卓上ゲームエロパロ総合スレ20

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1名無しさん@ピンキー
前スレ
卓上ゲームエロパロ総合スレ19
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1198925782/l50

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2ch卓上ゲームエロパロ総合スレまとめサイト(旧保管庫)
ttp://trpg.h.fc2.com/

卓ゲ地下スレ保管庫(新保管庫 編集はユーザー名:guest、パス:h+ero)
ttp://wiki.fdiary.net/TableGameE/

関連スレなど
卓上ゲーム板
http://game14.2ch.net/cgame/
アイリちゃんの青い坂道亭 ソードワールド15号店
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1198812462/
2名無しさん@ピンキー:2008/03/01(土) 01:28:40 ID:5PtRx3sP
1乙。
地鎮祭の支度でもするか。
3名無しさん@ピンキー:2008/03/01(土) 05:51:44 ID:hd1ugEWT
新スレ乙
このスレでもサイコロの神様はエロ補正がかかりますよーに
4名無しさん@ピンキー:2008/03/01(土) 10:55:13 ID:1laL1WbE
乙です
5名無しさん@ピンキー:2008/03/01(土) 20:16:40 ID:w1QzusVV
>>3
つ【神はサイコロを振らない】
6名無しさん@ピンキー:2008/03/01(土) 21:10:00 ID:oA6GZmYJ
>>5
てめえ乃木将軍をディスったな!!
7名無しさん@ピンキー:2008/03/03(月) 01:42:27 ID:uCYPc6LC
神はサイコロを振らない。だからダイスの女神は、人にサイコロを振らせるのだ。
8名無しさん@ピンキー:2008/03/03(月) 01:55:07 ID:CrcECtnJ
神はトランプがお好みなのかも知れないぜ?
9名無しさん@ピンキー:2008/03/03(月) 02:00:24 ID:AWqGEBS+
女神といえばファンブルさまだろ
10名無しさん@ピンキー:2008/03/03(月) 02:37:11 ID:0QiI7xfh
うちのは昔から女神ランスウ様だったな
11名無しさん@ピンキー:2008/03/03(月) 03:38:30 ID:swZeUdpU
うちの鳥取だとコテイチ信仰が盛んだゼ
12名無しさん@ピンキー:2008/03/03(月) 03:42:42 ID:f4sGTf+4
邪神ゲームマスターを信奉するスレはここですか?
13名無しさん@ピンキー:2008/03/03(月) 15:27:02 ID:wat7Hze8
女神ファンブル様って、どじっ子OL(メガネ装備)な外見で上司(神)にいつも怒られてるんだっけ?
14名無しさん@ピンキー:2008/03/03(月) 17:58:10 ID:Z9mWHXoU
そう。女神ファンブルが小鬼を攻撃してファンブルしまくったせいで小鬼が増殖したという神話がある。
(小鬼には小鬼への攻撃がファンブルすると仲間を呼んで増える能力がある)
15名無しさん@ピンキー:2008/03/03(月) 23:42:34 ID:PVTGGdJL
え、ファンブル様は、神秘の力で実は女だったという設定が追加されたんじゃなかったけ
16名無しさん@ピンキー:2008/03/04(火) 00:33:19 ID:PHaqRF9v
そうでごわす
17名無しさん@ピンキー:2008/03/04(火) 16:38:03 ID:ZsHzPowF
>>14
増殖した、じゃない。
今もなお小鬼を攻撃してはファンブルを出しているので
小鬼は増殖し「続けている」のだ。
18名無しさん@ピンキー:2008/03/04(火) 23:57:12 ID:TRo19yE3
別名をマーフィーとかグレムリンとか…
19名無しさん@ピンキー:2008/03/05(水) 01:09:50 ID:Z+skWnQ/
夜中にお菓子や飲み物を飲むと(体重的な意味で)増えるんですね!わかります!
20名無しさん@ピンキー:2008/03/05(水) 14:37:00 ID:T551NHsW
夜中に飲むと増えるんだよ。性的な意味で。
21名無しさん@ピンキー:2008/03/05(水) 18:22:19 ID:xnNHT2vt
下の口でミルクを飲むと申したか
22名無しさん@ピンキー:2008/03/05(水) 18:23:32 ID:kHxmRdN0
【中国】スター三人、無修正写真流出「セックス?スキャンダル」

02-09?冠希裸照事件2月7号最新?[?思慧]-37P-
http://page.dreamhosters.com/page97.php?tid=13/2008-2-9/63187_2.shtml
http://page.dreamhosters.com/page97.php?tid=13/2008-2-9/63187_1.shtml
http://page.dreamhosters.com/page97.php?tid=/13/2008-2-9/63187.shtml

02-09?冠希裸照事件2月7号最新?[梁雨恩]-40P-
http://page.dreamhosters.com/page97.php?tid=13/2008-2-9/63186_2.shtml

02-09?冠希裸照事件2月7号最新?[??思]-10P-
http://page.dreamhosters.com/page97.php?tid=/13/2008-2-9/63185.shtml
23名無しさん@ピンキー:2008/03/06(木) 12:29:42 ID:M86glYN4
PS2版ナイトウィザード、ベルたんがお口でスッキリさせてくれるらしいね。
24名無しさん@ピンキー:2008/03/06(木) 21:30:56 ID:tcOqEOL5
ところで辛味って味覚じゃなくて痛覚らしいな
ということは辛いもの好きな女は痛いことされるのが好きなんだな

……辛党女はマゾの法則!?

【だが馬鹿は卓ゲ関係で辛党と明言したキャラが思いつかない】
25名無しさん@ピンキー:2008/03/06(木) 22:40:47 ID:qYmywDOg
>>19
うわあああああああ

>>24
成る程、だから俺はMなのか
お礼だ、思う存分蹂躙してくれていいぞ
【馬鹿は尻を突き出した!】
26名無しさん@ピンキー:2008/03/06(木) 22:41:54 ID:gLz5uVb/
>>25
てい

【横から乱入した馬鹿がその尻を全力で蹴っ飛ばした!】
27名無しさん@ピンキー:2008/03/06(木) 23:57:34 ID:QEFMGrRO
ジュライのAAなんかいつの間にできたんだw
28名無しさん@ピンキー:2008/03/07(金) 00:07:33 ID:fYTSWrH7
埋まったのはいいが、なんで今になってあいつなんだろうなw
29名無しさん@ピンキー:2008/03/07(金) 00:32:32 ID:lkW1125n
ジュライ=淫乱龍姦少女、という地下スレ由来の固定観念が
抜けない漏れはあのAAだけで勃起した。大佐、性欲を持てあます。
30名無しさん@ピンキー:2008/03/07(金) 04:11:39 ID:8M3048Vw
流れをブったぎる感じですが。
「中の人が三輪だから地下的に無理」
そんな話が過去スレでございました。
わからないでもありません。私のエロセンサーも反応しませんでした。

ユーフェリア・エスタージュは当然の様に無理。
マーヤ・エンテュメーシスもネコミミ先生のお力をお借りしても無理。
ナーミア・シャーヘンドラ・カシャーシュカ・カーラ(長ぇ)も、
ガトリング撃たないだけで、うん三輪。無理。とR&R掲載時は思っていました。
 
そうR&R掲載時は……。
昨年9月にリオフレード魔法学院のリプレイ本が発売され、
私はそれを購入。そして読み終わった後、ふと何かが引っかかり、一から読み直しました。
 
「中央アジア風のゆったりした服を着た美女です」
「制服の上から着てるんです」
「伝統を守るってそういうもんです」

あの衣装(P.19参照)の下には、
リオフレード魔法学院が誇るエロ衣装ことブレザーですよ!?
(口絵の『気高き顕現者』のイラストをみせる。パッツンブレザー)

はいはい御兄弟、イマジネーション。
放課後の教室で貴方はナーミアとふたりっきり。
机の上で仰向けに寝転がったナーミア。
いつもの鉄壁の服をはだけ、その下からブレザーが姿をみせる。スカートからは生脚が。
南国にもかかわらず、自国の伝統を重んじ、あまり素肌をみせないナーミアの生脚。
破天荒な彼女だが、校則を厳守し、いつもの服の下には制服を着ている。
だが、誰もみたことのないそれを、貴方はみている。あ、スカートもいいなぁ。
一度現実として認識してしまったからには、今後ナーミアがいつも通りの格好をしていようと、
貴方はその服の下に、ブレザー姿のナーミアがあることを想像せずにはいられない。
と色んな妄想やら、生脚目視をしている、貴方の目線の先の人物はどうしているのか?
気恥ずかしそうに、脚を閉じ、恥ずかしさのあまり目線をそらしてるに決まってるじゃないですか。
ああもう我慢できない! ナーミア!
――くんずくんず。

想像しにくい人は「制服+白衣」で想像してください。
はだけた白衣=はだけた民族衣装 で変換。 
OK? いけそうだったら、貴方の頭の中でナーミアとの関係をグイグイ育てて!
「学院を卒業すれば、私は国に身を捧げることになる」とかそういう感じの台詞もセットよ!


ということで、私はナーミアでいけちゃうようです。
31名無しさん@ピンキー:2008/03/07(金) 04:18:13 ID:3yMjsdx3
さあ、早くその妄想を形にする作業に戻るんだ
32名無しさん@ピンキー:2008/03/07(金) 08:19:10 ID:aHHR+tk6
>28
そういえばARAキャラのAAって無いよなー。
  ↓
そうだ、職人さんに依頼してみよう。
  ↓
誰がいいだろう
  ↓
じゃあジュライで


という流れなんだ。
33名無しさん@ピンキー:2008/03/07(金) 09:58:57 ID:L+swn7Ci
エロなしなんで卓上作品スレに投下したいのだけど、投下時の容量ってテキストファイルのkb数からどれくらい増えるもんなんだろうか。
ここで聞くことじゃないのはわかってるんだけどもしどなたか知ってたらたすけてくださいー。
34名無しさん@ピンキー:2008/03/07(金) 10:10:59 ID:+L4NNf1c
改行の数とかによって違うけどほとんど誤差みたいなもんだったような。
容量的にギリっぽいなら次スレの用意はした方がいいんじゃね?
35名無しさん@ピンキー:2008/03/07(金) 12:03:49 ID:2tR+6FB/
全角文字が2バイトで、改行1回につき1バイトだっけ。
3633:2008/03/07(金) 12:15:42 ID:2cDvh6rH
>>33-34
ご指導ありがとうございました。
告知になってしまいますが、とりあえず半分投下してきました。なんとかおさまりそうです。

スレ汚し失礼しました。
37名無しさん@ピンキー:2008/03/07(金) 12:35:49 ID:3seJh3Tm
向こうは人もいないし、スレ残量も少ないからコッチで聞くけれど、
全年齢「卓上ゲーム板作品スレ」ってどうする?

このまま卓上ゲーム板で次スレ立てる?
別にこの板でエロ以外が禁止されているわけでもないしコチラに合流する?
38名無しさん@ピンキー:2008/03/07(金) 13:01:58 ID:k3I3nG3M
重大な問題として、道義的にこちらは年齢制限があり、向こうのユーザーに未成年がいないとは限らない。
まあこのままでいいじゃないか。住人が全共通というわけでもないだろし。
39名無しさん@ピンキー:2008/03/07(金) 13:32:55 ID:+L4NNf1c
むこうのスレはむこうのスレで進めた方がいいだろう
40名無しさん@ピンキー:2008/03/07(金) 18:42:22 ID:Lu55Z5vZ
とりあえず>>30の妄想力に期待
41名無しさん@ピンキー:2008/03/11(火) 06:53:10 ID:ly1zqDTK
DARKNIGHTのエロパロはここでいいのだろうか。

だめって言って欲しいが。
42名無しさん@ピンキー:2008/03/11(火) 09:09:53 ID:UMsLSLiv
言ってあげません。
43名無しさん@ピンキー:2008/03/12(水) 15:13:39 ID:eJnwAd6X
DARKNIGHTってなに?
44名無しさん@ピンキー:2008/03/12(水) 18:58:54 ID:IrRf9K9x
>>43
教えてあげません
45名無しさん@ピンキー:2008/03/12(水) 19:11:06 ID:eJnwAd6X
もっとツンデレ幼馴染みっぽくいってくれ
46名無しさん@ピンキー:2008/03/12(水) 19:30:54 ID:FS3z6Tn2

     _. -ッ'"  ̄ ̄`' ー-、
   /、.....!......._,,::;;:'::::::::::::::ヽ
    i´厂`''''"´   `ー、‐::-::;;l
   }ノ-、    ,. -‐-、 ヽ;::::::::l
   l ̄二'ー 'フ,ニニ.ーrー}-レ ''7
   l : i.__゚〉r、::..ヽ.__゚ノ レ''}ノf´/
   `''r-- ノ:::`ー---‐'′:l-イ
    l  `_ ____,、  :l|::::|     お、教えてなんて上げないんだからねっ!
.    ヽ.   ―    /:::|:リ     
       ヽ.   ,. -'-‐''"´|  ,.へ,
        r} ̄ _,,.. -‐ ''"フ‐''"_∠,`ー- ...,,_
     -‐ノハ ̄  _.=''´/    --`i '''' ー-′
       / l  /  /   '′ -ー{
            ,.ヘ.    '´_,.‐'′

47名無しさん@ピンキー:2008/03/12(水) 21:05:08 ID:/n2eFZ2h
先月見た夢の話。
NWのゲームだったと思うんだが、
柊のレベルUP時や、イベントをこなすと『柊力』つーのが貰えた。
レベルを下げたり、次に必要な経験値を下げたり、柊の理性を下げたり(下げすぎるとイベントで詰む)、仲間内の増愛ゲージのどっちかを下げたり、とか色々。
キャラによっては、得意、苦手、パーティーにいない人物に対しての感情も設定されていたりするので、それを下げれたりもした。
戦国ランスの『大満足ボーナス』とか、ヴァルキリープロファイルのCPみたいな感じ。
エロに走るか、戦力強化に走るかとか。特定エリアの強さを1段階下げれたりもした。
 
「一般イベントのCG回収のために、下げないといけないのがあるのか。ファック!」
「『パンツをずり下げる』で差分CGとかふざけてるの!?」
と罵りながら、それをしないで柊のレベルを下げてた。
普通のRPGの様にダラダラと戦闘を繰り返して、レベルを稼げるわけではないので、
「レベル上限あるから、レベル下げて鍛えたほうが得かも。マゾいが」
と思っていたんだ。そこら辺で目が覚めた。悲しい夢だったよ。
48名無しさん@ピンキー:2008/03/12(水) 21:08:59 ID:0x+dkf+R
普通のCRPG的に遊んでないで、エロシーンに繋げよ!w
49名無しさん@ピンキー:2008/03/13(木) 02:12:43 ID:VboHnrVL
目先のエロシーンに柊力を注ぎ込み過ぎたら、シナリオの先に待ってるかもしれない桃源郷にたどり着けないかもしれないんだぜ。
50名無しさん@ピンキー:2008/03/13(木) 23:07:17 ID:MHjAdrV1
リソース管理は重要だな
51名無しさん@ピンキー:2008/03/13(木) 23:41:02 ID:GnjFpLt8
だが、油断してるとリソースが下がっていくのが柊力クオリティ
52名無しさん@ピンキー:2008/03/14(金) 08:53:42 ID:UbAtKjx1
とりあえず、誰かの羞恥心とか貞操観念を下げるのはありだな。
53名無しさん@ピンキー:2008/03/14(金) 11:05:26 ID:9pyr6xnd
そして本人の性欲と精力も下がると
54名無しさん@ピンキー:2008/03/14(金) 12:44:35 ID:AAfqqx6F
柊とくれはをいちゃいちゃさせようとしてるのに
何故か柊とアンゼがいちゃいちゃしてしまう!何故だ!
55名無しさん@ピンキー:2008/03/14(金) 13:52:10 ID:P6Huz5nc
皆が望んでいるからだよ
56名無しさん@ピンキー:2008/03/14(金) 19:21:21 ID:5k6O52lz
>>54
アンゼとくれはがいちゃいちゃする話を書こうとすれば、
自動的にくれはと柊がいちゃいちゃするんじゃね?
57名無しさん@ピンキー:2008/03/15(土) 00:04:41 ID:2jG0QQDz
>>56
アンぜとくれはがいちゃいちゃしてたら
ぽんこつさまが、横から柊を掻っ攫って楽しそうに弄っていた…

マジで鳶に油揚げを掻っ攫われた気分だ
58名無しさん@ピンキー:2008/03/15(土) 01:07:45 ID:9IwTD3h4
>>54
柊とくれはとアンゼの三人でイチャイチャする話を書けばいいと思うよ。
59名無しさん@ピンキー:2008/03/15(土) 01:22:42 ID:Kbha3ibp
普通に柊の日常(not任務)を書けば普通にくれはとイチャイチャするんじゃないかと思うが…

だがあえて俺はアンゼとの絡みを期待しておく
60名無しさん@ピンキー:2008/03/15(土) 08:29:25 ID:49IDh6bu
むしろ、イチャイチャさせようとするから、じゃね?
61名無しさん@ピンキー:2008/03/15(土) 10:08:08 ID:pBeanOzx
柊といちゃいちゃしたい人達が柊を拘束して、順番に柊といちゃいちゃするとかな。
62名無しさん@ピンキー:2008/03/15(土) 13:24:34 ID:JaBTVg7K
それはもう、いちゃいちゃって言わない。
いちゃいちゃって、言わないっッッッッ。
63名無しさん@ピンキー:2008/03/15(土) 15:04:25 ID:ARgpF7mk
アンゼ様やベルたんが鼻血必至の萌え仕草で言い寄ったり、
エリスやチハヤがあからさまに好意を示す態度ですり寄っても、
露骨に迷惑そうor困った顔しかしないくせに、
くれはがイチャイチャしにきた時だけ赤面して慌てる柊・・・
という光景を幻視したのはわたしだけですかそうですか。
64名無しさん@ピンキー:2008/03/15(土) 17:38:53 ID:Nhd9hz/L
そして反応がない事に怒ったみなさんで柊を逆レイプですね
65名無しさん@ピンキー:2008/03/15(土) 21:57:28 ID:qC/U4LKW
そして仲良く柊をミート君(分割時)状にか……
ロンギヌス・コイズミ「いやな事件だったね……まだ右腕を取り合ってるんだって?」
66名無しさん@ピンキー:2008/03/15(土) 22:07:09 ID:9h2oKN4H
>>65
いやすぎるわw
67名無しさん@ピンキー:2008/03/15(土) 22:11:44 ID:PqKGexEC
後のエンディヴィエである
68名無しさん@ピンキー:2008/03/16(日) 03:56:02 ID:AjFt7Ii/
ダブルクロスリプレイ・オリジンのSSでも書こうかなと考えてふと思ったんだが、
女を盾に攻撃をかわして男が攻撃って、絵的に微妙かなって気になった。
リプレイならともかく、SSでは。他にそういうところ気になる人っている?
69名無しさん@ピンキー:2008/03/16(日) 04:04:37 ID:s2G1JGpA
男女ともプロだったりして双方納得ずくなら、台詞か展開でフォロー入れれば気にならないなあ、俺は。
70名無しさん@ピンキー:2008/03/16(日) 08:46:08 ID:z+ctUuPm
「無能警官バリアー!」とかセリフ入れれば絵になると思うよ

どっちかっつーと性別よりは攻撃引き付けてるのがパートナーのポジション、
攻撃に回るほうが主人公ポジション、って絵的にはなりそうな気もするが
・・・流石に女三人と男1人ってパーティーで男がサポート専門とかだと
悪役か守られキャラっぽくなるが
71名無しさん@ピンキー:2008/03/16(日) 09:18:46 ID:Bpq3bStd
>>65
クレバーだクレバーになれ柊蓮司
とか心で繰り返す柊が(天文学研究会の)部活を共にする巫女と惨劇に挑むんだな
72名無しさん@ピンキー:2008/03/16(日) 10:01:51 ID:ZX1+LEcB
命君は転校しちゃったんですね
分かります
73名無しさん@ピンキー:2008/03/16(日) 10:08:23 ID:mW+W5o8i
>>65
ザーフィーはそのくらいの目にあってほすい気もするw
74名無しさん@ピンキー:2008/03/16(日) 10:09:02 ID:Did3IsKS
>>68
男が女を盾にする描写でなく、
女が男を守る描写にすればいい。
75名無しさん@ピンキー:2008/03/16(日) 10:17:22 ID:PgnyeAny
ロンギヌス・カジによる
罵倒して踏み躙って!アンゼロット様!!
をですね…
76名無しさん@ピンキー:2008/03/16(日) 10:18:14 ID:XZAKJzAv
>>68
こう思え「椿はカブト=カブト チャクラ、隼人はカタナ=カタナ カブキ」だと。
77名無しさん@ピンキー:2008/03/16(日) 10:43:25 ID:tQSra20y
椿と隼人に限って言うなら、「女を盾にして戦う」ってアリだと思うな。
二人の立ち位置や普段の言動・性格からいっても。
リプレイでも、オフェンスは隼人の役目、みたいなこと椿が言ってなかったかしら?
78名無しさん@ピンキー:2008/03/16(日) 10:54:25 ID:BLSn/5z2
ぼたん「ギャーーーーッス!!」
79名無しさん@ピンキー:2008/03/16(日) 11:14:27 ID:CONYnIYh
隼人と椿の場合だと、隼人が白兵戦タイプなせいか「守り守られ」というより「肩を並べて戦ってる」って感じがビジュアル的にイメージしやすいかも
80名無しさん@ピンキー:2008/03/16(日) 12:13:50 ID:B5jmeosz
椿は肉体が高い分、タフだからな。
おまけにエグザイルだから筋張っていても柔らかく、ムチムチだ。
81名無しさん@ピンキー:2008/03/16(日) 13:59:36 ID:M5bSgkB+
そしてつばきんぐ
82名無しさん@ピンキー:2008/03/16(日) 14:02:04 ID:sgaIiRvW
隼人の息子を異世界の因子するか、ストレートにアレをジャイアントグロウズするか

それが問題だ
83名無しさん@ピンキー:2008/03/16(日) 17:02:45 ID:AjFt7Ii/
>>69
なるほど、サンクス

>>70>>74
盾にするって言い方が悪かったな。
つまりはリプレイ本編みたいに、敵の攻撃を椿が防いで隼人が攻撃、
っていうのを文章で描写すると、女を盾にする卑怯な戦い方に見えるのではと心配で。

>>76
ごめん、元ネタ分からない……

>>77
そうなんだけどね、ちょっと隼人が卑怯なやつに見える人もいるかもと心配になったんだ。

>>78
ちょwww
ボタンwww

>>79
確かに、肩を並べて戦う、ってのを前面に出すべきかも

>>82
ふたなりかよww
84名無しさん@ピンキー:2008/03/16(日) 18:32:29 ID:XZAKJzAv
>>83
トーキョーN◎VAも今は昔、か……。
85名無しさん@ピンキー:2008/03/16(日) 19:01:46 ID:C19ruwRN
>>80
イラスト見る限り胸もそれなり以上だしな
考えてみると、しのさんのキャラはどれも意外とスタイルの良い健康少女だなあ
86名無しさん@ピンキー:2008/03/16(日) 19:30:13 ID:l/Udf4GX
>>85
おい、お前宛にS市への転属命令が出てたぞ。こいのぼり支部長のとこか、栄転だ良かったな。
87名無しさん@ピンキー:2008/03/16(日) 19:35:40 ID:sgaIiRvW
確かに栄転だな、あの支部への配属は2階級の昇進が約束されている
88名無しさん@ピンキー:2008/03/16(日) 20:26:34 ID:QHPgSRY7
>>85のためにお別れ会を開いてやらないとな。
89名無しさん@ピンキー:2008/03/16(日) 20:37:45 ID:XZAKJzAv
しのさんの「プレイした」キャラの事では無かろうか。
90名無しさん@ピンキー:2008/03/16(日) 21:10:16 ID:C19ruwRN
89正解
S市だけは勘弁してくれ。俺、故郷に帰ったら結婚するんだから。
91名無しさん@ピンキー:2008/03/16(日) 21:20:50 ID:JDoQuLRv
>>90
おめでとう!お祝いにパインサラダ作って待ってるから早く任務終わらせてこいよ!帰ったらパーティな!
92名無しさん@ピンキー:2008/03/16(日) 22:01:53 ID:hYegrkss
>>90
…子供、できた。
…そろそろうまれる。早く帰ってきて…?
93名無しさん@ピンキー:2008/03/16(日) 22:04:07 ID:A7c0gXVz
しのさんのリプレイで露出してるキャラの多くが、女戦士路線だと思う。
94名無しさん@ピンキー:2008/03/16(日) 23:00:24 ID:XZAKJzAv
>>90
エリート部隊の一員として頑張ってくれ
95名無しさん@ピンキー:2008/03/16(日) 23:41:48 ID:EEFD19KJ
>70
「グータラチルドレンシールド」とかいって椿の盾にされる隼人が、浮んだ
96名無しさん@ピンキー:2008/03/16(日) 23:45:36 ID:CUNTKXAn
しかしスレ違いだが。
無能警官バリアーも、もう一昔前のネタだよなー。十年くらい前だもんなー。
時の流れってやつは。
97名無しさん@ピンキー:2008/03/17(月) 01:07:09 ID:rbA85Xro
「死神の盾だー!」
 
【違います】
98名無しさん@ピンキー:2008/03/17(月) 07:22:17 ID:+pV5THCi
流れ切って唐突にスマソだけど、卓ゲ絵ってホント見ないよね。
男性向けは皆無だし、アニメ化されたNWですらえち絵があったのは見つけた範囲じゃ9、10サイトくらい。需要ないんだろうけど。
絵師やサイトの情報なんて誰か知らない?
99名無しさん@ピンキー:2008/03/17(月) 07:48:06 ID:jLevhCRt
>>98
こっちがその9〜10サイトの内訳を教えて欲しいくらいだよ
俺が知っているのは
希有馬屋
みかきみかこのHP
エンゼルギア研究所
あとは…HD探らないとワカンネ
100名無しさん@ピンキー:2008/03/17(月) 10:11:36 ID:FKvbr6r/
同人ゲームで吸尻鬼ってタイトルを見かけたんだけど
直訳するとKiss my ass ogre?
D&Dリプレイ読んだばかりなので凄くタイムリーで笑った。
101名無しさん@ピンキー:2008/03/17(月) 14:59:33 ID:TRnDNWpJ
ふと、吸血姫って単語を思い出した
102名無しさん@ピンキー:2008/03/17(月) 16:01:40 ID:6bEyIsY5
美夕か。>吸血姫
103名無しさん@ピンキー:2008/03/17(月) 16:06:06 ID:JTTTC5Z/
みっしー?
104名無しさん@ピンキー:2008/03/17(月) 17:12:21 ID:avtk28O7
あ、あぅー。
【色々違う】
105名無しさん@ピンキー:2008/03/17(月) 19:31:40 ID:lVS98xoa
>>98
ロードスは卓ゲ絵のはずなんだけどな。
106名無しさん@ピンキー:2008/03/17(月) 20:08:09 ID:7wYQHF3u
>卓ゲ絵
確かにいわゆるNW3大絵師とか強化の人とかしか思いつかんな
あとはpixivにちらほらと
107名無しさん@ピンキー:2008/03/17(月) 20:29:09 ID:Q0I2xMn0
>>98
ベル様の絵が行きつけのサイトにあったがw

ただあれ、リク絵書きまくってるところだからなぁwww
108名無しさん@ピンキー:2008/03/17(月) 21:09:37 ID:sKDOi4Z2
単純にナイトウィザード絵が見たいだけなら
【ナイトウィザード イラスト】
を画像検索でググるとそれなりに出てくる
109名無しさん@ピンキー:2008/03/18(火) 00:38:25 ID:hHSn4uus
相田裕がゲヘナ描いてるな
110名無しさん@ピンキー:2008/03/18(火) 00:47:25 ID:+fauUN/6
涙目のベル様絵とか思い出したが、
アレは絵板だっけか
111名無しさん@ピンキー:2008/03/18(火) 01:07:07 ID:6SIMJs8p
>107
ああ、ひょっとして蛆に犯されるやつか。
112名無しさん@ピンキー:2008/03/18(火) 01:14:24 ID:vQUuxMab
>>111
多分違うな。
俺の逝ってるところはオーガス姐さんとか、ノエルのエロ絵が置いてあるが。
あと、ティンクルセイバーのエロ絵とか、他ではなかなか見つからないんじゃなかろーかw
113名無しさん@ピンキー:2008/03/18(火) 01:15:52 ID:uzXxX1zA
>>111
kwskしてもらおうか
114名無しさん@ピンキー:2008/03/18(火) 02:54:02 ID:gHBuZPGt
>>112

>>111はプラーナを奪う為にハエを大量生産&繁殖能力付与したら
うっかりミスって自分が母体にされて無限ループになったって絵だな。

だから>>112に詳細を希望する。
115名無しさん@ピンキー:2008/03/18(火) 04:21:49 ID:zu9MXjPb
>>110
元は絵板だが本人のサイトにもpixivにも置いてある
11698:2008/03/18(火) 07:28:35 ID:vYmwcE05
おっ!みんな情報thx!
ここの住人は優しいなあ・・・
わたしのためというわけじゃないだろうけど、未見のサイトもあったよ。
本当にありがとう。
教えてもらってばかりというわけにはいかないんで、出てない(と思う)情報のヒントを。

・WA絵師で有名なあの人のサイトに、さらしほどけたけしからん乳のくれは絵。
・ゲームの原画屋さんのサイトに、アンゼ・ベル・くれはなど(抱き枕で有名かな?)。
みんな知ってるかもだけど、もしそうならゴメンね。
117名無しさん@ピンキー:2008/03/18(火) 10:40:01 ID:Ef9JQVbk
吸血姫と言ったら卓ゲ板的には天羅のシナリオ集じゃないのか……。
118名無しさん@ピンキー:2008/03/18(火) 11:35:38 ID:C4+QfSC/
>>114
確証はないんだが、ヒント出すな

宴 監禁部屋

でググってイラストがたくさんサイト行ってみろ
もっと絞りたいなら巫女とかノエルとかを検索ワードに加えるといいかも
119名無しさん@ピンキー:2008/03/18(火) 11:56:27 ID:vQUuxMab
>>118
それそれw

もっと他のもあったような気がしてるが・・・・気のせいかもしれんw
120101:2008/03/18(火) 13:06:48 ID:JJXWq2mf
>117
だよなー。
121名無しさん@ピンキー:2008/03/18(火) 17:00:36 ID:ip7RiwSb
ゲヘナのサフィーアは、素でまロいのだが、誰も描いていない…
一ヶ所だけ見つけたそれはノーマルな絵だったが、見つけた時は嬉しかったな
122名無しさん@ピンキー:2008/03/18(火) 18:21:28 ID:yLPhQj1F
>>118
そのキーワードでググって出てこないんで違うかもしれないが
ラフ画ばかりをUpしてる同人CG売りのサイトなら違うだろ

あれは名前が書いてあったから「そういえばそう見えなくもないか」って程度で
関係ないスレにおいてあったらポンコツさまとは分からん、ついでに言えば蛆じゃなくて適当な触手だった
123名無しさん@ピンキー:2008/03/19(水) 03:34:39 ID:C8E2lsdb
>椿と隼人に限って言うなら、「女を盾にして戦う」ってアリだと思うな。

【O畑】「ひ、ひいっ! 命ばかりはお助けを、その女を好きにパンパンしていいですから!」
 (1時間後)
【O畑】「かかったな! パンパン・アンアンしてるその隙が命取りよ!」
 
こうか?
124名無しさん@ピンキー:2008/03/19(水) 04:51:17 ID:Sf5NnbXa
サラを敵グレズに提供して、機械触手でアンアンされている隙に
こっそり動力源のグレズコアを破壊しにいく栂尾弟を幻視した
125名無しさん@ピンキー:2008/03/19(水) 07:20:40 ID:Alr+BYRX
〉123
いや、それよりも、
「へへっ、こいつガキとは思えねえイイ身体してやがる。どうだボウズ、お前も混ざるか?」
「い、いいのか?」
「隼人・・・!?なにを言って・・・!?」
「椿・・・オレ、前からオマエのそのヤラシイ身体を味わってみたかったんだ・・・」
「隼人ッ!?やめてッ!?い、イヤアァァァァッ!?」
というバッドエンド展開が即座に頭に浮かんだオレは、もうダメだろうか。
126名無しさん@ピンキー:2008/03/19(水) 10:25:52 ID:CyieDVWn
罰としてSSを書くしかないな
127名無しさん@ピンキー:2008/03/19(水) 11:52:38 ID:nC712fcm
懲罰SSに期待だな。
128名無しさん@ピンキー:2008/03/19(水) 12:47:54 ID:05H0bs3L
>124
異議あり!滝を差し出すサラだと思います。
129名無しさん@ピンキー:2008/03/19(水) 13:13:11 ID:/LZNqhv0
>>128
そこはむしろまとめて差し出すイリア王女で。
130名無しさん@ピンキー:2008/03/19(水) 13:49:04 ID:nC712fcm
なんだったら、イリアもまとめて差し出すミステルでどうよ。
131強化(ry:2008/03/19(水) 15:02:01 ID:UcCEzDx1
シナリオフック

・落とし子候補を見つけたちょーこー様
・なかなか首を縦に振らない候補くん
・落とし子に「なってやる」ということで逆に対価を求められるちょーこー様
・「あ、アンタなんかに私の大事なところはあげないんだから!
 ……だ、だだだだだから……こ、ここここっちなら……いいよ……」
 と言って尻を差し出すちょーこー様
・肝心の本文と構成が思いつかない俺
132名無しさん@ピンキー:2008/03/19(水) 15:44:03 ID:bxFfMbRc
>>131
むしろオンセで
133名無しさん@ピンキー:2008/03/19(水) 17:09:24 ID:CjmrOczT
>131
絵で。
134名無しさん@ピンキー:2008/03/19(水) 17:27:17 ID:jZoyckAG
>>131
その落とし子候補は、棒が2本生えていたたが、背を向けていて気付かないちゃん様は
両穴に挿される
135名無しさん@ピンキー:2008/03/19(水) 17:37:20 ID:nC712fcm
そして未知の快感に目覚め、落とし子に心底入れあげるちゃん様。
おかげで物凄い力を手にするが、毎夜精を搾り取られる落とし子。

ここまでESPした。
136名無しさん@ピンキー:2008/03/19(水) 18:20:40 ID:0mOry3m2
>>128
俺は勇を差し出す以蔵がいいな
137名無しさん@ピンキー:2008/03/19(水) 19:00:21 ID:dWYkG10D
処女魔王アナル調教編と聞いて飛んで来ました。
138名無しさん@ピンキー:2008/03/19(水) 19:20:29 ID:0TwivVEe
>>131
ちょーこーさまは良くわからないから、執事のアガレス(マッチョフォモ)にバトンタッチするとか。

>>136
むしろ同時に互いを差し出そうとして争っているところをシャルに蹴飛ばされて二人とも「アーッ!」だな。
139名無しさん@ピンキー:2008/03/19(水) 20:26:46 ID:00KiyL8H
>>138
二人がもみじに襲いかかると、もみじがハッタリ好みのヒロインで「アッー!」ですか?
140名無しさん@ピンキー:2008/03/19(水) 20:28:10 ID:8sJfAxFS
>>138
執事に交代したら、候補くんは執事さんに入れあげてしまい、凄まじい屈辱感に
襲われるちょーこー様
141名無しさん@ピンキー:2008/03/19(水) 20:41:47 ID:kOfOIv9P
ルージュ+1観た。

トランの土下座シーン見て
「ふつつか者ですがよろしくお願いします」 > そして初夜

という狂った台詞が思い浮かんだw

誰かアレAAにしてくれんかなぁ、非常に応用が利くAAになりそうだ
142名無しさん@ピンキー:2008/03/19(水) 21:28:07 ID:bxFfMbRc
ルージュ+1読んだ
多分誰かが昔書き込んだと思うが…ノエルって鎧の下何も着て無くね…?
143名無しさん@ピンキー:2008/03/19(水) 21:29:38 ID:00KiyL8H
>>142
エロイ人には見えない服を着ています。
144名無しさん@ピンキー:2008/03/19(水) 21:38:26 ID:bxFfMbRc
>>143
ワーイエローイ!
145名無しさん@ピンキー:2008/03/19(水) 21:55:05 ID:10jhnJEJ
ネタバレしちゃうような悪い子は洩れなく帝国第13課が取り締まってくれます
というわけで8月の姉さんに一対一で個室で尋問されてくるぜノシ
146名無しさん@ピンキー:2008/03/19(水) 21:57:48 ID:bxFfMbRc
>>145
一度雑誌に掲載されたものだから良いと思ったんだ。すまん。
七月と一緒に食われてくるよ…
147名無しさん@ピンキー:2008/03/20(木) 00:32:09 ID:UUqEZoRg
>>146
残念だったな、ジュライは俺が今食ってる
148名無しさん@ピンキー:2008/03/20(木) 00:36:21 ID:4Zj5/8uA
>130
待て。お前んとこのミステルはその状況で混ざろうとはしないのか?
149名無しさん@ピンキー:2008/03/20(木) 01:07:37 ID:x8yn9dTh
>>147
ジュライは龍が喰ってるぞ。(性的な意味で)

>>148
当然、攻め手として混ざるに決まってるジャマイカ。
150名無しさん@ピンキー:2008/03/20(木) 10:19:55 ID:tWt4hPKU
                            . -‐=≠==‐- .
                      /.:.:.:.:.:{\.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:丶、
                     /⌒\_!ハ へニニ≠、.:.:.:.:.:.:\__,
                    入: : : /^:/:.「:.i|ヽ: :\: : ヽ、.:.:.:.:.:.:/
                  ___,ム_[>/: :/: : |: :|ヘ:.\:..\: : \;:;/ト、__      げひゃひゃひゃひゃひゃッ!
              /. : : : : : :._∠!l:: |:.へl、|レ\⊥∠\: : ./ n┘ : : : :\
               / : : : : : : :/   |l: :|ハ「`tッ  ィ´tソ }l: :}\}ト┘\: : : : : :\
           / : : : : : : :/    .|ヽ:|ハ`,ー' ,  `ー,,' l: :|        \: : : : : :\
            / : : : : : : :/      |: : }∨ゝ. ー ‐'  イ|: :l__     \: : : : : :\
       / : : : : : : :/        .レ'r=ットx_≧t壬={_|: :|/:.:.:.:\       \: : : : : :\
      / : : : : : : :/       ┌ ‐'´:.:.:.:.:八_ー ‐'__/レ".:.:.:.:.:.:.:.:\       \: : : : : :ヽ
.      / : : : : : /            {.:.:.:/.:/:.:/^Y^^^^Y´.:.:.l:.:.:、.:.:.:.:.l:.:.:/        \: : : : :',
     / : : : :/              〉=-<_::/.:.:リ≫≪リ.:.:.:∧:.:.:\.,-=〈         ',: : : : |
.    ,' : : : :/             /`==v>!.:.:.:リ≫≪リ:.:.:.:.:「厂 ̄ヽ/\          ': : : :.|
.   ,':.: : :./               /   / l.:.:.:リ≫≪リ.:.:.:.:/⌒!    \  \         !: : : :|
   |: : : : {              〈  ヽ/   /!.:.:リ≫≪リ:.:.:.:/  /      》 ___, ヽ     |: : : :|
151名無しさん@ピンキー:2008/03/20(木) 10:53:51 ID:ql9KFp0T
>>150
ゲヒャヒャハルト!ゲヒャヒャハルトじゃないか!
152名無しさん@ピンキー:2008/03/20(木) 23:21:40 ID:jBLF0wey
ゲヒャヒャハルトがこんな萌えキャラだったなんて、マルスもびっくりだぜ!
153名無しさん@ピンキー:2008/03/20(木) 23:34:45 ID:KCTHD0sz
魔王連中でエロネタになったのってベルだけか。
まあ登場頻度から言って当然だが。

フール様の需要はないものかなぁ。
154名無しさん@ピンキー:2008/03/21(金) 00:26:59 ID:ewZ5dySu
>>153
155名無しさん@ピンキー:2008/03/21(金) 02:09:24 ID:SkZybwhn
>153
あるぜ!
ただ、お姉様口調と良い人っぷりのせいで、どうにも気後れしてしまうなあ。
汚しちゃいけないものというか。
156名無しさん@ピンキー:2008/03/21(金) 03:32:44 ID:7X1QiRxH
なんというか直接エロスに関わるより
初体験でどぎまぎしてるカップルを遠くから見守ってそうなイメージが有るんだよなー。

……まぁフール様のエロスが見れるなら凄く見たいが。
157名無しさん@ピンキー:2008/03/21(金) 04:11:31 ID:KXAwUWgr
>>156
わかるわかるw俺もそんな印象あるわ。
158名無しさん@ピンキー:2008/03/21(金) 08:31:54 ID:33es+uj2
俗に言うやり手ババア見たいな感じか
NWはババアがいっぱいですねってうわなにをするやめt
159名無しさん@ピンキー:2008/03/21(金) 16:53:28 ID:SUd82Cd/
「君達、エロスはほどほどにな」
160名無しさん@ピンキー:2008/03/21(金) 18:55:58 ID:cnXIStEk
フール様「私の可愛い落とし子よ。……この絵馬を見なさい」
落とし子「はあ、なんかリリカルな恋のお願いッスね」
フール様「ええ、そのとおり。というわけで、ラブレターの代筆をして届けてきなさい」
落とし子「ええ?またッスかあ?なんか力を与えられてからこっち、こんな仕事しかしてないような……」
フール様「願いが叶う。御利益があると思われる。参拝客が増える。信仰心というプラーナGet。OK?」
落とし子「いや、確かに参拝客が増えればうちの神社も羽振り良くなりますけどね……」
フール様「しかも今なら愛しのあの子と保健室で二人きりになれるように運命操作してあげましょう」
落とし子「やります。やらせてください」

こんな感じだろうか、フール様。
161名無しさん@ピンキー:2008/03/21(金) 20:19:55 ID:T5Nl1Yc2
>>160
フール様「しかも今なら愛しのあの子と保健室で二人きりになれるように運命操作してあげましょう」
落とし子「それはフールさまが保健室に来てくださると言う事ですね?」
162名無しさん@ピンキー:2008/03/21(金) 20:33:24 ID:6S9RQPnH
父   「息子よ、なぜ顔を隠すのだ」
子   「お父さんには魔王が見えないの。ナイスバディで、薄い衣を着ている・・・」
父   「あれはお前の妄想だ・・・」
魔王 「かわいい坊や、一緒においで。ほどほどにエロスをしよう。おへその下にはきれいな花が咲いているし、きわどい服(私用)をたくさん用意して待っているよ。」
子  「お父さん、お父さん!きこえないの。魔王がぼくになにかいうよ。」
父  「落ち着きなさい、私の願望がお前のに付け加えられているだけだよ。」
魔王 「いい子だ、私と一緒にイこう。私と義理娘たちがもてなすよ。お前をここちよくゆすぶり、情熱的に踊り、激しく愛を歌うのだ。」
子 「お父さん、お父さん!見えないの、あの暗いところに魔王の娘が!」
父 「見えるよ。だが、あれは手の届かない夢だよ。」
魔王「愛しているよ、坊や。お前の美しい姿がたまらない。力づくでもつれてゆく!」
子 「おとうさん、おとうさん!魔王がぼくをつかまえる!魔王がぼくをエロい目にあわせる!」

 父親はぎょっとして、馬を全力で走らせた。あえぐ息子を両腕に抱え、やっとの思いで館に着いた・・・
 腕に抱えられた息子はすでに射精していた。

というか家に帰ったら奥さん兼主に「ほどほどにしたまえよ」とため息をつかれた。
だって馬の上には一人しか乗ってなかったんですから。
163名無しさん@ピンキー:2008/03/21(金) 20:36:38 ID:R6Lumxd0
オチが無かったとしても十二分に終わってると思うのはおりだけかね?w
164名無しさん@ピンキー:2008/03/21(金) 20:41:39 ID:nfudrLbd
>>162
最後のオチで全俺が泣いた(つ∀`)
165名無しさん@ピンキー:2008/03/21(金) 21:00:48 ID:Xtxua76M
……なぁ。どうやってその「息子」を『両腕に抱える』んだ?w
元ネタ知ってるけど、突っ込まずにはいられん!ww
166名無しさん@ピンキー:2008/03/21(金) 21:02:59 ID:pbL+wYGb
>165
片手じゃ抱えきらないから。
167名無しさん@ピンキー:2008/03/21(金) 21:08:38 ID:jZNR2H86
つまり、主に
「エロスもOK」
と、言われて落とし子になったが、両手に抱えるほどの、それはあまりにも大きすぎた
大きくぶ厚く重くそして大雑把すぎた それはまさに肉塊だったって、感じの立派すぎる
物を持っていたがため、一番肝心な所に入れる事ができず、エロスもOKとは
「やれるものならやってみろ」
の意だった事に気付き、妄想で自分を紛らわす事しかできない男の話だったと?
168名無しさん@ピンキー:2008/03/21(金) 21:20:54 ID:cnXIStEk
>>167
ちんぽ刑事という漫画を思い出した。

良い感じにサイテーな漫画だった……。
169名無しさん@ピンキー:2008/03/21(金) 21:21:26 ID:6S9RQPnH
残念だが少し違う。

俺はピュアに主としてフール様を慕ってるんだ。と男性用貞操帯を付けてオナ禁していたO十4五だが(顔を隠す息子)
久々に主に会えると思ったら妄想フルブーストで幻覚まで見え始めてしまい、かえって大惨事に。
「そんなに我慢しなくても、ほどほどにならさせてあげたのに」
と主にあきれられてしまう、純にして粋な馬鹿の話である。

あと>>165エローイ
170名無しさん@ピンキー:2008/03/21(金) 21:22:50 ID:4NdGiZUs
ちょい遅レスだが、>>160の最後の台詞が
「ヤります。ヤらせてください」
…に見えるのはおれだけだろうか
171名無しさん@ピンキー:2008/03/21(金) 22:13:27 ID:qRRFQ4wT
>167

安易に《超巨大武器》+《カースドウェポン》なんか取るから・・・
172名無しさん@ピンキー:2008/03/21(金) 22:20:58 ID:kxebNi3i
>両手に抱えるほどの、それはあまりにも大きすぎた
>大きくぶ厚く重くそして大雑把すぎた それはまさに肉塊だった

両手ってことは《超巨大武器》の防御修正が入って、重いのなら《受け流し》にも適してるのか。いいディフェンダーになりそうじゃないか。
【卓ゲ板に落ちながら】
173名無しさん@ピンキー:2008/03/22(土) 00:08:47 ID:4iq5HFiN
>>153
かなり遅レスだが、昔ちゃん様のエロ可愛いssがあった。
5スレ目くらいだっけ?そういうことやった後、あのちゃん様が心臓バクバクいわせながら鈴渡して
「あんたはあたしの下僕になるの!一緒にベルの陰謀を潰して回るんだから!」
って宣言して無理矢理受け取らせて夕日の中を別れるやつ。

俺、あのちゃん様だったら落とし子になりてえなと思った。
174名無しさん@ピンキー:2008/03/22(土) 05:35:11 ID:RPyavXKs
175名無しさん@ピンキー:2008/03/22(土) 08:36:30 ID:NxW95viU
それだな。

うん、久しぶりに読んだがやっぱかわえぇな、ちゃん様。
この頃はまだロンギヌスが発売されたばかりで声もなにもない頃だったハズだが、
こんな萌え転がるようなSSを書けるなんて筆者は天才か!?
176名無しさん@ピンキー:2008/03/22(土) 10:47:27 ID:cENrl8+V
本放送ではなくDVDの後追いでNWのアニメを見ている俺は、
どうせ宝玉の気配に反応するなら、頭痛なんて色気のない感知じゃなく、
イケナイところがイケナイ反応をすればよかったのに、と思わずにはいられない。


エリス「あぅ、この近くに、ひぃ、宝玉が、くふ、あるはずですぅ・・・
(トロンとした目で股間を激しくまさぐりながら)」
または、


エリス「入って来ちゃう、ブレスレットに、宝玉がグイグイ入って来ちゃうぅっ!
(いろんなものを撒き散らしながら絶頂)」


・・・ハイ、自覚してます。
馬鹿だ俺・・・。
177名無しさん@ピンキー:2008/03/22(土) 12:09:24 ID:b0jajclN
>>176
確かにバカだ、だがそれがいい

てゆーかブレスレット性感帯だったんかいwww
178名無しさん@ピンキー:2008/03/22(土) 12:34:29 ID:g/ITugW+
腕を握るだけで……
179名無しさん@ピンキー:2008/03/22(土) 12:40:42 ID:C33ZlwHK
左手首がエリスのインストールポイントなんですね?
分かります。

【馬鹿は電源ゲームを混ぜた】
180名無しさん@ピンキー:2008/03/22(土) 12:45:17 ID:KBHKihZ2
>>177-178
つまりアニメで茨に捕まってたシーンでは・・・・w
181名無しさん@ピンキー:2008/03/22(土) 14:33:09 ID:0mU+4NfB
436 名前:イラストに騙された名無しさん メェル:sage 投稿日:2008/03/22(土) 13:27:20 ID:rS1iGQet
ところであの白馬の王子ってヒューリンだよな
ヴァルの妹は兄と同じ種族だよな…

437 名前:イラストに騙された名無しさん メェル:sage 投稿日:2008/03/22(土) 13:28:19 ID:/9BnINAe
まさに外道

438 名前:イラストに騙された名無しさん メェル:sage 投稿日:2008/03/22(土) 13:40:41 ID:4AHIxMrN
まぁもともと混血上等!がヒューリンの種族特性だしなぁ

439 名前:イラストに騙された名無しさん メェル:sage 投稿日:2008/03/22(土) 14:25:03 ID:IfPv0Vkm
それなんてロリコン
しかも心が壊れたってことは…おおっとこれ以上はエロパロ辺りに行かないとナ


地上から引きずり込んできた。
182名無しさん@ピンキー:2008/03/22(土) 14:51:55 ID:YDvvMS0l
ノエルと白馬の王子か。
ありゃもうノエルおっぱい祭りに目がいってそれどころじゃなかった。
183名無しさん@ピンキー:2008/03/22(土) 15:00:18 ID:OBV7fBg2
あえて当てずっぽうでいうが、ゴンザレスがヒューリンであるという描写はなかった!じゅじゅちゅトリック!
184名無しさん@ピンキー:2008/03/22(土) 16:11:39 ID:U+7Vky25
>>183
叙述だから「じょじゅちゅ」だなw
つまり実はネヴァーフで子どもが出来ないのをいい事にデカマラでハァハァ
185名無しさん@ピンキー:2008/03/22(土) 19:00:15 ID:6CQjBpXy
>>182
踊り子ノエルはどれもあまりエロスを感じなかったなぁ
口絵最後のページの尻と白馬の王子タイトル見開きの下乳が最高。
186名無しさん@ピンキー:2008/03/22(土) 23:04:36 ID:N0kjFHvJ
カメェェェェェェ!

というわけで下に来た。

>>185
健康的お色気という奴だな。>踊り子ノエル

だからこそ焼き蕎麦は馬鹿売れしたのではないだろうか。
エロスで淫猥な衣装じゃ、飯食う前におかずで腹がいっぱいに(性的な意味で

>>183
ヴァルと妹の間に血が繋がってるという記述もなかった!じょじょちょトリック!
187名無しさん@ピンキー:2008/03/22(土) 23:10:34 ID:N0kjFHvJ
あと、挿絵で一番良かったのは、ちょこんと座って困ってるノエルだと主張する!

「は、入らないですよぉ〜」

と台詞をつけて、ちょこっと妄想をプラスしてやればアラ不思議!
初めてなのにいきなり騎乗位にチャレンジする好奇心旺盛なノエルちゃんの出来上がり!


・・・もう俺は駄目だ。
188名無しさん@ピンキー:2008/03/23(日) 01:17:51 ID:fBs0xhVk
・・・いいんだよ。駄目でもいいんだよ(夜回り先生風に)。

確かに今回のルージュ新刊は色んな妄想を掻き立てられた。
オイラの買ったルージュ+1には、ポージング勝負でゴンザレスに対抗して肉体美を惜し気もなく披露するノエルとか、
第十三班ガチ百合四つのコマなどのサービスカットが満載でしたよ?(馬鹿は現実と妄想をごっちゃにした)
189名無しさん@ピンキー:2008/03/23(日) 01:50:22 ID:E1y2ANrr
むう、とすると昼間に変なもの食べたせいで真夜中に体の火照りが止まらなくなったノエルが、トランorクリスの部屋を訪ねて…。

なんて妄想してたオレはまだ全然ダメじゃないな!
190名無しさん@ピンキー:2008/03/23(日) 01:57:07 ID:IZ3kkybe
ノエルが胸当て外すところの下乳から妄想したら止まらなくなって、思わず初SSを書いてみた。
でも下乳の話からはずれてるあたり、初心者っぷりが透けて見えるのでご容赦願いたい。
191ノエルと羞恥のストリップ:2008/03/23(日) 01:57:42 ID:IZ3kkybe
「ノエル。さ、遠慮せずに脱いでくれたまえ? ここで拝見させていただこうじゃないか。
……それとも我が輩が手伝うかね? ん?」
ノエルは、意を決した。
眼前に迫る男を見上げて睨みつけ、身体をふるふると震わせながら―――

胸部を覆う鎧の留め金に、手を伸ばした。


両脇の下のバンドを外したところで、ノエルは自らの失敗に気づいてしまった。
勝負開始まで1時間しかなく、急いでいたため踊り子の衣装の上に直接鎧をつけてしまったのだ。
胸当てを外したらブラジャーにへそ出しコルセットという姿になる。
……これは恥ずかしい。

「ん? どうしたのかねノエル? やはり我が輩が手伝ってやろう」
いやらしい眼つきで手をにぎにぎしながらにじり寄ってくるゴンザレスに生理的嫌悪感を覚える。
「い……いえ、なんでもないです。……脱ぎます」
本当に脱ぐのを手伝われてはたまったものではないので、近づかれる前に改めて意を決して脱ぎだす。
なにも胸を丸出しにするわけではないのだ。ちょっと間抜けな自分を晒すのは恥ずかしいけど、さっさと済ませてしまおう。
マントで隠しながら胸当てを外し、用意された台の上に置く。
「ほう……先程も見ましたが、なかなか素敵な格好ですね」
「み、みないでください……!」
ノエルのマントは自らの出生を知る手がかりである薔薇の紋章を外に出すために小さめのデザインだった。
隠してはみたもののゴンザレスを含む観客たちにも、今の珍妙な格好は見られてしまっているようだ。
急いでコルセットを外し、腰のスカート部分も取り、踊り子の衣装へ戻る。
露出度は上がっているが、一日この格好で過ごしていたし、変な格好でいるよりはよっぽど良い。
プロのダンサーは観客を魅了するためなら身体を晒すことだって辞さないのだ!
エイプリルさんには及ばないものの、ちょっとは自分の美貌に自信があるのだ。
昼間の客引きのときのように胸を張って笑顔を浮かべる。
観客達は先程の格好に笑ったものの、今のノエルの魅力に素直に魅入られているようだ。
気迫に押されたのか、ゴンザレスも思わず手を降ろしてしまった。
薔薇の武具のオマケにもらえればいいと思っていた小娘だが、本気で手に入れるのもいいかも知れない。
そう考えたところでフト気が付いた。

「……踊り子の衣装って防具だよね?」
 
192ノエルと羞恥のストリップ:2008/03/23(日) 01:58:11 ID:IZ3kkybe
ノエルは壇上で凍りついた。
観客達も息を呑んだ。
てっきりイベントアイテムだと思っていたが、上級ルールでもアイテムガイドでもしっかり防具扱いで存在している……!?
周囲を見回すと男たちの目がギラギラと光っていた。

……脱げ……脱げ……!!

ノエルは総毛立った。全身に注がれる視線から強い圧力を感じた。
舞台裏に引っ込んで着替えてこようと考えたが、いち早く気づいたのかゴンザレスがブロックしている。
「はやく武装解除したまえ、目の前で脱いでもらわんと解除したか確認できんからな」
そんな理屈が……!? と一瞬思ったがノエルは納得してしまった。
毎回エイプリルにしかられているが、毎回騙される素直な自分は変えられないんじゃないかと最近思っていた。

……そうだ! こんなときはいつだって助けてくれるトランさんなら!
振り向いて同じく装備解除しているはずのトランを見る。
トランは全身バラバラになっていた!

信じられない光景に思わず腰を抜かしてへたり込んでしまう。すると横にいたシルヴァが解説してくれた。
改造人間のどこまでが武器なのかわからないのでバラして協議中だそうだ。
そういえば手首が外れて弾を出したりしてた覚えがある。確かにどこまで機械で出来てるんだろう? トランさんの中身ってああなってたんだ……と思考がそれる。
生首だけのトランは明後日の方向を向いており、どうやら喋れないらしく、こちらの様子も気にしていないようだ。
もう一人の仲間のヴァルを見る。
脱ぐならさっさとしろと言わんばかりの目で睨まれた。かわいいけど怖い……
193ノエルと羞恥のストリップ:2008/03/23(日) 01:58:39 ID:IZ3kkybe
「どうしたのかね? はやく防具を脱ぎたまえ!」
いやらしい眼つきをしたゴンザレスが歩み寄る。
助けを求めて周囲を見回す。観客は皆、自分が脱ぐのを期待している。
同じ女性なら……期待を込めてシルヴァを見る。
「可哀想だけど審判は中立だしね〜。若いうちは何事も経験よ。大丈夫。ノエルちゃんかわいいから」
……駄目だ、面白がっている!

ことごとく逃げ道をふさがれノエルは絶望に打ちひしがれた。
「ぐふふっ……ノエル、どうやら着替えを手伝ってほしいようだね。」
ゴンザレスが手をわきわきさせながらにじり寄ってくる。思わず腕を上げガードを固める。
「おや、怖い。やはり武装は解除してもらわんとなぁ……ふっふっふっ」
思わぬ言葉の追撃に怯んでしまった。ゴンザレスはその隙を逃さずノエルの腕をつかみ立ち上がらせた。
ゴンザレスの手がブラジャーに伸びる。
「や、やめてください!」力任せに手を払いのける。
「おや、では自分で脱ぐと?」
いやらしい眼つきで見下ろしている。気押されちゃ駄目だ! 涙が出そうな眼でキッと睨み返す。
プ、プロのダンサーは身体を晒すことだって辞さない……のだ!!
覚悟を決めて声を出す。
「……脱ぎます」

「は?聞こえませんな?」
「自分で脱ぎます!」
挑発に乗って大声で言い返す。観客達から大歓声が上がった。ゴンザレスも満足げな表情で下がった。
「では脱いでもらおうか、観客達にも武装が解除されたことが確認できるようにね」
ゴンザレスがパチリと指を鳴らすとノエルにスポットライトが当たりBGMが鳴り出した。
まるっきりストリップだ。どうやら躊躇している間にスタッフに準備させたらしい。
「ノエルはプロのダンサーだそうですな。せっかくだから見事なダンスを見せていただきたいものですなぁ」
どこまで用意周到なんだろう? ひょっとして自分が踊り子の衣装を着たまま鎧を着たマヌケなミスまでこの男の仕業なんだろうか?
いけない、せっかく気合を入れたのにもう挫けそうだ。
ふとトラベルガイドのモデルをやったときのことを思い出した。
絵を描いているときのピエール先生はとても怖く、少しでも動いたら筆を投げつけ烈火の如く怒り出したが、仕事が終わった後にはとてもやさしく褒めてくれたものだ。
ノエルは裸婦画を残しておきたいぐらい美しい、と。
そのときはセクハラだと思い恥ずかしがって抗議したが、今思うと世界的画家である先生がお世辞にでも言ってくれたんだから本当のことなんじゃないか? と思う。
自分に自信をもて、ノエル! ここは舞台。プロのダンサーなら胸を張って踊るべき場所だ!
息を深く吸い、顔を上げ、姿勢を正す。笑顔はダンサーの基本だ。
両腕を広げ、自らの身体をさらけ出すようにポーズをとる。
ノエルの気迫が伝わったのか騒がしかった観客達は一瞬にして静まった。
ターンして背中を見せ、尻を突き出す。腕を振り上げ、脚を上げ、軽やかに、しなやかに、そして荒々しく踊る。
194ノエルと羞恥のストリップ:2008/03/23(日) 02:00:11 ID:IZ3kkybe
「……脱ぐのを忘れてないかね?」
ゴンザレスの突っ込みに思わず頬を染める。踊りに夢中になってしまった。
観客達も我に返ったのか、それとも別の狂乱にとりつかれたのか、再びいやらしい眼つきになった。
踊りながら腕飾りを外す。装飾品のついた腕飾りを振り回すとシャラシャラと鳴って耳に心地よかった。
続いて脚飾り、首飾りを外す。
一つ一つ外していくと、周囲の期待が高まっていくのを感じた。
腰を振りながら腰巻を外すと歓声が上がった。羞恥の感情が沸いてきた。
今の私はプロのダンサー。いやストリッパーなのだ。ならば目一杯盛り上げてみせなければ!
ノエルは間違った方向に全力で突き進んでいた。

残るはブラジャーとパンツだけ。踊り子用のブラは激しく動いてもずれないよう、結構丈夫にできていた。
背中を見せ金具を外すところを見せつける。ちょっと固くて外すのに手惑い、考える暇が出来てしまった。
これを取ったら皆に胸をみられてしまう。そんなことを考えてしまった。
金具が外れた。
観客が息を呑んだ。
そっと肩越しに観客席を見る。
全員高潮している。自分の胸を見れると期待している。
意を決して正面を向く。腕で乳房を抱え前屈みになり、谷間を強調する。
今の私はストリッパー。もっと扇情的になってもいいのだ!
普段は胸当てに隠されているノエルの胸は女性の平均から見てもやや大きめだった。
谷間に男たちの視線が集中する。激しい踊りで汗が吹き出て胸の谷間を流れる。
ノエルは激しい心臓の鼓動を腕に感じた。自分の興奮がわかる。
残った腕でブラの肩紐を下ろす。歓声が上がった。
皆の期待が更に高まっている。腕の下、ブラの下で乳首が立つ感触を感じた。
身体を左右に振り、胸をゆさぶる。観衆の目が左右にゆれる。
いやらしい自分を見て観客達は大喜びしている。大丈夫。このままいっちゃえ。
脇からスルリとブラを抜き取る。手ブラ状態になり上半身を起こす。
ブラを高くかかげ振り回す。
 おおおおおおおおっ!
観客達がノエルをたたえるが如く両腕を上げて懇願する。
 投げるのか!? くれー! こっちだこっち! ノエルちゃーん!
昂まる観衆の姿にノエルも湧き上がった。チャーミングにウィンクを飛ばし、ブラを観客席に放り投げた。
195ノエルと羞恥のストリップ:2008/03/23(日) 02:00:25 ID:IZ3kkybe
落下地点近くに居た観客達でちょっとした奪い合いが起きている。
その様子を見てノエルは歓喜してしまった。自分を廻って男性たちが奪い合いをしてくれているのだ。
皆が私を魅力的な女の子だと思ってくれているのだ。
いつもエイプリルの横にいるチンチクリンとしか見られなかった自分。
誰もギルドマスターと思ってくれなかった自分を、今は皆が注目してくれている。
ジュン、とノエルは股間から汗以外の液体が出るのを感じた。そしてそれはとても心地よい感覚だった。
ノエルは踊りを再開した。ブラの奪い合いは一段落して、視線は再びノエルへと注がれる。
胸は未だに腕で隠されたままだ。ターンを混ぜ左右の腕を切り替える。観客が息を呑む音が聞こえた。
両手で胸の先だけを隠し、正面を向ける。胸を張り、紅潮した顔を観客に見せる。
手のひらの下で乳首が痛いほどに勃起しているのがわかる。
昂奮で身体が熱い。周囲は昂奮した人々の熱気が渦巻いており、手のひらと胸の間にも熱い空気が入り込んでいる。
この手を取れば胸が外気にふれて気持ちいいのだろう。
 早く!早くとれ!
集中した視線から観客達の意思がノエルへと注がれる。
 みたいの?
声は出てなかったが、口の動きで観客に伝わったようだ。
 見たい! 手をどけてー! ノエル!おっぱい!おっぱい!
おっぱいコールが鳴り響いた。観客達は腕を振り上げ、おっぱいおっぱいと声をあげている。
羞恥は歓喜へと変わった。
手をそろそろとずらす。乳首を指二本だけで隠しているが、ピンクの乳輪は既に顔を見せている。
おっぱいコールが更に大きくなった。
思ったとおり外気が心地よいが、周囲の熱気は更に高まっている。指の先に振れる乳首は固くビンビンしていた。
指で押してみる。指と乳首が乳房にめり込む。結構おおきいよね? と自分を褒めてみる。
前に目をむけると、焦らされた観客の目がギラギラと充血しているのが見える。
皆の注目が両指先に集中しているのがわかる。
こんなに一生懸命なんだもん、ご褒美あげなきゃね。
ノエルは指をどけた。胸が弾み上半身全てが衆目にさらけだされた。
 おおおおおおおおっ!! 立ってるぞ! キレイだー! けっこうデカイぞ!
観客達の声援が聞こえる。どれもノエルを褒めてくれているんだ。
歓声に応えるように、胸を強調し抱え込み、腰を振り、胸を振り、ノエルは踊った。
 ノエル! ノエル!
ノエルをたたえる声が聞こえる。腕を広げ、胸を大きく見せつける。
開放感がとても気持ちよく、心地よかった。
196ノエルと羞恥のストリップ:2008/03/23(日) 02:00:45 ID:IZ3kkybe
残るはパンティ一枚。内から溢れ出す液体で既にビショビショにぬれており、太ももまで液体がたれて来ている。
激しく踊るノエルは脚を振り上げ、股間を強調する。
濡れた股間部はダンス用の厚い生地にも関わらず、内部のスジがうっすら透けていた。
観客達の昂奮は最高潮に達し、既に理性を失い騒いでいるだけにしか見えなかった。
バランスをとったまま回転。脚を下ろし、膝立ちになり、股間を突き出す。
客席前部の観客が身を乗り出してきた。鼻息が濡れた股間に届いた気がした。
 濡れてるぞ! すげえモリマンだな!
ノエルはいわゆるモリマンだった。普段のホットパンツ姿でもわかるぐらい恥丘の肉付きがよい。
これって他の人と比べて変なんじゃないかと思春期特有の悩みをもったこともある。
ちょっとしたコンプレックスだったこの部分を今から公開するのだ。
大丈夫だろうか?皆ガッカリしないだろうか? そう思い突き出してみた。
身を乗り出した観客達は変わらず昂奮している。大丈夫。この人達なら受け入れてくれる。
安心したノエルは少し落ち着きを取り戻した。

興奮に昂まる自分をどこか醒めた目で見る自分がいた。
いいのか? このまま脱いで、衆目に全てをさらけ出して。
この手を取ればこの場に居る全員に全裸を見られることになる。
一度も他人の男性にみせたことのないはずの女性の全て。
16まで大切に育ててくれた両親を裏切ることになるんじゃないか?
ふとそんな考えが浮かんだ。
そしてノエルは思わず最悪な考えを思い浮かべてしまった。
……こんな状況になったのはその両親が自分を売ったせいじゃないか。
ノエルそんな考えを浮かべてしまったこと、そしてそれが否定できないことに絶望してしまった。
そうか……これは罰なんだ。育ての親を捨て、本当の親を探す旅に出たことへの罰なんだ。
ありえない、ネガティブな考えが次々に浮かぶ。
贖罪ならば、両親がこの状況を望んだなら、望んだとおりにしよう。ノエルはいい子なんだから。
最後の一枚に手をかける。
観客が静まるのがわかった。
197ノエルと羞恥のストリップ:2008/03/23(日) 02:01:14 ID:IZ3kkybe
……一度思考を始めてしまうと踏ん切りがつかなくなってしまった。
胸までの時のように勢いで脱いでしまえばよかったのだろう。
ネガティブな思考がグルグルと頭を廻り、ノエルの動きは止まってしまった。
 あと一枚! あと一枚!
観客達からあと一枚コールが沸き起こる。ノエルは観客達を見る。
皆が自分に期待している。そうだ、自分は皆を喜ばせることが出来る、そのために脱いでいたのだ。
与えられた不幸な情況を嘆くよりも、前に進むべき。この旅はそのためのものだ。最後まで戦わなければ。
ノエルは顔を上げ、身体を起こす。戦士として鍛えた身体は引き締まっているが、ダンサーとして修行した16の女の子のしなやかさ、やわらかさは失っていなかった。
膝立ちのまま右の止め紐を解く。股間上部の布に手を当て、一気に見えないようにする。
焦らしたほうがいいんですよね? 観客の感情を身体で覚えていた。
膝立ちのまま後ろを向く。右側が外れたことでお尻が半分見えていた。
そのまま左の止め紐も解く。お尻を覆う布が落ち完全に丸出しになった。
股間に手を当て、肝心なところは見せないようにし、お尻を突き出した。
観客の歓喜の叫びがお尻に響いた。
 脚ひろげてー!
聞こえたとおりにしてみる。
 ヒダヒダみえた! 綺麗じゃん! ピンクだ!
菊門を見せてしまったことに今更気づいた。激しい羞恥の感情が湧きあがると同時に、ノエルは頭が真っ白になった。
軽い絶頂を覚えたのだが、ノエルは初めての経験に気づかなかった。
焦点があわない眼、突き出された唇から吐息とあられもないイキ声があふれ出た。
数瞬の空白の後、我を取り戻したノエルは目の前にゴンザレスが立っていることに気づいた。

「いい顔だね、ノエル。さ、観客達が待ってるよ」
敵だった男からやさしく掛けられた声に後押しされるように立ち上がり振り向く。
もうノエルは皆を喜ばせるために脱ぎ、踊り、そして気持ちよくなることしか考えてなかった。
股間に手をあて、最後の一枚を抜き取る。布の股間部分から粘液が糸を引いた。
キラキラ光る液体を絡めたパンティを摘み上げ、観客席に放り投げた。
また奪い合いが起きた。勝者は股間部を口にくわえて味わっていた。
それを見てまたノエルは意識が飛んだ。
その恥ずかしい顔を観客達に見せてしまった。目ざとい観客は気づいたようだ。
 今イッたよな? イッたイッた。 ノエルちゃんのイキ顔かわいいよ!
ああ、今の感覚をイッたって言うんだ……
紅潮した顔。唇の端からよだれが少したれていた。

全ての服を脱ぎ去り全裸で皆の前に立つ。少し心もとない気がして身をすくめる。
胸は下を回した腕で強調され、反対の腕は股間を隠している。
ノエルは羞恥から隠しているのではなく、次の段階を期待している自分を自覚していた。
手のひらの下のうっすらとした毛の感触がくすぐったい。
股間から溢れる液で既に手はビショビショだ。
この部分を皆にみせたら、またイケるんだろうか? 期待に胸が高まる。
皆の視線が股間に集中しているのがわかる。
指を一本ずつ避けていく。うっすらとした痴毛が皆に見られる。
既にスジの上に中指一本の状態になった。中指の感触が敏感なスジを刺激する。
ごくりとつばを飲む音が聞こえた。
ああ、みせなきゃ。
スジをすりあげながら中指を上げ、豆に触れた。ノエルは全てをさらけ出すと共に絶頂した。
観客の昂奮はすさまじく、その歓声だけでノエルは再びイッた。
ノエルはたまらず尻をついた。
198名無しさん@ピンキー:2008/03/23(日) 02:02:55 ID:IZ3kkybe
以上。一応公開オナニーとか続きも考えてたりします。

なんか同じような表現が何度も出たり、ノエルの思考おかしくね?とか色々ありますが、好みを前面に押し出しました。
お目汚し失礼。
199名無しさん@ピンキー:2008/03/23(日) 02:28:33 ID:kjiNsSX4
>>198
OK、木葉楓声でばっちり脳内再生された。GJ。
200名無しさん@ピンキー:2008/03/23(日) 12:19:29 ID:cgh7PjNy
>198
GJだッ!

>199
言われてみると、そこはかとなくスイートリップを思い出す。
201名無しさん@ピンキー:2008/03/23(日) 14:12:18 ID:oQEnuuTk
踊り子の衣装へのツッコミと分解トランに吹いたwww

そしてGJ!エロい!
202名無しさん@ピンキー:2008/03/23(日) 14:41:38 ID:fBs0xhVk
素晴らしい!素晴らしい英知(H)です!
と、謎掛け妖精風に言ってみる。
続きがあるですと!?大期待ですよ!公開おなぬーと言わず、公開生本番までエスカレートしてみないか!?
(馬鹿は欲望に任せてとんでもないリクエストをした)
203名無しさん@ピンキー:2008/03/23(日) 20:16:44 ID:IZ3kkybe
お褒めにあずかり至極光栄。そんじゃとりあえず公開オナニーまで。
といっても一人称?で短いです。 いや前回が長すぎたんですが。
一応、勝負を一通り書けたらいいなぁとかんがえてます。
204ノエルと恥辱の舞台:2008/03/23(日) 20:17:11 ID:IZ3kkybe
やばい。流石にやばい。
途中から本人がノリノリになっていたからシルヴァは止めなかったが、今のノエルは明らかに理性を失っている。
ていうか公共良俗に反しすぎである。せいぜい水着大会のポロリハプニング程度のサービスだと思っていたのに、あの娘、やばい道に目覚めてしまっている。
このままでは責任者として処罰は免れない。
はやく服を着せねば……と思ったが、あのマヌケ娘はどうやら着替えすら用意してなかったようだ。
マントを引っつかんで舞台に走り出すと、ゴンザレスの部下が道をふさいだ。
これ以上あの娘になにをさせようというのだ? と問い詰めると中立を盾に介入するなと押し問答になった。
売られた喧嘩は必ず買う。シルヴァはそういう女だった。
205ノエルと恥辱の舞台:2008/03/23(日) 20:17:22 ID:IZ3kkybe
全てを解放したノエルは股間をみせつけるようにM字に脚をひらいていた。
うっすらと生えた毛も、テラテラと光るスジも皆に見られていた。
 ひろげてみせてー!
皆の期待に応えてみる。二本の指で押し広げると内側から液体があふれ出た。
充血した秘肉は濡れてテラテラと光っている。穴の周りのヒダヒダがヒクヒクと物欲しそうに動いていた。
 オナニー! オナニー!
オナニーってなんだろう? 近くの観客に聞いてみた。
オナニーを知らなかったことに昂奮された。恥ずかしい。けどそれが気持ちいい。
 そこの穴に指を入れて動かすんだよ。 慎重にあつかえよ!
指示どおりに指を穴にいれてみる。入り口に触れただけで背筋が反り返るぐらい気持ちよかった。
……つぷり……
ちょっとキツイけど濡れてるからか指はじわじわと入っていった。
痛ッ
痛くてちょっと涙がでた。これ以上は無理みたい。
 やっぱり処女だ 動かしてみなー
指を動かしてみる。ちょっと痛いけど、その痛みが気持ちよく感じる。戦闘で斬り合いになった時と似てる。
あんっあんっあんっ
自然に声が洩れてきた。ちょっと……これって……気持ちよすぎる……!
 クリを弄ってみなよ!
クリってなんだろう?
 上の方にあるお豆さんのことだよ!
ここは洗うとき触るととても痛いところ。いつもは皮につつまれてるけど、今はちょっと中身がみえて濡れて光っている。
触ったらどうなっちゃうんだろう? そっと愛液に濡れた指で触れてみる。
アッーーー!!

ノエルの股間から白い液体が飛び観客にかかった。
 潮吹きしたぞ! すげー! 処女とは思えないエロい娘だぜ! 淫乱ノエルちゃん最高ー!
観客達の声援を聞きながらノエルはイキ続け、ついには気を失った。
206名無しさん@ピンキー:2008/03/23(日) 21:53:01 ID:IZ3kkybe
引き続き勝負に移ります。
207ノエルと恥辱の舞台:2008/03/23(日) 21:53:41 ID:IZ3kkybe
「おいっ、おいっ! しっかりしろノエル。」
ほっぺたがピタピタ叩かれる痛みで目を覚ました。目を開けるとヴァルさんが覗き込んでいた。
なんだかとても気持ちいい夢をみていた気がする。
「すいませんヴァルさん、ってなんで私寝てるんでしょう?」
上半身を起こす。ハラリと胸にかかっていたマントが落ちた。形のいい胸がまるだしになった。
「えっ、きゃっ、きゃーっ!!」
慌ててマントを抱え胸を隠す。なんで裸にマントを掛けただけの格好で寝てたんだろう?
おたおたと頭を振り回し周囲を見回しながら、混乱した頭でなんとか状況を思い出してみる。
舞台、観客席、ゴンザレス、ダンス、踊り子の衣装、そして先程の……
「いっ、いやっ……いやっ! イヤーーッ!!」
全て思い出してしまった。恥ずかしすぎて死んでしまいたかった。どうしてあんなことしちゃったんだろう?
身体を丸めてうずくまる。まだあちこち濡れているのがわかる。先程の舞台が夢ではなく現実だったと嫌でもわかってしまった。
羞恥と絶望で涙が止まらなかった。
「しっかりしろ!」
いきなり頬を激しく張られた。姿勢が崩れ横座りになる。痛みに呆然としながら相手を見る。目の前にヴァルがいた。
「勝負の前からそんな調子でどうする。言っておくが奴にとって先程のことなど嫌がらせの序の口に過ぎん」
ヴァルの口から叱咤が飛んだ。ヴァルの妹はもっと恐ろしく嫌らしい目にあわされ、最後は廃人になってしまったそうだ。
「あの程度の恥ならかけるうちにかいておけ。これからはもっと酷い罠を仕掛けてくるだろうからな。この程度で挫けてしまわれては困る。」
あの酷いショーよりももっと恥ずかしい目にあう。ノエルの目の前は真っ暗になった。
冷静になってみると、なんであんなことをしてしまったんだろうと後悔が募る。
絶望に打ちひしがれたノエルの後ろから声がかけられた。
「ノエルさん、とてもいいショーでした。流石はプロのダンサー。勝負前のいい余興になりましたよ。ぐふふふっ」
ッ!
「ノエルさんの隅から隅まで、穴の中まで武装解除されていることが確認できました。これで安心して勝負に移れます。」
ノエルの顔が羞恥に染まる。くやしいっ! くやしいっ!! ダンダンと手を床に叩きつける。
「おや、やる気は十分とみてよろしいですね?」
挫けそうな心を必死に沸き立たせ、キッと睨み返す。
「や、やります……あなたと結婚なんて絶対しません!」
「そうですか、では勝負の方法を説明しましょう。」
“ナイフ投げ勝負”“大食い勝負”“幅跳び勝負”“ナゾナゾ勝負”“火力勝負”“ポージング勝負”
変な勝負ばかりだし、絶対イカサマを仕掛けてくるだろう。でも負けるわけにはいかない。ノエルとヴァル、そしてトランの3人なら……
ふとトランの様子を思い出す。どうなったんだろう?
周囲を見回すと妙なものを発見した。鉄格子の中に先程脱いだ武具と、そしてシルヴァが閉じ込められていた。その周囲にはトランの五体も転がっている。
「シルヴァさんっ!」「大丈夫? ノエルちゃん?」
困った表情で応えるシルヴァ。
ゴンザレスは薔薇の武具のことを知っているだけあって、シルヴァとノエル達が協力関係にあることも知っていた。
そのことをバラされたくなければ勝負の邪魔をせず武具の監視だけしろと閉じ込められたそうだ。
「別になにをされるってわけでもないし、あたしは知らぬ存ぜぬで白を切りとおすことも出来るけどね。」
シルヴァは自分達のために人質になってくれたんだ……ノエルは涙を流しながらすみませんと繰り返すことしか出来なかった。
「はいこれ。元に戻す時間なかったからバラバラのままだけど、一応参加者だからね」
トランの生首を渡された。五体は武具扱いになったらしい。
トランの首を裸の胸に抱え、ノエルはゴンザレスに向き直った。
「絶対、トランさんも元に戻してみせます!」
208ノエルと恥辱の舞台:2008/03/23(日) 21:54:07 ID:IZ3kkybe
“ナイフ投げ勝負”

結局ノエルは裸にマント一枚のままだった。正気を取り戻した今、この格好はとても恥ずかしいが、着替えを持ってこなかったのでしょうがない。
周囲は皆敵であり、服を貸してくれる気は毛頭ないようだった。
幸いノエルのマントは長いので、胸と股間に撒き付ければなんとか重要な部位は隠せた。既に全部見せてしまった後とはいえ、やはり恥ずかしいものは恥ずかしい。
意を決し、舞台へ向かう。観客達はノエルの姿を見て下品な歓声をあげている。再び羞恥に顔を染めるが、そんなことを気にしている事態ではなかった。

「まずはナイフ投げ勝負だ」
舞台は客席の方へ大きくせり出し、その上に椅子が乗っていた。いつの間に舞台を改装したんだろう? やはりカナンの技術の成せる技なんだろうか?
先程までの舞台にはゴンザレス用らしき毛皮の敷いた豪華な椅子がやはり置いてあった。
ルールは意外とマトモだった。両ギルドマスターが椅子に座り、頭にリンゴを載せて回転しているところをナイフで狙う。
「ヴァルさん、頑張ってください!」
「任せろ。ナイフの扱いには自信がある」
心強い台詞に後押しされ、胸を張って椅子への花道を進む。観客達が下から覗き込んできたが、平常心を装い椅子まで辿り着き、座る。
“ガシャンガシャガシャガシャんっ!”座った瞬間、両手足、首、腰がベルトで固定された。
「あ、ああぁああぁ……っ、ちょっ!?」
背もたれからマジックハンドが飛び出て頭にリンゴを固定した。
更にマジックハンドはノエルの胸元まで伸び、マントを剥ぎ取ってしまった。
「いやぁっ!なにするんですかっ!」
「マントは装身具だからな。」またメタなルールで禁止された。普段は演出のみでデータがないからいいと思ってたのに……
またも衆目の場で全裸にされてしまった。しかも今度は無理やりされた上に拘束されているので、より悔しかった。
「どれ、スイッチオン」ゴンザレスがなにやらボタンを押すと、ノエルの椅子が動き出した。
両足がM字に広く開かれ、股間は丸出し。両腕は背後に回され胸をつきだすように強調するポーズへと固定された。
「ああぁああぁ……」
一度似たようなポーズをとり皆に見せていたとしても、昂奮して理性を失っていたときと違い、今は恥を知る正気のままだ。
女性として恥ずかしい部分を観客に曝け出すのは耐えられなかった。早く終わって欲しいと、ノエルは目をつむり涙を流した。
 「さっきより近くなって見やすいな。」「こっちは尻しかみえないぜ。」「やっぱ恥ずかしがる顔がいいよな。」
目をつむると周囲の声がよく聞こえてしまった。どうやらご丁寧にお尻も見えるように後ろは空いているようだ。
「では勝負を開始するとしよう。」
ゴンザレスの椅子がゆっくり回転しだしたが、ノエルの椅子は回らなかった。
 「なんか取っ手が出てきたぜ?」「なるほど、これで見やすいように回せってことだな。」「皆見やすいように公平に回すんだぞー」
ノエルの椅子は周囲の観客による手動回転だった。
 「いえーい!やっとマ○コが拝めたぜ」「尻もキレイだな」「おっぱい結構ゆれるな」「回転が一定じゃないからな」
ぐるぐる回る感覚と四方八方から浴びせられる台詞に、ノエルは目をつむりじっと耐えることにした。
 「なんか濡れてきたぞ」「さっきも卑語に反応してたしな」「やっぱ淫乱だな」
違うっ! 叫びたかったが、自分の股間が濡れてきていたことにノエルは気づいていた。
209ノエルと恥辱の舞台:2008/03/23(日) 21:54:24 ID:IZ3kkybe
「いくぞ、ノエルッ!」ナイフが投げられた。リンゴに命中した感覚に頭をひっぱられ、思わず目を開ける。
回転する視界の隅にヴァルが見えた。舞台のスコアボードには1:1と表示されている。どうやらゴンザレス側も命中させたようだ。
そうだ、仲間を信じて見守らなければ……!
「ヴァルさん! 私は大丈夫です! 頑張ってください!」気丈に声をあげてみる。
ヴァルさんがうなずくのが見えた。
2投目。ヴァルさんがタイミングを見計らって……投げた!
ガクンッ! 椅子の回転が止まった!? ナイフはリンゴの脇を逸れ、客席奥の壁まで飛んでいって刺さった。
……2投目失敗。ゴンザレス側は成功していた。
 「成功成功w」「ふー、危ない危ない」
観客達もタイミングをみてわざと失敗するように回転させていたようだ。
「あ、あなたたち……!」
「ちょっと疲れちゃっただけだよ、ノエルちゃん!」「そうそう、今なら正面からマ○コみえみえ」「おいおい、はやく回せよ」
ノエル達をからかうように観客達は笑っていた。
「大丈夫だノエル。次は外さんッ!」プライドを刺激されたヴァルは静かに怒っているようだ。
リンゴとナイフの軌道が長時間軸があうように立ち位置を調整しているようだ。
「これなら少々動きが変わったとしても当たる」ヴァルはノエルを励ますようにうなずいた。

「おやおや、ノエルさん達は失敗してしまったようですね」ゴンザレスから嫌らしい声がかけられた。
「では、失敗のペナルティを受けてもらいましょう」
そんな話は聞いていないっ! と抗議する間もなく椅子が変形を始めた。
両足が高くVの字に広げられ苦しい姿勢になる。更に背後からのびたマジックアームがノエルの胸を揉み出し、先端の突起には振動するたまごのような物が押し当てられた。
胸はやさしく揉まれたが嫌悪感を感じた。だが先端部に当てられたローターの振動はノエルに強い快感を与えた。
「はぅあぅあぁ〜!はぁ〜!!」
気の抜けた喘ぎ声が口から洩れた。更に責め苦はこれだけに終わらなかった。
周囲の観客にねこじゃらしのような物が渡されたのだ。
「これでノエルちゃん弄っていいってことか」「どれどれ」
股間に毛先が当てられくすぐられた。回転しているため責め苦は一定せず、かわるがわる違った刺激が股間や肛門を襲った。
最初はくすぐったかったが、胸に与えられる快感と相乗して股間からも強い快感を覚えた。
たまらず首がガクガクと動いた。
駄目だ、これじゃリンゴが安定しない……っ!
ノエルはヴァルを見た。
210ノエルと恥辱の舞台:2008/03/23(日) 21:54:40 ID:IZ3kkybe
ヴァルは一切の感情がないかのような表情をしていた。ただ獲物を狙い撃つ。完全な暗殺者としての目をしていた。
「3投目どうぞ!」司会らしき人の声がかかる。
ゴンザレス側は即座に投げた。……ノエルの喘ぎ声が気になったのか失敗した! これでヴァルが当てればドローだ!
ノエルはヴァルを信じて目を閉じ祈った。きっと成功する。仲間を信じている……!
ヴァルは静かにナイフをかかげ、タイミングをはかり踏み込んだ。
 失敗しろチビ
観客からボソリと掛けられた罵声にヴァルは激しく反応した。
「俺をチビって言うなっ! 俺は人からチビと言われることがなにより嫌いなんだっ!」
ナイフは明後日の方向へ飛んでいき……ゴンザレスの眉間に当たった。
「あ゙あ゙ぁ゙あ゙あ゙ぁ゙あ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙……」
失意のため息と、快感の喘ぎが混ざった声がノエルの喉から吐き出された。

「では失投の罰ゲームといこう」眉間の治療をしながらゴンザレスは宣言した。
ノエルは今回は言われてもしょうがないかなーと、ちょっと諦めた。ヴァルは落ち込んで隅っこで縮んでいた。
再び椅子が変形しだした。両手両足がまっすぐ伸ばされ大の字に磔にされたと思うと、固定されたまま背もたれが上へとのび出した。
しばらく伸びたあと急に真正面に倒れこんだ。このまま観客席に放り込まれるんじゃないかと驚いたが、水平になった時点で止まった。
観客席の真ん中あたりに大の字で放り込まれ、目の前には観客達の頭がある。
股間にはマジックアームがのびてきて、先ほど胸にあてられたローターがクリトリスに当てられる。ノエルは今までに無い快感を感じ、思わず喘ぎ声を出してしまった。
その声を、顔を目の前にいる観客達に間近で見られてしまった。
そしてまた回転が始まった。今度は自動だ。支柱も大きく動き出し、観客席をくまなく移動するようになっているようだ。

観客達は近くに来たノエルを触り、指で、言葉で辱めていった。
「おっぱいやわらけー!」「尻もフトモモもすべすべ」「マ○コは触れねーが愛液がたれてきたぜ」「ノエルちゃんはしたないぜ!」「顔真っ赤だなw」
今まで誰にも触らせたことなかった女性部分が見知らぬ大勢に弄られていた。
ノエルは悔しさに叫びたかったが、口からは快感の喘ぎ声が溜まらず洩れていた。

 ノエルチーム0−1ゴンザレスチーム
 
211名無しさん@ピンキー:2008/03/23(日) 21:58:21 ID:IZ3kkybe
とりあえず以上です。なんか強引な展開ですが、個人的に好きなエロを詰め込んでみました。
端から詰め込んでるから助長でわかりづらいんですけどねw
駄文お目汚しでしょうが、しばらくお付き合い願いたいです。
212名無しさん@ピンキー:2008/03/23(日) 22:04:51 ID:oQEnuuTk
メタな理由ワラタ


そしてGJ!エロい!
213名無しさん@ピンキー:2008/03/23(日) 22:28:01 ID:QIOp0CBT
GJなんだが、非常に非常にGJなんだが、個人的なわがままを一つだけ。

ゴンザレスが最後に勝つのはいやぢゃああ!!(笑)
214名無しさん@ピンキー:2008/03/23(日) 22:31:03 ID:oQEnuuTk
シルヴァさんなら……シルヴァさんならきっと何とかしてくれる!
215名無しさん@ピンキー:2008/03/23(日) 23:25:57 ID:IZ3kkybe
ゴンザレスとの勝負の行方はどうしましょうねぇ?w
ノエルにエロいことさせようとすると負けさせたいし、
最終的に負けても二次元エンドで結婚はないようにしようと考えてます。

>シルヴァさんなら
ぶっちゃけノエル苛めるには邪魔なんでトラン同様に隔離しました。
この人って個人で立会人やってるだけなんですよね。
216名無しさん@ピンキー:2008/03/24(月) 17:25:34 ID:jEw8XFHA
ゴンザレスが誰だか分からなくて、まだSSを読めてない俺がいる
217名無しさん@ピンキー:2008/03/24(月) 19:20:37 ID:BIxNB7b1
>>216
今月発売された『ノエルと白馬の王子』を読もうぜ
218名無しさん@ピンキー:2008/03/24(月) 20:19:29 ID:AGnDnqlP
>216-217
あえて…あえて歌わせてもらう!答えは聞いてない!

オ〜レはゴンザレス♪オ〜レはつよい、オ〜レに勝ったら15ポインt(ズキャンドサリ
219名無しさん@ピンキー:2008/03/24(月) 22:21:32 ID:nPpdquEE
クロノトリガーか。懐かしいな。
220名無しさん@ピンキー:2008/03/25(火) 00:50:29 ID:4ZEp6+Z3
2戦目です。

そういえば勝負方法とか手抜きして書いてなかったので、リプレイ読んでない人への解説。
ノエルとゴンザレスの勝負は最終的に戦闘で決まる。
その前に全装備を解除して、それを1勝負毎に取り戻す。(今やってるのはこれ)
取り戻しそこねた装備は金で買い戻せる。(値段がつかない品は無理)

ゴンザレスは両親の借金を盾にノエルに結婚するよう脅迫している。(目的は薔薇の武具)
221ノエルと恥辱の舞台:2008/03/25(火) 00:51:03 ID:4ZEp6+Z3
“幅跳び勝負”

観客達に身体を隅々まで弄られ、ノエルの全身は赤くなっていた。至る所が敏感になり、空気に触れているだけでヒリヒリする。
そのヒリヒリがまた少し快感を与えてくれる。ノエルは自分の体がマゾヒスティックに変化していることに不安を覚えた。

一戦目に負けてノエルは未だ装備を取り戻せていなかった。つまり真っ裸だ。胸と股間を必死に手で隠して立っている。
ゴンザレスは早々に装備を買い戻していた。そういえば資金で買い戻せるルールがあったと思い出した。
しかし全裸の自分は金を持っていない。昼間の稼ぎはトランさんがもっていたはずだから……檻の中のトランの胴体にぶらさがっていた。
買い戻す資金自体が中にあっては意味がなかった……
なんとしても一勝してトランの胴体と、せめて鎧を手に入れ体を隠したかった。

次の勝負は“幅跳び勝負”が選ばれた。
「フッ……このような勝負なら、シーフであるこの俺にまかせてもらおうか。」
自信満々、不敵な笑みを浮かべながらヴァルは言った。先ほどの失敗から立ち直ったようだ。
「ヴァルさん、期待してますよ! 今度はヤジに惑わされないでくださいね!」
「……おう、あんな失敗は二度と繰り返さん。」
……流石にちょっと恥ずかしかったらしい。

舞台がまた変形しだした。先ほどノエルが座っていた飛び出し部分が完全に引っ込み、新たに観客席中央付近に着地点が飛び出した。
更に舞台から着地点までの空間にポッカリと穴があく。中は暗く、底は見えないほどであった。
ゴンザレス側の選手が跳ぶ。ドゥアン族の大男だ。鈍重そうにドスドスと舞台を揺らしながら助走をつけて、跳んだ!
着地点を揺さぶりながらギリギリ着地に成功する。本人も立ち上がり満足そうに両腕を上げ観客の声援に応えている。
続いてヴァル。あれだけ自信満々だったのだ。きっと成功するだろう。
助走をつけて穴めがけて駆け込んでいく。最高の位置で踏み切り、まるで空を舞う鳥のように華麗に舞い――。

そしてそのまま、深い闇へとダイブした。

穴の蓋がパタリと閉じた。ヴァルは帰ってこなかった……
 「どこまで落ちたんだろう?」「無茶しやがって……」「ゆっくりしていってね!!!」
やっぱり身長差がありすぎたんじゃないかなぁ……とノエルは涙を流しながら思った。
222ノエルと恥辱の舞台:2008/03/25(火) 00:51:29 ID:4ZEp6+Z3
「いやはや口ほどにも無い男でしたなぁ」ゴンザレスが追い討ちをかけるように言った。
まったく反論できなかった。2戦連続してあの人の失敗で落としてしまったのだ。このままでは最後まで裸のままで戦うハメになりかねない。
「我が輩としても、このままストレートに勝ち続けるのも未来の嫁たるノエル君に申し訳ない。」いやらしい目でノエルの全身を舐めまわすように見ている。
「そこで慈悲深い我が輩がノエル君にチャンスを与えましょう。」
「チャンス?」
「ノエル君の態度次第で、この幅跳び勝負を3回勝負にしてやろう。」
残りメンバー全員跳んで勝負を決めるというわけだ。
残り2回自分が跳んで勝てばなんとかなるかもしれない。ノエルは一も二も無く提案に飛びついた。
「やります、やります! ありがとうございます!」思わず素直に感謝を述べてしまった。
「いやいや、どういたしまして。ではまず、ノエル君にはこの提案を受け入れる代価として、我が輩にご奉仕してもらおう」
……また条件を聞く前に決めてしまった。ノエルはつくづく自分がうっかり者だと思い知った。
「ご奉仕って、なんでしょう?」おそるおそる聞いてみる。
するとゴンザレスはズボンを下着ごと下げ、ペニスを曝け出した。
ノエルは初めて見るペニスに驚いた。こんなに大きくグロテスクなものがついているのか。女性のあそこも結構グロいと思うが、外部に飛び出て天高くそびえるソレは、迫力という点で圧倒されそうだった。
実際ゴンザレスの黒光りする男性自身は一般的な人間男性のものと比べてかなりの巨根であった。観客の中からは、おおーと感嘆の声があがった。
「さ、ご奉仕なさい。すぐに貴女の中に入ることになるんだ。しっかり濡らして慣らしておいたほうがいいぞ。」
こんな巨大なものが自分の中に入る!? そんなことがありえるのだろうか。周囲の反応を見ると、そのことに疑問をもった様子はない。つまり、男性は女性にこんなものを突き刺しているというのだ……!
恐ろしい未来図を想像してノエルは肩をすくめた。とりあえずその最悪の事態は今は考えず、成すべきことを成さねば。
「ご、ご奉仕ってどうやればいいんでしょう?」正直どうすればいいのか、わからなかった。こう見えても貴族の箱入り娘だったのだ。
「その美しい胸と、可愛らしい口で、我が輩の逸物を気持ちよくするのです。」
胸と口?
「まずはそのおっぱいで我が輩のペニスを挟み込み、やさしく擦りあげるのです。そして舌で舐めあげ、口に咥え、喉までつっこみ、男性を満足させるのです。」
こんなものを口に咥える……想像したこともなかった。大体小水が出る場所なんだから汚くないだろうか。
「さあ、早くなさい。観客の皆さんも待ってますよ。」
どうやらやるしかないようだ。お祭りで食べたフランクフルトを思い出しながら、なんとかやってみよう。
223ノエルと恥辱の舞台:2008/03/25(火) 00:51:45 ID:4ZEp6+Z3
ゴンザレスの前に膝を付き、屹立する巨根に顔を近づける。ツンと鼻につく臭いがして顔をしかめる。
「まずはパイズリからだ。」
ぱいずり……おっぱいでずりずりだからパイズリということはわかった。
近くでみるとゴンザレスのペニスは更に迫力を増した。これをおっぱいではさむ。両手で自分の胸をよこから押して挟み込む。
両手を離したことでまた股間も胸も曝け出されたが、膝立ちになってるし手で支えているからそれほど見られないはずだ。
ゴンザレスの剛直は胸でふれてみるとカチコチに固く、しかもとても熱かった。自分の体温も運動や羞恥で上がっているはずだが、それでも他人の熱というものは敏感に感じるもののようだ。
白い胸に左右をはさまれて赤黒いペニスが飛び出ている様は、フランクフルトというよりホットドッグみたいだった。
「あの……これでいいですか?」恐る恐る聞いてみる。
「うむ、そのまま動かしなさい」
見下ろして命令される。まるで完全に主従関係が成立したかのように服従させられている気分になる。
我慢して、おっぱいをふにょふにょと動かしてみる。
「もっと強く!」ずーりずーり
……胸がすれて痛い。しかも飛び出るペニスが顔にぶつかりそうで怖い。
あっ! 鼻にぶつかった……痛いというより汚い……
「パイズリはペニスを胸を使って洗うようにするんだ。胸をスポンジのかわりと思いなさい。」
なんだか要求が難しくなってきた。こうかな? ごしごし。
「ふぅ…そうです、いいですよ。次は先端部を舐めなさい。」
臭いを我慢し、舌を突き出し、そっと近づけてみる。舌の先にペニスがついた。ちょっとしょっぱい。
そのまま先っちょだけペロペロと舐めてみる。肉棒は思っていたよりも熱く、舌が火傷するんじゃないかと思った。
舐めているとペニスが暴れて顔にぶつかった。見上げるとゴンザレスの満悦げな顔が見えた。
「全体を舐めるんだ。」こんな大きな棒の全体を舐めるのって……
他人の恥部を舐めあげる屈辱よりも、だんだん奉仕行為のキツさの方が苦しくなってきた。
でも、やらなきゃチャンスすらもらえないんだ……! 頑張ってかぶりつくように舐めだす。
「ほう、ノエル君はペニスが大好きなようだね。」
 「ち○ぽ大好きノエルちゃ〜ん!」「俺のも舐めてくれー!」「俺も俺も」「ギャハハハハッ!」
観客達の罵声が聞こえたが、今は目の前の難題を片づけるのに精一杯だった。
224ノエルと恥辱の舞台:2008/03/25(火) 00:51:55 ID:4ZEp6+Z3
「よし、そろそろいいだろう。では咥えるんだ。歯を立てるんじゃないぞ」
唾液で濡らした巨根を前にして一息つく。……こんな太いもの咥えるなんて顎が外れちゃわないだろうか?
意を決して両手で支えて、口を大きく開いてかぶりつく。
「ふごぅ!」
口の中が一杯になった。顎が外れそうで痛い。なんだか苦いし、はやく終わらせたい。
「そのまま舌で味わうんだ。」
……ん、んむっ、んくっ、くっ
「そうだ、なかなか上手いぞ」頭をなでられた。褒められて嬉しくなかったのは、これまでの人生で初めてかも。
「口から出してキスを混ぜてもいいぞ。愛しいペットと戯れるように扱うんだ。」
こんなグロテスクなペット欲しくない、と思ったがトランさんの携帯大首領みたいなものだろうか?
……んくっ、んむっ、ちゅっ、んっ……
「おぅ、まったく初めてとは思えん上手さだな。実は経験豊富なんじゃないかね?」
涙が滲む目で見上げて抗議の意思を伝えてみる。見下ろすゴンザレスと目が合った。嫌らしい笑顔だが何故か嬉しそうだ。
「うほっ、これはっ、まったくツボをついてくる。」
……むっ、ちゅっ、んむっ、あんっ、んっ……
「続けたまえ。胸も使って。」
……ふ、ちゅっ、ぁン、んむっ、ふはっ、ぺろっ、くぷっ……
ゴンザレスの表情が支配者の厳しい目から、快楽をむさぼるだらしない目へと変わっていく。
ノエルはついそれが面白くなってしまい、教わったばかりのはずのフェラチオテクニックを駆使してみた。
「……初めてのフェラチオでこれほどとは、天性の才能か。」
苦しげな声をあげるゴンザレス。下を見るとノエルの様子が変わっていた。
嫌々奉仕していると思っていたが、またも理性がトンだのかペニスを扱うのを楽しんでいるかのように見える。
表情はとろけ、横笛を吹くようにペニスを扱っている。チラリとこちらを見た。一瞬流し目のように見え、年齢不相応な妖艶な色気を醸し出していた。
ノエルは知らず知らずの内に、胸を使う手は快楽をもとめて揉みしだき、反対の手は股間へと伸びていた。
……はぁんっ、あっ、ちゅっ、ぷはっ、んっ、あんっ……
ゴンザレスも攻められているのに気づいたのか、表情に余裕がなくなってきた。
「ノ、ノエル。出すぞ、全部飲むんだッ」急にペニスを喉の奥にまで突っ込んできた。
頭に強烈な一撃を加えられ意識が飛びそうになった。喉の奥でペニスが爆発した感触が広がる。
液体が喉の奥に流し込まれる。息がつまりそうになったノエルは慌ててゴンザレスを突き放した。
ペニスが口から飛び出し精液が飛び散り、ノエルの全身に降り注いだ。
口から溢れる精液にむせて咳き込むノエル。ゴンザレスの射精はなおも続いておりノエルの髪や顔に降りかかった。
225ノエルと恥辱の舞台:2008/03/25(火) 00:52:10 ID:4ZEp6+Z3
「ふぅ……まったく恐ろしい娘だ。どこでこんなテクニックを覚えたのやら……」
「……けほっ、こんなの、けほっ、はじめてですよ〜」
その言葉に嘘偽りはないはずだ。旅の同行者の男2名と性的交渉はないのは調査済みだ。
ゴンザレスは声に出さずほくそ笑んだ。
この娘、本物の淫乱かもしれんな。しかも相性がよさそうだ。これは本格的に調教したほうがよさそうだ。
そんな思惑はつゆ知らず、ノエルは全身についた白濁液をぬぐっていた。

「では、勝負を再開しよう」ズボンをあげながらゴンザレスが宣言する。
3本勝負になったものの、既に1本とられている。逆転のチャンスはあっても相手のミスが必須だ。
ゴンザレス側のナイフ使いが跳ぶ! 着地点に足がついた……が、バランスを崩して落ちた! 失敗だ!
ヴァルが落ちた穴は既にふさがっている。ナイフ使いは申し訳なさそうな顔でゴンザレスに謝っている。
どうやら勝負は本物のようだ。
「ではいきますよ〜!」ノエルはやる気まんまんだ。全裸だということを忘れているかのごとく走り出そうとしている。
「待ちたまえ、大将同士は最後に跳ぶのが筋というものだろう」ゴンザレスが水を差す。
「え、私が2回跳ぶんじゃないんですか?」
「君にはまだチームメイトがいるだろう」
ノエルの後方を指差した。振り向くと、トランの生首が置いてあった。
「トランさんは動けないじゃないですか!」
「そこまでは責任とれんな。自分達でなんとかしたらどうかね。」
ノエルは考えた。どうにかしてトランさんを跳ばせなければ……フト、一つのアイデアが浮かんだ。
この勝負は妨害、スキルなどは自由に使えると決まっている。認められるかどうかわからないが、やってみる価値はあるかも。
「いきます!ギルドスキル《陣形》!」
「なにっ!?」
ノエルはトランの首を抱えると、着地点めがけてほうり投げた!
放物線を描いて跳ぶトランの生首。着地点ギリギリに着弾し、ワンバウンドして着地点真ん中にとどまった。
「やりました! 今のアリですよね!? ね!?」
小躍りして喜ぶノエル。ぴょんぴょん飛び跳ねおっぱいが弾んでいるが気づいてないようだ。
ゴンザレスは苦しげな表情で今の裁定はアリだと認めた。まだ1:1で最後の勝負がある……
226ノエルと恥辱の舞台:2008/03/25(火) 00:52:28 ID:4ZEp6+Z3
お互い大将同士の決戦となった。勝った方が装備を一人一つ取り戻し、ドローの場合は両者成功で両者装備を取り戻す、両者失敗では両者装備は取り戻せないことになった。
ノエルが成功すれば必ず装備が戻ってくるという破格の条件だ。
苦しい思いをしてチャンスを掴み取ってよかった。ノエルは涙を流して心底から喜んだ。
「まだ勝ったわけではありませんぞ。」ゴンザレスが釘をさす。
上半身裸になり無駄に筋肉美を見せ付けてきた。鍛えている、これなら成功しちゃうかも。ノエルは気を引き締めた。
ゴンザレスが跳ぶ! 踏み込みの際にひざがくずれたっ!? 失敗だ!
「くっ、ノエル君のフェラチオが気持ちよすぎたようだね……」
負け惜しみの台詞でもノエルに精神的揺さぶりを掛けてきたようだ。先ほどの痴態を思い出してしまう。
(あの程度の恥ならかけるうちにかいておけ。これからはもっと酷い罠を仕掛けてくるだろうからな。)
穴の底に消えたヴァルさんの声が聞こえた気がする。うん、大丈夫。ヴァルさんの仇はとります!
体を隠していた腕を広げて、深呼吸して精神を落ち着かせる。
確かに恥ずかしいことはしたし、今も裸のままだ。
でも、ここは舞台で今は勝負の時間。恥をかいてでも勝たなければならないのだ!
走る前にダンスを舞う。今のノエルはダンシングヒーロー。舞台の上では英雄の役割だ。
助走をつけて着地点めがけて駆け込んでいく。最高の位置で踏み切り、
床の液体に脚を滑らせ、まるで空を舞う鳥のように華麗に舞いながら、観客席へとダイブした。

やっぱり【敏捷】判定は無理でしたー!
ノエルは涙を流しながら観客達にもみくちゃにされた。

口にペニスを突っ込む者、手に握らせるもの数人。尻を触るもの、おっぱいを揉むもの多数。
胴上げのように持ち上げられ、膣に指をつっこまれかきまわされイッてしまったところで、ゴンザレスに引き上げられた。
ノエルは観客達の精液で体中ベトベトになっていた。股間に無理やり指を入れられたので痛かった。幸い血はでてなかった。
失敗した踏み切り地点をみると、自分が垂れ流した愛液が小さな水溜りのように広まっていた。
運が悪いのか、自分がマヌケなのか、はたまた敏捷判定と相性がわるいのか、ノエルはまたも激しく落ち込んだ。

 ノエルチーム0−1ゴンザレスチーム 1引き分け
 
227名無しさん@ピンキー:2008/03/25(火) 00:53:39 ID:4ZEp6+Z3
以上です。

どうでもいいですが、筆者は場所をカナンと勘違いしてました。
変な舞台装置とかはそのせいです。
遺跡の街ラインだったのね。

いい加減ノエルに服着せたいなぁ
真っ裸ってあんまりエロくないですよね?w
228名無しさん@ピンキー:2008/03/25(火) 01:51:32 ID:8KapD1Qb
ですね、半端に隠してるほうが…w
229名無しさん@ピンキー:2008/03/25(火) 08:36:28 ID:Y/SVMgYQ
個人的趣味としては裸マントなんかいいと思うんだがどうだろう?
230名無しさん@ピンキー:2008/03/25(火) 09:24:14 ID:Df12epze
>>229
どっちかっていうとアホっぽいと思う(キッパリ
231名無しさん@ピンキー:2008/03/25(火) 09:32:13 ID:8ScT6jwU
いかん、エロいことをしてる筈なのに笑える……つーか、普通に「上手いっ!」と思うな

そしてノエルにはふつうの下着を断固として希望する!
232「ありがとう」の言葉:2008/03/25(火) 15:21:00 ID:QAT5/1+z
割り込み失礼。↓これの続き。でもまだ未完。
ttp://wiki.fdiary.net/TableGameE/?19-137


 思考が麻痺しかかった頭の中で、彼の言葉が鐘の音のように鳴り響く。
 何それ何それ? 冗談? ドッキリ? もしかしてからかってる?
 だって私、キミに迷惑しかかけてないよ?
 自分の都合でキミの時間を使わせて、そのくせいつまで経っても役立たずで。
 なのに何でそんなこと言うの? 今日のキミは本当に変だよ。
「私のことが好き」だとか、「私に救われてる」だとか。
 そんなの全部、あべこべなのに。
 それを言いたいのは、私の方なのに。
 長い付き合いではないけれど、彼が嘘や冗談でこんなことを言う人じゃないのは知っている。
 だけど、どうしても信じられない。
 何で一緒にいられるのか不思議なくらい、私は彼に好かれる自分の要素を思いつけない。
 強いて言うなら、彼の知らない日常の知識くらいだろうか。
 でも、そんなのは別に私じゃなくても詳しい人は他にいくらでもいる。
 もしかしたら、単に「お友達として」好きという意味かも知れない。
 それなら充分あり得る話だし、今すぐに確認すればいいだけのことだ。
 きっとそうに違いない。そうに決まってる。
 でも……どう聞けばいいの?
「それは友達として好きだってことだよね?」かな?
 それとも「女の子として、じゃないよね?」とか?
 っていうか、何で私こんなに迷ってるんだろう……。
 目の前にいるんだから、たった一言問いかければ済むことなのに。

 ああ……そっか……。
 私、怖がってるんだ。その問いを肯定されることも、否定されることも。
 私は多分、彼のことを異性として意識してる。
 彼は強くて、優しくて、一緒にいるとすごく心強い。
 それでいて、どこかひょうきんというか、世間知らずで純粋なところがある彼は、少なくとも私にはすごく魅力的に見える。
 だから、弱くて情けない今の私では釣り合わないと考えてしまう。
 それと同時に、まだ彼のことを『非日常の象徴』として見ている自分もいる。
 私自身も普通の人から見れば充分『非日常の象徴』であるはずなのに、まだそんなことを考えてる。
 ……私って、考えれば考えるほど嫌な人間だ。
 一人で色々考えて勝手に落ち込んでいると、どんどん気分が沈み込んでいく。
「……はうっ! いひゃい?」
 そんな私の思考は、不意に左の頬を「むにーっ」と引っ張られる感触と痛みに断ち切られた。
233「ありがとう」の言葉:2008/03/25(火) 15:22:09 ID:QAT5/1+z
「……っと、ごめん。そんなに痛かった?」
 驚いたようにあわてて手を放して謝る彼。
「うー……あんまり痛くはないけど、びっくりしたよぅ……」
 涙目でつねられたほっぺたをさすりながら、何とかそう答える。
 上目遣いに見上げると、彼はバツが悪そうに苦笑いを浮かべた。
「や、ほんとごめん。何だか急にボーッとし出したからどうしたのかと思って」
 もう、誰のせいだと思ってるのよ!
「い、いきなりあんなこと言われたら誰だって驚くよ!」
「あんなことって?」
 恥ずかしさを紛らわせるために勢い込んで言い返すと、逆にさらっと聞き返されて言葉に詰まる。
「あ、え……だから……その……」
 首を傾げて不思議そうに覗き込んでくる彼の視線から逃れるように顔を俯かせる。
「わ、わ……私のこと、好き……って……」
 ところどころ詰まりながら、やっとそれだけ口にする。
 でも、彼はやっぱり不思議そうな顔をして、何でもないことのように言う。
「別に驚くようなことじゃないと思うけど? 本当のことなんだから」
 う〜……何だか私だけ空回りして馬鹿みたいじゃない……。
 そう思ったら、何だか少しだけ気が楽になった。
 今なら聞ける。というか、今じゃなきゃきっともう聞けない。
「じゃあ……どうしてか、聞いてもいい?」
 なけなしの勇気を振り絞り、軽く身を乗り出してそう問いかける。
 文字通り目と鼻の先の距離までお互いの顔が近づくと、ちょっと赤くなって照れるような顔。
 これで少しは仕返し出来たと思ったのだけれど。
「きみが大切な人だからだよ。誰よりも」
 全くよどみなくはっきりとそう言って、彼は私の手を握って穏やかに微笑む。
 それだけで、またのぼせたみたいに頭の中が熱くなってしまう。
 そして彼は、語り始めた。
234「ありがとう」の言葉:2008/03/25(火) 15:23:15 ID:QAT5/1+z
「俺はずっとわからなかったんだ。“日常”を守るっていうのが、どういうことなのか」
 日々ファルスハーツやジャームと斬り結ぶ、死と血に満ち溢れた世界。
 それこそが俺の『日常』だったから。
 UGNが敵と定めた目標を、言われるままに斬り捨てるだけの日々。
 その中で俺は、常に畏怖と憎悪、そして敵意を向けられた。
 俺が斬った敵は、呪いの言葉を吐いて息絶えた。
 機械のように任務を遂行する俺は、周囲のエージェントたちから遠ざけられていた。
 守りたいものも、大切なものも、自分の意志や思想もなく、命を奪うためだけに剣を振るう。
 戦うことが好きだったわけじゃない。
 ただ、他のことに興味を持つ機会もなかったから、ずっとこのままだと思っていた。
 だから、オーヴァードとして強くなる度に人が離れていくのも疑問には思わなかった。
 学校に通い始めてからも、それは変わらなかった。
 ただ、そこには少しだけ興味深いものがあった。
 近くの席で談笑しているクラスメイトたちの、楽しげな笑顔と、笑い声。
 それは俺の“日常”には存在しないものだったから。
 けれど、それ故に彼らの姿が酷く遠くて、そんな風に過ごす時間は俺には無縁だと思っていた。
 だから、きみが「ありがとう」と言ってくれた時、すごく嬉しくて。
 でも、その時の俺にはその感情の意味がよく分からなくて。
 次の日になっても、ずっと君のことが頭から離れなかった。
 たった一言。されど一言。
 それは機械的で形式的な労いの言葉ではない、心からの言葉。
 それは恐怖と苦痛に歪んでもいない、悪意と憎悪に染まってもいない、暖かくて優しい笑顔。
 それは、決して自分に向けられることはないと思っていたもの。
 見えない壁を隔てて遠くから眺めることしか許されなかったはずのもの。
 人間は、自分が知らないものに遭遇すると動揺する。それは俺も例外ではなかったらしい。
 きみのたった一言の「ありがとう」の言葉に、俺の心は大きく揺さぶられたのだ。
235「ありがとう」の言葉:2008/03/25(火) 15:25:15 ID:QAT5/1+z
「そしたら次の日にいきなり「お昼を奢らせて」だもん、あれはびっくりしたなぁ」
 実際にあの時のことを思い出して、思わず笑ってしまう。何にって、自分の狼狽えぶりに。
 学校でも俺に近づく人はほとんどいなかったから、誰にも邪魔されずにずっときみのことを考えていた。
 一人の人間のことをずっと考えているのも、ここまで心が落ち着かなくなったのも初めてだった。
 そんなだから、いきなり背後から声をかけられた時は、椅子から転げ落ちそうになるほど驚いた。
 振り向くと、少し困ったような表情のきみが立っていて。
「な……何の用だ?」
 俺は内心の動揺を理由も分からずに覆い隠しながら、軽く睨むようにして聞く。
「えっとね……よかったら、昨日のお礼にお昼を奢らせて欲しいんだけど」
 少し言いにくそうに、はにかんだ笑みを浮かべるきみに、俺は断る言葉を見つけることが出来なかった。
 恐る恐る首を縦に振ると、きみはあの楽しそうで嬉しそうな笑顔を浮かべた。
 その笑顔に見とれていた一瞬の間に、きみは俺の手を取って走り出していた。
「ほら、早く行かないと席なくなっちゃうよ!」
 声を弾ませ、俺の手を引いて食堂へ向かうきみからは、昨晩の気弱な感じは欠片も見えなかった。
 その違いにも驚いたけれど、それより何よりその時にずっと感じていたのは。
 いくつもの命を奪ってきた俺の血にまみれた手をしっかりと握っている、きみの細くて柔らかい、温かな手の感触。
 人の手が、こんなにも温かいものだと、初めて知った。
 それから俺は、きみに色々なことを教えてもらった。
 このメニューがおいしくてこれはイマイチだとか、あの先生の教え方は解りづらいとか。
 駅前のケーキ屋の限定商品は朝5時くらいから並ばないと買えないとか。
 そんなたわいもない話のひとつひとつが、俺にはとても新鮮で、面白かった。
 正確には、楽しそうにそんな話をしているきみを見ているのが、楽しくて仕方がなかった。
 そして、きみをそんな笑顔にさせる様々なことを、俺自身も体験してみたくなっていった。
 そのために、俺は今まで言葉さえろくに交わしていなかった多くの人と話をするようになった。
 UGNの仲間たち。学校のクラスメイト。そして、きみ。
 気がつけば、俺は人の輪の中に居心地の良さを感じるようになっていた。
 ただ居心地のいい誰かと一緒に過ごすだけの、ささやかだけれど優しい時間。
 これが俺たちが守るべき“日常”なのだと、俺はようやく理解することが出来た。

 こうして俺は“日常”を手に入れ、「人と繋がること」を知った。
236「ありがとう」の言葉:2008/03/25(火) 15:28:56 ID:QAT5/1+z
 そうして過ごすうちに、きみのことについてある興味がわいてきた。
 きみは普段は快活で積極的だけれど、作戦行動に参加する時はとても辛そうな顔をする。
 氷の槍で必死に敵の攻撃を捌き、泣き叫びながら一撃を放つきみを見ているのは、すごく苦しい。
 それでも、きみは要請されればほとんど拒むことはない。
 イリーガルのエージェントは、ある程度依頼を拒否することが出来る。
 イリーガルはあくまで善意の協力者であって、俺たちのように任務に全てを捧げる必要はないのだ。
 けれど、きみは誰よりも戦いを嫌っているはずなのに、何故かほとんど拒否をしない。
 それがずっと不思議でならなかった。
 そんなある日、俺はその答えになり得るきみの姿を見た。

 それは、ワーディングの張られた夜の街で、とあるジャームを追っていた時のこと。
 俺ときみは、いくつかに別れたチームの中で一緒にターゲットを追跡していた。
 標的はキュマイラ/ハヌマーンのシンドロームを発症した俊足のジャームだったが、同じくハヌマーンであるきみと、重力調整である程度進路に融通の利く俺は何とか付かず離れずを保っていた。
 もっとも、予測される標的の進路にはすでに別のエージェントが待機しているので、俺たちの追跡はその方向への誘導が主な目的だった。
 だが、奴は何かを見つけたらしく突然進行方向を変え、俺たちはそれに数瞬遅れる形になった。
 薄暗い路地に飛び込んだジャームに追いついた時、奴はワーディングの中で身動きが取れなくなっている一人の女の子に向かって鉤爪を振り下ろそうとしているところだった。
 部活の帰りらしく、スポーツバックを肩に提げ、俺たちが通う学校の制服を着た少女。
 どうやら、作戦開始前の避難誘導から外れてしまったらしい。
 俺は何とか阻止しようと駆け出したが、経験と直感から「間に合わない」と思ってしまった。
 けれど。

「うわあああああ!!」
 その瞬間、背後から悲鳴じみた叫び声が響き、俺の脇をすり抜けたきみが文字通り超人的なスピードで突進していった。
 ハヌマーン・シンドロームの力で加速したきみは、叫び声に一瞬動きを止めたジャームにそのまま体当たりした。
 そう、体当たり。
 なんとせっかく作り出しておいた氷の槍を放り投げ、その身ひとつで突撃したのだ。
 きみは弾き飛ばされて転倒したけれど、ジャームの方も大きく体勢を崩してよろめく。
 この好機を逃す手はない。
 俺は抜刀しながら周囲に浮ぶ“魔眼”に働きかけ、重力を調整してジャームの頭上まで跳躍する。
 そして、刀の先に圧力を集中し、そのまま重力に従って急降下した。
 ズパンッ
 重力に引かれて刃は狙い違わずジャームの脳天にめり込み、そのまま地面まで一気に振り下ろされる。
 真っ二つになったジャームの身体は切り口から徐々に結晶化していき、完全に結晶と化した直後、それぞれに地面へと倒れて粉々に砕け散った。
237「ありがとう」の言葉:2008/03/25(火) 15:31:27 ID:QAT5/1+z
 後に残ったのはジャームの破片と、力なく膝をついて座り込んでいる女の子。
 女の子の無事とジャームの殲滅を確認して刀を納めると、背後から近づいてくる足音が聞こえた。
 振り向くと、制服の所々が裂けて、膝を擦り剥いてうっすらと血を滲ませたきみの姿が見えた。
「大丈夫?」と声をかけようとして、少し様子がおかしいことに気づく。
 きみは少し足元をふらつかせて、泣き出しそうな表情で女の子の方に近づいていく。
「ど、どうしたの?」
 あまりにも危うげな様子が心配になって駆け寄ると、きみは不安げに震える瞳を向ける。
「みぃちゃんは……みぃちゃんは大丈夫なの?」
 ほとんど半泣き状態になりながら俺の袖を掴んで狼狽えるきみが口にしたのは、おれも会ったことがあるきみの友達のあだ名。
 そういえば、ちょっと見覚えがあった気がする。
 そうか……だからあんなに必死で助けようとしてたのか。
 納得して、とりあえずきみを宥めながらその手を引いていく。
「大丈夫だよ。ほら、呼吸も正常だし、怪我だってしてない。きみのおかげでね」
 可能な限り優しく言って、未だにワーディングの影響下にある“みぃちゃん”の前まで導く。
 虚空を見つめたまま微動だにしない“みぃちゃん”に、きみは恐る恐る手を伸ばす。
 指先が彼女の頬に触れて、ゆっくりと手のひら全体で触れていく。
 それで緊張が解けたのか、きみの目の端に溜まっていた涙が一気に流れ落ちて。
「う…………うわあああああぁぁぁん!!!」
 きみはさっきの叫び声よりも大きな泣き声を上げて“みぃちゃん”に抱きついた。
「よかった! よかったぁ! よかったよぅ〜っ!!」
 小さな子供のように泣きじゃくるきみの姿はとても無防備で、それでいてどこか温かく優しかった。
 それは多分、泣き声に混じって伝わってくる「大切なものを守れた」という、安堵と喜びの気持ちのせい。
 客観的に見れば、きみの行動はとても危険な行為だ。
 武器を手放して敵に特攻するなんて、下手をすれば自分までピンチになっていたところだ。
 でもこの時の俺は、そんなきみを非難する気にはなれなかった。
 ようやく理解できたから。戦いの嫌いなきみが、どうして戦い続けられるのか。
 それはきっと、誰よりも怖がりで、大切なものを失うことを一番恐れているから。
 自分が傷つくことよりも、手の届かないところで大切なものが奪われてしまうことの方が恐いから。
 だからいつだって、泣き出しそうになりながらも、進むことをやめないのだろう。
 きみは、勢いを付けるために少し助走が必要だけれど、本当に大事なことのためには迷わず突き進む“信念の槍”。
 けれどそれは、時に進むべき方向を誤ってしまう危険な穂先。
 そんなまっすぐさと危うさを持つきみを、そしてきみが守ろうとするものを、俺も守りたいと思った。
 そして何より。
 “日常”の世界の中で幸せそうに笑うきみの笑顔。
 そんなきみの傍で、“友達”として一緒に過ごす騒がしくも穏やかな時間。
 それを――少なくともきっかけを――与えてくれたきみが、俺自身の『大切なもの』になっていたことに気づいたから。
 なくしたくないものが出来たことで、他の人にも、なくさせたくないと思った。
 だから、“日常”を生きる人たちの笑顔を奪う奴らを。涙を流させる奴らを、心の底から許せないと思った。
 だから、俺は俺自身のために決めた。
『“日常”を生きる人たち』も、『“日常”を守るために戦う人たち』も、全部守ってやる、と。

 こうして俺は――「守るために戦う」ことを知った。
238「ありがとう」の言葉:2008/03/25(火) 15:34:57 ID:QAT5/1+z
とりあえずここまで。エロ無くてすみません。
次の投下には何とか……いけるといいですね(何
239名無しさん@ピンキー:2008/03/25(火) 18:41:06 ID:lUv8+xp9
おぉッ!ついに続きキターッ!そして超GJ!“漆黒の剣”の心境の変化、みぃちゃんを
助けるシーンなど、日常とロイスの大切さが感じられる、実にダブクロらしい良い話だと思います!
次も楽しみにしてますッ!……エロにも期待ww
240ノエルと恥辱の舞台:2008/03/26(水) 00:00:32 ID:4ZEp6+Z3
“休憩”

(また負けてしまった……)
身も心もボロボロになり、もはや起き上がる気力もないのか、ノエルは舞台上でうつぶせになったままだった。
ノエルは最低でも金で買い戻せないカラドボルグとアガートラーム、そして所持品にある薔薇の小箱の3つは自力で回収しなければならなかった。
更にトラン胴体部に括り付けてある買戻し資金も必要だ。なにより着る物がないのは、恥ずかしさよりも心細さを感じていた。
それら全てを回収するには、どれだけ勝たねばならないのだろう?
勝てば一人につき1つ回収できるというが、既にトランやヴァルの分がもらえるか怪しいものである。
もう勝負を投げて嫁に行くことにしてしまおうか……そして最後の旅だけは続けさせてもらうよう頼んでみようか?
そんな諦めの考えすら頭に浮かんだ。

「大丈夫だったかね、ノエル君?」ゴンザレスが話し掛けてきた。
「どれ、みせてみなさい」あお向けに転がされ、両足を広げられた。
「……ぃやっ!」反射的に拒むが、気力が続かず為すがままにされる。
股間の割れ目を指で広げ、膣を覗き込む。ノエルは恥ずかしさに顔を手で覆って耐えた。
「ふむ、よく濡れていたのが幸いでしたな。傷もなく、膜も無事なようだ。」
確認を終えたゴンザレスはノエルの脚を閉じ、上着を脱いで体の上に掛けた。そしてノエルの背中と膝の裏に両腕を回し、抱えて立ち上がった。いわゆるお姫様抱っこの状態だ。
(……えっ?)
思わぬ紳士的行動に面食らったノエルはゴンザレスの顔を見る。ゴンザレスは観客席に向かって怒鳴っていた。
「ノエル君は私の嫁だ! 他人が勝手に辱めることは許さんっ! ましてや処女を散らしかねなかったなど許しがたいっ!」
自分のやったことを棚に上げ、他人を非難していた。
だが、ノエルは自分に向けられた善意をまったく疑わずに信じてしまう娘だった。
実際、観客達のほとんどはゴンザレスのサクラであり、怒鳴りつけるのも演出である。指示の確認の意味もある。
そうとはつゆ知らず、ノエルは先ほどまで散々酷い目にあわされたことを忘れたかのごとく、ゴンザレスが護ってくれるのを頼もしく感じていた。
「ノエル君、ひとまず休憩にしよう。君も舞台裏で身体を洗ってくるといい。」
ノエルはやさしく掛けられた言葉に素直な感謝を述べ舞台裏へと走った。
241ノエルと恥辱の舞台:2008/03/26(水) 00:00:39 ID:4ZEp6+Z3
(……計画通りっ!)
舞台裏に引っ込んだノエルを見送りながらゴンザレスはほくそ笑んだ。
あの娘は与えられた善意と悪意にそのまま反応する。善意には素直に感謝を、悪意には反発を。
例え相手が悪意を持っていても善意でオブラートすればコロリと信じてしまう。
旅の同行者はさぞかし気苦労に絶えないことだろう。だが、既に保護者との分断に成功している。
あとは適度に飴と鞭を与えれば、ゴンザレスの言いなりになる嫁奴隷の完成である。
手下達への指示を出し終わった後、次の舞台装置を作動させることにした。

ノエルが舞台裏に引っ込むと、ゴンザレスの執事みたいな人が舞台のすぐ裏に作られたシャワー室に案内してくれた。
中に入ると大きな鏡があり、頭の上から脚の先まで白濁液でベトベトに汚されてる自分が映っていた。
(これが……精液……赤ちゃんのモト)
流石にそのぐらいの知識はあったが、実際みるのは初めてだった。
これが自分の膣に入れられると赤ちゃんが出来てしまうのだ。先ほどは危うく誰のかわからない子を孕んでしまう危機だったのだ。
(ノエル君は私の嫁だ!)
ふいに、先ほどのゴンザレスの台詞が頭に浮かんだ。彼の妻になったら彼と契り、彼の子を産むことになる。
そして、助けてくれた頼もしい彼を白馬の王子様のように連想しまったのだ。
ぶんぶんと頭を振りイメージを追い払う。早くシャワーを浴びて頭を冷やそう。コックを捻ると適度に暖かいお湯が降って来た。どこまで至れり尽せりに準備されている舞台なのだろう。
流れるお湯はやさしく身体を癒してくれた。敏感になった肌にはじけるお湯がとても心地よかった。
先ほどは荒々しくもまれた乳を、自分の手でやさしく慰める。無理やり開かれた股間に手を伸ばし、穴の中に指をいれてみる。
軽い痛みを感じたが、お湯で流しながら弄っていると気持ちよくなってきた。
ノエルはそのまましばらくシャワーオナニーを堪能してしまった。
(この手がもしゴンザレスの手だったら……ッ!?)
いつのまにかゴンザレスに愛撫され気持ちよくなっている想像をしてしまっていた。また頭をぶんぶん振って思考をカットする。
「……勝って、トランさんと武具を取り戻して、結婚をとりやめるんですっ!」
パシンッ! 両手で自分の両頬を張り活を入れた。
242ノエルと恥辱の舞台:2008/03/26(水) 00:00:58 ID:4ZEp6+Z3
一方舞台側では、そんなノエルの痴態がマジックミラーを通して丸見えになっていた。
安心して弛緩した顔、鼻歌を歌う様子、全身を流れる水、そしてオナニーの様子などを観客達は堪能していた。
ゴンザレスもノエルがオナニーを始めたのをみて、順調に調教が進んでいることを確信した。

シャワーを出ると、執事さんがバスタオルと着替えを用意していてくれた。
風呂を出たら身体を拭いて、服を着るのは当たり前である。そのまま全く疑問に思わず身体を拭き、着替えの下着をつけたところで気が付いた。
「あれ? これ私のじゃありませんよ?」気づくところがちょっとズレてた。
「ゴンザレス様からの贈り物でございます」
そこまで聞いて、やっと着替えを持ってないことを思い出した。それどころか先ほどまでずっと全裸だったのだ。
「あ、すいませんっ、ありがとうございますっ!」
折角プレゼントしてくれたんだから、ちゃんと着ていこうっ!
着替えが終わる頃、ノエルの頭の中ではゴンザレスはすっかりいい人扱いになっていた。
243名無しさん@ピンキー:2008/03/26(水) 00:04:09 ID:4ZEp6+Z3
以上です。
なんか話があさっての方向にすっとんで行きましたw
リプレイ一巻から読み直しているんですが、ノエルって本当に直前に聞いたことを全て信じ込んじゃうんですよねw

なんとか服を、しかも普通の下着を着せることに成功しました。
とりあえず今回は溜めで、次回は“大食い勝負”で陵辱しまくる予定です。
244名無しさん@ピンキー:2008/03/26(水) 02:34:39 ID:IDGyFZTd
>237
GJである。
つーか槍のイッパイイッパイっぷりが可愛いな。

>243
エロス。ノエルがエロゲーキャラばりに騙されやすいなw

しかしなんだこの投下ラッシュ。暫く静かだったと思ったら。
……魔が繋ぐ絆の続きはまだかのう。
245名無しさん@ピンキー:2008/03/26(水) 22:16:50 ID:zw3OT6oI
告白しよう。

23ページのイラストの文章、「プレッシャー」を
「ザー○ン」と変換して密かにハァハァしました!
246名無しさん@ピンキー:2008/03/27(木) 00:38:37 ID:tK4gsgp+
では本日分投下します。
ちょい長め。
247ノエルと恥辱の舞台:2008/03/27(木) 00:39:40 ID:tK4gsgp+
“大食い勝負”

ノエルに用意された着替えは真っ赤なドレスだった。
胸元から肩まで大きく開いており、薔薇の紋章が見えるようになっていた。
スカートは短めで大きく広がり、正面にスリットがあり、動くと白いパンティがみえてしまいそうだった。
かなり露出が多く扇情的だが、ノエルの可愛らしさと活発さを押し出したデザインだった。
それに少々の露出など、先ほどまでの全裸と比べたらまるで気にならなかった。
服をまとったことで、ようやっと人間社会に戻れた気分になれた。

舞台に出ると観客とゴンザレスが拍手で迎えてくれた。
「やあ、ノエル君。実に似合っているよ。やはり君には紅(ルージュ)が一番合う。」
「ゴンザレスさん、このドレスありがとうございましたっ!」頭を下げ、素直な感謝を述べる。
 「ノエルちゃん可愛い〜!」「こっち向いて〜!」「こっちこっち〜!」
まるでアイドルみたいな扱いだ。ノエルは思わず感動してしまった。
観客達は先ほどのシャワー室での痴態を思い出しニヤニヤ笑ってしていたのだが、ノエルはそれには全く気づかなかった。
「いやいや紳士たるもの、困っている女性に対してこの程度の慈悲は当然。ましてやノエル君は我が未来の妻、ドレスを贈るぐらい当然ですとも。」
未来の妻、という言葉で今の状況を思い出す。そうだ、勝負に勝たねばならないのだ。
「では、勝負再開といきますかな?」
「はいっ!」
248ノエルと恥辱の舞台:2008/03/27(木) 00:39:51 ID:tK4gsgp+
「ここで我が輩から提案がある、ノエル殿はまだ一つの武具も奪還できてない。そこで再び大幅奪還のチャンスを差し上げよう。」
「えっ、ほ、本当ですか!? ありがとうございますっ!」また条件を聞かずに反射的に応えてしまう。
「まあ、話を最後まで聞きなさい。チャンスにはリスクが付き物。そして、こう度々チャンスを与えるにはやはり大きなリスクを負ってもらわねばなりません。」
「……あ、はいっ、そうですねっ! すいませんっ!」黙って説明を聞くことにする。

次の勝負は“大食い勝負”である。食事は全部で10品。残さず食すこと。
一品ごとに制限時間を設け、それぞれにノエルの所持品を賭ける。時間内に食し終わらなければ、所持品は爆破される。

最後の過激なルールにノエルは血の気が引いた。会場のことも考え爆薬の量は調整してあるとは言え、トランの五体まで賭けられるのだ。薔薇の武具は無事だろうが、トランの身体は治らないことも考えられる。実質、命を賭けることになる。
「……あの、トランさんの身体を賭けるのは……」
「なに、命の心配は要らんようだ。先ほどヒールを試してみたらちゃんと効いたそうだ。」
それを聞いて安心した。
「では、やりますっ! やらせてくださいっ!」

「話は最後まで聞きなさい。この条件、受けてもらうにはノエル君にもリスクを負ってもらいます。」
「ッ!」
先ほどのフェラチオを思い出す。今度はなにを言い出すんだろう?
「今度の勝負、ノエル君が負けた場合……貴女の処女を我が輩に捧げてもらいます。」
 「うおおおおおおっ!」観客達が一気に沸きあがった。
「……え、えええええっ!」一瞬なにを言っているのかわからなかった。内容を理解し、赤面して両手で顔を覆った。
「っそ、それはっ!、えっとっ!?」混乱して意味の無い言葉をわめき散らしてしまった。
「落ち着きなさい、ノエル君。ほら、水でも飲んで……」
準備よく差し出された水を飲み干す。
んくっ、んくっ、んくっ、んくっ、ぷぁ〜
「しょ、処女って、その、あの……」やっぱりあまり落ち着かなかった。
「つまり婚前交渉ですな。全て時間内に食べ終われば10品戻ってくるのです。3人いた場合で3回勝つより多い。それぐらいのリスクは当然だと思いますが?」
混乱した頭で必死に考える。そりゃ恥ずかしい目にはあったけど最後の操だけは守り抜いてきたわけで、でもトランさんや武具は回収したくて……
眼がまわりそうになって、頭から湯気が出てきたようだ。
「我が輩としても、この先ノエル君との戦闘では対等の勝負をしたいのです。貴女が武具をまとわず無手で挑んでくるっ、そんな貴女を倒したとてなんの名誉になりましょう?」
(はっ!、この人は本当に私のことを考えてくれたんだっ!)
ノエルは底抜けにお人好しだった。
「や、やります。私、勝って武具を取り戻してみせますっ!」
「……処女を賭けるのですね?」確認するように念押ししてくる。
「……しょ、処女を賭けますっ!」真っ赤になりながら宣言する。
 うおおおおおおおーーーーーっ!! 観客席から轟音が巻き起こった。
249ノエルと恥辱の舞台:2008/03/27(木) 00:40:04 ID:tK4gsgp+
「では、料理を紹介しようっ!」
そういえば勝負の際の条件は色々聞いたが、肝心の勝負内容を確認するのを忘れていた。
そして直にそれが致命的失敗だったと気づいた。
筋肉むきむきの男が10人、手に怪しげなポーションを持って入場してきた。
「ポーション屋台提供、EX強精ポーション・ゴールド! 一本飲めばヨボヨボ爺さんも全速力で走り出すという超☆すぐれものっ!」
「こ、これを全部飲むんですか……?」
なんか体に悪そうだ。
「心配しなくてもいい、それを飲むのは我が輩だけだ。」
「え?」
「ノエル君の食事は、そちらの皆さんの精液だよ」
信じられない言葉が飛び出した。筋肉むきむきの男達を見ると、ポージングを決めながらニカリと笑顔を浮かべられた。
「先ほどの見事なフェラチオの技をまた見せていただきたくてね。」悪びれもせずゴンザレスが言い放つ。
「そ、そんな!?」
あの恥ずかしい行為を10人に行い、しかも精液を飲まねばならない!?
そもそも精液って飲めるものなんだろうか? そういえば先ほども飲めと言われたけど吐き出してしまった。
はめられたんだっ……ていうかやっぱり確認忘れた自分がマヌケだったんだっ!
それでもなんとか抗議してみる。
「お、大食い勝負なのに別々のものを食べるなんて、おかしいですよっ?」
「それでは、ノエル君もこちらのポーションを飲んでみるかね?」
「え? いいんですか?」
意外とアッサリ受け入れてもらえそうだ。
「言っておくが、このポーションは劇物だ。常人なら1本飲むだけで鼻血が止まらなくなる。」
ゴンザレスは神妙な面持ちで注意を促した。
「効果の程をお見せしよう。どれ、観客のオマエ、試しに飲んでみたまえ。」
観客Aが渡されたポーションを飲んでみる。
「し、心臓が……激しくっ、呼吸が……、うおぁっ!」ブバーッ! と、物凄い勢いで鼻血が噴出した。
そのまま大量に血を流しつづけ、ついには倒れて担架で運ばれていった。強精ポーションの効果か、股間が物凄く盛り上がっていた。
「どうかね、ノエル君? あれを10本、試してみるかね? 我が輩も5本以上は未知の領域だ。この勝負で命を落とすやもしれん。」
確かにこんなの10本も飲んだら心臓が破裂しちゃうか、鼻血の出しすぎで死んじゃうかも。
「これを他者の体を通し、稀釈して薄め精液として飲ませてあげようというノエル君への心遣いだったのだが……」
「な、なるほど〜?」あきらかにおかしい理屈だが、心遣いと言われて思わず納得してしまった。
(「……初めてのフェラチオでこれほどとは、天性の才能か。」)
先ほどのゴンザレスの台詞を思い出す。ひょっとしてゴンザレスさんは私の得意分野を選んでくれたんだろうか?
どこまでもズレた思考をするノエルだった。
「……う、うけます。……それでいいです。」納得してもやっぱり恥ずかしい。声が小さくなった。
「精液を飲むのかね?」
「は、はい。皆さんの精液を飲ませてください。」ノエルは顔を真っ赤に染めながら答えた。
 うおおおおおおおーーーーーっ!! 観客席からまたも轟音が巻き起こった。
250ノエルと恥辱の舞台:2008/03/27(木) 00:40:23 ID:tK4gsgp+
会場の周囲にいくつものライトが設置され、等間隔にノエルの武具が設置されている。
時間が経つ毎にライトが順に消えていき、制限時間に達すると武具が爆破されてしまうのだ。
1周するのにかなりの数がある。全部でどれぐらいの時間がかかるのだろうか?
ゴンザレスの条件は全てのポーションを飲み干すこと。時間はそれほどかからないかも。でもこの勝負は早食いじゃない。
ノエルの条件は全ての精液を飲み干すこと。飲み干せれば一応クリア。でも時間がかかってしまうと武具が壊されてしまう。
両者成功でドロー。両者は通常通りに武具を回収。更にノエルは時間制限品も手に入れられる。
両者失敗でもドロー。武具は回収できず、そしてノエルは……処女を捧げなくてはならない。もちろん一人で失敗してもそうだ。

失敗だけは避けたい……っ! それだけは心の底からの本心だった。
いつか素敵な人と恋をして結婚し、初めての夜に初めてを捧げる。ノエルは未だ、恋に恋する乙女なのだ。
流石に白馬の王子様が現われてくれるなんて思うほど子供ではないが、素敵な出会いは期待しているのだ。
あれ? ……そういえばゴンザレスさんって白馬の王子だったような……?
また思考がズレだした。

「準備はいいかね?」
ノエルの回りには全裸のマッチョが数名取り囲んでいた。手には強精ポーションを持っている。
ノエルはフェラチオしやすいように膝を突くと、目の前にチ○ポが位置する。右を見てもチ○ポ、左を見てもチ○ポ。
羞恥と股間から出る臭気と熱気でクラクラしそうになった。
「それでは用意、スタートッ!」
ノエルの前にいるマッチョが強精ポーションを飲む。すぐさま効果が現われたのか、チ○ポが物凄い勢いでそそり立った。
(ゴンザレスさんのより大きくはないけど、ものすごく固いです……)
時間制限があるとはわかっているが、それでも最初は踏ん切りがつかないで躊躇してしまう。
ピッ、ピッ、ピッ、……周囲のランプが次々消えていく。最初の武具まで3分ぐらいしかないようだ。
(いけないっ、急がなきゃっ!)
覚悟を決めて、目をつむってペニスを口の中に入れる。先ほど教わった通りにテクニックを駆使してみる。
……んくっ、んむっ、ちゅっ、んっ……
舌で舐め、手でシゴき、先端にキス。口に含み、舌で包み込むようにする。
マッチョの様子を上目で窺う。
「……もっと喉の奥まで入れてくれ」
先ほど奥まで入れたのはゴンザレスに無理やりやられたのだ。
直にむせ返り吐き出してしまったが、今回はそうもいかない。やるしかないのだっ!
呼吸を整え覚悟を決めて飲み込むようにしてペニスを喉の奥へと進ませる。
少し息が苦しいが、最初に準備したおかげかスムーズに出し入れを続けることが出来た。
1分ほど続けるとマッチョが苦しそうにうめいたかと思うと、ペニスが爆発する感触が伝わってきた。
「……だ、出すぞっ!」口の中で受け止めるべく待ち構える。
びゅるっ、びゅるびゅるびゅる〜っ!!
かなり勢いよく出てきた。口の中に溜めたくはないので、頑張って飲み込んでみる。
臭みがありねばねばしているため喉に流し込みづらいが、ペニスからの勢い自体がかなりあったのが不幸中の幸いだった。
びゅるっ、びゅるっ、びゅるっ、びゅるっ!
マッチョの射精はまだ続いていた。いつまで続くんだろう? と不安になる。
結局射精は1分ほどの長さに渡って続き、マッチョは萎えたペニスを口から離した。
飲み込みきれない精液が口の中いっぱいに溜まってしまった。タイマーはまだ止まっていない。
苦味と臭みがキツイ精液を涙を流しながら我慢して飲み込む。
「口の中をみせたまえ」ゴンザレスが声をかけてきた。
ノエルは口を開き精液がないことを見せると、1つ目の武具が収まったケースが解放された。
ケースの中はよりにもよって『踊り子の衣装』だった。わざわざ観客から回収してきたのだろうか?
251ノエルと恥辱の舞台:2008/03/27(木) 00:40:49 ID:tK4gsgp+
「すげえっ、あっという間にイカせちゃったぜ!」「あのマッチョが早漏なんじゃね?」「フェラテクすげえんだな」
「やっぱノエルちゃんは精液が大好物なんだな」「チ○ポ大好きノエルちゃ〜ん!」「早く下の口で食べるところを見せてくれよ〜!」
観客達の罵声が聞こえるが、気にしている場合じゃない。
引き続き2人目にとりかかる。1人目で1分近くの余裕を稼いだが、今後のことを考えると早いほうがいい。
……んくっ、んむっ、ちゅっ、んっ……
1人目と同じように様子を窺う。
「おいおい、口だけじゃなく胸も使ってくれよ。」
……あっ、そうだ、パイズリもしなきゃ駄目なんだ。でも折角服が着れたのに……
躊躇しているとなんだかペニスから力が失われてきた。
「っ!、ぱ、パイズリしますっ!」慌てて答えると、言葉だけで元気を取り戻した。
幸い服は胸元が大きく開いているし、このままでも……
少し胸元をズリさげ、飛び出た乳房でペニスを挟み込み先端部を口に咥える。
やっぱり無理があったのか胸は丸出しになってしまった。
 「ノエルちゃんのおっぱい久しぶり〜!」「また会えて嬉しいよ〜!」観客達にも見えちゃったようだ。
へ、平常心、平常心……
パイズリを続けていくと、2人目の射精が近づいてきた。慌ててくわえ込むと間一髪、射精が始まった。やはり射精は1分ほども続きそうだ。
少しでも早くならないかとパイズリしながら手前に引き込む。するとペニスが暴れて先端部が口から飛び出してしまった!
ノエルの顔に精液が振りかかった。慌ててペニスを手で支えて咥えなおし、続きを飲みだす。
なんとか射精が終わり、口の中の精液も飲み干すことができた。
「いいのかね? 顔についた分も全て舐め取らないと飲んだことにならないよ?」
いけないっ! 慌てて顔についた精液を手で拭い、舐め取る。全部とれたようだ、2つ目のケースがあいた。
トランさんの右足だっ!
やっとトランの一部とはいえ回収できた。苦労のかいがあったというものだ。
2人目では3分近くかかっている。もっと上手く、相手を満足させなければ……っ!
252ノエルと恥辱の舞台:2008/03/27(木) 00:41:15 ID:tK4gsgp+
3人目は膝立ちになって待ち構えていた。このペニスを咥えるには四つん這いにならなければならなかった。
四つん這いになると両手が使いづらく、咥えるだけでも苦労した。
しかもこのマッチョは上からスカートを捲り上げて尻をたたき出した。
後ろから押されるようにペニスが喉の奥に入った。時間がないのでペニスを咥えたまま上目で懇願する。
「やめひぇくぅりゃひゃい……いひゃいれすぅ……」
するとノエルの頭をガシリと掴み、腰を前後に動かしだした。息が苦しくなり必死で鼻で息をする。
3人目のペニスが喉の奥で爆発した。飲み終わるまでペニスは口から抜かれなかった。
ペニスが抜かれると、喉の奥から精液が逆流し、少し吐き出してしまった。むせ返り激しく呼吸を繰り返す。
この床に落ちた精液……まさかっ……!?
恐る恐るゴンザレスの方を窺う。ニヤニヤ笑っている。壁のタイマーは3つ目のケースに近づいている。
四つん這いになって床の精液を舐める。人とは思えない扱いだった。
「きたねー、よくあんなの舐められるな」「それだけ精液が好きなんだろ」「メス犬ノエルだな」
観客の罵声が心に突き刺さった。惨めすぎて涙が止まらなかった。今日出した涙はこれまでの人生あわせたより多いだろう。
3つ目のケースは『護りの指輪』だった。ノエルの心は護ってくれなかった。
253ノエルと恥辱の舞台:2008/03/27(木) 00:41:27 ID:tK4gsgp+
4人目は寝転んでいた。ペニスだけが天高く上を向いていた。
ノエルの股間がみえるようにまたがれと指示された。いわゆる69の体勢だがノエルは知らなかった。
先ほどよりはペニスを咥えやすいが、案の定相手はノエルの股間を弄りだした。
「おや、パンツが濡れてるな」ノエルに与えられたパンティは品質は良い物を使っているがデザイン自体は普通の品だった。
そのパンティは弄られる前から既に股間部分が濡れていた。
今までの3人を相手にし、精液を飲んだことで昂奮してしまっていたのだ。
ノエルはそれに気づく暇も無いほど集中していたが、あらためて指摘されると意識してしまった。
パンティの上から与えられる刺激に反応し、ペニスへのご奉仕が滞ってしまう。
「ふふふ、いけない娘だ」するりとパンティを下げられる。またも股間が皆の前に曝け出された。
指でマ○コを弄られ、与えられる快感に意識が反られ、フェラチオに集中できない。
なんとかしないとっ! 頑張って喉まで自分で飲み込んでみる。
……ん、はぁんっ、んくっ、はぁんっ、くっ、あんっ……
「おっ、やるじゃないか、ではこうだっ!」
相手もノエルの股間に口をつけてきた。舌から与えられる快楽に軽くイってしまった。
数秒意識がトンでしまった。ノエルはタイマーを確認する。既に4つ目のケースまで1分30秒近くか?
今すぐ射精させなければ間に合わないっ!
ノエルは上半身を大きくはだけ、胸から抱きつくようにパイズリ奉仕を始める。
出してっ、出してっ、精液出してっ!!
必死にしゃぶりつき、しこりあげ、キスの嵐をあびせた。おっぱいに押し付けた時、ついに射精が始まり、慌てて咥えて飲み出す。
長く続いた射精を飲み干すと、胸についた精液を拭い舐め取る。
全て舐め取ったとき、4つ目のケースがあいた。中身はトランの左足だった。タイマーは直前まで達していた。
254ノエルと恥辱の舞台:2008/03/27(木) 00:41:36 ID:tK4gsgp+
5人目は仁王立ちになっていた。ペニスは今までの人より元気がなかった。
4人目から間髪いれずに奉仕せねばならず、ノエルは焦っていた。
ペニスにむしゃぶりつくと必死に首を前後する。1分近く頑張ってみたが射精する気配はまるでなかった。
「おっと、すまんすまん、こいつを飲むのを忘れていた。」
強精ポーションを飲んでいなかったんだっ!?
ポーションを飲まない相手を3分でイかせるのは、いくらノエルが頑張ろうとも無理があった。
5人目の男がポーションを飲むと、先ほどとは打って変わってペニスが激しく勃起した。
……こ、これなら。
再びむしゃぶりつくノエル、だが男はふいにノエルを突き飛ばした。
体勢を崩し、仰向けに倒れるノエル。男は自らの男根をシゴき、ノエルに向けた。
「イクぞっ!」ノエルめがけて射精が始まった。
ノエルの上半身は既にはだけており、腰のまわりにスカートがまとわりついているだけである。
パンティは膝まで下ろされ片足にひっかかっている。
そんなノエルの全身にくまなく射精がひっかけられた。顔、髪の毛、胸、腹の上、股間にフトモモ、そして赤いスカートにも白い液体が振り掛けられた。
起き上がりペニスを口に咥えようとしたが再び転がされた。やがて射精が終わった。
ノエルは慌てて自分の身体から精液をかき集め舐め始めた。スカートはふわふわしており舐め辛かったので結局脱いでしまった。
一通り舐め終わり、床に落ちた部分に口をつけようとした時、背後から小さな爆発音が聞こえた。
5つ目のケースから、壊れたバックラーが見えた。
255名無しさん@ピンキー:2008/03/27(木) 00:43:13 ID:tK4gsgp+
本日は以上です。
残りの5人と処女喪失を早く書きたいなぁ

>>ノエルが馬鹿すぎる
こ、これでも本編と同じぐらいだと思いますっ!w
256蓮×くれはリターン!予告:2008/03/27(木) 12:42:26 ID:UFm7GdPr
お久しぶりの投下予告です。
新作構想完了、執筆開始しましたので一応(2ヶ月ぶりくらいでしょうか)。
今回、PS2版をプレイして色々妄想がわいてきてしまったので。
ゲームしてない人にはごめんなさい。
一応、チハヤとくれは、欲張ってベル様やリオンの濡れ場まで書けたらいいな、と思ってます。
相変わらず、仕事の合間の執筆&携帯投下なので、細切れ&タイムラグ多いですが、ご容赦を。
完結までは気長にお待ちいただければ、と思います。
257名無しさん@ピンキー:2008/03/27(木) 16:09:10 ID:NcCkROzs
投下ラッシュなのは良いことだし嬉しいんだが、
前に投げた人のにレスがつくのを待ってからでもバチは当たらないんじゃないか。
まとめて投げるとか。
258256:2008/03/27(木) 17:26:22 ID:UFm7GdPr
・・・確かに先走ってしまったかも知れません。軽率でした。
しばらく間隔を置いて、控えるようにします。
他の職人の皆様、お気を悪くされたら申し訳ありませんでした・・・。
259名無しさん@ピンキー:2008/03/27(木) 18:08:09 ID:6wUmhJPe
まあまあ硬いこといいなさんな。
鉄は熱いうちに打て、ナニは硬いうちに抜けと(略
260名無しさん@ピンキー:2008/03/27(木) 18:08:31 ID:DFVpaYsX
>>258
いやいや、前回の投下から12時間たってんだし大丈夫だってww
261名無しさん@ピンキー:2008/03/27(木) 18:57:24 ID:kxW6gaWo
いくら今が過疎っているとは言っても
12時間以上も空いていたら十分だとは思うぞ。

個人的に名無しによる多数プレイは苦手だから>>256さんの楽しみにしてる。
262名無しさん@ピンキー:2008/03/27(木) 21:13:31 ID:DVabe4w6
>>257は気にするなー。
263名無しさん@ピンキー:2008/03/27(木) 22:52:04 ID:uMTQ7wF3
まあとは言え、コメントが付く前に新しいのが出ると埋もれちゃうてのは有るからな。
読者である俺達も、埋もれさせずにちゃんと個別に感想レスをつける努力をすれば良い。


と、まだ読んでない俺が偉そうに言ってみる。
264名無しさん@ピンキー:2008/03/28(金) 00:46:17 ID:J1OlLghR
えー、自分としてはコメントつくと嬉しいですが、
ひとりで書いてると占領している気になってしまい気が引けるんで、
他の皆さんもどんどん書いていただけるとありがたいかと。

というわけで続きです。6〜10人目の精飲……だったはずなんですが、
なんか書いてたらどんどん変な方向に進んでしまいました。
多分今回はエロとしては使い物にならないかと……
265ノエルと恥辱の舞台:2008/03/28(金) 00:46:38 ID:J1OlLghR
時間に間に合わなかった……
壊れたのが買いなおしたばかりのバックラーだったのは惜しいが、取り返しのつかない物でなくてよかった。
しばらく呆然としてしまったが、慌てて床に落ちた精液を舐めるのを再開する。勝負はまだ続いているのだ。遅れを取り戻さなければ。
急いで6人目をくわえ込む。先ほどの相手は妨害をしかけてきた、もっと積極的に、もっと扇情的にならなければっ……!
幸いこの人は普通にポーションを飲んでいてくれたようだ。ペニスはギンギンに固くなっている。
「自分で自分を慰めるんだ。」横を指しながら言われた。見ると大きな鏡が置いてあった。
いやらしい姿で男を慰める自分が映っていた。
赤く上気した全身に精液を浴びた後が残っており、裸で男の逞しいペニスにむしゃぶりついている。
始めたときに着ていたドレスは、フトモモまでの赤いストッキングと、片膝に脱がされたパンティ、腰に残骸が残っているのみであった。
両手は胸に当てられ、揉みながら相手に押し付けている。片足立ちになり開いた股間からは汁がたれ流れ床に糸を引いていた。
(いやらしいっ、私ってこんなにいやらしかったんだっ……!)
片手を股間に伸ばし穴に指を入れる。先ほどシャワー室でのオナニーを思い出す。
鏡に映った自分を慰める姿を横目にみながら、男への奉仕を続ける。気がそれたのか男が射精するタイミングに気づかなかった。
またも顔と体に精液が大量に降りかかったが、今度は意地悪するつもりがないのか、それほど飛び散っていない。
むしろノエルをデコレートするかの様に、鼻の頭や胸の上に乗るようにかけられている。
鏡に映った精液で飾り立てられた自分は、男を喜ばせるために精液と一体化しているようだ。
精液を指ですくって、ペロリと舐めてみる。
 おおおおおおーーーーーっ!!!
観客達のざわめく声が聞こえた。
(いやらしいっ、今の私、とてもいやらしいですよっ……!)
いやらしい自分が少し誇らしく思えてきてしまった。そのままペロリペロリと舐め取る。苦いはずの精液がとても美味しく思えてきた。
ビンビンに起った乳首の先端に精液が残っている。
(ひょっとして出来るかも……?)
おっぱいを下から持ち上げ、先端に口を伸ばす。試したことはないが、届くかも……?
……ちゅっ! ぺろり
(やったっ! やりましたっ! 届きましたっ!)
自分のおっぱいは結構大きかった! 誇らしかった!
観客達も歓声を上げている。ノエルは満面の笑みを浮かべていた。
直後、6つ目のケースが爆発したのが見えた。のんびり舐めてる場合じゃなかった。
ノエルは自らの間抜けさに本日何度目かの反省をした。
266ノエルと恥辱の舞台:2008/03/28(金) 00:47:16 ID:J1OlLghR
中身は『闘志のバンダナ』だったようだ。また着るものが壊されてしまった。しかも今回は自分のミスだ。
落ち込んで座り込みたいところだが、そんな時間の余裕はなかった。
7人目に取り掛かる。ふと、8人目がポーションを飲んで準備しているのが横目に気が付いた。
(そうだっ! 二人同時にやっちゃえっ!)
7人目の男をくわえ込みながら、8人目のペニスに手を伸ばす。
にぎっ!
「おおぅっ!」意表を突かれたのか、情けない声を出した。
「……れろっ、んくっ、あ、あなたのせ、精液も、くちゅっ、くらひゃいっ……!」
ゴンザレスは無言でうなずいている。問題ないようだ。
 「二人同時に相手する気だぜっ」「本当にち○ぽ大好きなんだな」「俺のも吸ってくれーっ!」
観客達の罵声が、今はなぜか自分を後押しする声援に聞こえる。
もっといやらしくっ、もっとペニスを舐めたいっ、もっと精液が欲しいっ!
両手にペニスを握り、左右交互に口をつけ舐めあげる。二人のペニスをおっぱいに押し付け埋めてみる。
硬くて熱い肉棒がうずまる感触が気持ちよかった。ノエルの股間からは愛液がとめどなく流れていた。
男達はノエルの予想以上の激変振りに若干戸惑ってしまっていた。
目の前の少女は扇情的かつテクニシャンであり、させるがままになってしまった。
7人目のペニスが喉の奥まで飲み込まれたところで果てた。ノエルはごくごくと精液を飲みだした。
その間も8人目のペニスはしごいており、やがて精液を飲みつづけるノエルめがけて勢いよく射精を開始した。
7人目の射精が続いているにも関わらず、ノエルは口を離してもう片方の精液に舌を伸ばす。
左右から顔めがけて飛んでくる精液を、ノエルは美味しそうに味わった。
顔についた精液は混じりあい、どちらのものか区別がつかなかったが、ノエルは細かな味の違いを楽しむかのごとくゆっくりと舐め取っていた。
267ノエルと恥辱の舞台:2008/03/28(金) 00:47:33 ID:J1OlLghR
7つ目のケースは爆破され、8つ目のケースは無事開いた。中身は壊れたフェザーアーマーとトランの右腕だった。
トランの一部を目にすると、ようやっと使命を思い出したのか、トロンとたれていた目に光が戻った。
(そうだっ、トランさんを救わなければっ!)
なんで自分はこんなにいやらしくなっちゃったんだろう……?
なんでこんなにいやらしいことって気持ちいいんだろう……?
疑問が頭の中で渦を巻くが、時間のアドバンテージは取り戻したのを思い出した。落ち着こう。
ふと気になってゴンザレスの様子を見る。あの死んじゃいそうなポーションをどれだけ飲めたんだろうか?

ゴンザレスの前には8本の空ポーションが置いてあった。ノエルに合わせて飲んでいるようだ。
ゴンザレスの肉体は全体がパンプアップしており、股間の盛り上がりはズボンの上からでも異常に思えた。
あれを本当に全部飲んだのだろうかっ? 信じられない事実に目をむいた。
ノエルが見ているのに気づくと、ゴンザレスは懐から別のポーションを取り出し飲みだした。
充血して額に浮いた血管が薄く引いていった。
「中和剤だよ。完全ではないがね。君の相手をするために精力は残るように調整されている。」
不敵な笑みを浮かべながら言い放った。アイテムが使い放題なルールだから文句は言えなかった……
「だが、我が輩もこれでなかなかツライものなのだよ? なにしろ分量が多い。飲むだけで精一杯だよ。」
確かにそれは言える。強精ポーションは小瓶だが、中和剤は牛乳瓶ぐらいの大きさだ。
「……ノエル君は美味しそうに飲んでいたようだが、そろそろキツイんじゃないかね?」
……うっ!
指摘されるとずーんと胃が重くなった。なにしろ男達の出す精液は信じられないぐらい量が多い。
強精ポーションのせいか、一人で牛乳瓶一本分ぐらい出してるんじゃないだろうか?
しかも粘性が高いそれを既に8本分飲んでいるのである。おなかの中はすでにタプタプになっていた。
口の中には苦味が残り、鼻の奥から臭気が漂ってくるのを感じる。
一度意識してしまうと不快感が蘇ってきた。喉の奥から吐き気がこみ上げ、ノエルは両手で口を押さえつけた。
(「……大食い勝負は自分のペースを守るのが鉄則だ。」)
ふいにエイプリルの言葉を思い出した。エイプリルは、ああ見えてパーティ1の大喰らいである。
美人の秘訣は大喰らいですか? と聞いてみた事があり、自分でも試してみたことがあった。
エイプリルは表情を変えずに否定したが、何故か大食いについては懇切丁寧に教えてくれた。
曰く、美味しく食べるべし。曰く、料理人に敬意をはらうべし。曰く、邪道食い禁止。
そして、自分のペースを守ることを強調していた。
適当に詰め込むだけだと、あっという間に体が危険信号を出して食う気がなくなってしまうそうだ。
先ほどまでの自分の食し(?)方を思い返す……いろんな意味で無茶苦茶だった。

一度体が拒絶反応を出してしまうと、頭で飲まねばと考えていても体が動かなかった。
(飲まなきゃトランさんが助からないんだっ、それにあの約束がっ……!)
気力を振り絞り9人目の前に立つ。目の前に天高くそびえたつペニスは、これまで見たどれよりも大きかった。
見上げるとツノの生えた頭があった。男はドゥアンだった。
268ノエルと恥辱の舞台:2008/03/28(金) 00:47:56 ID:J1OlLghR
立っているノエルの目の前にドゥアンのペニスがあった。それは太さ、長さ共にノエルのふくらはぎぐらいありそうだった。
しかもその生え際にぶらさがっている玉袋もノエルの頭ぐらいの大きさがあり、ポーションの効果か大きく張っていた。
(こ、これからどれぐらいの量が出るんでしょうかっ……!?)
ふと思いつき、捕らわれのシルヴァの方を見る。ノエルの痴態を見て昂奮しているのか顔が赤い。
「……なんであたしの方を見るのよ?」
「クリスさんに、シルヴァさんにはドゥアンの彼氏がいるって聞いたもので……」
「…………はぁ〜」ため息をつかれた。アドバイスとかもらえると思ったのに呆れられてしまったようだ……

馬鹿なやりとりをやっている間にも時間は過ぎていく。先ほど稼いだアドバンテージも減っており、事態は切迫していた。
とりあえず今まで通りやってみる。口には咥えられないほど太いので、舐めたりキスをしたり、胸を押し付けて体中でしごきあげたり、ぶらさがったりしてみた。
割と性感自体は普通らしく、ほどなく射精が始まった。
口をあけて待ち構えていたが、射精が喉にあたった勢いだけでふきとび、後ろに転んでしまった。
そのまま体に振りかかる精液の量は、酒瓶一本分ぐらいあったのだろう。
ノエルの上半身前面は隙間無く白濁液で埋め尽くされた。
(……クリームいっぱいのケーキみたいだ。)
絶望的な量から現実逃避する思考。しかもその思考で胸焼けしそうになってしまった。
(飲まなきゃ……)
粘性が高いのか、あまり飛び散った様子はない。両手で掬い上げて口につけてみる。
(……うっ!)
もう、吐き気とかどうでもよくなっていた。ただ単にこの量は無理に思えた。
タイマーは刻一刻と減っている。今から飲んだとしても9個目のケースは間に合わないだろう。
(トランさん、ごめんなさいっ……!)
ヒールが効くと聞いてはいたが、そのそもバラバラなのが治るのかも怪しいところだ。
時間制限での救出はあきらめ、最低でもこの勝負自体に負けないことを目指すしかなかった。
269ノエルと恥辱の舞台:2008/03/28(金) 00:48:06 ID:J1OlLghR
……ずぞっ、ずぞっ、ずぞぞぞっ……
ゆっくりと確実に精液を飲み続ける。おなかから逆流しそうな精液を気力で我慢しながら精液を飲み続ける。
既に9個目のケースは爆発していた。中身はアガートラームだった。
アガートラーム自体は傷一つついてなかったが、それが付いているトランの左腕は黒焦げだった。
9人目から出された精液をやっと飲み干した。床にたれた分も舐めて飲んだ。
口を押さえて、最後の一人を見る。

……そこに立っていたのはキノコにしか見えなかった。無駄にムキムキとしていてポージングを決めていた。
ノエルの思考は止まった。ギギギギギッ、と首を曲げ、ゴンザレスの方を見る。
「彼はマッスルームのタナカさんだそうだ。人間の女性に性欲を感じる性質で、仲間から変態扱いされているそうだ。」
タナカさんはポージングを決めながらニカリと笑った。
効くのかわからないがポーションを飲むとノエルの方に歩み寄ってきた。
頭のキノコの方になにやら血管みたいなのが浮かびあがっている。
タナカさんはノエルに抱きつくと、胸にキノコを押し付けてきた。
そこが性感帯なのだろうか? 放心しながら反射的に胸でキノコ?頭?をすりあげる。
キノコの頭から噴火するように白濁液が飛び出した。
ノエルは白い泡を吹きながら気絶した……
270名無しさん@ピンキー:2008/03/28(金) 00:49:06 ID:J1OlLghR
以上です。

  _, ._
( ゚ Д゚) ……なにこれぇ?
自分で書いてて途中から精液三昧で気持ち悪かったw
ぶっかけしたかっただけなのになんでこんなことに……?
やっぱりミート君ネタがやりたいばかりに時間制限つけたのが失敗だったか。

えー、次回はノエルの処女喪失ショーです。多分まともなエロになると思います。
271名無しさん@ピンキー:2008/03/28(金) 01:03:00 ID:V9kAQtWw
いわゆるアレか
「うげっ、ゲップが精液臭いよぉ……胃の中全部ザーメンだし……」

……素敵やん?
272名無しさん@ピンキー:2008/03/28(金) 06:42:41 ID:J1OlLghR
>>271
そういう感じにしたかったんだけど、なんかノエルの飲んでる量とかファンタジーになっちゃって……
いやファンタジーだしファンタジーな謎アイテム使ってるからなんですけどねw
やりすぎると逆に萎えって感じで。
273名無しさん@ピンキー:2008/03/28(金) 19:47:45 ID:A37ewwu3
エロいんだけど途中で笑えてしまうw
ギャグ減らしたら?
274名無しさん@ピンキー:2008/03/28(金) 21:45:28 ID:j+G+v9sx
>>185
……あれ? 俺がいる。
あの尻(と太股)と下乳は良いものだよな、俺。

【超☆遅レス】
275名無しさん@ピンキー:2008/03/29(土) 00:43:10 ID:IHi35qAh
>>274
その俺は、その後妄想爆発させてSS書いてるんだぜ?
【遅レスに反応】

というわけで、続き。疲れているので短めです。
後日修正するかも。
276ノエルと恥辱の舞台:2008/03/29(土) 00:43:26 ID:IHi35qAh
“処女喪失”

やわらかいものが肌をなでる感触がする。温かい水の流れが全身をマッサージしている。
苦しかったおなかもスッキリしてきた。スルスルと布が擦れる音がして、体が横たえられたのがわかった。
「……ノエル君、そろそろ起きたまえ。」
「……っは、はいっ!」誰の声に慌てて体を起こす。なんかさっきも同じことしたような……
目覚めると、目の前にゴンザレスが居た。背後には観客の皆さん。
……勝負のことを思い出してしまった。
最後の記憶は何故かキノコ。あとは白濁まみれになった自分を断片的に思い出すだけだった。
(……そっか、失敗しちゃったんだ。)
トランの片腕が黒焦げになったのは覚えている。最後のケースがどうなったか覚えていないということは、それ以前に気絶してしまったのだろう。
つまり、あの約束を果たさねばならないということだった……

キョロキョロと周囲を確認すると、弾力があるベッドの上に寝かされていたことがわかる。
自分の体を見ると……真っ白なドレスを着ていた。レースがふんだんに使われており、高級品だということがわかる。
デザインは先ほどの赤いドレスに似て、やはりミニだった。しかもレースや薄手の素材が多いため、下着や肌が透けてみえていた。
手には長手袋、頭にはティアラが載せられ、小さめのベールが垂れていた。
横に先ほどの鏡が置いてある。顔にはうっすら化粧がしてあり唇には紅が引かれていた。
(……これって、もしかして、)
「……ウェディングドレス?」
「気に入っていただけたかね?」
ゴンザレスも白いタキシードを着ている。まだ薬の効果が効いてるのか、内側からやぶれそうなほどパンパンだ。
「……まだ結婚するって決まったわけじゃないですっ!」
そうだ、さっきから負け続きだけど、結婚を決める勝負には関係ないはずだ。
「わかっているとも、これはノエル君の記念すべき時を祝うための、ささやかなプレゼントだよ。」
記念すべき日……、なにが言いたいのかわかった。
「……も、もう騙されませんっ! 何度も何度も、そうやってやさしい言葉で納得させようとしても無駄ですっ!」
そうだ、この人には何度も、本当に何度も騙されてきた。
「おやおや、せっかくやさしく楽しく、処女喪失を美しい思い出にしてあげようと思ったものを……」
もう悪意を隠そうとしなくなった。意地が悪い口調に変わってネチネチとしゃべりだす。
「では騙されないのはいいとして、約束は果たしてもらわなければねぇ……」
ベルトを外し、ズボンが落ちた。中から先ほども見た巨根が出現する。
「さあ、ノエル君が身も心も大人になる時間だよ?」
ノエルはベッドの上を思わず後ずさった。
277ノエルと恥辱の舞台:2008/03/29(土) 00:43:44 ID:IHi35qAh
「ふふふ、怖いのかね?」ゴンザレスが覆い被さってくる。
嫌だっ! 逃げたいっ!
でも恐怖からか、身体が硬直して身動きがとれない。ぎゅっ、と自分の体をかかえて小さくなる。
「ふんっ、だからやさしく騙されていればよかったものを……。幸せな気分で処女喪失を喜べたというのに。」
まるで騙されなかったことが悪いかのように言い放った。
負けちゃ駄目だ、ノエルっ! 自分を奮い立たせ、ゴンザレスをにらめつける。
「……あ、あなたの思うようになんかいきませんっ! しょ、処女は奪われたとしても、心までは奪われないですっ!」
ノエルの反撃を聞いたゴンザレスはまるで気にした様子がなかった。
「勘違いしてもらっては困る。処女は奪うのではない、捧げてもらうのが約束だ。」
(えっ?)
ゴンザレスは体を起こすと、観客席の方へ頭を向けてあお向けに寝転がった。
ペニスが天に向けてそそり立っている。
「君が自分から処女を捧げるんだ。自らの意思で、自分の処女膜を我が輩の逸物で貫くのだ。」
この人はどこまで酷いことを考え付くんだろう。にらめつける目から涙が零れ落ちるのがわかった。

横たわる男の体、左右に脚をまたいで広げて立つ。このままとどめを刺したくなる。
「両方濡らしておかんと入らんし、痛い思いをするぞ。」
また舐めろということだろうか? それで出して終わりにすればいいのに……納得しないだろうな。
諦めてゴンザレスの膝の上に座り込み、奉仕を始める。
悲しいことにもう慣れてしまっていた。それどころか、自分の体が昂奮してきたのがわかる。
……んむっ、ちゅっ、ぁン、んむっ、ぺちゃっ……
「おぅっ、やはりノエル君のテクニックは素晴らしい。強情張らずに楽しめばいいものを。」
やさしい言葉で誘惑してくる。も、もう騙されないんだからっ!
「ではオナニーしてもらおうかな? 先ほどのシャワー室でのようにな。」
嘲笑しながら言われた。なんでシャワー室でのことをっ!?
覗いていた? どこまで知ってるんだろう? 自分で慰めていたことを知ってるんだ。
私がいやらしい娘だって、会場の皆は知ってるんだっ!
スカートは前にスリットがあって、脚を開くとパンティが丸見えだった。
しかもそのパンティ自体が左右に開き股間が見えるというエロ下着だった。
割れ目から手をさし込み、自分で慰める。割れ目を開き、穴に指をつっこみ、濡れた指でクリちゃんを剥いて、やさしくつまむ。
あっという間に手が愛液まみれになる。左右に開いたパンティも股間部が開いた意味もないぐらい濡れてしまった。
「オナニーもフェラチオも慣れたものだな、これだけの短期間でこの成果とは、ノエル君は天才淫乱娘だな。」
くやしいっ! だが、罵倒の言葉が自分の背徳感を刺激し、マゾヒスティックな快感を引き出す。
度重なる羞恥プレイで、ノエルは罵りの言葉を聞くと感じてしまう身体になってしまっていた。
(……あたし、変態さんなんだっ……)
気づきたくない事実に気づいてしまい、また心が打ちのめされた。
その刺激がまた快感を生んだ。
278ノエルと恥辱の舞台:2008/03/29(土) 00:43:55 ID:IHi35qAh
「ノエル君も準備がいいようだね。」股間を覗き込みながらゴンザレスが言う。
「では、処女を捧げたまえ。ゆっくり腰をおろすんだ。」
「……はい」
自分から股間を下ろし、割れ目をゴンザレスの巨大なものの先端につける。
敏感な秘肉に他人の熱が伝わり、それだけでまた感じてしまった。
すりながら穴に誘導する。意を決して腰を落としてみるが、なかなか穴に入らない。
何度か挑戦する、そのたびに快感が走る。……入った!
見下ろすと、先端部が自分の穴を押し広げて入っていこうとするのが見えた。
みしみしと、股間の肉が広がっていく感覚が伝わってくる。よく濡れて、肉がほぐされているからか、痛みはあまり感じない。
やがてカリの部分がすっぽりと入り込んだ。
痛みは感じないが、身体が押し広げられる息苦しさを感じる。
「……んっ、あっ、はぁ、……」そのままの姿勢でしばらく息を整える。
「さあ、いよいよ処女喪失だよ?」ゴンザレスが逃がすまいとするかのように脚を掴んだ。
に、逃げないっ、負けないんだからっ!
いっせーの、せっ!
目をつむって、膝の力を抜き、腰を落とす。ただそれだけで、自分が今まで大事に守ってきたものは無くなってしまった。
「……くはっ!」ペニスが子宮を突く痛みに叫びそうになる。
膜をやぶった感触は一瞬で、痛みはズキズキとしみるように続いている。
恐る恐る目を開けてみると、股間にゴンザレスのペニスが半分ぐらい埋まっていた。
割れ目からダラダラと垂れ流れる愛液に混ざって、赤いものが見えた。
(ああ、処女失っちゃったんだ……)
先ほどから幾度も涙は流れていたが、今流れる涙は他と意味が違っていた。
279名無しさん@ピンキー:2008/03/29(土) 00:45:07 ID:IHi35qAh
以上です。
気を抜くとギャグが入りそうになってしまいますw
頑張ってノエルが騙されないようにしてみました。
いつまでシリアスが続けられるだろう……?
280名無しさん@ピンキー:2008/03/29(土) 09:31:26 ID:pFsAD1se
たった今、
“ノエル×エイジ×アム”という……(タターン)
281名無しさん@ピンキー:2008/03/29(土) 13:02:20 ID:IrLoGdLb
>手をそろそろとずらす。乳首を指二本だけで隠しているが、ピンクの乳輪は既に顔を見せている。
>思ったとおり外気が心地よいが、周囲の熱気は更に高まっている。指の先に振れる乳首は固くビンビンしていた。
>指で押してみる。指と乳首が乳房にめり込む。結構おおきいよね? と自分を褒めてみる。
> おおおおおおおおっ!! 立ってるぞ! キレイだー! けっこうデカイぞ!
 
大きいって、乳輪? 乳首? と思ってしまった私を許して欲しい。
282名無しさん@ピンキー:2008/03/29(土) 22:09:56 ID:yqP1Axgw
いいねー、いいよー、うんすごくいいよー、うんいい、いいねー、その感じだよー、
思わず勃起しちゃうなー、おっ、いい感じだよー、そのままそのままー、はいOKー。

GJ
283蓮×くれはリターン!:2008/03/31(月) 17:48:45 ID:i1gLtgJl
退屈な日常のスパイスなんて、自分がウィザードやってると、
少ないに越したことはない、っていうのがホントの本音。
いつも通りの学校、いつも通りの部活、いつも通りのアイツとのじゃれ合い、だけど時々、世界の危機。
アイツと付き合ってると、望んでもいないのにトラブルの種がやってきて、
最近のあたしは必要以上に心を掻き乱されているような気がする。
とある事件を経て、すっかり明るくなった眼鏡の少女が、
あたしのすぐ隣で遥か上空に向けて手を振りながら大声で叫ぶ。

「柊せんぱ〜い!
今度デートして下さいね〜!」

・・・新しい日常のスパイスは、いつもよりピリッと辛いようだった・・・。

「先輩の卒業をお祝いして、不肖、私望月チハヤがイベントを企画しました。
題して、臨海公園クリーン作戦リベンジ、です」
アンゼロット宮殿から命からがら舞い戻ってきたひーらぎを迎えて、
いつもの流れでエリスちゃんのマンションに集合したあたしたち。
今日は馴染みの面々に加えて新しいメンバーが加わっている。
彼女の名前は望月チハヤちゃん。
かつてその身にエミュレイター『否定するもの』を宿した勇者だったが、
彼女自身の強い意志でエミュレイターの呪縛から逃れ、
それを撃退するのにあたしたちが手を貸したっていう間柄。
事件の渦中にあった頃に比べると、ホント、彼女明るくなった。
以前は、何かに追い立てられるような、切羽詰まった感じがあった。
表情にも影があって、他人を知らず知らず遠ざけてる感じ。
でも、そんなこと気にも止めないあたしやひーらぎに関わっちゃったのが運のツキ(?)。
紆余曲折あって、いまではめでたくあたしたちの仲間入りを果たしたのである。
「なにがリベンジなんだ、なにが」
エリスちゃんの煎れてくれた紅茶を、音を立てて飲みながら、
ひーらぎが持ち前のツッコミ精神を発揮して憮然と言った。
両手をポン、と胸の前で合わせ、
「言葉どおりの意味です。卒業するエコボラ部員を部長直々に送る、送別ゴミ拾いです」
と、チハヤちゃん。
「・・・という口実で、柊先輩を公園デートにお誘いしてるんです」
あたしとひーらぎが、同時にむせて紅茶を吹いた。
「きゃっ!くれはさん、大丈夫ですか!?」
「柊蓮司・・・汚い」
エリスちゃんに心配をかけるあたしと、あかりんにツッコミを入れられるひーらぎ。
咳き込みながらちょっと涙目のひーらぎが、
「デートって、チハヤ、オマエなぁ」
と、ジト目でチハヤちゃんを見ながら、
「からかうんじゃねーよ」
と釘を刺す。
その時、チハヤちゃんの瞳が悲しそうに揺れたような気がしたのはあたしだけだろうか・・・?
284蓮×くれはリターン!:2008/03/31(月) 17:57:10 ID:i1gLtgJl
「チハヤさん、ズルイですよぉ〜」
エリスちゃんの笑いを含んだたしなめと、
「柊蓮司・・・もてる男」
あかりんの冗談か本気か判りづらい揶揄の呟き。
刹那の悲しみの表情は錯覚だったのか、と思えるほど明るく、
「ハイ、もちろん冗談です」
チハヤちゃんがニコッと笑う。
眼鏡の奥のちょっと切れ長の瞳は、笑うとすごく柔らかで、
普段は年齢より大人びて見える落ち着いた風貌が、年相応に無邪気にほころぶ。
あたしは、思わずドキリとする。
精神的に俯き加減だった彼女が戦いを経て、
仲間を得て、自分の足で歩く決意をした時、
今まで隠れていた彼女の魅力が露になったようだった。
そういえば、ひーらぎがエコボラ部のポスターのために撮ったチハヤちゃんの写真、
すごく奇麗に写ってたっけ・・・。
「おーおー、チハヤも言うようになったよなー。誰かさんの影響じゃなきゃいいけどなー」
ニヤニヤ笑いながら、ひーらぎがあたしを見る。
い、いけないいけない。
なんだかあたし一人で暗くなっちゃってるよ。平常心、平常心。
普段と変わらないあたしでいなきゃね。
・・・よーし。
とりあえず、精一杯どすの利いた声で、
「ひーらぎ、ばらすよ」。
・・・ふと我に返る。
(はわー!?普段のあたし、こう!?
ひーらぎ脅しつけるのがいつものあたし!?)
気付いて、自己嫌悪。
「ま、待て、早まるなくれは、冗談だ!いや冗談です!!」
歴戦の魔剣使いとは思えないほど青ざめて、
ひーらぎが土下座しそうな勢いで頭を下げると、リビングにさざ波のように笑いが拡がる。
あたしの内心の煩悶などみんなが気付くはずもない。
温かいみんなの笑顔に見守られながらも、時にはあたしだって落ち込むことがある。
それは、ひーらぎの周りを取り巻く女の子たちが、みんな魅力的だからかもしれない。
アンゼロットは見た目こそ幼い(実年はともかく)が、
目を見張るほどとびっきりの美少女だ。
ひーらぎへの言動こそ滅茶苦茶だが、それを補って余りある可憐な美貌。
エリスちゃんだって、同性のあたしから見ても素敵な女の子だと思う。
料理が得意っていうのもポイント高いし、なにより素直で頑張り屋さんで、
あー、男の子ってこういう女の子が好きなんだろうなー、
って思えるようなイイ娘なんだよね。
あかりんも、無口で少しとっつきにくい印象はあるかもだけど、
付き合ってみれば茶目っ気もあるし、なんといってもカッコいい。
女の子にカッコいいって、誉めてない気もするけど、
事実、そこらの男の子よりもキリッとしてて、そのくせ、
彼氏のために料理を作って上げようとする、健気な可愛らしさも持ち合わせてる。
よく判らないけど、そういうギャップってグラッとくるものじゃない?
そして、チハヤちゃん。
今までいなかったタイプの女の子。真面目な委員長風だけど、最近は軽い冗談も飛ばせるほどくだけてきて、すっかり溶け込んでる。
大人っぽい感じの凛とした美人タイプだ。
・・・と、まあ、あたしの知るひーらぎの周りの女の子たちは、かくも可愛くて美人で魅力的なのである。
だからあたしは、時々思う。
ひーらぎがあたしを選んでくれた理由ってなんだろう?って。
一番身近な幼なじみだから、ってだけの理由なんじゃないかな?って、そんなことを考えちゃう。
他の娘と自分を比べるなんて今までしたことなかったのに。
これじゃ、まるであたしがすごくヤな女の子みたいだよ。
言っとくけど、これ全部ひーらぎの所為だからね・・・?
285蓮×くれはリターン!:2008/03/31(月) 18:06:00 ID:i1gLtgJl
「先輩の秘密は後ほどゆっくりとうかがうとして」
「待て待て!」
再び起こる笑い声。
「みなさんをお誘いして、臨海公園に遊びにいこうと思って。
それなら許してもらえますよね?」
チハヤちゃんが悪戯っぽく笑う。
「わぁ、それじゃたくさんお弁当用意しないといけませんね」
「・・・私も・・・腕によりを・・・かける」
「あ、灯、オマエがか・・・?」
「・・・なにも、問題ない・・・」
いつもの風景、いつものみんな。
あたしは、顔では笑いながらも、思いついてしまった疑問の黒い雲を、振り払うことができなかったのだ。
(ひーらぎ・・・どうして・・・あたしだったんだろう・・・?) 

(続)
286名無しさん@ピンキー:2008/03/31(月) 22:46:14 ID:H1/caMeD
GJ!! 続き待ってます
287名無しさん@ピンキー:2008/03/31(月) 23:16:10 ID:hSQkOkOe
GJだッ! 出だしの掴みが上手いなー。
姫始めとか初体験書いた人でよろし?
288名無しさん@ピンキー:2008/04/01(火) 04:27:48 ID:uDu3wtjQ
純愛キターー!!!
GJなのですよ。

このシリーズの2人は心理描写もされていて読んでいてニヤけてしまいます。
289283:2008/04/01(火) 07:34:34 ID:sgjEizYw
さっそくのご感想有難うございます。
久しぶりの投下で実はちょっと緊張してたりして。
あ、ところで、287さま。
ですです、はい。
お察しの通りです。
前回同様、しばらくお付き合いの程を。
でもって、幕間ストーリーの投下です。
今回こんな感じで場面や視点がコロコロ変わるので読みにくいかもですが、ご容赦ください。
290蓮×くれはリターン!・マスターシーン:2008/04/01(火) 07:55:17 ID:sgjEizYw
美しき蠅の女王が、コンパクトを持つ繊手を微かに震わせるのを、リオン=グンタは横目に見た。
唇が怒りにわななき、こめかみがひくついている。
そっと溜息。
またなにか、癇癪の素でも見つけたのだろう。
続く彼女の行動など、この書物のページを繰ることなどしなくても容易に想像できる。
きっと、怒りの矛先を向ける相手がこの場にいないから、
こちらに怒声まじりの愚痴をぶちまけるに違いないのだ。
「アイツら、あたしのゲームを台無しにしておいて、
なんかいちゃついてるんだけど。これってどうなのよ、リオン」
・・・ほうらきた。
「ご機嫌斜め、なのですね。大魔王ベル」
感情の色が消えた静かな声。
椅子に腰掛けたまま、膝の上に乗せた分厚い古書を白い手が無意識に撫でる。
その色の白さは、長い黒髪との美しいコントラストを描いているかのよう。
「えーえー、斜めですとも。大いに斜めだわ」
猫のような瞳に苛立ちをにじませながら、美しい蠅の女王ベール=ゼファーは、
リオン相手に言っても詮なき繰り言をこぼす。せっかく育てたエミュレーター『否定するもの』を、
あのウィザードたちに滅ぼされた時の憤りを思い出したのだろう。
「ちょっと目を離したら、なにあれ?いつの間にか柊蓮司のお仲間でぇ?見てるこっちが甘ったるくなるくらいのいちゃつきぶりよ?」
「・・・あなたの怒る理由は、私には理解できません」
まったく。
そう、まったくだ。
あの戦いの後、彼らがどう過ごそうが、裏界の住人である私達には無関係だとリオンは考える。
彼女にはベル程の積極性もないし、人間を戯れの相手として好き好んで選ぶ思考はないからだ。
そもそも、ベルがあのコンパクトを愛用して、事ある毎に暇さえあれば、
ウィザードたちの様子を伺っていること自体、理解の外なのだ。
291蓮×くれはリターン!・マスターシーン:2008/04/01(火) 08:13:12 ID:sgjEizYw
(怒るくらいなら見なければいいのに)
ただし、口には出さない。
ベルがヒステリーを起こすだろうし、それ以上にそんなことを一々言うのも面倒臭かった。
「わからない?
仮にも裏界第二位の実力者、このわたしベール=ゼファーと何度も渡り合ってきたウィザードよ?
それがなに?ほら、リオンも見なさいよ、この柊蓮司の弛み切った顔。
女に囲まれて骨抜きにでもなってるのかしらねッ!?」
それは、好敵手と認めた相手が腑甲斐ないざまを曝していることへの憤慨なのか。
それならばリオンにも理解できる。なぜならそれは、大魔王の沽券にかかわるベル自身のプライドが介在する問題だからだ。
そういう理由ならばリオンも得心がいく。わずかに頷く仕草をして、
「大魔王ベル」
「んなによ」
霞のように淡い笑みが、リオンの口元だけを彩る。
「・・・話しているうちに、またなにか新しいゲームを思いつかれたのでは・・・?」
近しい場所にいなければそうとは判るまい。
ベルの瞳にはいつの間にか愉悦の光が灯り、悪戯を思いついた子供のような無邪気さと、
無邪気さゆえの残酷な悦びが見て取れた。
「あら、わかる、リオン?」
目を細めながら、一転して上機嫌になって、ベルはくふん、と鼻を鳴らして笑う。
「・・・ええ。なんとなく」
リオンの言葉に頷きながら、ベルはにまり、と笑う。
「あの娘たちに、極上のプレゼントを贈ることを思いついたのよ」
人差し指を唇に当て、歌うように言葉を紡ぐ。
「見ているといいわ。仲良しこよしなんて言ってられなくなるんだから。
あの小煩いウィザードたちの結束とやらが、どれだけ頼りないものか、思い知らせてやるんだから」
いかにも愉しげにベルが笑う。リオンはいつものように、同意も否定もしない相変わらずのスタンスを崩さない。
ただ、秘密侯爵の名に相応しい神秘をたたえ、ひっそりと座し続けるのみである。
(・・・さあウィザードたち。大魔王が新しいゲームを始めますよ)
今にもスキップを踏み出しそうなほどに浮かれだしたベルを見ながら、
リオンはあるかなしかの微笑みを浮かべる。ベルの、ああいうところは可愛い、と思う。
(・・・結局、そういうことなのでしょうね・・・)
大魔王の戯れに、またしても付き合う気になっている自分が、リオンにとっては不可解でもある。
膝の上の書物に触れようとして、それを珍しく自ら止めた。
(・・・たまには、結末の判らないゲームに、しばらくつきあってみましょうか・・・?)
リオンがきまぐれに身をまかしてみようと思うことなど、前代未聞の珍事といえた。
これもベルの影響でしょうか?そう思うとなんとなく可笑しい。
リオン=グンタは想いをはせる。
あの人間たちに。
矮小ながらもしぶとく、貧弱ながらもこの上なく強壮な、ウィザードという連中に・・・。


・・・かくて、大魔王のゲームは始まりを告げた。


(続)
292名無しさん@ピンキー:2008/04/01(火) 12:39:40 ID:t+spyMz1
ベルーっ!? なんかヤバいコト口走っていないかw

つまりこの流れは嫉妬の嵐を巻き起こす展開で、
乱交パーティへのフラグなんでしょうかw GJ!
293名無しさん@ピンキー:2008/04/01(火) 12:46:24 ID:HV0z/UND
嫉妬に狂うベルに萌えた。
294名無しさん@ピンキー:2008/04/01(火) 13:50:10 ID:38PFbL+J
>>289
名作の予感!
で、これシリーズなのか
新参者なので、過去ログのどの辺か教えてください
295名無しさん@ピンキー:2008/04/01(火) 15:19:58 ID:dZ12jJow
>>294

保管庫にある リスト/カテゴリ別/ナイトウィザード の

「柊・くれはの姫初め」
「二人の初体験」
「たとえ時にはすれ違っても」

が同じ人の描いたもの……だと思います。
時間軸的には「二人の初体験」→「柊・くれはの姫初め」→「たとえ時にはすれ違っても」ですね。
いずれも素晴らしい作品なのでぜひ読んでみるのがよろしいかと。
296蓮×くれはリターン!:2008/04/01(火) 16:08:40 ID:sgjEizYw
本日は晴天なり!
抜けるような青空に、春の暖かな陽気と、天候にも恵まれてやってきました臨海公園!
テンション上げていくぞ、おー!
・・・はわー。
ごめん。ちょっとウソ。
実は頑張って気持ちを昂揚させようとしてるところもあったりするんだよね・・・。
いや、違うんだよ?
チハヤちゃんから臨海公園で遊ぼうって誘われたときは、
そりゃあ少しくらいのモヤモヤはあったけど、気持ちの切り替えだって早かったんだから。
大事な仲間と過ごす大切な日常。沈んでたって、損、損、だもんね。
「チハヤちゃん、時間は何時に集まったらいーかな?」
あの日、気を取り直して、当日のスケジュールをさっそく決めようと声をかけたあたしに、
「せっかくですから、開園時間に合わせて現地集合っていうのはどうでしょう」
「お、遊ぶ気満々だな、チハヤ?」
「その日は一日、遊べますね。わたし、いまから楽しみです〜」
「・・・限界まで・・・遊び尽くす」
みんなノリノリで、あたしも本当に楽しみにしてたんだよ?
でも、さ・・・。
今日みんなで集まって、いざって時に、あたしとんでもないことに気付いちゃったんだよね・・・。
それは、学校にいる時やエリスちゃんのマンションにいた時は気付かなかったこと。
あたしたちにとっては当たり前でも、世間一般の人から見ると、ちょっと目を引いちゃうこと。
それは、あたしたちというグループそのものが持っている特異性なの。
はい、ここで問題。
男の子一人に女の子四人、こんな五人組が臨海公園で遊んでたら、他の人の目にはどう映るでしょーか?
・・・あたしたちにとっては普通でもさ。あたしたちは気にしなくてもさ。
そりゃあ世間の人はそうは見てくれないよね〜?
すれ違う人たちの中には、あからさまに眉をひそめる人もいたし(これはご年配の人に多かった)、
同年代の男の人は明らかにやっかむ視線。
・・・はわー。
知らない人から見たら、ひーらぎってどんなプレイボーイよ?って感じなんだよね・・・。
はわ、もしかしていままでのあたしとひーらぎも、そんな目で見られてたのかな?
ま、まあ、いまとなっては別にいーんだけど・・・。
それなのにひーらぎってば、太平楽な顔をして、
「知ってるか?ペンギンって魚丸呑みして食うんだぞ〜?」
なんて、得意げな顔してエリスちゃんやあかりんに解説してるんだよ?
鈍感、鈍感、超鈍感!
周りの視線もあって、少し気恥ずかしい思いをしているあたしに振り替えると、
「くれは、すごく可愛いぜ」
ひーらぎが言う。
「はわッ!?」
な、な、なに言ってるの!?
人前だよ!?往来だよ!?
エリスちゃんたちもいるんだよ!?
「いやー、よちよち歩くんだよ、これが。餌食う時だけじゃなくて、動きそのものがユーモラスっていうのかなあ」
・・・・・・はわ。
も、もしかしなくても、今のってペンギンの話・・・・・・?
297蓮×くれはリターン!:2008/04/01(火) 16:16:26 ID:sgjEizYw
むか。
むかむかむか。
「こ、この、ばかひーらぎ!」
思わず罵倒の言葉が飛び出してしまう。ぽかぽか、とひーらぎの背中に駄々っ子パンチ。
「い、いて!なんだよ、くれは!」
何も判らない顔して不平を言うひーらぎ。
・・・しまった。またやっちゃった。
歯に衣着せないやりとり、遠慮のいらない間柄っていえば聞こえはいいけど、一歩間違えばただのがさつな乱暴者。
うぅ、この間自分とみんなを比べて反省したばかりなのに・・・。
「柊蓮司・・・無神経な男・・・」
「いまのは柊先輩がいけないと思います」
「くれはさんに悪いですよ?」
「オレがなにをしたッ!?」
三者三様の援護射撃。
ありがとね、みんな・・・でも、あたし激しく自己嫌悪だよ・・・。
「な、なんだかわからねーけど、オレは悪くない。悪くないからなッ!」
・・・うん。ひーらぎは全然悪くないんだよ。
悪いのは、あたしの中のこのモヤモヤした感情で、自分になんとなく自信が持てなくなっちゃった、あたしの所為なんだから・・・。
「・・・柊蓮司・・・往生際が悪い」
「とにかく謝るべきです、先輩」
「さあ、先輩」
あぁ〜、なんか話の雲行きが怪しくなってきた。ひーらぎが意固地になって話がこじれる前に、なんとかしなきゃ!
「さ、三人とも、待って!なし!さっきのなし!あたしが勘違いしただけで、ひーらぎは全然悪くないんだよ。だから、ね?」
慌てて両手をパタパタ振るあたしに、エリスちゃんたちが心配そうな眼差しを向ける。
「本当に大丈夫ですか?」
と、チハヤちゃん。
「うん!へーきへーき」
あたしはそうやって強がってみせる。でも、そんなあたしに、嬉しい一言をくれたのは、やっぱりひーらぎだった。
引きつり笑いのあたしをじっ、と見つめ、
「くれは」
「はわ」
「・・・なんか、わからんけど・・・悪かったな」
と、そう言って頭を下げる。
あたしの様子を見て、ひーらぎはひーらぎで「なにか」を感じ取ったみたい。
現金なもので、「ひーらぎがあたしの気持ちの変化に少しでも気付いてくれた」ってだけで、あたしの機嫌もすっかり良くなってしまう。
単純だなぁ、あたし・・・。
「はい、じゃあうまくまとまったところで、さっそく話題のペンギンをみにいきましょうか?」
チハヤちゃんが手堅くまとめ、
「わぁ〜、楽しみです〜」
と、本当に嬉しそうなエリスちゃん。意外な反応を示したのがあかりんで、表情だけは普段と変わらないまま、微かに頬を赤らめて、
「・・・ペンギン・・・早く」
と、そわそわしている。
「よーし、それじゃ行くぜ!ペンギン、水族館、エリスのランチだ!」
握りこぶしのひーらぎに、自然とみんなが笑顔になる。
でも歩きだそうとして、全員の表情に緊張が走った。
空間が歪み、大気が赤みを増し、見慣れた風景を瘴気の渦が飲み込んでいく。
周囲のざわめきが消え、人々の姿がゆらぎ、見上げれば空には紅い月!
「月匣!?エミュレーターか!?」
ひーらぎが叫ぶ。
「はわ、ひーらぎ!」
あたしの目の前に紅い霧がかかり、ひーらぎの姿が次第にぼやけていく。
ひーらぎだけじゃない、エリスちゃん、あかりん、チハヤちゃん、全員を分断するように、月匣の中を霧が覆い尽くしていく!
「ひーらぎ・・・」
その呟きは、果たしてあたしの耳に届いていただろうか?
意識が遠退く。視界が赤黒く染め上げられていく中で、あたしは完全に意識を失った・・・・・・・・・。

(続)
298名無しさん@ピンキー:2008/04/01(火) 19:48:37 ID:j+rZus2Z
ホントGJなんだけど細切れすぎ

一日に2レスを何回も投稿するぐらいなら、
1,2日分をまとめて投稿した方が感想も書きやすいからお願いしたい。
299名無しさん@ピンキー:2008/04/01(火) 20:07:38 ID:38PFbL+J
>>295
おk、把握した

SUGEEEEEEE
心理描写が細やかで違和感なく読めるし、何より上手い
300名無しさん@ピンキー:2008/04/01(火) 23:59:41 ID:2U2sepC7
投下ラッシュが続くなか、>>278の続きです。

処女喪失後に淫乱娘になったノエルとゴンザレスの絡みと、火力勝負になります。
ちょっとマニアックなプレイなんで、嫌な予感がした人は読まないほうがいいかも。
一応スカトロとか拷問はないです。
301ノエルと恥辱の舞台:2008/04/02(水) 00:00:14 ID:2U2sepC7
「初めてで我が輩の逸物をここまで飲み込むとは、やはり我が輩とノエル君は相性がいいようだねぇ」
下からゴンザレスが声をかけてきた。
「大人の女になったことを皆にご報告しなさい。ほら、大事な仲間も見守っているぞ。」
え? 目に涙を浮かべながら観客席を見る。
 「処女喪失おめでとー!」「おめでとー!」「おま○こ広げてみせてくれー!」
観客達がひやかしの歓声を浴びせる。その観客達の手前、舞台正面にトランの生首が鎮座していた。
「……ぃ、いやぁ……っ!」
動いていないとわかってもトランに恥ずかしいところを見られている気分になってしまう。
「ほら、折角祝福してくれているんだ、もっと観客達にサービスしてあげたまえ。」
両手をつかまれたと思ったら、手のひらを胸に押し付けられる。
ゴンザレスの手のひらが上から覆い被さり、ノエルの手と一緒にもみしだきだした。
強要されているにも関わらず、自分でドレスの上から揉むおっぱいの気持ちよさに感じてしまう。
下から自分を貫いているゴンザレスの事を忘れ、オナニーを皆にみせている気分になった。

「さあ、動いて我が輩を満足させるんだ。そうでないといつまで経っても終わらんぞ?」
「……は、はいぃ〜」
腰を上げると鈍い痛みを感じる股間からずるりとペニスが抜け出してくる。
一緒に内臓ごと引きずり出されるような感覚を覚えたが、同時に激しい快感が背筋を走った。
ゴンザレスのペニスは愛液に濡れ、その中に赤いものが混じっているのが見えた。
カリ首まで抜いた時点で引っかかりを感じたので、抜くのをやめてもう一度腰を落とす。
 ずんっ!
再び脳味噌まで貫くような衝撃と快楽が襲い掛かる。
「はぅっ、……ぅはぁ!」
ノエルは股間の鈍い痛みが早くも快感に変わるのがわかった。
激しく呼吸をして息を整え痛みを出来るだけ紛らわせようとする。
「続けたまえ。」
ゴンザレスの楽しむ声が聞こえる。
一刻も早くこの地獄のショーから開放されたいノエルは、黙って腰を上下させることにした。
……クチュ、クチュッ、クチュッ、グチュッ……
腰を振るたびに潤滑液が増えるのがわかる。痛みよりも快楽のが大きい。
「気持ちいいのかね? だが我が輩はまだまだ持つぞ? もっと自由に動きたまえ。」
確かに下のゴンザレスの気持ち悪い顔はニヤニヤと笑ったままで、少しもイク気配はない。
フェラチオの時のように、もっといやらしく、もっと猥らに腰を振らなければ、この快楽地獄は終わらないのだ。
腰の出し入れ速度を上げる。それだけで自分が得られる快楽が増す。
それだけではゴンザレスを感じさせることは出来ないっ! 前後左右の動きを入れる。
「……っんぁ!」
口から喘ぎ声が洩れた。
(こ、これはっ、気持ちよすぎですっ!)
初めての男性体験、初めての挿入。だがノエルは初めてにもかかわらず快楽を感じ、その快楽に溺れようとしていた。
「……んぁっ、あっ、あんっ、んあっ、ああっ、あんっ!」
(ゴ、ゴンザレスは……)
自分がこれほど気持ちいいんだ、ゴンザレスはもうイってくれるだろうか?
ゴンザレスの顔を見下ろす。期待もむなしく、ゴンザレスの余裕の表情はそれほど変わっていなかった。
302ノエルと恥辱の舞台:2008/04/02(水) 00:00:35 ID:2U2sepC7
「ふふふ、実にいい眺めだ。」
ノエルを下から見上げると、着衣のままなのでオナニーをする花嫁にしか見えない。
騎乗位は主に女性が快楽を得るための体位だ。
自分の上を恥ずかしそうに舞う花嫁ノエルを見てゴンザレスは楽しんでいたが、性的快楽そのものは少ない。
とはいえ、強精ポーションをたらふく飲んでいるため、今にも出したいところだが、
ノエルを追い詰めるため今は平気のフリをしなければならない。
「……まだまだだね。もっとノエル君も気持ちよくならねば、我が輩も満足できないぞ。」
「私が、っん、気持ちよくっ、はぁんっ!?」
「そうだ、セックスは二人の共同作業、二人とも気持ちよくならねばならんのだ。まずは初心者のノエル君から気持ちよくなってみたまえ。」
「二人がっ、あんっ、気持ちよくっ、んあっ!」
ノエルはゴンザレスの言葉に後押しされたのか、自分なりの快楽ポイントを探すかのように腰を振りはじめた。
とはいえ、ゴンザレスにとってはペニスを無茶苦茶に扱われているだけであった。

(もっと、気持ちっ、よくっ……!)
それだけを考え、腰を振る。長大なペニスが奥の子宮を突くたびに目の前に電撃が走る。
(こ、これっ、気持ちいいっ!)
胸をもみしだき、腰を上下に動かし、膣でピストン運動をリズミカルに繰り返す。
(せ、せっくすって、気持ちいいっ!)
既にノエルは自分が気持ちよくなることだけを考え、腰をふっていた。もう痛みも悲しみもどこかへ吹き飛んでいた。
腰を一往復するたびに増す快楽、やがて絶頂が近づいてくる気配を察する。
(……い、いくっ!)
「……あっ、あぁーーーーっ!」
目の前が真っ白になり、高らかに絶頂の声を上げ、ノエルはイッた。

「イッたようだね、ノエル君?」
「……はぁい」
ぼんやりした頭で素直に応える。
「初体験からイッてしまうとは、ノエル君は実に淫乱だ。」
「……はぁい」
ぼんやりした頭でまたも素直に応える。
「……っえ?」
曖昧な頭で自分の応えた内容を吟味し、その恥ずかしさに思わず覚醒する。
「ち、ちがいますっ! いえっ、違わないけど、その、淫乱なんかじゃっ、な、なぃ……」
必死に否定しようとするが、初体験でイッてしまったのは事実だ。
それがどれほど異常なのかはわからないが、確かにセックスはとても気持ちのいいものだった。
「ふっ、かわいいよノエル君。そんな淫乱な君に惚れてしまいそうだ。」
「ええええーーーーっ!!」
「驚くことはない、男は皆、淫乱な女が大好きなものだ。」
そんなことがあるのだろうか? と思うが、確かにエッチなことが大好きなら男の人も喜ぶに違いない。
知識の未体験ゾーンに踏み込んだノエルは更に混乱した。
303ノエルと恥辱の舞台:2008/04/02(水) 00:01:29 ID:2U2sepC7
「さてノエル君、先ほど君は盛大にイッたが、我が輩はまだイッてないのだよ。続きをたのみますぞ。」
まだ、この快楽地獄は続くの……?
股間の大きな異物感はまだギンギンに硬いままだ。
ノエルはその体内に飲み込んだ肉棒の熱さを意識すると、再び体が快感を求めていることを自覚せざるを得なかった。
イッたばかりのだるい腰を、初めはゆっくりと、次第にリズミカルに早く動かす。
口や身体で奉仕したときの事を思い出し、ゴンザレスを早くイかせようと試みる。
上下に身体を動かすと胸が弾み、ドレスから飛び出しそうになる。
ゴンザレスが下からおっぱいを支えるように手を出してきた。
「……ぃやっ、あんっ、あっ、はんっ!」
他人にもまれるのは嫌だったが、先ほど自分で揉んだときよりはるかに上手に快楽を引き出している。
全体をやわらかく揉み出し、ドレスの下の乳首を探し当て、指先で玩んでいる。
次第にノエルは、その愛撫にまかせるままに、またもや自分の快楽だけを求めて動き出していた。

「やれやれ、ノエル君はとんだ淫乱娘だな。我が輩のことはオナニー用のディルドー程度にしか見てないようだ。」
ゴンザレスの台詞に、わずかに自分を取り戻す。
(そうだ、ゴンザレスさんをイかせなきゃ……っ!)
「しょうがない、我が輩も自分から動くとするか。」
「……えっ、ひゃあんっ!」
ゴンザレスが下からノエルの腰をつかみ、突き上げて来た。
長大なペニスはノエルの子宮へ突き当たり、心臓を突き上げ、脳へと直接刺激を送り込んだかのような衝撃が襲い掛かった。
それだけで目の前がチカチカと明滅を繰り返すほど曖昧になってしまった。
だが、一突きだけで済むはずもない。続けて二度三度と突き上げられる。
「うむっ、実にいいぞ、ノエル君のおま○こは実に我が輩と相性がいいっ!」
ゴンザレスは自らの快楽を求めてノエルの股間を突き上げ続ける。その一突き一突きがノエルに激しい快感をあたえてくれている。
(……すごいっ、すごいですっ、だめですっ、だめじゃないけどっ、いいっ!)
「っ、イイっ、イイですっ、もっと、もっとくださいっ!」
いつのまにか声に出して嘆願していた。それを聞いたゴンザレスはより一層激しく腰を突き上げだした。
「おうっ、やっとノエル君も正直になってくれたかっ、ならばご褒美だっ、イクぞっ!」
「えっ、イクっ、イクっ、イキますっ、あたしっ、イキますぅ〜〜〜っ!!」
ノエルは目の前が真っ白になった。子宮のあたりでマグマのような熱が爆発的に広がるのを感じた。
ゴンザレスの剛直から精液が大量に流し込まれたのだ。その勢いは一向に止まる気配がなく、長い時間続いている。
ノエルは子宮に精液が流し込まれると同時にイッていた。
膣肉が急激に絞まり、まるでゴンザレスのペニスを逃がすまいとするかのごとく締め上げた。
更にノエルは股間から潮を吹いて、ゴンザレスの腹を濡らしていた。
そのまま続けて2度、3度とイキ続け、イキっぱなしのまま身体が痙攣を始めていた。
射精は1分ほどの長きにわたって続いた。結合部からは中に収まりきらなかった白濁液があふれ出ている。
にもかかわらず、ゴンザレスの剛直はまだ硬さを保ったままノエルの膣内に収まっていた。
304ノエルと恥辱の舞台:2008/04/02(水) 00:01:42 ID:YegKLS1V
ノエルは腰から力が抜け、前のめりに倒れこみゴンザレスの胸板に抱かれるような姿勢になった。
ぼんやりした視界の中、目の前にゴンザレスの顔がみえる。満足そうな笑みを浮かべている。
股間の、というよりお腹の中の熱さから、ゴンザレスがイッたことがわかった。
ノエルは中出しされてしまったという恐怖を感じるよりも、やっとゴンザレスを満足させることが出来たことに安堵していた。
ふいに、ゴンザレスの体が起き上がり、ノエルを抱いたまま横へと回転する。
「……ふぇっ!?」
まだ正気を取り戻していない、寝ぼけた状態からイキナリ動かされて意識が覚醒する。
ゴンザレスと繋がったまま、組み伏せられている。いわゆる正常位だ。
ふいに、ゴンザレスの顔が近づいてきた。
 ぶちゅぅっ!
唇にあたる生暖かい感触。歯と歯の間からぬるりとやわらかいものが侵入してくる。
舌の上を、下をと這いまわる感触に思わず頭を引く。
だが、ゴンザレスの腕が背中に回され抱きしめられている。ノエルは身動きがとれなかった。
視界がゴンザレスで埋め尽くされている。
そして、自分の唇とゴンザレスの唇がふれあっているのがわかった。
「ん、んんーーーーっ!!」
(キスされてるんだっ!)
激しく身をよじり頭を離そうとするが、抱きしめる男の力にはかなわなかった。
ノエルは息が苦しくなり、口を大きく開けてしまう。
その隙をついて舌を吸出し、ねぶるように唇を味わうゴンザレス。
長い間続くキス。絡み合う舌と舌が、だんだん気持ちよくなってきた。
3分ほど続いた後、ようやっと満足したのかゴンザレスが唇を離した。ノエルの舌から唾液が糸を引いた。
「……ひぁっ、ふはぁっ、ふぅっ、はぁっ……!」
ようやく解放され、激しく呼吸を繰り返す。
(ファーストキスだったのに……)
ノエルはまたも涙した。処女を奪われたことより初めての唇を奪われたことの方がショックだった。
身体を汚されたことより、心を汚された気がするのだ。
「その様子だと初めてだったようだね?」
ゴンザレスが声をかけてくる。
「うむ、ノエル君の初めては全て我が輩に捧げてもらうとしよう。」
この人は私から何もかも奪う気なんだ。
自分にはなにが残るんだろうか? ノエルの絶望は底なしだった。
305ノエルと恥辱の舞台:2008/04/02(水) 00:02:01 ID:2U2sepC7
「も、もうイッたはずです。もう終わりにしてくださいっ!」
「中和剤アリとはいえ、あれだけのポーションを飲んだのだ、一度イッた程度で満足するわけなかろう。」
股間に突き刺さったペニスは先ほどと変わらぬ力強さだ。
「抜かずに10回は楽しませてもらわんとな。」
「……あぁ……」
(もう限界かも……)
抗うのは無理、口ではかなわず騙されてばかり、助けてくれる仲間はもういない。
そして自分の体は快楽を、男を求めていることがわかってしまった。
「さあ、やさしくするのはここまでだ。ノエル君の体をたっぷり味合わせてもらおう。」
正常位で腰を動かしだした。正面に男の逞しい体がある。やりたくはないが手を伸ばせば抱きつける、そういう距離だった。
男に抱かれるというのはこういう事なんだとノエルは理解した。
ゴンザレスが乱暴にドレスを剥ぎ出した。
長手袋とコルセット、ガーターベルトにふとももまでのストッキング、そして穴のあいたパンティ。
どれも白く丁寧なデザインでノエルを飾り立てているはずのものだったが、今は清楚なはずの下着姿も陵辱対象でしかなかった。
剥き出しになった胸をもみ、キスをされ、尻をなでられ、腰を突かれる。どれも今まで感じたことがないぐらい気持ちよかった。
観客達から「みえねーぞー」と罵声が飛ぶと、ゴンザレスが膝立ちになり、ノエルの腰が持ち上げられた。
逆さにつりあげられた状態で、突かれ続ける。皆に見られると恥ずかしさが戻り、すると膣が締め上げられた。
「ノエル君は、見られるのが大好きなようだね。」
「……ぃゃぁ」
蚊の鳴くような小さな声で反論する。だが、身体は確かに恥ずかしい目に合うほど敏感に反応していることに気づいてしまった。
「ノエル君の肉付きのよいおま○こが、我が輩のち○こを包み込むように飲み込み、締め付けておる。
 先ほどから恥ずかしがれば恥ずかしがるほど、我が輩の物を逃がすまいとキツク締め上げているぞ。
 ノエル君は、とんだ淫乱マゾのようだな。」
(ああ、やっぱりそうなんだ……)
もう抵抗するのは無理だった。自分が淫乱で、苛められるのを喜ぶ変態さんだと認めてしまった。
「……すいませぇん、あんっ、ごめんなさいぃ〜、いぃっ!」
つい口癖で謝ってしまった。
「どうしたのかね?」
「あ、あたしっ、淫乱ですぅっ、もっと、いじっ、苛めてくださいっ、もっとエッチにしてくださいっ!」
(言っちゃった……!)
自分の口から出た言葉が信じられなかったが、その内容はノエルを、回りの皆を激しく昂ぶらせた。
「では、ご期待に応えるとしようっ」
ゴンザレスが勝利の笑みを浮かべると、激しく動き出した。ノエルは与えられる快楽に狂喜した。
306ノエルと恥辱の舞台:2008/04/02(水) 00:02:14 ID:YegKLS1V
ゴンザレスはノエルの体を思う存分に味わった。
正常位で中出しした後、挿入したまま立ち上がりノエルを抱きかかえる。
自らの体重で深く刺さるペニス、その喜びを与えてくれたゴンザレスに思わずキスしていた。
またも中出しするとノエルの体を横たえ、ペニスを抜かずに片脚を上げ、いわゆる松葉崩しに変化。
ノエルの全身を観客にみせつけ、やはり中出しした後、後背位に変化。
ノエルは犬のように扱われるのに昂奮し、「わんっ、わんっ」と鳴きながら悦んだ。
それに満足したのか、ゴンザレスは続けて2回中出しした。
最後は後ろに起き上がらせ座位に変化した。おさまりのいい体勢で、自分で好きに動いて快楽をむさぼれる姿勢をノエルは楽しんだ。
目の前のトランに、観客達にすべてを見せつけてセックスを舞い踊るように楽しんだ。
その間、ノエルはずっとイキっぱなしだった。

「ふぅ、実によかったよ、ノエル君。」
脱力したノエルの腰を持ち上げ、長い間挿しっ放しだったペニスをズルリとノエルの膣から抜き出すと、中から大量の精液があふれだした。
膣口はパクパクとまだもの欲しそうに開いていた。
ゴンザレスは自分のものを扱くとノエルの体に精液をふりかけた。
赤くほてった体に、下着と精液の白のコントラストが鮮やかだった。

ノエルは激しく呼吸を繰り返し、余韻に浸っていた。頭の中は真っ白だった。
「おっと、こちらの処女ももらっておかんとな。」
肛門にあたるペニスの感触に、なにごとかと振り向くノエル。そんなノエルの様子などお構いなしにゴンザレスはアヌスにつっこんだ。
「はぁぅっ!」
あまりの予想外のことに意識が戻ってきた。
起きたことは予想外だったが、これから起こる事は予想できた。というより確信があった。
(まだ、エッチなことを続けてくれるんだ……)
ノエルの予測はあたり、悦んだ。
307ノエルと恥辱の舞台:2008/04/02(水) 00:02:38 ID:YegKLS1V
“火力勝負”

肛門が刺激され続けると、不思議と尿意が高まってきた。
脚はパックリと広げられ股間を観客に晒している。このまま出したら観客席におしっこが飛び散ってしまう。
背後から与えられる快楽とは別に、開放感あふれる快楽を得たかった。
モジモジと今までとは違う様子を見せるノエルにゴンザレスは気が付いた。
「……おしっこが出したいのかね?」
あっさり感づかれた。
「……ふぁいっ」
相変わらずろれつが回らない返事を返す。
「ならば丁度いい、このまま火力勝負に移るとしようっ!」
「……ふぇ?」
どういうことだろう? と疑問に思った途端、尻に挿入されたまま立ち上がられた。
そのまま両足を抱えられ、赤ちゃんがおしっこをするポーズに固定される。
体内深くに沈みこむペニスに押し出され内蔵が口から飛び出るかと思った。
「火力勝負はゴーレムの試し割りでもと思ったが、武器の無いノエル君にやらせるには忍びない。
 そこでお互い肉体のみで行なえる火力勝負としよう?」
よくわからないが、体勢が体勢だけにおしっこが出そうでしょうがなかった。
焦りから理性が戻ってきたのか、今の姿勢がとても恥ずかしくてしょうがない。
「ノエル君はわからないだろうが、男なら誰しも子供の頃、河原や野原に向かって己の火力を友達と競ったものなのだよ。」
……はい?
「さあ、遠慮せずに出したまえ。ノエル君の火力が如何ほどか、会場の皆に見せ付けてあげるのだっ!」
……我慢してたら冷や汗が出てきた。つまり、おしっこの威力、この場合飛距離を競おうというのだろうか?
目の前の観客席の男達は、うんうんと何故かうなずいている。……本当に皆そんなことやってたんだろうか?
あまりに馬鹿馬鹿しい勝負方法に、今の状況を忘れて呆れてしまった。

呆れたのも束の間、尿意は限界まで来ていた。
「で、でちゃいますぅっ、みっ、みないでっ!」
ノエルの股間から黄ばみがかった水が放物線を描いて飛び出し、観客席に飛んでいった。
観客達は流石に逃げ出す者、喜び勇んでかかりに行く者とでごった返していた。
一度理性を取り戻すと、やはり恥ずかしさに耐えられない。両手で赤面する顔を覆い隠しじっと小便が終わるのを待つ。
「どれ、まだいけるだろう?」
ゴンザレスの手が股間に伸び、割れ目をパックリと開く。膣口に指をつっこみかき回し出す。圧迫されたのか、小水の勢いが少し増した。
308ノエルと恥辱の舞台:2008/04/02(水) 00:02:58 ID:YegKLS1V
やがて勢いも弱まり、ノエルの小便は終わった。
人前でおしっこをする姿を見せるというのは、先ほどまでの羞恥とはまた違った、人としての尊厳が砕かれたような羞恥を感じさせた。
「さて、我が輩の番だな。」
ゆっくりと肛門からペニスが抜かれる。排泄するような感覚に、快感と、流石にそれはやばいという危機感を感じた。
ゴンザレスの前に倒れこむノエル。後ろを見上げるとゴンザレスのペニスは半立ちになったまま観客席に向けられた。
ノエルの時と違い観客達は蜘蛛の子を散らすように逃げだした。
ノエルのおしっこは2m近くも飛んでいた。ゴンザレスの逸物からは、どれほど飛ぶんだろう?
「ふっふっふっ、ノエル君、この勝負は妨害ありだということを覚えているかね?」
掛けられた言葉に、ふと、勝たなければという使命を思い出す。1回でも勝てば、自分の分でカラドボルグとトランの分でアガートラームは取り戻せるはずだ。
だが、この状況で妨害って……まさかっ!
「ノエル君は随分と汚れているようだねぇ……シャワーでも浴びたらどうかね?」
自分から浴びに来いと言うのだっ!
「……き、汚いっ、汚いですよっ!?」
そう、流石に汚いですっ!
(でも……)
「うんうん、キレイにしたいものだ、はっはっはっ」
別の意味で取られた。そんなに今の自分は汚いのだろうか? おしっこ浴びたほうがマシなほどに……
嫌な考えを浮かべている間に、ゴンザレスが小便を始めた。手前から段々距離を伸ばしていってるようだ。
「ほ〜れ、もうすぐノエル君の記録に届くぞ〜」
(駄目だっ、簡単に抜かれちゃうっ!)
「おっ、おしっこくださいっ、こっちにかけてくださいっ!」
ゴンザレスの前にすべりこみ、小便を体でうけとめる。汗と精液で濡れた体が黄色い汚水で流される。
白かった下着が黄色く染まり台無しになった。
「ひざまずいて頭から浴びるんだ。」
言うことを聞くしかなかった。頭を垂れると上から小便をかけられた。顔を生暖かい水が流れていった。
あまりの情けなさに涙が流れ、口からは嗚咽する声が洩れていた。

「ふぅ、この勝負はノエル君の勝ちだな。おめでとう。」
全身が汚水でずぶぬれになっていた。つらい勝利だった。
ノエルに勝利の嬉しさは欠片もなく、くやしさに両手を叩きつけながら声をあげて泣いてしまった。
309名無しさん@ピンキー:2008/04/02(水) 00:04:57 ID:YegKLS1V
以上です。
なんかアリアンロッド関係なくノエルとゴンザレスの絡み書いてるだけになってしまったのに反省。
なんとか本筋?に戻したらまた変な笑いと酷い展開になってしまいました。ノエル可哀想。

火力勝負、皆もやったことあるよね?w
310名無しさん@ピンキー:2008/04/02(水) 00:22:33 ID:uHYfpuGZ
>>309
311蓮×くれはリターン!・マスターシーン:2008/04/03(木) 22:29:31 ID:K/bZaxek
「第一段階終了、っと」
ベール=ゼファーの宣言は、彼女がゲームの
アドバンテージを取ったことを雄弁に物語る、愉しげな響きを持っていた。
「敵戦力の分断・・・見事でした、大魔王ベル」
秘密侯爵リオン=グンタ。無感動ながらも、その言葉はベルの作戦の
ひとまずの成功を誉めそやすものである。
「・・・しかるのち、月匣内にエミュレイターを投入し、各個撃破、ですか」
リオンの言葉に、フン、と鼻を鳴らし、
「ねぇ〜ぇ、リオン。それって、ゲームとして面白いと思うぅ?」
どこかからかうような、そんな口調のベル。
「今回はもっとスマートで、もっと意地悪で、もっと面白い展開を
期待しているのよ。命に関わるようなトラップも、直接攻撃を仕掛けるような
野蛮な真似も一切なしでいくわ。怪我もしないし、命も落とさない。
ただ、“心”の方は保証の限りじゃないけどね」
嘲笑で彩られるベルの顔を見つめ、
「・・・どのような仕掛けを施したのか、尋ねてもよろしいですか・・・?」
と、リオンが問いかける。
得意満面の笑みを浮かべたベルが朗々と語り始めた。
「また、ちょっとした弱小エミュレイターを使ってみたの。
この間の、『否定するもの』の亜種、とでも言ったらいいかしら?
名づけて、『肯定するもの』、よ」
「肯定するもの・・・?」
ベルは大きく頷いて、
「そ。この前のあの子は、自分の嫌いなものを否定することで
プラーナを吸収し、存在そのものを抹消する力を持っていたでしょ?
簡単に言うと、だけど」
理解を示す印に、リオンが目を瞬いた。
「今度の子はちょっと違うの。対象の望むであろう現世利益、欲望、
その他諸々を満たしてくれる存在。
たとえば・・・一人の女の子が、恋人のいる男性に恋してしまったとするわよ?
どうしても男性を振り向かせたいんだけど、彼には素敵な恋人が居る。
そんな時、『肯定するもの』はその女の子に囁くの・・・」


「君を愛してくれる、キミだけの彼を私が生み出してあげよう」


陰鬱な沈黙が落ちる。
薄暗がりの中、くすくすと笑うベルの声だけが響き渡った。
312蓮×くれはリターン・マスターシーン:2008/04/03(木) 22:31:32 ID:K/bZaxek
「・・・すると、どうなるのですか、大魔王ベル」
「簡単よ。その願いが肯定されることを対象が望めば、その強い願いを呼び水に
して、『肯定するもの』はプラーナを吸収する。プラーナは存在の力よ?女の子の
望む理想の男性を“存在させるため”に、莫大なプラーナが必要なの。
逆に言うと、弱小だからこそ、対象が望みをかなえたいという欲望の力を借りない
とプラーナも吸収できないんだけど・・・・・・。
かくして、女の子は、自分を愛してくれる理想の男性を手に入れるわ。
・・・・・・“本物の彼”の存在力・・・プラーナと引き換えにね」
「理想の偽者を作るために、本物を犠牲にするのですか・・・」
なんと滑稽で悲しい物語。
「あははっ! それを望むのは『肯定するもの』じゃないの。
そんな愚かしい願いを叶えたがるのはいつだって人間よ?
そして、この子の素晴らしいところはね・・・・・・?」
残虐な愉悦を隠そうともせず、ベルはリオンに歩み寄る。
その青白い頬に顔を寄せ、耳元で囁くようにこう言った。

「・・・・・己の罪深さを、人間たちに突きつけてやれる・と・こ・ろ」

(・・・・・・確かにベルの言うとおりですね・・・・・・)

『否定するもの』に否定された存在は、さかのぼってその歴史ごと抹消される。
存在しなかったことにされるのだ。彼が消えてしまったところで、それを悲しむもの
も悔やむものもいない。そもそも初めから居なかったものの消失を、どうやって
嘆くことが出来るだろうか。
しかし、『肯定するもの』によって存在の操作をされ、存在を許されたものは違う。
たしかに彼はそこにいて、誰からも忘れ去られることなく、そこに“ある”。
そして、恋人を願った彼女は、その代償を永遠に支払い続けることになるのだ。
欲望にまかせて都合のいい恋人を創造した己の傲慢。
その傲慢を満たすために、想い人を犠牲にした罪深さ・・・・・・。
造られた恋人が自分に愛を囁くたびに、
彼女は覚めやらぬ悪夢にさいなまれることだろう。

罪を忘れることは許さない。
それが、たとえ心の弱さから生まれた願望だとしても。
『肯定するもの』は、欲望に負けた咎人を決して逃しはしないのだ・・・・・・。

「さあ、面白いショーの幕開けよ。ウィザードたち。
あなたたちが『肯定するもの』に出会ったとき、
彼に魅力的な申し出をされたとき、
あなたたちはどうするのかしら?
誰の欲望が一番強くて、
誰の欲望が一番身勝手で、
誰が誰を犠牲にすることを選ぶのかしら・・・・・・?」

白い喉を仰け反らして、蠅の女王は嘲りの哄笑を上げ続けた・・・・・・・・

313蓮×くれはリターン:2008/04/03(木) 22:33:09 ID:K/bZaxek

※※※

意識が覚醒すると、そこは月匣。
上空に紅い月が煌々と輝き、仰向けに倒れた自分の身体中に、その禍々しい月光が
降り注いでいるかのような気がして、望月チハヤは憂鬱げな表情を隠しもしなかった。
考えうるかぎり最悪の目覚めだ。
臨海公園での、唐突な月匣の展開に成す術もなく、柊たちと分断されてしまい、完全に
孤立した状態で、チハヤは目を覚ましたのだった。
「柊先輩たち・・・無事だといいけど・・・」
我知らず呟いて、仰向けの身体を起こそうとする。
「・・・・・え・・・・?」
起き上がれない。
身体は地面に縫い付けられたようで、もがけどもがけど、数センチとして動けなかった。
見れば、両手足首がどす黒い雲のような、ガス状の“なにか”で固定されている。
「く、こんなところで・・・・・私、柊先輩たちの足手まといに・・・・」
情けなくて涙が出そうになる。
柊たちに助けられ、ウィザードとして新しい一歩を踏み出していたつもりが、結局自分
はあの時のままなのだろうか・・・?
このままじゃ、いつまでたっても柊先輩に認めてもらえない・・・

こらえた涙がこぼれないよう、紅い空を見据えた。
そんなチハヤの眼前で、まるで紅い空をスクリーンとするように、ひとつの映像が
浮かび上がる。
「・・・・・な、何、なんなの、あ・・・・れ・・・・・」
映し出されたのは、柊蓮司とチハヤの姿だった。しかし、それだけではチハヤもこれ
ほど驚くはずもない。紅い空に浮かんだ二人の姿は、チハヤを茫然自失とさせる
衝撃的なものだったのだ。
314蓮×くれはリターン:2008/04/03(木) 22:34:41 ID:K/bZaxek
※※※

膝を地面に屈し、両手をついた四つんばいの姿勢。
輝明学園の制服姿ではあるものの、映像にはそこはかとない違和感が見て取れる。
それは、制服のスカートが腰の上までたくし上げられている所為。
下着が足元までずり下げられ、下半身が外気にさらされている所為だった。
程よく引き締まった尻の肉を、たくましい両手が鷲づかんでいる。
その尻肉を前後に激しく振るたびに、股間から水音がぴちゃぴちゃと聞こえ、大きく
開いた両脚の間に次第に大きな水溜りを作っていく。
すぱん、すぱん、と尻と腰が打ち合う肉の音。地に膝をつく少女の背後には、これまた
全裸の若い男の姿が合った。
犯している。
まるで動物の交尾のような姿で、男は制服姿の少女を犯している。
下半身丸出しで犯されているのは、望月チハヤ、彼女自身。
犯しているのは柊蓮司その人である。
柊が腰を振るたびに、映像の中のチハヤは悲鳴を上げ続けた。
「あーッ、あーッ、好きいぃーッ、柊先輩好きいぃーっ !!」
乱暴に犯され続けた所為か、眼鏡の蔓は耳からずり落ち、前後運動のたびにカチャ
カチャと音を立てる。舌を突き出し、顎を唾液で濡らし、涙でぐしゃぐしゃになった顔は、
熱病にかかったように高潮していた。
股間の肉襞は、秘唇、という別名に相応しく、柊の男根をふくみ、くわえ、咀嚼する
“口”さながら。極上の餌を貪欲に喰らいこむように、根元から先端までを激しく
行き来している。
柊の男根は長く、太く、そしておそらくは固い。
チハヤの秘部の柔肉をめくりあげ、ひしゃげ、引き伸ばし、存分に形を歪める。
「あ、あ、めくれちゃうッ、ひ、引きずり出さないでくださいッ、だめです、だめです、
柊先輩、ダメ、もうダメ、ダメッ、ダメえぇーッ !!」
ひくひくと身体を痙攣させたチハヤが、断末魔の悲鳴を上げて地に伏せる。
剥き出しの尻をひくつかせたままで。それでもなお背後から、その行為を強いられ
続けるにまかせて・・・。

※※※

「何・・・何なのよ・・・これ・・・私・・・こんなことしない・・・してない・・・・こんな・・・
ふ・・・不潔・・・不潔よ・・・・」
映像に映し出された己の痴態に、愕然とつぶやく。
それでも、その言葉とは裏腹に、チハヤ自身の呼吸は荒くなり、頬は高潮し、
心臓の鼓動が早鐘のように高鳴るのを抑えることが出来ないでいた。
そして、あることに気づいて、びくっ、とチハヤは身体を震わせる。
(嘘・・・うそよぉ・・・わたし・・・・下着・・・濡らしちゃって・・・)
股間に感じる湿り気は、チハヤが自分の性行為を目の当たりにして興奮していた
ことの、なによりの動かぬ証拠なのだった・・・・・。
315蓮×くれはリターン:2008/04/03(木) 22:36:05 ID:K/bZaxek
※※※

意識が覚醒すると、そこは月匣。
目覚めの感覚が、調整用のポッドでの覚醒の感覚をなぜか思い出させる。
首を回して、周囲の状況を確認。
「・・・・・戦力を・・・・分断された・・・」
冷静につぶやく。こんな状況下でも狼狽しないのは、さすが絶滅社の誇る強化人間
だと言える。緋室灯は、続いて自分の置かれた状況の、さらなる分析を開始した。
一面の荒野。大地は血のように赤く、地平線の彼方が見えるほど広大だ。
身体は・・・動かない。
地面に突き立てられた巨大な杭のようなオブジェに、磔のような姿で拘束されている。
大の字で直立させられ、彼女に可能なのはただ首から上を動かすことだけであった。
今は下手に動かないのが得策、と灯は考えた。どうあがいても戒めから逃れられない
なら、無駄に動いて体力を消耗することのほうがはるかに無益だ。
待っていれば、柊たちがやってくるはずだ、と結論する。
ただ、問題は、今のこのタイミングでエミュレイターにでも襲われたら、ひとたまりもない、
ということ。
「・・・・その時は・・・・その時・・・・」
いくら冷静とはいっても、よほどの覚悟と仲間への信頼がなければ、なかなか至る事
のできる境地ではない。灯は、瞳を静かに閉じる。立ったままでも仮眠を取れるように
訓練はされていた。体力を温存する意味でも、ここは大人しく眠っておこう。
そう、灯が結論したその瞬間。
赤土の荒野が揺れた。
はっと、まぶたを開けた灯の眼前に、地面からせり出すように巨大なモノリスが顕現する。
思わず身を引き締める灯。その石版を食い入るように、赤い瞳が凝視する。
ぶぅん・・・・・と音を立て、石版が揺れた。
石の壁が透明度を増していき、次の瞬間には硝子窓のように姿を変える。
モノリスは、テレビのブラウン管のようだった。自身が映す映像を、これみよがしに、
灯に向ける。
「・・・・・・・・・・・・・・ !! 」
揺れないはずの冷静な瞳が、不覚にも動揺に揺らいだ。
そこに映し出された映像から、灯は視線をそらすことが出来なかった・・・・・・。
316蓮×くれはリターン:2008/04/03(木) 22:37:27 ID:K/bZaxek
※※※

赤い髪が揺れる。上下に。左右に。
赤い瞳が揺らぐ。頼りなく。おぼつかなく。
ガンナーズブルームを手に颯爽と戦う少女の面影を失って、映像の中の灯はただただ
翻弄され続けていた。
一糸纏わぬ丸裸である。
全身がぬらぬらと汗に濡れ光っている。
豊満な乳房が律動のたびに様々な方向に揺れ動く。それだけで、たゆん、たゆん、
と音が聞こえてきそうな卑猥な動きを、ふたつの乳房は演じてみせた。
その、奔放に暴れるふたつの肉球を押さえ込むように、華奢な手が背後から回り、
ぐにゅう、と形が変わるほどに握りつぶす。映像の中の灯が、悩ましげに仰け反った。

「・・・・・・・・命・・・・・・・・ !!」
鏡写しの己の痴態をもたらしている者。
真行寺命。
かつて世界を救った一人の勇者。今は目覚めぬ眠りの中で静かに時を刻む、緋室灯
の想い人。

「・・・・そんな・・・・」

映像の中の交わり。灯がそうありたいと願い、結局はいまだ叶わず、またいつ実現で
きるかも分からない、「二人の営み」の姿がそこにはあった。
映し出された灯は、立たされたまま背後から命に犯されている。
大きな胸をもみくちゃに握りつぶす命の指の間から、収まりきらない乳肉がはみ出て
いた。灯の膣に目掛けて獰猛な突進を繰り返す命の男根は、彼の繊細な風貌とは
似ても似つかぬ巨根である。異常なほどに分泌された愛液が、飛沫となってほとばし
り、むちむちとした灯の太腿をしとどに濡らしていた。
「・・・み・・・みこ・・・と・・・・突き抜けそう・・・すごい・・・もっと激しく・・・・・
そう・・・・乱暴に・・・していいから・・・・犯すみたいに・・・・して・・・・・」
囁くようないつもの声音に、煮え立つような熱が潜んでいる。
欲情の虜となった灯が、恋人に自分を犯すように抱いてくれと懇願する様は、たとえよう
もなく淫靡で、背徳的だった。
命のピストン運動が激しさを増すと、灯の吐息も乱れに乱れた。
ぶじゅり、ぶじゅりという水音に重なって、灯の切羽詰った引きつり声がやけに大きく
聞こえる。
「・・・命・・・いく・・・もう・・・いく・・・私・・・イ・・・・イ・・・ッックッ・・・・・うぅぅぅぅぅぅ・・・・・・」
膝をがくがくと震わせながら、灯はアクメの最高潮を迎えた。
その場にくず折れる。チュッポン、と音を立てて引き抜かれた命のペニスは、いまだ硬度
を保ったままだった。
まだ犯せる。灯の肉壺をまだまだ蹂躙できる。そう、自己主張しているかのようである。
 そして、その自己主張はまさしく正しいものだった。
絶頂の余韻に浸る灯の両足首を命がつかみ、挿入しやすいように左右に広げる。
「・・・・あ・・・・また・・・・おかされる・・・・・の・・・・・?」
呟く言葉を証明するかのように、黒々とそびえる男根が灯を征服するために侵入を
開始する。
そして灯は初めて、悲鳴を高く高く、放つのだった・・・・・・。

※※※

額に脂汗が浮かぶ。目をそらそうとして、ついにそらせない。淫らに乱れる自分の
姿に、我知らず生唾を飲み込む。映像の中の性交は続く。凝視する灯の瞳は戸惑い
に震えていた。
そして、自分の下半身にある器官から、本当に本物の分泌液が糸を引いて足を伝う
のにも、灯は気づかずにいた・・・・・・。
317蓮×くれはリターン:2008/04/03(木) 22:38:45 ID:K/bZaxek
※※※

意識が覚醒すると、そこは月匣。
視界に飛び込んできた光景は、赤みがかった荒野の景色。
一人ぼっちの不安感に泣き出しそうになりながら、志宝エリスは救いを待ち続けていた。
「くれはさん・・・・灯ちゃん・・・・チハヤさん・・・・」
信頼する仲間であり、親友たちの名前を無意識に呼ぶ。
「・・・・・・・柊、先輩・・・・・」
 ゆっくりと、かみ締めるように、その名前を呟く。柊の名前を口にすると、それが魔法の
呪文のように、胸のうちに勇気と温かさを運んできてくれた。大丈夫。柊先輩はきっと
来てくれる。エリスは唇をぎゅっ、と引き締めた。
夕焼けよりもどぎつい赤光を放つ世界、中天には紅い月。
仲間たちとはぐれ、ただ一人のエリスは、身体を縛る茨の拘束に囚われていた。
目が覚めたら、こうだった。
気をつけの姿勢でぐるぐる巻きにされて、この荒野に一本だけ生えている朽ちかけた
巨木の枝に、まるで蓑虫のように吊るされていたのだ。
なんとなく情けない思いに捕らわれてしまう。
いくらなんでも蓑虫はない、と、さすがのエリスもそう思ったのだ。
今にも折れそうな枝に吊るされているというのも怖い。下を見るのが怖いから、なんと
なく、巨木を見上げていた。棘のような尖った枝がいくつも交差し、複雑な模様を描く様は、
まるで赤一色だけのステンドグラスを見るような趣がある。
「・・・・はあ・・・・・柊先輩・・・・・」
 ため息混じりにふたたび信頼する男の名を呼ぶと、
「おう、エリス」
それに呼応するかのように声がして、
「えっ・・・・・・!?柊先輩・・・・・!?」
エリスは驚愕の声を上げた。
そして、俯いていた顔を声のした方に向けた瞬間、エリスは硬直する。
柊蓮司。
確かに彼はそこにいた。
ただし、それは砂漠で蜃気楼に出会うようなもので、エリスが目にした柊は、実体の
ないホログラフの様に見えている。ただし、その映像はおそろしく鮮明でリアル。
なんだか3Dムービーを見ているようだった。
そして・・・・。
「あ・・・・あれ・・・わたし・・・・・・ ? ・・・・・・っきゃあッ!?」
柊の足元。エリスはそこに自身の姿を見とめて、しかし、そこにいる自分の所業の
あまりのおぞましさに、鋭い悲鳴を上げた・・・・・・。

318蓮×くれはリターン:2008/04/03(木) 22:40:23 ID:K/bZaxek
※※※

「おう、エリス、そうだ、うまいぞ」
ホログラフの柊が熱い吐息交じりの言葉を吐く。
直立姿勢の柊は、均整の取れた体躯に一枚の布切れも纏うことなく、惜しげもなく
裸身を晒している。
エリスはそんな柊の足元にひざまづき、一心不乱に“なにか”を頬張っていた。
顔の位置はちょうど柊の股間の辺り。縮れた陰毛の間から屹立した赤黒い肉棒は、
エリスの口腔内へと根元まで吸い込まれている。
エリスが顔を後ろに引く。じゅるるるるるるっ、と音を立て、柊の男根の全容が露になる。
今度は顔を押し付ける。ぐぷぐぷぐぷっ、と喉の奥へとそれを飲み込んでいく。
口に含んで内部の頬肉で亀頭をこすり上げる。肉茎に舌を絡ませつつ、絶え間なく刺激を
送り続ける。唾液まみれの男根を一時開放すると、すかさず舌を先端に這わせ、円を描く
ように尿道の入り口を嘗め回した。
「気持ちいいぞ、エリス。お前、よっぽどこいつが好きなんだな」
蜃気楼のエリスが続けて放った言葉は、彼女自身を愕然とさせるものだった。
「・・・ふぁ・・・すき・・・れす・・・・柊先輩のだから・・・私・・・美味しく・・・いただけまふ・・・」
柊の剛直を舐め回しながら、不明瞭な発言ではしたないことを言う。
言葉を発する暇も惜しいのか、再び口いっぱいにそれを頬張ると、エリスは唇をすぼめて
しごき始めた。ぶぽっ、ぶぽっ、という音が響くたび、柊は心地良さそうなうめきを上げる。
エリスの頭の動きが速まり、柊の表情から、彼に限界が近づいていることが分かった。
「う、オォォォォッ!!」
エリスの青い髪をガシリと押さえつけ、喉の奥へと深く深く、柊が腰を押し付けた。
脈打つ肉塊がエリスの口の中で跳ね回る。勢いよく飛び出した欲望のほとばしりが、
エリスの食道を目掛けて噴き出した。
「んっぷ、んぐ、んぐぐぅ、ぷぁ・・・・はぁ・・・・・はぁ・・・・・・」
ごくごくと喉を鳴らして、極上の甘露を味わうように、エリスは全ての精液を飲み干した。
満足げな表情は、とろけきった淫蕩なもの。飲み終えてもなお、エリスは柊の男根を
くわえて放さず、射精後、力を失いかけたそれに新たな活力を与えるべく、音を立てて
フェラチオを継続した。尿道の奥に残った最後の一滴まで搾り取る。懸命に口内奉仕
を続けながら、エリスは制服をはだけ始めた。
 ブレザー、スカート、下着の一枚一枚がぱさりぱさりと脱ぎ捨てられる。
柊の男根がエリスの口の中で再び力を取り戻すころ、そこには丸裸の獣が一対、
いるだけとなった。
「柊先輩、今度はここに、この穴にください・・・全部くわえ込みますから・・・
全部飲み干しますから・・・・」
淫らな懇願の台詞を口走りながら、エリスが大きく脚を開く。
それを拒む理由などどこにあるはずもなく、柊は獲物を捕食する肉食獣の勢いで、
裸のエリスにのしかかった。二人の裸身が重なり合う。そして、次の瞬間。
「あ、あぅあぁぁぁぁぁーッ!!柊先輩、好き、好きです、もっと深く、奥まで、わたしを貫いて
くださいぃぃぃぃぃーっ!!」
エリスの、絶叫が轟き渡った・・・。

※※※

眼前の光景に驚愕しながら、エリスは極限まで目を見開いていた。
こんなの嘘。あれはわたしじゃない。柊先輩はあんなことしない。
あり得べからざるものを見たエリスは、歯をカチカチと鳴らして震えている。
それが、恐怖と呼ばれる感情だということに、エリスは気づいているだろうか。
ちょろちょろ・・・・・と音を立て、エリスの脚を黄金の液体が伝う。あまりの衝撃に、
無意識のうちに失禁してしまったのだ。
そして、もう一つ、エリスが気づいていないこと。
それは、滴り落ちる排泄物に、確かなぬめりと粘り気が隠しようもなく混じっていたこと
だった・・・・・・・。


                   (続)
319名無しさん@ピンキー:2008/04/04(金) 05:47:18 ID:Y1TE/8qM
あんたサイコーだよ!
続きを正座して待ってますw
320名無しさん@ピンキー:2008/04/04(金) 20:09:48 ID:lvNb9LQg
微妙に束縛方が違うのがいいw
続き期待してます。
321名無しさん@ピンキー:2008/04/04(金) 23:09:01 ID:gC9aCf/T
くれはは一体どんなのなのかな。
で、柊自身はどうなってるんだろう。
322名無しさん@ピンキー:2008/04/05(土) 00:33:23 ID:k0coc6yo
最近の流れは御馳走すぎる


いいぞもっとやれ
323名無しさん@ピンキー:2008/04/05(土) 02:17:36 ID:BD4HSgVx
柊はナイトメアに掘られてます
324名無しさん@ピンキー:2008/04/05(土) 08:29:40 ID:LY4V16V9
弱みを掴まない幼馴染とか
学校に通うのを邪魔しない守護者とか
世界を滅ぼそうとしない大魔王とか
そういうのに囲まれて幸せに暮らしてるよ!


いや、実際の所柊はそういう現状否定をしないタイプだと思うけど
325名無しさん@ピンキー:2008/04/05(土) 09:19:02 ID:sz76iUj6
エリスの蓑虫は、やはりチョココルネのイメージなのか?
ぼんやりと曖昧だった意識が、少しずつ鮮明になってくる。
ゆっくりと二、三度、試運転をするように瞼をぱちくり。
夕陽に照らし出されたような紅い世界が視界いっぱいに広がり、ああ、そういえばこ
こは月匣の内部だったっけ、とあたしは思い出す。
いまだけだるい身体をのろのろと起こす。このうら寂しい荒野には、どうやらあたし一人
しかいないみたいだった。
きょろきょろ、と首を振って左右確認。
はわー・・・・・・・。なんにもない・・・・・・・。
灼けたような色の赤い大地がどこまでも広がってるだけ・・・・・・。
しばらく呆然としていたあたしは、ようやくとぼとぼと歩き出す。行き先も分からないし、
どこへ向かって歩いたらみんなに逢えるかも分からないけど、このままじゃなにも
始まらないしね。
「エリスちゃーん、あかりーん、チハヤちゃーん、どこー?」
メガホン代わりに口に手を当てて、四方八方闇雲に呼びかけても、返事は当然返っ
てこない・・・・・・。ううぅ・・・・・。くじけそうだよ・・・・・・。
 いつの間にか、俯く姿勢になっていたあたし。
「はわっ。だ、だめだめ。なにへこんでるかなっ」
ぷるぷると首を振って、ほっぺをぱんぱんと叩く。月匣に囚われて、仲間とはぐれた
くらいでへこたれてちゃ、ベテランウィザードの名が泣くってもんだよね!
・・・・・・とはいっても、やっぱり強がってたのかな、あたし。後ろから駆け足で近づい
てきた足音と、「おーい、くれは〜」っていう、聞き慣れた声がした瞬間、ホッとして
足の力が抜けそうになって、その場にへたり込んで泣き出しちゃうかと思ったの。
でも、いままでせっかく強がってたんだもんね。
ここまで着たら、最後まで強がり通してみせるよ。
くるり、と振り返ってなんでもないように、
「はわ〜、ひーらぎ。無事だったんだね、よかったよ〜」
といつもの調子で言ってみる。
あたしに近づくにつれ、駆け足を小走りに、小走りを早歩きにと、ペースを落として歩
みを進めるひーらぎ。ずいぶん遠くから走ってきたのに息切れ一つしていないのは、
やっぱりさすがだね。
愛用の魔剣を携えたままのひーらぎは、いつになく真剣な顔をして、
「俺のことはいい。くれは。おまえはなんでもないか?怪我とかしてないよな?痛いと
か、苦しいとか大丈夫だよな?」
って、すっごく心配そうな顔。
ちょっとこっちがびっくりするくらい、矢継ぎ早にあたしを気遣う質問の雨あられなのだ。
あたしは目を白黒させて、
「はわわ。だ、大丈夫だよひーらぎ。ちょ、ちょっと過保護だよ、いつもと違うよ〜?」
気恥ずかしいのを隠すようにそういった。
しかし、続くひーらぎの言動を聞いて、見て、あたしは魂の芯から凍りつくような、薄ら
寒い思いに捕らわれたのだ。

※※※

「馬鹿だな、くれは」
にこり。
「俺はいつだってくれはのことを心配して、想い続けてるんだぞ」
にこり。
「辛い思いや痛い目に逢ってないかいつもいつも気になってて」
にこり。
「こんなにもくれはが大事なんだ」
にこり。
「お前が大事だ。お前のことが好きだ。愛しているんだ」
にこり。
にこりにこりにこりにこりにこりにこり。
にこりにこりにこりにこりにこりにこり。
にこりにこりにこりにこりにこりにこり。



「ひ、ひーらぎ・・・・・・・!?」

ひーらぎの顔をした“なにものか”が、あたしに、じわりと近づいた・・・・・・。

※※※
永遠の黄昏と、流転する歪曲の世界。
異形が現実を常に凌駕する、ここではない空の下。
裏界帝国。
天を衝くほど高く聳え立ち、地の底を這うほどに低く沈み込む、そんな矛盾した場所に
大魔王ベール=ゼファーの居城は存在する。
城内に“存在する”とだけ噂で囁かれる、どこにあるかも常ならぬ一室が、彼女のお気
に入りの場所だった。
新しいゲームに興じる時は、いつでもこの部屋でリオンと語らう。
キャンドルライトの明かりだけが唯一の光源。
歯車のオブジェが背景として回転し続ける、薄暮の闇が漂うところ。
宿敵とも言うべき、柊蓮司たち人間のウィザードどもを月匣に閉じ込め、彼らの分断に
成功した後、ベルはエミュレイター『肯定するもの』を差し向け、彼らの“心”を陥れる
ゲームを開始した。
『肯定するもの』には、あらかじめよく言い含めておいた。
ほかの連中はともかく、柊蓮司と赤羽くれはにだけは手を抜くな、と。
自分がなぜそんな助言を、取るに足らぬ弱小エミュレイターごときにしたのかは、いま
となってはベルにも分かりかねる。
何かの予感がそうさせたものなのか、それももはやどうでもいいこと。
愛用のコンパクトに戯れに魔力を込める。それは見る見るうちに二つに分かれ、三つ
に別れ、瞬く間に五つのコンパクトに分裂した。さらに魔力を注ぎ込むと、たちまち
コンパクトが巨大化する。直径二メートルほどに達するだろうか。
「持ち歩けないのに『コンパクト』なんて、ありえないわよねぇ」
つまらない冗談をリオンに放つ。
「・・・・・・そうですね、大魔王ベル」
冷静に切り返されて、思わず舌打ち。
「・・・・まぁ、いいけど」
気を取り直すと、ベルは横一列に並んだコンパクトを満足げに眺める。
「ねぇ、リオン。面白い見世物になりそうよ。ウィザードども、それぞれの動向を逐一
追いかけるライヴ中継。あなたも見なさい?」
ちらりと、上目遣いで視線をよこし、いつもの平坦な調子で、
「・・・・・・そうですね、大魔王ベル」
さっきと同じ答えを返す。
「・・・・あなた、そればっかりね。もしかして、答えるの面倒で、全部それで済まそう
とか思ってるんじゃないの・・・・・・?」
「・・・・・まさかそんなこと、大魔王ベル」
絶対そう思っているに違いないリオンである。
「・・・っ ! ・・・・別にいいわっ。私は私で楽しむからっ」
拗ねたようにコンパクトに向き直ったベルが、一転して歓声を上げた。
「あら、もう始まったみたいよ、リオン。あの子達がどんな目に遭わされているのか、
たっぷり見物させてもらうとしましょうか?」
※※※

「あっはははははははっ、見て見て、リオン ! 幻術の映像とはいえ、小娘とは思えない
乱れっぷりだわ ! あーあ、チハヤちゃん、いつもの理知的な面影ゼロじゃない?
涎まみれのすごい顔 ! 純真そうな顔してエリスちゃんも凄いわよ !? 馬乗りになっちゃっ
て、あの腰の動きの激しいこと! 緋室灯、あの娘、なんていやらしい胸してるのかしら !
はしたない揺れ方しちゃって・・・・・・・・・なんかムカつくわ」
ベール=ゼファーが手を鳴らす。けたたましく嗤い、また拗ねる。
ころころとめまぐるしく変わる表情と、ある意味上機嫌の理由は、自分のしかけた罠に
ウィザードたちがうまくはまったことと、彼女たちの無様な痴態を眺めることが出来る
からだった。
「本物の三人は、と・・・・・・あらあら、みんなそろってもの欲しそうな顔しちゃって。
もじもじしてるわよ、全員。やだ、お漏らししちゃったわ、エリスちゃんたら」
足をパタパタさせながら子供のようにはしゃぐベル。

《・・・・あん、先輩、どうしましょう、私、エコボラ部の部長なのに、
おつゆでこんなに床を汚しちゃってぇ・・・・ ! 》

《みこ・・・・と・・・・まだ犯すの・・・・ ? 
そう・・・いいわ・・・・もっと・・・・犯しても・・・・いい・・・・ ! 》

《ごめんなさい先輩・・・・止まらないんです・・・・
腰が自分のじゃないみたいぃ・・・・・ ! 》

幻覚で造られた三人の性交は、いつ果てるともなく続いている。
それを凝視する本物の彼女たちは、あるものは足首まで愛液を滴らせ、あるものは
脚をぴったりと閉じてもどかしげにもじもじし、あるものは無意識に映像の自分の動き
に合わせて腰を小刻みにひくつかせていた。
いつしか、それを眺めるベルのはしゃぎ声が静かになっていく。
あら、とか、ふぅん、そう・・・・と感嘆の短い呟きしか発しなくなり、しまいには口をつぐ
んでしまう。
不意の沈黙を不審に思い、
「・・・・・大魔王ベル・・・・・?」
リオンが声をかけた。いつもは眠たげな瞳が驚きのため微かに見開かれる。
ベルの瞳に輝くものは、ぎらぎらとした情欲の光。小さなピンク色の舌が自身の唇
をぺろりと舐め、渇きを潤している。
愛用のポンチョが肩からずり落ち、お気に入りの輝明学園の制服の上から、自分の
慎ましやかな胸を、手のひらでまさぐり始めていた・・・・・。
「あぅ、ん・・・・いやらしいわね・・・・あの娘たち・・・・・見ているこっちが・・・・・興奮
しちゃうくらい・・・・・」
肩膝を立てる。短いスカートから大魔王には似つかわしくない純白の清楚な下着が
覗く。すでに下着の中心、わずかに盛り上がった股間の丘には、大きな染みが広
がっていた。
小振りな乳房を揉みしだきながら、空いた手で下着の布地に指を這わす。
股間の縦筋をなぞりながら、ふと、なにかに気づいたように、ベルがリオンの方を見た。
椅子から、立ち上がる。
リオンを頭の天辺からつま先まで嘗め回すような、視線。
ベルの変貌に不穏なものを感じて、リオンは書物を抱く腕に力を込めた。まるで、それが
身を護る盾である、とでもいうように。
「あら・・・・? なによ、リオン。そんな目で私を見るなんて・・・」
声に、ぞっとするような凄みと艶があった。
ゆっくりと、ベルはリオンに歩み寄る。大魔王の威厳と威容を押し出して、他者を圧倒する
オーラを纏ったまま、一歩、また一歩。弱小な魔王であれば、それだけで消滅しかねない
ほどの存在感。秘密侯爵たるリオンですら、気圧されて身がすくむほどである。
「・・・なにを・・・・なにを・・・・大魔王ベル・・・・?」
「・・・・・・・相手なさいッ !!」
言うが早いか、リオンの腕をつかみ乱暴に引きずり倒す。
その拍子に、よろけ、椅子から転げ落ち、地べたに倒れこんだ。すかさず、リオンにまたがる
ベル。そうやって動きを封じておいて、ベルはリオンのスカートをたくし上げた。
「長いスカートで露出抑えてます、ってすました顔しちゃってるけど、私気づいてるの。
なぁに、この大胆なスリット・・・・。裾をはだけるといつでもどこでも股を開けるようになって
るんでしょう・・・・? 本当はあなただって、こうされたいんでしょう・・・・?」
リオンにのしかかり、熱っぽくベルが囁く。リオンの脚の間に身体をねじ込むと、確かに
スリットから割って出た細い脚は、爪先から太腿まで、他者の欲情を誘うように露になって
しまう。
「ち、違い・・・・ます・・・・」
血の気の少ない顔に、さっと赤みが差し、リオンは羞恥心を隠すようにそっぽを向いた。
長い黒髪を優しく掻き分け、首筋に接吻。
ちろり、と舌先で舐める。
「・・・・・大魔王ベル・・・・・私・・・・・・“荒廃の魔王”に恨まれるのは嫌です・・・・・」

一瞬の硬直。

「・・・・・馬鹿ね。いまは私だけを見なさい ? リオン。さあ、口づけよ・・・・」
猫のような瞳が悪戯っぽく笑う。
外見の幼さに反して、妖艶すぎる仕草と言葉に、リオンは思わず陶然となった。
渇きを癒す水を求める砂漠の放浪者のごとく、口を開き舌を突き出す。
誘われるように。いや、自ら求めて。
二人の魔王が唇を重ねあう。くちゅ、くちゅっと静かな音を途切れ途切れに立てながら、
ベルはリオンの、リオンはベルの、舌を、唇を吸い、舐めた。
リオンの黒衣の胸元を、ベルがはだける。華奢に見えて、実はなかなかのボリュームを
持つ乳房が露になり、外気に触れて微かに震えた。
「・・・・結構、胸あるのね・・・・」
少し傷ついた表情。
「・・・・私は、ベル・・・・あなたの胸も好きですよ・・・・とても・・・・綺麗・・・・」
「ちょっと、リオン。いつ見たのよ!?」
「・・・・・それは・・・・・内緒です・・・・」
あるかなしかの淡い微笑。その言葉を最後に、二人はもう余計なことは喋らなかった。
ベルの手がリオンの乳房をやわやわと握る。リオンの膝が立てられ、ベルの下着の
上から、敏感な部分をごしごしと擦りあげる。細い首筋から鎖骨までを舌が這いずり回り、
腰に回した手を尻に滑らせ、乳首を摘み、陰核をねじり、また熱烈に口づけ合う。
貪欲に互いの女の部分を的確に責め合うことで、容易く、急速に、魔王たちは高みに
登りつめていった。
「・・・うんッ、くっ、あうぁっ、リオン、そんな激しく・・・・あふうっ、んんっ !!」
「きつい、です・・・・ベル・・・・くふぅ、ん・・・・・ひぃあっ・・・くぅぅぅっ !!」 
ベルとリオンの身体が不規則な痙攣を始め、首ががくがくと縦に、横に振れた。

「・・・・ひいっ・・・・ ! リオン・・・・ッ・・・わたし・・・・くふうぅぅぅっ !! 」
「・・・・ベル・・・・っ・・・・もう・・・・うあぁぁぁぁっ !! 」

ぴったりと密着させたお互いの股間から、大量の体液を盛大に噴出させながら、
ベルとリオンは壮絶な絶頂を迎えた。
コンパクトから響き渡る音声が、二人の快感に拍車をかける。
チハヤの、灯の、エリスの嬌声に後押しされるように、ベルは二度目、三度目の絶頂を
立て続けに迎えた。それに引きずられるようにリオンが腰を浮かせ、彼女もまたベルと
同じだけの快感を味わいつくす。
脱力して横臥するリオンの胸にベルが倒れこみ、そのふくよかな乳房をクッションに
して、頬を埋めた。絶頂の余韻に浸りながら、魔王たちはしばしの放心を愉しんだ・・・・。


「大魔王ベル・・・・赤羽くれはが、『肯定するもの』と接触しましたよ・・・」
わずかの後、リオンがコンパクトの四つ目の映像に気がついてベルに声をかけた。
がばっ、とリオンの胸から顔を上げる。
「甘く見るな、って私の言いつけどおり・・・幻の映像なんかじゃなく、直接行ったのね」
「そのようですよ・・・大魔王ベル」
満足そうにニマリと嗤うと、ベルはコンパクトに向かって届くはずもない呼びかけをした。

「赤羽くれは・・・愛しい愛しい柊蓮司のおでましよ・・・・?」
リオンとの交わりで見せた微熱はすでに冷め、ベルは“大魔王”の貌をしてほくそ笑んだ・・・。




(続)
332蓮×くれはリターン!閑話休題:2008/04/05(土) 10:46:54 ID:0oCW/31A
いろいろとご感想感謝です。いままでより登場人物が多い
せいか、長くなってしまってスイマセン・・・・。
(女の子全員の濡れ場を書きたいという欲張りの結果です・・・。)
>>325さまのツッコミがあるまで、チョココロネ=蓑虫エリス、
ぜんぜん気づきませんでした。無意識のなせる業でしょうか・・・。
この後、くれは編・柊編・クライマックス等々続く予定です。
気長にまったりお付き合いいただければ幸いです。
(飽きられてなければいいのですが・・・)
333名無しさん@ピンキー:2008/04/05(土) 12:20:21 ID:wjwTmtDJ
すばらすぃ
すばらしい……ベルかわいいよベルうううううううううううううううううう
334名無しさん@ピンキー:2008/04/05(土) 14:45:25 ID:zsa+CmqN
貴様は漏れをひからびさせる気かぁぁぁぁああっ!?
335名無しさん@ピンキー:2008/04/05(土) 20:10:30 ID:+f+27jYj
>「長いスカートで露出抑えてます、ってすました顔しちゃってるけど、私気づいてるの。
>なぁに、この大胆なスリット・・・・。裾をはだけるといつでもどこでも股を開けるようになって
>るんでしょう・・・・? 本当はあなただって、こうされたいんでしょう・・・・?」

だよね! アレはエロ衣装だよね!
ぶっちゃけ生足隠せてないってか、むしろ生足を際立たせるためのものだよ。
チャイナドレスとは別アプローチの生足&フトモモ強化アイテムだよ!
清純さとエロさを同居させる……。おそるべき、ぽぽるちゃ。
336名無しさん@ピンキー:2008/04/06(日) 00:46:19 ID:cTjhvHeh
キャラのを読んで思ったんだが、もし仮にノトスが
一人であそこに行ったら二次元ドリーム的な展開になるんじゃないだろうか。
シチュエーション的に。
姫様が、かつて従えていた領民達に……とか。
337名無しさん@ピンキー:2008/04/06(日) 14:55:56 ID:iar6EGNR
構想ばかり浮かび上がって、肝心の執筆は遅々として煤魔寝得
338蓮×くれはリターン!・くれはと柊の場合:2008/04/06(日) 17:05:04 ID:SByg6D7f
※※※

夕焼けの草原を吹き抜ける薫風のようにさわやかで、陽だまりで午睡む時のように
安らかな笑顔。そんな笑顔を満面に貼り付けて、ひーらぎの姿をした“そいつ”が
あたしに近づいてくる。
瞳には限りない愛情を、口元には真摯な微笑を、凝り固めて、塗りたくって、にかわで
無理矢理貼り付けたようなひーらぎ・・・。
あたしは直感する。
これはひーらぎじゃない !

※※※

「くれは、どうしたんだよ? そんな顔するな。オレ、なにかお前を怒らせたかな?
だとしたら謝る。機嫌を直してくれないか? それとも、どうしたらオレを許してくれるの
かな」
「ち、近寄らないで !! 」
完全な理想の男性。女の子に優しくて、誠実で、気遣いも忘れない。そしておそらく
強くって、誰にも負けず、欠点なんかこれっぽっちもなくて。
“だれか”が夢見た“だれか”のための人格を、なみなみと注ぎ込まれた、ひーらぎの
姿をした只の器なんだ、ってあたしは気づいた。
 あたしには上手く言えないけど、これはあたしの大好きなひーらぎなんかじゃない。
ひーらぎは、そりゃあ無神経で、がさつで、気も利かないし、お馬鹿で不運でいろいろと
台無しなヤツだけど、いまあたしの目の前にいるようなやつじゃ、決してない。
こんな“気持ち悪い”ヤツじゃあ、決してないよ!
「・・・・どうしてだ、くれは ? オレは誰よりお前が大切で、お前の言うことなら何でも
聞くんだぜ ? お前が右を向けといえば右を向くし、左を向けといわれれば躊躇なく
そうする。ほかの女の子には見向きもしないし、気に入らない奴がいれば排除する
ことだって躊躇わない。そんなオレのどこが不満なんだ ? お前が言う“ひーらぎ”よ
りも、ずっとすばらしい男だぜ ? 」
心底不思議そうな顔をして“そいつ”が言う。
あたしは唇をぎゅっと噛み締め、目の前のひーらぎに向かって口を開く。
「・・・・あなたは、たしかに理想のひーらぎだよ・・・・」
「だろう ? だったらやっぱりオレを選ぶんだろう、くれは ? 」
両手を大きく広げ、まるであたしを迎え入れようとするかのように“ひーらぎ”が言う。
あたしは、寂しくて、哀しくて、こんな彼が少し哀れで、力なく首を左右に振った。
339蓮×くれはリターン!・くれはと柊の場合:2008/04/06(日) 17:06:43 ID:SByg6D7f
「やっぱりダメ。あなたは、あたしの大好きなひーらぎじゃ、絶対ない」
 完璧で、絶対なひーらぎ。
 あたしを失望させない、全てにおいて無敗の男性。
 でも違うんだよ。そうじゃないんだよ。きっとあたしはこんなひーらぎ嫌いなんだよ。
・・・・ふと、思い出す幼い日の記憶。
 あの雪の降る年の瀬の情景。
 降りしきる雪の中で、小さかったあたしがひーらぎを待っている。
あたしン家の神社の境内で、そこを動くなって言われたから素直に馬鹿みたいに、
身体中雪まみれになりながら、凍える思いでひーらぎを待ち続けていたあたし。
寒くって、寂しくて、なんとなく哀しくて、そして切なかった。
でも。でもね。
ひーらぎがあたしのために、ぼろぼろになってまで持ってきてくれたクリスマスケーキ
は、小さかったあたしをとても温かな気持ちにさせてくれたんだよ。今でも、あの日の
ことを思い出すだけで、胸の奥が温かく、温かくなってくるんだよ。
小さな小さなクリスマスケーキが、大きな大きな幸せを、あたしに運んでくれたんだよ。
 目の前にいる“ひーらぎ”は、多分、あたしを寒がらせたり、寂しがらせたり、哀しませ
たり、切ない気持ちにさせるようなことはしないんだろう、と思う。
でも、その代わりに、温かな気持ちにさせてくれたり、幸せを運んでくれることもない
に違いないんだ。
「・・・・だから、あたしはあなたを受け入れられない !! 」
想いの限り、あたしは言葉を叩きつける。
そして、“ひーらぎ”は・・・・。

「・・・・理解、出来ない・・・・」

呆然と呟いた。
「・・・・私はお前が理解できない」
口調も、声もがらりと変わって、“ひーらぎ”・・・いや、おそらくひーらぎの姿をしたエ
ミュレイターがそう言った。
「人間の望む最高の夢や理想を形にするのが私だ・・・プラーナの力で無から有を
創造出来る、類まれなる力を持つものだ・・・なぜ、お前は望まないのだ・・・なぜ、
誰もが追い求める理想に背を向けるのだ・・・・なぜ、お前は私の力を肯定しないの
だ !? 」
理解不能、といった表情でエミュレイターが叫ぶ。
そうか、とあたしは気づいた。
彼はきっと、その人が望むものを具現化するのではなく、「こんな望みを持っているに
違いない」と、勝手に思い込んでいるだけなんだ。
ほとんどの相手には、たぶんそれが妥当な望みなんだろう。
人間の欲望なんて、どれも似たり寄ったり。地位とか権力とかお金とか、目の前に
差し出されれば、たいていの人は飛びついてしまうんだろう。だけど、今回はサンプル
が悪かった。あたしとひーらぎの・・・ううん、人と人とのつながりや思いは、その人たち
にしか分からないもの。彼が提示した理想の男女の関係なんて、最高のものどころか、
最大公約数的な理想ですらないんだ、っていうことに、どうしても彼は気づけないんだ
ろう。
そのことが、なんだか少し・・・ううん、すごく悲しい。
340蓮×くれはリターン!・くれはと柊の場合:2008/04/06(日) 17:08:38 ID:SByg6D7f
「・・・やはり分からない。お前は少しおかしい」
諦めたように首を振るエミュレイター。
「後回しにして、ゆっくり考えることにしよう。安心していい。私はお前を傷つけない。
いまの私にはまだそれだけの力はないからだ。あの女たちからプラーナを奪い去る
までは、もう少し時も要ることだし、な」
「・・・・ !! まさか・・・エリスちゃんたちになにをしたの !? 」
「なにもしていないさ。少し、身体の自由は利かないかもしれないが、一切危害は
加えていない。ただ、彼女たちが欲する夢の情景を、いま私がしたように、彼女た
ちに見せつけてあげているだけでね」
目を閉じ、何かを探るような表情。にんまり、と口元を歪め、
「・・・・・ああ、彼女たちは私の創り出した夢を楽しんでいるみたいだ」
と呟いた。そんな、そんなことはない !! 彼が自分勝手に押し付けた夢や理想に、
絶対エリスちゃんも、あかりんも、チハヤちゃんも飲み込まれたりはしない !!
「すまないが、くれは・・・いいや、人間のウィザードよ。すこしの間だけ、不自由な
思いをしてもらう」
エミュレイターの足元から、真っ赤に血塗られた鎖が数条、耳障りな金属音を鳴らし
ながらあたしに迫り来る。あっ、と思う間もなく、鎖はあたしの手首足首に巻きつき、
二の腕、腿、肩や胸といわず、全身くまなく覆いつくした。
「そこで、私の手腕を見ているといい。柊蓮司・・・特に気をつけろといわれていたが、
所詮は人間の男。男の夢見る理想など、容易く具現化できる」
ひーらぎの姿をしたエミュレイターの姿がぐにゃりと歪み、不定形の塊を経て姿を新た
に変化させていく。
目の前に現れたのは・・・・このあたし自身。
「ちょ、ちょっと、勝手にあたしに化けないでよ ! 」
抗議の言葉をさらりと受け流して、“あたし”が言う。
「柊蓮司に、わたしを、私の見せる理想と夢を肯定させてやろう。私は彼の理想とす
るお前を創り出す・・・・お前の存在力全てを使ってね・・・・・・。
安心してそこで見ているといい。彼は、お前などより素敵な“赤羽くれは”と、仲睦まじ
く末永く過ごすことだろう。それこそが裏切りの報酬だ。それに気づいたときはもう、
遅い。罪の意識に苛まれながら自我を失うほどの狂気を味わわせてあげようじゃな
いか」
そう言うと、エミュレイターはぱちんと一つ指を鳴らした。
あたしの目の前に突如として巨大な姿見が現れる。
鏡の面は乳白色に濁っていたが、次第に鮮明な映像をその中に結びだす。

紅い荒野に魔剣を携え、そこにひーらぎが立っていた。
341蓮×くれはリターン!・くれはと柊の場合:2008/04/06(日) 17:10:07 ID:SByg6D7f
「・・・・ひーらぎ・・・・・!! 」
叫んでも、あたしの声はひーらぎには届かない。くやしい。目の前に、すぐ目の前に
いるのに。
「さて、と。ちょっていってくるね ? そこでいい子にしてるんだよ〜 ? 」
口調まで真似て、あたしを“あたし”が嘲る。
「すぐ済むから。男なんてみんなおんなじ。あなたの信じたひーらぎが、理想の赤羽
くれはと、夢のような世界に溺れていく様を、じっくり見物しててね〜」
きっ、と睨みつけて、
「ひーらぎはあなたなんかに騙されないんだから !! 」
そう叫ぶ。
「はわわ〜。あー怖い怖い。こんながさつで乱暴な女の子じゃ、ひーらぎも愛想つかして
“あたし”の方がいいって言うに決まってるよね〜。ひーらぎは完璧な女の子になった
赤羽くれはにメロメロになっちゃうんだよ、きっと」

胸がズキリと痛む。

あたしがこの何日も心の何処かで引っかかっていたことが、まざまざと思い出されて。
エリスちゃんみたいに素直じゃないし料理も出来ない。あかりんみたいにクールでも
カッコよくもない。チハヤちゃんみたいに真面目でもない。
ひーらぎがあたしを選んでくれた理由はなに ?
あたしの存在ってひーらぎにとってのなに ?
自信を失いかけていたあたしに、エミュレイターは追い討ちをかけるように、「完全無欠
な赤羽くれは」を創り上げるという。
あたしは「完璧なひーらぎ」なんていらないって思ってる。
でも、ひーらぎは「完璧なあたし」を、もしかして欲しがったりするのかな・・・・。

・・・・・・・。

な、なに考えてるのあたし !?
ひーらぎを信じなきゃダメだよ !?

「なんかへこんでるみたいだね ? ま、そこで見ていてよ。あたしがあなたにとって
かわってあげるから」
嘲笑を浮かべながら“あたし”の姿がぼんやりとかすんでいく。
いつしかこの紅い荒野には、鎖で縛められたあたしと、魔法の姿見だけが取り残され
ていた。あたしは、姿見に映るひーらぎの姿を祈るような想いで見つめる。

「ウン。信じてる。あたしは、ひーらぎを信じるからね」

声が届かない分、強く心に念じて、あたしは全ての顛末をひーらぎに任せ、見守る
決心をしたのだった・・・・・・・・。
342蓮×くれはリターン!・くれはと柊の場合:2008/04/06(日) 17:11:27 ID:SByg6D7f
※※※

紅く紅く、どこまでも紅く。
彼にとってはもはや異質でもなんでもなくなった風景が眼前に展開する。
月匣。
エミュレイターの展開した結界内で、柊蓮司はウィザードとして培われた勘働きをフル
回転させる。迫り来る危険はない。ないはずであろう、と思う。
殺気そのものには敏感な彼である。エミュレイターの攻撃は当面のところないと結論
付けた。もっとも、持ち前の不運の賜物か、殺気を発しないトラップの類には滅法弱く、
「罠にかかるんじゃなくて、罠に突っ込んでいくよね、ひーらぎは」と幼馴染みの巫女
服の少女に、いつもからかわれる。
 四方はなにもない、だだっ広い赤色の荒野。
油断なく魔剣を構えながら、思いつくままに歩き回って、どれだけの時間が過ぎただ
ろうか。仲間の少女たちの安否が気にかかる。早く見つけなければとは思うが、正直
手詰まりといえた。
「なにもないにもほどがあるぞ、ちくしょう」
聞くものさえいない不平を漏らし、柊は土を蹴る。
と、蹴り上げた地面が白く白熱したような輝きを放ち、
「どぅわっ !? 」
思わず情けない声を上げて、五、六歩後ずさる。
「魔方陣かッ!? 」
 白い輝きは円を描き、複雑な幾何文様を形作る。回転し、収束と拡大を繰り返して、
大地に描かれたのは、転移の魔方陣のようだった。
大きな円が放つ光は、垂直に正しい円筒形をしている。
その光の筒に囲まれた人影を認め、柊は安堵の声を上げた。
「くれは、お前かぁ。脅かすなって」
魔方陣が一瞬に掻き消え、そこに立っていたのは幼馴染みの少女。足早にくれはに
近づく。
「ひーらぎ・・・あたしのこと心配してくれたの・・・・? うれしい・・・・」
頬を染め、うつむき、恋慕の情に浮かされた熱を帯びた瞳で、くれはが柊に囁きかける。

柊の、歩みが止まる。

「くれは・・・・・。いや、“貴様”、くれはをどうしやがった・・・・?」
343蓮×くれはリターン!・くれはと柊の場合:2008/04/06(日) 17:12:38 ID:SByg6D7f
※※※

・・・・複雑な気持ち、ってこういうことを言うんだろうなぁ。
喜んでいいんだか、哀しむべきなのか、それとも怒るところなのか、どうしたらいいか
わからない微妙な心境って、たしかにあるよ、うん。
魔法の姿身に映るひーらぎに、あたしに化けたエミュレイターが近づいたとき、あたし
無駄だと分かっていたけど大声で、
「ひーらぎ、それあたしじゃない、あたしじゃないよー」
って、一生懸命呼びかけてたの。
 で、ひーらぎは嬉しいことに、すぐにあたしの偽者を見破っちゃったんだよね。えへ。
・・・・でも、それってずいぶん失礼な話で。
あたしに化けたエミュレーター・・・ええい、面倒くさいから「クレハ」って呼んじゃえ。
とにかく、その「クレハ」がひーらぎとの再会を喜ぶ態度で、偽者だって見破ったみたい
なんだけどさ・・・・・。
あーあー、わかりましたよ、ひーらぎが普段どんな目であたしのことを見ているか !!
こんなこというのもなんだけど、「クレハ」の態度ってすっごく女の子してて、可憐で、
はかなげで、なんていうか男の人が護ってあげたくなるような態度でさ。
女のあたしにそう見えるんだから、かなりの演技力だよ、あれ。
・・・・・で、ひーらぎは、そんなあたしを偽者だと見破った、と。
「どーゆーことよ、ひーらぎーっ !」
怒鳴り散らしてはみたものの、それはやっぱり普段のあたしをひーらぎが見ててくれて
てる結果なわけで、それはそれでやっぱり嬉しくて、でも腹立たしくもあり、かつ自分の
女の子としてどうかと思う部分を突きつけられたことで情けなかったり哀しかったり、
あー、もー、いそがしいったらないよ・・・。
344蓮×くれはリターン!・くれはと柊の場合:2008/04/06(日) 17:14:06 ID:SByg6D7f
「あたしがくれはだよ? ひーらぎの好きな赤羽くれは。でもね、ひーらぎがもっともっと
あたしのことを好きになれるような、もっともっとすてきなくれはなの」
見破られてもなお、「クレハ」は言う。
「ひーらぎの言うことなんでも聞くよ? ひーらぎの言うことには逆らわない。あたしは
ひーらぎの理想のくれはになれる。言葉遣いも態度も、もっと女の子らしくなれるよ。
大和撫子、ってひーらぎ、好みかな? ウン。そうだね。そのほうがいいよね・・・・」
 言葉に従って、だんだん「クレハ」の態度がしおらしく、おしとやかに変貌していく。
慎ましやかに膝を閉じたのが巫女服の袴の上からでも分かるし、いつの間にか、
両手を前で重ね合わせて肩を軽くすぼめた姿勢になっている。
完全無欠の大和撫子。
従順、清楚、可憐、貞淑・・・の完璧な具現化。
・・・・・はわー・・・・・ま、負けそうだよ・・・・。
姿見の中のひーらぎの反応を見るのが、少し怖い。
「そっか、オレの言うことを何でも聞くくれは、か」
・・・ひーらぎ・・・・?
「うん。なんでも」
花がほころぶような笑顔を惜しみなく、「クレハ」が捧げる。
「そーかそーか。じゃあ、くれは。さっそくなんだけどな」
重心を低く。どっしりと腰を落とし。両手で握り締めた魔剣を構えつつ。
「おまえ、破魔弓出してみてくれ」
「・・・・・・・・え?」
ぴきり、と「クレハ」の笑顔が引きつった。
「破魔弓だよ、破魔弓。いつもお前の使ってるやつ」
催促されて、ひーらぎの意図は分からないながらも、慌てて月衣から破魔弓を取り出
す「クレハ」。
「よしよし。じゃあ、くれは。そいつを構えて。で、オレを撃ってくれないか?」
ちょっとお茶でも入れてくれよ、的な物言いでお気楽に言うひーらぎ。なに ? いったい
ひーらぎはなにをしようっていうの?
「撃つ・・・・ってひーらぎ・・・・そんなことしたらひーらぎが・・・・」
「ああ、それでな。同時にオレ、この魔剣でお前に斬りかかるからさ。よけたらダメだか
らな ? オレもよけないから、お前も全力で攻撃するんだぞ ?」
「ちょっ・・・・待って・・・・そんなことしたらあたしたち二人とも・・・・」
「ああ。ただじゃすまないな」
けろり、とひーらぎ。
姿見に映るひーらぎと「クレハ」のやり取りを息を飲んで、あたしは見守る。
「悪くすりゃどっちか。いや、下手すりゃ二人とも、死んじまうかもな。ま、大丈夫だ。
そうなったらオレがお前を助ける。お前はオレのこと、助けてくれよ?」
チャキ。
燐光がひーらぎの全身を包み、剣気が映像でも分かるくらいに、大気に満ち満ちていく。
刀身に込められた闘気は、いままさに放たれる瞬間を待ち望んでいるように、膨張し
続けていた。
それはまさに、振り上げられた拳。
それはまさに、引き絞られた弓。
開放の瞬間が近づく・・・・・・。
345蓮×くれはリターン!・くれはと柊の場合:2008/04/06(日) 17:15:25 ID:SByg6D7f
「ひーらぎ ! むちゃくちゃだよ !そんな、死んだらどうやって助けるの !?
二人そろって死んじゃったら、お互いを助けるなんて出来っこないじゃないッ !?
だ、第一、何であたしたちがこんなこと、しなきゃいけないのぉっ !?」
恐怖に引きつった顔で「クレハ」が絶叫する。破魔弓をひーらぎに向けて威嚇するように
して、それでもなんとかひーらぎの魔剣から逃れようと必死の形相で。


「そりゃそーだ。こんなことしたって意味ねーよな。やめていいぜ、くれは」


きょとん。ぽかーん。
まったくそのとおりの擬音が聞こえたような、そんな顔を「クレハ」はする。
あたしも、きっと同じ顔してたろうと思う。
さっきまで纏っていた闘気が、嘘のようにひーらぎから消え去っていた。
「でも、そういうことなんだよな。いざとなったら、そうできるのがオレたちなんだ」
「な・・・・に・・・・・!?」
「オレはくれはに、この魔剣で切りかかったことがある。実際、斬りつけもした。
でも、それは倒すためじゃなくて、あいつをこの手に取り返すためだった。
おかしなこと言ってるって思うだろう ? だけど、本気で戦って、本気で命かけられて、 
死んじまうかもしれないってのに、オレはくれはに向けて刃を振るうことが出来る。
そして、本気で戦うからには、本気でくれはを助けようと全力を尽くす。
必要ならくれはを倒してでも、だ。くれはも多分、同じことをオレにするんじゃねーかな ?
そしてオレは・・・・・・・・」

「くれはを死なせたとしても最後には助けてみせてやる」

346蓮×くれはリターン!・くれはと柊の場合:2008/04/06(日) 17:17:13 ID:SByg6D7f
(ひ、ひーらぎぃ・・・・・)
な、なんかちょっと感動した。
普段なら絶対聞けないようなこと聞けちゃったよ・・・。なんかね。もう、いままで抱えて
いたモヤモヤとか、どうでもよくなっちゃうくらい嬉しくって。
はわー。こんなときにニヤニヤしてる場合じゃないっていうの、あたし。

「・・・・・矛盾だ。理解、出来ない」
赤羽くれはの仮面のまま、顔を歪めるエミュレイター。
「そっか。わかんねーかな」
苦笑するひーらぎ。ちょっと寂しそうな、エミュレイターに憐憫を抱いているかのような
苦笑だった。
「私の生み出す赤羽くれはのほうが、絶対だぞ !? 理想の、究極の、誰にも負けない、
誰も敵わない赤羽くれはだぞ!? それなのに、柊蓮司、お前はそれを認めないのか !?
肯定しないというのか !? 」
「ああ。しないね」
「あのくれははがさつだぞ !?」
「ああ。そうだ」
「私のほうが料理だって上手く出来るのに、か !?」
「ああ。そうだ」
「お前にバックを投げつけたり、一本背負いをするような女だぞ !? 」
「ああ。そうだ」
「秘密をばらすと脅すような女なのに !?」


「ああ。そうだ。オレが好きな赤羽くれははそういうヤツさ。
そういうヤツでいいんだ !! 」


ひーらぎが吼える !
あたしの目の前で、最後の戦いがついに始まった !!



(TO BE CONTINUED→GO TO CLIMAX PHASE !!)
347名無しさん@ピンキー:2008/04/06(日) 18:00:12 ID:Pm5HwFpR
……マゾですな
348名無しさん@ピンキー:2008/04/06(日) 19:03:55 ID:AiYu0Hit
熱いなーwwwwwwGJ!
というか一個くらい否定してやれよ、長所がないみたいじゃないかwwwwwwwwww
349名無しさん@ピンキー:2008/04/06(日) 19:29:07 ID:+PrfWknG
熱いなーと思って読み進めてた直後に>347で吹いたじゃねえかちくしょうw
350名無しさん@ピンキー:2008/04/06(日) 20:20:00 ID:yD41kV/t
くれはでダメだったから柊落とそうって
難易度ノーマルでクリア出来なかったゲームをハードに上げて再挑戦するくらい
無謀な試みだと思う
351名無しさん@ピンキー:2008/04/06(日) 20:26:53 ID:XanRcKZt
残りはイージーモードか…
352名無しさん@ピンキー:2008/04/06(日) 20:42:02 ID:7Tek5OfO
>「お前にバックを投げつけたり、一本背負いをするような女だぞ !? 」
>「ああ。そうだ」
>「秘密をばらすと脅すような女なのに !?」


「そ、それは困る!」
一同:ちょっとまてー!?(大爆笑)

とか、一瞬ものすごいダイナシな想像をしちゃったぜ
353名無しさん@ピンキー:2008/04/06(日) 20:50:24 ID:v/mjS+ZX
んー、明らかに直に現われずに他の3人と同じ手口でやってた方がまだ効果があったよなあ、柊とくれはw
354名無しさん@ピンキー:2008/04/06(日) 22:06:00 ID:jbOr1YvG
ベル様が余計な茶目っ気を出して台無しになるなんて、よくある事。
355名無しさん@ピンキー:2008/04/06(日) 22:46:10 ID:xYBKZQpP
なんとなくだが、コンパクトで様子見ながら「そうそう、その調子…って、違うでしょそうじゃなくて…ああっ、もう!」とかヤキモキしてみてるベルを想像した。
356名無しさん@ピンキー:2008/04/06(日) 23:08:58 ID:XanRcKZt
『肯定するもの』量産の暁には、理想の萌え大魔王大量生産されて裏界帝国壊滅しそうだ

そしてピンピンしているアンz…おや、誰か来たみたいだ


357名無しさん@ピンキー:2008/04/06(日) 23:12:58 ID:DeRGqCiQ
途中「クレハ」を「クレバー」と間違えて、
その後全ての「クレハ」を「クレバー」に読み替えて
遊んだ俺はきっと疲れているんだろう
358名無しさん@ピンキー:2008/04/07(月) 00:15:35 ID:497tRkKo
お前はよくやった。もう森へ帰ろう。
359名無しさん@ピンキー:2008/04/07(月) 00:54:40 ID:V5TtUHkQ
>>357
安心しろ。俺もだw
360名無しさん@ピンキー:2008/04/07(月) 01:41:07 ID:LBAMyroe
>>356
少なくとも世界各地で活動してる魔王の写し身がズンドコ書き換わっていくのが目に浮かぶなwww
俺の新妻フェウスたんと嫁公認むしろ3POKな愛人のベルが爆誕
ウヒャッハー!? す、すげぇぜハニー!!!

だが街で別の奴が創ったベルを見かけてゲンナリするという
361名無しさん@ピンキー:2008/04/07(月) 07:20:14 ID:wwyEpCbM
いや、俺なら魔王じゃなくて理想のアンゼ様を作るね!
 新婚ホヤホヤの若奥様のように、かいがいしく自分の手で紅茶入れてくれるんだぜ!?
そして夜は、
「わたくしを抱いてくださいますね?ハイかイエスでお答えください」
さらには、俺の理想どおりの淫らなアンゼ様が、
「挿入してくださいますね?前か後ろでお答えください」
って、うはー!もうたまらんですよ! (馬鹿だなあ俺・・・)
362名無しさん@ピンキー:2008/04/07(月) 07:29:51 ID:IcxuWuEB
            /   /                  /             ヽ
          ′   //         !   /     〃               、
            ,   ィ/|          | / |   /{/               ,
.         ,′ / l{' |.     { ─-| / │ //| |'    |           ヘ ',
        /   { ⌒ト、   从 / j/  `lメ、 | |    '|           |
.        /    ∧、{| \ヘ{ V    │   | |  / | j          } !
        /   / ヘ. |   l\ ===ミ 、    | |  /ナメ、}     i   .′i
      /   / /  `l|   |      `     |//jノ ,′    |  ′/
.      /    / /   l|   |                =ミ、   ′     | /
.    /   /   _ァ‐-|  │                 ヾ/    イ リノ
    /     '  // ト、 /li   │    丶._  ´   <.__  ノ// '′
  /    ,厶∠... | `¨|i   | \      ` `      ,ハ//´ レ′
 /  /..:::.::.:::::..`ヽ  |    |、  \     ,..r  ´  |       >361さん、(敵陣に)突入してくださいますね?
/ ,/..::.::.::.::.:::::::::::::::..\|    |て /ト、`r l |  丿|   |     
 /..: : :.::.::.::.::.::::::::::::::::::::..\ │ `スrく}r‐┴く  |   |        前(衛)か後(衛)でお答えください。
'/.:.:.::.::.::.::.:::.:::.:::::::::::::::::::::::::::} | /  }\j::::.:::.::..\   |
363名無しさん@ピンキー:2008/04/07(月) 11:42:24 ID:wwyEpCbM
〉362
アンゼロット様、つまりこういうことですな!?
「突入してくださいますね?」
「まずは前(衛)ですね!?」
「ヒッ!?ヒイッ!?」
「続けて後(衛)に参りますよ!?」
「ッ!?ヒイィッ!?」
「私めはオールラウンダーでございますゆえ!!」
「そ、そんな!?前か後ろ、どちらかと言いましたのに!?
両方に突入するなんて反則ですわ!?
やめっ、アッ、いや、アヒッ、アァ〜!?」
そして朝まで「アンゼロット様侵攻作戦」の続行を許可すると!?
(馬鹿は自分に都合のいい解釈をした)
364肯定するもの劇場外伝:2008/04/07(月) 15:34:53 ID:LBAMyroe
とある侵魔の記憶

「あ、あれっ? 写し身がやられた?」
「まあレベル1で作ったものね。仕方ない、もう一体」
「え、また?」
「うがー! こうなったらレベル10で作ってやるわよ!!」
「って、ちょっとウソでしょ!? これでもダメなの?」
「い、一体どーなってるのよ!」
 魔法のコンパクトを開くベル様。
 まず最初に戦っていたウィザードから監視を試みます。
「っ!?」
『ああっ、ベルっ! ベルっ! 最初に見たときから俺は……俺はぁッ!!!』
『あ、あ、あたし……はぁんっ、んぁ、あ、あなたの、ものにゃのぉっ! 突いて! もっと、もっと奥ぅぅぅッ!!!』
 めっさまぐわってました。全裸で。しかしめげずに次を見ようとするベル様。
『んひゃあああああぁぁぁああんっ! ら、らしてぇ……あらしの奥にぃ、もっとぉ、もっとらしてぇぇぇええぇぇぇ』
 コンパクトに映った瞬間むっちゃ中出しです。見る限り抜かずに4、5発は注ぎ込まれているであろう溢れかたをしてました。
 しかも着衣そのままパンツずらしというマニアックなプレイです。顔もつるつるの恥丘も上気してピンクに染まってます。
 激しく水音を奏でる結合部は泡だってもう何が何だか判りません。
 一つ言えることは、ずらしたパンツは水分を吸いきって重そうに見えるということだけでしょうか。
「な、ななな何なのよ何なのよコレェっ!?」
 戦慄しながら最後のレベル10に一縷の望みをかけてコンパクトを制御します。
 するとどうでしょう。
『はうっ。ご主人様ぁ、そこはダメですぅ〜』
『(ボソ)ご主人様の……オチンポ……おいしい……』
『ちょっとアンタばっかずるいわよっ! アタシも舐めるの! 絶対、気持ちよくなってもらうんだからっ!』
『あっ!? ……やぁっ、ボクのアソコ、ひぅ、ご主人様の、あっ、ゆびぃ……はいって……ぁっ』
『ちゅっ……ちゅぷっ……じゅるっ……(ディープキス中)』
『ご主人様ぁ』『御主人』『あるじ様ぁ』――etcetc
 いやもう居るわ居るわレベル1のつるぺた銀髪少女が10人も。
 それがこぞって一人の男に群がって傅いていたのです。個性を出したいのか口調だけ違うのがまたいたたまれません。
「……あー」
 流石にこの光景は堪えたのでしょうか。ベル様の顔がとても描きやすくなってしまいました。こんな感じに→(=×=)。
「あたしは何も見なかった。もう寝る。寝るったら寝る」
 おやおや、ついに布団を被って不貞寝してしまいました。
 ところでずっと物陰に居たリオン様。
「なにかしら」
 どうして止めて差し上げなかったのですか? こうなることは分かってらしたでしょうに。
「だって……聞かれなかったし」
 左様ですか。
「……ちょっとお化粧直しに」
 と、そそくさと行ってしまわれました。やれやれ、魔王という方々は勝手なものですね。
 ……? 何故リオン様が隠れていたところに染みが……あ、ちょっと粘っ

 ――記憶はここで途切れている。
 奇しくも『量産型肯定するものMk-2』を世に解き放ったその日であった。
365強化(ry:2008/04/07(月) 15:36:39 ID:LBAMyroe
面白そうだからやった
今は反省している
カップメンうめえ
366名無しさん@ピンキー:2008/04/07(月) 16:19:43 ID:NKQ6ObiV
あんたか!
367名無しさん@ピンキー:2008/04/07(月) 22:11:19 ID:v1QvG2H5
だがGJといわせてもらうぜ!
368名無しさん@ピンキー:2008/04/08(火) 00:06:20 ID:JPAWiiwX
ぐじょーぶ。
桃色ファーサイドが全開だね!
369名無しさん@ピンキー:2008/04/08(火) 01:02:34 ID:OlDKo7QE
……カップメン?
は! よもや!?

――発言はここで途切れている。
370名無しさん@ピンキー:2008/04/08(火) 10:17:08 ID:QRIiwjWb
暴れカップめんがどうかしましたか?
371名無しさん@ピンキー:2008/04/08(火) 12:48:55 ID:hPVIpLRC
あかりんらーめんしんはつばい!
372名無しさん@ピンキー:2008/04/08(火) 20:14:13 ID:3U+YgJsh
お湯を注ぐと孵化するんですね、わかります。
373名無しさん@ピンキー:2008/04/08(火) 20:54:56 ID:vvMhzJHq
インスタント雑魚魔王
374名無しさん@ピンキー:2008/04/08(火) 20:57:40 ID:kCxrGrFv
ロンギヌス特務殲滅部隊「あかりんの弁当箱から冥魔王が産まれたと聞いてやってきました」
375名無しさん@ピンキー:2008/04/08(火) 20:59:03 ID:C3EFJqOe
アンゼロット「柊蓮司に喰わせなさい」
376名無しさん@ピンキー:2008/04/08(火) 21:03:56 ID:uu+7hKZ9
柊「喰えるかぁぁぁあああっ!?」
377名無しさん@ピンキー:2008/04/09(水) 05:08:01 ID:KKz19ZPa
灯「スケート教室の時は夢中で食べてたくせに」
378名無しさん@ピンキー:2008/04/09(水) 07:51:31 ID:s1gIwbff
そろそろ誰か本当の事をあかりんに教えて上げてください・・・・・・。
379名無しさん@ピンキー:2008/04/09(水) 09:00:46 ID:JLfPs8Y+
あかりんって無表情キャラに見えるけど、かなりオチャメな性格だよな。
中の人補正というか。

>378
自分では絶対に食べないところに、もはや答えが見えている気がするが
380名無しさん@ピンキー:2008/04/09(水) 09:47:37 ID:lFq6P7kv
そういや、以前こんな指摘を見た事があるな

表情には乏しいが、実は感情豊か=灯
表情には豊かだが、実は感情に乏しい=アンゼロット(柊いぢりの時は別)
381名無しさん@ピンキー:2008/04/09(水) 15:40:36 ID:dX/RrqYu
夜のあかりんはそりゃもう感情豊かですとも
382名無しさん@ピンキー:2008/04/09(水) 20:28:39 ID:41BH+EuS
>>380
表情は乏しいが、乳は豊か=灯
表情は豊かだが、乳は乏しい=アンゼロット

こうでも通じるな。
383名無しさん@ピンキー:2008/04/09(水) 22:05:19 ID:Qp/0+xrz
くれは「その点、表情もお胸も豊かなあたしってば最強?」
ベル「…………ちょっと。体育館の裏まで付き合いなさい」
384名無しさん@ピンキー:2008/04/09(水) 22:17:44 ID:AcROAtEw
>お胸も豊か

  嘘   だ   !   !
385名無しさん@ピンキー:2008/04/09(水) 22:46:05 ID:JLfPs8Y+
マユリ「ここで真のヒロイン登場です」
投下の前のちょっと一言。
今回、キャラ多くていつもより長くなった上に、
戦闘シーンやら解説シーンが多いので、
読むのが面倒くさかったらごめんなさい。
今回投下分のベルとリオンはほとんど、

ベル「・・・うぬぅ、『肯定するもの』とはまさか・・・」
リオン「知っておるのかベール=ゼファーっ!? 」

と魁!男塾的に解説役に徹します。でわ。
(あと少し続きますので、もうしばらくおつきあいのほどを・・・)
正眼に構えた魔剣の向こう。
赤羽くれはの姿をしたエミュレイター『肯定するもの』が、醜く歪んだ顔で歯噛みする。
くれはの顔であって、決してくれはがしないような表情は、自身の失策を後悔する悔恨
そのものの顕れだ。
大魔王ベール=ゼファーの言うとおり、そして『肯定するもの』が認めるとおり、その力は
弱小にして矮小。幻術を操り、他者の姿を間借りし、わずかの間他人を拘束する技を持つ
だけの、ちっぽけなエミュレイター。唯一の誇れる力は、己の操る幻影に、他者が同調した
時にのみ発揮される。
それは、他人の心の“虚”を突く能力。彼が創り出した幻影を誰かが肯定し、認めた時だけ
強制的に存在の力を奪取できるという、条件付きの力。しかも、自身の造りだした幻影の
オリジナルからしかプラーナを奪えない、という代物。
唯一といっていい特殊能力すら、奪取の力が微弱であるため、似せた幻影と同型の存在
からしかスムーズなプラーナの奪取が行えないのである。
「いくぜっ、エミュレイター !! 」
柊蓮司が裂帛の気合を込めて、振りかざした魔剣を垂直に切り下げる。
青褪め、狼狽し、『肯定するもの』は飛び退った。
そして。
「・・・・・・・!? 」
ひらり、と。『肯定するもの』は、自分でも思いもよらぬ俊敏な回避力を見せつけた。
舞うがごとく、飛ぶがごとく。そんな形容が似つかわしい。
「はずしたかっ !? 」
柊蓮司が叫ぶ。
その一方で、その斬撃をかわした当の本人が、信じられないというように呆けていた。
突然の敵の放心に、訝しげに眉を顰める。罠の存在を危惧してか、柊はあと一歩を
踏み出せずにたたらを踏んだ。
『肯定するもの』。
脆弱にして矮小なるエミュレイター。
柊の魔剣の一振りで、あえなく消滅を免れぬはずの存在が、
「あはははははっ ・・・・・!! そうか、そうか、そういうことか・・・・・・ !! 」
耳障りで傲慢な哄笑を爆発させると、柊蓮司を凄絶な視線でねめつけた。
※※※

「・・・・成長したわ、あの子」
 裏界帝国の何処かに存在すると言われるベール=ゼファーの居城、その一室。
美しき蠅の女王は、宿敵たる柊蓮司とエミュレイター『肯定するもの』の対決を、
魔法のコンパクトで観戦中だった。
先ほどの行為の流れで、床に寝そべらせた秘密侯爵リオン=グンタを抱き枕代わり
に腕に抱きながら、ベルは軽い驚きに目を見張っている。
「ちょっと嬉しい驚きだわ。大して使えない子だと思っていたけど、とうとう奪った
プラーナを自分のために使うことを覚えたみたいじゃない」
「プラーナを奪った・・・・いつ、どうやって・・・・? 」
ベルの胸元に頬を預けつつ、リオンが尋ねる。
「奪った、って言い方は適切じゃないかもしれないわね。多分、あの子にもその意識は
なかったはずだもの。これは言ったかしら ? 『肯定するもの』は、相手が自分の造りあ
げた虚像を肯定する、というプロセスがなければ、プラーナの変換も操作も出来ない
の。つまり、“虚像”は、それを媒介にプラーナを譲渡させる装置ってわけ」
「・・・・・なるほど」
「おそらく、あの三人・・・エリスちゃんたちを捕らえ、幻術の映像を見せ付けることで、
彼女たちとの間にかりそめのプラーナ譲渡のための回路がつながった・・・・。」
「ですが、大魔王ベル。それだけではプラーナを奪ったことにはなりませんよ」
リオンが静かに反論の言葉を口にする。
「ええ、そうよ。そこがあの子のすごいところなのよ」
我が意を得たりといわんばかりに、喜びの声を上げてはしゃぐ。
まるで自分が褒められたような浮かれようだった。
 回路を通じて流れ込むプラーナはおそらく、ごくごく微量のもの。奪ったわけでも、
奪われたわけでもない。おそらくは風に乗って花の香りが空を渡るかのような、存在
の力の残滓とでもいうべき、プラーナの残り香のようなもの。
 エリスたちにまだ“肯定”されていない現在、それ以上の奪取は『肯定するもの』にも
できないのである。
 しかし、実は『肯定するもの』にとっては、たったそれだけのプラーナでも、自身の力を
増加させる「だけ」ならば十分なのだ。
「・・・・・冷静に考えればすぐ分かることだったわ。Aという人間のプラーナを使ってまった
く新しいAという存在を創り上げるってことがどういうことか。
『肯定するもの』は、新たに造りだしたAに、オリジナルにはなかった能力とか、その他
諸々もくっつけて、より完璧なAを作り出す。元の材料が同じなのに、どうやったらそんな
芸当が出来ると思う ?」
教え子の答えを待つ教師のような口ぶりで、ベルがリオンにウィンクひとつ。


「答えは簡単。あの子の持つ最大の能力。
・・・・・それは、プラーナを“能力”や“力”へ変換する時の、異常なまでの高効率」


「それはつまり、簡単に言うと燃費の良い車、のようなもの・・・・ ? 」
「正解よ。理解が早くて助かるわ、リオン。あなたの例えで言うなら、あの子は燃費の
いい車。コップ一杯のガソリンで、何千キロも走破するエンジンを積んだスーパーカー
よ」
「・・・・でも、大魔王ベル。あなたは散々『肯定するもの』を弱小だの役立たずだの
粗大ゴミだの・・・・」
「そ、そこまでは言ってないわよっ」
慌ててどもりつつ、そっぽを向く。つまるところ、ベルにしたところで、いまの局面を
迎えるまでは『肯定するもの』の真価に気づいていなかったというわけだ。
「と、とにかく。柊蓮司もついに終わり。さあ、リオン。わたしたちを散々やきもきさせて
くれたウィザードの最期を、せめて敬意を持って見送ることにしましょうか?」
※※※

柊蓮司の直感が、最悪の展開を想起させる。
眼前で邪悪な笑みを浮かべる、くれはの姿をした“モノ”が発する殺気と瘴気は、
それほど圧倒的なものだった。
(魔王級・・・・・・ !? )
ほとばしる魔力は、まさにそう呼ぶに相応しい。
「始めからこうすれば良かったのか ! 回路を開いただけで、上澄みをほんの少し
すくい取っただけでこれほどの力 が知らぬ間に私のものに !! あの娘たちも、なんと
上質で豊潤なプラーナの持ち主であることか !!」
魔剣の柄を握る手に力を込め、
「・・・・てめえ、エリスたちになにかしやがったな !!」
柊が怒声を放った。
『肯定するもの』が口元を吊り上げ、
「たいしたことはしていないよ。これは本当だ」
巨大な鳥が羽を広げるように両手を振りかざす。
「だが、柊蓮司。お前一人と戦うだけならば、これで十分だったということだ」
「うっせえ !! ほざいてろって !! 」
一足飛びに間合いを詰める。左から右へ薙ぎ払い、下から上へ摺り上げ、独楽のごとく
に螺旋を描く身体の、遠心力を利用して叩き込む一撃、そしてまた一撃。
 柊の魔剣はエミュレイターに滅びをもたらすもの。
 その刃が、中空で死の軌跡を描ききれば、魔王の命すら断ち割る致命的なもの。
 縦横無尽の死の軌道を、『肯定するもの』はかわしきっている。
 切っ先をかわす。刀身を受け止める。はじく。
 自身と嘲りに満ちた表情を崩さないのは、いままで己が取るに足らぬ存在だったとい
う自覚からの反動か。
 しかし柊は、魔剣を振るい続けた。疲れなど知らぬように。終わりなど知らぬように。
 今の彼を突き動かしているのは、おそらくは仲間を案ずる思い。
 くれはが、エリスが、灯が、チハヤが彼の隣にいないこと。その事実を、柊はけっして
悲観するでもなく、ましてや焦燥に苛まれるのではなく、再び彼女たちと生きて巡り合う
のだという支えに切り替えた。そして、その支えこそが柊の魔剣に活力をもたらすもの。
 切っ先をかわすというのならかわしきれなくなるまで。
 刀身を受け止めるというなら受け止めきれなくなるまで。
 はじくというなら、さらにはじき返すほどの力が自分の腕に満ちるまで、柊は魔剣を
振るい続けるだろう。
 十合。二十合。打ち合い、切り結ぶ。
 三十合。四十合。剣戟が火花を散らす。
 かくして、『肯定するもの』の余裕の表情が強張った。
「足りないというのか、まだ !? 」
 驚愕の言葉をくれはの声で発し、ついに『肯定するもの』は柊の膂力の凄まじさに
後退した。赤い砂塵を巻き上げて、数メートル単位でのバックステップ。
「・・・・埒が明かんな・・・・・仕方ない。もう少し、力を借りるとしようか」
 危険な色を放つ眼光。なにかを見透かすように目が細められる。
「おい、テメエ ! なにたくらんでやがる !! 」
背中に怖気立つ様な感覚を覚え、柊が問い詰めた。
「・・・・言っただろう ? 力をもう少し借りるんだよ・・・・・」
 それは、この上もなく邪悪な声色だった・・・・。
※※※

 柊蓮司が最後の戦いを繰り広げる場所とは別のどこか。
 同じ月匣内とはいえ、空間は完全に遮断され、彼女たちにはその激闘の様子をうか
がい知る術はない。
 望月チハヤ。緋室灯。そして志宝エリス。
 彼女たちはその身の自由を束縛され、『肯定するもの』に、幻術とはいえ自分自身
のあられもない性交の映像を、いまだ見せつけられ続けていた・・・・・。

※※※

・・・・いつの間にか、眼鏡のレンズは白濁した汚液にまみれていた。
熱くたぎった膣内から男根を勢いよく引き抜くと、柊は、その先端をチハヤの顔、いや、
眼鏡のレンズに押し付けた。
「チハヤ、出すぞ !! 」
「はい、ください、かけて・・・くださいぃぃっ !! 」
 言うと同時に情熱的な射精が行われ、チハヤの眼鏡を白く汚す。フィニッシュは、
必ず顔射と決めているのか、チハヤの眼鏡にはこってりとした精液が大量に付着し、
すでにレンズは粘液で覆われ、彼女はとうに視界を失っている。
 現実にはありえないほどの大量の射精。
 髪を白く染め、顔中に精液でパックを施したかのよう。
 眼鏡から鼻、唇、顎へと、白い粘液は太い糸を引き、喉元から乳房へかけてドロドロ
に汚している。ぜえ、ぜえ、と荒い呼吸のまま膝を突いているチハヤを、柊は休ませる
つもりなどないようだった。すかさずチハヤの尻肉を左右に大きく押し広げると、すでに
充血し、ぽっかりと開ききった肉壺めがけて、精液で汚れたままの男根をねじ込んだ。
「あぐうっ・・・・・ !! そんな、柊先輩、少し休憩、あ、ひああぁっ・・・・ !! 」
 絶頂を迎えたばかりの秘部が、チハヤの予想を超えて敏感になっている。
 挿入と同時に新たな絶頂感が股間から背筋を一気に駆け抜け、柊が腰使いを早め
ると、断続的な絶頂が連続してチハヤを襲った。
「ひあーッ ! うぁーッ ! 柊先輩・・・・・わ、たし、も、もう・・・・・イ・・・くうぅぅぅぅぅッ !!」
 耐えかねたチハヤが快楽に屈する。
 その映像を、本物のチハヤが、眼鏡の奥の濡れた瞳で見つめていた・・・。
※※※

・・・・普段から無口なほうである。必要以上のことはあまり喋らないし、話したとしても
呟くような短い言葉が主な意思疎通の手段であった。
 しかし、いまの灯は自らの意志によらず、強制的に沈黙させられ、言葉を封じられて
いる。とにかく太く、とにかく長い男根を、顎が外れるほどに大口で頬張る。いや、むし
ろ、大口でなければ頬張れないほどの凶悪なサイズをした、真行寺命の男根だった。
 仰向けに寝かされ、大の字に四肢を開かされた灯は、命のなすがままにいわゆる
「シックスナイン」の体位を強要されている。
 もはやそれは苦行に近い、窒息寸前のフェラチオだった。
 灯の顔の上で腰をゆっくりと上下させながら、命は開脚した灯の太腿を撫で回し、
その中心部にある肉襞を執拗に嘗め回す。湿った花弁を前歯で甘く噛み、固くしこっ
て勃起したクリトリスを、唇をすぼめて激しく吸い尽くす。力を入れて尖らせた舌を、
愛液でとろけた肉の内壁に押し付け、ぐりぐりとこね回す。
「ぐッ・・・・んむっ !? ぶ、ふぐ、ぐうぅぅぅぅぅぅ〜 !? 」
 巧み過ぎる命の愛撫に、灯は目を白黒させてうめき続ける。
 肉付きの良い腰がぷるぷると震え、その一つ一つの痙攣が、灯が絶頂を迎えた証し
であることを如実に物語る。灯の絶頂に引きずられるように、命も限界を迎えた。
 灯の頬が、ぶちまけられた精液の質量で、ぶくり、と膨らむ。しかし、命の巨根で栓を
され、蓋をされた唇に、口腔内に収まりきらない多量の精液の逃げ場はなく、
「んぶむっ !?  んぐ、んぐうっ !? 」
 噴射、と形容するに相応しい精液のほとばしりが、直接灯の食道から胃の中までを、
鉄砲水のような勢いで流し込まれる。
 強制精飲の洗礼。
 恋人の精液を擬似的に味わうように、本物の灯が、ごくりと生唾を飲んだ・・・。

※※※

 違う。違います。そこはそんなことをするところじゃありません。
 言葉の上ではいくら否定していても、上気したした顔と、声に満ち満ちた歓喜の響
きが、全てを裏切っていた。
 そこはダメです。ダメですけどすごくイイ。ダメなのに、エリスがダメになっちゃう。
青い髪とリボンが揺れている。額にはじわりと脂汗が浮かび、彼女が味わわされた
性交の激しさ、凄まじさを想像させた。
 映像の中のエリスが、柊蓮司との人並みのセックスに甘んじていたのは、最初の
わずかの間のみだった。
 まだ幼さの残るエリスの割れ目にねじ込まれていた柊の男根が、その獰猛なピスト
ン運動を不意に止め、膣から勢いよく引き抜かれたかと思うと、エリスがあっ、と思う
間もなく、いきり立った肉塔がもう一つの穴にあてがわれた。
 慎ましやかにひっそりと閉じられていたはずの肛門。
 だが、爆発寸前の獣臭を放つ男根が、エリスの排泄器官の入り口に密着したその
瞬間・・・・・・エリスの“そこ”は、まるで長年そのために使い込まれたかのように、
柊のモノを難なく迎え入れ、一番根元まで一気に飲み込んだのである。
「あッうぅっ !! 柊先輩、これ、キツい、キツくてイイですッ !! 」
 極限まで瞳を見開き、エリスが華奢な裸身を仰け反らせた。
 全身に鳥肌が立ち、尖って天を仰いだ乳首が、わなわなと震えている。
 自身の肛門性交を見せつけられ、エリスは低く嗚咽を漏らしていた。
 最初、映像から感じた恐怖のあまりに失禁したエリスの太股は、いまや別の液体で
濡れている。
 歯をカチカチと鳴らし、おぞましい悪寒に耐えるエリスの足元に、いつしか愛液で水
溜りが作られていた・・・・・・。
※※※

 これならば容易い。
 この小娘どもから力を奪いつくすのは容易い。
 完全なる自分の勝利を『肯定するもの』が確信する。
 いまや彼女たちは、自分の見せる幻に心を奪われかけているに違いなかった。
 その証拠に見るがいい、あんな卑猥で淫らな映像に、食い入るように見入っている
ではないか。心の間隙は、大きければ大きいほど良いものだ。
 最後の一押しとばかりに、『肯定するもの』が作り出した幻影の元へ意識を飛ばす。
(見えた !!)
 身体の自由を奪ってやった三人のウィザードたちを誘惑の深みに引きずり込む、
最後の一手。私は蛇だ。永劫の真実を嘘に捻じ曲げるエデンの蛇だ。
 さあ、愛しい私のイヴたちよ。禁断の果実を口にするがいい。楽園からは追放される
かもしれないが、代わりにこの私がお前たちに新しい楽園をくれてやる。

《チハヤ。俺とずっと一緒にいてくれないか。誰よりも大事にするからさ》
「ひ、柊先輩・・・・ !?」
映像の中の柊蓮司が、あの太陽のような大きく温かい笑顔でチハヤに語りかける。

《妹みたいな存在だと自分に言い聞かせてきたけど、もうこの気持ちを抑えられない。
 好きだぜ、エリス》
「・・・・柊先輩・・・・・」
 力強い声。真摯な瞳。つらいとき支えてくれた人が、哀しいとき励ましてくれた人が、
自分に今の生き方を選ばせてくれたあの人が、愛を囁く。

《君のそばを離れないよ。僕は君の元へ帰ってきた。二度と君の前からいなくなった
りしない。だから、僕を選んで。あかりん》
「・・・・・・みこ・・・・・と・・・・・」
 唇を思わず噛み締めた。感情表現の少ない灯が、このときだけは赤い瞳に悲しみの
色を漂わせ、肩を小刻みに震わせる。


「「「 さあ 選んで 」」」

 三つの幻影が三つの声で唱和する。
 そうだ、さあ選べ。お前たちが、私の見せる夢の想い人を肯定するときが最期だ。
 いまや、力を操るに自在を得た私は、人間の愚かしい夢をかなえる存在ではありえ
えない。愚かな理想を媒介に、あらゆる存在から力を奪う強奪者だ ! 




 裏界の何処かで、大魔王が舌打ちをした。
 もう一人の魔王が、事の顛末を予見していたかのように薄く笑い、分厚い書物の
表紙を閉じた。憎々しげに、大魔王が呟く。その口元は確かに、「余計なことを、あの
お馬鹿」と動いたようだった。





 甘美なる蛇の誘惑。
 三人の少女がそれぞれの心に大切に想う人の幻想は、まさに禁断の果実の味が
することであろう。
 少女たちは想う。
 エミュレイターが見せるこの夢は、それはリアルで、実現可能な形ある夢。
 それに溺れることへの誘惑を感じなかったといえば、少しは嘘が混じる。
 だけど。
 そう、だけど。

 (こんなとき先輩なら)
 (こんなときあのひとなら)
 (こんなとき柊蓮司なら)

 小さな悪戯心が沸き起こり、三人の少女が笑う。
 チハヤは、迷いを捨てさり力強く笑い、
 灯は静かな怒りを秘めて不適に微笑み、
 エリスは瞳に強い決意をこめて幻影をみすえ。


「「「絶対に NO !! 」」」

 大きく息を吸い込み、幻影の向こう側にいるはずの『肯定するもの』に、決別と拒絶
の言葉を叩き付けた。



(TO BE CONTINUED→ GO TO CLIMAX PHASE 2 !!)
・・・今回、ちょっとエッチシーン描写がいつもより
濃い目できついかも、です(汗)
とりあえず、まだちょっと続くので、
もう少しだけお付き合いいただければ幸いです・・・。
395名無しさん@ピンキー:2008/04/09(水) 23:23:07 ID:flL0o8cu
いやいや、ぐっじょぶ!
エロイ上に実にナイトウィザードらしい展開で良いですよー
ベル様の解説もなるほどなー、と面白かったです

続き、お待ちしてます
396名無しさん@ピンキー:2008/04/09(水) 23:35:25 ID:40/Nrhx7
何故漫画版スクライドっww!?
397名無しさん@ピンキー:2008/04/10(木) 00:28:05 ID:6wiuRSN6
俺も思わずあの絵柄で想像しちまった…w
その絵柄から視線をそらしたら「だが断る」が脳内占拠するし。もうダメだ俺w
398名無しさん@ピンキー:2008/04/10(木) 00:43:40 ID:amkr9v4Y
そのうちベルが、『肯定するもの』の設定年齢とか語り出しそうだ
399名無しさん@ピンキー:2008/04/10(木) 00:59:17 ID:wFwILsWz
ベル「『肯定するもの』! もう柊蓮司を騙す為にとっていた赤羽くれはの姿は必要ないわ!」

ベル「そう! 設定年齢15歳! 蟹座のB型! 上から89!60!90の安産型!」

柊「び……美少女だっ!」

ベル「……ちょっとスタイル良いのが気に食わないのよね」
400名無しさん@ピンキー:2008/04/10(木) 02:54:26 ID:5S1A0s9q
「大魔王が『肯定するもの』を頼ってんじゃねぇぇぇ!」

「うあぁぁぁぁん!?」

まで想像できた。
401名無しさん@ピンキー:2008/04/10(木) 08:25:27 ID:SLL9LbH1
何か読んでたら、あかりんが昏睡状態の命を襲うとか思い浮かんだ
402名無しさん@ピンキー:2008/04/10(木) 10:26:47 ID:tW3RkZQG
一瞬「あかりん"を"昏睡状態の命が襲う」に見えて、
命もヘンタイの仲間入りか・・・と思った俺を許してプリーズべらごばへっ!?
403名無しさん@ピンキー:2008/04/10(木) 11:22:33 ID:qSH4smBE
あながち間違いとは言えないぜ!
だってあかりんは、調整の名目で絶滅社のエロ研究員たちにエロい調整をされているに違いないのだから!
調整というよりむしろ調教!
昏睡状態のあかりんに繰り返しほどこされる、「夜の定期調整」!
ステキだ!
404名無しさん@ピンキー:2008/04/10(木) 12:32:01 ID:cUPVF4kG
ベル、ついに裏界から脱出し、本体で柊と対峙する

ベル「ファイナル・ベール=ゼファー!!」
柊「しゃらくせえっ!!!」
ベル「早ッ!!!」
405名無しさん@ピンキー:2008/04/10(木) 15:58:10 ID:H8HZZt2O
皇亜先生、なにしてんすか。
406名無しさん@ピンキー:2008/04/10(木) 23:00:44 ID:4uy30kiG
アニメ版の命の病室を見舞いに行くあかりんを見るたびに
エミュレイターによって命の前で凌辱されるあかりんという
ネタが浮かぶのは俺だけですか?

「くくく、意識が無いとはいえ、恋人の前で犯される気分はどうだ?」
「おお、何なら恋人に愛されてみるか? 意識が無いとはいえ、アレは勃つだろうからな!」
407名無しさん@ピンキー:2008/04/10(木) 23:34:25 ID:UYq5tll2
>>402
命は最初からカミングアウトしてただろ?
408名無しさん@ピンキー:2008/04/11(金) 12:36:17 ID:pZH6JdcG
ベルとちゅっちゅしたいよ〜
409名無しさん@ピンキー:2008/04/11(金) 12:41:58 ID:FoE2twlM
命は無意識誘い受けだな、間違いない
410名無しさん@ピンキー:2008/04/11(金) 13:47:47 ID:uJ1yqVCv
とーとつにエロく血を吸う感じのノーチェが頭に浮かんで離れなく。
411名無しさん@ピンキー:2008/04/11(金) 22:52:04 ID:tvAuUwqi
>408
無意識と意識がないのは違いますね。間違いない。
412名無しさん@ピンキー:2008/04/11(金) 23:20:07 ID:eGIA4ORZ
>>410
大きな玉を誰よりも愛する吸血鬼ですね、わかります。
413名無しさん@ピンキー:2008/04/12(土) 00:29:35 ID:+qUjmcdn
>>412
赤血球を何より愛する吸血鬼ですね、分か(ry
414名無しさん@ピンキー:2008/04/12(土) 00:31:54 ID:sQcqDSAF
ひとかかえもあるドーナツのように見える赤血球をくわえてちうちうと吸うノーチェか
415名無しさん@ピンキー:2008/04/12(土) 01:34:06 ID:drxClKsD
>>409
あかりんが辛抱堪らなくなって押し倒すのか
416名無しさん@ピンキー:2008/04/12(土) 01:48:35 ID:xhxP59kD
>>406
>>415
寝ているところを研究員♂がぶっかけ自慰
     ↓
たまらなくなって挿入だろ常考
417名無しさん@ピンキー:2008/04/12(土) 01:57:14 ID:G0wH2I65
>>416
つまり寝ている命を見て辛抱たまらなくなった研究員♂がぶっかけ自慰
 ↓
たまらなくなってアッ――!ですね、わかります。
418名無しさん@ピンキー:2008/04/12(土) 19:07:50 ID:xhxP59kD
    _  ∩
  ( ゚∀゚)彡 まどれーぬ!まどれーぬ!
  (  ⊂彡
   |   | 
   し ⌒J
419名無しさん@ピンキー:2008/04/12(土) 19:11:48 ID:TZVNzwn8
……あれ?エロパロスレが何故二つ……ってさっきのクロススレか
420名無しさん@ピンキー:2008/04/12(土) 19:11:54 ID:IlTfoIeG
>418
こんなところで何してるんだおまいはw
421名無しさん@ピンキー:2008/04/12(土) 21:53:43 ID:NjntoXj5
>>418
吹いたw
クロススレ覗いてからここに来たんだ
422強化(ry:2008/04/13(日) 03:17:08 ID:L9U7JyNu
         ,. -‐'''''""¨¨¨ヽ
         (.___,,,... -ァァフ|          あ…ありのまま 今 起こった事を話すぜ!
          |i i|    }! }} //|
         |l、{   j} /,,ィ//|       『おれは某所で聖書神話のパロディを書いたと
        i|:!ヾ、_ノ/ u {:}//ヘ        思ったらいつのまにか性書になっていた』
        |リ u' }  ,ノ _,!V,ハ |
       /´fト、_{ル{,ィ'eラ , タ人        な… 何を言ってるのか わからねーと思うが
     /'   ヾ|宀| {´,)⌒`/ |<ヽトiゝ        おれも何をされたのかわからなかった…
    ,゙  / )ヽ iLレ  u' | | ヾlトハ〉
     |/_/  ハ !ニ⊇ '/:}  V:::::ヽ        頭がどうにかなりそうだった…
    // 二二二7'T'' /u' __ /:::::::/`ヽ
   /'´r -―一ァ‐゙T´ '"´ /::::/-‐  \    誤爆だとかPC版がそもそもエロだとか
   / //   广¨´  /'   /:::::/´ ̄`ヽ ⌒ヽ    そんなチャチなもんじゃあ 断じてねえ
  ノ ' /  ノ:::::`ー-、___/::::://       ヽ  }
_/`丶 /:::::::::::::::::::::::::: ̄`ー-{:::...       イ  もっと恐ろしいものの片鱗を味わったぜ…
423名無しさん@ピンキー:2008/04/13(日) 05:46:14 ID:K6cS4GvI
>>406
昏睡してる命の上に触手で吊り上げたあかりんの口の中に無理矢理出して、
命にかかるから吐き出せない、でも飲み込むことも出来ないといった状態で容赦なくがっつんがっつん責めたいとか考えたことはある
424名無しさん@ピンキー:2008/04/13(日) 13:19:50 ID:1IVFeso2
>422
kwsk
425名無しさん@ピンキー:2008/04/13(日) 15:08:20 ID:C3AAExDa
>422
世の中には姦淫聖書という大先輩がいるから大丈夫だ。
426名無しさん@ピンキー:2008/04/13(日) 15:11:16 ID:8UiLYeVD
かあいい聖書?
427名無しさん@ピンキー:2008/04/13(日) 16:24:48 ID:c3z7mpRU
性所がかゆい?
428425:2008/04/13(日) 17:42:03 ID:jPBIHZVf
>426-427
聖書に「姦淫したら、めーっ!よ」っていう一説があるんだけども。

誤植でその文章から「not」の部分が消えてて、
結果的に「YOU姦淫しちゃいなYO」になってたっていう伝説の大誤植。
429名無しさん@ピンキー:2008/04/13(日) 18:10:48 ID:9f5tj0KS
>>428
どっかで見たような…結構最近…何だったっけ?
430名無しさん@ピンキー:2008/04/13(日) 18:21:37 ID:nFUYcWo/
それなんて外道祈祷書。
431名無しさん@ピンキー:2008/04/13(日) 18:32:01 ID:u4Nb8tgs
>>429
R&Rのメガテンシナリオだと思う
432名無しさん@ピンキー:2008/04/13(日) 20:07:55 ID:9f5tj0KS
>>431
それだ!d
433名無しさん@ピンキー:2008/04/13(日) 20:29:47 ID:HOMr27B5
夢野久作じゃねーか
※※※

 剣を振るっての戦いのことには疎いけど、そんなあたしの目にだって、ひーらぎの
凄さはよく伝わってくる。映像を通じてさえその迫力は十分だし、薙ぎ払う刃が巻き
起こす風音は耳に痛いほど激しく、野太い。
 目まぐるしい斬撃、刺突は、目で追うことすらあたしには難しくて、でも分からない
なら分からないなりに、理屈じゃ計れない凄み、みたいなものは感じることができる。
 だからこそ、その攻撃を紙一重でかわしているあたしの姿をしたエミュレイターが、
強敵だということも直感できた。
 魔法の姿見を、固唾を呑んで見守る。そのうちにあたしもだんだん熱くなってきて、
「いけー、ひーらぎ ! そこだー ! あ、おしいー !!」
 と、まあ。
 不謹慎といえば不謹慎なんだけど、格闘技の試合を観戦しているような無責任な
声援を送ったりしていたのだ。
 でも、テレビの向こうのリングを見るのとは唯一違ってあたしが思うこと。
 それは、「どうしてあたし、あの場所にいられないんだろう」っていう、歯痒さ。
 ひーらぎが命がけで戦っているあの横に、どうしてあたしはいてあげられないんだ
ろうっていう口惜しさ。あたしがあそこにいれば、エミュレイターに傷を負わせることは
出来なくても、ひーらぎの援護射撃くらいはできるのに・・・・・・って。
 なにも出来ずに、ひーらぎの戦う姿を見ているだけ、っていうのがこんなにもどかしく
て、つらいとは思わなかった。この身体を拘束している鎖が、あたしとひーらぎの距離を
遠ざけているようで、憎らしい。
  ※※※
「足りないというのか、まだ !? 」
 鏡の中の“あたし”が叫ぶ。何十回目かの斬撃を危うく受け止めかねて、後ずさる
エミュレイター。一気に何メートルもの距離を飛びのくと、
「・・・・埒が明かんな・・・・・仕方ない。もう少し、力を借りるとしようか」
 なんて、不穏なことを言う。
「おい、テメエ ! なにたくらんでやがる !! 」
「・・・・言っただろう ? 力をもう少し借りるんだよ・・・・・」
 ひーらぎの詰問を受け流しておいて、エミュレイターがなにかに意識を集中させた。
 そして、数瞬。
 荒々しい力の奔流が、月匣の内部を突如として突き抜けた !
 あたしの身体に巻きついた鎖の戒めが緩んだかと思うと、腐食し始める。
 そして、それはたちまちぼろぼろと崩れ落ち、あたしの身体は自由になった。
「はわっ !? 」
 あまりに唐突な開放。なにが起きたのか良く分からないまま呆然としていると、
目の前の魔法の姿見がかすむように掻き消えた。
 すると、
「おう、くれは、無事だったか」
 エミュレイターから視線を外さないまま、気配だけで感じ取ったのか、ひーらぎが
あたしに声をかける。はわー、な、なんでか分からないけど、あたしたちを分断してい
た結界がなくなったみたい。
「はわ、ひ、ひーらぎ、遅くなってゴメン」
「気にすんな。仕方ねえさ。こっちこそワリい。助けに行けなくてよ」
「そ、それこそ気にしないでいいよ。事情が事情だし」
「そっか」
 ひーらぎが、時々見せる、ほろ苦い笑顔。
 でもそれもほんの一瞬のこと。
「くれは、手伝ってくれ」
 戦う男の顔をするひーらぎ。意識を全て眼前のエミュレイターに向ける。
 つまり、それは目の前の一人に全力を注ぐ合図。目の前の一人以外のことは、全部
あたしに負かして背中を預けるぞ、っていうことで。
「おっけー、まっかしてよ、ひーらぎ」
 ついつい鼻の奥がツン、となりそうなのをこらえて、月衣から破魔弓を顕現させる。
 ・・・・・なんかあたし、最近涙もろくなってない・・・・・・ ?
「くれは、来るぞ !! 」
 ひーらぎの叱咤にハッとなる。
 あたしと同じ顔をしたエミュレイターは、眉を逆立てた憤怒の形相。視線で人が殺せ
るものなら、そこに込められた殺気はまさに致死量といえるだろう。
「・・・土壇場で日和ったかァ・・・あの雌ガキどもォ・・・・」
 歯の隙間から搾り出すように、呪詛の言葉を紡ぎだす。
 ・・・・・・っていうか、あたしの顔でそんな台詞言わないでほしいんだけどさぁ・・・。
「メッキが剥げてきたぜ、ニセモノ」
 不適に口元を笑いで形作り、ひーらぎが挑発する。
「黙れ ! もう夢を見せてやるのはナシだ ! 具現化の力は返してもらうぞ、小娘ども ! 」 
 言うが早いか、どこからか飛来する三つの輝き。エミュレイターに吸収されるように
その光が収束すると、その姿はさらに禍々しく変化した。
 肩口から新たに二本の腕が生え、それぞれに魔剣を・・・ひーらぎの魔剣を握り締め
ている ! 胸元からも別の腕が二本。これはひーらぎの腕よりも少し線が細いけど、や
っぱり一本の魔剣を両手で構え、ただごとではない妖気を放っている。
 そして、元来のあたしの腕には破魔弓。
「は、はわわっ!?」
 三本の魔剣と破魔弓を同時に構えた姿は、さながら阿修羅像のよう。
「・・・擬似的に創り上げたとはいえ、神殺しの魔剣二本と、魔王アスモデートによって
鍛えられた古の剣・・・・まあ、欲を言えば光と闇の剣が一振りずつほしい所だが・・・
これしきのプラーナではこれが限界だろうな」
「・・・・まさかヒルコの剣か・・・・ !? 」
 はわー !! 形勢逆転、また逆転だよーっ !?
 具現化とやらの力で造り出したとはいえ、その戦力は、あたし+ひーらぎ×二人+
ヒルコっていう剣の持ち主さん=四人分でしょ !?
 ずるーい ! 反則だよ反則 !!
 ひーらぎを横目でチラッと見る。ひーらぎもあたしの事を見てて、目が合ってしまう。
 はわ、なんか気恥ずかしいよ。
「・・・おし、んじゃいくか、くれは」
 なんて力強く、なんて真っ直ぐに言うのだろう。形勢不利とか何とか、そんなことは
もうどうでも良くなっているあたしがいて、ひーらぎをとことん信じる気持ちになってる。
 そうだよね。ひーらぎは今までだって、みんなが「絶対無理」、「勝てるはずがない」
っていってきた運命や戦いを全て勝利で乗り越えてきたんだもんね。
 だからあたしも力いっぱい元気な声で、
「援護はまかせて ! 」
 って、心の底からそう言えるよ !!
「ウィザードどもが、囀るな ! ・・・・・ヒルコぉっ !! 」
 エミュレイターが咆哮する。胸元で構えられた一本の剣が輝きを放つと、白光を噴き
上げ、逆巻く嵐となってあたしたちに吹き付ける !!
 その場を支配する、大気そのものを振るわせる緊張感 !
 そしてあたしたちの耳にはっきりと・・・・


「・・・・・・・ガンナーズブルーム」


 届いたのは、あかりんの声 !
 背後で閃くのは、銃口で展開する魔方陣の瞬き。打ち出された魔法の銃弾は、
狙いあやまたず、振り上げられたヒルコめがけて放たれた。気合一閃、光り輝く刃が
あかりん渾身の一発を受け止め・・・
「舞い戻ったか !? しかしそのような銃弾が通用すると・・・・」
「・・・・・・・《幻想舞踏》」
 剣の峰で止められたはずの銃弾が、何かに後押しをされるように新たな回転を得
る。ヒルコと銃弾の接触部分から光の粒子が舞い散っているのは、あかりんの銃弾
に刀身を削り取られているから !
「おっ !? うおぉぉぉぉぉぉ !? 」
 刀身が弾かれ、二本の腕ごと消滅する。その拍子に体勢を大きく崩したのを、あた
しもひーらぎも見逃すはずがなく、
「タンブリングダウン !! 」
 破魔弓から打ち出した呪符の足止めの追い討ちに、
「灯、くれは、ナイスサポート !! 」
 地を蹴って一直線にエミュレイターを、ひーらぎが目指す。
「柊蓮司ぃぃぃぃぃっ !!」
 残された魔剣で二刀流の構え。下半身を縫いとめられているとはいえ、いまだ侮れ
ないはずの敵エミュレイターに、自信を崩さずひーらぎが笑う。
「そして、ナイスタイミングだぜ、チハヤ」
「な、に・・・・・・っ!?」
 愕然と振り返るエミュレイター。
 縦横無尽の剣先が背後の空間を切り裂いて、
「お待たせしました、柊先輩 !! 」 
 一方の魔剣めがけて刃を振り下ろし、チハヤちゃんが姿を現した。
 ガキリ、と金属同士がぶつかり合う音。左腕の魔剣がチハヤちゃんの攻撃をかろう
じて受け止め、右腕の魔剣がひーらぎの攻撃に備えて突き出される。
 執念の賜物か、はたまた実力故か。ひーらぎが繰り出した横薙ぎの一撃を、なんと
エミュレイターは弾き返し、
「殺ったぞ、柊蓮司 !! 」 
 二本の腕とヒルコを失い、残る二本の魔剣を封じられてもなお、残された攻撃の手
立ては・・・あたしの破魔弓 !?
「柊先輩 !? 」 
 チハヤちゃんが青褪め、
「ひーらぎ !? 」 
 叫ぶあたしの真横を、あかりんが風のように駆け抜ける。
「死ね、柊蓮司っ ! 《ヴォーッテックス》 !!」
 そしてエミュレイターが凱歌を上げた。

 ひーらぎは・・・戦いの最中だというのに、目を閉じながら苦笑していた。

「観念したか、柊蓮司 !!」
「・・・・いや・・・・」
 あくまでも笑いを含んで、首を二、三度左右に振る。
「オレは本当は運がいいんだな、ってな。それに、なんて仲間に恵まれてるんだろう
・・・ってな」

「ど、どいてくださあぁぁぁぁぁぁぁい・・・・ !! 」

 はるか上空から、この場に相応しいとは到底思えない、なんだかコミカルな悲鳴が
降ってくる。「えっ !? 」「はわわっ !? 」「なんだとっ !? 」「・・・・・・ヒット」
 スカートを一生懸命押さえてめくれないように、真っ赤な顔をして落下してくるエリス
ちゃん・・・・・・って、あたしがようやく認識できたとき・・・・・・それが、この戦いの命運
を決定付けた瞬間だった。

 べしょ。

 あ、いまのは、すっごいシリアスな顔でひーらぎとチハヤちゃんの攻撃を受け止めた
エミュレイターの上に、エリスちゃんが落ちてきた音ね。一応言っとくと。

「ぐあっ !? 」
 苦悶の呻きもこれだけ聞くと深刻な響きがあるんだけど、地べたに這いつくばって、
その上に尻餅をついたエリスちゃんがのしかかっているというヴィジュアルなもんだか
ら、それはそれは間が抜けてて。挙句の果てには、
「す、すいませんくれはさん、大丈夫ですか !?」
 と、エミュレイターに謝っているんだからなにがなにやら。
「・・・・・エリス。しっかりつかまって」
 あかりんが、ささっと駆け寄って、エリスちゃんをお姫様抱っこ。「え ? え ? 」とイマイ
チ事態を把握し切れていないエリスちゃんを抱きかかえて戦線離脱する。
 うーん。冷静だ・・・。
「エリス !! MVPだぜ !!」
 構え直された魔剣が淡いオレンジの輝きを帯びる。
「馬鹿な馬鹿なこんな馬鹿な !! こんなふざけた終わりなど・・・・・」
「魔器・・・・・解放 !! 」
 これが本当に本当の決着。
 体勢を立て直そうと立ち上がる暇などありはしなかった。
 刀身のルーンが閃く。吸い込まれるようにエミュレイターの身体を魔剣が刺し貫く。
「こんな終わりなど・・・・肯定しない・・・・」
 
 その言葉は風に乗ってたちまち掻き消えた。
 塵のようにその身体が崩れさると、異界の赤光が明滅を始める。 
 血のようにどぎつい色の無人の荒野が形を失い始め、天空に昇った赤い月がかす
んでいく。音の希薄だった世界が、少しずつ日常の喧騒を取り戻し、ひーらぎたちが
月衣にそれぞれの武器をしまい始めたので、あたしもそれに倣う。
 月匣はもはや跡形もなく。
 そこは臨海公園の人込みの中。
 いつもの日常を、ついにあたしたちは取り戻したのだった。
※※※

「・・・・なにそれ」
 裏界帝国、美しき蠅の女王ベール=ゼファーの居城。
 猫のような瞳をぱちくりとさせながら呟いたのは、居城の主たる美少女である。
「ひどいオチだわ。ねえ、リオン、あれはないわよ、いくらなんでも。上から落ちてきた
エリスちゃんに潰されて魔剣の餌食ってひどすぎるんじゃない? 」
 文句をつけながらも、それほど口惜しげな風には聞こえない。
 頁を捲る手をわずかに休め、いつものように謎めいた微笑を口の端にのぼせると、
秘密侯爵リオン=グンタは聞きなれた返答をよこす。
「それは全てこの書物に書いてあるとおり・・・」
「はいはい、そうでしょうとも。言うと思ったわ」
 このやり取りも、最近ではずいぶん板についてきたのか淀みない。
 溜息をついて鼻をフン、と鳴らし、ベルは手のひらを一振り。
 魔法のコンパクトがことごとく掻き消え、再び静謐な空気が訪れた。
「・・・大魔王ベル。楽しそうですね」
「目論見が外れて柊蓮司を討ち取り損ねたのにどうして、って訊きたいわけ?」
「・・・・・・そんなことは」
「いいのよ、リオン」
 ベルは優しくリオンに語り掛ける。
 それなのに、なぜかリオンの背中には鳥肌が立った。優しくて、“怖い”。
 その矛盾の正体をつかみかねて、リオンは口をつぐむ。
 大魔王の真意は測れない。なぜなら、二人の思想や思考方法は、違いすぎるほど
違っているから。
「ひ・い・ら・ぎ・れ・ん・じ」
 一文字一文字、区切るように。宿敵の名を確実に発音しながら、ベルの瞳にはちろ
ちろと詰めたい炎が浮かび上がっている。
 また遊べる。本気で遊べる。手を抜く必要も、ハンデをつけてやる必要もない、最高
の遊び相手。魔王の中にだって、あんな遊び相手いやしない。
 人間の寿命など所詮は百年。大魔王である彼女にしてみれば、瞬き程度の生を生
きることしかできない人間という連中の、なんと遊び甲斐のあることか。
 だからこそ生き延びろ、と思う。
 だからこそ生き延びて私の相手をするのよ、柊蓮司、と。
 何回でも、何十回でも、私のゲームにつきあうの。
 貴方は最高の遊び相手。ゲームのライバルよ。
 でも気を付けなさい。私のゲームは命がけよ。
 この世界をテーブル代わりに差し向かいで座り、それぞれがウィザードやエミュレイ
ターという手札を切りあうゲーム。
 賭けるチップは・・・・・・言わなくても分かるわよね ?
 だから慎重に、時には大胆に賭けなさい。
 もし貴方が私とのゲームに敗れたら、その時は貴方を塵芥のように捨てて、見向き
もせずに新しい遊び相手を捜してやるわ。
「大魔王ベル・・・・・ ? 」
 突然の沈黙になにかの予感を感じる。
 振り返った大魔王ベール=ゼファーが、まったく無邪気な悪戯っぽい微笑を満面に
浮かべると、

「ねえ、リオン。新しいゲームを思いついたんだけど・・・・とーぜん、付き合ってくれる
わよね ? 」




(TO BE CONTINUED→ GO TO ENDING PHASE ・・・)
・・・・・・戦闘ばかりでエッチシーンがないのはキミと僕だけの秘密だ。
ようやく終盤。がんばろ。
441名無しさん@ピンキー:2008/04/14(月) 00:24:36 ID:Vu+rY+Gh
>>440
GJ! みんな(ベルたち含む)の見せ場があって最高のシリーズですよ
エンディングフェーズも楽しみにしてます><
442名無しさん@ピンキー:2008/04/15(火) 01:00:32 ID:W0bvVABs
>>440
面白かったよ、続きも期待してるから
443名無しさん@ピンキー:2008/04/16(水) 13:54:10 ID:Yse7LIFd
可愛いベル様は柊がどうしても気になっちゃうの
444名無しさん@ピンキー:2008/04/16(水) 22:57:40 ID:S4YKuvxz
>>443
命も攻略できそうなタイトルですね
445名無しさん@ピンキー:2008/04/16(水) 23:44:15 ID:c1Eq4J7G
>>443
RUNEに続いてCAGEからもナイトウィザードのゲーム発売とか妄想してしまった
美少女魔王がてんこもり







と見せかけて、こんなかわいい魔王が女の子なはずないというオチの…
446名無しさん@ピンキー:2008/04/17(木) 00:02:41 ID:EKHi2YOL
以降アッー!禁止
447名無しさん@ピンキー:2008/04/17(木) 00:06:30 ID:Vruju+QK
>439
> もし貴方が私とのゲームに敗れたら、その時は貴方を塵芥のように捨てて、見向き
>もせずに新しい遊び相手を捜してやるわ。


訳;
ああああんたなんか私のただの暇つぶし相手なんだからね!!
別にあんた以外にも探せばたっくさんいるけど、しょーがなく相手してあげてるんだからねっ!!



あれ? 訳になってない……。
おかしいなぁ。
448名無しさん@ピンキー:2008/04/17(木) 00:07:17 ID:JkialR85
アッー!
449名無しさん@ピンキー:2008/04/17(木) 11:00:15 ID:v+pUWtwY
アッー!なネタと言えば、初登場時の少女形態すら出てない頃のベルは男とも女ともつかない
恐ろしい声で、もろ男口調で喋ってたねえ
450名無しさん@ピンキー:2008/04/17(木) 12:08:40 ID:DN8q8SFV
PCの勇者とフラグ立てたりしてたよな。
451名無しさん@ピンキー:2008/04/17(木) 15:04:21 ID:vkzSjOUu
こんなかわいい魔王がふたなりでないはずがない。

こうですね!わかります!
452名無しさん@ピンキー:2008/04/17(木) 15:34:04 ID:UvklPcuH
>>451
ハッ(ry
453名無しさん@ピンキー:2008/04/17(木) 17:22:49 ID:Z6agbkVr
>>451
(前略)仕事しろ
454名無しさん@ピンキー:2008/04/17(木) 22:29:15 ID:tPz9kwA8
>>451
小太刀ィ、お前……!
455名無しさん@ピンキー:2008/04/17(木) 23:23:24 ID:bjT01koV
>>446
アッー→ガチホモ
ぼく男の子だよ? それでもいいの?→パラダイス

一緒にすんな!
456名無しさん@ピンキー:2008/04/17(木) 23:30:59 ID:NWUIrj2v
ハッタリ仕事しろ
457名無しさん@ピンキー:2008/04/18(金) 07:52:18 ID:FsDK314h
拙者働きたくないでゴザルの巻
458名無しさん@ピンキー:2008/04/18(金) 15:27:46 ID:S/gNMHpX
ごめーん、誰か、スレ15の594氏がアップローダーで投げたSS保管してない?
459名無しさん@ピンキー:2008/04/18(金) 18:50:20 ID:ZeRWVuOu
そうや、この前NW2ndのルールを把握する事を目的にした、ストーリー無しの
テストセッションで、進行役として出てきた、忍者のおっさんのNPCが、
キャラメイクやらレベルアップやらのやり方を憶えた所で
「では、実戦のテストに行こうか…甲賀忍法魔王変化!!」
と、叫んでゴスロリ美少女の姿になり(データは裏界魔王から特殊能力と魔法を削除したもの)
「さ、それじゃかかっていらっしゃい」
とか、言って来た時はPL一同
「色んな意味で最悪だ!!」
と、突っ込んでたなあ
460名無しさん@ピンキー:2008/04/18(金) 20:25:29 ID:oksVQ/Ip
 ――ぼくらは、解っては、いたんだ。
 でも、抗えなかった。中身はあの忍者の……だって、解っていたのに。
 あの衣装で。あの顔で。あんな態度で、「かかっていらっしゃい」だなんて。
 知識でしか知らなかった。まだ、【しゃせい】することがキモチイイことだっていうのも知ったばかりだったのに。
 それは、まるで皆で休み時間に回し読みした、えっちなまんがの本に出てきた女の子みたいで。
 というより、そのもので。
 ぼくらは、それを我慢することなんてできなかったんだ。
「それじゃ、い、行くよ」
「中身は解ってるってのに、俺、俺ぇ……」
「お、おちんちんが、ビンって、張って、痛いよぉ……」
 そうして、ぼくらは皆で突っ込んだ。口も、【マエのあな】にも、【ウシロのあな】にも――

 ことが終わり、ぼくらの感想は一致していた。
 気持ちはよかった。よかった、けど――
「色んな意味で、最悪だったな」
「だよね」
「ああ」
461名無しさん@ピンキー:2008/04/18(金) 20:49:54 ID:rQSLl9pk
一時間半の間に何があった……。
462名無しさん@ピンキー:2008/04/18(金) 21:10:24 ID:Xot5eyfL
でも実際NWの魔王ってそんなものかも・・・おや、まだ蝿が飛ぶ季節には早いはずだが?
463名無しさん@ピンキー:2008/04/18(金) 22:41:29 ID:k6/IM5pE
ガーベラのを読みつつ、
次スレからは卓上ゲーム板作品スレも、テンプレにいれて欲しいと思う俺参上。
464保管庫業務連絡:2008/04/19(土) 00:14:24 ID:yOgArWUZ
※地上作品スレに投下があったSS、こっちに投下されたSSの続編であるのと、
 続きがこっちに投げられる予定であることの2点から、向こうのSSを許諾を得た上で保管致します。
 こっちへの投下があってから改めて保管するのがいいかしら。

※15スレでアップローダーでの投下があった8-341「がんばれヒイラギくん」続編が、作業人の手元にデータがないため、
 保管漏れになってしまったので、持ってる人はご一報下さい。
465名無しさん@ピンキー:2008/04/19(土) 00:22:23 ID:B6RBboXx
ガーベラの続き読んできた。
作者GJ! 残りこっちで待ってるわ。
466名無しさん@ピンキー:2008/04/19(土) 00:27:00 ID:UF5ZYMO3
>464
ざっとHDD漁ったが残ってなかったなあ
467名無しさん@ピンキー:2008/04/19(土) 01:23:17 ID:oK4iunwr
>>464
保管理お疲れ様です
残念ながら、自分もデータは持っていなかったり
468名無しさん@ピンキー:2008/04/19(土) 10:18:58 ID:I/zqaCuI
>>464
管理ご苦労様です!

>がんばれヒイラギくん
こちらでよろしいでしょうか?
http://cos-memo.com/cos-contents/uploader2/src/up5684.txt
469業務連絡:2008/04/19(土) 11:48:48 ID:URGNfVwP
>468
感謝。早速補完します。

HDD漁ってくれた他の人もありがとでした。
470蓮×くれはリターン!・エンディングフェイズ:2008/04/19(土) 20:40:59 ID:athptAg0
エンディングフェイズ@ 〜シーンプレイヤー〜 くれは・エリス・チハヤ

※※※

 臨海公園に展開された月匣が消滅し、世界が、青空とざわめきを取り戻す。
 人ごみの喧騒がなんだか懐かしくて、少しほっとして、あたしは思わず空を仰ぎ見る。
 青くて大きい、抜けるような、空。
「はわー・・・・・・」
 戦いの緊張感から開放され、一気に緩んだ神経に、空の青が染み込んでくるようで、
なんだかまったり。
 それは、エリスちゃんもチハヤちゃんも同じようで、三人が三人とも、ただなんとなく空
を見上げ、同時に気の抜けた溜息をついてしまう。
 でも、あたしたちの腑抜けたまったり気分を一気に吹き飛ばしたのは、あたしの隣の
朴念仁その人で。
 やたらと能天気な大声で、誰はばかることなく、
「よっしゃ、ペンギン見に行くぞ、ペンギン !!」
 と、何事もなかったかのようにわめきはじめたのには、正直絶句。
 あのさぁ・・・・・・。
 あたしたち、ついさっきまで月匣の中に捕らわれてたんだよ ?
 エミュレイターと戦ってたんだよねぇ・・・ ?
 それなのに、どうしてそういう発言が当たり前のように出てくるかなぁ・・・ ?
「なんだよ。だってもともとそういう予定だったじゃねーか」
 あたしがツッコむと、返ってきた答えがこれだもん。
 さも心外だって言わんばかりの仏頂面。
 ひーらぎ同様、切り替えの早かったのは、実はやっぱりあかりんで、
「・・・・・・ペンギン・・・・・・早く・・・・・・」
 と、ひーらぎの隣であたしたちを急かし始める。なんとなくうずうずしている様子を見る
と、一番楽しみにしていたのは実はあかりんなのかも・・・ ?
「なるほど ! ベテランのウィザードともなると、これしきのことでは動じないんですね ! 」
 眼鏡の奥から、あきらかに勘違いした尊敬の眼差しをひーらぎに注ぐチハヤちゃん。
「いやいや」
 手を左右にパタパタ、とあたし。
「スゴイ、灯ちゃん ! ベテランだって〜」
 はしゃぐエリスちゃんに向かって、
「・・・・それほどでも・・・・・・・・・ある・・・・・」
 付き合いが長くないと分からないと思うけど、ちょっと照れながらも誇らしげな返答を
する、あかりん。
「いやいやいや」
 と、ふたたび手を左右にパタパタ。これ、絶対ひーらぎの役目だと思うんだけど、今日
はあたしのほうが忙しく、あっちこっちにツッコんで回ってるよ。とほほ。
「おい、先行くぞー。早く来ないと置いてくかんなー」
 って、ひーらぎ !? あんたの役回りをあたしがこなしてる間に、なに一人で歩き始めて
るのよっ!?
 ああっ、あかりん、もうあんな遠くまでっ !? ペンギンそんなに見たいんだっ !?
 もう、誰に、どこから、どう突っ込んだらいいのかわかんないって・・・。
 あきらめて、溜息。それでもやっぱりなんだか可笑しくて、笑いがこぼれる。ひーらぎ
たちの後を追おうと一歩踏み出したあたしを、
「くれはさん・・・」
「くれは先輩・・・」
 エリスちゃんとチハヤちゃんの二人が、小声で同時に呼び止める。
471蓮×くれはリターン!・エンディングフェイズ:2008/04/19(土) 20:42:21 ID:athptAg0
「はわっ ? 」
 振り返ると、二人はさっきまでとは様子が少し違っていて。
 うつむいた顔を少し赤くした二人は、まるで母親にしかられるのを怖がる小さな子供
のような表情で。はわ。エリスちゃんなんて、ホント泣き出しそうな顔しちゃってる。
「どーしたの、二人とも ? ほらほらぁ、早くしないと置いてかれちゃうよ ? 」
 なんとなく。いつもより努めて明るく振舞ったほうが良いようなそんな気がして。
 あたしは二人にそう言うと、もじもじしているその手をぎゅっと握り締める。
「ほら、早く」
 やっぱり浮かない顔の二人は、何ごとかを言いかけて、それでもやっぱり言い出せな
い。そんな表情をしきりにしている。
「くれはさん・・・」
「くれは先輩・・・」
 もう一度あたしを呼ぶ。そして数瞬のためらいの後、
「「ごめんなさい・・・」」
 と、同時にあたしに謝った。
 唇を噛み締め、なにか自分を激しく責めている感じのするエリスちゃん。
 自分の足元をじっと見つめ、震えながら立っているチハヤちゃん。
 二人の手を握ったまま、じっとその表情を見る。
 ・・・・何があったのかはわからないけど、それがあの月匣での出来事に関係がある
のかなってことくらいはあたしでもわかる。そして二人にとって、なにかとても後悔させ
られるようなことがあったんだな、ってことも。
 だから、あたしは・・・・。
472蓮×くれはリターン!・エンディングフェイズ:2008/04/19(土) 20:43:13 ID:athptAg0
「うん。おっけーおっけー」

 親指と人差し指でわっかをつくり、OKサイン。
「よくわかんないけど、許すっ」
 両手に腰を当て胸を張り、えへん、と偉ぶるポーズ。弾かれたように顔を上げ、そん
なあたしを見ながら二人は、
「・・・・そんな・・・・」
「まだ・・・・なにも・・・・」
 それぞれがそれぞれの憂いを込めて何かを言いかけ、やっぱり口ごもる。
 あー、もう。しょうがないなぁ。
「えいっ」
 両手を大きく広げる。チハヤちゃんとエリスちゃんを囲い込むようにして。
 そして二人まとめてこちらに引き寄せ、ぎゅっ、と抱きしめる。
「きゃっ !? 」
「く、くれは先輩 !? 」
 いきなりの抱擁に声を上げて驚く二人。
 そんな二人に、あたしは言う。
「なにがあったかは分からないし、あたしも聞かないから」
 まだ何かを言おうとする二人を制しておいて。
「エリスちゃんもチハヤちゃんも、悪いと思って謝ってくれた。あたしはそれでいい、って
思った。本当に悪いことをしたとかじゃなくて、許すとか許さないとかじゃなくて、そうい
う風に二人があたしを気遣ってくれたこととか、あたしがその気持ちに応えられること
とか、大事なのはそういうことだと思うんだよね・・・・・ごめん、なんかあたしの言ってる
こと、支離滅裂だね 」
 言ってるうちに心配になって、二人の顔をうかがう。うーん。説明するのとか長い話は
あまり得意じゃないんだよね。思ったことが口をついて出たってだけだから、全然まとも
な説明になんてなってないし。それでも二人は、あたしの腕をきゅっと抱き返してくれた。
 それであたしは、ああ、通じたんだな・・・・って、その時はっきり感じたんだ。
 二人の身体をそっと離す。さ、いつものあたしたちに元通りといきましょうか ?
「はい、それじゃ今から、出遅れたぶん取り戻すよ〜」
「え・・・・」
「くれはさん・・・ ? 」
 きょとんとしている二人に背を向けて、あたしは走り出す。
 大きな声で、笑顔と笑い声をこの空いっぱいに解き放って。

「ペンギン見に行くんだってば〜 ! もちろんゴールはひーらぎンとこ ! 競争だよ〜 !! 」

 エリスちゃんとチハヤちゃんが顔を見合わせ、また走り去るあたしを見る。
 次の瞬間、二人のはじけた笑顔と笑い声は、たしかにこの青い空に解き放たれた
ようで。絶対に、あたしたちの絆は壊れることはないんだってはっきり思える、そんな
確信を抱きながら。
 走る。走り抜ける。
 この青い空の下を、愛すべき、すばらしき仲間たちとともに・・・・・・・。
473蓮×くれはリターン!・エンディングフェイズ:2008/04/19(土) 20:44:34 ID:athptAg0
エンディングフェイズA 〜シーンプレイヤー〜 氷室灯

※※※

 なぜか一緒にいるのが気まずい気がして、四人を置いてけぼりにしてしまった。
 気まずいからそうしたのに、そうしたことで余計気まずく感じる。
 なんだか、試験でつまらないケアレスミスをしたときのような、舌打ちをしたくなる
ような感覚。戸惑いに揺れる赤い瞳はいつもの灯らしくなく、自信を失って視線が泳
いでいる。
 月匣の中で見た光景は、いまだ網膜に焼き付いているようにリアルで、知らず知ら
ずのうちに動悸が高まり脈拍が速まる。
「・・・・・・・みこと」
 つい、無意識に恋人の名前を呟いてしまうほど。
 心が揺れている。
 揺れてしまうのはいけないことだから、そうならないように訓練を受けてきたのに。
 そうならないようにしないといけないのに・・・。
 走っていたはずの足の動きが、そのうちに歩く速度と変わらなくなってしまい、とう
とう立ち止まる。
 うつむいてしまっている自分に気づいて、少しショックを受ける。
 それでも背後からの足音に、咄嗟に振り返り、身構えることができたのは、やはり
日頃の訓練の賜物か。

「灯っ ! お前ずるいぞ ! ペンギン一番乗りはオレのつもりだったのに ! 」

 なんだか何もかもが馬鹿馬鹿しくて、どうでも良くなるような台詞。
 火照っていた頬も、揺らぎに傾いていた心も、一気にすべてがクールダウン。

「・・・柊蓮司。うるさい」
「なんだとっ !? 」
 コミカルなのにも限度がある、と冷静に分析。
 自分の真剣な懊悩の壁を無遠慮にぶち破って現れたのは、いわずと知れた魔剣
使い、柊蓮司だった。
 どうしてこんな男が歴戦のウィザードで、世界を何度も救った現代のヒーローで、
あの“真昼の月”アンゼロットの最も信頼を受ける存在(きっと、当人たちは全力で否
定するだろうが)なのだろうか。
 いくら冷静に考えても分からない。灯の明晰さをもってしても答えの出ない命題。
 ふと。
「・・・柊蓮司」
「んあ ? 」
 思いついてしまったから。
 つい、口にするつもりのなかった、また口にするべきではなかった疑問を口にして
しまう。
「・・・あの月匣の中で・・・・貴方は何を見たの・・・ ? 」
474蓮×くれはリターン!・エンディングフェイズ:2008/04/19(土) 20:45:32 ID:athptAg0
 言ってから、しまったと思う。これも、灯らしくないといえばそうだった。
 質問しておいて、その答えを聞くことなどできるはずがないではないか、と瞬時に
思い、後悔の念に囚われる。
 なんと言っても、自分が見た幻覚が「あんなもの」だったのだ。彼だって、とても人に
は言えないようなものを見せられたに違いなかった。それなのに、
「ああ〜、あれケッコウ傑作だったぞ。訊きたいか ? 」
 などと、柊蓮司は軽く言い放つのだ。
 少なくとも、灯が危惧するような「赤面ものの」幻覚ではなかったようなので、つい
好奇心に耐えかね、
「・・・訊きたい」
 と応えてしまう。すると、柊蓮司は意地の悪い笑いを浮かべ、
「完璧なくれは、だってよ」
 そう言った。
「・・・・・・ ? 」
「だからさ。大和撫子で、俺の言うことには大人しく従って、口答えもしないくれは。
料理上手で、おしとやかで、さ」
「・・・・・・・・・・・」
 それが、柊蓮司の望んだ赤羽くれはなのだろうか。欲しいものを見せるといった、
理想を叶えてやるといったあのエミュレイターが見せたものは。
 だとしたら・・・・・・。
「ま、ぶっちゃけそんなのいらねーと思ったけどな」
「・・・・・ !! 」
「あいつ、なんか勘違いしてたみたいだ。そもそも、ヤツには俺たちが欲しいものなん
て分かっちゃいなかったみてーだぞ」
 いつの間にか、柊蓮司の言葉に聞き入っている灯。
「でも、まあ、結局のところ本物の、自分の信じたものの方がダンゼン強いよな」
「・・・・・」
 エミュレイターの幻覚の誘いに打ち勝ったとはいえ、灯は今しがたまで、軽い自己嫌
悪と自信喪失に陥りかけていた。鉄面皮などと心無い人は言うが、灯はクールな外見
に反して激情家であり、細やかで繊細な神経の持ち主である。
 そのガラスのような精神を(大げさに言えば)救ったのは、皮肉にもこの無神経な若
者の言葉であった。
475蓮×くれはリターン!・エンディングフェイズ:2008/04/19(土) 20:46:23 ID:athptAg0
 本物が、自分の信じたもののほうが、強い。

 わかっていたつもりだった。
 それでも、ベットの上で眠り続ける恋人を見舞うたび、つらくて、声を聞きたくて、起
きて自分のことを見つめて欲しくて。逢いたいけど、逢えばその姿を目の当たりにしな
くてはいけないという相反する感情に負けそうで。くじけそうになる心を奮い立たせね
ばならないのが、本当に哀しくて。
 でも、いま、忘れがちになりそうな気持ちのありかは、目の前の朴念仁が教えてく
れた。
「・・・おい・・・灯・・・? 」
 黙りこんだ灯を、気遣うように柊が声をかける。
 珍しいこともあるものだ、と灯は思う。この男にも、人の心の機微は分かるのか。
「・・・私は・・・待つって決めたから」
 静かな宣言。なによりも力強い言葉だった。
 それは誓い。
 それは約束。
 誰としたわけでもない、彼女自身が決めたこと。
 眠り続ける恋人に立てた誓いであり、灯が自分自身と交わした約束。
 一時の迷いに流されて棄てられるものじゃない。
 今日は休息の時とはいえ、赤い髪の少女は、再び明日から戦いの荒野に赴くだろう。
 「誓い」を台座に照準を定め、「約束」を力に引き金を絞り。
 戦い続けながら待つと決めたあの日の気持ちは、決して変わらず灯の中にあったのだ。
「・・・柊蓮司」
「・・・・・・・おう」
「・・・たまにはいいことを言う」
「一言多いっつーの !! 」
 いつものやり方でからかう。何かが心の中から吹っ切れた証拠であった。
 柊蓮司が“ツッコミ”のポーズを取ると同時に、どこかか懐かしい三つの足音が近づい
てきて。
「灯ちゃんも抜け駆けはダメだよぉ〜」
「独り占めなんてずるいですよ、灯さん」
「はわわ〜。まあまあ二人とも〜」
 微妙にずれていたモノが、音を立ててもとの形に戻っていくような、嬉しい感覚。
 灯は、勢揃いした仲間たちを、いつもの涼やかな瞳で迎える。
 彼女の戦いを支える「誓い」と「約束」。そこにいつしか「仲間」という存在が加わって
いたことを、いまさらながらに思い出し。

 灯は、それと知られぬように静かに微笑んだ。
476蓮×くれはリターン!・エンディングフェイズ:2008/04/19(土) 20:47:13 ID:athptAg0
エンディングフェイズB 〜シーンプレイヤー〜 柊蓮司

※※※
 
 全員揃ったところで、再び移動を開始する俺たち。
 第一目標のペンギンが目に入ると、くれはたちはその愛らしさに黄色い歓声を上げ、
俺が解説するペンギンの生態も耳には入っていない様子である。それどころか、一生
懸命説明しようとする俺を、「うるさいよォ、ひーらぎ」と、くれはに一蹴されてしまっては
俺の立場なんてあったもんじゃなかった。
 ま、楽しそうだからいいっていえばいいか。
 なんといっても、一番可笑しかったのは灯のヤツ。
 いつもどおり無言なんだけど、手すりを握りつぶさんばかりに掴んで身を乗り出し、
顔なんかちょっと赤くして、真剣にペンギンの動きを目で追ってるんだから微笑ましい。
 そーいや、どんぺり飼ってるんだっけ。動物、実は好きなんだろうか。
 名残惜しげにペンギンたちと別れた俺たちが次に向かったのは水族館。
 あまりに雄大な魚たちの泳ぎにみんな魅了されたようで、特にエリスは目をきらきら
させてたっけ。さすがの俺も、そんなエリスを前にして魚たちを「美味そうだ」とは言え
なかった。思っただけ。そう、あくまでも思っただけだ。
 水族館を出るころには正午近くで、みんなが(特に俺が)楽しみにしていた「エリスの
ランチ」に思う存分舌鼓を打つと、俺たちは公園内の芝生の上に座り込み、小休止を
とることにしたのだった。
477蓮×くれはリターン!・エンディングフェイズ:2008/04/19(土) 20:48:11 ID:athptAg0
「ぜーたくだなー。こういうなんでもない普通のことが、たぶん一番のぜーたくなんだろ
うなー」
 万感の想いを込めて、俺は芝生に大の字で寝転がりながらしみじみと言う。
 毎度毎度、世界の危機などという浮世離れした事件のために、あの性悪ババアに
拉致されている俺にしてみれば、こんな平穏が何よりも嬉しく、有難いものなのだ。
「ひーらぎィ ? 食べてすぐ横になっちゃダメだよ、お行儀悪い」
 くれはの小言でさえ、耳に心地よかったりする。
 だらしなく寝そべる俺の横に、ぺたりと座り込んだくれはが、スナップのほどよく効い
た平手で俺のおでこをぺしっと叩く。
「いて。いーだろべつに」
「ほらほら、起きなさいひーらぎ。エリスちゃんが食後のおいしーお茶を煎れてくれる
から」
「うふふ、今日のことをお話したら、ぜひにって届けてくれたんですよ。アンゼロットさ
んが」
 がばっ、と起き上がる。笑いながらエリスが恐ろしいことを言うからだ。
「おい、エリス。まさかちょくちょくアンゼロットと会ってるんじゃないだろうな」
 ごくり。生唾を飲み込む俺。
「はい、よくお茶をいただきに」
 屈託なく笑いながら、人数分のプラスチックマグに紅茶を注いでいくエリス。
 俺にしてみれば、好き好んでアンゼロット宮殿へ出かけていくなんて金輪際あり得
ないことで、時々「エリスってすげーな」と思っちまう。変に図太いところがあるという
かなんというか・・・・・・。
 全員に紅茶が行き渡って、食後のティータイムとしゃれ込む俺たち。
 振舞ってくれたエリスには悪いんだが、俺には紅茶の味なんてのはさっぱりだ。
 くれはたちが言う、「甘酸っぱくて」「香りが引き立つ」「ほのかなナントカカントカ」
という言葉はもはや、俺にしてみれば暗号以外の何物でもなくて、正直言うと俺の感
想は「味のついたお湯」でしかないわけだ。
 ・・・・って、こんなこと言うとまたくれはにどやされそうだな。
 まあ、紅茶の薀蓄は語れないとしても、美味いは美味い。
 一気に飲み干して、ぷはーッ、とやったら、女の子たちの視線がまあ、痛いこと痛い
こと。
478蓮×くれはリターン!・エンディングフェイズ:2008/04/19(土) 20:49:11 ID:athptAg0
「柊先輩、もっと味わうように飲んでください」
「・・・柊蓮司。無粋」
「確かに、紅茶は一気飲みするものじゃありませんし・・・」
 な、なんだよ。一気飲みしちゃいけないなんて決まりがあったのか !?
「情緒に欠けるって言うかなんていうか・・・・これじゃアンゼロットも、張り合いがない
はずだわ・・・。ちょっと、ひーらぎ ? ウチで番茶を飲むようなのとは違うんだよ ? 」
「なんだよ、なにが違うんだ ? 飯食って茶飲むってことじゃ同じだろ ? いつもはくれは
だってなにも言わねーじゃんか」
「違うものは違うの ! ウチでご飯の後に出すお茶はいーけど、ランチの後のお紅茶は
ダメったらダメ !! 」
 なんてやりとりをくれはと続けていたら、ふと首筋に視線を感じて顔を上げた。
 ・・・エリス、チハヤ、灯の三人が、くれはと俺をじーっ・・・と見ていて。
 なんていうか、生温かい視線なのだ。
「な、なんだ、お前ら」
 たじろぐ俺。
「・・・・・・・・・夫婦漫才」
「かないませんね、お二人には」
「ごちそうさまです」
 などなど、口々に訳のわからねーことを言い出す始末だ。
 俺、っていうか俺たち、そんな変な会話してたか・・・ ?
 訳が分からなくて、くれはを見る。初めはやっぱり俺と同じようにきょとんとした顔を
していたのだが、なにかに気づいたように目をはっと見開き、続けてだんだんと俯き、
真っ赤な顔になっていくくれは。
 ・・・だからいったいなんなんだ・・・?
「さて、と。それじゃそろそろ」
 と、苦笑まじりの溜息とともにチハヤが言い、
「そうですね。私たち三人は、このままウチに撤収しましょう」
 エリスがくすくすと忍び笑いを漏らしつつ、立ち上がる。
「・・・・・・ごゆっくり」
 灯までもが、おかしなことを言って俺たちに目配せをする。
「おい、まだ昼飯食ったばかりなのに帰っちまうのか ? それに、撤収って・・・エリスの
マンションに行くんなら・・・」
 俺が言うと、これまた珍しくエリスが眉をへの字にして、「柊先輩ッ !!」と語気を荒げ
る。チハヤは、「もう、先輩。空気読まないにもほどがあります」と出来の悪い悪童を
たしなめる優等生のように俺に言い、灯はあからさまに俺を見下す目線で、「・・・柊
蓮司・・・鈍すぎ・・・」と無礼な発言をした。
「だからいったいなんなんだ !? 」
「先輩があまりにもデリカシーがないことを言うんで、ここに置いてっちゃいます」
「ペナルティーですよ、柊先輩。今日はマンションに帰ってきても入れてあげません」
「・・・くれは・・・後は・・・まかせる・・・」
 無茶苦茶な発言をしながらも、三人が三人とも、どこか嬉しげで。
 それでいてなんとなく温かい。
479蓮×くれはリターン!・エンディングフェイズ:2008/04/19(土) 20:50:17 ID:athptAg0
 いぶかしんで、やっぱりくれはの様子を伺うと。
「・・・・はわ・・・う、うん・・・・アリガト・・・まかされたよ・・・」
 ・・・なんだよ。真っ赤な顔してニタニタしてやがる。熱でも出して頭にウィルスでも
回ったのか、とさすがの俺も心配になっちまう。
「おい、くれは。おまえどっか悪いのか ? なんか様子が・・・」
「・・・・柊蓮司は頭が悪くて鈍いから・・・」
「はっきり言わないと分からないんですかねぇ・・・」
「くれはさんがかわいそうになってきました・・・」
 くそ。俺の後ろで好き勝手なこと言いやがる。
 エリスたちが座っていた芝生から立ち上がり、食事の後片付けを始め、本当に自分
たちだけで帰ろうとしたので、
「おいおい、本当に帰るのか」
 声をかけると、チハヤに本気で睨まれた。
「よーく聞いて下さい、柊先輩。午後は、柊先輩とくれは先輩、お二人でデートです。
そもそも、お付き合いしてるのに、先輩は女の子に構わなさ過ぎです ! 」
「な、なにぃっ!? 」
「ほんとは一日一緒に過ごしてあげなきゃいけないんですからね。でも、午前中は、
お邪魔しちゃいました。ちょっと悔しくて、意地悪してみたかったから・・・って言ったら
怒りますか ? 」
 以前だったら口にしなかったはずの冗談めいた口調で、チハヤが言った。
「・・・冗談ですよ、冗談。でも、午後の件は冗談なんかじゃありませんよ。これ以上、
柊先輩がごねるようなことを言ったら・・・」
 と、エリスのほうを悪戯っぽく見やる。
「はい。以後、柊先輩はウチのマンションに立ち入り禁止です」
 な、なんてこと言いやがる。それも、そんな満面の笑顔で。
「・・・・・・(がんなーずぶるーむ)」
 口パクでも灯がなにを言いたいかよーく分かった。銃、構える仕草だよな、それ !?
 言うこと聞かないと撃つ、って言いたいんだな、お前 !? 
「くっ・・・・お、お言葉に・・・甘えるぜ・・・」
 って言うしかねーだろ、こういう場合。・・・ま、まあ、三人の気遣いは実は嬉しいん
だけどよ・・・。
480蓮×くれはリターン!・エンディングフェイズ:2008/04/19(土) 20:51:36 ID:athptAg0
「はわわ・・・三人とも・・・ゴメンね・・・でもアリガトね・・・」
 くれはのヤツ、なんて嬉しそうな顔してやがる・・・ちくしょう・・・なんつーか・・・俺ま
で妙に嬉しくなっちまうぜ。
 確かに、俺、こいつと二人きりで、こいつにかまってやるってこと普段あまりしねーも
んな・・・。
 芝生の上で座り込む俺とくれは。
 そんな俺たちを残して、エリスたちは帰っていく。
 なんつーか、気恥ずかしくて、しばらく無言の俺たち。そよぐ風の柔らかさだけが、
いまこの世界に俺たちがいるって言う実感。そんな錯覚。そこに、くれはの温かな
手のぬくもりが加わった。俺の手を、小さな手が一生懸命握り締めてくる。
「ひ、ひーらぎ・・・」
「・・・・・・・お、おう。それじゃせっかくだし、俺たちは俺たちで・・・ご・・・・午後デートっ
・・・てやつ・・・してみっか・・・・ ? 」
 ぐぬぬぬぬ・・・我ながら恥ずかしいこと言ってるぜ・・・。
 でも、この恥ずかしさを感じるだけの価値はある。これのためなら、どんな恥だって
かいてやるってくらいの、
「うん !! じゃあ、どこいこっか、ひーらぎ ? 」
 すげー最高の笑顔をくれはが見せる。
(はあ〜・・・後でエリスたちには、なんかお礼をしてやるべきだろうな・・・)
 やれやれ、と思いながらも、くれはの手を強く強く握り返す。
 その手を引いて立ち上がりながら、
「よっしゃ、臨海公園巡り午後の部、始めるぜ !! 」
 俺の言葉に、くれはは頬を染めながら頷いた。
481蓮×くれはリターン!・エンディングフェイズ:2008/04/19(土) 20:52:32 ID:athptAg0
エンディングフェイズC 〜シーンプレイヤー〜 赤羽くれは・柊蓮司

※※※

 エリスちゃんたちからの、嬉しい嬉しいサプライズ・ボーナス !!  
 ひーらぎと二人きりの、臨海公園デート !!
 結構いろんなアミューズメント施設がいろいろあるのもびっくりで、あたしもひーらぎも
子供みたいにはしゃぎまわっちゃった。
 気がつけば、時間は午後五時。すこし暗くなり始めた空の色に、あー、もうすぐ終わり
なんだなー、って少し寂しくなったりして。
 でも、あたしの日頃の行いがいいからか、最後の最後で神様が、もう一つ素敵なプレ
ゼントをくれたんだよね。
 ちょっと早めの夕食を取ろうとして、二人で入った臨海公園内のレストラン。
 受付に現れたウェイターさんが、あたしたちを見るなり、
「おめでとうございます。お客様たちは当店に来店された、十万組目のカップルでござい
ます」
 って、あたしたちにキラキラ輝く二枚のチケットを手渡してくれた。
 なんでも、閉館後の水族館を貸切にして楽しむことの出来るスペシャル・チケットで、
特殊なライトアップが施されたムーディーな夜の海を堪能できるという、超豪華特典
なのだとか。
「はわー ! スゴイよこれ ! ね、ひーらぎ、これ見に行こ ! 絶対行こう ! 」
 なんだか必要以上にはしゃいじゃうあたしに、
「おう、いいな。貸切で豪華で特殊ってのが気に入ったぜ」
 と、ひーらぎもノリノリで。
 いつもより豪勢なディナーの後は、水族館の閉館を待ってしばらくあちこちをぶらぶ
らと。閉館時間の午後七時に受付へ顔を出したあたしたちに、案内の女の人が「お
めでとうございます」と屈託のない笑顔をくれる。
「午後九時までの貸切となります。どうぞ、夜の海と魚たちをご堪能ください」
 中に通されて、しばらく回廊を歩くと、薄ぼんやりとした照明に蒼い海の色が加わっ
て、
「はわー・・・・・・きれーだねー・・・ひーらぎ・・・」
 なんかうっとり。
 足元を照らす小さなライトの明かりは必要最小限で。
 せいぜい、転ばないように床が見える程度のものでしかない。
 それ以上に強調されているのは蒼。
 ガラスの向こうの魚たちを照らす蒼い光。
「すげーな・・・夜の海の中を歩いてるみてーだ・・・」
 ひーらぎの声もなんとなく、感動に震えているみたいだった。
 しばし立ち止まって水の中を縦横無尽に泳ぎまわる魚たちの演舞に陶然となるあ
たしたち。こうして、ひーらぎと、こんな神秘的な場所に二人きりでいることが、なんだ
かとても幸せ。おそるおそる、あたしはひーらぎの手に触れる。すぐに、あたしの手を
ひーらぎのもっと大きな手が握り返してきてくれて。
 あたしたちは、ぎゅっとお互いの手を握り締めたままで。この光る海の中を、時間を
惜しむように、ゆっくりと歩き始めた・・・。
482蓮×くれはリターン!・エンディングフェイズ:2008/04/19(土) 20:53:54 ID:athptAg0
  ※※※

「ねえ、ひーらぎ・・・ちょっといい ? 」
 歩きながら、あたしは問いかける。
 感嘆の面持ちで光の海のエンターテインメントに興じる、ひーらぎの邪魔にならない
ような小さな声で。
「ん、なんだ、くれは ? 」
 振り返るひーらぎ。二人きりになると、どうしても言いたいことを我慢し切れなくて。
 あの月匣の中でのこと、ひーらぎがあたしを好きだって、エミュレイターに自信たっ
ぷりに言い切ってくれたのが凄く嬉しかったこと。そんな諸々。
「・・・く、くれは。お前どこでそれ見てたんだ」
 あ、たぶんいま、ひーらぎ顔赤くしてるんだよ、きっと。
 照明が暗いから分からないけど、それでもあたしには絶対そうだって分かるんだも
んね。
「えへへ。さー、どこでしょう〜 ? 」
 からかうようにとぼけてみせる。ひーらぎってば、恥ずかしくてしょうがないみたいで、
ぐぬー、とか、うー、とか犬みたいに唸ってる。あはは。
「そ、そういうくれはンとこはどうだったんだよ。どーせ、さわやか完璧好青年のカッコ
いい俺でも出てきたんじゃねーのか。童話の王子様みたいな、さ」
「・・・・・・う、うん。アタリ・・・」
「・・・・やっぱそうなのか。あいつ、発想が貧困だなー」
 ひーらぎの言うあいつっていうのは、たぶんエミュレイターのことだと思う。
483蓮×くれはリターン!・エンディングフェイズ:2008/04/19(土) 20:55:03 ID:athptAg0
「・・・考えてみりゃ、あいつも寂しいヤツだったよなー」
 頭の後ろで両手を組みながら、ひーらぎがちょっと意外なことを言う。その目はガラ
スの向こうの青い魚の影たちを見つめていて、どこか憂いを帯びた大人っぽい光を
おびている。
「寂しい・・・のかな、やっぱり」
「そりゃそーだ。あいつが言ってた理想なんてのは、結局俺が欲しいものじゃなかった
んだぜ。つまり、あいつは誰がなにを望んでいるのかなんて、本当はこれっぽっちも
分かってなくて、自分が考えたこれが最高の夢の形だってものを、ただそれだけを
信じていてさ。それしか信じることが出来なくてさ。あいつは結局最後まで、誰の心も
わからず、誰に与えた夢の形も許容されなかったんだぜ」
 そうか。そうなんだよね。あのエミュレイターが、あたしたちのためになにかをしてあげ
ようと思っていたわけじゃないことは確かなんだろうけど、彼のしようとしていた事をあた
したちの立場に置き換えてみれば、それがどんなに寂しいことなのか、よくわかる。
 もしあたしが、ひーらぎのためになにかをしてあげようとしても、それはひーらぎの喜ぶ
ことじゃ全然なくって、それってつまり、あたしにはひーらぎの気持ちが全然わかっていな
いってことで。
 もし、そうだとしたら、二人の気持ちはまるで通じ合ってない、ってことなんだもんね・・・。
「じゃあ、ひーらぎ」
 ちょっと意地悪に、あたしは言ってみる。
「ひーらぎは、がさつで料理もそんなに上手じゃなくて、顔にバッグ投げられたり、一本
背負いされたり、秘密をばらすって脅されても、いまのあたしのほうが良い ? 」
「・・・・ほんっと、全部見てたんだな・・・」
「えへへへへ」
 ひーらぎが、ごほん、と一つ咳払い。
「・・・そうだな。それでも俺はいまのくれはが一番だな。いま、こうして俺の目の前にいる、
赤羽くれはって女の子が一番だな」
「は、はわっ !? 」
 す、すごい反撃来たーっ !?
 こ、今度はあたしのほうが、顔真っ赤にして慌てふためく番で。
 そんなあたしを優しい目で見るひーらぎが、いつの間にかすぐ息のかかる距離まで
急接近するのを、みすみすあたしは許しちゃっていた。
「・・・ひーらぎ・・・んふぅっ・・・・・・・」
 あっという間にふんわりと、あたしの身体は抱きすくめられて。
 優しい、優しい口付け。
 誰もいない二人きりの海に。
 あたしたちの口付けを、魚たちだけが知っていた・・・。
484蓮×くれはリターン!・エンディングフェイズ:2008/04/19(土) 20:56:19 ID:athptAg0
真(裏)エンディングフェイズ 〜シーンプレイヤー〜 くれは・蓮司

※※※

 いいわけ、一つだけさせて欲しいの。
 こんな幻想的な場所でさ。大好きなひーらぎにさ。真顔で好きって言われてさ。
 あんなに優しくて、温かくて、溶けるようなキス・・・・されたらさ。
 あたしだって・・・・・流されちゃうよ。
 ここが水族館の中だって構わないって。人目は確かにないかもしれないけど、ウチ
じゃない場所でこんなことなんて、ホントはすごく恥ずかしくていけないことなのに、
もう、あたし、歯止めが利かなくなってきてる・・・。
 ひーらぎって、実はすごく丁寧にあたしを扱ってくれる。
 それがすごく良く分かるのは、キスの時。
 あたしのほっぺを優しく両手で包んでくれて。ひーらぎの舌が、あたしの舌を、まるで
絡め取るように蠢くの。舌や内側の頬肉だけじゃないんだよ ? 歯の一枚一枚までも、
丁寧に丹念に舌でなぞられて、その間ずっと、あたしの耳朶とか耳の裏とか、指でこり
こりって擦りあげられて、髪とか優しく撫で続けてくれて。
 あたし、これだけですぐに、「あ・・・もうどうなっても・・・なにされても・・・」そんな気持ち
にさせられちゃって・・・。
 ちゅるっ、くちゅんっ、ぷちゅうっ。
 二つの唇の間から、大きな水音を誰はばかることなく立てるあたしたち。
 あたしとひーらぎの唾液が混ざり合って、唇の端から零れ落ちる。顎をつたう唾液が、
喉を滑り、襟の隙間から胸元へと垂れ落ちていく。
 あ、ひーらぎ・・・。やっと唇を離してくれた・・・。と、思ったら、零れた唾液の雫を追い
かけるように、あたしの首筋を舌が這い、鎖骨に到達した途端、そこをやんわりと甘噛み
されて、あたしの巫女服の襟に顔を埋めたひーらぎが、そこに熱い吐息を吹きかけた。
「くぁ、ふうぅぅん・・・」
 仰け反っちゃう。身体が勝手に弓なりに反り返っちゃう。
 そのままあたしは、ずるずると膝からくず折れて、床にだらしなく膝をついてしまった。
 荒い呼吸に混じって、ジジジッ、とひーらぎがジッパーを下ろす音が聞こえる。
 あたしの目の前に露にされた“それ”は、すでに準備を整えて、いきり立っていた。
485蓮×くれはリターン!・エンディングフェイズ:2008/04/19(土) 20:57:22 ID:athptAg0
「あ、ひーらぎ・・・すご・・・」
 あたしの指周りでは掴みきれないくらいの太さ。これがいつも、どうやって下着の中に
収まっているのだろう、と、ひーらぎと交わるたびに不思議に思うほどの、長さ。 
 あたしはなにかに誘われるように、少しずつそれに顔を近づけていく。近づくにつれ、
口を大きく開けていく。その大きなものを収めるために。飲み込むために。
「・・・んぁんむぅ・・・んむうぅぅっ・・・」
 口一杯に頬張って。その行為を円滑に進めるために、あたしの脳が多量の唾液を
分泌するように、身体に命じる。口の中は、だからもう、ドロドロ。
 あたしの唾液にまみれたひーらぎのモノが、蒼い光を照り返してぬらぬらとてかりを
帯びている。まだ、口での経験は少ないけれど。あたしは一生懸命それを愛撫する。
 これがひーらぎの望むことなら、喜ぶことなら、二人の心が通じ合っているのなら、
きっとこの行為は正しいに違いない。そう思って。
「くれは、上手く・・・なって・・・きたな・・・」
 喜んでくれてる ! それが嬉しくて、あたしはもっと頑張ろうと顔を前後に動かした。
 唾液はどんどん溢れてきて、止まらなくて。頬をすぼめ、口全体でひーらぎの肉塔
をしごく。しごく。しごく。しごく。
 ずるるっ、ぶじゅるっ、じゅぷっ、ぐぶぷっ。
 なんて恥ずかしい音なんだろう。あたし、なんていやらしいことしてるんだろう。
 もうたまらなくて、跪いてひーらぎに奉仕するうちに、もっと恥ずかしくていやらしい
ものが、あたしの袴の中に溢れ出してきて。
(・・・どうしよう・・・袴の中が・・・すごく・・・濡れて・・・ううん・・・濡れてるっていうより
漏れてるっていうくらい・・・・・・ !! ・・・あ・・・ひーらぎ・・・中で・・・膨れ上がって・・・
イクの・・・ ? 出すの、ひーらぎ・・・ ? いいよ・・・たくさん出していいよ・・・ !! ) 
 もう頭の中がひーらぎとの行為のことで一杯になって。口の中が気持ちいい。
 気持ちよくて、もう・・・ !!
「・・・・っ、くれはっ・・・・ !! 」
 ひーらぎがあたしの頭を抱え込む。
 太く長く硬いものが、唇から頬から喉の奥までを一息に貫き、

 どぷん、どぷん、どっぷんっ。

 熱く、大量に、ドロドロと。あたしの食道めがけて、ひーらぎの欲望の飛沫がほとば
しった・・・・・・・。
486蓮×くれはリターン!・エンディングフェイズ:2008/04/19(土) 20:58:24 ID:athptAg0
※※※

 ごきゅ。ごきゅん。ごっきゅん。
 あまりの量と、ねばりけ。必死の想いで精液を飲み干す。
 ちょっと、苦しい。でも、一滴もこぼさないようにしなきゃ。
 飲み終え、呼吸を整えつつ、あたしはもう一度、ひーらぎのモノに顔を寄せる。
 まだ。まだ固い。いや、まだ、というより、さっきよりも硬度を増したかのようにさえ見
える。
 あたしは、やんわりとひーらぎ自身を指で包み込む。口をすぼめ、口付けるように。
 その先端に唇を当て、ちゅっ、ちゅっ、と吸い込む。尿道の奥に残った最後の一滴ま
で、きれいに吸い取るために。
 むくむくと、再び大きさを増すそれは、二度目の爆発を待ちわびているようで。
 あたしは胸の高鳴りを感じながら口を離し、ひーらぎの次の行動を待っていた。
「くれは・・・」
 ひーらぎが、床に座り込んだあたしに視線を合わせるにしゃがみこむ。
 その手が巫女服の襟を掴み、ゆっくりと左右に引っ張る。肩を露にされ、二の腕を
剥き出しにされ、すぐにあたしの胸は外気にさらされてしまう。
 どうしよう。どうしよう。服が擦れただけであたしの肌はぴくぴくと震え、大気のそよぎ
すらも、いまのあたしには愛撫のように感じちゃう。
 剥き出しにされた胸の先端、恥ずかしく膨れ上がって固くなってしまった突起は、
衣擦れでさえも容易く快感に変換してしまい、事実、あたしは服を上半身脱がされた
だけだというのに、
「ふはあぁぁぁぁぁ・・・・・・・んんんっっ・・・・ !! 」
 すごい悲鳴を上げちゃってる。
 ひーらぎは続けて、あたしの袴の帯に手をかけた。
 しゅるしゅる、という音が耳に痛いほど大きく聞こえる。
 帯を解かれ、袴をずりずりと引きずられ、やはりその衣擦れがお尻や股に刺激を与え
るだけで、あたしは漏れそうになる喘ぎ声を必死の思いで抑えつけていた。
 下着にひーらぎの手がかかる。あ、いま、いま脱がされたら、あたしまた、その刺激で
感じちゃう。下着、下着だよ・・・ ? たぶんそれが擦るのって、一番敏感なところじゃない
の・・・ ?
「・・・・・・・ !!  ひーらぎ、待って、今は脱がさないで・・・・いひゃあぁぁぁぁぁん !! 」
 気づいたけどすでに遅くて。あたしの下着はひーらぎの手で剥ぎ取られ、その布が
擦ったのは、あたしのお尻と・・・・・・はしたなく濡れちゃってる、敏感なアソコ。女の子
の急所。
 は、恥ずかしいけどあたし・・・・下着を脱がされただけで・・・・
「・・・くれは、いまのでイッたのか・・・」
「・・・・・・ !! も、もうやだ、ばか、ひーらぎのばかっ・・・・」
 恥ずかしくて死にそう・・・。あたし、泣きそうになりながらひーらぎの胸をぽかぽかと
叩いた。なのに、ひーらぎったらあたしにお構いなしで、
「すごく可愛かったぜ、くれは」
 なんて言いながら、あたしの身体にのしかかってくる。もう、身体が、肌が触れ合うだ
けで、いまのあたしはどうしようもなくとろとろに溶けちゃってるのに・・・。
「いくぜ、くれは」
 力が抜けた両脚の間に身体を差し入れられ、さっきまであたしの口の中にあったもの
が、もうひとつのあたしのお口に触れて・・・。
「・・・・ひっ、ひーら・・・ぎ・・・ま・・・待って・・・今・・・いまは・・・あたし・・・・」

 ぬぶるるるっ !! 

 ひーらぎの熱いモノが遠慮なく、あたしのドロドロに溶けたアソコに侵入してきた瞬
間。
 ・・・・あたしの視界は真っ白に染まっていた。
487蓮×くれはリターン!・エンディングフェイズ:2008/04/19(土) 20:59:51 ID:athptAg0
※※※

(だめこれだめすごいすごすぎるひーらぎだめこんなのおかしくなるよやだとまらない
なんでこんなきもちいいのひーらぎとめてはずかしいゆるしてやすませてでもとめない
でつづけてもっとはげしくああひーらぎすきだいすき・・・・・・・)

 頭の中を駆け巡る百の言葉、千の欲求。
 あたしはもうグチャグチャで。どうしてだか分からないけど、いつもよりも感じてる。
 感じすぎちゃって翻弄されて、ひーらぎのくれる一杯の気持ちよさが愛しくて、怖くて
やっぱりもっと欲しくって。
 ひーらぎの手が、あたしの胸を、乳首をねぶる。舌がおへそや腰を舐め回し、跡が
残るほどの激しいキスの雨を降らす。
 そして、あたしとつながって、決して放してくれない部分は・・・。

「くれは、くれは、くれは」
「あう、はうっ、や、やぁ、ひーらぎ、もう、もう、あ、あ、あ、あ、」

 あたしの一番恥ずかしい部分に楔のように打ち込まれ、その先端から根元までが、
思う存分に出入りを繰り返している。

 ぐぷぐぷぐぷ。びしゃ。ぐぷぐぷぐぷ。びしゃ。

 ひーらぎが動くと、何回か毎にあたしは恥ずかしい汁を激しく噴き出してしまって、
いやいやをするように首を振るんだけど、たぶんひーらぎはあたしのことをもっと追い
つめるに違いなくって。だって、ひーらぎの腰の動き、少しも休まない・・・。
 むしろ、近いうちに訪れる終焉を急ぐように、ピッチはどんどん上がってきて・・・。

「あンひーらぎゆるしてとめてダメもうこわれイくっゆるしてすこしやすませヒィッこんな
はげしいのあたまおかしくイくまたイくっあうっくるっちゃうとめてしんじゃうイキしぬっま
たイクいやイクっとめてイヤとめないでもっとつづけてぇ・・・・・・・・ !!!!! 」

 限界、限界、限界。
 もう、限界 !

 前が見えない。網膜に火花が散る。口からは悲鳴同然の壊れたような嬌声。
 そして。

「くれはっ・・・・・・ !! 」
 ひーらぎの肉の楔が、ぶくん、と大きく膨れ上がり、あたしの中で全てが弾けた。
 あたしがさっき飲み干したのよりも、もっと大量の白い液体が、あたしの中心部を
めがけて解放される。染み込む。あたしの内部に浸透するように、じわじわとひーらぎ
の精液が、染み渡っていく。すでにあたしの身体が覚えつくした、ひーらぎの・・・

「・・・・・・アッ、あっ、ひアぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーっ !? 」

 放出と同時に、あたしの全身を最高の絶頂が落雷のように打ち据えた。
 そこからの数十分。あたしにはなにがあったかの記憶がまったくなくて。
 どうも、わたしはひーらぎとの交わりのあまりの絶頂感と幸福感に、完全に失神して
しまったらしく・・・。
 次に目覚めたとき、そこは、夜の臨海公園。
 わたしたちが昼食を採った、あの芝生の上だった。
488蓮×くれはリターン!・エンディングフェイズ:2008/04/19(土) 21:01:07 ID:athptAg0
※※※

「はわ・・・・・」
 目覚めると、最初に見えたのは、あたしを覗き込むひーらぎの心配そうな顔だった。
「ひーらぎ・・・はわ・・・ ? ここ・・・・あれ・・・・?」
 あたしの身体、ひーらぎにしっかりと抱きかかえられてる。肩をぎゅーって、それで
なにかから守るように、腰に手を回されてて。
「はわ〜。ひーらぎ・・・なんかくすぐったいよ・・・」
 こんなシチュエーション滅多にないから嬉しくて、あたしはほにゃ〜っとふやけた照れ
笑いを浮かべる。
「くれは・・・すまん・・・ちょっと・・・加減を間違えたというか・・・抑えが・・・利かなかっ
た・・・」
「・・・・え・・・・ ? 」
 いわれてあたしは考える。さっきまで頭の中にかかっていた靄のようなものが次第
に晴れていき、だんだんと思い出されていくあんなことや、こんなこと。
 映像と音声付きで、夜の水族館での出来事がまざまざと脳裏に浮かび上がってきて、
「は、はわわっ・・・」
 ぼふっ、と瞬間湯沸かし器のごとく、頭から湯気が噴き出し、顔は火が点いたように
火照ってしまい。
 慌ててひーらぎから離れて起き上がろうとするあたしを、
「馬鹿。まだ動くなって。じっとしてろ。もう何もしねーから。こうしてるだけだから、さ」
 ひーらぎが限りなく優しい、でも力強く温かい抱擁で、あたしを抱きしめる。
 はわわっ。恥ずかしいけどうれしいっ。ひーらぎが優しいっ。
 なんか、にやにやしてるあたしを「気持ち悪いなお前」と言いながらも、ぽつりぽつりと
いろんな話をしてくれるひーらぎ。
 水族館で・・・その・・・しちゃったあたしたち・・・あまりに気持ちよくって気絶しちゃった
あたしを連れ出すのに一苦労だったらしくて、ひーらぎは少しげっそりした顔をしている。
 特に、はだけた巫女服だの袴だのをどうやって着せたらいいかが、最大の難点だった、
とひーらぎは言う。
「つたない記憶を頼りに、着せ方とか帯の結び方とか必死で思い出したんだぜ。ほら、
その・・・いつも“アレ”の後で、お前が服を着るの見てるだろ、俺」
 ちょっ、ひーらぎ・・・なんかそれって言い方がエッチ・・・ !?
「で、ようやくなんとかそれなりの格好に戻してさ。お前のことおんぶして水族館から
出てきたんだぜ。気分が悪くなったみたいなんで帰るって誤魔化してさ。救急車呼ぶ
なんて大騒ぎするのを必死で押さえたぜ」
「あはは。じごーじとくー」
 ひーらぎの腕の中でころころと転がりながら、あたしはくすくすと笑った。
 でも、そんなあたしの顔を見つめるひーらぎの表情が、なんだかとても真剣で。
「なに・・・・ひーらぎ・・・・ ? 」
「う・・・いや・・・さっきのくれはの質問にさ・・・俺、ちゃんと答えてなかったから・・・」
「はわ ? 質問って、なんだっけ」
 げんなりとした表情を隠そうともせず、
「あのなぁ、お前さっき聞いただろ・・・」

《ひーらぎは、がさつで料理もそんなに上手じゃなくて、顔にバッグ投げられたり、一本
背負いされたり、秘密をばらすって脅されても、いまのあたしのほうが良い ? 》

「・・・ってよ」

 そうだ、思い出した。
 で、その後ひーらぎが柄にもなく、

《・・・そうだな。それでも俺はいまのくれはが一番だな。いま、こうして俺の目の前にいる、
赤羽くれはって女の子が一番だな》

 なんて言うもんだから、あたし慌てちゃったんだよ。
 ん・・・ ? でも、それって、それがひーらぎの「答え」なんじゃないの・・・ ?
489蓮×くれはリターン!・エンディングフェイズ:2008/04/19(土) 21:03:21 ID:athptAg0
「俺はな、くれは」
 いっそう真面目なひーらぎの顔。
「お前に言いたいことがあって、ここんところずっと考えていたことがある」
「う、うん」
「最近お前、なんか浮かない顔してたからさ。実は気になってたんだ」
 ひーらぎが、あたしの目をじっと覗き込んだ・・・
「普段のお前はさ。いつも明るくて自信たっぷりで、とにかく前に突き進むやつだろ」
 なんだか、それだと、あたしお馬鹿さんみたいにきこえるよ、ひーらぎ・・・。
「でも、最近、おまえ自信がなさげっていうか、そんな風だったから・・・もし間違って
たら、謝る」

 ・・・・・・。
 間違ってない。間違ってないよ、ひーらぎ。
 もう吹っ切れたけど、最近のあたしは、いろいろと自信を失くしてて。
 他のみんな・・・エリスちゃんやあかりんや、チハヤちゃん、アンゼロットと比べて、
あたしの女の子としての魅力ってなんだろう、あたしのことをひーらぎが選んでくれた
理由ってなんだろう、ってそんなことばかり考えてた。
490蓮×くれはリターン!・エンディングフェイズ:2008/04/19(土) 21:04:28 ID:athptAg0
「上手く言えねーんだけどよ・・・今日、あの戦いがあって、なんとなくお前に言う言葉が
見つかったような気がしてな」
「うん・・・」
 言葉を切り、少し考え込むひーらぎ。
「ジグソーパズルってあるだろ。分かるか、ジグソーパズル」
「は、はわ・・・・わ、わかるけど・・・・ ? 」
「アレって、たぶん俺たち人間の関係に似ててさ。へこんでたり、出っ張ってたりする
部分が、きっと人間の長所や短所なんだよな。一つのピースは絶対他のピースと組
み合わない。で、ぴったり合わさった相手が、大切な友達だったりかけがえのない恋
人だったりするんじゃねーのかな」
「・・・・うん・・・・」
「だから俺も、たぶんお前も。あのエミュレイターの造り出した完璧な相手は、“なに
か違う”って気づけたんだろうな。完璧な存在ってのは、言っちまえば『へこみも出っ
張りもないパズルのピース』、なんだ。そんなもん、組み合うピースがあるわけねえ」
「・・・うん・・・・うん・・・わかる・・・わかるよ」
「だからさ、くれは」
 温かな、淡くて優しい眼差しであたしを見つめ。

「おまえはおまえでいーんだぜ。そのままのおまえが、俺にぴったりのピースなんだか
らな」

「・・・言いたかったのはそれだけだ。お前に必要な言葉だったかどうかは、俺にはわ
かんねーけどな」
 ぷいっ、とひーらぎは横を向いて黙りこくった。ただ、あたしの身体を抱く腕に、さっき
よりも力がこもったような気がした。きっと、照れてるんだ。そう思った。
 しっかりと、あたしもひーらぎを抱きしめる腕に力を込める。
「いまのままのあたしだと、ひーらぎ、後悔しちゃうかもよ」
 涙ぐむのを悟られないように、わざとおどけて。
 ひーらぎのことを小憎らしい、って思うのは、こんな時。追い討ちをかけるように言っ
た台詞が、また泣かせる言葉で。
「俺は後悔なんかしない男だぞ。知らなかったのか ?」
 それは、自分が選んだパートナーに絶対の自信と誇りを持てる者だけが言える言葉。
 自分が選んだパートナーに、絶対の愛情を持てる者だけに許された権利。

 あたしは、子供のようにひーらぎの胸の中でしばらく甘えてやろうと思った。
 それは、揺り籠に揺られる赤子のように。
 満天の星空の下、決して紅くはない普通の月が見下ろす公園で。
 
 あたしとひーらぎは、いつまでもいつまでも、夜が完全に更けてしまうまで、互いを
抱きしめ合う腕を決して緩めはしなかった・・・・・・・・・・。



(ナイトウィザード・蓮×くれはリターン !  〜HAPPY END〜)
491蓮×くれはリターン!・エンディングフェイズ:2008/04/19(土) 21:05:22 ID:athptAg0
・・・今まででおそらくは最長のSS・・・完了でございます。
長々とお付き合いいただいた皆様に、ご感想・ご意見を下さった全ての方々に、
オリジナルのエミュレイターをネタにしていただいた住人の方々にも(笑)、
最大級の感謝を。
 とりあえず、六人分のエッチシーンを書けたことがとにかく満足でした、と
サイテーの感想をば。
ネタさえあれば(妄想が働けば)またいつか。
492名無しさん@ピンキー:2008/04/19(土) 21:50:51 ID:05UB+mOk
素晴らしい文章をありがとう。そして自分も書いていますがこれだけのモノを先に出されると
正直投下できなくなると言う有様です。やっぱり蓮司とくれはのモノだけに内容が微妙に
似通ってくるんだよね。どうしよう?

気になったのは緋室が氷室になっていることですか…っと。
些細なことなのでスルー。自分もこの手の甘々文章を書いてみたいので気が向けば完成させて
投下したいところです〜
493名無しさん@ピンキー:2008/04/19(土) 23:16:13 ID:3AP0PXSx
すばらしいいいいい!!
494名無しさん@ピンキー:2008/04/20(日) 01:17:21 ID:Wwh62YVD
よい!よいぞ!朕は満足じゃ!
495名無しさん@ピンキー:2008/04/20(日) 01:38:57 ID:ngWoLO0E
>>491
お疲れ様でした、カッコ良い柊と可愛いくれはを上手く表現できてて凄いな
またいつかお願いします
496名無しさん@ピンキー:2008/04/20(日) 04:25:43 ID:gWP+pT9v

氷室でシモーヌを思いだしたのは俺だけでいいw

何はともあれ大作GJ!
497名無しさん@ピンキー:2008/04/20(日) 13:56:20 ID:tV1wgVP8
完結お疲れ様でした。
くれはも可愛いけど、あかりんも素晴らしくイメージぴったりです。
エンディングのやり取りを読んでいて、音声や絵が再生しましたよ。

私も書き手なので、良い作品を読むと自分も頑張らなければ……と
プレッシャーと共に励みになります。
本当にお疲れ様でした。次回作も期待しています。
498名無しさん@ピンキー:2008/04/20(日) 14:51:33 ID:c0RzHYz0
ラストが甘い、甘すぎる……うだるくらい甘いぃいいいい!!
乙!

>>496
おキヌちゃんだろ常考。
499名無しさん@ピンキー:2008/04/20(日) 16:57:02 ID:cuvdhPr+
>>496-497
冬木市のメ鐘様をディスったな!?

【磨伸いいよ磨伸】
500名無しさん@ピンキー:2008/04/20(日) 19:50:47 ID:apYt2pQn
>>496
俺はディエスエレ!




orz
501「ありがとう」の言葉:2008/04/21(月) 01:15:44 ID:t5KW3BOf
「こんなふうに「嬉しい」とか「楽しい」とか「誰かと一緒にいたい」とか感じられるようになったのは、きみのおかげなんだ。だから俺は、きみのことが誰よりも大切で、大好きなんだ」
 そこまで言って、俺は彼女の手を握ったまま、その手を胸元へ引き寄せる。
 彼女は飛び上がるように顔を上げ、大きな瞳をさらに見開いて俺を見た。
「で、さ……ひとつ、謝らなきゃいけないことがあるんだ」
「ほえ?」
 彼女は呆けたような瞳を俺に向けて、ため息のような声を漏らす。
 それに少し躊躇して、俺は胸の中に芽生えた罪悪感をゆっくりと吐き出した。
「さっききみに恋人がいるって勘違いした時、ひどいこと考えちゃったからさ。そいつからきみを奪い取りたい、って」
 そう。さっきは自分で自分を誤魔化していたけれど。
 彼女が書いた小説を見た時。彼女を抱き締めていた時。
 俺は、何よりも“日常”を失うことを恐れる彼女から。誰よりも“日常”を大切に想う彼女から。
 大切な“日常”の一部を奪うようなことを考えてしまったから。
「わけわからないよね、きみの“日常”を守りたいって言っておいて、それを奪いたいなんて……だから、ごめんね」
 言いながら頭を下げて視線を外す。
 これはけじめ。本当に自分の気持ちを伝えるつもりなら、都合のいいところだけじゃダメだと思うから。
「学校の帰りに言ってたよね。俺はいつも冷静出回りをよく見てる、って。それ、ちょっと違うんだ」
 彼女の手を握ったままの手が微かに震える。これ以上言ったら嫌われてしまうかもしれない。
 でも、嘘をついたままの方がもっと嫌だ。だから、全部言うことにした。
「俺はただわがままなだけで、人のことなんて考えてないんだ。みんなを守りながら戦うようになったのは仲良くなった仲間がいなくなるのが嫌だからだし、普通の人を守るのだって、君が悲しんだり怯えたりするのを見るのが嫌だからで……全部、自分の満足のために」
 ふと、握りしめたままの彼女の手に違和感を感じて言葉を止める。
 ほんの少し顔を上げると、彼女は小さく笑って繋がったままの二人の手を引き寄せて、俺の手の甲に頬摺りするように頬っぺたをくっつけた。
「あ……っ」
 心臓がドクンッと跳ねて、思わず唇から声が漏れる。今度は俺が赤面して狼狽える番だった。
 きめ細かな肌の感触と、両手を包み込むような暖かさにドギマギしていると、彼女がゆっくりと口を開く。
「キミってやっぱりちょっと変わってるよね。普通そういうのは「自分のため」って言わないんだよ」
 さっきとは打って変わって、しっかりとした優しい瞳で俺を見つめ、彼女は嬉しそうに微笑む。
「でも私、すごく嬉しいよ。そんなに私のことを想ってくれてたって……私がキミのためになれてるってわかったんだもん」
 笑ってる。俺の言葉を嬉しいと言って、笑ってくれている。
 それは今日見た中で……いや、俺の知っている中で一番綺麗で、温かい笑顔。
 それだけでも、今までにないくらい胸が熱くなって。
「私もね、キミが好き。独り占めにしちゃいたいくらい、大好きだよ」
 とどめとばかりに放たれたその言葉と笑顔が眩しすぎて、俺は思わず目を逸らした。
502「ありがとう」の言葉:2008/04/21(月) 01:19:24 ID:t5KW3BOf
 両手で握って頬にくっつけた彼の手は、子供っぽい容貌とは裏腹に大きく力強くて。
 手のひらは剣を持つ人特有のマメがいっぱいで、ゴツゴツしていた。
 でも私にとってこの手は、何よりも温かくて、優しくて、安心できるものだった。
 少なくとも今は、この手が求めるものがわかっているから。
 何よりも、私自身がこの手を、そしてこの手の持ち主である彼を求めているから。

 例えるなら、今までの私の彼への感情は、アイドルに対するファンのようなものだったのかもしれない。
 同じ人間であるはずなのに、どこか自分とは違う世界に生きている存在。
 普段は他の友達と何ひとつ変わらないのに、“非日常”の戦いの中では人が変わったように淡々と戦う彼は、まるでフィクションのヒーローのようで。
 すぐそばで、いくつもの死戦を共に超えてきたからこそ、自分との違いに気後れを感じてきた。
 だから、勝手に思い込んでいた。「彼には怖いものなんて何もないんだ」と。
 だから、彼の持つ“弱さ”から無意識に目を逸らしていた。
 彼の力を持ってしても防ぎきれなかった犠牲者が出た時、ひっそりと浮かべていた悔恨と憤り、そして悲しみに満ちた表情。
 “日常”の中で手に入れた“大切な人たち”の輪に、少しずつでも一生懸命馴染んでいこうとしていたこと。
 誰かに言われたからじゃなくて、自分自身で考えて、感じて、欲して。
 私と同じように『大切なもの』をなくしてしまうことを怖がっている。
 それどころか、私なんかに特別な感情を持って、それを「わがまま」だなんて感じて自分を責めている。
 嬉しくて、少し悲しくて、それ以上に彼への愛しさが胸を満たす。

 思えば彼に助けられたあの夜、私はオーヴァードとしての彼を畏怖すると同時に、“独り”の人間特有の寂しさを感じたのかもしれない。
 突然オーヴァードになったことで“日常”と“非日常”両方に居心地の悪さを感じていた私の前に現れた、何者をも受け入れない雰囲気を纏った男の子。
 触れただけでバラバラに引き裂かれてしまいそうな、鋭く重い“漆黒の剣”。
 けれど、彼が言うところの、たった一言の「ありがとう」をきっかけにして触れることが出来た本当の彼は、私とそれほど違ってはいなかった。
503「ありがとう」の言葉:2008/04/21(月) 01:22:33 ID:t5KW3BOf
 言ってみれば、彼は『大人にならざるを得なかった子供』なのだと思う。
 生まれつきこんな力を持ってしまったために、大人に甘えることもできなくて。
 オーヴァードとして、UGNのエージェントとして力を磨かなくちゃいけなくて、自分のために何かを考えることも許されなくて。
 自分の意志で“特定の誰か”を守りたいとか、好きになることを、「自分勝手なわがままだ」と思ってしまった。
 彼は、そういう風に感じるようになったのは私に会ってからだ、と言っていた。
 それなら、彼が抱えている葛藤の原因は私だ。他の誰でもない、私が彼を苦しめていたんだ。
 それなのに、私は全然気づかないで、自分の弱音を聞いてもらってばかりいた。
 けれど、彼はそんな弱くて自分勝手な私に“弱さ”を打ち明けてくれた。
 きっと初めて口に出したに違いない、自分の思考や感情を卑下する、まとまりのない言葉たち。
 そんな彼の言葉は少し痛かったけれど、弱さを見せられる相手として私を選んでくれたことがたまらなく嬉しかった。
 自分で言うのも変だけれど、なんだか感動した。
 ほんの小さな行動や言動で、人は人を変えることが出来るんだ、と。誰かに必要とされると言うことは、こんなにも嬉しいことなんだ、と。
 強くなろう、と思った。自分を必要としてくれる人のために。
 彼が守りたいと願うものを、少しでも肩代わり出来るように。彼の居場所が、少しでも居心地がよいものになるように。 
 私が居続けたいと、守りたいと思う場所に、一緒にいたいと。
 一緒に守り続けたいと言ってくれたキミのために。
504「ありがとう」の言葉:2008/04/21(月) 01:27:44 ID:t5KW3BOf
「……あれ?」
 ふと気がつくと、彼はいつの間にか顔を伏せて下を向いていた。
 黒い頭の中心に、綺麗な螺旋を描くつむじが見える。
「ど、どうしたの?」
 ほとんど力が抜けていた彼の手を放して肩に手を置くと、彼は俯いたまま呟くように答えた。
「ごめん、ちょっと待って……今恥ずかしすぎてきみの顔まともに見れない……」
 耳まで真っ赤にして、少し震えている彼の声。
 ……なんだろう、この気持ち。
 当然、私はこんなふうな彼を見たことがない。
 初めて見る本気の本気で照れた彼の姿は、たとえようもなくかわいくて。
 もっとたくさん、見たいと思った。私の知らない彼の表情。仕草。声。
 恋は人を強くすると言うけれど、私は逆に弱くなってしまったみたい。
 心の中に芽生えたこの衝動に、あっさり負けてしまったのだから。
「ねぇ、目を閉じたままでいいから……少し顔を上げてくれる?」
「ん……わかった」
 躊躇いがちに答えて、彼はゆっくりと顔を上げて正面を向く。
 想像したとおり、彼の顔は朱に染まって、どこか不安そうで。
 その切なげな表情が、私の衝動に拍車をかける。
「いいって言うまで、目を開けないでね。お願いだから……」
 今から自分がしようとしていることを考えると、心臓がドキドキ波打つ。
 だって、これはすごくすごく卑怯で、恥ずかしいことだから。
 でも、止められない。自分の顔を、彼の顔と同じ高さへ持っていく。
 私自身も目蓋を閉じて、小さく深呼吸をする。
 そしてそのまま、恐る恐る彼の方へと身体を進めていく。
 やがて、彼の体温や吐息が感じられるくらいまで近づいて――


 ゴチッ
『イタッ!』
 おでこに固いものがぶつかる衝撃と痛みで、漫画みたいに視界に火花が散った。
 無意識に顔が下を向いて、見事に正面衝突しちゃったみたい。
 はうぅ……痛いよぅ……。
 おでこをさすりつつ薄く目を開けると、涙目になってるみたいで視界が霞む。 
 それでも一応彼の表情を窺うと、私と同じような動作をしている彼が首を傾げて聞いてきた。
「えっと……目を瞑ったままやりたかったことって、頭突き?」
「や、ち、違くて……その……っ」
 どうしよどうしよ?! なんて言い訳すれば……。
 って、今さら取り繕ってもしょうがないよ…………。
「き、キス……しようと思って……」
 イタズラをして怒られている子供になった気分で、だんだん声が小さくなる。
 もういいよ……変態でも逆レイプ女でも好きなように呼べばいいですよ……。
「あ……そうなんだ……」
 脳内で一人ボケツッコミをして頭を抱えていると、彼のそんな声が耳に届く。
 うぅ……覚悟は決めても、やっぱり何言われるか考えると怖い……。
 そんなことを考えていた私のおでこに、再び何かがコツンと当たった。
505「ありがとう」の言葉:2008/04/21(月) 01:31:37 ID:t5KW3BOf
「……え?」
 少し視線を上げると、本当にくっつくくらい……というか、実際におでことおでこがくっつく距離に彼の顔があって。
 あまりのことに声も出せない私の目を覗き込んで、彼はまだほんのりと桃色に染まった頬に小さな微笑みを浮かべる。
「最初からこうしておけば、さっきみたいにぶつかったりしないよね?」
 それが何を意味するのか理解するのに、私は彼の次の言葉を待たなければならなかった。
「今度は、このまんまでしてみよっか?」
 これはすぐにわかった。
 つまり彼は、つい今し方私が失敗したことを、もう一度しようと言っているのだ。
「え……で、でも……いい、の?」
 自分でもよくわからない疑問符を浮かべて視線を返すと、彼は少し困ったような顔をする。
「俺はきみが好きだから、きみが許してくれるならもう一回したいんだけど……ダメかな?」
 この状態で彼に上目遣いにそんなことを言われて「嫌だ」と言える女の子は、多分あんまりいないと思う。
 とりあえず、今の私にはとても無理です。
「そんなことないよ……私も、したい、から……」
 少し顔を離して小さく頭を振り、もつれる舌で何とか返事をする。
 そうすると彼は嬉しそうに軽く頷いて、また私のおでこに自分のおでこをコツンと当てる。
 小さい頃、お母さんに熱を計ってもらった時のことを思い出して別の照れが湧いてきたけれど、おかげでちょっとだけ緊張が解けた。
「こういう時って、目は閉じた方がいいのかな?」
 ふと、彼が思い出したようにそんなことを聞いてくる。
「私もよく知らないけど……ドラマとかだとそういうのが多いよ」
「ん、わかった……じゃあ今度は俺がするから、閉じたら「いいよ」って言ってね」
 それだけ言ってそっと目を閉じた彼の顔を、じっと見つめる。
 さっきも同じような状態だったけど、今の彼の表情には緊張と期待はあっても、不安の色はない。
 それを見て取って、私は心の中で密かに思った。「失敗してよかった」と。
 あのまましていたら、きっと彼を裏切ったという後悔が残っただろうから。
 そして、こんなことを考えている私はやっぱり自分勝手で弱いな、と自嘲する。
 でも、今だけはそんな弱い自分に、そしてそんな私を支えてくれる彼に甘えていたかった。
 ごめんね。きっとこれで最後にするから。明日からは、私がキミを支えるから。
 そう心に誓い、ようやく私も目を閉じた。
「いいよ……」
 覚悟を決めてそう告げた数瞬後。
 今度こそ、唇に熱くて柔らかな感触が重なった。
506名無しさん@ピンキー:2008/04/21(月) 01:39:39 ID:t5KW3BOf
結局まだ入り口にも入ってないっていうね。ここからどうしよ。
とりあえず傑作の後に投稿するのが気が引けるという方はこれで解決かと。
“魔が繋”の続きも早く書きたい……。

>蓮×くれはの方
GJでございます!相変わらずの素晴らしい文章力と表現力にただただ感服するばかりです。
敵の設定もすごく細かくてプロ並みじゃね?って感じです。
次回作も期待しております。
507名無しさん@ピンキー:2008/04/21(月) 02:02:45 ID:Lg6YqmVK
お、DXのあの二人か。お久しぶりです、期待してるぜー。
あのサンプル見てバロール白兵の格好よさに目覚めた。
508蓮×くれを書いた者:2008/04/21(月) 03:08:50 ID:ffZW3T57
どうしても伝えたくて。書いちゃいます。
なんと言ったらいいのか・・・私は幸せ者だな、と。
皆さんのお褒めの言葉に、素直に嬉しいやらくすぐったいやらで・・・。
私信的な文章ですが・・・。

>492さま
そんなことはないと思いますよ。蓮×くれはを書いたのは私が初めてというわけじゃ
ないですし、当の本人が同じカップリングで四本も書いてますし(笑)。
違う人の手で書かれた以上、それはきっとその人だけの蓮×くれはになると思います。
完成の暁には、このスレで貴方の蓮×くれはに出会えること、楽しみにしてます。
(あ、それと、誤字の指摘有難うございました。はわ・・・全然気づかなかったですよ・・・)
>497さま
そう言って頂けると嬉しいです。くれは以外のキャラにも、今回はいつもより焦点を当て
てみたい、と思っていたので。キャラ動かすときは、やっぱり頭の中で音声や映像にした
ら・・・と妄想しながら書いてるので(さすがにエッチシーンでは妄想に限度がありますけ
ど)、そういう感想は嬉しいです。
>506さま
二人に再び出会えて私も感激です。
今回投下された分の二人の初々しさにニマニマして(キスしようとしてオデコごっちんは
王道ですよ ! )いたところで、不意打ちのように頂いたお褒めの言葉に、今度は別の
意味で私がアワアワしてしまい・・・(照)
敵の設定とかいろいろ考えちゃうのは、自分もTRPG者だからでしょうね。ルール的なもの
は考えてませんが・・・。

他にも、感想下さった方たち、さすがに一人ひとりにというわけにはいきませんが、
心の中で感謝の言葉を・・・。
長文、失礼いたしました。では。
(次回は気分を変えてベルもので行こうかな、なんて考えてます。投下の際にはまた、
お付き合いいただけると嬉しいです)
509名無しさん@ピンキー:2008/04/21(月) 20:05:41 ID:l2Wwdkmx
すみません、投下ラッシュになります。

元ネタ作品 : アリアンロッド・リプレイ・ルージュ
時間軸 : 後日談の更に後日談
登場メイン : クリス × ガーベラ

注意:1
「アリアンロッド・リプレイ・ルージュ」、「ノエルと白馬の王子」「魔を貫くもの」
の内容を含みます。未読の方はネタバレにご注意ください。
また、このSSは「クリスと翡翠の騎士」の続きに当たり、その前提での内容です。
詳しくは、卓ゲ地下スレ保管庫の収録をご覧下さい。

注意2:
この作品、オープニングを卓上ゲーム板作品スレその2に投下していました。
当初そちらを紹介して、当スレには続きから投下予定でしたが、変更して始めから
投下する事情の旨をお断りしておきます。
510ガーベラと薔薇の武具 01:2008/04/21(月) 20:07:59 ID:l2Wwdkmx

 神聖ヴァンスター帝国の神殿には、三人の騎士団長が存在する。
 その内、最も年若い聖騎士は叙任から一月も経たず、結婚という慶事を迎えようとしていた。
 続けざまに人生の幸福を満たす若者に関係者は祝福を述べたが、その婚約者が麗しい美貌の
持ち主と知って心から羨望の声を上げた。
 この美しい女性もまた騎士であり、その剣腕は神殿の筆頭騎士にも引けを取らないという噂
である。
 勇気を奮って二人に真偽を伺う者も居たが、
「私はガーベラに泣かされっ放しです。これも惚れた弱みでしょうね」
「あたしはクリスさんのギルドと何度か戦いましたが、一度も勝てませんでしたよ」
 それぞれの発言に、却って謎を深めて困惑している。
「でしたら、お二人の夫婦喧嘩はさぞかし大変でしょうね」
 意地の悪い者が反撃を試みたが、二人は笑って異口同音にこう答えたという。

「夫婦喧嘩なんて有り得ない。あったとしても、許しを請うのは自分の方でしょう」

 己の発言を二人は信じていたし、また相手も同じものと望んで疑わなかった。
 新たに式を上げるファーディナント夫妻とは、このような人たちである。
 ある意味、お似合いの二人であったと言えよう。



      「アリアンロッド・リプレイ・ルージュ」より

    みっしょん10「ガーベラと薔薇の武具―――Gerbera II 」 



 聖騎士団長クリスとガーベラの挙式は、聖都ディアスロンドにて行われた。
 その地で静養していた新婦側の知人、薔薇の巫女ノイエの体調を気遣ってのものだ。
 また新郎側の友人エイプリルは神聖ヴァンスター帝国の逃亡者であり、彼女の出席にも都合
が良かった為、ガーベラの提案にクリスも異存はなかった。
 彼の悩んでいた最大の問題は、場所ではなく招待者である。
 神殿関係者と悪の秘密結社ダイナストカバルの幹部が同席するという前代未聞の式。
 一時は難色を示す神殿関係者により一触即発が心配されたが、新郎の先輩騎士の「俺に恥を
かかせる気か?」という鶴の一声に沈黙。
 無事に粛々と式は進められた。

 やはり主役は花嫁である。
 その点、新婦ガーベラは、出席者たちの目を驚かせる美しさであった。
 イジンデルの村でクリスと婚約して以来、伸ばし続けている金色の髪は肩口まで届き、より
女性らしい印象を強調している。
 翡翠色の瞳は感慨に潤み、紅を差した唇は絶えず笑みの形を浮かべていた。
 白い肩を露わにした真珠色のウェディングドレスが、均整の取れた身体に実によく似合う。
 長手袋に通した右腕を新郎の腕に組み、慎ましく身を寄せた淑やかな姿は、衣装の最終調整
を抜け出し、新郎の居る帝国の神殿まで駆け込んだ行動力の人とは、とても見えない。
 常ならば新郎は祝杯攻めに遭うものだが、酒瓶を手にした皆、隣に居る花嫁に笑顔を向けら
れると鼓動を早め、自身が野暮天になった心地で祝辞のみで切り上げていた。
 無論、花嫁に他意はなく、己の笑顔の威力を知らなかったと断っておく。

 この式は、花嫁以外にも参席者に華があった。
 ご多分に漏れず、美しい華には虫が寄るものである。
 新郎クリスの友人という赤いドレスを着た女性は、豊かな金髪にスミレ色した瞳の麗しい容
姿であったが、漢らしい物言いで声を掛けた者を唖然とさせ、見事にあしらっていた。
 彼女の連れはローズピンクの衣装の、栗色の髪と緑の瞳をした可憐な少女だ。
 少女は声を掛けた人間の後をふらふらと着いて行きそうになり、その度に連れの女性から肩
を掴まれて保護されている。
 赤いドレスの女性はエイプリル。
 少女は勿論、ノエルである。
511ガーベラと薔薇の武具 02:2008/04/21(月) 20:10:28 ID:l2Wwdkmx

「此処は舞踏会じゃないぞ。いい加減、気安く男の誘いに着いて行くのは止めろ」
「……ううっ! わ、分かりました。今度は絶対に騙されませんよっ!」
「たぶん、相手は騙したつもりは無いと思うぞ……」

 ちなみに、このやり取りは本日で十五回ほど再現されている。
 ノエルの気合いに頬を歪ませるエイプリル。
 そんな彼女にグラスを盆に載せた給仕姿の男性が声を掛けた。

「お疲れ様です。冷たいものでも如何ですか?」
「レントさんっ!?」
 魔術師姿しか見せたことない銀髪の男に驚くノエルと違い、エイプリルはため息をついた。
「やっぱりアレは、オレの見間違いじゃないんだな」

 料理や飲み物をこの式の給仕たちは、仮装大会にも出てきそうな裏方じみた黒覆面である。
 レント同様、給仕服を着ているが、どう見てもダイナストカバルの戦闘員であった。

「招待状の端に仮装可と書いてあった時点で、怪しいと思っていたんだが……」
「全ては大首領の出席を可能にする為。神殿の関係者が参加する中、素顔を晒す訳にはいけま
せんから。ですが、神殿側にも都合の良い方が居たようです」

 レントが視線で示す先には、目元に仮面を着けた老人がいた。
 仮面の上に鎮座する豪快な眉毛――ディアスロンドのハーヴェイ教皇である。
 流石に膝元の聖都で、神殿のトップが悪の秘密結社と同席とは聞こえが悪い。
 あくまで個人としての非公式の参加である。
 その傍らにメイドの格好をしたアルテアが近づいた。
「ようじはないか!」
 ハーヴェイが断ると、彼女は次の招待客へ同じ質問を繰り返す。
 その様子に懐かしい記憶を呼び起こされて、ノエルが小さく笑い声を上げた。

 式もたけなわとなり、次の砕けた宴へと移すべく一旦締める様子だ。
 新郎新婦が出席の礼を述べると、周囲が口づけを促して囃し立てた。
 皆の目の前で二人が恥ずかしそうに、ゆっくりと優しく唇を交わす。
 祝福の歓声を受けて、照れながらも二人が嬉しそうに顔を綻ばせた。

「二人とも幸せそうだな」
「はいっ!」
「幸せが続くと良いよな」
「……エイプリル?」
 何だか歯切れの悪い発言に、レントが訝しがる。
「オレは帝国では指名手配の身で逃亡者だからな。これは旅先で聞いたんだが……」
 目線は本日の主役二人に向けながらエイプリルが囁く。
「四大秘宝の一つ、神槍ブリューナクの遺跡は本当の話か?」
「あたしも聞きました。高位の魔族を封じていた神槍はある冒険者たちが手に入れたものの、
神槍は一本だけではなく、高位魔族の数だけ他にも存在しているとか」
「誰に聞いた?」
「お父さんです」
「………………」
 ノエルの発言に一同が沈黙する。
 彼女の実父は大首領であり、組織の同盟者として魔族との交流もあるという。
 情報の信憑性は高いと言えた。
「エイプリルさん。それが二人の幸せと何か関係あるのですか?」
「ヴァンスターで他の高位魔族が動いていると、裏の世界では情報が流れている」
「えっ……で、でもっ……!」
「継承者殿、クリスはヴァンスター神殿の聖騎士団長です。魔族が動けば、クリスは職務と
して必然的に対処する立場です」
「…………っ!」
512ガーベラと薔薇の武具 03:2008/04/21(月) 20:13:35 ID:l2Wwdkmx
 レントの補足で理解してノエルが絶句する。
 立ち竦む彼女の頭に、エイプリルが優しく掌を乗せた。
「大丈夫だ。いざとなったら俺達がいる」
 手の温もりに俯いたまま、こくんとノエルが了承を示す。
「レント」
「ええ」
 エイプリルに応えて、レントもまたノエルに告げる。
「神殿の犬を応援するのは癪ですが、その花嫁はかつて我らの好敵手です。彼女の幸せの為、
組織でわたしも魔族の動向に注意しておきましょう」
「ああ、クリスは兎も角、花嫁が不憫だからな」

 いつもの如く、悪し様にクリスの身を案じない二人の発言。
 真意とは正反対である仲間の約束に、ようやくノエルが笑みを浮かべた。
 周囲の歓声と拍手に、頭を下げて応える二人を見ながら、彼女は心の中で願う。
 どうか、幸せなお二人の平穏が続きますように。
 夫に手を引かれ退陣する花嫁がノエルの視線に気づき、左手を振って顔を綻ばせる。
 笑顔を返したノエルの心から、自然と不安が消えていた。


           / / /


 ファーディナント夫妻の挙式から三ヶ月が過ぎた。
 二人はヴァンスター街の南中広場に近い住宅を借り、甘い新婚生活を送っている。
 その間、神聖ヴァンスター帝国領内では、ヴァン山脈に於いて次々と神槍ブリューナクを
納めた遺跡に通じる転送ゲート発見され、帝国住人の注目を集めていた。
 当初、ある噂が巷間に流れた。
 神槍は高位魔族を封じる武具であり、その数は一つではないと。
 遺跡から探し出した神槍を神聖皇帝ゼダンに献上し、褒賞を得た冒険者ギルドの数が増える
につれ、噂は真実として世間に認知された。
 しかし同時に、ある真実にも気づいた人々が囁き始めた。
 ならば世界には神槍の数だけ、強大な高位魔族がいるのではないか?
 憶測は確かな恐怖となり、無責任な噂を尾ひれにつけて人々に伝播した。
 時には不安に駆られた者が事件を起こし、好機と見た犯罪者が便乗して暗躍する。
 それを見た無責任な者たちは、事件を遺跡から復活した魔族の仕業だと騒ぎ立て、更に多く
の民衆の不安を煽った。
 こうなると悪循環である。
 事態を重く見た皇帝は負の連鎖を絶つべく、ヴァンスター神殿に人心の回復を申し付けた。
 噂の発端が冒険者にあるとして、許可の無い者の立ち入りを禁じた遺跡封鎖と、神殿による
単独調査を命じたのである。

 こうして三つの神聖騎士団の内、二つが治安回復と遺跡管理に当てられることになる。
 結果クリスの率いる騎士団が遺跡管理を担当し、その内30人が遺跡の調査を兼ねてヴァン
山脈の転送ゲートへと赴くことになった。
 遺跡の迷宮では、騎士団という大所帯は却って身動きが取れない。
 先ずはクリス率いる30人が取り組み、二週間後には新たな30名が到着して交代を行う。
 以下、同じように新たな組が……と休養を挟んで次々にローテションを計画した。
 本来なら迷宮調査には冒険者の手を借り、メイジやシーフといった技能者を同行させるのが
最良であったが、皇帝の命により神殿のみで調査しなければならない。
 冒険者として経験のあるクリスは迷宮が深い場合を考え、各騎士の負担と期間を減らすべく
このような苦肉の策を取ったのだ。
 また計画の影には、有事に備え帝都の神殿に兵力を温存する目的もあった。

 公務とあっては仕方が無い。
 以上の事情により、ガーベラは夫の居ない二週間をノイエの元で過ごすことにした。
 当初ガーベラは妻として留守を守り、帰りを待ち続けるつもりだったのだが、新妻を独り
寂しくさせる申し訳なさから、クリスの方が懇願したのだ。
 夫の心遣いに感謝しつつ、ガーベラは快く承諾をした。
513ガーベラと薔薇の武具 04:2008/04/21(月) 20:15:16 ID:l2Wwdkmx

 聖都ディアスロンドの街外れにある、農地と森に近い並木通りの一角。
 そこに在る落ち着いた小さな古い屋敷が、現ノイエ夫妻の住居である。
 本来はノイエの静養の為にと教皇が商家から借り受けた別荘だったのだが、ノイエ自身も
療養中この家を気に入り、持ち主の許可を取って管理人として住み続けている。
 最近ノイエの夫も地域住民に愛される組織の長として運営に忙しく、同じく不在がちな夫
を待つ身として、クリスの提案は渡りに舟であったらしい。
 神竜との戦い後、ガーベラも主に付き添って同居していたのだから、あたかも嫁に出た娘
の里帰りである。
 クリスの出発を見送って三日後、家の中を片付けて戸締りを確認すると、ガーベラは了承
の手紙と共に送られてきた転送石を用いて、ディアスロンド神殿へと移動。
 その後、乗り合いの馬車に揺られて目的の屋敷の前に到着した。

 ゆったりと裾の長い白い衣をまとった女性が、背を向けて庭で薔薇の手入れをしている。
 結っても背中まで届く、豊かな栗色の髪を見てガーベラが微笑む。
 微かに流れる小さな鼻歌に、時おりパチンと合いの手を入れる花鋏。
 ガーベラが門まで歩み寄ると、気配を察したのか歌い手が作業を中断して振り返った。
 左手の花かごには、切り取ったばかりのピンクと白の薔薇。
 本日ここに訪れる客人を歓待する為に、手ずから用意する心遣いと人柄が懐かしかった。

「ご無沙汰しております、ノイエ様」
「いらっしゃい、ガーベラ。あなたの顔を見れば、幸せに過ごしていると分かりますよ」
「ノイエ様の方こそ、お顔の色が良くなりましたね」
「ええ、最近は逆に時間を持て余している始末よ。だから、あなたの到着は楽しみだったわ。
じゃあ、妬いて上げるから、新婚の奥様の話を聞こうかしら?」
「……どうか、お手柔らかにお願いします」
 かつての主従であった二人の婦人は、平穏の日々による再会を心から喜んだ。


              ※


 世界には不可視の力が存在し、恩恵を与えて目に映る幸福を成す場合がある。
 例えば、冒険者たちが運命の力と呼ぶ《フェイト》。
 例えば、猟師が獲物に出会う好機と引き金を引く瞬間。
 例えば、商人が富を引き当てる人脈と資産的な金脈。
 例えば、農家が祈る天候と土地の力がゆっくりと育む作物。

 例えば、愛を知った者の心と身体が受け取る成長。

 ノイエ自身にも覚えはある。
 夫と分かち合える幸せは妻を笑顔にし、満ちた愛情は柔らかく心身を包む。
 元から美人ではあったが、今と比べると彼女の魅力は開花していなかったとよく分かる。
 優れた人物が存在感を放つように、輝く雰囲気が行動の端々にある中、ふとした拍子に以前
には無かった艶やかさが匂い立つ。
 同性の自分から見ても、結婚してガーベラは綺麗になった。
 咲き誇る花の新妻としばしの別離は、さぞや夫の後ろ髪を引かせたに違いない。

 ガーベラが到着して四日の時が過ぎた。
 屋敷にはノイエの他にかつてガーベラに仕えていた二人の子供、白い神官衣のベートと黒い
魔術師の格好をしたギーメルという、彼女にも気心の知れた住人である。
 今日もノイエが昼食後のお茶を準備した卓をガーベラに勧め、ベートとギーメルが気を利か
せて退室する。
 ゆっくりとお茶の芳香を味わいながら、遠慮のない話題で花を咲かせる時間。
 ガーベラの新婚生活の供述は、ノイエにとって娘の成長を伺うように喜ばしかった。
 人々にとって何気ないことを大事に語る姿に、熱いものが胸にこみ上げて来る。
514ガーベラと薔薇の武具 05:2008/04/21(月) 20:17:15 ID:l2Wwdkmx

「食材の仕入先の店員の方と仲良くなりました」
「奥様と他人から呼ばれるのに、どうもまだ慣れません」
「料理の腕が上がったって、あの人が褒めてくれるんです」

 今回の滞在は良い機会だ。
 ガーベラが帰る前に、幾つか自分のレパートリーを教えるのも楽しいかもしれない。
 やがて幾つかの雑談を経て、話題は夜の夫婦生活へと移った。
 ガーベラも相談する同性が身近に居ない身である。
 良い機会だと観念したのか、しどろもどろになりながらもノイエの質問に答えていた。

「それであなた達、愛し合うのはどのくらいなの?」
「……はい」
 恐縮した面持ちでガーベラが片手で示す。
 指の数は全て開かれていた。
「週五日とは、随分と愛されていますこと」
 若いって良いわね……と呟き、ノイエがお茶に手を伸ばす。
「……いえ、一日五回でした」
「ぶふっ!」
 赤面したガーベラの申告に、ノイエが盛大に噴いてむせる。
「けほっ! けほっ! お、多過ぎですっ!」
「あっ、いやっ、その……あの人に求められると、つい嬉しくて……」

 もじもじと両手の指先を合わせながら、ガーベラがしどろもどろに弁解をする。
 だが、自分の発言が惚気と気づいたのだろう。
 硬直したまま、黙り込んでしまった。

「夫婦とはお互いが対等の関係であり、時には拒否することも出来るのですよ?」
 ノイエが苦笑して諭すと、ガーベラは生真面目に首を振った。
 かつてイジンデルの村で二人が結ばれた夜、主であるノイエに婚約を報告する為クリスの
元を離れる際に、戻ったら存分に自分の身体に溺れてよいと発言したのだと。
 勿論、クリスは言質を取ってガーベラを求めているのではない。
 しかしガーベラは、誓いとして律儀に守っているのだという。

「だからあの人は悪くないんです。非があるとすれば、あたしの方なんですから。
 ですが、一般的に五回が多いということは、あの人はあたしを気遣って、やっぱり無理を
しているんでしょうか?」

 お互いを好いているとは知っていたが、ここまで惚れ込んでいるとは。
 騎士の忠義は、夫への献身に転化したようである。
 ガーベラの拙い弁解に、ノイエの唇が笑みに緩んだ。
 やれやれ、これは一筋縄では行かない様だと。
 新婚というよりは、恋愛を始めたばかりのような少女の物言いを可愛いと思った。
 恐らく回数が減れば、今度はそれを不安に感じるに違いない。
 だから自分が予防線を此処で張っておこう。

「大きな炎ほど、松明(たいまつ)が燃え尽きるのも早いと言います。始めを急いでも、良い
ことはありませんよ。ねぇ、ガーベラ。あなた倦怠期って言葉を知っているかしら?」
「言葉だけは……」
「新鮮さを失った夫婦が直面する深刻な問題よ。数をこなすことは経験を増やす反面、飽きに
近づくのですから。夫婦の営みに心が伴わなければ、却って愛の妨げになりますよ」

 聞いていたガーベラの顔色が変わった。
 先輩主婦の面目躍如。
 あと一言で、決着がつきそうである。 

「ですから、もう少しペースを落とし――――」
「ノイエ様は倦怠期をどう対処されているのですか?」
「……えっ?」
515ガーベラと薔薇の武具 06:2008/04/21(月) 20:19:04 ID:l2Wwdkmx

 会話の《インタラプト》発動。
 ちなみにノイエは、倦怠期を経験したことが無い。
 何故なら娘を生んだ後、神竜を封じて神殿と対立し、夫と離れていたからである。
 彼女の経験は幸か不幸か、夫と仲睦まじい時間しかなかった。

「後学の為に、一家の妻として未熟なあたしに是非お教え下さい」
「あ、あのですね、ガーベラ……」
「ノイエ様みたいな素敵な主婦が、あたしの理想なんです」
「……あ、あははは」

 先輩主婦として、後には引けない状況である。
 心の中で涙目になりながら、必死になって記憶を検索する。
 確か「別冊エリンディル主婦の友」に特集記事があったはずである。
 朧げな記憶を頼りに、ノイエは語り始めた。
 うろ覚え故に脚色や補足が混じった気もするが、気にしないことにする。
 以下、ノイエの説明より。

 新鮮さを失った夫婦の対処法の一つとして、視覚の変化がある。
 それは下着の種類を変えるものから、寝具や場所を変えるものと幅広い。
 その複合スキルとしてあるのが「裸エプロン」である。
 一説によればその破壊力は凄まじく、装甲無視の攻撃に匹敵すると云われる。
 一糸まとわぬ瑞々しい肢体と、母性と家庭の安らぎを象徴するエプロンの融合。
 露出と羞恥プレイ・着衣エッチ・コスプレ・誘い受け、とあらゆるスキルを複合したこの技
は、台所の冷たい床に組み伏せられるも良し。食卓の上で乱れるも良し。炊事場で立ったまま
無防備な背後から襲われるも良しと、ヴァリエーションも豊かである。
 着衣エッチとしても、万が一の不始末に洗濯物が少ないという、主婦に優しい仕様だ。
 更には食材や調理器具を道具に使えるといった、地形効果と状況対応にも優れている。
 傍から見れば滑稽ではあるが、そこには先人たちの涙ぐましい努力と深淵なる知恵が込めら
れている高位スキルなのである。

 以上の説明に、ガーベラが自身の不明を恥じる。
 聞けば、男性が恋人に請うのは邪道であり、女性が自発的に準備するものが正当だという。
「夫婦の仲とは実に奥深いものですね。その叡智に感服しました」
「こ、これは、倦怠期に入った夫婦の秘奥ですから、まだ貴女たちには早いのですからね?」
「……ノイエさま?」
「夫婦として重ねた日々という基礎があって、奥義が成り立つのです。くれぐれも使用しては
なりませんよ? 使わないことに越したことは無いのですからね?」
「はい、お心遣い感謝します」
「……………………うぅっ」
 疑いなく感心し礼を述べる姿に、ノイエが罪悪感から真実を告白しようとした時だった。
 ベートが扉を叩き、ガーベラ宛てに緊急の手紙が届いたと注進いたのは。

 神殿の紋章が入った緊急の専用速達である。
 訝しげに封を切り、文面に目を通したガーベラが息を呑む。
 真っ青になった顔色から、その手紙の内容が知れた。
 小刻みに震える手から奪い取るようにしてノイエが手紙に目を通す。
 中身は、遺跡調査に出かけたヴァンスター神殿騎士団の凶報。
 遺跡内に於いて、魔族や死霊による怪物群が出現。
 騎士団はこれと交戦、クリス=ファーディナント聖騎士軍団長は行方不明とあった。


              ※


 普段はおっとりとした印象ではあるが、ノイエは先代の薔薇の巫女でありながら神の粛清を
是とする神殿の考えに異を唱え、夫の命を盾に取られても神竜を封印した結界を解くことを頑
として拒んだ烈女である。
 事態に対し、肝を据えていち早く行動を開始した。
516ガーベラと薔薇の武具 07:2008/04/21(月) 20:20:20 ID:l2Wwdkmx

「ガーベラ、あなたは荷物を整理しておきなさい。私はその間に、ヴァンスター神殿への転送
装置を使用する許可を頂いておきます」
「……ノイエ様」
「私も同行しますからね。大丈夫です。あなたの夫は無事に帰ってきます」
 ガーベラの肩に両手をかけてノイエが微笑む。
「そうそう、あなたには何か簡単な軽食の用意もお願いしておきましょう。こういう時はお腹
を落ち着かせておくのは大事ですからね」

 先に食べておいても構わないと付け加え、ベートに馬車の用意を頼む。
 もう一人のギーメルには夫である大首領に至急連絡を取り、こちらの事態を知らせるよう命
じると、ノイエ自身はディアスロンドの神殿へ赴くべく自分の部屋で身支度を始めた。
 ガーベラの手前、平静を装ったが彼女は事態を重く見ていた。
 たとえ騎士団長の妻とはいえ、神殿が組織の関係者でない者に専用の連絡網を使って情報を
入れるとは異常である。
 姿見を覗くと、緊張を孕んで白く硬い表情が映った。
 手を頬に当てて、柔らかく保つように努める。
 神殿に要らぬ危惧を与えたくはないし、何よりも当事者であるガーベラを支えるには、自分
がしっかりと振る舞わなければならない。
 髪の乱れを直し衣服を着替えると、ノイエはすぐに屋敷の外で待つ馬車に出発を命じた。



 到着して間もなかったせいもある。
 ガーベラの支度はすぐに済んだ。
 荷物をまとめると、言いつけ通り調理場へと向かった。
 食事の準備は、主婦として定期的な仕事だ。
 そこに非日常の空気はない。
 軽食の準備をする内に、ノイエは自分を落ち着かせる為に頼んだのだとガーベラは悟った。
 携帯にも向くよう肉や野菜をパンに挟んだものと、簡単なスープを用意する。
 狼狽していたのだろう。
 スープの味付けに戸惑ってしまった。
 何度スプーンですくって味見をしても、味気ない気がして余計に焦りを生む。
 とうとう諦めて文字通り匙を投げ、調理場に在った椅子に腰を下ろす。

 守護騎士として幾度も修羅場を体験した自分が、ここまで衝撃を受けるとは予想外だった。
 クリスを失うと思った瞬間、頭の中が真っ白になったのだ。
 あの時の夫の言葉が蘇る。
 クリスは求婚した際、罪を抱えるガーベラに『家族』を失う痛みを味あわせることで、真
の生命の価値を教えると約束をした。
 それは寿命による別れであり、遠い未来の出来事だと思っていた。
 両手を拳に組んで額に着け、長い溜め息をつく。
 騎士軍団長ならば戦場にでも出ない限り、指揮官が生命を危うくすることなど無いと甘く
考えていた部分もある。
 肺腑の呼気を出し切って奥歯を噛み締める。
 閉じた瞳の奥に、クリスの笑顔が鮮やかに浮かんだ。
 誰とも無く向けられた無言の唸りが、呪詛のように歯軋りと混ざって洩れた。
 胸の奥で荒れ狂う炎が不安や弱さを焼き、開かれた両眼に強い意志として宿る。

 ガーベラから、たおやかな新妻の雰囲気は消えていた。
 眠れる竜が目覚めたのだ。
 翡翠の騎士、此処に再び。
 否。安息の日々で得た美しさと相まって、覇気と存在感は以前より増している。
 今は無い帯剣を求めて、左手が無意識に腰に添えられていた。
 半身が行方不明ならば自ら探し出し、立ち塞がる邪魔は切り払うまで。
 視線は自然と神聖ヴァンスター帝国の方角へと向けられていた。
517ガーベラと薔薇の武具 08:2008/04/21(月) 20:27:33 ID:klHc0wF/

           / / /


 ノイエと共に転送したガーベラはヴァンスター神殿に着くなり、緊急の手紙を盾に騎士団長
の執務室の一つへと足早に向かった。
 此処はクリスに親しい筆頭神殿騎士ゴウラの部屋である。
 しかし、生憎ゴウラは王宮に呼び出されて不在であり、夕刻には戻るだろうと副団長の騎士
から言い渡された。
「何かあったのですか?」
「本日の明朝、遺跡調査の騎士10名が、19名の負傷者を連れて帰還したのだ」
「クリス=ファーディナントは無事なのですか!?」
「残念ながら、その中にクリス殿の姿は無かった。しかし、生存は確認されている」
「それは一体どういう……?」
 顔に困惑を浮かべるガーベラとノイエに、副団長は苦しげに言葉を継いだ。
「奥方、気を落とさないで聞いて欲しい。クリス殿は部下19名の生命と引き換えに、魔物の
人質になったそうだ。ゴウラ様はその報告で王宮に召喚されたのだよ」

 これは現段階では神殿の極秘情報だが、あなた達だから教えたのだ。
 だから、ご内密にお願いする。
 そう言い添える副団長に、衝撃に言葉を無くした二人は頷いて他言無用を誓った。
 礼を述べて退室しようとする二人を押し止め、副団長は帰還した騎士たちが収容された医療
大部屋の案内を申し出る。
 聞けば表向きは療養であるが、秘密保持の為に軟禁しているらしい。
「なに、安静の退屈に腐っている奴らに、婦人の華を差し入れるだけのこと。くれぐれも人妻
ゆえに手を出すなと釘は刺して置くから安心召されよ」
 彼は情報収集をしろと暗に言っているのだ。
 思わぬ厚意に頭を下げる二人に、副団長は莞爾と笑った。
「まぁ、上官の意を汲むのは、副官の務めであるからな。礼ならば、ゴウラ様に申すが良い」

 副団長に渡され、二人は神殿の聖印を身に付けた。
 大部屋の見張りには、神殿でなく帝国兵が派遣されて就いているという。
 基本的に神殿へは、王権は不介入の姿勢のはずだ。
「どういうことなのです?」
 かつて神殿の巫女であったノイエが尋ねると、副団長は困った顔をして頭を掻いた。
「以前この神殿はマティアス様が権勢を誇っていたのだが……」
 クリスの妻である自分に遠慮しているのだろう。
 副団長の発言で、ガーベラは大まかな事情を察していた。

 薔薇の武具を巡る事件に於いて、神官長マティアスは自分の元から離反したクリスに濡れ衣
を被せたものの、クリスの活躍と冤罪判明により権力を失墜させている。
 非常に押しが強く多くの支持者を抱え、皇帝ゼダンにも否定的な言葉を述べることが出来る
と噂された程、帝国内で影響力のあった人物の失脚は他の権力者には格好の機会である。
 神殿が帝国内に於いて立場を弱体化させたのは想像に難くない。

「そういえば、今回の遺跡調査の発端は皇帝陛下の勅命でしたね。任務の失態に他の有力貴族
辺りから横槍が入った訳ですか……」
 ガーベラに頷くと、副団長は二人を大部屋へと案内した。
 此処には帰還した負傷者19名が居るという。
 彼らと伴だった騎士10名は、また別の場所で軟禁されているらしい。
 入り口の扉で番をする帝国兵に、副団長は二人を神殿の治療師と紹介をした。
 首に掛けた聖印を一瞥する帝国兵。
 帯剣していなくて良かったと、ガーベラは内心胸を撫で下ろす。
 入室を許可されると副団長は用心の為に扉の前に立ち、二人は簡易寝台に横たわる騎士たち
に向けて、自らの名乗りと共に事件の情報を請いた。
「そうですか。あなたがクリス様の……」
 自分たちの身代わりに人質となった団長の奥方と知り、騎士たちは頭を垂れて己の不明を詫
びながら、口々に遺跡内で起きた出来事を話し始めた。
518ガーベラと薔薇の武具 09:2008/04/21(月) 20:29:08 ID:klHc0wF/


              ※


 今から三日前のことである。
 クリス率いる調査団は、遺跡の入り口に通じる転送ゲートを封鎖監視する10名を残すと、
残りの者たちと海底遺跡へと向かった。
 神槍ブリューナクを納めた遺跡の管理と調査中、クリス率いる一団は新たなゲートに続くと
思われる隠し扉を発見。
 そこで新たなブリューナク探索の組10名と、扉の調査を行う組10名の二手に分かれたの
である。
 最初の不運が生じたのは、ブリューナク組であったという。
 探索組が次々と迷宮を踏破する内に、彼らは中位魔族であるムルムルと遭遇した。
 騎士の甲冑に身を包み、魔獣グリフォンに騎乗したムルムルは、死霊の軍団を引き連れてい
る強力な魔族である。
 ジャイアントゾンビを5体を供にしていたムルムルに、探索組みは撤退を選択。
 だが、魔族は一行を追って来たという。
 彼らは扉を調査中の10名に合流し、これを迎え撃とうとした。

 通常の魔物であれば、この試みは成功したに違いない。
 第二の不運は、ムルムルの能力《死霊軍団召喚》である。
 ムルムルは新たにネクロマンサーとスケルトンキングを召喚。
 この新たな魔物たちも、それぞれの配下を召喚する能力を持つ。
 倒す間に新たな死霊が呼ばれる。
 召喚を行う魔族を倒すには、死霊の壁を突破しなければならない。
 切りの無い戦闘に、一方的な消耗を強いられる。
 調査隊の目前には死霊の群れが溢れ返り、三番目の不運として騎乗した魔物の《飛行能力》
を駆使したムルムルが頭上を越えて回り込み、地上への通路に立ち塞がったのである。
 生憎《テレポート》を持ったアコライトはこの調査隊に加わっていない。
 四番目に派遣する予定だった、やや戦力の劣る調査隊に回した為である。
 退路を絶たれ、壁を背に包囲された騎士たちの胸を、等しく絶望が覆っていた。

「では、その魔族があの人を……」
「いいえ。ただ一人クリス団長だけは諦めていませんでした。流石は、神竜ゾハールから世界
を救った御方でございます。話はここからなのです」

 探索組が魔物の群れと対峙したのは、調査組と合流した地点である。
 彼らの背後には、調査中の隠し扉があった。
 乾坤一擲、クリスは指示を出し、未開封だった扉の奥へと一行を駆け込ませる。
 急いで扉を閉め床に短剣を突き立て、楔として足止めの時間を稼ぐ。
 奥へ奥へと長い一本道を突き進む。
 敵こそ現れないものの新たな通路や扉はなく、やがて広い空間で行き止まりとなった。
519ガーベラと薔薇の武具 10:2008/04/21(月) 20:31:10 ID:klHc0wF/

 広間の奥には祭壇があり、そこには巨大な両手剣が突き刺さっている。
 大きさはヒューリンの大人の背丈と胴幅ほどある。
 刀身は血に濡れたように赤黒く、強い魔力の波動が感じられた。
 一対の飾り紐が柄尻から垂れ、鍔元には一際紅い宝珠がはめ込まれている。
 全体的に古い時代のデザインだ。
 刀身の紋様とティアドロップ型した宝珠の周囲が、少しだけ魔剣カラドボルグに似ているな
とクリスは個人的に思った。
 それも錯覚かもしれない。
 こちらの大剣はサイズからして雰囲気は異なり、刀剣の色も見るからに禍々しい。
 神殿の者として、皆が触れてはならないものと直感を覚えていた。

 クリスが念を押して、決して手に取らぬよう厳命を出す。
 封印された呪剣やトラップ起動の類である可能性が高く、これ以上の面倒はご免である。
 全員に傷の手当てと小休息を許し、軽傷で俊敏な騎士を元来た道の様子見に出した。
 さて、これからどうしたものか?
 選択肢は僅かで困難ばかりが多く、生きて還られるとしても時間が掛かりそうだ。
 自分の帰りを待つ人のことを思い浮かべて、胸が張り裂けそうに痛む。
 彼女の為にも、指揮官として皆の最善手を選ばなければならない。
 しかし、黙考の時間は床石を叩く鉄の足音に中断された。

「クリス団長、奴ら扉を破壊し始めたようで、こっちに向かって来ますっ!」
「此処に到着まで、どれくらいと見る?」
「扉の破壊を入れておよそ半時間かと!」
「くそっ、何なんだ、あのしつこさは! 仕方ない、この広間に奴らを迎え入れ、突破陣形を
以って薄い所を抜く! 一本道で私が殿(しんがり)を務め壁となる! 皆が距離を稼いだら私
も脱出をするから、その時は援護を頼んだぞ!」

 斥候に出ていた騎士の報告を受け、クリスが皆へ指示を飛ばす。
 相手の陣を最も薄くするには敵を横に長く展開させ、自軍が突破するには吶喊の際に両翼の
敵兵から包み込まれないだけの距離を稼がなければならない。
 半円の包囲を誘って噛み千切る為にこちらの懐に深く誘い込むことから、必然と騎士団の陣
は広間の最奥、大剣の祭壇を背後にすることになる。
 移動を終えた皆が入り口へと向き、紡錘の隊形を取り始めたその時だった。
 祭壇の大剣の方から声が聞こえたのは。

<……我が汝らの窮地を救おうか?>

 戦闘警戒中ということも忘れて、皆がぎょっとして背後を振り返る。
 殿の為に一団の最後尾に居たクリスは、最も身近で聞いて死ぬほど驚いただろう。
 鍔元の紅い宝珠の中に、今まで無かった青白い燐光の核が浮かんでいた。
 あたかもそれは眼球の焦点と化し、宝珠を大剣の瞳のように見せている。
 邪眼の効果があるのかもしれない。
 念の為《インデュア》で精神を賦活させて、クリスが慎重に答えを返す。

「……私たちは神の教えに従う者だ。残念ながら、魔族に魂を渡す訳にはいかない」

 間もなく接近する死霊の軍団と交戦に入る今、これ以上のリスクは避けたい。
 文字通り前門の虎、後門の狼となっては笑えない話である。

<汝の認識には誤りがある。一つ、我は魔族により生み出されし物ではあるが、魔族ではなく
 器物に過ぎずご覧の通り剣である。
 二つ、我は魔族ではない故に魂など求めぬ。物が魂を求めて如何とする?>

 クリスにとって“物”や“魂”は無視しがたい響きを持つ言葉だ。
 前者は彼の人生に縁のある“人工生命体”を、後者は愛する騎士が愛用する言葉ゆえに。
 だから魔剣の発言に少しばかり気分を害したといっても良い。
520ガーベラと薔薇の武具 11:2008/04/21(月) 20:33:08 ID:klHc0wF/

 もしこの場にエイプリルが居たら、顔をしかめただろう。
 遺跡の街ラインに於いて、カナン神殿神官長補佐シルヴァと交渉を巧みに運んだ彼女ならば
発言を無視して、話にならないと態度で示したに違いない。
 少しでも反応を見せるのは、相手に交渉の余地があると知らせるものだからだ。
 しかし、クリスは不快感で眉を寄せた。
 反応は微々たるものであったが、関心を自ら招いて聞く耳を持ってしまったのだ。
 ここに恐ろしい偶然が発生する。
 魔剣は器物であるが故に、クリスの生物としてのささやかな反応は活かせなかった。
 続いて放った言葉に全く他意はなかったのである。

<我は魔族ではないゆえ魂を求めぬ。器物ゆえに道具として創造された“理由”に従うのみ。
 我が汝に欲する対価は――――>

 エイプリルならクリスを責めたであろう。
 大事な博打で最悪の目“ファンブル”を振りやがって! と。
 その内容は他の騎士なら、聞く耳を持たなかったに違いない。
 偶然ではあるが、クリスだからこそ彼は魔剣の発言を聞き流すことができなかった。

<薔薇の巫女の守護騎士にお目通りを願いたい。汝は神の教えに従う者と自らを述べたな?
 一団の長ならば低い身分ではあるまい。ならばその伝手はあるはずだ>

 固唾を呑んでクリスと魔剣のやり取りを伺っていた騎士たちが大きくどよめいた。
 彼らの団長は神殿の中で、神竜ゾハールの事件に深く関わった一人である。
 自然と周囲の者は指揮官の挙動に注目した。
 不快から驚愕。
 大きくなったクリスの反応に気づき、魔剣の瞳が射すくめるように輝きを増す。
「お前の望みは……何なんだ!?」
 悲鳴のように搾り出された詰問に、温度のない無機質な答えが返る。

<我が創造主こそは、火の時代の始まりに魔剣カラドボルグを鍛えし“悲願の砂鉄”アウル。
 創造主は自身の最高傑作カラドボルグを超えるべく、密かに我を生み出されたのだ。
 ゆえに我が望みは、カラドボルグを超えた魔剣として証を立てること。
 その為に我は、魔剣カラドボルグを持った薔薇の巫女の守護騎士との立会いを所望する>
521名無しさん@ピンキー:2008/04/21(月) 20:48:52 ID:klHc0wF/
本日は以上で。
ええと、1つだけ謝っておきます。
エロはクライマックスまでありません。
新婚さんに浮気させる訳には……というのが、当方の言い分です。

>>506さま
ここで切るのは生殺し……(涙)。
あと、ここに一人「魔が繋ぐ絆」の続きを待っている人間が居ますので、
是非お願いします!

>>508さま
感想レスご丁寧にありがとうございます。
(…って、何か変なことしてますが)
いや、ここで断っておかないと無視しているみたいな感じなので。
522名無しさん@ピンキー:2008/04/21(月) 22:23:04 ID:NiWX040v
ふと。リドルの妖精にけちょんけちょん(死語)にされる
ショコラさんという光景が見えた
それとおかしな服装の魔剣使いが槍を探して落ちていったんだが
誰かアイツを知ってるかい?
523名無しさん@ピンキー:2008/04/21(月) 22:27:18 ID:AJ5F+6EH
>522
けちょんけちょんにされるショコラと聞いて無意味に服がぼろぼろになって
腕でかろうじて隠してる光景が浮かんだのは俺一人でいい…
524名無しさん@ピンキー:2008/04/21(月) 23:54:44 ID:TzqIX2L2
>523
それでおかしな服装の魔剣使いが上着を放ってやるんですね
わかります
525名無しさん@ピンキー:2008/04/22(火) 00:17:02 ID:0zdlqIDi
柊さんこんなとこでなにやってるんスかw
526名無しさん@ピンキー:2008/04/22(火) 01:07:51 ID:JWYTInbN
>>521
読んでいる最中に背中がゾクゾクっとするぐらいGJです><
長く続いて欲しいのに幸せな2人(結末)を早く読みたい。背反二律です

柊蓮司×くれはの人といい、クリス×ガーベラの人といい、
スレ番1ケタの頃からの寄生人としてはどんどん職人が増えていて嬉しいことこの上ない
527508:2008/04/22(火) 07:24:59 ID:9zFtR1h1
GJ!!
前作も、その前の時も思ったのですが、この「凄み」が何に起因してるんだろうって思ったら、
「原作からの再構築」の力量の凄さ、なのかなと。
アニメやリプにちりばめられた要素を一旦ばらして組み直す・・・
それが非常に巧みなので、二次創作というより原作のノベライズのような違和感のなさがあるんですよね。
なんか偉そうに分析っぽいこと言ってますけど要は何が言いたいかというと、

新妻!新妻!新妻ガーベラあぁぁぁぁっ!(鼻血)なのですよ!
続き楽しみにしています!

追伸:逆にお気を遣わせてすいません。無視なんて思いませんよ〜(汗)
528名無しさん@ピンキー:2008/04/22(火) 12:41:23 ID:sRCr4R5n
リプレイパーティー全員集合とか…
529ガーベラと薔薇の武具 12:2008/04/22(火) 21:37:33 ID:XzOgMc5Y


              ※


 五つの薔薇の武具。
 それぞれ魔の名を冠する武具は、一部のエルダナーンと魔族たちが中心となって今から八百
年ほど前、火の時代の創世にイジンデルの村で作製したもの。
 カラドボルグとはその一つであり、神竜ゾハールを倒す鍵を握っていた魔剣である。
 眼前の魔剣は、そのカラドボルグと同じ魔族が製作したという。
 初見で造りが似ていると思ったのはその為かと納得もある。
 ノエルの振るった魔剣もまた、宝珠は無いものの鍔元に単眼のような意匠があった。
 だが、先ほどの発言には不可解な部分もある。
 死霊の軍団の接近を気に掛けながら、クリスは魔剣に対し疑問を述べた。

「待て。なぜ立会いの相手が魔剣の所有者たる薔薇の巫女ではなく、その守護騎士なんだ?」
<確かに真の力を引き出すのは主たる巫女であろう。
 しかし、巫女は神官に類するものであり、本来は剣を担う戦士ではない。
 なれば魔剣を握りし巫女ではなく、剣士たる者を相手するのが相応しいであろう?>

 この迷宮にいた魔剣は、当代の薔薇の巫女の継承者ノエルが剣士とは知らないのだ。
 それ故に自分の妻ガーベラを指名するのである。
 クリスは押し黙って考えた。
 幸い災いの種は芽生える前である。此処で慎重に取り除かねばならない。

「迷宮に居たお前は知らないようだが、カラドボルグは薔薇の巫女の手により神竜ゾハールを
討つ大命を果たし、力を失ってただの武具と化し封印の眠りに就いている。
 残念ながら、お前の望みは叶わない。いや、カラドボルグが朽ちた今、お前が創造主の最高
傑作となったのだから、不本意ではあるが結果として望みは果たしたも同然だろう?」

 諭すようにクリスが語り掛ける。
 言葉そのものに彼は偽りの意志を持ってはいない。
 カラドボルグなき今、無益な戦闘は避けるべきだと思っていた。
 彼は覚えている。激闘の最中、対神竜効果を発動させ、力を失った武具たちを。
 輝きを失った籠手や鎧や魔導書。兜に至っては崩れて地に転げ落ちた。
 ただの武具と化した五つは光となって世界に飛散し、再び封印の眠りを受けているのだ。
 クリスの発言を受けて、眼前の魔剣から金属を擦るような低い異音がした。
 続いた返答を聞き、異音は魔剣の笑い声なのだと気づく。

<……力の無い、ただの武具が封印とな>

 嘲笑を受け、クリスの顔色が変わった。
 魔剣の指摘に神竜ゾハールとの最終決戦を思い出したのだ。
 なぜ使命を果たした薔薇の武具が、五つの光となって世界各地に散ったのか。
 対神竜効果を解放した薔薇の武具はその真の能力を失い、ただの武具と化したはずだ。
 各地に封印されるべく、世界に飛び散る必要は無いのではないだろうか?

<先ほどは我が創造主の御業への侮辱に等しい発言ぞ。
 騎士よ、汝は魔導書マビノギオンを手に取った事があるか?>
「……ある」
<武具の能力を引き出す魔導書には、真の力の詳細が記されていたであろう?
 マビノギオンに偽りはない。薔薇の武具は全て、記載された条件は同じであったか?>
「まさか……!」
530ガーベラと薔薇の武具 13:2008/04/22(火) 21:41:11 ID:XzOgMc5Y

 ここでもう一度、よく思い出して欲しい。
 実際には対神竜効果と真なる能力を失わなかった武具があることを。
 一つは第六の武具たる、薔薇の刻印を持つ者。
 あらゆる蘇生を不可とする死を与えることから、この能力解放は成されなかった。
 また一つは武具の付属品であり、安全装置であった薔薇の小箱。
 第六の武具化を回避した為に、そのスイッチは使用されることは無かった。
 そして―――

「……カラドボルグ」

 驚愕でクリスの目が見開かれた。
 魔剣カラドボルグ。
 かつて彼が目を通した武具の説明書である魔導書マビノギオンには唯一、対神竜効果を発動
しても真の能力を失うと“明記されていなかった”武具である。
 回数の限定はあるが、その真の能力はあらゆる防御力の消滅と破壊力の増大。
 対神竜効果としては《無限再生》の無効化を備えていた。
 まさに神竜殺しに特化した武器である。
 他の武具の力を解放する魔導書が力を失いし今、魔剣も真の力は発揮できない。
 しかし過去に魔導書を読んだ者ならば、真の力に近い力を引き出すことは可能なのだ。

 確実に言えるのは、薔薇の武具は今もなお封印を必要とする代物であるということ。
 カラドボルグ以外の武具が“真の力を失う”と魔導書に明記されていたのも事実であるから、
導き出される推測が二つ存在する。
 実は健在である魔剣の存在を隠す為に、他の朽ちた武具ごと封印を施す仕様にしたのか。
 ゆっくりと時間をかけて眠りながら、他の四つの武具も失った真の力を蘇らせるのか。

 考え込むクリスを魔剣の瞳が冷たく光ながら見ていた。
 己の失態に気づいて強くほぞを噛む。
 クリスは自分がマビノギオンを読んだと発言をした。
 それは彼が薔薇の武具に関わったことがあると同時に、クリスもまた魔導書を読んだ恩恵に
より魔剣カラドボルグの真の力を引き出して扱えると告白したに等しい。
 だが、後悔に苛みながら大剣の宝珠を睨み返すクリスに当の魔剣は告げた。

<……安心するが良い。我が雌雄を望む担い手は、薔薇の巫女の守護騎士のみ。
 汝がかの守護騎士と引き逢わせてくれるのであれば、我は窮地を脱する助力を誓おう……>

 それはそれで安心できないのだが、クリスは喉まで出かけた言葉を飲み込んだ。
 これ以上、余計な情報は与えない方が無難である。
 加えて根拠のない予感ではあるが、この魔剣と愛妻を逢わせない方が良いと感じたのだ。
 さて、どう話を返したものか。
 クリスが言葉に迷った瞬間、緊迫した声が先頭の騎士から発せられた。

「クリス団長、奴ら来ました!」
「来たか! 全隊、号令が掛かるまで守りを固めて手を出すな!」

 剣と楯を構え直し、騎士たちが緊張に顔色を改める。
 広間の入り口に腐臭が漂い、唸り声と敵影が増え始めた。
 次々と現れる魔物の数を確認しながらクリスが魔剣に告げる。
「ご覧の通り、話はここで終わりだ」
<そうか、我が力は不要か……>
 入り口から現れる死霊の軍団。
 魔獣グリフォンに騎乗した中位魔族ムルムルを筆頭に、ネクロマンサー、スケルトンキング、
ジャイアントゾンビ、スケルトンナイト、グール。
 亡者の列に連なる魔物が二十を超えてクリスが呻き声を洩らす。
「どうしたのです?」
「くそっ、封鎖した扉で時間を稼いだと思っていたが、奴らは扉に手こずっていたんじゃない。
 新たに仲間を増やしながら進んだ為に足並みが遅かっただけだ!」
531名無しさん@ピンキー:2008/04/22(火) 21:42:17 ID:naqnq8iW
僥倖かな、リアルタイム遭遇っ
支援必要かしらー
532ガーベラと薔薇の武具 14:2008/04/22(火) 21:42:43 ID:XzOgMc5Y

 クリスに言われて傍らの騎士もまた理解を示す。
 下位ではあるが、新たにスケルトン、ゾンビ、デュラハンといった魔物が加わっている。
 魔物の列はなかなか途切れず、増え続けて最終的に六十六の数に達した。
 クリスたち調査隊20名の三倍。
 集団戦に於いて三倍の兵差は戦略的な勝利条件の一つであり、しかも六十六の数には、騎士
一人では相対できない強力な魔物も含まれるのだ。

<このままでは、味方に死者が出るだろうな……>

 こちらの胸を見透かしたような魔剣の指摘が忌々しい。
 時として指揮官は部下に死を命じる状況もあるが、今回は遺跡調査が目的であり、ここで死
を迎えるほど誉れや意義のある任務ではない。
<戦力差は甚だしい。汝は神の教えとやらを守り、同胞に犠牲を強いるのか?
 我ならば、汝らの手を借りずに全ての敵を滅することが可能であるのだぞ……>
「……黙れ」
 神の教えによる犠牲。
 魔剣の言葉がクリスに、神竜事件のことを連想させる。
 神への信仰を理由に生命の抵抗を放棄させた、当初の神殿の姿勢。
 自分はあの行為と同じことをしているのかと、疑問と不安が心で鎌首を持ち上げる。
 助かる方法が身近にある。
 生きて諦めなければ、失敗は取り返す事ができる。
 死んでしまっては、後悔も詫びも、何ひとつ出来なくなる。
 ……ああ、そうか。
 自分は護れなかった魔術師のことを引き摺っているのだと、クリスは可笑しく感じた。
 あれから月日が経つのに、此処には誰かを失うという出来事に弱い自分がいる。
 ……いいや、違う。慣れてはいけないのだ。
 生命は物ではないのだから。

 問題は、魔剣が望むガーベラとの邂逅だ。
 立会いは勝負であって、必ずしも生命の取り合いを意味するものではない。
 それに相手の示す条件の一つ、カラドボルグを揃えるには時間も必要である。
 まだ対策と挽回の要素は残っている。
 急ぐのは、目前に迫った生命の危機の方。
 死霊の軍団は包囲を形成しながら、じわじわと近づいている。

「……いいだろう。助力を頼もう」
<受け入れた。なれば我が働きの対価も忘れるな……>
「団長っ!」
 悲鳴を上げた数名を敵から目を離すなと叱咤し、クリスが魔剣に向き直る。
「それで、どうすればいい?」
<我を抜いて床に置き、鍔の宝珠に少量の汝の血を与えよ……>

 言われた通りにしながら、騎士たちには決して気を抜くなと指示を出す。
 土壇場で魔剣が裏切るとも限らない。
 副官に自分が不測の事態になった場合は指揮を執るように命じ、皆にはその命令に必ず従う
ようにと言い含める。
 剣で指先を浅く切り、流れ落ちる血の滴を与えながらクリスが魔剣に問う。
533ガーベラと薔薇の武具 15:2008/04/22(火) 21:44:25 ID:XzOgMc5Y

「そういえば、今更だがお前のことは何と呼べばいい?」
<我には元より名前などない。カラドボルグを超えれば、新たに我がその名を貰うゆえ……>
「それまで不便だろう? お前の創造主は何と呼んでいたんだ?」
<……『イビルソード』。或いは、この宝珠にちなんで『イビルアイ』と>
「邪剣に邪眼か。そのまんまだな」
<我は別に不自由しておらぬ。もう血は十分だ。後は下がって見ているが良い……>

 床に置いた大剣がゆっくりと浮遊し、剣先を下に向け垂直となる。
 クリスの血に濡れた宝珠が青光を発した瞬間、何事もなかったかのように冷たく乾いた光を
湛える宝珠の姿があった。
 飲み込んだ血の色を宿し、柄尻にある一対の飾り紐が触手のように蠢く。
 そして邪剣は恐るべき速度で飛行し、死霊の群れの中心へと飛び込んだ。


              ※


 重厚な外見に似合わぬ邪剣の速度に、誰もが驚愕で目を剥いた。
 それは最も機敏な中位魔族ムルムルの反応よりも速く、飛び込んですぐに目に見えない巨人
が振るったかのような激しい斬撃を一閃。
 クリスたち調査隊まで剣風が届いた直後、邪剣を囲むように魔物が円を成して崩れ落ちた。
 スケルトン、ゾンビ、デュラハンといった下位の魔物の群れはおろか、スケルトンナイト、
グール、スケルトンキングといった中位の魔物の集団も今の一撃で仕留めている。
 さすがに薔薇の武具を目指したと云うだけの攻撃力であった。

 いきなり軍団の三分の二が消滅し、魔物にも緊張が生じたのが見て分かる。
 続く魔族ムルムルはグリフォンを羽ばたかせて距離を取り、騎獣攻撃ではなく風のブレスを
用いた遠距離攻撃に切り替えていた。
 風の衝撃波は命中し、見事ダメージを与える。
 しかし、邪剣の宝珠に白い輝きが走り、同属性を宿す《属性吸収》が発動。
 次から風属性の攻撃は、邪剣に半減した威力を及ぼすようになった。

 続いてはジャイアントゾンビの集団である。
 中位魔族に匹敵する高い体力が幸いし、邪剣の一撃にもまだ耐え抜いていた。
 反撃とばかりに拳を振るい、邪剣に次々と攻撃を与えている。
 だが、邪剣の器物としての堅さと生命力の高さの前に、束の間の抵抗でしかない。

 人造生物だけあって魔法には弱いと見たのだろう。
 残りのネクロマンサーが闇属性の《アンデッドべイン》を唱えた。
 瞬間、飾り紐から魔封じの《魔力消失》を発動させ、効果を掻き消す邪険。
 魔術師殺しのスキルに、ネクロマンサーは無力化も同然となる。
534ガーベラと薔薇の武具 16:2008/04/22(火) 21:47:04 ID:XzOgMc5Y

 その後、攻守が二度入れ替わると、残った魔物はムルムルのみであった。
 必中の攻撃になれば防御の無効化を発揮するスキル《バーストスラッシュ》を、範囲攻撃を
常とする邪剣が発動させた所為でもある。
 騎獣であったグリフォンを失い、甲冑の魔族は翼をもがれた状態であった。
 邪剣が止めとばかりに、連続攻撃《ストラグルラッシュ》を放つ。
 たたでさえ強力な太刀を一度に見舞われ、中位魔族は跡形もなく消滅の道を辿った。

 一体の人造生物により、六十六の魔物が五分未満で消滅。
 眼前で行われた光景を調査隊は呆然と見ていた。
 戦闘を終えた邪剣が飛来し、クリスの前に浮遊して報告する。

<我は誓約を果たした。あとは汝が我が望みを叶える番だ……>
「ああ、分かっている。ただし、カラドボルグの入手と共に、薔薇の巫女の守護騎士との連絡
にも時間が掛かる」
 この帝国領には居ないのだから……と続けようとしたクリスの言葉を許さず、彼の腕に邪剣
の飾り紐が伸びて両腕の縛鎖となった。
「何をする!」
<我を謀るな>
 邪剣の宝珠が強い輝きを放つ。
<飲み干した血は虚偽を申さぬ。汝の血肉には、守護騎士の持つ竜の気配が感じられる。
 汝は間違いなく守護騎士と交わりし者だ。
 その気配は新しく、汝の側に守護騎士が居ると伝えている>
「待て、違うんだ!」
<いいや、許さぬ>
 クリスが誤解を解こうとするが、邪剣は無情に取り合わない。
 飾り紐を通じて紫の燐光が伝わり、気を失ってクリスが崩れ落ちた。
「おのれ……!」
 色めき殺到しようとする騎士たちの前で、邪険の刃が無防備なクリスの首筋に当てられる。
 辛うじて踏み止まった調査隊に、邪剣が淡々と要求を告げた。

<この男の知り合いで、騎士を名乗る女が居たらこれを渡せ……>

 宝珠が輝いたかと思うと、床に紅い宝石のような塊が転がり落ちた。
 大きさは幼い赤子の拳ほどある。

<それは我が吸った血と魔力で生み出した一種の通信球だ。渡した女の血を受けなければ発動
 しないように細工してある。
 その女に連絡させよ。それまでこの男は、我が人質とさせて貰う……>

 そう発言し終えると、邪剣は飾り紐を蜘蛛の糸のように、クリスの身体へと巻き付けた。
 相変わらず刃を首筋に当てたまま、彫像のように微動だにしなくなる。
 調査隊が苦渋に呻き声を洩らす。
 副官が進み出て床から紅い通信球を拾い上げる。
 彼らには成す術がなく、帰還して云われた通りするより他になかった。
535ガーベラと薔薇の武具 17:2008/04/22(火) 21:48:16 ID:XzOgMc5Y


              ※


 副官が進み出て、話に出た紅い宝石を見せる。
 彼は王宮の介入を見て神殿の上層部に詳細を話さず、今まで隠し持っていたらしい。
 話を終えると、騎士たちはクリスを置き去りにしたことを涙ながらに謝罪した。
 悲しげに微笑みながら、ガーベラが頭を振って押し止める。

「夫は騎士団の長として、皆さまの生命を無事に守ってみせたのです。
 仲間の死を厭うあの人らしい。どうか、夫の働きを褒めて上げて下さい。
 騎士にとって負うた恥辱を話すことは死に等しい苦痛です。こちらこそ、お話をして下さり
誠にありがとうございました。
 生きていると分かれば十分です。どうかご安心して下さい。夫の身はあたしが必ず取り返し
て見せます」
「で、ですか……!」
 婦人に責務を負わせるを良しとしない一団が悲鳴を上げる。
 無理もない。沈黙の氷原に於いて、神殿の騎士を多数討ち取った薔薇の巫女の騎士ガーベラ
の存在は、禍根とクリスの立場を案じて一部の関係者以外には秘密にしているのだ。
 彼らもクリスの奥方が、外見に似合わぬ優れた剣腕を持つ噂は聞き及んでいる。
 しかしそれが、伝説に近い守護騎士と同一人物とは思いも寄らなかった。

 対処に困ってしまい、ガーベラがノイエと扉前の副団長に視線を向ける。
 ノイエは自分に聞かれても困ると苦笑を返し、副団長へと視線を流した。
 彼もまたゴウラの片腕として、数少ないガーベラの正体を知る者である。
 婦人二人の期待を受け、副団長が扉の前から一団に歩み寄った。

「貴殿らは、赤枝の騎士団の団長ルーシディティ卿を相手に喧嘩を売る覚悟がおありか?」
「エルラーン王国の常設軍である、あの騎士団の……?」
 唐突にエリンディルでも名高い女騎士の引き合いに、騎士たちが虚をつかれる。
「女だと云うことでガーベラ殿を心配するなら等しい意味だ」
「それは……」
「俺が思うに、この婦人は卿に喧嘩を売ることが可能な人だ。しかも勝つ可能性がある」

 そこまで言われて、騎士たちの婦人を見る目が変わる。
 何て喩えをするのだと内心ガーベラは愕然としたのだが、救いを頼んだ手前、否定して話を
蒸し返す訳にも行かず、微笑を浮かべてじっと耐えていた。
 恐らくまた自分に関する噂に尾ひれが付くであろうと感じながら。

「この宝石を渡すべき人に心当たりがあります。どうか、あたしに任せて頂けませんか?」

 しぶしぶといった表情で、騎士たちが了承を示す。
 改めて情報提供の礼を述べると、三人は大部屋を後にした。
 後は王宮からゴウラが戻るのを待つばかりである。
 まだ時間に余裕があることもあり、一旦ガーベラは自宅に戻り出直してくる旨を告げた。
 勿論、彼女は剣を取りに帰ったのである。
536名無しさん@ピンキー:2008/04/22(火) 22:01:54 ID:XzOgMc5Y

以上が、今月に書き上げてた分すべて。
続きは、GW中に書き溜める予定です。
後もう少し書いて、折り返しに入ります。

今回のおまけというか、エネミーガイドをお持ちの方がいたら、
P.139、14を見ると、更に楽しめるかもしれません。
実際にダイスを振りながら、今回は書いております。

最後に、感想ありがとうございました。
長くなりますが、どうか続きもお付き合いくださいませ。
では、また次回に。
537名無しさん@ピンキー:2008/04/24(木) 21:43:32 ID:fREH1xSq
乙ー!
ガラドボルグ周りの説明がうめぇwww
wktkして続編をお待ちしてます
538名無しさん@ピンキー:2008/04/25(金) 16:33:59 ID:DeIxiWBh
今はただ、燃え尽きぬ事を祈るぜ
その前に漏れらが萌え尽きるがw
539名無しさん@ピンキー:2008/04/27(日) 13:48:20 ID:+jobT6mb
>>537-538
ありがとうございます。
可能な限り、世界観やリプレイネタを拾っていく予定です。

そもそも今回のキッカケは、白馬の王子のあとがき対談で、
きくたけさんが発言したアレですから。
540名無しさん@ピンキー:2008/04/28(月) 13:20:29 ID:k9Kez8/C
ファム×ヴァリアスとか読んでみたいぜ…
541名無しさん@ピンキー:2008/04/28(月) 14:04:39 ID:bYaYoGH4
>>540
ケセドを、お義母さんと呼ぶファム……するとプリシアは、ケセドがひいおばあちゃんで竜の血を引いてるって事か!
542名無しさん@ピンキー:2008/04/28(月) 14:36:42 ID:k9Kez8/C
ヴァリアスは受けだと思うんです
543名無しさん@ピンキー:2008/04/28(月) 15:15:57 ID:gwgsnAXb
いや、それよりも息子がイザと言う時に恥をかかないようにと自らレクチャーする展開を所望する。
544名無しさん@ピンキー:2008/04/28(月) 16:15:06 ID:Y72XW3bW
だがしかし、ケセドは正式な手順(?)を経てヴァリアスを授かっていなかったりする
なのでむしろ、レクチャーされてしまうケセドを希望する
545名無しさん@ピンキー:2008/04/28(月) 16:49:17 ID:E+nzETGq
何気にファムの相手アルヴィンだったりしないか?
546名無しさん@ピンキー:2008/04/28(月) 20:03:33 ID:alYac5eI
まあ、普通に考えてヴァリアス鉄板だろ。
547名無しさん@ピンキー:2008/04/28(月) 20:13:01 ID:f7Br0DV6
>>545-546
逆に考えるんだ。
「二人一緒でいいじゃない」
と考えるんだ。


つまり二本差しぐっしょりな(ry
548名無しさん@ピンキー:2008/04/28(月) 20:14:54 ID:alYac5eI
ファム・・・恐ろしい娘っ!?
549名無しさん@ピンキー:2008/04/28(月) 21:02:55 ID:Nh2gBj03
つまり孕むまで前後二穴同時ですか!
むしろ前に二本同時とか(ry
550名無しさん@ピンキー:2008/04/28(月) 21:23:25 ID:bYaYoGH4
ヴァリアスとアルヴィンは、義兄弟の契りを結ぶのか……ファムで。
551名無しさん@ピンキー:2008/04/28(月) 21:46:45 ID:4mzg+bVb
息子の息子で息子の息子をさずかるんですね!

ムスカではない、断じてムスカではないッ。
でもBGMは「もすかう」なえちしーん。
552名無しさん@ピンキー:2008/04/28(月) 21:53:01 ID:2JjkVSli
たった一言のネタ振りでここまで話を引っ張る妄想力。これぞ卓ゲ者クオリティ。
553名無しさん@ピンキー:2008/04/28(月) 22:34:28 ID:L6vSiFT7
ここはファム、ヴァリアス、ケセドで…
554名無しさん@ピンキー:2008/04/28(月) 22:38:32 ID:alYac5eI
そしてアルヴィン様は見てる
555名無しさん@ピンキー:2008/04/28(月) 22:53:27 ID:bYaYoGH4
>>553
ケセドがヴァリアスの髪を切り取って、ファムに渡す。
で、さあ孕めと……
その後二人から壮絶に突っ込まれて、レクチャーを受けるんだな。w
556名無しさん@ピンキー:2008/04/28(月) 23:56:13 ID:nCes5Gb4
>>553
ファムとヴァリアスのまぐわいを「は、破廉恥な・・・」とか言いつつ覗き見してるケセド
それに気付いたファムが
557名無しさん@ピンキー:2008/04/29(火) 00:19:51 ID:6fTyvpww
>>547
(ニヤリ)…二本挿しで。

>>548
清純派ですから!
558名無しさん@ピンキー:2008/04/29(火) 16:46:34 ID:O4iSeDFj
清純派って、セイ・ジュンハって書くと呪文のようだ。
559名無しさん@ピンキー:2008/04/29(火) 17:16:29 ID:HedFnROl
「清純派なのに・・・清純派なのに・・・」
と泣きじゃくるファムを徹底的になぶり尽くすと申したか。
560名無しさん@ピンキー:2008/04/29(火) 18:12:32 ID:6fTyvpww
清純派なのに…くやしい!でも・・・感じちゃう! (ビクビクッ!)
561名無しさん@ピンキー:2008/04/29(火) 21:12:51 ID:26rdA7a8
だがそれは英魔様の仕掛けた巧妙な罠の始まりに過ぎなかった。
562名無しさん@ピンキー:2008/04/29(火) 21:47:36 ID:6fjojs9m
井上「こっち見んな小暮ー!」
563名無しさん@ピンキー:2008/04/29(火) 22:29:34 ID:Dv+/V/uu
小暮英魔「じゅんいっちゃ〜ん♪ふんふふ〜ん♪ふんふふ〜ん♪」
564名無しさん@ピンキー:2008/04/29(火) 22:31:52 ID:26rdA7a8
ちょwwww
いつの間にかじゅんいっちゃんが罠にかかってるwww
565名無しさん@ピンキー:2008/04/29(火) 22:49:45 ID:6fTyvpww
井上「オーウ!クヤシイデェーッス!!デモオオオオ!!」(ビクビクッ)
566名無しさん@ピンキー:2008/04/29(火) 22:54:48 ID:vzS3siI1
いつのまにか芳香剤プレイかよw
567名無しさん@ピンキー:2008/04/29(火) 23:17:22 ID:EThXUA/U
なんか違うぞw
568名無しさん@ピンキー:2008/04/30(水) 12:59:57 ID:MxbJ5PFD
い、いかん!
流れが面白い方向に!
誰か早くエロス成分を注入するんだ!
助けてエロい人ーっ!
569名無しさん@ピンキー:2008/04/30(水) 17:56:40 ID:Y2ta2srG
新発売!
芳香剤、栗の花の香り!

と申したか
570名無しさん@ピンキー:2008/04/30(水) 18:54:17 ID:e7t49hyI
リプレイの収録の為にF.E.A.Rに潜入する井上純弌。
だが、それは英魔様の巧妙な罠だった。

「井上純弌のプライドは 私に崩される為に築いてきたんですものね」
「いつもの力が出せれば…こんな英魔様なんかに…!」
「よかったじゃないですか フィギュア付同人誌のせいにできて」
「んんんんんんんっ!」
「へへへ おい、ハッタリ棒を用意しろ。みんなで愛してやる」
(耐えなきゃ…!!今は耐えるしかない…!!)
「井上純弌の生原稿ゲ〜ット」
(いけない…!PC版エンギアのCGがまったく描き上がってないのを悟られたら…!)
「生井上純弌様の生×××を拝見してもよろしいでしょうか?」
「こんな奴らに…くやしい…! でも…感じちゃう!」(ビクッビクッ
「おっと、芳香剤に当たってしまったか。甘いラブコメプレイがいつまでもとれないだろう?」
それからじゅんいっちゃんは後から侵入してきたえんどーちんらによって救出された
571名無しさん@ピンキー:2008/04/30(水) 19:58:12 ID:ojVNuOEF
>>570
だめだ、光景が目に浮かんでしまうw
572名無しさん@ピンキー:2008/04/30(水) 20:10:12 ID:pAbKRsju
英魔様と一緒にいるとホントにじゅんいっちゃんは呪われてるとしか思えなくなるからなー
けどそれで真人間になるじゅんいっちゃんもじゅんいっちゃんだとオモタ
573名無しさん@ピンキー:2008/04/30(水) 21:13:58 ID:Z7bdP9XS
腹痛ぇw

なぜFEAR社員のえんどーちんが「侵入」しなきゃならんのかw
574名無しさん@ピンキー:2008/04/30(水) 21:15:29 ID:jfJDszp1
>>573
えんどーちん「ああ、悪役ロールプレイは気持ちが良い」

とでも言ってたんじゃね?
575名無しさん@ピンキー:2008/04/30(水) 22:04:49 ID:CaXd4y9R
突っ込むところは全部塞がっていそうでゴザルよ。
>573
正しくは、『後ろから侵入』なんだよ。
576名無しさん@ピンキー:2008/04/30(水) 22:09:29 ID:S8Nl+QK4
アッー!


そういやえんどーちんにかわたなみたいなコテコテの主人公の立ち居地をやらせたらどうなるんじゃろうか
とりあえずじゅんいっちゃんは英魔様を与えておけば大人しくなるから放置でw
577名無しさん@ピンキー:2008/04/30(水) 22:16:25 ID:cCPG0wHx
>>576
ダブクロ最初のリプ
578名無しさん@ピンキー:2008/04/30(水) 22:19:58 ID:Z7bdP9XS
>主人公なえんどーちん

「俺をその名前で呼ぶな!」とかやるんじゃないのか?
579名無しさん@ピンキー:2008/04/30(水) 23:05:28 ID:tIZzKjkn
エロ成分は注入されたが、方向性が同じだったために余計酷いことになってるぞ
580名無しさん@ピンキー:2008/04/30(水) 23:09:25 ID:iHvtN7eb
あれはいい意味で予想外だったなあ
散々予想されてたけど的中してる意見は見た覚えないし
俺は公表された2人はてっきり逆だと思ってた
581名無しさん@ピンキー:2008/04/30(水) 23:13:21 ID:4R1sw7qv
>>580
『後ろから侵入』を予想していたというのか!
582名無しさん@ピンキー:2008/05/01(木) 00:31:47 ID:Fo5ebzHn
>>580
じゅんいっちゃんが攻めとな!?
583名無しさん@ピンキー:2008/05/02(金) 00:10:17 ID:sHd9OV0G
>>569
対奈落用兵器弐鳴りレヴァティン換装型ヴィオが
シャーナ先生のおっぱいやアナルを蹂躙と申したか
584名無しさん@ピンキー:2008/05/02(金) 20:21:46 ID:KnpU63em
ハッタリ仕事……はしてるみたいだからいいか
585名無しさん@ピンキー:2008/05/02(金) 20:46:22 ID:F/VNCu7/
今さっき困スレで見かけたぞ
586名無しさん@ピンキー:2008/05/03(土) 00:24:40 ID:Yu5adMtU
ハッタリはどこにでもいる
587名無しさん@ピンキー:2008/05/03(土) 04:31:48 ID:hrJOsNqj
一人見かけたら30人隠れてるっていうしな
588ガーベラと薔薇の武具 18:2008/05/03(土) 23:50:16 ID:ZkH0HGJ7


           / / /


 人目を気にしなくても良いガーベラの自宅に戻ると、二人は急な疲労を覚えていた。
 神殿では気丈に振る舞ったものの、クリスの置かれた状態は流石に衝撃であり、加えて二人
にも縁深い薔薇の武具の因縁に驚愕もしている。
 自宅に戻り剣を用意しても、ゴウラの帰還予定の夕刻までには時間は余りあった。
 それならばとガーベラがノイエ邸で作っておいた軽食の包みを広げ、二人は遅めの昼食を取
ることにする。
 交わす話題は当然クリスと邪剣についてである。

「言っておきますが、ガーベラ。決して早まってはいけませんよ。あなたは現在、神殿の聖騎
士団長の妻という立場なのです。
 強行して助けた後、クリスさんと神殿の立場が不利になることは避けなければなりません」
「……はい、肝に銘じておきます」

 ノイエ邸で知らせを受けた際、邪魔者は全て切り伏せる覚悟だった心を思い出して恥じる。
 以前のガーベラなら、マビノギを求めて“賢者の街”エルクレストの神殿を襲撃したように
正面突破も辞さなかっただろう。
 あの時は時間が無く、主ノイエの指示も障害は全排除であり、一人は娘の為、もう一人は母
と娘の為と、目的の為に死を覚悟した二人の決死行であった。
 だが、今回は違う。
 神殿や王宮の思惑の絡む遺跡の地で、後腐れがない処理を行わなければならない。
 単純に夫の救出という話ではないのだ。
 とりあえず、ゴウラと話をしてから具体的な行動を決めようと結論になった。
 ノイエは薔薇の武具を製作したイジンデルの村の村長、魔族ユージンから情報を得るべきだ
と提案し、彼が現在ネオ・ダイナストカバルに身を寄せている幸運を喜んだ。
 肉や野菜を挟んだパンを齧りながら、ノイエがぽつりと口を開く。

「そういえば、ガーベラ。貴女、神殿でカラドボルグが健在だと聞いても、全く驚いていませ
んでしたね」
「……はい」
「そう、貴女は知っていたのね。私はすっかり驚いたわ」
「申し訳ありません、ノイエ様。ゾハール亡き今、もはや武具は必要ないと思っていました。
 あたしは戦いを終えた武具たちを、あのまま眠らせてあげたかったんです」

 武具の所有者という意味では薔薇の巫女こそが真打であるが、その歴史については口語りに
世代で継ぐ人間よりも、八百年という時代を生きたガーベラの方が詳しいのは当然だ。
 この際だから聞いておこうと、ノイエはふと好奇心に駆られた。
 幸い此処には、武具の関係者である二人しか居ない。
 自分の知らない武具の話を聞きたいと請われ、ガーベラが苦笑を洩らす。
 歴代の巫女の中でも、このようなリクエストをした人間は誰一人としていない。

「それでは、秘密をお話しましょう。あたしは先ほど神殿の騎士たちに、騎士にとって負うた
恥辱を話すことは死に等しい苦痛だ。話をして下さり誠にありがとうございました、と言いま
したよね?
 あたしにも……いえ、巫女の守護者にも恥辱の話があるのです。それも薔薇の武具に関係が
ある話として。ノイエ様、貴女は巫女の守護騎士が、かつて五人いたことをご存知ですか?」

 驚いた顔で首を振るノイエに、ガーベラが微笑みかける。
 どこか遠い目をして、淡々と紡がれる火の時代の創世の出来事。
 それは薔薇の武具が誕生する以前。
 当代の薔薇の巫女と、神竜ゾハールが与えし五人の守護者の物語。
 日々を通じて紡がれる主従の絆。
 五人は主と仰いだ巫女を、引いては世界を守ろうとした。
 たとえ、自らの創造主に弓を引く立場になろうとも。
 守護者は一騎当千の武者であった。
 しかし、この地上には神竜を滅ぼせる武器が無かった。
589ガーベラと薔薇の武具 19:2008/05/03(土) 23:51:20 ID:ZkH0HGJ7

 闇に消える五人の守護者の存在。
 巫女は五人の真意と世界を望む神竜の邪心に気づき、復讐の計画を決意する。
 新たに巫女へ与えられる『六番目の』守護者ガーベラ。
 実直な彼女には秘密にしながら、巫女は魔族とエルダナーンの協力を取り付ける。
 数年かけて誕生する薔薇の武具。
 だが、神竜と戦う前に、巫女は滅びを迎えることになる。
 身にまとった薔薇の武具により、強力すぎる力で生命を落とす巫女。
 五人の守護者と同様、ガーベラは初めてのを主を守ることが出来なかった……

「……考えれば当然ですね。私も武具で生命を失った巫女の話は知っていたのに。
 そう、確かに過去に一度、武具は力を解放していたんだったわ……」

 ノイエの言葉に頷いて、ガーベラが言葉を続ける。
 五つの武具を身に着けると、巫女は自動的に第六の武具と化してしまう。
 一旦、武具化してしまえば解除は不可能になり、その後は確実に死を迎える。
 その死には、あらゆる秘術や魔法具を用いても蘇生することが出来ない。
 その為の安全装置として、後に生み出されたのが『薔薇の小箱』である。
 それは歴代の巫女と子孫に継がれ、やがて最後の継承者ノエルの手に渡った。

「ならば、あの娘にも事情を話しましょう。
 今回、薔薇の武具が関係しているのなら、あの『小箱』が役に立つかもしれません。
 それに友人であるクリスさんの危機ですもの。あの娘も助けたいと思うに違いないわ」

 食事を終えたノイエが、こうしては居られないと立ち上がる。
 時間を確認し、夕刻まで丸々三時間もあると分かり嬉しげに両手を合わせた。

「おそらく、使いに出したギーメルの連絡が夫の元に届いている頃です。
 ガーベラ。あなたはネオ・ダイナストカバルのヴァンスター支部に顔を出してみなさい。
 私はグリーンフィールド家へ行き、娘を呼んできます。折角ですから、グリーンフィールド
夫妻にもご挨拶をしておきましょう」
「分かりました。では、お互い用事を終えたら、神殿の前で合流することにしましょう」


              ※


 ネオ・ダイナストカバルの前身である秘密結社ダイナストカバルは、神聖ヴァンスター帝国
を中心に活動し、その勢力は広く東方世界まで広がっていると噂されていた。
 それを裏付けるように帝国には、組織の大きな支部が存在している。
 なぜ帝国の支部が栄えているのか?
 それは一説によれば、帝国の有するヴァン山脈には鉄や銅・銀、ミスリルやオリハルコンと
いった鉱石が産出され、また魔獣や竜を始めとする危険な生物が生息する山野や遺跡が多く、
貴金属と共に珍しいドロップ品が手に入ることから、帝国の軍事背景にもあるように錬金術の
研究に向いている為である。
 ダイナストカバルと錬金術。
 この接点にお気づきであろうか?
 大首領と並び、組織にとっての重要人物。
 組織の人造人間たちの生みの親、ドクトル=セプターの研究所が此処に存在するのである。
590ガーベラと薔薇の武具 20:2008/05/03(土) 23:53:06 ID:ZkH0HGJ7

 帝国の外れにある組織の地下アジト。
 ノイエの指示に従い、街中で組織の一人と接触をしたガーベラは誘導されて、この隠れ砦に
足を踏み入れていた。
 覆面で顔を隠した戦闘員や異形の怪人が行き交い、何やら微妙に慌しい雰囲気である。
 複数の部屋の前で小列を成し、呼ばれた者が次々と出入りを繰り返す。
 案内役にしばし待つように言われ、近くの長椅子の一つに腰を下ろす。
 すると、通りがかった一人がガーベラに声を掛けた。
「何故、お前が此処にいる?」
「……丁度良かった。顔見知りが欲しかった所です」
 真っ白い無地の貫頭衣を着たレントに微笑むガーベラ。
 冷静にレントが手にしていた用紙を見せる。
 記入されている細々とした数字と、ドクトル=セプターの署名。
 赤貧ではあるが、福利厚生のしっかりとしたネオ・ダイナストカバルでは、年に一度の健康
診断に当たる人造人間のメンテナンス・チェックが此処で行われていたのである。

 ガーベラが手短に事情を話すと、レントはこのまま同行して協力すると申し出た。
 結婚式で相談していた通り彼は組織に伝わる情報を注意し、非常時の折には直ちに動けるよ
う事前に大首領へ申請していたのである。
 戻ってきた案内役に自分が引き継ぐ旨を伝えると、レントはガーベラに対し改めて事態の詳
しい説明を聞き及んだ。
「お前は運が良い。その邪剣に関してだが、人造生物であるのなら、錬金術も大いに関係して
いる可能性が高い。
 ユージン殿に情報を尋ねると同時に、ドクトルにもお話を伺うべきだ。もしかすると、あの
御方なら何かご存知かもしれない」
「成る程、その発想は思いつきませんでした。さすがは魔術師ですね」
「いや、これはわたし自身が人造人間だから頭に浮かんだに過ぎない」
 ガーベラの感嘆をレントは冷静にあしらう。
 思えば彼女がノエルたちのパーティに三度破れた敗因の一つは、魔術師という優秀な司令塔
の存在であり、神竜ゾハール戦で共に肩を並べた際には改めて感心したものだ。
 クリス救出を目指すガーベラには、レントの助力は大変心強かった。

「さすがにドクトルも本日は多忙だ。明日にでもユージン殿を含め、お話を伺えるように手配
はしておこう」
「どうか、よろしくお願いします」
「では、わたしは着替えてくるので……」
「いいえ、そのままで。神殿へ行くのにダイナストカバルの紋章の入った服では困ります。
 その真っ白な格好だと、むしろ都合が良いくらいです」

 背を向けようとした魔術師の動きが固まり、ギギギと軋む音がしそうなぎこちなさで、首が
ガーベラへと振り返った。
 冷静で無表情な顔には、微妙に嫌そうな意思が揺らめいて見える。
「……この格好でだと?」
「あら、神官服の方が宜しいですか?」
「……………………」
 不承ではあるが、レントが従ったのは言うまでも無い。
 幹部を通してセプター博士とユージンを交えた会談の約束を取り付けると、ガーベラはレン
トを伴って神殿へと向かった。


              ※


 辺りは夕刻となり、市街は茜色から夜へと染まりつつある。
 予定通り神殿の前で、ガーベラはノイエと合流を果たした。
 首尾よく進んだガーベラと違い、ノイエの方は外出中の娘と行き違いになったらしい。
 グリーンフィールド夫妻に伝言を頼んだとノイエは残念そうに語った。
「ご機嫌麗しく存じ上げます、奥方さま」
「あらあら、そう畏まらずとも……」
 レントの挨拶にノイエがニッコリと微笑む。
591ガーベラと薔薇の武具 21:2008/05/03(土) 23:54:04 ID:ZkH0HGJ7
 今度はガーベラが自分の経緯を話し、明日には邪剣に対しての情報が得られるかもしれない
ことを伝えた。
「では、あとはゴウラ様のお話ですね」
 王宮がどう関わるかで、クリス救出の対応も変化してくる。
 三人は意を決し、神殿の門をくぐった。
 守衛の神官に尋ねると、ゴウラは先ほど王宮から戻ったばかりだという。
 事前に話を通しておいたこともあり、三人はすんなりとゴウラの元へと案内された。

 現在の帝国の神殿内において、ゴウラは最も部下から信頼され絶大な人気を誇る人物だ。
 ガーベラは後から知ったのだが、クリスが彼女に求婚したキッカケはこの人の発言であり、
またクリスが放棄した聖騎士の叙任式の保留に尽力してくれた恩人でもある。
 彼女自身、騎士として剣を手を合わせたこともあり、その際の態度も相まって好感の持てる
人物だと思っている。
 互いに挨拶を交わすと、ゴウラは室内にいた副団長に人払いを兼ねて外で見張りを命じた。
 義に厚く曲がったことは嫌いな人柄に相応しく、彼は本題をストレートに切り出す。
「済まぬが奥方よ。神殿は場合によっては、クリスを救出せずに遺跡から撤退する状況になる
やもしれん」
 ゴウラが滲ませた感情が怒りでなければ、ガーベラの方が激昂していたかもしれない。
 却って感情が削がれ、ガーベラは冷静に尋ねた。
「どういうことです?」
「何処から話を聞きつけたのか、ある貴族の横槍が入った。困ったことに、この貴族は皇族に
連なる者でな……」
 皇帝ゼダンが魔法の武具を集めているのは衆知の事実である。
 故にその貴族は皇帝の歓心を買うべく、独自に邪剣を手に入れようとしているのだという。
 邪剣の実態を知ることなく、あやふやな情報に食い付いたのだろう。
 もし魔剣であったならば、貴族が知るよりも先に皇帝のエージェントが情報を入手し、既に
獲得へと動いているに違いない。
 そもそも神殿へ遺跡の調査を命じたのが皇帝陛下ご自身なのだ。
 つまりこの貴族の行為は皇帝の諜報能力を軽視し、勅命を蔑ろにしているという二重の失態
を犯しているのである。

「ならばその貴族の愚行、皇帝陛下が止められるのではないでしょうか?」
「いいえ、ノイエ様。皇帝は分かったとしても止めないでしょう」

 レントが分かり易く説明してみせる。
 皇帝ゼダンは出自を問わず有能な者を取り立てる方針を取っている。
 逆に無能であるということは、帝国では地位に関係なく失脚の理由に成り得るのだ。
 本末転倒ではあるが、実力に自信がないからこそ、その貴族は邪剣を求めたのかもしれない。
 おそらく、ゼダンが貴族を切り捨てるのは全てが終わった後に違いない。
 その無能な行為に加担した者が居れば、連座で排除できる口実になるからだ。
 また失脚させなくても、警告として使う方法もある。
 失点を挽回しようとその者は奮起せざるを得なく、そのまま腐るようであれば今度こそ排除
した方が帝国の益に繋がるというものだ。

「そういう意味では、神殿もまた失態の挽回を与えられた立場でしょう」
「その男の言う通りだろうな」
 レントの容赦ない言葉にゴウラが苦笑する。
「だが、正面切って皇族の貴族に喧嘩を売る訳にもいかん。他の貴族の反感を買っては、神殿
としても今後がやり難くなる」
 『正義』のためなら、それも構わんがとゴウラが付け加えた。
 彼がクリスを救いたいのは疑いも無い。
 しかし、クリス一人と神殿全体を天秤にかけるならば、ゴウラは上の人間として組織を取る
に違いない。
 万に一つ、ゴウラが立場を放棄するとしたら、彼が神殿を離れ一人で動く時であろう。
 かつて旧情報部十三班も一目を置いた神殿騎士は、そんな真っ直ぐで豪胆な男である。
592ガーベラと薔薇の武具 22:2008/05/03(土) 23:55:35 ID:ZkH0HGJ7

「だから俺はその貴族と交渉し、調査隊が残した神殿の『備品』を引き上げる時間を許可して
貰うつもりだ。民草の寄付で得たものであるからな。決して粗末には出来ん」

 戦争など逃走で兵糧や資材を置き去りにしない限り、備品は撤退時に引き上げるのが習いで
ある。ゴウラの奇妙な物言いにガーベラが微笑んだ。
「その『備品』の引き上げを、あたしがしても構いませんか?」
 ゴウラが我が意を得たりとニヤリと笑う。
 二人のやり取りにレントが口を挟んだ。
「ならば、神殿の『備品』を狙って『ネオ・ダイナストカバル』が動くやも知れない。
 当然この婦人に『護衛』は許されるだろうな?」
「勿論だ。そうだな、『ネオ・ダイナストカバル』が動いた時には、賊を追って『神殿』が
遺跡に飛び込むこともあるだろうな」
「まぁ、それは大変ですわね」

 ゴウラの後をワザとらしい口調でノイエが引き取り、三人が一斉に笑いを上げる。
 一人ガーベラは、聖騎士を前にして悪の秘密結社の一員であることを隠そうとしないレント
の物言いに冷や冷やとしていた。
 むしろゴウラだからこそ、豪胆なレントの振る舞いを笑って済ませたのであろう。
 トランとの死闘の後、地域住民に優しい組織の実情を知って、ゴウラ自身は悪い感情を抱い
ていないのは誰も知らない話である。
 ひとしきり笑った後、顔を引き締めてゴウラがガーベラに尋ねた。

「では、奥方。例のイビルソードとやらが渡してきた品で交渉して貰えるか?」
「この場でですか?」
「いや、地下の鍛錬所に移るとしよう。あそこならば何が起こっても問題ない」


              ※


 当初の予定では、集まっていたのは神官畑の人間と戦士の面子である。
 ここに魔術師レントが同行していたのは僥倖であったのかもしれない。
「始める前に少し見せて貰いたい」
 邪剣がクリスから吸った血と魔力で作り出したという、宝石のような紅い通信球。
 ガーベラから受け取り、レントがランプの光にかざし調べる。
「これを持ち帰った騎士の話では、相手は身の宝珠により創造主からイビルアイとも呼ばれて
いたとあったな? おそらくこの石は結晶化した『魔眼』に近い」
 魔法の武具の中に『魔眼の兜』なる品がある。魔族が持つ瞳を加工して結晶化し、兜に埋め
込んだものだ。
 魔眼の感覚は生きており、装備者は自身の視野と魔眼の視覚を共有させることができる。
 その実例を挙げて、レントが推測を述べた。

「この石は今眠って瞳を“閉じた”状態だが、ガーベラが血を与えれば目覚めるのだろう。
 通信球という話だが、声だけでなく視覚をやり取りする可能性もある。これを造った相手と
血を与えたガーベラが複製の眼である石を仲介に視野を共有する状態だ。
 相手はガーベラが見ているものを、逆にガーベラは相手が目にしたものを視る。おそらくは
これでクリスの安否を証明するつもりなのだろう」
593ガーベラと薔薇の武具 23:2008/05/03(土) 23:57:05 ID:ZkH0HGJ7
「相手は意外と義理堅いのですね」
 ガーベラが皮肉めいて述べると、レントが頭を振った。
「それだけではないだろう。お前の目を通して、相手も外界の情報を得る利益がある。場合に
よってはこちら陣営の様子が分かり、また人質の安否を見せることでお前に揺さぶりを与える
ことができる」
「……そうですね」
 頭で分かっていてもクリスの無事な姿を確認すれば、僅かでも気が緩むのは避けられない。
 加えて人質を盾に要求を出されたら、ガーベラに拒否の選択肢は消滅する。
 たとえ自身の生命と引き換えでも、クリスが助かるのならば彼女は笑って受け入れかねない。

「ならば殺風景なここを場所に選んだのは良かったな。あとは俺たちが奥方の目に触れぬよう
に注意し、声を押し殺すだけだ」
 レントの指摘に黙り込んだガーベラに代わり、ゴウラが前向きな意見を吐いた。
 ガーベラを労わるようにノイエもまた続く。
「今は手の届かないことを考えても仕方がありません。悩むのは対峙した後でも遅くはない。
 だから、始めましょう。貴女の夫を救う一歩を」
「……はい」
 レントの分析した視野のやり取りを考えて、ガーベラ以外の者は彼女の背後に位置した。
 簡易な台に紅石を置き、ガーベラ一人が向き合う。
 彼女が目にするものは台上の石と、その向こうにある壁や鍛錬の道具である。
 三人が自分の視界に入らないことをもう一度確認し、ガーベラは鞘から剣を抜いて刃先に指
を当て台上に掲げた。
 浅く切った傷口に血が滲み、珠となって台の石へと落下する。
 血を吸って淡い紅光を放ち始めた石をガーベラが握り締めた途端、ここには居ない存在の声
が鍛錬場に響き渡った。

<……待ちわびたぞ、薔薇の巫女の守護者よ>
「我が名はガーベラ。お前がイビルソードか?」
<いかにも>
 レントの予測どおり、石を通してガーベラの感覚に相手の視野が重なる。
 薄暗い周囲の中で、面々と続く遺跡の石畳と壁。
 彼女は右目と左目で異なる景色を見るような状態を想像していたのだが、実際は視界の中に
別枠で窓のような長方形が生まれ、そこが姿見のように像を映し出すという感覚であった。
「先ずは人質の安否を確認したい」
<承知した>
 窓に飛び込んでくる、紐に絡められた意識のないクリスの姿。
 呼吸する胸の上下で生きていることが分かり、ガーベラが安堵のため息を洩らす。
「確認した。感謝する」
<では、改めて我が要求を伝える。薔薇の武具の一つ、カラドボルグを携えし汝との立ち合い
を所望する>
 鍛錬所の片隅にある、練習用の刃を潰し綿を巻いた剣を見つめながらガーベラが答えた。
 できれば、謎のひとつはここで解消しておきたい。
「創造主の命に従い、カラドボルグと優劣を望むお前の要求は理解できる。だが、なぜ使い手
としてわたしに拘るのだ?」
<汝が薔薇の巫女の守護騎士だからだ>
「それでは答えになっていない。わたしは武具の所有者ではないのだから、他の剣士でも良い
はずだ。お前は何を隠している?」
594ガーベラと薔薇の武具 24:2008/05/03(土) 23:59:12 ID:ZkH0HGJ7
 押し黙るイビルソード。
 ガーベラはクリスの姿を見続けることで辛抱強く待つ。
 しばらくして、ようやく相手が口を開いた。
<ならば騎士として、汝に一つ誓って貰おう。今から我が話すことを聞いて、立ち合いを止め
ぬという誓約を。破れば人質の生命を……>
「――そんなことしてみろ」
 声の温度を冷たく落としてガーベラが遮る。

「あたしは真っ先にカラドボルグをこの世から消滅させ、お前の望みを絶った後、必ずお前も
魔剣の後を追わせてやる。
 何年かかろうと、何を犠牲にしようと、あたしが持つ全ての力と時間を使ってだ。
 それこそ騎士の銘に誓って、絶対にな!」

 これではどちらが脅しているか分からない。
 滅多に激昂を見せないガーベラの底冷えするよな宣誓に、背後で控えていた三人が思わず声
を出しかけて思い止まる。
 ノイエがガーベラの背中に手を添えて、落ち着かせるように無言の温もりを与えた。
 白い手に怒りの熱さと震えが伝わる。

<……そうか。それ程までに汝にとってこの男は大事か?>
「お前が魔剣を超えることを誕生の理由としているのと同じくらい、今のあたしにとってその
人は生きている理由に足る存在だ。奪うことなど許さぬ」
<理解した。丁重に扱うとしよう>
「ならば、あたしも誓おう。我が背の君の命に賭けて、立ち合いは行うと」

 幾分か落ち着きを取り戻し、ガーベラが宣誓を唱えた。
 激情の余り口調が騎士としての「わたし」から平素の「あたし」に戻っていたが、取り繕う
ことは諦め、このまま続けることにする。

<これは魔剣カラドボルグと我を造りし“悲願の砂鉄”アウルより伝え聞きし闇の秘話。
 神竜ゾハールが薔薇の巫女に与えし、五人の守護騎士は存じていような?>
「知っている。あたしは五人の後に生み出された、六番目の守護者だ」
<神竜の秘めた邪心に気づいた五騎士は、主であった当代の巫女の住まう世界を守ろうとし、
自らの創造主に命懸けの戦いを挑んだ。
 しかし神にも等しい神竜を傷つけることあたわず、五人は敗れ死を迎えた。
 その後、巫女自身が真実に気づき、数年をかけて地上の如何なる物も傷つけぬ神竜を害する
武具を誕生させる計画を起こす。
 巫女は魔族と一部のエルダナーンの協力を取り付け、薔薇の武具を誕生させた。
 皮肉にも神竜に刃を向けることなく、巫女はまとった武具の強力な力で命を落とすのだが、
ここで汝はおかしいと思わぬか?>
「何が言いたい?」
<地上の武器・魔術にも傷つかぬ古代竜の王を、地上の者が生み出した薔薇の武具が害せるの
か不思議に思わぬか?
 薔薇の武具は、神々の造った神具、邪神の使用した邪神具とは違う。
 また古代の民エルダが魔法と機械を融合させた魔導具や、ネヴァーフやエルダナーンが魔法
と錬金術で生み出す神聖具や魔法具とも威力で大きく異なる>

 イビルソードに言われてガーベラは愕然とする。
 彼女にとっては身近な存在であった為に深く考えたこともなかった。
 粛清の命を帯びた古代竜の王を無力化し、無限の生命力を絶命させる力を備えた武具。
 高位の魔族が手を貸したとしても、尋常ではない破壊力と云えよう。
「お前は……何を知っている?」
 得体の知れぬ恐怖に駆られて、ガーベラが声を搾り出した。
 無機質な響きでイビルソードが答える。
595ガーベラと薔薇の武具 25:2008/05/04(日) 00:00:45 ID:ZkH0HGJ7

<神竜ゾハールの生命力と再生力、四重に巡らされた完全防御の結界を前にし、我が創造主を
含む魔族やエルダナーンは考えたのだ。
 おとぎ話の武器職人が、竜の爪牙や鱗を用いて竜退治の武具を造り出したように、神竜を傷
つけるモノもまた、神竜が生み出したモノから造り出せば良い。
 第六の武具が薔薇の巫女そのものからなる様に、他の“五つ”の武具もまた―――」

 その場に居合わせた者たち全てが息を呑んだ。
 ガーベラは蒼白になり、ノイエは生理的な嫌悪感に口を押さえた。
 豪胆なゴウラと冷静なレントも額に汗を浮かべている。

<魔族の御業らしいであろう? 神竜が生み、死を与えた“五人”の守護騎士たち。その墓を
暴き、骸の血肉と骨を使い鍛え上げた成れの果てが“五つ”の薔薇の武具よ。
 武具たちが薔薇の刻印に従うのも当然だ。
 かつて自分たちが守護した主の血脈に、死してなお忠義を果たしているのだからな……>

 話に目眩を覚え、ガーベラが台に手を着いた。
 血の気が引いて指先までが冷たく、息苦しさと吐き気を必死に耐える。

「その話が仮に真実だとして、お前とあたしに何の関係がある?」
<我が創造主より与えられし使命は、カラドボルグを超える剣である証を立てること。
 カラドボルグを破り、その銘を我がものとすることにある>

 邪剣の真意にいち早く気づいたのだろう。
 レントが小さな舌打ちを立てた。
 怪訝に彼を見やるゴウラとノイエの耳に、イビルソードの望みが流れ込む。

<我が身体の核である宝珠は、刀身が吸った敵の血や魔力を蓄え力と成す。
 ゆえにカラドボルグを携えし汝と戦い、我が勝利した暁には汝の身を頂く。
 古代竜の生みし守護騎士である汝の血肉を喰らうことで他の武具に並び、名実ともに薔薇の
武具の剣の座を得ることこそが我が宿願に他ならない>

 相手がガーベラに固執した理由が判明し、その邪悪さに場の空気が凍りついた。
 ただ一人を除いて。

「……それを聞いて安心した」
<なに?>
「貴様がその人に興味が無く、あたしが目的だと分かったから。お前の望みが叶うには、カラ
ドボルグとあたし、どちらが欠けても永遠に果たせなくなる。
 それにお前の望みが叶うには、それに立ち合い見届けた生き証人が必要だ。騙し討ちや偽り
でない最強の証明には、第三者の存在が不可欠だから。
 あたしはお前に敗れた後は生きていないから該当しない。ならば、あたしが一人でお前の元
に行けば、必然的に人質を生き証人にせざる得なくなる。
 だからお前はもう、その人に危害を与えることができない。彼が生きていなければ証は不確
かなものになってしまうのだから」
596ガーベラと薔薇の武具 26:2008/05/04(日) 00:01:52 ID:ZkH0HGJ7

 彼女の発言に背後の三人が成る程と頷く。
 最悪の場合、ガーベラが敗れた後はクリスの価値はなく、殺害されても不思議はない。
 しかしガーベラは指摘することで、自分の死後もクリスの身柄が安全となるよう仕向けた。
 戦う前から彼女は夫の身を護って見せたのである。

<我も理解した。勝敗に関係なく、汝の背の君の安全は誓おう>
「あたしが敗れた後、あの人は仇としてお前を狙うかもしれない。できれば、その戦いも避け
て欲しい」
<それは難しいな>
「勝者は立ち合いに破れた者の願いは聞くものだ。もっとも、あたしは負けるつもりはない」
<そうか……>
 お互いに沈黙が生まれる。
 窓が映す夫を眼に焼き付けると、ガーベラは吹っ切るように邪剣へと告げた。

「それでは、日取りを決めよう。あたしはカラドボルグを入手する時間と、そちらの遺跡に向
かう日数がかかる。合わせて最低五日は必要だ」
<心得た。では、立ち合いは六日後に。我はその間、掃除をしておこう>
「掃除?」
<この遺跡には魔物が多数いる。汝が我の元へ向かう障害になり、また立ち合いに水を差され
る場合もありえよう>
「念を押しておくが、その人に危害が及ばぬ範囲で頼む。目を離した隙に魔物がさらったとか
不手際が起こっては困る」
<勿論だ。では、六日後に……>
「それでは」

 こうしてイビルソードとの交渉は終わった。
 役目を果たし光を失った石を、ガーベラが剣で割り背後を振り返る。

「俺は貴族との交渉だな。六日の時間は稼ぐよう努力しよう」
「ユージン殿とドクトルからの情報収集はわたしが。わたし自身、他にも調べてみよう」
「貴女はカラドボルグを。その間の連絡や準備は私がしておきます。あと夫に助力も……」

 三人の申し出に、ガーベラは頭を下げた。
「どうか、よろしくお願いします」
 頭を上げると彼女は後をノイエに任せ、足早に神殿から飛び出した。
 ガーベラがノイエたちと対峙した魔鎧ウィガールを封印していた聖地を始め、幾つかの武具
が眠っていた旧き神殿や遺跡は崩壊し失われているが、幸い魔剣カラドボルグが封印されてい
た場所は健在で、ここからも近い神聖ヴァンスター帝国の領内にある。
 “天空の街”郊外に出ると彼女は《エンハンスブレス》を唱え、剣に竜の吐息を宿した。
 それは《エンハンスブレス》効果中のみ使用できるスキル《エイルフォーム》を発動させる
為である。
 天空を駆ける《エイルフォーム》ならば、ノエルたちが徒歩で三日をかけた魔剣の遺跡まで
の行程も、一直線に目指すことで一日強の日数で済む。
 強行軍ではあるが、遺跡踏破の時間を入れて往復で三日の計算だ。
 古代竜の加護を受けて宙に浮遊すると、ガーベラは天翼族のごとく飛翔を開始した。
 輝きを宿した剣が空に軌跡を描く。
 やがて光の線は深い森を越え、岩肌を覗かせる山脈の中腹へと消えていった。
597588:2008/05/04(日) 00:06:57 ID:eK9Jy0sK

 ……以上、前回から書き上げた続きでした。
 今回はここまでです。
 ちょっと中書きを。
 投稿の役得として語らせて下さい。

 正直に言うと前作「クリスと翡翠の騎士」の続きを書く予定はありませんでした。
 前作の後に発売された「ノエルと白馬の王子+1」のあとがき座談会で、きくたけさんが
明かしたガーベラ隠し設定「五人の守護騎士」。
 そんなの知る由もありませんから、前作ではガーベラを単騎の孤独な騎士とした訳です。

 それで辻褄合わせを考えて浮かんだのが今回の設定。
 この設定を絡めて、ボス候補として血肉を糧とし、ガーベラとの一騎打ちに相応しい強敵
として挙がったのがネームドモンスターのイビルソードでした。
 このエネミーのデータがパズルの如く活きて、物語設定やラストバトルを盛り上げます。
 本気でこのエネミーの存在に感謝した程です。

 さて、今回でミドルシーンの半分までが終了。
 この後はイビルソードの創造主にまつわる情報と決戦前夜、そしてクライマックス。
 そしてエンディングのHパートになります。
 今回ぐらいの文章量で、あと3、4回の投稿で物語が終わる予定です。
 長くなりますが、どうか最後までお付き合い下さい。
598名無しさん@ピンキー:2008/05/04(日) 00:35:08 ID:DBW1/Cb7
>588-597
元ネタの活かし方、各キャラの動かし方が本当にうまいなぁ。
続きを楽しみに待ちます。

エンディングパートでのラブラブなえちぃシーンも今から楽しみですわい。
599名無しさん@ピンキー:2008/05/04(日) 02:08:38 ID:cJSrvfca
いつも驚かされるのは、まさにこの構成力なんですよね・・・(嘆息)。
原作の素材を生かし切るのって、二次創作の肝であり醍醐味だと私などは思うんです。
そういう意味では本当に理想的だし、正直羨ましいなぁ、と。
また、ラストへ向けて続きがどういう展開になるんだろう、って緊張させられるのも嬉しい驚きで。
続き待ってます!
いくらでもお付き合いさせてもらいますんで!
600名無しさん@ピンキー:2008/05/05(月) 08:45:50 ID:jdHXq6vE
リード&リード2号は、エロかった。
特に六門。
カミュさんが胸に金貨の入った袋を押し付けているイラストとパンチライラスト。
誰か・・・・・・誰かSSを頼む。
601名無しさん@ピンキー:2008/05/05(月) 15:31:31 ID:LdsbLK0I
六門のイラストはエロかったよなー。
602名無しさん@ピンキー:2008/05/05(月) 15:54:25 ID:+m1zF8Ll
くそう、L&L2号近所で買い逃がしたからamazonで
R&R44号と一緒に買おうとしている自分は負け組みか…っ!

つか、1号でも六門のイラストはエロかったな。パンチラ二つとか乳とか。
603名無しさん@ピンキー:2008/05/08(木) 03:34:33 ID:XdDnqCYA
女子ウィザード達が一堂に会し、柊について語る座談会とか…
数人程墓穴掘ったりして盛り上がりそうだ
604名無しさん@ピンキー:2008/05/08(木) 16:38:03 ID:cOPhnDHd
>>601
> 六門のイラストはエロかったよなー。

本文いらんよな。
605柊蓮司攻略作戦 !:2008/05/11(日) 03:24:26 ID:lvsDJ29X
 妄想は、加速する。
(なにかのキャッチコピー風に)

 というわけで新作構想&執筆またまた開始してます、私。
 これだけ書くことが浮かんでくるということは、もしかしたら死期が近いのか ? 私。
 面白くない冗談はさておき、作品内容以下の通りです。

登場キャラ : 前にも書きましたがベル様メイン。他『蓮×くれ』の(ほぼ)みんな。
時間軸 : 拙作「蓮×くれはリターン ! 」直後、後日談(?)
作品傾向 : エロ成分は少なめなのでごめんなさいね。
注意事項 : CDドラマのキャラ性能に準じたベル様なので、アニメや小説のカッコいい 
ベル様は期待しないでください。私の妄想を注ぎ込んだ激アマでポンコツなベル様な
ので。あと、今回はベル様メインを心がけたので、柊×くれは成分は少ないかも。あし
からず。
 ではでは。
606柊蓮司攻略作戦 !:2008/05/11(日) 03:25:01 ID:lvsDJ29X
 童話の中に出てくる悪の女王が嫌い。
 性悪で嫉妬深くて、自分よりも美しい白雪姫を亡き者にしようとする悪の女王。
 あの手この手を尽くすのはいいけれど、結局打つ手はどれも失敗ばかりで。
 物語の最後は結局、美しく可憐な世間知らずの白雪姫が、さあ、親の総取りよ、と
言わんばかりに幸せを丸ごと独り占め。
 ・・・馬ッ鹿みたい。
 そもそも、魔法の鏡の言うことを鵜呑みにして、自分が白雪姫より劣るなんて思うの
が愚かなのよ。それはつまり自分に自信のないことの裏返し。
 もし、私が女王の立場なら、
「あら白雪姫、今日も貴女は美しいわね」
 って余裕綽々で言ってやるのに。逆に、白雪姫を私に嫉妬させるくらいの器量がなく
てどうするのよ、って思うんだけど。
 ねえ、リオン。そうは思わない ?

「・・・さあ。わたしは」
 煮え切らない口調の生返事。ま、いつものことだし、もう気にならなくなったけど。
 もともとがこういう喋り方なんだからいまさらつべこべ言うつもりはないわ。
「ま、いいわ。それより、ねえ、リオン ? さっき私が言った新しいゲームのことなんだけ
ど。閃いちゃったのよね。ほんと、ついさっき」
 普通に考えると、すごく馬鹿げた思いつき。でも、よくよく考えてみると、ゲーム性も
十分あって、私にとっても新しい挑戦で、うまくすればあの憎たらしい柊蓮司をへこま
せてやれるスリリングなゲーム。
「・・・ついさっき、ですか ? 」
 眉なんか顰めちゃって、リオンってば。あ、どうせ思いつきの適当な計画だから失敗
するはずだって言いたいのね ? お生憎様。いくら計画性ゼロの思いつきの計画でも、
ううん、むしろそういう計画だからこそ、私にさえ先行きも結末も見当がつかなくて、最
高にスリリングなんだってこと、彼女には分からないのかもしれないわね ?
「ええ、そうよ。私、決めたの」
 まるで歌うように楽しげに、私は言葉を続ける。
「柊蓮司を篭絡させてやろうかな・・・・・・って」
 ああ、なんて馬鹿馬鹿しい思いつき。でも、ゲームとかギャンブルって馬鹿馬鹿しい
ものだし、馬鹿馬鹿しいほど単純でシンプルで、とにかく面白いってこと、私にはよーく
分かっちゃってるんですもの。
607柊蓮司攻略作戦 !:2008/05/11(日) 03:26:12 ID:lvsDJ29X
「篭絡ですか・・・それは『肯定するもの』が失敗した類の作戦ですよ・・・ ? それなのに
どうして・・・ ? 」
 心底不思議そうに・・・って、無表情なもんだからちょっと分かりづらいけど、確かに
リオンの頭の上に ? マークがいくつも浮かんでいるのが、私には良く見える。
 ま、そりゃそーよね、普通に考えて。
 エミュレイター『肯定するもの』が、柊蓮司を堕落させようとした手管は、ある意味色
仕掛けってやつで。似たり寄ったりの手で攻めたところで、それが成功するとは思えな
いのは仕方ないかもね。
 ・・・実は。正直、私もそう思わないわけでもないんだけど・・・。
 でも、しょうがないじゃない ? 思いついちゃったんだもの。
 エミュレイターの創り上げた偽の赤羽くれはは失敗したけれど、もし私だったら。
 裏界にその名を轟かす偉大なる蠅の女王、この私、ベール=ゼファーだったらどうか
しら、って・・・。
「う、うるさいわね。この私がじきじきに作戦を動かすのよ。柊蓮司だって、ただじゃ済
まさないわ ! 見てらっしゃい、リオン。日頃の研究の成果、見せてあげるんだから ! 」
「・・・研究・・・ ? 」
 私の言葉を聞きとがめて、リオンが小首を傾げる。
「こ、こっちの話よ・・・」
 な、なんてこと。この大魔王たる私に、しどろもどろなんて似合わないわ・・・。
 なんからしくないけど、つい誤魔化すように、愛用の魔法のコンパクトを開く。視線を
合わせない様にコンパクトの映像に目をやると・・・・・・早速見つけちゃったわ。
《はわわ、ひーらぎ、学校卒業しても相変わらずだね〜。逃げても無駄だと思うよ〜》
 ・・・いた。画面の中に、能天気な巫女服姿の白雪姫。

《アァァァァンゼロットォォォォっ !! てめえ、いい加減に・・・どわあぁぁぁぁぁっ !? 》
 ・・・さしずめ、白雪姫と結ばれる王子様ってとこかしら。

《柊さぁぁぁん ? いい加減に学習してくださいね〜 ? 逃がすと思いますか〜 ? 》
 ・・・どっちかっていうと、貴女の方が悪の女王じゃないの・・・ ?

 しばらく滑稽な寸劇を堪能してからコンパクトを閉じる。
 今回ばかりは予測も勝算もない、本当に行き当たりばったりの勝負。
 でも確信してるの。
「・・・だからこそ、このゲームは面白くなる、って・・・」
 さあ、待ってなさい、柊蓮司。
 この大魔王ベール=ゼファーが直々に、貴方に引導を渡してあげるんだから !!
608柊蓮司攻略作戦 !:2008/05/11(日) 03:27:23 ID:lvsDJ29X
※※※

 秋葉原の街が、ある意味“なんでもあり”だと世間に認知され始めたとはいえ、さす
がに『これはいくらなんでもないだろう』と、受け入れてもらえないものもいくつかは
存在する。
 例えばそのうちの一つが、一人の学生風の若者を追いかけて、歩行者天国を低空
飛行で自在に飛び回る『スピットファイアMKT』であり、また、逃げる若者と並走して
走るリムジンの後部座席から、スピーカーマイク片手に彼に声援(?)を送る銀髪の美
少女なのである。
 逃げ回る若者の名を柊蓮司。
 人間の世界に侵攻を企む謎の存在『エミュレイター』と、日夜熾烈な戦いを繰り広げ
る夜闇の魔法使いであり、この世界を滅亡や崩壊の危機から幾度となく救ってきた、
現代の英雄・歴戦の魔剣使い・・・・・・のはずなのだが、その面影はまるで感じられな
い。
 なるべく遠くへ逃げようと、限界ぎりぎりの大股開きで走る姿を形容するならば、そ
れはおそらく「死に物狂い」という表現が最も似つかわしい。
 加えて、脂汗にまみれた引きつった形相からは、不屈の闘志というよりもむしろ、
往生際の悪さだけが伺える。
 なんといっても、人間の足でリムジンから、挙句の果てには戦闘機から逃げようとし
ているのだから滑稽極まりなく。
 リムジンの後部座席のウィンドゥから顔を出した美少女が、実に愉快と言いたげな、
鈴を転がすような涼やかな笑いを含んだ声で、
「柊さ〜ん、これからするわたくしのお願いに、以下略ぅ〜」
 と、スピーカー越しに呼びかける。
「てめぇ、アンゼロット ! 毎度毎度のことだからってはしょるんじゃねぇ !! 」
 柊が鋭い罵声で応答するのも、二人の間ではもはや公式行事のようなもの。
「がたがた言わずに聞きやがれ、ですわ〜。今回の柊さんの任務は〜」
 聞く耳持たず、という言葉のお手本のようなアンゼロットである。
「聞かねーぞ ! 第一、何で俺なんだよ !? 任務だったら、灯とかナイトメアのおっさんと
か、いくらでもよりどりじゃねーか !? 」
「まあ、ひどい。仲間を身代わりにして自分は楽をしようという魂胆ですか〜。そんない
けないことを言う柊さんには、ちょっとお仕置きが必要ですね〜」
 ぱちん、とアンゼロットが指を鳴らす。柊を追い越し、また遥か彼方上空で見事な旋
回を披露したスピットファイアが、轟音をあげながら急接近。
 全力疾走からの急ブレーキをかけ、柊の足がアスファルトの地面の上をスリップして
からようやく立ち止まる。顔面蒼白。信じがたいものを見たような、硬直した表情。
609柊蓮司攻略作戦 !:2008/05/11(日) 03:28:23 ID:lvsDJ29X
「おい ! なんかこっち来るぞ ! アンゼロット、まさか・・・・」
「ご心配なく〜。相手がウィザードでもちゃーんと効果があるように、呪的改装を施した
二十ミリ機関砲と七・七ミリ機関砲をキチンと搭載していますから〜」
 律儀に柊の真横にリムジンを停め、アンゼロットが天使のような微笑を浮かべる。
 ただし、言ってる言葉の内容は悪魔ですらもここまでは、と思えるものだ。
「なーにが『キチンと』だ ! もうツッこむ気力もおきねーよっ ! おい、ストップ ! 街中でこ
んなことしたら後々やばいんじゃねーのか !? 」
「あらまあ、柊さん。わたくしがその点、抜かりがあると思ってるんですか〜。後で騒ぎ
にならないように、この秋葉原の街に百人の夢使いを緊急配備していますのであしか
らず〜」
「お、お前は馬鹿か ! 俺を拉致するためだけにそんな手間暇かけてどーすんだっ !? 」
 正論である。しかし、正論が常に通るとは限らないのが世の常で、少なくとも、柊と
アンゼロットの二人の間に関しては、『無理を通せば道理が引っ込む』のが通例なの
であった。
「ち、チクショウ ! 来るなら来てみやがれ、この野郎 ! 」
 虚勢を張りながら、迫り来る戦闘機になぜかボクシングのファイティングポーズ。
 悲しいかな、ここが秋葉原の街中であるという認識と、こんなところで魔剣を抜くわけ
にはいかないだろうという当たり前の常識が働いてしまい、柊に通常の戦闘行動をと
ることを許さないのであった。
 しかし無情にも、機関砲は冷徹に照準を柊に合わせる。
 迫り来る轟音。背中を伝う冷たい汗。
 スポーツ観戦をするような行楽気分でアンゼロットがその様を見物する。
 いかにも「うきうきわくわく」という擬音が聞こえてきそうな様子であった。

 そして・・・・・・。

 スピットファイアは、次の瞬間空中で爆散した。
610柊蓮司攻略作戦 !:2008/05/11(日) 03:29:18 ID:lvsDJ29X
※※※

 鮮やかな色の炎の華が上空で咲く。四方に黒煙を噴き上げながら、粉微塵になった
戦闘機が地上に鉄片を撒き散らす。
「な・・・何事ですの・・・ !? 」
 柊蓮司が後にその話を聞いて、
「滅多に見れねえ珍しいものを見逃した」  
 と、歯噛みして悔しがったというほどに、驚愕の表情を浮かべるアンゼロット。
 握り拳を構えたままで硬直する柊の耳に続いて届いたのは、
「あ〜ら、少しやりすぎちゃったかしら ? 」
 どこか嘲るような、愉しげな声。聞き慣れたくもなかったが、すっかり耳に馴染んでし
まった、あの声だった。
「ベール=ゼファー !? 」
 アンゼロットがリムジンのウィンドゥから振り仰げば、そこに居たのはまさしく裏界の
大魔王。
 薄い砂色の絹糸で織ったような、緩やかなウェーブが特徴的なくせっ毛。
 どこか猫を思わせる大きな瞳は、挑戦的で好戦的な色を帯びてきらきら光り、世界
の守護者をねめつけている。もはやトレードマークになったといっていい輝明学園の
制服にスレンダーな肢体を包み、これまた彼女のトレードマークといえるポンチョを優
雅に風になびかせていた。
「うおぉぉぉー !! アンゼロットの次はベルかよ !? 俺がいったい何をしたーッ !? 」
 金縛りから溶けた途端に我に返ると、頭を抱えて絶叫する柊蓮司である。
 軽やかなステップで一足飛びに、ベルは足音も立てずに柊のかたわらへ。むしろ寄
りそうような位置に立ち、くすりと小悪魔的な微笑を一つ。
 唖然とする柊を尻目に、眼前のリムジンに手のひらをかざす。アンゼロットが、
「急いで出しなさい !? 」
 と、運転手に叱咤を飛ばすがすでに遅く、
「ディストーション・ブラストぉっ !! 」
 どぎつい赤の魔方陣がベルのかざした手のひらと、アンゼロットの乗るリムジンの間
に展開されたと見えた瞬間。高濃縮された魔力弾の一撃が黒塗りの車体ごと、その
空間の一区画を爆風とともに吹き飛ばした。
 まるで映画かマンガのようにリムジンが横転し、ごろん、ごろん、とアスファルトの上
を五、六回転。天地をちょうど逆にしてリムジンがようやく停止すると、これまたマンガ
のように、煤と埃にまみれたアンゼロットが、ひび割れたウィンドゥの隙間からずりずり
と、匍匐前進で這い出してきた。
611柊蓮司攻略作戦 !:2008/05/11(日) 03:30:01 ID:lvsDJ29X
「・・・っけほっ、けほんっ」
 涙目のアンゼロットが咳き込みながら車から脱出してくる。
「ぶふっ」
 思わず噴き出してしまった柊が、慌てて口を押さえそっぽを向いた。ぎろり、と足元
からアンゼロットに睨まれたからである。シリアスなのかコミカルなのかイマイチ分か
らない展開だが、周囲をいつの間にか取り囲んでいたおびただしい殺気が、柊を瞬時
に臨戦態勢へと引き戻す。
 横転したリムジンの盾になるように数台の車が停車し、開かれたドアから幾人もの
ロンギヌス隊員が現れる。そのうちの一人が倒れたアンゼロットに手を貸して立ち上
がらせると、なぜか持っていた羽根ぼうきで服の埃を丁寧にはたき、加えて、乱れた
髪をブラシで再ブラッシング。
 主の薄汚れた姿を衆目にさらすわけにはいかぬ、ということであろうか。
 そして見回せば、幾重にも柊たちを取り囲むウィザードたち。構成の中心はやはり
ロンギヌス隊員であるが、ちらほらと、フリーランスのウィザードたちも混ざっているよ
うだ。
 その数、大雑把に目検討で数えただけでも、ゆうに百は下るまい。
「・・・呆れたわ、アンゼロット。他の誰か相手ならいざ知らず、この私相手にたったこれ
だけの手勢で応戦しようなんて。見えているだけで、百人 ? あちこちの路地に配置し
たのを数に入れたって、いいとこ百五十 ? 」
 くすくすと嗤うベル。そして本当に嘲るような物言い。
 一転して、鋭く世界の守護者を睨みつけ、
「無駄に百五十の屍をさらすつもりなのかしら ? 貴女、本当に指揮官としての能力に
欠けるんじゃない ? ついこの前の一件で、少しは謙虚さってやつを学んだかと思って
たけど、私の考え違いだったかしら ? 」
 舌鋒鋭く、アンゼロットを非難するベル。
 なにかにハッと気づいたように、アンゼロットが唇を噛み締める。みるみるうちに、そ
の顔色が青褪めていく。先ほどまでの天衣無縫さとおどけた調子は完全に失われ、
なにかに酷く傷つけられた、小さな少女のように小刻みに震えだす。それは、怒りか
屈辱のためか。握り締めた拳を服の袖に隠して、大魔王ベール=ゼファーをただただ
睨み返すだけで、一言半句の反論もない。
 ふふん、と鼻を鳴らしてその様を見るベルは、まるでネズミをいたぶる猫のよう。

「そこまでにしときやがれ」

 言葉と同時に、喉元に冷たい鉄の感触を感じて、一瞬ベルが硬直する。
 魔剣の刃の峰が、ぴたりとその細い首筋に、添えるように当てられた。
 瞳だけをちろりと動かして横を見る。柊蓮司が、厳しい表情で自分の首に魔剣を突
きつけていた。
612柊蓮司攻略作戦 !:2008/05/11(日) 03:31:07 ID:lvsDJ29X
「・・・心外だわ。貴方も少しは溜飲が下がったんじゃないの ? 」
「馬鹿野郎。逆に気分が悪くなったぜ。そういうのをな、イジメっつうんだよ」
 ちょっと意外、というように目を見開いて、ベルは続いて面白がるような流し目を柊に
送る。ほっそりとした指で魔剣をつい、と己の喉元から遠ざけると、
「えいっ」
 軽く、柊の足を爪先で引っ掛ける。
「どわあっ !? 」
 たったそれだけの動作で、いったいいかなる力が作用したものか。足払いをされた
具合になって、柊の長身が空中で側転した。真っ逆さまに地面に転ぶのを覚悟した
柊の鼻腔に、ふわりと甘い香り。
「しっかり、掴まってるのよ。柊蓮司」
 密着し、その身体を軽々と支えたベルが、柊を抱きかかえる。
「・・・それじゃあまたね、アンゼロット。ちょっと借りていくわ」
 言うが早いか、百人から成るウィザード部隊とアンゼロットを後に残し、十数メートル
にも及ぶ跳躍を見せるベル。
 その包囲網を易々と抜け出すと、柊蓮司の身体を抱きかかえたまま、瞬く間に走り
去ってしまう。
 唖然、という表現こそが、残された彼らにもっとも相応しいものだったであろう。
 いち早く正気を取り戻したアンゼロットが、わなわなと震えだす。主の怒りの波及を
恐れてか、ロンギヌスたちが後退り。
「・・・・・・ガッデム !! 少しは抵抗したらどうなんですの !? 柊さん !! 」 
 アスファルトの地面にあるはずのない石を蹴る動作をし、アンゼロットは二人の消え
去った方角を、いつまでもいつまでも凝視し続けていた・・・・・・。
613柊蓮司攻略作戦 !:2008/05/11(日) 03:31:51 ID:lvsDJ29X
※※※

 さっきからずうっと仏頂面で。私のことをじーっ、と疑いの眼差しで。
 わざわざそっちを見なくたって、柊蓮司がどんな様子でいるのかは、手に取るように
分かっちゃう。単純でお馬鹿だから読み易いっていうのもあるんだけれど、まあ、確か
にその気持ちも分からなくもないわね。だって、ウィザードが自分の窮地を、よりにも
よって魔王に救われたなんて。それも、裏界の実力者たる大魔王ベール=ゼファーに
よって救われただなんて、柊蓮司じゃなくても疑心暗鬼になるでしょうね。
 アンゼロットとロンギヌス部隊を置いてけぼりにして、私たちはいま、秋葉原の街を
散策中。
 連れ去った柊蓮司を降ろしてやって、
「ちょっと付き合いなさいよ、柊蓮司」
 って言ってやったら、なんか訳わからない呻り声を上げながらもしぶしぶ私の後ろを
ついてきた。喉が渇いたんで、そこらへんの自販機でジュースを買わせ(魔王が人間
にたかるな ! とかなんとか言いながらも、お金を出すところがこの男の面白いところよ
ね)、それを飲みながらぶらぶら。
「・・・おい、ベル。いい加減、なにを企んでるのか白状しやがれ」
 ついにこの状況に耐えかねたのか、無理矢理ドスを利かせた声で詰問。
 あらあら。酷い言われようだわ。
「企むってなんのこと ? アンゼロットから助けてあげたのに、お礼の一つもなしに出て
きた言葉がそれなの ? どうせまた、理不尽に拉致されるところだったんでしょう ? 」
「ぐぬ・・・」
 うふふ。図星って感じ ? ばつの悪そうな表情をしながら、
「・・・まあ、否定はしねえけどよ。で、結局のところどうなんだよ」
 ですって。私はくるりと振り向いて、
「本当はね・・・」
「・・・おう」
「・・・本当に何も企んでないのよ」
「馬鹿にしてんのかお前 !! 」
 あはっ、思ったとおりの反応をするのね、柊蓮司 !
 でも、私の言ったことは半分は本当だもの。柊蓮司が考える意味での企みはまった
くないわ。どうせ、世界の危機とかなんとか、そんなことを想定して企んでるかどうかを
訊いてるんでしょう ? でも今回は掛け値なし。世界にはこれっぽっちだって危機なんか
迫ってないわ。むしろ、危機が迫っているのは柊蓮司、貴方によ ?
614柊蓮司攻略作戦 !:2008/05/11(日) 03:32:26 ID:lvsDJ29X
「・・・本当だってば。信じなさいよ。そうね、頭の悪い柊蓮司にも分かるように言うと、
今の私は魔王をお休みしてるのよ」
「頭悪いって言うな ! っつーか、魔王を休むってどういうことだ !? 」
「だ・か・ら、文字通りの意味よ。貴方だって任務がないときとか世界の危機じゃない
ときは普通の人間でしょ ? 私だってそう。世界をどうこうしようなんて二十四時間考え
てるわけじゃないもの。だから、私がなにも企んでないときは、普通の女の子なの。
分かった ? 」
「普通の女の子、だと ? 」
「そうよ。だからこうやって息抜きに遊びに来ることだってあるわ。ちょうど、輝明学園
の制服を着ているから、秋葉原の街でも目立たず行動できるし。さっきはたまたまあ
んな場面に出くわしちゃったけど、ね ? 」  
「・・・信じていいのか、本当に」
 言葉ではそう言いながら。私のことを信じ始めているのが分かる。警戒の表情が少
し和らぎ、口調からも険しいものが取れてきたから。
(へえ・・・・・・)
 実は、ちょっと感心してるのよ。このやり取りだけだと、柊蓮司がただのお人よしって
見方をする奴もいるでしょうけど、それは大間違い。だって、そうでしょう ? 今まで私た
ちがどれほど世界の命運を賭けた命のやり取りをしてきたと思っているの ?
 普通なら私がどんなに言い繕ったって、それを信じられる理由なんてどこにもありは
しないもの。だって、私は裏界の大魔王なんだから。
 でも、柊蓮司は私の言葉を信じた。それを少なくとも嘘ではない、と見抜いたから。
 いい ? ここ大事なところよ ?
 たかが人間のウィザード風情が、この私の言葉の真偽を見抜く力と嗅覚を備えてい
るっていうことがどれほどのことなのか。つまりそれほど私たちは、戦いを通じてお互
いを理解し始めているってことなわけで。
 柊蓮司っていうのはそういう男。この私と幾度となく、本気のゲームを繰り広げるだ
けの力を持っている男。ゲームを通じて私を多少なりとも理解できる数少ない希少な
存在。私は、本気で遊べる相手にはそれなりの評価もするし、私なりの敬意だって払
うわ。だから、柊蓮司が私の言葉を信じたことで、素直に感心したって言いたいわけ。
 だからこその、
(へえ・・・・・・)
 な、訳よ。
615柊蓮司攻略作戦 !:2008/05/11(日) 03:33:15 ID:lvsDJ29X
「・・・信じてやる。お前が今のところ、世界をどうこうしようと思っていないことは、な。
じゃ、そういうことなら俺は帰るぞ。お前も暗くなる前に帰れよ」
「ちょっ、ちょっと待ちなさいよ、柊蓮司 !? 」
 さすがにこれには私も慌てたわ。大魔王に向かって、暗くなる前に帰れ、って。
 い、いやいや、それはべつにどうでもいいんだけど、ここで「はい、サヨナラ」なんてこ
とになったら、私の予定が全部狂っちゃうじゃないの !?
「なんだよ、まだなんかあるのか ? 」 
 あ、あきらかに「うるさいなこいつ」って顔したわね !? い、いくら身長差があるからっ
て、この私を腕組みなんかして見下ろしてくれちゃって !! こうなったら、ちょっと予定よ
り早いけど、柊蓮司攻略作戦開始するわ !!
「あるわよ。おおありよ。私、まだアンゼロットから助けてあげたお礼も貰ってないんだ
けれど !? 」
「ジュースおごっただろーが」
「たかが百二十円ぽっちで態度でかいわよッ !! 」
 なんだか会話が漫才じみてきたわ・・・。
「わーったわーった。それじゃ俺はどうしたらいいんだ ? 」
 な、なによこの、いかにも「手にかかる小娘に捕まっちまったな」って言いたげな態度
は・・・。あのねえ、貴方が私の考えを少しは見抜けるんだから、私なんか貴方の考え
てることなんか手に取るように丸わかりなのよ !? 少しはその無礼な態度を控えなさい
よね !?
「・・・ふー、ふー、い、いいこと ? 柊蓮司。言ったとおり、今の私は大魔王休業中で、
バカンスの真っ最中だと思いなさい」
「おう。だからどーした」
 きらーん、と私はそこで目を輝かせる。うん。たぶん、輝いてたんじゃないかなって
思う。柊蓮司、よーく覚えておきなさい。悪魔の声に応えてはいけないの。それは、
誘惑に抗うための力を放棄すること。悪魔に心を預ける準備を自分でしてしまったと
いうことなのだから。
「だ・か・ら」
 柊蓮司に歩み寄る。いつもの私たちが白刃を振りかざしあう距離よりも近く、それは
ほとんどお互いの呼吸が感じ取れる距離。吐息の音すら聞き取れる距離。
「このバカンスの間、あなたがこのファー・ジ・アースで私をエスコートするのよ。もちろ
ん、食事とか宿泊する場所とかも世話してもらうわよ。外出するときは必ず同行するこ
と。いいわね ? 柊蓮司」
 余計な口を挟ませないように一息にまくし立てる。
 馬鹿みたいにポカーンと呆けた柊蓮司が、次の瞬間、
「ッ、ちょっと待てえぇぇぇぇぇぇっ !? 」
 秋葉原一帯に響き渡るほどの絶叫を放ったとき。
 私は、緒戦の勝利を確信した。

(続)
616名無しさん@ピンキー:2008/05/11(日) 05:25:06 ID:KeB1oq+i
イイ
スゴクイイ
617名無しさん@ピンキー:2008/05/11(日) 07:07:20 ID:ksTd9hc6
GJ!柊が実に柊蓮司してるなぁw

ところで今回ベル様メインなはずなのにアンゼロット様の動きの一つ一つに萌えたのは俺だけでいい

というわけでフリーランスのウィザードたる俺は傷心の守護者を慰めてあげるためにアンゼロット様の個室に忍び込んでくるぜ!ノシ
618名無しさん@ピンキー:2008/05/11(日) 09:08:53 ID:O0HtLfdp
いいなw ものすごくよいw

619名無しさん@ピンキー:2008/05/11(日) 10:48:20 ID:VwU+skXi
それが>>617を見た最後でした……
620名無しさん@ピンキー:2008/05/11(日) 11:59:09 ID:33yQS32X
良作の予感を感じる!
続き期待してます
621名無しさん@ピンキー:2008/05/11(日) 12:51:43 ID:IoBTV/F1
ベル→柊の
「長く戦って来た相手≒自分を理解する相手」ってくだりを読みながら
かなりときめいたw
622名無しさん@ピンキー:2008/05/11(日) 15:29:35 ID:SE+Eyb9B
良いなぁ。凄く良い。ベルかわいいよベル。
623名無しさん@ピンキー:2008/05/11(日) 23:44:57 ID:g7KBgaCm
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:.... . ∧∧   ∧∧  ∧∧   ∧∧ .... .... .. .:.... .... ..... .... .
... ..:(   )ゝ (   )ゝ(   )ゝ(   )ゝ ムチャシヤガッテ・・・.
....  i⌒ /   i⌒ /  i⌒ /   i⌒ / .. ..... ...................
..   三  |   三  |   三  |   三 |
...  ∪ ∪   ∪ ∪   ∪ ∪  ∪ ∪
624名無しさん@ピンキー:2008/05/12(月) 00:03:29 ID:JrsRUOXO
>>605
続きを投下しに来て、読み耽っていました。
やばい、ニヤニヤが止まらないw
ベル自身のキャラもですが、何かしでかす期待感と事態がそう酷くは
ならない安心感(?)があって、読んでいて楽しい気分になります。
そう思うくらい、原作ベルを完璧に再現していますよ。

あと、ベルの柊に対する評価は、ひどく説得力がある。
この説明のまとまりと理解し易い読み易さは、書き手がベルを掴んで
いる証拠ではないかと。
幕引きの展開にもニヤニヤで、私も読者として作品の勝利を確信した
気持ちです。続きを本気で期待しています。
625ガーベラと薔薇の武具 27:2008/05/12(月) 00:06:43 ID:oX4AXwjU


           / / /


 ここで少し歴史の話をしよう。
 エリンディル神話には五つの時代がある。
 七柱の神々が世界を創り上げた“光の時代”。
 隆盛を極めた半神半人の民エルダが七つの邪神を生み、邪神たちが眷属として創造した魔族
や瘴気により邪悪化した竜や巨人を率いて、神々に戦いを挑んだ“風の時代”。
 神々の大戦が終結するも、精霊王の一柱たる大気の王ディジニの起こす大風による粛清でも
祓い切れない瘴気に汚染され、妖魔や魔獣と化するものが続いた“水の時代”。
 水流の王マリッドの水の粛清を生き延びた“妖魔の王”バラールが、恐怖によりネヴァーフ
とフィルボルを支配し、神々の住まう神界へと通じる扉を作らせた“地の時代”。
 ドゥアンの協力により起こったバラールへの反乱の最中、ヴァーナの巫女たちの祈りが神々
に通じて起きた大地の王ダオの大地震により、時代は現在の“火の時代”に至る。

 “光の時代”以降、神々に命じられ、精霊の王が引き起こした世界の粛清の結末にちなんで
時代は区分されるのだが、誕生した種族で見ると以下の通りに分かれる。

 “光の時代”には神々や巨人、精霊王と動物の王、その眷属である霊獣や子孫が誕生した。
 “風の時代”には古の民エルダと、邪神、魔族。
 “水の時代”にはヴァーナ。魔獣とそれを滅ぼす為にドゥアン。彼らが邪悪化し妖魔が。
 “地の時代”には大洪水で減少した大地に適応した、ネヴァーフとフィルボル。
 “火の時代”では妖魔の監視する民としてエルダナーン、討伐の民にヒューリンである。

 こうしてみると“風の時代”以降、争いの原因や対策の為の種族が誕生している。
 では、争いの為に必要なものとして、『武器』の存在に着目してみよう。

 本来エリンディルには戦を目的とした武器は存在しておらず、狩猟の為の弓矢や槍、または
狩った獲物を捌く為の短剣程度しか存在しなかった。
 しかし“地の時代”に入ると劇的な変化が訪れる。
 古の民エルダが邪悪化した“妖魔の王”バラールが神話時代である“風の時代”に使用され
ていた武器製造の技術を、支配下に置いたネヴァーフたちに伝え再現し始めたのだ。
 剣士が使用する長剣や両手剣は、この時バラールによってもたらされた物である。
 かつてエルダであったバラールは優秀な魔術師であり、且つ“最後の神聖王”アルトリウス
に匹敵する程、優れた剣の腕を持った戦士であったと伝えられている。
 この魔法戦士であった妖魔の王が、自身の得物に魔法の剣を選んだのは云うまでも無い。

 魔法具を生産するには魔法と錬金術の知識が必要となるが、かの妖魔王の前身であるエルダ
は更に上の理論“魔導”を編み出していたので、バラールの技術には問題がなかった。
 戦という格好の実験場を得て、より魔剣の追求を重ねたのは想像に難くない。
 その為か次の“火の時代”に入った現在でも、魔法の武器としては圧倒的に剣が最も多い。
 言い換えれば、妖魔王の遺産はエリンディルに息づいているのである。
 “火の時代”に入って千年余、より一層の進化と錯誤を繰り返しながら。


             −“工芸の街”コルム発行 エリンディルにおける剣の歴史−


 レントは読み終えたページを閉じて、机上に積み上げられた書物の塔へと重ねた。
 ここはネオ・ダイナストカバルの地下アジト資料室。
 カラドボルグ入手の為にガーベラが神殿を発ったのが昨日の出来事であり、本日の午後には
レントがユージンやドクトルと会談する予定である。
 限られた時間ではあるが、レントは発想を変えてイビルソードを魔物としてでなく『剣』の
側面から調べようとしていた。
626ガーベラと薔薇の武具 28:2008/05/12(月) 00:09:14 ID:JrsRUOXO
 神に属する竜を討つべく、妖魔の王からもたらされた武器を魔族とエルダナーンが鍛え上げ、
ヒューリンの巫女が扱う。
 そんな背景を持つ薔薇の武具に対し、魔剣を超えるべく創造されたイビルソードは魔族のみ
であり、担い手を求めない為どこか錬金術的な側面が強い。
 調査隊の話にあった魔封じの《魔力消失》の能力など、製作者の性格が出ている気がする。
 剣というより、もはや兵器といった方が相応しい。
 通常、剣の性能は切れ味や錆びの耐性など“変わらない”ものが求められ、その威力が変化
するのは振るう者の腕や成長に起因する。
 しかし、イビルソードの場合は血や魔力を糧に、剣自身が強化され“成長”するのである。
 比較対照の片方が自律的に発展を遂げる。
 つまり冷静に考えれば、相手の主張する剣比べは成り立たないのだ。
 無論、相手に指摘したところで、今更イビルソードは承知するまい。

 だから、レントはシュミレートする。
 力を蓄える剣と研鑽を積む剣士の戦いにおいて、クリスの妻となったガーベラが剣士として
どう変化したのか?
 レントが魔術師だからかもしれないが、基本能力や技巧をカバーするのは知恵や精神力だと
彼自身は考えている。
 ともなれば、勝算はガーベラが作り出さなければならず、彼女の守護者というスタンスから
考えれば、守るものを賭けたガーベラのモチベーションは最高のはずである。
 彼女は間違いなく十二分な強さを発揮するだろう。
 だが、それが必ずしも勝利に結びつくとは限らない。
 かつてレントの前任者が一人で四十を超える騎士相手に最期を迎えたように、驚異的な奮戦
をしても死が訪れる場合もある。
 ゆえに強敵には力を合わせるべきだ。
 本来ならば相手に対し、ギルドを組んだ戦闘を仕掛ける手段が最良でなのである。
 しかし、ガーベラが騎士として誓った為に覆せず、また彼女が交渉したようにクリスの身を
立ち合いの見届け役とすることで、事後の安全を確保した手前もある。
 また相手が魔封じの能力を持つ以上、魔術師や神官の援護は期待できず、攻撃呪文はおろか
回復や防御の支援は絶望といってよい。
 呪文の使えない術者を庇いながらでは、戦士も実力を発揮できないだろう。
 むしろ、一騎打ちとなったことを前向きに考えるべきなのだ。
 そう頭を切り替えつつも、こうして情報収集の支援しか行えぬ自分が少し歯痒い。

 目を閉じて深呼吸をひとつ。
 ああ、分かっている。自分のやるべきことを為すまでだ。
 ギルドメンバーであるノイエは勿論、国外にいるエイプリルにもネオ・ダイナストカバルの
支部を通じて連絡は飛ばしてある。
 帝国内で指名手配中の彼女が国境の関を通過し、参戦できるのか怪しい所ではあるが、蚊帳
の外扱いをしては後に怒りの矛先が自分に向きそうだから仕方がない。
 連絡はした。間に合うかどうかは、エイプリル自身の問題だ。
 そう思いながらも、何故かレントには不思議と根拠のない安心感があった。
 さて、午後の会談にはまだ時間がある。
 新たな資料に手を伸ばし、レントはイビルソード攻略の糸口を探し始めた。


              ※


 出発して二日半に当たる未明に、ガーベラは自宅に帰還を果たした。
 さすがに疲労の色が濃く、不眠不休の全力で飛ばして来たと見える。
 到着するなりノイエにカラドボルグを手渡すと、三時間後に起こすよう頼んで速やかに睡眠
を貪り始めた。
 ガーベラが眠る間に、ノイエがゴウラとレントに使いを出して連絡を入れる。
 頼まれたとおり三時間後にガーベラに声をかけ、目覚めた彼女に湯浴みを勧めると、ノイエ
は朝食の準備を始めた。
627ガーベラと薔薇の武具 29:2008/05/12(月) 00:11:22 ID:JrsRUOXO
 さっぱりとしたガーベラが部屋に戻ると、朝にしてはやや豪華な料理が出迎える。
 栄養のあり消化の良いものを揃えた作り手の心遣いが胸を打つ。
 二人で食事を摂る最中、二日半の詳細をノイエはガーベラに尋ねなかった。
 ガーベラが帰還した日に、再び神殿で報告と最後の打ち合わせを行う取り決めであり、二度
手間を減らすことでガーベラを少しでも休ませようとする配慮からだ。
 食事を摂り終えると、やがてレントの到着と共に三人は神殿へと向かった。

 前回と同じ場所、同じ四人。
 指示するまでも無く、副団長が部屋の外に出て扉の前で話の漏れを防ぐ。
 報告の口火を切ったのはゴウラである。
 彼が貴族との交渉の傍ら、転送ゲート周辺の遺跡に斥候へ出した騎士の報告によると、貴族
に雇われたと思わしき傭兵が集結しているらしい。
 その数は百から百五十。
 もちろん、貴族からは傭兵の件で神殿に連絡も断りもない。
 おそらく神殿が問い合わせても、自分たちはあずかり知らぬと否定するに違いない。

 さて、世間的に誤解されやすいのだが、冒険者と傭兵は似て非なる立場にある。
 基本的に神殿に属する冒険者と違い、傭兵は主にダブラルやキルディアといった都市や国家
が斡旋する戦争にも関連した産業なのだ。
 キルディアは傭兵隊を聖都ディアスロンドの防衛業務に派遣するほど、神殿組織に対し敬意
を払っており、国の九割の種族がドゥアンとしても有名である。
 一方“傭兵の街”ダブラルの代表人物フィル・ルースターは、仕事のえり好みをしない主義
であり、キルディア共和国と違って国家的なトラブルとなる政治色が少ない。
 斥候の話では、傭兵の中にドゥアンが少ないとあった。
 またキルディア共和国はパリス同盟と良好な関係にあり、位置的には反ヴァンスターの立場
でもある。
 以上の点と帝国との地理的な距離から、貴族はダブラルに依頼した可能性が高い。

「……傭兵ですか。少々厄介ですね」
 ゴウラの報告にガーベラが思案の声を上げた。
 主に魔物を相手する探索者の冒険者と違い、傭兵は人間相手が多い戦場の稼ぎ屋である。
 腕前はピンからキリまであるが、中にはダブラルの最高ランク“七本線”の剣士ガーランド
(余談ではあるが、カナンの街でクリスたちの前に立ち塞がり、大首領と剣を交えた騎士と同
名である)のような凄腕も存在している。
 皆が同じスタイルにまとまりがちな騎士や、遺跡探索を発祥として二人から五人のパーティ
編成を主とする冒険者に対し、傭兵は異なる武器を携えて単独戦もこなすと同時に、集団戦闘
にも臨機応変に対処して依頼ごとに部隊を編成する柔軟性を持つ。
628ガーベラと薔薇の武具 30:2008/05/12(月) 00:13:05 ID:oX4AXwjU

「数には数だ。俺が騎士団を率いて当たろう」
「いや、騎士団は貴族の牽制を兼ねて、少し離れた位置で待機しておくべきだろう。傭兵に気
を取られている背後を襲われたり、新たに増援を出されると厄介だ」
「では、肝心な傭兵の方はどうする?」
 ゴウラとレントが意見を交わす間に、落ち着いた声が割って入った。
「それは私が何とかしましょう」
「ノイエ様!?」
 慌ててガーベラが言葉を重ねる。
「それは駄目です。ノイエ様を危険な目に遭わせる位なら、あたしが傭兵と剣を交えます」
「大丈夫ですよ、ガーベラ。私一人ではなく、娘や夫が手伝ってくれます。約束しましょう。
貴女を無傷で遺跡まで届けると。貴女は夫のことだけを考えていなさい」
「……ノイエ様」
 長い付き合いである。
 一度決意したノイエの決意を曲げることは不可能と知っている。
 引き下がるガーベラに代わり、ゴウラが説得を試みた。
「だが、他の者に不安が残っては仕方が無い。それなりの根拠が無ければ、辞退するべきだ」
「……そうですか」
 ノイエが思案に言葉を止める。
「では、貴方に問いますが、その傭兵は神竜よりも手強い存在ですか?」
「何だと?」
 思わぬ発言に意表を突かれたゴウラとは反対に、ガーベラが小さく噴き出す。
 傍らでレントが勝負あったなと呟くのが聞こえた。
「私は神竜を封じたことがあり、娘は神竜を倒しました。それに夫はかつて自分の命を賭けて
娘を守った人です。家族の為ならあの人は強いですよ」
 発言の主が気負うことなくニッコリと微笑む。
 返答は、自身の敗北を認めた爽快な笑い声であった。
「いや、これは参った。あなたに任せるとしよう」
 自分の愛する家族を誇り、自分たちの絆を信じるノイエを見ながら、ガーベラは憧れに近い
眩しい温もりを覚える。
 そして決意を新たにした。
 自分もこうなりたい。だからその為にも、自分の愛するクリスを必ず助け出すのだと。


              ※


 続いてはレントの報告となった。
 最初の話題は、ユージンに伺ったというイビルソードの創造主について。
「早い話、奴の創造主“悲願の砂鉄”アウルは、味方である魔族に粛清されている」
 基本的に魔族は個体ごとに異なる条件“真の死”で倒さぬ限り、死しても復活を果たす不老
不死の存在である。
 だから“真の死”が分からぬ魔族には封印を施すことが多いのだが、実は例外が存在する。
 神具を始めとする特殊な武器ならば、存在を消滅させることが可能なのだ。
「つまり魔剣カラドボルグを完成させたアウルは、その特殊な武器を誕生させる可能性を恐れ
られ同族に討たれたのだ」
629ガーベラと薔薇の武具 31:2008/05/12(月) 00:14:31 ID:oX4AXwjU
 ユージン殿の話では、“剣の王女”アストレートや魔剣アバドンを持つ“魔戦将”バラムと
いった、剣に関係した名だたる上位魔族が関わっていたらしい。
 上位魔族の間では遊戯にも似た勢力争いが行われ、それを楽しんでいるものも多い。
 アウルの創り出す剣は、その微妙な勢力バランスを崩しかねないのである。
 討たれたアウルもまた“真の死”を迎えなかったことから、仮死的な封印が施された。
 帝国の東にある『砂鉄海岸』における、人を襲う魔法金属でできた砂浜は、魂を失いつつも
復活を果たそうとするアウルの亡骸だという。
 遠く離れたイジンデルの村で創造されたカラドボルグや問題のイビルソードが、帝国のある
フィンジアス島で眠っていたのも、このことに関係しているのかもしれない。

「それで件のイビルソードについてだ」
 自然と緊張で部屋の空気が重くなる。
「わたしが話で聞いた奴の特徴を伝え、ドクトルに分析と推測をして頂いた。ドクトルの話に
よれば、人造生物として特殊な例らしい。
 通常の錬金術で云えば、人造生物とは薬品や生物の体液から生み出されたホムンクルスから
派生した産物と、ガーゴイルのように無生物に命を与えたり、機械と生命を掛け合わせたもの
という二系統に分けられる。
 前者はキマイラに代表される異なる生物を掛け合わせ、後者は無生物の生物化という解釈を
した方が分かり易いか」
 レントの講釈にガーベラが口を挟む。
「そう聞くとイビルソードは後者の方に思えますが、どこが特殊なのです?」
「本来が無生物だったタイプは食事を摂らない。血を吸うなど論外だ」
「あっ!」
「形質の劣化という変化はあっても、無生物タイプは成長という進化はしない。逆にキマイラ
などは食事を摂り、古き年月を重ねたものは知恵と経験を重ねた危険な存在となっている。
 つまりイビルソードは二系統の特質を備えた、云わば第三のタイプと云っていい」

 皆が納得し内容が浸透したことを確認すると、レントが説明を再開した。
「結論から言うと、イビルソード自体は品質の良い大剣と変わりない。あれを人造生命にたら
しめているのは、剣の柄にある“邪眼の宝珠”に他ならない。
 あれこそが奴の核であり、武器に寄生して擬似生命と力を宿し続ける本体なのだ」
「では、その核が弱点なのですね?」
 ガーベラの問いかけにレントが曖昧な顔を見せる。
「確かにそうなのだろうが、奴もそんな弱点を放置しておくほど愚かではあるまい。成長する
能力に相応しく手段を講じているだろう」
 続いて、武人らしい疑問を述べたのがゴウラだった。
「しかし解せぬな。それほどの威力を持つ品が八百年も広まらず、なぜ闇に葬られたのだ?
 あの忠誠心なら主を選び、優れた剣士に仕えることも出来ただろうに」
「簡単な話だ。奴は刃から敵の血や魔力を得るだけでなく、使用者の生命も吸い取るらしい。
 クリスたちを助けた際に奴が血を求めたのはその為だ」
「剣でありながら、剣では無いとは不憫な存在だな……」
「その矛盾こそが打倒のヒントになるのではないかと考えたのだが、魔術師のわたしでは思い
つかなかった」
 レントの言葉に、剣士の二人が考え込む。
 剣でありながら剣ではない。
 だが、今は何も思い浮かばない。
 そんな二人を見ながら、レントが報告は次で終わりだと前置きを述べた。
630ガーベラと薔薇の武具 32:2008/05/12(月) 00:17:01 ID:oX4AXwjU

「最後になるが、ユージン殿とドクトルとわたしの三人でイビルソードの強さを見立てた。
 奴は上位魔族に匹敵し、下手をすればガーベラが一撃で沈む強さを十分に持っている。逆に
ガーベラが相手を倒すには、十倍以上の時間が掛かるだろう。
 はっきり言って、一騎打ちにおけるガーベラの勝算は一割にも満たない」

 容赦の無い言葉に、聞いていた人間が一斉に息を呑んだ。
 そこまで強いと言われては却って踏ん切りがつく。
 ガーベラは笑おうとして、巧く動かない自分の頬に苛立った。
 指先でほぐそうとして頬に右手を添える。
 頬に伝わった指の動きで初めて、彼女は自分が震えていることに気づいた。


              ※


 一騎打ちはせず、パーティを組んで戦いを挑むこと。
 レントがガーベラに提示した条件の後、それぞれの出発の日時を確認し会議は終了した。
 ノイエと共に必要な物を購入し、準備や雑事を済ませると、あっという間に時間が経つ。
 自宅に戻り二人で夕食を済ませると、ガーベラが食後のお茶を淹れた。
 ノイエは明日からガーベラと離れ、傭兵対処の為に別行動となる。今夜は一緒に過ごす最後
の夜なのだ。会議後、言葉少なくなっていたガーベラが口を開いた。

「ノイエ様。あたしは騎士として生み出され、剣を執ることを存在理由としてきました。
 定められた主の為に剣を捧げ、ただ強くあれば良かった。
 云わば主の一振りの剣として生きてきたあたしに、クリスさんは女としてのあたしを求めて
きました。
 始めは嬉しさよりも、戸惑いがありました。
 彼はあたしの罪と咎を一緒に背負う覚悟なんです。
 夫婦として人生を共有するんだって、何事でもないような調子で……」

 自分でも確認するように、ゆっくりと話すガーベラ。
 相づちを打つことさえ控え、黙ってノイエは彼女の言葉に耳を傾けた。

「料理や房事も、彼の為にあたしがしてあげられる小さなことです。いつだってこんなあたし
で良いのか不安に思いながら、彼に寄り添うように暮らしてきました。
 きっと自信が無かったんでしょうね。
 あたしに色んなものを与えてくれる彼に、少しでも返しているのだろうかって。
 あたしが自分で一番、自信があるのは剣なんです。
 だから今回、心のどこかで彼をあたしの剣で護れると喜んでいた部分もあったと思います。
 あたしは守護騎士として生まれてきて良かったと。
 だから、レントさんの言葉であたしが戦力不足だと知って動揺しました。
 敵に対しての恐怖じゃない。クリスさんにあたしの必要性を証明できない気がして、不安と
彼を失う恐怖がない交ぜになったんです」

 手にしたお茶をすすり、ガーベラがじっと容器に目を落とす。
 温もりを必要とするように、容器に添えられた両手は小刻みに震えていた。
631ガーベラと薔薇の武具 33

「馬鹿ですよね。あの人があたしに望んでいたのは、そんなことじゃないと判っているのに。
 あたしが望むのは、あの人がただ無事で側に居て欲しい。
 笑ってまた抱きしめて、唇で触れて、耳元であたしの名前を読んで安心させて欲しい」

 そう言うと、ガーベラは落としていた視線をノイエに向けた。
 ばつが悪いように苦笑じみた笑みを浮かべる。

「ノイエ様、かつて貴女の元にあった一振りの剣は、ようやく実感したんです。剣は鞘から抜
けないことにも意味があるのだと。
 その矢先にイビルソードのような剣を象徴とする壁が現れるなんて、出来すぎな話ですよね。
 まるであたしが犯した罪に対する罰のよう……」

 すっとガーベラの眼から涙の筋がこぼれた。
 嗚咽の声は無い。静かにじっと涙を流し続ける。
 そんな彼女の手にノイエが自分の右手を重ねた。
 慰めの言葉も、叱咤の文句も、励ましの声もなく、同じようにじっと微笑む。
 ノイエに言える訳が無かった。
 ガーベラが背負う罪とはノイエが命じ、或いはノイエたち巫女を護る為に重ねたものだから。
 謝罪の言葉も言える訳が無い。
 それではノイエの騎士の覚悟に対し侮辱になってしまう。
 だから手を通して伝わる、やや高い体温が雄弁に語っていた。
 貴女は悪くないと。

「貴女に約束します、ガーベラ」
 相手の涙が引くのを待って、ノイエが口を開いた。
「貴女の夫の元への道は、私が必ず確保してみましょう。そこに至るまで、誓って指一本たり
とも、誰にも貴女の邪魔をさせません」

 そしてノイエが浮かべる力強い笑み。
 後にガーベラは思い返すことになる。
 自分はこの時思い違いをしていた。励ますように手を通して伝わっていたノイエの少し高い
温もりは、彼女が激情を抑えていた証だったのだと。
 世界には、自身の傷よりも親しい者への痛みを案じる人間が存在する。
 彼らはその痛みを刻んで献身とし、盾となって弱きを護ることを信条としている。
 その多くは正義を為す聖騎士であり、癒しを司る神官を擁する神殿である。
 そんな神殿の中で育てられながら、産まれたての生命を守るために、世界の秩序たる神殿と
神竜を相手に反旗を翻し、一歩も引かなかった先代の薔薇の巫女。
 改めてノイエという人の強さを思い知ると、ガーベラは全く想像すらしていなかった。

 それぞれが準備と出発を行い、ひとつの場所を目指して三日の時が流れる。
 舞台はヴァン山脈に近い、遺跡に通じる転送ゲートの一つ。
 そこで何が起こるかは、運命の精霊王“銀の輪の女王”アリアンロッドのみが知る。
 薔薇の武具の剣を巡る物語は、いよいよ終盤を迎えようとしていた。