まさか・・・!おッ・・おじさまを・・・ここにッ?!」
「――――実験には観測者が必要不可欠だ。・・・・・違うかい?」
くらい笑みを浮かべたクルルが、モアのからだを巻き込むように抱き
すくめた。そのままモアのきゃしゃな顎をつかんで無理やり振り向かせ、
唇を重ねる。
「・・・・ウゥッ!!」
突然の状況に恐慌状態のモアの口腔を、ねじ伏せるようにクルルの舌
が蹂躙する。一拍置いてモアが暴れた。手を突っ張らせて夢中でもがき、
クルルの戒めから逃れようとする。
「――――――ッ!!!」
舌を噛まれてクルルが顔を離した。
口元に鮮血をにじませたクルルが、手の甲で拭い取りながら不敵にニヤリ
と笑う。
「・・・・いいねぇ。いい眼をしてるじゃねェか、おい。
―――――その表情が見たかったんだ。」
クルルがモアの腰をつかんで強く引寄せる。結合が深くなった。
衝撃に身をすくませたモアが、ひじで背後のクルルを必死に払う。
クルルの腕がその手首を捕らえた。
腕輪のアンゴルストーンをじかにモアの額に押しつける。
びりびりッと電流を浴びたようにモアのからだが痙攣する。
ちからの抜けたモアのからだを再度抱きすくめたクルルが、首筋に唇を
這わせた。そのまま抽迭を再開する。
なすすべのないモアが、ちいさな声とともに息を呑んだ。
「ひゃ・・うッ!・・――あッ!―――あぁあッ!・・――あッ!・・・・」
モアの足をひらかせてクルルがさらに奥までふかく貫く。
意思とは裏腹に、モアのからだは収縮を繰り返しながらクルルを貪欲に
飲み込んでゆく。
甘い快楽に、モアのからだが小刻みにふるえた。
「・・・んッ!・・ふ――あッ!・・あッ・・く、くるる・・さん――ど・・して・・?」
徐々に増してくる快感に涙をにじませながら、モアが問いかけた。
「―――なんでこんなことするのかって?・・・・そうだな。」
クルルが陰惨な笑みを浮かべて答えた。
「足跡のひとっつもねェ、真っ白に降り積もった雪を見ると・・・訳もなく
踏みにじりたくなるだろ?―――――そいつとおンなじさ。」
クルルの背後のモニタ画面が、ラボへの来客が近づいていることを
警告音で知らせる。
恐怖と快楽にちいさく嗚咽をもらし始めたモアに、クルルが続けた。
「あせるなよ。・・・隊長が来るのはバリアの向こう側だ。
そっちでPR映像の上映会さ。接待役は映像のオレ達がやってくれる。
――――うっかりでかい声をあげちまって、台無しにしないかぎりはな。
おめぇの演技力と冷静さが試されるぜ?・・・・そろそろ、お越しのようだ。
さて、実験スタートだ。」
バリアの向こう側にあるラボの入り口が開いた。
モアが絶望に目を閉じる。外の光とともに入ってきたのは、まったくこの
状況を知らされていないケロロである。
「ヤフ――――ッ!!PRムービーが出来たそうでありますな!
クルル曹長、オツカレでありますッ!!」
「よぉ、隊長。・・・・・待ってたぜ。じゃ、さっそく上映会を始めるか。」
笑いをこらえながら、クルルが腕時計に向かって話しかける。
バリアの向こうのもう1人のクルルが、その音声に合わせてケロロを迎え
なにやら端末を操作する動作を見せた。あらかじめその言葉と連動させて
いたものか、電磁バリアのすぐ裏から勇ましいファンファーレが鳴り響く。
ムービーが始まったらしい。
「おおッ!スゲー!カッケ―――――ッ!!」
ケロロがこちら側を向いて無邪気に目を丸くする。
素通しに見えるのは、こちらだけなのだ。
ケロロの姿を目にして、モアが必死の抵抗をみせる。
手のひらでクルルの顎を撥ねあげ身をよじって、深く繋がれた自分のから
だをなんとか解き放とうと足掻く。暴れるモアを抱きすくめたクルルが、
くせのないやわらかな前髪を掴み、引っ張った。
モアの首がおおきく仰け反る。
クルルが、後ろ手に自分を掻きむしるモアのゆびを掴んで、電磁バリアに
ビシッ!と叩きつけた。その振動と音は、裏で放映されているムービーの
激しい爆撃音によって掻き消されてしまう。
もう片方の手もクルルに掴まれ、ちょうど手首を交差させたかたちでモア
の両手が電磁バリアに押しつけられた。
重ねた手首から伝わるアンゴルストーンの効力が、モアの抵抗する最後の
ちからをたちまち奪ってゆく。モアのほおを透明な涙が幾筋もつたった。
クルルが顔を寄せてモアの髪を掻き分け、うなじから首筋に唇を這わせた。
そのあたたかな感触に、モアがびくりとからだをふるわせる。
「・・・・・っ・・・は、ぅぅ・・・・ッ!・・・」
体内ふかく穿たれたクルルの熱をふいに強く感じて、モアのからだが
心ならずもヒクヒクと収縮を繰り返す。
そのたびに感じる、めまいを覚えるような甘い惑溺に眉根を寄せたモアが
首を反らし頭をもたげ、霞む目をひらいた。
その目線の先に――ニコニコとPRムービーを見て微笑むケロロが、いた。
(ああッ!!・・・・・お、じ・・・さまッ・・・・!!)
モアと繋がったまま、クルルが後ろ手にデスクの椅子を引寄せた。
そのままモアの腰に手を廻してかるがると抱き上げると、ひざ抱きにして
モアごと椅子に深く腰掛ける。体重がかかり、結合がぐぐっと深くなった。
くぅッ・・・・とモアが耐え切れずちいさな声をもらす。
クルルが腰掛けた滑車つきの椅子を、ちょうどケロロの真正面に来るよう
移動させた。ひざ下にからまる下着の布地を片足だけ剥ぎ取り、クルルが
モアの足をおおきくひらいた。
胸を守るブラもみぞおちまで引き下げ、乳に五指を食い込ませて容赦なく
嬲る。身体を激しく揺すりながら、クルルが声をかけた。
「―――――――どうだい隊長?・・・・・オレの苦心の作だ。
キレイな、いい絵だとは思わねぇかい?」
(あ、あ・・ッ――イヤ・・ぁ・・・っ!・・みない、でッ・・おじさ・・ま・・ッ!)
「イヤ〜、さすがはクルル曹長。なかなかの高画質でありますな!」
「クックック、ありがとよ。アンタにはきっとそう言ってもらえると思っ
てたよ。」
クルルが抽迭を繰り返すたびに、モアのくちから押し殺した甘い吐息
が搾り出される。
「ふぅ・・・んッ・・・くぅッ!・・・はぅ・・・うッ・・・」
モアのからだは、くさび打たれたクルルを締めつけ収縮しつつもどん
どんさらに深く飲み込もうとする。クルルが後ろから腕を伸ばしてモアの
秘所の、敏感な芽を爪で弄った。
「ひッ!・・・・ッ〜〜〜〜〜〜〜〜〜ッ!!!!」
最初の絶頂にモアがからだを引き攣らせ、背をのけぞらせた。
殺しきれない、悲鳴に似た高い声がかすかに漏れる。
がくがくとモアの顎と足先がふるえた。クルルがモアの耳に口を寄せて
素早く、ひそやかにささやく。
「隊長の目の前でイッちまうとはな。・・・・なかなかいい度胸じゃねぇか。」
「ひ・・ぃ・・・ッ!・・・っく・・・ッ!・・・・うぅぁッ・・・・」
どうしても漏れ出るモアの嬌声に、向こう側のケロロが不審気に後ろ
を振り返って映像のモアを見やった。
「――――モア殿?・・どこか具合でも、悪いのでありますか?」
「オイ。隊長が聞いてるぜ?・・・クックック、一体どうしたんだよおめェ。」
クルルがわざとケロロにも聞こえるように、はっきりと声に出した。
「ふ・・・ぁあッ・・・・お、じ・・・さまぁ・・・ッ!」
その声に向こう側のモアが、具合悪そうにからだを俯かせる。
「だ、大丈夫でありますかモア殿?・・・熱でもあるのでは?」
モアに駆け寄ってからだを支えようとしたケロロを、必死でモアの声
が押し留める。
「だ・・・ダメッ・・・・来ないでッ!触らないでおじさまッ!!」
「し、しかし・・・・クルル曹長、これは?」
モアのからだを抱きとめ、するどく動き続けるこちら側のクルルが
苦笑して腕時計に声をかけた。
「――――なに。こいつは隊長に見て欲しくて、ちょっとばかり張り切り
すぎただけだ。頑張りすぎてへばったんで、イラついてるのさ。
・・・・・それより隊長、続きを見てやってくれよ。あんたに見せたくて、
こいつもウズウズしてるんだ。――――喜ぶぜ。ク〜ックックック。」
クルルの言葉に、戸惑いつつもケロロが正面のムービーに向き直る。
ケロロはまったくあずかり知らぬことであったが―――その目線の先には
足をひらかされ秘所をさらけ出したまま男を受け入れているモアのからだ
が、あった。愛するおじさまの無表情なその目に、クルルに犯され続けて
いる自分のすべてを見られてしまっているような錯覚があり、モアがちい
さく嗚咽し始める。
クルルがモアの背のブラの留め金を鷲掴み、強く引いた。
引き剥がされ、みぞおちにクシャクシャと溜まっていた白いブラがまるで
拘束具のように乳を押しあげ、そのかたちを歪ませる。
たちまち乳の先端がかたく尖った。
「ひぃ・・・ッ!――――はぅ・・・・ッ・・・・・うぅう・・・。」
そのままクルルがモアの腰を支えて、ゆるくそのからだのなかを掻き
回す。モアのくちから笛に似た高い声がかすれて漏れた。
その声に反応して電磁バリアが一瞬ぐらりと揺らぐ。声が大きすぎたのだ。
「お・・おじッ・・・さ、ま・・・おねが・・・・いッ・・・・・!」
透明な唾液をくちから滴らせながら、モアが必死で声を出した。
「おねがい・・・れす、から・・・はぅう・・ッ!!・・・・き、今日はもぉ、・・・
か、帰ってくださ・・・・いッ、いぃいッ!!!」
「―――――だ、大丈夫でありますかッ モア殿ッ?!」
「・・もあは・・だいじょぉ・・ぶ、れす、か・・らッ!――ひッ!あ、ぁあッ!」
語りかけながらも、止む事のないクルルの抽迭にモアがまたちいさく
達する。
「かえって・・・・・・くらさ、いッ!―――早くッ!・・・はや、く・・・・ッ!!」
モアが両手で顔を覆った。そのゆびの隙間から涙がこぼれてつたう。
「も、モア殿がそう言うのでありましたら・・・・。」
気がかりそうにケロロがきびすを返す。
何度も振り返りながら去るケロロがラボの入口で足を止めこちらを向いた。
「仕事熱心なのはよいコトでありますが、モア殿は何でもひたむきにガン
バリすぎでありますよ?―――我輩みたいにちょっとはサボ・・・ア、イヤ
息抜きも必要であります!体を壊したら元も子もないでありますよモア殿。
よく休養を取ることと、そうだ、あとでクルルによく診てもらうといいで
あります!クルルならきっと何とかしてくれるでありますからな♪
・・・・・・モア殿、約束でありますよ?」
ケロロのその何も知らぬ温かい言葉が、モアの肺腑をえぐった。
「――は、い・・。おじさ、ま・・。クルルさんに・・おねがい、し・・ます・・。」
顔を覆ったままモアが崩れ落ちる。クルルが口の端をゆがめてひくく
笑った。
(知らんこととはいえ、エグイことを言いやがるぜ・・・・ウチの隊長は。)
「クルル曹長、モア殿をよろしく頼むであります。」
片手で嗚咽するモアを抱き寄せ、左手でゆるく敬礼したクルルが
扉を閉めるケロロに対して凄みのある笑みを浮かべた。
「ああ。――――了解だ。・・・・・あとはまかせときな、隊長。」
ケロロが去ったのを見届けて、クルルが抽迭を再開した。
鋭くモアのからだにおのれを打ちつけ、思うさま蹂躙する。
絶頂を繰り返した感じやすいモアのからだが、弓のように反りかえった。
「ひッ!!あ、ああ――――ッ!あッあぁあ、ぁあ―――ッ!!!」
その嬌声に、電磁バリアと映像の二人が瞬時に消滅する。
「どうだい?感じまくっていたみてェだが・・・隊長に見られて、コーフン
したかい?」
「ひぃ、っく・・・ッ・・―――く、るる・・・さ、ん・・・・・」
モアが涙をこぼしながらつぶやいた。
「わ、わた、し・・・が・・・うぁぅッ!―――なに、か・・・いけない、コト・・・
し、て・・・怒らせ、たんなら――――・・・。こんなッ・・・!
―――おじさ、まは・・・ぅうッ!・・くるるさんを―――し、しんらい・・ヒィッ!
・・・・な、なかま、なの・・・に――――・・こん、な・・・ッ!!」
「―――あきれたぜ。この期に及んでまだそんな事言ってやがるのかよ。」
クルルがモアの足を入れ替えてからだの向きを変え、普段の自分が使
う低いコンソールパネルにモアを仰向けに横たえた。
そのまま足首を掴んでからだをひらかせ、覆い被さるようにふかく自らを
挿入する。モアのからだがビクビクッと跳ねた。
「―――そんなお題目は空気読めねぇ誰かさんや、家主のオカルトマニア
にでも聞かせてやんな。仲間だとか信頼だとか、愛だの恋だの心だの・・・・
――――くだらねぇ。オレはリアルなものしか信用しないぜ。
目の前にある事実と自分の才能、あとは金だ。・・手に入らねぇ、あるかどう
かも判らねぇもんに入れあげる奴ぁ、ただのマヌケさ。オレは興味ねぇな。
・・・いまこうしてオレの下で、いい声あげて鳴いてるおめェが内心どれだけ
このオレを憎んでいようが、な。」
貫きながらクルルが覗き込むようにモアの顔に顔を寄せた。
その耳に尖らせた舌を挿し込む。そのぬるい感触にモアがぞくッとからだ
をふるわせた。
「はぅう・・・ッ――――は、・・・ッ・・・ぅあぅッ・・・あ、あ・・・。」
「他の奴らの知らねぇところで、このまま毎日可愛がってやったっていい
んだぜ?・・・そういう甘っちょろいセリフが出なくなるまでな。クックック」
ひどく優しげな声でつぶやくクルルが、モアの太ももの内側を手で
押しつけた。足がおおきくひらかれ、モアの乳がひざで潰され形をかえる。
クルルが、表情がよく見えるようモアの顔を起こした。
そのまま一気に根元まで挿入する。
「や・・・ひぃい――――――ッ!!ぁ、あああぁあ―――――ッ!!!」
モアがあらん限りの声をあげる。その快楽の絶叫はとめどなかった。
二度、三度と鞭打たれるクルルの荒々しい動きに、モアのからだが弓なり
にしなった。
「あッ・・あ、ああッ・・もぉ・・もあ、ダメです・・おかし、く、な・・ッ・・」
「――なっちまいな。・・・・壊れても、オレが治しちまうがね。クックック」
クルルの眼にも、酔ったような暗い凶暴な光が宿った。
モアの乳を掴み、容赦なく揉みしだく。
モアのからだの最奥をクルルが激しく突いた。
クルルが動くたびにモアの秘所がちゅく・・ッちゅく・・ッ!と淫猥な音を
立てる。永劫に続くかにみえた、もはや苦痛なのか快楽なのかわからない
陵辱にモアの意識が徐々に薄れはじめた。
あまい桜色に全身が染まる。からだが痙攣を繰り返す。
「ひッ・・・・ひぃんッ!・・・ひぃ・・・・ッ!ぅあッ・・・・!!」
モアの内部を、クルルが余すところなく蹂躙する。
最後の、そして最大の絶頂にモアのからだがビクビクッと大きく痙攣した。
「ひィいッ!・・・ひ、あぁッ――――――――あ、あぁああッ!!!」
その激しい収縮の感触に、クルルも深く埋めたままひくくうめき精を
放つ。絶頂の快感の名残りにモアのからだが数回、ちからなく跳ねた。
そのまま数秒――――音もなく時間が流れる。
「―――オレがイイヒトなんかじゃねぇって事が・・・よくわかったかい?」
クルルがモアのからだから自分を引抜きながら、ぽつりとつぶやいた。
モアの太ももを血の混じった白い液体がつぅッ・・とつたい落ちる。
モアは動かなかった。重ねられた衝撃に瞳を見開いたまま茫然としている。
その涙と唾液と粘液に汚れた顔に、クルルが指をかけた。
硬い指先がそのほおを撫でるようにそっと動く。
耐え切れなくなったようにクルルがつぶやいた。ぎりぎりまで押し殺して
いるためかその声はかすれ、どこか心もとなかった。
「おい。・・・・・だから、な・・・・・。」
クルルの指が伸びた。
ふるえる指先でモアのおおきな、うつろに開いた瞳をさえぎるように隠す。
そのあとに続いたにがい言葉は―――だが、意識を飛ばしてしまっている
モアの耳に届くことはなかった。
「――――だから・・・だから今後もう二度と、このオレをそんなまっさら
な眼で見るんじゃねぇよ。――――迷惑なんだよ。」
〈END〉
いくら過疎状態でも既存のSS引っ張ってきたりしていいのか?
書けない書かない糞野郎 正論乙
地球人・日向夏美は悩んでいた。
ある日の午後。
日向家の捕虜・ケロロ軍曹の父親が、アポなしで青い地球にやってきた。
元・伝説の鬼軍曹。ケロン軍の英雄。眠そうだが鋭い眼差しの持ち主である彼の発するケロン訛りは、地球の熊本弁に似ている。
そんなケロロの父(以下・ケロ父)は、久々に会った息子に、見合い写真を突きつけた。
「どや、べっぴんさんやろ」
息子の緑色の顔がさっと蒼ざめた(一見分かりづらいが)。
38 名前:ケロンの星 :2006/01/23(月) 01:17:38 ID:Sf7CUeBA
冗談ではない。相手がべっぴんでもなんでも、どこの誰であろうと、結婚などとんでもなかった。
なぜなら、結婚したケロン人男子は子宝祈願のため、オモチャに触ることを禁じられるのだ。
なんのこっちゃというなかれ。確かに玩具と子宝の因果関係は現代にしてみれば科学的根拠を欠くが、ケロ父の世代の多くが重んじている風習なのである。ケロロとて無下にはできない。
しかしケロロにとってオモチャ…プラモ作りを断たれることは、死ね! と言われているのと同義だ。
そこで。
「実は我輩、恥ずかしながら敵であるペコポンの女性と!」
ケロロは咄嗟に、偽の婚約者を仕立てて父に紹介したのだった。そのアイディアはまあ、夏美も納得の範疇だ。地球の昔のマンガでも見かける手だ。こういう場合の行動は全宇宙共通らしい。
だが。
「そう、ここにいる日向夏美殿と将来を誓ったのであります!」
――その、偽の婚約者がどうして私なのか!
突然指名された夏美は仰天した。
もちろん、周囲も目を回した。弟・冬樹は慌てるし、タママは荒れるし、クルルは面白がるし……夏美には理由は分からねど、ギロロも自分を見失ってるようだけど……それより何より、モアの「てゆーか自暴自棄〜!」を鎮めるのは一苦労だった。
……だが本人にしてみれば残念なことに、夏美は義侠心に篤かった。
少なくとも、窮地に陥ったケロロを放置できないほどには。
仕方なく彼女は「一日婚約者」として、ケロ父の前に出た。その後は共鳴したり体操したり、早口言葉だのプラモの作り溜めだの、婚約者としてひととおり「ケロン人新妻」のシミュレーションにつき合わされたのだった。
「はーー……」
心身ともに疲れ果て、ようやくひとまず解放された夏美は、自室のベッドの淵に腰掛けて『きょうのおかず』をパラパラめくりながら、一人悩んでいた。
バタン。
突然、夏美の部屋のドアが開き、ピコピコと聞きなれた足音が乱入してきた。
「なっつみっどの〜!」
夏美が疲弊し、今悩んでいる元凶、ケロロである。片手を挙げて、足取りも軽く夏美のテリトリーへ入ってくる。
いつもなら、ノックくらいしなさいよこのボケガエル! と乙女としてしばき倒すところだが、今日は事情が違った。
「あ、ボケガエル。ちょうどよかったわ。晩御飯何にしようか?」
「ビーフシチューがいいでありまーす!」
ケロロは即答しながら、ぴょん、とベッドに乗り上げて、ちゃっかり夏美の隣に座った。
「アンタの好物は聞いてないの! そんな手の込んだもの今から作ったんじゃ遅くなっちゃうでしょ」
「ゲ、ゲロ……」
父親のいない日向姉弟は、ケロ父くらいの歳の男性に馴染みがない。母は家では飲まない。故に夏美には”食事の前に酒と肴”という発想はないのだった。
「カレーとかコロッケとか食べないよねぇ、お父さんは」
「ねえ、夏美殿ぉ〜」
「うーん、あと、すぐできる物っていうと……」
「夏美殿ー、そんなことよりお願いが」
ケロロはベッドにうつぶせになり、足をばたつかせて泳ぐようにして夏美の関心を引こうとする。ある意味、カエルらしい仕草ではあるのだが。
「夏美殿ってば〜聞いて聞いてぇ〜」
「あーもう、うるっさい! 何なのよ!」
見降ろして夏美が問いかけると、ケロロはピョコンと音を立ててベッドから飛び降りた。そして夏美の真正面に立ち、こう言い放った。
「我輩と一緒にお風呂に入って欲しいであります!!」
JET!
夏美の右拳が、人の目には映らぬほどのスピードでケロロの顎を撃ち抜いた。
「ゲローーーーー!」
「アンタ、今、なんつった……? エロガエルに改名してあげようか?」
怒りのあまり平静より低くなっている夏美の声も、ケロロには届いていなかった。何故なら彼の首から上は天井にめりこんでいたから。
「姉ちゃん、待って!」
扉を開けて飛び込んできた弟・冬樹は、夏美の形相と固められた右拳を見ただけで全てを悟った。そして、頭上でじたばたしているカエルの足を見上げる。
「軍曹! ああ、遅かったかぁ……」
「何なのよ!」
「実はね、さっき軍曹のお父さんが……」
話は数分前に遡る。
婚約者の真似をひとしきりこなした夏美。もともと芝居の才能はない彼女だ。これ以上ケロ父の前にいたら絶対、ぼろが出る。夏美は、最後の演技力を振り絞った。
「ねえ、ボケガ……じゃない、け、ケロ…ちゃん」
うわあぁぁああ! ケロちゃんって! このボケガエルがケロちゃん! 自分で言ってて胃がひっくり返りそう!
だが夏美は全身を覆う鳥肌にも、流れる脂汗にも耐え、ガラスの仮面を被り続けたのだった。
「ゲロ? なんでありますか?」
一方、こちらはいつものごとくマイペースである。しかも、小芝居は得意な方だ。
「え、ええと、久しぶりなんでしょ、お父さんと会うの。私、邪魔じゃない?」
「全っ然そんなことないであります!」
ちゃぶ台の対面では、ケロ父が眠そうでいて鋭い視線でもって二人を見ている。
ぎりっ。きつく握った手に、爪が刺さる。それでも引き攣った笑顔で夏美は続けた。
「でも、父子水入らずで積もる話もあるでしょ。ね?」
「水入らずって言われましても、我輩たち水が入らないとどうにも調子が」
こっそりこめかみに怒りマークを浮かべながら、夏美はケロロを傍らに引き寄せ、その丸い頭を撫ではじめた。ヤケクソである。
「ゲ、ゲロ? 夏美殿?」
「バカ言ってないで、遠慮しないでお父さんに甘えなさいよ。ね、ケロちゃ〜ん?」
「ゲロ……? あ、あの、ちょっと痛いのでありますが」
ぐりぐり。ぐりぐりぐり。夏美の撫でる手はいつのまにかゲンコツになっていた。幸い、ケロ父には気づかれていなかったらしい。その証拠に、
「わっはっはっは、ケロロはワシなんぞより、夏美さんに甘える方がええんじゃろ」
彼は突然、こんなセリフを発して夏美を更に引き攣らせたのである。
いかにも『伝説の軍曹』らしく、ケロ父は実の息子に対しても、比較的重々しく接していた。だが、「水入らず」にされては彼とて人(カエル)の親。作戦進行中の兵士にかけるには相応しくない、"父親の言"がつい、漏れる。
「夏美さんか……ええ娘さんじゃなかか」
「怒ると怖いんでありますよ〜」
ぐりぐりされた頭を撫でながら、ケロロは反論した。彼は事実しか言っていないのだが、この状況ではどう聞いても惚気だった。
「わっはっは、ぬしみたいなのには、あのくらいしっかり者の嫁さんがちょうどええ」
「ゲ、ゲロ……」
「でかしたぞケロロ。ええお嬢さんを捕まえたもんや」
「捕まったのは我輩なのでありますが……あ、いやいや」
鷹揚に笑うケロ父。川に流れるカエルのように、状況に流されているケロロ。
そんな二人を、衾の向こうで耳をそばだてながら、見守っていた者たちがいた。ギロロ・クルル・タママ・モア、そして夏美の実弟・冬樹。
衾の向こうは、息を呑む音とギロロの歯軋りが聞こえるほどに、しんとしていた。
「そうなると祝言の日取りを決めんといかんばいなあ」
「しゅうげん……でありますか? 」
「結婚式ちゅうのは、やることがこれでもか! と出てくるからのう。ぬしも、招待する友達のリストアップくらいは早々にやっとくがええぞ」
軍曹の中の軍曹・ケロ父。その勘のよさ・先見の明・決断の確かさなどから、「先読みの軍曹」と呼ばれたこともあったという。加えて、やると決めたことはちゃっちゃとやるタイプだ。このままケロ父の好きにさせておいたら、一週間後には夏美と結婚しているかもしれない。
(冗談デショッ! 夏美殿に偽婚約者になってもらった意味がパーでありますッ!)
これ以上、ケロ父の話を続けさせるわけにはいかない。
その頃、赤の彩度と明度を極限まで上げ、宇宙空間から見た太陽みたいになっているギロロをよそに、タママが衾に手をかけた。
パァン! 景気のいい音を立てて衾が開いた。
「失礼するですぅうぅぅ〜〜! 軍曹さんのお父さん〜、お風呂どうぞですぅ〜〜!」
タママにしてみれば「婚約者ごっこ」は実現しないから黙認できた。しかし実現する可能性が僅かでも出てきた以上、全力で潰しにかかる。それがタママクオリティ。
しかしすっかり裏になっているタママに怯むこともなく、ケロ父はふむ、と頷いた。
「あ……ホントに、どうぞ。長旅でお疲れでしょう?」
「てゆーか、浮世風呂?」
「クーックックック」
いつのまにか全員客間に入ってきていることには頓着せず、ケロ父はケロロに向かって言った。
「ぬし、夏美さんと仲ようやってるんやな?」
「も、もちろんであります!」
「だったらちょうどええ、ぬしどん、夏美さんと風呂ば一緒に入れ」
客間が静寂に包まれた。
ケロン人にとって、「一緒に水に入る」ことは、地球で言うところの「同じ釜の飯を食う」に相当する行為らしい。この場合同性・異性は関係ない。共風呂は、何よりの親しみの表れであるのだ。――少なくとも、ケロ父の世代では。
実は今、若いケロン人たちは、その習慣を悪習と思って迷惑している。それはまあ、混浴を強要され、なおかつそれが肝胆合い照らした証明になるなんて、確かにめちゃくちゃだ。非論理的だ。
しかし、ケロ父はケロ父だった。ケロンの風習を大切にしていた。若者の繊細な心とは、残念ながら相容れなかった。息子たちも自分の若い頃と同じようにやっておれば間違いはないと信じていた。
「どや、愛し合っちょるならできよーもん」
そして、ケロロは基本的にお父さんっ子だった。
「もちろんであります!」
そして今ケロロは、夏美を誘いに来て天井にめり込み、足だけばたばたさせながら冬樹のフォローを受けている。しかし、夏美は当然ながら納得しそうに無い。
「ちょっとぉ、だからって私が、ボケガエルとお風呂……って!」
冗談じゃないわよーーーーー!!!
ガルルは身支度をすませ、立ちあがった。
防音シールドを解除して身の回りのものを点検する。
ベッドに横たわった夏美には目もくれようとしない。見なくても、わかっていた。
――いま彼女は力尽き、臥せってはいるが・・・目は始終私の姿を追い求め、熱っぽく見守っているはずだ。
私の表情や動作から、私の意志を汲み・・・どんな命令でも従おうとするだろう。
―――すべて、そうなるように仕向けた。
ガルルが苦い表情で夏美に近づいた。左手で、夏美のほおに触れる。
びくッとからだをすくませた夏美が、嬉しげに身を寄せた。その手にゆびをからめて唇を押しあてる。蕩けたような、生気のない瞳であった。
その姿から目をそらせ、ガルルが上着の隠しからケロン軍士官に支給される端末を取り出す。退星時、
記憶消去するときに用いられる機器である。自分に関する夏美の記憶をすべて抜くつもりであった。
―――たとえ記憶を失っても、これほど強烈に支配し暗示を与えた後では、もはや人格は元通りのものでは
ありえない。大きな支配を失ってしまった精神は、それ自身を支えるためにやがて別の支配をもとめ、
すすんで受け入れようとするだろう。まして自分が捕虜であるという暗示を、再三に渡って与え続けたのだ。
もはやこの娘がケロロ小隊に対して強い立場に出ることはありえない―――。
ガルルは自分の行為に吐き気を覚えた。
さっさとこの場を立ち去るつもりで、端末の記憶消去ONのスイッチに指をかける。眼が端末のはしの、透明なケースに囲われた赤いボタンに吸い寄せられた。―――そのボタンは、尉官以上の者に与えられる端末に
のみ装備されていた。戦闘中に部下に重大な精神汚染がかけられ、その者の精神が危機に陥った場合、
尉官権限において記憶消去だけでなく、精神洗浄が行われる。船団に戻れば本式の装置があるが、前線では帰還もままならないことがあるため、このように簡易型が装備されているのだ。・・・ガルルの指が震えた。
――――――莫迦な。何を迷う。
この娘は部下ではなく、明らかに敵だ・・・・しかも危険な。
一時の憐憫や感傷に流されるな。以前ポコペンに降下したとき、この娘はケロンの強化服をまとい、
しかもその戦闘をギロロが明らかにサポートしていた。即刻武装解除して事なきを得たが―――非常に危険な兆候だ。破局の結末を迎えるまえに、問題の芽を摘みとってしまわなければ。私が今成すべきことは、
この娘の記憶を消去して早々にこの星を立ち去り――あとはケロロ小隊にすべてを委ねてしまうことだ・・。
早く、早くスイッチを――押せ。
うつむき歯を食いしばるガルルの靴先に、数葉の写真が触れていた。
さきほど本棚から落ちたアルバムに挟んであったものであった。空いている方の手で拾い上げる。
写真は、吉祥学園の運動会を写したものであった。疲れたような、情けないような表情で冬樹が笑っている。ガルルが悲痛な声で語りかけた。
「――少年。君の言葉は美しいが・・・。侵略者とその標的となった星の人々が対等な友情を結べることなど―――本来、ありえないのだ・・・。」
写真をめくってゆく。なごやかな、平和な世界がそこにあった。
全身緑のポコペン人スーツを装着したケロロが、必死の形相で冬樹を追いかけている。
弾かれたように逃げている冬樹の姿。二人三脚で1位のテープを切っている晴れやかな夏美の笑顔もあった。
その横に怒ったような照れたような表情で、それでも夏美の足に負担をかけぬようさりげなく体を支えているギロロの姿もある。
――――それはケロン人も地球人もない、日常のひとコマであった。
ひょっとして明日には戦火のなかで消えてしまうかもしれない、だがひどくしあわせな日常―――。
ガルルの頬が震えた。
壊れた人形のように動かぬ夏美に、腕をまっすぐ伸ばして端末を向ける。
その指が透明なケースを押し割って、精神洗浄の赤いボタンを押した。
―――――それから修理されたクルルの装置によって本来の姿を取り戻し、本部の輸送船に乗って地球を離れるまで―――ガルルが口を開くことはなかった。
〈END〉
夏美がためらうのも当然といえば当然。
その薄い壁の向こうには、何も知らない弟の冬樹が眠っているのだ。――実際には部屋に侵入する前、
ガルルが特殊な防音シールドを作動させていたため、音や振動が外部に漏れる心配はなかったのだが・・・。そんなことは夏美は知らない。かまわずガルルが夏美のひざをつかんで片足を持ち上げ、そのうすい肩を壁に押しつける。
「・・・・ゆるし・・て。――――ふゆき、が・・・おきちゃうッ!」
「―――あの少年か。私は別に構わない。姉の状況を見てもらうんだな。」
「ひ・・・・・・あッ!!」
貫かれて夏美がほそい声をもらした。必死で指を噛み、声を殺そうとする
ガルルが動く。壁に押しつけられた夏美のからだが大きくずり上がった。
「!!!―――――・・はあッ、あぁあああッッ!!」
ずっと満たされることのなかったからだの欲求が、急激に埋められる。その強烈な快感に、夏美は叫び声を上げた。
ガルルが夏美の右腿を胸の高さまで持ち上げ、鋭く突きあげるようにして犯す。不安定な足場と、この異常な
状況までもが快感にすりかわる。もはや夏美には隣室の弟に配慮する心のゆとりはなかった。高い声を放ちながら、夢中でからだをよじらせる。本棚の本が数冊、からだが打ちつけられる衝撃で床に落ちた。夏美の
からだが、余すところなく蹂躙されてゆく。その容赦ない責めに夏美の精神が徐々に崩壊をはじめる。
夏美はガルルにしがみつき、その首を抱きしめるようにしてゆびをからめた。枷を失ったこころが、急激に傾斜してゆく。もはやみずからを保つには眼前のこの男に全てをゆだねる以外、ほかに方法はなかった。
「そんなに声をあげていていいのかね?―――少年が目を覚ますぞ。」
夏美が切れぎれの声をあげながら、首をふる。なみだが頬を濡らしていることにも気づかなかった。
「はッ・・っ・・・いいッ・・・ですッ・・かまいま、せ・・ん・・・・ッ」
「――――ほう? 見られてしまうぞ?」
「あなたが・・・そうしたい、なら・・・―――ん、んんんッ!! 好きにして――くだ、さいッ!!」
「―――――成程。」
ガルルの眼の色が、複雑な翳りを帯びた。
むろん防音シールドを解除するようなことはせず、夏美の腰を手で支える。
床に残されていた夏美の左足が宙に浮き、ガルルの腰にからみついた。
ガルルがすこし体を沈め―――その反発力と夏美の全体重をかけて、一気に貫く。
信じられないほど深くまで届いた。夏美が絶叫する。からだをのけぞらせ、ガルルの首に爪を立てた。その凄まじいまでの快感に、一気に絶頂まで押し上げられる。
――――夏美の声が完全に枯れ、指先にちからがまったく入らなくなるまで、その行為は続けられた。
くちのなか一杯に熱い塊が、ある。
ベッドに腰掛けたガルルの足の間にひざまずき、さきほどから夏美の唇の奉仕が続いている。
その髪にうずめられたガルルの指先に力が込められるたび、喉の奥まで貫かれて夏美が苦しげに痙攣した。それでも決して歯を立てることのないよう、よわよわしく吸い、舌を絡めつづける。
ガルルの指がすこし下がり、夏美の耳の後ろからうなじにかけて優しくくすぐるように動いた。つつつ・・ッと爪先で何度も何度も夏美の首筋を逆立てる。耳たぶをなぞり、小指の爪でかるく弾かれる。
―――さきほどさんざん火をつけられた体であった。わずかな刺激にも過敏に反応してしまう。夏美のあしがふるえ、腰が無意識に跳ねる。
「ん、ん・・・・・ッ!」
「―――――どうした。続けたまえ。」
感情を完全に制御した冷酷な声で、ガルルが言う。
夏美があわてて唇の方に神経を集中させる。とはいえ、ガルルの指の動きはますます執拗さを増してゆく。
意識を保ちつづけるのは、至難の業だった。
いままで首筋など、触れられてもくすぐったいだけのものだと思っていたのである。
それがこれほどからだを蕩かすものだということを、夏美は今回はじめて知った。
えりあしの後れ毛を梳かれ、肌に触れるぎりぎりのところを通る指の腹の感触を感じるたび、からだの全感覚が目覚め、どうしようもなく燃えてゆくのを感じる。
――――首や耳などではなく、もっと別のところに触れてほしい。
めまいのするような焦燥感に、夏美があえいだ。
結局ガルルが夏美を解放したのは、夏美のくちがほとんど感覚をうしなうほど疲労した後であった。
足腰の立たぬ夏美の両手首を片手でまとめてつかみ、そのまま吊り上げる。
ガルルが片眉を上げ、唇の端をゆがめて笑みをつくった。
「・・・・・行儀が悪いことだ。」
その言葉が、ひざ近くまで腿を濡らしている自分を揶揄しているのだと悟って夏美が羞恥に顔を染める。
夏美を下ろしたガルルが右手のリボルバーをその眼前にかざし、シリンダーを開けてみせて微笑んだ。
「―――じつは銃弾は次に装填されていた。お利巧にしていて、良かったな。」
夏美が目を閉じて大きくふるえる。ガルルが用済みの拳銃を次元転送して武器庫へ送る。
たびかさなる過度の緊張に、夏美のこころが臨界を突破した。
「抱いて。―――はやく、あたしを・・抱いて、ください。すこしでもはやく・・・ッ」
「さて、どうしたものかな。」
「おねがい・・・ッ―――なんでも、なんでもします・・・からッ!」
夏美がガルルの腹にキスの雨を降らせた。もう一度ひざまずこうとした夏美のからだをガルルが苦笑してひきおこし、本棚のあるせまい壁を背にして立たせる。
「え・・・?―――ここで・・・です、か・・・・・・ッ?!」
「選択する権利は私にある。――――君には無い。」
「―――――そんな・・・・ッ!!!」
「あっ―――あッ――・・・」
乳を甘く噛まれて、夏美がからだをふるわせた。
両手でガルルの頭を抱きしめ、そのほそいゆびを藍色の髪にうずめる。ガルルが夏美の背に腕を廻した。
その掌が背骨に沿って撫でるように下げられる。掌は、背では止まらなかった。まるみのある尻を掬うように滑ってゆく。やがて指が・・・尻と腿の間、夏美のからだのもっとも奥の部分にふれた。
「・・・ひあぁあっ、あ、あ・・・ッ」
ビクビクッと夏美のからだが跳ねた。ガルルの指は、執拗に夏美のからだをひらかせようと動き続ける。
指と。唇と。―――二箇所を同時に責められて、夏美は狂おしく乱れた。ガルルの指と、夏美の腿がしとどに濡れ始める。夏美の自意識はもはやからだの芯とともに溶けたバターのごとく流れ去り、ただガルルがもたらす刺激に反応し、あえぐだけの動物的なものと化している。
その意識が高みにむかって昇りつめようとしたとき―――。ガルルが一切の動きを止めた。
「―――というのが、相手を支配する二つの手段・・・という訳だ。理解したかね?
ところで、忘れていないか?いまの君の立場を。・・君は私の捕虜だ。捕虜なら、捕虜らしくしたまえ。」
すんでのところで止められて、夏美がやるせなく身をよじった。
ガルルが相当に意地の悪い笑みをうかべる。夏美からからだを離してベッドに改めて腰掛け、
夏美に向かって肩をすくめてみせる。
「そ、そんな・・・ッ・・どうすれば・・・」
「さて・・・どうすればいいと思うかね?」
冷たく突き放したガルルの言葉に夏美はしばし逡巡し、やがてあやうく歩を進めた。おずおずとガルルの胸に頭をうずめ、そのゆびをジャケットの合わせ目から内側へとすべらせる。
シャツをたくしあげ、夏美の唇がつたなくガルルの腹をつたった。夏美がガルルの足の間に身を寄せる。そのきゃしゃなゆびがスラックスにかかり、苦労した挙句にボタンをはずす。
「―――手を使っていい、と許可した覚えはないな。」
残忍な声音でガルルがつぶやく。夏美の両手がこわばり、ちからなく下げられた。
「ッ・・・・・はい・・。」
夏美の顔が腰のファスナーに寄せられる。前歯で金具を噛んで固定し、唇を使ってファスナーをなんとかおろす。布地をくわえて、前をくつろげた。鼻先で下着の内側に顔をうずめる。
――――ガルルの右手に、いつのまにかあのリボルバーがあった。
みずからの足の間にうずくまった夏美の背から、まっすぐ心臓に向かって狙いを定めている。
・・・びりびりと帯電した声で、ガルルがつぶやいた。
「・・・いっておくが、莫迦な真似はせんことだ。私も手元が狂うことはある。」
「・・・・・はい・・・。」
夏美のくちがちいさくひらかれ、その舌がガルルにふれる。
そのかたちを確かめるように、舌のさきがつたう。ガルルの左手が夏美の頭にかけられた。その抗えない力で、夏美の顔がふかくうずめられる。
「ん・・・グッ―――ッ!」
夏美ののどの奥で、ちからなく苦鳴がもれた。
ガルルが、左手で夏美の頭を抱え込んだ。その指で顎をつかみ、自分の方へと無理やり振り向かせる。
「相手を支配する場合・・・・・邪魔なのはその者の理性と自尊心だ。それを崩すのに手っ取り早い方法が二つある。いま、教えてやろう。」
ガルルが右手を一閃する。手からハンドガンが消え、違う武器が現れた。ケロン製の丸っこい形状のそれではなく、鉄製の黒光りする拳銃である。
「リボルバー、といったかな。ポコペンの某所で手に入れた物だ。
銃器としてはきわめて原始的な構造だが・・・こういう使い方もできる。」
ガルルが夏美に銃弾―――その、特有の縁のある薬莢をみせつけた。
1弾だけ装填してシリンダーを回転させ、夏美の頭に突きつける。撃鉄が起こされた。
「祈りたまえ。―――――確率は6分の1だ。」
「やッ・・・やめてッ・・・・・ひッ!!!」
カシィッッ!!・・・と硬い音がして、撃鉄が落ちる。
安堵のため、夏美のからだがくたくたと崩れ落ちた。その頬をなみだが滂沱と流れる。
そのからだを支え、ガルルが無感動に続けた。
「次は5分の1。」
引き続き、硬い金属音。
「ひッ!!嫌ぁ!!!」
「――――4分の1、だ。」
撃鉄が、三たび落とされた。
たてつづけに三度の緊張に耐え切れず夏美がしゃくりあげ始めた。足はがたがたとふるえ、もはやガルルが支えていなければ、立っていることさえままならない。
「ひとつは、恐怖。・・・いま君が味わっている感情だな。なかなか有効な手段ではある。
――――そしてもうひとつは。」
リボルバーを構えた右手はそのまま、ガルルの左手が夏美の首をまさぐった。うなじを押さえる指に力がこめられる。顔を寄せたガルルが優しげに、だがほとんど聞きとれないほど低くささやいた。
「―――――もうひとつは・・・・快楽だ。」
右手指で撃鉄が起こされたとき、唇が重ねられた。
「んんッ・・・ん、うっ・・・ッ」
夏美の唇に、ぬれた感触があった。たちまち唇を割り、しずかに押し入ってくる。
夏美の顔がすこし斜めに固定された。その歯の付け根をくすぐるように、ガルルの舌が動く。
夏美の舌のさきをかるく舐める。羽根がふれるように何度かの浅いキスがあり、それがしだいに深いものになってゆく。・・・夏美のからだから、力が抜けた。
「はッ・・・・」
長いキスから解放されたとき、夏美はせつなげに吐息をもらした。
しかしガルルが夏美を休ませない。そのまま唇がのどを這い、耳たぶを甘噛みする。ガルルの右手が撃鉄を解除してひらめき、リボルバーが姿を消した。その手が下ろされ、夏美の胸にふれる。
硬い指が猛禽の爪のようなかたちで夏美の肌に食い込んだ。指の腹でやさしく撫であげられる。ガルルの五指が、それぞれに異なった微妙な力加減でリズミカルに夏美の乳を刺激する。
「ああ・・・・・・ッ」
ついにからだを支えきれず、夏美がガルルの胸にくずれおちた。
ガルルのスラックスをはいた膝にキュッとちいさな指の爪を立てる。うすい皮膚が、羞恥と官能のために薔薇色に染まった。
「立つんだ。―――自分で、しっかりと。」
ガルルが夏美のからだをひきおこした。夏美があやういバランスでなんとかからだを保つ。
ガルルの唇が夏美の鎖骨をかすめて、しだいにさがってゆく。乳の先の敏感な部分を爪で弾かれるたび、夏美があまく浅い呼吸をもらす。やがてそこにあたたかく濡れた感触を覚えて、夏美がせつない声をあげ始めた。
「洗脳って・・・なによ。人の姿してるけど、声に覚えがあるわ。アンタ・・ボケガエルの一味ねッ!」
ふるえながらも、夏美はからだを起こした。
「そのとおりだ。・・・・だが私が何者であるか知る必要はない。重要なのは今、君が私の捕虜であるという事実だけだ。―――捕虜にしては口の利き方がなってないな。」
ガルルが夏美の髪をひきつかみ、ベッドへと叩きつけた。
「ひッ・・・!!ヤだっ!やめて・・・ッ!」
「――――聞こえないな。いま何と言った?」
「やめ・・・やめて、ください・・・ッ!!」
その言葉でやっとガルルが夏美の髪の毛を離す。息を弾ませ、涙をにじませた夏美が怯えながらたずねた。
「あ・・あたしを・・・これから、どうする気です・・・か?」
「なにも。―――私は何もしない。全ては君次第だ。どう思う?」
質問の意味が分からず、夏美は顔をあげた。ガルルが意地悪く笑みをつくる。
「宇宙法とケロン軍法の捕虜の扱いはどうなっていたか―――どうやら失念してしまったようだ。だから君に尋ねるのだが、捕虜というのは果たして衣服を着用しているものだったかな?」
夏美はベッドサイドに立たされた。ガルルはベッドに腰掛け片膝を立てて肘をつき、軽く肩をすくめている。
夏美のゆびがゆっくりとパジャマのボタンにかけられる。ひどくふるえているため、なかなか外れなかった。
それでもひとつ・・・またひとつとボタンが外されてゆく。夏美の手がパジャマのホットパンツにかけられた。小さな子供がするように、すとんと床に落とす。
夏美の目が、ガルルの様子をうかがった。だが―――ガルルは一切、眼をあわせようとはしない。
おずおずと夏美がパジャマの上着を脱いだ。そのまま背中に両手を廻し下着の金具を外しながら、夏美のくちから嗚咽がもれる。
「ふ・・・・ッ・・うぅッ、えっ・・・・ッ」
そっぽを向きながら、ガルルが思わずのように苦い笑みをもらす。
彼本来の趣味には、いかにも合わない展開のようだった。だが、夏美に対してはことさらに冷然とした表情を装いつづける。
夏美の手が、最後の下着にかけられた。そのちいさな布が、夏美本人の手によってやがて取り払われる。
「――――脱ぎまし、た・・・。」
「そうか。」
「どうすれば・・・いいですか・・・?」
「どうすればいいと思う?」
羞恥に顔を染めなみだを目に溜めた夏美が、すこしずつガルルの方ににじり寄った。
ガルルの足の間に身を入れ、その肩に頭をあずける。ガルルの左手が、夏美のまるい肩に置かれた―――その瞬間、夏美のからだが反射的に跳ねあがった。
「!?」
・・・夏美はガルルの遮光グラスを奪い、それを武器にしようとしたのだった。
だが、その濃黄のグラスはよほど特殊な取り付け方をされているものか、微動だにしなかったのだ。
目的を逃した夏美の爪がガルルの頬を一閃するのと、ガルルの右手が銃を構え夏美のこめかみに固定されるのと、一体どちらが速かったであろうか。――ガルルの頬に、斜めに血がにじんだ。
「いい狙いだったが――――残念だったな。・・・やりかたが甘すぎたか。」
自重するようにガルルが笑う。―――尖った歯が、肉食獣の牙を思わせる笑いだった。
その後―――しんと静まりかえった夏美の部屋のドアがほそく開けられた。
物音一つたてず素早い動作で男が侵入を果たし、手にしたハンドガンで部屋の何箇所かを狙撃する。
標的は、ナルトマークのついたカメラと盗聴器―――クルルの盗撮グッズである。
慣れた動作で、銃のカートリッジを交換する。―――男はむろん、ガルルであった。
何も気づかずベッドで眠り続ける夏美のもとに歩み寄り、銃口を眉間に定める。そのまま数十秒――――。
冷静なこの男に似合わずその額に汗がにじみ、表情がひき歪む。
「あのとき――――。完全に壊しておくべきだったか・・・。」
喉の奥で噛みしめるようにつぶやき、頭をふる。
思い直したかのようにハンドガンの安全装置をかけ、枕元に置いた。そのまま夏美の上にのしかかり、そのくちを手で塞ぐ。
「起きたまえ。」
からだにかかる重みと、血と硝煙のにおいに夏美が目を覚ました。
「んッ!!――――ムグッ!ん、ん〜〜〜ッッ!!」
くちを押さえられた夏美がからだを左右によじる。
手探りで枕をひきよせ、ガルルの上体にしゃにむに叩きつける。効果がないことを悟った夏美の手が、必死でベッドの上をさぐった。手に硬い感触を覚えて夢中でひきよせる。銃口が、その持ち主の心臓に向けられた。
「ほう。―――――逆らうかね?この、私に・・・。」
その声にびくッと夏美が反応する。夏美のからだの芯から、たちどころにふるえが這いのぼってくる。銃口がガクガクとぶれ、狙いが定まらない。
「こ、こんな・・・ッ―――あたし、どうしちゃったのッ!?」
「フ・・・・。やはり記憶は失っても、体は覚えているようだな。」
ガルルが銃身をつかんで、苦もなくハンドガンを奪い取った。
「これは安全装置を外さねば使えない。―――残念だったな。いま、君は唯一反撃できるチャンスを見送った。」
どこか哀しそうにガルルがつぶやいた。
「将来、必ず君は障害として立ちふさがるだろう。今ポコペン側の戦士として対峙しているのとは、また違った意味でな。
―――あれの行く末に、わたしは期待をかけている。ここで君のために壊される訳にはいかん。
・・今すぐ君を抹消することは容易いが・・・そうもいかない、か。―――やむをえん。」
ガルルのグラスごしの眼が凄みを帯び、底の方で冷たくなる。
「可哀想だが――君には今ここで戦士としての矜持も、我々に対する反抗心もすべて失ってもらう。従順な捕虜としてなら、それなりに幸せに生き延びることができるだろう。怨みたければ私を怨むがいい。君を―――洗脳する。」
「詫びるつもりはないが―――ギロロ。あの娘が、おまえがポコペンで『見つけたもの』か?」
「やかましいッ!答える義務はないッ!!」
「―――私は軍監ではない。たとえ今は敵であろうと、侵略した暁には相手を所有することはできる。
また、軍を除隊して大切な女と添い遂げ、その星の土となるのも一つの生き方だ。
・・・・だが、おまえにそれが選べるのか?軍務をとるか、あの娘をとるか、だ。
選べねば、おまえ自身が苦しみ身を焼き滅ぼすことになるぞ。―――選べまい。おまえには。」
「黙れッ!貴様は・・・ポコペン侵略任務からは外されたはずだッ!!俺たちが交戦中の相手と・・勝手に接触するのは重大な越権行為だッ!」
「なるほど・・・。そういう表現もあるか。」
片頬に皮肉な笑みをうかべ、ガルルがつぶやく。――――戦闘が再開された。
火花とともにレーザーソードが唸りをあげ、切り結ばれる。
まっすぐ突っ込んでくるギロロに対し、ガルルの剣にやや迷いの色が出始める。
何合かの斬り合いのすえ、ギロロの体がふいに前のめりに崩れ落ちた。
「!?」
みると、ギロロの後頭部に注射針の矢がある。―――クルルの仕業だった。
「すまねェな、オッサン。・・・ちょっと兄弟ゲンカじゃ治まらなくなりそうだったんでねェ。邪魔させてもらったぜ。」
「いや・・・・助かった。感謝する。」
心底ほっとしたように、ガルルがつぶやいた。強力な麻酔で眠らされた弟の顔を痛ましげにのぞきこむ。
「―――はじめから死を覚悟して相打ちを狙ったか。ケロン星にいた頃に比べて・・やはりずいぶんと痩せた、な・・・。」
「そうとう精神負荷がかかってるだろうからねェ。ま、今日のことは記憶から消させてもらうぜ。
次は間違いなくオレの命を狙いにくるだろうからな。・・・中尉殿、アンタの変身を解くのは明日以降だ。
なんせ頭に血がのぼったオッサンが銃を乱射して、機器を壊しちまいやがった。
・・・オレは記憶をちょいとイジッてから、オッサンを連れて行くぜ。上で足止めくらった隊長たちがヤキモキしてるだろうからな。・・で、アンタはどうする?」
「私のことは構ってもらわなくて結構だ。」
「そうかい・・・じゃあな。」
「待ちたまえ―――クルル曹長。その前に撮った映像をすべて出してもらおう。」
「ちっ・・・。覚えてたかい。ホントに可愛くねェぜ、アンタは。」
「―――ガルルがした事は・・・軍人として、理にかなっている。・・敵地で武器もなく、任務を控え・・・
拘束されてしかも手錠で敵と繋がれてしまった場合・・たとえ、どんな手を使ってでも相手を、排除せねば・・ならない・・・。」
憔悴したギロロがひとことひとこと、しぼりあげるようにつぶやいた。ケロロもタママも、かける言葉が見つからない。めずらしくとりなすようにクルルも口を開いた。
「―――この件に関して、夏美の記憶は完全に消去してあるぜェ。ポコペン人の姿はしちゃいるが、まかりまちがっても夏美が妊娠するようなことにはならねェから安心・・・ムグッッ!!」
銃口を口のなかに押し込まれ、クルルがまたもや両手を挙げる。
「そんなことはいい。―――それより、ガルルは今どこだ?ポコペン人の姿のままでは本国に帰れないはずだ。それとも時間がたてば元の姿に戻るのか?」
耐えがたい熱気があたりをつつんだ。熱いのに、どこかぞくりと体毛が逆立つような異様な熱気。
―――さきほどまで色を失っていたギロロの眼が、怒り一色に染め上げられていく。
「いや・・・。ガッチリポコペン人化させたからな。オレ様のラボで専用の機器を使って解除しないかぎり戻らねェだろうよ。」
「―――ということは、ガルルはもう一度ここに現れるわけだな?」
ギロロがクルルに向けていた銃を下ろした。
「ヒエェ〜〜!!―――修羅場の予感、ですぅ・・・。」
「ギ、ギロロ!落ちつくでありますッ!!」
「・・・・俺は冷静だ。」
冷たい怒りをたたえた眼で、ギロロが振り向く。皮肉なことにそうしているとこの弟は、ひどく兄に似ていた。
その日の夜遅く、日向家の上空に1機の一人乗り輸送艇が飛来した。機上に一人の男が乗っている。
藍色の髪、精悍な体型、ゴーグル・タイプの濃い黄色の遮光グラス。その砂色のスラックスとジャケットは、砂漠の砂と黒っぽい返り血で汚れていた。―――任務を終えて、帰還したガルル中尉である。
家の裏手に降りたち、そのまま地下基地の非常口から一気にクルルズ・ラボまで降下する。薄暗いラボに、ガルルの硬い靴音がひびいた。
「任務完了、か。―――めでたい事だが、このまま貴様をケロン星へ帰す訳にはいかん。」
「ギロロ。」
ガルルがしばしとまどったように弟を見つめ―――そして両手を頭に組んで、隅の壁にもたれているクルルに視線を移す。
「話したのかね?・・・いや、違うな。撮影していたのか。悪趣味なことだ。」
「撮っちゃイカンとは、言われてなかったんでねェ・・・。」
部屋の奥に腰掛けていたギロロが立ちあがった。その手に瞬時に、マシンガンがひらめく。
「――――ガルル、武器を取れ。・・・その姿では次元転送できんというなら、俺のを貸してやる。」
「一応、今は可能だ。しかし・・・よせ、ギロロ。」
「問答無用だッ!!」
次の瞬間、兄と弟の体が交差した。
ガルルが接近戦用突撃銃を呼び出す。ギロロがマシンガンを乱射する。辛くも避け、ガルルが応戦する。
マシンガンを吊ったストラップが銃弾で弾け飛ぶ。ギロロが大きくバランスを崩す。ガルルが踏み込む。
ギロロが一回転し反撃を避ける。手にしたマシンガンを力任せにぶん投げる。ガルルがマシンガンを銃床で叩き落す。視界が一瞬さえぎられる。その一瞬にギロロが跳躍し、一気に肉薄する。その右手にはレーザーソード。ガルルが突撃銃を瞬時に手放す。
〈ギュイ〜ンッ!ヴォンッ!!ジ、ジジジッ・・・〉
二本のレーザーソードが交差し、空気の焦げるにおいがたちこめた。同時に剣をひき、ラボの左右に跳びわかれる。ここまで―――わずか数秒。
―――ガルルによって記憶消去された夏美が、リビングのソファでうたた寝をはじめた頃――。
「あ〜、やっと洗い物終了でありますッ!もう我輩ヘトヘトでありますよ・・。ここん家のヤツラは侵略者をなんと心得ているのやら・・・ブツブツ・・」
「ぐんそ〜さん、オツトメお疲れさまですぅ。多分ナッチーたちは、なんとも思っちゃいないんじゃないスかね?タマッ♪」
「mmm(ムムム)・・・なんだかやり切れないでありますな・・。ゲロ・・・」
軍曹ルームでは、ケロロとタママがくつろいでいた。
マンガを見ながらお菓子をパクついているタママ。少年エースを枕に、ぐったりと四肢を投げだしているケロロ。ため息をつきながら、ケロロがぼやく。
「あ〜あ。なんかこう、気分がスカッとすることねぇかなあ・・・。」
そのとき床の一部がせりあがり、く〜っくっくっくの陰湿な笑い声とともにクルルが姿を見せた。
「それじゃ隊長・・・。スゲーレアものの映像があんだけど・・見るカイ?ただし、おカタいドロロ先輩や――まかり間違っても絶対にオッサンだけには内緒だぜ?く〜っくっく。」
――――そう、その日の顛末・・・任務のために地球人化したガルル中尉をクルルが
「うっかり不在と思って」夏美の部屋に案内したことから起きた騒動は、全て記録されていたのである。
そもそも、陰険・陰湿・嫌な奴―――しかし頭だけは切れる男・クルル曹長が「ウッカリ」をしでかすはずがないのだ。
「ギロロ先輩にだけは秘密って―――。それってナッチーがらみっスか?」
「まあな。出演者は夏美とガルル中尉。ま、中尉は諸事情でポコペン人化してっけどな。ひとことでいえば盗撮・手錠プレイ調教モノだ。ガキには刺激の強すぎるシロモノだぜェ・・・。」
「うえッ?!・・そ、それって・・・・イロイロとヤバくね?!」
車座になって軍曹愛用のT-Macを取り囲む3人のケロン人。画像は鮮明かつ高画質だった。
『あ・・・ッ・・・あぁ・・は、ああッ・・・・』
ディスプレイのなかで、敵意にあふれていた夏美の目がしだいに快楽にかすみ溺れてゆく。
犯したまま冷然と動かぬガルルに焦れ、夏美がせつなげに眉をひそめる。長い睫毛がふるえながら伏せられる。熱っぽい唇がかすかにひらかれ、桃色の舌がちらりと覗く。足の爪がやるせなくシーツを掻く。
「ひえぇ〜!・・・こ、こんな色っぽいナッチー、見たことないですぅ!」
「――――な、なんというか・・衝撃映像でありますな・・・ゲロ・・・。」
「こりゃいわゆる『お楽しみ』のためにやってんじゃねェな。相手がどうすれば壊れ、自分の支配下に堕ちるのか・・・全て計算ずくでやってるんだ。あいかわらずヤベえ野郎だぜ。く〜っくっく。」
思わず身をのりだした3人は、そのため背後にせまった人影に気がつかなかった。―――すぐ後ろで、声をかけられるまで。
「・・・・・何を見ているんだ。」
「はわわッ!!ギッ、ギロロ先輩?!こ、これはそのぅ〜〜〜・・」
「どっひぇえええッ!!ギロロ!いや、な、なんでもないでありますッ!!」
タママを押しのけ、画面を見上げたギロロが凍りついた。
「・・・いやあの、ギロロ。これは・・そう!パソコンで、ですね。女の顔だけ夏美殿にすげかえて・・。そう捏造なんでありますよッ!ほんのかる〜いジョークで・・」
「・・・・・男の方は、ポコペン人の姿をしているが―――これは、ガルルだな?」
喉の奥で苦鳴をあげるように、ギロロがつぶやく。
「えッ?!な、なんでわかるん・・アいや、ギロロ先輩やだなァ。誤解ですぅ・・し、知らない人ッスよ。ア、ハハ・・」
「肉親だ。姿は違っても―――目の配りや雰囲気でわかる。・・・・待てッ!どこへ行く気だクルル!!」
DVDをこっそり抜き出して退散しようとしたクルルの後頭部に、ギロロの銃が突きつけられる。両手を挙げてホールド・アップの姿勢をとりながら、クルルがゆっくりと振り向いた。
「ガルル中尉だったら・・・どうするんですカイ?ギロロ先輩。」
「―――――そのくだらん映像を、もう一度再生しろ。最初からだ。」
ギロロの語尾がふるえた。意外そうにクルルが顔をあげる。
「見る気かヨ?!・・・・アンタも」
好きだねェ、と茶化そうとしたクルルは、決死の形相で銃の安全装置を外した相手を見てあわてて口をつぐんだ。しぶしぶDVDをパソコンにインストールする。気まずい沈黙が降りるなか、映像が再生された。
義弟となる冬樹の七五三の衣装を仕立て直した羽織袴を身につけ、白無垢の
花嫁を待つケロロは、春の日の陽射しの中でつややかな緑色の肌を風に当てて
いた。洋館風のこぢんまりとした式場の控え室の窓からは、新緑ののどかな
風景が臨める。世は太平だ。
「どうしてこんなことになっちゃったのかナー…」
大きな夜色の瞳に、舞い散る桜の花びらが映る。あれから何年も経った。
その間に、何千回夏美とHしたのだろう。もう、もともと二人の肌は一つのも
のだったのではと思うほど、毎日のように隠れて交わっていた。それにこの数
年の間というもの、何回ガンプラやサブカルチャー関係の記事を書いて雑誌に
載せただろう。最初は視点が面白いということから採用されたのだが、ほかの
仕事も引き受けたりしていて、ついに何やかんやで食べていけるようになって
しまった。何より、ケロロは単なる家事担当から、完全に日向家の一員になっ
てしまっていた。こんなことでは、結婚話がまとまってしまうのも無理はないだろう。
そもそも自分はこの星を侵略しに来たはずだった。ところが、本星の政変で
ポコペン侵略は一旦凍結され、現在は駐在武官のような立場になっている。
敵性宇宙人の監視や情報収集も立派な軍務だ。他にも大事なことはたくさんあったが、
すべては本星からの指令を待つほかないだろう。それより式に呼んだ自分の両親は
ちゃんと着いただろうか。宇宙郵便が遅れたせいで、ケロンからの出発がぎりぎりに
なってしまったという。道に迷っていないだろうか。冬樹に駅まで迎えに行って
もらったが、ちゃんと会えただろうか。それだけが不安で、自分も玄関がよく見える
ここに留まっているのだった。しばらくして、軽いノックの音がする。
「どうぞ〜」
ドアが開いて、笑顔の式場の係員が顔を出す。ドアを開けた後ろから、綺麗に化粧を
施して一世一代の花嫁姿を見せた夏美に、ケロロはこの光景を一生忘れないだろうと思った。
その時、表に車の止まった音がした。開いた窓から冬樹のものらしい青年の声と、
懐かしい故郷の言葉で話す中年の男女の声が聞こえてくる。ケロロはぱっと輝くような笑顔を見せた。
それでは・・・
そのころ日向家近辺は、カエルたちの鳴き声に包まれていた。
・・・といっても別に、軍曹達が共鳴していたわけではない。
「あ〜もう、うるさい!このカエルの声なんとかならないの?!」
夏美が耐えかねて耳をおさえ、叫ぶ。
「ハハ・・・。たしかにスゴイ声だよね。」
「笑い事じゃないわよ冬樹!・・ただでさえ普段からカエルどもには悩まされてんのに、このうえ本物の蛙まで来られちゃたまんないわよ!―――いったいどこから聞こえてくるのかしら?」
「ああこれ、東谷センパイの家からだよ。」
「――――小雪ちゃん家、から?」
冬樹が読んでいたオカルト本を脇において、説明する。
「あのね、宅地造成で近所の池が埋め立てられちゃったんだって。いま蛙の繁殖時期だから、せめてその間だけでも・・・ってドロロがおとなりにため池を作って保護してるらしいよ。
卵が生まれたら田舎へつれていくって言ってたから、それまでの辛抱だよ。」
「う〜ん・・・まあ、そういうことなら・・・。」
夏美がしぶしぶ納得する。
「―――まあ、本物の蛙にツミはないもんね。・・悪ダクミするわけじゃないし。
オフロにでも入って気分をリフレッシュしようかな。」
本の続きを目で追いながら、冬樹もニッコリ笑った。
「そうしなよ。さっき軍曹がおフロ洗っていたからちょうどいいんじゃない?」
・・・さて、その日のフロ掃除当番・われらがケロロ軍曹は―――
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「ゲロ〜〜〜今日もピカピカに磨き上げたであります!」
ケロロ軍曹は、腰に手をあてて自分の作業の成果をながめた。あたりに満ちる蛙の鳴き声が、こころなしか自分の偉業をたたえる歓声に聞こえる。あとは洗剤を流すだけだがまだ水が冷たいこの時期、水作業は
正直気が乗らなかった。――我輩こんだけガンバッたんだし・・あったか〜いお湯で流すくらい、イインジャネ?
思い立ったら即座に実行!が彼・ケロロ軍曹のポリシーである。
過去にそれで何度も事件を引き起こし、そのつど痛い目にあってきたわけであるが―――。このときも即刻シャワーの給湯で熱い湯をひねり出した。モウモウと湯気が立ち、洗い場の鏡が白く曇る。
からだを包む湿気に気分がますます高揚する。うかれて石鹸を足に履き、軍曹はかるくスケートのようにすべらせてみた。
――――――ヲヲヲヲッ!ちょ、ちょっとこの動き!なんかドムのホバーみたいでカッチョイイでありますッ!
「フハハハハハッ連邦の白いモビルスーツめ!覚悟するでありますッ!」
湯の噴出するシャワーの首をオルテガハンマーのように両手で頭上にかかげながら、調子にのって洗い場をところせましと滑走する。のけぞって高笑いをしようとしたところで、ふいに足元の石鹸がはずれた。
「ゲロ―――――――――――――――ッッ!!」
大きくもんどりうって水道の角で腰を打ち、そのままフタが半分閉じられた浴槽の中へと転がりこむ。シャワーの首がお湯を吐き出し続けたまま床に転がった。立ち上がろうとしたがあまりの激痛に声が出ない。
いれちがいに夏美が入ってきた。この惨状をみて、怒りに声をふるわせる。
「・・・あのボケガエルッ!またやりっぱなしでッ!!」
夏美は軍曹の存在には気がつかない。
(・・・・な、ナツミドノッ・・・たすけて、でありますっ・・)
「お湯がもったいないじゃない!――あとでとっちめてやらなきゃッ!!」
夏美は浴槽の栓がはまっているのを目で確認して、シャワーのカランを水道側に切り替えた。
もうすこし奥まで覗きこんでいさえすれば、軍曹が浴槽の隅で倒れていたのを見つけられたであろう。
だが・・・怒り心頭の夏美にそんな余裕はなかった。
(ナツミど・・・・ゴボッガボガボゴボゴボ・・・ッ)
―――この瞬間、せまいオフロ場はさきほどからのシャワーにより充分暖められ、局地的に軍曹の故郷であるケロン星の湿度にかぎりなく近づいていた。この湿気とあたりに満ちみちる発情期の蛙の鳴き声・そして
夏美にたいする暗い復讐心がケロロ軍曹にかつてない変化をもたらし、やがては甚大な被害を自分にもたらすことを、このときの夏美はまだ知るよしもないのであった―――――。
そして夏美は鼻歌を歌いながら、脱衣所でシャツを脱いだ。
―――ん〜、なんか・・また育っちゃったかなァ。ママみたいになると体育の授業ん時にからかわれるし可愛いデザインの服がなくなるし・・・困るなァ。
タオル一枚をからだに巻きつけ、湯気に満ちたオフロ場のガラス戸をひらく。洗い場にしゃがんで水道のお湯を止める。かかり湯をしようとオケを湯船に沈めかけると、ガツンとかたい手ごたえを感じた。
・・・・・ガツン?
とたんにオフロ場にダース・ベイダーのテーマが高らかにひびきわたる。
オケを押しのけて水面が渦をまき、異様な盛りあがりをみせた。あまりの出来事に
あいた口がふさがらない夏美をよそに、水面は高まりつづける。そして・・・。
ぐぽ〜〜〜〜〜〜〜〜ん!
――――――――嫌な機動音をひびかせて、ケロロ軍曹が登場した。
「ち、ちょっとボケガエル!なにしてんのよッ!」
「―――それはこちらのセリフであります・・。キュートでケナゲな我輩がコシを強打して湯船で倒れているにもかかわらず、カイホウどころか熱湯をお見舞いしてくれるとは・・・。
我輩チョーブッチギレでありますッ!・・オノレ夏美殿、いやポコペン人日向夏美め!今日こそ目にモノみせてくれるわァ〜ッ!」
コホオォ―――ッと不気味な呼気を吐き出しながら、軍曹が両手ぶらリ戦法のかたちで体をゆらめかせる。
「いいからさっさと・・・出ていきなさ――いッ!!」
状況を思い出して、夏美が渾身のパンチを軍曹のボディにあびせかける。当たった瞬間、拳がぬるりと滑った。いつもならガラス窓を突き抜けて、おとなりまで吹っ飛んでいくはずの軍曹が今日に限っては微動だにしない。
「・・・な、なんでッ?!」
「フ、フフフ・・・ふはははははッ!今日の我輩はひとあじ違うのだよ・・・ッ!」
夏美は驚愕の表情で軍曹を見つめる。つやつやつやつや・・と、肌に異様な光沢があった。――こ、これってもしかして・・・梅雨の時のアレ?!
「そのとおりッ!アノ頃の我輩だ!しかも・・いつものアノ頃ケロロをマスターグレエドとするならば今日の我輩はパーフェクトグレエドVer,Er!(←十八禁仕様のことらしい)!!
―――発情期のカエルさんたちのタマシイの鳴き声が、我輩に原初のパウァーを思い出させてくれたゼ・・!覚悟するがいい日向夏美ッ!これから大人仕様の我輩がッ!ちいさなお友達立ち入り厳禁なスッゲーことをしてくれるわッ!!」
メゲメゲメゲメゲ・・・とこれまた嫌な呼吸音?をたてながらじりじりと軍曹が夏美に迫った。からだに巻いたタオルの端をむんずとつかまえる。
「さ・・・させるものですかッ!」
夏美も必死でタオルをおさえる。軍曹の手を叩き落そうと手が触れた瞬間、またもやヌルンと滑った。
「ハアァ―――ッッ!!!」
奇声とともに、唯一の砦であるタオルを奪われてしまう。
「イヤアァ〜〜〜〜〜〜〜ッ!」
夏美はあわててからだを隠してしゃがみこんだ。この格好ではもはや反撃できない。
「みるがいい日向夏美。我輩のこの動きを・・・ッ」
軍曹が左右にゆっくりとからだを振りはじめる。その手の動きはまるであの伝説の男のように北斗七星をかたちづくっていた。しかもだんだんと動きが速くなる。それをみているうちに夏美の頭が、なぜだかぼうっと霞んできた。
「さあ、とりあえずは数々の無礼を・・・土下座して謝ってもらうでありますかな?」
「バ、バカいわないで。それはアンタが・・・ええッ?!」
言っているそばから夏美のからだが、意思とは逆に軍曹に向かってひざまずく。
「ゲーロゲロゲロ。よい格好でありますな。夏美殿が催眠術や洗脳電波にかかりやすい体質であることは夏の海岸や623のペンですでに立証済みであります!
・・・さて、ここはエロパロ板にふさわしく、我輩にご奉仕をしてもらうでありますかな?」
「・・・そ、そんな――ことッ・・・んッ、んんんッ!」
浴槽のヘリにドッカと座りこんだ軍曹に、夏美のからだが引き寄せられる。
ひざまづいたかたちのまま、意思に反して夏美は自分から軍曹に唇を重ねた。黒々とひらいた瞳孔が大写しになる。そのしまりのない口に自分から舌を挿しこむ。自分のしていることが信じられない。だが、止められないのだ。
「んう・・ッ・・・ん、ん〜〜〜ッ!」
夏美のキスの奉仕を受けていた軍曹が、いったん口を離してふんぞりかえった。
「―――どうしたのかネ?夏美殿・・・おててがオルスでありますよ?
我輩の股間のMSM−04アッガイの、ヘッドユニットの面倒を見てもらえますかな?
・・・大気圏突入時に耐熱フィルムは出ないが、かわりにもっとスッゲーシロモノが飛び出すことでありましょう。ゲロゲロゲロ・・・。」
言葉の意味はよくわからないが、なにやら非常にヒワイなことを言われているらしい。
ぶっとばしてやりたいが、からだがいうことを聞かなかった。
それどころか、いわれたとおり軍曹の下肢のあいだに手が動いてぎょぎょっとする。
自分のゆびがその未知の器官をそっと包み、前後にさするのを夏美は気が遠くなるような思いで眺めた。
手のなかのその器官が徐々に膨張する。手を動かしつづける夏美の顔に、ケロンスターのついた白い腹が押し付けられる。
このガンプラ職人のからだに染みついたシンナー臭が、鼻をついた。その腹部にキスをする。というか、させられる。
手の動きはそのまま、だんだんと自分の顔が下方にむかって下がっていくことに夏美は慄然とした。
「夏美殿・・・。表面処理はていねいに、であります。バリが残っているとあとで引っかかってイタイ思いをするでありますよ?」
この場合、実際には丁寧にすればするほど逆効果なのであるが――――。
夏美にはそんな知識もなかったし、そもそもそんな考えをめぐらす余裕もなかった。
そんなことより自分の唇が、白い腹部のさらに下―――股間のアッガイにむかってすすんでいくことにパニックに陥る。
夏美のちいさな唇がふるえながらひらかれる。アッガイのモノアイ軌道路に舌がふれた。
舌の先がモノアイ軌道路をつたって、つつつッ・・と105mmバルカン砲射出口をからめとる。唾液が糸をひいた。
さらに伏せようとする自分の頭を懸命に阻止しようと努力する。
夏美の逡巡に業を煮やした軍曹が凶悪な糸目になって、その頭をガッシとつかんで引きおろした。
軍曹のパーフェクトグレエド・アッガイが夏美の口の中を乱暴に侵略する。
「んッ!んぐッ・・・ん―――――〜〜〜〜〜〜ッ!!」
そのくるしさに涙目になりながら、夏美は心のなかで必死に叫んだ。
―――そんな、このままいったらあたし・・ッ・・ダメ!こんなのダメェ〜〜〜ッ!!
からだの強制するままに、身をのりだした夏美のひざがふいにすべった。洗い場の床がそこだけ白くぬめっている。
―――じつはその部分は、軍曹がドムごっこをした際に流しそこねた石鹸の跡だったりするわけなのだが・・・。そんなことは夏美は知らない。ただ滑ったことでからだのバランスを大きくくずし、そのまま軍曹の腹にもろ頭突きをカマすかたちになった。
「オウッ?!」
そのまま軍曹ともども、浴槽になみなみと張られた湯の中へなだれこむ。
夏美のくちのなかに、あきらかに湯ではない苦い液体が満たされた。と、同時に
湯へ飛びこんだショックでからだの拘束が解ける。当然夏美は、ひたいに青筋を浮かべて立ちあがった。
「ボ〜ケ〜ガ〜エ〜ル〜〜〜ッ!!!」
湯船にへろへろと浮かぶへっぽこ侵略者の頭部を片手でわしづかみ、そのまま持ち上げる。
その憤怒の表情に軍曹は、ややビビりながらも果敢にファイティング・ポーズをとった。
「おッ・・や、やる気でありますか?このパーフェクトグレエドな我輩に、かなうものなら・・・。」
夏見が空いている手で、オフロ場の窓をガラリと開けた。―――春間近とはいえ、空気はまだまだ冷たい。
たちまちオフロ場の暖気が消え、ツヤツヤと照り輝く軍曹の肌もその光沢を失う。タオルを巻きなおした夏美が、じりじりとせまった。
「アンタ・・・。ぶつけた腰はもう平気なの・・・?」
「ゲロッ?―――イヤもう、なんともないでありますが・・・・。」
「・・・・倒れてたアンタに気づいてあげられなくて悪かったと思うし、そこは反省してるわよ?でも・・・でもね・・・・ッ!」
「ゲ・・・・ゲロ・・・・夏美殿・・・?」
「飲んじゃったじゃないッ!どうしてくれるのよバカ―――――ッッ!!!」
「ゲ――――ロ―――――――――ッッ!!!」
うなりをあげる夏美のアッパー・カットをまともに浴び、軍曹はキリモミしながら戸外へと飛んだ。
蛙たちの合唱がひときわ大きく聞こえる。昼間だというのに、軍曹の目には満天の星空が見えた。
――ワァ、きれいなお星サマだナァ。北斗七星が良く見える。その脇に輝くちいさな星までも・・ウフフフ・・・。
―――それ以降、ケロロ軍曹が「アノ頃ケロロ・大人仕様」になったという話は聞かない――
[END]
うなりをあげる夏美のアッパー・カットをまともに浴び、軍曹はキリモミしながら戸外へと飛んだ。
蛙たちの合唱がひときわ大きく聞こえる。昼間だというのに、軍曹の目には満天の星空が見えた。
――ワァ、きれいなお星サマだナァ。北斗七星が良く見える。その脇に輝くちいさな星までも・・ウフフフ・・・。
地球人・日向夏美は悩んでいた。
ある日の午後。
日向家の捕虜・ケロロ軍曹の父親が、アポなしで青い地球にやってきた。
元・伝説の鬼軍曹。ケロン軍の英雄。眠そうだが鋭い眼差しの持ち主である彼の発するケロン訛りは、地球の熊本弁に似ている。
そんなケロロの父(以下・ケロ父)は、久々に会った息子に、見合い写真を突きつけた。
「どや、べっぴんさんやろ」
息子の緑色の顔がさっと蒼ざめた(一見分かりづらいが)。
38 名前:ケロンの星 :2006/01/23(月) 01:17:38 ID:Sf7CUeBA
冗談ではない。相手がべっぴんでもなんでも、どこの誰であろうと、結婚などとんでもなかった。
なぜなら、結婚したケロン人男子は子宝祈願のため、オモチャに触ることを禁じられるのだ。
なんのこっちゃというなかれ。確かに玩具と子宝の因果関係は現代にしてみれば科学的根拠を欠くが、ケロ父の世代の多くが重んじている風習なのである。ケロロとて無下にはできない。
しかしケロロにとってオモチャ…プラモ作りを断たれることは、死ね! と言われているのと同義だ。
そこで。
「実は我輩、恥ずかしながら敵であるペコポンの女性と!」
ケロロは咄嗟に、偽の婚約者を仕立てて父に紹介したのだった。そのアイディアはまあ、夏美も納得の範疇だ。地球の昔のマンガでも見かける手だ。こういう場合の行動は全宇宙共通らしい。
だが。
「そう、ここにいる日向夏美殿と将来を誓ったのであります!」
――その、偽の婚約者がどうして私なのか!
突然指名された夏美は仰天した。
もちろん、周囲も目を回した。弟・冬樹は慌てるし、タママは荒れるし、クルルは面白がるし……夏美には理由は分からねど、ギロロも自分を見失ってるようだけど……それより何より、モアの「てゆーか自暴自棄〜!」を鎮めるのは一苦労だった。
……だが本人にしてみれば残念なことに、夏美は義侠心に篤かった。
少なくとも、窮地に陥ったケロロを放置できないほどには。
仕方なく彼女は「一日婚約者」として、ケロ父の前に出た。その後は共鳴したり体操したり、早口言葉だのプラモの作り溜めだの、婚約者としてひととおり「ケロン人新妻」のシミュレーションにつき合わされたのだった。
「はーー……」
心身ともに疲れ果て、ようやくひとまず解放された夏美は、自室のベッドの淵に腰掛けて『きょうのおかず』をパラパラめくりながら、一人悩んでいた。
―――それ以降、ケロロ軍曹が「アノ頃ケロロ・大人仕様」になったという話は聞かない――
[END]
地球人・日向夏美は悩んでいた。
ある日の午後。
日向家の捕虜・ケロロ軍曹の父親が、アポなしで青い地球にやってきた。
元・伝説の鬼軍曹。ケロン軍の英雄。眠そうだが鋭い眼差しの持ち主である彼の発するケロン訛りは、地球の熊本弁に似ている。
そんなケロロの父(以下・ケロ父)は、久々に会った息子に、見合い写真を突きつけた。
「どや、べっぴんさんやろ」
息子の緑色の顔がさっと蒼ざめた(一見分かりづらいが)。
38 名前:ケロンの星 :2006/01/23(月) 01:17:38 ID:Sf7CUeBA
冗談ではない。相手がべっぴんでもなんでも、どこの誰であろうと、結婚などとんでもなかった。
なぜなら、結婚したケロン人男子は子宝祈願のため、オモチャに触ることを禁じられるのだ。
なんのこっちゃというなかれ。確かに玩具と子宝の因果関係は現代にしてみれば科学的根拠を欠くが、ケロ父の世代の多くが重んじている風習なのである。ケロロとて無下にはできない。
しかしケロロにとってオモチャ…プラモ作りを断たれることは、死ね! と言われているのと同義だ。
そこで。
「実は我輩、恥ずかしながら敵であるペコポンの女性と!」
ケロロは咄嗟に、偽の婚約者を仕立てて父に紹介したのだった。そのアイディアはまあ、夏美も納得の範疇だ。地球の昔のマンガでも見かける手だ。こういう場合の行動は全宇宙共通らしい。
だが。
「そう、ここにいる日向夏美殿と将来を誓ったのであります!」
――その、偽の婚約者がどうして私なのか!
突然指名された夏美は仰天した。
もちろん、周囲も目を回した。弟・冬樹は慌てるし、タママは荒れるし、クルルは面白がるし……夏美には理由は分からねど、ギロロも自分を見失ってるようだけど……それより何より、モアの「てゆーか自暴自棄〜!」を鎮めるのは一苦労だった。
……だが本人にしてみれば残念なことに、夏美は義侠心に篤かった。
少なくとも、窮地に陥ったケロロを放置できないほどには。
仕方なく彼女は「一日婚約者」として、ケロ父の前に出た。その後は共鳴したり体操したり、早口言葉だのプラモの作り溜めだの、婚約者としてひととおり「ケロン人新妻」のシミュレーションにつき合わされたのだった。
「はーー……」
心身ともに疲れ果て、ようやくひとまず解放された夏美は、自室のベッドの淵に腰掛けて『きょうのおかず』をパラパラめくりながら、一人悩んでいた。
―――ガルルによって記憶消去された夏美が、リビングのソファでうたた寝をはじめた頃――。
「あ〜、やっと洗い物終了でありますッ!もう我輩ヘトヘトでありますよ・・。ここん家のヤツラは侵略者をなんと心得ているのやら・・・ブツブツ・・」
「ぐんそ〜さん、オツトメお疲れさまですぅ。多分ナッチーたちは、なんとも思っちゃいないんじゃないスかね?タマッ♪」
「mmm(ムムム)・・・なんだかやり切れないでありますな・・。ゲロ・・・」
軍曹ルームでは、ケロロとタママがくつろいでいた。
マンガを見ながらお菓子をパクついているタママ。少年エースを枕に、ぐったりと四肢を投げだしているケロロ。ため息をつきながら、ケロロがぼやく。
「あ〜あ。なんかこう、気分がスカッとすることねぇかなあ・・・。」
そのとき床の一部がせりあがり、く〜っくっくっくの陰湿な笑い声とともにクルルが姿を見せた。
「それじゃ隊長・・・。スゲーレアものの映像があんだけど・・見るカイ?ただし、おカタいドロロ先輩や――まかり間違っても絶対にオッサンだけには内緒だぜ?く〜っくっく。」
――――そう、その日の顛末・・・任務のために地球人化したガルル中尉をクルルが
「うっかり不在と思って」夏美の部屋に案内したことから起きた騒動は、全て記録されていたのである。
そもそも、陰険・陰湿・嫌な奴―――しかし頭だけは切れる男・クルル曹長が「ウッカリ」をしでかすはずがないのだ。
「ギロロ先輩にだけは秘密って―――。それってナッチーがらみっスか?」
「まあな。出演者は夏美とガルル中尉。ま、中尉は諸事情でポコペン人化してっけどな。ひとことでいえば盗撮・手錠プレイ調教モノだ。ガキには刺激の強すぎるシロモノだぜェ・・・。」
「うえッ?!・・そ、それって・・・・イロイロとヤバくね?!」
車座になって軍曹愛用のT-Macを取り囲む3人のケロン人。画像は鮮明かつ高画質だった。
『あ・・・ッ・・・あぁ・・は、ああッ・・・・』
ディスプレイのなかで、敵意にあふれていた夏美の目がしだいに快楽にかすみ溺れてゆく。
犯したまま冷然と動かぬガルルに焦れ、夏美がせつなげに眉をひそめる。長い睫毛がふるえながら伏せられる。熱っぽい唇がかすかにひらかれ、桃色の舌がちらりと覗く。足の爪がやるせなくシーツを掻く。
「ひえぇ〜!・・・こ、こんな色っぽいナッチー、見たことないですぅ!」
「――――な、なんというか・・衝撃映像でありますな・・・ゲロ・・・。」
「こりゃいわゆる『お楽しみ』のためにやってんじゃねェな。相手がどうすれば壊れ、自分の支配下に堕ちるのか・・・全て計算ずくでやってるんだ。あいかわらずヤベえ野郎だぜ。く〜っくっく。」
思わず身をのりだした3人は、そのため背後にせまった人影に気がつかなかった。―――すぐ後ろで、声をかけられるまで。
「・・・・・何を見ているんだ。」
「はわわッ!!ギッ、ギロロ先輩?!こ、これはそのぅ〜〜〜・・」
「どっひぇえええッ!!ギロロ!いや、な、なんでもないでありますッ!!」
タママを押しのけ、画面を見上げたギロロが凍りついた。
「・・・いやあの、ギロロ。これは・・そう!パソコンで、ですね。女の顔だけ夏美殿にすげかえて・・。そう捏造なんでありますよッ!ほんのかる〜いジョークで・・」
「・・・・・男の方は、ポコペン人の姿をしているが―――これは、ガルルだな?」
喉の奥で苦鳴をあげるように、ギロロがつぶやく。
「えッ?!な、なんでわかるん・・アいや、ギロロ先輩やだなァ。誤解ですぅ・・し、知らない人ッスよ。ア、ハハ・・」
「肉親だ。姿は違っても―――目の配りや雰囲気でわかる。・・・・待てッ!どこへ行く気だクルル!!」
DVDをこっそり抜き出して退散しようとしたクルルの後頭部に、ギロロの銃が突きつけられる。両手を挙げてホールド・アップの姿勢をとりながら、クルルがゆっくりと振り向いた。
「ガルル中尉だったら・・・どうするんですカイ?ギロロ先輩。」
「―――――そのくだらん映像を、もう一度再生しろ。最初からだ。」
ギロロの語尾がふるえた。意外そうにクルルが顔をあげる。
「見る気かヨ?!・・・・アンタも」
好きだねェ、と茶化そうとしたクルルは、決死の形相で銃の安全装置を外した相手を見てあわてて口をつぐんだ。しぶしぶDVDをパソコンにインストールする。気まずい沈黙が降りるなか、映像が再生された。
310 :
名無しさん@ピンキー:2008/12/12(金) 17:32:47 ID:sUP2AH0w
―――ガルルによって記憶消去された夏美が、リビングのソファでうたた寝をはじめた頃――。
「あ〜、やっと洗い物終了でありますッ!もう我輩ヘトヘトでありますよ・・。ここん家のヤツラは侵略者をなんと心得ているのやら・・・ブツブツ・・」
「ぐんそ〜さん、オツトメお疲れさまですぅ。多分ナッチーたちは、なんとも思っちゃいないんじゃないスかね?タマッ♪」
「mmm(ムムム)・・・なんだかやり切れないでありますな・・。ゲロ・・・」
軍曹ルームでは、ケロロとタママがくつろいでいた。
マンガを見ながらお菓子をパクついているタママ。少年エースを枕に、ぐったりと四肢を投げだしているケロロ。ため息をつきながら、ケロロがぼやく。
「あ〜あ。なんかこう、気分がスカッとすることねぇかなあ・・・。」
そのとき床の一部がせりあがり、く〜っくっくっくの陰湿な笑い声とともにクルルが姿を見せた。
「それじゃ隊長・・・。スゲーレアものの映像があんだけど・・見るカイ?ただし、おカタいドロロ先輩や――まかり間違っても絶対にオッサンだけには内緒だぜ?く〜っくっく。」
――――そう、その日の顛末・・・任務のために地球人化したガルル中尉をクルルが
「うっかり不在と思って」夏美の部屋に案内したことから起きた騒動は、全て記録されていたのである。
そもそも、陰険・陰湿・嫌な奴―――しかし頭だけは切れる男・クルル曹長が「ウッカリ」をしでかすはずがないのだ。
「ギロロ先輩にだけは秘密って―――。それってナッチーがらみっスか?」
「まあな。出演者は夏美とガルル中尉。ま、中尉は諸事情でポコペン人化してっけどな。ひとことでいえば盗撮・手錠プレイ調教モノだ。ガキには刺激の強すぎるシロモノだぜェ・・・。」
「うえッ?!・・そ、それって・・・・イロイロとヤバくね?!」
車座になって軍曹愛用のT-Macを取り囲む3人のケロン人。画像は鮮明かつ高画質だった。
『あ・・・ッ・・・あぁ・・は、ああッ・・・・』
ディスプレイのなかで、敵意にあふれていた夏美の目がしだいに快楽にかすみ溺れてゆく。
犯したまま冷然と動かぬガルルに焦れ、夏美がせつなげに眉をひそめる。長い睫毛がふるえながら伏せられる。熱っぽい唇がかすかにひらかれ、桃色の舌がちらりと覗く。足の爪がやるせなくシーツを掻く。
「ひえぇ〜!・・・こ、こんな色っぽいナッチー、見たことないですぅ!」
「――――な、なんというか・・衝撃映像でありますな・・・ゲロ・・・。」
「こりゃいわゆる『お楽しみ』のためにやってんじゃねェな。相手がどうすれば壊れ、自分の支配下に堕ちるのか・・・全て計算ずくでやってるんだ。あいかわらずヤベえ野郎だぜ。く〜っくっく。」
思わず身をのりだした3人は、そのため背後にせまった人影に気がつかなかった。―――すぐ後ろで、声をかけられるまで。
「・・・・・何を見ているんだ。」
「はわわッ!!ギッ、ギロロ先輩?!こ、これはそのぅ〜〜〜・・」
「どっひぇえええッ!!ギロロ!いや、な、なんでもないでありますッ!!」
タママを押しのけ、画面を見上げたギロロが凍りついた。
「・・・いやあの、ギロロ。これは・・そう!パソコンで、ですね。女の顔だけ夏美殿にすげかえて・・。そう捏造なんでありますよッ!ほんのかる〜いジョークで・・」
「・・・・・男の方は、ポコペン人の姿をしているが―――これは、ガルルだな?」
喉の奥で苦鳴をあげるように、ギロロがつぶやく。
「えッ?!な、なんでわかるん・・アいや、ギロロ先輩やだなァ。誤解ですぅ・・し、知らない人ッスよ。ア、ハハ・・」
「肉親だ。姿は違っても―――目の配りや雰囲気でわかる。・・・・待てッ!どこへ行く気だクルル!!」
DVDをこっそり抜き出して退散しようとしたクルルの後頭部に、ギロロの銃が突きつけられる。両手を挙げてホールド・アップの姿勢をとりながら、クルルがゆっくりと振り向いた。
「ガルル中尉だったら・・・どうするんですカイ?ギロロ先輩。」
「―――――そのくだらん映像を、もう一度再生しろ。最初からだ。」
ギロロの語尾がふるえた。意外そうにクルルが顔をあげる。
「見る気かヨ?!・・・・アンタも」
好きだねェ、と茶化そうとしたクルルは、決死の形相で銃の安全装置を外した相手を見てあわてて口をつぐんだ。しぶしぶDVDをパソコンにインストールする。気まずい沈黙が降りるなか、映像が再生された。
そして夏美は鼻歌を歌いながら、脱衣所でシャツを脱いだ。
―――ん〜、なんか・・また育っちゃったかなァ。ママみたいになると体育の授業ん時にからかわれるし可愛いデザインの服がなくなるし・・・困るなァ。
タオル一枚をからだに巻きつけ、湯気に満ちたオフロ場のガラス戸をひらく。洗い場にしゃがんで水道のお湯を止める。かかり湯をしようとオケを湯船に沈めかけると、ガツンとかたい手ごたえを感じた。
・・・・・ガツン?
とたんにオフロ場にダース・ベイダーのテーマが高らかにひびきわたる。
オケを押しのけて水面が渦をまき、異様な盛りあがりをみせた。あまりの出来事に
あいた口がふさがらない夏美をよそに、水面は高まりつづける。そして・・・。
ぐぽ〜〜〜〜〜〜〜〜ん!
――――――――嫌な機動音をひびかせて、ケロロ軍曹が登場した。
「ち、ちょっとボケガエル!なにしてんのよッ!」
「―――それはこちらのセリフであります・・。キュートでケナゲな我輩がコシを強打して湯船で倒れているにもかかわらず、カイホウどころか熱湯をお見舞いしてくれるとは・・・。
我輩チョーブッチギレでありますッ!・・オノレ夏美殿、いやポコペン人日向夏美め!今日こそ目にモノみせてくれるわァ〜ッ!」
コホオォ―――ッと不気味な呼気を吐き出しながら、軍曹が両手ぶらリ戦法のかたちで体をゆらめかせる。
「いいからさっさと・・・出ていきなさ――いッ!!」
状況を思い出して、夏美が渾身のパンチを軍曹のボディにあびせかける。当たった瞬間、拳がぬるりと滑った。いつもならガラス窓を突き抜けて、おとなりまで吹っ飛んでいくはずの軍曹が今日に限っては微動だにしない。
「・・・な、なんでッ?!」
「フ、フフフ・・・ふはははははッ!今日の我輩はひとあじ違うのだよ・・・ッ!」
夏美は驚愕の表情で軍曹を見つめる。つやつやつやつや・・と、肌に異様な光沢があった。――こ、これってもしかして・・・梅雨の時のアレ?!
「そのとおりッ!アノ頃の我輩だ!しかも・・いつものアノ頃ケロロをマスターグレエドとするならば今日の我輩はパーフェクトグレエドVer,Er!(←十八禁仕様のことらしい)!!
―――発情期のカエルさんたちのタマシイの鳴き声が、我輩に原初のパウァーを思い出させてくれたゼ・・!覚悟するがいい日向夏美ッ!これから大人仕様の我輩がッ!ちいさなお友達立ち入り厳禁なスッゲーことをしてくれるわッ!!」
メゲメゲメゲメゲ・・・とこれまた嫌な呼吸音?をたてながらじりじりと軍曹が夏美に迫った。からだに巻いたタオルの端をむんずとつかまえる。
「さ・・・させるものですかッ!」
夏美も必死でタオルをおさえる。軍曹の手を叩き落そうと手が触れた瞬間、またもやヌルンと滑った。
「ハアァ―――ッッ!!!」
奇声とともに、唯一の砦であるタオルを奪われてしまう。
「イヤアァ〜〜〜〜〜〜〜ッ!」
夏美はあわててからだを隠してしゃがみこんだ。この格好ではもはや反撃できない。
「みるがいい日向夏美。我輩のこの動きを・・・ッ」
軍曹が左右にゆっくりとからだを振りはじめる。その手の動きはまるであの伝説の男のように北斗七星をかたちづくっていた。しかもだんだんと動きが速くなる。それをみているうちに夏美の頭が、なぜだかぼうっと霞んできた。
「さあ、とりあえずは数々の無礼を・・・土下座して謝ってもらうでありますかな?」
「バ、バカいわないで。それはアンタが・・・ええッ?!」
言っているそばから夏美のからだが、意思とは逆に軍曹に向かってひざまずく。
「ゲーロゲロゲロ。よい格好でありますな。夏美殿が催眠術や洗脳電波にかかりやすい体質であることは夏の海岸や623のペンですでに立証済みであります!
・・・さて、ここはエロパロ板にふさわしく、我輩にご奉仕をしてもらうでありますかな?」
「・・・そ、そんな――ことッ・・・んッ、んんんッ!」
浴槽のヘリにドッカと座りこんだ軍曹に、夏美のからだが引き寄せられる。
ひざまづいたかたちのまま、意思に反して夏美は自分から軍曹に唇を重ねた。黒々とひらいた瞳孔が大写しになる。そのしまりのない口に自分から舌を挿しこむ。自分のしていることが信じられない。だが、止められないのだ。
「んう・・ッ・・・ん、ん〜〜〜ッ!」
夏美のキスの奉仕を受けていた軍曹が、いったん口を離してふんぞりかえった。
「―――どうしたのかネ?夏美殿・・・おててがオルスでありますよ?
我輩の股間のMSM−04アッガイの、ヘッドユニットの面倒を見てもらえますかな?
・・・大気圏突入時に耐熱フィルムは出ないが、かわりにもっとスッゲーシロモノが飛び出すことでありましょう。ゲロゲロゲロ・・・。」
言葉の意味はよくわからないが、なにやら非常にヒワイなことを言われているらしい。
ぶっとばしてやりたいが、からだがいうことを聞かなかった。
それどころか、いわれたとおり軍曹の下肢のあいだに手が動いてぎょぎょっとする。
自分のゆびがその未知の器官をそっと包み、前後にさするのを夏美は気が遠くなるような思いで眺めた。
手のなかのその器官が徐々に膨張する。手を動かしつづける夏美の顔に、ケロンスターのついた白い腹が押し付けられる。
このガンプラ職人のからだに染みついたシンナー臭が、鼻をついた。その腹部にキスをする。というか、させられる。
手の動きはそのまま、だんだんと自分の顔が下方にむかって下がっていくことに夏美は慄然とした。
「夏美殿・・・。表面処理はていねいに、であります。バリが残っているとあとで引っかかってイタイ思いをするでありますよ?」
この場合、実際には丁寧にすればするほど逆効果なのであるが――――。
夏美にはそんな知識もなかったし、そもそもそんな考えをめぐらす余裕もなかった。
そんなことより自分の唇が、白い腹部のさらに下―――股間のアッガイにむかってすすんでいくことにパニックに陥る。
夏美のちいさな唇がふるえながらひらかれる。アッガイのモノアイ軌道路に舌がふれた。
舌の先がモノアイ軌道路をつたって、つつつッ・・と105mmバルカン砲射出口をからめとる。唾液が糸をひいた。
さらに伏せようとする自分の頭を懸命に阻止しようと努力する。
夏美の逡巡に業を煮やした軍曹が凶悪な糸目になって、その頭をガッシとつかんで引きおろした。
軍曹のパーフェクトグレエド・アッガイが夏美の口の中を乱暴に侵略する。
「んッ!んぐッ・・・ん―――――〜〜〜〜〜〜ッ!!」
そのくるしさに涙目になりながら、夏美は心のなかで必死に叫んだ。
―――そんな、このままいったらあたし・・ッ・・ダメ!こんなのダメェ〜〜〜ッ!!
からだの強制するままに、身をのりだした夏美のひざがふいにすべった。洗い場の床がそこだけ白くぬめっている。
―――じつはその部分は、軍曹がドムごっこをした際に流しそこねた石鹸の跡だったりするわけなのだが・・・。そんなことは夏美は知らない。ただ滑ったことでからだのバランスを大きくくずし、そのまま軍曹の腹にもろ頭突きをカマすかたちになった。
「オウッ?!」
そのまま軍曹ともども、浴槽になみなみと張られた湯の中へなだれこむ。
夏美のくちのなかに、あきらかに湯ではない苦い液体が満たされた。と、同時に
湯へ飛びこんだショックでからだの拘束が解ける。当然夏美は、ひたいに青筋を浮かべて立ちあがった。
「ボ〜ケ〜ガ〜エ〜ル〜〜〜ッ!!!」
湯船にへろへろと浮かぶへっぽこ侵略者の頭部を片手でわしづかみ、そのまま持ち上げる。
その憤怒の表情に軍曹は、ややビビりながらも果敢にファイティング・ポーズをとった。
「おッ・・や、やる気でありますか?このパーフェクトグレエドな我輩に、かなうものなら・・・。」
夏見が空いている手で、オフロ場の窓をガラリと開けた。―――春間近とはいえ、空気はまだまだ冷たい。
たちまちオフロ場の暖気が消え、ツヤツヤと照り輝く軍曹の肌もその光沢を失う。タオルを巻きなおした夏美が、じりじりとせまった。
「アンタ・・・。ぶつけた腰はもう平気なの・・・?」
「ゲロッ?―――イヤもう、なんともないでありますが・・・・。」
「・・・・倒れてたアンタに気づいてあげられなくて悪かったと思うし、そこは反省してるわよ?でも・・・でもね・・・・ッ!」
「ゲ・・・・ゲロ・・・・夏美殿・・・?」
「飲んじゃったじゃないッ!どうしてくれるのよバカ―――――ッッ!!!」
「ゲ――――ロ―――――――――ッッ!!!」
302 :名無しさん@ピンキー:2008/12/12(金) 00:24:53 ID:vBgjzyj/
>>287 何様なんだろう
―――ガルルによって記憶消去された夏美が、リビングのソファでうたた寝をはじめた頃――。
「あ〜、やっと洗い物終了でありますッ!もう我輩ヘトヘトでありますよ・・。ここん家のヤツラは侵略者をなんと心得ているのやら・・・ブツブツ・・」
「ぐんそ〜さん、オツトメお疲れさまですぅ。多分ナッチーたちは、なんとも思っちゃいないんじゃないスかね?タマッ♪」
「mmm(ムムム)・・・なんだかやり切れないでありますな・・。ゲロ・・・」
軍曹ルームでは、ケロロとタママがくつろいでいた。
マンガを見ながらお菓子をパクついているタママ。少年エースを枕に、ぐったりと四肢を投げだしているケロロ。ため息をつきながら、ケロロがぼやく。
「あ〜あ。なんかこう、気分がスカッとすることねぇかなあ・・・。」
そのとき床の一部がせりあがり、く〜っくっくっくの陰湿な笑い声とともにクルルが姿を見せた。
「それじゃ隊長・・・。スゲーレアものの映像があんだけど・・見るカイ?ただし、おカタいドロロ先輩や――まかり間違っても絶対にオッサンだけには内緒だぜ?く〜っくっく。」
――――そう、その日の顛末・・・任務のために地球人化したガルル中尉をクルルが
「うっかり不在と思って」夏美の部屋に案内したことから起きた騒動は、全て記録されていたのである。
そもそも、陰険・陰湿・嫌な奴―――しかし頭だけは切れる男・クルル曹長が「ウッカリ」をしでかすはずがないのだ。
「ギロロ先輩にだけは秘密って―――。それってナッチーがらみっスか?」
「まあな。出演者は夏美とガルル中尉。ま、中尉は諸事情でポコペン人化してっけどな。ひとことでいえば盗撮・手錠プレイ調教モノだ。ガキには刺激の強すぎるシロモノだぜェ・・・。」
「うえッ?!・・そ、それって・・・・イロイロとヤバくね?!」
車座になって軍曹愛用のT-Macを取り囲む3人のケロン人。画像は鮮明かつ高画質だった。
『あ・・・ッ・・・あぁ・・は、ああッ・・・・』
ディスプレイのなかで、敵意にあふれていた夏美の目がしだいに快楽にかすみ溺れてゆく。
犯したまま冷然と動かぬガルルに焦れ、夏美がせつなげに眉をひそめる。長い睫毛がふるえながら伏せられる。熱っぽい唇がかすかにひらかれ、桃色の舌がちらりと覗く。足の爪がやるせなくシーツを掻く。
「ひえぇ〜!・・・こ、こんな色っぽいナッチー、見たことないですぅ!」
「――――な、なんというか・・衝撃映像でありますな・・・ゲロ・・・。」
「こりゃいわゆる『お楽しみ』のためにやってんじゃねェな。相手がどうすれば壊れ、自分の支配下に堕ちるのか・・・全て計算ずくでやってるんだ。あいかわらずヤベえ野郎だぜ。く〜っくっく。」
思わず身をのりだした3人は、そのため背後にせまった人影に気がつかなかった。―――すぐ後ろで、声をかけられるまで。
「・・・・・何を見ているんだ。」
「はわわッ!!ギッ、ギロロ先輩?!こ、これはそのぅ〜〜〜・・」
「どっひぇえええッ!!ギロロ!いや、な、なんでもないでありますッ!!」
タママを押しのけ、画面を見上げたギロロが凍りついた。
「・・・いやあの、ギロロ。これは・・そう!パソコンで、ですね。女の顔だけ夏美殿にすげかえて・・。そう捏造なんでありますよッ!ほんのかる〜いジョークで・・」
「・・・・・男の方は、ポコペン人の姿をしているが―――これは、ガルルだな?」
喉の奥で苦鳴をあげるように、ギロロがつぶやく。
「えッ?!な、なんでわかるん・・アいや、ギロロ先輩やだなァ。誤解ですぅ・・し、知らない人ッスよ。ア、ハハ・・」
「肉親だ。姿は違っても―――目の配りや雰囲気でわかる。・・・・待てッ!どこへ行く気だクルル!!」
DVDをこっそり抜き出して退散しようとしたクルルの後頭部に、ギロロの銃が突きつけられる。両手を挙げてホールド・アップの姿勢をとりながら、クルルがゆっくりと振り向いた。
「ガルル中尉だったら・・・どうするんですカイ?ギロロ先輩。」
「―――――そのくだらん映像を、もう一度再生しろ。最初からだ。」
ギロロの語尾がふるえた。意外そうにクルルが顔をあげる。
「見る気かヨ?!・・・・アンタも」
好きだねェ、と茶化そうとしたクルルは、決死の形相で銃の安全装置を外した相手を見てあわてて口をつぐんだ。しぶしぶDVDをパソコンにインストールする。気まずい沈黙が降りるなか、映像が再生された。
そして夏美は鼻歌を歌いながら、脱衣所でシャツを脱いだ。
―――ん〜、なんか・・また育っちゃったかなァ。ママみたいになると体育の授業ん時にからかわれるし可愛いデザインの服がなくなるし・・・困るなァ。
タオル一枚をからだに巻きつけ、湯気に満ちたオフロ場のガラス戸をひらく。洗い場にしゃがんで水道のお湯を止める。かかり湯をしようとオケを湯船に沈めかけると、ガツンとかたい手ごたえを感じた。
・・・・・ガツン?
とたんにオフロ場にダース・ベイダーのテーマが高らかにひびきわたる。
オケを押しのけて水面が渦をまき、異様な盛りあがりをみせた。あまりの出来事に
あいた口がふさがらない夏美をよそに、水面は高まりつづける。そして・・・。
ぐぽ〜〜〜〜〜〜〜〜ん!
――――――――嫌な機動音をひびかせて、ケロロ軍曹が登場した。
「ち、ちょっとボケガエル!なにしてんのよッ!」
「―――それはこちらのセリフであります・・。キュートでケナゲな我輩がコシを強打して湯船で倒れているにもかかわらず、カイホウどころか熱湯をお見舞いしてくれるとは・・・。
我輩チョーブッチギレでありますッ!・・オノレ夏美殿、いやポコペン人日向夏美め!今日こそ目にモノみせてくれるわァ〜ッ!」
コホオォ―――ッと不気味な呼気を吐き出しながら、軍曹が両手ぶらリ戦法のかたちで体をゆらめかせる。
「いいからさっさと・・・出ていきなさ――いッ!!」
状況を思い出して、夏美が渾身のパンチを軍曹のボディにあびせかける。当たった瞬間、拳がぬるりと滑った。いつもならガラス窓を突き抜けて、おとなりまで吹っ飛んでいくはずの軍曹が今日に限っては微動だにしない。
「・・・な、なんでッ?!」
「フ、フフフ・・・ふはははははッ!今日の我輩はひとあじ違うのだよ・・・ッ!」
夏美は驚愕の表情で軍曹を見つめる。つやつやつやつや・・と、肌に異様な光沢があった。――こ、これってもしかして・・・梅雨の時のアレ?!
「そのとおりッ!アノ頃の我輩だ!しかも・・いつものアノ頃ケロロをマスターグレエドとするならば今日の我輩はパーフェクトグレエドVer,Er!(←十八禁仕様のことらしい)!!
―――発情期のカエルさんたちのタマシイの鳴き声が、我輩に原初のパウァーを思い出させてくれたゼ・・!覚悟するがいい日向夏美ッ!これから大人仕様の我輩がッ!ちいさなお友達立ち入り厳禁なスッゲーことをしてくれるわッ!!」
メゲメゲメゲメゲ・・・とこれまた嫌な呼吸音?をたてながらじりじりと軍曹が夏美に迫った。からだに巻いたタオルの端をむんずとつかまえる。
「さ・・・させるものですかッ!」
夏美も必死でタオルをおさえる。軍曹の手を叩き落そうと手が触れた瞬間、またもやヌルンと滑った。
「ハアァ―――ッッ!!!」
奇声とともに、唯一の砦であるタオルを奪われてしまう。
「イヤアァ〜〜〜〜〜〜〜ッ!」
夏美はあわててからだを隠してしゃがみこんだ。この格好ではもはや反撃できない。
「みるがいい日向夏美。我輩のこの動きを・・・ッ」
軍曹が左右にゆっくりとからだを振りはじめる。その手の動きはまるであの伝説の男のように北斗七星をかたちづくっていた。しかもだんだんと動きが速くなる。それをみているうちに夏美の頭が、なぜだかぼうっと霞んできた。
「さあ、とりあえずは数々の無礼を・・・土下座して謝ってもらうでありますかな?」
「バ、バカいわないで。それはアンタが・・・ええッ?!」
言っているそばから夏美のからだが、意思とは逆に軍曹に向かってひざまずく。
「ゲーロゲロゲロ。よい格好でありますな。夏美殿が催眠術や洗脳電波にかかりやすい体質であることは夏の海岸や623のペンですでに立証済みであります!
・・・さて、ここはエロパロ板にふさわしく、我輩にご奉仕をしてもらうでありますかな?」
「・・・そ、そんな――ことッ・・・んッ、んんんッ!」
浴槽のヘリにドッカと座りこんだ軍曹に、夏美のからだが引き寄せられる。
ひざまづいたかたちのまま、意思に反して夏美は自分から軍曹に唇を重ねた。黒々とひらいた瞳孔が大写しになる。そのしまりのない口に自分から舌を挿しこむ。自分のしていることが信じられない。だが、止められないのだ。
「詫びるつもりはないが―――ギロロ。あの娘が、おまえがポコペンで『見つけたもの』か?」
「やかましいッ!答える義務はないッ!!」
「―――私は軍監ではない。たとえ今は敵であろうと、侵略した暁には相手を所有することはできる。
また、軍を除隊して大切な女と添い遂げ、その星の土となるのも一つの生き方だ。
・・・・だが、おまえにそれが選べるのか?軍務をとるか、あの娘をとるか、だ。
選べねば、おまえ自身が苦しみ身を焼き滅ぼすことになるぞ。―――選べまい。おまえには。」
「黙れッ!貴様は・・・ポコペン侵略任務からは外されたはずだッ!!俺たちが交戦中の相手と・・勝手に接触するのは重大な越権行為だッ!」
「なるほど・・・。そういう表現もあるか。」
片頬に皮肉な笑みをうかべ、ガルルがつぶやく。――――戦闘が再開された。
火花とともにレーザーソードが唸りをあげ、切り結ばれる。
まっすぐ突っ込んでくるギロロに対し、ガルルの剣にやや迷いの色が出始める。
何合かの斬り合いのすえ、ギロロの体がふいに前のめりに崩れ落ちた。
「!?」
みると、ギロロの後頭部に注射針の矢がある。―――クルルの仕業だった。
「すまねェな、オッサン。・・・ちょっと兄弟ゲンカじゃ治まらなくなりそうだったんでねェ。邪魔させてもらったぜ。」
「いや・・・・助かった。感謝する。」
心底ほっとしたように、ガルルがつぶやいた。強力な麻酔で眠らされた弟の顔を痛ましげにのぞきこむ。
「―――はじめから死を覚悟して相打ちを狙ったか。ケロン星にいた頃に比べて・・やはりずいぶんと痩せた、な・・・。」
「そうとう精神負荷がかかってるだろうからねェ。ま、今日のことは記憶から消させてもらうぜ。
次は間違いなくオレの命を狙いにくるだろうからな。・・・中尉殿、アンタの変身を解くのは明日以降だ。
なんせ頭に血がのぼったオッサンが銃を乱射して、機器を壊しちまいやがった。
・・・オレは記憶をちょいとイジッてから、オッサンを連れて行くぜ。上で足止めくらった隊長たちがヤキモキしてるだろうからな。・・で、アンタはどうする?」
「私のことは構ってもらわなくて結構だ。」
「そうかい・・・じゃあな。」
「待ちたまえ―――クルル曹長。その前に撮った映像をすべて出してもらおう。」
「ちっ・・・。覚えてたかい。ホントに可愛くねェぜ、アンタは。」
「―――ガルルがした事は・・・軍人として、理にかなっている。・・敵地で武器もなく、任務を控え・・・
拘束されてしかも手錠で敵と繋がれてしまった場合・・たとえ、どんな手を使ってでも相手を、排除せねば・・ならない・・・。」
憔悴したギロロがひとことひとこと、しぼりあげるようにつぶやいた。ケロロもタママも、かける言葉が見つからない。めずらしくとりなすようにクルルも口を開いた。
「―――この件に関して、夏美の記憶は完全に消去してあるぜェ。ポコペン人の姿はしちゃいるが、まかりまちがっても夏美が妊娠するようなことにはならねェから安心・・・ムグッッ!!」
銃口を口のなかに押し込まれ、クルルがまたもや両手を挙げる。
「そんなことはいい。―――それより、ガルルは今どこだ?ポコペン人の姿のままでは本国に帰れないはずだ。それとも時間がたてば元の姿に戻るのか?」
耐えがたい熱気があたりをつつんだ。熱いのに、どこかぞくりと体毛が逆立つような異様な熱気。
―――さきほどまで色を失っていたギロロの眼が、怒り一色に染め上げられていく。
「いや・・・。ガッチリポコペン人化させたからな。オレ様のラボで専用の機器を使って解除しないかぎり戻らねェだろうよ。」
「―――ということは、ガルルはもう一度ここに現れるわけだな?」
ギロロがクルルに向けていた銃を下ろした。
「ヒエェ〜〜!!―――修羅場の予感、ですぅ・・・。」
「ギ、ギロロ!落ちつくでありますッ!!」
「・・・・俺は冷静だ。」
冷たい怒りをたたえた眼で、ギロロが振り向く。皮肉なことにそうしているとこの弟は、ひどく兄に似ていた。
「んう・・ッ・・・ん、ん〜〜〜ッ!」
夏美のキスの奉仕を受けていた軍曹が、いったん口を離してふんぞりかえった。
「―――どうしたのかネ?夏美殿・・・おててがオルスでありますよ?
我輩の股間のMSM−04アッガイの、ヘッドユニットの面倒を見てもらえますかな?
・・・大気圏突入時に耐熱フィルムは出ないが、かわりにもっとスッゲーシロモノが飛び出すことでありましょう。ゲロゲロゲロ・・・。」
言葉の意味はよくわからないが、なにやら非常にヒワイなことを言われているらしい。
ぶっとばしてやりたいが、からだがいうことを聞かなかった。
それどころか、いわれたとおり軍曹の下肢のあいだに手が動いてぎょぎょっとする。
自分のゆびがその未知の器官をそっと包み、前後にさするのを夏美は気が遠くなるような思いで眺めた。
手のなかのその器官が徐々に膨張する。手を動かしつづける夏美の顔に、ケロンスターのついた白い腹が押し付けられる。
このガンプラ職人のからだに染みついたシンナー臭が、鼻をついた。その腹部にキスをする。というか、させられる。
手の動きはそのまま、だんだんと自分の顔が下方にむかって下がっていくことに夏美は慄然とした。
「夏美殿・・・。表面処理はていねいに、であります。バリが残っているとあとで引っかかってイタイ思いをするでありますよ?」
この場合、実際には丁寧にすればするほど逆効果なのであるが――――。
夏美にはそんな知識もなかったし、そもそもそんな考えをめぐらす余裕もなかった。
そんなことより自分の唇が、白い腹部のさらに下―――股間のアッガイにむかってすすんでいくことにパニックに陥る。
夏美のちいさな唇がふるえながらひらかれる。アッガイのモノアイ軌道路に舌がふれた。
舌の先がモノアイ軌道路をつたって、つつつッ・・と105mmバルカン砲射出口をからめとる。唾液が糸をひいた。
さらに伏せようとする自分の頭を懸命に阻止しようと努力する。
夏美の逡巡に業を煮やした軍曹が凶悪な糸目になって、その頭をガッシとつかんで引きおろした。
軍曹のパーフェクトグレエド・アッガイが夏美の口の中を乱暴に侵略する。
「んッ!んぐッ・・・ん―――――〜〜〜〜〜〜ッ!!」
そのくるしさに涙目になりながら、夏美は心のなかで必死に叫んだ。
―――そんな、このままいったらあたし・・ッ・・ダメ!こんなのダメェ〜〜〜ッ!!
からだの強制するままに、身をのりだした夏美のひざがふいにすべった。洗い場の床がそこだけ白くぬめっている。
―――じつはその部分は、軍曹がドムごっこをした際に流しそこねた石鹸の跡だったりするわけなのだが・・・。そんなことは夏美は知らない。ただ滑ったことでからだのバランスを大きくくずし、そのまま軍曹の腹にもろ頭突きをカマすかたちになった。
「オウッ?!」
そのまま軍曹ともども、浴槽になみなみと張られた湯の中へなだれこむ。
夏美のくちのなかに、あきらかに湯ではない苦い液体が満たされた。と、同時に
湯へ飛びこんだショックでからだの拘束が解ける。当然夏美は、ひたいに青筋を浮かべて立ちあがった。
「ボ〜ケ〜ガ〜エ〜ル〜〜〜ッ!!!」
湯船にへろへろと浮かぶへっぽこ侵略者の頭部を片手でわしづかみ、そのまま持ち上げる。
その憤怒の表情に軍曹は、ややビビりながらも果敢にファイティング・ポーズをとった。
「おッ・・や、やる気でありますか?このパーフェクトグレエドな我輩に、かなうものなら・・・。」
夏見が空いている手で、オフロ場の窓をガラリと開けた。―――春間近とはいえ、空気はまだまだ冷たい。
たちまちオフロ場の暖気が消え、ツヤツヤと照り輝く軍曹の肌もその光沢を失う。タオルを巻きなおした夏美が、じりじりとせまった。
「アンタ・・・。ぶつけた腰はもう平気なの・・・?」
「ゲロッ?―――イヤもう、なんともないでありますが・・・・。」
「・・・・倒れてたアンタに気づいてあげられなくて悪かったと思うし、そこは反省してるわよ?でも・・・でもね・・・・ッ!」
「ゲ・・・・ゲロ・・・・夏美殿・・・?」
「飲んじゃったじゃないッ!どうしてくれるのよバカ―――――ッッ!!!」
「ゲ――――ロ―――――――――ッッ!!!」
投下試験終了
3日来ない間に何が起こってるのかwすげえ
冬落選組みの捌け口だろw
>>318 何が投下試験だよw
どう見ても荒しだろ
うなりをあげる夏美のアッパー・カットをまともに浴び、軍曹はキリモミしながら戸外へと飛んだ。
蛙たちの合唱がひときわ大きく聞こえる。昼間だというのに、軍曹の目には満天の星空が見えた。
――ワァ、きれいなお星サマだナァ。北斗七星が良く見える。その脇に輝くちいさな星までも・・ウフフフ・・・。
地球人・日向夏美は悩んでいた。
ある日の午後。
日向家の捕虜・ケロロ軍曹の父親が、アポなしで青い地球にやってきた。
元・伝説の鬼軍曹。ケロン軍の英雄。眠そうだが鋭い眼差しの持ち主である彼の発するケロン訛りは、地球の熊本弁に似ている。
そんなケロロの父(以下・ケロ父)は、久々に会った息子に、見合い写真を突きつけた。
「どや、べっぴんさんやろ」
息子の緑色の顔がさっと蒼ざめた(一見分かりづらいが)。
38 名前:ケロンの星 :2006/01/23(月) 01:17:38 ID:Sf7CUeBA
冗談ではない。相手がべっぴんでもなんでも、どこの誰であろうと、結婚などとんでもなかった。
なぜなら、結婚したケロン人男子は子宝祈願のため、オモチャに触ることを禁じられるのだ。
なんのこっちゃというなかれ。確かに玩具と子宝の因果関係は現代にしてみれば科学的根拠を欠くが、ケロ父の世代の多くが重んじている風習なのである。ケロロとて無下にはできない。
しかしケロロにとってオモチャ…プラモ作りを断たれることは、死ね! と言われているのと同義だ。
そこで。
「実は我輩、恥ずかしながら敵であるペコポンの女性と!」
ケロロは咄嗟に、偽の婚約者を仕立てて父に紹介したのだった。そのアイディアはまあ、夏美も納得の範疇だ。地球の昔のマンガでも見かける手だ。こういう場合の行動は全宇宙共通らしい。
だが。
「そう、ここにいる日向夏美殿と将来を誓ったのであります!」
――その、偽の婚約者がどうして私なのか!
突然指名された夏美は仰天した。
もちろん、周囲も目を回した。弟・冬樹は慌てるし、タママは荒れるし、クルルは面白がるし……夏美には理由は分からねど、ギロロも自分を見失ってるようだけど……それより何より、モアの「てゆーか自暴自棄〜!」を鎮めるのは一苦労だった。
……だが本人にしてみれば残念なことに、夏美は義侠心に篤かった。
少なくとも、窮地に陥ったケロロを放置できないほどには。
仕方なく彼女は「一日婚約者」として、ケロ父の前に出た。その後は共鳴したり体操したり、早口言葉だのプラモの作り溜めだの、婚約者としてひととおり「ケロン人新妻」のシミュレーションにつき合わされたのだった。
「はーー……」
心身ともに疲れ果て、ようやくひとまず解放された夏美は、自室のベッドの淵に腰掛けて『きょうのおかず』をパラパラめくりながら、一人悩んでいた。
―――それ以降、ケロロ軍曹が「アノ頃ケロロ・大人仕様」になったという話は聞かない――
[END]
そんな事情、誰も気にしてないって
「んう・・ッ・・・ん、ん〜〜〜ッ!」
夏美のキスの奉仕を受けていた軍曹が、いったん口を離してふんぞりかえった。
「―――どうしたのかネ?夏美殿・・・おててがオルスでありますよ?
我輩の股間のMSM−04アッガイの、ヘッドユニットの面倒を見てもらえますかな?
・・・大気圏突入時に耐熱フィルムは出ないが、かわりにもっとスッゲーシロモノが飛び出すことでありましょう。ゲロゲロゲロ・・・。」
言葉の意味はよくわからないが、なにやら非常にヒワイなことを言われているらしい。
ぶっとばしてやりたいが、からだがいうことを聞かなかった。
それどころか、いわれたとおり軍曹の下肢のあいだに手が動いてぎょぎょっとする。
自分のゆびがその未知の器官をそっと包み、前後にさするのを夏美は気が遠くなるような思いで眺めた。
手のなかのその器官が徐々に膨張する。手を動かしつづける夏美の顔に、ケロンスターのついた白い腹が押し付けられる。
このガンプラ職人のからだに染みついたシンナー臭が、鼻をついた。その腹部にキスをする。というか、させられる。
手の動きはそのまま、だんだんと自分の顔が下方にむかって下がっていくことに夏美は慄然とした。
「夏美殿・・・。表面処理はていねいに、であります。バリが残っているとあとで引っかかってイタイ思いをするでありますよ?」
この場合、実際には丁寧にすればするほど逆効果なのであるが――――。
夏美にはそんな知識もなかったし、そもそもそんな考えをめぐらす余裕もなかった。
そんなことより自分の唇が、白い腹部のさらに下―――股間のアッガイにむかってすすんでいくことにパニックに陥る。
夏美のちいさな唇がふるえながらひらかれる。アッガイのモノアイ軌道路に舌がふれた。
舌の先がモノアイ軌道路をつたって、つつつッ・・と105mmバルカン砲射出口をからめとる。唾液が糸をひいた。
さらに伏せようとする自分の頭を懸命に阻止しようと努力する。
夏美の逡巡に業を煮やした軍曹が凶悪な糸目になって、その頭をガッシとつかんで引きおろした。
軍曹のパーフェクトグレエド・アッガイが夏美の口の中を乱暴に侵略する。
「んッ!んぐッ・・・ん―――――〜〜〜〜〜〜ッ!!」
そのくるしさに涙目になりながら、夏美は心のなかで必死に叫んだ。
―――そんな、このままいったらあたし・・ッ・・ダメ!こんなのダメェ〜〜〜ッ!!
からだの強制するままに、身をのりだした夏美のひざがふいにすべった。洗い場の床がそこだけ白くぬめっている。
―――じつはその部分は、軍曹がドムごっこをした際に流しそこねた石鹸の跡だったりするわけなのだが・・・。そんなことは夏美は知らない。ただ滑ったことでからだのバランスを大きくくずし、そのまま軍曹の腹にもろ頭突きをカマすかたちになった。
「オウッ?!」
そのまま軍曹ともども、浴槽になみなみと張られた湯の中へなだれこむ。
夏美のくちのなかに、あきらかに湯ではない苦い液体が満たされた。と、同時に
湯へ飛びこんだショックでからだの拘束が解ける。当然夏美は、ひたいに青筋を浮かべて立ちあがった。
「ボ〜ケ〜ガ〜エ〜ル〜〜〜ッ!!!」
湯船にへろへろと浮かぶへっぽこ侵略者の頭部を片手でわしづかみ、そのまま持ち上げる。
その憤怒の表情に軍曹は、ややビビりながらも果敢にファイティング・ポーズをとった。
「おッ・・や、やる気でありますか?このパーフェクトグレエドな我輩に、かなうものなら・・・。」
夏見が空いている手で、オフロ場の窓をガラリと開けた。―――春間近とはいえ、空気はまだまだ冷たい。
たちまちオフロ場の暖気が消え、ツヤツヤと照り輝く軍曹の肌もその光沢を失う。タオルを巻きなおした夏美が、じりじりとせまった。
「アンタ・・・。ぶつけた腰はもう平気なの・・・?」
「ゲロッ?―――イヤもう、なんともないでありますが・・・・。」
「・・・・倒れてたアンタに気づいてあげられなくて悪かったと思うし、そこは反省してるわよ?でも・・・でもね・・・・ッ!」
「ゲ・・・・ゲロ・・・・夏美殿・・・?」
「飲んじゃったじゃないッ!どうしてくれるのよバカ―――――ッッ!!!」
「ゲ――――ロ―――――――――ッッ!!!」
―――ガルルによって記憶消去された夏美が、リビングのソファでうたた寝をはじめた頃――。
「あ〜、やっと洗い物終了でありますッ!もう我輩ヘトヘトでありますよ・・。ここん家のヤツラは侵略者をなんと心得ているのやら・・・ブツブツ・・」
「ぐんそ〜さん、オツトメお疲れさまですぅ。多分ナッチーたちは、なんとも思っちゃいないんじゃないスかね?タマッ♪」
「mmm(ムムム)・・・なんだかやり切れないでありますな・・。ゲロ・・・」
軍曹ルームでは、ケロロとタママがくつろいでいた。
マンガを見ながらお菓子をパクついているタママ。少年エースを枕に、ぐったりと四肢を投げだしているケロロ。ため息をつきながら、ケロロがぼやく。
「あ〜あ。なんかこう、気分がスカッとすることねぇかなあ・・・。」
そのとき床の一部がせりあがり、く〜っくっくっくの陰湿な笑い声とともにクルルが姿を見せた。
「それじゃ隊長・・・。スゲーレアものの映像があんだけど・・見るカイ?ただし、おカタいドロロ先輩や――まかり間違っても絶対にオッサンだけには内緒だぜ?く〜っくっく。」
――――そう、その日の顛末・・・任務のために地球人化したガルル中尉をクルルが
「うっかり不在と思って」夏美の部屋に案内したことから起きた騒動は、全て記録されていたのである。
そもそも、陰険・陰湿・嫌な奴―――しかし頭だけは切れる男・クルル曹長が「ウッカリ」をしでかすはずがないのだ。
「ギロロ先輩にだけは秘密って―――。それってナッチーがらみっスか?」
「まあな。出演者は夏美とガルル中尉。ま、中尉は諸事情でポコペン人化してっけどな。ひとことでいえば盗撮・手錠プレイ調教モノだ。ガキには刺激の強すぎるシロモノだぜェ・・・。」
「うえッ?!・・そ、それって・・・・イロイロとヤバくね?!」
車座になって軍曹愛用のT-Macを取り囲む3人のケロン人。画像は鮮明かつ高画質だった。
『あ・・・ッ・・・あぁ・・は、ああッ・・・・』
ディスプレイのなかで、敵意にあふれていた夏美の目がしだいに快楽にかすみ溺れてゆく。
犯したまま冷然と動かぬガルルに焦れ、夏美がせつなげに眉をひそめる。長い睫毛がふるえながら伏せられる。熱っぽい唇がかすかにひらかれ、桃色の舌がちらりと覗く。足の爪がやるせなくシーツを掻く。
「ひえぇ〜!・・・こ、こんな色っぽいナッチー、見たことないですぅ!」
「――――な、なんというか・・衝撃映像でありますな・・・ゲロ・・・。」
「こりゃいわゆる『お楽しみ』のためにやってんじゃねェな。相手がどうすれば壊れ、自分の支配下に堕ちるのか・・・全て計算ずくでやってるんだ。あいかわらずヤベえ野郎だぜ。く〜っくっく。」
思わず身をのりだした3人は、そのため背後にせまった人影に気がつかなかった。―――すぐ後ろで、声をかけられるまで。
「・・・・・何を見ているんだ。」
「はわわッ!!ギッ、ギロロ先輩?!こ、これはそのぅ〜〜〜・・」
「どっひぇえええッ!!ギロロ!いや、な、なんでもないでありますッ!!」
タママを押しのけ、画面を見上げたギロロが凍りついた。
「・・・いやあの、ギロロ。これは・・そう!パソコンで、ですね。女の顔だけ夏美殿にすげかえて・・。そう捏造なんでありますよッ!ほんのかる〜いジョークで・・」
「・・・・・男の方は、ポコペン人の姿をしているが―――これは、ガルルだな?」
喉の奥で苦鳴をあげるように、ギロロがつぶやく。
「えッ?!な、なんでわかるん・・アいや、ギロロ先輩やだなァ。誤解ですぅ・・し、知らない人ッスよ。ア、ハハ・・」
「肉親だ。姿は違っても―――目の配りや雰囲気でわかる。・・・・待てッ!どこへ行く気だクルル!!」
DVDをこっそり抜き出して退散しようとしたクルルの後頭部に、ギロロの銃が突きつけられる。両手を挙げてホールド・アップの姿勢をとりながら、クルルがゆっくりと振り向いた。
「ガルル中尉だったら・・・どうするんですカイ?ギロロ先輩。」
「―――――そのくだらん映像を、もう一度再生しろ。最初からだ。」
ギロロの語尾がふるえた。意外そうにクルルが顔をあげる。
「見る気かヨ?!・・・・アンタも」
好きだねェ、と茶化そうとしたクルルは、決死の形相で銃の安全装置を外した相手を見てあわてて口をつぐんだ。しぶしぶDVDをパソコンにインストールする。気まずい沈黙が降りるなか、映像が再生された。
そんな事情、誰も気にしてないって
地球人・日向夏美は悩んでいた。
ある日の午後。
日向家の捕虜・ケロロ軍曹の父親が、アポなしで青い地球にやってきた。
元・伝説の鬼軍曹。ケロン軍の英雄。眠そうだが鋭い眼差しの持ち主である彼の発するケロン訛りは、地球の熊本弁に似ている。
そんなケロロの父(以下・ケロ父)は、久々に会った息子に、見合い写真を突きつけた。
「どや、べっぴんさんやろ」
息子の緑色の顔がさっと蒼ざめた(一見分かりづらいが)。
38 名前:ケロンの星 :2006/01/23(月) 01:17:38 ID:Sf7CUeBA
冗談ではない。相手がべっぴんでもなんでも、どこの誰であろうと、結婚などとんでもなかった。
なぜなら、結婚したケロン人男子は子宝祈願のため、オモチャに触ることを禁じられるのだ。
なんのこっちゃというなかれ。確かに玩具と子宝の因果関係は現代にしてみれば科学的根拠を欠くが、ケロ父の世代の多くが重んじている風習なのである。ケロロとて無下にはできない。
しかしケロロにとってオモチャ…プラモ作りを断たれることは、死ね! と言われているのと同義だ。
そこで。
「実は我輩、恥ずかしながら敵であるペコポンの女性と!」
ケロロは咄嗟に、偽の婚約者を仕立てて父に紹介したのだった。そのアイディアはまあ、夏美も納得の範疇だ。地球の昔のマンガでも見かける手だ。こういう場合の行動は全宇宙共通らしい。
だが。
「そう、ここにいる日向夏美殿と将来を誓ったのであります!」
――その、偽の婚約者がどうして私なのか!
突然指名された夏美は仰天した。
もちろん、周囲も目を回した。弟・冬樹は慌てるし、タママは荒れるし、クルルは面白がるし……夏美には理由は分からねど、ギロロも自分を見失ってるようだけど……それより何より、モアの「てゆーか自暴自棄〜!」を鎮めるのは一苦労だった。
……だが本人にしてみれば残念なことに、夏美は義侠心に篤かった。
少なくとも、窮地に陥ったケロロを放置できないほどには。
仕方なく彼女は「一日婚約者」として、ケロ父の前に出た。その後は共鳴したり体操したり、早口言葉だのプラモの作り溜めだの、婚約者としてひととおり「ケロン人新妻」のシミュレーションにつき合わされたのだった。
「はーー……」
心身ともに疲れ果て、ようやくひとまず解放された夏美は、自室のベッドの淵に腰掛けて『きょうのおかず』をパラパラめくりながら、一人悩んでいた。
バタン。
突然、夏美の部屋のドアが開き、ピコピコと聞きなれた足音が乱入してきた。
「なっつみっどの〜!」
夏美が疲弊し、今悩んでいる元凶、ケロロである。片手を挙げて、足取りも軽く夏美のテリトリーへ入ってくる。
いつもなら、ノックくらいしなさいよこのボケガエル! と乙女としてしばき倒すところだが、今日は事情が違った。
「あ、ボケガエル。ちょうどよかったわ。晩御飯何にしようか?」
「ビーフシチューがいいでありまーす!」
ケロロは即答しながら、ぴょん、とベッドに乗り上げて、ちゃっかり夏美の隣に座った。
「アンタの好物は聞いてないの! そんな手の込んだもの今から作ったんじゃ遅くなっちゃうでしょ」
「ゲ、ゲロ……」
父親のいない日向姉弟は、ケロ父くらいの歳の男性に馴染みがない。母は家では飲まない。故に夏美には”食事の前に酒と肴”という発想はないのだった。
「カレーとかコロッケとか食べないよねぇ、お父さんは」
「ねえ、夏美殿ぉ〜」
「うーん、あと、すぐできる物っていうと……」
「夏美殿ー、そんなことよりお願いが」
ケロロはベッドにうつぶせになり、足をばたつかせて泳ぐようにして夏美の関心を引こうとする。ある意味、カエルらしい仕草ではあるのだが。
「夏美殿ってば〜聞いて聞いてぇ〜」
「あーもう、うるっさい! 何なのよ!」
見降ろして夏美が問いかけると、ケロロはピョコンと音を立ててベッドから飛び降りた。そして夏美の真正面に立ち、こう言い放った。
「我輩と一緒にお風呂に入って欲しいであります!!」
そんな事情、誰も気にしてないって
地球人・日向夏美は悩んでいた。
ある日の午後。
日向家の捕虜・ケロロ軍曹の父親が、アポなしで青い地球にやってきた。
元・伝説の鬼軍曹。ケロン軍の英雄。眠そうだが鋭い眼差しの持ち主である彼の発するケロン訛りは、地球の熊本弁に似ている。
そんなケロロの父(以下・ケロ父)は、久々に会った息子に、見合い写真を突きつけた。
「どや、べっぴんさんやろ」
息子の緑色の顔がさっと蒼ざめた(一見分かりづらいが)。
38 名前:ケロンの星 :2006/01/23(月) 01:17:38 ID:Sf7CUeBA
冗談ではない。相手がべっぴんでもなんでも、どこの誰であろうと、結婚などとんでもなかった。
なぜなら、結婚したケロン人男子は子宝祈願のため、オモチャに触ることを禁じられるのだ。
なんのこっちゃというなかれ。確かに玩具と子宝の因果関係は現代にしてみれば科学的根拠を欠くが、ケロ父の世代の多くが重んじている風習なのである。ケロロとて無下にはできない。
しかしケロロにとってオモチャ…プラモ作りを断たれることは、死ね! と言われているのと同義だ。
そこで。
「実は我輩、恥ずかしながら敵であるペコポンの女性と!」
ケロロは咄嗟に、偽の婚約者を仕立てて父に紹介したのだった。そのアイディアはまあ、夏美も納得の範疇だ。地球の昔のマンガでも見かける手だ。こういう場合の行動は全宇宙共通らしい。
だが。
「そう、ここにいる日向夏美殿と将来を誓ったのであります!」
――その、偽の婚約者がどうして私なのか!
突然指名された夏美は仰天した。
もちろん、周囲も目を回した。弟・冬樹は慌てるし、タママは荒れるし、クルルは面白がるし……夏美には理由は分からねど、ギロロも自分を見失ってるようだけど……それより何より、モアの「てゆーか自暴自棄〜!」を鎮めるのは一苦労だった。
……だが本人にしてみれば残念なことに、夏美は義侠心に篤かった。
少なくとも、窮地に陥ったケロロを放置できないほどには。
仕方なく彼女は「一日婚約者」として、ケロ父の前に出た。その後は共鳴したり体操したり、早口言葉だのプラモの作り溜めだの、婚約者としてひととおり「ケロン人新妻」のシミュレーションにつき合わされたのだった。
「はーー……」
心身ともに疲れ果て、ようやくひとまず解放された夏美は、自室のベッドの淵に腰掛けて『きょうのおかず』をパラパラめくりながら、一人悩んでいた。
バタン。
突然、夏美の部屋のドアが開き、ピコピコと聞きなれた足音が乱入してきた。
「なっつみっどの〜!」
夏美が疲弊し、今悩んでいる元凶、ケロロである。片手を挙げて、足取りも軽く夏美のテリトリーへ入ってくる。
いつもなら、ノックくらいしなさいよこのボケガエル! と乙女としてしばき倒すところだが、今日は事情が違った。
「あ、ボケガエル。ちょうどよかったわ。晩御飯何にしようか?」
「ビーフシチューがいいでありまーす!」
ケロロは即答しながら、ぴょん、とベッドに乗り上げて、ちゃっかり夏美の隣に座った。
「アンタの好物は聞いてないの! そんな手の込んだもの今から作ったんじゃ遅くなっちゃうでしょ」
「ゲ、ゲロ……」
父親のいない日向姉弟は、ケロ父くらいの歳の男性に馴染みがない。母は家では飲まない。故に夏美には”食事の前に酒と肴”という発想はないのだった。
「カレーとかコロッケとか食べないよねぇ、お父さんは」
「ねえ、夏美殿ぉ〜」
「うーん、あと、すぐできる物っていうと……」
「夏美殿ー、そんなことよりお願いが」
ケロロはベッドにうつぶせになり、足をばたつかせて泳ぐようにして夏美の関心を引こうとする。ある意味、カエルらしい仕草ではあるのだが。
「夏美殿ってば〜聞いて聞いてぇ〜」
「あーもう、うるっさい! 何なのよ!」
見降ろして夏美が問いかけると、ケロロはピョコンと音を立ててベッドから飛び降りた。そして夏美の真正面に立ち、こう言い放った。
「我輩と一緒にお風呂に入って欲しいであります!!」
ケロロは、泡だらけのシンクの前でむくれかえっていた。
「もう、家事なんてやってられるかであります!」
ケロロは、予め冬樹の部屋から盗み出しておいたケロボールで、ケロン星と連絡をとった。
「地球の軍隊が、そちらへ攻めていこうとしているであります」
早速、ケロン星ではソープランドへ行っていた兵士たちが非常呼集され、
彼らは押っ取りチンポで地球へ侵攻してきたとさ。
END
夏美「アンタ!私の下着なんか持って、何してんのよ!!」
冬樹「姉ちゃんこそ、僕のパンツを自分の部屋に持って行くの止めてよね!」
よくわからんがID:iK1FbpiJがやってるのは作品の投下…じゃないよな?
話が繋がってないし既視感のある文がいくつかあるような気がするんだが
もし投下なら最初に説明文を入れて欲しい
331 :
名無しさん@ピンキー:2008/12/13(土) 21:06:43 ID:75ov/OTk
何か夏ばっかだな
新種のウィルスってことは無い…か
333 :
G7672N:2008/12/13(土) 23:49:08 ID:XTCZiT9b
前に話した夏ギロを投下
一応続き物だけど、何せ書くのが遅いんで出来た分ずつうp。
自身3回目のギロ夏エロ小説ですが、多分ヌルめ。。。
それでもおkな方はどうぞ。
* * * * * *
ばさ、という軽い布ずれの音で、ギロロは目を覚ました。
視界の端で、何かが揺れる。
思考が遅れた頭を動かすと、狭い自室の入り口に屈み込んで、彼女がこっちを見つめていた。
夢のしずく
月影が照らす深夜の日向家は静まり返っていた。
桃華の家に遊びに行き、豪華なベットで寝たいと駄々をこねたケロロと、どさくさで付き合うこととなった冬樹とモアがいない、というだけで、周りの寂しさがいっそう引き立つ。
無論、秋も徹夜のため帰っては来ない。
数少ない残りの住民も、既に床について・・・いた、はずだった。
「・・・?」
カサカサ、と庭の草が擦れる音がした。
サンダルのような、底の軽い靴が石ころを踏みつけているようだ。
直後、唐突に赤いテントの垂れ布がめくられ、冷たい風が中の主に容赦なく襲いかかる。
ぼんやりと暗い視界の中、ギロロは丸まっていた毛布を跳ね除け、左手を枕元の銃に手を伸ばしながら、入ってきた人物を見とめて・・・絶句した。
「なっ・・・夏、美・・・?」
いやそれはまさしく。実はギロロが就寝前に思いを馳せていた―――というか、アレコレと妄想していた、その人で。
薄オレンジの長袖パジャマ一枚という、この時期にしては寒すぎるのではと言いたくなる格好で、じっと目の前の赤い宇宙人を見つめていた。
無言で見つめ返せば、何を言い出すでもなく、じりじりと四つん這いのまま近寄って来る。
興奮やら感動やら、色んな意味で、ギロロの体温が一気に上昇した。
「・・・夏美?こんな夜更けに、一体どうし―――」
言葉は一瞬で遮られた。
理解が現実に追いついた時には、視界の全てが夏美の顔で埋まっている。
頬を両手で挟まれ。柔らかく暖かい温度が口を塞ぎ。
何秒だか分からない刻の後、ゆっくりと唇は離された。
「ちょッ・・・な、なつ、みッ!?」
突然の出来事に動揺し、ギロロが慌てて口を抑えると、たった今、目前の相手のファーストキスを奪ったばかりの夏美が、その腕を引っぺがして再び顔を寄せた。
後ろの棚に寄りかかせられ、半分夏美押し倒された体勢に、ギロロが情けない悲鳴を上げる。
ぼーっとしたような潤んだ瞳が、大きな半月眼を見据え、やがて囁いた。
「ねぇ・・・アレ、しよっか」
334 :
G7672N:2008/12/13(土) 23:50:08 ID:XTCZiT9b
「!はあぁぁぁっ!?」
言葉の意味を瞬時に察したギロロが素っ頓狂な声を上げ―――否、それも途中から叫びに変わった。
投げ出していた足を手前に引かれ、ずるっと滑って仰向けに寝転がされた身体の上に、夏美が覆いかぶさる。
胸元に手を伸ばし、あたかも素肌を見せ付けるかのようにいくつかボタンを外した。
「・・・っ!バカなことは止めろ!」
「いやよ」
「いや、じゃない!」
払いのけようと抵抗するも腕を押さえつけられ、身動きのとれぬまま、キツい視線のみを向けた。
「ここ、アンタたちにもあるんでしょ・・・?ね、気持ちよくしてあげるから・・・?」
「・・・おい!」
ギロロの声を無視し、するり、と白い腹を撫で、ベルトの冷たい金属部分を上にずらす。
普段はつるっとして素っ気無い下腹部に手を添え、脚の間の一点を引っ掻くように刺激すると、一瞬ビクリと深紅の四肢が跳ねた。
己の意思に反して従順に、じわじわと熱いものが集中してくる感覚に、またもやギロロが叫んだ。
「や・・・止めろッ、夏美!それ、は・・・マズい・・・・・・!」
「何で?」
「何っ・・・あ、当たり前だろう!何でこんなところで、お前と性行為をしなきゃならんのだ!」
「・・・」
ぴた、と動きを止めた夏美に、ギロロはほっと胸を撫で下ろす。
危ない。
あやうく理性を失うところだった。
ただでさえ、さっき夏美と、き、き、キ・・・だああああっ!どういうことだこれは!
夢?・・・にしてはリアルすぎる。
第一普段の夏美ならば、こんなことはするはずがない。何か変な薬でも飲んだのか?
―――正直なところ、嫌な気はしないが・・・―――いや!ダメだダメだダメだ!いくら何でも、夏美と身体を重ねるというのは・・・っ!
「―――そっか」
納得したように一人、夏美が頷いた。
微かに冷や汗をかいているギロロは、立ち上がる夏美の気配に、助かったとばかりに息を吐く。
・・・が。
不意に足元の床から身体が浮き、気づけばギロロは白い腕の中にいた。
抱えたものをそのまま胸に押し込めて、バックでテントの外に這い出ると、どこか浮ついた足どりで日向家のリビングへと通じる窓のサッシを開ける。
「ま、待て!どこへ、行くつもりだっ!?」
「私の、部屋」
「は」
「だって・・・言ったでしょ・・・?『こんなところで』って」
「・・・っ!」
しまったと思っても後の祭り。
反論しようとした口をも夏美に塞がれ。モゴモゴともがくままに、赤い影は二階へと拉致されていった。
続きます・・・
乙乙乙!! 続き切望!!!
やったー夏ギロだー!
夏美攻めだー!!
337 :
名無しさん@ピンキー:2008/12/17(水) 17:45:55 ID:kXn3xRpH
保守
338 :
名無しさん@ピンキー:2008/12/19(金) 20:26:26 ID:IRdYWIrV
ホシュシュ
おおお
お礼遅くなったがありがとーございますっ
夏ギロ
ハアハアハアハアハアハアハアハアハアハアハアハアハアハアハアア……
夏ギロ
夏美攻めで、ギロ受け。萌えだ・・・
夏ギロ万歳!
341 :
G7672N:2008/12/20(土) 19:17:00 ID:hpOzhLT5
二人しか読んでないのがバレバレなんだが(実質ひとり?差分)。。。
こっちもヒマじゃないところをイッショケンメに書いてるんだから、GJくらいは欲しいかなと
んなこたーない。
何が言いたいかと言うと、続きキボンヌ。
わっふるわっふる
343 :
名無しさん@ピンキー:2008/12/20(土) 21:08:29 ID:BxcHimqX
読んでも書き込まない人もいる
わっふるわっふる
いつも書き込まないけど、ニヤニヤ読んでる。
てゆーか、プロバイダーによっては
ここんとこ、ぴんくBBSつながりにくくなってなかった?
とゆーわけで、書き込めたので続きキボンヌ
わっふるわっふる
敢えて今言おう GJ!!
347 :
名無しさん@ピンキー:2008/12/21(日) 01:05:04 ID:ZHy/APHz
>>341 皆楽しみにしてるよ。
自分も念願の夏ギロ読みたかったし(逆はいっぱいあるのにね)。
只、続き物だからレスして間を空けたら悪いかなって思ったんだ。
気を悪くさせてごめんね。
ここの所クリスマスムード全開で甘イチャラブばかり見かけるので
あえて黄赤鬼畜をわっふるわっふる
350 :
G7672N:2008/12/21(日) 17:37:57 ID:THAU7cYf
「ちょっと・・・ちょっと待て!夏美っ!!もし、こんなところをケロロたちに見つかったら・・・」
「だ、か、ら!早く私の部屋に入らなきゃ・・・ね?」
「うむむむ・・・」
夏美はその高い身体能力を遺憾なく発揮して、約5.5kgのギロロを胸元に大切に抱いたまま、トントントン!という足取りも軽く、
二階への階段を上がって行く。
「はい、到着〜!」
器用に自室のドアを開けて素早く入室した夏美は、茹で上げた蛸のように赤い上にも更に真っ赤になり果てているギロロを、まるでお気に入りの縫いぐるみのようにベッドの上にてんと据えて自分はそのすぐとなりに座った。
その重みでベッドがへこんだせいで、ギロロの身体がペタリと夏美の腕にくっ付いてしまう。
「な・・・夏美」
「アンタさ・・・この星で女の子と仲良くするの、初めてなんでしょ?」
「いや・・・それは・・・」
「へえ!?じゃ、地球に来てから、経験あるんだ」
「何を言う!俺は、お前の他にそんな!!」
ついさっきまで狼狽する内心をそのまま映してうろうろと宙を彷徨っていたギロロの視線が、
自分の顔を覗きこんでいる夏美の美しいガーネットの瞳の奥を、キリリッと射抜く。
そう。ギロロにとって、夏美という存在は自分の命以上の存在なのだ。
「ふうん・・・」
そんな純情一途なケロン人の表情を確かめながら、夏美が意地悪く畳み掛ける。
「私の他に・・・何?」
「あ!!・・・いや、それはだな・・・」
またまた“しまった!”と後悔するのも間に合わず、
『戦場の赤い悪魔』の面影もなく最早借りてきた猫同然のギロロは、顔面ばかりか全身くまなく蛍光ピンクになってしまった。
「アンタ、私の事が好きなのよね?」
「おおお、おい!夏美!!さっきから一体、どうしたというのだ!?」
「違うの?」
「まさか・・・お前、クルルのヤツに妙な薬でも飲まされて・・・」
先ほどから気になっていた疑問をとうとう口に出してしまったギロロを、今度は夏美が睨み付けた。
「私は正気よ!」
「ならば、何故、いきなりそんな・・・」
「いいから!私の事が、好きか、嫌いか・・・答えなさい!!」
夏美の口調は、何時も聞き慣れたケロロに悪巧みを白状させる時のそれそのままだったが、
しかしその腕は、そっとそっとギロロの身体に絡み付き始めていた。
「・・・俺と、お前は・・・、敵同士であってだな・・・」
「じゃあ、私の事が嫌いなのね?」
「いや!そういう・・・そういうわけでは・・・」
「どっちなの?はっきりしなさい!!」
夏美が正気を保った状態でここまで言うということは、ただ事ではない何かがあったのだと、ギロロは考えざるを得なかった。
「す・・・好きだ・・・」
「嬉しいっ!!」
ギロロが、自分の身体を抱き寄せようとする夏美の白く細い腕を少しだけ押し退けて、
見上げた夏美の目をしっかりと見据えながら大事な言葉を呟いた瞬間、その身体は、一瞬の内に夏美の胸元に抱き締められてしまった。
351 :
G7672N:2008/12/21(日) 20:25:27 ID:THAU7cYf
「どうした・・・夏美。何があったんだ?」
「別に・・・何も・・・」
息苦しくなるほどの抱擁から解放されたギロロは、夏美の顔をもう一度見上げて慎重に尋ねるが、
その愛しい女からの返事に嘘が混じっていることは明らかだった。
「俺で力になれる事があるなら、何だってする・・・」
「・・・」
「俺では、力不足なのか?」
「・・・ううん」
プライドの高い夏美のことだ。何か余程言いたくない訳があるに違いない。
ギロロは、大切な女の心を傷つけないように細心の注意を払いながら問題の核心を聞き出そうと試みる。
「実は・・・」
夏美は、再び抱き締め直したギロロの身体に覆い被さるように上半身をクイッと捻ったかと思うと、
そのままギロロもろともベッドへと倒れ込んだ。
二人の体重でボフッと押し潰された掛け布団から溢れだした夏美の匂いが、すぐにギロロの全身を柔らかく包んでいく。
「おい・・・!?夏美」
「あのね・・・。ううん・・・後で・・・」
その理由を聞き返す暇も、今までに一度も感じた事のない大好きな女の濃い匂いを鼻腔に満たす暇も、ギロロにはなかった。
夏美のほんのりと温かくて柔らかい唇が、自分の唇の全てを塞ぐように押し付けられてきたのだ。
「んんっ・・・ん!?」
そんな乱暴な口付けでこの自分の息を詰まらせている夏美が、着ていたトレーナーをもぞもぞと脱ぎ始めた事に気が付いたギロロは、
一度は夏美の身体を押し退けようとしたものの、逆にその白い腕に再び優しく押さえ込まれてしまい、あっけなく抵抗を止めた。
「ギロロ・・・」
顔の前をトレーナーの襟が通る一瞬だけ切なくギロロの名を呼んだ夏美がぐいっと上げた腋に、冬の間は手入れをしないのか、
ほんの一撮みほどの美しい緋色の腋毛が恥ずかしげに生えているのが先ずギロロの目に入り、一瞬置いてから、
そこから漂ってくる濃い汗の匂いが、その鼻先を擽った。
「!」
ギロロがその恥ずかしい毛に気が付いた事に夏美もすぐに気が付いたが、しかし、それを更に見せ付けるように肘をぐっと張った夏美は、
自らブラジャーを毟り取ると、その下から現われた年の割には発育の良いたわわな胸元をギロロの身体にふにふにと押し付け始める。
352 :
G7672N:2008/12/21(日) 20:26:20 ID:THAU7cYf
「・・・夏美!本当に、どうしたんだ!?」
息が続かなくなったギロロが必死に腕を突っ張って何とか夏美の上半身を起こしたものの、そのままベッドから起き上がった夏美は、
今度はハーフパンツとパンティーをもどかしそうに脱ぎ捨ててベッドの上に上がって膝立ちになると、
一瞬置いて、その両方の膝小僧の距離をぐっと広げた。
「お!おまえ!!」
ベッドに仰向けに寝そべったままのギロロとしては、両の瞼をしっかりと閉じなければならないのだという事はわかってはいるが、
しかし、その大きな釣り目は、初めて間近に見上げる地球人の、
それも好きで好きで仕方がない女の豊かな乳肉と秘密の部分の真実を確かめたいという誘惑にはどうしても抗えなかった。
「初めて見るんでしょ?女の子の、ここ」
「・・・」
そこに視線を集中させて絶句し続けるギロロに、夏美は自らの指先で、熱く潤み始めている自らの秘花をそっと開いて見せ付ける。
「いやだ・・・。もう・・・こんなになってる・・・」
淫蜜がヌルリと指先に絡み付く感触に、夏美は、ふぅ・・・と小さく艶かしい溜め息を一つつくと、
その濡れ光る指先をギロロの唇にきゅっと軽く捻じ込んだ。
「ここも、ここも・・・、全部アンタのものよ・・・」
ギロロが淫蜜をすっかり舐めとったのを確認した夏美は指をそっと引き抜き、その指先を再び淫花に差し込みながら、
もう一方の掌で自らの乳房を弄び始める。
353 :
G7672N:2008/12/21(日) 20:27:51 ID:THAU7cYf
もう、限界だった。
ベッドの上にすっくと立ち上がったギロロは、甘い熱に潤む夏美のガーネットの瞳をじっと見詰めたかと思うと、次の瞬間、
自分の全身を静かに夏美の身体にぐいっとばかり全て預け、それを合図に夏美はすっと腰を落として、
二人は共々、ベッドの上に倒れ込むようにして寝転がった。
「あっ・・・」
「むぐ・・・」
上手い具合にギロロを組み敷いた夏美は、その両頬を掌で挟むようにして固定すると、その唇を乱暴に奪いに掛かる。
だが、あっという間に、自分から押し付けた唇の隙間から侵入したギロロの舌先に、前歯の表面をなぞられてしまう。
「はぁ・・・」
「んッ!」
そんな夏美の筋肉質の背中に腕に回してきゅっと抱き締めたギロロは、
そのまま寝返りを打つようにして愛しい地球人の身体に圧し掛かると、唇を出発点にして、頬、耳、首筋・・・、と、
その若い肌をしっとりと光らせる汗を舐めとるようにしながら舌先を縦横に這わせ始めた。
「ああ・・・」
その唇に喉仏をしゃぶられ、鎖骨を舌先でなぞられる夏美の口元から熱い喘ぎが漏れ始めるが、
更にギロロは、先ほど迂闊にも思わず意識してしまった縮れ毛に濃い汗が絡んでいる夏美の腋を露わにすると、
そこに顔を埋め、ショリショリと舌先で毛を掻き分けてはそのコクのある塩味を夢中で吸い取りながら、
片方の手で、まだ芯に硬さが残っている豊かな乳房を鷲掴みに握り潰しては、その赤くし凝り尖る天辺をクリクリと摘み上げる。
「あッ!ああん!!」
頭の位置を胸元に移して掌と唇で本格的に両の乳房を攻め立て始めたギロロの頭を、
夏美の掌が、そこへと更にグイグイと押し付けては愛しげに掻き毟るように撫で回す。
「いいか?」
「・・・」
胸元から一旦顔を上げて、
地球の女戦士の鍛え抜かれた腹筋の上に追いた手を、その臍の先へと前進させる了解をとろうとする生真面目な異星の戦士に、
夏美は返事をする代わり、ほんの少しだけ両足の間をそっと開けてみせた。
「触るぞ・・・」
「ひゃッ!」
もう既に十分濡れそぼっている夏美の秘所は、ギロロの優しい指使いに感度よく反応し、
夏美は、あっという間に、熱く甘く息を弾ませながら切なげに腰をくねらせるまでに追い詰められてしまう。
「どうだ?」
「はぁ・・・、はぁ・・・」
この自分の淫液に塗れた秘花を、ぎこちなく、だがとても優しく弄り続けるギロロからの問い掛けに、
地球の女戦士は、ぐっと上げた顎先を複雑に振り立てながら、まだ降参はしないという意向を何とか伝える。
「力を・・・抜いてみろ・・・」
ふわっと外側へと緩んだ夏美の両膝の先を、ギロロがゆっくりと両側へ開いていく。
354 :
G7672N:2008/12/21(日) 20:31:29 ID:THAU7cYf
「ああッ・・・」
夏美が、開ききった股間の感覚に恥ずかしげな吐息を漏らせば、ギロロの前に露わになったその女の中心は、
今までに漏れ溢れさせた淫液によって秘色の縮れ毛が張り付いた大きな花びらに縁取られて、
若い雌の匂いをぷんぷんと艶かしく漂い昇らせながら、真っ赤に腫れてヒクついてはヌルヌルと妖しく光っていた。
「ひ・・・ッ、あ・・・、ああ・・・」
そこに纏わり付く淫蜜を全てくまなく舐めとられた上に、
硬く深紅に痼り起つ秘芽までも舌先で絡めとられそうになった挙げ句、
それを執拗に吸い立てられてしまった夏美は、両太股でギロロの頭をぎゅっと挟みつけながら、
自分の両の乳房を捏ねるように揉んでは腰をくねらせて、途切れ途切れの嬌声を上げるのが精一杯だった。
「いくぞ!」
頃合いも良しと見たギロロが、再びそっと押し開いた夏美の股座の前で膝立ちになり、
夏美の両の太股の付け根近くを下から支えるように持ち上げてその腰の位置を調節すると、
既に下腹部から姿を現して逞しく脈打ちながらいきり立っている自らの牡を、
それを待ち侘びるかのように淫蜜を溢れさせながらヒクついている肉穴に一息に差し入れ、そのまま腰をグイと押し付けた。
「あう・・・ッ!!」
のたうつようにくねる夏美の細い腰を、優しく、だががっしりと両手で押さえつつ、
ギロロは、その凶暴なまでに張り詰めた先端で、
ドロドロと熱く蕩けながらまるで一個の独立した生き物のように複雑に締め付けては蠢き廻るその襞肉を、
今度は浅く、次は深く、と緩急も自在に押し遣っては引き付けながら慎重に探り、
「ここ」と見当を付けた所を、プチュ、クチャッ、と淫靡な水音を立てながら容赦なく突き、捏ね、抉りまわしていく。
「あ・・・、・・・ッ!ひ・・・、あ・・・ッ、ああッ!」
夏美は、厭らしい濃い桜色に染め上げた全身の肌にキラキラと汗を浮かせ、
息を継げぬほどキリキリと締め上げるような全身の筋肉の気持ちの良い強張りにその細い喉元を詰まらせて、
身体を細かく震わせながらも只ひたすらにその腰をギロロの動きに必死に合わせ続ける。
「うッ!んッ!くう・・・ッ!!んんッ!!うあッッ!!」
「あ・・・!ああ・・・、あ・・・ッ!ああッ!!ああああッッッ!!!」
胸元を合わせた一頻りのパン!パン!パン!パン!という激しい腰の打ち付け合いが納まると同時に、
夏美は、両の乳房の間に埋まっているギロロの頭をを抱き締めながら、その腰を何度も何度もびくんびくんと大きく痙攣させた。
355 :
G7672N:2008/12/21(日) 21:20:20 ID:THAU7cYf
「ごめんね、ギロロ・・・。いきなりびっくりしたでしょ?」
「い・・・いや。俺の方こそ、我慢出来ずに、すまなかった・・・」
「ううん。いいの・・・」
ベッドの上でしばし呆けていた二人は、お互いのさっきの狂乱振りを思い出して、苦笑いを交し合った。
「で、お前、何か気にかかる事があるんだろ?話してみろ」
「でも・・・」
「大丈夫だ!俺たちはもう、他人じゃないんだからな」
「ギロロ・・・」
ギロロに優しく促され、夏美は恥ずかしそうに話し始めた。
「あのね、アンタたちに借りてる『パワードスーツ』なんだけど・・・」
聞いてみれば、パワードスーツを装着すると、決まってその数時間から数日後に“とてもHな気持ち”になってしまうのだそうだ。
そういえば、夏美は先日、サブローと小雪の仲を疑って、ギロロが渡した強化型のパワードスーツを起動させてしまっていたのだった。
『なるほどな・・・』
『でも、パワードスーツは、ボケガエルたちの悪巧みを止めるのにこれからも必要だから使わない訳にも返す訳にはいかないのよ・・・』
『それは・・・』
『でもね、こんなことボケガエルたちに知られたら、とくにクルルに分かっちゃったら何されるか分かったもんじゃないわ。
何とか、ギロロの力で、パワードスーツを着てもヘンな気持ちにならないように出来ないかな・・・?』
『う〜む・・・』
「おいおい隊長、どうするよ・・・」
「夏美殿とギロロが・・・。こりゃあ困ったでありますな・・・」
クルルズラボでは、モニター画面に映し出されていた夏美の部屋のベッドの上での一部始終を観察していたケロロばかりか、
クルルまでもが困り果てていた。
「実はよぉ・・・」
「どうしたでありますか?」
「この画像、本部の『日向夏美ファンクラブ』のゴールド会員向け特典用にと思って、今、音声付で録画してるんだが・・・」
「な!なんですと!!すぐにレコーダーを止めるであります!早く早く!!」
「ま、それが賢明だろうな・・・」
ラボの中の二人の意見は早々に一致したが、しかし・・・
『ね、ギロロ。お願い!』
『だが、パワードスーツは一応我が軍の制式装備なのだ。それに地球人用のチューンアップを施すというのは・・・』
『え〜!私の事、好きなんでしょ?』
『うっ!』
『だったら、いいじゃないの?ね!お、ね、が、い、よ!ギロロッ!』
『うむむむ・・・』
モニター画面の中では、もう一度身体を重ねようとギロロと夏美が互いに腕を絡め合い始めていたが、
残念ながら、その意見と立場は依然として食い違ったままなのであった。
END
以上です。時間が出来たらまた投下させていただきます
GJです。
たいへん美味しくいただきました。
(*´Д`)ハァハァ
358 :
G7672N:2008/12/21(日) 22:38:36 ID:dmecaBwe
あれ・・・
最近多忙だったから、今絶賛執筆中でちまちまシーン書いてたんだけど、
土日に出張してた間に、自分のネームで別の方が続き書いてる・・・(・ω・;)
どういうことだorz
>>358 世の中には成り済まし厨と言う者がおってのう…
「続きを書いてほしい」と言うレスを貰ってる人に成り代わりたいと言う心理らしい
気にせず続き書いて下さい!待ってます!
成り済ましが嫌なら次からトリ付けて
GJです!!
341=358=359 自演乙www
ゲスパー乙
だれが自演とか成りすましとかどうでもいいよ
作品さえ投下してくれれば
とりあえずトリ付けて欲しいな
これじゃ誰が誰だか混乱する
夏ギロって言うよりギロ夏?
交通機関復活祈念保守
頼む、雪やんでくれ〜!
随分とお久し振りです
モアタマって需要あるでしょうか?
ぜひ見てみたいです!
バカ五人組
お待たせしました、今回はモアタマで純愛系の話です
恐らく今まで私が書いた物の中で一番長い作品だと思うので、二度に分けて投下します
ちなみに、最初の投下分に性的な描写は一切含まれておりませんので予めご了承下さい
「お留守番…ですか?」
「そう、モアちゃんにしか頼めないの!」
ここは日向家のリビング
1人で来るようにと夏美に呼び出されたアンゴル・モアは、そこで日向家一同と顔を会わせていた
曰く、おばあちゃんの知り合いの法事に列席する為、今日から3日ほど家を空けなければならないというのだ
「本当ならケロちゃんたちも連れて行きたいんだけど、今回ばかりはちょっと…ね」
「でも、お留守番のことならおじさまにも言った方がいいんじゃないですか?」
「それだけは絶対駄目なの!私たちがいないと、調子に乗ってまた変なことをしでかしかねないし…」
「それでモアちゃんにこの家のことを頼みたいんだ。いいかな…?」
とはいえ、モアがケロロの無茶を止められる抑止力として足りえるかどうかは、正直言って微妙だ
もしかするとケロロに言いくるめられ、まんまと乗せられてしまうかもしれない
だが、この無垢と純粋さを絵に描いたような少女が、この頼みを聞かぬ筈が無かった
「わかりました!ナッチーさんたちが帰ってくるまで、モア頑張ります!」
「留守番…ですかぁ?」
「その通りであります、タママ二等」
ここは地下基地の会議室
ケロロに呼ばれたタママ二等兵は、そこでケロロ小隊一同と顔を会わせていた
曰く、ケロン軍の別小隊との会合に出席するべく、今日から3日ほど基地を空けなければならないというのだ
「ホントなら全員で出なきゃならない集まりなんだけどさ、ちょっと…ね」
「ちょっと…ねって何なんですか?ていうか僕も一緒に行きたいですぅ!」
「ク〜ックックック…実は会合の後に二次会があるんだが、それで行く場所がお子様厳禁の歓楽街でねェ」
「それに、この基地を空っぽにしてしまったら敵性種族の襲撃に遭うとも限らんからな…悪いが残ってもらいたい」
とはいえ、タママはかつて留守番していた母船を落とされたという前科があり、この任務に適するかは微妙だ
もしかすると自分本位なタママの事だ、更に混乱した事態を招くかもしれない
だが、この邪悪と傲慢さを絵に描いたような少年が、想い人からの頼みを聞かぬ筈が無かった
「あーもーメンドっちいですぅ…どうして僕が留守番なんか……ブツブツ」
…かもしれない
こうして当人たちの知らぬ間に、世にも奇妙な組み合わせによる留守番が始まろうとしていた
しかも、犬猿の仲とも言うべき最悪の組み合わせで…
『一つ屋根の下で』
正午を過ぎた頃、タママは日向家の台所へとやって来た
1人で基地の留守番をするという事は、同時に不在となるケロロの仕事もしなければいけないという事である
ケロロたちが出発した後でその事に気付いたタママは、嫌々ながらも家事をするため、ここへと来たのだが
「…あれ?」
足取り重く台所へ入ったタママが見たものは、既に食器洗いを始めているモアの姿だった
タママが来た事に気付いたモアは、いつものように天使の如き微笑みを彼へと向けた
「あっ、タママさんこんにちは♪」
(チッ…このアマいつの間に…)
一方、タママは自分がすべき仕事を奪われたことで、悪鬼の如き形相をモアに向けた
「…何やってるんですか?」
「実は、今日からナッチーさんたちがお出かけするので、私がこの家のことをしなきゃならないんです…てゆーか重大任務?」
「ふ〜ん…―――――……えっ!?」
何か思わぬ事を聞いてしまった気がして、タママはぎくりとした
夏美たちが留守…?ということは…ということは…!?
「ところで、おじさまはどちらか知りませんか?」
「ぐ…軍曹さんたちも、今日から3日ぐらい留守ですぅ…」
「えっ!それじゃあ……!」
今、この家にはモアとタママの2人だけ…
よもやこんなことになろうとは、どちらも留守を預かった時は予想もしなかっただろう
モアはケロロがいなくなった事に衝撃を受けているようだが、彼女の事なのですぐ立ち直るはずである
しかし反対に、タママは大きなショックを受けていた
ただでさえモアといるだけでも嫌なのに、このうえ一つ屋根の下で数日間暮らさなければいけないのだ
タママにとって耐えがたい苦痛の日々となるのは目に見えていた
その時、ここでタママにある名案が閃いた
ケロロ小隊のオペレーターとしてモアは日夜活動している
だがケロン軍人としての階級を持たぬ彼女は、広義で解釈するとケロロ小隊全員の部下であると言える
現時点の日向家で最も上の階級は二等兵のタママで、理屈では階級の無いモアはその下に位置する訳だ
よって、タママがモアに好き勝手命令を下す事も不可能ではない
(よ〜し…この女をこき使って、どっちが格上かハッキリさせてやるですぅ!)
沈んでいた表情を卑しい笑いで明るくしたタママは、さっそくモアにどんな事をしてやろうかと算段を始めた
ところが、突然モアからバケツを渡されて、タママは大きな眼を丸くした
「えっ?」
「タママさんは、それで階段と廊下のお掃除をお願いします」
「な…」
「私はこれが終わったらお洗濯とお買い物をしてくるので、頑張ってくださいね!」
「ちょ…ちょっと待つですぅ!いまは僕が一番偉いから、上司の命令に―――」
「分担してお掃除すれば、夕方までには綺麗になると思います…てゆーか超大掃除?」
「うぐぅ…」
何故か妙に押しの強いモアを前にして、結局タママは主導権を明け渡す結果となった
実はモアは、今までケロロの家事手伝いをサポートした(というか、ケロロがサボりたいから代わりにやらせた)経験が幾度かある
掃除にうるさいケロロの元、たびたび家事をこなしていたモアは、家事に関するスキルを知らず知らずのうちに得ていたのだ
結果、タママはモアの指示通り掃除に従事する羽目になったのだが、尊敬するケロロの影響が巡り巡ってタママに行き着いたのは、皮肉としか言い様が無い
ともあれ、2人のお留守番生活は先陣をモアが制する形で幕を開いたのだった
元来、タママは掃除など全く苦にしないほどの体力を持ち合わせていた
その気になれば1人で全てをこなす事もできるのだが、あくまで彼の体力は自己の鍛錬の為に作り上げられたものだ
普段から西澤家でメイドに雑務を任せているタママからすれば、今すぐにでも放り出してポテチの袋でも空けたい気分だったに違いない
しかもそれらの作業がモアに強いられているとなれば、尚更フラストレーションが溜まる一方だった
「はぁ…何だかすっげぇダルいですぅ………」
とはいえ、元々ケロロの代わりにやら無ければならなかった事である
仕方が無いと自分に言い聞かせながら、タママはダラダラと掃除を進めていくのだった
「それじゃあいってきます!てゆーか横浜買出し?」
そうしてタママがちんたらやっている一方で、モアは的確に自分の仕事をこなしている
掃除も洗濯もお手の物、モアはさらっと用事を片付けると、夕飯の買出しへと出かけていった
もしモアが将来結婚したなら、確実に良妻賢母となる事だけは確かな筈だ
ぶつくさ文句を言いながらも惰性で掃除を続けるタママと、夕飯の準備の為に奔走するモア
2人の仕事が一段楽したのは、夕飯時を少し過ぎた午後の7時ごろであった
「あーあ、やっと終わったですぅ。それにしてもあの女ァ……」
雑巾や箒を片付けながらタママは反撃の機会を伺っていた
モアに屈したままである今の状況を、タママのプライドが許すはずが無かったのだ
そろそろ夕飯の時間なので、恐らくはモアの作った料理が振舞われるはず
そしたら無理矢理難癖を付けて、少しでも自分の優位性をモアに思い知らせてやらなければ…
どう説き伏せようかと算段を重ねがら、食卓へとタママは向かう
しかし扉を開いたその時、えもいわれぬ匂いが彼の鼻孔を突く
ハッとして嫉妬モードから我に返ったタママは、それがカレーの匂いである事に気付いた
「あっ、タママさんご苦労様です!てゆーか勤労感謝?」
「こ…この匂いは…?」
「これは前にクルルさんから教えてもらった、秘伝のカレーを私がアレンジしたものです♪」
モア曰く、ケロロの代行で家事手伝いをしていた際、ふらりと現れたクルルが「なっちゃいねぇな」とか言いながら伝授してくれた物らしい
クルルのカレーという事で表情を濁らせるタママだが、腹が減っているので仕方なく食卓へ着いた
豊潤な香り、食欲をそそられる情景…傍目から見るだけではごく普通のカレーだ
スプーンを手に取ると、本能のままタママはカレーを口にしようとした…が、そこでモアの視線に気付いた
両手で頬杖を付いたモアが、こちらをじっと見つめているのだ
「ナニ見てるんですぅ」
「タママさんのお口に合うか気になって…てゆーか至高究極?」
この時に至って、タママの嫉妬心が再び燻り始めた
(この女…クレームを投げかけてくると先読みして先手を打つとは、中々したたかなアマですぅ)
「さっ、食べてください!」
無論、モアがそんな事を考えている訳がないのだが、勝手に1人でタママは嫉妬心を燃焼させていく
目に物見せてやるですぅ!と心の中で叫んだタママは、口に運んでいる途中だったカレーへ一気にかぶり付いた
完璧な料理なんてあるはずが無い、絶対どこかに欠点が…
まるでハイエナのように粗探しをするタママだったが、吟味していく中で次第に変化が見られた
「っ…」
モアの作ったそれは、無作為に調味料で労したり具材を変えたりしない、至極真っ当なカレーだった
桃華の元でいつも高級料理を口にしているが、このシンプルで包み込むような味は、タママにとって新鮮な衝撃を与えていた
「……おいしい…」
「ほ、本当ですか!」
「あっ!……いや、これは…!」
「タママさんのためにいっぱい作りましたから、どんどん食べてくださいねっ!てゆーか満貫全席?」
思わず素直な感想を口にしてしまい、タママは大いに焦った
一方、モアはタママに満足してもらった事で、目尻に涙まで浮かべて喜びを露わにしている
彼女は今日からしばらく一緒に暮らすタママの為に、あれこれと気を配っていた
タママは大食漢だから量も多めに作り、味も辛すぎず甘すぎず…その研鑽の末にこのカレーが出来上がったのだ
自分の発言を訂正しようとしたタママはその様子を見て、嫉妬心を鞘に戻す事にした
(ふん…今回は引き分けということにしておいてやるですぅ)
そう思いつつ、タママは早くも3皿目のおかわりをモアに頼んだ
それからは至ってスムーズに事は運んでいった
食後の後片付けを終え、それぞれ風呂を済ませ、そして就寝へと進む
日向家を空き家にするわけにはいかないので、モアは夏美の部屋に、タママは冬樹の部屋で枕を借りる事となった
「…」
時刻は既に夜の10時を回っているが、タママの脳裏には夕飯でのやりとりが印象深く焼きついていた
包み込むような優しい味…そしてモアの心からの笑顔…思い出すだけでも不思議な、あの感覚
タママはそれを振り払うかのように頭を横に振ると、ぐっと拳を握り締めて抱負を口にした
「でも、明日こそはあの女をギャフンと言わせてやるですぅ!………?」
決意に満ちた表情のタママだが、不意に何かの視線を感じて言葉を詰まらせた
目を向けると、そこには冬樹のオーパーツコレクションの1つである奇妙な石像のレプリカが、じっとこちらを見ている
暗闇の中に浮かぶ異形の像に怖くなったタママは、別の方向へと目を逸らす
すると今度は、冬樹のUMAコレクションの1つである雪男のポスターが飛び込んできた
異様な悪寒に襲われたタママは周囲を見渡してみると、そこかしこにUMAやオーパーツや宇宙人のフィギュア等がある
冬樹にとっては大好きなコレクションに囲まれて最高の立地条件なのだろうが、タママにしてみれば恐怖の対象でしかない
「ううぅっ……!!」
恐怖で布団に包まるタママ
しかし周りのオーパーツ達は、容赦なくベッドのタママへ視線を送り続けるのだった
モアとタママの共同生活、二日目の朝
目覚ましの音で目を覚ましたのは、夏美の部屋で眠りについていたモアだった
綺麗に整われた夏美の部屋は寝心地抜群で、モアは安心して眠りについていたのだが…
「んん…夏美さんの部屋ってとてもいい匂いがしますねぇ」
寝惚け眼をドカンと開けたモアは、いつまでも寝てる場合じゃないとばかりにタママの元へ向かった
案の定タママはまだ起きていないようで、扉をノックしても応答が無い
そっと戸を開けると、モアはタママの気分を損ねないように静かに部屋へと足を踏み入れた
タママは頭まで布団を被って寝ており、近くで呼びかけても反応を示さない
そこでモアは、思い切って布団を引き剥がしにかかった
「タママさん起きて下さ……ひゃあっ!?」
「何……ですかぁ……?」
ところが布団を退けたモアは、眼の下に巨大な隈をこしらえたタママの顔を見て、仰け反るほど驚いてしまった
実は昨晩、タママはミステリーグッズに囲まれて一睡も出来なかったのだ
起き上がってもフラフラしたまま歩く事さえ困難なタママを、モアは優しく抱きかかえる
「フッキー…あんなトコでよく平気で眠れます……ぅ」
「タママさん、しっかりして下さい!」
とりあえずリビングまで連れて下りると、モアは眠気覚ましにと朝食の準備を始めた
トーストと暖かい牛乳とハムエッグを手早く調理すると、モアはタママの元へと急ぐ
だが、ソファーに座っていたタママは朝食が作られる間に、すっかり眠りの中へと落ちていた
モアはタママの前の台に朝食を置くと、冬樹の部屋に戻って一枚のシーツを持ってきた
それをタママに被せてその横に座り、ようやくモアは自分の朝食へと手を伸ばすのだった
「……ふぅ、ご馳走様でした」
ひとり朝食を済ませたモアは、自分の傍らに眠るタママへと眼を向ける
ぐっすりと眠るタママの寝顔はとても可愛らしく、いつもの嫉妬に駆られた悪鬼のような形相など想像できない
思えば、モアはいつもタママに嫉妬の念を向けられていたが、彼女自身はほとんど意に介していなかった
「…タママさん」
しかし流石にあれだけしつこく迫られていれば、純粋なモアといえども引け目を感じてしまう時も少なからずあった
―――タママに対する、ほんの少しのとっつきにくさ
普通の人なら些細な事だと流してしまうかもしれないが、博愛的な思想を持つモアにとってはどうしても解消したい靄であった
今回タママと2人きりでいられるということは、互いの溝を埋められるチャンスでもある
これを機会に、もっとタママに近付きたいとモアは思っていた
対するタママが嫉妬に任せて、モアを遠ざけたいと思っている事も知らずに
「…」
寝息を立てるタママの頬を、モアはそっと撫でた
柔らかな弾力が心地良く、以前ケロロのお腹を撫でさせてもらった時とはまた違う感触だ
むにゃむにゃと子供らしい姿を見せるタママに微笑むと、モアは洗濯物を片付けに浴室へと向かった
モアが離れて暫くの後、9時に差し掛かろうかという所でタママが目を覚ました
首をポキポキと鳴らしながら起き上がったタママは、目の前に朝食が置かれているのに気付く
「…?」
まどろんだ思考で何がどうなっているのか考えるも、空腹に抗えず温くなった牛乳に口を付ける
そのままテレビのリモコンを手に取ると、何の気なしにチャンネルのつまみ食いを始めた
忙しなく選局を続ける中、不意にあるチャンネルでタママの指が止まった
「あ〜…これって確か軍曹さんが好きな超精神ジャバライザーですぅ」
時刻は8時58分…タママが見たのは、前番組が終わって挿入される次の番組のCMだ
それを見て、不意にタママはある事を思い出した
確か、ケロロたちが出発する前に何か頼み事をしていったような気が…
すっかりそのことを忘れていたタママは、時計の針が9時を指そうというところで、ようやく"それ"に気が付いた
「!…あ、ちょっとストップですぅ!」
タママは大慌てで側にあった空のDVD-Rをデッキへ突っ込み、急いで録画ボタンを押した
その次の瞬間、ケレンの効いた曲と共にジャバライザーのオープニングが幕を開く
これこそ、タママがケロロたちに頼まれていた言伝の1つだった
それは昨日の事、輸送船に乗り込んでケロロたちが会合に向かう前の話
しばし地球から離れなければならなくなったケロロたちは、残留するタママに各々の要務を伝えていた
ケロロはジャバライザーの録画を、ギロロは武器の整備を、クルルは基地の警備システムの更新を、ドロロは公園の花壇への水やりをタママに頼んだのだ
昨日はモアの対応で日が暮れてしまったが、こればっかりは流石にサボることはできない
朝食を口に詰め込み牛乳で流し込んだタママは、すぐさま他の言伝をクリアするために立ち上がった
「はぁ……ほんとあの人たちはどうしようもないですぅ…だるー…」
あの、話が進まないので早く立ち上がって下さい…
まずタママはギロロの武器整備から事を進めた
銃を分解し、弾薬を整頓し、装備の点呼をし…とにかくこれが面倒臭いこと極まりない
こういう地味な作業が大嫌いなタママは、銃は外面だけ磨き、弾薬は大体の数でまとめ、装備もチラッと見ただけで切り上げてしまった
次に残ったのはクルルとドロロの言伝だが、いちいち外に出て行う作業を面倒臭いと断じたタママは、クルルの件を優先させる事にした
「とは言っても、クルル先輩のラボに行くのもちょっと気持ち悪いですぅ」
足取り重くクルルズ・ラボに到着したタママは、扉の前に警備システムの更新手順を記したメモを見つけた
メモといっても一冊の本ぐらいの厚さで、その手順に関してもかなり複雑だ
しかし、ケロロ小隊はクルル以外の面々でもメカに強いという特性を持ち合わせている
ケロロはもとより、夏美のパワードスーツを作ったギロロ、ケロロロボの操縦で最も燃え上がっていたドロロ、そしてこのタママも例外ではなかった
かつては西澤家邸宅でトレーニング施設を建造した他、現在でもケロロが使用しているペコポン人スーツを作ったのは他ならぬタママなのだ
少々複雑とはいえ、このぐらいなら頑張ればタママでもどうにかなる作業だった
「でも、流石に二日分も更新が溜まってるとややこしくって堪んないですぅ」
なお、本来なら更新作業はコンピュータが自動で行うのだが、クルルがワザとマニュアル手順のメモを置いていった事に、タママが気づく事は無かった
今回は以上ですが、やっとこれで半分ちょっと
また明日に続きを投下しようと思います
おお、四七四式さんお久しぶりです。
投下ありがとうございました。
続きも楽しみにしてます!
お待たせしました、残りの分の投下です
相変わらず長いのとオチがオチてないですが、楽しんで下されば幸いです
「タママさん?」
お昼過ぎになって、モアはソファーで寝ていたタママがいなくなっているのに気付いた
朝食を食べた形跡があるので起きているのは解るが、彼がクルルズ・ラボで作業している事までは流石に知らないようである
そろそろ昼飯を一緒に食べようかと思っていたモアは、タママを探して地下基地に降り立った
ところがそこには噴煙が立ち込め、一部の壁が倒壊しているではないか
「えっ…?」
まさかタママがこんな事をするはずが無い…という事は…?
異様な雰囲気を察知したモアは、ケータイを構えていつでも擬態を解除できるようにしながら基地内を進む
いくつかの区画には大穴が開いている箇所まであり、気付かないうちにただならぬ事態になっていたことを物語っている
「いったい誰がこんな事を…?てゆーか侵入…――――――ッ!」
その頃、クルルのクセのある字を読み解き、難しい用語の羅列に四苦八苦しながらタママは作業を進めていた
ところがあるポイントで足止めを食らい、痺れを切らしてコンソールをゴンゴン叩いている
「あーもう!何で止まらないんですかぁ!!」
先程、更新の全工程を終えようかという時に、突然地下基地の出入り口付近にある警報が鳴り出したのだ
誤作動かと思ったタママは、それを止めようとあれこれメモを読み返しているのだが、対処法が全然わからない
もはやお手上げ状態で疲弊していたが、そのとき後でラボの扉が開く音が聞こえた
モアが来たのだと思ったタママは、不機嫌な顔をしながらそちらへと振り向く
「あ、丁度いいところに来たですぅ。実は……………」
その瞬間、タママは硬直した
なぜならそこに立っていたのがモアだけではなかったからだ
モアの腕を取って自由を奪い、こちらを嘲笑しているその男は、もはや見慣れた感も漂うヴァイパー(の父の弟の穴兄弟のセフレの息子)だった
「ヴァ…ヴァイパー?!」
「おっと動くなよ?こいつがどうなってもいいんなら話は別だがな」
「…タママ…さん……」
ヴァイパーは、モアの頭にサイコガンを押し付けるとこちらに向かって凄んだ
たじろぐタママに、ヴァイパーはやれやれといった様子で溜息をつく
「しかし、本当にお前らが俺たちの同胞を何人も倒してきたとは、俺には到底信じられねェな」
「そんなことは無いですぅ!これまで僕たちは何人ものヴァイパーを…」
「警備は手薄で居るのは女子供の2人だけ。オマケにこうして基地制圧に5分とかからないんじゃ、歯応えが無さ過ぎてあくびが出るってもんだ」
「ぐ、軍曹さんやギロロ伍長たちがいれば、お前なんか一網打尽ですぅ!」
「そこまで言うならやってみろよ、お前1人でな!」
「っ…」
余裕綽々のヴァイパーは、モアの首根っこを掴むとタママにむかって突き出した
モアは首を圧迫されて苦悶の表情を浮かべている
思いもよらぬピンチに遭遇し、タママは握り拳から血の混じった汗を垂らした
突然現れたヴァイパーによりモアが捕縛され、敵は基地の破壊とケロロ小隊の壊滅を目論んでいる
絶望的な状況下に立たされたタママは、今まさに窮地へと追い込まれていた
「さて…まずはこの中枢施設からぶっ壊すとするか。言わなくても解ってんだろうが、手出しすりゃあ人質の命はねぇぜ」
「タママさんっ…」
自分が人質になったせいでタママを追い込んでしまったことを、モアは深く悔いていた
せめて地下基地に下りてきた時、もっと注意して行動していれば…
このままタママの重荷になる事を拒んだモアは、むせながらも彼に向かって叫んだ
「タママさん、私はどうなっても構いません!だからヴァイパーを…タママさん!」
「チッ…少しは黙れ!」
その様子を怪訝に思ったヴァイパーは、モアを拘束していた腕を前に回し、羽交い締めをするような姿勢に移った
「しかし、このままぶっ壊すだけじゃあ物足りねぇな」
「…っ!」
「この基地とそこの小僧を始末して、お前を喰らうというのも悪くはないな…」
ヴァイパーはモアの服をまくり上げると、卑しくもその中へと手を突っ込んだ
服の上からでも、彼女の乳房が鷲掴みにされている様がよく解る
しかし、この羞恥的な仕打ちに貧してもなお、モアは一切の泣き言を口にする事はなかった
一方、一連の流れを凝視していたタママは、未だに静観を保っている
もしもこの時、普段のタママであればモアの言葉にそのまま従っていたことだろう
憎き恋敵であるモアを合法的に亡き者に出来る絶好のチャンス
過失を相手に擦り付ければどうにでもできる最高の機会
…だが、今のタママは違っていた
「?」
ふと、モアはタママが何かに向かって目線を移していることに気付いた
タママの視線が追う先は、ヴァイパーが弄ぶために解放させたモアの右手…の中にある物を指している
それを見てタママの意図を解したモアは、そっと指を動かした
「…それじゃ、お言葉に甘えて思う存分殺っちゃうですぅ!」
「はい、モアごとヴァイパーを吹き飛ばしちゃって下さい♪てゆーか一蓮托生?」
「は…?」
「決してこの尊い犠牲は忘れないですぅ〜」
「お、おいちょっと待て!この女がどうなってもいいってのか!?」
「それではみなさんさようなら〜。てゆーか……」
「!?」
「てゆーか擬態解除?」
2人の支離滅裂な会話に相手が動揺したその刹那、モアは手中にしていたケータイを起動させ、その場で擬態を解除した
ヴァイパーはまばゆい光に視界を遮られ、思わず力を緩めてモアを放してしまう
その間にエネルギーをチャージしていたタママは、モアが脱出すると同時に最大出力のタママインパクトをヴァイパーへ打ち込んだ
衝撃でラボからたたき出されたヴァイパーへ、今度はモアのハルマゲドン100万分の1が脳天を貫く
ピッタリと息のあった連携攻撃には、流石のヴァイパーもフラフラだ
駄目押しとばかりに、タママとモアは嫉妬玉とハルマゲドン10万分の1を放った
「があああああああああああっ!!!」
防御する事さえままならないまま、ヴァイパーは断末魔と共に爆発の中へと姿を消したのだった
爆風で吹き飛ばされた2人は、衝撃で打ち付けた腰をさすりながら身を起こした
爆破地点の近くにいたタママは、アフロヘアになってしまった頭を気にしているようだ
「うう…ヴァイパーはどうなったですぅ?」
頭が元に戻った事を確認しつつ、タママはヴァイパーが仁王立ちしていた方を向いた
そこには硝煙と瓦礫しか残っておらず、衝撃でめくれ上がった床などから、ヴァイパーが消し飛んでしまった事が解る
ここに至って勝利を確信したタママは、満面の笑みでモアの懐に飛び込んだ
「や、やったですぅ!僕たち基地を死守できたんですぅ!」
モアもタママの体に腕を回し、しばし2人は勝利の抱擁を交わした
しかし3分も経たない内に、タママはハッとして我に返った
「ふ…ふんっ!元はといえばお前が敵に捕まるからこんなことになっちゃんたんですぅ!」
素の表情を見せた事への照れ隠しで、意地っ張りな行動を取るタママ
そのままタママは腕の中から離れようとするが、何故かモアは抱きしめて離さない
それどころか、ぐいぐいと押し付けられて窮屈極まりなく、タママは強引に腕を退けようとする
「ちょっ…いい加減放すですぅ!」
「…よかっ…た」
「?」
「タママさんが…無事……で…」
俯き加減のモアから漏れた言葉に、タママは抵抗する手を止めた
見ると、モアの頬には大粒の涙が伝い落ちている
恐らくは緊張の糸が切れ、一気に恐怖心や安堵感が噴き出したのだろう
しかしモアの口から紡がれる台詞は、皆タママを気遣う言葉ばかりだ
「…この期に及んでも人の心配をしてるなんて……ほんとに莫迦な女ですぅ」
口ではそう言うタママだったが、彼はそのままモアに自らを委ねた
…それからモアが泣き止むまでに少々の時間を要したが、それまでタママはモアから離れようとはしなかったという
結局、この日は襲撃事件の後片付けに1日の大半を割く結果となった
基地を元通りに再建し、途中になっていたコンピュータのチェックを終えると、今度は日向家の用事が待っている
タママとモアは2人でこれらの作業を分担して進めたが、ようやく全ての仕事が終わったのは、夜の11時になろうかという頃だった
食事を用意する時間も無さそうだったので、仕方なく夕食はレトルト食品と昨日の残り物が中心となり、後片付けも手早く済ませた
「ふぅ…」
まるで流れるように去っていった、今日という日
その疲れを落とそうと、タママはモアより先に風呂へ浸かっていた
先の騒ぎで負った擦り傷がちくちくするが、暖かい湯がなんとも心地良い
心地良いのだが、どうしても彼には不可解な事が1つだけあった
「なんであんなこと…しちゃったんだろ……?」
自分の身を顧みず、戦えと言ってくれたモア
それに奮起してタママは勝利を得たが、あの戦い方は彼の得意とするがむしゃらな戦法ではなかった
そして何よりも、最後の最後でモアと抱擁を成した自分の行動に、タママは疑問を感じていたのだ
例えどんなことがあろうとも、アンゴル・モアなんて女に心を許していいはずが無い
ずっとタママはそう念頭に置いて行動していた
なのに、どうしてあの時あんな事を…?
と、その時である
「タママさん、お湯加減は如何ですか?」
「!」
突如、モアがバスタオル一枚という姿で浴室に姿を見せた
これにはタママも驚いて湯船に沈みそうになったが、モアはあまり気にしていないようだ
そういえば、前に冬樹とケロロが風呂に入っていたとき、今回と同じ格好でモアも混浴しようとした事があった
その時の彼女は恥らう様子を見せていなかったが、混浴に関しては抵抗が無いのだろうか?
ともかくこのままでは不味いと判断したタママは(具体的に何が不味いのかは解らなかったが)、浴槽の端っこへと退避
モアは開いたスペースに浸かると、ふうっ…と小さく息を吐き出した
「暖かいですね…てゆーか二番風呂?」
「な、何でお前が入ってくるんですぅ!」
「実はタママさんにお礼がしたくて、いても立ってもいられなかったんです」
「お礼?」
はい…と言うと、モアは離れていたタママに近付き、背中合わせに居座った
この状況で"お礼"などという言葉が出れば、誰も邪な想像をせずにはいられないだろう
タママとて例外ではなく、暖かいモアの体の感触に思わず喉を鳴らしてしまったほどだ
「お礼って…まさか…」
「はいっ、お背中を流しますからこちらにどうぞっ♪」
「…へ?」
不安とごく僅かの期待で振り向いたタママだったが、モアが提示した"お礼"とは"体を洗う"という単純な事柄だった
考えようによっては素晴らしいご褒美だが、タママはこれに安心とごく僅かの残念さで肩を落とした
そんな訳で、タママはモアに背中や腕などを洗ってもらう事となった
最初こそ肩透かしを食らった気になっていたタママも、しばらくしてこの背徳的な状況を楽しみ始めていた
(ふふん…こうやってこの女をドレイみたいにこき使うのも、悪くはないですぅ)
「どうですかタママさん?」
「うむ、それじゃあ次は腕を洗うですぅ」
「はいっ!」
殿様気分で命令を下すタママに対し、モアはテキパキと指示に従っている
支配者願望がとても強いタママにとっては、ここまでの奉仕だけでも十分満足だったのだが、事はこの後に起こった
次にお腹まわりを洗うようにと言われたモアは、階級マークに至るまでピカピカに洗っていた
その手が、ふとタママの股間に近い部分に触れた
これにはタママもぴくりと反応してしまい、咄嗟に側にあったタオルで下腹部を隠した
「タママさん?」
「あ…な、なんでもないですぅ」
恋敵に対して反応しているところを見せるわけにはいかないと、タママは前かがみ気味になってそれを隠し通そうとする
だが、その後もモアの細い指はちらちらと微妙な部分に触れ続け、次第にタママはボーっとなっていく奇妙な感覚に苛まれた
「…ぁ……ん…」
「気持ち良い…ですか?」
「いい……ですぅ…」
「…あの、こちらはどうですか?」
「ひゃっ!?」
その刹那、タママが被せたタオルの向こう側へと、モアの手がするりと入り込んでしまったのだ
びっくりしてモアの腕を放させようとするが、自らの物に指で触れられ、タママは女の子のような嬌声を発した
「ちょっ…や……やめる…ですぅ…!」
「大丈夫ですよタママさん、私に任せて下さい」
そう言うと、モアはタママのそれをそっと扱き始めた
ぎこちない手付きではあるが、タママの防御を解くのには十分すぎる攻めだ
いつしかタオルはタイル敷きの床へと落ち、完全に晒されたタママの雄はひくひくと勃起している
タママの背中越しにそれを扱いていたモアは、彼の前に回ると更なる攻めを繰り出す
「男の方のこれって、こうなっているんですね…」
「んっ!…は……ああっ!!」
「あの、舌も使って宜しいでしょうか?てゆーか事前承諾?」
「ぁ…ぁあ……やぁ…う…」
「…では、行きますね」
「ひぁっ!あ…う……んくっ!」
モアは雄を扱きながら、竿を嘗めたり、時に亀頭から咥えたりと、引っ切り無しに濃厚な奉仕を続けた
一方のタママはというと、もはやその喘ぎ声は完全に少女のそれであり、絶頂は目前に迫っていた
それに呼応するかのようにモアは扱く速度を速め、優しくエスコートしていく
そして彼の腰がぎくぎくと震えたかと思ったその時、びゅくっ…とモアの顔に向かって、タママは爆ぜてしまった
「っはぁ!あっ!ぁ…!ん……!」
「凄い…こ、こんなに濃いなんて……タママ…さん」
なおも溢れ出る精液を、モアは苦にすることもなくしげしげと見つめていた
それどころか、自らの顔や髪に降りかかったそれを口に含もうとさえしている
なんとか呼吸を整えたタママは、やっとこさモアの奇行についての質問を投げかけた
「な…っ…なん…で……こん…な…?」
「…私、タママさんとお留守番になるって解った時、とても嬉しかったんです」
「え…?」
「ずっと前から、私はタママさんに近付きたかったんです…だから、この二日間はとても幸せでした」
「お前…」
「私のカレーを食べてくださった時、タママさんは美味しいと仰ってくれました。そして今日、タママさんは命がけで私を守ってくださいました」
「…」
「なので私は、お返しをしたかったんです…てゆーか、……てゆーか…その……はい」
このときタママは、この留守番の中で感じ続けてきた不思議な感覚を、再び…そして最も色濃く感じていた
どうしてなのか全く解らなかったが、照れているモアの表情を見れば見るほど、その感覚は自分の中に広がっていく…
「……お返しはやってもいいけど、ひとつだけ約束して欲しいですぅ」
「は、はい…」
「…このことは、軍曹さんには内緒ですぅ」
タママはその感覚に任せ、思ったことをそのまま口に出した
モアはケロロの名前を出されて一瞬戸惑ったようだが、すぐににっこりと笑顔を取り戻し、こう返した
「では、私からもお約束して欲しいのですが…このことは、おじさまには内緒ですよ」
「わかってるですぅ」
ぎこちない笑みで応えたタママは、そっとモアの唇へと口を付けた
双方とも、互いにこれがファーストキスだとは知らない
しかしタママもモアも、この時はキスという行為に驚くほど抵抗感を感じなかった
まるで今まで何度も体を重ねあった者同士のように、キスがスムーズに交わされていく
正座して身を乗り出すモアと、台座から背を伸ばして求めるタママ
しばしの間隔を置き、口を離した二人はシャワーの栓を回す
暖かなシャワーが降り注ぐ中、モアはバスタオルを解き放ち、肢体でその場に体を横たえた
タママはモアの元へ寄り添うと、再びのキスを繰り返す
そこから手を伸ばし、胸元へと向かった腕はモアの乳房に辿り着く
ゆっくりと撫で回しながら、タママは口内でモアの舌を舌で絡め取った
モアもこれに従い、ふたりの口の中で二枚の舌が捏ね繰り回された
それと同時に乳房へ伸びた手の方も、先端を刺激しながら愛撫が続けられている
「っ…ん……ぅ…」
まどろんだ瞳を開いたタママは、至近距離でモアと見つめあった
かつては視線を合わせることさえ苦痛だったというのに、今はどうした事だろうか
だが、現在のタママにそんなことは問題ではなかった
体を起こしたモアは壁に背を着けると、タママが胸を攻めやすい体勢を取る
タママが体に跨る形になり、それはまるで母親が乳飲み子に乳を与えているかのような光景だった
「きもちいいですよ…タママ……さん…っ」
「じゃあ…こっちはどうですぅ?」
「んっ…」
くにくにと乳首をこねるように愛撫され、モアはくすぐったい快感を感じた
その快感は喘ぎとなってモアの口から奏でられたが、今度はタママが奏でる番だ
次にタママがごろりと寝転び、四つん這いになったモアが上からのしかかるような姿勢となった
「さ、今度は私の番ですよ…」
「一体何をするんですぅ?」
「今にわかりますよ…♪」
言うが早いか、モアは自らの体をタママの体に押し付け、ゆっくりと前後運動を開始した
その都度、タママの体にはモアの乳房・腹部・陰部が擦り付けられていく
この柔らかな感触には、先ほど手コキで達したばかりのタママでも堪らない
汗やシャワーが潤滑油の役割を果たし、擦れるたびに2人の肌の間で、ぐちゅぐちゅと淫らな水音が響いた
「はぁ…これ、結構いい感じ…ですぅ」
「気に入っていただけてモアも嬉しいです…でも」
「?」
いきなりモアの温もりが消え、タママは上体を起こした
そこではふたたび寝転んだモアが、こちらを物欲しそうな目で見ている
「でも、そろそろこちらでもいいでしょうか?」
「…っっ」
「あの…タママさんって、もしかして女の人のを見るのは初めてなんですか?」
「あっ、当たり前ですぅ!」
「それなら私も同じです。タママさんは心配なさらなくても大丈夫ですので…さぁ、どうぞ……」
既にモアは足の力を抜いており、いつでも受け入れOKの姿勢で待機している
心臓が爆発しそうなぐらいにドキドキしながら、そっとタママはモアの脚を開いていった
今までの行為でタママは陰部への攻めを行っていなかったのだが、それでもそこはとろとろに濡れていた
僅かに生えた陰毛と、ひくつきながら蜜を垂れ流す、まだ汚れを知らない蕾
自らの唾さえ飲み込めぬほどに渇いた喉もそのままに、タママはゆっくりと接近を試みた
ぎこちない手付きで柔肉を押し広げると、桃色の襞と膣口が顔を見せる
くぱぁ…と開いた状態のまま、タママは陰部に指を伝わせた
その感触はまるで暖かな泥土のようで、指先にはねっとりとした愛液が絡みつく
初めて目にする女体の淫核を興味深げに凝視するタママだが、モアは弄られるたびに身を捩じらせていた
「んっ………あぁ……」
触れれば触れるほど潤うその箇所に対し、次にタママは軽く口で触れてみる
すると、先程までとはまた違ったモアの反応が見て取れた
好奇心を芽吹かせたタママは、思い切ってモアの割目に口を付けると、強引に啜り始めた
「ひぁっ!た、タママさ…そこッ…」
「っく…ん………ん…ん……」
「駄目です…そんなところに舌を…っ……う…あっ…!!」
柔肉を押しのけ、もっと奥へ進もうとするタママの舌
途中で薄い膜のようなものに阻まれたが、それでも届く範囲でモアの内部を蹂躙していく
徐々に絶頂へと突き上げられていく中で、モアは今までに感じた事の無いような快感に犯されていた
何かが自分の体の奥底から押し上げてくるような、とても切迫した巨大な感覚
やがてそれは絶頂となって彼女の体を駆け巡り、あっという間にその視界を真っ白に染め上げてしまった
「――――――ッッッッ!!!!」
「っ……!?」
大きく体を仰け反らせたと同時に、塞がれていたモアの花弁から濃厚な密が溢れ出る
潮となって吹き出たそれに驚いたタママは、口を離すとその淫らな光景を呆然と見つめた
「あっ!ああああっ!!ああっ!………ぁ……あ…」
「…イっちゃった…ですぅ?」
「ぁ………う…ぅ…」
男女間の交わりで初めて達し、モアは快楽の余韻に酔っていた
どうにか呼吸を整えて意識を持ち直したところで、彼女は蕩けた笑顔でタママに囁いた
「タママさん…はぁ……っ…こちらに挿入して…下さい…」
「こ、ここでいいですか…?」
「はい………私はまだ…処女ですけど…タママさんは構わずに、私を楽しんでほしいんです…てゆーか……処女…開通……?」
「…そういうことなら僕だってまだドーテーですぅ」
赤面しつつそう返答したタママは、モアの秘所へ自身を宛がうと、ゆっくりと腰を沈め始めた
ぬるりとタママの陰茎がモアへと食い込むが、半分ほど進んだところで処女膜に足止めを食らった
しかしモアは自らタママの背に手を回し、喜んで迎え入れる意思を示している
覚悟を決したタママは、体重を掛けて一気に奥へと押し込んだ
「ぐっ…ぁ…!!…!…あうぅッ!!」
ぴったりと押し付けられた、モアとタママの腰と腰
繋ぎ目からは彼女が女となった証が垂れ、紅い筋となって流れていく
モアは破瓜の痛みで、タママは膣内の快感で、それぞれ身動きを取ることができない
2人はしばらく言葉も交わせぬまま、抱き合った姿勢の状態を余儀なくされるのだった
(思ったほどでは無かったですけど、やっぱり痛いものは……痛い…ですね…)
交わりを成して幾分かした頃、なんとかモアは落ち着きを取り戻しつつあった
破瓜に対してそれなりに覚悟はしていたようだが、膣内にじくじくと燻る痛みに涙を流している
呼吸を整えながら顔を上げた彼女は、顔を真赤にして踏ん張っているタママの様子に気付いた
さっきから開通の痛みでモアの膣内は激しく締め付けてきており、射精してしまわないようにとタママは耐えていたのだ
必死に頑張っているタママを見たモアは、彼の額にそっとキスをする
「ふぇ…?」
「もう大丈夫ですよ、タママさん」
「これって…もう挿入ってるですぅ?」
「はい。私のおなかの中が…タママさんでいっぱいになってますよ」
「…気持ちいい、ですぅ」
「ありがとうございます♪」
「えっと、それじゃあ…もうそろそろ動いていい…ですか?」
「出来ればゆっくり目で、お願いします…」
「了解ですぅ」
互いに恥ずかしがりながら行われる、初々しい会話の数々
この2人を見て、ほんの数日前までは敵対関係だったなどと、誰が信じられるであろうか
タママはモアの様子を伺いながら、スローペースで動き出した
愛液が糸を引き、腰を戻すたびにぬちゃぬちゃとするが、もはや2人にとっては慣れた音だ
ぴりつく痛みと若干の気持ちよさを感じつつ、モアもまた腰を動かした
「だいぶ…痛みは引いてきたみたいですね…」
「はぁ…んっ……う…」
「タママさんのが…奥まで届いてるのが……よく解ります」
「ん…いい……っ…」
モアは大きく息を吐き出しながら、窮屈になり過ぎないようにと力を抜いてタママを迎えていた
そうしているうちに自然と動作は速さを増し、2人の言葉も快楽の前にまどろんでいく
"夢見心地"
今の2人の思考を表すのなら、この言葉が最も適当だろう
「ボク…もう、ダメかもしんない…ですぅ」
「んんっ……はぁ…あ……あ…」
「そろそろ…で…出ちゃう、かも……」
「…私も、おおかた楽になってきましたので…いくらか乱暴になさっても……っ…宜しいかと……」
「ッッ…う……ああっ!」
ついさっきまで射精寸前に追い詰められていたこともあってか、タママは急かし気味にスパートを掛けた
この攻勢にモアは戸惑ったが、それらの思いは快楽によって押し流されていく
徐々に増していく高揚感と快感に押され、タママはモアに自ら口付けを交わした
全てがひとつになった2人は来るべき瞬間に向かい、ひたすら深い繋がりを求め続けた
その間隙の最中、子宮口を強く突かれたモアは一際大きく震えると、弓なりに体を引き攣らせる
タママが限界に達し、抑え込んでいた白濁を吐き出したのは、それとほぼ同時の瞬間であった
「くッ!…あああああああああああッッ!!!」
「っっ…―――!!あ…ぁあ……あ…!…あ……!!」
意識を手放しそうになりながらも、二人はお互いを強く抱きしめ合った
隙間無く密着していたため、モアの子宮にはタママの熱が直接的に注がれていく…
全てが吐き出された後も、タママとモアはひとつのままで居続けたのだった
モアとタママの共同生活、三日目の夕方
この日は日向家を留守にしていた冬樹たちと、基地を留守にしていたケロロたちが帰ってくる日である
一方の道からは、久しぶりに家族水入らずの時間を過ごすことができた日向家一行が見えた
「…でも、軍曹たちは一体どうしているのかな?」
「ケロちゃん達には、ちょっと悪い事をしちゃったかもね」
「私はモアちゃんが心配だわ。ボケガエルがおかしなことをしてなきゃいいけど…!」
そしてもう一方の道からは、土産物などを抱えたケロロたちがやって来た
「にしてもさぁ、あーいうお水の娘に働いている理由を聞くなんて、ドロロもほんとKYでありますなぁ」
「…そのことはもう止めて欲しいでござる……拙者、深く反省しているでござるゆえ…」
「ギロロ先輩、指名しといて放置ってのはルール違反じゃねェのかい?…クククク」
「黙れ!つくづく俺はああいう歓楽街や店は好かんのだ!」
どうやらどちらのグループも、十分にこの数日間を楽しんできたようだ
しかし、互いに家を空けていた事については冒頭でも触れたとおり、どちらも知らない訳である
玄関に差し掛かったところで2つの団体は邂逅を果たしたが、もちろん混乱が起きるわけであり…
「あれ?軍曹、どこかに旅行に行ってたの?」
「そう言う冬樹殿こそ、どこかに出かけていたでありますか?」
「モアちゃんから聞いてないの?私たちは3日前からお婆ちゃんちにいたのよ?」
「そんな事は聞いとらんぞ。というか、俺たちも3日前から軍の行事で日向家を発っていたんだが…」
「あらら、それじゃあモアちゃん1人を残してきたって事になるわね」
「ククク…そういえば俺たちも、基地にタマちゃんを残留させてきたんだっけな」
「「…え?」」
無論、タママとモアが犬猿の仲であることは、ここにいる全ての関係者が知っている
あの相反する2人が、2日あまりも一つ屋根の下で過ごしていたとすると…
とんでもない状況になっているのではと思ったケロロと夏美は、急いで家へと駆け込んだ
「タママ二等!早まっちゃダメであります!」
「モアちゃん!ちょっと大丈夫!?」
…と、ここでリビングに飛び込んだ2人が見たのは、一緒にゲームで遊んでいるタママとモアの楽しげな姿であった
「あっ、みなさんおかえりなさい!てゆーか呉越同舟?」
「軍曹さん、おかえりですぅ!」
「あ…あれ?」
予想を大きく外れ、和気藹々としていた両人に眼を丸くするケロロ
夏美も同様の反応を見せているが、タママとモアはお構いなしに行動を続ける
「そういえばもう夕暮れ時でしたね。タママさん、お夕飯の準備は出来ていますか?」
「下準備はバッチリですから、あとは僕たちで盛り合わせればオッケーですぅ♪」
「ではみなさんもお疲れでしょうから、用意は私たちだけでやっておきますね。てゆーか共同作業?」
「それじゃあ軍曹さんもナッチーも、そっちで待ってて下さいですぅ」
「…………どゆこと?」
「…………あの2人って、あんなに仲が良かったっけ?」
タママとモアを尻目に、ケロロと夏美はまったくもって状況が飲み込めずにいた
恐らくはタママとモア自身も、互いの心境の変化には気付いていないのかもしれない
だが、確実に…それでいて根本的な何かが、2人の中で変わっていることだけは確かなようである
【THE・END】
「…ところでタママ、録画は標準でやってくれないと画質がダメダメになっちゃうのに、何でよりによって3倍形式で録っちゃってるんでありますか!」
「え〜?僕よくわかんないですぅ(テヘッ☆)」
「おいタママ、なんだこの磨き方は!武器の整備に手を抜くということは、戦場で命取りとなるのだぞ!」
「え〜?僕よくわかんないですぅ(ウゼぇ…)」
「ククク…ま、一応合格って事にしといてやるよ。次に点検を頼む時にゃ、もっと面白いことにしてやるからな」
「う…遠慮しとくですぅ」
「それでタママ君、花壇の世話はちゃんとしてくれたでござるか?」
「…………………………………………………………………………………………あ」
…以上です
この一年はずっとスランプに陥っていましたが、これを機に再び作品を書いていこうかと思っています
それでは、お目汚し失礼しました
新作乙です。タマモア
も中々良いですね。
沈黙の面接の続編とか見てみたいです。
憧れの四七四式さんが帰ってきた・・・
タマモアGJでした。
自分も沈黙の面接の続編とか見てみたいな・・・
一年かかって書いただけあって、このド迫力に全米がワロタ
ワロタのかよw
あと定期保守
やっぱり二人しか見てない
マリア様も見てる
お天道様もお見通し
萌え語りでもしようぜ
まだこのスレで書かれてないキャラってどのぐらいいたっけ?
個人的には冬樹×アリサが見てみたい
行為の最中に一々ダディが口出ししたりとか
401 :
名無しさん@ピンキー:2009/01/10(土) 09:06:44 ID:siLd/SWY
>>400 散夜・ポヨン・ポヤン・擬人化ネコ・メルル・カララ(アニメ版)・ミルル・ナスカ・
冥・ゴリエ・麻美・ドロロの母・擬人化すもも・ダソヌ☆マリ・桜華が未登場
アリサとラビーも比較的取り上げられていない
やっぱ、二人しかいないじゃん
きぼんぬ
>>402 だから何なの?
いちいちそう書かれるとウザいんだが
ほんとに、二人なんだ…
いちいちウザがるほどの事でもないと思うんだが
チャットなみにレスがつきまくる旬のテレビ番組のスレでも
ここは「2〜3人の人間がID変えて自演してる〜」と騒いでた基地害はいた。
可哀想な病人だと思ってほっとくしかないんじゃない?
つーか「一人の自演だ〜」ならともかく、なんで2人って人数限定なんだろうなw
その突飛な妄想の構造は、どうせならエロパロに生かしてほしいものなんだが。
>>404様ご本人から、コメントが入りました
この数日来、
食事も喉を通らないくらい楽しみにしていた未発表カップリングについての雑談を邪魔されたのが癪に障って、
思わず書き込んだ。
だが、後悔はしていない。
>>408 直近では、
392 :名無しさん@ピンキー:2008/12/31(水) 03:05:11 ID:wc1s6pE9
新作乙です。タマモア
も中々良いですね。
沈黙の面接の続編とか見てみたいです。
で一人、
393 :名無しさん@ピンキー:2009/01/01(木) 14:16:43 ID:GQMJfjjU
憧れの四七四式さんが帰ってきた・・・
タマモアGJでした。
自分も沈黙の面接の続編とか見てみたいな・・・
で二人、
394 :名無しさん@ピンキー:2009/01/03(土) 13:11:00 ID:eVfyzrOx
一年かかって書いただけあって、このド迫力に全米がワロタ
は只の煽りだろうから除外。次に、
396 :名無しさん@ピンキー:2009/01/08(木) 16:31:18 ID:Y+6EgtMa
やっぱり二人しか見てない
に対して 、
397 :名無しさん@ピンキー:2009/01/08(木) 20:21:19 ID:+Xbm8gQ5
マリア様も見てる
で一人、
398 :名無しさん@ピンキー:2009/01/08(木) 20:25:05 ID:rdXVKm/k
お天道様もお見通し
で二人。
更に、
399 :名無しさん@ピンキー:2009/01/09(金) 13:32:39 ID:sDc6ukgg
萌え語りでもしようぜ
と
400 :名無しさん@ピンキー:2009/01/10(土) 00:32:23 ID:RbYAFdIc
まだこのスレで書かれてないキャラってどのぐらいいたっけ?
個人的には冬樹×アリサが見てみたい
行為の最中に一々ダディが口出ししたりとか
を同一とすればこれで一人で、これに答える
401 :名無しさん@ピンキー:2009/01/10(土) 09:06:44 ID:siLd/SWY
>>400 散夜・ポヨン・ポヤン・擬人化ネコ・メルル・カララ(アニメ版)・ミルル・ナスカ・
冥・ゴリエ・麻美・ドロロの母・擬人化すもも・ダソヌ☆マリ・桜華が未登場
アリサとラビーも比較的取り上げられていない
で二人。
最後に、今日、「二人」と特定することに異論を唱えているのは、
ID:RF8viKrv(は?)と
408 :名無しさん@ピンキー:2009/01/13(火) 12:24:07 ID:rbyGpk+o
チャットなみにレスがつきまくる旬のテレビ番組のスレでも
ここは「2〜3人の人間がID変えて自演してる〜」と騒いでた基地害はいた。
可哀想な病人だと思ってほっとくしかないんじゃない?
つーか「一人の自演だ〜」ならともかく、なんで2人って人数限定なんだろうなw
その突飛な妄想の構造は、どうせならエロパロに生かしてほしいものなんだが。
の二人。
よってこのスレの住人は二人。
今日の痛いIDはRF8viKrvでおk?ひ!
やっぱり本当に触っちゃいけない人だったんだw
あ、私のレスも煽りだから除外でやっぱり2人ですね
どうせなら桃華ちゃんがそういう妄想にとりつかれて
「今、私と冬樹君は2人きり…」と、大胆に迫るエロパロきぼんぬ
二人+痛い人一人
むしろ痛い人がいっぱいw
伸びてるから来て見たら…
単発IDばっかりだから全部自演だろ宣言マダー
>>417 ごめん、なんか変な人のスイッチ押してしまったみたいで。
今は反省しているw
は?
>>420 惜しい!
その設定だけじゃ複数いることになってしまうyo
このスレを盛り上げたくてやった
だが後悔はしていない
ID:sGPa6M7EとID:gr+zuRuc やっぱり二人分なんだ
きっかけだったのに忘れられてるID:RF8viKrvにワロタw
自演の結末なんて、そんなもの
自演自演は煽りでなく本当に単発ばっかりになってきたしな
気持ちは分からんでもない
あれだけ長い文章書いて付いたレスが
378 :名無しさん@ピンキー:2008/12/30(火) 11:00:08 ID:sG1wMPX4
おお、四七四式さんお久しぶりです。
投下ありがとうございました。
続きも楽しみにしてます!
392 :名無しさん@ピンキー:2008/12/31(水) 03:05:11 ID:wc1s6pE9
新作乙です。タマモア
も中々良いですね。
沈黙の面接の続編とか見てみたいです。
393 :名無しさん@ピンキー:2009/01/01(木) 14:16:43 ID:GQMJfjjU
憧れの四七四式さんが帰ってきた・・・
タマモアGJでした。
自分も沈黙の面接の続編とか見てみたいな・・・
394 :名無しさん@ピンキー:2009/01/03(土) 13:11:00 ID:eVfyzrOx
一年かかって書いただけあって、このド迫力に全米がワロタ
だけなんだから
なんか大事になってるな
スレの流れを見てえらいことしたなと痛感してる ほんとスマン
>>402の書き込み見てイラっとして反論して批判的な意見にもかみついたのは俺の過失だった
そのせいで他のロムってる人や職人にまで迷惑が行くなんて考えもしなかった
ほんとに浅はかな行動だったと(自分でも)思ってるし金輪際同じような真似は絶対にしないと誓うよ
でも2人だ2人だと行ってる人は自粛して欲しい
ID:sGPa6M7E=ID:gr+zuRucとID:RF8viKrv
ほんとに二人だったんだ
>>430 はじめっから荒らすこと目的で絡んでたみたいだから気にしなくて良いと思うよ。
IDそのつど変わるけれど、言ってる事同じだから今後あぼーんしやすいし。
ところで、ぬこ隊長とギロロの話だれか書いてくれないですかね?
rbyGpk+oとRF8viKrv 2人は仲好し
これほど分かりやすい自演が、かつてこの世に存在したであろうか?
もう、誰が誰やら…
>>430>>432 事態収拾モード全開www
自演職人御用達の『コテハン+ID変更』の秘儀でキミもスレの支配者に!!
酔っ払いが「俺は酔ってねえよ」って逆ギレしてる状態www
嫌な一日だったね
ついでにあげとくよ
>>429なんで四七四式氏が犯人にされるのか理解できんのだが
どさくさ紛れに職人潰す気かよw
>>441 自演自演の単発IDは初めからそういうネガキャンに持ってくのが目的だろ
ちょっと前には成り済ましらしき騒ぎもあったし
だから職人さん気にせず投稿どうぞ
443 :
名無しさん@ピンキー:2009/01/14(水) 12:44:09 ID:EH22isSG
やはり、ふたり
されど、ふたり
2ちゃんねる利用者の内の、たった2人
446 :
名無しさん@ピンキー:2009/01/17(土) 01:22:25 ID:ZUyORVuL
ふたりは百合キュア
ということで夏雪が見てみたい
↑
432 :名無しさん@ピンキー:2009/01/13(火) 18:06:33 ID:rbyGpk+o
>>430 はじめっから荒らすこと目的で絡んでたみたいだから気にしなくて良いと思うよ。
IDそのつど変わるけれど、言ってる事同じだから今後あぼーんしやすいし。
ところで、ぬこ隊長とギロロの話だれか書いてくれないですかね?
448 :
名無しさん@ピンキー:2009/01/17(土) 16:08:30 ID:1rx5aNxR
スルー
…
一つ言っておこう
・・・別に二人でも一人でもどうでもいいかと
どうでもいいことを
わざわざありがとう
>>450 こういう時は
萌えカップリング語りでマタ〜リしよう
早く唯一の同志が来るといいね
同じ過ちを再び
やはり全部単発
もう一人が登場
457 :
名無しさん@ピンキー:2009/01/17(土) 21:28:26 ID:qkuT2pWI
このスレオワタ\(^o^)/
まだまだ!!
あとこれも入れて543レスはイケるwww
俺たちの埋め立てはこれからだ!
>408 :名無しさん@ピンキー:2009/01/13(火) 12:24:07 ID:rbyGpk+o
>チャットなみにレスがつきまくる旬のテレビ番組のスレでも
>ここは「2〜3人の人間がID変えて自演してる〜」と騒いでた基地害はいた。
>可哀想な病人だと思ってほっとくしかないんじゃない?
>つーか「一人の自演だ〜」ならともかく、なんで2人って人数限定なんだろうなw
>その突飛な妄想の構造は、どうせならエロパロに生かしてほしいものなんだが。
事実はSSより奇なり
やはり単発
されど単発
463 :
名無しさん@ピンキー:2009/01/18(日) 12:07:00 ID:ST8VUxt7
醜態を晒しまくる一般レスと単発IDばっかりの批判レス
目糞鼻糞を笑うとはこの事か
この流れはいつまで続くの?どっちもキモいよ
2人目登場
442 :名無しさん@ピンキー:2009/01/14(水) 10:29:10 ID:BfjOtMP0
>>441 自演自演の単発IDは初めからそういうネガキャンに持ってくのが目的だろ
ちょっと前には成り済ましらしき騒ぎもあったし
だから職人さん気にせず投稿どうぞ
普通は一つのPCに一つのID
これは日付が変わるまで不変のはず
「単発ID」に目くじらたてる理由を聞きたいのだが?
ウザいと一言言っただけでこうなるなんて
ネットは怖いなぁ
そうそう
ウザさの基準が一般社会と違うからね
>>465 家電量販店で
外部と繋がってるPC総動員でカキコwww
まだ騒動続いてんの?
2人と言われただけでなぜイラッと来るのかが分からん
こんなに人が居るなら2人じゃねーじゃん
?
そんな事情、誰も気にしてないって
そして今日も負の連鎖は続く
以前は数日間なんのレスも無い事があった
だけど今は違う
そんな事情、気にしてるのはお前だけ
479 :
名無しさん@ピンキー:2009/01/19(月) 12:59:13 ID:1M+kM3Vl
何故普通のレスにも噛み付くんだ
本人乙w
>>479 被害妄想入ってね?
しかるべき医療機関を受診するように勧めてみる
誰かこの超理論を説明してくれ。
俺には何をどうしてそういう結論になるのかわからないんだ
要領をえない
484 :
名無しさん@ピンキー:2009/01/19(月) 16:50:26 ID:gib4jlfA
どこまで続くんだよ
荒らしにいちいち反応するから
そのとおり!
実はこのスレの書き込みは全て俺の自演だ
488 :
名無しさん@ピンキー:2009/01/19(月) 19:24:40 ID:qm4wzPxp
最初に反応したヤツ
荒らしに謝ったら?
2人組み
どうかしてる
実はこのスレの書き込みは全部俺の自演
とうとうだんまり
過疎っていた時の方がよかったか…
494 :
名無しさん@ピンキー:2009/01/19(月) 22:00:06 ID:vYdbqRqb
どうせ自演
だから
ID不変なのにどうやってやるんだよ
単発ID追及厨どこいった?
やはり一番最初に荒らしに構った奴の責任を追及したい
498 :
名無しさん@ピンキー:2009/01/19(月) 22:43:03 ID:E+3et/LQ
明日もまた同じ展開なのかな
どうせこのまま
いいんじゃね?
どういうわけでこんな事に…
この後、こっそり偵察に来るはず
まだまだ
2人2人言われて苛ついてないで
自分でSS書いたら?
それともやっぱり自演職人なの?
いい加減にしろよ
晒しage
今のところ、平穏
2人とも留守か
お2人さんがSSを書ければね…
伸びてても期待しないことにする
以前の過疎が懐かしい
どこまで続ける単発ID
現実問題出来もしないID操作が
どうしても実在すると信じたい可愛そうな人たち
たかをくくる2人
たぶん今までにない組み合わせ
ケロロ・・・ケロロ×睦、ケロロ×桃華、ケロロ×小雪、ケロロ×556、ケロロ×ラビー、ケロロ×タルル、ケロロ×ゾルル、ケロロ×トロロ、ケロロ×アリサ
タママ・・・タママ×クルル、タママ×ドロロ、タママ×冬樹、タママ×夏美、タママ×小雪、タママ×睦、タママ×ポール、タママ×556、タママ×アリサ
タママ×ラビー、タママ×ガルル、タママ×プルル、タママ×ゾルル、タママ×トロロ、タママ×サッカー少年、タママ×カブトムシ
ギロロ・・・ギロロ×秋、ギロロ×桃華、ギロロ×睦、ギロロ×モア、ギロロ×556,ギロロ×ラビー、ギロロ×ポール、ギロロ×プルル
ギロロ×タルル、ギロロ×ゾルル、ギロロ×トロロ、ギロロ×猫、ギロロ×冬樹、ギロロ×アリサ
クルル・・・クルル×桃華、クルル×小雪、クルル×556,クルル×ラビー、クルル×ポール、クルル×プルル、クルル×タルル、クルル×ゾルル、クルル×アリサ
ドロロ・・・ドロロ×桃華、ドロロ×零夜叉、ドロロ×睦、ドロロ×夏美、ドロロ×冬樹、ドロロ×骸、ドロロ×ポール、ドロロ×556、ドロロ×ラビー
ドロロ×プルル、ドロロ×ガルル、ドロロ×タルル、ドロロ×トロロ、ドロロ×秋、ドロロ×モア、ドロロ×アリサ
モア・・・ モア×冬樹、モア×夏美、モア×桃華、モア×小雪、モア×睦、モア×ポール、モア×556、モア×ラビー、モア×プルル、モア×ガルル
モア×タルル、モア×ゾルル、モア×トロロ、モア×秋、モア×猫、モア×麻美、モア×アリサ
冬樹・・・冬樹×睦、冬樹×夏美、冬樹×ノルマントンの少女、冬樹×アリサ、冬樹×ポール、冬樹×556、冬樹×ラビー、冬樹×山口部長、冬樹×ガルル
冬樹×プルル、冬樹×タルル、冬樹×ゾルル、冬樹×トルル
夏美・・・夏美×睦、夏美×桃華、夏美×猫、夏美×556、夏美×ラビー、夏美×アリサ、夏美×プルル、夏美×タルル、夏美×ゾルル、夏美×トロロ
夏美×ポール、夏美×骸
桃華・・・桃華×睦、桃華×小雪、桃華×アリサ、桃華×散世、桃華×ガルル、桃華×タルル、桃華×プルル、桃華×ゾルル、桃華×トロロ、桃華×吉岡平
桃華×556、桃華×ラビー、、桃華×秋
小雪・・・小雪×睦、小雪×零夜叉、小雪×ポール、小雪×秋、小雪×やよい、小雪×さつき、小雪×556,小雪×ラビー、小雪×ガルル、小雪×プルル、
小雪×タルル、小雪×トロロ
睦・・・睦×サブロー、睦×ポール、睦×556、睦×ラビー、睦×秋、睦×ガルル、睦×プルル、睦×タルル、睦×ゾルル、睦×トロロ
タルル・・・タルル×カブトムシ、タルル×ゾルル、タルル×トロロ
ゾルル・・・ゾルル×プルル
トロロ・・・トロロ×プルル
なるほど
ケロロ・・・ケロロ×睦、ケロロ×桃華、ケロロ×小雪、ケロロ×556、ケロロ×ラビー、ケロロ×タルル、ケロロ×ゾルル、ケロロ×トロロ、ケロロ×アリサ
タママ・・・タママ×クルル、タママ×ドロロ、タママ×冬樹、タママ×夏美、タママ×小雪、タママ×睦、タママ×ポール、タママ×556、タママ×アリサ
タママ×ラビー、タママ×ガルル、タママ×プルル、タママ×ゾルル、タママ×トロロ、タママ×サッカー少年、タママ×カブトムシ
ギロロ・・・ギロロ×秋、ギロロ×桃華、ギロロ×睦、ギロロ×モア、ギロロ×556,ギロロ×ラビー、ギロロ×ポール、ギロロ×プルル
ギロロ×タルル、ギロロ×ゾルル、ギロロ×トロロ、ギロロ×猫、ギロロ×冬樹、ギロロ×アリサ
クルル・・・クルル×桃華、クルル×小雪、クルル×556,クルル×ラビー、クルル×ポール、クルル×プルル、クルル×タルル、クルル×ゾルル、クルル×アリサ
ドロロ・・・ドロロ×桃華、ドロロ×零夜叉、ドロロ×睦、ドロロ×夏美、ドロロ×冬樹、ドロロ×骸、ドロロ×ポール、ドロロ×556、ドロロ×ラビー
ドロロ×プルル、ドロロ×ガルル、ドロロ×タルル、ドロロ×トロロ、ドロロ×秋、ドロロ×モア、ドロロ×アリサ
モア・・・ モア×冬樹、モア×夏美、モア×桃華、モア×小雪、モア×睦、モア×ポール、モア×556、モア×ラビー、モア×プルル、モア×ガルル
モア×タルル、モア×ゾルル、モア×トロロ、モア×秋、モア×猫、モア×麻美、モア×アリサ
冬樹・・・冬樹×睦、冬樹×夏美、冬樹×ノルマントンの少女、冬樹×アリサ、冬樹×ポール、冬樹×556、冬樹×ラビー、冬樹×山口部長、冬樹×ガルル
冬樹×プルル、冬樹×タルル、冬樹×ゾルル、冬樹×トルル
夏美・・・夏美×睦、夏美×桃華、夏美×猫、夏美×556、夏美×ラビー、夏美×アリサ、夏美×プルル、夏美×タルル、夏美×ゾルル、夏美×トロロ
夏美×ポール、夏美×骸
桃華・・・桃華×睦、桃華×小雪、桃華×アリサ、桃華×散世、桃華×ガルル、桃華×タルル、桃華×プルル、桃華×ゾルル、桃華×トロロ、桃華×吉岡平
桃華×556、桃華×ラビー、、桃華×秋
小雪・・・小雪×睦、小雪×零夜叉、小雪×ポール、小雪×秋、小雪×やよい、小雪×さつき、小雪×556,小雪×ラビー、小雪×ガルル、小雪×プルル、
小雪×タルル、小雪×トロロ
睦・・・睦×サブロー、睦×ポール、睦×556、睦×ラビー、睦×秋、睦×ガルル、睦×プルル、睦×タルル、睦×ゾルル、睦×トロロ
タルル・・・タルル×カブトムシ、タルル×ゾルル、タルル×トロロ
ゾルル・・・ゾルル×プルル
トロロ・・・トロロ×プルル
か…
そうか!
ケロロ・・・ケロロ×睦、ケロロ×桃華、ケロロ×小雪、ケロロ×556、ケロロ×ラビー、ケロロ×タルル、ケロロ×ゾルル、ケロロ×トロロ、ケロロ×アリサ
タママ・・・タママ×クルル、タママ×ドロロ、タママ×冬樹、タママ×夏美、タママ×小雪、タママ×睦、タママ×ポール、タママ×556、タママ×アリサ
タママ×ラビー、タママ×ガルル、タママ×プルル、タママ×ゾルル、タママ×トロロ、タママ×サッカー少年、タママ×カブトムシ
ギロロ・・・ギロロ×秋、ギロロ×桃華、ギロロ×睦、ギロロ×モア、ギロロ×556,ギロロ×ラビー、ギロロ×ポール、ギロロ×プルル
ギロロ×タルル、ギロロ×ゾルル、ギロロ×トロロ、ギロロ×猫、ギロロ×冬樹、ギロロ×アリサ
クルル・・・クルル×桃華、クルル×小雪、クルル×556,クルル×ラビー、クルル×ポール、クルル×プルル、クルル×タルル、クルル×ゾルル、クルル×アリサ
ドロロ・・・ドロロ×桃華、ドロロ×零夜叉、ドロロ×睦、ドロロ×夏美、ドロロ×冬樹、ドロロ×骸、ドロロ×ポール、ドロロ×556、ドロロ×ラビー
ドロロ×プルル、ドロロ×ガルル、ドロロ×タルル、ドロロ×トロロ、ドロロ×秋、ドロロ×モア、ドロロ×アリサ
モア・・・ モア×冬樹、モア×夏美、モア×桃華、モア×小雪、モア×睦、モア×ポール、モア×556、モア×ラビー、モア×プルル、モア×ガルル
モア×タルル、モア×ゾルル、モア×トロロ、モア×秋、モア×猫、モア×麻美、モア×アリサ
冬樹・・・冬樹×睦、冬樹×夏美、冬樹×ノルマントンの少女、冬樹×アリサ、冬樹×ポール、冬樹×556、冬樹×ラビー、冬樹×山口部長、冬樹×ガルル
冬樹×プルル、冬樹×タルル、冬樹×ゾルル、冬樹×トルル
夏美・・・夏美×睦、夏美×桃華、夏美×猫、夏美×556、夏美×ラビー、夏美×アリサ、夏美×プルル、夏美×タルル、夏美×ゾルル、夏美×トロロ
夏美×ポール、夏美×骸
桃華・・・桃華×睦、桃華×小雪、桃華×アリサ、桃華×散世、桃華×ガルル、桃華×タルル、桃華×プルル、桃華×ゾルル、桃華×トロロ、桃華×吉岡平
桃華×556、桃華×ラビー、、桃華×秋
小雪・・・小雪×睦、小雪×零夜叉、小雪×ポール、小雪×秋、小雪×やよい、小雪×さつき、小雪×556,小雪×ラビー、小雪×ガルル、小雪×プルル、
小雪×タルル、小雪×トロロ
睦・・・睦×サブロー、睦×ポール、睦×556、睦×ラビー、睦×秋、睦×ガルル、睦×プルル、睦×タルル、睦×ゾルル、睦×トロロ
タルル・・・タルル×カブトムシ、タルル×ゾルル、タルル×トロロ
ゾルル・・・ゾルル×プルル
トロロ・・・トロロ×プルル
か!!
晒しage
ほう…
ケロロ・・・ケロロ×睦、ケロロ×桃華、ケロロ×小雪、ケロロ×556、ケロロ×ラビー、ケロロ×タルル、ケロロ×ゾルル、ケロロ×トロロ、ケロロ×アリサ
タママ・・・タママ×クルル、タママ×ドロロ、タママ×冬樹、タママ×夏美、タママ×小雪、タママ×睦、タママ×ポール、タママ×556、タママ×アリサ
タママ×ラビー、タママ×ガルル、タママ×プルル、タママ×ゾルル、タママ×トロロ、タママ×サッカー少年、タママ×カブトムシ
ギロロ・・・ギロロ×秋、ギロロ×桃華、ギロロ×睦、ギロロ×モア、ギロロ×556,ギロロ×ラビー、ギロロ×ポール、ギロロ×プルル
ギロロ×タルル、ギロロ×ゾルル、ギロロ×トロロ、ギロロ×猫、ギロロ×冬樹、ギロロ×アリサ
クルル・・・クルル×桃華、クルル×小雪、クルル×556,クルル×ラビー、クルル×ポール、クルル×プルル、クルル×タルル、クルル×ゾルル、クルル×アリサ
ドロロ・・・ドロロ×桃華、ドロロ×零夜叉、ドロロ×睦、ドロロ×夏美、ドロロ×冬樹、ドロロ×骸、ドロロ×ポール、ドロロ×556、ドロロ×ラビー
ドロロ×プルル、ドロロ×ガルル、ドロロ×タルル、ドロロ×トロロ、ドロロ×秋、ドロロ×モア、ドロロ×アリサ
モア・・・ モア×冬樹、モア×夏美、モア×桃華、モア×小雪、モア×睦、モア×ポール、モア×556、モア×ラビー、モア×プルル、モア×ガルル
モア×タルル、モア×ゾルル、モア×トロロ、モア×秋、モア×猫、モア×麻美、モア×アリサ
冬樹・・・冬樹×睦、冬樹×夏美、冬樹×ノルマントンの少女、冬樹×アリサ、冬樹×ポール、冬樹×556、冬樹×ラビー、冬樹×山口部長、冬樹×ガルル
冬樹×プルル、冬樹×タルル、冬樹×ゾルル、冬樹×トルル
夏美・・・夏美×睦、夏美×桃華、夏美×猫、夏美×556、夏美×ラビー、夏美×アリサ、夏美×プルル、夏美×タルル、夏美×ゾルル、夏美×トロロ
夏美×ポール、夏美×骸
桃華・・・桃華×睦、桃華×小雪、桃華×アリサ、桃華×散世、桃華×ガルル、桃華×タルル、桃華×プルル、桃華×ゾルル、桃華×トロロ、桃華×吉岡平
桃華×556、桃華×ラビー、、桃華×秋
小雪・・・小雪×睦、小雪×零夜叉、小雪×ポール、小雪×秋、小雪×やよい、小雪×さつき、小雪×556,小雪×ラビー、小雪×ガルル、小雪×プルル、
小雪×タルル、小雪×トロロ
睦・・・睦×サブロー、睦×ポール、睦×556、睦×ラビー、睦×秋、睦×ガルル、睦×プルル、睦×タルル、睦×ゾルル、睦×トロロ
タルル・・・タルル×カブトムシ、タルル×ゾルル、タルル×トロロ
ゾルル・・・ゾルル×プルル
トロロ・・・トロロ×プルル
ね…
このザマ
晒し
この有様をご覧下さい
525 :
geroげろりんお風呂:2009/01/27(火) 01:02:52 ID:hAT7kEfE
めちゃくちゃあまあまなお話です。
夏美と冬樹は 明日から始まる期末テストのため午前中の授業を終え 家路を急いでいた。
「ねぇちゃん!今日、お昼食べたら西澤さん家でテスト勉強する約束なんだ!行っていいよね」
「もちろんよ!フフーン ついでに、変な勉強までしちゃったりして・・・」
「なんだよぉ!変な勉強って・・・」
「いいの、いいの冬樹はまだおこちゃまなんだから!」
「バカにしてぇー 二つしか違わないくせに」そんな会話をしながら家の中へ消えていった。
「ふぅーおいしかった、平日だというのにお昼に夏美殿の手料理をいただけるなんて幸せであります。」お茶を飲みながらケロロが嬉しそうに話す。
「納豆パスタなんて誰が作ったってそんなかわらないわよ!」頬を染めて照れる夏美。
「それじゃ、ねぇちゃん!僕行くね!」冬樹は 立ち上がるとソファーに用意してあるバックを担ぐとリビングのドアノブに手をかけ二人にふりむいた。
「あのさぁー こんな事いうのもなんなんだけどさぁー 二人が仲がいいのはうれしいんだけど・・・そのぉ少しは伍長やモアちゃんの事も考えてよ・・・ごめん!それじゃぁ」そのまま二人の弁明も聞かず出て行った。
残された二人の間に気まずい空気が流れる・・・
「なによ!冬樹ったら・・・あんな言い方しなくたっていいじゃない」
「まあまあ夏美殿!先日あれだけの騒ぎを起こして冬樹殿には心配をかけたでありますから・・・」そう言うとふたりはテラス越しにギロロのテントを見た。
あれはちょうど一週間前、夏美はサブローに告白し念願かなってつきあい始めたのだが、ファーストキスの瞬間ケロロへの自分の気持ちに気づいてしまったのだ。
たまたまリビングで二人きりになった際、あまりに態度のおかしい夏美を気遣い
ふざけて聞いた質問から口論となり、お互い自分の気持ちを話してしまう。
一気に心に火がつく二人だったが、抱き合う現場をギロロとモアに目撃される。
ギロロはショックでその場を逃亡、モアはスピアをだして地球を破壊しようとする
それを必死で止めたのが冬樹だったのだ。モアは休暇をとり、アンゴラ星に戻っている。ギロロは、ドロロに説得され 戻ってきたもののずっとテントの中に籠った二人は向き合い大きくため息をついた。
「それじゃぁ後片付けするわ・・・」元気無く食器を運ぶ夏美。
「あーっ夏美殿!片付けは我輩が・・・」
「えっだって今日はわたしの当番・・・」
「いいんでありますよ!本来なら学校にいて我輩の食事などないでありますし・・・夏美殿はテスト勉強をガンバルであります。」
「ありがと!そうさせてもらうわ」エプロンをはずし、腕まくりしていたそでを
戻しながらリビングをでていった。
一人食器を洗いながら、(モア殿とはじっくり話し合って解ってもらえたでありますが・・・ギロロはテントに近づく事さえ出来ないでありますからなぁー・・・
526 :
お風呂2:2009/01/27(火) 01:03:56 ID:hAT7kEfE
いずれちゃんと話さなければ・・・)などと考えていた。一通り作業を終え、リビングを後にした。
自分の部屋へ戻るとタママが来ていた。
「勝手におじゃましてるですぅー」ケロロは一人になりたかったが なんとなく事情はわかったので苦笑いしながらいつもの場所に腰をおろした。
「桃華殿に追い出されたんでありましょう」
「そうなんですぅー フッキーがくる度、追い出されるのはやめてほしいですぅ」
「恋するオトメは周りが見えなくなるでありますからなぁー」と言いながら、ふと
自分も同類だなぁと思いプッとふいた。唯一事情を知らないタママはきょとんとしている。クルルにも言ってなかったが、日向家のあちこちにカメラを仕込んでいるヤツにはすべてお見通しなのは明白だった。
「なにがおかしいんですかぁ」
「なんでもないであります。」そう言ってDVDのスイッチをいれた。
ギシッ イスがきしみ夏美は背もたれに体重をあずけ背伸びした。
「うーーん ふぅーっ 数学はこれでよしと・・・」教科書とノートを閉じるとカバンから英語の教科書を取り出し机の上に置いた。と、携帯が鳴る。
「うん、わかった。あんまり遅くならないようにねっ!」携帯を机に置いて足早にパタパタと部屋を出て行った。
コン コン
「ケロロいる?」夏美はドアを開けた。DVDを観ているケロロとびっくりしたように夏美をみているタママがいた。
「あっ!タママ 来てたんだ。」
「桃華殿に追い出されたそうであります。」
「そう・・・ハハハハハ でね、ボケガエル!冬樹から電話があって夕飯、桃華ちゃん家で食べてくるっていうんだけど、うちはありものでいいよね。そうだ!タママも食べてく?」
「ぼくは 帰って食べるですぅ。それよりナッチー、さっき軍曹さんの事ケロロって・・・」全然意識していなかったことを指摘されて動揺する。
「えっ、あっ、そ・そうだった?・・・そぅー言う事だから・・・それじゃぁ」
あわてて部屋からでていった。
タママは、(あの女<モア>ーが母星に帰った事と何か関係が・・・)とケロロと夏美の間の微妙な空気を感じ疑たが、何も言えずDVDを観るケロロをみつめるのだった。
タママが帰り、いつもの日課となった風呂掃除をしていると夏美が入ってきた。
「ねぇー 食事の前に・・・そのぉ・・・お風呂、一緒に入らない?」
「へっ?な・な・なつみどのォ!?」驚くケロロに近づく
「前にさぁー あんた、わたしと入りたいって言ってたじゃない・・・」
「あーあれは、断られるのを前提にですなぁー・・・っていうか夏美殿の気を引くためにからかったというか・・・」煮え切らない態度でうろたえるケロロの頭を掴んで持ち上げると
「わたしにここまで言わしてまさか断る気じゃないでしょうね!」
「せ・背中を流させていただきます。」
「よろしい」にこっと笑い鼻歌まじりで でていった。
ケロロはそそくさと掃除を終え、湯船に湯を流し込む。
527 :
お風呂3:2009/01/27(火) 01:10:49 ID:hAT7kEfE
いつもなら湯がたまる間 他の作業をするのだが、この後の展開を想像すると
何も考えられなくなり、ただ どんどん溜まっていく湯をみつめていた。
ガラッ 扉が開き脱衣所に夏美が入ってくる。
「どう?お湯溜まった!?」服を脱ぎながら尋ねる。
「も・もうすぐであります。」(そりゃぁ前に何度か風呂を覗いた事はあったけど
それは異性として意識していなかったから・・・でも今は自分にとって最愛の女と認識してしまっている
・・・それにケロン人はいつも裸だが、地球人が裸になるという事がどういう事を意味するかも解っている
・・・夏美殿はまだ子供、我輩がしっかりしなければ・・・)頭の中で自問自答を繰り返す。
ザーッ湯がこぼれ、あわてて蛇口をひねる。
「はいるわよ!」タオルで胸と股間をかろうじて隠した夏美が入ってくる。
ケロロは まともに顔が見れず湯船の前で立ちすくんでる。
「もう!なにやってんのよ!」自分も顔から火がでそうなくらい恥ずかしいのだが、
背を向けてフリーズしているケロロにシャワーを浴びせた。
「ひぇーっ」いきなりかけたシャワーはお湯になっておらず冷たい水だった。
「あっ ごめん」
「ごめんじゃないよ、ひどいであります!」思わず振り返る。眼前に隠してはいるもののこぼれ出しそうな胸が
・・・シャワーが暖かくなったのを確認し再び頭からかけられる。
そして自分にもかけるとケロロをだっこして湯船に浸かった。
湯船で温まり、ほぉーっと息を吐き出し緊張がほぐれたケロロは
「お風呂はいいでありますなぁー」と能天気な感想を言う。
「迷惑だった?」小さな声で呟く。ケロロは小さく首を横に振り
「夏美殿の気持ちとてもうれしいであります。それに背中にあたる心地のいい感触・・・ガボッ」
真っ赤になった夏美はケロロを湯船に沈める。
「バカッ!このエロガエル!!」
「ぷはーっ お湯飲んじゃったじゃない!んっ!」やわらかな感触が唇を覆う。
まだやり方を知らない少女のキスはただ唇と唇を重ねるだけのものだったが、
それは初々しくとても清らかなものに思えた。
二人は湯船から揚がるとお互いの背中を洗い合う。
ケロロはいすの上に立ち夏美の背中を ごしごしこすりながらきめの細かい美しいその肌に頬ずりしたい
という感情と戦っていた。一方の夏美も多感なお年頃、いろんなことを想像していたのだろう つい変な事を聞いてしまう。
「ねぇ!あんた達ってどうやって産まれるの?」
「どうって・・・交尾するに決まってんじゃん」夏美は、交尾と聞いて咄嗟に犬の交尾画像が思い浮かぶ
・・・というより他の交尾を知らないだけなのだが・・・
人間でいうところのセックスと同じという事にも結びつかないでいる。
ケロロはきょとんとしている彼女に自分の質問の意味を判らせるため
「交尾っていうのはペコポン人流にいうとセックスのこと!」
それを聞くや否や耳まで真っ赤になった夏美は顔を両手で押さえて押し黙ってしまった。
528 :
お風呂4:2009/01/27(火) 01:14:25 ID:hAT7kEfE
「夏美殿は 我輩のことをどう思っているのやら・・・
気持ち的には好き合っていてもなんか自分とは別の生き物だと思ってなくなくなぁい」
「だって別の生き物じゃない!」
「そりゃそうなんでありますが・・・ペコポン人とケロン人、見かけこそ違いはするけど
生殖方法や子育てはほぼ同じなんであります。」
「そ・そーなんだ。ごめん!変なこと聞いて」
「ずぶぁり!将来、我輩と夏美殿か結ばれることは可能ということなのであります。ゲロゲロリ」
「もういいって・・・」シャワーで泡を流し再び湯船に浸かった。
ケロロも後を追って湯船に飛び込んだ。赤い顔をして向かい合う二人。
「夏美殿・・・我輩、夏美殿が愛おしくてしかたがないんであります。こんな気持ち初めてで
何をどうしたらいいか解らなくて 何かすると嫌われてしまいそうで・・・」うつむいて話すケロロ
「そんなの・・・そんなのわたしも同じよ!今だって、お風呂に誘ってイヤラシい女って思われたんじゃないかって
・・・心配で・・・」夏美もうつむく。
「そんなこと!何も出来ない我輩に気を使って、恥ずかしさを推してこんなことを・・・」
「そ、そこまでわたしのこと解っているのに・・・ずるい!」
「そーでありますなぁー なら、我輩から一つお願いが・・・」
「なに?」
ケロロは夏美の首に手を回すとキスをした。さっきのとは違い、唇の間から舌をもぐり込ませ夏美の舌を愛撫した。
一瞬びっくりした夏美だったが、なんともいえない感覚に自ら舌を絡めていく。
「んっ・・・んふっ・・・んん」夏美の喘ぎ声にも似た声が浴室に響く、暫くしてゆっくりと唇を離す。
お互いトローンとした眼で見つめ合う。と、夏美の顔色がみるみる変わり
「きゃっ!」と叫んでケロロをつき離した。びっくりしたケロロはその理由をすぐ理解した。
彼のつるつるだった股間から彼の腕くらいあろうナニがビクビクと脈打ちながらそそり立っていた。
「お・おかしいでありますなぁー ケロン人は発情期以外こんなことには・・・」
照れながら必死に両手で押さえて隠そうとする。
「あーのォー 我輩、先に出るであります。」慌てて浴槽を飛び出し浴室のドアに
手をかけようとしたが、直前ですっ転び、股間のナニをしこたま打ち、声も出ずうずくまる。
唖然として一部始終を見ていた夏美は ぷっと吹いて浴槽からでると
「まったく、なにやってんだか・・・」笑いながらケロロを抱えた。
「な・夏美殿にはこの痛みは わからないであります。」痛みで震えながら反論する。
「わかりたくもないわよ!・・・それで・・・慌てて何処行くつもりだったのォ」
「ど・何処って・・・自分の部屋に決まってんじゃん」痛みが和らぎ、強気の反論
「私を一人残して?」
529 :
お風呂5:2009/01/27(火) 01:16:56 ID:hAT7kEfE
「だって、夏美殿だって軽蔑したでしょ!こんなになって恥ずかしいし、早く元に戻さなきゃって・・・」
夏美をまともに見れず、ふてくされたように呟く。
「ごめんなさい!突然だったからびっくりして・・・せ・生理現象ですものね、しかたがないわよ・・・
わた・わたしもなんか・・・お腹の下の方が熱いし・・・」
驚いて見上げると、真っ赤になって切ない表情でケロロを見ている。
(いっそこのまま、いくところまでいってしまおうか・・・)そんな考えが頭を過る
「夏美殿、我輩・・・」
「いいよ!あんたとなら・・・わたし・・・」ケロロは夏美の膝の上に立つと
人差し指で夏美の唇を遮ると、にっこり笑って
「だめでありますよ!夏美殿はまだ子供・・・ここでしてしまっては我輩も歯止めが利かなくなるであります。
せめて高校を卒業するまでは我慢するであります。」
親のような物言いなのだが、股間のモノは依然立ったままで説得力もなかったが、
自分のことを大切に思っていることはひしひしと伝わってきたので小さく頷いた
ケロロは指を離すとピョンと膝から飛び降り
「そんじゃぁそういうことで!」と ドアに手をかける。が、すばやくドアを押さえる夏美
「だから、なんで一人ででようとするかなぁ」あきれたようにケロロを見下ろす。
「いゃ!あのォ!こ・これは・・・」股間を押さえてもじもじしている。
「これは?・・・なに?」もうこうなっては 全部言わなきゃ解放されないと観念した。
「ケロン人はペコポン人と違い、一度 勃起したら射精するまで小さくならないんであります。
だから、早く部屋に戻って・・・」涙眼で訴える。
「そう・・・」はぁーっとため息をついて眼をそらす。
「夏美殿ォ?」
「だからしていいって言ったのに・・・・」ぼそっと呟きケロロを見る。
(あーあ このままじゃぁわたし、18までヴァージンでいなきゃいけないのかぁー
だいたいあんなになってまで大人ぶってカッコつけたいなんて・・・まっ そこが
あいつのいいところなんだけど・・・)などと考えてたらバカバカしくなってきた。
「いいわよ!いって」ドアを開けると
「すまないであります」とひと言残し、すっとんでいった。残された夏美は、シャワーでぬるっとした自分の秘部を流し、
冷えた体を湯船に浸けた。
風呂から上がり、夕飯の支度にとりかかる。(ケロロと二人の夕飯・・・新婚さんってこんなかなぁ)
なんて考えては照れ笑いをする。新婚のフレーズでさっきのケロロのナニを思い出してしまった。
(いやだ!わたしったら、なに考えて・・・)忘れようと思えば思うほど、頭の中の画像が鮮明になっていく。
悶々としながらねぎをきざむ。
「イタッ!」案の定、指を切ってしまった。スポーツ少女の夏美は普段は、いろんな部活の助っ人で
今のように悶々とすることなどなかったのだが、テスト前ということもあり、部活は無く、体力を持て余していたのが災いした。
火照る体をどうしたらいいかわからない・・・オナニーなどしたこともなく、というか 仕方
すら解らない彼女にはこの状況を解消する手段などなかったのだ。
530 :
お風呂6:2009/01/27(火) 01:20:39 ID:hAT7kEfE
指の手当をすませ、悶々としたまま料理を再開する。ジャーッといい音をたてて溶き卵を炒める。
丁度そこへケロロが入ってきた。
「うーん、いいニオイ!チャーハンでありますか?」
「そうよ!すぐ出来るから!!」火を止め、お皿に盛る。振り返り、席に着いて待っているケロロの前にお皿を置く。
「いっただきまぁーす」スッキリした顔で無邪気にチャーハンをほおばる姿を見ていたら だんだん腹が立ってきた。
(自分だけスッキリしてずるいじゃない・・・)
「ど・どうしたでありますか?夏美殿!?」殺気を感じ、ケロロが怯えながら聞く
「なんでもないわよ!」(なに怯えてるのよ!べつにあんたのせいじゃないんだから・・・否、やっぱりあんたのせい!
・・・さっきみたいにキスしたら、またあんなになるのかなぁ・・・よぉーし)意地悪い笑みを浮かべると
「ねぇーキスしてよ!」と 顔を近づける。ケロロはやれやれといった表情で 近くにあったティッシュを取ると
チャーハンの油が付いた口を拭きそっと口づけした。
夏美はさっきケロロがしたように舌をケロロの口のなかへ、ビクッとして慌てて離れるケロロ
「な・夏美殿!まずいであります!!」うろたえるケロロの頭を押さえ
「なにがまずいよ!あんただけスッキリした顔しちゃってさ・・・わたしだってスッキリしたいのに・・・もう!イライラするぅー」
「そう言われましても・・・我輩どうしたら・・・」
「あんた、大人ぶっていろいろ言ったんだからなんとかしてよぉー」
「わ・わかった・わかったでありますから・・・とりあえず、ご飯を食べて、それから我輩の部屋へいくであります。」
二人は黙々とご飯を食べると、連れ立って ケロロの部屋へ向かった。
ケロロは部屋に入り、照明のスイッチの下に手を触れる。と、新たなスイッチが現れそれを入れた。
「なんのスイッチなの?」怪訝そうにケロロを見る。
「我輩のプライベートを守るためのものであります。日向家と地下基地は隅々までクルルの監視下におかれておりますからなぁー
・・・これは一時的にこの空間を外部からシャットアウトするものなんでありますよ」
「ふーん・・・ってお風呂とか覗かれてた訳・・・」
「たぶん・・・」
「たぶんってなによ!あんた、隊長なんだからなんとかしなさいよ!!」
「なんとかって言ったって、我輩だって夏美殿の体を覗かれるは嫌だから何度も風呂と夏美殿の部屋はやめろって言ったであります
・・・でも、セキュリティがどうとかで 一向に言うことを聞かないんだもん!」
「いいわ!後でわたしがきっちり話を着けたげる!」ケロロはくすっと笑うとお茶を入れ始めた。
湯のみを夏美に勧め、自分もズズーッとお茶を啜る。
「少しは落ち着いたでありますか?」軽く頷く夏美、
ケロロがちゃぶ台の上のリモコンを操作すると床がせり上がりベットが現れた。
(さっきは しないって言ってたけどやっぱりする気になったのかしら・・・)そう思ったら急に緊張してきた。
531 :
お風呂7:2009/01/27(火) 01:24:28 ID:hAT7kEfE
でも夏美の緊張とは別にベットの下に手を入れたケロロは変な器具を取り出し夏美に見せた。
「これは、軍から支給される物で 発情期を迎える際にこれを装着して強制的に射精させる・・・
女性用もあるのでありますが、さっき話した通り ケロン人男性は射精すれば発情は収まり、ケロン人女性はその膣内に射精感を感じれば収まるので
女性用の物は膣内に挿入し一定時間が経つと膣内洗浄も出来る液体を発射する作りになっているであります。」
なんだか保体の授業を聞いてる気分になってきた。
「でも、ペコポンの女性はそうではないのでありましょう?」急にふられて、
「よ・よくわからないけど・・・ち・違うと思うわ・・・そ・それにそんな器具を入れるのなんて こ・恐いし・・・」
しどろもどろで答える。
「そうでありましょうなぁー・・・で、我輩、困ってるんだよねぇー・・・どうすればセックスなしで夏美殿を満足させられるのか・・・」
本気で悩むケロロを見てなんだかもやもやしたものが晴れていく気がした。
「前にネットの18禁サイトで見たペコポン人同士のムービーで お互いのものを舐め合ってるのがあったんだけど、それをやってみる?」
真剣な眼差しで変なことを聞いてくる。
「もう!なに真剣にエッチなこと言ってんの!このエロガエル!!」
「エロガエルとは失敬な!ひとが真剣に考えてるのにぃ!」
「あはははっまったくぅ・・・ありがとぉ・・・もういいわ!なんだか あんたと話したらスッキリしちゃった!」
けらけら笑いながらあっけらかんと言う。
「なんなんでありましょうか、最近の若い娘はーっ」ふてくされるケロロにチュッとキスをすると小声で
「また変な気持ちになったらその時はお願いするわ!」と言って ほほを染めて小悪魔のような笑みを浮かべウィンクする。
胸がキューッと締め付けられるように苦しくなりつつも彼女に気づかれまいと
「大人をからかうもんじゃないであります。」呟いた。
「じゃあ、日向夏美、テスト勉強にいきまーす!」立ち上がりながらケロロの口癖をまねる。
「了解であります」思わず立ち上がり敬礼をしてしまう。プッと吹き出す二人、夏美は鼻歌まじりにケロロの部屋を後にした。
「さぁーて食器の後始末をしてくるかなっ」そう呟くと部屋を出た。
クルルのチッと舌打ちする音が誰もいなくなった部屋に響いていた。
おしまい
めちゃくちゃ まあまあ なお話です。
夏美と冬樹は 明日から始まる期末テストのため午前中の授業を終え 家路を急いでいた。
「ねぇちゃん!今日、お昼食べたら西澤さん家でテスト勉強する約束なんだ!行っていいよね」
「もちろんよ!フフーン ついでに、変な勉強までしちゃったりして・・・」
「なんだよぉ!変な勉強って・・・」
「いいの、いいの冬樹はまだおこちゃまなんだから!」
「バカにしてぇー 二つしか違わないくせに」そんな会話をしながら家の中へ消えていった。
「ふぅーおいしかった、平日だというのにお昼に夏美殿の手料理をいただけるなんて幸せであります。」お茶を飲みながらケロロが嬉しそうに話す。
「納豆パスタなんて誰が作ったってそんなかわらないわよ!」頬を染めて照れる夏美。
「それじゃ、ねぇちゃん!僕行くね!」冬樹は 立ち上がるとソファーに用意してあるバックを担ぐとリビングのドアノブに手をかけ二人にふりむいた。
「あのさぁー こんな事いうのもなんなんだけどさぁー 二人が仲がいいのはうれしいんだけど・・・そのぉ少しは伍長やモアちゃんの事も考えてよ・・・ごめん!それじゃぁ」そのまま二人の弁明も聞かず出て行った。
残された二人の間に気まずい空気が流れる・・・
「なによ!冬樹ったら・・・あんな言い方しなくたっていいじゃない」
「まあまあ夏美殿!先日あれだけの騒ぎを起こして冬樹殿には心配をかけたでありますから・・・」そう言うとふたりはテラス越しにギロロのテントを見た。
あれはちょうど一週間前、夏美はサブローに告白し念願かなってつきあい始めたのだが、ファーストキスの瞬間ケロロへの自分の気持ちに気づいてしまったのだ。
たまたまリビングで二人きりになった際、あまりに態度のおかしい夏美を気遣い
ふざけて聞いた質問から口論となり、お互い自分の気持ちを話してしまう。
一気に心に火がつく二人だったが、抱き合う現場をギロロとモアに目撃される。
ギロロはショックでその場を逃亡、モアはスピアをだして地球を破壊しようとする
それを必死で止めたのが冬樹だったのだ。モアは休暇をとり、アンゴラ星に戻っている。ギロロは、ドロロに説得され 戻ってきたもののずっとテントの中に籠った二人は向き合い大きくため息をついた。
「それじゃぁ後片付けするわ・・・」元気無く食器を運ぶ夏美。
「あーっ夏美殿!片付けは我輩が・・・」
「えっだって今日はわたしの当番・・・」
「いいんでありますよ!本来なら学校にいて我輩の食事などないでありますし・・・夏美殿はテスト勉強をガンバルであります。」
「ありがと!そうさせてもらうわ」エプロンをはずし、腕まくりしていたそでを
戻しながらリビングをでていった。
一人食器を洗いながら、(モア殿とはじっくり話し合って解ってもらえたでありますが・・・ギロロはテントに近づく事さえ出来ないでありますからなぁー・・・
いずれちゃんと話さなければ・・・)などと考えていた。一通り作業を終え、リビングを後にした。
自分の部屋へ戻るとタママが来ていた。
「勝手におじゃましてるですぅー」ケロロは一人になりたかったが なんとなく事情はわかったので苦笑いしながらいつもの場所に腰をおろした。
「桃華殿に追い出されたんでありましょう」
「そうなんですぅー フッキーがくる度、追い出されるのはやめてほしいですぅ」
「恋するオトメは周りが見えなくなるでありますからなぁー」と言いながら、ふと
自分も同類だなぁと思いプッとふいた。唯一事情を知らないタママはきょとんとしている。クルルにも言ってなかったが、日向家のあちこちにカメラを仕込んでいるヤツにはすべてお見通しなのは明白だった。
「なにがおかしいんですかぁ」
「なんでもないであります。」そう言ってDVDのスイッチをいれた。
ギシッ イスがきしみ夏美は背もたれに体重をあずけ背伸びした。
「うーーん ふぅーっ 数学はこれでよしと・・・」教科書とノートを閉じるとカバンから英語の教科書を取り出し机の上に置いた。と、携帯が鳴る。
「うん、わかった。あんまり遅くならないようにねっ!」携帯を机に置いて足早にパタパタと部屋を出て行った。
コン コン
「ケロロいる?」夏美はドアを開けた。DVDを観ているケロロとびっくりしたように夏美をみているタママがいた。
「あっ!タママ 来てたんだ。」
「桃華殿に追い出されたそうであります。」
「そう・・・ハハハハハ でね、ボケガエル!冬樹から電話があって夕飯、桃華ちゃん家で食べてくるっていうんだけど、うちはありものでいいよね。そうだ!タママも食べてく?」
「ぼくは 帰って食べるですぅ。それよりナッチー、さっき軍曹さんの事ケロロって・・・」全然意識していなかったことを指摘されて動揺する。
「えっ、あっ、そ・そうだった?・・・そぅー言う事だから・・・それじゃぁ」
あわてて部屋からでていった。
タママは、(あの女<モア>ーが母星に帰った事と何か関係が・・・)とケロロと夏美の間の微妙な空気を感じ疑たが、何も言えずDVDを観るケロロをみつめるのだった。
タママが帰り、いつもの日課となった風呂掃除をしていると夏美が入ってきた。
「ねぇー 食事の前に・・・そのぉ・・・お風呂、一緒に入らない?」
「へっ?な・な・なつみどのォ!?」驚くケロロに近づく
「前にさぁー あんた、わたしと入りたいって言ってたじゃない・・・」
「あーあれは、断られるのを前提にですなぁー・・・っていうか夏美殿の気を引くためにからかったというか・・・」煮え切らない態度でうろたえるケロロの頭を掴んで持ち上げると
「わたしにここまで言わしてまさか断る気じゃないでしょうね!」
「せ・背中を流させていただきます。」
「よろしい」にこっと笑い鼻歌まじりで でていった。
ケロロはそそくさと掃除を終え、湯船に湯を流し込む。
いつもなら湯がたまる間 他の作業をするのだが、この後の展開を想像すると
何も考えられなくなり、ただ どんどん溜まっていく湯をみつめていた。
ガラッ 扉が開き脱衣所に夏美が入ってくる。
「どう?お湯溜まった!?」服を脱ぎながら尋ねる。
「も・もうすぐであります。」(そりゃぁ前に何度か風呂を覗いた事はあったけど
それは異性として意識していなかったから・・・でも今は自分にとって最愛の女と認識してしまっている
・・・それにケロン人はいつも裸だが、地球人が裸になるという事がどういう事を意味するかも解っている
・・・夏美殿はまだ子供、我輩がしっかりしなければ・・・)頭の中で自問自答を繰り返す。
ザーッ湯がこぼれ、あわてて蛇口をひねる。
「はいるわよ!」タオルで胸と股間をかろうじて隠した夏美が入ってくる。
ケロロは まともに顔が見れず湯船の前で立ちすくんでる。
「もう!なにやってんのよ!」自分も顔から火がでそうなくらい恥ずかしいのだが、
背を向けてフリーズしているケロロにシャワーを浴びせた。
「ひぇーっ」いきなりかけたシャワーはお湯になっておらず冷たい水だった。
「あっ ごめん」
「ごめんじゃないよ、ひどいであります!」思わず振り返る。眼前に隠してはいるもののこぼれ出しそうな胸が
・・・シャワーが暖かくなったのを確認し再び頭からかけられる。
そして自分にもかけるとケロロをだっこして湯船に浸かった。
湯船で温まり、ほぉーっと息を吐き出し緊張がほぐれたケロロは
「お風呂はいいでありますなぁー」と能天気な感想を言う。
「迷惑だった?」小さな声で呟く。ケロロは小さく首を横に振り
「夏美殿の気持ちとてもうれしいであります。それに背中にあたる心地のいい感触・・・ガボッ」
真っ赤になった夏美はケロロを湯船に沈める。
「バカッ!このエロガエル!!」
「ぷはーっ お湯飲んじゃったじゃない!んっ!」やわらかな感触が唇を覆う。
まだやり方を知らない少女のキスはただ唇と唇を重ねるだけのものだったが、
それは初々しくとても清らかなものに思えた。
二人は湯船から揚がるとお互いの背中を洗い合う。
ケロロはいすの上に立ち夏美の背中を ごしごしこすりながらきめの細かい美しいその肌に頬ずりしたい
という感情と戦っていた。一方の夏美も多感なお年頃、いろんなことを想像していたのだろう つい変な事を聞いてしまう。
「ねぇ!あんた達ってどうやって産まれるの?」
「どうって・・・交尾するに決まってんじゃん」夏美は、交尾と聞いて咄嗟に犬の交尾画像が思い浮かぶ
・・・というより他の交尾を知らないだけなのだが・・・
人間でいうところのセックスと同じという事にも結びつかないでいる。
ケロロはきょとんとしている彼女に自分の質問の意味を判らせるため
「交尾っていうのはペコポン人流にいうとセックスのこと!」
それを聞くや否や耳まで真っ赤になった夏美は顔を両手で押さえて押し黙ってしまった。
「夏美殿は 我輩のことをどう思っているのやら・・・
気持ち的には好き合っていてもなんか自分とは別の生き物だと思ってなくなくなぁい」
「だって別の生き物じゃない!」
「そりゃそうなんでありますが・・・ペコポン人とケロン人、見かけこそ違いはするけど
生殖方法や子育てはほぼ同じなんであります。」
「そ・そーなんだ。ごめん!変なこと聞いて」
「ずぶぁり!将来、我輩と夏美殿か結ばれることは可能ということなのであります。ゲロゲロリ」
「もういいって・・・」シャワーで泡を流し再び湯船に浸かった。
ケロロも後を追って湯船に飛び込んだ。赤い顔をして向かい合う二人。
「夏美殿・・・我輩、夏美殿が愛おしくてしかたがないんであります。こんな気持ち初めてで
何をどうしたらいいか解らなくて 何かすると嫌われてしまいそうで・・・」うつむいて話すケロロ
「そんなの・・・そんなのわたしも同じよ!今だって、お風呂に誘ってイヤラシい女って思われたんじゃないかって
・・・心配で・・・」夏美もうつむく。
「そんなこと!何も出来ない我輩に気を使って、恥ずかしさを推してこんなことを・・・」
「そ、そこまでわたしのこと解っているのに・・・ずるい!」
「そーでありますなぁー なら、我輩から一つお願いが・・・」
「なに?」
ケロロは夏美の首に手を回すとキスをした。さっきのとは違い、唇の間から舌をもぐり込ませ夏美の舌を愛撫した。
一瞬びっくりした夏美だったが、なんともいえない感覚に自ら舌を絡めていく。
「んっ・・・んふっ・・・んん」夏美の喘ぎ声にも似た声が浴室に響く、暫くしてゆっくりと唇を離す。
お互いトローンとした眼で見つめ合う。と、夏美の顔色がみるみる変わり
「きゃっ!」と叫んでケロロをつき離した。びっくりしたケロロはその理由をすぐ理解した。
彼のつるつるだった股間から彼の腕くらいあろうナニがビクビクと脈打ちながらそそり立っていた。
「お・おかしいでありますなぁー ケロン人は発情期以外こんなことには・・・」
照れながら必死に両手で押さえて隠そうとする。
「あーのォー 我輩、先に出るであります。」慌てて浴槽を飛び出し浴室のドアに
手をかけようとしたが、直前ですっ転び、股間のナニをしこたま打ち、声も出ずうずくまる。
唖然として一部始終を見ていた夏美は ぷっと吹いて浴槽からでると
「まったく、なにやってんだか・・・」笑いながらケロロを抱えた。
「な・夏美殿にはこの痛みは わからないであります。」痛みで震えながら反論する。
「わかりたくもないわよ!・・・それで・・・慌てて何処行くつもりだったのォ」
「ど・何処って・・・自分の部屋に決まってんじゃん」痛みが和らぎ、強気の反論
「私を一人残して?」
「だって、夏美殿だって軽蔑したでしょ!こんなになって恥ずかしいし、早く元に戻さなきゃって・・・」
夏美をまともに見れず、ふてくされたように呟く。
「ごめんなさい!突然だったからびっくりして・・・せ・生理現象ですものね、しかたがないわよ・・・
わた・わたしもなんか・・・お腹の下の方が熱いし・・・」
驚いて見上げると、真っ赤になって切ない表情でケロロを見ている。
(いっそこのまま、いくところまでいってしまおうか・・・)そんな考えが頭を過る
「夏美殿、我輩・・・」
「いいよ!あんたとなら・・・わたし・・・」ケロロは夏美の膝の上に立つと
人差し指で夏美の唇を遮ると、にっこり笑って
「だめでありますよ!夏美殿はまだ子供・・・ここでしてしまっては我輩も歯止めが利かなくなるであります。
せめて高校を卒業するまでは我慢するであります。」
親のような物言いなのだが、股間のモノは依然立ったままで説得力もなかったが、
自分のことを大切に思っていることはひしひしと伝わってきたので小さく頷いた
ケロロは指を離すとピョンと膝から飛び降り
「そんじゃぁそういうことで!」と ドアに手をかける。が、すばやくドアを押さえる夏美
「だから、なんで一人ででようとするかなぁ」あきれたようにケロロを見下ろす。
「いゃ!あのォ!こ・これは・・・」股間を押さえてもじもじしている。
「これは?・・・なに?」もうこうなっては 全部言わなきゃ解放されないと観念した。
「ケロン人はペコポン人と違い、一度 勃起したら射精するまで小さくならないんであります。
だから、早く部屋に戻って・・・」涙眼で訴える。
「そう・・・」はぁーっとため息をついて眼をそらす。
「夏美殿ォ?」
「だからしていいって言ったのに・・・・」ぼそっと呟きケロロを見る。
(あーあ このままじゃぁわたし、18までヴァージンでいなきゃいけないのかぁー
だいたいあんなになってまで大人ぶってカッコつけたいなんて・・・まっ そこが
あいつのいいところなんだけど・・・)などと考えてたらバカバカしくなってきた。
「いいわよ!いって」ドアを開けると
「すまないであります」とひと言残し、すっとんでいった。残された夏美は、シャワーでぬるっとした自分の秘部を流し、
冷えた体を湯船に浸けた。
風呂から上がり、夕飯の支度にとりかかる。(ケロロと二人の夕飯・・・新婚さんってこんなかなぁ)
なんて考えては照れ笑いをする。新婚のフレーズでさっきのケロロのナニを思い出してしまった。
(いやだ!わたしったら、なに考えて・・・)忘れようと思えば思うほど、頭の中の画像が鮮明になっていく。
悶々としながらねぎをきざむ。
「イタッ!」案の定、指を切ってしまった。スポーツ少女の夏美は普段は、いろんな部活の助っ人で
今のように悶々とすることなどなかったのだが、テスト前ということもあり、部活は無く、体力を持て余していたのが災いした。
火照る体をどうしたらいいかわからない・・・オナニーなどしたこともなく、というか 仕方
すら解らない彼女にはこの状況を解消する手段などなかったのだ。
指の手当をすませ、悶々としたまま料理を再開する。ジャーッといい音をたてて溶き卵を炒める。
丁度そこへケロロが入ってきた。
「うーん、いいニオイ!チャーハンでありますか?」
「そうよ!すぐ出来るから!!」火を止め、お皿に盛る。振り返り、席に着いて待っているケロロの前にお皿を置く。
「いっただきまぁーす」スッキリした顔で無邪気にチャーハンをほおばる姿を見ていたら だんだん腹が立ってきた。
(自分だけスッキリしてずるいじゃない・・・)
「ど・どうしたでありますか?夏美殿!?」殺気を感じ、ケロロが怯えながら聞く
「なんでもないわよ!」(なに怯えてるのよ!べつにあんたのせいじゃないんだから・・・否、やっぱりあんたのせい!
・・・さっきみたいにキスしたら、またあんなになるのかなぁ・・・よぉーし)意地悪い笑みを浮かべると
「ねぇーキスしてよ!」と 顔を近づける。ケロロはやれやれといった表情で 近くにあったティッシュを取ると
チャーハンの油が付いた口を拭きそっと口づけした。
夏美はさっきケロロがしたように舌をケロロの口のなかへ、ビクッとして慌てて離れるケロロ
「な・夏美殿!まずいであります!!」うろたえるケロロの頭を押さえ
「なにがまずいよ!あんただけスッキリした顔しちゃってさ・・・わたしだってスッキリしたいのに・・・もう!イライラするぅー」
「そう言われましても・・・我輩どうしたら・・・」
「あんた、大人ぶっていろいろ言ったんだからなんとかしてよぉー」
「わ・わかった・わかったでありますから・・・とりあえず、ご飯を食べて、それから我輩の部屋へいくであります。」
二人は黙々とご飯を食べると、連れ立って ケロロの部屋へ向かった。
ケロロは部屋に入り、照明のスイッチの下に手を触れる。と、新たなスイッチが現れそれを入れた。
「なんのスイッチなの?」怪訝そうにケロロを見る。
「我輩のプライベートを守るためのものであります。日向家と地下基地は隅々までクルルの監視下におかれておりますからなぁー
・・・これは一時的にこの空間を外部からシャットアウトするものなんでありますよ」
「ふーん・・・ってお風呂とか覗かれてた訳・・・」
「たぶん・・・」
「たぶんってなによ!あんた、隊長なんだからなんとかしなさいよ!!」
「なんとかって言ったって、我輩だって夏美殿の体を覗かれるは嫌だから何度も風呂と夏美殿の部屋はやめろって言ったであります
・・・でも、セキュリティがどうとかで 一向に言うことを聞かないんだもん!」
「いいわ!後でわたしがきっちり話を着けたげる!」ケロロはくすっと笑うとお茶を入れ始めた。
湯のみを夏美に勧め、自分もズズーッとお茶を啜る。
「少しは落ち着いたでありますか?」軽く頷く夏美、
ケロロがちゃぶ台の上のリモコンを操作すると床がせり上がりベットが現れた。
(さっきは しないって言ってたけどやっぱりする気になったのかしら・・・)そう思ったら急に緊張してきた。
でも夏美の緊張とは別にベットの下に手を入れたケロロは変な器具を取り出し夏美に見せた。
「これは、軍から支給される物で 発情期を迎える際にこれを装着して強制的に射精させる・・・
女性用もあるのでありますが、さっき話した通り ケロン人男性は射精すれば発情は収まり、ケロン人女性はその膣内に射精感を感じれば収まるので
女性用の物は膣内に挿入し一定時間が経つと膣内洗浄も出来る液体を発射する作りになっているであります。」
なんだか保体の授業を聞いてる気分になってきた。
「でも、ペコポンの女性はそうではないのでありましょう?」急にふられて、
「よ・よくわからないけど・・・ち・違うと思うわ・・・そ・それにそんな器具を入れるのなんて こ・恐いし・・・」
しどろもどろで答える。
「そうでありましょうなぁー・・・で、我輩、困ってるんだよねぇー・・・どうすればセックスなしで夏美殿を満足させられるのか・・・」
本気で悩むケロロを見てなんだかもやもやしたものが晴れていく気がした。
「前にネットの18禁サイトで見たペコポン人同士のムービーで お互いのものを舐め合ってるのがあったんだけど、それをやってみる?」
真剣な眼差しで変なことを聞いてくる。
「もう!なに真剣にエッチなこと言ってんの!このエロガエル!!」
「エロガエルとは失敬な!ひとが真剣に考えてるのにぃ!」
「あはははっまったくぅ・・・ありがとぉ・・・もういいわ!なんだか あんたと話したらスッキリしちゃった!」
けらけら笑いながらあっけらかんと言う。
「なんなんでありましょうか、最近の若い娘はーっ」ふてくされるケロロにチュッとキスをすると小声で
「また変な気持ちになったらその時はお願いするわ!」と言って ほほを染めて小悪魔のような笑みを浮かべウィンクする。
胸がキューッと締め付けられるように苦しくなりつつも彼女に気づかれまいと
「大人をからかうもんじゃないであります。」呟いた。
「じゃあ、日向夏美、テスト勉強にいきまーす!」立ち上がりながらケロロの口癖をまねる。
「了解であります」思わず立ち上がり敬礼をしてしまう。プッと吹き出す二人、夏美は鼻歌まじりにケロロの部屋を後にした。
「さぁーて食器の後始末をしてくるかなっ」そう呟くと部屋を出た。
クルルのチッと舌打ちする音が誰もいなくなった部屋に響いていた。
おしまい
めちゃくちゃ まあまあ
これ、ホント!!
ダメ人間乙w
>>538 修正投下乙そしてGJ
まだ黒IDの荒らしが粘着しているみたいだなw
そっちにも乙www
どうしようもねーwww
投下乙!
それにしてもケロロって恋愛関係入り組みまくってるから
王道カプ意外の組み合わせはなかなか難しいね
GJGJGJ!!!!
キターーーー!!
GJ!今度は
ケロロ・・・ケロロ×睦、ケロロ×桃華、ケロロ×小雪、ケロロ×556、ケロロ×ラビー、ケロロ×タルル、ケロロ×ゾルル、ケロロ×トロロ、ケロロ×アリサ
タママ・・・タママ×クルル、タママ×ドロロ、タママ×冬樹、タママ×夏美、タママ×小雪、タママ×睦、タママ×ポール、タママ×556、タママ×アリサ
タママ×ラビー、タママ×ガルル、タママ×プルル、タママ×ゾルル、タママ×トロロ、タママ×サッカー少年、タママ×カブトムシ
ギロロ・・・ギロロ×秋、ギロロ×桃華、ギロロ×睦、ギロロ×モア、ギロロ×556,ギロロ×ラビー、ギロロ×ポール、ギロロ×プルル
ギロロ×タルル、ギロロ×ゾルル、ギロロ×トロロ、ギロロ×猫、ギロロ×冬樹、ギロロ×アリサ
クルル・・・クルル×桃華、クルル×小雪、クルル×556,クルル×ラビー、クルル×ポール、クルル×プルル、クルル×タルル、クルル×ゾルル、クルル×アリサ
ドロロ・・・ドロロ×桃華、ドロロ×零夜叉、ドロロ×睦、ドロロ×夏美、ドロロ×冬樹、ドロロ×骸、ドロロ×ポール、ドロロ×556、ドロロ×ラビー
ドロロ×プルル、ドロロ×ガルル、ドロロ×タルル、ドロロ×トロロ、ドロロ×秋、ドロロ×モア、ドロロ×アリサ
モア・・・ モア×冬樹、モア×夏美、モア×桃華、モア×小雪、モア×睦、モア×ポール、モア×556、モア×ラビー、モア×プルル、モア×ガルル
モア×タルル、モア×ゾルル、モア×トロロ、モア×秋、モア×猫、モア×麻美、モア×アリサ
冬樹・・・冬樹×睦、冬樹×夏美、冬樹×ノルマントンの少女、冬樹×アリサ、冬樹×ポール、冬樹×556、冬樹×ラビー、冬樹×山口部長、冬樹×ガルル
冬樹×プルル、冬樹×タルル、冬樹×ゾルル、冬樹×トルル
夏美・・・夏美×睦、夏美×桃華、夏美×猫、夏美×556、夏美×ラビー、夏美×アリサ、夏美×プルル、夏美×タルル、夏美×ゾルル、夏美×トロロ
夏美×ポール、夏美×骸
桃華・・・桃華×睦、桃華×小雪、桃華×アリサ、桃華×散世、桃華×ガルル、桃華×タルル、桃華×プルル、桃華×ゾルル、桃華×トロロ、桃華×吉岡平
桃華×556、桃華×ラビー、、桃華×秋
小雪・・・小雪×睦、小雪×零夜叉、小雪×ポール、小雪×秋、小雪×やよい、小雪×さつき、小雪×556,小雪×ラビー、小雪×ガルル、小雪×プルル、
小雪×タルル、小雪×トロロ
睦・・・睦×サブロー、睦×ポール、睦×556、睦×ラビー、睦×秋、睦×ガルル、睦×プルル、睦×タルル、睦×ゾルル、睦×トロロ
タルル・・・タルル×カブトムシ、タルル×ゾルル、タルル×トロロ
ゾルル・・・ゾルル×プルル
トロロ・・・トロロ×プルル
の中からお願いしますw
ぐっじょ!
もうヤメテ〜
GJ?
勘弁して…w
こりゃまたGJ w
も一つGJ
もう書かなくていいよ
あれ?IDかわってねーwwwwwww
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GJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJ
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>555 :名無しさん@ピンキー:2009/01/27(火) 16:36:51 ID:ikWMrVI7
>GJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJ
>GJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJ
>GJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJ
>GJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJ
>GJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJ
レス番もGJも実に美しい w
いい加減に白w
乙
こんなに賑わうのは、いつ以来だ?
560 :
560:2009/01/27(火) 18:16:58 ID:F7Y0jZaE
560げと
あーこりゃこりゃGJ
くだらねえw
なんだw
元ネタあったのかよ
くたびれたwww
566 :
geroげろりん:2009/01/27(火) 21:06:34 ID:hAT7kEfE
561さんの元ネタというのは、私が画像を貼っている掲示板のことです。基本ケロロと夏美のイラスト
しか描いていないのでそういった意味では元ネタといえば元ネタなんでしょうね!絵で描くような話
じゃないので、ここに投稿してみたのですが、なにぶん文章など書く機会など無く、読み返すと字が
抜けてたり、言い回しがおかしかったりと すいませんでした。
夏ケロ厨乙www
え、つまりご本人さん?絵もかけるんだすごいですな。
まあともかく、個人的にはかなり萌えさせてもらいました。
この流れの中では投下するのも勇気行ったでしょうに。ケロ夏もいいものですね。
自演乙
なーんだw
>>568 >絵も
って、絵師がでしゃばってるだけじゃねえかwww
GJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJ
GJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJ
GJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJ
GJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJ
GJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJ
GJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJ
なるほど
GJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJ
GJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJ
GJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJ
GJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJ
GJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJ
GJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJ
というわけかw
めちゃくちゃ まあまあ なお話です。
夏美と冬樹は 明日から始まる期末テストのため午前中の授業を終え 家路を急いでいた。
「ねぇちゃん!今日、お昼食べたら西澤さん家でテスト勉強する約束なんだ!行っていいよね」
「もちろんよ!フフーン ついでに、変な勉強までしちゃったりして・・・」
「なんだよぉ!変な勉強って・・・」
「いいの、いいの冬樹はまだおこちゃまなんだから!」
「バカにしてぇー 二つしか違わないくせに」そんな会話をしながら家の中へ消えていった。
「ふぅーおいしかった、平日だというのにお昼に夏美殿の手料理をいただけるなんて幸せであります。」お茶を飲みながらケロロが嬉しそうに話す。
「納豆パスタなんて誰が作ったってそんなかわらないわよ!」頬を染めて照れる夏美。
「それじゃ、ねぇちゃん!僕行くね!」冬樹は 立ち上がるとソファーに用意してあるバックを担ぐとリビングのドアノブに手をかけ二人にふりむいた。
「あのさぁー こんな事いうのもなんなんだけどさぁー 二人が仲がいいのはうれしいんだけど・・・そのぉ少しは伍長やモアちゃんの事も考えてよ・・・ごめん!それじゃぁ」そのまま二人の弁明も聞かず出て行った。
残された二人の間に気まずい空気が流れる・・・
「なによ!冬樹ったら・・・あんな言い方しなくたっていいじゃない」
「まあまあ夏美殿!先日あれだけの騒ぎを起こして冬樹殿には心配をかけたでありますから・・・」そう言うとふたりはテラス越しにギロロのテントを見た。
あれはちょうど一週間前、夏美はサブローに告白し念願かなってつきあい始めたのだが、ファーストキスの瞬間ケロロへの自分の気持ちに気づいてしまったのだ。
たまたまリビングで二人きりになった際、あまりに態度のおかしい夏美を気遣い
ふざけて聞いた質問から口論となり、お互い自分の気持ちを話してしまう。
一気に心に火がつく二人だったが、抱き合う現場をギロロとモアに目撃される。
ギロロはショックでその場を逃亡、モアはスピアをだして地球を破壊しようとする
それを必死で止めたのが冬樹だったのだ。モアは休暇をとり、アンゴラ星に戻っている。ギロロは、ドロロに説得され 戻ってきたもののずっとテントの中に籠った二人は向き合い大きくため息をついた。
「それじゃぁ後片付けするわ・・・」元気無く食器を運ぶ夏美。
「あーっ夏美殿!片付けは我輩が・・・」
「えっだって今日はわたしの当番・・・」
「いいんでありますよ!本来なら学校にいて我輩の食事などないでありますし・・・夏美殿はテスト勉強をガンバルであります。」
「ありがと!そうさせてもらうわ」エプロンをはずし、腕まくりしていたそでを
戻しながらリビングをでていった。
一人食器を洗いながら、(モア殿とはじっくり話し合って解ってもらえたでありますが・・・ギロロはテントに近づく事さえ出来ないでありますからなぁー・・・
いずれちゃんと話さなければ・・・)などと考えていた。一通り作業を終え、リビングを後にした。
自分の部屋へ戻るとタママが来ていた。
「勝手におじゃましてるですぅー」ケロロは一人になりたかったが なんとなく事情はわかったので苦笑いしながらいつもの場所に腰をおろした。
「桃華殿に追い出されたんでありましょう」
「そうなんですぅー フッキーがくる度、追い出されるのはやめてほしいですぅ」
「恋するオトメは周りが見えなくなるでありますからなぁー」と言いながら、ふと
自分も同類だなぁと思いプッとふいた。唯一事情を知らないタママはきょとんとしている。クルルにも言ってなかったが、日向家のあちこちにカメラを仕込んでいるヤツにはすべてお見通しなのは明白だった。
「なにがおかしいんですかぁ」
「なんでもないであります。」そう言ってDVDのスイッチをいれた。
ギシッ イスがきしみ夏美は背もたれに体重をあずけ背伸びした。
「うーーん ふぅーっ 数学はこれでよしと・・・」教科書とノートを閉じるとカバンから英語の教科書を取り出し机の上に置いた。と、携帯が鳴る。
「うん、わかった。あんまり遅くならないようにねっ!」携帯を机に置いて足早にパタパタと部屋を出て行った。
コン コン
「ケロロいる?」夏美はドアを開けた。DVDを観ているケロロとびっくりしたように夏美をみているタママがいた。
「あっ!タママ 来てたんだ。」
「桃華殿に追い出されたそうであります。」
「そう・・・ハハハハハ でね、ボケガエル!冬樹から電話があって夕飯、桃華ちゃん家で食べてくるっていうんだけど、うちはありものでいいよね。そうだ!タママも食べてく?」
「ぼくは 帰って食べるですぅ。それよりナッチー、さっき軍曹さんの事ケロロって・・・」全然意識していなかったことを指摘されて動揺する。
「えっ、あっ、そ・そうだった?・・・そぅー言う事だから・・・それじゃぁ」
あわてて部屋からでていった。
タママは、(あの女<モア>ーが母星に帰った事と何か関係が・・・)とケロロと夏美の間の微妙な空気を感じ疑たが、何も言えずDVDを観るケロロをみつめるのだった。
タママが帰り、いつもの日課となった風呂掃除をしていると夏美が入ってきた。
「ねぇー 食事の前に・・・そのぉ・・・お風呂、一緒に入らない?」
「へっ?な・な・なつみどのォ!?」驚くケロロに近づく
「前にさぁー あんた、わたしと入りたいって言ってたじゃない・・・」
「あーあれは、断られるのを前提にですなぁー・・・っていうか夏美殿の気を引くためにからかったというか・・・」煮え切らない態度でうろたえるケロロの頭を掴んで持ち上げると
「わたしにここまで言わしてまさか断る気じゃないでしょうね!」
「せ・背中を流させていただきます。」
「よろしい」にこっと笑い鼻歌まじりで でていった。
ケロロはそそくさと掃除を終え、湯船に湯を流し込む。
いつもなら湯がたまる間 他の作業をするのだが、この後の展開を想像すると
何も考えられなくなり、ただ どんどん溜まっていく湯をみつめていた。
ガラッ 扉が開き脱衣所に夏美が入ってくる。
「どう?お湯溜まった!?」服を脱ぎながら尋ねる。
「も・もうすぐであります。」(そりゃぁ前に何度か風呂を覗いた事はあったけど
それは異性として意識していなかったから・・・でも今は自分にとって最愛の女と認識してしまっている
・・・それにケロン人はいつも裸だが、地球人が裸になるという事がどういう事を意味するかも解っている
・・・夏美殿はまだ子供、我輩がしっかりしなければ・・・)頭の中で自問自答を繰り返す。
ザーッ湯がこぼれ、あわてて蛇口をひねる。
「はいるわよ!」タオルで胸と股間をかろうじて隠した夏美が入ってくる。
ケロロは まともに顔が見れず湯船の前で立ちすくんでる。
「もう!なにやってんのよ!」自分も顔から火がでそうなくらい恥ずかしいのだが、
背を向けてフリーズしているケロロにシャワーを浴びせた。
「ひぇーっ」いきなりかけたシャワーはお湯になっておらず冷たい水だった。
「あっ ごめん」
「ごめんじゃないよ、ひどいであります!」思わず振り返る。眼前に隠してはいるもののこぼれ出しそうな胸が
・・・シャワーが暖かくなったのを確認し再び頭からかけられる。
そして自分にもかけるとケロロをだっこして湯船に浸かった。
湯船で温まり、ほぉーっと息を吐き出し緊張がほぐれたケロロは
「お風呂はいいでありますなぁー」と能天気な感想を言う。
「迷惑だった?」小さな声で呟く。ケロロは小さく首を横に振り
「夏美殿の気持ちとてもうれしいであります。それに背中にあたる心地のいい感触・・・ガボッ」
真っ赤になった夏美はケロロを湯船に沈める。
「バカッ!このエロガエル!!」
「ぷはーっ お湯飲んじゃったじゃない!んっ!」やわらかな感触が唇を覆う。
まだやり方を知らない少女のキスはただ唇と唇を重ねるだけのものだったが、
それは初々しくとても清らかなものに思えた。
二人は湯船から揚がるとお互いの背中を洗い合う。
ケロロはいすの上に立ち夏美の背中を ごしごしこすりながらきめの細かい美しいその肌に頬ずりしたい
という感情と戦っていた。一方の夏美も多感なお年頃、いろんなことを想像していたのだろう つい変な事を聞いてしまう。
「ねぇ!あんた達ってどうやって産まれるの?」
「どうって・・・交尾するに決まってんじゃん」夏美は、交尾と聞いて咄嗟に犬の交尾画像が思い浮かぶ
・・・というより他の交尾を知らないだけなのだが・・・
人間でいうところのセックスと同じという事にも結びつかないでいる。
ケロロはきょとんとしている彼女に自分の質問の意味を判らせるため
「交尾っていうのはペコポン人流にいうとセックスのこと!」
それを聞くや否や耳まで真っ赤になった夏美は顔を両手で押さえて押し黙ってしまった。