1980年代を席巻した肌も露な美少女剣士たち!
その代表作たる「夢幻戦士ヴァリス」を中心にヒロインたちの淫らな宴を妄想するスレだ!
スレタイになっている麻生優子はいうに及ばず、時代を彩ったその他の『露出系美少女剣士』たちも
想うままにやってしまおう!
陵辱、触手、和姦、純愛、レズ大歓迎。
「その格好で本番ナシですか?」そう想って悔し涙を流した諸君!もう遠慮はいらない。
今こそその熱い思いを語り合おうではないか!
そんな熱い血潮を持つ文書きさん&絵描きさん募集中!!!
○名無しさんへお願い3カ条
一、スレの栄枯衰退の鍵は名無しさんが握るということ
過度の職人依存をしない。名無しさんが楽しく雑談していればスレが活性化する。
逆に職人を叩いたり、投下物をスルーしたりすればスレが衰退することを認識すべし。
一、派閥争いせざること
ネタ論争歓迎。ただし引き際を心得たること。○○派と派閥名乗らざること。
○○好きと名乗るべし。
一、荒らしはスルーすべきこと
職人叩きやコピペ荒らしなど、いずれはこのスレにも荒らしが来る可能性がある。
荒らしには「かまわず、きれず、レスつけず」を守るべし
>>1 スレ立てお疲れ様です〜。
即死防止のため、とりあえず出来ている所までSSを投下いたします。
(1)
――――異世界シェオーリア。魔王バァル・ベオルの城塞。
「ふぁう・・・・うぅう・・・・はぁくぅううッ・・・・!!」
これまで、嫌というほど思い知らされてきた逞しい男根が、涼子の膣へと押し入ってきた。
太さも熱さも硬さも、亀頭の形も、輪口のくびれ具合も、すでに馴染みの感覚となっている。
(2)
(ダメなのに・・・・イヤなのに・・・・あああッ・・・・で、でも・・・・!!)
ずぅん、と体重を乗せて一気に貫かれると、
肉襞の一枚一枚が燃え上がるような喜悦に打ち震え、
子宮の奥から、じゅるじゅるとした愛汁が勢い良く溢れ出して来る。
捏ね回すような腰の動きに媚肉が攪拌され、
雄々しく張り出した肉キノコのエラに繊細な粘膜が磨り潰されていった。
(3)
(感じる・・・・感じちゃうッ!!くぅッ・・・・くはあああッ!!)
槍先に突き回される膣奥に熱い感触が弾け、
圧し歪められた子宮の中身がグラグラと煮え滾っていく。
規則正しいリズムを刻む肉棹に絡みついた壷口からは、
卑猥な水音の伴奏付きで半透明な蜜が溢れ出し、シーツの上に大きな水溜まりを作っていた。
(4)
「フフッ、射精しますよ、母上。しっかりと受け止めて下さい」
未だ声変わりを迎える前の、ボーイ・ソプラノの美声が、涼子の耳朶に突き刺さる。
びくん、と身体を震わせたポニーテールの少女に邪悪な微笑を投げかけるのは、
自分より5、6歳年下にしか見えない少年――――イオ。
強大な魔力でシェオーリアの覇権を握った、魔王バァル・ベオルと、
彼に戦いを挑んで敗れ、奴隷の身に堕した、<レヴィアスの戦士>涼子との間に生まれた、闇の王子である。
(5)
やや短めに切り揃えたプラチナ・ブロンドの髪が良く似合う、整った面立ちは、
まるで水晶の塊を彫り込んだかのように美しかったが、
血の色をしたその瞳は凍てついた光を湛え、邪悪な知性に満ち溢れていた。
すらりと伸びた手足は未だ少年期の瑞々しさを保っているが、
実の母親の胎内に突き入れられた肉の大槍は、
大の大人も、かくや、と思われるほどに、太く、逞しい。
・・・・その巨根が、涼子の膣穴の中で、びゅくんッ!!と大きく弾けた。
(6)
「そぉら、出てますよッ!!
母上が私を生んだ穴にッ!!生まれる前の私が過ごしていた暗渠の中にッ!!」
沸騰した濁流が、トロトロに蕩けた肉襞を舐め尽くしていく。
燃えるように赤く染まった粘膜が真っ白な飛沫に塗り潰されていくにつれ、
しなやかに伸びた手足が、ピーン、と突っ張り、感極まってガクガクと震え始めた。
一瞬、閃いた驚愕の表情が、たちまち恍惚に染まり、淫らな欲情に流されていく・・・・。
(7)
「あふぁぁぁッ!!・・・・ぁあんッ・・・・ひぐぅあああッッッ!!!!」
白濁した精汁をドクドクと流し込まれる膣孔は、
溝という溝、襞という襞全てに、透明な蜜を滲ませ、
あさましく波打ちつつ、猛り狂う怒張をしゃぶり立てていた。
粘り気を増した愛液と注ぎ込まれる精液とが交じり合い、
擦れ合う淫肉の狭間でジュプジュプと卑猥な音を奏でながら、割れ目の外に溢れ出していく。
(8)
(あああ・・・・ダメェ・・・・ダメなのぉ・・・・!!
堕ちてしまう・・・・ガマンできないの・・・・もう、だめぇェェェッ!!!!)
深紅のポニーテールを振り乱しつつ、裏返った声で悲鳴を上げる<レヴィアスの戦士>。
圧倒的な性の快楽が、僅かに残った理性を押し包み、咀嚼してしまう。
魔王との戦いに敗れて以来、昼となく夜となく、何百回も味わわされてきた、
最低最悪の敗北感と無力感、そして、絶望が、
涼子の心を漆黒の闇で覆い尽くし、<戦士>としての力を削り取っていく。
(・・・・お、お願い・・・・たすけて・・・・誰か・・・・!!
このままじゃ・・・・あたし・・・・あたし・・・・!!)
ここまでです。
なお、出演しているのは、
最近、加筆バージョンが発表された、ZOL先生の『超夢幻伝説レヴィアス』のヒロイン、朝霞涼子と、
魔王バァル・ベオルと彼女との間に産まれた、皇子イオ
(オリジナル・キャラ、ただし、名前と外見等の設定は、『リヨン伝説フレア2』の登場人物から拝借しました)です。
・・・・ちなみに、これ以降のシーンには、エロ描写は基本的にありません。
涼子の境遇を知って、救出に赴こうとする<戦士>たち・・・・陽子、キャロン、レムネア、妖子、シルキスと、
それは多元宇宙を律している法則に反する危険な行為だとして慎重論を唱える、麗子とヴァルナとのやりとり。
そして、優子の決断とダークサイドに堕ちたライディと麗夢の暗躍を描いていく予定です。
登場人物がかなり多いので、毎回、<戦士>たちの全員を登場させるという訳にもいかないのですが、
なるべく多くのビキニアーマー系美少女戦士(中には、ビキニ鎧着用ではない戦士もいますが)を描いていきたいと思っています。
>>1 乙
>ARCH DUKE氏
新作投下お疲れ様です
うちの方じゃコミック置いてるところが見当たらない…
通販しかないかな
>>1 スレ立て乙
>ARCH DUKE氏
変幻戦忍アスカおながいしまつ
ほ
し
い
も
>>16 アスカですね、了解しました。
ダークサイドでの起用になりますが、登場させます。
ちなみに、『戦士集合!』では、
ライディ(電撃)、麗夢(他人の夢に侵入できる)、アスカ(忍術)、等々、
特殊な攻撃能力を持った戦士は敵側として、
妖子やレムネアのような、近接戦闘に秀でた戦士は夢幻界側として登場させる方針です。
ほしゅ
24 :
名無しさん@ピンキー:2008/06/26(木) 22:40:35 ID:SzIyc1Vf
お待たせしました〜。
『戦士集合!』第3章、本日完成いたしました。
今夜22:00頃より発表作業を開始します。
なお、今回は冒頭部分の(1)〜(8)までを既に発表していますので、
連投規制回避用のご支援は不要と思われます。
それでは、もうしばらくお待ち下さいませ〜。
きたきた〜〜w
皆様お待たせしました〜。
只今より、『戦士集合!』第3章の発表を開始いたします。
(9)
夢幻界。ヴァニティ城。幻想王女ヴァルナの居室。
「どうして、ダメなんですかッ!?」
よく整った・・・・だが、見る角度によっては、あどけなさも少し残っているようにも映る顔面に、
驚愕の色を浮かべつつ、猛然と目の前の人物に食ってかかる少女――――朝霧陽子。
後頭部ではなく、頭の左側で結んだ、紅いポニーテールが勢い良く揺れ、
両肩から張り出した、濃紺色の防具が、ガチャガチャと騒がしい音を立てる。
(10)
「ヨーコの言うとおりだよ、なんで助けに行っちゃいけないの?
あたしたち、<戦士>の仲間が苦しんでるのに・・・・!?」
<レダの戦士>の横で息巻くのは、
惑星ラルの王女にして、王家に伝わる聖剣<リバースの剣>を操る事の出来る唯一の剣士、キャロン。
最近になって、つとに女性らしさを増してきたルックスとは異なり、
頬を、ぷぅっ、と膨らませ、唇を尖らせるその表情は、
自らの出生の秘密を知る以前のお転婆な村娘時代のものとほとんど変化が無い。
(11)
「・・・・お、お二人とも・・・・あの・・・・そのお気持ちは・・・・とても良く分かる・・・・のですが・・・・」
二人の<戦士>に詰め寄られて、
部屋の主――――夢幻界を統治し<明>の力と調和を司る、女王ヴァルナは、
困惑しきった表情を浮べ、しどろもどろになりながらも、必死に説得を試みていた。
数千年の永きに渡って暗黒界と対峙し、三界のバランスを維持し続けてきた、偉大な先代と異なり、
ヴァニティの玉座に就いてから殆ど間の無い彼女は、未だ統治者としては未熟であり、
誠実さだけは人一倍だったが、自らを韜晦し人心を巧みにコントロールする術は会得していない。
(12)
「仕方ないのよ・・・・彼女の場合は」
見かねて口を挟んだのは、
ヴァルナの側近にして直属のエージェントたる、<ヴァリスの戦士>桐島麗子。
何か言いかけたヴァルナを、ラベンダー色の双眸の一瞥で沈黙させると、
陽子とキャロンに向き直り、ゆっくりとした口調で説明を開始する。
表情も態度も、決して威圧的という訳ではないのだが、
こういう時の彼女は、抜き放たれた真剣を連想させるような、近付き難い雰囲気を漂わせていた。
(13)
「・・・・涼子の場合、シェオーリアという世界の、レヴィアス神という女神、
――――要は、シェオーリアにおいて、<明>の力、ヴァリスが顕現した存在なんだけど、
彼女によって召喚され、<戦士>としての力を与えられたのよ・・・・」
落ち着き払った、だが、ギリギリの所でイヤミに聞こえないよう、節制を効かせた語り口は、
興奮状態にあった陽子とキャロンの心を、すうッ、と冷却させる効果があった。
つい先程まで、ヴァルナに食ってかかっていたのが嘘のように、
二人の少女は押し黙り、まるで教師に悪戯がバレた悪ガキのように、しゅん、となる。
「・・・・でも、その時点で、すでにレヴィアス神の力は、
魔王バァル・ベオル――――シェオーリアにおける<暗>の力、ヴェカンタの顕現――――に対して、
全く太刀打ちできないほど弱体化していたの。
涼子一人がどれだけ頑張ってもどうしようもない、絶望的な力の差が出来ていた、という訳。
その結果、涼子は敗れ、囚われの身となって・・・・今も、責め苦を与えられ続けている・・・・」
(14)
「・・・・でも、冷たい言い方かもしれないけど、それはシェオーリアと涼子の問題なの。
『涼子が可哀相だから』というだけの理由で、私たち、外部の人間が介入する事は出来ないわ」
「そんなッ!?」「ヒドイよッ!!」
異口同音に発せられた非難の言葉に、わずかに表情を硬くする麗子。
だが、夢幻界の<戦士>は、その程度の事で冷静さを失ったりはしなかった。
「涼子の敗北は、シェオーリアという世界の根源的な部分で、
<明>の力が<暗>の力に及ばなかったのが原因よ。
それは、私たちにとっても、とても残念な事だけど、
戦い自体は、多元宇宙を律している、<法則>に則って、公平に行われたものだわ。
暗黒界側が、シェオーリア――――バァル・ベオルに対して直接的な支援を行っていたのならともかく、
そうではない以上、その結果を覆すために、夢幻界が介入する事はルールに反するやり方なの」
(15)
「良く分からないんだけど、麗子の言う、<法則>とかルールとかって、そんなに大切なものなの?
前に聞いた話だと、そのヴェカンティって世界の人たちは、結構、平気で破ってるみたいだけど・・・・」
麗子の説明に対して疑問の声を上げたのは、
スレンダーな体躯を深紅の甲冑に包んだ銀髪の少女――――カナンの<銀の勇者>レムネア。
陽子やキャロンと年齢的にはあまり変わらないのだが、
捕囚の身となった恋人を探して、孤独で過酷な旅を続けてきた経験によるものだろうか、
エメラルド・グリーンの瞳に浮かぶ輝きはずっと落ち着いたもので、
何処と無くではあるが、目の前に佇む、黒い鎧の<戦士>に似た雰囲気を漂わせている。
(16)
「ええ、そうよ。<法則>は大切なもの。
・・・・より正確な言い方をすれば、守らなければならないもの、かしらね」
<銀の勇者>の理知的な双眸の前に、曖昧な表現は通用しない、と判断したのだろう、
麗子は、極めて明瞭な、かつ、それ以上に、率直な言葉を用いて説明を続ける。
多元宇宙を構成する三つの世界・・・・夢幻界、暗黒界、現実界の在り様を定めた<法則>は絶対のものであり、
特に、夢幻界または暗黒界の者が、現実界に対して直接介入を行う事は重大な禁忌とされている事。
過去、これに反した場合には、例外なく、大いなる災厄
――――例えば、大陸が一夜にして海に沈んだり、都市が大地の割れ目に飲み込まれたり、
最悪の場合は、世界ごと亜空間に引き摺り込まれて消滅したり、等々――――に見舞われている事。
にもかかわらず、暗黒界の者による現実界への干渉が後を絶たないのは、
その災厄が、必ずしも、禁忌を冒した者の上に降りかかるとは限らないから、である事・・・・。
(17)
「つまり、<法則>に従わず、現実界に介入すれば、確実にしっぺ返しを喰う。
けれども、それは、必ず自分に跳ね返ってくるという訳ではなく、
暗黒界の勢力圏に属する、全く関係ない場所に向かうかもしれない。
だから、暗黒界の力ある者達は、自分さえ良ければ他はどうなっても構わない、と、
現実界への介入を繰り返している、という次第なのね・・・・」
一応の得心が言ったらしく、銀髪の少女は軽く頷き、麗子に礼を述べた。
どういたしまして、と応じながら、ぐるり、と周囲を見回す、黒衣の<戦士>。
さすがに、今の説明を聞いた<戦士>たちは黙り込み、反論を試みようとはしない。
どす黒い欲望にまみれたヴェカンティの諸侯ならばいざ知らず、
ヴァニティの加護を受け、<戦士>となった少女たちの中に、
自分の目的を達するためならば、無関係な他者がどうなろうが構わない、
などという利己主義的な考えを抱く者は皆無だった。
(18)
「・・・・でも、涼子はともかく、ライディや麗夢をさらったのは、暗黒界の奴らなんでしょ?
だったら、こっちが多少やり返したとしても、ルール違反にはならないんじゃないの?」
唯一、(微妙に話題をずらしながらではあったが)食い下がってきたのは、
豊かな黒髪を独特な形状に結い上げた、チャイナドレスの娘――――第108代魔物ハンター・真野妖子。
同年代の少女たち・・・・
それも、防具と言うよりも、金属製の水着か下着と表現する方が適切な、
肌の露出を厭わぬ鎧を纏った者たちの間ではそれほど目立たないが、
きわどいスリットの中からは、しなやかな美脚がチラチラと覗き、扇情的な雰囲気さえ醸し出している。
(19)
「・・・・・・・・」
嫌な質問が来たな、という表情を浮べた麗子は、
背後にいる主君を振り返り、無言の問いを発した。
決断を迫られ、不安の感情を面に出す、夢幻界の女王・・・・と、その時。
「本当の事を、お話しする方が良いと思います」
重々しく、だが、決然とした口調で言い切ったのは、もう一人の<ヴァリスの戦士>。
今は亡き先王ヴァリアにより、その素質を見出され、
暗黒王ログレスと残忍王メガスというヴェカンティの二大巨頭との死闘を制した、
夢幻界、いや、三界最強と謳われる<戦士>――――麻生優子。
(20)
「私たちは、みんな、大事な仲間であり、大切な友達です。
友達同士で隠し事をするのは良い事とは思えません・・・・」
あきれる程単純な理屈だったが、
優子が口にするのと彼女以外の誰かが発するのとでは、説得力が桁違いだった。
現実界の平穏な生活の中から、いきなり激烈な戦いの渦中へと放り込まれ、
恐怖と孤独に責め苛まれながら、それでも、信じる心を失わなかった少女。
その薄青色の瞳に見つめられて、良心の呵責を覚えない者などいる筈もない・・・・。
(21)
「・・・・分かりました。真実をお話いたします・・・・」
かすかに震える声で話を切り出す、女王ヴァルナ。
一瞬だけ、何か言いたそうな表情になる麗子だが、
彼女でさえ、じっと自分を見つめる優子の視線には勝てなかった。
「・・・・実は、ライディと麗夢の失踪は、
ヴェカンティの手の者の仕業では無い可能性があるのです・・・・」
(22)
「ええッ!?」「そんなッ!!」「それって、一体、どういう事なんですか!?」
居並ぶ<戦士>たちから驚きの声が次々に上がり、
その中の幾人かは、食ってかからんばかりの勢いで、目の前の小柄な少女に詰め寄ってくる。
慌てて間に割って入った麗子のお陰で事無きを得たものの、
ヴァルナは顔を青褪めさせ、細い肩を震わせて、今にも泣き出しそうだった。
やむなく、赤毛の側近が主の後を引き継ぎ、説明を続行する。
(23)
「・・・・一番大きな疑問は、ライディと麗夢が姿を消したにも関わらず、
二人の居た世界での<明><暗>のバランスは殆ど変化していない、という点ね。
つまり、暗黒界側には、二つの世界を支配下に置こうとする動きは無かったのよ」
「そんな・・・・ならば、どうして、ライディさんと麗夢さんは攫われたのです?」
衝撃から立ち直り、真っ先に疑問の言葉を発したのは、
短いケープの付いた純白の鎧を身に纏う、小柄な少女
――――魔法の白鳥から力を借りて、怪物たちから臣民を守る、ララマザー芸術王国の王女・シルキス。
同じ王女でも、幼少の頃から辺境の農民の子として育てられたキャロンとは異なり、
王宮仕込みの物腰の柔かさと品の良い言動の持ち主で、集まった<戦士>達の中では珍しいタイプである。
(24)
「それは、こっちが教えて欲しいぐらいだわ。
世界を手に入れるため、というなら、一応の理由にはなるけど、
そうではない、となると・・・・正直言って、皆目見当もつかない。
だからこそ、あなた達、各世界に散らばっている<明>の庇護を受けた<戦士>に、
ヴァニティ城に一時避難して貰う事に決めたのよ・・・・」
厳密に言えば、これも<法則>に抵触しかねない行為なのだけど、と付け加えて、
夢幻界の<戦士>は、シルキスを、そして、この場に詰めかけた少女達全員の顔を見渡す。
打ち明けられた意外な真相に対する、彼女達の反応は各人まちまちで、
衝撃を受けている者もいれば、困惑している者もいたが、
少なくとも、麗子とヴァルナの口から語られた真実に疑念を抱く者はいないようだった。
(25)
「・・・・これで、良いわね」
ほっとしたような表情を浮べて、優子に向き直る麗子。
未だ緊張したままのヴァルナに、もう心配ありませんよ、と優しく囁きかけながら、
蒼髪の少女は、お疲れさま、とばかりに、ニッコリと微笑んだ。
(・・・・まったく、いつまで経っても、優子にだけはかなわないわね・・・・)
ほんの少しだけ、ほろ苦い想いを覚えながら、麗子も微笑みを返す。
普段はおっとりとして、虫も殺せないよう性格なのに、
一番肝腎な時には、誰よりも積極的に、そして、果断な決断を下す事の出来る彼女は、
昔も今も、麗子にとって最大のライバルであり、同時に、最も感情を通い合わせる事の出来る親友だった。
(優子だけは失いたくない・・・・そう、何に代えても・・・・)
(26)
――――何処とも知れぬ地下の迷宮。魔性の炎が照らし出す、闇の祭祀場。
「にょほほほほほッッッ!!」
血の色をした狩衣を纏い、頭には黒い烏帽子を頂いた壮年の男が、
あでやかな装飾を施された扇をヒラヒラさせながら、奇ッ怪な舞を舞い踊る。
顔中に白粉を塗りたくり、唇には紅を点したその姿は、絵巻物の中に描かれた平安貴族そのもの
・・・・だが、見開かれたその瞳には魔性の気が宿り、口元から迸る哄笑には狂気が滲んでいる。
「ククク・・・・これまで、我ら鬼獣淫界を散々に苦しめてきた、天津の羽衣姉妹が、
こうもあっさりと我が手に落ちるとは、まるで夢を見ておるようじゃ」
(27)
「フフッ、お褒めに預かり、恐縮ですわ、時平卿」
「・・・・では、あたし達は、次の仕事がありますので、これにて」
暗渠の隅に佇んでいた二人組の少女が、囁くような声を発する。
一人は、小柄な体を、黄金の縁取りのある真紅の甲冑で包んだ緑色の髪の娘。
もう一人は、より肉付きが良く、扇情的とまでは言えないにせよ、十分官能的な肉体に、
要所を金属製の防具で強化した、レオタード状の鎧を纏った赤銅色の髪の娘。
いずれも、その表情は能面のように無機質で、ある種の妖気さえ漂わせていた。
「おうおう、綾小路殿もらいでぃ殿も、此度はご苦労でござったの。
お二方の助太刀のお陰で、忌々しい子守衆共も悉く狩り出され、淫魔大王さまの復活も順調。
現し世を淫乱地獄へと作り変えんとする、我らが悲願の成就は目前におじゃる・・・・」
淫乱の司祭――――鬼獣淫界を統べる魔王、鬼夜叉童子の化身たる、前左大臣・藤原時平の哄笑は、
二人の<戦士>がその場を辞去した後も、止む事無く、響き渡るのだった――――。
(28)
「フフッ、天津の巫女姉妹も大した事無かったわね」
微笑を浮べつつ、隣を歩く<雷の戦士>に話しかけるのは、
実際の年齢よりも少し幼く見られる事の多い、緑毛碧眼の少女。
――――太古の昔より連綿と続く、祭祀民族<夢守の民>の末裔にして、
人間の心の隙間に入り込み狂気を植えつける異界の住人<夢魔>から、
人々を守るべく戦い続けてきた、<ドリーム・ハンター>綾小路麗夢。
(29)
「亜衣、って言ったかしら、双子のお姉さんの方、ちょっと夢の中に侵入して内容を書き換えてやったら、
ヒィヒィよがり出して止まらなくなっちゃったわ・・・・今頃は理性もドロドロに溶け崩れてるんじゃない?}
・・・・だが、今の彼女には、
異形の者共の魔の手から力無き者を守り抜いてきた、気高き<戦士>の面影は何処にも無い。
むしろ、その双眸には邪悪な知性が宿り、
己に備わった天賦の力を用いて、無辜の人間を嬲り抜きたい、という衝動がとぐろを巻いていた。
あたかも、彼女自身が、今まで戦い続けてきた宿敵・・・・<夢魔>と化してしまったかのように。
(30)
「アハハッ、男嫌いで通ってたみたいだし、案外、溜まってたんじゃないの?」
けらけらと愉快そうな笑い声を立てながら応じたのは、
麗夢とは対照的に、女性としての美しさと<戦士>としてのしなやかさを兼ね備えた、紅毛赤眼の少女
――――悠久の昔から、人と魔族が果てしない闘争を繰り広げ、
剣と魔法の叙事詩を紡ぎ上げてきた異世界、<エルス大陸>において、
凄腕の女冒険者として鳴らしている、<雷の戦士>ライディ。
(31)
「それにくらべると、麻衣、って妹の方は素直な娘だったわね〜。
お姉ちゃんを助けてやる、って言ったら、拍子抜けするぐらい、あっさり降伏してくれたし。
ま、それじゃ、つまんないから、電撃で少し遊んであげたけど・・・・」
得意とする電撃の魔法から、前述の二つ名を奉られている彼女だったが、
同時に、きっぷの良さと人情味溢れる性格で好感を集め、
駆け出しの冒険者(特に同性)からは憧れの対象として意識される存在でもあった。
・・・・だが、隣を歩く麗夢と同様、今のライディの瞳には、
飽くなき闘争への渇望と共に、大地に這い蹲り慈悲を乞う敗者を心ゆくまで痛めつけたい、という、
おぞましい嗜虐欲求がメラメラと燃え盛っている。
(32)
「・・・・そう言えば、聞いた?
夢幻界の女王が、<戦士>たちを集めてる、って話」
麗夢の問いかけに、少し首を捻りながら答えるライディ。
「アスカから聞いてるわ。どうやら、こっちの動きに気付いての事らしいわね。
もっとも、アイツの話じゃあ、夢幻界の連中は例の<法則>って奴に縛られてるから、
暗黒界側が優勢を保ってる世界にいる<戦士>たちには手が出せないみたいだけど」
(33)
「フフッ、さすがは<変幻戦忍>ね」
「ああ、エルス大陸にもいたけど、ニンジャってヤツらは、とにかく、地獄耳で、何処にでも入り込める。
きっと今頃は、ヴァニティ城に忍び込んで、<戦士>共の中に上手く潜り込んでるんじゃないか?」
いささか羨ましそうな表情になる<雷の戦士>を横目で見やりつつ、
<ドリーム・ハンター>もまた、その光景を想像して、
遥か時空を超えた場所にいる、くのいちの少女に想いを馳せる。
「噂に聞く、<ヴァリスの戦士>がどれほどのものか、早く手合わせしてみたいよな〜」
「二人いるみたいだけど、どっちが好み?わたしは、麗子っていう赤毛のコを頂くつもりだけど」
「そうか。じゃあ、あたしは、優子の方を貰うよ。
クククッ、楽しみね〜。あの綺麗な顔を、あたしの電撃で苦痛に歪ませてやるのが・・・・」
――――――――TO BE CONTINUED.
以上、第3章をお送りいたしました。
お楽しみ頂けたのであれば幸いに存じます。
次回以降、本格的にエロ描写を盛り込んでいく予定です。
アスカの淫術によって、一人、また一人と絡め取られていく、ヴァニティ城の<戦士>たち。
世界に起きている異変の真相を探るべく、麗夢とライディの後を追う麗子を待ち構える狡猾な罠。
垣間見えた真の敵の恐るべき姿とは・・・・。
といった感じで物語を盛り上げていこう、と考えています。
・・・・もっとも、次章の発表は(これまでのペースですと)大体一年後ぐらいになりますが。
それでは今夜はこの辺で〜。
おつかれ〜〜
って一年後かよw
面白かったです(・∀・)
読み応えがありコーヒータイムに一気に読みました
次回が一年後って…(;´Д`)
平行世界で一年後だから、望めばすぐとかw
>>54-
>>56 応援有難うございます〜。
『戦士集合!』は、不定期連載でして、
これまでは、スレが切り替わるたびに一章ずつ更新してきました。
1つのスレを消費するのにかかる期間が大体一年ぐらいですので、
次回の更新も一年後になるかな〜、と考えている次第です。
ご理解いただければ幸いに存じます。
続きが読みたいので早く埋めてしまおうw
んじゃ梅
同感!梅
待てw
100も行ってないのにもう埋めかいw
埋め尽くすなら作品で埋め尽くそうぜ!
埋めだ楳
早く読みたい!
ところで今回の全員集合で優子は勿論たが優子以外なら誰が好き?
俺は妖子
ここのキャロンが『はえてない』ほうだったらいいんだけど・・・
麗子をヤりまくりたい
hoshu
久しぶりにスレ見る暇出来たから前スレ探して見てみたら
いつもの絵師さん来てたのね…ファイルをダウンロードしようとしたらもう消えてたorz
個人的に見てみたいシチュエーション
・泥沼のような場所で戦ううちに足元からズブズブと沈んでいき、
身動き取れない状態で陵辱される優子
・スライム状の敵にまとわり付かれ、ベトベトの状態で苦しむ優子
・蜘蛛糸のような粘着系触手で絡め取られる優子
>>68 泥沼ではなかったけど沼で触手に縛られ
凌辱されるシチュエーションはどっかで見たことあるな
あと蜘蛛の巣に縛られる優子も見たことあるな
進捗状況〜。
『3V(ヴァリス・ヴァルキリー・バージョン)』第11章は、現在、進捗率約30パーセント。
コミック・ヴァルキリー本編の流れで言えば、
第10話の終わりから第11話の冒頭の部分(アイザードの死亡シーン)に対応する部分を描いています
(もっとも、私のエロパロSSの中では、アイザードが本当に死ぬのはもう少し後になりますが)。
また、このあたりに関しては、エロパロ化出来るシーンが殆ど見当たらないので、
少し想像を働かせて、ログレスの干渉により、現実界への時空転移に失敗し、
優子やベノンと離れ離れになってしまった麗子が、
異形の怪物に陵辱されるオリジナル展開を付け加えたいと考えています。
完成・発表は、(『コミックヴァルキリー』の発売を挟んで)来月末を予定しています。
しばらくの間、お待ち下さいませ〜。
71 :
名無しさん@ピンキー:2008/07/18(金) 20:13:57 ID:eopUt0iM
期待age
今更ヴァリスXを買ってしまった...
オレなんて
ヴァリスcomplete予約>購入>開封してフィギュア見てニンマリ
>ソフトを一回も開封してない
ですがw
進捗状況とか一々いらないから
74 :
名無しさん@ピンキー:2008/07/19(土) 15:07:35 ID:mEZ1czsv
立ち読み見てきた
次回は腹パンチや優子の乳握りとかwktk
>>71 レポの報告と絶望を欲望に変えてSSを書くんだ。w
いつもの絵師さんが今度来た時はまた過去絵の再アップして欲しい
DL販売でも良いけど
hoshu
保守
捕囚
もうすぐ夏コミか・・・ヴァリスの新刊はあるのかな?
残念ながら見付けられなかったよ。
残念だ・・・
本州
今度は粘液系や汚辱系(泥まみれとか)のピンチシーンが見たいなー
大変お待たせしました〜。
『3V(ヴァリス・ヴァルキリー・バージョン)』第11章、たった今、完成いたしました。
なお、投下作業は、本日の23:00頃より開始の予定です。
あともうしばらく、お待ち下さいませ〜。
87 :
名無しさん@ピンキー:2008/08/31(日) 17:26:18 ID:q0H90yPO
期待age
お待たせしました〜。
只今より、『3V(ヴァリス・ヴァルキリー・バージョン)』第11章の発表を開始いたします。
なお、この章は、ほぼ全編、エロパロSSオリジナルのエピソードで構成されていますので、
ZOL先生のコミックと読み比べる際にはご注意ください
(コミック本編の時間軸で言うと、11話の中間あたり、
アイザードによって優子が現実界へと転移させられたのと同じ時期に起きた出来事とお考え下さい)。
(1)
ヴェカンティ。アイザードの居城。
「――――逃げるんだ、優子」
禍々しく熱せられた大気が憎悪を孕みつつ吹き寄せてくる中、
切迫した声で、蒼髪の少女を急かすプラチナ・ブロンドの魔道士。
しかし、彼女は、茫洋とした表情で周囲を見回すばかりで一向にその場から動き出そうとはしなかった。
危険が迫っている状況はかろうじて理解できているようだが、
それが、一刻も早く逃げなくては、という思考に結び付いていない。
・・・・否、むしろ、自分自身で何かをしようとする意志そのものが、完全に消え失せてしまったかのようだった。
(2)
(・・・・麗子がいる・・・・?)
気だるい感覚に支配された世界。
優子の意識は薄明の海原を行くあてもなくあてどもなく漂っていた。
視界は寒々とした灰色に染まり、海底に潜っているかのように聴覚も鈍っている。
目に映るもの、耳に聞こえるもの、肌に感じるもの、全てが曖昧で、
まるで、無声映画のフィルムに閉じ込められてしまったかの如く、現実味が無い。
(・・・・どういう事?これも、夢?それとも・・・・現実?)
麗子とアイザードの姿は視認出来ているのだが、
両者が何をしているのか?という所までは思考が働かない。
ましてや、ベノンの存在など、関心の対象にさえなっておらず、
せいぜい、二人以外の誰かが近くにいるようだ、という漠然とした感触しか持てずにいた。
(分からない・・・・一体、何が真実で、何が幻なのか・・・・?)
外の世界では、魔力を帯びた暴風が渦を巻き、
邪悪な瘴気を纏った剣が猛々しく唸りを上げ、灼熱の炎が嵐となって吹き荒れているが、
<戦士>の力を失い、魂までも病み衰えてしまった少女には、どうでも良い事でしかなかった。
そもそも、何故、自分がこんな場所にいて、こんな恐ろしげな光景を目の当たりにしなければならないのか?
という最も基本的な認識ですら、完全に崩壊してしまっていて、
バラバラになったジグゾーパズルのピースのような、無秩序なイメージの集積と成り果てていた。
(3)
(チィッ・・・・深層心理への干渉が強すぎた、か?)
一向に動き出す気配も無く、茫然としたままの<ヴァリスの戦士>の姿に、
内心で舌打ちを禁じ得ない、暗黒界の魔道士。
単なる洗脳や意識操作によって、自我を消し去り、捻じ曲げるのではなく、
心底から自分に依存し、追い求める――――下世話な言い方をすれば、自分に惚れる――――ように仕向ける・・・・、
青年の目論見は、九分九厘まで達成された状態にあったものの、最後の最後で齟齬を来たしていた。
彼女の心は、まさに彼がそうあれかしと願ったものへと変容を遂げているにも関わらず、
優子は未だ自身に起きた変化には気付いていない・・・・少なくとも、はっきりと意識しては。
(4)
(こうなったら、やむを得ないな・・・・)
小さく呟いて、アイザードは決断を下した。
目の前の少女が、心の在り様をしっかりと認識し、受容するには、きっかけが必要だ。
だが、(当初の予定とは異なり)ベノンによる襲撃・・・・迫り来る死の恐怖だけでは不足だった。
(恐怖では足らないのなら、実際に誰かの死に様を知覚させてやれば良い。
・・・・危険な賭けだが、現状では他に方法が無い以上は仕方ない)
万が一、それでも、混乱状態を脱し切れなければ・・・・万事休す、だ。
彼女はベノンに殺され、苦労して準備を積み重ねてきた計画も水泡に帰す。
ヴァリアが次の<戦士>を見付け出し、召喚を試みる頃には、
おそらく、ログレスの軍団が夢幻界を席巻し、ヴァニティ城への総攻撃さえ始まっているかもしれない。
「・・・・だが、賭けるしかない」
自分と夢幻界、いや、三界全ての命運を、優子――――<ヴァリスの戦士>の覚醒に・・・・。
(5)
帝都ヴェカンタニア。暗黒王の宮殿。
「何だッ!?」「宝物殿の方じゃないのか?」
慌しく駆けずり回る近衛兵共の足音に、暗黒界の支配者は、仮面の裏側で僅かに眉をひそめた。
やや間を置いて、近習の者が玉座まで走り寄り、恭しく頭を垂れる。
「陛下ッ、ご報告申し上げますッ!!」
『<ファンタズム・ジュエリー>か?』
玉座の主から発せられた言葉の響きは、下問というより、確認のそれ。
驚きのあまり、声を詰まらせた側近をつまらなそうに一瞥して、下がってよい、と退出を命じた仮面の帝王は、
この問題については一切興味を失ったと言わんばかりに、じっと黙り込んだ。
・・・・もっとも、無機質な黄金の仮面の奥では、未だ奇妙な熱を帯びた双眸が冷徹に計算を巡らせているのだが。
(6)
(アイザードめ、良く踊っておるではないか・・・・これまでのところは、だが)
<ヴァリスの戦士>と<ヴェカンタの戦士>――――・夢幻界と暗黒界、双方の切り札を手中に収め、
意のままに操る事によって、戦いをコントロールし、己に都合の良い状況を作り上げる・・・・、
元夢幻界人の魔道士の野心の大胆さと数々の下準備の周到さは、
今まさに三界の覇王の座を掴もうとしていたログレスにとってさえ、非常に興味深く感じられるものだった。
だからこそ、暗黒界の支配者は、敢えて夢幻界との決着を急ごうとはせず、
青年の野望の行き着く先を見届けようと、静観を決め込んでいたのだが・・・・。
(・・・・興が、醒めたわ)
麗子こそ首尾良く篭絡し、優子を捉える事にも成功したものの、
結局、彼女を完全に支配下に置く前に、
ベノン如きに――――無論、真の意図を気取られた訳ではないにせよ――――計画を阻まれ、
進退窮しているとは、興ざめも良い所だった。
勿論、アイザードの事だから、絶望的な状況の下にあっても、
逆転の可能性を探して、必死で智恵を働かせている所だとは思うが、
肝腎の<ヴァリスの戦士>が腑抜け同然の有様では、勝算など立つ筈もない。
(7)
(――――あるいは、あの夢幻界人には、まだ何か、秘策があるとでもいうのか?)
先刻、宝物庫から姿を消し去った宝玉の欠片を脳裏に思い浮かべながら、
もう一度考え込んだ黒衣の魔王は、しかし、すぐにかぶりを振って、その可能性を否定した。
魔道士が何を企んでいるにせよ、現実界の小娘に再起の目が無い以上、
いくらファンタズム・ジュエリーといえども、宝の持ち腐れに過ぎない。
(惜しかったな、アイザード・・・・所詮、あの娘では役不足だった、という事だ)
最後に、クククッ、と、ひとしきり喉を鳴らすと、
ログレスは優子についての検討を打ち切り、もう一人の<戦士>の処遇へと関心を移した。
――――<ヴェカンタの戦士>桐島麗子。
<ヴァリスの戦士>の命数が尽きたに等しい今、
彼女の利用価値ももはや無くなったも同然、と言っても過言ではない。
ましてや、アイザードの陥穽に嵌まったとはいえ、暗黒界の支配者たる自分を欺こうとした事実は事実、
重い処分を下されたとしても文句は言えない立場だろう。
(・・・・さぁて、如何にしたものかな・・・・?)
(8)
――――ヴェカンティ。何処とも知れぬ場所。
(ここは一体・・・・?)
訝しげな表情で周囲を見回す、赤毛の少女。
漆黒の闇に閉ざされた空間は、地底の迷宮なのだろうか、
重く淀みきった空気が、ぬばたまの<鎧>から伸びる華奢な手足をねっとりと包んでいる。
(・・・・つい、さっきまで、アイツの城で戦っていた――――いや、戦うフリをしていたのに)
あるいは、これも、プラチナ・ブロンドの魔道士の仕業なのだろうか?
たしかに、飛ばされて来る直前、
空間転移の呪文を詠唱するアイザードの声を耳にしたのは覚えている。
だが、優子は兎も角、(表向き、ベノンとの共闘関係を維持していた)自分まで、
あの場から転移させねばならない理由があったは思えない。
・・・・それとも、ここに飛ばされたのは、呪文の失敗か何かが原因なのだろうか?
(9)
(そもそも、あのイヤミなキザ野郎は何処にいるのよ?
いくら役立たずの優子を抱えていると言っても、
ベノン如きの追撃を振り切れない程の低能でもないでしょうに。
口の中でブツブツこぼしながら、
周囲の暗闇に目が慣れるのを待って、ゆっくりと歩き出す麗子。
わずかに感じる大気の流れは、この隘道が外界から完全に隔絶した空間ではないと教えてくれる。
同時に、微量に含まれている瘴気・・・・ヴェカンタの気配は、
足元にある大地が、現実界や夢幻界ではなく、暗黒界のものであると物語っていた。
(10)
(・・・・あのグズ、ちゃんと逃げ延びたかしら?)
どんよりと濁った黴臭い空気に内心閉口しながら、かつての親友の姿を思い浮かべる。
魔道士の罠に落ちて力を奪われた上、
記憶と感情まで操作されて、彼の意のままに動く木偶人形と化したハズのトロ臭い娘。
・・・・だが、最後の最後で、彼女は男の期待に背き、
差し伸べられた偽りの使命と偽りの愛を受け取ろうとはしなかった。
無論、その全てが抵抗の結果ではなく、偶然による部分も大きかったのだが――――。
(まぁ、アイツの事だから、これで終わりってワケではないでしょうけど)
アイツとは、(無論)アイザードであり、優子ではない。
本来ならば、再覚醒を遂げた<ヴァリスの戦士>と共にベノンを討ち取り、
次いで、ヴォルデスをも屠って、ログレスを孤立無援の状況に追い込んだ後、
反逆の狼煙を盛大に放ち上げる、という算段だったのだが、
優子が最後まで覚醒前の無気力状態を脱し切れなかったせいで、計画は振り出しに戻ってしまった。
まあ、何処までも冷徹で奸智に長けた青年の性分から言って、
ヘタレ娘と共に身を隠し、再起の機会を窺っていると考えてまず間違いはないだろうが。
(11)
(・・・・それにしても、嫌な雰囲気の場所ね)
全身にねっとりと絡み付いてくるような澱んだ息吹に、少女は苛立たしげな舌打ちを漏らした。
暗黒界の支配者から<ヴェカンタの戦士>の称号を授かった者とはいえ、
光の差し込まない場所でも自由に動けるという能力が備わった訳ではないし、
特段、暗闇の中にいると心が落ち着けるという訳でもない。
「・・・・まるで、あの家(ウチ)にいるみたい・・・・」
――――むしろ、長時間、漆黒の闇に包まれていると、
ヴェカンティの人間として生きる、と決断した際に捨て去った筈の、
苦々しい記憶の数々が脳裏に蘇り、過去からの亡霊の如く、執拗に追い縋ってくる。
戦前から続く名門にして近隣に名高い大資産家、という虚飾の下、
己の欲望のためには、血を分けた肉親ですら平然と犠牲にする、家族とは名ばかりの冷血動物の群れ。
何世代にも渡って骨肉相食む争いを繰り返してきた、桐島一族の当主の一人娘として、
麗子は、生まれた時から、嫉妬と羨望のまみれた大人たちの視線に曝され続けてきたのである。
(12)
「・・・・ええい、あんな奴らの事なんて、もうどうでもいいのよッ!!
今のわたしは、<桐島家のお嬢様>なんていう小綺麗なだけの飾り物の人形じゃなくて、
<ヴェカンタの戦士>――――暗黒の力をふるって自分の道を切り開く、人間なんだからッ!!」
必要以上の大声を張り上げ、激しくかぶりを振りながら、
赤毛の少女は、思い出したくもない想い出を頭の隅へと追いやった。
荒々しい怒号が生温い大気を鳴動させ、
ヌルヌルとした黒いカビ状の物体に覆われた地底の岩盤の間を木霊する。
(馬鹿みたい・・・・こんな状況で、何やってるんだろう?)
怒りを発散させたせいだろうか、幾分すっきりした気分になった麗子は、
やや自嘲気味に笑みを漏らすと、足を止めて額の汗を掌で拭った。
肌に触れる大気の感触は、相変わらず、不快さに満ちているが、
出口に近付いた分だけ、空気の流れがはっきりと知覚出来るようになっている。
おそらく、あと小一時間も歩けば、忌々しい穴蔵ともオサラバできる筈だ・・・・、
そう判断した彼女はゆっくりと呼吸を整え、前進を再開すべく、更なる一歩を踏み出そうとした。
――――だが、次の瞬間。
(13)
・・・・・・・・ズブリ。
何気なく踏み出した爪先を受け止めたは、
硬い地面ではなく、ドロドロとした汚泥の感触だった。
「し、しまったッ!!こんな所に地割れがあるなんて・・・・!!」
驚愕の声を発する麗子。
急いで脱出を計るものの、絡め取られた足首は、
岩肌を覆っているカビ類が沈殿して出来たタール状の底無し沼にズブズブと沈んでいき、
すぐに膝の辺りまで呑み込まれてしまった。
手近な岩石に必死にしがみ付き、大地の亀裂から這い上がろうとするが、
渾身の力を込めて握り締めた岩盤は、あろう事か、両手の指の間で脆くも砕け散ってしまう。
(14)
「そ、そんなッ・・・・あぐうううッ!!」
信じられない、という目で、麗子はボロボロと崩れ去っていく命綱を眺めやった。
悲痛な呻きと共に、沈降を食い止める術を失った彼女の身体は、
再度、腐敗した臭気を放つドロドロの液体の中へと引き摺り込まれていく。
無論、どす黒く濁った汚汁を跳ね上げつつ、何度も泥地獄から脱け出そうとするのだが、
その度に、カラダはますます深みにはまっていき、ついには殆ど自由が利かなくなってしまった。
「あああッ・・・・こ、こんなッ・・・・こんな事がぁッ・・・・!!」
汚泥の中からかろうじて顔だけを突き出して、
刻一刻と迫り来る理不尽な死に対し、あらん限りの悪態をぶち撒ける<ヴェカンタの戦士>。
これまでの人生も、生まれ育った世界も何もかも捨て去って、やっと手に入れた、自分が自分でいられる世界が、
何の前触れも無く、幕を下ろされようとしている不運へのやり場の無い怒りが空気を震わせる。
だが、すでに無力となった手足は地の底へと誘われていき、
溺死の恐怖に青褪め、引き攣った表情もまた、一秒ごとに、泥に埋もれて見えなくなっていく。
・・・・やがて、不幸な赤毛の少女は、完全に底無し沼に没し去り、
最後まで喧しく響き渡っていた叫び声も、
漆黒の水面の遥か下層、貪婪に顎を開いた暗渠へと吸い込まれて、聞こえなくなった――――。
(15)
『・・・・麗子』
わたしを呼ぶ声。
もう、何も聞こえない筈なのに、一体、どうして・・・・?
『・・・麗子・・・・』
――――また聞こえてくる、あの声。
・・・・一体、誰なんだろう?
酷く禍々しい、それでいて、とても懐かしい、男の声。
『・・・・お気の毒ですが、お嬢様はもう・・・・。
発見があと少し早ければ、回復の可能性もあったのですが・・・・』
これは・・・・この声は・・・・まさか!?
(16)
(やめてッ!!思い出させないでッ!!)
『それで・・・・警察の方には何と連絡を・・・・。
お嬢様のご様子では、事故と言い張るのは難しいかと存じますが・・・・』
(やめてッ!!・・・・お願い・・・・その先は・・・・!!)
『それはならん・・・・断じてならんぞ。
私の一人娘が、男に勧められて覚醒剤に手を出したというだけでも十分に恥さらしな話だ。
ましてや、薬物性ショックで植物状態に陥ったなどと世間に知られたら、桐島家の体面は丸潰れになる』
『では、どのように?』
『男の方は口を塞げ。
麗子は・・・・やむをえん、何か適当な病名をつけて『病死』させろ。
いいな、警察やマスコミは勿論、私以外の家の者にも絶対に知られてはならんぞ・・・・』
(・・・・ああ・・・・やめて・・・・もう・・・・やめ・・・・て・・・・)
(17)
『――――久しぶりに、前世を思い返してみるのも一興だったかな?』
(・・・・!?)
聞き覚えのある声――――否、頭の中に直接響き渡ってくる、思念――――に、
ぎょっ、となって、顔面を凍りつかせる麗子。
『フフフ、いささか刺激が強すぎたのかな。我が<戦士>殿?』
「・・・・・・・・」
黙り込んだまま、返答を返さない少女に向かって、暗黒界の支配者は低く笑ってみせる。
喜怒哀楽をはじめとする感情の一切を感じさせない、乾き切った笑い。
・・・・それは、アイザードとの関係がすでに察知されている、という事実を悟らせるに充分なものだった。
反射的に<影の剣>を実体化させ、身構えようとした<ヴェカンタの戦士>だったが、
手足は、すでに何らかの魔術的手段によって、雁字搦めに緊縛されており、
愛剣を出現させる事はおろか、満足な身動きさえ叶わない。
(18)
『・・・・心配は無用だ。生命まで奪おうとは思わぬ。
予は過ちに対しては寛大だ・・・・汝の父親とは違って、な・・・・』
発した言葉とは裏腹に、ログレスの口調には寛大さなど微塵も含まれてはいない。
だが、目に見えないロープによって縛り上げられ、指一本動かせない赤毛の女囚は、
鳩尾に冷たいものを覚えつつも、成り行きに身を任せる他無かった。
(殺しはしない・・・・でも、あっさり許す気も無い、という訳?)
努めて平静を装おうとはするものの、表情を取り繕うのが精一杯で、
カラダの震えや心臓の戦慄きまでは止めようも無かった。
実際、黒衣の魔王は、生命は保証する、とは言ったが、
それ以上のもの――――自我、あるいは、正気――――についてまでは、何の約束もしていない。
麗子にとっては、面と向かって処罰を言い渡されるよりも、この沈黙の方が何倍も不気味で恐ろしかった。
(19)
『フフフ・・・・まずは、こんな趣向はどうかな?』
暗黒王の人指し指が、パチン、と乾いた音を立てた。
同時に、強大な魔力が、四方八方から華奢な身体に向かって吹き寄せ、包み込む。
思わず、ぎゅッ、と目を瞑り、全身を硬直させる麗子。
両手両足が今にも引き千切られそうなくらいの怪力で引き伸ばされてビキビキと悲鳴を発し、
関節が許容出来るギリギリの所まで強引に捩じ上げられていく。
「あぐぅうううッ・・・・!!」
苦痛に呻く虜囚の足元から、何か大きなモノがせり出して来る。
――――次の瞬間、麗子は、拘束された姿勢のまま、ガクン、と真下に落とされ、
全く無防備な状態の内股を、その物体・・・・硬く冷たい大理石製の拷問器具の上へと叩きつけた。
少女のカラダの中で最も柔かく、打たれ弱い部分を、強烈な衝撃が貫き、
一瞬、視界が閃光の嵐で埋め尽くされたかと思うと、
腰椎を巨大なハンマーで粉砕されたかのような激痛が股間から脳天へと駆け上がっていく。
(20)
「ひぃッ・・・・ぐがぁああぁぁッッッ!!!!」
痛みと恐怖のあまり、カッ、と見開かれた双眸に映ったのは、
黒大理石を彫り込んで作られた、筋骨隆々たる悍馬の彫像。
そして、背中を跨ぐ格好で、打ちつけた両脚の付け根を深々と鞍上に食い込ませている自らの下半身・・・・。
「ま、まさか・・・・これは!?」
更によく目を凝らせば、石像の背中の部分が、
子供の頃に図鑑で目にした、アジアの砂漠地帯に住む双コブ駱駝のように、異様な形に盛り上がり、
黒絹のプリーツ・スカートと下穿きに包まれた乙女の腰周りを、
前後から挟み込み、ずり落ちないようにがっちりと固定している。
異形の馬体は、彼女の下半身にピッタリとフィットし、薄気味悪いほどの密着感を演出していた。
それだけならまだしも、鞍下にあたる場所には、
股布一枚隔てただけの恥裂の形状にぴったりと合致する細長い溝が穿たれており、
空洞内では、這いうねる無数の触手がジュルジュルと妖しい粘着質の旋律を演奏し続けている。
(21)
「くッ・・・・ううう・・・・あうぅぅ・・・・!!」
薄い布地越しに秘所に伝わる冷たい石肌の感触に慄然となり、うなじを逆立てた赤毛の少女は、
必死に身を捩るものの、魔性の呪縛は依然として手足を絡め取ったままだった。
漆黒の恥刑台からの脱出はおろか、満足に身動きもままならない美しき反逆者に可能なのは、
自分を処罰するために特別にあつらえられたのであろう、陰惨な責め具の効能を思い浮かべながら、
押し殺した声を漏らし、拘束された弱々しく体を揺らす事のみ。
胸郭の内側では、心臓が早鐘のようにバクバクと鼓動を刻み、
背筋には無数の汗粒がじっとりと滲み出して、皮膚の上を油膜のように覆っている。
『・・・・どうした?一体、何を怯えているのだ?
暗黒界の支配者たる予を相手に勝負を挑む程の<戦士>に、怖いものなど無かろうに?』
相変わらず、ログレスの思念には、一片の憐憫も感じられない。
そこにあるのは、裏切り者に対する冷たい怒りと嘲り、
・・・・そして、この機会に、死よりも、遥かに辛く、おぞましい懲罰を与えて、
二度と反逆など思い付けないよう徹底的に躾を施さねばならぬ、という断固たる決意。
冷酷非情の統治者としての本性を露呈させた暗黒王を前にして、
抗う術とてない少女は、極限まで恐怖を募らせ、打ち震えるだけだった――――――――。
(22)
「あぐぅッ!!ああッ・・・・だめぇ!!くひいィィッ・・・・!!」
不可視の荒縄に縛められたカラダが見事な半月形に反り返っている。
魔力によって身動き出来なくされた下半身が責め嬲られるたび、
あちこちの関節が、ギシッギシッ、と不気味な軋ばみ、
汗の飛沫が銀色の輝きとなって周囲に飛び散っていった。
「ダ、ダメェ・・・・グリグリしないれェェッ・・・・ひはぁああッ!!」
一体、どれぐらいの時間が経過したのだろうか?
すでに正確な思考も感覚も、麗子の頭からは完全に消え失せてしまっていた。
馬上に引き据えられた格好のまま、触手の群れによって性感を貪られている女囚の体は、
屈辱感と羞恥心を存分に煽り立てようとしての事だろう、
腰から上を覆う漆黒の甲冑は、バンダナとスカーフだけを除いて全て剥ぎ取られ、
色白な肩口もやや小ぶりな胸の脹らみも露わにされて、暗黒界の生物のおぞましい愛撫に晒され続けている。
唯一の救いは、淡雪のような柔肌の中でも特に白さの目立つ一対の美乳の山頂で、
ツン、と先端を尖らせているピンク色の乳首は、今の所、触手生物の標的からは外されている事だったが、
それとて、魔王の気分一つで、どうなるか知れたものではない。
(23)
一方、腰から下の甲冑はと言えば、奪い去られた物こそ無かったものの、
無数の怪生物がひしめく馬の背に固定された恥部を護るモノと言えば、
元より、薄手の絹地で出来たスカートと同色のショーツ以外には存在しない。
無論、普段の状態であれば、単なる下穿きといえども、
<ヴェカンタの戦士>の鎧を構成する武具の一つである以上、強力な闇の加護が込められており、
下等な魔物如きが束になって襲ってきても、触れる事さえ出来なかっただろう。
だが、今の彼女は、ヴェカンティの支配者によって、その力の全てを封印された状況にあり、
知能さえ無い下等生物からの責め嬲りという、最低最悪の恥辱を甘受せざるを得ない立場にある。
・・・・・・・・ぐちゅッ・・・・ぶちゅる・・・・じゅちゅッ・・・・ぶじゅるるる・・・・!!
間断なく響き渡る、卑猥な粘着音。
何処にも逃げ場の無い馬体の両側では、色とりどりの触手に巻きつかれたしなやかな太腿が、
気味の悪い分泌液を塗りたくられ、不規則な痙攣を繰り返していた。
さらに視点を移動させると、半透明な粘液に穢されたスカートを、
ヌメヌメとした鈍い光沢を発する、鱗の剥げ落ちた蛇のような肉縄が捲り上げ、
ビショビショに濡れまみれたショーツの中にまで頭を突っ込んで、暴れ回っている。
(24)
「んぁあッ・・・・はくぅッ!!ああッ・・・・もう・・・・い、いやぁッ!!」
紅潮しきった顔面はあさましい欲情に支配され、だらしない愉悦の表情を浮べつつ、蕩けきっている。
不可視の魔縄に緊縛され、後ろ手に拘束されている両手は、
手の平に爪が食い込んで血が滲むほど、固く、きつく握り締められ、
全身に広がった快楽の火照りに煽られるまま、ブルブルと震え慄いていた。
(――――ハァハァハァ、だめェ・・・・ガマンできないッ!!
あああ・・・・アソコもお尻も・・・・熱くて・・・・グチョグチョで・・・・おかしくなりそう・・・・!!)
喉元まで出かかった、あさましい嬌声を、
僅かに残った理性で必死に押し留めながら、火照ったカラダを波打たせる。
とりわけ、この期に及んでもまだ攻撃対象から外されたままの胸元では、
真っ白な汗粒にびっしりと覆われた乳房の上で、淡いピンク色の肉突起が、精一杯、背伸びをしつつ、
あたかも、他の場所と同じように情け容赦なく弄って欲しい、と懇願するかのように、
びゅくん、びゅくん、と、扇情的なひくつきを披露していた。
(25)
「ふひぃぃッ!!・・・・はぁはぁ・・・・あくぅうううッ!!」
無論、その間も、異界の生物は前後の穴に対して次々に攻撃を仕掛け、
下半身の感覚がなくなる程の快楽を注ぎ込んでいる。
最後の守りである黒絹のショーツは、奇跡的に未だ形を留めているものの、
吐き出されたドロドロの分泌液と己自身の秘裂から溢れ返る愛液とによってグジュグジュに濡れそぼり、
もはや、衣服としての最低限の機能すら果たせなくなってしまっていた。
「あくうううッ!!あッあッあッ・・・・ひはぁあぁぁッ!!」
肩口に達する手前で切り揃えた紅い頭髪を盛大に振り乱しながら、
肉欲に歪みきった表情を涙と涎と鼻汁とでベトベトにする麗子。
あさましい欲情に洪水状態となった恥丘の上では、
普段は慎ましく縮こまっているピンク色の陰核が、
今にも破裂しそうなくらいに腫れ上がった脹れっ面を、肉莢の内側から、ぴょこん、と突出させている。
その真下に位置する恥ずかしいクレヴァスの裂け目には、
沖縄特産のニガウリを連想させる、外皮に小さなイボイボのついた触手が数本
代わる代わる没入しては、狭い膣道をこじ開けて、子宮に到達するまでタイムを競い合っていた。
(26)
すでに抵抗を諦めてされるがままになっている秘裂に向かって、
異形の魔物たちは、入れ替わり立ち代り、執拗に侵攻を繰り返す。
疲れも倦みを知らない侵略者の前に、少女の体力はすぐに底を尽き、
しばらくすると、気力さえも限界へと近付いていった。
(く、悔しいッ・・・・こんな、触手なんかにッ・・・・!!
あああ・・・・で、でも・・・・イイッ・・・・気持ち良過ぎるぅッ・・・・!!)
弱々しくかぶりを振りながら、自身の不甲斐なさを呪い、責め苛む。
快美感に屈した肉体はトロトロに蕩け切り、
サーモンピンクの花弁からは半透明な淫汁が止め処なく流れ落ちていた。
限界まで膨らんだ陰核が、滑らかな黒大理石の表面に押し付けられるたび、
ぞっとするような冷たさと綯い交ぜになった法悦が下半身をガクガクと揺さぶって、
まるで、別の生き物のように、ビュクン、ビュクン、と激しく脈打たせている。
(27)
「ふひゃああッ!!ら、らめぇッ・・・・お尻もなんてッ!!」
一方、白桃色に色付いたヒップの谷間に息づく、密やかなすぼまりを担当していたのは、僅かに一本だけ。
太さは麗子の親指よりも一回り大きい程度、表面には目立った凹凸やヒダなどもなく、
一見、何の変哲も無い、ごくシンプルな形状をしたその肉蛇は、
しかし、女体を責め嬲る能力において、膣を受け持った連中に優るとも劣らなかった。
「くひゃぁぁッ!!な、なんなの・・・・これぇぇぇッ・・・・!?」
恥裂と同様、トロトロに蕩けかけていた菊門の、形ばかりの抵抗をものともせずに潜り抜けた直後、
平凡な見てくれの触手生物は恐るべき本性を明らかにした。
排泄器官の中へと侵入を果たした肉突起は、何本かのより細い触腕へと枝分かれし、
さらにその一本一本から、何十もの繊毛が生え出てきて、一斉に蠢き始めたのである。
もしも、彼女の皮膚と内臓を透視して、体内の様子を直接視認出来る者がいたとすれば、
肛門と直腸とを繋ぐ、狭い回廊の内側を何匹もの奇怪な毛虫がひしめき合いながら這いずり回っている、
一目見ただけで吐き気を催すような、おぞましい光景を瞼に焼き付ける事になっただろう。
幸か不幸か、少女自身がその光景を目にする事は無かったものの、
アナルの奥で蠢いている得体の知れない怪生物についての想像は脹らむ一方で、
頭に思い描くその姿形は、時間と共に、実態以上の恐怖をもたらす存在となって彼女を責め苛むのだった。
(28)
・・・・グチュッ!!ギュプッ・・・・グチュルルッ!!
腸壁の許容出来る体積を遥かに上回る異形の軍団が、
肛門から直腸にかけての狭い空間に潜り込み、激しくのたうち回った。
そのたびに、半剥けになった尻たぶが、ブルブルッ、と震え、
内股の筋肉がキリキリと引き攣って、黒大理石の馬腹をあさましく締め付ける。
「ヒィィッ・・・・ひゃ、ひゃめてえェェェッ!!
オヒリの穴・・・・も、もうダメ・・・・あああ・・・・漏れる・・・・あふれちゃううッ!!!!」
真っ赤に上気した顔面をクシャクシャに歪めながら、赤毛の少女は盛大に泣き叫ぶ。
だが、非情な魔道の呪縛によって拘束された四肢に許されているのは、
鞍上から僅かに数センチメートル腰を浮かせて、最大で彼女の肩幅分程度、左右にスイングさせる事だけ。
無論、アナルを深々と穿ち抜いた淫蟲を振り払う事など出来る筈もなかった。
極限まで拡がったすぼまりからは、
僅かに黄色く濁った粘汁・・・・通常は、排泄物の通りを良くするために、直腸の肉襞から分泌される腸液が、
不規則な間隔を置いて、ピュルッ、ピュルッ、と間欠泉のように迸っていた。
幸い、暗黒界の住人として転生した後は、
食事を摂らねば生命を維持出来ない、という現実界の原理からは解放されており、
従って、腸内には糞便や消化中の食物といった見苦しい代物は一切存在していないのだが、
だからと言って、こんな格好のまま、腹中の物体をひり出すという行為が最悪の恥辱であるのは変わり無い。
(29)
「あああッ・・・・も、もうだめぇッ!!
しょ・・・・触手に犯されて・・・・ヒィィッ・・・・イッちゃうぅぅッッッ!!!!」
拘束された下半身が、ひときわ大きく波打つのと同時に、
赤熱した快感の塊が子宮の奥底から込み上げてくる。
強烈な肉悦の衝撃波が瞬時に全身へと広がっていき、
脳味噌の内部を快楽物質で満たし、神経という神経をズタズタに寸断して、
最後に残っていた理性の残滓をも綺麗に吹き飛ばしてしまった。
・・・・ぶじゅううッ・・・・じゅぼじゅぼッ・・・・ぐじゅじゅるるる・・・・!!!!
ほぼ同時に、限界に達した尻穴からも、
腸液に濡れまみれた繊毛まみれの肉塊が派手な飛沫と共に噴き出していく。
内臓が弾け飛ばんばかりの内圧が下腹部をビクビクと痙攣させ、
今まで一度も味わった経験の無い快美な感覚が肛門のすぼまりを無様に押し拡げた。
もはや、悲鳴を発する気力さえ萎え尽きてしまった麗子は、
灼けつくような業火が直腸を熱く煮え滾らせ、屈辱的な馬上排泄を強要するたびに、
肛虐の悦楽にだらしなく表情を蕩かせ、拘束されたカラダを不規則にびくつかせる。
(30)
アクメに達した前後の淫穴からもたらされる恥辱のエクスタシー。
為す術もなく屈服した赤毛の少女は、更なる悦楽を求めて牝犬のように腰を振り始めた。
熱気を帯びた肉体は喜悦の波動に浮かれ騒いでザワザワと総毛立ち、
身体中の毛穴から、壊れた蛇口から溢れ出す水道水のように、沸騰した汗粒が湧き出してくる。
「ふひゃあああ・・・・ら、らめぇ・・・・もう・・・・もう・・・・」
頬は紅く色付き、白痴のように、ぽかん、と開け放たれた口元からは、
鈍い銀色に輝く涎の糸が細長い滝となって垂れ流れている。
ラベンダー色の瞳は、酩酊状態に陥ったかの如く、トロン、とぼやけきり、
怜悧な知性の光も苛烈な意志の力も悉く姿を消してしまっていた。
視界にはショッキング・ピンクの靄が深々と立ち込め、
あたかも、目に映るもの全てが形を失い、渾然一体となって混じり合っているかのように、
曖昧で捉えどころの無いものとしてしか認識出来なくなっている。
(31)
「あああ・・・・お、お許しを・・・・どうか・・・・もう・・・・もう・・・・」
弱々しく擦れかかった声で、涙ながらに哀願を繰り返す囚われの<戦士>。
勿論、冷酷非情な暗黒界の支配者が願いを聞き届ける可能性は皆無に等しい、と分かってはいるのだが、
どんなに無意味な言葉であっても、舌を動かしていなければ、
増大し続ける淫靡な欲望が言語中枢を支配してしまうような気がしてならなかった。
実際、今この瞬間も、頭蓋骨の内側では、
『お尻の穴をもっと虐めて』『膣も子宮も徹底的に弄り抜いて』などと、
あさまし過ぎる叫びが木霊し合い、幾重にも重なり合って蟲惑的な和音を奏でている。
『フフフ、他愛ないな、麗子。・・・・だが、まだ終わりではないぞ?』
「あああッ・・・・そ、そんなッ!!」
母親に駄々をこねる幼児のように激しくかぶりを振る赤毛の女囚。
だが、両の眼には、恐怖と嫌悪の感情の他に、
更なる肉のヨロコビを欲し求めるあさましい牝の劣情がチラチラと垣間見えていた。
事実、触手生物達の波状攻撃によって、最低最悪の絶頂へと引き摺り上げられた挙句、
恥辱と苦悶とにのた打ち回っている筈の意識の中は、
もっとおぞましく、背徳的な行為によって穢し尽くされたい、という被虐願望によって席巻されつつある。
(32)
『フフフ、考え違いをするではない。
最初に言った通り、予には汝を罰するつもりなどない。ただ・・・・』
石像の胎内では、一度はおとなしくなった異形達が、再度、活発に蠢き始め、
まるで獲物を前にしたハイエナが舌なめずりをするような、粘ついた水音が聞こえてくる。
その音を耳にし、動きを感じ取った少女は、
我知らず、くはぁッ、と、小さな喘ぎ声を漏らし、達したばかりの膣穴を、キュウウ、とすぼめてみせた。
『・・・・ただ、汝の予に対する忠誠を確認したいだけなのだ。
今後も予の臣下で在り続けたいという、汝の意志が真実かどうかを・・・・』
麗子の哀願に対するログレスの回答は(予想通り)にべもなかったが、
言葉にはならなかった、本当の願望については寛容だった。
華奢な裸身を緊縛し、自由を奪っていた不可視の荒縄が、すううっ、と消え去ったかと思うと、
大理石の黒馬が、前脚を折って、馬首を下げる。
『降りろ』という意味だと気付いた<ヴェカンタの戦士>が、
フラフラと力の入らない体を苦労して動かし、どうにか指示に従い終えると、
漆黒の石像は、再び立ち上がった・・・・今度は、二本の後ろ脚だけで。
(33)
『――――!?』
驚きに両目を瞠る虜囚の前で、黒い魔像は、みたび変容を開始する。
隆々たる筋肉に鎧われた黒い馬体は、重厚な威厳をまとった裾長の大マントへと、
今にも動き出しそうなくらいの精悍さに溢れた面立ちは、
見るからに威圧的な雰囲気を宿し、不吉なオーラを放つ、無表情な黄金の仮面へと・・・・。
『・・・・さあ、麗子、汝の忠誠を示してみよ。
汝が、予の<戦士>たるにふさわしい者だという事を・・・・』
――――バサァアアアッッッ!!!!
漆黒の長衣が大きくはだけられ、筋骨隆々たる鋼の肉体が姿を現す。
ブロンズ像を思わせる浅黒い肌、一分の隙も無く引き締まった筋肉、赤黒く浮き上がった太い血管。
麗子自身、初めて目にする、マントの下のログレスのカラダは、
禍々しい程の美しさと猛々しさと共に、内に秘められた強壮無比な力を感じさせずにはいなかった。
とりわけ、密林のような剛毛の中から天を衝いて聳え立つイチモツは、
人間離れした巨大さは勿論、嗅いだだけで窒息してしまいそうな濃密な牡のフェロモンを漂わせており、
触手生物によって散々に弄ばれた女囚少女が魅惑に堪え得るのは到底不可能だった。
122 :
名無しさん@ピンキー:2008/08/31(日) 23:41:18 ID:OEJBnMHs
支援?
下げ忘れorz
(34)
「ふはぁ・・・・ああ・・・・あああッ!!」
吸い込まれるようにしてログレスの許へと這い寄った赤毛の少女は、
ビクビクと小刻みに脈動する逞しいイチモツを仰ぎ見ながら、ハァハァと荒い吐息を漏らした。
拘束を解かれたばかりでまだ痺れの残る腕が自然に伸びて、
白く細長い指先がはちきれんばかりの充実感を蓄えた肉竿を包み込む。
「・・・・・・・・」
もはや、言葉は不要だった。
熱っぽく潤んだ瞳で、無表情な仮面の支配者を見上げた麗子は、
発情した牝犬のようにハァハァと息を荒らげながら、
圧倒的な迫力で迫る剛直を両手で押し戴き、黒光りする亀頭に唾液まみれの舌先を這わせていく。
・・・・だが、そこまでだった。
(精神はともかく)彼女の肉体は、あらゆる点で常識を逸脱したイチモツを受け容れるには未熟過ぎた。
口腔でさえ、桁外れの巨根を喉奥まで導き入れるにはあまりに小さく、
まだ半分近くを残しているというのに、早くも気道を塞がれて、苦しそうに噎せ返ってしまう。
はずみで、陰茎に歯先が当たったらしく、
仮面の下で冷やかな笑みを浮かべていた両の眼が、ほんの一瞬、不快げに細められた。
(35)
(フン、こやつも所詮は小娘か。
・・・・まあ、良かろう。一応、まだ利用価値はある)
微かな失望を覚えつつ、暗黒界の支配者は、
やにわに、漆黒のマントを反転させて、跪く<戦士>のカラダを包み込んだ。
突如として、視界を漆黒の闇に奪われた赤毛の少女は、
剛直の先端を口に含んだまままま、驚きに声を震わせ、全身をびくつかせる。
「むぐッ・・・・ぐぅううッ!?」
『――――さあ、行け。行って、もう一度、<ヴァリスの戦士>と戦うのだ。
ただし、殺してはならぬ・・・・必ず生かしたまま、予の前に引き連れて来い。分かったなッッ!!』
雷鳴のような怒号が響き渡った、次の瞬間、
麗子の意識は、ぷつり、と途切れ、
・・・・そして、底知れぬ無明の闇の中へと転がり落ちていった――――。
(36)
次元の狭間。何処とも知れぬ場所で。
『どうやら、優子とベノンは向こうに辿り着いたようだな。・・・・問題は、麗子か』
ユラリ、と揺らめく、影法師のような曖昧な輪郭の何か。
それが、己れが生まれ育った世界を捨て去ってまで手に入れた、
ログレスの君寵と暗黒五邪神の座をフイにしてしまった青年魔道士、アイザードの成れの果てだった。
『それと、この体だな・・・・早く依代となる者を見付けなければ』
ベノンの炎の魔術によって、美しいプラチナ・ブロンドの肉体は灰燼へと帰していた、
かろうじて逃亡に成功した霊体も、
時間と空間の狭間――――三界を律する法則が曖昧に入り混じっているこの場所でなければ、
長く留まっている事は出来ない、ひどく不安定な存在と化している。
誰か、あるいは、何かに憑依しない限り、三界への影響力は微々たるものでしかないばかりか、
時間が経てば、世界の法則に抗しきれずに存在自体が希薄化し、消滅してしまう可能性も否定しきれない。
『・・・・選択肢は、あまり多いとは言えないな。
デルフィナか、あるいは、あの子竜か・・・・さて、どうしたものか?』
――――――――TO BE CONTINUED.
以上、第11章をお送りいたしました。
お楽しみ頂けたのであれば幸いに存じます〜。
なお、途中で一度、連投規制のため作業が中断いたしましたが、
適切なフォローのお陰で再開する事が出来ました。
ご支援を頂いた方、大変有り難うございました。
今章で、麗子がログレスの側に引き戻された事により、
エロパロSSとコミック本編のストーリー展開の齟齬は(一応)解消された形となりました。
次章(第12章)は、現実界に戻ってきた優子がデルフィナと出会い、
ベノンに襲われて渋谷の市街地を逃げ回る、コミック本編とほぼ同じ流れで進行する予定です。
ただし、コミックでは、優子・デルフィナとベノンは、そのまま戦いに雪崩れ込むのですが、
そこまで忠実に展開を追うとなると、エロ描写を挿入するシーンがなくなってしまいますので、
エロパロSSでは、一旦、デルフィナのアジトに隠れ、手傷を癒しながら、
相互の心を近付け合っていく・・・・という感じで考えています(ちなみに、デルフィナ×優子です(笑))。
完成・発表は10月末頃を目指しています。
しばらくの間、お待ち下さいませ〜。
乙です
いつも楽しみにしています
御馳走様でした
業者乙
hoshu
私生活が忙しくてこのスレのこと忘れてしまい
4年ぶりに探してみたら、まだ続いてたのですね。すごい・・・
っと、乙であります!!
135 :
名無しさん@ピンキー:2008/09/15(月) 04:39:03 ID:oiu5s8E5
ヴァリアさまがメガスに陵辱される
シーンってどこかにないかな?
コミヴァ更新来た
137 :
名無しさん@ピンキー:2008/09/24(水) 00:25:13 ID:PN0CHSpb
_______________________
|| 朝日新聞が支持 ||
||辻元清美、村山富市、土井たか子、加藤紘一、民主党 ||
||外国人参政権、従軍慰安婦(1991年捏造)、ゆとり教育 .||
||南京大虐殺(1972年捏造)、人権擁護法案 ||
|| ||
|| 朝日新聞が不支持 ||
||橋下徹、石原慎太郎、前原誠司、安倍晋三、麻生太郎 ||
||公務員改革、防衛庁、靖国参拝(問題化)、 ||
||スパイ防止法、竹島は日本領土、道徳教育 .||
|| ∧ ∧ 。 ||
|| ( ,,゚Д゚)/ .||
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ノ つ  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
/  ̄ ̄ ̄ /|
| ̄ ̄ ̄ ̄| |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|____|/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
麻生支持でおk ∧,,∧ ∧,,∧ おk
∧ (´・ω・) (・ω・`) ∧∧
おk ( ´・ω) U) ( つと ノ(ω・` ) おk
| U ( ´・) (・` ) と ノ
u-u (l ) ( ノu-u
おk `u-u'. `u-u' おk
138 :
天照大神:2008/09/24(水) 08:34:24 ID:JuZEKn+h
サンドイッチマン
hoshu
『コミック・ヴァルキリー』最新号購入しました。
ZOL先生のヴァリスは・・・・やっと、優子が<ヴァリスの戦士>として戦う宿命を受け入れた模様。
まあ、麗子との戦いには未だ躊躇を感じているようですが、これは致し方ないでしょう。
最後の暗黒五邪神である雷邪ヴォルデスも登場しましたが、
(ゲーム本編とは違い)非常に理性的で、かつ、麗子に対して一定の好意を持っている印象を受けました。
今後、優子とどう関わっていくのか?興味深いところです。
細かい所では、新たに優子の装備に加わった盾のデザインが、
FC版のそれを忠実になぞっていた点に、よく研究してるな〜、と感じました。
で?
>>140 優子ちゃんが戦士の自覚に目覚めてベノンに立ち向かう姿は格好良かったけど
これからは悩んだり苦しんだり時には泣き出したりする優子ちゃんを見られなくなると思うと少し寂しい気がする
心を折ってやればいい
ヴァルキリー版ヴァリスの二巻はマダ〜?
>>144 2月発売予定だそーだ。もうちょい辛抱しろ。
147 :
名無しさん@ピンキー:2008/10/12(日) 17:48:40 ID:vnsYidXS
「鎧も粗末な、かような扇情的な衣装でそれを言うか…」
い、いかんセリフが勝手に思い浮かぶ…
hoshu
>>147 Pixivからの広い物です絵は単品なので続きはありません><
>>145 まだ連載やってるんだw wktkして来た!
152 :
名無しさん@ピンキー:2008/10/22(水) 10:09:00 ID:T0GtTn3P
そろそろ保守
hoshu
パンツ脱いで待機
パンツじゃないからはずかしくないもん!
お待たせしました〜。
『3V(ヴァリス・ヴァルキリー・バージョン)』エロパロSS第12章、
たった今、完成いたしました。
なお、発表は、本日の22:00頃より開始する予定ですので、
お手すきの方は、連投規制回避のためのご支援を宜しくお願いいたします。
157 :
名無しさん@ピンキー:2008/11/02(日) 02:34:25 ID:msTGXIAn
もしあなたが携帯電話からの書き込みが出来るのなら以下の方法を試さない理由を私は知りません。
連投規制にかかったあなたはこれを行ないます。
大抵はスレッドの一番上にある■24時間でおとどけ■ 2ちゃんねるが採用した T-Bananaサーバー に携帯電話からの書き込みを実行します。
このスレッドは書き込みを実行してもスレッドにメッセージが表示されません。
しかしあなたの書き込みと別のIDが書き込まれたと認識した板はあなたのIDの続けての書き込みを規制しないでしょう。
そしてあなたはあなたの書き込みを誰の手も借りずにあなた自身の手で行なう事が出来るのです。
あなたはこの方法を実施するべきだと私は確信しています。
お待たせしました〜。
只今より、『3V(ヴァリス・ヴァルキリー・バージョン)』エロパロSS第12章の発表を開始いたします。
なお、私は、携帯電話を持っていませんので、
>>157の方法は利用できません。
御手数をお掛けして誠に申し訳ないのですが、
御時間に余裕のある方がいらっしゃいましたら、どうか、ご支援方宜しくお願い申し上げます。
(1)
――――時間と空間の狭間。
『・・・・優子・・・・優子』
仄かな光に包まれた少女が、永劫に続く漆黒の闇の中を流されていく。
彼女に呼びかける若い男の<声>。
<戦士>の力を奪い、捕縛し、言語に絶する陵辱と調教によって手駒と為そうとした憎むべき敵
だが、同時に、彼は、同胞である筈のベノンから、自分を庇ってくれたのみならず、
己れの生命を投げ出してまで危地から脱出させてくれた、恩人でもある・・・・。
「アイザード・・・・どうして!?」
叫びかけに応えるかのように、虚空の彼方に魔道士の姿が現れる。
うすぼんやりとしたそのシルエットは、
まるで、幻影の如く現実味が無く、今にも掻き消えそうなくらいに弱々しい。
(2)
――――フラッシュバックする、イメージの奔流・・・・。
優子に向かって放たれる魔道の業火。
射線上に在るもの全てを灼熱地獄に叩き込み、消し炭へと変えてしまう、暗黒五邪神ベノンの炎の魔術を、
もう一人の五邪神アイザードの風の魔力が、間一髪の所で防ぎ切る。
次の瞬間。
殆ど無防備状態の胸元を、瘴気をまとった漆黒の刀身が走り抜けた。
一瞬、青年の身体が、ビクン、と大きく跳ねたかと思うと、
ザックリと切り裂かれたローブの胸元から真っ赤な血飛沫が噴き上がる。
肩口から脇腹までを袈裟懸けに斬り下ろした<ヴェカンタの戦士>の太刀筋は、
魔道士を一撃で絶命させる程深くはなかったとはいえ、
その抵抗を終焉に導くには十分すぎる手傷を負わせていた。
『・・・・ゆ、ゆう・・・・こ・・・・』
糸の切れたマリオネットのように、力なく崩れ落ちた彼は、
自らの体から溢れ出た血溜まりの上に倒れ込み、断末魔の痙攣に見舞われながらも、
殆ど感覚の無くなった指先を懸命に動かし、懐をまさぐった。
そして、掴み出したその物体を目の前の少女に向かって差し伸べると、
呼吸の度に鮮血が溢れる口元から、最後の言葉を搾り出す。
『受け・・・・取ってくれ・・・・これを・・・・』
(3)
「<ファンタズム・ジュエリー>!?」
同時に発せられる、優子の呟きと麗子の叫び。
二人の<戦士>の声が重なり合った瞬間、
血まみれの指の中で、夢幻界の宝玉のカケラが二つ・・・・いや、三つ、眩い光を放出する。
「こ、これはッ!?」
強大な風の魔力が蒼髪の少女を包み込むや否や、
有無を言わさず、穿ち抜いた次元の断層へと吸い込んで、
時間と空間の彼方へと猛烈な勢いで押し流してしまう。
「な、何ィィッ!!ま、まさか、アタシもなのかぁぁッ!?」
バ、バカな・・・・アイザードめ、一体、何のつもりだぁぁッ!?」
前後して、炎の魔人の口から、素っ頓狂な悲鳴が放ち上げられる。
どうやら、青年が最後の気力を振り絞って解放した、<ジュエリー>の魔力は、
ベノンをも捕捉して、強制的に別の次元へと転移させようとしているらしい。
しかし、優子には、怒りと焦りに半ばパニックに陥った暗黒界の大貴族が、
怒号と呪詛を交互に吐き散らしながら、時空の裂け目に飲み込まれたまでは辛うじて知覚できたものの、
もう一人の少女・・・・麗子の運命についてまでは、確認出来なかった――――。
(4)
――――再び、次元の狭間。
「お願い・・・・教えて!!
アイザード、何故、わたしを助けてくれたの!?」
声を限りに叫ぶ<ヴァリスの戦士>。
<ファンタズム・ジュエリー>のエネルギーに触れたせいだろうか、
ずっと曖昧なままだった自我は、未だ混乱してはいたものの、思考力を取り戻していた。
その事に、安堵と・・・・そして、若干の口惜しさを覚えつつ、
魔道士の幻影は僅かに表情を緩め、静かに語り始める。
『優子、良く聞いて欲しい。
ログレスは、世界を――――連なる世界全てを、破壊しようとしている。
私は、それを防ぎたかった・・・・』
話している間にも、アイザードの身体は明滅を繰り返し、徐々に輪郭が曖昧になっていく。
彼の強靭な精神と卓越した魔道の技は、
ベノンの邪悪な魔術によって肉体が焼き滅ぼされてなお、
魂魄が因果地平の彼方へと吹き流されてしまうのを頑なに拒んでいたのだが、
それとて、最早、長くは保てない事は明らかだった。
(5)
「知ってるわ・・・・ヴァリアさまから聞かされた」
脳裏に蘇る、夢幻界の女王の慈愛と威厳に溢れた姿。
・・・・そして、苦悩に満ちた、その言葉。
『・・・・このところ、あなたたちの住む現実界では、
戦争などの暗い出来事が多く起こっていませんか・・・・?』
『・・・・それはすべて、人の心の<暗>に作用する<ヴェカンタ>という力のせい・・・・』
『・・・・そして、その力を操っているのは、夢幻界とは別の時空――――暗黒界を統べる王、ログレス・・・・』
あの時は、いきなりガイーダに襲われ、<戦士>として夢幻界に召喚されたばかりで、
訳も分からず、ヴァリアに喰ってかかりさえしたのだが、
暗黒界の邪悪な怪物たちとの死闘を経験した今ならば、彼女の苦しさも辛さも理解できる。
(6)
「アイザード、何故、あなたは夢幻界を・・・・ヴァリアさまを裏切ったの?
どうして、<ファンタズム・ジュエリー>を奪ったりしたの?」
『答えは、すでに伝えてある筈だよ。覚えていないのかい?』
「何時・・・・あッ!?」
小さな叫び声を上げて、優子は頬を紅く染めた。
・・・・そうだ、あの時、侍女達の手で黄金の甲冑を取り除かれ、
産まれ落ちたままの恥ずかしい格好に変えられた自分に向かって、
――――彼は、たしかに言い放った筈だ。
『君が今まで見聞きした事全てが真実とは限らない。
今の君は、まるで、糸の切れた凧のような存在だ。
誰かが傍らにいて正しい道を示してやらねば、いつか君は自らの力によって破滅するだろう・・・・』
(7)
『その通りだ。もっとも、私はこれ以上君のそばにいてあげられそうにないが』
一瞬だけ、寂しそうな表情をしたアイザードは、
何かを発しようとする優子を制するかのように、小さくかぶりを振った。
『ヴァリアから君が教わったのは、一つの真実だ・・・・だが、全てじゃない。
世界には、ヴァリアが知らない、いや、知る事さえ出来ない真実が幾つもある』
魔力が底を尽きつつあるのだろう、
殆ど透き通らんばかりに擦れていく魔道士の姿。
青年は、一瞬でも長く、世界に存在を留めようと歯を食いしばりつつ、先を続ける。
『ヴァリアは光だ。闇と相対し、寄せ付けまいとする存在。
逆に言えば、闇を受け容れたりは出来ないんだよ、決して・・・・』
(8)
『だから、私は・・・・いや、もうやめておこう。
ここから先は、優子、君が自分で答えを見付けて欲しい。
私は、君の答えが、私の出したものと同じである事を祈るだけだ、永劫の彼方から・・・・』
「ま、待って・・・・分からないわッ!!何が真実かなんて、わたしにはッ!!」
急速に小さくなっていくアイザードに向かって、蒼髪の少女は精一杯声を張り上げた。
ほぼ同時に、彼女を包み込んだ純白の光が輝きを増し、幾つかの塊へと分かれて、
身体の各部――――胸、腰、両肩、両肘、両脚――――を覆っていく。
以前にも同じ感覚を経験した優子は、その意味を悟り、慄然となった。
『大丈夫、君なら、必ず辿り着ける筈だ。
だから、忘れないで欲しい・・・・全ては、君次第だという事を・・・・』
三つの<ファンタズム・ジュエリー>が少女の頭上で眩い閃光を放った。
<明>のエネルギーを注ぎ込まれたカラダが清浄な霊気に包まれ、
美しく輝く黄金の甲冑――――<ヴァリスの鎧>が次々と実体化していく。
それに安堵したのだろう、元夢幻界人の青年は微かに笑みを浮べると、
そっと目を瞑り、あるべき世界の法則に従って、静かに自らの存在にピリオドを打った。
(9)
「アイザード・・・・」
因果地平の彼方へと消え去っていく、プラチナ・ブロンドの青年を見つめながら、
優子は、自分の五体を覆う聖なる防具の表面に、そっと指先を滑らせる。
ひんやりとした、だが、心落ち着くその感触に、
彼女は、改めて、<戦士>の力を取り戻したのだ、という実感を覚え、
喩え様も無い安堵感と高揚感に包まれる一方で、
しかし、胸の奥に頭をもたげてきた疑問を否定し去る事が出来なくなっていた。
(わたしは、何のために戦わなければならないだろう?
一体、何のために・・・・?)
連投支援
(10)
――――深夜。現実界。東京都内。ホテルの一室。
「ん?この気配は・・・・?」
気だるそうにダブルベッドから身を起こした全裸の女が、
不審そうな視線を、厚手のカーテンに覆われた窓
・・・・否、カーテンと嵌め込み式のガラス窓の向こうにある、夜の街へと向けた。
肩口で綺麗に切り揃えられたブロンドが、
窓から差し込む月明かりを受けて、やや冷たい光沢を放つ。
ベッドから抜け出した女は、スリッパも履かずに、
女性としては大柄な部類に属するカラダを窓際へと運び、
異和感の正体を見極めようと、呼吸を整え、精神を集中させた。
「どうしたの?」
夜具の中にいたもう一人の人間――――まだ十代半ばの少女だった――――が、
寝ぼけ眼をこすりつつ、起き上がろうとする。
作業を中断させられた長身の女は、
軽く一瞥を送っただけで、気にせずに休むように、と指示を送り、
自身は窓際に置かれた藤椅子に腰掛けて、何かを考え込むように目を閉じ・・・・すぐにまた、開いた。
(11)
「寝ていろ、と言っただろう」
言いつけに従わず、背後に近付いてきた少女に向かって、
背中を向けたまま、今度は、やや不機嫌な声を発する金髪女。
カーテン越しに入ってくる青白い月明かりが、
キリリ、と引き締まった顔立ちを一層厳しい印象にさせている。
「だってぇ・・・・」
たじろぎはしたものの、娘はなおも引き下がろうとはしなかった。
よく見れば、彼女も薄物のネグリジェを一枚羽織っているだけで、下着さえ穿いていない。
上目遣いに自分を眺めやる視線は、媚びるようでもあり、同時に、誘うようでもあった。
仕方ない、という表情で、背後を振り返った全裸の女は、ベッドを指差すと、先に入るよう促した。
――――そして、嬉々としてベッドに潜り込み、高々と尻を持ち上げたばかりか、
まるで交尾に臨む雌犬よろしく、プルン、プルン、と挑発的に揺らしてみせさえした彼女に対して、
口の中で素早く眠りの呪文を唱える。
「なかなか可愛い娘だったが、今夜でお別れだな。
夜が明ける前に記憶を消して、駅のホームにでも寝かせておこう」
可愛らしい桃尻を突き出した格好のまま、
スースーと安らかな寝息を立てている少女をチラリと一瞥すると、
女――――暗黒界出身のエルフにして暗黒五邪神アイザードの腹心たる、デルフィナは、ボソリ、と呟いた。
「この部屋は、3人で使うには少し手狭だからな」
(12)
――――パァアアアァンッッッ!!
視界が急に開けたような感じがした直後、
少女の身体を排ガス混じりの生温かい空気の感触が包み込んだ。
騒々しいクラクションの音が耳朶に押し入り、鼓膜に突き刺さる。
「・・・・こ、ここはッ!?」
ハッ、として、自分の体を、そして、周囲に視線を走らせる蒼髪の少女。
前者――――やや色白だが申し分なく健康的な肌の上では、
完全に復活を遂げた<ヴァリスの鎧>が優美な黄金の輝きを放っている。
・・・・だが、後者――――すなわち、優子の前に広がっている光景は、
夢幻界のものでも、暗黒界のものでも、(断じて)あり得なかった。
林立する高層ビルの群れ。
日光を浴びてキラキラときらめくショー・ウィンドゥ。
交差点を足早に行き交う若者達・・・・一人や二人ではなく、何千何百という数の。
頭上高く聳え立つファッション・ビルを見上げると、
そこには、かつて、彼女自身、何度と無く目にした、『109』のロゴマーク・・・・。
(13)
「ここって、もしかして・・・・渋谷・・・・なの?」
その場に立ち尽くしたまま、茫然と周囲を見回す優子は、
たちまち、何百人もの群集によって取り囲まれ、奇異の眼差しを浴びせられた。
白昼、引っ切り無しに人や車の往来する、渋谷駅前の交差点に、
コンピュータ・ゲームの画面から飛び出したかのような、
目のやり場に困る衣装を身に纏った少女が現れたのだから仕方ない。
『何あれ?』『撮影か何かだろ?』『カメラ何処だ?』
さいわい、通行人の多くは、渋谷という場所柄とあまりにも非日常的な甲冑姿との組み合わせから、
テレビ番組か何かの収録だろう、との錯覚を抱いたらしい。
未だ混乱から立ち直れていない<ヴァリスの戦士>を遠巻きにし、あれこれと推測を述べ合うだけで、
近付いて正体を確かめようと試みる者は皆無だった。
ただ一人、足音を忍ばせながら背後に近付いてきた長身の女を除いては。
(14)
「そうだ。ここは、お前が元いた世界――――現実界だ」
背中越しに掛けられた、張りのある女の声にまず驚いた優子は、
次いで、彼女の発した『現実界』という単語に愕然となった。
慌てて振り返った双眸に映ったのは、
自分と同じく、若者達で溢れ返る渋谷の路上には絶対に似つかわしくない、
黒艶を帯びた皮革製の甲冑に身を包む、隻眼のエルフ。
「あ、あなたはッ!?」
サラサラとしたブロンド・ヘアが、降り注ぐ陽光を浴びて、やや冷たい光沢を放っている。
いささか彫りの深い、くっきりとした目鼻立ちの相貌の中では、
右目を覆う無骨な眼帯と、反対側に位置する澄みきったアイス・ブルーの瞳とが、
不釣合いなコントラストを描きながら、対峙していた。
身に着けているのは、ヴァリアやアイザードが纏っていた、ゆったりとした長衣ではなく、
身体のラインがはっきりと浮き出た、実戦仕様の鎧で、
デザインはかなり異なっていたものの、何処か、麗子が身に纏っていた鎧と似た雰囲気を漂わせている。
そして、腰に佩いているのは、黒塗りの鞘に収められた大振りな曲刀・・・・。
(15)
「私はデルフィナ。アイザード様の忠実なる臣下」
告げられた元夢幻界人の青年の名に、優子から、あッ、という驚きの叫びが漏れる。
少女の表情を、一つだけ残った瞳で油断無く見据えつつ、
魔道士の部下と名乗った女剣士は、抑制した口調で囁きかけた。
「お前を、導き手の許に誘うよう、命令を受けている」
「導き手?」
鸚鵡返しに聞き返す蒼髪の少女。
隻眼の美女は、一瞬、何か言おうとしたものの、結局、答えは口にせず、
彼女の腕を掴み取り、ズンズンと前方に向かって歩き出してしまう。
周囲を取り囲んでいた人垣は、一睨みされただけで異様な威圧感に気圧され、
ササッと左右に分かれて、二人に道を明け渡した。
「ちょ、ちょっと待って・・・・ちゃんと説明を・・・・」
半ば引き摺られるようにして後をついていく優子は、
女エルフの強引な態度に戸惑いつつ、無意識にその肩を引き寄せようとする。
――――次の瞬間、猛然と振り返った魔道士の腹心は、
端正な顔立ちを怒りに歪めて、<ヴァリスの戦士>の胸倉を掴み上げた。
(16)
「ゴチャゴチャ言わずに私に従えッ!!」
眼帯に覆われていない方の眼が真っ赤に血走り、
紛れも無い憎悪を浮べて、突然の変貌に怯え竦む少女を睨みつける。
わなわなと震える口元から発せられた声は、
先刻までの彼女とはまるで別人のような激しい感情に満ち溢れていた。
「勘違いするなよッ!!私にとって、お前はあの方の仇も同然ッ!!
もし、命令が無かったなら、今すぐにでもお前を八つ裂きにしているところだッ!!」
細く白い首筋を覆う、真紅のスカーフをギリギリと締め上げながら、
憎しみに満ちた呪詛の言葉を吐き散らす、隻眼のエルフ。
悪鬼の如き形相で凄まれて、慄然となった優子は、
しかし、次の瞬間、双眸の端に滲んでいる水滴
――――見落としてしまったとしても不思議ではない程小さな、だが、紛れも無い涙の粒――――に気付き、
もう一度、衝撃を受けた。
(も、もしかして・・・・この人、アイザードの・・・・)
(17)
「フンッ!!」
少女の視線に気付いたのだろうか、
隻眼の美女は、乱暴な動作で掴んでいたスカーフを手放すと、
くるり、と、優子に背を向け、構わずに歩き出した。
「ま、待って・・・・デルフィナさん!!」
まだ痛む喉を押さえながら、
逃げるように先を急ぐ女剣士を追いかける蒼髪の少女。
彼女の態度から、先程の直感は確信へと変化を遂げている。
――――だが、デルフィナ本人にそれを確認する機会は、(この場では)得られなかった。
(18)
ズゴォオオオンッッッ!!!!!!
道玄坂の方角から凄まじい爆発音が響き渡り、巨大な火柱が噴き上がった。
金属やガラスの破片――――おそらくは、自動車の一部だったものが、爆風と共に降り注ぎ、
辺りにひしめいていた群集の間から悲鳴が巻き起こる。
「な、何・・・・!?」
驚愕の表情を浮べて振り返った優子の鼓膜を、続けざまに轟く大音響が激しく打ち据えた。
黒煙と共に、オレンジ色の炎が溶岩流の如く、坂道を流れ下り、
商店も車も人間も、行く手にあるもの全てを飲み込んでいく。
生きながらにして松明に変えられていく者たちの絶叫があちこちで空気を引き裂き、
全身火ダルマと化した人間達が、焦熱地獄の中で断末魔のダンスに興じる姿が遠目にもはっきりと見えた。
「テ、テロだッ!!」「こっちに来るぞッ!!」「早く、逃げろぉッ!!」
二人の<戦士>を取り囲んでいた群衆はパニックに陥り、
口々に大声で助けを求めつつ、蜘蛛の子を散らすように逃げ出していく。
パトカーか、それとも、消防車か、サイレンの音が大挙して近付いてくるものの、
数秒間隔で炸裂する爆発音と不気味な地響き、
そして、逃げ惑う人々の悲鳴の間では、ひどく頼りない存在でしかなかった。
(19)
「チッ、ベノンめ、もう追い付いてくるとはッ!!」
鋭く舌打ちを漏らしたデルフィナは、
足をすくませた優子の腕を掴み、乱暴に引っ張り上げた。
更に、反射的に抗議の言葉を口にしようとする蒼髪の少女を、
限りなく苛立たしげな視線によって黙らせ、鋭く言い放つ。
「戦闘は避けろと言われている。ここは退くぞ」
「で、でもッ!?」
女エルフの返事は、容赦ない怒声と平手打ちだった。
張り飛ばされた頬を押さえ、茫然と自分を見つめる少女の前で、
金髪のエルフは、きつく握り締めた左右の拳をワナワナと震わせる。
「我が儘を言うのもいいかげんにしろッ!!
私だって、アイザード様の仇に一指も触れずに退く屈辱を堪えているんだぞッ!!
・・・・それもこれも、元はと言えば、お前の腑抜けぶりが原因だろうがッ!!」
(20)
「・・・・ッ!?」
顔色を変える<ヴァリスの戦士>。
青年の死に様が脳裏をかすめ、坂道を流れ下りてくるオレンジ色の濁流と重なり合う。
今まさに何百人もの人間を生きながらにして消し炭へと変えている、魔性の業火
・・・・そして、ゴウゴウと逆巻く炎の向こうから聞こえてくる、狂気の哄笑。
「今のお前では、ベノンに打ち勝つなど到底ムリだ。
それどころか、まともな戦いさえ出来はしないだろうが・・・・違うか、現実界の小娘!?」
怒りと蔑みを燃料にして、一気にまくし立てると、
デルフィナは憎悪に煮え滾る目で蒼髪の少女を睨みつける。
対する優子は、わずかに唇だけが、『違う』という形に動いただけで、
冷酷な宣告への反論は、ついに一言も発する事は叶わなかった。
暗黒界の女剣士が、フン、と吐き捨てるように鼻を鳴らしかけた――――次の瞬間ッ!!!!
(21)
――――ゴォオオオォォォッッッ!!!!
二人の頭上で、鮮血の色をした閃光が、カッ、と炸裂し、
凄まじい衝撃と爆風が、地上に向かって悪意を剥き出しにしながら降り注いでくる。
一瞬早く、気配に気付いた隻眼の剣士が、間一髪、目の前の少女を突き飛ばした直後、
ジュウウッ、という不快な音と共に、肉の焦げる臭いが優子の嗅覚神経を串刺しにした。
「ぐッ・・・・あがぁあああッ!!!!」
「デ、デルフィナさんッ!?」
苦痛に満ちた唸り声。
恐怖に顔を引き攣らせた<ヴァリスの戦士>の視界に飛び込んできたのは、
片腕を押さえて呻く、アイザードの腹心の姿。
咄嗟に自分を庇ったせいで、かわし切れなかったのだろう、
右腕の肘から先の皮膚は見るも無残に焼け爛れ、
一部は完全に炭化して、幾筋も走り抜ける亀裂から暗紫色に黒ずんだ体組織が覗いている。
支援
(22)
「さ、騒ぐな。これしきの傷、時が経てば再生する」
狼狽する蒼髪の<戦士>に向かって、デルフィナは精一杯の気を張ってみせたが、
完全に機能を失った右腕は勿論、他にも全身に大小の火傷を負った女エルフは、
もはや、到底、戦闘に耐え得るカラダとは思えなかった。
ましてや、相手にしなければならないのは、
暗黒界を統べるログレス直属の軍団長たる暗黒五邪神が一将、炎邪ベノンである。
「今は退くぞ・・・・分かったな?」
彼女自身も、現在の状態で勝ち目はない、と十分に理解しているのだろう、
燃え盛る業火の中に立ち、四方八方に向かって、闇雲に炎の槍を投じている宿敵・・・・
忠誠を誓った主であると同時に、理想を共にする同志でもあった男を葬り去った暗黒界の大貴族に、
憎悪に煮え滾った視線を突き立てつつも、激情に身を委ねようとはしなかった。
坂道の上の悪魔が自分達の存在に気付かないうちに、
安全な場所――――少なくとも、彼の追跡をかわせる可能性の高い場所――――への退避を完了する、
それが今の自分に可能な唯一の事だ、と確信していたのである。
(23)
虐殺に熱中していた暗黒界の大貴族が、ようやく二人の存在を視界に捉えたのは、
アイザードの<戦士>が、口早に転移の呪文を唱え終えた直後だった。
急いで追尾を試みるベノンだったが、
傷付いた体に残っていた最後の魔力を注ぎ込んだのだろう、
転移空間の周囲には魔術による追跡を不可能にするための障壁が張り巡らされている。
(次に会った時こそが貴様の最期だッ!!)
地団駄を踏みながら罵声を浴びせる宿敵を眺めつつ、
女エルフは、血の気を失い青褪めたクチビルに、ニヤリ、と笑みを浮かべ、
全身を包み込んだ空間転移の力場に身体を委ねる。
傍らでは、己れの無力さに歯噛みするしかない現実界の少女が、
次々と炎に飲み込まれていく渋谷の街並を両眼に焼き付けていた。
・・・・直後、魔力の繭に包まれた二人の姿は、焦熱地獄と化した渋谷の市街地から忽然と消失する。
後には、憤怒の形相で悪態を連発する魔将軍と、
街路に蹲って、迫り来る死に打ち震えるしかない、無力な人間達だけが残された――――。
(24)
『・・・・ザザ・・・・ほ、本部応答願います・・・・こちら、渋谷駅前・・・・ぐあああッ!!!!』
『何故だッ!?何故、銃が通じないッ!!ぎゃあああッ・・・・!!』
『ヒィィッッ!!熱いッ・・・・助けてくれ・・・・熱いッ!!』
「ヒャーハッハッハッ!!それにしても、現実界って、人も物もよく燃えるわねぇッ!!」
音程の外れた哄笑を轟かせ、彼――――暗黒五邪神が一将、炎邪ベノンは、
被害を食い止めるべく、阻止線を展開した警官達を、
あたかもボール紙で出来た紙人形でもあるかの如く、次々と火達磨にし、炭の塊へと変えていく。
一人でも多くの市民を避難させるべく、勇敢に踏み止まった警察官だったが、
暗黒の魔術が相手では為す術もなく、彼ら自身の姓名が犠牲者のリストに書き加えられただけだった。
(アイツ、たしか、デルフィナとか言ったかしらねぇ?
まだアイザードの周りをうろちょろしてたなんて、まったく往生際が悪いったらありゃしないわ)
無力な現実界人を、生きたままバーベキューに変えていく快感に酔い痴れながら、
暗黒界の大貴族は、炎の壁に四方を取り囲まれた警官隊に向かって大仰に腕を一振りした。
オレンジ色の火線が地を這う大蛇のように伸びて、
哀れな巡査達をパトカーごと包み込み、骨も残さず、焼き尽くしてしまう。
こたえられない、といった顔で、殺戮を見届けた暗黒五邪神の背後では、
渋谷の象徴とも言えるファッション・ビルが猛火に包まれて黒煙を噴き上げ、
正面では、駅の建物が完全に焼け落ちて、飴細工のように折れ曲がった鉄骨だけになっていた。
(25)
「さぁて、どうしようかしらねぇ。
小娘はデルフィナちゃんと愛の逃避行中だし、麗子は行方知れずだし」
未だ冷めやらぬ殺戮の悦楽に口元をにやけさせながら、今後について思考を巡らせる炎の魔人。
女エルフの行方を追おうにも、空間転移の痕跡は巧妙に隠蔽され、
まともに調べようとするならば、かなりの時間が必要だろう。
無論、そんな無理を重ねたからには、彼女の魔力も完全に底を尽いており、
態勢を立て直して勝負を挑んでくるのは先の話と考えて間違いない筈なのだが・・・・。
「ウフフッ、仕方ないわねぇ。
あの二人が隠れていそうなトコロ全部、シラミ潰しに灰にしてやるわ」
満面に笑みを浮かべ、ベノンは己れの導き出した結論にウットリとなった。
ログレスの台頭によって、ヴェカンティの内戦が一応終結して以後、
都市を丸ごと焼き払い、人々を殺し尽くす戦いは久しく絶えていただけに、
心ゆくまで虐殺の愉悦に浸るチャンスは願っても無い。
それに、この方法ならば、同じ時間をかけるにしても、
地道な探索活動などよりも、余程自分の性に合っている・・・・。
(26)
現実界。東京都内。某ホテルの一室。
『・・・・ご覧下さい。渋谷の中心街は火の海です。
駅前付近から発生した原因不明の大火災はなおも延焼を続けており、火の勢いは留まるところを知りません。
ヘリの中の我々にも、凄まじい熱気が伝わって・・・・』
「ベノンめッ」
小さく吐き捨てると、女剣士は備え付けのTVの電源を切り、忌々しい画像を視界から追い払った。
それでも、窓の外からは消防車や救急車のサイレンや報道ヘリのプロペラ音が容赦なく侵入し、
彼女と、新しくこの部屋の住人となった少女の感情を掻き乱さずにはいない。
「デルフィナさん」
思い詰めた表情で口を開きかける優子。
画面の中の、市街地を舐め尽くすように燃え広がっていた猛火の様子、
・・・・数え切れない程の人々をその地獄に置き去りにして、
自分達だけ安全な場所に逃げ延びてきたのだ、という後ろめたさによって、
顔色は青褪め、黄金の肩当ての先端がカタカタと揺れ続けている。
(27)
「・・・・駄目だ。今はまだ駄目だ。」
まるで、自身に言い聞かせるような口ぶりで、ダメだ、と繰り返す女剣士。
だが、彼女もまた、火傷を負っていない方の拳をきつく握り締め、必死に感情を抑えていた。
八つ裂きにしても飽き足らない仇敵を目の当たりにしつつ、逃げ延びるしかなかった悔しさ、
そして、その男が勝ち誇りながら己れの存在を誇示しているにも関わらず、
息を殺してじっとしている事しか出来ない無力感が、怒りに油を注いでいる。
「この腕では到底まともには戦えない。
お前だって、導き手の元に連れて行かない限り、<戦士>としての覚醒は望めまい」
冷徹な指摘に、押し黙るしかない優子。
たしかに、ベノンの炎を浴びて、表面が炭化するほどの重度の火傷を負ったデルフィナの右腕は、
すでに組織の再生が始まっているらしく、少しずつ生気を取り戻してはいるものの、
自由に動かせるようになるにはまだまだ時間が必要だろう。
何より、もう一つの指摘に対して、『違う』と断言するのは不可能だった。
アイザードは(己れの身を犠牲にして)自分を助けてくれたが、
同時に、自らの中にある<ヴァリスの戦士>としての戦いへの疑問
――――今まで、過酷な戦いを生き延びるのに精一杯で、敢えて無視し続けていた心の声――――を、
決定的なものにしたのも彼である。
女エルフの言う通り、心底から納得できる答えが得られない限り、
自分自身を欺き続けるのは難しいと言わざるを得ないだろう。
(28)
「・・・・汗をかいた。シャワーを浴びてくる。
私の次で良ければお前も使え。少しは頭も冷えるだろう」
これ以上話し合う気は無い、という意味なのだろうか、隻眼の女剣士は、クルリ、と背中を向けると、
カチャカチャ小騒さい音を立てながら、身に纏った甲冑を外し始めた。
ベッドの上に座り込んだまま、ぼんやりとその後ろ姿を眺めやる蒼髪の少女。
投げかけられる視線が気になったのか、デルフィナは独り言のように呟きを漏らす。
「私は、生まれながらの戦士だ。
だから、正直、お前の気持ちは良く分からない。
私の人生において、戦いとは、すなわち、生きる事だった」
カチャン、という乾いた音を立てて、革製の胸甲を固定していた金具が外れる。
姿を現した白い肌には、肩口から背中にかけて、鋭い刀傷が走っていた。
他にも、幾つも散見される矢傷や打撲の跡は、
彼女の独白が何ら誇張されたものでは無い、と無言のうちに物語っている。
支援
(29)
「私だけでなく、暗黒界に生を受けた者は大抵そうだ。
戦いに敗れた者を待つ運命は、死か、勝者への隷属か。
敗者にそれを強制しようとしなかったのは、アイザード様だけだった・・・・」
(アイザード・・・・)
脳裏に蘇ったプラチナ・ブロンドの魔道士の姿が、少女の胸を、きゅうッ、と締め付ける。
培養槽の底で見た夢で、あるいは、寝台の上で責め立てられているの最中に、
ときに力強く、ときに甘く囁くように、執拗に繰り返された、あの言葉が。
『私は、君を導きたい』
(わたしも・・・・あなたに導いて欲しかったのに・・・・)
じんわりと滲み出す、熱い涙。
アイザードなら・・・・あの、野心家ではあるが、常に冷静に物事を判断する能力に長けた青年なら、
<ヴァリスの戦士>として戦い続ける意味について、明快な答えを与えてくれただろう。
否、よしんば、その答えが自分の望んでいたものとはかけ離れたものであったとしても、
彼の導き出した回答であるならば、黙って受け容れる事も出来たかもしれない――――。
(30)
「・・・・優子、泣いているのか?」
目を上げると、女剣士が不思議そうな表情で覗き込んでいる。
無骨な革製の鎧を全て取り去り、下着の類も脱ぎ捨てた肢体は、
毛穴から滲む汗の臭いと濃密なフェロモンに覆われて、
思わず、ドキッ、とするような蟲惑的な雰囲気に包まれていた。
目のやり場に困ったのだろう、蒼髪の少女は頬を赤く染めながら、横を向く。
「何故、泣くのだ?言っておくが、私は導き手ではないぞ。
先刻の言葉は、単なる独り言だ。別に気にする必要は無い」
少女の反応の意味する所を正確に測りかねて、
デルフィナは、少し首を傾げつつ、更に顔を近付けてくる。
・・・・そういう意味じゃない、と口にしようとした優子だが、唇から漏れたのは弱々しい嗚咽だけ。
一瞬、困惑を覚えて、美しい眉根を寄せた女エルフだったが、
どうやら、今度は合点がいったらしく、フフッ、と小さく笑みを浮かべると、
耳元にクチビルを寄せて、生温かい吐息を吹きかけながら、そっと囁きかけた。
「成る程、お前、アイザード様を思い出したんだな・・・・あの方に抱かれたのか?」
(31)
「なッ!?」
反射的に、ビクッ、と、肩を震わせる優子。
正直すぎる反応に、デルフィナはカラカラと打ち笑う。
耳たぶの先まで真っ赤になって否定しようと試みた蒼髪の少女だが、
全裸の美女の笑いを止める事は叶わなかった。
「アハハハッ!!成る程ねぇ、要は、お前も、私と同類だった訳ねッ!!
たしかに、アイザード様は、戦いに勝った後、敗れた相手を殺したり奴隷にしたりはなさらなかったけど、
だからと言って、全てを相手の自由意志に任せるほど、甘いお方でも無かったからねぇ!!」
――――図星でしょ?と問われて、少女はぐうの音も出なくなってしまった。
ニヤニヤしながら、エルフの女剣士は、改めてそのカラダを上から下まで吟味し始める。
出合った当初は垢抜けない娘だとばかり思っていたが、
こうして見ていると、なかなかどうして侮り難いプロポーションの持ち主だ。
無論、オンナとしての成熟はまだまだこれからだったが、
百戦錬磨の色事師であるあの方の目には、却って、新鮮に映ったのかもしれない――――。
(32)
(ちょっぴり、妬ける話ね)
吐息のかかる程の近くで、バストや腰周りに無遠慮な視線を浴びせられて、
居心地悪そうにモジモジとする現実界人をねめつけながら、デルフィナは胸の奥で苦笑を漏らした。
生まれながらの戦士として、常に死と隣り合わせの戦場に身を置いていた彼女には、
優子や昨夜まで部屋に居候させていた家出娘のような、
オンナとして熟しきる前の、現実界の言葉で『セイシュンジダイ』と呼称される時期が存在しない。
暗黒界で生き残るには、そんなものは必要でないどころか、有害なだけだったのだ。
・・・・だが、アイザードの命令でこの世界に送られ、
現地の娘達と接してからは、徐々に考え方も変わりつつある。
最初は暗黒界の住人である自分とは遠い存在だった、『セイシュンジダイ』の真ッ只中の少女達が、
最近では、次第に羨ましく感じられるようになってきたのだ。
幼少の頃から戦乱を生き抜く術だけを叩き込まれた自分に対して、
彼女達の、何と無邪気で、無知で、向こう見ずで、そして何より、繊細である事か!!
そんな感覚は、暗黒界にいる限り、永遠に無縁だった筈だが、
ほんの数週間ほどの間に、自分の心の中の大きな部分を占有していると認めざるを得ないまでに至っていた。
(33)
(おそらくは、このためだったのだろうな)
独りごちるアイザードの元腹心。
現実界行きの指令も、現地の娘たちと接触を持てという奇妙な指示も、
何らかの事情で自身の動きが取れなくなってしまった場合に
自分の代わりに<ヴァリスの戦士>をサポートさせるための、主の深謀遠慮だったに違いない。
それも、単に戦闘屋として、あるいは、従者として付き従うのではなく、
より大きな――――あるいは、特別な――――存在となって、目の前の少女に影響を与えるために。
「・・・・本当に、あの方らしいやり方だな」
ため息と共に漏らした一言に、怪訝そうな顔付きになる優子。
デルフィナは、言葉で説明する代わりに、しなやかなカラダを、ぎゅっ、と抱き締め、
突然の出来事に驚愕に見開かれた薄青色の瞳を覗き込みながら、クチビルを奪った。
そして、一切の抗議を無視しつつ、
綺麗に並んだ象牙色の歯並びを押し割り、口腔内に突入させた舌先を巧みに駆使して、
動転して縮こまっていた少女の舌根を強引に絡め取り、しゃぶり上げる。
(34)
「んんんッ!?ぐッ・・・・むぐ・・・・んむぅうううッ!!」
眉根を寄せて、苦しげな呻き声を漏らす蒼髪の少女。
もっとも、絡め取られた舌先は、刺激に対して意外なほど正直な反応を示していたし、
女エルフの抱擁を振り解こうとする動きは、
不意を打たれた点を割り引いてもなお、ひどく弱々しいものに過ぎなかった。
黄金の防具に覆われた肩口が、ビクビクッ、と震え、
ただでさえ乱れがちだった息遣いが、一気に激しさを増していく。
「んふぁ・・・・あああッ!!」
甘く滑らかな唾液が口移しにトロトロと流し込まれるに至って、
少女の表情からは僅かに残っていた反抗心が姿を消し、
戸惑いと期待が半々に入り混じった恥じらいによって取って代わられる。
首から下はもっと素直で、強引な抱擁を押し返そうとする腕は成熟した女体の迫力の前に完全に沈黙し、
濃厚な汗の匂いとクラクラするようなフェロモンを吸い込んだ未熟な心臓が、
ドクンッ、ドクンッ、ドクンッ、と、一拍毎に心音を増幅させていった。
純白のプリーツ・スカートの奥、しなやかな太腿に挟まれた禁断の谷間では、
じゅん、という小さな決壊音と同時に理性の封印が破れ、沸騰した体液が極薄の下穿きを濡らし始める。
支援
(35)
「ぷはぁあッ・・・・ハァハァ・・・・ふはぁああッ!!」
長い長いキスが一区切りついて、口唇愛撫から解放される頃には、
少女の目元には酒精に冒されたかのようなトロリとした光を湛えていた。
巧みな舌技によって優しくマッサージされ、性感を目覚めさせられた口元は、
惚けたように半開きとなり、あまつさえ、唇の端からは半透明な涎糸が垂れ落ちている。
「・・・・ど、どうして・・・・こんな事を・・・・?」
問い質す声音からも、力は完全に抜け落ちており、
肺腑から込み上がってくる熱い吐息によって、しばしば、聞き取りづらいほど途切れてしまう。
なけなしの抵抗心も無力化され、もはや、いいように弄ばれる一方の優子に、
内心、嗜虐のわななきを感じつつも、金髪のエルフは努めて冷静に言い放った。
「時間が惜しい。腕を治すのに、お前の精気を少し分けて貰う。
悪いが、少しの間、我慢してくれないか?」
――――我ながら悪党なセリフだ、と、デルフィナは心の中で舌を出した。
たしかに他人の生体エネルギーを摂取し、費消し尽した魔力を補填するのは、
現状で取り得る選択肢としては最も効率的な手段だろうが、
だからと言って、劇的な治療効果が望めるという程のものでもない。
ましてや、吸精行為のためにはセックスが必要不可欠である、というのは完全な嘘であり、
極端な話、手を繋いでいるだけでもエネルギーを取り込む事は可能だった。
(36)
(――――もっとも、優子は、そうは思わないだろうが・・・・)
実際、純真な現実界人は、困惑しきった顔になって、
剥き出しになった豊かな乳房と黒焦げになった右腕との間で忙しく視線を行き来させていた。
おそらく、以前にも、この種の吸精行為のターゲットとなった経験があるのだろう、
<戦士>としての義務感と一介の乙女としての羞恥心との間で、揺れ動いているのは明らかである。
内心、笑いを噛み殺しながら、葛藤ぶりを見つめていた女剣士は、
やがて、ここぞとばかりに畳み掛け、一気に勝負を決めにかかった。
「安心しろ、すぐに済むし、危険も無い。
無論、どうしてもイヤだと言うなら止めにするが・・・・」
一応、選択権を与える体裁を取ってはいたが、
隻眼の美女には、申し出が拒否される事などありえない、と分かっていた。
――――案の定、少女は、(不安感ではなく羞恥心によって)考え込みはしたものの、
最後には、聞き取れない程の小さな声で『いいわ』と呟くと、
全身の力を抜いて、デルフィナの腕に己れの体を預けたのだった。
(37)
「すまない。感謝する」
吹き出しそうになるのを必死に堪えつつ、
金髪の女剣士は、慣れた手つきで優子をベッドに横たえ、頬にそっと口づけした。
強引さと優しさが絶妙にブレンドされた一連の所作の前に、
強張っていた表情が目に見えて和らぎ、落ち着きを取り戻していく。
依然として羞恥の感情は根強く残っている模様だが、
『これはセックスではなく医療行為なのだ』と言い聞かせたためだろう、
性交に対する忌避心はかなり軽減されているようだった。
(さて、どこから攻略して行こうか?)
もっとも、デルフィナが、改めて、ベッドに横たわる少女の肢体をしげしげと眺め回すと、
優子は気恥ずかしそうに瞼を閉じて、眉根を寄せてしまう。
おそらく、性交渉そのものに対しては兎も角、
同性間での性愛というアブノーマルな行為への抵抗感は完全に払拭出来ていないのだろう、
時折、半ば無意識のうちに、内股を擦り合わせている姿がいじらしかった。
(フフッ、ならば、最初は少し慎重にいくとするか)
戦術を見定めた女エルフは、横から覆い被さるように蒼髪の少女を抱擁しつつ、
自由になる左手を使って、プリーツ・スカートの上から禁断の谷間を静かになぞった。
布地越しにとは言え、恥丘の頂上に微細な刺激を与えられた<ヴァリスの戦士>は、
我知らず、切迫した喘ぎを漏らし、甘い吐息と共に、全身を、ピクン、と跳ね上がらせる。
細長い手指が、今度はより大胆に、捲り上げたスカートの中へと侵入してくると、
口をついて出る喘ぎ声は、次第に、大きなものとなり、痙攣も激しさを増していった。
(38)
「あうッ・・・・くッ!!ふぁう・・・・くふぁあッ!!」
指先に感じるショーツの繊維はすでにじっとりと湿り気を帯びつつあり、
しなやかな太腿は、不規則な強張りと弛緩とを繰り返しながら、断続的に震え慄いていた。
人差し指の先端を駆使して下穿きの股ぐりを捲り、恥丘への登頂を図ると、
下半身全体が、グググッ、と持ち上がってアーチ状に反り返っていく。
「フフフ、アイザード様に仕込まれただけあって、敏感なカラダだな」
未だ谷間全体を覆うほどには生え揃っていない、柔らかな下草を優しく撫で付けつつ、
ねっとりとした声で囁きかける隻眼の女エルフ。
魔道士の名を耳にした優子は、彼の城で体験した、めくるめく官能の秘儀を思い出したのだろう、
恥ずかしそうにブンブンとかぶりを振り、忌まわしい記憶を頭の中から振り払おうとする。
だが、脳裏に蘇った愛欲の修羅場・・・・
入れ替わり立ち代り、何人もの魔法生物によって、全身の性感帯を責め立てられ、
意識の奥に眠っていた被虐への欲求を目覚めさせされた、あの忘れ難い感覚の前には、
ささやかな抵抗など、何の意味も持たなかった。
(39)
「あああ・・・・だ、だめぇッ!!お願い・・・・もう、思い出させないでぇッ!!」
半ば引き攣りかけた懇願の言葉とは裏腹に、薄布の内側は大洪水を起こしている。
クスクスと笑いながら、デルフィナは、伸縮性に富んだ下着を膝まで摺り下すと、
剥きだしになった大陰唇に左手を這わせて、
溢れ出す愛液によってビショビショに濡れそぼっている秘裂に、巧みな愛撫を送り込んだ。
――――にちゃッ・・・・ぐちゅッ・・・・じゅるッ・・・・じゅちゅるッ!!
アイザードと彼の侍女達によって刻み付けられた肉悦の聖痕が息を吹き返し、
少女の腰は、まるで別の生き物と化したかのように、ビュクン、ビュクン、と、のた打ち回った。
そのたびに、子宮の奥からは、ヌルヌルとした淫蜜が迸って、
陰唇粘膜を水浸しにしたばかりか、花弁の外側にまで滴り落ち、
あさましいわななきに包まれた、サーモンピンクの割れ目を淫蕩に彩っていく。
大陰唇の上端部では、欲情の昂ぶりを反映してだろう、陰核をくるんだ肉莢が自然に反転し、
普段は小指の先にも満たないサイズの真珠玉が、親指大に脹らみ上がって飛び出していた。
(40)
「あはぁぁッ!!弄らないで・・・・ひはぁあんッ!!」
勃起したペニスの如く、ぷっくりと身を起こしたクリトリスに対して、
アイザード直伝の妙技を用いて容赦ない責めを展開する、金髪の女剣士。
針先で突っつけば、プチン、と音を立てて破裂してしまいそうな脹らみを、
柔かい指の腹を使って、プニュプニュと押さえ付けたかと思えば、
親指と人差し指とで挟み込み、キュッ、キュッ、と、根元から扱き立てたり、
脱ぎ捨てられた包皮を摘んで、陰核の上に強引に覆い被せ、さらにもう一度、剥き上げてみたり・・・・。
変化に富んだ数々の責め口は、皆、悪辣なまでに効果的で、
少女の心身は、元夢幻界人の青年と彼の忠実な奴隷達によって覚え込まされた狂熱の滾りを蘇らせ、
意識の深層に刷り込まれた魔悦への欲望を呼び覚まさされずにはいられない。
だが、デルフィナは、優子の性感を煽るだけ煽っておきながら、
いざ、快楽の極みに昇り詰めようとすると、途端に攻撃の手を緩めて、
簡単には絶頂を許そうとしない所も、今は亡き主と共通していた。
官能の煉獄を彷徨う哀れなメスにとっては、
イキたくてもイケない生殺しの苦しみこそが最も過酷な責めであり、
同時に、どんなテクニックよりも甘美で狂おしい快楽を与えるものであると、
彼女自身もまた、(目の前で喘ぐ蒼髪の少女よりも一足先に)教え込まれていたのである――――。
.
(41)
「お願いッ・・・・も、もうイカせてッ!!
ひああッ・・・・後生だから・・・・焦らさないでェッ!!!!」
ついに、優子は完全に肉欲の虜と化し、
魔道士に責められた時にさえ発した事の無い、卑屈な叫び声を放ち上げてしまう。
羞恥の感情によって閉じられていた筈の瞼は、今やあさましい程大胆に見開かれ、
トロトロに蕩けきった双眸からは大粒の涙がとめどなく流れ落ちて、
ピンク色に上気した頬筋を滝のように流れ落ちていた。
――――くちゅッッッ!!!!
返事をする代わりに、デルフィナは、
それまで割れ目の表面を浅くなぞるだけだった秘裂に指先を突き入れると、
少女自身の愛蜜によってベトベトに濡れた花弁を、これまでにない乱暴さで捏ね回す。
途端に、膣穴全体が、びゅくびゅくびゅくッ、と激しい痙攣に見舞われて、
すでに腰椎と脊柱の許容出来る限界にまで突き上げられていた下半身が、
まるで、雷に打たれたかのように、ガクガクガクッ、と、大きく上下に跳ね動いた。
子宮の奥に溜め込まれていた熱い体液が、肉襞の間を猛スピードで駆け抜け、
鉄砲水の如く、ブシュルルルッ!!と噴き出して、周囲を水浸しにする。
(42)
「ふああッ・・・・と、止まらないィッ・・・・はひゃあああああッッッ!!!!」
全身をビクビクと揺らし、まるで失禁のような大量の愛潮を噴き上げる蒼髪の少女。
あまりの激しさに、さしものデルフィナも、
挿入した指先を引き抜いて、吐淫と痙攣の収まるのを待つしかなかったが、
その口元は、何処か、自嘲気味ともとれる笑いによって綻んでいる。
(・・・・初めてアイザード様に抱かれた時は、わたしもこんな風だったな。
――――あれは、あの方が夢幻界から出奔してきて間もない頃だったか?)
蒼髪の少女のよがり泣く叫びを耳にし、
瑞々しい肢体が絶頂へと昇り詰めるのを眺めやりながら、
女剣士は、しばしの間、主であり情人でもあった男への追憶に耽った。
ファンタズム・ジュエリーを手土産にログレスの陣営に現れ、
巧みな弁舌と魔術の才により、瞬く間に軍団を預かる立場にまで出世を遂げた彼を胡乱な輩と判断して、
寝首を掻こうと忍び入った挙句、軽はずみな行為の代償を、カラダで支払わされたあの夜の記憶を・・・・。
(43)
「・・・・アイザード、さま・・・・」
・・・・気が付くと、デルフィナは、半ば失神状態に陥った蒼髪の少女を抱き寄せ、
ブルブルと小刻みに震え慄くピンク色のクチビルを貪っていた。
強烈なエクスタシーの余韻と一時的に大量の生体エネルギーを放出した影響なのだろう、
少女は、アルコールに酔ったかの如く、トロリとした鈍い光を双眸に湛え、
だらしなく緩んだ、だが、母親の胸で眠る幼子のような幸せそうな表情を浮かべている。
(・・・・・・・・)
あまりにも無防備な様子に、いささか罪悪感を覚えつつも、
女エルフは、胸の奥で燃え盛る欲情の炎を押さえ切れず、更に目の前の肉体を求め続けた。
唾液をたっぷりと含ませた舌先を真っ白な首筋に這わせながら、
つい先程、達したばかりの秘裂に対して、容赦ない愛撫を再開すると、
ふあぁッ、という弱々しい喘鳴が漏れ、弛緩していた手足の筋肉が瞬時に張り詰める。
そして、再び肉悦の極致へと駆け登っていく優子を全身で感じつつ、
デルフィナ自身もまた、意識の奥底で最愛の人と自分とが重なり合っているかのような、
不可思議な、しかし、この上なく心地良い、満足感に満たされていくのだった・・・・。
――――――――TO BE CONTINUED.
お疲れ様でした
後ほどゆっくりと読ませていただきます
以上、第12章をお送りいたしました。
お楽しみ頂けたのであれば幸いに存じます。
なお、ご支援を頂いた方、誠に有難うございました。
お陰さまで、今回は規制により投下が中断される事も無く、
スムーズに作業を完了する事が出来ました。
次章(第13章)は、今章のデルフィナ×優子のレズプレイの続きから始まり、
ベノンとデルフィナ・優子の戦い、優子の目の前でのベノンによるデルフィナ陵辱・・・・、
といった内容を考えています
(コミック本編で言えば、VOL.12に相当します・・・・ただし、麗子とドラゴは登場させませんが)。
完成・発表は、来年1月初旬を予定していますので、またしばらくお待ちくださいませ。
それでは今夜はこの辺で〜。
乙です
GJ!
ARCHさんGJです。じっくり読ませてもらいます
…それしか言えない自分に絶望した。
何か盛り上がる話題とかねぇかなぁ…
保守
hoshu
ほしゅ
期待しながら保守
コミヴァ最新号げっと
覚醒優子強すぐるんでツマンネ
強敵との死闘の末にギリギリ勝つぐらいが丁度良いのに
>>216 あと2回くらい挫折→克服して成長とかありそうだが
そうするとログレス倒すのにあと3年はかかりそうな。
雑誌自体がもつのか不安だ。
優子が覚醒したらデルフィナとドラゴもう用無しじゃね?
次回あっさり殺されたりしてな
単行本の2巻まだ?
>>220 10月6日
ヴァルキリー編集部の会議室で一日中絵コンテ作業。
はずせない外出日に雨が降るとうっとおしい。
ヴァリス単行本第2巻は来年2月末発行予定です。多分。
64.0kg。
222 :
名無しさん@ピンキー:2008/12/14(日) 01:01:12 ID:H6hXSKya
226 :
名無しさん@ピンキー:2008/12/17(水) 20:39:45 ID:GcpxBbfv
保守
hoshu
.
>>229 ううおおお〜!!!
Good Job!!
早速頂きました。
表情とパンツがなんとも。
229様も良いお年を
232 :
名無しさん@ピンキー:2008/12/31(水) 09:39:23 ID:m5CZkrTX
233 :
名無しさん@ピンキー:2008/12/31(水) 10:53:44 ID:B/V15x6E
あけおめ保守
>>233 レダのCG集は出してるんだけどな。
ヴァリス等の他の80年代ビキニアーマーヒロインのも出して欲しいところ
あぁ麗夢とかアテナとかか…
…高橋留美子作品と、あとナムコにも何か無かったか?
>>229 塗りは本当にどんどん上達していってますね、うまいなぁ〜
顔が段々変ってきているのかな??
個人的には初期の頃よくスレに投下していた頃の顔のほうがが好きかもw
野暮でしたね失礼、今年もこちらのスレでの投下楽しみにしております!!
大変長らくお待たせしました〜。
「3V(ヴァリス・ヴァルキリー・バージョン)」第13章、本日完成いたしました。
明晩21:00頃から投下作業を開始する予定です。
お楽しみに〜。
お待たせしました〜。
只今より発表作業を開始します。
なお、本章には暴力的な描写を取り入れた箇所がございますが、
あまり生々しくはならないように表現を抑えているつもりです。
それでも、万が一、不快に感じられた場合には、その箇所を飛ばしてお読み下さいませ。
(1)
――――リアリティ。東京都内。ホテルの一室。
「んふぁッ・・・・くッ・・・・あふぅうん」
ベッドの上で、甘いよがり声を漏らし、しなやかな肢体をくねらせる、<ヴァリスの戦士>優子。
腰まで伸ばした蒼髪が、多量の汗を吸ってなめらかな光沢を発し、
やや色白だが、申し分なく瑞々しい肌の色と見事なコントラストを描き出している。
現実界の娘の未熟な性感を煽り立て、すでに幾度と無く、忘我の境地へと誘っているのは、
暗黒界出身の女エルフにして、今は亡きアイザードの側近、デルフィナ。
忠誠を誓った主であり、理想を共にする同志であると同時に、
お互いに心とカラダを許し合える関係であった、元夢幻界人の青年から教え込まれた、
極上のテクニックを惜しみなく投入して、少女の心身を燃え上がらせている。
(2)
「見てみろ。もうここまで治癒が進んでいる。あと少しだ」
ベノンの炎によって黒焦げにされた剣士の右腕は、
<ヴァリスの戦士>の生体エネルギーの一部を吸収したおかげで、
数刻前の惨状がウソのように体組織の再生が急ピッチで進んでいる。
彼女自身としては、元々、優子と同衾ねるための方便に過ぎなかった『治療行為』が、
実際に効果を上げている事実に、内心、苦笑を漏らさずにはいられなかったのだが。
「ハァハァ・・・・んんッ・・・・くはッ・・・・ふはぁあああッ!!!!」
一方、パートナーによって快楽の極地へと誘われている蒼髪の少女の方は、
すでに全身を覆う喜悦以外は頭の中に無いも同然である。
最初のうちこそ、『これはセックスではなく治療行為なのだから』と自分に言い聞かせて、
感情を押さえ込み、求めに応じようとしていたのだが、
最初の絶頂へと昇り詰めた瞬間から、もはや、そんな事はどうでも良くなっていた。
すでに羞恥心も同性愛に対する抵抗感も猛り狂う快感の前に雲散霧消してしまい、
誘われるがままに体を開き、弄ばれ、気をやり続けている。
(3)
「胸当てが邪魔だな。・・・・外してくれ」
甘い声で囁きかけながら、デルフィナは、
黄金の輝きを放つ胸甲の曲線に沿って、思わせぶりに人差し指を滑らせてみせる。
実際には、素肌はおろか、鎧の表面にさえ触れられていないにも関わらず、
動きを目にしただけで、呼吸を弾ませ、悩ましげに喘いでしまう、蒼髪の<戦士>。
要求されるがままに胸当てを外すと、たっぷりと汗に濡れ、ピンク色に染まった乳房を曝け出した。
「フフフ、大きさは今一つだが、形は整っているな」
どれどれ、と妖艶な微笑を浮べて、吟味を開始する金髪の剣士。
今一つの大きさ、というのは、自分の持ち物と比較しての話であり、
目の前に行儀良く並んでいる、バストのサイズは、
これまでにベッドを共にしてきた現実界の娘たちと比べても、平均以下の部類とは感じられない。
むしろ、未だ発育途上の段階にあるにも関わらず、
これだけの豊かさを誇っているのは大健闘と言っても過言ではないだろう。
(4)
「フフ、感度の方はどんな具合かな?」
興味津々な表情で、白い湯気を立てる美乳に手を伸ばす。
触れるか触れないかの所で指先を巧みに滑らせ、産毛の先端をそっと撫でると、
蒼髪の少女はじれったそうに眉を寄せ、ピクピクと全身を悶えさせた。
「ふぁ・・・・ううッ!!はぁく・・・・あくぅううッ!!」
神経がピンと張り詰めた、左右の脹らみが、不規則な痙攣を発し始める。
その先端部、桜色の乳輪から突き出した可愛らしい突起物に向かって、
くすぐったいような、むず痒いような、明状し難い感覚が流れ込んでいくにつれ、
普段は小指の先ほどの大きさに過ぎない乳首が、みるみる膨張していった。
胸郭の内側で律動を刻む心臓の音が、異様に甲高く、せわしなく聞こえ、
口をついて漏れる吐息も、荒々しく、熱っぽいものに変わっていく・・・・。
(5)
「フフッ、こんなに濡らして・・・・太腿がビチョビチョじゃないか」
ニヤニヤしながら、片方の乳房をすくい取った女エルフは、
親指の腹を使って、ピンク色の突起の根元をサワサワと優しく刺激する。
ひゃあッ!?という可愛らしい悲鳴を発し、頤を跳ね上げる<ヴァリスの戦士>。
本格的な愛撫にさらされた胸丘が、じぃんと火照っていくのと同時に、
カラダ全体が甘い痺れに覆われてゾクゾクと鳥肌立っていく。
「どうした?もっと乱暴にして欲しいのか?」
刻々と変化する表情を冷静に観察しつつ、
強弱や間隔を調整し、左右の脹らみをリズミカルに揉み込んでいく。
喘ぎ声の調子、手足の痙攣の具合、滲み出る愛液の量と手触り・・・・、
敏感さを増した肉体は、みずみずしい胸乳に加えられる僅かな力の加減に対しても、
各々異なるリアクションを返し、責め手の好奇心を飽きさせない。
いつの間にか、背筋は見事な半月形に反り返り、
愛蜜に濡れたスカートの内側では、ピンク色に染まった淫花が妖艶に咲き誇っていた。
(6)
――――ぷちゅッ・・・・ちゅぱッ!!
少女の背後に回ったブロンド美女は、目の前の身体を前屈させると、
たっぷりと唾液を含んだ真っ赤な舌先を汗ばんだ背中に押し当て、美味しそうに舐めしゃぶっていく。
ザラザラとした味蕾が性感帯をくすぐるたび、甘美な電流が背筋を走り抜け、
不随意筋が、ピクン、ピクン、と、活発に震えを発して、硬直と弛緩を繰り返した。
「んぁあッ・・・・あくぅ・・・・はぁうッ・・・・!!」
腋の下を通って、胸元へと回された左手は、
切迫した呼吸のたびに、プルン、プルン、と、大きく弾む肉の果実にねっとりと絡み付き、
力強いストロークで、テンポよく、揉みしだいていた。
先端部分で、ツン、と身を尖らせている乳首に対しては、
強過ぎず弱過ぎず、絶妙な塩梅の愛撫が繰り出され、限界まで勃起を促している。
トドメを刺したは、デルティナ自身の豊満な双乳・・・・。
執拗な口唇愛撫によって極度に感じ易くなった背中の上に、
マシュマロのような脹らみが押し付けられ、上下左右に動き始めるや否や、
口元から漏れる弱々しい喘鳴は、たちまち歓喜の絶叫へと引き摺り上げられてしまう。
(7)
「ふぁ・・・・あはぁああああッッッ!!!!」
次の瞬間にも絶頂へと昇り詰めかねない勢いで、
あられもない悲鳴が室内に響き渡り、ダブルベッドのスプリングがギシギシと軋む。
水分を含んでぐっしょりとなったシーツを破り千切らんばかりにきつく握り締めながら、
優子は高々と振り上げた下半身をガクガク揺さぶった。
捲れたスカートの中から、大量の愛液を吸収して半ば透き通った極薄の下穿きがまろび出し、
ほのかに甘酸っぱい匂いと共に、たっぷりと蒸されて凝縮された牝のフェロモンが周囲に飛散する。
「ハァハァ・・・・あぁ・・・・いやぁッ・・・・下着ィ、脱がしちゃあ・・・・ひはぁぁッ!!」
今にも消え入りそうなぐらい、擦れかかった抗議を無視して、
ぴっちりと素肌に密着したショーツに手をかけたデルフィナは、
その薄布を、一気にではなく、わざと時間を掛けて摺り下していった。
ビショビショに濡れそぼった純白の下着の中からまず現れたのは、白桃色をした瑞々しい尻たぶ。
続いて、じっとりと汗に濡れたあわいの奥から、繊細な小皺が寄り合わさった、可愛らしい菊座が姿を見せ、
最後に、しなやかな太腿の間、未だ十分に生え揃っていない若草に囲まれて、
ピクン、ピクン、と不規則な痙攣を発し続けている、サーモンピンクの秘唇があらわになる・・・・。
(8)
「あああ・・・・だ、だめぇ・・・・こんな所まで・・・・はぁうううッ!!」
恥ずかしいすぼまりの表面に吹きかけられる生温かい吐息に、
蒼髪の少女は、顔面を真っ赤に紅潮させ、弱々しくかぶりを振った。
淫靡な感触に、あさましく振り立てられた腰がヒクヒクと震え慄き、
毛穴という毛穴が、ザワザワザワッ、と、一斉に鳥肌立つ。
「もしかして、前よりも後ろの方が良いのか?
フフッ、純真そうな顔をして、意外と経験を積んでいるみたいだな」
「・・・・ち、違ッ、そんなんじゃ・・・・ひゃあああッ!!」
しどろもどろに否定の言葉を並べる少女のお尻を、ピシャン、と軽く叩くと、
隻眼の美女は、真っ赤な舌先を、ググッ、と伸ばし、ぱっくりと口を開けた秘裂の狭間へと捻じ込んでいった。
最初に発せられた素っ頓狂な叫び声は、すぐに、切なげな擦れ声へと切り替わり、
しばらくすると、本格的なよがり泣きへと変貌を遂げていく。
視界全体で極彩色の花火が何発も大輪の花を咲かせ、
うなじの辺りが、じぃん、と熱っぽく痺れていくのが、優子自身にも良く分かった。
(9)
・・・・ぴちゅッ・・・・ちゅぱッ・・・・ぶちゅるるッ!!
たっぷりと唾液を含んだ舌先が、恥ずかしげに慄く花弁を丹念に舐め回す。
手前から奥へ、そして、また手前に・・・・、
執拗に、同時に、単調に陥らぬよう、細心の注意を払いつつ、
花弁をしゃぶり、トロトロと溢れ出して来る蜜を美味しそうに啜り上げた。
「ひはぁああッ!!ふぁあッ・・・・あくぅううッ!!」
ヌメヌメとした肉ナメクジに膣内を犯されて、
蒼髪の少女は弱々しい悲鳴を漏らし、快感に手足を打ち震わせる。
敏感な粘膜に触れられるたび、えも言われぬ快楽の電流がしなやかなカラダを駆け巡り、
鼻先に小さな星屑が舞い散って、僅かに残っていた理性さえ粉々に打ち砕いた。
子宮口の近くまで舌を突き入れられては、故意に時間をかけてゆっくりと引き抜かれ、また捻じ込まれる・・・・
一連の動作をテンポよく繰り返されていくうちに、
大量に分泌された脳内麻薬の働きで頭の中が真っ白になっていき、
全身の血液が瞬時に沸騰してしまったかの如く、煮え滾る灼熱感が体の隅々にまで広がっていく。
(10)
「アアッ・・・・く、来るッ!!凄いのが・・・・あああ・・・・も、もう、ダメェェェッ!!!!」
アクセルを全開にして動きを加速させる女剣士。
舌先をプルプルと震動させつつ、秘裂に深々と埋没させては、
絡み付いてくる媚肉をねちっこく舐めしゃぶり、
ようやく引き抜いたかと思えば、今度は入り口付近を弄んで徹底的に焦らし抜いた。
勿論、甘酸っぱい果汁が蜜壷から零れ落ちそうになるたびに、唇を尖らせて飲み干してしまうのも忘れない。
細長い指もまた、蠢動を再開していた。
噴き出した汗でヌルヌルになった胸の脹らみを鷲掴みにして揉みしだき、
時折、コチコチに屹立してしまった乳首に寄り道しては、爪の先で、ピンッ、と弾いてみる。
負傷して自由が利かなくなっていた筈の右手の指でさえ、多少ぎこちないながらも責めの一翼を担い、
あさましく脹らんだ陰核に向かって、巧みな愛撫を送り込んでいた。
乳首と陰核と膣襞・・・・各々異なる肉悦を発する三箇所の快楽中枢を刺激されるたび、
優子は、背筋を波打たせ、四つん這いになった手足の筋肉をガクガクと痙攣させつつ、
涎まみれの口元からあられもない嬌声を迸らせる・・・・。
(11)
「ひぃあッ!!・・・・あはひゃあああああッッッ!!!!」
ひときわ鋭い絶叫と共に、汗まみれの下半身が艶めかしく揺れ動く。
次の瞬間、網膜の内側で、何百ものフラッシュを一斉に浴びたかのような閃光が迸り、
視界全体が、眩い輝きを放つ極彩色の火花によって埋め尽くされた。
狂おしいまでに甘ったるい快楽の波動が押し寄せてきて、
自我を呑み込み、五感を蕩けさせ、思考を木っ端微塵に粉砕してしまう。
――――じょぼぼぼぼぼッッッ!!!!
あさましい決壊音を発して尿道口が破裂し、微かに黄色みを帯びた生温かい液体が噴出した。
間一髪のタイミングで、ベッドから飛び退いたパートナーが両目を丸くする前で、
蒼髪の少女は、壊れかけの自動人形の如く、ギクン、ギクン、と全身を跳ね回らせながら、
膀胱からは屎尿を、秘裂からは愛潮を噴き上げ、溢れ返らせる。
許容量の限界を軽々と凌駕する性感の嵐に、完全に白目を剥いて意識を失ってしまった表情は、
『凄惨な』という形容詞以外、正確に表現する単語が思い付かない程、
無残に引き攣り、まるで別人の如く、変貌を遂げてしまっていた。
(12)
「・・・・さすがに、少しやり過ぎたか?」
アンモニア臭の漂うダブルベッドの脇で、苦笑いを浮べる女エルフ。
半透明な体液と薄黄色の排泄液とが入り混じった、得体の知れない汚汁にまみれ、
手足のそこかしこから、ピュクン、ビュクン、という不規則なひくつきを発している少女を見やりつつ、
これではどちらが怪我人か分からないな、と、軽くため息を漏らす。
(おかげで、腕の方はかなり良くなったんだが・・・・)
実際、彼女の利き腕は、皮膚の一部に赤黒く腫れが残ってはいるものの、
筋肉も神経もほぼ再生し、動作や感覚も、火傷を負う以前の水準まで回復を遂げていた。
試みに、愛刀を抜き払って、治癒したばかりの右手で掴んでみると、
殆ど何の違和感もなく、負傷前と変わりなく、しっくりとなじむのが分かる。
思わず、ほおっ、と息をついたデルフィナは、抜き身の曲刀を握ったまま、
未だエクスタシーの余韻の中で浅いまどろみに落ちている現実界の娘に視線を転じ、
フフッ、と、小さく微笑みつつ、黙礼を送った。
――――――――と、次の瞬間ッ!!
(13)
ドドドドォォォ――――ッ!!!!
突如として、部屋全体が激しく揺れ動き、壁面に亀裂の入る不快な音が走り抜けた。
固定されていない調度類が次々に床に転げ落ちては、
砕け散り、あるいは、ひしゃげ潰れ、用を為さない存在へと変わっていく。
さらに――――咄嗟の判断で、防御呪文を発動させたデルフィナが、
自分と優子の二人を包み込む大きさの不可視の障壁を展開し終えた直後――――、
窓の外から飛び込んできたオレンジ色の火球が、室内の可燃物に引火して盛大に炎を噴き上げた。
「・・・・ま、まさか、ベノンがッ!?」
まだ少しフラフラとしながらも、どうにか正気を取り戻した現実界の少女が、
防壁を展開する女剣士の傍らで驚愕に目を瞠る。
防衛本能の働きによるものだろうか、<ヴァリスの剣>が両手の中で実体化を始め、
続いて、黄金の胸甲以下、脱ぎ捨てられて床に散らばっていた防具が、
磁石に吸い寄せられる砂鉄のように身体の各部へと集まり、再装着されていった。
――――だが、隻眼のエルフは、直感的に、
パートナーの心の奥底に横たわる疑念が未だ払拭されてはいない、と見抜いていた。
(14)
(やはり、導き手で無ければ、進むべき道を示す事は不可能だったのか。
・・・・この様子では、まともに戦うのは到底無理だろうな)
ぎりッ、と奥歯を噛み締めるアイザードの剣士。
元より、戦場での迷いは、不安や不信の温床となり、
本人のみならず、周囲に対しても破滅的な結果をもたらすものとなる。
ましてや、敵は狡猾残忍で知られる暗黒五邪神・・・・、
少女の心に生じた隙に気付けば、情け容赦なく付け込んで来る事は明らかだった。
(私がやるしかない。血路を開いて、<ヴァリスの戦士>だけでも逃がさなければ・・・・!!)
そう、意を決した直後、
構造上の限界に達した天井がガラガラと崩れ、四方の壁が砕け落ちて、
真っ黒に黒ずんだ無数の瓦礫――――鉄骨とコンクリートの塊――――が降り注ぐ。
時を同じくして、負荷に耐え切れなくなった床が断末魔の悲鳴と共に崩壊し、
球状の防御障壁に包まれた二人の体は、
数十メートル下の奈落の底に向かって、真ッ逆さまに吸い込まれていった。
(15)
――――数秒後。
「大丈夫か、返事をしろッ!?」
濛々と立ち込めている粉塵の中、女エルフは傍らに蹲っていた少女に声を掛けた。
無言のまま、頷き返す、<ヴァリスの戦士>。
・・・・だが、(予期した通り)その表情は固く引き攣り、真っ青に蒼褪めている。
「無理をするな。お前は後ろに退がっていろ」
有無を言わさぬ口調でパートナーに畳み掛けると、
隻眼の美女は、愛刀をひと薙ぎし、正眼に構え直した。
一方、言われるがままに位置を譲った優子は、落ち着かなげに<ヴァリスの剣>に視線を落とす。
白銀の刀身に映り込んだ己れの相貌は、
生死を賭けた戦いを目前にしてなお、闘う意義を見出せないまま、
不安と焦燥だけを募らせる、ひとりぼっちの女子高生のそれだった。
(16)
「オーホホホホッ!!やあ〜っと見つけたわ、ネズミ共ッ!!
まったく、アンタ達がコソコソ逃げ隠れしてる間に、現実界人が何匹消し炭になったと思ってんのよッ!!」
猛火の彼方から響き渡る、けたたましい哄笑。
忘れる事も出来ない邪悪な声音の主を探して、周囲を見回す二人の頭上高く、
窓という窓から黒煙とオレンジ色の炎を噴き上げている、雑居ビルの屋上から、
彼――――暗黒五邪神が一将、炎邪ベノンは、嘲りの言葉を投げ付ける。
「黙れ、ゲス野郎ッ!!
アイザード様の無念、今度こそ晴らしてやるッ!!」
デルフィナの口から憎悪に満ちた叫びが迸り、
眼帯で覆われていない方の瞳が血走って憤怒の色に染まった。
「フン、死に損ないのクセに口先だけは達者ねぇ。
いいわ、アイザードの所に送ってやる前にタップリと地獄を味わわせてあげる」
そう、鼻先でせせら笑った暗黒界の大貴族は、
眼下に陣取る金髪の剣士を見下ろし、残忍そうに舌なめずりすると、
相手を小馬鹿にした仕草で指先を突き出し、炎の魔力を集中させる。
(17)
「来るぞ、油断するなッ!!」
張り上げられる、警告の叫び。
直後、ベノンの人差し指がオレンジ色に光り輝いたかと思うと、
毒蛇の如く不気味にうねる炎の帯が、地上へと急降下してくる。
「風よ・・・・!!」
そっと呟きつつ、精神を集中する隻眼の剣士。
全身から湧き立った魔力が、白銀色の刀身に蓄積され、急速に練り込まれていく。
次の瞬間、集束された清冽な霊気は、大気の刃と化して押し寄せる邪悪な業火を見事に両断し、
更にそのまま直進して、驚愕に両目を見開いた炎の魔人の許へと殺到していった。
「ぎゃああああッッッ!!!!」
ひび割れた悲鳴が空気を震わせると同時に、
肘の真ん中からスッパリと斬り飛ばされた右腕が宙を舞い、
どす黒く濁った血飛沫が、切り株のような切断面から、噴水の如く飛散する。
信じられない、という表情を浮べて、傷口を押さえる暗黒五邪神の姿に、
千載一遇のチャンス到来、と判断したデルフィナは、
一気に勝負を決めるべく、渾身の力を込めて大地を蹴り、宿敵の許へと跳躍した。
(18)
(もらったッ!!)
裂帛の気合と共に振り下ろされる、白銀の斬光。
肩口を断ち割り、胸板を切り裂き、脇腹にまで達する必殺の一撃――――!!!!
・・・・・・・・だが、その直後、彼女の顔色は一変した。
「げ、幻影だと・・・・いったい、いつの間にッ!?」
斬り落とされた右腕だけを残して、すううッ、と消え失せていくベノン。
愕然となった女エルフの頬筋が、一気に血の気を失い蒼褪めていく。
敵を罠に嵌めたつもりで、陥穽に陥っていたのは自分の方だったとは・・・・。
――――では、あの狡猾なオカマ野郎は、一体、何処へ消えたというのか!?
(しまった、優子ッ!!!!)
切り揃えたブロンドを翻したデルフィナが、
恐怖と悔悟にとらわれながら背後を振り返った、その刹那。
生命に代えても守り抜くと誓った筈の少女は、
苦痛に満ちた悲鳴と共に、放物弾道を描いて空中高く跳ね飛ばされ、
・・・・直後、ぞっとするような衝撃音と共に、コンクリート製のビル壁へと叩きつけられた。
(19)
「オホホホッ!!惜しかったわねぇ、デルフィナちゃん」
冒してしまった取り返しのつかないミスに、茫然と立ちすくむ女剣士を、
けたたましく響き渡る狂笑が冷酷に打ちのめした。
数秒前まで優子のいた場所に立ち、勝ち誇った視線で自分を見上げる魔将軍・・・・、
その右腕は、肘から先が無くなったままの状態だったが、
彼にとっては、この程度の傷など負傷のうちに入らないらしく、気にかけている様子は微塵も無い。
――――と。
「ぐッ・・・・ううう・・・・」
弱々しく呻きながら、身を起こそうとする現実界の少女。
おそらく、壁に衝突するギリギリのタイミングで<鎧>の力が発動したのだろう、
消耗こそ激しいようだが、体には目立った外傷は見当たらない。
最悪の事態だけは回避されていた幸運に、僅かに胸を撫で下ろす隻眼のエルフだったが、
状況は何ら好転した訳ではなく、自分達の窮状に変わりはなかった。
(20)
「フン、しぶといわねぇ。まだ生きてたの?」
舌打ちを漏らしつつ、炎の魔人は、瓦礫の中から這い出そうともがく優子に向き直った。
ビルの屋上から発せられる、やめろ、という悲痛な絶叫。
――――だが、決死の覚悟で飛び掛ろうとした動きは、狡猾陰険な宿敵によって完全に見切られていた。
「おっと、動いちゃダメよ。
一歩でも動いたら、コイツでお嬢ちゃんを丸焼きにしてやるわ」
単なる脅しではないぞ、と威嚇するかのように、ベノンの右腕が<ヴァリスの戦士>へと向けられる。
手首から先の部分が切り落とされた利き腕からは、
鮮血の代わりに青白い炎がチロチロと舌先をのぞかせていた。
先刻の宣言通り、女剣士が一歩でも踏み込もうものなら、
回避はおろか満足に立ち上がる事さえままならない蒼髪の少女など、
訳も無く魔性の業火に押し包まれて、骨のカケラさえ残さず焼き尽くされてしまうに相違ない。
(21)
「それにしても、アンタ、てんで弱っちいのねぇ。
少しは楽しめるかと期待してたのに、がっかりしたじゃない」
足元に縫い付けられたかの如く、ピタリと動作を止めたデルフィナの姿を満足げに眺めつつ、
もう一方の獲物へと歩み寄った暗黒五邪神は、
コンクリートの粉塵にまみれて白く煤けた蒼髪を乱暴に掴んで、無理矢理に上体を引き摺り上げた。
耐え難い苦痛に襲われて、醜く歪んだ<ヴァリスの戦士>の表情を、
切断された肘の中から噴出する青白い炎が不気味にライトアップする。
「こ、この・・・・人でなしッ!!」
苦しい息の下から搾り出した面罵の言葉にも、涼しい顔の炎の魔人。
今の状況で何を喚こうが、所詮、負け犬の遠吠え、
処刑台に送られる直前の囚人の最後の足掻きと何ら変わりは無い。
「当たり前でしょ。人じゃないんだから」
そう、平然とした口調で返した暗黒界の大貴族は、
ビルの上のデルフィナを振り返り、意味ありげに、にんまりと笑いかけた。
次の瞬間、右手――――否、溢れ出す高熱を帯びて焼きゴテと化した手首が、
目の前の少女の無防備な脇腹に、容赦なく押し付けられる。
(22)
「いッ・・・・ぎひッ!!あひぃぎィィィッッッ!!」
ジュウウウウッッッ!!!!
皮膚の焼け焦げる不快な音と共に、ぞっとするような異臭が立ち込める。
家畜さながらに灼熱の烙印を押し付けられた哀れな女囚が、
悲痛な絶叫を放ち上げ、激痛と恐怖に全身をばたつかせる様子に、
サディスティックな快感を覚えて、ベノンは天を仰ぎながら踊り狂った。
「あが・・・・あああ・・・・あぐぅううう・・・・!!」
瓦礫の上に倒れ込み、脇腹の傷口を押さえて呻き声を漏らす優子。
防御障壁が本来の力を発揮できていれば、どんな熱線も平気だった筈だが、
この期に及んでも、やはり、<戦士>として戦う事への憂悶が、
心の内側に澱となって沈殿し、意志のエネルギーを減退させ続けている。
夢幻界の女王から与えられた幾つもの加護も、明暗の均衡が失われた今となっては失われたも同然で、
生命活動をギリギリの水準で維持するだけで手一杯の状態だった。
(23)
「さぁて、デルフィナちゃん。武器を捨てて、降りてきて貰おうかしら」
ニヤニヤといやらしい笑みを浮かべつつ、
炎の魔人は、呻き続ける優子を引き据えて、もう一人の獲物を振り返った。
そして、悔しさに唇を噛み締める彼女に、最後の決断を迫るべく、
今度は、五本の指の先端からシゥウシュウと真っ白な煙の立ち上る左手を、
人質の胸元――――黄金の甲冑に包まれた形の良い乳房へと近付けていく。
「や、やめろッ・・・・やめてくれッ!!」
屋上から降り注ぐ女剣士の声は、ほとんど悲鳴に近かった。
だが、暗黒界の魔将軍は、何も聞こえないフリをしたまま、
焼け火箸のように赤熱した指先を、情け容赦なく、乙女の柔肌へと食い込ませる。
<鎧>に残った僅かな加護の力が侵入者を阻もうと必死の抵抗を試みたものの、
難なく打ち破られて、ほどよく実った脹らみは、防具もろとも、鷲掴みにされてしまった。
再び、肉の焼ける異臭と異音が周囲に立ち込め、
淀みきった空気を切り裂いた悲痛な叫びが、辺り一面に轟き渡る。
(24)
「クックックッ、やめて欲しいの?だったら、さっさとアタシの言う通りにした方が賢明よ。
・・・・まぁ、この小娘が黒焦げになる所を見たいのなら、話は別だけどねぇ」
「くぅ・・・・わ、分かった」
低く、声を落とすデルフィナ。
元より、<鎧>がアテにならないからには、要求に従う以外に目の前の少女を救う道は無かった。
無論、卑劣さが服を着て歩いているような男が相手では、指示通りにしたからといって、
最終的に優子の安全が保証されるとはとても思えないが、
それでも、隙を見付けて、彼女一人だけでも逃がすぐらいは可能かもしれない――――。
(どうか、お許しを・・・・アイザードさま)
断腸の思いで亡き主に詫びつつ、愛刀の切っ先を足元に突き立てる隻眼の剣士。
にやつきながらパートナーの胸を揉み回している、暗黒五邪神の顔を、きッ、と睨み付けた。
可能ならば、無感情を装いたかったが、努力の甲斐なく、その表情には無念さが滲み出している。
戦いに敗れた暗黒界の住人に可能なのは、勝者の前に膝を屈し、慈悲を願う事だけ、
まして、<ヴァリスの戦士>という人質を握られている以上、反抗の素振りさえ示す訳にはいかない、と、
頭では理解していても、やはり、降伏の意を示すのは無性に腹立たしく、情けないと感じられてならなかった。
(25)
「フフフ、やっと素直に言う事を聞く気になったのね」
愛用の曲刀を打ち捨てて、丸腰のまま近付いてくるエルフの姿に、
ヴェカンティの大貴族は、遊び飽きた人形を放り投げる幼児そのままに、優子の体を振り落とした。
もっとも、さすがに逃亡の可能性は考えているのだろう、
手早く呪文を唱え、周囲に炎の檻を幾重にも張り巡らせるのは忘れなかったが。
(チィッ、ベノンめ、さすがに完全に警戒を解いてはいないか・・・・)
勝利に酔いつつ、万一の事態への備えは怠らない意外なしたたかさに、
己れの考えの至らなさを思い知らされ、暗澹たる気分に襲われる、隻眼の美女。
優子を――――主から託された<ヴァリスの戦士>を逃がすためならば、
たとえ、剣士のプライドをかなぐり捨て、女としての恥辱にまみれようとも悔いは無い、と決意してはいたが、
それすら叶わないのであれば、何の意味も無いのではないだろうか・・・・?
(26)
(ダメだッ。これぐらいで諦めてどうする!?
あの方の理想を実現できる者は、もう私しか残っていないんだぞッ!!)
心の中で強くかぶりを振ると、デルフィナは、弱気に陥りかけた自分自身を叱り飛ばし、気力を奮い立たせた。
アイザードの部下として、否、同志として、彼の理想に殉じる覚悟は出来ている。
たとえ、カラダを汚され、白濁にまみれようとも、
生命尽き果てる瞬間まで、眼前の下劣漢に一矢報いる機会を狙い続けてやるのだ・・・・!!
(ほう、まだこんな生意気なカオをするワケ?
クククッ、さすがはあの若僧の情婦ってところかしら。
まぁ、いいわ。その態度がいつまで保つか、試させてもらうとしましょう)
圧倒的に劣勢な状況下にあってもなお、
矜持を捨て去る事無く、昂然と自分を睨みつけてくる女エルフに、
暗黒五邪神の双眸の奥では暗い嗜虐の炎がメラメラと燃え上がった。
この期に及んでもなお、楯突くのを止めぬ、というなら容赦はしない。
いっそ殺して欲しい、と懇願するようになるまで、徹底的に責め抜いて、
抵抗心をへし折り、プライドをひしゃぎ潰して、絶望のどん底に叩き込んでやるだけだ。
(フフフッ、後悔させてやるわよ・・・・このアタシを本気で怒らせた事をねぇッ!!)
(27)
「まずは・・・・そうねぇ、ここに這いつくばりなさい。
そして、立派なお尻を、小娘にもよぉく見せてやってちょうだい」
プライドをしたたかに打ち据える、嘲りの眼差し。
だが、デルフィナは、屈辱に蒼褪めながらも、一言も発さずに、
ゆっくりと地面に屈み込み、赤ん坊の如く、四つん這いの姿勢を取った。
「そんな・・・・デルフィナさんッ!!」
叫んだのは、炎の檻に囚われた少女の方だった。
だが、金髪のエルフは、敢えて、目を合わせようとはせず、沈黙を決め込む。
今の彼女の様子を視界のうちにとらえようものなら、
自分の中に充満している、悔しさやら情けなさやらが、理性の箍を弾き飛ばして、一気に暴発しかねない。
そうなれば、一巻の終わり・・・・武器を捨てた剣士と戦う意志を失った戦士に勝ち目などあろう筈もなく、
二人仲良く魔性の業火に包まれて、消し炭に変えられる末路が待っているだけだろう。
(28)
「ほらほら、お嬢ちゃんも心配してるわよ。
ボロボロになるまで犯されて、おつむがパーになる前に、何か言い残してやったらどう?」
「・・・・・・・・」
悲壮な決意を知ってか知らずか、変態貴族の嘲弄は執拗に続く。
容赦ない言葉の暴力に、美しい口元が醜く引き攣っていった。
パートナーの前で、無様に地面に這いつくばらされているだけでも充分に屈辱的だったが、
更に臀部を高々と振り上げ、交尾を仕掛けられる雌犬のような姿勢を維持しなければならないのである。
「アハハハッ、いいわぁ、その表情・・・・眺めてるだけでゾクゾクしてきちゃう」
これで何度目だろうか、けたたましい哄笑が響き渡る。
加えて今度は、斬り落とされずにいた左手を使って、目の前で揺れ動く革製のスカートを捲って、
下に隠された、簡素な麻のショーツを露出させるというおまけ付きだった。
下着越しに感じるおぞましい感触に、顔面を朱に染める隻眼の美女・・・・
かろうじて、握り締めた拳をブルブルと震わせる以上の行動に出たりはしなかったものの、
激しい怒りとそれに倍する悔しさに責め苛まれているのだろう、
張り裂けんばかりに見開かれた双眸の奥には、我知らず、熱い涙滴がジワリと浮かんでいる。
(29)
「クックックッ、どうしたの、まだ下着の上から触ってるだけよ?
今からこの調子じゃあ、いくらも保たないわよォ?」
悦に入りながら、耳障りな声で囁きかける暗黒五邪神。
四つん這いになった女囚は、ぎりりっ、と、奥歯を噛み鳴らし、唇を血が滲むほど強く食い締めて、
下穿きの表面を這い回る、節くれだった指先の動きに堪え続ける。
何度か愛撫を繰り返して、おおよその性感帯の位置を確認し終えたベノンは、
ひと呼吸の後、ショーツの縁を鷲掴みにし、にんまりといやらしい笑みをこぼした。
「ほ〜〜〜ら、ご開帳よォ。
アンタの恥ずかしいトコロ、たっぷりと拝見させてもらうわ」
荒々しい息遣いと共に、左手から毒々しい緑色の炎が立ち昇り、薄布へと燃え移る。
一瞬、全身を硬直させるデルフィナだが、
さいわい、彼の行為は邪魔になる布切れを燃やし尽くすのが目的であり、
彼女の下半身をバーベキューにしたいという訳ではなかった。
魔性の炎は、簡素な布切れをメラメラと炎上させ、瞬く間に灰へと変えてしまったものの、
たわわに実った豊満な美尻にも、肉付きの良い、むっちりとした太腿にも、
そして、勿論、頭髪と同色の縮れ毛に覆われた恥丘にも、一切危害を及ぼす事は無かったのである。
(30)
「へへぇ・・・・さすがエルフの牝ねぇ。
見てくれといい、弾力といい、肌触りといい、最高だわ」
一糸纏わぬ姿に剥き上げられた、妖艶な腰、
分けても、豊かな質感に恵まれたヒップの曲線に、熱い眼差しが注がれる。
暗黒界の大貴族は、不健康な紫色をした長い舌先で、人差し指をベロベロとしゃぶると、
唾液を塗りつけた先端部分を、白桃色の尻たぶの間――――左右の脹らみに挟まれた肉溝へと伸ばし、
小刻みに震え慄く柔肌のわななきとじっとりと汗の滲んだ淫靡な感触とを愉しみ始める。
「あうッ・・・・くッ・・・・うううッ!!」
敏感な場所をネチネチと弄ぶ、ベノンの手付きは、悪辣なまでに巧妙だった。
これに後押しされる形で、肺腑の底から押し寄せてくる熱い衝動に対して、
隻眼の剣士は、自制心を総動員して口元を引き締め、必死の防戦を試みたものの、
ともすれば、湿り気を孕んだ吐息の塊は切迫した喘ぎへと変化して溢れ出してしまう。
恥ずかしいやら情けないやらで、思わず、真っ赤に赤面する女エルフ・・・・
その様子を冷やかに見下しつつ、炎の魔人は責めの対象を尻たぶ全体へとエスカレートさせ、
匂い立つような白いフルーツを力強いストロークで揉みしだいた。
(31)
「はくぅッ!!こ、これぐらいの事で・・・・ひはぁッ!!
・・・・か、感じたりなんか・・・・はひゃあッ・・・・するものかぁッ!!」
端正な顔立ちを苦悶に歪め、額には脂汗まで浮べつつも、
襲い来る悦楽の大波に抗い、押し返そうと試みる。
だが、快楽を否定する言葉の合間に漏れる切迫した呼吸音は、
着実に蓄積していく性感の影響だろう、甘い響きを増し続けていた。
「ホホホ、痩せ我慢はカラダに良くないわ。もっと自分に素直になった方が楽になれるわよ?」
「う、うるさい・・・・んはぁぁッ!!」
むっちりとした尻たぶに絡み付いた左手がゆっくりと弧を描くたび、
適度な弾力と瑞々しさを兼ね備えた柔肉の塊がガクガクと震え上がった。
陰険姑息な陰謀家であるベノンの性格は、性技の面にも色濃く現れており、
焦らず急がず、ネチネチと獲物を嬲り抜こうとする。
無論、デルフィナとて、アイザードに処女を奪われて以来、幾度と無く、色事の修羅場も経験し、
多少の責めでは動じないという自負を抱いてさえいたのだが、
宿敵の技量の高さは、率直なところ、予想外と認めざるを得なかった。
(32)
「あらあら、オマンコから垂れたおツユで太腿がベトベトじゃない。
アナルもぷっくり膨らんで良い匂いがしてきたわ・・・・ウフフ、やっぱり、カラダは正直なモノねぇ」
「だ、だまれッ・・・・あひぃぃッ!?」
未だ口だけは達者だが、冷酷な指摘通り、女エルフの熟れた肢体は、
暗黒界を離れて以来、久方ぶりとなる牡との交わりに興奮し、肉のヨロコビを受け容れ始めていた。
だが、それを認めるという事は、彼女にとって、一人の女としての陥落というだけではなく、
アイザードの最後の部下、あるいは同志の敗北を意味している。
(ま、負けない・・・・絶対に負ける訳にはいかないッ!!)
子宮の奥から湧き出してくる熱い衝動が下半身全体へと広がっていくのを自覚しつつ、
女剣士は歯を食いしばり、続けざまに何度もかぶりを振った。
忠誠を誓った主であり、理想を分かち合った友であり、
何より、夜毎に寝床を共にし、朝まで互いを睦み合った愛しい男の生命を奪った、憎むべき敵・・・・
その外道によって組み敷かれ、好き放題に弄ばれているだけでも屈辱だというのに、
ましてや、こんな男の性技に屈して快楽に溺れるなど、死んでも御免である。
たとえ、優子を逃がすためであろうと、そんな痴態を晒すような事があれば、
デルフィナは、自分自身を決して許さない、と心に固く誓っていた。
――――そう、奸智に長けた指先が、鋭敏さを増した排泄器官へと押し入り、
あの青年魔道士ですら与える事の出来なかった、禁断の快感を刻み付ける瞬間までは・・・・。
(33)
にちゅッ・・・・ぢゅぐちゅッ!!
「ひぎッ!?な、何・・・・そこはッ!?」
何の前触れも無く、不浄のすぼまりを抉り抜かれて、
女エルフは苦痛に顔面を引き攣らせ、甲高い絶叫を炸裂させる。
――――否、単に肛門に異物を突っ込まれただけならば、
いくら不意をつかれたとはいえ、こうまで無様な姿を晒したりはしなかっただろうが、
ベノンの尻穴責めには、いかにも彼らしい、陰虐な第二段階が用意されていた。
「フフフ、覚悟なさい。今から、アンタの尻穴、こんがりとローストしてあげる」
高らかに宣言すると、炎邪の二つ名を冠せられた暗黒五邪神は、
狭苦しいアナルに突き入れた指先から、直腸めがけて火炎を噴射した。
無論、内臓器官へのダメージを与えるのが目的ではないため、
致命的な損傷を引き起こす事の無いよう、熱量を最低レベルに絞ってのものだったが、
さしもの女偉丈夫も、身体の内側に火を放たれては、とても冷静さなど保てない。
無防備状態の粘膜が炎に焙られ、括約筋が、ギクギクギクッ、と狂ったような痙攣を発するのと同時に、
彼の目論見通り、デルフィナの理性は吹き飛び、感情は焼死への恐怖によって支配されてしまった。
(34)
「あぐぁうぅッ・・・・ひあぎぃいいいッッッ!!!!」
凄絶な絶叫を迸らせる、隻眼の美女。
真っ赤に充血した菊門からは、湯気とも煙とも付かない白い気体が漏れ出し、
かすかに焦げ臭い匂いが、しばらくの間、周囲に立ち込める。
その瞬間、すでにパニックに陥っていた思考は完全に崩壊し、彼女の抵抗は最後の時を迎えた。
「ヒャハハハッ!!さすがに、アナルに放火されるなんて思わなかったでしょう!?
クククッ、でもね、こんなのはまだまだ序の口よ。次はもっと素敵な経験をさせてあげるッ!!」
「ひいいッ!!い、いやぁッ・・・・来ないでェェッ!!」
ベノンの言葉に、哀れな敗北者は、もはや生きた心地も無く、
必死に体をよじって逃げ出そうと試みる。
・・・・だが、生きながらにして内臓をホルモン焼きにされる戦慄は、
先程までの気丈な表情を微塵も無く消し去り、手足を萎え縮ませてしまっていた。
憎むべき敵の目の前で、地べたを這い摺り回るしかない無残な変わり様に、
クククッ、と喉を鳴らした炎の魔人は、肛門から引き抜いたばかりで腸液の滴る手指で、
振り乱され、ベットリと汗に濡れそぼったブロンドを引っ掴み、無理矢理に顔を上げさせる。
(35)
「ハッ、甘ちゃんのアイザードなら兎も角、アタシから逃げられるとでも思ってるのかい!?」
パニックに陥り、泣き喚く生贄に向かって残忍な笑いを浮べると、
ベノンは、ゴミの袋でも投げ捨てるかの如く、彼女の身体を放り投げた。
さらに、瓦礫の中に倒れ込んだ彼女の周囲を取り囲む形に、
とぐろを巻いた大蛇の姿をした炎の帯を展開させ、オレンジ色の鎌首をもたげて威嚇する。
「さあ、続きを始めるわよ。
今度逃げようとしたら、そいつにアンタの尻穴を食い破らせるから、覚悟なさい」
四方から業火に押し包まれ、逃げ場を失った女囚に近付きながら、
暗黒界の大貴族が冷酷極まりない宣告を発すると、
魔力で出来た蛇は、まるで意志を持っているかの如く、猛々しく燃え盛る。
その様子を恐怖に凍てついた目で眺めながら、自動人形のようにコクコクと何度も首肯する隻眼のエルフ・・・・。
禍々しく舞い踊る炎光が絶望に駆られた哀れな犠牲者の横顔を照らし出し、
見る影も無く憔悴しきった表情を、グロテスクなまでに写実的に浮かび上がらせた。
(36)
「フフフ、じゃあ、コレをしゃぶってもらおうかしらねぇ?」
ニィィ、と唇を歪めた炎の魔人の手が、小高く隆起して、テントを張っている股間へと伸びる。
悪趣味なまでに華美な装飾で飾り立てた甲冑の下から姿を現したのは、
一体、どれだけの女を犯せばこんな色に染まるのだろうか?
信じられない程、どす黒く濁りきり、ぞっとするような臭気に包まれた醜怪な肉の盛り上がり・・・・。
「ひィィッ・・・・!!」
ビュクン、ビュクン、と不気味に脈打つ陰茎を一目見るなり、
囚われのエルフはおぞましさに口元を強張らせ、弱々しくかぶりを振った。
だが、ベノンは、お構い無しに、大きくエラの張り出した亀頭を唇に押し付け、
左手を彼女の後頭部に回して動きを封じつつ、そのまま強引に突入させようとする。
歯並びを割って押し入ってくる侵入者の不気味な感触に、
猛烈なえずきに襲われたデルフィナは、くぐもった悲鳴を漏らして悶絶するだけ・・・・。
(37)
「ヒャハハハッ!!どう、アタシのイチモツはッ!?
アイザードのフニャチンなんかとは比べ物にならないでしょう!?」
狂気じみた哄笑を放ち上げながら、
暗黒界の魔将軍は、口腔を冒した肉槍を喉奥にまで突進させた。
気道を塞がれて呼吸もままならなくなったのだろう、
デルフィナの声が弱々しくなり、顔色に至っては蒼白を通り越して土気色へと近付いていく。
「あうう・・・・も、もう・・・・うぐッ・・・・やめて・・・・い、息がぁ・・・・!!」
苦悶に満ちた表情を浮かべ、息も絶え絶えに赦しを乞う女剣士。
それでも、責めの手は緩められる気配さえ無く、
否、むしろ、もはや呻き声すら擦れかけている獲物の姿にサディスティックな悦びを見出して、
酸欠状態に陥りかけた美しい犠牲者の喉の中で、イマラチオの快楽を堪能し続ける。
(38)
(これは・・・・これは本当に現実なの・・・・?)
禍々しい瘴気を帯びた火牢の中から、今まさに朽ち果てなんとしているパートナーを眺めつつ、
敗残の<戦士>は、地面に突っ伏し、茫然と呟きを漏らした。
(デルフィナさん・・・・ごめんなさい・・・・私のせいで・・・・)
残された最後の希望が、呆気なく潰え去ろうとしている事実を目の当たりにして、
少女の精神もまた、果てしない虚無に呑み込まれようとしていた。
敗北感と無力感、そして、絶望感――――圧倒的なマイナスの感情が大波となって押し寄せ、
己れの内面にある全てが、漆黒・・・・<ヴェカンタ>の暗色によって塗り潰されていく。
(何もかも・・・・無駄だったというの?
わたしの戦いも・・・・アイザードの自己犠牲も・・・・)
邪悪な魔道の業によって生み出された炎の牢獄・・・・
時折、隙間から垣間見える市街もまた、破壊と殺戮に満ち溢れている。
自分の見慣れた街が、自分が生まれ育った世界が、
信じられないくらいに容易く、叩き壊され、焼き尽くされていく光景に、
優子の心はポッキリと折れたまま、回復する兆しさえ無く、
ただひたすら、無力な自分自身に向かって、血を吐くような呪詛の言葉を投げ付ける事しか出来ないでいた。
「何が<ヴァリスの戦士>よッ!!わたしには何の力も無いじゃないッ!!
誰かを救うための力も・・・・何かを守るための力も・・・・私には何一つ出来やしないッ・・・・!!」
――――――――TO BE CONTINUED.
以上、第13章をお送りいたしました〜。
お楽しみ頂けたのであれば幸いです。
次の第14章は、(年度末の人事で異動が無ければ)3月中旬の完成・発表予定で、
第13章のラストシーンから始まり、優子の<戦士>としての再覚醒〜ベノンの最期あたりまで
(コミック本編で言えば、第12話の後半から第14話のラストに相当する部分)を
一気に書き切ってしまいたいと思います。
ただし、本章に引き続いて、麗子とドラゴとヴォルデスの登場シーンはカットします。
これまでの彼女達に関わる部分は、第15章でまとめてエロパロ化する予定ですので、
麗子ファンの方はもうしばらくお待ち下さい。
それでは本日はこの辺で〜。
新年一発目、読ませていただきました。乙です!
乙
優子の復活に期待する。
GJ!!
282 :
名無しさん@ピンキー:2009/01/21(水) 22:15:19 ID:y0rBNQ0S
ヴァルキリーの更新キタ。
今月もあんまり期待できなさそう。
283 :
名無しさん@ピンキー:2009/01/23(金) 19:38:56 ID:w6d4RSCY
ヴァルキリーの早売りGETしたけど、今月は極小パンチラがたった1コマ。
後はコミック2巻が2月下旬と概出の情報のみ。
コミヴァ最新号ゲット。
「ヴァリスV」のハゲ親父が出てきてワロタ。
こいつが「導き手」だとすると今後の優子の運命は・・・。
またオリキャラ登場か?と思ったら原作に登場するキャラだったのか
セーラー服とヴァリスソードってトップのリンクからだとエラーが出るけど
サイト検索するといくつかのコンテンツは生きてるな。
>>286 再開するつもりはないのかな?
パソコン版とPCエンジン版のビジュアルシーンを全部見る事の出来る良サイトだったんだが
ヴァリスcomplete買えw
…はわわっ!オレ開封して「フィギュアあるな、よしよし」っつって
そのまんまフタ閉めてインスコも未だしてない
>>288 クリアしなくてもストーリーが解るという意味では?それにヴァリスシリーズは結構難易度が高いし。
それに2次創作をする人にはいい資料だったらしいし。
そもそもcompleteにはパソコン版T・U入ってないし
292 :
名無しさん@ピンキー:2009/02/10(火) 09:02:25 ID:v8kRRt+k
保守
295 :
名無しさん@ピンキー:2009/02/19(木) 08:14:45 ID:mCkuFHWc
やっと二巻出るのか・・・楽しみだ。
今週の終わり頃には店頭に並ぶのか。
秋葉原で早売りしてた
298 :
名無しさん@ピンキー:2009/02/27(金) 19:14:42 ID:TVPY8SPs
>>293 残念、期待のシーンには加筆修正なしだ。
3巻で優子と麗子のレズにも似た決闘シーンとか描いてくれればそれでいいよ>コミックス
あと書きの優子と麗子が何気にエロイ
優子の身体の上に馬乗りになってる麗子とそれを茫然と見上げてる優子
描き直しや足してある箇所とかあるんかのぅ・・・2巻
ZOL先生のブログによると最終回の展開考えてるらしい。
3巻で終わりか…
ヴァルキリーが終わりのような肝
303 :
名無しさん@ピンキー:2009/03/04(水) 00:41:39 ID:gtR18mdg
>>302な、なに!メガス陛下の話はやらんのか!
優子タンがメガス機械獣軍団の性奴に成り下がるとこ見たかったのに!
けしからん!ゲフンゲフン
>>301 一応あるらしい。
セリフも雑誌連載時のものから変更になって、
設定やストーリー背景が理解しやすくなってるようだ。
>>302 ウチの方は1巻の頃はVCをいくつかスットコしてる書店もあったが
今じゃヴァル誌もあったりなかったり…オワタ
…ふ、ふんだ!最初っから密林しかアテにしてないんだからねっ!!
計算するとあと連載3回で終了か。
7月号までだな。
腹痛で原稿落としたのに、その後ぬけぬけとコミケに行ったみたくるみはともかく、
真面目に通ってネーム書いてるZOLの連載が唐突に終わるってヘンだよね。
連載陣が手薄なのに人減らすってことはヴァルキリーそのものが終了なのかな。
円高ウォン安だからまた韓国から買ってきて埋める手はあるけど、今でさえコミックコリアなのに。
まだボスが二体と麗子が残ってるのに後三回は無理でしょ…
俺たちの戦いはこれからだエンドならともかく。
お待たせしました〜。
『3V(ヴァリス・ヴァルキリー・バージョン)』第14章、たった今、完成いたしました。
本日22:00より投下作業を開始いたしますので、
お手空きの方は、連投規制回避のため、ご支援方宜しくお願いいたします〜。
>本編の残り話数
ヴォルデス、麗子、ログレスとの戦いに各2話ずつと、
麗子死亡シーン・エピローグに1話ずつで、あと8話ぐらいではないでしょうか?
(各話20〜25ページと計算すれば、丁度単行本1冊分ぐらいの分量になりますし)
いつも良質なエロスをありがとうございます…
>>307 黒岩先生ですかw
あるいはRUSHとかで何事も無かった様に連載が続くとか
麗子とボスの相討ちっていう荒業は無いだろうし
お待たせしました〜。
只今より、『3V(ヴァリス・ヴァルキリー・バージョン)』第14章の発表を開始いたします。
なお、本章は、本編の第12話ラストから第14話まで(単行本2巻P124〜P169)の内容のうち、
麗子とドラゴ、ヴォルデスが登場するシーン以外を再編集してエロパロ化したものです。
それでは、お楽しみ下さいませ〜。
(1)
――――現実界。東京都内。火の海と化した市街の一角。
「何が・・・・<ヴァリスの戦士>よ・・・・」
焼け爛れた大地に突っ伏したまま、肩を震わせる蒼髪の少女――――麻生優子。
あまりにも無力な自分に打ちひしがれ、絶望に押し潰されて、
目の前に広がる地獄絵図を眺めている事しか出来ない、惨めな捕囚。
「わたしは・・・・誰も救えない・・・・」
炎の牢獄の向こう側、手を伸ばせば届きそうなくらいの場所では、
心通い合わせた友である女エルフが、陰険狡猾な暗黒界の大貴族に尻穴を無慈悲に抉り抜かれて、
苦痛に顔面を引き攣らせ、喘ぎ泣いている。
「わたしの世界を・・・・燃やされても・・・・」
業火を噴き上げて燃え盛る高層マンション。黒煙に包まれたファッション・ビル。
無残に崩れ落ち、瓦礫の山と化した、ビル、家屋、店舗。
灼熱地獄に響き渡る、断末魔の悲鳴と救いを求める無数の叫び声。
そこかしこで、人々の生命を冷酷に押し潰し呑み込みながら響き渡る圧壊音。
(2)
「なんて、無力なのッ!!」
血が滲むほどきつく握り締めた拳を、だんッ、と、地面に叩きつける。
喰いしばった口元から搾り出されるのは血を吐くような呪詛の言葉。
逆巻く猛火に照らされつつ、何百回、何千回、何万回、飽きる事無く、己れ自身を責め立てる。
「わたしにもっと力があればッ!!わたしに・・・・!!」
血の気を失い、青白く歪んだ頬筋を、生温い涙が伝う。
しっとりと落ち着いた色合いの蒼髪は炭塵にまみれて見る影も無く煤け、
やや色白だが申し分なく健康的だった柔肌は、
吹き付ける熱風に晒されてカサカサに乾き切り、灰色に薄汚れていた。
眩いばかりの黄金の光輝に満たされていた筈の聖なる甲冑さえもが、
今では、闇に冒された主の心を映すかの如く、暗くくすんでしまっている・・・・。
(3)
「ひぎぃぃッ!!いぎッ・・・・ぎぁあぁああッッッ!!」
炎邪の名を冠する暗黒五邪神による陵辱は、いよいよ激しさを増していた。
情け容赦なく繰り出される醜怪なイチモツが、喉奥を犯し、秘裂を貫き、子宮を掻き回す。
分けても、弾力と張りが絶妙なバランスで融合した尻たぶと、
ピクンピクンと淫蕩なひくつきを発している排泄器官に対しては、
異常なまでの執着心を感じているのか、徹底的に嬲り抜き、責め尽くそうとしていた。
「あううう・・・・そ、そんなに、お尻ばかり責めないで・・・・ひぃあぁああッ!!!!」
最も恥ずかしい部分を集中攻撃されて、
呼吸もままならぬ様子で弱々しく喘ぎ続ける女エルフ。
凛とした気迫と美貌に恵まれていた相貌は、今や汗と唾液にまみれてドロドロに汚れていた。
どんよりと濁りきった瞳は虚ろな眼差しを浮べて陵辱者を眺めやり、
しまりなく開かれた唇からはヨダレの糸が垂れ落ちている。
だが、体力の殆どを蕩尽し尽くし、気力さえ限界に達した現状にあっても、
熱いクサビを打ち込まれる都度、むっちりとした尻肉は、ブルブルッ、と狂ったように打ち震え、
真っ赤に充血した肛門も、抗い難い快楽に命じられるまま、肉の凶器を喰いしばっていた。
(4)
「あああッ!!あ、熱い・・・・カラダが、燃えてしまいそうッ!!」
代わる代わる巨根を挿入され、最奥部まで突き上げられた前後の秘穴は、
愛蜜と精汁と腸液とが入り混じった得体の知れない粘液が溢れ返り、熱い滾りに覆われている。
下半身全体がとろ火で焙られているかの如き灼熱感に襲われて、
囚われの剣士はあさましく身悶えしながら、秘唇をビュクビュクと痙攣させていた。
「フフフ、どうやら我慢の限界みたいねぇ。
アナルの蕾がいやらしく膨らんで、おねだりしてるわ」
ニヤニヤしながら、ヴェカンティの大貴族は、
ぽってりと充血した尻穴に向かって生温い呼気を吐きかけた。
表面を吐息にくすぐられただけにも関わらず、
繊細な粘膜は敏感に反応し、ひくつきが一段と激しさを増していく。
あさましいまでに正直なリアクションに甲高い嘲笑を浴びせたベノンは、
疲れ知らずの牡槍の穂先をすぼまりへとあてがい、そのまま一気に吶喊させた。
(5)
「ひぐぁああッ!!がはぁッ・・・・はぐぁああああッッッ!!!!」
括約筋をメリメリと押し破り、直腸へと突入した肉棒が、
繊細な粘膜をじゅるじゅると擦り回し、ピストン運動を繰り返す。
強烈な刺激に、囚われのエルフは腰をガクガクとわななかせ、激しいよがり泣きを噴きこぼした。
しなやかな両脚の筋肉が、今にも引き千切れそうな勢いで、ピン、と伸び切っている。
「ヒャーハッハッハッ!!まだまだッ、これぐらいでダウンされたんじゃ面白くも何ともないわッ!!」
気絶しかけたデルフィナに向かって罵声を吐きかけると、
炎の魔人は、短めに切り揃えたブロンドを乱暴に引っ掴んで、
ぶんぶんと頭を揺すり立て、混濁の淵に立たされていた意識を強引に呼び戻した。
もっとも、下半身を覆い尽くす悪寒にも似たゾクゾク感に魂を奪われているのだろう、
女剣士はぼんやりと薄目を開いただけで、身動きはおろか、言葉を発する事さえ出来なかったのだが。
それでも、ベノンは、お構いなしだと言わんばかりに剛直を振り立てると、
ピンクの襞をのぞかせるアナルに対して、中断していた責めを再開する。
(6)
「ひぃいいいッ!!も、もう・・・・ひゃめてぇッ!!!!」
ろれつの怪しくなった悲鳴が淀んだ大気を震わせるのと前後して、
野太い血管を浮き上がらせた怒張が狭苦しい蕾へと突き入れられる。
鋭い槍先によって身体を串刺しにされる激痛に、火の付いたように泣き叫ぶ金髪の美女。
「クックックッ、遠慮はいらないわよ、たっぷりと味わって頂戴」
だが、暗黒界の魔将軍は、囚人の哀願を無視して、
・・・・否、プライドも何もかもかなぐり捨てて許しを乞う彼女に、明らかに邪まな悦びを覚えつつ、
ビュクンビュクンと荒々しく脈を打つ欲望の塊りを根元まで押し込もうと試みた。
今にも張り裂けそうなまでに拡がった、ピンク色の狭口が、
傍若無人に暴れ回る極太の陰茎をパックリと咥え込み、ギリギリと喰い締めると同時に、
直腸内では熱く火照った腸壁粘膜がねっとりと亀頭に絡み付いてくる。
並みの男ならば呆気なく果ててしまいかねない甘美な締め付けに興奮したオカマ魔人は、
だらしなく口元を緩めながら、尻穴の快感を味わうべく、荒腰に更なる拍車をかけるのだった。
(7)
「ひぃいいいッ!!カラダが・・・・ばりゃばりゃになるぅぅぅ・・・・!!」
臓腑を抉られる激しい衝撃が意識の内側をグルグルと駆け巡る。
ぶんぶんとかぶりを振りながら、大粒の涙を流し、断末魔の悲鳴を漏らすデルフィナ。
灼熱の棒でカラダを貫かれ、ハラワタを焼き焦がされる苦しみと、
一見それと相反する、だが、より深い部分でしっかりと手を握り合った、狂おしい肉悦とが、
正気を呑み込み、ズタズタに切り刻み、咀嚼し尽くしてしまう。
「ひぎぃぃッ!!お、お願ひ・・・・抜ひてぇッ!!
もう・・・・もう、許ひてぇ・・・・お腹が苦ひくて・・・・裂けひょうなのォッ!!」
剛直がうなりを上げるたび、身体の奥底で激烈な噴火が巻き起こり、
子宮から引き摺り出された悦楽の波動が火砕流と化して全身の感覚を呑み込んでいく。
飽きる事無く反復される肛虐のピストン運動は、
苦痛と快感とが無秩序に入り混じった性衝動を呼び起こし、
誇り高いエルフを一匹の獣に変えてしまっていた。
半開きになった口元から大量の唾液を垂れ流し、身も世も無く悶え泣きつつ、
より深い快楽を求めて自ら下半身を揺さぶり、突き上げてくる男根を食い締めてしまう、あさましい牝へと。
(8)
「オホホホッ!!どう、凄いでしょ、アタシのテクニックはッ!?
アイザードみたいな青二才なんかとは比べ物にならないわよね、そうでしょうッ!?」
変態貴族のテンションも上昇しっ放しで、まさに天井知らずだった。
尻穴に牡槍を突っ込んだまま、片方しかない手指を器用に駆使して、乳房を、陰核を、膣口を弄び、
すでに十分火照っている五体を極限まで昂ぶらせて、エクスタシーの頂点に容赦なく追い上げていく。
「ハァッ、ハァッ・・・・は、はい・・・・しゅごい、しゅごいです・・・・ベノンしゃま!!
あああッ・・・・もう・・・・ら、らめぇッ・・・・お尻が・・・・もう我慢できないッッッ!!!!」
女剣士もまた、輝きを失った双眸に酒に酔ったような濁った光を浮べつつ、
襲い来る欲情の大波に身を任せて、正体もなく肉欲の波間に耽溺しきっていた。
敬愛する主君の生命を奪った宿敵を、あろう事か、敬称付きで呼んだばかりか、
野太いイチモツに下腹部を掻き回されるたびに、喜悦に打ち震え腰をくねらせて迎合する。
昏迷しきった思考回路は真っ白に染まり切り、
唯一、逞しく力強いストロークによって昇り詰めたい、という原初の本能だけが、
理性も自制心も何もかもが破壊されて空っぽになった心の中で際限なく膨張を続けていた。
(9)
「あああ――――ッ!!も、もうだめぇええぇぇぇッ!!!!」
追い詰められたデルフィナの中で、何かが切れた。
普段の冷静沈着な態度からは想像も出来ない淫らな口調で、
赤裸々な痴情を曝け出し、巨根に貫かれた裸身を悶絶させる。
総身を責め苛む疼きはもはや心身の許容限界を遥かにオーバーしており、
快楽の絶頂を極めたいという欲情の滾りが全身の血液をグラグラと沸騰させていた。
「イ、イクぅぅぅッ!!お尻で・・・・お尻の穴で、イッちゃうううッッッ!!!!」
声を震わせて、よがり狂う女エルフ。
逞しい脈動と熱い充足感とがもどかしい疼きを吹き飛ばすと同時に、
徹底的に責め抜かれてメロメロになっていたすぼまりが激しく収縮を繰り返した。
極太の剛直で粘膜をこそぎ取られる感触がどうしようもなく甘美で、もう居ても立ってもいられない。
「オホホホッ!!イクのね?もう辛抱堪らないのねッ!?
・・・・だったら、こっちの穴も弄ってあげるわ。両方いっぺんにイッちゃいなさいッ!!」
けたたましい哄笑を轟かせながら、
ヴェカンティの魔人は、ぱっくりと捲れ返った秘唇に骨ばった指を2本一緒に捻じ入れた。
絶頂間際の膣穴は、灼熱のマグマを溜め込んだ噴火口の如く蕩けきり、
吸い付いてくる肉襞を軽くなぞっただけでも、
子宮から湧出するドロドロの愛液が突き入れられた異物を水浸しにしてしまう。
(10)
「あぅう・・・・うあああッ!!ひぁうぅう・・・・くひあぁあああッッッ!!!!」
膣裂と肛門、それぞれの穴の奥で刺激が混じり合い、
凄まじいまでの快美な感覚と化して、胎内で弾け飛んだ。
脊髄神経を走り抜けた嵐のような快楽電流が、
頭蓋骨の内側で激しく炸裂したかと思うと、極彩色の光の渦となって意識を埋め尽くす。
下半身は完全に惚けきり、正常な五感と言えるものはとうに雲散霧消していた。
熱い脈動に包まれた肉筒が、ビュクビュクビュクッ、と小刻みに痙攣し、
煮え滾った精液が絶頂の歓喜に打ち震える直腸の内腔を白濁に染め上げる。
膣内でも、射精こそ無かったものの、快楽のきわみに達した括約筋が、
挿入された指先を千切りとらんばかりにきつく喰いしばり、
蠕動する粘膜が、キュウウウッ、と吸い付いて離そうとしなかった。
えも謂われぬ快感に、狂気じみた雄叫びを発したベノンは、
尻穴に精を放って間もない男根を再び怒張させると、猛然と腰を振り始める。
休む間もなく責め立てられて黄色い悲鳴を上げる隻眼の剣士・・・・
アイス・ブルーの瞳がトロトロになり、視界一面には欲情の業火が燃え盛っていた――――。
(11)
「デルフィナ、さん・・・・」
目の前で繰り広げられる、あまりにも酸鼻な情景に吐き気さえ覚えて、
弱々しく呟きを漏らす蒼髪の少女。
「ごめんなさい・・・・わたしが、戦えないばかりに・・・・。
わたしに・・・・何の力も無い・・・・せいで・・・・」
――――その、刹那。
『・・・・随分としおらしい様だな』
唐突に、頭の中に響き渡る、涼しげな<声>。
静かでいながら、妙に熱のこもった・・・・何より、とても懐かしい言葉の響き。
『君のそういう所は嫌いじゃないが、やり過ぎはちと鼻につくね』
「ま、まさかッ!?」
驚愕に駆られ、キョロキョロと周囲を眺め回す優子。
勿論、人影などない・・・・ある筈が無い――――だが、しかし・・・・。
(確かに感じる・・・・あの人の存在をッ!!!!)
(12)
――――次の瞬間。
少女の視界は眩く輝く白い光に満たされ、
全身が何とも心地よい不可思議な感触によって包まれた。
重々しい枷から解き放たれた五感が、四方八方に向かって、サア―――ッと広がっていき、
広大無辺な世界のあちこちで、様々な存在とリンクしていく。
「やっぱり、あなたなのねッ!!」
虚空に向かって叫び声を上げる、蒼髪の<戦士>。
――――もはや、疑いの余地はなかった。
一時的に肉体から遊離し、意識体と化したこの感覚。
そして、周囲に満ち満ちているのは、
かつて、暗黒界から現実界へと転移する際、自分を守り導いてくれた、懐かしい大気のエネルギー。
勿論、全く状況は異なっているものの、周囲に展開された魔力の力場は、あの時と同じく、
草原に吹くそよ風の優しさと大洋を鳴動させる風津波の力強さの両側面を等しく兼ね備えていた。
(13)
『分かっている筈だ。君はすでに力を持っている、と・・・・』
懐かしい思念の主は、少女の問いかけには直接答えようとせず、
代わりに、(時折、耳にした事のある)少しシニカルな口調で語り始める。
『・・・・そして、力を持つ者が背負わねばならない、逃れ得ない宿命も。違うかい?』
(・・・・・・・・)
反論しようとして果たせず、押し黙る<ヴァリスの戦士>。
蘇った過去の記憶がイメージの奔流となって、次々にフラッシュバックを開始する。
・・・・地下鉄構内での、麗子との別れ。
・・・・地の底から現れた、ガイーダとヴェカンティの怪物たち。
・・・・初めて握った<ヴァリスの剣>。全身を包んだ、黄金の甲冑の清らかな感触。
・・・・光り輝くファンタズム・ジュエリー。夢幻界への召喚。
・・・・そして、<幻想王女>ヴァリアとの邂逅。
(14)
『――――よく思い返してみたまえ。君と出会った時、ヴァリアは何と言った?』
(・・・・!!)
・・・・・・・・そうだ。
たしかに、あの時、夢幻界の女王は、わたしに向かって告げた筈ではなかったか?
呟くような小さな声で、しかし、魂に刻み付けるように重く響く言葉を。
『優子・・・・戦いの中で、あなたが目覚めてくれる事を私は信じています。
たとえかけがえの無いものを失う事になっても、それが<戦士>の宿命だと・・・・』
『君自身、もうとっくの昔に理解していたんじゃないか?
・・・・ただ、十分過ぎるほど理解していながら、君は認めたくなかった。違うかい?』
(そ、それは・・・・!!)
鋭い指摘に、再び絶句を余儀なくされる蒼髪の少女。
・・・・これ以上は無いくらい、彼の言は正鵠を射抜いていた。
確かに、自分はかなり早い段階で――――おそらくは無自覚のうちに、だが――――気付いていた。
だが同時に、断じてそれを認めようとせず、意識の奥底へと追いやった上、
何重にも封印を施して外に漏れ出すのを固く禁じてきたのだ。
(15)
(そうよ・・・・わたしは、自分にウソをつき続けてきた。長い間ずっと・・・・)
苦渋に眉を寄せる優子。
出来れば二度と思い出したくなかった情景が、
記憶の牢獄を押し破って、白昼夢の如く溢れ返る。
・・・・暗黒の鎧を身に纏い、漆黒の切っ先を突きつけてきた麗子。
・・・・切り結ばれる二本の剣。激しい、しかし、相手の心には決して響く事の無い会話。
・・・・怒りと憎悪に歪んだ麗子の表情。だが同時に、彼女の瞳に映るわたし自身もまた――――。
(・・・・だって・・・・もし、認めてしまったら・・・・)
・・・・強大な力に吹き飛ばされる、麗子の身体。
・・・・ボロボロに傷付き消耗しながらもなお、戦いをやめようとしない麗子。
・・・・苦痛と恐怖に蒼褪め、引き攣った麗子の相貌。彼女の瞳に映っているのは――――。
(わたしは・・・・この手で・・・・麗子を・・・・)
(16)
『・・・・君は、最後まで目を背けて、悲劇のヒロインを気取りたいのかい?
もし、そうなら・・・・そんな<戦士>しか選べなかった世界は、滅ぶのも道理かもしれないな』
心に鋭く突き刺さる言葉が冷酷な現実を思い出させる。
――――こうしている間にも、東京は燃え続け、
数多の人々が必死に逃げ惑いつつ救いを求めている、という事実を。
・・・・炎の中に立ち、禍々しい笑いを轟かせているベノン。
・・・・魔性の業火によって焼き尽くされる、商店街。ビル。自動車。人々。
・・・・絶叫。悲鳴。怒号。そして、沈黙。
(・・・・・・・・)
無言のまま、自分の両手に視線を落とす、現実界の少女。
ちょっとした衝撃でたやすく手折れてしまいそうな細い手首に連なる、小さな白い手の平。
その中心に、ポツリ、と凍てつくような涙の粒が零れ落ちて。
――――次の瞬間、ぎゅっ、と握り締められた。
(17)
「・・・・ついこの間まで、生徒会の選挙だって他人事だったのよ。
そんなわたしが、世界を救う、だなんて・・・・」
束の間。脳裏をよぎる、平和だった頃の想い出。
学校。家。通学路。両親や級友達。勉強。部活。友人達とのおしゃべり。
一介の女子高生としての、平凡な、しかし、満ち足りた日々。
(戻れるものなら戻りたい・・・・あの頃に)
・・・・だが、自分の前に横たわっている現実はどうだろう?
今まさに圧倒的な悪意によって焼き尽くされようとしている世界の、
一体何処を探せば、そんなものが残っているというのだろうか?
(・・・・もう、戻れないのね。
何も知らなかった・・・・知る必要さえなかった、わたしには・・・・)
ゆっくりと顔を上げるリアリティの少女。
胸の奥で静かにかぶりを振り、セピア色に染まった記憶の欠片を心の抽斗へとしまい込む。
真っ赤に泣き腫らした目元から、最後の涙がキラキラと尾を引きながら滑り落ちていった。
(18)
「――――そうでしょう、アイザード?」
ぽっかりと開いた胸の隙間を埋め合わせるかの如く、すうううっ、と深く息を吸う優子。
握り締めた拳の間から仄かな光が零れ出し、
温もりに満ちた心落ち着かせる波動が、喪失の痛みを和らげていく。
そして・・・・。
目の前が、パアーーーッ、と開け、
心象世界の白い光の壁が取り払われるのと同時に、
禍々しい瘴気に満ちた炎の壁が再び立ち現れる。
「はあああああッッッッ!!!!」
身体の奥からこみ上がってくる、強大なエネルギー。
黄金の鎧が、かつてのように、否、それ以上の何かを得て、燦然と光り輝いていた。
両手の中では、完全に実体を取り戻した<ヴァリスの剣>が、
細身の刀身から、今まで感じた事もない強大な闘気を立ち昇らせている。
(19)
「・・・・風よッ!!」
無意識のうちに、紡ぎ出された言葉・・・・いや、呪文。
直後、裂帛の気迫と共に斬光が一閃し、
立ち塞がる毒々しい色の業火を、一瞬にして、邪悪な魔力もろとも、切り裂き吹き飛ばした。
「な、何ィッ!?」
予想もしなかった反撃に、思わず、デルフィナを嬲る動きを止めるヴェカンティの魔人。
汚らわしいそのカラダに向かって、炎の牢獄を一撃で消し去った斬撃
――――<剣>本来の力に、宝玉のパワーが組み合わさった、強烈な衝撃波――――が襲い掛かり、
局地的な竜巻のような勢いで、女剣士から暗黒界の大貴族を引き剥がす。
そして、まるで、風に舞う木の葉の如く、彼を巻き上げると、
墓標のように黒々と聳え立つ、高層ビルの頂きへと放り投げてしまった。
(20)
「・・・・うう・・・ゅ・・・・ゆう・・・・こ・・・・?」
あおりを喰らって地面に投げ落とされたデルフィナが、
青白い顔色のまま、しかし、地獄の責めから解放された安堵感に表情を緩めつつ、
よろよろと体を起こし、駆け寄ってくる<戦士>を仰ぎ見る。
・・・・と、輝きを取り戻しかけた隻眼に驚愕が走り抜けた。
「・・・・ッ!?ま、まさか!?」
均整の取れた面立ちと腰まで伸ばした艶やかな蒼髪が印象的な、現実界の美少女。
彼女のカラダと重なり合うかの如く、背後に寄り添っているもう一人の人影
――――薄い水色の長衣を纏った、プラチナ・ブロンドの魔道士。
忘れもしないその横顔に愕然と目を凝らした女エルフに向かって、
まるで、悪戯のバレた悪童のような笑いを浮かべた彼は、
次の瞬間、一陣のつむじ風と化して優子の左腕へと絡み付くと、何かの形へと姿を変えた。
(21)
「だいじょうぶ、デルフィナさん!?」
心配そうに掛けられた言葉に、ハッ、と正気付く金髪の美女。
・・・・あ、ああ、と曖昧に返事を返しつつ、
蒼氷色の瞳は、自然に、とある一点へと吸い寄せられていった。
「・・・・優子、それは?」
「え?な、何だろ・・・・これ?」
パートナーの怪訝そうな視線に、戸惑いの表情を浮べる<ヴァリスの戦士>。
どうやら、指摘を受けるまで、自分に起きた変化に気付いていなかったらしく、
何処からともなく左肘の真ん中に出現した、薄い水色をした円形の防具――――盾に、目を丸くしていた。
ほぼ完全な円形で、直径はおよそ30ないし40センチメートル、
平板ではなく、中華鍋を少し平たくしたような形状をしている。
やや灰色がかったライトブルーの地肌には翼を広げた鳥をモチーフにした装飾彫りが刻み込まれ、
落ち着いた風合いの、なめらかな光沢が表面を覆っていた。
地金の色合いや意匠のセンスは微妙に異なっているものの、
決して冷たくはなく、むしろ、まるで身体の一部であるかの如く肌になじむその感触は、
身に纏っている黄金の甲冑と何ら変わりない。
(22)
「何だか良く分からないけど、ガイーダやギーヴァの時と同じみたいね。
アイザードの<ファンタズム・ジュエリー>が新しい力をくれたようだわ」
呟きながら、優子は瞼を閉じ、呼吸を整えた。
五感を研ぎ澄まし、周囲の空間に存在する様々なエネルギーに知覚の網を投げかけて、
自らの推測が正しいかどうか?見極めようと試みる。
「やっぱり、そうだわ・・・・以前よりもずっと明瞭に、大気や風の流れを感じ取れる。
たぶん、自由自在に操ったりも出来るんじゃないかしら」
(まるで・・・・あの人みたいに)
声には出す事無く、そっと胸の奥で独りごちる蒼髪の少女。
・・・・もっと正確に言えば、この盾には、単なる魔力だけではなく、
あの青年の意志や存在といったものが封じられているように思えてならなかった。
あたかも、今この瞬間、彼が傍にいて、<ジュエリー>からエネルギーを獲得し、
魔道力として転換する方法を指南してくれているかの如く――――。
(23)
「ところで・・・・もう、大丈夫なのか?その・・・・何ていうか・・・・」
先刻優子が発したのと同じ科白を口にしながら、探るような眼差しをパートナーに投げかける女剣士。
もっとも、言葉は同じであっても、込められている意図は全く別物である。
そして、おそらくはその問いかけが来るのを半ば予期していたのだろう、蒼髪の少女は、
静かに微笑むと、ゆっくりとした口調で答えを返した。
「振りかかる火の粉は払わなきゃね・・・・」
あくまでも穏やかな口調。
――――だが、デルフィナは、その奥に、
今までの彼女からは一度として感じた事のない、強い決意を嗅ぎ取っていた。
そう、迷いを捨て去り、引き返す道を自らの手で断ち切った者のみが持つ、
啓明の輝き、あるいは、不退転の意志を。
(24)
「ヴァリアが私を選んだ時点で、選択の余地なんか無くなっていたのよ。
ボヤボヤしていたら、現実界が・・・・わたしの生まれた世界が滅茶苦茶にされてしまうだけ」
――――こんな風に、と言わんばかりに、
痛みのこもった視線を無残に焼け焦げた市街へと向ける現実界の少女。
・・・・でも、わたしは怖かった。
選択の余地など無い、と頭では分かっていても、
実際に廃墟と化した東京を目にするまで、どうしても受け容れられなかった。
単に戦いが恐ろしかったのではない。
無論、強大なログレスの軍勢に恐怖を抱かなかったという訳ではないが、
戦いそのものよりも、彼らを相手に戦い抜く能力を手にする事の方がずっと恐ろしく思えたのだ。
「・・・・だって、世界を護れるほどの力なら、逆に滅ぼしてしまう事だって可能かもしれないでしょ?
そんな計り知れないパワーを引き受けるのが――――怖くて堪らなかったの。
クラスの友達とテレビや雑誌の話題で盛り上がったり、成績や進路に悩んだり・・・・
家と学校を結ぶ円の中での物事だけ考えていれば良かった、聖心女子学園の麻生優子ではなくなって、
否も応もなく、世界の行方を左右する存在になってしまう・・・・運命が・・・・」
(25)
「それが、怖くて堪らなかったの・・・・」
喋り終えて、小さく息を吐くパートナーを見つめながら、
どう返事をしたものか、と思案顔になるデルフィナ。
・・・・だが、すぐに肩をすくめると。
「現実界人というのは、いちいち面倒な事を考えるんだな。
以前も言ったが、生まれついての<戦士>の私には、正直、お前の気持ちは理解し難い」
率直な――――ある意味、率直過ぎる――――回答に、
そうだね、と苦笑を漏らすしかない、蒼髪の少女。
(でも・・・・一番辛いのは・・・・)
表情には笑みを浮かべたまま、心の中からは笑いを消す。
代わりに浮かび上がってくるのは、切ないまでの寂しさ、
・・・・そして、もう一つ、赤毛の級友の相貌。
(・・・・戦う相手を、選べないって事かな・・・・)
(26)
パチパチパチパチ・・・・・・・・。
不意に頭上から響き渡る、乾き切った拍手の音。
耳障りな笑い声に続いて、侮蔑に満ちた言葉が響き渡った。
「いや〜、ごちそうさま〜。実に感動的なお話でしたねぇ。
揺れ動く乙女の心情、現実界人の言う、メランコリックってヤツかしら〜」
<ヴェカンタ>の瘴気を身に纏い、
空中から地上へと舞い降りてくる暗黒五邪神・炎邪ベノン。
先刻にも増して邪悪さを増した凶相には、他者に対する嘲りの感情が満ち溢れている。
「・・・・まァ、今回だけはそこのメス豚ちゃんに同意するわ。
現実界人の感傷にいちいち付き合っていられる程、アタシもヒマじゃないんだから。
フン、何がメランコリックよ、阿呆らしいッ!!」
(27)
「こ、このッ!!言わせておけばッ!!」
冷笑まじりの嘲弄に、怒気を露わにする女エルフ。
・・・・と、今にも掴みかからんばかりの彼女を、静かな声が制止した。
「その顔・・・・もう二度と見たくないから、宇宙にでも吹き飛ばしてやるわ」
出会って以来、一度も耳にした事の無い、冷然たる口調に、
デルフィナの眼帯に覆われていない方の目が、ビクッ、と見開かれた。
一方、<ヴァリスの戦士>は、(半ば無意識に)自分を振り向いたパートナーを無視して、
口元を固く引き結び、怒りを孕んだ眼差しでじっと眼前を睨み据えている。
白銀色に光り輝く愛剣の切っ先を、醜悪な笑みを浮かべた宿敵の胸元に向けたまま――――。
(28)
「お〜〜、コワイコワイ。
そんな怖いカオで睨まれたんじゃあ、退散するしかないわねぇ。
そうだわねぇ・・・・地面の下に逃げるってのはどうかしら?」
小馬鹿にした態度を崩す事無く、両腕を地面に押し付けたベノンの唇が、
二言三言、不吉な響きのする呪文を紡ぎ出す。
直後、彼の全身は、煮え滾る溶岩のようなオレンジ色の流動体へと変じていき
あれよあれよという間に、ズブズブと地中に吸い込まれて、二人の視界から消え失せてしまった。
「なッ、何だ?奴め、一体何をする気だッ!?」
叫び声を発する女剣士。
彼女の問いに答えるかの如く、突如、大地が激しく鳴動し、激しい揺れが二人を襲った。
魔性の業火の洗礼を浴びて、基本構造に大きなダメージを受けていたビルの群れが、
基底部分の直下で起きた激震に耐え切れずに次々に倒壊し、
無数の鉄骨とコンクリート塊とガラスの破片が頭上から雨霰と降り注ぐ。
慌てて障壁を展開し、さらに空中へと難を逃れる優子とデルフィナ。
二人の後を追いかけるかのように、濛々たる粉塵の中から、得体の知れない黒々とした岩塊
・・・・否、山容とでも形容すべき、巨大な大地の隆起が湧き上がってくる。
(29)
「グバババババ・・・・!!!!」
大地の底。漆黒の暗闇の中。
オレンジ色の炎と化したベノンが猛烈なスピードで降下していく。
目指すは、地殻の裏側に眠る灼熱の坩堝――――マントル層。
「ログレス陛下の仰られた通りだわッ!!
<ヴェカンタ>の力は現実界に確実に浸透し変貌させつつあるッ!!」
ならば、この世界の火のエネルギーの流れに干渉し、支配下に置くのも容易なハズ
――――オカマ魔人の読みは正解だったらしい。
地球の中心でグラグラと煮え立っているマグマの熱が、
信じ難いほどの膨大な魔力に変換されて自分のカラダを潤してくれる。
全身に漲る巨大なパワーを以ってすれば、
小癪な<戦士>もクソ生意気なエルフも、このトウキョウとか言う、薄汚い都市の燃え残りもろとも、
跡形もなく焼き尽くしてやる事が可能だろう・・・・。
(30)
「べ、ベノンめ・・・・あんな事までッ!!」
からくも難を逃れたパートナーの口から、呻きにも似た呟きが漏れた。
彼女を抱きかかえたまま、地上の光景を見下ろす優子にも言葉が無い。
東京都心のド真ん中に、巨大な活火山が出現していた。
天高く噴煙を噴出する火口の周囲では、
流れ出した溶岩と真っ黒に煤けた市街の残骸とがごった煮となり、
引っ切り無しに隆起と沈降を繰り返しながら、奇怪な山塊を形作っている。
「現実界に来てまで、とことん趣味が悪いな・・・・」
吐き捨てるような女剣士のセリフ。
どうやら、不気味な山容は、にやついた笑いを浮べる暗黒五邪神の表情を模したもののようだった。
蒼髪の少女もまた、心底嫌そうな顔をしていたが、
眼下の噴火口――――全てを呑み込まんと欲して開かれた炎邪の顎から、
血の色をしたマグマの奔流がせり上がって来るのを見て取ると、
大急ぎで、張り巡らせた大気の防壁に更なる魔力を注ぎ込んだ。
(31)
ズゴゴゴゴォオオオォォォ――――ッ!!!!
ぞっとするような爆発音と共に、
大地の底から吸い出されたエネルギーが火竜となって上空に舞い上がった。
機敏な空中動作で、噴火の直撃をかわす優子だったが、
溶岩の飛沫は何千何百もの火球となって襲い掛かり、
不可視のバリアーに弾かれては辺り一面に青白い魔力の火花を撒き散らす。
『グバババッ!!どうだい、アタシの力はッ!!』
ビブラートの掛かった不気味な濁声・・・・正確には思念が、頭の中にやかましく響き渡る。
同時に、山塊全体がギシギシと地響きを立てながら蠢動し、
怒れる大地と一体化した魔人の形相が、より一層、邪悪なものへと変化していった。
『グフフフ、滾る・・・・カラダが滾るわッ!!
今や、地球の内部に詰まっているマグマの全てが、
アタシの血となり肉となってエネルギーを与えてくれるぅぅッ!!』
ベノンお得意の大言壮語だったが、
今度ばかりは単なる誇大妄想と決め付ける訳にもいかない。
「ベノン火山」は、最初の爆発の後も勢いを減じるどころか、
回を重ねるごとに着実に噴火規模を増大させ、間隔も次第に短くなっていた。
(32)
「どうするんだ、優子ッ!?」
隻眼のエルフが切迫した口調で訊ねてくる。
空中を飛び回っている限り、直撃をかわし続ける事は容易だろうが、
今のペースで噴火が繰り返されれば、東京はおろか、関東一円、いや、日本列島全てが、
已む事を知らない火山活動とそれに伴う地震や津波によって大被害を蒙るのは明らかだった。
「・・・・・・・・」
すぐには答えずに、目の前で起きている情景にじっと目を凝らす<ヴァリスの戦士>。
今まで戦ってきた怪物たち、あるいは、ガイーダやギーヴァといった暗黒五邪神と比べてさえ、
ベノンのパワーは圧倒的であり、破格と言っても過言ではないだろう。
・・・・だが、しばらくして、パートナーに向けられた少女の表情には、
およそ、この場の雰囲気にふさわしいとは思えない、穏やかな微笑が浮んでいた。
「どうするもこうするもないわ・・・・自分の力を信じるだけ」
(33)
「なッ、お前、まさかッ!?」
半ば本能的に、パートナーの態度の裏に隠された意図を看破した女剣士が、叫び声を発する。
――――だが、その時既に、蒼髪の少女は、大気の魔力を封じた丸盾を後に残して、
悪魔の火口に向かって突入すべく、空中に身を躍らせ急角度で降下していた。
「デルフィナさんは、ここを動かないでッ!!」
一言言い残したきり、もはや、女エルフの制止を一顧だにせず、
白銀色に光り輝く愛剣を握り締め、猛スピードで吶喊していく優子。
一点の曇りもない、清澄な霊気を纏った切っ先の目指す先、
視界一杯に横たわるヴェカンティの大貴族の禍々しい凶相目がけて、ただ一直線に――――。
(34)
『グギャギャギャッ!!笑止、笑止ィッ!!
今のアタシの前では、<ヴァリスの戦士>など敵ではないわッ!!』
嘲笑と共に、ゴボゴボと喉を鳴らす暗黒五邪神。
大地の底から、強烈な硫黄の臭いのする噴気に包まれた、オレンジ色の溶岩流が込み上げてきて、
噴火口全体が真紅の炎色に染まっていく。
そして・・・・・・・・。
ズドドドォォォオオンッッッ!!!!
腹に響く轟音と共に、山容を一変させるような大噴火が巻き起こった。
高々と噴出する高熱のマグマが、荒れ狂う竜巻の如き火山ガスが、高射砲の弾幕を思わせる溶岩弾が、
火口の上空一帯を包み込み、急降下してくる少女を包み込んでしまう。
「ゆ、優子ォォォッ!!!!」
銀灰色の円盾にしがみ付いたまま、悲痛な絶叫を放ち上げる女エルフ。
安全圏に居て直撃を免れた彼女でさえ、
噴火の際に生じた衝撃波で危うく吹き飛ばされそうだったのである。
大地の怒りをそのまま体現するかの如く立ち昇った特大サイズの火柱に向かって、
真正面から突っ込んでいく友の姿に、恐慌に駆られたとしても責める訳にはいかないだろう。
(35)
『ヒャハハハッ!!消し飛べェェッ!!
地獄の業火に焼かれて、儚く燃え尽きるがいいわッ!!』
灼熱の溶岩に呑み込まれた<ヴァリスの戦士>に、
己れの勝利を確信した炎の魔人が狂気の雄叫びを放ち上げた。
一方、金髪のエルフはと言えば、目の前で起きた惨劇が信じられないのか、
独楽のように回転する円盾にしがみついたまま、必死にパートナーの名を呼び続けている。
――――と、次の瞬間。
「こ、これは・・・・?」
蒼白に変じた頬に舞い落ちたのは、ひとひらの羽毛。
眼尻から流れ落ちる熱い涙滴に触れた途端、
一抹の冷気を残して蒸発した不可思議な感触に、殆ど無意識の動作で上空を仰ぎ見るデルフィナ。
視界に映ったのは、背中に清らかな氷雪の霊気で出来た純白の双翼を背負った現実界の少女・・・・
分厚く垂れ込めた雲間から降り注ぐ一筋の光条に乗って、
まるで、天から遣わされた大天使の如く、地上に舞い降りようとしている神秘的な姿だった。
(36)
「ゆ、優子ッ!?」『チィッ、小娘がぁッ!!』
歓喜と憎悪、二つの叫び声が天空に木霊する。
仲間の無事を心からの安堵の表情で迎える女剣士には、穏やかな微笑みを、
仕留め損ねた獲物の姿に悪鬼の形相を見せる魔将軍には、厳しい眼差しを、
各々送り届けながら、蒼髪の少女は背中の聖翼を大きく広げ、<ヴァリスの剣>を構え直した。
『ええい、しゃらくさいわねェッ!!
ギーヴァの力を解放したぐらいで、今のアタシを倒せるとでも思ってるの!?』
怒気を露わにした魔将軍が溶岩で形成された顔面を真っ赤に染めた。
地の底から汲み出したエネルギーが最高潮に達した「ベノン火山」は更なる成長を遂げ、
頭部に加えて、胴体や手足まで揃った完全形に進化したばかりか、
大地の束縛からさえ解き放たれ、一個の生命体へと変貌を遂げようとしている。
何億トンものマグマによって形作られた、巨大と形容するのさえ憚られるほどの大巨人は、
完全に直立したならば、おそらく成層圏にまで達する身の丈に、
僅かに身じろぎしただけで日本地図を書き直さねばならなくなるような、桁外れのパワーを備えている筈だった。
(37)
「そうはさせないッ!!」
決然とした口調で宣言した<ヴァリスの戦士>が、再度、聖なる白刃を、
真下――――赤黒く焼け爛れた両腕を伸ばし、空中の敵をはたき落とそうとする生ける火山――――に向けた。
『たわけた事をッ!!アンタに何が出来るってのよッ!!』
身の毛もよだつ咆哮と共に異形の巨人が半身を起こし、
大気に触れて真っ黒に冷え固まった溶岩の目玉が、
小五月蝿く飛び回る双翼の少女を、じろり、と睨み付ける。
未だ完全に凝固しきってはいない「皮膚」の隙間から真っ赤なマグマの滴を垂れ流しつつ、
ゴツゴツとした指先が迫ってきて――――不意に、停止した。
(38)
「こうするのよッ!!・・・・<アイス・フェザー>!!!!」
一瞬、<ヴァリスの剣>が青白い煌きを発し、
次いで、少女の体を包み込むかの如く、
無数の羽毛――――氷点下の冷気をまとった純白の魔弾が出現する。
『ぐぬぅうううッッッ!!』
今まさに、少女の五体を捻り潰さんとしていた黒い左手が、
何千もの氷雪の刃を突き立てられ、ボロボロと崩れ落ちていった。
更に、愕然として目を瞠る炎の巨人を目がけて、天空から無数の矢羽根が降り注ぐと、
ヒマラヤの巨峰にも匹敵する巨躯を氷雪の牢獄へと幽閉して、
かつて優子自身を凍死寸前にまで追い詰めた、ギーヴァの死の息吹を吐きかける。
『グォオオオッ!!アタシを・・・・舐めるなァァァッ!!』
絶対零度のブリザードに全身を切り刻まれながら、
憤怒に満ちた雄叫びを放ち上げるヴェカンティの魔人。
分厚い岩盤に守られた心臓部・・・・暗黒王から与えられた<ジュエリー>の欠片が赤熱し、
ジワジワと手足を凍てつかせ、動きを鈍らせていく魔性の冷気を押し戻すと共に、
周囲を包囲する凍てついた白刃の群れを次々に蒸発させていく。
――――だが、ベノンの抵抗もそこまでだった。
(39)
「風よ!!大気の縛めとなって、炎の力を封じ込めろッ!!」
凛とした掛け声が響き渡ると同時に、
今まで専らデルフィナの守りに用いていた、アイザードの宝玉のパワーが、
はじめて宿敵との決戦の場に投入される。
『うぐ・・・・ぉおぉ・・・・か、カラダが・・・・うぉおォォォッ!!』
強大な風の魔力が、巨人の四肢を絡め取り、
雁字搦めに縛り上げて、身動きをとれなくしてしまう。
のみならず、第二の<ジュエリー>の魔力は、
これまでの戦いで冷え固まり、大小無数の亀裂を生じていた巨体の内部に易々と侵入し、
全身を流れるマグマの血流へと作用して、各地でエネルギーの循環を阻害し始めていた。
無論、命綱に等しい体熱の供給を断たれては、
いかに規格外の怪物といえども、凍てつく寒気に抗し切る事など夢物語である。
すでに手首から先を喪失していた左右の腕が真っ白な氷に覆われて動かなくなったのに続いて、
完全に凍りついて脆くなった下肢が自重を支えきれなくなり、ガラガラと自壊していく。
胴体と頭部だけは、<ジュエリー>に守られて、何とか崩壊を免れているものの、
それらとて、終焉の刻を迎えるのはもはや時間の問題に過ぎなかった。
(40)
『ううう・・・・バ、バカな・・・・このアタシが・・・・こんな、小娘に・・・・』
断末魔の苦悶に打ち震えるヴェカンティの大貴族。
真っ白な霜に覆われたその額に、冷たい感触
・・・・全身を凍りつかせている冷気よりもなお冷たい、鋼の塊が突きつけられた。
<ヴァリスの剣>――――直感的にそう悟ったベノンは、
もはやピクリともしない手足を動かそうと、半狂乱に陥りながら無様にのた打ち回る。
『ひ、ひぃぃッ・・・・や、やめろ・・・・やめろぉッ・・・・!!』
「わたしはもう迷わない。
お前たちが己れの野望のために世界を破壊するというなら、必ず止めてみせる。
そして、麗子を取り戻す・・・・わたしの生命に代えても」
静かに言い放つと、優子は、恐怖に凍てつく炎の魔人の表情を透徹した眼差しで睨めつけた。
そして、醜悪な氷のオブジェと化した顔面に向かって、
磨き抜かれた水晶のように一点の曇りも無く澄み切った刃を、正確無比に振り下ろす。
「砕け散れッ!!アース・クエイクッッッ!!!!」
(41)
(・・・・終わった、な・・・・)
次元の狭間。時間と空間が重なり合う、秘密の暗渠。
幽鬼・・・・それも、今やヒトガタとしての輪郭をかろうじて維持しているに過ぎない、あやふやな存在が、
時折、チラチラと不気味に明滅を繰り返しながら、仮初めの生に執着し続けていた。
(・・・・いや、終わりの始まり、と言うべきか・・・・)
流れるようなプラチナ・ブロンドの長髪も、
怜悧な知性を湛えていたエメラルド・グリーンの双眸も、
今では、半分以上透き通ってしまい、周囲の空間と殆ど見分けが付かない有様だった。
――――だが、それでいて、彼・・・・かつて、アイザードという名で呼ばれていた存在の残り滓は、
まるで、自分が置かれている現状を愉しんでいるかの如く、不遜な笑みを浮かべている。
(ガイーダが斃れ、ギーヴァが死に、今また、ベノンが滅ぼされた。
残るはヴォルデスだけだが、ヤツとて時間の問題だろう・・・・)
ククク、と喉を鳴らす青年魔道士。
死に絶えた者の中に、彼自身の名が数え上げられていないのは、
負け惜しみか、はたまた、深い意味のあっての事か・・・・。
(・・・・では、私も行くとしようか。<導き手>の待つ、約束の地・サザーランドへ・・・・)
――――――――TO BE CONTINUED.
以上、第14章をお送りしました。
お楽しみ頂けたのであれば幸いに存じます。
なお、お陰さまで、今回は投下作業中一度も連投規制に引っ掛かる事がございませんでした。
ご支援を頂いた方、この場を借りて御礼申し上げます。
次の第15章は、麗子編で、第14章とほぼ同じ時系列内で別の場所で起きた物語という位置付けです。
なお、ZOL先生の本編では、優子も麗子も渋谷にいた事になっていますが、
私のエロパロSSでは、優子とデルフィナは、渋谷でベノンの襲撃を受けた後、都内の別の場所に逃げ出していますので、
本編とは多少状況が異なっている部分が存在いたします。ご注意下さい。
5月上旬(GW前後)の完成・発表を目指して、
現在執筆を進めていますので、しばらくお待ち下さいませ〜。
それでは本日はこの辺で〜。
いつもいつもお疲れ様ですっ!
ヴァリス、次号は休載だってさ・・・orz
保守
356 :
名無しさん@ピンキー:2009/03/17(火) 21:05:23 ID:8M++B1dL
隔月で休載ってどんだけ〜
357 :
泉 こなた:2009/03/17(火) 21:48:10 ID:RgVrU+PW
ミョンミョンミョン ミョンミョンミョンミョン
hoshu
マジで3巻で、連載終了なの?
オリジナルキャラのデルフィナやVのニゼッティーが出てきたので、ZOL先生のオリジナルコミック展開を期待していたのにな。
ベノン戦はインフレしすぎで、ドラゴンボールみたいで萎えたワ。
残りの戦闘シーンの描写が難しくなってくるな。
ヴァルナ・チャム・レナ・アムの登場でPCエンジン版を基にしたパラレルワールドを期待していたのに残念。orz
>>359 大丈夫、雑誌連載が終わったら、ヴァリスで同人作ってくれるぜ、きっと。
・・・むしろ、そっちに期待したいw
コミックヴァルキリー版のヴァリスに質問なんだけど。
創刊当時は、ビックネームで雷名を轟かせたらしいけど。
ヴァリスーXの『陣痛ィィィ』に比べたら、作画・内容はかなりまともなのだが。
最近の掲載順を見れば、打ち切り候補に挙がっている様に見えるけど
どうしてそんなに人気低迷しているの?
コミックヴァルキリーの掲載順ってジャンプ方式なのか?
ヴァリスの単行本はかなり売れて重版したそうだ。
エロとしてはかなり売れてる(DMMでFightingBeautyが結構長期間一位だった)ZOLに
落ち目のヴァルキリーのテコ入れだけやらせるのは勿体無いとの判断ではなかろうか。
スレイブヒロインズもグダグダだしね。
365 :
名無しさん@ピンキー:2009/04/06(月) 13:15:18 ID:lTBU8nY4
ZOL先生の同人新刊買ったけど、あとがきでヴァリスは全3巻ですって
はっきり書いてあるな。
ほんとだ。3巻までって書いてある。よく最後まで読んでるなあ…
これはもうARCHDUKE氏の新作があると前向きに考えるようにしよう。
ZOL版を追ってのSSはそれぞれだと凄くエロいしレベル高いんだけど、
通して読むとずっとやられっぱなしの最弱優子なのが残念だったり。
>>365,366
3巻までって、ネタ切れなの打ち切りなの?
ソースPLEASE!
麗子は死んでほしくないな。
優子と麗子の殴り合いは面白かったな。
>>367 ネタ切れでも打ち切りでもなく、『3巻で終わりにするのがベスト』という作者の判断。
ソースはZOL先生の同人誌『J-Heroines』のあとがき。
ちなみに、俺は(原作通り)麗子は死んで欲しい派。
ただし、死んだ後で、夢幻界の住人として転生するのは可。
>3巻で終わりにするのがベスト
それは書いてないぞ。以下ヴァリス三巻について言及しているところを抜粋。
「…どうにか時間を作って自転車には乗り続けたいなあ。あ、一応ヴァリスは全三巻の予定です。
三巻目はだいぶたくさん描かないと話がまとまりそうにないですが…。善処しますです。
それにしてもランスが…」 以下略
だそうだ。どっちかというと長いものに巻かれている感じがする。
三巻で終わるとは到底思えないが…
まだボスキャラが三体残ってるんだぜ。
龍みたいな奴と麗子とログレス
アイザードとベノンで2巻辺りは、大分尺を取ったから、
残り3戦を考えると、3巻で結末を迎えたら不自然な終わり方になるな。
優子の戦いはこれからだ!
ZOL先生の次回作にご期待下さい!
374 :
名無しさん@ピンキー:2009/04/14(火) 13:07:36 ID:+iJGuSDp
ヴァルキリー廃刊を見越しての発言じゃない?
今の惨状を見ると悲観的になるなと言う方が無理だ。
ウーム…
KTCの本、コミックスを在庫してる店が地元に皆無だわw
ヴァル誌と小説がちょろっとぐらいだもんな
今回の二巻も結局密林に発注した
保守
ほしゅっとな
378 :
名無しさん@ピンキー:2009/04/29(水) 17:08:19 ID:1nEvO0hW
麗子を倒した後、ログレスと相打ちに近い形で勝利し、傷ついて倒れた優子をヴァリアが抱き上げ、
「今、あなたがいちばん望んでいる願いをかなえましょう」
と言って、優子を現実界に帰す。
すると、優子の前に、生き返った麗子が微笑みながら立っている……というのが、個人的なハッピーエンド。
……絶対ならないだろうけどな。
ニゼッティーが出てきたんだから、
ハイパー化して最終決戦に臨んだ後昇天、という結末じゃないかな?
ハイパー化はするんだろうけど昇天はしてほしくないなぁ
あ、昇天先で麗子と再会→キャッキャウフフでハッピーエンドか
ハイパー化した後昇天、というVのラストは、
ヴァリス(明の力)であれヴェカンタ(暗の力)であれ、
一方の力が強くなりすぎると現実界は崩壊する(=二つの力が均衡を保っている状態が望ましい)、
というゲームの世界の設定を反映したものらしい。
つまり、優子のハイパー化は、現実界にとって危険な存在が誕生してしまうという事であり、
昇天は、自分が原因で現実界が危険に陥るのを避けようとした優子の自己犠牲だったという訳。
この辺の重い雰囲気のストーリーがヴァリスの人気の一つだった訳だが、漫画版ではどうなるのかな?
>この辺の重い雰囲気
そもそもあの漫画が「ヴァリスX」との連動企画だったことを考えるとw
>優子の自己犠牲
その辺の葛藤を少しくらい表現してほしかったな。
PCE版U以降の優子は全然"普通の女子高生"じゃないので好きになれんよ。
保守
お待たせしました〜。
『3V(ヴァリス・ヴァルキリー・バージョン)』エロパロSS第15章、只今完成いたしました。
本日22:00頃より投下を開始いたしますので、
お手すきの方は連投規制回避のためのご支援を宜しくお願い申し上げます。
大変、お待たせいたしました〜。
只今より『3V(ヴァリス・ヴァルキリー・バージョン)』エロパロSS第15章の投下を開始します。
本章は、麗子編で、概ね単行本第2巻のp.108からp.144にかけての、
麗子とドラゴの登場シーンをエロパロ化した内容となっております。
なお、作中、麗子への浣腸プレイが登場しますが、
スレのルールに則り、糞便については詳細な描写は避けていますので、ご安心下さい。
それでは、お楽しみ下さい〜。
(1)
――――永劫の闇の中。廃墟と化した校舎の教室で。
「フフフ、もう終わりなの?」
傾きかけた黒板を背に、教卓の上に脚を組んで座りながら、
足元に転がる人影を冷やかに眺め下す、赤毛の少女・・・・桐島麗子。
薄汚れた教室の床に蹲り、弱々しく肩で息をしているのは、
かつて、この学び舎で彼女と机を並べていた事もある、もう一人の少女。
身に纏う黄金の甲冑は、すでに往時の輝きを失い、
あちこち毀たれヒビが入って、かろうじて原形を留めているに過ぎなかった。
鎧の下のしなやかな肢体にも、無数の打撲や擦過の傷痕が生々しく刻み付けられ、
乙女の柔肌は、出血や打ち身によって、無残に荒れ果ててしまっている。
トレードマークであり、最大のチャームポイントとして全校生徒の憧れの対象であった、
腰まで伸びた美しい蒼髪でさえも、汗と埃にまみれ、見る影もなく汚れきってしまっていた。
(2)
「安心するといいわ、優子。すぐに殺したりはしないから。
もうしばらくは生かしておいてあげる・・・・と言っても、そんなに長くではないけれど」
軽快な動作で床に飛び降りると、
目の前の元クラスメイトの顔を捻り上げて、強引に自分を振り向かせる。
暗くて良く分からないが、薄青色の双眸には既に意志の光はなく、
乱暴きわまる扱いに対しても、抵抗らしい抵抗は一切示そうとしなかった。
フン、と、つまらなそうに鼻を鳴らした暗黒界の少女は、
優子の身体の傍に落ちているモノに、チラリ、と視線を走らせる。
転がっていたのは、かつて、<ヴァリスの剣>と呼称されていた存在、
暗黒界の将兵達の畏怖の的となっていた恐るべき武器のなれの果て・・・・。
アンチ・ヴァニティの異能によって、主である<戦士>との繋がりを断ち切られ、
物質としての実体を維持する事すらままならなくなった挙句、
まるで、酔っ払いの吐き出した嘔吐物のような、得体の知れないゲル状の物体と化して、
かろうじて現実界にへばりついているだけの存在と成り果てた魔道金属の残り滓だった。
(3)
「・・・・あぁ・・・・あああ・・・・」
消耗しきった少女の唇から漏れる、すすり泣くような呻き声。
絶望に侵食されきった哀れな響きに、黒衣の<戦士>は、ニィィッ、と笑みを浮かべた。
「せいぜい、敗北の味を噛み締めるといいわ・・・・」
囁くように呟くと、力なく半開きになっている唇に、自らの柔かい口元をあてがい、
うっすらと血の味の滲むその花弁をゆっくりと吸い始める。
「んむぅ・・・・むふぅうん」
僅かに残っていたプライドの為せる業だろうか、
なけなしの気力を振り絞った蒼髪の少女が、屈辱的な接吻を撥ね退けようと試みた。
だが、<ヴァリス>の加護を失い、傷付き弱り果てた彼女に、抵抗の手段などあろう筈がない。
(4)
「んぁ・・・・むはぁうッ!!」
口惜しさと敗北感とが、ヌルヌルとした涙の滴となって蒼褪めた頬筋を流れ落ちていった。
なす術もなく、一方的に吸い立てられ、舌先を突き入れられ、
粘膜という粘膜を余す所なく舐め回される自分が、不甲斐なくて堪らない。
「ふぁう・・・・はうくぅ・・・・ふぁはううう!!」
生温かい唾液が、渇き切った口腔にじんわりと染み渡っていく。
このままではいけない、と思いつつ、撥ね退ける事も叶わず、侵略を受け続けるしかない、懊悩。
いつしか、巧妙な愛撫は、ぐったりと沈黙していた己れの性感をも蘇らせ、麻薬的な快楽へと誘っていく。
「あああ・・・・はぁひぃ・・・・ひはぁう・・・・ひはぁああッ!!」
次第に相手のペースに飲み込まれていくのを感じながらも、
どうする事も出来ず、己れの無力を呪うしかない蒼髪の少女。
対する赤毛の少女もまた、敗残の宿敵の哀れな姿に、喜悦の高まりを押さえ切れず、
燃え盛る欲情が熱い滾りとなって心身を覆い尽くす、無上の快楽に酔い痴れている。
――――と、次の瞬間、麗子の視界は眩く輝く白い光に包まれ、何も見えなくなってしまった。
(5)
「フン、なんだ、夢か・・・・ここは?」
ぼんやりとした顔付きのまま、周囲を見渡す、赤毛の少女。
暗黒界――――ログレスの居城から、別の次元へと強制的に移動させられたせいなのか、
頭の芯にどんよりとした重たい感覚が纏わりつき、こめかみの辺りがズキズキと痛む。
天に向かって聳え立つ、白亜の建造物。
整然と舗装された車道を引っ切り無しに行き交う、鉄の乗り物。
思い思いの服装で着飾り、街角に繰り出した若者達の群れ。
「現実界?フン、いつもながら、退屈な風景ね」
――――だが、しばらく時間が経過して、
次元移動に伴う副作用によって一時的に減退していた五感が徐々に回復していくにつれ、
周囲の雰囲気が普段とは全く異なっていると気付く事になる。
あちこちで鳴り響く、急ブレーキの音とけたたましいクラクション。
パトカー、救急車、消防車・・・・何種類ものサイレンが重なり合い、延々と連なる異様な多重奏。
上空では、報道と警察を合わせて何十機ものヘリがローターの爆音を競っていた。
そして、街頭に繰り出している群衆もまた、
三々五々輪になっては、声高に、あるいは、ヒソヒソと、深刻な口調で会話を交わしている。
(6)
「・・・・一体、何が起こっているというの?」
何かの事故か、それとも、テロ事件でも発生したのだろうか?
訝しげに首をかしげる<ヴェカンタの戦士>・・・・と、次の瞬間。
「お前のおトモダチの仕業に決まってるじゃないかッ!!」
不意に、背後から掛けられた言葉。
反射的に身構えつつ、振り返った先に待っていたのは。
「りゅ、竜!?」
驚愕に目を瞠る麗子。
――――勿論、現実界、それも、高層ビルの林立する東京のド真ん中に、
ドラゴンなどという幻獣が現れた事実も驚きには違いなかったが、
同じくらいに彼女を唖然とさせたのは、
背中に生えた蝙蝠羽根をパタパタとせわしなくはばたかせている彼の大きさ、・・・・否、小ささだった。
(7)
「・・・・ち、ちっちゃッ!!」
我知らず、両目をぱちくりとさせる赤毛の少女。
突如として現れた暗黒界の魔獣は、身の丈わずか3、40センチメートルほど、
体長も、尻尾の先まで含めて、ようやく1メートルに達するかどうか?という程度でしかない。
「ちっちゃ言うなッ!!」
対する子竜は、精一杯のしかめっ面を作り、抗議の台詞を口にする。
・・・・だが、ヌイグルミ大の体に、愛くるしい顔立ちのベビーサイズ・ドラゴンが、
いくら威勢を張ってみたところで、滑稽以外の何物でもなかった。
<ヴェカンタの戦士>としてログレスの傍らにあった頃、
暗黒五邪神の一将でもある、双頭の金竜・ヴォルデスをはじめ、
巨体を誇る邪竜ならば何匹も目にしてきたが、
こんなミニサイズの竜を見るのは初めてで、無意識のうちに口元が緩んでしまう。
(8)
「俺の名はドラゴ。
由緒正しき風の竜、アイザード様の右腕にして、優子を誘う導き手」
「はあ?」
名乗りを聞いてなお、半信半疑といった表情の少女に、
ますます怒りのボルテージを上昇させながら、幼生ドラゴンはまくしたてた。
「<ヴァリスの戦士>に合流する前に、お前を抹殺するよう命を受けている。
その身体、殺すには実に惜しいが、
我が主の洗脳から解き放たれ、ログレスの手駒に戻ったからにはやむを得ない」
ここまで事情に通じている以上、もはや話の信憑性を疑う訳にはいかないだろう。
とはいえ、麗子が<影の剣>を実体化させるには、なお幾許かの時間と労力が必要だった。
対して、アイザードの腹心を自称する子竜は、
一方的にお喋りを打ち切るが早いか、先手必勝とばかり、何やら口早に呪文を唱え始める。
(9)
――――ギュオオオオッッッ!!!!
小さな体とは全く不釣合いな、強大な魔力の気配が渦を巻く。
うなじの辺りに、ヒヤリ、としたものを感じた赤毛の少女が、咄嗟に飛び退いた瞬間、
巨大なカマイタチと化した大気が彼女がいた場所を薙ぎ払い、
背後にあった駐輪場に激突して、無数の自転車を残骸へと変えてしまった。
「クククッ、俺を舐めるなよ、小娘」
相変わらず、精一杯背伸びした口調と態度のドラゴ。
しかし、外見は兎も角、続けざまに、強力な風の魔術を連発出来る実力は、
アイザードの右腕との名乗りが単なるはったりではないと証明していた。
自然と、麗子の表情も険しくなり、ラベンダー色の双眸に気迫がみなぎっていく。
(10)
――――ギィィィンッッッ!!
左右にステップを踏みながら、襲ってくるカマイタチをかわしていく。
・・・・と、目標を逸れた大気の刃の一つが、
破壊し尽くされた駐輪場を飛び越えて、市街地の方向へと突進していった。
「くッ!?」
半ば反射的な動作で、漆黒の邪剣を振るう麗子。
剣先から迸った衝撃波は、間一髪、道路脇の人々を血まみれの肉塊に変えられる運命から救い出したが、
その光景を目の当たりにした子竜は甲高い笑い声を放ち上げた。
「うひゃひゃひゃッ!!こりゃ珍しいものを見せてもらったぜッ!!
暗黒界の<戦士>が人助けとはねぇ。ガラにもなく、里心でも出ちまったか!?」
「う、五月蝿いわねッ!!もう容赦しないわよッ!!」
怒りを露わにした赤毛の少女が<影の剣>を振り払う。
気合いと共に放たれた斬撃が、黒い旋風となって襲い掛かると、
さすがの風のドラゴンも、呪文の詠唱を止めて、回避行動に走らねばならなかった。
その間に、<ヴェカンタの戦士>は、背後を気にせずに戦える場所へと回り込むと、
愛剣を正眼に構え直して、油断無く五感を研ぎ澄ます。
(11)
「フフフ、やっと本気になったみたいだな。
それじゃあ、こっちも少しやり方を変えるとしようか」
言い放つなり、ドラゴは背中の翼をはばたかせ、急上昇した。
驚きつつも、心を乱す事無く、冷静な視線で上空の敵を追尾する麗子。
・・・・だが、次に起きた出来事には、<ヴェカンタの戦士>も慄然とならざるを得なかった。
「な、何ッ!?」
子竜の蝙蝠羽根からどす黒い瘴気が立ち昇り、禍々しい手指の形状を形作ったかと思うと、
巨大な手刀と化して、つむじ風のような勢いで襲い掛かってくる。
不気味なうなり声を上げて降り注いでくる、右手の正拳突きに、
殆ど予備動作無しで放たれる、横殴りの左フック。
凄まじい拳圧に、バンダナでまとめた、燃えるような赤髪がバタバタと舞い、
寸断された幾筋かが、赤銅色に輝きながら空中へと巻き上げられていく。
(12)
「チッ、チビのくせして、色々とやってくれるじゃないッ!!」
紙一重のところで攻撃を見切り、回避を続ける黒衣の少女。
深々と地面に突き刺さった筈の拳は、まるで、ゴムで出来ているかのようにすぐに元に戻り、
ほとんど間を置かず、神速の突き手となって撃ち込まれてくる。
「ほれほれ、逃げてばかりじゃ、すぐに息が上がっちまうぞ〜」
幼い容姿には似つかわしくない、冷酷な笑みを浮かべながら、
風竜は的確な攻撃で麗子を追い詰め、防戦一方へと追いやっていく。
対する赤毛の少女も、反撃の糸口を掴もうと、懸命に<影の剣>をふるって剣圧を放つものの、
子竜の周囲に張り巡らされた大気の防壁は、多少の衝撃波ではビクともしなかった。
かといって、呼吸を整え、精神を集中して、より強力な斬撃を生み出そうとすれば、
必然的に回避動作が緩慢となり、漆黒の拳の餌食となるのは目に見えている。
「くぅぅッ・・・・この程度の攻撃で、あたしを仕留められるとでも思ってるのッ!?」
嘲りの言葉に悪態で切り返す、暗黒界の<戦士>。
だが、体勢は不利となる一方で、好転の兆しは全く無かった。
次元移動の直後というコンディションの悪さも重なり、体力の消耗はいつも以上に激しく、
クソ生意気なドラゴンの指摘通り、手足の筋肉は早くも悲鳴を漏らし始めている。
そして、このままでは後が無くなる、という焦燥が、ジワリジワリと滲み出してきては
許容限界をオーバーするプレッシャーとなって圧し掛かってくるのだった。
――――――――そして、ついに・・・・。
(13)
「くぅッ!?し、しまったッ!!」
撃ち出されてきた豪拳を紙一重の差でかわしたところを目がけて、
反対方向からの、回避動作の限界点を完璧に見切った掌底。
かわす事など到底不可能なタイミングでの一撃に、
反射的に受け身を取ってダメージを減らそうとする麗子だったが・・・・。
「つ〜かまえた、とッ!!」
酷烈な衝撃の前に、一瞬、意識が途切れ、
正気に戻った時には、鉤爪の生えた黒い手指によって全身を絡め取られてしまっていた。
ウロコの剥がれ落ちた爬虫類のような不快な感触と、
華奢な体躯をへし折らんばかりに容赦なくギリギリと締め付けてくる圧力とが、
傷付いた少女に、己れの置かれた絶望的な状況を認知させる。
(14)
「ウヒャヒャッ、やわらかボディがたまんねぇぜッ!!」
その上、ドラゴは、勝ち誇った笑いを放ち上げながら、
苦痛に表情を歪め、呻き声を上げる<ヴェカンタの戦士>のカラダを、
まるで、新しく買い与えられた玩具を手にした幼児の如く、弄り回し始めた。
「なッ!?ど、どこ触ってるのよ、この変態ドラゴンッ!!」
人間としての尊厳など歯牙にもかけず、柔肌を無遠慮にまさぐる破廉恥な所業に、
<戦士>としての、というよりも、むしろ、一人の乙女としてのプライドをズタズタにされて、
麗子は顔面を真っ赤に紅潮させながら、猛然と糾弾の言葉を投げ付ける。
・・・・だが、緑色の鱗の幼竜は、彼が主と認めた元夢幻界人の魔道士と異なり、
敗者の正義など、負け犬の遠吠え以外の何物でもない、という考え方の持ち主だった。
(15)
「そのキツイ顔で罵られるのは、なかなかのご褒美だなァ〜。
フフフ、すぐにラクにしてあげても良かったけど、気が変わっちゃったよ。
やっぱり、あの世に旅立たせてやる前に、たっぷりとオシオキしてあげないとね〜」
言い終えるなり、ドラゴは、今しも華奢な体を捻り潰さんとしていた黒い拳を、
再度、全く別の形状へと変容させた。
「きゃぁああッ!!」
あたかも黒い磔柱の如く、背中に張り付いた本体部分に、
四肢の付け根へと絡み付いて身動きを封じてしまう、先端部分のツル状の触手。
さらに、生ける磔刑台と化したドラゴンの片翼がX字状に展開されると、
漆黒の拘束具によって繋がれた手足は、否応無く、引っ張られていく。
抵抗する術とて無いままに、両手両足を目一杯広げてバンザイをするポーズを強要される赤毛の少女。
肩甲骨と股関節とが許容可能なギリギリの角度まで、大きく開脚開腕を強いられた姿は、
あたかも、車に轢かれてペシャンコになったカエルのように屈辱的な代物だった。
(16)
「こ、殺すのなら、さっさと殺しなさいよッ!!」
ラベンダー色の瞳を血走らせながら悪態をつく、<ヴェカンタの戦士>。
しかし、その語尾は、かすかにではあったが、
間近に差し迫った危険――――拷問への恐怖に震えている。
「もちろん、殺してやるとも。お前のカラダをたっぷりと味わった後でね。
まず最初は・・・・ココからだッ!!」
高らかに宣言するなり、子竜は麗子に向かって躍りかかり、
120度に開腕を強要された状態で磔柱に結わえ付けられた、ほっそりとした右腕の付け根部分・・・・
黒曜石を磨き上げたかのような胸甲との対比によって、
その生白さを一層引き立てられている、腋の下へとしゃぶりついた。
「ひぃいいいッ!!!!」
東京都心のど真ん中に響き渡る、引き攣った悲鳴。
普段であれば、たちまち人だかりが出来、カメラのフラッシュが殺到するところだが、
ベノンの襲撃で都内各地が騒然としている現状では、皆、それどころではないらしい。
それでも、何人かの足音が近付いてくる事に気付いたドラゴは、
小さく、現実界人め、と舌打ちすると、背中から新たな蝙蝠羽根を出現させ、
地上の人間共の視界から遠ざかるべく、地上数百メートルの高度まで一気に急上昇した。
(17)
「フヘヘヘ、ここなら泣こうが叫ぼうが誰も邪魔は出来ないぜ。
・・・・まぁ、衆人環視の中でお前を嬲り尽くす、ってのも一興だったけどなァ」
耳元で囁くと、幼生ドラゴンは、早速、中断していた作業を再開した。
ヒクヒクとひくつく上腕筋の様子を見やりつつ、
甘酸っぱい匂いのこびりついた白桃色の谷間にざらついた舌先をなすりつけ、
アイスキャンデーをしゃぶるように、丹念にペロペロと舐め回す。
「ひぁあッ!!や、やめなさいよ、このヘンタイッ!!」
羞恥のあまり、声が裏返りかけている赤毛の少女。
胸や尻、いや、せめて太ももぐらいならばまだしも、
こんなマニアックな場所を集中して責め立てる子竜の神経が腹立たしく思えてならない。
だが、変態呼ばわりにもめげる事無く、否、むしろ一層、目を輝かせながら、
ドラゴは、腋の下のくぼみに鼻先を押し当て、汗腺の発する芳香を堪能し続けるのだった。
(18)
「こ、このォッ!!やめなさい、って言ってるでしょッ!!」
完全に頭に血が上った少女が、全身を無茶苦茶に揺らして子竜を振り解こうとする。
・・・・と、激しい動きに拘束が緩んだのか、はたまた、故意によるものか、
左手首――――舐め回されているのとは反対側の腕――――に絡み付いていた触腕が、スルリ、と解けて、
バランスを崩した左半身全体が、ガクン、と大きく傾いた。
「キヒヒヒ、あんまり派手に暴れない方が身のためだぜ。
この高さから落ちたら、いくらお前でもひとたまりも無いだろうからな〜」
ドラゴの嫌味を聞かされるまでも無く、
赤毛の少女は、眼下に広がるコンクリート・ジャングルに冷や汗を浮べていた。
わざわざこんな高空までやってきたのは、人目を避けるためだけでは無かったのだ、と気付いた彼女に、
子竜はいやらしく笑いかけると、再度、黒々とした触手を伸ばして、
空中に投げ出された左腕を絡め取り、ぐぐぐッ、と磔刑台に手繰り寄せる。
今度は、さすがのヴェカンティの<戦士>も、口をつぐんで屈辱的なポーズに甘んじる他なかった。
(19)
「フフフ、ほんのり甘い汗の香りがたまんね〜ぜ。
暗黒界に来てからも、お手入れは毎日欠かしてないみたいだな、感心感心」
「くッ・・・・うううッ」
思わず、眉根を寄せながら目を瞑る麗子だが、
ピチャピチャという淫靡な水音とねっとりとした感触までは防げなかった。
更に時間が経つと、最初は不快なだけだった腋の下への愛撫が、
くすぐったさと心地よさが綯い交ぜになった、不可思議な感覚を生むようになっていく。
「どう?ここを責められると、どんどんエッチな気分になってくるでしょ?」
「そ、そんな訳無いでしょッ!!」
口では躍起になって否定するものの、彼の言葉が嘘ではないのは自身が一番良く理解していた。
今や、子猫のようにザラザラとした肌触りの舌先が敏感な皮膚をチロチロまさぐるたび、
微弱な電流が、交感神経を伝って、うなじや背筋へと這い登ってくる。
とりわけ、影響が顕著なのは、漆黒の胸甲に包まれた柔かい脹らみで、
むっくりと勃起した乳首の先端が擦れて生じるゾクゾク感が、際限の無い増殖を続けていた。
(20)
「へえ、そうなんだ?じゃあ、本当かどうか、カラダの方に聞いてみるとするよ」
じゅるり、と、舌なめずりしつつ、腋の下から離れるドラゴ。
(一抹の不満と共に)安堵の息をついたのも束の間、
次の標的を見定めるべく、身体の周囲を旋回していた子竜が、
背後・・・・大きく割り拡げられた太股の間に近付いてくると、再び顔色が変わっていく。
「ウヒョ〜〜〜ッ!!いい眺めだぜ〜!!
ミニのスカートが捲れ上がって、ピッチピチのケツが丸見えだァ〜〜!!」
「こ、殺すッ!!アンタだけは、ゼッタイに、ギッタギタにして殺してやるッ!!」
もう何度目だろうか、憤怒の感情を爆発させる、<ヴェカンタの戦士>。
だが、触手が解ける危険性を考えると、それ以上の抵抗は不可能である。
何より、たとえ、スカートが用を成さず、中身が丸見え状態とは言え、
乙女のの一番大事な場所は、<ヴェカンタ>の加護によって守られた、黒絹の下着によって覆われていて、
破られる事など、まずありえないハズだ――――と、タカを括ってもいた。
(21)
「ヘッヘ〜〜〜ン!!思った通りだぜ〜ッ!!
食い込みショーツにメコスジがくっきり、ついでに、うっすらとシミまで現れてやがるッ!!」
嬉々として囃し立てながら、風のドラゴンは、さらに近付いて詳細を確認しようとする。
最初は無視を決め込むつもりでいたものの、
スカートの中を無遠慮に視姦されたばかりか、
スベスベとした内股の表面に生温かい吐息を吹きかけられまでしては、とても平静ではいられなかった。
(や、やだ・・・・私、一体、何考えてるのよッ!?
こんなマセガキに下着を見られたぐらいで、変な気分になるなんて・・・・)
羞恥心に負けて、かあぁぁッ、と、頬を真っ赤に染め、
同時に、下腹部・・・・熱い眼差しを注がれている薄布の内側に、じゅん、と湿った感触を生じてしまう。
我知らず、ぶんぶんとかぶりを振って、忌まわしい感覚を振り払おうとする赤毛の少女。
だが、一度、明確に意識してしまった性感は、理性だけで忘れ去る事は不可能だったし、
興味津々で注がれている視線や荒々しくなる一方の息遣いも、
心の中で、今まで以上に(セクシャルな意味での)存在感を増していく。
(22)
「おやおや〜?何だか様子が変だぞ〜?
もしかして、大事なトコロを覗かれてコーフンでもしちゃったのかな〜〜?」
勝ち誇った表情でまくし立てるドラゴ。
対する麗子は、腹立たしいやら恥ずかしいやらで、反論の言葉が見付からなかったが、
沈黙を肯定と受け取ったらしく、子竜の鼻息はますます猛々しくなる一方だった。
「お〜し、それじゃあ、ど〜なってるか?今から確かめてやるからな。
ちょっとの間、おとなしくしてるんだぞ〜」
言うが早いか、鉤爪の一つを触手へと変形させて、目の前の黒下着を掴み取り、
渾身の力を込めて、ぎゅぎゅぎゅッ、と引っ張り上げていく。
<鎧>に込められた護りの魔力が発動して、バチバチと青白い火花が飛び散るのも意に介さず、
伸縮性に富んだ黒絹の下穿きの股布部分を引き伸ばすと、
今度は、別の指先を、研ぎ澄まされたナイフさながらの、鋭利な刃物状に変化させた。
(23)
――――次の瞬間。
極薄の布切れの上で、これを捻じ切らんとする魔力とそうはさせじとする魔力が真っ向から衝突し、
幾つものスパークが、まるで夜空に打ち上げられる花火のように大輪の花を咲かせる。
格闘戦においては一歩を譲ったとはいえ、
<ヴェカンタの戦士>を守る暗黒の加護は依然として強大であり、
彼女の肉体や防具を直接害しようとする試みに対しては十二分に太刀打ち可能・・・・な筈だったのだが。
「な、何ッ!?魔力が吸い取られていく!?」
驚愕の叫び声を迸らせる赤毛の少女。
漆黒の甲冑に込められた防御力が、ストローで吸われるかの如く、引き寄せられ、奪われていく。
「フヒヒヒ、残念でしたね〜。
戦う相手をちゃんと調べて対抗策を立てておくのは当然でしょ?」
嫌味ったらしく笑いながら、子竜は、掴み上げた股布を、くいッ、くいッ、と、左右に動かした。
侵入者を寄せ付けまいとする力が、何度目かの火花となって飛散するのが感じられたものの、
そのパワーは、最初の頃とは比べ物にならないほど、低下してしまっている。
どんな手段を使ったのか?皆目、見当も付かないが、
彼の言う通り、<鎧>の魔力はあっという間に吸い尽くされてしまい、
今や、パーティー用の仮装コスチューム同然の存在にしか過ぎなくなっていた。
(24)
(な、なんて事なの!?こんなクソガキ相手に、手も足も出ないなんてッ!?)
ショックのあまり、半ば呆然となる麗子。
下半身では、防御障壁の消滅に伴って、
捩り合わされ紐状になった下着が直に恥丘と擦れ合うようになったため、
摩擦熱と共に、痛みとむず痒さとが入り混じった、淫靡な感触が生まれ始めていた。
「キヒヒヒ、駄目だなぁ、もっと辛抱しないと。
ホラ、ちょっと擦っただけで、愛液が滲んできてるじゃないか」
必死に否定しようと試みるが、
無様に割り拡げられた股関節の中心部・・・・未だ殆ど使い込まれていない、サーモンピンクの秘唇は、
己れ自身の下穿きをブラシ代わりにした悪辣なマッサージの前に、早くもピクピクと痙攣を発していた。
愛液そのものの湧出は未だ本格化していないとはいえ、
前触れとなる半透明な体液(またの名を、我慢汁)は膣腔内をじわじわと満たしつつあり、
同時に、秘口の外へと噴出する好機をじっと窺い続けていた。
(25)
「へへへ、良い眺めだな〜〜!!大事なトコロが今にも暴発しそうになってやがるぜ。
おっと、下着の方はもう限界だな。それなりに頑張ったけど――――そぉれッ!!」
「ヒィィッ!!や、やめてェェェッ!!」
たまらず、少女の口から甲高い悲鳴が上がったのと同時に、
完全に魔力を失い、単なる黒い布切れと化したショーツが、
ブチンッ!!という鈍い断裂音を発して、股布部分から真ッ二つに切断された。
下着とはいえ、<ヴェカンタの戦士>である自分を護る防具の一つが、
<ヴァリスの戦士>や暗黒五邪神相手ならまだしも、アイザードの手下風情の手によって、
あっさりと失陥してしまった事実に、衝撃を隠せない麗子。
「クックックッ、信じられない、って顔だな〜。
まぁ、天才ドラゴ様にかかれば、朝飯前だけどな〜!!」
敗北感にうなだれる赤毛の少女に向かって、盛大な嘲笑を浴びせかけると、
子竜は、今や生殺与奪は思いのままとなった美しき獲物の処遇を熱心に思案し始めた。
最終的に生命を奪う方針に変更はないのだが、やはり、単に殺すだけというのは如何にも芸が無い。
また、たっぷりと屈辱を味わわせ、精神的苦痛にのた打ち回らせてやらねば、
亡き主君の魂魄にも満足しては貰えないハズ――――それに、第一・・・・。
(26)
「俺様自身だって、少しは楽しませて貰わないとね〜〜」
うひゃひゃひゃ、と笑い転げるドラゴに、げんなりとした表情になる麗子。
なんだかんだと理屈を並べ立ててみても、結局、コイツは己れの下半身に忠実なだけなのだ。
(・・・・いや、もしかすると、それ以前の問題って事も・・・・)
可能性に気付いた瞬間、彼女は、
口惜しさのあまり、というよりも、こみ上ってくる腹立たしさに我慢ならず、両手の拳をきつく握り締めた。
そう、下手をすれば、目の前のクソガキは、
単に自分を玩具にして弄り回したい、という幼稚な願望のままに動いているだけかもしれない。
(どうしてッ!!こんなヤツに好き放題にされるなんてッ!?)
握り固めた拳が、ワナワナと震える。
全身を貫く怒りは、触手を振り解き一太刀浴びせたい、という衝動へと発展しかねない程だったが、
かろうじて、墜落したら死は免れない、という恐怖が理性を保たせていた。
もっとも、同時に、最低な陵辱者から屈辱の限りの仕打ちを尽くされ、惨めな死を迎えるぐらいならば、
いっそ、投身自殺でもした方が遥かにマシかもしれない、という危険な発想も、
徐々にではあるが、確実に勢いを増しつつあったのだが・・・・。
(27)
「うひひひ、決〜めた、決めたッ!!
お前をイキ狂わせる方法、ケッテ〜〜〜イッッッ!!」
麗子の内面を吹き荒れている葛藤の嵐など露知らず、
脳天気な口調で、物騒極まりないセリフを吐く風のドラゴン。
真新しい玩具を見せびらかす幼児さながらに、
またもや、少女の眼前で、変幻自在の黒翼を変化させてみせる。
「コレ、なぁ〜んだ?」
「なッ、それはッ!?」
掲げられた拷問器具の不吉な姿に、赤毛の少女は、一時的に怒りを忘れ、顔面を強張らせた。
手足を拘束している磔刑台同様、子竜の蝙蝠羽根が変化して出来た物体は、
現実界に存在するもので言えば、丁度、たわわに実ったイチジクのような形をしている。
・・・・ただし、大きさは、イチジクなどとは比べ物にならず、
(果物で言えば)メロン、あるいは、小玉スイカほどもあり、
しかも、中に詰まっているのは、甘い果肉ではなく、得体の知れない体液だったが。
(28)
(ま、まさか、あの形ってッ!?)
異物の形状から、おおよその用途は理解できたのだろう、
<ヴェカンタの戦士>の喉元から、無意識のうちに息を飲み込む音が漏れる。
「フフン、どうやら、自分に何が起きるか、理解したみたいだな〜〜。
今は亡きアイザード様の分析によれば、お前は、アナルが一番感じるマゾ娘って話だったけど、
・・・・クククッ、コイツは気に入って貰えるかな〜〜」
ニヤニヤしながら、ドラゴは、真っ黒な果実の先から、ピュピュッ、と半透明な液体を迸らせてみせる。
そして、恐怖と嫌悪の感情によって蒼褪めていく表情を愉快そうに眺めやりつつ、
特大イチジク浣腸を、美しい獲物の背後・・・・尻たぶの奥に隠された肛門を見下ろす位置へと遷移させた。
対する麗子は、ほとんど決死とも言って良いほどの悲壮な覚悟で、
全身の筋肉――――特に下腹部から大腿部にかけての括約筋をキリキリ硬直させ、対抗手段とする。
きわめて原始的な防御方法であるのは言わずもがなだが、
両手両足を触腕に絡め取られ、下着まで切り裂かれてしまった今となっては、
もはや、剥き出し状態の丸尻の奥に鎮座する秘穴を守る手段はこれぐらいしか存在しなかった。
(29)
「フフン、ムダな抵抗はやめるんだな〜。
いくら力んでみても、お前の弱点はすでにお見通しなんだからさ」
自信たっぷりに宣言すると、
子竜は、ヨダレをタップリと含ませた舌先を卑猥に動かして、
思わせぶりに、口の周りを、じゅるり、と舐め回した。
(また、腋の下を舐めるつもりなのッ!?)
先刻の性感帯責めの記憶が脳裏に蘇るのと同時に、
うなじから背筋にかけて、ぞぞぞッ、と、悪寒まじりの怖気が走り抜ける。
反射的に身を固くして、倒錯的かつ巧妙な口唇愛撫を待ち受ける赤毛の少女。
・・・・だが、今回狙われたのは、別の場所だった。
(30)
「ひあッ!?そ、そこはッ!?」
甲高い悲鳴と共に、しなやかなカラダが、ビクン、と跳ね躍る。
変態ドラゴンの舌先に捉えられたのは、
贅肉一つ無いビキニ・ラインの中心に位置する、小さな窪み――――臍穴だった。
「ククク、ど〜だい、麗子?
ここを責められると、お腹の力が抜けてヘロヘロになっていくだろ?」
得意満面の表情で、ザラザラとした肉ブラシを脇腹に押し当てたドラゴは、
そのまま、すす〜〜っ、と、なめらかな柔肌の表面をなぞりながら、
アーモンド型をした凹みまで突き進み、可愛らしいお臍をペロペロと舐めしゃぶる。
「あああッ・・・・だ、だめえッ!!舐め回さないでェッ!!」
先刻の腋の下への責めと同様に、極めて単純な行為ではあるのだが、
普段は明瞭に意識する事の無い性感を目覚めさせられるおかげで、
何百匹もの小さな虫が這いずり回っているかのような異様なゾクゾク感が、
唾液をなすぐられた地点を中心に同心円を描き、乙女の柔肌を粟立たせていった。
加えて、彼の指摘通り、まるで魔法にかかったかの如く、腹筋の力がスルスルと抜け落ち、
必死の覚悟で喰いしばっていた筈の股や尻の筋肉でさえもが弛緩していく。
(31)
(う、嘘ッ!?こ、このままじゃあッ!!)
予想だにしていなかった展開に顔面蒼白となった麗子が、
無意識のうちに体を捩って、パンパンに膨れた肉イチジクから逃れようとする。
だが、地上数百メートルの空中、しかも、手足を拘束されている以上、
元より、逃げ場など何処にも無く、挿入をかわし続けるにも自ずと限度があった。
儚い抵抗の末に、とうとう少女は追い詰められ、浣腸器の先端を押し付けられてしまう。
「い、いやぁあああァッ!!や、やめて・・・・入れないでぇぇッ!!」
白桃色の尻たぶを押し割って、すぼまりの表面へと突きつけられた異物の肌触りに、
最後まで残っていた矜持も砕け散り、溢れ出る涙に頬を濡らしつつ惨めに哀願を繰り返した。
怒りも、悔しさも、何もかも、今まさに肛門内に潜り込もうとしている悪魔の果実の前には無力で、
<ヴェカンタの戦士>から一人の少女へと戻った麗子は、ただひたすらに許しを乞い願うだけ・・・・。
支援します。
(32)
「グヒヒヒ、往生際が悪いぞ〜。観念して、特製スーパー浣腸を受け容れるんだ〜。
そして、ヒィヒィよがりながら絶頂を迎えて、ブリブリ脱糞する姿を見せてくれ〜!!」
囚われの少女のなりふり構わぬ懇請にも、風のドラゴンは一切情けをかけようとはしなかった。
反対に、己れの片翼を変化させて形作った注射器をアナル深く押し込み、
直腸の入り口付近にしっかりと咥え込ませた上で、内容物をゆっくりと注入していく。
「うへぇあぁ・・・・は、入ってくるぅ・・・・お腹の中にィィッ!!」
下着を切り裂かれ、冷たいビル風に曝されたせいで、幾分体温が低下していたのだろう、
最初のうち、尻穴に注入されたドロドロの体液は、煮え立ったシチューのように感じられた。
だが、最初の衝撃が過ぎ去り、腸内の感覚が順応し始めると、
熱さは次第に和らぎ、人肌の温もりとなって腹腔中に広がっていく。
「あああッ、だ、だめぇッ!!お願い・・・・もう、ゆるしてぇッ!!」
恥も外聞も無く、滂沱の涙を流し、許しを請い続ける赤毛の少女。
一秒毎に水嵩を増していく妖しげな感触が切迫感に拍車を掛けていた。
・・・・だが同時に、本来の性癖に加えて、アイザードの侍女達やログレスの触手生物に『開発』された結果、
今や全身で一番感じ易い場所となったアナルを穿られる悦楽は着実に彼女を侵蝕しており、
恐怖や羞恥心といった感情は急速に影を潜めて、被虐の快感に取って代わられていく・・・・。
(33)
(はうあぁッ!!お、お尻・・・・気持ちいいッ!!穴の奥が、ジンジンするぅッ!!)
ハァッ、ハァッ、と、息を切らしつつ、フラフラと弱々しくかぶりを振る。
すぼまりの間に差し込まれた肉筒から生温かい浣腸液が放出されるたびに、
びゅくん、びゅくん、と卑猥なひくつきが生まれ、ゾッとする快美感が背筋を走り抜けた。
極上のカーブを描くヒップのふくらみは毛穴という毛穴が総毛立ち、
じっとりと染み出した汗にほどよく濡れて、テラテラと脂ぎった光沢に覆われている。
・・・・・・・・きゅる・・・・きゅるる・・・・くりゅるるるッ!!
下腹の奥で小動物の鳴き声のような、かぼそく湿っぽい水音が鳴り響いたのを合図に、
臨界点に達した排便欲求が、肛虐の快楽に憂悶する心を容赦なく突き動かす。
もっとも、人間としての尊厳を維持できる最低限のラインすら危うくなっている事を告げる危険信号ですら、
今の麗子にとっては、身体の奥底から湧き上がってくる、甘美な性波動に他ならなかったのだが。
「ひはぁぁッ!!だ、だめぇッ・・・・ダメなのにィ・・・・お、お尻、我慢出来ないッ!!!!」
堪え切れず、とうとう言葉に出して叫んでしまう。
凛々しかった表情は涙で緩み、口元はヨダレでベトベト、よく見れば、鼻汁さえ垂れていた。
今までの一生の中で、これ以上は無いくらい、情けない姿を晒しながら、
直腸内で蠢く異物の妖しい動きに酔い痴れ、注入される淫液の感触に震え慄いている。
(34)
――――ぎゅるるッ・・・・ぎゅりゅる・・・・ぎりゅるるるるるッッッ!!!!
痙攣を続ける腹部から聞こえてくる粘ついた悲鳴が、一呼吸毎に大きくなっていく。
それに比例するかの如く、硬くすぼまった括約筋への内側からの圧力も増していく一方で、
すでにいつ決壊してもおかしくないくらいの有り様だった。
「ひぁああッ!!りゃめぇッ・・・・も、もれる・・・・もれひゃうううッ!!」
涙と涎を垂れ流しつつ、殆ど本能だけで、押し寄せる濁流に抗い続ける赤毛の少女。
もはや、意識さえ朦朧となりかけているものの、
鈍痛と不快感とゾクゾク感が無秩序に入り混じった感覚だけは、却って、鮮明に感じられていた。
ぶぴゅッ・・・・ぶぴゅびゅッ・・・・!!!!
腹腔内に充満したメタンガスが皺孔の隙間を掻い潜る事に成功し、
破廉恥極まりない空砲となって、周囲に鳴り響く。
気泡状になった極少量の糞便が、ぶばぁん、と弾けて、真っ白な尻たぶに黄土色の花を咲かせると、
ねばついた触感が、必死の抵抗を試みてきた少女に、終末の到来を予感させた。
(35)
「・・・・ハァハァ・・・・も、もお・・・・らめぇ・・・・」
息も絶え絶えに、弱々しい呟きを漏らす麗子。
次の瞬間、ビクビクと引き攣っていった皺穴が、
溜まりに溜まったガス圧に圧迫されて、ぶくんッ、と大きく盛り上がった。
「ひぎぃッ・・・・ああああッ!!!!」
反射的に括約筋を引き締め、息を止めて、かろうじて暴発を押さえ込む。
真っ赤に染まった頬筋を脂汗がダラダラと滴り落ちる中、
疲弊の極に達した下半身に残る力を総動員して、
プルプルと小刻みにする菊門を落ち着かせるべく、最後の努力が続く。
・・・・だが、息を止めるにも、肛門を塞き止めるにも、自ずと限界というものがある。
苦闘の時間は異様に長く感じられ、時には、何とか凌げるのでは?と感じられる瞬間もあったものの、
結局のところ、死力を尽くした防衛戦の戦果と言えば、
精々一、二分程度、破局を先延ばしに出来ただけに過ぎなかったのだった――――。
(36)
ぶッしゃァァァあああアッッッ!!!!!!
黄色く濁った腸液が、湿った破裂音を盛大に響かせながら噴出する。
<戦士>のプライドが、乙女の矜持が、人間としての尊厳までもが、
濁流と共に、猛烈な勢いで体外に吐き出されていき、
胃袋と精神の両方が、あっという間に、中身の大部分を失って空っぽになっていった。
「あぎぃぃッ!!いひぎゃぁぁぁあああああッッッ!!!!」
苦痛と解放感の入り混じった排便の快感が、壮絶な被虐感と一体化して、
腰椎の間を駆け巡り、脊髄を貫いて、脳天を直撃する。
その衝撃は、発情を極めていた性感を肉悦の頂きへと引き摺り上げるのに十分なものだった。
子宮全体が、びゅくんッ、と大きく弾け飛ぶような感覚に襲われた瞬間、
熱く沸騰した愛液が膣道と尿道の二つの管を通って溢れ出し、
肛門から飛散する汚れ汁に優るとも劣らない勢いで、盛大に噴き上がる。
(37)
――――どりゅんッ!!どじゅびゅるッ!!どくどびゅるんッ!!
膣口と尿道口と肛門、都合三つの淫穴が奏でる快楽のハーモニーは、
これまでに一度として経験した事の無い、めくるめく法悦の嵐となって、麗子のカラダを駆け巡った。
愛液が、小水が、糞便が、交互に、あるいは、同時に、弾け出されるたび、
快感が全身を打ち震わせ、子宮の奥に灼熱の感覚を湧き立たせる。
「ひにゃあああッ!!ら、らめぇぇぇッ!!」
ドロドロの粘液が噴出するたび、
脱肛寸前になった直腸と真っ赤に腫れ上がったすぼまりの間に共振波が生じて、
白桃色の尻たぶ全体が、ビクンビクンと、まるで別の生き物であるかの如く、跳ね回る。
負けじと愛潮を溢れ返らせている尿道口は、ピン、と先端を尖らせ、
サーモンビンクの大陰唇は、陸に打ち上げられた魚のように口をパクパクさせながら、
半透明な液汁を引っ切り無しに垂れ流していた。
「ひ、ひんりゃう・・・・おかひくなりゅぅうッッッ!!!!」
アナル絶頂と排泄地獄のダブルパンチを受けて、頭の中は極彩色の光の洪水で一杯になり、
視界はキラキラと輝く真っ白なベールに覆われて何一つ見えなくなっていた。
全身の五感も、ただ一つのもの・・・・肉の快楽を除いては、一切合切、何も感じられなくなり、
まるで下半身全てが融合して、一つの生殖器官と化したかの如く、
排便も、潮吹きも、吐淫も、全く区別がつかない状態に陥ってしまっている。
快楽地獄の真ッ只中に放り込まれた赤毛の少女は、
もはや、失神する事さえ許されぬまま、ひたすら喜悦に泣き叫び、のた打ち回るしかなかった・・・・。
(38)
――――エクスタシーの狂熱が過ぎ去った後。
赤毛の少女は身体中の力を使い果たし、手足をぐったりと弛緩させていた。
未だ(奇跡的に)意識は残っているものの、
先刻まで荒れ狂っていた強烈な欲情の反動である虚脱感が全身を覆い尽くし、
頂点に達した疲弊と消耗のおかげで、もはや、苦痛さえも感じられない。
「クックックッ、随分派手にイキまくったね。
・・・・楽しませてくれたご褒美に、最後は苦しませず、一瞬で楽にしてあげるね〜」
焦点を失ったラベンダー色の双眸を覗き込むアイザードの腹心。
口元には、酷薄さを湛えた笑みが浮かんでいる。
一方の麗子は、冷酷非情な死刑宣告に対して、声を発する事も体を揺する事も出来ず、
僅かに、ピクリ、と睫毛を震わせただけだった。
彼女の頭上で、子竜の体の一部――――さっきまで、浣腸器に擬態していた黒い蝙蝠羽根――――が、
不気味に湾曲した刃先を持つ大鎌へと変化する。
ギラギラと無骨な光沢を湛えたギロチンの真下には、黒いスカーフの巻きついた生白い頚部。
汗と涎にまみれた布きれの結び目に狙いを定めて、
巨大な死神の鎌が振り下ろされようとした、その刹那――――!!!!
(39)
ドゴオォォォンッッッ!!!!!!
直線距離で、せいぜい数キロメートルしか離れていない場所で、轟然たる爆発音が響き渡り、
無数の赤熱した火山岩が、高射砲の弾幕のように飛来してくる。
「な、何だァッ!?」
素っ頓狂な叫び声と同時に、
今まさに<ヴェカンタの戦士>の首を刎ねようとしていたドラゴの手が止まった。
見開かれた目玉の先では、地上に溢れ出した大量の溶岩が赤黒い瘴気を帯びた炎で市街地を舐め尽くし、
ビルも道路も車も人も、何もかも飲み込んで、みるみるうちに異形の火山を形作っていく。
「まさか、ベノンのヤツが・・・・?」
――――なんて無茶を、と言いかけて、言葉を切る風のドラゴン。
炎の魔人のものとは明らかに性質の異なる、
だが、それに優るとも劣らない、強大な魔力を有した存在が、
自分達のいる方角に向かって、猛スピードで近付いてきている。
・・・・しかも、大地の底からではなく、天空の彼方、重く垂れ込めた雷雲の間から。
(40)
「えッ?ええッ?・・・・えええッ!?」
驚愕のあまり、呆然とした表情で頭上を見上げたまま、ドラゴは動作を凍りつかせた。
真ッ黒な群雲の間から姿を現したのは、黄金色に輝く鱗に覆われた双頭の巨竜・・・・、
ヴェカンティの住人ならば、名を知らぬ者などいない、雷邪ヴォルデス。
ピシャァァンンンッッッ!!!!
――――どうしてコイツが、と考えを巡らせる暇とて無く、
巨大な咆哮が響き渡り、冷厳なる雷光が遥かな天空の高みから降り注ぐ。
強大無比な雷の魔力によって生み出された電撃は、
咄嗟に張り巡らされた大気の防御障壁を難なく打ち破ると、子竜の身体を直撃した。
「ぎゃんッ!?」
情けない悲鳴を上げ、幼生ドラゴンの体表が一瞬にして黒焦げになる。
凄まじいショックによって精神の集中が解け、魔力の供給が途絶えたせいで、
麗子の生命を刈り取ろうとしていた大鎌も、手足を拘束していた黒い触手も、跡形も無く消え失せた。
不幸中の幸いは、赤毛の少女に被害が及ばないよう、エネルギーが低く抑えられていた事で、
そうでなければ、ドラゴの体は、内蔵まで余す所無く、こんがりとローストされていたに相違ない。
(41)
「きょ・・・・今日のところは、退散〜〜〜んッ!!!!」
圧倒的な実力差の前に、パニックに陥ったアイザードの側近は、
恥も外聞も無く、尻に帆をかけて逃げ出していく。
――――もっとも、彼が、無事、その空域から逃げ延びる事が出来たのは、
彼の翼が追撃を振り切れるだけの俊敏さを有していたからではなく、
黄金の巨竜が<ヴェカンタの戦士>の救出を優先したおかげだったが。
「・・・・大事ないか、麗子」
ゆっくりとした口調で、少女の安否を気遣う、双頭のドラゴン。
手足を拘束していた黒い触腕が本体である異形の磔刑台もろとも消滅したため、
麗子は、重力の法則に従って、地上への急降下を開始していた。
子竜の捕殺を諦めたヴォルデスが、光り輝く頭部をクッション代わりにして受け止めなかったならば、
アスファルト道路に叩きつけられた彼女のカラダは、
もはや人の形すら留めない、血液と肉片の集積体と化していたに相違ない。
(42)
「ううッ・・・・ヴォ、ヴォルデス・・・・?」
呼びかけに応じて、かろうじて、反応を返したものの、
赤毛の少女の顔は、貧血に陥ったかのように青白く、生気に乏しかった。
このままにしておけば、今度こそ、意識を失いかねない、と判断した雷の巨竜は、
速度を落とし、なるべく静かに東京上空から離脱していく。
「ま、待って・・・・今、闘いの最中なのよ。ベノンだけに良い格好は・・・・!!」
大地の底から隆起した、異形の火山を見やりつつ、
搾り出すような弱々しい声で、それとは全く不釣合いな勇ましい科白を口にする、暗黒界の<戦士>。
・・・・だが、ヴォルデスは、何も聞こえていないかのように飛び続ける。
彼が麗子に返答を返したのは、随分と時間が経ってからで、
その頃には、さしものベノン火山も、遥か遠くにかろうじて視認出来るだけとなっていた。
「やめておけ・・・・今のお前では戦いには勝てん。
ましてや、己れの手柄しか眼中に無い卑劣漢に手を貸す必要が何処にある?」
冷静な指摘に、少女は、くぅッ、と口惜しげに唇を噛む。
確かに、ドラゴに味わわされた屈辱的な行為は彼女の心身から根こそぎ力を奪い去っており、
失われたエネルギーを回復させるには、かなりの時間が必要そうだった。
いかに<アンチ・ヴァニティ>の異能を有しているとは言え、
今のようなボロボロの状態では、優子に挑みかかっても勝算はゼロに等しいだろうし、
たとえ勝利できたとしても、手柄を独占したい炎の魔人から狙われてはひとたまりもあるまい。
無念だが、ここは彼の言葉通り、一時撤退するのが利口そうだった。
(43)
「それにしても・・・・アンタ、なんだってまた、こんな所に来たのよ?」
なおも未練を断ち切りがたいのか、
視線だけは火山の方に向けながら、麗子は疑問を口にする。
雷の魔力を司る双頭の金竜・雷邪ヴォルデス。
――――元はベノンと同じ、ヴェカンティの諸侯の出身で、
暗黒王の台頭する以前は、一時、暗黒界の支配者に擬せられていた事もある実力の持ち主。
臣下の礼をとり、暗黒五邪神の一将に取り立てられた今も、ログレスに完全に心服している訳ではなく、
夢幻界への侵攻作戦にも、幾許かの兵を送っただけで、自身の出陣は渋っているらしい。
(・・・・そのヴォルデスが、どうして、ログレスの腹心の私を助けたりするのよ?)
(44)
「なに・・・・単なる年寄りの気まぐれだよ。
向こう見ずな子供はどうにも危なっかしくて見てはおられんからな」
「またそうやって子供扱いする・・・・」
飄々とした口ぶりで切り返したヴォルデスに、
我知らず、毒気を抜かれた赤毛の少女は、代わりに、頬を、プウッと膨らませた。
初対面の時以来、老ドラゴンはいつもこの調子である。
純粋に自分に対して好意を抱いているのか、それとも、好々爺めいた微笑の裏に悪意を忍ばせているのか、
ある意味では、アイザード以上に心が読めず、つかみ所の無い性格をしていた。
「フフ、わしのような者にしてみれば、人間など皆子供だよ。
お前さんだけじゃなく、ガイーダも、キーヴァも、アイザードも、・・・・一応、あのベノンも、な」
(――――さすがに、ログレスは子供扱いしないのね)
そう思ったものの、あえて言葉には出さずに、
麗子は、疲れきった意識を叱咤しながら、今後について考え込んだ。
ヴォルデスがこれだけ落ち着き払っていられるという事は、
結局、炎の魔人は、(少なくとも、この場では)優子には勝てない、と判断しているためだろう。
一方で、暗黒王排除という点においては利害が一致する筈のドラゴを敵に回したのは、
あるいは、この老竜は、ログレス個人は嫌っていても、
彼がやろうしている事には反対ではない、という意味なのだろうか・・・・?
(・・・・いずれにせよ、コイツからは目を離す訳にはいかないわね。
しばらくの間、行動を共にした方が良いかしら・・・・?)
――――――――TO BE CONTINUED.
以上、第15章をお送りしました。
お楽しみ頂けたのであれば幸いに存じます。
なお、お陰さまで、今回も投下作業中一度も連投規制に引っ掛かる事がございませんでした。
ご支援を頂いた方にはこの場を借りて御礼申し上げます。
次の第16章は、優子編で、ベノンを倒した直後のシーンから始まり、
今月末に発売される最新号に掲載されている(筈の)サザーランドにおけるニゼッティーとのやりとりまでを内容とする予定です
(問題は、エロ描写をどういう形で挿入するか、ですが・・・・(苦笑))。
いずれにせよ、7月上旬の完成・発表を目指し、執筆を進める予定ですので、またしばらくお待ち下さいませ〜。
それでは本日はこの辺で〜。
乙です。堪能しました。
キタワァ*:.。..。.:*・゚(n‘∀‘)η゚・*:.。..。.:* ミ ☆
そろそろ発売か
436 :
名無しさん@ピンキー:2009/05/21(木) 16:44:46 ID:XcoLX5rj
最近優子のエロ画像を貼ってくれるひと来ないのでさみしいなぁ
437 :
名無しさん@ピンキー:2009/05/21(木) 20:20:16 ID:IidoOD+0
ヴァルキリー更新来たけど、今回も期待薄だな
保守
だれか単行本1,2巻をzipで上げてくれる神はいないかなー
買え
441 :
名無しさん@ピンキー:2009/05/30(土) 23:53:37 ID:aVBeQcbs
まぁ、1500円で読めるので、買っても損がないのじゃまいか?
うん、だねえ・・・・
いちおう洒落で探してみるお・・・
保
ライディ漫画化の模様。
8月よりスレイブヒロインズがリニューアルします!
その名も……
闘神艶戯(とうしんえんぎ)
1.人気美少女ゲームが漫画連載スタート
「雷の戦士ライディ」
原画担当の和馬村政先生が担当!
またコレも随分と寝かしやがったねw
もう一番最初の顔デザが思い出せないよ
つかプレイ出来ないからググりでもしないと
446 :
名無しさん@ピンキー:2009/06/13(土) 19:25:18 ID:twIvxPYT
>>444 こういうのって、どういう基準でコミック化とか決まるんだろう。
編集会議とかで力のあるヤツが自分の趣味をゴリ押ししたりとか
するんだろうか。
>>446 夕暮れ時の河川敷で殴り合って
最後まで立ってた人の企画が通る。
担当と漫画家とアシでチーム組んで草野球でも可。
とりあえず読者アンケートの類は一切無視されるらしい。
>>447 もまいは島本和彦もしくはG.B小野寺かってのw
後者は岡崎つぐおか
法主
↑絵が綺麗だね
SSとかどうなってんだろ、感想きぼんぬ
>>452 絵は上手い。
SSはレムネアと陽子が姉妹で、ユリアに仕える衛士という設定。
最後の場面に陽子が登場しないのが少し残念だった。
捕手
お待たせしました〜。
『3V(ヴァリス・ヴァルキリー・バージョン)』エロパロSS第16章、只今完成いたしました。
本日22:00頃より投下を開始いたしますので、
お手すきの方は連投規制回避のためのご支援を宜しくお願い申し上げます。
なお、『第16章は、ベノンを倒した直後のシーンからサザーランドにおけるニゼッティーとのやりとりまでを内容とする予定』
と予告しておりましたが、文章構成が上手く纏まりそうになかったため、
優子とデルフィナがサザーランドに到着する直前のシーンで、一旦筆を置く事にしております。
待ってました!
お待たせしました〜。
只今より『3V(ヴァリス・ヴァルキリー・バージョン)』エロパロSS第16章の投下を開始いたします。
(1)
現実界。東京。廃墟と化したビル街。
「・・・・もし、お前達に魂があるのなら・・・・」
あらゆる物が白銀色に染まった世界。
唯一、<ヴァリスの戦士>の纏う甲冑だけが眩い黄金の輝きを放っている。
目の前には、キーヴァの氷雪の魔力によって、両腕とカラダの下半分を失い、
かろうじて形を留めている部分も完全に凍結してコチコチに固まっている、暗黒五邪神・ベノン。
「・・・・暗く澱んだところから二度と出てくるな!」
相貌を恐怖に引き攣らせ、氷のオブジェと成り果てた炎の魔人・・・・。
その表情を、冷たい怒りを孕んだ視線で睨み据えながら、
優子は、醜く歪んだ顔面に五本の指を食い込ませ、ゆっくりと握力を加えていった。
暗黒界の大貴族として権勢を欲しいままにしていた男が、
リアリティの少女の白い手の間で、ミシミシと軋み、罅割れ、砕け散っていく・・・・。
(2)
「消えろッ!!」
静かな、・・・・しかし、気迫のこもった声。
次の瞬間、氷結した凶相が、ボコッ、と鈍い音を立ててひしゃげ、
真っ二つに割れたかと思うと、幾つかの氷片となって崩れ落ちていく。
――――そして。
「4つ目の<ファンタズム・ジュエリー>・・・・残りはあと1つ」
暗黒五邪神の残骸から姿を現した、七色の光芒――――<明>のエネルギーの結晶に向かって独りごちる。
小さな多面体の宝玉を見つめるその眼差しは、
(これまで以上に)何処か寂しげで、やるせない感情を漂わせていた。
燦然と光り輝く夢幻界の聖宝を手にするたび、自分は、常に何かを喪失し続けてきた。
生まれ育った世界、一介の女子高生としての平穏な毎日、<戦士>の力、アイザード・・・・
今度は一体、何を失う事になるのだろうか?
「・・・・でも、進むしかないわ。もう迷わない、って決めた以上は・・・・」
(3)
「優子ォッ!!」
だしぬけに、背後から掛けられる声。
振り向くと、全身にびっしりと霜を張り付かせた女剣士が、
かなりご機嫌斜めな眼差しをこちらに向けていた。
「・・・・だ、大丈夫?」
「ああ。危うく吹っ飛ばされるところだったが、何とかな」
慌てて駆け寄ってくる少女を眺め、苦笑いを浮かべる金髪のエルフ。
つられて、優子もはにかむように口元をほころばせる。
無論、戦いを終えたばかりの<戦士>たちにとって、
共に戦った友の無事は何よりの喜びであり、心身の疲れを癒すものだったが、
二人の笑みには(お互いに、すぐには言葉に出来ない)もう一つの想いが込められていた。
(4)
「さて、と」
しばらくの間、互いに無言のまま、相手の様子を窺い合った後、
最初に口を開いたのは、(意外にも)蒼髪の少女の側だった。
「どうしたものかしらね。今後も、あなたと行動を共にして良いのかどうか・・・・」
囁くように話しかけながら、
優子は、パートナーの眼帯に覆われていない方の瞳をじっと覗き込む。
決して責め立てている風ではないものの、
冷静な、とらえようによっては冷淡とさえも感じられる眼差しに、
女剣士は表情から笑みを消し去った。
「アイザードは、自身の<ジュエリー>に何らかの細工を施していたわ。
この世界・・・・現実界にわたしを送り込むために。
たしかに、わたしが<戦士>としての自覚を取り戻せたのは彼のおかげだと認めるし、
感謝しなくちゃいけないとも思ってる――――だけど・・・・」
(5)
「・・・・そのために、東京の街は途轍もない被害を蒙ったわ」
周囲を取り囲む廃墟を眺めやりながら、肩を落とす優子。
もっと早くに決断を下していたならば、救えたかもしれない人々の断末魔の絶叫が、
あるいは、心ならずも見殺しにせざるを得なかった人々の恨めしげな眼差しが、
次々と脳裏に蘇ってきては、少女を責め苛む。
「恨むか、我が主を?」
問いかけるデルフィナの口調もまた、暗く沈んでいる。
壊滅状態に陥った都心部からは少し離れているとはいえ、
目の前のパートナーの生家、あるいは、通っていた学園のある一帯が、
噴火活動やそれに伴う直下型地震等の災厄を免れ得たとは到底思えないし、
最悪、家族や友人達の中にも、巻き添えになった者がいたとしても不思議ではなかった。
それを考えれば、一連の戦いを仕組んだアイザードや彼の指示で動いた自分が、
恨み言の一つや二つ、浴びせかけられたとしても、当然の報いと言わねばならないだろう。
両者の間を支配する、張り詰めた沈黙。
・・・・だが、(二人にとって幸いな事に)重苦しい時間は、あまり長くは続かなかった。
(6)
「でも、あなたは悪い人じゃなさそう」
静かな、しかし、断固とした決意を以って発せられた、一言。
半ば反射的に、俯きかけていた顔を上げたエルフは、
目の前に、優しく手を差し出している、パートナーの姿を発見した。
「良いのか、本当に?私は、今でもあの方の事を・・・・」
差し伸べられた白い手を受け取って良いものかどうか、戸惑いの表情を浮かべる女剣士。
自分を信じる、という友の言葉は、ある程度予期していたものではあったのだが、
ここまで裏表無く宣言されると、却って、後ろめたく、居心地の悪さを感じさえしてしまう。
・・・・だが、蒼髪の少女は、全てを見透かしているかの如く、微笑み続けながら、
何処までも穏やかに、だが、有無を言わさぬ気迫を込めて、言い切るのだった。
「それで良いわ・・・・今は、それで」
(7)
――――次の瞬間。
優子の背後・・・・空中に浮かんだ夢幻界の宝玉から、ひときわ烈しい輝光が解き放たれ、
強大な魔力波動が周囲の空間全体に広がっていった。
本能的に危険を覚え、慌てて身構えようとするデルフィナ。
対して、蒼髪の<戦士>は、過去に同じ状況を経験しているせいもあり、落ち着き払っていた。
「こ、これはッ!?」
「大丈夫よ、<ジュエリー>の力がわたしを導こうとしているだけだから。
あと一つ残った欠片のある場所か、少なくとも、それに関係した所に・・・・」
そうなのか?と、訝しげにだが、頷きかけるブロンド剣士。
・・・・だが、続いて起こった出来事によって、
落ち着きを取り戻すかに見えた彼女の思考は、根底から吹き飛ばされてしまう。
(8)
「くあぁあッ!?な、なんだ、この感覚はッ!?」
口をついて溢れ出してくる、激しい喘鳴。
心臓が飛び跳ね、体温が急上昇したかと思うと、下穿きの中で、じゅん、と湿った水音が響き渡り、
身体全体がどうしようもなく淫靡な脈動の虜となってしまう。
「ど、どうなってるんだ、私の体に何がッ!?」
己れの身に襲いかかる異変に動転するエルフの目の前で、
胸部の豊かなふくらみを覆う、薄手の革製の胸甲が、内側からの圧力によって持ち上げられ、
ビンビンにしこりきった乳首の形状がくっきりと現れた。
下半身は腰椎の付け根付近を震源とする淫靡な痙攣に覆われてあさましく震え慄き、
むっちりとした太股には秘唇から溢れ出した蜜液が幾筋もの小川を作って流れている。
そして、女体の性の根源を司る、最も敏感な生殖器官・・・・子宮は、
<ファンタズム・ジュエリー>から放射される高純度の<明>のエネルギーの直撃を受けて、
堪え難いほどの灼熱感に包まれ、暴走状態に陥ろうとしていた。
(9)
「はぁはぁ・・・・デルフィナさんは初めてよね。<ジュエリー>の力を浴びるのは?」
こちらも呼吸を荒くしつつ、訊ね返す蒼髪の少女。
金髪のパートナーと同じく、一時に大量のエネルギーを吸収した事で、
肌は熱く火照り、刺激に対して極度に敏感な状態になっているものの、
初めての体験ではない分、まだ幾分、余裕が感じられる。
(・・・・それに、デルフィナさんは暗黒界の生まれだから、<明>の力には慣れていないだろうし)
チラリ、と視線を走らせると、
美しく整った目鼻立ちの相貌は真っ赤に上気して脂汗にまみれ、
エメラルド・グリーンの隻眼は、大粒の涙滴を溜め込んだまま、蕩けかかっていた。
惚けたように半開きになった口元からは、
引っ切り無しに漏れ続ける、切なげな吐息に混じり、
まるで未だオムツの取れない幼児の如く、唾液の糸がタラタラと垂れ零れている。
(10)
「ううう・・・・カラダが疼いて止まらないッ!!
だ、ダメだッ!!早く、何とかしてくれ、このままじゃあ・・・・!!」
切羽詰った声で、助けを求めるヴェカンティの美女。
別段、生命に関わる危険な状況にあるという訳ではないのだが、
聖なる石の波動は確実に彼女を蝕み、肉欲に対する抵抗力を削ぎ落としている。
「デ、デルフィナさん・・・・」
眼前で展開される淫靡なショーに、少女は思わず息を呑み、立ちすくむ。
強さと気高さとを兼ね備えたエルフの剣士が、
熟れた肉体をあさましくひくつかせながら、欲情に喘ぐ姿が、
ゾクゾクと鳥肌が立つ程の官能的な衝撃となって、理性をよろめかせた。
ほぼ同時に、じっとりと濡れそぼっていた極薄のショーツの中で、
自己主張に目覚めたサーモンピンクの秘花弁が熱いわななきを発し、
充血してぷっくりと身を起こした陰核もまた、頭から被った包皮を自ら脱ぎ捨ててそれに倣う。
(11)
(デルフィナさん・・・・あんなに乱れてる・・・・)
潤みきった眼差しで、痴態に耽る女エルフを眺めやる、蒼髪の少女。
今や欲情の極みに達しようとしている金髪美女は、
パートナーの前だというのに、しなやかな指先を革製の胸甲の下へと潜り込ませ、
適度に張りのある豊満なバストを堂々と揉みしだき、先端を硬く尖らせた乳首を転がしていた。
「あうう・・・・手が、私の手が止まらないッ!!はくぅッ・・・・ふはぁああッ!!」
食い入るような眼差しに気付いたためだろう、
金髪の女剣士は、羞恥心で顔を真っ赤にしながら、さかんにかぶりを振った。
だが、必死の努力も空しく、熟れた肢体は、
びゅくびゅくッ、と、一層激しく、肉悦に波打つばかり。
胸元を這い回る指の動きが、更に速く、ねちっこいものとなり、
いつの間にやら、乳房自体も、狭苦しい革鎧の中から零れ落ちようとしている。
(12)
ドクン、ドクン、ドクン――――黄金の甲冑の内側でも、胸郭を連打する心臓のリズムが高まっていく。
<ジュエリー>の魔力によって引き摺り出された本能に命じられるまま、
ピンク色に上気した柔肌を慰め続けるパートナーの姿に、
見てはいけない、と重々承知の上でなお、目線を外す事が出来ずにいる優子・・・・。
つうううッ・・・・。
先程からもじもじと擦り合わされている、しなやかな二本の太股の表面を、
生温かい感触が走り抜け、足元へと滴り落ちた。
純白のプリーツ・スカートに包まれた乙女の一番大事な場所は、すでにベトベトの有様で、
簡素な下穿きの繊維は、滲み出す水漏れを食い止める余力をとうに失ってしまっている。
あまつさえ、断続的に襲ってくる、悪寒のような疼きに堪えかねた現実界の少女は、
半ば夢うつつのまま、ぐっしょりと濡れそぼったショーツを摺り下すと、
半透明な愛蜜に彩られた花弁へと指を這わせ、にちゅにちゅと蠢動させ始めるのだった。
(13)
「はァッ、はァッ、はァァッ・・・・!!」
「あふッ・・・・くッ!!ふはぁ・・・・あうううッ!!」
僅かに1、2メートル、互いに手を伸ばせば届く距離を隔てて、自慰に没入する<戦士>たち。
二人とも、羞恥心で耳の先まで真っ赤に染まりながらも、自分自身の動きを止める事が叶わず、
まるで競い合うかのように、その淫蕩ぶりに拍車を掛け続けている。
「あああ・・・・デ、デルフィナさん・・・・ふぁああッ!!」
「ううっ・・・・優子ッ・・・・んふはぁあッ!!」
空中で絡み合う、トロトロに蕩けきった視線と視線。
形の良い胸乳を揉みしだく度、蜜に濡れた陰唇を捏ね回す度、
甘い涎を一杯に溜め込んだ口元から溢れ出す喘ぎ声が見事なハーモニーを奏で合い、
欲情をますます掻き立て、昂ぶらせていく。
<ファンタズム・ジュエリー>の虹色の光彩が一部始終を照らし出す中、
淫靡な愉悦に支配された二匹の牝獣が一線を踏み越えるまでにさしたる時間はかからなかった。
(14)
「くはぁあッ!!そ、そんなに激しく・・・・はぁうううッ!!!!」
仰向けの姿勢で双眸を空中に泳がせつつ、
艶やかな光沢を放つブロンドを振り乱し、悶絶する暗黒界の女剣士。
キラキラと光り輝く汗粒に覆われたカラダの上には、
黄金の甲冑を纏ったパートナーがお尻を向けた格好で跨っており、
V字型に割り拡げた太股の間、真っ赤に充血した陰阜に美味しそうにむしゃぶりついている。
「デ、デルフィナさんだって・・・・ひはぁううッ!!!!」
・・・・と、今度は、現実界の少女の方が、
愛液の飛沫でびしょびしょになった顔を跳ね上げ、ビクビクビクッ!!と、全身を打ち揺らした。
丈の短いスカートの下、今は膝まで摺り下されている極薄のショーツに包まれていた禁断の谷間では、
綺麗なピンクの割れ目がぱっくりと口を開けて、金髪美女の前に無防備な姿を曝している。
勿論、ギクン、ギクン、と、不規則に跳ね動く腰を、両手で掻き寄せたエルフは、
その中心で淫らに咲き誇っている、シミ一つ無い花びらに向かって、
生温い唾液をたっぷりと纏わりつかせた唇を押し付けては、派手な音を立てて吸い立てるのだった。
(15)
「あふッ・・・・ふはああぁあんッ!!!!」
「ひぐぅッ・・・・ひぁくぁあああッ!!!!」
シックスナインの体位で重なり合い、
口々に官能に酔い痴れた嬌声を叫ぶ、<戦士>たち。
頭上では、光量を増した宝玉が、悦楽に全身を打ち揺らす彼女達の陶然とした表情に、
カラフルなスポットライトを当て、妖艶極まりないイルミネーションの彩りを添えていた。
――――ぴちゃッ・・・・ぴちゅッ・・・・ぴちゅるるるッ!!
ぷっくりと膨らんだ二つの恥丘・・・・。
何れも名器と呼ぶにふさわしいカーブを描く稜線を飾っているのは、
蒼みがかった色艶の、未だ広さも縮れ具合も十分とは言えない下草と、
対照的に、堂々とした面積と繁みの濃密さを誇る、黄金の密林。
一方、馥郁たる芳香を醸し出しているという点ではいずれ劣らずではあるものの、
女性としての成熟度合いの差を反映してだろうか、
優子の愛液が幾分甘酸っぱさの残る若々しいものであるのに対し、
デルフィナの蜜汁は、樽の中で充分に寝かしつけられた古酒を思わせる、複雑な味わいを帯びていた。
(16)
(はぁ、はぁ、はぁッ!!やっぱり凄いわ・・・・デルフィナさんの舌遣いッ!!
わ、わたしの弱いトコロ、全部狙い撃ちしてくるぅッ!!)
自分のそれとは比べ物にならないほど密生した金色の恥毛の中に、顔の下半分を埋めながら、
あられもないよがり声を連発し、下半身から攻め上ってくる快感に喘ぎ続ける優子。
ナメクジのように這い回る女エルフの舌先が、
コリコリにしこりきった陰核を、内外からの間断ない刺激により極度に敏感になった膣粘膜を、
こそぎ取るようにして舐め回すたび、ゾッとするような肉悦の衝動が湧き起こる。
(少女自身もかつて経験した事だったが)<ジュエリー>のパワーを受けた副作用で、
理性の箍が外れ、性欲が暴走しかけている状態の金髪美女は、
以前の遊び半分の情事の時とは比べ物にならないくらい攻撃的で、暴力的と言っても良い程だった。
それでいて、テクニック、とりわけクンニリングスの正確さは、
弱点に対して的確な集中攻撃を加えて来るという点で、もはや、神業に近い。
・・・・否、自制心という名の枷が外れた分、
彼女のセックスは、殆ど鬼気迫るまでに容赦の無いものへと変化していた。
(17)
(んくッ!?か、感じるッ・・・・優子のクチビル、凄く気持ちいいッ!!)
一方で、デルフィナもまた、
パートナーによって、底知れぬ快楽の淵へと誘われようとしていた。
無論、蒼髪の少女のテクニックそのものは未だ素人の域を出てはおらず、
女エルフの妙技に比べれば稚拙極まりないと言っても過言ではないのだが、
いま現在の彼女は、夢幻界の聖玉のせいで、全身の感覚が普段の数倍も鋭敏にされた状況にある。
「あああッ!!だ、ダメェッ・・・・あひぃあぁんッ!!!!」
カラダの奥底から湧き上がってくるような嗚咽を漏らして、女剣士の後頭部が仰け反った。
高熱にうなされのた打ち回る熱病患者の如く、総身をガクガクと痙攣させつつ、
流麗なボディを伸び切らせた、爪先立ちになって腰を跳ね上げる。
股間では、ピンク色の真珠玉が異様な大きさに膨張し、
更なる刺激を求めて、ビュクンビュクンと恥ずかしいダンスを披露していた。
甘く狂おしい波動は神経の隅々にまで行き渡っており、
際限ない性への欲求に漬かりきってしまった心は、
官能のスイッチを押してくれる最後のひと押しを、今や遅し、と待ち焦がれている・・・・。
(18)
「あうッ!!あぅあぅうううッッッ!!!!」
「きひぃッ!!ひぃああああッッッ!!!!」
絶頂への階段を二人三脚で昇り詰めていく、二人の<戦士>。
完熟しきったフルーツが弾けるように、
ぱっくりと口を開いた膣口から豊潤な愛液が溢れ出しては、
禁断の花園を這い回るピンク色の肉ナメクジを卑猥に染めていく。
「ひぃいいいぃッ!!も、もうだめぇッ・・・・我慢できないィッ!!」
「はおォオオオッ!!気持ち良過ぎるぅッ・・・・あああ・・・・こ、壊れるぅッッッ!!」
白目を剥いて半ば失神状態に陥りながらも、
暴走する本能に命じられるがまま、牝獣たちは淫蜜に濡れそぼった花園を責め立てる。
すちょッ、ずちょッ、と、聞くに堪えない恥音を響かせつつ、
ぱっくりと開いた恥裂に舌を突き入れ、蕩けきった粘膜を舐めしゃぶると、
あさまし過ぎる脈動と共に、子宮の奥からさらに大量の愛潮が噴出してくる・・・・。
――――その直後、殆ど同時にエクスタシーの頂点へと到達した二人の意識は、
<ファンタズム・ジュエリー>の妖しい輝きに誘われるまま、
ドロドロと溶け合いながら、三千世界の彼方へと飛び去ってしまった・・・・。
(19)
――――暗黒界。ヴェカンタニア。
(ベノンめ、使えぬ奴よ・・・・)
黄金で飾られた黒曜石の玉座。
静寂の支配する広大な空間に一人座し、黙然と思考を巡らせる仮面の王。
(まあ、よい。所詮、あのような口舌の徒には、さして期待などしておらぬ。
それよりも、問題なのは・・・・)
コツ、コツ、コツ。
鈍く輝く鋼鉄の飾り爪が、玉座の手摺りに、苛立たしげなリズムを刻み続ける。
密かに監視に付けていた者からの報告によれば、
今や最後の暗黒五邪神となったヴォルデスが、不可解な行動を示しているという。
(20)
(老いぼれめ。一体、何を考えている?)
麗子を助けるために現実界に向かった所までは良い。
単なる気まぐれか、あるいは、ベノンへの当てつけか、いずれにせよ、その意図は理解可能だ。
だが、最新の報告によれば、双頭の雷竜は、<ヴェカンタの戦士>を伴って現実界を離脱すると、
全く未知の次元座標へと向かった、というではないか。
「未知の、座標?」
苛立ちのあまり、声に出して呟きを漏らす、ヴェカンティの支配者。
直後、もう一つの事実に気付くと、さらに不機嫌さを募らせた。
三界・・・・分けても、現実界の名で総称される無数の次元世界に監視の網を張り巡らせ、
夢幻界側の動きを封じ込める目的で開始された、一連の大規模プロジェクト
――――多層次元宇宙の精密探査や全天図作成を取り仕切っていたのが、
他ならぬアイザードであった、と思い出したのである。
(21)
(もしや、あの老いぼれが向かった先とは・・・・)
無機質な金属光沢を湛えたマスクの下、
およそ人間的な感情などというくだらない代物とは全く無縁の筈の、冷徹無比な眼差しに、
ほんの一瞬だけとはいえ、揺らぎが生じる。
(――――黄泉の国、サザーランド)
幾つかの世界において、伝承として語り継がれている異空間。
夢幻界と現実界の結び目に位置し、
自前の戦力を持たぬ筈の夢幻界に<戦士>を供給し続けている、と謂われているが、
数次に渡った探査によっても実態は明らかにはならず、実在するかどうかも疑わしい、とされてきた。
・・・・だが、調査報告を取り纏めた者が反逆の張本人であり、
今また、もう一人の反逆者までもがその場所に向かおうとしている、となれば、話は全く違ってくる。
「これは、捨て置く訳にはいかぬな・・・・」
(22)
「近衛軍団に出撃準備を。全軍の将を急ぎ招集せよ」
矢継ぎ早に命令を下しつつ、ログレスはこれまでとは別種の苛立ちを覚えた。
暗黒五邪神と異なり、一般の軍団長や参謀たちには、
思念通話や瞬間移動などの便利な能力を持っている者は少なく、
何かあるたびに、逐一伝令を送り、参集を待つ必要がある。
「フン、埒も無い」
自らが発した勅命を受け、
各地の司令部や駐屯地に慌しく飛んでいく部下たちの気配を感じ取りながら、
仮面の裏側で冷笑を浮かべる暗黒の王。
そもそも、能力以前の問題として、
彼らには、支配者の意思を汲み取った上で、自身の判断で最適な作戦を立案する才幹が欠如していた。
総じて忠誠心だけは高く、アイザードやヴォルデスのように不遜な考えを抱く者は皆無だが、
御前会議を開き、基本戦略を通達するだけでは足らず、
個々人の任務についてさえ、大まかな指針を示してやらねば、まともな働きを期待できない連中なのだ。
(まぁ、良いわ。今回は予も出陣する訳だからな。
それに、老いぼれの傍らにはあの娘がいる。いざとなれば――――)
(23)
(星が流れていく。綺麗だ・・・・)
――――ここは、一体、何処だろう?
身体中が、まるで空気と化したみたいに、フワフワと軽く感じる。
だというのに、頭の中は、ずぅん、と重く澱み、全く思考が働かないのはどうしてだ?
(もしかして、これが"死"というものなのか?)
ヘドロのようにドロドロとした自我に残る、最後の記憶。
<ファンタズム・ジュエリー>の強大な波動に押し包まれ、
存在自体がグシャグシャに攪拌され、破砕されていく・・・・恐怖感。
(・・・・結局、暗黒界に生まれた者は闇の中でしか生きられない、という事なのか。
アイザード様や優子と同じ世界で・・・・光の中で生きる事など、所詮は・・・・)
頬を伝うこの感触は、涙だろうか?
空っぽの胸は、何とも言えない寂寥感とやりきれなさとで一杯だった。
主君と仰いだ青年との誓いも、互いに友と認め合った少女との絆も、
三界を律している冷徹な法則の前では、何の意味も持たなかったのだろうか?
ヴェカンティに生を享けた者は、あのベノンのように、
闇の掟に従い、破壊と殺戮をひたすら繰り返すだけの存在でしかない、と・・・・?
(24)
「あ、気が付いた。デルフィナさん?」
――――重たげな瞼を持ち上げ、目を開けた女エルフの視界に、最初に飛び込んできたのは、
心からほっとした様子の、蒼髪のパートナーだった。
・・・・あ、ああ、と、曖昧な返事を返しながら、
デルフィナは、自分を抱きかかえた<ヴァリスの戦士>の肩越しにぼんやりと周囲を眺める。
(次元の狭間?現実界から何処か別の世界に転移しようとしているところなのか?)
自分はまだ生きているらしい、と、ようやくのみ込めて、安堵の息をつく金髪の女剣士。
どうやら、<ジュエリー>のパワーで強制的に次元の狭間へと投げ入れられたショックで、
一時的に意識を失いかけていただけのようだった。
頭の芯には、まだぼうっとした感じが残り、とても本調子とはいかなかったが、
先刻来の暗鬱な感覚は遠ざかり、思考も五感も急速に回復の兆しを見せている。
(25)
「・・・・ちょっとだけ、心配したんだけど、
<ジュエリー>には、別にデルフィナさんを傷付けようという意思はなかったみたい。
多分、<明>の力を受け容れる事が出来るかどうか?試していたんじゃないかしら」
「試していた?私を、か?」
訝しげな顔つきのパートナーに向かって、ゆっくりと頷き返す、蒼髪の<戦士>。
その後に、気恥ずかしそうに頬を赤らめつつ、小声で付け加える。
「その・・・・本当は、わたしも、初めて<ジュエリー>に触れた時はあんな調子だったし・・・・」
(だったら、最初に言ってくれたって良いじゃないかッ!?)
思わず大声を上げかけて、ハッと口をつぐむ女剣士。
優子の口元には、(珍しく)悪戯っぽい笑いが浮かんでいる。
しばらくの間、考え込むような表情になった女エルフは、
やがて、意味に気付くと、やれやれ、と言わんばかりの口ぶりで、呟きを漏らした。
(26)
「なるほど、これでおあいこ、という訳か?」
返事をする代わりに、クスッ、と、小さく微笑む優子。
その表情を眺めたデルフィナは、もう一度舌打ちを漏らすと、苦笑いを浮べた。
「お前も、案外、根に持つタイプなんだな」
「・・・・だって、やられっぱなしってのは、やっぱり、ちょっと口惜しいし」
フン、と、軽く鼻を鳴らす、女エルフ。
ベノンとの死闘の前、都内のホテルでの一件は、確かに悪ふざけが過ぎたかもしれないが、
今になって仕返しを仕掛けてくるとは、
というより、この生真面目な少女が自分にそんな一面を見せた事自体、(良い方向で)意外だった。
(シブヤの街角で出会ってから、まだ丸3日と経ってはいないのに、
随分と馴れ合うようになったものだな・・・・お互いに)
――――してやられた、とは感じたものの、不思議と悪い気はしなかった。
むしろ、僅かな期間のうちに、そこまでの関係を築くに至った事を嬉しく思う感情の方が強い。
少なくとも、最初に出会った頃の彼女ならば、
ここまで打ち解けた態度を見せたりはしなかっただろうし、
自分にしても、そんな馴れ馴れしい行為は断固として撥ね付けていただろう・・・・。
(27)
「・・・・それにしても、随分と移動に時間がかかるな。」
照れ隠しの意味合いも含んでの事だろう、いささか強引に話題を変えようとする女剣士。
多分、一切を承知の上で、にっこりと笑いながら、
蒼髪のパートナーは、そう言えばそうね、と相槌を打った。
「いつもだったら、ほとんど一瞬で到着するんだけど」
実際、優子にも、今回の次元移動は少し時間がかかり過ぎているように感じられた。
互いに引き合う<ファンタズム・ジュエリー>本来の性質を利用する形で、
意図的に目的地が操作されていた前回は特別としても、
最初と二回目の次元移動にはさほど時間を要しなかった筈である。
「・・・・・・・・」
優子の説明に、不意に眉を寄せて表情を険しくするデルフィナ。
しばらくの間、逡巡しているかのような様子で何事かを反芻した後、
何事か、と表情を固くしてこちらを凝視する蒼髪の少女に向き直ると、
慎重に言葉を選びながらではあったが、自分の考えを打ち明ける。
「・・・・これは、あくまで、そういった可能性がある、というだけの話だが、
現実界への転送がアイザード様によって仕組まれたものだったというのなら、
あるいは、今回の次元移動にも、あの御方が何らかの影響を及ぼしていらっしゃるのかもしれん・・・・」
(28)
「――――ま、まさか?」
さすがに驚愕を隠せず、瞠目する優子。
当然と言えば、当然だろう。
あの時、全ての魔力を費消し尽くした、プラチナ・ブロンドの魔道士は、
自分の目の前で、存在の全てを失い、因果地平の彼方へと飛散していった筈なのだから。
・・・・・・・・だが。
「・・・・いや、あの御方の考えは、正直、私などには想像もつかない。
もし、アイザード様が、ベノンに敗れ、肉体を滅ぼされる事を予見された上で、
密かに何らかの手を打っていらっしゃったとしても、私は不思議には思わない」
信頼するパートナーの、
――――いや、それ以前に、今なお彼を深く愛し続けている女性の、
冷静な分析に、しばしの間、言葉を失う蒼髪の少女。
困惑と疑念に襲われたその横顔に、ちらり、と一瞥を走らせたデルフィナは、
低い声で、・・・・そういう御方なのだ、アイザード様は、と、短く言い添える。
その一言で、幾分、落ち着きを取り戻しはしたものの、
<ヴァリスの戦士>の表情は未だ固く強張り、激しい動揺によって蒼褪めたままだった。
(・・・・アイザード、あなたは一体・・・・)
――――――――TO BE CONTINUED.
以上、第16章をお送りしました。
お楽しみ頂けたのであれば幸いに存じます。
なお、お陰さまで、今回も投下作業を連投規制に妨げられる事がございませんでした。
ご支援を頂いた方、大変有難うございました。
乙
話もだいぶ大詰めかな?
乙であります。
489 :
名無しさん@ピンキー:2009/07/22(水) 22:37:13 ID:uiGnUh0n
ヴァルキリーの更新キタけど、作者のHPは全然更新されないね。
くっ、ヴァルキリー買うのやめたからコミック発売までおあずけだ…
本日、コミヴァ最新号を購入いたししました。
実は、次章のエロシーンはどういったシチュにしようか?と迷っていたのですが、
今回の漫画を見てイメージが固まりました。
・・・・という訳で、次回予告です。
次章(第17章)は、今回の続きからレーザスの剣の登場シーンまで。
エロ担当はドラゴとデルフィナで、
一度は治癒したものの、ベノンの攻撃で受けた腕の傷が再び痛み始めたデルフィナを、
医療施設に連れ込んだドラゴが、怪しげな装置とクスリを使って快楽漬けにしていく、という展開となります。
完成・発表は、9月下旬の予定ですので、しばらくお待ちくださいませ〜。
保守
hoshu
コミケに行った人、ヴァリス関係で同人か何か出てた?
>>495 今回は収穫ゼロだな
ZOLの所も新刊落としてたし
今月号の二次マガについてたうるし原のピンナップって、
鎧の色は変えてあるけど、「バルキサス」のレムネアだよな?
うるし原スゲー
hoshu
コミケ行きたかったな
保守
503 :
名無しさん@ピンキー:2009/09/24(木) 22:34:44 ID:Ze9auuF6
久々に優子のサービスシーン有りかと期待したら耳が尖ってた・・・
漫画版は、そろそろ終わるのか?
505 :
名無しさん@ピンキー:2009/09/27(日) 18:58:23 ID:CSF0sbAU
終わっても次号からヴァリスUが始まってくれれば・・・
という儚い希望を持ってるよ。
>>504 あと3〜4回で終わりじゃないか?
それだけあれば今まで出てる分と合わせて単行本もう1冊出せるページ数にはなると思う
コレ以上続くならネタは切れて完全オリジナルになる
ヴァリスXというかアザーサイドというか
もう成年ものにしてしまえばZOL氏も楽じゃろうて
お待たせしました〜。
『3V(ヴァリス・ヴァルキリー・バージョン)』エロパロSS第17章、只今完成いたしました。
本日22:00頃より投下を開始いたしますので、
お手すきの方は連投規制回避のためのご支援を宜しくお願い申し上げます。
なお、今回は、諸事情により、Hシーン少なめでお送りいたします。
ご期待頂いていた方には誠に申し訳ございませんが、
予告していたデルフィナへのハード責めは次章(第18章)に順延となります。
どうかご容赦下さいませ。
皆様、お待たせしました〜。
只今より、『3V(ヴァリス・ヴァルキリー・バージョン)』エロパロSS第17章の投下を開始いたします。
お手すきの方は連投規制回避のためのご支援を宜しくお願い申し上げます。
なお、本章は、コミック本編の第15話後半〜第16話及び第17話の一部に対応していますが、
必ずしもコミックに掲載されている順番通りの構成にはなっていませんのでご注意下さい。
それでは、お楽しみ下さい〜。
(1)
――――何処とも知れぬ世界。摩天楼の聳え立つ都市の上空。
「ここは・・・・三界の何処でも無さそうだが?」
優子の背中に負ぶさったまま、疑問の台詞を口にするブロンドの女エルフ。
薄手の革鎧越しに伝わってくる体温の温もりに、内心、どきまぎとしながらも、
現実界の少女は懸命に理性を保ちつつ、魔力によって構成された純白の双翼を羽ばたかせ続ける。
「な、なんだか、百年くらい前のアメリカに、タイムスリップしたみたい」
「アメリカ?たしか、現実界の国名の一つだったな。百年くらい前はこんな風だったのか?」
「そ、そうかも・・・・」
興味津々な表情で質問するデルフィナだったが、
押し付けられる、豊かな胸乳に思考を乱された蒼髪の少女は、
顔を真っ赤にして、曖昧な返事を返すのが精一杯だった。
ほんのりと甘い匂いのする、生温かい吐息が耳元をかすめるたび、
<ファンタズム・ジュエリー>のエネルギーの奔流に煽られて、
自慰を見せ合い、唇を重ね、唾液を交換し合った記憶が、脳裏にまざまざと蘇ってくる。
(2)
(デ、デルフィナさんの胸・・・・背筋に擦れて・・・・気持ち良い・・・・)
しなやかな革製の胸鎧に包まれた、豊満な大人のバスト。
気のせいだろうか、その中心部分がコリコリと固くしこっているように感じられて、
優子は、湧き出してきた生唾を、ゴクリ、と、嚥下した。
(あああッ、だ、だめぇ・・・・ヘンな気分になっちゃうッ!!)
純真な少女の肉体を愛撫し、性感に火をつけようと企てているのは、
金髪エルフの胸のふくらみだけに留まらなかった。
わざとではないにせよ、パートナーの腰が薄布越しに桃尻の表面に押し付けられるたびに、
背筋へのタッチに優るとも劣らないゾクゾク感が生まれて、
括約筋が、キュウウウッ、と、固く収縮し、腰椎の付け根の部分に妖しい感覚が湧き上がってくる。
更に、むっちりとしたフトモモが、白いスカートから伸びる自身のそれに絡みつくように密着してくると、
ショーツの奥に隠された秘密の谷間が、じゅん、という湿った音と共に、じっとりとした蜜に濡れ始めた。
――――――――と、次の瞬間。
(3)
「これはこれは、見目麗しき<ヴァリスの戦士>殿」
不意に、横合いから掛けられた言葉に、思わず、心臓が停止しそうになる蒼髪の少女。
半ばパニックに陥りながら振り返ると、
目の前では、オリーブ・グリーンの鱗に覆われた、ヌイグルミのような竜が、
蝙蝠羽根を、パタパタとせわしなく動かしながら飛行していた。
「えっと・・・・ど、どなた?」「ド、ドラゴ・・・・貴様ァッ!!」
次の瞬間、ほぼ同じタイミングで発せられる、二つの科白。
当惑した問いかけと激しい剣幕とが、見事な和音を響かせ合う。
一瞬、顔を見合わせる二人だが、パートナーの気迫に押し負けた優子に代わって、
怒髪天を衝かんばかりの形相のデルフィナが機関銃のような勢いで詰問を開始した。
(4)
「今までドコで油を売ってたんだ、エロ飢鬼めッ!?」
「やかましい、こっちはこっちで大変だったんだ、乳デカ剣士ッ!!」
目をパチクリさせる夢幻界の<戦士>を無視して、怒鳴り声を張り上げる、エルフとドラゴン。
状況が飲み込めず、唖然としていた優子だが、
しばらくすると、どうやら二人――――正確には一人と一匹――――とも、
口汚く罵倒し合いながらも、決して本気で相手を傷付けようとしている訳ではない事に気付いた。
(ちょっとだけ似てるかな・・・・あの頃の、わたしたちに)
脳裏に蘇る、懐かしい日々の記憶。
・・・・今にして思えば、以前の麗子は、意地悪で、皮肉屋で、会えば言い争いばかりしていたけれども、
どんなに酷く喧嘩をした時でも、自分の事を心底から嫌ったり、憎んだりはしていなかった筈だ・・・・。
「気をつけろよ、優子。
コイツはドラゴと言ってな、女と見れば尻にかぶりつかずにはいられない変態トカゲだ」
「人聞きの悪い事を言うな。お前だって、つまみ食いはお手の物だろうがッ!?」
ぐっ、と答えに窮するブロンド美女。
たしかに、アイザードと出会って以来、抱かれる男は彼だけと思い定めてきたものの、
反面、同性に対しては見境無しと言って良く、
暗黒界においても現実界においても、陥落させた少女は数知れない。
それどころか、今、傍らにいる蒼髪のパートナーでさえ、
(プライベートな関係においては)獲物の一人と言っても過言では無いだろう。
(5)
(ま、まあ、たしかに・・・・否定はできないかも・・・・)
ベビー・ドラゴンの、愛くるしい外見とはかけ離れた、あけすけな態度に、
何とも言い難い表情の<ヴァリスの戦士>。
当のデルフィナは、と言えば、さすがに分が悪い、と自覚したらしく、ふてくされて黙り込んでいる。
そして、チビ竜は、してやったり、という笑いを浮べながら、
改めて蒼髪の少女に向き直ると、無遠慮な眼差しでその姿体をねめつけるのだった。
「え、えーと・・・・もしかして、あなたが『導き手』なの?」
黄金色に光り輝く<ヴァリスの鎧>に覆われたカラダの各部、
分けても、美しい胸甲に包まれた形の良いバストラインに向かって、
360度あらゆる角度から舐め回すような視線を送って来るドラゴにいささか閉口気味の優子。
だが、目の前の彼が、竜と呼ぶにはあまりに小さい、ヌイグルミのような愛くるしい容姿とは裏腹に、
強大な風の魔力を内に秘めた術者である事に気付くと、自然とその疑問を口に上らせる。
(6)
「フッ、さすがは<ヴァリスの戦士>。
脳味噌に回る栄養が全部胸に行っちまった、そこの牛女と違って、察しが良いな。
いかにも、オレ様こそがお前の『導き手』。
優秀な頭脳でお前を勝利に導くよう、アイザード様から命じられている」
精一杯の威厳を込めて言い放つ、ドラゴ。
念のため、まだ黙りこくっているパートナーを振り返ると、
盛大に顔をしかめてはいたものの、別段、その言葉自体を否定するような素振りを見せてはいない。
「フッフッフッ、どうやら、オレ様の偉大さを認める気になったようだな。
良かろう、ならば、『導き手』として案内してやろうッ!!
この世界、サザーランドの中心、ニゼッティーの神殿になッ!!」
「ま、待てッ!!サザーランドにニゼッティーだと!?」
威勢良く宣言するや否や、
チビ竜は蝙蝠羽根に大気を孕み、天空に向かって力強く飛翔していた。
背後でデルフィナが発した驚きの叫びに対しては、
どうでも良い雑音とでも言いたげに無視を決め込んでいる。
そして、それを目にした優子もまた、真っ赤になって悪態をつく女剣士に苦笑を浮べながらも、
背中から伸びた光の翼を羽ばたかせ、異世界の空へと舞い上がるのだった――――。
(7)
――――優子たちが飛び去った少し後。彼女達がいた隣の都市区画。超高層ビルの屋上。
「どこなのよ、ここはッ!?」
肩口で小奇麗に切り揃えられた自慢の赤毛を打ち揺らし、
かたわらに寄り添う巨大なドラゴンに向かって、声を荒らげる漆黒の<戦士>――――桐島麗子。
だが、金色の鱗に覆われた双頭の雷竜は、さてな・・・・、と首をかしげ、
物珍しそうに周囲の風景を眺めやるばかりで、彼女の質問に対してすぐには答えを寄越さなかった。
「現実界を離れてしばらくしたところで、
<ファンタズム・ジュエリー>が何かに強烈な反応を示したのだよ。
どうやら、そのせいで引っ張られてきてしまったらしい」
(8)
「じゃなくてッ!!私が知りたいのは、今いる場所は何処なのか、って事なのッ!!
ログレスの命令無視して、あちこちほっつき歩いている、アンタなら分かるでしょッ!!」
「いや、悪いが、本当に初めて見る景色だよ。
何処と無く、現実界に似ているような気もするが、空気の匂いは全く違うな」
呟きながら、彼――――暗黒五邪神最後の将であり、
一時は暗黒界を手中に収めかけていた時期さえある老将、雷邪ヴォルデスは、大きく翼を広げた。
尻尾の先まで含めると百メートルは優にありそうな巨体をゆっくりと旋回させつつ、大気の感触を確かめる。
「へえ、アンタにも、知らない世界があるんだ?」
やや皮肉っぽい口調の、<ヴェカンタの戦士>。
ログレス直属の暗黒五邪神とはいえ、
目の前のドラゴンは、今まで、病と称して自分の領地に引き篭ったまま、
夢幻界への出兵にも優子の討伐にも殆ど協力する姿勢を示していなかった。
そして、ようやく重い腰を上げたかと思えば、
あのクソ生意気な子竜と少し戦っただけで、あっさりと現実界を後にし、
挙句の果てに、こんな訳の分からない世界に迷い込んでしまったのである。
(9)
(ったく、アンタがログレスの命令をサボタージュするのは勝手だけど、
なんで、私まで付き合わなくちゃならないのよッ!?)
赤毛の少女がふてくされるのも無理はないだろう。
一方、怠け者の暗黒五邪神はと言えば、金色の鱗に覆われた双頭を巡らせて下界を見下ろすと、
困ったような表情で舌打ちを漏らしていた。
「いかんな、騒ぎになりかけている」
何事か、と、視線を投げかければ、
数十メートル下の路上に群れ集った人々が、こちらを指差しながら口々に何かを叫んでいた。
無論、今いる場所からでは、何を言っているのか?聞き取れる筈も無かったが、
状況から考えて、おおよその意味は彼女にも想像できた。
(10)
「フン、まぁ、仕方が無いでしょ。絵ヅラがまんま怪獣映画なんだから」
「あんまり、年寄りを傷付けないでくれないか」
情け容赦の無い指摘にすっかり気落ちしたらしく、金鱗のドラゴンは、
元気の無い声でボソボソと変身魔法の呪文を詠唱し、人間の体へと変化する。
・・・・だが、魔術によって変身したヴォルデスを一目見た麗子は、
更に辛辣さを増した感想を漏らさずにはいられなかった。
「アンタの趣味をどうこう言う気は無いけど、
どうせなら、もっと若い姿になりたい、とか考えないの?」
口を尖らせる<ヴェカンタの戦士>の前に現れたのは、
古代のギリシャ彫刻を連想させる、簡素なトーガを纏った壮年の男性。
取り立ててダンディという訳でもなく、むしろ、野暮ったいと言っても良いほどの顔立ちと、
中肉中背、下腹の出っ張りが気になる、典型的な中年男性の体型は、率直に言って威厳もへったくれも無く、
一時は暗黒界最強と号された程の魔竜の化身にはとても思えなかった。
(11)
「もう、見栄を張るようなトシでもないからな。そんな事より、そろそろ行くぞ」
だが、冴えない中年男に変身したヴォルデスは、
先程とは打って変わって、まるで外見に合わせて精神もオヤジ化したかの如く、
イヤミなど何処吹く風とばかりに、スタスタと歩き始めてしまう。
「ちょ、ちょっと待ちなさいよ。一体、何処に行く気なのッ!?」
「さてな。行く先はわしにも分からんよ。
とにかく、石の呼びかけに応じるしかないだろう」
「・・・・・・・・」
唖然として二の句の告げられない麗子。
飄々とした老竜の物言いには、
アイザードのような油断のならない雰囲気も、ベノンのような陰険さも感じられないが、
腹の底が読めないという点では、今は亡き同僚たちにも引けを取らなかった。
いや、むしろ、二人のように露骨に警戒感を生じさせたりはしない分だけ、
老獪とも言えるし、あるいは、巧妙という言い方さえ出来るかもしれない。
(12)
「・・・・ここが、ニゼッティーの神殿?」
ドラゴの先導で降り立った先は、何の変哲も無いオフィスビルの屋上だった。
――――否、よくよく眺めれば、殺風景な雨ざらしのコンクリートに囲まれて、
物置小屋のような小さな建物が、ぽつん、と建っており、
入り口らしき扉の前に、喪服のような黒衣を纏った老人が静かに佇立している。
「ようこそ、優子さん。
現役の<戦士>がこの世界にやってきたのは初めてだよ」
見れば、自分よりも頭一つ分背の低い、小柄な老人である。
年齢は、外見から判断すれば、七十過ぎ、といったところだろうか?
頭頂部はすっかり禿げ上がり、生え際に残っている幾許かの頭髪も、髭や眉毛と同様、真っ白に変じている。
もっとも、上体をやや前屈みにして、手にした杖に体重を預けている姿にも関わらず、
不思議と、老いさらばえた、という印象は受けなかったが。
(13)
「あなたは?」
「私の名はニゼッティー、サザーランドを統括する者だ」
穏やかな笑みを浮かべながら自己紹介する黒衣の賢人。
額に刻まれた深い皺と顔の下半分を埋め尽くしている真っ白な髭の間で、
理知的な光を湛えた琥珀色の瞳が少女を静かに見つめている。
(この人は一体?さっき、デルフィナさんはひどく驚いていたようだったけど?)
先程のドラゴンは、自分こそがアイザードに選ばれた<導き手>だと宣言した。
ならば、彼が引き合わせようとしている老人は、一体何者なのだろうか?
<導き手>の役割が、<ヴァリスの戦士>である自分をこの人物の許に案内するものだとしたら、
ニゼッティーと名乗ったこの男は、何を知っており、何を語ってくれるのか・・・・?
優子が問いを発しようとした、その刹那――――!!!!
(14)
「うぐッ・・・・あぐぐぅッ!?」
突如、背後で発せられる、苦悶のうめき。
振り返ると、女エルフが左腕を押さえて蹲り、激痛に表情を歪めている。
慌てて駆け寄った優子の目に飛び込んできたのは、
一度は完全に塞がっていた筈の傷口が、再び真っ黒に黒ずみ、腫れ上がっている様子・・・・。
「デ、デルフィナさんッ!?」
「し、心配するな・・・・」
気丈にかぶりを振る金髪の剣士だったが、
顔面はみるみるうちに血の気を失い、蒼白く強張っていく。
持ち前の再生能力だけでは不足だからと、
<ヴァリスの戦士>の生体エネルギーを拝借してまで治癒を促進し、
実際に、かなりの程度まで状態を改善出来た、と思っていたのだが、
それでもまだ、負傷によるダメージ全てを帳消しする事は叶わなかったというのだろうか?
(15)
「むぅ、コイツはちょっと難儀だな」
頭上から状況を観察していたドラゴが、
深刻そうな口調で呟きつつ、背中の翼を変化させた腕で、彼女の身体を抱え上げる。
「ベノンとの戦いに次元移動・・・・ちっとばかしムリを重ね過ぎたんだな。
ちょっと休ませてやらないと、後々厄介な事にもなりかねん。
優子、悪いが、オレ達は中座させてもらうぜ」
――――余計なお世話だ、さっさと降ろせ、と、苦しみながらも口だけは達者なデルフィナ。
無論、ベビー・ドラゴンは完璧に無視すると、何処かへと飛び去っていく。
心配そうに見送るしかない蒼髪の少女を眺めやり、
とにかく、彼女を落ち着かせるのが先決だと判断したのだろう、
白髭の老賢者は、軽く咳払いすると、囁くように話しかけた。
「優子さん、サザーランドには、アイザード卿の肝入りで作られた研究施設が幾つかありましてな、
あの子竜は、その何処かに向かったのではないでしょうか?」
(16)
「アイザードが!?」
驚きの声に、――――然様、と、深く頷き返すニゼッティー。
過去の記憶を思い出しているのか、いささか遠い目をしながら、静かに語り始める。
「・・・・サザーランドとアイザード卿との縁は浅からぬものがありましてな。
あの御方は、まだ夢幻界にいらっしゃった頃から、ここで様々な計画を立てられ、実行されて参りました。
暗黒界に出奔されてからも、基本的にその関係は変わらず、
この世界の存在を秘匿して下さった上に、密かに援助までして頂いていたのです。
おかげで、我々はヴェカンティの脅威に曝される事も無く・・・・」
・・・・と、そこまで話したところで、唐突に口を閉じる黒衣の賢人。
どうしたの?と問いかけようとした優子もまた、すぐに異変に気付くと、
<ヴァリスの剣>をいつでも実体化できるように身構えつつ、周囲に視線を走らせる。
(17)
――――次の瞬間。
「そのお話、わたくしにも詳しく聞かせて頂きましょう!」
天空から響き渡る、鈴を振るような涼しげな美声。
言葉の発せられた方角を見上げると、
宝珠を抱いた竜の彫刻が施された杖を構えた、年若い魔道士が、
天空に穿たれた次元の裂け目から姿を現わし、二人の前へと舞い降りようとしていた。
年の頃は、優子と同じぐらいだろうか?
少し小柄でほっそりとした体つきの少女である。
白磁の人形のように白く透き通った肌にまだ幾分幼さの残る顔立ち。
理知的な輝きを湛えた薄青色の瞳には、
愛らしさと共に何処か威厳めいた存在感が宿っている。
少し青みがかった銀髪を、シニヨンとウェーブを組み合わせた独特の髪型に結い上げ、
清らかな光沢を帯びた、白い長衣を身に纏うその姿は、蒼髪の<戦士>にある人物を連想させた。
(18)
「・・・・ヴァルナ様・・・・」
傍らに佇んでいたニゼッティーが、小さく呟きつつ、姿勢を正す。
トン、と、軽やかなステップを踏んで、地上へと降り立った銀髪の少女は、
老賢人を軽く一瞥すると、ごく自然な動作で優子に向き直り、静かに口を開いた。
「ヴァルナと申します。母であるヴァリアの名代として参りました」
「ええッ!?ヴァリア・・・・さま・・・・の!?」
驚愕に駆られ、大きく両目を見開く<ヴァリスの戦士>。
身に纏った雰囲気から、もしかしたら夢幻界の住人かもしれない、と予感してはいたものの、
さすがに、目の前の、自分と殆ど変わらない背格好の少女が、
あの、神々しいまでの威厳と力強さに満ち溢れた夢幻界の女王の娘だとまでは思い至らず、
大いに面食らった、という体である。
・・・・だが、そう言われて、改めて面立ちを確かめてみれば、
たしかに、眼前の少女には、ヴァニティを統べる偉大な支配者の面影と、
そして、彼女から受け継いだ力の片鱗を看て取れる。
勿論、ヴァリア自身ほどの圧倒的な迫力は感じないが、
少なくとも、彼女の立ち居振る舞いは、支配する事に慣れた者としての洗練に満ち溢れており、
また、その身に宿った魔力は、質量共に並みの魔物や魔道士を遥かに凌駕するレベルのものだった。
(19)
「ええ、その通りです、優子。
やむを得なかったとはいえ、今まであなた一人だけに戦いを強いてきたのを、
母もわたくしも、ずっと気に病んでいました」
沈痛そうな面持ちで頭を下げる、夢幻界のプリンセス。
単なる儀礼やおためごかしなどではない、心底からの謝罪に、優子は再び面食らい、
・・・・そして、直感的に、この少女を自分の許に送ってきたヴァリアの意図に気付いて、複雑な心境に陥った。
(・・・・つまり、わたしがアイザードの影響を強く受け過ぎた、と危惧している訳よね・・・・)
はたして、ヴァルナと名乗った夢幻界の魔道士は、
続く言葉で、今は亡き元夢幻界人の青年への疑念をはっきりと指摘する。
――――曰く、
アイザードは<ファンタズム・ジュエリー>の基本構造を解読し、
限定的にとは言え、自分に都合よく作り変える術すら発見していた。
アイザード自身は滅んだとはいえ、
彼が<ジュエリー>にどんな改変を施したのか?は、未だ明らかではない。
そんな危険な状況のまま、<ヴァリスの戦士>に一人で戦いを続けさせる事を、
母は大変不安に感じており、わたくしに此処へ向かうよう指示したのだ、と・・・・。
(20)
「ふむ、成る程、それで貴方様がサザーランドに・・・・」
沈黙を守っていた老賢者が、呟くように漏らした一言に、
夢幻界の王女の双眸が、ほんの僅かな瞬間だけだが、キッ、と、厳しい視線を放つ。
「当然でしょう。
この世界は、事実上アイザードの統治下にあったようなもの。
あの男の配下やこのニゼッティーの話を鵜呑みにして動けば、罠が待ち受けていないとも限りません」
咄嗟に、反論しようとする優子。
だが、(あたかも彼女の言葉を遮るかの如く)黒衣の老爺が口を開く方が、一瞬だけ、早かった。
「ヴァリア様やヴァルナ様のお考えは無理もないもの。
されど、この地下に納められているものをご覧になれば、疑念も晴れましょう」
(21)
「それは、一体・・・・?」
発せられた王女の問いには答えず、
ニゼッティーは、背後にある物置小屋のドアに手をかざし、何事かを呟いた。
途端に、目の前の、何の変哲も無い、殺風景なビルの屋上が一変し、
重厚な大理石の列柱の連なる荘厳な建物――――神殿へと姿を変える。
「こ、これは!?」
「どうぞ、お入り下さい。地下にご案内いたしましょう。
アイザード卿のご遺命にございますれば、どうか」
言い終えるなり、異世界の老人は、蒼髪の少女に向かって深々と頭を下げた。
ヴァルナの方は言えば、判断に窮したらしく、
――――さしずめ、彼の説明をただちに信用は出来ないにせよ、
100パーセントの自信を持って虚言だと言い切れるだけの確証も無い、といった所だろうか――――
困惑しきった眼差しを<ヴァリスの戦士>に投げかけている。
二人のやりとりを眺めながら、静かに考えを巡らせる優子。
・・・・もっとも、心の内は、すでに九割方、定まっていたのだが。
(22)
「いいわ、行きましょう」
拍子抜けするくらいあっさりとした口調で、承諾の返事を行う優子。
あまりにも明快なその態度に、
ヴァルナは勿論、ニゼッティーまでもが、意外そうな表情を浮かべ、少女を凝視する。
「虎穴に入らずば虎児を得ず、よ。
大丈夫、今までだって、必要なものはそうやって手に入れてきたんだから」
内心、我ながら凄い事を言ってるわね、と苦笑を漏らす、蒼髪の<戦士>。
決して嘘をついている訳ではないとはいえ、
この局面で今のような台詞を用いるのは、本心を偽っている、と非難されても仕方ない行為だろう。
――――だが、彼女は、反論しようとして果たせないまま、
口をもごもごさせるばかりの夢幻界の王女に対しては申し訳ないと感じつつも、
あくまで自分の選び取った道を押し通す腹積もりだった。
(わたしは、アイザードを信じる。
たとえ、あの人の語った言葉の全てが真実ではないとしても、それでも、わたしは・・・・)
(23)
「では、参るといたしましょう」
蒼髪の少女をそっと一瞥し、白髭に覆われた口元に小さく笑みを含ませた老人は、
慇懃な態度で、二人の少女を差し招いた。
小さく頷いて、<ヴァリスの戦士>が、列柱に囲まれた回廊に歩みを進めると、
渋々とではあったが、夢幻界の王女もまた、彼女の後に続いて神殿の奥へと足を踏み入れる。
「どうぞ、そのまま奥にお進み下され。
突き当たりに、地下への乗り物が用意してございます」
彼の言葉どおり、しばらく進むと、回廊は途切れ、
代わりに、古風な飾り格子によって囲われた昇降機が姿を現した。
優子、ヴァルナ、ニゼッティーの順に乗り込むと、
(魔法なのか、あるいは、技術なのか、は判然としなかったが)格子戸がガラガラと閉まり、
三人を乗せた昇降機は、地の底へと続く薄暗い隧道の中を、
微かな軋ばみ音と共に、ゆっくりと下降し始めたのだった――――。
(24)
――――サザーランド。とある研究所の一室。
「こりゃあ・・・・ちょっとどころじゃない、かなり不味い状況だぞ」
顕微鏡を覗き込んでいたドラゴが、深刻な口調で呟く。
「やはり、良くないのか?」
ベッドに横たわったまま、訊ねかけるデルフィナ。
こうしている間にも、傷が広がり、痛みが増しているのか、
エルフの表情は険しさを増す一方だった。
「ベノンの炎に含まれていた瘴気が、腕の組織を犯してるんだ。
優子の生体エネルギーを吸収して、一時的に進行が止まっていたんだろうが、
今のままだと、ほぼ確実に、腕一本では済まなくなるぞ」
(25)
「糞ッ!!オカマ野郎め、死んだ後まで厄介事をッ!!」
無念そうに呻く女剣士。
すでに、どす黒い腫れは左腕を覆い尽くさんばかりに広がり、
ゴマ粒大の小さな斑紋は、肩口を越えて胸元付近にまで進出していた。
「さすがは暗黒五邪神サマ、ってところだな。
何とかしてやりたいが、オレは医者じゃ無いし、
こんな進行の速さじゃあ、医者に診せた所でおいそれと治せるような代物じゃない・・・・」
一体、どうしたものか、と、考え込むベビー・ドラゴン。
単なる負傷であれば、壊死しかけた腕を切断して、
機械制御の義手を取り付けるなり、魔術で新しい腕を生やすなりすれば良いだけだが、
おそらくは、もはや身体の隅々にまで行き渡っているであろう瘴気が相手では、
そんな方法では一時しのぎにもならないだろう。
一方の金髪美女は、右腕一本だけで何とか体を起こすと、
ゼイゼイと苦しげな息の下から、かろうじて言葉を絞り出した。
「まだ、死ぬ訳にはいかん・・・・何か方法は無いのか?」
(26)
「フン、殊勝なこったな。
お前のその態度は、ご主人様の言い付けだからか?
それとも、例の<戦士>殿に情が移っちまったからなのか?」
「・・・・・・・・」
無言のまま、すがりつくような眼差しを向ける女剣士の姿に、
おいおい、図星かよ、と、小さく肩を竦める緑色の子竜。
かつてのデルフィナだったならば、こんな情けない顔を曝すくらいならば、
むしろ、従容として死を受け容れる方を選んだ筈だった。
(って事は・・・・本当に本気なのか、大馬鹿エルフめ)
目の前の同志を、やや驚きを以って眺めやりながら、ドラゴは胸の奥でため息をついた。
主の命令を果たすまでは死ねない、という想いは変わらず持ち続けているとしても、
もはや、彼女の心の中では、以前ほどの価値を持ち得なくなっているのは間違いない。
・・・・おそらく、今となっては、現実界の少女こそが最大の求心力の源であって、
彼女への感情の強さは、すでに、アイザードに対する忠誠心すら上回っているのだろう。
(27)
「そこまで言うんだったら、方法が無い訳じゃないが」
やや曖昧な言い方をしつつ、
探るような眼差しをデルフィナの隻眼に注ぐドラゴ。
女剣士の方は、間髪を入れずに聞き返して来る。
「どんな方法だ!?
・・・・いや、何だって構わない。今一度、戦えるようになるのならッ!!」
ふう、と大きくため息をついて、風のドラゴンは研究机の抽斗を開けた。
中にぎっしりと詰まっていた薬瓶をガサゴソと掻き分けて、
目的の物――――微かに鈍い光沢を帯びた液体の入ったアンプル――――を取り出し、
期待と不安を交互に浮かべているエルフの前に、トン、と置く。
「<ヴァリス・オア>だ。最終処理をする直前のまだ安定していない状態のヤツだがな」
(28)
「どうして、そんなものがここに?」
我知らず、声を上擦らせるデルフィナ。
心臓が、ドクン、と大きく跳ね上がり、
血の気を失って強張っていた顔面に、束の間、赤みが戻る。
<ヴァリス・オア>。
<ヴァリスの剣>をはじめとする、<戦士>の装備の原材料となる魔道物質で、
これを用いて作られる武器や甲冑は、極めて軽量かつ頑強であるだけでなく、
特殊な精神感応特性を有し、主の精神力と心の状態に応じて様々な能力を発揮する、とされている。
夢幻界の秘境と呼ばれる場所にのみ産出し、採掘量も極僅かであるばかりか、
加工の工程は夢幻界の最高機密に指定され、文字通り、門外不出となっていた筈だった。
「・・・・実際、アイザード様も、夢幻界から持ち出せたのは不純物の大量に混じった原石だけだった。
何とかして精製しようと、色々手を尽くしたみたいなんだが、
結局、優子から奪った<ファンタズム・ジュエリー>の力を利用するまでは、
どんな方法を試しても上手くいかなかった、って話だったな」
(29)
「さて、コイツの使い方だがな、
早い話、触媒となる溶剤と混ぜて、お前の体組織に直接吸着させるって寸法だ。
上手く行けば、体内の毒素や瘴気を分解するぐらい、造作も無いだろう」
――――もっとも・・・・、と、ドラゴは、一瞬、言い澱んだ。
慎重に言葉を選びながら、話を再開したものの、
その視線は、時間と共に下へ下へと降下していく。
「失敗した場合は、正直、何が起きるか見当もつかん。
そもそも、薬として考えるなら、かなりの劇薬と言わなくちゃならん代物だしな。
仮に耐えられたとしても、カラダが拒絶反応を起こすかもしれん。
いくら、お前の肉体が、アイザード様直々に、遺伝子レベルから再調整を施されたものだからって、
<ヴァリスの戦士>とは違っているからな、適合しない可能性も高い。それに・・・・」
(30)
「もういいッ!!」
うんざりした口調で、金髪美女は子竜の話を遮った。
顔を真っ赤にして、一気にまくし立てる
「どのみち、私の気持ちは変わらん。
足手まといになるぐらいなら、死んだ方がマシだ。
優子が戦っている傍で、指をくわえて見ている事しか出来なくなるのなら・・・・!!」
(やっぱり、そっちが本音かよ)
金髪美女には聞こえないように、小さくため息をつくベビー・ドラゴン。
興奮したせいだろう、体に負担がかかって、苦しげに喘ぐ女エルフと、
掌の中のアンプルに入った薬液とを交互に見比べながら、苦み走った笑みを浮べる。
「分かったよ、もう止めろと言わねぇ。
だがな、<ヴァリス・オア>を体内に入れる施術は、かなりキツイぞ?」
(31)
「そんな事は百も承知だ」
即答で答える女剣士。
だが、相方は、今度は、フン、と小さく鼻を鳴らしただけで、
研究室の隅の覆いを掛けられた装置・・・・人間一人を漬け込めるサイズの培養槽へと歩み寄った。
「悪いが、その答えは、コイツを見せ終わるまで聞かなかった事にさせて貰うぜ。
おっと、文句は無しだ。論より証拠、とにかく、これを先に見てもらう」
そう言って、よっこらしょ、と、薄汚れたカバーを取り外すベビー・ドラゴン。
途端に、布地の上に降り積もっていた埃が盛大に舞い散り、
白い砂嵐となって、ベッドの上のデルフィナへと吹き寄せてきた。
「なッ!?一体、何だッ!?」
時ならぬ汚物の襲来に、思わず顔を背け、悪態をつく金髪エルフ。
だが、再び顔を上げた瞬間、彼女の舌はピタリと動きを止め、
血の気を失った表情は、恐怖と嫌悪によって真っ青に凍りつくのだった。
(32)
「・・・・・・・・」
「な?だから、キツイって言っただろ?」
愕然として、眼前の培養槽
――――否、正確には、培養液の中でのたくっている数匹の生物に釘付けになった女剣士に向かって、
少し皮肉を込めた調子で、ドラゴが呟く。
直径約2メートル、ほぼ完全な球形をした強化ガラス製の培養槽は、
十数種類の薬剤を溶かし込んだ、紫色の溶液によって満たされ、
底には、大きいものでは体長2、3メートルにも及ぶ、触手生物がとぐろを巻いていた。
脈を打つ赤黒い血管を連想させる、不気味な肌面。
時折り、まるで、不整脈のように、びくんッ、びくんッ、と不規則に収縮しているのが気色悪い。
サイズは、下水管のように太く長いものから、小ぶりのウナギ程度のものまでまちまちだが、
先端部分だけは同じ造作で、キザキザの三角歯が並んだ口が異様に大きく裂けていた。
大きさ以上にバラバラなのは、竿肌を彩る体色で、
濁った血のような赤錆色のものから、死人のように蒼褪めた色合いのもの、
熱帯のジャングルに咲く食虫花の如くけばけばしいものに、
斑紋や網目模様を纏ったものまで、個体によって完全に異なり、まるで統一感が無い。
(33)
「こ、こいつらが、触媒、なのか?」
やっとの思いで言葉を搾り出すデルフィナ。
声音は、先刻までとは打って変わって弱々しく、恐怖に震え慄いていたが、それも致し方ないだろう。
強化ガラスの向こう側で蠢いている極彩色の生物の群れは、
暗黒界において、拷問や処刑の道具としてよく用いられる、危険極まりないタイプのものだった。
「ああ、早く言えばな。
何しろ、コイツらの身体は丈夫に出来ているから、<ヴァリス・オア>だって平気で取り込んじまう。
前にも言った通り、<ヴァリス・オア>の劇薬成分は強烈だからな、
一旦、コイツらに吸収させた後で、お前のカラダの中に吐き出させる必要があるんだ」
――――人体に直接投与する場合に比べれば、遥かに安全性は高い筈だ、と、胸を張って答えた子竜を、
隻眼の美女は鋭い怒りを込めて睨み付けた。
たしかに、<ヴァリス・オア>の毒性は弱まるかもしれないが、
凶暴さは折り紙つきの触手生物と同居する危険性を考えれば、
まともな神経の持ち主ならば、安全性が向上する、などとは口が裂けても言えない筈である。
(34)
「い、一応、人間には、無闇に襲い掛かったりしないように、色々と弄ってある。
少なくとも、いきなり噛み付いたり、食いちぎったりはしない筈だ・・・・多分、だけどな・・・・」
言い訳を並べつつ、冷や汗を浮べるドラゴ。
チッ、と鋭く舌打ちを打ち鳴らしたデルフイナは、
水槽の中で蠢く、目も耳も鼻も無いバケモノに、改めて嫌悪に満ちた眼差しを注ぐ。
「早い話が、肉体を痛めつけるのではなく、精神を嬲り尽くす用途のために、
遺伝子レベルから『改良』を加えて生まれた品種、って訳だな?」
女剣士の口調は幾重にも苦々しかった。
無論、彼女とて、暗黒界に生を享け、<戦士>として戦い抜いてきた身であり、
捕虜や罪人、とりわけ、女性のそれに口を割らせるための手段として、
この種の生物の使用が極めて効果的である事は深く知悉していた。
そして、そのような手法を用いていたという点に限っては、
忠誠を誓った主君であり、夜毎に互いを求め合った情人でもあった、夢幻界出身の青年魔道士も、
ベノンのような暗黒界の大貴族たちと基本的に何ら変るものではなかった、という事実も・・・・。
(35)
(そうだ・・・・思い出したぞ)
あれは、アイザードの配下となって間もない頃だった。
ある夜、任務を終えて、主君の許に帰任の報告に向かおうとすると、
地下の研究室――――元夢幻界人の魔道士のお気に入りの場所だった――――から明かりが漏れており、
扉の向こうから、にちゅッ、にちゅッ、という粘ついた音と、微かな悲鳴が聞こえてきた。
扉の隙間から室内を覗くと、セラミック製の手術台の上に、
全裸の少女・・・・おそらく、主の魔道実験の産物たるホムンクルスの一人が横たえられ、
カラダに、全長数メートルの、タコとクラゲとイソギンチャクが融合したような怪物が巻き付いていた。
よく見ると、少女の手足は拘束具によって手術台に固定されており、
傍らでは、記録係とおぼしき、羽根つき美女が一人、無機質な眼差しを湛えて、
(DNAの塩基配列が一つか二つずれているだけの)自らの血族が、
『タスケテ・・・・タスケテ・・・・』と、たどたどしい言葉で救いを求めつつ、陵辱される様を観察している。
(36)
(アイザード様は、いらっしゃらないのか?)
重要で、なおかつ、自身の知的好奇心を満足させるに足るもの、と判断した実験であれば、
青年魔道士が研究室に篭り切りになって、徹夜で結果を分析し続けるのは珍しくはなかった。
逆に言えば、彼自身が立ち会わず、担当の記録者に任せ切りにしている、という実験は、
別段、重要でもなく、興味を惹かれる対象でも無い、という訳である。
(ならば、長居は無用だな)
一瞬ののち、そう判断した自分は、
哀れな羽根つき少女にも、触手生物にも、関心を失って、立ち去った筈
――――憶えているのは、それが全てだった。
この後、彼女の運命については知る由もなかったし、
ましてや、あの化け物に関わりを持ちたいなどという考えが浮かぶ事など決してなかった。
当時は、他にやらねばならない事や関心を持たねばならない事が山積していたし、
何より、愛しい主以外は全く眼中に無い、と言い切っても過言では無い状態だったのだから・・・・。
(37)
(――――今になって、こういった形で思い出す羽目になるとは・・・・)
唇の端に浮かぶ、自嘲気味の笑い。
拷問に直接関与してきた訳ではないにせよ、
危険極まりない生物と知りつつ、必要悪として黙認してきた自分が、
放っておけば全身を蝕み、やがては死に至るであろう、不治の傷を癒すためにとはいえ、
あのおぞましい雁首を自らの膣口に受け入れる事になろうとは、運命の皮肉としか言いようが無い。
「や、やっぱり、やめておくか?
じっくりと腰を落ち着けて探せば、別の治療法が見付かるかも・・・・」
「そんな時間が何処にあるというんだ?」
にべもなく言い放つや否や、ブロンドの女剣士のとった行動は素早かった。
ベビー・ドラゴンに冷やかな一瞥をくれて黙り込ませると、
シーツを跳ね上げ、よろめきつつも寝台から床に降り立つ。
・・・・そして、半ば這うような足取りながらも、何とか培養槽に歩み寄ると、
分厚いガラス越しに、醜悪極まりない人造生物を、キッ、と睨み付けた。
(38)
「言った筈だ。足手まといになるぐらいなら、死んだ方がマシだ、と。
覚悟ならとうに固まっている・・・・さっさと始めろッ!!」
おぞましさに全身を震わせながらも、有無を言わせぬ口調で言い放つ、金髪エルフ。
弾かれたように立ち上がったドラゴが、
水槽の上部へと飛び付くと、薬剤の注入口からアンプルの中身を流し込む。
途端に、<ヴァリス・オア>の毒性に当てられて、触手の動きが激しさを増し、
まるで強いアルコールの中へと投じられた泥鰌の如く、ビチビチと跳ね回り始めた。
(ううッ!!な、なんて、おぞましいッ!!)
覚悟はしていたものの、常人ならばとても正視など出来ない凄惨な光景に打ちのめされる女剣士。
今から、この逃げる場所とて無い悪魔の大釜に、一糸纏わぬ裸体を浸して、
狂ったようにのた打ち回る化け物の愛撫に晒されるのだ、と思うと、
歯の根も合わぬほどの恐怖が押し寄せてきて、思考が凍りつき、何も考えられなくなってしまう。
・・・・否、そればかりではく、獲物を徹底的に責め立て、嬲り抜くためだけに生を享けた彼らは、
口腔、膣穴、肛門、尿道・・・・ありとあらゆる穴から体内へと侵入し、
おぞましい体液を所嫌わず吐き出して、獲物の肉体を白濁に染めていくに違いない・・・・。
(39)
(だ、だめだッ!!これしきで音を上げるようではッ!!
優子のためには堪えるしかない・・・・とにかく、今は堪え抜かなくてはッ!!)
最愛の少女を脳裏に思い浮かべ、消え入りそうになる勇気を必死に振り絞る隻眼の剣士。
だが、極彩色の触手生物は、彼女の苦闘を嘲笑うかのように、水槽の中を暴れ回り、
時折、ぞっとするような色合いの体液を吐き出しては、また狂気のダンスに打ち興じていた。
目にしているだけで理性が掻き乱されるのだろう、
デルフィナは死人同然の面持ちで、唇の端から胃液の糸を垂らしている。
ドラゴの方はと言えば、とっくの昔に腰を抜かして、部屋の隅で情けなくガタガタと震え慄いていた。
・・・・だが、無論、本当の地獄の幕開けは、
彼らが<ヴァリス・オア>の成分を吸収し終え、
吐き気を催させる水中の舞踏を手仕舞いにしたその時である。
美しきエルフの乙女が、無事、悪魔の試練を乗り越える事が出来るのか?
それとも、暗黒界の魔生物のもたらす禁断の悦楽の前に、永遠の狂気へと堕ちてしまうのか?
未来を予測出来得る者は、三界には一人として存在していなかった。
――――そう、三界のうちに存在している者の中には。
(40)
――――因果地平の彼方。世界の何処にも存在しない空間。
『・・・・どうやら、帰還に向けての準備は整いつつあるようだな・・・・』
影・・・・いや、黒っぽい靄のような、と形容すべきだろうか?
もはや、人間としての輪郭を留めていない、その不浄な存在は、
しかし、三界に生きとし生ける、どんな人間にも不可能な執念深さで、
仮初めの生にしがみ付き、安らぎに満ちた死への誘いを拒否し続けていた。
『<ヴァリス・オア>・・・・死せる魂魄と生ける肉体を繋ぎ止める霊薬の滴。
我が肉体を不滅のものとする事は叶わなかったが・・・・』
おそらくは笑っているのだろう、顔にあたる部分がユラユラと揺れていた。
幽鬼にも及ばない、このような惨めな有様と成り果ててなお、
彼は、生前の、シニカルな性格を留め、歪んだユーモアを愛しているらしい。
『我が愛しき従者・・・・未完成なる<戦士>の魂を、お前に捧げよう。
そして、彼女の肉体は、我が魂魄を受け容れたとき、完成された器として再び用いられよう・・・・。
全ては我が予測通りに進行している・・・・些かも、齟齬は無い・・・・』
――――――――TO BE CONTINUED.
以上、第17章をお送りいたしました。
お楽しみ頂けたのであれば、幸いに存じます。
なお、お陰さまで、今回も連投規制に引っ掛かる事無く、
順調に投下作業を終える事が出来ました。
ご支援頂いた方に感謝を申し上げます。
なお、次回ですが、、『3V(ヴァリス・ヴァルキリー・バージョン)』は一回お休みとさせて頂き、
不定期連載SSの『戦士集合!』の第4章を発表したい、と考えています。
まだスレのレス数・残り容量共にかなり余裕があり、
『新スレに切り替わる毎に1章ずつ更新』という基準を満たしてはいないのですが、
前章の投下から既に1年以上経過しているため、
これ以上お待たせするのもどうかな〜、と思いますので・・・・。
完成・発表予定は、11月の中旬頃を予定しています。
なお、デルフィナさんの触手陵辱シーンをご期待の方には大変申し訳ございませんが、
『3V(ヴァリス・ヴァルキリー・バージョン)』第18章の発表は、今年の年末〜来年の1月上旬の予定となります。
どうか、ご容赦の程お願い申し上げます。
続き、楽しみにまってまっす。
乙であります!
ARCH DUKEさま、今回もありがとうございます。
次回も楽しみです。
乙です!!
保守
hoshu
喪主
捕手
本州
九州
四国
お待たせいたしました〜。
不定期連載SS『戦士集合!』第4章、本日完成いたしました。
21(土)の夜は所用により時間が取れないため、
22日(日)又は23日(月)の夜に発表を行いたい、と思います。
なお、今回は、文章量もあまり多くないため、連投規制対策のご支援は不要です。
発表までもうしばらくお待ちくださいませ〜。
期待してますよ〜
待ってました!
お待たせいたしました〜。
只今より、不定期連載SS『戦士集合!』第4章の発表を開始いたします。
(1)
――――夢幻界。ヴァニティ城。一室。
「はぁうッ・・・・くッ・・・・あはぁ・・・・うふはぁんッ!!」
金箔と七宝で飾られた天蓋付きの豪奢なベッドの上で、激しく絡み合う二つの肢体。
マウント・ポジションを取り、巧みなベッド・テクニックを駆使しているのは、
全身をぴっちりとしたメタリック・カラーの戦闘スーツに包んだ、ツインテールの少女
・・・・変幻戦忍の異名を奉られる、本能寺忍軍の女忍・アスカ。
(2)
「フフフ・・・・どう、お姫サマ?
あたしの忍術、気に入って頂けたかしら?」
まだあどけなさを残していると言って良いだろう、
やや色白だが、申し分なく健康的な肌艶に恵まれた相貌に浮かんでいるのは、
その雰囲気とは全く相容れない、邪まな喜悦にまみれた、嗜虐の笑い。
スモークバイザーの奥では、橙々色の双眸が欲情の炎を上げて燃え盛っている。
(3)
敏捷なネコ科の肉食動物――――ライオンやトラのような強大なパワーを誇る大型の獣ではなく、
リュンクスやワイルドキャットのようなスピードと敏捷さを持ち味とする夜の狩人たち――――を連想させる、しなやかな体躯に纏っているのは、
オレンジ色の縁取りのある、シャイン・シルバーとブラックのツートン・カラーのレオタード型戦闘スーツ。
瞳と同じ色の頭髪の上には、昆虫の触角を模したアンテナ付きのティアラを頂き、
額の真ん中では、それと一体化した宝玉状の超高感度センサーが妖しいピンク色に光り輝いている。
(4)
「ひぃうッ・・・・んぁああッ!!
あ、アソコが・・・・あああ・・・・熱いッ・・・・まるで、燃えているようですッ!!」
一方、アスカに組み敷かれて、
艶かしく喘ぎながら、上気したカラダを激しく打ち震わせているのは、
丁度、彼女と同じくらいの背丈の赤紫色の髪の女騎士。
――――芸術王国ララマザーの王位継承者たる身分を隠し、
白翼の騎士・ナイトスワニィとして力なき民草のために剣を振るう、王女シルキス。
(5)
大振りのメロン程もある豊かなバストに、キュッと引き締まったウェスト、
そして、発育途上の初々しい曲線の中に豊かさの気配を秘めたヒップ周り・・・・。
10代半ばという年齢相応の、小柄な体格とはいささかミスマッチだったが、
彼女の肉体は、少女らしい愛らしさを残しつつも、すでに女性としての成熟への第一歩を踏み出している。
それらを包んでいるのは、王宮で身に纏う、豪奢な薄絹のドレスではなく、
黄金で縁取られた、純白に光り輝く魔法甲冑の筈だったが、
今この瞬間は、アスカの淫術によってその多くが剥ぎ取られ、ベッドの下に無造作に投げ捨てられていた。
(6)
(・・・・はぁ、はぁ・・・・だ、だめです・・・・こ、この感じは・・・・ひはぁああッ!!!!)
黒色の特殊樹脂で出来たグローブに包まれた、アスカのしなやかな指先が、
シルキスの無毛の恥丘を優しくなぞり上げ、サーモン・ピンクの陰唇を捲り上げる。
突き上げてくる快美感に、胸甲を剥ぎ取られ、剥き出しになった白い乳房がブルブルと揺れ動き、
弓なりにしなった背筋が、ギクン、ギクン、と、激しく痙攣を発した。
(7)
(・・・・あああ・・・・と、止められないッ!!わたくしのカラダ・・・・また、あの時のように・・・・!!)
大粒の涙を浮べながら、必死にかぶりを振る白き姫騎士。
その脳裏に去来するのは、数ヶ月前に起きた、忌まわしくも甘美な事件の記憶――――。
偶然に出会った魔法の白鳥の力を借り、白翼の騎士・ナイトスワニィとなったシルキスは、
王国を騒がす謎の魔物・ジュエル魔獣と戦ううちに、
背後で彼らを操る黒幕が、隣国であるウィンザー魔法大国の姫であり、彼女自身の幼馴染みでもあるローズ王女と知る事になる。
真意を問い質すべく、単身、彼女の許へと乗り込んでいく、汚れなき姫騎士。
だが、そこでシルキスを待っていたのは、
邪悪な魔道の術により誕生した黒鳥の力を得て、暗黒の騎士・ダークスワニィと化したローズの姿だった。
完膚なきまでの敗北を喫したシルキスは、自らの家臣たち、そして、領民の目の前で、
ジュエル魔獣、復讐心を滾らせた犯罪者たち、そして、ローズ自身によって、
辱められ、純潔を奪われ、更には、純真な心の奥深くに宿った、もう一人の自分
・・・・被虐の快感に溺れ、自ら肉棒と精液を求めて悶え狂う痴女の素質を暴き立てられてしまう。
(8)
「あああッ!!ダメですッ・・・・もう・・・・もう、わたくし・・・・あはぁあああッ!!」
白鳥の最後の力を得て、奇跡的にローズを退けた後も、
あの時の記憶は、夜と無く昼と無く、淫夢となってシルキスを苦しめ続けていた。
普段は忘れていても、ちょっとしたきっかけ――――多くは性的な興奮にまつわるものだった――――で、
突然、脳裏にフラッシュバックすると共に、
何度も何度も白濁した熱い体液を注ぎ込まれた未成熟な肉の花弁から溢れ出る淫らな滴りとなって、
下穿きの内側をびしょびしょに濡れそぼらせてしまうのである。
(9)
「フフン、お姫サマのクセして、色々と経験済みみたいねぇ?
この可愛らしい、ツルツルのオマ○コで、一体、何本のチ○ポを咥え込んだんだ?」
「はぁうッ・・・・お、お願いです・・・・これ以上は、もう・・・・」
眼尻一杯に大粒の涙を溜めながら、弱々しくかぶりを振るシルキス。
だが、アスカの冷たい指先がピンク色に充血した陰唇粘膜をなぞり上げるたび、
淫術にとらわれた姫騎士のカラダは妖しい波動に打ち震え、
口元からは、熱い吐息と一緒に、肉悦に蕩け切った喘ぎ声が引っ切り無しに飛び出してくる。
そして、ついに――――。
(10)
「ひぁあッ!?ぁああッ・・・・はぁひあぁあああッッッ!!!!」
少女の全身が、ビュクビュクビュクッ!!と、ひときわ大きくうねりを発した直後、
手足の感覚が急速に消え失せていき、
まるで、そこだけが重力の法則から解き放たれてしまったかの如く、浮遊感に包まれた。
次の瞬間、桜色に染まり上がった白絹の皮膚の上の、毛穴という毛穴から、
銀色をした小さな汗の粒が、パアァァッ、と飛び散ったかと思うと、
目の前が白一色に発光し、鉄砲水のように溢れ出した快感が、凄まじい勢いで意識の全てを飲み込んでしまう・・・・。
(11)
「本能寺忍法・秘奥義『淫蟲壷操りの術』。
これでもう、アナタはあたしには逆らえないわよ、可愛いお姫サマ」
唇の端を歪めながら、女忍者はにんまりと笑みを浮かべた。
対する姫騎士は、肺の中の空気を残らず吐き出してしまったかの如く、
顔面を真っ赤に染めながら、荒々しい呼吸を繰り返すだけ。
熱い涙滴を一杯に湛えたアメジスト色の双眸は、
先刻までの、気高く、力強い意志の顕れである美しい輝きを喪失して、
今では、まるで魂を抜き取られてしまったかのように、どんよりと曇ってしまっていた――――。
(12)
――――ヴァニティ城内。一室。
各世界から<戦士>たちが召喚されて以来、
ヴァニティ城では、夢幻界の住人だけが暮らしていた頃には存在しなかった行事が幾つか誕生していた。
毎日の食事もその一つである。
・・・・と言っても、本来ならば、夢幻界にいる間は、
リアリティの住人である<戦士>たちといえども、飲食によって栄養を補給する必要は無かったし、
そもそも、空腹や喉の渇きを覚えるという事自体がありえない筈だった。
(13)
だが、(出身世界によって回数には違いがあるものの)一日に何度か食事を摂る、という習慣に慣れた<戦士>たちにとって、
いかにその必要が無いからと言っても、全く飲食をする事の無い毎日、というのは、
何とも奇妙で、落ち着きの無い、何より、潤いに欠けるものに感じられるものだった。
彼女たちにとって、飲食を取る、という事は、単なる栄養とエネルギーを補充するための行為ではなく、
ある意味では、自分達が各々の出身世界に属する者だ、というアイデンティティーを再確認する行為でさえあったのである。
<戦士>たちの強い要望の前では、王女ヴァルナとてその願いを無下には出来ず、
彼女達が(現実界に居た頃と同じく)時間の経過と共に空腹や渇きを覚えるよう、取り計らうしかなかったのだった。
(14)
「凄いわね。本当に、欲しい物なら何だって出てくるなんて・・・・」
目の前で白い湯気を立てている料理
――――異世界アシャンティのレダ教徒に伝わる、伝統的な保存糧食だという、
プラスチックに似た材質の容器に入った、茶褐色のスープに浸かった細打ちの縮れ麺――――を前に、
目を丸くしているのは、<レダの戦士>朝霧陽子。
彼女が驚くのも無理は無い。
『どんな物でも用意出来るから、遠慮なく申し付けて欲しい』という給仕係の侍女の言葉に対して、
ならば、とばかりに求めたのだが、テーブルの上に並べられるまでに要した時間は、せいぜい数分といったところだったのだから。
○
。
/rニー 、` ー、
/´/'´ _,. l,.....ヽ ヽ
r''ヘ_ _ ,.r' l lヽ .i
,r '´l _. リ ! / l.〉 l,r
l 、i(._` `ー-‐'ヽ./ l`
,r::'::::l !ヽ_`ヽ_,..、 '⌒r_'
r‐ 、 _ i:::::;::;_;l-'´` ‐ ̄._ l _,、_'ノ- i、._
l `-、..-i' ´ ヽ_,.ゞ- 、 r ' ´ ̄ /:::::::::`ヽ
! ,..rー、 ヽ. ヽ ./ _,...-::'´:::::::::::::_;/
ヽ、 / ,ヽ. i. ヽ -r:::::'::::´:::::::::::;::::-‐::':´::::::)
`‐/ 、__ ./ヽ,入_,ノ l ,r'´ ` ー ::::_::::::::::::::_;:::- ' ´
_,/ /. ヽ_ _,.. -ヘ-'  ̄
r' ´ ヽ  ̄
ヽ、 _ノ
` ―― ''´
(15)
「うん、あたしもびっくりしちゃったッ!
このリンゴ、おじいちゃんの育ててた木に成ってたのと、形も大きさも全部一緒なんだもん。
もしかして、おじいちゃんの畑から取ってきたのかな?」
そう言いながら、皿に盛られた果物に元気良くかぶりつく、<リバースの剣士>キャロン。
オレンジ色の髪の毛をポニーテールに結わえたこの少女も、ヴァルナやシルキスと同じく、
出身世界である惑星ラルの『昼の地』(ミュウ)に栄えたラル王国の王家の血を受け継ぐ『姫君』である。
だが、生後間もなく、魔王ラモ・ルーの侵略により、自分以外の王家の全員を失い、
これまでの人生の3分の2以上を辺境の老農夫の家族として過ごしてきた彼女の立ち居振る舞いは、
王族の優雅さでは無く、庶民の娘の溢れんばかりの快活さよって占められていた。
(16)
「ホントよね〜。
こっちのケーキなんて、去年閉店した駅前の喫茶店の、オリジナル・ケーキと全く同じ味よ。
一体、どうやって作ってるのかしら?」
生クリームの付いたイチゴを突き刺したままのフォークを揺らしつつ、感心しているのは、
真紅のチャイナドレスに身を包んだ、<第108代魔物ハンター>こと真野妖子。
『どんな物でも用意出来るから・・・・』という、夢幻界人のセリフに対して、
廃業して既に一年以上経つ店の看板メニューを注文する彼女も彼女だが、
(何らかの魔術的手段を用いているにせよ)オーダー通りの物を律儀に揃える給仕たちも只者ではない。
(17)
「・・・・」
和気藹々と賑やかに料理を囲んでいる3人とは対照的に、
別テーブルで、一人、沈んだ顔をしているのは、<銀の勇者>レムネア。
目の前の皿に盛られている、故郷カナンの料理
――――フレッカスという小ぶりのパンと果汁で風味付けした低アルコール飲料のメルン――――
をじっと見つめながらも、殆ど手を付ける事無く、物思いに耽っている。
(・・・・メッシュやリアンたちも、今頃はご飯食べてる頃かなぁ・・・・)
(18)
「どうしたの?食事、進んでないようだけど?」
背後からの声に、ハッとなる<銀の勇者>。
振り返った視線の先では、黄金の甲冑に身を包んだ蒼髪の少女が心配そうな表情を浮べている。
「え、えっと・・・・その、何でもないの。ちょっと考え事をしてただけ・・・・」
曖昧な返事を返したレムネアを、
しばらくの間、無言で見つめていた優子は、やがて、にっこりと微笑みかけた。
(19)
「心配しなくても大丈夫。
ヴァルナ様や麗子に任せておけば、すぐにみんなの所に戻れるようになるわ」
「・・・・!」
心の内を見透かされ、両目を見開く銀髪の<戦士>。
眺めているだけで心が和んでくるような、ふんわりとした温かい笑みを浮かべたまま、
<ヴァリスの戦士>は、テーブルの上からフレッカスの一片をつまみ、口元に放り込む。
(20)
「ねぇ、レムネア。あなたの故郷・・・・カナンって言ったかしら・・・・どんな所なの?
良かったら、聞かせてくれないかしら?」
「え、ええ・・・・喜んでッ!!」
沈みがちだった少女の表情に、パッ、と光が灯った。
優子が席に着くや否や、堰を切ったように話し始めるレムネア。
故郷であるカナンのこと、幼馴染で許婚でもあるメッシュのこと、親友のリアンや両親のこと・・・・、
無論、話が一段落するまでの間に、殆ど手付かずの状態だった皿は綺麗さっぱり片付けられていた。
(21)
「あれ?レムネアったら、優子が来た途端に、すっごくテンション上がっちゃったわね〜」
「うん。ちょっと落ち込んでたみたいだけど、あの様子だと、もう心配無さそう」
特製イチゴ・ショートを食べ終え、食後のダージリンティーを優雅に啜る妖子に、
レダ教徒の保存糧食をスープの一滴まで飲み干して、幸せそうに息をついた陽子が相槌を打つ。
どうやら、二人共、銀髪の少女の事を気がかりには感じていたものの、
どう声を掛けたものか?と迷っている間に、優子に先を越されてしまったらしい。
(22)
「ところで、シルキスはどうしたの?お腹、空かないのかな?」
自分で注文したリンゴを平らげただけでは満足できなかったのだろう、
さらに、陽子と妖子の頼んだ物と同じ料理を追加注文して、旺盛な食欲を満たしていたキャロンが、
生クリームと醤油味のスープのたっぷりと付着した顔を上げて、質問する。
レダ教徒の保存糧食もこの世には存在しない筈のイチゴ・ショートも、
惑星ラルの少女にとっては初めて口にする食べ物だったが、幸い、口に合ったらしい。
あっという間に胃の中へと消えていった。
(23)
「シルキス?さあ、知らないわ」
「そう言えば、今朝から見かけないわね。ずっと部屋に居るのかしら」
顔を見合わせる、二人の<戦士>たち。
ヴァニティ城は途轍もなく広い上に複雑な造りの城郭であるが、
彼女達が起居している区画はその中の一部に限られており、
半日近くも姿を見る事が無いという状況は、たしかに普通ではなかった。
(24)
「シルキスだったら、ちょっと前に沐浴場の方に向かっていたわよ」
そう言葉をかけたのは、優子と話し込んでいたレムネアである。
<ヴァリスの戦士>と打ち解けて話をしたせいだろう、
その表情はすっかり晴れ渡り、不安の影は微塵も無くなっていた。
傍らでは、満足そうな微笑みを浮べた蒼髪の少女がレモン・ティーを啜っている。
(25)
「モクヨクジョウ?」
「お風呂場の事よ・・・・ほら、この前話したじゃない。麗子に頼んで新しく作って貰う事にした、って」
首を傾げる<リバースの剣士>に、苦笑を浮べる妖子。
自分や陽子と異なり、キャロンが生まれた世界<惑星ラル>は文明化があまり進んでいないらしく、
会話の際、ある単語がどんな意味を持っているのかが分からない、といった事がしばしば起きる。
幸い、『風呂』はラルにも一応存在していたので、
それがどういったものであるか?を、一から説明する必要は無かったが。
(26)
「なんだ、お風呂に行ってたのか。それじゃあ、姿を見かけなかったのも当然だよね」
納得顔のキャロン。
だが、私たちも行ってみない?と陽子が言い出すと、たちまち渋面を作った。
「どうして?キャロンも一緒に入ろうよ」
「檜風呂にジャグジー、北欧風のスチームサウナも作った、って聞いてるよ」
<レダの戦士>と<魔物ハンター>が口を揃えて、<リバースの剣士>を風呂場に誘う。
だが、惑星ラルの少女はなかなか首を縦に振ろうとはしなかった。
どうやら、風呂の存在は知っていても、入浴が好きという訳ではないらしい。
・・・・だが、その頃、沐浴場では、彼女達の誰一人として予想だにしていない、深刻な事態が発生していたのだった。
――――――――TO BE CONTINUED.
以上、第4章をお送りいたしました〜。
お楽しみ頂けたのであれば、幸いに存じます。
なお、(17)で、レムネアが注文している二つの料理ですが、
OAV『極黒の翼バルキサス』の中の描写では、
どちらがパン(というよりクラッカーのような食べ物)の名前で、どちらが飲み物の名前なのか?判然としませんでしたので、
『フレッカス』の方がパンで『メルン』の方が飲み物である、と推定して文章化しています
(手元にある原画設定集にも、さすがにそこまでは書いてありませんでしたので・・・・)。
次の第5章ですが、現時点では、このスレを使い切った後、
新スレの即死防止対策を兼ねて発表を予定しています。
時期としては、残りのスレ容量が約140KBですので、約半年後になるのではないかと考えていますので、
皆様、もうしばらくの間、お待ちくださいませ〜。
おお、いつのまにか続きが
今後も期待してまっす
乙です!堪能しました!
保守
サンソフトGJ!
でもエロじゃないんだろうねぇやっぱり・・・
次はパチスロか・・・
ルシア×優子
おおお247さんキター!!
なんというクリスマスプレゼント
あけおめ
あけおめ
今年もよろしく!
2010年初hoshu
607 :
名無しさん@ピンキー:2010/01/11(月) 01:16:26 ID:IVLq4Bal
age
保守
大変お待たせしました〜。
年末年始を挟んだため、予定よりも1週間ほど余計に時間が掛かってしまいましたが、
只今より、『3V(ヴァリス・ヴァルキリー・バージョン)』第18章の発表を開始いたします。
お楽しみ下さいませ〜。
(1)
――――サザーランド。研究区画の一角。医療施設。
『ひぐぅ・・・・あひぎぃいいィィィッ!!!!』
紫色の培養液に満たされた生体ポッドの中、
ぬらぬらと妖しくぬめり光る触手生物の群れに絡み付かれて悲鳴を上げるエルフの女剣士。
分厚い強化ガラスに隔てられているため、悲痛な叫び声が外界に漏れ出る事はないものの、
本来の美貌など想像さえ出来ない程、醜く引き攣っている相貌を見れば、
彼女の味わっている苦痛の凄まじさは一目瞭然である。
(2)
ずちゅッ・・・・じゅちゅッ・・・・ぢちゅるるッ!!
紐状の肉塊がニュルニュルとうねり、性感の増したなめらかな肌の上でおぞましい体液を引き摺る。
拘束から逃れようと足掻く、美しき獲物の抵抗に興奮を覚えたのか、
汁液の分泌量を増大させた先端部分がムクムクと膨張し、手首ほどの太さに変化した。
「ひぃッ!?だ、だめ・・・・だめぇッ!!」
まるでアイザードとの色恋沙汰を経験する以前の無垢な時分に戻ったかのように、
自由の利かない体をガクガクと震わせるデルフィナは、必死にかぶりを振った。
目の前では、無数の環節部から粘ついた液体を湧出させている触手が、
まるで自分自身の存在を誇示するかの如く、赤々と腫れたコブ状の突起を収縮させてみせる。
頂上の部分には小さな割れ目があり、全身を覆っている不浄な体液とは異なる質感の、半透明な蜜が滲み出していた。
(3)
(う、嘘ッ!?)
邪まな魔術と遺伝子レベルでの生体改造技術の融合によって生まれた人外の魔物とは言え、
これが生殖行為を目的とした器官である事は一目で理解できた。
実際、そこからは、培養液の生臭さなどとは比較にならない、強烈な性臭が立ち込め、
抗い難いフェロモンが牝の本能を刺激して、発情へと誘っている。
「あ、ぐぅ・・・・うううッ!!」
すでに秘裂の内側では熱いとろみが溢れ返っている。
子宮が、ドクン、と大きく脈を打ち、
強烈な衝撃波が脳天に向かって猛スピードで突き上がっていった。
自制など到底不可能な牝の欲望、淫らな本性が、
心臓を早鐘のように打ち鳴らしつつ、さらなる快楽を求め続ける。
(4)
じゅぶりッッッ!!!!
ひときわ太い触手の一本が、むっちりとした下半身の間に頭を潜り込ませて来る。
愛液でベチョベチョに濡れた恥毛の密林を撫で付けるように何度かまさぐりながら、
最適の突入角度を探し当て、縦筋を結ぶ乙女の入り口をノックする。
彼の動きに呼応して、手足を拘束していた同胞達が女剣士の体躯を持ち上げて、
水中で仰向けに寝かせ、汁みどろの太股が水平になるまで股を広げさせた。
「あああッ!?あぎぃいいいいッ!!」
悲鳴を上げた反動で下肢の筋肉が緩んだ瞬間、
不浄な先端が、サーモンピンクに染まった聖域に侵入を開始した。
狭苦しい小道を押し拡げ、肉の塊りを遮二無二に詰め込んでくる。
必死に逃れようとするデルフィナだったが、緊縛された手足は動かす事さえ容易ではない。
もっとも、たとえ五体の自由が利いたとしても、
密閉された培養槽の中では逃げ場など何処にもある筈が無かったのだが・・・・。
(5)
ズブッ・・・・スブブッ・・・・ジュブブブッ!!!!
ブザマに引き攣る股関節の中央部で、蜜壷がゴリゴリと穿られていく。
おぞましい肉縄の感触が子宮口のクビレを強引にこじ開けると同時に、
鈍痛を伴った拡張感が臍穴に向かって直進していった。
「いひゃあッ!!くるな・・・・もう、こないでぇッ!!」
醜悪な怪物によって何もかも踏み躙られてしまう戦慄と屈辱に、
さしもの彼女も歯を鳴らし、顔色を蒼白に変えた。
心臓の鼓動がどんどん速く、激しくなり、えずくように苦しげな喘ぎを搾り出す。
子宮の奥壁にまで達した異物の感触が信じ難いほどの激痛となって全身の神経をショートさせ、
視界全体で、何千何万ものカメラの放列が一斉にシャッターを切ったかのように、無数の稲光が弾け飛んだ。
――――だが、その苦痛も長くは続かない。
(6)
「あくぅッ!!ああ・・・・ふあぁあッ、んふぅうッ!!」
痛みが限界を迎えたところで、一瞬、五感の全てが消失し、
次いで、つい今しがたまで激痛と苦悶をカラダ中に撒き散らしていた筈の陵辱者から、
今度は、恐るべき量の快楽物質がぶちまけられて、
瞬く間に、膣と言わず、子宮と言わず、下半身全体を、性感の大波がペロリと呑み込んでしまう。
「あぁ・・・・ふぁう・・・・はぁああ・・・・」
快楽電流がビリビリと熱く迸り、秘唇のわななきが脊髄を往還する。
全身の交感神経が性感帯と化してしまったかの如く、あらゆる場所から快感が流れ込み、
頭の中を真っ白な靄によって包み込んだかと思うと、えも言われぬ悦楽によって思考を強制停止させた。
汚液に穢れた白い頬は淫熱を帯びてピンク色に紅潮し、
エメラルド・グリーンの双眸はトロンと蕩けて、酩酊したような視線を彷徨わせている。
(7)
次の瞬間。
「ああッ・・・・そ、そこはぁ・・・・んぁはぁあああッ!!」
何本もの細い肉蛇が互いの身体を絡めて、ドリル状に捩り合った複合触手が、
未だ手付かずのままだったもう一つの孔・・・・アヌスに向かって突入を開始した。
膣と子宮を占領している侵略者に、感覚の大半を奪われていた隙を衝かれて、
一気に菊口を食い破られ、直腸内への侵入を許してしまう。
「ひぁううッ・・・・はふぅあぁあああッッッ!!!!」
心ならずも腰をぶるぶると震わせる金髪エルフ。
何千何万もの小さな虫が這いずり回るような異様なゾクゾク感が脊髄へと突き抜け、
我知らず反り返った爪先が紫がかった培養液をバシャバシャと攪拌した。
ひとかたまりになって肛門に侵入した小触手の群れは、
最も狭く、きつい肉襞の間を掻い潜るなり、パラバラにバラけてしまい、
得体の知れない捕食動物の如くわしゃわしゃとうねりつつ、我が物顔で直腸内を捏ね回していく。
(8)
「うぁはああッ!?あむぅッ・・・・うくぁ・・・・ふひぃあああッ!!」
デルフィナ本人の腸液と魔生物の体液とが混じり合った奇怪な液汁を潤滑剤にして、
あたかもアナルの小皺の一本一本を丹念に引き伸ばしていくかの如く、排泄器官を貪り尽くす。
肩肘を強張らせて拘束された両手首をかち鳴らし、豊かな尻を狂おしげに打ち揺らすたび、
内臓の内側から痺れるような快感が溢れ出し、甘美な肛悦の波動が身体全体を覆っていった。
尻穴深く入り込んだ魔生物は、結腸孔まで食指を伸ばし、
直腸そのものを波打たせては、フジツボのように裏返った腸粘膜から濁った汁を飛沫かせている。
すっかり弛緩してしまった肛門付近では、
今まで他の場所を襲っていた触手までもがピストン運動を繰り返し、
真っ赤に腫れ上がったすぼまりを、これでもか、とばかりに嬲り回していた。
許容範囲を遥かに超えた量の異物が排泄器官に入り込んで激しくのたうち、
無数の快楽火花が弾けては、粘膜という粘膜を焼き尽くしていく。
(9)
「あッはぁああああッッッ!!!!」
肛虐の快美に屈した女剣士の肉体は、
間断なく痙攣を走らせながら、最低最悪の絶頂に向かって追い詰められていく。
最後に残った理性を振り絞り、必死に抗おうとはしているものの、
押し寄せる快楽の大波が全てを呑み込み、攫い尽くしてしまうのはもはや時間の問題だった。
ぐちゅッ!!ぬちゅ、ちゅるじゅッ!!ずちゅるにゅッ!!
容赦なく掻き回される肉壷から、沸騰した甘露が溢れ返る。
過熱する肉体は悦楽の波紋に騒いで総毛立ち、
決壊した汗腺からねっとりとした汗を垂れ流して歓喜に咽いだ。
口元からはとめどなく湧き出してくる唾液の糸がダラダラと流れ落ち、
エメラルド色の瞳はトロトロに蕩け切って、焦点さえ結べなくなってしまっている。
(10)
――――その直後。
「あひぃいッ!!いはぁ・・・・きひぃあぁああああッッッ!!!!」
なけなしの抵抗を木っ端微塵に吹き飛ばした圧倒的な法悦が、
金髪エルフの意識に深々と牙を突き立て、一片の哀れみも情け容赦も無く、噛み砕いた。
結腸孔を抉られた瞬間、脳味噌の中で極彩色の火花が飛び散り、
魂そのものが抜き去られてしまったかのようなフワフワとした浮遊感に包まれる。
――――びゅぶぶぶッ!!ぶしゃあああああッッッ!!!!
飛翔感に打ち上げられる、肛門絶頂。
ここに来てやっと本来の役目を思い出した腸筒が収斂して、
ニュルニュルとうねる異形の肉蛇を一気にひり出し、体外へと放出しようと試みる。
ほぼ同時に、子宮と膣襞も限界に達したらしく、
前後の穴から噴出した気泡交じりの大量の体液が質の悪いワインのような色合いの培養液と混じり合い、
グシャグシャに攪拌しつつ、正体不明の不気味なカクテルへと変えていく。
(11)
「はへぇあぁあああ・・・・」
恍惚の笑みを浮かべたまま、惚けているデルフィナ。
切れ長の双眸は快感に蕩けきり、
零れ落ちた大粒の涙がだらしなく緩んだ頬筋をダラダラと流れ落ちていく。
秘裂と菊門が熱いとろみで浸されるのが信じ難いほど心地よく、
ブルブルと両肩を打ち震わせながら、甘い喘ぎ声を漏らし続ける姿には、
もはや<戦士>のプライドは微塵も感じられず、娼婦以下の体たらくと言っても過言ではない。
・・・・だが、獲物を陵辱する事だけが己れの存在理由である魔生物にとっては、
この程度の性交はまだまだ序の口に過ぎなかった。
一分も経たないうちに新たな触手が立ち現れ、
虚脱状態で快楽の余韻に浸っている豊満な肢体を貪ろうと試みると、
すでに一度穢らわしい精を吐き終えていた同輩もまた、
負けじとばかり、肉筒を復活させて、新参者と縄張りを競い合う。
果てしなく繰り広げられる陵辱により、全身を嬲り抜かれ、穢し尽くされる女剣士・・・・。
瞳に宿っていた、美しく、凛とした意志は、最後の一滴まで奪い取られて、
あらゆる希望を断たれた無間地獄を彷徨いながら、欲情に咽び泣く事しか許されなかった――――。
(12)
サザーランド。ニゼッティーの神殿。地下の秘匿空間。
――――――――ガシアァァンッッッ!!
大仰な着地音を響かせて、昇降機は動きを止めた。
足元に戻った重力の感覚が、
この場所が終着点・・・・最下層部である事を告げている。
(ここが・・・・神殿?)
古めかしい鎧戸が開け放たれ、眼前に現れた光景に、一瞬、息を呑む優子。
広がっていたのは、人工の照明に照らし出された白亜の大ホール。
幅も奥行きも一体どれぐらいあるというのだろうか?
地の底に作られた施設とは思えないほど広大な空間が、見渡す限り、続いている。
背後を振り返ると、ヴァルナもまた同感であったらしく、薄青色の目を大きく瞠っていた。
(13)
「あれだ・・・・」
客人たちの反応には取り立てて関心を示す様子も無く、ホールの一角を指し示す老賢者。
注目した先には、古代のピラミッドを連想させる形状の、巨大な
――――さすがにエジプトにある本物ほどの大きさは無いものの、
威容、という点では決して遜色のない――――白大理石のモニュメントが屹立していた。
「もう長い間、仕舞いっ放しだったが・・・・」
低い声で呟くと、ニゼッティーは、純白の石壁に向かって片手をかざし、一言二言、何かを呟く。
呪文か?と思ったのは現実界の少女の方で、
魔道士としての経験において彼女より秀でているヴァルナには、
呪文ではなく、魔術によって封じられている何者かを解放するためのキーワードだ、と、すぐに分かった。
(14)
ゴゴゴゴゴゴ――――!!!!
地鳴りにも似た重々しい震動音。
食い入るように見つめる二人の少女の前で、大理石のモニュメントの頂が割れ、
内部に封じられていた物・・・・優子の背丈ほどもあろうかという大きさの大剣が、
瘴気と見紛わんばかりの強大な霊気を立ち上らせながら、空中へと浮上する。
「ま、まさかッ!?」
叫び声を発したのは、夢幻界の王女。
衝撃の大きさを物語るかのように、双眸は大きく見開かれ、
呻きとも喘ぎともつかない、くぐもった吐息さえ漏らしてしまう。
「<レーザスの剣>!!何故、こんな所にッ!?」
(15)
「無論、アイザード卿が持ち出されたからでございます。
おそらく、ヴァリア様は、<ファンタズム・ジュエリー>の喪失以上に、
事実が露見するのを恐れられ、あなた様にさえ、隠し通されていたのでしょう。
何しろ、この剣が作られた目的は、<古の封印>の破壊、なのですからな」
ニゼッティーの視線が、蒼髪の少女へと移動する。
<古の封印>という単語が何を指すのか?は不明だったが、
老人の顔に浮かぶ、使命は果たし終えた、という強い安堵感を一目見れば、
それが今は亡き青年の遺志であり、自分を呼び寄せた理由なのだ、という事は容易に推測可能である。
「ふむ、ヴァルナ様は兎も角、何も知らない優子さんには説明が必要でしょう。
・・・・よろしい、少し長い話になりますが、お聞き頂けますかな?」
「え、ええ。お願いします」
少し緊張した面持ちで応じる少女。
穏やかな微笑を向けたまま、老賢者は語り始める。
暗黒界の起源と夢幻界との闘争の歴史を、
・・・・そして、終わりなき戦いを終わらせるために、あの青年が実行しようとした計画の真実を――――。
(16)
全ての発端は、ヴァリアの中に生じた<ヴェカンタ>だった。
無論、彼女自身が望んだ訳ではなかったが、
多元宇宙――――<現実界>と総称される無数の時空体を創造する過程においては、
世界の森羅万象を司る者として、それに全く触れずにいる事など不可能だったのだ。
そもそも、<ヴェカンタ>の本質は変化を司るエネルギーであり、
悪しき局面においてのみ発現する訳では決してない。
破壊であろうが創造であろうが、事物が動く時には必ず発生し、
程度の差こそあれ、周囲に影響を及ぼさずにはいられない性質を有しているのである。
それでも、最初のうちは、女王自身の強大な力に比すれば、ごくごく限定的な影響に過ぎず、
警戒さえ怠らなければ、コントロールは充分に可能だと考えていたのだが・・・・。
(17)
だが、時は呆れるほどに長かった。
優子達の生まれた世界――――地球の時間に換算すれば、百数十億年という途方もない間、
多元宇宙を構成する数多の世界を生み出し、成長させ、安定させるうちに、
<暗>の要素は着実に蓄積されていき、
いつしか、彼女自身をも侵食しかねない、危険なレベルにまで達してしまったのである。
恐れを感じた夢幻界の支配者がとった行動は、
<暗>の力に冒された自らの一部を分離して、新たに作った異空間に封じる事だった。
ヴァリア自身の手によって行われたその封印が<古の封印>であり、
また、切り離された<ヴェカンタ>が閉じ込められた異空間こそが、
後に暗黒界、<ヴェカンティ>の名で呼ばれる事になる、負のエネルギーに満ちた魔界なのである・・・・。
(18)
「そんなッ!?じゃあ、最初に<暗黒界>を作ったのはッ!?」
愕然とする現実界の少女。
傍らでは、当のヴァリアの娘が視線を床に落としている。
表情を変えなかったのは、ニゼッティーただ一人だった。
「ヴァリア様とて、悩み抜かれた上での事だったのでしょうな。
少なくとも、簡単に下せる決断ではなかった筈。
なぜならば、これはご自身を大きく犠牲にする行為でもあったのだから。違いますかな、ヴァルナ様?」
「・・・・え、ええ・・・・たしかに、おっしゃる通りです・・・・」
老人に促されて、夢幻界の王女は、ようやく重い口を開く。
なるべくならば、母親を傷つけずに済むよう、
かと言って、<ヴァリスの戦士>に対して混乱や困惑をもたらす事も無いように、
使用する言葉を慎重に選びつつ、ぽつり、ぽつり、と話し始める。
(19)
「・・・・母が衰え始めたのは、大分裂にかなりの力を使ってしまったからだ、と聞いています」
結果、<古の封印>によって封じ込めた筈の<暗黒界>は徐々に勢力を増し、
やがて、封印の一部を無力化して、限定的ながら現実界にも影響力を行使するまでに至ったのだ、と。
「・・・・その後に起きた出来事は、おそらく、優子さんも聞き知っているのではありませんかな?
つまるところ、そのような事態が生じる、と半ば分かっていても、
あの時点では、ヴァリア様には他に打てる手が無かった、という次第なのですよ」
ヴァルナの後を引き取った老賢者は、『あの時点では』という箇所を特に強調してみせた。
直後、夢幻界の少女が、何か言いたげに、言葉を発しかけたものの、
黒衣の老人に一瞥されただけで気勢を殺がれたらしく、すごすごと押し黙る。
一つうなずくと、ニゼッティーは<ヴァリスの戦士>へと向き直り、
ここからが肝腎だ、とばかりに、一気に畳み掛けるかのような勢いで語り始める。
(20)
「大分裂の際、生まれた存在が、<暗黒界>の他にもう一つある。
君たちの世界・・・・現実界に誕生した、<人類>という新たな種だ」
大分裂を決断した時点で、ヴァリアには、
自らの消耗が多元宇宙に何をもたらすのか、大方の予想はついていた。
いずれ、異空間に封じた<暗黒界>は強大化し、封印は弱体化していくだろう、と。
それ故に、彼女には、<古の封印>が機能している間に、来るべき戦いに備えておく必要があった。
だが、夢幻界は、その性質上、自前の戦力と呼べる存在を持つ事が出来ない。
善なる目的のために為されるものであれ、悪しき目的のために為されるものであれ、戦いとは、
結局のところ、世界に変化、つまり、<ヴェカンタ>の増大をもたらすものでしかないからだ。
そこで考え出されたのが、<明>の力――――<ヴァリス>を帯びて戦う、現実界の<戦士>という存在。
そして、供給源となる種族、<人類>だった。
無論、どんな形を取ろうが、戦いは戦いであり、<暗>の力の源泉である事に変わりは無い。
それでも、<人類>を戦場に送る事によって生じる<ヴェカンタ>の量は、
夢幻界の住人を直接戦わせるよりは、遥かに低いレベルに留まるものだったのである。
(22)
「・・・・このサザーランドは、そのようにして現実界から徴用され、
戦いの末に命を落とした者たちの魂を、再び元の世界へと転生させるための安息の場であり、
<戦士>たちが作り出される重要なサイクルの一部なのです」
そこに目を付けたのがアイザードだった。
当時、暗黒界との戦いの責任者の一人だった夢幻界の青年は、
戦況を好転させるためには<戦士>として最高のポテンシャルを持った魂を生成する必要がある、と考え、
サザーランドを拠点に研究を展開、同時にこの地を実質的な支配下に組み込んでいったのである。
ただし、それは、正式な許可を受けてのものではなく、彼の独断によるものだった。
いくら暗黒界との戦いに必要だからとはいえ、
本来、自然の摂理に任せられるべき無垢なる魂に、人工的な改変を加えるなどという行為は、
秩序と調和を司る夢幻界の支配者たるヴァリアにとって、到底許容出来ない事だったのである。
彼女の認識では、器となるべき<人類>という種を創造し、
<明>の力を宿した武器・・・・<ヴァリスの剣>を与える、という一事だけでも、
確実に<ヴェカンタ>の増大を促す行為であり、やむを得ず容認しているに過ぎなかったのだから。
(23)
「その上、アイザード卿の研究自体、最終的には頓挫してしまったのですからな。
長年にわたる研究の末、ついに満足の行く魂が完成したものの、
いざ、最強の<戦士>を生み出す段になって、制御に失敗してしまい、
苦心して作り上げた魂は、3つに分裂して、三界へと飛び散ってしまった。そして――――」
・・・・と、そこまで説明し終えたところで、ニゼッティーは唐突に言葉を切り、
のみならず、語り始めて以来はじめて、逡巡するかのような表情を浮かべ、口を閉ざした。
単に話の進め方を考えあぐねている、というよりも、
話すべきか否か、という判断自体がつきかねているかのような、深い沈黙を前にして、
俄かに不安げな面持ちになる優子とヴァルナ。
意を決した老人が口を開くまでの、一瞬、否、半瞬にも満たない間、
一体、幾つの視線が空中で交錯し、ぶつかり合い、
幾つの問いかけが、声として発せられる事無く、口の中で空しく泡となって消えていっただろう?
・・・・・・・・だが、その直後、老賢者が低い声で紡ぎ出した真実は、
彼女達の脳裏をよぎった予想を遥かに超えて、強烈な衝撃をもたらす事になるのだった。
「――――そして、三つの世界に、三つの生命が誕生する事になったのだよ。
すなわち、現実界の優子、夢幻界のヴァルナ、暗黒界の麗子・・・・君達3人が」
(24)
「なッ!?」「ま、まさかッ!?」
驚愕の叫び声が、見事な和音を奏で合う。
両目を張り裂けんばかりに見開き、呼吸を詰まらせる優子。
今にも卒倒するのではないか?と思えても不思議ではないほど、顔面を蒼白に変えるヴァルナ。
「ア、アイザードが、わたしたちを生み出した、ですって!!」
「私たちは元々一つの存在だった、と、おっしゃるのですかッ!?」
最初の衝撃が過ぎ去るや否や、
堰を切ったかのように浴びせかけられる質問の数々。
黒衣の老人は、努めて落ち着いた口調を保ちながら、答えを返した。
「驚かれるのも無理はない。
だが、お二方とも、どうか冷静に、最後まで話を聞いて下され。
ご疑念の点に関しては、後で必ずお答えします故、今はどうか・・・・」
(25)
「・・・・・・・・」
今度は一転して、石のように押し黙る二人の少女。
その沈黙をどう受け取ったのだろうか、
老賢者は、コホン、と咳払いすると、おもむろに話を再開した。
「先にも申し上げた通り、人為的な魂の改変は、あの御方の独断によるものであり、
与えられた権限からは明らかに逸脱するものでございました・・・・」
結果、ヴァリアから咎めを受け、以後、<戦士>に関わる事を一切禁じられるに及んで、
アイザードは、<ファンタズム・ジュエリー>を奪い、夢幻界を出奔、暗黒界へと寝返ったのだ。
だが、その一方で、彼は<ジュエリー>と共に持ち去った<レーザスの剣>をニゼッティーに預け、
さらには、サザーランドの存在そのものをログレスに対して秘匿したまま、
自分自身の軍勢を作り上げるべく、密かに研究を続けてきたのである。
(26)
「おそらく、アイザード卿は、軍勢が完成した暁には、
暗黒界の軍団の夢幻界侵攻を阻止するおつもりだったのでしょう。
優子さん、あなたを密かに救出し、保護した上で、
<ヴァリスの戦士>を討ち取った、とログレスに偽りの報告を送ったのも、その一環でした」
もっとも、その策は、完全に篭絡したと思っていた<ヴェカンタの戦士>の裏切りによって失敗に終わり、
彼自身の生命を縮める結果となって跳ね返ってきた訳だが。
最後に、あの女戦士――――デルフィナもまた、
おそらく、青年魔道士が自らの軍団を作り上げる研究の過程で生み出された兵士の一人なのだろう、
と付け加えて、ニゼッティーは話を締め括った。
「――――想像もしていませんでしたわ。
彼の者が、そんな考えで動いていた、などとは・・・・」
ため息と共に吐き出されたヴァルナの言葉は、重く沈んでいた。
己れの私利私欲のために祖国を捨てた裏切り者、と言い聞かされてきた男が、
実際には、誰よりも深く夢幻界の将来を憂い、
(方法については全く問題無しとは言えないにしても)戦局を挽回する道を模索していた、とは。
(27)
「・・・・・・・・」
しばし無言のまま、ニゼッティーの語った内容を反芻する優子。
衝撃的な話ではあったが、不思議と違和感は感じられなかった。
脚色あるいは誇張を帯びてはいないか?という疑念も全くと言って良いほど生じず、
むしろ、これまで胸の奥に留まり続けていたモヤモヤが一気に雲散霧消して、
視界が急に開けたような爽快感が広がっていくのが良く分かる。
(・・・・まったく、<ヴァリスの戦士>になって以来、驚く事ばかりだったけど・・・・)
フフッ、と小さく笑みを漏らす、蒼髪の少女。
怪訝そうな表情を浮べるヴァルナを一瞥すると、
蒼髪の少女は、目の前の祭壇に突き立てられた、自分の身の丈ほどもある大剣へと近付き、
地金が剥き出しの無骨な拵えの剣柄に細い指先を絡めると、すぅぅぅッ、と、大きく息を吸い込んだ。
「まさか、わたしに姉妹が出来るとはねッ!!」
裂帛の気合と共に、渾身の力を振り絞り、両手の指に力を込める。
一点の曇りも無く澄み切った双眸が見つめるのは、強大な魔力を湛えた金剛不壊の刃。
二度三度、ピシッ、ピシッ、という、耳障りな音が台座から響き渡ったかと思うと、
原初の業火を宿した切っ先が久方ぶりに封印の桎梏から解き放たれ、
少女の白い腕の中で燦然たる輝光を発しながら、荒ぶる竜の如く、四方八方に霊気を撒き散らした。
その、次の瞬間――――!!
(28)
――――ドゴオォォォンッッッ!!!!
耳をつんざく大音響と共に、
つい今しがた、三人を地下の神殿へと運んでくれた昇降機が跡形も無く吹き飛んだ。
地鳴りのような衝撃波に続いて、
飛散した瓦礫の破片が数十メートルは優に離れていた彼女たちの足元にまで届き、爆発の凄まじさを物語る。
「い、一体、何事ですッ!?」
突然の出来事に取り乱し、大きな叫び声を上げるヴァルナ。
祭壇から引き抜いたばかりの<レーザスの剣>を手にしたまま、
優子もまた、爆発のあった方角を振り返り、
ニゼッティーさえもが、驚きを隠しきれない様子でその場所を見据えている。
・・・・もっとも、夢幻界の王女は兎も角、他の二人の表情には、
単なる驚愕だけに留まらない、もっと深刻で重要な感情が含まれていたのだが・・・・。
――――――――TO BE CONTINUED.
以上、第18章をお送りいたしました。
お楽しみ頂けたのであれば、幸いに存じます。
次の第19章は、3月下旬から4月上旬の発表を目指して既に執筆に取り掛かっています。
内容的には、デルフィナ触手陵辱の続き、及び優子と麗子の再対決シーンの前半を描いていく予定で、
これに続く麗子の回想シーン(アイザードとの最初の出会い)についても、
何とかエロパロ化出来ないものかな〜、と考えています。
それでは、本日はこの辺で〜。
乙です
>>次の第19章は、3月下旬から4月上旬の発表を目指して既に執筆に取り掛かっています。
その間もう一回初めから読み直してくるか
HOSHU
保守
報酬
妄執
保守点検
ほしゅ
ブッシュ
放銃
hoshu
ヴァルキリーの更新来たね
もはや何がなんだか・・・
お待たせしました〜。
『3V(ヴァリス・ヴァルキリー・バージョン)』第19章、本日完成いたしました。
明晩22:00頃から発表を開始いたしますので、もうしばらくお待ち下さいませ〜。
>>648 そうですね〜。
(正直)私も、麗子は優子の剣で貫かれるが、最後の最後でお互いを理解し合う、という、
哀しいけれども感動的な、原作ゲームの展開の方が好きです。
期待
ZOL氏のヴァリス中盤までは良かったんだけど
ここ最近のストーリー展開が惜しい
皆様、大変お待たせしました〜。
只今より『3V(ヴァリス・ヴァルキリー・バージョン)』第19章の投下を開始いたします。
なお、本章の内容は、概ね本編の第17話から第18話に対応しています。
(1)
――――サザーランド。ニゼッティーの地下神殿。
真っ黒な煤煙がゆっくりと吹き流れ、
ヴェールの向こう側にいる人物の輪郭が徐々に明らかになっていく。
「・・・・麗子・・・・」
微かに震える口調で、かつてのクラスメイトの名を口にする<ヴァリスの戦士>。
冷やかな笑みを浮かべつつ、悠然と前方に進み出てくるのは、
<暗黒界>の<戦士>の正装たる、漆黒の甲冑に身を固め、
刀身から禍々しい瘴気を立ち昇らせる魔剣を手にした赤毛の少女・・・・桐島麗子。
(2)
(・・・・もう一人いる?)
旧友の背後に佇んでいる男は優子には見覚えの無い人物だった。
古代のギリシア彫刻を連想させる、簡素なトーガを巻き付けた、冴えない容貌の中年男性。
ニゼッティーとヴァルナを振り返るが、二人もまた、かぶりを振って、面識は無い、と告げる。
――――と、次の瞬間。
黄金の胸甲の間に嵌め込まれた紅玉
――――<戦士>の力の根源、<ファンタズム・ジュエリー>を保護する防御機構の外装部分――――から、
一条の光芒が発せられ、彼に向かって延びて行く。
「<ジュエリー>が反応してる・・・・という事は、暗黒五邪神ッ!!」
「まさか、あなたは・・・・ヴォルデス!?」
ほぼ同時に叫び声を上げる、現実界と夢幻界の少女。
いかにも、と、落ち着き払った態度で応じた<暗黒界>の宿将は、飄々とした仕草で一礼した。
「適当な姿が思い付かなくてね。こんな格好で失礼するよ」
(3)
「何故、サザーランドへ・・・・?」
予想に反して、丁重な挨拶が返ってきた事に内心困惑しつつも、問いを発する優子。
すると、ヴォルデスの方もまた、ほう、と軽く眉を上げながら、驚いたように周囲をぐるりと見回した。
「サザーランド?まさか、ここがかね?」
その仕草に、思わず顔を見合わせる夢幻界側の三人。
トーガの中年男もまた首をかしげ・・・・
(少し考え込んだ後で)成る程、と、ぽん、と手を叩いた。
(4)
「おそらく、君の持つ<ジュエリー>に引き寄せられたんじゃないかな?
石の数で言えば、4対1なんだから、そう考えるのが妥当だろう。
・・・・まあ、何にせよ、我々は気が付いたらこの世界にいたのであって、
別に<ヴァリスの戦士>の後を追って来たんじゃあないんだよ、夢幻界のお嬢さん方」
苦笑を浮かべる暗黒五邪神。
彼の説明に完全に納得できた訳ではなかったものの、
少なくとも、すぐに襲い掛かってくる気はないらしい、と悟ったのだろう、
ヴァニティのプリンセスはひとまず警戒を解き、優雅な動作で礼を返した。
「・・・・大変、失礼をいたしました。
初めてお目にかかります、ヴォルデス卿。
幻想王女ヴァリアが一子、ヴァルナ、と申します。」
暗黒五邪神、という物騒な肩書きに似合わず、剣呑な雰囲気を全く感じさせない彼に対して、
ヴァルナもまた、まるで夢幻界の王城で貴人に接しているかの如く、恭しい態度をとる。
実際、金鱗の雷竜ヴォルデスと言えば、
ログレスの台頭以前、ヴェカンティの覇権を掌中に収めかけていた時期さえあった、という実力者であり、
その名を知る者は夢幻界にも多いほどの高名な武人である。
<暗黒界>の住人――――しかも、アイザードのような異世界出身者ではない、生粋の――――とはいえ、
粗略な扱いをして良い存在では決してなかった。
(5)
一方、事の成り行きに仰天したのは麗子である。
「サザーランドだか何だか知らないけど、夢幻界の王女ですってッ!?
・・・・というより、アンタ、この状況で何を呑気に構えちゃってるのッ!?」
両目を血走らせながら、ヴァルナとヴォルデスを交互に睨み付ける。
優子との戦いは当然予想していたが、ヴァリアの娘まで加わるのは全くの計算外だった。
もっとも、短い間とは言え、<ヴェカンタの戦士>として戦場を渡り歩いた経験は伊達ではない。
素早く冷静さを取り戻すと、目の前の少女の実力を測りつつ、一から計算をやり直す。
(どのみち、私の<アンチ・ヴァニティ>能力が相手では<ヴァリス>の力など無力。
ヴォルデスにこの魔道士を牽制させて手出しをさせなければ、勝機は充分あるわ)
だが、肝腎の暗黒五邪神は、老人特有のマイペースぶりを発揮して、
まるで茶飲み話でもしているかの如く、のんびりと会話を楽しんでいる。
からかわれているような気がして、猛烈に腹が立ってきた赤毛の少女は、
<影の剣>を抜き打ちで一閃させ、おしゃべりの輪の中に強烈な斬撃を叩きつけた。
(6)
ドゴォオオオオッッッ!!!!
全力では無いとはいえ、凄まじい剣圧が襲いかかる。
反射的にヴァルナを背に庇い、二本の剣を構えて防御姿勢を取る優子・・・・
ほう、と、感嘆の声を漏らしたのは暗黒五邪神だった。
咄嗟の事態に対して、これだけ機敏で的確な動きが出来たのは、完全に警戒を解いていなかったからに相違ない。
(さすがは、夢幻界を守護する者。
アイザードが入れ込んだのも頷ける。それに、あのもう一本の剣は・・・・)
盛大に埃をかぶったトーガの裾をはたきながら、
ヴォルデスは少女の左手に収まっている<剣>に、チラリと視線を走らせた。
右手の剣・・・・今までログレス軍の精鋭を悉く屠り去ってきた、<ヴァリスの剣>とは明らかに異なる、
重厚な存在感を漂わせるフォルムの大振りの長剣。
一方で。本来、腕一本では扱えるようには作られていないものを強引に振り回したせいだろう、
蒼髪の少女の左腕は、遠目にも明らかなほど白く引き攣り、ヒクヒクと細かく震えていた。
よくよく観察すれば、顔色も心なしか蒼褪めている様子である。
(<アンチ・ヴァニティ>の力に触れたためか?
いや、麗子は、まだそこまで本気を出してはいなかったハズ・・・・やはり、あの剣が問題だな。
<ヴァリスの戦士>でも容易には扱えない武器・・・・まさか、な?)
(7)
(くぅっ、<レーザスの剣>・・・・確かに強力だけど、使いこなすのは大変だわ)
優子自身もまた、荒々しく息を弾ませながら、
獲得したばかりの新たなパワーに驚きを隠せないでいる。
もっとも、たったの一振り、しかも、攻撃ではなく、麗子の斬撃を防御するために使っただけで、
これほど酷く体力を消耗するとは、さすがに予測の範囲外だったのだが。
(これじゃあ、危なっかしくて、普通の戦闘には使えないかも)
放出した大量の魔力の余韻だろう、未だ慄えの止まらない左手を見下ろしつつ、
小さくため息をついた蒼髪の<戦士>は、精神を集中して、<レーザスの剣>の実体化を解除した。
それだけで、辺りを圧していた強大な磁場が消え、身体が軽くなったように感じられる。
幾分安堵しつつ、背後に目をやると、多少は護身の心得もあるらしいヴァルナが、
戦闘能力の無いニゼッティーを庇い、杖を構えて呪文詠唱の準備を整えていた。
(8)
「フン、見慣れない武器だと思ってちょっと用心してたけど、
どうやら単なる虚仮脅しだったみたいね。
いいわ、すぐケリをつけてやるッ!!・・・・ヴォルデス、援護をお願いッ!!」
戦闘準備を整える二人を前にして、俄然、闘志を漲らせる赤毛の少女。
<ヴェカンタ>を宿した剣を構え直し、呼吸を整える。
・・・・だが、背後の中年男から返ってきた言葉は、彼女の意気込みをあっさりと打ち砕くものだった。
「いや、私は御免蒙るよ。君もやめておいた方が良い」
「ハァ!?」
唖然としてパートナーを振り返る麗子。
両目を白黒させながら、何と言ったか?聞き返す。
・・・・だが、<暗黒界>の宿将はつれない返事を繰り返しただけだった。
(9)
「ちょ、ちょっと、アンタ、自分の立場分かってるの!?
いいトシして一体何考えてんのよッ!!」
唖然とする<ヴェカンタの戦士>。
「いいトシだからさ・・・・正直、もう戦いには疲れたんだ。
<ファンタズム・ジュエリー>を預かったのも、
アイザードから、戦わずに引き篭もっていれば良い、と言われたからだし。
知っての通り、私は、ログレスの世界征服ごっこなんぞには、全く興味は無いからねぇ」
「なッ・・・・なッ・・・・!!」
他ならぬ暗黒五邪神から飛び出した言葉に、
麗子は両目を大きく見開いたまま、口をパクパクさせるしかない。
たしかに、今までも、ヴェカンティの支配者に対して好意的ではない素振りではあったが、
まさか、ここまでだったとは・・・・!!
(10)
一方、夢幻界人の側には、彼の態度を意外とは思わなかった者がいた。
「貴方が暗黒界でどんな扱いを受けているのか、という事に関しては、アイザード卿もよく話していたよ。
暗黒五邪神の一将とは名ばかり・・・・その実力故に、恐れられ、疎まれる、というのは不憫なものだな」
黒衣の裾をはたきながら、いたわりの視線を送るニゼッティー。
なに、今更愚痴を言っても詮の無い事さ、と、ヴォルデスは自嘲気味に肩をすくめてみせる。
ならば、と、水を向けたのは、夢幻界の魔道士だった。
「・・・・でしたら、私たちと共に戦っては頂けませんか?
それが無理ならば、<ファンタズム・ジュエリー>を返して頂くだけでも」
「な、何だとォッ!!」
またしても目を剥く思いの、赤毛の少女。
先刻から驚き呆れる事の連続で、(優子の目の前で無ければ)髪を掻き毟りたくなりそうだった。
当の暗黒五邪神は、フム、と口ひげを弄びつつ、少し考え込む表情になる。
「折角のご提案だが、辞退させて貰うよ。
さっきも言ったように、もう戦う気はないんだ。
石も出来れば返してやりたいところだが・・・・
何の後ろ盾も無い今の私には、これぐらいしか、切り札になるものが無いからねぇ」
(11)
「ふざけるのもいい加減にしてッ!!一体、どういうつもりなのよッ!?」
ついに堪忍袋の緒が切れたのだろう、
漆黒の<戦士>は、怒りに震えながら、黒光りする切っ先をヴォルデスに向けた。
裏切られた口惜しさに表情は歪み、紫色の双眸が赤く血走っている。
「私は戦うッ!!たとえ、一人になったとしても!!」
「・・・・・・・・」
その時になって初めて、今まで一切口を挟もうとはしなかったもう一人の少女が、
スッと<ヴェカンタの戦士>と暗黒五邪神の間に割って入った。
たちまちのうちに麗子の相貌に更なる朱が注ぎ込まれ、鬼女のような形相へと変貌していく・・・・。
「じょ、上等だわ、優子ッ!!今度こそ、アンタを地獄に叩き落してあげるッ!!」
他方、かつてのクラスメイトから痛罵の言葉を浴びせられた、蒼髪の<戦士>は、
哀しみと諦めが入り混じった口調で、短く、言い放っただけだった。
「・・・・いいわ。外に出ましょう」
(12)
――――暗黒界。ヴェカンタニア上空。
近衛軍団を中核に、各方面の精鋭部隊を選抜して編成された次元航行艦隊の艦列が、
厚く垂れ込めた暗雲のようにヴェカンティの帝都の空を覆い尽くしていた。
眼下に広がる街路では、いよいよ夢幻界への侵攻が開始されるのだ、と誤解した群衆が、
今や艦上の人となった彼らの絶対的支配者の名を熱狂的に歓呼し、称揚し続けている。
「ベノンめ・・・・面白い置き土産を残してくれた」
ひときわ威容を誇る、艦隊旗艦に置かれた総司令部。
幕僚達に囲まれて玉座に座した暗黒王ログレスは、
会議卓の上に映し出されたモノクロームの立体映像に見入りながら、
無機質な仮面で隠された口元に冷やかな笑みを湛えていた。
目の前には、地震や津波、巨大な風水害などの天変地異に見舞われて滅亡に瀕している、
幾つもの世界の姿がリアルタイムで投影されている。
(13)
「あやつが刺激した、<地球>の<ヴェカンタ>の流れ。
よもや時空の壁を超えて、異なる世界にまで影響を及ぼすとは、な・・・・」
満足そうに独りごちた<暗黒界>の支配者は、居並ぶ臣下たちを睥睨しつつ、
重々しい動作で片手を挙げ、ゆっくりと振り下ろしてみせた。
待ちに待った進軍開始の合図に、その場に侍る事を許された側近たちが次々に賛意を示し、
旗艦の、そして、空を埋め尽くした艦隊の、全ての将兵からも、応、という歓声が響き渡る。
「<ヴェカンタ>の力は刻一刻と昂ぶりつつある。
最早ヴァリアがどのような策を講じたところで、<古の封印>が破られるのは時間の問題だろう。
旧き時空の消滅、そして、新たなる時空創造の日は近い・・・・!!」
(14)
――――ゴゴゴオォォォォッッッ!!!!
艦底にある機関部から地鳴りのような駆動音が轟く。
ログレスの玉座から俯瞰できる位置に置かれた旗艦の戦闘指揮所が一斉に活気づき、
各艦隊の指揮官や艦長達との間で、様々な交信が矢継ぎ早に飛び交い始めた。
『各艦、機関異常なし』
『所定高度に到達次第、速やかに巡航速度へ』
『異空間座標、変位誤差修正確認、宜候』
『第一艦隊航次元隊形完了、続いて第二艦隊完了』
『進路クリアー。汎次元機関稼動、臨海出力に移行せよ』
・・・・だが、彼らの支配者自身は、
出陣を前に高揚する部下たちの喧騒を醒め切った目で見やりながら、
戦いとは全く別の問題への思考に関心の殆どを傾注していたのだった。
(15)
(麗子め・・・・ヴォルデスと共に消息を絶ったまま報告も寄越さぬとは、あるいは・・・・)
無機質な光沢を湛えた仮面の奥で、暗い眼光が瞬く。
ヴォルデスが彼女の救援に入った、と、密偵からの報告を受けた時点で、
あるいは、という危惧は抱いていたのだが、どうやら的中だったらしい。
(あの老いぼれに唆されたか?
フン、アイザードの時と言い、今度と言い、こうも易々と感情に流されて立場を変えるとは・・・・)
所詮は<現実界>の小娘か、と吐き捨てるように毒づく暗黒の王。
せっかく、アイザードから施された洗脳を解いてやったにも関わらず
――――正確には、彼の洗脳の上から更に洗脳を書き重ねただけなのだが――――、
またしても手玉に取られるとは、度し難いにも程がある。
(・・・・まあ、良い。どのみち、予から逃げられはせんのだから、な・・・・)
『――――目標サザーランド!全艦、発進せよッ!』
(16)
――――サザーランド。研究施設。
「んはぁッ・・・・うむぅん・・・・はふぅッ・・・・うはぁあッ・・・・!!」
触手生物によるデルフィナへの陵辱は、
倦む事も疲れる事も知らず、延々と続いていた。
葛湯を張ったボウルの中で両手を揉み洗いしているかのような、
粘り気と水気をたっぷりと含んだ抽送音が、
掻き回される肉孔から身体を這い登り、辺りの空間まで湿らせていた。
分厚い強化ガラスで出来た培養槽で外界と隔絶されていなければ、
ピンク色に上気した肌から立ち上る甘い汗の香りと酸味を帯びた愛液の薫りとが混じり合い、
棟内の空気を妖しく霞ませていたに違いない。
(17)
ぬちゅッ・・・・ぐちゅッ・・・・ぶちゅる・・・・ぬちゅちゅるッ!!
狂おしく強い痺れが、ねちっこく弄ばれる蜜壷から柳腰へ、
次いで、なめらかな背筋を伝って白いうなじへと伝染していく。
頭の中は既に白一色に染まっていたが、加えて、平衡感覚すら失われてしまったらしく、
重力を全く感じなくなり、自分が立っているのか、伏せているのかさえも分からなくなっていた。
びゅくッ・・・・びびゅッ・・・・どびゅるッ・・・・びちゅるるんッ!!
水気の多いヨーグルトのような愛汁を跳ね飛ばしつつ、深々と膣襞を抉った異物が、
ぐぐぐっと膨張しては激しく爆ぜ、熱い汚濁を執拗に注ぎ入れる。
それも、ただの分泌液ではなく、人体に対して強い毒性を持った<ヴァリス・オア>を吸収して、
比較的無害な――――あくまで、本来の性質に比べれば、の話だが――――物質へと変換、
相手の体内組織に定着させるための特殊な化合物・・・・触媒である。
溶け込んだ魔道鉱石の影響なのだろうか、異様に五感が鋭くなったデルフィナは、
異形の精汁を流し込まれるたびに頤を跳ね上げ、何度も何度も絶頂へと昇り詰めてしまう。
(18)
「ふぁぐぅ・・・・あがぁはッ・・・・ひぐぅあううッ!!!!」
ドロドロにぬかるんだ膣内を小刻みに捏ね続ける、触手群のざわめきが堪え難かった。
ひくつく子宮壁に白濁した飛沫が飛び散るたびに、
ひりつくような熱さに負けて、あられもない悲鳴が喉元を震わせ、
縛めに絡め取られた手足が壊れた自動人形の如く、惨めにのた打ち回る。
にちゅッ・・・・みちゅううううッッッ!!
どす黒い緑色をした肉の塊りが、
割り拡げられた尻の谷間へと近付き、じわじわと押し付けられる。
禍々しく変化した先端部分の長さはデルフィナの手首から先と同じくらい、
直径は人差し指と中指と薬指を揃えた幅にほぼ等しかった。
不気味に脈打つ幹は醜いイボイボによって覆われ、
その間で、太い血管がボコボコと不規則に浮き沈みを繰り返しながら己れの出番を待ち構えている。
(19)
「ひにゃあッ・・・・ひぎぃああああああッッッ!!!!」
粘りの強い先走り液を滲ませた、いびつな形の亀頭冠が、
僅かばかりの抵抗を排除し、すぼまりの奥へと押し入ってくる。
エメラルド・グリーンの瞳を見開き、哀しげな悲鳴に喉を震わせるエルフ女・・・・
恥ずかしい排泄器官を深々と貫かれた感触が恐るべき圧力となって体内を暴れ狂い、
内臓も何もかも飛び出してしまいそうな嘔吐感がこみ上げてくる。
ずんッ、ずんッ、ずんッ、と、逞しく突き入れられるたび、
金髪剣士は息を詰まらせながら口をぱくつかせ、大粒の涙を溢れさせた。
苦しさのあまり、全身の産毛が逆立ち、
魚の嘴のように尖りきった尿道口から、煌く液体が、ピュピュッ、と走り出てくる。
その様子に、(本来ならばあろう筈の無い)嗜虐心を燃え立たせたのだろうか、
汚らわしい異物はより一段と動きを激しくし、ピストン運動の速度を速めていった。
(20)
(ら・・・・らめぇ・・・・もう・・・・なにも・・・・かんがえ・・・・られ・・・・な・・・・)
美しいブロンドを頂いた頭が、くなくなと揺れた。
秘唇を捲られ、子宮を激しく掻き回されるのみならず、
肛門の奥まで好き放題に蹂躙される屈辱感と無力感で、意識がぼうっとなってしまう。
さらに、カラダの両側から迫ってきたイソギンチャク状の触手が、
固く屹立した乳首を乳輪ごと絡め取り、チュパチュパと吸い始めた。
「いひゃあッ・・・・あくぁッ・・・・・うはぁあああんッ!!」
腋の下から頂に向かって豊かな稜線を螺旋状に這い進んでくるおぞましい肉鞭。
デルフィナの胸の膨らみはソフトクリームの如く引き捻られ、中心に向かって盛り上げられた上、
とどめに、カチカチにしこりきったチェリー・ピンクの突起を、ねっとりと責め嬲られてしまう。
女剣士は眉を寄せたまま、唾液に濡れまみれた唇をわななかせるだけ。
すでに、心も肉体も、被虐の快感に馴れ切ってしまい、
流れ込んでくる爛れた喜悦に対して、抵抗の試みはおろか、嫌悪を覚える事さえ、もはや無い。
(21)
ぐちゅぷッ・・・・ぬちゅる・・・・ぷちゅちゅッ・・・・ぶじゅにゅるッ・・・・!!!!
イヤになるぐらい精をぶち撒け続けたにも関わらず、
燃え盛る肉塊は、まるで膣内に根を下ろしでもしたかの如く出て行く気配がなく、
それどころか、またぞろ、いやらしい抽送運動を再開して、消耗し尽くした乙女の心身を責め嬲りにかかる。
連続絶頂によって息も絶え絶えの有様の女囚エルフは、
汗だくの裸身をガクガクと痙攣させながら、弱々しい啜り啼きを漏らすのが精一杯だった。
トロトロに蕩けた子宮の中で、おどろおどろしい肉蛇の動きがどんどん加速してくる。
粘着質なピストン運動に合わせて、結合部から白く泡立った蜜液が溢れ、
のたうつ繊毛に包まれた異形の突起が出入りする度、
大きく広げられた下腹部に、むっちりと張り詰めた太股に、
心地よい火照りが、ジワリジワリと広がっていくのが自分でもよく分かった。
つん、と鼻をつく、和合水の芳香が、たまらなく淫靡に感じられて、
哀れな女剣士は恍惚の表情を浮べつつ、荒々しく肩で呼吸を繰り返す。
(22)
(はぁうあぁ・・・・もう・・・・きもちよすぎて・・・・あああ・・・・おかひくなるぅ・・・・)
形の良い尻たぶが、無意識のうちにゆったりと左右に揺れ始める。
陵辱者の抜き差しに合わせて、時に控えめに、時に大胆に、打ち震える白桃色の肉丘・・・・
腰を回せば回すほど、腰椎の奥からムズムズするような切迫感が湧き出してきて、
背筋を走り抜ける快美なバイブレーションが強く大きくなっていく。
脳髄を打ち抜く、痛烈な刺激が堪らない。
むっちりとした太股の間から粘ついた水音が木霊するたび、
全身が、カァァッ、と熱く燃えて、えも言われぬ甘美さがゾクゾクと結合部を戦慄かせた。
栗花臭い汚濁液をドピュドピュと勢い良くぶち撒けられると、
お尻がビクンビクンとあさましい痙攣を発して引き攣っていく。
殆ど夢見心地になって汚い生殖器官を締め付けながら、
めくるめく法悦の頂点を目指し、急勾配の坂道を駆け上っていく女剣士――――。
(23)
びゅくッ!!びゅるる・・・・びぴゅるぴゅッッッ!!
一体、これで何回目だろうか?
灼熱の感覚に膣壁全体が燃え盛り、濃密な精臭によって満たされるのは。
野太い突起を激しく突っ込まれる都度、半ば条件反射的に、括約筋がきつく食いしばられ、
咥え込んだ野太い肉縄を、ぎゅうううッ、と、千切り取らんばかりに締め付ける。
「あぅくッ!!・・・・ひ、ひくぅッ・・・・ま、またぁ・・・・らめへぇェェッ!!!!」
快楽中毒に陥り、呂律さえ怪しくなったデルフィナに、
射精のリズムに連動した、身の毛もよだつエクスタシーが、
次から次へと、速射砲よろしく、連続攻撃を仕掛けてくる。
満足に呼吸する事すらままならない、屈辱的な連続絶頂を強いられているというのに、
ピンク色を通り越して滲んだ血のような真紅の色合いに染まった陰唇粘膜は、
忌まわしい陵辱者にかぶりついたまま、決して手放そうとはしなかった。
(24)
「ふはぁ・・・・はへぇあああッ!!!!」
膨張して水風船のようになった子宮を満たす、トロトロ液が堪らなかった。
・・・・逞しい肉棒でもっともっと膣口を抉り立てて欲しい。
・・・・沸騰した体液を流し込んで、腹腔をパンパンにして欲しい。
・・・・ユルユルに緩んだ肛門を舐り回して、頭の中が真っ白になるまで責め立てて欲しい。
脂汗に濡れまみれたブロンドを振り乱しながら、
囚われの乙女が甲高い嬌声を放ち上げ、飛沫を飛ばす精液の感触にひたすら酔い痴れると、
触手生物たちもまた、彼女の淫らな望みに全力で応え続ける。
「・・・・デ、デルフィナぁ・・・・」
――――強化ガラスの向こうで延々と繰り広げられる、凄絶なまでに淫靡な陵辱劇に、
一種の畏れにも似た近寄り難さを覚えて、ドラゴは無意識のうちに壁際まで後ずさった。
緑色の鱗に覆われた小さな体がカタカタと震え慄いているのは、
恐怖ゆえだろうか?それとも、何か途方も無い事が起きようとしている予兆を感じ取ってだろうか?
目の前のエルフと同じく、アイザードの実験によって生み出された風のドラゴンは、
まるで魂ごと吸い寄せられてしまったかの如く、眼前の光景をじぃっと見入っていた・・・・。
(25)
――――ビュオオオオッ。
各々の武器を手に正面から向かい合った少女たちの間を、冷たく乾いたビル風が駆け抜ける。
コンクリートの壁面に四方を囲われた殺風景なビルの屋上は、
夢幻界と暗黒界、二つの<世界>に分かたれた姉妹たちの対峙の場となっていたが、
そこに漂う空気には、神聖な決闘場というよりもむしろ、陰鬱な霊廟を連想させる気配が満ちていた。
「・・・・どうしても、やるの?」
問いかけるのは、黄金の甲冑に身を包んだ蒼髪の少女。
相対する赤毛の少女は、一言、「くどい」と切り捨てると、
漆黒の剣に力を込め、いつでも斬りかかる事が出来るように重心を前に傾ける。
「ニゼッティーが言っていたわ。私たちは元は一つの・・・・」
「それが、一体、何だって言うの?
元が一つであろうが三つであろうが、ヴェカンティに生れ落ちた時点で、
私はログレス様の手駒として生きるしかなかった・・・・これが運命なのよ」
(26)
「じゃあ、あなたが<現実界>で・・・・わたしたちと一緒に過ごしてきた時間は何だったの!?
わたしやみんなとの想い出も何もかも、無意味だって思ってるのッ!?」
冷え冷えとした目で、かつてのクラスメイトをねめつける<ヴェカンタの戦士>に対して
押し殺し切れない苦悩を滲ませながら、<ヴァリスの戦士>はなおも言い募る。
悲しみを湛えたディープ・ブルーの瞳・・・・
そこに浮かんだ、深い喪失の痛みが、ほんの一瞬だけ、麗子をたじろがせた。
――――だが、しかし。
「あなたには分からないわ。
私の・・・・真実を知ってしまった時の、私の気持ちは・・・・」
――――そう、自分は何も知らなかった。
いや、知る必要すら感じる事無く、ただあの世界で生きていたのだ。
プラチナ・ブロンドの髪をなびかせた青年――――アイザードに出会った瞬間まで・・・・。
――――――――to be continued.
以上、第19章をお送りいたしました。
お楽しみ頂けたのであれば、幸いに存じます。
次の第20章は、本編第18話の麗子の回想シーンをエロパロ化してみたい、と考えています。
なお、アイザード×麗子の洗脳調教はすでに一度執筆済みですので、Hシーンに関しては、ひと捻りしてみるつもりです。
完成・発表は、5月末を予定していますので、またしばらくお待ち下さいませ。
それでは、今夜はこの辺で〜。
いつも乙です。
うお、投下きとったー。
いつもご苦労様です。
682 :
名無しさん@ピンキー:2010/04/09(金) 23:47:31 ID:P3LD/DYk
たまにはageとこうか
保守
HOSHU
報酬
リンク先最初からヒドイねw
hoshu
サイト更新されたけど優子の影も形も無い・・・orz
引退宣言
大作(注:言い過ぎました)のアイデアが頭の中に浮かんで、
死ぬほど考えてプロットを組み立てて書き始めたつもりだったのに、
なにかがおかしい!そう思った時、続きが書けなくなった。
いつまでたっても手がキーボードを打ってくれなくて、無理やり動かしてもまともな物が作れない。
出来上がったと思っても、推敲する度に「すべて選択(A)→Delete」の繰り返し。
頑張ってやり直しても、結局は削除地獄に嵌っていく。
馬鹿の一つ覚えみたいに同じシチュを言葉を変えて書き直すだけの、破滅の無限ループから抜け出したのは、
歴戦を重ねたヒロインを書いたつもりが、実は歴戦とは同じ戦いが繰り返されただけのことに過ぎないと気付いた時だった。
見事なまでに成長の無いヒロインの話を長々と投下した事が恥ずかしくなり、それがおかしい物の正体だと気付いた時にはもう手遅れだった。
俺が途中まで投下したSSにGJをくれた人たちには申し訳ないけれど、俺はもう書けなくなってしまった。
もう一度やり直そうとしても、途中まで投下した部分が破綻するだけ。
頑張っても頑張っても満足のいく続きが書けなくなってしまったんだ。
バイバイ、スレのみんな。
ろくでもないSSばっかり投下した上に、途中で投げ出してしまって申し訳ないと思ってる。
生みの苦しみに負けた書き手より……
いつもお世話になっております。
5月末の完成・発表を予定していました、『3V(ヴァリス・ヴァルキリー・バージョン)』第20章ですが、
(主に仕事の関係で)執筆の時間が確保できなかったため、
当初の予定より大幅に遅れを生じ、完成・発表までにあと2、3週間、必要な状況にあります。
皆様には大変申し訳ございませんが、もうしばらくの間、お待ち願えれば幸いに存じます。
>>692 コピペにマジレスするのもどうかと思いますが、
私自身、時々、そんな気分に陥ったりする事もありますので敢えて一言。
お疲れ様です。
今後、もしも考えが変わって、またSS書きとして復帰しよう、という気分になられたのなら、
是非一度、このスレに作品を投下してみて下さい。
あなたと同じSS書きとして・・・・あなたと同じ気持ちを味わった事のある人間として、
あなたの作品を一度読んでみたい、と思いますので。
飛ばない豚は、ただの豚だ。
氷の惑星
3Vの9、10章のアイザードとのSEXは超興奮しました。
原作の漫画を読んで悶々とした気持ちが晴れましたw
原作同様邪魔が入るのは面白いですね。
もう一ラウンド読みたかった気持ちもありますが、
とにかく感謝です!続きも楽しみにしています。
大変長らくお待たせいたしました〜。
只今より、、『3V(ヴァリス・ヴァルキリー・バージョン)』第20章の発表を開始いたします。
(1)
・・・・あの夢を見るようになったのは、一体、何時の頃からだっただろう?
・・・・ずっと昔、物心ついて間もない頃のような気もするし、つい最近のような気もする。
・・・・夢の内容は、日によって細部は多少異なっているものの、大筋はいつも大体同じだった。
・・・・何処とも知れない場所で、大勢の人々――――いや、人ではない、獣や怪物の群れが、
火の付いたように泣き叫ぶ小さな嬰児を取り囲んで、口々に何かを叫び、踊り狂っている・・・・悪夢。
――――そう、恐ろしい悪夢、には違いないのだが・・・・。
・・・・だがしかし、夢の中での自分は、
恐怖よりもむしろ、(何故だか分からないが)とても懐かしい想いにとらわれているのが常だった。
・・・・そう、自分は、かつて、この光景を目にした事がある。
・・・・これは単なる夢ではなく、かつて経験した出来事の追想なのだ。
(2)
(――――また、あの夢・・・・)
不快に汗ばんだネグリジェを乱暴に脱ぎ捨てながら、独りごちる麗子。
灯りをつけると、枕元の時計の針は午前2時を少し回ったところだった。
(・・・・ここ最近は、ほとんど毎晩ね。鬱陶しいったらないわ)
苛立たしげに息を吐き、ベッドの上に寝転がる。
ぼんやりと見上げる自室の天井は、窓から差し込む月の光で青白く染まっていた。
重たげな倦怠感が頭の上に圧し掛かっているものの、
眠気は殆ど消え失せてしまっており、すぐには眠れそうにない。
(・・・・フン、どのみち、眠ったところで、またあの夢を見るだけだし)
(3)
「今朝からは、お母様も旅行だったわね」
まどろみに落ちようと努力するのを諦めた赤毛の少女は、
サイド・テーブルに置いてあったミネラル・ウォーターの栓を開け、
コップに半分ほど注いで、一気にあおった。
各方面に事業を展開している父親はいつも多忙で、落ち着いて家に居る事など滅多にない。
現に、今も海外出張中で、帰国は来週の予定である。
旧家の出身の母親も、仕事についてこそいないものの、じっとしているのが退屈なのだろう、
昔から、婦人会の会合だのカルチャー教室だのとあれこれ理由を付けては家を空ける事が多かった。
郊外の高級住宅地に建つ広い自宅には、
父に雇われた使用人たちを除けば、自分しかいない、という日も珍しくは無い。
(4)
(・・・・学校が終わったら、ちょっと寄り道でもして帰ろうかしら?
アイツに言えば、上手くやってくれるでしょうし)
アイツというのは、学校と自宅との送り迎えを担当している、冴えない顔つきをした中年の運転手の事。
井伊、という名のその男は、元々は父親の経営する会社の一つに勤めていたらしいが、
何かヘマをやらかして、社用車の運転手に左遷されたらしい。
それ以上の事情は、麗子は知らなかったし、特段、知りたいとも思わなかった。
桐島家に出入りしている人間は、父の会社の関係者を含めて結構な数に上っていたが、
親しく口をきいたりはしないし、主人と使用人という互いの立場を超えた関係を築こうと考えたりもしない。
・・・・まあ、この運転手だけは、両親や他の使用人たちには内緒で小遣いを恵んでやる事で、
密かに、桐島家や父ではなく、自分個人の飼い犬とするのに成功していたのだが。
(5)
――――放課後。
登校時に打ち合わせた通り、井伊は車を自宅ではなく、繁華街の方へと向けた。
家の者には、『学校の行事で帰宅は遅くなる』と説明しておいてくれたらしい。
「・・・・で、どちらへ向かいましょう?」
ハンドルを握ったまま、問いかける中年男。
バックミラーには写っていないものの、彼の口元は品の悪い笑みによって歪んでいた。
やや不機嫌な表情になる麗子だったが、さりとて、行く先を告げない訳にもいかない。
(さて・・・・何処に行こうかしら?)
ぼんやりと窓の外の風景に目をやりながら、考え込む。
・・・・喫茶店?映画館?サボリ中のセールスマンでもあるまいに、そんな所に行っても仕方がない。
・・・・ホテル?いくら遅くなると言ってあるとはいえ、さすがに外泊は不味いだろう。
・・・・ホストクラブ?悪くないが、さすがにこの時間帯では、まだどの店も準備中の筈だ。
「そうだ、良い所がある」
(6)
「○×公園へ行って頂戴。何て言ったかしら・・・・例の、風俗街の裏手にある・・・・」
「・・・・お、お嬢さん、本気ですか?」
驚きの声を上げる運転手に、冷やかな一瞥を投げかけると、
赤毛の少女は、『いいから、行きなさい』と有無を言わせぬ口調で命令を発した。
――――は、はあ、と、不安げな面持ちでハンドルを切る井伊。
彼の反応も無理はないだろう。
行き先として指示されたのは、風俗関係の店や事務所が軒を連ねる一角にある、うらぶれた公園。
昼夜を問わず、ホームレスや違法滞在の外国人たちがたむろし、
怪しげな薬の売買や売春行為の客引きの場として使われる事もしばしばある、との噂で、
警察官ですら本心では立ち寄りたくないと思っている、と報じられる、いわくつきの場所だった。
(7)
「あ、あのう・・・・お嬢さん、やっぱり、さすがにお一人では危険なのでは・・・・」
信号待ちで停車している間に、
中年男は、自分よりも軽く2周りは若い上司に向かって、おそるおそる意見を試みた。
登下校中に麗子に何かあれば、真っ先に責任を問われるのは己れ自身である。
下手をすれば、この不景気の最中に職を失い、妻子を連れて路頭に迷う羽目にもなりかねない。
「うるさいわね、私に指図する気なの?」
・・・・だが、赤毛の暴君は、使用人の言葉などには聞く耳を持たなかった。
代わりに、ブランド物の財布から、一万円札を2枚抜き出すと、
犬に餌でも与えるような仕草で運転席へと押しつける。
そして、なおも食い下がろうとする中年男に対して、ぶっきらぼうに言い放つのだった。
「つべこべ言うのなら、違反点数が溜まって今は免停中だって事、お父様に言いつけるわよ。
・・・・ほら、信号が青になったわ、とっとと発車しなさいッ!!」
(8)
――――しばらくの後。
井伊の運転するリムジンが視界の外に消えていくのを確認して、少女は小さく息を吐いた。
僅かな小遣い銭さえ与えれば、何でも命じた通りにする、便利な男だが、
狡っからい性格と、どれだけ消臭剤をスプレーしても消えない加齢臭だけは、鬱陶しい事この上ない。
(いい加減、アイツの顔も見飽きてきたわね・・・・免停の事、本当に言いつけてクビにして貰おうかしら?)
物騒な考えを弄びつつ、みすぼらしい公園を眺めやる。
あちこち破れたりひしゃげたりして、
囲いとしての役割など、とうに果たせなくなってしまったフェンスに囲まれたその場所は、
広さだけはそれなりにあるものの、木々も遊具も全く手入れされないまま、放置されているようだった。
目に付く物といえば、大量のゴミと壊れかけのベンチに寝転がったゴミ同然のホームレス、
それに、三々五々連れ立って輪を作り、低い声で何か呟き合っている、国籍も人種もまちまちな外国人の小グループぐらいである。
――――と、前方から早速、中東系と思しき男たちが近付いてきた。
(9)
『オジョーサン、ドシタカ?』
『クスリ、イルノカ?ヤスクシトクヨ?』
カタコトの日本語で話し掛けてきたのは、おそらくは違法滞在者らしきイラン人の二人組。
がっしりとした労働者風のカラダを着古した中国製のジャージに包み、
陽射しに灼けた顔立ちの中では濃い顎髭がよく目立っているが、
年の頃はせいぜい20代の中頃といったところだろう。
(さて・・・・どうしたものかしらね?)
じっと相手を見つめながら、品定めする。
勿論、両親やクラスメイトたちには秘密にしていたが、すでに異性との性交為を何度か経験済みであり、
もはや、セックスそれ自体に対して、好奇心を覚える段階は卒業していた。
でなければ、こんな危険な場所に一人で足を踏み入れたりはしなかっただろうし、
見ず知らずの外国人から話し掛けられて落ち着き払っていられる筈もない。
(10)
(・・・・体つきは悪くなさそうだけど)
元より、こんなトコロで相手を探そうとしているのだから、贅沢を言うつもりは無い。
むしろ、ある程度の危険は承知の上で、そのスリルを楽しもうとさえしていたのだが、
だからと言って、力任せの下手糞な行為を押し付けられたのでは意味が無かった。
第一、性病やおかしな病気をうつされる可能性を考えると、
やはり、ある程度、相手は選ばざるを得ない、と思うだけの分別も残っている。
『ノー、サンキュー』
抑揚の無い声で答えると、二人組は、何も言わず、肩をすくめて離れていった。
――――別に、イラン人だからという理由で断った訳ではないけれど、
もう少し見栄えの良い、出来れば、整ったルックスの相手を探したい、
そう考えながら、麗子は、再び公園全体にゆっくりと視線を一周させる。
(11)
(・・・・とは言ったものの・・・・)
視界内に映る人間は、ほぼ全員がこの寂れ果てた場所に似つかわしい、
疲労と倦怠を漂わせる、中年以上の男たちだった。
会社をリストラされて帰る家もなくしたらしい、薄汚れたスーツ姿の日本人。
なまりの強い中国語で何か口論している、白髪頭の中国人たち。
薬物か何かの入った小さな紙の包みを手に、値段の交渉をしている黒人の中年男性・・・・。
(ロクなヤツがいないわね・・・・ま、これが現実ってトコロかしら?)
形の良い唇から自嘲気味な笑みがこぼれる。
外国人や犯罪者たちが群れる裏通り、警察官すら近付くのを躊躇う無法地帯、という、
週刊誌の煽り文句のような噂話を信じて、わざわざ足を運んできたのだが、
実態は、今、目にしている通り、他と比べて多少治安が良くない場所、というだけでしかなかった。
(つまらないわね。・・・・もう、帰ろうかしら)
――――そう感じて、踵を返しかけた、瞬間だった。
(12)
「よう、姐ちゃん。見ない顔だが、こんな時間から客引きかい?」
背後からかけられた声に驚いて振り返ると、
ペイズリー柄の真っ赤なシャツを着込んだパンチパーマの若者が、三白眼で睨み付けていた。
後ろでは、同じような派手の身なりの若い男たち
――――彼よりも更に年下、自分と殆ど変わらないぐらいの少年が2人、
加えて、先程の二人組がニヤニヤと笑い合っている。
「この界隈で商売したいんだったら、然るべきスジにお伺いを立ててからやって貰わねぇとな。
この先は、ま、言わなくても分かるだろ?」
(私を、『売り』だと勘違いしてるの?
・・・・まぁ、こんな場所へこんな格好で来たんじゃあ、そう思われても仕方ないか)
麗子は口の中で苦笑を噛み殺した。
今、身に着けているのは、私服ではなく、学校指定のセーラー服。
鞄は邪魔になるのでリムジンの後部座席に置いてきていた。
たしかに、こんな服装で風俗街のド真ん中に立っていれば、援交目的と誤解されても仕方ないだろう。
どうやら、先刻近付いてきたイラン人は、そのあたりを確認して、
仕切り役・・・・多分、何処かの組の準構成員に違いない、目の前の若い衆に、
報告するのが本当の役割だったらしい。
(13)
(面倒な事になったわね・・・・でも)
――――この状況はある意味、チャンスかもしれない。
凄みを利かせるパンチパーマを見つめつつ、素早く計算を働かせる赤毛の少女。
目の前の彼は、自分を『売り』目的の商売女と判断している。
当然、目的は、第一義的には金銭、もしくは、同等の価値のある何かだろう。
(・・・・それに、コイツだったら、
少なくとも、そこのベンチで寝転がってるホームレスやイラン人よりは身奇麗にしてる筈だわ)
「悪かったわ。でも、お金は許して。でないと、あの人に何されるか・・・・」
紫色の瞳の奥に好色な笑いを浮かべながら、しおらしい声音を作り、泣き付いてみせる。
・・・・無論、そんな言い分を真に受けるヤクザなどいる筈がないのは百も承知の上で。
案の定、少年は首を縦に振ろうとはしなかった。
(14)
「うるせぇよ。だったら、マチ金行って金借りて来りゃいいだろうが。
何だったら、オレが良い店紹介してやろうか?」
「お、お願い、堪忍して・・・・」
今にも泣き出しそうな表情を作ってみせると、
チンピラは完全に舞い上がり、警戒心を失くした。
あんまり大したヤツじゃなさそうね、と、内心軽い失望を覚える麗子。
暴力団関係者という訳ではないが、この種の人間は、父親の会社にも取引先にもゴマンといたし、
彼女自身も何度と無く目にした経験があるので、すぐに分かる。
「お金はダメなの・・・・でも、それ以外だったら、何でもしてあげる。
だから、今日のところは許して・・・・ねぇ、後生だから」
(15)
「ほぉ、何でも、かよ?・・・・姐ちゃん、その言葉に嘘はねぇだろうな?」
三白眼をぎらつかせる準構成員に、心の中で、かかったわ、とほくそえむと、
麗子は睫毛を震わせながらコクコクと頷いてみせた。
元より、適当な相手を見つけて、セックスに誘うつもりだった彼女にしてみれば、
対象が、公園にたむろしている不法滞在の外国人から、下っ端ヤクザへと変更になっただけに過ぎない。
(少なくとも、イラン人よりはマシだわ。あいつら、井伊よりも体臭きつそうだったし)
「いいだろう。だが、逃げたりしねぇように、金は預かっとくぞ。
・・・・心配すんな、ちゃんとオレ達を満足させる事が出来たら、返してやるからよ」
まくし立てるなり、パンチパーマは少女の手から財布を奪い取り、中を確かめた。
現金とキャッシュカードを抜き取って、ズボンのポケットへと捻じ込むと、財布は投げ返す。
(16)
「ほ、本当に返してよ、約束だからね!?」
切羽詰った口ぶりは、名優の域に達している、と言っても良いくらいだった。
本当は、その程度の金額など、奪われたとて痛くも痒くも無かったし、
用心のため、キャッシュカードは自分の名義では作っていない。
トラブルに備えて、携帯や学生証などはリムジンの中に置いてきていたから、困る事は何も無かったのだが。
「うるせぇ、とっとと歩けよッ!!」
乱暴にまくし立てると、少年は麗子を小突き上げ、
大物を仕留めて山を下りる猟師のように、肩で風を切りながら歩き始めた。
その後に、離れた場所で様子を眺めていた仲間たちが続く。
二人組のイラン人も、あわよくばおこぼれにありつけるかもしれない、と期待して付いて行こうとしたものの、
すげなく追い返され、恨めしそうに一行を見送るしかなかった。
(17)
「――――ほら、さっさと服脱いで、横になれッ!!」
連れ込まれたのは、廃ビルと呼んでも差し支えないほどのオンボロ・アパートの一室だった。
電気を止められているのか、室内はひどく薄暗く、
カップ麺やコンビニ弁当の空容器と空のペットボトル、ビールの空き缶が床一面に散乱して異臭が漂っている。
家具といえる物も、スプリングが粗方ダメになり、今にも壊れそうに軋んでいるベッドが一つだけ。
(・・・・さすがに、ここに住んでるって訳じゃあ無さそうね)
容赦なく鼻腔に侵入してくる臭気に閉口しつつ、麗子はおとなしく命令に従った。
クラリーノの革靴を脱いで、黄ばんだ皺だらけのベッドに上がると、
チンピラたちに背中を向けて、セーラー服の真紅のマフラーを抜き去り、ボタンを外していく。
若者達は、自分に話し掛けてきた少年を含めて3人。
言葉遣いから想像するに、パンチパーマがリーダー格で、他の二人は格下らしかった。
アパートの軒下には、ボロボロの建物には不釣合いな、
ピカピカに磨き上げられた大型バイクが2両並べて駐めてあった事から考えて、
あるいは、彼らは暴走族仲間なのかもしれない。
久しぶりに規制に引っ掛かってしまいました・・・・。
続きはまた後ほど。
投下再開します。
(18)
「ヘッヘッヘッ、ちょっと痩せてるが、まぁまぁ上物だな」
「ビデオ持って来れば良かったか?結構高く売れるかもしれねぇぜ」
「そういう事はもっと早く気づけよ・・・・チッ、ここじゃあ、暗すぎて撮影出来ねえよ」
背中越しに聞こえる下卑た会話。
ビデオの話が聞こえた時は、さすがに、しまった、と思ったが、
どうやら、まだ運は味方してくれているらしい。
動揺を悟られないよう、セーラー服の上着を脱ぎ、皺にならないように丁寧に折り畳む。
「時間が無ぇんだよ、とっととしやがれッ!!」
パンチパーマが欲情した声を発した。
もう我慢出来ないのか、カチャカチャと耳障りな金属音を掻き鳴らしながら、ベルトを緩め始めている。
苦笑いを噛み殺しつつ、赤毛の少女は学校指定の紺色のスカートを脱ぎ、
次いで、下着の上に羽織った、化繊のシュミーズに手をかけた。
背後で、ゴクン、と唾を飲み込む音が響き渡る。
(19)
「ちぇッ、まだあんまし脹らんでねぇな」
シュミーズを取り去り、(靴下を別にすれば)ブラとショーツを残すだけになった赤毛の少女。
若者達は好色そうな笑みを浮かべながら、遠慮の無い意見を口にする。
実際、彼女の身長体重は、同じ年齢の女子高生の平均値とほぼ同じくらいだったが、
スリーサイズに関しては、やや物足りない、と言っても過言ではなかった。
「へへッ、知ってるか?最近は巨乳より貧乳の方が流行ってるんだぜ」
一人、パンチパーマだけが彼らに同調せずに、
目の前の少女を(かなり微妙な言い回しで、ではあったが)擁護する。
見れば、ズボンはすでに脱ぎ去っており、
シャツと同様に、派手というよりも悪趣味と言った方が的確な、極彩色のトランクスの真ん中で、
男性自身が高々とテントを張って聳え立っていた。
「・・・・というわけで、最初はオレが味見をさせて貰う。
巨乳大好きなオメーラに文句言われながら相手されても、姐ちゃんだって面白くねぇだろうからなぁ」
(20)
「あ〜、そいつはずり〜ぜッ!!」
「兄貴だって、この間は巨乳の方がいい、って言ってたじゃんかよぉ!!」
舎弟たちのブーイングをものともせずに、
準構成員はトランクスを摺り降ろし、いきり立った肉棒を掴み出した。
(ッ!?)
いきなりの蛮行に、思わず顔を背ける麗子。
だが、すぐに冷静さを取り戻すと、男根へと向き直る。
長さはおよそ17、8センチ、日本人男性の平均サイズを少し上回るくらいだが、
決して巨根と呼べるような代物ではない。
亀頭部分に黒ずみはなく、若々しいピンク色が残っていた。
有体に言って、筆下ろしは済んでいるものの、まだ使い込まれているというには程遠い状態である。
(21)
「とりあえず、しゃぶって気持ち良くさせて貰おうか?
・・・・言っとくが、歯を立てたりしたら承知しねぇぞ」
それでも、口だけは達者に男根を押し付けてくる、パンチパーマ。
ツン、と、微かな刺激臭が鼻腔に突き刺さり、瞼の奥で小さな電気火花が花を咲かせる。
「・・・・んむッ・・・・んくうッ!!」
柔らかな朱唇が鈴口に密着する。
途端に、少年の背筋が、びくん、と嬉しそうに跳ね、
背後で見守っていた弟分たちから、歓声ともため息ともつかないどよめきが漏れる。
「うほぉッ、結構上手に出来るじゃんかよッ!!
そうだ、先っちょの割れ目のトコ、もっと抉ってくれ・・・・もっと強くッ!!」
勝ち誇った表情の準構成員に、チラリ、と視線を投げかけると、
舌先で、早くも透明な液体を滲ませ始めた亀裂を丹念になぞり上げた。
粘っこい先走り汁が口腔一杯に広がり、噎せ返りそうになる。
(22)
「や、やべぇ、コイツ、すげえ上手ぇよッ!!
あッ、そ、そこ舐めるの・・・・ああッ、マジでやべぇッ!!」
堪え性も無く、ビクビクと体を震わせ始める若者に物足りなさを覚えながらも、
赤毛の少女は、ぐぐぐっ、と顔を寄せ、陰茎を根元まで咥え込んだ。
舌の先端を自在に操り、裏スジから雁首まで、余す所無く嘗め回す。
「おわわッ・・・・や、やべぇよッ!!コイツのフェラ、まじでヤバすぎるッ!!」
黄色い声を発しながら、パンチパーマは自らも動いて、
暴発寸前のペニスをグイグイと押し込んでくる。
ここにきてようやく、麗子も、乱暴に喉を衝かれて鼻先に星が飛び散り、
紫色の瞳に生温い涙が浮かんでくるのを感じ始めていた。
狭い口腔内を埋め尽くした淫根の逞しい感触が、
頭の中で脳髄を焙られる熱さへと変換されていくにつれて、
快楽物質の分泌が促進され、トロンと酒に酔ったような鈍い光が目元を覆っていく。
――――だが、次の瞬間、束の間の恍惚と淡い期待感は見事に裏切られる事になる。
(23)
「うあぁあッ!!も、もうダメだぁッ!!で、射精るぅ・・・・射精ちまうよォ!!」
情けない叫び声と共に、少年の全身が痙攣に包まれた。
――――ビュクビュクビュクッ!!!!と、
呆気ないくらい簡単に肉根が爆ぜ、筒先から生臭い白濁液が噴き出してくる。
「うむッ・・・・むくぅうッ!!!!」
あまりに堪え性の無い牡棒に深い失望を覚えながら、
それでも、麗子は、柔らかな舌の上に広がる熱い飛沫を少しでも長く味わおうと、
跳ね回る陰茎を、なおも愛しそうにしゃぶり回し、吸い尽くそうとする。
・・・・だが、ひとしきり射精が終わってもまだペニスを離そうとしない貪欲な吸引に本能的な恐怖を感じたのか、
パンチパーマは少女の髪を掴んで、強引に股間から引き剥がした。
そして、何か得体の知れない怪物でも目にしたかのような表情を貼り付けたまま、ベッドの下に沈没していく。
(・・・・な、何よ、口先ばっかりで、全然大した事無いじゃない!)
あまりに身勝手な態度に呆れ返る麗子。
だが、喜悦に惚けた人間に怒りをぶつけても仕方がない。
やむなく、彼女は、溜まった精液を、こくん、と飲み下すと、
形の良い口元から白濁した精汁の糸を垂れ流したまま、背後を振り返り、
一部始終を固唾を呑んで見守っていた後ろの2人に向かって、妖艶に微笑みかけた。
(24)
「ウフフッ、次に相手してくれるのはどっち?」
ゴクリ、と、唾を飲み込むヤンキー二人組。
その視線は、快感のあまり、だらしなく頬を緩め、天井を仰いで轟沈している兄貴分と、
薄ら笑いを浮べてこちらを見つめている、下着姿の少女の間を交互に行き来している。
(・・・・フン、三人揃って情けないったらありゃしない・・・・)
少年達に向かって、盛大に舌を打ち鳴らす麗子だったが、
指揮官を失ったチンピラたちは互いに顔を見合わせるばかりで、前に進み出ようとはしなかった。
元より、パンチパーマの下で、指示に従順に従っているだけの三下である。
一時的にとはいえ、リーダーが戦線を離脱した状況には不慣れであり、
また、どうやら、このような場合の序列についても、明確には決まっていないようだった。
(25)
「・・・・まったく、しょうがないわね。
じゃあ、特別に2人一緒に相手してあげるわ・・・・それなら、良いでしょ?」
唖然とする三下達に向かって、
ニィッ、と唇の端を歪めながら、挑発的な眼差しを投げ付ける麗子。
――――のみならず。
「ほら、いつまでグズグズしているつもりなのよッ!?」
勢い良く、ブラジャーを剥ぎ取ると、精一杯反らした胸の中で、
手の平の内側にすっぽりと収まるぐらいのサイズの、お椀を伏せたような白い脹らみが揺れ動いた。
豊かな、という形容を必要とする大きさとまではいかないが、
胸乳からは、見た目以上に牡の本性を刺激する妖しいフェロモンが漂っている。
(26)
「こ、このアマ、言わせておけばッ!!」
「舐めくさりやがって、もうカンベンならねぇぞッ!!」
案の定、激昂に駆られたチンピラたちは、
同時に(勿論、無意識のうちに、だが)深く安堵しつつ、一斉にベッドへと飛び込んでくる。
「よっしゃあッ!!一番乗りィッ!!」
ハスキーな声を上げたのは、頭を茶髪に染め上げたTシャツの少年。
普段は塗装工か何かとして働いているらしく、
全身に染み付いたシンナー系の臭気に鼻腔を突き刺されて、
麗子は軽く咽せ返り、顔を仰け反らせた。
だが、彼は、嫌がる少女の反応に嗜虐心をそそられるタイプなのか、
石油製品を扱う仕事柄、赤く充血した両眼を更に血走らせながら、
目の前で微かに体を震わせる美しい獲物にむしゃぶりつこうとする。
「ちッ、出遅れちまったぜッ!!」
僅かに遅れて、ベッドに飛び乗ったのは、
いかにも体育会系というガタイの、陽に焼けた若者。
三人の中では一番体格が良く、筋肉の付き具合も隆々として逞しいが、
派手なプリント柄のトランクスを摺り下して掴み出した怒張のサイズは、
惜しい事に、精々十人並みでしかなかった。
(27)
(・・・・まったく、揃いも揃って大した事無いヤツばかりね・・・・)
内心、深々とため息を漏らしつつ、
それでも、ベッドの上に四つん這いになった麗子は、上目遣いに二人をねめつけてみせた。
どうせ、彼らも、セックスのテクニックや経験という点では、
足元で惚けた表情を浮べている兄貴分と五十歩百歩に過ぎないのだろうが、
既に火の付きかけているこのカラダの、疼きを鎮める役ぐらいには立ってくれるだろう・・・・。
「おっと、なかなか良い具合に濡れてやがるぜッ!!」
背後に回った茶髪少年が、汗ばんだショーツに鼻先を近付けながら興奮した囁きを漏らした。
その直後、骨張った指が、ゴムの入った薄布の縁を掴んで、ぐいッ、と力任せに引き摺り下ろす。
「ひぃあッ!?」
節くれだった指先、そして、シンナーと汗とが入り混じった不気味なぬめり気に、尻を撫でられて、
思わず、びくり、と、背中を震わせ、顔をしかめる赤毛の少女。
どちらか一方だけならば、気色悪さも許容可能な範囲内に収まっていただろうが、
おぞましさのコラボレーションの前には、さしもの彼女も引き攣った声を上げずにはいられなかった。
(28)
「へへッ、イキがっていても、やっぱり女だな。可愛い声で泣くじゃねぇかッ!!」
たちまち気を良くしたTシャツ男が嘲笑を浮べる。
それに後押しされたのか、体育会系少年も、負けじとばかりに正面に回り、
掴み出した股間のイチモツを精一杯扱き立てながら、
先程、パンチパーマが惨めな敗北を喫したばかりの口元に突き入れてくる。
「うむぅ!?・・・・むぐぅううッ!!」
乱入してきた異物に気道を塞がれて、大きく両目を見開く麗子。
両顎の間では、肉竿が、びゅくん、と、勢い良く跳ね、
生臭い精臭を、口腔一杯に、所嫌わず、撒き散らしていく。
一時的にだが、息が出来なくなった彼女が、顔面を歪めながら苦悶の喘ぎを漏らすと、
はずみで、舌先が、まるで別個の意志を持った生き物のように動き回り、
ペニスの表面で、ピチャピチャと卑猥な即興ダンスを舐め躍った。
(29)
「うぉおおッ!?すげぇ・・・・すげえよ、コイツの口マ○コッ!!」
少年の双眸が歓喜に見開かれ、悲鳴にも似た甲高い奇声が噴き上がった。
と同時に、舌根にくるみ込まれたイチモツが、更に一回り大きく膨張し、
早くも、ピクピクピクッ、と敏感な痙攣を発し始める。
「うぉ、オオッオッオッ・・・・!!た、たまらねぇ、今にも射精ちまいそうだッ!!」
だらしなく大口を開けたまま、早くも泣き言を漏らし始める、体育会系、。
少女の毛髪を掴んでいた両手に、思わず、力がこもり、
生温かいクチビルが、限界まで勃起しきった陰茎の根元に触れるまで、グイグイと押し込んでいく。
下手をすれば、相手を窒息させかねない危険な行為だが、
めくるめく口淫の快感に我を忘れ、牡の本能に支配された彼には、
それを判ずるだけの理性さえ、もはや残されてはいなかった。
(30)
(フフフ・・・・前立腺がピクピク震えてる。もうすぐ放出ね)
麗子の方は、と言えば、一時期の混乱を脱して、急速に落ち着きを取り戻しつつある。
・・・・というより、だんだんと意識が醒めてきた、という表現が適切だろうか?
続けざまのフェラチオで性の感覚はより敏感になり、
彼女の中の牝の部分が激しい炎に包まれて燃え盛っているのだが、
それらとは反比例するかの如く、男たちを見据える眼差しは冷やかさを増す一方だった。
(所詮、どれだけワルを気取っていても、チンピラはチンピラでしかないんだわ・・・・)
口腔内でのた打ち回る、暴発寸前の水道ホースを舌先であやしながら、こっそりと息を吐く。
結局のところ、あんなうらぶれた、ゴミ捨て場同然の公園に集まる人間の中に、
週刊紙や深夜のTV番組で取り上げられるような本物のアウトローなど、いる筈がないのだ。
いや、そもそも、そのような存在自体、
大衆向けマスコミの記者たちが生み出した、架空の産物でしかないのかもしれない。
(31)
(私もどうかしていたわ・・・・あんな三文記事を真に受けるなんて)
びゅるッ!!びゅくびゅくびゅく――――ッ!!!!
少年の男根がついに限界点に達し、
狭い口内全体に白濁した液体をぶち撒けながら躍り狂う。
「ひ、ひぃぃッ!!」
むぅっとするようなイカ臭い牡臭が喉奥へと流れ込み、
ドロドロとした精液の生温かい感触が粘膜を浸していく。
再び、だらしない悲鳴を放ち上げたチンピラは、
なおも貪欲に陰茎を咥え込んだまま離そうとしない麗子に対して戦慄を覚え、
先刻のパンチパーマと同じく、大慌てで己の男性器から引き剥がした。
(32)
(ぐッ・・・・何するのよッ!この早漏野郎ッ!)
はずみで、溜め込んだ精液が気管へと入り込み、激しく咳き込む。
思わず、怨嗟の視線を投げ付けると、
少年は、射精を終えたばかりのイチモツから細いザーメンの糸を垂らしつつ、
先に沈没した兄貴分の隣で壁際にもたれかかり、仲良く並んで、忘我の喜悦に意識を委ねていた。
(はんッ!!仲のおよろしい事でッ!!)
激しく舌打ちを漏らした赤毛の少女は、
口元の汚液を手の平で拭い去ると、最後の一人・・・・背後にいるシンナー男を振り返る。
首尾よくショーツを摺り下したまでは良かったが、
相方の体育会系が、目の前で為す術も無く果てさせられてしまった様子に圧倒されて、
下着の端を握り締めた間抜けな格好のまま、茫然と動きを止めていた三下は、
冷たい眼差しに気付くと、いかにも気まずそうな表情を浮べつつ、目を逸らした。
(33)
「・・・・ちょっと、挿入るんだったら早くしなさいよ!!
それとも、アンタも口でして欲しいの!?」
苛立たしげにクチビルを尖らせる。
それでなくても、舌先に残った精液のヌルヌル感が不快さを倍化させていた。
「う、うるせぇッ、すぐにぶち込んでやるぜッ!!」
挑発の言葉を受けてようやく、自失状態から立ち直るシンナー少年。
とはいえ、選択したのは、二人の仲間が立て続けに果てさせられたフェラチオではなく、
まだ誰も手を触れていない女陰の方だったが。
間近に眺める秘所は、赤茶色の恥毛がまだ完全には生え揃わず、
肉丘の盛り上がりも、大陰唇の厚みも、未だオンナとしての成熟の域からは程遠い。
大人の女性の秘部を覗き見た経験と言えば、
くすねた親の金で風俗に行った時ぐらいしかない、彼の目にさえ、その事実は明らかだった。
(34)
「・・・・なんだ、吹かしやがって。ココはまだネンネじゃねェかよ」
感情の起伏がすぐ言葉に現れる性格なのだろう、たちまち、少年の口調は一変した。
思わず、むっとする麗子だったが、
彼の指摘が決して的外れなものではないのは自分自身が一番良く知っている。
「きっと膣内はキツキツだな・・・・少し濡らしとかねぇと入るモンも入らねぇ」
先刻までとは一転、俄然やる気を出す塗装工。
潤滑剤代わりに、ペッペッ、と唾を吹きかけ、指先を濡らすと、
太股の間からのぞいている薄桜色の二枚貝へと伸ばしていく。
「うくッ!?」
揮発油の臭気がたっぷり染み込んだ野太い指に敏感な場所をまさぐられた瞬間、
赤毛の少女は、背筋を、ぶるッ、と震わせて、我知らず、両手を握り締める。
その反応に気を良くした若者は、さらに顔を近付けると、
薄く汗ばんだ色白の桃尻へとしゃぶりつき、柔かい肌に歯を立てた。
(35)
(こ、この・・・・変態ッ!!)
おぞましさに総毛立つ、赤毛の少女。
別段、皮膚を食い破られるほど強く噛まれている訳ではないのだが、
少年の、ノーマルな性行為とはとても言い難い暴挙の裏に潜む、
人を人とも思わぬ残忍性の一端を垣間見た気がして、寒気が止まらなかった。
・・・・しかし、その一方で。
「おおッ!?ケツを噛まれて感じ始めたのか?
急に、愛液の量が多くなったぞッ!!」
馬鹿な、と、反射的に声を上げそうになる麗子。
だが、次の瞬間、媚肉の奥で、じゅん、という、湿り気を帯びた卑猥な音が響き渡り、
不快感に由来するものとも嫌悪感に由来するものとも明らかに異なる、
ぞっとするような痙攣が、腰椎の間を、次いで、背筋全体をガクガクと痺れさせた。
(36)
(ど、どうなっているの・・・・ま、まさか、本当に感じているとでもッ!?)
愕然とするものの、そんなハズは無い、と否定する事は出来なかった。
少年のあけすけな指摘の通り、
秘裂を濡らしている密液の湧出は、自分でもはっきりと自覚できる程、急激に量を増しつつある。
加えて、尻を噛まれるたびに、ゾクッ、ゾクッ、と異様な快感が湧き起こり、
陰唇粘膜全体に、焼きゴテを押し付けられたかのような熱さが広がっていた・・・・。
「ほう・・・・尻を噛まれるのが気持ち良いのか?」
いつ目を覚ましたのか、床にダウンしていた筈のパンチパーマが、
三白眼に嘲笑を浮べて、自分を見下ろしていた。
フェラチオによって一度はイキ果てた股間のイチモツは、元通りに勃起を回復し、
ギラギラとした欲望を宿して、抜き身の日本刀の如く、固く反り返っている
(甘く考えていたわ・・・・こんなに早く、復活するなんてッ!?)
我知らず、息を止める麗子――――この上もなく甘美な激痛が襲ってきたのは、その時だった。
(37)
・・・・・・・・ずじゅるッ!!!!
肉孔を抉る鈍い音と共に、カラダに異物が突き刺さる。
一瞬、己の身に何が起きたのか分からず、怪訝な表情を浮べた赤毛の少女は、
直後、肛門を貫いた激しい痛みに顔面を引き攣らせ、悲鳴を上げた。
「ひぎぅッ!?・・・・ひぎゃあああああッッッ!!!!」
華奢な肉体が壊れかけのゼンマイ人形のように痙攣し、
手足の筋肉が、ギクギクギクッ、と、引き千切れんばかりに硬直していく。
スベスベとした生白い背筋が総毛立ち、
次いで、全ての汗腺が全開となって、数え切れない程の冷たい汗粒に覆われていった。
「やっぱりだぜ、アニキ!!この女(スケ)、尻の穴で感じてやがるッ!!」
族言葉丸出しで、興奮した叫び声を放つシンナー少年。
勝利の喜びに湧き立つ視線の先では、グロテスクな形をした黒い淫具が、
真っ赤に充血して、今にも張り裂けそうなすぼまりに深々と刺さっていた。
また連投規制で書き込めなくなってしまいました。
最近、チェックが厳しくなったんでしょうか?
(38)
「ケッ、とんだ変態女だなッ!!」
泣き叫ぶ少女に向かって、ペッ、と唾を吐きかけると、
チンピラ達のリーダーは汗に濡れまみれた髪の毛をわし掴み、
彼女の顔面を、強引に、自分の下腹部・・・・獣欲に猛り狂う牡槍の正面へと引き寄せた。
「おら、オメーの大好きなおチ○ポさまだよ。とっとと咥えてしゃぶりやがれッ!!」
怒鳴り散らすなり、満足に息も注げずにいる少女の唇に向かって、復讐の刃を突き入れるパンチパーマ。
その下では、ベッドに腰を下ろしたTシャツ少年が、
対面座位の体勢から、いきり立った男根で恥裂を深々と突き上げ、
牝汁でドロドロになった花園を、欲望の赴くまま、蹂躙し始める。
「おい、ぼさっとしてねェで、お前も何か手伝えよ」
兄貴分に命令されて、体育会系も起き上がった。
体を鍛えている分回復も早いのだろう、下半身も先刻以上に元気そうであるが、
困った事に、口元と膣穴にはすでに先客がいて、塞がれてしまっている。
(39)
「迷う事ァ無ェだろ、バイブを抜いてケツ穴にぶち込んでやれ」
尻肉に噛み付いていたのと同じ要領で、
今度は乳房を責め立てていたシンナー少年が陽気な声で相棒を誘った。
彼ほどにはアブノーマルな性癖の持ち主ではないのだろう、
一瞬だけ、イヤそうな表情を浮べた体育会系だったが、
元より、他に肉棒を挿し込める穴が存在しない以上、結局はその言葉に従うしかない。
「むぐぅうッ!!・・・・うむゅううううッッッ!!!!」
三人がかりで一斉に責め立てられては、さしもの麗子も平静ではいられない。
無論、彼女とて、週刊誌やハウツー本などの媒体を通じて、
世の中にはこうしたレイプ同然のセックスも存在しているのだ、と聞き知っており、
また、(漠然とではあるが)その種の性交に対して、一種の羨望にも似た、好奇心を抱いていたのも事実だった。
だがしかし、現実に自分自身がその立場に立たされてみれば、
感じるのは圧倒的な痛みと苦しみだけで、本に書いてあったような快感など何処にも無く、
己れが如何に甘い妄想に浸っていたのか?がひしひしと理解できる。
(40)
(く、苦しい・・・・い、息がぁッ!?)
満足に呼吸さえ出来なくなり、次第に意識朦朧となっていく。
だが、チンピラ達は、少女の窮状などお構い無しに、
口元を、喉奥を、乳房を、恥丘を、膣穴を、子宮を、肛門を、直腸を・・・・陵辱するのに夢中になっていた。
(あああ・・・・意識が・・・・遠のいていく・・・・!!)
目の前が、暗く霞み始めていくに至って、死の恐怖さえ覚え、恐れおののく。
・・・・このままでは死んでしまう、何とかしなければ・・・・!!
必死に足掻いて、窮状を知らせようとするものの、
陵辱者たちは一向に気付く事無く、それどころか、更に各々の腰の動きを加速させていった。
(・・・・た、たすけて・・・・だれか・・・・だれかぁ・・・・)
フラットになっていく思考の中、脳裏に浮かぶのは・・・・毎夜うなされていた、あの夢の光景。
徐々にぼやけ、輪郭があやふやになっていく視界の中で、
欲情に魂を奪われた少年達の顔が、獣とも人ともつかない、奇怪な化け物のそれへと変わっていくのを、
麗子は確かに目の当たりにし――――直後、永劫の闇の底へと呑み込まれていった・・・・。
(41)
・・・・・・・・寒い。
・・・・身体が、まるで、凍り付いてしまったよう・・・・。
「――――やべぇ、アニキ、この女、息をしてねぇよッ!!」
「とっとずらからろうぜッ!!」
「馬、馬鹿ッ、死体を置いて行く気かッ!?」
「そうだ、始末しねぇとッ!!」
「真夜中になるのを待って、そっと運び出すんだ。重しをつけて晴海埠頭かどっかに・・・・」
「・・・・そんな事をして貰っては困るな。
彼女にはこれから私のためにうんと働いて貰わねばならないのだから」
・・・・誰だろう?この声は・・・・?
「だッ・・・・誰だ、てめぇはッ!?ど、何処から入ってき・・・・うがぁあああッッッ!?」
「・・・・さあ、目を開けなさい。<ヴェカンタの戦士>よ・・・・」
・・・・一体・・・・誰・・・・なの?
<ヴェカンタ>・・・・?<戦士>・・・・?いったい・・・・何のこと・・・・?
――――――――TO BE CONTINUED.
支援出来ずに申し訳ない…
しかし今回はエロい!
以上、2度にわたり連投規制で書き込みが中断してしまいましたが、
何とか投下を完了する事が出来ました。
(特にラスト周辺)もう少し執筆に時間をかける事が出来れば良かったと反省していますが、
仕事が多忙を極めた関係で、今回はこれが限界でした。
ご期待頂いていた皆様には大変申し訳ございませんでした。
なお、今回の投下で、スレの残り容量が50KBを切りましたので、
そろそろ新スレッドが必要な頃合いかと存じます。
これに伴いまして、次回は『戦士集合』第5章をお送りしたい、と思います。
8月中旬〜下旬の完成・発表を予定しておりますので、しばらくお待ち下さいませ。
(なお、『3V』第21章は、次々回発表予定とさせて頂きます)。
それでは、今夜はこの辺で〜。
今回エロいとか言ってんのはM男だろ。
SS乙です
保守
hoshu
腐臭
保守。
ほ
754 :
名無しさん@ピンキー:2010/08/07(土) 22:26:49 ID:RLz/87Xp
し
保守
hoshu
757 :
名無しさん@ピンキー:2010/08/26(木) 21:49:00 ID:ItQyB2HK
ほ
お待たせいたしました〜。
『戦士集合』第5章、本日完成いたしました。
(スレの残り容量が少し不足気味のため)発表は新スレにて行いたい、と思います。
どなたかスレを立てて頂けると大変有り難いのですが。
立てれるかどうかやってみる
759=760
微妙な時間でIDかわっとるw
皆様、お待たせいたしました〜。
『戦士集合!』第5章、新スレに投下完了しています。
つうかこのスレどうすんの?
現在460KBで、生半可なことじゃ埋めようが無いんだけど。
だれか、短編のSSでも投下してみては。
だれかって、そんなもんいつから投下されてないと思ってるんだ
>>764 短編SSですか・・・・。
エロ成分無し、ギャグパロのみ、で良ければ、
すぐに投下可能なSSが一つあるんですが、需要はおありでしょうか?
他に埋める人いないんだから
只今より、梅SS『日常あるいは(以下略)』投下いたします。
なお、
>>766で書いている通り、エロ成分はございませんのでご注意下さい。
(1)
――――――――夢幻界。ヴァニティ城。食堂。
十分に熱せられた鉄網の上、脂の乗った極上の肉片の焼ける香ばしい匂いが、
集まった<戦士>たちの食欲を掻き立てていた。
(2)
じゅうじゅうじゅう。
「やっぱ、仕事が終わったあとは焼肉だよねぇ」
「そうですね」
「ちょっとぉ、麗夢ったら、何ブツブツ言ってんのよ?気持ち悪いわね」
(3)
ジュウジュウジュウ。
「な、何よッ!陽子、私は今のこの幸せの・・・・って、ソレ、私が焼いてたヤツじゃないッ!!」
「うっさいわねぇ、誰がどれだなんてセコイ事言わなくたって――――ったくもう」
(4)
じゅーじゅーじゅー。
「セ、セコイとは何よ、セコイとはッ!!私はね、タン塩が大好きなのッ!!」
「カンケーないでしょ。てゆーか、肉ばっかり食べてると太るわよ、野菜も食べたら?」
「あ、ウーロン茶二つお願いします」
(5)
じゅーじゅーじゅー。
「ちょっとぉ、レムネアもさっきからヒレ肉ばっか食べないでよねッ!!」
「もう、麗夢ったら、いい加減に仕切るのやめなさいよ。ほら、カルビだって食べてるじゃない」
「レムネアは年寄りなんだから、ヒレ肉食べるのは仕方ないわよ」
(6)
ガシャン!!!!
「な、なんですってェェェッ!!」
「麻衣ッ!!アンタもさっきから見てれば、レバ刺しと御飯ばっかり頼んで。
今日は焼肉なんだから、肉を焼きなさいよッ!!」
「人がどういう食べ方したって良いじゃないですかッ!?
それより、麗夢さん、ツバを飛ばさないで下さい、汚いからッ!!」
「キャロン、あたしゴハンおかわりね」
「はい、わかりました」
(7)
じゅうじゅうじゅう。
「私は汚くなんかないわよッ!!
ちょっと、キャロン、サンチュはそうやって食べるんじゃないのッ!!」
「え、だって、面倒だなぁと思って・・・・」
「も――――ッ、いい、見ててよ?
こうやって焼いた肉を葉っぱの上に取るでしょ、そして、こっちのミソをつけてぇ・・・・。
でもって、こう、巻いてから、ん――――うまいッッッ!!!!」
(8)
がちゃがちゃ。
「クッパ頼んだの、誰?持ってきてくれたわよ」
「・・・・あ、私です。ビビンバはキャロン?」
「きゃあああッ、エビの頭から、変な液体がッ!?」
(9)
じゅーじゅーじゅー。
「え、あたしじゃないよ。レムネアじゃない?」
「私?頼んでないわよ。麗夢じゃないの?」
「私はね、焼肉とゴハンだけなのッ!!あとはいらない!!」
「じゃあ、あたしが食べるわ。いいっていいって」
(10)
だんッ!!!!
「だーかーらー、さっきからヒレばっかり食うなって言ってんのにッ!!」
「なによ、そういう麗夢だって、上ロースばっかり食べてるじゃないのよッ!?」
「あち――――ッ!!ネギの中がっチチチッ!!水、水持ってきて、早く――――!!」
(11)
ジュウジュウジュウ。
「骨付きカルビ来たよ・・・・?」
「あ、こっちこっち、コレがまた、美味いのよぉ!!」
「コーラください」
(12)
パチンパチン。
「そういえば、優子と麗子はどうしたの?」
「えっと、『おスシ』ってのを食べに別の部屋に行ったみたいだよ」
「あ――――、私もお寿司の方が良かったなぁ!!」
「麻衣ッ、さっきから聞いてれば、アンタには焼肉を食べる資格は無いわ!!出てってちょうだい!!」
(13)
ガタンッ!!――――ガシャァァアンッ!!!!
「・・・・で、出て行けばいいんでしょッ!!
何よ、麗夢なんて・・・・私だって・・・・私・・・・だって・・・・ううう・・・・!!」
「あーあ、泣かしちゃった。あたし、知ーらないっと」
「さすがに、大人げないわよ」
「麻衣・・・・大丈夫かしら?」
(14)
「・・・・も、もう、なによ、麻衣ったら、焼肉ぐらいで本気で泣き出したりしてッ!!
――――って、もう、何度言えば分かるの、ヒレばっかり食べないでよ、レムネアッ!!
陽子も、そんなにゴハンばっかり詰め込んで、気持ち悪いッ!!
キャロン、デザートを食べるのはまだ早・・・・あああッ!?」
――――――――バキッ、ボコッ、ドガァッ・・・・!!!!
<完>
以上、梅SSをお送りいたしました〜。
・・・・元ネタが分かる方は、何人ぐらいいらっしゃるのでしょうか?
うむ!
まったく元ネタがわからない
ウメハラぐらいしか思いつかない
次スレ立てたばかりで言うのもアレだが、
もうビキニ鎧総合か何かにスレタイ変えたほうがいいんじゃないの
786 :
名無しさん@ピンキー:2010/10/03(日) 21:53:45 ID:jFene7MD
あの頃のビキニ鎧って、うる星とかにもいたような…。
異次元ハンターだっけ、ファンドラはどうだろう。
マシンロボにはそのまま、ビキニアーマーのキナがいたよね。
るーみっくワールドには、アマゾネスというキーワードは欠かせないからな
その伝統は、アシやってた人達にも受け継がれているのだな
ほ
ビキニじゃないレトロヒロインで、
スペースハンターのアルティアナとか、
スマイルバンの舞とか負けるな魔剣道、レイラ(ゲーム)
とか魅力的なヒロイン多いね。
ありすイン サイバーランドとかもったいない。
791 :
名無しさん@ピンキー:2010/11/16(火) 12:41:15 ID:+QWM8zXb
ありすサイバーランド懐かしい
会社の倒産なければ…
懐かしい
>>783 やっと元ネタが判りました!
なるほどそれで麗夢と陽子だったんですね
レトロヒロインだと
コスチュームがエロいレイナ・ストールやイクサー1もいいね
uuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuu
uuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuu
uuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuu
uuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuu
uuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuu
uuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuu
uuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuu
uuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuu
uuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuu
uuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuu
uuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuu
uuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuu
uuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuu
uuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuu
uuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuu
uuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuu
uuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuu
uuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuu
uuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuu
uuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuu
uuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuu
uuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuu
uuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuu
uuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuu
uuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuu
uuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuu
uuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuu
uuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuu
uuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuu
uuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuu
uuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuu
uuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuu
uuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuu
uuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuu
uuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuu
uuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuu
uuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuu
uuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuu
uuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuu
uuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuu
uuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuu
uuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuu
uuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuu
uuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuu
uuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuu
uuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuu
uuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuu
uuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuu
uuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuu
uuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuu
uuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuu
uuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuu
uuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuu
uuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuu
uuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuu
uuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuu
uuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuu
uuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuu
uuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuu
uuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuu
uuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuu
uuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuu
uuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuu
uuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuu
uuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuu
uuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuu
uuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuu
uuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuu
uuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuu
uuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuu
uuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuu
uuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuu
uuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuu
uuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuu
uuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuu
uuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuu
uuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuu
uuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuu
uuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuu
uuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuu
uuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuu
uuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuu
uuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuu
uuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuu
uuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuu
uuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuu
uuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuu
uuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuu
uuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuu
uuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuu
uuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuu
uuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuu
uuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuu
uuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuu
uuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuu
uuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuu
uuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuu
uuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuu
uuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuu
uuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuu
uuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuu
uuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuu
uuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuu
uuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuu
uuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuu
uuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuu
uuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuu
uuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuu
uuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuu
uuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuu
uuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuu
uuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuu
uuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuu
uuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuu
uuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuu
uuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuu
uuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuu
uuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuu
uuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuu
uuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuu
復帰
uuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuu
uuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuu
uuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuu
uuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuu
uuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuu
uuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuu
uuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuu
uuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuu
uuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuu
uuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuu
uuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuu
uuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuu
uuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuu
uuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuu
uuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuu
uuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuu
uuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuu
uuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuu
uuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuu
uuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuu
uuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuu
uuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuu
uuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuu
uuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuu
uuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuu
uuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuu
uuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuu
uuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuu
uuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuu
uuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuu
uuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuu
uuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuu
uuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuu
uuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuu
uuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuu
uuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuu
uuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuu
uuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuu
uuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuu
uuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuu
uuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuu
uuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuu
uuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuu
uuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuu
uuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuu
uuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuu
uuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuu
uuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuu
uuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuu
uuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuu
uuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuu
uuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuu
uuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuu
uuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuu
uuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuu
uuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuu
uuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuu
uuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuu
uuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuu
uuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuu
uuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuu
uuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuu
uuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuu
uuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuu
uuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuu
uuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuu
uuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuu
uuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuu
uuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuu
uuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuu
uuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuu
uuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuu
uuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuu
uuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuu
uuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuu
uuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuu
uuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuu
uuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuu
uuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuu
uuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuu
uuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuu
uuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuu
uuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuu
uuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuu
uuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuu
uuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuu
uuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuu
uuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuu
uuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuu
uuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuu
uuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuu
uuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuu
uuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuu
uuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuu
uuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuu
uuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuu
uuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuu
uuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuu
uuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuu
uuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuu
uuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuu
uuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuu
uuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuu
uuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuu
uuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuu
uuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuu
uuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuu
uuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuu
uuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuu