1 :
名無しさん@ピンキー:
魔法少女、続いてます。
ここは、 魔法少女リリカルなのはシリーズ のエロパロスレです。
『ローカル ルール』
1.リリカルあぷろだ等、他所でのネタを持ち込まないようにしましょう。
2.エロは無くても大丈夫です。
3.特殊な嗜好の作品(18禁を含む)は投稿前に必ず確認又は注意書きをお願いします。
あと可能な限り、カップリングについても投稿前に注意書きをお願いします。
【補記】
1.また、以下の事柄を含む作品の場合も、注意書きまたは事前の相談をしたほうが無難です。
・オリキャラ
・原作の設定の改変
2.以下の事柄を含む作品の場合は、特に注意書きを絶対忘れないようにお願いします。
・凌辱あるいは鬱エンド(過去に殺人予告があったそうです)
『マナー』
【書き手】
1.割込み等を予防するためにも投稿前のリロードをオススメします。
投稿前に注意書きも兼ねて、これから投下する旨を予告すると安全です。
2.スレッドに書き込みを行いながらSSを執筆するのはやめましょう。
SSはワードやメモ帳などできちんと書きあげてから投下してください。
3.名前欄にタイトルまたはハンドルネームを入れましょう。
4.投下終了時に「続く」「ここまでです」などの一言を入れたり、あとがきを入れるか、
「1/10」「2/10」…「10/10」といった風に全体の投下レス数がわかるような配慮をお願いします。
【読み手 & 全員】
1.書き手側には創作する自由・書きこむ自由があるのと同様に、
読み手側には読む自由・読まない自由があります。
読みたくないと感じた場合は、迷わず「読まない自由」を選ぶことが出来ます。
書き手側・読み手側は双方の意思を尊重するよう心がけてください。
2.粗暴あるいは慇懃無礼な文体のレス、感情的・挑発的なレスは慎みましょう。
3.カプ・シチュ等の希望を出すのは構いませんが、度をわきまえましょう。
頻度や書き方によっては「乞食」として嫌われます。
4.書き手が作品投下途中に、読み手が割り込んでコメントすることが多発しています。
読み手もコメントする前に必ずリロードして確認しましょう。
『注意情報・臨時』(暫定)
書き込みが反映されないトラブルが発生しています。
特に、1行目改行、且つ22行以上の長文は、エラー表示無しで異次元に消えることがあるそうです。
投下時はなるべく1レスごとにリロードし、ちゃんと書き込めているかどうか確認をしましょう。
リンクは
>>2
2 :
名無しさん@ピンキー:2008/05/02(金) 21:14:19 ID:z39E9e+2 BE:1473926786-2BP(0)
⌒*__*⌒
ヽ|・∀・|ノ
>>1乙 なの
|__|
| |
>>1乙!! 褒美にアルフ(幼女形態)をモフモフして良いぞ!!
>>1乙
褒美にレジアスをもさもさしていいぞ(性的な意味で)
>>1乙枯れ
褒美にショタエリオとショタユーノをパコパコしていいぞ
11 :
名無しさん@ピンキー:2008/05/02(金) 22:56:49 ID:8FgryaRE
>>1乙だ。
褒美にウチに来てもいいが妹のフェイトは僕のものだ!
>>1乙です
褒美にキャロとの出会いをセッティングしてあげよう。けど、ルーは僕の嫁だ。
違う俺の嫁
レジィは俺の旦那だからふしだらな事はしないよ
ソープナンバーズ書き手の皆さんに質問。
以下の設定は大丈夫ですかね?
・ソーププレイを体験したい恋人たち用に専用ルームを設けました!
施設の貸し出しですか。
どうなんでしょうか。俺は別に問題ないと思いますが、皆さんはどう思いますか?
まあ正味の話、家でヤってろとも思うんですが。
むしろ中将はアッーされる側だ!!と、思う俺がいる
ユーノによる中将陵辱ネタを執筆中なおれがここにいる
ごめん流れ読めなんだ。
>>20 『いいんじゃないでしょうか』とレイハさんは言ってますが、
俺もありだと思います
>>20 それやっちゃうと、最早ソープ“ナンバーズ”じゃないような気が・・・・・。
あれはナンバーズ(とルーとアギトとギンガ)がソープ嬢ってのがミソだからなぁ。
♪バリアジャケット身にまとい、君は戦う人になれ
傷つくことを恐れたら ミッドはスカの手に落ちる
……(中略)……
愛に勇気を与えてくれ
なのはさんだー 白い魔王
フェイトさんだー 真っ赤な目
とりあえずスレの最初に枯れ木も山の賑わいですよ。
タイトルは「別腹」 ちょいエロ?
ゲンヤ×はやて……?
2レスです。
1
激しい喘ぎが部屋に充満していた。
若い女の性臭と、盛りを過ぎ始めた男の体臭が混ざり合う部屋。
男ははやての胸元に顔を埋め、乳房を舐めている。
はやてはその男の頭をしっかりと抱き締めた。そして抱えるようにすると、男臭さを胸一杯に吸い込む。
加齢臭、などという言葉はやての辞書にはない。年輪を重ねた男の頼もしさを感じさせる香りだとはやては思っている。
性器に触れる無骨な手が不似合いな優しさで動き始めると、はやては息を呑むようにしてしゃくり上げる。
「そこ、です……あ、そこっ……」
ゾクゾクと来るような心地よさにはやては、男を抱き締める手にますます力を込めていく。
力強い男の腕、同年代の男達では決して味わえないこの抱擁感、包み込まれる多幸感。
「もっと……もっとして……」
はやては前戯に軽い絶頂を覚えると、声を上げる。
「お父さん…」
男の動きが止まった。
自分の発した言葉の内容に気付いて、しまった、とはやては思う。
「……勘弁してくれ」
はやての上で複雑な表情をしているのは、ゲンヤ・ナカジマである。
「お父さん、はさすがにちょっとな…。一応、お前さんと同じくらいの娘がいる身だしな」
あれが別れる原因やったんやなぁ、と、はやてはしみじみ思い出していた。
私は、ファザコンの気がある。それをゲンヤさんに求めてしまったんや……。
「俺が欲しいのは愛せる娘じゃない、惚れることのできる女だよ」
そこまで言わせてしまった自分を、当時は反省したものだ。
2
「今度お父さんが再婚することになったんです」
スバルの言葉に、それはおめでとう、とはやては素直に祝福した。
自分は振られた身だ。いつまでも引きずっていては互いのためにならない。
「でも、照れるなぁ。ギン姉じゃなくて、ギン母さんって呼べばいいのかなぁ……」
はい? どういうこと? スバル? 再婚相手って……
「ギン姉とは血が繋がってないわけだし、ミッドの法律では構わないそうです」
ちょい待ち、とはやては心の中で叫ぶ。
他人に「お父さん」呼ばれるんは嫌で、戸籍上の娘ならオッケーなんかいっ!!!!
はやては、なんか色々叫びたくなってきた。
疑似近親相姦萌えなんかっ!
「お父さん」「おいおい、今日からはゲンヤと呼んでくれよ」
「ギンガ」「嫌です、お前って呼んでください」
そーいうことしてんのかぁああああああ!!!!!!
血の涙を流すはやてから少し離れたところでは……
エリオ君、「キャロのことは妹みたいにしか見れない」って言ってたよね。
だったらどうして「お母さんみたいな」フェイトさんとつきあってるのぉお!!!!
キャロが血の涙を流していたりする。
以上
お粗末様でした。
ところで、ソープ「一期&二期」なんてどうすかね。
嬢は両期の時代のなのはフェイトはやてアリサすずか………すまん、忘れてくれ。
>>29 鬼才現る。
そうだよな、無印、ASのユーノきゅん&クロスケのかわゆさといったらリリカル世界一だよな。
しかしそいつらはお前にやろうじゃないか。
オレはリーゼ姉妹をいただきます><
>>29 GJ。はやてはどこでも不憫なんかなぁw
一期&二期、するにしても舞台はどこかって話で。
まさか海鳴でするわけにもいくまい。一部の嬢の年齢的に官憲の手が伸びるw
かといってミッドでやると管理局関係者しか使えない。元締めはリンディ提督か?
毎回埋めのAAってどっから持ってきてるんだ? 作ってるのか?
前スレの最後にアンデルセンやらクーガーのアニキやらのパロとかがあるけどw
ソープで一期&二期か、凄い発想だな‥‥
ところで唐突だけど蜘蛛と糸ってドイツ語でなんて言うか分かる?
あと影と殺し屋(もしくは似た表現)をなんて言うか教えほしい。
>>33 「糸」は「saite(ザイテ)」だったかと。
他はごめんなさい。
影 シャッテン Schatten
蜘蛛 シュピンネ Spinne
殺し屋 Auftragskillerかkiller 読みは不明
てゆうかこれくらい調べたら・・・
うん、軽率に聞いてしまってすいませんでした。
職業・殺し屋を連想させる言葉の数々だなw
クグレカスと言えばいいのに、結局教えてるあたり
>>35もツンデレw
Auftragskillerはアオフトラークスキラーかな
>>32 AA板はじめ色々。
しかし本編終わってトレースする絵もあんま無いので、大きいのはもう何処もネタ切れぽ。
>>38 ヴォルケンはひそかに依頼されてそうですよね。
ここでする話じゃないか。
>>38 ああ、完全にスレ違いで石飛礫されそうだが
ユーノ(無印、AS)「……なんて卑しいんだ……」
>>38 まぐわいながら相手を殺すドゥーエ姉さんとか
ご褒美に後ろしてくれるリンディ提督ですね
わかります
頃して煮込んじゃうシャマルさん。
>>33 「糸」、「蜘蛛」、「殺し屋」で某何でも殺せる殺人鬼を連想した僕は重症w
そういう暗殺者的な魔道師っていないよな、本編。
ウェブ・スパイダスですね
47 :
B・A:2008/05/03(土) 02:07:27 ID:WCuT35QG
たった今書きあがった。
平穏な夜を壊すことになりそうだけど、投下しても良い?
何を躊躇う必要がある
全裸で待ってるぜ
49 :
B・A:2008/05/03(土) 02:18:53 ID:WCuT35QG
では、投下。
注意事項
・エリオ主人公
・タピオカ氏の「優しい夢を見られるよう」とネタが被ってきた(被りが戻ってきた?)。
・非エロです
・捏造が多々あります
・本編14話から15話の間の出来事
・エリオの出番が少ない
・鬱・・・・というか泣きかな。イメージは某鍵。
それはありえない夢だった。
緑豊かな故郷の情景。
自分が生まれ、魔法を学んだ巨大な庭園。
そこで暮らすかけがえのない家族。
優しい母親。
尊敬する魔法の先生。
自分のことを慕ってくれている使い魔。
いつも自分のことを案じてくれている鋼の相棒。
そして、大好きなお姉ちゃん。
目が覚めれば家族全員で朝食を取り、お昼までは魔法の勉強をする。母親の資質を受け継いだ自分がロクな魔法も使えない姉をリードし、
制御の難しいところは互いに励まし合う。そうやって2人で協力して儀式魔法を成功させると、母親の使い魔である先生からご褒美として午後はお休みを貰い、
自分たちは野山へと遊びに出かける。冷たい小川のせせらぎに足を浸け、抜けるような青い空を見上げていると、不意に姉が悪戯心で水を引っかけてくる。
子どもっぽい姉に苦笑しつつ、こっちも負けじとお返しすると、そのお返しだとまた水をかけてくる。そんなやり取りに疲れたら、今度は草の上に寝転がってお昼寝だ。
手を繋ぎ、互いの存在を感じながら土の温もりに包まれる。そうして日が沈むまで遊び回り、帰りが遅くなったことを母親に叱られる。
それでも姉は懲りずに「また遊びに行こう」と自分を誘うのだ。そして、明日もこんな楽しい一日が来ることを信じて眠りにつく。
これは夢だ。
自分が望み、そして手に入らなかった幻想。
最初から存在しなかった幻。
だけど・・・・・・・・・。
□
目覚まし時計が鳴る1分前に目を覚ましたフェイトは、気だるげに半身を起こして少しだけ残る眠気を振り払おうと重い頭を振った。
何か夢を見ていたようだが、よく覚えていない。ただ、似たような夢を前にもどこかで見たことがある気がする。
「・・・・うぅん・・・・・」
隣で眠っていたアリシアがむくりと起き上がる。どうやら、昨日はエリオの部屋に行かなかったみたいだ。
「おはよう、フェイト」
「うん・・・・おはよう、アリシア」
眠そうに眼を擦る小さな姉に、フェイトは優しく微笑みかける。
たったそれだけなのに、何だか胸が熱くなった気がした。
自分と同じ顔の姉。
自分と同じ姿の姉。
本来ならば、絶対に会えないはずの姉が、目の前にいる。
かけがえのない家族が、すぐそこで微笑んでいる。
こんなにも嬉しいことはない。
「フェイト?」
「何でもないよ。さ、顔洗ってお洋服に着替えよう」
「うん。ねぇねぇ、今日はどんなお洋服着たらお兄ちゃんに可愛いって言ってもらえるかな?」
「うーん、だったらねぇ・・・・・・」
一緒になってコーディネートに悩みながら、フェイトはチラリと壁にかけられたカレンダーに目をやった。
(そっか・・・・・もう7日も経ったんだ・・・・・・)
楽しい時間はあっという間に過ぎてしまう。
瞼を閉じれば、この一週間の出来事が鮮明に蘇る。
アリシアと一緒にご飯を食べたり、テレビを見て笑い合った。
空き時間に森の中を散歩したり、なのはやヴィヴィオと一緒に遊んだりもした。
ほんの些細なことから喧嘩したこともあった。
お姉ちゃんぶろうとして失敗したアリシアに苦笑したこともあった。
アリシアと一緒になってエリオを困らせたこともあった。
どれを取っても楽しい思い出ばかりだ。
「そうだ、今日は私が髪の毛結ってあげようか?」
「うん、結んで結んで。可愛くしてくれなきゃやだよ」
「はいはい、わがままなお姉ちゃんだ」
「もー、すぐ子ども扱いするぅ」
頬を膨らませながらチョコンと化粧台の前に座ったアリシアの後ろに立ち、フェイトは子どもの頃に自分が愛用していたリボンの中から
淡い青色のリボンを選んで艶やかなアリシアの金髪を結っていく。
「えっ、このリボン・・・・・・」
「うん、私の中のアリシアの記憶にあった奴。小さい頃、何だか懐かしくて買っちゃったんだ・・・・・・結局、一度も使ったことはなかったけど」
「ごめん・・・・・」
「アリシアが謝ることなんてないよ。このリボンは、今日アリシアの髪を結うために存在していたんだよ。だから、アリシアが謝る必要なんてないんだよ」
結び終えたリボンの調子を見ながら、フェイトは優しげに微笑む。
こんな穏やかな時間がいつまでも続けば良いと思っていた。
一緒に笑いながら、一緒に年を取っていきたかった。
話していないことがまだまだたくさんある。
一緒にやりたいことがまだまだたくさんある。
ハラオウンの家族に会わせてあげたいし、翠屋のケーキも食べてもらいたい。
もっと彼女に笑っていて欲しい。
けど、時間は無情にも流れていくだけ。残された時間は刻一刻と迫っていき、心には焦燥感が募っていく。
気づけば、フェイトはアリシアを後ろから抱き締めていた。
「フェイト?」
「お姉ちゃん・・・・・いるよね」
「え?」
「今、ここにいるんだよね・・・・・・」
これは幻ではない。
これは夢ではない。
確かな感触を持って、アリシア・テスタロッサはここに存在しているはずだ。
けれど、その確証が揺らいでいく。
この一週間、朝を迎えるのがとても怖かった。目が覚めたら、アリシアがいなくなっているのではないかと恐怖を感じていた。
彼女が蘇ったというのは自分が見ている夢で、彼女とこうして触れ合っているのは自分が思い描いた幻なのではないかという不安が絶えずつきまとっていた。
「大丈夫・・・・・私は、ここにいるよ」
そっと、アリシアはフェイトの手に自分の手を重ねる。
「大丈夫。ずっとフェイトの側にいるから・・・・・・・ずっと、お姉ちゃんしていてあげるから・・・・・・・だから、笑って」
「うん・・・・うん・・・・・」
目じりに浮かぶ涙を拭い、不格好な笑みを浮かべる。
鏡に映った妹の笑顔を満足そうに見つめながら、アリシアも寂しそうな笑みを浮かべる。
ずっと側にいる。
できることならずっと側にいてあげたい。
泣き虫な妹が、白いドレスを着て祝福される姿を見てみたい。
皺だらけのお婆さんになっても一緒にいたい。
けど、それは不可能だ。
時間がもうないのだから。
「お姉ちゃん、私・・・・笑えたよ・・・・」
「うん・・・・偉いね、フェイト」
力の入りにくくなった手で、アリシアはフェイトの頭を優しく撫でる。
こうして、アリシア・テスタロッサの最後の1日が始まった。
□
「はーい、そこまで」
BJ姿のなのはが訓練の終了を告げ、森の中で駆けずり回っていたエリオたちはドッと地面の上に座り込んだ。
訓練が第三段階に入り、各デバイスのモードを使い分けながらの模擬戦を頻繁にするようになった。
今回は、なのはとヴィータを相手に隊長戦を行ったのだが、結果は惨敗。多少は動けるようになってきたものの、
やはり隊長たちとの間には大きな実力差があることを改めて思い知る結果となった。
「惜しかったね、ティアナ。幻術でかく乱された時は、一瞬負けちゃうかと思ったよ」
「いえ、結局負けちゃいましたし、実戦で使えるようになるにはまだまだ練習しないと・・・・」
なのはの労いの言葉に、ティアナは謙遜の言葉を述べる。
先程の模擬戦で、ティアナはキャロの支援魔法を受けてフェイクシルエットの多重発動を試みた。
1人では数体しか作れない幻影を数十体も生み出すことで、相手に衝撃を与えてかく乱できるのではと考えたからだ。
だが、ただでさえ魔力を大幅に消耗する幻術を多重発動した際の負荷は恐ろしく大きく、今のティアナはまともに立つこともできない状態だった。
加えて、多数の幻影を生み出すことはできても、1つ1つを精密に動かすことはできないという新たな問題も見つかった。
「まあ、これから少しずつ改善していけば良いよ。スバルもエリオも、だいぶモード2の扱いに慣れてきたね。
キャロもかなり動きが良くなっているし、これなら相手が集団でない限り、孤立しても大丈夫かな」
「そんな、わたしなんかまだまだです」
「僕も・・・ドライはともかく、ツヴァイはまだまだ扱い切れていないし・・・・」
「ギア・セカンドでもかなりの出力なのに、エクセリオンはどうなるんだろう?」
「お前ら、そんな弱気になっていたら強くなるもんもならねぇだろ」
「あぁ、ヴィータ副隊長、別に弱気になっているわけじゃなくてですね・・・・・」
「同じだぁっ! もちっと自信を持て、マラソン10週!」
「ひぇぇっ、ティアぁぁっ」
「ちょっと、こっち来ないでよ!」
ヴィータの苛立ちの捌け口にされたスターズの2人が情けない声を上げる。
ちなみに、先ほどの模擬戦でスバルはヴィータの顔面にかなり良い感じのストレートを決めていたりする。
「あ、丁度終わったみたいだね」
訓練の終わりを見計らい、フェイトがアリシアを連れてこちらにやって来た。
当然のことながら、アリシアがまっ先に駆け寄ったのはエリオだ。
訓練を終えたエリオにタオルを渡すのが、彼女の日課なのである。
「お疲れ様、お兄ちゃん」
「ありがとう、アリシア」
労いの言葉に礼を言い、手渡されたタオルで顔を拭く。鬱陶しかった汗を拭ったことで、僅かなりにも爽快感を覚えた。
これでそよ風でも吹いてくれれば言うことないのだが、7月の陽気では期待するだけ無駄だろう。
「お兄ちゃん」
エリオの前で、アリシアがクルリと一回転して自分の格好を見せびらかす。
苦笑したエリオは、率直に抱いた感想を口にする。
「うん、可愛いよ、アリシア」
「えへへ・・・・・今日はね、フェイトに髪を結ってもらったんだよ」
エリオに可愛いと言われ、ご機嫌なアリシアはニッコリと笑顔を浮かべる。
「お疲れ様、エリオ。調子はどう?」
「フェイトさん・・・・・・今日も惨敗でした。やっぱり強いですね、なのは隊長とヴィータ副隊長」
「えー、お兄ちゃんも強いよぉっ!」
謙遜するエリオの言葉に反応したのは、当然アリシアだ。彼女からすれば、自分のことを命懸けで守ってくれたエリオが一番でなければ気が済まないらしい。
「そうだ、もう一回模擬戦して、なのはさんとヴィータさんやっつけよう。私も参加するから」
「えぇっ、さっき終わったばかりなのに。というか、もうすぐ朝ご飯・・・・」
「良いから良いから。フェイト、ちょっとバルディッシュ貸して」
「む、無理だよ。アリシアは魔法を使えないんだから・・・・・・」
「大丈夫、何とかなるから」
アリシアのわがままに振り回されるフェイトとエリオ。それは、この一週間で何度も繰り返されてきた光景だった。
天真爛漫なアリシアは好奇心も旺盛で、何かある度に事態を引っかき回しては周りを混乱させる。
だが、時には遠慮がちで大人しめな2人をリードするお姉さん的な役回りを演じることも多く、
良くも悪くもアリシアの存在は機動六課になくてはならないものになっていた。
そんな微笑ましい光景を、キャロは離れたところから羨ましげに見つめていた。
「キャロ」
「あ、なのはさん・・・・・・」
「どうしたの、キャロもエリオたちとお話してきたら?」
「いえ、わたしは・・・・・」
「自分がいると場違いな気がする・・・・でしょ?」
図星を突かれ、キャロは押し黙る。
「わたしもね、子どもの頃はそんな風に感じていたんだ。お母さんとお父さんは新婚さんみたいに仲が良いし、
お兄ちゃんとお姉ちゃんも似たような感じだったし、1人だけ相手のいなかったわたしは、家の中じゃかなり浮いた存在だったかな」
「なのはさんも・・・・そうだったんですか」
「うん、みんな優しい人だったんだけどね。あんな風に楽しそうに笑っている姿を見ていたら、何だか邪魔をするのが悪い気がして」
視線の先では、訓練で疲れたエリオに世話を焼こうとするアリシアと、そんな2人を微笑ましく見守っているフェイトの姿があった。
そこには3人だけで形成された幸せな空間が広がっており、第三者が入り込む余地などまったくなかった。
「本当は、わたしもあそこにいたいです・・・・・けど、エリオくんやフェイトさんといる時のアリシアちゃん、
凄く楽しそうに笑っているから・・・・・・だから、アリシアちゃんがわがままを言っている間くらいは、我慢しても良いかなって」
寂しそうに微笑むキャロの頭を、なのはは優しく撫でる。
「キャロは優しいね・・・・・・けど、もう少しわがままになっても良いと思うよ」
「難しいです、そういうの」
あんな風に、自分も2人にわがままを言える日が来るのだろうか?
余りに今の自分とかけ離れた姿に、想像することもできない。ただ、それができるようになれば、また一歩家族に近づけるような気がした。
□
「え、アリシアを街にですか?」
隊舎へと戻る道すがら、エリオはフェイトにアリシアを街に連れて行ってやってくれないかとお願いされた。
「うん、エリオって今日は午後からオフだったよね?」
「ええ、まあ・・・・・けど、良いですか? その、色々と」
体内にレリックを内包しているアリシアは、ある意味歩くロストロギアである。
一応、ユーノの調べでは暴走の危険はないらしいが、世の中には万が一というものもある。
「その辺は、ユーノとシャマルが太鼓判を押してくれたから大丈夫。緊急時に備えて転送魔法の使用許可も貰っているし、
連絡さえしてくれればすぐにでも駆けつけられるようにしておくから」
「それなら構いませんけど、どうして僕なんですか? キャロもお休みなんだから、女の子同士の方が楽しいんじゃ・・・・・」
「えぇ、私はエリオお兄ちゃんとが良い。お兄ちゃんとじゃなきゃやだぁっ!」
「・・・と、こんな具合なわけで」
「ははっ・・・・そういうことですか」
つまり、今回のお出かけもアリシアのわがままということなのだ。
「折角のお休みだけど、お願いできるかな?」
「わかりました、うまくエスコートできるかはわかりませんけど」
「わぁっい、やったぁ!」
喜びの余り、アリシアはエリオとフェイトの周りをグルグルと駆け回る。
「アリシア、転んだら危ないよ」
「平気平気。ほら、早く行こう!」
「わぁっ、そんなに急いだって、午前中は仕事が・・・・あぁっ、痛い・・・」
アリシアに腕を引っ張られながら、エリオは隊舎へと引きずられていく。
「本当、仲良いわね、あの2人」
「というか、エリオが成す術なく翻弄されているって言った方が良いんじゃ・・・・・・」
「まあ、エリオは男の子にしては遠慮がちな性格だから、あんな風に振り回してくれる娘が丁度良いのかもね」
遠ざかっていく2人を見ながら、スバルとティアナは口々に感想を漏らす。
アリシアがエリオに好意を寄せていることは、最早周知の事実であった。エリオ自身も満更ではないようで、
何だかんだ言いながらアリシアのわがままを聞いてあげたり世話を焼いたりしており、2人は既に六課の中では押しも押されぬおしどり夫婦として認知されている。
「いっそ、このまま付き合っちゃば良いのにね」
「馬鹿スバル。5歳児がそこまで難しいこと考えているわけないでしょ」
「けど、アリシアは自分のことをフェイトさんのお姉さんだって言っているよ」
「子どもの戯言よ。そういう遊びなんでしょ」
「そういうものかな・・・・・・そうなんですか、フェイトさん?」
前を歩くフェイトにスバルは聞く。その瞬間、視界の向こうでアリシアが何かに躓いて地面に転がった。
「あ・・!?」
「あちゃ・・・・」
転んだ時の痛みを連想し、思わず2人は目を背ける。地面が柔らかい土だったのがせめてもの救いだろうか?
「わぁ・・・痛そう・・・・・」
「ケガしていないと良いけど・・・・・・・・・あ、また転んだ」
ティアナの言う通り、アリシアは置き上がった拍子にまたバランスを崩して地面に倒れ込んだ。
それからは、延々とその繰り返しであった。
起き上がろうとしてはバランスを崩し、立ち上がろうとしてはまた転ぶ。
さすがに異常を感じたエリオが手を貸そうとするが、アリシアはそれを怒鳴りつけて拒絶し、自力で立ち上がることに拘った。
そうして何度目かの挑戦の後、何とか立ち上がったアリシアは息を荒げながらエリオの体に縋りついた。
「大丈夫、アリシア?」
「アリシア、どこかケガしたの?」
「あんなに転ぶなんて、足挫いたんじゃないの?」
「アリシアちゃん・・・・・」
「平気・・・・・心配かけてごめんね」
心配そうに見つめるスバルたちに笑みを浮かべ、アリシアはゆっくりとエリオから離れる。
「ほら・・・・・もう平気。ちょっと、寝ぼけていたみたい」
「それなら良いけど・・・・・何なら、午後のお出かけは止め・・・・・・」
「いやっ! 行くの、絶対行く!」
エリオの言葉を遮り、アリシアは叫びながら首を振る。
驚いて目を見開く4人。こんな風に怒鳴るアリシアは初めて見た。
「ごめん・・・・・・ちょっと、医務室に行ってくる」
我に返ったアリシアは、気まずそうに俯いて踵を返した。
「アリシア・・・」
「お兄ちゃん、約束だから・・・・絶対、街に行こうね・・・・・」
今にも潰れてしまいそうなか細い声に、エリオはかける言葉が見当たらなかった。
□
その一部始終を見守っていたフェイトは、居たたまれなくなってその場に座り込んだ。
目からはとめどなく涙が流れ落ち、知らずに握った指は木の幹を掘り返していた。
「フェイトちゃん・・・・・」
傍らに立つなのはは、姉の不調に涙する親友に何と言って良いのかわからず、ただその名を呼ぶことしかできなかった。
世界は余りに残酷だ。
どうして、彼女がこんなにも苦しまなければならないのだ。
母親に捨てられ、自分の出生に悩み、その上まだ苦しまなければならないなんて、酷過ぎる。
これが運命だというのだろうか? その名を冠したが故の、彼女への試練なのだろうか?
もしそうなのだとしたら、自分は一生それを課した神様とやらを許さないだろう。
それほどまでに、今の出来事は残酷だ。
アリシアが何度も起き上がろうとして転んだのは手足に上手く力が入らず、またバランス感覚も麻痺し始めているからだった。
それが意味することはただ1つ。
アリシア・テスタロッサの肉体は、徐々に崩壊を始めているということだ。
to be continued
58 :
B・A:2008/05/03(土) 02:53:32 ID:WCuT35QG
以上です。
崩壊の序破急の序。
心安らかにおやすみしようとしていたみなさんには申し訳ないと思いつつ投下しました。
順当にいけば残り2話の予定です。
GJ
>>58 久しぶりに来てみたら注意書きに名差しされてたのでさかのぼって読んでみたら全然かぶってないやないですか! ビックリするなぁ、もう!
「ははぁん、さてはリニスか」とか思って読み始めた自分が恥ずかしいよ。
逆にこちらが申し訳なく感じてきた。ごめんなさい、あんまり煮詰めずにあんなの書いて。orz
なんでプレシアさんすぐ死んでしまうん。ツンデレくさい物言いのプレシアさんにめちゃくちゃ萌えてたら……ウッ
でもお姉ちゃんぶるアリシアとか妹ぶるフェイトとかも無駄にときめかされるから困る。テスタロッサの遺伝子ってちょっと私の人生狂わせすぎじゃない?
なのはやエリオの使い方、上手ですのでまたアリフェイが美味しく感じます。
注意書きの某鍵なるイメージと言われれば納得せざるを得ない進み方ですな。無印の原画集読みながら続き待ちまくってますね。
>>58 もはやGJ!!としかいいようがない。
もうアリシアに助かる道はないのか!?このままだと本当に・・・・
某宇宙の騎士「肉体が崩壊? よし、ブラスター化だ!」
なのは『俺の墓標に名はいらぬ。死すならば戦いの荒野で』
ごめん、なんとなく書いてみたくなった。反省はティアナがしてくれるはず
最終回でなのはさんがアースラを守るため、
ナンバーズに突撃するんですね、わかります。
こんにちは失礼して久々に投下させて頂きます
エリオ隊長の続きです
以下注意
・未来話です、オリキャラが出ます、今回オリキャラが軸で独自設定あります
・非エロです
NGはコテハンで宜しくお願いします
エリオ達の未来
〜右手に剣を左手に銃を〜
急制動、周囲の光景が映画のワンシーンようにスローモーションで流れる
ゆるゆると迫り来る光の矢、リクオーの目にはその一瞬止まったように感じた、背中からの彼女の叫びも一瞬遠くなる
「っ…クオー… … 」
ガシャン、ええい!
覚悟を決め、リクオーは右のナックルをかざした
左手は背中におんぶした少女、フェイトを支えている為使えない
迎撃の為に最小半径でターンををかけた、急激な負荷に足元のローラーが路面の小石を飛ばし摩擦で火花を散らした
リクオーの瞳が金色の輝きを帯びる、背中からはつんのめりそうになり、「むぎゅ」というくぐもった声と共に
流石に慣性の法則には逆らえなかったお方の小さな鼻が押し付けられるのを感じた
お叱り、叱責のお言葉については後ほどに…気合を込めた、行くぞ相棒!
迫る弾幕
『マッハキャリバー・改』
母さんから受け継いだ戦闘経験地、新たに、ゲンヤじいちゃんと共にチューニングが施されたデバイス
腕のリボルバーナックルを起動させ、ギアの回転速度を上げていった
「はぁあああああああああああ!!!!!」
止まったような時の中、その実、高速で眼前に飛来した光弾は
それよりもさらに高速で左右にひらめいたリクオーのリボルバーナックルに瞬時に全弾叩き落とされていた
周囲にギアから鳴る金属音と魔力の激突による光の破片が眩しく舞った
フェイトは思わず目をつぶり、リクオーの首に思い切りしがみついていた
首にかかる僅かな息苦しさと、細い腕、僅かな膨らみを背中に感じた、ああ、フェイトもこんな時だけは可愛いもんだなぁ…
いつもこうなら可愛いのに… ついそう思うリクオーであった
そのフェイトの右手には漆黒のデバイス、バルディッシュ・アサルト
左手には白と赤の新デバイス、クロスミラージュ・U、がしっかりと握られている
これもまたリクオーと同じく彼女の母から戦闘経験地を受け継いだデバイスだ
継承するに当たってどちらか一つだけ、と言う人並み選択は端からこの少女の頭には無かったらしい
一応の説得を試みた彼女の母も父も最期には折れてしまって何と無く現在に至る
側頭部に来た光弾を素早く身を捻り、リクオーはバックナックルの一閃で華麗に足元叩き落した
深く穿たれた大地の弾痕に土煙が小さく舞う
瞳の金の輝きが薄れ、リクの耳に周囲の喧騒が戻ってくる、だいぶこの『力』も制御できるようになった
「はぁぁ…」
リクオーはようやく一息をついた
(…うん、よし…今のは…かなり…、上出来…だった、かな)
拳を見つめ、軽く頷いた
まさしく公平に見てリクオーの戦闘能力はこの歳では図抜けていた
同年齢でここまでの芸当ができる奴はそうは居ないだろう、思わずリクオーの頭を僅かに何らかの期待がかすめるのも
無理からぬ事だった、だが、そろそろと後ろを振り向きかけてしまったのは、やはり失敗だった
途端に頭にゴンという鈍い音と共に漆黒のデバイスが振り下ろされた
報われない少年、リクオーの目からは金色の星と少量の水分が散った、ああやっぱり…
「あいた!」
「バカリク!何突っ立ってんの!止まるな!今こそチャンスなのよ!一番乗りよ!前進よっ!突撃あるのみ!!」
……あたた…
リクオーは頭を押さえ、ぶんぶんと振られるバルディッシュの下、うーと唸りつつ周りの騒乱を一瞥した
…なるほど確かに今まで一緒に居たはずの大人の魔導師、陸士候補の方々が居ない…
確かに今、自分達が一番突出しているようだ、先ほどの弾幕を迎撃、突破できたのはどうやらボクだけらしい
いやスゴイな我ながら
(…あ、いやまてよ…それって…逆に今ボク達は今突出…孤立してるんじゃないのか?…)
ギクリとした、しかし、いやそれより何より、だ
なぜこんなに頑張っているけなげな少年に…キスとまで贅沢は言わない、だが素敵とか何とか一言ぐらいあるのが正常な話…
ゴン!
先ほどよりやや強めに、今度はクロスミラージュUのグリップがリクオーの頭頂部に振り下ろされ
再びリクオーは呻いた、あんまり気安く人の頭をゴンゴンしないで欲しい
どうやらフェイトのモットーは愛馬に与えるのは主にニンジンより鞭らしい
そんなリクオーの恨めしそうな様子を気にする様子も無くフェイトは叫んだ
「さあ進むのよ!リクオー皇国の興廃この一戦にありよ!!」
フェイトはバルディッシュを掲げ彼方を指した、思わずつられてリクオーもそちらを向く
…皇国ってどこの?
顔を顰め、一瞬考え込んだリクオーだった
頭を振る、いつものリク達の母、及びその関係者の誰かあたりの出所不明のお言葉だろう
詮索するのも不毛なので頭を振った
「やるしか無いんだよなぁ…結局…」
ぶつぶつと呟くリクオーに再度厳しいフェイトの叱責が飛ぶ
「何か言った!?」
「何でもー!」
軽く頭を撫でたリクオーは気を取り直してフェイトを背負い直した
再びダッシュする、すぐに別の障害物が現れた、ちょっとこいつ等をまともに相手してるのはツライな
「ウイングロード!」
ガン、リクオーの右の拳が地面を叩くとそこに魔法陣が展開し、輝くブルーの架け橋が瞬時に空に伸びた
リクオーはフェイトを背負ったまま跳躍し、着地すると、その上をローラーブーツで疾走し始めた
リクオーの頭上でフェイトの両腕が交差し
呪文の詠唱と共にミッドチルダ式の魔法陣が展開していく
バルディッシュのデバイス音声が主人の命にコールし次々にフォトン・ランサーが生成され撃ち出された
続いてCミラージュによって幻影(フェイク)弾が生み出され、2倍、3倍の一群の弾幕となって飛翔する
フェイトの魔法陣形成は2重になったものが重なり、逆方向に回転している特殊なものだ
それが前記のような攻撃を可能としているようだ
放たれた魔法弾はたちまち眼下のガジェット・ドローン壱型(演習仕様)の一団を飲み込みこんでいった
二人の背後で爆発が連鎖した、やはり
今更ながらフェイトの魔力・攻撃能力はこの年齢で半端では無い、ここだけは半ば本心からリクオーはそう思い感心している
視界が開けた
爆煙が晴れるとその眼前に翠に輝く巨大な宝石のような威容が見えた
リクオーは思わず唾を飲み込んだ
(でかい…)
頬のそばをかすめる魔法弾ををかわしつつ再び二人は『翠』の外壁に近づきつつあった
上手くすれば子供でありながら、特例的に!今回に限り!陸士の資格が得られる
「のよ!」
そう言われここに連れてこられた
気が付けば第3組のスタートラインに立っていたリクオーであった
説明、説得、連れてきたのは傍らにいるツインテールの少女であった、つまりフェイト・M・ランスターその人
幼いながらにリクオーは、世の中「今回だけ」とか「今回に限り」
というセールストークほど眉唾なものは無いと言う事は理解していた、だが現実にはリクオーはここに居る
理解してもどうにもならない事がある事をリクオーは学んだ、周りを見回すと
集まった参加者の面々、自分より遥か年上の人達、陸士学校の卒業生とおぼしき人達
その他、辺境警備らしい服装、屈強な中央の予備役の人達
むっとするような人の群れの中、珍しそうに自分たちを見つめる大人達の集中砲火の視線を浴びる
明らかに場違いな事をリクオーは感じた、やはり自分の考えは正しかったのだと虚しく再認識する事になっていた
手遅れであったし、同じ視線の中にあってもフェイトは気にもする様子も無かったが
参加者の中でやはり子供は自分とフェイトだけであった
それもそのはずで、手元にあるエントリー用紙には確かにフェイトの言う通り年齢制限は無かった、が
しっかり赤の太字で『命の保障無し自己責任』と明記されていた、もちろんリクオーはここに来て初めて知った
サインした後なので、やっぱり手遅れだ
ちなみにこの募集用紙、最後に高町なのは、空元帥、と署名してある
全力全開で有名な『あの人』幼子から老人までミッドチルダに知らぬ人は居ない『あの人』生きた伝説の女性、『あの人』
の発案らしい、つまり、冗談の類で書いてある訳ではないという訳である、撤回できそうもない
(トホホ…)
どこの世界に大人のガチンコ、サバイバルゲームにのこのこエントリーする幼児が居るだろうか
暗澹たる思いで傍らの少女を見つめた、彼女の母とその上司の二人のバリアジャケットを足して2で割ったようなB・J姿のフェイトは
マントを翻し、いつものまま根拠不明の自信に満ちて腕を組み、演習の目標物、超巨大戦艦『翠』を見つめていた
(彼女にとってはあれは栄光への階段にでも見えるのだろうか)
その表情は肩を落とすリクオーとは対照的だった
さて、結論から言うとボク達は、翠側の攻撃を掻い潜り、『あれの外壁』にタッチすればOK、帰ってもいいらしい…言うは易し、行うは難しである
周りからは、「今回、翠の配備された最新鋭の迎撃システムの実験も兼ねているらしい…」「たまに設定間違えて非殺傷になってないって言うぜ…?」
などと言う物騒な大人たちの会話も聞こえてきていた、冗談ではない、なぜこの場にボクはいるのだろうか?
帰りたい、できれば今すぐ帰りたい、と心の底から思うリクオーであった
溜息をついた、傍らの少女の横顔を見つめる
…察するに自分はフェイトの盾としてこの場に徴集されたのであろう
まったくもって光栄な事だ、つまり少なくとも自分の防御能力だけはフェイトにも高く評価されているという事なのだ
この上はせめて使い捨てでは無いことを祈るしかない
諦め気味にそう思い、掌を開閉して、リボルバーナックルを軽く回して調整するリクオーであった
これがここに至るまでの経緯である
69 :
B・A:2008/05/03(土) 08:01:06 ID:WCuT35QG
>>60 死んだ人がロストロギアで復活するという点で被っているかなぁと思っていたんです。
小心者なんで、予防線はっておこうと。
〜流星騎士団〜
S・S・K
アリシアはふと読んでいた雑誌から顔を上げ受付にたった同年輩の少女の
その白いマントの肩口に刺繍された赤い文字に目を向けた
Shooting Star Knights(流星騎士団)
空の、いや現在、過去を通して地上を含め全ミッドチルダ中最強
天駆ける戦乙女軍団
受付に立つその小柄なメンバーらしき騎士の後姿は
銀の髪を背中に流しアリシアにはちょっとチンク隊長を思わせた
だが中世騎士を思わせる甲冑、軽装ではあるが明らかに局員とは異質だった
アリシアはごく身近にそんな姿にも見覚えがあった、その女性の放つ雰囲気はシグナムのものと良く似ていた
二言三言喋るとその女性は目の前を通りかかり、慌ててアリシアは目を伏せ、やがれ歩き去る後ろ姿を見やった
その背中が通路の人ごみに消えて行った
(はぁ…かっこいいとは思うけど)
「…飛べない私には一生関係無い世界…かな」
ふっと笑ってアリシアはそこでその事を考えるのを止めた
別段空に対する憧れが無かったし
「それにエリオ父さんともチンク隊長とも会えなくなっちゃうしね…」
誰に言うでもなくそんな理由を付け加えた
再び読みかけの雑誌に目を落とした
ぱらり、ページをめくった、手が止まった
目に大きく飛び込んできたのは
辺境における貧困と生活の為に売られていく娘達の大きな写真付きの記事であった
中央から離れた地域では頑なに固有の生活を維持しようとする人達がいる
そしてそんな生活はとても安定してるとは言いがたく、自然の気まぐれに左右されやすい
ゆえに食うにも困ればこういう事も起こりうるのだ
(だったらそんな生活捨ててしまえばいいのに…)
頑なに先祖から受け継ぐ様式を守ろうとする人達、過去の無いアリシアには理解できない事だった
私生児、望まれない子供、そしてこんな子達が安価な労働力や性の対象
戦闘機人の素材になってるのも今や公然の秘密である
管理局自体まったくの潔白とは思えない、勤めている現在ではアリシアもその辺りの事情が解っていた
僅かに自分の辛い過去を思い出し、アリシアは表情を曇らせた
(私がここに居るのは単に運が良かっただけ…)
視線を上げた、雑談、穏やかな喧噪の中楽しげにしている人達、アリシアは思った
自分みたいな人間は何もできなかった、だからこそ、せめてそれを変えようとする人達
エリオ父さんやなのはさん、はやてさんみたいな人達の力の一部になりたいと
ページをめくった
71 :
B・A:2008/05/03(土) 08:01:59 ID:WCuT35QG
割り込みすみません。
支援
「駆けよ隼!」
カートリッジが二発飛んだ、輝く弓が引き絞られ、強力な魔法の矢が放たれた
ドドドドオン!
一瞬の間を置いて訓練用ガジェットU型が10機ほどまとめて吹き飛んだ
「見事なものだな」
弓を下げた騎士の少女の後ろで腕を組むピンク色の髪の騎士は呟いた
「もう私の教える事も残り少なくなってきてしまったようだな」
余り残念そうに思うまでもなく、宙に佇む烈火の将は教え子のうち一人の技の上達に一つ頷いた
「そんな、まだまだですよ、シグナム先生…」
一発の威力は未だ到底及びませんし
にっこり微笑んだ金髪を短く刈りこんだ少女の騎士は、輝くデバイスの弓形態を解除した
ツインランサーになった愛用のデバイスを腰に収めて遠慮がちに応えた、その白いマントにはSSKのエンブレムがあった
「それにしても…流星騎士団…なのはから指導を依頼された時はどんなものかと思ったが…
やはり私と同じく、お前達ベルカ騎士のスタイルには砲撃中心のこの隊のフォーメーションはきついのではないかな?」
シグナムはクスリと笑った、ううん…?と短髪の騎士も困ったように微笑んだ
「それは…そうですね、確かに…最近では騎士と言うよりほとんど弓兵になったような気分ですけど…
それでもやっぱり、私達は固いですから」
苦笑してるようだ
「どんな隊形でも、フォーメーションではある程度先頭は固さが必要です…だから基本魔導師主体のうちは
私達がやるしかない面が…まぁそこまで接近できるような敵も稀ですけど…それにパンツァーシルトももっと完璧にこなさいと…」
「ああ、常に上を見る、それは良い心がけだ…だが、防御に徹してるだけに…
離れての連射においてはすでに錬度で私に勝ってるかもしれん、そう思ったのでな」
「お世辞ですよシグナム先生」
「謙遜だな、我が生徒よ」
楽しげに笑い、話し込む二人の騎士の半面がふいに爆発光に照らされた
「……」
会話を中断して二人の騎士は手をかざした
「やはり派手だな、お前達のとこの隊のメンバーの集団戦ともなると…」
「あの二人はまた別枠ですよ」
二組の三角錐の光点が空中を駆けていた
『ディバイン・バスター』
高速で移動する一方の隊
先頭の術者の持つ青い宝玉のロッドから膨大なエネルギーが集約され、放出された
4人一組のもう一つの隊はその魔法光に飲み込まれたかのように見えた
と、激流にが岩にぶつかるようにそのエネルギー波は強引に押し留められ、みるみる四散していく
「聖王の鎧…か」
遠望したシグナムは呻いた、声にはやはり戦士として押さえ切れない感嘆がこもる
七色の魔法光がオーロラのようにヴィヴィオの編隊を包み込み保護している
絶対防御、あれある限りほとんど全ての放射系呪文はヴィヴィオ達には届かないだろう
まさしく無敵の能力だ
エネルギーの放出が収まると今度はヴィヴィオの隊から返す刀で光の柱が放たれた
こちらの威力も凄まじい、雲を二つ貫き巨大な閃光はもう一つの隊、その影を流星騎士団副隊長の率いる部隊を
瞬時に捉えたかと思われた
「…何!?」
だが直後の光景にシグナムは思わず声を上げた
雲の向こう、接触する、と思われた刹那、その部隊は掻き消すように空間から消失していた
ヴィヴィオは沈黙していた、その彼女を中心にした隊に
どこから出現したのか数十発のアクセルシューターが、吸い寄せられるようにその隊を包み込んだ
「下…」
副隊長の隊はいつの間にかヴィヴィオ達の真下に出現していた
そのまま上昇して下から抉ろうとする、迎撃したヴィヴィオと副隊長は激しい接近戦に移行していた
「馬鹿な…何だ今のは?…あちらの隊が急に消えたように見えたが…」
「アレは副隊長のISとか言う能力らしいです、自分及び、任意の物を有視界内では自由に空間跳躍させる能力だそうです」
金髪の騎士が頷いて応える、思わずシグナムは顔を顰めて弟子の顔を見返した
「なんだそれは…」
シャマルの時の扉でもああまで非常識なものではない、あれは見た感じ、タメに当たる部分が無かったように見えた
戦いを続ける二つの部隊をあっけに取られた表情で見つめる
「…どっちもお化けみたいな人ですから」
当人も充分天才の部類に入る戦闘力を秘めた騎士の娘はあきらめ気味に肩をすくめシグナムに微笑んだ
二つ部隊は幾度も離れては砲撃を交し、接近しては弾けるように左右に散って行った
その様は正に二組の流星群のようだった
驚くべきは、これだけの攻撃を交互に放ちながら、どちらの部隊もクリーンヒットを食らっていない事だった
シグナムが知る限り、開始からすでに30分は経過しているはずだが、未だ両者速度にいささかの衰えも無い
正直シグナムは信じられなかった、だがヴィヴィオの方はまだ解る、接近戦の能力は自分でも手を焼くし
離れての戦いとなると主はやてを除けば、高町なのはぐらいしか匹敵する者が思いつかない、事実上管理局最強だろう
だが、と思う
「………」
ではそのヴィヴィオと戦っている部隊は何なのか
黒髪の副隊長―身長はシグナムと同じぐらいだろうか、ついでに言うと胸のサイズもだが
―は、涼しい表情で数々の高度な呪文を繰り出し、魔力の上限が見えない
さらに良く見ると驚くべき事にヴィヴィオとの近接戦闘は文字どうり素手で交戦しているのだ
魔導師ではありえない光景だ
「何者だ…何と言ったかあの…」
「プリウス副隊長ですか?」
あぁ…そんな名だったか、シグナムは唸った
なのはが連れてきたと言う簡単な紹介だけを受けていた
だがシグナムはその女性を以前どこかで見たことがあるような気がした
黒い絹のような髪、涼しい目元に同じ女性から見ても見とれるほどの美貌
どこで見たのか…
かつて大魔導師と呼ばれた女性が居た
シグナムの永遠の好敵手だったフェイト・テスタロッサの母プレシア・テスタロッサ
副隊長がその言わばクローンだとシグナムが知るのは後の事である
〜ディエチ〜
ドン
重い衝撃音と閃光、15M少々の白一色の室内にパラパラと破片が舞った
(……なるほど)
ダクトの強制排気により急速に煙が晴れると、その中からチンクの姿が現れた
『コンピューター上のシミュレートでは出力比は2.5倍だったが…どうだいチンク』
きゅっきゅっと真新しいラバーの掌を開閉させ、チンクはそちらを向きコクリと頷いた
「はい、体感ではそれ以上にすら感じます」
(久しぶりだな…こういうのも…)
その片の目が分厚い耐圧ガラスの向こうを見つめる
ドクターの隣では彼女の妹、ナンバーズNo10、ディエチが静かに佇んでいた
その瞳は昔より柔らかでチンクには別人のような大人の女性を思わせた、何より違うのは
彼女のその胸には小さな命が抱かれていたからだろう
「…………理由か…」
『…なんだいチンク?』
「…いえ…何でもありません、…ドクター次のテストを…」
24話ネタで少し妄想。
あまり手荒な事はしたくなかったスカ博士だったが。
あまりにもフェイトが強情なので。多少、心が壊れても身体さえ無事ならいくらでも修正可能と言う理由で
女である以上は絶対に抗えない逆らえない性的な責めでフェイトを説得する(服従させる)事をトーレとセッテに命じトドメで広域の電波ジャックで痴態を大衆に晒すという暴挙に
トーレとセッテの巧みなコンビネーションとテクニックでイカされドクターの言葉責めで追い込まれ大衆に淫乱な姿を見られボロボロになる心
ついにはエリオとキャロの言葉すら届かない程に快楽に溺れ壊れ堕ちていくフェイト
呼吸を整えた、表面上はいつもと変わらず冷静な彼女だったが
内心はかなり鬱積したものが溜まり、気が重かった、短い間にいろいろな事が起き過ぎ、未だ混乱していた
チラリとディエチの方を窺う、妹は何だか私を見て微笑んでいるようにも見えた、気のせいか?
ちくりとした棘のような苛立ちを感じた
『いや、蓄積されたデータを走らせてみたかっただけでね…、体の方の調整等もある、今日はここまでにしよう―』
「了解…」
短くチンクは返事をした、プシュ、彼女の側面で、重い鋼鉄の扉が開いた、今日はここまでか
チンクはテスト用のヘッドギアを外して頭を振った
開放された白い髪が流れたまとわりつくような疲労感をチンクは感じていた
体にぴったりした黒のスーツのためだけではない気がした、また息を吐いた
ドクターはデータを照合している、その後ろ姿に目をやり、またチンクはディエチと目を合わせた
ディエチはゆったりとイスに腰かけ、チンクは腕を組んで立っていた、ディエチは静かに目を伏せている
優しげな表情、その胸ですやすやと眠っている赤子をそっと細い指先で撫でる、チンクは尋ねた
「…お前の子なんだな?」
「そう、あたしと…あの人…グリフィスの子…」
もう一度チンクはドクターの白い研究着の背中を見た、今はデータの数値が彼の一番の関心ごとらしい
熱中して、我々の存在すら忘れていそうですらある、溜息をついて再びディエチの方を向く
「『遺伝子上は』どちらなんだ?」
「グリフィス・ロウラン」
即座にディエチは答えた、予想された質問なのだろう
ふー…
そして妹のその答えを聞き、チンクは大体の事情を飲み込んだ
つまり、後ろのあれは私達が思う、完全にドクターというワケでは無いらしい、少なくとも
ディエチがこう答える程度の曖昧さはあるようだ、だがその問題とは別にチンクは覚悟せざるを得ない事があった
もはやナンバーズが相打つ事は不可避の事態と思われた、この子を放っておく事はディエチにはできない、私にも…
他の姉妹達の面差しがチンクの脳裏を走った
(ウーノ姉…ドゥーエ…ノーヴェ…オットー…ディエチ…誰一人、それぞれ…もう引く事は無いだろうな…)
それにしても、チンクは憂鬱な眼差しで皮肉ぽく唇を歪めた
馬鹿馬鹿しい、なんとも馬鹿馬鹿しいな、私も含めて…みんな…道化だ…戦闘機人というものは…どうしてこう…
(あちらのドクターは模造品の『まがい物』こちらは不純物とで『混ざり物』というワケか…)
笑えないな
「何?チンク…姉?」
怪訝そうにディエチがチンクに尋ねた
「…いや、とりあえず姉としてこういう場合は…
…一言あるべきなのだろうな…おめでとうディエチ、祝福しよう…その子とお前のために…」
「…ありがとうチンク姉…」
ディエチは本当に感謝してるようだ
ディエチの煙るような目を見てチンクは少し考えた、少なくとも、信じるもの
各個たるものがこの子にはある、そうだ、それはウーノ姉にも、…だが私は…私には…
「何?どうしたの?」
沈黙したチンクの顔をディエチが覗き込んだ
「…ぁ…いや…そうだ、そう言えば…そうだ…我が妹はもう一人いたな…」
今頃どうしている事やら
「思えば…あいつも不思議と自分の軸が定まっていたとも言える、少なくとも私よりは…な…
ふふ…結局私が一番ふらふらしてたわけだ…しっかり者の姉が聞いて呆れるな…」
「?」
ディエチは小首を傾げた
〜機人の血統〜
「Nシリーズ?」
「そう、君の…妹さんだろ?N=ナンバーズ・ノーヴェさ、それに連なる子達の総称…これをNシリーズと呼んでいた…」
キョトンとしてまじまじと男を見つめる
「はぁ…そんなの初めて聞いたッスよ…」
「…まぁ、研究者の間じゃね、他にも割と色々あったのさ、Qシリーズ(クイント)とかね…
…今は使われなくなってきたけど…昔の地上の管理局の分類、JとR表記みたいなもんさ…」
「つまりクローンッスね?」
「んー…、完全に同一体じゃないから少し違うかな…」
有名なところだとナカジマ姉妹みたいなもんさ…ドクターはタイプ0とかとも言ってたかなQの子達は
男は鍋を見ながら呟いた、馬の血統にも似たようなのあるだろ、優秀な血統は残されるてるのさ
自分が言うのも何だけど研究者ってのは業が深いから…と続ける
ふーん
曖昧に言いながら興味無さそうにウェンディは木製のオタマで野趣あふれる鍋のお汁をすくい味見をした
「ん、そろそろいいっスね」
辺境―荒野である、岩と砂漠と空だけが二人の周りの光景だった、BGMは乾いた風の音のみだった
「で、それでそのNシリーズが原因で管理局辞めちゃったんスか?その上自暴自棄でカメラマンに転向…」
「自暴…ま、まぁね」
がじり、決まりの悪そうに男は骨付き肉をウェンディに皿によそってもらった
そこで捕まえた岩トカゲだが、白身の肉は淡白だが噛み締めると実に美味だ、最近、こういうのを見てもウェンディは騒がなくなった
逞しくなったもんだなぁ…私こと戦場カメラマンF(仮名)は感慨深げに頷いた、結婚したばかりの頃は
つまんで見せただけでも飛んで逃げたものだが…(その後殴られたものだ)
「…勤めてたとこでね、まぁ表立っては言えないような機関の一部署で、関係者以外には
おいそれとは言えないような人の指導の元だったけど…充実した戦闘機人の研究をする日々だったのさ
…だけどある日…」
白身の肉質を齧り取った、うん、あの、ドクターは元気だろうか
謎が多く、腹も黒い人だったが物分りのよい上司だったし、技術者としては実に魅力に溢れた人だったし
あの狂いっぷりが、と、付け加え、がじりともう一回肉を齧った
「もぐ…手塩にかけたボクのNシリーズ、専属の素体を仲間の一人が黙って闇に流しちゃってね
かなりのポテンシャルを秘めてたはずなのにさ…クソ、ブラックマーケットで物の良し悪しの解らない連中に
粗悪な品物と一緒に扱われてるのかと思うと…
君も知ってのとおり…戦闘機人の体ってのはあれでデリケートでね…本体、中枢神経系が
優れてても相性が悪い手足を付けられたりした日には、そりゃ本来の性能が台無しにね、いやもっと悪いかも…」
男はそこで少し考えて言葉を継いだ
…で、もう…頭にきて即刻上に訴えたんだが
ドクターはともかくその上層部は……もみ消しやがったのさ、たかが金で…
…いや、思えば当初から上の連中も同僚と似たような商売してたって事さ…あんな組織に居て気が付かなかったボクが…
甘いと言えば甘かった、ボクやドクターみたいなのが珍しかったと…で、流れ流れて…今はこうさ」
ぺろりと指先の脂を舐め、肩をすくめてカラカラと鍋の底を回した
くしょん!
―中央本部・休憩所―
アリシアは座り込んだソファーで
コーヒーを飲みかけてクシャミをした、慌てて周りを見回し
決まり悪そうに澄ました顔でそのまますすった
「はぁ…」
「それでまぁ…可愛い我がNシリーズの腹立ち紛れに…
辞めてやるついでに本局宛の置き土産してきてやったんだ…時限爆弾をね」
時間が経ったら自動的に目覚めてだね…と、そこで男は言葉を切った、眠れる爆弾って奴だな…
とブツブツと男は無念そうに何やら口元で呟いた
「…まぁ、大々的なニュースにならなかったとこを見ると、どうやら未然に防がれたみたいだな…
とにかく、本部に突入して、一番偉いのぶん殴ってくるようにプログラムセットしておいたんだが…
やっぱあの人が出てきたのかな…まぁそれも計算づくだったけど…結局良かったのか悪かったのか…」
遠い目で空を見上げる男
やっぱりこの人は変な人っスね、何言ってるのかよく解らないところなんか得に…
自分の事は差し置いてウェンディはその横顔を身ながら思った
(どこかドクターと似てるッス…)
そう思いながら、ウェンディは岩トカゲの肉片をもぐもぐした
見つめられた方は未だ最後に手がけた作品の事を考えていた
「…戦闘機人にして人造魔導師の最高峰…になるはずだった…
P(プレシア・テスタロッサ)シリーズ・D(Double)実に…惜しかったよなぁ…」
無念の呟きが小さく男の口から漏れた
〜希望の雷光?〜
「うわぁああああ!!!」
「きゃぁ!」
恐ろしく密度を増してくる弾幕
リクオーはたまらずフェイトを抱えて近くの物陰に避難した
ジェットコースターの乗客宜しくフェイトから悲鳴が漏れる
ハーハーはー…二人して息をつく
「い、いくら先頭だからって…」
小石を放った
スバン!
パラパラと破片が飛び散り、目を見合わせた二人の額にコンと当たった
現在二人は『翠』の自動稼働砲群の魔法弾、その凄まじい精度と物量に直面していた
フェイトのサンセットレッドの髪とリクオーのダークブルーの髪は
細かい破片と埃で薄汚れていた
「無理だ!こんなの無理だよ!段々酷くなってきてる、突破できないよ!」
「う、ぅ〜…」
フェイトも悔しそうだ、流石にこれはちょっと無理だと思ってるらしい
いつもの調子でリクオーに文句を垂れるでもなく、思案している、この辺りフェイトの性格は現実的である
フェイトは打開策を求めて、彼の反対側の壁からそろそろと船体を覗き込もうとする、慌てて首を引っ込めた
彼女の眼前の岩肌が魔法弾で削れていた
「……くっ!ちょっと…なんかこの距離の射撃性能って高すぎない!?反則ぽい!」
「そんな事言ったって…」
責任者が責任者だしなぁ…、とリクオーは思った、艦橋でなのはさんはクシャミをした
(…ど、どうしよう…うーん)
少し考えてリクオーはややもう少し、現実的な提案を試みた
指を立ててそろそろと、なるべく優しく刺激しないように小さな声で切り出す
「ね、フェイト…ここでリタイア宣言しても…も、もうう、…その、充分じゃないかな?
…一応ここまでボク達が先頭なんだし…これはこれでもうかなり…」
くるりと振り向いたフェイトが腰に手を当てて向き直った、顔の距離が近い
「ダメよ!」
即座に却下された
「…ここで諦めたて後の組の人の中にクリアする人が居たらカッコ悪いじゃない!…何より
、後続の演技にどんどん抜かれてうな垂れる、スケーターのペアみたいになりたいの!?」
「でも…」
「でもじゃないの!」
う〜…
再び指先を唇に当て考え込んだフェイトはいきなり何かに気が付いたのか、パッと顔を上げた
名案が浮かんだらしい、また何か無謀な事を言い出しかねないかと、リクオーはハラハラしながら身がまえた
「そうだ!」
「…なに?」
できる限り平和的解決手段を望む…、との切ないリクオーの願いは一秒で粉砕された
「『アレ』を試す時がきたんだわ!」
「あ、…『アレ』って!?」
その響きにギクリと嫌な予感がして思わずリクオーは後ろに半歩身を引いた
フェイトはふふんと微笑んでリクオーを見た、直後のフェイトのセリフは、彼の予想の斜め上だった
「新・必・殺・技よ!…そうだわ、アレよ、アレなら…、タッチするよりそっちの方がインパクトあるし…」
「し…新必殺…」
新と言う事は旧があったのだろうか、一言一言区切った、物騒な単語の回答にリクオーは絶句した
そして、フェイトに耳を引っ張られ必殺の作戦プランを授かった
「ええええ!!!?」
リクオーはその作戦に思わず声を上げた
―戦艦『翠』ブリッジ―
艦橋に居る人はまだ少なかった、こちらも未だ人員不足で
実戦における半分も居なかった、そんな中一人の女性が声を上げた
「どうです!かなのはさん、あたしの自信作『NANOHA』と『FATE』の出来は?」
キランとメガネに自信を反射させて、シャリオ・グランセニックは一段高い位置のなのはを振り返った
ええっと…
呼ばれた方は少々困ったようで、なのはは「あはは…」と頬を掻いた
白一色の凛としたいでたち、元帥にして艦長、高町なのはだった
(プログラムの名称はともかくすごい性能…だね)
なのはは思った
人員不足の対抗策として特例的に作成された迎撃用プログラム
自分と亡くなった親友の名を冠せられている…のをたった今知ったのだった
現在は民間協力者の立場にある出向技術者、マスター・シャリオ・グランセニックの説明による
これらは二つの人口知能搭載の迎撃用プログラムは魔力カートリッジ式の砲台をそれぞれ管理し
対になって互いの死角を補い合い連動していた、『NANOHA』はその軌道に自由性があり主にホーミングを担当
ターゲットを追い込み、『FATE』は直進性、貫通力とスピードに優れ、これは確実に的を仕留める
この砲群は艦の左右に200門づつ、計400門、最新鋭戦艦、翠には配備され、その艦の無敵の防御を更に高めていた
だけど、と、なのはは考える
(翠の対空防御能力の優秀さを喜んでばかりはいられない…かな)
そうなのである、地上兵力の補充要員を選別するのが目的のこの演習、すでにこれで3組目
…未だ誰一人船の外壁に触ることはおろか近づく事もできない有様になっていた
(シャーリーには悪いけど、正直やり過ぎだ…)と思う
合格者が出ないのでは募集した意味が無い
「うーん…システムの方はもう見直すようなところも無いし…(名前とビジュアル以外は…)
これは…もうちょっとレベルを落とした方がいいの…かな…どう思う?レイジングハート?」
なのはは信頼するパートナーを見上げる、艦橋中央に浮かぶ人間一抱えもありそうな巨大な紅玉、レイジングハートが明滅し返答した
『…マスター…現在の演習レベルはAクラス+…マスターの望む人材の基準により回答が…』
なのはの握るレイジングハートエクセリオンのコアの部分の紅玉は今その活動を休止して
艦のシステムに移り、その制御に専念している
なのはが艦で指揮を取る間、『翠』の防衛プログラムはこのレイジングハートが司っているのだ
「うーん…」
欲張りすぎたのかなぁ、ふぅと息を吐き、再びなのはは画面を見つめた
目下第3組目にして初めてトップグループが翠の外壁近くの現在までの最大到達ポイントまできていた
だが、どうやらそこが限界のようだ、ただ一組のそのペアは岩陰で身動きが取れなくなったらしい
画面が遠くてよく解らないが若い陸士と魔導師のペアらしい
(んーん…惜しいけど…これはレベルを下げて最初の組からやり直すしか無いかな…)
軽く腕を組み、なのははホッと溜息をついた
仕方ない、虫が良すぎたかもしれない、即戦力を求めるなんて、
考えてみれば、そうそう簡単に逸材が出てくるようなら管理局に人材不足など起こるはずもないのだ
彼女の直属騎士団にしたって集めるのには裕に10年を要したのだ
(うん、そうだね…)
少し考え方を変えよう、今は駄目でも短期間で開花するような人も居るかもしれない
なのははレベルの調整と演習の仕切り直しを指示を出すべく右手を上げかけた
(スパルタで鍛えればたぶん)
なのはがそう考えたその時、状況に変化が起こっていた、突然のオペレーターの声にハッとなり顔を上げた
「か、艦長!!エントリー127、128飛び出しました、迎撃用砲群No001から064ターゲットロック始めてます」
「え!?」
その声に、なのはは画面に目をやった
正直あの状態から飛び出すのは自殺行為だと思っていた、無茶をやってた自分でもそう思う
故にもう演習は終っていたものだと、そう勝手に思っていた
だが、現実に、そのただ一組のペアは飛び出していた
過剰とも言える物量の弾幕が迫る中、小柄な少年が
続いてその後ろからツインテールの女の子が飛び出し、その少年の後ろに立ち魔法の詠唱を始めていた
「ちょっと!そんな無謀よ!あの子達…危険です!なのはさん!」
シャーリーも声を上げていた
「あ、あれ、あの子達は…」
なのはは声を漏らした
両手のナックルで少年は嵐のように飛来する魔法弾を片っ端から弾いていた
2歩ほど後方で少女が目を閉じ両手にデバイスを下げ魔法陣を展開している
なのははその子供達に見覚えがあった
「なのはさん!あの子達、無理です演習のストップを!」
シャーリーの声
だが、なのははなぜか喉元まで出かかった声を出せなかった
彼女の声にすぐに反応できず画面の光点に目を奪われていた、ドキドキする
懐かしい感覚、何かの期待が彼女の胸に沸いていた
「フェイト!早く」
リクオーはあっと言う間に自分の防御能力の限界がくるのを悟った
翠の防衛機能はこの距離まで来ると恐ろしく正確無比で、明らかに長距離とは別のシステムを使用していると思われた
正面だけでなく後ろのフェイトまで迂回するような攻撃は、意思を持っているかのようで
足元から、ガードの横、頭上からなど多彩な弾の軌道はリクオーを慌てさせた
かと思うと強烈な直進弾に慌てて十字に重ねた両腕のガードが弾かれそうになる
「ッフェイト!」
「できた!」
振り向くとフェイトの前に白と黒の二つのデバイスが重ねられた、二重の魔法陣が逆方向に回転を始めていた
周囲の魔力がフェイトを中心に見る間に収束して、ヘリの爆風にさらされるようにその白いマントを吹き上がらせた
術者の命にに二機のインテリジェントデバイスがそれぞれ応える
「クロスミラージュ!」
『Shooting Preparation Standby』
「バルデッシュ!」
『Set Protection Loading』
「クロス〜…レイ〜…」
(レイ(閃熱)!?…)
その単語にギクリとしたリクオーは思わず声をかけようとした、
「ちょっと待フェイ…」
だがすでに彼女の眼前に出現した光点はブラックホールのように凄い勢いで周囲のエネルギーを凝縮して
眩しく輝いていた、そして限界に達したところで呪文に集中していたフェイトはクロスしていた両腕を左右に払った
「シュートぉ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
「うわぁ!」
慌てて身を投げ出したリクオーの頭上を唸りを上げて熱線が走り抜け、リクオーの髪の毛が数本舞った
一瞬でそれは軽々と数十発の迎撃の魔法弾を木の葉のように撃ち抜き、『翠』の外壁に到達していた
ズズン…
「…」
その光線が翠に達した時、なのははと僅かな振動を足元に感じた
なのはの頭上にパネルが2枚開いて二人の少女が被害を報告した、子供時代のなのはとフェイトの合成されたイメージである
『ごめんなさいマム、FATE003、カートリッジ装填部に損傷受けました、稼働停止』
『ママ、NANOHA003異常なし、補修用ガジェットわたしのぶんFATEちゃん003に向わせました』
わかった、となのは
「う、嘘、中まで!?」とシャーリー
なのははもう少し冷静だった
やっぱり変な感じだ、子供時代の自分に話かけられるのは、確かに解りやすくはあるのだけど…、と
「この馬鹿っ!ホラなのはさんに、あやまりなさい!」
ゴツン、ぐりぐり、強制的に娘の頭をさげさせる執務官、ティアナ・ランスター
隣にいるのはエリオ、そもそも愛娘のフェイトがこんな危険な事に参加していた事の方に
衝撃を受けているのか、娘と妻の横でひたすらオロオロしている、その様子からはとても地上の総指揮官には見えない
なのはは若い二人の親の姿に苦笑した
その問題の少女の隣ではリクオーがペコリと自発的になのはさんに頭を下げていた
傍らに立つスバルとその目が会う、リクオーはあは…と曖昧に微笑んだ、その頭にニッコリ笑ったスバルのゲンコツが降りた
ゴツン
「あたたた…」
やっぱりダメかぁ…リクオーは内心思った、ママはこういう時はきっちりやる
「そうだね…よくやったと言ってあげたいとこだけどね、ロッサは来れないし、その分あたしがね、一応ケジメだね」
そう言うとスバルは笑ってごしごしとリクオーの髪を撫でた、リクオーも頷いた
スバルはもう一度フェイトの隣でリクオーに頭を下げさせた
うん、となのはも、もう一度頷いた、スバルはいいお母さんになったねと
ズルズルと不満そうに引きずられて行くフェイト、到底納得しているようには見えない
二組の親子が退室していくのになのはは手を振っていた
「ふー…」
「前途多難そうですね」
声に振り向くと、なのはの溜息を聞いた男性オペレーターが肩を竦めていた
彼なりに上司の苦労を忍んでいるようだ
確かにこれで今日の予定はおじゃんである
一人も合格者が出ないまま、結局予定は繰り越し、翠に損傷を受け
調整にまた数日かかるだろう、差し迫った日数を思えば艦長であり指令である彼女には
あまり進展があったとは言えない、しかし
「…そうかな?」
なのははくるりと回って振り向き答えた、
「わたしにはちょっと…希望が見えた、かな?」
そう言ってなのはは微笑んだ
内部まで到達したフェイトの閃光は
防御シールドを突破して内部の補修用ガジェット1機を破壊していた
画面に写ったガジェットの丸いレンズの上の辺りの額には、綺麗にペンサイズの小さな穴が開き
火花と煙を吐いていた
「…翠の3重AMF障壁を貫いて、内部に物理ダメージ与えるなんて…そんな事…」
「ヴァリアブルシュート…多殻弾頭の変形技かな…」
ティアナが得意だったね
画面を見入るシャーリーをなのはは楽しそうに見つめていた
……
…
帰り道
「あんたあの呪文絶対禁止だからね…」
「えええーーー!!!!!」
ママであるティアナにそう宣告されたフェイトは声を上げた
「えーじゃないの!、何、フェイト!あの殺人光線は?いつの間にあんなの使えるようになったの?」
後ろで歩くリクオーはうんうんと頷いた、確かに殺人光線だ、途端に振り向いたフェイトに睨まれ慌ててそっぽを向いた
スバルはそんな息子達の様子をニコニコと面白そうに見ている
「だってちゃんと非殺傷…」
再び振り向いたフェイトはなんとか母親に懇願する、フェイトでも頭が上がらない人物が居ることを
リクオーは今更ながらに確認していた、スバルの後ろで
「非殺傷でも駄目、収束するにも限度があるでしょ!?穴が開いちゃったじゃない翠に!
…ちょっともう!何とか言ってよエリオ!」
「ねパパお願い、私…ちゃんと手加減練習するから…」
親としての責任と娘からの懇願
二人に水を向けられたエリオは板ばさみになり、いささか言葉に詰まっているようだった
そんな姿を見てエリオさんも大変そうだなぁ…人事ながら思うリクオーであった
続く
どうも遅くなりました、すいません
オマケ話ですインフレオーバーパワー気味なのは笑って見過ごして下さい
予定してたとこでは到底終わりそうにないです
フェイトとリクオーはAs当時のなのは達の年代のイメージでやってます
(フェイトは飛べないけど)
書きたいシーンまでなかなか到達できません、もどかしいです
成長したキャロやルーテシアも活躍させてやりたいですね
読んでくれた方に感謝を、そしてもう一度お詫びを、次回はもうちょっと早めに
時間も無いので、それでは…ではでは
>>86 まさか神が来るとは思いもよらず途中で変な妄想で邪魔してスミマセンでした
>>86 GJ!!
いいなあ、読んでいて自由さを感じて読んでいて気持ちがいい……。
>>86 y=ー( ゚д゚)・∵. ターンA氏お久しぶりです。
またこのシリーズが見れてうれしいです。GJ!
それとひとつ、誤字を見つけたので一応報告を。
>経験地→経験値っすよ
>>86 実は今までの話自体はあまりまともに読んでなかったんだが…
げっ…迎撃用…プログラム……ホーミング担当「NANOHA」…
そしてスピード担当「FATE」…イメージは…子供時代の…なのフェイ…
…なのはのことを…マム&ママ……なんだこの燃える設定はよおおお!?
シャーリGJすぐるwww
もうどっからどう見てもAFですwwwww
本当にありがとう(rya
一ヶ月ぶりに来てみたら、随分スレが進んでる……
どなたか、この一月のスレの状況とかを簡潔に教えてくれると嬉しいです。
ともあれ、ソープというジャンルが衰退していなかったことに一安心。
来れない一月の間に、ソープ物で非エロ(微エロ?)シリアス中篇とか考えてみたんですが、大丈夫でしょうか?
>>93 キシャー→納豆→ショタ→ソープ→触手→中年→おにぎり→パンニー(パンツでオナニー)
→ソックス→???
流行としては概ねこんな感じ。あとここ数日はちょっと間の空いてた連載作品の
再開が多い。司書さんがかなり最近の分までまとめを更新してくれているので
時間を見て追ってみてはどうかしらん。
あと、このスレの住人は大丈夫かと聞かれたらいつでも答えはひとつです。
ばっちこーい、恐れず投げ込んでください。
一ヶ月というと、アルカディア氏がスレを離れてからもうぼちぼち一ヶ月……
忙しそうな感じだったけどもうそろそろスレに顔出したりできるようになったかなー……
>>93 もう好きなようにイっちまえ! 誰もお前を止める奴はいねえ!!!
>>95 あ、名乗るの忘れてた、本人です。
ありがとうございます、まとめサイトの過去ログもざっと流し読みしましたが、相変わらずの混沌ぶりで安心しました。
また何か投下したいのですが、構想はあってもまだ実弾が足りていないので、暇を見て書き溜めてまた投下させて頂きます。
まだ当分は顔を出せるのも週一程度になりそうなので、リハビリ代わりに短編などから書いて行こうかと考え中です。
遅れましたが司書様、まとめ作業ありがとうございます。まとめサイトの分確認させて頂きました。
まとめサイトに上がっている最近の作品も暇をみて精読させて頂きます。
ではでは。
98 :
95兼ておあー:2008/05/03(土) 17:48:23 ID:/145PZai
>>97 あいや、まさかホントに本人だったとは。
とにもかくにもお帰りなさいませ。また氏のすばらしいSSを読める日を
心待ちにしております。
キシャーを書いてる途中ふと思いついた小ネタを投下。
構想一時間、使用レス数2。非エロ、ギャグ、エリルー(なのユー)時空の話です
「はあ……」
エリオ・モンディアルは憂鬱そうな顔で溜息をついた。
彼を悩ませているのは世の男なら最も遭遇したくない問題―女性問題である。
ただしエリオが浮気や二股をしたという事では決してなく、むしろ彼は被害者の側だった。
例えば先日あった出来事である。
――エリオ……好きだよ……
――ボクもさ、ルー……(ボウン!!)うわっ!?
――ごめんねエリオ君。ついうっかりフリードがブラストフレアを吹いちゃった♪
――キュクルー♪
――ついうっかりじゃないよね!? 明らかに今指示したんだよね!? というかなんでここにキャロがいるのさ!
――別にエリオ君に会いに来た訳じゃないよ。私はルーちゃんに会いに来ただけだから。ルーちゃんハァハァ
(……子供は親に似るって聞いた事があるけど……それって育ての親にも当てはまるんだorz)
そう、今エリオを悩ませているのは三角関係、それもエリオとキャロがルーテシアを奪い合う(というかエリオとルーテシアは普通に
付き合っているので奪うも何も無いのだが)変則的な三角関係だった。実はこれはまさに高町なのはとユーノ・スクライア、そして
エリオ達の育ての親、フェイト・T・ハラオウンの三角関係と全く同じ構図で、つまりなのハァハァ(ガチレズ)のフェイトによって
育てられたキャロは、親譲りのガチレズに育ってしまっていたのだ。
(とりあえずガチホモにならなくてよかった……ボク)
ノーマルに育った自分に安堵するエリオ、しかしそれで問題が解決するわけではない。
(ボクとルーが平和な恋人ライフを謳歌するためには、キャロをどうにかしないといけない……)
年齢を超えた盟友ユーノは「自分の十代はフェイトとの闘争の歴史だった、フェイトがボクとなのはのデートを邪魔しに来たのは
一度や二度ではなく、むしろ二人きりでデートを楽しんだ記憶は数えるほどしかない」と遠くを見ながらしみじみ語っていた。そんな
青春を送るのは嫌だ、熱血バトルアクション人生を送るのは別次元の自分だけで十分である。
(フェイトさんみたいに引き返せないところにいるならともかく、幸いキャロはまだガチレズになって日が浅い……誰かいい男が側に
いれば、そっちに流れる可能性もあるはずだ)
エリオとしてはキャロはルーテシアとの仲を邪魔する天敵ではあるが、同時に妹のような存在でもある。できれば修羅道を抜け出して
ノーマルになってほしいというのが偽らざる気持ちである。周りにイケメンの一人でもいれば、十分に道を引き返す事は可能だと
エリオは信じていた。
しかし悲しいかな、彼は機動六課が初めての所属である。誰か男を紹介しようにも余りにも人脈がなさすぎた。
(六課の人……ヴァイスさんは既にティアさん、アルトさん、シグナム副隊長の三人同時攻略中だし、グリフィスさんはルキノさんと
付き合ってる……ザフィーラは……ダメだ。さすがに犬が恋人っていうのはちょっと……)
そもそも男女比がおかしすぎる。これではガチレズに走るのも納得がいくというものである。
ちなみに『モブの男性職員は?』と聞くのは野暮な話だ。
(……そうだ! 事情を話して『彼』に協力を頼もう! 性別がちょっとわかりにくいけど、たぶん一応男のはず!!)
――十分後。
「……! ……!!(人の主人に何手ぇ出してくれとるんじゃあああ! ぶち殺すぞこのガキがああああ!!)」
「うわああああー! 助けてえええええええー!!」
「エリオとガリュー……楽しそう……」
「本当だね。あんなに元気に追いかけっこしてるよ(ナイスだよガリュー! そのままバッサリやっちゃえ!!)」
「キュクルー♪」
101 :
ておあー:2008/05/03(土) 17:54:54 ID:/145PZai
投下完了。
おかしいな…どうしちゃったのかな……
エリキャロ派だったはずなのに気がついたらエリルー派になっていた。
間違いなくB・A氏のせいです。あと前スレではすいませんでしたっ
GJ!
っていうかキャロが本気(ガチ)な百合ってかなり珍しいのでは?
かなり新鮮でした、先代三角関係(ユーなの←フェ)を世襲してる感じがして良いっすね。
104 :
名無しさん@ピンキー:2008/05/03(土) 18:40:59 ID:SVsoFHvI
>>101 GJ
ユーノとフェイトの戦いの歴史もみてみたいですw
>>101 歴史は繰り返すものなのだな…エリオ、ガンガレ
GJでした
ゲイ戦記の序章である
>>101 GJ
エリオはどこの世界でも苦労しているなぁ。
ふと思いついたロストロギアの力で多元宇宙のエリオが一堂に会するというネタ。
「恋人のために管理局を裏切ったり、右腕右目をなくしたり、刑務所に入ったり、悲惨な子供時代だった」
「僕は虚数空間に落ちて記憶をなくした」
「いつも恋人に殺されかけてます」
「キャロがガチレズで僕とルーの仲を邪魔するんです」
「クロノ提督に掘られました」
「触手に喰われた(性的な意味で)」
「男性に痴漢されました」
「JS事件でフェイトさんが亡くなられ・・・うぅ・・・うぅ・・・・」
「みんな苦労しているなぁ・・・・・君はどんな生活を送っていたんだい?」
「人生をやり直しまくって女の子とやりたい放題」
「そうかそうか・・・・・とりあえず、またやり直すかい?」
109 :
ザ・シガー:2008/05/03(土) 20:58:31 ID:WXAb01RU
唐突だけど投下します。
「烈火の将は〜」のトゥルーエンド、10,5話でクソメガネに神の怒りが下る話。
今回はシャマルさんの改造が凄いので、いつものシャマルさんが好きな人はスルーしてくださいね?
あと、言うまでも無く非エロ。
烈火の将は狙撃手がお好き10,5
誰もいない筈の深夜の機動六課隊舎、その屋上でメガネをかけた青年が魔力で作られた盗撮用モニターを眺めている。
映っているのはヴァイスとシグナム、そしてティアナを含めた三角関係。
それは青年の仕組んだ愛憎劇の顛末だった。
「やれやれ‥‥」
青年はひどく残念そうにそう言いながらメガネを指で直す。
彼が影ながら仕組んだ三角関係は元の鞘に落ち着くという形で解決し、特にこれといった修羅場無く終わった。
青年にはそれが残念でならないようだ。
「これじゃあ、せっかく仕込んだ意味がないじゃないか‥‥まあ過程も存分に面白かったけど、やっぱり最後に無理心中くらいして欲しかったなぁ」
メガネの青年は空に輝く美しい月に向かってそう呟いた。
月夜の屋上には誰も答える者はいない。
青年の名はグリフィス・ロウラン。
好青年の皮を被った残忍な狼は静かに夜闇に溜息を吐き漏らした。
彼にとって人を翻弄するのは美酒より甘美な酔いをもたらす最高の“暇つぶし”だったから。
だがグリフィスのその姿を影から澄んだ瞳が一対、殺意と怒りを以って眺めていた。
影は静かに、本当に音一つ無く歩を進めてグリフィスに近づいて行く。
その殺気は凄まじく、空気を陽炎のように歪める様はまるで悪鬼羅刹の如し。
空気を伝わるあまりの殺意に気付いたグリフィスは即座に振り返って影に視線を向けた。
「これはこれは、夜分遅くにどうなさいました?」
「それはこっちのセリフね、こんな所で何してるのかしらグリフィス君」
影の正体、それは輝く金髪を揺らし白衣に身を包んだ美女。
機動六課医務官にして八神家のお姉さんことシャマルだった。
グリフィスは状況を察したのか、愉快そうに黒き笑みを顔に宿して口元を歪めている。
対するシャマルは怒りでその美貌を歪めていた。
「色々と調べさせてもらったわ‥‥本当に色々と‥」
「へえ、何をですか?」
シャマルのその言葉にグリフィスが小馬鹿にしたような調子で尋ねた。
完全な挑発、その言葉にはシャマルの怒りにもっと燃料を注ぐ為の悪意が滲み出ている。
シャマルは眉を歪めながらも怒りを理性で抑えて言葉を続けた。
「シグナムの様子がおかしかった事、あなたがティアナと接触していた事、それに今下で起こっていた事、なによりあなたがここであの様子を傍観していた事‥‥全てが繋がる、辻褄が合うわ‥‥グリフィス君、あなたがティアナを焚き付けたんでしょ?」
「“焚き付けた”? まったく身に覚えがありませんねぇ」
グリフィスは呆れたような口調で肩をすくめながらシャマルにそう言い放った。
シャマルは常のオットリした雰囲気が嘘のように鋭い瞳でグリフィスを睨み付ける。
対するメガネの悪漢はその表情を嬉しそうに眺めていた。
「白々しいわね‥‥」
「本当の事ですよ? 僕は何も彼女に強要してはいない、全ては彼女の意思で行われたんですから。まあほんの少しくらいはアドバイスしましたがね」
グリフィスのその言葉にシャマルは血が出そうな程に拳を握り締める。
彼女の溜め込んだ怒りは既に限界ギリギリだった。
優しき癒し手は怒りの業火によってその心に修羅を宿す。
「最後に一つだけ答えて、なんでこんな事したの?」
シャマルは小さな声でそう尋ねる、それはいわば最後通告だった。
彼女の最後の一線、完全に怒りと憎悪を開放するスイッチ、もしも酌量の余地があれば情けはかけるつもりだ。
だが帰って来たのは予想通りの答え。
「“狂気の沙汰が見たかった”かな?」
その言葉にシャマルはもう我慢するのを止めた。
「ふざけるなっ!!!!」
空気を引き裂く怒声が夜の空に木霊する。
グリフィスは一瞬、背筋に寒気が走るのを感じた。
目の前の女性の雰囲気が瞬く間にか弱い女から怒れる悪鬼に変化したかのような錯覚が脳裏を走る。
「あなたは‥‥シグナムが‥‥不器用なあの子が本気でした‥生まれて初めての恋をそんな理由で踏みにじった‥もう許せないわ」
シャマルは言葉と共にデバイスを起動、騎士甲冑を纏って戦闘態勢を整える。
そして即座に展開した旅の鏡でグリフィスのリンカーコアをぶち撒けにかかった。
容赦などしてはやらない、大切な家族の乙女心を傷つけた奴に情けなど抱くことは出来ない。
だがシャマルの攻撃が決まる寸前、乾いた銃声が鳴り響き鉛の弾が魔法攻撃を中断した。
「くうっ!」
瞬間的にシャマルの愛機クラールヴィントが自動(オート)で発動した防御障壁が主君に迫った鋼鉄に包まれた9mmルガーの弾頭を防ぎ虚空に弾く。
だが貫通力に優れた9mmのフルメタルジャケット弾頭は瞬間的に出た防御障壁では防ぎきれずにシャマルの肩をかすめた。
肩をかすめた銃弾によって鮮血が飛び散り、苦痛にいささか顔を歪めながらシャマルは目の前のグリフィスに鋭い眼光を向ける。
そこには鋼鉄の芸術とでも言うべき鉄火を持った青年が悪魔のような笑みを零していた。
「管理局の人間が銃火器なんて‥‥違法も良いところじゃないの?」
「いえいえ、お気になさらず。これは随分古い銃でしてね、一応は骨董品の扱いなんですよ」
グリフィスはそう言いながら手にした銃の銃身に愛しそうに指を這わせた。
夜闇の中で月光に輝くブルーフィニッシュの青い金属的光沢、それは細長い銃身に芸術的な美しいフォルムのドイツ製拳銃“ルガーP08”。
8インチの長大な銃身を誇る砲兵(アーティラリー)モデルは一種の芸術品のような気品すら感じさせる。
「さあ、僕を“許さない”って言うなら早く来てくださいよ?」
余裕の笑みでシャマルを嘲るグリフィス。
それは、攻撃手段が旅の鏡しかない彼女では防戦を強いられるのは必定としての余裕。
一方的に嬲れると考えての嗜虐的な笑みだった。
(防御障壁が簡単に貫通された、対魔法用の特殊弾‥‥それにこの魔力結合のし難さはもしかしてAMF?)
シャマルは防御障壁を多重展開しながら敵の攻撃と場の空気の異変に思考を巡らせる。
その様子を悠然と眺めていたグリフィスは愉快そうな黒い笑みを浮かべながら口を開いた。
「気付きました? 対魔道師用の特殊弾頭と将校用に開発された個人携帯用のAMF発生装置ですよ、中々の性能でしょう?」
「そうね‥‥もう遊べないみたいだわ‥」
敵はただの獲物ではなく牙持つ獣だと察したシャマルは、己もまた鋭い牙を剥く算段をした。
もう表の顔では勝てないと理解して、騎士甲冑を変化させていく。
光が彼女の身体を包み込み、グリフィスの見たことの無い黒衣に変わる。その騎士甲冑は常の彼女が纏っているものとはまるでデザインが違った。
黒を貴重にした色調に、上着の袖もスカートもピッタリと身体のラインに沿ったデザイン、特にスカートは深くスリットの入ったタイトスカートとなってひどく色気をかもし出している。
そして何よりその瞳が凄まじかった。影を帯びたその眼光はもはや別人の域の鋭さを帯びたものに昇華していた。
「じゃあ、イクわよ」
グリフィスがシャマルの眼光に身体の芯に寒気を感じた瞬間、彼女はそう静かに呟きクラールヴィントを嵌めた両手を交差させて振るった。
“何か”が風を斬る鋭い音が響いた刹那、グリフィスは獣染みた本能が感じた危険の予感に横っ飛びに跳ねた。
転がる屋上のタイルの上を転がり先ほど自分がいた場所に視線を戻す、すると屋上外周の手すりがまるでチーズのように斬り裂かれている。
さらに自分の頬に横一文字の裂傷が刻まれて血が一筋伝っていた。
「よく避けたわね。でもごめんなさい、ちょっとだけ殺す気でヤっちゃったわ」
シャマルはそう言いながら手首を返す、そうすると“何か”が空気を斬り裂く音と共に宙を翻り月の銀光に反射して輝いた。
「鋼線‥‥ワイヤーカッターですか‥えげつないですねぇ」
「中々良い得物でしょ? 任意で切れ味を操作できる蜘蛛糸(シュピンネ・ザイテ)、クラールヴィントの隠された武器。そしてこれが私のも一つの顔‥‥‥癒し手にして参謀そして暗殺者、守護騎士の影」
黒衣の美女は氷のような冷たい言葉でそう告げた。
これが彼女の持つもう一つの顔、守護騎士の誰も知らない裏の役目。
主君の邪魔になる障害を密かに屠り去る闇の狩人、黒衣を纏った金髪の死神の姿だった。
グリフィスを見据えるその瞳は正に絶対零度の冷たさ、だが宿る殺意は灼熱の紅蓮。
矛盾するその迫力はもはや人外の化生に匹敵する程の魔性を発している。
グリフィスは背筋を駆ける寒気を感じ、本能が上げる悲鳴に冷や汗を流して恐怖した。
「くっ! 死ね!!!」
らしくもない咆哮と共に構えた銃で鉛弾を速射。
正確に眉間と心臓に狙いを定めて二連射(ダブルタップ)を二回計四発の銃弾を射出。
銃声と共に独特な形をしたルガーの尺取虫型遊底(トグルスライド)が四回前後して金色のカートリッジを宙に排出した。
8インチ銃身から吐き出された鉛球は直進の軌跡を描いて銃弾がシャマルに飛来する。だがその必殺の銃弾はかすりもしなかった。
シャマルは脚部に行使した身体強化魔法で残像を残す程の速度で側方に駆けて回避した。
そして熟練の死の影は単に回避するだけに終わらなかった、彼女は回避動作と同時に翻したその手で死の蜘蛛糸で獲物をしっかりと捕捉していたのだ。
グリフィスが次弾の狙いを定める為に銃口を再びシャマルに向けた刹那、断罪の刃は振り下ろされる。
「な‥‥に?」
そうグリフィスが呟いた時には、銃を握っていた彼の右の手首が切断されて地に落ちた。
血が噴出して足元を汚したが痛みが伴う事は無かった、そのあまりの切れ味は対象に痛覚を感じさせない程高いレベルに達しているのだ。
苦痛を一切感じない四肢の喪失はまるで悪夢、恐怖を通り越した異質な感覚。
そしてグリフィスの思考が反撃に移る前に次なる死蜘蛛の一手は決まっていた。
シュルシュルという不気味な音と共にグリフィスの身体に透けるような細い糸が這う。
「ぐあああぁぁっ!!!」
グリフィスの全身に鋼線が十重に二十重に絡みつき、正に毒蜘蛛の巣のように彼の身動きの一切を封じた。
あえて切れ味を殺されたそれは、グリフィスの身体を斬り刻む事無く力強く食い込んで苦痛を与える。
全身を凄まじい力で締め上げていく蜘蛛糸は容赦なく、もはや脱出など叶わない。
そしてシャマルは静かにゆっくりと、その一歩ずつを噛み締めるようにグリフィスに近づいていく。
「さあ、断罪の時間よ神にでも懺悔なさい」
シャマルはそう言いながら爛々と怒りに燃える瞳でグリフィスを睨み付ける。
だが不遜な悪漢は冷や汗をかきながらも、あくまで不敵な苦笑を浮かべた。
「残念ですが僕は無神論者でしてねぇ、懺悔はしない主義なんですよ」
「そう、じゃあ遠慮なくイくわよ」
シャマルはそう言ったが、グリフィスがどういう返事をしようと彼女に遠慮する気などなかっただろう。
身体強化魔法の術式が展開し、シャマルの右手に凄まじい金剛力が宿る。
「これは、シグナムの分っっ!!!!」
そして振りかぶった右拳、クラールヴィントを嵌められて打撃力を増したそれが風を切ってグリフィスの顔面に叩き付けられる。
強力無比な威力の拳打に顔面が一時的に陥没する、そして同時にメガネを粉砕。
「ぐはぁっ!!!」
グリフィスの口から血飛沫が飛び散り顔がのけ反る、だがシャマルは容赦なく追撃に移った。
次いでグリフィスの顔面に、人差し指と中指を立てた刺突が続けて襲い来る。
そして二本の指は鼻の二つの穴に突き刺さった。
「これはヴァイス君の分っ!!!」
「がふうぅっっ!!」
鼻への指刺し、小指(エンコ)詰めの10倍痛いと言われる程の効果を持つ残忍な技が決まり、凄絶な苦痛をグリフィスに与える。
グリフィスは鼻腔から夥しく墳血して喘ぐが、それでも制裁は続く。
次は握り締めた左拳が腹に刺さった。
「これはティアナの分っ!!」
「ごぶううぅっっ!!」
ボクサーに地獄の苦しみと言われる左脇腹へのボディブロー、俗に言う肝臓打ち(リバーブロー)である。
ジワジワと痛覚神経を刺激する苦痛が電流となって脳に伝わり灼熱の痛みをもたらす。
グリフィスは血反吐を吐いて悶える、手足は拘束されてなおビクビクとのたうった。
返り血を浴びながらシャマルは一歩引く。
そして最後の一撃と、渾身の力を込めて握り締めた右拳を振りかぶった。
全身から立ち昇る殺気が眼に見える程に色濃くなり、怒れる羅刹を彩る。
そのあまりの気迫にグリフィスは圧倒的な死の恐怖を感じた。
「そしてこれはぁ‥‥‥」
腰が捻じ切れんばかりに振りかぶった最高の拳撃、全力全開の拳がグリフィスの顎先を捉える。
目に追えぬ速さのアッパーカットが完全なる角度で決まった。
「私の分よっっ!!!!!」
蜘蛛糸が解かれると同時にグリフィスの身体は宙高く舞い上がり、数回転して顔面から屋上のタイルに真っ逆さまに落ちた(分かり易く言うと車田正○の漫画みたいな落ち方)。
鮮やかに広がる血潮、地の海の上に立つ金髪の断罪者は拳に付着した鮮血を、手首を翻して払う。
そして騎士甲冑を解除したシャマルは元の白衣姿になり、いつものシャマル先生に戻った。
「ヤレヤレだわ。これに懲りたらもう二度と乙女心を踏みにじらない事ね」
シャマルはそう言いながら地に伏せた愚者に僅かな憐憫を込めた言葉を漏らす。
気絶したグリフィスにその言葉を解せる筈は無く、誰も聞く者のいない残響はただ夜風に消えていった。
左手首切断と鉄拳でのたこ殴りフルボッコ、これにて仕置き完了した。
続く。
116 :
ザ・シガー:2008/05/03(土) 21:08:27 ID:WXAb01RU
投下終了です。
>>33の質問はこの話の為だったとです。
ヴォルケンリッターのゴミ処理係、死神シャマルな話でした。
まあ銃のチョイスとか鋼線での四肢切断とか趣味丸出し。
やっぱワイヤーカッターは男の浪漫、あと銃は断然ドイツ製それも第二次大戦以前限定。
さてこの後は「風の癒し手 恋をする」で恋に恋する乙女なシャマルさん書かなきゃ。
117 :
ザ・シガー:2008/05/03(土) 21:10:10 ID:WXAb01RU
やべえ! 重大な誤字発見!!
>>115 左手首切断と鉄拳でのたこ殴りフルボッコ、これにて仕置き完了した。
↓
右手首切断と鉄拳でのたこ殴りフルボッコ、これにて仕置き完了した。
左右逆転してた、保管庫入れる際はこれでお願いします。
>>116,117
GJっす・・・あ〜すっきりした
何かこのシャマルさんが
たった一つの単純な答えだ貴方は私を怒らせたとか言いそうな気がしてならない
ヤレヤレだわの部分だけでそう思った俺
糸、ウォルター以外ならえーとえーと
飯島?もしくは必殺仕事人
乙です
>糸
山田風太郎『甲賀忍法貼』(『バジリスク』も)の夜叉丸、菊池秀行『マンサーチャー・シリーズ』の秋せつら
あと、『とらいあんぐるハート3』の御神流も鋼線を武器にしている
>>116 肝臓打ちやったんなら、ガゼル→デンプシーまで繋げると思ったのは自分だけじゃないと思う。
GJでした。
GJ!
何かシャマルさんが某大英帝国最強の執事兼ゴミ処理担当みたいだと思ったww
おかしいな・・・・どうしちゃったんだろう?全然、違和感が無い。
シャマルさん、好きだけど違和感が無い。
とどめはフォークで!!あぁそうか、違和感の無さの原因は―いやまさかな!HAHAHAHAHA!!
乙でした
124 :
サイヒ:2008/05/03(土) 22:28:08 ID:7Fj1/PG4
最近ユーなの少ないという声に答えて、ソープの練習してた時になんとなく思いつき、
八割方書いて放置してたネタなど完成させてみました。
ユーなので、二人が十五歳の設定。当然エロ。
なお、ちっともソープじゃありませんのであしからず。
125 :
風呂場の二人:2008/05/03(土) 22:29:04 ID:7Fj1/PG4
ユーノは風呂が好きかと訊かれたら、好きだが入りたくないと珍妙な答えを返している。
理由は、年齢に見合わぬ過剰労働にあった。
存在が知られ始めた無限書庫は、いまだ全体の整理も終わっていないというのに資料請求数が鰻上りに
増えており、それに加えて個人的にやっている考古学会の仕事がある。二徹、三徹は当たり前で、決めら
れた退勤時間などというものは幻想の彼方にしかない。
そんなくたくたに疲れきった状態で家に帰り、熱い風呂につかったらどうなるか。
寝てしまうのだ。
温かい湯は身体の芯に溜まった疲労を全身に解き放ち、あっという間に脳を眠りの園へと直行便で運ん
で行ってしまう。
その運送トラックから飛び降りるのに成功したとしても、ぽかぽかと温まった身体と頭はもはや正常に
動いてくれず、夢遊病者のような足取りでベッドに向かい倒れこむと、目覚ましもセットせずに爆睡して
しまうのだった。
風呂の中で溺れること三回。遅刻しかけること五回の教訓を経て、ユーノは愛しのバスタブに別れを告
げてシャワーですます、もしくはいっさい入らないという道を選んだ。
とはいえ、それはあくまで翌日も仕事がある場合だけのことだけであり、休日の時には普段入れない分
を取り戻すかのように思う存分浸かり、汗と身体の重苦しさを入念に洗い流す。女性並みの入浴時間にな
ることもままあった。
本日のユーノがまさにそれで、ぬるめの湯に肩まで浸かり似合わぬ鼻歌など飛ばしつつ風呂を満喫して
いた。血行が良くなり緩みまくった頭は、半開きになった口から魂と一緒に不気味な笑いを漏らさせてい
る。
「うふふふふふふ、明日は休日明日は休日明日は休日……全力全開で朝寝してやる」
微妙におかしい台詞を吐きつつ、睡眠時間を計算してげんなりしなくていい状況に喝采を上げるユーノ。
しかし本当に心が躍っているのは、暖かい風呂でも存分に睡眠が取れる休日のせいでもない。
今日は同じ屋根の下に恋人、高町なのはがいてくれる。それがなにより嬉しかった。
風呂場の二人
ユーノとなのはの付き合いは長いが、恋人になってからまだ二ヶ月そこそこである。
どうも異性の友人関係をやってた期間が長すぎたせいか、恋心を自覚してからもこの気持ちを伝えれば
全ての関係が壊れてしまうのではないかという懸念を恐れ、いいお友達止まりなことが長らく続いた。
それはそれで本人達には心地よい関係だったが、周囲が許してくれなかった。見てるとイライラするか
らとっととくっつかせてしまえ、と友人一同が結託して尻を蹴飛ばされたあげく告白の場をお膳立てられ、
晴れて二人は恋人同士となった。
126 :
風呂場の二人:2008/05/03(土) 22:30:04 ID:7Fj1/PG4
もっとも勢いがつきすぎて、その日のうちに責任取らねばならない行為にまで及んでしまったのは本人
達を含む関係者全員の想定外だったが。
(あれはまずかったなぁ……)
ちゃんと本人の意思は確認したし、一つになれて嬉しいとなのはは喜びの涙を流しながら言ってくれた。
それでも本来踏むべきステップを五段飛ばしで駆け上がった感はいなめず、あれ以来彼女の身体を求め
たことはない。
(でも、もう恋人になってそれなりに経つんだしそろそろ……)
デートはした。なのはの両親に報告もした。ディープなキスもした。職場にお弁当持ってきてくれるイ
ベントもこなした。今日も晩御飯を作りに来てくれている。
駆け足気味ではあるが、本来身体が繋がる前にやるべきことは一通りやり終えたと言っていい。だから
もっと深く愛を確かめ合っても問題は無い、はずである。
(それでも僕の方から抱きたいって言い出したら……なのはの身体だけが目当てだったように思われるか
も……)
なのはがそんなことを思う少女でないだろうことは分かっているが、必ず絶対間違いなくそうかと訊か
れれば自信は揺らぐ。
一%の可能性に臆病で、ここまで来ておいてなおユーノは踏み出せなかった。
(……また次になのはが家に来てくれた時にでも、それとなく切り出してみよう。それまではおあずけと
いうことで)
前回の休日と全く同じ言葉で自分を納得させて、ユーノは改めて湯船に浸かり直した。
そこに、今しがた考え事の中心だったなのはが脱衣場に入ってくる気配があった。そういえば脱衣場に
乾いたバスタオルが無かった気がする。新しいのを持ってきてくれたのだろうか。
気の利く恋人に感謝するユーノ。ついでに風呂場のシャンプーも切れかかっていたのを思い出す。
「なのは、悪いけどシャンプー持ってきてくれないかな」
「…………うん」
なんかえらく小さい声の返事だった。なぜだろうと少し考え、ユーノは自分の格好に気づく。まごうこ
となき全裸。公衆浴場ではないので、腰周りにタオルを巻くことすらしていない。
この場合、シャンプーを持ってきてくれというのは、自分の裸を見てくれというのとほぼ同義である。
慌てふためいたユーノは、必要以上の大声で訂正した。
「ど、ドアの前に置いといてくれればいいよ! 入ってくる必要は……」
しかし全部言い終わる前に、風呂のドアは開いてしまう。
そしてそこにあった光景は、ユーノの想像の遥か斜め上をぶち抜いていた。
きっかり一秒間の沈黙があり、ユーノの絶叫が風呂場に響き渡る。
「な、ななななななのはっ!!!!」
ドアの向こうに立っていた恋人は、バスタオル一枚身体に巻きつけただけの姿だった。
127 :
風呂場の二人:2008/05/03(土) 22:31:26 ID:7Fj1/PG4
最初に考えたのは、また風呂の中で寝てしまって夢を見ているのではないかということだった。
そんな馬鹿なと思い直したが、合理的な回答は頭のどこからも導き出されない。処理能力にかけては管
理局屈指の頭脳も、高速で空回り煙を吹くだけであった。
ショックによりうまく回らない呂律で当の本人に訊ねる。
「え、え、えっと、な、なんの用……?」
「…………ユーノ君の背中を、流してあげようと思って、来たの」
ユーノの言葉以上に聞き取りにくい小声で、なのはは俯き加減に返事した。
せなかをながす。
その言葉を三秒かけて変換し脳味噌に浸透させて、改めてユーノは目眩に襲われた。
恋人が身体を洗ってくれる。漫画や恋愛小説ではよくあることだが、まさか我が身にも起きるとは夢想
だにしていなかった。
(ど、ど、どうしよう……)
ぶっちゃけまずい。まずすぎる。
ユーノがいくら女顔であろうと、いわゆる「やりたい盛り」にさしかかっている男の子なのは事実であ
る。おまけにさっきまで考えていたのは、なのはとのセックスのこと。そこに直結するような薄布一枚纏っ
ただけのなのはが至近距離にいて、自制心がどこまで保つか分からない。
しかし、ここで断ったらどうなるか。
なのはの顔は烏瓜のように真っ赤だが、伏し目がちな瞳には固い決意の色が見える。たぶん、今日は絶
対ユーノの身体を洗おうと来る前から決意してたのだろう。
なのはの頑固さが筋金入りであるのは、ユーノが一番よく知っている。きっとユーノが首を振ってもこ
のまま押し問答になり、押し切られる可能性が高い。
結果が同じになるなら、過程は円滑な方が恋人関係に亀裂を入れずにすむだろう。
(要は、僕が正気でいればいいだけだよね。……煩悩退散煩悩退散煩悩退散)
心の中で三遍唱えて、ユーノは頷いた。
「……じゃあ、してもらっていいかな」
いざ始まってみれば、恋人に背中を洗ってもらうというのは非常に気持ちよかった。
ユーノは背中を洗うのがいまいち苦手で、自分でやれば力加減がうまくいかず肌が痛くなるか中途半端
な力加減で終わってしまうことが多かった。
その点なのはがやってくれると実に丁寧かつ絶妙の力加減であり、かすかに感じていたむず痒さが嘘の
ように消えていく。
おまけに肩などは、凝ってるからと擦るだけでなく軽いマッサージまでしてくれた。
「そこらへん、首の下あたりをもう少し力入れてやってくれないかな」
だんだんリラックスしてきて、場所の指定もするユーノ。
128 :
風呂場の二人:2008/05/03(土) 22:32:26 ID:7Fj1/PG4
最初は意識してしかたなかったなのはの裸のことも、いつのまにか頭の隅に追いやられている。あんな
に気負っていたのが馬鹿みたいだった。
もっとも完全に意識外というのは無理で、股間に巻いたタオルの下にある海綿体はほんの少し充血気味
だが。
「そういえば、昔フェレット姿でお風呂に入ったことがあったね」
「……そうだね」
「未だにアリサや忍さんに会うとあの時のことでいじめられるし」
「うん……」
昔話などしてみるが、なのははまだ恥ずかしいのか言葉少なである。ユーノもだんだん口が重くなり、
ついには二人とも黙ってしまう。
漫画のように甘酸っぱい触れ合いとはいかなかったが背中流しは着々と進み、最後に湯がかけられ垢と
石鹸の泡が排水溝に消えていった。
しかし全てが終わっても、なのはは立ち上がって出て行こうとしない。
髪の毛も洗ってくれるのだろうかとユーノが考えるユーノの目の前に、泡塗れのスポンジが、差し出さ
れた。
「…………次は、私も……おねがい」
「…………………………へ?」
なのはが風呂場に入ってきた時の数倍の時間をかけてユーノは言葉の意味を理解し、そして混乱した。
「ちょっ、ちょっ、ちょっと待ってよ!? 私もって……僕がなのはを……ええっ!?」
「…………うん、私の身体……洗ってほしいの」
完全に下を向いてしまったなのはだが、前よりもしっかりした声が要望を伝える。
なのはの身体を洗うということは当然身に着けているバスタオルを取るということであり、そうなれば
なのはの裸体がユーノの眼前十センチ未満の場所にあることになる。
さすがにそれはまずすぎる。ユーノが必死で拒否しようとした時、天啓の如く頭脳に舞い降りた考えが
あった。
(ひょっとして、僕のこと試してる?)
告白してすぐ身体を求めた自分になのはは不信感を持っており、このように誘惑してみてユーノがどう
いう行動に出るのか試しているのだろうか。
一度考えつくと、オーバーヒートしかけの脳味噌はそうとしか思えなくなった。
おまけに恋人報告をした時、義姉になる予定の人物が告げた言葉までもが思い出される。
『恋人同士で絶対にNGなのはね、男がいきなり狼になって襲っちゃうこと。あれは本当に怖いんだから。
……ちょっと、知らん振りしないでよ。そこの前科ある旦那さん』
言われなくとも、肉欲は確かにある。今こうしている間も心の黒い部分は、据え膳なんだから食ってし
まえ、試していようがなんだろうがどうせ後で土下座の一つもすればなのはだって許してくれる、と囁い
てくる。
129 :
風呂場の二人:2008/05/03(土) 22:33:33 ID:7Fj1/PG4
しかしやっとのことで通じた想いを蹴散らしてまで、なのはの身体は欲しくなかった。
ユーノは生唾飲んで乾いた喉を湿らせ、決意の声を絞り出した。
「分かった。洗ってあげるよ」
ユーノと交代で椅子に座ったなのはの指が、バスタオルにかかる。湯気を吸っているのではらりとはい
かなかったが、舞い落ちるようにして肢体を視線から防いでいた布は取り除かれる。
真っ白な背中に、早くも血の駆け巡る速度が三倍増した。
(これは母さんの裸母さんの裸母さんの裸母さんの裸母さんの裸母さんの裸)
心の中で何度もリピートし、ユーノは震える手にスポンジを握った。
ゆっくりと背中を擦っていく。珠の肌に傷がつかないよう、それこそ垢が落ちているか怪しいぐらいの
強さ。それでも若さ溢れる肌は、スポンジ経由で指に柔らかさと弾力を伝えてくる。
肌が、ちょっとずつ赤くなってきた。もちろんユーノが擦りすぎたせいではなく、なのはも恥ずかしがっ
ているからだ。
(恥ずかしいなら最初っからしないでほしいよ……)
がっくりとうなだれた拍子に、尻の割れ目がばっちり見えてしまった。
「ずぁっ!!」
奇声と共に、音速で首を捻じ曲げる。ごきゃり、と変な音がしたが、気にかけるべきことはそんなもの
ではない。
(色即是空空即是色色不異空空不異色……)
精神力を総動員して、目にしたものを記憶から消去。続いて一気にひびが入った理性の壁を、地球で覚
えた念仏で塞ぐ。
しかしその修復努力も、なのはの一言で水泡と化した。
「前も…………洗ってくれないかな」
(…………そう来るんだ。きちゃったんだ……)
出来るものなら今すぐ風呂場を逃げ出したい。
しかしこの後も、なのはがその気になればいくらでも試しは出来る。例えば、晩御飯を口移しで食べさ
せようとしてくるとか、布団に潜り込んでくるとか。
ならまだ腹の据わっている今を耐え切るのがベストだ。
半分泣きそうになりながら、ユーノは前面に回りこむ。
この二ヶ月、自慰をする時は必ず脳内でリピートしていたなのはの裸体。
初体験時にばっちり頭に焼きつけたはずだったが、自分の記憶力と想像力は貧困だったんだなとつくづ
く思い知らされた。
日に日に膨らみを増していく胸から、贅肉など一切無い腹のラインは、見事なくびれを描き出している。
胸にある桜色の部分がほんの少し飛び出してるのを見た時には、身体が脳味噌を振り切って吸いつきかけ
た。
(爾天神之命……えーっと……おっぱいおっぱい、じゃなくてっ! 以布斗麻邇爾ト相而詔之……)
自分でもどこで切ってどう読むんだか分からない文章まで思い出して、必死で目の前の現実から目を逸
らし続ける。
130 :
風呂場の二人:2008/05/03(土) 22:35:10 ID:7Fj1/PG4
そこにもう一発駄目押しが来た。
「……下も、おねがい」
「…………」
ユーノは言われるがままに股間へ手を移動させる。返事をしなかったのは、口を開けば無意識でなんか
エライことを口走りそうだったから。
もう脳裏には言葉すら浮かばない。浮かんだとしても、きっと「なのはのあそこ」だの「けのいろがいっ
しょ」だのといった禄でもない文章に違いなく、そしてその意味を脳味噌が正確に理解したが最後、絶対
に止まれやしない。
頭を完全に空っぽにして、腕をロボットのように上下させるユーノ。手は余分な感触を伝えてこないよ
う力はほとんど入れておらず、洗っているのではなく泡をなすりつけているだけであった。
「あんっ…………ぅん……」
それでも敏感な部分にとっては充分な刺激になってしまったらしい。手が大事な部分の近辺で動くと、
なのはが艶っぽい声を上げる。
その度にユーノの頭は限りなく沸点に近い温度となり、身体は瘧のようにガタガタと震える。
しかしついに最後の最後まで、ユーノは理性を守りきった。
泡塗れになったなのはの身体に湯をかけて、なんとかユーノの戦いは終わりを告げる。
(………………疲れた)
ヴィータとガチで戦闘した時の十倍以上の疲労である。任務を終えた達成感など心のどこにもない。とっ
ととこの拷問空間から撤退したい気持ちでいっぱいだった。
「じゃあ、僕もう出るから……」
疲れを落とすために入った風呂で疲れを倍増させたユーノは、ふらふらと立ち上がり風呂場を出て行こ
うとした時、その腰に巻いたタオルがきゅっと弱く握られた。
「……まだなにか、してほしい?」
げっそりかつうんざりしながら振り返るユーノ。
しかし耳に入ったのは要望ではなく、震えて嗚咽になりかけた言葉だった。
「…………私の身体、そんなに魅力ないかな」
上げられたなのはの顔。目尻が、汗でも湯気でもない水滴で光っている。
「裸見ても……したくないような身体なの?」
「えっ……? どういうこと……?」
三度混乱に陥りつつも、自分がひどい勘違いをしていたことをユーノは徐々に悟りつつあった。
「だってユーノ君、最初にしてからずっと私のこと抱いてくれないし、ひょっとしてがっかりしたんじゃ
ないかって……。こういうことして……誘惑してみたら、ちゃんとしてくれるのかなって……」
溜め込んでいた言葉をなのはは小さく、しかし悲しみが伝わる声で口から零れさせる。
「それとも、どこか普通の女の子と違う変なところ……」
「そんなことない! なのはの身体に変なとこなんてあるわけないだろ!」
風呂場中に反響する大声。耳が痛むのも構わずユーノは否定する。
131 :
風呂場の二人:2008/05/03(土) 22:36:00 ID:7Fj1/PG4
自分の馬鹿さ加減を呪いながら、ユーノは思いの丈をぶちまける。
「なのはと会う度に抱きたかったよ! 一人でしてる時だって、ずっとなのはのこと考えて自分でしてた!
夢の中で見て出しちゃったこともあるぐらいだよ! 今だって何回も押し倒しかけた! それぐらいなの
はの身体はきれいだったよ!」
ユーノの剣幕に、泣くのも忘れてきょとんとしてたなのはが口を開く。
「じゃあ……どうして、してくれなかったの」
「それは……やりたいなんて言ったら、なのはの身体だけ求めて恋人になったって思われそうだったから」
「そんなの、思うわけないのに。ユーノ君がそんな人じゃないって、私ちゃんと知ってるよ」
「……ごめん、気を遣いすぎてなのはを悲しませた」
「いいよ。私も、もっとはっきり口にすればよかったんだから」
「二人とも、馬鹿だったよね」
なのはの涙を拭い、お互いにくすりと笑いあう。
見詰め合う二人の距離は、限りなくゼロに近い。その距離が完全にゼロになるまで、いくばくの時間も
なかった。
手を伸ばし、抱き合ったのは同時。歯が鳴る勢いで唇がぶつかり、お互いに口内の空気を奪い合い、舌
が侵略していく。
もはや二人の間に、何の言葉もいらなかった。
風呂場に二人の叫びと喘ぎが幾重にも反響し、弾ける。
「ユーノ君! ユーノ君! 気持ちいいよぉ!!」
「僕もっ! なのはの身体すごく気持ちいい!!」
タイル張りの床になのはを押し倒し、ユーノは激しく腰を叩きつける。
一度砕け散った理性が戻ることはない。ユーノは獣に返ってなのはを犯し、なのはは全身でユーノを貪っ
ていた。
「また、出すよっ!!」
「はああぁぁぁん!!!!!!」
ユーノより一瞬先になのはが果て、もがくようにうねる膣へとユーノは欲望を放った。避妊という文字
など思い浮かぶわけがなかった。
出しながらも、ユーノの腰は動いてなのはを貫き続ける。
尿道どころか腰のどこにも精液が無くなるまで全部出し終えてから、ようやくユーノは止まった。しか
し終わりにする気は微塵も無い。
すでに何回出したのか分からないが、ユーノの怒張は全く衰えることなくなのはの膣内で膨れ上がって
いる。
一度本物の女体を知った身体は拙い自慰如きでは満足出来なくなっており、ユーノの性欲はこの二ヶ月
で溜まりに溜まっていた。出した分は、たちどころに精巣で作られ飛び出す準備万端整えている。
なにより、頚木を解かれた心が止まらない。
132 :
風呂場の二人:2008/05/03(土) 22:37:12 ID:7Fj1/PG4
別の体位にするため一度引き抜いたユーノだったが、足が痺れて前につんのめってしまう。咄嗟に手を
ついて四つん這いになり、なのはの上に倒れこむのだけは阻止した。
酷使し続けた下半身に血流が回るまでほんの一時休もうとしたユーノだったが、なのはが許してくれな
い。
「あぐぅっ!?」
腰に走った新たな快感に、ユーノは悲鳴を上げた。その肉棒は、なのはの口内へ根元まで吸い込まれて
しまっていた。
前回の初体験は本当にただ抱き合い繋がって出しただけであり、口での性交は完全に未知の範囲。なの
ははただ舐め回し、吸いついているだけである。
なのに、下の口にも劣らない強烈な快感が腰を直撃する。下腹部になのはの頭が触れるのですら、射精
感を促す材料になっていた。
「んん……ゆーにょくんの、……ひゅごいおっきくなっへるよ……」
「く、咥えながらしゃべらないでっ!!」
顎が動くことで歯が掠めていくのすらヤバイ。
空恐ろしい速度でコツを掴みつつあるのか、肉棒を包む粘膜の動きが変化する。
先端の裏側をざらついた舌が擦り、くちゅくちゅと唇が音を立ててしごく。おまけに手までもが袋に伸
びて、男の源を弄んだ。袋が限界まで引っ張られ、玉が指の間で転がされる。
もちろん舌は全く休むことなく肉棒を転がし、ユーノの目の前でちかちか星が飛ぶ。
「ああああぁぁぁぁ!!」
気がついた時には、女のような悲鳴を上げながら膣よりもさらに早くユーノは放っていた。
唾液と混ざって泡立った精液が、口からじゅくじゅくと溢れ出てなのはの顔を汚す。
ユーノの足は回復するどころかへたりこんで床の上に寝転がり、荒い呼吸でなんとか酸素を確保するの
が精一杯な有様だった。
対照的に恋人はゆっくりと身体を起こすが、いくら体力溢れる教導官でもそこが限界だったのかバスタ
ブの縁に身体を預けて視線だけを飛ばしてきた。
床からと見下ろす二つの目と目が合えば、処女を散らして間もない少女とは到底思えない艶やかな表情
を浮かべ、なのはは口から欲望をユーノの耳へと送り込む。
「今度は、私も気持ちよくして……ユーノ君」
その囁きは絶対命令となり、脱力しきったはずのユーノを起き上がらせてなのはの肢体へと向わせるの
だった。
133 :
風呂場の二人:2008/05/03(土) 22:38:38 ID:7Fj1/PG4
一呼吸で根元まで突き入れるユーノ。なのはも即座に足を絡めてユーノを奥底まで導く。
風呂の湯などとは桁違いの熱さがそこにあった。満ち満ちた粘液は、亀頭から入って逆にこちらを犯し
てくる錯覚を覚えさせる。
妄想を振り払いリアルな快楽を感じたくてユーノが動き出すが、腰に回されたなのはの足のせいで満足
に前後運動が出来ない。
小刻みな動きに変えざるを得なかったがその分だけほんの少し頭が思考力を取り戻し、なのはの内部を
詳細に感じるぐらいの余裕は生まれた。
どこもかしこも柔らかいなのはの膣の一部に、一点だけ固さを持つ場所があることにユーノは気づく。
それがなんなのか知らなかったが、試しにそこを数回叩けばなのはの腰が跳ね上がった。
「やだ……! やだっ……これ……これぇぇ!!」
喉は拒否しているが、緩んだ口元が性感帯の証だった。
「ここが……気持ちいいんだねっ!?」
ユーノはひたすらそこだけを擦り、突き立てた。
一度奥で肉が衝突するたびに脊髄から脳幹まで電撃が走り、ユーノも喘ぎと唾液を口から零す。
衝撃で上下に震える胸の中心にあるのは、痛々しいまでに勃起しきった乳首。今度こそ、遠慮なくユー
ノは吸いついた。
さっきなのはが肉棒にしたように、中身を根こそぎ奪い取る勢いで吸引する。
「やぁっ、はぁん!!……吸って、もっと吸っていっぱい抱いてぇ!!」
二人の腰が、円運動へと動きを変える。お互い性器の口と口でディープキスを繰り返した。
これだけ広げるように激しく動かしてもなのはの中は窮屈なままで、一度腰を引くだけで破壊的な快感
が襲ってくる。
自分の快楽に操られ、なのはのどこが感じるかなど忘れ去り、ユーノはただただ全身を動かし続けた。
酸素が足りないのか、快感がきつすぎるのか、三半規管が狂って目の前がぐらぐらする。
なのに、恋人の顔と言葉だけはしっかりと頭へ届いた。
「好きだよぉ! ユーノ君大好きぃぃぃ!!」
恥ずかしさに耐えながら混浴してきた乙女の顔も、数分前に見せた妖女じみた顔もない。ただ、愛しい
人に抱かれる悦びを全身で顕している少女がいるだけだった。
「僕だって、なのはが好きだ……よっ!!」
言葉と同時に、唇と舌でも愛を示す。
上から下までどこもかしこも密着しあったまま、二人は一緒に絶頂を迎えた。
134 :
風呂場の二人:2008/05/03(土) 22:39:24 ID:7Fj1/PG4
「ふぅぅぅぁぁん!!!!」
くぐもった嬌声が上がり、そのまま二人はずるずると倒れこんだ。
結合したままであるなのはの股間からは、愛液とは違う黄金の液体がちょろちょろと流れている。大半
は排水溝に流れて行くが、一部はユーノの陰毛や足に付着して刺激臭を漂わせていた。
しかしそんなものは気にも留めず、呼吸が整えばまたなのはと一つになるためにユーノ動き出し、なの
はも身をくねらせるのだった。
食卓に並んでいるのは、なのはが風呂に入る前に作っておいてくれた料理。いつもと変わらず非常に美
味しい出来栄えだが、ユーノもなのはも無言で下を向いてもそもそ食っている。
いつもなら味や身の回りであったことをあれこれ歓談する楽しい食事の時間なのだが、つい最前まで乱
れあってたために顔を合わせ辛い。
特にユーノはその場の勢いで、己の自慰だの夢精だのになのはが出てきたことまでぶっちゃけたから、
本気で合わせる顔が無い。
しかし動悸が静まらなくとも、箸を動かしていれば嫌でもご飯は無くなる。なお往生際悪く茶碗にへば
りついた飯粒を一粒ずつ箸で摘むユーノだったが、度胸はやはりなのはの方が上で頬がまだ赤いながらも
先に口を開いた。
「ユーノ君、この後、私泊まっていった方が……いい?」
「……いや、もう今晩は無理」
さすがにあれだけ出せば、若さによるカバーは不可能になる。
あの後、体液と汗を流すために一緒に湯船に浸かったが、なのはにくっつかれても愚息は全く反応しな
かった。今も股間からはけっこう深刻に鈍痛がしており、医者に行くべきな気がする。どの分野の医者に
行ったらいいか分からないが。
「じゃあ…………やっぱり、次から会う時は必ずした方がいい?」
「それは……どうなんだろ?」
世間の恋人の平均回数など知るはずがない。そもそも会える回数自体がかなり少ないので、毎回したと
してもあまり多いことにはならないだろう。
135 :
風呂場の二人:2008/05/03(土) 22:40:45 ID:7Fj1/PG4
「まあ、僕達まだ十五歳なんだし、あんまり毎回ってのも……」
「そうだね」
「けどその……本当に我慢出来なくなったら、させてほしいって…………正直に言ってもいいかな……?」
「…………いいよ。……私も、そういう時は、してほしいって……言うから」
切れ切れな口調で伝えるだけ伝えると、同じぐらい真っ赤になった顔を伏せ、二人は空っぽの茶碗をか
きこむふりをするのだった。
※
(…………そんなこともあったなあ)
ユーノはボケた老人のように遠い目をしながら、数年前の出来事を振り返った。
あの時と今は、全く同じ状況にある。時間は夜。場所は風呂場。そこにいるのは、ユーノとなのは。そ
して二人とも裸。
だが決定的に違うことが一つ。両者の態度である。
なのははユーノに後ろから抱きつく体勢で、身体の前面には泡だてた石鹸が塗りたくられており、密着
した状態で身体を上下してユーノの背中を洗っていた。なのはの表情に照れは微塵もなく、それはそれは
嬉しそうにやっている。
ユーノはユーノでこれまた照れはなく、背中に当たっている数年前が嘘のような大きさになったなのは
の巨乳を素直に楽しんでいる。
恋人同士のスキンシップと風俗店の境界線に位置する光景だった。初々しさなどというものは、風呂場
のどこにも転がっていない。
(こんなんでいいのかな……。そもそもいつからこうなったんだっけ?)
発端は自分だった、ような気がする。なのはをちょっとでも激しく感じさせようと無限書庫でそういう
関係の本を読み漁って、房事のテクニックを磨いた。
なのははなのはでユーノが悦ぶのが嬉しいらしく、日本なら十八歳未満は購入出来ない本で積極的に知
識を蓄え披露してくれた。
そして二人ともみなぎる若さと情熱に任せて行為はエスカレートし、気がついたら四十八手どころかあ
りとあらゆるマニアックなことを全部実践してしまっていたという次第である。
結局は普通にやるのが一番という結論に達して、最近はマニアックなことは程々にしているが。
しかしこの洗い方が普通の範疇に入ってるあたり、一周回って元の地点に戻ってくるまでに自分達の中
のなにかが決定的に歪んだ気もする。
(まあ、恋人が少しエロいっていうのは、男として喜ぶべきことだよね。うん)
そう結論づけて疑問を頭から弾き出すと、ユーノはいつもどおりの注文を出した。
「なのはー、そろそろ前洗ってー」
「はーい」
終わり
136 :
サイヒ:2008/05/03(土) 22:42:07 ID:7Fj1/PG4
以上です。
クロフェといいユーなのといい、恋人同士になるまでの過程を回想で済ませてばっかですな。
というか今までどのカプでもきちんと書いたことが無い。
くっつく過程よりも、くっついてからのデートとかを書いてる方が好きなもんで。
なによりかにより処女エロ書くの苦手だし。ほら、痛そうじゃん?
俺が酢漬け作品だの雑談小ネタだのを引っ張り出してる時は「ああ、こいつ本命が糞詰まってんだな」と思ってください。
二十数人の八年後を書こうと思ったら相当の文章量になることを書き出してから気づいた愚か者。
悶えた
GJ!
かあ〜初々しいですねえ……。なんて甘さでしょうか……。
数年後の上達ぶりもなんとも言えません。
ああ、でもこの時はヴィヴィオもいるのかどうかも気になってしまいます。
140 :
B・A:2008/05/03(土) 22:57:34 ID:WCuT35QG
>>136 GJ
エロいし甘いし、もう御馳走様って感じです。
ところで、氏がここ最近使っている多元宇宙クロノ同時放送(クロエイ、クロフェ、クロカリを同時に描く奴です)の手法を
使ってみたいなと思っているんですが、構わないでしょうか?
141 :
サイヒ:2008/05/03(土) 23:00:00 ID:7Fj1/PG4
>>140 全く構わないですよ。
やっぱりB・A氏はエリオでやるんでしょうか?
他のキャラであったとしても楽しみにしています。
もだえしぬ
>>139 昼間うんと遊ばせて、ばたんきゅー
・・・・って、まだ15歳の時の話かい!!
うわぁ、恥ずかしい!(赤面しつつ)stsの前後かと思った。悶えて、よく読んでなかったよ。
>>116 GJです!ルガーP08なんて渋いですね、俺、ガスガンで持ってますよ。
尺取虫機構、いいですよね。すごく持ちやすくていい銃ですw
>>136 こちらもGJ!
良いですね!
145 :
B・A:2008/05/03(土) 23:24:22 ID:WCuT35QG
>>141 ありがとうございます。
折角のGWですからね、それらしいネタを考えたらサイヒ氏のあの手法が使えないかと思ったんですよ。
まったくなんつうエロさだ、これで15才とか反則すぎ!
つまり何が言いたいかというとGJ。
電車の中で携帯で読んでいて表情に困った。
ああ、GJだともっ!
>>136 GJです!!すんばらしい!!マジで久々のなのユーはいいですね。
本当に乙です!!
>>136 GJ!!
これが・・・・・・青・・・春・・・というやつか・・・?
フェイトとエリオでソープ物とか…
>>150 それ単にエリ×フェイ見たいだけじゃないかと‥
152 :
ザ・シガー:2008/05/04(日) 00:55:44 ID:x42/eCbx
すいません、またも訂正箇所発見。
>>114 ボクサーに地獄の苦しみと言われる左脇腹へのボディブロー、俗に言う肝臓打ち(リバーブロー)である。
↓
ボクサーに地獄の苦しみと言われる右脇腹へのボディブロー、俗に言う肝臓打ち(リバーブロー)である。
なんで肝臓が左にあんだよ!? 俺のバカが‥‥司書様、保管庫入れる際はどうかこのようにお願いいたします。
もう本当にすいません。
青春という言葉に
悪夢 -青い果実の散花-というタイトルを連想した俺は…
154 :
名無しさん@ピンキー:2008/05/04(日) 01:03:46 ID:cUbI5Tzz
マジGJ!!
いいもん読ませて頂きました。
あぁ、「はーい」以降が読みたいなぁ。
>>136 GJ!
15歳にして何というエロスw
もしこの時子供が出来てたらというIFを読んでみたいと思った。
>>136 なんてGJな!!
ヴィヴィオに弟か妹が出来る所まで妄想しちまうYO!
前スレ
>>914 ておあー氏
久々のキシャーGJ!
「いるだけで主人の魔力を消費させてしまう」っていう後ろめたさは、守護騎士達もかつて通った道だなあ
修羅場&鬱展開は良いものだ。何故ならその分ラストのハッピーエンドの喜びが大きくなるから!
続きを楽しみにしてます
160 :
B・A:2008/05/04(日) 02:31:03 ID:Yq/oXd6T
よし、完成した。
サイヒ氏ありがとう。
というわけで投下しても良いですか?
投下してもいいかなんて聞かなくても
投下するぜ!!と言い切ればおk
どんと来やがれ
162 :
B・A:2008/05/04(日) 02:38:59 ID:Yq/oXd6T
よし、では絨毯爆撃開始!
注意事項
・エリオ×ルーテシア、セッテ×エリオ、エリオとテスタロッサ姉妹
・エロ、エロ、非エロの順
・おまけと言うのは、3番目を差します。
・サイヒ氏の3つのカプを同時に描く手法をお借りしました。
人手不足で決まった休日があってないような時空管理局にも、有給休暇というものは当然のことながら存在する。
折しもクラナガンは旅行シーズンに突入し、何かと忙しいエリオとルーテシアもたまには家族水入らずで
羽根を伸ばしたいねと揃って休暇を取って遠路はるばる温泉街へとやって来た。
「わぁ・・・・・・」
眼下に広がる絶景を見下ろし、ルーテシアは感嘆の声を漏らした。
窓の向こうに広がっているのは、青い海と賑やかな温泉街の情景だ。窓を開ければ太鼓や笛の音が聞こえ、
あっちこっっちで温泉の湯気と思われる煙が立ち上がっている。女将曰く、この部屋はこの宿で一番眺めが良い部屋なのだそうだ。
「ほら、アリシア。良い眺めでしょ」
「あう・・・・あうあ・・・」
「ふふっ・・・・アリシアも喜んでいるみたい」
「そうかそうか、アリシアも旅行好きなんだ」
高い場所からの眺めにご機嫌な愛娘の頬を突き、エリオはニカっと笑う。
日を追うごとに違う顔を見せてくれるアリシアの成長は、エリオの楽しみの1つなのだ。
もちろん、もう1つは言わずもがなという奴である。
「ねえ、ルー・・・・温泉に入る前にさ、1回だけしようか」
アリシアを寝かしつけ、温泉へと行く準備を進めていたルーテシアを背後から抱き締める。
耳元にかかる夫の息吹に、ルーテシアはくすぐったそうに身を捩りながら甘い声を漏らした。
「あぁ・・・・・だめぇ、アリシアが起きちゃうよ・・・・・」
「ルーが静かにしてくれれば大丈夫だよ」
「そんな気なんかこれっぽっちもない癖に・・・・・・」
「ルーが色っぽいのが悪いの」
可憐な唇を指でこじ開けながら、エリオは固くいきり立った肉棒をルーテシアの尻に擦りつける。
はだけた浴衣からは長くて細い足が白い肌を覗かせ、胸元からは子を産んで一回り大きくなった乳房がプルンと跳ねる。
自然と2人の息は荒くなり、まだ昼間だというのに早くも燃え上がる劣情に流されていった。
「くちゅ・・・あぁぅ・・あぁ・・・・・」
「うぅ・・あぁ・・・ちゅぅ・・・・・綺麗だ・・・ルー」
「エリオ・・・・そこ・・・気持ち良い・・・・」
熱く火照る個所を指で弄られ、ルーテシアは悦のこもった声で悶える。
しとどに濡れる秘唇はエリオの指で押し広げられ、蜜壺と陰核を同時に責められては理性を保つことも難しい。
室内に充満していく栗の花の匂いが僅かに残った理性すら剥ぎ取っていき、もう片方の手で青筋の浮かんだ果実を
揉みしだかれる毎にルーテシアは与えられる快楽を貪った。
「あぁ・・・エリオ・・・・入れて・・・・してぇ・・・・」
普段の楚々とした佇まいからは想像もできない色っぽい声でルーテシアは懇願する。
尻に押し付けられる肉棒欲しさに淫らに腰を振る様は、まるで厭らしい娼婦のようであった。
「欲しい・・・・エリオ・・エリオのチ○ポ・・・・・」
「そんなに欲しいの?」
「欲しいの・・・・エリオの大きいチ○ポで、おケツがグイッと広げられるのが良いのぉ・・・・・お腹に射精される時に、
ゴツンって飛び跳ねるの、気持ち良いの・・・・・」
「ルーは本当に後ろが好きだね。けど、たまにはこっちでやろうよ・・・・・・2人目、そろそろ欲しくなってきたんじゃない?」
「うん・・・・良いよぉ・・・・孕むから・・・エリオの赤ちゃんまた孕むから・・・・・」
快楽で脳を焼かれ、焦点の合わない目をしながらルーテシアはうわ言のように淫らな言葉を紡ぐ。
貞淑で清楚な妻の乱れようにエリオは満足そうな笑みを浮かべ、ガチガチに固まった肉棒を濡れそぼった蜜壺へと押し当てる。
そして、そのまま一気に膣道を押し広げようと腰を持ち上げた瞬間、つんざく様な泣き声が淫猥な空気を吹き飛ばした。
「ビェェェッン! エェェェッン!!」
「アリシア!?」
急速に我に返ったルーテシアは、半ば突き飛ばすようにエリオを押しのけ、泣き喚く我が子を抱えあげる。
「どうしたんでちゅか? びっくりさせちゃったかなぁ?」
「エェェン、ビエェェッ!!」
「よちよち・・・・・・・あっ、おしっこしちゃったんでちゅね。すぐに取り換えまちょうねぇ
・・・・・エリオ、鞄から替えのオムツを出して! それとウェットティッシュも。早く!」
「う、うん・・・」
ルーテシアの剣幕に押され、エリオはぎこちない動きで部屋の脇に押しやっていた鞄をゴソゴソと探る。
さっきまで我を忘れて快楽に耽っていた人間とは思えないテキパキとした対応に、エリオは嘆息せずにはいられない。
やはり、どこの世でも母親という生き物は強いらしい。
□
「セッテ、これを見てどう思う?」
「す、凄く・・・・大きいな」
「今からここに入るんだよ」
「そ、そうか・・・・・それにしても大きいな」
眼前に広がる巨大な浴場を目の辺りにし、セッテは素直に感想を漏らす。
事の始まりはテレビの温泉特集だった。何気なく見ていたニュース番組で温泉宿の特集が組まれていたのだが、
それを見ていたセッテが「エリオ、温泉とはなんだ?」と聞いてきたため、実際に体験してもらおうと休暇を利用して温泉街までやって来たのである。
もちろん、一緒に温泉に入れるように、混浴OKな宿を選択した。
「雰囲気はドクターのラボにある洗浄施設と似ているな・・・・・エリオ、あのぶくぶくと泡が出ているのはなんだ?」
「ジェットバスだね。吹き出てくる泡で背中や腰をマッサージするんだ」
「あっちの高い所から湯が流れているのは?」
「打たせ湯と言って、やっぱり肩をマッサージするためのお風呂だよ」
「バスタブがないのに風呂なのか、不思議だ・・・・・・では、あちらの浅い溝は? あんなに狭くては肩まで浸かれないぞ」
「あれは足湯。足だけ浸けるお風呂さ」
「そんなものに意味があるのか?」
初めて見る温泉の数々に、セッテは目を輝かせながら広い浴場を歩いて回る。もちろん、顔はいつもの無表情だし声はあくまで機械的なままであるが、
恋人であるエリオには彼女が子どもみたいにはしゃいでいるように見えるのだ。
(それにしても、お客さんが誰もいないなんて不思議なこともあるもんだな)
時間帯のせいなのか、広い浴場は閑散としていて自分たち以外の客の姿はない。
ツイテいる言えばそれまでだが、だだっ広い浴場に2人っきりというものは少しばかり不気味なものがあった。
「エリオ、何を呆けている? とっとと入るぞ」
場内を一周してきたセッテに呼ばれ、エリオはハッと我に返る。
「ああ、セッテ、温泉には幾つかルールがあって、それを守らなきゃ湯船に漬かっちゃいけないんだ」
「ルール? 武器の持ち込みが禁止されていたり、ここの店員に逆らったら営倉入りさせられたりするのか?」
「えぇっと・・・・そういうのとはまた違ってね」
如何にも彼女らしい勘違いに苦笑しつつ、エリオは温泉におけるルールやマナーをわかりやすく説明していく。
一通りのレクチャーを受けたセッテは、至極真剣な表情を浮かべながら桶で温泉を掬い、エリオに言われた通りにかけ湯を行った。
「これで良いのか?」
「そう。温泉に入る時はまずかけ湯をして体の汚れを落としてから入るんだ」
「了解した」
頷き、セッテはまず手近な浴槽へと足を浸ける。
「エリオ」
「なんだい?」
「温泉とは冷たいんだな」
「そりゃ、そこは水風呂だからね」
などとやり取りを交わしながら、2人は1つ1つ温泉を堪能して回る。
寝湯ではセッテの身長が高すぎて体が入り切らなかったり、薬湯はあまりお気に召さなかったりと、
その道中は常に何かしらの楽しい出来事が起きて回った。
そして・・・・・・・・。
「結局、こうなるわけか」
露天風呂に浸かりながら、セッテは甘える猫のようにエリオにしなだれかかってきた。
彼女は水着越しにふくよかな胸をエリオの腕に押し付け、甘い吐息を首筋にかけながら手で股間の一物を擦って刺激してくる。
トロンと潤んだ目で見下ろされると、何だか可愛くて抗議もできなかった。
「なんだ、嫌がらないのか?」
「抵抗しようか?」
「力づくで犯す」
「好きにしてください」
このお嬢様は、やると言ったら本当にやる。周りに人がいようがそこが公共の場であろうが、本当に犯してくるだろう。
だから、エリオはお手上げとばかりに嘆息し、セッテのされるがままに全身を愛撫されることを選んだ。
少しでも早く彼女に満足してもらうことを考えた方が、利口である。
「ほら、もうこんなに大きくなって・・・・・厭らしい奴だ。そんなに射精したいのか?」
「ははっ・・・・・否定できないのがつらっ・・・あうっ!?」
不意に首筋に噛みつかれ、鋭い痛みが走る。
「セッテ、いくら何でも・・・あぁっ!?」
「エリオ、世の中には『食べたいくらい可愛い』という言葉がある」
「それ、絶対使い方まちがっ・・・あぁっ、やめ、いあぁ・・・あぁあっ!!」
肉棒を擦られながら首や腕に噛みつかれ、痛みと快感がない交ぜになった複雑な感覚にエリオは悶え苦しむ。
殲滅者の二つ名のままに自分を蹂躙し、支配するのは彼女なりの愛情表現なのだが、こう何度も続けられては体が保たない。
だが、頭では止めさせようと思っていても、何故か拒絶の言葉は悦のこもった虚しい響きにしかならず、却ってセッテを悦ばせる結果にしかならなかった。
結局、自分も彼女と同じで、どこか壊れて歪な嗜好を持っているのだろう。でなければ、自分たちの関係はとうの昔に破綻しているはずだ。
(良いよ・・・・好きなだけ食べて・・・・)
痛みで顔を引きつらせながらも笑みを浮かべる。すると、セッテは食べるのを止めて端正な顔を近づけ、無言のまま唇を重ねてきた。
「うぅ・・・ん・・・んん・・・・」
「くちゅ・・・ちゅぁ・・・あぁ・・・・」
「セッテ・・・・好・・・うぐぅあぁっ!!?」
好きだ、と言おうとした瞬間、エリオは湯船の中に押し倒された。そして、セッテはそのまま果敢にも水中ファックに挑戦しようとする。
もちろん、互いの唇を重ね合わせたままで。
(死ぬ・・・今度こそ死ぬ・・・・・あぁ、でも何でこんなに満たされているんだろう?)
霞んでいく意識の中で、エリオはセッテとの時間を誰かに邪魔されないことを切に願っている自分がいることに気づいた。
□
「フェイト、オーブンの方はどう?」
「うん、十分温まったかな。アリシアの方は?」
「ちゃーんと全部作ったよ」
テーブルの上に広げられたたくさんのクッキーを自慢げに見せ、アリシアはえっへんと胸を張る。
2人の顔はまるで陶芸でもしていたかのように小麦粉で汚れており、エプロンにはチョコレートの粉やクリームがこびりついていた。
さっきまで、姉妹仲良くクッキーの生地を捏ねていたからである。
「それじゃ、順番に焼いていこうか」
「うん」
フェイトはたくさんのクッキーが乗ったプレートをオーブンへと収納し、タイマーを回す。
これで、後は時間が経つのを待つだけだ。
「美味しく焼けると良いね」
「私とフェイトが作ったんだよ、おいしくないわけないよ」
「あ、そっか・・・・ははっ、はははっ・・・・」
「ははははっ・・・・・」
アリシアの言葉にフェイトは笑みを浮かべ、つられてアリシアも笑いだす。
「あれ、2人とも何やっているんですか?」
「あ、お兄ちゃん」
「エリオ、訓練は終わったの?」
「はい、つい今しがた。あ、この匂い・・・・クッキーですね」
「うん、焼けたらみんなに差し入れようと思ってね」
「クッキーはね、全部アリシアが型を取ったんだよ」
「へぇ・・・・偉いね、アリシア」
「えへへ」
エリオに頭を撫でられ、アリシアは嬉しそうに笑みを浮かべる。
「焼き上がったら、最初にお兄ちゃんのところに持って行くね」
「わかった、楽しみに待っているよ」
「うん、期待していて」
無邪気なアリシアの笑顔に、エリオも自然と微笑み返す。
穏やかで平和な時間が流れていく。
仲の良い姉妹の触れ合いと、それを見守る少年。
それは何気ない日常の一コマ。
こんな日がいつまでも続くことを、エリオは心の底から信じていた。
おわり
170 :
B・A:2008/05/04(日) 02:59:33 ID:Yq/oXd6T
以上です。
GWといえばやっぱり旅行かなぁと思い、書いてみました。アリシアたちは本編の都合上隊舎でクッキー作りになってしまいましたが。
書いてみた教訓は、やはり3つのバランスを揃えるのが難しいってことですね。いつも上手くまとめている。サイヒ氏はやっぱり凄い。
改めてお礼を言わせていただきます。
>>170GJ
ルー子エロイよルー子。でも最後のオチで和みますた
2番目のエリオはどう考えてもドMです。本当に(ry
最後、すごくほのぼのだけど……、この後にあれがあると思うと、ね……
某ラノベの三色ショートって言うのを思い出したぜwオギャンオス
GJ!
173 :
ツンデレ王子:2008/05/04(日) 04:25:28 ID:WeG8TKZx
今 投下いいですかな?
>>108 みて思いついたネタ
やっと書き終わったのでB・Aさんやサイヒさんといった先生方の作品を
読む時間が取れなかった orz
174 :
ツンデレ王子:2008/05/04(日) 04:32:57 ID:WeG8TKZx
待ったけど誰も居なさそうなんで落としていきますね
注意)
非エロです
(エロシーンは皆さんの能内で展開してください^^;)
主人公はエリオ
4レス程度
では、次より
学院から帰ってきたヴィヴィオは、うんざりとした表情で手にした封筒をエリオに渡した。
「はい、お兄ちゃん」
「…またかい?」
何故かびくびくしながらソレを受け取るエリオ。
彼は今15歳となっており、フェイトの強い希望により自然保護団体での活動を続けながら
ザンクト・ヒルデ魔法学院の高等部へと通っている。それも残り数ヶ月で卒業を控えていた。
「お兄ちゃん、モテルね」
「ふーん、エリオくんそんなにモテルんだ」
いつの間にか現れたキャロが彼の後ろから覗き込むようにして彼の手に渡った封筒を見ていた。
そこには可愛らしい丸文字で《エリオ・モンディアル様》と書かれており、ご丁寧にハートマークまで
誂えられていたのだ。
「ぅわっ!キャ、キャ、キャ…」
「何笑ってるのよ!」
ジト目でエリオを見やるキャロ。
エリオは額に冷たい汗が流れるのを感じ、ブンブンと首を振る。
「ち、違うよ!それよりキャロ、何時からそこに居たの?」
「ヴィヴィオから封筒を受け取ったところからだけど?」
(それ、最初からって言うんじゃ…)
彼がザンクト・ヒルデ魔法学院へと通うようになってから既に2年が経っていたのだが、この2年間
でヴィヴィオが持ってきた彼宛のラヴレターは、なんと数千通にも及んでいた。
しかも、彼自身も直接受け取る事もあり、それは月に換算して数十通。
また彼の憧れのフェイト・T・ハラオウン執務官、彼女も近所の奥様がたからこれまた毎日のように
逢引の誘いの手紙を託されている。
余談ではあるが、彼女は今出産準備の為仕事を休み、身重な身体を引っ張りながら主婦業に
専念していた。苦手な料理も15年来の親友である高町なのはや八神はやてから教わり、愛する
人の為に日々努力しているのであった。
「エリオ…」
その時、開けっ放しになっていたドアから彼と同い年くらいの少女が顔を覗かせた。
5年前のJS事件の際、エリオとキャロが心開かせた少女、ルーテシアだった。
「あ、ルーじゃないか、どうしたの?」
重苦しい空気を打ち破った彼女の登場に、エリオはホッと胸を撫で下ろす。
しかし彼女の口から出たのは、更に3人を凍りつかせたのだった。
「これ、預かってきたよ」
ルーテシアが差し出したのは、紙袋に溢れんばかりに詰められた可愛らしい封筒の数々。
彼女の保護観察は猶も続いてはいたが、彼女自身の人格形成に役立つだろうとエリオ達と同様に
学院に通っている。今日の彼女は学院から帰宅してすぐにメガーヌと出かけたのだが、その先々で渡さ
れたのだと言う。
エリオは紙袋をしぶしぶといった感じで受け取ると、背後から鋭い視線が突き刺さってきた。
恐る恐る振り向くと、そこにはまるで鬼の様な形相で睨みつけるキャロ・ル・ルシエと、5年前に訓練中
暴走したティアナ・ランスターにお仕置きを決行した教導官のような目で睨む高町ヴィヴィオの姿があった。
(はは…血は繋がらなくても親子だな)
「モテモテねぇ、エ・リ・オ・くん」
「嬉しそうだね、お・に・い・ちゃん」
「エリオ…」
3人の少女に詰め寄られ、後ずさりするエリオが何かに躓き尻餅をついたと同時に、その“何か”の中身
が散乱してしまう。
思わず手に取った少女達は、そこに描かれていたモノに一瞬言葉を失うが、程なくしてわなわなと震えだ
すと3人同様に腰に手を当て、先程より更に(当社費1.5倍)目を吊り上げたのだった。
「あ!そ、それは…」
それはプリクラ程の大きさもあれば、L版や葉書サイズ、はたまたポスター大に引き伸ばされた写真であった。
問題はそこに写っていたモノ。それらは彼に送られてくる逢引のお誘いの手紙に同封されていたもので、世間
一般で言われる処の“熟女”達があられもない姿で写っていたのだ。
彼の名誉の為に、もう一度言っておこう。
それらは彼に送られて来たモノであり、決して彼から所望したものでは無いという事を。
「ねぇ、エリオくん。こんな年増なんかより、わたし達の方がいいわよね」
「そうよ、こんな小母さんみたいに垂れてないもの」
「……」
15歳になり、女性らしい丸みに帯びた身体のキャロ。
10歳になり、第二時性徴期真っ只中であり、特に胸部の発育に目を見張るものがあるヴィヴィオ。
14歳になっては居たが、出会った頃と何ら変わりのない小ぶりな膨らみながらも、表情には大人顔負けの
艶っぽさをもち始めたルーテシア。
そんな3人に言い寄られ、思わずゴクリと唾を飲み込むエリオを見て、少女達は満足そうに頷いた。
「…で、僕にどうしろと」
エリオは頬を強張らせながら、何とか声を絞り出すと彼女達に尋ねた。
返って来たのは、彼が思った通りの答えだった。
「「「しよ♪」」」
数時間後、エリオの部屋には精も根も尽き果てたといった感じにげっそりとした部屋の主と、つやつやの肌
を隠そうともせず満足気に微笑みながら眠りに就く3人の少女の姿が確認された。
「ふぅ…」
彼女たちの寝顔を見渡しエリオが溜息を吐いたその時、部屋のドアが開かれたかと思うと、奥から2人の女
性が現れた。
そう、彼の母でもあり…でもあるフェイト・T・ハラオウンと、ヴィヴィオの母高町なのはだった。
「エリオ、今晩何が食べた…」
言いながら入って来たフェイトが目にしたモノは、果たして行為の後をあからさまに匂わす彼等の姿だった。
「どうしたの、フェイトちゃ…ヴィヴィオ!」
突如として言葉を失った親友を不審に思ったなのはだったが、彼女も室内の状況を見て言葉を失った。
それから時間にしておよそ1分。正気を取り戻したフェイトは、頬にひとすじの痕を描いていた。
「ひ、ひどいよエリオ…」
「フェイトさん」
「もうじきこの子も生まれるのに…」
隣で漸く気を取り戻した親友の胸に顔を埋め、さめざめと泣くフェイト。
彼女のお腹の子はエリオの子供であった。
昨年、思いの丈を打ち明けたエリオは母でもあるフェイトとそういう関係へと発展していたのだった。
だが、フェイトはエリオの保護責任者である。
この真実をしるのは、事の当事者でもあるフェイトとエリオ、そしてなのはの3人だけであった。
そんな彼女の肩を優しく抱きしめながら、管理局の白き魔王は搾り出すように声を紡ぐ。
「エリオ、どういう事か説明してくれるかな?」
「えっと、その、これは…」
「ヴィヴィオにまで手を出していたなんて…」
「ま、待って下さいなのはさん」
「すこし頭冷やそうか」
翌日、全身を包帯に覆われた状態で無限書庫を訪れたエリオは、時を遡る事の出来るロストロギアの
存在を知る。
過去の自分(特にフェイトと関係を持った以降)をやり直したく思った彼は、ソレを探す旅に出る決心をし
たのだが、それはまた別のお話。
〜END〜
179 :
ツンデレ王子:2008/05/04(日) 04:37:22 ID:WeG8TKZx
以上です
さて、明日ってか今日も仕事だ 早く寝ないと^^;
それでは皆様、オヤスミナサイませ
180 :
ツンデレ王子:2008/05/04(日) 04:43:17 ID:WeG8TKZx
誤字発見><
司書様
保管庫に入れる際
>>177 3/4での一文
>10歳になり、第二時性徴期真っ只中であり、特に胸部の発育に目を見張るものがあるヴィヴィオ。
これを
10歳になり、第二次性徴期真っ只中であり、特に胸部の発育に目を見張るものがあるヴィヴィオ。
に直して頂けますでしょうか?
お手数ですが、よろしくお願いします
ファンの職人様の連続降臨でGW中の運を全て使い果たしたんじゃと小一時間
>>86 ひゃっほう!!!
エリオ隊長シリーズお待ちしておりました!
オリキャラ?そんなのかんけーねー!
(エリオ娘の)アリシアもフェイトも大好きだ!!!
GJ!!
>>アルカディア氏
おかえりなさい&お疲れ様です!
氏の小説を毎週超wktkしながら待っていた人間です。
エピローグ投下後、エリキャロルーの後日談をどれほど妄想したことか・・・
リハビリ完了後にでもまた見せてくださると狂喜します!
>>170 超GJ!
3つともの平行世界すべてファンな俺にとっては強烈すぎる一撃でした!
3つともファンだが、やはりエリルーが一番いいな。
人妻ルーが・・・すごく・・・エロいです・・・
この世界のSエリオもいい味だしてます。
セッテとくっついた世界のエリオはやはりMっぽく・・・
まあ初夜からあのプレイだもんなあ。頑張れエリオ。そしてセッテを妊娠させて(ry
姉妹世界はすごくほのぼのしてていいなあ
でもこの後にアリシアは・・・
>>179 GJ!!!
エリオが・・・すごく・・・うらやましいです・・・
頭冷やそうかがよくわかる。
でもそこで全員まとめて重婚してしまうのが僕らのエロオ・モンデヤルだ!!
エロシーンは妄想で補完しておきました。(;´Д`)ハァハァ
182 :
サイヒ:2008/05/04(日) 05:54:32 ID:s/D+9PtX
>B・A氏
エロオとMオとノーマルエリオがきっちり書き分けられててGJでした。
>ツンデレ王子氏
こちらもGJでした。
このエリオは時を遡ったとしても、今度はヴォルケンかスバティアあたりと関係持ちそうw
>>182 女難で飽き飽きしたエリオ君が過去というなの平行世界の自分を見る旅ですね
今までのエリオ主役の各シリーズ世界に紛れ込み、怒ったり、羨ましがったり
驚嘆したり、絶望したりしながら、自身の多様性に疑問を持ちつつも元の時間に戻って
ハッピーエンドと。
>136
良かった! シンプルでかつクオリティが高くて感動した! 超GJ!
最近は捻ったネタ系SSが増えているから、こういう苺ショートのようなSSを振り返るべきかもしれんね!
俺の求めているものはこれだ! という渇きが癒されるようなSSを久しぶりに読ませてもらいました。
最後にもう一回超GJ!
>>136 貴方の書かれるSSは、大抵ネタはシンプルなのに面白く、
郡を抜いたエロさと甘さがあるというのが凄いですねw
あと、なのユーを読ませてくださってありがとうございます、GJでした。
186 :
44-256:2008/05/04(日) 20:09:46 ID:kQIFdINg
投下します。
・時間は6課解散から数ヵ月後で。
・主人公はゲンヤ
・魔法戦ありません。
・オリキャラ一人出てきます。
・消費スレ数は6
『ナカジマ三佐、本局から通信です』
「マジかよ!?」
本局からの直接通信ということでゲンヤは風の速さで、灰皿や山済みの書類を机の後ろに隠して、席を立ち、画面に向けて敬礼した。
「ミッドチルダ第108陸士部隊所属、ゲンヤ・ナカジマ三等陸佐であります!!」
そう画面にむかってあいさつしたが、画面に現れたのはクロノ、フェイト、そしてティアナであった。
「・・・なんだよ、クロノの旦那、フェイトのお嬢、それにティアナじゃねーか。久しぶりだな、ダンキンでもどうだ?」
一気にゲンヤはくだけて椅子に座り、足を机にかけて、机の裏に隠した食いかけドーナッツのボックスを見せた。
そんなゲンヤにクロノが話しかけた。
「ナカジマ三佐、あなたの力が借りたいんです」
「俺にか?捜査協力ならまずは地上本部に頼むのがスジだろうが」
「すでに依頼は出しているが、期待できる成果はのぞめない。海はとかく陸に嫌われているので」
「だろうな・・・旦那や高町のお嬢と仲良くしている俺も、年下の佐官や将官連中から鼻つまみもんだ。用件は?」
そうしてクロノは用件に入った。
「本当にすみません」
ティアナがそう言って頭を下げた。
「別にかまわねえよ。お前さん方、特にティアナにはウチの娘が世話になってたしな。それよりティアナ」
「はい」
「髪下ろしたらまたエラくかわいくなったな、地上本部だけじゃなく本局でも周りにほっとかれないんじゃないのか?」
「えっ!?こんな時に冗談はやめてください!」
そしてティアナはゲンヤのほめ言葉に顔を赤くする。そうしてゲンヤは親指をあげてグーのサインを作った。
「かわいこちゃんに頭下げられたんだ。まかせてくれや」
クラナガン=イースト・サイド いわゆる夜の街である。
そんな一角のあるバーへ通じる扉をゲンヤ開けた。
中はジャズの演奏が響き、カウンターの奥の多種多様な飲み物が棚におさめられている。
しかし、ゲンヤはそれらに眼もくれず、奥のエレベーターを目指した。目の前に黒いスーツを着た男が立っている。
「ビック・ザ・シガー、ああスマン。ドン=シガレオ・ヴィッツーニと話がしたい」
「!?・・・何だてめえ」
目の前の中年オヤジに、自分達のボスの若い頃の仇名で言われたのが腹立たしかったのか、懐からデバイスカードをとりだそうとするが
「やめろ」
奥から現れた男に手をつかまれ制止された。
「すみませんナカジマ三佐。ヤツは入って日が浅いもんで」
「かまわねえよ・・・って、おい!俺までボディチェックするのか、デバイスなんか持ってないのを知ってるだろ!?」
「ボスから例外なくやるように指示を受けていますので」
「OKです」
そうして幹部に案内され上階へ行くエレベータに乗った。
「(誰だあいつ?)」
「(知らないのか、管理局陸士部隊のナカジマ三等陸佐だよ)」
「(三佐?たかが地上本部の、しかも非魔導師じゃねーか、何であんな親父を・・・)」
「(お前、昔、クラナガンの暗黒街で「グラン・ハウンド=地上本部の猟犬」の2つ名で呼ばれた捜査官を知らないのか?)」
「(・・・まさか!?)」
『チンッ・・・』
エレベーターの音に合わせて開いた扉の奥は違法カジノになっていた。
ルーレットやカードの切る音、シャンデリアに踊るチップ。そして客の談笑する声が聞こえる。
そんな華やかな場でゲンヤの着るボロいトレンチコートが客の目を引いた。
「(おい・・・あのコートの下のスーツ、管理局の制服じゃないのか?)」
「(この界隈に出入りしようっていうんだ。まともな仕官じゃねーよ)」
そんなカジノの一番奥の部屋に男がいた。身なりも非常に立派である。ゲンヤは男に話しかけた。
「相変わらず、いい葉巻(シガレット)の趣味だな、ビック・ザ・シガー」
男はゲンヤに気づき、吸っていた葉巻の煙を吐き出すと
「これはこれは驚いた・・・」
「さっきのボディチェックは何だよ?俺は危険人物かい?」
「フッ、『地上の犯罪が増えている!!』と、故レジアス中将も危惧していたように、昨今の地上は何かと物騒ですから」
「違法カジノをやってるあんたが、どのツラ下げて言ってんだよ」
「我々はただのビジネスマンですよ。それで管理局の三等陸佐殿がこんな場へ何か、手入れですか?」
「俺はラン(密輸)専門だ、あんたらのシノギを邪魔するつもりはねーよ。用件はミッドの第18港湾区の話だ」
「ほう・・・私の『ファミリー』が暮らす地区だ」
「知ってのとおり、ミッドは海上の中継貿易が盛んだ。色んなモンが次元の海を出入りしている。最近あんたのシマの港から
あるブツが中継されるはずだ。アタッシュケースくらいの大きさ、SK商会のロゴが入ったものだ。それが港から出たらアシつけて
泳がせてくれないか?」
「どんな値打ちのあるもので?」
「こんな所で、ベルカ教会のおとぎ話をするつもりはないがよ、多くの次元世界を危険にさらすもんだ」
シガーは後ろを向いていった。眼下にはクラナガンの夜景が広がる。
「さて、どうしたものか。ナカジマ三佐、私もビジネス上、簡単に管理局の犬になるのは、他の組織やミッドチルダ周辺のコミッションにも示しがつかない」
「・・・」
「でも我々には、あなたに大恩がある。ここは一つ勝負しませんか?」
そしてシガーとゲンヤは席に着いた。
「ディーラーは私、フォルドはなし、片道切符ということで・・・」
「カリビアンスタッドとはねえ、俺たちは次元航行隊とイタチゴッコをしてる海賊や運び屋じゃないんだぜ」
そして中央にトランプの束が置かれる。
「魔法戦よりもいい。ドンパチもないし、ずっとクリーンですよ」
カードは1枚表で残りは裏で交互に配られていく。
1枚目の表にされたカードはゲンヤはスペードの8、シガーはスペードのエースである。そのカードを見てシガーは笑った。
「私のさい先はいいみたいだ、スペードは勝利と力のシンボル・・・」
「勝負はまだわからないぜ、そいつは死の象徴というもう一つの意味もある。それにな・・・このゲームは常にポーカーフェイスが基本だ」
「ご教授ありがとう、ナカジマ三佐」
そうして2人は黙ってカードを引いた。
「ラストカードだ」
そうして双方に最後のカードが手元に置かれる。最初にシガーは自分の手札を見せた。
「スペードエースのフラッシュ、今日はついているな」
『おおっ!?』
会場を囲んでいたギャラリーから歓声がわく。
「ナカジマ三佐、この勝負に負けたら、あなたには捜査の手がかりなくなるわけだ」
シガーがそういうとゲンヤは残り4枚のカードをゆっくり開き始めた。
「・・・それは違うぜシガー、手がかりの「一つ」がなくなるだけだ」
−スペードの9−
「俺がしつこい性分だってのを知ってるだろ?地べたを這ってでもヤマ(事件)をつかむ“陸士の猟犬”だ」
−スペードのクイーン−
「どん詰まりからのペイバック、それが俺は好きなんだよ」
−スペードの10−
「それに、勝ち負けにこだわってる限り、勝負の本質は見えてこないぜ」
−スペードのキング・・・ストレート・フラッシュ−
確立にしたら1/70000以下という、まれなハンドを前に、周りを囲んでいた護衛や客の間に逆に沈黙が流れた。
「フッ・・・」
そしてその沈黙を破ってシガーは笑いをはき捨て、葉巻を灰皿に押し付けて言った。
「やはり、相変わらずだ。あなたにはかなわない・・・」
そうしてシガーは部下に情報端末を持ってこさせた。
数日後、地上本部の会議室。事件の捜査報告が行われている。参加者のほとんどは何故か本局の人間ばかりであった。
「以上より、外部へ流出した研究資料より人造魔導師、戦闘機人の研究施設の位置を特定、本局次元航行艦隊と教会騎士団により
施設を捜索、多少の抵抗がありましたが関係者をほぼ拘束する事が出来ました・・・」
クロノの報告に会議室から拍手が起こる。
「さすが、本局は違いますな。ドン亀の地上本部と動きが全く違う」
「我々の情報収集能力は地上すらも網羅していますからな」
「地上の平和は我々本局が肩代わりしているようなモンですよ」
「陸士はしょせんそんなレベルでしょう」
本局の人間達は地上本部から情報提供を断られた腹いせにと、ここぞとばかりに自分達の手柄と地上本部に対する侮蔑を口にして会議室から出てきた。
「・・・」
側にいたティアナは何かを言いかけたが、不意に自分を見つめる視線に気づいた。視線の先にゲンヤがいた。
ゲンヤは何かを言いかけるティアナに対して人差し指を自分の口に近づけた。
自分のことはしゃべってくれるな。念話を使えないゲンヤだが、ティアナには十分に伝わった。
そうしてクロノは本局の人間の賞賛の嵐の中でゲンヤと目を合わすと、眼で礼を送った。
ゲンヤは少し笑うと、タバコに火をつけ反対側の通路へ消えていった。
end
193 :
44-256:2008/05/04(日) 20:23:10 ID:kQIFdINg
以上です。
ゲンヤさん渋いな。
GJ
で、なんでクロノは(ゲンヤの名を出さずに)地上の協力があったと言えんのじゃろ?
という説明が欲しかったッス。
消費”スレ”6か…
超大作の予感!
う〜ん、渋い。
俺もなんか非エロで渋いの書きたくなった。
しかし
>>195よ、野暮な事は言いっこなしだろ?
GJ!
ゲンヤさん流石ッスね
>>197 この人毎回、間違えてね?
アンタは顔に鼻くそついてても黙ってて欲しい?
>>199 勢いに任せて突っ走ってるだけの住人が多いスレで言っても無駄
こらこら、荒れるからやめてくれ。
突然だが、ティアナには演歌が似合いそうな気がするんだ。
演歌のイメージはシグナム姐さんな気がする、なんかこう着物着て
フェイトそんの名が出るのは何時になるだろう
じゃあエリオは半裸でボーカルで
ド演歌はシグナム姐さんだな。
ギン姉にはSAYURIの「ウィスキーが,お好きでしょ」とか。
「ほんとは年下が好きだったのにな」とか言いながら、飲んでる相手はゲンヤさん。
あ、それは歌じゃなくて小雪のCMかw
>>202 それだと、リインUがロック歌手になるな
あれ?ひょっとしてみんな、みっくすじゅーすって知らない?
209 :
44-256:2008/05/04(日) 22:32:46 ID:kQIFdINg
シグナムの中の人はスクランのキャラソンで演歌歌ってるがな。
211 :
名無しさん@ピンキー:2008/05/04(日) 22:43:46 ID:1fJ7UmMJ
蟻地獄まだ?
212 :
名無しさん@ピンキー:2008/05/04(日) 22:44:34 ID:1fJ7UmMJ
蟻地獄まだ?
はやてにやしきたかじん歌わせたいw
もしくははやてがメインボーカルでヴォルケン4人+リインUの
合計6人でアカペラとか?w
215 :
ておあー:2008/05/04(日) 22:55:10 ID:jQEBF3F8
>>208 スバルが大ダメージを受けたというあれですか?
23:00より投下しまふ
216 :
ておあー:2008/05/04(日) 23:01:21 ID:jQEBF3F8
前回と昨日の小ネタにレス下さった方、ありがとうございました。
前話の後半はかなりシリアスにしたつもりだったのに……悔しい、でも凹んじゃう(ガクッガクッ)
しかしそんな事ばっか言ってても仕方がないので続きを投下。
今回はそんなに重くないはず。
今作の注意(さり気なく増減注意)
・非エロ
・時期的には三期が終わった後
・八神家とガリューメイン
・蟲的なものが苦手な方は注意? でもしなくていいような気もする
・捏造設定あり
・本編で謎な部分に対する妄想補完あり
・パロ、中の人など各種ネタをフル装備
・それに伴ってほぼ全員凄まじくキャラ崩壊
・目指すは笑いあり涙あり友情あり萌え?あり燃えありなごった煮話
・つまり総合するとデフォルトで超展開
『魔法集団リリカルやがみけInsecterSその6』と打てばシルバーカーテン起動です。
まえがきてきななにか(最終投下からスレが変わった場合につく)
この話の主な登場人物
・ガリュー(CV候補:クロノ・ハラオウン(大人Ver.)の中の人とか)
やさぐれ芋虫。主食は謎。
・八神はやて(CV:植田佳奈)
夜天の王。好物はおにぎり。
・ヴォルケンズ(アギト含む)(CV:人それぞれ)
人数が多いせいで時々空気になるキャラがいる。くやしいのうくやしいのう
・アルフ(CV:桑谷夏子)
前回復活ッッ 桑谷ボイス的な意味で期待がかかる今後のキーパーソン
前回までのあらすじ
ある日八神家の冷蔵庫に巨大な芋虫が出現。その正体は子供フォームに失敗したルーテシアの守護虫ガリューで、アギトを頼って
八神家に転移してきたのだった。
話を聞いた八神家の長・はやては彼を元の姿に戻すのを手伝ってやる事にしたが、一家全員ボケ要員の八神家とツッコミ気質の
ガリューは悪い意味で噛み合ってしまい、元に戻る方法探しは全く進まない。
なんとか状況を打開すべくはやてはユーノとフェイトに助けを求める事が、彼らの協力をとりつけたと思った矢先に今度はささいな
事から大喧嘩が勃発、ガリューは八神家を出て行ってしまう……
そんな感じで魔法集団リリカルやがみけInsecterSその6、始まります。
「……なるほど。そのようなやり取りがあったのですか」
「そうなんよ。そのようなやり取りがあったわけなんよ」
ガリューがリビングを出て行った後。
はやてから一連の流れについて聞き終えたシグナムは出かける前より目の前の主が一回り小さくなったようだと思った。
先刻の緊迫した空気は今も澱のように形を変えて部屋に居座り、あれほど空腹を訴えていたヴィータやリインすらシグナム達が
買ってきた食料に手をつけていない。ヴィータは何か思うところがあるのか微動だにせず一人で何事かを考えている。ザフィーラも
同様、リインとアギトは立ち上がって所在なげに浮き上がったかと思うとまた着地、を繰り返している。シャマルだけが主の命を
遂行すべく押入れの中に仕舞ってある殺虫剤を探しているところだった。
「……あのう……はやてちゃん?」
「なんやー、シャマルー……」
「買い置きしてある殺虫剤を全部使っても、家の周り全部に撒くほどの量はないんですけど……」
「ほな、別にええわ……」
「……そうですか」
はやては万事この調子だった。
先ほど見せた激しい感情の発露も氷剣の様な眼差しも嘘のように、ぼんやりとした目つきで虚空を見つめている。
「……こんなつもりと、ちゃうかったんやけどなあ」
誰にともなく、といった風情ではやてが呟いた。
何かを求めて彷徨うような手の動きに気づきシグナムが胸を差し出す。
「揉みますか? 落ち着きますよ」
「……ええわ。この話非エロやし」
代わりにはやてはゆらりと立ち上がり、床に丸まっていたザフィーラの背に体を預ける。
「わーい、もふもふやー」
(……"あの"主はやてが乳揉みの誘いを断るとは……相当な重症だ……)
はやての行動の中に見られる弱い"異常性"については、シグナムを始め彼女をよく知る者達なら多少なり気づいていた事だった。
十一年前、"闇の書"の封印が解かれシグナム達が現れるまで、八神はやてという少女はずっとたった一人で暮らしていた。
本来ならばまだ親の庇護下に置かれ、周囲の愛を存分に受けながら育つはずの年齢である。彼女が両親を失ってからシグナム達と
出会うまでの日々が、彼女にとってどれほど不安で寂しいものだったかは想像に難くない。他の守護騎士がどう考えているかは
わからないが、『魔法で創られた擬似生命体』という彼女の世界の常識では考えられない存在である自分達をアッサリと受け入れ
家族として迎え入れたのも、優しさや器の大きさといった要素より彼女を取り巻く背景そのものが大きく関係していたのだろうと
シグナムは考えていた。
そんな彼女が"闇の書事件"で経験したリインフォースとの別離。
新しく自分の世界に加わった"家族"と、僅か一日足らずで別れなければならなかった彼女の気持ちは察するに余りある。
自分がもっとしっかりしていれば。
もっと力があれば、もっと早く自身を含む様々な事に気がついていれば。
何か出来る事がなかったのか。
こんなにも小さくささやかな願いを、叶える術は本当に無かったのか。
きっと事件の終結後――もしかしたら今も彼女は後悔と共にあの日自分が取るべきだった最善の行動について、あらゆる可能性を
検討し続けている。八神はやての中で、リインフォースとの別れはトラウマとなりやがて彼女の中にある性質を顕現させる事となる。
皆が当たり前に持っているソレを持たなかったからこそ。
そして手に入れられたからこそ。
彼女は"絆"というものを過剰なまでに大切にし、それが失われる事については異常に敏感に反応するという一面を持つようになって
いた。
可能性の話をするのなら、例え彼女がもっと早く"蒐集"に気づいたり闇の書の力を使いこなせるようになっていたところでリインを
助ける術は無かった。
それどころか彼女は無限の輪廻を繰り返す"闇の書"の呪いを断ち切り、自身と守護騎士四人の命を救う事に成功している。これは
『救う』という面から見ればただ取り込まれ暴走に巻き込まれるばかりだったそれまでの主と比べても段違いの成果であり、これ以上の
結果を求める事は現実的に考えて不可能だ。だが、それでもなおあの日のシミュレーションを繰り返し続けるのが彼女なのだ。
クラナガンに居を移す際、自分と守護騎士達が『全員で一緒に暮らせる』ような物件を選ぶようシャマルに強く求めていたのも
その表れだろう。既に所属や勤務日程がバラバラになっている八神家において、必ずしも一つ屋根の下で共同生活を送る必要はない。
もっとも彼女の要望は主を守る自分達にとっては寧ろ自分たちの方から申し出たい内容であり、またそれ以前に純粋な"家族"として
騎士達が望んだ事でもあったのでそれを口にする者は誰も居なかったが。
そして、その性質は彼女のみならず、時には他人に対しても発揮される事があった。
死別はもちろん、人身売買等の物理的な離別や時に被害者に遠隔地療養が必要なケースさえ。"別れる・離れる"というキーワードが
絡んだ事件や事故を担当する時彼女の目の色は明らかに変わる。案件に異常なまでに熱を入れ、共同捜査の相手と対立する事も
しばしばだった。
(ただ、それほど実害がある訳ではない。周囲が上手くコントロールすれば意欲の高揚、プラスにこそなれマイナスの効果は
もたらさないと考えていたが……今回は完全に裏目に出た格好だな)
己の個人的な感情が一因で主を深く傷つけてしまった事にシグナムは臍を噬む。
常に冷静な視線で状況を把握するのは、人の上に立つ者としては必要不可欠な能力である。それが知らず欠如していたとなれば
表情も歪むというものだ。
「……シグナム」
「アギトか」
気がつけば目の前に"烈火の剣精"が浮かび心配そうな顔でこちらを覗き込んでいた。
「その……つらそうな顔、してたから……」
「心配をかけたな。私なら大丈夫だ」
そう言ったものの気の利いた言葉も浮かばず、二人はどちらともなくまた顔を伏せてしまう。
「アギ「あのさ!」
漸く口を開いたと思えばタイミングが被り、互いに譲り合うような仕草を見せた後口を開いたのはアギトの方だった。
「アイツ……ガリューはさ……アタシなんかよりずっと前からルールーや旦那の事を知ってて、付き合いも長かったんだ……だから、
その……」
「恨まないでくれ……か?」
「……あんな風にアイツの声を聞くのは今日が初めてだけど、長く一緒に居たからわかるんだ。アイツは絶対そんな悪い奴じゃない。
今は分かり合えないかもしれないけど……でも、きっと……」
「気にしてはいないさ……永き生の中で他者を手にかけた事は一度や二度ではない。残された者から責められるのも恨まれるのも
慣れている……如何に言い訳を取り繕おうと死者は還らん。私に出来るのは彼らの心を正面から受け止め、己の行為から目を逸らさず
生きてゆく事だけだ……お前はどうだアギト? お前は私を恨んでいるか?」
シグナムに問われアギトは逡巡した後答える。
「……正直、『恨んでない』とは言えないと思う……ああなる事は旦那自身が望んでいた事だし、シグナムの事を恨めばそれで旦那が
帰ってくるってわけじゃない。でも、やっぱり心のどこかでまだシグナムの事を許せない自分も……いるんだ。ゴメン……」
「構わんさ。お前の正直な気持ちを聞けただけで私は満足だ。出来るならその気持ちを忘れないでくれ、そして私が騎士ゼストが
認めた騎士に相応しくないと判断した時は……」
「ああ。その時はアタシの炎でアンタを焼き殺す。融合騎アギトの名にかけて誓う」
気分を落ち着かせるために薬湯を淹れてくる、とアギトが台所へ飛んでいくとシグナムはふっと息をついた。
(変わったな……私も)
かつての自分ならば殺した相手の遺族に何と言われようと心が乱れる事など無かった。
親の敵討ちと来た幼子を一刀で切り伏せ周囲の人間に"悪魔"と罵られた事もあった。
その自分が、ガリューに問われた時心震えた。
隠していた過去の古傷を刃物で抉られたような鋭い痛みに、改めでこの十年あまりでの自身の変化を感じずにはいられなかった。
「少し出てくる」
ザフィーラに言い残すとシグナムはリビングを出て玄関へと向かった。
未だ心中に整理はついていないが、少なくとも問われた以上自分には答える義務がある。
ガリューがこの地を去る前に伝えなければならない。
「おまたせ……ってあれ? ザフィーラ、シグナムの奴は?」
「つい今しがた家を出たぞ」
「はあっ!? 何だよソレ、アタシの薬湯は飲めねえってのかよ……」
「どうだろうな……ただ少なくとも、その湯が必要なさそうな顔はしていたがな」
「……そっか。じゃあ代わりにシャマルにでも……?」
「シャマルもヴィータもリインも、皆さっき家を出た。残っているのはここにいる3人だけだ」
「……どいつもこいつもっ!! ザフィーラ、アタシも出てくる! はやてさんの事頼んだぞ!!」
「心得た」
アギトが部屋を出て行くと、それまで柔らかな蒼い毛に顔を埋めていたはやてがゆっくりと起き上がった。
「うちの子はみんな、強い子ばっかりやな……私だけや。人の気持ちも考えんと自分の気持ちばっかり押し付けて。ガリューかて
ガリューなりの事情があるやろうに……」
「お言葉ですが、ご自分を過剰に卑下するのは止めた方がよろしいです。先刻の件に関しては、少なくとも責任の所在がどちらかに
百対零という事はありません」
「そうかもしれへんけど……もしこのままガリューが故郷に帰ってしもて二度と戻ってこおへんかったら、私はルーテシアちゃんと
メガーヌはんに会わせる顔があれへん……二人に何てお詫びしたらええか……」
「奴はきっと帰って来ます」
いつもの豪快さが影を潜めているはやてに対し、こちらはいつも通りの静かな口調で答えるザフィーラ。
「……根拠は?」
「男は女に敵いません」
「……はあ?」
「こちらの話です。ともかく、今は奴の帰還に備えスクライアの送ってくれたデータをチェックしておきましょう」
「……はあ」
(……頼むぞ、アルフ)
◆
時を若干遡る。
(あーあ……やっちまった……)
八神家を飛び出したものの行く当ても無く、ガリューは目的地も定めず住宅街を彷徨っていた。
(……誰か追って来たり……する訳ねえよな。あそこまで言っといて)
元々あそこまで酷い事を言うつもりはなかった。
騎士の誇り、についてはやはり正直賛同しかねる部分がある。
しかし伝え聞いた状況によると、ゼストは地上本部のトップがいる場所に侵入しシグナムはそれを止めようとしていた。自分達は
犯罪者の一味、シグナムは管理局員。どちらかに逃走の意志がなければ両者が激突するのは至極当たり前の事で、戦闘の結果死者が
出るのもこれまたさほど珍しくもない話だ。非殺傷設定という便利な枷もこのような場面ならば簡単に解除される。
つまり、客観的に見ればゼストの死は大いに有り得た話で、たとえそこに表には出ない情報が加わろうと自身を納得させるのには
十分すぎるほどの材料は与えられている、とガリュー自身は思っていたしまたそう自分に言い聞かせてもいた。だから八神家で
シグナムの姿を見た時も少し思うところはあったが、けして最初から事を荒立てるつもりはなかった。
それがいつの間にか口論がヒートアップして、気がつけばつい口をついて出ていた。まさに『売り言葉に買い言葉』というやつで
ある。
(……クソッ! 何期待してんだよ俺は!! いつまでもこんなとこうろついてねえで、さっさとどこへなりと転移しちまえば
いいじゃねえか!!)
そう思う心とは裏腹に、足は止まる事無く巨大芋虫はどこまでも道路を進み続ける。否、真に裏切っているのは体の方ではなく、
心の奥底に潜むもう一つの心の方だった。
(馬鹿馬鹿しい、さっき自分で言っただろ! 主人も護れねえ召喚虫なんざ虫けら以下だって!! 召喚契約を破棄して転移!
転移、転移、転移!! お前は久しぶりに故郷に帰るの!!)
ガリューは怒鳴るようにして自分に言い聞かせ脚を止めた。道路の真ん中だが車の音も聞こえないし、少しくらいは大丈夫だろう。
そう思いながら魔方陣を展開し詠唱を開始する。
(……座標よし……さ、久しぶりの故きょ)
「きゃあああああああぁーー!!」
「お、おわあぁっ!!」
「キシャー(な、なんだぁっ!? 付近の住人か!?)」
突然の悲鳴に詠唱が乱れ、光の魔方陣が霧散する。
迂闊だった。
ここは住宅街、いくら人通りが少ないとはいえここまで誰とも会わなかった事が奇跡に近かったのだ。
「キシャー(しくったぜ、くそっ……)」
「いやあああっ、吼えたよアレ!」
「なんなんだ、こいつ……っ!!」
ガリューが遭遇したのは一組の若いカップルだった。
遠目に見ても震えているのが分かる女を、男の方が庇うようにして立っている。
「キシャー(おい、ちょい待ち! 落ち着け! 大丈夫、すぐ終わる! 頼むからそこでちっとだけ待っててくれ!!)」
「きゃあーっ、こっち見てるわよあの化け物!!」
「キシャー(あぁ!? 誰が化け物だよもっぺん言ってみろ!!)」
「いやあっ! 怖いよおっ!!」
「俺の後ろに! 何してくるかわからないぞ!!」
「キシャー(だから何もしねえって! あーチキショウ、言葉が伝わらねえってのは不便だなオイ!!)」
思うように意思疎通が出来ず、徒に事を荒立てるばかりの状況にガリューは焦る。
(さすがにマズいぞ……このまま人に集まって来られちゃ、転移魔法どころじゃねえ)
その時男の方が手に持っていた何かをかざしたかと思うと棒状のものが空中に出現した。
「キシャー(デバイス!? こいつ、魔導師か……!!)」
「この……くたばれ化け物っ!!」
「キシャー(ぐっあああぁっ!?)」
男がデバイスの先端をガリューに向け、光弾が発射される。
発射された光弾は上半身を起こしていたガリューの腹部に寸分違わず命中し、吹き飛ばされたガリューはブロック塀に叩きつけられる。
「キシャー(こっの……ああぁっ!!)」
「すごいすごーい! 全部当たってるよ!!」
「化け物め……お前が何なのか知らないが、子供が襲われでもしたら大変だからな。ここで息の根を止めてやる」
「キシャー(だから俺は化け物じゃああっ! ねえっ、てっ!! 言ってんだろ……ぐはあっ!!)」
恋人の前でいいところを見せたいという心理でも働いているのか、男はこれでもかと言わんばかりに光弾を連発しガリューを
痛めつける。元々この姿はそこまで耐久力が高いわけではない。
何度も光弾を体に受け、吹き飛ばされ体はボロボロになっていく。
「キ……シャー……」
「まだ生きてる……しぶといわね、この化け物!!」
「さっさとくたばれ化け物!!」
もう何度目かわからない直撃を受け、浮き上がった体が道路に叩きつけられた。
「動かなくなったわね……」
(……ちっきしょう、人の事さんざ化け物呼ばわりしやがって……人を見かけで判断するなって、学校で教わっただろ……)
「待て、まだ動いてる……特大の一発で完全に息の根を止めてやる」
(ていうか、俺が誰かの高級なペットとかだったらどうすんだよお前ら……損害賠償だぞ、裁判だ裁判)
体を動かそうとするが、傷つけられた体は思うように動きはしない。
そうこうしている間にも男は魔力のチャージを着々と完成させていく。
(はは……なんだこれ……俺の人生……こんなんで、終わりかよ……)
膨らんでいく光を見ながら、ガリューは泣きたい衝動に襲われた。
(情けねー……畜生……畜生っ……!!)
「きゃあっ!! 今度は何よ!?」
「犬!? いや……狼……!?」
(ちょっと痛いけど我慢しなよ!)
(!? その声……いっでえええぇぇぇっ!!)
(痛いけどって言ったろ! 男がこんなんで泣き事言うな!!)
胴を錐で刺されたような痛みが数箇所起こったかと思うと、不意に体が持ち上げられる。
(おおおぉっ!?)
(動くんじゃないよ! 動くとその分強く噛まなきゃいけないから、余計痛い目見る羽目になるからね!!)
そのまま視界が揺れ、ガリューは何が起こっているかも分からないままひたすら体を動かさないようにして耐え続けた。
◆
「離すよ」
『うげっ!?』
いきなり地面に落とされガリューは悶絶しながら転げ回った。
『あいてて……ここは?』
ガリューがいる場所は森の中だった。一面緑に囲まれ、近くには小川が流れている。
「あいた、たっ……! こ、腰が……やっぱ治癒魔法かけたぐらいで無理しちゃダメだね……」
『その声……アルフなのか?』
ガリューの目の前で蹲っていたのは、ザフィーラと似た種類の緋色の狼だった。狼から発せられる声はガリューもよく知っている
声であり、問いに応え狼が獣耳の少女の姿に変わる。
「ったく、随分遠くまで行ったと思ったらいきなり殺されかけてるしビックリしたよ」
『す、すみません……つーかよく追ってこれたな。結構あの家からは離れてたのに』
「アンタの体から出てる液体が、ナメクジが這った後みたいにしっかり痕跡として残ってたからね。それにアンタの耳と同じで
アタシは鼻が利くんだよ。ま、耳も結構すごいけどさ」
アルフは耳をピクピクさせながらニヤリと笑う。
『……聞いたのか』
「事情かい? はやてからバッチリ聞いたよ。初めは怒ってたけど、最後のほうは結構凹んでたね」
『そっか……』
「まあ落ち込んでないでさ、先に顔でも洗いなよ。ここははやて達の家のすぐ近くにある山でアタシとザフィーラの秘密の隠れ家みたいな
場所さ。人間が来る事はまずないからさっきみたいな心配はないよ」
『さっきの、か……』
自分を"化け物"と連呼しいきなり襲い掛かってきた先ほどのカップル。
それ自体はさして珍しい事でもなかった。
昔からモンスター扱いされるのは慣れていたし、警戒されて武器を突きつけられた事もあった。あそこまでしこたまボコられた記憶は
ないが……
むしろそんな過去よりも鮮明に思い出されたのは、つい数時間前に始めて会話した主人の友人の上司達。
中には自分を見てダウンする者もいたが彼らもすぐに自分に慣れ、中には最初からフレンドリーに接してくる、初めて出会うタイプの人間もいた。
あげく普通の人間には聞こえない自分の声を聞き、会話を成立させたり……時には漫才染みた掛け合いをやったり。
「凄い連中だろ? あの家の住人はホントに順応力が高いからね、家長のおかげで」
『な、なんでアイツらの話が出てくんだよ!』
心の中を見透かされたようで、ガリューは動揺を誤魔化すかのように小川のせせらぎに顔を突っ込んだ。途端――
『あいっ……つー……っ!』
「ちょっ、何やってんだい! こんな浅い小川なんだから、そんなに勢い良く顔突っ込んだら顔面強打するに決まってんじゃん!!」
短い前脚をばたつかせ必死に顔を押さえようとするガリューの姿を見てアルフが腹を抱えて笑う。
『そんなに笑わなくてもいいだろうが……つうっ……』
「ゴメン、ゴメン……」
なおも笑い続けていたアルフだが、ガリューの周囲に漂う空気のようなものを見て笑うのを止める。
『なあアルフ……アイツ、凹んでたって言ったよな……』
「はやてかい。まあ、確かに落ち込んでたと思うよ。あの子はあれで結構ややこしいところがあるから」
『アイツもこんな痛い思いしたのかな……体じゃなくって、その、心とか……』
アルフは答えずにガリューの反応を見守る。
『さっきさ、あの若い男にボコボコにされた時に思ったんだ……シグナムの時よりずっと痛えって』
「そりゃ手加減してくれたに決まってるじゃんか。Sランクが本気で攻撃を仕掛けたら辺り一面焼け野原になっちまうし」
『……いい奴だよな。アイツら』
「今さら何言ってんだい。どこの次元世界に家の壁に風穴開ける原因になった奴を手助けしようって奴がいるのさ。そんな奇特な
人間、はやてやアタシのご主人様とか、ほんの数人だよ」
『全くだな』
言葉が途切れる。先に口を開いたのはまたガリューだった。
『わかっちゃいるんだ。戦場に立っている以上誰だって死ぬ事はある。けどルーやメガさんの事を思うと、どうしても抑えが
効かなかった……アイツには無様でもボロボロでも生きて帰って来てもらいたかった。今さら言ったってしゃあねえ事なんだけどな』
「ガリュー……やっぱり元に戻るのは諦めて、ご主人様達ともお別れしちまうのかい? アンタが今言った言葉は、アンタが今やってる
事にそのまま跳ね返って来てる事ぐらいわかってるだろ」
『……わかってるよ』
アルフの問いにガリューが苦しげに吐き捨てる。
『けど、俺はいつだってあの二人に迷惑ばっかかけてる、いつも信頼を裏切っちまう……俺がいたってこの先あの二人にいい事なんて
何一つないんだ、きっと』
「……さっきから思ってたんだけど、アンタの過去にいったい何があったんだい。よかったら話してごらんよ。力になれるかは
わかんないけどさ」
『……』
「じゃあさ、ここは交換条件といかないかい? アンタはアタシに自分の過去を話す。アタシはそれを駄賃代わりに、アンタを元いた
世界まで送ってやるよ」
『お前が?』
意外そうに訊くガリューにアルフは胸を張る。
「こう見えてもサポート系は一通り使えるんだよ。戻る場所の座標さえわかれば、アンタの訳わかんない転送魔法よりよっぽど確実に
家まで送り届けてやるさ」
『……あんまり、楽しい話じゃねえぞ』
ガリューは少し悩む素振りを見せた後アルフの申し出を受けた。
『そうだな、最初はどこから話すか……とりあえず俺達の生態からかな。俺達の種族にはユーノって奴が調べた通り、ピンチになった
時に幼体に体を戻す"休眠"つー能力がある。これで一回体をリセットすればブッタ斬られた手足や尻尾とかも再生できるスーパーな
能力なんだが、この能力の本質はそこじゃねえ。この能力が本当に有効になるのは食糧危機が起こった時だ』
「食糧危機……?」
『そう。実は俺達が食料にしてるのは普通の形ある食い物じゃねえ。魔力を体に取り込み体内の器官でエネルギーに変換して活動する
……一応俺達にもリンカーコアがあって魔力は作れるがそれだけじゃ足りねえんで外部からも吸収する。つまり俺達は正真正銘魔力を
"食って"生きてる存在なんだ』
「魔力って……だってアンタ、その口には獲物を捕まえる為の立派なキバがあるじゃんか」
確かにガリューの大きな口にはナイフのように鋭く尖った無数の歯が生えている。
『それが休眠に関わってくるんだ。俺達は成体になると純粋に魔力しか食えねえが、幼虫のうちは口から普通に食い物を入れて栄養分に
する事が出来る。つまり何らかの理由で食料となる魔力を確保できない時に休眠して幼虫に戻れば、餓死する可能性が大幅に減る
わけだ。もっとも、普通の食い物からだとエネルギーの変換効率が悪いし、キバはどっちかっていうとむしろ自衛の手段としての
向きが濃いんだがな』
「なるほどねえ……でも、魔力を食べるったってどうやって食うのさ」
『俺達の故郷はお前らが言うところの管理外世界って場所の一つなんだが、そこにはリンカーコアと同じ働き――周囲の魔力素を
取り込んで、魔力に変換する希少な鉱石がある。その鉱石が大量にある場所は大気中に魔力が満ち溢れている天然の"魔力溜り"に
なってて、俺達の種族は普段はそこで暮らしてるんだ。ただ鉱石が生み出す事の出来る魔力の量には限界がある。だから俺達は
成長するとこっちの世界の召喚師と契約を結ぶ。契約を結んでる相手から魔力を分けてもらって食料にして、見返りに召喚師に力を
貸す訳だ。ま、大人になったら自分の飯は自分で働いて得ろって感じかな』
「へー……召喚獣ってのは面白い生態なんだね」
アルフは興味深そうに頷く。
使い魔である彼女の場合、食べる物は素体となった狼か人間のものである。基本的には狼の性質が勝るらしく肉を好むがそれ以外の
料理も普通に食べる。しかし主人から魔力供給を受けているからといって食事を取らない訳にはいかない。
『こんなマニアックなのは俺達ぐらいだけどな。そもそも本編中に口をカパッみたいな描写がありゃ作者も『コイツどうやって物を
食ってんだ』って考えたりする必要なか……ゲフンゲフン、少し話がずれたな。で、その休眠だが……実は俺は既にこの休眠の経験が
二回ある』
「はぁ!? なんでそんな大事な事を教えないんだよっ!!」
『ちょ、待って……ギブギブ! うへ……死ぬかと思った』
「う……分泌液がベッタリついちまったよ……」
『すまん……ぶっちゃけ『数年かかるけどほっといたら元に戻る』って話したら相手にされないんじゃないかって思ったんだ……』
「あーまあそれはあるかもしれないけどさ……結構小賢しいんだねアンタ」
『そんだけ必死なんだよ……さ、そんな感じで前置きが済んだところで俺の話といこうか。まずは俺と俺をこの世界に初めて喚んだ
主人……メガさんとの出会いから話したらいいかな……』
◆
メガさんとの出会いを一言で表すなら……そうだな、『ビビッた』かな。
いや、別にメガさんの見た目が怖かったとかそういうんじゃなくてな……
――吾は乞う、速き者、闇を往く者……漆黒の騎士。言の葉に応え、我が命を果たせ……召喚!!
――キ、キシャー!?
――……はあっ!?
そう、何の因果か俺は成体になる前に召喚師に喚び出されちまったんだ。
これが釣りなら即リリースなサイズだよ、俺。
新暦5×年 ミッドチルダ第一陸士訓練校
「オーッス、入るわよメガーヌ!」
「(自室に)帰れ」
「ノー、そのネタは中の人違いだから却下デース」
突然の闖入者にもメガーヌ・アルピーノは慌てない。
意味不明な事を言われても慌てない。
なにせクイント・マセラティという人間と知り合ってしまってから、この程度の出来事等すっかり日常茶飯事になってしまったからだ。
「何ネタとか訳わかんない事言ってんのよ……何? 用があるなら早く言いなさい」
メガーヌはベッドに寝転がったままクイントを迎え入れる。
一見横着に見えるこの動作だが、実はそうしなければならないだけの理由が彼女にはあるのだ。
「オーッス、相変わらずブッサイクだねガリュー! アンタいつになったら成長すんのさ」
「キシャー(オーッス、姐さん! 地味に傷つくんでブサイクとか言わないでください)」
「……」
そしてその理由は現在、部屋の一角に敷き詰められたボロ布の上に載っていた。
「用があるなら早く済ませて出て行けつってんのがわからないの? アナタは」
「あーららー、連れないねー。せっかく召喚虫に養分吸い取られて外出できないアンタの為に冷たくて美味しいアイスを差し入れしに
来てあげたのに」
「人を干物みたいに言うんじゃないわよ。外出は出来るけどしないだけ」
「はいはーい」
クイントは肩に下げたクーラーボックスを下ろすと蓋を開ける。
「さあさあ遠慮しないでたーんとお食べ、私の分は別にボックス2個確保してるから」
「うぷっ……クーラーボックス一杯に……」
「キシャー(アイスがぎっしり……見てるだけで胸焼けしてきた……)」
どう考えても人間の胃腸よりも体積が大きい。中に箱入りやカップ入りのアイスが入ってるなら一つ貰おうと思っていたメガーヌ
だったが、そんなささやかな食欲も吹っ飛んだ。
「ごめん……今はいいや。そこにタッパがあるから詰めて私の冷蔵庫に入れといて」
「あいよー。そだ、ガリューも食べる?」
「キシャー(あ、いや俺はいいっす。冷たいもの食べるとお腹壊すんで)」
「オッケー。じゃああーんしてあげるね」
「キシャー(いやいいって言ってるじゃないっすか、勘弁してくださいよ)」
「あ、スプーンないわ……メガーヌ、ちょっとこのスピア借りるね」
「いいわよー」
「キシャー(ちょ、それ思いっきり刃ついてます! 口の中真っ赤っ赤になりますって! 止めてさせてください御主人!!)」
「あらあら照れちゃってまあ、愛い奴め♪ ほら、あーんしなってばー」
「シュー(むむー! むーん!!)」
クイントと彼女の召喚虫(暫定)ガリューのこういった掛け合いも、今では毎日当たり前のように見られる光景だ。
止める気力が勿体無い、というかそんな気力そもそもない。
「キシャー(アアアアーウチッッッ!!)」
「う、うおわっ!? メガーヌ大変! 血、血がドバーって出てきたっ!!」
「……ったく、何やってんのよアンタ達は」
メガーヌは気だるげに起き上がると鮮血を吹き出すガリューの口の中に躊躇せず手を突っ込む。
「うええっ、ちょ、メガーヌさん!?」
「黙って」
「キシャー(あばばば……ば……?)」
「はい終了。応急処置のヒーリングだから動くとまた切れるわよ。絶対安静」
「おおおお……こ、これが一家に一台・支援型魔導師のヒーリング……って、メガーヌ、服、服! そのまま寝転がったらシーツが
血塗れのスプラッターになるわよ!?」
「うっさいわね、もう……シャワーを浴びに行くに決まってんでしょ。バカクイント」
「あ、じゃあアタシも行くわ! 準備してくるから待ってて!!」
慌しく部屋を出て行くロングヘアの少女の背を見ながら、メガーヌはここ数週間で劇的に変化した自分の人生の変遷に溜息をついた。
きっかけは先日行った召喚の儀式だった。
"漆黒の騎士"と称される強力な召喚虫を喚び出した筈が、なぜか現れたのは特大サイズの芋虫。
その瞬間これまで築き上げて来た『訓練校始まって以来の才女』という彼女の栄光は粉々に砕け散った、いや別にそんなものに
こだわる気はないのだが。
その後教官に調べてもらったところ、どうやらこの芋虫は目的だった召喚虫の成長途上の姿という事だった。
どうやら何かの術式に誤りがあったのか、それとも自分の魔力が足りなかったのか、いずれにしてもやはり自分は召喚に失敗した
らしい。
「キシャー(あの……ご主人)」
「……何よ」
「キシャー(すんませんでした……ただでさえ俺のせいでしんどい思いしてるのに、また余計な魔力を使わせちゃって……)」
「何でアンタが気に病んでるのよ」
芋虫を送還しよう、という教官の申し出をメガーヌは却下した。
これでも召喚魔導師の端くれなのだ。
自分の過ちの尻拭いぐらい自分で出来ずに、どうして召喚獣との信頼関係など構築できようか。
それ以来メガーヌは芋虫を自室に連れ帰り生活を共にし始めた。
ガリューと名づけた芋虫はどうやら魔力を主食にするという変わった生態の持ち主らしく、魔力の大半をガリューに持っていかれる
ようになったメガーヌは訓練や講義以外の時間の大半を寝て過ごすようになった。
ルームメイトは荷物一式を担いで別の部屋に退避し、初めは面白がって様子を見に来た友人達もガリューの異様を目にすると二度と
部屋のドアをノックする事はなかった。
今ではこの訓練校で自分に話しかけてくる生徒はほとんどいない。中には何故か、
――ねえ、アンタ確かメガーヌ・アルピーノだよね? アタシ召喚獣って見たこと無いんだ、一回部屋に見に行っていいかな?
――うおおっ!? なんじゃこりゃああぁ、これ生き物? ねえコレ生き物? うわわ、動いた、今動いたっ! ホントに生きてる
んだね……すっごいね!!
――ええっ、アレが成長したらこんなんになるの!? メチャクチャかっこいいじゃん! いーなー、アタシも召喚とかやって
みたいなー……ね、これからも時々、この子の様子見に来てもいい? お礼はするからさっ!!
この一件がきっかけで知り合って、あまり身動きの取れない自分の世話を焼きに来る(騒動を起こしに来る)ような変わり者も
いるけれど……
「キシャー(もういいっスから送還してください。俺が元の世界に戻ったらここまでご主人の魔力を消費させる必要も無い
訳ですし……)」
「ダメよ。完璧なはずの召喚で、成体じゃなくてアンタが喚び出されたのよ。もっとしっかり術式を見直さないと、送還させたつもりが
全く別の場所に……なんて事になりかねないわ。もう少しだけ待ってなさい。今度は安全確実に、100%間違いなく元の世界に
送り届けてあげるから……それとも、やっぱりガリューは早く故郷に戻りたい?」
「キシャー(そんな質問は卑怯ですよ、ご主人……)」
「おっしゃー、準備完了! シャワー行くよシャワー!!」
その時準備を終えたクイントが、けたたましく部屋に飛び込んできた。
「……うっさいクイント。たかがシャワーになんでそこまでテンション上げられるのよ」
「何言ってんの! シャワーは厳しい一日の疲れを洗い流す心と体のリフレッシュタイム! いわば人生のボーナスステージ、そりゃ
テンションも上がらいでかっつー話じゃん!!」
「毎日ボーナスステージがあるなんて、アンタの人生気楽でいいわねえ……あ、そういえばこのアイスはどうすんの」
「そりゃ勿論食べるに決まってるでしょ! 風呂上がりのアイスは至高の贅沢、いわばフルドライブ!!」
「つまり?」
「とりあえずここに置いといて!!」
要するに、『またシャワーの後ここに来る』という事らしい。
はあ……体をしっかり休めないといけないはずなのに、前より睡眠時間が削られてる気がするのはなぜだろう……
「分かったわよ。ガリュー、留守番お願いね」
「キシャー(ういーっす)」
部屋を出る間際、メガーヌはふとクイントに疑問に思っていた事を聞いてみた。
「そういえばこんな大量のアイス、何処で買ってきたのよ……高かったでしょ?」
「へっへー、ゲンちゃんが作ってくれたんだ! 材料費だけだと案外安くつくんだよね〜、それでいて市販品より味がいいんだから
ホントゲンちゃん様々って感じだよ♪」
「……なるほど。頑張ってるわねえあの男……しかしこんなののどこがいいのかしら」
「んー、何か言った?」
「別に……さ、行きましょ」
……小型の召喚虫ならともかく、俺達クラスになるとそもそも使役できる魔導師の数が限られてくる。
喚び出されたこっちは選り好み出来る立場じゃない、よほど扱いが悪いとかでないと限りは契約を結ぶ。そうしないと俺達の種族は
生きていけないからな。
そんな中でメガーヌ・アルピーノって主人に出会えたのは、本当に幸運な事だった。
たとえ魔術師としての腕は未熟だったとしても、召喚師としての責から逃走する事をよしとせず常に己を高めようとする姿勢は
俺に仕えるに値すると感じさせるには十分だった。
◆
訓練校を卒業後、メガさんと俺は正式に召喚契約を結び俺は彼女の刃となって彼女に立ち塞がる万難を排し続けた。
思えば、あの頃が一番守護虫らしい事を出来てたんだな……俺。
それから数年後、俺にとって二人目の主人で現在の主でもある、ルーテシア・アルピーノが生まれた。
新暦65年 メガーヌ・アルピーノの自宅
『どうぞ、メガさん』
「うん、ありがとねガリュー」
ドアを押さえるガリューに礼を言いながら、その腕に娘を抱いたメガーヌは久々の我が家に足を踏み入れた。
「ふう……やっぱり落ち着くのは我が家よね。ルーテシアもよく眠ってるし、お茶でも入れて一休みしましょうか、ガリュー」
『いや、俺は飲めないんで……』
「あら、そうだったわね。うふふ、クイントに無理やり『あーん♪』なんてさせられてた頃が懐かしいわね」
『や、やめてくださいよそれは……結構なトラウマになってんですからアレは……』
「けど時が流れるのも早いわよね……ああやって馬鹿やってたクイントがギンガちゃんとスバルちゃんを引き取って曲がりなりにも
母親をこなして……今は私もお母さんなんだもの」
ルーテシアをベビーベッドに寝かせると、その寝顔を見ながらメガーヌは感慨深そうに呟いた。
「ねえガリュー。お願いがあるの……貴方は私の召喚虫だけど、これからは私だけじゃなくて……同じようにこの子の事も護ってほしいの。ううん、私よりももっと
もっと強く、大切に」
『護ります。俺はメガさんの守護虫で、メガさんの命令を実行する為の存在ですから……メガさんがそう望むなら。でも……』
「でも?」
『……いいんですか、それで。その役目を果たすのが俺で……その役にもっと相応しい人が、メガさんにはいるはずです』
「それは言わない約束よ、ガリュー」
メガーヌは軽く咎めるような口調で言うと、ガリューに向かって苦笑いを浮かべた。
「あの人の力はミッドの地上を、もっとたくさんの人を護るための力だから。私がそれを妨げちゃいけないわ。それに、私は私自身とこの子を護るくらいの事はできる
から……もちろん貴方の助けがあれば、の話だけど」
『なら、せめて本当の事を話すだけでも……』
「それはもっとダメよ。『避妊魔法を使うから』っていう事で説得してやっと一度だけ許してもらったのに、今更『失敗してました』なんて言ったらさすがに怒られる
だけじゃすまないわ」
『"失敗"ですか……』
いや、深くは聞くまいとガリューは思った。
しかしあの堅物男と一回とはいえ説き伏せた主人の手腕も見事なら、自身の槍裁きの如くピンポイントで標的に命中させた奴も見事である。さすがストライカー級、
伊達ではない。
「それに本当の事を知れば、きっとあの人は私を自分の側で戦う事を許してくれなくなる。ガリュー、私はね……『地上に平和をもたらす』っていう大きな夢を追い
続けるあの人が好き。そして、あの人の夢を叶える為に働くのが私の喜びなの。だからこれが私にとって一番いい形……この子には怒られちゃうわね」
ふえ、と小さな声が聞こえあらあらとメガーヌが立ち上がる。
「ほんとに怒っちゃったのかしら……よしよし、ごめんねー」
『……』
その時、俺は誓った。
メガーヌ・アルピーノ、そしてその娘ルーテシアの二人を、全身全霊をかけて護ると。
だけど運命なんてもんはマジに残酷で、俺の小さな誓いなんぞはまるで紙切れ一枚みたいに簡単に吹き飛ばしちまうもんで。
九年前の"あの日"、俺はその事を嫌ってほど思い知らされる事になったんだ。
232 :
ておあー:2008/05/04(日) 23:10:42 ID:jQEBF3F8
今回は以上です。お付き合いくださった方ありがとうございます。ホントこのSSはどこもかしこも脇役だらけだぜフゥハハハー。
この話からしばらく1000%真っ赤な捏造でお送りする過去編です。クイントとメガさんの絡みを書きながらお互いの娘同士は本編で
ほとんど絡まなかったなー……と思う今日この頃。スバルーも意外と相性よさそうな気がするんですけどね。あと
アルピーノ家の女性は槍騎士に惹かれる家系だったんだよ(AA略)!!
根拠は無い。
次回は某書き手氏も大好きなあのメガネっ娘の登場です。まあ本編では最後に外しちゃった偽メガネっ娘ですが。
GJです!
キシャーさん(違)も色々大変だったようで。
さて、はやてとシグナムがどうケリを付けてくれるのか。
メガネッ娘!? ああ、ユーノきゅ…(違)
>>232 キシャー!(超GJです!)
キシャー!!(そして、そういう展開かああああ!やられた!これは考えなんだ!!!)
GJ!
キシャーの過去にこんなものがあったなんて‥‥
しかし、やっぱルーの父親はゼストで決まりなんだろうか? 公式的には明かされてなかった筈だから妄想の膨らむ余地ありますね〜。
キシャー(GJです)!
キシャー(芋虫にも全く動じない女傑達に敬礼)!
キシャー(しかしガリューの姿は赤子にとってはトラウマもんだと思うんだが)
キシャー(はてさてこじれにこじれた八神家との確執は果たしてどうなる)?
キシャー(続きを期待して待ってます)!!
キシャー(でも個人的には善意押し売りのはやての言動にむかついた)
>>236 クキュルー(それは本人も作品内で反省していることだし。ね?)
人語で喋りなさいwww
此処に居るのは意識のみ、人間など居ないと考えれば問題ない
なのー!(そういうことでいいと思うの)
くぅん(うん……)
なのはの言う通りだよっ!(キュウキュウ)
なのはなのはなのは!(↑、何か逆じゃないかな?)
Load cartridge. (少し…頭冷やそうか)
>>213 はやて「えーそれでは、つボイノリオの……」
一同「「女の子がそんなの歌っちゃ駄目ー!」」
日本語でおkスレはここですか?
なんだろうこの不思議な流れは
まとめwikiにタグいらないと思ってるのは俺だけ?
見にくいし重くてたまらん
>>248 検索手段がなくなったら困るじゃないか。
>>248 作者のタグは、スレ内作品一覧や作者一覧があるから削ってもいいかも。
スレタグも検索用途としてはあまり意味は無い気もしてきた。
必要なのは、カップリングや主な登場人物、エロ区分だけかな?
あと携帯モバイル向けは、wiki管理者向けアンケートでも一番得票数が多いので、そのうち実装されるかも。
なので、livedoorの対応を待つか要望を出しましょう。
〜〜の作品が××スレにあった
とか 覚えてる人とかいたらすごくね?
普段はスレ番のタグで作品にたどり着く
って人とかいるのかな
>>251 さすがにそれはいないだろw
登場キャラとエロ区分タグは確かにいるかな、他の作者とかスレ番とかはイラネ
ただ、現在2395ページもあるので、タグを削るには新たな司書さんを募集しなければ無理です。
後先考えずにあんなタグルール付けてすみません。
偶にスレ番を見て過去スレの投下時の流れを見返して楽しむ俺は少数派のようだな
・・つまりユーノ降臨前の無限図書なのか、いかにもなのは的で良いじゃん。
タグもあればあるで便利だし、もともとは丁寧な仕事ともいえるわけだからねえ……ただ重いだけで。
ページを開こうとするとCPUが100%になって1,2分ブラウザが応答しなくなるのだけは勘弁して欲しいw
タグは羅列するものじゃないと思うけど
タグの種類毎にページ分ければ良いんじゃない
と言ってみる
タグを別のページに移してトップページは説明と検索と最近更新したページぐらいにしておけばいいんじゃないか
オススメタグがあればな、と最初保管庫見たとき思ったけど
言ってみただけ
>>260 おススメタグって言うと、
キシャー、納豆、ソープ、触手、中年、パンニー
とか?
>>170 GJ!!
個人的にはサイヒ氏に負けず、劣らずの出来だったと思いますよ
そしてどの世界のエリオも素敵です。大好きです。
セッテの世界のエリオは五体満足にもかかわらず一番先に逝きそうに思えてしまう
>>179 GJ!!
そしてどこかの世界ではnice boatなエンディングに辿りついてもおかしくないですな
まあ次あたりはスバルorティアナあたりとくっついているような気がびんびんするぜ
とりえあずトップタグの整理すべきところは
・キャラのカップリング(○×○)
「なのは」「ユーノ」などの単一キャラ名を選んだらカプリング一覧が出るようにする
・作者名
作者一覧ページであいうえお順に並べる
・ジャンル
「オリキャラ」「触手」「納豆」などのジャンル一覧ページにまとめる
・○スレ
過去スレの一覧ページにまとめる
・数字(○スレ○○)
もう誰もわかんないかと
あとはタグの絞り込みの表示も激重ですね…
いらんとこ省けばすっきりしそう
カップリングタグもなのは×ユーノとユーノ×なのはで分裂してたりするし
ヴェロッサとロッサという表記ゆれによる分裂もあるな。
あと、SS作者の注意書きでそのまま分けてるためか、A×B分類だけど
内容はB×Aになってるようなのもあるな。
そこまで細かく言うと司書さんの作業がかなり大掛かりになるんでは?
司書様はあくまで好意でやってくれてるんだし
司書さんが過労死しちまうぜ…?
クロ(フク)が資料請求に来ました
ドウスル コマンド?
依頼を受ける
居留守を使う
>>268 服を脱いで部屋で待つ(仮眠用の簡易ベッド上で)
しかしGWなのに思ったより投下すくないな
>>263 頼む。そこまで思い付いてるんだったらID取って保管作業に参加してくれ
とりあえずFrontPageからタグは外しました。
作者タグを削除すると半分くらいになりそうですが、キャラタグとカップリングタグを考えると焼け石に水な気がします。
何か良い案がないか、まとめサイトスレで相談してきます。
>>272氏 恐らく、保管庫司書長殿のつもりでレス
GJです
「著者名」のタグを消すと「著作一覧」のタグも機能しなくなるんじゃないでしょうか?
「著作一覧」が有効に使われているとも思えませんが・・・
あぁ、勘違い。「著者名」のタグと「著作一覧」のタグは関係無かったです
>>263 >>272 タグによるand検索が一発でできれば便利なんでしょうけどね。
例えば、 なのは ユーノ エロ と入れて検索することができれば。
カップリングタグも必要なくなるし、
>>264-265の問題も解決しそうですが。
はい、保管庫管理人です。
あー鳥無くしたかもorz
>>275 タグ専用検索プラグインがあれば解決しそうですが、残念ながらLivedoorWikiにそうゆうプラグインはありません。
タグ代わりのページを作るのは手間を考えると非現実的です。
今日はもう遅いので明日以降考えますが、正直解決できないと思います。
管理人殿乙であります。
うむ……実 に 使 い 辛 い !
タグって便利なシステムだったんですねえ……。
もうこの際カップリング(なければ主人公)と作者だけで他を削除しちゃうのも手かもしれませんよ。
少なくとも激重&使い辛すぎよりはマシかなぁと。
司書さん毎度毎度乙です。
まあ、機能については希望もあるでしょうが、実際の所「言うは易し、行うは難し」でしょ?
綺麗事を言うつもりは無いけど上を見たらキリが無いですし、自分的には現状でも十分なきもします。
管理人様方はボランティアな分けだし、現状でも十分ご苦労様な感じですから今以上を望むなら自ら
>>271の言うように他人任せでなく自ら協力して問題解決するしかないんじゃね?
私は職人一覧のページでブックマークしてますね
んで、そこから左にある読みたいキャラの名前を選択して一覧に飛んで〜
てな感じでやってますです
そういう読み手側の工夫も大事だよな
保管庫管理人様は特にメリットもないのに善意だけでやってるんだぞ。
日ごろの感謝を述べるならともかくワガママを言うとは何事か。
>>276 いつもお疲れ様です。
現状維持のままでも大丈夫だと思いますよ。
ただ、あの重さだけはどうにかなるならどうにかした方がいいと思う。
理想郷みたいな重さにどうにか軽減できんもんだろうか。
重さってLivedoorの仕様なんじゃないの?
8割Livedoorの仕様だな。
しかしだんだん保管庫の人がユーノに見えてきた。
・・・お、おぉ!
携帯だから今まで最後まで表示出来なかったのが・・・
読める!読めるぞ!
ご苦労様です、保管庫管理人様!!
>>285 俺たちは妹の尻ばっか掘っている提督みたいに司書さんを忙殺させないようにしないとな。
>>287 スレ補正だとは分かっているがまじクロ助さん漢だよなwwwww義妹をwwwww
とある図書館ばりに万年人で不足と予想。
正式に申請すれば現管理人様方が対応してくれるのでは?
そのあたりいかがですかね?管理人様方。
方針の食い違いでけんかになってすべて破綻する原因になるからやめとけ
292 :
名無しさん@ピンキー:2008/05/06(火) 11:05:14 ID:9hXuk/b3
>>290 図書館と言われると、無限書庫で銃撃戦しなきゃと思う
謎のロストロギア→入手したが使い方が不明→無限書庫を占拠を計画→攻防戦
って確か本局にあるはずだから無理やんorz
293 :
ツンデレ王子:2008/05/06(火) 11:36:44 ID:fmHd5Ahb
「フェ、フェイトォォォォォ」
「クロノ、目が怖いよ」
「いやしかし、そんな格好されたら誰だって…ハァハァ」
「…似合う?」
「ああ、凄く似合ってるよ!
綺麗だよ!
色っぽいよ!
食べちゃいたいよ」
「もぉ、お兄ちゃんってば…
いいよ?味見しても」
「じゃぁ、お言葉に甘えて!
いっただっきまーす」
「ぁあああああああああああ!」
「ユーノ、今度はコレ頼む」
「……またかよ」
「あっそれと、コレとアレも一緒に探しておいてくれ」
「クロノ、聞いてもいいか?」
「なんだ?」
「アレやコレや…一体管理局に何の関係があるんだ?」
「え、えっとだな、それは…」
「違うよ、ユーノ。
それは管理局とは関係無いんだよ」
「あ、アルフ!言っちゃダメ!」
「関係無い?」
「ああ、ソレ等はクロノとフェイトが楽しむ為に使うんだ」
「……(フェイト赤面)」
「……( クロノ 〃 )」
「……(ユーノ呆れ顔)」
「へぇぇぇ」
「ほぉぉぉ」
「エエエエエエエエエイミィ!!!」
「なのは!!!」
「「いつからそこに!!!」」
―ニコッ
「「いっぱい頭冷やそうか」」
294 :
ツンデレ王子:2008/05/06(火) 11:38:00 ID:fmHd5Ahb
この流れ見て、即席で書いてみたw
>>287 こんな感じかな?
295 :
ておあー:2008/05/06(火) 15:54:57 ID:CIChSnwM
>>294 おそらくこのスレにおけるなのはキャラのイメージは大概そんな感じです
GW最終日ということでスレもまったり気味ですね。
そんな和やかなひと時を完璧にぶち壊しそうなキシャーの続きが出来たのですが
投下してもかまいませんか? なんだか連投に近い感じですが……
えぇんとちゃいます?
297 :
ておあー:2008/05/06(火) 16:06:23 ID:CIChSnwM
>>296 じゃあええっちゅう事で。
前回レス下さった方、ありがとうございました。
リリカルやがみけの第7話、過去編その2です。
最初に言っておきますが今回は重い話です。
ここまで築いてきたキシャーを全てぶち壊すような話です。
黄金週間のラストを爽やかに締めくくりたい方にはお勧めできませんので、そこは注意してご覧ください。
今作の注意(さり気なく増減注意)
・非エロ
・時期的には三期が終わった後
・八神家とガリューメイン
・蟲的なものが苦手な方は注意? でもしなくていいような気もする
・捏造設定あり
・本編で謎な部分に対する妄想補完あり
・パロ、中の人など各種ネタをフル装備
・それに伴ってほぼ全員凄まじくキャラ崩壊
・目指すは笑いあり涙あり友情あり萌え?あり燃えありなごった煮話
・つまり総合するとデフォルトで超展開
そして今回直接的ではないですが人死にもしくはそれに近い描写が出てきます。血も出てます。
ダメな人は『魔法集団リリカルやがみけInsecterSその7』と打てばあぼーんされます。
いつものように召喚魔方陣が現れ、いつものようにその輪の中に飛び込んだ。
もう何度目だろう。
回数なんて元から気にしちゃいない。けどまあ、きっと最初から数えていたとしてもたぶんとっくに飽きてやめちまってるだろうと
思えるぐらいには間違いなく繰り返している、いつも通りの過程(プロセス)。
なのに、いつもと同じ道を通って到着したはずの終着駅には、いつもと全く違う光景が広がっていて。
喚び出された時にはもう、全てが手遅れだった。
灰色の床に真紅のコントラスト。血海の中心、命を懸けて護ると誓った人がそこにいた。
新暦66年 クラナガン某所のある「施設」
『メガさん!? こりゃ……なんつー傷……!!』
血溜まりの中、一人の召喚魔導師が倒れている。
メガーヌ・アルピーノ。ガリューと召喚契約を交わす彼の主人であり、掛け替えのないパートナー。そのパートナーが今、全身に
無数の傷を負った状態で床に倒れていた。
『大丈夫ですか! メガさん、メガさん……っ!!』
伏した彼女に近づきより間近で見れば、如何に異種族の彼であろうと目の前の"生物"の状態が非常に危険である事に気づく。
手、足、胴、胸……無事な箇所は何処にもない。
均整の取れた美しい肉体に刻まれた幾多の裂傷からは、未だ止む事の無い出血。
そこから流れ出る紅い血液は、正しく秒単位で目減りしていく彼女の生命そのものを表していた。
『クソッ! なんでっ……なんでこんな事に……!!』
紅い海からメガーヌを引き上げたガリューだが、彼にはそれ以上の事は何も出来ない。
彼の専門はあくまで目の前の敵を討ち倒す事で、彼女が"こんな風"になる事を未然に防ぐのが彼の役目だ。治療も出来なければ
出血を止める手段すら持ち得ない。せめて傷口を押さえようとしても全ての傷をカバーするのに両の手だけでは到底足りる訳も無く、
やはり今のガリューに彼女を救う術は何一つ無かった。
『待っててください! 今すぐに姐さんを呼んできます!!』
「……クイント」
『そうです! 姐さんは今何処にいるんすか! 近くにいる筈ですよね!?』
だが、メガーヌはガリューの問いには答えず、唇を薄く曲げて笑うだけだった。
「本当にバカよね、あの子ったら……こんな重症の自分を庇わなきゃ……一人だけなら、きっと逃げられた筈なのに……」
『……メガさん?』
「ねえ……見てよこの傷。どう……考えても……助かりっこ、ないじゃない……」
『……何、言ってんすか……メガさん。クイント姐さんは、どこにいるんですか?』
「……そりゃ……私だって、死にたくはないけどね……でも、自分の、から、だ……なんだから……手遅れかどうかは……自分が
一番よくわかるわ……」
『冗談は止めてくださいよメガさん……あのクイント姐さんですよ? 殺しても絶対死なないような、"鉄の双掌""鉄拳無双"の
クイント・ナカジマ分隊長ですよ? そんな人をなんで……なんで、そんな言い方するんすか?』
「……向こうに、行ったら……きっと怒るわね……あの子……」
『やめてくださいよ! わかりました、つまり何処にいるかわかんないんですね!? じゃあ姐さんじゃなくてもいいです! ゼスト
隊長は!? デミオの奴は!? この際あのお調子者のハマーや"腹ペコ"ハリアーでも構いません! とにかく誰でもいい、すぐに
治癒魔法か移動系の出来る奴を探して来ますから!!』
「行かないで!!」
鋭い声に呼び止められ、駆け出しかけたガリューの足が止まる。
召喚虫の自分にとって主人の命令は絶対だ。それが主人の為にならないとわかっていても、命じられれば逆らう事は許されない。
『だけど……だけど……!!』
「いいの……私は、もうすぐ……死ぬから」
あっさりと、けれどはっきりと。
まるで『明日は街へ買い物に行くから』とでも言うように、彼女は淀み無く自らに迫る運命を甘受する一言を発した。
そう、きっと数分後。長くても数十分後には彼女の命の炎は完全に燃え尽きてしまうだろう。
ガリューにはそれがわかる。
わかっているからこそ必死にそれを否定しメガーヌに認めさせようとしなかったのだ。
『メガ……さんっ……!』
「そんな顔、しないで……こうなったのは……貴方の、責任じゃ、ない……あなたは、とてもよく私を……そしてあの人や、クイント、
みんな……ルーテシア。誰の事も、本当によく護ってくれたわ……ありがとう……」
『当然です!! 俺が貴方の守護虫で、貴方の刃で、貴方の盾である限り!! お礼なんて言わないでください……最期みたいな事……
言わないでください……!!』
きっと自分が人間なら涙を流していただろう、とガリューは脳の何処かに残っていた冷めた部分で思った。
否、既に彼は泣いていた。
常の人間には聞こえぬ声で、伝わらぬ声で確かに哭いていた。
それがわかっていたから、召喚士はまるで自らの幼い娘に話しかけるように優しく彼に語りかけた。
「泣かないで……ガリュー……貴方は、私の誇り……貴方が居たから、私は戦えた……いつも騒がしくて、トラブルメーカーで……
でも馬鹿みたいに優しくて、頼りになる親友に……世界の誰より愛しいあの人に……そして、娘に……ルーテシアに出会えた……
みんな、貴方が引き合わせてくれたのよ」
『そんな事ありません! 貴方だったから俺は戦えた、自分の力以上のものを出せた!! 全部貴方が俺の主人だったからです!!』
「あはは……そんな事、言われたら……照れるじゃない」
メガーヌは力の入らぬ腕を懸命に動かし、半身を起こしてガリューに正対する。
『メガさん、動いたら傷が……!』
「今さら……安静も何もないわよ……馬鹿ね……」
メガーヌは目を閉じると、唇を動かし言の葉を紡ぐ。
同時にガリューの居る場所を中心に濃紫の魔方陣が現れ、ガリューの体を紫電が飲み込んでいく。
『魔法……!? 無茶ですっ、すぐに止めて下さい!!』
「黙って……動かないで。その場でジッとして、何があってもその場を離れないで」
その言葉には"契約"や"主従"といった言葉さえ超越した次元の、覚悟を決めた者だけが持ち得る揺ぎ無き力強さがあった。
ガリューは縛られたように動きを止め、自分の足先が紫の渦に包まれてゆくのをただありのまま見つめる事しか出来ない。
「……ねえ……ガリュー……私の……最期のお願い、聞いてくれる?」
『聞きますっ……メガさんの願いなら……たとえこれが最期だろうとそうでなかろうと……!』
「ありが、とう……今私が行っているのは……私の最期の魔法……召喚契約の、継承。この儀式が完成したら……貴方の主は、私から
あの子に……ルーテシアに引き継がれる」
『!!』
「親バカかしら、ね……でも、私にはわかるの……自慢とかじゃ、なくて……私と……あの人の娘だもの……きっと、魔法の……
召喚の才能があるって……信じてる」
『……思います! 俺も……そう思います!!』
「……ずっと……一人にさせちゃったから……母親、らしい、こと……何も、してあげられて、ないから……あの子に遺せるもの……
私には、他にないから……あの子が……寂しい想いをしないように……ずっと、ずっと側にいてあげて……それが私から貴方への……
最期のお願い……約束してくれる? ガリュー……」
『約束……します!!』
一片の淀みなく、ガリューは宣言した。
命を懸けて娘に何かを遺そうとする母親に報いるには、全身全霊を込めてそう返答すべきだと思った。
この場で自分がやるべき事は「生きてくれ」と不可能な懇願をする事ではないと、野生の直感が告げていた。
それが正解なのかは分からない。
しかし少なくとも目の前の女性にとっては満足いく答えであった事を示すかのように、魔方陣の輝きが一際強く増し術式が進行の速度を早めていく。
「……ありがとう……これで……少しだけ……安心……でも……やっぱり、残念、かな……貴方に……伝えて……ほしいこと……
まだ、いっぱい……ある、の……に……なあ……」
『なん、だ……!?』
メガーヌのその言葉を意味を理解するより前、同時にガリューも何か、それも十や二十ではない大量の『少なくとも人ではない足音』
がこちらに迫ってきているのを感知する。
(くそっ、なんてこった……感情に感覚を支配されてて、この距離まで接近を感知出来なかった……!)
凡そ数十の敵、それも四方からこちらを取り囲むように進行してくる未知の敵に対し、こちらは召喚虫一匹と命の灯が消えかけた
魔導師一人。彼我の戦力差を分析するまでもなく、抵抗は愚か逃走すら不可能だという事は瞬時に理解できる。
ガリューが床を殴りつけたい衝動に襲われた時、通路の角から足音の主達が姿を現した。
『何だ、ありゃ……機械……なのか?』
それは生物――昆虫に近い多脚生物を思わせる姿だった。
腕に当たる部分には鋭い鎌を携え、一糸乱れぬ連携でじわじわとガリュー達の包囲網を狭めてゆく。
("覚悟"は決めた……だが、このままじゃ継承の術式を完成させる前にやられちまう……けど術式を中断して重症のメガさんを抱えて
俺一人で囲みを突破できるか……分がワリい……あまりにも危険だっ……第一、メガさんの命は、もう……!!)
その時、思索を続けるガリューの眼が一匹の機械兵器に釘付けになった。
『あれは……』
心臓が高鳴り、周囲からその一点を除いて色彩が失われる。
白の機体を赤黒く染めている血……そしてその鎌に引っ掛かっていた、同じく血で汚れた薄い水色のリボン。
『……姐さん』
あのリボンの主を、ガリューは知っている。
雲一つ無い青空を連想させるそのリボンが良く似合う、明るくて姐御肌の彼女を。
――うおおっ!? なんじゃこりゃああぁ、これ生き物? ねえコレ生き物?
――オーッス、相変わらずブッサイクだねガリュー! アンタいつになったら成長すんのさ。
――ほら、あーんしなってばー。
――ほえー……あの芋虫が随分といかつくなっちゃってまあ……でもカッコイイね。いい感じだ!!
――サンキュ、助かったよガリュー! このまま二人で一気に突破しちゃおっ!!
――ねえ、ガリュー。メガーヌとルーテシアちゃんの事、絶対護ってあげて。約束だからね……
『キ……サ、マ……らああああああああああああああああぁぁぁぁぁぁっっ!!』
感情のスイッチが爆発し、紅蓮の怒りが漆黒の肉体を染め上げる。
激情と共に両の腕より無数の刃が飛び出し、突き破られた皮膚から鮮血が滴り落ちた。
「ガリュー、止まりなさい!!」
『無リだ!! 命令は拒否シます!! 俺はコイツらを許セねゑっ!!』
己の感情と召喚獣としての忠義が激しくぶつかりあい、ガリューの中から理性を奪う。
目の前の敵。
大切な仲間の仇。
生物だろうが機械だろうが構わない。同じ事だ。
生物なら細胞の一粒まで引き千切り磨り潰す。機械ならネジ一本、歯車一つまで粉々に砕き叩き潰す。
怒りのままに迸る一匹の黒い災禍は最初の一歩を踏み出そうとする。
次の瞬間あの機械兵器は一撃で機能を破壊され単なる金属と電子部品の寄せ集めとなるだろう。今のガリューの一歩は数メートルの
距離を零距離に縮め、腕の一振りは相対したものを根こそぎ吹き飛ばす竜巻。だが――
「動くな!! 止まれっ!!」
しかしその一歩を踏み出す前に、メガーヌがかつて見せた事の無い裂帛の気合で宙を舞おうとする黒弾を地に叩き伏せる。
使役の力を最大限以上に行使し、それでも足りぬ分は文字通り自身の生命を糧にした不可視の鎖がガリューの動きを奪ったのだった。
『何故ですか!? アイツらは、アイツらはクイント姐さんをっ!!』
解き放たれた怒りを再び押し留められ、理性の一部を取り戻したガリューが残る野性で主人に吼える。
対してやり場を失った怒りをその身で受ける事になったメガーヌは、自身のほぼ全てを喪失してなお揺ぎ無い覚悟を持って応えた。
「……術式が、失敗してしまうわ……其処から、動かないで……」
『……っ!!』
メガーヌは泣いていた。
きつく噛み締めた唇からは一筋の紅線が流れ、見開かれた双眸からは、文字通り『血の涙』が溢れていた。
『う、お、お、おおおおおおおおおおおああーっ!!』
ガリューの声無き声が叫びとなってプラントを揺らし、叩き付けた両の拳は亀裂の波紋となって床を砕いた。
――捨てたのだ、自分の主人は。
もはや数刻も保てぬ残滓のような命で何を成すか考えた時、その命を娘の為に使う事を選択し他の道を捨てたのだ。
堅い信頼で結ばれた親友の仇を討つ事を放棄し、築き上げてきた自分との小奇麗な主従関係を放棄し、燃え滾る己の一部を放棄し
選択したのだ。
捜査官でも召喚士でも自分自身でもない、ただルーテシア・アルピーノの母である事だけを残して他の全てを切り捨てたのだ。
血に塗れたバリアジャケットを纏い、なお全身から鮮血を噴き出し、阿修羅の如き形相を浮かべ、子の為に一匹の赤鬼となったのだ。
そこまでの生き様を見せられて、どうしてちっぽけな自分の怒りなど貫ける。
『ぬああああっ!!』
ガリューは武装を収めると、建材が剥き出しになった床に腰を下ろした。
自分が甘かった。
ここから先、自分はもう一歩も動かない。
ただ見届ける。焼き付ける。
何時かその時がくれば伝えられるように。
これから自分が仕える事になるであろう新たな主人に、先代の主人が、彼女の母が如何に生きたかを。
こちらの戦意が失われたのを見て取ったのか、数体の機械兵器がこちらに突進してくる。
しかし魔方陣と同じ色の障壁に阻まれその体は弾き飛ばされた。
『Panzerhindernis』
メガーヌの手に填められたデバイスが、無感情に障壁の名を告げる。
(……へ、そうだよな。お前さんだって、メガさんとずっと一緒に戦ってきたんだものな)
その障壁に別の機械兵器達が取り付き、光の波動を放出する。
直後、堅牢な筈の障壁に、僅かながら亀裂が生じてゆく。
(ジャマー系か……!)
自身も魔力運用を行うガリューは、すぐに波動の正体に思い至った。
魔力結合を阻害する上位のフィールド系防御。ただし魔力が結合できなければどれだけ優れた魔導師であろうと一般人と変わらない、
ゆえにこの手のジャマーフィールドは質量兵器や単純な武器と組み合わせれば強力な攻撃手段にも成り得る。
(しかもこれだけ大量……一気に発動すれば一定空間内の魔法使用を完全にキャンセルできる。メガさんが俺を喚び出さなかった理由は
これか……『喚び出さなかった』ではなく、『喚び出せなかった』……)
ガリューの思考と時を同じくして、障壁の亀裂は目に見えて大きく広がっていく。
罅割れだらけになった障壁は、通常ならあと数秒で完全に崩壊するだろう。
(だが、それでもお前なら防げるよなあ……!)
その予想通り、亀裂はいよいよ網目の様に障壁全体を包んでいくが、防壁はけして崩壊しない。
壊れる筈が無いのだ。
彼女の為に張られた防壁は。彼女のデバイスが張った防壁は。
少なくとも、この機械兵器が親子の絆よりも堅固な物を持ち合わせていない限り砕けはしない……!
やがて拮抗状態が数分経った時、急激に魔方陣の輝きが増した。
「術式……完了。後は、自動的に、貴方を……ルー、テシアの、ところまで……送り届けて、くれ、る……」
声も切れ切れになりながらメガーヌが全てが終わった事を告げる。
朱に染まったバリアジャケットはところどころが分解され装着前に着ていた服が見え隠れしている。
もう……バリアジャケットを維持するだけの魔力も彼女には残っていないのだ。
ただその表情は何処までも穏やかで、先ほどまでの幽鬼のような彼女は何処にもいなかった。
『御苦労……様でした……』
ガリューも立ち上がり、メガーヌに一礼する。
「お別れ、ね……」
メガーヌは装着していたアスクレピオスを外すと、ガリューに託す。
「良かったら……これもお願い……」
『わかりました。きっと、必ず……』
メガーヌは笑顔を浮かべると、ツギハギだらけのバリアジャケットを解除する。
紅一色に染まっていた体も、元の衣服に戻れば綺麗なものである。
既に出血はほとんど止まっていた。
傷口が塞がった訳ではない。
流れ出るものがもう、ないのだ。
「よいしょ……っと」
その場を動けないガリューに近寄ると、メガーヌは首にかけていたマフラーを外し、背伸びをするようにしてガリューの首に巻いた。
『メガさん……これ』
「私からのプレゼントよ。今日まで良く働いてくれたから、そのご褒美」
『……大切にします、必ず』
「こんなものしかあげられなくて、ごめんね」
足取りは軽く、口調はつい数分前よりむしろしっかりしている。
瀕死の筈の彼女に、なぜこんな現象が起こるのだろうか。
血色が無くなり白磁のような肌に浮かべる微笑みは何処までも優しく、今の彼女はまるで幻想の世界の住人の様に美しかった。
「ルーテシアに、よろしくね」
『あ……』
一瞬その手を取り、魔方陣の中に引っ張りこもうかと思った。
そうすればルーテシアの元へ行ける。
彼女にお別れを言える。
「ダメよ」
だが、伸ばしかけたその手が彼女の指に触れる寸前、メガーヌはす、と退がり彼の手を拒絶した。
「……私はこれから、クイントと"旦那"の敵討ちをしなきゃいけないんだから」
その言葉と同時に二人と敵を別っていた障壁が崩壊し、ガリューの体もまた完全に光に包まれた。
◆
『ちっくしょう……ちくしょう、ちくしょう、ちくしょう、ちくしょう……』
……メガーヌは、自分の主人は何一つ捨てていなかった。
召喚士としての自分も、捜査官としての自分も、メガーヌ・アルピーノとしての自分も。
全てを捨てず、最期まで自分の生を貫き通した。
『ちきしょおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおーっ!!』
己の責を全う出来なかった召喚虫はただひたすらに叫ぶ。
世界と世界を結ぶ間隙に、声ならぬ慟哭を聞く者は誰も居なかった。
◆
メガさんの術式は成功だった。
俺はルーの元に転送され、彼女は契約に従って俺の新しい主人になった。
けど、世の中ってなあそう上手くはいかねえんだよな。
やっぱ口も満足に聞けねえ子供が誰かを使役しようって方が無理な話だし……
同66年 ミッドチルダ南部のとある保護施設
――どうだった? 例の"あの子"。
――別に。いつもと同じ"眠り姫"よ。
――ふうん……じゃあ"アレ"は?
――それも別に。相変わらずの化け物よ。ねえ、その話今度から私の前でしないでよね……思い出すだけで鳥肌が立つんだから……
(……へーへー、相変わらずの化け物でわるうございましたねっ)
ドアの外から漏れ聞こえる会話に、ガリューは心の中で悪態をついた。
あの日、管理局の託児施設で預けられていたルーテシアの元に転移してきたガリューを待ち受けていたのは職員の悲鳴と緊急事態を
告げるアラームだった。
確かに突然転移してきたのはマズかったかもしれないが、一応何度かルーテシアを引き取りに来た経験がある身である。まさか
いきなりデバイスを構えられるとは思わなかった。
しかし言葉の通じぬ身ながら弁明をしようとした瞬間、彼はすぐに自分の身に起こっている異変に気づいた。
低い視界。短い手足。動かぬ身体。
そう、ガリューは芋虫の姿に戻ってしまっていたのである。
当然の帰結だった。
ルーテシアはまだ言葉も満足に話せぬ赤子である。魔力のやり取りが出来る筈も無い。
タンクにどれだけ豊富に水があっても、蛇口を捻らなければその水を取り出す事は出来ない。
魔力供給に異常アリと判断したガリューの肉体は強制的な休眠を選択。死の間際にあったメガーヌがこの事態を予測出来ていたかは
わからないが、ともかくルーテシアを護るために来たはずのガリューは事実上彼女を護る事など不可能な状態だった。
やがてゼスト隊全滅の報が伝えられると共に他隊にいるメガーヌの知人からガリューが彼女の召喚虫である事が証明され、父親不明と
いう事でガリューとルーテシアはメガーヌの親戚に引き取られる事が決まった。
だが、ここでガリューの存在はルーテシアの立場に大きな影響を与える事になる。
まず、最初に引き取りを申し出たメガーヌの両親はガリューを見た瞬間引き取りを取り止めた。
続いて別の親戚が立候補したが、これもガリューの存在を知るなり上げた手を下ろす。
その後はひたすらたらい回しだった。
幼子一人ぐらいなら何とでもなる。
母親メガーヌの遺族補償もある、養育費には困らない。
ただあの化け物だけは何とかならないだろうか。
使い魔や使役獣といった存在は魔導師の間ではそれなりに認知されているが、やはり一般人にとっては馴染みが薄い。
街で使い魔を見かければ道行く人の視線を集める事になるし、より姿形が人間から遠ざかる使役獣はなおさら好奇の対象に晒される。
そんな中でもガリューはあまりにも見る者に与える心証が悪すぎた。
どう見ても怪物そのもののガリューの存在は他に局員のいなかったアルピーノ一族にとって、到底許容出来るレベルではなかったのだ。
勿論、ガリューを引き離しルーテシアだけを引き取ろうと考える人間もいた。
一度その計画は実行され、局員の手によってガリューは元の世界に送還されかかった事もあった。しかしいざ送還を始めると、今度は
当のルーテシアの方が嫌がり魔力を暴走させて大事故を引き起こしかけた。
こうして、何かしらの目に見えぬ絆が二人を引き離すのを拒否するかのように、離れざる関係になった一人と一匹は紆余曲折を経て
局と関係のある児童保護施設に預けられる事になったのだった。
ルーテシアとガリューは"専用の個室"という名の部屋で他の子供とは隔離され、一日のほぼ全てをその部屋で過ごす事になった。
幸い時間が経つに従ってルーテシアの肉体も魔力供給のシステムに慣れ、ガリューが餓死する心配は無かった。魔力量に関しては彼女は
先天的にかなり多い部類だった。母親が召喚魔導師であり、父親もSランクオーバーなのだ。これで魔法の才に恵まれていない
方がおかしいくらいである。何を与えなくても生き続けるガリューに職員は恐れを増したがガリュー自身は疎まれる状況を今さら
気にはしなかった。
むしろ深く心を痛めていたのは、『自分の存在がルーテシアの枷になっている』という点だった。
「キシャー(よっ……と)」
ドアの外に注意を払うのを止めると、ガリューはルーテシアの眠るベッドまで這い進みその寝顔を眺める。
一応魔力量が多いといっても、やはりガリューの食事はかなりの負担になるのか、ルーテシアは一日のサイクルの中で眠りに費やす
時間が非常に多い。彼女の寝顔を見るのが、いつの間にかガリューの趣味になっていた。
「キシャー(なあ、ルーちゃんよ……俺の何が気にいってるのか知らねえが、とっとと見切りをつけちまった方がいいぜ。今の俺は
お前のお母さんが思ってたようなボディガード役なんて到底無理なんだからさ。むしろ強面過ぎて一緒に居たら友達出来ないぞ)」
まだ会話を交わしたことの無い小さな主人に、ガリューは彼にしか聞こえない声で話しかける。
いつか、彼女ともメガーヌの時同様に会話が出来る日が来るのだろうか。
(メガさん……)
――ガリュー、良かったらルーテシアを抱いてみる?
――ええっ、無理無理、俺なんて近づいただけで泣かれちゃいますよ。
――そんなに怖がらなくても大丈夫よ……一回だけ。一回でいいから抱いておきなさい。いつかこの子が貴方に反抗的な態度を取った
時に強力な武器になるから。『俺は君のオシメを取り替えてあげた事もあるんだぞ』って。
――そりゃ後でオシメの取り替え手伝えって事っスか。はいはい、わかりましたよ……あ。
――どう? ……暖かいでしょう。それが貴方に護ってほしいもの。優しくて心までぽかぽかになる温もり……私が護りたくなる
気持ち、わかった?
(俺が元の姿に戻った時は、もうルーも抱っこなんて年じゃなくなってるかもな……あの時は照れてうまく答えられなかったけど……
凄くあったかかったです……メガさん……)
今は亡き先代の主人を想い、ガリューは目を伏せる。
あの日、ゼスト隊を救出すべく『施設』に突入した局員達が見たのは無残な最期を遂げた隊員達だった。
遺体の中にはあのクイント・ナカジマの姿もあったと聞く。
女だてらにゼスト隊の切り込み隊長的役割を務め、ガリューと種を超えた絆で結ばれていた頼もしき盟友は、結局あの場所であっけなく
その生涯を終えていたのだった。遺されたゲンヤ・ナカジマは二人の"娘"を抱え今頃何を想っているだろうか。何度か出会った事が
ある、やや及び腰で内心自分の姿にビビっているのが丸分かりだったが、基本的には気のいい男だった。落ち込むな、というのが
無理な話だが、出来ればあまり落ち込んでいてほしくない。
その一方、隊長であるゼスト・グランガイツ、そしてガリューの主人であるメガーヌの遺体は見つからなかった。
ゼストの事はよくわからない。自分は姿を見ていないし、メガーヌから話も聞いていない。
メガーヌは……こちらもよくわからない。
ただあの状況下、放っておいても死が確定している彼女がデバイスもバリアジャケットも無しにあの機械群の中から生還できたとは
到底考えられない。自分がルーテシアの元へ転移した直後、ゼストが救助に来てその後二人で逃走したという可能性もゼロではない。
だがその希望的観測は縋るにはあまりにも小さな可能性だった。第一、生きているのならば名乗り出ない理由が思いつかない。
おそらくはゼストもメガーヌも、遺体が見つからないほど酷く……
(……クソッ)
頭を振ってガリューは嫌な想像を振り払った。
たとえ生存が絶望的でも、せめて最期は安らかに迎えていて欲しい。
別れる間際に見た穏やかな微笑がガリューの脳裏に再来する。
あれだけ優しい表情をしていた彼女が苦悶の中で死んでいったなどと思いたくは無かった。
……その時、ドゴオォ……ンという轟音と共に、建物が大きく揺れた。
「ふえ……」
「キシャー(な、なんだなんだ!?)」
ガリューは床に顔を押し付け聴覚を最大限に研ぎ澄ませる。
音は階下から聞こえているようだった。
小さな爆発音に紛れて甲高い声――人間の悲鳴が聞こえる。
「キシャー(……チッ。なんだかわかんねえが、マズいぞこりゃ)」
階下の様子は分からないが、どうやら自分やルーテシアにとって好ましくない事態が起こっている事は明白である。
しかし、それが分かっても今のガリューにはどうする事も出来なかった。
(ルーを先に逃がして……いや、ルー一人逃がしても後が続かねえんじゃ意味がねえ……ここはベッドの下にでも隠れてやり過ごす
しか……)
無力さに打ちひしがれながら、なんとか事態の打開策を考えようとするガリュー。
そんな彼を嘲笑うかのように木製のドアが打ち破られ"何か"が部屋に侵入してきた。
「キシャー(コイツ……!)」
それは空中をふわふわと浮遊する、カプセル状の機械兵器だった。
中央に"目"を思わせるセンサーのようなものがあり、その上下に3つの小さなセンサーが装備されている。
一見するとその外見に見覚えはない。
見覚えは無いが、ゼスト隊を襲撃し全滅させたのもまた同じ機械兵器だった。
さらにこの場にはそのゼスト隊の一員だったメガーヌの娘、ルーテシアがいる。
当然関連性を考えずにはいられない。
(どうする、生物ならともかく機械じゃハッタリの威嚇も通用しねえ……)
ふいに、中央部の大きなセンサーが不規則に明滅を開始する。
(スキャン? それとも何かべ
瞬間、ガリューは体を極限まで丸め、バネのようにその身を跳躍させた。
特に言葉で説明できる根拠があるわけではなかった。
ただ数多の戦場を翔け、肉体が変化しても消える事の無かった戦士の経験がもたらす感覚が"避け"を選択させた。
そして、その理外の回避は見事ガリューの命を救う事になる。
センサーに見えていたレンズ状のパーツから発射された青い光線は、つい今までガリューが居た場所に命中し、床に溶けたような
孔を残していた。立ち上る細い煙は光線に相当の熱量がある事を示し、同時にまともに受ければ無事では済まないという事もまた
示している。
(おいおい、冗談じゃねーぞ……! あんなもんもしルーに当たれば一発じゃねえか……!!)
とにかくルーテシアから距離を取り、かつ目の前の敵の注意を引き続けるしかない。
「キシャー(おいこらガラクタ、俺が相手になってやるからかかって来い!!)」
ガリューは自らを囮にし、ルーテシアから敵を引き離そうとする。
「あらら〜、ホントに何やってんのかしらこのガラクタは。ターゲットの居る部屋で光学兵器を使うなんて、もしターゲットに当たり
でもした……ら……」
「キシャー(ほらどーした! 来ねえならこっちから行く……ぞ……)」
が、その最中室内に新たな侵入者が現れる。
眼鏡をかけ、茶色の髪を二箇所に縛った少女。年齢は十代後半だろうか。
「なに……このモンスター……?」
「キシャー(おいテメェ、今ターゲットって言ったなあどういう事だ!?)」
「そういえば……確かターゲットの側にいつも居るでっかい芋虫がいるってドクターが仰ってたわね……そう、貴方がその芋虫」
「キシャー(人の話を聞けよコラ! ターゲットってのはどういう意味だ!!)」
「ていうか……シャーシャー五月蝿いわね、このクソ虫」
「キシャー(アァ!? 俺にはメガさんからもらったガリューっつー名前があるんだよ!!)」
「……これも機能テストの一環よ。ちゃちゃっと片付けちゃいなさい」
激して少女に詰め寄ろうとするガリューの背後に、先の機械兵器が回り込む。
次の瞬間、機械兵器から伸びた六本のケーブルアームがその体に巻きつき、強烈な電気ショックを浴びせかける。
「キ……シャー……(ぐ、お、おおああああがああぁーっ!!)」
「芋虫の丸焼き、一丁上がり……まあこおんなゲテモノ、頼まれたって食べたくないけど」
電気ショックで跳ね上がったガリューの体がバタリと地に倒れる。同時に電撃を発した側の機械兵器も支えを失ったかのように
床に落ちた。
「ふ〜ん……何処かパーツに不備があったのかしら。ま、邪魔な虫ケラも死んだし、貴重な実験データも手に入って一石二鳥。後は
ターゲットを確保しておしまいにしましょうっと」
少女は冷たい声で呟くとベッドの前まで歩いていき、そこに眠る幼児を抱き上げる。
「ふわ……」
「はあ〜い、怖くないでちゅよ〜ルーお嬢様。お母さんのところに連れて行ってあげるだけですからね〜」
そのままぐずりかけるルーテシアを連れて部屋を後にしようとした彼女の動きは……三歩目で止まった。
「シュー(おい……何やってんだ?)」
「……この虫……生き延びたっていうの? あの電撃を浴びて……」
少女が身に纏っている白銀の外套。
その先端部……振り返った彼女の視線の先に、ガリューはいた。
スクラップと化した機械兵器を絡みつくケーブルアームごと引き摺って。
短剣の様に鋭い牙を突き立てて。
しっかりと外套の端を銜え込んでいた。
「なんで……なんで死んでないのよ……!?」
「シュー(死ぬんだよ……その子を連れて行かれたら死ぬんだよ……!!)」
「この……離しなさいよ、化け物っ!!」
外套を銜える口に向かって、少女の蹴りが炸裂する。
見た目よりずっと重いその一撃に一瞬ガリューの意識が手放される。
(があっ、コイツ……なんつー重い蹴りだよっ……鉄パイプで思いっきりぶん殴られたみてえだっ……)
「化け物め! 死ね! 死ね! 死ね!!」
雨霰と飛んでくる蹴りの嵐。
それが大して効果を成さないと分かると次は目を狙っての踏み付け。
冷酷かつ正確無比な攻撃がガリューの顔面を捉え、執拗な責めに徐々に顎の力が弱まっていく。
「くたばれ!!」
「シュー(嫌……だね!!)」
「びえぇ……ひっく……」
余りに鬼気迫る少女の表情に気圧されていたのか、これまで沈黙を守って来たルーテシアからも嗚咽が漏れ始める。
「……ったく! わかったわよ、そんなにコレが欲しいならアンタにあげるわよ!!」
それでもなお外套を離そうとしないガリューに業を煮やした少女が、悪鬼の表情で叫ぶとルーテシアを抱いて無い方の手で外套を
掴み勢い良く引き千切った。
「キシャー(うがっ……!!)」
バランスを崩すガリューに向けて少女が吐き捨てる。
「それが代金よ、精々後生大事に持ってなさい!!」
「キシャー(ざけんなよ……こんな布キレじゃ100万枚集めたってその子には及ばねえんだよ……100万枚の服を重ね着したって、
その子を抱いた時のあったかさには全然及ばねえんだよ……!!)」
「……うっ!」
ガリューの"声"は届かない。
しかしその姿に秘められた彼の"意志"を感じ取った少女はじわじわと追い詰められるように後退する。
「あああぁっ!!」
「キシャー(返せよ……返せよおっ!!)」
「――ライド・インパルス」
「キシャー(ごっはああっ!!)」
踵を返し走り出す少女の逃走手段――蒼いボディスーツに包まれた太股の肉に喰らいつこうと跳んだガリューの脇腹に空中で何かが
突き刺さり、次の刹那ガリューの体は壁に叩きつけられる。
「全く……降りてくるのが遅いと思い来て見れば、何をやっているんだクアットロ。ドクターが必要としている動作データも十分に
収集した。後はターゲットを確保し戻るだけだぞ」
「ご、ごめんなさあいトーレ姉様……あの虫があんまりにしつこかったものでえ……」
「今のアレがか……?」
クアットロと呼ばれた少女は芝居染みた大袈裟な身振りで謝りながら、ピクリとも動かないガリューを指差す。
もう一人、トーレと呼ばれた女性はガリューを興味なさそうに一瞥し、クアットロの抱えるルーテシアの顔を覗き込む。
「この子がターゲットか?」
「ええ……ルーテシア・アルピーノ。正真正銘メガーヌ・アルピーノの娘です。父親のデータはありませんけど……」
「素体としての適合率が高ければ父親などどうでもいい。さあ、基地へ戻るぞ」
……キ……シャー
最初はトーレ、クアットロ共に空耳を聞いたと思った。
半信半疑で振り返った二人の表情が、驚愕のそれに変わる。
「……バカな!? あの一撃を喰らってなお動くだと……!」
「だ、だから言ったじゃないですかあ! あまりにしつこかったってっ……!!」
「……シャー(……頼まれてんだ)」
「こ、こっちに来ますよトーレ姉様!!」
「……キシャー(頼まれたんだよ)」
「こいつ……」
クアットロとは違い、トーレはどちらかというと武人タイプである。
その武人の本能で彼女はガリューの動きに尋常ではないものを感じ、手足にエネルギー刃を展開しクアットロと彼の間に立ち塞がる。
「キシャー(……頼まれてんだよ……メガさんから……頼まれてんだ……あの子をお願いって頼まれてんだよ……! ずっと、ずっと
一緒に居てくれって頼まれたんだよ……頼むから、その子を連れて行かないでくれよ……!!)」
「……貴様がただの野生生物ならばここで捨て置くつもりだった。だが……あくまでも我々の前に立ち塞がるというのであれば、私は
貴様を敵と判断する」
トーレの判断基準はシンプルだった。
警告し、踏み込んでくるならば全力で迎え撃つ。
「キシャー(なあ、頼むよ……頼むからどいてくれ……その子から手を離してくれよ……)」
「……それが貴様の選択か」
ガリューはもっとシンプルだった。
警告など関係ない、ただ全力でルーテシアを取り戻す。
「キシャー(離せよ……その手を離せ……離せ……離せって言ってんだろうがよおっ!!)」
「……ライド……インパルス!!」
「キシャァァァァアアアアア(どけっつってんのがわかんねえのかあああああああああああああぁぁ)!!」
「びえええええん!! えぐうっ、びえええええええええええーっ!!」
発声と咆哮の交差、両者の激突を寸前で止めたのはクアットロの腕に抱かれていたルーテシアの泣き声だった。
その声に呼応するかのように大地が揺れ、放出された魔力が渦となって空間を満たしてゆく。
「きゃああっ!!」
直感的に危険を察知し、退路を確保しようと窓の方を見たクアットロがそこに映っていた光景を見て声を上げた。
金色の二本角を携えた黒い威容。
そのフォルムは何処の次元世界でも見られるシンプルなものだが、明らかにそれらとは常軌を逸する体躯。
後に『地雷王』と称される、超巨大甲虫。
それが空からこの施設に向かって、大挙して押し寄せていた。
窓から見える数は十指を超え、今もなお続々と増え続けている。こんな事が出来る人間は……この場では一人しか居ない。
「これが……この子に秘められた力……!?」
「マズいぞ、全速力で退避だ! 急げクアットロ!!」
「了解ですっ!!」
「キシャー(待てっ! ちくしょう、行くなああっ!!)」
動かぬ体で必死に二人を追おうとするガリューだったが、彼が部屋を出るのを待たずして大地が大きく揺れ、施設そのものが崩壊
を始める。
「キシャー(ぐあっ……!!)」
天井から落下した上階の破片が頭部を直撃し、ガリューの意識を根こそぎ奪う。
(ルー……護れねえのか……また……? ふっざ、けん、な、ちくしょ……う……)
薄れゆく意識の中で最後まで残ったのは絶望と後悔。
心と体を蝕む痛みの中、最後まで残っていた意識の一片が刈り取られ世界が闇に包まれた。
◆
その後あの施設がどうなったのか俺は知らねえ。
記録を見れば分かる事だが……まあ、データの改竄とかされてるかもな。どっちにしろ昔の話だ。
気がついたら、俺は故郷の世界に戻っていた。地雷王をそのまま放っておく訳にはいかなかっただろうから、アイツらかその仲間が
なんとか送還したんだろう。きっとその時ついでに俺も故郷に還されたんだと思う。
傷を癒し、再び肉体を成長させながら俺は再び召喚される日を待ち続けた。
他の人間を主にするという道もあったが、それだけは出来なかった。
俺はまだメガさんの気持ちに答えられていない、あの二人に何も出来ていない……そう思ったらここで退く訳にはいかなかった。
……そして、俺にとっては随分と長い、永遠にも似た時間が流れ……俺達は再会した。
◆
召喚魔方陣で次元間を移動する感覚は、液体の中を押し流されるみたいなものだ。
入口から出口まで、一度入れば後はノンストップ。多少の差はあるが数秒程度で自動的に喚び出した者の元へ到着する。
その数秒間が、あの日だけは途中で時が止まったかのように長く感じられた。
新暦68年 ミッドチルダ某所
光の三角形を抜け、久々に降り立った場所。
そこが何処なのかはまだわからない。ただ、自分が喚び出されたという事は、何処であろうとそこは彼女がいる世界のはずだ。
『山中? ここは……ミッドチルダか』
「……ガリュー?」
聞き覚えの無い声、しかし自分の名を呼ぶ声が背後から聞こえ、ガリューの全身を電流が走った。
(いや待て、幻聴かもしれない……落ち着け……)
逸る気持ちを抑え、ゆっくりと体を振り向かせる。
それが幻の発する声ならば、せめて一目この瞳に映るまでは消えないようにと。
『……あ』
そこに居たのはおそらくまだ就学の年齢にも満たないであろうという幼い少女だった。
少女の事をガリューは知らない。いや、正確に言えば、ガリューは今の少女の事を知らない。
記憶の中にあるのは、いつもベッドの上で眠ってばかりの姿。あの頃はここまで髪も長くなく、性別も分かりづらかった。
今では服装と親譲りのロングヘアが、彼女が女の子である事を教えてくれる。
そう、流れるような紫の長髪は、まさに彼女の母親の在りし日の姿を鏡に映したかのようだった。
「貴方が……ガリュー……」
『ルーテシア……なのか……?』
ガリューの問いに少女はこくりと頷くと、手にしたグローブ型のデバイスを示す。
「アスクレピオスのデータが教えてくれた……"漆黒の騎士"ガリュー……お母さんを生き返らせるのを……助けてくれる仲間……」
『……は? ちょっと待ってくれ、ルー。お前の母さんを……生き返らせる?』
ガリューは訳がわからず混乱する。
あの日、アスクレピオスはルーテシアと共に謎の襲撃者に奪われている。それを持っている事、そして容姿からも目の前の少女が
ルーテシア・アルピーノである事はほぼ間違いない。
だとすれば、彼女が言う『お母さん』とはメガーヌの事だろう。
確かに遺体は見つかっていないが、彼女の死はほぼ確定事項だ。
だが……『生き返らせる』というのはどういう事だ?
いかな魔導師と言えど、死者を蘇らせる魔法など習得出来はしない。
魔法は有能だが万能では無い。出来る事と出来ない事、その基準線には明確な線引きがなされている。
「……ルーテシア。ガリューは喚べたのか」
そう、死者は蘇る筈等無い。だとすれば。
「……ゼスト」
今こちらに歩いてくる男は、何者だ――
「……成功のようだな。久しいな……ガリュー」
自分の目の前に現れたゼスト・グランガイツはどう説明すればいい。
「すまないが、少しの間だけ二人にしてくれないか。ガリューと話がしたい」
「……うん」
またこくりと頷くと、ルーテシアは二人を残し森の中へ姿を消してゆく。
『どういう……ことだ……なんで……テメェがルーと一緒に居る』
全滅したゼスト隊。
攫われたルーテシア。
そして再会した彼女と共に現れた、死んだと思っていたゼスト。
全ての情報が絡み合い、ガリューに一つの結論を導き出させる。
『なんで……お前が生きている。お前はあの日、あそこで部下と共に死んだんじゃなかったのか? なんでここに居る……なんで、
攫われたルーがお前と一緒に居る……?』
ガリューの問いにゼストは答えない。
彼にはガリューの言葉は届かないのだ。それはずっと以前――それこそ、まだゼスト隊が健在だった頃から変わらない。
代わりにゼストはある質問に対する問いに答える。
目の前のガリューが最も聞きたかったであろう質問を彼なりに推測して。
「話すべき事は多くある……だが、まず初めにこれだけは言わせてくれ。お前の主人、メガーヌ・アルピーノは死んだ……そうだ。
俺が殺した」
しかしその情報は今のガリューにとって、あまりにも危険すぎるものだった。
裏切り・偽装・誘拐……そんな言葉に囚われつつあったガリューの思考は、その情報で『何らかの目的でルーテシアを手に入れる為、
目の前の男は仲間を裏切り、自らも死を装って彼女を誘拐した』という誤った結論に確固たる確信を抱いてしまう。
死者の蘇生。
その技術の存在を知らない彼にとって、彼が辿り着いた答えはあまりにももっともらしく、信憑性がありすぎてしまうものだった。
『……なんでだ……? なんでなんだあああっ、ゼストオオオオオオォォォォーッッ!!』
この時、俺は久々過ぎてあの堅物の性格をすっかり忘れちまってた。
突然の事で気持ちが揺れている俺と、不器用すぎるアイツ。
せめて俺がもう少し落ち着いてるか、アイツにもう少し配慮があるかすれば、この後の出来事は回避出来たかもしれねえだろうにな。
まったく……世の中はこんなはずじゃねえ事ばっかりだよ。
318 :
ておあー:2008/05/06(火) 16:21:20 ID:CIChSnwM
今回は以上です。お付き合いくださった方ありがとうございます。とにかくピンポイントで命中させる、それがこの時空のゼストクオリティ。
ガリューに『どけっつってんだろこのメスゴリラ(少佐的な意味で)』とか言わせたかったのに気がつけば小ネタすら挟めない空気
だよママン。『あ、ありのまま(略)ギャグで連載を始めたのにいつの間にかシリアス化してた』ってやつだよママン……
過去編は次でラスト。マフラーの由来とともに書きたかったもう一つのシーン、ゼストVSガリューな話です。
へへっ、もはやリリカルの欠片もねえぜ……'`,、('∀`) '`,、
キsy(ry
ガリューGJウウウゥゥゥッッ!!!!!
アニメ本編じゃあただの仮面ライダーモドキだったのに、もうガリュー最高! キシャー最高!! 一家に一匹飼いたい!!
しかしアレだ、ルーの引き取り手の家族は分かってねえ、なんでキシャーも一緒に引き取らん!!
俺なら迷う事無く一緒に引き取り一日三回はモフモするぞ。
しょ初期のギャグ色が微塵も感じられない
でも面白い!
い、いったいどうなってんだ・・・?
始めは冷蔵庫に入っていたギャグ的展開からどうやってこんな超シリアス展開に持ち込めるんだ?
あぁ、涙がでてきた。キシャーかっこよすぎるぜ!あんた漢だ!GJ!
323 :
39-528:2008/05/06(火) 17:54:08 ID:WOGTktg3
皆様
大変お久しぶりです。
1月上旬に拙作「でかめろん」第一夜をここに投下して以来、すっかり音沙汰も
なく続きを投下できずにきてしまいまして申し訳ありませんでした。
言い訳(1月に転職、第一夜投下後に父が倒れて入院&逝去)もあったりしますが、
それでも皆様を4ヶ月近く待たせてしまったこと、深くお詫びいたします。
心も仕事も一段落付いてこのGWはほぼ暦通りに休めましたので、ようやく第二夜
が書き上げられましたのですが、投下してもよろしいでしょうか?
>ておあー 様
やがみけInsecterSの感想をば。
前までのコメディっぽい雰囲気(クイントさんの明るい性格がツボに入りました)
も良かったですが、あのゼスト隊全滅の裏話に迫る今回のシリアスなストーリー
も今まで以上に良かったです。
私個人のイメージとしてはガリューは仮面ライダーアマゾンだったのですが、今
回はもうマガジンZ連載のSPIRITS版のような格好いいシーンが浮かびあってきて
たまりませんでした。
裏切り者(?)のゼストに対してガリューがどんな行動を取るのか、次回も楽しみ
にしております。
>>323 細かい事は言わねえ! さあ早く投下してくれい!!!
325 :
39-528:2008/05/06(火) 18:01:01 ID:WOGTktg3
ありがとうございます。
特に他の方の投下もないようですので、投下いたしたいと思います。
・エロ無し……と最初は思いましたが、微エロな表現が出てくることがあります。
(今回は微も含めてエロは無しです)
・笑い(ギャグ)は少し入る予定です
・管理局地上本部襲撃事件の前後5日間(計10日間)が主な舞台
(エピローグは一部違う時間が舞台になります)
・トーレ&ディエチ、そしてオリキャラ2人が主役。
あと他のナンバーズ&スカリエッティも出ます
・オリ設定が一部(オリキャラ等)入ります
※実は、本作は「マージネーター」からインスパイヤされました。
あと長く間が開いてしまったので、前の第一夜のあらすじも。
「地上本部襲撃5日前の9月7日夜、スカリエッティの秘密基地で特訓を
していたトーレとディエチは、特訓終了後基地に突然現れた2人の幼い女
の子に、いきなり母親とか呼ばれて抱きつかれた」
タイトルは「でかめろん」になります。スルー等される場合はこれをキーに
していただければと思います。
それでは、よろしくお願いいたします。
「はぁーーー……」
「…………」
新暦75年。
9月8日の……もうすぐ日付が変わろうかという深夜。
ここは、毎度おなじみジェイル・スカリエッティの秘密のアジトの……とある一室。
他の部屋と同様、飾り気のない、金属の質感のみ強烈に自己主張している無機質な室内で、
スカリエッティの傑作の一つ……戦闘機人……ナンバーズの少女が2人、疲れ果てたかの
ように床に座り込んでいた。
身体を機械で強化された彼女達は、通常の生活……彼女達自身は『稼働』とか『動作』と
かいう言葉を使っていたが……では4、5日ぶっ続けで過ごしても全く平気なはずである
のだが……
そんな彼女達を、疲労困憊の淵に落とし込んだ元凶は……
「すぅー……すぅー……」
「……」
目の前にあるベッドの上で、彼女達を疲弊させた2人の小さな『悪魔』……先ほど突然ラ
ボ内に出現した幼い少女たちが、『天使』のようなあどけない寝顔で、眠っていた。
* * * * * *
時間は少し戻って……
幼女たちに抱きつかれ泣きつかれて数分……いや本人たちにとっては永劫の時のように長
く感じられたが……後。
何事もなかったかのように悠然と一人……いや、後ろに寄り添うように立っている女性も
含めれば2人の人物がラボに入ってくるのを、室内のナンバーズたちが目にする。
「「「「「「「ドクター!」」」」」」」
7人の少女たちの声が七重奏となって2人を迎えた後……このアジトの主人にして次元世
界でも屈指の頭脳が、微塵の焦りも見せずに語り出す。
「ほう……これが、あの反応の正体かい?」
「ドクター! この子たちのことについて何かご存じなのですか!?」
トーレがスカリエッティにそう尋ねた。
……その逞しい脚に、黒い服(ゴスロリ系)の幼女が安心したような安らかな顔でしがみつ
いたままで。
「ドクター……」
ディエチも何かすがるような目で、スカリエッティを見ながらそう呟く。
……その豊かな腰に、白いブラウスの幼女がメチャクチャ喜んだ笑顔を撫でつけながら抱
きついたままで。
「奥のサブラボで調べ物をしていたら、センサーが未知の素粒子をキャッチしてね。その
素粒子のデータを解析していたら、今度は次元歪曲波を検知したから何かなと思って来て
みたんだが」
トーレとディエチにしがみついている幼女2人に目線を配せながら、スカリエッティはそ
う語りだす。
スカリエッティの後ろに秘書のように立っていたウーノが、いつの間にか空中にコンソー
ル画面を浮かび上がらせ流れるようにコンソールを叩いている。
「ドクター……例の素粒子と次元歪曲波の発信元は、この2名からで間違いありません」
タイピングしながら自分の主人へ報告する、ナンバーズの最長姉……No.1、ウーノ。
「なるほど……この子たちが根源だったのかい」
ウーノの報告を聞いてそう語ったスカリエッティの顔は、何か宝物を見つけた少年のよう
な喜びに満ちていた。
ようやく泣き止んできた幼子2人は入室したスカリエッティに気づいたらしく、2人は少
女たちを見上げていた視線を、前方の男性に向ける。
この部屋で初めて現れた男性を見るなり、2人の幼女は見知ったかのような表情を作り、
こう声を上げた。
「あっ……どくたぁー」
「わぁい、スカせんせいだぁ」
「ドク……ター?」
「スカ……先生?」
幼児たちの言葉を反芻するように、トーレとディエチが呟く。
「あなたたち……ドクターの事、知ってるの?」
と、ディエチが自分とトーレの身体に寄り添う子供たちに問いかける。
「うん。しってるよ、マンマ」
ディエチの腰に抱きついた幼女が、見上げるように顔を上げてそう答えた。
「本当か?」
と、トーレが足元の幼子たちに確認する。
「はい、かあさま……あたしたちの『たんとうい』です」
トーレの太腿にしがみついた小さい女の子が、少女の高い位置の顔を見つめながらこう答
えた。
「担当……医?」
2人の幼女の言葉を耳にしたチンクが、訝しげに呟いた。
小柄……この室内にいる人物で、この幼女たちに『一番』近い身長の持ち主……な姉の発
言を聞いたノーヴェは、未熟な妹の面持ちでこうチンクに尋ねる。
「『担当医』って、なんだ? チンク姉」
そんな同じくらいの背丈の妹の問いかけに、チンクは教師の如く教えるように説明する。
「ああ、この子たちを受け持つ『医学的整備・修理技術者』のことだ」
「ふぅーん……そうなんだ」
8人いる自分の姉……まあ、姉とも思っていない少女(こ)もいるようだが……の中で、一
番慕っている姉の説明に、ノーヴェはそんな感心の言葉を漏らしていた。
室内に現れたラボの主人……ジェイル・スカリエッティは、自分を見つめる幼い4つの眼
差しを認識しながら、その視線の持ち主たちの元に近づいていった。
「ほう……私が君たちの『お医者さん』なのかい」
半ば感心……半ば戯けるようにそう呟きながら、スカリエッティは虚空から突如現れた幼
女たちを、興味に満ちた金色の眼差しで見つめている。
人に有らざる雰囲気を纏ったスカリエッティに対して、幼子2人は全く怯える様子を見せ
ることなく、むしろ懐かしい人を見るかのような柔らかな明るい瞳で稀代の科学者を見つ
めていた。
そして、幼子の一人……トーレの側の女の子が稀代の科学者に向けて声を掛ける。
「どくたあ……きょうも『けんさ』なんですか?」
続けて、ディエチの側の女の子も、スカリエッティにこう尋ねる。
「すぐにおわる? スカせんせぇ」
「!?」
「!!」
幼女2人の発言……特にディエチの側の子のあまりにも馴れ馴れしい口調にディエチが眉
をひそめトーレが窘めようとした時、言われた本人のスカリエッティが幼女たちの言葉を
気にしていないかのように手を振って少女達を制しながら小さな質問者に対してこう答えた。
「ああ、ちょっと今日は『特別な』検査なんだ。少し『痛い』かもしれないが、そんなに
時間はかからないからね」
そんなスカリエッティの返答を、トーレとディエチがこの幼い子たちが受け入れる……納
得してくれるか不安を抱いていたが、
「はい……わかりました」
「うん……がんばるよ」
と幼子2人は呆気なく受け入れ、屈託のない……地上の一般の人から見れば、まさしく……
『天使の笑顔』でスカリエッティに承諾の返事をしたのだった。
「あらあら……文句一言も言わずにOKしてくれるなんて、なんて素直な子たちですこと」
幼い子らの返答を聞いて、それまで沈黙を保っていた四女……クアットロが口を開いてそ
う語った。
……『素直な』のあたりで、幼女たちに母親と宣言(?)されたトーレとディエチをチラチ
ラと(2人の姉妹たちに気づかれないように)見比べるように目線を配らせたりしていたが。
「クアットロ」
姉であるクアットロに向けて強めの口調で名前を呼ぶ……ディエチ。
「ほう……私たちが『素直』でないとでも云わん限りだな、クアットロ」
すぐ下の妹の視線を見切ったかのように、キツい目で睨むかのようにクアットロを見なが
ら半分冷やかし・半分マジギレのような声でそう語りかける……トーレ。
「ひぃ……」
幼子らが寄り添う少女2人が発する並々ならぬ『気』のようなものに、姉妹で一、二を争
う鉄仮面ぶりと(他の姉妹から)思われているクアットロも、流石に恐怖とも驚愕ともいえ
るような情けない声を漏らしてしまっていた。
「それじゃ……」
「検査に、行くぞ」
クアットロの言葉が無かったかのように、トーレとディエチはそう言いながら自分達の身
体にしがみついている女の子らを、ドクターの方へ連れて行こうとする。
その時。
「あ……あのう」
チンクらの更に後ろ……六女のセインが、なにやら申し訳なさそうというか、バツが悪そ
うというか、ちょっとおどおどした感じで右手を挙げながら、部屋の中の皆に向けて声を
出した。
「ちょっと……質問いいっスか?」
隣にいる教育担当だった姉と違い、アッケラカンと当然の如くといった口調で皆に問いか
ける、十一女のウェンディ。
「なんだ!? セイン、ウェンディ」
キツイ声で、2人の妹に向かってそう言葉を返すトーレ。
「なに?……質問って?」
隣の姉とは違い、普通に姉と妹の質問を受け入れる雰囲気のディエチ。
そして、13個の瞳……トーレ達6人姉妹とスカリエッティ……が自分達に注がれる中、
質問者の2人の少女は、この幼子たちが現れてからずっと思っていた……が、雰囲気的
というかタイミング的に今まで言い出せなかった……疑問の言葉を、ようやく喉の奥か
ら取り出していく。
「この子たちの名前って……」
「なんていう……んスか?」
セインとウェンディの言葉の後、数秒間沈黙が部屋の中を支配していた。
……ピーーーン。
そして、部屋の一角に表示されている時刻表示が新しい日付……9月8日に時報の音と共
に書き換えられた直後。
「「「「あッ!?!?……」」」」
4人の姉妹の声……トーレ、ディエチ、チンク、ノーヴェ……が思い出したかのように重
なる。
「あーらあら……そんな『つまんない』ことでしたの?」
見下すかのような感すら覚えさせるような口調で、クアットロがそう呟いた。
「んっ!? なんだと!!」
クアットロの言葉に、声を荒げながら問い返した九女……ノーヴェ。
「まあ、落ち着け……ノーヴェ」
血の気が上がった妹を宥める、五女のチンク。
「はっはは、そうだね。君たちの名前を聞いていなかったね」
新しい疑問に気づいたことを喜んでいるかのように純粋に明るく語る、姉妹たちの父たる
……スカリエッティ。
「管理局、並びにミッドチルダ民政局のデータベースを照合しましたが、この子たちと思
われる人物のデータにはマッチしませんでした」
自分の周囲に表示させたコンソールで幾十のデータを操りつつそう答える、姉妹達の長女
……ウーノ。
「お前たちの……」
自分と隣の妹に寄り添う小さな女の子らを見つめながら、三女のトーレが呟く。
「あなたたちの……」
隣の姉の太腿と自分の腰にしがみついている幼子らを見ながら、十女のディエチが問いか
ける。
「「名前は?」」
2人の少女の質問の声が重なって終わると、幼女たちは自分が寄り添いしがみついている
少女を見上げながら、彼女らの問いに対する答えをその小さな口から紡ぎ出した。
「あう゛ぁんしあ……あう゛ぁんしあ・りん」
トーレを見上げる黒い服の女の子が、ちょっとはにかむような表情でそう告げる。
「せでぃち……せでぃち・ばるけった」
ディエチを見つめながら、三色の衣装の女の子が元気よく答える。
「アヴァンシア……リン?」
「セディチ……バルケッタ?」
少女たちが自分たちの足元にいる幼子らの名前を復誦するように呼んでくれたのを、幼子
らは喜びに満ちた笑顔で応えていた。
「はい……」「うん!……」
これは……もしかしたら……
ありえた『かも』しれない……ものがたり。
閃光と共に現れた……未来の小さな娘たちと、
生まれてから、戦うことしか知らない……未来の母親たちの、
困惑と、
騒乱で紡がれた、
ちょっぴりコメディ、
そして……ほんのちょっと、シリアスな、
十日間の……
……物語。
『でかめろん』
……第二夜
つづく。
「かあさま」「マンマッ!」
以上で、拙作「でかめろん」第二夜の終了です。
……ようやく、というかなんとか第二夜が書けました。
今のところ全10夜(話)+エピローグの構成で考えているのですが、書き始めた
後にネタが1,2個足りないことが発覚。
今回の第二夜はそのネタの谷間になってしまい、穴埋め的な話で何とか書き上げ
ました。
トーレとディエチの娘(?)の名前だけは何とか今回出せましたが、
・この幼女たちは、本当にトーレ&ディエチの娘なのか?
・なぜ幼女たちがスカリエッティの事を知っているのか?
・他の姉妹たちの未来は?(オイ)
とかは、次回あたりから出していく予定です。
この4ヶ月間時々このスレも見ていたのですが、この拙い「でかめろん」の名前
を上げていただいたレスを見た時に、申し訳ありませんと書き込みたい衝動に駆
られましたが、「そんな存在証明のレスを書くくらいなら、SSの続きを書け」
と思いまして、なんとか4ヶ月間SS執筆のみに集中してようやく書き上がりま
した。
……4ヶ月でこれだけしか書けない自分の文章力の無さに、無力感が。。。orz
あと時折話題になっていた題名の「でかめろん」ですが、イタリアの詩人ジョヴ
ァンニ・ボッカッチョ作の「デカメロン(十日物語)」から取ってきている(つもり。
某J系ユニットの曲名から直接取ったわけではではありませんです)ので、決して
2人の胸の大きさから取ったわけではありません(と思います)ので、ご注意を。
(どちらかというと、2人の場合は胸も大きいが尻の方がデk(漸撃&砲撃))
恐らく次回(第三夜)はもう少しギャグ的な話になって、更に次の話(第四夜)は微
エロな話になると思いますので、よろしくお願いいたします。m(_ _)m
>>86 ちょい遅めのGJ!!
エリオ隊長ストーリーをずっと待っていました!
またこれから見られると思うと・・・楽しみにしております。
そしてエリオ隊長の女難の方も是非待ってます。
>>332 続きも楽しみにしてますぜ、是非とも連載頑張ってください。
335 :
B・A:2008/05/06(火) 20:15:28 ID:aNdoszjF
>>318 GJ!
僕はガリューの中に漢を見た。VSゼストがどうなるのか凄く気になります。
>>332 「けんさ」という言葉でついアレを思い出してしまいました。だって検査するのはスカで相手は幼女だし。
GJ、続きを楽しみにしています。
さて・・・・・・待たせたな(某蛇の声で)。
すみません、マイブームなんで言いたかっただけです。投下しても良いですか?
どんどん投下なさってください
カモンベイビー!!
338 :
B・A:2008/05/06(火) 20:23:56 ID:aNdoszjF
それでは投下します。
注意事項
・エリオ主人公
・非エロです
・捏造が多々あります
・本編14話から15話の間の出来事
・某鍵のイメージ継続、所々は某雑技団
エリオにとって、フェイト・T・ハラオウンは憧れの人であった。
美人で聡明、心優しく、傷つき苦しむ人には等しく慈愛の手を差し出し、卑劣な悪には絶対に屈しない。
少々生真面目で冗談の通じない気はあるが、それもまた彼女の魅力だ。料理もうまいし歌もうまい、
暇な時間があれば、自分がどれだけ疲れていても構ってくれた。魔導師としても執務官としても優秀であり、
エリオにとって彼女は恩人であり、母親であり、目指すべき目標であった。
そんな彼女にも、唯一の不満の種があった。
「ハンカチ持ったね・・・IDカード、忘れていない? お小遣いは・・・・・・」
いつかの焼き回しのような光景に、エリオは心の中で静かに泣いた。
フェイトの唯一ともいえる難点は、非常に過保護なことであった。
出かける時はいつも見送りの際に先程のやり取りを繰り返し、どう考えても使い切れない額の小遣いを渡し、
小さなケガでも大げさに反応して医務室へ駆け込んだりと、見ていてこっちが恥ずかしくなるようなことばかりするのだ。
自分だってもう立派な管理局の局員なのだから、そろそろ子ども扱いから卒業したいものなのだが。
「あの、フェイトさん」
「なにかな、エリオ?」
「あの・・・・・・・いえ、何でもありません」
僕はもう一人前です、と言おうとしたのだが、穏やかな笑みを浮かべるフェイトの顔を見ると、つい何も言えなくなってしまう。
押しの弱い自分が何だかとても情けなかった。
「ごめんなさい、待った?」
出かける準備を終えたアリシアが、2人のもとへとやってくる。
汚れた服を着替えてきたのか、アリシアは朝とは違う服を着ていた。シンプルな造りの薄緑色のワンピースの上に白いカーディガンを羽織っており、
肩からはキャロから借りたショルダーバッグが提げられている。普段の快活なイメージと打って変わって、そこにいたのは深窓の令嬢と見間違うほどお淑やかな少女であった。
思わず見惚れてしまったエリオは、ため息にも似た言葉を漏らす。
「かわいい・・・」
「本当? 本当に可愛い?」
耳聡く聞きつけたアリシアが、掴みかかるような勢いでエリオに迫る。どうやら、肝心な中身の方は特に変わっていないらしい。
「う、うん・・・・・可愛いよ。凄く似合っている」
「良かったね、アリシア」
「うん」
満面の笑みを浮かべるアリシアに、今朝の不調の様子は微塵も感じられなかった。彼女の言う通り、あれは本当に寝不足によるものだったようだ。
「2人とも、あんまり遅くならない内に帰るんだよ。エリオ、アリシアをちゃんとエスコートしてあげてね」
「もー、子ども扱いしないでよ。私の方がお兄ちゃんよりも年上なんだから」
「はいはい・・・・・それじゃ、エリオのことはよろしくね、アリシアお姉ちゃん」
「うん、任せておいて」
「フェイトさん、いってきます」
「いってらっしゃい、エリオ・・・・アリシア」
フェイトに見送られながら、2人は仲良く並んで街へと向かう。その後ろ姿が見えなくなると、物陰でジッと息を潜めていたキャロがおずおずと姿を現した。
「あれ、キャロ?」
「あの・・・・・」
キャロは不安そうな顔でこちらを見上げ、何かを言いたそうにしている。
心に湧きあがる罪悪感に、フェイトはやるせない気持ちを感じた。
アリシアに街を案内させる役をエリオに任せたのは、ひとえに彼女に喜んで欲しいからだった。
そのために、キャロには昨日の内にある程度事情をぼかした上で説得し、アリシアとエリオが2人っきりで街へ出かけることを了承してもらっている。
しかし、キャロもまだ10歳の遊びたい盛りだ。ひょっとしたら、自分もエリオたちと一緒に遊びに行きたかったのかもしれない。
「キャロ、その・・・・・」
「あの、フェイトさん・・・・・クッキーを作ろうと思うんですけど・・・・」
「え?」
予想外の言葉に、フェイトの目が点になる。
「えっと・・・・・折角のお休みですけど、わたしって遊んだりするの苦手で・・・・それで、お料理の勉強でもしようかなって・・・・・
だから・・・・・おいしいクッキーの作り方、教えてください!」
顔を真っ赤にして言ったキャロを見て、フェイトは強張っていた顔の緊張が自然と抜けていっていることに気づいた。
(ああ・・・・私、喜んでいるんだ)
いつも大人しくて、周りに遠慮しているキャロが精一杯の勇気を振り絞ってわがままを言っているのだ。
日頃、仕事が忙しいせいで構ってあげられないフェイトにとって、それは何よりも嬉しい誤算だった。
「うん、一緒においしいクッキー、作ろうか」
「はい」
そうして、2人は仲良く手を繋いで厨房のある食堂へと向かう。
道すがら、フェイトはふと考える。今の自分たちはまだ親子未満な関係だけれど、いつか本当の親子になれる日が来るだろうか?
この娘たちは自分の前でいつも笑っているけれど、自分に涙を見せてくれる日が来るのだろうか?
そんなことを誰かに聞ける訳もなく、フェイトは今日も答えのない自問を繰り返し続けるのだった。
□
昼下がりのレールウェイは閑散としており、平日ということもあって乗客の姿はほとんどなかった。
フェイトにアリシアのことをエスコートしてくれた頼まれはしたが、エリオは余り遊び歩くことに慣れていなかった。
何しろ、生まれは良家のお坊ちゃんであるため、普通の子どものように外で遊んだり、母親と一緒に買い物をした記憶が一切ない。
管理局に保護されてからはフェイトに何度か街へ遊びに連れて行ってもらったことがあるが、それも大抵は遊園地や動物園といった丸一日を使って遊んで回るもので、
こんな風に街を散策して回ったことは数えるほどしかない。というわけで、今回もまた機動六課のお節介焼きことシャリオ・フィニーノに作ってもらった外出プランの出番となった。
「えぇっと・・・・前回はこの後公園に行ったけど、時間がないから飛ばしてデパートに行って、
映画・・・・今は何やっているっけ? それと食事は時間をずらしてブレイクタイムに変更・・・・・」
「お兄ちゃん?」
隣でぶつくさ呟いているのが気になったのか、さっきまで目を輝かせながら窓の外を覗いていたアリシアが不思議そうに話しかけてきた。
「えっ、なに?」
「不気味」
「えっ・・・あぁ・・・・そ、そうだね」
「もう・・・・それで、何をぶつぶつ喋っていたの?」
「あっ、うん・・・・この後の予定をね。とりあえず、これからウィンドウショッピングをして回って、それから映画を見てお茶をして・・・・・」
「ふふっ・・・・それ、何だかデートみたいだね」
一瞬、アリシアが口にした言葉の意味がわからなかった。
デート?
デートと言うと、仲の良い男と女(世の中には同性でデートする者もいるらしいが)が街で遊んだり遠出したりするアレのことだろうか?
だが、このプランはシャーリーが遊び慣れていない自分とキャロのために作ってくれた外出プランだ。
それをアリシアはデートみたいだと言ったということは。
(シャーリーさん・・・・・・あなたって人は・・・・・)
だからあの時、スバルとティアナは不思議そうな顔をしていたのだ。確かに10歳の子どもが雰囲気の良いレストランで食事を取ったり、
海辺を散歩したりするというのは少し違和感を覚えていたが、まさかこれがデートプランだったなんて。
「ごめん、嫌なら別のを考えるけど・・・・・・」
「ううん、それで良いよ。私、デートって初めてだから興味あるな」
「う、うん・・・・アリシアが構わないって言うのなら・・・・・・」
「それじゃ、今日はアリシアとエリオお兄ちゃんの初デート。これで決定!」
程なくしてレールウェイはサードアヴェニューに到着した。
開いた扉から熱気が入り込み、2人は思わず顔をしかめる。
季節は7月。気温と湿気は順調に上り坂を描いており、日を追うごとに不快指数が増していっている。
その上、繁華街ともなれば人通りも多く、ちょっと眼を離せばあっという間に逸れてしまいそうだった。
「凄いね・・・・」
「うん・・・・前もこんな感じだった」
「迷子にならないかな?」
「手を繋げば・・・・大丈夫じゃないかな?」
そう言って、エリオは何気なく左手を差し出した。それに他意はなく、あくまでお互いに逸れないようにという純粋な配慮だった。
しかし、アリシアはそこに別の意図を汲み取ったのか、ニコニコと笑顔を浮かべて自分の腕をエリオの左腕に絡ませた。
「アリシア!?」
「こうすれば逸れないよ」
「そりゃそうだけど・・・・・・」
「良いでしょう。今日一日は、お兄ちゃんはアリシアの恋人さんなの」
「はぁ・・・・・わかった。もうそれで良いよ」
反論するだけ無駄なので、エリオは黙って彼女のしたいようにさせることにした。
□
俗に女性の買い物は時間がかかると言われているが、それは5歳児にも当てはまるらしい。
試着室の中でゴソゴソと着替えをしているアリシアを待ちながら、エリオはそんなことを考えた。
アリシアが最初に入ってみたいと言った店は、玩具屋でも雑貨屋でもなくブティックであった。
それも、いわゆる子ども向けのキャラクター商品を扱った店ではなく、大人っぽい子ども服を取り扱っている専門店だ。
初めて入る店に戸惑うエリオを尻目に、アリシアが大人の店員にも物怖じすることなく矢継ぎ早に今年の流行や売れ行きの商品について質問し、
陳列されている衣服の中から好みのものを選択していく様は何だか堂に入っている。
「何だか慣れているみたいだけど、買い物とかよくするの?」
「ううん、ちっとも・・・・・けど、大人の人とお話しするのには慣れているから」
「ああ、なるほど」
そう言えば、同年代の子どもよりも母親の友人や部下である大人と一緒にいる時間の方が長かったと聞いたことがある。
彼女の物怖じしない性格は、そういう環境で培われてきたものなのだろう。
「ねえ、これなんかどうかな?」
試着室のカーテンが開き、商品を試着したアリシアが姿を現す。この店の人気商品だというそれは、
黒っぽくて全体的に大人っぽい印象を与える服だった。少なくとも、キャロではまず着こなせないだろう。
「うん、似合っていると思うよ・・・・ちょっと、大人っぽいけど」
「それじゃ、こっちは?」
今度は、フリルがたくさんついた服を自分の体に重ねて見せる。
「可愛いよ」
「これは?」
「綺麗だね」
「ならこれは・・・・・」
「似合っている」
「お兄ちゃん、そればっかり」
「ごめん・・・・」
不満そうに頬を膨らませたアリシアは、まるで上から下まで値踏みするようにエリオを見つめたかと思うと、
おもむろに試着室を飛び出していくつかの衣類を抱えて戻って来た。
「罰として、これ試着してね」
「ええっ、どうして!?」
「私ばっかり不公平でしょ。大丈夫、ここは男の子向けの服も置いてあるから」
意地悪そうに笑いながら、アリシアは持ってきた衣類をエリオに押し付けて無理やり試着室に押し込んだ。
結局、エリオの着せ替えショーはそれから一時間近く続けられた。
□
「本当に、そんなもので良かったの?」
「うん、これが良いの」
映画館に向かう道を歩きながら、アリシアは自分の指に嵌められた指輪を嬉しそうに見つめていた。
あれから時間の許す限りデパート内の店を見て回ったが、アリシアが欲しいと言ったのは雑貨屋で売られているプラスチックの指輪だけだった。
最近では子どもも見向きしない、何の装飾も施されていない大量生産品で、藤の籠に山と積まれているような安物だ。
アクセサリーならばもっと他に良いものがあるはずだが、何故かアリシアはこれが良いと譲らなかった。
(アクセサリーなら三軒向こうに専門店があったのになぁ・・・・・・)
口に出すと機嫌を損ねるかもしれないので、心の中だけで思っておく。
実際、アリシアはこの上なく上機嫌であった。終始笑顔でエリオを引っ張り回し、あちこちの店で笑ったり驚いたりと目まぐるしく表情を変える様は、
見ていてとても微笑ましい。だから、胸の中に僅かに浮かんだ疑念が杞憂で終わってくれることを切に願った。
エリオには、彼女がまるで生き急いでいるように見えたのだ。
「到着! ねぇ、何を見るの?」
アリシアの言葉に、エリオは我に返った。いつの間にか、映画館に到着していたらしい。
「え・・・ああ、そうだね。えっと、今日の上映リストは・・・・・・」
世間では夏休みということもあって、上映されている映画は大半が子ども向けのアニメか大衆受けする娯楽作品ばかりだった。
所謂通の人向けの渋めのものもあるが、そんなものをアリシアが喜んで見ると思えないので選択肢から除外する。
「それじゃ、アニ・・」
「すみませーん! この映画、子ども2枚で!」
「って、アリシア!」
さっきの質問は何だったんだ!?
「えへへ・・・・さあ、行こう」
「行こうって、何の映画にしたの? ねぇ、何の・・・・・」
困惑するエリオを余所に、アリシアはエリオの腕を引っ張って上映室へと向かう。
何だか嫌な予感がする。
その予感は見事に当たることとなった。
アリシアが選んだ映画は、俗に言うラブロマンスであった。
□
映画を見終えた2人は、少し遅めのティータイムを取ろうと喫茶店に入った。
飲み物はエリオがコーヒーでアリシアがオレンジジュース。少し小腹も空いているのでケーキセットにした。
「よくわからなかったけど、最後に2人が仲良くなれて良かったね」
ミルフィーユをザクザクとフォークで砕きながら、アリシアは先ほどの映画の感想を口にする。
映画の内容はよくあるラブロマンスで、何の面識もなかった一組の男女が偶然出会って恋に落ち、紆余曲折を経て結ばれるという話だった。
その手の話題に疎いエリオには、主人公2人の行く末よりも脇で栄えていた無名俳優の熱演の方が印象的であった。
「僕には、そういうのよくわからないや」
「お兄ちゃん、好きな人とかいないの?」
「うぅん・・・・そんな風に意識したことはなかったかな・・・・・」
「フェイトのことは?」
「憧れてはいるけど、何ていうか・・・・ほら、フェイトさんはお母さんだから」
「ふぅん・・・・てっきり、フェイトのことを守りたいから管理局に入ったのかと思ったんだけどな・・・・・・・」
何気なく口にしたその言葉に、エリオは表情を固くした。
「違うよ・・・・・僕は別に、局員になりたいわけじゃなかったんだ」
「えっ?」
「フェイトさんに恩返しがしたかったんだ・・・・・僕も、あの人と同じだったから・・・・・・・」
「お兄・・・・ちゃん?」
「僕もね、クローンなんだ。本物のエリオ・モンディアルは病気で死んでいて、それを受け入れられなかった両親が造り出した劣化コピー・・・・・・
それがばれて、親と引き離されてよくわからない研究室に放り込まれた・・・・・フェイトさんが助けてくれるまで、星も見たことなかったな」
「それで・・・・管理局に?」
「騎士になりたかったんだ・・・・・自分と同じように苦しんでいる人たちを助けられる騎士に・・・・・管理局に入ったのは、
たまたまフェイトさんがそこで働いていたから。もし他の仕事をしていたら、僕はその仕事を手伝っていたと思う」
本当に偶然だった。
フェイトが魔導師でなかったら、フェイトが管理局の局員でなかったら、今の自分は存在しなかっただろう。
それほどまでに、フェイト・T・ハラオウンという存在はエリオに影響を与えていた。
「お兄ちゃん・・・・・」
「ああ、ごめん。別に自分を卑下にしているわけじゃないんだ。ただ、どうすれば立派な騎士になれるのか、僕にはよくわからなくて・・・・」
不意に思い浮かんだのは、戦場で出会った紫色の髪の召喚師の少女だった。
無感情で抑揚のない口調。自分とそう年が変わらないはずなのに、心が欠落しているかのような色のない顔と、生気の感じられない瞳。
今までは、ただ言われるままに槍を振るっているだけで良かった。上司の命令に従い、向かってくるガジェットを切り捨てていくだけで良かった。
けれど、あの娘と出会って何かが変わった。
あの娘のことが知りたい、あの娘が何故あんなことをしているのか知りたい、あの娘に悪いことをして欲しくない。
そんな感情が芽生え、自分の戦う意味が少しずつ変わってきた気がした。
「多分、もう少しで答えが出そうなんだ・・・・・もう少しで・・・・・・」
「・・・・・・」
何かを決意したかのようにアリシアは顔を上げる。
凄みと言えば良いのだろうか? 5歳児とは思えない鋭い眼光は、彼女の妹であるフェイトに通じるところがある。
「行こう」
「え、ちょっと・・・・・」
有無を言わせぬ調子でアリシアはエリオを引きずり、会計を済ませて喫茶店を後にした。
「どうしたの? まだ入ったばかりなのに・・・・・・」
「良いの・・・・時間がもったいない」
「もったいないって・・・・・・・」
「お兄ちゃんは余裕なさ過ぎ! いつも難しいこと考えて、自分が悪い自分が悪いって悩んで・・・・・壊れちゃうよ、それじゃ・・・・・」
「・・・・・!」
プレシア・テスタロッサという女性がいた。
愛する子ども、学者としての地位と名声、輝かしい未来と安穏の生活。
その全てを失い、全ての責任と罪を一身に背負って壊れていったアリシアとフェイトの母親。
アリシアは、自分のことを彼女と同じであると言ったのだ。
エリオが必死で悩み、問い続けている命題を、彼女はその一言で一蹴したのだ。
「張り詰めていたら、答えなんて見つからないよ・・・・・それよりも、羽根を伸ばせる時くらいはゆっくりしないと・・・・だから、今日は遊ぼう。
考えるのは明日にして、今日は日が暮れるまで遊んで回るの」
そう言ってアリシアはエリオをぐいぐいと引っ張っていく。
困惑するエリオではあったが、アリシアの言葉に思い当たる節がないわけではなかった。
確かに、自分は少し余裕がない気がする。物事はいつも真剣に捉えるし、管理局の仕事も訓練もいつだって手を抜かずに全力で行っている。
それは決して悪いわけではないのだが、些か度が過ぎる傾向がないこともなかった。気づけば何かしらの雑務をこなしており、
子どもらしい遊びに興じている時間は極端に少ない。アリシアはそのことを咎めているのだ。
(もっと気楽にいけってことか・・・・・5歳の女の子に言われるなんて思いもしなかったな・・・・・・・)
苦笑し、駆け足気味のアリシアに歩幅を合わせる。
そこまで言われたら、彼女の言う通り遊ぶしかないだろう。
幸い、夜まではまだ時間がある。遊ぶ時間は、十分に残っていた。
□
それから2人は、日が暮れるまで色々な場所を見て回った。
公園のスワンボートに乗り、屋台でアイスクリームを購入し、本屋やCDショップを周り、ゲームセンターやボーリング場にも足を運んだ。
気づけば時間はあっという間に過ぎ去り、傾く西日が頬を赤く照らす頃合いとなっていた。
「楽しんでもらえたかな?」
「うん・・・・こんな風に思いっきり遊んだのは何年ぶりかな」
「良かった」
真っ赤に染められた海沿いの道を歩きながら、2人は今日の出来事を振り返る。
この通りを抜ければ、楽しかった一日はそれでおしまいだ。
後は六課まで一本道であり、心配性なフェイトが入口で自分たちのことを出迎えようと待ち構えていることだろう。
「ありがとう、アリシア。今度、お礼をしなきゃいけないね」
「ううん・・・・もう、十分貰ったよ」
指輪の嵌められた指を掲げ、アリシアは言う。
派手な原色の指輪は夕日で真っ赤に染まり、毒々しい彩を放っている。それでも、これは今日という日の唯一の記念であり、アリシアは喜びから笑みを漏らした。
「私は、これだけで十分」
「けど、それだと僕の気が済まないよ。どこか、行きたいところとかない? 次のお休みに連れて行ってあげるから」
「行きたいところ・・・・・・うぅん、それだったら・・・・・・」
アリシアが口にしたのは、クラナガンから少し離れたところにある工業地帯だった。
かつて、彼女がプレシアとともに暮らした思い出の地なのだそうだ。
「ここからだと少し遠いね・・・・有給休暇ってのを取ってみようかな・・・・・・」
「別にそこまでしてくれなくても良いよ。その気持ちだけで十分」
「良くないよ。アリシアのおかげで、ずっと悩んでいた答えに一歩近づけた気がしたんだ。だから、お礼がしたいんだ」
アリシアという存在がいたから、自分はプレシアの死から立ち直ることができた。
そして、自分が目指す立派な騎士にほんの少しだけ近づけたような気がした。
彼女のおかげで、余裕を持つことの大切さも学ぶことができた。
だから、お礼がしたいというのは紛れもない本心だ。
「ありがとう。けど、良いんだ・・・・だって」
不意に、アリシアの体が糸の切れた人形のように前のめりになる。
僅かに垣間見たその横顔には、寂しそうな笑みが浮かんでいた。
「だって・・・・・・もう、終わりみたいだから」
瞬きの内に過ぎ去るはずの瞬間が、スローモーションのようにゆっくりと引き伸ばされていく。
声が出なかった。
体が動かなかった。
まるで時間が静止してしまったかのように世界が息苦しい。照りつける夕日は灼熱の業火のように熱く、打ちつける波の音は耳障りで気が狂いそうになる。
目の前で女の子が倒れているのに、自分にできることなど何一つ存在しなかった。
「・・・アリシア!」
一拍遅れて意識が追いつき、弾かれたようにアリシアに駆け寄る。
抱え起こした体は凍っているかのように冷たく、明らかに不整脈を起こしているとわかるくらい呼吸が乱れていた。
可愛らしい美貌は真っ青に染まっており、小さな口からは一筋の赤い雫が零れている。
そして、いくら呼びかけてもアリシアが返事を返すことはなかった。
to be continued
348 :
B・A:2008/05/06(火) 20:50:00 ID:aNdoszjF
以上です。
序破急の破。
とうとう来るべき時が来てしまいました。アリシア・・・書いていて楽しかったのに・・・・アリシア・・・・・。
次回が恐らく最終回になると思います。
遂に訪れた幸福の破堤GJ!!
嗚呼、やはり悲劇は良い、特に胸が引き裂かれるような悲しみは最高級の果実酒のように甘美だ。
>>348 GJ!!
最後も楽しみにしてるぜ
あー…アリシア・・・
あ、あー…アナル・・・
352 :
26-111:2008/05/06(火) 22:52:06 ID:I6au7ZVu
>>ておあー氏
GJでした。ガリューが熱いよカッコイイよ。芋虫だけど
あと、貴兄の書かれるクアットロは実に素晴らしい
>へへっ、もはやリリカルの欠片もねえぜ……'`,、('∀`) '`,、
言葉にできない気持ちを拳に込めた、漢(或いは漢女)同士の殴り合いは実にリリカルな展開なのではないかと
>>39-528氏
おかえりなさい。そしてGJでした
ヤバイ、ナンバーズが可愛い。娘二人も可愛い
しかし、8日後・・・10日目に何が起こるのか・・・楽しみにしています
>>B・A氏
アリシアー、アーリーシーアー
フェイトとエリオの心が折れそうです。「世界はいつだって ――!!」
続きをガタガタ震えながら待ってます
そして、司書としての相談なのですが・・・
67スレの編集作業が終了しています。これから掲載に移るところなのですが・・・
各ページのタグの付け方に関して、少々議論が交わされていたようなので、ご意見があれば賜りたく思っています
私としては、現状維持に一票と言いたいところですが。皆様はどう思われますか?
アレだけ議論していた人はどこに行ったんだろ。
今はいないのかな。
現状維持が、今(5/7零時)のまとめスレという意味なら、一票です。
ただ、左フレームの「タグ一覧」をクリックするとおかしくなるのは何なのでしょう。
ウチの環境だけなのかな。
その点のみ改善が必要かと思います。
>>348 GJ!!
345辺りじゃエリアリというよりエリルーな匂いがしたぜ。
最終回も楽しみにしてます。
>>352 携帯での感じだと、今のが軽くていい感じです。
という事で現状維持でお願いします。
左のメニューにキャラ一覧が無くなったのは何故なんでしょう?
アレは結構使い勝手良かったんですが^^;
需要があるか疑問ですが、ザフィ×はや
はやて、壊れます。今回はギリギリセーフ。
初回は非エロ、非グロ、
(待て、じゃあ二回目以降はお前……)
タイトル「What Are Little Red Riding Hoods Made of?」(その1)
あぼ〜んは鳥かHNで。
今回はレス三つ分。
1
アギトとリィンの報告に、一同は首を傾げた。
ザフィーラが部屋で人間体になっている。
それだけなら珍しいとは言っても、ないことではない。
ただ、一人で籠もっていることと、そのポーズが妙だった。
「それは、座禅や」
二人(?)の説明を聞いたはやてが即座に答えた内容に、シャマル、シグナム、ヴィータは再び首を傾げる。
「精神修行にええらしいよ? 精神統一とか、雑念除去とか」
なるほどと頷いたシグナムが、興味津々で目を輝かせている。
しかし、何故ザフィーラがそんなことをしているのか。
はやてには一つ、思い当たる節があった。
ザフィーラの精神力、忍耐力はヴォルケンリッター全員が毛ほどの異議もなく認めるところである。
しかし、一つだけ、ザフィーラには弱点がある。というよりも、はやてが弱点を作ってしまった。
ヴォルケンリッターとしての最大のタブー。異性の主への、性欲を伴った慕情である。
だが、それに火を付けたのも煽ったのもはやて自身であった。その意味においてザフィーラに責任はない。
しかし、いくら言い聞かせてもザフィーラは「自分が悪い。楯の守護獣としての恥だ」と言いはるのだ。
「ほな、ザフィーラは私のことが嫌いなんか?」
「滅相もありません」
「私を抱いたことを後悔してるんか?」
「違います」
「せやったら、何がアカンの? 好きなもん同士が抱き合うて、誰に後ろ指指されることがあるの?」
「守護騎士としての我自身です」
「シグナムやシャマル、ヴィータに好きな人ができたら、ザフィーラはそうやって止めるんか?
守護騎士は恋愛したらアカン、そう言うて止めるんか? 違うやろ? どうして自分だけがアカンの?」
「主は違う、他の者とは違うのです」
「何が違うの! 私かて一緒や、女やねんで!」
「……忘れねば…ならないのです。我の、主への歪んだ想いなど」
そのやりとりが、昨夜のことだった。
2
ザフィーラのうなじに顔を埋めて、少し獣の混ざった男の体臭を吸い込む。
汗ばんだこの匂いを、はやてはいつの間にか好きになっていた。
性交そのものよりも、終わった後のこの行為に安らぎを感じてしまう自分がいる。
「落ち着くなぁ…」
そして厚い胸板に抱かれて眠ること。
ザフィーラと共に眠った翌朝は、家人の誰よりも早く起きて、何事もなかったかのように朝食を作る。
万が一寝過ごして、ヴィータにでも起こしに来られたらどうなることやら。
狼の剥製が欲しいと思ったことは一度もないし、これからも手に入れるつもりはない。
事後の疲れも手伝って心地よく微睡んでいると、突然ザフィーラが言い始めたのだ。
「もう、やめませんか。はやて」
事の前後は主と呼ばないで。それがはやてのただ一つの、これに関する命令だった。
だから、はやてと呼ばれたことには何の疑問もなかった。ただ、その前の部分がはやてを微睡みからたたき起こしたのだ。
もう、やめませんか。
何を、とは聞かない。予測してしまったから。その予測を確認したくないから。聞きたくないから。
だからただ、「おやすみ」とだけ言った。
「無言の承諾だと、理解します」
次の瞬間、なんでや、と食ってかかっていた。そして、前述のやりとりである。
「主を愛した我の罪です」
主、とは呼ばないはずだった、それが情事の前後ならば。
ザフィーラはその命令を忘れるような騎士ではない。
ならば答は一つ。既に終わったのだ。
これは情事の後のふれあいなどではない。ただの添い寝。
「……私は、ザフィーラにふられたんか?」
「いえ、我が分を思い出したのです。楯の守護獣の分を」
他に好きな人がいる。そう言われた方が楽だ、とはやては思った。
しかしそれがただの自分に対する見栄だということを、はやては思い知ることになる。
3
フェイトの車の助手席で、はやては風景を眺めていた。後部にはシグナムとヴィータが乗っている。
「すまないな、テスタロッサ。主だけでなく私たちまで」
「ついでだから気にしないで。一人載せるも三人載せるも変わりませんから」
私用ではやてを訪れたフェイトが、そのまま六課まで三人を送っているのだ。
「なあなあ、最近ザフィーラがウチにいることが多いんだけど、ヴィヴィオはもういいのか?」
「学校に通い始めるから、いくら何でも学校までザフィーラに着いていて貰うわけにも行かないし。今の内に慣れておくの」
「そっか、学校か。そう言えばエリオとキャロの奴も……」
助手席から低い呻き声。
運転しているフェイトを除いた二人が助手席に目をやると、はやてが俯いていた。
心配する二人に何でもない、と答え、はやては再び風景に目をやる。
はやてが見て、後の三人が気付かなかった風景。
仲睦まじく座る、二匹の狼の姿。
「どうかしたの? はやて?」
フェイトも視線こそ向けないが、異変には気付いている。
「なんでもないよ。フェイトちゃんは運転に集中せえへんと危ないよ?」
そのまま黙り、三人がエリオとキャロについて話すのに耳を傾ける。そして少しすると、突然思いついたように口を開いた。
「なのはちゃんとユーノ君の事やねんけど、もしユーノ君が別の女に誘惑されて間違いを犯したら、どうする?」
いきなりの質問に首を傾げるフェイト。
「唐突だね。それは、ユーノが浮気したって事じゃなくて?」
「悪いのはユーノ君を誘惑した女狐や」
「だったら、その女の人を懲らしめるよ。なのはも哀しむだろうしね」
「うん。それが普通やな。さすがはフェイトちゃんや、モノの道理がわかってる」
その答に満足したように、はやては大きく頷いて三度風景に没頭する。
「フェイトちゃん。使い魔の躾はちゃんとせなあかんよ?」
唇の奥の呟きは、誰にも聞こえなかった……
以上。
次回に続きます。
>352
お疲れ様です。
俺はwikiを弄った事がないのでよく分からないのですが、タグの切り貼りって結構手のかかるものなんですか?
それほど手間にならないならタグが軽くなるように、
・スレのタグ全体削除(スレ順を気にする人はいないような
・意味の重複タグ削除(ターンa(65) ターンa(2) ゚д゚)・∵.(67) ゚д゚)(66 や A×B B×A など
・長編、短編タグ削除(キャラで検索するので多分使わない
・数字(○○スレ○○とかきっと本人も覚えていない
という案を挙げまする。
でもビックリするくらい面倒な作業になるなら現状維持。
気持ち的にはタグをどうにか使える段階の軽さになって欲しいと願います、あるとやっぱり便利なので。
>>352 お疲れ様です。いつもありがとう。
下手にいじくるとそれはそれでまた問題が起こりそうなので、現状維持が最善かと。
とりあえず
>>363さんの案には個人的に反対です。
まとめwikiのタグ表記が変わってるのはお試し期間中なの?
タグ一覧ページを出そうとしたら、やたらと重くて使い辛くてちょっといらいらした
下手にいじるよりは現状維持がいいと思う。使い慣れてるし
>>362 ちょwwwwwwwwwww
アルフにランクSSはキツすぎないか?
懐に入り込めれば勝算はあるかもしれないが……
次回期待ッス!
>>352 お疲れさまです
>>363さんに一票
減らせるものは削れるといいですね
個人的には作者タグと読み逃したスレのtextだけ利用してます
>>332 GJ!!です。
姓と名がやっと分かりましたw
姓の方をたどっていけば、未来の旦那が見つかるのかwww
>>366 タイマンならはやてはむしろ弱い部類らしいんだぜ
>>366 ガチの殴り合いでは
キャロ(竜無し)>はやて、なんだぜ
>>370 部隊長の自己申告だからなあ。
夜天の揉み手だからものすごい機動力でキャロの胸を揉みしだいて戦闘不能に持ち込む可能性も。
>>372 未成熟な青い果実をふくよかに育てるのも部隊長の大事な仕事のひとつや。
小さいほうが感度がいいってエロ本に書いてあった
>>371 だがまぁアレだ
自然で育った野生児と歩く事が出来なかった少女こう書けば
その申告も真実味を増す訳だが
>>375 しかし、ポッと出の経験値無し娘が
魔法最強になれる作品なわけでw
>>376 魔法最強=戦闘最強
という訳でもあるまいし
でも三人娘くらいの魔導士だと戦術や戦略を個人の戦力で圧倒するからなぁ……
ここまでエロなし
何のためのスレ
380 :
ザ・シガー:2008/05/07(水) 18:24:16 ID:LO6UdLZ8
突然だけど投下する。
「風の癒し手 恋をする」の第二話、非エロ、シャマルさんメインでオリ男が出ますそういうの駄目な人はスルーしてくださいな。
風の癒し手 恋をする2
昔とある本にこんな言葉が書いてあった“恋はいつだって唐突だ”正にその通りだろう。
それは誰にでも言える事象であり、古代ベルカの騎士である風の癒し手とて十分に当てはまる話だった
夜天の守護騎士ヴォルケンリッターが一人にして風の癒し手、シャマルは恋に落ちた。
それは数百年という永き時を生きた彼女の胸の内に生まれた初めての恋の芽吹きである。
お相手は諸々の事情で出向する事になった地上本部医務室によく来るとある青年。
何故彼を好いたのか、理由はシャマル本人にも分からない。あえて言うならば乙女回路がスパークしたとしか言い様が無いだろう。
だがそんな淡い初恋も、恋と気付いた時にへし折られていてはお話にもならなかった。
□
清々しい朝、朗らかな陽気の中で小鳥がさえずり、澄んだ空気が肺腑を満たす。
そんな申し分の無い素晴らしい目覚めの時間だが、そんな事など失恋に沈む乙女には関係ない。
癒し手はこの世の終わりのような不景気さで、ただただ沈痛な溜息を漏らした。
「はぁ‥‥」
溜息をつくと幸せが逃げるなんて言うが、シャマルの吐いた溜息はそれ以外にも魂やらリンカーコアやらもう色々と吐き出しそうな勢いである。
見ているだけでこっちまで鬱気が感染しそうなマイナスオーラに、朝食の席に集った八神家の面々はいささか面食らってしまった。
いつも明るく笑顔を絶やさないシャマルに何が起こったのか? 八神家各員この状況に即座に念話で会議を開始する。
(なんや、シャマルがまるで空気が抜けた風船みたいやな。皆なんか知らへん?)
(分かんねえなぁ)
(私も特に知りませんが)
(心当たりはありませんね)
(リインもです)
(なんや誰も知らへんの? ほんならここは私が先陣を切って話し聞いてみよか)
略式家族会議終了、はやては意を決してシャマルに視線を向けると相変わらずボケッとした顔で溜息を吐いている彼女にコンタクトを試みた。
「なあシャマル、今日はどないしたん? なんかあったん?」
はやての言葉にシャマルはまるで今はやて達の存在に気付いたとでも言わんばかりな様子で呆けていた顔を向ける。
その顔は相変わらず“心ここにあらず”といった風情で、まるで魂の抜けたようにポカンとしていた。
「ああ‥‥はやてちゃん‥」
「なんかボケっとしてるけどなんかあったん?」
「ん‥別に何かあったって訳じゃないかえど。‥‥‥ねえはやてちゃん‥‥ちょっと聞いていいかしら?」
「なんや? なんでも言うてみ?」
「好きな人から貰って嬉しいモノってどんなの?」
「へ? いきなりなんなん? 藪から棒に」
思いもよらぬ質問を投げかけられてはやては少しばかりマヌケな表情と声で聞き返す。
もちろんはやてが思い起こすのは恋人である部隊長補佐グリフィスの事だった。
しかしいきなりこんな話を振られてはどう返して良いものやら。
「良いから教えてちょうだい」
「う〜ん、いきなり難しい質問やねぇ。なにか特定の物を貰ったから嬉しいって訳やないから‥‥」
「そう‥‥じゃあシグナムは?」
「な、何故私に聞く?」
「だってヴァイス君と良い感じじゃない」
「ちょっ! 何故そこでヴァイスの名前が出てくる!?」
シャマルにヴァイスの話を振られたシグナムは顔を真っ赤にしてアタフタと大慌てする。
もう図星としか言い様が無いが、そこにあえて触れないのは騎士の情けだろう。
しかし今日の癒し手には情け容赦など無い。
「もったいぶらないで教なさいよ」
「いや‥その‥‥えっと‥」
シャマルがグイと詰め寄って問いただす。シグナムは耳まで朱に染めて真っ赤にして言い淀んでしまう。
ふとシャマルは視線をシグナムの手に向ける、そこには将が恋人のヘリパイロットから贈られた銀のブレスレットがはめられていた。
「ねえ、やっぱりそういうアクセサリーとかが良いの?」
「え? ああ‥‥これか‥」
シグナムはそう言いながら自分の手に巻かれた鈍い銀の光沢を愛おしそうに指でなぞる。
その表情は常に纏っている凛然とした鋭さの消えたひどく穏やかなもので、烈火の二つ名が嘘のような優しさを孕んでいた。
将のその様子にはやてもまた“うんうん”と頷きながら感慨深そうに口を開く。
「確かにいつも身に付けていられる物はええよね。贈ってくれた相手を身近に感じられるし」
「そうですね」
「そう‥‥ねえ二人とも、もう一つだけ聞いて良い?」
「ん? なんだ?」
「なんでも聞いてみ?」
「キスってどんな味?」
シャマルが数瞬の間を以って口にした次の質問に朝の爽やかな空気はなんとも形容し難い微妙なものへと変質した。
というかぶっちゃけ、あまりのぶっ飛んだ質問に思考が停止した。
沈黙、ただただ沈黙そして破堤。
「はぁ!? どうしたシャマル? 遂に脳みそがショートしたか?」
「い、いきなりナニ言っとるんや!?」
「そ、そうだぞ! なにを突然!?」
「別にただ‥‥レモンの味はするのかと思って‥」
「「「「はい〜!?」」」」
風の癒し手シャマル、なんかもうダメダメだった。
あえて言うなら恋という名の不治の病、その末期症状とでも言うべきか。
□
「はぁ‥‥」
シャマルの溜息、これで本日267回目である。
風の癒し手は壁にかけられた時計を見ては溜息を吐き、眼に見えそうなくらいに大変不景気なオーラを展開していた。
日がほんの少しだけ傾き時計の短針が5を過ぎる、もうじき彼がこの部屋にやって来る時間だ。
あのケビンという青年は毎日毎日、それこそ日課の如く医務室に来るのだから今日もキッチリ同じ時間にやって来る事だろう。
シャマルは想う、もう失恋であると気付きながらもあの青年の事を。
(ああ、もうこんな時間‥‥もうすぐ来るのかな。会いたい‥‥けど会いたくないなぁ)
完全に相反する矛盾した思い、まったくもって乙女心は複雑だ。
恋する乙女の思考回路は複雑怪奇かつ難解極まりなく、これを理解するのはどんな高度な知性体でも不可能だろう。
かくしてシャマルは恋する相手を想い、何度もその脳裏で彼の姿を思い描いた。
(そういえばあの人って結構良い身体してるわよねぇ、肩幅広くて胸板厚くて‥‥ギュって抱きしめられたら気持ち良さそう‥‥‥って! 私なに妄想してんの!?)
自然と湧き出た自分の妄想を振り払うようにシャマルはブンブンと手を振って、脳内に思い描いていた映像をかき消す。
もしもこの場で第三者が彼女の様子を見たら、ただの危ないお姉さんにしか見えないだろう。
そして運悪くシャマルが医務官のお姉さんから単なる変な姉ちゃんになってるところに人影が一つ近づいて来る。
どうやら運命の神は彼女に悪戯したいようだ。
そして彼女が奇行に走っているところで勢い良く医務室のドアが開け放たれた。
「シャマル先生、失礼します」
件の青年ケビン、最高に間の悪いタイミングで登場。
医務室に入った途端に彼の目に飛び込んできたのは何やら顔を真っ赤にして“やんやん”と手をブンブン振っているシャマルの姿だった。
空中で交わる両者の視線、なんとも例え様の無い沈黙が場を完膚なきまでに支配した。
重くて気不味い空気、呼吸すら困難に思える空間、ただ二人は瞬きするのも忘れて見つめ合う。
「し、失礼しました‥‥」
「ちょっ! 待った!ストップ!ドンムーブ!! 行かないでぇ〜引かないでぇ〜」
「は、はあ‥‥」
何とも言えぬ空気に部屋を後にしようとした彼を、シャマルはアタフタと慌てて引き止める。
顔をさらに真っ赤にして慌てふためくその姿は、本人に言ったらかなり失礼だが結構可愛かったりした。
「え〜っと‥‥‥コホン、で? なにか用かしら、またケガでもした?」
シャマルは一つ咳をして白衣の襟元を整える、もうさっきの醜態はなかったかのような振る舞いだ。
っていうかむしろ忘れたいというのが本音だろう、たぶん。
「はい、今日は別にケガしたって訳じゃないんです。今日はオフィスワークでしたから‥‥実は先日お話した件で」
“先日の件”その言葉が彼の口から出た瞬間、シャマルは胸に鋭く尖った針を突き立てられたかのような痛みを感じる。
彼が誰か好きな女性にプレゼントを贈るという話、その相談に乗ったシャマルは彼に“今度、良い案を考える”と返した。
ならば、彼が今日ここに来てこんな話を切り出す理由は推して知るべし。
「ああ‥‥その話ね‥」
「ええ、それで何か良いアイディアはありましたか?」
「‥‥うん‥あのね‥‥色々考えたんだけど‥‥アクセサリーとか良いと思うわ」
「アクセサリーですか?」
「ええ‥‥いつも身に付けていられる物ならきっと貰って嬉しい筈だから‥」
「そうですか、ありがとうございます!」
彼に明るい朗らかな笑みを浮かべて礼を言われ、癒し手の胸の奥その深い深い所に鉤を持った針が刺さっていった。
きっと彼のこの微笑みの明るさと温もりを知るのは自分以外の女性なのだ。
その事を思うと心が痛くてしょうがない、胸が切ないくらいに締め付けられる。
今にも涙が出そうになった、でもシャマルは耐えていつもの笑顔を保った。
彼の前で曇った哀しい顔なんて見せたくないから。
「そうだシャマル先生、これおみやげです。お礼と言ってはなんですが、どうか食べてください」
青年はそう言って、手にした荷物の中から紙箱を取り出す。
その箱にはミッドでも有名な洋菓子店の名前が印刷されており、中から漂う甘い芳香が酷く食欲を誘っていた。
中身はどうやらケーキらしい、シャマルは荒れ狂う心と裏腹な明るい笑みでそれを快く受け取る。
「うん、ありがと」
「いえ、どういたしまして。それじゃあそろそろお暇しますね、早速プレゼントを買いに行きますよ」
「そう‥‥頑張ってね‥」
「ええ、それじゃあ失礼します」
彼はそう言うと医務室を後にする。
後には甘い芳香を放つ紙箱と白衣の医務官だけが残された。
シャマルはしばし呆然と渡された箱を眺める、その脳裏を駆けるのは先ほど部屋を出て行った青年の事。
高い身長にガッシリとした身体、短く切りそろえられた髪はボサボサして不精な雰囲気を持っている、美しいとは言えないかもしれないが不快感など微塵も感じさせない整った顔立ち、そして澄んだ瞳とよく透る声。
シャマルはしばらくの間物思いに耽ると、思い立ったように立ち上がり医務室に自分が置いたコーヒーメーカーに近づいていった。
馴れた手付きでコーヒーを淹れると、湯気の立つカップにミルクと砂糖をたっぷり入れて自分好みに味を調整する。
机の上にランチョンマットを敷き、コーヒーで満たしたカップとケーキを乗せた皿を用意してフォークを取り出す。
少し遅い午後のティータイムの準備を整えると甘い芳香を放つケーキに早速フォークを伸ばした。
切り取られた洋菓子の一片は口に運ばれ、彼女の舌の上に蕩けるような甘さを提供した。
「うん‥‥美味しい」
誰も聞く者のない呟きを漏らしてシャマルは上質なスイーツの甘さに舌鼓を打つ。
一口、二口、コーヒーと共にケーキは彼女の口内に運ばれていく。
だがその味は時間と共にひどく変質していった‥‥
「なんか‥‥‥しょっぱいな‥」
シャマルはそう呟きそっと自分の目元を拭った、彼女の瞳からは後から後から透明な涙の雫が零れている。
雫の零れ落ちたケーキもコーヒーも、どんどんしょっぱい味になっていた。
しばしの間、医務室には癒し手の嗚咽が響いていた。
続く。
386 :
ザ・シガー:2008/05/07(水) 18:32:21 ID:LO6UdLZ8
投下終了です。
シャマルさんの初恋やいかに!? 待て次回。
しかし、シグナム姐さんとヴァイスの関係をここで出したら「烈火の将は〜」と世界観共有になるという事に今気付いた。
つまりこのシャマル先生はあの死神シャマルと同一人物という事に‥‥なんつうカオスやねん。
あ〜、あとはヴィータ書けば八神家コンプリートだ〜♪ がんばろっと。
>>386 えっ?じゃあグリフィスはクロメガネ
にげて〜はやて超逃げて〜!!GJ
>>348 ああああとうとう次週がラストか・・・
アリシア・・・・エリオもフェイトもかわいそうすぎる・・・・
なんとか奇跡が起こらないものか。
もし起こらないとしてもしっかりと見届けたいと思います
GJ!!
>>386 あ〜もうGood job!!
シャマル好きな人間としては嬉しい作品です。
ただ、あの世界のシャマルと同一人物ってww
390 :
B・A:2008/05/07(水) 21:39:54 ID:GXw5c6Eu
>>379 なるほど、確かに本スレでは少ない。
よし、書いてみよう。今夜中に書きあがるかはわからないけど。
391 :
わさび:2008/05/07(水) 21:41:53 ID:hHwYteaD
履歴書を書く、面接のイメトレ、SPI対策中に湧き出てくるMOUSOUの量は異常。
良くも悪くも、落ち着いて、出来上がったここに投下しに戻って来ても良いですか。
GOGOGO!
あ、すみません。
「できあがったら」でorz
しかし、就活ヤマ場に何してる、自分
394 :
26-111:2008/05/07(水) 22:21:08 ID:gHLDLDlp
OK。まずは就活を頑張ってくれ
落ち着いたらまた顔を見せに来てくれると嬉しい。投下と同じくらい、良い報せが聞ける日を待ってますよ
今後の保管作業について、
保管作品のタグについては、当面も現状のまま保管していこうと思います
メインページのレイアウト、その他に関しては司書長殿の判断を全力で支持します
>>363氏
スマン。アイデアはありがたいけど、憤死するくらい面倒なので実行は無理だ
あと、○○スレ○○というタグは著者名なので消せない
67スレ、保管してきます
>>391 俺も就活中だが毎日見てるぜw
SPIの対策なんてやってねぇーw
試験中に妄想は出てくる、特に作文やってるときに。
部下教育中に妄想している俺は勝ち組(違)
wikiの事で提案なんですが
タグを検索をできるようにすれば良いんじゃないんでしょうか
例えば、「なのは」と入力したら「なのは」もしくはそれに関係するタグが出るようにして
そのタグの中からクリックしてそのタグのついた作品を表示する、という感じで
あまり意味ないような気もするし、ゆとりの戯言なので無視してくださって結構です
398 :
26-111:2008/05/07(水) 23:41:48 ID:gHLDLDlp
保管庫からの業務連絡です
67スレの保管作業が終了しました。執筆陣諸兄は確認をお願いします
こちらは引き続き保管業務を継続します
・連絡事項
>>野狗氏
勝手ながら、貴兄の「おにぎりの話」は短編として一本に纏めさせていただきました。確認をお願いします
連休が欲しかったナァァァァァァーーーーーーーッ!!!!!!!
>>398 問題なしです。お手数おかけしました<(_ _)>
400 :
263:2008/05/08(木) 00:33:03 ID:tiaMuldl
>>263です
>26-111氏
司書殿毎度お疲れ様です
livedoorのwikiは編集したことはありませんが(他のwikiならぼちぼちと)タグの切り貼りはかなり手間がかかりそうですね
まず開拓すべきはタグの一覧ではないでしょうか
現在のトップの「タグ一覧」は「全て」で全部検索するので激重です
「タグ一覧」を選ぶと「キャラ名」「ジャンル」「著者名」「数字、ID(名無し著者名)」などのような一覧ページを表示するようにはできないのでしょうか?
このまとめ方ならタグの削除自体はないので余計な混乱はないかと
自分で編集できればいいんですがね・・・
401 :
B・A:2008/05/08(木) 01:31:57 ID:HocDFz36
よし、なんとか仕上がった。
エロいの投下しますが、今良いですか?
カモーンカモーンカモォォォォォン
403 :
B・A:2008/05/08(木) 01:41:27 ID:HocDFz36
照準よーし、目標、マニアックな層・・・・投下!
注意事項
・はやてが触手に犯されます
・触手だけど機械の触手です
・ちょっとえぐい攻めがあります。肛門とか尿道とかニプルファック(ソフト)が苦手な人はスルーを
ため息をつきながら、はやてはクラナガンの自宅のソファに深々と腰かけた。
キャリアの浅い若手が自分の部隊を持つというのは口で言うほど簡単なことではない。
施設や人材の確保、当局への根回しに後ろ盾になってくれる後援者探しなど、やるべきことはたくさんある。
そのため、ここ最近はやてはほとんど家に帰らず部隊設立のために奔走していた。
「ふぅ・・・・折角久しぶりに帰って来れたのに、誰もおれへんのは寂しいなぁ・・・・・・」
シグナムはリィンを連れて出張中であり、ヴィータとシャマル、ザフィーラは頻繁に出現するようになった
ガジェットへの対応で今夜は帰れないらしい。なので、今夜は1人寂しく夜を過ごすことになりそうだ。
そう思ってうとうとしだした時、不意にインターホンが鳴った。
「はーい、どちらさんですか?」
「ちわー、JS通信販売っス! お申し込みされた商品を届けに来たっス!」
「ああ、ご苦労さまです。今開けますね」
玄関の扉を開けると、元気そうな赤髪の少女が巨大な段ボール箱を担ぎながら陽気な笑顔を浮かべていた。
「八神さんっスね、JS通販のウェンディっス! こちら、中までお持ちした方が良いっスか!?」
「できたらお願いします・・・・あら、見かけによらず力持ちなんですね」
「これでも鍛えてるっスから・・・・・ああ、ついでに設置もしておくっス」
「ほんまに? ありがとうございます」
「いえいえ・・・・・あ、ここにハンコ貰えるっスか?」
「ここですね・・・・はい」
「サンキューっス! それでは、今後ともご贔屓に! ありがとうございやしたー!」
見ていてこっちが元気になりそうな笑顔を残し、ウェンディと名乗った少女は立ち去った。
綺麗に折り畳まれて脇に置かれている段ボール箱は大人1人が隠れられるくらい大きく、側面にはでかでかと『ご家庭の味方、JS通信販売サービス』とキャッチコピーが描かれていた。
そして、その中に入っていたのははやてが日頃の疲れを癒すために通信販売で購入したマッサージチェアだった。
「うんうん、私が家にいる時に届いて良かったわ・・・・・さて、座り心地はどんな感じかなぁ?」
意気揚揚とはやてはマッサージチェアの上に腰かけた。
柔らかい革の肌触りとフカフカのクッションは、何だか腰かけただけで眠くなりそうだった。
背中をマッサージするローラーが当たって少しだけ痛いのが難点だが、それはマッサージチェアならば仕方のないことなので我慢しよう。
「それでは・・・・初マッサージ、GO!」
興奮からかいつもよりも幾分高いテンションとなったはやては備え付けのリモコンを手に取り、お気軽コースと書かれたボタンを押した。
一瞬の間を空け、椅子の内部に仕掛けられた仕掛けが作動する。脛や腰に当たる部分が風船のように膨らみ、背中のローラーも回転しながらマッサージを開始した。
「あぁ・・・・これはええわぁ・・・・・・」
無機質だが焦らすような愛撫は疲れた体にえも言えぬ快感を与えてくれる。だが、そんな気持ちの良い時間は僅か10分で終了となってしまった。
どうやら、お気軽コースは10分間だけの文字通り気軽にマッサージを楽しむためのコースらしい。
「なんや、味気ないなぁ・・・・ならこっちはどうや?」
続いてはやてはじっくりコースと書かれたボタンを押した。すると、今度はさっきよりも強めの刺激が全身を包みこみ、
首や足の裏なだ先ほどは刺激されなかった部位の仕掛けも動き出した。どうやら、こちらは全ての仕掛けを使ってじっくり時間をかけてマッサージを楽しむコースのようだ。
「あぁ、これはえぇ・・・・・ほんま、これ買うて良かったわぁ・・・・・・シグナムやシャマルもきっと気に入るやろうなぁ・・・・・・・・」
余りの気持ちよさにはやての声は震えていた。そうしてしばらくの間マッサージチェアを堪能していたはやてではあったが、ふとリモコンに見慣れないボタンがあることに気がついた。
「なんや? 天国コース?」
天国にいるような気持ちよさを味わえるのだろうか? 今でも十分極楽気分だというのに、それ以上とはいったいどんなものなのかはやては興味が沸いた。
そして、思わずそのボタンに手をかけてしまった。
《天国モード起動! 天国モード起動!》
「え? なんや!?」
突然、マッサージチェアから合成音声が聞こえてきた。同時に、足下と肘かけから飛び出した拘束具によって動きを封じられてしまう。
《AMF展開・・・・・では、ごゆるりとお楽しみください》
「な、なんでマッサージチェアがAMFを・・・・あぁ、な、なっ・・・・・!?」
驚きは更なる驚きによってかき消されてしまう。なんと、椅子の真下から幾本もの触手が飛び出し、はやての体にまとわり始めたのだ。
「やぁ・・・なんやこれ・・・・あぁ、ちょっ、変なところ弄ったら・・・・あぁ・・・・・」
触手は服の中に入り込むと、無防備な胸や恥部を刺激し始めた。
不快感とくすぐったさではやては身を捩るが、拘束具はがっちりと固定されていてビクともしなかった。
ならば電源を切ってしまえと考えたが、生憎、触手が飛び出した際の衝撃で手にしていたリモコンを取り落としてしまっていた。
コンセントを抜こうにもコードは背面にあるため、はやてにはどうすることもできなかった。
(ま、まあ・・・・・時間が過ぎれば解放してくれるやろう。そしたらこんなポンコツはクーリングオフや・・・・・)
そんなことを考えながら、はやては壁の時計に目をやった。
お気軽コースは10分。
じっくりコースは最後まで体験しなかったが、リモコンには30分と表記されていた。
ならば、この天国コースとやらは最低でもそれ以上ということになる。果たして、それまで耐え切れるだろうか?
「だ、大丈夫や・・・・私は夜天の王・・ヴォルケンリッターの主やで・・・・こんな、訳のわからん椅子なんか・・・・ひゃぁぁっ!!」
不意を突くような膣への攻撃に、はやての言葉が途切れる。
見ると、股間の部分から体を這いまわるものとは違う極細の触手が生えており、それがはやての秘唇を舐め回していたのだ。
「ひゃぁ・・・やめぇっ・・あぁ、あはぁん・・・・」
触手たちの微細な刺激にはやての体は少しずつ感じ始めていた。既に秘唇は愛液で滲みだしており、
触手にかき回される度に太ももがグジュグジュと汚れていっている。更に胸を愛撫していた触手もはやての性感帯を見抜き、徐々に動きを激しくしていく。
「あぁ・・・はっ・・やぁぁっ・・・ちがっ、あぁぁっ・・・も、だめ・・・・感じ・・て・・・くぅっ・・・」
美貌が歪み、お尻を痙攣させながら苦悶とも悦とも取れる声を漏らす。
やがて股間を苛めていた極細触手の代わり、新たな物体が出現した。それは人間の男性器を模して造られたバイブレーターだったが、
シルエットこそ人間のものをそう変わらないそれは男性器の平均的な大きさを遙かに逸脱しており、また根元にまでびっしりとイボが生えていた。
「やぁ・・・・待って・・・そんなん無理、無理やから・・・・・」
そんな懇願を意思のない機械が聞き入れてくれるはずがなく、愛液で濡れそぼった膣に容赦なく挿入される。
易々と膣道を押し広げたバイブレーターはイボの先端までもが振動しており、ぐちゃりという音を響かせてはやての愛液を膣の外へと押し出していく。
「あはあぁぁぁぁぁ!! ふ、太い・・・引っかかって・・・・いイッ、あっ・・・・かはっ・・・・んはぁぁぁ!!!」
恥も外聞もかなぐり捨て、はやては首を振って泣き喚いた。
圧迫感で息がうまくできず、瞬間的な酸欠を起こしていしまう。それでも目覚めてしまった女性としての本能が刺激を求めて劣情を燃え上がらせ、
更なる快感を得ようと固定されている腰を僅かではあるが動かしていた。
そんなはやての思いに応えようと、マッサージチェアは新たな攻めを開始する。
膣を犯していたバイブレーターが、ドリルのように回転を始めたのである。
「ひっ!? あっ・・・・ひいっ!! あっ・・・いああああっ!!」
涙を流して首を振り、動かぬ腰を必死に悶えさせようとはやてはもがく。膣が抉れてしまうかと錯覚するくらいの勢いだったが、
不思議と痛みは感じなかった。それもそのはず、バイブレーターのイボの先や触手の表面からは女性を悦ばせるための媚薬が絶えず漏れ出ており、
それによってはやては恐ろしいまでの感度を有し、激しい痛みでも快楽に感じてしまう体に知らず知らずの内に改造されてしまったのだ。
「あはっ・・あぁぁ・・・うあぁ・あ・・あかん・・・いいぃっ・・・あぁぁっ!!!!」
いつの間にか肛門にもボールを繋げたような触手が差し込まれ、激しい前後運動を行っていた。
直腸を抉られるという未体験の感覚にはやては恍惚とした表情を浮かべ、呂律の回らない舌を突き出して不規則に痙攣を繰り返す。
だが、真の攻めはここから始まった。
「へぇっ・・・・・あはぁ・・・・今度はなんなん? なんあ・・あ・あ・・あぁあっ・・・あはぁっ!」
新たに出現した触手は最初に膣を攻めていたものと同じく極細だったが、その先端はまるでドリルのように捩じれていた。
それが狙う場所はただ1つ、身動きの取れないはやての尿道だ。
「ちょっ・・・それむ・・・むり・・・あぁ・・・ひゃめへっ、あ! く・・・ふぁああんっ! 入って・・・・入ってるぅ・・・・」
グリグリと回転しながらドリル触手ははやての尿道へと侵入した。更に別の極細触手が陰核や乳首に巻きつき、はやてに快楽を与えようと激しい愛撫を繰り返す。
「へあ・・・・ぁッ・・・らめ・・・おかひくな・・・ぁあああぁぁあぁ・・・・・・・!!!!」
絶頂が近づいていることを察し、触手たちの動きがさらに激しさを増す。股間や胸以外の感じてくそそうな場所に殺到し、脇や太もも、耳たぶや臍、毛穴に至るまで全身の隅々を責め立てていく。
「やぁ・・・も・・アッ! あぁぁぁ・・・・・はあああぁぁぁ!!!!!!」
容赦のない三点責めを受けていた股間がヒクヒクと震えだし、膣内が痙攣しながら締まり出す。
「くるっ・・・・あぁっ・・・・・イク! イってまう・・・・あぁあっ、あぁ・・・・・イクっ、はあああああああぁぁぁぁっ!!!!」
頭の中で桃色の光がスパークし、視界が染まっていく。絶頂とともに膀胱が決壊し、ドリル触手の隙間から黄金色の雫が飛んだ。
(あかん・・・・こんなん、耐えられへん・・・・・・・)
霞んでいく意識で時計に目をやると、既に天国モードが起動してから1時間が経とうとしていた。
「へ?」
《本モードは6時間コースとなっております。なお、6時間以内に絶頂の回数が規定回数に届かなかった場合、
ご満足頂けなかったとして更に6時間追加させていただきます》
非情なその言葉に、はやての顔から血の気が引いた。
直後、動きを止めていた触手たちが再度行動を開始した。それも、はやてが感じる全ての場所を、同時に再攻撃したのだ。
「ぅあああっ!? は・・・あ! ふぁぁあああああああっ・・・・・・・」
一度目の余韻が覚めやらぬ中、すぐに二度目の絶頂が訪れる。
股間のバイブレーターがGスポットを責め立て、股間には無数の極細触手が殺到する。尿道はおろか、乳首の中まで触手たちは進入し、媚薬をまき散らしていく。
どんどん熱くなっていく体に僅かに残っていた理性は霞んでいき、悦楽の本能で塗り潰されていく。
「はあ・・・、はぁ・・・・はぁ・・・・ふぁんっ! いぃっ・・もっと、もっとしてぇ・・・あぁ・・・あはあっ・・・・また・・へぇあぁあぁあああああぁぁぁっっ!!!」
三度目の絶頂。
それでも触手たちの動きは止まらない。
残り4時間と少し、それまでこの快楽の地獄から逃れる術はない。
「いくぐぅぅぅぅゅ!! あぁぁっ! ふぁあんっ!! ひぁああぁっ!!!」
繰り返されるアクメに、はやては最後の理性を手放すことにした。
だって、こんなに気持ち良いのだ。そんなものがあっては邪魔になるだけだ。
そして、孤独な八神家の夜は少しずつ更けていった。
おわり
408 :
B・A:2008/05/08(木) 02:01:47 ID:HocDFz36
以上です。
前々から書こう書こうと思っていたネタ、通販で購入したマッサージチェアが触手椅子だった。
書いていて思ったんだけど、これってリンディさんでもいけそうな気が・・・・・・人妻補正って怖いなぁ。
>>408 THE・エロパロ!!
こんなにエグイ発想のSSが見れるなんて……
GJでした!
410 :
ツンデレ王子:2008/05/08(木) 02:35:17 ID:j/nRlInO
>>386 GJ!
いいですねぇ、私も貴方の様に上手くシャマルを描きたいっす
で、感想なんですが
やっぱ『シャマルには失恋の涙が良く似合う』と思いますね
しかし、やっぱ彼女の恋は成就して欲しいという相反する想いも有ったり^^;
次回、期待してます
司書様
毎度の保管作業、お疲れさまです
ところで
【なのはさんは黒光りするアレが苦手なのです】内の
772 名無しさん@ピンキー sage 2008/04/25(金) 01:42:14 ID:UMlQ+NFm
と
幻術で見えなくしたゴキブリをそっと張り付かせる。
頃合いを見て実体化。
ティアナとルーだとこんな攻撃が可能!?
これでなのはさんにも勝つる!
は私の書いた部分では無いですので削除をお願いしても宜しいでしょうか?
>>400 最後の行の意図がよくわからないが。。
理由があってできないなら、できないとはっきりした方がよいのでは。
できるならぜひアカウントをとってやっていただきたいですが。
>>408 GJ!
もう、こんなエロなアイテムを思いつくなんて貴方は何て人だ!
GJでしか評価できない自身の語彙の無さを情けなく思ってしまう
>JS通信販売
笑ったw しかもソレを届けたのがウェンディとはw
>>408 うおおお、GJ!
リンディさんバージョンもぜひ!w
>>408 エ・ロ・ス! エ・ロ・ス!
しかしこのSSを見るまでここがエロパロスレだという事を忘れていたぜ……w
>>408 うんうん、やはり直球エロはいい!
ありがとう、GJ!
>408
GJ!
堪能させて貰いました。
>これってリンディさんでもいけそうな気が
機能を判った上でそれ目的で購入したリンディーの留守中に、たまたま来ていて留守を預かっていたフェイトが単なるマッサージチェアと思い使って天国に行くとか、
その途中にリンディーが帰って来て、そのまま百合展開とか、夫に内緒で買って使ってたエイミィと、何も知らず良い物あると思って内緒でそれを使い、新しい世界を
知るとともに天国に行くクロノとか、エロ機能を知らずにユーノにプレゼントしてしまうなのはさんと、大変な目にあい新しい世界に目覚めるユーノとか・・・
きっと淫獣は、古代より眠っていたチェアのさらなる力を引き出し、
いっそうの淫欲のカオスに皆を叩き込むと信じている。
>418
椅子により天国に送られたユーノがその頂点で椅子と融合、人間椅子として生まれ変わる。
その後怪奇椅子人間と化したユーノが、まず自分にに椅子を送ったなのはさんを、そして機動六課のメンバーを次々と・・そして最後にリンディ提督を襲うも、未亡人の底なしの性欲に返り討ちに・・・とか。
たった一つの命を捨てて、生まれ変わった人椅子の体。 六課の悪魔を嬲っていかす、ユーノがやらねば誰がやる 。
420 :
サイヒ:2008/05/08(木) 19:20:27 ID:e4KTPNgG
エロが少ないと言われてる時に限って、エロ担当の俺がエロスの皆無な話を持ってきて恐縮ですが、
次世代ネタを投下しにきました。
注意書きは以下の通り。
・本編終了八年後。
・クロフェ・ユーなの・ゲンはやが結婚。それぞれに子供がいます。
・ザフィーラとアルフの間にも養子のような子供がいます。
・ギンガとカルタスも結婚。こっちは子供無し。
・オリキャラである子供達がそこそこ出ます。
・全三〜四話予定。今回の分にエロはありません。
ではどうぞ。
もぞもぞと、なにかが胸で動いてフェイトは目覚めた。
眼に映った黒髪に寝ぼけた頭は夫かと錯覚するが、すぐ大きさが違うことに気づく。
フェイトの胸に顔を埋めながら眠っているのは、息子のクロードだった。鼻先を胸の谷間に潜り込ませ
てすぅすぅ寝息を立てている。
くすりと笑い、フェイトはずれていた布団をかけ直してやった。
今年から息子は自分の部屋で寝させるようにしたが、夜中トイレに起きるとほぼ必ず寝ぼけてフェイト
かクロノのベッドへ潜り込んでくるのだ。
しかしフェイトは特に諌めることはない。むしろクロードが布団に入ってくるのをどこか心待ちにして
いるところがあった。
最近息子は妙に大人びてきており、子供らしからぬ態度を取ることが増えてきている。もっと面倒を見
てやりたいフェイトとしては寂しく、同時に早熟すぎるクロードに心配も覚えるのだが、こういうことが
あるとまだまだ子供なんだなと安心できる。
乳房がくすぐったいのでフェイトは少し身体をずらしたが、すぐにクロードも無意識のまま顔を寄せて
くるのでまた胸に密着されてしまった。
(昔はよくおっぱい吸いたがったもんね)
お腹がいっぱいになっても、いつまでもフェイトの乳首を咥えたがった幼児時代のクロードだった。
無邪気な子供の顔を眺めていると、母親であることの幸せがじっくりと噛み締められる。出来るものな
ら一時間でも二時間でも見続けたいが、そういうわけにもいかない。
時計を見て時間を確認したフェイトは、息子の肩を軽く揺らす。
「ほら、起きてクロード。朝のランニングの時間だよ」
「…………はぁい」
子供のくせして朝にやたら強い息子は一度で起き上がって半分閉じた眼で部屋を見回し、自分の部屋で
ないと気づいたのかあっと小さく叫んだ。
「ごめん母さん。また部屋に入っちゃって」
「いいよ。毎日ってわけじゃないんだから。おはようクロード」
「母さんもおはよう」
「寝癖ついてるよ。直してあげるから座って」
鏡台の前に座った息子の髪を、フェイトは自分の櫛で梳いてやる。
黒髪赤眼と両親の血を引いたことが一目で分かる外見の息子だが、眼の色以外は全部クロノ似だった。
髪の毛もフェイトのように素直ではなく、一度跳ねるとなかなか戻らない。
ゆっくりゆっくり髪型を整えている間、クロードはどこかむず痒そうに、しかし気持ち良さそうにして
鏡の中の自分を見つめている。そんな仕草も、髪を梳いてあげている時のクロノそっくりだった。
クロードは短髪なのでそこまで時間はかからず、朝における母子の触れ合いは終わった。
「ありがとう」
礼儀正しく頭を下げるクロード。こういうところは、ちょっと堅苦しいと思わないでもない。
二人が寝室を出ると、時を同じくして隣のドアが開いた。
脛ぐらいの高さに、ひょこりと白い鼻先が覗く。続いてへにょりと垂れた犬耳と、あちこちが絡まって
いる白毛に覆われた胴体が出てきた。
一見すればただの白い子犬だが、立派な狼の子供である。
全身を現した子狼は、くふぁとあくびしながら台所に向おうとするが、部屋の中から追ってきたアルフ
の怒鳴り声が首根っこを掴む。
「こらっ、ロウ! 起きてる時は人の姿でいろって言ってるだろ! それにフェイトとクロードに朝の挨
拶!」
びくっと飛び上がった子狼は、慌てて眼を閉じ精神集中を始めた。
すぐに白い長毛がどんどん短くなっていき、鼻面が引っ込む。手足も狼のものから人間のものへと変化
していった。
最終的に四つん這いの体勢から立ち上がった時には、耳と尻尾がある以外は人間の女の子となんら変わ
らない姿になっていた。ただし、素っ裸だが。
少女はそのまま、ぴょこんと二人に頭を下げた。
「おはようロウ」
「おはよう。早く着替えてランニング行こう」
クロードの言葉に頷いた少女は、部屋の中へと戻って行く。
「朝着る服はどこに入れてたか分かるかい?……そう、そこ。ようやく覚えたね。偉いよロウ」
部屋の中から聞こえてくるアルフの声に、フェイトは眼を細めた。
子狼だった少女の名前は、ロウ。
管理外世界に生息する、人間と狼の両方の姿になれる『ワーウルフ』と呼ばれる種族の子供である。
本来ミッドチルダに持ち込むのは保護条約で禁止されているが、ロウはとある汚職官僚が密輸し邸宅で
愛玩動物として飼っていたもので、その官僚をフェイトが逮捕した際に保護した。
当初は元の世界に帰すはずだったが、生まれて間もない頃にはもう飼われていたため狩猟の仕方も知ら
ず野生に返せばみすみす死ぬだけだと判明したのでフェイトが保護許可を取って引き取った。
前の飼い主に虐待じみた扱いを受けていたため、ハラオウン家に来た当初は警戒心剥き出しで食事をさ
せるのも一苦労だったが、今ではちょっと行儀が悪い以外は普通の生活を送っている。特にアルフとは本
物の親子のように仲が良い。
使い魔と管理外世界の種族という特殊例なので可能かどうか分からないが、出来るものならそのうち養
子縁組の手続きをしてやろうとフェイトは思っている。
クロードも着替えるため自分の部屋へ、フェイトは洗面所へ向おうとしたところに、フェイトの部屋で
携帯のメールの着信音がした。
きびすを返し携帯を手に取り差出人を見た時、フェイトの唇は自然に微笑んでいた。急いで文面を開く。
『今から帰る。チンクもこっちで朝食を取ると言ってるので準備を頼む』
「お父さんもうすぐ帰ってくるって!」
発した声は、自分が思っていたよりずっと弾んだものだった。
8years after 〜morning〜
「この間言ってた武装隊へ入隊の話、どうなんだ?」
家への帰り道の車内。運転席に座るチンクに、クロノは訊ねた。
すっかり慣れた手つきでギアチェンジしながら、チンクは答えた。
「気持ちはありがたく受け取った。しかしすまないが、今は断らせてもらう」
「別に自分が元犯罪者だからとかいうことを気にかけなくてもいいんだぞ」
「いや、それではなく私の個人的なわがままだ」
バックミラーでクロノの眼を見ながら、チンクは続ける。
「私は稼動して十数年になるが、真っ当な一般人の暮らしというものをこの年までしたことが無い」
そういえばチンクの後見人になった時だったかに炊事洗濯が出来るのかと訊いたら、それはしたことあ
るが買い物等は姉に任せっぱなしだったと言っていた気がする。スカリエッティのラボを出ることすらま
れだったらしい。
「スーパーの特売をチェックしたり家計簿を付けたりする生活というのは、本当に初めてで…………更正
施設を出て四ヶ月になるのに失敗ばかりしているし、同時に新鮮だ。更正プログラムでもそういうことは
習わなかったからな」
「生活に慣れる時間がほしい、ということか?」
「というよりも、戦闘以外のことをしていたいと言った方が正しいかな」
戦闘訓練は稼動した時からずっとしていたから、とチンクはどこか遠くを見るような眼をした。未だ更
正の誘いを頑として拒み続けている姉妹との戦闘訓練の日々を思い出したのだろうか。
しかしそれは一瞬のことで、隻眼はいつもの冷静な色を取り戻す。
「どっちにしろ、この身体と眼のことがあるから普通の職は無理だろう。巷の暮らしに慣れたら武装隊の
話を受けさせてもらいたいと思っている。……一から十まで世話を焼いてもらっていながらあつかましい
ことを言っているのは自覚しているが、これを答えとしてもらえないだろうか」
車を路肩に止め、クロノの方を向き直りチンクは深々と頭を下げた。クロノも鷹揚に頷いてやる。
「かまわないさ。ゆっくり一般社会というものに溶け込んでいけばいい。なんなら、ずっと僕の家で運転
手をやっていてもいいんだぞ。子供達も懐いてるし」
「いやそういうわけにも……。ただでさえ、破格の給料をもらっているのだから」
現時点におけるチンクの職は「ハラオウン家お抱え運転手」ということになっているが、せいぜいクロ
ノとフェイトの送り迎えと買い物ぐらいにしか運転手を務めることはない。それでも月々渡している金額
は、ハラオウン家と同じマンションの一室の家賃も含めてけっこうな額となっている。
世慣れていないから出費が多かろうと思いそうしているのだが、本人はやたらと恐縮する。
「まあ、こっちも選択肢としてあると知っておいてくれたらいい。……戦闘以外のことをしていたい、か。
君の妹達も、同じ心境だったのかな」
他の更正組ナンバーズも、ディエチ一人をを除いて戦闘とは縁の無い職場を選んだ。
「ディエチは、スクライアさんに憧れたからな。ゆくゆくは教導官免許を取って同僚になりたいと言って
いる。撃墜されて尊敬するというのも妙な話だが」
「それを言うなら僕の妻だって同じだよ。昔なのはと敵同士になって撃墜されたが、今じゃ一番の親友だ」
「そうだったのか? あの人の砲撃には、何か二次的な魔法効果でもあったりするのだろうか」
「かもしれないな」
「しかしそれならクアットロも…………おや?」
「どうしたんだ?」
「息子さんだ」
チンクが眼で示した先では、クロード、ロウ、アルフの三人が日課のジョギングをしているところだっ
た。向こうもこっちに気づき、走るペースを上げ近づいてくる。
クロノが自動車を降りるのと、クロードが到着するのは同時だった。
「おかえり、なさい……父さん」
息を乱したままの挨拶に、父を始めてからいつのまにか自然に作れるようになった笑顔で、クロノは応
えた。
「ああ、ただいま」
※
最近、朝が早い。日が昇る前には絶対に目が覚める。そのくせ眠りは浅く、いつも頭のどこかに眠気が
残っているような気がしてならない。
髭も三日に一回あたればよい伸び具合になり、白いものも混じりだした。
一日一日、自分は老人へと向かっている。いや、世間からすればすでに老人の域に入っており、自分だ
けがそれを理解していないだけなのかもしれない。
そんなことを、ゲンヤは寝床の中で考えていた。
(こういうことつらつら考えてる時点で、もう爺ぃか)
早く目覚めれどやることはなく、いつもこんなことを考えながらごろごろして朝を迎える。
陸士隊時代の時間に追われまくっていた自分に分けてやりたいぐらい、毎日が暇だった。
(退職したのは失敗だったか)
隠居後は自分を支えていた太い芯が一本抜けてしまい、ひどく腑抜けたような気がする。
この間など、あまりにも暇すぎて遺言など書いてしまった。途中で我に返り、縁起でもないとゴミ箱に
捨てたが。
「まだまだ、見守っていきたいもんがあるしな」
天井に向ってひとりごちた時、その見守って生きたいものの一人が足音高く近づいてくる足音がした。
体重ではなく元気のよさで音高らかに床を鳴らしながら、勢い良く扉が開く。
「親父ー、朝だぞー。起きろー」
入ってきたのは、息子のトウヤ。
そのまま、寝ているゲンヤの上にトウヤが乗ってくる。ゲンヤは腕を伸ばして、身体を持ち上げてやっ
た。
若い時に鍛えた腕は一回り細くなったが、息子の体重ぐらいは支えられる。とはいえ、トウヤの成長速
度はゲンヤの老化速度の比ではない。腕に感じる重みは、一日毎に増えている。
(あと二年ってとこか)
その頃には、もうこんな子供っぽいことはしないだろうが。
二、三度揺らしてトウヤを面白がらせてから下ろし、今度ははやてと同じ茶色の髪をくしゃくしゃとか
き混ぜるように撫でてやる。
「へへっ、おはよう親父」
息子は嬉しそうに、頭を撫でられるがままにしている。乱した髪を再度整えてやりながら、ゲンヤは訊
ねた。
「今日の朝飯はなんだ?」
「それがさ……」
息子の笑い顔が、何か含むものがある笑顔へと変わった。
「台所見てみなよ。絶対笑うから」
なんだと思いつつゲンヤは起き上がり、トウヤと一緒に一階へと下りた。
居間に入るとまず目につくのは、壁際に掛けられたでっかいホワイトボード。
総勢十四名もいる家族は、職場がばらばらなこともあり各自のスケジュールを他の家族が完璧に記憶す
るのは実質不可能で、そのためこのホワイトボードにそれぞれが分かる範囲で予定を書き込むことになっ
ている。
毎朝起床時にこれを眺めるのは一家の慣わしだった。
本日家にいるのは、はやて、シグナム、ザフィーラ、アギト、ギンガ、ディード、そしてゲンヤとトウヤの八名。うち、はやては仕事、ザフィーラとディードは昼前に外出。帰宅は夜、とあった。
「ノーヴェは今日休みだって言ってなかったか?」
「緊急出動で深夜に出てったって」
「災害救助隊ってのも大変だな」
「……ん? カルタスのおっちゃん、また書き忘れてら。大人なんだから、しっかりしてほしいよなぁ」
生意気ぬかしながら、トウヤが背伸びして空白であるカルタスの欄に「やすみ いえにいる」と書き込
んでいると、廊下の向こうからはやてが歩いてきた。
「ゲンヤさんおはようさんです」
「おはようはやて」
挨拶を返しながら、もう八神と呼んでいた時間よりはやてと呼んでいた時間の方が長くなったな、とゲ
ンヤは特に意味無く思った。
背は結婚時から一ミリも伸びておらず女性としてもやや低目のままだが、表情から子供臭さは抜けて管
理局重鎮に相応しい貫禄を漂わせている。
もう仕事に出るところだったらしく、はやては管理局制服に着替えており置いてあった鞄を手に取った。
「早いな。朝飯食ったのか?」
「いえ、艦内の食堂で取ろうと思ってます。朝ごはん出来てないんで」
「トウヤも言ってたが、なんかあったのか?」
「台所見たら分かりますって」
息子に良く似た悪戯っぽい笑顔を見せるはやて。
言われるがままにゲンヤが台所を覗くと、そこにはでっかい毛布の芋虫がいた。人間サイズの物体が全
身に毛布を巻きつかせ、床に横たわっている。
「…………誰だ、これ?」
ゲンヤの疑問に答えるように、もぞもぞと薄茶色の頭が毛布から出てきた。寝ぼけ眼が、ゲンヤの顔で
焦点を結ぶ。
「……おはようございます」
「なんだ、ディードか。なにしてんだお前?」
「シチューの煮込みをしてました」
ディードが指差した先には、でっかい鍋がコンロの上に鎮座していた。蓋の隙間から、トマト風味のい
い匂いがゲンヤの鼻腔まで漏れている。
「……まさか、ここで一晩シチューの煮込みやってたのか?」
「今日は、特別上手に作りたかったので」
少し照れたように頬を染めるディードに、ゲンヤはなんとなく理由を悟り苦笑する。
「そういや今日はお前、姉貴と会うんだったっけか?」
「ええ。……すいません。家事手伝いとして雇ってもらっているのに、私事を優先してしまいました」
「気にすんな。家族に美味いもん食わせてやりたいってのは、当然のことなんだから。……今からでいい
から普通の朝飯作ってくれないか? 朝っぱらからシチューってのは、老体にゃ重たいんでな」
「はい、わかりました。……どうせなら、シチュー味噌汁とかはどうでしょう」
「頼むからやめてくれ」
ディードの料理の腕は確かなのだが、時たまとんでもない創作料理をやらかす。その破壊力は、シャマ
ルがしくじった時の料理に匹敵する。
ディードが普通に味噌汁の準備を始めたのを見届けてから、ゲンヤは居間の自分の席に腰掛ける。
洗面もせず寝巻きのまま新聞を開きながら、トウヤが淹れてくれた茶を音高く啜り、ふとゲンヤは苦笑
した。
(……こういう仕草も爺むさいよなぁ)
※
本日のハラオウン家朝食は、白ご飯に味噌汁、添え物に納豆と数種類の漬物を並べた和食。
箸を使えないチンクはおにぎりにしてあり、味噌汁もスプーンで飲んでいる。ロウも同じだが、ハラオ
ウン家に来るまで犬食いだったのが祟りスプーンを扱うのすら悪戦苦闘している。
納豆を危なっかしい手つきで混ぜるのを見かねたのかクロードが混ぜてやろうとするが、アルフがぴしゃ
りと釘を刺す。
「駄目だよクロード。手伝ってやったら、いつまで経っても上手くならないんだから」
「だけど、顔汚してるし……」
「駄目なものは駄目」
「アルフの言うとおりよ。ロウはまだ甘え癖があるんだから」
「……はい」
リンディもアルフに味方したため、子供二人はややうなだれながら箸とスプーンを自分の食事に戻した。
意外なことに、子育てに一番厳しいのはアルフだった。
アルフに言わせれば、フェイトとクロノが甘すぎるから釣り合いを取っているんだ、とのことだが。
「今日のみんなの予定はどうなってるんだ?」
糠漬を箸で摘みながらクロノが家族一同に訊ねた。
「私はお休み。特に用事は無いよ」
「あたしはこの子連れてザフィーラと一緒に遊園地行く。フェイト魔力戻してもらっていい? この間み
たいに、ザフィーラが幼女誘拐犯と間違えられたら困るから」
「私はレティとお茶してくるわ」
「クロードは?」
「今日はシグナムに教えてもらう日だから、はやての家」
ご飯を口に入れている最中の息子に代わって、フェイトが答えてやった。
「私も昼過ぎまで出歩く予定だ。三時頃には戻っていると思うが、念のため迎えが欲しい時は携帯に連絡
を入れてほしい」
「僕とフェイト以外は全員外出か」
しゃべりながら各自が朝食を平らげていき、食器を洗い場に浸けたクロノがソファに腰掛けテレビをつ
ける。
「フェイト、お茶淹れてくれないか」
「はーい。クロードはコーヒー? それともお茶?」
「お茶がいい。おばあちゃんの淹れ方にして」
「飲んだらちゃんと歯を磨くんだよ」
「うん」
頷いたクロードもすぐきれいに食べ終わり、クロノの隣に座る。
だが父も子も何も話そうとせず、なにやら視線を宙に泳がせ口を開きかけてはまた黙り込んでいる。
二人の前にフェイトが茶を置いてやると、それを契機にようやくクロノが口を開いた。
「……魔法はどうだ?」
「この間、飛行魔法覚えたよ」
「そうか」
「まだすごく遅いけど」
「最初は速度を出すことより、とにかく浮かんでいることが大切だ」
「わかった」
「勉強の方は?」
「歴史が覚えにくいかな」
「今度ユーノに頼んで、なにか分かりやすい資料を取り寄せようか」
「うん、ありがとう父さん」
ぽつんぽつんと短い言葉の応酬。お互い無口なわけでもないのに、なぜか二人がしゃべるとこうなる。
昔はそれこそ猫可愛がりしていたクロノだが、二年ぐらい前から一歩引いた位置で触れ合うようになっ
た。クロードもクロードで、父にべたべたすることが無くなった。
かといって仲が悪くなったというのではなく、お互い内心は嬉しそうなのがフェイトには分かる。父も
子も、なんとはなしに距離が近すぎるのが照れ臭くなったらしい。
去年海に行った時など、ぴくりとも動かない竿を前に二時間この調子で会話しており、周りを呆れさせ
たものだ。
息子を育てたことのあるレティに言わせれば、どこの父子もそんなものでそのうち適度な距離を見つけ
るらしいが、フェイトはなんとなく、この父子は二十年後も飲んでる物が酒に代わっただけで同じような
会話をしているのではなかろうか、と思っている。
これも家族の触れ合い方の一つだろうと納得し、フェイトは自分の茶を淹れ会話に参加すべくリビング
へ移動した。
※
「ふぁぁぁ〜〜〜」
夜間訓練の教導を終えて帰ってきたヴィヴィオは、玄関をくぐるなり大あくびをした。
深夜零時から始まった訓練が終わったのが四時過ぎ。それから報告書をまとめての帰宅は、いくら十代
の若さでも眠くなるなというのが無理な話だった。
「ただいま〜」
さらに数回あくびをしながら台所に直行すれば、同居人がパンの塊を切っていた。
「ディエチお姉ちゃん、今日の朝ごはんなに?」
「サンドイッチ」
「中身は?」
「卵とハムとレタス」
「んー、だったら食べてから寝るから、私の分も切っておいて」
冷蔵庫から牛乳を出しコップに注いで一気飲みし、食事を取る間寝ないだけの活力を復活させる。
念のためもう一杯とパックを傾けながら、そういえば今日は両親が休みだったはずだが、と見回すが姿
は見えない。
代わりに目に入ったのは、リビングから見える位置にあるユーノの部屋。ドアには「パパの部屋」と書
かれたプレート。そしてその下に、もう一枚のプレートがあった。書かれている文字は「ママがいます」。
この二枚がぶら下がっている時は、部屋に出入りしてはいけないのがスクライア家のルールである。電
話ですら、緊急の要件で無い限り取り次がない。
(……もう一人妹か弟、出来るかな。今度は名前何にするんだろ? 私の名前入れてほしいな。ヴィーナ
とか)
既に保健体育の授業のおかげで両親がなにをしているのか悟っているヴィヴィオがあれこれ考えている
と、いつのまにか妹のユーナが隣にいた。
「お姉ちゃん、おかえりなさい」
「はい、ただいま。……ユーナまだ家出なくていいの? 学校遅れちゃうよ」
「……今日はお休みだよ」
「ああ、そっか。最近夜間訓練してばっかりだから、曜日忘れてた」
「……ちょっとお願いがあるんだけどきいてくれる?」
「なに?」
「えっとね、お化粧の仕方教えてほしいの」
まだ七歳の妹に相応しからぬ欲求に、ヴィヴィオは眉根を寄せる。だが、すぐにその理由に思い当たっ
た。確か、今日ユーナは八神家に遊びに行くと言っていた。そして妹が他人の家に遊びに行く場合、高確
率でその場には幼馴染の少年がいる。
「……クロード君に見てもらいたいから?」
「ちちちちちちちち違うよ!!!!」
途端に、妹の顔は耳まで真っ赤になった。湯気が出そうな顔の見本だ、と妹をからかう度にヴィヴィオ
は思う。
「クロード君は関係ないもん! 私だって女の子だから、き、きれいになりたいんだけなんだからぁ……」
「はいはい。けどね、七歳の子がお化粧なんて不気味なだけだからしない方がいいよ。……どうしてもし
たいって言うんなら、ついてきて」
ヴィヴィオは立ち上がって自分の部屋に入り、櫛とリボンを二本手に取る。
特に乱れていないが、ユーナの髪の毛に櫛を通していく。ユーノから受け継いだハニーブロンドはさら
さらと流れて弄りがいがあるが、妹は真っ直ぐ伸ばしているだけである。
その金髪のうち、右側面を束ねてリボンで結んだ。左側も同じにすれば、二分足らずで鏡に映るユーナ
の雰囲気はだいぶ違うものとなっていた。
「はい出来上がり。ユーナは元がいいから、ちょっとイメチェンしただけでも可愛いって言ってもらえる
よ」
「これってママが昔してた髪型だよね?」
「そう、私もユーナぐらいの頃は似た髪形してたよ」
今のなのはは、通常時もバリアジャケット時も髪を下ろしている。ちなみにヴィヴィオは常にサイドポ
ニー。
「それとこれは特別サービス」
香水の小瓶を一つ、手に握らせてやった。
「会うちょっと前に、二、三滴を両手と頭に振りかけて使うんだよ。絶対にかけすぎはだめだからね」
「はーい。お姉ちゃんありがとう!」
元気良く返事をするユーナの頭を撫でてやりながら、ヴィヴィオは思った。
(やっぱり家っていいな)
同僚や友人達とおしゃべりしているのも楽しいが、この暖かさが感じられる他愛ない会話は家でしか感
じられないものだった。
※
「それじゃあ、行ってきます」
「お土産は特に買ってこないけどいいよね?」
「私は晩ご飯までには帰るから用意しておいてね」
「「行ってらっしゃい」」
玄関口で家族一同とそれぞれを送って行くチンクを見送り、クロノとフェイトはリビングに戻った。
「今度はコーヒーくれないか? 眠気覚ましに」
「また徹夜だったの?」
「ああ、今度設立する部隊でちょっとね。AAAランク以上の局員の当てが見つからない」
管理局の人員不足は慢性的なものだ。少将の特権を振りかざせば多少の無理は通るが、そういう強引な
ことをしたのは少将就任時にフェイトをクラウディアからクロノ直属の部下にした一回だけである。
もうクロノが現場に出ることは無いだろうが、フェイトは常に最前線で犯罪者達と戦いを繰り広げてい
る。
身内人事と言われようと、危険に身を晒している大切な人をちょっとでも目の届く位置に置いておきた
いという、クロノの我がままだった。
もっともあまり叩かれることはなく、どちらかといえば「まぁた過保護やってるよ、あそこの旦那は」
という生温い眼で見られる反応が多かったが。
「はやてからティアナを借りる手もあるけど、そうなると今度はあっちの執務官を入れなきゃいけないし
な。チンクが承諾してくれたら楽だったんだが……」
「大変なのは分かるけど、ちゃんと寝ないと駄目だよ」
コーヒーを運んできたフェイトがそのまま隣に座り、指を伸ばしてクロノの髪の毛を一本抜いた。
「ほら、白髪がある。こういうのは睡眠不足から来るんだから」
「もう三十過ぎだし、あって当然だろ」
「奥さんとしては、旦那さんにはもうちょっと若いままでいてほしいな。……総白髪で皺だらけのクロノっ
て、なんか想像出来ないし」
しばし、居間にある音は二人が茶を啜るものだけとなる。
「……なんか久しぶりだね。昼間から二人っきりっていうのは」
「そうだな」
艦隊提督から少将に出世したので、クロノが家にいる時間は増えた。
しかし子供が生まれリンディが同居するようになっているので、二人だけの時間を過ごすという機会は
逆に少なくなっている。
「一緒にどこか出かけようか?」
「クロノ疲れてるんだから無理しなくていいよ。一緒に寝る? ……変な意味じゃないよ。私も昨日遅かっ
たから、お昼寝したいし。……まあ、そっちの意味でもいいけど」
ちらりと、流し目をくれるフェイト。少し肩をすくめてクロノは返事した。
「……そうだな。とりあえず、これ飲んでから考えるよ」
「コーヒー飲んだら目が覚めちゃうよ」
くすくす笑うフェイトの顔に、クロノは家に帰ってきた暖かな実感を覚えていた。
続く
おまけ
・クロノ
少将。最年少任官記録をまたも塗り替える。
長期航海を無くして家族との時間を増やしたいからさっさと出世したんだ、とは仲間内の噂。
・フェイト
執務官。今日も幸せ。
夫婦の営みは週三回ペース。
・アルフ
使い魔。三家の子供達にとって、もう一人のお母さんで姉で友人。
ザフィーラとは同居していないが籍は入れている。
・リンディ
楽隠居。孫に「おばあちゃんじゃなくてリンディさんと呼ぶのよ」と言ってるところを友人に目撃され、
「見苦しい」と鼻で笑われ何かを悟る。
・チンク
ハラオウン家運転手。どうやってペダルに足が届いているかは、リンディの外見と共にハラオウン家七不思議の一つ。
これまた次回に続く
433 :
サイヒ:2008/05/08(木) 19:37:59 ID:e4KTPNgG
以上です。
次回はフォワード陣と八神家中心。
あと、エロノの血を引きエロオを兄貴分に持ち母親の乳枕で寝て全裸の少女が平気で歩き回る環境で育った小僧と、
二代目乳揉み魔の貞操観念。
もう一人オリキャラ出すかどうかを思案中。
出したら文章量がえらい増えるんですが、削ったらリンディさんの出番が完全に無くなるんだよねぇ。
クロノの階級ですが、提督は准将相当だったということにしておいてください。
現実の軍隊では、提督は明確な階級名じゃなくて艦隊司令官の呼称らしいんで。
GJです。
クロードか……成長したら両親への劣等感でグレて、未開の管理外世界に飛ばされそうな名前ですね(笑
決め台詞、行けよファ○グ〜、これなら満点だな、あとは何だろ……年上の看護婦さんにナンパ?
ごめんなさい、ごめんなさい
チンク姉の運転は足もそうですが、視界はどうなってるんだろうと言う八つ目の不思議が思い浮かびました
>>サイヒ氏
いいぞもっとやれ!
してエロオとキャロの子供は居るのかッッッ!?
それが問題だ!
チンク姉が運転すると頭だけ出てて可愛いな
クラナガン名物、運転手のいない車w
絶対足届きそうにないw
詰め物のロングブーツでも履いてるのかな
>>411 アカウントとってみましたが入ることができませんと表示されます
えーっと、ここにID記せばいいのでしょうか?
それとも管理人への連絡先がどこかに?
登録制なので、管理人氏にライブドアIDを登録してもらわなくてはなりません
GJ!
これは良い子供達だ……。
もう一人の子もできれば出して下さい。
>>86 いまさらですがGJ!!
お久しぶりです&待ってました!
フェイトもアリシアもいいなあ
しっかりとお母さんしてるティアナと娘に甘いエリオもいい味だしてます。
そしてアリシアとプリウスの正体についても、もう複線を張っていたとは・・・
日常partもシリアスpartも続き楽しみにしています
>>433 GJですw待望の未来編wみんな良い子たちで何よりw
でもスクライア夫妻自重w何時までも新婚気分でなにやってんだあんたら!?
次回も期待です。きっとキャロとルーがエリオ争奪戦をやってるに違いないw
>エロノの〜環境で育った小僧と、二代目乳揉み魔の
ユーナ逃げて〜!ユーナ逃げて〜〜!!このままじゃあ7歳にして二人の毒牙に!?
鳥、あってるかな?
保管庫管理人です。
タグの整理についてはしばらくお待ちください。
Livedoorのナレッジに質問を出したりしていますので。
以外と瓢箪から駒みたいな解決法がありそうな気はしているんですが。
>>438 司書さんは常時募集中です。
保管庫専用に取ったLivedoorIDをここで教えてください。
登録は明日以降になります。
>>433 GJ!
ユーナ、貞操の危機!?
でもこの子はこの子で淫獣の血を受け継いでるから、
いざとなったら二人まとめて食っちまう可能性もw
>>443 いや、自重してるだろ。
でなきゃ今頃スクライア家は十人近い大家族になってる筈だw
446 :
B・A:2008/05/08(木) 23:14:02 ID:HocDFz36
>>413 あ、ありのままのことを話すぜ・・・・・書いちまった。
というわけで、連載そっちのけでリンディさんのエロ書いちゃいました。
非エロばっか書いていると時々エロが書きたくなるんです・・・・・投下しちゃってOK?
良いから早くキテエエエ!!!!
週三回とかお盛ん過ぎワロタ
>>445 どうでもいいけどユーナ、貞子の危機!?に見えた俺っていったい…
>>446 こんなとこで迷うな!!さっさといけぇー!!って言うか投下してくださいお願いします
450 :
B・A:2008/05/08(木) 23:24:08 ID:HocDFz36
では投下します。
リンディさんは書いたの初めてなんでちょっと不安ですが。
注意事項
・リンディさんが器物に犯されます
・触手分はあるけど少し少なめ
・結構えぐい攻めがあります。肛門とか尿道とかニプルファック(ハード)とか浣腸が苦手な人はスルーを
・「ご家庭の味方、JS通信販売サービス」
>>450 触手マッサージチェアという新分野を切り開くつもりなのか!!
闇の書事件が無事解決し、晴れてフェイトを家族の一員として迎え入れたハラオウン家は、フェイトをこちらの学校に通わせるために
海鳴市に定住することにした。そのため、闇の書事件の際に拠点として使用されていたマンションの一室を
そのまま海鳴における自宅として使用することになったのだが、そこでリンディは1つの問題にぶち当たっていた。
トイレが気に入らないのである。
マンションのトイレはウォシュレットも保温便座もついていないごく普通のトイレなのである。
別に使用する分には困らないが、色々と凝り性なリンディはこれからずっと暮らすかもしれない家の設備に妥協する気はなく、
様々なカタログを取り寄せて我が家に相応しいトイレを探すことにした。
そして、見つけ出したのがJS通信販売サービスの取り扱う最新式全自動トイレであった。
「奥さーん、取り付け終わったっスよ」
「はいはい、ご苦労さまです」
運んできたトイレの取り付けを行ってくれたJS通販の社員にリンディは一礼した。その向こうでは、新品の便器がピカピカと光り輝いている。
「それにしても、こんな良い商品が定価の半分なんて、随分と太っ腹なのね」
「はい! 製造や運送を自社で賄うことで、お客様に格安で商品を提供させて頂いているっス! 『ご家庭の味方』がJS通販のモットーっスから!」
JS通販の社員は人懐っこそうな笑みを浮かべ、おどけた調子で敬礼する。
「それじゃ、あたしは次の仕事がありますので。今後ともご贔屓にぃっ!!」
散らばっていた工具や書類をまとめ、社員の女性は去っていった。
「元気な娘ねぇ・・・・・クロノやフェイトもあれくらい笑ってくれれば良いのに」
などと呟きながら、リンディは些か年齢に不釣り合いな扇情的なショーツを脱いで新しく設置されたトイレにちょこんと腰かけた。
実は、先ほどから尿意を催していたのである。
「うぅん、あったかい・・・・・これなら冬でも快適ね」
保温便座が問題なく機能していることに満足し、リンディは括約筋の緊張を解く。
一拍遅れて尿道が開き、トイレの底に溜まった透明な水にジョロジョロと黄色い液体が迸った。
「くふっ・・・んんっ・・・・」
我慢し続けた反動からか、飛び出す尿はいつになく太くて勢いが強かった。
延々と続く放尿の音と体の中身が吸い出されるような感覚にリンディは何とも悩ましい声を漏らして身をくねらせ、開放感に酔いしれる。
「うぅ・・・・はぁ・・・・」
ため息にも似た吐息を漏らし、ウォシュレットを使おうとボタンに指をかける。
低く響くモーター音と共にウォシュレットの噴射口が伸び、放水が始まる。
尿道を洗われるムズ痒い感覚にリンディはまたも色っぽい声を漏らした。だが、その声は次の瞬間、驚愕へと変わっていた。
「あぁ・・あ・あぁぁぁぁっ・・・な、なん・・・・」
最初は弱々しかった放水の勢いが、段々強くなってきたのである。
慌てて立ち上がろうとするが、足下と背後から突然現れた拘束具によって足首と腰を固定され、身動きが取れなくなってしまう。
《現在、ウォシュレット作動中です。洗浄が終了するまで動いてはなりません》
「な、なんなのよそれ・・・いやぁ・・・あぁ・・あぁぁっ・・・」
《大丈夫です、特殊な薬液が混ざっているので、気持ち良く洗浄できます》
などと合成音声でトイレが述べているが、何の慰めにもなっていなかった。
そうしている内にも水の勢いは激しくなり、尿道が捲れあがる感覚にリンディは艶めかしい声を漏らして悶える。
洗浄水に混ぜられた媚薬のせいで、尿道に水が逆流する感覚が緊張と開放感がない交ぜになった快感として体が反応しているのだ。
「いやあぁぁ・・・・・とめ・・・だれかぁっ・・・・たすけてぇっ!!」
必死で助けを求めるが、生憎この家は現在自分1人だ。子どもたちが帰ってくるのは夕方になるだろうし、
しっかりとした防音が施されているため隣の部屋まで叫び声は届かない。
パニックに陥ったリンディは、唯一自由な手でトイレに備え付けられているボタンを片っ端から押しまくった。
ひょっとしたら、この状態から脱出できる何かがあるかもしれない。しかし、それは更なる快楽の地獄への始まりとなってしまった。
《モード固定・・・全自動排泄開始・・・・・・オプション始動・・・補助用アーム展開》
唐突に放水が停止し、リンディはガクリと首を落とした。苛烈な尿道洗浄によって体力を著しく奪われ、腰はヒクヒクと痙攣している。
だが、全自動トイレはそんなことなどお構いなしに次なる行為に及ぼうとしていた。
「な・・・なに・・・・今度はなんなの?」
いったいどうやって収納されていたのか、トイレの本体から無数の触手が伸びてリンディの着ている服をずらし、その熟れた体を弄びだしたのだ。
振りまわしていた腕は触手によって動きを封じられ、自慢の女房が触手によって形が変わるまで揉み潰される。
思わず吐いた吐息は先ほどの媚薬のせいか熱っぽく、夫が死んでから男日照りが続いていたリンディの体は本人が思っている以上に敏感な反応を見せた。
「あぁ、んあぁん、あん、あぁぁぁあ・・・・・・・」
胸の奥がジンと熱くなる。
男を覚えているだけに、一度燃えだすと止まらなかった。
リンディはここが自宅のトイレであるということも忘れて快感に酔いしれ、空虚感を埋めようと小刻みに腰を動かす。
すると、まるでそれに応えるようにトイレから巨大なイボ突きディルドーが出現し、水の滴るリンディの秘唇を押し割って侵入してきた。
「あひっ、ひ、ひぃ・・・・・ひや、う、や、あぁぁぁっぁぁぁっ・・・・・・!!」
10年近くご無沙汰だった圧迫感に、リンディは肺の中の空気を一気に吐き出したような悲鳴を上げた。
ディルドーは無数のイボで蜜壺の裏側を引っかき回し、反り返った先端で閉じられていた子宮口をこじ開けていく。
更にディルドーはイボの先端から生暖かい温水を放出しながら回転し、膣内を文字通り洗浄していった。
「いはあっ!! あっ、イッ、いやあぁぁぁっ!! 中で、何か出て・・・・・あぁっ・・・あぁっん・・・ぁぁぁっ!!!」
温水の温度はそれほどでもないため、膣内が火傷するようなことはなかったが、それが却って膣内射精された感覚を思い出させ、
反射的にお湯を吐きながら前後に抽送を繰り返すディルドーを締め付けてしまう。それによって膣壁に受ける温水の水圧はさらに増し、
膣からジョボジョボと逆流していく温水にリンディはSEXしながらお漏らしをしているような奇妙な興奮を感じてしまう。
「あっ・・・はぁ・・・ああっ・・・・・ッ!!」
《膣内洗浄継続中・・・・・並行して、腸内洗浄を開始します》
「ちょ・・・ちょうな・・・あぁぁっ!!」
閉じていた肛門を押し広げながら、チューブのようなものが挿入される。
来ると思った衝撃は訪れなかった。肛門に差し込まれたのは弾力性のあるチューブで、膣を洗浄しているディルドーのように直腸を犯そうとはしなかった。
僅かな安堵感にリンディは胸を撫で下ろす。
瞬間、地獄が始まった。
《排泄チューブ始動、腸内洗浄を開始します》
合成音とともにチューブから凄まじい勢いで温水が噴出され、リンディは白目を剥いて体を痙攣させた。
「がはぁぁぁぁぁぁぁぁっ! おぅぅぅっ!!」
温水は腸内に溜まった汚物と混ざり、出口を求めて腸壁を激しくノックする。チューブが脈動する度にリンディのお腹は一回りずつ大きくなっていき、
同時に体の感度も加速度的に増していった。どうやら、こちらにも媚薬効果のある薬が混ぜられているようだ。
「ああぁぁ・・・だめぇ、抜いてぇぇっ・・・・で、でるりゅぅっっ!!」
《ご心配には及びません、現在腸内の洗浄中ですので、今しばらくお待ちください》
そう言って、今度は先端がお椀状の触手を出現し、他の触手に揉みしだかれている巨大な胸がパカッと咥え込まれる。
すると、お椀の中央部からブラシのようなものが伸びてきて、それが固く勃起したリンディの乳首へと押し入って来た。
「うっ・・・・ちくび・・・ちくびがぁぁっ!!!」
中ほどまで押し込まれたブラシが振動を始め、リンディは狂ったような悲鳴を漏らした。乳首の中を洗われるという前代未聞の行為に股間の緊張が弛み、
迸る黄金水が太ももを汚す。すると、律儀にも全自動トイレはウォシュレットを再動させ、弛緩した尿道の洗浄を再び開始した。
「あ・・・・・ああ・・・ああああっ!! あついッ!! 熱いぃぃっっ!!!」
膣、直腸、尿道、乳腺、四ヶ所を同時に洗われ、全身が溶けていくような錯覚をリンディは覚えた。
事実、リンディは自分の中から何かが抜けていくような感覚に襲われていた。それは、この10年間ずっと守り続けてきた夫への貞操であり、提督としての誇りであったのかもしれない。
「いッ・・・・いいのぉぉぉぉ!! おなかがとけそう・・・・・胸も・・・胸もきもちい・・・・あぁぁっ、めくれりゅ・・・・尿道めくれちゃうぅっ!!!」
とどめとばかりに肛門のチューブがバキュームを開始し、腸内で暴れまわる汚濁液が吸い出されていく。
膣ではディルドーが激しい抽送を繰り返しており、肛門では強制的に排便をさせられる。
上がっているのに落ちているという形容し難い感覚にリンディは大きく身を仰け反らせ、乳腺と尿道を擦られる快感に感極まった叫びを上げた。
「あぅっ、あぁぁっ!! うあああああああぁぁぁぁっ、い、いくうぅぅぅぅぅっっ!!!」
ぐったりと体から力が抜け、リンディは焦点の合わない目で虚空を見上げる。いつの間にか、体は触手から解放されており、ディルドーやチューブは元の場所に収納されていた。
だが、洗浄が終わったにも関わらず腰と足首を固定する拘束具が外れる気配は微塵もない。
《部分的洗浄完了・・・・・続きまして、全身の洗浄に移らせて頂きます。なお、その後は口内洗浄、頭髪洗浄、アロママッサージを経て再度、尿道洗浄、膣内洗浄、腸内洗浄、乳腺洗浄に移らせて頂きます。それから・・・・・・・》
その言葉に、リンディは乾いた笑みを漏らした。
そう、自分は最初の洗浄の際にパニックを起こし、全てのボタンを片っ端から押しまくっていた。その命令が、全て受理されていたのである。
命じられた全ての洗浄が終了するまで、自分が解放されることはない。
快楽の洗浄は、まだまだ続くのだ。
おわり
458 :
B・A:2008/05/08(木) 23:43:00 ID:HocDFz36
以上です。
椅子の次はトイレです。前々からやってみたかったネタその2。
どうやら本格的に僕の頭が壊れてきたようだ。
ちなみに、通販のネタはもうないです。身近なもので触手を仕込めるものって他にあるかなぁ?
GJ!最新の特殊ジャンルは○○チェアで決まりだなwww
次は本編では出番なし、SSでは義妹に寝取られてばかりの、エイミィさんとかどうでしょう
全くこれだから変態は……ふぅ。
浴槽なんていかがですか?>身近なもの
トレーニング器具とかどうです?
サウナスーツとか
ふと思ったけど、元ネタはみにおんのあの漫画?
464 :
チョコボ:2008/05/09(金) 00:19:48 ID:fyQ0PEdX
ふ、風呂から戻ってみればなんつーものが・・・
はやての車椅子とかどですか
>>444 管理人さん、LivedoorIDは『tyokobo_ru』です
できる範囲で整理してみようと思います
グレアムの仕業かッ!!www
……変態グレアムとロリはやてか。
くっ、書きてぇ……
また、グレアム変態説が補強されていくのかw
エロ過ぎだろ‥‥B・A氏、もうあんたを呼び捨てには絶対にできない。
GJでした。
>>433 GJ!!
これは続きが気になるっ!
エロオはどうなった、エロオは。
エロオとキャロの子供は、もしくわエロオとルーテシアの子供はどうなっている!
それとももっとnice boatなことに・・・
470 :
B・A:2008/05/09(金) 01:14:29 ID:HJCb3oAc
>>463 元ネタは特にないです。色んなエロ本の影響は受けていると思うけれど。
触手椅子がやりたい→触手生物は前にエリオでやったから機械にしよう→とんでも機械ならスカが作りそう
という流れで思いつきました。通販はまあ、その場のノリで。
>>461 触手に拘らなければランニングマシーンで一ネタあるんですけど、まず連載書き上げたいからその後かなぁ。
GJ!
縦続きに黄金水ネタとは、どうしたんだこのスレは!
あとリンディさんの聖水は甘いんですかね、やっぱり
>>485 GJ!
いやー、特にリンディさんの放尿の描きが凄かった
ところで
>闇の書事件が無事解決し、晴れてフェイトを家族の一員として迎え入れたハラオウン家
もしかしてフェイトはまだ小学生?
もし学校から帰宅したフェイトがトイレ行って何も知らずにボタン押したら…
>>470 こんなこと言っていいのかな。
JS通販ネタで上記にあった「車椅子」書いてみたいんですけれど、構わないですか?
掃除機なんかどうだろう・・・
隅々まで掃除が出来る自走式掃除機触手付き。
475 :
B・A:2008/05/09(金) 01:35:45 ID:HJCb3oAc
>>473 こっちは全然構わないですよ。
氏がどのように車椅子にプレイを行わせるのか楽しみに待っています。
これってエロ仕掛け仕込むのも楽しみの一つですし。
どんだけジャンルが乱立するんだこのスレは!! パンニーやGに続きまた新に触手チェアという新ジャンルがここに誕生した!!!
>>475 感謝です〜♪
それでは、明日か明後日には完成させたいです。「車椅子」
………
うん、そうだね。また、ちっさいはやてなんだ。うん、好きなんだ。
>>477 ヘンタイだ〜!! ヘンタイがいるぞ〜!!
うん、もっとヤレ。
>>477 JS通販は時をも越えるのか!!
有りだな有り
遅ればせながらB・A氏、GJです!
思わずSSのリンディさんを
描いてみたくなっちまったぁぁっ!><
>>472 それ以上にクロノがボタンを押したときのが気になる俺って…
この時期設定だとショタかな…
カテーテル責めとかで前立腺やられまくって這う這うの体でトイレから
出てきたところをフェイトが見つけて捕食とかかなw
483 :
ツンデレ王子:2008/05/09(金) 04:13:19 ID:mM5W/YEB
今誰も居なさそうなので、ちょいと思いついたネタ落とします
レス数 1or2
注意
・作者、酔ってますw
・ごっつ切ないです
・エロではありません
では行きます
484 :
恋煩い:2008/05/09(金) 04:14:00 ID:mM5W/YEB
数時間前まで頭上で輝き異様な程の熱気を放っていた太陽は今、正に水平線に吸い込まれようとしていた。
辺りが茜色に染まり始め、海水浴を楽しんでいた人々もパラソルをたたみ帰り支度を始めている。
そんな様子を漠然と見ながら、少女は浜辺で膝を抱えていた。
「はぁ…」
少女の漏らした溜息は辺りの喧騒にかき消されてしまう。
やがて太陽も完全に消えてしまい、波が打ち寄せる僅かな音だけが木霊していた。
少女は砂浜に何かを描くが、すぐさま押し寄せてきた波によって消されてしまった。
(……)
改めて少女は同じモノを描こうとするが、今度は描ききる前に波が押し寄せ、折角の彼女の努力を文字通り
水の泡と帰してしまう。
波の悪戯にめげる事無く再び少女が描こうとした瞬間、遠くから彼女を呼ぶ声が聞こえてきた。
――タイムリミット
彼女の脳裏に過ぎった言葉に逆らうように、少女は砂浜に描き続ける。
やがて彼女を呼ぶ仲間の一人が少女の下に駆け寄り、彼女に手を差し出した。
少女はそれに気付かない様子でじっと砂浜に描いたソレを眺めていたが、仲間に強引に引っ張られて立ち上
がると引きずられるようにしてその場を後にした。
波が押し寄せ、また彼女の描いたモノを消し去って行く。
ただし、今度は波の高さが低かったのか、ソレは半分は消されずに残っていた。
そこに描かれていたのは――
相合傘の半分と、『なのは』と書かれた文字だった
485 :
ツンデレ王子:2008/05/09(金) 04:16:35 ID:mM5W/YEB
以上です
ちょいと最後の2行の間の行間が少なすぎたかな^^;
では、おやすみなさい
司書様
保管庫の変更、ありがとうございます
GJです
>>457-
>>467 変態紳士がこれだけ集まると壮観だな(褒め言葉な意味で)
うお、リンディさんのエロ来てる!GJ!
やっぱ二世物は読んでて楽しいなぁ。
だからお前ら変態であっても紳士ではなかろうに
491 :
264:2008/05/09(金) 17:20:56 ID:LHtb0mTG
>>444 このスレの上の方でいろいろ言っていた自分も立候補してよろしいでしょうか?
IDはnano69_264です。
このスレの兄弟達はかなり紳士的だと思うぜ?
そうでなきゃ、69スレも続いてない
一つ質問。
本編やコミックス、サウンドステージ内でフリードの”入浴”ってありましたっけ?
体を洗ってるシーンでもいいんですが。
ないっしょ。
thx。
>>492 まったくだ。
そういえば、69プレイって全体てきに見て少ないな〜
あとゼストとチンクは69が可能なのだろうか?
そう考えつつ保管庫司書様に敬礼!!
>>493 シャワーなら、エリオと一緒じゃなかったかな?
だからフリードって、エリオに懐いたようなw
エリオとフリードは女性陣のシャワーが終わるのを二人で待っていただけでじゃないかと。
具体的にフリードが入浴したって描写はないんじゃない?
入浴というよりも池や湖で行水が似合うかと。
フリードの話題が出た瞬間『バター竜』という言葉が浮かんだ俺
これはもうダメかもわからんね
ゼストとチンクの69・・・?
「ひ、ひきょう、だ、ぞ!ん、んっ!ゼストッ!」
「・・・」
鎧の様にごつごつとした騎士の胸板の上で腹這いになっているチンクは、快楽に潤んだ隻眼を振り向けてそう訴えた
彼女の視線の先では・・・巌のような厳めしい顔が、己の秘部に口元を寄せている様が目に入った
快楽を楽しむような男では無い筈だが・・・ゼストは憮然とした溜息を吐き出し、少しだけ意地悪な口調で少女に告げた
「・・・この体勢を臨んだのは、お前だろう」
「そ、それはそうだが、んっ!くぅ、んっ!!・・・」
視線の先で屹立するゼストの剛直に向かって這い寄ろうとするチンクだが、どれだけ必死に頑張ろうとも腰に回された逞しい腕による拘束は弛まない
口でできないのならせめて手で・・・と考えるチンクだが、一生懸命腕を伸ばしても、精々陰毛に指先が触れる程度である
本来ならばお互いに交歓するべき体位である筈なのだが、一方的に秘部を責められて、自分ばかりが快楽を与えられているという事実に、
チンクは歯を食い縛りながら、とにかく身体を進ませようと必死に藻掻くが・・・
「ひぅっ!あ、ふぁっ!!ん、ゼ、ゼストぉっ!・・・くっ、た、頼む・・・私にも、させろ・・・!」
「気にするな」
「ば、ばかをいうなぁっ!うぁっ、あ、あぁっ、も、もう、よせっ!くっ、ふ、あ、あぁぁぁっ!!!!」
“先にイッた方が、何か一つ言うことを聞く”
そんな勝負を持ち掛けられてはいたが・・・
無駄に豪奢な寝台の上で、こちらに背を向けて不貞寝をしている小さな背中をちらりと見やり、ゼストはこっそりと溜息を吐いた
「・・・チンク」
「何だ、卑怯者」
「・・・もう一度、良いか?」
小さな身体を抱き締めながら、耳元で囁きかけてくる熱い言葉に、チンクは頬を真っ赤に染めた
こうですか?わかりません!
>>501 ひょっとして26-111氏?違ったらすいません。
なんであれGJ!ゼストせこいけどw
506 :
26-111:2008/05/09(金) 19:47:05 ID:HtRLnbsA
何故私だとわかったんですかぁぁぁっ!!!?(多分、最後に句点を付けないから)
だが兄弟。そこでトドメが「たかいたかい」では台無しだ。こういう時はハグだろう。チンクの爪先は床から20cmは浮いてそうだけど
・・・だっこ?イヤ、ゴフンゲフン
しかし、。一つ恐ろしい事実に気付いたぜ・・・
今まで散々、「ペドは無理」って言ってた私だったが、
気が付けば、ペドでエロネタを書いちまってるんだ
いや、ホント。エロパロスレは地獄ですね・・・
あ、今日中に68スレの保管に着手します
>>506 GJ!スネチンクカワユス
今のあなたならチンクやヴィヴィオでJS製品ネタが書けるはずです
508 :
496:2008/05/09(金) 20:56:11 ID:up9KHyhm
>>501 き、貴様ーー!
なにをするだァーーーー!!
して続きは?ハァハァ
恐ろしいくらいに遅レスですが
保管庫のログから、ユーキャロの蟻地獄ssがおもしろかったです
また修羅場スキーとして、次回が非常に楽しみです
がんばって作品を完成してください
510 :
26-111:2008/05/09(金) 22:16:17 ID:HtRLnbsA
保管庫から業務連絡です
68スレの保管作業を終了しました。執筆陣諸兄は確認をお願いします
とりあえず、また追い付けましたね。追い付けたところで・・・書く側に戻りますか
69スレのライフは残り100Kbくらいです
それでは
GJ!!です。
身長差で必然的に、他のカップルじゃできない凄い体位で性交してそうな組み合わせですよねゼストとチンクw
ゼストとアギト…
いやなんでもない
513 :
名無しさん@ピンキー:2008/05/09(金) 22:34:43 ID:O2/UE6JD
514 :
513:2008/05/09(金) 22:41:55 ID:O2/UE6JD
ミスった
ちょっとシャマルさんの手料理食べてくる。
>>512 体格差というレベルじゃ・・・
そうか、リイン曹長みたく巨大化があるのか
確か一個くらいあったな
にしても、いいネタ思いついてなかなか書けないものだな
いいネタに思えても何か止めたくなる
修行中のショタクロノがリーゼに前や後ろや犯されて逝きまくってフラフラなところを
さらに魔法でロリクロノにされて女としても極限までイかされて受け責め性別縦横無尽の
玩具にされる、みたいな話を読んでみ(ry
エリオでもいいなあ。
>>515 一番早く解決する方法、自分で書くこと。
意外と簡単だ、実際書いてる俺が言うんだ、間違いない。
まずは書いてみよう。
B・A氏の槍騎士の誓い・最終話が待ちきれません!
えー、JS通販車椅子編、投下いいですか?
おk
まずは、B・Aさま。ネタ拝借感謝です。
時空を超えるJS通信販売サービスの活躍!
タイトル「新しい車椅子」
JS謹製車椅子×ちっさい時のはやてちゃん
なんか調教ものな気配が。
レス数は5
あぼ〜んは鳥かHNで。
1
「なに、はやて君の車椅子が壊れた?」
「ええ、お父さま。八神はやてが寝ている間にシャマルが好奇心で乗ってみたところ……」
「守護騎士の癖になんということを……。お仕置きが必要だな、早速考えねばなるまい」
「シャマルにお仕置きですか?」
「うむ。できれば、同じヴォルケンでも年増よりもヴィータたんがいいんだが…」
「お父さま、自重してください。そんなことより新しい車椅子ですが、通信販売でよいものを見つけました」
「どれどれ……JS通信販売サービス?」
「どーもぉ! 時空を超えてお届けのJS通販っス!」
新しい車椅子が来た。前のはシャマルが壊してもうたらしい。
好奇心で乗ってしもうたのはようわかる。フェイトちゃんもなのはちゃんも口には出さへんけど、目ぇ輝かして
うずうずしとったんもわかってる。
だから、乗ってみたい気持ちはようわかるんや。
せやけど、シャマルが乗っただけで壊れたんはビックリや。
「シャマル。最近戦ってないから太ったんじゃね?」
「ヴィータちゃん、そんなことないのよ」
「シャマル。なんなら時間を見て稽古を付けようか?」
「シグナムまで、酷い……」
「しかし、シャマルが主の車椅子を壊したのは事実だ」
「ザフィーラまでぇ……」
あはは。ま、いろんな事件があって、車椅子を酷使しとったんは事実やからなぁ。
そろそろ寿命やったんかもしれへんしな。皆もあんまりシャマルからこうとったらアカンで?
うん。なかなか座り心地もよろしい。輪もしっかりして動きも軽やか。
これはかなりの上物や。グレアムおじさん、張りこんだんやろか。今度、なんかお礼せなあかんなぁ。
しかも電動車椅子やもんな。まだ説明書は読んでないけれど、ボタンがえらいたくさんある。
えっと、マニュアルは……。ああ、動かすだけやったら簡単やね。すずかちゃんのところでやったゲームみたい
や。
そしたら、ちょっと散歩行ってこうかな。車椅子が壊れてからはずっと引きこもりやったしな。
今日はみんな任務やけど、電動やったら楽やし。
いいお天気やね。散歩日和やわ。
……そろそろ、試運転もこれくらいにして帰ろかな。
それにしてもこの車椅子、音も静かやし、揺れも少ないし、ホンマにこれはええもんやね。快適やわ。
せやけど、妙にたくさんあるボタンが気になる。いったいなんなんやろ?
一つくらい押してみても、大丈夫やね?
2
“プレイモードに入ります”
え? 今、車椅子が喋ったで?
あ、背もたれの所に小さいスピーカーがついてて、私にしか聞こえてないみたいや。
なんやベルトがわさわさと……ちょ、手とか足とか腰とか固定していくんはなんで? 何、これ? なんやの?
嫌っ。腰の後の辺りからなんやいっぱい出てくるんは……触手? なんで触手?
や、くすぐったい。
あ、変な目で見られる。あかん、こんな所人に見られたら……我慢せな……
せやけど、こないくすぐったいのは……あ、嘘、そこは、あかん、触手が服の裾から入ってくる!?
そこは、胸に触ってる! あかん、あかんて!
“媚薬を分泌します。拒否される場合はマニュアルのB手順に従って……”
そんなん知らんて! あ、ああ、あ、胸触ってる……あかん、駄目、それは乳首や……そんなとこ、くにくにし
たら……
んんん、声、出てまう。我慢せんと、こんなところで変な声出したら変な子や思われる。
でも、なんでこないな……、あ、痺れてる…乳首が痺れてるよぉ……やん……気持ちええよ………
ハァ…あっ……んんっ、声が……声が出てまうよぉ……我慢、我慢せな…
え? そんなところまで? そこはアカン、そこだけはっ! スカートの中は駄目ッ、あかん、堪忍や!
嫌やぁ、足動かへんのに……縛られてのうても動かへんのに……
麻痺してるのに……そやのに、なんで、こんなことだけ…んんっ! こんなことだけ、感じるんやろ…
そんなところ、触ったらアカンよぉ。ひっ……
紐のように細い、数十本の触手が幾グループかに別れてはやての身体をまさぐっていた。
腰の後の背もたれの部分から伸びて、上着の裾から入り――
膨らみ始めようとする乳房にまとわりつくもの。
柔らかい二の腕にも届くように、脇の下に待機するもの。
臍の周りを擽るもの。
脇腹を心地よく刺すもの。
そして、座ったお尻の下の部分から伸びて、スカートの裾から侵入し――
下着にまとわりついてずらそうとするもの。
足の付け根をさするもの。
お尻を撫で回すようにたゆたうもの。
今日のはやてはゆったりとした服装で、触手の蹂躙は外側からは全くわからないようになっている。
人がそこに見るのはただ、車椅子の上で艶めかしく悶え、何かを我慢している少女の姿だった。
3
……あっ…ん……
はやては唇を噛みしめて、嬌声を噛み殺していた。
しかし、我慢すれば我慢するほど、車椅子が「刺激不十分」と判断して責め手を増やしていくことに、はやては気付いていない。
陥落は時間の問題だった。
左右の乳首に巻き付いた細い触手が、左右交互にキュッキュッと締まっては解けることを繰り返す。
それはまるで、誰かの指にリズミカルに摘まれているようで。
その動きに合わせるようにして、はやては無意識で拳を握っていた。勿論、意識をハッキリとさせておくためである。
しかし、さらに触手に動きが加わった。乳首への刺激と共に数本が、膨らみ始めた全体を優しく波打たせるように揉みほぐすのだ。
……はあっ!! あああっ! いっ……ひっ…………
さざ波のように揉みほぐされる感覚が、はやての上半身を波紋のように覆い尽くしていた。
「はぁ…」
気が付くと、波紋の揺れに合わせるように息が浅く早くなっていく。
焦点を失い始めた目には辺りの風景も入らない。
因みに、高性能ナビとセンサー、そしてオートパイロットシステムの備えられたJS謹製車椅子に事故の心配はない。
人を巧みにすり抜けながら、車椅子はゆっくりと八神家に向かっていた。
そして、その車椅子に座っているのは、快楽に支配されつつある少女。
……気持ち……ええ………
それでも無意識に声を抑えているのは流石だった。
しかし、責めが終わったわけではない。今は、はやての身体を慣らしているだけのこと。
スカートの中の触手は、ここに来てようやく本格的に動き始めるのだった。
まず、乳首に巻き付いたものと同じような触手が、小さなクリトリスに触れる。
……!!
はやての衝撃にお構いなく、触手はクリトリスに巻き付いて微妙に震え始める。その震動は、乳首のものとタイミングを合わせていた。
右、左、そして下。三つの触手が刺激を順番に送っている。
クリトリスを締められ、はやては身を固くする。その直後に、上半身を覆う快楽。
次に来る快楽の種類がわかっていても、身構えることができないのだ。いや、既に身体は歓迎しているのだろう。
三つの刺激の感覚は徐々に短くなっていき、休みのない快楽を上半身と下半身に叩き込んでくる。
はやては歯を食いしばっていた。胸の感覚を遥かに超えた刺激が股間に送られている。嬌声を上げずに堪えるのが精一杯で、気分を逸らすことすらできない。
しっかりと、自分のされていることを認識するしかなかった。
……乳首…絞られて……おっぱい、触られて……あそこも……変やぁ……私、おかしくなるぅ…………
……駄目や、声出したら駄目や……こんなところを知ってる人に見られたら……。
4
下半身を包む触手は増加していた。
止めることもできずにはやては刺激を与えられ続けている。
今できることは、一刻も早く家に戻ることだけだった。
既に下着の感触はない。下着の代わりに触手がお尻の周り全体に巻き付いている。
クリトリスを縛る触手、襞を開く触手、襞の隙間をなぞる触手。
顎が砕けそうなほどに歯を噛みしめて、はやては耐えていた。
……!!!!!!!
一本の触手が肛門の周りを嬲り始めていた。そして、秘部と肛門を結ぶラインを描くように動く触手も。
「ひっ……いっ……ひくっ……」
言葉が漏れ始めていた。息を吐くだけでも嬌声が含まれてしまうような密度の快楽。
息を吸い、肺が空気を取り入れ、胸が動く。その動きすら触手に反応してしまう自分の過敏さをはやては呪った。
身体をどう動かしても、それが触手に伝わり、ひいては快楽に繋がっていく。
……イキたい……早く……もっと……
いつの間にか思考すら変わっている。
誰にも聞かれないところで思いきり叫びたい。嬌声を上げていたい。触手に嬲られたい。
自宅が見えた。
……家……家の中……思いっきり……
その時、触手が突然、数本の単位で寄り紐のように集まった。
下半身を責めていた触手の一部が集まって、より太いものになる。
媚薬と刺激でしとどに濡れた、年齢からは考えられないほどの体勢を整えたそこへ、太くなった触手が挿入される。
……!
痛みを感じるラインはとうに過ぎていた。あとは、快楽しかない。
がくん、と頭が仰け反る。
「あっ…ぐっぅう……!」
それでも、叫びを堪える。
ずるり、と触手が回転運動した。
目の前に火花が散ったような感覚に、はやての視野が一瞬光に包まれる。
「いっ……いいいいっ!!」
玄関に入り込んでドアを閉める。その瞬間、全てが弾けた。
声にならない絶叫と共に、はやては身を震わせる。
触手の回転速度が上がり、はやての下半身を持ち上げんばかりの勢いで突き立てられた。
別の触手が肛門を探り、はやての懇願を無視して肛虐の呻きに悶えさせる。
秘部を、肛門を、唇を。それぞれの場所に応じた太さの触手が蹂躙する。
車椅子に座ったまま、はやてはその陵辱を全て受けいれていた。
時折身を震わせ、呆けたような快楽の表情のままで。
5
数時間後、ようやく開放されたはやては呟いた。
「……そういえば、フェイトちゃんやなのはちゃんも車椅子に乗ってみたいようやったよなぁ……」
とりあえず、その夜はシャマルを載せてみた。
終
以上。
お粗末様でした。
>>525 GJ
なんというか。部隊長が企画物女優みたいになってきたのはきっと気のせい。
GJ!!
はやてのエロス、う〜ん良いねぇ。しかしこのままではシャマルが悲惨な目にwww
GJ!!ナイスチェア〜っと言っておこう
で、シャマルVerはいつ投下予定ですか?
530 :
B・A:2008/05/10(土) 01:40:56 ID:C+DAreOV
>>526 GJ!
はやてのモノローグがエロスを掻き立てている。
ボタン1個でこのプレイ。ならば、他にはどんな仕掛けが?
とりあえずロッテ姉妹、君たちは変身魔法でグレアムが犯罪に走らないよう首輪をつけなさい。
>>526 GJ!!
読んでいて思わず前かがみになってしまいますた
>>530 こんなアイテムはいかがでしょう?
恋する乙女の強い味方 その名も『お料理養成ギブス』
大好きな彼に手料理を披露したい貴方、コレを付けて料理の練習をすれば
普段の3倍から5倍の早さで貴方もたちまち一流シェフの仲間入り!
とかw
見た目は某野球漫画の大リーグボール養成ギブスw
ちとエリオ触手凌辱読み直してて今更だが、B・A氏ってちゃんと研究してるなあとオモタ。
責め方によっては快楽・絶頂と勃起・射精は必ずしも一致しなくて、
前者のほうがより普遍的に起こるのな。
特に後ろを使う場合はこの逆転が発生しやすくて、絶頂が主で射精が従になる。
全身汗吹いて硬直して叫びながら逝ってるのに竿は萎えてるなんてことも起こる。
だから、エリオが後ろで大きく飛ばされて飛んでる最中に前から追い討ちをかけられて
さらに高く飛ばされて悶絶って描写はかなり正しい。
まあアナニーとかにでも興味なきゃまず知らない情報ではあるんだけどな。
一般的にもショタ責めやMネタで尻責め絶頂=射精にしちゃう人が多いんで、
描写の正確さと濃密さに気付いて驚いたよ。
>>533 そこまで知っているアンタは一体何者なんだw
>>533 男の(描写の)場合は「絶頂=射精」がわかりやすいからなぁ。
女の(描写の)場合で結構ある「絶頂=おもらし」みたいな、記号、お約束だととらえりゃいいんじゃないかと。
女の絶頂は=潮吹きってイメージもあるよな。
>>533 ドライオーガズムってやつですね。
わかります。
なんかすごいまともな流れだ・・・・
とりあえず、アルカディア氏の復帰作がそろそろ見たいな。
リトランの素晴らしさは今も心に残り続けている!!そして続編見たくて悶えている!
>>539 >なんかすごいまともな流れだ・・・・
ちょっと待て
>>540 >なんか(エロパロスレ的に)すごいまともな流れだ・・・・
こういうことなんじゃないか?
なんでも知っとるわァ〜ここの住人…
地の文と会話文は行間空けたほうが読みやすいんですかね?
オレは場面展開以外は詰めて書いちゃうんですけど。
>>543 始めは詰めてたけど、自分で投下したのを見て「なんか見にくいな…」と
思ってからは適当に空けるようにしてます
>>543 少なくとも、ここの表示形式では空けたほうが見やすいと思う。
自分は自サイトのSSだと詰めてるけど、
>>544と同じ理由で今は空けてる。
女は絶頂が来なくとも潮をふく
1レスにガチガチに詰め込まなきゃいけないわけでも無いんだし、空白行は有っても良いんじゃね?
そうしてる書き手の方も居るんだし、“ここを強調したい”っていう一言は、その台詞だけで1レス消費。っていうこともあったしね
誰もが見やすいレイアウト。っていうのは難しいけど、
自分が見やすいレイアウトってことで、とりあえずは正解だと思うよ
>>543 私も書く時空けてますね
昔は詰めて書いてたけど、自分で読み返してみて目が痛くなったので^^;
空白行有ったら読みやすいのは確かですね
セリフだけが何行も詰めて書いてあるとちょっとキツイかな
地の文がバランス良く配置してあると気にならないかも
>>547 >一レスにガチホモを詰め込まなきゃいけない
に見えて戦慄した
まあ、ガチレズなら詰め込まれているときがあるけどな。
ふっと思ってしまった。
もしもユーノのCVが檜山修之だったら・・・・・・。
もしもクロノのCVが中田譲治だったら・・・・・・。
ユーノが檜山だったら不死身になりそうだな。
クロノはあれか、戦いへ飛び出そうとする妹を止めて
「妹なら、兄の言うことを聞けぇ!」
とか言い出すんだな
第08MS(マホウ・ショウジョ)小隊
プレシアがギリアムかw血吐くしwww
>>558 プレシアが鬼教官ギリアム・アングレートとな?
「このチェリー野郎!!」
>>562 生い立ち的にはフェイトもしくはナンバーズ。
中の人的にはシグナム。
543
参考になりました。
読みやすいようなレイアウトを考えて見ます。
>>562 マスターコアラはたんぽぽです
>>562 ココでレジアスを推させてもらうッ!!
躊躇わずコクピット狙ったのは誰だッ!!w
レジアスと言えば、レジなのの続きが楽しみだぜ……。
全然関係無いけどまた、きゃろろろろ、みたいなのがまた見たい
>>567 俺もだぜ、あれのおかげで年の差に目覚めたぜよ。
俺は或る執務官シリーズの人に帰ってきてほしい。
あの人にしか出せないテンポと文章が好きなんだ。
>>562 『マザーコア』と読み間違えて、「ああ、んじゃあグリフィス辺りか?」と思ってしまった俺WB厨
…や、なんとなーくアニルとグリフィスって似てない?
男は30まで童貞を貫くと
加藤鷹と呼ばれるゴッドハンドに転生出来るんだよ
「グリフィス君もようやるなあ。普通、その魔力であのレベルの魔導師相手すんのは無理やろ」
「小細工ですよ。魔力が足りなければ工夫する。工夫で足りなければ手間を掛ける。それができない者から順に、戦場では死んでいく。当然の帰結です」
……あー、ちょっと読みたいw
イルみたいな台詞を吐くレジアスとか特に。
投下よろしいでしょうか?
カモン!!!!
嘉門米美!
進路クリア
578 :
蒼青:2008/05/10(土) 22:18:47 ID:Gd+QfaD8
あざっす。
>>553を見て、クライド×仮面の男のガチホモ3Pを想像しかけたのは秘密。
それじゃいきまーす。
・エリ×キャロ。
・タイトル「キャロ先生の恋愛考察」。NGも左に同じでお願いします。
・エロ無し鬱無し戦闘無し。
・たぶん4レスくらい。短いです。
上記の内容がおkというかたのみどうぞ。
お楽しみ頂ければ幸いです。
誰より近い、あなたをかんじる。
温もりで、くちびるで、その手段で。
別にくちびるがないからって死んじゃうわけじゃないけど、
でも今はなかったらきっと死んじゃう。
ほんとうにうれしくて、もっともっとしたいから。
彼を感じ、彼に感じてもらう時間。
普段は隠した思いがあふれて、疲れている体を強くせかす。
愛しさを伝えて、うれしさをもらう。
それがとってもうれしいから。彼とだから、うれしいから。
だからこその、大問題。
〜キャロ先生の恋愛考察〜
例えばここに、エリオくんがいる。いるとしよう。
わたしのへやで、二人で、フリードもいて。
うん、すっごいしあわせ。
他になにもいらないくらい─っていったらエリオくんはちょっと怒るんだけどね。
そうしてベッドにふたりで座って。
体のあいだで手が重なって。お互いちょっと照れくさくて。
でもね?うれしいんだぁ。
想像なのににやけちゃうよ。
それで、かさなった手はひとつになって。おたがいにぎゅってして、ぎゅってされて。
いっしょにこころまでぎゅってなるんだ。
そのあと、からだまでぎゅって。してほしいからするんだ。
そうするとね、エリオくんが近くなるんだ。
あ、いつでも近くにいるんだよ。いなくてもいるんだよ?
目をとじたら、いつでも。だから今も、こんなにうれしい。
でも本物にはかなわないね。あったかくて、やさしくて、ぎゅってしてくれる。
でもほんものだからいいんじゃない。エリオくんだからいいんだよ。
エリオくんをかんじるほんものが、最近のわたしのげんきになってる。
でね、近いからね、エリオくんが。
すごくしたくなるんだ。キス。
だれもおしえてくれなかったけど、フェイトさんだって教えてくれなかったけど、
ふたりでいて、ちかくて、あったかくて、ぎゅってされると、もうおさえられなくなるんだ。
なっちゃうんだ。どうしてだろう?
でもそれはエリオくんもみたいでね?
わたしも、っていったら、びっくりして、あかくなって、でもわらってくれたんだ。
ちょっとこわくて、すこし不安だったけど、けどそれがかわいくて、でもかっこよくて。
だからぎゅってしたら、またぎゅってされて。すごいあったかかった。
きっとあれが”しあわせ”ってことなんだね。
でね、そのあとね、キスするの。もうすっごいしあわせなんだけど…
もんだいはここから。
キスの時って、目は開けてたほうがいいのかな?閉じてたほうがいいのかな?
ふだんは、めは閉じてしてるんだ。
めをとじてね、すこし待つの。
そうするとね、ちょっとだけこわくもなるんだ。
だってきえちゃうかもしれないんだよ?ぎゅっとされるのも、ほんものも。
そうして待ってると、キスしてくれるんだぁ、エリオくんが。
ちょっとつよめにぎゅってされて、やさしくくちびるがふれるの。
そうするとね、エリオくんしかなくなるんだ。ほかはなにもなくなっちゃう。
へやも、ベッドも、フリードも、わたしもなくなっちゃって、ぜんぶエリオくんになるの。
ぜんぶがとけちゃって、ただただあったかいんだよ。
それで、そのうちすっごくくるしくなるんだけど、ぜんぜんやじゃないの。
いきができないとかじゃなくて、なんかね、むねが、ぎゅって。
すっごいくるしいのに、やにならないの。
それがふしぎ。なんでだろうね?
だからね、わたしはいまのままでも文句とか、不満とかないんだよ?
でもね、エリオくんはどうなのかなって。
わたしはキスするとすごいしあわせなんだけど、エリオくんはどうなんだろう?
わたしはいっぱいエリオくんからもらってる。
だからエリオくんにもいっぱいもらってほしいんだけど、どうかな?
もし、もしも。
エリオくんがキスのときに目を開けてて、それでわたしにも開けてほしいって思ってたら、どうしよう。
そしたらわたしは、あげられてないことになる。もっともらってほしいのに。
そんなのかなしいから。ぜったいいやだから。
それに、それにだよ?
もしかしたら、目が開いてたほうがもっとしあわせかもしれない。
うん、そんな気がしてきた。
だって目が開いてれば、いちばん近くにエリオくんが見られるんだもん。
視界いっぱいのエリオくん。そんなのしあわせじゃないわけがない。
でも、ちょっと恥ずかしい気もする。
だって目を開けてるってことは、近づいてくるエリオくんが見えるんだよね?
よくかんがえたら、そのときに目があっちゃうかもしれないんでしょ?
そんなすっごい近くで目があったら、わたしどうなっちゃうんだろう?
はずかしすぎて逃げちゃって、彼をきずつけちゃうかもしれない。
そんなのいやだ。それじゃあげられないもん。
どうしたらいいんだろう。
どっちがいいのかな?
こういうときに、わたしはまだこどもなんだっておもう。
もっとおとななら、ちゃんと答えがだせるのに。
あ、そうだ。
じゃあおとなのひとに相談すればいいんだ。
わたしのまわりには、そんなやさしい人たちがいるじゃないか。
うん、そうだんしてみよう。
フェイトさん
「という訳なんですが……」
「………ご馳走さま」
「え?!何で泣いてるですかっ?!!」
「ううん?なんでもない…なんでもないよ……(そっか、もうそんなこともやってるんだね……)」
「なんでもなくてどうして泣くんですか!!?
わたしじゃ頼りないかもしれないけど、なにかあるんなら遠慮なく話してくださいっ!!」
「……うぅぅぅ…………ふええぇぇぇ
うわ〜〜〜〜ん!!!アルフゥゥ〜〜〜!!!」
「えっ??!フェイトさん???」
なんか最後に「お幸せにね〜」とか聞こえた気もする。
一体どうしたんだろう。フェイトさんも悩みとかあるなら、いつか話してほしいな…。
今すぐには無理でも、いつか力になりたいと、そう思った。
スバルさん&ティアさん
「という訳なんですが…」
「黙りなさいこの生まれながらの娼婦がっ!!!」
「ええっ」
「ちょっ、ティア、落ち着いて!!!」
「無理!!さすがに10歳ちょいのガキに惚気話聞かされて笑ってられるわけがないでしょ!!!
てゆーかアンタなんで平気そうなのよ!!!」
「いや別に平気っていうわけじゃ…」
「ま・さ・か。どこかであたしに隠れて男作ってきてる訳じゃないわよねぇ!!!」
「無い無い無い!!!大体あたしはいつだってティア一筋…」
「何いきなり問題発言かましてんのよっ!!」
「またまたー、うれしいくせにー」
「女に惚れられても流れ的にうれしかないわああぁぁぁっ!!!」
「えー。ティア、ツンデレもほどほどにしとかないとそのうち飽きられ…」
「(Putthin☆)」
「げっ!!ティアが伝説のエクス鉈リバーに手をっ!!!
キャロ、とりあえず逃げて!!!なるべく遠くへ!!!」
「え?!!でも…」
「いいから早く!!!!ここはあたしが食い止めてるからっ!!!」
「??はっ、はい……?」
「ふうっ、さあティア!!いくよっ!!!リヴォルバー…」
なにか後ろからすごい音が聞こえた気がする。
一体どうしたんだろう。ティアさんも悩みとかあるなら、いつか話して(ry
八神部隊長
「失礼します。部隊長、少し相談が…」
どうやら留守のようだ。
あれ?なんで机の上に信楽焼の置物が?
なのはさん
「という訳なんですが……」
「うん……そっか…………えーと………………にゃはは」
「?」
「うん、まあ……そのへんは部外者の私じゃわかんないよ。
やっぱりそれは本人に─エリオに直接聞かなきゃ」
「えぇぇ!!?そ、それはやっぱり、さすがにはずかしいんですが…」
「だろうねぇ。でも、きっと誰に聞いても答えてくれないと思うよ、その問題」
「ううぅぅ……そうですか……」
「まぁ……なんていうか………がんばれ?」
「はい……ありがとうございました………」
「うん…
…
……
………
…あ、ユーノ君?そういえば今度のユーノ君の休日来週末だったよね?
じゃあ私の休みもあわせるから、ヴィヴィオも連れて公園にでも遊びに行かない?
うん、うん。ごめんね急で。え?うん…なんかあてられちゃったみたいで」
で、結局…
「という訳なんだけど…」
なのはさんのアドバイス通り、エリオくんに正直に話すことにしたんだけど。
わ、エリオくん顔真っ赤。ちょっとかわいいかも。
だけどわたしのかおもあつい。きっとまっかだね。
そんないっしょもちょっとうれしくて、でもやっぱりいっぱいはずかしいよ。
「それ、で…え、エリオくんは、どっちがいい…?」
「えぇ??や、うーん…と、あ!!きゃ、キャロは?!」
「え?わたし?!わ、わたしは…その……エリオくんがいいなら………どっちでも」
なんかおたがいにどんどんあかみがましてるきがする。
このままだったらふたりとも、おんなじまっかになれるかな。
なんてことをおもっていたら、
「じゃ、じゃあ…」
エリオくんのあかみがまたまして、
「両方……やってみれば、いいんじゃ、ないか…な?」
わたしもおなじくらい、まっかになった。
おわり
584 :
蒼青:2008/05/10(土) 22:24:53 ID:Gd+QfaD8
以上です。読んでくださって、ありがとうございました。
なんかいろいろあって書けなくて、やっと再開すれどもヴォル子は早々に行き詰まり、
息抜きにエリキャロ書いてたらこんなんできました。
それでは読んで下さった全ての方へ。
ありがとう。
>>584 ∧||∧ GJ。
( ⌒ ヽ
∪ ノ
∪∪
GJ!!!
ああもう、可愛いなもう、キャロ可愛いなぁ〜もう!!!
このキャロ欲しい・・・マジ欲しい・・
GJ!
ティアに一番萌えた自分はきっと少し多分間違ってるw
GJ!
「生まれながらの娼婦」ってwww ティア錯乱し過ぎだwww
>>585 GJ!! 生れながらの娼婦にフイタw
そして、あてられたなのはさんがヴィヴィオと共にユーノを搾り取るシーンを想像してしまった自分は終わってるorz
591 :
B・A:2008/05/10(土) 22:48:31 ID:C+DAreOV
>>585 GJ! エリキャロ微笑ましいなぁ。けどティアが一番笑った。
鉈リバー・・・・つまりティアナは可愛いもの見ると思わずお持ち帰るわけか。
さて・・・・・遂にできました、最終回が(家に帰ってからずっとパソコンと向かい合って)。
はっきり言って、蒼青氏の余韻を軽くホームランする内容なんですが、投下はどうしましょう?
592 :
蒼青:2008/05/10(土) 22:50:23 ID:Gd+QfaD8
れっつホームラン!!
すぐに投下して!!
欲しいがもう少し待った方が良いかと思います、後読感の為にせめて11時過ぎまで待った方が良いと思います。
ですが厳密なルールがあるわけではありませんので、氏のご判断にまかせます。
どうかお好きなように。
>>584 GJ!!!!
フェイトが可愛いw
あー背中や首筋が痒いw
しかもBA氏まで投下の予定
今日は中てられて悶え苦しむ日になるのだな
心の準備はOKだぜ!
595 :
B・A:2008/05/10(土) 23:08:07 ID:C+DAreOV
そろそろ投下します。
注意事項
・エリオ主人公
・非エロです
・捏造が多々あります
・切ないシーンが多々あります。
・本編14話から15話の間の出来事
↑
・これをよく覚えておこう
眠っているアリシアを見て、エリオはまるで死んでいるみたいだと思った。
辛うじて呼吸はしているものの、それは余りに弱々しい。肌は青を通り越して土気色にまで変貌しており、触れれば氷のように冷たい。
ベッドの上で眠る少女からは、生きているという気配が微塵も感じられなかった。
「ふぅ・・・・・・」
先程まで治癒魔法による治療を試みていたシャマルが、疲労のこもった息を漏らして椅子の上に腰かけた。
長時間の治療でかなり魔力を消耗したのか、こちらもアリシアと同じく顔色がかなり優れない。
「とりあえず、応急処置は済んだわ」
「シャマル、アリシアは・・・・・・?」
エリオと共に不安げに治療を見守っていたフェイトが聞き、エリオもそれに倣うようにシャマルに視線を向ける。
他にも、知らせを受けて駆けつけた六課の主要メンバーが全員それに倣った。
「・・・・・・・・」
無数の瞳に見つめられたシャマルが僅かに目をそらすが、すぐに意を決して向き直る。
そして、喉が擦れるような重々しい一言を口にした。
「多分・・・・・夜明けまで保たないと思うわ」
「そんなっ・・・・・何とかならないんですか!? 専門の病院に連れて行くとか、手術するとか・・・・・・」
「エリオ!」
激昂しかかったエリオをフェイトは制する。
「アリシアは・・・・・もう無理なの」
「無理・・・・・無理って、なにが・・・・・・」
「アリシアの体は、もう限界なの」
レリックには死者を蘇らせる効果がある。しかし、それは膨大な魔力で半ば無理やり動かしているようなもので、蘇生された体は少しずつ劣化していく。
アリシアの場合、魔力資質を持たないためその劣化が極端に早かったのだ。そして、とうとうその限界が訪れたのである。
「最初から、アリシアは今日死ぬことが決まっていたの・・・・・だから、せめて最後に思い出を思って、エリオに街に連れて行ってもらった・・・・・・けど・・・・・・」
フェイトはそれ以上続けることはできなかった。悲しみの余り口に手を当て、声を押し殺しながら涙する。
他の者も皆、彼女の不憫さを哀れんで何も言えなかった。ただ1人、エリオを除いて。
「・・・・・・なんで」
「エリオ?」
「なんで・・・・・アリシアはなんで生き返ったんですか? 何のために・・・・・・・・・死ぬためですか! そんなの、あんまりだ
・・・・・・・アリシアは笑っていたんです。フェイトさんと一緒にいる時、みんなと一緒にいる時、いつも笑っていたんです。それを・・・・・・」
「エリオ! ここは病室だ・・・・静かにしろ」
「・・・・・すみません」
シグナムに一喝され、エリオは歯を食いしばってやり場のない怒りを堪える。
どうしていつも、世界はこんなはずでないことばかりなのか。
1人の女性が願った、愛する娘の蘇生。
母と慕う恩人が願った、愛しい姉とのささやかな触れ合い。
自分を慕ってくれた少女の笑顔。
何故、それが叶わないのか。
どうして世界は、こうも自分たちを裏切るのか。
その全てに、エリオは納得できなかった。
「とりあえず、この場は解散や。大勢で騒いでたらアリシアちゃんも休まれへんやろうしな」
「この娘のことは、私が診ています」
「頼んだで、シャマル。なのはちゃんはフェイトちゃんのこと、お願いな」
「うん」
そうして、その場はそれで解散となった。
寮へと戻る道すがら、キャロたちが色々と慰めの言葉をかけてくれたが、エリオはそれをほとんど聞き流していた。
自室に戻っても頭の中を駆け巡るのはアリシアのことだけ。
自分のことを好きだと言ってくれたアリシア。
忙しなく動き回り、子ども扱いされるとすぐに機嫌を損ね、嬉しいことがあるとにこやかに笑うアリシア。
小さな体で背が高いフェイトにいつもお姉さんぶっていたアリシア。
母親を救えなかった自分に、助けてくれてありがとうと言ったアリシア。
アリシア。
アリシア・テスタロッサ。
自分が助けた少女。
エリオ・モンディアルが、初めて救うことができた命。
「アリシア・・・・・・」
《悩む暇があったら行動しろ》
不意に、右手首のストラーダが言った。
《フロイライン・スバルが言っていただろう。詫びることも悔やむことも後でできる。大切なのは、今自分が成さねばならないことを実行することだろう》
「言ってくれるね・・・・・僕に何ができるっていうんだい? こんな・・・・・ただ魔力があるだけの紛い物に・・・・・死んでいく命を救うこともできない、
壊すことしかできない僕の魔法に、何ができるっていうんだ!」
《もしそれが本心ならば、私は君と絶縁させてもらう》
「・・・・・・・・・」
《・・・・・・・・》
「・・・・ごめん、ストラーダ」
弱々しいエリオの言葉に、ストラーダもまた《私もだ》と謝罪する。
自分がどうしようもなく情けなかった。
こうしている間にもアリシアは少しずつ死に向かっていっているというのに、自分にはどうすることもできないことがもどかしかった。
辛い現実から目を背けて自己嫌悪に陥っていた自分が情けなかった。昔の自分ならば、このままずっと部屋に閉じこもって自分のことを卑下し続けていただろう。
《すぐに悩むのは君の悪い癖だ。少しは馬鹿になれ》
「慰めるのか貶すのか、どっちかにしてよ」
辛辣なストラーダの言葉に、エリオは自嘲気味に唇の端を吊り上げる。
そう言えば、アリシアもそんなことを言っていた。
「僕にできること・・・・・僕にしかできないことか・・・・・・・」
自分にしかできないこと。
他の誰でもない、エリオ・モンディアルだけができること。
そんなものが、果たしてあるのだろうか?
「・・・・あるじゃないか」
たった1つだけ、まだ自分にもできることがある。それはどうしようもなく小さくて、大したことのない些事ではあるけれど、自分がアリシアにしてあげられる精一杯だ。
《迷いは吹っ切れたようだな?》
「うん・・・・・付き合ってくれるかい?」
《Jawohl》
頼もしい相棒の言葉とともに、エリオは己の目に決意の光を灯す。
掴んだ手は絶対に放さない。
例え、どれだけ絶望に揉まれようとも、奈落に落ちる者を見過ごすことなど自分にはできないのだ。
それがどんな結果になろうとも、自分が目指す騎士はただひたすらに絶望に足掻き続ける愚者なのだから。
だから、迷うのはもう止めだ。
□
みんなが寝静まるのを待ってから、エリオはそっと寮を抜け出した。そして、誰にも見つからないよう気を配りながら、
アリシアが眠っている医務室を目指す。隊舎には夜勤の交替部隊や宿直の隊員がうろついているが、エリオの鋭敏な五感を持ってすればそれを避けて通ることも容易かった。
そして、幾つかの角を曲がり、医務室まで後少しというところで予想外の者たち遭遇した。
「1人でどこに行こうとしているのかな、エリオは?」
「まったく・・・・・あたしたちはチームなんだから、もう少し頼りなさいよ」
「エリオくん、アリシアちゃんのところに行きたいんだよね」
そこにいたのは、スバル、ティアナ、キャロの3人であった。
動揺の余り言葉が出なかった。
暗い通路で呆然と立ち尽くしている姿は、何とも滑稽だったであろう。
「みんな・・・・どうして・・・・・」
「ティアが言ったでしょ、あたしたちはチームだって」
「この一週間、あの娘には色々とお世話になったし、お世話したしで結構楽しかったしね。その恩返しくらい、させてもらわなきゃ」
「エリオくんがアリシアちゃんのために何かしてあげたいなら、わたしたちも協力するよ」
「スバルさん・・・・ティアさん・・・・キャロ・・・・」
「こらこら、泣くのは後になさい。それで、エリオは何をしようとしていたの?」
「はい・・・・みなさん・・・・・本当に、ありがとうございます」
目じりに浮かんだ涙を拭い、エリオは自分がしようとしていたことを手短に説明した。
「なるほど・・・・・なら、急いだ方が良いわね。キャロ、あんたは表で待っていて。いつでも飛び立てるよう魔力を貯めてなさい。
スバルとあたしはエリオと医務室に行くわ」
「はい」
「それじゃ、後でね」
キャロとその場で別れ、3人は息を潜めながら医務室へと向かう。途中、スバルが通路に設置されたごみ箱を蹴ってしまい、
巡回していた隊員に気づかれそうになったが、ティアナのオプティックハイドによって何とか見つからずに医務室まで向かうことができた。
「馬鹿スバル、もう少し落ち着いて行動なさいよ」
「ごめん、ティア」
「まあまあ、とりあえず、無事に来られたんですから」
「そうね、問題はここからよ」
医務室のランプはまだ点灯しているため、中にまだシャマルがいるということになる。
彼女をどうにかしなければ、エリオの目的は達成できない。
「エリオ、ここは任せなさい。スバル、やるわよ」
「OK、任せて」
「あ、ティアさん・・・スバルさん・・・・」
何をするんですか? と聞くよりも早く、ティアナが扉のすぐ横に背中を押しつけて息を殺し、
スバルが深呼吸をして心を落ち着かせるような素振りを見せる。そして、ティアナと目で頷き合うと、
彼女は幽霊でも見たかのような叫び声を上げて医務室へと飛び込んだ。
「たたた大変です、シャマル先生! ティアが、ティアがぁっ!!」
「どうしたの、スバル。ティアナに何かあったの?」
「大変なんです! すぐに来てください、早くぅぅぅっっ!!」
「ちょっと、痛いから引っ張らないで・・・・わかったわ、すぐに行くから」
そんなやり取りの後、スバルがシャマルを連れて医務室から飛び出してきた。
直後、息を殺していたティアナが背後からシャマルの首を打ち、彼女を気絶させる。
本当に銃士なのかと疑いたくなるような見事な延髄チョップだった。
「よし、急いで」
「は、はい・・・・」
我に返ったエリオは、急いで医務室へと駆け込んだ。
そこでは、数時間前と同じようにアリシアが苦しげな表情を浮かべながら己の死が来る瞬間を待ち続けていた。
「アリシア・・・・・君の行きたかったところに連れて行ってあげる」
その小さな体を毛布で包んで抱え上げる。代わりにシーツで拘束されたシャマルがベッドの上に転がされた。
「良いわ、誰も来ていない。行くわよ」
ティアナの先導で、3人は表へと向かう。だが、運の悪いことにエントランスでは暇そうに缶コーヒーを啜っているヴァイスの姿があった。
「あちゃ・・・・・何て間の悪い」
「どうしましょう、裏口に回りますか?」
「いいえ、そんな時間はないわ・・・・ここはあたしに任せて」
そう言って、ティアナは居住まいを正してヴァイスのもとへと向かった。
いつもよりも若干お淑やかで、まるで不安を抱えて夜も眠れないようないたいけな少女の仮面を被りながら。
「うわぁぁ・・・・・色仕掛けってまた何とも・・・・・」
「あ、ヴァイスさんとティアさん、行っちゃいましたよ」
「こりゃ、今夜は帰ってこないな」
しみじみと呟きながら、スバルはエリオの背中をトンと押した。
「さ、行っておいで。こっちのことはあたしが色々と誤魔化しておくから」
「はい・・・・・すみません、色々と」
「良いって良いって・・・・・けど、忘れないで」
打って変わって、スバルは真剣な表情になってエリオのことを見つめた。
「人を助けるってことは、その人の人生を背負うということなの。それはとても尊くて、そしてとても危ういもの
・・・・・・救った命の重みで、自分はどんどん深みへと堕ちていく。だから、どこかで掴んだ手を放さなきゃいけない」
「それが、前に言っていた慣れというやつですか?」
「零した命を悔やんでいつまでも引きずるんじゃなくて、自分の失敗やその人の死を認めて前を向くってこと・・・・・・できるよね?」
「・・・・・はい!」
力強く頷き、エリオはスバルと別れて外で待つキャロのもとへと向かう。
時間はどんどん過ぎていく。
夜明けまであと数時間、それまでにあそこへ着かなければならない。フリードを全力で飛ばしたとしても、ギリギリ間に合うかどうかだ。
そんなことをするくらいなら、ここで治療に専念していた方がよっぽど賢明である。
だが、エリオは彼女を連れて行くことを選んだ。
彼女が行きたいと言ったから、自分が連れて行くと言ったから。
あの思い出の場所に、連れて行くと決めたのだから。
「キャロ、すぐにフリードを! 行き先は・・・・・・・あ・・・」
エントランスから外に出たエリオは、キャロとともにその場にいた人物を見て絶句した。
「フェイト・・・・さん・・・・」
「アリシアをどこへ連れて行く気なのかな、エリオは?」
「え・・・・あの、それは・・・・・・」
「フェイトさん、その・・・・・・」
「まったく・・・・・無許可で市街を飛行するのはご法度だって、教えたと思うけどなぁ・・・・・・・・」
苦笑したフェイトの足下に、金色の魔法陣が展開する。同時に周囲の風景が飴細工のように歪んでいき、纏わりついていた潮風が魔力の奔流によってかき消される。
「これは・・・・・」
「転送魔法・・・・フェイトさん!」
「行こうか・・・・・アリシアの故郷に・・・・・・」
直後、4人は魔力の粒子となって、溶けるように虚空へと吸い込まれていった。
□
そこは灰色の建物と煙突が乱立する奇妙な場所だった。
クラナガンから少し離れた場所にあるここは、ミッドチルダでも有数の工業地帯だ。自然を切り開かれて造られたこの街は、
かつてアリシアが母とともに暮らしていた思い出の土地であり、紛れもない故郷である。しかし、その風景はフェイトの中の“アリシア”の記憶とかなり違っていた。
「・・・・・そっか、もう何十年も経っているだよね」
フェイトは街の手前の野原に転移したつもりだったが、時とともに開発が進んだのか、緑の野原は無機質な工場へと変貌していた。
他にも、流れていた小川が埋め立てられてマンションが建っていたり、よく駆け回った丘が削られて道路が走っていたりと、
フェイトの知る風景と似ても似つかない人工の世界へと変貌していた。
「そんな・・・・・」
絶望にも似た声をエリオは漏らす。
ここまで来て、思い出の土地が跡形もなくなくなっていた。それでは、アリシアが余りに不憫過ぎる。
彼女にとって、もう母親との繋がりはここしか残っていないというのに。
「・・・・・ううん、ここじゃない。もっと、別の・・・・確か、母さんとよく行った・・・・・・・」
「フェイトさん?」
「エリオ、キャロ、こっちに来て」
自分の中に微かに残っているアリシアの記憶だけを頼りに、フェイトは変わってしまった街を歩いていく。
どこまでも続く灰色の世界。
聞こえてくるのは歯車と金属が擦れる音。
進む度に絶望感は増していき、綺麗だった思い出が壊れていくような錯覚をフェイトは覚える。それでも、彼女は進み続けた。
そして、不意に視界が開けた。
そこは涼やかな風の吹く高原であった。
一面に広がる緑の大地。
月光に照らされた黒い川。
咲き乱れる真白の花。
年月が経とうとも、変わることなく今日まであり続けた思い出の地がそこに広がっていた。
「うぅん・・・・・」
「アリシア?」
「・・・おにい・・・ちゃん・・・・フェイト・・・・・あれ、ここは・・・・・」
「君が来たいって言っていた場所だよ。ほら、見えるかい?」
エリオの言葉に、アリシアは虚ろな目を野原へと向けた。
喉が擦れたような音を漏らす。
眼前に広がっているのは、記憶と寸分変わらない自然の風景だった。
週末の度に母とピクニックに出かけ、愛猫であるリニスと共に駆け回った緑の大地。
夜の闇の覆われてその色までは見えないが、確かにここは自分の心に刻まれた故郷だ。
「ここ・・・・母様と来た・・・・・母様と・・・ピクニック・・・に・・・・」
エリオに降ろしてもらい、柔らかな土を踏みしめる。だが、弱り切った両足はまともに体を支えることもできず、アリシアはその場にペタンと尻餅をついてしまう。
「アリシア!?」
「えへへ・・・・転んじゃった・・・・・・」
そして、いつものように笑っていた。
「フェイト・・・・・私ね、母様とよくここにピクニックに来たんだ」
「うん」
「一緒にお弁当食べて、母様の膝でお昼寝して、お花で髪飾りを作って・・・・・・・楽しかったなぁ・・・・・・・」
懐かしい思い出に浸りながら、アリシアはその目に涙を浮かべる。
「ピクニック・・・・また行きたかったなぁ・・・・・」
そんな時間はもうないと、アリシアは悲嘆の言葉を漏らす。
彼女の死は覆しようのない決定だ。慰めの言葉など意味は成さず、励ましの言葉は伽藍の心に響くだけ。
それでもできることがあるのだとしたら、それは彼女の願いを精一杯叶えることだけだった。
「しようよ、ピクニック」
「え?」
「わたし、昼間フェイトさんとクッキー作ったんだ・・・・ほら」
キャロはポケットから包みに包まれたクッキーを取り出し、そっとアリシアの手に握らせる。
そして、自分は3人に背を向けた。
「キャロ・・・お姉ちゃん・・・・・」
「わたしは向こうで待っているから・・・・・・アリシアちゃんはエリオくんとフェイトさんと、ゆっくりピクニックを楽しんでね」
「待って・・・・」
アリシアは立ち去ろうとするキャロの腕を掴んだ。ほとんど力が入っておらず、腕に力を込めれば簡単に振り解けるような握力だった。
だが、何故だかキャロはそれを振り解くことができなかった。
「お姉ちゃんも・・・・・一緒・・・・・」
「・・・・わたしは、邪魔になるだけだから」
「お姉ちゃん・・・・お姉ちゃんも・・・・・いて・・・・」
「・・・・・良いの?」
「うん」
力のない笑みに、キャロもまた笑みで応える。
そして、真っ暗な闇の中でのピクニックが始まった。
夜明けまで数時間、何もない原っぱの上で4人はクッキーを食べながら、他愛ないお喋りをして過ごす。
思い出を語り合い、一緒に歌を歌い、小川のせせらぎに足を浸け、誰が一番上手にお花の冠を作れるか競争もした。
この一週間で、一番穏やかな時間が過ぎていく。
夜明けまで後数十分、それでも話すことは尽きない。
アリシアは弱々しくもみんなの言葉にいちいち反応を示し、そんなアリシアをもっと喜ばせようと3人は様々な思いを語っていく。
やがて、東の空が俄かに明るみだした頃、アリシアはおもむろに立ち上がった。
ゆっくりと、だが自分の足でしっかりと大地を踏みしめる。
まるで、お迎えが来たかぐや姫のように。
「アリシア・・・・・・」
「もう・・・・時間だね・・・・・」
「・・・・うん」
「楽しかったな・・・・ピクニック」
明けの輝きを目に焼きつけながら、アリシアは感慨深く呟く。
「キャロお姉ちゃん」
「なあに、アリシアちゃん?」
「お姉ちゃんのお母さん、取っちゃってごめんね」
「・・・・・ううん、そんなことないよ・・・・アリシアちゃんがいてくれて、わたしも楽しかった」
突然の乱入者だった。
自分とエリオとフェイト、その関係の中に入り込んできた異物。わがままで大人ぶっていて、いつも無邪気に笑っていたアリシア。
キャロにとって、アリシアは新しい妹分のような存在だった。
「フェイト・・・・・」
「なに、アリシア?」
「あんまりお姉ちゃんらしいことしてあげられなくて、ごめんね」
「そんなことないよ。アリシアは、私の自慢のお姉ちゃんだよ」
絶対に出会えるはずのない関係だった。
彼女が死んだから自分がいる。自分という存在は、彼女の死を証明する1つの証であった。
そんな残酷な事実を受け入れ、それでも笑ってくれた姉。自分のことを妹と呼んでくれた大好きな姉。
神様がくれたささやかな時間を、フェイトは誰よりも感謝していた。
「エリオお兄ちゃん」
「・・・うん」
「指輪、ありがとう・・・・・けど、本当は薬指に嵌めたかったな・・・・・」
「まだ少し、気が早いよ」
「うん・・・・・けど、私の一番の宝物。お兄ちゃんから貰った、大切な・・・・・・」
そこで言葉が切れ、アリシアは地面にうずくまる。咳き込んで吐いた血が手を汚し、呼吸が阻害されて脳が少しずつ壊れていく。
今のでまた、死が近づいたのをアリシアは誰よりもはっきりと把握していた。
「お兄ちゃん・・・・・私は、もう逝かなきゃいけないけど・・・・・」
くるりと振り返り、満面の笑みを見せる。
今の自分にできる精一杯な笑み。
いつもみんなが可愛いと褒めてくれた笑顔。
その笑顔のまま、アリシアは母のもとへと旅立ちたかった。
「お兄ちゃんは・・・・・立派な騎士になってね」
「アリシア、僕は・・・・・」
瞬間、アリシアの体がエリオに向かって倒れてくる。受け止めたその体からはもう熱が感じられず、鼓動も息づかいも聞こえなかった。
命をなくした体は、この世の何よりも軽くて壊れやすいガラスにも似た繊細さを帯びていた。
支援
「僕は・・・・・僕は・・・・・・」
この娘を救えたのだろうか?
僅か一週間の命に意味はあったのだろうか?
自分はこの娘に、何を与えることができたのだろうか?
『大好きだよ・・・・・お兄ちゃん・・・・・・』
「僕も・・・・君が好きだった」
無邪気に笑う君が好きだった。
わがままを言ってみんなを振り回す姿が微笑ましかった。
フェイトと一緒に笑っている姿を見ていると嬉しかった。
できることなら、ずっと側にいて欲しかった。家族として一緒に暮らしかかった。
けれど、もう彼女はいない。ここにいるのはただの抜け殻だ。アリシア・テスタロッサは、自分たちに見守られながら天へと昇っていった。
「フェイトさん・・・・・キャロ・・・・・」
魂なき亡骸を抱き締め、エリオは2人に向き直る。その目に涙を浮かべ、壊れそうな心を必死で奮い立たせながら、昇って行く朝日を背中で背負う。
「僕は・・・・強くなります・・・・誰よりも強くなって、みんなを救える騎士になります・・・・・」
こんな悲しみを、もう誰にも味わって欲しくない。
大切な人を別れる寂しさを、一人ぼっちの孤独を、死への絶望を、その全てから人々を守りたいと、エリオは純粋に願った。
「アリシア、君に誓うよ。僕はもっと強くなる・・・・・強くなって、立派な騎士になる・・・・・だから見ていて・・・・・・必ず、僕は・・・・僕は・・・・・・・・・」
それは誓いだった。
かつて幼い自分が己に課した誓い。
救いを求める者を分け隔てなく助けるという誓い。
立派に騎士になるという誓い。
アリシア・テスタロッサに捧げる誓いであった。
□
隊舎へと戻ったフェイトは、同居人のいなくなった部屋で呆然と立ち尽くしていた。
まるで自分の体の半分をなくしてしまったかのような気分だった。頭ではアリシアの死を理解できているのに、心がそれを受け入れてくれない。
そんな心境では何かをしようという気持ちも湧かず、みんなには悪いが今日の仕事は休むことにした。
ふとテーブルを見ると、子ども用画材と共にアリシアのスケッチブックが絵本やメモ帳の山に埋もれていた。
アリシアは絵を描くのが好きだったため、外出した時に買ってきたものだが、彼女は恥ずかしがって何を描いているのか見せてはくれなかった。
呆然としたまま、フェイトはそれを手に取って開いた。
支援
「・・・・!」
思わず、目から大粒の涙が零れた。
そこには、子どもらしい拙い絵が描かれていた。
仲良く並んでいる姉妹らしき黄色の髪の少女たちと、それを優しく見守る黒髪の女性。
少女は髪を下ろしている娘がもう1人よりも背が高く、黒髪の女性は2人の母親なのか優しそうな笑みを浮かべている。
黒髪の女性が『おかあさん』、背の低い少女が『ありしあ』、そして、背の高い少女には『ふぇいと』と書かれている。
『だいすきなわたしのかぞく』
それが、この絵のタイトルだった。
「うぅ・・・ううあぁあぁ・・・・あぁぁっ・・・おねえちゃん・・・・・おねえ・・ちゃん・・・・・お姉ちゃん・・・・・・!!!」
零れた涙が頬を伝う。
心に満ちる感謝と愛情を示す方法がわからず、フェイトはただ泣き続ける。
大好きな姉の死を、彼女はようやく受け入れることができた。
□
そして、2ヶ月が過ぎ去った。
「でやぁぁぁぁぁっ!!!」
「・・!!」
エリオの繰り出した斬撃がいなされ、強烈な回し蹴りが叩き込まれる。
呼吸が瞬間的に停止し、視界が赤滅する。吹き飛ばされた体は容赦なく地面に叩きつけられ、痛みで四肢から力が抜けていく。
「ぐはっ・・・・がぁ・・・・・」
言うことの聞かない体を無理やり起こし、ストラーダを構え直す。
相対しているのは甲冑のようなシルエットをした人型の虫だ。名をガリューと言い、スカリエッティに協力している紫の髪の召喚師に仕える召喚蟲である。
エリオにとっては大きな借りのある相手であり、越えるべき1つの目標でもあった。
『エリオくん、そっちは大丈夫?』
少し離れたところでその少女と戦っているキャロが念話を飛ばしてくる。長引く戦闘で疲弊しているのか、その声には焦りと疲労の色が感じられた。
『なんとか・・・・・けど、やっぱりガリューは強い。そっちは!?』
『何とか持ちこたえているけど、ルーちゃんが全然お話を聞いてくれないの・・・・・・多分、さっきの人に操られているんだと思う』
『お互い、待ったなしの状況か・・・・・』
繰り出された拳の一撃を受け流し、距離を取る。
先史時代の遺産とされる聖王のゆりかごの浮上と、戦闘機人やガジェットによる都市への侵攻。
後にジェイル・スカリエッティ事件と呼ばれる史上最悪のテロリズムの渦中に2人は立っていた。
戦闘機人やガジェットの侵攻からクラナガンを守る、それが彼らの任務だった。だが、それとは別に2人には目的があった。
それは、悲しみの目を携えた少女と分かり合いたいという切なる願い。
彼女がスカリエッティの悪事に加担することを止めさせたいという思い。
そして何よりも純粋な、あの娘を助けてあげたいという願いだった。
『やっぱり駄目なのかな・・・・・わたしたちの声、あの娘に届かないのかな?』
『諦めちゃダメだ!』
『エリオくん・・・・・』
『諦めたらそこで終わりだ。ルーは苦しんでいる、ガリューも泣いている・・・・・誰かに助けを求めているなら、僕たちが助けるんだ!
今ここで2人を救えるのは、僕たちだけなんだ!』
『う、うん・・・・・・そうだね。わたし、もう少し頑張ってみる』
キャロの言葉に少しだけ力強さが戻ってくる。そんなキャロに、エリオは告げた。
『キャロ・・・・・この戦いが終わったら、僕は一度モンディアルの家に戻ろうと思うんだ。お母さんとお父さんに会って、僕は元気でやっていますって言いたいんだ』
『エリオくん・・・・』
『キャロも・・・・一緒に来て欲しい。ううん、キャロだけじゃなくて、フェイトさんにも・・・・そして、六課のみんなにも。もちろんルーもだ。
こんなにも暖かい人たちに囲まれて、僕は幸せです。産んでくれてありがとうって言いたいんだ』
『・・・・うん。必ず行こう、一緒に』
『だから・・・・・』
『絶対に・・・・・』
『『ルー(ちゃん)を助け出す!』』
念話を切り、再びガリューを対峙する。
血の涙を流しながら戦う召喚蟲。主の苦しみを知るが故に愚直なまでに彼女に仕えし戦士。
自分にとって、越えねばならない大きな壁。傷つきながらもなお戦いを止めようとしないその姿は、まるで救いを求めて足掻いているようにも見えた。
(見ていて、アリシア・・・・・僕は必ず、立派なベルカの騎士になってみせる。キャロと一緒にルーを苦しみから解放する。だから・・・・・・・)
あの日の誓いを貫くために、ここで負けるわけにはいかない。
「だから・・・・・勝負だ、ガリュー!!」
「・・!!!!」
白煙をまき散らしながら、エリオは疾走する。
たった1人で苦しむ少女を救うために。
アリシアとの約束を果たすために。
to be continued Episode24
610 :
B・A:2008/05/10(土) 23:42:17 ID:C+DAreOV
以上です。
このオチは最初からこうしようと決めていました。なので最初からアリシアの最期は決定されていて・・・・・うぅ・・・・・・、
書いている途中、何度ハッピーエンドに書き換えようと心が揺れたことか・・・・・・・。
ここまで読んでくださった方々、本当にありがとうございます。
支援ありがとうございました。
GJです。
アリシアよかったです
ティアナ怖い
GJ!!です。
アリシアぁぁぁ!!フェイトぉぉぉ!!エリオぉぉぉ!!悲しすぎるぜorz
関係ないですが、最後にアリシアが事切れた後にトーレ、クアットロが研究材料として死体強奪して、
ゆりかご戦でフェイトとエリオが悪鬼の如く戦う妄想をしてしまったw
お二人ともGJです。
キャロの可愛さに萌えた。
アリシアのはかなさに涙した。
(二編に渡る)ティアナの容赦無さに震えた。
>>610 GJ!!
氏の作品は凄いです!思わず泣いちゃいました。
>>612 その程度ならまだいいぜ…お前さんのレスを読んだ次の瞬間に『再起動』させられたアリシアとエリオ&フェイトが戦うとかいうのが思い浮かんじゃって、もうね('A`)
それはさておき、
>>610 B・A氏大変乙でした!
分かっちゃいたんだけど…悲しいなぁコンチクショウ(´Д⊂ヽ
アリシア…もっと生きていたかっただろうに。エリオも、フェイトも、キャロも、もっとアリシアと一緒に居たかっただろうに…チクショウ。
こんなモヤモヤした気持ちにさせてくれやがった貴方にはこいつをくれてやるっ!
つ【GJ】
>>615 お前さんのレスでTODのゾンビリオン思い出した
>>610 な、なんかまだ心がぐっちゃぐちゃなんですが…
すごい心を打たれました。
重いテーマをここまで書き切る貴方に嫉妬と尊敬を。
超GJ!!!
>>610GJです
最後はすこしウルっときてしまいました。
それでも本来会えないはずの人に会えたという点で貴重でたいせつな思い出になったでしょうね
アリシアに対する氏の愛情は読んでいても伝わってきました。書いていてつらかったでしょうがよく書き上げましたね
しかしハッピーエンドが見たいのも事実。平行世界でも設定をかえてもいいですからアリシアでもう一本書いてみません?
しかし氏の作品といい
>>584といい、今夜はティアナがはっちゃけてるなぁ
分かってたさ、アリシアが死ぬってのは分かってたさ・・・・でも言うだろ“死ぬな!!”ってよ。
ともかくGJだ!! 相も変らぬクオリティ、氏には心から尊敬の念を。
しかしまったくこのスレでのエリオの主人公度は計り知れんな、アニメ本編などまるで嘘のようだ。
ハラオウン邸に呼び出された後
>>620の姿を見た者はだれもいないのであった
乙
GJ
>>584氏のスバル見て思ったけど、最近ガチ百合のエロって見ないね。
>>622 ガチ百合かぁ・・・・・ディード×ティアナでネタはあるんだけど(中身はスカスカ)。
難しいし得意な書き手さん減ったのかな?
もしくは、エリオがどんどん活躍しているから? だとしたらごめんなさい。
百合SSは確かに最近少ないな、書き手さんがみんな百合萌えスレ行った?
向こうは見てないから分からないぜ。
本当は次スレの方にやるつもりだったがこっちに相当容量が残ってるんで
思いついた小ネタを投下させてもらうぜ
・ちょっとシリアス
・殆どオリキャラの独白なので注意
カモン
新暦××年 士官学校を首席卒業後、次元航行部隊に配属
新暦××年 本人の希望により魔力と記憶の一部を封印。同時に退職願いを受理。
以後の消息は不明。
自分がその少女の話を聞いたのは本当に偶然だった。
管理局に勤務する知人との会食中にその知人が漏らしたのだ。
将来を有望されていた局員が突然退職したと。
興味を引かれ自分は早速調査を始めた。
なお情報源については秘匿を条件に開示してもらったためここにも記す事は出来ない。
調べてみて驚いた。
彼女の評価は世辞でも何でもなく、実際の経歴に基づいていたのだ。
このペースなら二十代での艦隊司令も夢ではなかっただろう。
それなのに何故。
調査をした範囲では問題を起こしたという訳でもなさそうだ。
一度気になると最後まで知りたくなるのがジャーナリストの性分だ。
様々な人脈と数ヶ月の時間をかけてやっとの事で件の少女を見つけ出す事が出来た。
彼女が管理世界の人間だったらもっと早く見付かったし会うのも楽だったろうに。
内容を記事にしない事を条件に取材に成功した。
以降はその時のインタビューを書き記したものである。
――ああ。物好きな人もいるんですね。ええ、いいですよ。今なら思い出話として語れますから。
何故管理局を辞めたか、ですか?
それについては私が管理局に入る時から話し始めた方がいいですね。
私が管理局と接触したのは些細な偶然だったんです。
事故で漂流してきた民間人とそれを救助に来た管理局員。
ええ、当時の私は魔法なんて物語の中だけの存在だと思ってました。
ご存知だとは思いますが、管理外世界で魔法の力を持った者はその力を封印するか管理世界に移るかの選択を迫られます。
え? いえ。二者択一を強制された事に不満はありません。
治安維持の為にはやむを得ないでしょう。
話を戻しますが、私は管理局に入る道を選びました。
当時は子供でしたから人の役に立てるという甘言に踊らされて……
酷い物言い? ……そうですね。結局、選んだのは自分自身ですから。
ただ、家族も友達も理解してはくれませんでした。
必死に説明したんですけど、友達は離れていって家族も病人を見るような目で。
一時期は親子の縁を切るとまで言われました。
あの時の冷たい視線を思い出すだけで死にたくなりますね。
当然と言えば当然なんですけどね。
魔法文化のないあの世界で魔導師だの時空管理局だの言っても頭がおかしくなったと思われるだけ。
仮に魔法の力を見せていても恐れられて結果はあまり変わらなかったでしょうね。
……そんな単純な事、もっと早く気付ければよかったのに。
でも、管理局の熱心な誘いもあって私は士官学校に入る事になったんです。
……今にして思えば、私の為と言うより自分達の為だったんでしょうね。
優秀な戦力が加わればスカウトした自分達も美味しい汁が吸える、と。
ああ、すいません。また愚痴っぽくなっちゃいましたね。
士官学校での生活も楽しいとは言えませんでした。
私の成績、知ってますか?
はい。首席です。
皆にとって魔法文化のない辺境から来た人間がトップになるのは面白くなかったんでしょうね。
他はどうか知りませんが士官学校ともなれば競争意識が強いですから。
程度の軽い嫌がらせはかなり早い時期からありました。
保身も大事なようで直接暴力を振るわれる事はありませんでしたが。
友達ですか? いたら良かったですね。
ええ、入学当初は異世界の文化に馴染むのに苦労して余裕がなかったんです。
嫌がらせが始まってからは、それこそ避けられましたから。
卒業して次元航行部隊に配属されてからは多少マシになりました。
部隊の性質から管理外世界に対して理解のある人もいましたから。
まあ、逆に管理外世界を見下す人も多かったので極端化しただけですね。
ただ、首席卒業ともなれば出世のスピードも早いのでやっかみを受ける事も多くなりました。
辞めた理由はその辺りですかね。
え? 封印された記憶ですか? そんな事まで調べてたんですか。
いえ、お話しします。
封印した記憶は任務に関する事だと思います。
理由の一つは守秘義務ですね。
それなりに重要な地位にいましたから色々知る事も多かったんだと思います。
辞めた後は管理外世界の故郷に戻るつもりでしたから覚えていても役に立たないし、
管理局側にしても漏洩の危険が格段に減るので、双方の合意で。
もう一つに関しては想像でしかないんですが。
私は、理不尽な仕打ちを受けても自分の仕事で困っている人を救えるのだと、それだけを支えに頑張ってきました。
ですが、記憶が途切れる度にその思いが弱くなっていっていきました。
最後に記憶が断絶した後は管理局を辞める決意をしていました。
今ですか?
昼間は働きながら夜間制の学校で勉強してます。
管理局を辞める時に退職金としてそれなりに貰いましたが、一生暮らすのは無理なので。
……はい、そうですね。国交がないですから宝石や貴金属として頂きました。
その生活が楽しいかですか?
ええ、楽しいですよ。
家族とも時々会ってもらえるようになりましたし新しい友達も出来ました。
最初からこうすれば良かったです。
力なくほほ笑む少女と別れて帰路につく。
当初は記事にでもしようと考えていたが、如何せん、気が乗らない。
管理局の人手不足は深刻なようだし、彼女自身も言うように魔法の力を持った人間を管理外世界に野放しにする訳にはいかない。
治安維持に必要な人材確保なので強く非難は出来ないし、選択肢を与えた以上、彼女のような場合は自己責任という事になるだろう。
世論にしても自業自得、無責任という意見が強いのではないだろうか。
それ以前に興味を持たないかもしれない。
救いのない話だが彼女に関しては運がなかったという他ない。
好奇心は満たせたし、こいつは机の中で埃でも被ってもらおう。
以上です
高町家、といか海鳴市は人外魔境なので魔法少女が加わっても皆の理解がありましたが、
中にはこういうケースもあったんじゃないかな、と妄想した次第。
B・A氏、GJ!
予想はついていたがやっぱり悲しいなぁ・・・
そしてなぜか読んでる途中からday after tommorow の
「そして僕にできるコト」が流れた。
>>610 GJ!!
また燃えエリオ分をしっかり堪能させていただきましたが、
・・・・いや終わり方は、わかっていたつもりなんですがね。
あの、おっかないお母さんと、ちんまいアリシアが出てくる話である以上、
原則、こういうイタイ結末になるのは。
なので、できれば番外とかで救済フォローとかあれば良なあ、とか。
長編連載お疲れさまでした。
>>631 ちょっとヘイト感があるけど、GJ。
ただ、記憶封印というオリジナル設定の部分が重要視されてるのでちょっと違和感を覚えます
異文化による軋轢と管理局の暗部を主題にしたいのだろうけど、非魔法世界出身での
差別というのが起こりえるかが疑問、能力が高い故のやっかみなら何処の世界でも起こりえるけど
そもそも文化、言語が違うのが当然の各次元世界の出身者が会する管理局でこのような問題が起きる
なら管理局事態存在できないような?
>>631 ふむ。
なのはたちのことをどう思ってるかといった話があると
より話が膨らんだんじゃないかと思った。
>>631 ああ、なるほど。別になのはと同次元世界の人間というわけではないのか。
……実は非ヒューマノイドだったりしてw
>>631 最初はザンボットかと思ったが、別にそんなことはなかったぜ。
面白い視点ではあるなぁ。魔法少女もので、世界観が優しくなくてどうすんだって気もしちゃうけど
魔法少女ものとしてはちょっと異端な、3期の雰囲気からするとこういうのもアリだよね。
なのはたちという成功例あっての面白さというか
3期はなぁ・・・主人公の周辺以外は全然優しい世界じゃないんだよなぁ
お馬鹿系以外のネタを考える時はどこまでを優しい世界にしとくかで結構悩む。
639 :
ツンデレ王子:2008/05/11(日) 03:50:33 ID:wDT62HQT
今 3:50
前のレスが3:20なので投下してもOKかな?
『シャマル先生の〜』の最終話です
前回の予告とは大幅に変わってます^^;
まず第一に、シャマルとエリオの絡みが無くなりました><
では、次レスよりスタートします
総レス数 5
非エロです
「はい、今日はここまで。皆お疲れさま」
地べたに座り込み荒い息を吐くフォワード4名に満足そうな笑顔を向け、訓練の終わりを告げるなのは。
時刻は間もなく正午になろうとしていた。
「明日はわたしもヴィータ副隊長も教導で呼ばれてるから、お休みにします」
その言葉を聞き、思わぬ予定にざわめき出す生徒達。
「丁度お給料も出た事だし、お買い物にでも行ってくれば?
ただし、無駄遣いはしないようにね」
釘を刺すなのはに元気良く返事を返す4人。
そして教導官の解散の合図と共に、4人は揃って食堂へと歩いていった。
「あれ?そういえば…」
以前の様に4人同じテーブルでそれぞれがスパゲッティを頬張っているとき、キャロが思い出したかの様に
口を開いた。
「どうしたの、キャロ」
「あっいえ、今日はエリオくん一緒なんだと思って…」
その言葉に、今初めて気が付いたとでも言わんばかりに皆がエリオを振り向く。
「そういえばそうね」
ティアナの視線にあたふたと言い訳を考えるエリオ。
しかしそれよりも早くスバルが口を挟んだ。
「もしかして…シャマル先生に嫌われた?
『せんせー、ぼくのおちんちん腫れちゃったんです』とか言って」
意地悪そうに頬を緩ますスバルに対し、キャロは意味が解らずきょとんとしていたのだが……
エリオとティアナは同時に口の中のものを噴き出していた。
「な、何てこと言うんですかスバルさん!だいいち何でそこでシャマル先生が…」
「何てこと言うのよ、このばかスバル!」
二人が口々に詰め寄られ、スバルは照れたように頭を掻きながら『冗談冗談』と口にした。
「あんたねぇ、冗談でも女の子が『おちんちん』なんて軽々しく言うんじゃないの!」
スバルの言葉に食堂内がざわめき、それを何とか取り繕ったティアナだったが、彼女の突っ込みは更に大きな
声であった為、またしても周囲に異様な空気が漂う事となった。
今度はエリオが回りに頭を下げ、その場を取り繕う。
ティアナは衆人の目に晒され、俯いてしまった。
「ごめんね、ティア」
「……」
「ティア〜ごめんってばぁ」
「だー!分かったわよ、もう」
そんなやり取りのお陰で、先程シャマルの名が出た事は有耶無耶になったのか、エリオはホッと胸を撫で下ろ
した。
「そうだ、スバルさん」
じゃれ合う二人を見ながらスパゲッティを食していたエリオだったが、手を止めてスバルに向き直る。
「この前買ってきて下さったチョコなんとか…」
「チョコポット?」
「はい。そのチョコポットってどこで売ってるんですか?」
「えっとね…」
スバルは口頭で伝えるが、どうにも理解しきれていない様子のエリオ。
そこで彼女は駅からの簡単な地図を書き、エリオに渡した。
「エリオも気に入った?チョコポット」
「はい、美味しかったのでまた食べたくなりまして」
満面の笑顔で答えるエリオ。
「…付いていこうか?」
心配そうに彼を見つめるスバルに対し、大丈夫ですと自信満々にエリオは答える。
やがて昼食を平らげた4人は、午後からの業務へと戻っていった。
レールウェイを降り、改札へと向かうエリオ。
スバルに書いてもらった地図を開き、目的地に向かおうと一歩踏み出した時だった。
(……?)
背後から自分を呼ぶ声が聞こえる。
振り向くと、普段は管理局の制服姿でしか会う事のないシャマルが、若草色のワンピースに身を包み小走り
に駆けて来ていた。
「あ、シャマル先生。どうしたんですか、こんなところで」
まさか知り合いに会うとは思ってもいなかったのか、エリオは驚きの表情を隠せないでいる。
「私もお買い物に来てたの。そしたら偶然エリオくんの姿が見えたものだから…」
(本当ははやてちゃんから教えて貰ったんだけどね)
そう、実は偶然ではなかった。
遡る事およそ1時間前、はやてから通信が入ったのだ。
『シャマル、チョコポット買って来てぇな』
『チョコポット?』
『せや、頼んだで!
そうそう、場所やねんけど…あと1時間位したらエリオがそっち着くやろうから』
『な、なんでエリオくんが…』
『場所はエリオに聞いたら分かるから。ほなよろしゅうな〜』
はやてはそれだけ伝えると、一方的に通信を切ってしまったのだ。
店の場所を知らないシャマルは途方に暮れ、仕方無しに彼が改札を出てくるのを待っていたのである。
(今日のはやてちゃん、どうしたのかしら。いつもはこんな無茶いう人じゃないのに)
シャマルは知らなかったのだ。
自分の想いがはやてに気付かれている事に。
シャマルがエリオに昼食の世話をするようになり、既に10日が経過していた。
以前のエリオは、昼食は皆と揃って食堂で取っていたのだ。それが連続して食堂に顔を出さないとなると、
不審に思わない人間は居ないであろう。ましてやそれが普段行動を共にするフォワード陣なら尚更の事。
また、はやて自身も彼女達から相談を受けるより先に目撃していたのだ。シャマルが夜な夜なキッチンに立
ち料理をしているところを。
「……せい、シャマル先生」
考え込んでいたのか、エリオの呼ぶ声に漸く我を取り戻すシャマル。
「どうしたんですか、ぼーっとして」
「ごめんなさい、ちょっと考え事をしてたの。
そうだ!エリオくん、チョコポットって知ってる?」
突然出てきた名前に驚いてしまうエリオだが、自身の目的も同じである事を告げるとシャマルは一緒に連れて
行って欲しいと言い出した。
「先生もチョコポット買いに来たんですか?」
「え、ええ…まぁ…」
先程偶然と言ってしまった手前正直に頼まれたと言えず、だからと言って咄嗟に上手い言い訳も思い付かず
に曖昧に頷くしかなかった。
その時、改札からかなりの人が溢れ出し二人は人の波に飲み込まれてしまった。
時は夕刻、ちょうどラッシュの時間と重なっていたのだ。
「きゃー!」
「先生!」
別々の方向へ流されてしまいそうになり、シャマルは少年に向けて手を伸ばす。
その手を掴んだエリオは少年とは思えない程の力で引っ張ると、その勢いのまま目的地へと駆け出したのだった。
しばらく走っていた二人であったが、突然シャマルが蹴躓き転びそうになってしまう。
咄嗟に手を伸ばし彼女を支えたエリオだが、すぐさま顔を真っ赤に染め手を放してしまった。
――ドサッ
エリオが手を離した事により支えを失い、そのまま少年を巻き込み倒れてしまうシャマル。
「ご、ごめんなさい!」
まるで押し倒した様な姿勢で、彼の目を申し訳なさそうに見つめながら呟く。
「いえ、こちらこそ…」
エリオは茹蛸のように顔を真っ赤に染め上げており、漸くそれに気付いたシャマルは自身の身体を支えようと
伸ばされた彼の手の先に目を向けた。
「きゃっ!」
シャマルは慌てて立ち上がり腕をクロスさせると、頬を染め流し目でエリオに視線を送る。
立ち上がったエリオといえば、先程手に感じた彼女の柔らかな乳房の感触に慌てふためいていた。
「ああああのその…」
「…えっち」
同じ職場で働くヘリパイロット辺りが見たら『それ反則っすよ。可愛過ぎます』等と言い出しそうな位、この
シャマルの仕種は色気を含んでいた。
しかしエリオにそれに気付けというのは酷と言うもの。
案の定少年は返す言葉が見つからず、その場で固まってしまった。
そんな二人を見ていた街行く人達の間からくすくすと笑い声が聞こえる。
シャマルとエリオはそんな周囲の反応にここが街道であることを思い出し、真っ赤になってしまった。
「……」
「……」
「行きましょうか」
どちらからとも無く手を繋ぎ、今度はゆっくりと歩き出す。
彼女達に同調したのかそれとも中てられたのか、顔を染めた太陽が二人の背中を見送っていた。
645 :
ツンデレ王子:2008/05/11(日) 04:08:19 ID:wDT62HQT
以上です
当初の予定としましては、この後に
二人の絡みが入る予定だったのですが…
ここで終わらせた方が余韻が綺麗かなと思いまして急遽変更となりました
もしかすると、この続きはタイトルを変更して書くかも知れません
だって、今なお私の頭の中ではこの二人が勝手に歩き出して二人の世界を作っているのですから
B・A氏
感動を有難う御座いました
アリシアが最後の最後まで健気で…
是非、別世界ではアリシアに幸せになってもらいたいものです
>>631 GJ!なんですが…私も
>>635さんの意見に同意ですね
>>631 GJ、やはり管理世界に移らないと魔力封印ってのが悪い見方しちゃうなぁ…
刀狩りのイメージしか浮かばないぜ
>>645GJ
ここで終わりだなんてもったいない!
絡みを書くにせよ書かないにせよもうちょっと続きが読みたいです
>>645 なにをしている!今すぐその頭の中の二人を文章化する作業に戻るんだ!
GJ、まあこういう終わり方もありですか。
ちょっとさみしいけど、なんかほのぼのしていて良いっすね。
アリシア……別世界……ええいっ。熱き彗星氏はまだかっ
まあ、改変モノの避けられぬ運命とは言えアンチも多いから
けっこう書くのに苦労してそうではあるねぇ>彗星氏
と、言うか氏の場合は無節操に手を広げすぎているだけでわ。
埋め用の話だった気がするんだけど、お金ないお嬢様がなのはの訓練受けて「よろしくてよよろしくてよ」とかウキウキしながら砲撃眺めるSSの事覚えてる人いませんかねぇ?
タイトル:なの教(TAKE2)〜面接者殺し編〜
著者:「鬼火 ◆RAM/mCfEUE」・「37スレ703」 氏
早すぎてお昼ごはんが液体から固体になった
>>655多謝、多謝
家に来てアリシアとお医者さんごっこしても構わんよ
>>652 氏の場合、物語の根幹から崩してるからな。アンチが多いのも仕方ないのかもしれないが。
でも、アンチの有無でへこむような性格でもないでしょう、あの人は……騒いでても気にせず結構なペースで投下してたし。
単純に話に詰まったんじゃないだろうか?
>>631 GJ、
幼年で魔導師資質がある人間の勧誘に否定的な人間もいてもいい気がします。
例えば、管理局内に就労に年齢制限をかけようとする一派がいるとか。
>>584 エリキャロのほのぼのさになごみました。
相変わらず、氏のエリキャロはほのぼのしてて心が安らぎます
キャロかわいいよキャロ
ヴォル子ラブストーリーも楽しみにしております。
>>610 これは泣きました
アリシア・・・エリオ・・・フェイト・・・・
今回は奇跡は起こらなかった・・・
でもこの死を乗り越えてエリオもフェイトももう一つ強くなっていくんだと思う
最後に素晴らしい感動をありがとうございました。乙&GJ!!
>>645 GJ!!
甘い、甘いぜこれは・・・
これまたよいラブラブ度だぜ。
でもまだまだ他の方同様に続きが見たくて仕方がないです。
確かに綺麗に終わってるとは思いますが・・・
>>652 氏はここで3つも同時に連載されてるし、ここ以外でも活動してるみたいだから話の内容以前の段階で収拾がつかなくなっちゃったんじゃないでしょうか。
なによりリアルでも忙しくなってしまったみたいですし、気長に待った方が吉ですな
ある漫画で
「世界ひとつと少女ひとり、どちらを選ぶかは明白だろう?」
という台詞があったが、躊躇わずに世界と即答するのが管理局だからね……
組織としては正しい選択だろう。
個人としては……まあ、主観次第か。当事者でなければいくらでも無責任なこと言えるのが人間だしな。
なのは世界の場合、その世界がひとつで済む保証すらないし。
>>661 そこで『少女ひとり』と即答した主人公達が世界を敵に回すって展開は
王道パターンなんで……
「両方」
・・・良いじゃない。陳腐でも
>>661 そこで少女と答える組織に守ってもらうのは凄い不安だな、俺は
そこで少女が組織を一人でぶっ潰すという場合も
「両方とも……」
「……両方とも、もはや要るものか……!」
こうですねわかります。
世界と引き換えに護られた少女は、それをどう思うのだろうな?
「『世界を救う』『少女も救う』「両方」やらなくっちゃあならないってのが「魔法少女」のつらいところなの。
『(全力全開のSLBを喰らう)覚悟』はできてる?私は(撃てる準備は)できてる」
こうですか?
わかりま(ry
残酷な話だよな
普通の神経じゃ自決しちまいそうだよ
>>661 某ゲームに
「助けた相手が女ならば殺すな。目の前で死なれるのは中々に堪えるぞ」
という台詞で少女一人を選択した主人公を励ますシーンがあったな。
まあ、『少女ひとり』の王道展開でもフラグ次第で少女以外何もいらない壊してしまえ的ヤンデレ化というものが・・・・・・。
と、それはそうとオリキャラの名前でものすごーく詰まっているんですが、良い乗り物の名前ないですか?
立ち位置はヴィヴィオのライバルなんですが、スバルのメーカーで女の子らしい名前他になくて。
>>671 車以外の乗り物でってことかい?
車ネタは苗字で使って名前は自分で決めるってパターンもあるが
ヴィヴィオの後継車:プレオとか
サファリラリーでトヨタ・セリカと走ったこともあるらしい
>>671 アルシオーネとかは?
短編で使おうとしてネタ潰しになりそうだから使わなかった名前だけど
エルグランデw
シルビアとかプリウスとか適当なのしか知らないなぁ…
と聞いたものの一応車関係で幾つか探してみた。
ヴィヴィオ=なのはさんの後継者のライバルってことでフェイトそんの
名ネタ関係(フィアットとその傘下の会社)から
シエナ、マレア(フィアット)
フラヴィア(ランチア)
ジュリエッタ、ジュリア、ベルリーナ、アルフェッタ(アルファ・ロメオ)
ボーラ(マセラティ)
ステリナ、プリムア(アウトビアンキ)
あとウーノやシャマル、チンクエチェントなんてのもあったがさすがに除外
よければなんかの参考にどうぞー
あ、672=678です。IDでわかるけど、念のため
そろそろ埋めの季節かしらん
そういやレイアースも車の名前だったな
@規制対策
.\ |,ノ彡/ __ ,-'"._,,-‐' ト、__,,,,.ノ
__,,,,,〉!",/ //./フフ\メ、''二-‐=フ/ , i .!、 ‐='-- 、_
.r─'" ̄,-ォ ! .,/ / ./ ././/彡ヽヽ ././ /| !. ヽ 、___ `丶、
,! _,.-'" ./ / // ./ ,//"ヤーミ=-ヽヽ.//.,! .//"|..,i !\ `ヽ、
ノ/ .,! ,ノ-‐y' / / `"辺]リ`Vゝノ|.// | || | .l \. \
.l /‐''フ.! ,l ./.  ̄=z/ ̄ リ"_ .|,!.|| | i .| .ヘ
|.i i 二| |.,!| / __ ヽ 三=t‐.|!ノ | .||.l. ヘ
|.! ヽ_,ノ .|| .|.! i'__,,,,ィ ,ノ,不ミi.、 .`>l |ノ .|.リ .i、
| l )i.リ .|' ." ./;;!.` `'キ.r' .| / | ヘ i
..,.-‐'''''ー.、j ,)ー'" :| _,,ィ,,___,,,,,;;;;‐i_ .`",! │ ,! ノ i、i .i .i
'.,.-'" ̄`フイ .::l \;;;;;;;;;`ー`1 ノ .,! ,ィ' .|.|.i | | そろそろ埋めますなの。
´ / .| :::! \;;;;|;! /| ./// ,!.|.!||i .l
./ | i :::::! .キ"ィ /l'".,!/" / | ,! l,!.l|.l l
_,,,、_/ .il ! .| .:::::ヘ .,il|! _,/ノ .// ./ l ,! . | .| .| .,!
弋 .i|!. .l| .::::::::ヽ._ ll! ,/./" .// .l .,! .ノ .l ,!
. .\ .| i ! ::::::::::::::::`ー、 ./''" / ,! . ノ ,!/
\ .! .::::::::::::::::::::::::`ー.、__,/ // ./'
\ ::::::::::::::::::::::::::::;;-'/ /
\ :::::::::::::::: |
【次スレ】
☆魔法少女リリカルなのは総合エロ小説_第70話☆
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1210435560/l50
@
図1 機動六課設立における予算の推移
├─────────┐
. 当初計画予算 |. 2800 |
├─────────┘
├──────────┐
. 訓練施設予算 │. 6100 │
├──────────┘
├──────────┐
. デバイス予算 │. 8100 │
├──────────┘
├───────────┐
. 物損反映予算 │ 11250│
├───────────┘
|
│−−│−−│−−│−−|−−│
←low 0 10 100 1000 10000 100000 high→
付録 [[ 性格別 魔導師適正診断 ]]
[[[[[[[[[[やっぱり空戦型魔導師だよな!]]]]]]]]]]
| |
| |
↓yes ↓no
[[[エリートが好きだ]]] [[[努力とか根性が好きだ]]]
| | | |
| | | |
↓yes ↓no ↓yes ↓no
[[[[[[[[[[[[そんな君には高町なのはさんの実験台がオススメ!!!!]]]]]]]]]]]
【次スレ】
☆魔法少女リリカルなのは総合エロ小説_第70話☆
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1210435560/l50
___ ___ , 亠 、 __ __
〃´`ヾ, _ _ 〃´`ヾ, 〃´`ヾ _i,. -−'r__ __,〃−‐‐、ヽ //´ ̄`!i
ll l(,_,卵,_,)l ヾ, 〃 ll ‐'二!、_f_,ノ ̄`i`!j( ̄`ヾ //__// 〃
ll 〃 ̄`ヾ' ll ヾ,〃 ll (__ / r−ニー' ,. −‐、く //___
ll ヾ:、,_, ノll ll / く ,.−'=、=′,.ィ '、 }.} Y´ ̄`ヾ:,
.jj,.− 、 |「 ̄´ .jj,.− 、 、 ,.− 、 |} ,. / ,.、 { }} (_,ノ `ァー ツ ,.ィ '、___,ノノ
{{, ,}} {{, ,`'='´, ,}} // / 'ヾ:、 `'┬'ツ // ̄ /ィ.| //´
`'=='´ `'==' `'==' ヾ='´´ ヾ'='´'~`ヾ'=='´´ヾ'='´´ ヾ'==' '
ヽ/ ナ ゝ /|~ヽ −/― / /
(__ cト 〈_ノ ノ ./、\ \ /ヘ_ノ
./:i: :.: i: :/:.:i:.:.|:.:l:.:.:.:.:.:.:.:.Y:.:.:|ヽヽ:.:.:|
レl:!:.:./l::|:.:/レl:j、:j、::|::l:|:|:.:|:.:/l l l:.:.:.!
/7/7 'ヘ/:.:l::l:.:l' (_>__<)レ :l::ム/ 'v l |:.:.:.l
∧ヘ ∧ァ" .|:.: :⊥ヽl '´r‐┐`j|/イ/ \|:.:.:.l
\ \// |:.: :l Vヽゝ _V,ノ ィ!,/ |:.: :l
\ < /了 |:.: :l V´ ,>云" ̄\,、 |:.: :l
\__/ ∧ |:.: :l .. ,ヘ</≦, x≧、t< \ .|:.: :l
,<\. / /.. V . / (;;{::{乂{::::::イ \ ,> V
\_メ / / ./ / `ヽ必::::::{ //
// / / } 凶:;;;;>{ }
∧ ∠/ / ,/ ./xヘ::::::/XゞV
l\ / ヽ∧ / / /\Xメ>〈XX_ム
/⌒ ´  ̄`ヽ \/ W∧/ / レ .r'´::::::>' `〈::::::::!
∠,f つ.,ィv、て\ ヽ 〃´/⌒ヽヾ> ォし'" !:::::f'´ ',:::::::!
f八/ { {ノ メハヽ、ヽWヽ. / ∨ヘ 〃j |:::::j ゝ:::::ヽ
レリ N!> < リl Y', レ' ,r' ヾ\ {{ |:::/ \::::ヽ
/ ハ{ f ヽ イl V\ ヽ ./{\ マ、\ '\ j::,' \:ヽ
/ :}ヘ>‐-' イ/| _ヽ ヽイ  ̄\ ^ー‐≧_ィヘ_ ヽ./::〈 ヽ:\
ヽ-'-‐'´ ̄ { _ヽ_,イ___ラヽ `ー ̄ ̄ ̄`ー― ―‐―ー`ー=='"┴' ゝ‐┘
@
┌───────────────────────‐┐
|l l.ヨ┌┴┐ 立l7 立l7 口 首 隹 ┌┼┐ ┌ュ┐ |
|リ市. 千_ 口| > .□| > ,貝. ´力` ,木 └┼┘__j l.__ |
| ,. ─ 、 | ロ ロ ロ:::l |
| ,. 、 l i r‐─┐ ┌‐┴: ┌‐┐r┴‐┤
| ! l. ヽ. __ノヽ_____r=| | | ├┴‐┴![] |
| ヽ `ー'´ ヾ─‐イ___| |./─‐┘ ├─‐:|
| ー‐ '´\ \ ,.ヘ ─┘ / |
| ヘ 、 `´ / / |
| / / `ヽ._ / / |
| 俺 に は 帰 る / |
| く / 家 が あ る / |
└───────────────────────‐┘
【次スレ】
☆魔法少女リリカルなのは総合エロ小説_第70話☆
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1210435560/l50