中途半端なので最初から投下します
「やだッ」
「あのなァ唯…」
「やだーッ!」
唯はそう言いながら、腕をブンブン振って自分の気持ちをアピールする
リトは溜め息を吐いた
ルンの持ってきたスカンクの影響で、唯を含め、ララや他の生徒の大半が幼児になってしまったのだ
その上、元に戻るのに一日掛かると言われた
「唯。いい子だからおウチに帰ろ、な?」
リトは小さくなった唯と視線を合わせるため、膝を屈めると、やさしく話しかける
けれど、その口調は完全に子供と話すもの
「やだ」
「頼むよ唯…」
唯はほっぺたを膨らますと、ムッとリトを睨む
「だ、だってこんなカッコ、家族になんて話ちたらいいのよッ!!?」
「そうだよなァ…」
リトは頭を抱えた。家の人に宇宙人の仕業でこうなった!なんて言っても信じてくれるはずがない
途方に暮れるリトの腕の中から、ララが身を乗り出す
「じゃー唯、ウチに来るといいよ!今日はお泊りしよ♪」
リトに抱っこされて、その声はうれしそうに弾んでいる
その光景に唯の肩がぷるぷると震える
「ララさん!ゆーきくんから離れなさい!」
「えー!でも抱っこしてくれたのはリトだよ?」
ララを指差しながら唯は、じっとリトを見つめた。その目はゆらゆらと揺れている
「ホント?」
「か、階段上るの大変そーだったから、見かねてさ」
どこかギコチない笑みを浮かべるリトの態度に唯はキュッと手を握り締める
「うぅ…。唯にもそんなコトちてくれたことないのに……」
「えーっと……。唯?」
リトを睨む唯の目にうるうると涙が溢れ出す
「唯も…唯もちてもらってないのに……あーん、ゆーきくんが唯にイジワルするー!!」
リトは慌ててララを下に下ろすと、急いで唯を抱きしめる
「してない!してない!ッてか、そんな事するワケねーだろ?」
「うぅ…ひっく…」
リトは唯の頭を撫でながら必死に言い聞かせる
「誰もお前の事、イジワルなんてしてないよ!だから泣くなって!な?」
リトを見つめる大きな黒い目からは、大粒の涙がぽろぽろとこぼれ出している
「ひッく…ホン…ト?」
「ああ!ウソなんてつかないよ。オレはいつだって唯の味方だから」
「う…ぅ…信じる…」
唯は小さくコクンとうなずいた
その様子を黙って見ていたララは、リトの横から顔を覗かせる
「唯、今日一緒にお泊りできないの?」
少し、寂しそうなララの顔
唯は言葉に詰まるように目を彷徨わせると、助けを求めるようにリトの制服の袖を握る
リトを見つめる唯の顔は不安でいっぱいだ。リトは、そんな唯の頭に手を置くとやさしく笑いかける
「お前の好きなようにすればいいよ。心配すんなって!オレがちゃんとそばにいてやるから」
唯はリトの腕に自分の小さな腕を絡ませると、ギュッとリトに抱きついた
「ゆーきくんと離れるのイヤなの!だからえっと…唯、ゆーきくんのおウチに行きたい」
「おかえりーって……え?」
帰ってきたリトを出迎えた美柑は、目の前の状況に口をぽかんとさせる
「た、ただいま」
苦笑いを浮かべるリトの隣には、小さくなったララ、そしてリトに抱っこされた唯
「……どーゆうコト?またララさんの発明?」
一人頭を混乱させている美柑に、とりあえず事の次第を説明するリトだった
「…ふ〜ん。便利ってゆーか、迷惑ってゆーか…」
「あ!美柑も小さくなりたいの?」
明るくとんでもない事を言い出すララに、美柑は慌てて首を横に振る
「こ、これ以上、小さくなるなんてホント勘弁してッ。でも…まー、大きくなるケムリなら考えても…」
どこかまんざらでもない顔でララと話す美柑
その横で、唯は一人ソファーに座りながら、足をプラプラさせている
リトが部屋に戻ってからすでに一時間あまり
唯のほっぺは、すっかり膨れてしまっている
しきりに体をそわそわさせては、時計や部屋の入口を気にする唯
少しすると、ガチャリと扉を開けてリトが入ってくる
「あっ」
と、小さく呟いた唯は、ピョンとソファーから飛び下りた
「ゆーきくん、なにちてたの!?」
「へ?なにって服着替えてたんだよ」
ぶっきらぼうに応えるリトに唯のほっぺはますます膨れる
「遅い!」
「ああ。猿山と電話してたからな」
「うぅ…唯がいるのに…」
リトは唯の話しを遮るように美柑へと話しを向ける
「なあ、今日の夕メシなに?」
「えっと、今日は、唯さんいるから唯さんの好きなのにしようって思ってるんだけど…」
「ふ〜ん」
リトはそう応えると、そのまま台所に向かった
その素っ気ない態度に、唯は目を大きくさせると、うるるると涙を滲ませる
そんな唯とリトを交合に見ながら、美柑は慌ててリトの後を追った
「ちょっとリト!」
「なんだよ?」
美柑はリトの顔をじっと見つめると、溜め息を吐いた
「だから何だよ!?」
「……リトあんた、唯さんのコト心配じゃないの?」
きょとんとするリトに美柑はますます溜め息を深くする
「あんたなんにもわかってないんだ!いい?唯さんは今、体が小さくなって、心も子供に戻ってるんだよ?
不安なの!怖いの!あんたのコト頼ってるの!そのあんたが、唯さんの気持ちに気付かなくてどーするのよ!!?」
かなりご立腹な美柑にリトはなにも言い返せない
リトはそっとリビングを覗き見ると 、ララが一生懸命、唯をあやしていた
「ひっく…ゆーき、くんが…唯のコトぐすん…無視する…ひっく」
「よしよし、そんなコトないよ!リトならすぐ唯のそばに来てくれるよ」
そう言いながら、ララは何度も唯の頭を撫でる
それでもぽろぽろとこぼれる涙は止らない
そんな二人の姿がリトの胸にグサリと刺さる
後ろから聞こえてくる美柑の悪態を聞き流しながら、リトは急いで二人のそばに寄った
「あっリト」
リトはララと入れ替わると膝を屈め、唯と顔を合わせる
「ゴメンな唯!オレ、全然お前の気持ちに気付いてやれなくて」
唯はまだ泣いている。いつもの強気な態度が嘘の様に今は弱々しく儚げだ
「オレ、お前の事ちゃんと見てなかったな。ホントにゴメンな唯。これからはずっとお前と一緒にいるから」
「ひっく……ホ、ホント…に?」
その小さな小さな涙声に、リトは唯の頬を両手で包みながら力強く応える
「ホントだよ!ずっとお前といる!!」
「い…いつも?ずっと?ホン…ホント、に?」
リトの目をじっと見つめながら、確かめる様に何度も呟く唯
「いつも一緒にいるよ!だから、泣くのはもうやめような。目が真っ赤になっちゃうぞ」
リトはそう言うと指で唯の涙を拭っていく
「…う…うん」
唯は小さくうなずくと、何か言いたげにリトの目をじっと見つめる
「ん?まだ何かあるのか?」
「…ゆーきくん、女のコをあんまり泣ちたらダメなんだからね!」
「ゴ…ゴメン」
返す言葉のないリトは素直に謝るしかなかった
そして、時刻は7時を廻り、四人は食卓を囲んでいた
今日は唯の好きなメニューという事で、テーブルの上にはご馳走がいっぱいだ
ただし、そのほとんどの料理が子供サイズのミニになっている
「おいしー」
顔をニコニコさせてオムライスを口に運ぶ唯は、幸せそのものだ
そして、その隣にはどこかうんざりしたリト
さっきからしきりに溜め息を吐いてばかりだ
「もー勘弁してくれ…」
「リト。あんたが悪いんだからね!」
自業自得と言わんばかりにフンっと鼻を鳴らす美柑に、リトはますます肩を落とした
あの後、リトは唯から正座させられた上、散々お説教を受けていた
小さくなっても唯は唯だなァと心の中で言いながら、
やっと解放されたリトを待っていたのは美柑からのお願いだった
急に人数が増えたため、冷蔵庫の中身が足りないというのだ
リトは快く返事すると、買い物に行く仕度を始めた
その後をついてくる唯とララ
「ん?すぐ帰ってくるからウチで待ってろよ」
「やだ!ゆーきくんと一緒にいる!」
「私も!」
じっと見上げてくる二人の小さな眼差しに、リトは仕方ないなァと仕度をするように促した
しばらく玄関で待っていると、階段を下りてくる小さな足音にリトとララが振り返る
「お!」
「わ〜」
二人の感嘆の声に恥ずかしそうに体をもじもじさせる唯
「私のちいさい時の服がまだあってよかった」
唯の隣にはどこか自慢気な美柑が立っている
「すご〜い!美柑の服ピッタリだよ唯!」
唯はチラチラとリトを見ては、そわそわと体を揺らしている
その顔はどこかほんのりと赤い
「リト」
美柑のなにか言いたげな視線にリトは慌てて口を開く
「え!ああ…えっと、似合ってるよ唯」
「あ…ありがと」
顔を赤く染めながら、急いでリトの隣を通り抜けると、いそいそとクツを履く唯
「じゃあ、後はよろしくね3人共!特にリト、あんたが一番ちゃーんとしなきゃダメよ!」
「わかってるって!」
それでも心配なのか、腰に手を当てて溜め息を吐く美柑を尻目に3人の準備は整った
「それじゃー、しゅっぱ〜つ!!」
元気に手を上げるララを先頭に、3人の買い物が始まった
買い物と言っても、歩いて30分もかからない近所のデパート売り場に行くだけ
リトは左手で唯と、右手でララと手を繋ぎながら、二人が転ばないようゆっくりと歩いていた
夕暮れの中、いつも通い慣れた道が、今日は何だか新鮮で懐かしく感じる
(…そういや昔、こうやって美柑と手を繋いで、買い物行ってたっけなー)
リトの胸には、昔懐かしい思い出が甦っていた
そんなリトの思考を妨げるようにララがリトの手を引っ張る
「ねぇねぇ、リト」
「なんだよ?」
ララは満面の笑みを浮かべながら、リトを見上げている
「私、食べたいモノがあるんだけど……リトいい?」
「まァ、カネ余ったらな」
そんな二人のやりとりに、唯はつい声を大きくさせてしまう
「ちょっとララさん!ゆーきくんに迷惑かけちゃダメでしょ」
「む〜でもリトがいいって…」
「ゆーきくんがそーゆっても迷惑かけちゃダメなのっ」
ララはリトに助けてもらおうと、その手をブンブン振る
「リトいいよね?ね?」
「ちょ…痛い!痛いって!わかった!わかったからやめろって!!」
その甘さというか、やさしさに、唯は頬をムッと膨らませた
「唯、お前も食べたい物とかあったら言っていいぞ。好きだろ?ケーキとか甘いもの」
「え?」
キョトンとする唯に、リトは屈託ない笑顔を見せる
「ゆ…唯は…」
(あれ?前にもこんなコトあったような…)
いつもとは違う風景が、いつも以上に離れた身長が、いつもより大きいリトの手が、
唯にある人を、幼い頃の思い出を思い起こさせる
『はぁ?またケーキかよ!お前好きだなー。そーゆう甘いやつ』
そんな風に文句を言いながら、いつも一番大きいイチゴの乗ったケーキを譲ってくれた
お兄ちゃん――――
唯はリトの手をキュッと強く握り締めた
「ん?何だよ?」
「な、なんでもないの!」
唯はそう言うと、そのまま黙って下を向いてしまう
(唯のヤツどーしたんだ?)
リトの疑問をよそに3人は目的の場所に到着した
デパートの中は、夕方の買い物客で溢れかえっていた
「ゆーきくん、ララさん、はぐれたりちたらダメだからね!
もしはぐれたら、ちゃんと店員さんにゆわないとダメだからね!」
「は〜い」
(なんか、遠足に来た先生と生徒みたいだな)
元気に手を上げて応えるララと、一人うんうんと頷く唯の姿にそう感じるリト
三人は買い物カゴを手に、美柑から渡されたメモを見ながら店内を回って行く
早速、お菓子コーナーに走って行こうとするララ
リトの手伝いをしようと野菜に手を伸ばすも、小さくなっているため手が届かない唯
一生懸命背伸びをするも、バランスを崩して尻餅を付いてしまう
とたんに涙ぐむ唯を必死にあやすリト
溢れかえる人の波の中、3人は順調に買い物を進めていた。ここまでは────
「じゃ、次は…」
「あ!私、コレ取ってくる」
そう言うと一人走り出すララ
「おいララ!?…ったくあいつは…。唯、オレあいつ連れてくるからココにいろよ?」
「え…うん……」
お菓子の箱を手に聞いているのかいないのか曖昧な返事をする唯
どうやら、どれを選ぶか真剣に悩んでいる様だ
そんな唯を残してリトはララ追いかけて行った
お菓子コーナーの棚を前に、どれにしようか悩み続ける事、数分
「あ…れ…?」
気がつくといつの間にか二人の姿がない事に気付く唯
「ゆーきくん?ララさん?」
周りを見渡しても二人の姿はない
「もー、はぐれたらダメってゆったのに!まったく!どーちて唯のゆーこと聞けないのっ」
唯は一人怒り出すと、二人を探すため店内を歩き始める
けれど、しばらく歩いても二人は見つからない。
どころか、思った以上に広い店内に、唯自身自分がどこにいるのかわからなくなってきていた
「あれ…?」
気持ちは次第に焦り始める
小さくなっているため、いつも以上に広く感じる店内。見渡せば知らない大人達ばかり
唯は、いつの間にか走り出していた
「ララさん、ゆーきくんどこ?ゆーきくん…ララさん…」
立ち止まってはキョロキョロと頭を巡らせ、めいっぱい背伸びをしては周りを見ることの繰り返し
じっとしてなんていられなかった
寂しさと不安で押しつぶされそうな気持ちをなんとか奮い立たせていたのは、一つの約束
「ゆーきくんがいつも一緒にいてくれるって…」
唯は心の中で何度も二人の名前を呼び続ける
二人に会いたい。ゆーきくんに会いたいゆーきくんに――――
『これからはずっとお前と一緒にいるから』
家でそう言って頭を撫でてくれた
『ホントだよ!ずっとお前といる!!』
何度も確かめたら、何度もそう言って応えてくれた
『いつも一緒にいるよ!』
そう言って約束してくれた
「ゆーきくん…ふぇ…ひっく、どこぉ…?唯を一人にちないで…ゆーきくん」
走り続けて痛くなった足は自然と止まってしまう
「ひっく…ゆーきくん……ゆーき、くん……」
一度こぼれた涙は止めることはできない
孤独と寂しさが唯の心を塗りつぶしていった
――約束したのに――
「ゆーきくんが…いない…見つからないの…」
――私を一人にしないって約束したのに――
「ゆーき、くんがひっく…唯を一人にする…ゆーきくんが唯を…」
――約束。結城くんが約束してくれたから私は――
「一緒に、いりゅってゆったのに……あーん!!!」
声を上げて泣き出す唯に周囲の客達も反応しだす
けれど、今の唯にそんなコトを気にしていられる余裕はなかった
「わーん、ゆーきくん、ゆーきくんどこーーっ!!」
その時、パニックになった唯の胸に、小さい頃の思い出が過ぎる
そう小さい頃、こんな風に迷子になった時は絶対に―――――
『ったく、ホントにお前は泣き虫だな!』『いつまで泣いてんだよ?唯』
『ほら、ぐずぐずしてたら置いてくぞ!』『オレのそばから離れんなよ!』
『もう大丈夫だぞ唯。オレがついてるだろ?』
「あ…ぅ…お…にいちゃん…ぐす、ゆーきく…ひっくおにいちゃん…」
ぐちゃぐちゃになった気持ちは、リトと遊の姿を重ね合わせていく
一緒にいたのがリトなのか、遊なのか、唯はわからなくなっていた
「おにいちゃんどこぉ…唯、一人にちたらやだァ…」
そんな唯の顔に影が掛かる
「何してんの?」
「ひっぐ…へ?」
「ララ、そっちいたか?」
「ううん。リトは?」
リトは首を横に振ると、走ってきたララと合流する
「唯…どこにいったのかな?」
「ったく……はぐれちゃダメって言ったのお前だろ」
リトはもう一度手分けして探すようにララに伝えると、再び走り出した
「唯…どこにいるんだよ……」
スラリと背の高いその面影に唯は見覚えがあった。家で毎日見ている顔だ
「ひっく…ぐす…お、おにい…ちゃん……?」
小さな声でそう呟く唯。その視線に合わせるように、遊は膝を屈める
「こんなとこで、子供が一人で何やってんの?」
「え…ぁ…え…っと…」
(ど、どーちよう……おにいちゃんだ…。こんな姿なんて説明ちたら…)
目に涙をいっぱい溜めながら、おろおろする唯を不思議そうに見つめる遊
「なんだよ…。別にオレ、キミの事イジメてるつもりじゃないんだけどな」
少し困ったように笑う遊に、唯はますますどうしていいのかわからなくなってしまう
(ど、どーちよう……どーちたら……うぅ…)
「クソ!何やってんだよオレ…」
家を出るとき美柑から言われた言葉が、頭を過ぎる
『特にリト、あんたが一番ちゃーんとしなきゃダメよ!』
わかってる、わかってたはずなのに――――
ずっと一緒にいるって約束したのに――――
「もし…もしあいつに何かあったらオレ…」
不安と後悔の中、エスカレーターを降りたその時、リトの目にある光景が飛び込んでくる
「まーとりあえず、お母さん探しに行くか」
遊は立ち上げると、唯の頭に手を置こうとした
その時――――
「やめろ!!!そのコから離れろっ!!」
「え?」
「あぁー?」
リトは全力で走ってくると、二人の間に割り込む
「大丈夫か?」
「え…う、うん」
唯を後ろに庇いながら、キッと遊を睨みつける
(って、でけー……。おまけに強そうだし…)
(…こいつ確か唯の…)
リトはギュッと手を握り締めると、後ろ手で唯の頭を撫でた
大丈夫だよ。心配するなと言うように
リトの手は震えていた。震える足でそれでも自分を守ろうとするその顔を、唯はじっと見上げた
「このコに何の用だよ?」
「別に」
二人の様子にニヤニヤと笑みを浮かべる遊は、どこか楽しそうだ
「別にって…さっき何かしようとしてたじゃねーか!」
「ち、違うの!そーじゃないの!唯のお話ち聞いて」
「え?」
ズボンを引っ張りながら小さな声で話す唯にリトは振り返った
「違うって何が?」
「だから、違うの!そのひとは、唯のコト助けてくれようとちてたの…」
「え…」
唯から事情を聞いたリトは、びっくりして慌てて遊に謝った
申し訳なさそうにペコリと頭を下げるリト
遊はリトに近づくとニッと口元に笑みを浮かべる
「いいって!それよりお前、結城リトだろ?」
「え…?」
初対面の人にいきなり名前を呼ばれ訳がわからないリト
そんなリトの頭から爪先まで遊はジロジロと見る
遊がリトを見たのは一度だけ。唯の手を引いて街中を走って逃げている時だ
(ふ〜ん…。あの時は、チラっとしか顔見てねーけど、こいつが唯が毎日言ってる…)
一人ニヤニヤしている兄の顔を、唯はリトの影に隠れながら心配そうに見ていた
(…おにいちゃん、ヘンなコトゆったらダメだからね…)
「あ、あのオレとどこかで…」
遊に事情を聞こうとした時、店の反対側から元気な声が響いてくる
「リト〜、唯見つか…」
慌てて走ってきたララは、状況がわからず目をぱちぱちさせる
「どーしたの?」
「えーっと…何て言えばいいか…」
説明に困るリトの傍らを抜けて、遊はララの前に屈みこむ
「あ!初めまして♪リトの友達の人」
「おう」
にっこりと微笑むララに、愛想よく笑いかける遊
「すげーカワイイ子じゃん!お前の妹か?」
突然話しをフられたリトは説明に困ってしまい
その間にララの自己紹介が始まってしまう
「私、ララ=サタリン=デビルークって言うの!お兄さんは?」
「ララ…サタリン何だって?って外人か!?この子?」
ララの素性に怪訝な顔をする遊に、リトは慌ててフォローをいれる
「え、えっとこ、このコは外国のコで、今ウチにホームステイに来てるってゆーか…」
「ふ〜ん…」
遊はそれだけ言うと、ララの頭に手を置いてよしよしと撫でる
「オレの妹もこれだけ素直で明るいヤツだったら可愛かったのになァ
どこを間違えたら、あんなカタイだけのうるさいヤツになっちまうのか…」
本気でうんざりした口調で話す遊に、唯は顔をムッとさせる
「まー、ララちゃんの可愛さには誰も敵わないだろうけどなァ」
「エヘヘ」
くすぐったそうに笑うララと笑みを交わす遊
その時、遊の傍らに派手目の服を着た女が現れる
「どーしたの?ゆうちゃん」
「ん?何でもねーよ」
遊はもう一度ララの頭を撫でると、立ち上がる
「じゃ、またな。結城くんとララちゃんとそれから…」
遊の視線から逃げるようにリトの後ろに隠れる唯
その仕草に遊はクスっと笑う
(うぅ…おにいちゃん早くいってよ)
遊はリトと唯に意味深な視線を向けると、彼女を連れて立ち去った
「何だったんだ?あの人…」
リトの隣では、元気にバイバイと手を振るララと、心から安堵の溜め息を吐く唯
「ゆうちゃん、さっきの子達なんなの?知ってるの?」
「ん?まーちょっとな…」
そう呟くと遊は後ろを振り返った
後ろでは早速、中々こなかったリトに怒る唯とそれにうなだれるリトの姿
「…ったく、なんでそーなってんのか知らねーけど、ちゃんと守ってもらってるじゃん!唯のヤツ」
そんな二人の様子に遊はクスっと笑った
あの後、唯から散々怒られたリトは、ご機嫌取りの意味も込めて、唯の食べたい物や欲しい物を見て回っていた
その中に、いつの間にかララの分も含まれている事に、リトは悲しい溜め息を吐く
「ねェ、唯」
「ん?」
アイスクリームを食べながら唯が振り返る
「さっきのコトまだ怒ってるの?」
「え…べ、別に…」
唯は前を歩くリトの背中にチラリと視線をやる
正直、リトへは怒りよりも、ごめんなさいの気持ちの方が大きい
だって、あんなにはっきり注意してって言ったのは自分だし、それにはぐれたのは自分のせいだし
(来るの遅かったけど…)
先頭を歩くリトは、心なしかしょんぼりとしている
そんなリトの姿に、唯の小さな胸の中は、ぐるぐると回っていた
少しリトにきつく言いすぎてしまった事
はぐれた時、リトではなく遊の事を考えてしまった事への負い目
唯の中の遊の存在は大きい。それは小さい頃からの影響が濃かった
小さい時、いつも一緒にいて守ってくれてたのは遊
いつも文句を言っていたけれど、最後は自分のそばにいてくれて、そしていつも味方になってくれて
(おにいちゃんは大切だけど…)
だけど、唯の中のリトの存在はそれ以上だ
(…唯、ホントはゆーきくんに来てほちかったのになァ)
唯は足を速めると、リトの隣に並ぶ
「ん?何だよ?他に欲しい物とか…」
アイスクリームを舐めながら、黙ってリトの手を握る唯
「どしたんだ?」
「…別に」
ぼそっと話す唯は、ツンとリトから顔を背ける
けれど、リトの手を握りしめるその手は離さない
「まだ怒ってんのか?」
「……」
唯は少しん〜っと難しい顔をすると、リトにアイスクリームをすっと差し出した
「は、半分ずつ」
「え?」
「ゆーきくんと半分こ。い、一緒に食べたい…から」
不安そうに、心配そうに、リトを見つめるその目は泳いでいる
「…じゃ、半分こな」
リトはクスっと笑うと、アイスクリームを一口舐めた
「お!うまいじゃん!ココのアイス」
「うん」
リトの反応に唯に笑顔がこぼれる
「ゴメンな唯」
「…も、もういいの!許ちてあげる」
唯はリトから顔をふいっと背けるとアイスクリームを一口舐める
「そのかわり…」
「そのかわり?」
「ゆ、唯のコトもう離ちたらダメだからね!ゼッタイ、ゼッタイ、離ちたらダメだからね!!」
リトへの想いの強さを表すように、その手に力をこめる唯
「も、もち離ちちゃったらその時は、ゆーきくんが一番に唯のところに来なきゃダメだからね!」
「唯…」
「ゼッタイダメなんだから…。だってだって唯は、ゆーきくんの彼女なんだから」
ほっぺをサクラ色に染めて、少し誇らしげにそう呟く唯
リトは返事の意味を込めて唯の頭を撫でようとした時、二人から離れていたララが戻って来た
その両手に抱えきれないほどのお菓子やケーキを持って
「お前…それ……」
「えへへ、向こうにあったの!おいしそーでしょ♪」
笑顔でそう話すララに、リトの目は点になる
「あ…おいちそう」
隣で同じように顔をほころばせる唯の様子に、溜め息を吐きながら全部買う覚悟を決めるリトだった
そして時間は戻り、夕食後
「食べ切れなかった物はみんなウチに持って帰ったらいいからね」
「ありがとー」
お菓子や、ケーキをタッパに入れる美柑の横で、唯は顔をほころばせている
唯がケーキや甘い物に目がない事は、付き合う前からわかっていたとは言え
今日、スッカラカンになった財布を手に、改めてその事実が身に染みたリトだった
(普段は全然食わねークセして、なんでケーキとかはあんなに食うんだよ…)
女の子の不思議に一人心の中で愚痴っているリトを、後ろからララが抱きしめる
「リト、今日は一緒におフロ入ろ♪」
とたんに唯の顔つきが変わる
「ちょ、ちょっと待て!何言ってたんだお前…」
「ゆーきくん、どーゆうコト?」
いつの間にかリトのそばに来ている唯の目はすでに険しい
「こ、これは…」
「ゆーきくん、唯のいないところでララさんとおフロに入ってるの?」
「違…そんなワケねーだろ!今日はララのヤツが…」
慌てて言い訳を始めるリトの様子に、美柑は仕方ないと言った顔でフォローを入れる
「リトはいつも、ちゃーんと一人でおフロに入ってるから心配しないで!唯さん」
それでも唯の気持ちは治まらない
「信じろって!って、お前もなんか言えよ!ララ」
「む〜…今日は小さくなったから入れると思ったのになー…」
残念そうに呟くララにリトは勘弁してくれと肩を落とした
「まーまー、で、今日のおフロどーするの?」
「え…」
「まさかこんな小さい子を一人で入れるワケないよねェ……リト?」
意味深な視線を投げかける美柑に、リトは唯を見つめた
「えっと……一緒に入る?」
「へ…」
リトを見上げたまま固まる唯
(ゆ、ゆーきくんとおフロに入る…)
体を密着させたり、泡だらけになって洗いっこしたり
唯の頭の中に、よからぬ妄想が飛び交う
「唯さん、リトに体とか洗ってもらうといいよ」
「ねェ、美柑もリトとおフロに入ってたの?」
思ってもいなかったララの言葉に、今度は美柑が石の様に固まる
「昔な。あ〜…そーいや、最後にこいつとフロ入ったのっていつだったけっなァ」
遠い目で思い出そうとするリトの口を、美柑は慌てて塞ごうとする
「ちょ…ちょっとリト!?」
「……確か小4の冬だっけ?怖いテレビ見たから一人で入れない〜とか言って」
「リトッ!!!?」
へ〜♪っと顔を輝かせるララに、勝手な事を言い出すリトに怒る美柑
そんな3人の様子を唯はぼーっと見ていた
(美柑さんが、ゆーきくんとおフロに入ってたのは4年生の時…。唯は…)
小さい時はよく遊とお風呂に入っていた唯
その時はよく頭を洗ってくれたり、おフロに入りながら遊んでくれたりしてたっけ
唯も遠い昔を思い出していた
チラリとリトの顔を見る
(唯の髪、ゆーきくんあらってくれるかな?唯、ゆーきくんに…)
リトに褒められた自慢の髪
(いっしょに入るのはハレンチなコトだけど…)
だけどリトを想う気持ちが上回る
(やっぱり唯、ゆーきくんとおフロ入りたい)
唯はリトの隣にぴったりとくっ付いた
「ん?何だよ?」
「……」
赤くなっている顔を見られないように、リトと目を合わせない唯
そんな唯の頭にリトはポンと手を置いた
「一緒にフロ入る?」
「へっ」
思わずリトの顔をまじまじと見つめる唯
その様子にリトはクスクス笑った
(あの時のアイツとおんなじだな)
怖いとも一緒に入ってとも言わず、ただずっと自分の手を握り締めていた小さな妹の手
「一緒にはいろっか?」
「う…うん。で、でも今日だけ、今日だけとくべちゅだからね!」
リトは笑いながら唯の髪をくしゃくしゃと撫でた
結局、唯とリト、ララと美柑が一緒に入る事に決まったのだが――――
(さ、さっきはあんなコトゆったけど…)
脱衣所でボタンを外しながら、唯はいろいろ考えていた
(ゆーきくんとおフロ…ゆーきくんとおフロ…)
考えれば考えるほど、顔がぽわぁ〜っと熱くなる
(やっぱり恥ずかちい…)
服を脱ぐ手を止めると、隣にいるリトをじっと睨む唯
「な、何?」
じーっと見つめるその視線だけで、何が言いたいのか痛いほどわかってしまう
「…ゆーきくん、唯の裸見たらダメだからね!ちゃんとわかってるの!?」
「わ、わかってるって!」
それでもむぅ〜っと睨む唯にリトは気のない笑みを浮かべるしかない
「…さきに唯が入るから、ゆーきくんは、唯がいいってゆーまで入っちゃダメだからね!」
「はいはい。わかったわかった」
唯は服を脱ぐとタオルで体を隠しながら風呂場に入っていった
中に入る時、後ろを振り返り、釘を刺す様にリトを睨む唯
「一緒に入りたいとか、見ちゃダメとか…ったく、オレにどーしろっつーんだよ」
くもりガラスの向こうに見える小さな体にリトは溜め息を吐くしかなかった
それからすこしして
「ゆーきくん入ってきて」
(自分のウチのフロなのに何やってんだオレ…)
心の中で愚痴りながらも遠慮がちに中に入るリト
唯は湯舟の中でリトに背中を向けながら待っている
「熱くないか?」
「す、少ちだけ…」
お湯のせいか唯の頬はほんのりと赤くなっている
「オレも一緒に入っていい?」
唯は何も言わずコクンと首を振る
リトが湯舟の中に入ってくるのを感じると、ますます隅に行き体を隠す唯
「別にそんなに隠れる事ないだろ?」
「な、なにゆってるの!?こんなのホントはハレンチなコトなんだからね!」
「オレとフロ入るのそんなに嫌?」
「そ、そんなコト…」
唯は目を彷徨わせると、ゆっくりとリトに体を向ける
「ホ、ホントはこんなコトちないんだから!きょ、今日はとくべちゅなだけだからね!」
「わかってるよ!けど、たまにはこーやって一緒にフロ入るのもいいだろ?」
「…うぅ…と、ときどきだったら許ちてあげる」
赤くなった顔を隠すように俯きながらぼそぼそ話す唯
そんな唯の仕草にリトはクスクスと笑う
「どーちて笑うの?」
「ゴメンゴメン。お前が可愛くてさ」
その言葉に唯の顔はリンゴの様に赤くなる
「カ…カ…カワ……」
唯は突然その場で立ち上げると、逃げるように浴槽から出ようとする
「どーしたんだ?」
「…か、体あらうだけだからほっといて!」
なんだか少し怒ってる様子な唯。けれど、イスに座って鏡に写るその顔は真っ赤になっていて
鏡に映るリトと目が合うと、唯は慌てたように目をそらした
(もしかして照れてんのか?)
リトはそんな唯の後姿に笑みを深くした
一方、鏡の前の唯は大変な事になっていた
(もぉ…ゆーきくんは…)
リトの「カワイイ」とか「好き」といった言葉にとても弱い唯
それは小さくなってもまったく変わらず、頭の中は悶々となっていた
とりあえず頭を洗おうとシャンプーを手に取る唯
リトはその後姿に心配そうに尋ねる
「一人でできるか?」
「へ、へーき!」
鏡の中で当然と頷くと、唯は手にシャンプーを付け始める
(ホントに大丈夫か…)
唯が毎日髪の手入れをがんばっている事も、それにこだわっている事も、リトはみんな知っている
だけど、それを最初から出来たはずはなくて────
「あれ…?」
頭に付けたシャンプーを洗い落とそうと蛇口に手を伸ばすも、どこにあるのかわからない
目を瞑っている状態と、いつもと勝手が違うシャワーの位置に、唯は一人あたふたしてしまう
少しするとシャワーから出たお湯が唯の体を濡らした
「ほら、これでいいのか?」
耳元で聞こえるリトの声と、突然のシャワーに唯はびっくりしてしまう
「ゆ、ゆーきくん!?」
「やっぱ一人じゃムリだろ?オレが洗ってやるよ」
リトは手にトリートメントを付けると、唯の頭に馴染ませていく
「あ、あ…」
「けどオレ、いつもどーやってお前が髪洗ってるか知らないから、ちゃんと教えてくれよな?」
何か言いたげな唯をリトの声が遮る
唯はまだゴニョゴニョと何か言おうとするが、しばらくするとコクンと首を振った
「ゆ、ゆーきくんにお願いするけど、ちゃんとちてね!」
「任せとけって!」
そして、髪を馴染ませる事、数分
洗い終わった唯の姿にリトは満足そうに頷く
「よし!これでいいんだろ?」
「うん」
「にしても、お前、毎日よくこんな手間のかかる事できるなァ?」
唯は鏡の中のリトから視線をそらす
「だって…ゆーきくんが唯の髪好きってゆーから唯…」
「え?」
「な、なんでもないの!」
「ふ〜ん。で、体はどーするんだ?一人できる?」
「え?…あ」
唯は体をもじもじさせると、恥ずかしそうに俯く
「…ゆ…ゆーきくんにしてほちい…」
リトはクスっと笑うと、スポンジにボディソープを付けていく
普段の唯なら中々聞けない言葉が少しうれしかった
「じゃ、背中から洗っていくな?」
「…うん」
唯の声は小さい。心なしか体が火照っている
(それにしても小さいなァ)
背中を洗いながらリトは今さらながらそう感じてしまう
いつもと違う広さと肌触り
(ヤバイなオレ…)
ふつふつ湧き上がるモノに堪えるリト
「…ゆーきくん。背中ばっかちいたい…」
「え!?あ…ゴメン」
リトは手を止めると慌てて唯の前に座る
「じゃ、じゃあ今度は前な」
「……」
無言の唯にリトは怪訝な顔をする
「どーし…」
「ゆーきくん、ジロジロ見たりちたらダメだからね!」
真っ赤になりながら釘を刺されたリトはその場でうな垂れた
リトは極力体を見ないようにするが、それではうまく洗えるはずもなく
チラチラと覗き見るように、なんとか手を進めていた
唯はさっきから真っ赤になったままそっぽを向いている
どうやらかなり恥ずかしい様で、小さく体が震えていた
「心配しなくても大丈夫だって!」
「い、いいの!唯のコトより体あらってほちいの!」
リトは苦笑すると、洗い終わった腋から胸へと手を移動させ、そこで固まった
(ペ、ペッタンコ!!?)
当たり前だが今の唯は小さくなっているワケで、当然胸も年相応になっている
「どーちたの?」
「何でもねーよ!何でも!…ハハ」
笑って誤魔化すも目は胸から離れない
ちっとも膨らんでいない胸にさくら色をした可愛い乳首
いつものあの形のいいキレイな胸とのギャップにリトは見とれてしまう
ゴクリと唾が喉に落ちていく
(ってオレ、何考えてんだ!?)
リトは急いで胸の周りを洗うと、次に脚を洗っていく
華奢で折れそうなほど細い脚なのに、白くてすべすべした太ももや足に胸が高鳴る
目も自然と太ももの間、唯の大事なところにいってしまう
(ヤ…ヤバイ!これはヤバイ!)
急に洗うスピードが上がったリトを唯は不思議そうに見ている
「ゆーきくん?」
「な、何でもない!何でも!気にすんな!」
「う、うん」
幼い純真な視線がやけに痛い。いつもならハレンチな!で吹っ飛ばされるはずが、今日はそれもない
リトはバクバクと鳴り続ける心臓に急かされるように、シャワーで泡を洗い流していった
「と、とりあえずこれで終了な」
「ありがと」
恥ずかしさとうれしさが入り混じった唯の表情が今のリトにはとても痛く感じた
そのまま湯舟に戻ろうとするリトの手を唯はキュッと掴む
「へ?」
「ゆーきくんは洗わないの?」
「オレ?」
唯は頷くと、モジモジと指を絡ませる
「きょ、今日は唯があらってあげてもいい…かな。さ、さっきのお礼…」
恥ずかしさで体を揺らせながら、それでも頑張って話す唯にリトの胸は一瞬でとろける
さっきまでの焦りなんて忘却の彼方だ
リトは満面の笑みを浮かべると、イスに座った
「じゃあお願いします」
「うん」
力を込めて一生懸命ゴシゴシと背中を洗う唯に、リトはぼーっとなってしまう
くすぐったい感触すらある洗い方が妙に居心地がいい
そのクセになりそうな感触にリトは少しお願いしてみる
「なあ、元に戻っても、たまにはこんな風に洗ってくれないかな?」
「どーちて?」
「なんかすげーうれしいから!」
唯はスポンジの動きを止めた
「……ゆ、ゆーきくんが、唯のゆーことちゃんと聞いてくれたら考えてもいいかな」
「ホントに!?」
「う、うん。でもちゃんと聞かないとダメだからね!あと、ホントにときどきだからね!」
赤くなりながら何度も「時々だったら」と強調する唯
リトはうれしそうに頷くと、幸せの中に戻っていった
「今度は前を向いて」
「え!?ま、前はいいって!オレ、自分でするから」
赤くなりながらしどろもどろになるリトに、唯は頬を膨らませる
「だって、ゆーきくんも唯の体あらってくれたじゃない!唯だけふこーへーでしょ!?」
「不公平って……そういう問題じゃ…」
なんて言ってみるが、一歩も引きそうもないその視線にリトはしぶしぶお願いした
(昔からガンコだったんだなー)
もはや洗ってくれたお礼とかよりも、やり始めた責任と、中途半端は許せない気持ちだけで洗っている唯
そんな唯に苦笑を浮かべつつも、リトはさっきから気になっている事を尋ねる
「あのさ」
「今、いそがちいから後!」
「いや…その…いいのか?丸見えんなんだけど。いろいろ…」
上から下までジロジロと見ているリトの視線に唯の体が固まる
洗うのに夢中で、体を隠していたタオルが外れていた事にまるで気付かなかった
「み、見ちゃダメーー!!」
唯は真っ赤になってしゃがみ込むと、腕で体を隠す
リトが差し出すタオルを手に取ると、後ろを向きながらいそいそと体に巻いていく
(やっぱいろいろ違うんだァ)
その愛らしい後姿を見ているだけで、なんだか抱きしめたくなる衝動に駆られる
「どーちてニヤニヤちてるの?」
良からぬ妄想をしていたため、唯がこっちに振り返っていた事に気付かなかったリト
「ヘンなコト考えたらダメだからね!!」
「へ、ヘンなコトって!?」
「…ハ、ハレンチなコト」
俯きながらぼそぼそ話す唯は、リトのソレをチラチラ見ている
「へ?」
リトは自分のモノを見て絶句した
見事なまでに反応し、反り返っている大事なモノ
(ちょ…コレはシャレになんねーーー!!)
リトは慌ててタオルで前を隠すと、苦笑いを浮かべる
その態度に唯はますます顔を赤くさせた
「も、もーいいからさ!後はオレが…」
「最後までする!」
唯は赤くなりながらもムッとリトを見つめた
「だって、するってゆったの唯だもん。だから責任あるの!」
「せ、責任って…」
「いいの!」
唯はリトからタオルを奪い取ると、ゴシゴシ洗い始める
どんどん泡塗れになっていくリト。少しすると唯の手がリトの大事なところにかかる
「あ、あのさ、ムリしなくても…その大丈夫か?いろいろ…」
「だ、だ、だいじょーぶ!コレぐらいへーきなの!」
そう言いつつも、その顔は沸騰寸前だ
見ないように、触らないようにそーっとそーっと洗っていく唯
(何かすげー罪悪感…)
彼女とはいえ、幼い女の子にさせていい事じゃないと改めて痛感するリト
けれど、一生懸命洗ってくれる姿にうれしくなるのも事実
小さくて、相変わらず素直じゃなくて、怒りっぽくて
そして、少し泣き虫になっていて
小さな唯は、普段の唯と少し違うけれど、やっぱり唯は唯だと感じる
(子供ができたらこんな感じかな…)
頭に過ぎる妄想に、つい顔がにやけてしまうリト
脚を洗い終わると、シャワーでキレイに泡まで落としてくれる唯に、リトは笑みを深くした
「ありがとな唯」
「べ、別に唯はお礼ちたかっただけで…」
モジモジと体を揺らす唯に、リトはお礼の意味を込めて、その赤くなっている頬にキスをした
「あ…!!?」
可愛いほっぺをさくら色に染める唯
「オレもお礼な」
にっこり笑うリトに唯は何も言えず、ただぼーっとキスの余韻に浸っていた
前半終了です
後半は間をおいて今日の夜に投下します
なんという・・・
GJ!!
全裸待機
あれ?天才がいる
さて何ていえばいいと思う?
スレたて&投下乙です!!
まさかのWパンチ
22 :
名無しさん@ピンキー:2008/05/08(木) 20:30:35 ID:91V11rWv
23 :
名無しさん@ピンキー:2008/05/08(木) 20:31:26 ID:91V11rWv
リトと唯の人も来た!
そうか、このリトと唯はあの時間軸ではこうなっていたのか。
でもこういう原作部分を上手くいじって別物へと変身させとりますね。
サザエさん時空気味の本編でのちょっとした小話とのリンクも好きです。
25 :
名無しさん@ピンキー:2008/05/08(木) 23:10:50 ID:q65TRx+F
テス
お久しぶりです、wiki管理人です
新スレという事で今までの過去ログをサルベージしてきました
何かの役に立てばと思います
いつも更新してくださっている方々、本当にお疲れ様です
では失礼します
27 :
むに:2008/05/08(木) 23:17:56 ID:q65TRx+F
何か知らない間にレモンのスレが立ってるし!
これは喜ぶべき事なのだろーか?
殆どノリだけで作り出したキャラにそこまで真剣に討論されるとは思わなくて
ちょっと…………いやかなりビックリしてます…。
………困ったなぁ…。
それと、よろしければpart4の鯖移転後のURLをご存知の方がいればお知らせお願いします
うまくサルベれないので……
連レス失礼しました
29 :
むに:2008/05/08(木) 23:24:27 ID:q65TRx+F
>>17 GJです!後半も楽しみにさせて頂きます。
ボクも明日辺りに何か投下しようかと思います。レモンではありませんが一つ軽〜い奴を…
つーか、たまには『リト』も書かなきゃ!
「大丈夫か?」
「うん!」
浴槽で滑らないように、唯を抱っこして湯舟に入るリト
湯舟に戻ってもさっきまでとは違い、二人の距離はずっと縮まっている
唯はなんだかとっても上機嫌だ
そんな唯の様子に、リトはさっき感じた想いをついこぼしてしまう
「やっぱ子供できたらこんな感じなのかなァ」
天井を見ながらしみじみとそう呟くリト
「え…?」
唯は小さな眉を目一杯寄せると、不思議そうな顔をする
「お前と結婚して子供できたら、こんな風に一緒にフロとか入ったりするのかなって思ってさ」
「ケ、ケッコン…」
リトは浴槽にもたれていた体を起こすと、照れくさそうに頬を指で掻いた
「まー、全部オレの妄想なんだけどな…ハハ」
苦笑いを浮かべるリト。けれど唯は、そんなリトをじっと見つめていた
「聞きたい」
「え?」
「もっと聞きたい!つづき聞かせて!」
「続きって……だからオレの妄想だって…」
「聞きたいのっ」
リトをじっと見つめるその小さな目は、どこまでも純粋で真剣だ
「…笑うなよ」
リトは唯から視線をそらすと、小さな声で恥ずかしそうに話す
「今日、小さくなったお前とずっと一緒にいて思ったんだ。もし、お前と結婚して子供できたら、
今日みたいに買い物行ったり、誰とフロ入るとか決めたりするのかなって」
「子供……唯とゆーきくんの子供…」
唯は噛み締めるように何度もそう呟く
「で、そんなコト考えてたら、なんかすげー幸せかなって思ってさ」
「……ゆーきくんとケッコン…」
さっきから一人ぶつぶつと呟いてばかり唯に、リトは半眼で睨む
「ってお前なー…なんか言えよ!こんなコト一人で言ってるオレが恥ずかしいだろ?」
唯は目をぱちぱちさせると、じっとリトの目を見た
「何だよ?」
「唯、ゆーきくんの未来にずっといるの?」
リトを見つめるその目には、不安と期待、驚きと切望とが入り混じっている
「いるの?」
「…当たり前だろ」
少し驚いたように目を丸くしている唯に、リトは微笑んだ
「オレはずっとお前と一緒にいたいって思ってるんだけどな」
「…唯がおばーちゃんになっても?」
「ああ。けど、そん時は、オレもじいちゃんになってるけどな。お前はじいちゃんになったオレと一緒にいたい?」
「そんなコト当たり前でしょっ」
小さな体に精一杯の意思を宿し、唯は力強く応える
「そっか」
にっこり微笑むリト。唯は少し悩むように俯くと、リトの前まで行き、そこで正座した
すると湯舟に顔が浸かってしまい、息をするどころか、溺れてしまう唯
「あ…っぷ…」
「何やってんだよ!?今は小さいんだから気をつけろって!」
リトに起こされながら、唯は何度も咳をする
「ケホケホ…」
「大丈夫かよ?ったく…」
「お湯…すこち飲んだ」
「ええ!?」
びっくりしたリトは、唯を抱っこすると背中をさする
「コホコホ…」
「ほら、楽になったか?」
少し目をうるうるさせながら頷く唯
「お前なァもうちょっと…」
「だって唯、ゆーきくんに大切なお話ちがあるから…」
「大切な話し?」
唯はリトの膝の上で体を捩ると、まっすぐにリトと向き合う
「あ、あのね、ゆーきくん。唯とケッコンするなら一つだけ、約束ちてほちいコトがあるの!」
「約束…?」
「うん」
リトの肩を掴むその小さな手に、キュッと力が入る
「えっと…唯以外のコとハレンチなコトちないでほちいの!」
リトは目を丸くした。それはつまり、浮気をしないで!という事と同じだ
そんな当たり前の事をどうして?と思いながらもリトは口には出せなかった
唯の目が真剣そのものだったから
不安等いろんな感情を宿しながら、それでもリトを見る目は揺るがない
リトはその想いに応えるように、力強く頷く
「わかった。約束するよ」
とたんに輝く唯の笑顔。リトもその笑顔につられるように笑みを浮かべる
「あとね…」
「え?まだあるのか?」
唯はリトの質問を聞いていないのか、どんどん約束の数を増やしていく
「他のコをジロジロ見たりちたらダメだからね!」
「え…あ、ああ」
「唯より他のコのコト、好きなったら許さないんだから!」
「そりゃ当たり前…」
「唯に悲ちい思いさせちゃダメだからね!」
「き、気をつけるよ」
「ゆーきくんは唯より先にいなくなっちゃダメ!唯とずーっとずーっと一緒にいなきゃダメだからね…」
次第に声のトーンが下がっていく
最後のは約束というより、お願いに聞こえた
それもとても大切で切実な想いがこもったお願いに
リトを見つめるその目は少し潤んでいる
「ゼッタイ…ゼッタイ…いなくなっちゃダメだからね…」
リトは唯の頭に手を置くと、やさしく撫でる。何度も何度も
「わかったから…だから泣くなよな」
「だって…ゆーきくん、唯のゆーこと全然聞いてくれない」
「う…」
今日一日の出来事、今までの出来事を思い出し、リトは苦い顔になる
「そ、それは…」
「いっつも怒らちてばかり…いっつも困らせてばかり…いっつも…」
「わわ、悪かったって!だから、そんなに泣くなよな!」
唯は拗ねたように俯くと、頭を撫でるリトの手の間から、その顔を上目遣いで見つめた
リトは相変わらず困った顔をしている
泣いてしまった自分をどうしていいのかわからないみたいだし
うまく言葉が出てこないのか、さっきから目も泳いでいる
(ゆーきくん、カッコ悪い…)
唯は素直にそう思ってしまった
(こーゆー時は、もっとカッコよくいてほちいのになァ)
心の中で、そう愚痴る唯
けれど、やっぱりリトの事が大好きで仕方がないと感じる
今だって胸はドキドキしてるし、顔だってなんだか熱い
ダメだと思うところはあっても嫌いなところなんて一つもない
唯は膝の上でじっとリトの顔を見つめた
(もっと約束…お願いちてもいいのかな…)
唯は目をゴシゴシして、涙を拭く
「あ…あのね、まだ約束ちたいコトがあるの」
「え!?まだあるのかよ?」
リトの反応に一瞬ムッと頬を膨らませる唯
「唯と約束するのいやなの?」
「そ、そーいうワケじゃないんだけど…」
むぅ〜っとリトを睨む唯
「わ、悪かったって!もう何でも言ってくれ」
「ちゃんとお願いちないと唯、ゆわないから!」
ふいっと顔を背ける唯。けれど、横目でリトの顔色をチラチラと伺っている
リトはそんな唯の態度に小さく笑うと、その頬に手を当てながら言われた通りにお願いする
「オレ、唯の約束聞きたいな!だから頼むよ、唯」
仕方ないないなァと言った顔でリトに向き直る唯
いつもの様でいて、いつもとは違う唯の仕草全てが新鮮に写る
そんなニコニコと顔をほころばせるリトと違い
唯は今、さっきまでの気丈な態度が嘘のように、体をモジモジさせて小さくなっていた
心なしか頬も赤くなっている
「ん?」
「あ、あのね…」
「うん」
頑張って少しずつ話す唯をじっと見つめるリト
「あの…ね……えっと……い、一日一回は唯のコト、ギューってちてほちいの!ダメ?」
小さな声、それも真っ赤になってもごもごと話す唯にリトはクスっと笑った
「ダメ?」
懇願するように見つめる唯の体をリトはギュッと抱きしめる
「あ…」
「こんな風に?」
リトの胸に中で、真っ赤に染まる唯
(こんな時だけ、唯の気持ちわかるんだから…)
唯は恥ずかしさとうれしさで、リトにしがみ付くようにぴったりくっついて離れない
「他なんかないのか?」
「う、うん。あと…ね」
「うん」
唯は言い難くそうに、リトの肩におでこを乗せてぼそぼそと話す
「えっと、一日一回は、唯のコトす…好きってゆってほちいの」
「一回でいいんだ?」
クスクス笑うリトに、唯は俯いていた顔を上げると、真っ赤になって反論する
「どーちて笑うの!?唯、しんけんなのにっ」
「ゴメン。ゴメン。それから?」
唯は頬を膨らませたままリトから顔をそらしてしまう
「もー!ゆーきくんなんて知らないから!」
「ホントにゴメン。だからこっち向いて」
「さっきも同じコトちたんだから、もー知らないっ」
顔を背けて目も合わせ様としない唯に、リトは悲しそうに溜め息をもらした
「そっか……唯、オレのコト嫌いになったんだな…」
「え!?」
びっくりしてリトに向き直る唯
「ど、どーちて…」
「オレの事、嫌いだからそんな事するんだろ?」
さっきのお返しとばかりに、唯から顔を背けるリト
「そ、そんなコトない!唯、ゆーきくんのコト好きだもん!!」
「ホントに好き?」
「ホントにホント!ウソじゃないの!!ゆーきくんが好き、大好き!!」
手を握り締めながら必死に話す唯の目には少し涙が滲んでいる
「ウソじゃないの…」
ちょっとしたイタズラ心でからかうはずが、唯の一生懸命さに苦い顔になるリト
(ちょっとやりすぎたかな…)
涙声で何度も「ウソじゃない」と繰り返す唯
リトは指でその涙をぬぐっていく
「…ゆーきくん?唯のコト…信じてくれるの?」
「ああ」
リトはゴメンなと言いながら、唯を抱きしめた
唯は目を丸くさせると、その小さな腕で力いっぱいギュッとリトを抱きしめる
しばらく抱き合った後、どちらともなく体を離す二人
唯はほっぺを赤くさせながらも、ニコニコと笑っている
(カワイイ…)
リトは素直にそう思った
そして、小さいながらも本当に自分の事を想ってくれている唯に胸がいっぱいになる
「どーちたの?」
「…何でもないよ。それより約束は?」
体をピクっとさせて言葉に詰まる唯
「他ないのか?」
「…いい…の?約束ちて?だって…」
リトは唯の頬に手を当てると、にっこり微笑んだ
「いいよ!だって大事な事なんだろ?」
唯はコクンと頷く
「じゃあ、エンリョなんかするなよ!オレは全然いいからさ、な?」
「う、うん。じゃあ…」
唯は頬を赤くしたままリトの顔を真正面から見つめる
「…い、一日一回は、唯にちゅーしてほちいの…」
「え…いいのか!?キスしても!?」
「うん…。だって唯、ゆーきくんとちゅーするの好き…だから」
顔を沸騰しそうなほど赤くさせている唯
そんな唯をリトは驚いたように見ていた
(へ〜…そうなんだ!?)
今までの事を思い返しても、そんな風に思ってくれている素振りなんかあまり見当たらなかっただけに、リトの驚きも大きい
「ほ、他ないの?キスの他とかさ」
思い切って唯の本音を探ってみる
「ん〜他…他……。あ!あのね?えっと……ホントのコトゆってもいい?」
「いいよ」
リトの喉がゴクリと音を立てる
「ホ、ホントは唯……一日一回じゃなくて何回も好きってゆってほちいっ!」
「へ?」
「そ、それから何回もギュッてして、いっぱいちゅーもしてほちいの!」
一息でしゃべった唯は肩で小さく息をしている
「えっと…」
「ダメなの?」
中々返事をしないリトに、唯の目はうるるると滲んでいく
(やっぱ唯は唯だなァ)
心の中でそう苦笑すると、リトは唯の頭に手を置く
「いいよ。何回だってしてやるよ!約束な!」
ぱあっと顔を輝かす唯
「うん。約束!」
満面の笑顔を浮かべる唯に、リトもドキっとしてしまう
(マジでカワイイな…)
「ん?」
うれしさで笑顔が止まらない唯は本当に幸せそうだ
(はぁ〜…元に戻ってもこれぐらい甘えたり笑ってくれたら…)
「ゆーきくん?」
「ん?何でもないよ」
不思議そうに見つめてくる唯にリトは愛想笑いを浮かべる
「…でもとりあえず」
「へ?」
リトは唯の体を抱き寄せる
「ゆ、ゆーきくん?」
「キスしよっか?」
「え!?」
みるみる赤くなっていく頬
「ちゅ、ちゅーするの!?唯と?」
「うん。ダメ?」
「ダ、ダメじゃなくて!えっと…えっと…」
どんどん声が下がり、リトの腕の中で小さくなっていく唯
「じゃあ、しよ」
「う…うん」
ギュッと目をつむる唯にリトは口を近づけていく
(おフロでゆーきくんとちゅーなんて、すごくハレンチなコトなのに…)
近づくリトの吐息に唯は顔どころか体まで赤くさせる
(でも…)
リトの肩に置いた小さな手に力が入る
「唯…好きだよ」
「へ!?」
間近で言われた甘い言葉に、唯は一瞬でとろけてしまう
ハレンチだとか、でもとか、そんなモノは一瞬で頭から飛んでいく
「ゆ、唯もゆーきくんが好き!」
だから、がんばってなんとか小さな声で応える事で精一杯
二人は軽く唇を重ねる
「ん…ん」
すぐに離れていくリトを名残惜しそうに見つめる唯
幼いながもその愛情いっぱいな視線にリトは笑みを深くした
「カワイイ」
「カ、カワ…イイ!?」
唯の胸がキュンと締め付けられる
「うん。ちっちゃくなっても唯はすごくカワイイよ!」
目が泳ぎ、リトの顔をまともに見れなくなっていく
「カ、カワイイとかそんなコトゆっちゃダメっ!!」
「え?」
腕の中で真っ赤になりながら慌てる唯にリトはキョトンとなる
(照れてるのか?)
「そんなコト、唯にゆっちゃダメ!だって…だって…」
下を向いて真っ赤になりながらモジモジしている姿に、リトの胸がときめく
(すげーカワイイ…)
リトは唯をギュッと抱きしめた
「ゆ…ゆーきくん!?」
「元のお前も、今のお前もすげーカワイイ!」
「うぅ…ゆーきくんのバカ!ゆっちゃダメってゆってるのにっ」
もう、唯のドキドキは止まらない。さっきから体のいろんなところがキュンキュンして大変な事になっている
「唯…」
「…な、なに?」
「もう一回キスしよ?」
唯は少し悩んだ後、ゆっくりと頷いた
体も心もとろけすぎて、少し息も熱い
そして、再び軽く重なる唇
けれどさっきとは違い、リトの舌が唯の薄い唇を割って入っていく
「ン…んん」
入口でぶつかる熱くざらついたヌメヌメした肉感
その感触に最初驚いた唯も、次第にリトを受け入れていく
吸い上げられていく口内の感触に唯は目を丸くした
(唯のツバ…ゆーきくんの口に入っていってる)
ちゅぱちゅぱと絡み合う唾液の音が風呂場に響く
唾液の交換も、リトの抱擁もみんな唯をとろけさせるには十分過ぎて
お互い体を離した時には、ふらふらになってしまった唯は、そのままリトの胸に顔をうずめた
「大丈夫か?」
「うん。だいじょーぶ。ゆーきくんの口おいちかった」
恥ずかしそうにうれしそうにそう話す唯に、リトも顔をほころばせる
「オレも。唯の口おいしかった」
照れ隠しなのか、リトの体にピッタリくっ付いて離れない唯
リトはその小さな背中に手を置いた
白くてすべすべで、やわらかい
いつもと違う唯の体にリトの興奮も上がっていく
背中に走るくすぐったい感触に体を捩る唯
その仕草が可愛すぎて――――
「なあ唯…」
「なに?」
「もうちょっとしよっか?」
へ?と呆けた顔をする唯。その体にリトの手が伸びる
リトは唯の体を自分から離すと、その体を舐め回すように見つめる
「ゆ、ゆーきくん!?」
「おっぱい吸っていい?」
「そ、そんなコトちたらダメェ」
唯の言葉を無視すると、さくら色をした乳首にリトの舌が這わされる
「は…うぅ…」
ピクンとのけ反る小さな体
その胸に舌を絡めませしゃぶっていくリト
空いている手で、反対の胸への愛撫も忘れない
「や…だァ。ゆーき…くん、こんなコトちたらダ…メなの!」
吸い上げられる乳首に唯の体がピクピクと震える
腋に移る舌の動きに、くすぐったさと気持ちよさで、体が熱くなる
首筋やおヘソの周り、耳たぶ等いろんなところを舐められる度に、唯の口からカワイイ声がこぼれた
「ゆ…ゆーきくん、こんなコトちたらダメ…なのぉ。ゆ、許さないんだから!…っン…ぁ」
(カワイイ…)
リトの行動はますますエスカレートしていく
「ハレンチなコトは…ンっダメなのぉ…だから…」
口ではそう言うが唯は決して抵抗しなかった
小さいながらリトを求めてしまっている体
気持ちよさと背徳感、うれしさとダメだと思う気持ち
その狭間で唯の頭はぼーっとなっていく
「唯…カワイイ」
耳元で囁かれる言葉に真っ赤に染まる頬
「や…だぁ。ダメ…なの!そんなコトゆったら…」
リトの愛撫とうれしい言葉責めで、心臓の鼓動はますます早くなっていく
体はますます熱くなり、汗がぽたぽたと赤く火照った体を滑っていく
「ゆーきくん…唯…唯……」
お湯の熱さと火照った体に目がぐるぐると回りだす
ぐにゃぐにゃに歪むリトの顔
いつしか唯の意識はぼーっと霞んでいき、視界もぼやけていった
「ゆーきくん……唯…もう…ダメ…」
「唯?」
大好きな人の腕の中で、その声を聞きながら、唯はゆっくりと目を閉じていった
それから少しして。リトは自分の部屋の床に寝かせた唯をうちわで扇いでいた
唯は額に汗を浮かべながら、すやすやと眠っている
あの後、急にぐったりした唯を抱えて風呂場を飛び出したリトは、急いで美柑に唯を診せた
『のぼせてるじゃん!』
火照った体を見た美柑は、すぐに、キッチンに走っていった
慌てて戻ってきた美柑の手には、氷水とタオルとうちわ
『リト、あんたはこれで唯さん扇いでて!』
『あ、ああ、わかった』
不安な面持ちでリトは言われたとおりにうちわで扇いでいく
氷水で濡らしたタオルで唯の体を拭いていく美柑
『な、なあ、大丈夫なのか?』
『…まあ、軽くのぼせてるだけだから心配いらいと思うけどさ…リト』
美柑はリトを睨み付けた
『なにやってるのよ!?バカっ!!』
に始まり
『サイテー!信じらんない!妹として恥ずかしいよ!』
と、散々責められたリト
『ちゃんとあんたが責任もって看なさいよ?』
そして今、リトは深い溜め息をこぼした
「オレ、人として終わってるよな…」
確かに唯は彼女で、大切な存在で、だけど今は小さくなっていて
そんな唯に欲情してしまった自分
家に帰ってきた時、リビングで美柑に言われた言葉が浮かぶ
『唯さんは今、体が小さくなって心も子供に戻ってるんだよ?不安なの!怖いの!あんたのコト頼ってるの!』
リトはまた溜め息を吐く
「ホント、オレって情けねー」
そうやって一人落ち込んでいると、タオルケットの下の体がもぞもぞ動く
「ん…んん」
「あ!唯!」
うっすらと目を開ける唯を覗き込むリト
「ここ…どこ?」
「よかった!大丈夫か?どこもしんどくないか?」
唯はぱちぱちと目を瞬く
「ゆーき…くん?」
「ゴメンな唯!オレのせいでしんどい思いさせて…。ちょっと待ってろよ!今、冷たい物持って来るから」
そう言うとリトは急いで部屋を出て行った
その後姿をぼーっと見つめている唯
「そっか…唯、お風呂にはいっててそれで…」
いろいろ思い出しまた頬が赤くなっていく
「おまたせ!とりあえずコレでも飲んで……え?」
息を切らせて部屋に戻ってきたリトを待っていたのは、ムッとした唯の顔
「え、えっと…」
「ゆーきくん、唯ダメってゆったのに!」
リトは苦い顔になる
「ハレンチなコトちたらダメなのっ!!」
ビシっと指を指しながら怒る唯にリトはうな垂れるしかなかった
美柑の使っていたパジャマに着替えた唯は、ベッドに腰掛けながらゴキュゴキュとジュースを飲んでいる
その横では正座したままのリト
「あのさ唯、もう…」
ふいっとそっぽを向いてしまう唯。リトは悲しい溜め息を吐いた
さっきからずっとこんな調子で、唯の機嫌は直りそうにない
なんとか機嫌を良くしようと頭を悩ませていた時、唯は小さく欠伸をした
「唯?」
唯は目に涙を溜めながら、眠そうに目をしょぼしょぼさせている
時刻は夜の9時
いつもならなんともない時間でも、体が小さくなっているとその分、睡魔も早くきてしまうらしい
「もう寝る?」
唯は小さく首をコクンと振る
「じゃあ、オレのベッド使えよ」
「…ゆーきくんは?」
「オレなら今日は床で寝るから気にすんな」
唯はしばらく悩んだ後、ジロっとリトを睨む
「ゆーきくん、唯が寝てる時とかハレンチなコトちたら許さないからね!!」
「わ、わかってるって!」
それでもしばらくじっと睨む唯にリトは悲しくなってくる
(まぁ、当然だよな…)
ぶつぶつ文句を言いながら布団に入る唯に、リトは何回目かになる溜め息を吐いた
「じゃあ電気消すからな?」
「え?」
びっくりして思わずベッドから起き上がる唯
「ど、どーちて!?ゆーきくんは?」
「オレ?オレは下にいるよ。まだ寝ないし」
「そんなのやだっ!」
唯は力いっぱい叫ぶと、ベッドから降りようとする
「ちょ、ちょっと待てって!お前、寝るんじゃなかったのか?」
「ねむいけど、ゆーきくんが一緒じゃないと唯、寝ない!」
今度はリトがびっくりして固まってしまう
「だって、ゆーきくん約束ちてくれたでしょ?唯と一緒にいてくれるって!」
「う、うん」
「約束……守ってくれないの?」
「そー言うワケじゃなくて…」
「また…また…約束守ってくれないの?」
そう呟く唯の目にみるみる涙が溢れ出す
「おフロであんなに約束ちたのにぃ…」
「う、うん」
「ゆーきくんが約束するってゆったのに…ぐす…」
ゴシゴシとパジャマの袖で涙を拭く唯
「あ、あのさ唯、別にオレは…」
「…なのに…ゆーきくんはぜんぜん唯の約束守ってくれない。いっつも約束やぶって唯のコト、イジメル…」
「イジメてるワケじゃ…」
バツが悪そうに頭を掻くリト
「イジメてるの!!唯のゆーこと、ぜんぜん聞いてくれないクセに!唯を怒らせて、唯を泣かちてばかりのクセに!」
小さな糾弾にリトは黙ってしまう
「唯、ゆーきくんのためを思っていっつもいっつも注意とかちてるのに、ゆーきくんはそれも聞いてくれない…」
唯は涙をこぼしながらじっとリトの顔を見つめた
「ゆーきくん、唯のコト、キライなの?」
「え?」
「キライだからゆーこと聞いてくれないの?」
「そんなワケ…」
「じゃあ、どーちて?どーちてゆーこと聞いてくれないの!?」
リトは応えられなかった
唯がいつも自分を想って叱ってくれる事も、今の唯の気持ちもリトはよくわかっている
わかっているけれど、ソレをうまく言葉にできなかった
「ゴメンな唯」
情けないほど小さなリトの言葉に、唯はそっぽを向くとそのまま布団中に入っていった
布団の中ですすり泣く声。その声にリトは何もできなかった
結局、泣き疲れたのか、唯はそのまま布団に包まったまま眠ってしまい
リトはただそばにいる事しかできない自分を情けなく感じつつ布団に入った
そして、時刻は深夜1時過ぎ
ゴソゴソと音を立てながら布団から出る唯
部屋は真っ暗でなんだかいつもより怖く感じる
唯は目を凝らすようにキョロキョロすると、床で寝息を立てているリトを見つけた
(ホントに床で寝たんだ…)
その姿に胸がキュッと締め付けられる
唯は気付かれないように静かにベッドから降りると、そーっとリトに近づく
「ゆーきくん…?」
顔を覗きこんで確認
「起きて…ないの?」
寝息を立てているリトにわかっていても、もう一度確認
「ん〜」
唯は口に指を咥えながら少し難しい顔をすると、決心した様にリトの横で正座した
「…ゆーきくん、唯のお話ち聞いて」
眠っているリトに語りかけるように話す唯
「あ、あのね。今日は一日ありがとー。そーじゃなくて……いつもありがとー」
唯はペコリと頭を下げた
「寝る前はあんなコトゆったけど、ホントは唯ちってるんだ
ホントはいつも困らせて、迷惑かけてりゅのは唯のほーだってコト…」
唯は言葉を選ぶようにゆっくりと、一生懸命に語りかける
「だけど唯、いつもいつも怒ってばかりで、ちっともやさちくないよね…
唯の想ってるコト、全然ゆーきくんにゆえてない…」
目にどんどん涙が溢れ出す
「だ、だから、いつも不安でさみちくて……だけど、ちゃんとゆえなくて
だけど、ゆーきくん、いっつも唯のそばにいてくれて…いっつもそばで笑ってくれて…
唯、怒ってばかりで全然やさちくないのに…」
込み上げてくる涙に耐えるように唯は、小さな手をギュッと握り締めた
「唯…唯…ホントは…ホントは…う…うぅ、ひっぐ…」
小さな姿では、我慢も長くは続かない。唯の目から涙がぽろぽろこぼれてくる
「きょ、今日だってホントは一緒に寝た…寝たかったのに、唯ひどいコトゆってゆーきくんを…」
最後の方は言葉にならなかった。込み上げてくる涙と嗚咽で唯は声を上げて泣いた
それでも唯は伝えたい想いを頑張って言葉にする
「唯、唯…ゆーきくんが大好き!大好きなの!!だから、ひっぐ…キライになんてならないで!
う…うぅ…ひっく、キライにならないで!なっちゃやだァ!」
それは叫ぶような必死な懇願
どう言っていいのか、どうしたらいいのかわからない唯の本音
その頭にやさしく手が置かれる
「へ?」
「何泣いてるんだよ?唯」
「あ…ゆーきくん起きて…」
いつから起きていたのか、目を覚ましたリトがじっと見つめていた
「ゆ、唯…」
気まずさから、唯は嗚咽をこぼしながら泣くのをやめた
リトにこれ以上、心配かけたくないと思った
目をギュッと瞑って涙を隠す唯
「いいよ」
「へ…」
「我慢しなくていい!泣いたっていい!約束しただろ?もう忘れたのかよ」
そう言いながら唯の鼻を指で突くリトの顔は、どこまでも優しくてあたたかい
「ゆ…ゆーきくん、唯、唯…」
リトは何も言わずに唯を抱き寄せた
「お前が大丈夫になるまでオレがずっとこーしてやる」
「ひ…ぐ…うぅ…ぅうあーん!!」
唯はリトの胸の中で顔をくしゃくしゃにして泣いた
「ひっぐ…ぐす…うぅ…」
「もう大丈夫か?」
ハンカチで涙を拭きながら、唯は首を振った
部屋の明かりは点いていない。「恥ずかちいからつけちゃダメ」との事
二人は真っ暗な中、ぼんやりと映る互いの顔を見つめていた
唯はリトのTシャツを握ったまま離さない
「一緒に寝る?」
暗がりでもわかるほど顔を赤くさせながら唯は頷いた
(ゆーきくんのお布団すごくあったかい…)
布団の中で体を丸める唯
その頭をリトはぽんぽんと撫でる
「んっ」
「小さくなっても唯は唯だな」
クスっと笑うリトに唯は首を傾げる
「どーゆーいみ?」
「ん?小さくても元に戻っても、オレの好きな唯には変わりないってコトだよ」
唯はじっとリトの顔を見つめた
「ゆーきくん、唯のコト好きってゆってくれた…」
「当たり前だろ!何言ってんだよ?」
「ホントに唯が好き?ホントに?」
リトは溜め息を吐く
「あのなー…」
「じゃ、じゃあお願いがあるの!」
「なんだよ?お願いって」
唯はじーっとリトの顔を見る
その顔はいつも以上に、お説教している時よりも真剣だ
(ゆーきくんに唯の気持ちゆわないと、ちゃんと伝えないと…)
唯は小さな手を握り締めた
「あ、あのね。唯をゆーきくんのおよめさんにちて!」
「え?」
「唯、ゆーきくんの赤ちゃんうみたい!おばーちゃんおじーちゃんになっても、ずーっと一緒にいたい!ダメ?」
「ダメってゆーか…その…オレ、前にも言ったんだけど…」
リトの言葉が耳に入らないのか、唯は身を乗り出すようにリトへと顔を近づける
「ダメ?他の約束なんていらないの!唯、ゆーきくんがいれば他いらないの!」
しばらくその顔を見つめた後、リトは唯の鼻をつんと指で突いた
「へっ!?」
「あのなァ、クリスマスの時、オレが言った事もー忘れたのか?」
「え…あ!?」
「来年も再来年もずっとずっとこの先も、お前と一緒にクリスマスしたいって…」
「う、うん!」
「フロ入ってる時も言ったろ?あれ、冗談なんかじゃなくマジなんだけど?」
「うん!!」
お風呂場で見たのよりも、何倍も輝く唯の笑顔に、リトは息を呑んだ
「唯、ゆーきくんのおよめさんになれるんだ!」
「ったく、けど、ホントにいいのか?他の約束はしなくても?」
「そ、それは…」
唯は目を彷徨わせる。しばらくするとぼそぼそと小さな声で呟いた
「え…えっとね。やっぱり他の約束もしてほちい…」
はいはいと笑うリトに唯は頬を膨らませる
「もー、ゆーきくんってどーちて笑うの!?」
「だってお前カワイイもん」
「カ、カワイイ…」
さくらんぼの様に赤くなる唯のほっぺ
うれしさと、照れくささと、恥ずかしさとで頭の中はいっぱいになってしまう
「ダ、ダメなの!唯のそばでそんなコトゆったらダメっ!」
「フロでもそんな事言ってたけどさ、それだと約束守れないんだけど?」
「いいの!ゆっちゃダメなんだからっ」
「ふ〜ん…」
じーっと見つめるリトの視線に固まる唯。その目は完全に泳いでいる
「…と、とと、ときどき…だったらゆってもいい…かな」
なんとか頑張って話す唯にリトは笑ってしまう
恥ずかしさを隠すようにリトの胸に顔をうずめる唯
「もー!やっぱりゆーきくんってイジワル」
「そんなつもりじゃないんだけどなァ」
頭を掻きつつも唯の反応に苦笑を隠しきれないリト
「もー!ゆーきくん!!」
「…ゴメン。けど、お前の事カワイイって想う気持ちも好きって気持ちも、冗談なんかじゃないよ」
唯はリトの胸からゆっくりと顔を離す
「お前とずっと一緒にいたいって気持ちもウソじゃない!だから、お前の気持ちがすげーうれしかった」
照れくさそうに頭を掻くリトに、唯の頬も熱くなる
リトと同じように唯もリトの言葉や気持ちがうれしかった
だから、なんとかしてその気持ちを伝えようと唯なりに頑張ってみる
「ゆ、唯…あのね」
「ん?」
「唯、ゆーきくんのためにもっとガンバル!今よりもっとお料理上手になる!もっともっと勉強してえらくなる!
もっともっと勉強してえらくなる!もっともっともっとキレイになってゆーきくんを独り占めする」
唯の心がめいっぱい背伸びをして、伝えようとする
リトへの想いの全てを
「もっともっともっともっといーっぱいガンバッて、ゆーきくんだけの世界で一番のおよめさんになる」
「唯…」
「だからえっと……唯のコトちゃんと見てて。唯のコト離さないで。唯のコトこれからも好きでいてください」
一息で話した唯の息は荒い
鼓動もリトに伝わるほどドキドキと高鳴っている
(ゆーきくんに唯の気持ちちゃんと伝わったかな…)
赤くなっている顔と違い、唯の心の中は不安でいっぱいになっている
もっと良い言葉、伝えなきゃいけないコトがあるんじゃないかという不安
さっきからドキドキが止まらない。興奮した背中はしっとりと汗を掻いている
「あ…あのゆーき…」
何も言わないリトにガマンできなくなった唯が口を開きかけた時
ぐっと引き寄せられた唯はリトに抱きしめられていた
「ゆーき…くん?」
リトは痛いほどに力いっぱい唯の小さな体を抱きしめる
「バカだなお前」
「へ?」
「今でもお前はオレにとったら世界で一番なんだぞ」
「あ…」
リトと唯。二人の体温が一つに溶け合っていく
服越しに互いの心臓の音が伝わり、次第にその音が合わさっていく
トクン、トクンと規則正しく鳴る胸の音に、二人の息遣いが合わさる
「唯、ゆーきくんの一番…」
「なんだよ今頃気付いたか?気付くの遅いって」
リトは唯の前髪を上げると、おでこにキスをした
「ん…くすぐったい」
体を捩るとふいにリトと目が合う
いつもと同じ顔なのに今はとってもカッコ良く見える
(違う…、ホントは唯、いつだってゆーきくんのコト…)
「唯」
リトは唯の背中に腕を回した
間近迫るリトの顔
「お前が好きだ。世界で一番お前が好きだよ」
「あ…唯も…唯もゆーきくんが好き!大好き!」
いつもなら照れくさい言葉も今は不思議と素直に言える
それはきっとリトがそばにいるから
リトが背中を押してくれるから
(唯、ゆーきくんとずっと一緒に、ずーっとそばにいたい)
二人は大きな手と小さな手を重ね合わせると、ゆっくりと目を閉じた
(今日はゆーきくんの夢見れるといいな…)
翌朝、手に伝わるやわらかい肉感と、鼻腔をくすぐるいい匂いに、リトはうっすらと目を開けた
「う…んん、朝?」
昨日はいろいろありすぎて、疲れた体に朝日はとても眩しく感じる
朦朧とする意識の中、ゆっくりと視線を動かすと目の前には唯の姿
そして、はだけたパジャマから覗く、形のいい胸
「あ…!」
リトの意識が一瞬ではっきりとなる
黒くて綺麗な長い髪は昨日と変わらない
けれど、まだ寝息を立てている可愛い唇、くびれたウエストに、白くてやわらかそうな胸
それは普段、毎日見ている唯の姿
「元に戻ったんだ……唯」
隣で一人騒ぐリトに、唯は目を覚ます
「あ…おはよう唯」
「…ん…おはよう結城くん」
まだ半分眠っているのか、目がトロンとなっている唯
「安心しろ!ちゃんと元に戻ってるぞ!」
「え、元…?」
唯はゆっくり体を起こすと、周りをキョロキョロ見渡す
「ここ…」
「何言ってんだよ?オレの部屋だろ」
唯はまだ納得しかないのか、不思議そうな顔をしている
「結城…くんの?」
「そうだよ!大丈夫か?」
少しリトに身を寄せるように体を動かすと、パジャマからぽろりと胸がこぼれた
元に戻ったサイズに小さなパジャマが合うはずもなく、知らぬ間にボタンがみんな取れてしまっていた
「え…」
「よかったー!ホントに元に戻ってる」
はだけた胸に一人感嘆の溜め息を吐くリトをよそに、唯はだんだん状況がわかってきた
やけに小さいサイズのパジャマに、隣にはリトの姿、そしてその顔は今にやけている
唯の目が次第に変わっていく
「…それで、あなたはさっきから何をしてるの?」
「え…?」
一人赤くなっている唯にリトはようやく気付く。自分が今、唯の胸を凝視している事に
「こ、これはその…」
「あなたって人は、朝からよくもこんな…」
冷や汗を浮かべるリトに唯の冷たい声が突き刺さる
「ちょ、ちょっと待ってくれ!これにはワケが…」
「何考えてるのよ!?ハレンチなっ!!」
唯の一撃で窓際まで吹っ飛ぶリト。けれど痛いはずがなんだかうれしい気分になる
(よかった。これは唯だ。ちゃんと元に戻ってる…)
布団で体を隠しながら、真っ赤になって怒っている唯の姿に、安心した様にそう呟くリトだった
「え!?何も覚えてないのか?」
「うん」
朝食を食べ終えたリトは、昨日の事を唯とララ二人に聞いた
「覚えてないって…昨日のコト全部?」
「全然♪」
ララによると、スカンクの影響で小さくなった体が元に戻る時、
なんらかの副作用で一時的に一部の記憶が曖昧になると言うのだ
「よくわからないけど、みんな無事でよかったね♪」
にっこり笑うララにリトは朝からどっと疲れが戻ってきた様に感じた
「オレの苦労って…」
「いいじゃない!ララさんの言うとおり、みんな無事なんだし」
リトの後ろではまださっきの事を怒っているのか、ムッとした唯の姿
「お前も覚えてないのか?昨日のコト全部?」
「…だから、知らないって言ってるじゃない!」
ますます肩を落とすリト。そんなリトに唯は気になる事を聞いてみる
「何か問題でもあるワケ?……ひょっとして、小さくなった私に何かしたとか?」
ドキンと心臓が飛び出るほどびっくりするリト
「そそ、そんなワケねーだろ!オレはただ…」
「ふ〜ん…」
振り向いたリトを待っていたのは、まったく信用していない唯の目だった
その視線だけで、リトの心臓は凍えそうだ
だけど、ここで負けるワケにはいかない
だって、昨日はあんなに大切な事を交わしたんだから
「ホ、ホントに覚えてないのか?その…昨日の夜のコトとかさ」
「結城くん、しつこいわよ」
なんだかずっと怒っている様な唯の態度に、リトはそれ以上聞くのをあきらめた
しょんぼりと肩を落とすリト
その姿に、唯は少し複雑な表情になる
小さく溜め息を吐くと、ぼそっと呟いた
「…少しだけなら覚えてるわよ」
「え!?」
「…ぼんやりだけど。昨日、おフロで何か…」
リトは慌てて唯の口を塞ぐ
「それはいい!思い出さなくてもいいから!忘れてくれ!」
「ちょっと!やっぱりあなた何か…」
そんな朝のリビングに、通学用のかばんを持った美柑が戻ってくる
「ま、みんな元に戻ったしイイんじゃないの?それよりさ、このままだと遅刻しちゃうよ?」
びっくりした唯は急いで身なりを整えていく
「と、とにかく!この話しは後でゆっくりしましょ?行くわよ結城くん!」
「おお…」
朝からまるで元気のないリトの手を引いて玄関に向かう唯
「…まったくリトも鈍いね。ま、唯さんもウソつくのヘタだけどさ」
二人の後姿に、クスっと笑う美柑だった
「じゃあいってきま〜す」
元気よく外に飛び出すララに続いて、ドアを開けるリト
その手が途中で止まる
「どーしたの?」
「…お前さ……」
「ん?」
前を向いているためリトの表情は見えない
「何よ?」
(…約束は大事だけど、だからする、じゃないよな)
「……なんでもない。それより早くしないと遅刻するぞ?」
「わかってるわよ!服とか整えるから先出てて」
リトは言われたとおりに先に外に出た
「……」
その背中を見ながら唯は、小さく呟く
「覚えてるわよ。全部…」
――あの約束もみんな――
唯は頬を赤くした
「結城くんのお嫁さんにしてって…」
昨日の夜、頑張って言えた素直な気持ち
「一日一回だけじゃなくて、何回もしてほしいって…」
それは、まだまだ言いたい、伝えたい事の一部だけど
――あの約束のコト、結城くんはどう思ってるの?――
唯は期待を胸に秘めながら、リトの後を追いかける
「約束…忘れてたりしたら許さないんだから!」
終わり
今回、唯の年齢が美柑より下になるので(俺の中では幼稚園ぐらい)
エロ、特に本番はどうかと思い、あくまでキスレベルに止めました
エロを期待してくれた方は期待はずれ感があると思いますが
その分、次はエロメインでいきたいと思います。投下は今月中にでも
GJ! 次も楽しみにしてます
本当に唯職人さんたちはレベル高いなあ
いくら唯が書きやすいったって語彙や表現力は職人さんのもんだし……すげえよ
神が多すぎるぞこのスレ
GJ!GJ!!GJ!!!
幼女唯が可愛すぎて10回ほど死にました
今週があまりにエロすぎたんで飛んできました
>>44 GJです。ロリ唯やべえ何かに目覚めそうだ。
これが相乗効果ってものなのかな。
書き手同士がお互いに良い影響を与え合ってる気がする。
やべぇ・・・GJ過ぎて執筆する腕が怖がっている。
此処に投下する事の怖さが無難に観客になりたい気持ちへ直結するよ。
しかし唯率高いな
気のせいか?
GJなんだが
レスを5つ以上消費しそうな場合はtxtのほうがよくないか?と言ってみるテスト
txtなんかで貼ったら後で読めなくなるだろ。
それに一回の投下に数十レスかけるのも他所じゃ全然普通だぞ。
とあるスレで一作品で500kB埋まった所を見たことがあるからこの位の量ならば余裕です。
>>44 GJ!
唯メインなのにロリララに萌えた俺はララヲタw
買い物のところがすごくいい!!
リトの手をブンブン振るとか、お菓子コーナーに走って行くとか、その光景が目に浮かんでくる
遊との絡みもいいなあ。ホントGJです
57 :
名無しさん@ピンキー:2008/05/09(金) 13:45:35 ID:cdEbcymV
>>52 文句や不満があるならハッキリ言え
意見しにくい
リトと唯の作者は腕上げてるな。最初はキャラに違和感あったけどだんだん良くなってきてる。
>>59 それは洗脳・・・・・・らんらん(ry (笑)
61 :
名無しさん@ピンキー:2008/05/09(金) 21:00:15 ID:dvSuSQV0
保守
62 :
むに:2008/05/09(金) 22:21:10 ID:sZ5TAXV0
>>44 GJでした!
ホント勉強になります!
こんなすんばらしい作品の後には合わないんでしょうが、昨日予告していた通り投下します。
かなり久々の『リト』で、このスレ内で結構要望が高かったリト×美柑を自分なりに頑張ってやってみました。
罪悪感と戦いながらエロ要素も含めてみました。
出来の方は………………読む方の御判断に任せます…。
あと、書き方もちょっと変えてみました。
ぴちゃ――。
「ん……」
ぴちゃぴちゃ――。
「ん…ぅ………朝……か…?」
窓の方に目をやると、眩しい朝日が射し込んでくる。
空は快晴、雲一つ無し。
加えてぴちゃぴちゃ聞こえてくる小鳥達のさえずり。
うん、今日も爽やかないい天気――。
(……ぅん?『ぴちゃぴちゃ』?)
いやいや違うだろ。小鳥は『ぴちゃぴちゃ』とは鳴かないだろ。
しかもこの音、外じゃなくてえらく近い所から聞こえて来るな…。
(………そーいえば何かアレの辺りがぬめっとしてる様な感覚が…。ぁ、気持ちいい…♪………じゃなくてっ…!?)
眠気と疑惑、それとちょっとした快楽感が混じり合った不思議な感覚の中で、オレはゆっくりとベッドから起き上がる。
すると、まだ完全に開ききらないオレの目は、下半身辺りの布団が妙に膨らんでいるのを捉えた。
『ん……んぅ………ちゅ……ちゅぷ……ふ…むぅ…』
おまけに何か悩ましげな声が聞こえてきてるんだけど…。明らかにオレの股間の辺りから。
ぅ…、すっげー気持ちいい…。気持ちいいけど、何だコレ?
この音の正体を確かめようと、オレはおそるおそる布団に手を掛け、思いっ切り引っ剥がしてみた。
すると…。
「んぅ……んぐ………ぴちゃ……ぁぅ………ふぁ、リトやっと起きた…♪」
美柑が居た…。
美柑がオレの足の付け根辺りで丸くなって、下着から飛び出し硬質化したオレのモノに口を付けて舐め回していた。
「もぉ……何時まで寝てんのさ〜。学校遅れちゃうよ?ちゅ……コッチのコは……んぅ……早起きのクセして……ん…ちゅぷ…」
悪戯っぽい笑顔で愛おしそうにオレのモノに口付けして舌を這わせる美柑。
まるでソフトクリームを舐める様に、根元からゆっくりと味わう様に登っていき、裏筋の所で集中して舌を使って攻め立てる。
く…、流石我が妹、オレの弱いトコロを良く理解していらっしゃる…。
……ってそうじゃなくて!
「何………やってんの?お前…」
ようやく頭が覚醒し始めた所で、こんな朝っぱらから何やらイケナイ事をヤッている我が妹に問い詰める。
「見て分かんない?ちゅぱ…」
「お前が人の寝込みを襲っている様にしか見えな……うっ…」
「んちゅ……んぐ………んはぁ……。だってぇ…さっきから何度も呼んだのにリト全然起きてくんないし…。
全然起きてくんないからちょっといたずらしたくなっちゃって……♪はむ……んぅ…」
質問に答えながらも、口はオレのモノから離そうとしない。
両手も使って休む事無くオレのモノに刺激を与え続ける。
「ぅ…くっ……あのなぁ、お前…。朝からこんな……うっ…」
「んぅ……ちゅぱ……いいれひょ別に…。これが初めてじゃないんだし、リト好きれひょ?こーゆーの」
「ララに見つかったらどうするつもりだよ…うぉ…」
「んぁ……平気だよ、ララさんの朝シャンって異常に長いし……ぁむ……」
一歩も退かずに一心不乱にオレのモノを舐め続ける美柑。ぅ…、その姿が妙に可愛く見える。
オレは半ば諦めた様に美柑の頭に手を置いて、優しく髪を梳かす様に撫でてやった。
「………ったく…、いつからそんなイケナイ子になったんだお前は…?」
「リトがこーしたんだよ…♪んっ……ちゅる…」
美柑が気持ち良さそうに目を細める。
それで気を良くしたのか、美柑のオレのモノを舐める勢いが少し増した気がした。
何時からだったろうか…。
オレは美柑と……、妹と愛し合う様になっていた…。
血の繋がった大切な家族と…。
当然それは世間的に許される様な事では無い。そんな事は解っている。
けどそれでも、オレ達はお互いを求め合ってしまった。求めずにはいられなかった。
両親の不在に加え、ララ達の目を盗んでは、この背徳行為に及んで互いの気持ちを確かめ合っていた。
思えば、美柑が今よりも小さかった頃からずっと美柑の事を見てきた。
あの頃の美柑は良く『おにーちゃん、おにーちゃん♪』とオレの後ろをちょこまか追いて回ってたっけ。
何処へ行くにも、必ずオレの傍にぴったりくっついて、しきりにオレの事を頼ってくれてたよなぁ。
だからこそ、オレが美柑を守ってやらなきゃって幼心に何度も思ったものだ。
その想いが、まさかこんな歪んだ形になるなんて思いも寄らなかったけど…。
――と言っても、幸いにも(?)オレはまだ美柑を完全に汚してしまった訳じゃ無い。
というのも、実は美柑はまだ処女なのである。いやマジで。
やはり心の中にこういう事に対する罪悪感があるのか、流石にそこまで踏み込む気には…、
妹の初めてを奪う様な真似はしたくなかった。
どっちみち妹に手を出してしまっておきながらこんな事言える立場じゃないのは分かってるけど、
やはり兄としては、本当の初めてはオレじゃない誰かと…、美柑が本当に好きになった人にあげて欲しいと思っている。
美柑がオレ以外の誰かとこんな行為に及ぶ…。正直な話、そんな事を考えただけで胸がズキッと痛む感覚を覚えてしまう。
いっその事、このまま美柑の全てをオレの物に…、オレだけの美柑にしたいと何度も思った事もある。
けど、オレの身勝手な欲望の為に美柑の純潔を台無しにしたくなんかない。美柑には幸せになって欲しいという想いの方が強くて、
今まで本当の意味で美柑を汚してしまう事態だけは避けてこられた。
こられたんだけど…、やはりオレも健全な思春期男子だから(妹と愛し合う時点で健全では無いか…)、
可愛い妹と毎回こんな行為を重ね続けていると流石に理性が保たなくなって、美柑と一つになりたい衝動に駆られる事もしばしばある。
その度に美柑に気付かれない様に自分で性欲処理したり、外部から頭に物理的衝撃を与えてみたりして
必死になって内なる欲を抑え込んできたけど…。
あ、いかんいかん。また良からぬ事を考えてしまっている。
って、良からぬ事なら既にやってるんだけども、幾ら何でもそれはマズい…。
何を今更とか言われそうだけども(誰に?)そればっかりは流石に…。
「……りふぉ?」
「……へ?」
深く考え事をしていた所を、美柑の声がオレを現実に引き戻す。
美柑がオレのモノを舐めるのを止めて、上目遣いで不安そうにオレの顔を見つめてくる。しかもちょっと涙目で。
おもわず抱き締めてしまいたい衝動に駆られるが、僅かな理性で無理矢理ねじ伏せて美柑の話に耳を傾ける。
「どーしたの?難しい顔して…。もしかして………気持ち良くなかった…?あたしの舐め方…、やっぱり下手だった…?」
「い、いや、そんな事ねーぞ!そんな事」
そう、そんな事あるはずがない。オレのモノは恥ずかしい位に美柑の舌使いに反応しまくっている。
その証拠に、オレのモノはさっきよりも大きくはちきれそうな位に膨張して、亀頭の先端から先走り汁が溢れ出してしまっている。
気持ち良くない所かむしろ逆、気持ち良すぎて今にも射精しちまいそうだ。
「……ホントに?」
「あぁ、ホント。最初の頃に比べて随分上手になったな」
思い詰めた様に泣きそうになっている美柑を安心させる様に、再び頭を優しく撫でてあげる。
「……へへ…、良かったぁ…♪はむ……んぅ…」
誉められたのが嬉しかったのか、撫でてもらってるのが嬉しいのか、美柑の顔がぱぁっと笑顔になって、オレへの奉仕を再開する。
普段は背伸びして大人ぶってはいるけど、こういう顔を見ると、やっぱりこいつも年相応の女の子なんだなぁって思わされる。
「ちゅ……んはぁ……あたし……いっぱい練習したんだよ?リトに…気持ち良くなってもらいたくて…」
「え…?いっぱい練習…って……、お前まさか…他の誰かと…?」
「バッ、バカァ!!あたしがこんな事リト以外の奴にするわけ無いじゃん!!」
「痛゛ででで――!!分かった!オレが悪かった!謝るからソコ噛むなってぇ!!」
「まったく……バカァ…」
ふぃ〜…、思いっ切り歯ぁ立てやがって…。噛みちぎられるかと思った…。
ま、今のは確かにオレが全面的に悪いんだけど…。流石にからかい過ぎた。
「んじゃ改めて聞くけど、練習って具体的に何やったんだ?」
「ふぇっ!?そ……それは……」
一転して顔を赤らめて、言いづらそうに目を泳がせる美柑。照れた顔もやっぱ可愛い。
「……言わなきゃ………ダメ…?」
「うん、聞きたい♪美柑がオレの為に影でどんな努力をしていたのかすっげー気になる」
「ぅ……うぅぅ……」
真っ赤にした顔をオレのモノで隠す様に縮こまる。
『コイツ、ワザとやってんじゃねーだろうな』と思ってしまう位、凶悪的に可愛い…。
正直今すぐにでも抱き締めてしまいたいが、何時ララが上がってきてもおかしくないこの状況で
流石にそれをやってしまうと止められなくなってしまう。我慢だ我慢…。
………ぶっちゃけララの存在は今の今まですっぱり忘れてたけど…。
「ぇっと……ね…、友達の家でその子のお兄さんが持ってたえっちな本を一緒になってこっそり読んだり…、
パソコンのインターネットとか使って調べたり…」
「ふんふん」
「それで………アイスとかバナナとか使って…練習したり…」
「『使う』ってどんな風に?」
「だ……だから…………その……………リ…リトの………ぉ…んち…に…見立てて……………ぅ……うぅぅぅ〜〜〜――」
これ以上は限界らしく、美柑の顔が耳まで赤くなって、羞恥に満ちた眼差しでオレを睨みつけてくる。
………うん、はっきり言って全然怖くないっす。むしろさっきよりも可愛く見えるっす。
「ははっ、ゴメンゴメン。美柑があんまり可愛いからついイジワルしてみたくなっちまって♪」
「もぅ………ばかぁ…」
頬をぷくぅっと膨らませてむすくれる美柑。美柑には悪いけど、ご機嫌ナナメの拗ねた顔もまた可愛い♪
………オレも相当なシスコンだな。…って、これも今更か…。
「それじゃ、その練習の成果をもっと見せてもらっていいかな?」
「ぁ………ぅ…ぅん…」
更に顔を赤くして小さく頷く美柑。
再びオレのモノに顔を近付けて、今度はその小さな口いっぱいにくわえ込んできた。
「ぅあ…」
「んっ……じゅ……じゅぷ……んぅ……」
唇のぷにぷにした感触と口の中の唾液でぬめぬめした感触、加えて蠢く舌先のザラザラした感触が
膨張したオレのモノを過剰に刺激する。
すっげー気持ち良い…。
「んはぁ……はん…むぅ……じゅ……ちゅぱ………はふ…。どぉ……?ちゃんと上手に…出来てる…かな…?ふぁ…ぁむ……」
「ああっ…、上手だよ美柑…。気持ち良すぎてとろけちまいそうだ…。ぅっ…くぅ…」
「へへ…、やったぁ…♪んむ……んんっ…」
すっかりご機嫌になった美柑は、更にオレのモノにしゃぶりついてきた。
口をもごもごさせて上下に動かし、舌でぴちゃぴちゃとオレの敏感な部分を弄り、添えた手で棹をしごいて、休む事無くオレに快感の刺激を与え続ける。
「くぅ……美柑っ…」
「じゅぷ…じゅ……ちゅぱ……ふぁ……リトぉ……ぴくぴくしてる…。あたしでちゃんと感じてくれてるんだね…」
「あぁ…、マジで気持ち良すぎ…。だから……もっとしてくれないか…?」
「うん…♪」
オレを感じさせてる事が本当に嬉しそうで、目を潤ませて上目遣い気味にオレを見つめる美柑。
オレの表情を伺いながら一生懸命オレのモノをしゃぶって奉仕するその姿は、
まだ未成熟の女の子とは思えない位に妖艶な雰囲気を醸し出していた。
他の誰も…、両親すら知らない…。オレだけが知っている…、オレだけしか知らない美柑のえっちな表情…。
そんな美柑がたまらなく愛しくて、ふんわりと髪を掻き分ける様に優しく撫で続けてあげる。
美柑って小さい頃からこうされると凄く喜んでくれてたよなぁ…。
それは今でも変わってないらしく、美柑は気持ち良さそうに目を細めて、また奉仕するスピードが上がる。
「んくぅ……じゅ……じゅるるる…」
「ぅおっ!?お、お前そんな吸っちゃ…!?」
「ぅあ……リトまた大っきく……んぐ……じゅる…ちゅ…」
あ、やば、今ので一瞬気が緩んだから堪えてた物が一気に押し寄せて来た。
けどもう少し美柑のこの舌使いを堪能したい…。
その一心で下半身に力を入れて、迫り来る射精感に必死に耐える。
「じゅぷ……じゅ……じゅぅ………んはぁ……はんっ…んぅ……ちゅぅ……じゅるるる――」
………すいません、やっぱり無理です!こんなに無遠慮で攻められちゃ耐えられる訳無いって!
「みっ、美柑っ!ちょっと口離せって…!オレもう限界っ…!」
「ふぅんっ……んんぅ…んんっ…」
しかし、美柑は首を横に振ってくわえたモノを離そうとしない。むしろさっきよりも攻め立てる速度を上げて、
このままオレのモノを暴発させようとしている。
「美柑っ、ヤバいってぇ!このままじゃ口ん中に……ぅあぁっ…!」
「んちゅぅ……んんっ……じゅ…じゅぅ……んぅぅ……じゅるるるる――」
そして、美柑が思いっ切り暴発寸前のオレのモノを吸い上げた瞬間――。
「ダメだっ、出ッ――!!」
ビュクッ!!ビュッ、ビュビュビュ――!!!
「んんっ!!んんっんんんんーーー――!!!」
無理矢理引き抜くつもりが、オレは無意識の内に美柑の頭を抑えて、口内に思いっ切り精液を…自らの欲望を放出してしまった。
受け止めた美柑はかなり苦しそうにしていたが、それでもくわえ込んだモノを離そうとせず、
次々と溢れ出てくる精液を口の中に流し込ませる。
「んっ………ん…く……ぅぅっ…」
不意に美柑の喉がこくんと鳴って、ほんの少し表情が歪む。
――って、こいつまさか飲んじまったのか!?
「ん……ちゅぅ……んく…」
しかし美柑は怯む事無く、更にその直後にオレのモノを更に吸い上げたり舌で舐め上げたりして、
まとわりついたオレの精液を一滴残らず自分の喉の奥に流し込んでいく。
「ぷはぁっ…!はぁ………はぁ………はぁ…」
出したモノを全部吸い切り、絡み付いたモノを綺麗に舐め取り終わった頃、ようやく美柑はオレのモノから口を離した。
目尻に涙を浮かべ、口元の端から僅かに白濁液を垂らしながらしばらく絶え絶えになった呼吸を整える。そして…。
「……ぇへへ…♪元気の素、補充完了…なんて♪」
若干辛そうだが、してやったりと言いたげそうな悪戯っぽい笑顔を浮かべた。
「ぉ……お前なぁ、無理しないで外に出せば良かっただろ?わざわざそんな辛い思いしなくても…。しかもお前今オレのを――」
初めて口の中に射精した時、美柑はあまりの苦しさにむせ込んで泣いてしまった。
その時美柑は『自分で望んだ事だから気にしないで』って言ってくれたけど、
あの時は本当に悪い事をしたと後悔と反省の嵐が頭の中を渦巻いたものだ。…
今では口内射精にも大分慣れたみたいだけど、それでもやはり辛そうにしてるのを見るのは忍びないから
極力外に出すか、やったとしてもすぐに吐き出させる様にしてきたんだけど…。
今回の様に射精した精液を飲み込まれたのは初めての経験で、その事に戸惑いを隠せない。
「だ…だって…、外に出しちゃ服が汚れちゃうじゃん…」
「だからって…」
「そっ、それにっ!」
突然美柑が声を張り上げた。が、すぐに縮こまって俯き、黙り込んでしまった。
一体どうしたものかとポカーンとなるオレをよそに、さっきよりも大分声の音量を低くして
もじもじしながら美柑が言った一言は――。
「それに…………一度リトのって……どんな味なのか知りたくって…。」
聞いた瞬間、オレの思考は停止した。そして…。
「?、リト?――きゃっ!?」
気が付いた時には、オレは美柑を力一杯抱き締めていた。
「ったくぅ、ホント可愛い奴だなお前は♪」
「ばっ、ばかぁ!何言い出すのよいきなり!」
突然の事に戸惑いながらぶーぶー文句を言う美柑だが、
そう言いながらもしっかり抱き返してくれてる辺り、本当に嫌がってはいないようだ。
「それで、どんなだった?オレの味って」
「ぇ?ぁ……ぅ゛ーん…」
だからまたイジワルな事を言って困らせてみた。
案の定美柑は顔を赤らめて、しどろもどろになって返答に困ってる。
「ぇっと………正直…苦くてあんまり美味しくなかったんだけど……、
何か…不思議と嫌じゃなくて……クセになりそうってゆーか……」
まぁそれでもしっかりと答えてくれる辺り、こいつも結構律儀だよな…。
「……ありがとな、美柑」
「……え?」
突然オレからお礼を言われて、どういう事なのか理解出来ないみたいでキョトンとなる美柑。
そりゃいきなりこんな事言われりゃそんなリアクションになるか…。
「だからな…、オレの為に色々と努力してくれたり…、それに………
オレの精液を無理してでも飲んでくれたの……すっげー嬉しかった…から…」
何となく美柑の顔が直視出来ず、頬をポリポリ掻きながら目を逸らして理由を説明する。
ぅぅ…、正直恥ずかし…。
「ぁ………ううんっ、いいよお礼なんて。あたしはただ……あたしの意志でしてあげたかっただけだから…♪
リトが…喜んでくれる様に……」
理解してもらえた時、美柑の顔がぱぁっと明るい笑顔になって、更に力強くオレに抱き付いてきた。
オレも美柑の事を力強く抱き締める。自分の想いを精一杯込めて…。
「………ねぇ…、リト…」
「ん?」
「その……ね…?」
美柑が何か言いにくそうに、もじもじしながらオレの事を見つめてくる。
しかもオレの腿に自分の股間を擦り付けながら。
それで何となく、美柑が何を言いたいのか理解出来た。
「………しょうがないなぁ…。ま、オレばっかりしてもらうのも申し訳無いし…」
「ぅ……ぅん…」
美柑を抱き締めながら、片手をゆっくりと美柑の股間に伸ばしていく。
するりと短パンの中に手を潜り込ませて、下着の上から美柑の秘部に触れ――。
『リトーー!美柑ーー!』
「「ぎっくぅっ!!?」」
――ようとした瞬間、突然下からララの呼び声が聞こえてきた。
『あれ〜?ドコ行ったんだろ〜。もしかしてまだお部屋かな〜?』
トントントンと、ララが軽快良く階段を登ってくる音が聞こえてくる。
や…ヤバい!!今この状況を見られたらオレ達終わる!!
「美柑っ!ちょっとコレ被ってろ!」
「わっ!?」
咄嗟に抱き付いてる美柑ごと布団を被って、寝起きをアピールする態勢に入る。
『ガチャ』
「あ、リト起きたんだ。おはよ〜」
「よ、よぉ。おはよララ」
「?、どしたの?何かスッゴい汗掻いてるけど…」
「え゛っ!?い、いや〜、ちょっと暑くて寝汗掻いちまって…」
「え?今日はそんなに暑くないはず――」
「オレは暑いんだよオレは!!気温の感じ方なんか人それぞれだろ!?」
「ん〜………まいいや♪所で美柑がどこ行ったか知ってる?」
「は!?な……何故?」
「だって朝ゴハンの準備は出来てるのに姿が見えないから」
「き、きっとトイレに行ってるんじゃないのか?」
「さっき見たけど居なかった〜」
「じゃ、じゃあアレだ!朝のウォーキングに出掛けたとか」
「うぉーきんぐ?――って何?」
「平たく言えば散歩だよ、散歩」
「……美柑にそんな日課あったっけ?」
「きょ、今日から加えたんだとさ!健康的な生活を送る為だとか何とか。本人から直接聞いたから間違い無いって」
「そーなの?」
「そぉそぉ♪ぁは…ぁははは…」
口からでまかせを並べ立てて何とか笑顔を取り繕うが、心臓がバクバク鳴って脂汗が止まらない。
布団の僅かな隙間を横目で覗き込むと、美柑もかなり不安そうな顔をしているのが見えた。
とにかく、何時までもこの状況でいるとバレる危険性があるから、何とかララを追い出さんと。
「ほ、ほら!オレ早く着替えなきゃいけないんだから先に下行ってろって!そしたら美柑もその内帰って来るから。な?」
「あ、うん分かった〜。早めに来てね〜」
お馴染みのお日様スマイルと共に部屋を出て行くララ。
どーにか誤魔化しきる事に成功…っと。
「ぷはっ…!あービックリした〜…」
その直後、美柑がひょこっと布団の中から顔を出した。
ずっと布団の中に居たせいなのか、それともバレるかも知れないという焦りからか、オレみたいに脂汗を掻きまくっていた。
「……悪りぃ、残念だけどこれ以上は無理らしい…」
「えぇぇ〜!?」
オレの中断宣言に、本気でイヤそうな声を上げる美柑。
「仕方ねーだろ?これ以上時間掛けるとララに怪しまれちまいそうだし…」
「そうだけど………でも…」
美柑は延々とオレの腿に股間を擦り付けている。とても我慢出来ないと言いたげそうに…。
その気持ちは解らなくもない。実際オレだって我慢ならない。
けど、ララにバレる訳にもいかないので押し寄せる性欲を理性で無理矢理封じ込める。
本人にその気が無いのは解ってるんだけど、ものの見事に邪魔してくれたララを軽く恨んじまうぞ…。
「続きは学校から帰った後でな。だからそれまで我慢してくれ。オレも我慢するから」
「ぅ……う〜……ぅん…」
明らかに納得してないものの、とりあえず承諾してくれた。オレもかなり辛いけど、どーにか割り切らなきゃな。
「………でも」
「ぅん?」
「たまにはリトと……………一日中えっちな事してたい…かな…?」
「……」
美柑がボソッと呟いた一言――。
不意打ちです…。
完全に油断してた所に思いっ切り直撃入りました…。
この子はもぉ……。
人がせっかく我慢してたのに一気に蒸し返して。しかも性欲を倍にするおまけ付きで。
最早オレの方が我慢出来なくなって、おもわず美柑に――。
「それじゃあホントにやってみるか?今日一日中えっちな事をさ♪」
「…………は?」
気が付けばこんなイジワルな事を口走っていました…。
72 :
むに:2008/05/09(金) 22:49:36 ID:sZ5TAXV0
とりあえずここまで。
何か…………………色んな意味をひっくるめてスイマセンでしたぁ!!
しかも無謀な事に続きモノにしてしまってるし…。
でもやってしまった以上やり切るつもりでいますので、上手くレモンと平行しながらやって行こうと考えています。
けどエロ要素に関してはド下手も良いトコなんで、頑張ってはみるけども物好きな方でもあまり期待はされない様…。
GJ!
う〜あ〜・・・・・・・・・・なんかこのまま傍観者になってもいいかなって気分。
ふぅ・・・・・・・・GGGGGGJJJJJJJ!!!!!!!!!!!
どうすりゃいいのよこの行き場のない気持ち!責めるわけじゃない。自分の低脳さに苛立ってるだけ。
続き待ってます。期待されない様?もう十分に他人を楽しませる力をあなたを持っているので自信を持ってくださいな。
GJです!
濡鼎夢の美柑本を読んだ後だったので一層楽しめました
むに氏GJ!
レモンの方も期待してます
乙
一日中エロ…
美柑があ〜んなことやこ〜んなことやそ〜んなことに挑戦していくワケですね!?
一刻も早く続きが読みたい
一瞬、リトが美柑をアナルバイブ挿入放置プレイを思いついた俺は(ry
80 :
rmy:2008/05/10(土) 23:18:07 ID:HOgLT0Ra
リトと唯氏もむに氏もGJです!!
ミニ唯も美柑も可愛すぎます
自分も頑張らねば
「リト〜いつまで寝てるの〜」
早朝、朝ごはんの支度をして寝坊気味な兄を起こすのが妹の私の日課である。
ララさんがいるにはいるがなかなかにマイウェイな人なだけあって起きる時間も比較的(ということにして)遅い。
そういえばララさんが来てからの日常に退屈はない。リトの観察もなかなかに楽しい。
慌てふためいたり困った時のリトは嫌いじゃない、夏休みの自由研究に虫とか花とか観察するより面白いのは確かだ。
リトは男というイメージが弱い分、時折カワイイと思える節があってむしろ好きな部類に・・・・
・・・・・・・・・妙に危ない発言はいりそうだから切ろう・・・
・・・・・・
「これで・・・・よしっ!と。」
とりあえずはしたくは済んだ。テーブルにも並べたし時間は・・・ギリかな。
「遅いな・・・・・まったく二人とも・・・・・・」
もぅ・・・妹にまかせっきりって言うのも考えものだと思うなぁ・・・
部屋へ向かい、部屋の前で手を伸ばす・・・・・・・・が一時停止。
・・・・・別に妹だからズカズカ入ってもいいだろう。
だがあの時やあの時みたいに裸なララさんがいてリトがそばにいたらと思うと警戒はする。
もちろんリトにそんな度胸ない事は知ってるし、マチガイや誤解なんて微塵にも思ってない。
ただ・・・・・・・刺激が強いだけ・・・・(もちろん内緒)
まぁそんなこと言ってても始まんないから結局は入んないといけない。とりあえず意味もなく深呼吸。
すぅ〜・・・はぁ〜・・・・・・ん。部屋の戸を開けて一声。
「リト、早く起きなって・・・?」
・・・・・・・暫し沈黙。
部屋に入ったはいいが、誰もいない。
周りを見渡す。別に広い部屋じゃないから入った時点で視覚に問題がなければ誰もいないコトは理解できた。
うん、とりあえず誰もいない・・・・・・じゃない!
今日は早く登校するとか言ってなかったし、いない理由が見つからない。
ほんの少しだが考えて部屋に入った自分が恥ずかしく思えた。
ホント・・・・一体どこに・・・・・ん?
部屋のど真ん中に無造作に落ちてるものを発見する。
「何コレ?」
この場で手に取るという選択肢は危なかったかもしれない。だがたまたまそのときは警戒が薄かった。
十中八九(いや、どう考えても)これはララさんの発明品だろう。
ララさんの発明品は何個か見てきた。どれもこれも成功といえないものばかり。
リトの被害も多かった・・・・・あぁ・・・何で気づかなかったかなぁ私。
手に持ったコレがピカッと光ったと思ったらその場で意識が遠のいていく感じがした・・・・
「ふぅ・・・朝からシャワー浴びる破目になるとは・・・」
リトは風呂場でシャワーを浴びて制服を着ていた。
ったく・・・・朝から汗びっしょりかよ・・・・ララがいつの間にか俺の隣で寝てやがるから・・・
そういや今何時だ?そろそろ時間気にした方が・・・・
ブツブツと言いながら居間へと向かう。
「お〜い美柑?あれ?」
あいつ食事の用意してどこにいったんだ?
右確認。左確認。前は普通に視覚にはいるから必要ない。と後ろは・・・・無論さっきまでいた方向。つまり見当たらない。
あいつ俺やララを起こしに行ったかな?
となれば俺の部屋か?待たせちまったみたいだし・・・どちらにしても急ぐか。
「ん・・・・?あれ・・・・・ここどこだっけ?・・・え〜と、リトを・・・・」
と、部屋の戸が開く音がする。
「美柑いるか?悪ぃ、ちょっとシャワーを・・・・・・・?」
あぁそうだっけ。そう思いながら体を起こす。
「あぁ・・・そう。まぁいいケド?急がないと遅刻するよ、ほら行こ・・・・ってなに固まってんの?」
目の前にいるリトは目を丸くしてアングリと口をあけて見ている。
私は複雑な顔で真っ直ぐにリトを見て「何変な顔してんの」と言おうとした瞬間。
「美柑だよな・・・・・・・?」
「なに言ってんの?当たり前のこと言って・・・・ボケるには早いでしょが」
リトの変な発言を聞いて自分でも違和感に気づく。
「・・・・・・・・・?」
もう一度私は真っ直ぐにリトを見直す。
・・・・・・・・・・・・・・・真っ直ぐに・・・・・『真っ直ぐ』?
リトは比較的背は低い(と思う)が・・・・・年の離れた妹の目線が真っ直ぐの位置にあるほど低かっただろうか?
・・・・・・・・・・・リト縮んだ?というお約束はカットしよう・・・・・・・やっぱ・・・だろうか。
自然とため息が出そうなシーンだけど今回は出ない。
こんな目にあうのはリトの役だ・・・・・・・でも違う。
「なんで私大きくなってんの・・・・?」
・・・・・・・・
とりあえずそのままリトの部屋のベッドに二人で座って状況を確認する事になった。
今は9時過ぎ。かるーく遅刻だ・・・・もちろんリトにも言ったけど
「こんな非常事態にお前をほったらかしで学校行けるかよ」と、言ってくれた。
ったく成績よくないくせにサボるなんて・・・・まぁ私のためにってコトで怒るに怒れない。
それにちょっと不本意だけど・・・・・・・・嬉しくない事もなかった。
むしろ自分の為に真剣に考えてくれている事に対して感動に近いものを感じてしまう。
「まぁ・・・・こういうマジメなのがいいトコなんだよね・・・・」
「・・・・・・どうかしたか?」
「な、なんでもない!」
なんとなくだが顔が紅潮していく気がしたのでリトとの視線をそらす。
「??」
「ッ~~~~~」
なんでリトなんかにこんなドキドキしてんのよ私は・・・・
それでも居心地悪くないと感じてしまうのだが・・・・
まだ実感がなくてボーっとしていた頭が(リトのせい・・・おかげで)だんだんよくなっていく気がした。
「とりあえずララさんどこ行ったのかな?」
「そうだな・・・あいつがいないとなんも解決しないしな」
リトの言うことだと寝るときはいたらしい。と言う事は夜中にどこかへ行ったのかな?
ところで「何で知ってるの?」と普段なら聞くだろうがい今は遠慮しとく。
またなにか個人的な用事・・・か、何かかな?
記憶にはリトとケンカしたってのはないし、書置き一つない。
なんにせよララさんの発明品だからララさんがいないとどうにもならない。
「・・・・にしてもお前、俺と同じくらいの身長だな」
「・・・・悔しいの?」
リトがムッとした顔になったからとりあえずごまかす。
今の私の背はリトと同じくらい・・・かな?(ホントは髪で少し私がおっきいかもしれない)
目線が近くなった分、年はリトと同じくらいか少し上だろうか?
急激すぎない成長だったが服の変えはないので今はリトの服(その場にあったシャツ)を着ている。
「背は同じくらいなのにコレおっきくない?」
「そりゃ肩幅とか違うからな・・・」
ふーん・・・なんだかんだ言ってもリトも男だったらしい(言ったら機嫌が悪くなるから言わないケド)。
だが結果から言うと不本意だが背とかの伸びはイマイチらしかった。
なによりも・・・・・・・自分の体(主に一点)を触る。
「はぁ・・・・・・・・それなりに悲しいなコレ・・・・」
「胸押さえてどうした・・・・もしかして痛いのか!?」
「え!?いや違うから!これは・・・・・」
「これは?」
痛い・・・・・親切が痛いとは言えない。
もしかして狙ってる?さっきの仕返しなの?(多分本気だろうケド・・・・)
なんとかその場はごまかせたがリトは妙にそわそわしている。
とりあえずなんか言わないと気まずいな・・・・・え〜と・・・
「とりあえず私、学校休んで家にいようか」
「ん〜・・・・でも服がなぁ・・・・いつまでもそれってわけにはいかないだろ?とはいえ俺が買ってくるのも問題だな・・・・」
「まぁね・・・・でも私が着るし別に私が買ってきてもいいけど?それでもならララさんのとか借りるよ」
いろんなトコ大きくてちょっと悲しいけど・・・・
「そうか?でもいつまでその姿ってのもわかんないけど勉強大丈夫か?」
「だね。そうなると勉強は家でかな」
「そうか」
「うん」
「・・・・・・・・・・・・」
リトはなにやら真剣な顔つきになって考え込んでいる。
「・・・・・・・・・・・・」
「何考えてんの?」
言い辛そうな顔をしたが真面目な顔つきでリトはとんでもない事をいった。
「・・・・・・なぁ。俺の学校来て見るか?」
「・・・・・・・・・・・は?」
今なんと言った?常識では考えられない発言?
一応バカにされないくらいの成績だがそれでもムリがあるだろう。
「な、何を言ってるのあんたは!だいたい勉強のレベルが一気に上がるしムリ満載でしょ!」
「いや、ずっとそのままでもないんだしさ。別にこっちの学校でも勉強できるんじゃないかと」
「一人だけ昔に習ったレベルの問題してたらおかしいでしょうが!」
「でも予習ってのもありかな・・・・なんて」
「何年後の話よ!?大体学校が・・・・!」
「あぁそれなら多分大丈夫。うちの校長・・・・お前ならOKって言うよきっと」
「はぁ?そんなわけ・・・・」
ないと言おうとしたがマジメな顔なのでその先の言葉は出てこなかった。
「とにかくお前ならしばらく学校休んでも別に問題ないだろ?」
「う・・・・まぁ・・・・・そう・・・だけど・・・・・」
嘘ではない。家で勉強とかいったが今のところ予習する必要はないから何もする事はない。
「・・・・ヤミとかいるぜ?」
「・・・・・だからって・・・・」
だんだんリト発言苦しくなってない?こんな事普通は・・・・
たしかにヤミさんとはもっと仲良くなりたいけどさすがに『この姿』ですることかと聞かれると疑問だ。
「あ〜もう・・・・心配なんだよ!そばにいるほうが安心できるって言ってんだ!」
「へ?」
予想外の発言だった。
今のってつまり・・・・私の事を考えてる?
・・・・・・・・・やば・・・顔がちょっと熱い。どうしてこの人間は恥ずかしい事をマジメに言えるんだろう?
非常に悔しいが今のリトの顔はその・・・・・・かっこいい・・・・かも?
「・・・私を心配してんの?」
「う・・・・あ、あぁそうだ」
少し声が小さくなったのが非常にいつものリトらしい。
考え無しの言動が長所短所でもあるのだが・・・・・最後までしっかりすればもっとカッコイイのに。
あ〜もう。変なこと言うからなんか調子狂っちゃったよ・・・
「はぁ・・・・わかったから!たく・・・・」
「え?・・・あ、あぁ・・・・分かった・・・・」
留守番くらいできるのになんであんな事を言ったのかとリトに聞いてきたら
「もしかしたらさっきみたいに苦しくなるかもしれないだろうが」と返された・・・・真顔で。
ウチの兄はもしかすると超のつく天然なのだろうか・・・・?素でそう思った今日だった。
そういう成り行きでとりあえずララさんの服を借りる事にする。
時間的には1時限目が終わった頃だが本当に大丈夫なのだろうか?
「ほらリト急いで!」
「ちょっと待てって!ったく、急に行くとか言うなよ!」
「リトが言ったんでしょうが!」
まったく・・・・まさかこんな事になるなんて思っていなかったな。
だいたいリトがあんなコト言わなければ家にいたのに・・・・
いつもは兄と妹の二人に見えるんだろうけど今はどういう風に映ってるんだろう?
もちろん今でも兄と妹だけど・・・・・・ひょっとしたら姉に見えたりしてないかな?
実は少なからずカップルに見られていることは今の二人は知る必要のない事・・・・なのだろうか?
「え〜・・・・・突然ですが今日からしばらくの間クラスに転入してくる生徒を・・・」
「マジですか!?」
「女子?女子なのか!?」
「え、え〜と生徒を・・・・」
「先生!さっさと紹介してください!」
「うぅ・・・」
「ちょっと、話が進まないでしょ!先生。気にせず続けてください」
「え〜・・・・どうぞ・・・・」
先生なんか扱いが雑になってきたな・・・そう思ったリトの心中ではすでに入ってくる生徒に意識が集まっていた。
美柑のヤツ大丈夫かな・・・?
そう思いながらいろいろ考えていた。
「そういえばアイツなんて自己紹介する気だ・・・?」
ガラ・・・・
控えめな音がして生徒が入ってくる。
スタスタスタと教室に入ってくる女生徒を目で追う。
「おぉ!けっこう可愛い!」
けっこうは余計だろう・・・・(リト)
「なんか表情少なそうだけどそこがまた・・・・!」
また・・・なんだよ!(リト)
「結婚したい!」
アイツいっぺん殴ってやろうか?(略)
「え〜と・・・今日からクラスメイトになる結城・・・」
「深柑-みかん-です。よろしくお願いします」
サッと黒板に名前を書く。一文字だけ漢字を変えてるところは考慮したのだろうか?
「・・・・・・」
「結城?」
「予想しない事はなかったけど・・・・」
「おい!あの子お前の親戚か!?」
めんどくせぇ・・・・・・
・・・・・・・・・・
そんなお約束を一通りやって昼休み・・・・
「へ〜ミカりんは結城のきょーだいなんだ!」
「み、みかり・・・・?ま・・・まぁそうですけど」
さっそくお約束その2の質問攻めにあってる美柑(今は深柑)を眺めていた。
「かたいよミカりん〜まるでヤミヤミみたい!」
「ヤミさん?」
「れ?知ってるの?」
「あ!いえ・・・何度か家に来てくれたんで・・・・」
「ヤミヤミが!?」
「え?え、えぇ・・・」
なんか盛り上がってるっぽいな。アイツも煙たがってるわけじゃないみたいだしとりあえずはよしとしよう。
「・・・・・・」
「・・・・?」
「リ〜ト〜・・・・」
「何だ猿山?」
「お前あんなカワイイ双子いるのどうして教えなかった!」
「双子・・・?」
「同い年だから双子だろうが!」
「あ、あぁ〜。いや、教えなかったのはいくつか理由があるんだって」
「どんなだよ!?」
「まずお前だから」
「ウォーい(泣)!!」
「それだけ」
「それだけ!?俺ってそんなに信用無いの!?」
「信用と言うか信じられないと言うか・・・・」
「黒い!今日のお前なんか黒いよ!?性格違うし!俺?俺のせい?!」
「別にいつもと変わんねぇだろ?」
「ちげぇ!クールというより直訳!冷たい!お前絶対キゲン悪い!」
そんなにキゲン悪く見えるか?
自分では気づいてないうちに腹が立っているらしい。確かにさっきからモヤモヤというかイライラというか・・・
自己紹介あたりからなんか妙な気分だった。
どうかしちまったのか俺・・・・?
「ふう・・・・疲れた・・・」
「後悔してるか?」
「いや、別にそういうわけじゃないケド・・・」
「少しは楽しかった?」
「まぁ・・・ね。でもまさかホントに入れるなんて・・・」
・・・・数時間前
「ねぇリト。ホントにOKもらえるの?コレだけ未だに信じられないんだけど・・・」
「いいから。ほら、入るぞ」
・・・・・・
「カワイ(以下略!)」
「・・・・だもん」
あぁ・・・・校長も雑な扱いになってきたなぁ・・・・・本当にどうでもいいけど(笑)
「アレって大丈夫なの?なんか犯ざ・・・・」
「ストップ!それ以上言ったらなんか駄目だ!」
「・・・・ま、まぁいいケドさ・・・」
「そ、そうだ。ヤミにでも会いに行ったらどうだ?多分図書館だぞ?」
「え?ん〜・・・・そうだね。行ってみる」
少し急ぎ足で美柑は走っていく。
「オイ!場所わかんのか!?」
「大丈夫!聞きながら行くよ!それにリトなんか疲れてるでしょ?」
「・・・・俺が?」
「なんか気が抜けたって雰囲気だった・・・かな?そんなカンジ」
気が抜けた・・・・ね。
「心配してくれてんのか?」
「バ・・!べ、別にそんなんじゃ・・・!」
「・・・・ありがとな」
「・・・・・・~~」
美柑はそのまま振り向かず出て行ってしまった。
変なヤツ・・・・変なのは俺もか・・・・別に怒ってるわけじゃねぇし・・・
「おいリト」
「うぉ!猿山!?お前いつの間に・・・・」
「深柑ちゃんと入れ違いにな・・・」
「で?深柑ならいねぇぞ・・・?」
「だからソレ怖いって!」
「は?」
「まぁそれはいいとして!ララちゃんどうしたの?」
「ララ?・・・・・今日は体調悪いって」
「マジ!?じゃ見舞いにいっていいか!?」
「ん〜・・・・(居るならいいけど・・・)とりあえず今日はやめとけ。明日になって様子を見たら別にいいぞ?」
「よっしゃぁ!ついでに深柑ちゃんにも会えるしラッキーだぜ!」
「やっぱ来るな」
「イェ・・ぃぃいいい?!?!?!なんで!?どうして?!!」
「気が変わった。二度と来んな」
「ひどい!どうしてだよぉ!」
・・・・・さすがにかわいそうか・・・?
「んじゃ一つ条件だそう」
「・・・・条件?」
「簡単だから安心しろ」
『・・・・・・・・・』
「へ?」
どうしてこんな事いったんだろうな?
そうリトは思ったが心のどこかに余裕と別の気持ちが芽生えた気がするので、とりあえずは良いかと思っていた・・・
88 :
兄として?:2008/05/11(日) 02:56:21 ID:F6GXySf2
神の後の美柑ネタはどうかと思いましたがひけなかったので特攻しました。申し訳ありません。
『〜』が『~』になっていて申し訳ありません。さらにタイトルは入れ忘れてました。
至らないところばかりですがちっとも面白くないなら容量喰いの馬鹿野郎と思ってください。
その場合大人しく傍観者になります。それではありがとうございました。
キタ―(゜∀゜)―!!!
続きヨロ
>>88 オイオイ、そんな自虐的になるなよ。ていうか普通に超GJ!続きが気になる
>>88 乙です。
ん〜、「・・・」が多すぎて文を追いかけるのがちょっとしんどいです。
間の置き方というか、一時停止が多すぎる感じがして読みにくくなってる気がします。
続きを書いていただけるならその辺りをどうぞよろしくお願いします。
今のままだとちょっと読みにくいかな。文体を工夫すればもっとよくなる希ガス
神って複数人いるんですね
チェーンソーでバラバラになるけどね
三日後に復活するけどね
新婚話の次は難関春菜に挑戦!
でわ〜〜…投下ぁ!
98 :
純愛リト春菜:2008/05/11(日) 20:53:36 ID:Wdkr4h2s
「西連寺…」
「…留美奈さん……」
リトは手を伸ばすと、ゆっくりと春菜の小さな肩を抱き寄せていった…
緊張しているのか 春菜の身体は小刻みに震えている
リトは少しづつ顔を寄せていく…
「(ようやく…ようやく、憧れの春菜ちゃんと…!)」
今のリトの心情を身体全体で表現するとしたら、そこら辺を飛び回り狂喜乱舞することになるだろう…
…この日、リトはララの目を盗んで、春菜とデートすることに成功した
デートと言っても遊園地に行ったり、簡単なショッピングをした程度である
外でのデートが終わった後は春菜の家に行き、二人で協力して夕飯を作り、今日あった出来事を話しながら食事をした
そして、食事の片付けを済ませた後、リトは春菜の部屋に…出来るだけ自然に…春菜に迫った…
春菜も最初は戸惑っていたが、固い決意を浮かべたリトの瞳に見つめられると目をそらすことは出来ない…
「…………」
リトも多少は緊張している
唇をゆっくりと近づけていくと、春菜の吐息すらも感じられる距離になった
リトは春菜の瞳を見る…
…二人の唇が触れそうになる距離になっても、春菜の瞼は開いたままだ
「……?」
「あの…西連寺?」
「何? 結城君」
「こういう時は目を…」
「あ、うん!」
春菜はそっと目を閉じた
「(素直なところがまた………可愛い…)」
美柑たんエロいよ
100 :
純愛リト春菜:2008/05/11(日) 20:54:26 ID:Wdkr4h2s
春菜の瞳が完全に閉じられたのを見たリトは一気に唇を寄せた
「ん…………」
「…ぅ…………」
お互いの口から伝わる温もりが、唇からじんわりと胸の中に広がっていく
春菜の口からは先程、デザートに食べたケーキの甘い香りが伝わってきた
「……ん……」
「…んむ(う…スゲェ柔らかい…)」
リトはたまらなくなって、より強く唇を絡めた
「……ぅん…!」
春菜が少しだけ顔を歪める…
春菜の微かな反応に気付いたリトは咄嗟に唇を離した
「ご、ごめん!つい…」
「だ、大丈夫」
謝るリトに春菜は笑顔で答える
「(ああ…やっぱり可愛い…!)」
リトは春菜の両肩に回していた手を春菜の背中に回し、春菜を強く抱きしめた
「きゃっ!…ゆ、結城君…?……んむ!」
リトは再び春菜に口付けをした
「…」
暫く軽い口付けを重ねた後、頭を動かして唇を頬にずらしてゆくと、春菜はくすぐったそうに鼻を鳴らしてわずかに身を震わせた
「ぁ…ん……結城君…」
春菜は瞳を固く閉じ身体を震わせている
リトは頬の上で唇を動かすと、尖らせた舌を首筋に向かって這わせていった
首に辿り着くと、そのスベスベした肌に口付けをした
「あ……ぁ!くすぐったいよ…結城君…」
「…あ…(つい、調子にのっちゃった…)」
101 :
純愛リト春菜:2008/05/11(日) 20:55:13 ID:Wdkr4h2s
慌てて唇を春菜から離し、少しだけ身を引く
改めて春菜を眺める…
春菜の瞳は優しく潤んでおり、頬は薄く桃色に染まっている
視界に映った愛しい春菜の表情に、リトは自分を抑えることが出来なかった…
「西連寺!」
「きゃッ!」
リトは抱きつくとそのまま体重を掛けて、春菜の後ろにあるベッドに向かって押し倒した
ドサッ!
「あ…」
リトは春菜の視線に気が付いた…
春菜は不安な――脅えたと言っても過言ではない眼差しをリトに向けている
「ごめん…西連寺…俺…」
リトはすぐに反省した…
…困り顔のリトを見た春菜は恥じらいながらも声を掛けた
「結城君……その、私…結城君に全て任せる……」
「…西連寺」
「だから…」
「わかった…!俺も出来るだけ優しくするよ……」
リトの力強い答えに、春菜は静かに小さく頷いた…
春菜は寝転んだまま、自分の服に手をかけ、少しづつ脱いでいった
その様子をじっと見つめながら、リトも自分を脱いでいく
…暫くすると白いブラジャーとパンティだけを身に付けた春菜の姿が現れた
白く美しい肌…細く可憐な手足…小さな乳房とそれが収まった可愛らしいブラジャー…秘部を覆い隠す純白のパンティ…
なんとも扇情的な光景だ
「西連寺…綺麗だ…」
リトは率直な感想を口にした
「え?…は、恥ずかしいよ…」
「ご、ごめん!…でも…本当の事だから…」
リトは春菜に負けないくらいの恥じらいっぷりで顔を赤く染めた…
「それじゃ…行くよ…西連寺」
「うん、結城君…」
102 :
純愛リト春菜:2008/05/11(日) 20:56:25 ID:Wdkr4h2s
知らぬ間に口の中に溜まった唾を飲み下し、リトは恐る恐る春菜の身体に手を伸ばしていった
「………………」
リトの指先が左右のブラジャーの表面に触れ、少しづつそれをずらしていく
「ぁ……」
ゆっくりと乳房が露わになり、暫くすると可愛らしい突起が空気に触れた
春菜は顔を赤らめる…
リトは更に前かがみになると、両手を左右の乳房に添えた
そのまま力は込めずに指先を揺らし、滑らかな肌の感触を味わった後、リトは指を開き、手の中に乳房を包み込んでいく
柔らかく頼りない感覚が手の中に広がった
「あ…結城君…」
「あ…!……優しく…優しく」
自分に言い聞かせるようにリトは呟く…
手に感覚を集中させると、心臓の鼓動が小さな膨らみを通して手の平にまで届いてくる
「こうしてると西連寺がどれだけドキドキしてるのか伝わってくるよ」
「結城君…」
優しい声を掛けながらも、手には力を込めた
波立たせるように一本一本の指先に順に力を込め、乳房を軽く歪ませてゆく
「…ぅん…あ」
春菜の口から小さく喘ぎ声がこぼれた
リトは不意に顔を近づけると、乳房の中心にある乳首に口付けをした
「ふぁッ……結城君!そんな…!」
春菜はリトの愛撫に声を上げて身悶えする
「(そろそろ…かな?)」
両手を春菜の胸から離すと、リトは視線を下へと向けた
「西連寺…」
春菜もその視線に気が付いたのか、今まで開かれていた両腕を胸の上で揃え、リトの動きをじっと見つめた
純白のパンティの両側に手が添えられたかと思うとスルスルとずらされてゆく…
太股の間の淡い茂みが露わになった瞬間から春菜は顔を上気させ、目を逸らしてしまった…
「西連寺…大丈夫…俺を信じてくれ」
「…」
「…な?」
「うん…」
少しの間を置いた後春菜は、小さく頷いた
103 :
純愛リト春菜:2008/05/11(日) 20:57:36 ID:Wdkr4h2s
パンティを春菜の両脚を通して脱がせた後、リトの右手はすぐに脚間の茂みへと辿り着いた
軽く表面をなぞる様に触ると、更にその下へと潜り込ませてゆく
「んっ…」
今まで誰も触れたことの無い敏感な部分を触られ恥かしかったのか、春菜は赤面し、喘ぎ声が口から漏れる
リトは更に手を進めた…
ふわりとした感触に続き、柔らかな秘肉の感触が指先に伝わってきた
「西連寺…」
そう呟くとリトは秘所への愛撫を開始した…
人差し指と中指を突き出し、淫裂に沿ってなぞる様に動かす
「あ…ふ……」
2つの指を優しく上下に動かし、時々、淫裂の中に軽く沈ませてやる
じっくりと時間をかけ淫裂の表面をほぐしてゆく…
愛撫するリトの指の腹にじとりと濡れた感触が滲んできた
「…よし」
「…え?」
濡れ具合を確認したリトは、指を『く』の字に曲げる様にしながら春菜の中に進めていく
ぐ…ぐちゅ…
静かな音を立てながら少しづつ進入していった…
「あぁ…!…結城君!!」
自分の中に進入してくる初めての感触に春菜は上半身をくねらせた
指先が熱いぬかるみに包まれる
淫裂を押し広げ進んでゆく指を周りの柔肉がきゅっと締め付けた
「(もう一本くらいイけるかな?)」
リトは中指も曲げていき、最後には二本の指を揃えて、春菜の中に入れた
愛撫する指が二本に増えたことにより、動きは更に多彩になる
交互に動かしたり、指の間隔を広げてみたり、二本の指を使い大きく掻きまわしてみたり、柔肉をかき出すように動かしたり…
「あッ……ぅく…ん……!…っ!」
指を潜らせ、動かす度、春菜の唇からこぼれる声が徐々に増して行く
「…大丈夫?西連寺」
「だい…じょうぶ……結城君…」
104 :
純愛リト春菜:2008/05/11(日) 20:58:34 ID:Wdkr4h2s
一旦、手を止め、尋ねたリトに対して春菜は潤んだ瞳で答えた
リトは微笑むと、再び指を動かす
繰り返すうちに緊張が解れてきたのか、指への締め付けが少しだけ緩くなってきた
それでも指二本ですら少しキツい…
「(う〜ん…ちゃんと入るのか?)」
リトは今から、挿入の際の心配をしている
「結城君?」
「…あ、ああ!」
考え事をしている間、動きが止まっていたのか、それを気にした春菜から声がかけられた
「大丈夫…俺に任せて…」
意を決したリトはゆっくりと淫裂から指を引き抜いた
引き抜かれた指はリトの股間部に運ばれて行った
そこには、天を突くほどに膨張した男根が露わになっている
愛撫していた指先に春菜の体温を感じて、リトの胸の鼓動と下腹の疼きは最高潮になっていた
「…あ………きゃ!」
少しだけ引いた腰の中心に目を止め、春菜は驚いた声を出し、目を逸らす
「あ…西連寺…」
「…結城君の…」
「え…?」
「おおきくなってる…」
「あ、ああ…まあ……」
「…」
「……」
二人の間に妙な沈黙が訪れた
…こうしている間にもリトの怒張は春菜の中に入りたくてビクビク脈打っている
「わたし…」
「…」
「わたし…結城君に…その……任せる…」
「…西連寺……(くぅ〜〜生きてて良かった…)」
その言葉と共に、緊張していた春菜の四肢から少しだけ力が抜けていった
105 :
純愛リト春菜:2008/05/11(日) 21:02:42 ID:Wdkr4h2s
リトは腰を動かし、立派に勃起した男根を僅かに濡れる淫裂の中心に合わせた…
「それじゃ…いくよ西連寺…」
「うん…!」
指で位置を確かめ、男根の先端を入り口にあてがった
ちゅ…
春菜の太股を下からすくい上げる様の抱え上げ、腰にゆっくりと体重をかけてゆく
きつく閉じた淫裂だったが、リトの愛撫のせいか亀頭全体がずるりと中に飲み込まれていった
ぐぐ…ぐ…ぐぐ…
熱く脹れあがった肉棒が肉の道を押し広げている
「あぁッ!!っつ!!」
春菜が苦痛の声を上げた
「あ…」
リトは慌てて挿入を止める
「痛いなら止めた方が…」
「…わたしなら大丈夫…」
「けど…」
「我慢できるよ…だから…結城君…」
春菜は手を伸ばし、リトの腕を強く握った
「…わかった」
一旦止めた腰に再び体重をかけ、前へと沈めていく
「…うぅっ!」
先端部は入ったけれども、そこから先が中々入らないのでリトは強引に体重を乗せてゆく
春菜は苦しそうな声を上げるが、リトの腕を力一杯掴み、痛みに耐えている
ぐッ!!
リトが思い切り腰を突き出すと、ようやく根元までが春菜の中に収まった
柔肉を突き破って侵入した春菜の中はとてもキツく狭かった…
「…っ!」
「……西連寺」
リトはゆっくりと前後に腰を動かし始める
出来るだけ優しく挿入しようと思っていても、キツく温かい柔肉の中の感触を味わう度に徐々に動きは勢いを増してしまう
「うぉ…くっ!!」
「…はぁ…ぁ…」
春菜は両手でリトの身体にしがみ付き、挿入の痛みを堪えようとしている
体が強張る度、結合部の秘肉が窄まり、リトの肉棒を締め付けた
106 :
純愛リト春菜:2008/05/11(日) 21:09:40 ID:Wdkr4h2s
「ルリの中…うっ……スゲ…ェ」
「あ!んん!…留美奈さん!」
必死に耐えて留美奈の挿入を受け入れている春菜に向かって、リトは無我夢中で肉棒を叩きつける
最初はゆっくり動いていた腰も次第に速さを増していた…
「はっ…ぁっ…う…うう…!」
「…つっ!」
「さ、西連寺…俺…もう…」
「…え!?」
リトの股下には既に絶頂の予感がこみ上げてきていた
それに対して春菜は痛みと快感が混ざり合った奇妙な感覚を感じていた
「もう……駄目だ!」
はっきりとした射精の衝動を感じたリトは慌てて腰を引いた…
ドピュ…ピュ…
ぶるりと素早く引き抜かれた肉棒が反り返ると同時に亀頭の割れ目から勢い良く精液が飛び散った
その精液は春菜の秘部、下腹部を越えて、胸の近くまで至っている
「ふぅ……」
「あっ…あ………ぇ?」
春菜は呼吸を整えながら、自分の身体に飛び散った白い液を不思議な眼差しで見つめた
「…これ…何?」
「え…え〜と…」
答えようとしたリトの目に赤く染まったシーツと血が滲み出てくる痛々しい淫裂が飛び込んできた
「ごめん…西連寺…痛かっただろ?」
「え?あ…大丈夫……相手が結城君だったから…」
「…西連寺……」
二人は優しく微笑んだ…
「…留美奈さん……」
って誰!?盗作疑惑!
一括変換ドロは原文の名前誤植に泣くってばっちゃが言ってた
109 :
純愛リト春菜:2008/05/11(日) 21:25:26 ID:Wdkr4h2s
…20分後
二人は仲良く春菜のベッドで寝ている
リトは横で静かな寝息をたてている春菜を見つめた
昼間からのデートもあって流石に疲れたのか、春菜はぐっすりと眠っている…
「春菜ちゃんは素直で、大人しくて…本当に可愛いなぁ…」
リトはニヤけた目つきで春菜をじっくりと眺めている
「ララのヤツとは大違いだな…ホント…」
頭の中に様々な表情をしたララが浮かんできた…
「ララか…アイツはアイツで可愛いトコあるんだけどな………って何言ってんだ…俺?」
リトの春菜に向けられる想いとララに向けられる想いは違うものなのかもしれない…
(でも…今確認した…俺の本当の気持ち…ゆるがない気持ち…)
中学のあの時から…ずっと…
「大好き……」
「!」
「私も…中学の時から…好きだった…結城君の事…」
表情を見せないように俺を抱きしめる春菜
「じゃ、じゃあ…あの時告ってたら…」
「告る?」
「な、なんでもない!そ、それより早く寝よう!」
「結城君…」
話を遮る形に納得できない春菜は何度もリトに問い詰めた
ジト目になる春菜と汗だくになるリト…
もし夫婦になるのだとしたら…上は間違いなく春菜であろう
いつしか春菜は寝息を立てていた…
「(明日はまず、ルリを家まで送って…それで…そうか、明後日はまた学校か……)」
留美奈も静かに眠りに落ちていった…
彼の言った通り、すぐにも学校が…何気ない日常がまた始まるのだ…
乙。・・・・留美奈?
レスありがとうございました。
あと>92-93ありがとうございます。参考にします。
なるだけ読みやすくしようと心がけます。いつもと違った方法でつくったのもありますので次があれば頑張ります。
112 :
純愛リト春菜:2008/05/11(日) 21:30:49 ID:Wdkr4h2s
>>106 最近読んでた本の印象が強くて名前がごっちゃになってた!
キャラが似てるもので…
このような失態を犯してしまった以上…わかってます…
なんか最近流行ってるのか?
わざとバレやすい盗作投下して雰囲気悪くする荒らし
盗作…
気分悪いわ
115 :
名無しさん@ピンキー:2008/05/11(日) 22:29:26 ID:3bANaPJ6
るみなさんきたー
どーせこれまでの作品もパクリなんだろうな
ところで、リトの女体化スレ落ちちゃってるね
コレは釣りだろ…
119 :
名無しさん@ピンキー:2008/05/11(日) 23:49:36 ID:/XFxo0CW
さっきの作品盗作なの?そう言えば保管庫でさっきの作品で似たようなのがあった気がする
>>112 そんな言い訳しなくても盗作ってバレバレだから
こいつとらぶるガールズの作者だったのか
今までの作品もパクリとか…正直裏切られた気分だ
他人を装ってバレバレの盗作を貼る→これまでのも盗作かと非難する、のコンボですねわかります
124 :
名無しさん@ピンキー:2008/05/12(月) 02:29:23 ID:dkwDUMTH
マジですか?かなりショックです
名前ミスったくらいで盗作はないわ
せめて元になった話くらい特定してくれないと
何で前スレ
>>407?
あれがパクりならまだ分かるがそうでないならでっち上げもいいとこだ
スレ汚しスマソ
メ欄に[ID:mpfj41Qj]と入れれば誰でも成り済ませる。
それだけのこと。
>>129 407 新婚リトヤミ ID:mpfj41Qj 2008/04/19(土) 02:03:47 ID:b4k8V4jI
一様、終わりです。
まだ続きは書けるんですが、まぁ様子見って事で…
あ、あと、自分は「トラブルガールズ」の作者でして、今後書くとしたら
誰を書けばいいか悩んでおります…。
なんか面白いことになってるw
っていうかアニメの影響か、読解力の低い18歳未満の輩が増えたな。
>>125の様な読み落としはともかく、
>>128はID:mpfj41Qj=とらぶるガールズの作者だという事を
>>127に言ってるだけなのに、イミフな事を言う
>>129みたいな奴は論外。
勿論
>>112が本人なのか荒らしなのかはまた別の話。
個人的な感想
>>112が本人を装った荒らしだと思われる点
・あまりにも初歩的なミスで釣っている
・言い訳がしょぼ過ぎる
>>112が本物だと思われる点(その場合は盗作常習犯の可能性が高くなる)
・投下前の文体が似てることと、投下の文量も酷似
・前スレで春菜を書くつもりでいると言っている
・盗作を指摘されてテンパッたのだろうか、アンカがおかしい。出だしからミスがあるのに
>>106にしか着目してない点が疑問
・一回における投下量が少ないとはいえ、他の職人と比べると明らかに投下頻度が多いことを見ると、盗作の可能性が高い
>>112が本物であれば、もう二度とこのスレには姿を見せないだろうし、逆に
>>112が
>>123の言うような単なる荒らしであれば、近いうちに被害者である本物が何らかの形で行動するだろう。
だがいずれにせよ、今までID:mpfj41Qjが投下してきた作品が盗作と証明されれば...
個人的には
>>112は本人だと思う。
まあ、有意義な教訓があるとすれば『書き手はなるべくトリップつけようね』の一言に尽きるな。
>>132 前スレ確認した結果
『新婚リトヤミ』も東京アンダーグラウンドからの転載だと思われる
『トラブルガールズ凛偏』は不明
どれも4.5年前の作品だったな
連投すまん
王女編好きだったんだかあれもパクり?
展開とかオチとかとらぶる(てかララ)じゃないとダメな気がするんだけど
それにしても盗作が発覚したら、今回のリト春菜は当然除外として保管庫に置いてあるのはどうなるんだ?
最初のやつ以外、盗作元特定したっぽいレスがあるのにソースが出ない件
140 :
132だが:2008/05/12(月) 21:54:48 ID:VM95IqMu
>>140 乙&d 事が事だけに極力慎重に…と思って荒らし説の可能性も想定し続けてたけど、マジ物だね…
疑うようなレスもしたけど許して下され
>>140 うはwすげぇwww
本当に
>>132が言ったとおりになったな
まさか、これほど悪質だったとは…
俺も全削除には賛成
なんかかなり感じ悪くなったな……。
>>140 お前の推理力&行動力に脱帽w
新婚リトヤミから別人だったとか…
すまん、楽観しすぎだな…
あれから1ヶ月だからな〜
さすがに本物1回くらいは来てるだろ。
>>140 あれ?俺いつ書き込んだ...?
迅速に行動してくれたことには感謝するけど、彼は俺じゃないぞ
まあふつうにミスだと思うがw
>>147 >>140はあんたの推理の裏付けという意味で「132だが」って言ったんだろ
あんたもご苦労様
よく見つけてきたな盗作元を
てかこんなに早く解決するとは思わなんだwww
>>132の推理力も
>>140の行動力も素晴らしかった
あとは保管庫の作品の削除だな
願わくば神職人の手によって、この流れを断ち切ってくれんことを…
嫌な…事件だったね…
神じゃないが頑張ってララ書いてみる
職人さんもどんどん投下してね
おまえらどこのバーローだよw
>>151 頑張ってくれ!俺も自分のがんばる
頼むから荒れるようなことはしないでくれ
154 :
名無しさん@ピンキー:2008/05/13(火) 18:29:53 ID:sbyRh5cd
作品は作品でまた残してほしいよ。ただそれ以降もう盗作は投稿するべからず。これが原因で荒らされたらマジで萎えるからな。
それにしても本当にその情報収集能力はスゴイ。
一般向けが投稿OKなら簡単なSS書いてみようかな?
リトが女物のパンツ被って覚醒する内容で。
全部が全部とは言わないがパクりはあったね。
女体化のネタなんかパクり満載だったし
女体化って、まさかむに氏の?
むに氏が…パクリ…?
違うだろ
まてまてまて
誤解を招くような発言は慎め
お前ら敏感になりすぎだwwww
盗作云々は盗作元を出してから言え。
だな。盗作元がURLつきで出たら削除、それ以外はもうこの話題引っ張らないとかでよくね?
すまんかった
職人様方、気にせず投下してくだされ
だね。
盗作ネタが特定できないから全削除、なんて管理責任者のセリフだろ。
特定できないってことは盗作立証できないんだし放置が当たり前。
とりあえず流れを変える意味で投下します
と、言ってもミニSSだし、エロ要素も何もないんですが…
外は雷と大雨
空がピカっと光る度に、ぬいぐるみを抱きしめる腕に力がこもる
唯は雷が苦手だった。小さい頃からずっと
小さい時、こんな時いつもそばにいてくれたのは遊
震える体を抱きしめてくれて、一緒に寝てくれて
だけど、高校生にもなってそんな事言えるはずもなく
唯は一人、ベッドの上で小さくなっていた
「はぁ…こんな時…そばにいてくれたらな」
唯はリトを想い浮かべていた
唯にとって一番そばにいて欲しい存在であり、誰よりも一緒にいて欲しいと願う存在
「結城くん…私を一人にしないで…声だけでも聞かせて…」
雷の影響からか、いつになく弱気な唯
唯は膝を屈めると、ギュッとぬいぐるみを抱きしめた
(結城くん…)
その時、部屋のドアがノックされる
「唯、いるか?」
「お、お兄ちゃん!?」
唯は俯いていた顔を上げるとドアを開けた
部屋の前にはニヤニヤと笑みを浮かべている遊の姿
「な、何よ?」
一人慌てた様子の妹に遊は笑みを深くした
「お前、相変わらず雷苦手なんだな?」
「べ、別にいいでしょそんな事っ!」
つい強がって遊からそっぽを向く唯
遊はそんな唯に苦笑すると、手に持っていた受話器を唯に差し出す
「え?電話?誰から…」
「お前の彼氏から電話だよ。いいヤツじゃん?ちゃんとお前の事心配してくれてさ」
唯は目を丸くした
雷が怖いなんて一度も話した事はない
「結城……くんが?ウソ…」
ますます顔をにやけさせる遊の手から受話器を奪い取ると、唯は急いでドアを閉めた
ベッドの上に戻り、ジッと受話器の向こうのリトの顔を思い浮かべる
(私の事心配してくれて…)
話した事がなくてもちゃんとわかってくれる
何て言ってくれるんだろう?
私を想って家まで行くと言ってくれるの?大丈夫になるまでずっと声を聞かせてくれるの?
唯の頭の中は、妄想が駆け巡る
逸る気持ちを抑える様に唯は一度深呼吸をした
「も、もしもし?」
「あ!唯?」
結城くんの声だ!
唯の中でうれしさと安心感が生まれる
自然とやわらかくなる顔
「何なの?こんな時間に」
だけど、気持ちとは裏腹にその声はいつもと同じ
「えっと、ちょっと聞きたい事があるんだけどさ…」
「聞きたい事?」
ひょっとして本当に────
受話器を握りしめる手に力がこもる
「な、何?」
「あのさ…、今日の宿題ってどこだっけ?」
「え?」
「ほら、今日、数学の宿題出たろ?あれ、何ページか忘れちゃってさ」
「……」
「あれ?もしもし?」
唯はリトに聞かせる様に溜め息をもらす
「何だよ?」
「……ララさんにでも聞けば?」
「え?ちょ…」
唯はリトの返事も待たずに電話を切ってしまった
「ったく、何なんだよ唯のヤツ…」
突然電話を切られたリトはワケがわからず、受話器に向かって文句を言っていた
確かに唯の言うとおり、わからなければララに聞けばいいだけの話し
リトだって最初からわかっている
だけど、それをわかっていても唯に電話をした理由は────
リトはやり終えた宿題の上に受話器を置くと、頭の後ろで手を組んだ
「ま、あの調子だと大丈夫みたいだな」
唯が雷が怖いなんて事はもちろんリトは知らない
知らないけれど、外の荒れ具合にリトなりに心配したのだが────
唯はベッドの上でジッと受話器を見つめていた
あれから十数分
リトからは一向に電話する気配がない
「何してるのよ…」
あんな事を言ったけど、本当はリトの声が聞きたいし、すぐにでも飛んで来てほしい
だけど、そんな事を言えるはずもなく
唯はリトを待ち続けた
ちょっと言い過ぎてしまった?
本当の事が言えなくても、もっと違う形で……
外はますます激しさを増し、さっきから雷が鳴り響いている
「うぅ…結城くん……もぉ、何してるのよ!?」
受話器に文句を言っても仕方がない
だけど、じっとしてなんかいられない
窓の外が光る度にどうにかなっちゃいそうだ
唯はギュッと自分の体を抱きしめた
あの時、約束してくれたのに
寂しい時、不安な時は、そばにいて抱きしめてくれるって言ったのに
「結城くんのバカ…」
小さくそう呟いた時、受話器から着信を知らせる赤や青の光が灯る
「あ…」
唯はすぐにボタンを押すと耳に受話器を当てた
「もしもし?」
「……えっと結城だけど」
リトの声
唯は唇を噛み締めた
「遅い!!何してたのよ!?」
「何でそんな怒るんだよ?」
「知らないわよ!!!」
うれしさと怒りがごちゃ混ぜになった感情に、唯はどうしていいのかわからなくなる
ただリトの声に胸がキューっと締め付けられていった
受話器の向こうでは、どこか言い難そうなリトの様子
「あ、あのさ、大丈夫…か?その…外すごいから心配でさ」
「……」
唯は無言
「唯?」
「結城くん…」
「ん?」
心なしか唯の声は震えている
「何だよ?」
「……今日はこのままずっと声聞いていたいの。ダメ?」
受話器の向こうのリトは小さく笑った様な気がした
「結城くん?」
「いいよ。今日はずっと話していような?」
「あ!う…うん!」
「ホントに平気か?」
「だ、大丈夫に決まってるでしょ!?」
袖でゴシゴシ目もとを擦りながら、なんとか気丈に振る舞う唯
「そっか。安心した」
ホッとした様なリトの声に、唯は少し口を尖らせる
本当はもっと心配して欲しいと願っているのは唯だけの秘密
唯は丸めていた膝を伸ばすと、ベッドにゴロンと寝転がった
電話の話題は来週行くデートの話し
顔をほころばせる唯に、さっきまでの様子はもうない
雨はいつの間にか止んでいた
終わり
大雨の中、本当はすぐにでも会いたいけど会えない
そんな二人の様子を昨日の夜の大雨の中(こっちはリアルで雷&大雨でした)考えてました
短編ということで、近いうちに長編ものも投下したいと思います
焦ったら変換ミスった・・・
素奈緒× 素直○ な。
荒れそうな流れ…
>>170 GJ!!エロ要素なんてなくても全然充分ですよ!5・5はミニSSだからか
雰囲気悪い中ありがとう。
流れを変えてくれるかもしれない作品になるかもな。
>173 そんな事いったら本当に荒れちまうだろーが。もっと前向きに考えようや。
乙と言うよりGJだな
テス
リトが籾岡と沢田に逆レイプ毒電波を受信した
後は頼む
むに氏…
お前らwww本家がやったぞwwww
とりあえずジャンプ25号を楽しみにな!
何? 女体化かなんかですか?気になる。
れもーーんっ!!
だったらいいな名前wにしても矢吹何やってんだ。2ちゃん見てんじゃね?
もしかして…
むに氏=長谷見先生!?
これはもう偶然とは思えない…
冗談だったのに・・・マジかい。ついに念願か。
にしても可愛い。思わず描きたくなるな。名前がレモンならむに氏が本人か本人が2ch・・・
普通に考えて偶然だろ、てか堂々とネタバレかい…
て言うと「この漫画にネタバレなんて〜」とか言い出すんだろうな
だからこれ以上は…ってかそもそも話題にするから…
水曜から分かってたのに黙ってた奴だっているだろうに
つーか本誌買って嫁
それにしても相変わらず唯の職人さんはうまいなあ
その腕で他のキャラも書いてほしいと思うのは俺だけなのか?
ロリ唯書いてくれた職人さんに美柑ものを書いてもらいたいし
前スレの唯×リトの職人さんに沙姫様ものとかさ
リクおKならぜひ…
もしも名がレモンだったらどんな反応すんだろうここの方々は
>>193 どの人だったか忘れたケド唯職人の人で好きなのは唯だけって人がいたぞ
つーか何も職人さんは唯書いてる人だけじゃないんだから
そーゆー安易な発言は慎め
こんな誰でも思いつくようなネタを、
今までやらなかったのと、今になってやりだしたのが
不思議で仕方がないぜ
大丈夫か長谷見
リト×春菜を投下しようと思うんだが・・・どうしようかな
猿山×女性陣を書いてる俺よりは需要あるんじゃないかね。
>>198 早く投下汁
全裸で待ってる俺の身にもなれ
↑
>201 でなく >200 な。
すみません。投下しようとしてるんですが、いざ書こうとなると中々案が出て来ない。
とりあえず明日あたりにはなんとか投下します。
すみません。投下しようとしてるんですが、いざ書こうとなると中々案が出て来ない。
とりあえず明日あたりにはなんとか投下します。
>>203 無理しなくていいぞ
ゆっくり自分のペースで書けばいいから
あと10分待ってやる
連投申し訳ござりませぬ
>>208 盗作じゃん。でも書き手が一緒という可能性も……
SSサイト→2ちゃんねるで投下の盗作も多いが
2ちゃんねる→SSサイト公開の盗作増えてきたな
>>211 なんだよその委員会w
まぁそれはさておき乙
お前ら、今週号読みましたか?
や っ て く れ ま し た
作者が自サイト開設しただけじゃね?
(いったいどうすりゃいいんだよ?…)
机に突っ伏したままリトは苦悩していた。
彼は今日、ララと春菜の2人に自分の気持ちを伝えようと考えていた。
だが中々決まらない。リトならば仕方のないことだろうか。
(ララは俺のことが好きで、俺は春菜ちゃんが好き。でもララに気になってるおれもいる…マジでどうする?どうする俺??)
そんな中、いつもの様に猿山が呑気に話しかけてくる。
「よぉリト。何難しい顔してんだ?」
「猿山か…。別になんでもないよ」
「ほほう。その顔はまた西蓮寺のことを考えているな?」
「う、うるせぇ!なんでもねぇって言ってんだろ!あっち行った行った」
「へぇへぇ、モテろ男は大変だねぇ」
なんて言いながら猿山は去っていった。
相変わらず猿山は気楽でいいいな、と思いながら再び悩み始めた。
授業中も、昼食時も。休憩時間も
悩んだ末、リトは決めた。
(ララが嫌いって訳じゃない。けど俺の気持ちはやっぱ昔から変わってないんだ!俺は春菜ちゃんが好きなんだ!)
ついにリトは春菜に告白することを決心した
丁度そこにトイレに行っていた春菜が戻ってきた。
「なぁ西蓮寺」
「何?結城君?」
「あのさ…放課後、ちょっといいかな?どうしても話したいことがあって…」
「うん、今日は部活も休みだし大丈夫だよ」
「そうか、じゃあ放課後またな」
そして運命の放課後がやってきた―――
「西蓮寺、俺…俺西蓮寺が好きだ!」
「えっ!?…」
突然の告白に春菜は驚いている。
「…ありがとう結城君。でも結城君にはララさんがいるでしょ?私を付き合ったら…」
「それでもいいんだ」
春菜の言葉を遮り、リトは続ける。
「確かにララも気になる。けど俺は、やっぱり西蓮寺が好きなんだ。だから…俺と付き合ってくれ」
「…ぐすっ……うんっ…私も…結城君の事が好き」
嬉しさのあまり、春菜は泣いていた。
「西蓮寺、俺…今俺らがどれくらい愛し合ってるのか確かめたいんだ」
「私も。そうだ、私の家に来て。そこで確かめよ?」
そして2人は春菜の家へと向かった。
すいません、続きはまた明日投下します。
今山場をどうするか考え中です。
ところで何故かIDがころころと変わっているのですが、
>>198>>203は俺です。ご迷惑お掛けしました。
最後までまとめてから投下したほうがいい
西蓮寺じゃなくて西連寺
何て言うか、頑張れとしか
@面白くない
A文章書くのがうまくない
B誤字多い
C「おそらく」短編なのにまとめてから投下しないでひっぱる
Dそもそもひっぱるほどでもない
最後まで読まないと感想は言えないな
ガンバレとしか言えん
もう大っぴらに語ってよろしいですよね?
零紋キタ━━━━━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━━━━━!!!!!!!!!!!!!!!!
名前がどうなるか次週に期待
しかし男が女になると
髪が少し伸びるのは法則でもあるのかね?
まさか原作で実現するとは!!w
>>226 リトの髪型があんあんだから
むしろ俺は短くなったように感じるが・・
↑修正
あんあん→あんなん
間違ったw
>>218が叩かれすぎワロタw
手放しで褒めるだけが、職人の為にはならないってことはわかるが、まぁ
>>218はもっと本を読むべきだと思う
レモン?リト子??
ショタ主人公なら性別反転or女装ネタは必然
しかしここまで大胆にキャラデサいじってくるのは予想外だった、さすが矢吹神
>>230 叩くのが職人のためか、何様だよ
>>231 リンスっぽいからシャンプーだったり・・・・ねぇな。
『子』ならリコでいいじゃん。語呂悪い。
そのまま戻らないで学園通いなら名前が出てくるな。果物とかけっこうでたし・・・・・
メロンとかブドウとか・・・・イチゴ・・・・辺りもありだな。木に生るのが一番かも?でもやっぱりどんな名が出ようがレモンが一番です。
ここで私はむに氏の降臨を所望する
唯の短編ものなんだけど
空気読んだ方がいいみたいですか?
むに氏が長谷見だったとは…… ってことはないとしてもシナリオ採用されたのか!?これでレモンだったら長谷見は確実にこのスレみてんな
まあ、名前変える必要性はないだろうしそのままリトだろうな
>>236 気にせずどぞ
>>236 空気なんか読まなくても大丈夫。投下し辛くなるような発言してスマンかった
243 :
こんなん読みたい:2008/05/19(月) 15:04:23 ID:o2UMkket
美柑に筆卸ろしされるリト。
最初は抵抗していたが、美柑の妙技の前に徐々に理性を失い、チンポ勃起させながら情けない声で鳴かされる。
妹の絶妙な手つきと言葉責めに完全に理性が崩壊したリトは、虚ろな目で『イカせてください』と美柑に懇願する。
そして、仰向けににったリトの顔面に腰を下ろすと、リトの口の中に放尿し、両足てリトのチンポに擦りあげた。
その瞬間、リトは情けない声を出しながら射精する。
この日を境に、リトは完全に美柑の奴隷となりマゾ開発させられていく。
時はきた…!
まさかレモン(仮)を拝めるときが来るとは思わなかったが…
とりあえず長谷見GJ!
今ジャンプ読んだ。正直鳥肌が立ったな。
ヤミのスタイルにwwww
時期的に考えて某性転換キャラが流行ったときに便乗してやっちゃったんだろうが
このスレ的にはむに氏は預言者になるのか
248 :
名無しさん@ピンキー:2008/05/19(月) 18:00:10 ID:QUqp8+qw
名前は梨奈とかみたいな気がしないでもない
みんなが着替え終わったロッカールーム
唯は自分のロッカーに備えてある、鏡をジッと見つめていた
『けっこういいスタイルしてるクセに』
さっき言われた言葉が耳に残っている
『もっとこのムネで男子にアピールしたら』
自分の容姿に自信があるワケじゃない
毎日、規則正しく生活をして、風紀を乱さない程度にオシャレに気を使っているだけ
『もっとアピールしたら』
──誰に
頭に想い浮かぶ人は一人しかしない
鏡に映る自分の姿を唯はもう一度見てみる
『もっと』
唯は制服の上から胸に手を当てた
「私は…」
頭の中ではぐるぐると妄想が駆け巡っている
唯はギュッと目を瞑ると、それらを頭から無理やり追い出した
「ハレンチだわ!私っ」
そう呟くと唯はロッカールームを出て行った
翌日
「おはよー♪」
いつもの明るい声が教室に響くと、その後ろからいつもの眠そうな姿が現れる
「おはよー唯」
「おはよう…」
それはいつもの他愛無い挨拶
けれど、ララの後ろを歩くリトの姿に唯は慌てて顔をそらした
「おはよ。古手川」
「お…おはよう」
本で顔を隠しながら挨拶する唯に、リトは怪訝な顔をするも、そのまま自分の席に座った
(…何してるのよ私は)
本で顔を隠しながら唯は小さく溜め息を吐いた
そう、今日はこれではダメなのだ
なぜなら────
休み時間。唯はスッとイスから立ち上がると、おもむろにリトのそばに近づく
「何だよ?」
「べ、別に……あ、えっときょ、今日の数学の宿題ちゃんとやってきたの?」
腕を組みながらそう話す唯に、リトは心外だとばかりに机からノートを取り出す
「ほら、ちゃんとやってるだろ?」
「え、ええ。今日は大丈夫なようね」
「それよりお前さ…」
「き、聞きたいことはそれだけよ!じゅ、授業中もマジメにしなさいよね」
リトとの会話もそこそこに慌てて席に戻っていく唯
(私何してるよ…)
席に着くなり唯は頭を抱えた
体育の時間
「おおー!!今日もララちゃんのおっぱい最高だな?リト」
「お前なァ」
隣で感嘆の声を上げる猿山にあきれるリト
ポヨンポヨンと揺れる胸に猿山の鼻息は荒くなる
「やっぱララちゃんって…ん?」
「今度は何だよ…」
「そーじゃなくて」
猿山の目はララの後ろを走る唯に向いている
「あれ?古手川ってあんな…」
「古手川が何だよ?」
「いや…いつもよりなんか胸が…」
リトも走っている唯の姿を目で追っていく
「ん〜…」
猿山の言っている意味も唯の違和感にもまるで気づかないリトは、ただジッと唯を見つめていた
そして、放課後
教室の後片付けを終えた唯は、カバンを持って教室を後にした
廊下を歩きながら自然に溜め息がこぼれる
いつもよりカバンは重く感じるし、足も何だか前に進まない
(結局ダメだったじゃない…)
唯は誰ともなしに愚痴をこぼした
(やっぱり私は…)
俯きながら階段を降りようとした時、下からリトが上がってきた
「あ!古手川」
「結城くん…」
階段の真ん中で二人は足を止めた
「何よ?」
「いや…」
少しトゲがある唯の口調に、リトはバツが悪そうに指で頬を掻いた
「私、今から帰るんだけど?」
「あ、ああ。それはそうなんだけどさ…」
どこか煮え切らないリトに唯の目はますます険しくなる
「用があるなら早く言って!私、あなたと違って暇じゃ…」
「あ…あのさ、古手川!!」
「…だから何?」
リトはまた無言
唯の口から溜め息がもれる
「いい加減に…」
「お、お前さ、今日、なんかいつもと違うよな?」
「え…」
思ってもいなかった言葉に唯は一瞬キョトンとなる
「その…うまく言えないけど、いつもと様子が違うっつーかさ…」
「……」
唯はどう言っていいのかわからなくなってしまう
どうしたらいいのかも
「そ、そんな事あなたに関係ないでしょ!?」
「ま、まあ…」
気持ちが空回りしてしまう
もっと違う言葉があるはずなのに
「…もういいでしょ?私、帰るから!」
唯はそう言い残すと、そのまま階段を降りて行ってしまう
横を通り過ぎる時、唯の横顔をリトはジッと見つめていた
「古手川…」
リトは急いで後を追いかける
自分でもどうしてこんなに必死なのかわからなかった
わからないけれど、心が急かす
後を追いかけろ、と
「古手川!待てって!」
「……」
後ろから聞こえた声に、唯は立ち止まる
(もう!放っておいてよっ)
けれど、その気持ちとは裏腹に立ち止まってしまう自分に唯は苦い顔になる
「何?」
唯の声は相変わらず冷たい。それもさっきよりずっと
リトは唯の前に行くと、その顔をジッと見つめた
「な、何よ?」
その視線だけで唯の頬は赤く染まる
リトはそんな唯に構わず、ただその顔を見つめている
「もぉ…結城くんっ!?」
どんどん赤くなる唯
「あのさ…」
唯を見つめるリトの目は真剣だ
その顔つきに唯の期待もどんどん高まっていく
(もしかして…やっと)
そう意識したとたん、どんどん胸の鼓動が速くなっていく
トクン、トクンと気持ちを揺れ動かす
自然と手は胸に当てられる
目の前のリトは少し顔が赤くなっている
言い難そうにしている姿は、相変わらずムッとさせるもので、だけど、同時に期待させるもので
唯は胸の前でキュッと手を握りしめた
「結城くん?」
リトは赤くなりながらスッと唯の目を見つめた
「…ひょっとしてお前さ」
「う、うん」
胸がキュンと締め付けられていく
リトを待つ時間がとても長く感じられるほどに
(もぉ…早く言いなさいよねっ)
逸る気持ちとは余所に、唯はこの後何て言うか全然考えていなかった
今がいっぱいいっぱいでそんな余裕など微塵もない
ただ、リトの言葉が欲しい。リトに気付いて欲しい
それだけだった
だから、この後、リトの言った言葉に唯の頭の中は真っ白になってしまう
「…お前さ、髪切ってきた?」
「…………へ?」
「だ、だから、髪切っただろ?って聞いたんだけど?」
それはわかる
だけど聞きたいのはその言葉じゃないのだ
ようやく混乱した頭が戻ってくると、次第に怒りがわいてくる
「あれ?違った?」
ぷるぷる震える唯の肩
「古手川?」
唯はキッとリトを睨んだ
「そんな事あなたには関係ないでしょ!!」
「え…」
唯の声にリトはただ驚いているだけ
それが余計に唯の気持ちを揺さぶった
「結城くんのバカ!!もう知らないっ」
唯はリトに背を向けるとそのまま走り出してしまった
「ちょ…古手川っ!?」
後ろから聞こえるリトの声を振り払う様に、唯は足を速めた
帰り道途中まで走ってきた唯は、肩で息をしながら立ち止まった
息が整っていくにつれ、次第に気持ちが落ち着いてくる
さっきの光景が頭に浮かぶ
唯は後悔した
本当はリトへの怒りよりも自分への憤りの方が大きかった
勝手にリトに期待した事、リトにキツイ言葉を浴びせた事
「明日謝らないと…」
失敗ばかりの自分に唯は苦笑すると歩きだした
歩いている内想うのはリトの事
やっぱりリトに気付いて欲しかったし、言って欲しかった
自分の事をちゃんと見ていて欲しかったし、見てくれていると期待したから
「ちゃんと追いかけてくれたのに…」
一生懸命走って来てくれた姿が目に浮かぶ
「髪か…」
ショップに寄った帰り、唯は美容院にも寄っていた
少し伸びた前髪を整えるために
切ったのはほんの少しだけ
だけど、切った事に気付いたのはリトだけだった
遊も両親も、クラスメイトも気付かない、唯の小さな変化
"それは毎日ちゃんと見ていないと気付かないほどの小さな変化"
唯はクスっと笑った
「髪だけじゃなくて、ちゃんとムネも気付きなさいよね。結城くん」
終わりです
なんかすごく中途半端な気がしますが
元ネタは今週号です
254 :
むに:2008/05/19(月) 20:19:12 ID:tBEiyisW
何か呼ばれたんで来ました。
いやいやいや…、ホントビックリしました…。
こんなんやったら面白いかなぁ〜って思って追々ノリで始めたリトの女体化ですけど、
まさか原作で実際にやるとは思っても見なかったんでちょっと唖然としてます。
でもやっぱりそんなに長くは続かないんだろうな〜…(四週位?)。
あ、でもトレインの幼児化は二巻分続いたっけ?
う゛ーん…、どーなんだろーなぁ〜。
つーかレモンの方はどうしよう…。
念の為言っておきますが、ボクはバリバリ一般人です。
255 :
むに:2008/05/19(月) 20:20:57 ID:tBEiyisW
せっかくなんで、ついでに投下していきます。
前回やった美柑モノの続きでも。
「じ…、じゃああたしコッチだから」
「またね美柑〜♪」
「頑張れよ〜♪」
(ぐ…、リトの奴楽しそうにしちゃって…)
いつもの分かれ道でリトとララさんと別れて学校に向かう。
人の気も知らないであからさまに楽しそうにしているリトに軽く殺意を覚えながら――。
「ふ……ぅん………ぅ……ふぅ…」
学校に向かう途中、何度も塀に寄りかかって身をよじらせる。
呼吸が自然と荒くなって、頭の中もぽーっとしてきている。
気分はとにかくえっちな感覚に陥って、えっちな事以外何も考えられない…。
加えて、身体の感覚もおかしくなってきてる。妙にふわふわした感覚で、まるで自分の身体じゃないみたいに…。
でもそのくせ、アソコから来る振動ははっきりと感じられて、それが更にあたしの思考をおかしくしていく…。
(やだ…、コレ結構キツい…)
あまりにぽーっとし過ぎて平衡感覚もおかしくなってきて、正直立ってるのもしんどい。
本能的にその場に寝っ転がりたい衝動に駆られるが、頭をブンブン振って自分を諫め、思考を強引に正常モードに戻す。
(――ったくリトの奴ぅ…、ホントにえっちなんだからぁ…。確かに言い出したのはあたしだけどさぁ…)
心の中で軽くリトへの文句と自分の迂闊さを呪いながら、何故こんな事になったのか思い返してみる…。
『それじゃあホントにやってみるか?今日一日中えっちな事をさ♪』
『…………は?』
リト……、今何て言った?何かとんでもない事を聞いた気がする…。
いや、そもそもあたしさっき何て言ったの?何かとんでもない事を口走った気がするんだけど…。
未だにあたしの頭はえっちな気分から脱しきれておらず、しばらくリトが何を言ってるのか理解出来なかった…。
ただ、一つだけ理解出来た事は…。
リトのこの笑顔は、またとんでもないイタズラを思い付いた時の顔だという事――。
『美柑、ちょっと…』
『ぁ……』
不意にリトに抱えられて身体から引き離され、ベッドにちょこんと座らされた。
リトの温もりと触れ合ってる感触が消えてしまって、何とも言えない名残惜しさが心の中にじわっと広がっていく…。
『えーっと……確かココに…』
そんなあたしをよそに、リトは自分の机の引き出しを開けて、ガサゴソ何かを探している。
何を探しているのか気になるんだけど、それ以上にもっとリトに抱っこしてもらいたい気持ちの方が強くて、
今のあたしにはそんな事を気にしてる余裕は無かった。
『ぅ〜……』
加えて、さっきまでのやり取りでえっちな気分が高まって、無意識に太ももをもじもじ擦り合わせてしまっている。
中途半端な所で止められてしまったから無性にアソコが疼いてしょうがない…。なんとなく、じゅんと湿ってる感じがする…。
そう思った時、反射的に自分の手をソロソロと股間に伸ばし、指先でそっとソコに触れ――。
『あ、あった♪美柑』
『ふぇっ!?』
――かけた所でリトがこっちに振り返り、股間に伸ばした手を素早く引っ込めた。
『ほい、コレ♪』
『え?』
リトが爽やか且つ怪しい雰囲気のある笑顔であたしにある物を手渡す。
それは…。
『コレ………ローター…?』
いわゆるオトナのオモチャ、ピンクローター。
……何でえっちな本どころか水着のグラビア本の一冊も持ってない(ハズの)リトがこんな物を持ってるんだろ…。
一瞬そんな疑問が頭をよぎったけど、取り敢えず今は関係無いから置いておこう…。
『ぁの……、コレ………どーすんの…?』
『そんなの決まってんだろ?』
あんまり聞きたくないけど何故か聞かずにはいられない…。こーゆートコはあたしリトに似たのかも知れないなぁ…。
で、そのリトは物凄くイイ笑顔をして――。
『中断しちまった代わりと言っちゃナンだけど、コレ仕込んで学校に行ってくんね?』
『なぁ!?』
その一言に、あたしは一気に我に返った。
コ……コレ仕込んで……学校にぃ!?
『なっ、何であたしがそんな事しなきゃあ――!?』
『一日中えっちな事するーって言ったのお前だろ?』
そう言われてようやくさっき自分が口走った事を理解する事が出来た。
そう言われれば……そんな事言っちゃった覚えが…。なんて言うか…ついその場の雰囲気に呑まれちゃったと言いますか…。
いや、でもだからって――!
『出来る訳無いでしょ、そんなバカな事ぉ!!』
『あれ?そんな事言っていいの?』
『へ?』
気のせいかな…?何か今リトの目がギラッて光った様な…。
『実はな、オレこんな物持ってるんだけど』
『な、何?』
リトがニヤニヤしながらあたしに見せた物、それは…。
【一日だけ何でも言う事を聞いてあげる券】
(その下にちっちゃく【クリスマスプレゼントだよ♪これで許して】と記載)
『えぇぇーー!!?』
それを見た瞬間、ちょっと軽い目眩に襲われてあたしはその場に突っ伏してしまった。
『リト……、まだ持ってたのソレ…?』
『せっかく美柑がくれた物なのになかなか使うタイミングが巡って来なくてな。
いや〜、まさかこんな所で役に立つとは思っても見なかったなぁ〜♪』
『ぐ…ぅぅ〜……』
あれは確か去年のクリスマス…。その時今月のお小遣いがちょっっちピンチになっちゃって、
リトへのプレゼントが用意出来なかった事があった…。
そこで苦肉の策として【一日だけ何でも言う事を聞いてあげる券】という、
まるで幼稚園児が[肩たたき券]をプレゼントする事と同じ様な感覚でお茶を濁した事があった。
その時の仇がまさかこんな所で巡って来るとは…。
『それにお前、さっきから足をもじもじさせるし、自分で弄ろうともしてただろ?
だったら却って好都合じゃないのか?コレなら自動だし♪』
『う゛っ…』
おまけにしっかりバレてるし、さっきのあたしの恥ずかしい行動!
………ダメ…、もう何にも言い返せそうに無い…。
『んじゃ、よろしくな♪』
『……』
…………んで、結局やる羽目になった訳だけど…。
「ぁ…はん………んっ……んぅ……」
ローターの振動が思ったよりも結構強力で、中断された事も重なって
物欲しそうに疼きまくってるあたしのアソコは過剰に反応してしまっている。
ぅぅ…、これは肉体的にも精神的にもキツい…。足がちょっとガクガクしてきてる…。
リトったらぁ…、せっかくあたしが頑張って気持ち良くしてあげたっていうのにこの仕打ちは無いんじゃないかな…!?
もう今度からは絶対やってあげないかんね…!………って、とりあえず今はそれは置いておくとして…。
幸いというか何というか、今日は午前中で学校が終わるから、とにかくそれまで何とか乗り切る事が出来れば――。
「美柑ちゃん、おはよ♪」『ぽんっ』
「ひぁっ!?」
突然後ろから誰かに肩を叩かれておもわず素っ頓狂な声を上げてしまった。
「そ、そんなにビックリされたら少し傷付くんだけど…」
「あ、いや…、ちょっ、ちょっと考え事をしてたモンだから…。ごめんね」
「う、ううん、私こそ驚かせちゃってごめん」
声を掛けたのはあたしのクラスメイトの子。何食わぬ顔で挨拶を返すけど正直心臓が止まるかと思った…。
「……美柑ちゃん、何か顔赤いよ?」
「ふぇっ!?」
「それにちょっと汗掻いてるし息も荒いし…、もしかして風邪?」
「い、いやっ、決してそーゆー訳じゃあ――」
マ、マズい……、今のこの状況に気付かれる訳には――!
出来る限り平静を装って誤魔化し切らなきゃ!
「あー、た、多分走って来たからじゃないかなぁ〜。今日は朝起きるのが遅かったから遅刻するーって思ったモンだから――」
「美柑ちゃんが寝坊?珍しいね〜」
「ま、まぁあたしもたまにはゆっくりしたいって思う事もあるから……じゃないのかなぁ…」
「それだけ?」
「……それだけだけど?」
「そっかぁ〜。私てっきりお兄さんに甘えてたから遅れそうになったんだと思った♪」
「はぁ!!?なななななな何で!?」
「だって美柑ちゃんって結構お兄さんっ子でしょ?お兄さんの事話す時、凄く楽しそうにしてるし♪」
「なななな何言ってんのカナ君は!?何であたしがあんななっさけない兄の事なんか――!」
核心を突っつく……というよりぐりぐりいじくり回す様に遠慮無く質問を重ねてくる彼女に動揺を隠せないあたし。
こ……この子、エスパーじゃないわよね…?
キーンコーンカーンコーン――。
「ああっホラぁ!チャイム鳴っちゃったよ!?急がないと遅刻遅刻!」
「あっ、美柑ちゃん待ってよー!」
始業のチャイムが鳴ったのを好機とばかりに、あたしは強引に話を打ち切って校舎に向かって走り出した。――が。
「ひぁあっ!!?」
急に走り出したのが災いしたのか、ローターがあたしの一番敏感な部分に当たってしまい、
おもわずその場にへたり込んでしまった。
「み、美柑ちゃん!?どーしたの、大丈夫!?美柑ちゃんやっぱりどっか具合が悪いんじゃ――!?」
「な、何でも無い!何でも無いから――ああっ!」
今の自分の状況を知られたくない一心で、慌てて駆け寄って心配してくれてる彼女に必死になって言い訳するあたし。
けど、慌てて起きあがろうとした時にまたローターがあたしの一番敏感な部分に当たってしまって、
自分でも分かる位にえっちな喘ぎ声を反射的に上げてしまって再びその場にへたり込む。
その間もローターは絶え間無くあたしのアソコを攻め立て続け、
更にさっきの余韻が相乗効果を生んで、余計に思考回路を狂わせていく…。
――っ、ダメッ!もう我慢出来ないっ!!
「……ごめん!あたしちょっと保健室に寄って行くから先生に遅れるって言っといて!」
「へ?ちょっ、美柑ちゃん!?だったら私も追いて――」
「一人で行けるから良い!!んじゃ宜しく!」
「あっ!美柑ちゃんっ!」
彼女を突き放す様に叫んで、あたしは校舎に向かって走り出した。
ぅぅ…、彼女に悪い事しちゃったなぁ…。後でちゃんと謝っとかなきゃ…。
すれ違った先生に「廊下を走るな」と注意されたのも無視して、
あたしは急ぎ足で真っ直ぐ保健室――へは向かわずに、校舎の一番奥にあるトイレへ駆け込んだ。
ここなら各教室から一番遠いし、あたしの知る限りあんまり使われてないはずだから、
少し位声を出してしまっても大丈夫なはず。
足早に個室に入って鍵を掛ける。そして、トイレに座ると同時にズボンとパンツを下ろす。
「ぅあ〜…、ぐしょぐしょ…」
お気に入りのいちごパンツはあたしのえっちな蜜で既にぐっしょり濡れてしまって、
秘部の部分の生地と粘っこい糸を引き合っている。
そして秘部自体は、ローターを割れ目の入り口部分に押し当てて、
動かない様にガムテープで固定させて絶えず刺激を与えさせ続けている。
蒸れそうな位にぴっちり貼り付けたガムテープの隙間からえっちな蜜が溢れ出し、
内股を伝って下へと零れ落ちて、トイレに溜まった水に波紋が広がる。
「はぁ……はぁ……ぁ…はぁ…」
下半身を露出させた辺りから自分の呼吸が荒くなった事が自分でも良く分かる。
頭がぼーっとしてまともに働かない中で、あたしはゆっくり右手を秘部へと近づけて、
ローターがあると思われる出っ張った部分に指で触れて、膣内に入りそうな位思いっ切り押し込んでみた。
「ふぁあっ!?ああっ!」
その瞬間、自分でもびっくりする位に大きな喘ぎ声を上げてしまった。
慌てて自分の手で口を塞ぎ、息を潜めて様子を窺う。
時間にして二十秒…、その二十秒があたしには果てしなく長く感じられ、じれったい気分に駆られる。
そして、誰も居ない事を確認すると、あたしは口元から手を離すと同時に深い溜め息を吐いた。
(もっとちゃんと声を押し殺さなきゃ…)
いくらココのトイレがあんまり使われないからって、誰かに気付かれないという保証も無い。
もしもこんな場面を誰かに見られでもしたら、恥ずかし過ぎて学校に居られなくなっちゃう。
あたしは声が漏れない様に服の裾を噛んで、もう一度あたしの秘部で蠢くローターにそっと触れた。
「んんっ…!」
ローターを押し込む度にくちゅりとえっちな音が聞こえてくる。
そんなに大きな音じゃ無いはずなのに、あたしの耳にはトイレの外にまで響いていそうな位に大音量で聞こえてしまう。
誰かに聞かれちゃったらどうしよう…。
一瞬そんな不安が頭をよぎるが、この行為を止めるまでには至らず、むしろそのスリルが更にあたしの欲望に拍車を掛ける。
「んんっ…!む……ふぅ…ぅん……りふぉ…」
不意に目を閉じて、アソコを弄る手を自分では無く誰かの物と想像する。
相手は勿論リト。
リトがあたしのアソコを攻め立てている…。
自分じゃ無くてリトに愛撫されている…。
あたし今、リトとえっちな事してる…。
自分の心にそう言い聞かせて、あたしは妄想の中のリトとえっちな事を繰り広げる。
「んっ…!ぅうん……!りふぉ……そこきもふぃいい…」
片方の手で自分の胸を揉みしだき(この場合は『撫でる』か?)、
もう片方の手で休み無くローターを押し込み、自分の秘部と一番敏感な部分に刺激を与える。
自分の手をリトの手にイメージを重ね合わせて…。
リトの息使い…、リトの指使い…、リトの攻め方…、リトに抱かれてる時の体温…。
身体の中に蓄積されたリトの感覚を全部引っ張り出して、あたしはただひたすら頭の中のリトに愛撫される。
裾を噛む力は更に強くなり、それに呼応するかの様に両手の慰めるスピードも速くなっていく。
「ふぅっ!んんっぅうん!ぅん!ふぉ…ふぉにぃちゃ…!ふぉにぃちゃあ…!ふぁたしぃ…!」
ずっとじらされてた所為なのか、いつもよりも早く限界が迫ってきた。
あたしはそれを自覚しながら、自分の手――リトの愛撫する手の動きを無意識に速めていた。
手の跡形が残るんじゃないかと思う位胸を力一杯掴んで、ローターで秘部の敏感な部分に押し当てて小刻みに動かす。
リトの……、お兄ちゃんの指使いを真似る様に激しく…、深く…。
お兄ちゃんにイカされる感覚をイメージして、あたしは一気に頂上まで駆け上がる。そして――。
「んふぅうぅぅ!ふぉにぃちゃ…ふぉにぃちゃ…!んんっんんんーーーー!!」
登り詰めた瞬間、背中がビクッと仰け反り、しばらく身体中が痙攣を続ける。
そしてやっとそれが治まると、身体中から一気に力が抜けて、長距離を走ったみたいに呼吸が絶え絶えになる。
アソコの周りは自分のえっちな蜜でびしょびしょになって、独特の厭らしい匂いが個室内に充満していく。
「ぁ………ぁは……はぁ…は……」
噛んだ裾を離して、絶頂した後の虚脱感の中で呼吸を整えながら、目の前の仕切りをぼーっと見つめてしまう。
あたし……、学校でこんなえっちな事…。
「あっ…!」
ちょっと身体をよじった瞬間、まだ動きっぱなしのローターがあたしのアソコに当たって、おもわず嬌声を上げる。
さっきイったばかりだから余計に敏感になっちゃって、さっきよりも過剰に反応してしまう。
加えて、やっぱり一人でしても十分に満足出来ない…。
いくらリトのやり方を真似しても、リトにしてもらう時の感覚には程遠い…。
リトの指は、もっと熱くて優しい…。
その時の感覚を思い出している内に、蜜がたらりと内股を流れ落ち、またアソコが疼き始めてきた。
「これ………昼まで保つのかなぁ…」
ふと、ぽつりとそんな事を呟きながら、あたしはまた疼きっぱなしのアソコに手を伸ばした――。
結局、一時間目が始まるギリギリまで、この場所で自分を慰め続けた…。
263 :
むに:2008/05/19(月) 20:38:44 ID:tBEiyisW
投下終了です。
何かやっつけ気味でごめんなさいm(_ _)m
今度はちゃんと出来る様頑張りますんで。
いや〜、しかしホントにビックリしたぁ〜…。
リアルタイムキター!
GJです!
>>253GJ!今週号のがもうネタになるとは…
>>263長谷m…おっと…、むに氏キタ━━━━━(゚∀゚)━━━━━!
乙
キタ---(゜∀゜)---!!
超GJ
>>253 GJ!超絶可愛いよ唯!原作とのリンクお見事
リトの鈍感さが許せんが原作らしいwまた是非読みたい
あと投下タイミングを読めない人って一杯いると思うから、そんなの気になさらず投下して欲しい
梨斗ママとパパはどうやって出会ったと思う?
想像つかないから誰か教えてちょ
>>271とりあえず貴方がAとJとlが好きなのは分かった
単行本でしか見てない俺も今週号は買ったほうがいいのだろうか・・・
単行本だと半年くらい先になりそうだし。
>>むに氏
レモンネタは別に続けていいと思うよ。というか続けてください、お願いします。
wikiに(※原作のリト性転換ネタとは関係ありません)的なことを書いておいたほうがいいと思うけど。
元々むに氏の方が先なんだから問題なく続けてもいいと思うよ
寧ろ続けてくださいお願いします
長谷見か矢吹のどちらかがここの住人なのかもなw
お前らは名前がレモンであって欲しい?
レモンであって欲しいな。そうだっら笑えるしw
リトと唯
も
美柑×リト
も
最高!!!!続きが気になる…
279 :
名無しさん@ピンキー:2008/05/22(木) 22:06:46 ID:EVRlQAHj
むに氏GJ!!です。
美柑×リト続き期待してますので、お願いします。
俺実は一神教なんだ
だから神は唯一むに。なんちて
281 :
名無しさん@ピンキー:2008/05/22(木) 22:19:58 ID:uk6Uwm9K
↑つまらん、帰れ
282 :
ショートショート(美柑×リト):2008/05/23(金) 10:05:29 ID:KH6pRIRT
美柑『リトったらもうイキそうなの?
いくら童貞だからって早すぎなんじゃない?』
リト『だって…美柑の口気持ち良すぎてぇ……ひぁあ!』
美柑『あっそ…。
女みたいな声出しちゃって情けない。』
リト『ごめ…ん。言わないで……。』
美柑『……ごめんなさいでしょ?口のきき方ぐらい考えなよマゾリト。
はいお仕置き。』
リト『いやぁあ!!らめっ……アナルはやめ……ひぃっ!!
ごめ……ごめんなさいいいぃ!!』
美柑『美柑様……は?』
リト『美柑ひゃまあぁあ…ゆるひひぇえ……
ひぎぃ……』
美柑『うわ…ホントに言っちゃった……(笑)
仕方無いからいかせてあげるよもう……
ほら、さっさといきなよマゾ豚』
リト『ひぃっ!!
らめっ、アナルとチンポ両方いじられひぇ……こわれ…ひぎあぁっ……こわれひゃうぅぅ!!』
美柑『もう…リトったらホント早すぎ。
ほら。汚れちゃったからちゃんと舐めてキレイにしなよ。
ちゃんとキレイにしたら、明日からはもっとぐちゃぐちゃに犯してあげるからね。』
書き込める?
エロなし、ミニSSですが投下します
286 :
ララのお弁当:2008/05/24(土) 10:09:01 ID:McPhFS8t
「ただいまー。あー、ハラへったァ。」
お腹を擦りながらキッチンに入ってくるリト
「おかえりー」
「今日のメシって何?」
「今日はカレイの煮付けと、お豆腐だよ」
トン、トン、トンとまな板の上で包丁が軽快なリズムを奏でる
煮付けに添えるゴボウを包丁で切りながら、美柑は鼻歌交じりに応えた
「ふ〜ん」
リトは気のない返事を返すと、弁当箱をテーブルの上に置いてリビングに戻っていく
「ただいま〜美柑♪」
「おかえり、ララさん」
リトと入れ違うようにキッチンに入ってくるララ
「今日のゴハンって何?何?」
リトとまったく同じ事を聞くララに、美柑は小さく笑った
「今日はララさんの好きなおサカナだよ」
「わァー♪」
満面の笑みを見せるララに美柑もうれしそうに笑う
ララは美柑の隣に行くと、ひょいっと横からまな板を覗き見た
「ん?」
「ん〜、やっぱり美柑ってすごいんだね」
「え?」
「いつもおいしいゴハン作ってくれるし、毎日違うメニューだしさ」
「そ、そんなコトないよ」
照れくさいのか、顔を赤くしながらそわそわする美柑
「メ…メニューだってかぶっちゃう時あるよ!まァ、気をつけてはいるけどネ」
「大変じゃないの?毎日」
「え…」
美柑を見つめるララの目はどこまでも純粋だ
(もしかして……気を使われてる?)
少しすると美柑はまな板に向き直った
「…正直、タイヘンかな」
小さくぼやく様に話す美柑
「でもね……一度もイヤって思ったことはないよ!」
「どーして?」
「だって、ララさんやリトがおいしいって言ってくれたらうれしいよ!それだけでも十分かな」
「ホントに?」
「うん!それに料理の腕も上がるし!一石二鳥って感じ!!」
「いっせき…にちょー?」
頬に指を当てて難しい顔をするララ
「地球の言葉で、一つの行動で二つ同時に得しちゃうってコト!」
「へ〜」
「…ねェ、ララさん」
「ん?」
「ララさんも作ってみる?」
「え?」
美柑はテーブルに置かれたリトの弁当箱を取り上げた
「リトのお弁当。最近、あいつすごく食べるのよ!食べ盛りか知らないけど」
「お弁当…リトの?」
「そ!やってみる?」
ララは弁当箱を手に取ると、美柑と弁当箱を交互に見つめ、そして笑顔で答えた
「うん!がんばってみる!!」
287 :
ララのお弁当:2008/05/24(土) 10:09:34 ID:McPhFS8t
次の日の学校
昼休み、ララから屋上に来てと言われたリトは言われたとおり屋上へとやって来た
「ハラ減ったー」
鉄柵にもたれながら力なく項垂れるリト
今日はどういうワケか美柑から弁当を貰ってないので、お昼はまだ何も食べてはいない
美柑曰く
『昼休み楽しみにしてるといいよ』
ぐぅ〜
と、お腹の虫が鳴った
「ったく、美柑のヤツ、何考えてんだ…」
リトがそうやって愚痴っていると、屋上入口からララがやって来た
「おまたせーリト!!」
「おせーよ」
ララの遅めの登場に半眼になるリト
「えへへ、ゴメンね」
本当に申し訳なく思っているのか、ララはいつもの笑顔を浮かべている
ただ、今日はその笑顔がいつもより少し違う様に見える
リトは頬を指で掻きながら、どこかそわそわしているララを見つめた
(ララのヤツ、どーしたんだ?)
ララは後ろでに何かを隠しながら、その場に座った
「とりあえず、リトも座って」
「お、おう」
ララはリトの前に来ると、後ろ手に隠していた物を見せる
「じゃーん!!」
「へ?」
目の前のソレに目が点になるリト
「何コレ?」
「ん?お弁当だよ!今日は私が作ってきたんだ♪」
「弁当って……ウソだろ?」
目の前のソレは、いつもの弁当箱よりも数倍大きい入れ物に入っていて
しかも、箱と蓋の間から何やら怪しいケムリがモクモクと出てきている
「リトのために頑張ったんだよ」
「へ…へー」
リトの額にはすでに冷や汗が浮かんでいる
(…マジかよ)
ララはニコニコ笑いながらリトの隣に行くと、さっそく弁当の蓋を開けた
(げ…)
中から溢れ出して来たのは紫や緑色をしたナニか
ララはソレをスプーンで掬うとリトの口元に持ってくる
「ほらリト、あーん」
「……」
「ん?もっと小さくしたほうがいい?」
「そーじゃなくて」
ララを見るリトの目は半眼で、どこか怒気を帯びている
「何コレ?」
「え?何ってお弁当だよ」
リトはもう一度、目の前のスプーンに乗ったプルプルしたゼリー状の何かを凝視する
(…弁当って……)
「あれ?リトって嫌いな物あったっけ?」
リトは深い深い溜め息を吐く
「…そーいう問題じゃねーよ。お前コレちゃんと味見したのか?」
プルプルしている何かは、しばらくすると突然ブクブクと泡立ち始める
リトの顔がますます蒼白になっていく
「味見?してないよ!だって食べちゃったら、リトの分なくなっちゃうでしょ?」
「お前…」
「それよりさ、食べて!食べて!」
288 :
ララのお弁当:2008/05/24(土) 10:10:10 ID:McPhFS8t
ぐいぐいスプーンを押し付けてくるララに、リトはあからさまに顔を歪めた
鼻に付く強烈な匂い、今やゼリーでもない液体状になっている何か
(こ、こ、これはシャレになんねー)
リトは思わず腰を浮かして逃げる態勢に入ってしまう
「リト♪あーん♪」
目の前には目をキラキラさせているララ
リトはゴクリと唾を飲み込んだ
「リト♪」
「……」
しばらくスプーンを見た後、決心したリトは口を開けてソレを飲み込んだ
「わぁ♪どう?どう?おいしい?」
「……」
リトは何も答えない。そればかりか、スプーンを咥えた瞬間から何だか固まってしまっている
「リト?」
気になったララがリトの頬を指で突くと、リトはそのまま白目を向いて仰向けに倒れた
「リトっ!?」
急いでリトを覗き込むララ
何度も呼ぶララの呼び声もむなしく、リトはそれから数時間目を覚まさなかった
そして、夕方の結城家
大事を取って御門先生に診てもらう事になったリトはララに先に帰る様に言った
何度も一緒にいると言い張るララだったが、なんだか怒ってる様子なリトにそれ以上なにも言えず、一人家に帰って来た
玄関のドアの前。ララはドアの取っ手を握りしめながら、俯いたまま動こうとはしなかった
手が動かないし、頭がぼーっとしてしまってうまく考える事もできない
「リト…」
リトのために
そう思って作ってみたものの、結果は散々どころか、逆にリトを怒らせてしまい
ただ喜ぶ顔が見たかっただけなのに
ララはドアを開けると「たたいま」と小さな声で呟いた
「おかえりー!」
リビングの奥からパタパタと足音が聞こえてくる
「ララさん、どーだった?」
美柑はおたまを片手に玄関に駆け寄ると、帰ってきたララに真っ先に成果を聞く
ララの顔は浮かない
「え…ララさん?」
実は昨日、美柑は途中までしかララの料理を見ていなかった
他の家事もある美柑に付きっきりで教わる訳にもいかず、途中からはララ一人で頑張ったのだ
靴も脱がず玄関に立ったままのララの様子に、美柑はみんなわかってしまった
「ま、まァ、誰にだって失敗はあるよ!私だって最初から…」
「…そーじゃないんだ」
「え?」
ララは靴を脱ぐと家に上がる
「ララさん?」
俯くララはいつもより悲しそうでいて、けれど真剣な目になっている
「私…全然わかってなかった」
ララは俯きながらぽつりぽつりと呟く
「お弁当を作れば喜んでくれると思ってた。だけど、それは間違ってるんだよね?」
「……」
「誰かを喜ばすコトって、ホントはすごく大変なコト。すごく難しいコトなんだよね」
ララは俯いていた顔を上げると、美柑に向き直る
「私決めた!今度はちゃんと頑張って、ホントの意味でちゃんと作りたい!だから美柑、私にお弁当の作り方教えて?」
「ララさん…」
その真剣な気持ちに、美柑は笑顔でウンと首を振った
289 :
ララのお弁当:2008/05/24(土) 10:10:53 ID:McPhFS8t
次の日の朝
「ララ、早くしろよ」
「待ってリト!」
キッチンから慌ててララがやってくる
「ゴメンね!ちょっと待ってて」
ララはリトから隠れる様に後ろを向くとカバンを開けた
その手は何かを庇うようにギコチない
(ララ?)
カバンに何やら荷物を入れているララの隣では美柑がにやにやと笑っている
「何だよ?」
「別に」
わざとらしく顔を背ける美柑
「お前な…」
「お待たせ!早くいこ」
いつもの様ににっこり笑うララと、ニヤっと笑う美柑に不思議そうな顔をするも
リトはララと一緒に玄関を出て行く
「ガンバってね!ララさん」
その後ろ姿に美柑は小さくエールを送った
昼休みの屋上
リトはララと一緒に屋上に来ていた
昨日の事もあって、強くは言えないリトは複雑な思いで座っていた
ララは少し緊張気味に弁当を取り出と
リトの前に弁当を置き、サッと手を後ろに隠した
手を後ろに隠しながら、えへへと笑うララ
「手、どしたんだ?」
「ん〜ん。何でもないよ!それよりリト」
「あ、ああ」
どこか腑に落ちないが、リトは弁当を手に取る
昨日の事もあって、中々蓋に手がいかない
(って、何キンチョーしてんだオレ)
リトは思い切って蓋を開けてみる
その隣では、ララがじっとリトの顔色を窺っている
「お…」
本日のメニュー
形の崩れたタマゴ焼き・タコに成りきれていないタコさんウインナー
焦げたミニ目玉焼きにミニハンバーグ
少し色の悪いポテトサラダ
「コレ…お前が作ったのか?」
「うん」
リトは弁当とララの顔を何度も交互に見つめる
リトの頭の中には昨日のアレがチラついていた
「どう?」
「どうって言われてもな…」
リトは箸を持つと、ハンバーグを挟み、口の中に入れた
「う…」
口の中に広がるのは、ソースの味と、まだ半生状態の玉ねぎの味
続いてタコさんウインナー
290 :
ララのお弁当:2008/05/24(土) 10:11:20 ID:McPhFS8t
「ん…」
「リト?」
モグモグした後、何も言わずタマゴ焼きを口に入れるリト
「お!」
リトの一挙手一投足が気になって仕方のないララは、身を乗り出す様にリトを見つめている
「どうリト?おいしい?」
その声は不安でいっぱいだ
リトは目玉焼きを頬張りながら、そんなララを可笑しそうに見つめる
「そんなに見られると気になって食えねーって!」
「だって…リトなんにもゆってくれないんだもん」
ララは座りなおすとムッと頬を膨らませた
「オレの事よりお前も弁当食えよ」
ララは頭に手をやると、少し笑いながら話す
「私の忘れちゃったんだ」
「え?」
リトは思わず箸を止めた
「忘れたってウチに?」
「ん〜ん。作るの忘れちゃったんだ…えへへ」
「作るの忘れたって……お前何やってんだよ?」
「だって、リトのために一生懸命になってたら自分の事すっかり忘れててさ…」
ララは言い難そうにゴニョゴニョ話すが、最後は笑って誤魔化した
「……」
リトはじっと弁当を見ると、スッとそれをララに差し出す
「え?」
「一緒に食おうと思ってさ。もう食べたのもあるけど」
「リト…」
「それに、こーゆーのは一人より誰かと食う方がうまいだろ?」
赤くなった顔をそらしながら少しぶっきらぼうに話すリト
一瞬驚いた後、ララは今日初めて本当の意味で笑顔を見せた
「うん!」
学校の帰り道
隣を歩くララの顔は終始ほころんでいる
弁当の中身は残らずキレイになくなったし、なによりリトと一緒に食べた事がうれしかった
そんなララを横目で見ながらリトは小さく溜め息を吐く
切り傷や絆創膏が何枚も張られたララの手
白くて柔らかい手が今はとても痛々しい
(オレのためか…)
昨日遅くまでララが起きていた事をリトは知っていた
一生懸命がんばってくれていたことも
ララなりに必死に隠しているつもりでも、ウソを付けない性格がみんな筒抜けにさせている
リトはララの隣に並ぶと、頬を指で掻きながら言い難そうにぼそぼそ呟く
「あ、あのさ、また、作ってくれねーかな?弁当」
「え?」
思ってもいなかったリトの言葉にララは目を丸くした
「え…でも」
昨日の事もあるが、今日リトが弁当の感想を何も言ってくれてない事が、ララはずっと気になっていた
今日もダメだと思った
291 :
ララのお弁当:2008/05/24(土) 10:11:43 ID:McPhFS8t
「うまかったよ!タマゴ焼き」
「え…」
「他はもうちょいって感じだけど。その……好きだよオレ、お前の作ったタマゴ焼き」
ララは思わず足を止めた
「だからまた食べたいなって思ってさ」
「リト…」
リトの顔は夕日に照らされて真っ赤になっている
そしてララも
胸にじわっとリトの言葉が染み込んでいく
それは、驚きよりも、うれしさよりも、もっともっと大きくてすごい気持ち
ララの顔が満面の笑顔に変わる
夕日に照らされたその笑顔は、いつもよりもキレイで可愛くて、リトの心をドキドキさせた
「リト、ありがとう」
「別にオレは…」
そっぽを向くリトの手を取るとララは駈け出した
「お、おいララ!?」
「今はなんだかこうやって走りたいんだ♪」
リトはチラリとララの横顔を見つめた
その顔は本当に幸せいっぱいの笑顔で
リトもつられてクスっと笑った
「いっせきにちょーだね?リト♪」
「は?」
「だって、リトにおいしいって言われて、また作ってって言われたんだよ?いっせきにちょー♪」
「いや……なんか違うぞそれ…」
リトのつっこみを余所に、どこまでも笑顔なララだった
終わり
久しぶりのララ
元ネタはかなり前(ひょっとして1年ぐらい前かも)のララスレにあった書き込みです
なんだかすごく印象に残ってるので、なんとか思い出しながらSS化してみました
なんか・・・・・・いいな・・・
なんか・・・・・・いいな・・・初々しい
ララ「あはは、リトのおっぱいやわらか〜い」
リト「やめれえええええ」
ララ「出来たてだからかなぁ?すっごいぷにぷにしてる」
リト「ちょっ、コラ、先っぽは触る、な!」
ララ「かたくなった〜男の子のときでもこんなことされたらこうなるの?」
リト「知るか、やったことねえよ!」
ララ「ふぅん、じゃあ、こっちはどうかなあ?」
リト「ぎゃああああああああ!!なんちゅーとこ触ってるんだ!」
ララ「だって女の子はココもきれいにしなきゃいけないんだよ?」
リト「ひ、もっと、そっと・・・あ、ちょっと・・・」
ララ「リトかわいい〜」
リト「あ、・・・・あっ」
『なんだこりゃ・・・・なんか、変なところが、しびれて・・・・・』
ララ「あは、ぬるぬるしてきたよ?」
リト「っ・・・?」
『なんだ・・・?もー・・・よくわかんね・・・・ぬるぬる・・・・?』
ララ「気持ちイイんだよね?リト」
リト「あっ、はっ・・・・え?な・・・ああっ・・・」
ララ「恥ずかしがらなくてもいいよ。女の子同士だもん、わかってるよ。もっと教えてあげる」
>>292 多分その時俺もいたと思うけど、そんな前だったかな?10月くらいだったような気もする
何にしてもGJです、ほのぼのなリトララはやっぱりかわいい
>>295 もっと小説風にお願いします!!!
つーかそこでやめちゃいけない
春奈と唯、妹の三人がかりで
女体化したリトにブラの付け方からトイレや生理の対処法、
更には自慰行為まで手取り足取り教える様を妄想した
しかし細部を文字にうまく変換できない…
自慰行為は無いだろww
…まあ隠れてリトニーしまくってそうな春菜や唯は場合によっちゃもしかしたら…だが
301 :
名無しさん@ピンキー:2008/05/26(月) 06:01:27 ID:lCKPVys4
女体化話、来週に続く。
美柑×リト
唯×リト
の組み合わせは好きだ。続きも気になる。
むに氏の偉大さをあらためて知った
今週のジャンプ片手に、むに氏のSSを読めば興奮10割増しだな。
305 :
名無しさん@ピンキー:2008/05/26(月) 17:38:00 ID:KCp53J1a
美柑や唯、ヤミがリトの前で臭いオナラしちゃって恥ずかしがったり、ウンチ我慢できずに漏らしちゃったりする小説希望します。
↑みたいな女の子の裏側(自慰など)もイイと思うんだ。スカっ気有る無し関わらず。
主人公 ララ
ヒロイン リト
こうですか分かります
リトニーに吹いたww
308 :
名無しさん@ピンキー:2008/05/26(月) 21:23:12 ID:+SxTaPpK
本誌355ページ2コマ目がむに氏まんまで吹いたww
まさか本家がパクった…なんて事ないよな^^;
矢吹は前科があるが…長谷見がセリフまで考えてるならパクリはない
パクるわけないだろ…
普通に思いつきそうなネタ
とらぶるは「いかにありきたりにするか」が肝だからな
た、たった今起きた事を話すぜ…
本誌のリト女性化に妄想たぎらせてエロパロ書きにきたら
本誌よりかなり前に、既に女体化のリトを描いた神がいた
何を言っているのか(ry
つぅかこのスレレベル高いwww
>>309パクるも何も
むに氏そのものが長谷見先s(ry
冗談はさておき、春菜や唯がリトニーしちゃって最終的にそれがリトに知られちゃう短かめなSSキボンします
ていうかむにマンセー発言がむに本人を出にくくしてるのがわからないの?バカじゃないの?
本家よりむに氏のレモンの続きを読みたいと思ってるのは俺だけでいい
無二氏の続きも気になるけど無二氏以外の職人さんの話も続きが気になる
317 :
名無しさん@ピンキー:2008/05/27(火) 09:11:30 ID:X3xxrvtW
街中を薄いシャツ一枚にノーブラで歩くせいで
可愛さだけじゃなく男の注意を引きまくったんじゃないかと。
生々しいから描写しなかったのかもしれんが単行本でわずかに
乳首が浮くんじゃないかと予想。
しかし顔の造形はリトのまんまだから可愛い可愛い言われるのは
男の時から十分イケメンなんだろな。
>>316 あなたの奥床しさを見習いたい
ここまで女体化に好意的な二次は自分史上初だ 裏山
俺もむに氏も好きだ。
他の職人達も大好きだ。
だから誰か次のエロ頼む。
>>317むに氏のはララレベルのきょぬーで書かれてるけど、こっちのは普通サイズなんだな。
ルンとか唯とか沙姫よりは大きく見えるが…
>>322その3人は割と大きいような
……春n(ry
こっちは『ララより少し大きいかも?』だけど、あっちは『ララよりも少し小さいかも?』な巨乳でいいんじゃない?
>>324連邦捜査局の方も見るなんてこのスレはレベル高いなぁ
しかしララより大きいってかなりデカいな…90台行ってるじゃん
おっぱいの大きさは
御門>>>>>>ララ>>>唯>>ルン>沙姫>>>春菜>>>>ヤミ>>>美柑
じゃね?異論は認める
原作の女リト(ジャンプ買ってないから名前分からん)は唯よりは小さそうだからルン・沙姫と同じくらいかな?
唯のおっぱいはコロコロ大きさ変わるから位置づけしにくい
でもリコは唯よりは大きい
リトは女でもリトでいいような気がするのは俺だけか
>>328 俺もだ
エロパロ住みの俺は檸檬と呼びたいけども
>>318 造形が同じなのは読者に分かりやすく、且つ自然に可愛くするため。
実際造形同じでも「どこかで?」程度。ならビジョン的にリトは普段から『可愛い』顔立ちだと思う。
何が言いたいかといえばつまりリトは男にするには勿体無い主人公。
百合スキーな自分にとっては、リトはもうずっと女のままで良い
>>331 そしたら美柑がリトの子供を産めないじゃないか!
むしろリトに孕ませたい
リトスレにあったやつか。(*゚∀゚)カワエー
職人さん来ないしリト×美柑でも書いてみようかな…
>>337全くもってけしからん!こんなモノは今すぐ保存して徹底検証せねばならん(´・ω・`)
つかぬ事をお伺いいたしますが、このスレのみなさんにとって、作品はどういった時間帯に投下した方が都合が宜しいのですか?
やはり土日の夜が一番読みやすいのでしょうか?
投下出来るのであればいつでも(^O^)/
>>339 どこからその発想へ行くんだww
あまり投下がない時間帯に落とされるとうれしかったり
俺がオナ禁しようと思っても1日3回もしちゃうのはここのせいですか
ええ
344 :
名無しさん@ピンキー:2008/05/31(土) 23:04:29 ID:aqBqAhsP
えぐざくとりー
>>342オナ禁する気なんてさらさら無い俺よりも回数が多い件
347 :
rmy:2008/06/01(日) 21:29:22 ID:3F5zV8Y4
予告どおりというか、短編を投下したいと思います
美柑の話でエロはありません
エロは次頑張りますのでご容赦を
では行きます
348 :
美柑のキモチ:2008/06/01(日) 21:30:39 ID:3F5zV8Y4
ったく、本当に鈍いんだから。
春菜さんや古手川さんの気持ちに気づかないのもわかるよ。
だって、
ずっと一番近くにいた私の気持ちにだって気づいてくれないんだもん。
「おっはよ!!リトッ」
洗面所の前でリトの腕にしがみついてみた。
意識していつもより高い声を出して、ララさんみたいな弾ける笑顔で。
「おわっ!?・・・ってなんだ、美柑か・・・」
むっ!なんだとはなによ。
腕を掴んだ両手に力を込めて、上目遣いに睨んでやる。
「・・・どしたんだ?」
そうまでしても穏やかに、涼しげに聞き返してくるリト。
なんでそんなに落ち着いてんのさ!
そんな反応が見たかったんじゃないもんっ!!
「なんでもないっ」
何事もなかったかのようにスルリと離れて朝食の準備に戻る。
「ハア・・・」
味噌汁をかき混ぜながらため息が出ちゃう。
どうせ私の胸じゃ柔らかい感触なんてしないし。
私の上目遣いじゃどきどきなんかしないんだ。
テーブルに朝食を並べているとリトとララさんが並んで降りてきた。
「ごっはん♪ごっはん♪」
「だからくっつくなって」
「いいじゃない!すきんしっぷ・・・?だよ」
リトは恥ずかしそうに顔を赤らめてる。
口では拒んでいても本当に嫌がってなんかないよね。
むしろ嬉しそう。
どうして神経がざわつくの?
いつものことじゃない。
そう言い聞かせても最近はダメなんだ・・・。
してることは同じなのに、私とララさんとじゃこんなにも違うの?
なんで?
どうして?
ララさんは胸が大きいから?
私なんかよりものすごく美人だから?
同年代だから?
―――それとも、私は妹だから?―――
349 :
美柑のキモチ:2008/06/01(日) 21:31:36 ID:3F5zV8Y4
「おいしっ」
「どんどん旨くなっていくなあ」
「美柑、いつもありがとう!」
妹だから・・・。
だから私は、抑えなきゃいけないんだよね?
「美柑?」
二人の声は耳に入ってなかった。
そしたらリトが急に、
「んー・・・熱はないみたいだな」
おでこ合わせてきた。
私はビックリして突き飛ばしてしまう。
「な、なにするのよ!」
「お前今日体調悪そうだからさ、大丈夫かなって」
どきどきどきどき
この胸の高鳴りは普通じゃないのかな?
兄妹ならこんなことでどきどきなんかしないんだよね?
ダメ。赤くなるな。私の顔。
「美柑?」
「へ、平気!熱なんかないから」
「でも顔赤いぞ?」
「料理は火を使うから暑くなっちゃうの!」
うるさい、うるさいよ。
あんたなんか早く学校行っちゃえ!
紅潮した顔を味噌汁を殊更ゆっくりと飲んで誤魔化しながら朝食を取る。
二人を見送って、私も学校へ。
まだ胸がどきどきしてる。
こんなの全然私のペースじゃないよ。
取り戻さなきゃ、いつもの私を。
私はオドオドしてるリトをからかう美柑じゃなきゃいけないんだから。
今までずっとそうしてきたんだから。
気合入れろっ!美柑!
そう言い聞かせて家を出たのに。
登校時間しか保てなかったよ・・・。
学校に行って、お買い物をして、今帰り道を歩いてる。
思い浮かぶのは、リトのことばっかり。
家事のことを考えるのは私にとってもう自然なことになってるんだけど、そこにリトが出てきちゃう。
夕飯、リトは何が食べたいだろ?
帰ったらお洗濯もしなくちゃ。
今日はリトの数少ないおしゃれ着を洗ってあげないと。
リトのお部屋の掃除もしないとなぁ。
あいつ、目に付くところしか綺麗にしないから部屋の隅やカーテンレールに埃たまっちゃうんだよね。
またエッチな本見つけてからかってやれ。
350 :
美柑のキモチ:2008/06/01(日) 21:32:22 ID:3F5zV8Y4
リト。
リト。
リト。
私の心を独り占めにする、ばか兄貴。
リトが私のこと、妹以上に想ってないことなんか知ってる。
でもしょうがないじゃん。
考えちゃうんだから。
「ただい、ま・・・」
玄関に明らかに女性もののローファーがいくつも。
リトがララさん以外の女の子を連れてきてる。
沈むな、私の心。
寂しくなんかないんだから。
こんなときは家事に集中するのがいい。
とりあえずリトの部屋の掃除は後回し。
お米を研いで炊飯器のスウィッチをオンに。
おかずの下ごしらえも済ませて、それが終わったら今度はお洗濯。
「・・・むかつくっ!」
夕飯はリトの好きなチーズハンバーグ。
あいつのジャケットのために柔軟剤まで買ってきたのに。
今日の家事は、結構楽しみだったのにな・・・。
もっと優しい気持ちになれるとおもってたのにな・・・。
どうして涙が零れそうなの?
決して新しくはない洗濯機が運転を開始する。
まるで私の心の中みたい。
ギシギシ軋んで、嫌な音をたててる。
私のこの気持ちも、みんなみんな洗い流してくれたらいいのに。
泣きながら晩御飯作って、真っ赤な目で洗濯物干して。
何やってるんだろ、私。
こんな日くらいサボっちゃえばいいのにって、自分でも笑っちゃう。
351 :
美柑のキモチ:2008/06/01(日) 21:33:04 ID:3F5zV8Y4
外がかなり暗くなってから、お客さんたちが降りてきた。
「楽しかったねー」
「俺は疲れたよ・・・」
明るいララさんの声と疲弊しきったリトの声。
きっと新しい発明品が出来たとかで、お友達を呼んだのもララさんなんだろうね。
分かってる。リトは悪くないって。
でもどうしても文句が言いたくなっちゃった。
「友達連れてくるなら連絡くれてもいいんじゃないの?
そうすれば夕飯だって人数分用意したのに」
キツイ口調になってるのが自分でも分かる。
「わ、わりぃ」
「ララさんだけじゃなくて春菜さんや古手川さんまで来てくれて舞い上がっちゃった?」
「み、美柑・・・?」
不穏な空気作っちゃった。
抑えなきゃいけないのに。
「美柑、みんなを誘ったのは私なの。ごめんね、連絡しなくて」
「私たちも大勢で押しかけちゃったし・・・」
「遅くまでお邪魔しちゃって・・・ごめんなさい」
ララさん、春菜さん、古手川さん。
みんな綺麗で、性格もよくて、リトにはもったいないくらい素敵な人たち。
逆立ちしたって勝てない相手。
誰も悪くないのに勝手に苛立ってる私は、年齢以上にちっぽけで子供だ。
どうしてリトなの・・・?
もうその場にいられなかった。
「美柑っ!!」
視界を滲ませながら自分の部屋に逃げ込んじゃった。
キライだよ、リトなんか。
そう言い聞かせてる自分が、本当は誰よりも何よりも、キライ。
352 :
美柑のキモチ:2008/06/01(日) 21:33:56 ID:3F5zV8Y4
久しぶりに涙を流しちゃった。
いつもは零れる前に拭っちゃうのに、今日はそのまま。
「美柑・・・」
「っ!・・・コラ、女の子の部屋に入るときにはノックしろっ」
一度ドアを閉めてノックするリト。
遅いよ、バーカ。
「みんな帰ったよ」
リトの静かな声が部屋に溶け込んでく。
後は私が鼻を啜る音だけが部屋の中に響いてた。
「美柑、ごめんな・・・」
なんで謝るの?
謝って欲しいんじゃない、その理由が知りたいよ。
「俺、美柑に全然優しくないよな・・・」
リト。
「いつもいつも世話になってるのにロクにお礼もしてない。
寂しいとき、哀しいとき、力になってやれてない」
今、寂しいよ?
「こんなんじゃ兄貴失格だよな・・・」
今、哀しいよ?
「俺、美柑が泣かなくていいように頑張るから。
もっと美柑を大事にする。必ず守ってやるから」
昔みたいにギュッてしてよ。
頭優しく撫でてよ。
本当は、素直になりたい。
甘えたいよ。
だってリトのこと、大好きだから。
「リト、もっとそばに・・・」
リトはベッドに横になってる私の隣に腰を下ろしてくれた。
身体を起こして、そっと袖を掴んでみる。
そしたら肩を抱いて、グッて引き寄せて抱きしめてくれた。
リトの匂い、久しぶり。
胸板、こんなに厚いんだ。
あったかい。あったかいよ・・・。
「・・・落ち着いたか?」
落ち着くわけないでしょ、このニブチン!
ちょっとは気づけっ!
しょうがないから、ヒントをあげる。
353 :
美柑のキモチ:2008/06/01(日) 21:34:36 ID:3F5zV8Y4
「・・・私が一番なんだから」
「へっ?」
リトの優しさを、一番昔から知ってるのは私。
幼い頃、お兄ちゃんお兄ちゃんってどこにでもくっついていった私を、いつも気に掛けてくれてた。
守ろうとしてくれてた。
ちゃんと覚えてるよ?
リトの胸にもっと強く顔を埋める。
「もっとちゃんと、強く抱きしめてよ」
「ぅ・・・?あ、ああ」
ほら、左手遊んでるよ。
痛いくらいに抱きしめて欲しい。
リトとの思い出を、一番たくさん持ってるのも私。
両親の仕事の都合上、まるでたった二人の肉親のような時間を過ごしてきた。
子供二人で生活するには、広すぎるこの家で。
ララさんが現れて、賑やかになって楽しかったけど、私は本当は・・・。
誰にも邪魔されたくなかったのかな・・・。
「どこにも行かないで・・・」
不安でしょうがないんだ。
リトが離れて行っちゃうのが。
寂しいの。
リトが私以外の誰かを最優先に考えるのが。
お願い、私からリトを奪わないで。
「何言ってんだよ。俺はどこにも行かないよ」
「ホント?
高校卒業しても、・・・彼女が出来ても、この家にいてくれる?」
「当たり前だろ。美柑に俺以上に頼りになるパートナーが出来るまで、嫌だって言っても傍にいてやる」
ちょっと怒ったような、真剣な表情でリトはそう言ってくれた。
嬉しい。
でも、やっぱりちょっとむかつく。
ほんっとに鈍いな。
それでこそリトなんだけど。
「リトより頼りになる男ならすぐにでも見つかるよーだ」
「・・・ははっ。元気出たみたいだな」
ハンバーグ、一緒に食おう。ララも待ってる。
そう言ってリトは部屋を出て行った。
354 :
美柑のキモチ:2008/06/01(日) 21:34:58 ID:3F5zV8Y4
大きく一つ深呼吸する。
鏡で自分の顔を見てみる。
もっと酷い顔してるかと思ったけど、それほどじゃなかった。
にっこりと笑顔を作る。
よし、笑える。
可愛いぞ、美柑。
今はまだ、リトに彼女が出来たら素直に応援してあげることはできない。
やっぱり妹だからなんて理由で、諦めたくないよ。
でも今日は、リト以上の人が見つかるまでリトにお味噌汁を作れるっていう言質がとれたから、よしとしようかな。
このキモチが報われることはないとしても、今はまだ想い続けていたい。
信じ続けていたい。
あのばか兄貴に、私の気持ちが届く日を。
355 :
rmy:2008/06/01(日) 21:38:10 ID:3F5zV8Y4
以上です
今回は完全に美柑視点で客観的な状況描写も極力減らしてみましたがいかがでしたでしょうか
楽しんでいただけたら幸いです
次回は、たぶんララです
何人書くとかも決めてないです、メインはあくまでリト唯なので
ではまたの機会に
>>355GJ!!!!お疲れ様でした。
やっぱり美柑×リトはいい萌えつきた(*´Д`)ハァハァ
ララも唯も美柑も期待してます!
乙
358 :
名無しさん@ピンキー:2008/06/02(月) 02:49:56 ID:viXuPwXS
GJ
原作TS編決着
女リト名前判明
リコ?いいやレモンだ!
よしこれでリコネタを書ける…
362 :
名無しさん@ピンキー:2008/06/02(月) 08:03:22 ID:XjtFaySX
ゴファ
俺はtでもない物を見つけちまったーーーーーーーorz
中身を見るのは危険なので言葉で伝えたいと思う
この中「検閲削除」だ今すぐ保「検閲削除」
クソ検閲がひど過ぎる
テメーら間違っても見んじゃ 違うそうじゃない!!
クッ精神汚染まで始まったか
いいか道だけは用意する
なんとしてもお前達は真実にたどり着かなくてはならない
クソ這いよる混沌に無貌の神に気を許すな!!
なんとしてもその目に焼き付けるんだ!!!
いいな!!!
ttp://rsatanachia.hp.infoseek.co.jp/riko01_.jpg
おほぉww
リトかわいすぐるwwwww
GJ!!!
364 :
名無しさん@ピンキー:2008/06/02(月) 08:12:40 ID:XjtFaySX
結局2話分だけしか出なかったのか・・・
一般視点からは女体化はタブーなんだろうか?
女体化あんま萌えないもん
と思ってたんだがこのスレ見たら視点が変わったなw
もうちょっと露骨にエロを出すべきだったと思う。数々の少年を誤った道に引き込めたかもしれない。
ちっ、長谷見先生め…正体が割れるのを恐れて名前を変えたな…
ってのは冗談として、何で女体化たった2話で終わるんだ(´;ω;`)
まあリトが女のままだと話作りにくいんだろ
リトを中心としたラブコメ物だから、リトがヒロインに回っちゃうと話が進まない
でも可愛いものは可愛いからまた機会を見てやって欲しいねw
これからは扉絵にリコちょくちょく出てきそうだからそれに期待。扉絵なら話作り難いとか関係ないし…
>これからは扉絵にリコちょくちょく出てきそうだからそれに期待
どこの情報?
>>370 俺の勝手な推測です。可能性は0じゃないと思うんだ
372 :
rmy:2008/06/02(月) 21:23:02 ID:4HI9zoul
コメントくれた方ありがとうございます
今回は自分としてはかなり実験的でしたが・・・なんか変な感じですね
長編の方が向いてるのかな?なんて思ったり
なんでリト唯に集中しようかと思ってます
ただ、需要があれば書きかけのリトララは投下しようと思います
では失礼しました
しっかしリコ大人気だw
むにさん…美柑×リトの続きを読みたいです(´・ω・`)
なぁ…リトがこれをきっかけにルン(レン)みたいに
リトがくしゃみとか簡単なきっかけでリコの姿に変身できてしまうという
そんな設定を考えた俺は異端だろうか…?
375 :
名無しさん@ピンキー:2008/06/02(月) 23:05:07 ID:xcIwlWpv
ありじゃないすか
>ルン(レン)みたいに
これがあるからダメじゃん。ネタがかぶるしやったらルン=レンの存在は……
今回のはあくまで100回記念の特別みたいなのだろ
ルン(レン)は中身も別人
リコは中身はあくまでリト
そこが重要なんですよ
むしろあの上級生三人が気軽に一緒に風呂入る関係なのにティンときた
誰かあの三人の奴描いてくれねーかな
なぁ…流石のリトでも女の裸みたら多少なりとも興奮するよな?
てことは、風呂のシーンとかはヌレヌレもしくは乳首ビンビンだと思うんだが、どう思う?
>>379 昔はこのスレにも沙姫のSS書いてくれる職人さんいたんだぜ…
あの人もう書かないのかな
>>382 そうならないからリトなんだぜw
>>382 沙姫達がリコの正体に気付かないままの展開でいたらと心底思った
確かに、あそこで邪魔さえ入らなければリコたちは良い関係になれただろうな
実は沙姫は百合で、リコがその餌食になる、という発想をして俺ちょっと吊ってくる。
よし
その発想を遺書に残してから吊ってこい
沙姫が百合なら餌食になるのはまず……
俺か…///
つまりこの先ToLOVEるには女体化ではない俺っ娘キャラが登場するということですね><
>>385です
>>387 そうだ・・・何やってんだ俺・・・
ちょっとぱいぱいロケット君を食らってくる
連投スマソ
正しくは
>>384をもう一人の俺だと思ってた
395 :
rmy:2008/06/04(水) 21:41:54 ID:KSxzmvCP
流れ切ってすいません、ちょっと質問を
リト×唯ですが、話の時間軸から次はクリスマス編にしようかと思ってます
ただ、現実は今6月なんでちょっとした工夫をしようかと
大筋では同じ話をリト目線と唯目線から書いてみてどちらかを適当な時点で、
もう一方をクリスマスの頃に投下するというのはありですかね?
ありすぎる
>>395 12月までは結構長いな。新しい作品をバンバン書いていたらそのまま埋もれちゃそうだ。
ある程度ネタの鮮度ってものもあるからそこら辺も考慮に入れてくだされ。
>>395 「リトと唯」を書いている者です
俺もクリスマス編は書きましたけど、投下した時、現実の季節とかなんも考えてませんでしたw
現実の季節と照らし合わせる事も大事だと思います
けど、SSの中だけで、いろんな季節を巡るのも良いと思います
SSや漫画はそういう自由な事ができるからおもしろいと思うのですが
長々と書きましたけどwつまり気にせず書いてください!!楽しみに待ってます!!
俺ももうちょっとしたら投下できそうです。お互い頑張りましょう
きたー
400 :
388:2008/06/05(木) 06:29:13 ID:jzsuXn/r
>>390 ザスティンの件があるから、どちらかといえば両刀か。
九条凛、藤崎綾は、すでに餌食になっているから従順だという脳内設定な俺は、いよいよもって吊ってくる。
つまり凛綾の二人は既に調教済み…と?
402 :
rmy:2008/06/05(木) 07:45:14 ID:Xv74EJw3
ご意見をくださった方々ありがとうございます
とても参考になります
書きたい内容はだいたい固まりましたんで、とりあえず1本書きます
で、投下します
皆さんの脳内変換能力で何とかしてやってくださいw
書きあがるまでにどれくらいかかるか分かりませんが、片方は今月中に何とかしたいなあ・・・
「リトと唯」の作者さんありがとうございました
もう少しで投下できそうとのことですが、自分も楽しみにしてます!
リトと唯氏にrmy氏…唯作品は安泰ですな
ところで甘い看病の人はどうしたのだろう?
rmy氏とは別人…だよな?
沙姫様はむしろ凛綾に調教されてる
凛がドMだから沙姫様と綾で凛を調教してんじゃね?
406 :
名無しさん@ピンキー:2008/06/05(木) 18:39:20 ID:AMqxOTsE
リコが男に戻るとき
ララが誤射して凛綾沙姫に直撃→気まずくなってララ逃走→
→→リコの正体に気づく→3人が男の性欲に負ける→美味しく頂きました♪→
→→トラウマで精神的に女性化(ボクッ子)+男性恐怖症→
→以後ToLoveるはガチ百合話になりましたw
ってのを妄想してしまったぜorz
407 :
名無しさん@ピンキー:2008/06/05(木) 18:52:17 ID:G6KzJ81P
流れも読まずに恐縮ですがリトララを投下
くちゅくちゅといやらしい音がしている。
「ひゃっ…ぅ…うっ…ううぅっ…」
ぷるぷると震える尻尾が手の中にある。
「ほら、ララ。口がお留守だろ?」
「はううぅぅ…」
ララは尻尾が弱い。弄くると涙目になって身体を小さく震わせる。
それが可愛くて可愛くて、弄りまわさないではいられない。
「リト…リトぉ…」
顔が真っ赤だ。頼りなく開いた唇と、オレとの間をララの唾液がつないでいる。
「うーん?」
そんないやらしい顔をされたら虐めないではいられない。
オレは敏感な尻尾を強めにつかんでしごきあげた。
「ひゃうぅうんっ」
ララの身体が大きく仰けぞる。椅子に座ったオレの膝の先で、綺麗な胸が揺れている。
こちこちに硬くなった乳首がいやらしすぎて手が止まらない。
自分のモノをしごく時よりもっと、容赦なく右手を上下させてやる。
「あっ…やっ…ひゃっ…リト…リト…リトぉ…!」
オレの名前を繰り返すようになると限界が近い。すぐにイカせてやる気はなくて、手を離した。
「ひゃうっ…うっ…はうぅうん…」
顔を伏せて、震えている。イキそこなって困っている顔が見たい。
「ララ」
顎の下に手を添えて、上を向かせる。
「リトぉ…」
大きな目が涙で潤んでいる。舌ったらずな声が可愛い。可愛い可愛い可愛いララ。
「ちゃんとしゃぶれよ…。飲んでくれる約束だろ?」
「あっ…リト…リトだめぇ…」
「なにがだめ?」
そんな可愛い声を出すほうがずっと駄目だ。
ララが床についた膝をもじもじと擦りあわせる。そのたびにくちゅくちゅといやらしい音が足の間から聞こえる。
もうびっしょりになっているんだろう。濡れているそこが見たい。
「嘘つきにはお仕置きだよな」
脇の間に手を入れて、跪いたララを立たせる。怯えて揺れる。緑の目。
「や…いやだよぉ…」
机の上に座らせる。泣き出しそうなララの顔。ひくひく動く淫らな尻尾。
「口を押さえて。あんまり叫ぶと美柑がびっくりする」
「いや…リト…飲むから…すぐ飲むから…」
嫌だと泣いても、虐められたい尻尾がオレの側に来る。
「だめだよ」
尻尾をつかんで、先をしゃぶる。
「リッ…」
ララは短く息を吸い込んで両手で口を覆った。
つるつるの尻尾が、口の中でぴくぴく動く。歯を立てると、震えはどんどん大きくなる。
「んっ!んぐっ!んんんんんっ!」
柔らかく噛んだ尻尾を歯先でしごくと、丸いお尻もぶるぶる震えた。
「ララ…」
机の上に、小さな水溜りが出来ている。とろっとした透明の水溜り。
「気持ちいい?ララ」
声も出せないララは、両目を閉じて顔を天井に向けている。
「答えないならまたお仕置きだ」
「こっ…答えるから…っ…!リト…!リト、もぉやだよぉ…!」
いやだと言ってもやめられない。
「机の上見てみろよ。こんなやらしい汁で汚して。
悪い事してるんだから、お仕置きされてもしょうがないだろ?」
「しっぽいや…もうしっぽだめだよぉ…」
「じゃあどこならいいんだ?」
身体を押して、もっと深く腰掛けさせる。両足をMの字に開かせて、机の上に乗せられるように。
「こっち?」
尻尾以外、どこにも触れていないのに、そこはびっしょり濡れて光っている。
花びらも充血しきってぱっくり口を開けている。
膨れたクリトリスがこっそり顔を出している。こんなところも可愛いララ。
「どこでもいいから…ゆるして…もうしっぽゆるして…」
そんなに頼まれてしまっては、絶対許してやるわけにはいかない。
「両方お仕置きしような」
「や…!リトっ…!」
どぷん、と開いた花びらの間から露がこぼれる。また机が汚れる。
もちろん、嫌だなんて口だけだ。尻尾はオレの側から逃げ出さない。
「ひゃあ…!」
そっとつまんだ尻尾を、たらたらと露をこぼし続ける場所に近づける。
「リト…やめて…おねがい…リト…いれないで…」
たらたらと露がこぼれる。
「入れて欲しいんだろ…?」
尖がった尻尾の先で、膨れかえったクリトリスを突っついてやる。
「ひゃぐっ…!」
自分でも声を堪えきれないことはよくわかっているんだろう。オレが言う前に慌てて口に手を当てた。
「ぐっ…んぐぅ…んー!」
ちょんちょん、と突くたびに、そこはぷるぷる可憐に震える。
ぐしょぐしょの穴がぱくぱくと慌しく口を開け閉めする。早く早くと泣くように涎を垂らす。
「入れて欲しくて待ちきれないのか?」
「んっ!んんーっ!」
ララは涙目で首を振った。
「じゃあなんで、こんなに口をパクパクさせてるんだ?尻尾が欲しいからだろ?」
「ちが…あっ…リっ…ち…ひゃああっ!」
尖った先っぽを濡れている口に含ませると、ララは両目を閉じて首を振った。
「このびちょびちょになってるとこと、尻尾と、どっちの方が気持ちいい?」
「ひっ…ひいっ…いいいいいいっ…」
浅く出し入れさせてやると、ぐちゅぐちゅいやらしい音が響く。
かき回したせいで空気が混じり、ぬめぬめと透明な涎が泡を含んで白っぽくなる。
濡れてひくつくララの花口。尻尾をつかんだオレの指までぬるぬるしてくる。
「ララ?聞いてるか?」
「ひゃうぅううっ!」
膨らんだクリトリスをつまんでぎゅっと押しつぶすと、可哀想なララが椅子の上のオレに向かって倒れこんできた。
「ひゃあうっ!あっ…あああああぁあ…!」
ぶるぶるとララが震える。両手で必死にオレの肩をつかんでいる。
大きく開いた上の口も、たらりと唾液をこぼしている。閉じられない口から首へ、唾液が伝う。
「ララ…」
「リ…リト…リト…ぉ…」
舌先で首を拭うと、頼りない声をあげて、小さく身体を震わせた。
「入っちゃったな、尻尾。ずっぽりだぞ」
「ひうぅう…」
いやいやと首を振る。それだけの仕草にもちゃんと力が入っていないことはよくわかる。
「いや…しっぽ…しっぽ…いや…」
「尻尾の方が気持ちいいか?」
「ぴくぴくしてる…ぴくぴく…ああ!ああいやあ!リト!おっぱいやだあ!」
大きな胸を両手でつかみ、揉みしだくと、また大きな声を上げだした。
「ぎゅってなる…!しっぽだめぇ…!しっぽしないでぇ…!」
「オレは尻尾なんか触ってないだろ?ぎゅってしてるのはララの腹の中だ」
膝の上の身体を少し離して、こちこちになった胸の先端を口に含む。
「あうっ!あっ…あうぅうぅぅ…しっ…ぽぉ…」
左の乳首に吸い付いて、舌の上でころころ転がす。びんびんに勃起したララの乳首。噛むのにちょうどいい硬さだ。
「ひゃっ…!かっ…かんじゃっ…あっ…うっ…うっ…ふううぅう…」
噛んでいたらまたすぐイッてしまうだろうから、噛むのはやめて唇でふにふにと揉み潰してみる。
「ああうごくぅ…なかがうごいてるよぉ…しっぽぉ…」
「尻尾、気持ちいいんだよな…」
口を離して胸を見る。オレの唾液で濡れた大きな胸。唾液が光っていやらしい。
「こっちもいいか…?」
こちこちの濡れた乳首を、親指と人差し指でぐにぐにと揉む。反対の胸を含めるだけ口に含んで、唇でしごく。
乳首の硬さが、胸の柔らかさが気持ちいい。いつまでもこうやって、ララの胸で遊んでいたくなる。
「いい…いい…リト…おっぱい…いい…ああ…ぐにゅぐにゅするよぉ…なか…はうぅ…」
「おっぱい弄られると、気持ちよくって中が動くか?」
「うん…う…ひゃうぅううん…」
吸い上げて押し出す。吸い上げて押し出す。それを何度も繰り返す。濡れて充血したララのおっぱい。
「ふうっ…ふうぅうっ…ううう〜っ」
膣の中で締つけられる尻尾も限界なんだろう。ララの可愛い声を聞き続けているオレももう限界だった。
「ララ。入れてもいい?」
こくこくと、ララは小刻みに何度も何度も頷いた。
「でも尻尾入ってるよな」
「とっ…も…もうとって…ぇ…」
「入れたままでもいいよ。オレはこっちでも」
ララのこぼした汁でぐっちょりの後ろを指で探ってみる。
「だめ!だめえ!」
びくびくと大きく身体を痙攣させて、必死で首を振るララが可愛くて、オレは後ろの穴に指を入れた。
「あっ!あああぁっ!」
びくんびくんとララが震える。指先に、ララの尻尾の尖りが感じられる。粘膜を挟んで尻尾を掻いてやる。
「リっ…!リト!やめて!リト!おしり…!」
「お尻に欲しい?」
あんまり勢いよく首を振るので、ララの髪がオレの腹を打った。
「いや?」
うんうんと、今度は大きく縦に首が振られる。
後ろから指を抜くと、にゅぷんといやらしい音がした。
「あふぅ…」
ほっとしたようにオレの胸にもたれてくる。くったりと力の抜けたララの身体。
「尻尾、オレに抜いて欲しい?自分で抜く?」
「リ…トに…」
弱々しい声をあげるララのむっちりした白い足を片方つかんで、オレの膝の上に立てた。
ララはこれから訪れる快感を予想して、はーっ、はーっと懸命に息を整えている。
「じゃあ抜くから。口、押さえてろ」
大きく頷く。涙目のララ。震えている手が口を押さえる。
オレはそっと尻尾をつかんだ。
「んうっ…」
虐められ続けている尻尾は、それだけでぴくんと大きく跳ねてしまう。それが気持ちいいんだろう。
尻尾を呑み込んだ場所が収縮して、とろりと涙をこぼす様子がよく見えた。
「美味しそうだなぁ、尻尾」
ぴくんぴくんと尻尾が跳ねる。
きゅっきゅっとそこが震えている。
「やっぱり尻尾はここに入れとけば?後ろでしようよ」
「ぅううんんん…しんじゃう…そんなことしたらしんじゃぅ…」
ふるふると首を振りながら、可愛い声で訴える。
「そんなことで死ぬわけないだろ?」
ララの尻尾の先端がこんなに尖っていなければ、本当にこのまま後ろから責めてやりたかった。
これほどぐちょぐちょになっていれば大丈夫なのかもしれないが、
この尖ったものでこんな柔らかい場所の奥深くを掻き混ぜるのは気が引ける。
薄い粘膜を挟んで尻尾にこすられるオレの物もそのうち痛くなってきそうだ。
「どうしても嫌だ?」
「いや…」
「じゃあもう一度口を塞いで。抜くぞ」
ララはうんうん頷いた。
少し強めに尻尾をつかむ。濡れているせいで手が滑る。そこがひくひく動いている。
ララのお尻もオレの膝も、もうぬるぬるだ。
「それにしてもびちょびちょだな。漏らしたみたいだ」
尻尾を咥えた口の上で触って欲しそうに膨れていたクリトリスに、反対側の指を添える。
「んんっ!」
ただ触れただけなのに、ぴくんっとお尻が跳ねた。
包皮からすっかり顔を出して、真っ赤になって膨れている。ララのクリトリス。小さいせいで摘みにくい。
親指と人差し指の間から、つるんつるんと逃げてしまう。その度にララのお尻はぴくぴく跳ねる。
こんな小さな紅い珠が、そんなに気持ちいいんだろうか。
「んっ…んぐっ…ん…んんうっ!」
両手で押し潰してはいるが、声もだんだん大きくなる。
摘んだそれを指先でこねる。
「んぅうーっ!」
「痛いか?ララ」
痛くて叫んでいるわけじゃないだろうと知っているけど聞いてみる。
摘んでいる指の間で、膨れきったクリトリスが時々きゅっと小さくなる。
それと同時に、とろとろの口もぎゅっと縮む。
そのタイミングを逃さないよう注意して、強くつかんだ尻尾を一気に引き抜いた。
「んうぅううーっ!!」
ほんのりと血の色を透かしたララの身体が大きく仰け反って、がくがく震える。
内腿だけじゃなく、腕にも、首にも鳥肌が立っている。イク時まで可愛いララ。
美柑を驚かせないように、口を塞いでいるのが惜しい。きっと可愛い声でイクのに。
口を押さえた両手が顔を隠しているのも惜しい。きっと可愛い顔でイクのに。
きつく閉じられた目元だけでも十分ララは可愛いけれど、もっともっと可愛いララが見たかった。
「ララ…」
両手を顔の上からどかすと、ララは堪えていたらしい息を大きく吐いた。
「大丈夫か?」
「…いじょうぶじゃない…」
やっと開いた目が、恨めしそうにオレを見る。
「意地悪ばっかりして…全然大丈夫じゃないよ…」
「意地悪されると気持ちいいんだろ?」
「よくないよ!」
大きく首を振りながら、オレの首に抱きついてきた。
「優しくされるほうが気持ちいい…リトの意地悪…」
「嘘つけ」
「嘘じゃない…」
びしょびしょの口に指を入れる。
「じゃあこのぬるぬるはなんだよ。お漏らしか?」
「やっ…ちがっ…」
「おしっこ間に合わなかったのか?地球ではな、女の子はトイレ以外じゃおしっこしないもんなんだぞ」
「違う。おしっこないんかしない。わかってるくせに…」
泣きそうな顔で抗議している。
そんな顔でオレを見れば、虐められるに決まっているのに。
「お漏らしならまたお仕置きだな」
「あっ…!」
もう一度尻尾をつかむ。
「違う…あ…いや…お漏らしじゃないの…」
「じゃあなんだ…?」
問いかけるついでに耳を齧ってやると、ぶるぶるっと身体を震わせた。
「気持ち…良かったの…ああ…お願い…もう虐めないで…」
「虐められてびちょびちょのくせに…もっと気持ちよくなりたいだろ?」
汚れた尻尾を舌先で拭う。
「ふっ…ふあぁあ…」
ララは悲しそうに首を振ると、オレの物をそっと握った。
「もういや…もう…普通にして…これで…優しくして…」
「これが欲しいのか…?」
ララの手の中で、オレがぴくっと跳ねた。
「欲しい…これ…ああリト…」
オレを握った手が上下する。ララの歯がオレの耳を噛む。
「はやく…ちょうだい…」
「ララ…」
オレが腰に手を添えると、ララは待っていたように丸いお尻を上げた。
オレの物をつかんだまま、ゆっくりゆっくり腰を下ろす。
「あ…はあぁあん…」
満足そうな甘い吐息。いかにも気持ちが良さそうに、だんだん顎を上げていく。ぽっかりと口が開く。
眉間に浅く皺が寄る。ララがオレを呑み込む時の、この気持ちの良さそうな顔が好きだ。
「リト…ああ…リト…ぉ…」
くぷん、くぷんといやらしい音を立てながら、ララの中に埋まっていく。
あたたかくて、柔らかくて、ぐにぐに動く。首にしがみついてきた腕と同じように、ぎゅうぎゅうとオレに絡みつく。
「ああはいっちゃった…いっぱい…リト…リトでいっぱい…きもちいい…」
リト、リト、とオレの名前を呼びながら、ララは腰を動かす。
ぎしぎしと椅子の軋む音が、濡れた粘膜がぐちゅっぐちゅっと擦れる音が聞こえる。
ララの荒い息遣いが、頼りなくオレの名前を呼ぶ声が聞こえて、頭の奥が痺れてくる。
いやらしい音。いやらしい声。オレを包んだララの熱い身体。
「リト…リト…リト…」
ララはオレの名前だけを呼ぶ。
「ララ。ララ」
力いっぱいララの身体を抱きしめる。風呂へ入ったばかりのララの髪から、シャンプーの匂いがする。
ララの匂い。ララの声。ララの身体。ララ。
「ララ…!」
ぎゅっと彼女を抱きしめたオレの力に負けないくらい、ララも必死でオレの身体を抱き返す。
抱きしめて、抱きしめらているのが心地いい。ぎゅうぎゅうとオレに絡んだララの身体の奥深くに、オレはその心地よさを吐き出した。
「んっ…!くうぅうっ…!」
悲鳴のような声を上げたララの腕から、ぐったり力が抜けていく。
「ララ…」
はあっ、はあっ、と息を整えるのに忙しくて、ララはしばらく返事をしなかった。
オレの腕の中でこんなにも心地よさそうに震えるララが愛しくて、オレはまた彼女をぎゅっと抱きしめてしまう。
「好き…リトのこと大好き…」
甘えた声が腕の中から聞こえてくる。
オレもだよ、と言ってやれば大喜びするだろうとわかっていても照れくさくて、オレは何も言わずにただぎゅっとララを抱きしめ続けていた。
おしまい
416 :
名無しさん@ピンキー:2008/06/05(木) 22:20:09 ID:AMqxOTsE
文才皆無なんできついっすw
>>415 GJGJ!
食傷気味だったんで生き返りました! またお願いしますよ〜
>>408-415 ドMララGJです
エロいしララ可愛いしで素晴らしいです、是非また書いてください
420 :
名無しさん@ピンキー:2008/06/06(金) 20:11:18 ID:ZQOSVFUb
ちょっとSっぽいリト…なかなかいいな
リコは一般には受け悪かったんかな?
電車の中で学生が何人かでジャンプ読みながら
「コイツおかしくね?」
「だって元々男だもん。この前女になった。」
「えー、でもなー。」
みたいな会話してた。
あまり分かりすぎるのも如何なものかと
一般にTSは受けないだろ。
エロパロ内でさえ嫌う人がいるんだし。
俺は大好きで(ry
トランス セクシャル
いわゆる
性転換
レズもTSもマイノリティなのは間違いない
あまり大きな声でいうのはどうかと
女体化はいいけど逆は無理。
むに氏の美柑の続きが読みたいぜ…
俺はTSもレズも大好き
男同士のアーッ!!は大嫌いだが
最近はキョン子ブームや
TSではないが男の娘ブームとかで
以前よりは女装性転換の抵抗感が薄くなっていると思うが
そういえばキョン子って公式設定なの?ググってもなかなかでないんだが。
違う
>>421 友達の前で、リコが一番可愛いなんて言えないだろう
みんな心の中ではリコ可愛い!
と思いつつ、ハハハ男女キモイよな〜
だよ!
>>421 Toラブるを電車内で読んで話題に出してる時点で…
しかし待って欲しい。彼らは公共の場でとらぶるを話題にする猛者達だ。この点を鑑みると、彼らの間では意思疎通による言葉の省略が行われていたと推断できよう。
「コイツ(この可愛さは)おかしくね?」
「だって元々男だもん(可愛いに決まってるだろう)この前女になった(矢吹、解ってるわ)」
「えー(まじかよ、こんな可愛いのに心は男なのかよー。だがそれが良い)、でもなー(やっぱさすがに萌えていいのか悩むなー)」
>>433 2次創作ネタだよ
以前からキョンやハルヒの性転換ネタはあったが、
ニコニコ動画とかで火が付いて一気に爆発した感じ
夏コミはリコやキョン子の本が多く発売されていればいいな
>>438 あるあ………ねー……ある…ね……あ…ね……
…??
リコ×沙姫様&凛&綾キボン
>>415 今更ですがGJです
やばい、Sリト×Mララにハマってしまいそうだ…本気でララが可愛い
しかし意地悪ばっかりするリトに少し殺意が湧いたりw
今度はラブラブな二人が見たいね
>>440 ありがとう。
ハルヒの存在だけ知ってて読んだことないんだ。
最近キョン子ものの同人誌見るから不思議に思って聞いてみた。
あとスレ違いスマン。
>>405 学校で凛が沙姫と綾に調教されてて偶然見てしまうリト
凛がいじめられてると思い、仲裁に入るも3人から濃厚な逆レイプ
その後は仲良く凛と一緒に沙姫と綾から少女連鎖よろしく、ペニバンで掘られたり、
首輪つけて全裸で散歩させられたり、毎日のように2人から調教されてめでたしめでたし。
って妄想してたらこんな時間だ。どうしてくれる。
そして後は誰か頼む
俺からも是非w
447 :
名無しさん@ピンキー:2008/06/09(月) 10:09:03 ID:OWLlHCOz
なんというGJ
貰ってるんじゃない?じゃなきゃこんな堂々とうpしない
さすがに貰わずに無断でうpするような糞野郎はいないだろ
452 :
rmy:2008/06/09(月) 22:24:58 ID:vCUxpgzw
リトララですが、予想以上に長くなってましてもうちょい掛かりそうです
そもそも今書いてるリトララはリト×唯が煮詰まったときに、
「これと同じような状況をララでやるとしたらどうしようか」
ということを気分転換程度に書いてたものが元になってるんですが
加筆・修正しだしたらまあ増えるわ増えるわ・・・
近いうちに投下します(たぶん)んで、ララファンの方よかったら読んでやってください
唯ももちろん書いてますんで唯ファンの方しばしお待ちください
あっと、本題を忘れるとこだった
>>405 自分は「甘い看病」の方とは別人ですよ
あの作品は素晴らしかったですねー
長々と失礼しました
453 :
rmy:2008/06/09(月) 22:27:51 ID:vCUxpgzw
>>452 リトララ期待してるんで頑張ってください。
他の職人さん方も投下待ってます。
原作であった唯と春菜が星人に拉致されてレイプモノを頼む
リト以外の男×女の子物が読みたいなー 書ける神はおられませぬか?
女性ばっかなのかな…
調査の結果、
>>447の作品は無断転載で絵師の許可は取られていなかった。
よって、今後は投下を継続することは出来ない。
また、盗作調査委員会が代表して絵師様に謝罪を述べさせてもらいました。
見たい人はpixivに登録して検索すればいいさ
まぁいいか。どうせ……
どうせ?
結局は誰かが無断で(ry
学習能力無いのか?
この前、盗作疑惑あってみんなシビアになってるのに・・・・・・・・・
はいはい
荒れるからこの話題は終わり
リト×美柑って需要ある?
むしろ需要無いもののほうが少ないな
Mララは書いててだんだん可哀相になってくる
読むのは大好きだが
俺はむしろ「リト」の部分を自分の名前に置き換えて妄想してたw
リトで書こうとしたらどうも自分では上手く書けないや
良い奴で好感を持ってるんだけどそこが書き辛いのかもしれん
よって適当に無個性な男や集団を作って書こうと思うけど需要ありますか?
適当なクラスメイトと成り行きで……とか、電車で集団から……みたいな
>>470 ここにあります、ありまくりです
>>466の言う通り需要無いものの方が少ないだろうから、ガンガン書いてうpしてやって下さい
輪姦ものは注意書きしてくれよ。
オリキャラは勘弁。
つーか、地雷だからな。
リトが薬かなんかでSに、みたいな感じならいいんじゃ
>>470 需要はあるだろうけど、オリキャラや原作から乖離した展開というのは
一般受けは悪いのでどうしても必要でない限りは避けた方が無難。
(というより二次創作的にはどちらも最終手段のたぐいのもの)
それぞれの弊害を回避できるならともかく、そうじゃないとメアリー・スーや
作者のご都合主義なだけ話、二次創作である必然がなくなったりしたり、
デウス・エクス・マキナや夢落ちに逃げたりする羽目になりやすい。
リトが使いづらいだけななら、自分も
>>474があげたような補正を作中で
やった方がいいが思う。
そうだな
俺は『リト』でさえあればどんなキャラ(性格)でも構わん
女体化でも超人でもどーんとこい
ララの発明「どんどんフエールくん」の影響で六人になってしまったリト
その六人のリトと唯が……
純愛ものだったのに、途中どうがんばっても鬼畜にしかならなくなったので挫折した俺が通ります
リト以外でまともな男ってザスティンくらいしかいないのがなぁ
校長とかギャグにしかならんし
…猿山じゃなぁ…
そこで才培先生
でもあの人真面目だからなぁ・・・発明品でどうこうなってそうなるとかなら
わざわざ才培先生使わずリト使っとけばいいことだし
481 :
名無しさん@ピンキー:2008/06/15(日) 02:10:29 ID:w3XRfqW0
ちょっと訪ねたいんだが リト×セリーヌの電波送ったのは誰だ?
>>479 レン、猿山、立花も、ザスティンがまともなら十分「まとも」だと思うぞ?
まともじゃないのはラコスポとかギドとか。
ただ、レンと立花はどうもセクロスまで行き着かないというか、
付き合うだけで満足してしまいそうな妙な純粋さを感じて困る
つーわけで沙姫×凛を誰か書いてくれ。
鬼畜沙姫×凛
しかし職人がいない
むしろ凛×沙姫だろ。
いや、ワケあって沙姫様に逆らった凛にお仕置きを…
みたいな?
489 :
名無しさん@ピンキー:2008/06/15(日) 20:27:37 ID:IHHhIfLp
テス
490 :
むに:2008/06/15(日) 20:33:49 ID:IHHhIfLp
ご無沙汰してます。
レモンの話の続きがようやく出来たので投下します。(その17)
なお、前回のあらすじは保管庫にて。
――――――
車乗員割り振り。
御門車――。
御門先生(運転手)・リト(レモン)(助手席)・レン・籾岡・沢田・猿山。
秋穂車――。
秋穂(運転手)・春菜(助手席)・ララ・美柑・ヤミ・唯。
――――――
「すいません先生。こんな突拍子な企画に付き合ってもらっちゃって」
「良いのよ、可愛い生徒の頼みとあらば。そのおかげで私も温泉に行けるんだし♪」
御門車の車内――。
引率を引き受けてくれた御門先生にリトが代表してお礼を言う。
みんな浮かれっぱなしで和気藹々とした雰囲気から、これから始まる楽しい旅行に期待を膨らませているのが一目瞭然である。
「でもちょっと意外だったわね〜」
「何がですか?」
「レモンちゃんの事だから間違い無く向こうの車に乗ると思ってたのに。ララさんや西連寺さんもいるし♪」
「いや、ちょっと訳ありで…」
後部座席にいるメンバーにバレない様に、偽名の方で呼んで質問する御門先生。
苦笑いを浮かべながら、リトも『レモン』として答える。
「美柑がどーしてもヤミ……ちゃんと一緒がいいって言いまして、
それでヤミちゃんは渋ってたんですけど無理矢理入れ代わったんですよ」
「美柑ちゃん…って確か、結城君の妹さんよね?見た所、随分ヤミちゃんに懐いてたみたいだったけど…」
「ええ。それにヤミちゃんも、顔には出してないけどまんざらでもなさそうだし…」
「そう…、今まで殺し屋として生きてきたあの子が…」
「ええ…、美柑と一緒に居る時は本当に楽しそうに見えて…」
「………良い傾向ね♪」
「はい、良い傾向です♪」
お互い顔を見合わせて、おもわず顔がほころぶ。
「それで、更に仲を深めてあげようと無理矢理一緒に乗せたと。優しいのね、わざわざ気を利かせてあげるなんて♪」
「いや、そんな大した事は――」
「でも良いの?レモンちゃんだって他人に気を掛けている場合じゃないはずでしょ?
せっかく仲を深めるチャンスなのに」(ニヤニヤ)
「う゛…、そ、それは……、ボクだって分かってますけど…」
からかい半分でそんな事を言う御門先生に対して、顔を赤らめて俯くリト。
――と。
「その点に関してもバッチリ問題無いよね?レモり〜ん♪」
「わっ!?」
いきなり籾岡が後ろからひょっこり顔を出しておもわずビクッとなる。
「あら?それってどーゆー事?」
「そ、そーだよ。それってどーゆー…」
御門先生が興味津々に、リトは全く意味が分からないと怪訝そうに籾岡に尋ねる。
「にっひっひっひっ…♪」
しかし籾岡は何も答えず、怪しい含み笑いを発しながら視線を後ろに向ける。
その視線の先にあったのは――。
「はぁ〜〜……」
「およ?レンレンどーしたの?そんな深ーい溜め息吐いて…」
出発したばかりだというのに、溜め息なんか吐いて妙にテンションが低いレンと、
そんなレンに対して怪訝そうに尋ねる沢田。
「せっかくの旅行なのに、ララちゃんと一緒の車じゃないなんて…」
「おやおや?何さ、あたし達と一緒じゃ不満?」
ボソッと聞こえてきた一言に、からかいとムカつきを7:3でブレンドさせた感じででレンに問い詰める沢田。
「い、いや、そーゆー訳じゃあないんだ!ただ今日は結城の奴がいないから
せっかくララちゃんといっぱい話をするチャンスなのに一緒に乗れないのはちょっと残念だなぁ〜と!」
「それってとどのつまり、あたし達じゃ不満って事でしょ?
ヒドいレンレン、未央…傷ついちゃう……ぐす…」
明らかに理解していながら、顔のニヤケを隠して軽蔑風の眼差しを向け、
その後あからさまなウソ泣きでレンの良心を煽る沢田。
「いや、だから、ララちゃんが居ないのが残念なだけで決してみんなに不満があるわけじゃあ――!」
「あの……、レン…くんがどーかしたの?」
「おろろ〜、レモりんてばホントに自分でも気付いてなかったんだ〜。
あたしてっきりとぼけてるモンだと思ってたんだけど…」
「いや、とぼけるも何も、ボクはホントに意味が分からな――」
「あっ、なーるほど♪」
籾岡の言いたい事が全く理解出来ないリトとは裏腹に、何かがピーンと来たらしい御門先生。
「そっかそっかぁ〜♪そーいえばそんなフシもあった様な…♪」
「……あの、御門先生?一人だけ随分納得してるみたいですけど、一体何がなるほどなんですか?」
「あー良いの良いの、気にしないで。レモンちゃんは気にしなくても良い事だから♪」
「いや、そんな言い方されると余計気になるんですけど…」
「んー…、でもねぇ…、これは私の口から言う事じゃないわ。あくまで自分で気付かなきゃ。
ね?『レ・モ・ン・ちゃん』♪」
物凄くニヤニヤしながらリトにそんな事を言う御門先生。
200%誤解だと分かってるハズなのに全く止める気が無い。明らかにこの状況を面白がって楽しんでいる。
(何なんだぁ……?一体…)
訳が分からないといった感じで首を傾げるリト。
なんとなく横目で沈んでるレンの顔を見つめる。
「………ん?」
ふと、レンと目が合った。
(あ、やば。あんま見てると怪しまれちまう)
慌てて目を逸らすリト。
「どうかしたのかい?レモンちゃん」
「べ、別に」
若干冷や汗を掻きながら、苦笑いとよそよそしい態度で返事を返す。
リト本人としてはただの誤魔化しでしかないこの行動…。
………だが。
「ほほう…、未央さん今の見ました〜?」
「見た見た。レモりん無意識にそんな胸キュン行動とはなかなかのツワモノだねぇ〜…♪」
(さすが結城君…、やる事なす事全部面白い方向に転がっていくわぁ〜…)
周りの人達には更に要らぬ誤解を招いてしまった事は最早お約束。
(一人だけ理解していながらあえて黙ってるが…)
「レン!!てめぇ、一発殴らせろぉ!!」
「うわぁ!?な、なんだい猿山くん!?ボク何かやったぁ!!?」
「うるせぇ!!お前だけは…、お前だけはリトと違うと思っていたのにぃーーー!!!(泣)」
「ちょっと猿山、狭いんだから暴れないでよ!!」
「そーだよ!つーかあんた身の程をわきまえなさいよ!どーせあんたはオマケなんだからぁ!!」
そして約一名、血の涙を流しながらレンに殴りかかって、籾岡と沢田からブースカ文句を言われる。
男のジェラシーってみっともないよね…。
「………あ、そういえば先生」
唯一止められる可能性を持つツッコミ役は、この現状を軽く無視して御門先生に話し掛ける。
「実はこっちに乗る際、ヤミちゃんが気になる事を言ってましてね…」
「気になる事?なぁに?」
「それが――」
『………そ、そこまで言うなら…別に構いませんが……、その代わり、ドクターが何か問題を起こさない様に
ちゃんとドクターを抑えて下さいね…』
(………無理だと思いますけど)
「――って言ってたんですよ」
(それも結構浮かれ気味で)
「あらあら、なぁにヤミちゃんたら。それじゃ私がまるでいつも危ない運転をしてるみたいじゃないの」
「いや、実際今朝方もやってたでしょ?居眠り運転」
「大丈夫よぉ〜♪もう眠気はバッチリ覚めたし、それに可愛い生徒の命預かってるんだからそんな心配しなくても――」
と、その時――。
『ブロロロロ――!!』
「のわっ!?」
「きゃっ!?」
後ろから来た一台の車が、御門車を掠める様に猛スピードで横切って行った。
「あっぶねーな――ぁ、いかんいかん、危ないなぁ…、何?今の」
「そーいえばココ、走り屋を良く見かけるって言ってたっけ?」
籾岡がちょっとムカつき気味に答える。
危うく当てられそうになった事に怒りを覚えながらも
、助手席に座ってる以上、運転に悪影響が出ちゃいけないと思い冷静に心を落ち着ける。
…………しかし。
「良くこんな山道であんなにスピード出せますよね〜。ね?先せ――」
リトがなるべく御門先生を動揺させない様フレンドリーに話し掛けようとした時――。
「……………この野郎…」(ボソッ)
「…………へ?」
多分幻聴だと思うが、何か御門先生から聞いちゃいけない様な言葉がボソッと聞こえてきた。
「………ぁの、先生?」
「ん?なぁに?レモンちゃん♪」
「ひぃっ!?」
爽やかな笑顔でリトに返事を返す御門先生………なのだが――。
(な…何故だろう……、その笑顔が逆に怖い…)
御門先生の全身からドス黒いオーラが放出されているのが見えているのは多分気のせいじゃない。
否が応にも何か得体の知れない恐怖心を感じ取り、頬を冷や汗がツツーッと流れ落ちる。
とりあえずこちらも笑顔を取り繕って御門先生に合わせるリトだが、顔が思いっ切り引きつってしまっている。
後部座席のメンバーも同様で、みんな揃って一番後ろの隅っこに固まってガタガタ震えている。
「あら?どーしたのみんな?何をそんなに怖がってるの?」
『いっ、いーえ何にも!!』
全員声を揃えて必死に首を横に振る。
ハッキリ言って説得力の欠片も無い。
「クスッ、そんなに心配しなくても大丈夫よ。みんなの命は先生が守ってあげるから♪」
《いや、何かここに居る方がよっぽど危険な気がするんですが、これは気のせいでしょーか!!?》
そして全員同じ様な事を思ったが口には出さない。というより出せない。
今の御門先生があまりに怖すぎるから。
『ブオォォン――!!』
「あ」
そんなやり取りをしてる間に、また一台車がスレスレを横切って行った。
「……」(ピクピク)
御門先生、ハンドルを握る手が震えています。力が込もりすぎて。
こめかみも異常にピクついてる様に見えます。
更に…。
『ブゥゥゥゥン――!!』
「……」(ビキッ!)
また一台抜かれたと同時に、御門先生に青筋発生。
「せ……先せ「大丈夫よ、私はいたって冷静だから」はっはい!すいませんっ!!」
『別にあなたの精神状態を聞いた訳じゃ無いんですが』
とは当然言えず、意味もなく謝ってしまったリト。
それもかなり低い声で告げられて更に恐怖感upするオプション付きで。
『ブオォォン――!!ブッブー!!』
『わっ!?』
御門先生のダークネスオーラに気を取られすぎたせいか、いきなりクラクションの音が聞こえてきてビクッとなる一同。
気付かない内に更に一台、御門車の横にピッタリ併走されており、そして――。
『オラァ!!ノロノロ走ってんじゃねーぞクソアマがぁ!!邪魔なんだよぉ!!!』
相手に好き放題暴言を吐かれた挙げ句、排気ガスを浴びせられながら抜かれていった。
「……」
『ブチッ!!』
(あれ?今何か『ブチッ』って…)
リトがそんな事を思ってた頃には時既に遅し――。
「なめてんじゃないわよぉぉーーー!!!」
『わあぁぁ!!?』
とうとうブチギレた御門先生。思いっ切りアクセルを踏み込んでさっき抜いていった車を追撃し始めた。
いきなり急加速したので、後部座席のメンバーは成す術無く後ろに飛ばされてしまい、
助手席でシートベルトをしていたリトは飛ばされはしなかったが、
山道を猛スピードで走り抜ける恐怖感と押し寄せる圧力で身動きが取れない。
「ちょっ、先生ぇ!!?スピード出し過ぎぃ!!」
「しっかり捕まってなさいよぉ、吹っ飛ばされても知らないからぁ!!」
「いや…、実際もう吹っ飛ばされてますからぁぁぁぁーーー!!?」
引きつった苦笑いと共に入れようとしたリトのツッコミは、突然の急カーブによって遮られてしまった。
ハンドル握ると性格変わる人ってよくいると思うけど、ここまで豹変する人も珍しい。
「ホラホラ、追い付いたわよクサレフニャチン野郎!こちとら伊達に当たり屋で食ってる訳じゃ無いんだからねぇ!!」
「いや、アンタ教師でしょーが!つーかなんちゅー下品な台詞をぉぉぉーーー!!」
更に急カーブで、またしてもリトのツッコミは掻き消された。
「イヤァーー!!助けてぇーー!!」
「お母さーーーん!!」
「ボクまだ死にたくなぁーい!!」
「%◎□@″♂$☆!!」
後部座席もパニック状態に陥って、正に阿鼻叫喚の嵐。
みんな例外無く命の危機を感じ取って、本能的に助けを求める。
猿山に至っては、テンパり過ぎて何を喋ってるのか全然分からない程である。
「先生、スピード落として!!別にあんなのと張り合わなくたって――!!」
「むむっ、ドリフトでブロックとはなかなか小癪な事を…!でもね、こんな事で私を止められるとは――!!」
(――って全然聞いてくれてねぇ〜〜〜!!)
御門先生には最早前方の車しか見えておらず、必死に止めようとするリトの声は全く届いちゃいない。
気分は正に頭○字Dって感じである。
………読んだ事無いけど。
(あそこだ…、あそこのヘアピンカーブ…!そこしか逆転のチャンスは無い!!)
逆転って…、これはいつの間に勝負事になったんでしょーか?――などというツッコミはもうこの人には意味が無いでしょう。
こーゆーシチュエーションって無条件で燃えるモンだし気分が――(略)。
「仕掛けるっ!!」
『わぁぁっ!!?』
その言葉を合図に、御門先生はアクセルを目一杯踏み込んで、前の車を抜いてカーブに突っ込んで行った。
全員吹っ飛ばされながら、御門先生のこの行動(とゆーか自殺行為)に驚愕、全力で止めにかかる。
「御門先生ぇ!ブレーキブレーキぃ!!」
「ぶつかるーー!!ガードレールぶつかっちゃうからぁーーー!!」
「いやぁぁーーっ!!死にたくなぁーーーい!!」
「ララちゃん助けてーーー!!」
誰しもが、ここで自分の人生が終わりを告げると悟りかけたその瞬間――。
「死なないわよぉ!!秘技・溝落とし!!」
どっかの漫画みたいに御門先生の叫びに車が応えるが如く、
カーブに差し掛かると同時に、片輪を排水溝に落として車体を安定、そのままのスピードで強引にカーブを曲がり切って
奇跡的に突破する事に成功した。
「よっしゃあぁぁーー!!」
片腕を高く上げてガッツポーズを取る御門先生。
『……』
そして、魂が抜けてしまったかの様にグッタリするその他の面々。
「生きてる…?ねぇ…生きてる…?」
「あたし…、まだ現世に存在してるよね…?ね…?」
「一瞬お花畑みたいな物が見えたんだけど…」
「ボクはちょっと川を渡りかけたけど…」
「……」(失神)
「フッ、大袈裟よみんな。私に掛かればこれ位軽い軽い――」
「ぁ……あのですねぇ……って先生!?前、前ぇ!!!」
「へ?」
一難去ってまた一難。気付いた時には前方に別の車がいた。それもかなりの至近距離に。
あまりに近付き過ぎた為に、ブレーキも間に合いそうに無い。
『ぅわぁぁぁ〜〜!!今度こそぶつかる〜〜〜!!!」
「なんのぉ!!!」
またまたどっかの漫画みたく、御門先生の叫びに応える様に車の片側が突然持ち上がって、
片輪走行でセンターラインを越えて前方の車を避わす。
『のぉぉぉ〜〜!!?』
「みっ、みんなぁ!?」
その反動で、シートベルトをしていない後部座席の面々が端の方に吹っ飛ばされる。
そのどさくさに紛れて、レンの手が沢田の身体に触れた。
「ちょっ、レンレン変なトコ触んないでよ!」
「すすすすすまない沢田さん!決してワザとじゃあ――ってぇ!?今度は対向車来たーーー!!!」
「問題無ぁーーし!!!」
更に勢い任せに、素早く車体を下ろして元の車線に戻り対向車を避わす。
その反動で、今度は猿山が籾岡の方へ飛んでいって――。
「だぁーー!こっち来んな猿山ぁ!!」
『ドガッ!!』
「ぶほっ!?」
籾岡、掌底による迎撃。
「ちょっ、先生ぇ!!いい加減落ち着いて――ってわぁっ!?先生もっと車間距離取って!近付き過ぎ――って対向車対向車ぁ!!
先生、もっと安全運転をぉ!!コレ絶対いつか事故りますってぇ!!」
リト、生と死の狭間を彷徨いながらも御門先生の暴走を止めようと必死に呼び掛けるが…。
「関係無い!!敵対する者は全て破壊――じゃない、追越するっ!!!
どんな車だろうと、ただ打ち貫――じゃなくて、横切り追い抜くのみっ!!!」
御門先生、やはりリトの言ってる事などまるで聞いちゃくれない。
それどころか、さっきまでのスリル満点以上のドライブで余計にヒートアップしてしまっている。
その証拠にこのお姉さん、ノリが頭○字Dからス○ロボに移行していらっしゃいます。
「ふはははは――!!!この首都高に我を阻む者無ぁぁぁーーし!!!」
『いや、ココ首都高じゃありませんからぁぁぁ〜〜〜!!!たーーすけてぇぇぇ〜〜〜――!!!』
御門先生の高笑いと五人のツッコミ(一人オチてるから本当は四人)と絶叫が果てしなく響きながら、
この後旅館に到着するまでこの恐怖は続いたという…。
――――――
そんな感じで御門車内が地獄絵図と化している一方、遙か後方を走っている秋穂車の面々は――。
「凄いわね〜、もうあんなトコにいる…。春菜の学校の先生ってあんな個性的な人が多いの?」
「ぃ、ぃゃ〜…、あんな一面があった事なんて初めて知ったんだけど…」
妙に関心してる秋穂さんと、苦笑いを浮かべながら軽く引く春菜。
「わ〜、レモン達楽しそ〜。私もあっちに乗れば良かったかな〜」
本気なのか冗談なのか、いや多分本気なんだろーな〜と思える位あっけらかんと言ってのけるララ。
((よ、良かった〜…、向こうに乗らなくて…))
そして、命拾いをして心の底から安堵の溜め息を吐く美柑と唯。
(……だから無理だって言ったんです。ドクターの暴走は半端じゃありませんから…)
そんでもって、御門先生の犠牲になった同乗者のみんなを心の底から哀れむヤミだった。
「………まぁ、それはそれとして」
ここで秋穂さん、軽く流す様に話を切り替える。
「ねぇ、ララちゃん」
「ん?な〜に?春菜のおねーさん」
「……ユウキくんてどんなコ?」
「へ?リト?」
「おっ、お姉ちゃんっ!?」
秋穂さんの発言に可愛く首を傾げるララと慌てふためく春菜。
「お姉ちゃん、いきなり何言い出すの!?」
「だって気になるじゃない。春菜いっつもユウキくんユウキくんって言ってるから、一体どんなコなのかな〜って♪」
「ちょっ!?」
「春菜が?」
「ええ♪そりゃあもうそのユウキくんの話題が出ない日は無い位連日のごと「わぁぁ〜〜!!!」」
ニヤニヤ含み笑いをしながら話す秋穂さんの言葉を、顔を真っ赤にしながら大声を出して遮る春菜。
「何でそんなに慌ててんの春菜?」
「え゛!?ゎ…私は別に…」
「なら別に聞いたって良いわよねぇ〜?(ニヤニヤ)」
「ぅ゛…」
返す言葉も見つからず、春菜は顔を隠す様に俯いてしまった。
「んとね〜、リトは〜、優しくて〜、カッコよくって〜、かわいいトコもあって〜、
ちょっと怒りんぼなトコもあるけど〜、宇宙でいっちばん頼りになる人なんだよ〜♪」
「へぇ〜、凄く信頼されてるのねそのコ♪」
(ララさん、ちょっと美化入ってるけどね…)
ふとそう思った美柑だが、別に訂正する必要も無いのであえて口に出さない。
(八割方は自分でもそう思ってるから)
「それじゃララちゃん、ララちゃんはそんなユウキくんの事をどう思ってるの?」
「大好きーっ♪♪」
ニパー♪って効果音が聞こえてきそうな位の眩しい笑顔で答える。
「あらあら、清々しい位はっきり言っちゃうのね〜♪」
「だってホントの事だもん」
「まぁ。んふふふ――♪」
恥ずかしげも無くララにキッパリ言われて、おもわず秋穂さんは笑みを零した。
「……」
対照的に、改めてララのリトに対する気持ちを聞かされて、複雑な気持ちになる春菜。
好きな人に想いを伝えたい気持ちと、大切な友達に想いを叶えて欲しい気持ち…。
矛盾した二つの思いが板挟みになって、余計に自分の想いを苦しめ、胸が締め付けられる。
「春菜」
「え?」
沈みかけた所で秋穂さんに話し掛けられて顔を上げる。
そして…。
「負けちゃ駄目だよ♪」(口パク)
「ぁ…」
春菜に気を使って、口パクでエールを送ってウインクする秋穂さん。
こーゆー所は、やはり『お姉ちゃん』なのだと思わされる。
「……」(こく…)
そんな秋穂さんの想いに心打たれて、春菜はただ顔を赤らめて小さく頷いた…。
「……」
一方、リトの話題で悶々としてる少女がここにも一人…。
(何なの…?何で私、さっきから結城くんの事ばっかり考えちゃってるの…?)
みんなに悟られない様に赤らめた顔を背け、窓を流れる景色を眺めながら、
唯は自分の中の不思議な気持ちに戸惑っていた。
さっきララが『大好き』と言った瞬間、胸がドキンと跳ね上がり、
何故か分からないが、そこからしばらく動悸が止まらなくなっていた。
(だ…大体結城くんなんかいっつもハレンチな事ばっかしでかしてすっごい迷惑してるんだからねっ…!
そ…そりゃあ、そーゆー優しい所や責任感も持ってる所もあるし…、ちょっと……格好良いなって思う事もある…けど………
って、私は何を考えるのよっ!)
頭をブンブン振って、さっき思った事を掻き消す唯。
でも、どんなに誤魔化そうとしても、リトの顔が頭から離れない。
(………結城くん…、今頃何してるんだろ…)
そして、唯はリトに想いを馳せる。自分の気持ちは理解出来てないけど…。
今も父親の仕事の手伝いで四苦八苦してるリトに想いを馳せる…。
まさかその当人は女になってこの旅行に参加してるとは思いも寄らずに。
「はぁ〜…、ホントリトってば罪な男…」
「?、どうしました?美柑…」
「んーん、別に」
ヤミの問い掛けに笑顔で受け答えながら、色々と罪作りな我が兄に呆れつつも、この状況を楽しそうに傍観する美柑。
(さて…、一体誰があたしの未来のお姉ちゃんになるのかな?)
今から楽しみだなぁ〜っと、美柑はおもわず含み笑いを零した。
「個人的にはヤミさんがなってくれたら嬉しいんだけどな〜…♪」
「なんの話ですか?」
「あー、気にしない気にしな〜い♪」
「あっ、見えてきた〜♪ねーねー春菜、旅館ってあそこでしょ?」
「あ、うん。あそこが私達が泊まる旅館だよ」
「もう先生方も着いてるみたいね。私達も急ぎましょ」
「楽しみだなぁ〜♪」
とゆー事で、こちらはいたって平和的に旅館へ辿り着いた――。
504 :
むに:2008/06/15(日) 21:09:18 ID:IHHhIfLp
投下終了です。
ホント更新遅くてすいません。何故か最近モチベーションが上がんなくて…。
でも頑張りますんで長い目でお願いします。
そんでもって、いい加減温泉入れやーってツッコミはナシの方向でお願いしますm(_ _)mマジデ
そして最後に一言…。
リコちゃん、カムバーーー〜〜〜ック!!!(魂の叫び)
俺も叫ばせてもらおう
カムバーーーーーーック!!リコォォオオオオオオオオ!!
506 :
名無しさん@ピンキー:2008/06/15(日) 21:36:10 ID:xTw2yqN6
むに氏GJ!! 続き期待してます。
ですが・・・。美柑×リトも早めにお願いします。 すごく待ち遠しいです!
御門先生がら●☆すたのゆいねえさんになっちまったw
相変わらずむに氏の書く先生はぶっ飛んでて笑える。
むに氏キタ---(゜∀゜)---!!
超GJ!!
そして、リコカムバッッック!!
むに氏ktkr!超GJです!
終始ニヤニヤな俺きめぇw
510 :
rmy:2008/06/15(日) 23:46:35 ID:t3+wIWhK
むに氏お疲れ様です
たくさんのキャラの個性をうまく書き分けられてて凄いです
一ファンとして応援してますので頑張ってください
リトララ仕上がりましたんで数日のうちに投下しようと思います
ではでは
書くときに禁止ネタというか、こういうのはやめたほうがいい、みたいなのあります?
オリキャラとかBLとか以外で
台本形式
一人称・口調などが原作から乖離している
「〜までに投下します」「続けてもいいですか?」「ヘタでごめんなさい」など
なるほど
了解
むに氏やっぱうまいなあ
これだけキャラだしても、それぞれの個性をちゃんと書いてるし
車の運転とか動きのある描写とかもちゃんとできて
すごいです
>>511 後、輪姦・凌辱とか特殊なケースな場合、投下する前に注意書きも忘れずに
今週号は美柑ファン必見。
タイトルは「兄妹」。
むに氏GJ!!
そして、リコカムバァァック!!
517 :
名無しさん@ピンキー:2008/06/16(月) 11:28:46 ID:pmCPzVTM
今週号の展開が、俺の書こうとしてた「リト×美柑」そのまんますぎて
驚いた。と同時に書く気なくした
>>517 アレを文字に出来るのは素晴らしい才能じゃないか
>>517 ここはエロパロ板
原作のエロいパロディを書く場所だぞ
何の問題もないじゃないか
美柑のリトへの愛しっぷりやばくね?
血が繋がってないとか冗談で済ましたけどネガティブな意味じゃなくて
兄弟姉妹ではあんま言えるもんじゃねえぞ。
ハーレム系は主人公が誰かに傾いたら一話で終わるような話だが
美柑にリトが傾いたら決着つきそうな勢いだったぞ
悪夢の空鍋再び
ってことになりそうだよな・・・
やべっ空鍋だけで鬱になりそう
これコメディだから
ここまで来たらただのコメディじゃなくていちごのような感じになってもいいと思う。空鍋はない。魂響なら・・・やっぱり駄目。
今週は良かった。「血が繋がってない(それでも良かったかな)」という隠語のある作品を思いついた。
525 :
ななしさん:2008/06/16(月) 20:53:55 ID:PHYwzXU+
うますぎる
とりあえずGJ
つっこみなしで良く世界崩壊しないよなw
とりあえず美柑が本気出したら一人で全ての「トラブル」を収束させられると思うのは自分だけだろうかw
リコの生存を祈りながら次回に期待
526 :
rmy:2008/06/16(月) 22:01:48 ID:BW7Yf4SR
とりあえずリト×ララ、前編です
結構長いです
ではいきます
「リトーッ、お昼の時間だよー!」
負のオーラならぬ正のオーラ(?)を体中から発しているようなララの笑顔、仕種、言葉。
「一緒に食べよ!」
「俺早弁しちゃったよ」
高校生の男ならそんなものだろう。
「じゃあ私の分けてあげるねっ!」
常に元気一杯なララは、リトの前の席の人間がいないのをいいことにさっさと机の向きをかえるとそれをくっつけてくる。
「何が食べたい?」
ニコニコと、少しだけ得意げに、無邪気な表情のお手本のような顔つきだ。
「別にいいよ」
ドキドキしてしまっているから口調もぶっきらぼうでそっけなくなる。
「そんなこと言わないでよー。せっかく分けてあげるって言ってるのに」
その向かいにいる少女は、瞬時に表情を変えて今度は唇を尖らせる。
本当にコロコロと変化する、それ。
おまけに絶世の美少女であるため、彼女の顔を眺めているだけでもまず退屈などしないだろう。
「さっき同じの食ったし・・・」
一つ屋根の下で暮らす二人のお弁当の作り手は結城美柑だ。
「それでもおいしーよ!美柑のお弁当は。・・・まだ全然かなわないなぁ」
(・・・それにしても)
リトには気になることが二つ。
「今日はどしたんだ?」
「?」
「いや、いつもは西連寺達も誘うのにと思ってさ」
そう口にした直後、わずかに頬を膨らませて、絶妙な間をとって。
「・・・今日は二人っきりがいいんだもん・・・」
ドキッ
不覚にも身体が大きく震えてしまった。
心臓が跳ねる、なんてよく言うけれど本気で位置が上にズレたんじゃないだろうか。
(か、可愛い・・・)
ほんの少しの、自然な上目遣いと快活な彼女らしくないゴニョゴニョ声。
似たような言葉は今までも聞かされてはいたけれど、そんな時の彼女は決まって満面・満開の笑みだった。
こんな風に切ない表情や態度を見せられると、素材が極上なだけに旨味はとんでもないものとなる。
「リト・・・」
小鳥の囀りのように、小さく小さく。
こんな名前の呼び方をされたことはない。
後から後から湧き出してくる気恥ずかしさ。
痛いくらいに打ち付ける心臓。顔はもう茹で上がったかのように真っ赤だろう。
こんな状況で断れる男がいたら是非紹介していただきたい。
「じ、じゃあ卵焼きを・・・」
今度はパアッと、長時間頭上にとどまっていた灰色の雲すらあっという間に吹き飛ばしそうな金色の笑顔。
「はいっ。あーん」
瞳を輝かせたララはリトの眼前、鼻先に卵焼きを持ち上げる。
(いや、いくらなんでもそれは・・・)
チラリと横目で教室の隅を見ると、リサミオと一緒にお弁当を食べている春菜と目が合ってしまった。
リトはララが持ち上げた卵焼きを箸の間から素手で奪うと、すぐに口の中に放り込んだ。
「もうっ。リトのバカ」
どんぐりでも入れたかと思うほど頬を膨らませ不満たっぷりな目で見つめてくるララを何とか宥めながらリトは考える。
(何か気になってたんだけど、何だっけ・・・?)
その数秒の思惟の間に、気づけばララは笑顔を取り戻していた。
そんな彼女を見ていたら、まあいいか、という気になってしまう。
そう、彼女と一緒にいるとちっぽけな悩みなどなんでもないことに思えるんだ。
彼女の笑顔の前では、大きな悩みもいずれどうにかなるような気がしていた。
そして彼女が悩みを抱えているなんて、想像すらしていなかったんだ・・・。
午後の授業も恙無く終わり、迎えた放課後。
(あれ、ララがいない・・・?)
いつもなら「帰ろー」と腕にしがみついてくるのだが。
今日は例のアニメの日でもないし、どうしたものか。
「・・・ま、いいや。帰ろ」
「あれ、今日は一人なのか?」などとからかいまじりに声を掛けてくる奴等に適当に返しながら、
下駄箱で靴を履き替え校舎を出るがまるで何かに掴まれているかのように足取りは重い。
(何落ち込んでんだろ・・・。必ずしも一緒に帰ってるわけでもないのに)
リト、リトとひっきりなしに話しかけてくるララが隣にいないだけでこんなにも虚脱感に襲われるなんて思ってもみなかった。
(昼休みのララ、以前とどこか違ったな・・・)
ぼんやりとそんなことを考える。
まるで恋愛に奥手な女の子が勇気を振り絞ったかのような反応だった。
(可愛かったな・・・)
思わず口元が緩むが、我に返るとそのララがいない現状にため息が出た。
(やめやめ。何で俺がララのことで落ち込まなくちゃいけないんだ)
お前は少し落ち込むべきだ、との天の声が聞こえてきそうだった。
ララがリトとの事でどれだけ悩み、涙を流しているか。
それを知らないリトは、校舎の裏手に足を向けた。
そこには大きくはないが、わりと綺麗に整えられた花壇がありリトのお気に入りの場所となっている。
かつて水やり担当だったこともあり、花を見るのは好きだし穏やかな気持ちになれるのだ。
しかし天誅かどうかは分からないが、今日はそこでますます心を乱されることになる。
「ごめんなさい」
耳に届いたのは女の子の声。
滅多に聞かない神妙なそれだが、毎日嫌というほど聞いている声を間違えるはずもない。
ララの声だ。
鈍いリトでもどんな状況かすぐに理解できた。
そして途端に胸がざわつき、灰と胃の中間あたりがキリキリと痛み出した。
「僕は君の事をほとんど知らない。でも、どんな君だって受け入れる自信があるんだ。
せめてデートだけでも受けてくれないかな・・・」
相手はリトの知らない男だった。見た感じ先輩だろうか。
広がっていく、焦燥感と不快感。
「本当にごめんなさい・・・。
私、大好きな人がいるんです。どうしてもその人に振り向いて欲しいから・・・
その人だけを見ていたいから・・・だからあなたとはお付き合いできません」
それはララの"その言葉"を聴いた瞬間も続いていた。
ララは言い終えると深々と頭を下げた。
静かだけれど固い意思の篭った言葉に相手は観念したようだった。
「そう・・・。それじゃあ仕方ないか・・・。
時間取ってくれてありがとう。すっきりしたよ」
言葉とは裏腹に彼からは無念さが滲み出ていたが、ララを責めるような態度は全く見せなかった。
「その彼が羨ましいな・・・」
小さくそう呟くと告白者は去っていった。
しかし彼が去った後もララは頭を上げなかった。
その細い肩が微細に震えていた。
そんなつもりはなかったが、自分とそう変わらない身長を持つ彼女がとても小さく見えてつい声を掛けてしまっていた。
「泣いてるのか・・・?」
ララは体勢を変えなかった。
リトはララのすぐ後ろまで来たが、彼女に触れることはできなかった。
リトが何も出来ないでいると、暫く経ってからララが顔をあげた。
そのまま振り返らずに話し始める。
「心が痛いよ・・・」
泣いていたのかどうかは声色からはわからなかった。
リトは何も返すことが出来ず、金縛りにあったかのようにただ立ち尽くしていた。
「ときどきね、今みたいに告白されるの・・・」
「・・・」
全然知らなかった。
リトは彼女が宇宙人でお姫様で天才発明家?で尻尾からビームなんか出せちゃうことを知っているから、
ララが告白されるなどとは想定していなかったのだ。
しかし大多数の男からすれば、ララはめちゃくちゃ可愛くて明るくて人懐っこくて
スポーツ万能で頭までいいのに嫌味じゃない、まさにスーパーガールだ。
モテないはずなどなかった。
まるで独り言のようにララは話し続ける。
「相手が本気で伝えてきてくれると、胸が苦しくなるんだね。
私がリトの事を大好きっていう気持ちと同じように、この人も私を思ってくれてるのかなって。
今の私と同じように、苦しいのに失くしたくない想いを、ずっと抱えてきたのかなって。
そしてこうして断る度に、私もリトにフラれちゃったらって、考えちゃう・・・」
地球に来て、リトを好きになって、周囲の人の気持ちにも少しずつ気づけるようになってきて。
自分も本気で恋をしているからこそ、ララの胸には想いの刃が痛いくらいに突き刺さる。
彼女はそれを受け止めて傷つき、相手を傷つけてしまうことにまた傷つき、
自らの恋に照らし合わせてしまってさらに傷つく。
"その後"を考えてしまって。
そうまでして、しかも普段はそれをおくびにも出さずにララはリトを想い続けてくれている。
なのにリトは、ララらしくない作り物の笑顔で「帰ろ」と告げられ、無言のままその数歩後ろを歩くことしか出来なかった。
会話がほとんどなく、妹に妙な気まで遣わせてしまった夕食後、リトは自室で思いつめていた。
しかし募るのは苛立ちばかり。
それは、さっきのあの時から。
"どんな君だって受け入れられる自信があるんだ"
あの男の言葉が耳奥でこだまする。
神経が過敏になっているのがわかる。
(くそっ!!)
握った拳をベッドに叩きつけた。
(あんたはララの境遇を深くまで知っても、同じ台詞を吐けるのかよ・・・)
顔を掛け布団に埋める。
不快な感触しかしなかった。
違う。そうじゃない。
冷静になれ。あの男のことなんて本当は関係ないことだ。
今考えるべきは、俺とララのこと。第三者なんかどうだっていい。
俺はララをどう思ってる・・・?
ララのことが大切―――?
大切だ。即答。
ララに傍にいて欲しい―――?
いて欲しい。いつまでだって。即答。
じゃあ、俺はララのことが好き―――?
好きだ。これも即答。
なのに俺は、ララとの関係を進めることが出来ない。
俺はララを、どう好きなんだ・・・?
近すぎる距離感。
家族のような緩い感覚が、逆にリトを縛り付ける。
そして何より、どんなに親しくなっても、どれほどドキドキさせられても、ララが自分とは異なる星の
それも全宇宙で見ても強大な力を持つ星のお姫様であるという事実に、足踏みさせられているちっぽけな自分。
そのことがリトから思考力と行動力を奪っていく。
今のままではいけない。それは分かっているのに結局は今日もどうすることも出来ない。
それがリトを際限なく苛立たせていく。
ただ天井を睨みつけることしかできない。
そしてまた、苛立ちが疲労によって麻痺していくのを待つだけだ。
リトが自嘲の苦笑いを浮かべたとき、廊下から妹の声が聞こえた。
「リト、電話だよ」
「いないって言ってくれ」
今は誰とも話したくない。
「そんなこといえないよ。こんな時間に」
「どうして!?」
苛立ちを抑えきれない。美柑に当たってもしょうがないのに。
「電話、母さんからだもん」
救いの声は、その電話からもたらされた。
「よっ、息子。元気かー?」
母さんの声がやけにノイズ交じりで擦れて聞こえたのは、それが国際電話だからではないだろう。
「・・・ああ」
「んー、あまり元気じゃないか」
返事一つで見抜かれた。
「ララちゃんのことだ?」
「ちげーよ!」
間髪いれずに返答。
「クスクス。そっかそっかあ」
しまった。反応するのが早すぎた。
まあ母さんに敵わないのはいつものことなので、遅かれ早かれ見抜かれたと思うけど。
母さんは一つ咳払いをすると、それが何かのスウィッチであったかのように
それまでとは打って変わって真剣な声で話し始めた。
「リト、前にも言ったけど女の子の気持ちに応えられるのは男の子の優しさなんだからね」
「それは分かってるよ・・・」
(でも、愛情と情けは別物だろ?)
「リトはさ、ララちゃんに対して構えすぎてるんじゃないかな」
「・・・俺が、ララに?」
まさか。毎日顔合わせてるし、会話だってスキンシップだって・・・まあしてるし。
ましてや一緒に住んでるのに。
「彼女のことどう思ってるとか、自分との境遇の違いとか、そういうの全ておいといて・・・。
彼女のために何かしたときのこと、思い出して。
未来のことでもいい。彼女が喜ぶことをしてあげたと仮定してみて」
仕事モードじゃないのに真剣な声色に、よく分からないがとりあえず言われたとおりにしてみる。
思い浮かんだのはララのはにかんだような、幸せそうな笑顔。
いつもリトを知らず知らず支えてきた、ララの笑顔。
それがささくれ立った自分の心に暖かな灯をともしてくれる。
表情が少し弛んでいるのが自分でも分かる。
「そのときあんたが嬉しいと思ったり、優しい気持ちや穏やかな気持ちになれたのなら、
それはあんたが彼女に対して好きっていう気持ち、愛情を持ってる証拠よ」
思わず息を呑む。今リトが感じたのはまさにそんな気持ちだったから。
「でもそれは・・・」
(情けじゃないのか?そんな感情はララに対して失礼なんじゃないのか?)
「それが、構えてるって言うのよ」
受話器越しに苦笑いが伝わってくる。
「恋愛なんてものはどちらかの一方通行から始まる場合がほとんどなのよ?」
確かにそうだ。好きになるタイミングが全く同じなんてむしろ稀なこと。
「だから言葉は良くないけど、あの娘に情けをかけなさい。
もっと真正面から受け止めてあげなさいな」
母さんの言葉は、スーッという爽快感のようなものとともに肺一杯に広がっていった。
「そうすれば、あんたの気持ちだって見えてくるかもよ?」
いつの間にか、不快なノイズは消えていた。
「・・・ありがとう。母さん」
「ふふっ。こっちも楽しみが増えたわ。じゃあまた連絡するから」
そういうとこちらの返事も聞かずに電話を切られてしまった。
リトは微笑みながら電話を置く母を想像した。
次の瞬間にはその表情は100%仕事モードに切り替わっているに違いない。
そう考えて苦笑してしまったが、モヤモヤを吹き飛ばしてくれた母のアドバイスに感謝せずにはいられなかった。
ララの気持ちに応える為には、俺の方からララを好きにならなきゃいけないと思ってた。
それも自然に好きにならなきゃいけないと、"思おうとしてた"。
例えば春菜ちゃんにフラれるとか、ララが急にいなくなるとか、そんなきっかけじゃなくて、自然に。
そう思うことで、俺はずっと先送りにしてた。
彼女の眩しい笑顔を眺めながら、何も起こらない事を願ってた。
でも、俺は決めた。
ララをちゃんと見つめようと。
自分で、結論を出すために。
「なあ、ララ」
翌日、いつものように美柑の作ってくれた朝食を取りながら徐に話しかける。
ちなみに美柑に昨日のことを謝ったら、"これからのリトに期待してるよ"、とすまし顔で言われてしまった。
「ん、なぁに?」
本当に旨そうにご飯を頬張りながら笑顔を見せてくれる。
いつのまにか根を張っていた、俺の心の栄養。
「明日、休みだろ。よかったら、その・・・映画でも行かないか?」
「えっ?」
ララはその大きな瞳を文字通り真ん丸にしていた。
隣では美柑がニヤニヤ笑っている。
「リト、それって・・・?」
「まあ、なんだ・・・その、デート」
リトの口からその言葉が出た途端ララの表情が変化していく。
いつもよりゆっくりと、蕾が開くように、輝く笑顔がふんわり膨らんで、弾けた。
「リトッ!!」
ギュっとしがみついてくる。
「ちょ、今食ってるんだからくっつくなって」
「だって、嬉しいんだもん」
瞳に涙を一杯に溜めながらもにっこりと笑う。
デートに誘っただけでこんなにも喜びを表してくれるララがたまらなく愛しい。
正直、抱きしめないようにするのにはかなりの理性が必要だった。
「ほら、くっつくのは明日まで我慢しろって」
「明日ならいいの・・・?」
期待と媚びとが1対1でブレンドされたララの表情。
可愛いぜちくしょう。
「まあ・・・デートだし、少しくらいは・・・」
「わかったっ。明日まで我慢するね!」
そういうとパッとリトから離れて食事に戻る。
が、一口食べるたびに幸せそうな顔で見つめてくるものだからリトとしては落ち着かない朝食だった。
「行こっ!」
制服姿で並んで家を出る。
ララは軽い足取りで跳ねるように歩いていく。
彼女がまだ嬉しそうにして振り返るたびに、昨日までとは違う気持ちを確かに感じる。
大量の恥ずかしさや少しの優越感とともに、確かに存在する嬉しさと暖かさ。
それはきっと、ララと向き合うと決めたから気づけたのかな。
確信に近い、予感があった。
近いうちに、俺はララのことしか考えられなくなるんだ。
「リトーッ!早く早く!」
「そんなに急かすなよ」
この時期にしては珍しいカラッとした青空に見守られながら、弾むようにララが歩いていく。
約束どおり、今日はララとお出かけ。俺から申し入れた、初めてのデート。
さっきからすれ違う男がララを振り返ってる。
一人の例外もなく、全員がだ。
春らしいレースのワンピースはアイボリーカラーで、ララが着ると本当にお姫様そのもの。
足元は優しい茶色系のブーツ。
よく映えるピンク色の髪の毛もアップにまとめていて、可愛らしさと優雅さが同居している。
やたらと日差しが眩しいのは、今が午前9時という太陽が真上に昇りきらない時間だからだけではないだろう。
キラキラと輝いている彼女。
今日は暑くなりそうだった。
「で、まずはどこに行くんだっけか?」
「最初は喫茶店で朝御飯だよー」
(ララの奴元気だなー。ほとんど寝てないのに)
本日のデートコースはララ任せ。
別に自分から誘ったのに考えなかったっていうわけじゃない。
リトだってちゃんと考えていたのだが、今朝4時に叩き起こされてララからデートプランを発表されたのだった。
それまで一睡もせずに考えていたらしい。
前日の朝からだから・・・丸一日近くか。
ララならスパッと決めてしまうか、何も考えずに出たとこ勝負だと思ってた。
そう伝えたら、
「だって、せっかくのリトとの初デートだもん。
一生忘れられない想い出にしたいから・・・」
不満をあらわにしつつ、うっすらと頬を染めて。
(ああ、可愛かったなぁ・・・)
「・・・ト!リトってばあ!ついたよ」
「・・・ああ、わりい」
昨日から惚けすぎだな、俺。
喫茶店の軽食で朝食を済ませて肩を寄せ合って買い物してお昼食べてゲーセンで遊んで映画を見て。
そんなどこにでも転がっていそうな、普通のデート。
でも、ララの想いがたくさん詰まったデートだった。
この喫茶店はあのドラマのロケに使われてたんだって。
このコーディネートは今年の流行なんだよ。
ここのレストランはお魚料理がとってもおいしいの。
あのゲーム、リト好きだったよね。
今から見る映画の主演女優さんの特技は水泳なんだよ。
もし説明しているのが猿山だったら、「へぇー」程度の反応で終わりだろう。(猿山、すまん)
リトはドラマにあまり興味がないし、ファッションはよく分からない。
料理だってそんなにこだわりはないし、ゲーマーってほどでもないし、映画だって時々見る程度。
だけど、雑誌を買い込んだりネットを使ったりして一生懸命に調べるララの姿が目に浮かぶ。
今日という日が、リトの心に少しでも強く大きく残って欲しい、そんな想いで彼女は頑張ってくれたのだろう。
だからリトは出来る限りの優しさを込めて彼女の話に相槌を打ち続けた。
本当に楽しそうにしているララを見ているだけで、心が温まる。
自分もどんどん嬉しくなって、彼女に惹きつけられていく。
腕を組まれたら胸が当たってドキドキしたし、次から次へと休む間もなく引っ張りまわされて大変だったけど、
今日は他人の目とか全く気にならなかった。
そんなのどうでもよくて、文字通り眼中になくて。
余計なことも何も考えなかった。
一日中笑顔でいられた気がする。
デートなら普通はもっと甘いムードになるものなのかもしれないけれど、ただ楽しくて仕方なかった。
目に入るのはララだけ。
彼女の笑顔に夢中だった。
「楽しかったねーっ」
夕焼けが街を濃い目のオレンジに染め上げていく。
ララの口調はいつもの明るさを保っていた。
けれども微かに寂しげな色が混じっていた。
それはきっと、今リトが抱えているのと同じ気持ちからくるもの。
二人は晩御飯のために呼びに来た母親の後ろを名残惜しそうに歩く昭和の小学生のように、ゆっくりと結城家へと歩いていた。
楽しかった。本当に。
もっと何時間だって、二人で遊んでいたかった。
普段から人並み以上に楽しさとスリルに満ちた生活を送っていると自覚しているリトだが、それでもこんなに楽しかったのはいつ以来だろう。
かけがえのない、大切な時間だった。
「ねえ、リト?」
「ん?」
ララは遠くを見つめているように少しだけ目を細めていた。
夕日に照らされた横顔は美しくてどこか幻想的で、急にリトは切なくなった。
「・・・また遊ぼうね」
まるで独り言のようにララが呟いた。
ああ。また遊びたいな・・・。ララが喜んでくれるなら。
心の中で思ったそれは、言葉にはならなかった。
しなくても良いことを、リトもララもわかっていた。
それから二人は無言のまま歩き続けた。
少し火照った二人の頬を、6月の優しい風がそっと撫でていった。
二人は結城家へと帰ってきた。
玄関には鍵がかかっていたので美柑は出かけているらしい。
暖かい日差しの中を動き回ったので汗を吸い込んでいたTシャツを脱ぎ、
財布や携帯、ゲーセンの景品を無造作に辺りに置いていく。
(とりあえずシャワーだな)
「ララ、先にシャワー浴びてきていいぞ」
デートの日にリトがサラリとこんな台詞を言うとは。
最も本人にはそんな自覚はないのだけれど。
「ねえ、リト・・・」
ララが静かな、透き通るような声を出す。
そんな機会が最近増えた。
比例して、リトの心臓が跳ねる機会も。
「まだデート、続けてもいい?」
ララの口調は変わっていない。
なのにリトは圧迫感を覚えた。
跳ねるのではなく、押さえつけられたように動きを止める心臓。
今までララからそんなものを感じたことはなかった。
何かが起こる―――
そんな予感を感じながらもリトは「ああ」とかえした。
拒むことなど、選択肢になかった。
「じゃあ、シャワー浴びてきて」
「・・・へっ?」
いきなり心臓にエンジンがかかった。
連続でフカされ、高速で回転を始める。
「いいから、早く!」
裸の背中を押され、脱衣所へと入れられてしまった。
身体が熱い。
汗が噴出してくる。
暑い日に外から戻って家の中で静止すると一気に汗が噴出してくるが、それにしたって熱い。
(ちょっとは落ち着けっての!)
休むことなく打ち付ける自らの心臓にどうしようもない文句をつける。
(ただシャワー浴びて来いって言われただけじゃんか)
リトがララにシャワーを勧め、それに対してララが「先に入っていいよ」と返してくれたのと見かけの状況としては変わらない。
でも、今日はデート。
あまりにも純粋に楽しくて忘れていたけど、今日はデートなのだ。
(俺と、ララの)
今頃になってリトはその事実を強く強く自覚した。
男ってほんとどうしようもない。
火照りを抑え、冷静さを取り戻すため冷水を頭から被る。
それでも思考は"そこ"にしか向かってくれない。
ララの艶やかな唇に触れる瞬間。
彼女の身体はどれほど柔らかいんだろう。
あの胸は、腰は、お腹は、太ももは。
彼女はどんな声で鳴くのだろう。
俺だけに、どんな表情を、見せてくれるのだろう。
自分の身体の上で果てるララを想像して、リトはハッと我に返る。
(アホか、何考えてんだ俺は!)
シャワーヘッドを持っていないほうの手で横殴りに自分の頭に一発。
(まだ好きだって、伝えてもいないのに)
生じた自分に対する嫌悪感は刹那、違和感に変わる。
(好きだって伝えてもいないのに?)
リトはそこで、妙に冷静に受け止めた。
もう、彼女を受け入れる気満々の自分がいることを。
彼女への想いを、抑える気などない自分がいることを。
さっきの予感の正体を。
お湯に切り替えたシャワーからの水を顔に受けながら瞳を閉じる。
すぐに浮かんでくる、満開のララの笑顔。
(好きだよ・・・ララ)
自然に言える気がした。
しかし風呂場から出ると、そこには地獄絵図が・・・。
「ララ、出たぞ」
気恥ずかしくて、彼女から視線を逸らして呼びかける。
ふと時計が目に入る。いろいろ考え事(妄想とも言う)をしていたのでシャワーで30分以上かけてしまった。
「はーい。ソファで待ってて」
タオルで髪の毛を拭きながら何の気なしにソファに座る。
どうやって、ララに伝えよう。
頭の中がそれ一色に染め上げられる直前に、リトはその異様さに気づく。
(ララが、恐ろしいことをしていた気がする!!)
恐る恐るキッチンを覗き込む。
そこには鼻唄とともに野菜を切るララの姿が。
「おい、ララっ!」
慌てて声を掛ける。
「あっ、リト!入ってきちゃ駄目だよ!」
ララが不満の声を挙げるが構ってはいられない。
(一刻も早く止めさせなければ、想いを遂げる前に俺の命が・・・)
何気に酷いリトだが、それほどまでに彼の中でのララの料理の腕は凄まじい。
凄惨だと言っていいほどに。
(ぐはっ、手遅れだったか)
さらにキッチンへと侵入したリトは、既に炊飯器が稼動し小型鍋が火に掛けられているのを目撃した。
「もう、早く出てって!」
自分の部屋(ラボ)に入られたって全く怒らないララが、かなりの剣幕でリトをキッチンから排除した。
「おとなしく待ってなさい!」
そう言われたって待っている気にはなれない。
こっそりとララの様子を窺う。
しかしそこにいるのはまるで美柑のようだった。
ララはキャベツを千切りに、きゅうりを薄切りに、トマトを輪切りにすると
冷蔵庫から調味料を複数出してカップで測り、それを入れたボウルをかき混ぜ始めた。
どうやらドレッシングを手作りしているようだ。
無駄のない、流れるような動きで手際よく作業をするララ。
いつの間にかキッチンは、食欲をそそる香りに満ちていた。
俄かには信じられないことだが、ララは料理をマスターしてしまったらしい。
(あ・・・だからか)
リトは二日前の昼休みに感じた気になることの正体を思い出した。
"まだ全然かなわないなぁ"
この言葉から察すると、リトが知らないうちに美柑から料理を習っていたのだろう。
悪戦苦闘しながら一生懸命に料理するララの姿が目に浮かぶ。
(そういえば、先月の食費はやたらと高くついてたな・・・)
リトは得心してなんとなく微笑みを零すと、ソファへと移動した。
炊飯器がご飯が炊き上がったことを告げると、リトは立ち上がった。
「運ぶものあったら言ってな」
キッチンには入らずに声を掛ける。
小皿で鍋物の味見をしていたララが振り向く。
味を確認して満足げに頷くと、額の汗を拭いながらにっこり笑って言う。
「ありがと!今よそうから持って行ってくれる?」
「・・・あ、ああ」
ララと料理。
いや、ララと家庭的なもの。
それは大きな衝撃をリトに与えた。
(結婚したら、こんな感じなのかな・・・)
リトが、ほとんど無意識に描いていた望む未来。
それは、平凡でも暖かくて優しい空間。
疲れた身と心を癒し、明日への糧を得るオアシス。
今までどうしてもそこにララを結び付けられなかった。
それが今、こんなにもリアルに描けている。
目の前に存在している。
皿に盛り付けられた料理を運びながら、リトは初めてララとの未来が描けたような気がした。
結城家のテーブルは、ララによって一時間で用意されたとは思えない食卓となっていた。
ホカホカの白ご飯と、醤油ベースの和風ロールキャベツ。
手作りドレッシングがかかったサラダは、緑、赤、黄色と色味も鮮やかだった。
見た目も匂いも問題なし、だが。
「い、いただきます・・・」
(間違いなくおいしいはずだ)
そう思うものの、過去が過去だけに不安が入り込むのはしょうがないこと。
恐る恐る、メインの一品を口に運ぶ。
ララはソファに座ったリトから見て、四角いテーブルの左辺に位置して固唾を呑んで見守っていた。
噛んだ瞬間、肉汁と和風だしの旨みが口の中いっぱいに広がった。
それに玉葱の微かな甘みと上に乗っかっていたきのこ(シメジだろうか)の感触が追い討ちをかける。
(これは・・・)
「うまい・・・」
胸の前でキュッと手を結んでいたララが、それをギュッとに変える。
彼女の口が微かに開いている。
まるで大自然を目の前にしたかのように固まっていた表情が、「リト」という呟きとともに綻んでいく。
夢見心地、といった表情の彼女にもう一度感想を述べてやる。
「めちゃくちゃうまいよ、ララ」
照れたような、でも少し誇らしげな笑顔に移り変わっていく彼女の表情。
そのあまりの鮮やかさ、美しさに今度はリトが惚ける番だった。
(綺麗だな・・・)
シャワーであんなことを考えてしまったからか、それともついさっき未来を想い描いてしまったからか。
どっちだって良かった。
ララに女を感じる。
この娘が、愛しいと感じる。
それだけに、従順になる。
「ララ・・・」
リトは自分にできる限りの愛情を込めて、ララを呼んだ。
「リ、ト・・・?」
ララは少し驚いた。
気が付けば目の前に大好きな人の顔があった。
いつになく真剣な表情で。
どちらかといえば幼い顔立ちのリトも、今は精悍に見えた。
それを見た瞬間に、決意は固まった。
好きだ、リトの口からそう出掛かった矢先、先に声を発したのはララのほうだった。
「私ね・・・」
静かな口調だがリトはそれに声を被せることができなかった。
しかし落胆することはなかった。
代わりに、不思議なほど落ち着いていたのに緊張が沸き起こってくる。
ララの話を聞かないと。本能が、そう瞬時に理解した。
「今日のこと、ずっと忘れない・・・」
ララは顔をまっすぐ身体の正面に向けているから、視線がリトと交わることはない。
それだけで、今の彼女の精神状態が平常時と違うことが分かる。
「ララ・・・?」
リトはすぐに違和感を感じとる。
鈍い彼も、今ばかりは感覚が鋭くなっている。
キリキリと胃が痛みを訴えてくる。
「ご飯、おいしかった?」
「あ、ああ・・・」
まだ一口しか食べてないけど、凄くうまかった。
リトは告白云々は一度置いておいて、何とかいつもの二人に戻そうとした。
それほどまでの言い知れぬ緊張が、彼を襲っていた。
「ララって、凄いよな。前は全くできなかったのに、いつの間にか料理できるようになっててさ」
握り締めた掌には汗が溜まってきていた。
「もう、遅いくらいだよ」
「お、遅いって・・・何が」
(何でそんなこと言うんだ・・・?
俺たちこれからじゃないか)
ララはそっと、物憂げに微笑んだ。
(なんでそんな顔するんだよ、ララ・・・)
忍び寄る不安の影。
「私ね・・・普通の女の子になりたかった」
リトは心臓に釘を打ち込まれたような感覚がした。
「地球に来るまで、リトに逢うまで、自分の境遇を疑問に思ったことなんてなかった」
デビルーク星の、プリンセス。
「だけど、最近何度も思うんだ・・・。私も普通の女の子なら良かったって」
感じていないわけではなかった。
リトが自分のことを、他の女の子と同じように見てくれていないことを。
彼が見つめているのは、地球における普通の女の子なのであろう、春菜だった。
「だから、そうなろうと努力してみたんだ」
地球の女の子の気持ちを勉強して。
美柑に生まれて初めて料理を習って。
地球で人気の服を着て。
普通の女の子と同じようなデートをして。
リトに、受け入れられたいから。
好きになって欲しいから。
「でも、どこまでいっても私はララ・サタリン・デビルークなんだよね・・・」
普通の女の子の真似事はできても、本当にただの女の子にはなれない。
「私、パパのこともザスティンのことも好き。デビルークには他にもたくさんの人がいる。
その人たちは、私を必要としてるの」
リトは何も言葉にできない。反応すら返せない。
「私にはデビルークの王女としてやるべきことがある。
だから、全てを投げ打ってリトとずっと一緒にいることは・・・できないの」
打ち込まれた釘が最奥まで、ずっぽりと打ち込まれた。
心臓から水滴の波紋のように、広がっていくのは喪失感。
「だから、だからね・・・。せめて、その日が来るまでは・・・普通の女の子として、リト、と・・・」
もうララの声は掠れ、瞳には大粒の涙が浮かんでいた。
彼女が言う、その日。
ララが、デビルークの王女に、戻る日。
あるいは、女王になる日。
その日までララは、リトにただ普通の女の子として自分を見て欲しかった。
それが"いつか"は不確定でも、変えられない未来が彼女にはある。
リトが想像するよりもずっと、その双肩には多くのものが圧し掛かることになるのだろう。
彼女は彼女なりに、リトと同じ未来を描きたかったのだ。
できることなら、自分と一緒にデビルークに来て欲しいとも思ったはずだ。
でも、リトはそれを望んでいない。
望んでいないリトを、巻き込みたくはない。
だからララは、自分の思い描く未来を、リトのそれと重ね合わせて・・・。
リトの望む未来に、存在しようとした。
一時の夢の中だけで。
ララのすすり泣く声を耳にしながら、リトは茫然自失状態だった。
(ララが、いつか、いなくなる・・・)
分かっていたこと。
それは頭の片隅に、「そうなんだろうな」ということとして、常に存在していたはずのこと。
ずっと、考えないようにしていたこと。
"彼女のことどう思ってるとか、自分との境遇の違いとか、そういうの全ておいといて・・・"
彼女と向き合おうとした途端に、こんなことになるなんて。
(皮肉なもんだな・・・)
リトは心の中でそっと呟く。
しかし彼の精神は打ちひしがれることを、ララがいなくなることを、きっぱりと拒絶した。
"それ"は、変えられること。
俺が、変われば。
「例え、俺と生まれた星が違っても・・・」
ララが真っ赤な目でリトを見つめる。
「王女様でも、なんでも・・・」
そう、そんなのは関係がないこと。
「ララはララだろ」
「・・・・・・!」
思い描いた、空想でしかない未来など、何度でも描き直せばいい。
「俺は、ララが好きだ」
ララは流れる涙もそのままに、大きく目を見開いた。
ずっと待ち望んでいた人からの、待ち望んだ言葉。
その響きが、全てを揺らす。
私もリトが好きっ!!
今すぐ叫んで胸に飛び込みたいけれど、思いの丈全てを吐き出した直後に
愛の衝撃を受けた身体は、震えるだけで動いてくれない。
「俺の未来に必要なものがあるとすれば・・・」
リトはさっき名前を呼んでくれた時と同じように、凄く優しい声をしていた。
「それは、お前がいてくれること。それだけでいい」
どんなララも、どんな事態も、立場も、全てを受け入れる。
それは、無償の愛を想わせる言葉だった。
「・・・リ、ト」
ララの身体の震えはどんどん大きくなっていた。
じっと見つめてくるララに、リトは自分の太ももを両手で叩きながら告げた。
「・・・早く来いよ。俺、待ってるんだけどな」
「リトッ!!」
胸に飛び込んで来た彼女をコンマ一秒たりとも無駄にせずに抱きしめる。
「ずっと・・・言って欲しかった」
「うん・・・」
「一緒にいたいって・・・」
「うん・・・」
「私、リトの未来にずっといてもいいの・・・?」
「俺が付いていけるかが問題だな」
そっと微笑みながらリトが返す。
「今度は俺が、頑張るから。ララの未来にいられるように」
ララの胸に、この上ない幸せが染み渡っていった。
541 :
rmy:2008/06/16(月) 22:13:19 ID:BW7Yf4SR
前編はここまでです
後編はラブシーン中心、というかほぼオンリーですw
遅くとも明後日には投下したいと思います
では、失礼しました
俺は頭が悪く鈍感だがこれは感動した!目からレモンスカッシュが垂れてくるよ。゜(゜´Д`゜)゜。
>>541 GJ過ぎます
もうずっとニヤニヤしっぱなしで…
最後は泣かされました
後編も期待してます
もうね、ありがとう
リトララはもうやめて涙腺のHPは0よ状態になるからダメだ
ありがとうございました
何勘違いしているんだ……まだ神の投下は、終了していないぜ!!(後半があるよ的な意味で
GJ!
ララ、かわいすぎ!
何というGJ!!
後半へのwktkが止まらん。
やっと神光臨か、こういうララもなかなか可愛くていいな
後半もよろしく。
それとカオスバスツアーの人も続きよろしく
ララは告られたら「お断り」で一刀両断だろwww
リトを好きになるほどにララも成長しているということでおk
ララのキャラに違和感あり過ぎ
>>551 それを言ったら、リト×――
が成立しないぞ
553 :
rmy:2008/06/17(火) 21:50:44 ID:/1lCXY7c
コメントくれた方々ありがとうございます
後編いきます
二人は見つめあった。
確認など必要なかった。
どちらからともなく唇が重なる。
「ん・・・」
押し付けられてくるララの唇。身体。
その全てが柔らかくて、張りがあって、蕩けそうなほどに熱い。
リトはソファに倒れこむ格好になる。
「んむっ・・・ちゅる、ちゅ・・・はあ・・・はむぅ」
(!!)
押し倒すと同時に、ララは舌を差し込んできた。
知識としてしか知らない、ディープキス。
そのあまりにも淫靡な感触に戸惑っている内に、リトはどんどん蹂躙されていく。
歯茎まで舐め尽されてしまった。
「あ・・・ん、んぅ・・・ちゅ・・・ぷは」
お互いに大量の吐息と唾液を流し込んでから、ようやく唇が離れる。
「はあぁ・・・」
深く深くため息をつくララ。
「ララ、お前とばしすぎ・・・」
もう完全にララは"入って"いた。
「だって・・・気持ち、抑えられないよ」
潤んだ瞳、その髪の毛の色よりは少し薄い、ほんのりとしたピンクに染まる頬。
(可愛い。可愛すぎる)
自分の中でチロチロと燃えていた愛欲への想いが、確実に火力を強めつつあった。
「ララ、もう一度・・・」
言うと待ち構えていたかのように舌先を伸ばしてくるララ。
しかし今度は、リトだって負けていられない。
自分の舌でそれを受け止め、絡めとり、激しく吸い上げる。
「ちゅる・・・ん、じゅぷ・・・」
「ん・・・あんっ・・・リホの、舌が・・・」
甘く熱い、ララの唾液。
脳髄が溶かされそうだ。
ララの背に回した腕に力を込める。
「・・・んはっ・・・リト、嬉しいよぅ・・・はぁ」
今までより更に息苦しくなったはずだが、それでもララは幸せそうに笑ってくれた。
リトはララを抱きしめたまま体勢をを横向きに変える。
互いに片方の肩をソファに抱かれた状態で見つめあう。
「リト・・・。私、リトに気持ちよくなって欲しい」
言うなり、リト自身を掴まれた。
それを感じた瞬間、ララを抱きとめていた腕が弛む。
「ちょ、ちょっと待てって」
リトの言葉を無視して、自由になったララはまたしてもリトの上に来るとズボンのジッパーを下ろす。
「ララ、無理しなくていいって」
ララはフルフルと首を振る。
「無理なんかしてないよ。私、リトのなら平気だから・・・」
ララは本当に無理などしていない。
それは分かるが、一方的にされるのは納得できなかった。
ずっと前から自分を想ってくれていたララと、今日ララへの気持ちを確信した自分。
(それでも、期間は違っていても、相手を想う気持ちの大きさは俺だって負けない)
大好きだということ、絶対に離したくないこと、気持ちよくなって欲しいこと、幸せを感じて欲しいこと。
そのどの気持ちも、ララに負けたくない。
溢れそうなこの愛しさを言葉じゃ示せないから、態度で示す。
「じゃさ、一緒にしよう・・・」
言うなり、寝そべったまま自分の身体を180度動かす。
目の前にララの、薄ピンクの下着。引き締まったお尻。
「やっ、恥ずかしいよ・・・」
ぱっとワンピースを抑え付けるララ。
裸を見せることに恥じらいを見せない彼女が、下着を見せることを恥らう。
それがリトをやけに昂ぶらせた。
ララの秘部に真下から手を伸ばし、下着の上から触れる。
「あんっ」
ララのそこは、もうじんわりと湿っていた。
「濡れてる・・・」
「あうぅ・・・」
ララは恥ずかしそうに顔を覆ってしまった。
「キスだけで感じちゃったの?」
ララはリトを肩越しに振り返る。
目尻には涙がずっと溜まっている。
「・・・キスじゃない」
「へっ?」
「リトが好きって言ってくれた1分後には、もう準備できてた・・・」
「いや・・・、マジ?」
いくらなんでもそれは、と思ったがララの入り具合からしたらありえなくもないかもしれない。
「うん」
「・・・」
リトは少しからかおうとしていたのに、感動で言葉が出なくなってしまった。
「リトだから、私我慢できなくなっちゃう・・・。
リトだから、エッチなことも、何だってできるの」
リトだから。
それは、俺だって同じ。
ララだから、こんなことができる。
ララじゃなきゃ、無理だ。
>>549 それは相手が弄光みたいなのだったらじゃないかw
「俺と一緒だな」
「えっ?」
「俺もララだから、我慢できなくなる」
言葉通りリトの急所はズボンの中でこの上なく窮屈そうにしている。
「リトと、一緒?」
「そう、一緒。そして俺たちは、今から一緒のことする」
「一緒のこと・・・」
二人はどちらも、相手を想う気持ちを抑えられない。
だから、同時に愛し合う。
リトも自分と同じ気持ちを抱いてくれている。
そのことがララに力を与え、恥じらいを取り去った。
彼女はあっという間に下着の中に進入し、一物を外気に晒される。
「ちゅ」
「うわっ!」
間髪いれずにそれに口付けてきた。
「ん・・・ちゅ、ちゅ」
リトの先端に、啄ばむような口付けが次々に落ちる。
その度に電流を流さたるかのように身体が震える。
あまりの気持ちよさに、意思とは無関係に一物が揺れる。
それを見て、ララが意地悪く笑う。
「あはっ!気持ちいいんだ・・・。ん・・・はむっ、んっ、んぅ」
「あぁ」
ララはリト自身を両手で包み込むと、先端を咥えてきた。
「あむぅ・・・リトの、どんどん・・・熱く」
無邪気に、戯れるようにリトを愛し続けるララ。
鈴口からは先走り汁が、次から次へと溢れてくる。
「んんっ・・・じゅぷ、ちゅる・・・はん」
ララはより深くリトを飲み込んだ。
(やばい、このままじゃ・・・)
あっという間に果ててしまう。
(ララって、経験あるのかな・・・)
自分が初めてだから、ララがうまいのかどうかはわからないが、本当に気持ちいい。
「はあ・・・んっ、れろ」
大きく開けた口の中、舌先で絶妙な愛撫をしてくる。
次から次へと、猛攻を仕掛けてくるララ。
とにかく何か手を打たなければ。
目を開ければ、目の前で左右に踊る、ララの尻尾。
(そうだ、俺もしなくちゃ!)
あまりの気持ちよさに完全に忘れていた。
これは二人の共同作業。
(それにララも気持ちよくなってくれれば、ちょっとは俺への攻めも収まるはず)
リトはようやく、ララのお尻に手を掛けると内股に口付けた。
「あんっ!」
こちらが驚くような、敏感な反応。
「リ、リト・・・」
片時も離されることがなかったリト自身が、ようやくララの口から開放される。
この機逃すべからず、とばかりにリトはララの泉に指を滑らせた。
「あっ、リト・・・気持ちいいよお・・・」
下着越しなのにクチュクチュと、早くも水音が響いている。
むわっとした、だけど決して不快ではない、温かい湿り気がリトを包む。
「下着、脱がすな」
もう下着としての役割をほとんど果たせなくなっていたピンクの布切れを膝辺りまでずり下ろす。
「リ、リト・・・」
「なに?まさか自分だけ恥ずかしいからやめてなんて言わないよな?」
「そうじゃなくて」
(そうじゃないんだ・・・)
「私、汗臭くない・・・?」
恥ずかしがるということでなく、純粋にリトが不快に思わないかを心配しているようだ。
そんな必要ないのに。
リトはララの秘部に顔を近づけるとあからさまに空気を大きく吸い込んだ。
「ひゃんっ!」
ララの身体がびくんと震える。
「刺激的な、いい匂いがするよ」
「ば、ばかあ!」
まだ直接触れてもいないのに、ララのそこからは粘っこい液体が溢れてきていた。
リトは両手の人差し指と中指でララのそこを押し広げると、舌先をそっと潜らせた。
「きゃんっ!あうっ・・・リトっ、ああっ!」
ララの口から、それまでとは比較にならないほどの甲高い声が上がる。
「あっ、リト、待って。わ、たし・・・初めてなのに・・・」
(そっか。ララも初めてなんだ)
初めてじゃなくても、今更そのことで気持ちがなえたりはしないが、やっぱり嬉しい。
(こんな可愛いララの、初めてが、俺)
調子に乗ったリトは音を意識的に立ててララを愛撫する。
「じゅるるる」
とめどなく溢れてくるララの愛液をすする。
(これが、ララの味か)
それは不思議なほどサラリとリトの中に溶け込んでいった。
「や、そんなの飲まないでぇ・・・」
「ほら、ララもしないと」
ララが感じてくれている。
不思議なものでそのことがリトの迸りを鎮めてくれたようだ。
さっきよりも大分、達するまでの余裕が生まれてきた気がする。
「んっ・・・ぢゅっ、ちゅぷ・・・んっ」
「っ!」
前言撤回。
やっぱりあっという間に達しそうだ。
ララはこの僅かな時間でリトの敏感なところを察知したようで、的確にそこを突いてきた。
「ちゅ、ちゅぷ・・・リト・・・ひもひいい?」
「うっ・・・咥えながら喋るな・・・」
聞かなくたってわかっているくせに。
そう思うが、まじりっ気なしの純粋な笑顔を見せられると文句を言うこともできない。
「んう・・・んちゅ・・・じゅちゅ」
これは本当にまずい。
かくなるうえは・・・。
「レロ・・・んー」
「ああっ!!」
リトは女の子の一番敏感なところ、目の前で微かに、しかし絶えず震えていたクリトリスを舌で愛撫する。
「やんっ!そこは・・・リトッ!」
舌先の感覚を研ぎ澄まし、小さな突起を転がすように舐めていく。
「ダメだよぅ・・・そこは、あっあっあん!」
リトの上で大きく上下に左右に跳ねるララ。
しかし今度は、その口が休んでいたのは僅かな間だった。
「んっ・・・んく!あふぅ・・・んあっ・・・ちゅ」
すぐにララは熱の篭った、激しい愛撫を加えてきた。
リトも負けじと、クリトリスの攻めを指に変更しそれを弾きながらララを舌で味わう。
とめどなく与えられる快感と、同時に耳に入る艶かしいララの喘ぎ声。
あっという間にリトは高まっていった。
「リ、リトぉ」
ララが泣きそうな表情で、いやもう実際に涙はこぼれてるんだけど、微かに目を細めた切ない表情で見つめてくる。
リトは必死に下腹部に力を入れて耐える。
(今、本気で出そうだった・・・)
辛うじて難(?)を逃れたリトだったが、直後にとんでもない追撃を食らった。
「私、もうだめなの・・・。お願い、リトも、一緒に・・・」
そんな、可愛すぎること言われちゃったら・・・。
しかもそう言ってる間も、無意識だろうけどリトをしなやかな指で擦りあげていた。
暴発する想い。
「くっ。あ、ダメだ!ごめんっ、ララッ!」
ビクンビクンビクン!!
「ひゃあっ!」
一度二度三度。
噴水のように上へと真っ直ぐに立上り、ララの美しい顔を、鮮やかな髪を白く染め上げていった。
「うあ、まだ出るっ・・・」
愛しいララを相手に一回出したくらいで立たなくなるなんてことはないだろうけど、
こんなに大量に出して大丈夫なのかと思うくらいだった。
「ごめん、いっぱい汚しちゃって・・・」
ようやく呼吸が少し楽になって、リトはティッシュを数枚取るとララに差し出す。
しかしララはそれを受け取らず、自分の髪や顔に付いたリトの精液を
「んっ、ちゅぱっ」
指で掬って口に運んだ。
「ララッ、やめろって」
慌ててララの腕を押さえる。
「へっ?どうして?私リトのなら平気だよ?」
「そういう問題じゃないって」
「男の人って、飲んでもらうのが好きなんじゃないの?」
どこまでが計算でどこまでが素なのか。
いや、たぶん素なんだろうなあ・・・。
リトは仕方がないからララの顔と髪の毛を汚した自らの分身たちを拭ってやった。
そうしている間、ララは嬉しさを抑えられないといった様子でニコニコ顔だった。
「どしたんだ?」
ララははにかみながら答える。
「リトが私で、気持ちよくなってくれた」
心から満足した、お腹いっぱい、そんな表情。
それはめちゃくちゃ可愛かったが、リトの中では悔しさが湧き上がってきていた。
(自分だけイカされた・・・)
もっとも表面上はララが何かしたわけではない。
が、リトにとってあの表情は、声は、反則だった。
(俺もララを気持ちよくしたい)
ララと一刻も早くつながりたい気持ちももちろんある。
でも、二人一緒に達する前に自分だけが・・・。
だから、そうしないわけにはいかなかった。
「ララ・・・」
「リトぉ」
顔を近づけたリトに、雛鳥のように唇を突き出すララ。
二人は口付けを交わした。
しかしリトの神経は、唇ではなく指先に向いていた。
きゅっ
「ふああああああっ」
ララが今日一番の大声を挙げた。
リトの左手が、ララの尻尾をそっと握ったから。
「あっ、尻尾はダメぇーーー!!」
「っ!?」
尻尾に触れると同時に膣内へと沈めていた右手の中指が、折れるんじゃないかと思うほどに締め付けられた。
手首の辺りを、両太ももできつくきつく圧迫される。
ガクガクと身体を痙攣させているララ。
予想をはるかに上回るララの反応にリトは思わず謝った。
「ご、ごめん、ララ」
「ぅ、うう・・・」
ララは瞳をギュっと閉じて、リトの腕にしがみついている。
「尻尾は、ダメなの・・・」
息も絶え絶えになりながらララがか細い声で告げた。
直前の笑顔から一変したその表情。
「ご、ごめんな・・・」
あまりにも敏感で怯えた反応に、リトはその胸を指先以上に締め付けられた。
「リトに触られちゃったら、私・・・おかしくなっちゃうから・・・」
潤んだ瞳で切実に訴えてくるララに、胸が熱くなる。
「うん、わかったよ。もう勝手に触ったりしないから。約束する」
「リト・・・」
嬉しそうに目を細めるララ。
泣き笑いのその顔は、最高に可愛い。
もう自分だけイカされたとか、そんなのはどうでも良くなっていた。
「だから、尻尾以外で気持ちよくして・・・?」
ドクンッ
本当に、この娘は。
何物にもに恥じることなく、ためらうことなく、貪欲に求めてくれる。
(そしてそれは、俺だから・・・)
ララへの想いが、リトを埋め尽くしていく。
額にそっと口付けてから、それ以上の柔らかさで割れ目をなぞってやる。
「ララ、好きだ。大好きだ」
耳元で愛を囁きながら指を侵入させ、その形を確認するかのようにゆっくりと円を描く。
「んあっ・・・くぅん、リト、リト」
尻尾を触られた影響がまだあるのか、すぐに震え始めるララの身体。
膣内をかき回す指を二本に増やし、唇と舌でララと繋がる。
「あんっ・・・ちゅ、ちゅう・・・リ、ト・・・私、イ・・・ちゃう」
「うん。イって。俺の指で・・・」
今自分の中にあるのは、リトの指。
間近に感じるリトの吐息、温かな体温、大事なところを蠢く、熱い熱い指先。
「あっ、ああっ・・・はあああん」
その肢体が、大きな振動を起こす。
嬌声とともにララが達し、指先が引きずり込まそうになる。
「はあっ、はあ、あうっ」
荒い息を吐き続けながら、ベッドにぱったりと背中から倒れる。
いまや髪の毛以上に朱に染まった頬、快感に細められ潤んだ瞳、
もう何が混ざっているのかも分からないけれど、脳髄を痺れさせるララの香り。
「ララ・・・すごく可愛かったよ」
こんな言葉でしか表現できない自分がもどかしい。
本当は可愛いなんてもんじゃない。
もし自分以外の誰かがこの表情を見たなんて知ったら・・・気が狂ってしまいそうだった。
「リト・・・」
今リトは達させた方なのに、頭の中がグラグラして達した直後のようになってしまっていた。
そんなリトから今この瞬間、唯一注意を引き付けることができる少女が、まだ少し息を弾ませながらこう告げた。
小悪魔っぽく。
悪戯っぽく。
両手は胸の前で組んで。
「私・・・待ってるんだけどな・・・」
「えっ?」
リトがララを、求めた言葉。
それは突然のリトの告白に動きを止めてしまったララを解放するために、
そして直前にとんでもないことを口走った(もちろん後悔など微塵もないが)ことへの照れ隠しから、発したもの。
しかし"ララがリトを"求めるならそれは"まさにその通り"だった。
彼女はずっと待っていた。
リトに好きになってもらいたいと、彼女なりの精一杯の努力を積み重ねながら。
しかし決して押し付けることなく。
リトの負担にならないように、膨らみ続けていく自分の気持ちを、必死に抑えながら。
今この場で、絶対に応えなければならない。
リトは破裂しそうな自分の想いを隠しもせず、乱暴に全ての衣類を脱ぎ捨てた。
そして、一途に自分を待ち続けてくれた大切な少女に覆いかぶさる。
「私も、リトと同じ格好にして?」
もはや少女の瞳に恥じらいはない。
なぜなら、それを完全に押し流してしまうだけの期待と幸福と情欲に、占領されているから。
そしてリトとしてもそれは望むところ。
彼女の魅力的な肢体を、余すところなく堪能できるのだから。
(でも、わざわざ脱がさなくてもペケなんじゃ・・・)
視線を髪の毛に移して、そこでリトはようやく気づいた。
「ペケがいない・・・?」
思い返せば今日はペケの声を聞いていなかった。
つまりこのワンピースは、ララの自前ってことになる。
いや、そんなことより・・・。
リトの呟きに答えるように、ララはアップにまとめていた長く煌びやかな髪をいつものスタイルに下ろす。
そこにはやはりペケの姿はない。
「今日は本当に、二人っきりが良かったから・・・」
二人の初めての、デート。
そしてもしかしたら、最後になっていたかもしれない、デート。
そのデートを、二人だけで過ごしたい。
自らが生み出し、常に共に行動してきた大切な理解者すらも、今日だけは・・・。
いじらしい。
「ララッ!」
たまらなくなってワンピースを一思いにずり下ろすと、足首に引っかかっていた布切れごと取り去りララの小さな望みを満たす。
「リト、来て・・・」
ララが膝を立てて綺麗な裏筋が入った美脚を広げてくれる。
「行くよ・・・ララ」
ララの、そして自分の。
大きな、最大の望みを、果たす。
二人が、一つに繋がる。
「くぅぅぅんっ!!」
ララが苦しそうな、しかし悦びに満ちた声を挙げる。
互いを求める想いが強すぎたのか、二人はあっという間に一番深いところで重なった。
リトはそこで、ピッタリと自分を覆いつくすララを感じていた。
ララはきつく目を閉じている。
自分のために、痛みに耐えてくれている。
今この瞬間、大丈夫?なんて言葉には意味がなかった。
だからリトは自分のもてる全ての愛情を込めて、何よりも大切な少女の名を呼び続けた。
「ララ、ララ、ララ・・・」
口に出した自分の言葉が、頭の中で回っていた。
リトの全ては今、ララだけで構成されていた。
一方ララも、リトと一つになったことを強く強く感じていた。
悦びに打ち震える心、それに呼応するように小刻みに振動する身体。
頭の中は真っ白で、何も考えられなかった。
耳元で囁かれたリトの優しい声すらも、理解することはできなかった。
ただ、彼の想いは痛いほどに伝わってきていた。
それだけは、確かに言える。
「リ、ト・・・」
その後彼女はどんな言葉を繋ごうとしていたのか。
「ありがとう」か「嬉しいよ」か、それとも。
それは誰にも分からない。
ただ名前を呼ばれた愛しい人が、それに応えるようにきつく、やさしく抱きしめてくれた事に対して彼女は小さく微笑んだ。
「リト・・・」
もう一度呼んでみる。
すると今度は口付けが次から次へと降り注いだ。
ララの身体に負担をかけないように、かつなるべく広範囲に、リトはキスを落としていった。
「リ、んぅっ・・・」
三度目は、呼びきらないうちに舌を絡め取られた。
ララの熱くて柔らかい唇を、舌を、ありったけの想いを込めて撫でていく。
「ん、んんっ・・・リト・・・はむぅっ」
くぐもった彼女の声が耳奥でそっと、やさしく響く。
「ちゅ、あむっ・・・リ、ト・・・来て」
「痛くない?もう動いても平気なのか・・・?」
「うん・・・。平気」
じっとララの瞳を覗き込む。
無理をしている様子はない。
そっと結合部に手を伸ばしてみた。
「あんっ」
彼女の内腿は粘液でぐしょぐしょになっていた。
その色は透明ではなく、かすかに白みがかっている。
(デビルーク人には処女膜はないのかな・・・?)
まあ彼女の場合、いつ破れてもおかしくないほど元気いっぱいに飛び回っているからわからないが。
ララが苦しい想いをしなくて嬉しいけれど、少し勿体無い気がしてしまうのは男の性か。
「リトぉ・・・」
あっといかん。
そんなことはどうでもいい。
もうこれ以上、ララを待たせるわけにはいかない。
自分の全てを曝け出しぶつけて来てくれたララに、膜なんてものは似合わない。
ぎちぎちに締め付けられている先端。
その抵抗を電気が走るほどの快感に感じながら、ゆっくりとララの最奥から腰を引き、打ち付ける。
「ああっ・・・!んっ、ふあっ・・・!」
ララの中は彼女の想いの深さに負けないほどに熱くて、きついのに柔らかくて。
「リ、ト・・・早いよぅ!・・・はげしっ、ああん!!」
ゆっくりと動き続けることなど1分とできなかった。
その豊満なおっぱいを握り締め、乱暴に打ちつける。
「ま、待って・・・。あぅんっ!そ、なに・・・したら」
嫌々をするようにララの頭が左右に揺れる。
でもその腰はリトをより深く、より早く求めるかのように動いてくれていた。
口元は二人の混ざり合った唾液でべちょべちょになっており、唇の端からは一筋汁が垂れていた。
ビンビンと言って良いほどに固くなり、リトの掌を滑る胸の突起。
汗にまみれたその全身。はしたなく歪んだその顔。
ララが可愛くて、愛しくて、大切で、離したくなくて、もう限界だと分かっているのにもっと深くつながりたくて。
抉るように彼女の奥深くを突いた。
「ふぁぁああん!!リト・・・やんっ、もう・・・私・・・」
「くっ・・・!」
リトのほうも限界が近い。
思わず漏れそうになった声を誤魔化すため、また唇を奪う。
「んむっ・・・んあっ、あっ・・・ぃ、っちゃう・・・リト」
その唇は滑らかで、ほどよい弾力で。
その身体は一点の例外も無くすべすべで。
二人の腰がぶつかり合うたびに揺れる、小さな乳輪の大きな胸。
張りが合ってしなやかな脚。
身体の震えにあわせてピンと伸びる爪先。
熱にうかされ掠れた、いつもより少し高くて、だいぶ甘い声。
そして、その表情。
ララの、感じてるときの顔。
きゅっと閉じられた瞳、ハの字型の眉、シーツを滑るピンク色の髪、それを上回るほどに染まった頬、半開きの小さな口。
全部全部、俺の妄想なんかよりずっと魅力的で誘惑的だった。
全部全部、俺だけのもの・・・。
「ララ、ララ!!」
「リトッ!お願い・・・一緒にっ!」
その言葉が、ダメ押しだった。
「くぅっ!・・・ララ、出るっ!!」
「あ・・・あああっ!ひゃ、ぁあああっ・・・!!」
限界を超えたリトは、ララの膣にその愛の迸り全てを吐き出した。
同時にララも、ガクガクと身体を震わせる。
「はああぁっ・・・はあぁぁ・・・」
大きな間隔で荒い息を繰り返すララ。
膣内はすでにたっぷりと注ぎ込んだリトから更に愛を受けを止めようと、断続的に絡み付いていた。
二人は熱を多分に残した身体を互いに包み合い、まどろみの中で愛し合う。
「リト、好き・・・。大好き」
「俺の方が好きだよ・・・」
「絶対私のほうが好きだもん・・・」
聞いている方が恥ずかしくなるほどの囁きあいの後、「延長戦」が行なわれたことは言うまでもない。
リトの部屋から安らかな吐息が聞こえてきたのは空が白み始めてからだった。
朝、携帯のけたたましい着信音でリトは目が覚めた。
「ふぁい、もしもし・・・」
「リト、おはよ。私」
まだ半分眠りの中にいるリトには女の子の声だということしかわからなかった。
ふと身体を横に倒すと、ララがいない。
「ララッ!?」
なぜか急に不安になってリトは大声を出し・・・墓穴を掘った。
「・・・なるほど、そーいうことか」
「み、美柑!?」
電話は昨夜姿を見なかった妹からだった。
「だから昨夜メールしても返信なかったんだぁ」
メール?
記憶にない。
もしかしてララと愛し合ってるときか?
「そっかそっかあ、ついにララさんと・・・」
「なっ!?何言ってんだ!何もなかったっての!」
「くくっ、くっ」
深まる美柑の笑み。
これじゃあ何かあったって言ってるようなものだ。
ため息を吐く以外にできることはなかった。
「もういいから、何の用だよ」
「私は父さんの仕事場にいるから、心配するなって話」
「ああ、なんだ・・・」
「なんだって・・・。
ハア、もうリトの頭の中はララさんだけになっちゃったのね・・・」
芝居がかった、2時間ドラマの裕福な家の母親のような声で嘆く蜜柑。
リトはより一層深くため息をついた。
そんな兄に対して誰よりも近くで見てきた妹は短く、しかし深いエールを送った。
「大事にしてあげなよ・・・」
その言葉を最後に電話は切れた。
美柑は、茶化すような口調とは裏腹に少し寂しそうだった。
愛しい少女は、キッチンにいた。
「あっ、リト!おはよっ!!」
いつもの声。いつもの笑顔。
「すぐ朝ごはんできるからねっ」
じんわりと染み渡っていく、温かさ。
ほとんど無意識に、リトはララを背後から抱きしめていた。
「リ、リト?」
ララの肩に顎を乗せて、その温もりと甘い香りを胸いっぱいに吸い込む。
「ララ、好きだよ・・・」
付き合いだしたら、より甘えん坊になるのはリトのほうかもしれない。
(昨日のララ、片時だって忘れられるわけない・・・。
あんなの見せられたら、誰だってこうなるよ)
胸の中で誰にでもなしに言い訳してみる。
このまま、昨日の続きをしたい。
リトがララの頬に手を掛けようとした瞬間、その桃色の唇が開いた。
「私、今度はリトの奥さんになれるように頑張るから!!」
「・・・奥さん?」
その響きは、何ともむずがゆかった。
それを誤魔化すようにリトが訊く。
「明日からは洗濯でもならうつもりか?」
「それが終わったらお掃除、お花、お茶にお琴にお裁縫・・・」
「おいおい・・・」
ララの"普通の奥さん"のイメージなのだろうか。
いつの時代の和服美人だ。
「ねえ、リト・・・」
微かに見え隠れする不安の色。
身体を覆うリトの手に、そっと自分のそれを重ねてララが問う。
「その時が来たら・・・一緒に来てくれるの・・・?」
「愚問だっての。昨日もそう言ったろ?」
「だけど、美柑やみんなと離れ離れになっちゃうよ?」
(不安の正体はこれか・・・)
自分は全てを投げ打てないと言っておいて、大好きな相手にそれを求めてしまうことへの。
「見返り・・・」
「へっ?」
「ララが見返りくれるなら行ってあげる」
「・・・見返り?」
そんな不安な瞳で見るなっての、からかえなくなるから。
我慢できなくなるから。
「今さっきみたいに・・・。昨夜みたいに・・・」
元気で明るい、無邪気なララ。
俺を求めて、よがり狂うララ。
そのどちらも失わずにいてくれるのなら、全てを投げ打つのに躊躇などいらない。
「・・・?」
揺れる潤んだ瞳で至近距離から見つめられて、リトの我慢はあっさり限界を超えた。
「つまり、今までどおりのララでいてくれればそれでいいってこと!」
言葉と共にその最高の肢体を持ち上げると階段へ向かう。
「ちょっと、リト!?どこに・・・」
「確かめに行くに決まってるだろ?」
大好きなララの、"後者"をな・・・。
567 :
rmy:2008/06/17(火) 22:08:10 ID:/1lCXY7c
あれっ?ちょっと抜けてる・・・
すいません、560の最後がちょっと切れてます
リトはララを抱き上げると、その想いを噛み締めながらベッドへと移動した。
もちろんその間、唇が重ねられていたのは言うまでもない。
ってのが本当は入ります
以上で終わりです
なあんだ ただの
神だああああああ!
神さま、ありがとう
言葉なんてこれだけで十分だ…
ほんとに神様、ありがとうございます・・・
今日はヤケ酒していた。
そんで、ほんの気まぐれでここを覗かせてもらった。
そんな俺に、神が舞い降りた。
最高だよコノヤロオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!
泣いたぜコンチキショウ!!!
最近他の所でも神が降り立ってたしな、うれしい限りだ。
GJありがとう神様、自分なんかとうていかなわないよ。
あと投稿しずらいかもしれないけどバスの人もよろしく
リト×唯が読みたいお
ほとんど無意識に、リトはララを背後から抱きしめていた。
「リ、リト?」
ララの肩に顎を乗せて、その温もりと甘い香りを胸いっぱいに吸い込む。
「ララ、好きだよ・・・」
付き合いだしたら、より甘えん坊になるのはリトのほうかもしれない。
やべえ、なんかここめっちゃ萌えた
神GJでした
GJ…GJだよ……
最高だぁああああ
576 :
むに:2008/06/18(水) 05:44:08 ID:rFLzh1Du
お疲れ様です。GJでした。
ボクは切な系の話はあんまり得意じゃない――寧ろ全く書けないんで、(九割方ノリだけなんで)
その文才がスッゴい羨ましいです。
次回も楽しみにしてまっす。ボクも頑張ろう…。
神って何人もいていいのか?
いいんだよな、うん。
世界各国の神話の神みんなここに集えばいいのに
八百万の神々
伝説のモテ男、弄光センパイの歴史
1990年 男性として生を受ける
1991年 初めて覚えた言葉は「I love you」
1993年 初恋するも撃沈
1994年 幼稚園に入学、二日で女子全員の名前を覚える
1995年 幼児向けアニメに影響され5歳にしてOLをナンパする
1996年 男子の友達が居ないことに気付く
1997年 小学校に入学、初日に隣の席の子に告白するも振られる
1998年 あまりに女子に感心を持ちすぎるため担任から忠告を受ける
1999年 1日に10人に告白するも全て断られ校内女子全員から避けられる
2000年 名前の割に実はあんまりモテてないのではないかと考える
2001年 やはり気のせいだと気づく
2002年 何となくモテそうだと言う理由で野球をはじめる
2003年 中学校に入学、本格的にナンパ活動を始める
2004年 思春期に突入、愛とは何かを真剣に考える
2005年 一年で1000人以上ナンパし、ギネスに載る
2006年 可愛い子が多いと言う理由で採南高校に入学
2007年 自己流モテ術を熱く語った結果数名の後輩からの支持を得る
盗撮に目覚めるが、バレて2週間の停学を受ける
街でナンパした美少女に髪を剃られる
2008年 ナンパに成功するも宇宙人だったため逃走
街で出会った美少女にプロポーズするも断られる
何気に(女に関する)記憶力が神レベルじゃねーかwww
ってことは弄光センパイ18才なんだ、知らなかった
>1991年 初めて覚えた言葉は「I love you」
パパママ涙目www
586 :
名無しさん@ピンキー:2008/06/21(土) 14:46:27 ID:MPzZmwFw
1995年のOLナンパ、
5歳児しん〇すけと同じじゃねーかwww
>>586 幼児向けアニメに影響され
↑これが確実しんの●けだろ
しん●すけが幼児向けだと…!?
野原ひろトレビン
>>567 rmyさんGJです!最高のララリトありがとうございました!!
引き続き唯の話しも楽しみにしています
>>573 すいません。投下するといいながら伸び伸びになってますね…
あと少しなんで、もうちょっとだけ待っててください
そういえばリトと唯の第二話のことなんだけど、コピペ失敗してるのか文章がダブってるんだよね。
あれは直すことを宣言すれば自分が直してりしても良いんだろうか?
この間の話の
この土日には神が降臨すると思ってたんだけどな
ーガラガラー
人気の無い図書室に静かに歩み寄る少年
制服のポケットに手を突っ込みながらいつもどおりにだらけた格好
辺りをキョロキョロ見渡しながら、図書室内の周りを歩く
「…ヤミ?」
そう彼は呟き、そう呼ばれた少女は彼に振り向く
持っていた本を片手に持ち替え、少しだけ表情を変えた
「結城…リト…」
とくに驚いたような声色はなく逆に、いつも通りの軽い声だった
そして友達ですら見抜けないヤミの表情は、この少年結城リトだけには見抜けた
安心と喜び……笑顔…
「…何の本?」
その少女を後ろから抱きしめながら、耳元で囁く
ビクッ …ヤミは少しだけ体を強張らせた
だがそれはリトに対しての喜びを伝えようと、彼女なりの精一杯の動作であった
勿論それはお見通し、それさえも分かってヤミは行為を行ったのかもしれない
「…見られると恥ずかしいので…」
「充分恥ずかしい事してると思うよ?俺達」
図書室で抱き合っているカップルを見て、周りの生徒は居ずらくなったのか
いや、羞恥…或いはこの二人に対しての劣等感等の所為だと捉えた方が多いだろう
「…ん?…「会話術…デート偏」?…はは!そういうとこも気にするんだ」
本が取られるやいなや、リトはすぐさま読み出した
自分の体を巻きつけている腕を少しだけ強く握り、顔をブンブンと四方八方に動かすヤミ
「別に気にしなくても…。俺はヤミと一緒にいるだけで、それで充分だ」
「………(かぁぁ〜〜///)」
今度はリトだけではなく、そこらにいる一般人にも分かるような表情の変化だった
今のヤミがリトと睨めっこ勝負をしたらたった一秒以下で棄権するだろう
それ程の羞恥だったに違いない
「…なぁヤミ?…俺探してほしい本があるんだ」
「貴方が探したい本?…興味深いですね」
「うん。実は、この頃まったく授業に集中できないんだ。
ある好きな娘が頭から離れなくて…授業中もずっとその娘の事考えてて…」
「!」
「どうすれば良いか…解決できる本を探してるんだけど…無い?」
そんな本ある訳がない
途中からリトの本意を悟ったヤミだが、あえて口には出さない
…その方がヤミにとって好都合と認識したからだ
「…そ、そんな事より…そろそろ授業が始まりますよ?
貴方が居ないとなれば、プリンセスが校内を駆け回って探し出しますけど」
ギュ… 「!!」
「うんそうだな」
流すような返答
先程より強く抱きしめるリト
ヤミの顎を片手でクイッと、斜め後ろに反らせ
「チュッ…」
「チュッ…!?」
リトはヤミの豊潤な唇を奪い、そのまま静止した
ヤミは先方目を見開いていたが……自然とゆっくりと目を閉ざしていく…
「(柔らかい…といつも思う…。時折見る結城リトのキス顔…。
目が合うと笑顔を見せられ焦りながら目を閉じてしまう…自分。
恥ずかしい…けど嫌じゃない…違う…もっと違う言い方が…)」
初めてキスをした時、恥ずかしさのあまり一瞬だけで終わらせてしまった
ヤミは自分がキスは苦手で嫌いなのだと思った…その時は…
だけど…今は…
「ん…ふぅ…」
自分はキスが好きではないが、今自分を愛してくれる人とのキスなら
「んん…(…大好き…です…)」
いつしかキスは終わり、向かい合って抱き合うようになっていた
リトの抱きしめは力強さは微塵も無く、優しさで一杯だ
「……(ヤミはほんっと柔らかい。髪もサラサラで…素直に甘えてくる仕草も愛らしい)」
「…ん…(…温かい…)」
ヤミはリトの胸元に両手を置き、顔を埋める
リトもそれに合わせてなるべく全身で抱擁するような感じで抱いた
「…貴方に出会ったから…。貴方に出会うまで私は知らない事がありすぎました」
「…」
「このように、誰かに必死で甘えること…や。
誰かに愛されること…愛すること…。そして…シアワセを…」
「…俺もヤミに教えられた。…好きな娘が頭から離れない時は、
ずっとこうしていれば良いんだってことをな!」
「…斬りますよ?」「わ、悪かったって!」
久しぶりのやり取りに、ふと笑みがこぼれる
あんな事(いわゆる命掛けのバトル)があったのに、二人でイチャイチャしているなんて
「…好きです」
「…え!?(ドキ)」
あまりにも唐突なヤミの告白
いつもは仕掛け人のリトもこれにはさすがに驚きを隠せない
「不意打ちです。
たまには私からも言っておかないと…、気持ち…伝わっているかどうかが…」
「か、(可愛すぎる)…」
優しさの中で最大限に力を込めて抱きしめるリト
普通の少女として育ってこなかったヤミなりの正直な純粋な想いに心を奪われたのだ
「大丈夫…。充分に、充分すぎるほど伝わってきてるから…。
俺も…好きだ。…ヤミ」
リトもまた純粋な想いでヤミを愛していた
そしてこれからもこの想いはずっと途切れることはない
闇と光は意外と相性が良いと言われるらしいから…
凄い短文で、しかもエロなし!
正直投下しようか迷ったけど投下しました!!
他の職人さんが来るまでの繋ぎになれれば良いと思います。
>>599 短文?エロなし?何を言ってるんだ。GJだぜ!
うむ、GJだ!
GJ!
「図書室に静…」
お静キター!!
「…ヤミ?」
ヤミだったー!!
GJ!!
そういや今までのSSにはお静全く登場してないよな。
リト・春菜と3Pとかありだと思うんだが。
>>604 かなり難しいですね
だけどここにはそれさえも可能に出来る神が存在しますからね!
>>605さん
言い難いんだどそのさ……メル欄なんとかしてから、ね?ほら…
>>604 リト×美柑とかお静とかも創ってみようかと思っているけど
書くのは初めてだし自由な時間があまりないからから時間かかりそうだ
古手川さんのヤンデレ化をひそかに期待
ツンデレキャラが病むのは個人的にはクリティカルヒット。
そういえば「リトと唯」の人の唯もやや危うい感じが漂ってるな。
でもお静ちゃんがヤンデレ化したらシャレにならないよね
末代まで呪われそうだわ
でも一番ヤンデレが似合いそうなのは春菜だよな。
次回予告聞いてると・・・・確実にリトってやってるんだね・・・・・・・・・・・・
>>609 マジですか!?夏祭りの時はさすがにやり過ぎ感があったからそれ以降自重はしてるんですが…
俺の中の唯は、独占欲が強くて、初めての恋なので勝手がわからない、考えが堅いってイメージなんで
気を付けないとなあ。えっとあと、2〜3日したら長編投下します
614 :
名無しさん@ピンキー:2008/06/28(土) 20:22:14 ID:raYdIHC9
沙姫か春菜でひとつ
リト×美柑で書いてたらゲッペルドンガーが出てきた…orz
ゲッペルドンガー…?
【ゲッペルドンガー】
ふとした拍子に、ノリノリな自分を冷静な目で見る
もう一人の自分の存在の事。
主に恥ずかしいことや良く分からないことに熱中している時に現れる。
大抵それによって自重してしまう。(出典:さよな○絶望先生より)
でも此処エロパロ板だからあんま気にしなくても・・・
ヤンデレなお静か、健気なお静にしようか迷ってる自分。
むしろコントな作品にしようかとも考えてる自分。だってここレヴェル高いんだもん。
>>619 ヤンデレッ!ヤンデレッ!!!ヤンデレッ!!!!!ヤンデレッ!!!!!!!
今週号を見ればヤミ作品が増えるのは目に見えているっ・・・!
623 :
名無しさん@ピンキー:2008/06/29(日) 23:25:38 ID:NhcrM98Y
誰か…俺にヤンデレ分を…ヤンデレ唯を……………ガクッ
あらら。
wikiより
「病的にデレている」という解釈もある
あれ、ララってヤンデレじゃね?
と言うのは冗談だけど、ララのヤンデレ化は…無いな
目に光がなくて包丁を持った春菜を想像してしまった
逝ってくるわ…ノシ
ララはただの病気
なんて冗談はおいといて
お静をヤンデレにしようとしてもポジション的にリトとくっつけるのは難しそうだし
お静×春菜だとヤンは向いてなさそうだし
やっぱ一人で○○○になるのかな…
触手?
>>626 怖いよそれ(((;゚д゚)))ガクガクブルブル
629 :
名無しさん@ピンキー:2008/06/30(月) 01:51:38 ID:JnA+Gj5/
俺は、みかんのヤンデレ化希望
某ヤンデレCD聞いてたら、妹ヤンデレもありかなと
リコ復活!!
猿山×リコとかヤメテクレーーーーーw
>>629 まぁまずキモウトスレに行ってこい。マジオヌヌヌ
「リトと唯」今から投下します
今回とっても長くなったので、前・中・後に分けて投下したいと思います
月曜日の放課後
「どうしたの?」
黒板消しの手を止めると、唯は後ろを振り返った
後ろには、肩でカバンを持ったリトが、どこかバツが悪そうに立っている
「…あのさ、今日、悪いんだけどオレ先、帰んなきゃダメなんだ」
「え…」
唯は体をくるりとリトに向ける
「何かあったの? まさか妹さんの具合でも…」
少し顔をくもらせる唯にリトは手で頭を掻いた
「いや…そーゆう事じゃなくて。オヤジの手伝いなんだけどさ…」
「あ…」
唯は小さく呟くと、それだけで納得した
「それならそうだって言えばいいじゃない! なに勿体ぶってるのよ?」
胸の前で腕を組みながら、唯は口調を少しきつくする
「あ、ああ。まーな…」
「ん?」
まだ何か言うことがある様なリトの口ぶりに、唯は眉を寄せた
「じゃ、じゃあオレ帰るな!」
「え、ええ」
「気を付けて帰れよ!」
「…うん」
少しギコチない笑みを浮かべながら、早々に教室を出て行くリト
「…何なの?」
どこか釈然としないまま、唯はリトの背中を見送った
そして次の日の放課後
「あのさ…」
「ん?」
ゴミ袋を括りながら、唯は俯いていた顔を上げた
「何?」
「あ…あのさ、その…今日もなんだ…」
「え?」
「オヤジの手伝い…」
少し俯きぎみのリトに唯はクスっと小さく笑った
「だったら何してるのよ?」
「え…」
「早く帰らないとダメなんじゃないの?」
「そりゃまァ…」
そう応えながらも中々帰ろうとしないリト
リトはチラチラと足元に視線をやりながら、苦い顔をする
重そうなゴミ袋に、まだ片付けられていない掃除用具に、整理できていない机や椅子
「いいわよ。別に」
「あのさ唯…」
「いいから早く帰りなさい!」
有無を言わさないその口調に、リトは苦笑いを浮かべた
「ゴメンな」
「別にいいわ」
いつもの様に、淡々とした声に表情
けれど、廊下の奥に走って行くリトの後姿を見つめるその目は少し揺らめいている
誰もいない教室に静かな溜め息がこぼれた
そして水曜の放課後
「唯、わりぃ…今日も…」
「気にしないで!」
次の日の放課後
「あ、あのさ…」
「だから、大丈夫だって言ってるでしょ!?」
一人っきりの教室で唯は小さく溜め息を吐いた
結局、今日も一人
少し前まで普通だったその日常が、今は少し寂しく感じる
唯は窓のカギをチェックすると廊下に出た
いつもならここに、めんどくさそうな眠そうな顔をしながら、それでも自分の事をいつも待ってくれているリトの姿があった
『早く帰ろーぜ!』
なんて声が今にも聞こえてきそうな感覚
唯は少しぼーっとなっていた頭を横に振ると、表情を引き締める
「何やってるのよ私」
小さくそう言うと、唯は夕暮れの廊下を一人歩いて行った
そして、金曜日の昼休み
「結城くん」
「何だよ?」
リトはサンドイッチに手を伸ばしながら、ぶっきらぼうに返事をする
「…今日もなんでしょ?」
「へ?」
「今日もお父さんのお手伝いなんでしょ?」
とたんに表情が暗くなるリト
「…よくわかったな?」
当たり前じゃない!! という言葉を飲み込んで、唯は少し真面目な顔をする
「最近、大変みたいじゃない? お仕事」
「ああ。まーな…」
唯はスっと目を細めた
この話しになるとリトは顔どころか、声もくもってしまう
────何かある!
それは女の直感なのか、今までリトを見てきた経験がそう言うのか
唯は少し突っ込んで話しを聞いてみる
「…それで、言いたい事はそれだけなの?」
「は?」
「私に言いたい事! 何かあるんじゃないの?」
「べ…別になんもねーよ!」
サンドイッチを口に銜えながら明後日の方向を見るリト
唯は頬をムッと膨らませた
「結城くん!?」
「何だよ?」
「私はマジメに聞いてるの! こっちを向きなさい!!」
少し怒気を帯びているその声に、リトはしぶしぶ唯の方に向き直る
「隠し事なんてしないでちゃんと言いなさい!!」
「別に隠してるワケじゃねーんだけど…」
(やっぱり…)
内心そう呟きながら、唯は表情をくもらせた
(結城くんが私に隠し事…)
ひょっとして他に好きな人ができたとか
ひょっとして手伝いはウソで、そのコとどこかに遊びに行ってるとか
ひょっとしてもうさよなら……
良からぬ想像ばかりが頭を飛び交う
リトを見つめるその目はどこまでも真っ直ぐで、だけど揺れていて
唯の手は無意識にギュッと握りしめられていく
「結城くん…」
自分でも無意識に呟いたその名に、リトがピクンと反応した
「そ、その…なんつーかさ、すげー言い難いんだけど…」
リトは本当に言い難そうに、声を詰まらせていて、戸惑っていて、悩んでいて……
(そんな顔しないでよね…)
知らず知らずの内に、唯は今にも泣き出しそうな顔になっていた
リトはそんな唯の顔をチラチラ見ると、決心したのか、顔を唯に向ける
「あのさ、唯」
「…何よ」
唯の声は小さく震えている
「…明後日の日曜なんだけどさ」
「うん」
「ほ、ほら、遊園地に行くって言ってただろ?」
「うん…」
「その日、ちょっと行けなくなったんだ…」
(やっぱり…)
唯は何も応えない。応えられないでいた
だから、次のリトの言葉にもすぐに声が出なかった
「その…オヤジの手伝い…でさ」
「……」
「も、もちろんこの埋め合わせはちゃんとす…」
「ホントなの? その話し」
「へ?」
「ホントにホントにお父さんのお手伝いなの?」
急に話しに割り込んできた唯の声は震えていて、そこには必死さが滲み出ていた
その体もいつの間にかリトに詰め寄っている
「当たり前だろ! って、他にどんな理由があるんだよ?」
「う…うん」
唯はゆっくりと浮かしていた腰を下ろした
その顔はどこかホッとしたものになっていて
そんな唯の態度にリトの目は少し半眼になる
「…お前、またヘンなこと考えてたんだろ?」
「え!?」
唯の心臓がドキリと音を立てる
「ったく、お前なァ」
深々と溜め息を吐くリトの態度に色々と安心したのか、唯の中で今度は怒りが込み上げてきた
「ゆ、結城くんが悪いんじゃない!!」
「へっ?」
「あ…あなたが私に隠し事なんてするから私は…」
「隠し事って……仕方ねーだろ! 急な事だし、何て言って断ればいいかわかんなかったし」
「そんな事そのまま言えばいいじゃない! 何くだらない事で悩んでるのっ」
「くだらないって…お前なァ。お前がすげー楽しみにしてからこんなに悩んでたんじゃねーか!!」
うっと言葉に詰まる唯
確かにリトの言うとおり遊園地に行くことはかなりどころかムチャクチャ楽しみにしていた事だ
「だ、だからって、こんな大切な事はもっとちゃんと言うべきだわ!」
唯はそれだけ言うとツンとリトから顔を背けた
「…そりゃまーそうだけど…」
指で頬を掻きながら、リトは言葉を詰まらせる
「と、とにかく、今度の日曜は行けなくなったからまた今度行こうな?」
「……」
唯は顔を背けたまま返事をしない
「ほ、ほら、お前の食べたい物とか行きたいトコにも行くからさ」
「……」
「唯?」
「…どうぞ、おかまいなく」
その頑なな態度にリトはカチンときてしまった
「お前、いい加減にしろよな!!」
その声の量に唯の頬がピクっと引きつる
「あ…いや、その…すぐに言わなかった事は悪かったって思ってる! けど…」
「…けど、何よ?」
「お前が楽しみにしてたの知ってたからさ…、お前のガッカリする顔見たくなかったってゆーかその…」
「そんなの結城くんの勝手じゃない!!」
唯はリトに向き直ると、むぅ〜っとその顔を睨んだ
「ゴメン…」
力なく肩を落とすリト
唯はしばらくリトの顔を睨んだ後、おもむろに立ち上がる
「え…」
「…もう教室に戻らないと、昼休み終わっちゃうでしょ?」
その言葉に、リトは急いで残りのサンドイッチを口に詰め込むと立ち上がった
「行儀悪いわよ?結城くん」
「し…仕方ねーだろ! 休み時間終わっちまうのに」
「もぉ…」
唯は少し口を尖らせるも、胸の前で腕を組みながらリトが食べ終わるのを待つ
「はい」
リトが口の中の物を飲み込んだのを確認すると、飲み掛けのコーヒー牛乳をそっと差し出す唯
「サンキュー! ……あのさ、その…ごめんな唯」
コーヒー牛乳を受け取りながら、リトは顔を暗くさせた
さっきの事をまだ引きずっているのか、その顔はごめんなさいの気持ちでいっぱいになっている
「…もういいわよ」
「え…」
「もういいの! それより、お父さんのお手伝いちゃんとしなきゃダメだからね?」
「あ…ああ」
唯のその優しさというか気遣いが、今のリトにはとても重く感じた
結局、その日の放課後もリトは手伝いに行ってしまい、唯は一人家路に着いた
玄関を開け、階段を上がり、部屋のドアを開けると、唯はドアにもたれながら大きく溜め息を吐いた
「はぁ〜…」
体というより、気持ちが重く苦しく感じる
唯は制服がクシャクシャになるのも構わずにベッドに寝転がった
ベッドに寝転がって数十分、何も考えていないはずなのに頭の中には常にリトがいて
唯は枕もとにあるぬいぐるみの一体に手を伸ばすと、それを胸に抱き寄せた
元からあるぬいぐるみよりも、今はリトにプレゼントされたぬいぐるみの方が多い
胸にあるぬいぐるみもその中の一体
「結城くんっていつまで私を子ども扱いするんだか」
そんな事を愚痴りながら
唯はぬいぐるみを抱きしめると、ゴロンと体を横にした
春の暖かい風がカーテンを揺らし、部屋の中に入ってくる
窓から射す夕日が、毎日使っている机を黄昏色に変える
唯は机の上に置かれた卓上カレンダーをジッと見ていた
カレンダーにはピンクの線で、来週の日曜日のところに丸印が描かれていた
そしてそこには、几帳面さと少し柔らかい丸みを帯びた女の子独特の字でこう書かれている
『結城くんと遊園地』
カレンダーを見つめる唯の目が知らず知らずの内にゆらゆらと揺れる
「結城くん…」
自然とその名が口からこぼれる
頭でわかっていても、心がまだそこに追いついてこない
一人っきりの時間が、ふつふつと唯の中のある感情を大きくさせていく
唯は胸の中のぬいぐるみをギュッと抱きしめた
強く、強く
「何してるのよ…」
今はただ、一言だけでも声が聞きたい
今は、ほんの少しでいいからそばにいて欲しい
カレンダーの隣には、いつも使っているコードレス電話
「…こんな時ぐらい電話かけてきなさいよね」
いつまで経っても鳴らない電話を唯はいつまでも待ち続けた
「リト、今日も行くの?」
「ああ」
玄関で靴を履いているリトにララが後ろから声をかける
「最近ずっとだね?」
「スケジュールがやばいみたいでさ…。オヤジもオヤジで連載3本もかかえてっからこんなんになるんだよなァ」
靴を履き終えると、リトは溜め息混じりに立ちあがる
「…ふ〜ん、でも、リトいいの? 唯は?」
行ってきますと言おうとしたリトの口が止まった
「唯にはちゃんと言ったの? 今度遊びに行くでしょ?」
「…言ったよ」
頭を掻きながら、ララと視線を合わせようとしないリト
「それで?」
「それでって……別になんもねーよ」
「む〜…リト、楽しみにしてたんじゃないの?」
「そりゃ…って、もういいだろ!? 行ってくる!!」
「あ! リトっ!!」
後ろから聞こえてくるララの声を遮る様に、リトは玄関のドアを閉めた
外の門を開けたところで、リトはふいに後ろポケットに入れたケータイに手を伸ばした
ケータイを開いて少し操作すると、すぐに画面に唯の家の電話番号が現れる
その番号をリトはしばらくジッと見ていた
学校で散々謝って、言い訳して、口喧嘩して────
「…今さら、何言えばいいんだよ……」
リトはケータイを閉じると、父の待つ仕事場に向かって歩き出した
日曜日の朝
「う…ん…」
眠たい目を擦りながら、唯は布団から起き上がった
チラリと時計を見てみると、時刻は八時半
別に目覚ましを掛けていたワケでもないのに、
デートに行くはずだった予定通りの時間に起きてしまった事に、唯は小さく苦笑した
唯は布団から出ると、カーテンを開け、まだ肌寒い春の朝日を浴びながらうんと背伸びをする
「う…んん……はぁ〜」
朝とても弱い唯。けれど、不思議なことにリトに会う日だけは全てが快調になる
例え、会えないと決まった日でも
髪を整えるのに鏡を見ていると、ふいに机の上のカレンダーに目が止まった
カレンダーの今日の日付には、まだピンクの丸印と予定が書かれたまま
(結局、消せなかったな…)
何度も消せそうとしたけど、結局無理だった
心のどこかで、ひょっとしたら────
と、何度も思ってしまった
「…ホント、何やってるのよ私は…」
そんな自分に呆れ気味の溜め息を吐いた時、机の上の電話が鳴りだす
こんな朝早くから誰なの? と思いながら、唯はボタンを押すと受話器を耳に当てた
「…はい、もしもし? 古手川です」
『あ…えっと、朝早くにすみません。結城ですけど、唯さんいますか?』
「結城くん!?」
『へ? あ! 唯か!? お前でよかったァ』
「……どーしたの?」
学校での出来事以来、二人は口を聞いてはいなかった
時間にしてわずか一日と数時間
それでもその間、ずっと電話を待っていた唯は、今にも泣き出しそうなほど目をうるうるさせた
どんなに平常を装っても久しぶりのその声に、唯の声はつい弾んでしまう
そして心の中で「もしかして」と期待が膨らむ
『いや…その、どーしてんのかなって思ってさ』
「……な、何よそれ? 別に私が何してようがいいでしょ!?」
『そーなんだけどさ…』
「もぉ、何なの? はっきりしてっ!!」
要領を掴めないその会話に、唯はつい口調をいつもの様にしてしまう
受話器の向こうから一人焦っているリトの声が聞こえてくる
『あ、あのさ…』
「だから何なの!? 早く言いなさいっ!!」
『…特に用事ってワケじゃないんだけど、その…お前の声が聞きたくなったからじゃダメ?』
「え…」
瞬間、リトが何を言ったのか理解できなかった
けれど、次第にゆっくりとその言葉の意味が頭の中に広がっていく
「な、ななな、何おかしな事言ってるの!? ヘンな事言わないの!! もぉ!」
唯は受話器に向かって真っ赤になりながら声を大きくする
「そ、そんな事ぐらいで朝から電話かけてこないでよね!」
『わわ、悪かったって! だから落ち着けって! な?』
唯はふんっと鼻を鳴らしながら、腰に手を当てる
「と、とにかく話しってそれだけなの?」
『え…まあ…』
「そ、そう…………、そ…それでお父さんのお手伝いは?」
『今、向かってるとこ』
「そ…。気を付けていってらっしゃい! 結城くん」
『おう』
受話器の向こうから聞こえてくるリトのいつもの声に、唯はクスっと笑った
『あのさ、帰ったらまた電話してもいいかな?』
「え……す、好きにしたら?」
『わかった! じゃ、また後でな』
「うん…」
リトの短い返事の後、電話は切れてしまった
「…まったく、朝からあんな事ぐらいで電話なんてして、ホント…」
そう電話に向かって文句を言ってると、さっきリトに言われた言葉が浮かんでくる
電話口を見つめること数秒、次第に唯の顔は耳まで赤くなっていった
「声が聞きたいからとか……そんな事で…」
胸の奥がトクン、トクンと高鳴る
「もぉ…ホントに結城くんって子どもなんだから」
結局、遊園地には行けなくなったけれど
いつもの口調とは裏腹に、唯の表情は満開に咲く花の様な笑顔になっていた
唯は受話器を置くと、そのままベッドにゴロンと寝転がった
先ほどの余韻がまだ残っているのか、心なし体がポッと熱くなっている
胸に手を当てると、鼓動がいつもより大きい
布団に顔を埋めながら、今日一日の予定を組み立てていく
とりあえず今から朝食、午前中に部屋の掃除をして、それからお昼まで勉強
お昼からはどこか買い物でも行って、それから……それから────……
結城くん……
でも、やっぱりちょっと寂しい────
リトがケータイを閉じると同時にエレベーターのドアが開いた
「フツーぽかったよな? あいつ」
まるで自分自身にそう言い聞かせる様に、リトは呟いた
ケンカをしたのはこれが最初じゃない
今までにも口喧嘩は何度かあった
あったのだが
「なんか最近ダメっつーか、ヘンな感じなんだよなァ」
それは唯に対する気持ちや考え方なんだと気付いていた
クリスマスの時、初めて告げた本音
小さくなった唯とお風呂で、そして、真っ暗な部屋で交わした約束
あの時の気持ちも言葉もウソなんかじゃない
紛れもない純度200%の本当の気持ち
「けどなァ」
その気持ちに対して自分は何ができるのか?何をやっているのか?
リトは今一つ気持の整理ができていなかった
今日行くはずだった遊園地もそんな気持ちからくる部分が大きかった
唯に何かしたい!何かしなくちゃ!と心が騒ぎたてる
リトは立ち止まると、頭を掻きながら溜め息を吐いた
「何やってんだよオレ…」
心の整理が出来ていないまま
『スタジオ才培』と書かれた扉の前に立つと、リトは呼び鈴を押した
ピンポーンとなってほんの数秒後、ガチャリと扉が開く
「おう! よく来たなリト!! 時間がねェ、とっととあがりやがれ!!」
開口一番そう大声で言い放つと、才培はリトを部屋に招き入れた
「ん? なんだ?元気ねーじゃねェか?」
「別にンなことねーよ…」
隣を歩く息子の顔をまじまじと見つめる才培の目がキュピーンと輝く
「ほー、さては唯ちゃんとケンカでもしたか?」
リトの心臓が飛び出さんばかりにドキンと鳴る
「な、なな何で!?」
「ガハハハ! お前はホント、わかりやすいヤツだなー」
豪快に笑う才培だが、次の瞬間、急に真面目な顔付きになると、そっと耳打ちする様にリトに顔を寄せた
「で、なんの悩みだ?」
「な、悩みって別にオレは…」
「さてはアッチの話しか?」
「ア、アッチ?」
才培はリトの首に腕を回すと、その体をぐいっと寄せる
「とぼけんなよ〜〜、美柑からイロイロ聞いてんだぜ? おめーらが部屋でヤってる事」
「ハァ!?」
「いや〜若いってのはいいやね〜〜! オレも昔は母さんと散々…」
「な、何カンちがいしてんだよ!? だ、だいたいオレたちそんなオヤジが言うほどしてな……あ!」
腕からリトを解放すると、才培はその肩にポンと手を乗せた
「ダメじゃねーか!! ちゃんと相手してやんなきゃよ!!」
「だ、だから違…って、だいたいアイツは元からそんな事嫌いっつーか…」
「はぁ〜〜、わかってねーな! リトよ! いいか? 唯ちゃんみたいなコなほど、内に秘めたモンはすごいんだぞ!」
「内に秘めた…モノ?」
「おう! 普段はツンとしちゃってるが、ホントはお前にベタベタに甘えたくてしかねーのさ!」
普段の唯を一番間近に見てきているリトにとって、才培の話しはいまいちピンとこなかった
「そ、そーかァ?」
「隠さなくてもいいじゃねーか! ベッドの上じゃすごいんだろ?」
「な、な…」
リトの頭の中に唯の如何わしい姿がいくつも映し出される
それらを頭を振って追い出すと、リトは才培に大声で言い返す
「何でそんな話しになるんだよ!? だいたい、オレはそーゆー事で悩んでるワケじゃなくて…」
「照れるなよ! 元気でいいじゃねーか!」
「オヤジ!!?」
才培は肩に置いた手に力を込めると、顔を近づける
「何だよ?」
「お前たちが毎日励もうとオレは構わねー! だがリト、男として責任は取れよ?」
「だから違うっつーの!!それに責任ならオレはちゃんと…」
「そーじゃねーよ!! リト」
「え?」
急に真面目な顔をする父にリトの調子が抜けていく
「そーじゃねーんだよ!」
「何がだよ?」
(…ま、まだこいつには早いか)
キョトンする息子に含み笑いをこぼすと才培は、リトの背中をドンっと叩いた
「さ、仕事だ仕事!リト、このページのベタ頼む!!」
「って、話しはどーなったんだよ!?オヤジ!!」
(ったく、オヤジのヤツ…)
渡された原稿に筆を入れていきながらリトは心の中でぼやき続けていた
話しが中途半端に終わった影響もあるが、それ以上に才培の言葉が気になった
(そーじゃないってどーゆう事だ?)
唯との今、そして、将来の事
ちゃんと考えているつもりでも、心のどこかでそれだけではダメだと声がする
(ああ…クソっ!)
悩める少年の心にまた大きな壁が一つできてしまった
そして、時刻は夜の十時を廻り────
「おう! リト! そろそろあがってもいいぞ」
その声にリトは椅子にもたれながら大きく伸びをした
(はぁ〜〜、マジで疲れたァ)
と、ぐったりとしたリトの頬に冷たいモノが触れる
「ほれ、差し入れだ!」
「サンキュー」
夕方からほとんど口にしていないリトは、冷えた缶ジュースを受け取ると、蓋を開けグビグビと喉に流し込む
「はぁ〜〜…生き返る…」
リトは溜め息混じりにそう呟くと、ふいに手の中の缶に視線を落とした
「なあ、オヤジ。ちょっと頼みがあるんだけどいいかな?」
「来週の日曜、お前こなくてもいいぞ」
思わず俯いていた顔を上げたリトは、才培の顔を見上げた
「いいのかよ? だって…」
「まーなんとかなるだろ! それより唯ちゃんに会ってきやがれ!」
「会うってなんか大袈裟なんだけど? だいたい毎日学校で会ってんだし」
才培は大きく溜め息を吐くと、おもむろにリトの頭に拳を乗せ、そこをグリグリと押し当てる
「い…いてェ! 痛い! 痛いって! オヤジ!!」
「お前はホント、なんもわかってねーな!!」
やっと解放されたリトの目には涙が浮かんでいる
リトは頭を押さえながら、ムッと父親を睨みつけた
「ってェなァ……わかってないって何が?」
「あのコの気持ちに決まってんだろ!」
「唯の……気持ち?」
「ああ。お前への気持ちだよ」
頭を撫でながらリトは、才培の言葉を反芻させた
「あのコ、お前が思ってる以上に、お前への気持ちでかいぞ! 期待もな!!」
「期待…?」
口の中でその言葉の意味を何度も噛み締める
そうすると、少しだけ薄っすらと何かが見えてきた様な気がした
そんな息子の様子に才培は、口に笑みを浮かべると、その背中をバシっと叩く
「ホレ、とっとと帰って電話の一つでも掛けてやれ!」
「わ、わかったから! そんな殴ンなって」
才培に急かされる様に外に出たリトは、後ろポケットからケータイを取り出した
画面には唯の自宅の電話番号
来週の日曜の事、唯への気持ち、そして聞きたい事に言いたい事
いろいろあるけれど、今はただ、その声が無性に聞きたくなった
ボタンを押し、ケータイを耳に当てて、待つ事数秒
コール二回で電話に出た唯に、リトは内心ホッとしながらも、心からうれしいそうな笑顔を浮かべた
「もしもし、唯? リトだけどあのさ、来週の────……」
そして、次の日曜日の朝────
二人は待ち合わせの駅前広場に来ていた
今日はこれから一週間遅れの遊園地デート! のはずが────……
空はどんよりと雨雲が立ちこめ、これでもか! と言わんばかりに雨を降らせている
「ハ…ハハ」
リトは乾いた笑みを浮かべるしかなかった
何も言わず自分の隣に立つ唯に対し、色んな意味で申し訳ない気持ちでいっぱいになる
「え…っと…どーする? この後…」
唯は空を見上げた。雨は止むどころかますます激しさを増している
遠くに雷が落ちたのか、ゴロゴロと雲が鳴りだした
反射的にリトに体を寄せる唯
「何だよ?」
「べ…別になんでもないわよ!」
「別にって…」
リトは頬を指で掻きながら複雑な顔をする
ゴロゴロと雲が鳴る度にリトに体を寄せる唯
肘と肘が触れ、唯が小さく震えている事をリトに教えた
「そんな心配しなくても落ちるワケねー…」
よ! と、言いかけた時、空がピカっと光った
凄まじい音が木霊し、ビルの窓ガラスに稲光が映る
「キャーーッ!!」
瞬間、唯はリトに抱き付いた
外がどうとか、周りがどうとか、そんな事はどこか遠くに消えていた
目をギュッと瞑りながら、震える体でリトにしがみ付く唯
やがて、雷が鳴り止んでおよそ十数秒後、ゆっくり目を開いた唯の目に、戸惑った様なリトの顔が映る
リトは頭を掻きながら、恥ずかしそうに頬を赤く染めていた
「あのさ唯…」
「え?」
さっきからやけに周りの視線が痛い感じがする
唯はリトから腕をほどくと、ゆっくりと回りを見回した
いつの間にか、周囲にはちょっとした人だかりができていたのだ
さっきの唯の悲鳴と、その後の行動に、みな一様に顔をニヤニヤクスクスと笑みを浮かべている
「!!!?」
唯は声にならない叫び声を上げると、リトの手を取って逃げる様にその場を後にした
ガタン、ゴトンと揺れる車内
「何よ?」
唯は隣に座るリトに鋭い視線を送る
「言いたい事があるならはっきり言えばいいでしょ!!」
「いや…言いたい事っつーか…、その雷…怖かったんだな?」
「こ、ここ怖くなんかないわよ!! あ、あんなの…ちょ、ちょっと、音が大きいだけでしょ!?」
唯はぷいっとリトから顔を背けた。だけど、膝に乗せた手は小刻みに震えている
リトは溜め息を吐くと、そっと自分の手を唯の手に重ねた
「え? ちょ…ちょっと! こんなところで何考えて…」
思わず振りほどこうとする唯の手を握りしめると、そのまま二人の間、拳一個半だけの隙間へと持って行く
「ほら、これなら隠れて見られる事ないだろ?」
「え…ぁ…」
「大丈夫か?」
「う…うん」
心配そうに見つめるリトの顔も、唯はまともに見れなくなっていた
「…別に恥ずかしい事なんかじゃねーと思うけどなァ」
ボソっとそう呟いたリトに、握りしめた唯の手がピクっと反応する
「それに、お前の新しいトコ見れてオレはうれしかったけどな! びっくりしたけど」
少しイタズラっぽく歯を見せて笑うリトに、唯は俯いたまま頬を赤くした
「だから気にすんなって! な?」
きっと結城くんなりに精一杯気を使ってくれてるんだろう
そう思うと、さっきまでの恥ずかしさやモヤモヤが、キレイに吹っ飛んでいった
何も言わずに小さく頷くだけの唯に、リトはクスっと笑うと手に少し力を込めた
心配しなくてもオレがいるよ!
と、言うように
(結城くん…)
「で、この後どーする?」
「え!? この…後?」
俯いていた顔を上げた唯を待っていたのは、コクンと首を振るリト
そして、この嫌な天気も吹っ飛んでしまう様な爽快な笑顔だった
なんだか久し振りに見るリトのそんな顔に、心なしか顔が熱くなってくる
「やっぱ、雨降ってるから映画とかかなァ。なんかおもしろいのやってたっけ?
お前、デパ地下とかにも行きたいんじゃねーのか? ホラ、甘いものとかいっぱるじゃん!あそこって! あ、メシも食わなきゃいけねーし……う〜ん…」
いろいろ案を出しては一人悩み続けるリトに、唯はぽつりと口を開いた
「ねェ、結城くん?」
「ん? どっか行きたいトコでもあンのか?」
「そうじゃなくて…。あなたはどこかないワケ?行きたいところ」
「オレ?」
ポリポリと頭を掻きながらリトは眉を寄せた
自分の行きたいところはいろいろある
だけど、リトの中では唯が最優先だった
予定が狂ってしまった事へのゴメンなさいの気持ちもあるが、それ以上に純粋に唯の喜んでいる顔が見たいと思っていた
「オレはいいよ。お前が行きたいトコでいいからさ」
「何よそれ!? そんなのおかしいわ! 二人でいるんだから二人で決めるべきでしょ?」
二人のところを強調しながら話す唯
「だいたい結城くんっていっつも私の行きたいところばかりじゃない! そんなの不公平だわ! たまには結城くんの行きたいところに私も行きたいじゃない」
横顔を見せながら話す唯の頬にポッと熱が灯る
「オレの行きたいトコって……いいのか?」
「そんな事当たり前でしょ!」
「ホントに? マジで?」
振り向いた唯の目は「しつこいわよ! 結城くん」と言わんばかりに細められている
冷や汗を掻きながらリトは、頭の中で必死に行きたいところを選んでいく
何個も候補が上がり、その度に脱落していく中、ふいに才培の言った言葉が蘇る
『普段はツンとしちゃってるが、ホントはお前にベタベタに甘えたくてしかねーのさ!』
『ダメじゃねーか!! ちゃんと相手してやんなきゃよ!!』
(違…オレは別に唯とそーゆー事したいから会うんじゃ…)
一人頭を抱えるリトに、唯は心配そうに声をかける
「結城くん?」
「なな、何でもないから気にすンなって!」
どう見てもギコチない感じのリトに眉をひそめるも、しぶしぶ納得する唯
愛想笑いを浮かべながら、リトは自分の中の邪まな気持ちと闘っていた
(落ち着け、落ち着けオレ。オヤジの言葉なんかに惑わされんなって! 今日は映画を見てそれから…)
何気なく隣の唯を見ると、唯は窓の外をぼぉーっと眺めていた
相変わらず外は雨が降り続いているというのに、さっきまでと違いその横顔はやわらかい
繋いだ手を離すことなく、唯は黙ってリトの返事を待っていた
(唯…)
しばらく唯の横顔を見つめていると、純粋に唯と行きたいと思った場所が頭に浮かんだ
「ん? 決まったの?」
顔を覗き込んでくる唯に、リトはビクビクと緊張しながらも思いついた場所を言った
「え!?」
瞬間、唯の顔が真っ赤に染まる
すぐに抗議の声を上げるが、電車はもう止まらない
ガタン、ゴトンと揺れながら二人は目的の駅まで行く事になってしまった
「お、おじゃまします」
どこか遠慮がちにリトの家に入る唯
リトは早々にクツをぬいで、すでに玄関に上がっている
「あれ?っかしいなァ」
「……どうしたの?」
唯はどこか口を尖らせながらも、その場で屈むとブーツに手を伸ばす
「いや…美柑たちがいな…」
振り返りそう応えようと思っていた矢先、リトは唯の後ろ姿に口を止めてしまった
スカートから見える、白くてムチムチした太ももにリトの目は釘付けになってしまう
ジジジとジッパーを下ろす唯の仕草全てが、リトの鼓動をどんどん早めていった
左足を脱いだら、今度は反対の足
崩れそうになるバランスに、咄嗟に壁に手を突く姿が
一瞬見えた白の下着が
ブーツの下に履いている黒のハイソックスが
その全ての光景にリトは生ツバを飲み込んだ
(って、オレなにドキドキしてんだ!?)
唯は玄関に上がると、脱ぎ終わったブーツをキレイに並べ、くるりとリトに向き直る
「何ニヤニヤしてるの?」
「へ!?」
唯の指摘にリトは、大慌てで顔を取り繕う
「そそ、そんなワケねーって!? 何言ってんだよっ?」
リトを見つめる唯の目は半眼だ。胸の前で腕を組みながら、リトから視線を離さない
「何だよ?」
「…じゃあ、あなたの顔が赤くなってるのは私の気のせいなの?」
リトの心臓がドキリと音を立てる
元からウソを付けない性格の上、すぐに気持ちが顔に出てしまう
リトは手で顔を覆いながら、慌てて唯から顔を背ける
「どーせ、また、ヘンな事でも考えてたんでしょ?」
唯の口調はいつものお説教の時と同じだ
「……まあいいわ。それで、どうするの?」
「え?」
「え? じゃなくて! この後どうするの? あなたの家なんだからあなたが決めてよ!」
「あ、ああ。そりゃそーだよな! …ハハ」
乾いた笑みを浮かべるも、さっきから噴き出す汗が止まらない
昨日の才培の言葉が頭を駆け巡り、リトから冷静さを奪っていった
(チキショー…オヤジのせいだ。オヤジがあんな事言うから…)
「結城くん!?」
心の中で愚痴るリトを唯の声が現実に引き戻す
「そ、そーだな。とりあえずシャワ……あ」
「ん? シャワ? シャワってなんの事?」
眉を寄せる唯の前でリトは、石の様に固まった
今、自分は何を言おうとしていたのか?
『とりあえずシャワーでも浴びてこいよ』とでも言うつもりだったのか?
リトの思考がこの後の言い訳やフォローの言葉を必死に紡ごうとする
「結城くん、シャワって何なの?」
「え……っと、ほ、ほら! その…シャ…シャ…シャ…ベット…そう!
シャーベット!! シャーベットあるんだけど食べるか?」
どう見ても怪しいギコチない笑みを浮かべるリトに納得出来かねるも、甘い物大好きな唯がそれを放って置くはずはない
「……う…うん。ノドも渇いたしそれじゃあ…」
ツンと視線をそらすもどこか表情が和らぐ唯に、リトは心からの安堵の溜め息を吐いた
とは言ったものの
本当にシャーベットがあるかどうかなんてリトが知るはずもなく
リトは一縷の望みを託して冷凍庫を開けた
すぐに目に付くのは、美柑が買い置きしているアイスの山
その中を漁っていると、目当ての物がすぐに見つかった
「助かったァ…」
けれど、またリトを悩ませる問題が生まれる
美柑の事だ。当然自分の好きなアイスが勝手になくなれば、烈火の如く怒るに違いない
かと言って、リビングで待たせてある唯に、今更無かったとは言えるはずもなく
リトはシャーベットを片手に頭を悩ませた
「お待たせ。で、どっちがいい?」
リトは手に持ったバニラとストロベリーのシャーベットを唯に見せた
「ん〜…イチゴにするわ」
「ほら」
少しうれしそうに両手でシャーベットを受け取る唯に、リトは苦い顔になる
『何やってるのよ!? バカリト!!』
どこからかそんな声が聞こえてきそうな気配に、背中に悪寒が走る
(悪い美柑……ちゃんと買っとくからさ)
心の中でそう謝るも、絶対倍返しを要求される事は目に見えている
リトは唯の隣に座りながら、シャーベットにスプーンを入れた
「ところでララさんたちはどうしたの?」
シャーベットを口に運びつつ何気なくそう聞いてくる唯
「ん? たぶん買い物にでも行ってんじゃねーかな? さっき冷蔵庫見たら中身少なくなってたし」
リトは言った瞬間ハッと気付く
それまで特に気にもしなかったこの状況に
(おい! ちょっと待て! って事は今、オレと唯の二人っきりって事か!?)
「そうなんだ」
普通に返事を返す唯に、次の瞬間リトは意識を根こそぎ奪われてしまう
横目でチラリと様子を窺うと、唯は本当においそうにシャーベットを口に入れていて
その幸せそうな横顔にリトはついつい見惚れてしまう
(やっぱ唯ってカワイイ…)
普段は見せない唯のふとした表情や仕草
きっと知ってる人は世界でも数人で、自分もその中の一人なんだと思うと同時に、リトはうれしくなって顔をほころばせた
「結城くん?」
「ん?」
スプーンをカップに置きながら、唯は少し目を細めた
「また顔ニヤニヤしてるわよ?」
「え!?」
「どうしたの? 今日のあなた少しヘンよ?」
「そ、そんな事ねーよ!! オレはフツーだって!」
「そう?」
「当たり前だろ! 何言ってんだよ!!」
今日は普段以上に唯を意識してしまう事に、リト自身もわかっていた
才培との会話。自分の気持ち、そして家で唯と二人っきりの状況
それらがリトの気持ちを掻き立てていた
「ならいいだけど……全然食べてないし、どこか具合でも悪いんじゃないかと思ったの」
「べ、別にどこも悪くねーって! 心配すんなって!!」
唯が気になりすぎて、まったく手を付けていないシャーベット
リトは、少し顔をくもらせている唯に愛想笑いを浮かべた
「嫌いなのかと思った。シャーベット…」
「そんなワケないけどさ……えっと食べるか? コレ」
「え?」
唯は目を少し丸くさせた
「いいの? だってあなた全然食べてないじゃない?」
「オレはもういいって! それよりお前の方が好きだろ? こーゆう甘いヤツ」
「そ、それはそう…だけど…」
差し出されたシャーベットを両手で受け取りながら、唯は上目遣いにリトの顔をチラチラと窺う
「ホントにいいの? ホントにホントに?」
「だからいいんだって! オレの事は気にせずに食えよ」
「じゃ、じゃあいただきます」
何度もリトの顔色を窺いながらも、やっぱり甘い誘惑に勝てるはずもなく
唯は、顔をほころばせながらスプーンでシャーベットを崩していく
(ったく、オレにもそんな顔してくれよな…)
シャーベットに嫉妬しても仕方がないのだが、目の前でこんなに幸せそうにしている唯を見ていると、つい良からぬ感情に駆り立てられそうになってしまう
そして、昨日、才培に言われた言葉が頭に反芻する
『普段はツンとしちゃってるが、ホントはお前にベタベタに甘えたくてしかねーのさ!」
』
リトは唯の横顔をジーっと見つめた
今まで唯が甘えてきたり、体を寄せてきた事は何度もあったのだが……
(ホントかよ…)
やはり疑いの方が大きい
ふいにその視線に気づいた唯が、くるっとリトに首を向ける
「さっきから何?」
「あ…いやその……うまそうに食ってるからつい…」
「何よ! やっぱり食べたいんじゃない!! それならそうとどうしてはっきり言わないのっ」
リトの気持ちを余所に、一人おいしく食べていた事に唯は、表情をくもらせる
「ちゃんと言ってくれれば私は…」
「そーじゃなくて! ホントにソレお前に食わしたかったんだって!!」
「ホントなの…」
ジッと疑いの視線で見つめてくる唯に、リトの背中に冷や汗が流れ落ちる
「そ、それより映画でも見ないか? 向こうにDVDとか置いてあるんだけど」
「映画…」
質問をはぐらかすリトに若干眉を寄せるも、唯は渋々と頷く
「じゃ、行こっか」
唯は立ち上がると、食べかけのシャーベットを残してリトの後に続いた
「どれでもいいから好きなの選んでくれ!」
唯は棚に並んだDVDに一つ一つ目を通していく
「それにしても……数多いわね」
「ああ。ララが映画とかにハマってるからなぁ。美柑も買ってるみたいだしさ」
「そうなんだ」
そう返事しながら、唯の目が一本のDVDに注がれる
「オレは…やっぱコレかな!」
取り出した物は、数々の星を舞台にしたSFアクションもの
宇宙船での戦闘、そして時には、ビームソードを手に闘うある騎士達の物語
二十年以上かけてシリーズ化された人気映画だ
その最新作を手にリトが唯に声を掛けようとすると、唯もまたDVDを手にそのパッケージを凝視している
「なんか見たいヤツあったのか?」
「え? あ…わ、私はその…」
慌ててDVDを棚に戻そうとする唯の手からリトは、ヒョイっとDVDを取り上げる
「な、何するのよ!?」
抗議の声を無視するとリトは、聞きなれない映画の題名に眉を寄せながら、パッケージを裏側にひっくり返す
───最高にゴージャス! そして感動…
自分を磨く。夢をあきらめない。もっと輝くために
『プ○ダを着た悪魔』
「お前……こんなのが好きだったのか?」
「ち、違……って、もう! 別にいいじゃない!! 私だってそれぐらい見るんだから!!」
腕を振って抗議する唯に、リトは隠れる様に笑った
(へ〜唯がねェ、ま、らしいって言っちゃらしいけどな)
結局、その映画に決めたリトは、まだプンプンと怒る唯を連れてリビングに戻ってきた
「ふぁぁ〜〜…」
映画が始まってから一時間ちょっと。大欠伸をしたリトの目に薄っすらと涙が滲む
(眠い…。それにつまんねー…)
元々、アクションやSFしか見ないリトにとってこのテの映画は拷問に近いものがあった
(だいたい『恋や仕事にがんばるあなたの物語』とか言われても全然わかんねーよ)
退屈しのぎにポテトチップスに手を伸ばすスピードも速くなる
口にポテトチップスを頬張りながら、チラリと横目で隣を窺うと、唯はクッションを胸に抱きしめながら、
じっとテレビを凝視している
どうやら相当入り込んでいるらしく、隣にいるリトにも注意がいかない様だ
(まァ、こいつが喜んでくれたらオレはいいんだけどな)
映画が始まって一時間半あまり、ソレは起こった
いい雰囲気になった主役であるカップルのベッドシーン
最初は甘いキスから始まり、互いの体を服の上から撫で、そして男の手がスカートの中に入り────
少し顔を赤くしながら見ていた唯の表情がいよいよ固まった
スプーンを口に咥えたまま、画面をジッと凝視したまま動かない
(これはヤバいよな…)
横目で唯の様子を見ていたリトの額からすーっと汗が伝う
リトはテーブルの上に置いてあるリモコンを手に取ると早送りのボタンに指をかけた
「何してるの!?」
「え?」
横から聞こえた声にリトの指が途中で止まる
「私、今見てるじゃない!!」
「いや、そりゃそーだけど……、いいのかよ? コレ」
リトが顎をシャクった先では、カップルによる、ほとんど本番とも言える行為が延々と映し出されている
小さいながら女の子の甘い声まで聞こえてくる始末
唯の顔が傍目からもわかるほど赤く染まっていく
リトだって同じ様に真っ赤なのだが、唯の手前、取り乱すワケにもいかず、必死に平常を装っていた
「べ、別にいいわよ! これぐらい…。それにす、好きな人同士なら自然な行為でしょ!?」
「そ…そうなんだ?」
「そ、そうよ! 当たり前なのっ!」
唯は握りしめた両手を膝の上に置くと、テレビに向き直った
(ムリする事ねーと思うけどなァ)
なんて事を思いながらリトの脳裏に、ふと先ほどの言葉が浮かぶ
(好きな人同士ならって……それってつまり……)
視線は自然と唯に注がれる
ガチガチに緊張した様に赤くなりながら映画に見入る唯
さっきは慌ててそんな事言ったのか、本当にそう思っているのか、リトには判断できない
できないだが、そう言われたのはまぎれもない事実
今、映画の中では、男が女の子の胸を後ろから揉みしだいているところだ
自分達とそう変わらない年齢のはずなのに外国なせいか、その体は豊満でムチムチしている
けど、唯の胸のほうがオレはもっと────…
少し薄目の服の上からでもわかる、流麗なラインを描いている胸
なまじその服の下の姿を知っているだけに、リトの心拍数はどんどん高くなっていく
(って、何オレ意識しまくってんだ!? 映画だろ! 映画! 映画の話しじゃねーか!!)
なんて慌てて画面に向き直るも、チラリのその横胸を見てしまうリトだった
結局、なんだかんだと映画を見続けたリト。最後の方は逆に引き込まれてしまい釘付けになるほどだ
長いスッタフロールが終わり、横でうんと伸びをする唯の気配にもリトは微動だにしない
映画の余韻に完全に浸りきっていた
「いい映画だったわね? 結…城…」
映画の感想を口に出そうとした唯の目がみるみる丸くなっていく
唯はしばらくリトの横顔を見つめると、カバンの中をゴソゴソとしだす
「……」
ボーっとなっているリトの目元に、ふいに柔らかい生地が触れた
「え…?」
「はい。これ使って」
止まった時間が動きだしたようにハッとなるリトの視線の先で、唯はハンカチを差し出しながらクスっと笑っていた
「え…あれ? 何で?」
まだよくわかっていないリトの目からつーっと涙がこぼれ落ちる
「え!?」
自分でもびっくりしたのか リトは慌てて目元を袖でゴシゴシと拭っていく
「こ、これはそんなんじゃなくて!! えっとつまり…」
「…ぷっ…あはは」
「へ?」
「取り乱しすぎよ! いいじゃない別に。私はとっても良いコトだと思うわ」
やわらかい見ているだけで思わずとろける様な唯の笑顔
リトの頬に恥ずかしさとは別の意味の赤みがほんのりと灯る
「その…最初はあれだったんだけど、途中からなんかおもしろくなってきたっつーか…」
ゴニョゴニョと照れ隠しの様な言い訳を始めるリトに唯はハンカチを渡すと、口に手を当てながら必死に笑いを堪えた
(結城くんってカワイイ)
必死に言い訳をする姿もだが、リトの泣き顔という思いも寄らない初遭遇に、唯は内心小躍りしていた
映画の余韻もだが、なんだか心がウキウキしてくる様なそんな感覚
そんな幸せ気分のまま唯は、テーブルに置いていたシャーベットに手を伸ばした
映画に見入っていたため、半分以上溶けてしまっている
スプーンで掬って口にもっていこうとする途中で、溶けたシャーベットがスプーンからこぼれ落ちた
「あ…」
小さな悲鳴と共に、バニラ色のシャーベットがスカートから伸びた唯の太ももにポトリと落ちる
「何やってんだよ!?」
目元を赤くさせながら、テーブルの上のティッシュの箱に手を伸ばすリト
「ごめんなさい」
ぼそっと謝りながら唯は、スカートに付かない様に裾を少し上に持ち上げた
「ホラ、ちょっと足広げて」
「うん…」
ティッシュを数枚持ちながらリトは唯の前に屈んだ
「スカートとか平気か? シミとか大丈夫なのか?」
「それは大丈夫だけど…」
さっきからぼそぼそと小さな声しか出さない唯に不審に思ったリトは、顔を上げようとしてその途中で固まってしまう
ギリギリまで捲ったスカートから伸びる白い太もも
スカートの影に隠れて見えそうで見えない下着
さらにベタ付くシャーベットの光沢が唯の太ももを妖しくさせている
バクバクと心臓が激しく音を奏でる
ゆっくりと視線を上に持っていくと、顔を赤くさせた唯がジト目でリトを出迎えた
その肩は心なしか小刻みに震えている
「コ…コレはそーゆー事じゃなくてオレはただ…」
「…もういいわよ。貸して?」
唯はリトからティッシュを奪い取ると、自分で足を拭いていった
「ゴメン…」
「だから別にいいって言ってるでしょ? それよりソファーにシミが出来てしまって…」
少し体をずらすと、ソファーに小さい染みが出来ていた
「ん? ああ。こんなの気にする事ねーよ! だいたいララのヤツがよくお菓子とかこぼしたりしてるしな」
「でも…」
唯はティッシュをもう数枚取り出すと、染みの部分をゴシゴシと拭き取っていく
相変わらず責任感が強いというか、なんというか
リトは苦笑を浮かべると、同じ様にティッシュを数枚取り、ソファーを拭いていった
「ごめんなさい」
「ん? 気にすんなって! 大した事じゃないからさ」
「うん…」
何度も同じところ拭いていると、次第に二人の距離は縮まり
手と手が触れ合ってしまう
「「あ」」
同時に声を出し、同時に顔を上げる二人
「わ、悪い」
「別に…」
「も、もうちょっとで取れそうだな?」
どこかギコチない笑みを浮かべるリトに、唯はコクンと首を振った
(って、なんでこんなギクシャクしてんだよ)
それは映画を見た影響からか、二人っきりのなんとも言えない雰囲気がそうさせるのか
それからは何度も互いの顔をチラチラと見ては、目をそらすことの繰り返し
互いの胸の中に言葉にできない感情が湧き上がっていた
次第にリトの手が染みを取る事そっちのけで唯の手に重ねられる
「な、何よ!?」
「え、えっと…そのさ…」
手を重ねたはいいものの、続く言葉がリトには見つからなかった。
何を言いたいのかうまく考えがまとまらない
ジッと見つめてくる黒い瞳にリトは目を彷徨わせた
ずっと握りしめている手のせいか、リトだけじゃなく唯の頬まで赤く染まっていく
お互いの手を重ね合わせたまま、見つめ合ったまま
まるでさっき見ていた映画のワンシーンの様に
リトの喉がゴクリと音が鳴り、それに唯が少し身動ぎさせる
次第にリトの顔がゆっくりと唯に近づいていった
「ゆ…結城くん?」
リトはすでに唯のそば、鼻先数センチのところまで来ていた
あと一押しで触れ合える距離
お互いの吐息が鼻に掛かる
「だ…だから私…あの…えっとちょ…ちょっと待って!!」
「何だよ?」
唯はリトの胸に手を置くと、リトを遠ざける様に手に力を込める
「こ、これぐらいで話すのがちょうどよくない? ほら、あんまり近いと話しづらいというかその…」
「…オレはそんな事ないけどな」
「え?」
何かのスイッチが入ってしまったかの様にリトの声には熱が帯びている
リトは空いている反対の手を唯の腰に回すと、その体をぐいっと引き寄せた
「ちょ…ちょっと!?」
抗議の声も空しく、リトの胸に顔をうずめる態勢になってしまう唯
急いで顔を上げ、体を離そうとするも、腰に回ったリトの腕が唯を離さない
「ゆ、結城くん!? やめなさい!! 何考えてるのっ!?」
唯の声を無視する様にリトの足が唯の両ももの間に入ってくる
スリスリと擦りつける様に動く足は、次第に唯の大事なところに当たった
「ちょ…と…やめ…ン…ぅ」
ぐりぐりと押し当てられる膝に唯はギュッと目を瞑った
少し体の力が抜けた唯をますます強く抱き寄せると、リトは耳に舌を這わる
「ン…ンン」
チロチロと舌が動く度、唯の肩が震える
「ゆ…結城くん…やめ…てェ」
すでにリトの肩にしな垂れる様に体を寄せ、その首に腕を回してる唯
頬に当たる唯の熱を帯びた息遣いにリトは小さく笑みを浮かべた
「ひょっとして感じてる?」
「違…あなたがヘンなコトするからっ」
「ふ〜ん……でもお前のココ、もう濡れてるみたいだけど?」
下着越しとはいえ、薄い布だけで覆われたその部分から伝わる熱い感触に、リトは膝を強く押し当てる
「ん…くぅ…」
くちゅっと水音が鳴り、唯の口から甘い声がこぼれた
「ホラな?」
唯は肩を震えさせながら、ゆっくりとリトの首筋から顔を上げる
「結城くん!?」
少し怒気を含んだ声に、その目はジロっとリトを睨んでいる
「そ、そんな怒んなよな? た…たまにはこんな感じのもいいと思っただけで…」
「調子に乗らないで!! あなたのそういう暴走するところが一番ダメなところなのよっ!!」
ムッと睨んでくる唯にリトの背中に冷や汗が落ちる
さすがにやりすぎたと思ったのか、その顔は微妙に引きつってさえいる
唯はリトから体を離すと、乱れたスカート整えていった
「…とにかく! 今後一切、こんなマネやめなさい!! 今度したら許さないからね!?」
「あ…ああ」
曖昧な返事をするリトに、唯は鋭い視線を向けた
「私はマジメに言ってるの!! あなたちゃんとわかってるの?」
「わ、わかってるって! てか、悪かったよ。その…調子に乗ってさ」
「やっと一緒になれたと思ったらコレなんだからっ」
バツが悪そうに頭を掻くリトに、唯はふんっと鼻を鳴らしながらそっぽを向く
その時、肘に当たったカバンがポテっと転び、中身がソファーの上に散らばった
「あ…」
一瞬で顔面蒼白になる唯
唯は大急ぎで散らばった物をカバンの中に入れていく
その中の一つ、リトは手の平サイズの箱を手に取った
「ちょ…ちょっと結城くん!?」
慌ててリトから箱を取ろうとするが、時すでに遅し
「何だコレ……コン…ドーム? え!?」
唯と箱を交互に見比べるリト
唯の白いほっぺは見る影もないほどに真っ赤になっている
「お前…」
「ち、ちち、違うのっ!! これはそんなんじゃなくて! 今日、家を出る時にお兄ちゃんが勝手にカバンの中に入れただけなのっ!
だ、だから、私はそんな気持ちでここに来たワケじゃ…」
『何よコレ?』
『何ってコンドームだよ。避妊だよ避妊! それぐらい知ってンだろ?』
遊から渡された箱を手に唯の肩がぷるぷると震える
『何考えてるのよ!? こんな物ハレンチだわ!!』
『まーまー、そー言わずに持ってけって! 必要だろ?』
『ひ、必要って……わ、私と結城くんは別にそんな事…』
ゴニョゴニョと口ごもる妹に遊は、ニヤニヤと笑みを深くした
『何だ? それとも、もー子作りの真っ最中かよ? 相変わらずお盛んなこって』
『そんなワケないでしょ!! 私と結城くんは健全なお付き合いをしているの!
お兄ちゃんと一緒にしないでっ』
出かける前の玄関先での遊とのやり取りに、唯は顔を歪めた
「だ、だからこれはお兄ちゃんのせいで私は別に…」
腕をぶんぶん振って必死の弁明を繰り返す唯
リトは頭を掻きながら黙ってそんな唯の話しを聞いていた
「ん〜よくわかんねーけど、その…オレは、したいなァって思ってるんだけど」
「え?」
「その……お前とエッチ」
ぼそぼそと話すリトの顔は真っ赤になっていて、唯もつられて顔を赤くさせた
「な、なな何言ってるのよ!? こんなモノぐらいでヘンな事言わないの!!」
「ヘンな事じゃねーよ!」
少し口調が強くなったリトに唯は、口を噤んでしまった
「だってオレ……お前の事好きだしさ、好きならこーゆー事考えるのフツーだろ?」
「そ…それは…」
咄嗟に言い返せないが、唯自身、何度も心の中で想った事だ
会えない日はどれだけ寂しいか
強く言い過ぎた日はどれだけ不安な夜を過ごすか
会えないとわかった日はどれだけ────……
「だ、だからってコレとソレとは別の事でしょ!」
「そりゃそーだけど…」
腕を組んでぷいっとそっぽを向いた唯にリトは、少し落ち込んだかのような寂しい溜め息を吐いた
面と向かってきっぱり断られた悲しさは計り知れない
リトはガックリ肩を落としながら、すごすごと唯から離れていった
(もぉ…そんな顔やめてよね)
どんどん小さくなっていくリトに唯は、チラチラと視線を送る
(うぅ…もぉ)
ついには膝を丸め『の』の字を書きそうなほど落ち込むリトに唯は、思わず声を掛けてしまう
「そ…そんなにその……わ、私と……した…したいの?」
ぼそぼそと呟く唯にリトは俯いていた顔をあげた
「そりゃだって、好きなら当然ってゆーか……久し振りだしさ…」
「……久し振りだからなの?」
むぅっと睨むように目を細める唯にリトは、慌てて身振り手振りで説明を始める
「そ、そーいう意味じゃなくて! えっとホラ、お前とこーやっている事が久し振りって意味で!
オレは決してそんな意味で言ったワケじゃ…」
ジト〜〜っと見つめてくるその氷の様な唯の視線がリトの胸をグサグサと貫いていく
「信じてくれって!! 唯!!」
「ふ〜ん」と軽く返事をするもリトを見る目はまだ直らない
「ホントに誤解だって! オレはお前が好きだから…」
「…じゃあ聞くけど、好きってどれぐらい好きなの?」
「へ?」
それまで必死な声を出してきたリトの口がピタリと止まった
「どれぐらい好きって…」
「そうよ! どれぐらい好きなのかちゃんと言って!!」
顔を沸騰しそうなほど真っ赤にさせながらそれでも唯は、リトから視線をそらさない
「どれぐらいって……」
返答に困っている様子のリトに唯の頬はどんどん膨らんでいく
(何でそこで困るのよ!? さっさと言いなさいよっ!!)
と、声を出さず愚痴りつつも、その心中は穏やかでなかった
守れなかった約束の日
すれ違いが続いた日々
一人っきりの時間
(私を一人にしないってあんなに約束したじゃない!)
ソファーの上で唯の手がギュッと握りしめられていく
どれほどの時間、受話器を見つめたか
どれだけ鳴らない電話に溜め息を吐いたか
何度、留守電をチェックしたか
(なのに全然電話もくれなかったし)
数日たって要約かかってきた電話の音
やっと通じた願いに、やっと聞けたその声に、どれだけうれしかったか
ちゃんとわかってるの? 結城くん
ソファーに座る唯を前にリトは、なぜだか正座したままチラチラとその顔を伺っていた
唯は相変わらず腕を組みながらムスっと顔をしかめている
まるでお説教されている子供のように小さくなるリト
「結城くん、ちゃんと応えて!!」
ソファーに座る唯の口からこれ以上待てないと言う声が飛んでくる
どれだけ好きか?
まさかそんな事を聞かれると思っていなかったリトは、頭を悩ませた
唯の事は好き。そりゃ日本どころか世界で一番、いや宇宙で一番好きだ
誰よりも何よりも大切で大事で
唯のためだったら何でもできるし、何だってしてやれる
そう思っている
けれど、現実はそうじゃない
ずっと交わしていた約束は守れない。大切な事も言えない
一人にさせ、不安にさせ、寂しい思いもさせ
くだらない意地で電話すらかけられない
想いを重ねれば重ねるほど、不甲斐ない自分にリトは、膝の上で手を握りしめた
こんなんで好きとか言っても伝わンのか────?
気持ちが現実に追いつかない
自分の気持ちを伝えるすべが見つからない
けれど、言わないとダメだ思った。ちゃんと伝えないとダメだと感じた
唯はずっと待っていてくれる
そこから逃げる道も近道もないのだから
俯いた顔を上げたリトはまだ頼り気がなくて、目は泳いでいて、心なしか頬まで赤くなっている
「オレ…」
リトはゆっくりと静かに口を開いた
「オレお前が好きだ!」
開口一番のその言葉だけで唯の胸は最高潮に高鳴ってしまう
(な…何よこれぐらいで……しっかりしなさい)
唯は自分を奮い立たせる様に胸の前で手を握りしめる
「そりゃお前にはいつも迷惑っつーか、怒らしてばっかだけど……
でも、オレ、お前といるとすごいうれしくて楽しくて、すげー幸せだって思えて」
リトの一言一言が胸にキュンキュンと当たってとけていく
ポっと熱くなる胸と同じ様に、唯の頬も赤くなっていった
「会えない時でもお前の事ばっか考えて、でも、くだらない意地なんかで連絡も入れないし…ホント、ゴメンな。
でも、オレ、お前の事がすげー好きだ! これだけでもいいから信じてくれ!!」
リトの真剣な眼差しが真っ直ぐに唯の心を捉える
さっきからまるで止まらない胸のドキドキに、唯はコクンと喉の奥を鳴らした
(こ…こんな事ぐらいで私……)
揺らぐどころかもはやギビアップ寸前の唯の心
「オレ、お前の事がすげー好きだ! ムチャクチャ好き! 大好きだ!!」
不器用だけど真っ直ぐなリトの気持ちが、唯の胸を正確に射抜いてしまう
クラクラととろけそうになる意識の中、震える手で唯はリトを指さした
「ゆ…結城くん、ここ、こんなの卑怯だわ!!」
「は?」
予想もしてなかった唯の言葉にリトはつい間の抜けた声を上げてしまう
「卑怯って……何が?」
もっともな質問にも今の唯には、まるで耳に入らない
「そんなに好き好き言わないで!!」
「ええ!? ちょ…だってお前が…」
「う、うるさい! 私にそんなに好き好き言っちゃダメぇ!!!」
身も蓋も無いことを言い始める唯にリトの思考はついてけない
「言っちゃダメとか……そんなのオレ、どーすりゃいいんだよ?」
「そ、そんな事私に聞かないでよねっ」
「……お前が聞いてきたんだろ?」
唯は苦い顔のまま俯くと、ぽそぽそと小さく呟く
「こ…こっちに来て」
「こっちって何だよ?」
リトは膝立ちになると唯の足元に体を寄せた
「…もっときて」
「もっとって……これぐらいか?」
手をソファーに付けながらリトは、体を伸ばして唯の太もものあたりに顔を寄せた
ほのかに香る唯の匂いに気が迷いそうになる
(落ち着けオレ! さっき怒られたばっかじゃねーか…)
そんなリトの葛藤を余所に、唯は下唇をキュッと噛み締めると、体をもじもじと揺らす
「それじゃダメ…」
「へ?」
見上げるリトの目に、濡れた瞳でジッと見つめる唯の姿があった
瞬間、リトの心臓が警報を鳴らす
「私にちゃんと顔を見せないとダメ」
リトは吸い込まれ様にソファーに片膝を着くと、目線を唯の高さに合わせる
二人分の体重にソファーがギシっと軋んだ
「きた……けど?」
真正面にあるリトの頬に唯の手がやさしく添えられる
あったかくて、すべすべしてて、そして、唯のぬくもりが頬全体に伝わっていく
二週間ぶり
唯の言ったその言葉の重みに、この時になってリトは初めて触れたような気がした
(そっか…オレこんな……)
俯きそうになるリトを唯は手でそっと包み込むと、ジッとその目を覗き込む
「私の事ほったらかしにして」
ぷくっと膨らむ可愛らしいほっぺがサクラ色に染まっていく
「私に寂しい思いさせて」
至近距離で言われ続ける罵倒に、リトは乾いた笑みを浮かべる
「私を悲しませて」
「わ、悪かったよ! だからこーやって…」
「わかってない! 結城くんは全然わかってない」
「…ゴメン」
シュンとうな垂れるリトに、唯はとろける様な甘い声で囁く
「だから今日はずっと甘えさせてもらうからね!」
「え? 甘え…」
頬から手を離した唯は、腕を組みながらぷいっとリトから顔を背けてしまう
「言っとくけどこれはお仕置き! 私の事、放っておいたお仕置きだからね!」
相変わらずな口ぶりの中に込められた本当の想いがリトにそっと触れた
「唯…」
「勘違いしないで! まだ許したワケじゃないんだから!」
相変わらずだなァと思いながらもリトは、クスっと笑ってしまう
「も…もぉ、あなたちゃんとわかってるの?」
ほっぺを真っ赤にさせながらムッと睨んでくる唯に、リトは心からうれしそうな笑顔を浮かべた
「結城くん!? 私は…」
「わかってる! で、これからどーするんだ?」
「ど、どうするって……それは…」
さっきまでの威勢がウソの様に小さくなってしまう唯
「そ…そんなの私知らないわよ! ……結城くんが決めなさいよ…」
「オレが決めていいのか?」
一瞬迷うも、自分の言った言葉を取り消せるはずもなく、唯は静かに頷いた
「オレは……オレは、お前とエッチな事したい! その…好きだからお前の事が……ダメ?」
迷いながら、恥ずかしがりながら、だけどはっきりとそう言ったリト
唯はその胸にトンっとおデコを当てた
「今日はいっぱい甘えるんだから……覚悟しなさいよ?」
リトは自分の胸に顔をうずめている唯を見下ろした
「唯…」
唯は自分の顔を見られないように、気持ちを隠す様に、リトの胸に顔を当てたまま、
リトの着ている服の裾を握りしめている
そして、次第に握りしめる手に力がこもる
「……」
リトは何も言わず、小さく溜め息を吐くと、唯の頭に手を置いた
「ん…」
抱きしめるでもない、頭を撫でるでもない、ただ手を置くだけ
それだけで、今の唯には十分に思えた
(あったかい…)
不安な時、寂しい時はいつだって────……
お風呂でそう言いながら自分を抱きしめてくれたリト
(約束、今度はちゃんと守りなさいよ?)
唯はゆっくりと頭を上げると、目の前のリトとそっと目を合わせた
リトは相変わらず頼りなさ気だし、目も泳いでいるし、バツが悪そうに苦笑いしてるし
唯は小さく口元に笑みを浮かべた
「…それでどうなの?」
「え?」
リトの反応にジト目になる唯
「さっきの返事! まだ聞いてないんだけど?」
「え!? あ、ああ…えっと…」
思い出したかのように、あたふたと慌てるリト
その態度に唯の顔は、ますますむぅ〜っと険悪になっていく
「そ、その、も、もちろんオレはイイってゆーか、唯が甘えたいってんなら大歓迎ってゆーかその…」
「だからどうなの!!?」
中々煮え切らないリトに、唯はつい声を大きくさせてしまう
立場が入れ代ったかの様に、ずいっと唯に詰め寄られるリト
密着した胸板に唯の柔らかい胸が押し付けれる
間近に感じる唯の髪の匂い
自然とリトの鼓動も早くなる
(普段ならすげーうれしい状態なんだけど…)
「も、もちろんオレはイイよ! うん! すげーイイ!!」
何だかおかしな返事になってしまったが、ホッとした様に自分から離れる唯に、
リトも安堵の溜め息をもらす
前編終わり
キリがいいところまでと思っていたのですが、予想以上に長くなってしまい申し訳ないです
中編は今日の夕方ぐらいに投下したいと思います
SSの中で二人が見た映画のタイトル及びキャッチフレーズはそのまま使いました
好きな映画とはいえ申し訳ありません
尚、SS内の内容と映画「プラダを着た悪魔」とは一切関係ありません
なんというか前奏からハイテンションというかサビみたいな感じですな。
夕方、楽しみに待ってます。
そういえば今週登場した唯が出てきたお店がおもちゃ屋みたいな所でギャップが良かった。
659 :
名無しさん@ピンキー:2008/06/30(月) 14:23:40 ID:1ehQcglc
今週の感想
帰ってキタァ―――――――――!
>>656 地の文に話し言葉やら抜き言葉がちょこちょこあるのが気になるお
>>660 原作っぽいセリフを使ってるつもりなのです
特にリト・美柑あたりはくせのある言い方(例えば普通→フツーとか)なので
なんとかそれに近づけたいとがんばってるのですが、文才の問題ですね。すいません
中編投下します
けれど、ホッとするのも束の間
頬を紅潮させながら体をもじもじとさせる仕草に
恥ずかしそうに少し視線をそらしているその仕草に、リトの心臓は警笛を鳴らす
ドクン、ドクンと鳴り響く心臓に急かされる様に、リトはゆっくりと唯に手を伸ばした
「ン…」
頬に手を当てるだけで、ピクンと反応する唯
リトは唯に体を寄せると、頬を両手で包みこみ、ゆっくりと自分に向けさせた
「結城…くん?」
唯の前にはさっきまでの頼りないリトはもういない
今いるのは、ハレンチで困らせてばかりで、だけどカッコよくて
(こんな時だけそんな顔しないでよね)
ジッと見つめるその視線だけで、顔が真っ赤に染まってしまう
頬に伝わる手のぬくもりだけで、心臓がドキドキと音を立てる
「唯…」
「な…に?」
「好きだよ」
キュンっと唯の中でスイッチが入った
「う…うん」
唯は沸騰しそうになりながら小さく首をコクンと振る
そんな唯にリトはクスっと笑うと、ゆっくり顔を近づける
「キス、さっきの続き」
「こ、今度はちゃんとしなさいよ!」
少しトゲのある言い方にリトはバツが悪そうに笑うと、その小さな唇にキスをした
「…ン…ぁ」
いつ味わってもやわらかい、甘くとろける様な唇の感触
軽く合わせるだけで、それだけで体が熱くなっていく
「あ…ふ…」
離れていくリトに唯の口から吐息がこぼれた
熱くなっている体を鎮めるように息をする唯
その目はリトの顔から決して逸らさない
「もっとしていい?」
唯は何も言わず、ゆっくりと目を閉じる
直後、待っていたとばかりにリトの口が吸い付いてきた
荒々しくて、少し乱暴で、さっきまでの甘いモノとはまるで違うキス
リトは唯の両腕を掴んで動かない様にすると、唇に吸い付く
「は…ぅ…」
唇からこぼれる吐息すら愛おしいのか、リトは唯を離さない
次第に唇を開けながら、熱い舌が入ってくる
熱くて、ザラついてて、乱暴で
少し口内で彷徨った後、唯を見つけるとリトは舌を絡ませていく
「ん…ンン」
唾液をたっぷり含んだ舌に口を犯される感覚
「ん、ちゅぱ…ンン…」
熱い舌が自分の口内を這い回る感触に唯はギュッと目を閉じる
(結城くんの舌で私の中いっぱいになってる)
下顎を唾液で光らせながら、それでも唯はリトの全てを受け入れる
背中に這わされるくすぐったい手の動き
太ももを撫でる反対の手
唯の心はわたあめの様に甘くとろけていく
(結城くん…)
舌を絡ませながら二人は少し顔を離した
半開きの口から出ている舌と舌が触れ合い、唾液が口元からこぼれている
「オレのツバ飲んで」
「う、うん」
リトはクスっと笑うと、唯の小さな唇に吸い付いた
「ひゃ…あ…ぅ」
ずずずと口内を蹂躙していくリト
下顎を伝って二人の唾液がソファーの上に落ちていく
(結城くんのツバ…全部…)
白い喉をコクコクいわせながら頑張ってツバを飲んでいく唯
少し苦しそうな唯の表情にリトは動きを一旦止めると、今度は逆に唯のツバを飲み込んでいく
「ンン…うふぅ」
舌が口内をまさぐり、唯の中を残らず持っていこうとする
その感触に驚いた唯は、目をギュッと瞑り、体を硬くさせた
背中に回されるリトの腕がその体を強く抱きしめる
「ン!? …ン、ンン」
痛いほどの腕の力と、乱暴な舌使い
(ゆ…結城くん!?)
唾液を奪われていく度に、唯の頭の中は白くなっていった
やがて、口内からゆっくりと舌が出ていく感覚に、唯は薄く目を開ける
ぼぅーっとなる意識の中、目の前には、いつものリトがいて
満足げに口元に付いた唾液を舌ですくっている姿に、唯はムスっと口を尖らせた
「…結城くん、ちょっと吸い付き過ぎよ!」
「ゴ…ゴメン! お前の口うまかったからつい…」
「私、もっとやさしいのがよかったのに」
ツンとそっぽを向く唯は、また機嫌を損ねそうで
リトは慌てて唯に体を寄せる
「悪かったって! 今度はお前の言うとおりのヤツするからさ、な?」
「…………ホントに?」
まだ疑っているのか、リトを見る唯の目は細められている
リトは苦笑いを浮かべながら、唯の太ももや腰に腕を回していった
「え…ちょ、ちょっと何なの!?」
「何って、ここじゃこれ以上できないだろ?いろいろと」
いろいろの部分に顔を赤くさせる唯に小さく笑うと、リトはそのまま唯を抱えあげた
「ゆ、結城くん!? ちょ…」
「心配しなくても、オレの部屋に行くだけだって!」
「……な、何考え…」
「もしかして嫌? それともここでする? 美柑たちが帰ってきたら……」
「わ、わかったわよ! あなたの好きにすればいいでしょ!!」
お姫様の如く、両腕で抱きかかえられた唯は、真っ赤になった顔を俯かせる
ただ、その口はゴニョゴニョと何か言いたげだ
「じゃ、このまま部屋まで連れてってやるよ」
「ええ!?」
唯は慌ててリトの顔を見上げる
「わ、私、自分で…」
行くから降ろして!と言うことなく、唯はその言葉を心の奥に押し込めた
チラッと視線を上げると、リトの顔がいつもとは違う角度から見る
自分を愛おしむ様に、守る様に抱きかかえる顔はいつもよりカッコよく見えて
唯はリトの胸にトンっと頭を当てた
トクン、トクンとリトの心臓の音が聞こえる
(何だかホントにお姫様になったみたい…)
体に伝わるリトの力強さに、心地よくもある体の揺れに、唯は赤くなった頬を隠す様にリトの胸に顔をうずめると、
その服をキュッと握りしめた
ずっとこうしていたい────
だんだんと近づく部屋に、唯は心の中でそう呟いた
部屋に着くと、リトは唯をゆっくり床に下ろした
「そーいや、お姫様抱っこってこれで何回目だっけ?」
「え?」
頭を掻きながら思い出そうとするリトに、唯は小さく頬を膨らませる
(3回目でしょ!)
みんなちゃんと覚えている
一度目は街で不良達に絡まれた時、二度目は────
そこまで思い出して、唯は一人顔を赤くした
あの時は、美柑の作ってくれたケーキがおしすぎてそれで……
しかもその後は────
みるみる赤くなっていく顔をフルフル振ると、唯はリトに向き直る
「そ、そんな事もういいじゃない!」
「え?」
リトはキョトンとした顔のまま唯を見つめた
「なんだよ…。ひょっとして嫌だったとか? さっきのとか」
「え!? 違…」
「じゃー何で話しはぐらかすんだよ?」
「それは…」
「それは?」
言い難そうにそっぽを向く唯に、リトはますます眉を寄せる
「嫌なら嫌って、そー言えばいいじゃねーか」
腕を組んで半眼で睨むリトに、唯は小さくなりながらぼそぼそと話す
「嫌じゃないわよ」
唯はもうリトの顔をまともに見れないのか、体をモジモジさせて俯いたままだ
「こ、これからもしてほしい…。時々でいいから…ダメ?」
少し上目遣いで、不安そうに見つめる唯にリトは苦笑した
「時々でいいんだ?」
「え…違っ…ホントはもっと……。うぅ…もぅ、結城くん!?」
頬を膨らませながら睨む唯に、リトは笑いを隠せない
「今日のあなたってひどいわ! さっきからずっと私の事…」
「ゴメン」
知らないっ!とばかりに腕を組んでそっぽを向く唯に、リトは手を伸ばす
頬にかかる手の感触に、くすぐったそうにピクンと肩を震わす唯
「悪かったって! だからこっち向いてくれって! 頼むよ、唯!!」
唯はまだムスッとしている。ソファーでの事もまだ引きずっている様だ
「……」
「その…久し振りだからさ、こーゆうの。なんかすげーうれしくてさ。でも、調子乗り過ぎだよな? ゴメンな」
(…うれしいのは私だって)
唯はゆっくりとリトへと向き直る
「ホントに反省してるの? もうしないって言える?」
「あ、当たり前だろ! だから、こうやって謝ってるんだって!!」
「ふ〜ん…」
唯の目はまだ完全には信じてはいない
だけど、こうして話せてるのはかなり大丈夫って事
頬にあるリトの指が、唯の唇をなぞっていく
「ン…」
「…さっきの続き…いいよな?」
頬を赤くさせながらも、リトの顔はいつの間にか真面目なものになっている
(ホント、こうゆう時だけマジメになるんだから…)
近づくリトの顔。唯は自分に触れる瞬間まで、その顔をジッと見つめていた
「私もあなたが大好き」
「え…」
何か返そうとしたリトの口を、唯は自分の唇で封じた
唯からのキス
思ってもいなかった唯の行動にリトの目は丸くなる
やわらかくて、少し潤んでいて、愛情のいっぱいこもった唯のキス
さっき唯が何か言いかけた事などリトは綺麗に忘れ去っていった
リトは背中に腕を回すと、そのキスに応える様にギュッと小さな体を抱きしめる
互いの気持ちをたっぷり乗せた抱擁とキス
だけど、今はもうそれだけでは足りない
リトは唯から唇を離すと、ジッとその赤くなっている顔を見つめる
「…また吸い付きたいの?」
「それもあるけど、今度はもっとしたい! お前を裸にして、いっぱい感じたい」
至近距離で見つめあう二人
いつしか手を取り合い、指を絡め合い、おデコをくっ付け合い、そして体を密着させていく
「結城くん、ハレンチよ」
「ゴメン。けど、オレ、お前の事が好きだから…。唯がすげー好き」
「うん…」
すでにリトの息は熱く、唯の声は甘くとろけている
「…きて、結城くん」
リトの喉にツバが落ちていく。それが合図だったかの様にリトは再び唯の口に吸い付いた
「う…んん」
キスを繰り返しながら薄く開けた唇から舌を出すと、唯の唇をなぞる様に舌を這わしていく
「唯、舌出して」
「ン…」
可愛い唇を少し開かせて、唯の小さな舌が出てくる
その舌にリトは自分のを絡ませた
「は…んッ、ちゅぱ…はぅ…ちゅ…んッん」
半開きの口からは、熱い息がお互いの口へと入っていき
口元はますます唾液で濡れていく
唇と唇のキスというより、舌と舌のキス
お互いを見つめる目は、とろけきり、その体を強く欲している
リトは唯の手をほどくと、その腰に手を伸ばし、自分に引き寄せた
「んッ…あ…ふぅ」
強引な抱きよせが、唯の口から唾液をこぼれさせた
下顎を伝う涎は首筋を通り、吸い込まれるように唯の胸元へと消えていく
リトの心臓が大きくドクンと音を立てた
スカートの中に手を入れると、ショーツ越しにお尻の肉を味わっていくリト
その柔らかさを堪能する様に、何度も何度も円を描くように揉みしだいていった
「あ…ッん…ふ、ちゅる…ンン」
唯は少し顔を歪ませた
お尻への愛撫と熱い舌の感触に唯の感度はますます上がっていく
そして、それはリトも同じ
すっかり大きくなったモノを誇示する様に、リトは唯の下腹部へと腰を押し付ける
(…結城くんの…すごく大きく…)
ズボン越しとはいえ、リトの反応に唯の鼓動が速くなる
息がますます熱くなり、唯は両手でリトの頬を包み込んだ
グッと近づく二人
唯はリトに視線だけでうったえる
もっとして─────と
リトはスカートの中の手をそのまま背中に回すと、唯をベッドへと導いて行く
唯をベッドの上に座らせる同時に、リトは着ているTシャツを脱ぎ去った
上半身裸になるリトを、唯は熱っぽい視線で見つめる
いつも制服越しに感じていたぬくもりをその手に直に感じたくて、唯はリトの胸板へと手を伸ばす
そっと触れるように這わされる白い手
リトの肌もぬくもりも2週間前と変わらない。けれど、久し振りに感じるその肌触りに唯は小さく呟く
「…あったかい」
胸に当てた手は愛おしむ様にリトの上で滑っていく
「何だよ? どっかヘンなトコでもあるのか?」
可笑しそうに笑みを浮かべているリトに唯は頬を赤くさせた
(久し振りなんだから仕方ないじゃない!)
どこか拗ねた様に小さく頬を膨らませる唯の頭にリトは手を置いた
「んッ」
くすぐったそうに体を捩る唯
リトは口元に笑みを浮かべたまま唯の頭を撫でていく
キレイに整えられた長い髪が、シルクの様にさらさらと手の平からこぼれていく
「キレイだな」
「え?」
「お前の髪! すげーキレイだって思う」
「え…ぁ…」
リトに褒められたのはこれが初めてではない、けれど、いつも初めての事の様にうれしく思ってしまう
何も言えず、黙ってリトに頭をナデナデしてもらう唯
赤くなった顔を俯かせながら、恥ずかしさで小さく手を握りしめている
(もぉ、私、子どもじゃないんだけど…)
心のどこかでそんな拗ねた声が聞こえてくるが、目の前のうれしそうなリトを見ているとどうでもよくなってしまう
少しずつ、唯の目がとろんと熱を帯びていった
リトは髪を指で梳かしながら、だんだんと唯の顔へと手を移動させていく
頬に触れるリトの手の感触に、唯の肩はピクンと震えた
「ン…頭じゃないの?」
「そーなんだけど……ずっと赤くなったままのお前のほっぺが気になってさ」
そう言いながら悪戯っぽくツンツンとほっぺを突っつくリトに、唯の頬はますます赤みを帯びる
「ま、またあなたはっ!?もう!」
拗ねたように口を尖らせる唯
(カワイイ)
そんな唯の仕草にリトは心の中でそう呟くと、両手で唯の両頬を包み込む
「あ…」
「お前のほっぺすごくあったかくってやわらかい」
「そ…それは結城くんが触ってるか…」
ジッと正面から見つめてくるリトの視線に、唯は言葉を飲み込んだ
それ以上声が出てこなかった
リトはクスっと小さく笑うと、顔を近づけていく
「キスしよっか? さっきの続き」
至近距離で見つめながらそう囁くリトに、唯は視線をそらしてしまう
「ダメ?」
「ダ…ダメなんかじゃ…」
唯の頬がみるみる火照っていく
リトにほっぺたを触られながら、唯は緊張と恥ずかしさで下唇をキュッと噛み締める
目はキョロキョロとリトを見たり下を向いたり
鼻先をくすぐるリトの吐息に、唯はくすぐったさで肩を捩った
「唯」
「何よ…」
リトは『好きだよ』という想いと言葉を乗せて、唯の唇に自分のを重ねていく
唇に感じるリトの感触に、唯はスっと目を閉じる
恥ずかしさも緊張もどこかにとけて消えていった
唯は握りしめていた手を開くと、その手をどうすればいいのか、彷徨わせる
開いたり閉じたりと一人そわそわさせる手に、ふいに重なるモノがあった
(あ…)
目を閉じていてもわかる。リトの手だと
あったかくて少し大きくて、男の子の手なのに繊細で
重ねられた手はやがて、指を絡ませ合い、そして握り合う
左手と右手。それぞれ手を握りながら、二人はキスを続けた
開いた唇から舌を出し、互いの口内をいっぱいにしていく
「は…ちゅ…ぱぁ、ン…ンン」
こぼれた唾液が二人の間に糸を引かせながら落ちていく
少しするとリトの体が前屈みになっていき、唯の体を後ろへと押し倒そうとする
唯の握りしめた手に力が入った
口内の舌も一瞬動きを止めてしまう
リトはやさしく手を握り返すと、舌で唯の舌を突き、『心配すんな!』と合図を送る
少し迷う様に体を固くさせた唯だったが、少しずつ体の力を抜き、リトに誘われる様にベッドの上に寝転んだ
キスが解けて、互いの唇を唾液の糸が繋ぐ
二人は上下で見つめ合った
「キス……しないの?」
「するよ。けど、それ以上もしたい!」
「それ…以上…?」
「ああ!」
とろんとする意識の中で唯は真っ直ぐリトの目を見つめた
本当は、リトには言いたい事も聞きたい事もたくさんある
だけど、それ以上に今、目の前に大好きなリトがいる
(何だかうまく誤魔化されてる気がするけど…)
もうキスだけじゃ足りない
抱きしめられるだけじゃ足りない
いっぱい甘えたくて、いっぱいリトが欲しいと心の奥からそう思うから
唯はゆっくりと枕に頭を沈めた
リトを見つめるその目は、少し熱を帯びた様に濡れている
息をする度に上下に動く、やわらかそうな胸
少し捲れたスカートから伸びる、白い脚と白い下着
「唯…」
その体に魅力された様にリトの目も熱を帯び、そしてゆっくりと唯の上に体をかぶせる
上と下、互いの顔を確認する様に見つめ合う
何度も体を交えてきたのに、この時ばかりはリトも唯も心臓が飛び出るほどに高鳴る
緊張と不安、そしてうれしさに
先に動いたのは唯だった
「…結城くん」
甘えるような、とろけるような唯の声
リトに一刻でも早く触れて欲しい、抱きしめて欲しい、抱いて欲しい
一つになりたい
ハレンチだとわかっていても
もう止まらないし、止めようとも思わなかった
リトの首に両腕を絡めると、そのままギュッとリトを胸で抱きしめる
頬に当たる胸の感触と、鼻をくすぐる唯の匂い
(唯の匂い…久しぶりだな…)
トワレなんて付けていない純粋な肌の匂い
その匂いで胸をいっぱいにすると、リトは体の隙間から手を伸ばし、唯の下腹部へと意識を集中させる
リトの手がするするとスカートを捲り上げ、太ももへと這わされれていく
下半身に感じる手の感触に唯はピクンと眉を寄せた
服の上からでもわかる、どんどん荒くなっていくリトの息遣い
それだけで唯の下腹部はキュンと濡れてしまい
唯はリトが触りやすいようにと、脚を曲げる
太ももを何度も行ったり来たりするリトの手は、やがて少しずつ指の数を減らしていき
リトは唯の顔をジッと見つめながら、指の先をツーっと移動させていった
「んッん…」
太ももに感じるこそばゆさに唯は眉をピクンとさせる
その反応を楽しみ様に、リトの指は軽快に踊った
「ゆ、結城…くん!?」
指は内腿でグルグルと円を描き、やがて脚の間へと移っていく
白くて薄い布に覆われただけの唯の大切な場所
唯はもう何も言わず、緊張して面持ちでリトの次の行動を見ていた
リトの指がゆっくりと、下着越しの割れ目へと押し付けられる
「あッ」
小さい吐息と共に、プニっと押し返される指
そのやわらかい肉感にリトは何度も指を押し付ける
「…あ…ぁ、んん」
唯の手に力がこもり、その白い手を握りしめていく
「ん…ん…ンン」
何度も押し付けられる指。次第にその部分にだけ染みが広がっていった
その事を確認すると、リトは少し力を込めて大事なところに指をグリグリと押し当てる
恥ずかしさと気持ちよさで、ギュッと目を瞑り手を握りしめる唯
ピクピク震える体は緊張と期待の表れ
(私…私…)
結城くんを求めてる。欲している
もっと! もっと! って
「ハ…ハレンチだわ」
「お前もな」
リトはクスっと笑うと、すっかり染みでベトベトになった割れ目から指を離した
愛液で肌に張り付いた下着は、薄っすらと秘所を覗かせている
唯の息はすでに荒い
リトはチラリと唯を見ると、再び指を割れ目に当てた
正し、今度は爪の先だけ
シュリシュリと布を擦る指先。唯は眉を寄せた
さっきまでの直接的な責めではなく、焦らしの様な責め
唯の脚がピクピクと動き出す
口は何かを言いたくてしきりに開いたり閉じたり
リトは笑みを深くした
「…ゆ…結城くん」
「何?」
言い難そうに、リトから目を背ける唯
「何だよ? これ嫌か?」
「違…そうじゃなくて」
「じゃあ、何だよ?」
唯の言いたい事が手に取る様にわかるリトは笑いを堪えるのに必死だ
リトは少し指に力を入れ、割れ目へと押し当てる
くちゅっと音がなり、肉ヒダにショーツがベッタリと張り付く
「あ…くぅ」
唯は体をピクンと揺らすと、思わずリトの腕を掴んだ
「ん?」
ジッとこちらを見つめる唯の目
それだけで何が言いたいのか痛いほどわかる
「何だよ? ちゃんと言わないとわかんないだろ?」
うっと唯の喉が鳴る
言葉はもうそこまで出かかっているのに、それ以上ができない
「唯?」
「…ぅ…ぅう…」
リトの声に唯の目はどんどん潤み、顔はますます赤くなっていく
(さすがにやりすぎたかな…)
今にも泣きそうな唯の顔にリトは表情をやわらかくした
すると
「…ぁの…ちゃんとして! イジワルしちゃやだァ!」
涙声と甘えた声がごちゃ混ぜになったそのとろける様な声に、リトの理性は一瞬で崩壊する
(カ…カワイイ!!!)
今まで見た事のない唯の表情と声にリトもトキメキを隠せない
そんなリトが不思議なのか唯は小首を傾げた
その仕草すら今のリトには破壊力が多きすぎて
逸る気持ちを抑える様に、リトはスカートに手をかける
「じゃ…じゃあ、脱がすからな?」
少しきょどりぎみのリトに、唯は何も言わずコクンと首を振った
リトはスカートに手を掛けると、ジッパーを下ろす
「腰上げて」
スカートを脱がすと、その下にはリボンやレースの付いた白のショーツ姿の唯が現れる
「好きだなお前、こーゆうリボンとか付いてるやつ」
「い、いいでしょ! 別に…」
頬を染めながら両手で下着を隠す唯の手を、リトは苦笑しつつ退けていく
スルスルと脱がされていくショーツ
脱がす時、割れ目から糸を引く愛液にリトは生ツバを飲み込んだ
思わず緊張で震える手。その手を太ももに這わせると、リトは唯に尋ねる
「あ、足、開いて」
小さく震えるリトの声
唯もリト同様、緊張で顔は真っ赤だ
「べ、別に恥ずかしがる事ないだろ?」
「そうゆう問題じゃないのっ!」
どちらも緊張を誤魔化す様に強気な態度
唯はツンっと顔を背けながら、ゆっくりと足を動かしていった
ギコチない動きで足を開ききると、薄っすらと口を開ける割れ目から愛液がこぼれ出す
リトは誘われる様に体を寄せると、親指と人差し指でゆっくりと割れ目を広げていった
とたんに膣内から愛液がこぼれ出す
そして、その愛液でヌラヌラと輝くピンク色の膣壁は、キュンと蠢いてリトを待ちわびている
充血したクリトリスに、すっかり濡れた肉ヒダ
どんどんリトの鼓動は早くなっていく
「ジロジロ見ないでよねっ!」
赤くなりながらもごもご話す唯にリトは笑みを浮かべる
「だって久し振りだしさ」
「もぉ…」
少し窘める様な口調に、リトはクスっと笑うと、割れ目に口を近づけていく
「あ…」
近づく息遣いに体を捩る唯
リトは目の前にある濡れた秘所を見つめると、入口を舌でチロっと舐め取った
「ひゃっ」
その細い腰を両手で掴むと、リトは舌を膣内へと入れていく
「ん…くぅぅ」
ザラついた肉の感触に膣全体がキュッと収縮する
「は…ぁ…ンく」
ずずっと侵入してくる舌に唯の口から自然と甘い声がもれる
それは普段は絶対聞くことのできない、唯の女の声
「お前の声、すげーカワイイ」
「バカ…」
シーツを握りしめながら、震える口でなんとか返す唯
リトは唯の反応を楽しむ様に、口を離そうとはしない
唾液混じりの舌で膣内を掻き回し、溢れる蜜を啜っていく
「ん…ンンッ…」
「唯の声、かわいい」
「も…もぉ、か…かわいいとかそんな事ッ、言っちゃ…ン」
言葉とは裏腹に、膣奥からはこれまで以上の愛液が溢れてくる
「ん…あ…ぁ」
腰をピクピクと浮き上がらせながら、割れ目をリトの口へと押し付ける唯
(気持ちいいのかな?)
リトはチラリと唯の顔を覗き見る
唯は頬を赤く染めながら、ギュッと目を瞑っている
そしてその手は何かを我慢する様に、ブルブルと握りしめていた
リトは目を細めると、舐める角度を変えた
「ひゃッ…あ…ぁ…んン」
少し腰を浮き上がらせながら、伸ばした手でリトの頭を掴む唯
「ダ…ダメぇ…そこはっ」
唯の手がリトの頭を引き離そうと力が入る
それでもリトは離れない。そればかりかますます顔を寄せ、奥へ奥へと舌を入れていく
「ゆ、結城…くんっ! ホントに…んッくぅ」
リトの舌が敏感なところに触れたのか、唯は反射的にリトの頭を太ももで挟んでしまった
「あ…ふぅ…」
太ももに挟まれながら、膣を貪るリト
(あ! 何かコレいいかも…)
両頬に当たるやわらかい太ももの感触に、股に顔を埋めながらも顔をニヤケさせる
そんなリトとは対照的に、唯は下腹部から這い上がってくる感覚に、ますます息を荒げていた
もうリトを離そうとする手には力が入っていない。そればかりか、愛しむ様にその頭を何度も撫でていく
もっとして! という気持ちが、イきそうになる事への羞恥心を上回っていく
(…結城くんの舌…私の中いっぱいに…)
唯はリトの頭を両手で強く掴むと、腰にぐいっと引き寄せる
「結…城くん、私…もうっ…んんンンぁああ!!」
リトの名前を呟いた後、下腹部から広がる波が唯の全身に広がっていった
一瞬浮き上がった体は、すぐにベッドへと沈み、全身で息をする荒い声だけがリトの耳に届いた
割れ目から唾液混じりの愛液の糸を引かせながら、リトはゆっくりと口を離していく
「はぁ…はぁ…んっ…はぁ…」
ぼーっと天井を見つめていた唯はふとリトの視線に気付くと、体を起こした
「もう! ダメって言ったでしょ!?」
少し頬を膨れさせながら、唯はむぅっとリトを睨んだ
リトは意地悪そうに笑うと、唯に体を寄せる
「…でも、すげー気持ちよさそうに見えたけど?」
「!!?」
リンゴの様に真っ赤に頬を染める唯
「あ、あなたがあんな…ダメって…私、何度も…」
唯は恥ずかしさでゴニョゴニョと小さくなってしまう
そんな唯の頬にリトは手を伸ばす
触れるだけで熱くて、やわらかい真っ赤な頬
「かわいい」
ぽぉ〜っと耳まで赤くなっていく
「や、やめてっ! もぉ…」
顔をそらそうとするが、リトの手が邪魔をしてできない
目をそらそうとするが、ジッと見つめるリトの視線から逃げられない
リトの手に包まれて唯はどんどん小さくなっていく
「こ、これ以上はホントにダメなんだから…」
「うん」
「わ…私ばかりハレンチな事して」
「だな」
「…反省してるならもっと……」
「もっと何だよ? 何かして欲しいコトとかあるのか?」
唯は真っ赤になりながら目を泳がせると、ふっと下を向いてしまう
「キ…キ…キキ、キスとか…」
「ん? キス欲しいんだ?」
「ほ、欲しいとかじゃなくてっ! その…」
俯いていた顔を上げると、もうリトの顔が間近に来ていて
唯の胸はキュンとときめいてしまう
(結城くんの…キス…)
もうこれで何度したのかわからない
キスする度に唯の胸はトクンと音を立てる
それは決して慣れることのない、いつまで経っても最初の時と同じ感覚
唯はスッと目を閉じた
わずかに唇同士が触れた後、すぐにリトの舌が入ってくる
「ん…ふぅ…ン」
舌を絡めている内、唯はいつもと違う感触に眉を寄せた
顔を少し離したリトがぼそっと呟く
「お前の。さっき舐めてただろ?」
「あ…」
目を丸くしてリトに何か言おうとするが、すぐにリトがその口を塞ぐ
(私…自分の…)
リトの唾液に混じっているソレは、少し酸っぱくて、そして苦くて
嫌そうに抵抗する唯の口から息がもれる
リトは唯の頭に手を回すと、逃がさない様に力を入れた
「ん…ンン」
じゅる、じゅるとリトの舌が口内を犯していく
それと同時に、唯の口の中にねっとりとした愛液の味が広がる
一瞬顔をしかめた唯だったが、少しすると、その何とも言えない味に次第に体の力が抜けていった
麻酔にかかった様に頭が真っ白になっていく
リトは薄眼を開けて唯の様子を見ると、ゆっくりと口を離していった
「ぷは…はぁ…」
「どうだった?」
リトに質問に、唯は口元に手を当てて複雑な顔をする
こぼれた唾液をすくって口に入れる唯に、リトは小さく笑うと唯をベッドに寝かせた
少し潤んだ目でジッと見つめてくる唯を見ながら、リトの手が唯の下腹部へと伸びていく
触れるだけでくちゅ、くちゅと水音が鳴りだす
その感触を確かめるように、リトの指が何度も割れ目に沿って動かされる
「…やッ…んん」
指を上下に動かす度に、それに合わさる様に唯の腰がピクピクと震える
「まだダメ…。敏感になってる」
「知ってる」
リトは唯に軽くキスすると、肉ヒダを広げて中へと指を入れていった
「ん…くぅ」
唯は咄嗟にリトの腕を太ももで挟んでそれ以上の侵入を拒む
「もう遅いって」
「ん…」
耳元で悪戯っぽく囁くリトに唯は頬を上気させた
「や…ぁ…ン」
リトの言葉通り、すでに指は第二関節まで入っており、今もゆっくりと奥へ奥へ入っていこうとする
「ゆ、結城くんっ!?」
指を入れただけで軽くイッたのか、唯は小刻みに震える手を伸ばしてリトの腕を掴む
力いっぱい押し返そうとするが、力で敵うはずがなく
「ん…んン」
ゆっくりと入ってくる指の感覚に唯は足に力を入れた
くちゅっと濡れた音が鳴り、リトの指は第三関節まで入ってしまう
ぶるぶると肩を小刻みに震えさせる唯
「もしかしてまたイッたの?」
「ゆ…結城くんが…ダメって言ったのにっ」
体をギュッと小さくさせながら、唯は震える口でそう呟く
「そっか。じゃあ…」
リトは意地悪く口の端を歪めると、膣内の指を動かしていった
「ひゃっ!! あ…ダメぇー」
体を丸めてリトの腕にしがみ付く唯
そんな唯を愛おしげに背中から抱き締めると、リトは見せつける様に指を動かしていく
ヌチュ、ヌチュと水音が鳴り、シーツにみるみる染みが広がっていった
「結城…くんっ」
腕にしがみ付いたままの唯のうなじにキスをすると首筋を舌でなぞっていく
「ん…ん…ンく…んん」
リトが何かをする度に唯の体はピクンピクンと反応を見せた
「かわいい、唯」
「んんッ…」
「もっとかわいい声聞かせて」
わざと耳に熱い息を吹きかけながらそう呟くと、リトは耳たぶを甘噛みする
「ひゃ…あ…ぁ」
俯いていた顔を上げ、目を丸くする唯
リトの舌が耳を舐め回していく
「あ…あぁ…」
もう体に力が入らないのか、掴んでいた腕からは手が離れ、挟んでいた太ももはゆっくりと開いていく
リトは小さく笑うと、一旦指を引き抜き、今度は指を二本割れ目に当てた
「あ…あ…」
その様子がわかる唯は、首を動かし後ろのリトに視線を送る
「ダ…」
「入れるからな?」
唯の言葉を無視する様に、リトの指が容赦なく膣内へと戻っていく
前後に動く指に膣壁が蠢き、中に入っていく度に愛液を絡ませながら外に出てゆく
すぐにリトの手は愛液でベットリになった
どんどん熱くなっていく唯の体温が胸に伝わる
押し殺すような喘ぎにも熱がこもる
(そろそろかな?)
リトはチラリと唯の横顔を覗き込むと、唯の弱い部分を指でなぞった
一際大きく体をビクンと仰け反らせる唯
口元から涎がこぼれ、半開きの口からは舌を覗かせている
「ゆ…結ひくん…も、もうらめぇ」
ろれつの回らない言葉に、まったく力の入っていない身体
唯はリトの胸にもたれながら、されるがままになっている
「も…もうひゃめて…これひ上私…」
リトは親指を伸ばすと、真っ赤に充血したクリトリスをギュッと押した
「あ!! か…ぁ…」
膣内がキューっと指を締め付け、下腹部がガクガクと震えだす
「や…ンぁ…おっきいのが…おっきいのがきちゃうっ!!」
「イきそう?」
唯は首をコクコクと振ってリトに応える。もうしゃべる事すら大変みたいだ
リトは最後の仕上げとばかりに、膣内とクリトリスを責め立てる
二箇所同時の責めに唯はもうなすすべがない
唯は体を丸めるとギュッとリトの腕にしがみ付く
今度は拒むためではなく、求めるために
「結城くん…結城くん…」
精一杯口を動かして、愛おしい人の名を呼ぶ姿に、リトは背後からギュッと唯を抱きしめた
唯の手に、より一層力がこもる
「結城…くんっ! ンン…」
今まで以上の力でリトにしがみ付くと、唯は体を大きく震えさせた
「は…はぁ…ふ…あぁ…」
ビクン、ビクンと何度も痙攣させながら、唯は荒い息を吐く
次第に息が納まってくると、くてっとリトの肩に頭を乗せた
天井をボーっと見ながら息を整えていく唯
少しすると横目でジロっとリトを睨みつけた
「な、何?」
あきらかに怒っている様子の唯にリトの顔が引きつる
「……」
ジト〜っと睨んだまま黙っている姿がリトの心臓を凍えさせる
「ゆ…唯?」
「…手、早くなんとかして」
リトは思い出したかのように慌てて指を膣から抜いた
「ん…く」
その割れ目からは白く白濁した愛液がとろりとこぼれ、リトの手を白く染めていた
(すげー! 唯の本気汁でいっぱいになってる…)
なんて事を思っていると、頬に走る痛みがリトを現実に引き戻した
いつの間にか身体を起こしていた唯が、リトの頬をギュッと引っ張っているのだ
「ほへ?」
「結城くん、私、言ったわよね? ダメって?」
唯はムッと頬を膨らませながら、静かに口を開く
「言ったわよね?」
「い、言った!」
即答するリトに唯の頬はますます赤く膨れていく
「じゃ…じゃあ、どーしてするのよ!?」
「何でそんな怒るんだ? 別にいいだろ!」
「いいワケないでしょ!? あんな恥ずかしい…」
さっきの醜態を思い出したのか、頬を真っ赤に染めて俯く唯
「恥ずかしいって……すげー可愛かったと思うけど?」
「か…かわ…かわいいって何言って…」
リトの言葉に反射的に顔を上げるも、唯はすぐにその目をそらしてしまう
「そ、そんなコト言わないでよねっ」
もごもごと話す唯にリトは怪訝な顔をする
「何で? だってお前すげーかわいいと思うけど?」
「だからそんなコト言っちゃダメ」
唯の声はますます小さくなっていく
リトは指で頬を掻いた
(相変わらずつーっか…)
唯はチラチラと横目でリトの様子を窺っている
何かを言おうにも恥ずかしさで何もできないようだ
リトは小さく溜め息を吐くと、唯の頭に手を置いた
「ん…」
何も言わずに頭を撫でるリトに、最初は怪訝な表情を浮かべるも、次第に柔らかくなっていく。
気持ちも表情も
「やっぱお前ってかわいい」
「もぉ」
拗ねた様に口を尖らせるも、赤く染まった頬が唯の内心を物語っている
むぅ〜っと唸りながらも上目遣いで見つめてくる唯に、リトはクスクス笑った
(やっぱこいつ小さい時から全然変わってないんだな)
「何笑ってるのよ?」
頬を膨らませながら問いただす唯に、リトの笑みはさらに深くなる
「結城くん!?」
なんだか一人置いていかれている状況に、唯の目がどんどん険しくなっていく
唯は腰を浮かせると、ほとんど馬乗り状態でリトに詰め寄った
「な、何だよ?」
「それはこっちにセリフでしょ!? 何ヘンな事考えてるの!?」
「ヘ、ヘンな事って!? オレはそんな事考えてねーって!!」
「じゃあ、どうして顔がニヤニヤしてるのよ!?」
「ニヤニヤってオレは…」
咄嗟に顔を触るも唯の言うとおり確かに顔がだらしくなっていた事に、リトの額に冷や汗が浮かぶ
「こ、これはそんなんじゃなくて……オレはフツーにお前の事を……」
「お前の事を何よ?」
「えっと…」
リトの腰を膝立ちで跨ぎつつ腕を組んで目を細めている唯から逃げる場所も隙もありはしない
(こ、これはヤバい…)
一人蒼白になるリトの前に唯の腕がゆっくりと伸ばされる
ハレンチな! が来る!!
そう感じたリトは、思わず目を瞑り覚悟を決めてその時を待った。が────
(あれ?)
いつまで経ってもやってこないハレンチな! にリトが片目を開けた時、おでこにトンっと何かが当たる感触がした
「え…」
両目を開けて確認すると、唯がリトのおでこを人差し指で突っついていた
「え? 何だ…?」
キョトンとするリトの前で唯は顔を赤らめながら、ぼそっと呟く
「そんなヘンな事じゃなくて、もっと私の事想って…」
「え?」
「せっかくこうやって二人っきりなんだから……もっと他に…イロイロと…」
最後の方はゴニョゴニョ声ではっきりと聞こえなかったが、その気持ちや言いたい事は手に取る様にわかった
リトの下腹部に腰を沈めながら唯の腰が小刻みに揺れている
顔は赤というより紅潮していると言った方がいいかもしれない
沸騰しそうな表情で、だけど、ジッと見つめるその目にはリトだけを映している
リトは無意識に唯の腕を掴むと、そのまま体を抱き寄せた
「あ…」
短い悲鳴の後、唯はリトの上に重なった
一瞬の静寂の後、頬に感じるあったかい感触に唯は顔を上げた
「結城…くん」
いつもの様にニッと笑うリト。間近に感じるその大好きな笑顔に唯の体はポッと熱くなる
「オレ、別にヘンな事考えてたワケじゃないんだぞ」
「え…、じゃあ何を考えてたのよ?」
リトは笑みを深くすると、ギューっとギューっと唯を抱きしめた
「ちょ…結城くん!?」
リトの胸に顔を埋めながら、唯はくぐもった声を上げる
「く、苦しい! 何やって…」
「お前の事想ってた!」
「え?」
「お前の事考えてたんだって! ほかに何考えるんだよ?」
顔は見えないが、胸の鼓動の早さでリトの様子がわかる
きっと顔は真っ赤で、目だって泳いでるし、一生懸命声を出そうと必死な顔で
(結城くん…)
リトに包まれて、想われて
それだけで、唯の体は熱くなってしまう。理性が溶け、心までとろけきってしまう
起き上がろうとするリトの背中に、唯は精一杯の力を込めてしがみ付く
リトの膝の上に座りながら、唯はただ体を小さくさせていた
まるで小さな子どものように
その頭にリトはそっと手を乗せると、やさしく微笑む
「オレ、お前の事想って、考えて、それだけですげー幸せになれるんだ。この辺があったかくなる」
リトは自分の胸のあたりを手で触りながら、少し自慢気にそう言った
「うん」
うれしそうに頬を染めながら頷く唯のおでこにキスをすると、リトはそのまま唯をベッドに寝かせた
ふわっと広がる長くてキレイな髪が白いシーツにより一層、映える
下半身をもじもじさせながら、リトの事をジッと熱っぽく見つめる唯
リトは唯に覆いかぶさった
手は自然と胸へと這わされる
「ン…」
服の上から一撫でするだけで、ピクンと反応する身体
唯の身体はすでに準備万端だった
胸だけじゃない。今はどこを触られても感じてしまうほどに
服もブラジャーも身に着けている物全てが、窮屈でたまらないと思ってしまう
(結城くん…)
唯はもうリトが欲しくて欲しくてたまらなかった
ギュッと抱きしめ合って、たくさんキスをして、そして────
とろけきった心と体が唯をいつも以上に後押した
唯の手がモゾモゾとリトの下腹部へと伸ばされる
「え…」
リトの目が丸くなる
唯は下からジッとリトを見つめながら、ズボン越しにすっかり膨れ上がったモノを手で擦っていた
「ちょ…ちょ…唯!?」
唯の息は荒い。そればかりか目も熱を帯びて潤んでいる
リトはゴクリと喉を鳴らした
(マジかよ…)
あの唯が求めてきている
今まで少なからずそういった事はあったが、こんなにも直接的な事はなかった
唯は我慢できないのか、すでにベルトに手を掛けてすらいる
「ゆ、唯? お、落ち着けってお前…」
「嫌っ。私ばっかり…」
リトを見つめるその目はどこまでも真剣で、そして純粋なものだ
「…セックスしたいの」
「え?」
「結城くんとセックスしたいの」
「セ、セックスって…」
唯はリトから目を背けた
唯の顔は耳まで真っ赤になっているし、目だってもう泣き出しそうなほどだ
自分で何を言って、何をしようとしているのか唯はみんなわかっていた
わかっていても自分を止められない
寂しかった時の想いが唯の中で溢れかえっていた
寂しくて辛くて、でも今はリトがいて
たくさん想ってくれて、いっぱい好きをくれて
普段口に出せない気持ちや想いが唯を動かす
唯は止まっていた手を動かすと、カチャカチャとベルトの留め具を外していく
「唯…」
もう唯はリトの顔を見ていなかった
恥ずかしさを隠す様に、自分を鼓舞する様に、ズボンを脱がす事に必死だ
留め金はすぐに外され、ズボンのジッパーに唯の指がかかる
「も、もういいって!」
「……」
「あ…後はオレがするからさ」
唯はコクンと首を振ると、黙ってリトから手を離した
いそいそと体を起こすと、チラチラと唯の顔を見ながらリトはズボンを脱いでいく
心臓はバクバクと高鳴り、手には汗を掻いている
(何でオレこんなキンチョーしてんだ!?)
いつにない唯の行動がリトを昂らせていた
ズボンを脱ぎ終わったリトが振り返ると、唯はカバンの中から何かを取り出しているところだった
「まさかホントに使うだなんて思っていなかったわ」
などとブツブツ言いながら取り出したのは、ソファーで見たコンドームの箱だ
「セ、セックスはするけど……ちゃ、ちゃんと付けなきゃダメだからね!!」
「そんなことわかってるよ」
顔を赤くしつつ明後日の方向を見ながら箱を手渡す唯に、リトは苦笑を浮かべた
さきほどの積極的な行動がウソの様に、ベッドの上で正座しながら体をもじもじとさせる唯
そんな唯を見ながら箱からゴムを取り出していると、ふいにリトの脳裏に良からぬ事が浮かんだ
「なあ、唯」
「何?」
「コレさ、お前が付けてくれねーかな? ほら、そっちの方がうれしいってゆーかさ…」
「ななな、何でそうなるのよ!? いいから早く付けなさいよっ!」
真っ赤になりながら腕までぶんぶん振って声を荒げる唯だったが、体のうずきは収まりそうにない
下唇を噛み締め、リトの様子をチラチラと窺いながら、太ももをすりすりと擦り合わせ、必死に我慢している
「やっぱ、ダメ?」
「あ、当たり前…でしょ! そ、それより早くしなさいよね…」
消え入りそうな声で話す唯に、リトは更に突っ込んでお願いしてみる
「オレ、唯がそーいうコトしてくれたらすげーうれしいんだけど…」
「…ぅ…」
「ダメ?」
「…う…ぅ」
「ダメ?」
何度もお願いしてくるリトにしびれを切らしたのか、唯は膝立ちになると、リトのそばに寄せた
「お!」
パァっと顔を輝かせるリトに対し、咎める様に唯はその目をすっと細めた
「言っとくけど、今日だけ! 今日だけなんだから、ヘンな勘違いしないでよね!!」
「わ、わかってるけどさ、やっぱうれしいっつーか…」
引きつりぎみの笑みを浮かべながらも、リトはなんだか本当にうれしそうだ
「それにほら、前までお前ってこういうの嫌いだったのにさ、
ちゃんと避妊とかまで考えてるって事は、お前もしたかったって事…」
四角いビニールの袋を破りながら中身を取り出そうと、それまで黙って聞いていた唯の手がピタっと止まる
「そ、そんなワケないでしょ!? これはお兄ちゃんが入れた物だって、何回言わせれば気が済むのよっ!!」
「そ、それはもうわかってるって」
「わかってないわよ! じゃあ、どうして私がそんなハレンチな事したいだなんておかしな事言うワケ?」
「へ? だって、ホントに嫌ならウチに置いて来るか、途中のゴミ箱にでも捨てればいいじゃん?
でも、捨てずに持って来たって事はやっぱ…」
リトの一言一言に唯の顔がみるみる赤くなっていく
そうなのだ
結局、捨てずにここまで持って来てしまった唯
本当は下着だって、お気に入りのまだ一度も付けていないものだった
リトはまるで気付いた様子はなかったが
唯は自分の気持ちを誤魔化す様にビニールの袋を破くと、いそいそとリトに詰め寄った
「唯?」
「い、いいからもっと寄りなさいよ」
「あ、ああ」
ずいっと目の前に出されたリトの反り返ったモノに唯の顔が自然と引きつる
何度も見てるはずがまるで慣れない
鼻に付く牡の匂いに、ビクビクと脈打っている太い血管の数々
「うぅ…」
見ない様に見ない様にと唯は、リトの亀頭にコンドームをかぶせていった
薄いゴムがピッタリと肉棒に張り付き、まるで付けていないかの様に、わずかなゴムの光沢を見せている
(な、な、何でこんなモノ……お兄ちゃんのバカーー!!)
心の中でそう叫ぶも、上から感じる視線に唯はハッとなる
「あ…あのさ唯、これって…」
「ち、違うの! 私が選んだんじゃなくてお兄…」
「わかってるって! だからそんな大声で怒んなよな…」
唯ははいお終い! とばかりにリトにそっぽ向けるとムスっと顔をしかめた
甘えたり、拗ねたり、求めてきたり、怒ったりとリトのする事全てにコロコロと変わる唯
(また怒らしたのかな?)
リトはそっと唯の腕を掴むと自分に顔を向けさせる
「……何?」
「その……しよっか?」
唯は何も返事をせず黙ってリトの顔を見つめた後、ベッドに体を寝かせた
「唯?」
唯は視線だけをリトに向けた
「ゆ…」
その視線はリトから全ての言葉を奪い取っていった
そこに寝ているだけの唯にリトは純粋な美しさを覚える
可愛くて、綺麗で、怒りんぼで、そして少し甘え下手で
高鳴る気持ちそのままにリトは唯に体を寄せた
ハイソックスに包まれた足を持つと、唯は緊張からか少し体に力を入れてしまう
リトは緊張をほぐす様に、何度も唯の足や膝小僧を舐めていく
「ン…」
次第に力が抜けていき、リトはその隙を付いてゆっくりと脚を広げていった
薄く口を開ける割れ目は、さっきの愛撫で、すっかり入口をヌラヌラと光らせている
リトが身体を寄せると、とろりと割れ目から密が溢れて来た
まるで早く欲しいと言わんばかりに
リトは一段と大きくなった肉棒を手に持つと、入口に近づけていく
近づく感触がわかるのか、唯の息が荒くなっていく
肉ヒダに先端が触れると、ヌチャっと愛液が糸を引いた
(もうグチュグチュになってる)
リトは手を動かすと、割れ目に沿って先っぽを擦っていく
「ん…あ」
ピクピクと震える唯の下半身
溢れた愛液でリトの先端はどんどん濡れていった
「ゆ…結城くん…」
もじもじと体を揺らす唯。もう待てないのか、その顔は苦悶に歪んでいる
「もぉ、焦らしちゃやだァ」
「…わ、わりィ。じゃあ入れるな?」
「あ…う、うん。ゆっくりね!」
中編終わり
後編は夜に投下します
連投すまん
>>660 地の文ですね。すいません普通に勘違いレスしました
セリフ回しばかり気を取られて、そういうところには手が回ってない証拠ですね
まだまだ全然勉強不足。もっと精進してきます
うおおおお〜!
焦らさないでくれ(笑)
後編期待してます
後編が投下されると容量もいっぱいになるっぽいな。
しかし濡れ場が前よりもねちっこくなっててエロス。
>>659 今回始めて猿山に感謝したのは俺だけではないはず
皆に無知を知られないよう小声で訊きたいのだけど
いっぱいになる容量って、なんのこと? まとめwiki?
未成年はきちゃだめだろ?
あえて言うならググれカス
そうした。成る程ね。500KB以上だと書き込めなくなるのか。
寡聞にして知らなかったよ。
調べもせず尋ねた非礼はIDに免じて容赦してくれ
むうう萌えぇぇぇん
か。
良い。許す。
>>686 しかし告白失敗するところが猿山クオリティかw
告白した瞬間に元に戻ってたら完全にやばくなるだろうがなwww
あんまり容量食うようならtxtであげてほしいなぁ
ここにおける容量オーバーによる次スレ移行は繁栄の証よ?
管理人さん早く保管庫にっ・・・・!前の方見逃して51以上前に入ってしまったんだ早く・・・・・!!
唯の返事を待つと、リトは入り口を広げながらゆっくりと挿入していった
「あ…うぅ…」
唯の手がシーツを握りしめる
久しぶりの感触に体が痛みとも気持ちよさとも取れる感覚を唯に伝える
「大丈夫か?」
「へ…平気!だから…このままお願い!」
少し苦しそうな唯にリトはためらいがちに腰を動かしていく
「ん…ぁ…ふ…」
本人の苦しさとは裏腹に、膣内はキューっとリトを締め付けていった
膣壁が波打ち、リトを奥へ奥へ導こうと急かす
「や…やばッ」
背中にゾクゾクと電気が走った
まだ半分しか入れていないのに、リトは早くも射精感が込み上げて来てしまう
少し不安そうに見つめる唯に愛想笑いで応えるリト
だが、込み上げる欲望と、その焦りで、リトは一気に挿入してしまった
「あっ…くぅ」
唯の腰はビクビクと浮きあがり、半開きの口からは涎がこぼれ落ちている
「わ、悪い!」
咄嗟に引き抜こうとするが、それが仇となってしまう
「ん、ン…あぁあ、あ」
カリが唯の敏感な部分を擦り上げ、竿全体が肉壁をめくり上げる
一度の出入りだけで二度絶頂してしまった唯の身体は悲鳴を上げた
「は…はぅ、は…ぁ…」
シーツには唯の爪痕が刻まれ、その身体は小刻みに震えている
亀頭だけを膣内に残したリトの竿は、唯の本気汁で白くテカっている
「だ…大丈夫か?」
身も蓋もない言葉をかけるリトに、唯は震える口でなんとか返す
「バ…バカぁ」
手を伸ばそうとするも途中でふにゃんと折れてしまう
痙攣を繰り返す体には、まったく力が入らないのか、口元からとろりと唾液が滑り落ちた
リトは唯に覆いかぶさると、舌を使ってその唾液を掬い取り、そのまま口内へ持って行く
「ん…あふ」
突然のリトの行為に、唯は最初戸惑うも次第に舌を絡ませ始める
「ん、ちゅ…ぱぁ…ンン…はふ、ン…」
いつしか手を繋ぎ、指を絡ませ合いながら互いの口を貪るリトと唯
唾液の糸を何本も引かせながら、リトは唯から離れる
「やっぱ、お前の口ってすげーうまい」
「…ヘンな事言わないの」
唯はハニカム様に頬を染めると、口元についた唾液を指で取り、それを舌の上に這わせた
小さくクスっと笑う唯
淫靡さの中にすらある唯のたまらなくかわいい笑顔にリトの理性は崩壊する
リトは自分のモノを手にすると、唯の顔を見ながらその位置を確かめる様に何度も入口に押し付ける
「ン…あっん、そこ…違う」
「ここ…?」
唯はコクンと首を振ると、リトの首に腕を回した
ヌプヌプと音を立てて熱い肉棒が膣壁を押し広げていく
「あ…ン、うぅ」
再び感じる苦痛と快楽がごちゃ混ぜになった感覚
唯はリトを抱きしめた
「今度は大丈夫だから!ちゃんとするよ!」
「…当たり…前でしょ。優しくしなきゃダメだからね!?」
息を切らせながらも普段と同じ様に振る舞おうとする唯に、リトは苦笑した
リトのモノが根元近くまで入っていく
その動きに合わせる様に、唯はリトを上に乗せながら大きく深呼吸した
首にあたるリトの荒い息
すぐにでも打ち付けたいのか、リトの腰はぶるぶると震えている
「す…げー! お前の中、ピクピク痙攣しっぱなしだぞ?」
「ゆ、結城くんが乱暴にするからでしょ!?」
そう言いながら唯は足をずらすと、リトの腰にゆっくりと回していく
お尻に感じるハイソックスの感触にリトは顔をニヤケさせた
「動くな?」
「う…うん」
唯が言い終わるより早くリトは腰を動かした
パチュン、パチュンと卑猥な音を立てながら、リトは唯の中を掻き回していく
ネットリとした愛液と肉壁が出て行こうとする肉棒に絡みつき
また入ってくる肉棒を今度は離さないように締め付ける
「あ、あ…ふっ…や…」
リトが動く度に、唯の声がどんどん高くなっていく
リトを抱きしめる腕に力がこもり、その体を離さないように締め付ける
唯の腕と膣の抱擁に、リトは唯の首筋に顔を埋もれさせながら幸せいっぱいに笑った
「すげェ……気持ちよすぎ! 全部持って行かれそうになっちまう」
リトは手を伸ばすと、唯の頭をギュッと抱きしめる
「唯…」
「ン、あふ…あっ…あっ」
唯の体がますます熱を帯び、背中に回した腕に力がこもる
「あぁっ…あぁん…いい…わよ」
「え?」
「結城くんの好き…に動いても」
リトは腕に力を入れると上体を少し起こす
「いい…のか? その、好きにしても?」
唯はしばらくリトの顔を見つめた後、ふいっと顔をそらした
「そ…そんな事、聞き返さないでよ…」
ほんのりと赤くなっている唯に苦笑すると、リトは唯のおでこにキスをする
「ん!」
離れていくリトを名残惜しげな視線で見つめる唯
唯はリトのぬくもりが残る体を服の上から指でなぞっていく
その仕草がリトにはとても艶かしく映った
唯の細い腰を両手で掴むリト
もう繋がっているだけでは満足できない
キスも抱擁も甘い言葉でも
唯を内から外から、唯の全てを貪りたいと思った
ゆっくり入口ギリギリまで引き抜くと、今度は勢いを付けて突き入れる
「うっ…くぅぅ…」
一回動くだけで唯の口から高い声が上がった
とろけきった目に、上気して赤くなった頬
握りしめた手も、たぷたぷと揺れる胸も
久しぶりの感触というより、全てが新鮮に感じる
リトは夢中になって腰を打ち付けていった
「結城…くん」
「ん?」
リトは腰の動きをゆるめると唯の顔を覗き込む
「どした?ひょっとして痛かったとか?」
「ち…違…そうじゃなくて…」
「へ?」
唯は胸に手を当てると言い難そうに頬を染めた
「ムネ…ちょっと窮屈だから服、脱ぎたいの」
「え!? あ…ああ! わ、わかった」
リトは慌てて唯から離れようとするが、ふと何かを思い付いたかの様に動きを止めた
「何なの?」
「あのさ、オレが脱がすのってダメ?」
「え!? あ…あなたが!?」
ニコニコと楽しそうに笑っているリト
そんなリトを少し訝しむも、唯は小さく首を振った
リトは再び唯の覆いかぶさる
「じゃあ、オレの背中に腕回して?」
「こ、こう?」
言われたとおりに腕を回す唯に頷くと、リトはそのまま唯を抱えて体位を変えた
「キャ…ちょ…結城くん!?」
腕の中で慌てる唯を強く抱きしめると、リトはベッドの上に座りなおす
上と下から、向き合う形の対面座位に
「もぉ、するならするでちゃんと言ってよねっ!」
「わ、わりィ」
悪戯っぽく笑うリトに唯は鼻を鳴らすと、背中に回していた手をリトの肩に乗せた
強がっている反面、唯の顔は歪んでいる
体位を変えた事により、あたる角度も感じ方も変わる
反射的に腰を浮かしているが、唯の下腹部は早くも限界なのかぶるぶると震えていた
リトは唯のくびれの部分に手を当てる
「ん…くっ」
「我慢しなくてもこのまま腰沈めろって!」
「が、我慢とかじゃないのっ」
間近でムッとリトを睨むが、いつものような怖さは微塵もない
すぐに顔が歪み、肩に置いた手が震えだす
「ゆっくりでいいから」
「…うん」
リトに後押しされる様に、唯の腰がゆっくりと沈んでいく
「あ…ふぅ」
さっき以上に奥へと入って来る熱い肉の感触に、唯はギュッと目を瞑った
ズプズプと肉壁を押し広げて入ってくる肉棒は、やがてもう一つに入口にあたる
コツっという音と共に、唯は体を仰け反らせた
「あはぁ…あた…あたって…」
「オレのちゃんとあたってる?」
コクコクと何度も首を振って応える唯
リトは笑みを深くすると、腰から背中まで唯の身体を撫で回した
ふるふると震え出す唯の体
「結…城くん、お願ぃ…だから、服脱がして! 体が熱くて…」
肩に置いた手にはすでに力が入っておらず、枝垂れかかる様に唯はリトの胸に頭を乗せていた
リトの手がするすると服の中へ入っていく
背中に感じるその手の感触に唯は息を熱くさせた
「手、バンザイして」
唯は言われたとおりに腕を上に上げた
服を脱がすと、その下からショーツとお揃いの柄をしたブラジャーが現れる
フリルとリボンの付いた可愛らしい白い色のブラ
それをジーっと見ているリトに何を思ったのか、唯は顔を真っ赤にしてリトに噛みつく
「い、いいでしょ別に!? 私だって…」
「ちょ…何も言ってねーだろっ!!」
フンっと鼻を鳴らしてそっぽを向く唯
(ったく…)
リトは半眼になりながら背中に手を回すとホックに指をかける
「で、取っていいのか?」
「……好きにしたら」
まだ機嫌が直らないのか唯の声は相変わらず尖ったまま
そんな唯の顔をしばらく見つめた後、リトはホックを外した
ポロリと外れるブラの下から、少し大き目だけれど、形の良い、白くて柔らかそうな胸が現れる
瞬間、ぽぉ〜っと唯の頬が熱を帯びる
唯は恥ずかしさで顔をしかめた
リトはその横顔を見つめながら、乳房へと口を近づける
「…ムネ、舐めていい?」
「ダメ…」
短くて熱のこもったその声を無視する様に、リトは乳房へと吸い付く
「あ…ふっ…」
胸の一番敏感な部分へ吸い付くリトに、唯の肩は小刻みに震える
すでに赤く充血している乳首がリトの舌で転がされる
レロレロと舌で転がしたかと思うと、リトはいきなりむしゃぶり付いた
母乳を飲む様に乳首を吸い上げ、舌で何度も乳輪に円を描いていく
唾液でヌラヌラと濡れる乳房
リトは反対の胸に手を這わせると、思う存分揉みしだいていった
手の平の中でたぷたぷと揺らしながら、強く優しく弄ぶ
上下左右に弄られる乳房に、しゃぶり続けられる乳首
唯の口から自然と甘い声がこぼれ、太ももをもじもじとさせる
下腹部を休ませているリトを促す様に
リトの腰がそれに応える様に、少しずつ動いていった
結合部からはヌプヌプと卑猥な音が鳴り、唯の体は上下に弾む
「ンあ…く…ぅ、ああ…」
パチュン、パチュンと肉と愛液が絡み合い二人を昂らせる
リトは胸から離した手で、唯の腰を掴むと、更に奥へ深く突き入れていく
「ゆ…結城、くん! 深…あたって…あふぅ」
コツコツと子宮口に当たる度に唯の体は小刻みに震える
「お、奥…ダメっ! ダメぇ…結城くんっ!!」
「何だよ? もっと、もっと?」
「違…ンン!」
下腹部を襲う強烈な刺激に我慢できなくなった唯は、リトの首に腕を回し、その体を抱き寄せる
ムニュっと両頬に伝わる柔らかい乳房
胸の谷間を伝う汗を舌で舐め取ると、唯はますます腕に力を込めリトを抱きしめた
「あ、あのさ、これ気持ちいいんだけどさすがに苦しいってゆーかさ…」
胸に顔を埋めながら、くぐもった声を出すリト
唯はリトを抱きしめたまま、何も答えない
快感に全身を支配され、それどころではないようだ
(って全然、聞いてねー…)
それをいい事に、腰から離れたリトの手がするすると結合部へと伸ばされる
剥けた肉皮から顔を覗かせている赤く充血したクリトリス
チラリと上目遣いで確認するも、唯は気付いていない
リトは指の先で軽くクリトリスを押した
「ひゃっ…」
ビクンとリトの膝の上で、唯の体が跳ねる
リトは小さく笑うと、親指でグリグリとクリトリスを押しつぶしていった
「ああぁあ…くぅぅ…ンっ」
唯の中でいままで以上の波が全身に広がっていく
リトを抱きしめるその手がぶるぶる震え、奥歯がカチカチ鳴り出す
「ゆう…結城くん、やめ…それやめてぇ! ダメぇっ!!」
下腹部に集中する激しい刺激が唯の理性を溶かしていった
一瞬力が抜け、そのまま後ろのベッドに倒れようとする体を、なんとか後ろに手を付くことで防ぐ唯
角度の変わった体勢が、唯に新しい波を与えていく
奥へ奥へと子宮口を責めながら、リトは人差し指でクリトリスを転がしていく
ぐちゅぐちゅと肉棒が突き入れられる度に、秘所から白くなった蜜がシーツを汚していった
「す、すげーやらしい…」
ヌラヌラと輝く結合部にリトはゴクリと唾を飲み込んだ
「丸見えになってる。オレとお前のが」
「え…?」
口から涎をこぼしながら唯は、何気なくリトの見ている方へ視線を辿っていき────
とたんに火の出た様に顔を真っ赤にさせてしまう
少し唯の体が後ろに下がることで、二人の間に空間が出来き、結合部が丸見えになってしまっていた
「見える? オレのと繋がってるとこ」
「こ、こんなのハレンチすぎるわっ!!」
声を大きくさせて視線をそらす唯に、リトはぷっと吹き出す
「でもお前、腰動かすのはやめないんだな? すげー気持ちよさそうな顔してるぞ?」
「うぅ…」
唯は苦い顔をしながら、そっぽを向く
「気持ちいんだ?」
ギュッと目を瞑ってリトの言葉をやり過ごす唯
けれど体は正直だ
こんな時ですら、もっと、もっととリトを要求して止まらない
次第に、唯の口から嬌声が上がる
「すげーハレンチな声」
クスっと笑うリトに顔を耳まで赤くさせる唯
「違…違うの! これはっン…く違っ…」
シーツを握りしめる手に力が入る
快感と羞恥心が唯の体をどんどん昂らせる
ぞわぞわと膣壁が蠢き、竿を離さないように締め付けていく
腰をガクガクと震えさせる唯に、リトも額から汗を垂らしながら笑みを浮かべた
「もうイきそう?」
顔を赤くさせながら口を結ぶ唯
けれど、その目はチラチラとリトを見ては何か言いたそうだ
リトは溜め息を付くと、腕を伸ばし、唯の体を抱き寄せた
「ホラ、これでいいんだろ?」
リトにその身を抱きしめられ、その肩に額を乗せながら唯は小さく頷いた
「オレも。もうイきそう」
「う、うん」
唯はリトの首に腕を回してしがみ付くと、足を腰に回し、体をぴったりくっ付けて離れない様にする
胸板に柔らかい胸が押し付けられ、体が下から突き上げる度に、上下左右に形を変えていった
耳に直接聞こえる、唯の喘ぎ声
とろける様な甘さの中に熱がこもっていて、その声で必死にリトの名前を紡ごうとする唯
リトの中で我慢して抑えていた欲望が鎌首をもたげる
「も、もう出そう…」
「え? あ…ま、待って!」
何? と目で聞いてくるリトに唯はぽそぽそと小さな声で呟く
「キ…スし…」
「へ?」
「う…ぅぅ……キ、キスしながらじゃないとダメ」
狂いそうになる快楽の中、唯は目をギュッと瞑ると大きな声で口した
恥ずかしくて隠れたくなるほどの自分の気持ちを
今だって真っ赤になった顔をリトの首筋にうずめながら、必死にリトの返事を待っている
そんな唯にリトは屈託ない笑みを浮かべると、頭にそっと手を置いた
「オレもお前とキスしたい」
「え?」
ゆっくりと顔を上げた唯は、恥ずかしさで目がうるうるとなり、口だって小さく震えている
まるでいけない事を言ってしまった子どもが、怒られてしまうのではないかとビクビクしているかの様に
そんな唯の頭を撫でながら、リトはやさしく笑いかける
「キスしよ? 手も口もあそこも全部お前と繋がったままがいい!」
「…う……うん! うん!」
何度もコクコク首を振る唯にクスっと笑うと、リトは唇を重ねた
舌を絡め合い、唾液を交換し、口内を貪り
それらが結合部から聞こえる水音と合わさり、二人を淫靡に染め上げる
お互い口を離すと、おでことおでこをくっ付け合って、至近距離で見つめ合う
「ぷは…はぁ…んっは…ぁ…」
「…またキスする?」
とろんとなった顔のまま、唯は「うん」とだけ返事をした
顔を近づけながらリトはふと気づいた事を口にする
「思ったんだけどさ、キスはできても、手を繋ぎながら抱き合うのはムリ…だよな?」
「……なんとかしなさいよ」
「ムチャ言うなって」
苦笑いを浮かべるリトだったが、思いついた様に声を明るくさせた
「じゃあ、一回目はギュッと抱き合いながらしよ?手、繋ぐのは次って事でいいか?」
「…まだするんだ?」
「ダメ?」
バカ! っと小さく呟くと、唯はリトの体をギュッと抱き寄せた
胸に当たるやわらかい感触、火照った白い肌にしっとりと光る汗、
ほのかに香る唯の匂いに、リトの顔はほころぶ
「やっぱ最高」
「何が?」
「ん? いろいろだよ!」
「何よそれ? どうせまたおかしな事考えてるんでしょ?」
「ハハ…」
図星を付かれてつい苦笑い浮かべるリトの耳に手を伸ばすと、唯はギュッと耳を引っ張った
「い…いてぇ! ゆ、唯!?」
「おかしな事考えないでちゃんとしなさいよ! 私……もうガマンできないんだからぁ」
「そだな! オレももう…」
休めていた腰を再び動かすと、それに呼応するかの様に唯の腰を動いていく
すぐに忘れかけていた欲望が首をもたげ、リトは奥歯を噛み締めた
狭い膣の中でどんどん大きくなるリトの感触に唯の腰がガクガクと震える
「あ…ふぅ…結…城くん、結城くん…」
「唯…唯…」
互いの名を呼びながら、背中に回した腕に力をこめて抱き合う
苦しいけれどうれしくて、幸せで
ベッドをギシギシと軋らせながら、お互いを求める手は離さない
「唯…オレもう…」
「ん…うん! 私も…い、一緒に……一緒がいいのぉ…」
リトの腕にさらに力がこもると同時に、膣内がざわざわと蠢きリトをギューっと締め付けた
「結城…くん!! あ…ふ…あぁ…ぁあああ」
「で、出る!!」
ビュクビュクと勢いよく飛び出た欲望はゴムの中に溜まり
リトは腰を痙攣させながら荒い息を吐いた
「はふ…はぁ…は、は…ぁ…すごく…熱い…結城くんの…」
薄いゴム越しに伝わる熱い感触に、唯の口から涎がとろりとこぼれ落ちる
腰はビクビクと痙攣を繰り返し、体の震えは止まらない
「平気か?」
焦点が定っていないかの様にぼぉーっとなっている唯にリトは体を寄せた
断続的繰り返される荒い息遣いに、小刻みに痙攣を繰り返す下腹部
心配そうにジッと眺めるリトに、唯はゆっくりと向き直ると、本当に小さく笑った
「……結城くん、キスして。いっぱいギュってして」
一瞬、目を丸くさせたリトだったがすぐにニコッリ笑うと、薄く開いたままの小さな唇にキスをした
「ン…ん…ん」
汗で濡れる唇はいつもと違い少ししょっぱくて、抱き寄せた体はしっとりと濡れていてあたたかい
舌も愛撫もなにもない、ただ、余韻を味わうためだけのキス
顔を離した二人はどちらともなく、くすぐったそうに笑った
指で髪の毛を梳きながら、手で背中を撫でながら、ほっぺたにキスを繰り返しながら
二人は互いの顔をジッと見つめた
お互い肩で息をしながらも、恍惚な表情を浮かべている
唯はチラリと視線を下に向けた
まだリトと繋がっている結合部。そして、ビクビクと脈打っている熱い感触
「まだビクビクしてる…」
「ゴメン、久し振りだから…」
バツが悪そうな顔をするリトに、唯はクスっと笑いかける
「でも、気持ちよかったわよ。私も」
「唯…」
照れた顔を見られまいとリトを抱き寄せると、唯はその余韻を楽しむ様に、
リトの匂いで胸をいっぱいにさせた
ケータイを耳に当てながら、美柑は顔をムスっとしかめた
リトへの電話はこれで五回目
ちっとも出る気配のない兄に、美柑は電話口の向こうに愚痴を吐く
「ねェ、また出ないの?」
「…うん」
美柑はケータイを閉じると、隣を歩くララに向き直る
「ダメ。全然でない」
「む〜…何やってるのかなァ。リト…」
「ホント、何やってるんだか」
美柑は可愛い眉を寄せると、ふいにララの手を取って歩き出した
「いこ! ララさん」
「え? いいの? だって今日…」
ララのくもりがちな声に美柑は思わず表情を崩してしまう
今日は美柑の案で、久しぶりにリトの好きな夕食にしようと買い物に来ていたのだが
リトの好きなメニューが多すぎなため、本人に今日は何食べたい?
と、それとなく聞こうとさっきからケータイを鳴らし続けていたのだが……
一度止まりかけた足を再び動かすと、美柑はララを連れてさっさとデパートから出て行こうとする
「美柑…」
「い…いいの! いいの! ほっとこ!! あんなヤツ…」
「む〜…リト何してるのかな……」
ララは美柑に手をぐいぐい引かれながら、俯きぎみのその横顔を見つめた
「や、めっ…ぁ…も、もう、限界だって…」
唯のお尻を両手で揉みながら、リトは夢中で腰を突き入れる
前後に体が揺さぶられる度に、唯の胸がたぷたぷと震えた
「ゆ…結城、くんっ!! あ…ふ…ああぁあ」
リトの方を振り返るも、下腹部を襲う電流の様な波に唯はギュッと目を瞑った
もうこれで何度絶頂を迎えたかわからない
何度体位を変え、何度白濁した欲望をかけられたか
床には拭き終えたティッシュがいくつも転がり、汚れたコンドームがヌラヌラと輝いている
リトも唯も、互いの体を心を貪るように交り続ける
腕から力が抜けていき、唯の上体はくてっとベッドに沈みこんだ
下半身はリトに支えられたまま、ビクビクと痙攣を繰り返している
「は…はふ…はぁ…」
汗に濡れた前髪をおでこに張り付かせながら、全身で息をする
唯はゆっくり首を動かすと、後ろのリトに視線を向けた
自分を心配そうに見つめるリトは、それでも「動いていい?」と言わんばかりの顔をしていて
「も…もうムリよ…。これ以上はホントに…」
消える様なか細い声がリトに聞こえるはずもなく、リトはゆっくりと再び腰を動かしていった
「ん…くぅ…」
また唯の体にざわざわと波が波立ち始める
敏感になっている膣内は容易に唯を昂らせた
「結城…くんっ! まだダメ…ダメだってばっ!!」
ギュッとシーツを握りしめる唯
ぐちゅぐちゅと肉棒が膣内を掻き回していき、結合部から精液と混じり合った愛液がとろりとシーツに滴る
「結…城くん、嫌ぁ…こんなカッコでするのぉ…ン…」
リトは後ろから唯の中に突き入れながら、顔を歪ませる
「こんなカッコって犬みたいなって事?」
唯は息も絶え絶えに首をコクコクと動かす
「なんか犯されてるみたいで?」
「そんな…ン…ン…」
奥歯を噛み締めて何も応えられない唯に代わって、膣内がキューっと蠢く
「お前の膣内、あったかくって、ギュウギュウ締め付けてきて、すげー気持ちいい!!」
すでにコンドームは付けていない
生のままの感触が唯の膣をさらに刺激し、悦びの声を上げさせる
リトは夢中になって腰を動かし、唯の中を掻き回していった
汗でしっとりと濡れた唯の背中には、長い黒髪が張り付き
汗の珠が唯の頬を伝ってシーツにポトポトと落ちていった
リトは上体を屈めると、舌を出し、唯の背中を首筋から腰のラインまで一気に這わせていく
「ひゃ…あぁ…」
ビクンと大きく唯は背中を仰け反らせた
「お前の背中、汗の味がしておいしい」
「バ…バカぁ、何言って…」
震える声でなんとか返すも、すぐに来る快感の波に唯の腕はぷるぷると震える
リトは背中に何度もキスを繰り返しながら、伸ばした手で、唯の胸をたぷたぷと揉み始めた
「や…め…ン、ンン…あぁ…」
手の平全体で揉みしだき、二本の指で乳首を摘み、コリコリと弄るリト
「お前のムネ、やわらかくて気持ちいい…」
耳元でそう囁くリトに、唯はギュッと目を瞑った
「もっと揉んでいい?」
「ダ…メぇ…」
リトは背中にもう一度キスをすると、唯の胸の前に腕を回し、その体を抱き掛かると横にゴロンと寝そべった
「な…結城くん!?」
突然の事に少し不安な声を上げる唯
シーツに擦りつけた左頬を上げると、視線だけをリトに向けた
「大丈夫だって! ちょっと姿勢変えただけだからさ」
「う…うん」
背中に当たるリトの胸のぬくもりに唯は少しずつ平常を取り戻していく
「動いていい?」
「ゆ…ゆっくりね?」
リトは唯の後ろ髪を掻き上げると、赤く上気した右頬に軽くキスをした
それが合図だったかの様に、リトの腰がゆっくりと動き出す
角度の変わった挿入に、初めての体位が二人の感度を上げていく
鼻孔をくすぐる髪の匂いを胸いっぱいに吸い込むと、リトは再び胸に手を這わしていった
ムニュムニュと柔らかい肉感に、今は火照った温かさが加わり、リトは手の中で思う存分乳房を揉みしだく
「結城…くん……結城くん…ン、ンン」
息を切らせながら何度も自分の名前を呼ぶ唯に、リトはくすぐったい様な笑みを浮かべた
たまらく可愛いと思うと同時に、もうこれ以上離れたくない、離したくないと感じる
リトは両腕でギュッと唯の体を抱きしめた
その体を強く強く抱きしめながら、リトは夢中で腰を振った
痛いほど締め付けるリトの抱擁に、唯の口から苦悶の声がこぼれる
それでも唯は嫌だとは言わなかった
眉を歪め、奥歯を噛み締めながら、ただ、リトに身を任せる
ジュプジュプと繰り返す肉の出し入れに、シーツには大きな染みが広がり
触れ合う胸と背中には、汗がネットリと光っている
全身を体液で染めながら、二人は互いの体を貪り続けた
リトは腕を解くと、唯の太ももに手を伸ばし、右足を持ち上げる
「や…あ…ぁ」
とたんに唯の口から嬌声が上がる
「な…何して…」
「これでもっと奥まで届くだろ?」
頬に当たるリトの熱い息遣いに唯は顔を歪めた
リトは見せつける様に股を広げさせると、深いところまで突き入れていく
「ン…ンン…ああぁあ…」
噛み締める様に我慢していた唯の口から、どんどん卑猥な声が溢れ出す
亀頭が子宮口をノックし、戻る時のカリが唯の敏感な部分を擦っていった
堪らずリトから逃れる様に、体を捩る唯
リトは逃すまいと腕に力を込めて動けない様にする
動けない体に下腹部を襲う電流の様な波。唯はどんどん感度を上げていく
ゆっくりとした動きから、激しい動きへと変わったその変化に、体が過剰に反応する
下腹部を襲う震えは、次第に上へ上へと広がり、唯は全身を激しく痙攣させた
「か…ふぅ…ああぁあ」
一突き一突きがまるで絶頂を与えるような感覚
リトの先端が子宮口を押し広げ、更に中に入ろうとする
(ウソでしょ……結城くんのが…これ以上…)
リトの腕を掴む唯の手に力がこもる
耳に直接聞こえるリトの自分の名を呼ぶ声
(結城…くん…)
白くとろけていく意識の中、それでもその声だけははっきりと聞こえる
唯は自分の指をリトの指に絡ませていった
「唯?」
「…手、繋ぎたい。結城くんの顔、見えないから」
ぼそっとそう呟いた唯の顔は耳まで赤くなっていて、リトは小さく笑みを浮かべた
「じゃー手、繋ごっか?」
「…うん」
リトに背中から抱き締められながら、小さくなる唯
リトはそんな唯の肩に二度三度とキスを繰り返すと、唯から肉棒を引き抜いた
「え…」
離れていくその感触に唯は目を丸くさせた
「結城くん…?」
顔をぽかんとさせる唯に笑みを送ると、リトはその場で脚を伸ばしながら座った
「ほら、おいで唯」
「うん…」
唯は立ち上がるとリトの腰を跨ぎ、自分の腰をゆっくりと沈めていった
「自分でする?」
「結城くんがしなさいよ……今だってすごく恥ずかしいんだからね」
ぼそぼそと文句を言いながらも決して拒もうとしない唯に、リトは苦笑を浮かべた
手をスッと伸ばして、割れ目をゆっくりと広げていく
秘所からこぼれた愛液が唯の太ももをつーっと伝っていく様子に、リトの喉に唾が落ちていった
「じゃ、じゃあ入れるぞ?」
「うん…ン、ンぁ」
短い返事を待たずして、リトは唯の腰を深く沈めていく
すぐに亀頭を咥えこんだ入口は、そのまま残りの竿を咥えようと収縮を繰り返す
「ゆ…ゆっくり…してぇ…」
少し体を硬くさせる唯のお願いに応える様に、リトはゆっくりと唯を導いていった
相変わらず唯の中は狭く、奥へ入っていく度にギチギチと締め付ける
「入っ…たァ」
「うん。お前の中すげー気持ちいいよ」
リトのその言葉に唯はハニカム様に小さく笑った
「唯、手」
「ん…」
伸ばした手と手が触れ合い、指と指とが求め合うように絡み合う
互いを見つめ合いながら、その間を埋める様に、手を握り合う二人
「動いていい?」
「うん…」
リトは勢いをつけて奥に竿を突き入れていく
「あ…ふぅ、あぁあ…」
握りしめる手に力がこもり、唯の体は上下に跳ねた
「おくぅ…奥にあた…ンン…あぁあ」
「奥がいいんだ?」
「だって…こんな…ン…くぅ」
唯の反応に、リトはますます昂る自分のモノを突き入れていく
「ダ…メ…ダメぇ! 奥ばっかり私…ンっ」
「お前の中、ずっと痙攣しっぱなしで、すごい」
「結城くんが…何回も何回も私の事…ン…イジメるからでしょ!?」
リトは少し口を尖らせている唯の手を引っ張ると、腰をぐっと引き寄せる
ヌチャっと音が鳴り、結合部から白濁した本気汁がとろりと溢れ出す
痙攣を繰り返す唯の奥歯は、すぐにカチカチと音を立て始めている
リトは子宮口を押し広げる様に、奥へ奥へと肉棒を突き刺していった
子宮に直接響くリトの肉棒に、半開きになった唯の口から涎がこぼれ落ちる
「かぁ…やめ…ぁ…ああぁあ」
唯の下半身は痙攣を繰り返し、力が抜けた足はだらしなく伸びきっている
パチュ、パチュと水音を鳴らしながらリトは腰を打ち付ける
リトが動く度に、前後左右へたぷたぷと波打つ胸
「す…げェ、お前のムネさっきからムチャクチャ揺れてる」
口の端に笑みを浮かべながら、リトは込み上げる射精感に眉を歪ませた
「もう…出そう」
唯は視線だけをリトに向けた
「お前の中に出したい」
突然、唯の手がリトの手から離れていった
「え?」
キョトンとするリトに唯は何も言わず両手を伸ばす
「唯?」
顔を赤くさせながら、もじもじと体を揺する唯にリトはクスっと笑った
リトも同じ様に両手を伸ばすと、その細い体をギュッと抱き寄せる
「ホラ、これでいいんだろ?」
リトの背中に腕を回しながら、唯はコクンと頷いた
触れ合う頬が唯が赤くなっている事をリトに伝える
(フツーに言えばいいのにホント、こいつは…)
「動いて…」
「ああ。でも、これじゃあ中に出しちゃうけどその……いいのか?」
リトを抱きしめる腕に力がこもり、次第にリトの腰に足を絡ませていく
「え…ちょ…」
「…ちゃんとしなさいよ?」
「え?」
唯は体を少し離すと、真っ直ぐにリトの事を見つめた
「ちゃんとしなきゃダメだからね?」
「ちゃんと?」
それは結婚?責任?それとも別の────
リトを映す唯の目には強い想いが宿っている
リトはコクっと首を振ると、その背中に腕を回し、再び唯をギュッと抱きしめた
数秒で抑えていた射精感が戻ってくる
耳元に聞こえるリトの荒い息遣いに、唯もそれに重ねる様に息を荒げた
リトのモノが膣内でさらに大きくなる
「ン…く…ぅ」
首筋に回した腕に力がこもり、唯は両手をギュッと握りしめた
リトの腰の動きが速くなる。後はもう欲望を吐き出すだけ
唯と呼吸を合わせる様に、唯を促がす様に
肉と肉がパンパンと合わさり離れていく
一瞬ごとに二人の気持ちを昂らせた
「唯…オレ、もうイきそう…」
「う…うん! 私も!!」
リトは唯の奥まで腰を突き刺すと、その中へ欲望を吐き出した
「あ…ふ…ぅ…ン、ンぁああ…」
子宮の壁を叩く精液の奔流に、唯は二度三度と腰を浮き上がらせた
「あ…あ…ぁ…出て…出てる結城くんのが中で…出てる…」
ビュルビュルと勢いよく出た欲望が子宮内に入っていく
膣どころか子宮全体を熱くさせる射精に唯の体がガクガクと震えた
それは、リトの欲望が子宮内に叩きつける様に飛び出す度に続く
二度三度と連続してイかされ続ける唯
ビクビクと下半身を痙攣させながらも、リトを抱くその手は緩めない
「き…気持ち良すぎ…」
その余韻に浸る様にぐったりとしたまま、リトは唯から体を離した
ゴポリと割れ目から白濁した欲望がこぼれてくる
「あふ…は…ぁ…はぁ、すご…い。いっぱい出て…」
子宮に満ちる濃い種と、体を襲う感じたことない快楽に、唯の腕から次第に力が抜けていき
唯の体は後ろにふにゃっと倒れていく
リトは慌てて腕を伸ばすと、途中で唯を受け止めた
「大丈夫か?」
心配そうに顔を覗き込むリトに、唯はぼそっと呟いた
「さっきみたいにちゃんとギュッてしてくれないとダメでしょ?」
「へ!?」
腕の中の自分を見つめながら戸惑ったように言葉に詰まるリトに、唯はムッと口を尖らせた
「結城くん!?」
「え? あ…は、はい!!」
大きな声で返事をするとリトは、腕の中でまだ小さく痙攣を繰り返すその体をそっと胸に抱き寄せた
「こ、これでいい?」
「……」
「唯?」
「…そんな事聞かないでよ」
「だ、だよな」
リトの肩におでこをトンっと当てながら、表情を隠す様に唯は口を開いた
「それより結城くん、ちゃんとわかってるわよね?」
「へ!? な、何が?」
こんな時まで間の抜けた事言うなんて!!
唯は複雑な気持ちになりながらも、ゆっくりと顔を上げた
どうしても聞かなければならない事があるからだ
肩から顔を上げた唯は、心なしかいつもより小さくなっていて、その細い体が今は震えている
それは、緊張のためか恥ずかしさのためかあるいは────
「唯?」
俯いていた唯は、やがて上気した顔を上げるとすっとリトの顔を見つめた
もじもじと揺れる体は止まらない
「何だよ? どしたんだ?」
「言ったでしょ? ちゃんとわかってるの? って…」
「ん? まー…な」
頬を指で掻きながらリトは、バツが悪そうに笑う
(ホラ、やっぱりわかっていない!)
ふつふつと次第にある感情が湧き上がってくる中
唯はぽつりぽつりと話し始めた
「結城くんは私を一人するし」
「う…だ、だから悪かったって謝ってるだろ?」
「全然、電話もくれないし」
「だから…」
「あんなに約束したのに…」
自分の体を抱きしめる様に唯は胸の前で腕を組む
チラリとリトに視線を送りながら、小さく、だけどはっきりと告げる
「私の中にあんなに出して……。赤ちゃん出来てもしらないんだから」
「そ…それは……」
あたふたと一人テンパるリト
唯は長い睫毛を伏せながらポツリと呟いた
「……ねェ結城くん。結城くんは、私のこと幸せにしてくれるの?」
窓から吹き込む春の風が、唯の髪を撫でていく
ほのかに香る唯の髪の匂いの中で、リトはただ唯の事を見つめていた
「しあわ…せ?」
「そう。ちゃんとしてくれる?」
気持ちを確かめるために、気持ちを知るために、リトの顔を覗き込んでその答えを待つ唯
そんな唯にリトははっきりとした口調で答えを返そうと思った
「そ、そんな事は当りま……ぇ…」
けれど言葉が小さくなって消えていく
唯を幸せにする
そんな事は当たり前だし、いつもどんな時だって想ってる事だ
だけど、なぜかこの時は、その事を軽々しく口に出してはダメだとリトは思った
唯は怒ってるでも、悲しんでるでも、拗ねてるワケでもない
どこまでもいつも唯で、いつもの顔で
だけど、その目だけは今日は違った
透き通るような黒い瞳はリトだけを見ている
他の物は見ていない。ベッドも、枕も、部屋も壁も全て映っていない
リトだけをその目に映している
「結城くん?」
この時になって初めてリトは気付く
淡々とした声の中に、唯の期待と不安が混じっている事に
それは、ひょっとしたらリトにしかわからないほどの小さな事なのかもしれない
──ちゃんとしなきゃダメだ──
頭ではなく心がそう言った
今言わないときっと次はない
次に期待なんかしてたらダメだ、と
開いたり閉じたりそわそわさせていた手を一度握りしめると、唯の顔を真正面から見つめる
「…しょ、正直よくわかんねェ…。お前の事好きだし、これからも一緒にいたいって思ってるけど、
お前の事ちゃんと幸せにできるかどうかなんてわかんねェ…」
「……」
「オレがお前にできる事っつったら、休みの日にデートに行って、買い物して、
ケーキでも食いながらお前と話して、んで…ウチに帰っていっぱいエッチして…
誕生日とか記念日とか何か行事とかあれば二人でお祝いして…
すげー背伸びして、高いとこでメシ食ったり、お前の欲しい物とかガンバってプレゼントもするけどさ」
リトは俯いていた顔を上げると、バツが悪そうに頬を指で掻いた
「…オレ、これからもお前にこれぐらいしかしてやれないと思う…。情けねーけどさ」
「ホントね」
黙ってリトの話しを聞いていた唯は小さく笑って応えた
「ハハ…ハ…」
リトの口から力ない溜め息がこぼれた
「…それがあなたの言う幸せにするってコトなの?」
「その…」
言いよどむリトに唯は体を寄せるとその顔を覗き込む
「そうなの?」
「…ゴメン。オレにできる精一杯の事だと思う…」
「そう…」
リトは何気なく唯の顔を見た
唯はいつの間にかジト目になって自分の事を見つめていた
「え?」
「普通、こういう時ってもっと大きな事を言うものじゃないの?ウソでも冗談でも」
「ええ?」
「『毎月必ずおいしいところに連れて行く』とか『旅行は毎回私の行きたいところでいいよ』とか」
「え…あの…」
「せめて『世界で一番幸せにする!!』ぐらいは言いなさいよ!!」
「確かに…」
ガックリ力なく項垂れるリト
そんなリトに唯はクスクスと笑みを浮かべた
(ホント…こんな時でも『いつもの結城くん』なんだから)
いつまで経っても変わらないリト
変わって欲しくないと感じるリトの好きなところ
唯は両手をすっと伸ばすと、リトの両頬をムギュっと引っ張った
「へ!?」
左右に引っ張られながら、リトの頬がどんどん赤くなっていく
「な、何だよ? いたひって!!」
痛がるリトに対し、唯はムスっと頬を膨らませながら手の力を緩めない
「唯!?」
「お返しよ! 私の事、散々イジメたんだからこれぐらい当然でしょ!」
フンっと鼻を鳴らしながら要約リトのほっぺを解放する唯
キリキリと痛む頬を手で擦りながらリトは、口を尖らせた
「ってぇ……。あのな、イジメたとか言うけど「甘えたい」とか「好きに動いて」とか言ったのお前の方だろ?」
「だから何よ?」
「全然甘えてこないお前が悪いんじゃねーのかよ?」
「ななな、何を言って…そんなのあなたが……う……うぅ…」
次第に動揺する様にふるふると揺れていた目に、やがて薄っすらと涙で滲んでいった
「あ、あれ?」
キョトンするリトの胸に唯はポスンっと握った拳を当てた
「な、何だよ?」
「そ…それならそれでちゃんとリードしなさいよね!」
「そ、それはまあ…」
リト自身テクがあるワケでもない。ましていつも緊張と興奮でいっぱいいっぱいになってしまう