嫉妬・三角関係・修羅場系総合SSスレ あの女49も!

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1名無しさん@ピンキー
浅いものはツンツンしたり、みたいな可愛いラブコメチックなヤキモチから
深いものは好きな人を独占して寵愛する為に周囲の邪魔者を抹殺する、
みたいなハードな修羅場まで、
醜くも美しい嫉妬を描いた修羅場のあるSSを扱うスレです。

■まとめサイト
 2ch 「嫉妬・三角関係・修羅場統合スレ」まとめサイト
 http://dorobouneko.web.fc2.com/index.html

■嫉妬・三角関係・修羅場系総合SSスレ@二人目の子
 http://www2.atchs.jp/test/read.cgi/dorobouneko/3/

■避難所
 http://www2.atchs.jp/dorobouneko/

■前スレ
 嫉妬・三角関係・修羅場系総合SSスレ 48章
 http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1204611799/

■SSスレのお約束
・sage進行(メール欄にsage)
 ・指摘するなら誤字脱字
 ・展開には口出ししない
 ・嫌いな作品なら読まない
 ・荒らしはスルー!
 ・職人さんが投下しづらい空気はやめよう
 ・指摘してほしい職人さんは事前に書こう
 ・過剰なクレクレは考え物
 ・投稿の前後には、
   @ 投稿への割り込み防止のためリロードをお願いします
   A「投稿します」「投稿終わりです」等をいれてください
 ・作品に対する評価を書きたいなら、スレ上ではなくこちらへどうぞ
  (ttp://yuukiremix.s33.xrea.com/chirashi/
 ・スレは作品を評価する場ではありません
 ・作品を投稿してくださる神々に超感謝しましょう!
2名無しさん@ピンキー:2008/04/20(日) 22:00:46 ID:+GfAK4kb
■関連スレ
 嫉妬・三角関係・修羅場統合スレ 第24章   
 http://qiufen.bbspink.com/test/read.cgi/hgame/1200729244/

■姉妹スレ
 嫉妬・三角関係・修羅場統合スレinラ板 その2
 http://love6.2ch.net/test/read.cgi/magazin/1172035731/

 嫉妬・三角関係・修羅場統合スレin角煮板5th
 http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/ascii2d/1198646566/
3名無しさん@ピンキー:2008/04/20(日) 22:01:34 ID:+GfAK4kb
■誘導用

 【天国への】ハーレムな小説を書くスレ【階段】 14P
 http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1202283220/

 ヤンデレの小説を書こう!Part14
 http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1204261770/  (←更新の可能性あり 要確認)

 ほのぼの純愛 10スレ目
 http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1195144091/

 寝取り・寝取られ総合スレ7
 http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1202071235/

 キモ姉&キモウト小説を書こう!Part10 (実質Part11)
 http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1208334060/
4名無しさん@ピンキー:2008/04/20(日) 22:02:47 ID:+GfAK4kb
>>3
スマン、ミスったorz
5名無しさん@ピンキー:2008/04/20(日) 22:32:37 ID:w8PyCaTS
>>1乙です
6名無しさん@ピンキー:2008/04/20(日) 23:19:29 ID:1yaWRNnL
>>1
7名無しさん@ピンキー:2008/04/20(日) 23:45:38 ID:bW4zipII
>>1
8名無しさん@ピンキー:2008/04/20(日) 23:50:41 ID:34bszVtQ
>>1おーつ。なんかこういうスレタイ久々な感じがするね。
9名無しさん@ピンキー:2008/04/21(月) 12:10:22 ID:0Dc9SyJ+
>>1乙。スレタイうめぇwww
10名無しさん@ピンキー:2008/04/21(月) 21:42:57 ID:EdY1rOvS
>>1の人気に嫉妬
11名無しさん@ピンキー:2008/04/22(火) 06:22:38 ID:0g3zXHWi
うざい自分語りさえなけりゃ誰でも神扱いしてやるよ
勘違い馬鹿だけは勘弁な?
12名無しさん@ピンキー:2008/04/22(火) 08:54:40 ID:9Wrrx+SX
>>1くん、あんな乙にデレデレして……。許せない!
13名無しさん@ピンキー:2008/04/22(火) 16:09:40 ID:R3hE5EJ+
真の神は投下だけしてそれ以外のレスは一切しない奴だな
無論内容が糞なら叩くけどな?
それくらいのリスクは負って貰わないと
14名無しさん@ピンキー:2008/04/22(火) 16:14:32 ID:EixyoOV/
何様だよ
と言いたいがいちいち感想にレスするのはいただけない
15名無しさん@ピンキー:2008/04/22(火) 17:18:56 ID:luj/ZSxf
>>13
>>14
お前らえらそうに言ってるけど
実際に書こうとすると大変だぞ…リアルで

一度書こうと思ったことがあるが
マジで大変
時間とも都合つけなあかんし
16名無しさん@ピンキー:2008/04/22(火) 20:39:33 ID:APMVLgB5
こうばしい人も湧いてきて、まあいつもどおりの雰囲気ですね
リスクw
17名無しさん@ピンキー:2008/04/22(火) 20:41:52 ID:FOQ3+039
スルー検定
18全部欲しい! ◆YiiBfqbdxs :2008/04/22(火) 21:24:10 ID:egyU+dXt
短いですが、
投下します。
19全部欲しい! ◆YiiBfqbdxs :2008/04/22(火) 21:27:33 ID:egyU+dXt
 僕が朝に家を出る時間は、はっきりと言って決まっていない。

 学校の用事、部活や日直なんかがあれば、当然に早く出るし、
 それ以外でも朝の支度、食事や洗濯などで遅く出る事もある。

 一人暮しではないけと、両親は離婚していて、父親は仕事で大変なのだから、僕がやらなければいけないという、当たり前の話だけど。


 そんな僕の朝にも、絶対に変わらない事が一つだけある。

 里沙、
 僕の幼なじみである、この少女の存在だ。

 彼女が絶対に僕の前を歩いているのだ。


 それは時に友人同士とだったり、彼氏と思える様な男の人と一緒だったり、
 僕には関係のない理由によるものなのだろうけど、
 それでも毎朝、絶対に彼女の姿が目に入る。


 別に里沙の事をストーカーしているつもりはないし、里沙の時間に合わせてるつもりもない。

 それでも、絶対に彼女は僕の前を歩いていた。


 それこそ、僕が怪我をして、病院に行く為に遅刻した時でさえ。


 何か声をかけるべきなのかもしれない。

 でも、それは出来なかった。

 既に僕は、彼女と何を話したら良いか、分からなくなっているのだから。
20全部欲しい! ◆YiiBfqbdxs :2008/04/22(火) 21:30:02 ID:egyU+dXt
 その日の僕は、家を出る時間がかなり遅くなった。

 珍しく父さんが家にいたからだ。

 ここしばらくで父さんが家にいるのは久し振りだから、話しておきたい事もあって、
 気付けば遅刻する様な時間になっていたのだ。


 何時もとは違う突発的な理由で遅くなった朝、
 それでも、その日も気付けば、里沙が前を歩いていた。

 何時も通りに、気付けば僕の前を歩いていた。


 自意識過剰、そう言われるかも知れないけど、
 考えてみれば、子供の頃から、朝に里沙を見ない日はない。

 一緒に登校してた頃から今に至るまで。


 とはいえ、僕から里沙に何か声をかけたりはしない。
 簡単な挨拶さえも途絶えているのだから、どうにも出来ない事だ。


 その日も、一人で歩いていた里沙に対して、僕は何も声をかける事も出来ず、
 ただ、彼女の後ろを歩いていた。

 決して広がる事も縮まる事もない距離を置いて。

 乗り込んだ電車では、流石に僕も、里沙とは違う、少しでも離れている車両を選んだ。
 その気はないつもりでも、里沙の跡を着けているような感覚は、
 自分の中にある、里沙への未練を意識させられるようで、嫌だったからだ。
21全部欲しい! ◆YiiBfqbdxs :2008/04/22(火) 21:32:39 ID:egyU+dXt
 変に憂鬱な気分のまま、僕は電車に揺られる。

 毎朝、僕の目の前を里沙が歩いている事実、
 この事実が、既に別の世界の人間だと考えているはずの相手、里沙に対して、僕が抱いている未練が、僕の想像以上に大きい、
 そう思えてきてしまうからだ。

 (情けないなあ)
 自分で自分に溜め息が出る。
 男らしくない自分に対して。


 でもそんな憂鬱な気分も、駅に着いた時には吹き飛んだ。

 改札を出たそこに松下さんがいたからだ。

 しかも、
 「本庄君と一緒に登校したかったから…」
 なんて、少し照れた様に言われれば、憂鬱なんか感じてられない。

 自分の遅刻を考えずに言ってくれた松下さんの一言は、僕に元気をくれるものだ。

 一番に気の合う友人、
 だからこそ、何かを察してくれた、
 そう思い上がるのに充分な嬉しさだ。


 互いに挨拶をしたその後、僕と松下さんは駅で話し込み、それから学校へと向かった。


 その途中でも、僕と松下さんはいろいろと話しをしたりしながら、
 遅刻だという事も忘れて、ゆっくりと学校に向かっていた。


 だから僕は、気付く事はなかった。

 駅を出た、その後からも、それまでと変わらぬ距離で、ずっと里沙が前を歩いていた事を。
22全部欲しい! ◆YiiBfqbdxs :2008/04/22(火) 21:33:28 ID:egyU+dXt
投下終了です。
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うふ〜ん
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29名無しさん@ピンキー:2008/04/22(火) 23:22:15 ID:APMVLgB5
>>22
一番槍乙
でももっとドロドロしてほしいんだぜ
30名無しさん@ピンキー:2008/04/22(火) 23:32:29 ID:2qfFclHk
これはいいな。激しく期待する
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34名無しさん@ピンキー:2008/04/22(火) 23:41:40 ID:MctYpaFP
>>22
GJです。もっと、嫉妬に満ちた世界を私に見せてくれ
35名無しさん@ピンキー:2008/04/23(水) 00:20:11 ID:k7BjeSAv
>>22
イイヨイイヨーGJ
36名無しさん@ピンキー:2008/04/23(水) 01:01:08 ID:zuwgp1JP
>>22
展開が気になるな…GJ!
そして一番槍乙!
37名無しさん@ピンキー:2008/04/23(水) 02:37:07 ID:NMvegHKM
>>22 GJ!
続きに期待
38名無しさん@ピンキー:2008/04/23(水) 02:46:32 ID:Gamy8Nad
直接内容に触れない単発称賛レスのなんと多いことかw
自演バレバレで痛いという事実に気づいているのかねェw
39名無しさん@ピンキー:2008/04/23(水) 02:48:49 ID:ApOXMt/l
まぁ、いつも通りの空気だね
40名無しさん@ピンキー:2008/04/23(水) 03:23:37 ID:mnGz4nhw
里沙の心の叫びを読むのが今から楽しみです
GJ!!
41タッタ一ツノ存在ヲ ◆PsPjd8yE3E :2008/04/23(水) 07:00:01 ID:bRTgdH+/
投下予告、します。
42タッタ一ツノ存在ヲ ◆PsPjd8yE3E :2008/04/23(水) 07:00:28 ID:bRTgdH+/
[KARIN SIDE]

遅い、遅すぎる。

幾らなんでも荷物を取りに行く位で、
時間が掛かりすぎじゃないの?

それに克樹は理由もないのに、
一限までをすっぽかす人間じゃない。


つまりは二限目に入ったということは、
“何かが起きた”事を示唆している。

華凛は机に置いた携帯電話と睨めっこをしていた。

「まったく、何でメールはともかく、電話にも出ないのよ・・・留守電まで入れたのに」

こういう時に限って、ディジタル機器ってうらめしい。
それを見かねた教師は教科書を片手に注意をした。

「これ、春原[すのはら]〜、授業中に携帯電話を出すんじゃないー」
「はい、すいませんでした」

頭ごなしに注意する教師に、『この糞教師が』
と思いながら私は携帯を仕舞う。

だが、表面上は反省したように振舞った。
一応これでも来年受験を控えた身なのだ。
できるだけ評価は高いに越したことはない

しかし、心中ここにあらずといった彼女だった。
もっとも、勉強はそこそこしかできないのだが。



43タッタ一ツノ存在ヲ ◆PsPjd8yE3E :2008/04/23(水) 07:01:08 ID:bRTgdH+/
そこへ、

「すいませーん、遅れました」
「・・・遅れました」

入室してこようとした、二つの影があった。

前者は声高らかに、後者はどんよりとした声。
・・・愛と克樹だ。

もしかして、あの女狐?
彼に襲い掛かったんじゃっ!?
そう考えると、合点がいく。
そして私の心は千切れそうになる位、不安に駆られた。



「これー、二人とも遅刻届を貰ってきなさい」



克樹を、取られるなんて、絶対嫌だ。
折角掴み取った幸せなのにッ!!

重い足取りでドアを閉める克樹を見て、十数秒ほどして私の手は挙げられた。

「すいません、先生。私アレな日なので」

男子教諭は気まずそうに、トイレへ行くよう促した。

「あ、ああ。行ってきなさい」

残念だけど、まだまだ先なのよね。
そもそも、彼と初めて交わりたいから安全な間なのよ。
ま、だけどこういうとき便利よね、女の子は。

職員室へ向かう二人に追いつき、愛の肩をつかんだ。

「あんた、克樹に何をやったのっ!?」
「今朝、克樹君が泣いたので慰めただけですよ」
「ま、まさか、あんたっ!!」
「そういうあなたはどうなんですか?」
「なによっ」

怒りを露わにして真っ赤になる華凛に対して、
冷ややかな目付きで愛は睨み付けた。

「克樹君は朝まで帰ってきませんでした。
 つまり克樹君をその貧弱な躯で誘惑でもしたんですか?汚らわしい」
「なっ、なんですって、あんたこそ慰めたって―――」

とうとう今まで口を閉じていた克樹が叫んだ。

「―――二人とも止めてくれっ!! もう、僕は嫌なんだッ!!
 誰かが喧嘩するのを見るのはッ!!」

44タッタ一ツノ存在ヲ ◆PsPjd8yE3E :2008/04/23(水) 07:01:39 ID:bRTgdH+/
私達の声を聞きつけたのか、校長が職員室から出てきた。

「君達、何をしてるのかね?」

「・・・すいません、トイレへ行きたいので」

形勢が悪いと感じ、私はトイレへ具合が悪いよう装って向かった。
背中越しに聞こえる女狐の声は、燦々[さんさん]としていて気味が悪い。

「えーと、私と克樹君は遅刻したので・・・遅刻届を」
「ほぉ、珍しいな。優秀で品行方正な君が。確か二人の届は白紙だったと思うが」
「幼馴染の彼が熱っぽいと言っていたので」
「ならば、保健室に行くのがいいだろう。なんなら私が彼を送ろうか?」
「いえ、だるさも取れてきたって克樹君も言ってますので」

「そうか、なら健康に気をつけてな」



45タッタ一ツノ存在ヲ ◆PsPjd8yE3E :2008/04/23(水) 07:02:06 ID:bRTgdH+/
[KATUKI SIDE]

校長が後ろ手を組んで満足そうにここを去ると、
愛はふぅと息をついて、職員室のドアに手を掛けた。

鳴り響く、鐘の音。
二限が終わったのだ。

職員室に入ろうとする二人は、

「あ、チャイムが鳴っちゃったね。今のうちに早く取りに行こうか」

そう言って入っていった。


ふらふらと僕はまるで母の背中についていく子供のようについていった。
僕は、何を、やっているのだろうか?
あのあと三限目を受けたが、頭にまったく入らなかった。


四限の授業は、体育だ。こういうとき、男女別でよかったと思う。
もっとも、その隣には体力馬鹿の恭介は、
「お前はブルマのロマンがわからないのか」とどうせ言うんだけどね。
まぁ、ブルマなんてとっくの昔に終わったらしいけどね

僕は各自の筋トレが終わると専ら球技やらのゲームを観戦する側。
いつもそうだったので不自然に思う奴はいない。


そこへ、四時間がそろそろ終わるのか、体育教師がやってきた。
僕は憂鬱な躯を動かして、整列していた。



授業が終わった後、恭介に事情を話した。
すると、慰められる、なんて思いは、間違いだった。
首元を掴みかかっているのだ、小学から馴染みの彼に。

「おぃお前、なんて言ってるか自分で分かってるのか」
「分かって、るよ」

恭介は、愛を好きになったことがあった。
そして克樹への想いにあきらめて、
僕らと数少ない友達でいる一人になっている。

だから、僕が愛を捨て、華凛と付き合うという選択肢を見るのは、
何ものに耐え難い屈辱、あるいは侮辱だったらしい。

「それでもっ」

掴みかかられた手を振りほどこうとする。
駄目だ、恭介に筋力で真正面から適うはずがない。

46タッタ一ツノ存在ヲ ◆PsPjd8yE3E :2008/04/23(水) 07:02:41 ID:bRTgdH+/
「この糞野郎がッ」


殴られた。



痛い、



物理的にも痛かったけど、
なにより数少ない友に殴られたこと自体がショックだった。



数分後、氷の入った袋を乱暴に放り投げると、彼は消えていった。
彼がたまり場にしている運動部から、かっぱらってきたんだろう。

乱暴者なりの、おせっかいだった。



その気遣いが、僕には殴られた痛覚より、胸を暖かくさせた。


「サンキュー」


誰にも、捉われることもなく、言葉は風に攫われていった。



更衣室で私服に着替え、シャワー室で汗を流す。
財布と使ったジャージを片手に、僕は購買へと寄った。
教室に向かえば、愛が『作った弁当を食べよう』というだろう。
部室に向かえば、華凛が『一緒に』と誘うだろう。

僕は、食欲のわかない、しかし躯はエネルギーを確実に要求していた。



あそこで、食べるのに、使わせてもらおう。


思い付いた場所へと、歩みを向けた。

47タッタ一ツノ存在ヲ ◆PsPjd8yE3E :2008/04/23(水) 07:03:40 ID:bRTgdH+/
「失礼、するよ」
「あらら? 克樹さんじゃないですか?」
「久方ぶり」
「どうしたんですか、頬を腫らせて」

僕は眼鏡を掛けた理知的な彼女へ、ジャージを見せ付けた。

「うーん、ちょっと授業でラフプレーされてね。氷で冷やしてるんだけど」
「確か氷袋・・・あ、ありました。これでーえ〜と」

彼女、佐藤鞘子は新たな氷袋を差し出した。
こいうとき、彼女のささかな優しさが染みる。

ひんやりとした感触が、頬へと伝わった。


しばらくだんまりとしていた僕だったが、
少しずつ堰があふれたように、
昨日から今日に掛けてを話してしまった。

朝の華凛のことは除いて。



彼女は、眼鏡を、外して、

「そう、だったんですか」

僕は驚愕した、

「知ってました?如月克樹さん」

彼女の瞳が、あまりにも、あまりにも、

「私、あなたが好きだったんですよ?」

どす黒い輝きを放っていたから。

「あなたが医大に援助させた養護施設の出なんですよ」

そう彼女はのたまった。

48タッタ一ツノ存在ヲ ◆PsPjd8yE3E :2008/04/23(水) 07:04:45 ID:bRTgdH+/
彼女は、事故で、両親を亡くした。
後見人が降りた保険金を片手に夜逃げし、
親戚をたらい回しにされたらしい。
そして辿り着いた先が、この市内の児童養護施設だった。

その施設は、彼女が入居して一年後に資金調達ができなくなった。
スポンサーも見つからないまま、潰れるかという時になって、
医大が急遽支援すると言い張ったらしい。

そして、その養護施設の園長のご好意と、
自分自身の優秀さで特待生として在学できるようになったと。



そんな?馬鹿な・・・。
ただ僕は、若さゆえの偽善心を埋めようと、
条件に加えた、それだけだったというのに。

何故、彼女が頬を染めていてる?
何故、彼女が近づいてくる?
何故、彼女が僕に告白をしている?


「最初は、知らなかったんですよ」

「ただ、優しい人だなーって」

「驚いちゃいましたよ、園長からあなたが、だと聞いて」

「年齢も、風貌も聞いてましたから一層思いも募って・・・」

「だから、あなたが好きです。
 例え私だけを愛さなくてくれても、私は一生あなたを愛します」

何故、彼女の眼がこんなにも“濁って”いるのだ?



僕は、身に着けた貴重品だけを持って
しなだれてくる彼女を押しのけ、
第二図書室から出て行った。



もう、僕は、一体、どうすれば、いいんだ?



何を、誰を、信じれば、いいんだ?



投下終了です。

ひとこと言わせて、俺一話ずつ投稿したほうが、楽。それだけ。
49名無しさん@ピンキー:2008/04/23(水) 07:25:40 ID:cT7PZY9z
>>22、48
共にGJ!
二人方とも投下速度早いな、尊敬する
50名無しさん@ピンキー:2008/04/23(水) 09:40:22 ID:SlZBjLgO
自演レスはえーなw
ハンで押したように「乙」「GJ」のレスしか付けないのは毎回自演バレバレでいかがなものかと思うがwww
もう少し内容にふれたレスしろよ馬鹿
51名無しさん@ピンキー:2008/04/23(水) 10:00:34 ID:Cmuzc0ok
>>48
主人公がいろんな意味で死亡フラグがGJです
続きが気になるぜ
52うふ〜ん:うふ〜ん ID:DELETED
うふ〜ん
53名無しさん@ピンキー:2008/04/23(水) 11:01:00 ID:0xZt9PNm
実にスレ容量に優しい荒らし方だな
54名無しさん@ピンキー:2008/04/23(水) 11:29:29 ID:eRA6sfdd
恋する女の子が刃物を握っているのは恐らく、ひぐらしの影響のせいだな
駅で女の首を切り裂くなんて、愛しい主人公を奪った泥棒猫に相応しい死に方ですのぅ
55名無しさん@ピンキー:2008/04/23(水) 11:34:27 ID:eRA6sfdd
むしろ、泥棒猫を電車で突き飛ばすENDの方がいいかもしれないね
○○ちゃんが悪いんですよ。私の彼を奪ったから。

電車に轢かれた死体って、物凄くグロテスクだと聞くが
マジかな?
56名無しさん@ピンキー:2008/04/23(水) 12:14:59 ID:gPJJGynB
俺は内容に触れすぎてる方が自演ぽく感じるんだけどな……
何にしろ、SSもスレも嫉妬が渦巻いててイイヨイイヨー
57名無しさん@ピンキー:2008/04/23(水) 12:44:47 ID:JmGHdLZg
このスレ向きだな

741 名前: 名無しさん@ピンキー [sage] 投稿日: 2008/04/22(火) 11:24:30 ID:+QyB9dLc
船が沈没して、無人島にたどり着いた少年少女たち


15少年少女漂流記


当然、少年は一人だけ、残りの14人は少女てことで
742 名前: 名無しさん@ピンキー [sage] 投稿日: 2008/04/22(火) 16:49:33 ID:BpLXEQ1M
>>741
ふふふふふ…計画通り○○君と無人島に流れ着いたわ
…邪魔な雌豚どもがいるのが気にかかるけど…一人ずつ片付ければいいわね(×14)
こうですね わかります。
743 名前: 名無しさん@ピンキー [sage] 投稿日: 2008/04/22(火) 17:20:19 ID:57C65pNF
>>742
スレ違い。
58名無しさん@ピンキー:2008/04/23(水) 13:17:01 ID:qRkBxZJZ
アナタハン でググてみよう。
孤島で男30人がひとりの女を巡って連続殺人というシチュが実話で既にあるという驚愕の事実。
59名無しさん@ピンキー:2008/04/23(水) 13:31:16 ID:Ga8eHtOK
>>48
GJ
だけど最後の一言はいらん
60名無しさん@ピンキー:2008/04/23(水) 14:28:32 ID:GWLwN6oG
>>48
GJです
マイペースで行こうぜ
61名無しさん@ピンキー:2008/04/23(水) 16:57:52 ID:bRTgdH+/
すまん、質問だが、
管理人さんが修羅場SSまとめサイトに格納するまで、
大体投稿されてからどのくらい掛かる?
62名無しさん@ピンキー:2008/04/23(水) 17:00:53 ID:vtgcBjGK
避難所で聞いた方が早い
63名無しさん@ピンキー:2008/04/23(水) 19:57:16 ID:vPZd6kgr
なんで図書室にいる人が氷持ってるんさ(笑)

何が言いたいかというと













応援してるよ
64名無しさん@ピンキー:2008/04/23(水) 20:54:56 ID:I7eVmQxZ
軽めの小ネタ投下。五レス使用します。
65名無しさん@ピンキー:2008/04/23(水) 20:55:31 ID:I7eVmQxZ
 このごろ私は今住んでいるアパートから引っ越そうかと考えている。築四十年のあまり綺麗とはいえないアパートで、世帯を持った当初から約二年間ずっとここに暮らしている。
稼ぎも安定し、そろそろ契約も一旦切れるので、もう少し上等の住まいに移り住むにはちょうど良い頃合いであるけれども、私がここから引っ越したいと思うのは別の個人的な理由も絡んでいる。
 私たち夫婦の部屋は七号室で、廊下側から見て右側に六号室があり、左側の東に面した角部屋が八号室である。
私たちがここに越してきたときの六号室には大学生らしき青年が住んでいたが、去年の四月あたりに引っ越してしまい、今は住人の無い空き部屋となっている。
八号室は、私たちが来るよりも以前から暮らしている田中さんという熟年夫妻の部屋である。そうして、一年程前から私はその田中さん夫妻に悩まされてきた。
66名無しさん@ピンキー:2008/04/23(水) 20:56:53 ID:I7eVmQxZ
 粗品を持って挨拶回りに出かけた際、新入居者の私たちを田中さん夫妻は快く迎えてくれた。細君は私たちに部屋に上がることを勧め、私たちもその申し出を辞退せずにお茶を御馳走になった。
良人も細君も慇懃に私たちをもてなした。二人は姿勢を正した丁寧なお辞儀をしてかえってこちらが恐縮したくらいであった。
元来こうした人付き合いが苦手な私は始終下手な相槌ばかり打っていたが、家内の葉子は引っ込み事案な彼女にしては珍しく積極的に細君に話しかけていた。
細君はなかなかの話し好きのようで、葉子に向かって問わず語りに自分たち夫婦のあらましを話して聞かせ、時々、私と同じく「どうも」や「ええ」としか喋らない良人にも声をかけて同意を求めていた。
聞くところによれば田中さん夫妻は五年前からこのアパートに暮らしているらしい。
以前は都市部の小さな一軒家で暮らしていたのが、良人が定年で仕事を止して、子供たちも独立したため、余生をのんびり過ごそうとこの片田舎のアパートに夫婦だけで移り住んだそうである。
なるほど、窓を見れば小さな集落のほか田園ばかりが広がっているこの地方は都会の喧騒から逃れるには打って付けである。
年配の二人暮しは色々と不便もありそうであるけれども、四方山話の最中、私はそうしたことについて何も尋ねなかったし、田中さん夫妻の方でも余計な愚痴を言おうとはしなかった。
そうした慎ましさと、挨拶回りで回った部屋の中で彼らが一番親身に私たちと接してくれたことから、私は田中さん夫妻に好印象を抱いた。
ゴミの分別や町内会の決まりごとなどもそれとなくにおわせるだけに留めて、「何かあったら頼って下さいね」と言い添えてくれたことは、新婚で右も左も判らない私たちにとって大変ありがたい申し出であった。
67名無しさん@ピンキー:2008/04/23(水) 20:57:58 ID:I7eVmQxZ
 しばらく経って、私は良人のほうの田中さんと将棋仇の間柄になった。彼が重松さんという名前であると知ったのはそのころである。重松さんの細君の名は聞く機会が無かったので私は未だに知っていない。
だから私は二人を呼ぶときに良人のほうを「重松さん」、細君のほうを「田中さん」と呼ぶようにしている。葉子も私と同じ呼び方である。
また田中さん夫妻が私たちを呼ぶ場合には、葉子だけが名前で呼ばれ、私は一家の主人として苗字で呼ばれている。
つまり、私たち夫婦と田中さん夫妻では呼び名が男女逆である。このことについて初め私は夫婦それぞれの力関係をあらわしているかもしれないと考えたが、最近ではそうも自惚れていられなくなった。
葉子の尻に敷かれ始めていると感じるようになったからである。
 重松さんは、老人会の会合などに出かけるほかは、いつも部屋で読書をするか、でなければアパートの庭の花壇と植木をいじっている。
将棋が好きだが、あまり強くはない。散歩へもそんなに行きたがらないようである。
休日には、重松さんの細君と葉子が連れ立って買い物へ出かけ、残された私と重松さんは私の部屋で将棋を差すのが慣わしである。
だいたいにおいて勝負は引き分けに終る。しかし早差しで差すとなると重松さんが圧勝する。
長考する場合、重松さんには悪手を打ったときに考えながら顎の下を掻く癖があり、私はいつもそこに付け入って勝利を収めるからである。
女二人が買い物から帰って、自室に荷物を置いた細君が重松さんを呼びに来た際には、重松さんは胡坐を掻いていた足を正座にして、手のひらを畳に置き、しかつめらしい調子で、
「では、愚妻が戻って参りましたので、そろそろお暇させて頂きます。お邪魔しました」
と挨拶し、それに釣られて私もあわてて正座をして、
「あ、はい。どうも、こちらこそ」と的外れな言葉を返す。
そんな光景に葉子と重松さんの細君は噴き出し、真面目くさった私たち男は毎回きまり悪い思いをするのであった。
 田中さん夫妻と付き合うようになってから葉子の家事の腕前が上達した。掃除洗濯は勿論、結婚前はカレーくらいしかまともに作れなかった料理においても目覚しい成長を遂げた。
彼女が言うには、田中さんに弟子入りしたお陰らしい。私が外に出ている間、葉子はときどき重松さんの細君から主婦の手練手管を指南してもらっているそうである。
得意げに語る妻の様子を見て、しかし私はあまりいい気持ちがしなかった
68名無しさん@ピンキー:2008/04/23(水) 21:00:18 ID:I7eVmQxZ
 晩酌のとき葉子の作った二杯酢の肴をつつきながら、葉子にそれとなく切り出してみた。
「世話になりっ放しは良くない。そのうちちゃんとお礼をしないといけないな」
「お盆で実家に戻ったときに、お土産を見繕ってくるのはどうかしら?」
「ああ、それでいいだろう。だがな、向こうさんにあまり迷惑をかけないようにしておくれよ」
「ご迷惑なんかかけてません。あたし、この間田中さんに誉められたくらいよ?」
「そういうことじゃないんだ。なんというか、ニュースで近所付き合い云々あるじゃないか。あれみたくお互いに深く立ち入りすぎるのはよろしくない」
「あなた、もしかしてさみしい?」
「ばか。心配なんだ」
 私が嫉妬していると思ったのか、葉子はくすくす笑いを漏らし、私がそっぽを向いて黙っていると米を研ぎに流しへ立って行った。
上機嫌に鼻歌なんぞ鳴らしつつ、普段より小気味良い研ぎ音を出したために、私はなおさら不愉快な気持ちになった。
 重松さんの細君が大変なやきもち焼きであると知ったのは、その年の夏、葉子の妹、つまり私の義理の妹にあたる由美ちゃんが大学の夏休みを利用して私たちのアパートへ泊まりがけで遊びに来るようになった時期で、その初日は雨が降っていた。
由美ちゃんは葉子と違って気の強い女性で、ヒステリーとまでは言えないけれども、お天気屋のうえ熱し易く冷め難い性質を持っている。
彼女は私たちの結婚に最後の最後まで反対し、しまいには結納の席で泣き喚いて親戚一同に気まずい思いをさせたが、それ以来落ち着いて、今では以前同様に私と遠慮ない仲である。
 雨の中葉子だけを買出しに行かせて私が由美ちゃんの相手をしていると、玄関の方から重松さんの細君のものと思わしき声が響いてきた。
このアパートは、室内で発せられた音はあまり通らないが、廊下での話し声などはよく響く作りである。問答の様子から省みて、なにやら揉め事が起こっているようであった。
69名無しさん@ピンキー:2008/04/23(水) 21:03:24 ID:I7eVmQxZ
「まあそういうな。この大雨に、出かけられるもんじゃない。出かけるにしても、それ相当の理由がなくちゃ、なんだかみっともないじゃないか」
「なにが、みっともないんです。今日に限って、なに言ってるんです。飲み屋でもパチンコでも行けばいいでしょう。一家の主人であるものが、どこに出かけようと、いつ出かけようと、よそ様の知ったことじゃありません」
「それなら、出かけさえすればいいんだろう。獏連女めが、パチンコ止せって言ったのは手前じゃねえか」
 私と由美ちゃんは話すのを止めて老夫婦の言い争いを聞いていた。
 そんなことがあった後、重松さんはたびたび細君に家から追い出されるような目に遭わされていた。きまって由美ちゃんが遊びに来たときである。
重松さんの細君は、可能な限り重松さんと由美ちゃんが会う機会を作らせないよう気を配っていた。葉子も由美ちゃんが居るときにはなるべく彼女を連れ出して外へ出かけ、重松さんの細君の希望に叶うよう行動していた。
 ある時そのことについて私が尋ねると葉子は、
「健気じゃありませんか。田中さんはやきもち焼いていらっしゃるのよ」
「いい加減、世帯崩れしないというのも考え物だぞ」
「あなたみたいに、秋風を吹かすよりはいいですよ」
 甘ったるい話が苦手な私は「風呂に入る」とだけ言い捨てて立ち上がった。
 体を拭きながら、私の入浴中に葉子が籠に入れておいた着替えに目をやると、いつもの下着にちょっとした変化があるのを見つけた。広げて見ると私の名前があった。葉子は良くない性質を帯び始めてきたらしい。
「おい。子供じゃあるまいし、いい年してこれはないんじゃないか」
「けれど、なかなか上手に縫えてるでしょう。田中さんのおかげで、縫い取りも綺麗に出来るようになったんです」
「俺のパンツで遊ぶな」
「このごろ、しょっちゅう由美が遊びに来るじゃないですか。あの娘が間違えるといけませんからね」
 眠る私の横で真夜中に黙々と刺繍を続ける妻の姿を想像して、私は薄気味悪い心地がした。そうして携帯電話に残っている由美ちゃんとのメールの履歴を消去した。
ロックはちゃんとかかっていた。風呂に入ったばかりだというのに結構な冷や汗を掻いた。
70名無しさん@ピンキー:2008/04/23(水) 21:04:01 ID:I7eVmQxZ
以上です。
71名無しさん@ピンキー:2008/04/23(水) 21:19:08 ID:dnyZ4h6E
おお…なんかいつもと感じの違うSSがきたな
新鮮な感じだぜ
GJ!
できれば続きが読みたい
72名無しさん@ピンキー:2008/04/23(水) 21:39:04 ID:ajIj/Yan
おもしろい
SSってか小説みたいだ
73名無しさん@ピンキー:2008/04/23(水) 21:42:18 ID:qRkBxZJZ
投下乙であります。
細君とか慇懃とか難し目の単語も、わからなければそれを調べながら読むというのもおもしろく感じます。
続きに期待しております。
74名無しさん@ピンキー:2008/04/23(水) 22:28:46 ID:zuwgp1JP
おぉ…なんたるGJであることか…
昭和の香りがプンプン匂いやがるぜ
75タッタ一ツノ存在ヲ ◆PsPjd8yE3E :2008/04/23(水) 23:05:56 ID:bRTgdH+/
投下予告。
76タッタ一ツノ存在ヲ ◆PsPjd8yE3E :2008/04/23(水) 23:06:18 ID:bRTgdH+/



『全ては必然よ-四月一日[わたぬき]
  この世に偶然なんて存在しないの』
         xxxHOliC 壱原 侑子


[KATUKI-SIDE]

順を追って説明しよう。

僕が愛[めぐみ]を助けたとき居合わせた理由。
それは"彼女をびっくりさせよう"という思惑からだった。
後ろを追っかけて、気がつけば守っていただけなのだ。

それに彼女に感謝される云われはない。
なぜならば驚かそうと思った僕に対する、
一種のばつかと考えたからだ。

そして、華凛と話会うようになったのも、
たまたま男女と違えど部を同じくしただけだった。

さらにいえば、佐藤鞘子・・・鞘と話すのも、
高校の図書室にあった漫画やラノベを見ようと思ったから。


ただそれだけ、だったはずなのに。



何故こんなにも容易く、

 愛は脆く壊れ、華凛は嫉妬に狂い、鞘も綺麗な眼を濁らせている?


77タッタ一ツノ存在ヲ ◆PsPjd8yE3E :2008/04/23(水) 23:06:42 ID:bRTgdH+/

あくまで僕を第一に考え、なおかつ何事にも好成績を残す愛。
僕はその才能に見合うだけの男ではない、そう思った。

だから、華凛と付き合うことにした。
だというのに、いつのまにか僕は愛の膝元で泣き続けていた。

涙が収まったあと学校に登校したらば、愛と華凛の修羅場が形成される。


本来、僕は、争いを、好き好んでいるタイプじゃないのだ。
だからできるなら目を背けていたかった。

だからこそ、カウンセラー室よりも理想[オアシス]である第二図書館へと、
赴いた[にげこんだ]というのに彼女に告白される。



何故、こうも24時間の間にぐるぐると状況が悪化し続けるのか。



嫌気が差した僕は校庭の離れへで寝そべっていた。


この場所は、学生の駐輪場からはまったく見えない。
見えるとしたら、よほど凝らして見なければいけない。
そして、そこまで注意を向けるはずもない。

今の僕にとっては、五限なんて糞喰らえだった。
こんなことになってる時に、授業を受ける余裕は僕に残っていない。



こんなにも、僕らは、荒れ狂っているのに。



風は、穏やかに、僕を包んでい・・・。



僕は、ひなたの気持ちよさに、暗闇に、意識を、落とした。



78名無しさん@ピンキー:2008/04/23(水) 23:07:09 ID:bRTgdH+/
「あ、起きたね。克樹」

目が覚めれば、華凛に今までされたことはなかった膝枕をしていた。
いや、女友達に過ぎなかったので、当たり前か。
彼女の柔らかなふとももと、長髪の毛先に頬をくすぐられ、
しっとりとした唇を見つめ、僕は意識を覚醒した。
とその後ろから覗く二人の顔がある。

「克樹さんも起きたので、本題に入りましょうか」
「ええ、もちろんよ」
「私を選んでくれますよ、克樹さんは」

どういうことだ?

「克樹君、今日ぐらい一緒に帰ろうよ」
「駄目、克樹はこれから一緒に部活やるんだから」
「私とお茶しに来てくれませんか?克樹さん」

彼女達は三者三様の誘い方で、克樹へ迫る。

そういえば、部活・・・顔出してなかったな。
適当といってはなんだけど、自主性ではあるが。
何も言わずに部活を休むと何故か個人メニューが倍増する。
二乗されたていったらダルマ式に膨らむだろう。



「部活、いくよ」
「えー?克樹君、いいじゃないー」

むすっとする愛とは対照的にしゅんとうなだれる鞘。
勝者故の余裕か、華凛は克樹の腕に抱きついた。
だから、胸が当たってるんだってば。

「あー!!、克樹君に抱きついちゃ駄目っ」
「・・・・・・華凛さん、ムカつきますね」

僕は誤魔化すように、

「そうだ、愛。晩飯は―――」

途中まで吐き出した言葉を、はっとして飲み込む。

やらかした。

79タッタ一ツノ存在ヲ ◆PsPjd8yE3E :2008/04/23(水) 23:08:25 ID:bRTgdH+/
愛に“構わないでくれ”僕は今朝そう言ったじゃないか。
長年あったやりとりなのだからしょうがないと見るべきか?
もしくは、緊迫感を持たない男と思うべきなのか?
いずれにせよ、彼の行動が迂闊だったことは確かだ。


「はい、克樹君の大大だぁーい好きなカレーライスですねっ?
 わかりました。私、克樹君の家で作って待ってますねっ♪」

それこそ天真爛漫の笑顔を、
純粋な笑顔を浮かべて、
鼻声を歌わんばかりに駆けていった。

僕は呆れるどこか、自分の愚考に口が開かなかった。

気づけば、腕に抱きつく華凛と、鞘は
綺麗な顔を苛立ちの色を隠そうともしなかった。

「私も、夕餉にお邪魔してよろしいですか?克樹さん」
「えと、・・・その」

言いよどむ僕。華凛は、腕をぎゅっと締めて、

「駄目に決まってるでしょっ!!」
「あなたに謂われる筋合いはありません。黙ってください」
「ッ!? でも、あんた電車通学でしょっ!?
「いいえ、どちらにせよ本の納入で最終下校時間までいるつもりでしたから」

多少、遅くなろうとも、構いませんから。と眼鏡を上げながら付け足した。

自分が言い負かすのは無理だと理解した華凛は、俯いてさらにぎゅっと克樹の腕を握り締めた。

克樹は溜息をつきながら、華凛の頭を撫でる。

「・・・しょうがない、いいよ」
「では、その時間に待ち合わせしましょう」





六話も無事終わり。投下終了です。
80名無しさん@ピンキー:2008/04/23(水) 23:28:37 ID:GK9FZe8w
まぁた神気取りの自作自演馬鹿が調子こいてんなw
こりゃ本格的に制裁加えてやらんと駄目だな
覚悟しなw
81名無しさん@ピンキー:2008/04/23(水) 23:35:26 ID:FSixqNQD
>>79
ハイペース投下乙

ただ、やっぱり改行が多すぎるのはイマイチ読みにくいな
狙いは分かるんだけど…
82名無しさん@ピンキー:2008/04/23(水) 23:43:55 ID:6xjmHE9f
>>79
GJ
修羅場になるのが楽しみだよね
83名無しさん@ピンキー:2008/04/24(木) 00:10:20 ID:csIYRfam
>>69
なにやらじんわりと寒気が……。
>>79
着々と包囲網が狭まっている様子。

どっちもお見事。
84名無しさん@ピンキー:2008/04/24(木) 00:24:26 ID:kFNTEDjL
>>79
いよいよってところか
楽しみになってきた
85名無しさん@ピンキー:2008/04/24(木) 02:55:35 ID:EZByBObT
>>79
前回までは役者がそろうまでの導入部分
これからが一番大事なところだと思うので最後までちゃんと書き通して欲しい
途中で放り出されるのが一番迷惑だからな
86名無しさん@ピンキー:2008/04/24(木) 19:27:29 ID:h+5YKDDP
迷惑だからな→迷惑なんだからねっ!!
87名無しさん@ピンキー:2008/04/24(木) 22:14:29 ID:tSwYEKlH
何でだろう…↑がニコ厨兼ゆとりにしか見えない…
88名無しさん@ピンキー:2008/04/24(木) 22:26:54 ID:zdtf4ghE
はいはいわろすわろす
89名無しさん@ピンキー:2008/04/24(木) 22:33:01 ID:UaB/Jq7K
90名無しさん@ピンキー:2008/04/25(金) 01:27:45 ID:CYaznQe6
些細なことでネチネチと・・・・このスレは空気最悪
91名無しさん@ピンキー:2008/04/25(金) 03:09:43 ID:ecPBd3+S
肩の力を抜けよ。いつものことさ。
92名無しさん@ピンキー:2008/04/25(金) 06:08:30 ID:9E1xGVx6
やっぱ女のスレ住民が必要だよな
男ばっかじゃイカ臭くなる
93名無しさん@ピンキー:2008/04/25(金) 07:21:15 ID:NZ0Pv+NW
いらん
94名無しさん@ピンキー:2008/04/25(金) 10:40:04 ID:p3JkHb4Q
>>93
理由:
「ねえ・・・そのスレ住民・・・誰なの?
 誰よ!!!!」

住民に死傷者がでるから
95名無しさん@ピンキー:2008/04/25(金) 12:06:39 ID:gy97CLAB
すでにいるし
96全部欲しい! ◆YiiBfqbdxs :2008/04/25(金) 15:28:10 ID:xbIAQrui
投下します。
97全部欲しい! ◆YiiBfqbdxs :2008/04/25(金) 15:30:39 ID:xbIAQrui
 放課後、僕と松下さんは部活に出ていた。

 部活と言ったところでたいしたことなく、
 文学部とは名ばかりの、快適な部室で各自が好きな小説を持ち寄って、適当に雑談しているだけだが。


 僕と松下さんは隣同士の席に座り、それぞれに持参した本を読み始める。

 松下さんは最近に嵌まり出したという、恋愛サスペンスを読み耽っている。
 なんでも、その中の登場人物の一人が、とても感情移入出来るそうだ。
 僕はその本を読んだ事はないけど、松下さんが感情移入している人物は、
 幼なじみであるメインヒロインの当て馬としてのヒロイン、らしい。

 メインヒロインではない、サブ的なヒロインに感情移入出来る松下さんが、僕の好きなところだったりするのは、内緒の話しだ。

 松下さんが言うには、そのヒロインは恐らく殺されるだろう、との話しだ。
 それでも、松下さんは、そのヒロインに感情移入しているらしい。

 理由を尋ねた時は、曖昧に笑ってごまかされたけど、
 それでも僕は、その後に松下さんが言った一言、
 「私はあんな馬鹿はやらない」
 と、強い決意を表明する言葉は聞き逃さなかった。


 誰が好き、そんな噂のない松下さんだけど、
 やっぱり恋はしているみたいだ。

 僕としては1番の親友であり、心許せる相手である松下さんの恋愛を、全力で応援したい。

 もっとも、彼女が僕に、その手の話しを相談してきてくれた事はないけど。
98全部欲しい! ◆YiiBfqbdxs :2008/04/25(金) 15:32:50 ID:xbIAQrui
 「本庄、本庄!聞いたか、聞いたか?」
 隣の松下さんと、ゆっくりと過ごしていた時間を、まるで邪魔する様に一人の男が駆け込んで来た。
 佐藤圭吾、
 僕と同学年で同じ文学部、口数と早耳が長所の、ライター志望の奴だ。

 「何だよ、それだけ言われても分からないよ」
 少し、いや、かなりのうっとおしさを感じながら答える僕、
 でも、佐藤は特に気にした様子もなく、
 「その様子じゃ、知らねえだろうな!」
 と、自信満々に言葉を続ける。

 「何だよ、何か知ったなら、早く言ってくれよ」
 正直にどうでもいい。
 佐藤の待つ情報は、校内ではか重要性の高いものなのかも知れないが、
 僕には、無意味なものが多い。

 「聞いて、聞いて驚くなよ!」
 あまりの僕の言動に、腹でも立てたのか、佐藤の語気が力を増す。
 それでも、”はいはい”と言う感じで答える僕に対して、
 佐藤が自信満々に声を上げる。
 「あの!立木里沙に新たなる新恋人!」

 「井川良人誕生だ!」
 ためを置いてから、どうだと言わんばかりに言う佐藤。
 よっぽど自分の早耳に自信があるのか、
 言葉を止めて僕の反応を待っているようだ。

 でも、残念ながら僕としては、昨日に里沙と歩いていた相手が、井川だったと分かっただけで、 それ以上には何も思わない。
 「ふーん…」
 自然と淡泊になる僕の答え、
 そんな僕の答えに納得がいかないのか、佐藤の声が強さを増す。

 「お前は何も思わないのか!」
 「我が藤堂高校でも、トップランクに位置するだろう、立木里沙の恋愛情報を!」
 「別に」
 熱い瞳で熱弁する佐藤に、白けた声で答えるしかない僕。

 残念ながら、何も思わない。
 昔ならいざ知らず、今の僕と里沙は、違う世界に住んでいるのだから。
99全部欲しい! ◆YiiBfqbdxs :2008/04/25(金) 15:35:22 ID:xbIAQrui
 「立木里沙に興味がなかったとしても、だ!」
 興味を持て、そう言わんばかりに、佐藤が僕に喰らいついてきた。
 「立木の性遍歴には興味が湧くだろう!」
 それが当然だとばかりに言う佐藤に、僕は首を左右に振る。
 「はあー…」
 話しに乗ってこない僕に呆れでもしたのか、それとも、佐藤が溜め息を吐く。

 「普通なら、だいたいの奴がこの話しに、乗ってくるんだけどな…」
 「そうか?」
 呆れながら言う佐藤に、適当に返事を返す。

 「それもそうだろう、だって、あの立木里沙だぜ?」
 「前に付き合ってたのは、サッカー部のキャプテン、三橋さんだし、その前は秀才、伊藤君、バンドやってる今井とも付き合ってたって話しもあるし…」
 指を折り数える様にして、里沙の元カレ達を上げる佐藤、

 その事は僕も知っている、
 他にも何人かいる事も。

 それでも、何故かあまり良い気分はしない。

 そんな僕の気持ちに気付く事もなく、佐藤は言葉を続ける。

 「ただのヤリマンじゃねえ、トップ狙いのヤリマン女、こんな女がどんな結末を辿るか…」
 「佐藤!」
 饒舌になってきた佐藤に対して、
 僕は思わず、怒鳴り声を上げてしまった。

 「ど…どうした?」
 普段とは違う僕の声に驚いたのか、佐藤が目を丸くしながら、僕の顔を見て聞いてくる。

 「え、いや、その…」
 正直、答える言葉が分からない。

 何と言ったら良いか、悩む僕に対して、佐藤が顔をニヤケさせて、
 「ははぁ、お前、立木のコト、好きなんだ?」
 と聞いてきた。

 そういう訳ではない。
 でも、簡単には否定出来ない、
 そんな複雑な思いが僕にはある。
 だから、
 「いや、それはそんなんじゃなくて…、なんて言うか…」
 としどろもどろになってしまった。

 そんな僕の態度を見ていた佐藤が、
 「そうか、お前も立木の事が好きなのか!」
 と、分かった様に言う。
 「ち…ちが…」
 「隠すな、隠すな!あれだけの女なんだから、当たりま…」
 愉快そうに言葉を紡ぐ佐藤を遮ったのは僕ではなかった。

 「そんなんじゃありません!」
 力強く他人に反論を許さない、そんな一言を言い放ったのは、
 それまで沈黙を保っていた、
 松下さんだった。
100全部欲しい! ◆YiiBfqbdxs :2008/04/25(金) 15:38:25 ID:xbIAQrui
 それまでの松下さんは、僕と佐藤との会話に加わるどころか、まるで興味すら感じていない様子に思えただけに、
 二人とも動きを止めてしまった。

 「ま…松下さん…?」
 「本庄君は、立木さんと昔に幼なじみだっただけなんです!」
 何か言いかけた佐藤に向かって、松下さんが勢い良く言葉を投げる。

 佐藤は完全に松下さんの勢いに飲まれてしまっているようで、
 「あ…そ…、そうなの!」
 と頷くだけだ。

 そういう僕も、松下さんの勢いに飲まれており、
 松下さんの言葉に感じた違和感を口に出来ず、
 「そうですよね、本庄君!」
 との松下さんの問いに、
 「う…う、ん…」
 と、微妙に、いや、かなり、腰の引けた答えしか返せなかったが。


 その後、松下さんは再び読んでいた本に視線を戻し、
 その後に佐藤が何を言おうが、何の反応も示す事はなかった。


 「松下さんって、なんなんだ?」
 目を丸くして、なるべくちいさな声で聞いてくる佐藤に、僕は何も答えようがなかった。

 僕も、松下さんの気持ちなんて分からないから。

 でも、松下さんの気持ち、
 いや、松下さんが僕に対する想いの強さは、
 すぐに思い知らされる事になる。
101全部欲しい! ◆YiiBfqbdxs :2008/04/25(金) 15:39:00 ID:xbIAQrui
投下終了です。

102名無しさん@ピンキー:2008/04/25(金) 16:13:16 ID:ywb4i4q8
で?
103名無しさん@ピンキー:2008/04/25(金) 16:21:49 ID:cpVrKqtR
は?
104名無しさん@ピンキー:2008/04/25(金) 16:23:45 ID:g8XoToWQ
松下さぁぁぁぁぁん
105名無しさん@ピンキー:2008/04/25(金) 17:00:38 ID:2lFi1lxi
>>101
萌えねえ・・・
つーか全体的に文書固い感じがする
一度保管庫のSSとか読んでみたら?
参考になるかもよ
106名無しさん@ピンキー:2008/04/25(金) 17:03:57 ID:hdorJzIM
>>101


まだ登場人物がどういう人間か全く描写がないから感想が言えない。
107名無しさん@ピンキー:2008/04/25(金) 17:28:46 ID:ocYvTteN
何か作品を投下すると無意味に中傷する厨房が増えてきたよな
108名無しさん@ピンキー:2008/04/25(金) 17:45:45 ID:Bmx//pBm
続きを期待するぜ
109名無しさん@ピンキー:2008/04/25(金) 18:03:50 ID:GkNh1a5I
>>101

お疲れ。
まだ、プロローグに過ぎないのかな?
だから、ちょっと苦味成分が多目かも。

松下さんの
「そんなんじゃありません!」
には、凶器が・・・狂気が宿ってそうだけどねww
110名無しさん@ピンキー:2008/04/25(金) 18:12:36 ID:qdIMdHoj
>>107
すまない・・・中傷するつもりはなかったんだが
改めてみるとそう見えるかもな
111名無しさん@ピンキー:2008/04/25(金) 18:22:37 ID:sNNVpEsu
>>101
続きに期待
112名無しさん@ピンキー:2008/04/25(金) 18:28:10 ID:7iCMJKu/
>>101
自分は蚊帳の外にいると思ってるのに実は渦中にいる主人公
↑みたいなの好きだから、続きも期待してるよ
113名無しさん@ピンキー:2008/04/25(金) 21:40:49 ID:txR3teP3
>>101
期待して待ってる
114タッタ一ツノ存在ヲ ◆PsPjd8yE3E :2008/04/25(金) 22:19:11 ID:GkNh1a5I
投稿予告。そして独り言。

>>85さん。
楽しんでくれてるのは嬉しいけど、結構重荷になりますねー。その言葉。
数日位の安易な創作をしている側としては、すんごい苦笑いをしてしまう。
115タッタ一ツノ存在ヲ ◆PsPjd8yE3E :2008/04/25(金) 22:20:13 ID:GkNh1a5I
[Katuki Side]

バスケットボールは籠に入れるというルーツの球技だ。



「なのに、なんで俺はカエルジャンプしてんだよっ」

ボードに連続十回触れるまでジャンプし続ける。
しかもそれを10セットという無茶苦茶なメニューを
文句だらだら、汗だらだらでこなしていた。

「黙っとれ、この馬鹿ちんが。自主休部は認めんっつってんだろ」

そういうのは、俺がサボらないように睨む男顧問。
それ位なら他のメンバーを見張らんかい。
他の男子メンバーは女子に混ざって団体練習をしていた。

この部のの顧問は、部活になるとマジの目付きになる。
いまどき熱血の教師なんて似合わないっての。
たとえSLAM DUNKその世代でも、それなんて時代遅れです。
だからキザな二枚目の癖して全然モテないんだよ。

「聞こえてんぞ、こら。腹筋腕立て百回追加ね」
「ひぃぃっ!!てめぇふざけんじゃねぇーーー」
「いやぁーやってるねー。克樹」

ぎゃあぎゃあ言い合いをしている中、途中から会話に参加してきたのは華凛だ。

気づけば向こう側のコートでは、女子バスの試合が初まっていた。
華凛はシックスマン・・・つまりは秘密兵器的なものだと思って良い。
だから試合に入れなかった彼女は、おおかたシュート練習でもしに来たのだろう。

というかよく考えてみれば、端に備え付けられたゴールはあと二つある。
だが、それにも関わらず一番奥のこのゴールに・・・。
116タッタ一ツノ存在ヲ ◆PsPjd8yE3E :2008/04/25(金) 22:20:34 ID:GkNh1a5I

「じゃっシュート打つね♪」
「ついでだ、ボールに対して反射神経鍛えとけ」
「のーーーー、ってかやめぇい」

「って別に他のゴールに移っても」
「却下♪」

どこから持ってきたのか、この顧問は竹刀を振り回し、筋トレの再開をせかす。

「大丈夫だよ、克樹。愛のパワーで♪」
「無茶だーーーー!!」
「アレ、お前ら出来てたっけ?」
「え、先生知らなかったんですか?私と克樹の仲」
「ずいぶんとませてるなー」
「ってちょっと、華凛さんや。シュート成功率ガタ落ちですけどー」

ゴールを弾いてこちらへ飛んできたボールを、頭をそらして避ける。

「大体ッ、無理が、あんすよっ!」
「なんだぁー?貴様、俺様にケチつけんな」
「だってッ、男子部員ッ、4名しかッ、いないじゃッ、ないっすかッ」
「ま、そりゃそうだよね」

相槌を打つ華凛・・・もっともな話だ。
克樹たちのバスケットボール部は、克樹を含め、男子は四人しかいない。
インターハイなど、夢のまた夢だった。常識的に無理な話だ。



だが、いまだ俺は懸命に飛び跳ねていた。

「8、9ッ、10ッ終わり」

息を荒げてハァーハァと膝に手を当てる。
無理難題な練習量に躯は休憩を求めていた。

無常にも顧問は、

「あー、克樹。まだ腹筋腕立て百回ずつね」
「鬼ぃぃーーーー!!?」

「先生ぇー、女子の試合終わりましたけどー?」
「ん、じゃぁ、克樹出ろ。男子対女子で始めるぞ」

でも、やっぱり『終わったらすく筋トレ再開なー』
と残酷な事を、顧問は告げやがった。

117タッタ一ツノ存在ヲ ◆PsPjd8yE3E :2008/04/25(金) 22:20:59 ID:GkNh1a5I
「しかし、スパルタだよな」
「いやー、しょうがないっしょ克樹」
「女子と戦うために重り合計10キロも付けてるんだぜ?
 ありえねぇーちゅうの」
「ははは、だって男の子だもんねー」
「抜かせ、お前にごぼう抜きされた数は少なくないぞ」

女子の一人を借りて、彼女たちと一コーター。
8分マッチののバスケットを行うことになった。

何故か、レギュラーを外して、かつ華凛を相手チームに入れるって
なんでだよとは思ったものの、付き合ってる奴らを同じチームにしたくないって言う
あのもてない顧問のくだらない策略だと考え、自己完結的に思考を閉ざした。

シューターガードと、フォワードセンターを兼任する俺。
明らかにぶつかりあわないけれども、彼女はカットインしてくるだろう。

余裕の表情で我が男子部ガード信二君をフェイントで避け、
ヘルプに出たフォワードの伊藤を初速で振り切る。
俺は華凛を、正面から迎え撃った。

「克樹甘いよっ」
「ふん、華凛に負けるほど鈍っちゃいねぇー」

足元で止まった一歩目、フェイクだ。
二歩目、本命がやってくる。俺はジャンプした。

「打たせるかっ」

しかし、彼女は無茶な回転を掛けて向かって斜め右へと跳んだ。
フェイダウェイかっ!?
そう思った僕は届きそうに無いボールをを、無理やり、気迫で弾いた。

「しゃぁーーー。どうだ見たかっ!!」

だが現実には、ピーーと笛が鳴り、審判がバイオレーションと叫んだ。
つまりはスローインで女子チームの攻撃で始まる。

「あはは、克樹。あれじゃぁ弾きすぎだよー」

と彼女は汗を煌かせてにこやかに笑った。

顧問は克樹の姿を見て、「お前は桜木花道かっての」と一人呟いていた。



118タッタ一ツノ存在ヲ ◆PsPjd8yE3E :2008/04/25(金) 22:21:21 ID:GkNh1a5I
同時刻
[Megumi side]

愛[めぐみ]は前掛けエプロンを付け、上機嫌に具材を炒めていた。

克樹君、やっぱり私の手料理が最高って云うことだよね。
うんうん、よく判ってる。伊達に6年以上も作っているわけじゃないのだ。

あれは決してあの女狐を寂しがらせないとかじゃなくて、部活動のためなのだから。
克樹君はなんて優しくて心が広い人なんだろう。と私は自分に言い聞かせた。

でも、やっぱり私に一番注いで欲しいな。
            あなたの気持ちを。

私は煮汁や炒めた具材を、鍋に移して煮始めた。
それを見つめて、私は閃いた。

・・・私が彼を襲うんじゃなくて、彼が襲ってくれればいいんだ。
私は火をいったん止めると、駆け足で自宅に戻った。

自分の部屋に入り、鍵が掛かる引き出しをそっとあけた。



媚薬とバイアグラ。



もし克樹君が私以外の汚らわしい泥棒猫に取り付かれたら、
彼に既成事実を作ってもらって取り返すために、と考えた切り札の一つだ。



通信販売で購入したときは、火が顔に出るくらいだったけど。



でも、そろそろ仕掛けないと、泥棒猫共にかっさらわられるかも?
そう考えていると、だんだんと私は一抹の不安に駆られた。



結局私はその二つの瓶を克樹君ちまで持ち出し、
ビンの中身と砕いた錠剤を”すべて”鍋の中に入れた。



私が彼を襲うかもしれないけど、
それでも彼は物理的に拒否は出来ないだろう。



もし、駄目だというならば・・・・・・流しに置いた包丁を、じっと見つめた。



119タッタ一ツノ存在ヲ ◆PsPjd8yE3E :2008/04/25(金) 22:22:05 ID:GkNh1a5I
[Karin side]


彼と会って本当に楽しいと思う。

私が試合中にわざわざカットインで切り込むのも、
司令塔なのにも彼の場所へ攻め込もうとするのも、
試合の後、汗を気にしつつも彼に擦り寄るのも、



全てが克樹を愛しているから。



あなたがいるだけでいい、その事実があれば。



克樹は、表沙汰には、付き合っているとは云わないから、
だから行動で皆に、知らしめる必要がある。



もし駄目なら、私があなたを。


スポーツバックの奥底に眠る、あるものの感触を確かめる。
私が、彼から奪い取って、それでも女狐に言い寄られたときの最終兵器。
硬い柄の部分を握り締めて、私は克樹に微笑んだ。



もちろん、克樹が夕飯に誘った女狐に、
見せ付けるように、胸を押し付けてだ。



120タッタ一ツノ存在ヲ ◆PsPjd8yE3E :2008/04/25(金) 22:22:29 ID:GkNh1a5I
[Sayako side]

私は、一度、コンビニに寄った。
もちろん、克樹さんと雌犬には気づかれないよう。

カッターと剃刀、それにカモフラージュのため図形用紙と洗顔材を買った。



これで準備万端。



彼に擦り寄る雌犬を排除できる、機会があれば良いな・・・。
横で克樹さんに淫らな事をしている、雌犬。
克樹さんには、見えないように、睨み付けた。



[Katuki side]

そういえば、じいちゃんにもらったアレ。
最近、振ってなかったな。

あの趣味・・・というか習慣だけは、
付き合いの長い愛にも話したことは無かったんだよな。

磨いてもないし久しぶりに、油も注ごうと、思った。



唯一、自宅で僕の管理下にある一振りを、
思い描いていた僕は華凛に抱きつかれた。

何故だろう、僕には、華凛が影になって鞘が見えないのだけども。
殺気だったオーラを出している気がして、ならない。



修羅場にならないと、いいな。
そう思う僕は、まだこの数時間後の出来事を、知る由も無かったんだ。
121タッタ一ツノ存在ヲ ◆PsPjd8yE3E :2008/04/25(金) 22:23:40 ID:GkNh1a5I
七話も無事終了です。
そろそろ物語も山に入ります。
122名無しさん@ピンキー:2008/04/25(金) 23:24:45 ID:sNNVpEsu
>>121
鞘の思考が凶暴化しとる……。
123名無しさん@ピンキー:2008/04/26(土) 00:56:51 ID:DaLhvdjm
どうでもいいけど、ここできもい妄想晒して調子こいてる奴ってなんなの?
124名無しさん@ピンキー:2008/04/26(土) 01:11:48 ID:GGWQUMWD
今日も腐女子が暴れる以下略で
125名無しさん@ピンキー:2008/04/26(土) 01:19:27 ID:F1kJ9Yto
>>123
どいつ?
126名無しさん@ピンキー:2008/04/26(土) 01:28:20 ID:6jKaL+4b
>>125
>>123だろ

127名無しさん@ピンキー:2008/04/26(土) 01:47:32 ID:F1kJ9Yto
>>126
なる
128名無しさん@ピンキー:2008/04/26(土) 07:32:45 ID:bK5W+Fbe
>>121
怖いな・・・
どうなるんだ
>>123
スレチ
以下スルーの方向で
129名無しさん@ピンキー:2008/04/26(土) 12:24:05 ID:NlJP1m0u
130うふ〜ん:うふ〜ん ID:DELETED
うふ〜ん
131名無しさん@ピンキー:2008/04/26(土) 14:44:24 ID:pzM0+xT3
>>121
乙。いよいよって感じね
132名無しさん@ピンキー:2008/04/26(土) 14:49:30 ID:CzLvOW/t
>>121
133名無しさん@ピンキー:2008/04/26(土) 20:48:34 ID:NlJP1m0u
期待だな
134名無しさん@ピンキー:2008/04/26(土) 21:52:30 ID:5TUwAzWL
投下します。
135直人の母 1/4:2008/04/26(土) 21:55:07 ID:5TUwAzWL
 未婚の母になった女がいる。斉藤百合子という名前の若い女で、年を数えてみると一人息子とは十六しか違わない。
そうかといって十代の頃に過ちを犯したわけでもなく、やむを得ない事情で寡婦となったわけでもない。
息子の直人は彼女が腹を痛めて産んだ子供ではないからである。
 百合子は幼い頃から空想に耽りがちな女であった。
白馬の王子様――百合子にとって理想的な男性が迎えにきて、自分をお嫁さんにしてくれる。
物心ついたとき浮かんだ様々な未来像の中で一番のお気に入りはそうした物語であった。
寝ても醒めても幼い百合子が考えたのは、空想の中に住む白馬の王子様のことで、そこでは王子様は百合子の願いを何でも叶えてくれて、周りの人たちを差し置いて、百合子だけを贔屓して彼女の自尊心を満足させてくれた。
こういった子供の手前勝手な空想は、たいていの場合、その子供が成長するにつれて周囲と折り合いを付けてなりを顰めるものである。
けれども百合子は極端に人付き合いの得意でない性分に生まれ付いていた。
思うことを素直に言い表すことのできない子供でもあった。大人に対して面目をあらためようとしない、生まれながらの一国者でもあった。
いつも一人ぼっちで絵本を捲り、途方に暮れるわけでもなしに、その邪魔が入るとかえって癇癪玉を破裂させるような子供には両親も愛情の注ぎようがない。
幼い百合子は孤独にならざるを得なかった。
 発達する知能に伴い百合子の空想の形も現実味を帯びて行った。
おとぎ話の白馬は幾千万円もする高級自動車へ変わり、漠然としていた王子様の容貌はテレビで見るような芸能人の粋な顔立ちに作りかえられた。
想像力を逞しくさせた百合子がそのような理想像をこしらえたのは、中流家庭の生まれである自分の社会的階級に反発を抱いたからであろう。
このころには百合子も世渡りの必要を心得て、人の意表外に出るような行動は慎むようになっていた。
彼女自身は浮世の義理と気取った風に割り切っていたためか、同級の子供たちよりも人当たりの仕方が洒脱で、感情に任せた振る舞いはめったに見せることが無かった。
136直人の母 2/4:2008/04/26(土) 21:57:08 ID:5TUwAzWL
 初潮を迎える年頃になると、唯物的であった百合子の理想像は観念的な方面へ傾いてきた。
同年代の少年たちがする卑しい振る舞いや、自分も加わったとある少女へ非道な仕打ちに嫌悪感を覚えた百合子は、人間は中身というものが何よりも大切であると考えるようになった。
愛は金で買えないという陳腐な常套句もそのころの百合子には新鮮に感じられた。
 百合子は始め、自分の望む王子様は思いのほか簡単に見つかるかもしれないと考えた。
けれども非の打ち所が無い人格なんてそうそうあるはずがない。
第一、どんな人格者といえども、どこかに百合子の知らない一面があるかもしれないし、彼が過去に為した様々な事柄に百合子は干渉することが出来ない。
百合子が求めているのは聖人君子であるとともにその人格の全てが彼女の思い通りになる人間である。
百合子にたけくらべの相方がいればまた違っていたかもしれないが、いやな子供であった彼女に甘い思い出などあるわけがない。
百合子は途方に暮れた。これではいつまでも王子様が現れず、自分は今までの人生において取らぬ狸の皮算用ばかりしていたことになる。
正常な人間からしてみれば、そんなのはばかばかしいと一笑に付すことも出来るであろうが、あいにく百合子は大真面目であった。
物心ついてこのかた王子様王子様で物事を考えてきたことは、百合子のなかに確固たる信念を築き上げていた。
もし王子様が現れないのなら、いっそのこと死んでしまいたいとさえ百合子は思った。
百合子が中学校の授業で源氏物語について学んだのは、そういう風にくったくして日々を過ごしていた時期である。
137直人の母 3/4:2008/04/26(土) 22:00:56 ID:5TUwAzWL


 みなしごであった直人は、三月の終わりに孤児院から斉藤百合子という女性の家へ引き取られた。
 斉藤さんは以前からたびたび孤児院を訪れていた。外部の人間が孤児院にやってくることは、子供たちの間でギンミと呼ばれている。
庭で遊ぶ子供たちを窓から眺めながら外部の人と職員とがなにやら話し合っていると、
子供たちは「おまえギンミされてんぞ」「いや、あいつだよギンミされてんの」とひそひそ囁き合い、ある特定の子供ばかりが大人たちの視線を集めていると、「オカイアゲ? オカイアゲ?」と手を叩いてはしゃぎ合う。
そうしてその一人を中心に輪を作り、なぜかお誕生会の時に歌う歌を合唱する。
こうした儀式を取り仕切るのはほとんどの場合年長の子供で、まだ幼くてものを考えられない子供などは、その意義も意図も判らないまま年長さんの命令に従う。
このごろよくやって来る斉藤さんは、美人で優しいし、なによりお菓子をお土産に持ってきてくれるから、子供たちは彼女に好意を抱いていた。
まだ六歳になったばかりの直人がギンミされたときは、あまりに大声で歌ったために歌の調子が外れたくらいで、直人より四つも年上のある男の子などほとんど泣き叫ばんばかりであった。
 直人が見初められて数日たった日の午前、孤児院でささやかお別れ会が催された。
しかし会の主役である直人はあまり穏やかな気持ちではいられなかった。直人の友達も、なおざりに手を叩いたり、涙声になったりして見せていた。
あれは悔し涙かもしれないと直人は思った。
その日の午後に斉藤さんがやってくると、直人はお誕生会で貰った紙工作や衣類などを小さなリュックサックに詰め込んで、それを背負って庭へ出た。
斉藤さんが微笑んで立っていた。直人は斉藤さんに手を握られたが、不意に手を包んだ温かみに握り返すことが出来なかった。
腕が彼女に吊り上げられている心地がした。斉藤さんは手を繋いだまま職員の方へ向き直って丁寧なお辞儀をした。
慌てて直人も頭を下げた。職員や友達が何か言っているような気がしたが、気が動転した直人にはひと言も頭に入らなかった。
我に返ったときには、斉藤さんに手を引かれて孤児院の正門を跨いでいた。
直人は慌てて顔を孤児院へ振り向けた。子供たちはわれ先に屋内に駆け込んでいた。
職員たちばかりが後に残ってお辞儀を繰り返していた。孤児院の庭にはまだ雪がとけ残っていた。
138直人の母 4/4:2008/04/26(土) 22:03:27 ID:5TUwAzWL
 直人はやみ雲を掴むような気持ちであった。歩いているうちに、握力の篭っていない手が斉藤さんの手のひらから滑り落ちた。
斉藤さんが汗ばんだ直人の手を掴み直そうとしたが、触れられた瞬間に引っ込めてしまった。
直人は先ほどまで握られていた腕をもう片方の腕で守るように押さえて歩いた。
十歩ほど歩くと、突然に肩を抱かれて斉藤さんの身体に引き寄せられ、直人はと胸を衝いた。
「寒くない?」
 頬に斉藤さんの体温を感じ、貰われっ子の辛さやるせなさで余計に居心地が悪かった。
「さむく、ない……です」
 それきり直人も斉藤さんも黙ってしまった。
 斉藤さんの運転する軽自動車で二時間ほど走ると、新しい我が家となる片田舎の小さな一軒家にたどり着いた。
ぐるりを生垣で囲まれている割りかた小奇麗な建物で、付近の民家の作りは瓦屋根だったり都会風だったり節操が無い。
斉藤さんの家は孤児院がある町の民家のそれと同じ平凡な構えの二階建てで、屋根の色は小豆色である。
斉藤さんに促されるまま直人はその家の敷居を跨ぎ、孤児院の職員に教えられた通りに、
「ただいま」と言った。
「お帰りなさい」
 斉藤さんはそう言って、心底嬉しそうな表情を見せていた。この日、直人が養母に自分から話しかけることの出来た言葉は、そのひと言だけであった。
 直人がリュックサックを開いてみると、孤児院の友達から貰った紙工作は一つ残らず潰れていた。おそらく背負ったまま車の座席にもたれかかったせいだろう。
斉藤さんが台所で夕餉の支度をしている隙に、直人はそれを小さく丸めてゴミ箱に押し込んだ。
139名無しさん@ピンキー:2008/04/26(土) 22:04:19 ID:5TUwAzWL
以上、続きます。
140名無しさん@ピンキー:2008/04/26(土) 22:29:25 ID:zs7d+Ox4
これは逆光源氏・・・!!
141名無しさん@ピンキー:2008/04/26(土) 22:48:23 ID:CzLvOW/t
このおぞましさ……!
期待できる!
142うふ〜ん:うふ〜ん ID:DELETED
うふ〜ん
143名無しさん@ピンキー:2008/04/26(土) 23:18:13 ID:pzM0+xT3
>>139
ディテールがほどよい感じ
期待
144名無しさん@ピンキー:2008/04/27(日) 00:04:07 ID:DnPxhStb
GJ
後は連載予定ならトリつけること推奨
145名無しさん@ピンキー:2008/04/27(日) 00:04:21 ID:A7u3FKx+
>>139
文全体から感じられる何とも言いようの無い心地悪い陰鬱さがかなり好きです
投下乙でした
続きを期待させていただきます
146名無しさん@ピンキー:2008/04/27(日) 01:45:03 ID:YyMs/fhw
>>139
GJ 続き待ってます
147名無しさん@ピンキー:2008/04/27(日) 02:25:15 ID:PzaSIbJH
>>139
乙アナル
148名無しさん@ピンキー:2008/04/27(日) 07:08:27 ID:Fm5ylQMi
GJです!
期待してます
149名無しさん@ピンキー:2008/04/27(日) 12:49:03 ID:FXRPlfD2
いいね
期待してまってるぜ
150名無しさん@ピンキー:2008/04/27(日) 13:18:34 ID:nwHv0t4m
>>139
GJ!
面白そうな作品で、続きが楽しみだ!
あと、トリは付けておいた方が良いと思うよ
151名無しさん@ピンキー:2008/04/27(日) 13:26:44 ID:1mSly2gy
なんだこれはw
152名無しさん@ピンキー:2008/04/27(日) 13:49:36 ID:oIhtyWq6
ひさびさにうふ〜んを見た
153名無しさん@ピンキー:2008/04/27(日) 19:11:59 ID:FXRPlfD2
うふーんwww
154タッタ一ツノ存在ヲ ◆PsPjd8yE3E :2008/04/27(日) 20:48:50 ID:uo9x1atw
投稿予告。
155タッタ一ツノ存在ヲ ◆PsPjd8yE3E :2008/04/27(日) 20:49:17 ID:uo9x1atw
どうも、如月です。
なんだか、皆さんの期待(プレッシャー)に負けて、
結構悩んだ末投稿しました。
好き嫌いあると思うので、ごめんなさい。


[katuki]

「ただいま」

部活が終わり鞘を待ち合わせ、我が家の鍵を開けると、
家の奥からは食欲をそそる匂いが漂ってきた。

「おかえりさなさい、克樹君」

と愛[めぐみ]の天使も照れるその笑顔は、
だが確実に、急激に曇りだした。

「克樹君、なんでその人たちを連れて、きたんですか」
「ごめん、そのー、二人とも家に着たいって言うから」

愛は顔を俯かせ、

「お願いだから、克樹君。その人たちを家に入れな―――」

と言い切る前に、後ろから少女達が言葉の狙撃を行う。

「―――別にいいんですよ愛さん、帰っても。私は克樹さんに許可を貰っているんですから」
「そうそう、カレーの鍋だけ持ち帰って一人寂しく食べれば?私は克樹と食べるけど」
「ッ!! わかり、ました」

辛辣な心を抉る言葉の前に、愛の声はやけにかぼそい声で反応した。


156タッタ一ツノ存在ヲ ◆PsPjd8yE3E :2008/04/27(日) 20:49:40 ID:uo9x1atw

家のリビングは四人掛けの四角いテーブルだ。
僕の隣に、愛。向かって華凛。そして対角線上に鞘だ。
もちろん、この配置に二人が愛の席に異議を申し立てるが、
かといって僕にとって愛の定位置と化しているので取り下げた。



うん、やっぱりなんだかんだ言っても、愛の料理は旨い。
そこらの下手な料理屋より、遥かにうまいし、タダだ。

昔、両親に食費として出してもらおうか?と僕は愛に提案してみたことがあったのだ。
しかし、愛は頑なに頭を振らなかった。
曰く「一人増えたところでそれほど変わらない。自分の両親から食費をもらっている」
そう言った彼女は、僕の双眼を見て、こうのたまった。

「その、代わり、克樹君と、もっと、一緒に、いたい、です」

上目遣いに、もじもじと呟いた愛。

それは愛が僕の家で家事をやり始めて数週間の出来事で、、
僕はまだどう愛と接すればいいのか悩んでたころだった。

僕にとって、彼女はツンツンしていた頃のイメージが根付いてたから、
一昔前のギャップに胸をキュンとさせられてしまっていて
かつ、その核弾頭並みの破壊力に照れ、ああとうなづくしかなかった。



「克樹、どうしたの?」
「ああ、いやなんでもない」
「相変わらず、うまいなって、思って」
「克樹君っ、そんな褒めても何も出ないよっ(///)」
「今度、中華料理を私が作ってあげましょうか克樹さん?」
「むー、私だって克樹の為に、取って置きのオムライス作るんだからねっ」

会話がヒートアップしそうだな、と鈍感だと自他認める僕でも感じた。
故に少し食べる速度を早め、僕らの夕食はお開きとなった。



157タッタ一ツノ存在ヲ ◆PsPjd8yE3E :2008/04/27(日) 20:50:00 ID:uo9x1atw
僕らが食べ終わり彼女達が食器を仲良く片付ける。
・・・もっとも表面上の話だと後に理解したのだが。
食後のお茶を啜りながら、テレビを見ていた僕に愛は言った。

「克樹君、そろそろシャワー浴びた方がいいですよ」
「わかった」

僕は服を取りに行くために、一度自室へと向かった。
衣装棚から下着と部屋着を持った僕は、突如背中を奔ったモノに一抹の不安を抱く。

これが悪寒か、と初めて気づいた僕は、慌てて棚のベニヤ板を取り外した。



そこに眠る、一振り。



昔、じいちゃんが、僕に譲り受けたものだ。名は正宗。

刀に詳しくない僕でも知っている銘。
でもじいちゃんは
「正宗という名工は幕府のお抱えでな、作品が多いんじゃ。
 ただでさえ造りに贋作や無銘が多いからこれもそうかもしれんな」
と呟いていた。



僕もウィキペディアで検索すると、
どうやら現存しているのは、彼の短剣数振りだけらしい。
大体鎌倉時代の作が現存まで原型を留めていて使用できるなんて、
よほどのことが無い限り無理だと思うのだが。


あ、そういえば、おじいちゃんとは、
ここ数ヶ月会ってないけど、無事に過ごしているだろうか?



ともかく、それを僕は袋越しに握り締め、脱衣籠の陰に立てかけた。



158タッタ一ツノ存在ヲ ◆PsPjd8yE3E :2008/04/27(日) 20:50:39 ID:uo9x1atw
所は変わり、居間。

三人の少女達は、澱んだ空気と濁った眼を晒しながら、
ぶつぶつと己の気持ちを、言い分を、ぶちまけ始めた。

「私から、克樹君を取らないで下さいッ!!
 もういいでしょうっ!? 私は、克樹君のために、努力してきたのに。
 なのに、なんであなた達は、克樹君の心に、土足で踏み込むのッ!?」

羅刹女の気迫を漂わせて、愛は叫んだ。
だが、それでも華凛や鞘子は後には引かない。
・・・いや、後には“引けない”のだ。

「あなた、だけじゃ、なんですから。5年以上も思い続けていたんですよ」
「わ、私だって質だけで言えば、克樹の思いは二人には絶対負けないッ」


「「「「交渉決裂(です)(だ)ね」」」

その言葉を機に、ある者は使い慣れた包丁をキッチンから取り出し、
ある者は己のスポーツバックからナイフを取り出し、
ある者は心細いカッターと剃刀を取り出した。

「「「克樹(君)(さん)は私のもの!!!」」」



[katuki side]

僕は、騒がしくなった居間を感じ


>すぐさま体を拭いて、浴室を出た(true ending)。
> 愛がどうにかするだろ、と放っておいた。(ending a)
>華凛がどうにかするだろ、と放っておいた。(ending b)
> 鞘がどうにかするだろ、と放っておいた。(ending c)


8話、終わり。

マルチエンディングです。
お疲れ様です。
159名無しさん@ピンキー:2008/04/27(日) 21:04:55 ID:sl/lbr1v
支援
160名無しさん@ピンキー:2008/04/27(日) 21:06:51 ID:i4mb4CB4
これはすぐさま浴室から出てきてくれなきゃ困る
161名無しさん@ピンキー:2008/04/27(日) 21:14:07 ID:n5GhoVBe
>>158
GJ!
選択肢は迷うが…
>もう一度風呂に入りなおすか、と風呂に入った
が面白そうです><
162名無しさん@ピンキー:2008/04/27(日) 22:37:53 ID:OKmGdIja
>>158
すぐさま浴室から出ましょう。何が起こったか気になる。
163名無しさん@ピンキー:2008/04/28(月) 02:55:26 ID:6vx2+sN/
>>158
すぐに風呂から上がるんだ!

・・・・・・ホントは全ルート書いて欲しかったりするんだよね
ゴメンナサイ
164名無しさん@ピンキー:2008/04/28(月) 10:11:47 ID:mMWFc9oF
早く風呂から上がれwwww
165名無しさん@ピンキー:2008/04/28(月) 12:15:48 ID:l8cHsID0
何だよマルチエンディングって
もしかしてアンケートのつもりか

作者なら結末まで責任を持て
166名無しさん@ピンキー:2008/04/28(月) 14:22:17 ID:BdZBC2j5
マルチエンディング=「複数の結末」
各選択肢ごとに、それぞれ結末を書いてくれるってことだろ

期待してるぜ!
167名無しさん@ピンキー:2008/04/28(月) 16:44:25 ID:YSEAix3I
一見ヤリマンっぽい、飄々ツンヤンデレ幼馴染みと
一見、才女っぽい同級生との鞘当てなんか誰か書いてくんねーかな

>>158
Dでハッピーエンドは?
168名無しさん@ピンキー:2008/04/28(月) 20:06:02 ID:Tgif/wbI
>>165
マルチエンディング物は前から結構あったぞ?保管庫見たか?
169名無しさん@ピンキー:2008/04/28(月) 20:12:21 ID:t/lbGd0u
触ってやるな
170名無しさん@ピンキー:2008/04/28(月) 20:24:18 ID:o5ISPVI1
>>165
ケンカふっかけるなって
大人なんだからじっくりまとうぜ
171タッタ一ツノ存在ヲ ◆PsPjd8yE3E :2008/04/29(火) 00:13:59 ID:oo22afgX
投稿予告。
俺、頑張ったよ。お願いだから、突っ込みどころはスルーしといて。
あと、これがtrue endingだろ、とか言わないで。
172タッタ一ツノ存在ヲ ◆PsPjd8yE3E :2008/04/29(火) 00:17:05 ID:oo22afgX
Normal ending「たった一つの存在を」

ゆっくりと湯船に浸かった僕は、風呂から上がるとTシャツ姿で、居間の戸に手を掛けた。


恐怖だ。
僕の体が、機械かのように、惑いは僕のものじゃなかったかのように。動きを停止した。



この光景は何なんだ?


血、血、血、血、血、血、血、血、血、血、血、血、血、血、血、血、
血、血、血、血、血、血、血、血、血、血、血、血、血、血、血、血、
血、血、血、血、血、血、血、血、血、血、血、血、血、血、血、血、
血、血、血、血、血、血、血、血、血、血、血、血、血、血、血、血、
血、血、血、血、血、血、血、血、血、血、血、血、血、血、血、血、
血、血、血、血、血、血、血、血、血、血、血、血、血、血、血、血、
血、血、血、血、血、血、血、血、血、血、血、血、血、血、血、血、
血、血、血、血、血、血、血、血、血、血、血、血、血、血、血、血、
血、血、血、血、血、血、血、血、血、血、血、血、血、血、血、血、
血、血、血、血、血、血、血、血、血、血、血、血、血、血、血、血、
血、血、血、血、血、血、血、血、血、血、血、血、血、血、血、血、
血、血、血、血、血、血、血、血、血、血、血、血、血、血、血、血、
血、血、血、血、血、血、血、血、血、血、血、血、血、血、血、血、
血、血、血、血、血、血、血、血、血、血、血、血、血、血、血、血、



何故、血みどろの包丁を持っている愛[めぐみ]がいる?



何故、ナイフやカミソリ、カッターを生やした華凛と鞘がいる?


173タッタ一ツノ存在ヲ ◆PsPjd8yE3E :2008/04/29(火) 00:17:55 ID:oo22afgX

何故、何故、何故、何故、何故、何故、何故、何故、
 何故、何故、何故、何故、何故、何故、何故、何故、
  何故、何故、何故、何故、何故、何故、何故、何故、
   何故、何故、何故、何故、何故、何故、何故、何故、
    何故、何故、何故、何故、何故、何故、何故、何故、



僕は、包丁を頬ずりをする羅刹女に、



  かつて優しい幼馴染であったはずの愛に、



    眼を淀ませ、兇器を握り締め侠気をはらませた少女に、



      僕は正宗を抜刀し、叫んだ。



         「何故なンだッ!! 愛ぃッ!!!」



僕ははらわたが煮え返らんばかりの、
怒声を上げて、彼女を睨みつけた。

「何故、彼女らを殺したッ!!!



「克樹君がいけないんだよ?」

まるでさも僕が悪いかのように微笑む愛。


174タッタ一ツノ存在ヲ ◆PsPjd8yE3E :2008/04/29(火) 00:18:21 ID:oo22afgX
「お前、何言ってるんだよ!?正気かっ」



憤りを隠せない僕は正宗を中段に構え直した。
生かすための活人剣は、僕の手中で“殺意に満ちて”吼える。



「私って言う、幼馴染がいるのに、あんな泥棒猫に捉まるんだから」
「だからといって殺すのか!!」
「うん、そうだよ」



彼女はそれが当然と言わんばかりの云い方で、また微笑んだ。
だが、その雰囲気はやけに悪意と嫉妬と侠気によって彩られていた。



違う、こんなの愛じゃない。

愛はもっと可愛らしげで、起こしてくれて、
一緒に登校して、手作りの弁当を渡して・・・だというのにっ!!


「そんなの、愛じゃないッ!! 俺が見てきた愛なんかじゃないッ!!」



175タッタ一ツノ存在ヲ ◆PsPjd8yE3E :2008/04/29(火) 00:18:44 ID:oo22afgX
僕がそういうと、彼女は急に恐怖を抱いたように、

「わ、私・・・殺し、ちゃった」

愛は血に汚れた両手を。血で汚した両手を前に歯をガチガチと鳴らした

「わたし、華凛ちゃんと鞘子ちゃん殺しちゃったよ」

カランと落ちた包丁を退け、僕は駆け寄る。
まるでドッペルゲンガーを見たような、そんな眼付きで。
彼女はヒステリーを起こすまでの、力も無いのか。
笑いはじめた。そう、彼女は嗤いはじめたのだ。

「は、はは、はははははは。私殺しちゃったよ」
「愛、しっかりしろ」
「殺したのに、克樹君に受け入れられない・・・なんて」

「・・・死んでやる」
「まさかっ!?」

とっさに掴もうとした手はすり抜ける。
正宗を握り締め、喉にあて、一気に引いた。

「ははは、ハハハハハハ、HAHAhaゴホッ」

どう見ても異常な出血に、僕はタオルを押し当てた。

「愛ぃ死ぬなっ、御願いだからっ、死なないでくれ!!」
「ははは、皮肉だよね。彼女達を殺しても、振り向いてくれないのに」
「しゃべるな、今救急車を呼ぶっ!!だからしゃべるな」
「でも、私が死ぬときは振り向いてくれるんだね」

「ありが、ゴホッ、と、ゴバッか、つ、き」

それこそ虫の息の彼女はそれだけ言い切って、息を引き取った。
僕は、亡骸を、涙を流し、抱きしめた。






176タッタ一ツノ存在ヲ ◆PsPjd8yE3E :2008/04/29(火) 00:19:20 ID:oo22afgX
Epilogue


それから十年後。

「お久しぶりです、先生」
「おぅ、来てやったぜ。十周忌か。時が経つのは早いもんだな」
「ええ、そうですね」

かつての熱血顧問は、未だにその面影を残しながら、やはり老いを隠せないようだった。

当時は強化されているとはいえ刀剣を所持していた事や、
修羅場の末の彼女達の他殺、自殺だったため上を下への大騒ぎだったの。

その中で僕の悪評が経たないよう気を使ってくれたありがたい存在だった。
無事、卒業できたのも、彼の助力があったからこそだからだ。

そのあとも、世知辛いこともあったが、なんとか家族を養える位の生活はできている。

「おとーさん誰ー?」
「パパー誰なのー?」
「お父様、誰それ?」

三人の少女達が、克樹の腰元に抱きつく。

「ずいぶんと可愛い、子供だな」
「はい、おかげさまですくすくと育ってます」
「お譲ちゃんたち、名前はなんていうんだ?」
「知らない人に、名前教えちゃいけないって。おとーさんが」
「パパが言ってるから駄目」
「お父様、教えていいの?」
「うん、僕の、恩人なんだ」
「あのねー、私は愛[あい]ー」
「私、華憐なの」
「鞘よ」

先生は眼を点にして、驚いた。

177タッタ一ツノ存在ヲ ◆PsPjd8yE3E :2008/04/29(火) 00:19:41 ID:oo22afgX
「おいおいおい、そうか。そう来たか」
「ははは、親御さんは縁起悪いから止めとけって」
「そりゃそうだわな、くっくっく」
「でも、愛[めぐみ]、華凛、鞘子が、生きた証を残したくて」

「パパー、それ誰なのー」
「お父様、誰ー?」
「お父さんがね愛[あい]、華憐、鞘と同じぐらい、愛してた人だよ」
「・・・・・・・」

無口ながらに彼女らが掴む袖口の力は強くなる

「大丈夫、ママとお前達から離れることはないよ
「父さん、本当ー?」
「本当なのー?」
「本当?」

うん、そうだよ。とにっこりと笑うと、
愛は肩車してーと、華憐はなら私はだっこー、
鞘は、今のままでいたいと強く腰に抱きついた。



「で、考えた末、名に使おうと考えたんだな?」
「もちろん、三人の親御さんに話しました、
 苦笑されたり、泣かれちゃったり、殴られちゃいましたけどね」

苦笑で言う克樹の後ろから、喪服の女性が克樹に近づいた。

「あなたー?どうしたのー?」
「ああ、恩師に会ってね。こいつが嫁さんです」
「こいつ、っていう方は何よ」
「まぁ、兎も角嫁さんに許可貰って、命名したんです」






178タッタ一ツノ存在ヲ ◆PsPjd8yE3E :2008/04/29(火) 00:20:24 ID:oo22afgX
愛、華凛、鞘子。僕は生きているよ。

自分勝手かもしれいけど、もし、見守ることができるなら、
僕の子を、影から見守っていて欲しい。

僕がいつか君達と会える、機会がもう一度、あるとしたら、そのときは・・・一緒に暮らそう。
もちろん嫁さんも会わせてね。、修羅場になったとしても、今度は皆で仲良く暮らしたい。



だけど、今は、今だけは、


  “たった一つの存在[ぼく]”を


     心から愛してくれる嫁と、三人の娘達を大事にさせてくれ。




蒼穹の空を懐かしむような目で、



克樹はふと顔を煌く空へと向けた。



「今日も、良い天気だな」



179タッタ一ツノ存在ヲ ◆PsPjd8yE3E :2008/04/29(火) 00:20:44 ID:oo22afgX
  突如、突風が、吹きすさぶ。



    三人の幼女たちがきゃっ、と声を上げる。



      その中、思わず後ろを振り向いた克樹は



        風の知らせでも聞いたかのように、



          キョンとした表情で立ち尽くす。



            その顔をくすっと微笑みに変えると



              「僕も、愛してるよ」とだけ、囁いた。



                 Normal ending「たった一つの存在を」
180タッタ一ツノ存在ヲ ◆PsPjd8yE3E :2008/04/29(火) 00:23:20 ID:oo22afgX
おーつーかーれーさーまー。投稿終了です。
色々あったけど、こんな形で(ending a)は終わります。

>>166さん。そうなのです。これから書きます。trueだけはプロットあります。
181名無しさん@ピンキー:2008/04/29(火) 00:27:21 ID:Qpt4rXqb
すげー斜めに見える!
182名無しさん@ピンキー:2008/04/29(火) 00:34:43 ID:dolhPJe/
まあせっかくの休みに寒い妄想晒して喜ぶくらいしか楽しみのない
寂しいコミュ不全クンのことは生暖かい目えで見守ってやろうぜw
183名無しさん@ピンキー:2008/04/29(火) 01:12:52 ID:YvOMGakT
>>180
だがあえて言わせてもらおう
これなんてTRUE?
投下GJでした!
次はこのスレ的TRUEに期待
184名無しさん@ピンキー:2008/04/29(火) 01:26:53 ID:B0TQ4rJV
>>182
まぁせっかくの休みに他人のSSに自分の下らないコメント残すことしか楽しみのない
寂しい社会不適合者のことは生暖かい目で見守ってやろうぜwwww
185名無しさん@ピンキー:2008/04/29(火) 05:26:17 ID:rFk+6K3w
触るなって
186名無しさん@ピンキー:2008/04/29(火) 07:34:18 ID:Qt8p614A
これはGJだぜ!
続き期待するぜ
187名無しさん@ピンキー:2008/04/29(火) 09:28:55 ID:iLj+4BFn
血の連呼とか文章斜めとか子供が出てくるエンディングとか吹いたw
188名無しさん@ピンキー:2008/04/29(火) 12:36:32 ID:oo22afgX
>>187
何故に?
189名無しさん@ピンキー:2008/04/29(火) 12:54:49 ID:/9bcu47Z
>>180
いろいろと実験的な作品だな。
他のエンディングも楽しみにしてる。
乙!
190名無しさん@ピンキー:2008/04/29(火) 14:48:20 ID:iLj+4BFn
>>188
アンカーつきでこられたので答えるけど他の人はうざいだろうからあぼーんしといてくれ
あくまで個人的感想で他の人がどうとるかはわからん

血の連呼→修羅場シーンを文字で埋め尽くす描写や文章に食傷気味。昔は衝撃受けたけど
文章斜め→演出なんだろうけど読みづらいだけ
子供出てくるエンド→3人まとめて死んだ猟奇的殺人事件の中心人物が無事にそのまま卒業
して、挙句に幸せに結婚して子供に恵まれましたはねーよw
見知らぬ土地へ引越くらいはすると思うぞ。そもそも、事件後もそのまま卒業できるほど強い
人間ならこんな事件になるまで修羅場にならねーよ
所詮作り話だしねという感じでご都合主義過ぎて笑える
ご都合主義でも由と思えるほど今までの話が良く出来て盛り上がっていたとは感じられん

エンディングまで書きおえたことはGJ
初SSだそうだから今後に期待します
191名無しさん@ピンキー:2008/04/29(火) 15:02:17 ID:ST4xSSE2
好きなように書けばいいと思うのだが・・・
>>190
つーかそこまで言うなら
何かSS書いてくれよ
職人さん少ないんだからさ
192名無しさん@ピンキー:2008/04/29(火) 16:38:13 ID:AMZ9hwV6
とりあえずテンプレを読んでから発言しろ
193名無しさん@ピンキー:2008/04/29(火) 19:20:05 ID:etvdYxkq
いろいろあったが荒らしもいなくなったことだし、もっと平和にいこうぜ
194名無しさん@ピンキー:2008/04/29(火) 19:26:29 ID:Hkutg/12
全部欲しいの作者こないよな
どうしたんだろう
195名無しさん@ピンキー:2008/04/29(火) 21:30:34 ID:/ii4w73c
この程度で根を上げられたら、年単位で続きを待ち続けてる俺はどうしたら……
196名無しさん@ピンキー:2008/04/29(火) 21:40:18 ID:pPMbYx7e
うーん、やっぱたくさん書きゃいいわけではないと思うよ。
あくまで俺はだけど逆効果で内容を薄く感じちゃうな
あと、戦闘シーン(?)は無駄にqualityが高いね
何が言いたいかというと







続作に期待
197名無しさん@ピンキー:2008/04/29(火) 22:32:52 ID:VRwhsAcN
 ・作品に対する評価を書きたいなら、スレ上ではなくこちらへどうぞ
  (ttp://yuukiremix.s33.xrea.com/chirashi/
 ・スレは作品を評価する場ではありません
198名無しさん@ピンキー:2008/04/29(火) 22:38:58 ID:yaUiXknS
>>197
その話はこれぐらいにしておこうぜ
スレ荒れたら元も子もないしな
199名無しさん@ピンキー:2008/04/29(火) 22:49:08 ID:pVYlPGI0
言葉「私が間違っていたんじゃない、世界が間違っていたんだ!」
200全部欲しい! ◆YiiBfqbdxs :2008/04/29(火) 23:23:37 ID:DMLq9Jhu
投下します。

立木里沙視点での話になります。
201全部欲しい! ◆YiiBfqbdxs :2008/04/29(火) 23:24:45 ID:DMLq9Jhu
 彼女、立木里沙が”その事”に気付いたのは、何時の事だろう。


 初めて彼の事を思って自慰をした日では、遅すぎる。

 彼の両親が離婚し、彼が一時的に孤独となったその日よりも、前からである事は確実だ。
 彼の両親の離婚の原因は、彼女が”作り上げた”のだから。


 いつ頃から里沙が、彼にそんな感情を抱き始めたのかは、里沙自身にも定かではない。


 ただ一つ言える事があるとすれば、
 里沙はある種の運命を信じている。

 自分が彼と出会えた事、
 それが物心つく前から共に過ごす、”幼なじみ”という存在な事。

 過去の全てに自分がおり、今の全てにも自分が主役になり、それが未来永劫に続いていく…。

 彼女は、それが運命だ と信じて疑わない。


 運命が与えてくれた、自分と永遠に一つになるべくした存在、
 それが本庄光彦だ、と。
202全部欲しい! ◆YiiBfqbdxs :2008/04/29(火) 23:26:14 ID:DMLq9Jhu
 里沙が本庄と、満足に口も聞かなくなったのは、中学2年の時からだ。

 理由ははっきりとしている。
 里沙が、本庄を無視し始めたからだ。


 何故、里沙がそんな事をし始めたのか、説明するのは容易だ。

 里沙は、自分が無視した時の本庄の表情、
 戸惑いの目、憂いを帯びた眉間、何か言いたそうな口元、
 その姿を見る度、
 その全てが、自分が引き起こした結果によるものだと思うと、彼女自身がどうしようもないほどに、
 暗く、それでいて満ち足りた、快楽に襲われてしまったからだ。


 だからこそ、なのかもしれない。

 里沙は、その行動をエスカレートさせていった。

 最初は、本庄以外の男子生徒と、本庄に見せ付ける為に、親しく話始める、それだけだった。

 でも、その時に感じてしまった快楽、
 自分の行動が、彼の全てを決めているという、濁り湿った情欲、
 それが里沙の行動に、歯止めを奪った。


 親しくから親密に、そして恋人同士に見えるよう、
 里沙はその行動を、本庄に見える範囲で、
 強くしていく。


 かと言って、里沙の気持ちは本庄一人に向けられている事に代わりはない。

 事実、里沙は誰とも付き合った事はないし、
 本庄の見ているところ以外で、彼女が相手の男子生徒と親しく接する事はない。


 何より、里沙は本庄と同じ高校に通う為、自分の学力より1ランク以上レベルの高い、今の高校に合格しているのだから。
203全部欲しい! ◆YiiBfqbdxs :2008/04/29(火) 23:29:18 ID:DMLq9Jhu
 ある日の放課後、とある喫茶店、
 里沙はそこで考え事に耽っていた。

 一人で来ている訳ではない。
 帰り道を一緒に歩いた男子生徒がいる事にはいるのだが、
 既にその相手に対して意識を向ける事はない。

 里沙が彼に興味を失った、
 訳ではない。
 元から、本庄を嫉妬させる為だけの存在であり、それ以上の価値など見出だしていなかったのだから。


 「なあ里沙、俺の話、聞いてるか?」
 相手が里沙に、真剣な顔で問い掛ける。

 里沙は特に返事を返さない。
 既に里沙は相手に関係なく、溜め息をついたり頬を綻ばせたり眉間に皺を寄せたり、そうして、自分の考えに没頭していた。

 もはや、里沙にとっては、相手が発する言葉は、ただの雑音にしか過ぎなくなっていた。


 「俺の話、聞いてくれよ…」
 懇願するような相手の言葉に、里沙は、
 「うーん…」
 と軽く首を捻った。


 今、里沙は悩んでいる。
 無論、本庄光彦の事で、だ。

 ”なんで光彦は、私に何も言ってこないのかなあ”
 その事に、真剣に頭を悩ませていた。

 傍から見れば滑稽な悩みに思えるかも知れない。
 が、里沙にとっては切実な、それでいて理解出来ない悩みだ。

 何せ、里沙から見れば、常に本庄にチャンスを与えているのだから。

 それは、登校時だったり放課後だったり、休みの日さえも、そうだ。
 常に本庄の前を歩く事を、意識づけているハズだからだ。


 ”前の時にやり過ぎちゃったかな…?”
 小さな後悔を思い出して、溜め息をつく。

 それは中学2年の時の事、
 里沙が初めて本庄を無視したその日から数日、
 本庄光彦という人間が存在しないものとして、里沙は行動した。

 理由は簡単だ。
 そうする事によって見れた本庄の気持ち、
 自分に存在をアピールしようとしてとった、行動の一つ一つ、
 それが里沙に例えようのない快楽を与えてしまったからだ。


 ”私からも動かなきゃ…”
 そこまで考えた里沙の思考は、
 「聞けよ、俺の話!」
 という怒鳴り声で中断された。
204全部欲しい! ◆YiiBfqbdxs :2008/04/29(火) 23:31:31 ID:DMLq9Jhu
 里沙にとっては、この事態は寝耳に水、そんな感覚だ。
 何で自分が怒鳴られているのかは勿論、
 相手の男が誰なのかさえも、里沙はには分からないほどだったのだから。


 「おまえ、俺のコト、ナめてんだろ!」
 青筋を立てて、そんな表現が似合う感じで怒鳴り出した相手に、里沙が思い出した事がある。

 ”そういえば、誰かを誘って帰り道を歩いてたっけ”
 と。
 それだけは思い出す事が出来た。


 「おまえから誘っといて、何だよ、この態度!」
 周囲を気にせずに、怒鳴り声を上げて、席を立ち上がる相手、
 里沙はそんな事、お構いなしに、
 ”確かコイツは、池田、井川、井上、猪股、そんな名前だったっけ”
 と、相手の名前を思い出そうとしていた。


 「おまえさ、男のコト、ナめてんだろ?!」
 判で押した、そう思えるような一言に、
 里沙は思わず笑いそうになった。
 良く言われる一言、だから。


 「教えてヤんよ、男の怖さを…!」
 本気、そう思える顔で言う相手に、
 里沙は特に動じた様子も見せず、
 「ふーん」
 と、見下した言い方をすると、
 「で、何をするの?」
 と、からかう、相手を激情させる一言を言う。


 「おまえに男の…」
 「そういえば、今日はアンタと一緒にいるって、ダチに言ったんだよねえ…」
 何かを言いかけた相手の言葉を遮るように、里沙は言葉を発する。

 「もし、私になんかあったら…」
 そこで小さく言葉を切り、相手の顔を見る。
 「アンタが真っ先に疑われんだろうねえ…」
 そう言った時、相手の顔はそれまでと見る陰のないほどに、青ざめていた。
205全部欲しい! ◆YiiBfqbdxs :2008/04/29(火) 23:33:16 ID:DMLq9Jhu
 「そんなの…」
 「関係ないって、言える立場、じゃないよね」
 里沙の一言に、相手は言葉を無くす。

 里沙は、常にある程度の立場にいる人間を使うようにしてきた。
 それは、今回のような事が起きた時に、扱い易いからだ。


 「おま…!」
 「何かしてもイイよ」
 平然と里沙が言い放つ。
 そして、付け加える。
 「その時はアンタも終わりなんだけど、ね!」
 淀みなく、その言葉を言い切る。


 「クソ!」
 そう言いながら、相手が席を離れた。
 だから、里沙は聞いた。
 「どこ行くの?」
 「帰るんだよ!」
 吐き捨てるような一言に、里沙は思わず微笑を隠せない。

 自分の思い通りに事が運んだから。

 そこで里沙はもう一押しする。
 「帰るなら、伝票よろしく!」
 業と挑発するような一言を。


 「ちっ!」
 相手が、回りに聞こえるほどの大きな舌打ちと共に、相手が一言放つ。
 「覚えてろ!」
 と。

 その一言は、里沙が言って欲しかった一言だ。

 だから、里沙はすぐに答えられた。
 「覚えとくよ」
 「私に何か遭ったら、犯人はアンタだって…」
 「その事を、ね!」


 里沙のそんな言葉に、相手は既に何も答える事が出来ず、早足でその私に場を後にしていった。
206全部欲しい! ◆YiiBfqbdxs :2008/04/29(火) 23:34:47 ID:DMLq9Jhu
 「バカみたい」
 立ち去った相手を見ながら、里沙が小さく呟く。

 何度も繰り返して行為、
 里沙に恐れはない。


 「光彦も、あそこまで単純に動けばイイのに」
 小さく溜め息をつきながら言った言葉。

 里沙からしてみれば、
 本庄光彦ほど、自分の思惑通りに動いてくれない人間もいない。


 「ハァー…」
 大きな溜め息と共に、里沙は思う。

 ”私からも動いてヤらなきゃダメか”
 と。
 ”とりあえずは、明日の朝に、光彦の前を一人で歩いてやるか”
 とも。


 里沙の根本的な発想、
 それは、本庄光彦、それは自分だけの物であり、
 自分がいるからこその存在だという考え。

 この考えは、里沙にとって絶対であり、
 変わる事のない真実でもあった。


 だが、その日の翌日にこの考えは覆される。

 そして、覆された後、
 彼女は思い知らされる事になる。

 自分がどれだけ、本庄光彦を愛しているか、を。
 自分にとっての本庄光彦が、どれだけ必要な存在か、を。


 既に気付くのが遅い、その事実に。
207全部欲しい! ◆YiiBfqbdxs :2008/04/29(火) 23:37:50 ID:DMLq9Jhu
投下終了です。


この先に嫌悪感を覚える人が多い描写があるかもしれませんので、今の内に注意を。
208名無しさん@ピンキー:2008/04/29(火) 23:38:55 ID:JAXYCj+y
お疲れ様です。続き楽しみにしてます。
209名無しさん@ピンキー:2008/04/30(水) 00:06:33 ID:1ynTTd9u
久しぶりにこの言葉を使うときがきたか…

>>207
GJ!続きを期待する!
210名無しさん@ピンキー:2008/04/30(水) 00:44:40 ID:OnAN5gBX
いいカンジにドロドロしそうで期待
211名無しさん@ピンキー:2008/04/30(水) 00:54:18 ID:BOo/N9Ls
これはいい・・・続き期待してます
212名無しさん@ピンキー:2008/04/30(水) 01:39:05 ID:2ZXM5lLL
GJっす
ドロドロきたwwww
213名無しさん@ピンキー:2008/04/30(水) 02:15:45 ID:H7N2iXnC
なかなか先が気になる物語ですな
早く続きが読みてー
>>207
投下するその時にどんな要素が入るかを明記してくれれば問題ないですよ
と言うかそれを怠るとまた荒れてしまうかもなので気をつけてください
214名無しさん@ピンキー:2008/04/30(水) 04:01:42 ID:eLZRMMWd
>>207
男が思い通り動かず、女が常にベタベタしていない状況がとても新鮮で面白いです
これからの展開も期待してます、GJ!
215名無しさん@ピンキー:2008/04/30(水) 07:09:47 ID:T81aq0hQ
>>207 GJ
なるほど、そういう考えがあってこその行動か。
まぁ俺としては男女逆の場合のほうが燃えるがな。
って、それは修羅場SSにならないか(汗。
216名無しさん@ピンキー:2008/04/30(水) 08:28:18 ID:T81aq0hQ
ちとしつもーん。

修羅場SSって二次創作系も投稿ありなの?
三次創作とかは?(←許可取んなきゃ駄目だけど)
217名無しさん@ピンキー:2008/04/30(水) 08:36:30 ID:KlRhG+5+
>>216 避難所にそれようのSSスレがある
ttp://www2.atchs.jp/test/read.cgi/dorobouneko/13/
218名無しさん@ピンキー:2008/04/30(水) 12:24:35 ID:2fltGK0w
てんきよほうまだー?
219名無しさん@ピンキー:2008/04/30(水) 20:23:59 ID:3KtrV5Kr
気持ちはわかるが
くれくれ言うなよ
話題が止まっちまうだろ・・・
>>216
三次創作は、許可もそうだがどんな要素が入るかを投稿する前に書かないと
袋叩きに会うぞ
中には信者もいるから気をつけないとな
220名無しさん@ピンキー:2008/04/30(水) 20:35:07 ID:l+rrHC+q
       」」      」」       」」       」」
        __  |    __  |    __  |    __  |
              |          |          |         
        ___|    ___|    ___|    ___|

 |: : |     _,, --―― - - 、
  |: : |  ,. -''" : . :: . : . : . : . : . : .`゙ヽ、
  |: : |/.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:...  \
  |: : |:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ヽ ヽ
  |: : |:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:/:.:.:.:.:.:./:.:.,イ:.:.ヘ:.:.:.::.:ヽ:.:\
  |: : |:.:.:.:.:.:.:.:.::/:.:./:.:.:/:.:.:.ノ'/:/''''ヽ::.:.:.:.:ヽ:.:ヽ もうすぐ、ゴールデンウィークですね
  |: : |:.:.:.:/:.:.:./:.:/:.:,ィ:.:.:.:/ /:/  |:ト、:.:.:.:.:ヽ:.:ヽ楽しみにしてますよ
  |: : |:.:..:i:.:..::/:/レTナ:/   //-- 、|:| i:.:.:.::.::.:iヾ:゙i
  |: : |:.:::i:.:.:,イ/ レ'|/     // _  !ト、i:.:.::.i:.::|!:!
  |: : |:.:.i:.:..i レシン夭゙`   /'  r=ニメ  }:.:.:.:i:.:.| i!'
  |: : |:.:.i:.:.:k;//;;;;;;;:i : /   :.;;;,;;ハヾ; i:.:.:.i !:.:! !
  |: : |:.:.:!.:.:i ゙、;;;;;;;;::ノ;      :;;;;;;:},.' ノ:.:.ノ !:ノ /
  |: : |:.:.:.!:.! ゞ''⌒      ゞ< イ:.ノ! ノ
  |: : |:!:.:.:゙、.ヽ   r、_  '  ヽ  /:.:.:.ト、
  |: : |!:.:.:.:.! \  ヽ ̄ ̄/'  /:.:.:.:.|i ゙、
  |: : |:.:ヽ:.:.:.! \ 丶--',  イ!:.:.:.:.:.:.: !i ヽ
  |: : |:.:.:.゙、:.:.:.:i    ` ー-, イ:::::.:!.:.:.::.::.:.: |:i   ゙、
  |: : ト、:.:.:.::.ヽ:.i     |:::::!:::::::.!:.:.:.:.:.:.::.|::i   ヽ.
  |: : |弋:.:.:.:: \i、    !ヾ、!__::::.!:.:.:.:.:.:i |:.:i   ヽ
  |: : | ヽ:.:.:.:.: ヽヽ、___ ヽ \ヽ!:.:.:.:.::.i |:.:ヽ.    ヽ
  |: : |   ヽ:.:.:.:.:.:.:.ヽ \_     } }:.:.:.:.::.:i:ト、:..ヽ    ヽ
  |: : |、  ヽ:.:.:.:.:.:.:.:ヽ`ー、`ー、ノ ハ:.:.:.:.:..:i \:.:゙、   ヾ、
  |: : | ヽ  ヽ:.:.:.:.:.:.:.:\  ヽ \/  ヽ:.:.:.:.:V }:.:.i   i::i
  |: : |  ヽ  ヽ:.:.:.:.:.:.:.:.ヽ  ノo人   \:.:.:.V |:.:.:i   i::i
221名無しさん@ピンキー:2008/04/30(水) 20:59:14 ID:3KtrV5Kr
>>220
もうとっくに入ってるぞ?
俺はまだだがorz
222名無しさん@ピンキー:2008/04/30(水) 22:50:41 ID:V/NH+b47
明日が休みなんでホンマもんの飛び石連休だぜ
223名無しさん@ピンキー:2008/04/30(水) 23:57:39 ID:xuxMtb0A
続きをみたいな
最近こういう系のやつ減ってきたし
224名無しさん@ピンキー:2008/05/01(木) 00:16:58 ID:t+NnFkHQ
>>223

>>214の言ってる状況のこと?
225名無しさん@ピンキー:2008/05/01(木) 00:29:50 ID:5kom7kQj
清純派で依存のヤンデレ傾向が多い中、珍しいよな
期待してます
226名無しさん@ピンキー:2008/05/01(木) 08:42:53 ID:t+NnFkHQ
他の作品を参考にするため読んでたら、
自分がノイローゼっぽくなってしまった。(現在進行形。ってか俺)
こんな状況をあなたはどう見る?
227名無しさん@ピンキー:2008/05/01(木) 09:44:10 ID:6h8hRYjn
>>226
ここで話す話題じゃないな
雑談スレのほうがいいと思うぞ
228名無しさん@ピンキー:2008/05/01(木) 09:45:59 ID:WMYp3KlH
>>227 軽くだったら雑談もありだろ
229名無しさん@ピンキー:2008/05/01(木) 11:20:17 ID:5TkgAap5
AAはいらないな
230 ◆geyIFnf98w :2008/05/01(木) 11:47:21 ID:cC5dPRAh
>>139です。トリ付けました。
投下します。
231直人の母 1/8 ◆geyIFnf98w :2008/05/01(木) 11:49:36 ID:cC5dPRAh
 いかにろくでもないたくらみを持つ百合子といえども、直ちにいかがわしい行為に及ぼうとは考えない。
そもそもそういった嗜好は持ち合わせておらず、ちょこなんと座って養母の発言を待ち受ける少年をいじらしく思いこそすれ、不埒な考えはもちろん、盲目的に愛情を抱くことさえ抵抗が残っている。
直人の生い立ちは孤児院の職員から聞いている。職員が話せない立ち入った事情も興信所を介して知っている。
憫然たることながら、その不遇から来る影響を利用しようとも考えている。
 夕食を終えると一緒に風呂に入った。そのとき直人は百合子の誘いに小さく頷いたきりで、服を脱がす段になっても逆らう気配は見せなかった。
入浴中、百合子はしきりに直人に話しかけるけれども、好きな食べ物や欲しい玩具の問いに対し直人は「うん」か「ううん」とだけ答え、
百合子に体中泡だらけされたときは、くすぐったそうに身を震わせて笑い声を漏らすのを耐え、そうして可能な限り為すがままにされようと努めている。
この意固地に似た極端な遠慮が百合子には可愛らしく思われた。
 斎藤家にテレビは置かれていない。娯楽といえるものは百合子の趣味による小難しい書物の数々と、これまた子供の好みそうにないクラシック音盤ばかりである。
百合子は直人と二人で入用な品物を吟味することを楽しみにするあまり、気を利かせて玩具や絵本を事前に用意することを失念し、
家にある品物で直人の興味を引けそうなものといったら、百合子が子供の頃から愛読している例の白馬の王子様云々という絵本しかなかった。
一冊の絵本ではゆっくり朗読するにしても三十分ほどで読み終えてしまう。
直人がせがまないので繰り返し読むのも憚られ、百合子と直人は早い時間に床に着くことになった。無論、布団は一組である。
 百合子の気が付いたときには、直人は規則正しい寝息を立てていた。
子守り歌を歌ってみたはいいが、正しい歌詞が思い出せず、音程も合わないから、ああでもないこうでもないと天井を眺めながら幾度も歌い直し、
ようやく調子付いてきたと思ったら、当の聴き手は百合子と反対側に体を向けて小さい肩を微かに上下させている。
百合子は捲れた布団を掛け直すと覆いかぶさるように直人の背中に寄り添った。直人の体は少しだけひんやりする心地がした。
232直人の母 2/8 ◆geyIFnf98w :2008/05/01(木) 11:51:34 ID:cC5dPRAh
 あくる日、百合子と直人は自動車で町の方へ出かけた。直人の入用なものを買うためである。
今のより上等な洋服、玩具や本、それから来週小学校に入学するので、ランドセル等の学校用品、その他こまごましたものと結構な種類に及び、丸一日かけても全て回れるか疑わしい。
 二人はまず、直人が使う学習机を見繕いに家具屋に入った。直人が慎ましやかに後ろに控えて歩くので、百合子が先に立ち学習机を見て回った。
百合子が手ごろな学習机を見つけて、
「これなんかどうかしら?」
と直人に声をかけると、直人は黙ってその学習机をしばらく眺めた後、指を折って何か数えた。
それから首を横に振り、机コーナーの外れにぽつねんと置かれている小さなスチール机を指差して、
「あれがいい」
と言った。
「ほんとにこれでいいの?」
「うん。これがいい」
 それは鼠色の無骨な事務机で、趣味が渋いというよりも百合子への遠慮であったろう。
実際、先ほどの様々なキャラクターが描かれた子供好みの学習机に比べて半分以下の値段が書いてある。
直人の気苦労を尊重した百合子はその事務机を購入するべく店員を呼んだ。
 次に向かった鞄屋でも、直人は流行りのハイカラな柄のランドセルを素通りして、奥で埃を被っている黒いランドセルを手に取った。
会計の直前、百合子は直人に外で待つように言って、直人が店の外に出たのを確認すると、似たような見た目でも値の張る上等なランドセルを店主に持って来させた。
 昼食は街中のレストランで取った。百合子は天ぷら定食、直人はお子様ランチを注文した。
海老天一つとハンバーグ一口を交換して食べて、百合子は貰ったハンバーグの方を美味しく感じた。
コーヒーを注文した百合子がデザートや飲み物を頼もうかと聞いても、直人は首を横に振るばかりで何も欲しがらなかった。
 午後は洋服を買いに行った。直人が要らないと言っても、百合子は目ぼしい服を見つけては次々と直人に試着させた。
その有様はほとんど着せ替え人形といわんばかりであった。百合子が両手に紙袋を幾つも抱えている横で、直人はぐったりしていた。
233直人の母 3/8 ◆geyIFnf98w :2008/05/01(木) 11:53:19 ID:cC5dPRAh
 最後は玩具屋に寄った。
「ゲームでも、ロボットでも、何でも好きなのを選んでいいのよ」
 洋服の場合とは違い玩具に関して百合子は門外漢である。まごつく直人の肩を抱いて、怪我人を歩かせる介添人のようにおずおず足を進めて行った。
可愛らしかったり、あかぬけていたり、珍妙であったり、どぎつい色合いであったり、そうした目に付き易い玩具の前でいちいち立ち止まって、
「あらこれかわいい」、「どんなおもちゃなんだろ」、「どうやって遊ぶんだろ」、「こんなのはどう」という風に百合子は直人に声をかけた。
直人は恐る恐る玩具を手に取ったかと思えば、すぐまた元の位置に戻していた。
しかるに百合子の観察したところによれば、いかにも物見高くならないよう気をつけている風に見えた。
 商店街の小さい玩具店である。大した時間もかからず見尽くして、百合子が試しに「なにか欲しいのはあった」と聞いてみたところ、その途端に直人ははにかんで耳を赤らめてしまい、
百合子がもう一度回ろうかと言う前に、雑貨の棚の前にちょこちょこ走りで行って、安っぽい作りの小さな剣玉を掴んで戻ってきた。二束三文の品である。
「ほかにも欲しかったら、持っていらっしゃい。ほら、これとかどうかしら?」
 百合子は近くにあった木製の珍妙なロボットを手に取って見せたが、
「これじゃないのはいらない」
「なら、ゲームは欲しくない?」
「ううん。これだけでいい」
 直人はそう言って、百合子が幾ら勧めても別の物を所望しなかった。
 勘定を済ませて外に出ると日が傾きかけていた。ハンドルを握って夕闇の濃くなりつつある田園に視線をやると物寂しい気持ちがした。
助手席に座る直人が玩具屋で買ってあげた剣玉を指先で玩びながら、ゆっくり流れて行く景色を眺めていた。
「ねえ、直人。また今度、あのおもちゃ屋さんに行こう」
「うん」
 百合子が直人を呼び捨てにしたのは始めてであった。



234直人の母 4/8 ◆geyIFnf98w :2008/05/01(木) 11:55:49 ID:cC5dPRAh



 教室で名前を呼ばれても、直人は咄嗟に席を立つことが出来なかった。
今はもはや、彼がこれまで馴染んでいた名前は、斉藤直人という聞き慣れない名前に替わっていた。語感も、釣合いが悪い感じがした。
もう一度呼ばれてようやく立ち上がると、他の子供たちはちょっとばかり首を傾げたに過ぎなかった。
それは直人をまごつかせて赤面させるには十分なことであったが、また孤児院と小学校の違いを示す証拠にもなった。
 直人は毎朝六時半に起きていた。まず部屋の掃除や朝食の支度を手伝い、朝食を終えて七時半近くになったら、
ゴミ袋を持った百合子さんと一緒に家を出て、集合場所である公会堂の前へ行き、班員がみんな集まるのを待って登校した。
 直人の通う小学校では集団登校が義務付けられていた。
直人の部落における登校班は、背が高い六年生の少年と、心持ちふっくらした五年生の少女と、それから同級生の清水葵さんという少女で、直人を含めて四人の班であった。
歩くときは班長の六年生の少年が先頭に立ち、次に清水葵さん、直人の順で続き、そうして副班長である五年生の少女が最後尾を歩いた。
通学路は車が速度を出し易い田舎の県道で、ダンプカーなどの大型車も頻繁に走った。そのため、登校中のお喋りや道草は推奨されていなかった。
自然、四人は黙々と歩くことになるが、時によって五年生の少女が直人に話しかけることもあった。
 道路は田園の真ん中を通っていた。辺り一面に田圃が広がり、目印程度の集落が遠くの方にぽつぽつ見えるばかりであった。
こうした風景を見慣れない直人からしてみれば、本当に歩いて学校に行けるのかも疑わしかった。
帰りもこの道を歩かなければならないのかと考えると気が滅入った。
それでいて、俯きながら三四十分も足を進めていればいつの間にか学校にたどり着くから不思議であった。
初めのうち、直人はもたついて立ち止まることがよくあった。靴紐を結びなおしたり、ズボンの具合を調節したりして他の三人に迷惑をかけた。
上級生の二人は心配そうに眺めるだけであったが、直人の前を歩く清水葵さんは、「早くしてよ」というようなことを言って直人を急かした。
直人が謝っても清水葵さんは喚くのを止めなかった。いつもそれを見かねた副班長の少女が彼女を宥めていた。
235直人の母 5/8 ◆geyIFnf98w :2008/05/01(木) 11:58:47 ID:cC5dPRAh
 こうした失態を直人がしばしば演じたことは百合子さんが揃えてくれた衣装が原因であった。
孤児院で直人が着ていた服はどれもお古ばかりで、ほとんど寸法が大きくゆったりした着心地のため、生地がごわついていても結構動き易かった。
直人が今着ている服は、生地が柔らかく、前のように色あせていたり、ほつれていたりはしていないけれど、古着に馴染んでいた直人はそのぴったりした着心地に窮屈を感じた。
履き潰されていない靴は固くて、足に靴擦れを拵えそうになった。
新品の洋服の匂いは新鮮であったが、それがかえって直人を煩わした。直人は服を傷めたり汚したりしないよういちいち気を遣った。
休み時間は図書室で過ごした。運動場や体育館に出て遊ぶ同級生たちが羨ましかった。しかし百合子さんに迷惑をかけるわけにはいかなかった。
 直人に遊び友達は出来なかったが、幾人か上級生に知り合いが出来た。どれも高学年の少女ばかりであった。
ある時、登校班が一緒の五年生の少女が図書室にやってきて、一人で動物図鑑を眺めている直人を見つけた。
そのときに話しかけられたことがきっかけで、直人は彼女と彼女の友人たちに可愛がられるようになった。
彼女たちはいつも図書室で休み時間を過ごしているようであった。
漢字を知らない直人に振り仮名の無い文章を読んでくれて、他にも、こっそり学校に持ち込んで来た毛糸を使って綾取りを教えてくれた。
少女たちは直人を猫可愛がりしていたが、図書室以外の場所で彼女たちを見つけても直人は自分から話しかけようとはしなかった。
それは直人なりの拙い処世術であった。孤児院にいた当時から、直人は不思議と年上の少女に好かれることが多かった。
その由で周囲の顰蹙を買うことも経験していた。
 学校が終るといつも直人は真っ直ぐ家に帰った。
同じ部落の斉藤葵さんは放課後に運動場で遊んでいるので、直人が彼女と下校を共にする機会はなかった。
直人は一人で帰った。たまに、通学路を近所のおばさんが車で通りかかることもあって、その時は家まで乗せてもらっていた。
家に帰った後は、直人は宿題をするか、庭で剣玉遊びをして過ごした。勉強にしても庭遊びにしても、たいてい百合子さんが傍で相手をしてくれた。
直人が気の休まるときは、百合子さんが書斎に篭って仕事をしているときだけで、そういう機会は滅多に訪れなかった。
236直人の母 6/8 ◆geyIFnf98w :2008/05/01(木) 12:01:18 ID:cC5dPRAh
 三日に一度は百合子さんに連れられて買い物に出かけた。そのときはきまってお菓子を買ってもらえた。
なるべく安いお菓子を選んだ。家に帰って食べたくなったら、
「お菓子たべていい?」と百合子さんに尋ねてから食べた。
「いつでも、好きなときに食べていいんだから、そんなこと聞かなくてもいいのよ」
 百合子さんはそう言ったが、直人にとってこうしたことに許可を求めないというのはわがままを言うことと同じ認識であった。
 喚き声や泣き声でうるさい孤児院の食卓とは反対に、この家では喋りながらの食事をすることはなかった。
百合子さんの料理を一口食べたときに、「美味しい?」と聞かれるだけで、その受け答えが済んでしまうと二人とも黙って食事を続けた。
直人はかえって気が楽であったが、この後に待ち受ける入浴のことを思うと気が沈んだ。
 何も身に付けない直人と違って、百合子さんは毎回タオルを巻いて浴室に入っていた。
孤児院で他の子供たちと一緒に入浴することの多かった直人は何とも感じないが、百合子さんは気恥ずかしそうにタオルを抑えて縮こまっていた。
幾度入浴を繰り返してもそれは変わらなかった。百合子さんはスポンジ一つ取るのにももじもじして、なぜそんなに取り乱すのか直人には理解しがたかった。
直人の体を洗う手つきもぎこちなく、半ばくすぐるような感じなので、直人は笑い声を抑えるのに苦心を重ねて、お湯を被った頃にはお腹が引きつりかけていた。
百合子さんは背中だけを直人に洗わせた。スポンジを上下させると直人自身の体を擦るよりも滑らかに感触された。
肌の色も、直人の腕よりだいぶ白かった。浴室の明るい照明に当てられるとその違いがより際立った。
体重をかけて擦っているとき、たまに勢い余ってスポンジが横に滑り込むことがあった。この日もそうであった。
手首にやんやりした触感があった途端、百合子さんはきゃっと声を上げて全身を跳ねさせた。
「もういいからお湯に入ってなさい」
 そうした意味のことを訥々と言いながら、百合子さんは直人からスポンジを引っ手繰って、自分の体を洗い始めた。
直人は今日もまたへまをやらかしてしまったと思った。
237直人の母 7/8 ◆geyIFnf98w :2008/05/01(木) 12:03:35 ID:cC5dPRAh
 直人は肩までお湯に浸って天井を眺めた。そうしていなければ、百合子さんがいつまでも身体を洗い終えることが出来ないからであった。
身体を洗う姿を見られるのを百合子さんは嫌がっていた。
視線があることに気付くと、直人に苦笑いした顔を向けて、いつまでもそのままの体勢でいた。
スポンジを持つ手は動いているが、同じところばかりを擦るので一向に捗らなかった。
 直人と向かい合い浴槽に浸かって、百合子さんはようやく落ち着きを取り戻してくれた。
体が温まるころになると、その日学校であった出来事などを直人に尋ねてきた。百合子さんの質問に直人は毎回正直に答えていた。
勉強について尋ねられて、手を上げて問題に答えたことを話した。体育について聞かれて、その日の徒競走で一等賞を取ったことを話した。
友達のことについて切り出されると、直人は少し言葉に詰まってから、上級生の少女たちのことを話した。
「でもね、直人。男の子とも遊ばなくちゃ、駄目よ」
 肩を掴まれてそう言われた。いつもより語尾が強まっているように思えた。
叱られたような疚しい気持ちになった。自分自身でもそう感じた理由が判らなかった。
ただ、入浴前に気が滅入るのは、毎度このようなやり取りが起こるためなのは確かであった。
 直人は随分長いことテレビを観ていなかった。孤児院で毎週観ていたアニメを見たかった。
同級生たちが休み時間にそれについて話しているのが耳に聞こえて、続きが気になって仕様が無かった。
けれどもこの家にテレビは無かった。ラジオさえ無かった。直人は我侭を言って欲しがってはいけなかった。
風呂上りに歌の無い音楽を流し、うっとりと聞き惚れている百合子さんを、このときばかりはほんの少し恨めしく思った。
238直人の母 8/8 ◆geyIFnf98w :2008/05/01(木) 12:05:10 ID:cC5dPRAh
 直人は同衾には慣れていた。孤児院でも、由美さんという十四五歳の少女と一つの布団で眠り、ある出来事があってからは、今度は別の年上の少女と、百合子さんに引き取られるまでずっと一緒に眠っていた。
百合子さんは前の二人とは違った匂いがした。最初の少女は、甘ったるい匂いがしたけれども、あまりにそれが強すぎて、鼻につんと来るような感じであった。
次の少女は、布団に入ったときゴムに似た匂いと石鹸の匂いを混ぜこぜにした匂いがしたが、時間が経つとともに石鹸の匂いが薄れて行き、そうして濃くなりすぎたゴムのような匂いに妙な気持ちが高じて頭がふらふらになった。
百合子さんはいつまでも石鹸の匂いがした。
布団を被り、子守唄を歌う百合子さんの腕に顔を埋めると、直人は安らいだ気持ちになった。
耳が塞がれたことで音程の外れた歌声が薄れるのも良かった。
239 ◆geyIFnf98w :2008/05/01(木) 12:06:44 ID:cC5dPRAh

以上です。
240名無しさん@ピンキー:2008/05/01(木) 16:42:09 ID:/UsWr/W+
年上キラー直人!
なんか、孤児院時代もプチ修羅場を引き起こしてそう…

ズシリと重い雰囲気と、登場人物の内面の暗さ。それらを醸しだす秀逸な言い回し。
作者様のレベルの高さに嫉妬です。続きも頑張ってください。

あと、一点だけ気になるところが。>>235の下から四行目
>同じ部落の斉藤葵さん
は「清水葵さん」の誤記かな? 清水さんの泥棒猫化に期待してます!
241名無しさん@ピンキー:2008/05/01(木) 19:09:10 ID:1DhcyNlr
>>239
GJ!

だが、一つだけ。
部落という言葉は使わない方が良いかもしれない。
詳しくは言わないけど、気にする人もいるからね。
242名無しさん@ピンキー:2008/05/01(木) 20:29:35 ID:WMYp3KlH
>>241 まぁ集落のほうがいいかもな
243名無しさん@ピンキー:2008/05/01(木) 22:01:35 ID:0KEkUElD
>>241
部落野郎いちいちけち付けんなカス
だから差別されるんだよ
244名無しさん@ピンキー:2008/05/01(木) 22:23:18 ID:2kYgTzbV
期待だな
245全部欲しい! ◆YiiBfqbdxs :2008/05/01(木) 22:29:38 ID:3hehcnUg
投下します。
246全部欲しい! ◆YiiBfqbdxs :2008/05/01(木) 22:31:44 ID:3hehcnUg
 運命、
 そんな言葉を、私は信じません。

 その運命とやらが、どれだけ私に都合が良かろうと悪かろうと、
 私にとっては、何の意味ももたらさない言葉に過ぎません。


 私には今、好きな人がいます。
 単純に好きだ、と、
 そう思えるけど、そうは言えない人、
 そう言う人が私にはいます。


 私は本当の意味で、私は彼を愛しています。

 例え彼が、既に過去の人となった幼なじみの事を想っていたとしても、
 例え、運命が彼と幼なじみに向いていたしても、
 私は、彼を諦めたりするつもりはありません。


 彼は、私が愛した唯一の人だから。


 彼と、彼が想っていた相手が幼なじみだった現実、
 これだけは私にも変える事はできません。

 それでも、私には分かります。

 私が彼を、絶対に手に入れる事が出来る、
 そんな現実を。


 それは、私が運命に導かれたから思えた、
 そんな理由じゃありません。

 私は自分の意思、自分の本心で、
 彼を想い、感じ続けているからです。


 彼を想う心だけは誰にも負けない、彼の親以上に、
 既に亡霊となった、あの”幼なじみ”以上に、
 私は彼を愛し、愛し続けます。


 何しろ、私の全てが彼の物だと、そう理解しているのですから。

 だから、彼の全ては私の物、です。
247全部欲しい! ◆YiiBfqbdxs :2008/05/01(木) 22:33:20 ID:3hehcnUg
2
 放課後、僕は松下さんと一緒に下校した。

 部活がある時に関して言えば、日常の出来事だけど、
 僕としては、松下さんと一緒に帰るこの時間は、嫌な事をいろいろと忘れさせてくれる、最良の時間だ。


 でも、そんな時間は、絶対に邪魔をされるように、出来てるのかも知れない。


 この時がそうだ。

 僕が松下さんといる時間を、まるで邪魔するかのように、
 「よぉ、本じょー!今帰りかあ?」
 と、声をかけてきたクラスメートがいた。
248全部欲しい! ◆YiiBfqbdxs :2008/05/01(木) 22:35:34 ID:3hehcnUg
 声をかけてきたのは、宮田奈美という、ただの級友だ。

 「帰るの遅いねえ、もう5時半を過ぎてるよ?」
 本人にその気があるかどうかは知らないが、まるで嘲るように言う宮田、
 正直、腹が立つ。
 だから、僕の口調も、
 「部活があったんだから、当たり前だろ!」
 と、微妙に強い口調になってしまう。

 もっとも、僕のそんな気持ちは、宮田には伝わる事がないようで、
 「ふーん、部活…ねえ?」
 好奇心丸出しで、僕と松下さんの顔を見比べてきた。

 僕はともかく、松下さんまで変な目で見られるのは辛い。

 だから業と、
 「宮田!」
 そんな大声を張り上げた。

 「な…な、に?」
 都合よく、宮田が僕の方に気を向けてくれた。
 ここは手早く畳み込まなければいけない。

 「宮田こそ、何をやってたんだ?」
 僕のそんな質問に、宮田は少しだけ、困ったような顔を見せた気がする。
 それを見て、僕は言葉を続ける。
 「また、男漁りか?」
 普段なら、こんな質問は絶対にしない。

 例え宮田が、何を言おうと、何も感じそうにない女だと知っていても、
 そこにも礼儀は存在するから。

 でも今は事態が違う。
 まずは、松下さんを守らなきゃイケない。

 だから僕は、そんな言葉を普通に言う事が出来た。
249全部欲しい! ◆YiiBfqbdxs :2008/05/01(木) 22:37:54 ID:3hehcnUg
 宮田が何を言い返してくるか、
 僕は少しだけ身構えた。

 コイツは、一を言えば十を、二を言えば五百を返してくる女だからだ。

 でも、この時ばかりは違った。
 「ゴメンゴメン、少しだけ言い過ぎたみたい」
 そう、素直に謝ってきたのだ。


 そうなると、今度は僕の方が言葉に詰まる。

 元から宮田に悪感情を抱いていた訳ではない。
 少し馬鹿なだけで、宮田は良い奴だ。

 松下さんにさえ、変な目を向けなければ、
 特に何を言う筋合いもない。
 それで僕は言い淀んだ。


 「いや、別に…謝らなくても…」
 「アッハハ!、ちょーっとだけ、怒らせちゃったみたいだからね!」
 僕の言い分に、宮田が笑い声を上げながら言う。

 気のせいか、その言葉は、僕には向けられていないような感じだけど。


 「まあ、心配しなさんなって!」
 僕の肩を叩きながら言う宮田、
 目線は何故か松下に向けられている。

 ”まだ、松下さんに何か言うつもりか?”
 そう思った僕が、一言言ってやろうか、としたその前に、
 宮田が僕の両肩を叩きながら、
 「心配しなさんな、ってね!」
 と、良く分からない事を言い出した。


 コイツは何を言いたいのか、
 朗らかに笑う宮田を見ながら、疑問を感じる。
 少し目を横にやれば、松下さんが、疑心暗鬼の目でこちらを見ている。


 訳が分からない。


 悩む僕に関係なく、宮田が大声で言い出した。
 「頑張りな!あたしは人のモンを奪う気もナンもないから!」
 そう言いながら、大きく僕の背を叩くと、
 「じゃあね!」
 とばかりに、その場を去っていった。


 最後まで良く分からない奴だ。

 言ってる台詞といい、
 松下さんとは初対面のハズなのに、最後に松下さんに変な目配せをしたり…、

 僕には理解出来ない生物なのかもしれない。
250全部欲しい! ◆YiiBfqbdxs :2008/05/01(木) 22:39:47 ID:3hehcnUg
 「凄い人、だったね?」
 宮田が去った後、松下さんが小さく口を開いた。

 「うん、まあ、悪い奴じゃないんだけどね」
 僕は少しだけ、宮田のフォローを入れて答える。
 もっとも、
 「ただ、宮田は勢いだけの奴だけどね」
 と、付け加える事も忘れない。

 僕の答えが何か間違っていたのか、
 松下さんの顔は、僕から見ても分かりやすい程に沈んでいる。


 そして松下さんが、僕に聞いて来た。
 「今の人とは、どんな関係なの?」

 どんな関係、
 そう聞かれても、僕は答えにつまる。
 「親しいクラスメート…かな?」
 そうとしか答えようがない。

 「ただのクラスメート…」
 納得いかないのか、松下さんが呟く。

 そこに僕は頷くしかない。
 それ以外に答えようがないのだから。

 「でも、呼び捨て…だったよね?」
 「えっ…、そう、だね」
 松下さんの突然の一言に、僕は妙に腰が引けた答えを返す。

 何が言いたいのか、分からずにいた僕に、
 松下さんが言葉を続ける。
 「私に対しては、一度も呼び捨てで呼んだ事はないよね」


 そう言われればそうだ。
 松下さんは松下さんだから松下さんだ。

 それは別に遠い存在と感じているからでなく、
 むしろ、もっとも呼吸が合う相手だと思う、
 それでもやっぱり、松下さんは松下さんだ。


 「うーん…」
 僕は少し考える。
 松下さんと宮田に対する呼び方の違いを。
 宮田は少しだけ、里沙に似た要素がある。
 ひょっとしたら、それが馴れ馴れしい態度を取らせている理由なのかも知れない、
 そんな無意味な事が頭を過ぎっていたその時、
 「こんな事を今、言うのは違うかも知れないけど…」
 という一言が僕の耳に入った。


 そして次の言葉、
 「私は、本庄君の事が大好きだから!」
 の一言が、僕の思考回路を、どうしようもない程に混乱させた。
251全部欲しい! ◆YiiBfqbdxs :2008/05/01(木) 22:40:26 ID:3hehcnUg
投下終了です。
252名無しさん@ピンキー:2008/05/01(木) 22:43:24 ID:2kYgTzbV
GJだな
これからって感じだな
253名無しさん@ピンキー ◆PsPjd8yE3E :2008/05/01(木) 22:44:53 ID:t+NnFkHQ
>>251
乙。
俺としては・・・あの幼馴染と修羅場にならんかなーと期待ですがな。
主人公と幼馴染の内面がもっと見たいぜ。うむ。
254名無しさん@ピンキー:2008/05/01(木) 22:49:52 ID:q6IR1iVw
>>253
コテはずせよゆとり
255名無しさん@ピンキー:2008/05/01(木) 23:13:07 ID:35tdgPqU
>>251
GJ! これからの展開に期待してます。
256名無しさん@ピンキー:2008/05/02(金) 03:15:57 ID:YfJXdH8o
投下乙です
話は面白いですがまだ完全には修羅場って無いので様子見と言うことで
257名無しさん@ピンキー:2008/05/02(金) 08:30:18 ID:wlElaz00
いよいよってか
期待してるぜぃ
258名無しさん@ピンキー:2008/05/02(金) 22:08:03 ID:yP2RK1ep
今日は投下なしかな?
259タッタ一ツノ存在ヲ ◆PsPjd8yE3E :2008/05/02(金) 22:37:02 ID:DEWR4CvS
投稿予告です。
260タッタ一ツノ存在ヲ ◆PsPjd8yE3E :2008/05/02(金) 22:37:39 ID:DEWR4CvS
最初に

僕にはこういう終わらせ方しか出来ませんでした。
そういう意味では、謝罪になります、すいません。

最後まで小説家気取りで申し訳ありません。
でも今一度、ご拝読して下さった皆様に感謝しています。






-------------本文------------------



true ending



僕は急いで躯を乱雑に拭き終わると、
下着と部屋着を来て、袋に収めた正宗を手に取った。

「何も、起きてなければ良いが」

居間にすぐ飛び出して 惨状を目にした。
愛と華凛が鍔迫り合いに近いことをやってのけてるのだ。

「私は、克樹君のことをほとんど見てきましたッ!!!」
いつも、いつも、いつも、いつも、いつも、いつも、
  いつも、いつも、いつも、いつも、いつも、いつも、
   いつも、いつも、いつも、いつも、いつも、いつも、

      いつも、私に優しく笑ってくれる克樹君をッ!!!」

「何を云ってんのよ!あんたなんかねッ、克樹に似合わないわよッ
 克樹は!   克樹に!    克樹を!     克樹が!

      微笑んでいいのは私にだけよっ!!!」


「私は   克樹さんをッ、愛しているッ!!!!」

シンプルながらも鞘子の気持ちは重かった。



漁夫の利を狙う鞘もカッターと剃刀を握り直し、涙を堪えた。
両者とも刃で競り合い、膠着状態に陥いる。


261タッタ一ツノ存在ヲ ◆PsPjd8yE3E :2008/05/02(金) 22:39:01 ID:DEWR4CvS

僕は、改めて彼女らの想いの強さに、気づいた。



僕が、止めなくちゃっ。



この出来事[トリガー]を引き起こした僕が。



「止めろっ、二人とも」
「「「「克樹(君)(さん)っ」」」

だが、最愛の人の言葉を耳入れても、二人は構えた刃を下ろすことは無かった。



「ふふふっ、克樹君待っててね私が・・・克樹君を誑かした泥棒猫を殺すからっ!!」
「ははははっ何よっ、あんたがいるからでしょ女狐ッ!!あんたのせいで克樹が束縛されたのよっ」

彼女らの瞳には既に常識[しょうき]は残されていない。
ただ己[おの]が敵を写すのみであった。



「僕が変えてしまったんだなっ。
 ならば、俺が止めるだけだっ!!!」

克樹は袋から取り出した正宗を、
競り合う二人の刀[やいば]の上から、強引に押し切った。
日本刀が最強と言われる所以は
折れず、曲がらずよく切れる構造をしているからだ。


「なっ、」

華凛はナイフを落とし、愛の包丁も柄以外は折れた。
それを足で誰もいない空間、つまり端へ寄せる。


僕は僕が出来る限りの微笑で鞘に刀を収めた。



「もう一度、ゆっくりと話し合おう、な?」



呆然として、カッターを握る手を緩める鞘。
それを引っつかみ、愛は

「私を受け入れてくれない克樹君なんて
               イラナイッ!!!」



262タッタ一ツノ存在ヲ ◆PsPjd8yE3E :2008/05/02(金) 22:39:47 ID:DEWR4CvS



居合いという剣術を知っているだろうか?
鞘の中で剣を奔らせて穿つ最速一撃必殺の技だ。

刀を返し愛の手首を峰打ちした。
―――活人剣―――僕のじいちゃんはその道場の師範だった。
今は体調が芳しくないらしく半ば休業中だけど、それでも僕は適わない。

師範曰く、「純粋な救おうと気持ちと力がなければ、
それは容易く暴力へと変わる。そうなりたいか?」
幼い時からの師範としてのじいちゃんの口癖だった。
だから、僕は、彼女らを生かすため、剣を振るう。


剣によってまたもや振り落とされた刃は、
僕がカッターを取って、ジャージのポケットに入れ込んだ。

愛は俯いたまま、体当たりしてくる。


「ッ!!!」
「おいっ、愛っ、うわっ!?」

馬乗り状態になった愛は、ポカポカと胸や頭を叩いてきた。

「いたたたた、愛やめろって」
「なんでなのッ克樹君ッ
 私はッ、あなたのためになんでしてきたッ
 足りないところは補ってきたしッ!!私を捨てるなんて酷いよ」
「悪い、愛。でも、種類は違えど好きなのは変わらない。ごめんな」

華凛や鞘は、過去未来ありえるかもしれない、ありえたかもしれない結末を其処に見たのか。
彼女の行動には口を結び、黙ってみていた。

そうやって愛の髪を撫で慰めていると、誰かのムスコは正直に反応しやがった。
腰に乗った愛はその柔らかそうな桃尻で、華凛と鞘はジャージのテントが張った場所で。
性的興奮を、僕が覚えている、ということを認識した。
263タッタ一ツノ存在ヲ ◆PsPjd8yE3E :2008/05/02(金) 22:40:54 ID:DEWR4CvS

シリアスな雰囲気をぶち壊しに苦笑する僕に

「あ、いや、そのははは」
「克樹のエッチ」
「克樹さん貞操無しです」
「克樹君、メッです」

正気に戻ったらしい彼女らは、頬を赤くさせて内股をもじもじさせ始める。


「あはは、そういえば媚薬とバイアグラ入りのカレーだったんだよね」
「なんでさっ!?」
「だって、朴念仁だもん、克樹君」

自分を取り戻した愛は、僕のジャージを脱がせはじめた。
エロい光景に見とれた僕が振り払うことも出来ず。
そこへ、

「ああっ!!、駄目駄目駄目ッ、克樹のを舐めるなんて許さないだから」
「華凛さん、お先に克樹さんをもらいますよ?」
「えええっ!?っていうかなんですかこのふらぐは?」
「いいじゃない、克樹君」
「さっきまでの修羅場は一体何さッ!?」

華凛や鞘が乱入してきた。



数時間後には、一人分のベットに克樹とぴったり寄り添って、
余韻に浸る三人の少女の姿が映っていた。



「こんな、ハッピーエンディングもありなのかな?」

僕は誰も、死ぬことがなくて、それでこんな終わり方なら、上出来だろうと、
彼女らの髪を梳き、感情にふけった。
彼女らは、余韻に浸る前・・・つまり果てる直前、息を合わせてこういった。

「「「浮気は駄目だよ、克樹(君)(さん)!!!」」」

愛しい人を前に、僕は幸せなのだ。


true ending



264タッタ一ツノ存在ヲ ◆PsPjd8yE3E :2008/05/02(金) 22:43:00 ID:DEWR4CvS



Epilogue

「「「「「「「Happy brithday,dear katuki!!」」」」」」」

僕の家でささやかながらも18才の誕生会が開かれた。

「克樹君、私のから食べてください。あ〜ん♪」
「おわわ、引っ張るなよ」
「むむむ、最初の一口は私のー」
「あらら、最後に食べる私の麻婆豆腐で圧勝かしら?」

今日に限って克樹の料理は、三等分だ。
なぜならば彼女らの十八番、
愛ならカレーライス、華凛はオムライス。鞘が麻婆豆腐。
一番美味しいのは誰の料理かと競い合うことなり、
量的に最後に出す人に不利になると鞘が言い出したからだ。

「あなた、どこで克樹の育て方を間違ったのかしら」
「うむ、まったくだな。」
「まぁまぁ、良いじゃないですか」
「そうそう、4人が幸せならば私達が言う事は邪魔ですよ」

自分の両親と、愛のご両親は珍しく休みが重なったらしく、
僕の誕生会に参加することができた。
もっとも愚痴こそは言うけれど放任主義だからかあまり言わない。
だが絶対彼女らを幸せにしなければ、愛の父さんには『ぬっころされる』気がしてならないが。



一通り、あーんされて食べていた克樹はこう切り出した。



「あ、そういえば、忘れてた」
「何々?」
「デジタルカメラさ、これ、福引で当てたんだよ。
 皆がよくスーパーで買い物するだろ?
 だから券が貯まってて俺がやってみたんだよ」

手触りを確かめるようにデジカメに触れる克樹。

「よく、写真じゃなくて心に映すものだっていうけど。
 でも僕は、写真がそのときの思い・・・悲しさ、嬉しさ、etc...それを
 思い出すためのきっかけになると思うんだ」



「だから、皆で撮ろう」
265タッタ一ツノ存在ヲ ◆PsPjd8yE3E :2008/05/02(金) 22:43:23 ID:DEWR4CvS



未来なんて、わからない。
僕は全知全能ではないし、そんなの面白くもない。



願わくば、この愛、華凛、鞘子。そして僕
この四人で幸せな日々を築いていけますように。
数十年後、微笑みながら、自分の子達と、アルバムを、見ていられますように。


想いを篭めて、レンズを見つめて押す。



タイマー式になっているため、



急いで、彼女らに元に駆け寄った。






カシャッ。



・・・・・・・



・・・



・・







true ending 「そして僕らの未来は」
266タッタ一ツノ存在ヲ ◆PsPjd8yE3E :2008/05/02(金) 22:44:08 ID:DEWR4CvS
投稿終了です。マジでお疲れ様でした。
267名無しさん@ピンキー:2008/05/02(金) 23:02:20 ID:G9zELOqr
ハーレムエンドかw
268名無しさん@ピンキー:2008/05/02(金) 23:37:30 ID:laOzr1vA
たまにはこう言う結末もいいよね!
269名無しさん@ピンキー:2008/05/03(土) 03:48:25 ID:cSddmeTL
スレタイに興味を惹かれたので、一作投下致します。
やんわりと見守って頂けると幸いです。
270蚕の棲家:2008/05/03(土) 03:50:16 ID:cSddmeTL
1.
立夏の空には雲ひとつなく、見上げると濃淡な群青に吸い込まれるようであった。
大観覧車、ジェットコースター、急流滑り。
照りつける日差しで白銀に輝くそれらの前には、最後尾を見失うほどの長蛇の列がひしめいている。
頭頂の毛が焦がれるような暑さに、真田英二は帽子を取って額を拭った。

女受けのしそうな容姿である。
180に迫る長身、茶に染めた素直な髪、サングラスや眼鏡の似合う彫りの深い顔立ち。
前髪を直し、シャツで扇ぐ。そうした何気ない行動も絵になった。
しかしその瞳は楽しそうに輝き、秀でたルックスを嫌味には感じさせないでいる。
英二の周りには他に男が2人、女が2人いるが、集団の中心が英二なのは傍目にも明らかであった。

「さすがに休日ってなると、中々乗れねぇもんだなぁ」
男の1人がぼやいた。
彼も、他の者も、余りの人ごみに延々とテーマパークを巡り歩くばかりである。
「ああ…。あれ?奈々ちゃんはなーんか嬉しそうだなぁ」
別の男が、最後尾を静かについてきていた少女を見て微笑む。

瞬間、英二が歩みを止めた。
271蚕の棲家:2008/05/03(土) 03:51:07 ID:cSddmeTL
振り返ると、小さな少女が白い歯を覗かせて愛らしい笑みを浮かべている。

少女の名は岸重奈々(きしえなな)。
小さな、とはいっても背丈は160近くある。
中学・高校時代はバスケット部に所属しており、薄く小麦色の日焼けもしているので
ひ弱というイメージでもない。
ただその肩幅や腰回り、脚などを眺めると、やはり華奢に見えるのである。

彼女はややあどけなさの残る赤い顔から真っ白な歯を覗かせ、幸せそうに微笑んでいた。
それは彼女のチャームポイントであり、多くの者から愛されていた。
「あ、笑ってる〜。楽しいんだ?」
男に聞かれ、奈々はさらなる笑みをこぼした。

それを見て、英二は目つきを変える。
272蚕の棲家:2008/05/03(土) 03:51:47 ID:cSddmeTL
「なぁ。時間も時間やし、そろそろ昼飯にせぇへんか?2時半にここ集合。どや?」
急に切り出した英二の提案に、しかし反対するものはいなかった。
さくさくと物事を決めていく浪速っ子の彼に、皆が全幅の信頼を寄せているのである。

各々が昼食を取りに散った後、ベンチに腰掛けた奈々へ長い影が被さった。
奈々が見上げると、影はふっと横へそれ、椅子をゆらして隣へ腰掛ける。

「……ありがと……」
奈々が小さく呟いた。その顔には、先ほどまでの楽しそうな笑みはない。
英二は腕を組んだまま溜め息をついた。
「どうしてん。歩くん疲れたんか」
英二の言葉に、奈々がそっと靴を脱いで素足を晒した。
靴擦れであろう、足の先から血が滲んでいる。
かなり痛んだはずである。

「………。」
英二は憮然とした表情で、奈々のふっくらとした頬を撫でた。
「??」
不思議がる彼女を一瞥し、急に強くひねる。
「い、ひたひひたいぃー!」
奈々のつぶらな瞳が大きく見開いた。
「痛いならもっとはよ言え!黙り腐ってニヤニヤ笑うな!!」
奈々に一喝しながら、英二は目を吊り上げる。
色男が台無しである。
それは恫喝というより、まるで幼子にする躾けのようであった。
273蚕の棲家:2008/05/03(土) 03:52:25 ID:cSddmeTL
2.
英二と奈々の出会いは、中学校時代にまで遡る。
毎日昼休みになるたび、グラウンドの隅で男子に囲まれている女子が居た。
彼女はいつも笑っていたので、英二は仲が良いんだな、と思ったものである。
しかし、彼女は楽しくて笑っていたのではない。
それは彼女がスカートを捲られ、下着に手を入れられた状態でも笑みを浮かべていた不自然さで明らかとなった。

岸重奈々が白い歯を見せて愛らしく微笑むときは、すなわち泣きたいほどつらい時である。

英二は、直感的にそれに気付いた。
感情に任せて男たちの肩をつかみ、そして、一方的に叩き伏された。
威勢もよく今風で、それなりに腕も立ちそうな英二は、その実喧嘩などからっきしである。
しかし男たちの去った後、赤黒く腫れた顔で笑って見せた彼の笑顔が、奈々にとってどれほど力強いものであったことだろう。

それからというもの、英二と奈々は近くに居た。
奈々は英二の多くを知った。
スタイルの良さに反し、喧嘩どころかスポーツ自体がからっきし。
大多数の友人には気さくに接するが、奈々にだけはぶっきらぼうでどこか冷たい。
しかしそれは、彼女が気の置けない存在であることの裏返しである。
274蚕の棲家:2008/05/03(土) 03:52:59 ID:cSddmeTL
奈々は、彼に頼りきりの自分自身をよく分かっていた。
基本的に無口で、困った事があればつい笑ってしまって誰にも理解されない。

彼女は自分の周囲にいつも厚い空気の壁があるように感じていた。

自分の心が狭く、苦しい。周囲の人が、こわい。

いつまでも英二に甘えていてはいけない。
彼は社交性に富み、誰からも愛される明るい世界の人間だ。
いくらそう思っても、今日のように英二に遊びに誘われると断れずにいる。
彼女は知っていた。
英二はそのルックスのみで異性からの人気を得ているわけではない。
彼の気遣いの心、それこそが彼の彼たる所以であると。
275蚕の棲家:2008/05/03(土) 03:54:13 ID:cSddmeTL

「エイジ…ありがと。もう大丈夫だから」
奈々は大きな笑みを消し、目元だけを和らげて言った。
英二は肩を竦めてみせ、彼女の髪をくしゃくしゃと撫でる。
「その足やし、いったん帰ろか。他の奴に言ってくるわ」
立ち上がろうとする英二を、奈々の小さな手が圧しとどめた。
「いい、一人で帰れるよ。英二がいないと皆困るでしょ」
一瞬戸惑いを見せた英二に背を向け、奈々は入り口へと駆けていく。
「あ、おい!」
英二の甲高い声を聞きながら、奈々は唇を噛んだ。

  …ありがと。エイジ。ほんとうに、ありがとう…。
   ……私、ごめんね……。

雑踏に姿を消す華奢な背中を、真田英二は立ち尽くして見送る。

そして、もう1人。
くっきりとした瞳の女が、2人の始終を見つめていた。

                       続
276名無しさん@ピンキー:2008/05/03(土) 06:21:51 ID:4H4Ly5nb
>>266
まあ、たまにはこういう展開もありか
乙です。できればもうちょっと修羅場ってほしかった
>>275
初投下乙です
今後の展開を期待しとります
あと、投下の終わりに
「投下終了」のレスをつけたほうがいいよ
277名無しさん@ピンキー:2008/05/03(土) 06:35:07 ID:Bs+Zmog6
>>275
GJっす
関西弁主人公や余り見ない展開っす
wktkしながら次をお待ちしております
278名無しさん@ピンキー:2008/05/03(土) 09:42:48 ID:Fj87ocXr
>>266
お疲れさまです。楽しんで読めました。
279名無しさん@ピンキー:2008/05/03(土) 11:55:58 ID:F9p5UbVQ
GJ!
こういう自己主張しない娘にはついwktkしてしまう
280名無しさん@ピンキー:2008/05/03(土) 18:02:12 ID:bm4t0hVp
いいね
281名無しさん@ピンキー:2008/05/03(土) 18:08:39 ID:gyCSL1Yj
なんていうか奈々ってきみのぞの遥っぽいよな
282名無しさん@ピンキー:2008/05/03(土) 21:46:02 ID:mG0k/R4y
二次専用嫉妬修羅場スレ立ててくれよ…
283名無しさん@ピンキー:2008/05/03(土) 21:58:59 ID:T4P/z52t
自分で立てて自分で面倒見ろ
284名無しさん@ピンキー:2008/05/03(土) 23:06:43 ID:hVa+hbFG
>>282
避難所にあるぞ
285名無しさん@ピンキー:2008/05/04(日) 00:02:07 ID:dk+HgqgU
さて、今日も投下を待つか
286名無しさん@ピンキー:2008/05/04(日) 22:44:40 ID:tyhm2K2q
過疎ってまつね
287名無しさん@ピンキー:2008/05/04(日) 23:38:12 ID:1jGXsSOB
この折角の連休に自宅待機をしている人が少数派なだけですよ
288名無しさん@ピンキー:2008/05/05(月) 00:06:40 ID:WAa+O81I
さて、今日も全部欲しいの投下まつか
289トライデント ◆J7GMgIOEyA :2008/05/05(月) 00:07:34 ID:5DgzB6NN
投下致します
290バレンタインデーSS ◆J7GMgIOEyA :2008/05/05(月) 00:10:14 ID:5DgzB6NN
 明日の決戦のために死力を尽くしている少女、柊あさみは台所の前で頭を抱えていた。
愛しい人に自分の気持ちを捧げる、女の子にとっては大切な一日。
菓子業界の策略に乗せられている気もしなくはないが、そんなもんは気にしなくていい。
 乙女にとって、バレンタインデーというのは戦争だ。

 他の恋敵を蹴散らし、墓場にまで送り込んで、想いを伝えるためのイベント。
毎年、その日を迎えると死者が100人以上も犠牲も出る。
特に競争相手が多い男性になると、恋敵は容赦なく妨害対策を仕掛けてくる。
下駄箱にチョコが入っているならば、焼却炉に捨てるなんて生易しい。
愛しい人を学校に登校させずに自宅で監禁して、恋敵にチョコを渡せないようにしたり、犯罪行為まで走る女の子は少なくはない。

 ゆえに、あさみは悩んでいた。
 犯罪行為までして愛しい彼を独占することはいいかもしれないが、
警察に逮捕されて永遠に彼と引き離されるのだけは嫌だ。
 それに、バレンタインのチョコを渡す=彼を気持ちをGETしないと何の意味もないのだ。
料理のレシピに書いてあるようなチョコだけじゃあダメかも。彼の味覚を刺激して、
その後の人生に多大なる記憶を残すような独創性のある味にしないと。

「ふぅ……。でも、どういうチョコを作ればいいかわかんないよ」
 あさみは何度目かの溜め息を吐いた。すでに学校から帰ってきて、チョコレ−ト作りに励んでいるが、作業は一行に進まない。
紐で結んだ長い髪を解いて、再び料理のレシピを眺めていた。

「うふふっ……。困っているようね」
 台所という戦場に入り込んできたのは、あさみに似た容姿がふらっと姿を現わした。
短めな髪と優しげな微笑を浮かべている。あさみの実の姉であるふたみである。
「お姉ちゃん」
「明日のバレンタインデーのためにチョコを作る貴女の姿を
お姉ちゃんはちゃんとビデオカメラで録画してDVDに永久保存するわ。
亡くなった両親やご近所の皆様にちゃんと配っておくから」

「配るなっっっっ!!」
「えっ? せっかく、愛しの美央君のために健気に頑張っている姿を撮っておきたかったのに。ちぇっ」
「お姉ちゃん……。邪魔をするならこの戦場からさっさと離脱してくれる。
それに、私は美央くんのためなんかにチョコを作っているわけじゃないからねっ!!」
「そこでツンツンしているあさみちゃんも可愛くていいよね」
 と、ふたみに優しく頭を撫でられそうになるとあさみは強く振り解いた。
実の姉の手厚い抱擁に無駄な時間を浪費している場合はない。
「もう、お姉ちゃんはここから出ていってよっっ!!」
「ううっ。あさみちゃんのバカぁぁぁぁぁっっっつ!!」

 強引にふたみを戦場から追い出して、あさみは姉が入ってこれないように
入り口にテーブルに置いてあった椅子を重ねて、バリケードを作った。
 少し天然が入っている姉の相手は本当に疲れる。入ってこれないが、雑音だけはあさみの耳にちゃんと聞こえていた。

「もう、あさみちゃん。せっかく、お姉ちゃんが女の子の必殺技を教えてあげようと思ったのに。ぷんぷん」
291バレンタインデーSS ◆J7GMgIOEyA :2008/05/05(月) 00:12:50 ID:5DgzB6NN
 必殺技。
 手作りチョコの作業に途方もなく暮れていたあさみにとっては喉から手が欲しかった独特なチョコにふさわしい響きであった。
 ただ、ふたみを簡単に信頼するわけにはいかなかった。
これまでにも姉が関わって、物事がプラスになった前例がないのだ。どちらかと言うと、必ずマイナスになるのだが。

 だが、戦争は明日だ。
 すでに恋敵達は愛しい彼のハートを掴むチョコを作り上げて、
ライバルを蹴散らす戦略を立てている最中であろう。学園の運動場に地雷を埋められていたとしても、別に驚くべきではない。
それぐらいのことは朝飯前に準備しておかないと戦争に勝利することは不可能だ。

(私は……私は……。み、美央くんのためなら。悪魔にだって魂を売ることだってできるもん)
 あさみはバリケ−ドの代わりに代用した椅子を元通りの場所に戻した。すでに手段を選んでいる場合ではないのだ。

「お姉ちゃん。お願いです。女の子の必殺技を教えてっっっ!!」


 数分後。
 ふたみは戦場からまた追い出された

 厨房は荒れていた。
 用意してあったチョコレ−ト用の素材は全て粉々。あちこちに吹き飛んだチョコの残骸のおかげで部屋は汚れてしまっている。
あさみは茫然とその場で座り込んで、
姉に関わる恐ろしさを再認識して、明日の戦争の参戦不可に失意を覚えた。
 何故に、あの姉を信用しようと思ったのだろうかと自分の腑甲斐なさに怒りを通り越して、苦笑を浮かべてしまう。

「明日、バレンタインなのに。チョコが作れないなんて……ぐすぐす」
 憎き姉がチョコレートの材料を全て無駄にしてしまい、あさみは泣きそうな表情を浮かべた。
戦意を失った戦士が戦場を勝ち抜けるとは思えない。
それを理解して、美央に告白する権利すら与えられていないことを悟ると気持ちは絶望のどん底に落ちていく。

 その時、声が確かに聞こえた。

『あさみちゃん。悲しまないで。僕はバレンタインデーだからチョコが欲しいんじゃない。
なんとなく菓子業界の陰謀に踊らされている君がちょっと滑稽に思えただけで満足したんだよ』
「美央くん?」
『あさみちゃんサイコーーー!!
 何やってんだ。
 今日は鮮血祭りだぜっっっっっ!!」
「何やってんの? お・ね・え・ち・ゃ・ん」
「チョコを作れずにちょっと悲しんでいるあさみちゃんの映像を後世に残す必要が」
「……。殺していい? っていうか、死んで」 
 戦場の入り口の隙間からメガホンを持ち出しているノリノリの実の姉の姿を見た時、
あさみは静かな殺意が沸いてくるのは仕方ない。チョコレ−トの材料を粉砕し、
戦意を失った戦士に鞭を打つような真似を許していいはずがない。
「ええっ〜〜!!」
「当然です。乙女にとって大切なバレンタインデーのチョコ作りをメチャクチャにしたんです。死んで当然でしょう?」
「ま、まって。実の姉を殺そうとするの? あさみちゃん」
「だって、お姉ちゃんは決してやっていけないことをやったのよ」
「うん?」
「だ、大好きな美央くんの声を偽ったことだよっっ!!」
 顔から首まで真っ赤にしたあさみがふたみに向かって叫んだ。だが、彼女はにやりと悪戯っ子の笑みを浮かべた。
「ふぅ〜ん。大好きな美央くんね。うふふふっ」
「な、な、なによ」
 不気味なふたみの笑い声にあさみは最大級の警戒心態勢を張った。
「美央くん。他の女の子と仲良く街で歩いていたよ」
「なんだってぇぇぇぇーーーーー!!」
「嘘だけど」
「……貴様、どれだけ私を怒らせたら気が済むんだ?」
292バレンタインデーSS ◆J7GMgIOEyA :2008/05/05(月) 00:14:48 ID:5DgzB6NN
「あさみちゃんあさみちゃん。口調変わってますよ」
「ええぃ。五月蝿いわ。お姉ちゃんはバレンタインデー云々の前に私を怒らせるのが得意のようね」
「別に」
 しばしの沈黙が流れた。
 姉と妹の間の空気は果てしなく重たかった。
「とりあえず、バレンタインデーのチョコ作りの材料をお姉ちゃんの暴走によって失われたので。ちゃんと弁償して」
「嫌です」
「私の二ヵ月分の小遣いの全てをバレンタインデーのチョコに懸けていたのよ。
美央くんに告白する機会を失ったらどうするのよ?」
「そんなこと知らないもん」
「おい」

 これでこの姉に静かな殺意を沸いたのは何回目であろうか? 
すでにあさみは回数など覚えてはいない。ここに鋸と空鍋さえあれば、それなりの鮮血の結末を再現することができるのだろうが、
人類を遥かに超越した存在であるふたみに通用する自信はない。
 その姉は完全に勝ち誇った顔をして、不機嫌なあさみの傍までやってきた。彼女の肩に手を置くと。

「諦めたらダメよ。諦めたら、そこで試合終了なんだから」
「諦める以前の問題で全てはお姉ちゃんのせいでしょっっっっ!!」
「違うよ。そこであさみちゃんが、
『お姉ちゃん。愛する美央くんのためにバレンタインデーのチョコが作りたいです』
って挿入歌を流れる感動のシ−ンになるはずだったに」
「ならんわっっ!!」
「ちぇっ」
 ふたみは憎らしく舌打ちをして、テーブルに散らかっているチョコレ−トの残骸を片付け始めていた。
「ぐすぐす……。もう、お店なんて閉まっているし、チョコ作りなんて無理だよ」
「ごめんね。お姉ちゃんがチョコ材料を生卵と一緒に電子レンジの中に入れなきゃ」
「確信犯かよ」
「ううん。独特なチョコ作りは王道から外れたとこにあるんだよ。
妹を喜ばすためには、禁忌を破ってもいいと思うのよ」
「いや、守れよ。長年、職人が築いてきた技術の全てが書いてある初心者向けの本に書いてあることを」

「だって、お姉ちゃん。取説読まないもん」
「読め。お願いだから読んでよ……」
 無邪気な姉の一言に堪えていた涙があふれてきた。
ふたみ自身は本気で悪気はないのであろう。
確信犯ではないのだ。単に思い付きで妹をからかうことが大好きな人なのだ。

「もう、泣いたらダメだよ」
「う、るさい。お姉ちゃんなんてホロホロ詐欺に遭っちゃえばいいんだ」
「オレオレ詐欺よりも高い金を支払いそうだけど、あさみちゃん。まだ、秘策はあるわ」「秘策?」
 ふたみが大きく胸を張って自信満々で言った。
「乙女の最終兵器です」
「今度は一体何をするつもりなの?」
「バレンタインデーのチョコよりも相手にインパクトを残すことができるわ」
「インパクトを……」
 自分が求めていたのは市販に売っているチョコよりも、
自作で作ったチョコよりも相手の心を鷲掴みにするチョコを作りたかった。
姉の言葉は半信半疑だったが、すでにチョコレートの材料がない以上は姉の言う秘策に懸けるしかない。
何度も騙されているあさみだったが、最後に頼りになるのは心強いの姉の……秘策。

(なんか、また言い様に騙されているように思うけど。美央くんのためなら、私は)

「犠牲にするのは女の命と等しい物よ。それを失う覚悟はある?」
「あるわ」
 躊躇なくあさみは悪魔に魂を売る。
「いいわ。教えてあげる。決めるのはあさみちゃんが決めてね」

 姉の秘策を聞いた瞬間、あさみは明日のバレンタインデーの勝者になれると確信した。
293バレンタインデーSS ◆J7GMgIOEyA :2008/05/05(月) 00:17:23 ID:5DgzB6NN
 一方、その頃。
 柊姉妹が明日のバレンタインデーの決戦のためにいろいろと準備をしている時に、
同じく決戦に勝ち抜く策を練っていた男がいた。その男の名は名坂美央。
 彼は非常に困っていた。明日は菓子業界がいろいろと宣伝工作している
バレンタインデーという日は男の価値を思い知らされる厄日だ。

友人達の容姿はどこぞのアイドルの事務所にスカウトされるぐらいに見た目は美男子だが、
中身はとんでもない爆弾を抱えている。
そんな奴らでさえ、バレンタインデーの日には女の子からチョコを貰ったりする。
ここ、数年は価値観が変わったせいであろうか、女の子による監禁事件や猟奇殺人事件が多発しているが。

まだまだ、男の子というのは子供で女の子にチョコを貰うのが楽しみで一日中そわそわしている。
 そんな友人の一人が毎年毎年、友人の中でチョコの数を競い合うような馬鹿な事を提案してくるのだ。
自慢ではないが自分は容姿は普通だし、丸い黒縁メガネをしているせいか、友人のなかでは数段ランクが劣る。

そんな地味一直線な自分に女の子がチョコなんてくれるはずがないのだ。
 しかし、絶望的な現実を認めるとこの日を迎える度に惨めな思いをするのは嫌だ。
 そこで美央は考えた。チョコの数は負けていても、友人に打ち勝つ手段を。

 自分の台所に立ち、用意してあったチョコの材料に真剣に見つめた。
 この日に親戚から頂いたお年玉の全額を引き出して、
最高レベルの材料をインタ−ネットの通販で全国各地から集めた。この材料を並べるだけで美央は笑いが止まらない。

 その辺の女の子が頑張ってチョコを作っても辿り着けない領域というものがある。
材料を吟味し、この日に準備を整えていた美央の執念の前では究極のチョコなんてゴミクズ同然だ。
 友人達がいくらチョコを貰ったとしても関係ない。自分が作った最高のチョコを、
女の子から貰ったバレンタインデーのチョコだと言えば、誰もが茫然として敗北を認めるだろう。

 最初は馬鹿にされるのが嫌だったので自分で作っていたが、
知らない内にチョコ作りの技術は素人を飛び出して玄人の域に達してしまった。
苦笑してしまう話だが、これがきっかけに近くの喫茶店でパティシエ見習いとしてアルバイトをしている。
もしかすると一生の仕事になるかもしれない。

「さてと……」
 軽くを息を吸いながら、美央はチョコ作りの作業を始める。
明日、学校で友人たちを軽く驚かして、バレンタインデーを菓子業界の陰謀に乗せられた憂欝な一日を愉快な日に変えてやる。
強く意気込み、無心で作業に没頭した。
 そして、美味しくなる呪文を唱える。


 体はチョコで出来ている。





 出来上がったチョコレートの品質に満足した美央はチョコを冷蔵庫の中で冷やす。
ちゃんと固まった後に、事前に用意してあった包装紙にチョコを包装すれば、完成である。
 ともあれ、美央は思う。




 女の子から本命のチョコとか貰えないかな?



 続く
294名無しさん@ピンキー:2008/05/05(月) 00:18:17 ID:ER8GqK/K
とりあえず一言
あれ今ってGWだよな
295トライデント ◆J7GMgIOEyA :2008/05/05(月) 00:19:09 ID:5DgzB6NN
以上で投下終了です。

義理チョコも貰えなかったのでなんとなく書いた。
今は猛烈に反省している。
一応、次回に続きます。今回は短編です。

では。
296名無しさん@ピンキー:2008/05/05(月) 00:37:47 ID:lvUL2ERr
>>295
なんという時期はずれ
GJ
297名無しさん@ピンキー:2008/05/05(月) 00:40:24 ID:Ji8ZvjC2
ひさびさっすねトライデントさん
時期はずれのバレンタイン
GJです
298名無しさん@ピンキー:2008/05/05(月) 04:22:35 ID:D/V4Wsxq
>>295
時期はずれでもGJ
設定見てたら美央がどっかの日向のK太郎に思えてきたw
299名無しさん@ピンキー:2008/05/05(月) 04:43:14 ID:lLVwOhIU
トライデント帰れ
300名無しさん@ピンキー:2008/05/05(月) 05:33:10 ID:mtcrNc77
>>295
黄金週間なのにバレンタインSSだとうっ!
なんたる時期外れ、しかも続くのかよ!
相変わらずギャグが過激で面白い。連載中の作品も楽しみにしてます。お疲れさまでした。
301名無しさん@ピンキー:2008/05/05(月) 08:05:20 ID:OoQ4KfcM
>>295
トライデント氏、GJ。
302名無しさん@ピンキー:2008/05/05(月) 08:10:25 ID:zumDDbim
電信柱の影から無表情な顔を半分出してじっと男を見つめる女子高生とか
ハンカチを破れんばかりに噛み締めながら怒り狂うお嬢様とか
濁った目で口元だけ笑ってるんだけど手に包丁持った女の子とか
悪鬼の如き表情で木に藁人形を打ちつけてるお姉さんとか
虚ろな視線でぶつぶつ呟きながら(手に生首持って)夜な夜な街を徘徊する美女とか
ド○キの玩具コーナーで手錠とバイブを品定めしてる双子とか
大人の玩具屋(秋葉原)で怪しい玩具を大量購入して警察官に職務質問を受ける女の子とか
全身タイツで犯行予告を出して窃盗活動(男物の下着)をする三姉妹とか
そんなのがいっぱい出てきて嫉妬に狂ったりして激しい修羅場になる
若草物語と特攻の拓とジョジョの奇妙な冒険が混ざったようなSSが読みたいです
303名無しさん@ピンキー:2008/05/05(月) 08:50:20 ID:IjzGz640
>>294
あいかわらずマイペースだな
スレが荒れまくったときもブルドーザーのごとく投下した猛者だったしな
しかしバレンタインとは・・・
でも内容はGJ!
304名無しさん@ピンキー:2008/05/05(月) 11:40:20 ID:HyK3cEg4
>>303
>>294 → >>295
スマン orz
305名無しさん@ピンキー:2008/05/05(月) 21:19:11 ID:QgFcCWIy
そういや、バレンタインデーとホワイトデーはもう終わってしまったのか
唯一、嫉妬が見れるイベントだというのに
306名無しさん@ピンキー:2008/05/06(火) 00:08:11 ID:gJ91bIHe
さて待つか
307名無しさん@ピンキー:2008/05/06(火) 01:26:00 ID:ZyAKREZC
暖かくなってきた時期でも全裸は堪えるだろ

つ蝶ネクタイと網タイツ
308名無しさん@ピンキー:2008/05/06(火) 11:09:55 ID:JErsfi8H
>>307
ありがとう
309貴方だけを愛し続けます4話 ◆PsPjd8yE3E :2008/05/06(火) 23:24:14 ID:lE42OEvf
投下予告ッ、
最初に、名前の部分を訂正させていただきます。間違えました。

寝取られ成分を少々含んでおります。
なのでそこらへんが駄目な人はスルーして下さい。

主人公も腹黒なので、純愛物ではなくなると思います。



ーーーーー本文ーーーーーーーー



嘘だ、幻だ、偽りだ。

「兄さんっ、もう少し静かに」
「大丈夫だよ、アイツには気づかれないさ」

やっと、気づいたよ。兄さんがアイツと呼ぶ僕が、あなたたちのしてることに。


要約すると、吾[われ]の幼馴染は・・・・・・実の兄に寝取られていたのだ。

扉からうっすらと漏れる喘ぎ声と、肉と肉がぶつかりあう音と、
僅かながらも暗さに慣れた瞳に写る、幼馴染を獣のように犯す兄。

兄は凡庸な存在だ。
だがそれは一通り何でもこなす事を意味している。

僕はそんな兄を毛嫌いしていた。
僕よりも劣っているそれを見るのが、嫌だったのだ。
まるでIF・・・才能が無かった僕を見てるようで。

しかし、実際に見ると彼女は嫌がった様子はするも
少女は痛がる様子も無くこなれた調子で腰を動かしていた。


僕は、こらえならなく、なりそうな嗤[え]みを、無理やり防ぎながら、
夢中にお互いを貪り合う二人を尻目に、吾が家の母屋から静かに抜け出した。






ありえなかった結末、ありえた結末。




「昨日の夜何してたんだ」
「ッ・・・何のことかな」
「やはり、糞兄貴と性行為を行ってたか」

目を大きくさせて、うつむかせた。
やはり吾が見た情景は悪夢などではなかった。

「言い訳はあるか?」

堰が溢れるように彼女は事実を語り始めた。

兄貴が吾の部屋を秘密に見せてやるといって彼女を入れたこと。
ばらされたくなかったら大人しくしろと言ったこと。
恐怖のあまりはじめてとなった人が兄貴だったこと。
そして、脅されて今もまだその関係を続けさせられていること。


彼女はこう最後に云う。

「心は決して彼のものにならない、彼を説得してみせる」と。


そして、僕は、嗤った。
投稿終了です。お疲れ様でしたー。
314名無しさん@ピンキー:2008/05/07(水) 00:09:32 ID:dSZyE969
これは・・・・・・
315名無しさん@ピンキー:2008/05/07(水) 00:25:28 ID:hfD30Nus
これ何?

炊飯器ジャー
316名無しさん@ピンキー:2008/05/07(水) 00:34:06 ID:nDvEWvE2
>>313
お疲れさまでしたー
317名無しさん@ピンキー:2008/05/07(水) 00:59:19 ID:0GTF5Fi4
出口はこちらでーす
318名無しさん@ピンキー:2008/05/07(水) 02:49:47 ID:a5OVhxHU
>>313
最近こいつを他スレでもよく見るが、何なんだ?
しかも1レスで投下とか・・・・
319名無しさん@ピンキー:2008/05/07(水) 06:00:13 ID:bGTDEglr
>>313
お疲れさま
320名無しさん@ピンキー:2008/05/07(水) 07:57:30 ID:mcvuojBE
>>313
321名無しさん@ピンキー:2008/05/07(水) 18:36:16 ID:AXNY8QZk
書き殴りの馬鹿ネタ投下します。
322名無しさん@ピンキー:2008/05/07(水) 18:37:12 ID:AXNY8QZk
 私の若い頃には一面が焼け野原で、数軒のバラック小屋が立っているに過ぎなかったこの辺りも、今となっては随分と様変わりしてしまった。
所狭しと近代風の建物が立ち並び、申し訳ばかりの街路樹が植えられている。
戦前の面影は忘れ去られてしまい、そこに住む人間も、昔ではとても考えられなかった気質に変化している。
私のようにいつ死ぬかもしれん年寄りともなると、今時の若い者は、なんて言葉を吐く気力もない。
奇怪千万としか思えない若者たちの行動も、一昔前に流行った新人類という言葉が当を得て、今と昔の日本人は別の人種であると思わざるを得ない。
私は八十近くの年寄りである。
耄碌のためにまともにものを考えられなくなっているのかもしれず、私が若いころにも似たようなことがあったのかもわからない。
 午後の散歩をしていたときのことである。
私が杖を付いて歩いていると知り合いの青年とすれ違った。
その青年は私の家の隣に住む大学生で、七詩君という少しばかり変わった名前の青年である。
彼は同年代の女性と腕を組んで歩いていたが、私の顔を見た途端に立ち止まって、照れくさそうに頭をかきながら挨拶した。
微笑ましいものである。私は会釈を返して歩き続けた。
すると、二十間ほど進んだ電信柱の影に、奇妙な女学生が立って居るのを見つけた。
その女学生は電信柱にぴったりと体を寄せて、顔の半分だけをちょこなんと外にのぞかせていたため、もし歯軋りのような音が聞こえなかったら、私は彼女がいるのを知らずに通り過ぎていたであろう。
それだけうまく身を隠していたのである。
女学生はその姿を私に見られても一向に気に留めず、私の歩いてきた方向に顔を向けて、じっと何かを眺めていた。
私もそちらを向いて見たが、先ほどすれ違った七誌君たちが歩いているだけで、そんなにも熱心に観察できるようなものは見受けられなかった。
不思議に思った私は年甲斐も無くその女学生に声をかけてみた。
「何を見ていらっしゃるんですか?」
「邪魔しないで下さい」
 顔を向けられずにそう云われた。随分熱心な少女である。
私は女学生の情熱に水を差さぬよう静かに立ち去った。
323名無しさん@ピンキー:2008/05/07(水) 18:38:39 ID:AXNY8QZk
 ある日の病院帰りに、以前と同じく逢引中の七詩君と会った。
しかし七詩君が連れているのは前の女性ではなく、前のときに私が見かけた電信柱の女学生であった。
私が顔を覚えていても、向こうは私の顔を知らない素振りを見せていた。
会話の際、七詩君は終止きまり悪そうにしていて、去り際に両手を合わせて拝むような恰好をして見せた。
昔の道徳ではけしからんことであったろうが、私は何も言わず首を縦に振った。
戦後、進駐軍に持ち込まれた自由恋愛とはこういうものであるとも思う。
今更GHQ憎しと言っても意味は無い。
そんなことを考えながら私が歩き始めようとしたら、突然黒塗りの車が私の目の前で急停車した。
私は呆然として、危うく跳ねられそうであったことに気が付かずその場に立ち尽くしていた。
車の中から運転手と思わしきスーツ姿の中年男性が慌てた様子で飛び出して、私にぺこぺこと頭を下げた。
しばらくすると居ても経っても居られなくなった態で、上品な服装をした少女が車を降りた。
少女はハンカチを破れんばかりに食いしばりながら、中年男性を怒鳴りつけたり、地団駄を踏んだり、大仰な仕草で何かを嘆いたりしていた。
そのとき茫然自失であった私は、少女の言葉のなかで「七詩」と「あの女」という言葉だけをおぼろげながら覚えている。
その二つがそれだけ多く使われていたためかもしれない。
私が我に返ったときには、黒塗りの車はどこかへ走り去り、例の中年男性に持たされたのであろうか、分厚い封筒を握って立っていた。
何やらろくでもない物事に首を突っ込んでしまっている気がしたが、曾孫が欲しがっていた玩具を買ってやれるので、私はこのことについて深く考えるのを止した。
324名無しさん@ピンキー:2008/05/07(水) 18:40:40 ID:AXNY8QZk
 次に七詩君と会ったのは、庭で盆栽を弄っているときである。
正確に言えば、会ったというよりも、七詩君が私の家の庭に逃げ込んできたのである。
私は久々に現れた悪戯っ子を叱り付けようとしたが、一喝する前に七詩君は素早く体をくの字に折り曲げて、
「少しだけでいいんで匿ってください」
 そう切羽詰った調子で言った。
そうしてこの手の話に関わり合いたくない私が肩に手を置いたのと同時に、横合いから楽しげな女性の声が聞こえた。
「七詩、勝手に人のお家に入っちゃだめじゃない」
 呼ばれた当人は「ひい」と情けない声を発して、腰が抜けたのかその場にへたり込んでしまった。
私が視線をやると、器用に口元だけを歪めて笑っている妙齢の女性が立っていた。
むろん、私の見知らぬ女性である。
その女性の右手にはわが家で使っているのと同じ種類の万能包丁があった。
野菜がくっ付かなくてたいへん使い勝手の良い逸品であるが、用途によっては銃刀法違反である。
思案に投げ首した私は家内を呼ぶことにした。
「ばあさんや、客が来たんで茶を淹れてくれんかね」
 家内の説教は夕暮れ時になるまで続いた。
若いんだから心中は止しなさい、浮気は三回まで許してあげなさい、包丁は粗末に使うものじゃありません、
あなたのそれみたいな小まめに研がれていない包丁じゃちゃんと切ることは出来ません、
あたしの若いときは云々、といった小言に若い男女は口ごもりながら答え、私が盆栽の手入れを終えたころにはすっかり大人しくなっていた。
 七詩君に因んだ咄咄怪事にはうんざりしていたが、その後もたびたび彼に関係する女性の奇行に悩まされた。
行き掛かり上、私が取り持たなければならない場合もあった。
 神社へ参拝に行くと、御神木の裏で、昼間から藁人形を打ち付けているOL風の女性を見つけた。
「よくも七詩を」をなんて呟いているのが聞こえ、私は彼女に歩み寄って、「夜中じゃなければ効験はありませんよ」とだけ言って家に帰った。
参拝出来ず仕舞いである。
 夢遊病者のような美女にも遭遇した。
早朝、まだ日の昇らない時間にゴミを出しに行くと、白いパジャマ姿で七詩君の家の前に立ち、ぶつぶつと一人問答を繰り返している美女がいた。
回覧板に書かれていた不審者というのは彼女のことであろう。
325名無しさん@ピンキー:2008/05/07(水) 18:42:17 ID:AXNY8QZk
 曾孫にせがまれて雑貨屋へ行くと、十六七くらいで瓜二つの顔をした二人組みの少女が、玩具の手錠と、それから桃色の非常に短い玩具の警棒を吟味していた。
「これとかどうかな?」
「うん、これなら七詩も喜んでくれるかも」
なんてことを言うのが聞こえてきて、いい年して警察ごっこをする七詩君の姿を想像して不愉快な気持ちになった。
 デジタル放送とやらがテレビ番組で喧しく言われ、新しいテレビジョンを家内同伴で電気街へ買いに出かけたら、
「ですから違うんです。これは、その、七詩さんに頼まれて買ったんです」
 そんなことを言って職務質問の警察官に弁解している少女がいて、見捨てるわけにもいかず、仕方無しに庇ってやらねばいけなかった。
 夜中にふと目が覚めて、頭が冴えて眠れないので縁側に出て月を眺めていると、七詩君宅のベランダに怪しい三人組が忍び込むのを見つけた。
曾孫が日曜の朝に見ている番組に登場するような、体全体をぴっちりと覆う服に身を包む女性たちであることが月明かりでわかった。
けれども私は面倒なので通報しなかった。
 時が経つのは早い。
戦後、私の生きる時代は瞬く間に移り変わり、周囲の風景や生活様式だけではなく、人間性までも一変してしまった。
人間はもし気が違っていないとしたら、別の違い方で気が違っていることになりかねないほど必然的に気が違っているものである、と言った人が居る。
なるほどもっともである。
二人の愛は清かったで締められる逐電と心中譚が私の時代で言う純愛であったが、今はもはや、性愛を前提とした乱痴気騒ぎか、さもなければ四谷怪談紛いの気違い沙汰でなくては純愛とはみなされないようである。
怨嗟のまとと紙一重でなくては恋愛できないとは、男が生き難い時代になったものである。
今日もまた、隣の家から金切り声が聞こえてきた。
三人、四人、五人と、回数を重ねるごとに人数も増えて、彼女らの諍いも段々と規模を大きくしている。
泥棒猫やら女狐やらと、不貞の輩を罵倒する言葉は今の時代でも変わりないようである。
「ところでばあさんや。飯はまだかね?」
「さっき食べたばかりでしょう」
 家内でさえ馬鹿なことを言う。まったく、嘆かわしい時代である。
326名無しさん@ピンキー:2008/05/07(水) 18:42:52 ID:AXNY8QZk
以上です。続きません。
327名無しさん@ピンキー:2008/05/07(水) 19:38:17 ID:AXztg16J
じいさんじいさん、それは誤字だぜ
耄碌してちゃあいけないぜ

(誤)>まったく、嘆かわしい時代である。
(正)>まったく、素晴らしい時代である。
328名無しさん@ピンキー:2008/05/07(水) 22:32:11 ID:6Q0f/fHG
オッフォオッフォッ!!フゥッフォファファァッ!!!
まさか不可能かと思いつつ読みたいと希望したものを書いてくれるとは…

>>326
貴方が神かッ!!超GJ!!



ボク…貴方になら抱かれてもいい…むしろ抱いて……
329名無しさん@ピンキー:2008/05/08(木) 00:03:53 ID:emp9I1tK
だが断る
330名無しさん@ピンキー:2008/05/08(木) 00:38:27 ID:v3xIA7pg
>>326
最高! 面白かった、GJ
331名無しさん@ピンキー:2008/05/08(木) 07:51:14 ID:WPivsRG7
>>326
すげえ・・・スレに書いてある要求に答えてる
しかも面白い
GJです
332名無しさん@ピンキー:2008/05/08(木) 18:37:15 ID:7H8f7PBf
なんだババァが主役か…なんて考えていたら神作品だった。
333うふ〜ん:うふ〜ん ID:DELETED
うふ〜ん
334名無しさん@ピンキー:2008/05/09(金) 11:47:38 ID:qCaBaBMQ
あったよね、そんなことも
まあこのスレには全く関係ないことですが

335名無しさん@ピンキー:2008/05/09(金) 12:22:58 ID:vNrnhnCl
>>333
毒めぐはまだ拘置所の中から出れないのか?
婦女暴行ぐらいだと1週間ぐらいで外に出れるんじゃないの?
336名無しさん@ピンキー:2008/05/09(金) 13:36:04 ID:WnwD3PKu
>>332
神を見誤ったお詫びとして若草物語と特攻の拓とジョジョの奇妙な冒険を合わせたような話を書くんだ。
え? 言い出しっぺの法則?
書きたいのはやまやまなんだけど、ほら俺若草物語知らないしなぁ。
337名無しさん@ピンキー:2008/05/09(金) 16:29:28 ID:QvJfgmF5
身柄拘束の必要はないからもうとっくに出てるよ
後は在宅での取り調べで処理するだけだろ
338名無しさん@ピンキー:2008/05/09(金) 17:36:58 ID:8WtzRb4A

    , ',´ィ ' ´                          \
   / '/             ___    、     、  ヽ //ヽ
. / '´, '   /    ,  ,...:.:.':.´:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:`:.:.:.ヽ     ヽ  冫:;ィ::::;'  __
  '′/  ,/     /':.:.:.:.;:. -―¬¬¬―- 、:.:ヽ     ヽ/:/,.l:::::l':´_ハ
   / .,.,''  ,    /:,: '´             ` ',    ',//;:l::::;'´ /:::/
  ,' //  /    ,'´   i    l   ! .  |     !   ,      r '´ l::〈 /::::ノ
  i /.,'  /    l   i  l __tハ l ! .| t T¬ ト l、 !      ト、 !:::l /:; '
  l./ .l  ,'!      l  ,レ'T´ ll! !.l, l  li. |', ト, _!_l `!      lヾ':.l::::!l::::l
  l,' l  ! !      !  l', l ,ゝェ 、',|',l',. ! !.l >' ,r 、 ヽ,,'l     l::ヾ:!:::|.l::::!
    !  l !      ', . l ' / /.n.',` .'|',| '!  l 0 l  '' !    .l;:::l::ー':;'::/  
    ',  !. l     '., ',::''::.ヽニ.ノ, .:    ::... ミニ'r  l.   !  ll::::ト:ヾー'  
    ', ! !      ヽ':;:::.` ̄   ..::.        ,' .  l.  !l::::! ';::':,   
     ', l l          ';`::::..   .::::::'         ,'   l   !.';:::', ':;:::':,   
     '.,! !         ';::::::::...:::::::::r--ァ     ..;'  .l l!  l ';:::', l';::::',
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         ! l      !.  !  ` 、:::::::::::  ...::;:::'::/    ! ,'!. /  ヽ::::':,!::::!
        ! l    .l  .l  !   `ヽ:、:;::::':::::::/     ! ,','./ l   ヽ:::';:::l
        l l!   ', . ト、. ト、',、    !:::::::::::/   , / ./// ト、、 .l! !:::ト'
        l ハ .  ', ',ヽ ', ヽ',\   !::::/   ///>、 、 ! ヽ!', l.l,'';;';!

関係ないがAAを貼るぜ
早くSSの続きが読みたい
339名無しさん@ピンキー:2008/05/09(金) 18:29:44 ID:SKDZdfE0
つまり>>336は若草物語の内容を知ればSSを書けるんだな
おいヤス(>>340)!ちょっくら>>336に若草物語を教えたれや!!
340天使とメイドと機関銃 ◆GK0sdi5g3w :2008/05/09(金) 18:30:23 ID:kRbtHFtI
 僕の足元に砂煙が上がり、ほとんど間を置かずドドドドドッというリズミカルな銃声が追いかけてくる。
 それを合図に、僕の逃げ足がトップギアへとシフトアップする。


 馬の足を速めるために、鼻面にニンジンをぶら下げるというアイデアがある。
 昔の外国アニメでお馴染みの、古典的なギャグパターンの一つだ。
 これは獲物を追いかけようとする動物の本能を巧みに利用したものに他ならない。
 しかしここで気付いて欲しい。
 馬は幾ら走ろうとも、決してニンジンには追いつけないのだ。
 これはシステム上当然のことなのだが、ある意味で真理の一面を如実に表している。
 そう、いつだって追われる立場の者は、追う側より遥かに必死なのである。

 猫も生存し続けるためにネズミ、即ち食物を追っているのは分かる。
 しかし猫が目の前のネズミを逃がしても死なないのに比べ、一方のネズミは猫に捕まれば確実に命を絶たれることになる。
 それだけに元々の必死さが違うのだ。
 そして追い詰められればネズミだって猫を噛む。
 弱者の自己保存本能は、時として強者の殺戮本能すら上回ることがあるのだ。
 この時の僕は持てる能力の全てを走ることに費やし、ひたすら謂われなき暴力と戦っていたのである。


 追いかけてくるのはものすごく美形のメイドさんである。
 普通ならこんな可愛い女の子に追いかけられて逃げ回るなど、愚の骨頂に他ならない。
 男であれば、むしろ歓迎すべきところであろう。
 ただ普通じゃないのは、彼女の右手に無粋なマシンガンが5丁も仕込まれていること。
 加えて、彼女がそれを僕の背中に撃ち込みたがっているということだった。

 この分だと、彼女の左手の手刀は電磁ナイフになっているかもしれない。
 肘か膝には──或いはその両方に──ロケットランチャーが組み込まれている可能性が高い。
 そして悪い予感が当たるなら、未知の科学力を駆使した給弾システムにより、弾薬は無限に補充されることになる。
341天使とメイドと機関銃 ◆GK0sdi5g3w :2008/05/09(金) 18:31:04 ID:kRbtHFtI
 振り返って背後を見ると、メイドさんは相変わらず無表情のまま、スカートを振り乱して追っかけてきていた。
 ヒラヒラしている純白のエプロンが何とも可愛い。
 ここが秋葉原の町中だったとしたら──
 僕はメイド喫茶のバイトに手を出した挙げ句、修羅場を迎えた軽薄な遊び人に見えたことだろう。
 だが残念なことに僕はそんなプレイボーイではないし、メイド喫茶になど行ったこともない。
 僕の周囲にある女っ気と言えば、せいぜい超別嬪の娘悪魔と天使の笑顔を持つシスターくらいのものだ。
 手にマシンガンを仕込んだメイドさんに命を狙われる覚えは、天地神明に誓って無かった。

 この時になると、僕は彼女の美貌に漂っている違和感の正体も解明できていた。
 彼女の整った顔は左右が完全な対称になっているのだ。
 なっているというのは正確な表現ではないだろう。
 彼女の造物主がそのように作り上げたのだ。
 そう、この危険なメイドさんは、何者かによって作られた等身大フィギュアなのである。

 こんな時になんなのだが、僕は自己嫌悪にドップリ浸かっていた。
 僕が生まれて初めて中出しした記念すべき相手は、最新式オナホールを装備した超高級ダッチワイフだったのだ。

 なんとも情けないことではないか。
 これじゃやがて僕の息子が年頃になった時、自分の初体験について自慢することもできない。
 そんな会話を普通の親子がするものかどうかは知らないけど。
 ともかくこのピンチを凌がなければ、未来の息子との会話についてなど心配する必要もなくなってしまうのだ。
 そんな余裕があるのかないのか分からないことを考えている時であった。

「俊さんっ、伏せてくださいっ」
 その叫び声は川下の方、逃げ行く僕の正面から発せられた。
 下手側に掛かった橋の上、そこに僕の天使が立っていた。
 いつもながら一分の隙もなく修道服を着込み、そして──鈍い光を放つ機関銃を腰だめに構えて。
「真理亜っ」
 ダンダンダンダンッという腹に応える発射音と共に、銃口からフラッシュが迸った。
 メイドさんの足元を砂煙が包み込み、その行き足を止めさせる。
342天使とメイドと機関銃 ◆GK0sdi5g3w :2008/05/09(金) 18:31:41 ID:kRbtHFtI
 M60多目的機関銃。
 映画『ランボー』でお馴染みの無骨なマシンガンで、7.62ミリ弾を毎分600発の速度で発射できる優れものだ。
 一世代前のモデルだけど、5.56ミリ弾を使用する軟弱なM249ミニミ機関銃なんかとは威力が違う。
 軍オタじゃない僕でも知っているというくらいの、とにかく超有名な銃である。
 しかし、どうして真理亜がそんな物を所持しているのかまでは、僕の知るところではなかった。

「このぉっ」
 真理亜が罵り声を上げて、暴れるM60を力ずくで押さえ込む。
 ようやく照準が定まり、着弾点がメイドさんのボディへと移っていく。
「死ねぇぇぇっ」
 ベルトリンク式の弾丸がヘビのようにうねりながら機関部へ吸い込まれていく。
 ダンダンダンッという発射音が連続し、銃口からオレンジ色の炎が舌なめずりする。

 真っ正面から連射を喰らったメイドさんは後方に吹っ飛んだ。
 そして剥き出しになっていた大岩に、思い切り激しく後頭部をぶつけた。
 その瞬間も全くの無表情なのがなんとも不気味だった。
 仰向けになったメイドさんは何度か立ち上がろうとして失敗し、やがてガックリと力尽きた。
 その死に顔には、やはり何の表情も浮かんでいなかった。


「俊さん。お怪我はありませんか?」
 真理亜が手摺りを乗り越えて河川敷へと飛び降りてきた。
「嫌な予感がしたのです。修道院でマシンガン借りるのに手間取ってしまって……遅くなって本当にごめんなさい」
 真理亜は上気させた顔をようやくほころばせた。
 重い機関銃を担いだまま、僕を捜してあちこち走り回っていたのだろう。
 修道院の件はこの際おいとくとして、何とも愛おしいじゃないか。
 もっとも、機関銃を担った修道女が血相を変えて走ってるのを見た町の人は、さぞかしたまげたことであろうが。
343天使とメイドと機関銃 ◆GK0sdi5g3w :2008/05/09(金) 18:32:14 ID:kRbtHFtI
「ところで、この方──というかロボットはどなたですの? どうして俊さんを追っかけていたのです?」
 真理亜は落ち着きを取り戻すと、早速して欲しくなかった質問を振ってきた。
 言えない。
 まんまとお誘いに乗って据え膳を食ったなどとは、とてもではないが言えない。
 申告する相手は、あの嫉妬深い真理亜である。
 しかも不幸なことに、今日はマシンガン付きなのだ。

「ロボット? それは違うな。それとも何か、君はアンドロイドとロボットの違いも解さぬ無粋な人間だってのか」
 僕はなんとかその場を取り繕うと必死に喋り続けた。
 新しいのは押井守監督のアニメ映画『イノセンス』から、古くは鎌倉時代に書かれた説話集『撰集抄』巻の五より
『高野山参詣事付骨にて人を造る事』まで、知ってる限りのアンドロイドに関する知識を披露して誤魔化しを計った。
 あの西行法師のような教養人だって、アンドロイドの素晴らしさを理解してたんだぜ、君ぃ。
 嗚呼、素晴らしきかな女性型アンドロイド。
 本来アンドロイドとは男の人間もどきを意味する言葉だから、女性型アンドロイドってのは矛盾しているのかな。

 しかし、僕が熱くなればなるほど、真理亜の顔が逆に冷めていくのがハッキリ見てとれた。
「で、その素晴らしいアンドロイドが、どうして俊さんを殺そうとしていたのです?」
 真理亜は怪しむような視線を僕に投げかけてきた。
 まずい。
 幼馴染みの彼女は、嘘をつく時の僕の癖など先刻ご承知なのだ。
「そ、それは……それは……だね……」
 僕が口籠もっていると、誰かが助け船を出してくれた。
「……せいし」

「せいし? そ、そう……これは全人類の生死に関わる一大事なのだよ、真理亜くん」
 いったん口火を切れば、後は文字通り口から出任せだった。
 とにかくこの場さえ逃れられれば、後で嘘がばれようが知ったことではない。
 知らぬ存ぜぬで逃げ通してみせる。
「これは人類対アンドロイドの、地球における支配権を賭けた総力戦の始まりなんだ」
 真理亜は熱く語る僕に向かって、呆然とした顔を向けている。
 これは上手く誤魔化せそうだと思っていたが、真理亜が見ているのは僕ではなかった。
 正確に言えば、彼女は僕の背後に立ち上がったメイドさんを見ていたのだ。
344天使とメイドと機関銃 ◆GK0sdi5g3w :2008/05/09(金) 18:32:50 ID:kRbtHFtI
「せいし…精子…テラシマサトシの精子…を……回収……」
 彼女は死んだのではなく、倒れた衝撃でメインディスクが一時的に飛んだだけだったのだ。
 鋼鉄のメイドさんは体をギクシャクさせながら再起動を果たした。
 なんてこった。
 この再起動の遅さは──
「メイン回路のOSはWindows2000だってのか」
「俊さん……それ、驚くところ間違ってると思う」

 呆然とする僕たちを余所に、メイドさんはいきなり活動を再開した。
「なんなのっ、あなたは? どうして俊さんをつけ狙うのっ」
 真理亜がメイドさんに噛み付いた。
「この時代から1000年後の未来……人類は危機に瀕している……男の生殖能力が低下しきった…ため……」


 メイドさんが語るには、31世紀の地球は相当ヤバいことになっているらしい。
 なんと未来の男は生殖能力を喪失しかけているというのだ。
 原因は環境汚染や宇宙線の影響による精子の劣化だという。
 しかし最も大きな原因は、オナニーマシンの発達と共に男の生殖本能が退化してしまったことらしい。
 何かと面倒臭い女の子より手軽で気持ちいい機械があるんなら、誰だって溺れちまうに決まってる。

 そこで一計を案じたのが、未来の悪徳企業家だった。
 過去へ戻って正常な精子を持ち替えり、それを使って大儲けしようとしたのだ。
 それも普通の精子ではなく、確実に着床させるため強烈な性欲を持った健康な若い男の精子をである。
 そしてコンピュータが選んだのは──


「伝説のペニスの持ち主……この時代の高校生…テラシマ…サトシ……」
 これは恐れ入った。
 僕の相棒は、遠く31世紀の未来にまで伝説として語り継がれるような逸品らしい。
 余り悪い気はしない、が──
「私、ウルスラは……テラシマサトシの精子回収と……オリジナルのデリートを……命じられた……」
 ウルスラと名乗ったメイドさんは、ジャキッと音を立てて僕に指先を向けた。
345天使とメイドと機関銃 ◆GK0sdi5g3w :2008/05/09(金) 18:33:28 ID:kRbtHFtI
 なんということか。
 未来の悪徳企業家は僕の精子を独占するため、精子を回収した後に僕自体を消去しようって腹なんだ。
 僕さえ殺せば僕の子孫は絶える。
 この類い希なる遺伝子を歴史から抹消するには、僕一人を殺せばこと足りるのだ。

「自動マネキンの分際で笑わせないでっ」
 いきなり怒鳴り声を上げたのは真理亜だった。
 M60を構え、逆三角になった目は血走っている。
「何が精子の回収よ。そんな機関銃仕込んだ手で何をなさるおつもり? メイドはメイドらしくお掃除でもしてなさいっての」
 真理亜がメチャクチャ憎たらしい顔をしてアッカンベェをした。

 しかしそんな挑発もアンドロイドには何の効果も発揮しなかった。
「心配…ない……回収は既に…成功した……」
 ウルスラのエプロンがパックリ開き、次いで下腹部の扉がスライドした。
 ダメでしょ、女の子がそんなとこ開いたりしちゃ。
 だって、そこって女の子にとって最も神聖な臓器──子宮のある場所なんだもん。
 焦る僕を余所に、罪のない顔をしたアンドロイドは下腹部から一個のガラス容器を取り出した。
 そこには白く濁った液体がなみなみと満たされていたのである。



 ドドドドドドッ。
 ダンダンダンダンダンダンッ。
 唸りを上げる6丁のマシンガンに追われ、僕は人類の限界に挑戦していた。
 中でも他とは銃声を異にする1丁は、一際正確かつ執拗な照準で僕を狙ってくる。
 ピシッ、ピシッという鋭い音が何度も僕の頭上を掠めた。

「私、土手の方を捜すから。アンタ、川原に回って。草の根分けても探し出すのよっ」
「何処へ……隠れても無駄……熱源探査……開始……」
 相手は天性の勘の良さを持った天使と、探査機能を装備したアンドロイドのタッグである。
 何とか廃棄されたボート小屋に身を潜めることに成功した僕は、生きた心地もせずに震えていた。
346名無しさん@ピンキー:2008/05/09(金) 18:35:25 ID:kRbtHFtI
久し振りに来てみればいい雰囲気になってきてますね
このまま元のように盛り上がっていってもらいたいものです
347名無しさん@ピンキー:2008/05/09(金) 18:45:04 ID:SKDZdfE0
おいヤス…それ若草…まあいい。ようやった!GJじゃあ!!
348名無しさん@ピンキー:2008/05/09(金) 18:46:30 ID:MWqG05tu
>>346
おひさしぶりっすね
今後の展開に期待してます
GJ!
349名無しさん@ピンキー:2008/05/09(金) 19:48:41 ID:WnwD3PKu
>>345
これが、若草物語……だと……。
スマン! 俺が悪かった! これと他の作品のコラボは確かに難しい。
大人しく才能あふれる誰かの投下を待つことにするぜ。
350名無しさん@ピンキー:2008/05/09(金) 19:51:07 ID:WnwD3PKu
>>346には惜しみないGJを。
351名無しさん@ピンキー:2008/05/09(金) 20:25:13 ID:MNr09P/j
そんなに若草物語のエロパロ読みたいのなら専用スレ立てて勝手に楽しんでろ、糞どもが
352名無しさん@ピンキー:2008/05/09(金) 20:30:39 ID:MWqG05tu
>>349
そもそも若草物語じゃないし・・・
353名無しさん@ピンキー:2008/05/09(金) 20:53:58 ID:9Ee28XzO
自分が書きもしないくせに他人の作品にとやかく抜かす連中は毒ウナギ以下の存在だ
ハッキリ言って死んで欲しい
354名無しさん@ピンキー:2008/05/09(金) 20:58:47 ID:MWqG05tu
おまえら落ち着け・・・
せっかく治まってきてるんだから
仲良くやろうぜ
355名無しさん@ピンキー:2008/05/09(金) 21:03:13 ID:9Ee28XzO
せっかく待ってた書き手さんが投下してくれたってのに
才能無いなんてレスするのはスレを荒そうという害意があってのことだろう
ここで引いたらまた元の木阿弥になっちゃうよ
356名無しさん@ピンキー:2008/05/09(金) 21:09:16 ID:SKDZdfE0
落ち着いてきたスレにまたトンチキなヤツが現れてきたな
おいマサ(>>357)!ちょっくらみんなにガツンと気の利いた一言を言ってやれや!!
357名無しさん@ピンキー:2008/05/09(金) 21:19:03 ID:yQqRPIw8
ID:SKDZdfE0
荒らしの口火を切るようなことしておいて
なに意味不明なこと言ってんのやら
358名無しさん@ピンキー:2008/05/09(金) 21:26:01 ID:SKDZdfE0
マサ…テメーちょっくら便所こい…
359名無しさん@ピンキー:2008/05/09(金) 22:10:22 ID:jr5HV2C+
だから落ち着けと・・・
そもそも>>349は害意があったのではないんじゃないか
その証拠に>>350でGJを送っている
>>349>>350=ID:WnwD3PKu)

つまり、>>349>>346を若草物語のパロディと勘違いし、
他の作品とコラボするのが難しいと感じた
だからおとなしく投下を待つ
と言いたかったんじゃないか
360名無しさん@ピンキー:2008/05/09(金) 22:18:40 ID:zMzQ70Y+
まぁこうやってgdgd問い詰めてるほうがあほらしいしな
さっさと次の話題いこうぜ
361名無しさん@ピンキー:2008/05/09(金) 22:50:30 ID:d4irXwsN
まあいいとか言ってなに上から目線で見ているのやら
だいたいどうして他人の好みに限定された作品書く義務があるの
誰が何を題材に書こうと自由なんだし
勝手に読んどいてガッカリするするのはいいけど、わざわざスレに書き込むなってこと
362名無しさん@ピンキー:2008/05/09(金) 23:21:56 ID:czudsuoS
>>333
つかこの平和さ見る限りこいつがウナギの疑い大なんだよな・・・・
363名無しさん@ピンキー:2008/05/09(金) 23:35:00 ID:kmyXhTAa
>>362
匿名の掲示板だから定かではないが
ウナギなら、おかしな評論書いたり変なSS書いたり新人つぶしとかするんじゃないか
まあなんにしろ、>>333は荒れるのを面白がる奴が落としたんだろうから
スルーが上策
364名無しさん@ピンキー:2008/05/09(金) 23:43:18 ID:d4irXwsN
>>359
既に連載3回目を迎える作品を読んで若草物語のパロだなんて勘違いするかな?
俺はあえて攻撃しようと思って付けたレスだと思っているよ
365名無しさん@ピンキー:2008/05/10(土) 00:13:55 ID:QoDbYZGG
>>364
どうなんだろうな
俺にはわからんし、疑ってもきりがない
最近までスレが荒れまくってたから、気持ちはわからんでもないが
いろんなヤツがいるんだしさ
気に入らないのはスルーするのが一番
366名無しさん@ピンキー:2008/05/10(土) 00:33:23 ID:tTDzM+UQ
>>351
誰も若草物語のエロパロが読みたいと言っていない。5年ROMれ
>>353
作品について誰もとやかく言ってない。GJの二文字が読めないなら眼科に行け
>>355
文才無いなんてレスがそもそも無い。お前のレスに害意を感じる。とりあえず眼科行け
>>361
もうアレだ、とにかく大きい病院に行け。末期かもしれないけど気を落とすな
>>359
>>364
もう一度SS投下前の書き込みと投下後の書き込みを読んでみよう。わからなかったら親か先生に聞こう

嗚呼、読解力のないゆとりなのか荒らしなのかわかんねぇ…
367名無しさん@ピンキー:2008/05/10(土) 00:34:21 ID:GgkcBfOe
>>364ちゃんとスレ読んでから書き込めよ
空気読めないなぁ
368名無しさん@ピンキー:2008/05/10(土) 00:36:41 ID:PMOuvJOT
      *'``・* 。
       |     `*。 もうど〜にでもな〜れ!
      ,。∩      *
     + (´・ω・`) *。+゚ 
     `*。 ヽ、  つ *゚*
      `・+。*・' ゚⊃ +゚
      ☆   ∪~ 。*゚
369名無しさん@ピンキー:2008/05/10(土) 00:46:12 ID:2w64L3wv
おい魔法かけんなw
370名無しさん@ピンキー:2008/05/10(土) 00:46:15 ID:74ax6CvX
全裸のせいか寒さが身にしみるよ
371名無しさん@ピンキー:2008/05/10(土) 00:46:28 ID:QoDbYZGG
>>366-368
とりあえず>>1を読め
大人なんだから、いやならスルーしろ
あと、俺はもう寝る
372362:2008/05/10(土) 01:17:55 ID:q/qqc4F7
あー、すまん毒めぐがって意味ね
373名無しさん@ピンキー:2008/05/10(土) 01:21:31 ID:q/qqc4F7
荒らしが止まった時期と毒めぐが逮捕された時期があまりに同じすぎる
早計だが毒めぐが荒らしなんじゃないかって事

荒らしの価値観とか、どう見たってまともな精神じゃないし
毒めぐのやった反抗も異常精神者のやることそのものだったし
374トライデント ◆J7GMgIOEyA :2008/05/10(土) 01:27:09 ID:6Us5VwlA
では投下致します
375名無しさん@ピンキー:2008/05/10(土) 01:30:05 ID:rAji1CvJ
>>372-373
お前何がしたいんだ? ここは荒らしの正体を解明するスレじゃないんだよ、いいからもうその話はやめて黙れ
376バレンタインデーSS ◆J7GMgIOEyA :2008/05/10(土) 01:30:25 ID:6Us5VwlA
バレンタインデーSS その2

決戦、当日。
 学園へ登校する時に誰もチョコを手渡す気配もなければ、いつもと何だか変わらない風景に美央は愕然とする。
期待はしていないと言われたら、嘘になるが。地味な自分がチョコを貰えると思っている程、自信過剰でもなかった。

下駄箱の中に確かめても、入っているのは自分の上靴だけだったし。軽く嘆息してから教室に向かうと思わず、自分の目を疑ってしまった。
 美央は登校する時間は遅刻ギリギリの時間帯にやってくる方だが、クラスの男女は半分ぐらいが欠席だと言う。
友人たちも欠席している部類に入っていた。
(一体、何が起きた?)
 出席している男子、委員長をやっている優等生クンに尋ねてみた。

「今日は誰も来てないのか?」
「さあ、知らないな。どうせ、タチの悪い風邪が流行しているんじゃないのかな?」
「どんな風邪なんだ?」
「恋の病。この時期は鳥インフルエンザよりも悪質なウイルスのせいだと僕は思うんだけど」
「そんな、アホな事が……」
 バレンタインデーは男や女にとっては誰もが浮かれるイベントの一つだ。
告白する女の子もいれば、チョコを貰うことを誰かに自慢したがる男子もいる。
そんな奴らが恋の病という抽象的な病で学校を休むとは到底思えない。
 そこで委員長は軽く微笑して、小さな声で俺の耳に吹き込んできた。

「本当のところは、クラスの男子はどこかに監禁されているらしいよ。
それに、女子も好きな男性に告白するためにいろいろと破壊工作を仕掛けている。
調べてみるとウチのクラスと同じ現象が他のクラスでも起きているよ」

「恋の病ねぇ」
 美央は思わず首を傾げたくなる内容に頭を抱えたくなった。
委員長の言う通りにクラスの男子、親友を含めてどこかに監禁されている。
最近になって多発している事件は男性が女性を襲う事件なんて殆どニュースで報道されることはなくなっていた。
今は男性が夜道で気を付けないと女性に襲われる時代になりつつある。
だが、それは自分の知らない所で起きているものだと思っていたが。

奇妙な現象は自分の周囲に浸透していたようだ。
 ということは。
 今、ここにいるクラスの男子や女子はバレンタインデーでありながら、誰かに好かれたり、好きな異性がいない奴らが集まっている。

 つまり、監禁されていない自分は今年もチョコを貰えないことが確定したことを意味している。
 その意味を理解すると、普段あんまり喋らない委員長に礼を言ってから、教室を離れようとドアのとこまで歩いていた。
 親友たちが監禁されているってことは、自分のつまらない意地のために
特製チョコを作った意味がなくなっていた。

親友たちにバカにされないように作ったダミーチョコレートだが、見せる相手がいないのにこんなものを持ち歩いても仕方なかったし。
逆に空席が目立つ教室を見るだけで自分が惨めに思えてきた。
 こんな時はさっさと早退して、バイトでお金を稼いだ方が賢明だ。
 そう決心して、ドアを開けると目の前に見知った相手がいた。

「おはよう。ひ、柊さん!?」
「うん。おはよう。名坂くん」
 一瞬、驚いたのはクラスメイトである柊あさみが美央の記憶にある姿、形が変わっていたからであった。
彼女は昨日まで伸ばしていた清楚な長い黒髪をばっさりと切って、ショートカットにしていたのだ。
彼女とは隣の席で、ちょっと顔見知り程度の仲であったが、この唐突な変化には少しだけ衝撃を感じてしまう
377バレンタインデーSS ◆J7GMgIOEyA :2008/05/10(土) 01:32:42 ID:6Us5VwlA
「髪、切ったの?」
「うん。ちょっとワケありで」
「そうなの。柊さんの長い髪は好きだったんだけど」
「す、すすすすすすす好きって……」
「なんだか、お人形さんみたいに綺麗だったし」
「あ、ありがとう」
 あさみは完熟したトマトのように頬を赤く染めていたが、美央は気にする様子は見せずに他の事を考えていた。

(ワケありで髪を切ったってことは他の男の人に告白して、
フラれてしまったってことなんだろうな)
 と、美央は完全にあさみが髪を切った理由を誤解していた。
彼女も長かった髪を誉められて、彼が誤解した様子に全く気が付くこともなかった。

「名坂くん、もうすぐチャイムが鳴っちゃうよ。どこに行くの?」
「いや、ちょっと早退でもしようかと」
「ぜ、絶対にダメだよっっっ!! 風邪をひいているわけじゃあないんだから。早退するなんて不良がすることです」
「でも」
「でもも、ヘチマもないです。私の目が黒い内はサボリの早退は許さないわ」
「柊さんって、風紀委員じゃあないでしょ」
「あぅ〜」
「わかった。早退なんてしないから」 
 物凄い形相で美央の迫ってくるあさみに彼は早退することもできずに大人しく自分の席の方まで後ろ歩きで戻された。
そこで椅子に座ると、逃げられないように横の席で彼女が厳しい視線で見つめていた。
そのおかげで美央は身動きができない状態にまで追い込まれていた。

 しばらくするとHRを知らせるチャイムが鳴り響いて、それと同時にこのクラスの担任が急いで駆け込んできた。
30代半ばで嫁を募集中の看板を掲げている独身教師。
少し違う方向に熱血になる青臭い教師だったが、今日は妙に興奮していた。

「き、今日は急遽うちのクラスに教育実習をしたいと校長先生と教頭先生に
嘆願した教師希望の女性が一日限定でウチのクラスの担任になることになりました。
では、入ってきてください」


 鼻の息が荒い教師が芝居かかった仕草で教師希望の女性を呼んだ。
教育実習をするには季節外れであり、恋の病でクラスの半数がいない学び場で急遽来ること事態が
不自然な展開に美央は一種の胡散臭さを感じていた。
 今日は、バレンタインデー。一応、特別な行事ではない日に特別なことが起きるのは何かがあると疑うのは当たり前である。
 その女性教師は軽いスキップをして、黒板の中心辺りまでやってくると天使の微笑みで生徒たちに優しく微笑んだ。


「今日、一日お世話になります教育実習をやりたい教師希望の
 柊 ふたみです。どうか、よろしくお願いします」

 誰もが恋に落とせそうな笑顔を周囲に振り撒き、教育実習をやりたい教師希望のふたみは生徒たちの心を掌握するための手段は忘れない。
すでに担任や校長や教頭すらもふたみの魅力と色気の虜となっている。
長身で、長い栗色の髪を妹からプレゼントしたリボンで纏めて、童顔の容姿、整った抜群のスタイル。
人の心を簡単に鷲掴みするには彼女にとってはとても容易いことであった。

 そう、全ては。


(あさみちゃんが、愛しの美央くんにアレを渡せるのか。見届けるために学校まで潜入してきゃったよ)
378バレンタインデーSS ◆J7GMgIOEyA :2008/05/10(土) 01:34:31 ID:6Us5VwlA
 妹の恋路を見守るためだった。
 その事実を知らずに他の生徒たちは新しくやってきた教師希望の先生に好感を抱いているようだった。
「先生は出会い系サイトで知り合った人にプロポーズを言うために早退するから。
後はちゃんと柊先生の言うことをちゃんと聞いて良い子にするんだぞ。
では、後はお任せします。シュワー!!」

 変な掛け声と共に独身教師は光の速さと同じ速度で教室を去っていたが、その事については誰も気にすることはない。
今は教育実習の先生の方に興味が移っていたからだ。

「じゃあ、今日のHRの内容から先に伝えますね。私への個人的な質問は後でね」
 ふたみは生徒たちに連絡事項を伝えると、次の一時限が始まる前にどこかへと去っていた。
恐らく、次の授業の準備のためだろう。
 ふと、隣の席に視線を向けると。
 あさみは派手な格好で机を押し倒すように倒れていた。

「どうしたの? 柊さん?」
「ううん。何にもないから。心配しないで」
 ふたみに目を奪われているおかげであさみが倒れている派手な音が全く聞こえなかった。
まさにあの自己紹介の間だけ別空間に飛ばされているのか、隣にいる彼女の事が全く目に映らなかった。

「大丈夫?」
「ありがとう」
 美央が優しく手を差し出すと、あさみは先程のふたみとは劣るとも勝らない蔓延なる笑顔を浮かべて、頬を朱に染めていた。
握った手の感触は柔らかく温かい。女の子特有の温もりに彼は胸のときめきを感じながら、慌てて視線を逸らした。

「教師希望の教育実習のもどき人はわたしのお姉ちゃんなの」
「へぇ、そうなんだ?」
「まさか、本気で学校まで私の恋路の邪魔をしてくるなんて……」
「恋路の邪魔?」
「ううん、なんでもないから気にしないで」
 そう言うとあさみは自分で倒した机と椅子を元に戻し、散らばった教科書とノートを拾い始めた。
美央は手伝いもせずに傍観していた。先程の印象深く残る教師希望の女性が彼女の実の姉だと言う。
そういえば、穏やかな雰囲気と可愛らしい容姿などはあさみとふたみは酷似している。
髪さえ切らなければ、双子だと言われても信じてしまうだろう。

「もうすぐ、授業が始まるな」

 授業が始まると、クラスの人数は10人以下に減少していた。
379バレンタインデーSS ◆J7GMgIOEyA :2008/05/10(土) 01:37:20 ID:6Us5VwlA
 そして、放課後。
 クラスの人数は三人になっていた。夕日が見え始めている放課後の教室にいるのは、美央、あさみ、ふたみの三人が帰りのHRを始めていた。
「規律」

 すでに朝の時に会話をした委員長を含めた、登校したはずのクラスメイト達が
どこかに姿を消している異常な事態に美央は危機感を覚えていた。
委員長が言っていることがクラス全体、いや、学校全体に起きた可能性がある。
恋する乙女が想いを込めて作った、バレンタインデーという日はその想いを愛しい相手に伝えるのには相応しい行事。
その想いは暴走して、一人の男性を複数の女性が奪い合うことになる。
一度、紛争が起きてしまうと相手の命を断つまでは争いは決して終わらない。
最後に勝利した人間が愛しい人を永遠に自分のモノにしてしまう、恐ろしい女の執念。
 恋する病とは言ったものだ。
 この状況は……仕組まれている。

「礼」
 一日、担任の代わりを勤めてくれたふたみに軽く会釈すると、
美央は駆け足で教室から出ようとしたが、隣の席にいるあさみに腕を掴まれた。

「わかっているんでしょう?」
 妖艶な笑みを浮かべて、あさみは言った。
「名坂くん、いえ、美央くん」
「何を?」
「クラスメイトがいなくなったのは、残っていた男子生徒を好きだった女子生徒が連れ出した。
そこで残ったのは……私と美央くんだけ」
「お姉ちゃんは?」
「ずっと、待っていた。この日を。美央くんが私だけのモノになる日を」
「だから、お姉ちゃんは?」


「あの日からずっとずっと美央くんのことが大好きだったんだよ。
席替えの時に美央くんが隣の席にやったときは心臓が止まるぐらいに嬉しかった。
それから、ずっと美央くんのことが好きで好きで好きで、私のモノにしたかったんだよ!!」

「完全にお姉ちゃんはスルーですか?」
「愛しくてたまらないけど……」
 美央を掴んでいる腕に更に力が込められ、あさみは後ろを振り向いた。黒板にいるふたみに向けて言った。
「ちょっとお姉ちゃん。黙っていてよ。今はいいところなんだから」
「妹の恋を応援するのも姉心をもっと尊重するべきよ」
「お姉ちゃんは妹の恋路を邪魔しているだけでしょ」
「天国に逝ってしまったお父さんとお母さんに見せるためにあさみちゃんの恋が成就する瞬間をHDDに保存して、
動画投稿サイトにうpする使命が」

「ないわっっ!! それにお父さんもお母さんも生きてるしっっ!!」
「ちぇっ!!」
「ちぇっじゃないでしょっっ!! 美央くんがいるのに格好悪い真似はよしてよ。
身内の恥を晒したくないわっ!!」
 姉妹の痴話喧嘩を茫然と美央を眺めていた。
普段の学校生活には見られない大人しいあさみのイメージは音を立てて崩れ去ってゆく。
それはとても新鮮で彼女を身近に思えるのはいいのだが、この後の展開を考えると自分の人生に些かの不安を覚える。
 それらを回避するためには、今日の日のために用意していたアレを使う。
姉妹が言い争いの時に夢中になっている間に拘束されていない片腕で器用に鞄の中身からアレを取り出す。
女の子が好んで使いそうな包装紙に、ピンクのリボンが結ばれているダミーチョコがこんなとこで役に立つと自分でも思ってもみなかった。

「あの。二人とも」
「美央くん、今、ゴキブリにも劣る姉を黙らせるので。もうちょっと待ってください」
「だから、これを見て」
「んっ? み、み、み、美央くん?」
380バレンタインデーSS ◆J7GMgIOEyA :2008/05/10(土) 01:39:11 ID:6Us5VwlA
 それを見た瞬間にあさみの顔色が徐々に生気が失われてゆく。
「おおっ。それはあさみちゃん以外の女の子からの本命チョコ? 美央くんって以外とモテるぅ」
「そういうわけなんだ。すでに柊さん以外の女の子からチョコを貰っているんだ。当然、その人の気持ちに受け入れたっ!!」

 あまりの芝居の下手さに美央自身もあさみを騙せるとは思っていないが、
恋する乙女にとっては好いていた男が他の女の気持ちを受け入れたという事は、彼女の冷静さを失うには充分であった。

「う、う、嘘だよね? 美央くん」
「本当なんだ。こんな立派なチョコをくれる女の子だぞ」
 と、包装紙を破って、自分が作り上げたチョコレートをあさみに見せ付けた。
自慢ではないが、そこら辺の女の子よりも技術は格段と上だし、玄人に負けない自信だってある。
それ故に彼女も相手が想いを込めて作った物だと誤認させることができたのか、瞳孔が開いたままだ。

「そういうわけだ。柊さんの気持ちは有り難いけど、ごめんなさい」
 掴まれていた腕が離される。美央は教室から出ていこうとするが、落ち込んでいるあさみの姿に罪悪感を感じるが仕方ない。
 だって、今日はバレンタインデーなのだ。
 女の子がモンスター化する日に付き合うなんて考える奴はいない。
想いの果てにどんな惨劇が起こるのかはニュースで何度も報道されているのを知っているし、
今日さえ過ぎてしまえば、女の子たちは元に戻るはずだと美央はそう思っていた。
 だが、その思惑は外れていた。

「み、み、み、み、み、美央くん。待ってよ。私も作ったんだよ」

 焦点の合わない瞳で美央がいるドアの付近を見つめて、あさみは走りだした。
その彼女の表情に恐怖した自分の反応は速かった。廊下に出て、二階の窓から飛び降りた。

着地した衝撃で足首が少し捻った音がしたが、それでも構わずに足は前へ動かしていた。
この女に捕まると命はない、とっとこの校内から逃げ出した方が賢明だ。

 下靴にはき換えるために下駄箱へ向かった。
381トライデント ◆J7GMgIOEyA :2008/05/10(土) 01:40:28 ID:6Us5VwlA
投下終了です

次回でバレンタインデーSSは最終回の予定です
では。
382名無しさん@ピンキー:2008/05/10(土) 01:45:07 ID:oJ/E99Qz
GJ! やっぱり投下があるのが一番だな。
この大騒動がどう収縮するのか楽しみにしてます。
383名無しさん@ピンキー:2008/05/10(土) 01:47:32 ID:rAji1CvJ
割り込んでしまって済まなかった、続きに期待してます
384名無しさん@ピンキー:2008/05/10(土) 02:18:46 ID:3KbdBP/C
>>381
GJ! 最終回に期待。
385名無しさん@ピンキー:2008/05/10(土) 07:19:17 ID:vzCXxC/U
>誰も若草物語のエロパロが読みたいと言っていない。5年ROMれ

>347
おいヤス…それ若草…まあいい



>文才無いなんてレスがそもそも無い。お前のレスに害意を感じる。とりあえず眼科行け

>349
大人しく才能あふれる誰かの投下を待つことにするぜ。
386名無しさん@ピンキー:2008/05/10(土) 07:40:58 ID:BYV43/XD
ブルドーザーキタwww
GJ!
最終回期待してるぜ!
387名無しさん@ピンキー:2008/05/10(土) 08:04:18 ID:B2b2qall
軽油が安い時しか動けないブルドーザーってなんなの
2月半ばの工期に間に合わないんじゃいくら馬力があってもな
時期を逸しすぎてて、ヘタレの印象を受けるのは否めないな
まあお疲れさん
388名無しさん@ピンキー:2008/05/10(土) 10:36:58 ID:pCdP7Iej
>>381
ヒロインの姉が暴走しすぎてワロタw
妹の恋路を応援するために、学校の教師に赴任するとはwwwww
GJすぎるww
389名無しさん@ピンキー:2008/05/10(土) 11:05:41 ID:IoVuYVRv
規律w
390名無しさん@ピンキー:2008/05/10(土) 16:04:46 ID:QN7D9rpl
なんか吃音が酷くて萎えた
裸の大将を彷彿とさせる
391名無しさん@ピンキー:2008/05/10(土) 18:32:50 ID:RShCoqoF
トライデントは自意識過剰だから仕方ない
言っても聞かないし
392名無しさん@ピンキー:2008/05/10(土) 18:34:29 ID:Mz5v4g4Z
ここまでが単発ID
393名無しさん@ピンキー:2008/05/10(土) 18:45:42 ID:57hM1Caz
こんなに大勢に嫌われてるなんて
トライデント氏って過去に何かしたのか
394名無しさん@ピンキー:2008/05/10(土) 18:49:53 ID:mZOgbMpC
トライデント氏って書いたことから蒸し返したいって気がモロバレな件
395名無しさん@ピンキー:2008/05/10(土) 19:02:13 ID:57hM1Caz
???
396名無しさん@ピンキー:2008/05/10(土) 19:15:17 ID:mZOgbMpC
まあ、知ってても知らなくてもどっちでも良いことだから余計なことは言わず黙ってな
397名無しさん@ピンキー:2008/05/10(土) 20:08:42 ID:57hM1Caz
>>396
いや、ごめんな
ここで書き手やろうかと思ってる者なんだけど
なにか犯せば叩かれるようなスレのタブーでもあるのかと思って
気に障るようなことをしたのなら謝るよ
398名無しさん@ピンキー:2008/05/10(土) 20:11:54 ID:diiVtkyk
うるせえ黙ってろ
399名無しさん@ピンキー:2008/05/10(土) 20:19:19 ID:ccw/x8oQ
>>397
止めておいた方がよさそうだ
何にでも噛み付く狂犬みたいなのがウロチョロしてるみたいだし
400名無しさん@ピンキー:2008/05/10(土) 20:39:27 ID:Mz5v4g4Z
>>397
ヒント >>392
401名無しさん@ピンキー:2008/05/10(土) 20:55:36 ID:TYfCQ0Nv
>>397
叩かれるということは人気がある証拠だよ
402名無しさん@ピンキー:2008/05/10(土) 21:47:37 ID:4IWcNV16
>>397
半年ROMれ
403名無しさん@ピンキー:2008/05/10(土) 22:24:53 ID:oJ/E99Qz
眠い。次の投下まで寝るわノシ
404名無しさん@ピンキー:2008/05/10(土) 22:25:14 ID:zx/9dPkv
投下します
405鋼鉄のメイドと天使の嫉妬 ◆GK0sdi5g3w :2008/05/10(土) 22:26:17 ID:zx/9dPkv
 どうしてこんなことになっちまったのか。
 僕は未来からきたアンドロイド少女のウルスラに命を狙われていた。
 なんでも僕の精子を独占し、未来で不当な利益を貪るのが彼女のご主人様の目的らしい。
 純真な僕はアンドロイドの卑劣な罠にはまり、まんまと精子を奪われてしまった。
 しかもそれが原因で、今度は幼馴染みの真理亜まで怒らせてしまったから大変だ。

 なにせ、ウルスラの内部構造──僕から抜き取った精子を貯蔵しておくタンクの設置箇所が悪かった。
 どうしてヘソ下三寸、つまり子宮があるべき場所なんかにタンクを格納してるんだよ。
 お陰でウルスラがどんな手法で僕から精子を抜き取ったのか、一目で真理亜にばれてしまった。
 しかも精子の入った容器を取り出し、勝ち誇ったように真理亜に見せつけるなんて。
 あれじゃ真理亜を挑発しているようなもんだ。
 そして、怒りの矛先はどういう訳か僕に向けられたのだった。

 逆上した真理亜はウルスラより始末が悪かった。
 真理亜が僕のことを大事に思っているのは知ってる。
 そんなものは日頃の態度を見ていれば一目瞭然だ。
 だから、僕が他の女の子とセックスしたことで、裏切られた気分になったのだろう。
 と言いながら、自分は神に仕える身であり、僕にセックスどころかキスすらさせるつもりはないんだから。
 けれど彼女にしてみれば「私が我慢しているのに、あなたはなんですかっ」って理屈になるんだ、これが。

 勝手なものだ。
 焼き餅は嬉し恥ずかしだけど、程度の問題だよ。
 適温を超えりゃお餅だって焦げちゃう。
 そんなに妬けるんだったら、堅苦しい神の教えなど捨てちまえばいいのに。
 だいたい、マシンガンで“心の夫”を撃ちまくるのは、神の教えに外れてやしないか。
 だが、今の真理亜に何を言っても耳を貸してくれないだろう。


 ちっちゃい頃、僕と真理亜がままごとをしている時のエピソードだ──
 真理亜がコンソメを買い忘れたうっかりものの新妻を演じ、僕がゴザの上で彼女の帰りを待っている時であった。
 偶然通りかかった近所の女の子が「何をしているの」って話し掛けてきた。
 僕は退屈していたこともあって、彼女が持っていた絵本にすっかり夢中になってしまった。
 いつしか2人は仲良く並んで寝そべり、肩を寄せ合ってページを捲っていたのだ。
406鋼鉄のメイドと天使の嫉妬 ◆GK0sdi5g3w :2008/05/10(土) 22:26:58 ID:zx/9dPkv
 そこへルンルン気分の真理亜が帰ってきたからまずかった。
 真理亜は顔色を変えると、ゴザの上に──律儀にも玄関の場所に回り込んで──飛び上がってきた。
 そして手近のフォークを掴み取ると、この僕を突き刺そうと追いかけてきたのだ。
 僕は怖くて泣きながら、ひたすら逃げ回った。
 偶然通りかかった大人が止めてくれなかったら、僕はどうにかされていたかもしれない。

 何とか命拾いした僕だったが、その後彼女が3日も口をきいてくれなかったのを覚えている。
 真理亜はそれだけ嫉妬深く、執念深い女なのだ。
 とにかく、今回も彼女のお怒りが静まるまでの間、ひたすら逃げなければならない。


 僕は取り敢えずボート小屋の中を見回し、どれくらいここに潜んでいられるかを考えてみた。
 長らく使われていなかったため、壁の羽目板がところどころ朽ちている。
 調度品も残っておらず、窓ガラスはことごとく割れてしまっている。
 壁に埋め込まれた大きな姿見だけが割れずに残っており、それがかえって不気味であった。
 朽ちかけて目立たぬ廃屋とは言え、周囲には他に身を隠せそうな建物はない。
 ここが目を付けられるのに、さほどの時間を要すまい。
「考えろ……考えるんだ……」
 何を?
 まずは現在の戦況をだ。

 フィールドは南北に流れる大川の右岸に面した河川敷。
 東を河川、西を堤防で仕切られた細長い川原で、大木や建築物がほとんど無いため視認性はよい。
 存在するユニットは僕と真理亜とウルスラの3つ。
 それが敵と味方に分かれて争っている。
 真理亜とウルスラが共闘し、僕は1対2の孤独な戦いを強いられているのだ。
 現状では、まず勝ち目はない。
 彼我の戦力差は圧倒的であった。

 となれば、僕が取るべき戦略は一つだけだ。
 いたってシンプルだが、敵のいずれかを味方に付ければいいのだ。
 2対1になれば戦力差は劇的に逆転する。
 それ以外にここを脱する手段はない。
407鋼鉄のメイドと天使の嫉妬 ◆GK0sdi5g3w :2008/05/10(土) 22:31:13 ID:zx/9dPkv
 ならば、味方にすべきは幼馴染みのシスターか、それとも未来人が送り込んできたターミネーターか。
 普通なら、真理亜に謝り倒して許しを乞うべきだと思うだろう。
 だが、それはキレた時の真理亜を知らない赤の他人の発想だ。
 謝罪を終える前に僕が射殺される可能性は非常に高い。
 この場面では、ウルスラを味方に付けるのが正解なのだ。

 そんなことできるのかって?
 困難なように思えるが、正面から真理亜に許しを乞うより成功率はかなり高い。

 一見、2人は僕を射殺しようと、共通の認識を持って行動しているように見える。
 だが、その動機となると全く趣旨を異にしている。
 一方は単純に、嫉妬心から来る怒りを充足させるため。
 そしてもう一方は、僕の造精機能を損なわせ、自分が奪い取った精子を唯一のものにするために。

 そう、ウルスラは決して僕の命を奪うためにマシンガンをぶっ放しているのではない。
 彼女の行為は「僕にこれ以上の精子を作らせない」という目的を達成するための手段に過ぎないのだ。
 そしてこの動機の違いこそが、僕を救ってくれる一本のクモの糸なのである。

 僕はボート小屋の川に面した扉を開けた。
 直ぐ下が川になっており、冷たそうな濁り水がゆっくりと流れていた。
 僕は制服のシャツを脱ぎ捨てて真っ裸になる。
 幸か不幸か、下は元々すっぽんぽんなので脱ぐ必要がなかった。

 足先をそっと流れに落としてみると、まだ水遊びには適していない温度であった。
 それでも射殺されるよりはマシなので、我慢して肩まで水に浸かる。
「これは未来の息子に対する贖罪なんだ」
 僕は覚悟を決めると大きく息を吸い、川の中に全身を沈めた。
 何のためにそんなことをしてるのかって?
 それは勿論、ウルスラに搭載された熱源探査装置をかいくぐるためだ。

 今、ウルスラの視覚は、周囲の景色をサーモグラフで捉えている。
 冷たい部分ほど青く暗く、そして暖かい部分になるにつれて黄色から赤くグラデーションが掛かって。
 つまり、気温より高い熱源体は赤く表示され、何処に潜もうがたちどころに見つかってしまう。
 僕が季節はずれの水遊びを楽しんだのは、皮膚の温度を気温以下に落とすためである。
 これならしばらく僕の体は風景に溶け込んでしまう。
 まさに現代に蘇った天狗の隠れ蓑。
 僕はまんまとウルスラの足元に忍び寄ることに成功した。
408鋼鉄のメイドと天使の嫉妬 ◆GK0sdi5g3w :2008/05/10(土) 22:31:52 ID:zx/9dPkv
 この時、彼女が他の探査装備──例えば高性能集音装置などを併用していたら、僕は忽ち撃ち殺されていただろう。
 天は僕に味方したのだ。

「ゴメンな」
 僕が声を出したのは、ウルスラの左手から精子で満たされた容器を奪い取った後だった。
 咄嗟には反応できないでいるウルスラを無視し、僕は容器の中身を地面にぶちまける。
 そしてご丁寧にそれを川に投げ捨ててやった。
 ウルスラは──と見ると、やっぱり全くの無表情であった。
 しかし先入観を排して観察すると、何が起こったのか理解できなくてポカンとしているようにも見える。
 出会って初めて、彼女の表情が状況と一致した瞬間であった。

「やっぱり可愛いな」
 近くで見ても、とても機械人形とは思えない。
 ドキドキしたのがマズかったのか、僕の体温が急激に上昇する。
 目の前にいきなり赤い人型の映像が現れても、ウルスラは驚いたりしなかった。
 きわめて合理的に、熱源探知を停止して通常視覚モードに切り替えただけであった。
 そして空になった左手を見詰め、ゆっくりと僕の顔に視線を戻した。
「もう一度……サトシと……する……」
 ウルスラはぎこちない動きでメイド服の前を開いた。

 出たぁ〜っ、夕張メロンオッパイ。
 そして伸びやかなおみ足と優美な丸みを帯びた下腹部の交わる辺りには、髪よりやや暗めの茶色の翳りが──
 するっ、しますとも。
 いや、させて欲しい、是非にも。

 でも今すぐこの場では無理だ。
 土手の上から怖い顔をしたシスターが駆け下りてくるところだから。

「さ、俊さんっ。あなたという人は……性懲りもなくぅっ」
 真理亜は落ち着くどころか、むしろ先程よりも血迷っているようだった。
 彼女の目はウルスラの爆乳と直立した僕の相棒に釘付けになっている。
 貧乳で潔癖なシスターは、その両方がお気に召さないのだ。
「いいから、そこに直りなさぁ〜いっ」
 真理亜のM60からダンダンダンッと銃声が轟き、機関部から金色の空薬莢がバラバラこぼれ落ちる。
 フルメタルジャケットの7.62ミリ弾が雨霰と飛来し、僕の体を掠めるようにして飛び去っていく。
409鋼鉄のメイドと天使の嫉妬 ◆GK0sdi5g3w :2008/05/10(土) 22:33:26 ID:zx/9dPkv
 うわっ、完全に本気狙いだよ。
 命中しないのは、単に真理亜が銃の反動を押さえ切れていないためだ。
 こういう場合、下手に逃げたら余計に危険だ。
 と言って、その場に伏せていたら真理亜との距離が詰まり、それに比例して命中率は確実に高まっていく。
 だが、僕は余裕を失ったわけではなかった。
 なぜなら僕の仕掛けた奇計はこれからが本番なのだから。
 いよいよ真理亜との距離が、長物では至近とされる50メートルを割った時であった。
 ピシッとかピューンとかいっていた弾丸の唸りが、ガンガンガンッという打撃音に変わった。

 そっと顔を上げると、ウルスラが僕に背を向けて立っていた。
 両手を一杯に広げ、健気にも体を張って僕を守るかのような体勢で。
「サトシは…死なない……私が守る…から……」
 ウルスラは首を巡らせて、肩越しに端正な横顔を見せた。
 そうなのだ。
 ウルスラは身を挺して僕を守ろうとしているのだ。

 確かに先程まで僕を殺そうとしていたウルスラであった。
 だが、精子のサンプルを失ったことにより、彼女のミッションは振り出しに戻ってしまったのだ。
 彼女は再び僕から精子を抜くまでの間、僕の命を守ることを最優先しなければならないのである。
 これが僕の仕掛けた計略の全貌である。
 幾ら何でも、女の子から身を守るのに浮気相手を盾にするのは格好悪いと思うけど──

 だが、鬼の形相で突っ込んでくる真理亜を見ていると、恥も外聞も無くなった。
 僕はウルスラの背中にしがみつき、真理亜の凶銃から身を守る。
「アンタ、そこどきなさいっ。俊さんを狙えないっ」
 真理亜の放ったNATO弾がウルスラの体に弾かれてガンガン跳ね返る。
 彼女のボディは、そっと触る分にはプルンプルンしていて気持ちがいい。
 しかし、一定以上のエネルギーで打撃を受けると瞬時に硬化する特殊装甲なのだ。
 実に素晴らしい。

 ウルスラは右手を前に突き出すと、指に仕込んだマシンガンを真理亜に向けてぶっ放した。
 瞬時に右へ横っ飛びし、そのまま転がって岩陰に隠れる真理亜。
 いったい何処であんな動きを身に着けたのか。
 一度、彼女が2年間過ごした修道院について詳しく教えて貰おう。
 また今度、彼女が落ち着きを取り戻した時にでも。

「じゃあ頼んだよ、ウルスラ。続きは今晩10時にあのボート小屋で」
 僕は朽ちたボート小屋を指差すと、その場から脱兎の如く逃げ出した。

 今夜が聖ミカエル教会ではミサが行われる大事な日であることなど、先刻ご承知の僕であった。
410名無しさん@ピンキー:2008/05/10(土) 22:35:04 ID:zx/9dPkv
どうもです。

これって質の悪い冗談かと思うけど、実はこの第2話の最後に若草物語について言及する場面があるのですよ。
全くの偶然なんですが。
仕事の関係でここ1ヶ月ほどネット繋げられなかったんですけど、その間もSSの荒書きだけは3話分していたのです。
だから前回「これが若草物語だと」なんて言われたものだから「えっ、予告なんかしたっけ?」なんて驚いてしまいました。

このまま投下すれば荒れる原因になるかなとも思いましたが、後々の大事な伏線ですので元のまま投下することにしました。
他意はありませんので、次回その場面が出てきても何気に流していただけるよう、よろしくお願いしますね。
411名無しさん@ピンキー:2008/05/10(土) 23:47:23 ID:3KbdBP/C
>>410
気にすんな、偶然の一致です。
主人公の自覚なき加害者っぷりが楽しい。GJ
412名無しさん@ピンキー:2008/05/11(日) 00:32:00 ID:VhlvRftG
偶然の一致だろ。つーか面白いぐらいタイミングの神だな
>>339の後も>>403の後も書き込みの時間みたら素晴らしいタイミングだな。狙ってできるもんじゃねぇ
いろんな意味で空気読んでるな。そんな君にGJ!続き期待して待ってるぜ
413名無しさん@ピンキー:2008/05/11(日) 01:10:54 ID:Jyuy2zfX
まぁ、若草物語知らない俺は勝ち組みだな
414名無しさん@ピンキー:2008/05/11(日) 01:12:26 ID:n+WXqBZi
ナンとジョー先生のことだろw
415名無しさん@ピンキー:2008/05/11(日) 01:36:32 ID:0cvQJw/k
逆光源氏マダー?
416名無しさん@ピンキー:2008/05/11(日) 02:08:23 ID:SV2BHOJ/
>一定以上のエネルギーで打撃を受けると瞬時に硬化する特殊装甲
トランスフェイズ?
417全部欲しい! ◆YiiBfqbdxs :2008/05/11(日) 10:13:40 ID:7+FtFmmY
投下します。
418全部欲しい! ◆YiiBfqbdxs :2008/05/11(日) 10:14:50 ID:7+FtFmmY
 言いました。
 ついに言う事が出来ました。

 ずっと胸に秘めていた、”好き”の一言を。


 今日、その一言を言えたのには、理由があります。

 彼が私以外の人間と、親しくお喋りしているところを、2回も見せられてしまったから。


 私は、彼以外の人とお喋りしません。
 なのに、彼は私以外の人とお喋りします。

 それが、私に拷問のような苦しみを与えてくるのです。


 最初に話していたのは男の人でした。

 空気の読めない人って、本当にいるんですね。

 私と本庄君との世界に土足で入ってきたばかりでなく、
 本庄君に、嫌な女の事を思い出させます。
 この男と話をするのは嫌だったけど、私はこの男を叱り付けてしまいました。


 次に本庄君が話したのは、女でした。

 頭の中身が入っていなさそうな、軽い女です。

 その眼も濁っています。
 私と本庄君は、恋人同士なのではなく、
 一つなのですから。
 こんな女と話をしていたら、本庄君まで腐ってしまいそうです。


 もう私が耐える事は出来ません。

 だから言いました。


 不安はありません。
 自信があります。

 本庄君も私の気持ちと同じだと。

 そして、正真正銘、本当の二人だけの世界を作っていけると。
419全部欲しい! ◆YiiBfqbdxs :2008/05/11(日) 10:17:19 ID:7+FtFmmY
2
 僕は身動きがとれなくなった。

 松下さんは、僕に対して”大好き”と言った。
 その言葉の意味が僕には分からない。
 一人の友人として、とも思うし、それ以上の意味も含まれているよう感じも覚える…。

 混乱する僕を見据えるように、松下さんが言葉を続ける。
 「好き、そんな言葉は私の気持ちには浅い言葉になるかな、だから…」
 「愛しています。」
 真っすぐに、僕の眼を見つめながら、真剣な表情で言う松下さん。

 僕は何も答える事が出来ない。 
 この時の僕は、多分固まっていたと思う。

 松下さんの事は間違いなく好きだ。
 その好きは、親友に対する好きで…、
 でも、松下さんが僕に対する好きは、違う意味での好きだから…、
 松下さんの好きも、僕と同じ意味、そう思いたかったけど、
 だとしたら、愛してるなんて言葉は使わない訳で…。

 思考は混乱し、まとめようがない。

 そんな僕に、松下さんが言う。
 「私は本庄君の全部が欲しいから、私の気持ちを知って欲しくて…」
 途中から、何を言っているのか分からない程にかすれた松下さんの言葉、
 それが僕に、松下さんの気持ちの強さを、思い知らさせた。
420全部欲しい! ◆YiiBfqbdxs :2008/05/11(日) 10:18:42 ID:7+FtFmmY
 僕は何も出来ずにいた。

 松下さんの気持ちに、どう答えて良いのか、分からなかったから。

 松下さんは、もっとも気の合う友人で、でも、それ以上には考えた事はないし…、
 混乱を深める思考、
 言葉がない。

 「私、本庄君の事…、ただの友人でなんて終わりたくないから!」
 僕の考えを読み取ったかのように、松下さんが叫んだ。

 それに僕は、
 「えっ…?」
 という、間抜けな返事が出ただけだ。

 少しの沈黙、
 そこで僕は何かを言おうとした。
 でも、それは出来なかった。
 何か柔らかい物で、僕の口は塞がれてしまったから。

 それが、松下さんの唇だと気付くのには、少しだけ時間が必要だった。


 「えっ、えっ…何を…」
 松下さんを強引に引き離した僕は、上手く回らない舌を懸命に動かし、辛うじてそんな言葉を吐いた。

 「知って欲しかったから…」
 小さく、でもしっかりと松下さんが言う。
 「私の言葉が本気だって事に」
 真摯に僕の眼を見つめての強い言葉。

 それに対して、情けない事に僕は何も答える事が出来ない。
 頷く事さえ出来ず、ただ呆然としていた。

 松下さんが女性だという、当たり前の事実を思い知っただけだった。


 だから僕は気付く事が出来なかった。

 この時の僕らを見つめる、強い視線があった事に。
421全部欲しい! ◆YiiBfqbdxs :2008/05/11(日) 10:20:09 ID:7+FtFmmY
3 
 「ふざけるな!」
 その場面を目撃してしまった里沙が、吐き出すように呟く。

 「ふざけるなふざけるふざけるなふざけるなふざけるなふざけるななふざけるなふざけるな!」
 何度となく、憎悪と憤怒を込めて繰り返す。


 里沙は憎む。
 「あの女は一体、何のつもりだ!」
 「何で人の物に手を出しているんだ!」

 里沙は怒る。
 「光彦は一体、何をしているんだ!」
 「あんたは、アタシがいてこその存在じゃないのか!」

 強い意思と鋭さを持った視線で、里沙は二人を睨み付ける。


 それでも里沙は、それ以上に動こうとしない。

 動くべきは、本庄光彦だと考えている。

 今すぐに自分の存在に気付き、自分に土下座する為に、走って来るべきだと、考えている。


 里沙自身、自分が今、嫉妬している現実に気付いている。
 気付いているからこそ、そう考える事で、動こうとしないのは、彼女のプライドからだろう。


 「何をやってんの、里沙?」
 「え、えっえ…!」
 唐突に、そんな風に後ろからかけられた声に、里沙は思わず慌てた。

 振り返れば、そこには親友である宮田奈美が、笑みを浮かべながら、立っていた。

 「べ…別に、なにもしてないよ…」
 「アンタこそ、何やってんのよ!」
 自分の気持ちを隠す為、里沙が懸命に声を上げる。
 奈美は、そんな里沙の気持ちに気付いているのか、
 「私も、何もしてないよ」
 と、クスクスと笑いながら言う。
422全部欲しい! ◆YiiBfqbdxs :2008/05/11(日) 10:21:58 ID:7+FtFmmY
 正直なところ、里沙は、この宮田奈美という友人が苦手だ。
 今がそうであるように、どこと無く嘲笑しているような笑みを何時も浮かべているだけでなく、
 勘が鋭く、人の気持ちを見抜いたような発言をする事が多いから。
 直接に口にした事はないが、奈美はおそらく、里沙の本庄光彦に対する感情にも気付いている。
 少なくても、里沙はそう考える。

 ”やり切れない相手だな”
 溜め息混じりに里沙は思う。
 おそらく奈美は、自分が何をしていたのか、分かっているのだろう。
 その上で聞いてきたのだろうから。


 「まあ、里沙が何を考えているかは知らないけど…」
 笑いを止め、少しだけ真面目な顔で奈美が言う。
 そして里沙の後ろ、すなわち本庄達がいる場所を見ながら、
 「欲しい物があるなら積極的に動かないと、手に入らないよ?」
 と、まるで囁くように里沙に語る。

 「ア…アタシは別に欲しい物なんて…」
 「隠さない隠さない」
 反論の声を上げた里沙に、奈美が薄ら笑いを浮かべながら言う。
 「もっと積極的に動きな?じゃないと逃げられちゃうよ」
 からかっている様にも、親身になってくれている様にも感じる一言に、里沙は言葉を失う。

 「積極的に…か」
 それは里沙がそれまでに考えた事のない言葉、
 光彦が動くべきだ、そう考えてきたのだから。

 「そうそう、私も協力してあげるから!」
 「協力って…?」
 自身ありげに言う奈美に、里沙が聞く。

 「知らなかった?私、本庄とは結構仲イイんだよ」
 笑みを浮かべたまま、片目を閉じて言う奈美、
 「だから、何か分かったら、すぐに里沙に連絡するからね!」
 とそれだけを言うと、用事があるから、とその場を後にした。


 「動かないとダメか」
 一人残された里沙が呟く。
 本庄と奈美が関係ある事を、里沙は今まで知らなかった。
 あの女の事も、知ってはいたが、軽く考えていた事実もある。

 「やっぱり、ヤらなきゃダメか…」
 本庄がいた場所を睨みながら呟く。
 既にその場に二人の姿は見えなくなっていた。
423全部欲しい! ◆YiiBfqbdxs :2008/05/11(日) 10:23:05 ID:7+FtFmmY
 里沙は考える。
 本庄光彦にとって、自分、立木里沙がいれば、それだけで良いのではないか、
 他者の存在など、まるで必要ないのではない。
 本庄光彦は自分の為だけの存在なのだから。
 そろそろ、その真実を分からせる必要がある。

 方法は幾つかある。
 実行すれば、本庄光彦は確実に自分だけの物となる。
 そのうちの、どの手段を持って、この真実を分からせるか、まだ里沙は決めてはいない。

 「少しだけ待つかな」
 里沙はそう呟いた。

 どの手段を使うにせよ、その後の光彦が、日常生活を送れなくなるのは間違いがない。
 だから、里沙も少しだけ仏心を感じていた。

 ”奈美からの話を聞いてからでも遅くはならないだろうし…”
 里沙は、そう甘く考えていた。


 「欲しい物があるなら、積極的に動かないと、ね」
 里沙から大きく距離を取った場所、
 そこで宮田奈美が呟く。

 その視線は、里沙のいる方、
 更に言えば、本庄がいた方角へと、向けられていた。
424全部欲しい! ◆YiiBfqbdxs :2008/05/11(日) 10:23:39 ID:7+FtFmmY
投下終了です。
425名無しさん@ピンキー:2008/05/11(日) 10:36:52 ID:99ht3kMb
転帰予報マダァ?
426名無しさん@ピンキー:2008/05/11(日) 10:41:59 ID:rwa9CqdX
>>415
逆光源氏ってのはどういうのだ?
男が次々に言い寄ってくるのか
俺はそんなの御免だぞ
427名無しさん@ピンキー:2008/05/11(日) 11:26:01 ID:eQZsIbAA
GJ!!
続きに期待
428名無しさん@ピンキー:2008/05/11(日) 11:52:22 ID:oK8u7OVi
さぁラーメンでも食いに行くか

>>427
空気読め
429名無しさん@ピンキー:2008/05/11(日) 13:11:22 ID:d7nqwEGx
乙です

冬の星空の続編まだーー!!!!!
430名無しさん@ピンキー:2008/05/11(日) 13:53:05 ID:ZYFXoaxP
やっぱ塩豚骨に勝るラーメンはないよな
431名無しさん@ピンキー:2008/05/11(日) 15:30:50 ID:SiMjgz1G
>>424
GJっす!いよいよ色々と動き出すか…次回が楽しみだ!
432名無しさん@ピンキー:2008/05/11(日) 17:19:36 ID:0Rb+gKck
>>410
>>424
ふたりともGJです
期待しとります
433名無しさん@ピンキー:2008/05/11(日) 18:53:20 ID:eQZsIbAA
>>428
お前が読めやwww
ラーメンてウケ狙いかよwwww
434名無しさん@ピンキー:2008/05/11(日) 19:07:26 ID:uJkDECi0
>>428
アホだ・・・本物のアホだ・・・
435名無しさん@ピンキー:2008/05/11(日) 19:11:24 ID:MrtRa/6c
>>410
>>424
GJ!次回をwktkしてお待ちしております
436名無しさん@ピンキー:2008/05/11(日) 19:18:53 ID:E8/pxT1c
また泣くことになるのに・・・
437名無しさん@ピンキー:2008/05/11(日) 20:00:41 ID:qAtaIwZJ
投下があるって有難いな。
二人ともGJ
438名無しさん@ピンキー:2008/05/11(日) 20:32:28 ID:gtesApdS
あれ?まとめにあった先輩と後輩の剣道のなんやかんやってどこ行った?
あの先輩が交通事故にあって復讐するやつ
439名無しさん@ピンキー:2008/05/11(日) 20:35:22 ID:LvIUUgC6
ヤンデレスレじゃなかったかな
440名無しさん@ピンキー:2008/05/11(日) 20:40:17 ID:gtesApdS
>>439
まじか!2時間くらい寄り道しながら探してたんだが…
サンクス!
441名無しさん@ピンキー:2008/05/11(日) 20:46:22 ID:zMS+/RZM
>>438-440
とりあえずsageろ
442名無しさん@ピンキー:2008/05/11(日) 21:14:20 ID:2MGB6c7B
松下さぁぁぁぁん
443名無しさん@ピンキー:2008/05/12(月) 01:18:33 ID:geDjCwv8
早く投下こないかな・・・
444名無しさん@ピンキー:2008/05/12(月) 08:09:22 ID:hxUP4D+q
>>443
君が投下を待ってるように、君が振り返るのを待っている女の子が電柱の影に…
445名無しさん@ピンキー:2008/05/12(月) 08:35:20 ID:ekY7toZW
電柱の影にうまく隠れるのって難しくないか?
446名無しさん@ピンキー:2008/05/12(月) 08:45:28 ID:+tNNwP4W
夜ならできるんじゃね?
447名無しさん@ピンキー:2008/05/12(月) 15:02:59 ID:QNe+vmow
448名無しさん@ピンキー:2008/05/12(月) 15:15:34 ID:Rz/3GAHF
爆弾とは大胆だな
449名無しさん@ピンキー:2008/05/12(月) 16:29:32 ID:7qvyoInN
>>447
すさまじいな
住んでた人生きてるのか?
450名無しさん@ピンキー:2008/05/12(月) 18:55:02 ID:phCtVbL/
ふと、たぬきなべをみて
ゾクゾクとしてしまった。

451名無しさん@ピンキー:2008/05/12(月) 20:12:41 ID:JrLpufUg
たぬきなべはエロい。実にエロいが、そのぶん中途停止が生殺しすぎる。
452名無しさん@ピンキー:2008/05/12(月) 21:31:22 ID:OPMjF3c1
お前らに聞きたいんだけどさ。

ヒロインが主人公に何か負い目を作っていて
簡単に触れられないもどかしい恋心が嫉妬心に目覚める方が良い?

それとも主人公がヒロインに何か負い目を作ってしまい
ヒロインがそれを巧みに利用して主人公を狙うのが良い?
453名無しさん@ピンキー:2008/05/12(月) 21:37:35 ID:7Ojr16bv
個人個人好みはあるだろうが俺は後者の方がいいな
454名無しさん@ピンキー:2008/05/12(月) 21:44:29 ID:8mF5VZGn
>>452 前者はまさに空鍋だろw
455名無しさん@ピンキー:2008/05/12(月) 21:48:17 ID:NK3OQPbG
>>452
ようするにヒロインが原因で主人公の両親が死亡した場合
ヒロインは主人公の罪滅ぼしために何かをやろうと懸命しようとするが
主人公に恋することは許されないと自分勝手な決心をする

ところが、主人公は一年下の後輩である泥棒猫といい感じに
それを見て、徐々にヒロインは病んでいく


まあ、某空鍋の主人公と違って、鮮血のヘタレ主人公を想像して書くのがいいだろねw
456名無しさん@ピンキー:2008/05/12(月) 23:44:06 ID:9mBYg+6Y
>>452
個人的には両方。
というわけでやっつけ小ネタ行きます。
457名無しさん@ピンキー:2008/05/12(月) 23:45:14 ID:9mBYg+6Y
 わたくしがどれほどアントニオ様を愛していたとしても、その思いを彼に打ち明けることも、打ち明ける資格もございません。
わたくしは金貸しの娘です。食べるものに不自由しないどころか、世間一般の方々とくらべて、ずっとずっと豪奢な生活をおくっています。
その生活が、他人の犠牲の上に成り立っていることは知っています。
高利貸しの父は、首吊りの紐を引っ張るような仕方で利子を搾り取り、もしも気に入らないところがあれば、これまで懇意にしていた方々さえも裁判所に引き立てる人間です。
私が父のことを人否人と言えないことは百も承知です。
着飾って表に出れば、ぼろを着た乞食に「薄汚いユダヤ人」と罵られ、サロンに出ればその日父に破産させられた紳士に「異教徒め、地獄に落ちろ」と唾を吐きかけられます。
彼らの怒りは尤もです。父が恨みを買ってでも富を増やすのは、母の唯一の忘れ形見である私に、少しでも良い暮らしをさせたいと願っているからなのです。
 若い商人のアントニオ様も、そうした父の目的のために、一文無しになってしまいました。
父は私の身に付ける宝石の代金を工面するため、アントニオ様に、曰くの或る商船を売りつけたのです。
アントニオ様のものとなった商船は、後払いの代金の支払期日が来ても、港に戻っては来ませんでした。
そうして父はアントニオ様の財産を根こそぎ奪い取り、家も土地も、食器や衣服でさえも差し押さえ、彼が明日のパンのためにほんの少し残してくれと懇願しても耳も貸しませんでした。
アントニオ様は浮浪者同然になりました。
そのときより以前から密かにアントニオ様をお慕いしていたわたくしは、罪滅ぼしをしようとでも思ったのか、
宝石箱から一握りの宝石を鷲づかみ、門から運び出される家具の数々を途方に暮れて眺めているアントニオ様のところへ走りました。
けれども、私が何かを言う前に、アントニオ様は手を横に振り、
「ジェシカ、今は僕に話しかけないでおくれ。君に酷いことを言ってしまいそうだから」
 とだけ言い残して、走り去ってしまいました。
 その日からわたくしは、昼夜を問わず寝台に伏せって暮らしています。父は、心配そうに――本当に心配そうにわたくしを気遣ってくれます。
アントニオ様にあんなにも手酷い仕打ちをした父なのに、わたくしにだけは愛情深く、そしてまた、心の底から誠実に接してくれます。
それがまたわたくしにはやりきれないのです。
458名無しさん@ピンキー:2008/05/12(月) 23:46:17 ID:9mBYg+6Y
 一週間ほど前に、使用人からある話を聞きました。アントニオ様が、とある貴族様のお屋敷で秘書として働いているという話です。
ほとんど執事紛いのお仕事をさせられているそうですが、そのお屋敷のご主人は、アントニオ様の境遇を哀れに思われて、
アントニオ様がご両親から相続し、今ではわたくしの家のものとなっている家を、どうにかして買い戻そうとしかるべく方面へ手回ししていらっしゃるそうです。
このごろ父の機嫌が悪いので、使用人の言ったことはおそらく本当の話なのでしょう。
わたくしは現金にもまたアントニオ様とお話しできるようになるかもしれないと、そのとき考えてしまいました。
父に内緒で、こっそり基督の教会を覗いてみたりもしました。
元気そうに笑うアントニオ様を見つけて、わたくしは思わず踊りたくなるくらい嬉しい気持ちになりましたが、次の瞬間にアントニオ様に手を引かれた少女の姿を認めて、浮かれていた気分がすっと引いて行きました。
深窓の令嬢ともいえる一人娘の彼女が、一使用人風情に手を引かれているということ自体、普通に考えれば、ありえないことです。

 私のアントニオは、商人の息子ではなく、どこかの大貴族の落胤で、これまで彼の両親と称されていた夫婦に育てられていた。
パパが頑張ってくれたおかげでいまじゃそんな話になっている。パパはアントニオがお気に入りだ。私だってもちろん彼が大好きだ。
彼は才知があるし、サロンにいる有象無象の自称オネットムなんかとくらべて、自分の意見というものを持っている。
ユダヤ人のシャイロックなんかに騙されたのは、断るに断れぬ、アントニオの親の代から続く貸りがあったからだ。
ジェシカとかいう女とも何かあった口ぶりだけど、そんなのはただの義理だろう。
あんな薄汚いユダヤ娘なんかに、自尊心の高いアントニオが気を許すはずがない。
 アントニオはいつも、書斎で書き物をして過ごしている。パパの手紙を書き写したり、私はよくわからないけれど、何か計算事をしたりしている。
私が書斎に行っても、ちらと目配せするだけで、すぐにまた書き物机に向かってしまう。
でも、私が分厚い哲学書を出して自由主義について云々言うと、すぐさま反駁して私をやりこめてしまう。
私が莫迦な意見をいうと、そんなのは葡萄酒臭い坊主どもの弁論術だと言い捨ててしまう。
459名無しさん@ピンキー:2008/05/12(月) 23:47:09 ID:9mBYg+6Y
このごろ流行りの小説について話すと、あれは下女下男の読む小説ですと言い、なるべくそういう低俗なものは控えるようにと男爵様も仰っていますと注意する。
アントニオは夜になるとサロンに出るか、そうでないときはパパの相手をして過ごすから、私が彼と二人きりでお話しが出来るのはこの機会だけだ。
アントニオはとても規律に厳しいけれど、私が何かわがままを、例えば一緒にお庭を散歩したいというようなことを幾度も言うと、
「仕方ありませんね、ネリッサお嬢様」
 と言って最後の最後には折れてくれる。彼は、私に逆らってはいけないということをよく理解しているんだ。
彼の行動が計算づくなのは悔しいけれど、何もかもそうでないことは、私が一番よく解っている。
彼は、怜悧そう見えて、あんがい情熱的だ。彼の信奉する思想や彼の亡き両親を侮辱すれば、顔を真っ青にしてたしなめるし、私が無分別なことを言い出せば、本を読むような口調で諭しはじめる。
彼のような自負の強い、青年らしい潔癖を残している気高い人間を、もし私だけのものにできたならば、どんなに嬉しくて得意なことだろう。
しかし、彼の全てはまだ私だけのものではない。
彼の尊敬は、パパに向けられているし、彼の愛情は――これは勘としかいえない、理性的でないことだけれど、誰か他の、私以外の人間に、微かにだが、向けられているみたいだ。
もちろん、思慮深い彼はそんなそぶりなど欠片も見せない。だけれど、私の胸のざわつきが、何か、とても見落としてはいけないようなものを知らせている。
 あるとき教会へお祈りに出かけた。アントニオと同伴することはパパにも許可を取っている。
司祭が聖句の解釈を云々している間、私はそっと彼の手に自分のそれを乗せてみた。
流し目を送ると、彼は祈りのため伏せていた目をいっそう伏せて、握り返してくれた。私は有頂天だった。
教会の扉をくぐるときにも、彼の手を握ったままでいた。ひっと息を呑む音が聞こえた気がし、道端の菩提樹のところを見ると、例の金貸しシャイロックの娘が、気味の悪い顔色をしてへたり込んでいた。
私はアントニオに顔を向けた。彼はなぜか目を逸らした。
 私はこんな三文芝居に付き合う気はなかったので、アントニオの手をとって歩き出した。
一刻も早く例の話をパパに持ちかけなければいけない。
460名無しさん@ピンキー:2008/05/12(月) 23:48:17 ID:9mBYg+6Y
以上です。
461名無しさん@ピンキー:2008/05/13(火) 00:40:15 ID:cWpXaSiA

続くのかな?
462名無しさん@ピンキー:2008/05/13(火) 00:47:16 ID:HIuWUSRj
GJ。ネリッサは何歳ぐらいかね?
463名無しさん@ピンキー:2008/05/13(火) 01:22:06 ID:DYYqSRif
GJだぜ。続きが待ち遠しいな。
464名無しさん@ピンキー:2008/05/13(火) 03:06:21 ID:YG7e3Bxg
良かったけど語り手が変わるときはもっと開けるか何か印を付けた方が良いんじゃないかな
でも先が気になる良い作品だと思うよ
続ける予定が有ればだけど
465名無しさん@ピンキー:2008/05/13(火) 07:14:09 ID:QOz+caSS
GJ!
おもしろいからできれば続けてほしいぜ
466名無しさん@ピンキー:2008/05/13(火) 17:43:48 ID:DD72MJK4
猪木
467名無しさん@ピンキー:2008/05/13(火) 18:12:37 ID:8TzclnZj
ああ、猪木だな…
猪木GJ!
468名無しさん@ピンキー:2008/05/13(火) 19:21:44 ID:AHPEHuPu
一つの作品で視点が移動するのは、印を付けようが付けまいがよろしくない
過去作でもちらほら見かけるが、ようするに視点を固定させて一本書ききる実力がない証拠だろう
無理せず最初から神視点で書けば、話の展開はずっと楽になるよ
469名無しさん@ピンキー:2008/05/13(火) 20:04:06 ID:GXKXD4zC
パンが無いからケーキは食べられません。
470名無しさん@ピンキー:2008/05/13(火) 20:25:21 ID:kvVVMUwt
今度は避難所発の嵐が吹き荒れそうな予感
どうして「荒らすなよ、分かってるな荒らすなよ」なんてダチョウ倶楽部みたいなこと言うんだろ
あれじゃ荒らしてくれってお願いしているようなもんだろ
やっぱりまた元のように荒れちゃうんだろうなぁ
せっかく収まりかけていたのに
471名無しさん@ピンキー:2008/05/13(火) 20:30:21 ID:jP7D/hyh
ここまでループ

---------------------------------------------------------------------

                      ここからループ
472名無しさん@ピンキー:2008/05/13(火) 20:37:06 ID:5HlcyvVs
>>470
残念だけどその避難所に投下したらNo問題www
473名無しさん@ピンキー:2008/05/13(火) 20:37:31 ID:13RyhYqW
>>470
たぶん以前のようには荒れないだろう
つーか前の荒れ方は異常
474名無しさん@ピンキー:2008/05/13(火) 20:42:21 ID:5HlcyvVs
荒れるの前提かよ
やっぱり少しは荒れると思う?
475名無しさん@ピンキー:2008/05/13(火) 20:46:56 ID:O4DuiJk2
間違っていたのは作家じゃない 世界の方だ!!
476名無しさん@ピンキー:2008/05/13(火) 20:51:28 ID:rtkivRZJ
どうしてもここじゃなけりゃいけない絶対的な理由が無い限り
やはり避難所に投下するのが無難だと思うが
投下するのも荒れるのも止める力は俺にはない
477名無しさん@ピンキー:2008/05/13(火) 20:52:09 ID:oeM4c02l
はいストップ
478名無しさん@ピンキー:2008/05/13(火) 20:54:48 ID:rtkivRZJ
よしストップ
479473:2008/05/13(火) 21:02:16 ID:13RyhYqW
すまん
言葉足らずで不安にさせてしまった

俺が言いたかったのは
多少荒れてもスルースキルで対処できる程度になると思うということ
スレでケンカになることなんてめずらしくないだろう
480名無しさん@ピンキー:2008/05/13(火) 21:11:26 ID:rtkivRZJ
>>479
どうにもケンカが好きな奴なんだなあw
まあ、「以前ここで書いてた」とか「続きを投下したい」なんて宣言する作者の姿勢も問題だけど
スレが荒れて一番辛い時、みんなが何とかしようと頑張ってた肝心な時に逃げ回ってた人なんでしょ
ちょっと虫がよすぎるというかなんというか
481名無しさん@ピンキー:2008/05/13(火) 21:17:18 ID:13RyhYqW
>>480
つまりお前さんをスルーすればいいということ

はやくSSが読みたいぜ
482名無しさん@ピンキー:2008/05/13(火) 21:19:37 ID:jP7D/hyh
今日の晩御飯はなんだっけ
カレーだっけ
あーでも個人的にはとんかつが食べたいわけで

うん姉さんにちょっと頼んでくる
妹がカレー作るんだとか張り切ってたけどそんなの無視するわ
483名無しさん@ピンキー:2008/05/13(火) 21:23:03 ID:QDVzh1l9
まだ若いのに胃がキリキリするぜ
484名無しさん@ピンキー:2008/05/13(火) 21:48:26 ID:kTBBcbzT
>>480
なに、その典型的な誘いウケ
485名無しさん@ピンキー:2008/05/13(火) 21:53:47 ID:oeM4c02l
この中にひとり、侍がおる
お前やろ!
486名無しさん@ピンキー:2008/05/13(火) 21:57:28 ID:jP7D/hyh
ある騎士の難儀?
487名無しさん@ピンキー:2008/05/13(火) 22:01:53 ID:mYcUIA/b
>>485
いや拙者は違うでござる
488名無しさん@ピンキー:2008/05/13(火) 22:09:55 ID:oeM4c02l
お前やー!
489名無しさん@ピンキー:2008/05/13(火) 22:11:14 ID:aljdpF7G
騎士難は既に避難所に活路を見出してるだろう
要らぬことを申せば迷惑が掛かるでござろう
490名無しさん@ピンキー:2008/05/13(火) 22:24:55 ID:E1B1hSw+
おもしろいよね〜はやく続きがみたいね!
491名無しさん@ピンキー:2008/05/13(火) 23:06:38 ID:hS2XyX7e
はやくSS来ないかな
492トライデント ◆J7GMgIOEyA :2008/05/14(水) 21:45:00 ID:vMLTAlL9
では投下します
493バレンタインデーSS ◆J7GMgIOEyA :2008/05/14(水) 21:47:36 ID:vMLTAlL9
 それは一瞬の出来事であった。
 ずっと、恋心を抱いていた美央が二階の窓から飛び降りた。
あさみが必死にその場につなぎ止めようとしたら、躊躇なく彼は逃げてしまった。
後、誤算があるとしたら、自分以外の女性からバレンタインデーのチョコを貰っていたこと。
泥棒猫に大好きな人を奪われたあさみの心は正気を保っていることができずに取り乱していた。

「あらら。物凄い、逃げっぷりね。でも、動きがどこか変だから足とか痛めたのかしら」
 下の光景をふたみは楽しそうに見ていた。姉の言う通りに美央の歩き方は不自然で足をどこか痛めているようだった。
「チャンスよ。あさみちゃん。今なら愛しの美央くんをあさみちゃんのモノにすることができるわ」
「ダメだよ」
「どうして?」
「美央くんは私以外の女の子と付き合っているんだよ。
ねえ、見てよ。
こんな凄いチョコを美央くんのために作ったんだよ。
私はこんなチョコなんか作れないよ」

 昨夜の死闘を思い出すとあさみが作ろうとしたチョコは泥棒猫が作ったチョコと
比べると断然に自分の方が劣ってしまう。それは泥棒猫の方が自分よりも
美央に対する想いは深いということなのだ。
すでに美央は泥棒猫と付き合っているらしいので、それらに打ち勝つ方法は今の自分にはない。


「あさみちゃん。恋は奪うもの。決して与えられるものじゃないわ。
ここで美央くんを捕らえて、暗い部屋に閉じこめて洗脳すれば万事解決よ」

「お姉ちゃん。それ犯罪」
「好きな男の子のためなら、犯罪の一つや二つぐらい楽勝よ」
「やっ。刑務所になんてこの才で行きたくないし」
「さあ、GONGを鳴らせ!!」
「鳴りませんっっっ!!」


 暴走するふたみにあさみは元に戻すために彼女の頭に手加減なしのチョップを炸裂させる。
昔から天然な姉を抑えるには絶好な効果をもたらす作用があるらしいのであさみは愛用しているが。
数秒後には再起動するので、特に意味はない。
 ふたみは何事もなかったようにあさみの両肩に手を置くと、優しい笑顔を浮かべて言った。


「今こそあさみちゃんが作ったバレンタイデーのアレを美央くんにプレゼントしなくちゃ」
「お姉ちゃん」
「お姉ちゃんの秘策で落とせない男の子はいないわ。
自信を持って、美央くんを自分のモノにしなさいっ!!」
「わかった。私、もう一度だけ頑張ってみる」
「行きなさい、あさみちゃん」

 迷いを捨てたあさみを見送った後、ふたみはぼそりと呟いた。
「さっきの場面。とっても盛り上がったから、帰ったら映像を編集しよう」
 どこまでもマイペースな姉であった。
494バレンタインデーSS ◆J7GMgIOEyA :2008/05/14(水) 21:49:33 ID:vMLTAlL9
 痛めた足を引き摺りながら、目指す場所は自分の下駄箱に向かっていた。
涙を堪えて、美央は苦痛に耐えていた。先程の二階から飛び降りは自分の身体にあちこちに痛いという信号を鳴らしている。
何も訓練されていないただの学生が飛び降りなんてすれば、下手すれば死んでいた可能性もある。
だけど、死ぬことよりも恐ろしいことだって世の中にはあるのだ。
 バレンタインデーというこの日に自分と同じ境遇に遭っている連中は全国で沢山いるはずだ。

親友たちだって悲鳴をあげて、生まれてきたことを後悔しているはずだ。
自分もあさみの無垢な想いが、純粋な暴力に変わることを恐れている。
 自分のモノにならなければ、どんな手段だって冷酷に使ってくる。
そんな女の子たちは男の畏怖の対象だ。
今までバレンタイデーのチョコを貰えなかった自分にとっては別世界の出来事だと思っていたが。
 現実に自分が体験すると、それは悪夢に近い。

 逃げられるなら、逃げた方がいい。
 捕まったら、美央の人生は……暗闇に落ちる。
 もうすぐだ。下駄箱に辿り着いて、下靴にはき換えて逃げてしまえば。
 だが、自分の下駄箱の中身を見て、愕然とした。

 スキスキスキスキスキスキスキスキスキスキスキスキスキスキスキスキスキスキスキ
 と、血の文字でスキと紙に書かれていた。それも下駄箱の中一杯に。
「ぎゃあああああああああああああああああっっっっっっっっっっっ!!」
 美央は思わず悲鳴をあげる。あさみに見つかる危険があるのだが、
背筋が凍るような恐さに耐えられない脆弱な心を誤魔化すために声を出してしまった。

「そんなに喜びの声をあげなくてもいいんですよ。美央くん」
「ひ、ひぃ、柊さん?」
気が付けば、あさみは美央の背後に立っていた。気配を感じさせずに彼女は冷笑する。
確実に目の前にいる彼女から逃げ出すために窓から飛び降りたのだ。
足を痛めてしまったが、追いつかれるはずもないと確信していた。
 しかし、現実は。
 恋する乙女の行動力、執念が未央を追い詰めていた。


「ダメでしょう。私というものがありながら、他に恋人を作るなんて」
「ま、待て。落ち着いてくれ。柊さん」
「痛いのは一瞬の間だけですから」
 あさみは引き摺っている美央の足を見つめると、躊躇なく負傷した箇所を手で抑えていた。
「や、やめるんだ。足を切り落とすなんて。ぜ、絶対に嫌だぁぁぁぁっっ!!」


「美央くん……痛いの痛いの飛んでゆけーー
 これでもう大丈夫だよ」



「はい?」
495バレンタインデーSS ◆J7GMgIOEyA :2008/05/14(水) 21:50:58 ID:vMLTAlL9
「はい?」
「高い所から飛び降りたせいか、足を捻っているみたい。急いで、応急処置をしなきゃだめだよ」
「待って」
下駄箱から飛び出してきた血の文字で書かれた紙をあさみに突き出した。
自分を油断させるために優しく接している可能性を考慮すれば、彼女と出来るだけの距離を離していた方がいい。
「これは柊さんが書いたの?」 
 もし、あさみが書いたと肯定するとヤンデレ症候群感染者ということになる。
それは年頃の男子達が最も恐れる状況になる可能性を示唆している。監禁されるのは生易しい。
下手すると鎖に繋がられて、ワンワンプレイを強要されるかもしれない。
又は女の子がワンワンプレイで迫ってくることも予想できる。
ただでさえ、バレンタインデーの日にはクラスの男子生徒が全員がどこかに姿を消すという惨事が起きている。
 自分だけが例外を逃れるなんて甘い考えは捨てた方がいい。
 だが、あさみは少し困ったような顔をして、言った。
「そんなことをするのは、多分お姉ちゃんだよ」
「お姉ちゃん?」
「こんな人の恋路を邪魔するのはお姉ちゃんしか考えられないもん」
「いや、こんな悪質な事を柊さんのお姉さんがやるとは思えないんだけど」
「うちのお姉ちゃんを甘く見ない方がいいわよ。人の常識外のことを軽々とやってしまうんだから。
ダテに幼い頃からお姉ちゃんに振り回された人生を送っていないわ」
「ちょっと信じられない話なんだけど」
「大体、好きな異性に告白するのにこんな血文字で書かれたスキスキなんて送ったら、余裕で相手が引いてしまうよ」
「それはそうだな」 
 異常な姉を持つあさみの苦労の半分も知らない美央だったが、迫力のある彼女の怒りと憎しみだけは何とか理解できた。
「さあ、保健室に行って、美央君の足の治療をしないと」
「そうだね」
 恐怖のせいで忘れていた足の痛みが徐々に疼いてきた。
あさみに肩を貸してもらうと夕暮れの廊下をゆっくりと歩く。遠くから聞こえるサックスの音が煩く響いていた。









「妹の恋路が成功するなら、お姉ちゃんはサックスを頑張って吹き続けるからね」
と、姉は姉で必死に場の雰囲気を盛り上げるためにサックスの音色を学校に響かせていた。
496バレンタインデーSS ◆J7GMgIOEyA :2008/05/14(水) 21:54:45 ID:vMLTAlL9
 保健室の中に入ると特有の薬品の匂いがしてくる。様々な薬品が置いてあるのだろう。
保険医の姿を探してみるが、誰もいないようだった。
美央は白いシーツのベットの上に座るとあさみが長ズボンの裾をたぐってきた。
窓から飛び降りた時に痛めた足の負傷は思っていた以上に悪かった。
着地の時に妙な音が鳴っていたけど、自分の両足首は見事に赤く腫れている。
捻挫か、骨にヒビが割れているのかわからないが、詳しくは病院でちゃんと検査する必要がありそうだ。

「大丈夫? 美央くん?」
「ううん。柊さんがちゃんと応急手当してくれたから大丈夫だよ」
 負傷した両足はよく冷やしたシップで冷やしているが、痛みまで取り除くことができず疼いて仕方なかった。
「とりあえず、家に帰ったら病院でお医者さんに診てもらうから」
「あのね、ちょっと美央くんが帰る前に聞いて欲しいことがあるんだけど」
「うん?なーに?」
「美央くんは本当に付き合っている彼女がいるの?」 
「それはちょっと……」
 あさみに本当の事を言えるわけがないのだ。
美央が必死に隠してきたであろう、ダミーのバレンタインデーのチョコの真実を。

今まで他の女の子から貰ったことがなく、友人たちに笑われないために意地を張って作ってきた。
知らない間にチョコ作りは玄人の域に達し、パティシエ見習いのアルバイトまでやっていることまで知られると、
世間の皆様を爆笑の渦に引き込んでしまう。それだけは命を懸けて避けたいと美央は思っていた。
 が、あさみは今にも泣き出しそうな表情を浮かべて、自分を見つめている。
これで嘘でもいると断言すると隠し持っていた鋸で胸を切り裂きそうで恐い。

「ううっ。いるんだ。私よりも大好きな女の子が……。そうだよね。
私なんか、クラスじゃあ全然目立ってないですし、私よりも可愛い女の子なんて北斗七星の数ぐらいいますし、
お姉ちゃんに年中振り回されている私ごときが美央くんに恋をするなんて思い上がりも甚だしかったんですよね」
「自虐モードかよ」

「私は空鍋にすら劣る存在かもしれません。
だって、私には美央くんが付き合っている彼女がいると知っても、
鋸を持って駅前で泥棒猫の首を切り裂くような勇気もないし、電車で突き飛ばすことなんてできないんだもん。
そんなことをしたら、ダメなんだよ。奪略愛もできないし、
美央くんは私のことをどうやったら好きになってくれますか?」

「やっ。バレンタインデー以外ならいつでも大歓迎なんだけど」
497バレンタインデーSS ◆J7GMgIOEyA :2008/05/14(水) 21:55:45 ID:vMLTAlL9
「ずっと、片想いをしていました。あなたを一目見た瞬間から私はずっと恋に落ちていたんですよ。
今年、同じクラスになってから、いつも、美央くんを見ていたの。授業中に先生の目を盗んで、
昼寝をしている時の美央くんの寝顔とか可愛かったんだよ。
それで隣の席になってから、私に話しかけてくれたよね? とても嬉しかったんだから」

 と、あさみの自虐に似た独白は止まることを知らない。
胸に秘めていた想いを解き放つと彼女は興奮しているのか瞳を潤わせて、涙の一粒を流していた。

「だからね、私は美央くんに自分の想いを伝えるために。
お姉ちゃんに手伝って貰ったけど、あなたのためにバレンタインデーチョコを……。ぐすぐすっ。作ったんだよっ!!」

 差し出されるのは、先ほど受け取りを拒否をしたあさみの丹精を込めたバレンタインデーチョコであった。
あさみとは1年間の交流で友達という友情を育んでいたと美央は思い込んでいたけど、それは見当違いだったようだ。

男と女の友情はありえないとどこかの恋愛もどきの学者は言った。
 彼女の想いは純粋だ。ゆえに今日のバレンタインデーは自分に臆病な女性たちが好きな人に想いを伝える勇気をくれる日だ。
だけど、年々、その想いというものが勝手に暴走して好きな男性を監禁したり、誘拐したりと世の中は男性を脅かしていた。


 それはきっと違うのだ。
 男性はわかっていなかったのだ、女の子の純粋すぎる気持ちを。

 受け止める方法もなく、無責任に流すメディアの情報を真に受けて、何も知ろうとはせずに、ただ恐い目に遭うと怯えていた。

美央も無知であったために、このバレンタインデーを危険な日だと思い込んでいた。
 だけど、健気なあさみの姿を見ると、今日の告白を受けてもいいと思えるようになってきた。
498バレンタインデーSS ◆J7GMgIOEyA :2008/05/14(水) 21:58:23 ID:vMLTAlL9
「美央くん?」
「柊さんの告白の返事を答える前に、俺は君に嘘をついていた」

 今、明かすであろう美央のつまらない意地を張ったダミーチョコの事を話す。
黙っていれば、自分の嘘がばれることもない。恥をかくこともない。
だが、本当に格好悪いのはダミーチョコを作って、つまらない虚勢を張り続ける自分だ。

チョコを貰えずに堂々と日々を生きている男の方が愛おしい強さを持っている。
それに比べると自分は何の価値もない外見に気を遣い、肝心な中身を疎かにしてきた。
これは臆病な自分に対する罰だ。遠慮せずに罰を受ける。

「実はあのチョコは自分で作ったんだ。ほらっ。バレンタインデーになると他の女の子から今まで貰ったことがなくて、
友人達がたくさん貰えるのに、どうして自分が貰えないのかって。
友人たちにバカにされるのが嫌で、この季節にいつもダミーチョコを自分で用意したんだよ」

「あのチョコを美央くんが自分で作ったの?」
「そうだよ。バレンタイデーの度にチョコを作っている間に、何故か腕が上達しちゃって、
パティシエのアルバイトだってやっているし。将来はそっちの道に進もうかと……」
「そうだったんだ。うふふふ。良かった。美央くんが他の女の子からチョコを貰えなくて良かった。
私が美央くんにとって、初めてチョコを送ることができるんだもん」

「そういうことになるね」
「じゃあ、受け取ってください。私の気持ちを」

 差し出された可愛く包装されたチョコを受けると、中身を開けてみた。
 そこで美央は思わず驚愕していた。あさみが作ったチョコは……黒くモジャモジャとした物体が入ってあった。

 そう、これは髪だ。

 誰の髪かはわからないが、推測できる範囲で言うと恐らく彼女の髪だ。

「これは……」
「お姉ちゃんが教えてくれたんです。女の子にとって、『髪』は命です。
 その命の部分を切り離して、想い人にプレゼントすることによって、相手に一生忘れられない印象を抱かせる。
  これで美央くんのハートを射止めます」

「射止めると言われてもな」
 どこの世界に女の子の髪をプレゼントされて、喜ぶ男性がいるんだろうかと美央は首を傾げたくなる。
 余程、女の子の髪マニアじゃないと需要はない。
 がっくりな自分の表情にあさみは気付いて、心配そうに様子を伺っていた。

「もしかして、私の髪はダメ……ですか?」
「正直に言うと微妙」
 気遣いは無用に等しい、下手な嘘は百の災いを生む。
 あさみは口からだらしなく魂を吐き出していた。
 もはや、生気がない。彼女の意外な一面を知るのは美央にとっては良いことなのかもしれないが、
 姉のふたみの嘘を無垢に信じているのはどうかと思う。
 口には出していない本音があさみに伝わったようなのか、びくびくと震えていた。

「チョコを作れなかっただもん。お姉ちゃんがバレンタイデーのチョコの材料を遠慮なしに吹き飛ばしただもん。
 美央くんを喜ばせる方法はこれしかなかっただもん……ぐすぐすっ」
499バレンタインデーSS ◆J7GMgIOEyA :2008/05/14(水) 21:59:34 ID:vMLTAlL9
 と、あさみはついに泣き出してしまった。想いを込めた物をプレゼントしたつもりであっても、
 それが美央の心に届かなければ何の意味もない。
 包装している箱を持っている指先は震え、彼女は目の縁を真赤になっていた。
 自分を避けるように俯いたまま鼻を垂らす。
 そんな彼女を見ている美央も自分の不用意な発言があさみを傷つけたことに後悔していた。
 想いを伝えるということは、それは勇気がいることだ。
 仮に自分が好きな異性がいたとしても、告白する勇気も持たずに卒業するまでずっと片想いで終わってしまう。
 臆病すぎる自分は今度こそ覚悟を決めて、あさみと向き合わなければならない。
 胸に秘めている自分の想いを、解き放つ。
「俺は柊さんのことが大好きだよ」
「えっ?」
「バレンタインデーのチョコは貰ったよ。柊さんの想いもちゃんと貰ったよ」
「美央くん……」
「嬉しかったんだ。こんなチョコでも、俺にプレゼントしてくれたことが。
 柊さんから告白されると思ってもみなかったし。
 今まで友達同士だったけど、これからは俺の彼女になってくださいっ!!」
「は、はい。私も美央くんのことが大好きだから!!」
 

 菓子業界の陰謀の歯車が廻る日に、あさみと美央は結ばれた。
 ついでにサックスの音色は最高潮に煩く盛り上げるように吹き続けていた。
500バレンタインデーSS ◆J7GMgIOEyA :2008/05/14(水) 22:01:08 ID:vMLTAlL9
■後日談
「さてとお姉ちゃん……。これは一体どういうことなのかな?」
「これって?」
「なんで、美央くんと私が互いに告白しているシーンが居間のテレビで流れているのかな?」
「だって、大事な妹が初めて彼氏ができた記念だもん。ちゃんと編集してDVDを焼いて、町内の皆様に配らないと」
「配らないで下さい。というか、お姉ちゃんのせいで私の髪が半分なくなったんだけど」
「ショートカットのあさみちゃんも可愛いわよ。お姉ちゃんが男だったら間違いなくファンクラブを作ると思う」
「誤魔化すな!! 美央くんもバレンタインデーに乙女の髪をプレゼントしたら、微妙って言われたんだよ。
 もしかしたら、美央くんに振られていたかもしれない。
 そうなったら、ヤンデレになっていたかもしれないんだよ」
「お姉ちゃんもあさみちゃんのために小学校から大学まで裏口入学できない頭脳で朝から晩まで考えたの。
 それである時に閃いたの。ショートカットのあさみちゃんが見たい、もしくはデジタル録画で半永久的に保存しておきたいって」
「ほうっ……やっぱり、お姉ちゃんはいつものように私を騙していたんだ」
「いつものことじゃない」
「ゆ、許せない。純粋な私の心を弄んで、私の恋路を……」
「お姉ちゃんだって今回の件はいろいろと頑張ったのよ」
「何を頑張ったの? 何を!!」
「知り合いの校長に私を教育実習生にしろと脅迫したり、朝から早く起きて、
 教室や校内に盗撮カメラを設置したり、担任の先生を出会い系サイトで知り合った風に見せて、学校から追い出したりと」
「それ、全部犯罪じゃん」
「ううん。愛する妹のためなら犯罪行為を犯しても、逮捕されないもん」
「屁理屈はいいわよ。他にやったでしょ。例えば、美央くんの下駄箱に変な手紙を入れたりと」
「うん。やった。あさみちゃんの恋する少女は美央くんを想うと激しく監禁したくなっちゃうようなことを想像して書いたの。
 美央くんには大好評だったよ」
「おかげで私がヤンデレと疑われて美央くんから嫌われそうになったわ」
「そうなの?」
「そうなの!!」


「もう、いいわよ。私が言いたかったのは私と美央くんが付き合うことになった以上は
 もう変な真似をしたら絶対に許さないんだからね!!」
 と、姉にそれだけ言い残すとあさみはとっと自分の部屋に立ち去った。
 誰もいなくなった居間で姉が最後にニヤリと笑みを浮かべていた。


「フフッ……、残念ながら次のあさみちゃん弄りのミッションはすでに発動しているのだよ」
 意地悪そうな笑みを浮かべ、ふたみは新たなるあさみ弄りの作戦を練る為に今晩も寝ずに頑張るであった。



END
501名無しさん@ピンキー:2008/05/14(水) 22:01:47 ID:YCR89SeH
もうGWもおわった(ry
502トライデント ◆J7GMgIOEyA :2008/05/14(水) 22:03:04 ID:vMLTAlL9
以上で投下終了です

バレンタインデーSSはこれで完結です。
今まで読んでくださった皆様、本当にありがとうございました。
本当はバレンタインデー当日に投下しようと思ったけど、間に合わなかったw
では。次の修羅場でお会いしましょう。
503名無しさん@ピンキー:2008/05/14(水) 22:20:19 ID:MVxoDGq/
乙だな
504名無しさん@ピンキー:2008/05/14(水) 22:21:06 ID:suBm0Yma
トライデントさん一万年の続きマダー?
505名無しさん@ピンキー:2008/05/14(水) 23:51:56 ID:31TGMFCg
お疲れ様です。
506名無しさん@ピンキー:2008/05/15(木) 02:52:22 ID:fUVrzczI
やっぱりトライデントさんはこういう短くまとまる話の方が面白いなぁ
何というか長くなってくるとだんだん設定が変になっていったり誤字が目立ったりして
読みづらくなってくる
507名無しさん@ピンキー:2008/05/15(木) 06:30:06 ID:bdNmzHcZ
>>502
短いながらもちゃんとまとまった良作ですね。
>あさみちゃんの恋する少女は美央くんを想うと激しく監禁したくなっちゃう
お姉ちゃん最高w
楽しませてもらいましたGJ!
508名無しさん@ピンキー:2008/05/15(木) 07:09:38 ID:YYApGH3O
ここってママンものokでしょうか?
509名無しさん@ピンキー:2008/05/15(木) 07:12:37 ID:YYApGH3O
ごめんまたアゲてorz
510名無しさん@ピンキー:2008/05/15(木) 07:23:19 ID:Qk1601Y0
嫉妬・三角関係・修羅場メインならOK。それ以外なら該当スレへ
511名無しさん@ピンキー:2008/05/15(木) 07:27:18 ID:YYApGH3O
>>510
ありがと、じゃあちょっくら投下いたします。
パソ壊れてて携帯からだから何レスかわからんけど、8くらいかと
512ママン1 ◆jtM1Y9Nids :2008/05/15(木) 07:29:56 ID:YYApGH3O
 夫が死んだ。
鉄製の壁の向こうではもう何十分も前から夫の身体が焼かれている。
焼き場の職員はいましがた出て行き、この場には私と息子しかいない。
「さよなら」と私は夫に別れの挨拶をした。
その言葉を聞いた息子はうつむいていた顔を上げ、
「母さん、父さんが死んで悲しいだろうけど僕がいるから」と私を慰めてくれる。
それを嬉しく思いながら、私は苦笑した。
この子、和也は私達夫婦の事をわかっていないと。
夫が死んだ事を私は悲しいとも思っていないし、淋しさの微塵も感じていないのだ。
優しさだけが取り柄のような父とその父の尻を叩く母、どこにでもいるような仲むつましい夫婦。
和也の目にはそう映っていただろう。
しかし、そうではない。そうではなかったのだ。

 夫は私を愛していなかったし、私も夫を愛していなかった。
はじめこそ二人の間に愛はあったのだろうとは思う、だからこそ和也が産まれたのだから。
けれど、私が夫の帰宅が遅い理由を知って。それを責めて、それでも夫は変わってはくれず、諦め、離婚を決意するのに時間はさほど掛からなかった。
後は離婚届に夫が判を押すだけだった。
夜、和也が眠った後静かに私達は話を進めた。
513ママン1 ◆jtM1Y9Nids :2008/05/15(木) 07:30:53 ID:YYApGH3O
声を荒らげる場面は双方に無かった、それなのに気が付いたら背後に和也が立っていた。
トイレで起きたのだろうか、連れて行こうと私が歩みよる前に和也は泣きだした。
「怖い夢でも見たの?」と問う私に和也はコクンとうなづく。
「大丈夫よ、ね?ほらお母さんと一緒に寝よ。そうしたら怖くないでしょう。」
あやす私に和也は首を振った。
「夢でお父さんがいなかった」和也はそう言って泣き、
「だからお父さんも一緒が良い」と泣き、
「お母さんとお父さんと三人が良い」と泣き、
結局和也を挟んで三人で布団に入るまで泣き止まないものだったから、判は押せないままだった。
そして次の日私は離婚届を破り捨てた。
夫婦間に愛は無かったがお互いに息子への愛はあったので、私と夫は和也の前では愛し合っているふりをしていることを決めた。

 「ありがとう和也」
私は優しい和也を抱きしめる。
あの夜泣き止まない和也を抱きしめながら眠った時とは違い、
少し筋肉質な身体からは柔らかさを感じる事はない。
思春期の息子を抱きしめるなんてそうそうないからだろう、私はそれに少し驚き、ときめいた。
これからもこの子の成長を見守られる、こうしてこの子の成長を感じられると。
「母さんにはもう和也しかいないや。」
同じくらいになった背の拓也の肩に顔をうずめながら言った言葉は勿論嘘で、本当はずっと以前から私には和也しかいない。
しかしそれで私は幸せだった。
母である事の幸せは、女でいることの幸せも仕事で得られる幸せも他のどんな幸せさえも霞んでしまうのだから。
「うん、僕はずっと母さんの側にいるから。ね?だから二人で一緒に頑張ろう。」
だから私は和也のその言葉に嬉しさを感じる。
和也が私の側にいるかぎり、私は和也の母でいられると。
514ママン2 ◆jtM1Y9Nids :2008/05/15(木) 07:31:48 ID:YYApGH3O
 蝉を煩く感じる、太陽の熱に煽られ汗がとめどなく流れる。
早く家に帰って、閉めきった部屋でクーラーの涼しい風を至近距離から浴びたかった。
角を曲がればもう家だ、
ガリガリ君が冷蔵庫にあったはずだ。
そんなことを考えながら、角を曲がればもう家の玄関が見えた。
「ん?」
視界の中に人影があった。
家の駐車スペース、日陰になっている所に誰かが座り込んでいる。
熱射病、来客者、いくつかの考えが浮かびながらその人の方へ、というか家に歩みを進める。
「女?」
歳は着ているブレザーの制服からして僕と同じ高校生か中学生だろうか。
彼女の目の前まで来たのだが、顔を膝に埋めており僕に気付く素振りはない。
「あの……」と勇気を出して声を掛けてみる。
「え?」と彼女は女性にしては低めの声で反応し、膝に埋めていた顔を上げた。
「あ、あの。あ、いや」
どもってしまった。
なんというか、彼女の雰囲気のせいで。
猫のような大きな目、長いまつ毛、厚めの唇、整った鼻、濃すぎる黒色の長い髪、なきぼくろ、
彼女は異様に美人だった、中学生や高校生に美人というのは中々無いのかもしれないが美人という言葉以外に当てはまりそうな言葉が無いのだから仕方ない。
それらがなんだか普通じゃないような雰囲気を作っていた。
「…………」
彼女は何も言わない。
そのかわり、大きな目で僕を見つめる。
「…………」
顔に何かついているのだろうか、鼻毛、目やに、
大きな目でギロリと見つめられては、睨まれているような気分になった。
「あ、」
少しして彼女は、はじけるようなそれでいて低めの声をあげた。
515ママン2 ◆jtM1Y9Nids :2008/05/15(木) 07:33:45 ID:YYApGH3O
「和也さん?」
指された指の先には僕。
僕の名は和也。
だが、人違いではなかろうか。僕にこんな知り合いはいない。
「山本和也さん?」
答えずにいると彼女は、玄関に掛かった山本と書かれた表札を指指しながら言った。
「は、はい」
名字が山本で、名が和也で、この家に住んでいる。
それならば僕しかいなかった。
僕はなんだか普通じゃない彼女が怖かった、のだが気が付いたら反射的にそう言ってしまっていた。
「良かったー」
僕に用があって家まで来たのだろうか、肯定の言葉を聞き彼女は安心したようだった。
「あ、私、高下美月です。はじめまして」
彼女の言葉からして、やはり僕とは初対面なんだろう。
いよいよわからない。
初対面の彼女は僕に一体何のようで、何で僕の名を知っているのだろうか。
「あの、私。お線香あげたいんです」
自分なりの答えをまとめる前に、彼女は自ら答えを教えてくれた。
「父の?」
うちに来て線香をあげる相手は父しかいない。
「はい」
彼女はうなづき、僕の返事を待っている。
少しばかり怖いが、こんなとびきりの美人に線香を焚いて貰えば父も喜んでくれるとは思うが僕には聞きたい事があった。
「えーと、あのー」
が、さっき自己紹介してくれた名前が思い出せず質問もままならない。
「美月です。美月って呼んで下さい。」
正直名字の方で呼びたいのだが、彼女の申し出を断るなんて僕には出来なかった。
「み、美月さん?」
「私、和也さんより年下です」
頑張って名で呼んで直ぐの彼女のその言葉。
年下という事は中学生だろう、だから「さん」はいらないということだろうか。
こんな美人が中学生という事に驚いた。
「美月ちゃん?」
「はい」
彼女は納得したという感じで、気持ちの良い返事で返してくれた。
「あの……」
呼び方も決まり、僕は彼女に聞いた。
「美月ちゃんは父と、どういった関係?それを教えてくれないと」
初対面な上、父から彼女の話を聞いたこともない。
そんな人物を家にあげるわけにはいかなかった。
516ママン2 ◆jtM1Y9Nids :2008/05/15(木) 07:36:38 ID:YYApGH3O
「あ……」
彼女は考える素振りを見せ、
少しして意を決したように話し出した。
彼女には父がいなかった事。
けれど週に何回か尋ねてくるおじさんがいて、寂しくはなかった事。
急にそのおじさんが来なくなってしまった事。
「和也さんのお父さんがそのおじさんなんです」
彼女は続けて話す。
「もしかしたら、私の」
「そんなわけない」
気が付いたら僕は叫んでいた。
「ご、ごめんなさい、ごめんなさい」
彼女の低めの声がひどく耳に残った。
517名無しさん@ピンキー:2008/05/15(木) 07:37:24 ID:YYApGH3O
ごめん8レスも無かった。
とりあえず終わりです
518名無しさん@ピンキー:2008/05/15(木) 07:41:37 ID:2FrliDVC
投下乙!キモ姉スレでスレ違いと叩かれたやつか。
このスレに相応しい嫉妬や三角関係や修羅場を期待してるぜ。
519名無しさん@ピンキー:2008/05/15(木) 09:56:07 ID:TLExZz9B
これはまた……。
ドぎついのが来たなあ。母ちゃん対異母姉妹か?
どっち転んでも血の予感しかしないぜ!
期待してます、がんばってください。
520名無しさん@ピンキー:2008/05/15(木) 16:57:25 ID:RJ9kzm82
>>502 GJ
「や、やめるんだ。足を切り落とすなんて。ぜ、絶対に嫌だぁぁぁぁっっ!!」〜〜中略〜〜「はい?」

が非常に私のツボにはまりましたww
521名無しさん@ピンキー:2008/05/15(木) 19:55:27 ID:OkHQG2qB
Bloody Mary the last order まだー
522名無しさん@ピンキー:2008/05/15(木) 20:40:08 ID:u8SgLulz
全部欲しいまだー
523名無しさん@ピンキー:2008/05/15(木) 21:01:08 ID:+PQkAIt8
男は黙って全裸で待機。
524名無しさん@ピンキー:2008/05/15(木) 21:22:50 ID:siwwtCaz
叩かれるの承知であっちに投下したのは、こっちを荒らすための布石だったのに
まさか歓迎されるとは思ってもいなかったろうな
今はこんなのでもGJ貰えるほどこのスレはピンチなんだよ
525名無しさん@ピンキー:2008/05/15(木) 21:31:41 ID:bdNmzHcZ
眠い
526名無しさん@ピンキー:2008/05/15(木) 21:46:11 ID:91DUlYXi
まあ、嫉妬深い女の子による主人公を完全独占するためには
コードギアスやデスノート以上の策略があると思うんだよ
527名無しさん@ピンキー:2008/05/15(木) 21:52:02 ID:0eWaqpK4
むしろコードギアスやデスノートのような策略系主人公を落とせる女ってどういうやつなんだろうな
ああいう他人の心を読んで自分が主導権を握りたいタイプをどう攻略するんだろうかw
528名無しさん@ピンキー:2008/05/15(木) 22:03:10 ID:X/vNsEau
>>527
決まってんだろ。愛だよ、愛


と言いたいが、やっぱ自分以上のレベルに惹かれるんじゃね?それと人間的に魅力があるとか
例えるなら教師と教え子かな。自分の理想とか越えられない壁的な存在とか自分より一枚上手とか
あと自分の範疇外の人間とか別世界(脳が)の人間とか。策略系はそんな女に惹かれると思う
529名無しさん@ピンキー:2008/05/15(木) 22:27:27 ID:L13jrVYc
嫉妬した女の子を全て手なづけてハーレム。
そんな妄想が止まらないんだがどういう展開になればこんなENDになるのかね?
530名無しさん@ピンキー:2008/05/15(木) 22:46:10 ID:Tzkt1KnO
『仲良くしないとお前のこと嫌いになるかも』とか、友達とかとの会話で理想のタイプなどをヒロインにも聞こえるように言うとか
531名無しさん@ピンキー:2008/05/15(木) 22:51:58 ID:91DUlYXi
ツンデレ系のヒロインが欲しいな
主人公が大好きなんだけど、素直になれないヒロイン。
しかし、デレる前に清純派の大人しい女の子と主人公が仲良くなり
ツンデレはどんどんと病んで行くと
532名無しさん@ピンキー:2008/05/15(木) 23:17:11 ID:XwRdoOAe
ツンデレスレに行って思う存分楽しめば?
533名無しさん@ピンキー:2008/05/15(木) 23:19:14 ID:K7v+Z/PC
>>532
待て、後半の要求はツンデレスレでやるとヤンデレスレ池とか言われるだろwww
534名無しさん@ピンキー:2008/05/15(木) 23:19:16 ID:91DUlYXi
ツンデレの嫉妬が読みたいんだよバカモン(namihei)
535名無しさん@ピンキー:2008/05/15(木) 23:25:46 ID:f/Miz3fo
なに、こいつ?
正論を吐かれてなんで口汚く罵ってんだ
他人をバカ呼ばわりするお前の方がよっぽどバカだよ
536名無しさん@ピンキー:2008/05/15(木) 23:36:00 ID:2FrliDVC
単なるツンデレ女の嫉妬ならツンデレスレにもあるだろうが。
537名無しさん@ピンキー:2008/05/15(木) 23:36:34 ID:K7v+Z/PC
>>535
>しかし、デレる前に清純派の大人しい女の子と主人公が仲良くなり
>ツンデレはどんどんと病んで行くと
へ〜、こういうシチュエーションは嫉妬スレの範疇じゃないんだ〜
538名無しさん@ピンキー:2008/05/15(木) 23:37:51 ID:K7v+Z/PC
まぁ、妥当なところでツンデレスレでも嫉妬スレでも大丈夫というところだろうな
ただむこうで嫉妬系が歓迎されるのかは知らない
539名無しさん@ピンキー:2008/05/15(木) 23:40:18 ID:f/Miz3fo
ここの住民の欲するところの嫉妬女って大概がヤンデレだし
そもそもここが重複スレなのか
キモ姉とかヤンデレとか、重複スレ大杉
540名無しさん@ピンキー:2008/05/15(木) 23:43:19 ID:+i50NuUX
修羅場スレから派生していったんだから、当然じゃん

嫉妬を愛し、嫉妬がメインテーマの作品であれば全部OK
途中でバトルやろうがファンタジーやろうがなんでもOK
嫉妬こそが正義
これが修羅場スレの伝統よ
541名無しさん@ピンキー:2008/05/15(木) 23:46:16 ID:f/Miz3fo
史実のねじ曲げはよくないな
542名無しさん@ピンキー:2008/05/15(木) 23:48:43 ID:2FrliDVC
>>539
5 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2006/05/27(土) 16:05:52 ID:Qt52YLWc
というか、修羅場スレとの線引きが難しいな。
向こうも修羅場への過程上、ほぼヤンデレ化してしまうから。

6 名前:名無しさん@ピンキー[] 投稿日:2006/05/27(土) 18:52:02 ID:w22gTeDZ
嫉妬スレは対抗馬がいて激しいバトルを繰り広げるが
こっちは特定の対抗馬がいないのに勝手に病んでいくみたいな?



ヤンデレスレ初代より
とまぁ、似ていて同じ物もあるが一応別物ってことよ。
543名無しさん@ピンキー:2008/05/15(木) 23:52:23 ID:VRM3Hnkd
ツンデレの修羅場こそが王道だ!!
特に海○と山○が対峙した時のBGM
544名無しさん@ピンキー:2008/05/15(木) 23:53:02 ID:0eWaqpK4
はいはいID:f/Miz3foはただ挑発して楽しみたいだけなんだからスルースルー
>>534はそもそも軽くお茶を濁した感じでいってるのに、それをストレートで返してるのが>>535
どう考えても荒らす気満々だな
545名無しさん@ピンキー:2008/05/15(木) 23:57:09 ID:f/Miz3fo
挑発してるのは「はいはい」とか言ってるお前の方だろ
546名無しさん@ピンキー:2008/05/15(木) 23:59:16 ID:fG4Nkkw5
毒めぐさん、出所してきたの?
547名無しさん@ピンキー:2008/05/15(木) 23:59:44 ID:K7v+Z/PC
この流れは打開せねばな・・・ちょっとまて、一時間もすれば短編を投下する
548名無しさん@ピンキー:2008/05/16(金) 00:01:38 ID:f/Miz3fo
七戦姫とかって完全にスレチだろw
美少女バトルやりたいだけじゃん
549名無しさん@ピンキー:2008/05/16(金) 00:03:32 ID:N+fE6MZS
ID:f/Miz3fo=毒めぐ
さっきから煽っているけど、低レベルの煽りに乗るようなゆとりはここにいませんけどwww
550名無しさん@ピンキー:2008/05/16(金) 00:06:46 ID:ee+Epwkf
というか毒めぐ多分解放されてるな
仮出所なのかしらんが、mixiみたら10分以内にログインしてたぞ
551名無しさん@ピンキー:2008/05/16(金) 00:06:48 ID:8gKMoNvI
ID:N+fE6MZSが一番乗せられてるお調子者ってことに自分で気付け
552名無しさん@ピンキー:2008/05/16(金) 00:06:56 ID:+i50NuUX
そんなどうでもいいことより
>>547に期待
553名無しさん@ピンキー:2008/05/16(金) 00:07:36 ID:X/vNsEau
荒らしに構うのはいかんよ。気持ちはわかるが>>1を見ようぜ
んなことよか>>547がこの後SS投下してくれるんだからまったりと待つべ
554名無しさん@ピンキー:2008/05/16(金) 00:15:56 ID:N+fE6MZS
>>545
すぐに解放されるのか、女子中学生に性暴行した犯罪者って
普通は刑事で起訴されて、実刑確定では?
555名無しさん@ピンキー:2008/05/16(金) 00:18:29 ID:ZcUDb8T4
この流れでいけば、余程の駄作じゃない限りGJ連発は必至だからな
556名無しさん@ピンキー:2008/05/16(金) 00:19:58 ID:N+fE6MZS
単発IDで自作自演ってことは毒めぐは出所してきたのか
で、現実逃避のために嫉妬スレを荒らしているわけですか
たけしの作者でも社会復帰には5年以上かかったのに、
おい、警察。毒めぐは全く反省してないぞ!!
557名無しさん@ピンキー:2008/05/16(金) 00:24:33 ID:w67CPsjV
性犯罪は大概弁護士が親に持ちかけて示談にしてくれるからな
被害が取り下げられれば起訴どころか立件も無理
親とて金にはなるし、自分の娘が尻軽のアフォ女だと宣伝されるのは耐えられんだろうから
一番悪いのは公開を原則とした現在の裁判制度だな
558うふ〜ん:うふ〜ん ID:DELETED
うふ〜ん
559名無しさん@ピンキー:2008/05/16(金) 00:26:26 ID:ZUPqn53Z
またお前ら…荒らしの正体とかどうでもいいことを…
560名無しさん@ピンキー:2008/05/16(金) 00:28:13 ID:GCZZH+Wc
警察は事件を捜査して起訴に持ち込むのに必要な資料を作るまでがお仕事
反省を促すための組織じゃないよ
561名無しさん@ピンキー:2008/05/16(金) 00:29:49 ID:N+fE6MZS
また、単発が増えてきたな
毒めぐがmixiでログインした途端にこれかよ。わかりすぎるぞwwww
562名無しさん@ピンキー:2008/05/16(金) 00:43:37 ID:Mlcv9Sfo
はいはいわろすわろす
563名無しさん@ピンキー:2008/05/16(金) 00:45:57 ID:IcFw18O9
SSを読みに来たもの、投稿しに来たものだけが、それに見合った発言をしたまえ
564名無しさん@ピンキー:2008/05/16(金) 00:47:16 ID:Mlcv9Sfo
嫉妬修羅場分が欠乏してオラなんだかオギオギしてきたぞ!
565名無しさん@ピンキー:2008/05/16(金) 00:49:32 ID:BMLsXEJF
話を元に戻すとツンデレの嫉妬はいいと思うんだ
ツンデレが主人公にツンな態度を取っている最中に
泥棒猫に奪われて、だんだんとしおられていく姿を……
566名無しさん@ピンキー:2008/05/16(金) 00:55:39 ID:KAKyC0eE
一時間たったぜ
約束どおり投下する

即興なので出来が悪いのは勘弁してくれ。2レス程度で終わると思う。
567名無しさん@ピンキー:2008/05/16(金) 00:56:02 ID:K3ilkRtX
一時間で書くって奴に限って、実はもう一週間も前に書き終えてたSS投下するんだよ
自信ないから投下するかどうか迷っていた奴を
ダメでも速攻で書いたからって言い訳できるし
「一時間で書いた割りには」ってお褒めの言葉もいただけるかもよw
そんなのだから、一般的に言ってこういう時の作品はつまらん駄作であることが多いね
568敵との遭遇:2008/05/16(金) 00:56:42 ID:KAKyC0eE
私には我慢ならないことがある。大好きなあの人に最近変な虫がついたこと。
あの女が来るまで登校のとき私たちは子供のころから遊んでいた公園で落ち合って、二人で40分ばかりの道を歩いた
それが忘れもしない4月21日の月曜日、いつものように7時30分の補習に間に合うよう6時35分に件の公園でまっていたときだ。
いつも彼が出てくる曲がり角を待ち遠しく見ていると影が二つくることに気がついた。
この時間帯は人通りが少ないのだが、二人組みということで彼ではないとそのときは思った。
だが、予想は裏切られた。見慣れない女が彼と一緒に現れたのだ。
そのときはあまり真剣には考えなかった。理由があるのだろう。
どういう事情かは知らないが、彼が私から離れることはありえない。今思えば根拠のない自信があった。
だから私は特に怒るでもなく戸惑うでもなく彼に事情を聞くことができた。
彼によると、家を出たら待っていてくれたらしい。特に困ることもないので一緒にいくことにしたが突然のことで少し迷惑しているとのことだ。

だが私は気づいてしまった。彼の色素が薄めの頬が嘗て見たことがないほど上気していることに。
私は戸惑った。そしてその頬と彼は気づいてないのだろうが少し興奮したような声にハッと思い当たった。
本当に忌まわしい。口にするのも、こうやって考えるのもはばかられるような。
まさか彼はこんな見るからに根暗な女に恋をしてしまったのでは。
いや、そんなありえないことだけれども。そんなことは絶対にあってはならないことだけれども。
それに類似した感情を抱いてしまっているのではないか・・・と。
569敵との遭遇:2008/05/16(金) 00:57:54 ID:KAKyC0eE
私には衝撃。いや、こんな言葉では足りないほどのなにかをうけた。
この陰湿そうな女などよりはるかに健康的な体つきをしているし。
自分で言うのもなんだが性的魅力だってそこいらのグラビアアイドル風情よりあると自負している。
そして何より、そして何よりも、幼いころから私は彼のみにすべてをささげてきた。彼にのみ心を尽くしてきた。これからもそうするだろう。
今まで幾多の男が私に迫ったが、心が揺らぐことなどなかった。彼以外の人間などありえなかった。
にもかかわらず彼は私以外の女に気持ちが向いている。もちろん確証があるわけではないが。
だけど、私には分かる。彼の顔を見て、しぐさを見て、声を聞いて・・・彼の心が手に取るようにつかめてしまう。
私が人生をかけて自分に向けさせようとしていまだに得られていない気持ちを、こんなどこの馬の骨も知らない女に向けられている。
それがどういうことなのか理解したくなかった。何かの間違いだと思いたかった。

だがどうだろう。三人で歩き始めるとその考えが的中していると考えざるを得なくなった。
あの女に言葉を放つとき、私との会話では決して出すことがなかった感情がこもっていることがわかる。
あの女の言葉を聴くとき、私が一度も引き出すことができなかった表情をしたのがわかる。
私がこんなにも恋い慕ってきたというのに。私にはただの友への言葉を放つ。
夢だと思った。悪夢だと思った。まやかしだと思った。
だが、現実は受け入れねばならない。
このときからこの女が、打倒すべき敵となった。

終わり
570名無しさん@ピンキー:2008/05/16(金) 00:58:58 ID:KAKyC0eE
えっと・・・言い訳するつもりはない。
一時間というのは本当だが読むほうには関係がないだろう。
駄文すまなかった。
571名無しさん@ピンキー:2008/05/16(金) 01:00:30 ID:K3ilkRtX
言い回しが説明的すぎるし、漢字で書くべきところに平仮名が多用されていて人目読んだだけでは意味が通りにくい

まあ言った通りになったわけだが
期待してなかった分、ダメージも少なくて済んだな
お疲れさん
572名無しさん@ピンキー:2008/05/16(金) 01:01:13 ID:K3ilkRtX
先に訂正しておくよ

人目→一目
573名無しさん@ピンキー:2008/05/16(金) 01:02:58 ID:KAKyC0eE
指摘ありがとう。今後に生かして生きたいと思う。
ちょっと荒れそうなスレの流れを変えたかった。
今は反省している。
574名無しさん@ピンキー:2008/05/16(金) 01:03:59 ID:BMLsXEJF
ツンデレならGJを100回やってもいいんだが
GJだ

次は原稿用紙250枚の長編で頼むぜ
575名無しさん@ピンキー:2008/05/16(金) 01:10:24 ID:yjmQxM1o
>>570
いいってことよ
嫉妬を愛でる心が込められていれば、読んでいて自然に分かるし、俺は癒されるぜ

一時間でSS書くのは大変だったろう
ともかくGJ!
576名無しさん@ピンキー:2008/05/16(金) 01:15:56 ID:6KlNB5HU
1時間書けば、目が痛くならないか?
577名無しさん@ピンキー:2008/05/16(金) 01:18:24 ID:KAKyC0eE
>>576
世の中には一日18時間以上ディスプレイに向かっている廃人もいてだな・・・
578名無しさん@ピンキー:2008/05/16(金) 01:18:50 ID:tbm6Tw3T
おやおや、どこから湧いてきたのか単発ばっかw
見事なまでにあからさまだな
579名無しさん@ピンキー:2008/05/16(金) 01:21:53 ID:Mlcv9Sfo
はいはいわろすわろす
580名無しさん@ピンキー:2008/05/16(金) 01:25:24 ID:IcFw18O9
草生やしたり蒸し返したり単発単発わめいたり
あからさまかつワンパターンとはお前のことだな
581名無しさん@ピンキー:2008/05/16(金) 01:27:48 ID:Mlcv9Sfo
           __
        , ‐' ´   ``‐、             / ̄:三}
.     /,. -─‐- 、.   ヽ        /   ,.=j
 _,.:_'______ヽ、 .!       ./   _,ノ
  `‐、{ へ  '゙⌒ `!~ヽ. !     /{.  /     よーしわかった!
    `! し゚  ( ゚j `v‐冫   , '::::::::ヽ、/     そんなことより野球しようぜ!
.    {.l   '⌒      ゙ 6',!   / :::::::::::::::/ __
.     〈  < ´ ̄,フ  .ノー'_ , ‐'´::::::::::::::;/ (_ノ)‐-、
.      ヽ.、 ` ‐", ‐´‐:ラ ':::::::::::::::: ;∠.   ヽ_}  ゙ヽ
        ,.r` "´  /:::::::::::::::::::ィ´  `ゝ  !、  /
     /       / :::::::::::::::: ; '´   /´\ /   r'\
.     i      ! ::::::::::::::/ 墨 | .!::::::::/ヽ、.._!ヽ. ヽ、
     {      {:::::::::::;:イ /   ‖i:::::::/:::::::::::::/  \
.      ヽ       ヽ,.ァ‐'´ /ヽ 二 ,/`ヽ、::::::::: /
582名無しさん@ピンキー:2008/05/16(金) 01:58:46 ID:oQ8vqjYc
>>581
わりー中島、先に宿題しなくちゃ

>>570
謝るくらいなら投下するな!でもそんな君が好き!GJ!
583名無しさん@ピンキー:2008/05/16(金) 02:06:53 ID:7yxqCxrB
おっ、草生やすって言葉覚えたねw
584名無しさん@ピンキー:2008/05/16(金) 03:15:07 ID:NxGAZUIc
>>583
みたいだな。てか馬鹿でも一応脳ミソはあるんだなwww
585うふ〜ん:うふ〜ん ID:DELETED
うふ〜ん
586名無しさん@ピンキー:2008/05/16(金) 06:49:40 ID:sEkL4oEr
荒らしの迫力ねえな・・・
以前の無茶苦茶な荒らしを知ってる俺には
荒らしがただの馬鹿としか思えん
587名無しさん@ピンキー:2008/05/16(金) 07:04:45 ID:4ll7r1oc
かまって欲しいんだろ
さわってやるな
588名無しさん@ピンキー:2008/05/16(金) 08:48:28 ID:IcFw18O9
>>586
そういうこと言うと発奮して暴れ出すぞ、気をつけろ
とことん単純で浅慮だからな、こういう手合いは
589名無しさん@ピンキー:2008/05/16(金) 08:58:39 ID:xhzFsAia
>IcFw18O9
気持ちはわかるがお前も落ち着け
590名無しさん@ピンキー:2008/05/16(金) 09:47:36 ID:kRi8uLSW
>>588って、結局「荒らすなよ。いいか、絶対に荒らすなよ」っていいながら荒らさせようとしてるのか
ダチョウ倶楽部みたいな荒らし方しないで下さい
591名無しさん@ピンキー:2008/05/16(金) 09:50:02 ID:oQ8vqjYc
携帯の俺mixi見れなくて涙目w
どんな内容なんだ?
592名無しさん@ピンキー:2008/05/16(金) 09:54:37 ID:neWrRm5+
>>とことん単純で浅慮だからな

こういう表現が毒ウナギを傷つけるのに最も効果的と判断したのだろうな
なにより毒ウナギの深慮遠謀を恐れている証拠さ
図らずも自らの心中を吐露してしまったことになってしまったね
593名無しさん@ピンキー:2008/05/16(金) 10:19:38 ID:IcFw18O9
これはひどい
594名無しさん@ピンキー:2008/05/16(金) 10:23:31 ID:XFNk51Lr
まーた同じバカか。
595名無しさん@ピンキー:2008/05/16(金) 10:27:41 ID:xhzFsAia
スルーしろ
幾度同じ荒らしが来ようとスレは変わらず続いている
596名無しさん@ピンキー:2008/05/16(金) 11:14:34 ID:34rg5iZL
雑談と僅かなくだらない小ネタだけで延命されてはいるが・・・
597名無しさん@ピンキー:2008/05/16(金) 11:33:42 ID:q36aZI1N
いいな、植物人間スレw
598名無しさん@ピンキー:2008/05/16(金) 12:16:02 ID:XFNk51Lr
と、彼はそういうことにしたいそうです
599名無しさん@ピンキー:2008/05/16(金) 12:32:13 ID:IcFw18O9
まさに>>578
600名無しさん@ピンキー:2008/05/16(金) 12:37:08 ID:xhzFsAia
お前らみたいに踊るアホを面白がっていじるやつがいるから、このスレはいつまでも粘着されんだよ。
少しは自重汁。
601名無しさん@ピンキー:2008/05/16(金) 13:48:43 ID:rXXS4UqC
藻前モナーw
602名無しさん@ピンキー:2008/05/16(金) 19:00:06 ID:2XILCRYZ
投下間隔短かすぎだろww
一人でやってるのばればれww
603うふ〜ん:うふ〜ん ID:DELETED
うふ〜ん
604名無しさん@ピンキー:2008/05/16(金) 19:46:14 ID:4ll7r1oc
>>603
スレチだぞ
毒めぐの話なら
http://love6.2ch.net/test/read.cgi/illustrator/1208153934/
でやれ
605名無しさん@ピンキー:2008/05/16(金) 20:59:15 ID:qw58YrJh
とりあえず、おかしいと思うのならストップ、だ
あとは、自ずと分かるはず
606名無しさん@ピンキー:2008/05/16(金) 21:16:26 ID:hST5e8Ft
今夜もツンデレ少女の修羅場について語るぜ!!
607名無しさん@ピンキー:2008/05/16(金) 21:47:43 ID:P5f08iqB
85 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/05/16(金) 00:36:32 ID:sBtVKWtj
毒めぐが戻ったとたんに前毒めぐが荒らしてたとおもわれるスレに荒らしが現れた
毒めぐが逮捕されてから荒らしみなかったのにな


86 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/05/16(金) 00:51:31 ID:kVRCSqz8
メンヘラ女子中学生に人生バッドエンドフラグをギンギンにおっ勃てられて
家族からは見放され、社会からは疎んじられて、どんな心境なんだろうな…


87 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/05/16(金) 00:55:55 ID:sBtVKWtj
スレを荒らしたい気分なんだろw


88 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/05/16(金) 01:17:45 ID:reVz3F4H
>>85
それどこのスレ?
見に行ってみたいんだが。


89 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/05/16(金) 08:05:36 ID:mB98+je3
少なくとも公開されてる日記にはコメントしてないみたいだね


90 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/05/16(金) 21:24:12 ID:MB+B4ySH
てか、毒ウナギはエロパロSSスレとか荒らしすぎwww


91 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/05/16(金) 21:38:47 ID:Zg5ayETd
武富士に業務改善命令 金融庁、三和ファイナンスも処分
http://www.47news.jp/CN/200805/CN2008051601000660.html
金融庁によると、松山市内にある武富士の支店の担当者が06年8月、借り手の自宅を訪れ、ドアを強くノックしたり、玄関前で「貸した金返せよ」といった文言が入った音楽を携帯電話で流した。

 社内規定に違反し、借り手の親族などに返済を求めたことが発覚するのを防ぐため、借り手本人からの返済に見せかけた文書を作成していた支店もあった。


92 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/05/16(金) 21:39:10 ID:sBtVKWtj
そういえば「毒」って「ぶす」って読めるよなw


93 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/05/16(金) 21:42:58 ID:a8iG9anU
>>88
ここじゃね?

嫉妬・三角関係・修羅場系総合SSスレ あの女49も!
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1208696389/
608名無しさん@ピンキー:2008/05/16(金) 21:57:30 ID:W1NLMoqv
嘘書いてんじゃねぇよアホ
93のコメが全然違うだろうが
609名無しさん@ピンキー:2008/05/16(金) 21:57:59 ID:hST5e8Ft
あんな変態はどうでもいいから、ツンデレ少女のプロット製作でもやろうぜ
610名無しさん@ピンキー:2008/05/16(金) 21:58:13 ID:EZFJrOyk
おいおい>>604のスレにいってみたんだが>>85から>>92まではそのままコピペなんだが>>93ねつ造してるぞ>>607
どう考えても毒めぐだろ
611名無しさん@ピンキー:2008/05/16(金) 22:03:48 ID:hST5e8Ft
まず、ツンデレに大切なのはツンであり、主人公には常にツンの態度で接しないとダメってことだ
泥棒猫はツンと対極のは大人しい系の清純派の女の子。ちょっと天然を入って、主人公に上手く入り込む
ツンデレがちょっとツンの態度を取るだけで、泥棒猫は大げさに○○さんにそんな態度を取らないでください

で、ツンデレが去った後にツンデレさんは○○さんのことを大嫌いのようですねと洗脳するとw
612名無しさん@ピンキー:2008/05/16(金) 22:14:27 ID:6pckX1aa
みんなでプロット出し合って、複数の書き手有志で競作するのも楽しいな
理想の題材のSS読めるし、書き手それぞれの特徴が出て色々と楽しめそう
613名無しさん@ピンキー:2008/05/16(金) 22:30:42 ID:Z85DweZf
競作か
SSは書けるがネタがない、ネタはあるが文章が苦手、
そんな弱点をお互い補うのはありかもな
避難所にスレ立てしてアイデアを出し合ってみてはどうだろう
もちろん阿修羅さんの許可はいるが
614名無しさん@ピンキー:2008/05/16(金) 22:35:53 ID:oQ8vqjYc
>>611
ツンデレはヤンデレに変身することもできるな
ツンツンしてデレようとしてたらタイミング悪く泥棒猫登場でかっさらわれる
男は泥棒猫と付き合ってしまう→ツンデレがヤンデレ化→修羅場!!

…まあヤンデレはスレ違い気味だな。つーか修羅場の定番パターンかも

ツンデレってのは立ち位置が重要だな
無数のパターンがあるが男との立ち位置次第で無限の可能性を秘めている
修羅場スレではツンデレヒロインは王道とも呼べる。だがしかし最も辛い立場でもある

>>612
>>613
その意見は過去に俺も言ったが却下された。言い出しっぺの法則ってのがあってな。良いとおもうんだけどね…
プロットなら腐るほどあるぞ。大雑把なやつから細かい部分までな。無限に湧いてきよるわ…
615名無しさん@ピンキー:2008/05/16(金) 22:36:17 ID:0x/Q5b2f
避難所?
ここでやるのはダメなのか
雑談代わりになるし、いいじゃないか
616名無しさん@ピンキー:2008/05/16(金) 22:41:43 ID:jEAoPo7S
>>609
誰に向ってレスしているんだ?

まあ、ツンデレと思い出すとホワイトアルバムの修羅場を思い出すわけだが
617名無しさん@ピンキー:2008/05/17(土) 00:15:28 ID:QAq7w8N7
>>616
ホワイトアルバムと聞いてもギアッチョしか思い付きません。
618名無しさん@ピンキー:2008/05/17(土) 01:04:02 ID:6Fx/nkso
ひとりワルツとか、ツンデレ修羅場の典型。
オチは完全敗北だけど。
619名無しさん@ピンキー:2008/05/17(土) 11:24:39 ID:tDokWqky
虹だけどヤンデレハルヒっていうのがまとめリンク先の某所にあって、見事なツンヤンデレぷりだった
まぁ長門に完全敗北、戦う前から負けているようなものだけど
620名無しさん@ピンキー:2008/05/17(土) 11:29:06 ID:rAxOPjEk
で、結局誰もネタとかプロット書かないのかい?結構楽しみにしてたのに
投下までの雑談としても楽しめるだろうしスレも盛り上がる内容だと思うんだけどね
621名無しさん@ピンキー:2008/05/17(土) 11:33:48 ID:qbDNuJfL
今はちょっと空気悪いしな
ほとぼりが冷めるまでは気長に待とうぜ
622名無しさん@ピンキー:2008/05/17(土) 11:35:20 ID:7wICS9pJ
ツンデレ プロット
海原が山岡のことを待ち伏せている趣味はあるが、それは息子を想う禁断の愛であった
しかし、新聞社に入社してきたゆう子と山岡がいい感じになり、嫉妬する。

そして、山岡が奪われることを恐れた海原はある決意をする。

「桑の実だ!!」



以上 最高のツンデレ王の嫉妬プロットでしたw(意味わかんねー)
623名無しさん@ピンキー:2008/05/17(土) 11:42:55 ID:qbDNuJfL
>>622
海原は山岡の義母?
あと桑の実の意味がわかんねぇ
624名無しさん@ピンキー:2008/05/17(土) 11:43:59 ID:7wICS9pJ
ヤンデレ プロット
アニメやコスプレを趣味にしているオタク少女であるヒロインが主人公にオタク趣味を
隠して、親密な交流をしていた。その趣味がバレると主人公から嫌われると恐れながら。
ところが、泥棒猫は主人公と仲良くしているヒロインの弱味を知り、それを主人公にバラす

当然、オタク趣味を嫌う主人公はヒロインと絶縁宣言して、泥棒猫と一緒にいるようになる。
落ち込むヒロインはオタク趣味をやめるために、集めていた秘蔵のDVDとコスプレ衣装を捨てようとするが
できずに、布団の中で泣き寝入りする日々が続く。

そして、ある決意をする。オタク趣味を隠さずに、本当の自分を主人公に見せよう。


主人公と泥棒猫の前に現れたヒロインは
奇妙な猫耳衣装を身に付けて、叫んだ


「御奉仕するニャン!!」



以上 ヤンデレ プロットでした。(全然、病んでないけどw)
625名無しさん@ピンキー:2008/05/17(土) 11:45:44 ID:7wICS9pJ
>>623
桑の実の元ネタはこれ
ttp://www.nicovideo.jp/watch/sm3141475
626名無しさん@ピンキー:2008/05/17(土) 11:58:43 ID:rAxOPjEk
…なんかプロットってか思いついたネタだな。雄山吹いたw
なんかこう、もっとキッチリ設定も書いてほしいね
物語あらすじ
舞台設定
登場人物・名前・年齢
キャラ設定(特徴とか性格とか)
細かくプロット作って書いたら誰かそれを書いてくれるかもしれん

ああ、こんなこと書いたら「じゃあお前もプロット書いてみろよ」とか言われそうだ…
627名無しさん@ピンキー:2008/05/17(土) 12:17:47 ID:qbDNuJfL
こんなのはどう?

主な登場人物
・主人公1 高校2年?
・女 (男にするかも)
・数年前に転校してきた
・おとなしくて少し地味な感じ
・実は美人
・運動神経は超鈍い(100m19秒台…)
・頭は良い(成績のみというのではない、洞察力など)

親友
・女 主人公と同い年 同じクラス
・主人公の味方 
・明るく、面倒見が良い。お姉さんのような存在
・真犯人のスケープゴートにされる
・運動神経は良い
・勉強は少し苦手

主人公の(義)妹
・女(当たり前か…)
・真犯人
・過去の殺人事件の関係者(被害者)
・養子として主人公の彼氏の養子になる(養子になったのは主人公の転校してくる前。
                    ほとんどの人はその事情を知らない)
・主人公(男)を女として愛している(犯行の動機と大きく関係する)
・甘え上手でしたたか、激情家の一面がある
・中学生?
・養子になってから日記を毎日つけている
 過去の出来事に気持ちの整理をつけるため(兄に日記帳をプレゼントされたのも動機のひとつ)
 (主人公を愛してしまう戸惑いと、狂っていく過程が描写されている)
・演劇部所属 演技がうまい 猫かぶりの複線

彼氏(主人公2?)
・男
・背は高く、痩せ型
・やさしい人、ちょっと優柔不断、勇敢な一面もある
・感情の変化に対して鈍感 お約束

地域
・田舎で人がまばら(ひぐらしと被る?)or 閑静な住宅街
628名無しさん@ピンキー:2008/05/17(土) 16:10:23 ID:rAxOPjEk
>>627
もうちょいこう、なんか書き手が書きたくなるようなグッとくるのない?
他にこんな描写をしてほしいとかセールスポイントみたいなの
過去・現在・未来のキャラの状況とか出だしのツカミとか山場はこうなるとか
物語の大まかなあらすじみたいなので「これはこんな話でこんな展開になっていく」みたいなさ
なんかプロットを出しあうっつっても難しいな。出しても面白そうとか感じないと書き手が
書きたくならないしな

ああ、なんか「偉そうに言うくらいならお前が出せや」って声が聞こえそうだ…
629名無しさん@ピンキー:2008/05/17(土) 17:12:50 ID:4eHBk9wE
予防線を張って叩かれないようにするのはみっともないぜ。もっと堂々と発言しろ
630名無しさん@ピンキー:2008/05/17(土) 17:26:32 ID:rAxOPjEk
>>629
あんがとよ
誰か他の住人の意見が知りたい。ヒマ潰し気分でも意見は多い方が良いだろ?
コレでプロット採用されて神作品が出来たら最高じゃねーか。つーわけでなんか意見言ってくれ
631名無しさん@ピンキー:2008/05/17(土) 17:27:49 ID:+allzUPb
昔は嫉妬スレ住人が書いたプロットで作者が作品を書いたよな
姉妹日記とか後もう一つはなんだったけ?
632名無しさん@ピンキー:2008/05/17(土) 18:00:15 ID:wx1mBbp0
>>630
最近投下が少ないから俺はありだな
雑談ネタにもなるし
633名無しさん@ピンキー:2008/05/17(土) 20:20:05 ID:7cMFFAdO
>>630
書きたくなるネタねぇ・・・
やっぱシチュエーションって大事だよな
634名無しさん@ピンキー:2008/05/17(土) 20:49:03 ID:7cMFFAdO
すまん
>>630>>628
635名無しさん@ピンキー:2008/05/17(土) 20:50:48 ID:oRXrxSb1
とりあえず学園物みたいな現実的なやつを書いた方がいいとおもうんだが
636名無しさん@ピンキー:2008/05/17(土) 21:53:19 ID:tDokWqky
前世では深く愛し合っていた二人が、現世では離れ離れに
ヒロイン1は架空空間で最愛の人を見つけるが、男は前世での記憶をなくし、ヒロイン2(前世では悪い魔女)と良い雰囲気に
実は『兄』と慕っていた男は悪い魔女に洗脳されていた、それを知ったヒロイン1は真実を告げるが相手にされないばかりか魔女の肩をもたれる
追いつめられたヒロインは……
という話はないかな?どこかで見たような気もするけど気にしない
637名無しさん@ピンキー:2008/05/17(土) 22:17:16 ID:wx1mBbp0
>>636
あえてそれには触れない
でもファンタジーもいいよな
ブラマリとか好きだったし
638名無しさん@ピンキー:2008/05/17(土) 22:21:44 ID:+2QfGgRW
嫉妬作品書く上で何が難しいってやっぱり決着のつけ方だよな
振られた側、選ばれなかった側の女の子の後始末をどうつけるか……
それが最大の問題だと思う
殺すとか自殺させるとかって手も在るけどなるべく避けたいしなぁ
639名無しさん@ピンキー:2008/05/17(土) 22:32:06 ID:wx1mBbp0
読む側の俺としては
やはり救われるルートがあると助かる
気に入ったキャラがやられるとしばらく憂鬱になるしな
640名無しさん@ピンキー:2008/05/17(土) 23:32:17 ID:rAxOPjEk
俺も考えてみたよ
プロット

タイトル名・303号室(仮)

登場人物
・間宮 渉(マミヤ ワタル)高校生二年
特徴・茶髪(ワックスでイジッた少し長めの)目つきが悪い・中肉中背・
性格・ナイーブ・几帳面・人生を達観している節がある

宝物・ジッポライター
・中学三年までは普通の真面目な少年だった。親との確執とあるキッカケでグレはじめる
・本人は不良ではないと思っているが、周囲からは不良と思われている。友人0で周囲から浮いている
・喫煙者。メンソールの煙草を好む。趣味は音楽と読書と部屋の掃除と模様替え
・深夜のコンビニでアルバイトをしている

・相楽 環(サガラ タマキ)
ヒロイン1・渉と同じく高校二年生活
特徴・赤みがかった茶色の長い髪・切れ長の目(目つき悪い)・胸を除いてスタイルは良い。

性格・怒りやすい・口より先に手が出る・寂しがりや・わがまま
・典型的な不良娘・女版の渉みたいな感じ・口は悪いが性格は良い。人見知りの激しい
・渉とは別のクラス

佐々倉 真琴(ササクラ マコト)
ヒロイン2・高校一年生(もしくは二年)
特徴・色白な肌に艶のあるセミロングの黒髪・大人しそう・真面目そう・元病弱娘
・人畜無害の草食動物のイメージ
性格・努力家・一途・温厚で残忍・腹黒い
・昔は病弱で欲しいものや願いを最初から諦めていたが、あるキッカケで欲しいものは
どんな事をしてでも手にいれようとするようになる

舞台・地方のそこそこ栄えた街の、使われなくなって数年が経つ廃マンション(4階建て)

物語説明
間宮渉は入居者の居なくなった廃マンションの一室でひっそりと住んでいる。
来客は相楽環ただ一人。廃マンションの一室は二人だけの秘密基地になっていた。
ある日、その秘密基地に来客がやって来る。それは渉の知っている人間だった。
来客はマンションの土地権利書を持っている男の娘である佐々倉真琴。
真琴は渉にマンションで住み続ける事の条件を提示してきた。
住み続ける為の条件とは、自分と恋人になること。
どうしても住み続けたい渉はその条件を受け入れる。
反対する環を無視して付き合う事になるが、環は納得が出来ない。
恋人ではないが、それに近い付き合いをしていた環は怒り狂う。
やがて環と真琴の二人は渉を手に入れるため、熾烈な争いを繰り広げる事になっていく
641名無しさん@ピンキー:2008/05/17(土) 23:32:46 ID:rAxOPjEk
備考
・中学三年の秋、渉は廃マンションに足を踏み入れる。理由は煙草を人に見られない場所で吸おうとして。
廃マンションの屋上で煙草を吸っていたが、やがて雨が降り、雨宿りついでにマンションの中を探検する
探検の結果、一室だけ鍵が掛かっておらず中に入れる部屋を見つけた。
渉はその部屋を秘密基地にして、やがてその一室で暮らすようになる
マンションの一室を見つけてから一年後、廃マンションに来客がやってきた。
来客は刺々しい雰囲気の少女。来客の目的は奇しくも自分と似た理由だった。
やがて、その来客は時折やって来るようになり、そして二人は友人になる。
来客=環

渉と真琴の関係
・同じ中学だった
・病弱だった真琴が倒れたところを偶々保健委員だった渉が保健室に連れて行く
・やがて保健室常連だった真琴と保健委員だった渉は事ある毎に顔を合わせるようになり仲良くなっていく

642名無しさん@ピンキー:2008/05/17(土) 23:36:08 ID:rAxOPjEk
もう一個

プロット

―離れの二階の東の部屋には入ってはいけない。一人で近づいてはいけない―

田舎の家にはこういった変な決まり事がある。理由は分からない。時期が来るまで教えてくれないのだ
だが、教えてくれるはずの者がそれを教えてくれる前に亡くなったらどうすればいい?
答えは――自分で確かめるしかない。

田舎の祖母が急死した。御堂兼継(みどう かねつぐ)は遺言を守るため、田舎の家を継ぐ事になった。
田舎の大きな家というのは、大抵家長が絶対である。家長の決めた決まり事や遺言は守らなければならない。
大学に入学する直前だったが進学を諦めてて田舎に住む事になった兼継。
祖母の遺言には離れの話は無かった。決まり事は口伝でしか伝えないためだ。
離れの部屋に行った兼継は、札の貼られた部屋で雪という名前の女と出会う。
女は兼継の事を「兼護(けんご)さん」と呼ぶ。
兼護とは曾祖父の名前だった。曾祖父とそっくりな兼継を見て兼護と呼んだのだ。
曾祖父と愛しあっていたと言う怨霊の類の雪は、どうやら封印されていたらしい。
封印し直す方法を知らない兼継は雪と同居生活を送る羽目になる。
翌日、田舎の幼なじみである夏希(なつき)が家にやってくる。田舎で一人で暮らす事になったから面倒をみるために世話係としてやってきたのだ。
雪はやってきた夏希を見て怒り狂う。
「あの女…また私から兼護さんを奪うつもりなのね…!! 許さない……」


…なんかプロット人に見せるのは難しいし恥ずかしいな。
あといくつかあるけどちょっとアレだな…
643名無しさん@ピンキー:2008/05/18(日) 00:00:23 ID:7pQdu6TN
つチラシの裏
644名無しさん@ピンキー:2008/05/18(日) 00:02:12 ID:cwzx7Yem
具体的なプロット出す奴って
俺の作った人物や設定でSS書けよって言ってるようなもんだな
645名無しさん@ピンキー:2008/05/18(日) 00:05:47 ID:agv0N5Dx
それは考えすぎ
俺の場合、ネタが浮かんでも文書が下手だからプロットだけになる
はぁ・・・
646名無しさん@ピンキー:2008/05/18(日) 00:45:26 ID:d5k95cJ+
愚痴は他所でやれ
647名無しさん@ピンキー:2008/05/18(日) 00:47:49 ID:H/vFVN0S
>>644
プロットの意味分かってる?
プロットってのは骨組みみたいなもんなんだぞ。プラモの説明書みたいなもんだ
より詳細なのに越したことはねーだろ?そもそも書けよなんて自信満々に思う奴は自分で書いてんじゃね?
コレは面白いだろって自信のあるプロット考えたら大抵自分で書きたくなるんじゃね?
648名無しさん@ピンキー:2008/05/18(日) 00:53:46 ID:/FWniWIJ
>>624のようなプロットこそが本当のプロットなんだよ
649名無しさん@ピンキー:2008/05/18(日) 02:16:37 ID:7uly7c84
>>648は猫耳がみたいだけ!
650名無しさん@ピンキー:2008/05/18(日) 04:03:29 ID:d5k95cJ+
>>647
名前まで指定するのをプロットというのか。勉強になったよ。ありがとう
651名無しさん@ピンキー:2008/05/18(日) 04:32:52 ID:eNcHMhxv
>>650
人によってはもっと詳しく書いたりするよ。
友達のゼミの教授が現役の作家なんだけど、その人は話に出てこないような細かい設定もプロットに入れているらしい。
長編なら主人公の設定だけで原稿用紙二十枚は軽くいくとか。
まぁ、でも、それはプロの話。
このスレでは、そこまで細かく設定があると、他の誰かがそのプロットを使って作品を書き辛くなるかも。
それでも設定が細かく記述されていれば、読み物としても楽しめるし、悪い事ばかりじゃないと思うよ。
652名無しさん@ピンキー:2008/05/18(日) 08:23:47 ID:VRd6ZJyO
そこまで妄想しておきながら書かないのはもったいない
俺だっていろいろ指摘されまくりな文章力だががんばってかいたりするぜ
653名無しさん@ピンキー:2008/05/18(日) 09:22:17 ID:H/vFVN0S
>>650
名前変えてもいいって書くの忘れてた。でもプロットで名前つけるかどうかは人それぞれだろ?
俺は「男」とか「女」ってだけで名前がないとイメージしにくいから名前つけただけだよ
>>651
俺も細かい設定とか書くけど多くても原稿用紙三枚程度だよ。二十枚はすげぇ…
654名無しさん@ピンキー:2008/05/18(日) 10:36:47 ID:18O8TWC+
設定をどこまで細かくかはプロでも様々らしいぞ
漫画の話になるがジョジョの荒木なんかだと誕生日好きなもの嫌いなものどころか
はいてるパンツのメーカーまで事細かに設定すると書いてたな
逆にハガレンの荒川はあまり細かいところは設定しないらしい
細かく設定しすぎると逆に縛られてキャラの動きが悪くなるんだとか

あー、なんか以前も同じ事書いた気がするけど、まぁいっか
655名無しさん@ピンキー:2008/05/18(日) 11:05:15 ID:Xyvuzdlo
少なくともここで温めるべき議論じゃないぞ
よそでやれよそで
656名無しさん@ピンキー:2008/05/18(日) 11:09:23 ID:OQtrSAEM
まずはエロパロの嫉妬スレに相応しいプロットのレベルを論議して
テンプレ化することから始めるべきか……

まあ、名前を付けるぐらい設定を凝っているなら自分で書いた方がいいかもしれないね


ということで今日もツンデレについて語ろうぜ
657名無しさん@ピンキー:2008/05/18(日) 12:53:12 ID:mhFa3yKT
結論。プロットすらまともに書けないのですから、それをカタチにしろなんて無理は言わないでください
658名無しさん@ピンキー:2008/05/18(日) 13:01:04 ID:Sfd47Te+
>>656
ツンデレヒロインに大切なのはツンじゃないんだ!!
燃え盛るぐらいな焼きもち妬きで、主人公が他の女のこと喋っているだけで
どんどんと黒くなっていくツンデレは主人公の家に忍び込み


「はにゃーん」


って感じに勝手に住み着くんだ!!
659名無しさん@ピンキー:2008/05/18(日) 14:56:05 ID:VlFzAJ4q
今日も元気に毒めぐさんはミクシーログインしてるみたいですね
660名無しさん@ピンキー:2008/05/18(日) 16:14:48 ID:mRb99upY
それはどうでもいい
661名無しさん@ピンキー:2008/05/18(日) 16:29:38 ID:pd0ebvL7
荒らしに競作の話題振ってもらって、いいように盛り上がってるお前らってw
662名無しさん@ピンキー:2008/05/18(日) 16:47:42 ID:mRb99upY
>>661
ただの雑談だろ・・・アホか

663名無しさん@ピンキー:2008/05/18(日) 17:57:02 ID:gz/OOnvp
落ち着け
スルーだスルー
664名無しさん@ピンキー:2008/05/18(日) 19:02:12 ID:v8fnS27D
書き手だってプライドくらいはあるからな
他人のフンドシで横綱相撲とって褒められても、嬉しくも何ともないよ
「俺の考えたプロット」とかってハッキリ言って書き手を馬鹿にしすぎ
665名無しさん@ピンキー:2008/05/18(日) 19:25:47 ID:V8yyc27p
なんて煽ってやったら
ひょっとしてプロット通りに書いてくれる天の邪鬼さんが現れてくれるかも知れないねぇw
666名無しさん@ピンキー:2008/05/18(日) 19:40:47 ID:VRd6ZJyO
誰か書いてやったらプロットだけのやつも満足して書かなくなるんじゃね?

・・・というわけで>>640をつかってみるよ
これっきりだからな。あと、下手だからあまり突っ込まないようにしてくれ。
投下はいつかわからん。
667名無しさん@ピンキー:2008/05/18(日) 19:47:27 ID:V8yyc27p
ほら、さっそく負けず嫌いのお調子者が現れてくれたよw
よかったな、取り敢えず煽ってみて
668名無しさん@ピンキー:2008/05/18(日) 19:57:22 ID:xs0v65vA
つか、どう考えても>>640>>666だろ
次に書こうか迷ってたプロット晒して様子見してたんじゃね?
まともな書き手なら他人のプロット使って作品書くようなマヌケなことはしないだろ

ひょっとして、毒ウナギ?
669名無しさん@ピンキー:2008/05/18(日) 20:03:31 ID:U3OXGF0+
家の骨組みについて議論するスッドレはここでつか?
670名無しさん@ピンキー:2008/05/18(日) 20:05:04 ID:Xyvuzdlo
1人で誰と闘ってるんだか
671名無しさん@ピンキー:2008/05/18(日) 20:05:56 ID:H/vFVN0S
>>668
>>640>>653=俺な
とりあえず>>612からの流れを読み直してくれ
書き手が題材提供されて書こうとするのってマヌケなの?
672名無しさん@ピンキー:2008/05/18(日) 20:08:34 ID:mRb99upY
なぜここまで荒れる?
投下が来るまでの雑談だったはずだぞ
673名無しさん@ピンキー:2008/05/18(日) 20:10:59 ID:xs0v65vA
>書き手が題材提供されて書こうとするのってマヌケなの?

慢性盗作病患者のお前さんにとっては日常茶飯事のことかもねw
普通の書き手さんは、原作付きで作品書くような人気作家を気取ったりしませんからwwww
674名無しさん@ピンキー:2008/05/18(日) 20:15:41 ID:Xyvuzdlo
だから一人相撲が大好きな粘着さんが住み着いてるんだって
特徴は以下の通り
・不必要に草生やしてる
・無関係な話題で唐突に毒めぐの名前を出してくる
・やたらとスレの流れに反発しようとする

あからさまな短時間連続単発IDでもって、キャッキャウフフ毒めぐ毒めぐ毒ウナギって呟き続けてるのがそれだ
675名無しさん@ピンキー:2008/05/18(日) 20:16:16 ID:VRd6ZJyO
これ以上荒れないように書くいうたのにそれが原因で荒れるのはどうにもな・・・
俺が空気よめてないでFA?
676名無しさん@ピンキー:2008/05/18(日) 20:17:05 ID:Xyvuzdlo
もうむしろこいつのことをこそ毒ウナギって呼んだほうがいいな
677名無しさん@ピンキー:2008/05/18(日) 20:19:08 ID:Xyvuzdlo
>普通の書き手さんは、原作付きで作品書くような人気作家を気取ったりしませんから
ソース出しなさいよ
「普通の書き手さん」って誰?
定義は?
その定義の信憑性は?浸透率は?
678名無しさん@ピンキー:2008/05/18(日) 20:24:37 ID:XSyP2mWb
普通の書き手って言ったら
他人の作ったキャラで作品をでっち上げたりしない書き手さんのことじゃね?
パクリばっかりやってるから麻痺しちゃうんだよ
書くのはイラストだけにしてりゃチヤホヤされるのに
679名無しさん@ピンキー:2008/05/18(日) 20:24:42 ID:mRb99upY
xs0v65vAが普通でないのだから相手すんなよ
それにしても、いい加減毒めぐの話題はうざいな
リアルでアク禁考えるかな
680名無しさん@ピンキー:2008/05/18(日) 20:29:24 ID:xX+BNBFN
無理だろ少なくともスレの方向性として全員でスルーする以外にないだろ
なんというか今の過剰反応している状態じゃループばっかで、
誰かがその話題だしただけでも誰かが反応する

というかいちいちある単語出すだけでアク禁とか削除人がやるかよ
ただの1スレの平和のためにそんなめんどくさい作業なんてできないとおもうぞ
681名無しさん@ピンキー:2008/05/18(日) 20:30:29 ID:XSyP2mWb
アク禁なんか通るわけないだろ
削除依頼すら一度も喰らったことのない奴が相手なのに
682名無しさん@ピンキー:2008/05/18(日) 20:31:53 ID:Xyvuzdlo
>>678
>他人の作ったキャラで作品をでっちあげる
他人の作ったキャラで作品を作る=でっちあげ
の前提がまず理解不能

その「キャラを作った他人」はプロットを考える上で作品中に使って欲しいからキャラを作ってるわけだし、
それで「パクリ」というのはおかしい、主に常識的な部分で頭がおかしい
お互い合意の上で共同的に作品を作ろうとする試みをまるでそこに悪意が挟まっているかのように語るなよ、天の邪鬼さん
683名無しさん@ピンキー:2008/05/18(日) 20:36:25 ID:xX+BNBFN
ID:XyvuzdloとりあえずNGID推奨
684名無しさん@ピンキー:2008/05/18(日) 20:37:09 ID:nMp0WfCH
ウナギの一連の作品には、原作者の暗黙の同意があったと解釈していいのかな
少なくとも正面切ってキャラの使用を拒んだ作者はいなかったけど
意外に世界観が広がったことを喜んでるんじゃないのかな
685名無しさん@ピンキー:2008/05/18(日) 20:39:15 ID:VlFzAJ4q
>>684どう考えても毒めぐだろw
ミクシー5分以内にログインしてるぞww
686名無しさん@ピンキー:2008/05/18(日) 20:40:43 ID:iOCXm7dM
削除依頼は飽くまでも「スレの利用を妨げる」迷惑行為に対して行われる処分だからな。
こういう「スレの流れを悪くする」だけのチョロチョロ自演に対して振るわれるもんじゃない。

まあ今やある程度特定され得る一個人である毒めぐに対しての、無意味な名誉毀損や言いがかりとかは、度が過ぎると削除依頼やアク禁対象になりうるかもな。
687名無しさん@ピンキー:2008/05/18(日) 20:41:04 ID:H/vFVN0S
>>675
君のせいじゃないよ。書いてくれると言われて個人的に嬉し恥ずかしい。一人勝手に期待してます

なんか嫌な流れになってきてるね。みんな自由に参加できるし楽しいと思ったんだけどさ
荒れる話題はほっといて誰かネタとかプロット書いてくれないかな…
688名無しさん@ピンキー:2008/05/18(日) 20:46:15 ID:nMp0WfCH
>>685
いや、名も無き一読み専に過ぎないんだけど・・・

俺が言いたいのはキャラは借り物というかパクリ物でも
話自体は割りと真面目に書かれてたんじゃないかってことだよ

書き⇔読み質問スレでも、自キャラを他人に使われることについて
好意的な意見を持ってる書き手の人が多かったからさ
689名無しさん@ピンキー:2008/05/18(日) 20:53:51 ID:Xyvuzdlo
作者が黙ってる=好意的に受け止めてる なんていう発想は飛躍のしすぎだし正直なところ微妙な悪意を感じざるを得ない
黙ってる=相手にしないようにしてる とか
黙ってる=下手に騒いで荒れさせるのを危惧してる とか
いくらでも他に考え付くのに
690名無しさん@ピンキー:2008/05/18(日) 21:00:20 ID:RtwBuWuN
本家2ちゃんの特撮板じゃ、完全に特定された個人を侮辱するためだけの人気スレが存在してるぞ
個人の本名どころか顔写真や年齢、出身地まで晒された上でさ
確か今じゃ15スレ目まで伸びてるんだっけか
691名無しさん@ピンキー:2008/05/18(日) 21:02:42 ID:iOCXm7dM
だからどうしたという他ないな。
何にしたって、特撮板の削除人とBBSpinkの削除人は違う人間なのだから。
692名無しさん@ピンキー:2008/05/18(日) 21:05:19 ID:A2bH4AkO
>>689
肝心の原作者が相手にしないようにしているのなら、部外者が騒ぐ必要はないわな
この板が大企業に潰されずに存続しているのも、それと全く同じ理由からなんだろうけどさ
693名無しさん@ピンキー:2008/05/18(日) 21:10:44 ID:Xyvuzdlo
>>692
必要はなかろうが読者の感情的な反発は勝手に発散されるし、原作者が相手にしないならそれは読者の騒ぎに対しても同じことさ
この板でもさんざんやられてるだろ、余所から来た部外者が「原作を汚すな」っつって暴れるようなパターンが
694名無しさん@ピンキー:2008/05/18(日) 21:11:12 ID:hewvIF4/
無名のイラストレーター一人を貶めた程度で「アク禁もありえる」かw
しかも「かもな」ときたよ
どんだけ過保護な坊っちゃんなんだ
芸能関係の板には近づかないほうがいいぞ
きっと卒倒しちゃうからさ
695名無しさん@ピンキー:2008/05/18(日) 21:11:20 ID:S7UCEL1v
直人の母の続きが読みたいよ
続き気になるよ
696名無しさん@ピンキー:2008/05/18(日) 21:31:31 ID:iOCXm7dM
>>694
過保護って言葉の使い方が間違ってるとかそういうのはともかくおいといて、
俺からすれば「お前が麻痺してるだけ」だな。
緩い規制に甘えて好き放題イラストレーター一人貶してるアホ、そういうのを過保護にされてる坊ちゃんって言うんだ。
現状がぬるま湯なんだってことを理解して、あまり迂闊な行動を取らない人間こそが大人だよ。
697名無しさん@ピンキー:2008/05/18(日) 21:53:15 ID:DSqMCU8n
可哀相に・・・思いこみが激しいあまり、そのイラストレーターを貶しているのが誰だか分からなくなっているらしい
彼を貶してるのはここに巣くっている善良なはずの住民どもだろうが
698名無しさん@ピンキー:2008/05/18(日) 21:57:43 ID:mRb99upY
>>697
お前さんは誰を貶めてるの?
699名無しさん@ピンキー:2008/05/18(日) 22:00:42 ID:c2sND3uM
この流れを止める為に作品投下したら、どんな出来でも俺はその行為自体を誉める事をここに宣言する
700名無しさん@ピンキー:2008/05/18(日) 22:20:33 ID:7uly7c84
違う!みんなオナニーするんだ!
701名無しさん@ピンキー:2008/05/18(日) 22:22:14 ID:Uh2kz+o3
だれか作品投下してくれ
そしてこの訳のわからん流れを断ち切ってくれ
702名無しさん@ピンキー:2008/05/18(日) 22:35:20 ID:5xeDjYAU
今日もツンデレについて熱く語ろうぜ
703名無しさん@ピンキー:2008/05/18(日) 22:44:42 ID:5xeDjYAU
ツンデレ女王であるお嬢様が恋した少年は何のとりえもない普通の男の子だった
素直になれないツンデレお嬢様は過激なアプローチにより、少年の両親は勤めていた企業を解雇され
一家離散の危機に。

爺と呼ばれている執事の私は知っているのです。
ツンデレお嬢様が彼の両親の会社に圧力をかけて、辞めさせた事に
行き場を失った少年はツンデレお嬢様の企業が買い取り、私の後継者として執事見習いという
名のツンデレお嬢様のお世話係に。
お嬢様の意図は私にはわかっています。働けない両親の代わりにツンデレお嬢様の傍に
居続けるさせることで一家として充分すぎる収入を得られることができて、
主と執事の心の距離を近づけて、少年をお嬢様だけモノにする。

まあ、頑張れ少年。ツンデレお嬢様の我侭のせいで亡くなった人間は
30万人は超える

そして、私はお嬢様の下着を密売組織に売り流す日々だ
辛いでござる。
704名無しさん@ピンキー:2008/05/18(日) 22:58:51 ID:5xeDjYAU
「爺や。さっさと彼を私の元に連れて来なさい。どんな手段も使っていいから」
「わかりました。お嬢様。では、500億ほど、私にくださいませ」
「500億?」
「そのお金でゲーム機全種を揃えたいのです」
「あなた、私の命令の意味が全然理解してないようね」
「はい」
「あなたの憎たらしい冗談は後ほど追及することにして、早急にお願いしたいの」
「ほうほう」
「彼は私にとって、恋する少女が切なくさせてくれる唯一の存在。ゆえに朝から晩まで独占
 したいと思っているの」
「そりゃ、キモすぎるわ」
「何か言いましたか? 糞ジジイ……」
「私は家具ですから、主の命令は絶対服従です(多分)
「多分って何よ」
「それより、お嬢様。今回の依頼の報酬について私からお願いがあります」
「何よ。今度、馬鹿なことを言ったら私の黄金の左が黙ってないわよ」
「あまり私を舐めないで頂きたい。私が求める報酬……それは


 お嬢様のパンツです!!」

「殺していい。糞ジジイ。変態を通り越した変態だわ」

「間違っているのはバンツじゃない。お嬢様の方だ!!」





以上 ネタが浮かばないので、ツンデレ談義はこれにて終了
次回のお題を誰か決めてくんろー!!
705名無しさん@ピンキー:2008/05/18(日) 23:03:05 ID:etAHcQhi
>>704
じいや……そんなにパンツが大切だったのか?
706名無しさん@ピンキー:2008/05/18(日) 23:25:55 ID:t5KgptYY
如何にも即興で書いたような口振りでw
いつから暖めていたんだよ

こんな糞作品を
707名無しさん@ピンキー:2008/05/18(日) 23:32:38 ID:JxydOmxR
>この流れを止める為に作品投下したら、どんな出来でも俺はその行為自体を誉める事をここに宣言する

まあ、なんて言うか・・・ここの読み手の書き手に対するスタンスが端的に表されたレスだわな
こんなこと言われて投下する奴は、余程プライドのない書き手か、もしくはGJ欲しくてたまらない新人さんくらいのもんだろ
まったく投下し甲斐のないスレだこと・・・
708名無しさん@ピンキー:2008/05/18(日) 23:34:28 ID:VlFzAJ4q
素晴らしい毒めぐさんはミクシーまた5分以内にログインしてるようです
709名無しさん@ピンキー:2008/05/18(日) 23:36:37 ID:etAHcQhi
また、毒ウナギが暴れているのかw
とっと刑務所に帰れよ。性犯罪者はキモイんだよw
710名無しさん@ピンキー:2008/05/18(日) 23:41:14 ID:etAHcQhi
706 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/18(日) 23:25:55 ID:t5KgptYY
如何にも即興で書いたような口振りでw
いつから暖めていたんだよ

こんな糞作品を

707 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/18(日) 23:32:38 ID:JxydOmxR
>この流れを止める為に作品投下したら、どんな出来でも俺はその行為自体を誉める事をここに宣言する

まあ、なんて言うか・・・ここの読み手の書き手に対するスタンスが端的に表されたレスだわな
こんなこと言われて投下する奴は、余程プライドのない書き手か、もしくはGJ欲しくてたまらない新人さんくらいのもんだろ
まったく投下し甲斐のないスレだこと・・・


単発ID mixiログイン5分以内
毒ウナギ、性犯罪者なんだから牢獄の中で去勢でもしておきな!!
711名無しさん@ピンキー:2008/05/19(月) 00:47:27 ID:RUtf+Obm
よくわからんのだが




そのパンツはどこで、いくらで売っているのだ?
712名無しさん@ピンキー:2008/05/19(月) 01:00:42 ID:oZpO9OSM
どうみても毒めぐに対するネットストーカーです
本当にありがとうございました
713名無しさん@ピンキー:2008/05/19(月) 01:05:14 ID:hH5a0Jic
>>711
お前www
714名無しさん@ピンキー:2008/05/19(月) 01:13:26 ID:faPt9RLD
こうも毒めぐさんのミクシーログインが5分以内すぎるとな…
715名無しさん@ピンキー:2008/05/19(月) 01:13:40 ID:15GT9eyI
>>711
ツンデレのパンツなら海原のがオクで余っているけどw
716名無しさん@ピンキー:2008/05/19(月) 08:19:18 ID:1A7gIT9y
いつ見ても常にログイン5分以内ってことは、それはツールで常時監視してるだけなんじゃないのかと思うんだけど
717名無しさん@ピンキー:2008/05/19(月) 08:29:24 ID:/sF3PpkE
そもそもmixiにログインしてる=ここを見てる
っていう理論展開が意味不明
だいたい毒めぐがこのスレに対してどんな恨みつらみを持ってるっていうんだ
以前イラスト投下してから一年以上干渉してきてないっていうのに
718名無しさん@ピンキー:2008/05/19(月) 09:10:33 ID:dvaJwIjA
さあねぇ
天才の心中など俺たち凡人には理解できないからな
719名無しさん@ピンキー:2008/05/19(月) 09:52:35 ID:toSkR98+
716 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/19(月) 08:19:18 ID:1A7gIT9y
いつ見ても常にログイン5分以内ってことは、それはツールで常時監視してるだけなんじゃないのかと思うんだけど

717 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/19(月) 08:29:24 ID:/sF3PpkE
そもそもmixiにログインしてる=ここを見てる
っていう理論展開が意味不明
だいたい毒めぐがこのスレに対してどんな恨みつらみを持ってるっていうんだ
以前イラスト投下してから一年以上干渉してきてないっていうのに

718 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/19(月) 09:10:33 ID:dvaJwIjA
さあねぇ
天才の心中など俺たち凡人には理解できないからな


↑毒ウナギ乙
あんな気持ち悪い女装男の話題なんて出して欲しくない!!
720名無しさん@ピンキー:2008/05/19(月) 09:52:57 ID:toSkR98+
ということで俺は毒めぐをNGに入れる
721名無しさん@ピンキー:2008/05/19(月) 09:58:06 ID:c6h4ZAdH
そういやヲチスレってのも紹介者が要るとか言ってなかったか
722名無しさん@ピンキー:2008/05/19(月) 10:01:15 ID:Oke03jt2
>>718
お前以外は誰も天才なんて言ってないけど誰が天才なんだ?アミバ?

つーか毒めぐ毒めぐうるせーよ。そんなスレ違いの話がしたけりゃよそに行け
ちなみにツンデレもスレ違いだし嫉妬も修羅場もねーだろが
723名無しさん@ピンキー:2008/05/19(月) 10:05:59 ID:toSkR98+
>>721
あれは妄言だろ
724名無しさん@ピンキー:2008/05/19(月) 10:06:04 ID:c6h4ZAdH
ツンデレ禁止令か
ところで、そのイラストが投下された時、お前らボロカスに貶さなかったか?
避難所とかも含めてさ
725名無しさん@ピンキー:2008/05/19(月) 10:07:24 ID:toSkR98+
>>722
煽りたいなら余所へ行けよ
ネタの一つも出さないくせに
726名無しさん@ピンキー:2008/05/19(月) 10:19:56 ID:Oke03jt2
>>725
毒めぐの話題がスレ荒れの原因ってのがわかんねーの?お前が煽ってんじゃねーか
ネタの一つも出さないくせにってんならお前が出せよ。スレ違いじゃない面白いネタをな
どうせ煽るだけでネタすら出せないんだろ?お前が面白いの出したら俺も出すよ
727名無しさん@ピンキー:2008/05/19(月) 10:24:12 ID:c6h4ZAdH
ガキのケンカじみてきたな
728名無しさん@ピンキー:2008/05/19(月) 10:32:07 ID:Oke03jt2
まったくだ。大人げなくガキにつきあって見苦しいとこを見せちまった。反省している
729名無しさん@ピンキー:2008/05/19(月) 10:32:42 ID:VmErgp4Z
このスレの住民はいつになったらスルースキルを身につけるんだろうな
730名無しさん@ピンキー:2008/05/19(月) 10:37:29 ID:c6h4ZAdH
>>728
ウナギのくせに、また殊勝な態度とってスレに溶け込もうと企んでるね
反省なんかしていないくせに
本当に反省しているのならスレから出てけ
731名無しさん@ピンキー:2008/05/19(月) 10:42:06 ID:toSkR98+
どうでもいいけど、阿修羅さんは全く保管庫を更新しなくなったよね
732名無しさん@ピンキー:2008/05/19(月) 10:42:47 ID:/sF3PpkE
>>718
動機も想像付かないのになんで毒めぐの仕業だと決めつけられるのさ
つまり根拠もないくせに断定的に毒めぐ毒めぐ喚いてるアホってこったな、お前は
733名無しさん@ピンキー:2008/05/19(月) 10:43:36 ID:toSkR98+
やはり、荒れているばかりの嫉妬スレに呆れて更新するのがバカバカしくなってきたのか
普通は管理人だったらこんなスレの保管庫をやっていたらバカバカしくなるよな

734名無しさん@ピンキー:2008/05/19(月) 10:44:59 ID:1A7gIT9y
>>731
阿修羅さんの更新間隔なんていつだってまちまちだろ。
半年開くなんてざらだし、別に問題とは思わない。
735名無しさん@ピンキー:2008/05/19(月) 10:48:09 ID:toSkR98+
ヤンデレとキモウトスレみたいにwikiに移行するのはアリだと思う
新作限定ならすぐに読めるし
まあ、阿修羅さんは結婚していろいろと忙しいから
いつまでも嫉妬スレにかまっている暇はないからね、いずれは考えないとなw
736名無しさん@ピンキー:2008/05/19(月) 10:49:37 ID:c6h4ZAdH
何ヶ月も保管されないことくらい前から何度もあったが
737名無しさん@ピンキー:2008/05/19(月) 10:49:58 ID:1A7gIT9y
はいはいじゃあお願いね
言いだしっぺの法則だ
トリップ付けてまとめ作業に入れよ
738名無しさん@ピンキー:2008/05/19(月) 10:53:00 ID:c6h4ZAdH
>>735
破壊工作、乙
そう分かってるんなら一々ここに書き込むな
自分の心の中に仕舞っとけ
お前は単に阿修羅さんとスレを分断したいだけだろ
739名無しさん@ピンキー:2008/05/19(月) 11:01:33 ID:toSkR98+
>>738
いやいや……あっちのスレのように次の日に更新されるのが
読む側にとってはいろんな意味で便利だろ

このスレじゃなくて保管庫を読む人にとっても、すぐに読めるのはいいことだと
思うんだが
740名無しさん@ピンキー:2008/05/19(月) 11:06:21 ID:c6h4ZAdH
だったらお前が、今すぐやれや
何にもできない奴がウダウダ言うんじゃないよ、カスが
SS書けるウナギの方がまだマシだ
741名無しさん@ピンキー:2008/05/19(月) 11:14:44 ID:toSkR98+
wikiの使い方はわからんが
頑張って作ってみようかな? 

742名無しさん@ピンキー:2008/05/19(月) 11:16:52 ID:1A7gIT9y
まあやってみたところでスレに受け入れられるかはまた別の話だが
743名無しさん@ピンキー:2008/05/19(月) 11:48:37 ID:c6h4ZAdH
いや、すまんかった
ついカッと来て言い過ぎた
本当にやってくれる気があるのなら非常にありがたいのは事実だ
俺個人とすれば是非やってもらいたい
744名無しさん@ピンキー:2008/05/19(月) 12:40:35 ID:E0q+Nv3n
小さい子がよく「○○君はあたしと遊ぶのー!」「だめー!あたしとー!」みたいなのは修羅場かな?
745名無しさん@ピンキー:2008/05/19(月) 13:11:26 ID:Qdb6zmdX
修羅場というのは片方とデートの約束しているのに他の女とベットの上でやっている所を
目撃されたことを刺す
746名無しさん@ピンキー:2008/05/19(月) 14:09:30 ID:HesBpisL
つまり728が毒めぐと
747名無しさん@ピンキー:2008/05/19(月) 14:33:42 ID:E0q+Nv3n
だからこの流れやめろよ…粘着しすぎだろ。いい加減にしないとおじさんageちゃうぞ?
748名無しさん@ピンキー:2008/05/19(月) 15:21:52 ID:Oke03jt2
見境なく噛みつくキチガイなんだからほっとけよ
749名無しさん@ピンキー:2008/05/19(月) 15:26:14 ID:1fuznvIa
>>745
刺されるんですかww
750名無しさん@ピンキー:2008/05/19(月) 16:00:58 ID:AUn+Hj4N
最近まで平和だったのに投稿があると頭のおかしい奴が沸いてくるな
751名無しさん@ピンキー:2008/05/19(月) 16:02:47 ID:qWx9KbkB
ここはツンデレの嫉妬&修羅場のプロットでも書こうぜ
俺は昨日書いたら叩かれたから、他の奴が書くんだ
752名無しさん@ピンキー:2008/05/19(月) 16:33:08 ID:jOEHesQ9
>>745
その誤変換でおまえが普段からどんなこと考えているのか垣間見えた気がする
つまりおまえも修羅場のことで頭がいっぱいってことだ
753名無しさん@ピンキー:2008/05/19(月) 16:39:42 ID:ble8CNKY
プロットくんって、つまるところ形を変えたクレクレ厨でいいのかな?
一見して積極的に話題を提供してスレに貢献しているようにも見えるけど
結局は自分の読みたい理想のSSを書け書け命令してるんだから
余計にたちが悪いか
754名無しさん@ピンキー:2008/05/19(月) 17:03:27 ID:pBzkLmFj
パンツの良さがわからんやつになにがわかるって言うんだ
755名無しさん@ピンキー:2008/05/19(月) 19:30:46 ID:lfLWY4x3
ツンデレ少女以外のプロットは幼馴染とキモ姉&キモウト以外のキャラの嫉妬か
いろんな意味で難しくなってきた

他にキャラいるか?
756名無しさん@ピンキー:2008/05/19(月) 20:18:15 ID:pexVzh6+
投下します
757僕とメイドと鉄人兵団 ◆GK0sdi5g3w :2008/05/19(月) 20:18:54 ID:pexVzh6+
 午後10時、僕はすっかり人気の無くなった河川敷を歩いていた。
 向かう先は勿論のこと例のボート小屋である。
 嬉しいことに、そこに僕とエッチしたがっている女の子が待っているのだ。
 まともに行けば、命と引き替えになるんだけど。
 殺されるために女の子に会いに行くなんて、我ながらバカげていると思う。
 だが僕の精子を手に入れるまでは、ウルスラも危ないことはしてくるまい。
 彼女に逆レイプ機能が搭載されていたら一巻の終わりだけれども──

 それでも僕は彼女を説得し、何とかミッションを中止させたかったのだ。
 だって、女の子が平然と騎乗位を取ったり他人の命を取ったりするのは間違ってるし、また悲しいことでもあるもの。
 騎乗位はともかく、殺されるのが僕だったりすると尚のこと悲しいし。

 できれば彼女にはこのまま黙って未来へ帰って貰いたい。
 それが彼女に与えられた命令に反すると分かっていてもだ。
 ほんと、ウルスラみたいな子にこんなミッションを下したマスターが憎たらしいよ。


 携帯ランタンを持ってボート小屋に入ると、ウルスラは律儀に正座をして僕を待っていてくれた。
 正座だよ正座。
 きちんと揃えられた膝小僧が何とも可愛らしい。
 彼女は固くて冷たい板間で、正座したまま僕を待っていてくれたんだ。
 今どきこんな女の子は、日本中探しても尼寺くらいにしかいないだろうね。
 もしくは然るべき場所で対価を払わない限り、お目に掛かることはできない代物だ。
 茶道部の連中だって、オフになった途端おっぴろげだから。

「やあ、昼間はどうも……」
 僕はバツが悪く、頭を掻き掻き挨拶した。
 なにせ怒れる真理亜を彼女に押し付けて逃げ出したんだから、本来なら顔を合わせられる立場にはない。
 しかしウルスラは気にもしていないようで、僕を責めたり軽蔑したりしなかった。
 男を立てるってことまでわきまえているんだから、ウルスラちゃんったら。
 ホント、スーパーアンドロイドの名に相応しいよ。

 僕が板間に座るのと入れ替わりに、ウルスラが立ち上がった。
 そして無造作にメイド服を脱ぎ捨てる。
 白色LED灯に照らされ、ウルスラのパーフェクトボディが青白く浮かび上がる。
 幻想的とも言える光景を前に、僕はヨダレを飲み込むのも忘れていた。
「……サトシと…する」
 ウルスラはお願いするでもなく脅迫するでもなく、ただ既定のスケジュールを読み上げるように呟いた。
758僕とメイドと鉄人兵団 ◆GK0sdi5g3w :2008/05/19(月) 20:19:32 ID:pexVzh6+
 100人が誘われたら、101人が乗ってしまうような魅力的なお誘いだった。
 1人多くなっているのは、僕の2回目が勘定に入ってるのべ人数だからだ。
 だが、僕は真性ホモじゃないにも関わらず、その誘いを蹴ってやった。
 女性の求めをカッコよく押しとどめるのは長年に渡る僕の夢だ。
 それが果たせる日がこうしてやってこようとは。

「……なぜ」
 ウルスラ、というより彼女のAIは、昼間とは違う僕の態度に困惑しているようだった。
 計算では僕が即座にOKすることになっていたのだろう。
 ところがどっこい、こっちは伊達に17年も童貞やってる訳じゃないんだ。
 単に気持ちよくなるだけなら、それこそ手段は幾らでも知っている。
 エッチはしたいけど、命が代金となると話は別だ。

「セックスってのはね、お互いが楽しまなきゃダメなんだ。君、やってて楽しいかい?」
 僕が問い掛けると、ウルスラは無表情のまま左右に頭を振った。
 正直なとてもいい子だ。
「だから君としたって無意味なんだよ。じゃあね」
 僕が立ち上がって手を振ると、ウルスラはどうしたものかと戸惑い始めた。
 彼女のAIも、こんな展開になるとは計算してなかったのだろう。
 今になって“こういう時に女が取るべき手段”について演算しているのだ。
 左のピアスが点滅しているのは、この時代のネットにアクセスしているサインなのだろうか。

 どうやらこの辺りがアンドロイドの限界らしかった。
 あのイブリンが同じ立場に立たされたとしたら──彼女は躊躇することなく僕のタマを引っこ抜いたであろう。
 それで精子の回収も独占も同時に終了する。
 高性能な人工知能には、そういうひねくれた計算は無理なのだ。

 ネットの海から必要な情報を引き出したウルスラは、赤面ものの行動に出た。
 なんと、“男をその気にさせる手段”として、猥褻なダンスを踊り始めたのだ。
 ダンスと言うよりは、挑発的で扇情的なポーズの連続体だ。
 次々にポーズを替え、嫌らしく身をくねらせる。
 これは強烈だった。
 古今東西で出版された女性雑誌の特集記事を残らず検索し、選り抜きの扇情ポーズを集めまくったのだろう。
 男の勃起中枢に直接働きかけるようなエッチなダンスだった。
759僕とメイドと鉄人兵団 ◆GK0sdi5g3w :2008/05/19(月) 20:20:05 ID:pexVzh6+
 もしも彼女がネットで誤って仕入れてしまった加藤茶の「ちょっとだけよ」のモノマネを演じなかったら──
 僕は吹き出すことなく、おそらく我を忘れて彼女にむしゃぶりついていたことだろう。
 どうやら、ドリフには返しきれない恩ができてしまったようだ。

 僕が一向に動じないと知ると、ウルスラはようやくストリッパーの真似事を止めた。
「……して貰わないと…困る」
 その実、全く困っていなさそうな無表情でウルスラが呟いた。
「悪いけど、好きでもない女の子とはエッチしないんだ」
 僕は昼間の一件とは矛盾するセリフをぬけぬけと吐いてやった。
「けど…サトシ……昼間は…あんなに……」
 記憶力抜群のアンドロイドはすかさず突っ込みをくれる。
 そりゃ昼間の僕は犬みたいに無節操だったさ。

「あの時は君のこと好きだったの。けど、もう醒めちゃったんだよ」
 感情がうつろうものとは、さしものAIにも理解できないらしい。
 ウルスラは不確定要素の論理演算に躍起になり、完全に運動機能を停止させていた。
「それに、精子が欲しいだけなんて……それじゃ、獣の雌と同じだ。僕には獣姦の趣味はないから」
 僕はある賭に出た。
 人間性を否定されることにより、人に似せて作られた彼女がどう出るか。
 一か八かの大バクチであった。

 果たして──
「ウルスラは……獣じゃ…ない……」
 アンドロイド少女が見せた反応は、僕の予想したとおりのものであった。
 物あつかいされることに不快感を示したのだ。
「そりゃそうだ。獣が気を悪くするよ。獣だって人を好きになれるんだもの」
 獣以下のレッテルを貼られ、ウルスラは気を悪くしたろうか。
「ウルスラも…サトシを……好きになる……」
 “好き”の概念をどう捉えたのか分からないが、彼女はしばしフリーズしてプログラミングを書き換えていた。

「これで…サトシのこと…好きになった……だから…セックスする……」
 ウルスラは僕ににじり寄ると、ものすごい力を肩に掛けてきた。
 僕はたまらずその場にへたり込む。
 いよいよ僕をレイプする強硬手段に出るのか。
「待て待てっ、こんなシチュじゃちっとも楽しくないよ。君は無理やりして楽しいのか」
「楽しむから……セックス…して……」
 したいのは山々なんだ。
 ここが我慢のしどころだった。
760僕とメイドと鉄人兵団 ◆GK0sdi5g3w :2008/05/19(月) 20:21:05 ID:pexVzh6+
「女の子からそんなこと言われたら萎えちゃうよ。だいたい何だ、君は……男の前で大股開きして平気なのか」
 僕の腰の辺りを跨いで立っているため、ウルスラのアソコは丸見えになっている。
 人工のオナホとは思えないリアルな作りだった。
 しかもヲタの妄想に合わせてデフォルメされているため、生マンよりも幾分グロテスクさが軽減されている。
「恥ずかしい……分からない……恥ずかしいとは…なに……?」
 これは羞恥心について初歩の初歩から叩き込む必要があるな。

「すべての人は隠すべきところを持っている。しかも見せるために」
 僕はラファエロの名言をもって美少女アンドロイドを教育してやった。
 その結果、とにかく大事な人、つまり僕以外の人間に裸を見せてはいけないってことをなんとか理解させた。
「理解した……サトシ以外には……裸…見せない……」
 ウルスラはまたも体をフリーズさせて、新しいコードを書き込みした。

 しかし理論だけでは“恥ずかしい”という概念を学ばせることはできなかった。
 理論がダメなら実践あるのみだ。
 僕は周囲を見渡し、使い物になりそうな小道具を探した。
 あった、ありましたよ。
 ボートを岸に繋いでおくためのロープと、古びてるけど割れずに残ってた姿見が。
 これを使って“恥ずかしい”の何たるかを、みっちり体に覚え込ませてやろう。


 ものの10分後には、アンドロイドの亀甲縛りが完成していた。
 強靱なナイロンロープが純白の柔肌に食い込み、あの夕張メロンオッパイをムニュッと変形させている。
 両膝にもロープを掛け、左右へ一杯に引っ張ってやる。
 ちょうど力士が四股を踏む前にとる蹲踞の姿勢だ。
 M字開脚座りって言った方が分かりやすいだろうか。
 ウルスラは爪先立ちになった踵の上にお尻を乗せ、ガバッと思い切りよく膝を開いている。
 なんとも無様で恥ずかしい格好だった。
 それを大きな姿見で、余すとこなくタップリと見せ付けてやる。
761僕とメイドと鉄人兵団 ◆GK0sdi5g3w :2008/05/19(月) 20:21:47 ID:pexVzh6+
「どうだい、ウルスラ。大事なところ全開で、とっても恥ずかしいだろ」
 僕は彼女が後ろ手に縛られているのをいいことに、桜色をしたオッパイの先端を弄ってやった。
「こうやって縛られてちゃ、何をされても抵抗できないよ。心細くって、泣いちゃいそうかな?」
 ところがウルスラは眉一本動かさなかった。
「別に……サトシになら…見られても…いい……それにこんなロープくらい…切るの…簡単……」
 ウルスラが力を込めると、ロープが今にも引きちぎれそうに撓んだ。

「ストップ、ストップ。それ切っちゃったら、マジ絶交だから」
 僕は青くなってダメ出しした。
「絶交…されると……してもらえない……絶交…困る……」
 このコマンドにより、普通のナイロンロープが絶対に切れない超合金の鎖と化した。
 ウルスラは力を抜いて大人しくなる。

 ロープが切れないとなった途端、ウルスラの様子が変わった。
 なんだかソワソワしているようにも見える。
 この時彼女は不安を覚えていたのである。
 僕から危害を加えられることに対して。

 ロボット三原則のうち、第一条と第二条をあっさり無視してくれたウルスラだった。
 しかし「ロボットは自分の身体を守らなくてはならない」という第三条は、しっかり遵守するつもりらしい。
「なんか…変な……感じ……」
 彼女は明らかに怯えていた。
 そして、作られて初めて味わう感覚に戸惑いを覚えていたのだ。

「ほら、ここんとこよく見てみなよ」
 僕は彼女の大事な部分に指を突っ込み、グイッと横に開いてやった。
 中身が奥の方まで丸見えになる。
「自分の、見るのは初めてかな。ここは攻撃を受けても硬化しないんだろ?」
「…………」
「本当にウルスラちゃんは人間そっくりなんだね……ロボットのくせに」
 思いっきり軽蔑したように言ってやると、彼女は少しムッとしたようだった。
 人間そのものとして作られた彼女にとって、これは最大の侮辱なんだろう。
762僕とメイドと鉄人兵団 ◆GK0sdi5g3w :2008/05/19(月) 20:22:39 ID:pexVzh6+
「けど本当の女の子なら、ここを弄られるとビンビンきちゃうんだぜ」
 僕は彼女の中から指を抜き、少し上にある尖ったしこりをクリクリと弄ってやった。
「ビンビン……分から…ない……」
 ウルスラは無表情のまま呟いた。
 彼女には本来そんな機能など付いてないのだから仕方がない。
「そうだ、あのやってる最中にビリビリくる機能……アレを自分に流してみれば?」
 僕は彼女とやった時、微弱な電流が流れて相棒を痺れさせてくれたのを思い出した。
 アース線を弄れば何とかなるんじゃね?
「漏電…させる……の……?」
 ウルスラは幾つかの回路に手を加え、例のビリビリが体内に流れるように細工した。

「さて、今度はビンビンきちゃうかな?」
 僕は指に唾を付けると、再びウルスラの人工突起をクリクリしてやった。
 すると驚いたことに、ウルスラが鼻を鳴らし始めたではないか。
「ビ…ビンビン……理解…した……今…ビンビン……きてる……」
 この作戦は思った以上の効果を発揮した。
 ウルスラが──快感など知らないはずのアンドロイドが、今ハッキリと感じちゃってる。
 触覚センサーがバグを起こし、体内に漏れ出した電流がメイン回路に流入したのだ。
 そして通常より強い電流がAIをハイにさせ、感じるはずのない高揚感を覚えさせているのだった。
 アイザック・アシモフ以来、何人も成し遂げることのできなかった奇跡であった。

 今やウルスラは全身性感帯の塊であった。
 大事な部分は勿論、胸の突起や脇腹まで、何処を触ってもビクンビクンと素晴らしい反応を示す。
 挙げ句の果てにはアソコからお汁まで漏らしてしまった。
 過熱したオナホを冷まそうと、冷却液を股間に回しすぎたのだ。
「あ……ダメ……ウ…ウルスラ……ヒューズ…飛ぶ……」
 それを最後に、ウルスラは糸の切れた操り人形のようにガクリと崩れてしまった。
 イッたのだ。
 正確には過電圧と高熱から回路を守るため、ブレイカーが落ちたのだった。


「ウルスラ、しっかりして……ウルスラったら」
 ロープを解いて体を揺すっていると、ようやくウルスラは再起動した。
 彼女ははしたなく喘いでイッてしまったことに気付き、恥ずかしそうに俯いていた。
「ようやく……“恥ずかしい”……分かった……」
 ウルスラはぎこちない手つきで、まだ冷却液が漏れているアソコを覆った。
 たまんない仕草だ。
 どこぞのペテン師まがいの娘悪魔にも見せてやりたい初々しさであった。
763僕とメイドと鉄人兵団 ◆GK0sdi5g3w :2008/05/19(月) 20:23:14 ID:pexVzh6+
「けど……これで…サトシに……してもらえる…」
 そうだった。
 僕のことを好きになり、セックスの楽しみを理解したら“する”って約束したのだった。
「で、精子を回収した後……やっぱり僕をデリートするのか」
 僕は恐る恐る、一番気にしていた事項について尋ねてみた。
 すると、愛しのウルスラは静かに首を振った。
「サトシをデリートすると……二度と…セックスできなくなる……困る…」

 僕は勝ったのだった。
 1000年の刻を超え、僕を暗殺しようとした悪の企業家に。
 手下のアンドロイドに離反された挙げ句、僕の精子を手に入れ損なった今の気分について、彼に尋ねてみたいよ。
 彼が悪態をつくのは1000年後のことだから、その希望は聞き入れられそうにないけど。
 恐らく一生お目に掛かれない彼のことを考えていると、ある疑問が湧き上がってきた。

「ところでウルスラ。君はどうやってご主人様に精子を渡すつもりだったんだ」
 ウルスラのボディにタイムマシンが組み込まれているとは思えない。
 となると、誰かが未来から回収にやってくるのだろうか。
「もうコードは…書き換えた……ウルスラの…ご主人様は……サトシ…」
 ウルスラは嬉しいことを言ってくれるが、今はそんな甘い雰囲気を楽しんでいる時ではない。
 もしかすると31世紀の未来から別口の回収部隊がやって来るかもしれないのだ。
 そうなれば、嫌でもアンドロイドの反乱に気付くことになる。
 危険はまだ完全に去ったわけでは無さそうだ。

「ミッションが…成功すれば……時空通信により……サンプルビーカーを転送…する…」
 サンプルビーカーってのは、彼女の子宮に収まっていた例のビンのことか。
 確か川の中に捨ててやったっけ。
 今頃はどこら辺りを転がっていることか。
 ウルスラは容器を持たずにナニを搾る気でいたのだ。
 やっぱりこの子はどこかズレてるよ。

「そして…ウルスラが失敗…すれば……今度は…妹たちが……送られてくる…」
 これはいい、片っ端からセックスを仕込んでやればハーレムが作れる。
 などと夢を見ている時ではなかった。
 ウルスラの妹たちは自律システムを組み込んだ姉とは違い、時空通信で直接コントロールされているというのだ。
 おまけに彼女たちは軍事に特化した殺人兵器であり、その戦闘力はハウスキープ用に開発された姉とは比較にならないのだ。
764僕とメイドと鉄人兵団 ◆GK0sdi5g3w :2008/05/19(月) 20:23:47 ID:pexVzh6+
「まずいよ、早くビーカーを探さなきゃ」
 僕は慌てて川へ飛び込もうとした。
 無理かもしれないが、鋼鉄の殺し屋どもを止めるにはアレを探すしかない
「とても無理……それにもう…遅い……転送期限はたった今…23時に過ぎたところ…」
 耳を澄ますと、遠くにある工場のサイレンが小さく鳴っていた。
 普段は気にもしないその音が、何故が妙に物悲しく聞こえた。

「大丈夫……サトシは…ウルスラが…命懸けで……守る…」
 ウルスラはそう言ったが、メイドと軍人じゃ勝敗の行方は分かってる。
 しかも感情を持ってしまった彼女が、妹たちとどこまで本気で戦えるのか。

「大丈夫……ウルスラには…ミッション終了時に使う…自己消去用爆弾が……内蔵されている……」
 ウルスラはそっと胸の辺りに手を当てた。
「これを使って……妹たち…巻き添えにすれば……サトシは…死なない……」
 なんと、ウルスラには内蔵データを物理破壊するための爆弾が仕込まれているのだ。
 つまりミッションの成否にかかわらず、彼女が元の時代に戻ることは予定されていなかったってことだ。
 彼女は使い捨ての手駒として、最初から処分される運命にあったのだ。
 あまりに悲しいことではないか。

「そんな……1000年も先の人類がどうなろうと知ったことじゃない。妹さんたちに精子を渡して大人しく帰って貰おうよ」
「ダメ……取引は通用…しない相手……それに……」
 ウルスラの瞳が僕を見詰めた。
「……サトシは……ウルスラの物……誰にも渡さ…ない」
 ウルスラはキッパリ言い切るとその場に立ち上がった。

 僕にはもう何も言えなかった。
 自我を持ったことにより、ウルスラは弱体化してしまったと思っていた。
 しかし、その考えは間違っていた。
 守るべき物──命より大切な物ができた時、彼女は更に強くなったのだ。


「ほらっ、入んなさいよ」
 小屋の外で聞き覚えのある声がしたと思ったら、いきなりドアが開いた。
 入ってきたのはイブリンと、彼女に付き添われた真理亜であった。
 手には何やらスイッチボックスのついた長い電気コードを持っている。
 ヤバいっ。
 今夜はミサに出なけりゃいけないんじゃなかったっけ?
 飛び上がって逃げようとしたが、どうも真理亜の様子が変である。
765僕とメイドと鉄人兵団 ◆GK0sdi5g3w :2008/05/19(月) 20:24:22 ID:pexVzh6+
「このまがいもんのシスターが血相変えてすっ飛んでいくから、何事かと思って後をつけてくりゃ……」
 イブリンが呆れたように言い、真理亜の手からスイッチボックスをふんだくる。
「このバカ、こんなボロ小屋なら20回は吹っ飛ばせるほどの爆弾を仕掛けてやんの」
 イブリンは鋭い爪を使ってデトコードを難なく切断した。

 慌てて小屋の外に出てみると、外壁に沿ってこれでもかという数のC4が取り付けられていた。
「…………」
 僕とウルスラの甘い会話を盗み聞きながら、薄笑いを浮かべて作業している真理亜の姿が脳裏を掠めた。
 恐怖の余り、全身の産毛が総立ちになった。
 このまま逃げ出そうかと思っていたら、いきなり真理亜の泣き声が聞こえてきた。

 何事かと思って小屋を覗くと、真理亜が泣きながらウルスラに謝っているところだった。
「ごめんなさい。私、自分さえよければって……自分のことしか考えていなかった……」
 自らを犠牲にしてでも僕を守ろうとするウルスラの姿勢が、真理亜の頭を冷まさせたのであろう。
 元々単純で外部刺激に影響を受けやすい女の子だから。
 一生の仕事として聖職者を選んだのも、くだらない映画を見て感動したのが原因だし。

「機械のあなたがそんなにまで俊さんのことを考えているのに……神に仕える私は何という罪深いことを……」
「そうだ。お前は罰当たりの贋シスターで、南極1号以下の存在だぁ」
 さめざめと泣く真理亜の後ろで、イブリンが海兵隊の軍曹みたく追い打ちを掛けている。
 でも、その位にしとかないと後が怖いよ。
 真理亜って、こういう時でも自分の悪口は確実に覚えているタイプだから。

「いいわ、俊さんも死なない。あなたも死なない……私が守るもの」
 真理亜はM60のコッキングレバーをガチャッと作動させ、初弾をチャンバーに送り込んだ。
 そして立ち上がると、イブリンの尖った耳をギュッと引っ張った。
 ほら、早速きましたよ、さっきのお返しが。
「アンタも手伝いなさい。一宿一飯以上の義理があるでしょ」
 強引に加勢を求められたイブリンは目を白黒させて戸惑った。
766僕とメイドと鉄人兵団 ◆GK0sdi5g3w :2008/05/19(月) 20:24:53 ID:pexVzh6+
「なに、そのヤクザ理論……あたし、これから家に帰ってBS韓流ドラマ『冬の月空』の続き見るんだから」
 イブリンは何とか真理亜から逃れようと必死に藻掻く。
「だって、いよいよヨウ様とミキョンに破局の危機が……痛ぁっ」
 真理亜はロボット以上の冷徹さで、娘悪魔の耳を引っ張った。
「つべこべ言わないっ。犬だって3日飼えば恩義を忘れないっつぅの」
「あぁ〜ん、ヨウ様ぁ……イブちゃん、ヤクザに拉致られるぅ」
 余りのけたたましさに、ウルスラも呆気に取られて見守るばかり。
 君もうちに来る気があるなら覚悟しておいてね。
 とにかく、こういうのは日常茶飯事なんだから。

 その時、ウルスラの体がピクリと小さく動いた。
「……来た」
 何が、と問う前に風が吹いた。
 最初は弱く、河川敷の雑草や紙くずを舞い上げて。
 続いてそれは突風へと変わり、ボート小屋を吹き飛ばすように荒れ狂う。
 嵐に重なるようにプラズマ放電が辺りを駆け巡り、幾つもの球電現象が生じた。
 ウルスラの妹たちが未来からやって来たのだ。

 膨らんだプラズマ球電が弾けると、中から蹲った姿勢のアンドロイドが出現した。
 立ち上がったのは全部で5人。
 いずれ劣らぬ美女揃いで、しなやかそうな体を黒革のボディスーツに包み込んでいる。
 それは未来人が送り込んできた無敵の鉄人兵団であった。

「来たわね。皆に神のご加護がありますように」
 真理亜が主に祈りを捧げる。
「あぁ〜ん、ヨウ様ぁ……」
 イブリンはお気に入りの韓流スターに対して泣き言を呟く。
「…………」
 ウルスラは相変わらず無表情で無言であった。

「じゃあ、諸君……頼んだぞ。サトシガールズの名に恥じない戦い振りを期待している」
 僕は偉そうに命令すると、早速逃げに掛かった。
 だって、敵の第一戦術目標は僕のタマタマなんだもん。
 そんな物をフィールドに置いてても、ろくなことになりゃしない。
 さっさと現場から逃げ──もとい、遠ざけておいた方が得策ってものだ。
 さて、家にでも帰って、万一に備えて逃げ支度でもしておくか。
 いい加減フリチンには飽きたし、昼から何も喰ってないんだから。
767僕とメイドと鉄人兵団 ◆GK0sdi5g3w :2008/05/19(月) 20:25:42 ID:pexVzh6+
                                        
                                        
 結果から言うと、万一のことは起こらなかった。
 僕のカノジョたちは見事に悪の鉄人兵団を叩きのめしてくれたのだ。
 後でウルスラが記録していた映像を見せて貰ったが、素晴らしい連係プレーだった。
 彼女たちも必死だったのだろう。
 なにせ敗れたりすれば、僕の相棒を愛しむことは二度と叶わないのだから。
 オチンチン惜しさの余りの下心から出たパワーとは言え、あの3人の奮闘振りには頭が下がる思いだった。
 機会を見つけてご褒美を上げなければならないだろう。

 ところで、ウルスラはやっぱりうちに来ることになった。
「ふつつか…者……ですが……」
 などと片言の日本語で言って畳に三つ指つくウルスラを見て、両親はどの様な感想を持ったろうか。
 多分、イブリンの時よりはマシだったと思う。
 なにせ僕が外人の女の子を拾ってくるのはこれで二度目だし。
 それに、今度のは前ほどスレてなく真面目そうに見えるし。
 やっぱりエプロンってのは働き者の象徴だもんね。

 エプロンと言えば、あの後ウルスラはお隣の喫茶店で働くことになった。
 真理亜の実家であり、彼女のお祖父ちゃんがやってるレトロな喫茶店だ。
 勿論、真理亜が恋敵から自由時間を奪い取るため、祖父に頼み込んで手配したのだった。

 当初、愛想のないウルスラに、サービス業のウェイトレスなど務まるものかと心配した。
 しかし、それは杞憂に終わった。
 無表情で無愛想な美少女ウェイトレスを見た馬鹿者どもが、勝手にツンデレメイド喫茶と勘違いしてくれたのだ。
 そして、いつか自分こそが彼女のデレを引き出そうと、連日大勢のファンが詰めかけているという。
 それは喜ばしいことだが、ヲタに変なアニメ語を教え込まれる度にNGワードを設定し直さなくてはならないのが面倒だ。

 セックスの楽しみを覚えてしまったウルスラを制御するのも大変な仕事だった。
 次から次に新しい体位を覚えては僕に“メンテナンス”をおねだりしてくるんだから。
 そのたび真理亜の目が三角になり、もの凄い形相で睨み付けてくる。
 それをイブリンがけしかけるものだから、僕の部屋には当分平和など訪れそうにない。

 と言って、今すぐこのバランスをどうにかできるものでもなかった。
 なにせ彼女たちの凄まじい連係プレーを見せつけられた後だもの。
 あのパワーが僕一人に向けられるとしたら、流石に逃げ延びる自信はない。

 どうせもてるなら、源氏物語みたくなりたかったのだが──まあ、これはこれで有りなのかもしれない。
 やっぱり光源氏の役は、執着心の強い僕には向いていなさそうに思える。
 次から次に相手を乗り換えていくライフスタイルってのは、僕の性に合わないんだもの。

 長女は優しいシスターで、次女は活発な悪魔っ娘、そして無口なアンドロイドの三女におしゃまな末っ子の綾。
 当分はこの変形若草物語シフトを楽しむことにしようか。
768名無しさん@ピンキー:2008/05/19(月) 20:26:57 ID:pexVzh6+
やっぱり、「どこが若草物語なんだよ」ってのは正解だったようです
>>339のアニキィ、ヤスにはやっぱ若草物語は無理なんだよぉ
それと黒女先生ごめんなさい
好きが高じた余り、無断でキャラをパロってしまいました
769名無しさん@ピンキー:2008/05/19(月) 23:11:05 ID:TEyEd0Ub
>>767

GJっす!

ウルスラ可愛いよウルスラ
(;´Д`)ハァハァ
770名無しさん@ピンキー:2008/05/20(火) 00:25:05 ID:MPiTbcJd
えぇんや、えぇんやでぇヤス!GJや!お前はよぉやった!ホンマGJやあぁッ!!

でもな、黒女先生にはキッチリ詫びいれろや。本来なら指一本やぞ?誠意見せたらなあかんで…?
771名無しさん@ピンキー:2008/05/20(火) 00:59:30 ID:djHAtxFF
なに、そのヤクザ理論w

けど冬星の韓流パクリドラマって見てみたい気もするな
772名無しさん@ピンキー:2008/05/20(火) 01:15:01 ID:RP+bLv4a
ありがたやありがたや
773名無しさん@ピンキー:2008/05/20(火) 16:30:53 ID:1YSiW/Mu
>>768
GJ
これってなんていうシリーズ?前作はよんだけど
保管庫のどれか分からないし
774名無しさん@ピンキー:2008/05/20(火) 20:53:35 ID:+z3qBosb
今日もツンデレについて語りつくそうぜ!!
775名無しさん@ピンキー:2008/05/21(水) 01:04:04 ID:ghIceKEz
やはり、別れた彼女が未練がましく嫉妬するような展開とかどうだろうか?
主人公と別れた彼女は毎晩毎日俺の家に立ち寄って、他の女が入り込んだか
念入りにチェックしたりとかw
 後、彼女が独占欲が激しいから主人公と別れた設定を入れておくといいな
 で、彼女と正反対な女の子と知り合って、元カノは黒化する
776名無しさん@ピンキー:2008/05/21(水) 01:07:35 ID:ghIceKEz
ネタはたくさんあるんだけど、書く時間がないんだよね
777名無しさん@ピンキー:2008/05/21(水) 01:29:34 ID:KmNcMgM5
雑談に持ち込んで必死に盛り上げようと自演会話バレバレなのが痛々しいな・・・
778名無しさん@ピンキー:2008/05/21(水) 01:49:42 ID:0VriRxGb
ワンパターン
779名無しさん@ピンキー:2008/05/21(水) 01:53:15 ID:LKAc+leg
>>777
こいつってよく崩壊した日本語使うけど、ブロンティストでも目指してんのか?
780名無しさん@ピンキー:2008/05/21(水) 04:46:14 ID:gsdsi/T/
>>779
僕は独占欲の強い彼女が嫌いだった
些細な事で嫉妬し僕や周りの人間、そして自分すらも傷つけているのに彼女は気付いていなかった
だから別れた…英断だったと思う

それから少し時間が経ち、前の彼女とは正反対の新しい彼女ができた
やっと吹っ切れる…元カノの呪縛から解き放たれると僕は安堵していた
けど甘かったんだ!!
彼女は毎晩毎日俺の部屋に立ち寄って!俺の…俺の部屋を荒らしていたんだ!
気付かれ無い様に……今の彼女の痕跡を消すかの様に…

僕は今まで愚鈍にも気付いていなかった、元カノが僕と今の彼女の行動を逐一監視していた事を
彼女は異常だ…僕に異様に固執し未練がましく粘着する

そして、今日も…彼女は僕等をどこからか見てるに違いない
「何?あの女!雑談に持ち込んで必死に盛り上げようと自演会話バレバレなのが痛々しい・・・」

こういう事
781名無しさん@ピンキー:2008/05/21(水) 09:34:34 ID:Y1wPoP+1
>>780
最後の一部分だけが意味不明でワロタw
それは無理がありすぎだ

782名無しさん@ピンキー:2008/05/21(水) 09:38:34 ID:Y1wPoP+1
どうせなら、女装男が女子中学生をホテルに連れ込むまでのようなSS書いた方が面白そうじゃん
で、泥棒猫はゴスロリ趣味でネジが外れた女の子がホテルから出てきた二人を糾弾して
包丁で女装男を刺すと。
ゴスロリ完璧勝利だろw
783名無しさん@ピンキー:2008/05/21(水) 09:46:56 ID:JuUoh4gD
>>782
ゴスロリは母親毒殺事件を思い出すからやめておけ
後、凶器は鉈の方がマスコミ受けがいいぞw
784名無しさん@ピンキー:2008/05/21(水) 13:07:25 ID:0UJdrcV8
女装男の憐れな最後を思うと……( ̄ー ̄)ニヤリッ
785名無しさん@ピンキー:2008/05/21(水) 17:48:06 ID:o782exBj
最近ここ臭いぞ
786名無しさん@ピンキー:2008/05/21(水) 18:33:14 ID:PeN5qbof
女装男の眼鏡はずらして掛けるのか?
787名無しさん@ピンキー:2008/05/21(水) 18:54:38 ID:ajc7crjU
ひさびさにきたら投下してたww
GJっす
788転帰予報 ◆JyN1LsaiM2 :2008/05/22(木) 01:32:38 ID:g44Pmmxt
投下します。
789転帰予報 ◆JyN1LsaiM2 :2008/05/22(木) 01:34:05 ID:g44Pmmxt
sage忘れました。すいません。

もう一度投下します。
790転帰予報 ◆JyN1LsaiM2 :2008/05/22(木) 01:34:35 ID:g44Pmmxt
 雨は叩きつけるように強くなっていた。
 今日の帰り道はコンクリートの地面が粘土みたいにグニャグニャで足元がおぼつかない。
 やけにしつこい重力を引き剥がしながら、変わり映えのない家路を進む。

 曖昧な感覚とは裏腹に頭の方は妙にすっきりとしていた。
 不思議と心が乾いていて、辛さや心の痛みといった感情の動きに鈍感になっている。
 だから僕は家にたどり着くと本当に何気なく鍵を外し、軽い気持ちで玄関を踏み越えた。

「お帰りなさい……兄さん」

 少し懐かしい声が僕を出迎える。
 雫をこぼす髪。
 雨で暗く染まった制服。
 冷えて青白くなった指先。
 濡れた靴と水浸しの玄関。
 確かめるまでも無い。
 きっと、あれからすぐにここに来て待っていたんだろう。
 まだ下校時間までには一時間くらいの余裕がある。
 だから僕らはここで会うはずのない二人。
 けれど、あまり驚かなかった。
 できれば顔を会わす前に部屋に戻りたかったけれど、なんとなくこうなる事もわかっていたような気もするから。
「ずいぶん早かったですね
 ……てっきり姉さんのほうが先に帰ってくるものだとばかり思っていました」
 雨音ちゃんは髪から雨粒を滴らせながら、瞳の奥を覗き込む。
「兄さん……何か私に言う事はありませんか?」
「……ただいま」
 短く答えて、横切ろうとする。
 けれど雨音ちゃんは制服の袖を掴んで僕を引き止めた。
「他には? 何かありませんか?」
「無いよ」
 あらかじめ決めておいた言葉。
 腹さえ決めておけば迷いや躊躇で時間を取られる事もなかった。
「昼休みの事ですよ?」
「……」
 わかっていたことだ。それなのに声が詰まる。
「あまり驚かないんですね。私が見ていたことも知っていたんですか?」
「さっき吉住に聞いたよ」
「そうですか……それで、何か言い訳は無いんですか?」
「無いよ」
 雨音ちゃんは僕の答えを受け取ると言葉を失う。
 何も言わずに俯いたその横顔、僕は思わず目を背けた。

791転帰予報 ◆JyN1LsaiM2 :2008/05/22(木) 01:35:23 ID:g44Pmmxt
 雨音ちゃんの気持ちを知っているくせに……
 見えない破片が心を抉る。
 無視できない痛み。
 凍えた指先。
 そのまま僕らは停止する。
 握られた制服の袖は固く握られたまま。
 振り払う事も引きずる事もできないまま。
 灯りのない玄関には、二つの浅い息遣いだけ。
 僕らはお互いに動けないままでいる。

「兄さんが私の想いを受け入れてくれなかった時、兄さんはとても暖かい目をしてました。
 だから本当に……本当に兄さんは私の事を妹として大切に想ってくれてるんだって知りました」

 壊れた蛇口のようにポツポツと雨音ちゃんは言葉を零してゆく。

「それでも、私は想いを伝えられて嬉しかった。
 兄さんに私の気持ちを知ってもらえた。
 本当なら伝えてはいけないその想いに、兄さんは真剣に答えてくれた。
 だから……私は……」

 無言のまま袖を引く力が強くなる。
 同時に胸の奥を締め付けられた。

「下心がないわけではありません。
 妹として側にいて、兄さんの心変わりを期待する気持ちもあります。
 私はまだ兄さんの事が好きで、兄さんを諦めたわけではありませんから……。
 それでも……一度は妹としてやり直そうと決めていたんです」

 刹那―――制服の袖から指先が離れた。
 突然、目の前が霞んで視界がふわりと宙を泳ぐ。

「それなのに―――なんで!! なんで姉さんなんですか!?」

 雨音ちゃんは制服の襟を取り、玄関のドアに僕を押し付けながら強く揺さぶる。

「私達が兄妹だから……兄さんはそう言いましたよね?
 それなのに……姉さんならいいんですか? 姉さんなら許されるの!?
 姉さんのことが好きならちゃんとそう言ってくださいよ!! 兄妹なんてずるい言葉で逃げないで!!」

 投げ掛けられた言葉に胸が掻き毟られる。
 歯の裏側から悲鳴が漏れそうになる。
 それでも無言で押し黙る僕を見て、雨音ちゃんは握り締めていた制服の襟をはなす。
 いくらかの沈黙の後、「そうですか……」と呟いた。
792転帰予報 ◆JyN1LsaiM2 :2008/05/22(木) 01:35:48 ID:g44Pmmxt

「そんなに姉さんがいいのなら―――私が姉さんになってあげます」

 ガラス玉みたいな鈍い光を湛えて、雨音ちゃんの瞳が妖しく瞬く。

「まずは髪の毛を伸ばしますね。
 背中まで伸びるにはあと半年くらいかかってしまいますが、長い人生からすればあっと言う間ですよ。
 それから、胸も大きくしなくてはなりませんね。大丈夫、あんなのすぐに追い越しますから。
 後は……騒がしいのは得意ではありませんが、兄さんがその方が好きなら一生懸命がんばります。
 兄さんは母親を知らないからきっと年上の女性に甘えたいだけなんですよね?
 これからは私がお姉さんです。いっぱい甘えてください。全てを受け止めてあげます。
 さぁ、私の事を『姉さん』って呼んでくれても良いんですよ………ね、八雲ちゃん」

 もう、声すら出ない。
 理解の及ばない戯言を撒き散らしながら、
 今にも崩れ落ちてしまいそうな少女を前に立ち尽くしている事しかできなかった。

「これで私を好きになってくれますよね?」

 靴が雫で濡れた。
 でも、僕の涙じゃない。

「ゴメン……」

 こんな言葉を使う資格、僕には無い。
 でも、手元にある言葉がこれしかなかった。

 情けない。
 兄らしい事は何一つ言えない。
 男らしい事も何一つしてやれない。
 そして、僕はまた雨音ちゃんを傷つけるようなこと口にする。

「雨音ちゃんに姉さんの代わりは出来ないよ」

 でも……姉さんにだって雨音ちゃんの代わりなんかできない。

 続く言葉を全力で飲み込む。
 今更甘い言葉を囁いて何になる。
793転帰予報 ◆JyN1LsaiM2 :2008/05/22(木) 01:38:40 ID:g44Pmmxt

「……どうして? 私と姉さん何が違うんですか?」

 多分、何も違わない。
 でもそれも言葉にはできない。
 三流の芝居ではきっと悟られてしまう。

「私じゃダメで、姉さんならよかったの?」
「……そうだよ」

 これで『妹』だなんて口が裂けても言えない。
 この先、一生恨まれるだろう。
 もう、二度と元には戻らない。

「だったら……××してください」

「………」
 今、何て?

「私を、殺してくださいよ」

 二度目は聞き返すまでも無い。
 雨音ちゃんはだらりとぶら下がっていた僕の両手を自分の首へと導く。
 細い首筋、冷たい肌の向こう側―――掌から鼓動を感じる。
 この手をどうしろと言うのだろう?
 血潮の感触が妙に生々しくて吐き気がする。
 気持ちが悪い。
 まるで、全部が本気みたいに聞こえたから。

「ワタシを―――」

 気が付けば、続きを遮るように雨音ちゃんを強く抱きしめていた。
 全部台無し。
 でも―――

「僕に雨音ちゃんを殺せるわけないだろ!!
 なんでそんなに馬鹿なんだよ!! 僕を恨めばいいだろ!!
 妹を殺せる兄貴が何処にいるんだよぉおおお!!」

 みっともない、悲鳴みたいな声で叫んでいる。
 きっと、伝えたかったのは精一杯のつよがり。隠したかったのは僕自身の不甲斐なさ。
 器用じゃない僕はそのどちらも曝け出してしまい、おそらくそれは妹にも伝わってしまっただろう。
794転帰予報 ◆JyN1LsaiM2 :2008/05/22(木) 01:39:14 ID:g44Pmmxt

「ウソツキ……」

 見抜かれた。
 そう感じ取って、思わず身を強張らせる。
 それでも雨音ちゃんは何も言わずに僕に身体を預けたままだった。

 降り止まない雨音の中。
 背中越しの不規則な心臓の鼓動。
 どれくらいの時間そうしていたのかよくわからない。

「そろそろ姉さんが帰ってきます。このままではマズイでしょう」
 不意に雨音ちゃんの身体が離れた。
「大丈夫ですよ、兄さん。もう取り乱したりしませんから」
 雨音ちゃんは僕の表情を観察すると、落ち着きを払った様子で微笑む。
 いつもと同じ『兄さん』が嬉しくて、後ろめたい。
「風邪をひきますから着替えてきてください」
 雨音ちゃんは脱衣所からタオルを取ってきて僕に手渡す。
 口実のできた僕は部屋へと逃げ帰った。




795転帰予報 ◆JyN1LsaiM2 :2008/05/22(木) 01:39:58 ID:g44Pmmxt
 コン、コン。

 部屋着に着替えて荷物を片付けていると、控えめなノックの音がした。
 まだ見えない相手を思い浮かべながら扉に近付くと、向こう側から声がする。
「あの、暖かいものを持ってきました」
「……今、開けるよ」
 努めて何事もない声音を作り、鍵を外してドアを開けると、
 お盆に二組のティーカップを乗せて部屋着姿の雨音ちゃんが顔を覗かせた。
「入ってもいいですか?」
 駄目に決まっている。
 姉さんに釘を刺されている“命令”を破ればどうなるか想像ができない。
 だけど、こうして顔を会わせてしまうと嫌とは言えない。
 折角お茶まで用意して訪ねてきてくれた雨音ちゃんを追い返せるほど非情に徹しきれない。
 もっと言えば、そんな気力も残っていない。
「……何も無い所だけど」
 戸を開けて雨音ちゃんを招き入れる。
 雨音ちゃんだけに関わらず、誰かを部屋に招くのはずいぶん久しぶりだと思う。
 黙って僕が机の椅子に座ると、雨音ちゃんは何も言わずに僕のベットに腰掛けた。
「嫌なニオイ」
 ベットのシーツをつまらなさそうな顔で眺めながら、雨音ちゃんは呟く。
「ごめん。汗臭いかな? ほら、僕は男だから……」
「気にしないで、兄さんの事じゃありませんから」 
 僕以外。
 少し想像力を働かせれば誰の事であるかは容易に判断ができる。
「それで、何の用?」
 先程の言葉をあまり気にしないようにしながら、雨音ちゃんの先を促す。
 僕の方から話すことは何も無い。
 だから、雨音ちゃんが話始めるのを待つ。
796転帰予報 ◆JyN1LsaiM2 :2008/05/22(木) 01:40:56 ID:g44Pmmxt
「まずはこれを」
 しばらく無言だった雨音ちゃんが紅茶を差し出す。
 雨音ちゃんから紅茶を受け取ると不思議な感覚に捉われた。
 ティーパックがカップの中で揺れている。
 そういえばいつかこんな光景を見たことがある。
 僕と雨音ちゃん。二人でお茶をして、お喋りをして……
 これは、あの頃の再現だ。
 まだ兄にも、妹にも遠すぎた頃の……
 それは―――ついこの前のようにも、ずいぶん前のような気もする。
 先に口を付けていた雨音ちゃんを追いかけるようにカップに口を付けた。 
 気が張っているせいか味がわからない。
 でも、ただ暖かいというだけで心がほぐれる。
 なんだかもの足りなくて、勿体つけずに残りを胃に流し込んだ。

「兄さん、ゴメンなさい」

 雨音ちゃんは急に謝った。

 どうして?

 もしも頭を下げる事が許されるなら、謝らなくてはならないのは僕のはずだ。
 どんな理由があるにせよ裏切ったのは僕だ。
 雨音ちゃんを『殺してくれ』なんて言わせるほど追い詰めて、責められるべきは僕なのに。

 何か言い返そうとして、脚の踏ん張りが利かなくなっていた。
 浮遊感に包まれて、地面に意識ごと引き込まれる。
 視界を覆う靄。
 つま先をから這い上がってくるそれは、どこか心地よい。
 それはよく知っている感覚で、抗う事を忘れてしまいそうになる。

「にぃさん……」

 ずっと遠くで声が聞こえる。
 これは、そう。
 ……よく知ってる声だ。

「大丈夫。貴方の妹は―――負けませんから」

 唇に触れた羽のような感触。
 
 とにかく今はもう……目蓋が重い。
797転帰予報 ◆JyN1LsaiM2 :2008/05/22(木) 01:41:38 ID:g44Pmmxt
 ここまでです。

 いろいろあってかなり遅れています。
 本当に申し訳ありません。
798名無しさん@ピンキー:2008/05/22(木) 01:48:21 ID:wdC1qPFv
転帰予報キター!!
待ってましたよっ!!どうぞ気にせず作者様のペースでどうぞですよー
799名無しさん@ピンキー:2008/05/22(木) 01:52:23 ID:qj6dKsv1
GJJJ!!
あなたをずっと待ってた!
800名無しさん@ピンキー:2008/05/22(木) 02:23:46 ID:lx9iYLt6
>>797
GJ
目が覚めてしまった
雨音ちゃんがどうでるか…
801名無しさん@ピンキー:2008/05/22(木) 02:38:24 ID:QGz9KoYE
>>797
GJ!
雨音ちゃん、やっぱり最高だ
802名無しさん@ピンキー:2008/05/22(木) 03:35:02 ID:Yv0yZMzN
>>797
まったく、何度言わせれば気が済むんだ?

GJじゃあッ!!
謝らんでええ。自分のペースで投下してくれればええねんで。
803名無しさん@ピンキー:2008/05/22(木) 03:49:58 ID:0IHCDDCK
>>797
あなたがこのスレを見捨てていなかった・・・
今はそれだけで嬉しいですよ
ゆっくりでも最後まで書き上げてくれればもっと嬉しいです
804名無しさん@ピンキー:2008/05/22(木) 03:51:13 ID:0IHCDDCK
おっとGJを言うのを忘れていました
個人的には妹の方が好きなのでこれからの展開にwktk
805名無しさん@ピンキー:2008/05/22(木) 06:05:52 ID:JO89gTNc
きたああああwww
GJです!
待っておりましたwww
806名無しさん@ピンキー:2008/05/22(木) 06:29:09 ID:ZhS/RJR5
>>797

GJェェェェェェ
朝から甲ネ降臨ですよぉぉぉぉ!!
お待ちしておりました

気にしないで作者様のペースでどうそ!
807名無しさん@ピンキー:2008/05/22(木) 08:24:33 ID:K+vvbEVV
ありがとう。
ありがとう。
ありがとうございます。
あなたがいてくれて、よかった。
さあ、危険なにおいがしてきました。そろそろ全裸待機もつらくない季節、待たせていただきますよ、何時までも!
GJ
808名無しさん@ピンキー:2008/05/22(木) 11:28:14 ID:y5ZIoPjK
毎度毎度のことながら、回線繋ぎ直してのGJ連発ご苦労様です

そんなことしなくても作者様は逃げたりしませんよ
たとえたった一人であっても、心の籠もったGJさえ付けてくれる人がいれば、
書き手は充分に満たされるものなのです

それに、過剰な反応は他の書き手の嫉妬を生み、かえってスレが荒れる結果になりますから
今後はこういうことを控えていただければ幸いです
809名無しさん@ピンキー:2008/05/22(木) 11:48:29 ID:qj6dKsv1
ここまでひねくれた考えしか出来ない人間がいるとは・・・・
810名無しさん@ピンキー:2008/05/22(木) 11:54:36 ID:OUz9eEd3
「自演GJ、乙」よりは好意的じゃない?
811名無しさん@ピンキー:2008/05/22(木) 12:16:29 ID:9kVKFsOB
前に保管庫で読んだ時、なんかバカっぽい作品だと思ったことがあったが
何がそうさせるのかようやく分かったよ

呼び掛けならともかく、地の文で妹のことを‘ちゃん’付けするような作品は生理的に受け付けられない
なんか、未就学児が‘今日お外であったこと’をお母さんにお話している姿を連想させるんだ
バカっぽいというより幼稚というか、少し足りない人間のような印象を受ける

いや、無様なのはキャラであり、作者がそうだと言ってるんではないよ
敢えてそういうキャラを作ったのなら、お見事としか言いようがないが・・・
812名無しさん@ピンキー:2008/05/22(木) 12:37:16 ID:ooc8De08
好みの押し付けですか。馬鹿っぽいですね。
813名無しさん@ピンキー:2008/05/22(木) 12:46:10 ID:tMpYrX+s
一人称の文章においては、台詞だろうが地の文だろうが、その視点の人間が用いる呼称は統一するのが常識ですけども、あなたさまはバカでいらっしゃいますか?
ただお前は「ちゃん」っていう字面だけ見て「バカっぽい」言いたいだけちゃうんかと。
ケチ付けたくて適当にひねり出しただけちゃうんかと。
程度が知れるな、バーカ。
814名無しさん@ピンキー:2008/05/22(木) 12:48:13 ID:9kVKFsOB
>>812
賛同ありがとうございます
本当にそうですよね
自分がバカといって、キャラまでそれに似せる必要はないのに
作者の好みに合わせて踊らされるヤッくんが可哀相
815名無しさん@ピンキー:2008/05/22(木) 12:51:39 ID:9kVKFsOB
>>813
それは新説ですな
学会に発表されては如何です?
如何に自分がこれまで本を読んでこなかったのか、思い知らされることになるでしょうね
816名無しさん@ピンキー:2008/05/22(木) 12:54:44 ID:ooc8De08
>>814
賛同のレスをした覚えはございませんけれども、たった一行程度のレスも読解できない教育レベルの方でしょうか?
あのレスを読んで「自分に賛同してくれている!」などという思考に至るとは、よほど脳の欠損部分が多いと見えます。
常識とか、そういう部分の欠落が顕著ですね。

>自分がバカといって
うわ、馬鹿っぽいですね。
817名無しさん@ピンキー:2008/05/22(木) 12:56:48 ID:9kVKFsOB
>>813
手始めに夏目漱石の坊っちゃんを読んでみては?
画学教師の「吉川先生」のことを実際に「野だいこ」と呼ぶシーンは皆無ですし
地の文で「うらなり」と呼称する英語教師は「古賀先生」です
818名無しさん@ピンキー:2008/05/22(木) 12:58:24 ID:9kVKFsOB
>>816
まともに反応してくれてありがとうございます
ムキになったあなたの姿を想像して笑わせていただきました
819名無しさん@ピンキー:2008/05/22(木) 13:00:30 ID:ooc8De08
>>818
いえいえ、こちらは最初から笑いながらレスさせていただいていますので、お互い様です。
820名無しさん@ピンキー:2008/05/22(木) 13:01:57 ID:9kVKFsOB
じゃあ、おあいこですね
あはははは
821名無しさん@ピンキー:2008/05/22(木) 13:02:36 ID:ooc8De08
↑ブームくんを思い出しました。
822名無しさん@ピンキー:2008/05/22(木) 13:04:31 ID:f2Ie8GL0
>>797
転帰予報キタァー(゜∀゜)ーー!!!!
雨音ちゃんの復讐劇とお姉さんのドロドロな修羅場が
楽しみだね♪ とりあえず、お疲れさん

次回も楽しみに待っていますよ



さて、今日も適当に思いついたツンデレプロットを書き込むか
823名無しさん@ピンキー:2008/05/22(木) 13:05:17 ID:9kVKFsOB
 どうも
  ∨
   / ̄\
  | ^o^ |
   \_/
   _| |_
  |     |
  | |   | |
  U |   |U
    | | |
    ○○
824名無しさん@ピンキー:2008/05/22(木) 13:07:11 ID:f2Ie8GL0
ツンデレプロットに大切なのはツンだからね
ツンと嫉妬とドロドロな修羅場を構成するためには
敵役はビッチで性格の悪い女よりも清純で気が弱そうな女の子が望ましい

主人公はヘタレでツンデレはツン、泥棒猫は腹黒いで
物語を書けるはず?
825名無しさん@ピンキー:2008/05/22(木) 13:07:26 ID:ooc8De08
いい意味で馬鹿っぽいですね。
826名無しさん@ピンキー:2008/05/22(木) 13:15:35 ID:vwGBg6za
また毒めぐさんが元気に活動してるみたいだな
827名無しさん@ピンキー:2008/05/22(木) 13:21:30 ID:4068q9KJ
>今日の帰り道はコンクリートの地面が粘土みたいにグニャグニャで足元がおぼつかない。

水の抵抗によりコンクリート(実際にはアスファルトだと思う)がグニャグニャに感じるほどの悪路に変わっている
のにも関わらず


>変わり映えのない家路を進む

のはどんなもんだろうか
「家路」を我が家に帰る「道順」と限定的かつ好意的に解釈すれば間違いとは言い切れないが
読者にどこかちぐはぐな印象を与えることは否めない
優れた書き手であるならば、読み手に誤解を与えないような表現に務めよう
「変わり映えのない」は「いつもの」で充分ではないだろうか
828名無しさん@ピンキー:2008/05/22(木) 13:27:05 ID:ooc8De08
テンプレも読めませんか。あらま。
829名無しさん@ピンキー:2008/05/22(木) 13:29:39 ID:k3GniF8l
どうにも気持ちの悪い女だな
俺にこんな妹がいたら躊躇なくブッ殺してどこかに埋めるか、ヤク漬けにして外国に売り飛ばすだろうな
830名無しさん@ピンキー:2008/05/22(木) 13:31:24 ID:f2Ie8GL0
大切なのは批評するよりも書くことですよ
嫉妬スレは嫉妬するワナビの溜まり場ではない
ここは修羅場を愛する人間が集める場所なんだけどね

831名無しさん@ピンキー:2008/05/22(木) 13:48:40 ID:X5brL26X
けど、ウナギの言うことももっともやで
少なくとも言い掛かりやないし間違たこと言うてるわけやない
恥ずかしいけどコンクリやのうて、土の道がぬかるんでる思うて誤読しとったわ
作者はん、えろうすんまへん
832名無しさん@ピンキー:2008/05/22(木) 13:48:52 ID:tMpYrX+s
>>817
台詞では敬称を付けて呼んでいても、内心では呼び捨てや蔑称にしている、みたいな立場と心情のギャップを表現する場合は、演出としての呼称変更は確かに使われるな。
けど、一般的なわけではなくて、それはキャラ表現の上で必要になった変更にすぎない。
台詞と地の文にギャップを持たせる必要がないなら、いちいちわざわざ呼称変更しても読者の混乱を招くだけだし、普通はそうはしないのが常識だよ。
833名無しさん@ピンキー:2008/05/22(木) 13:54:48 ID:pU864iLM
今度は自説の押し付けですか
作者本人の自己弁護はみっともないですよ
ようは八雲が君同様に対人スキルゼロの正確破綻者であることが表現したかったのですね
ああ、私が悪うございました
834名無しさん@ピンキー:2008/05/22(木) 13:55:18 ID:pU864iLM
正確→性格
835名無しさん@ピンキー:2008/05/22(木) 13:57:17 ID:pU864iLM
むしろ、今後は呼び掛けも「ちゃん」なしにすれば?
けど本当の家族じゃないからできないのかな
836名無しさん@ピンキー:2008/05/22(木) 14:01:15 ID:pU864iLM
同じ固有名称に「ちゃん」を付ける付けないくらいで混乱するって、どれだけ難解な文章なの
しかもそれが「常識だよ」なんて決め付けるなんて、本当の引き籠もりですか?
君の常識と世間の常識には、かなりのギャップがあるようだ。文豪くん
837名無しさん@ピンキー:2008/05/22(木) 14:02:07 ID:vwGBg6za
毒めぐさんは今日もID変えて頑張ってるみたいだなw
838名無しさん@ピンキー:2008/05/22(木) 14:07:04 ID:NoRBfVB5
こうなることは予想できていたよ
せっかくいい流れになってきてたのに
だから避難所に投下すればよかったんだ
避難所に投下しない理由って何かあるのかな
「こっちで開始したから」とかいうおためごかしは無しにして
839名無しさん@ピンキー:2008/05/22(木) 14:10:02 ID:ooc8De08
>>833-836
ムキになったあなたの姿を想像して笑わせてもらいました、っと。
840名無しさん@ピンキー:2008/05/22(木) 14:12:22 ID:84EGzcRP
>>833-836
一人で何やっとんだ?
痛々しくて見てられん
841名無しさん@ピンキー:2008/05/22(木) 14:13:53 ID:aiiI2Jcn
    絶賛
書き手←←読み手

↑激しく嫉妬

批評家

とりあえず、これでSSを書くってことですよね。お願いします。
842名無しさん@ピンキー:2008/05/22(木) 14:15:21 ID:f2Ie8GL0
>>841
批評家は売れ残り29才の独身女にするといい味が出せるぞw
843名無しさん@ピンキー:2008/05/22(木) 14:17:30 ID:tMpYrX+s
>>833
自説の押し付けを始めたのはそっちでしょ。
根拠も論拠も何もない、反論に対する脊髄反射的な作者認定は見苦しい。最高にバカっぽい。
っていうかあんたID変わってるよ、不思議だね。
844名無しさん@ピンキー:2008/05/22(木) 14:18:46 ID:f2Ie8GL0
いや、違うな

書き手←←読み手

↑激しく嫉妬

批評家

の構図だと

書き手は主人公 エロパロSS作家
読み手は妹   妹と兄の禁断小説を書いている兄にGJを送る
批評家は姉   主人公に書いた作品を嫌味をつけた批評して
          エロパロSSを辞めさせて、姉に関心を持つようにする


これで作品を書けるぞ!!
845名無しさん@ピンキー:2008/05/22(木) 14:20:19 ID:f2Ie8GL0
しまった。ツンデレがいないじゃないか!!

ツンデレ批評家はあんた作品を読んでも面白くないけど
別にあんたのために批評してあげているんじゃないからね!!


って感じに批評家はツンデレがお似合い?
846名無しさん@ピンキー:2008/05/22(木) 14:21:30 ID:f2Ie8GL0
息子のストーカーするようなツンデレな父親がいるぐらいし
ツンデレは世界共通の言葉ですよ

847名無しさん@ピンキー:2008/05/22(木) 14:33:55 ID:WqjQCvre
こんなに荒れるなら転帰予報もうイラネ
雑談してた方がまだましだ
848名無しさん@ピンキー:2008/05/22(木) 14:36:29 ID:tMpYrX+s
はいはい、きっかけと原因を混同しちゃうようなバカは黙っててくださいね
849名無しさん@ピンキー:2008/05/22(木) 14:37:30 ID:LHhVpGJa
>>838
そりゃ、向こうに投下しても誰も読んでくれないからに決まってるだろ
やっぱり書き手ってのはチヤホヤされたくてやってるんだからな
850名無しさん@ピンキー:2008/05/22(木) 14:38:32 ID:cR9aspGh
きっかけと原因www
851名無しさん@ピンキー:2008/05/22(木) 14:40:18 ID:ooc8De08
>>849
そしてあなたさまは注目されたくて暴れて回っていると。
滑稽さで言えばあなたさまに軍配があがりますね。
852名無しさん@ピンキー:2008/05/22(木) 14:42:38 ID:tMpYrX+s
>>850
何がそんなにおかしいの?ん?言ってごらん?
853名無しさん@ピンキー:2008/05/22(木) 14:43:44 ID:Qw33htt8
今日のJyNさんはやけに絡むなぁ
854名無しさん@ピンキー:2008/05/22(木) 14:47:32 ID:ooc8De08
はい出ました困ったときの作者認定。
ワンパターン、馬鹿っぽいですね。
855名無しさん@ピンキー:2008/05/22(木) 14:51:52 ID:rvKkBy/x
本当に困ってるのは作者さんだと思うが・・・
こんなバカどものために何で作品書かなきゃいけないんだろって
856名無しさん@ピンキー:2008/05/22(木) 14:55:09 ID:epWIVutb
早く仕事みつけて
さっさと働け
857名無しさん@ピンキー:2008/05/22(木) 14:57:40 ID:bnt9F8QE
>>853
せっかくSS投下したのに、冒頭部分から破綻していたことに気付かされたため
ショックだったろうな
858名無しさん@ピンキー:2008/05/22(木) 15:00:38 ID:ooc8De08
そうだったらいいな、っていう願望ですね。虚しい。
859名無しさん@ピンキー:2008/05/22(木) 15:08:20 ID:ZJhPHLZv
なるほど>>858の言う通りかも
投下後間違いに気付いた作者自身が「こうすべきだったな」「そうだったらいいな」って、
他人による指摘を装って訂正しようとしたのかもしれないな
そんなことしなくても大丈夫ですよ
860名無しさん@ピンキー:2008/05/22(木) 15:09:31 ID:ooc8De08
これはまたまた超翻訳ですね。ヤケクソ気味?
861名無しさん@ピンキー:2008/05/22(木) 15:15:56 ID:0IHCDDCK
また空気が悪くなってしまった・・・
喧嘩や批判は雑談スレとかでやって欲しい
一応ここは大人のスレって事になってるんだからそれなりの対応を・・・
862名無しさん@ピンキー:2008/05/22(木) 15:18:12 ID:84EGzcRP
>>861
まったくだな・・・
とりあえず批評とかやってるやつは>>1を読んで自重しろよ
863名無しさん@ピンキー:2008/05/22(木) 15:22:42 ID:sjNqnml6
ふいんきが悪いから流れを変えよう

このスレで一番の書き手さんって誰かな?
文章が上手いのは黒女さんで、ストーリーの作り方では緑猫さんが図抜けているかな
読んでて一番楽しいのはうがさん
でもトライデントさんの書く女の子が一番可愛いのは譲れない事実だ
864名無しさん@ピンキー:2008/05/22(木) 15:24:12 ID:ChNKiDAL
失せろ
865名無しさん@ピンキー:2008/05/22(木) 15:25:40 ID:HLOUcVam
>>863
お前ほんとは流れを変える気は全く無いだろww
866名無しさん@ピンキー:2008/05/22(木) 15:27:06 ID:84EGzcRP
>>863
そんな無意味な議論はするな
書き手さんに失礼だろ
あと>>1読め
867名無しさん@ピンキー:2008/05/22(木) 15:32:53 ID:sjNqnml6
いや、自分の好みを並べただけで、別に貶しているんじゃないだろ
それに無意味に言い争ってるよりは遥かに建設的だろ
一度人気投票もしてみたいと思ってる
作者部門と作品部門
それに彼女部門と泥棒猫部門に分けて
868名無しさん@ピンキー:2008/05/22(木) 15:36:16 ID:aiiI2Jcn
や め て お け
869名無しさん@ピンキー:2008/05/22(木) 15:38:52 ID:sjNqnml6
それぞれの好みの問題なんだし何も優劣を競おうって訳じゃないんだ
自分がどの作者が、どの作品が好きかって述べるだけなんだから失礼にはならんだろ
870名無しさん@ピンキー:2008/05/22(木) 15:57:50 ID:HLOUcVam
妄想するのは勝手だが投票とか言って俺らを巻き込むなよ?
871名無しさん@ピンキー:2008/05/22(木) 15:58:22 ID:6pMmOUJd
女の子が泥棒猫かどうかは主観の問題だからな
俺は監禁されるなら亜由美さんか稲峰がいいな
つか、その他はよく知らない
872名無しさん@ピンキー:2008/05/22(木) 16:02:12 ID:3KHkj5GI
面白そうじゃん
そんな投票を俺は待っていた
作者にも励みになるんだからスレ的にも有意義なことだよ
上手くいけば消えた書き手も帰ってくるかも
873名無しさん@ピンキー:2008/05/22(木) 16:10:30 ID:9qPU7Ffn
俺もトライデントの書く女の子にはムラムラくる
874名無しさん@ピンキー:2008/05/22(木) 16:11:53 ID:vwGBg6za
毒めぐさんまだまだ頑張ってるな
色々リアルが大変なのにご苦労なことだな
現実逃避だろ?w
875名無しさん@ピンキー:2008/05/22(木) 16:15:04 ID:IntOHB44
わかったわかった
そんなら俺、まとめサイトで投票できるところ作ってもらえるか
阿修羅さんに提案してみるよ
876名無しさん@ピンキー:2008/05/22(木) 16:17:01 ID:DTnKpDxJ
馬鹿の愛用単語‘書き手’
877名無しさん@ピンキー:2008/05/22(木) 16:20:06 ID:w/wPmpGN
>>875
つか、wikiに移行したら各作品ごとの閲覧数も出るのかな?
具体的な数字が出れば書き手にとっても励みになるよね
878名無しさん@ピンキー:2008/05/22(木) 16:21:48 ID:IntOHB44
とりあえずまとめサイトBBSに書いといた
879名無しさん@ピンキー:2008/05/22(木) 16:23:33 ID:EZEl9R0P
なんで投稿あると荒れるんだよ・・・
880名無しさん@ピンキー:2008/05/22(木) 16:31:35 ID:W1ieZFK1
しばらく無視できていたのに、トライデントを褒めた途端に何人も
本当に分かりやすい連中だよ
お前らってよくよくトライデントが嫌いなんだなぁw
使い方次第ではこれほど有効に使えるジョーカー的存在なのにな
881名無しさん@ピンキー:2008/05/22(木) 16:45:53 ID:f2Ie8GL0
ツンデレの話をすれば荒れないのにね
882名無しさん@ピンキー:2008/05/22(木) 16:52:43 ID:EHHfOM+G
トライデントが黒女氏や緑猫氏と同等の作家として扱われるのを許しておけなかったのかな
どう考えても数段落ちるだろ、トラはw
投下に感謝はしてるが
883名無しさん@ピンキー:2008/05/22(木) 16:59:40 ID:f2Ie8GL0
どっちもどっちだと思うんだけどな♪
884名無しさん@ピンキー:2008/05/22(木) 17:00:07 ID:f2Ie8GL0
さてとツンデレの話題について語り合おうぜ
885名無しさん@ピンキー:2008/05/22(木) 17:02:24 ID:IntOHB44
>>894
お前すきだな、ツンデレ
俺も嫌いじゃないがな
886名無しさん@ピンキー:2008/05/22(木) 17:05:27 ID:ClvPwiSl
NGIDに登録する作業で疲れちまったよ・・。やれやれ
887名無しさん@ピンキー:2008/05/22(木) 17:08:19 ID:ZHJHcfCe
せやったらお前らツンデレスレ逝ったらどないや
ツンデレツンデレ言うてる奴らはこのスレに要らんで
888名無しさん@ピンキー:2008/05/22(木) 17:28:16 ID:UcfhzLRv
妊婦が夫の不倫相手を殺したみたいだな
889名無しさん@ピンキー:2008/05/22(木) 17:30:17 ID:KIiyiOUp
きっかけと原因www
890名無しさん@ピンキー:2008/05/22(木) 17:55:20 ID:YbmWeqLQ
デスノートのミサミサの嫉妬SSって需要ある?
891名無しさん@ピンキー:2008/05/22(木) 17:59:09 ID:PFHtJ/fj
あのちょっと足らない感じの一途な女が黒化したら怖ろしいことになりそうだな
月をノートで好き勝手に操った後、泥棒猫ともども殺しちゃうのかな
是非とも頼む
892名無しさん@ピンキー:2008/05/22(木) 18:25:48 ID:8Rqq13XP
>>797
待ってました! GJです。
893名無しさん@ピンキー:2008/05/22(木) 20:58:50 ID:8u1+Edk9
お前等ツンだけじゃなくデレも見せろ
894名無しさん@ピンキー:2008/05/22(木) 21:53:12 ID:Yv0yZMzN
流れブッた切ってすまんがアレだ
時にお前ら、修羅場スレでSSを読む時に聞く音楽でおすすめの曲を教えてくれないか?
SS読みながら音楽聞いたりするやついるだろ?
個人的にはマリリン・マンソンの「the beautiful people」は修羅場にぴったりだと思うんだが
(マンソンのメイク自体が修羅場な感じだし)
895名無しさん@ピンキー:2008/05/22(木) 22:16:34 ID:v5dwbXdA
よくSSでさ、複数人の女キャラが主人公の事好きだったりするじゃん。
それでさ、そういう女キャラって「抜け駆けなしだからね」とか「お互い正々堂々」とか良く言うじゃん。
それならまだしも、安易なハーレム小説とかだともっと酷いのとかもあるじゃない。
ああいうの見るとさ、逆に怖いよね。
人間的感情が無くてさ。
キャラが無機質過ぎるんだよ。人間綺麗な所の方が醜い所より圧倒的に少ないのに。
常識的に考えてあんな出来た人達いないよ。
いたらむしろ、「なんだコイツら……人間じゃねぇ」って感じだよ。


ってな事を考えてたらここに行き着きました。
896名無しさん@ピンキー:2008/05/22(木) 23:38:43 ID:GWlK+9gi
ようこそ同志よw
897名無しさん@ピンキー:2008/05/22(木) 23:52:26 ID:dve/T5pq
しかし毎回荒れつつもほぼ一月に一スレ消費して
結構投下もあるんだよなこのスレ
羨ましいわ
898名無しさん@ピンキー:2008/05/22(木) 23:55:59 ID:pKgY0NJl
>>878
嫉妬スレへようこそ
これが嫉妬スレだ。
俺はついにこいつと一体になった。
もう誰にも俺を止めることはできない。死ね
899名無しさん@ピンキー:2008/05/23(金) 08:44:05 ID:fPnLSVXF
某SS書きが他作品をパロった時はキレそうになった
貶めてるんじゃないと
900うふ〜ん:2008/05/23(金) 08:49:57 ID:oTFoJH32
うふ〜ん
901名無しさん@ピンキー:2008/05/23(金) 08:57:42 ID:A+EEbZiR
>>899
鰻のことですね、わかります。
902名無しさん@ピンキー:2008/05/23(金) 10:16:02 ID:U3JKZ8/w
蒲焼
903名無しさん@ピンキー:2008/05/23(金) 14:35:31 ID:2UuyByZu
蒲焼き食うと吐きそうになる
904名無しさん@ピンキー:2008/05/23(金) 16:16:34 ID:H/Mb4qxe
次スレ
嫉妬・三角関係・修羅場系総合SSスレ 講和(50)条約
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1211526951/
905名無しさん@ピンキー:2008/05/23(金) 17:58:36 ID:8LRzx7xy
>>904
次スレ間違いだらけなんだが・・・
このまま次スレ行くべきだろうか
906名無しさん@ピンキー:2008/05/23(金) 18:37:45 ID:ozASJTb4
まだ埋めるには早いでショ
907sage:2008/05/23(金) 18:59:09 ID:fD8e9jWR
>>898スティンガーw
908名無しさん@ピンキー:2008/05/23(金) 19:14:44 ID:1v9BCjYV
私は面倒が嫌いだといったでしょ!
彼は渡さないわ!


(^o^)…
909名無しさん@ピンキー:2008/05/24(土) 21:55:40 ID:NgwVVBca
>>898
ファンタズマ乙
910名無しさん@ピンキー:2008/05/25(日) 03:14:20 ID:GQqjIRXs
あれ?俺萌えスレと間違えたかな?
911名無しさん@ピンキー:2008/05/25(日) 11:50:29 ID:vYGmUIg4
すてぃらにあ
912名無しさん@ピンキー:2008/05/26(月) 06:28:33 ID:UkUw+hUB
確か数スレ前も新スレ出来てから前スレが一月くらい廃墟と化して残ったんだよな
作品は新スレにしか投下されないし雑談するにも人がいない。文字通り廃墟ですよ
「毒めぐ」と「ウナギ」って単語を出さずに荒らしもスルーできれば平和になるってのになぁ
まあそれができないからずっと荒れ続けてるわけか
そりゃ過疎にもなるわな。書き手も投下する気もなくなるわ


と誰も居ない廃墟で独り言を呟いてみる
913名無しさん@ピンキー:2008/05/26(月) 07:14:54 ID:9bUUgl0D
出た、口癖が“書き手”のお馬鹿ちゃん(笑)
914名無しさん@ピンキー:2008/05/26(月) 07:35:21 ID:UkUw+hUB
誰もいないと思ってたらいたwwwいらっしゃいませ〜w
ってか口癖が“書き手”ってどんな口癖だよww
ちょっとこの廃墟盛り上げてよ荒らしさん
915名無しさん@ピンキー:2008/05/26(月) 08:21:12 ID:KN/hC0zf
 またあの流れは嫌だから、少しお題を出してやろう。 純情が少しずつ嫉妬深くなっていくのと、最初っから嫉妬深いの、ツンデレ→ヤンデレになるもの。 お前らの1番好きなパターンは何だ?
916名無しさん@ピンキー:2008/05/26(月) 08:53:57 ID:rC0ZH3uA
ツンデレがヤンデレになる
917名無しさん@ピンキー:2008/05/26(月) 12:23:06 ID:VOIZXTB6
純情が嫉妬深くなってそれから和解するのが好き
918名無しさん@ピンキー:2008/05/26(月) 20:02:25 ID:XkcJR6mL
素直クールがヤンデレになるのだな
919名無しさん@ピンキー:2008/05/26(月) 20:13:09 ID:2gg7fCMP
クールな人間ほど、デレは激しい
920名無しさん@ピンキー:2008/05/26(月) 20:43:02 ID:KN/hC0zf
確かに。反応やばそうだな。
921名無しさん@ピンキー:2008/05/27(火) 02:44:50 ID:mwnjwBtM
クールな女の子がデレている時に泥棒猫が…
そしてタイミング良く幼なじみのツンデレが……
922名無しさん@ピンキー:2008/05/27(火) 08:37:27 ID:p8Rx/nFN
言葉さまタイプ
923名無しさん@ピンキー:2008/05/27(火) 09:48:09 ID:i2hAxVnB
言葉様タイプのヤンデレと付き合いたいですw
924名無しさん@ピンキー:2008/05/27(火) 18:34:37 ID:m7TspkSn
その場合、結末は…
925名無しさん@ピンキー:2008/05/27(火) 19:16:49 ID:PMI8e5t4
鮮血
926名無しさん@ピンキー:2008/05/27(火) 19:54:00 ID:HWl6Uo1W
いや、死ぬのは女だけだろwww
927名無しさん@ピンキー:2008/05/29(木) 17:37:21 ID:JnMLQL9T
おーい 生きとるか
それとも彼女に刺されたか?
928名無しさん@ピンキー:2008/05/29(木) 21:38:29 ID:q6pblLpY
埋めネタ行きます。
9291/5:2008/05/29(木) 21:39:59 ID:q6pblLpY
 純情な女であった。あからさまに素直な気持ちを表せない、器用でない女であった。
内心大いに照れていても、勉めてそれと気取られぬよう不機嫌を装って、どなったりはたいたり、あまのじゃくな仕草でしか女は情を示せなかったのである。
 物心ついた頃より女は一人の男を好いていた。家は隣同士であった。
朝、学校へ行くのに、相手の玄関で声を張り上げて、どんくさくもたついて出てくる男を叱った。
女はいつも男を後ろにつかせて歩いた。追い抜かれぬようわざと速く歩いたのである。男がまってと言えば、女は男の手を乱暴に引っ張って歩いた。
女は男を、常に自分のそばに置いておきたかった。じっさい、どこへ行くにも何をするにも一緒であった。
周りの者たちは、そんな幼い二人を姉弟のようだと評した。
 思春期を迎えても、照れ隠しの八つ当たりはいっそう酷くなったとはいえ、女は男を好いていた。
ひた隠しに隠している愛情の内容が、直接的になっただけのことである。
以前までは性に依存していなかった願望があらわに実感されるにつれ、男に対する女の態度はさらにとげを増して、助平やら鈍感やら口汚く罵り、わけもなくはたく回数も増えていった。
それがおのれの願いを遠ざけていることを女は知っていたが、持って生まれた性分はどうしようもなく、中学、高校と上がって、男に浮いた話が絶無なことを口実に、ずるずると、いつまでもあらためなかった。
 男と同じ大学へ通うことになって、男と同じアパートの、それも隣の部屋に住むことになった女は、
「偶然なんだから、勘違いしないでよね」
なんてことを言いながら、男を小突いた。浅ましかった。
しかしいまさら習慣は変えようがなくて、体が成熟していても幼児の関係を続けざるをえなかった。
初めのうち、女はあれこれ男の世話を焼いて、入浴と寝るときのほかは、必ずどちらか一方の部屋で過ごし、ほとんど同棲しているようなものであった。
女は大げさに疲れたふりをして、男のベッドに寝転がることもあったが、期待し且つ怖れている出来事は一向に起こるけはいがなくて、空しく朝まで起きていた。寝不足で回らない頭の中で女は 「甲斐性なし」と毒づいた。
9302/5:2008/05/29(木) 21:42:57 ID:q6pblLpY
 数ヶ月してから、男が夜遅くまで戻らないことがたびたびあるようになった。アルバイトを始めたからであった。
四六時中一緒に居れるよう拙く策を弄していた女も、さすがに同じ職場で働くことは出来なかった。
男の居ない夜には、女は男の部屋の中を許されるかぎり広く歩き回ったり、埃一つ無い床をなるべく丁寧に掃いたり、作り置いた料理のラップをかけ直したり、それをゴミ箱に捨ててまた新しく作り直したりした。
手持ち無沙汰になってしまうと、ちゃぶ台に肘を付いて、以前にわがままを言って作らせた合鍵を指先でもてあそびながら、男の帰りを待った。
眠たくなっても、薄情な男への面当ての気持ちから、自分の部屋に戻ろうとはしないで、腕を枕にうたた寝をした。
朝に目覚めて、自分の部屋のベッドに寝かされていることに気が付き、毎度のことながら、女はほっとしたような気持ちでため息を吐いた。

 女は不愉快であった。
 女が買い物に出かけたら、制服姿の少女を連れた男と街中で出くわした。
男の弁解によれば、少女は男のアルバイト先の同僚で、町で偶然会って、そのまま買い物に付き合っていたらしい。
その少女の仕草や言動が、いちいち女の気に障った。だいいち、その女子高生らしからぬ洒脱が気に入らない。
淡々とした口調で、しかも一人称が「僕」だなんて、この小娘は漫画の見すぎではなかろうか。
「七詩、あんた条例違反よ」
「ば、ばか。俺と後藤は別に……」
「いいえ市宮さん。僕は一応、この間十八になりましたので、たとえ僕と七詩さんがそういった関係だとしても、社会的にいって罰則を与えられるような事態にはならないはずです」
「後藤さん、でしたっけ? そうなら、貴女は今年受験生なんでしょう? 随分余裕なのね。アルバイトなんかしていたり、ましてや、こんなうだつの上がらない男とほっつき歩いたりして」
「社会勉強ですよ。机にかじりついてばかりではしっかりとした大人にはなれません。それに、恋だって経験しておくに越した事はありませんから」
 生意気なことを言う。女は男の手をとり、返事を聞く前にすたすたと歩き出した。
「帰るわよ、七詩。あんたレポートまだ残ってるじゃない。机にかじりつくのだって、私たち学生には大切なのよ」
 そう言い終えたとき、女は、男と少女とがなにやら目配せし合ったのに気付いた。
9313/5:2008/05/29(木) 21:44:31 ID:q6pblLpY
 それがあった日から絶えず沸きあがる不安は、女をして以前より刺々しい態度をとらせた。
アルバイト先の出来事について話してしていると、男があえて例の少女の話を避けているのに心付いて、女は覚えず剣呑顔を浮かべた。
男は一旦口を噤み、それから慎重に言葉を選ぶ様子を見せて、再び吶々とした口調で続けた。二人ともぎこちなかった。

 休日、男が、急にアルバイトが入ったと言って出かけた。
女は髪を後ろに結んで帽子を被り、伊達目がねをかけ、普段着ることの無い組み合わせで洋服を着て男の後をつけた。
案の定、男はアルバイト先とは正反対の方向へ歩いて、待ち合わせ場所と思わしき広場であの小生意気な少女と合流したのである。
私服姿の少女は、肩で切りそろえられた髪を両側で結び、ひん曲がった性格とは真逆に子供子供した恰好をしていた。
二三言葉を交わしてから、少女は媚を売る仕草で男の腕に絡みついた。そうして男もまんざらではないかのように頬を指で掻いて、明後日の方角へ顔を向けた。
「今すぐ出てって張り倒してやろうか」と女は思った。
 店先での冷やかし、レストラン、映画館と続いた後、男と少女は腕を組んで宿泊施設へと入って行った。
女は悲しんだ。これまでのように、後を追っていくことも出来ず、手から滑り落ちて中身の散乱した鞄を拾うことも忘れて突っ立っていた。
女は「どうせ長く続かないわよ」と呟いてみた。むなしかった。
 ただもう生きているという感じで、女はその日その日を引き摺られるように暮らした。
女は、これ見よがしにしょげて見せるほどのしたたかさは持ち合わせていなかった。
押し殺して平静を繕い、淡々と身の回りの世話を行い、これまでどおり、どなったりはたいたりの怒りっぽい幼なじみを続けた。

 それから一年の月日が過ぎた。
 男と少女はまだ別れていなかった。けれど女は見切りを点けられず、報いの無い世話焼きを続けた。
掃除、洗濯、食事、それら日々の家事が女の生きがいであった。
男の衣服に付着した長い毛髪を見つけても女は以前ほど動揺することはなくなり、男が帰って来ない晩があっても始めの頃のようにわれとわが身を慰めて男の蒲団を濡らしたりせず、ただ小さく歎息を吐くばかりであった。
9324/5:2008/05/29(木) 21:47:27 ID:q6pblLpY
 更に一年の月日が過ぎた。別れなさい別れなさいと一日もかかさず続けた女の祈りは届かなかった。それどころか、男は結婚することになったのである。
例の少女が身重になったことが原因であった。女にはもう余裕が残っていなかった。
 式のひと月前に、女は自分の部屋に男を呼び出した。
この一年間というもの、男はほとんどアパートを留守にしていたので、こうして二人きりで話すのは久しぶりであった。
「あたしとあんたってさ、結構長い付き合いだよね」
「そうだな。腐れ縁ってやつかもな」
「……。あのさ」
「なんだよ」
 それきり女は黙ってしまった。男恋しさわが身悔しさでひと言も言えなくなった。
おのれの情けなさに涙すら浮かんだ。なぜか急に、男にこれまでのことを謝りたくなった。
だからあの少女と別れてくれと付け足すという浅ましい考えに思い当たり、その邪な思いつきを捨てるべく、俯いて目を瞑った。
しかし男が、
「おい、どうしたんだ?」
と言った途端、これまで溜め込んでいたもろもろの思いが決壊し、女は音を立てて膝立ちになり、間を置かずして男の胸へと飛び込んだ。
 女は男の名を呟きながら顔を相手に押し付け、体中を絡み合わそうとするように動かした。
幼馴染の突然の変貌に男は色を失って、女を両手で突き飛ばし、言った。
「ふざけるのは、やめろよ」
 女は両手を後ろについたまま、男が着衣の乱れを直しているのを呆然と見つめた。
あわただしくアパートの階段を駆け上がる音が聞こえ、一息置いて、
「七詩さん、いますか」
と例の少女の声がノックの音とともに響き渡り、羞恥と屈辱とで我を忘れた女は、裸足のまま部屋を飛び出して、女の剣幕に驚く少女を頬打った。
それから階段を数段飛ばしに駆け降りて、裸足から血が流れるのもかまわず逃げるように駆け走った。
9335/5:2008/05/29(木) 21:50:15 ID:q6pblLpY
 もうだめだもうだめだ、どうしようもなくなってしまったという言葉が錯綜して女の頭の中を駆け巡っていた。
前後不覚で狐つきのごとく白昼の町を失踪し、人間、自転車、自動車、それぞれの通行を妨害しながら、きちがいじみた形相で声を張り上げた。
「あの女がみんなわるいのよ!」
 交番を横切って、商店街を通り過ぎ、公園の真ん中で立ち止まった。
「ごめん、七詩。ごめんなさい、七詩。わたしあんたにひどいこといっぱいした。すなおじゃなかった」
 女は天を仰いでそう叫んだ。小さな子供たちが指を指していた。女は再び駆け出した。
「あんたがのぞむならなんでもするから! もうぶったりしません。あれたりしません。やきもちやきません。すなおになります。だから、だから……」
 けたたましい音と衝撃に続いて誰かの叫ぶ声の後、巨大なタイヤが眼前に迫ってくるのを知覚したかしないかの一瞬間に、アスファルトの上に跳ね倒されていた女の意識が途切れた。


 女の四十九日が終って、女の埋まる墓の前で立ち尽くす男に少女が声をかけた。
「きっと、天国の市宮さんは、七詩さんの落ち込む姿なんて見たくないと思っていますよ」
「……」
「僕ら生きている人間は、幸せにならなければいけないんです。七詩さんが幸せなら、市宮さんだって、絶対に喜んでくれますよ」
「そうかな」
「そうですよ、きっと。それに、市宮さんは、僕らの心のなかに生きてるじゃありませんか」
「そう、だよな」
934名無しさん@ピンキー:2008/05/29(木) 21:51:20 ID:q6pblLpY
以上です。
935名無しさん@ピンキー:2008/05/29(木) 22:46:24 ID:iHm66lDt
報われない幼なじみってのはなんかグッとくるな…GJ!
936名無しさん@ピンキー:2008/05/30(金) 00:15:54 ID:rwid5Q0m
>>934
GJっす!
報わない恋ってのは儚くも萌えますなぁ…
937名無しさん@ピンキー:2008/05/30(金) 04:58:59 ID:pPo9Wy5S
報われない幼馴染みか…なんか今までと違うような感じだ。「僕っ子死ねよ」とか思ってたのに、まさかそいつが報われるとは
938名無しさん@ピンキー:2008/05/30(金) 16:29:15 ID:Z8TzbKQE
切なさすぎる・・・・

俺は>>934を見て誓うわ。
素直じゃない女の気持ちを分かっている男との
物語を書くということを。
939名無しさん@ピンキー:2008/05/30(金) 18:37:05 ID:YxeUrLRJ
自業自得、立場にあぐらをかいていると足元をすくわれるという意味がこのお話には含まれているんですね!
子供たちにも読み聞かせたいお話でした。
940名無しさん@ピンキー:2008/05/30(金) 22:39:55 ID:9gEy+9cP
切なくて泣けてくるわ・・・
941名無しさん@ピンキー:2008/06/02(月) 00:38:15 ID:VOARB2s7
「哀しいけどこれ、戦争なのよね」という台詞を思い出した
GJ
942名無しさん@ピンキー:2008/06/02(月) 09:09:43 ID:SmFJDC+j
>>924
早い!早すぎるよ妊娠
943名無しさん@ピンキー:2008/06/02(月) 09:10:25 ID:SmFJDC+j
妊娠?スレッガーさんじゃないのかよ・・おれ
944名無しさん@ピンキー:2008/06/02(月) 16:23:36 ID:6mDqZXla
阿修羅さん
保管庫更新おつかれさまです
945名無しさん@ピンキー:2008/06/05(木) 20:03:41 ID:Da7V4CQu
ほしゅ
946名無しさん@ピンキー:2008/06/05(木) 23:42:26 ID:vrZyV3e6
埋めネタ行きます。
9471/7:2008/06/05(木) 23:43:29 ID:vrZyV3e6
 やかましく、枕元の目覚まし時計が鳴って、私はもうずっと前から起きていたような気持ちでしたが、あらためて眠っていたのだと思い当たって、ぱっちり目を開けました。
 私は、目覚まし時計を止めてから、もう意味はそんなに無いでしょうけれども、横で眠る良人を起こさぬよう、用心しいしい蒲団より這い出て、坊やを抱き上げてしずかに寝室を後にします。
台所で朝餉とお弁当の支度をしていましたら、背中の坊やがもぞもぞ動き出し、耳元にウマウマ言いますので、私はあわてて火を止め、坊やを背中から下ろしてはだけた乳房を含ませます。
こくこくと懸命に吸う坊やの小さな頭を見つめていますと、どうしてか子守唄を口ずさんでしまい、おくびさせるのに背中をぽんぽんはたくころには、坊やは眠り込んでいました。
気付けば家を出る時間が近くなって、私は食事の支度を手早く済まし、良人の枕元に食事を置き、洗面所で薄く化粧してから、坊やを背負って家を出ました。
 まだ小さいこの子を朝のすし詰めで窮屈させるわけにもいきませんので、私はバスに乗らず一時間ほどの道を歩いて行き、パート先近くの託児所に坊やを預けます。
夕方に仕事を終えると、坊やを迎えに真っ先に託児所へ寄りまして、職員の方々になんどもなんどもお礼をいい、
坊やを背負ったまま、スーパーで食べ物やらなにやらを買って、夕暮れは座席もそれなりに空いていますから、行きと違いバスに乗って帰ります。
 この日、バスの中で、いつものように坊やを前に抱いて座っていましたら、後ろの座席から、「あら」と聞き覚えのある声が聞こえて、振り向けば、声の主は学生時代の友人で、
出し抜けの再会に何を言って良いやらわからなく、口を半開きに呆けていますと、すらりとしたスーツ姿の友人は、紅の薄く乗った唇をかすかにゆがめて、
「こんにちは」
と挨拶し、その固い様子に私はいつものくせで、
「どうも」
とかしこまってお辞儀だけを返しました。それからすぐにバスが停車して、立ち上がった彼女が、
「私、ここだから」
と言って降りてしまいましたので、このときは世間話をする暇もございませんでした。
9482/7:2008/06/05(木) 23:44:25 ID:vrZyV3e6
 家の玄関の扉を開けたとき、寝室のほうから、心臓を鷲づかみにされるような、何と言っているのか判別できないくらい荒んだ怒鳴り声が聞こえてきました。
あまりのすさまじさに、さっきまでうとうとしていた坊やは泣き出して、私は胸をかきむしる思いで、坊やを廊下にそっと寝かせて、寝室の扉を開きます。入った瞬間、皿が飛んで来て私の顔に当たりました。
私が、当たった箇所を手で押さえてしゃがみ、いたいいたいとうわ言を呟いていましたら、良人は怒鳴るのを止めて、荒い呼吸をしながら恐ろしい目つきで私を睨みつけ、
「二度と、顔を見せるな。どこかに、行ってしまえ」
と嗄れた声で言い捨てまして、見れば部屋の中は散々な有様で、朝に用意した食事は一つ残らずひっくり返されて床にこぼれ、
書き物机にきちんと整頓しておいた原稿用紙の束は散り散りになって、壁に投げつけられたと思わしきインク瓶の周りには中身が黒々と飛び散っています。
私はくしゃくしゃに丸まった原稿用紙を拾い集めながら尋ねました。
「きょうは、書けましたか?」
「喋るな」
 間髪入れず言われて、言葉がつまり、するとまぶたがどんどんと火照ってきますので、私はなるべく俯いて、その落涙を被さる前髪で隠します。
ひとつまたひとつと紙くずを拾っていくうちに、ます目の埋まった原稿用紙を一枚見つけて、丸められたそれをこっそり開いてみますと、
私への、呪詛の言葉ばかりが書きなぐられていて、睫毛がほんのり湿っているのが自身でわかっていながらも、私は顔を上げ、勉めて、明るい調子を出しました。
「あした、がんばればいいんです。そうです、あしたならきっと書けますよ」
「いいか。何も言わずに、さっさと出ていってくれ」
 淡々とした口調は、かえって凄みがございまして、私は今度こそ黙って、そのまま部屋の片付けを終えました。この日、良人はひと言も話さず、また私も話しかけられず、良人は床に着いてもそっぽを向いたきりで、坊やが夜泣きし始めても一切動じませんでした。
9493/7:2008/06/05(木) 23:45:36 ID:vrZyV3e6
 それから四五日過ぎた日曜に、私は坊やをおぶって町に出かけました。家に居ては良人の執筆を妨げてしまいますから、休みの日にはいつも外に出るようにしているのでございます。
家の近くの公園に行けば、集まっているご夫人たちはみなさんきらびやかに身を飾っていて、みすぼらしい身なりのみじめをあらためて思い知るやら、そのうえ大事な坊やまでもが見くびられるやらで、
それがいやな私は、必然、あてもなく町をふらつくことになり、駅前のお店で飴を一つ買い、坊やにしゃぶらせて歩いていますと、
この前バスで会った友人とばったり出くわし、「時間、大丈夫?」と出会い頭に切り出され、ついつい頷き、あれよあれよという間に妙ないきさつになったもので、坊やを抱きかかえて喫茶店の椅子に腰掛けていました。
「一年ぶりくらいだったかしら」
「そう、ですね」
「なんだか、あんた痩せたわよね」
「そうですか」
「主婦って、やっぱり大変なの」
「そうでもありません」
 なんだか訊問されているような心地で、私はちびりちびり紅茶を舐めながら、早く坊やがおむつに粗相してくれやしないか、そればかり考えていました。
アウアウ言って興味深げに辺りを見回している坊やを、学生時代の友人は何ともいえない目で眺めやり、「この子?」と尋ねたきり、許可を求めないで坊やの頭を撫で始めました。
「たしか、十ヶ月よね」
「はい」
「もう立った」
「いえ……」
「ハイハイとかは」
「……。あまり」
「そ」
 友人は顔を近づけて、わざとらしい赤ちゃん言葉で坊やの名前を呼び、坊やは知らない人にかまわれて嬉しいのかキャッキャッとはしゃぎます。
近寄った彼女の首筋から、永らく忘れていた化粧の匂いがむっと感じられて、学生時代を懐かしむ気持ちと、眼前の女性への歯切れの悪い思いがわき上がり、私は思わず、横槍を入れるように坊やを抱えなおしました。
邪魔をされた友人は心底から優しげに見える表情で、別れるでもないのに大げさに坊やにバイバイして見せ、そうして私に向き直った途端、緩めていた顔をすっと引き締めました。
9504/7:2008/06/05(木) 23:47:15 ID:vrZyV3e6
「ねえ、あいつ、どう? ここのところずっと書けてないらしいけれど」
「芸術のことはわかりません」
 私はすかさず返答しました。友人は、気の無いふうに「ふうん」とだけ咽喉を鳴らして、すると今度は値踏みするように、私の身体をつま先から頭までゆっくり見渡します。
愉快でない私は彼女の目をじっと見つめました。視線がかち合い、このまま根比べになるかと思われましたが、友人はクスと含み笑うと同時に店内の掛け時計に目をやり、
「そろそろ時間だから、行くわね」
と財布から一万円札を二枚取り出してテーブルに乗せ、私の言葉を待たずに入り口に立って行きました。
友人は入り口の取っ手を掴みながら私たちのほうへ振り返ります。
「お釣はいらないわ」
 そうしておどけた態度で、坊やに向かってバイバイして店を出ました。彼女は四百五十円のコーヒーを一杯飲んだはずです。
私は相当に気を悪くしました。
 その日から数日経った平日の夕方、私はまたもや出くわした彼女につき合わされることになりました。
私は託児所の坊やが気がかりで穏やかではございませんでしたけれども、友人は相変わらず馴れ馴れしい調子で、問わず語りに今の自分の仕事やら同級生の噂やらを話して聞かせます。
学生の頃から、彼女のこうした手前勝手なところが私の気に入りませんでした。
緊張して見たものも覚えなかった前回と違って、この日は彼女の身なりや仕草がいちいち目に付きます。
髪の毛は小気味良くまとまっていて、手で梳けば滑らかに感触されるでしょう。化粧は学生時代より垢抜けて、自然に見えます。
肌の色艶は瑞々しく、女としての優劣をあらわに見せ付けて、私は今も昔と同様に遣る瀬無くなります。
だいじょうぶ、妻はあたしだ、と気弱な自分に言い聞かせ、前回の不愉快な出来事を思い起こし、今日はこちらが同じことをしてやろうなどと、愛想笑いしながら機会を油断無く窺っていますと、
コーヒーの最後の一口を飲み終えた彼女は間を置かずに切り出しました。
「そろそろ本題に入らせてもらうわ。あいつに会わせて」
 私は出鼻をくじかれました。いつかくるとは思っていましたが、こんなにいきなりでは上手い弁解も用意がございません。
9515/7:2008/06/05(木) 23:49:49 ID:vrZyV3e6
「だめです」
「どうしてよ」
「仕事の、仕事の邪魔に、なります」
「その仕事だけど、あんたと結婚してから一つも書けてないらしいじゃない。連載も途中でほっぽって、いったい何のお仕事をなさっていらっしゃるのかしら? 編集部に問い合わせたら、門前払いだって聞いたわよ」
 私は自分の膝が震えているのがわかりました。
「私はあの人に、文学のことは何も聞きませんから」
「文学少女が、今は芸術家の妻気取り」
「挑発しているんですか」
「別に。ただ忠告したいのよ。そんな生活、いつまでも続けられないってことをね」
 そう言って彼女は、鞄を開いて何かを探しはじめました。私は彼女の言葉の真意を思い、気が気でなく、帰ることを言い出すのも忘れて、彼女が取り出した茶色くって分厚い封筒を、ただ見ているような感じで見ていました。
「これは私の気持ち。出世払いとか、そういうの考えなくていいわ」
「困ります。いけません。頂けません。早く、しまってください」
「生活、苦しいんでしょ? 気兼ねしないで使ってちょうだい。あんたとは腐れ縁だし、あたしとあいつとは、別に知らない仲じゃないんだから」
 私は音を立てて立ち上がりました。目の前の女は、私が顔を強張らせたことなんか気にも留めず、ゆったりした動作で鞄を手にして、髪をかき上げながら、
「そのお金で美容院でも行って来たら? あいつも喜ぶかもしれないわよ」
と、第三者が見れば嘲弄とは思わないくらい親身な口調で言い、私に激昂する暇も与えず喫茶店から立ち去りました。
9526/7:2008/06/05(木) 23:52:15 ID:vrZyV3e6
 ていねいに、櫛を通して、途中で引っかかり、離してもう一度通しても、また引っかかり、私はいまいましくなって、櫛を持った手で洗面台を強かに叩きます。
櫛の片端の歯が幾本か欠けて、最後に残った無傷の櫛でしたが、私は八つ当たりが思い通りに行ったのに機嫌を良くして、鼻歌を歌いながら、真ん中あたりで真っ二つにぱちりと折り、歯が無事なほうを髪に通しました。
しかしまた中途で櫛が止まって、私は乱暴な手つきで撫で付けるように幾度もそのところを梳き、抜け落ちた毛先が指先にはらりと感じられるのもかまわず繰り返しました。
このごろずっと水仕事を控えて、毎日朝昼晩クリームを塗ったおかげで、前はあんなにささくれ立っていた手のひらも、十代の少女のような愛らしいそれに変わりました。
その手のひらに化粧水をつけ、ひたひたと顔に染み入らせます。
坊やの泣く声が聞えましたが、どうせ、うんちでも漏らしたにきまっているのでございますから、私はそのままお化粧を続けました。
 聞き分けなく泣き喚いているくさいくさい坊やを台所のテーブルに寝かせて、良人と二人きりになった私は、寝台に横たわる良人の頬に両手をやって尋ねます。
「ねえあなた。私、綺麗ですよね」
 良人は無理に顔を背けようとしていらっしゃるのか、私の当てた右手と左手に交互に力を加えるのがわかりましたけれど、結果は腕をじゃらじゃら鳴らすばかりで、
いくら良人のためといえども、私は愛する人が苦しむのを見るのは辛くって、ごめんなさい、としずかに謝って良人を抱きしめました。
 小さく泣き声が聞えて、それが次第に大きくなり、いよいようるさく感じた私は、この無粋の元凶を叱りつけるために、シャツを羽織って寝台から降りました。
扉を開けると、伏した坊やが泣き喚いています。台所からどうやってここまでやってきたのか、発育不良のくせしてどうして一丁前にハイハイなんか覚えたのか、
私はいらいらして、赤ん坊を壁に寄りかからせ、ニ三、頬を軽く引っぱたきました。
ほんの少しの間、黙ったかと思えば、すぐにまた、いっそう不愉快な音で泣き喚きます。
まだ足りないかまだ足りないかと思いつつ、今度は少し振りかぶって打とうと思ったとき、出し抜けに、呼び鈴の電子音が廊下に響き渡りました。
9537/7:2008/06/05(木) 23:55:52 ID:vrZyV3e6
私は手で赤ん坊の口を覆い、全身を緊張させて、音を立てぬようじっとしていましたが、呼び鈴がいつまでも止みませんので、痺れを切らし、寝室で服を着て応対に出て行きました。
玄関の覗き穴に目を当てると、制服の警察官が立っています。変に勘ぐられるのも好ましくございませんから、私はあくまで自然な様子で扉を開けました。
「なんでしょうか?」
「少しだけお話をうかがいたいのですが、よろしいでしょうか?」
「はぁ」
「あのですね……」
と警察官が言おうとしたのと同時に、あの女が扉の影から現れて、
「いるんでしょ!」
とすさまじい大声で言い、それからすぐにまた良人の名前を叫びました。
「……すけ……て……」
 奥から、それに答えて微かな声が響きます。
「ちょっと、お宅の中を調べさせていただけますか」
 警察官の柔らかい態度は消えて、玄関の扉はいつの間にやら足で押さえられて閉めることが出来なくなっています。
そうして私が抵抗するべく彼の胸を押そうと身構えると、物陰から数人の別の警察官が飛び出てきて、瞬く間に私を取り押さえたのです。
最初の警察官が素早く家に踏み込み、それからしばらくすると坊やの泣き声が聞えました。
あの子は人見知りしないほうですが、きっと、おまわりさんにおどろいたのでしょう。
荒々しく扉を開け閉めする音に混じって、良人の声も聞えます。
「助けてくれ、刑事さん。監禁だ。これまでずっと監禁されているんだ。あの女がおれを、監禁しているんだ。刑事さん、こっちです。はやく、外してくれ。おれを助けてください」
 かつての恋敵の女は、組み伏せられた私を情なく見下ろしながら、家から聞える坊やの泣き声に被せて、
「このどろぼうねこ」
と呟き、いかにも勝利者然と朗らかな満面の笑みを浮かべたのでございます。
 私は笛の音に似たピィという声をあげて泣き出しました。
954名無しさん@ピンキー:2008/06/05(木) 23:56:35 ID:vrZyV3e6
以上です。
955名無しさん@ピンキー:2008/06/05(木) 23:59:07 ID:KVdcLESn
>>954
GJといっておこう
956名無しさん@ピンキー:2008/06/06(金) 00:50:56 ID:BsCANIva
わかりづらい
957名無しさん@ピンキー:2008/06/06(金) 03:31:25 ID:iyF7jipC
監禁なんかされてねえじゃん
958名無しさん@ピンキー:2008/06/06(金) 18:02:40 ID:ijr6yLJI
>>957
6/7で鎖の鳴る音が描写されてる

>>954
GJ
959名無しさん@ピンキー:2008/06/07(土) 05:55:43 ID:k19iwZYQ
>>956>>957は文盲かゆとり

>>954
大正か昭和風で良いな。最後のラストスパートと締めが良い。GJ!

これでようやく修羅場スレを見限ることができる…
960名無しさん@ピンキー:2008/06/07(土) 09:56:53 ID:wyZohCG3
最初、富野節かと思ったw
961名無しさん@ピンキー:2008/06/08(日) 12:34:39 ID:aNJHUmAM
お前らオススメのラノベ教えてくれ

嫉妬や三角関係が渦巻くやつ
962名無しさん@ピンキー:2008/06/08(日) 13:12:17 ID:MfPbi8VU
>>961
おそらくスレチ。
963名無しさん@ピンキー:2008/06/08(日) 13:21:32 ID:5r8UKaCZ
>>961
本スレで聞け
964名無しさん@ピンキー:2008/06/08(日) 13:40:28 ID:aNJHUmAM
申し訳無い…

誘導してくれないか??
965名無しさん@ピンキー:2008/06/08(日) 13:49:05 ID:aNJHUmAM
自己解決しました

スレ汚し申し訳ありませんでした
966名無しさん@ピンキー:2008/06/12(木) 00:56:42 ID:FeA3QV4q
過疎
967名無しさん@ピンキー:2008/06/12(木) 23:15:37 ID:1scY3fgM
過疎っていうか、本スレあんだから・・・・えっ?どういうこと?
968名無しさん@ピンキー:2008/06/13(金) 04:44:42 ID:pKFaG90O
つまり過疎スレってこった
作家も住人もいなくなったこのスレが埋まるのは何ヶ月先なんだろうな?
969名無しさん@ピンキー:2008/06/13(金) 08:15:49 ID:bVvzbgKT
ここが埋まるのは当分先ですね
970名無しさん@ピンキー:2008/06/14(土) 08:09:05 ID:FHFKhyra
このペースだと埋まらずにdat落ちしそうだけどな
971名無しさん@ピンキー:2008/06/14(土) 17:04:52 ID:8qFTqMs8
う・・・埋め・・・ちゃって・・・いいです・・・か?
972名無しさん@ピンキー:2008/06/14(土) 17:56:27 ID:f3ZcEz3X
うめ
973名無しさん@ピンキー:2008/06/14(土) 18:27:29 ID:UYwIBWuR
やっぱ次スレ立てるのが早すぎたと思うよ 
埋め
974名無しさん@ピンキー:2008/06/14(土) 18:31:53 ID:vWeiPEWQ
975名無しさん@ピンキー:2008/06/14(土) 19:12:03 ID:OTzC88lc
埋め
976名無しさん@ピンキー:2008/06/14(土) 21:20:05 ID:jc80SoKD
今日も泥棒猫を埋めてきちゃった☆
977名無しさん@ピンキー:2008/06/14(土) 21:28:30 ID:3IyTB9NO
>>976
そのネタでスレを埋めるんだ!!!
978名無しさん@ピンキー:2008/06/14(土) 22:26:08 ID:alvpgh1q
宇目
979名無しさん@ピンキー:2008/06/15(日) 04:04:41 ID:ssA/PspZ
>>977
どんなネタだよw
あれか?スイーツ(笑)で愛されガール(笑)な女が泥棒猫大虐殺なネタか?
自分磨き☆とか言いながら凶器の金属バットとかバールのようなものも磨くのか?
友達(泥棒猫)をリンチしたり薬漬けにしたりレイプしたり妊娠させたりエイズにしたりすんの?
ガッシ☆ ボカッ@ グチャッ♪ アタシは殺した……スイーツ(胎児の返り血を浴びて)
……どんな修羅場か知らんが悪くないかもしれねぇ
980名無しさん@ピンキー:2008/06/15(日) 08:57:30 ID:FtXUTeW7
埋め
981名無しさん@ピンキー:2008/06/15(日) 12:40:51 ID:6dpOfvwr
お埋め
982俺と素直クールとツンデレと:2008/06/15(日) 13:45:35 ID:GnVyr5qa
「ほんとにありがとう! 恩に着る!」
 そういうと、奴は俺の両手を握りしめてぶんぶん振った。
 手を痛いほど握りしめてくれて、おまけに顔はゆるみっぱなしだ。
 奴は下級生の女から大人気、サッカー部のフォワード。
 学業も並で、顔は浅黒く精悍。
 普段なら俺に寄りつきもしないくせに、と意地悪なことを思ったが、すぐに気持ちが萎えた。
 美那(みな)が現れると、俺のことを忘れたかのように、奴は美那のところにすっ飛んでいったからだ。
 奴と美那がにこやかに話してるのをみて、寂しいような悲しいような、なにかこみ上げるものがあった。
ゆえに俺は表情に出さないように顔をうつむけて、自分の席に戻る。
「へー、ついに喜多口くん、及川にオッケーもらったんだ?」
「なんでも、藤沢くんに紹介してもらったんだって」
「えー? 藤沢くん、及川のこと好きじゃなかったの?」
「単なる幼なじみなんでしょ? 好きだったら紹介しないじゃない」
 誰かのその言葉に同意の声が密やかにあがった。
 それを聞いて俺は泣きたい気分にになった。
 好きな女を他人に紹介してしまう馬鹿がここにいますってわめきたくなったが、我慢した。
 その荒れ狂ったやるせない感情を、ため息にして長々と吐き出す。
 そこに声がかかった。美那だった。
「浩介、今日、私、少し遅くなるから」
 美那がそういうと、その視線が奴に流される。奴が露骨ににやついた。
「わかった。おばさんに言っておく。理由、部活にしとくけどいいよな?」
「ありがと。じゃあ、喜多口くん、行きましょ」
 胸にわき上がる何かを必死で抑圧し、作った笑顔と作った平静さは、形ばかりの感謝の言葉で返される。
 思わず美那の背中を目で追いそうになるのを渾身の力で押さえ込んで、読みもしない教科書を広げる。
 どちらにせよ、何をしたって、どういう奇跡があっても、俺と美那は交わらない線だ。
 だから、……だから美那と奴がくっつくので、なんの問題も……ない……はず……なんだ。
 熱くなる目の奥をなんとかこらえる。目の前がぼやけた。
 急いで目をこすり、それでもあふれそうになって目を押さえて下を向く。
 泣いてはいけない。好きだったなんて知られてはいけない。愛してるなんて気取らせてはいけない。
 静かにゆっくりと息を吐いて、胸の中の何かを外に出した。
 その動作で、俺の心が収まり、悲しみに満ちた。……でもこれでいい。
 ……できれば、この美那が好きだって気持ちをえぐり取って捨ててしまえればありがたい。
 次の時間のチャイムが鳴り始める。周囲が席につき始める。
 それがこんなにありがたく感じたことはかつて無かった。
983俺と素直クールとツンデレと:2008/06/15(日) 13:46:41 ID:GnVyr5qa
 俺は藤沢浩介。高校二年。黒縁眼鏡をかけて、ひょろっとした体格の、冴えない男子高校生。
 及川美那は、幼なじみだが、こちらは快活で明るいクラスのリーダー的な存在だ。
 顔もかなり綺麗でスタイルも良く、小学校の時から、つきあう男に不自由したことはない。
 俺がいつからこんな気持ちを美那に感じてしまうようになったのかは、はっきりしない。
 ただわかるのは、たとえ幼なじみでも俺達は恋人としては釣り合わないってことだ。
 そもそも俺は美那に男としてすら見られていないだろう。
 時々美那が俺の部屋に来るのも、俺のできあがったノートや課題、ゲーム機や本が目当てなだけだ。
 それなのに、俺一人、馬鹿みたいに美那を気にしている。
 そんなことをしておいて、美那を紹介してくれという男共の橋渡しもしてやってる有様だ。
 自分でも馬鹿だと思うが、告白して何もかもぶち壊れるのは、もっといやだった。
 だから俺はこの思いを、忘れることが出来るそのときまで、自分の中だけに留めていようと思った。
 その誓いに、俺の胸が締め付けられるような痛さで抗議する。
 そんな軟弱さを呪いながら、俺はやっと顔をあげた。
 この痛みで心が失血死すれば、楽になれるような気がしたからだ。
 ふと何気なく横を向く。二つのまっ黒く美しい瞳と出会った。
 瞳の持ち主は宇崎沙羅という女生徒だった。クラスの女子の中からは孤立気味だがこれには、理由がある。
 美那とはちがった種類の、整いすぎて冷たいくらいの美貌がまず一つ。
 胸も大きくスタイルもいいが背が高すぎて、しかも姿勢がいいため、威圧感があることが二つ目。
 そして帰国子女で何事もはっきり言って、空気を読まなければいけない状況をしばしばぶち壊す癖が三つ目。
 好感が持てる女だけど、今の俺の表情について、空気をぶち壊して聞かれるのはごめんだった。
 目をそらし、顔を隠すように俺はうつむいた。

 ありがたいことに、それきり何も起こらず、その日の授業はすべて終わっていった。
 そう、俺は思いこんでいた。
 覆されたのは最後のチャイムが鳴り終わった後だった。
984俺と素直クールとツンデレと:2008/06/15(日) 13:50:33 ID:GnVyr5qa
 授業から解放されたざわめきも小さくなり、部活のかけ声があちこちで始まった頃、俺達は屋上にいた。
 宇崎が俺をここまで連れだしたのだ。
「で、用って?」
「ふむ。なぜ君は、好きな女を他人に紹介して、それで泣いているのだ?」
 何もする気が起きなくて言われるままついてきた俺に、宇崎が仏頂面をいささかも崩さず尋ねた。
 だが能面のような表情とうらはらに、内容は鉈のように俺の心をまっぷたつにした。
 人は単刀直入すぎる言葉を投げかけられると、フリーズするらしい。
 何か言おうと口を動かそうとしたが、出たのは意味のない「あ」の音のみ。
「質問の意味が分からないか? 藤沢、君は及川に強い好意を持っていたはずだ。
なのに、どうして及川と喜多口の間を取り持ってやって、それでなぜ泣くのだ?」
 何も言えない俺に、宇崎は質問が分からなかったと誤解して追い打ちをかけた。
 だがそのストレートな質問が、焼けただれた心に突き刺さったがゆえに、フリーズは解けた
「……好きじゃない」
 俺の言葉に、宇崎は長身の俺よりほんの少しだけ低い位置で、頭をかしげた。
「俺は、美那を好きじゃない。……だから泣いてなんかいない」
「そうか」
 宇崎は、なぜか俺の、精一杯の強がりに満ちた言葉を否定しなかった。
 ただ真剣な顔で頷いただけだった。
「ならば、良かった。君がそう言うなら、私も安心できる」
 心の奥底からこみ上げてくるものが、宇崎の妙な返答で動きを止めた。
「へ?」
「……繰り返して聞くが、藤沢、君は及川のことを好きではないのだな? 愛していないのだな?
ただの、仲がいい幼なじみなのだな?」
 そういいながら宇崎は俺を見据えて、問いつめるように顔を近づけてきた。すごく迫力に満ちていた。
「あ、ああ。……そうだよ」
 そのとき、俺は気圧されていたのだと思う。胸が痛みながらも、肯定の回答はするりと口を滑り出た。
「……良かった。……本当に良かった。……だったら、言える……」
 宇崎が目を閉じて深呼吸をした。その顔がなぜか不安げで……そして奇妙に俺の心を騒がせた。
985俺と素直クールとツンデレと:2008/06/15(日) 13:52:56 ID:GnVyr5qa
「藤沢……私は、君のことが好きだ。……君が及川の事を好きでないのなら、どうか……私とつきあって欲しい」
 その顔は相変わらず無表情だった。そのはずだった。なのに、その黒瞳は美しいきらめきを発して、俺を射抜いた。
 そして俺は二度目のフリーズをした。単刀直入過ぎても予想外過ぎても、俺の心はハングアップするらしい。
 好きだという言葉と、宇崎の目が俺の脳裏で渦を巻く。
「……その、だめだろうか?」
 呆けていた頭が元に戻ったが、結論が出るはずもなく。俺は呆然と突っ立っているしか無かった。
 そんな、俺に宇崎が突然頭を下げた。
「……すまない。君が……悲しさを押し殺すために、……心に決着をつけるために、そう言ったのはわかっていた。
 君が、及川のことを好きなのは、良くわかる。私だって、君のことが好きだから。同じ立場だからよくわかる」
 頭をあげた宇崎の目が思い詰めた光を放っていた。
「でも君自身が及川なんて好きじゃないって言ってくれたから、……すごくうれしくなって……すまない。
 だけど、一つだけ……。同じ思いを持つ友人として、一つだけ」
 宇崎の顔は、やっぱり表情を変えてなかったのに、なのに、その顔がとても優しい感じになった。
「失恋したら、泣いていいと思う。……泣いた方が、早く立ち直れる……」
 そして、俺は三度目のフリーズを起こした。
 気がつくと、目の奥から熱い何かが止めどもなくあふれ出し、頬を伝い、顎からしたたっていた。
「あ……、どうして……、俺……」
 言葉も心も裏切って、涙は流れ落ちる。
 視界がうるみ、体が震えだし、声がかすれて、……次に漏れたのは、声。
 そして息がどうしようもなくしゃくりあげるようになって、俺は……たぶん……とてもひさしぶりに……声をあげて泣いた。

 どのくらい経ったのか、俺にはわからない。
 顔も袖も心もぐしゃぐしゃになって、それでも宇崎はずっと側にいてくれて、俺はようやく涙が収まってきて。
「ありがとう、宇崎」
 かすれた声で俺は礼を言った。宇崎は慰めの言葉を掛けてくれたわけでもなく、抱きしめてくれた訳でもない。
 でもそんなことよりも、ただ何も言わず側にいてくれた、その心が俺には伝わった。
 そして俺を心配そうに見る宇崎の顔が、今はなぜかとても綺麗に見えた。
 だから、言うべき事はわかっていた。同じ思いを分かち合っていたのだから。
「宇崎」
「うん?」
「……俺は……俺の心は……まだ美那にひかれている部分がある。でもそれでもよければ……俺からも……その」
 宇崎の表情がこんなに変わるのを見たのは初めてだった。それは恐怖にも驚きにもにた表情だった。
 彼女は無表情の下に、優しくて熱い心を隠していたんだとわかった。
「……つきあって欲しい」
 それは俺が先ほど味わった気分だと思う。彼女はフリーズしていた。でも目に涙が盛り上がっていた。
 きっとダムは決壊し、心のもやもやしたものが押し流されてしまうだろう。
 一筋の水滴が流れ落ちた。
「……宇崎、これからよろしく」
 俺は頭を下げた。

 そして俺達は二人して、ぐしゃぐしゃになった。
986俺と素直クールとツンデレと:2008/06/15(日) 13:53:52 ID:GnVyr5qa
 その日、俺達は一緒に帰りながら、いろいろとしゃべった。
 夕日に映える宇崎の顔は、とても輝いていた。それを好ましく思う自分に、俺は苦笑した。
 美那の事を思い詰めていたのに、もう俺は宇崎に心を移しかけているらしい。
 だが、心の片隅のそんな声にも関わらず、宇崎は魅力的だった。
 彼女のまっすぐさと優しさが、俺の心にしみた。心からの笑顔が、まぶしかった。俺の視線に照れる仕草が可愛かった。
 どうして彼女を無機質な女だと思っていたのか、過去の自分の感じ方が、まったく腑に落ちなかった。
「じゃあ、また明日!」
「ああ、明日な!」
 夕日の中を去っていく彼女に、どうしようもなく寂しい気分を感じて、俺はそんな自分自身にもう一度苦笑いを噛みしめた。


 次の日から俺達の生活は変わった。
 昼休みになると、俺達は目の合図で、屋上に上がった。
 涼風に吹かれながら、俺は彼女の作ってきた弁当を食べて、そんな俺を見て彼女は笑った。
 放課後は、二人であちこちうろつき、休日はデートで、いろんなところを遊び回った。
 美那のことが気にならなかった、というのは嘘になる。
 だけど、日に日に美那よりも……沙羅のことが大きくなっていった。
 時間と沙羅が、俺を変えていった。
 そしてそんな俺と沙羅の変化を、周囲が気付かない筈もなく、いつしか俺達は新カップルとしてクラスの噂になってきていた。
987俺と素直クールとツンデレと:2008/06/15(日) 13:55:29 ID:GnVyr5qa
 その日、俺は沙羅と次の休日の予定を決めるべくファーストフード店で粘り、海に行くことで合意した。
 そのため少し遅めに帰宅して、夕食を食べ、自室にあがった。
 いつものごとく、マグカップに茶を満たし、扉を足で開けて入ると、そこに女の姿があった。
「美那!」
「こんばんわ、お邪魔してるから」
 俺の驚きの叫びにも動じず、美那は俺の部屋で漫画を読んでいた。
 わりと久しぶりだった。彼女は時々ベランダを乗り越え、俺の部屋に無断進入する。
 俺は彼女の部屋には小学校5年以降は行っていない。彼女に来るなと言われたからだ。
 彼女が俺の部屋に来るときの目当ては、俺のノートとか課題、もしくは漫画かゲームだ。
 しかし最近俺はデートに金をつぎ込んで、漫画は買っていなかった。試験はもう少し先だ。
「どうしたんだ? 新しい漫画は買ってないよ?」
「そんなことはどうでもいいの」
 なにやら機嫌が悪いらしい。切って捨てるような口調に、俺は肩をすくめて椅子に座った。
 こういうときは放っておくのが一番というのは、長年のつきあいから来る知恵だ。
 俺は美那に背中を向けて机に向かうと、勉強をはじめた。沙羅と同じ大学に行くためには少々頑張る必要があるからだ。
 しばらく鉛筆が走る音だけが室内に満ちた。俺は美那が居るにも関わらず勉強に集中していた。
 そのことを自分でおかしいことだと思わなかった。……その変化を指摘したのは美那だった。
「珍しいじゃない。私が居るのに勉強に集中して」
「……あ? そういやそうだ」
 確かにそうだなと思いつつも、俺は勉強を続けた。
「ふーん、宇崎さんに遊んでもらってることがそんなにうれしいの?」
 脈絡無く美那の口から沙羅の名前が出て、俺は思わず美那に振り返った。
「な、なにが?」
「勘違いは早く気付いた方が、後々苦しまなくて済むよ」
「どういう意味だよ?」
 俺の問いに美那が嫌な笑いを口に浮かべた。
「浩介と宇崎さんって全然似合ってないよ。宇崎さんにふさわしい人が来たら、浩介なんてあっという間にバイバイだよ?」
 美那のしゃべった内容よりも、その口調に嫌なものを感じて、俺は顔をしかめた。
「美那は沙羅を知らないからそんなことを言うんだよ。……それに沙羅が他の人を好き成ったとしても、それでも沙羅がくれたものの価値は変わらないから」
 何が、美那の逆鱗に触れたのかわからなかった。ただ、俺の言葉とともに美那が恐ろしい目つきをしたのは確かだ。
「ふーん、浩介って鈍いね。……宇崎さんが浩介の事、うざいって噂してるの知らないの?」
「え? 嘘だろ?」
「本人に向かって聞こえるように言うわけ無いでしょ。浩介は鈍感なんだから、早く気付いて、身を引いてあげないと」
 正直、美那の言葉に現実味が薄かった。
「まあ、振られたら、あたしが遊んであげてもいいよ。でも早く現実を見つめて再出発しないとね。宇崎さんは浩介にはもったいなさ過ぎるから」
 それだけを言うと、美那は窓から出ていった。
988俺と素直クールとツンデレと:2008/06/15(日) 13:57:40 ID:GnVyr5qa
「というような話を聞いてさ、……その俺のうっとおしいと思うところ、……直すようにするから……」
「誰から聞いた?」
「え? あ、いや、小耳に挟んだだけで」
「言って欲しい。 私は冤罪を晴らさなければならなくなった」
 昼休み、中庭で沙羅の弁当をわけてもらって食べながら、俺は意を決して、尋ねた。
 だが、俺の言葉は、沙羅の瞳に劇的な変化をもたらした。
 いつもは、きれいで感情の読みにくいその目が、今日は珍しく高温の青い炎を燃やし始めていた。
「あ、その、間違いだったら気にしなくていいから」
「それは間違いなんかじゃない。浩介を侮辱し、私をおとしめる、卑劣な悪意だ」
 その迫力に、俺は少し焦った。
 なんとか話を打ち切りたくて、俺は沙羅が作った弁当のおかずを口に放り込む。
 絶妙な味が口に広がり、心から、おかずの味を賞賛できた。
「うーん、しかし、これ、ほんとにおいしいよな。どうやって作ったんだ?」
「……ふふっ」
 少しだけ沙羅の迫力が和らいで、俺は心の中でほっと安堵のため息をつく。
「それは母の直伝なんだ。……ところで、その話、及川じゃないのか?」
 雪解けで現れた地面のように、かすかな笑顔が浮かんで、俺が油断したところに、鋭い推理の刃が突き立った。
 盛大にむせこみ、口を押さえて咳をする。眼前に茶が入った水筒の蓋が差し出されて、それを急いで飲んだ。
「なるほど……」
 沙羅がうなずく。
「げほっ……はぁはぁ……。さ、沙羅、あのさ、あくまでもそういう噂を聞いたって話だからね」
「私は、浩介の事を、クラスの人間と話したりはない」
「え?」
 沙羅の目が、俺の顔を見据えた。
「浩介に思いを受け取ってもらったことは、私の大事な宝物だ。……暇つぶしの話で揶揄されたり、からかわれたりしたくない。
だから、つきあっているのかと聞かれれば、肯定の返事はするが、詳しい話は一切しない」
 沙羅の黒くそして限りなく澄んだ瞳が、俺の心の中にしみ通っていった。
「だからこそ、わかる。その話は悪質なデマなんだ。私を、なによりも浩介をおとしめようとする許せないものだ」
「……沙羅、俺は沙羅が俺のことをうっとおしいと思ってないことがわかっただけでいいんだ。
……沙羅が影でそんなことを言うはずがないって思ってたんだけどね。……ごめん、俺が沙羅を信じていなかったのが悪いよ」
「浩介!」
 いつも抑揚に乏しい沙羅の声が、少しだけ高くなった。
「もうこの話は、よそう。せっかくの沙羅の美味しいお弁当がもったいないよ」
「でも!」
「誰かを疑うより、今、俺は沙羅と楽しい時間を過ごしたい。……な?」
 俺はこの時、たぶん吹っ切れた笑顔を作れたと思う。沙羅のまっすぐさが……とても愛おしかったから。
 でも……沙羅の背後、その向こうの校舎の隅にこっちを見ていたような美那らしい影がいたことは、口に出さなかった。
 美那は、奴と……喜多口とうまくやっているはず。美那に、デマを飛ばす理由がない。
 かすかに涌いた疑念を、俺はその事を思い起こして封じた。
989俺と素直クールとツンデレと:2008/06/15(日) 14:00:21 ID:GnVyr5qa
「では、開票します!」
 数日後のロングホームルーム、退屈な時間。文化祭なんて、俺には関係なかった。
 ましてやクラス代表文化祭実行委員選挙、そんなものは別世界の話。
 立候補なんかとんでもないし、男共に他薦される様子もない。
 今回の生け贄は、バレー部の太田というのがもっぱらの観測だ。
 なんてったって、奴は成績優秀、バレー部のアタッカー、そして親分肌で仕切るのが好きでもある。
 予想通り、男子代表委員開票で、さっそく太田の名前が3回呼ばれた。
 これは決まりだなって思ったところ、不意に俺の名前が告げられた。
「藤沢君」
 男子共が低くどよめいて、俺に視線を集めた。しかし当人の俺にも事情はわからない。
 俺も投票したのは太田だ。
「続いて、……藤沢君」
 さらにどよめきが流れる。沙羅が少し驚いた目をして、俺に視線を向けてきた。
 俺は沙羅にさっぱりわからないという意味で、首を横に振った。
「次……藤沢君」
 そのときになって、俺と男子生徒の多くは女子共が俺をうかがっているのに気づき始めていた。
 やがて開票結果で俺の票数が太田を常に上回り始め、男子生徒達が当惑を抑えきれずに私語を始める。
「以上、結果は藤沢君23票、太田君19票……」
 呆然としている俺の目の前で、開票は女子代表委員に移った。
「以上、結果は、及川さん38票……」
 愕然と振り向いた俺と、沙羅の視線の先で、美那は立ち上がって、優雅な振る舞いで全員に一礼した。
990俺と素直クールとツンデレと:2008/06/15(日) 14:02:06 ID:GnVyr5qa
「図ったな」
「まあね。浩介だとなにかと便利だし、気心がしれてるから、頼みやすいしね。……でも投票してくれた女子達には、浩介からもありがとうって言っておくのよ」
 ホームルーム終了後、苦り切った顔で、俺は美那の席の前に立っていた。
 いつものごとく、美那は俺の困惑などどこ吹く風という態度で悠然と席に座ったままだった。
「……俺にだって用事はいろいろあるんだけど?」
「宇崎さんとデートとか? だめ。前に言ったでしょ。浩介と宇崎さんは似合わないって」
「……あのな」
「私は、浩介のためを思って言っているの。宇崎さんのためでもあるのよ?」
「……俺達の問題だろ? そりゃ、釣り合ってないかも知れないけどさ」
 俺のその言葉で美那はその日初めて俺に笑顔を向けた。
 かつてあれほど欲していた彼女の笑顔は、いまはなにか不吉の兆候のように思われた。
 俺は自分がはっきりと変わってしまったのを自覚した。
 美那の何かに小さなうとましさを感じたのだ。それが何かを、表現することは出来なかったが。
「わかってるじゃない。なら、潔く身を引いたら? 宇崎さんもほんと、趣味悪いんだから」
 美那の言葉と共に、綺麗で魅力的なはずの彼女の笑顔が、何か急に生理的不快感を感じるものになる。
 突然、得体の知れない熱さが俺の心を占めた。怒りだと気付いたのは言葉を叩きつけてからだった。
「沙羅を悪く言うなっ! 美那は喜多口と楽しくやってればいいだろう?」
 心を突き上げる熱さのまま、俺は自席に大股で戻った。
 そして荷物を鞄に投げ入れると、そのまま走り出しかねない勢いで教室を出て、校門をくぐった。
 そんな俺を追いかけて走ってくる足音があった。その足音が後ろで止まる。
「謝れっ! 沙羅に謝れ!」
「……? 済まなかった」
「えっ? 沙羅?」
 振り返った先で、沙羅がかすかに笑っていた。それで心を縛っていた怒りが急速に溶けて消えた。
「あ、うわ、……ごめん! 沙羅、ほんとにごめん!」
 恥ずかしさで頬がほてる。それがさらに恥ずかしくて、俺は何度も頭を下げた。
「大丈夫。気にしていないから。というか、嬉しい」
 頭を下げ続ける俺の手を、沙羅がつかんで引いた。
「正直、浩介が及川のことを、まだ好きじゃないかって思っていた。文化祭の準備で、浩介が私のことを忘れてしまうのじゃないかって思ってしまった」
「……ごめん、その、美那のことは、……もう話したくない」
「そうだな。……でも、私も文化祭、手伝うことにする。浩介と一緒なら、きっと準備だって楽しい」
「うん、ありがとう」
 そう言う沙羅のかすかな、目尻が少し下がるだけのかすかな笑顔が、なぜかいつもに増してまぶしく見えて、俺はまた顔が熱くなった。
 我ながら、怒ったり謝ったり照れたり、忙しい男だと思った。
991俺と素直クールとツンデレと:2008/06/15(日) 14:03:30 ID:GnVyr5qa
 その夜、非常に珍しいことに、俺の部屋の窓が、控えめにノックされた。
「美那?」
「浩介、ちょっといい?」
 あんまり良くはなかったが、拒む理由もたいして無かった。
「いいよ。いつものように入ればいいじゃないか」
 言葉と同時に窓が勢いよく開いて、美那が入ってきた。
 これまた珍しく、いつものジャージ姿じゃなくて、可愛いパジャマ姿だった。
「ノックといい、そんな姿といい、今日はなんか珍しいことだらけだ」
「べ、別に、今日は、そういう気分なだけだから」
「ふーん」
 気分屋の美那ならそんなこともあるかも知れない。素直に納得できた俺は、再び携帯電話に意識を集中した。
「何してるの?」
「ん、沙羅にメール」
 でかい観覧車がある遊園地で、かつホラーハウスが充実して、それでいて入場料が安いところをピックアップしたメールを俺は書いていた。

携帯電話でのメールなんて極めて短文しか打たないので、少し長文のメール作成に時間が掛かっていたのだ。
 突如、携帯電話が俺の手の中から消えた。
 振り返ると、美那がアンテナをつかんで、俺の携帯電話を持っていた。
「……返してくれ」
 その言葉に応えず、美那は携帯電話の画面を見た。
「ふーん、遊園地でデートなんだ? ラブラブだね?」
 美那の言葉がやけに粘っこく響いた。
「……何か用?」

 俺は美那を睨んだ。
「別にぃ」
 だが美那は済ました顔であさっての方を向いた。何か構って欲しいようだった。
「……ふぅ。なんか話があるの? 俺で良かったら話して欲しいんだけど?」
992名無しさん@ピンキー:2008/06/15(日) 14:06:18 ID:BX8k1NLK
支援してみよう
993俺と素直クールとツンデレと:2008/06/15(日) 14:07:31 ID:GnVyr5qa
 その夜、非常に珍しいことに、俺の部屋の窓が、控えめにノックされた。
「美那?」
「浩介、ちょっといい?」
 あんまり良くはなかったが、拒む理由もたいして無かった。
「いいよ。いつものように入ればいいじゃないか」
 言葉と同時に窓が勢いよく開いて、美那が入ってきた。
 これまた珍しく、いつものジャージ姿じゃなくて、可愛いパジャマ姿だった。
「ノックといい、そんな姿といい、今日はなんか珍しいことだらけだ」
「べ、別に、今日は、そういう気分なだけだから」
「ふーん」
 気分屋の美那ならそんなこともあるかも知れない。素直に納得できた俺は、再び携帯電話に意識を集中した。
「何してるの?」
「ん、沙羅にメール」
 でかい観覧車がある遊園地で、かつホラーハウスが充実して、それでいて入場料が安いところをピックアップしたメールを俺は書いていた。
携帯電話でのメールなんて極めて短文しか打たないので、少し長文のメール作成に時間が掛かっていたのだ。
 突如、携帯電話が俺の手の中から消えた。
 振り返ると、美那がアンテナをつかんで、俺の携帯電話を持っていた。
「……返してくれ」
 その言葉に応えず、美那は携帯電話の画面を見た。
「ふーん、遊園地でデートなんだ? ラブラブだね?」
 美那の言葉がやけに粘っこく響いた。
「……何か用?」

 俺は美那を睨んだ。
「別にぃ」
 だが美那は済ました顔であさっての方を向いた。何か構って欲しいようだった。
「……ふぅ。なんか話があるの? 俺で良かったら話して欲しいんだけど?」
 美那は、昔、一方的に話がしたいとき、俺の邪魔をして注意を引くことが良くあった。
 ……そういや最近までは、俺は美那の表情を読んで、先回りして聞く態勢をとってたのだった。
 そして愚痴とかどうでもいいような話を、喜んで聞いていた。美那を好きだったから、彼女の笑顔を見たかったからだ。
 でも、今は彼女の表情を読まず、邪魔されるまで自分のことをしていた。たぶん、それが彼女は気にくわなかったのだろう。
 そのことに少し罪悪感を感じて、俺は下手に出てみた。
「浩介がそういうなら、話してあげてもいいかな。……実はね、私、喜多口くんと別れちゃったの」
「ええええ!?」
 その言葉で俺の体の力が抜けた。何のためにつらい思いをしてまで、紹介をしたのか。それが全て音をたてて崩れてしまったからだ。
「ど、どうしてだ?」
 理由を聞かずに入られなかったが、俺の内心を知らずか、美那は簡潔に応えた。
「だって、気が利かなくて、つまんないから」
 がっくりくるとはこのことだった。俺は椅子の背もたれによりかかって、襲い来る疲労感に抗う。
「そ、それだけ?」
「喜多口くんは悪くないんだけど、いろいろと合わなかったのよ」
「……そうですか」
 もう何もする気を無くして、椅子から立ち上がると、俺はベッドにダイブした。
994俺と素直クールとツンデレと:2008/06/15(日) 14:09:45 ID:GnVyr5qa
「ちょっとぉ! いきなり寝るってどういうこと?」 
「俺の苦労が無駄になったから、どっと疲れた。寝る」
 布団の心地よい冷ややかさに埋もれながら、俺は目を閉じる。
「うぉ!」
 背中に温かく重いものが乗った。そんなことをするのは美那しかいない。
「浩介、感謝しなさいよ! 私がフリーに戻ってあげたんだから、もてない浩介と遊んであげられるんだよ?」
「はいはい、感謝感謝」
 無意味に口答えして、美那の機嫌を損ねると後が面倒くさかった。が、そんなに嬉しいわけでもない。
「むー! なんか気持ちがこもってない! ……じゃあ、こんなのはどう?」
 ふと、背中になにか柔らかいものが押し当てられる。そして耳たぶに生暖かい息があたる感触が湧いて、甘い臭いが至近距離から漂ってきた。
「み、美那?」
 背中の感触の正体に気付き、俺は焦った。経験はないが、体勢からして胸……のような気がする。
「昼はごめんね」
「え?」
「私、浩介にもっと似合う人がいると思うから、つい酷いことを言っちゃったんだ」
 美那の声が、珍しく真摯だった。
「……そのことは、もういいから」
「浩介は私のこと、嫌い?」
「いや。幼なじみだしな」
 心が少しだけ痛む。でもそれはほんの少しで、そして俺の心に沙羅が浮かんだら、痛みは消えた。
 なぜか、美那の手が俺の前にまわされた。抱きしめられるような感じになる。
「私達、幼なじみなのにあんまり仲良くできないね」
「ごめん。ただ俺のことならともかく、沙羅のことは悪く言って欲しくないんだ」
 俺の言葉に、美那はなぜか長い沈黙を返した。やがて、すこしオクターブが上がった美那の声が再び流れた。
「じゃあ、私が宇崎さんのことに触れないのなら、今までどおり、付き合ってくれる?」
「あたりまえだろ」
「私達、文化祭実行委員だからさ、息を合わせて仕事しなければいけないんだよ?」
「美那が票をたのんだ女の子達にも悪いから、実行委員はちゃんとするし、美那一人に押しつけて平気なほど俺、冷たくはないから」
「文化祭、一緒にがんばろーね?」
「ああ」
 俺のその返事とともに、背中の温かい重みが消えた。
 ベッドから起き上がって振り向いた俺の前に、美那がいたずらっぽい笑いを浮かべて立っていた。
「で、私のおっぱいの感触、どうだった? 立った?」
「美那っ!」
「じゃあね、浩介! オナニーはほどほどにね」
 俺の抗議の叫びが消えるまでに、美那はさっさと窓を開けて、姿を消していた。
 だから憤慨する俺が、美那に携帯電話を持って行かれたのに気付いたのは、寝る直前になってからだった。 
995俺と素直クールとツンデレと:2008/06/15(日) 14:10:14 ID:GnVyr5qa
埋めネタ、オシマイ
996名無しさん@ピンキー:2008/06/15(日) 14:13:35 ID:BX8k1NLK
激しく続きキボン

では埋め
997名無しさん@ピンキー:2008/06/15(日) 15:51:47 ID:2QVi7B0J
>>995
クオリティ高すぎだろ。
998名無しさん@ピンキー:2008/06/15(日) 15:52:57 ID:CYJl9uAL
>>995

GJぇぇぇっ!
何と言う黄金率
埋めネタとしては余りに勿体ない

続きを激しくキボン!
999名無しさん@ピンキー:2008/06/15(日) 19:46:06 ID:vqIeaTF1
うめぇ
1000名無しさん@ピンキー:2008/06/15(日) 19:53:41 ID:pRkBcHq5
もし1000なら次のスレでは良作ラッシュ
10011001
このスレッドは1000を超えました。
もう書けないので、新しいスレッドを立ててくださいです。。。