……ん。乙。
え、ごほ……うび?
う……ん、じゃ、じゃぁ……
(省略されました…続きを読むには
>>1乙と書き込んでください)
5 :
名無しさん@ピンキー:2008/02/19(火) 12:15:06 ID:DcQzZtHX
・・・・
>>1ーーー乙
もしかして・・・・
>>2がーーー五言目・・・?
「…………」
彼女は手に、
>>1乙と書かれたプラカードを持って歩いていた。
「いやどこから持ってきたそのプラカード。というかなんで持って歩いてる」
彼女は一度首をかしげ
「…………知らないんだ」
何故だか微妙にしょんぼりした様子になり、そのままスタスタと歩いて行こうと
《駄作が省略されました。要するに
>>1乙です》
むしろ無口娘に甘い言葉をかけてみたい。
完熟トマトよりも赤くなるぞな
>>9の勝手な続き
慌てて彼女を引き留める。
「待ってよ。プラカードを持ってる理由位教えてよ」
「……」
だんまりを決め込む彼女。ちょっと気分を害してしまったか。
「知らないんだ。教えてくれよ。…大好きな人の事なら何でも」
「えっ………!?」
彼女の瞳はいつもより大きく見張られ、色白の整った顔はほんのり紅くなっている。
【CODE パクッチャ・ヤーヨの発動により、続きは消去されました。要するに投下待ちです】
14 :
名無しさん@ピンキー:2008/02/22(金) 21:45:33 ID:qGNQRMWF
上げ
お、いつのまにか前スレ埋まってるね。
16 :
名無しさん@ピンキー:2008/02/24(日) 20:45:00 ID:o2JpUKBa
hosyu
俺・・・もし今日起きて雨か雪が降ったら、幼馴染みの無口っ娘と相合い傘して登校するんだ・・・
花粉の雨に泣き始めた俺もいるのによ…
若さに嫉妬しちまうぜ
ぜんぜん別スレに誤爆して来てしまった…どーしましょうoTL
しかも埋め仕様だし…
さっさとサルベージしてここに書き込むんだ
で、あとは投下スレの勢いに任すしかない…。
別スレに信長スレに誤爆した猛者がいてだな。
…。
ぱたぱたぱたぱた…。
ぎぃぃぃ、ばたん。
ぱた、ぱた……ぱた。
………………………。
………。
ぺたん。
ころ、ころ、ころん。
じぃー…。
「おーい」
ぴくっ。 ………。
ぱたぱたぱた、ばたん。
「こんな所にいたんだ」
ちら。………ぷぃ。
「…んー。すっかりなんもないねー」
………。
「ほとんど全部送っちゃったから、後は僕達だけだね」
………、…。
「んー…」
………、……。
ぱた、ぱた…すとん。
………、………。
「ん」
ぎゅ。
………!
「そーゆー時は我慢しなくていいよ?」
じわ。
「お別れ会、皆来てくれたね」
ぐず、
「今日はワガママ、言わずにいたね」
ぐすん、ぐすん、……、
「偉かったね、だから…」……っ
ぎゅぅ。
「泣いても、いいよ?」
っっっ!
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っ!!!!
………。
………………………。
「落ち着いた?」
………こくん。
「ん。強いね」
………。
「だから、ご褒美♪」
ちゅ。
しゅぼっ…!
………っ!?
「あはは、元気になったね」
………。
くいくい。
「なんだい?」
ぴと。ぼそ………、ぼそ…。
「ん。どういたしまして」
すくっ。
「じゃあ、最後にお別れしてこうか。この家に?」
こくん。
「せーの、お世話になりました」
…ぺこり。
「………」
………。ぴと。じー…。
「ん?」
にぱ。
「ん。やっぱり、笑顔が良いね」
えー…某所に誤爆したのを手直した上で再投下です。ご容赦を。
ああ、これで安眠出来そうです。
で。相変わらずスト(ry
かくして、何事も無か(ry
妄想が止まらなくなった責任を取っていただく
さあ床に入れフヒヒ
アッー
「アッー」
突然彼女が奇声を上げる
「……いきなりどうした?」
「……別に」
不審に思って尋ねるが、素っ気なく返される。
「……なんでもないんならいいんだけどさ、突然変な声出すのはやめてくれ」
とりあえず、忠告するように言うが
「…………通じないか」
至極残念そうにそう言って、そのままぽふっとベッド(ry
や ら な い か
バラライカ
32 :
名無しさん@ピンキー:2008/03/01(土) 13:04:04 ID:o3hvl9m8
4.45ミリ弾で、奴らの顎を食いちぎれ?
遊撃隊?
気の弱い無口娘の集団がそれぞれの好きな男に
「…」
「…」
「…」
「…すき」
とプレッシャーを掛け歩くのを想像した…
35 :
名無しさん@ピンキー:2008/03/02(日) 01:58:05 ID:2SGTq9hL
>>32 それを言うならカラシニコフの加護のもと5.45o弾で奴等の顎を食い破れじゃね?
保守ついでに質問なんだが、オススメのSSとかある?
保管庫覗いてみたんだが、多すぎてどれから手を付けたらいいのか…
とりあえず全部
ってのはまあ半ば冗談だけど、リレー小説〜his & her side〜はお薦め
スレ住人の結束力のたまものってことで
39 :
名無しさん@ピンキー:2008/03/04(火) 18:23:54 ID:eXXfce7X
アレはきれいだったねえ。複数人の職人が参加してたが文体がそれほどぶれることもなく綺麗に纏まってた。
うわ、ageちゃった。ゴメンなさい。
幼馴染系は好きなのが多いな
戦闘機乗りの彼と無口な女の子AWACS
なんてものをエスコンZEROの円卓の空を飛びつつ思った
無口なエイワックスとか業務果たせるのか?
いや待てよ。業務では話すけど普段は無口ってのはもしかしたらストーリー的に妄想の余地があるような。
ショタ無口
>>42 なんだ貴様、それは私が大のエスコン好きと知ってのことか
おk、誘い受けだがあえて聞こう、書い(死刑
よっこらセックス
そうだよ、333はどうなったんだよ。
48 :
37:2008/03/06(木) 20:21:26 ID:05X4f4Zm
>>47 きっと今頃は彼女と仲良くしてるんだろうて
無口かどうか、妖しいですけど投下させていただきます。
「佐伯さん、さようなら〜」
「お嬢、また明日ね〜」
「本宮、お嬢を襲うなよ〜」
夕暮れ迫る帰り道。
俺、本宮明(もとみや あきら)は佐伯都(さえき みやこ)と肩を並べて家路へと急ぐ。
都は挨拶をしてくれたクラスメート達に、軽い会釈をしながら俺の隣を歩いている。
都はおばさんに似て、かなりの美人だ。
カワイイとかじゃなく、美人。はっきり言って、俺の隣を歩いているのが場違いなほどの美女だ。
将来はとんでもない豪邸に住む大金持ちと結婚しなきゃいけないような、
もしくは、華やかな芸能界で伝説の美女と持て囃されなきゃいけないような美人だ。
その都は何故か『お嬢』と呼ばれ、学校での人気も高い。まぁ美人だから人気は出るよな。
そんな都とは家が隣で幼稚園からの付き合いだ。そう、俺達はいわゆる幼馴染というヤツだ。
家が隣同士でお互いに部活にも入っていない。
歩いて帰ることが出来る距離だから、自然とよく一緒に家に帰ることになる。
だから学校ではクラスメート達によく言われてる。
『お前、実は付き合ってるんだろ?お嬢と付き合ってるんだろ?』とね。
はぁぁ〜……コイツ等知らないんだよなぁ、都がどんなヤツなのかを。
都はあまり喋ることがない。必要最低限しか話さない。
都をよく知らない人からすれば、神秘的に見える……らしい。
都のファンからすれば、その無口なところもたまらないんだそうだ。
……まぁ知らない方がいい事ってのはあるよな。
「なぁ都。今日おばさんはいないんだろ?メシ、俺の家で喰ってくか?」
「…………クサイ飯はイヤ」
「ク、クサイ飯?お前なぁ、お袋に知られたらシバかれるぞ?」
「…………ババアは返り討ち」
「返り討ちって……お前、前にシバかれて泣いてただろ?いい加減にしないと本気で殺されるぞ?」
「…………月夜ばかりとは限らない」
「いやいや、闇討ちでも無理だって!ウチの母親は!」
高校生の時、柔道でインターハイ3位。
高校時代は、オリンピックで金メダルを取った女子柔道家がライバルだったって威張ってた。
オヤジはそんなお袋に惚れたって惚気てた。
都はそんなお袋に敵意むき出しでいる。絶対に勝てないのに、なんでなんだろうな?
そんなおふくろ対して都は運動神経ゼロ。よく躓いてこける。そこが都マニアにはたまらないらしい。
家に帰る時も、三日に一度はこけて、足が痛いと半べそをかいている。
わざとらしく痛くて歩けないとアピールをするから、俺が背負って送ることになっている。
まぁ背中に柔らかい胸の感触を感じることができるから、役得といえば役得だな。
そういえば都のやつ、最近胸がデカクなってきた気がするな。
そんなことを考えながら、隣を歩く都を見る。……いない。
どこに行ったのかと思えば、後ろで足首を押さえ、蹲っていやがる。
はぁぁ〜……また挫いたのか。仕方ないなぁ。
「お前はほんっとによく足を挫くな?ほれ、また背負って家まで連れてってやる」
「…………ありがと」
都を背負い、歩きだす。こいつ、最近重くなってないか?胸がデカクなったからか?
クソ、だんだん背負って歩くのが辛くなってきたな。
「…………重い?」
「あぁ、重い。お前、最近太ったか?年々背負うのがしんどくなってきたぞ」
「…………ごめんなさい」
謝る声に力がない。太ったと言われて落ち込んでんのか?
「別に気にすんな、俺とお前の仲だろ?」
「…………どんな仲?」
都の言葉にドキリとする。俺達ってどんな仲なんだろうな?
友人?仲のいい幼なじみ?それとも……
「どんな仲って……お前はどんな仲だと思ってるんだ?」
頭の中に浮かんだ最後の言葉を振り払い、逆に聞いてみた。
都、お前はどう思ってんだ?俺との関係、いったいどんな関係だと思ってんだ?
「…………下僕?」
……ざけんなよ?
ムカついたので上下左右に思いっきり揺らして、振り落とすフリをする。
都は突然揺らされて焦ったのか、俺の首筋をギュッと抱きしめた。
これは……なかなかいいな。背中に押し付けられる胸の感触がたまらないな!
もっとムニムニとした感触を味わう為に、さらに激しく揺らしてみる。
揺らしすぎたのか、都の手から鞄が落ち、『ガン!ガキン!』と金属音を出し、アスファルトの地面に落ちた。
……何故に金属音?
不思議に思い、鞄を拾って中身を見てみる。……なんだ、こりゃ?
「…………えっち」
「エッチじゃないだろうが!なんなんだ、この鞄の中身は?お前、こんな物持ち歩いてたのか?
そりゃ重いはずだ……こんな鉄板に鉄の棒、何に使うつもりだったんだ?」
鞄の中からは、厚さ一センチはあろうかという鉄板と、
直径2センチ程、長さ30センチ程の、鉄の棒が2本出てきた。
お前、こんな物警察に見つかったら補導されるぞ?
「…………月夜ばかりとは限らない」
「うぉい!お袋を襲うつもりだったのかよ!」
「…………撲殺」
物騒な言葉を口にしつつ、恥ずかしそうに頬を染め、コクリと頷く都。
いくら可愛くしてもダメだ!お前、これはシャレにならんぞ?
鉄で出来ているだけあって、結構ズッシリと重い。よくこんな重いもの鞄に忍ばせてたな。
っていうか、都が重くなったように感じたのは、この凶器セットのせいか!
「お前こんなもんで殴ったら事件だぞ、事件!だいたいあのお袋にこんなのが通用すると思ってるのか?
そもそもお前、こんな重い物、自由に振れないだろ?」
こんな重いもの、非力な都が扱える訳がない。
こんな物持って、一体どうするつもりだったんだ?
「…………それは下僕の仕事」
……俺かい!
凶器を所持していた都を、説教&デコピンで猛省させてから家へと帰る。
デコピンで、涙目になる都ははっきり言ってメチャクチャカワイイ!
だからデコピンは俺の密かな楽しみになっている。
目に涙を一杯に溜めた都の顔。俺以外の男は知らない表情だ。
他の男共に、ちょっと優越感を感じる俺。こんなことで優越感を感じるってどうなんだろうな?
しかし、昔はお袋と仲がよかったはずなんだけど、なんでこんなにこじれてるんだ?
確か……中学に入ったくらいまでは仲はよかったよな?2人にいったい何があったんだ?
「ただいま〜。お袋〜、都を連れてきた、都の分もメシも頼むね〜」
「…………包丁で指を落とせばいいのに」
「こら!そんなこと聞かれたら俺までヤラれちゃうって!」
「お帰り〜。晩御飯はもう出来てるから手を洗ってきなさいよ〜。
都ちゃんも、その薄汚い手をきちんと洗ってね?汚いのは心だけで十分だからね〜」
台所から聞こえてくるお袋の大声。
うおい!なんて大人気ないんだ!アンタがいちいちそういうことを言うから都が反発するんだよ!
「…………自分の顔を見てから言え」
「うぉい!だからそういうことは言うなって!」
これ以上余計なことを話さないように口を押さえ、モガモガ暴れる都を連れて行く。
さっさと手を洗って、メシを食わせて帰ってもらおう。
はぁぁ〜……メシなんか誘うんじゃなかったよ。
けど誘わなきゃお袋がうるさいし……なんで仲悪いのに誘うんだろうな?
手を洗い、テーブルに着く。俺の横に都。都の対面にお袋。いつもの席順だ。
……なんで毎回向かい合って座るんだろう?お互いを監視でもしてるのか?
「さぁ今日は都ちゃんが好きなマーボー丼よ!たっくさん食べなさいね?」
お袋……都は辛いのがダメだって知ってるだろ?
わざわざ手の込んだ嫌がらせなんかして……まったく大人気ない母親だな。
「…………いただきます」
両手を合わせ、ぺこりと頭を下げて箸を持つ都。
あれ?今日は珍しく普通に食べるんだな、デコピンが効いて改心したのか?
「さ、召し上がれ。あ、そうだった、サラダも作ってたんだったわ」
一度席に着いたお袋は、冷蔵庫からサラダを取り出そうと席を立つ。……その時、都が動いた。
流れるような華麗な動きで、ポケットから真新しいラー油のビンを取り出し、自分のマーボー丼に大量に入れる。
そしてそのままお袋のマーボー丼と入れ替えた!その間わずかに5秒足らず!
まさに職人技の域に達している!……お前、あとでどうなっても知らないぞ?
っていうか、なんでラー油持ってるの?女子校生の間で流行ってるのか?
「は〜い、ママの特製サラダよ?たんと召し上がれ」
目の前のマーボー丼が、ラー油地獄と化したことを知らないお袋。
サラダの出来がよかったのか、ご機嫌で皿に盛り付ける。
「あらヤダ、明のお皿を出すの忘れてたわ。都ちゃん、お皿出してもらえる?」
ラー油を上手く仕込めたのがよかったのか、機嫌のいい都は珍しくお袋の言う事に反発せず、頷いた。
そして後ろにある食器棚から素直に皿を取り出した。……その時、お袋が動いた。
目にもとまらぬ速さで、音も立てず、都と自分のマーボー丼を入れ替えたのだ!
……さすがはお袋だぜ!都の行動を読んでいたとは……恐れ入った!
「じゃ、食べましょうか?」
スプーンで一掬い、マーボー丼を口に運ぶお袋。
それを見てニヤニヤしながら都も口に入れた。
「…………〜〜〜〜!!!!!」
「今日のマーボー丼、都ちゃんの為に辛さ押さえたのよ。これだったら残さず全て、綺麗に食べれるわよね?
残さず全部、食べられるわよね?み・や・こ・ちゃん?」
……勝負あり、だな。
試合結果 マーボー丼バトルロイヤル選手権試合
○お袋(丼すり替え返しからのラー油固め)佐伯都● チャンピオン、10度目の防衛に成功。
「なぁ都。お前なんでお袋に突っかかっていくんだ?」
メシを食い終わった後、2時間ほど俺のベッドでウンウンと唸ってた都。
どうやらおばさんが仕事から帰って来たみたいなので都を背負い、家へと送り届ける。
おばさんも慣れたもので、都がボロボロになって帰ってきてもまったく動じない。
それどころか『また負けたの?情けない娘ねぇ』と都の戦意を煽るくらいだ。
そんな哀れな都に、何故果敢にもお袋に戦いを挑んでいるのかを聞いてみる。
いったい何が都を戦いへと駆り立ててるんだ?
「…………ほへひゅうほへのはははい」
ラー油で舌をやられたのか、何を喋ってるのかまったく分からん。
「はははは!なに喋ってんだ?ラー油で舌をやられたか?」
「…………へははひはへへへはい」
「よく分からんけど……ま、ガンバレや。俺は生暖かい目で見守ってるぞ」
そう、見てる分には面白い。だから怪我をしない程度に頑張って戦え!
都よ。……俺は面白半分見守っているぞ!
俺の応援する熱い気持ちが届いたのか、首筋をギュッと抱きしめてきた。
……この背中の柔らかな感触は、役得だな。
「おばさん、こんばんわ〜。都を届けに来ました〜」
都の家の玄関を開け、挨拶をする。
いくら隣同士の知った仲といえど、挨拶くらいはきちんとしなきゃな。
「あら、明ちゃん、ありがとうね。で、今日こそは勝ったの?……って、これを見れば結果は一目瞭然ね」
俺の背中でぐったりとしてる都を見てため息を吐くおばさん。
前から思ってたんだけど、都の暴走をなんで止めないんだ?
「相手が悪いですよ。おばさんからもそろそろ諦めろって言ってくださいよ。
そのうち学校でもボロが出ますよ?……せっかく美人で通ってるのに」
「あら?明ちゃんは都が人気者でいいの?ちょっと寂しいとか思ったりしないの?」
「そりゃまあ、ね。そのうちコイツともこうして遊べないのかなって思うと、少し寂しいですよ」
「だそうよ?都、よかったわね」
なんだ?なにがよかったんだ?
おばさんの言葉に何故か都はギュッと強く抱きついてきた。
なにを言っているのかはよく分からんが……柔らかいなぁ。
おばさんの前で胸の感触を堪能するわけにもいかず、都を降ろす。
「じゃ、おばさん、俺帰りますから。都、また明日な」
おばさんの横で、何故か赤い顔して小さく手を振る都。
なんだ?なんで照れてるんだ?……ま、いっか。
それより早く、感触を覚えているうちに部屋に帰って……すまん、都。お前の幼馴染は最低なヤロウだ。
「で、都。嫁姑の戦いに勝てる策はあるの?策を弄しないとお隣さんには勝てないわよ?」
「…………どうしよう?」
私の言葉に頭を抱え、ウンウン悩んでいる愛娘。
ホント、我が娘ながらいい女ね。こんな女に愛されている明君が羨ましいわ。
……本人は全く気がついてないみたいだけどね。
「どうしようもなにも……自分で考えなさいね?あの強敵に勝たなきゃ幸せな結婚生活は出来ないわよ?
ああ見えて彼女、明君を溺愛してるからね。あなたがお嫁さんになったら苛められるのは目に見えてるわ」
「…………だから勝つ。あらかじめ勝っておく」
「ならガンバンなさいな。お母さん、応援してるからね」
「…………うん」
うふふふ、我が娘ながらホントにカワイイ子。
明君と幸せな結婚生活を送る為に一生懸命ね。
けどね?都もお隣さんも全く気がついてないようだけど……2人ともまだ付き合ってもいないのよ?
なのになんで先に嫁姑の戦いをするかなぁ?……まぁ面白いからいいんだけどね。
……いいお酒のあてになるわ。面白すぎるわね。
頭を抱えて策を練っている愛娘を見ながらビールを飲むのは最高ね!
娘の幸せを祈りつつ、美味しいビールを頂く私はいい母親ね。
57 :
50:2008/03/07(金) 00:20:59 ID:Qha2EilT
エロナシで申し訳ありません。投下は以上です。
これはかわいいwwGJ!
>>57 GJ! 嫁姑バトルwww
> 直径2センチ程、長さ30センチ程の、鉄の棒が2本出てきた。
殺る気マンマンで笑ったw
そして、今すぐ続きを書く作業に戻るんだ!
これは面白いw
本当に可愛い娘だわ
二人の攻防戦に力が入っていて楽しめました
次作を期待してます
つーか都の母がオモロ杉www
こいつら面白過ぎるwww
それにしてもこの二人、ノリノリである
GJです、非常にGJ!!
GJ。
エロなしでもこういうの大好きだ。
>>55で、2時間ベットで唸ってた間、きっとお袋さんは2人がやらかしてないか、聞き耳立ててたんだろうなw
>>55すっごく・・・おもしろいです・・・
キャラの個性がとても魅力的なのが凄い印象に残ったぜ!
流石に金柑まではいかないだろうけど、母親の溺愛っぷりがどれ程なのかも気になりますな。
神作GJ!!続きにwktk
急に過疎ったな
67 :
50:2008/03/12(水) 09:22:36 ID:VSFT7E6+
コテ消し忘れてたorz
69 :
じうご:2008/03/12(水) 09:45:32 ID:aVo3QDzO
>>68 大丈夫大丈夫、良くあることだよ
気にせず行こう
気付いたら既に五スレ目かぁ、凄いね
あー……吊ってきます
大丈夫。よくあることだからw
アフリカではよくあること
>>70 「あなたが・・・吊るなら・・・私も首・・・吊る・・・
だから・・・吊っちゃやだ・・・!」
>>70は普段無口な女友達が、泣きながら必至に声を出して止めているのを気にしながらも吊ろうとしていた。
「やだっ・・・やだよ・・・死んじゃ・・・やだっ・・・!」
しかし無口な女友達は諦めずに、普段は絶対に出さないような大声を無理矢理に出し続けていた。
例えこれで喉が潰れても構わない。声が枯れても構わない。
>>70を助けられるなら、そんな物はいくらでもくれてやると言わんばかりに。
もう掠れてしまった、しかし精一杯の声で止め続けた。
そんな様子を見ていた
>>70は・・・
どうだ
>>70、こんな必至で止めてくれる無口っ娘を見て吊れるかい?
答えは・・・分かってるよなぁ?
自爆祭りか?
75 :
ふみお:2008/03/12(水) 13:51:28 ID:O6MiuXM+
>>70 俺も俺も!
あ〜、早く
>>73みたいに無口っ娘が止めに来ないかな〜?
よし、だんだん息が苦しくなって、意識が遠のいてきた。
あとは、無口なあの娘が止めに来るのを待つだけだ!
………………。
あれ? 無口っ娘じゃなくて河の向うに死んだはずのおじいちゃんが見える……。
手を振っているようだけれど、あれはこっちに来いといっているのか、そっちに戻れといっているのか……。
新作の筆も進まないし、地雷ゲー買っちゃうし、無口っ娘も止めにこないし。
もう、そっちに行ってもいいよね?
おじいちゃん。
よーし、逝け逝け。そうしたら理想の女性に会えるかもしれんぞ。
まあそんなことしてる間に俺がお前の分の無口っ娘をいただいていくがな。
あるニートは賭けにでた。
||\ /||
||:. \____________/ ||
||. | | ||
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||: | ;''"゙''" ;''"゙''"゙.... ||
||: | ;;''"゙''"゙.、;;:〜''"'' ||
||: | ('A`) ;; ,,..、;;:〜''"゙'' ||
||:. / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ノ( ヘヘ ,,..、;;:,,..、;;:〜'''' ||
||/ [___]' \||
一酸化炭素が部屋に充満する前に
愛らしい無口っ娘が「死んじゃ・・・ダメだよ・・・」って
玄関から駆け込んでくることに、生死を賭したのだ
合掌
だが、その無口っ娘は口がきけないのだ。
伝えたい言葉があるのに口がきけないのだ。
今にも死にそうな
>>77に声をかけられないのだ。
>>77が欲しい言葉をかけてあげられないのだ。
口元を両手で覆いながら、無口っ娘は涙した。
煙で燻された所為でも、呼吸のままならぬ所為でもなく。
己に声が無いことに涙した。
生まれてこの方、役目を果たさぬ喉のことは諦めてきた。
声の代わりとなる術を得て、不自由なく生きてきた。
だが、ここにきて、本当に大切な時にきて、在らざる声に涙した。
スケッチブックは生憎とココにない。
手話は視界が霞んで伝わらない。
部屋から引き摺り出すには致命的に体力がなかった。
ただただ
>>77の意志を取り戻さねばならなかった。
それでも、それでも、無口っ娘には声が無いのだ。
声をかけてやれんのだ。
長年の体質が奇跡によって払われることすらないのだ。
絶望する無口っ娘の耳に嫌な声が聞こえる。
>>77の呼吸がいよいよ限界に達してきたのだ。
もう時間がないのだ。
無口っ娘は、己の利けぬ口を呪った。
呪って、呪って、呪い尽くして、その果てに。
気がついた。
呪われたこの身に出来ることを思いついたのだ。
上手くいくかは知らぬ。
失敗するかも知れぬ。
想いが伝わらないかも知れぬ。
けれど、それならそれでいいと思ったのだ。
独りでこの部屋から出ることは叶わぬ。
独りでこの部屋から出るなんて嫌だった。
二人で出たかった。
出れぬ時は―――。
無口っ娘は決意した。
>>77に想いを伝え、生きて貰う事を。
最悪、
>>77だけでも生き延びる方法を実行するのだ。
身を寄せ、口を覆っていた手をのけた。
>>77の頭をしかと抱きしめた。
そして、役立たずで、呪われていて、大キッライだった己の口を。
>>77の口に重ねた。
清浄な空気が
>>77の肺に送り込み―――。
とさり、と無口っ娘はひれ伏した。
しかし一酸化炭素中毒の場合、人間の呼気程度の酸素量では回復できなかったような気が。
つまりこれはおそらく仲良くデッドエンドと。合掌。
83 :
79:2008/03/12(水) 20:32:47 ID:vgImaWGj
>>81 ぐは。
そうなのか…。ひとつ賢くなったよ。
今日は寝不足じゃないからイケると思ったんだが…無念。
以下何事も無かったように(ry
>>81 違うんだ。きっと
>>79の無口っ娘が口移しで与えたのは、酸素じゃなくて愛なんだよ!
デッドエンドだから幸せじゃないとは一言も言ってないんだぜ?
と自己フォローという名の言い訳。
敢えて空気を読まず
言ってみる。
『このおバカども!!!
無口スレの住人なら、無口少女を幸せにせずに死ねるのかよ!!』
俺の隣の部屋の無口少女がそう書いてるプラカードを持っているんだが…
みんな急に饒舌になりすぎw
やはりみんな無口になってただけなのね
無口娘は好きだ
だが同じように、もしくはそれ以上に無口娘を愛してくれるおまいらの存在が嬉しい
このスレの住人である事を誇りに思う
…あぁ、あと噴いたペプシ返せ
俺にもMAXコーヒー返せw
このスレをすらっと立て逃げした者から
このスレの住人の方々に感謝を今更申し上げたい
あと俺も噴いた血液を返せw
91 :
86だが:2008/03/13(木) 21:06:58 ID:ESj9Ohkz
プラカードはネタなんだが、無口少女が隣のアパートに住んでるのは本当。
当初は暗い女の子だったんだが、最近笑顔で挨拶する様になって可愛い事に気付いた。
…ちくしょう!!もっと早く気付くべきだったよorz
彼氏はこのスレ住人なんだろうか…
質問なんだけど、ここは「しゃべれない」娘っ子はOKなんだろうか
ろうあっ子とか
別にOKだろうけど、ろうあに限らず障がい者が登場する場合は相当に気を遣って書かないとマズいかもしれない。
別におkだろう。
俺も今書いてるよ、喋れない女の子。
このスレの初期に書いたネタの続編だけど。
いろいろと配慮が必要なのは確か。
そのあたりは良識の範疇で。
友人が卒業式に無口っ娘に告白していたらしい(玉砕したらしいけど)
・・・まさかこのスレ住人じゃないよなぁ・・・?
三次元になど興味ないわ
(;^ω^)…
101 :
名無しさん@ピンキー:2008/03/15(土) 16:03:15 ID:1WxzKAU9
などとのたもう
>>99の胸元をポカポカと叩く無口っ娘
【
>>98の友人】くんに告白された。
「ずっと好きでした」と、すごく真剣な表情で。
私は生まれて初めての体験による動揺で、顔は真っ赤に、頭の中は真っ白になり、声にならない声で「え、え、」と呟く事しかできない。
わからない。こんな、地味で内気で煮え切らない性格の私なんかの、いったいどこを好きになってくれたというのか。
脳内がぐるんぐるん状態の私。
しかし【
>>98の友人】くんも、そんな私からでも見てとれるほど緊張が表に出ていた。
顔はきっと私と同じかそれ以上に赤く染まっていて、速く脈打つ鼓動を落ち着こうとしているのか呼吸も深い。
それでも【
>>98の友人】くんは、決して私から目をそらさずにいる。
その眼差しは、【
>>98の友人】くんの私への想いを実感させられるもので。
そうだ。私も誠意をもって答えなければならない。
こんな私を好きと言ってくれる気持ちは嬉しいです。
けど、私は、私には……
「……ごめんなさい……」
今日は卒業式。
私たちの高校生活は、今日でお終い。
よくしてくれたお友達は、みんな進路がバラバラで、会う機会は減るんだろう。
そして……3年間一緒のクラスだった『あの人』。
それほど親しくはなかったけど、私はいつも彼を見ていたし、想っていた。
その彼は、県外の学校に行くそうで……もう、会うことはないんだろう。
そう思うと、胸に何かモヤモヤしたものが生まれ、私を暗い気持ちにさせる。
彼とはもう会えない。それはしかたがないことだ。今日という日まで何もしてこなかった自分が悪いんじゃないか。
諦めよう。初恋なんて、こんなものなんだ。何年かすれば、きっと良い思い出となって……。
……嫌だ。このまま、この胸のモヤモヤを残したまま卒業したくなんかない。
自分の気持ちを伝えないまま、彼と別れたくなんかない!
そう思いたつと同時に、私は『あの人』の元へと向かい出した。
勢いがあるうちに、この気持ちを彼に伝えるんだ。
自分でも驚くこの行動。【
>>98の友人】くんの影響かな。
【
>>98の友人】くん、ありがとう。あなたがくれた勇気で、私も……。
……なんてのを受信したので初書きしてみた
いやー、SS書きのみなさんのレベルの高さを思い知らされたわ
>>103 いやGJ。うまいじゃないですか。ちょっと切なくて好き
夢は広がるな
妄想が止まらないお前らが大好きだぜ
このスレはエロパロ板1温かいね
>>108その暖かさの象徴が妄想リレーだったりする。そんなお前らが大好きだ。
さて、眠くなってきたし現実から目を背けて夢の中で、無口甘えん坊銀髪オッドアイ舌足らずほのぼの系ロリ超能力者魔法使い
褐色ポニーテール料理下手美乳二重人格猫耳ニーソお嬢様巫女メガネお姉さん属性ちょい電波系実は義理の妹メイド異世界雪女幼馴染み先生兼ナースの双子さん、ときゃっきゃうふふしてきますね。
こんにちは。しばらくぶりです。なんか咳が止まりません
以下に投下します。今回はホワイトデーのお話です
今回もエロ無しです。多分エロは最終話までなさげ
『ホワイトデーとキャンバスと』
甘利紗枝は目覚まし時計のアラーム時刻を、午前六時にセットしている。
りりりりりん、りりりりりん、と耳元で鳴る音に目を覚ますと、彼女はベッドからのろのろと這い出た。
寝惚けまなこをぐしぐしと擦り、若干ふらつきながら部屋を出る。
一階に下りると洗面所で顔を洗う。冬場の水は冷たくて苦手だが、覚醒には持ってこいの刺激だ。
口をゆすいで、髪を丁寧にとかすと、玄関先に朝刊を取りに行く。
ダイニングにそれを置きに行ってから、一旦部屋に戻って制服に着替える。
鞄の中身を確かめて、布団をベランダに干す。パジャマと下着を洗濯機に放り込んだら次は台所だ。
毎日のお弁当を作るのは紗枝の仕事。父の分と自分の分、ついでに幼馴染みの分まで作る。
誰かのために料理をするのが大好きな紗枝の、毎朝の日課である。
朝に弱い母に代わって作るのが当たり前になってしまっている。ちなみに夕食は母の担当だ。
ご飯はもう予約通りに炊き上がっているので、作るのはおかずだけだ。
玉子焼きに唐揚げにミートボール、タコさんウィンナーに夕べの残りのポテトサラダ、あとはプチトマトを添えて出来上がり。今日は後半がちょっと手抜きになった。
七時前に起き出してくる父のために、コーヒーとトーストの用意を済ませたところで、ようやく紗枝は一息つける。
ダイニングでコーヒーを飲みながらテレビのニュースを見ていると、父が起きてきた。
「おはよう。今日も朝からすまんな」
紗枝は笑顔で首を振る。朝の準備は自分の仕事であり楽しみの一つだから、どうってことない。
三月十四日のB型の運勢はやや上向き。困っている人がいたら助けよう。ラッキーアイテムは十手。
テレビの占いに紗枝は内心でつっこむ。女子高生が十手なんか持つか。
作ったおかずの残りを食べながら、紗枝は時計を見た。そろそろ出ないと間に合わない。
ごちそうさまと手を合わせてから席を立つ。食器を流しに運び、そのまま洗面所へ。
歯を磨いて、もう一度姿見でみだしなみをチェックすると、紗枝は自室に戻る。
用意した鞄を右手に持つ。忘れ物はないかと部屋を見回す。
ふと机の上のものを確認。
「……」
視線を外して玄関に向かう。待たせると悪い。
家を出ると、向かいの家からも制服姿の少年が出てきた。
幼馴染みの橋本風見は、紗枝の姿を見ると小さく手を上げた。
「おはよう、紗枝」
紗枝は微笑みと共に頷きで応える。風見もつられるように笑い、二人は並んで歩き出した。
こうして一緒に登校するのは小学校からの習慣だ。
この時間帯が紗枝は好きだった。
慣れ親しんだこの『これから登校』という空気が心地よい。
たぶん学校が好きだからだろう。
風見と一緒に行く、学校が大好きだからだろう。
「……」
だが、その好きな空気は、必ずしも当たり前のものではない。
しばらく前まで、紗枝はそのことを思い知らされていたのだ。
◇ ◇ ◇
バレンタインデーに風見に告白された。
いきなりのことにびっくりして、目の前が真っ白になって、紗枝はそのときのことをよく覚えていない。
逃げるように自宅に戻り、なんとか落ち着いたところでメールを返した。
保留のメールを。
いきなり告白されても困る。紗枝は風見をそんな目では見てなかったのだから。
紗枝にとって風見は兄弟のような、あまりに近しい存在だったのだ。
そんな相手に想いをぶつけられて、紗枝は複雑な気持ちだった。
嬉しくないと言えば嘘になる。
しかしそれ以上に重たいと感じた。
近しいからこそわかる。風見の気持ちがどれだけ本気か。
それを受け止められるのだろうか。あるいは断れるのだろうか。
返事をすること自体が無理に思えた。簡単に決められるわけもなく、紗枝は結論を出せなかった。
もやもやした気持ちを抱えたまま朝を迎え、紗枝はそれでもいつも通りの時間に家を出た。
そして幼馴染みと顔を合わせた瞬間──紗枝は思わず目を逸らしていた。
それからちらりと横目で風見の顔を見直し、紗枝は後悔した。
微かに、風見が悲しげな表情を浮かべたからだ。
避けられたと思ったのかもしれない。違うと否定したかったが、気付かないふりをした風見の様子に、紗枝は何も言えなかった。
二人は距離を置いた。
どちらが言い出したわけでもない。なんとなく、そういう空気になってしまったのだ。
クラスが違うため、そんなに顔を合わせる機会はなかったが、いつも共にする昼食まで二人は別々にとった。
紗枝はこの方がいいのかもしれないと思い直した。朝のことは別にして、気まずさを抱えていたのは確かだったからだ。
今は気持ちを整理するときなのだろう。
それからしばらくは会わない日が続いた。
朝の時間帯をずらし、帰りもばったり会わないように気を付けた。
日常から幼馴染みの姿が消えてしまったようで、寂しく感じた。だがしばらくの辛抱だと紗枝は自分に言い聞かせた。
授業に集中し、委員の仕事を的確にこなした。
そして風見のことを考えた。
自分は彼をどう思っているのだろう。
嫌いではなかった。むしろ大好きだった。
だがその『好き』は彼の持つそれとは違う気がした。
自宅でそのことを考えていると、メールが来た。
親友でクラスメイトの竹下葉子からだった。風見程ではないが、小学校からの長い付き合いだ。
『おっす。今何やってる?』
紗枝は簡素な言葉で答えた。
『だらけてる』
すぐにメールが返ってくる。
『ベッドの上はさぞ気持ちよかろう。大方ぼんやり考え事でもしてたんでしょ?』
紗枝は驚いた。なんでわかるんだろう。
『どうして?』と返す。
『あんたの様子が最近変だったからね。やたら橋本君を避けるし、ぎこちなかった』
そんなに変だっただろうか。自分ではわからなかった。
『橋本君と何かあった?』
少し遅れてそんな問いが来た。
『何それ』
『意識してんのバレバレ。喧嘩でもしたの?』
『違うよ』
『じゃあ何?』
「……」
紗枝はしばし返事に迷い、結局正直に返すことにした。
『かざくんから告白された』
『あー、それでか。で、思い悩んでると』
『バレンタインに言われて、まだ返事をしてないの』
『付き合えばいいじゃん。橋本君のこと好きじゃないの?』
また返答に困ることを。
『わからないの。かざくんのことは好きだけど、それってかざくんと同じ好きなのかな』
『よくわからないけど、どういう意味?』
『家族みたいな感じかな。家族ともちょっと違うけど……かざくんはかざくんだから』
『ますますわからん』
紗枝は少し気落ちした。自分だけなのだろうか、こんな感覚は。
『でも、避けることないじゃない』
『だって、気まずいよ』
『気まずくても避けたら駄目でしょ。変わらずに接してやりなさい』
『人ごとだと思って』
すると、今度はメールではなく着信が来た。
「紗枝。喋らなくていいから聞きなさい」
電話に出ると、葉子は開口一番そう言った。
「橋本君を好きかどうかはあんたにしかわからない。だから私には何も言えない。でも、逃げたら駄目でしょ」
遠慮ない言葉に紗枝はむっとした。
言い返そうとするが、葉子は言葉を続けて紗枝に喋らせない。
「好きって言ってくれた相手を避けるな。向き合って、苦しんで、悩め」
「……」
「告白してきた相手も相手なりに悩んだはずよ。世の中軽い人間もたくさんいるけど、橋本君はそうじゃないでしょ?」
「……」
「あんたが返事をするまで橋本君は待ってくれると思う。あんたはただ答えを出せばいい。だから、避けるな」
「……」
「言いたいことはそれだけ。いきなり電話してごめん。それじゃおやすみ」
通話が切られた。
それっきり電話は鳴らない。
「……」
言いたいことはよくわかる。
向き合えればいいとは思うのだ。でも風見に会って、意識しないでいられる自信がない。
いつも通り接することなど、自分には、
「……」
もう寝よう、と紗枝はため息と共に部屋の電気を消した。
次の日。
紗枝が家を出ると、風見が門の前で待っていた。
いつもより早い時間のはずなのに、と紗枝は戸惑う。
「おはよう」
変わらない様子で風見は笑顔を向けてきた。
紗枝はぎこちなく頷き、そのままうつ向く。
自分はこんなに臆病だっただろうか。
一応古武道の有段者なのに、クラスの委員もやっているのに、勇気が持てない。
「紗枝」
名を呼ばれ、びくりと体が震えた。
「……ありがとうな」
震えが止まった。
「……?」
顔を上げて、相手の表情を伺う。
風見は、笑っていた。
「気まずいんだろ?」
「……」
「でも気まずいってことは、真剣にぼくのこと考えてくれているってことだよな」
「……」
「それが嬉しい。だから、ありがとう」
その笑みは控え目だったが、本当に嬉しそうだ。
答えを出していない自分にありがとうなんて、言われる資格はないのに。
でも、
「……」
気付けば紗枝は、自然と微笑んでいた。
風見が一瞬驚いた顔をして、応えるようにまた微笑む。
気まずい思いが晴れたわけではない。
でも風見が、こんなに変わらず微笑んでくれるなら、こっちも笑顔を返したい。
向き合うための一歩だ。
「行こうか」
風見の言葉に紗枝ははっきり頷いた。
少しずつ、紗枝は気持ちを整理していった。
風見とも普通に接する。一緒に登校し、お弁当を共に食べる。
風見は変わらない。一ヶ月という時間を、彼は素直に待つつもりだろう。だから何も言わない。
紗枝も何も言わない。返事を伝えるのはホワイトデー。それまでは考え続けるつもりだ。
真剣に応えるために、一ヶ月間悩むつもりだ。
だが、あまりそれを苦しいとは思わなかった。
少し前までは苦しかったと思う。でも今はどこか楽しく感じる。
風見のことを考えるのが楽しいと感じる。
不思議だった。悩ましいのが楽しく、心苦しいのが嬉しい。そんなことが有り得るなんて。
風見の気持ちが本当に嬉しいからかもしれない。想われることが嬉しい。
じゃあ、紗枝は?
風見のことが好き?
「……」
そうして紗枝は考え続け──お返しの日は訪れた。
◇ ◇ ◇
ホワイトデーだからといって、変わったことは特になかった。
風見と一緒に登校し、教室前で別れてそれぞれのクラスに行く。
いつもと変わらず授業を受け、一日を過ごした。
ただ、少しだけ変わったことがあった。
バレンタインデーのお返しをクラスのみんなにもらったのだ。
小さなチョコレートケーキをクラスメイト達から渡されて、紗枝は心底驚いた。
これまでにもお返しをもらうことはあったが、クラス全体からもらうのは初めてだった。
それは自分が作ったケーキよりも遥かに小さかったが、紗枝は最高に嬉しかった。
「……」
これから自分も『お返し』をする。
そのことを思うと、胸が高鳴って倒れてしまいそうだった。
「紗枝せんぱーい」
放課後の校門で、背後から明るい声が聞こえた。
振り返ると、後輩の折本糸乃が小走りに駆け寄って来ていた。ヘアピンで綺麗にまとめた短い髪がふわりと踊る。
「私も一緒に帰っていいですか?」
頷くと、糸乃はにっこり笑って隣に並んだ。
糸乃と知り合ったのは三年前だ。古武道場に入門してきた糸乃に、色々と教えてやったのがきっかけだった。
おしゃべりで感情を素直に出す糸乃は紗枝とは正反対のようだったが、不思議と気があった。
何より糸乃は紗枝をとても慕ってくれるので、かわいい後輩だった。
ふと、周囲を見回す。いつもの友達がいない。
「あ、由芽は彼氏と会ってるんで、今日は私一人なんです。ほら、今日ホワイトデーじゃないですか」
どこか不満そうに糸乃は話す。
「彼氏ができてから由芽付き合い悪いんですよ。最近カラオケにも顔出さないし、お前も恋愛を取るのか!って」
むう、と頬を膨らませる糸乃。
糸乃の友人の後羽由芽が緑野純一と付き合い始めたというのは、純一と仲のいい風見から聞いていた。
糸乃の話を聞く限りでは交際は順調のようである。
「私にもいつか彼氏ができるのかなあ……周りにはろくな奴がいないし」
一人ごちる後輩に紗枝は小さく笑う。
「あー、笑わないで下さいよ。紗枝先輩には橋本先輩がいるからいいですけど、私には本当に誰もいないんですよ?」
「……」
「あ、ホワイトデーですし、今日ひょっとしてお返しもらうんですか? 安物だったら投げつけるべきですよ」
「……」
紗枝は微笑しながら小さく首を振る。
「んー? どうしたんですか笑って。あー、でも微笑むセンパイもとってもキュートでグッドです!」
糸乃は叫ぶと同時に腕に抱きついてきた。
ころころ変わる態度は気まぐれな猫のようだ。
「センパイ、これからちょっと街に出ません? おいしいクレープ屋見つけたんですよ」
時間は取らせませんという糸乃。
紗枝は顔を曇らせた。これから風見にお返しをしなければならない。
だが糸乃は言った。
「今日のセンパイ、なんか堅いですもん。甘いもの食べればリラックスできますよ!」
紗枝は驚いて目を見開いた。
よく見てると思う。柄にもなく緊張しているのを糸乃は感じとったのだろう。
たいした娘だ、と紗枝は感心し、彼女の頭を撫でた。
糸乃は嬉しげに目を細めると、元気な声で言った。
「じゃあ行きましょう。短いデートですけど楽しみー」
にこにこ笑う糸乃に紗枝は苦笑した。
◇ ◇ ◇
駅裏のクレープ屋は学校帰りの学生で賑わっていた。
早目に並べたおかげで、長い行列に巻き込まれずにクレープを買うことができた。
糸乃に言わせれば計算通りらしい。行列のできる時間帯を把握してるらしく、紗枝は素直に感心した。
「このバナナコンボが結構いいんですよ。紗枝先輩のチョコレートミックスもなかなかですけど」
二人は近くのベンチに座り、一息ついた。
落ち着いたところで一口食べる。チョコレートの味が口中に広がった。
確かにこれはおいしい。甘ったるくないのがいい。
糸乃を見ると、はむはむとクレープを口に運んでいた。美味しそうに食べるが、頬に生クリームがくっついている。
紗枝は鞄からティッシュを取り出し、頬を拭いてやった。
「ふえ!? な、なんですかセンパイ?」
狼狽する後輩にクリームのついたティッシュを見せてやる。糸乃は真っ赤になって縮こまった。
「うう……恥ずかしい。けどセンパイに拭いてもらうのもなかなか……って子供扱いは嫌だし……」
小声だがはっきり聞こえている。だだ漏れの思考に紗枝は呆れた。そんなところもかわいいが。
クレープを食べながら紗枝は周りを眺めた。
駅裏通りは小さな店が多い。バス停は表の方にあるので、紗枝はあまり裏通りに来たことがなかった。
知らなかったが、雑貨屋やアクセサリー店が軒を連ねているようだ。
「先の方にはかわいいもの屋さんなんかもあるんですよー。ぬいぐるみとかぬいぐるみとか」
糸乃は目の前の店を真っ直ぐ指差す。
「ヘアピンとかそこで買ってるんですよ。あと変わったキーホルダーとかも置いてあったり……あれ?」
糸乃が不意に目を細めた。
視線の先を見ると、店前に若い男が二人いた。その影に隠れるように少女が一人。
少女は紗枝達と同じ制服を着ていた。
どうやら男達に絡まれているようで、紗枝はどうしようかと思案し──そして慌てた。
糸乃がすぐさま立ち上がって、真っ直ぐ彼らのところへ歩いていったからだ。
短慮だと思った。しかし放っておくわけにもいかない。見て見ぬふりなど元よりできるわけもない。
紗枝は残りのクレープを一息に呑み込み、糸乃の後を追い掛けようとして──軽く咳き込んだ。
ああ、もう。何を慌てているのだろう。落ち着いて迅速に、
「このナンパ野郎! その手を離せ!」
糸乃の乱暴な怒声が響いた。
紗枝はますます慌てる。まったくあの子はもうっ。
「誰? この子の友達?」
「知らないわ。けどあんたらがその人に迷惑かけてるのはわかる。だから助けるの!」
「ちょっと声かけてただけだろ。なんで文句言われなきゃ、」
「私は嫌だ、って言ってるでしょ」
少女の存外にはっきりした声が、近付く紗枝の耳に届いた。
……どこかで聞いたような。
よく見ると知った顔だった。隣のクラスの今口翔子だ。
「いや、そんなこと言わずにさ、ちょっと付き合ってもらうだけだって」
「遠慮する。私もう帰るんだから」
「ほら、迷惑してるじゃない! さっさとあっち行け!」
紗枝は頭が痛くなってきた。なんか糸乃がかき回しているだけな気がする。
男達が苛立った顔をした。怒って当然かもしれない。
しかし糸乃の口は止まらない。
「いたいけな美少女を毒牙にかけようとするなんて最悪な連中ね。この私が正義の鉄槌を……ひゃあ!」
ぺらぺらしゃべる糸乃の襟首をむんずと掴み、紗枝は強引に引っ張った。
「な、何するんですか紗枝先輩」
不満気な糸乃を小さく睨み、頭に軽くチョップを食らわせる。
「痛い! ……怒らないで下さいよー。私、あの人を助けるために、」
「甘利……?」
翔子がこちらに気付いた。紗枝は軽く手を上げて応えた。
「あれ? ひょっとして知り合いですか?」
頷くと、紗枝は翔子と男達を順に見やった。
さて、どうするべきか。
迷っていると一方の男が話し掛けてきた。
「結構かわいいね、君も。あのさ、よければ俺らと」
言葉と共に肩に手を乗せてきた。
多分悪気はなかったのだと思う。そういうスキンシップに慣れてる人間だったのだろう。
ただ、紗枝はそうではなかった。
肩に手を乗せられた瞬間、反射的にその手を掴んで関節を極めた。
そして崩しと同時にその場に投げ飛ばしてしまった。
「──がっ」
男の口から苦しげな呼気が漏れる。紗枝ははっと気付くと途端に慌てた。
悪気はなかったのだ。むしろ平和的にこの場を収めようと思っていたのに。
男の相方が呆気にとられている。翔子も目を丸くしている。糸乃だけが「カッコいい……」とうっとりしていた。
相方がようやく我に返って、男を助け起こそうとする。
男はなんとか立ち上がると、苦痛に顔を歪めながら睨んできた。
紗枝は自身の失敗を悔やんだが、こうなったら仕方がない。
糸乃に素早く目配せをする。糸乃は頷き、翔子の手を取った。
「行きましょう!」
「へ? あ、ちょっとっ」
糸乃は翔子の言葉を無視してそのまま引っ張っていく。
「この!」
男が掴みかかってきた。紗枝は胸ぐらを掴まれた瞬間、相手の足の甲を踏みつけた。
「いっ!?」
痛みに怯んだせいか、男の腕の力が緩んだ。
紗枝はその腕を外側にいなすように外すと、がら空きになった男の顎に掌底を叩き込んだ。
「──」
がくりと膝を落とす男。紗枝は飛び退るように距離を取る。
「おい!」
相方が詰め寄ってくる。こちらの方が体が大きく、強そうだった。
素手では無理だ。逃げても足にはあまり自信がない。何か武器はないかと周りを見回す。
背後にあったのは雑貨屋。
その店先の籠に、土産物だろうか、銀色の棒が光っていた。
ああ、そういえば今日のラッキーアイテムだったっけ。
紗枝は素早く籠に手を突っ込むと──振り返り様に迫ってきた相手の鳩尾に、銀色の十手をめり込ませた。
「がはっ!」
不意打ちだったせいか、男は激しく咳き込み倒れた。
時間にして一分も経っていない。しかしその短時間で、紗枝は鮮やかに男達を倒してみせた。
だがもちろんそれは紗枝の本意ではない。やってしまったという罪悪感の方が強い。
幸い男達は大怪我はしていないようで、ふらつきながらも立ち上がろうとしていた。
紗枝は申し訳ない思いでいっぱいのままぺこりと頭を下げ、鞄を拾い上げると急いでその場から逃げ出した。
駅の表通りの先には大きな広場がある。
糸乃にメールを送ると、そこに来て下さいということだった。
広場の奥に行くと、ベンチに座って二人が待っていた。
「あ、センパイ!」
糸乃が笑顔で駆け寄ってくる。
「あいつらやっつけちゃいましたか? さっすが紗枝先輩です。玲瓏院流の有段者が負けるわけないですよね」
紗枝は複雑な表情で後輩を見やる。無意味な暴力は振るいたくなかったのだが。
視線を外して翔子を見る。
どこか探るような目で見返してきた。紗枝は少し気圧される。
「──意外だった」
翔子がぽつりと呟いた。
何のことだろう、と紗枝は首を傾げる。
「もっとおとなしい子かと思ってたけど、武闘派だったのね」
「……」
変な誤解をされているような。
咄嗟に否定しようとしたが、その前に糸乃が答えた。
「紗枝先輩は普段は優しいけど、怒ると怖いんですよー。気に入らない相手は自慢の体術でばしっと」
「糸乃!」
思わず発した短い声。
しん、と静寂が一瞬辺りを包んだ。
翔子が茫然と紗枝を見つめている。
糸乃も目を丸くして固まっていた。
「……久しぶりに紗枝先輩の声を聞いた」
「……」
紗枝は肩をすくめる。
「……驚いた」
次いで翔子が呟いた。
「ちゃんと喋れるんじゃない。失語症とかそういうのかと思ってたよ」
言われて紗枝はやれやれとため息をついた。
別に喋れないわけではない。少しだけ、喋るのが苦手なだけだ。
翔子はなぜかニヤリと笑った。
そして糸乃に声をかける。
「ごめん、君ちょっと席外してくれない?」
「え、でも私センパイと、」
「お願い」
糸乃は困った顔で紗枝に視線を送った。
それに対して紗枝もごめん、と目配せする。
「……わかりました。あ、でもあんまり遅くならないようにして下さいね。センパイ、このあと用があるみたいですから」
それじゃ、と糸乃は頭を下げ、バス停の方へと走っていった。しばらく行ったところで再び振り返り、元気よく手を振ってきた。
紗枝はそれにひらひらと手を振り返す。
「かわいい後輩だね」
翔子は面白そうに糸乃の後ろ姿を眺めやる。
「……」
紗枝は答えない。
「なぜ二人っきりにしたのか、ね?」
翔子は紗枝の心を読み取るように言った。
「……一度、こうして話してみたかったの。あんたがどういう人間か私はよく知らないし」
「……」
「聞きたいことも色々あるし、ちょうどいい機会だと思ったから。座ったら?」
言われて紗枝はベンチに腰掛けた。
夕暮れの広場にも人はいる。スーツ姿の会社員も、買い物帰りの主婦も、まだまだ遊び足りない子供達も。
小さな喧騒の中で、翔子は朱い空を見上げている。
聞きたいこと。それはきっと風見のことだろう。
彼女が風見に告白したことは風見本人から聞いていた。
委員の仕事で一緒になるくらいで、紗枝は翔子のことをよく知らない。
翔子もそれは同じで、彼女は紗枝をどう見ているのだろう。
恋敵?
「なんで喋んないの?」
最初に投じられた問いは、それだった。
少し予想外だ。てっきり風見のことを訊かれると思っていたのに。
「だんまり?」
「……苦手なだけ」
「喋るのが?」
翔子は納得できないようだ。
「いや、だからってまったく喋らないっていうのは、」
「癖……だよ」
紗枝は正直に答えた。
「……小さい頃から苦手だった。でもかざくん……風見くんは、いつも言いたいことをわかってくれたから……」
「……でも今はクラスも違うし、いつも一緒にいるわけじゃない」
「……友達に恵まれた」
そう。それは本当に偶然な幸福だった。
「最初は家族と……風見くんだけ。でも、少しずつ友達が増えて……言いたいことをわかってくれる人が増えた」
たぶん世間一般ではまずありえないことだろう。それは本当に僥倖だった。
葉子が、糸乃が、あらゆる人が紗枝を受け入れてくれた。
それは良いことでもあり、悪いことでもあった。紗枝の無口をそのままに残してしまったからだ。
「甘えているのかも……でも私……」
「甘えているわね」
ぴしゃりと翔子は言った。
「だって、こんなにしっかり喋れているのに」
「……」
紗枝は押し黙る。
「そんな綺麗な声してるのに喋らないの?」
「……」
「黙ってたらわからないよ」
「……そうだね」
ズバズバ言うなぁ、と紗枝は苦笑い。
「……風見だって、いつまでもあんたのことをわかってくれるわけじゃない」
翔子の言葉は重い。
わかっている。この一ヶ月間で彼の想いを知り、距離を味わい、自分の気持ちを確かめた。
気付いてしまったのだ。風見が紗枝をわかっているほど、紗枝は風見をわかっていない。
こんなに長く一緒にいながら、彼の気持ちに気付かなかった。それは紗枝にとってショックだった。
そして悩んでしまうくらいに、自分の気持ちさえわかっていなかった。
もうただの幼馴染みではいられないのだ。だからこそ、紗枝は風見をもっと理解しなければならない。
何より、紗枝自身が風見のことを深くわかりたいと思うから。
「……風見くんに告白されたの」
翔子は複雑な表情になった。
「知ってるわよ。……今日返事するんでしょ。どうなの?」
紗枝は目を剥いて相手を見つめた。
「風見に聞いたのよ。今日、バレンタインのお返しもらったときに」
「……」
「あんたの返事次第で私の出方も変わる。できれば聞かせてほしい」
まったく物怖じしない娘だ。紗枝はやや気圧された。
しかしそれは一瞬で、すぐに紗枝は首を振った。
「答えはやっぱり一番に風見に伝えたい?」
頷く。
「そっか」
翔子はどこかさばさばした顔で微笑した。
「訊きたかったのはさ、やっぱりそこなんだよね。あんたが風見をどう思っているか」
「……」
「でももう訊かない。なんとなくわかったから」
「……」
翔子は微笑みながら一つ頷くと、人差し指をぴっと立てた。
「その代わりさ、風見のことを聞かせて」
「え?」
「幼馴染みなんでしょ? 私は風見の小さい頃を知らないし、聞かせてほしい」
紗枝は逡巡した。時間はまだあるが、喋るのは、
「……」
いや、と思い直す。苦手とか癖とか、そんなのは言い訳だ。
理解のためには言葉が必要なのだ。相互の理解のために、紗枝はもっと変わらなければならないと思う。
目の前の少女は風見をとても想っている。そんな彼女になら、風見のことを話してもいいと思う。
紗枝の知る橋本風見を話したいと思う。
「……あんまり時間ないけど、いいかな?」
翔子はにっ、と嬉しげに笑った。
◇ ◇ ◇
最初の思い出は砂場。
『ねえ、なにやってるの?』
『なにかかいてるの?』
『ゾウ? すごい! じょうずだね!』
いつも一人で遊んでいた少女に、彼はいきなり話しかけてきた。
夕方の、子供のいなくなった公園で。
少女は何も答えなかった。ただ話しかけてきた男の子を見つめていた。
ほめられたことに気付いた瞬間、嬉しかったことを憶えている。
それが、二人の最初の出会い。
それから二人は同じ場所でよく遊ぶようになった。
遊ぶといっても紗枝が砂場に絵を描くのを風見が眺めるだけで、他には何もしなかった。
絵の舞台を砂場から自由帳に移しても、それは変わらなかった。
風見はいつも笑っていた。
ただ絵を眺めるだけで何もしない。にもかかわらず風見は常に楽しそうだった。
なぜ? と紗枝は不思議だった。そんなに何がおもしろいの?
紗枝は怖かった。誰かに自分のことをうまく伝えられないために、周りとうまく過ごせなかったから。
しかし風見は言った。
『ぼくはこわくないの?』
怖くなかった。風見は紗枝を理解してくれるから。
『じゃあ、ぼくがさえちゃんのいいところをみんなにおしえてあげるよ!』
紗枝は驚き、戸惑った。そんなことしなくてもいい。
『だいじょうぶ。こわくてもぼくがまもるから』
そう言って、風見は紗枝を連れていろんなところに行った。
遠くの公園に行った。田舎のおばあちゃんちに行った。真夏の花火大会に行った。
紗枝は怯えながらもいろいろなものに触れ、少しずつ世界を広げていった。
楽しめる世界を広げていった。
小学校に上がり、他の子供達に囲まれることになっても、風見は側にいてくれた。
もちろんうまくいかないこともたくさんあったが、風見がどこまでも引っ張ってくれた。
今こうして紗枝が毎日を楽しめるのも、風見のおかげだった。
もう風見に守ってもらう必要はない。
でも、紗枝は──
◇ ◇ ◇
家に帰り着いたのは七時前だった。
長話をしていたらすっかり遅くなってしまった。あんなに自分から喋ったのは初めてかもしれない。
翔子は楽しそうに紗枝の話を聞いていた。
『あいつらしいね』
そのときの顔はどこか何かを吹っ切ったように、紗枝の目には映った。
部屋に戻り、机の上のものを見る。
お返しを、返事をする。紗枝が悩み、結論付けた単純な答えで持って。
一ヶ月なんて必要なかったのかもしれない。
それでも、紗枝が自分を見つめ直すには大事な期間だったと思う。
机の上のプレゼントを鞄に入れ、紗枝は一階に下りた。
まだ父は帰ってきていない。母に橋本家へ行くことを伝えると、「頑張ってきなさい」となぜか激励された。
外に出て、慣れ親しんだ向かいの家の前に立つ。
辺りはすっかり真っ暗だ。その中で玄関の明かりだけが強く輝いている。
紗枝は大きく深呼吸をして心を落ち着かせると、玄関のベルを鳴らした。
十秒後、ばたばたという足音が聞こえ、ドアが開いた。
中の光と共に、幼馴染みが姿を現す。
「……待ってたよ」
風見は短く囁くと、紗枝を中に招き入れた。
紗枝の右手にある手提げ鞄を訝しげに見やったが、特に何も言わない。
紗枝はリビングのソファーに浅く腰掛けながら、台所に消えた風見を待った。
戻ってきた風見は、お盆に載せたお茶を差し出し、対面のソファーに座る。
「えっと……」
先に口を開いたのは風見。
しかし言葉が続かない。多分何かはっきり言うことがあったわけではないのだろう。
紗枝が喋らなくてもいいように、リードするつもりなのだろう。
「あのさ、紗枝」
「……」
「答え、聞かせてくれるんだよね」
紗枝は頷く。はっきりと。
「じゃあ、OKなら頷いて。違うなら、」
「かざくん」
発した声音は随分自然だった。
風見が冷水を浴びたように驚きの表情を浮かべる。
「ありがとう、いつも守ってくれて」
十年間分のお礼を言葉にこめる。
「……なんだよいきなり」
風見はどう反応していいかわからないようで、小さくぼやいた。
「ずっとかざくんが守ってくれてたから……私はここまで成長できたんだよ」
「……」
「でも、もういいの」
「……それ、どういう意味」
紗枝は直接は答えなかった。
「ずっと考えてた。私はかざくんをどう思っているんだろう、って」
「……」
「それで、思ったの。私はかざくんが好きだって」
でも、と紗枝は続ける。
「それはかざくんとは違う好きかもしれない……私はあなたを、あなたが私を見るようには見てこなかったから」
微かに寂しい気持ちになった。
風見は無表情だ。
「私はかざくんを少しも理解してなかったのかもしれない……」
「……つまり、ぼくとは付き合えないってこと?」
紗枝は首を振る。
「だから、改めてそういう目で見ようと思った。そしたら……嬉しくなっちゃった」
「嬉しい、って」
「温かい気持ちになれた。嬉しくて、恥ずかしくて、苦しかった」
「……」
「変だよね。今更そんなことに気付くなんて。自分のことさえ、私はわかってなかったんだよ?」
「……」
紗枝は幼馴染みの目を真っ直ぐ見据えて言った。
「この気持ちはかざくんの積み重ねてきた気持ちとは違う。まだ生まれたばかりで私にもよくわからない」
「……」
「この気持ちが確かなものかさえ、私にはわからない。でも私はかざくんと一緒にいたいと思う。だから──」
頬が熱くなる。羞恥で胸がいっぱいになる。
「──これからも一緒にいてくれますか?」
一ヶ月かけて出した単純な答え。
一緒にいたい。それが紗枝の一番の願い。
紗枝はじっと幼馴染みを見つめ、答えを待った。
すると、風見は答えずにすっ、と立ち上がった。
ゆっくりとこちらに歩み寄ってくる。
紗枝がぼんやりとそれを見つめていると、傍らに膝をつく。
そして、おもむろに抱き締めてきた。
「あ……」
紗枝は咄嗟のことに反応できず、ただ固まっていた。
耳元で風見が囁く。
「疑問系に疑問系で返すなよ……」
「……うん」
「付き合ってくれるんだよね」
「うん」
「ありがとう。すごく嬉しくてほっとしてる」
「うん」
紗枝はそれしか返すことができない。
「ずっと好きだったんだ……」
「うん」
「こうやって抱き締めたかった」
「うん」
「あったかくて、柔らかい。安心するよ」
「うん」
「ずっと一緒にいたいよ」
「うん」
「もっと近付きたい。紗枝をもっと知りたい」
「うん」
「キスしていい?」
「うん」
え?
次の瞬間、紗枝は唇を奪われていた。
目に映るは両目を閉じた幼馴染みの顔。
不快感はなかった。紗枝は優しい感触に身を委ね、目を閉じた。
今までで一番長く短い瞬間に、紗枝はいつまでも浸っていたいと思った。
紗枝は体を離すと、鞄からプレゼントを取り出した。
バレンタインのお返しだ。普通のお返しではないが、受け取ってほしい。
風見の前に四角い板状のものが現れる。
それはキャンバスだった。油絵などに使われる画布。
そこに描かれているのは橋本風見その人だ。
一ヶ月かけて紗枝が描いたものである。美術学校卒の母親に道具を借りて、脳裏に描いた幼馴染みをキャンバスに写したのだ。
スケッチのような下書きは得意でも、色塗りは苦手である。一ヶ月未満ではやはり満足に仕上げられなかったが、
「時間なくて完璧にはできなかったけど、頑張って描いたよ。絵を描くこと自体久しぶりで、うまくないかもしれないけど──」
キャンバスの中の風見は楽しそうに笑っている。
それが一番風見らしい表情だと思う。
風見はキャンバスに描かれた自分の顔を見て──絵と同じように微笑んだ。
「うまいよな、昔から紗枝は」
「そ……そんなこと」
「ぼくは紗枝の絵が好きだったんだ。久しぶりに見たけど、やっぱり上手だね」
「……」
初めて出会ったときのように、彼は誉めてくれた。
昔から変わらない笑顔と共に。
どうにもくすぐったくて、紗枝は恥ずかしそうに顔を伏せる。
「照れた?」
「……馬鹿」
照れ隠しの一言を、少女は小さく呟いた。
◇ ◇ ◇
こうして二人は付き合うことになった。
互いの『好き』に多少の違いはあるけど、紗枝はもう気にしなかった。
これからいくらでも想いを深めることができるのだから。
今はただ一緒にいられることを喜んで、楽しんで。
(明日からよろしくお願いします、かざくん)
紗枝は向かいの家に対して嬉しげに呟くと、電気を消してベッドに潜り込んだ。
以上で投下終了です
エプロン精霊が今回まったく出てきてませんが、次からまた復活する予定です
しかしこの無口っ娘はずいぶん回りくどいですね。自分で書いててなんですが
私は好きですけど、ひょっとしたら共感されにくいタイプかもしれませんね
GJ
リアルタイムは初めてだ
GJ!
いやこういう無口娘もいいですよ?俺は好きです
ああ…GJ!!
エロが無くても十分楽しめるぐらい無口っ子が好きな事を今更ながら思い知らされた。
次回作も楽しみに待ってます。
>>123 乙。
エロ無しでも、こういう甘く切なく狂おしい話は好きだ
>>123甘酸っぱいというより酸い甘いという感じですな。とても色々な感情が味わえた。
GJ!
このスレ定期的に無口になるne!
>>129 無口娘が頑張って会話するが、途中キスとかで会話が止まってると考えるんだ。
……沈黙も悪くないだろ
沈黙が嫌なら話題を振るんですよ
みんな無口無言で答えてくれます
ヤンデレスレ保管庫にある「気に病む透歌さん」がこのスレの住人向けかも知れぬ
>>132 ヤンデレスレ保管庫見てきたんだが、
そんなss無かったぞ。ついでに修羅場スレの保管庫も見てきたけどそこにも無かった。
>>134 見てきた。
ヤンデレは基本苦手だったけどこれは良いなw
教えてくれてサンクス。
無口っ娘が日がな一日とことん甘えまくる、激甘SSが見たい
注:上の2レスで無口っ娘が身体をゆさゆさして起こしてくれました。
以下、無口っ娘とのデートをお楽しみ下さい。
141 :
名無しさん@ピンキー:2008/03/22(土) 13:55:19 ID:BhxkTems
メンズナックル
………ルビー
ビームサーベル
ルール
ルーズリーフ
ルームランナー
無口な女の子にル攻めをしたリアクションで萌えるとは・・・・やるな。
なんだこの流れはw
…私だけ…のけもの…?
……クスン
無口娘はやっぱり眼鏡だよな
151 :
名無しさん@ピンキー:2008/03/23(日) 03:08:45 ID:hYaYjdYt
がるるる
>>153 やるな…
無口娘に獣と化した男を与えるか、無口娘を獣とするか。
好みが別れるけど。
いや、ぬこ擬人化だな…
ある猫が人間に恋をしてしまい、自分も人間になる代わりに声を失って…
バッドエンドにしかならんな。アンデルセン的な意味で
もっと早く書き上がっていれば、流れを遮ることもなかったのにと少し残念。
でも、眠たかったんだよ〜。
というわけで、
>>148に事情を説明する。
>>137-139からの続きです。
「あー、ごめん、すまん、わるかった、これこのとおり」
ひとまず男が、平謝り。
「なんていうかさ、最近あんまり眠って無くてさ。
仕事がもう、そりゃあ忙しくて、ろくに休みも取れないからさ、ついついウトウトしちまったんだ」
そして男は、言い訳を始める。
状況を説明しよう。
自動車メーカーでエンジニアをする28歳の青年、坂上四郎(さかがみ しろう)と、中学2年生14歳の少女、坂上しづか(さかがみ しづか)。
二人の性が同じなのは偶然でもなんでもなく、理由がある。しづかは四郎の娘、つまり姪であり、実に近しい間柄なのだ。
親戚関係である二人だが、お互いに思いを寄せて数年の後、男の告白を少女が受け入れるという形で恋人関係になった。
見てくれの小ささからもわかるとおり少女は子供であり、社会のしがらみにそれなり揉まれた青年は大人である。
年の離れた親戚同士、おのずと交際は周囲に秘密となる。
加えて、彼女は未だ中学生であるからスケジュールを都合するのも難しく、何よりも青年の仕事の忙しさは尋常ではなかったため、なかなか二人の逢瀬が叶わなかった。
そしてようやくこの日、実に一月ぶりの逢瀬である。
しかも、四郎の出張先までしづかを呼びだしてのデートだ。
出先でとれたようやくの休日、一人で観光も味気ない、と思い、彼女に新幹線のチケットを送ったのだ。しずかも友人に頼み込んで口裏を合わせて貰い、ようやくデート実現の運びとなった。
親戚知人の目を気にしないでいいデートは実に爽快で、二人ははしゃぎながらそれを堪能した。
そして四郎の泊まるホテルに戻ってきた二人。すでに何度か身体を重ねたことのある二人、当然このあとの流れはお互い心得ている。
さて、問題はこのあと。
なぜ四郎が、しづかにこうも平謝りをしているのかというと。
久しぶりに愛しい人と肌を合わせる期待と羞恥にドキドキしながら、シャワーを浴びたしづかバスルームを出ると、
彼女よりも先にシャワーを浴びた四郎がソファーに座りながら、ぐーすかといびきを立てていたのである。
ということで、話を戻す。
少女に、イチャイチャ前の居眠りを咎められ、男は大げさに頭を下げて、大絶賛謝罪中なのである。
ホテルの一室で、中学生の少女にひたすら頭を下げまくる社会人、という姿は、どうにも情けなく、哀愁すら感じてしまう。
それでも少女、先ほど疲れて眠っていた男を、ただ無言で揺り起こしたその少女は、男の言い訳を受け付けない。
シャワー上がりのバスガウン姿、ただ言葉無く、小さくつぐんだ口をやや不満そうに突き出して、上目遣いの非難の視線。
そしてついには、ぷい、と視線を逸らせた。
普段から極端に口数の少ないこの少女、だからこそ、それ以外の表情や仕草が言葉のかわりになってくる。
今の彼女が言葉無く伝える感情は、『寂しい』だ。
四郎は、しづかがまだ幼かった頃からのつきあいにより、その感情を読みとることが出来ているのである。
最初の頃はどうにも、無表情に加えて無言、もちろん無愛想でもあったからコミュニケーションとしてはほとんど成り立つものではなかったのだが。
お互いの気持ちを伝え合い、ただの親戚関係から恋人へと変わって数年、少女はずいぶんと直線的に感情を伝えるようになってきた。
「・・・ごめん、久しぶりの時間なのに、おまえをほったらかしにして」
少女が寂しかったように、男だって彼女と会えなくて寂しかった。
それをおもいっきり埋めるぞ、という意気込みを持ちつつ、彼女をデートに誘い、こうやってホテルにエスコートできたというのに。
それを、彼女を前にして眠ってしまうとは、彼女の恋人として、いや男として失格である。なんとふがいない。
その、男の悔恨を、空気として読みとってくれたのか。
ようやく少女は、優しく男の頭を撫でてくれた。
許された、という安堵にホッとすると同時に、先ほどまでの寂しそうな表情から穏やかな笑顔に変わった彼女をに、ぎゅぎゅうと胸を掴まれるような愛おしさを覚えた。
そしてさらに、そのあとのしづかはといえば。
四郎の頭を撫でていた手をゆっくりとひっこめ、そしてくるりと身を翻したかと思うと、とことこと小動物の動きでベッドに近寄った。
身に纏ったバスローブそのままに彼女はベッドに飛び乗ると、仔猫のようにころりと丸まって瞳を四郎に向けた。
こっちきて、いいよ?
四郎は、しづかの瞳をそう読んだ。
ベッドの上、湯上がり美少女の中学生、その無言のアプローチに、四郎は先ほどまで打ちひしがれていた男の甲斐性のようなものを完全回復。
すうと吸い込んだ息を、ふん、と鼻から吐き出して、四郎の身体は準備万端。
足を曲げて深く屈んだ反動を跳躍力に変えて、ぴょーんとベッドにダイブした。
大人と子供。
比喩でもなんでもなく、事実である。
丸く身体を縮めただけで、それに覆い掛かる男の背中にすっぽり隠れてしまいそうな、小柄な少女。
もちろん彼女が逃げるわけではないが、あえてしづかを逃がさぬよう覆い被さる男。
そのまま二人は、手を使うでもなくただ顔を寄せ、唇を近づけて、啄むようにキス。
しづかは最初顔を向けるだけで四郎のキスを迎撃していたのだが、ちゅ、ちゅくと小さな音を立てて二人のキスが育っていくうちに、
次第に少女の頭も持ち上がり、強く唇を重ね合うために追撃を始める。
しづかに体重をかけぬよう、彼女の頭の側、ベッドに両手をついて支えていた身体を、四郎はようやく彼女に重ねていった。
ぎしり、とベッドが静かに軋み、彼女が待ち望む心地よい重さがかけられた。
四郎の手はようやく自由を得て、愛しい少女の身体を撫で回すべくその肌に触れた。
短く、は、と息を吐いたしづかはすぐにその息を、く、と詰めた。
バスローブの隙間から忍ばせた四郎の手は、親指を除く4本の指の腹で、さらりと身体のラインをなぞった。
息を詰めて、首を振って抗うしづかは、相変わらず声を出さずにいる。
そして男の与える愛撫に身体を委ね、ローブをはだけさせながら次第に鼓動を高めていく。
キスを深めて舌を絡め合う二人。普段から喋らないしづかの舌は、その無口が原因か、薄く短く辿々しい。
ちろちろと不器用に動く少女の舌を、ぞろりと絡め取るように四郎の舌が蹂躙する。
ちゅくり。
四郎の指が、キスに夢中のしづかの秘部に忍び込んだ。
唐突な愛撫、普段はもっと後の手順の刺激に驚いたしづかが絡ませていた舌を引っ込めさせた。
こうやって肌を重ねることも数度となれば、幼い中学2年生とて相応に開発されていく。
しかし四郎は、無垢な彼女が性に馴染むのを、順調王道、マンネリに導くつもりはなかった。
たまには悪戯も兼ねて、変化のある刺激を与えてあげたい、と思っている。
なだらかながらも右肩上がりに高まっていた鼓動が、変則的な愛撫にどきりと高く跳ね上がり、呼吸を激しく乱していく。
キスから離した唇を、精一杯大きく拡げて、悩ましげな吐息。
普通の女ならば、四郎のそれなりに培った女性経験の中の女ならば、ここで艶やかな喘ぎ声を聞かせてくれる場面である。
しかし、四郎の腕に抱かれる真珠のような少女は、普段の無口をこんな場面でもかたくなに護る。
四郎は、この少女が快感に喘ぐその声を聞きたくて、いつもいろいろな工夫で快楽を与えているのだ。
少女が、秘部に忍び込んだ男の指に注意を引き付けられたとき、今度は男、彼女の胸にかぶりつく。
まだ少年といっても謀れるくらい、成熟とは遠い子供の身体なのだが、それでも胸にはそれなりの性感が発生する。
悩ましく身をよじって、男から与えられる快感に打ち震えている少女。
それでも残念ながら、少女はよがり声をあげなかった。
四郎はそのあたり、少々残念に思いながらも、しづかがそういう女の子であると深く納得もする。
声こそ出さないものの、眉根を寄せて快楽に喜ぶ表情を見せられれば、それだけで十分しづかという少女を可愛がっている実感に興奮できる。
そうしてしばらく、優しく丁寧に、ときたま弾みをつけるような乱暴さで、少女の身体を可愛がってあげた。
湯上がりの肌が熱っぽく火照り汗をかき、全身の脱力具合や荒くなった吐息、そして何よりもその、うっすらと涙を浮かべた瞳が、四郎に次のステップをねだっている。
はやく、ほしい・・・
彼女の瞳にこうも強く語りかけられて、それでもまだお預けをするような意地悪は四郎には出来ない。
それ以前に、四郎の方が我慢の限界である。
「じゃあ、入れるぞ?」
四郎は、すでにギンギンに勃起している男性器を早く少女の秘所に埋めたくて仕方がない。四郎はしづかの、それを受け入れてくれる瞬間の表情もまた、好きだ。
そして本能に急かされるように四郎が、ペニスの狙いを定めるべく自身の根本に手をやろうとした瞬間、思いもかけない刺激が襲った。
柔らかな少女の掌が、四郎の肉茎を包んだのだ。
四郎が、少女の行動に驚き、小さく、あ、と声を漏らした。
熱病にうなされるような荒い吐息と共に、しづかは柔らかく握った四郎の性器を、さらさらと愛おしそうに撫でたあと、自らの性器にあてがった。
そして四郎を見つめ、こくり、と頷いた。
そうだ、しづかも寂しかったんだ、と四郎は心を揺らされた。
早く一つになりたい、そんな少女の気持ちをはぐらかすように眠ってしまったことを、今更ながらに申し訳なく思う。
しかし今は、そんな後悔などは必要ない。早く彼女の望みを満たしてやるだけである。
いや、自分の望みも、同時に満たせるのだ。
四郎が腰を押し出し、しづかがそれを受け入れた。ぬる、とまだ幼い少女の膣が開き、男の亀頭を飲み込み始めた。
しかし少女の望みとは裏腹に、亀頭の半分を沈めたところで、未成熟な膣の締め付けは男を押し返すように抵抗する。
そうなればあとは、男である四郎が、キめてやればいいだけの話である。
少女の腰を右手で掴み、ぐぐぐ、と腰に力を込める。
力と抵抗が鬩ぎ合い、その臨界を超えた瞬間。
ずにゅるう、と少女の膣に男性器が潜り込んだ。
しずかはその挿入に、背筋を反るようにして跳ね、ちいさく、あ、と悦びの声を上げた。
声は確かに控えめだったが、その全身の性感は凄まじく彼女を高めたようで、吐息も乱れてがくがくと全身を振るわせていた。
同時に、挿入した四郎とて、ペニスを強く締め付ける少女の膣壁に勢いよく擦りあげられてしまい、危うく暴発すら起こしそうな快感を得た。
歯を食いしばり、そんな惨めな事態を堪えた四郎は、一度息を吸い込んでから改めて、腰を使い出した。
先ほど漏らした小さな嬌声をしづかは、いつもの恥ずかしがり屋な性格でもって『はしたない』と恥じ入ってしまったのだが、
そのあたりの反応も含めて四郎を喜ばせることに彼女は気付いていない。
口を開けば声を出してしまう、と必死になって口をつぐみ、愛する男と身体を結ぶ悦びに身体を震わせていた。
今、口を開いたら、きっとはしたない声で泣いてしまう。
しづかは、空いた片手で口を押さえ、声が漏れるのを堪え、そのかわり心の中で、強く、何度も、いま四郎に伝えたい言葉を繰り返した。
しろう、だいすき!
そして、心の中をその言葉で満タンになるぐらい満たしたあと、その気持ちを瞳に込めて、最愛の男を見た。
「う!!」
思わず四郎は呻いた。
そんな、彼女の濃縮された気持ちを受け取ってしまって、あっさり四郎のハートは破裂してしまったのだ。
もうすでに腰の奥は決壊した。四郎は必死に尿道を締め、漏らさぬようにして最後のスパートを開始した。
「しづかっ、しづかっ!!」
四郎は何度も彼女の名前を叫び、荒々しく少女の膣奥を突き上げた。少女の膣にある『感じるポイント』を、がむしゃらに突き上げる。
彼がやりたかった、彼女の反応を楽しみながらの男性優位なセックスなど、とてもではないが出来そうもない。
ポイントを突かれるたびにしづかはビクビクと身体を震わせ、キモチの高まりに追いつくように性感も高まっていく。
口を押さえていた手も、男を導いた手も、すべてを男の背に回し、しがみつくように抱きしめる。
そして声を抑えるために彼女は、かぷり、と男の首筋に噛みついた。
「うわっ!!!」
それが引き金となって、四郎は射精した。
ぎゅっ、と強く腰を押しつけて、彼女の奥深くで大量に精液を吹き出す。
どく、どく、どくん、と一月分溜まった精液が胎内に流し込まれるのを、しづかはその脈動を以て感じ取った。
そして彼女自身も、男の精を膣奥に迎えるという女の悦びに、幼いながらもアクメを迎えたのだった。
四郎が射精の恍惚から意識を回復させるのと同時に、自分の耳元に近いしづかの唇から、絶頂を迎えた少女の悩ましい吐息が聞こえてくる。
その吐息の中に、すき、という小さな囁きが混ざって聞こえることに、四郎はこの上なく幸福な気持ちで満たされていくのだ。
「続けて2ラウンドも良いけど、しばらくこうしてようか?」
乱れたバスローブを脱ぎ捨て、生まれたままの姿になったしづかを抱きしめながら、四郎はそんなことを言った。
言葉に偽り無く、いつでも続けてしづかを愛してあげられる自身はあったが、こうして穏やかに彼女を感じるのもまた、心を幸福にする。
観光デートは、昨日の土曜日に十分堪能した。日が変わった日曜日、彼女を送り返す夕刻までの間は、こうやって二人、部屋の中でイチャイチャするのも悪くない。
そう思うからこそ、焦るような気持ちもなく、こうやって穏やかに彼女と戯れていられるのだ。
「それじゃあ、しりとりでもするか?」
裸で抱き合った二人、ちょっとした言葉の戯れ。
しかししづかは、少しの非難の目を向けてきた。
しろうがいじわるするから、しりとりはきらい。
彼女の瞳からそんな言葉を読みとった四郎だが、それでも意地悪をやめるつもりはない。
そうやって困った表情をする彼女も、最高に可愛らしいと思うからだ。
そして
>>141-146に続く。
END OF TEXT
ゴメン、大きな訂正。
> 二人の性が同じなのは偶然でもなんでもなく、理由がある。しづかは四郎の『兄の』娘、つまり姪であり、実に近しい間柄なのだ。
『兄の』が抜けてました。
おまけに『姓』も間違えてる、ダメだ、吊ってくる。
リアルタイム遭遇ktkr
ちょっとしりとりしてくる。一人で
ちょ、ネタにしとくには勿体ないクオリティーなんですけど
ををぅ、これはなんともいい無口。
にしても『姪』か……、つまりは三親等、法的にも結婚出来ない上、一応近親相姦になるのか……
いやまあ近親相姦ネタは大好物だがw
>>170 ナイスアシスト。
では次こそ君の会心のゴールを見せてくれ。
>>171 あんまり深く考えてなかった。
結婚できなくても、たぶん二人は幸せに暮らせるだろうなぁと思う。
姪がよその家に養子で出ていけば、結婚は可能なのかなぁ?
事実婚でいいやん
事実婚しかありえんな。
なんかこのくらいの年の差の叔父×姪インセストカップルという組み合わせに、
鬼魔あづさの「おじさん以上恋愛未満」を思い出した
>>173 近親ストライクな層を狙ってたわけじゃないのかよww
>>159-164 >自動車メーカーでエンジニアをする28歳の青年、坂上四郎(さかがみ しろう)と、中学2年生14歳の少女、坂上しづか(さかがみ しづか)
>男の告白を少女が受け入れるという形で
いや、野暮な突っ込みはだめだよな。
ごめん。
>>177 俺がかわりにつっこんでやんよw
あえて言おうこのロリコンがーーーーー!!!!!
「…ロリコン…大嫌い…」
>>181 …ロリコン…ペドフィリア…猟奇殺人者…
………ひょっとして…犯される?
28の男が14の女の子に告白って時点で萎え
女の子の描写が少ないせいか男の独りよがりな行為が目立って更に萎え
別に、萎えるほどの独りよがりには思えなかったが。
フツーにエッチしただけだし。
ヒトリニシナイデネ
>>180-182この流れから、口の悪過ぎるツンデレ無口っ娘というのを想像した。
でも、主人公はそんなの気にしないおっとりとした性格で、いつも通り「愛してる」と言ったら、顔を真っ赤にして何も言えなくなるという。
>>186 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・バカ(ぷいっ)
ここで年上の無口な幼馴染を提案してみる
>>188年上の幼馴染み?それはまたマニアックなところを突いてくるな。
無口っ娘とツーカーの仲で、精神を読み取れるスキルが無いといけないという厳し過ぎる条件だが、是非俺に幼馴染み男役をやらせてくれ!
無口はクール度、シュール度、気弱度、交流下手度で表せると思っているんだが
年上幼馴染だとどういう配合がいいだろうか。自分的には
クール度 :5
シュール度 :2
気弱度 :0
交流下手度:3
がいいと思う。
年上で、甘えっ娘で、無口っ娘
態と建てつけが悪いままずっと放置されてるドアには、薄汚れた『外出中』の札が
斜めに傾いだまま、埃っぽい風に煽られていた。
だけど、店内からは確かに、誤魔化しきれない『誰か』の存在感が、微かに
漂い出て来ている。
念のため、何時も外界から隔離されているかのように薄暗く静かな店内を
こっそり鎧戸の隙間から目を細めて覗き込んでみたものの当然、店番の姿は見えない。
それでも、いや、それだからこそ、今日は上手くいくかも? とか夢想しつつ
物理的罠の事も一応用心しながら扉に仕掛けてある『呪術』を無力化させる言霊を
何種類か連続して唱え、素早く店内に滑り込む。
この曖昧な空間を支配する雰囲気と、自分がいち早く同化出来るよう、静かに
息を整えながらゆっくりと、慎重に、十分な注意を払いつつ、こっそり帳場の
内側を窺ってみたけれどやはり、ソコには目標物不在。
ならば、倉庫の方か? と体の角度を変えようとした瞬間、いきなり背中に
すがり付いてきた暖かく柔らかな質感と甘い香りに、思わず安堵と落胆の溜息が漏れた。
たった3日程会えなかっただけなのに、この少女にとってその僅かな時間がどんなに
寂しく辛い日々だったのか、その腕に込められた精一杯の力が何よりも雄弁に物語ってる。
「……」
「ただいま、ステラ」
「……ぉかぇり……、ヒロエ」
控えめな、だけど、千の鈴がしゃらしゃら打ち振られているような、心地良い声に
魂が蕩ける。
更に、背中から腰へ向かって、己の匂いを熱心に刷り込む獣の仕草で押し付けられる
熱い頬の感触と、胸元からへその下の方へもぞもぞと滑り込もうとしてるぎこちない
手の動きが俺の体の奥深くに、危険な感情を育んでいく。
まだ、なんとか引き返せるぎりぎりの瞬間までそれを楽しんだ後、未練たらたらで
振りほどき、お互いが真正面から向き合える様、体の向きを急いで入れ替える。
だけど、その時既に床に座り込んでいた彼女の動きは一向に収まる気配が無くて。
「ちょ……、止め」
「……ゃ」
とろんと半開きにされた瞼の奥底からうっとりと見上げてくる視線が、なによりも
紅く色付いた唇元に浮かんでいる蟲惑的な笑みが、慎ましやかに重ねられたローブの
胸元の隙間から僅かに覗く膨らみの形が、寄って集って俺を手早く追い詰める。
「今、ここじゃ、駄……目だ」
「……」
「っあ、く……っ、ステラっ!!!」
「……ゃ?」
一転して、今にも泣き出しそうな顔のまま、白く華奢な手が執拗に、俺の下穿きの上から
早くも硬度と質量を増して立ち上がりつつあるモノを、優しく撫で擦る。
「ぃ、嫌じゃない。けど、……頼む、辞めてくれ」
「……罰?」
「え?」
「……ひとりで……して……た……」
あぁ、そうか。
アレはそのための『外出中』の札だったのか……と、やっと合点がいった時には既に
俺の両足は逃げ出せない様、その細い腕と手でしっかりと抱き込まれていた。
そして、ぽろぽろ泣きながらも、そのまま昂りにむしゃぶりついて来る一心な痴態によって
半端な抑制心は、容易く崩される。
拙くもどかしい舌使いで、丹念に塗り込められた少女の涎だけが描き出した訳ではない
股間の染みを、ちゅうちゅうと貪られる頃には彼女相手に沸き上がる欲望に、一度も勝てた
例の無いヘタレの手は、少女の小さな頭を励ますようにゆるゆると撫で回していた。
一方、持ち主の思うがままに動かせる様になった華奢な手は、やっと目当てのモノの在所に
潜り込み、恭しくそれを窮屈な場所から救い出して、直接愛でる為にのみ使われると言う
本来の働きを開始する。
すんすんと小さく鼻を啜るような音に続いて、小刻みに短く当てられる忙しない吐息が
細くしなやかな指で熱心に玩ばれ、どくどく脈打ち、その沸騰点に向かって急上昇している
昂りを、益々増長させていく。
赤黒くいきり立ち、浅ましいほどに血管を浮かせたモノの先端に、桃色の舌がおずおずと
近づく直前に、小さな小さな呟き声が、とろりと吐き出された。
「……ヒロエ……の、匂ぃ……」
ローブの奥深くで熱く火照っている下半身部分をもじもじ擦り合わせる度に起こる衣擦れや
子猫がミルクを嘗め回している様なぺちゃぺちゃという凄まじく劣情をそそる音の合間にも。
「……ヒロエ、ぉぃ……し……」
耳の先まで真っ赤に染めて、本当に嬉しそうに俺のモノを頬張り味わっているステラの
陶酔した表情や、彼女のローブの裾からその太股の間にたった今、差し入れられたばかりの
ごついブーツのつま先にぐりぐり押し付けられて来るぬかるんだ花弁の気配が、俺をじわじわ
溺れさせてゆく。
やがて肩を強く押さえつけられ、うつ伏せに床に這い蹲る獣の体位を強いられてもなお
嬉しげに腰を振り続けている少女の蕩け落ちる寸前の蜜壷のとば口を、熱く煮えたぎった
欲望で丁寧に、だけど態と浅く擦り上げてやる。
「やぁっ、……ヒロエ、ヒロエっっ!!! ……ど……して……ぇっ!!!」
「上のお口が飲み切れなかった、お仕置き」
「あっ……、ごめ……ごめんなさ……ぃ」
身も心も狂おしく求めているモノをなかなか与えられないもどかしさで、半泣き状態の
少女が背後を仰ぎ見ようと、俺の体の下でじたばたと足掻く。
だけど、腰が浮く度に軽く小突く事を何度か繰り返してやると、やがて小さな紅い花芽が
固く起ちあがる頃には、薄い腹の下まで辺り一面、べっとりと蜜まみれになっていた。
「あーぁ、下の口はお漏らし?」
「……ちっ、違……、んあぁっ!!!」
有る意味、計算されつくした不意打ちで、渇望し続けたモノを性急にねじ込まれた体は
びくびく痙攣しながら
(以下、省略されました。主に書き手がヘタレな所為で)
……あー、その、なんだ……、うん。
4月から晴れて、出身大学の後輩となる口数の少ない幼馴染に、入学祝代わりに譲った
中古ノーパソのセッティングを仰せつかってたのに、大鍋いっぱいの肉じゃがをほぼ一人で
平らげてしまった俺は、迫り来た睡魔との死闘に容易く負けてしまってました。
確かに、ソレは俺の修行不足の成せる業でございます。
だけど、頬を強く抓り上げられて、しぶしぶ目覚めさせられた俺の目の前には、何故かその
中古ノーパソに刺しっぱなしになっていたUSBメモリ内の『平成二十年度末 決算書 下書き』
と言う名の、『推敲前エロパロSS』が、堂々と表示されておりました。
……これって、なんて『罰』ゲーム?
「“ステラ”って、私?」
……はい、その通りでございます……。
しかし、ソレを素直に認める事の出来る度胸の持ち主なら、今頃ココまで進退窮まってねーよ。
だから、頭は勝手に素早く左右にぶるんぶるんと。
「……“ヒロエ”は、博慧ちゃん?」
流石に、そこまでしらばっくれるのは無理過ぎだと判断して、しぶしぶ肯いた俺の後ろ頭に
心底呆れたと言わんばかりの溜息が、ぐっさり突き刺さる。
が、程なくずりずり這い寄って来た桃色の膝小僧の持ち主が、俯きっぱなしの俺の頬を
妙に湿っている細い指でぬるぬると撫で上げながら。
「……私だけ……のけもの……?」
……クスンと小さく響いた鼻を啜り上げる音に、慌てて上げた顔へ、紅く色付いた唇がむにゅりと
押し付けられる寸前。
「……では、書き直しを、よーきゅー……す……る」
真っ赤に潤んでいる瞳は、この期に及んでもなお自分を取り繕おうと無駄な嘯きを吐いた
情無いヘタレに対する悲しみの為だけでは無くて。
“ちゅくっ……”と下腹に直接響く音を立てて、離れた二つの唇と舌の間に架かった細く
透明な橋が途切れるのとほぼ同時に、星見が囁いた。
「……だから、続き、しよ?」
195 :
192:2008/03/25(火) 13:47:10 ID:cVpNyOL+
以上
100%流れを読んでない駄目駄目SSで、本当にスマソ
>>195 貴様ぬけぬけと……!!
こないな文章で悶絶した俺のやり場のないモヤモヤを、どうしてくれる!?
GJだ、続きを要求する!!
おまえらの妄想力に感服w
>>195 少し遅れたがGJ 俺もよければ続きを要求するぜ
【ストーリ】キスしたこともない無口な娘の手で手コキされる現代恋愛モノ。中二病エッセンス。
【ヒロイン】色白黒髪ピアニスト、無口無表情
【エロ】本番なし、手コキ×1、たぶん抜けない
【文体】常体一人称
*上記に拒絶反応を起こされた方は、お手数ですがトリップか4'33"をNGワード登録してください。
十で神童、十五で才子、二十過ぎれば只の人。
昔の人はそう言ったけど、少なくとも彼女の指先にとっては当てはまらない言葉だった。
Music John Cage thought about
鍵盤蓋みたいにサラサラと長い黒髪に、白鍵よりも穢れのない十本の指と同じ色の肌。
そして何より、整った容姿とそれ以上に綺麗で正確な演奏。
そこまで書けば、彼女の名前なんて口にせずとも誰だって分かることだろうから語らないこととする。
僕と彼女の関係は幼馴染という言葉が一番しっくりと来るかもしれない。
彼女の母親は声楽の教師で、泣き声がピアノや歌声に覆い消される世界に生を受けた彼女が、自らも
音楽に携わることとなるのは当然のことだったのだと言える。
彼女がピアノを弾き始めたのは五歳の頃で、年齢が二桁に届かないうちに彼女は音楽界の中心となっ
てしまった。驚くべきことに。彼女の演奏を耳にしたことのあるこの世の全ての人は驚く素振りすら見
せないので忘れてしまいがちだが。
僕は彼女の家の隣の住人で、彼女がまだ世界各地を飛び回っていない頃は綺麗に整えられた植物の塀
の隙間を通り抜けて彼女の紡ぎだすバッハを聞きに行ったり、耳にした曲を一フレーズ鼻歌で歌って彼
女にその曲の全容を弾いてもらったりしたものだ。
僕は弾くのは駄目だが聞くのは結構好きで、クラシックから歌謡曲、流行りの曲からアニソンまで、
結構色々と彼女には弾いてもらった覚えがある。ぶんぶんと顔を横に振って嫌がる彼女に、後ろから寄
りかかってまあまあ、そんなこと言わずに、弾いて下さいなんて、こんな時だけ敬語を使ったりして、
結構無理を言った気もしないでもない。
最初は覚束なかった鍵盤さばきも今ではその影すら見当たらなくて、そしてそれは彼女の音楽との関
係にも同じことが言えた。老若男女人種どころか動物問わず万物を虜にした、正確無比の彼女の指先は
今、何をする為にも使われていない。彼女のパスポートは更新されず、期限が切れたままにされている。
最初に書くべきだったかもしれないが。
この曲は、彼女のコンサート告知がテレビで流れなくなって三年経ったある日の曲である。演奏者は
彼女であり、僕だ、と思う。ということを今書いておこう。
こたつに寝転がって茶を飲み、がははと豪快な笑いを立てているうちのそれとは違い、確実に年齢を
重ねながらも美しさの損なわれていない彼女の母親が、出がらしの茶を高級サロンに居るかのごとく飲
みながら、帰宅してきた僕をちょいちょいと指で招いてこんな事を言った。
「あ、いいところに来た。ちょっとそろそろあの子のお尻を叩いてやってくれない?」
「はあ」と生返事で応えたのは、僕が「あの子を嫁にどう?」とこの奥方がよく口にするものと同程度
のたいして深い意味のない挨拶みたいなものだと思っていたから。しかしよくよく見ると奥方の目は笑っ
ておらず、こたつから顔を出しているアレもなにやら険しい顔をしていて、これは冗談ではなく真面目
な話をしているのだということにようやく気づいた。
話を聞いてみると、彼女の頼みを聞いて引きこもり生活をさせたが、そろそろ頃合だろうとのことだ。
海外公演が減り、国内でもホールに立つことが無くなり、CDを出す間隔も伸び、そして途絶えて三
年とちょっと。今ではクラシック専門誌くらいでしか、彼女の名前を見かける機会も無くなったし、彼
女が居ようと居まいと、隣の家から聞こえてくる調べといえば、綺麗な合唱と伴奏のみ。歌い手が歌う
事を躊躇うような圧倒的な旋律は記憶の中のものでしかなくなっていた。
彼女が弾かなくなった理由を、才能の枯渇だの、痴情のもつれだの、親族の金銭トラブルだの、色々
な人が様々な想像をしていたけど、彼女の口からその詳細を語られることはなかったので、僕はそれに
関してきちんとした答えを提示することは出来ない。
何はともあれ、小さい頃から頭の上がらない奥方の頼みとあればしようがない。それに僕自身、彼女
にもう一度ピアノの前に立ってもらいたいという思いもあって、隣の家に乗り込んだ。
はたして彼女はいた。まあ一日中家に居る訳で、当然のことなんだけど。
扉の音に気づいて、彼女はこちらに顔を向けた。小学校の教室に「正しいすわり方」なんて大きなポ
スターが貼ってあったが、それと見間違えるくらいの姿勢のよさ。背筋がぴんと真っ直ぐに伸びている。
(その割りに、ピアノに向かう姿は極端な猫背で、そんな彼女を見るたびに僕はおかしさを感じていた)
じっとこちらを見つめている彼女に、僕はいつもの様に気安い調子で声を掛けるとまるで演奏前みた
いに頭を下げられた。少し苦笑。
彼女と喋ることは多々あるものの、彼女が喋ることはあまり無い。こちらが十の言葉を喋るうちに彼
女から一返ってくれば万々歳、そんな具合だ。
昔はそんな事も無かった気がするのだけど、世界を飛び回った思春期の出来事は、彼女を次第に内省
的な方向へと押し進めてしまったみたいだった。それが良いか悪いかの判断はそちらに委ねてしまいた
いと思う。
仕事での愚痴だとか、そちらの近況はどうだとか(「まあまあ」とのこと。彼女の口から四音も返っ
てきたので今日は機嫌がいいのかと、少し視界が開けた気がした)彼女に用件を伝えてみると、まあい
つもの無表情で「まってて」と別に化粧をしている訳でもないのに血色のいい唇が動いた。
そして翌々日。彼女から消印の無い手紙と、町中に張られた近所の公民館で彼女の演奏会が開かれる
というポスターを目にして僕はほっと胸を撫で下ろしたのだった。
演奏会当日。僕は招待状を持って彼女の楽屋へと訪れた。雪のような肌に映える黒いドレスを来た彼
女を見て、貧血でもないのに頭がくらっとしたが、当の彼女は別段変わった風でもなく、今日の演奏は
きっと大丈夫だろうと思った。
六時を告げるブザーが鳴る。舞台袖に居てもガヤガヤとうるさかった客席(なにせ何年も沈黙を保っ
ていた彼女の久しぶりの演奏会だ。電話申し込みは市の小さな興行団体の電話線はすぐにパンクしたし、
当日券だって国内はおろか海外から押し寄せた愛好家による大行列。三日前に並んでようやく買えるか
どうかの盛況ぶりに「ピアノ弾くってレベルじゃねーぞ」と野次が飛んだほど)も、彼女が綺麗な足取
りで舞台中央にやって来て一礼すると、しんと静まりかえった。
そして、彼女は顔を上げると、そのまま人形のように棒立ちになり、そしてなんと、また舞台袖に帰っ
てしまったのだ。
唖然とする会場。当然僕も口をぽかんと馬鹿みたいに開けていたと思う。
そんな僕の前に彼女はやって来てそのままトンと細い腕を前に突き出し僕を押した。当然呆けていた
僕は尻餅をつく。
そんな僕の股下に彼女は座って、ポンと細い指をズボンのジッパー、下着を滑り、そして陰茎を取り
出していた。初めての経験に彼女は、世界中を魅了する演奏とはかけ離れた段取りの悪さ、や遅々とし
て不器用な仕草を晒し、そこに行き着くまで一分もの長い時間を要したのだが、僕はその間されるがま
まだった。それくらい呆然としてた。
頭はそうだというのに、身体は違った反応を見せていて、ひんやりと冷たい彼女の指先に撫でられた
陰茎は、どくどくと全身の血を集めはじめ、一瞬のうちに大きくなってしまった。今までに無い昂り様
で、頭がくらくらとした(今度は少なからず貧血もあったと思う)し、股間は痛いくらいだった。
「な、何をするだぁっ」
そんな言葉をようやく絞り出せた(会場のどよめきで完全に埋もれて、集音マイクにすら聞こえない、
小さな小さな声だった)頃には、彼女の白い指先はゆったりと動き始めていた。
こんな時に、こんな所で、こんな僕に、こんなことを? 沢山の疑問が頭を錯綜する。
親指が、人差し指が、中指が、薬指が、小指が。生き物のように陰茎の上を爆走する。
右手の白鳥が踊るかのような動きを、左手がゆったりと包み込むように追っていったかとしたかと思
うと、いつの間にか両者の関係が逆転し、かと思えば競い合うように激しく、白い風が吹き荒ぶ嵐のよ
うな奔流が陰茎を刺激する。
腕は落ちてないどころか、更に磨きが掛かっている。そう思わせる気持ちよさだった。
『みんな』
彼女の声が聞こえたのでびっくりして顔を上げたが、彼女の口は全く動いていなかった。
食器を洗うことすらさせられた事のない真っ白で綺麗な指先が、赤黒くグロテスクな陰茎を触り、撫
で、叩き、その形を指圧で歪ませていく様は色彩的にも視覚的にも訴えるものがある。
『みんな、私が弾くだけで、素晴らしいとか、感動したとか、そんな事ばっかり』
リズミカルに動き続ける指が、強く叩けば弾力を持つ陰茎は指の形そのままに少し沈み込む。指の圧
迫が無くなり、他の部分が沈みこむ頃には見る影も無い。
『何を弾いたってそう。聞いているようで、何も聞いてくれてないんだ。きっと『私が弾いた』なら何
だって喜ぶの』
指が当てられた部分の肌に血が行かなくなり、離れた一瞬に垣間見えるそこは彼女の指先の色が移っ
たみたいに白く変色し、次に出来る白い跡と混ざり合うことなく、すぐに元の褐色へと戻っていく。
『こんな風にしたって、きっと』
ピアノにたとえるなら、長音ペダルも踏まずレガートを用いず、一音一音を明確に奏でているような、
ハッキリと分かりやすい指使い。
それは和音を意識し、滑らかで美しい、流れるような彼女の奏法とは全く違うものだった。
似たような指圧のパターンが、手を変え、種を変え、何度も何度も繰り返される。
そしてどれくらい経ったか、指先も陰茎から離れると同時に彼女の"独白"もとたんに聞こえなくなっ
てしまった。
『もう、うんざり』
そうだ。ゴルトベルク変奏曲だ。
僕がそう言ったら、いつも鉄面皮、奏でる人形と評されることもある彼女が珍しく目を見開いて息を
飲んだ。その反応を見て正解だと知った僕の口元はニヤニヤと、さぞや気持ち悪かったろうと思う。
なんで当てられたかは、まあこの曲を知っているなら分かるかもしれないけれど、初めて彼女にせがん
で弾いてもらったのがこの曲だったから、というのも理由として大いにあった。
なんでこの曲を選んだのか、実際のところは彼女以外には分からないけど。彼女にはきっと、ああだ
こうだと言っても、ピアノが必要なんだと思う。
それなのに長い間そっぽを向いてしまったものだから、どうやって仲直りすればいいのか分からなく
て、それで僕に助けを求めたんだろう。(なんて自分にとって都合のいい事を考えている)
小さい頃から頭の上がらない彼女の頼みとあればしょうがない。お望みどおりせがむとしましょう。
ただ一言、僕は口に出した。
まあまあ、そんな事言わずに、弾いて下さい。
動揺した彼女は、自分が何(何ってナニなんだけど)をしているか気づいたようで、何万人と収容で
きるホールで弾いたこともある彼女が珍しく赤面し、成長して美しい造形となった横顔をぶんぶんと、
見せ付けた。
一生のお願い、なんてこれまたよく使ったフレーズを用いて彼女の手を取り、陰茎を掴ませる。間が
空いて少し萎えた陰茎も、彼女の手に触れられて直ぐに活気を取り戻し、あれだけ伸びやかに数オクター
ブもの音階を奏でるというのに小さな手の平の中でムクムクと大きくなるソレに、彼女は顔面蒼白。
口をわななかせ、涼やかな瞳は涙で潤み始めていた。
もう無理矢理触らせてる訳でもないのに、ちんこをしっかりと握っちゃって、やる気マンマンだなあ。
「ちっ……!」
きっと彼女は混乱してしまって、陰茎から手を離すという動作まで頭が回らなかっただけだと思うけ
ど、わざと汚い言葉を投げ掛けてやる。
彼女の視線は僕の顔と、自分の手の先を行ったり来たりをさせて、見ているこちらが可哀相に思えて
くるほどに慌てていた。
もうやるしかない。そう悟った彼女は、一つ深呼吸をした後、両手を陰茎に添えて、途中で止めてし
まったゴルトベルク変奏曲を"弾き"始めた。
幕の向こうには、君の演奏を聞く為に何日も前から並んだ人だっているのに、こんなことやっていい
のかなあ?
彼女に聞こえるように独り言を呟くと、顔や首だけでなく、指の先まで羞恥で桃色に染まる。
おどおどと覚束ない手付きで触れ始めた彼女も、次第に先ほどまでの調子を取り戻し、先ほどのよう
なノン・レガートのカノンが生まれ始めていた。
同度、一度、二度、三度、四度、五度六度八度九度。幅が広すぎるほどの音程の追複が、ある時はリ
ズムを倍に倍に変えながら、そしてまたある時は上下に転回、前後しながら、同定旋律上で奏でられて
いく。
低音から高音へ順々に指が動いたかと思うと、階段を軽やかに下りていくような逆アルペジオ(当時
のピアノ演奏では見られなかった動き)をする。
高度な対位法技術が、高度な演奏技術と合わさることで重奏は重層さを増していき、何世紀も愛され
尊ばれ続けた素晴らしい音楽的構造が陰茎を刺激し続ける。
彼女の指が陰茎を踊り、走り、這いずることで鳴らされた快感を表す電気信号が走る神経系の音が、
瞬く間に流れ続ける血管の脈動が、泉のように溢れるカウパー腺液の水音が、通常のオーケストラなど
では考えられない不可思議なカノンを作り続ける。
ゴルトベルク変奏曲は、二段の手鍵盤を用いるチェンバロの為に作られたこの曲は、ピアノが主流と
なった二十世紀初頭まで影を潜めていたが、このあと彼女のピアノによって成された新しい解釈のお陰
でギターや弦楽合奏、ジャズなど、様々な分野で競って取り上げられることになるのだが、さすがのバッ
ハも陰茎で演奏されることになるとは思ってなかっただろう。
カーテン裏の独創的な独奏は、強く叩けばその分だけ大きく跳ね返る陰茎の反り立ちや、血液が集中
してびくびくと脈打つ海綿体、湧き出たカウパー腺液の湿り気によって作られた、三十二分休符、十六
分休符(時には全休符)を挟みつつも続けられ、そして唐突に打ち切られた。
何が何だか分からず弾いていた彼女も、保健体育の授業でちらりと学んだ程度でしかなかったソレの
初お目見えに、更に何が何だか分からないことになったに違いない。
大きく脈打った亀頭の先から勢い良く飛び出た精液は、彼女の指先はおろか、火照った顔(かんばせ)
まで犯した。
しばらく、呆けていた彼女も、ようやく手や頬にべっとりと付着したそれが何だか察しがついたよう
で、ばたばたと乱れたが、拭き取ろうにも彼女を着飾っている黒いドレスにはポケットなどは無かった。
「どうかされましたか?」
急に聞こえてきた第三者の声に、彼女は驚き飛び跳ねたものの、指先で顔や首に粘り付いたソレを拭
い、そして指の腹に彼女の紅色の舌で舐め取ってしまった。早業ながら、自分の出した精液を間近で口
にされるというその光景は何とも扇情的で射精して萎えていた陰茎もまた起き上がってしまい、仕舞い
込むのが大変だった。
長いこと中断していたならプログラムを組んでいる運営の人がやって来ても全く不思議ではない。ふ
と時計を覗いてみると、なんと、四分三十三秒しか経っていなかった。
彼女は僕の方を一度見て、そして中古のヤマハのピアノに向かって歩き出した。僕が彼女の演奏を通
して"告白"を聞けたように、僕の気持ちも彼女に伝わってくれればいい。そう思った。
ジョン・ケージが作曲したものの中に、この時間と同じ名称で呼ばれる楽曲がある。第一、第二、第
三楽章から成るその曲の楽譜にはTACET、休みとしか書かれていない。
この曲でケージが何を表したかったのか。「無」を聴く音楽だの、会場内外で作り出す様々な音を聞
く音楽だの、「どんなものでも芸術として扱っていいのか」という芸術批判だの、色々な人が様々な想
像をしていたけど、彼の口からその詳細を語られることはなかったので、僕はそれに関してきちんとし
た答えを提示することは出来ない。
僕が言えることは、「何をするだぁっ」という悲鳴が大きいものだったら、もっと運営の人が駆けつ
けるのは早かっただろうし、客席にいる彼女のファンももしかしたら不審に思って舞台に上がり込んだ
かもしれないということと、聞こえる筈のない声が確かに聞こえたということと、性器を鍵盤に見立て
てではあったし、彼女も自嘲しながら弾いたものではあったけど、後の世を感動の渦に巻き込む大演奏
が初めてこの間に行われたということ。そしてあれだけ長いように感じられたこの出来事が、全て四分
三十三秒ぴったりで奇跡的に収まっているということ。
『こんな風にしたって、きっと』
彼女はそう言いながら弾いたゴルトベルク変奏曲。僕は声を大にして言ってやりたい。そんな風にし
たって、きっと世界中の誰もが歓喜したと思うと。
別にこれは芸術批判でも何でもない。
だって僕は感動したから。音楽を奏でる為に作られた楽器による綺麗な旋律なんて全く聞こえもしな
いのに、それほど音楽的素養がある訳でもない僕でも、それがゴルトベルク変奏曲だとハッキリと分かっ
てしまう演奏。
それが芸術じゃなくて何が芸術だというんだ。そういうこと。
彼女が、いや、彼女と僕が作り出した四分三十三秒に録音されているのは、会場のどよめきだけで、
「何をするだぁっ」なんて気の抜けた悲鳴も入っていなければ、彼女の苦悩も、「ちっ……!」なんて
可愛らしい悲鳴もカウパー腺液の水気を含んだ音ももちろん入っていない。
その後に曲目紹介には入っていないのに演奏された、彼女の鼻歌交じりの(僕が彼女に鼻歌で歌った
部分だ)ノン・レガートのゴルトベルク変奏曲の影に隠れて全く誰も気にも留めないし、誰も音楽的価
値も見出していないけど。
僕は本当に、音楽史上、最も意味のある四分三十三秒だったと、そう評価してしまう訳だ。
(fine)
彼女が弾かなくなった理由は、色々な人が様々な想像しているので、好き勝手言う人間が一人くらい
増えてしまっても構わないだろう。
彼女の開く演奏会の絶対数が少なくなったのは彼女自身も「一回性に疑問」「演奏は競争ではなく情
事」など、短いながらも色々と述べているが、海外公演、国内公演の順に減っていったことから、ただ
単に飛行機嫌いもあっただろうと言う人のことももっともだと思うし、多分合っているだろう。
けれど、わざわざ小さい頃に使っていたヤマハのピアノを買い戻したり、誰かが鼻歌で口ずさんだ部
分を自分でもハミングしてみたり、誰かに圧し掛かられているみたいに猫背な演奏時の姿勢に、時間の
融通が利きやすいCD録音を好んでみせたり、演奏会が嫌いなくせに僕を自分の母親を使って家に招い
て生演奏したりする所などを見せられると、もしかしたら。
結局、彼女は口をつぐんで何も語ってはくれなかったけど、たまにピアノ以外で弾いてくれるゴルト
ベルク変奏曲の続きを"聴いて"は、都合の良い妄想に浸ってしまったのも無理のない話だと思う。
(了)
なんという芸術作品……
ちょっと作曲家になってくるわ
>>205 GJ! だがなんでゴルトベルク変奏曲w? 結構知名度高かったのかw?
>205
アンタはエロ妄想界のバッハや!
可愛いなあもうっ!
続編あったりするよね?
キライ ヤッパリ スキ
無口+ツンデレ(+長髪)は最強だと思うのだが・・・どう?
>>210 なにかあると、無言で男の背後に回り込んで蹴りですね。
そして「……大好き……」と顔を真っ赤にしてボソボソと呟いてくれるんですね。
214 :
210:2008/03/30(日) 00:06:06 ID:ODNVC4by
完…壁……もう萌え死んだ。
リアルでもいてくれたらなー。
リアル女とか精神的ブラクラだろjk
>>210の『ツンデレ無口娘最強説』に対抗する説を提案する。
無口+甘えん坊+格闘技大好き(柔道とか)はどかね?
くいっと袖を引き→くるっと押し倒し→すりすりと甘える…
破壊力はないか…
>>216 >すりすりと甘える
俺はここだけでご飯三杯はイケるなw
>>219 保管庫の「彼女の趣味」「彼女の不安」
格闘技が趣味の無口少女の話。甘えん坊とは少し違う?
スーパー無口タイム
前後30分ずつを加えてニチ夜無口タイムなんですね
スーパー饒舌タイムも欲しい
さて、なんか書こうかな……。
………う……そ(はあと)
エイプリルフール+無口っ娘が読みたかったなぁ。
どんな風になるかは想像できないが
>>224 書いてたら間に合わなかった涙目な俺が通ります
ねー……一日あれば余裕とか思ってた自分を殴りたい
……大丈夫…だよ
皆が…読まなくても………私は読むよ……?
……………だから……///……きッ、キボンです!!
かまわん、投下しろ
いや投下してくださ(ry
無口故に嘘を吐き忘れた無口萌え
4/1だけ饒舌になる無口娘とか
>>228 吐き忘れ、ではないけどこんなのが脳裏に。
朝。待ち合わせの駅前にて。
女:(今日はエイプリルフール…去年はだまされちゃったけど、今年はこのネタで…)
男:「よ!待ったか?」
女:「ん」 ペコリ フルフル。
ちょこんとおじきの後、首を左右に振る。 おはよう、待ってないよ、の意味らしい。
女:(よし、今だ…) 「あの…」
男:「おい、急がないと電車きちゃうぜ!」
女の手を取って走り出す男。
女:「ぁ…」 ///
そんなこんなで一日デートしてたのになかなか言えない女。
夕方。男に送ってもらい、女の家の前に到着。
男:「今日楽しかったか?」
女:「ん」 コクリ。
にっこり微笑みながらうなづく。
男:「そうか。なら良かったよ。また一緒にどっか行こうな!」
女:「ん!」 /// コクコク。
何度もうなづく。
男:「じゃ、またなー」
女:「あ…あの…」 (せっかく考えたんだから、言わなきゃ)
男の袖を掴み、引き留める。
男:「ん?こ、こうか?」
男は振り返るとひょいっとかがみこんで、女の額に口づけを落とす。
女:「ん!?」 /// (qあwせdrftgyふじこlp;@:!!)
男:「じゃ、じゃあな!」
照れくさいのか、男は自宅の方へかけていってしまう。
後には。
春とはいえ、日も落ちかけて肌寒い風が吹く中、固まっている女が残された。
〜〜15分後〜〜
女:「へくちょん!」 くしゃみ一発、再起動。
女:(あ…結局エイプリルフールのネタ言えなかった…) orz
エロくなくてごめんね。 やっちゃってなくてごめんね。 その割には微妙に長くてごめんね。 生きてて(ry
なんかgj
ネタ言えなくて不満でも満足している彼女にキタ
こういうの………キライじゃない……
女「ん」
男「なに?」
女、
>>224を見せる
男「エイプリルフール?でももう4日だよ」
女「いいの」
男「いいの…かなあ?」
女「いいの」
女、男に居直り正座
女「私」
男「…?」
女「…あなたが、嫌い」
男「…」
女「…あなたに…ぎゅっと、抱きしめてほしく…ない」
男「……」
女「…あなたに…髪を…優しく…撫でて、ほしくっ…なんか…ない」
男「………」
女「…あなた…と…一生…一緒に…いたっ…くなっ………ん………」
男「…」
女「………」
男「自分の嘘で想像して泣くぐらいなら無理して嘘つくことないじゃんか」
女「……エイプリル…フール」
男「はいはい…
…じゃあ俺は…お前との子供がほしくない」
女「……(じと)」
男「どうすりゃいいんだよ…」
うちの受信機はよく電波拾うなあ
234 :
名無しさん@ピンキー:2008/04/04(金) 03:14:58 ID:/Aj7azLJ
しかし、無口女よりも男の方が無口なのはどうよw
>233
さあもっとスケルチを下げるんだ
無口+甘えん坊に秒殺されたいです
「……(スリスリ)…」
「なぁ悪いんだけど、暖かくなってきたからそろそろくっつかないんで欲しいんだけど」
「………やだ」
「そうはいっても…やっば暑いよ」
「……」
シュルシュル
「いや!だからって服脱がなくてもッ、つかお前下着着ろよ!」
「……これなら暑くないでしょ……?」
「いや〜なんというか意味で熱くなってきたんだけど…」
「……変態……でも…大好き…」
「ゴメン、今日も我慢出来ねーや」
「はんッ……優しくね…んッ…」
初投下の俺にはもう書けませんゴメンなさい。
ちょっと吊ってくる
239 :
238:2008/04/04(金) 21:58:34 ID:Ge2WhzDg
申し訳ない。訂正あり
×なんというか意味で熱くなってきたんだけど
○なんというか別の意味で熱くなってきたんだけど
です
謙遜すんな
俺秒殺されたから
『へんじがない ただのしかばねのようだ』
ここは住民も無口が多いスレだからな
なんかイベントがないと話さない
印象通りに性格も内気で大人しい無口っ娘と実はドSのツンデレ系無口、どっちが好き?
………前者。
>>245 どっちも好きだがあえて選ぶならおっぱいの大きい娘。
248 :
名無しさん@ピンキー:2008/04/07(月) 01:52:24 ID:9o4FyYSU
なら俺はロリっ子を選ぶぜ!
イメージ的には前者が巨乳、後者が貧乳かな?
かわいい無口っ娘ならどちらでも構わないけどね
地味でおとなしめの風貌ながらたわわに実ってしまった胸
細い腰に連なっているふっくらとした形のよいお尻
そんな肢体の無口っ子が痴漢に遭わないわけがない
通学電車の中で痴漢にあっても恥ずかしくて声も出せないような無口っ子
それを助けたのがきっかけで熱い想いを抱かれてしまう
そんなSSをきぼんぬ
>>245 その二択なら前者。
というか無口ツンデレときたらドMだろ常考…。
>>245 どっちも何だかしっくり来ない。強いて言えばロリ巨乳だな。
仕事に追われる毎日
オフィスの時計は深夜2時
ふと視線を上げるとデスクの向こうでふわふわのソファに座って
梵天の付いた耳掻きを構えた無口娘が膝をポンポンと叩いて待っている
頬を赤らめて笑顔で俺を招く無口娘に誘われるまま椅子から立上り
彼女の元へいこうとする俺
厳格でも幻でも構わない、彼女の膝枕で耳掃除をしてもらうんだ!
動かない足を無理矢理動かした瞬間、けたたましい音が鳴り響き
コンセントに接続されていたOA機器が全て床に投げ出された
夢から覚めた俺の目の前には壊れたHDDやモニターが散乱した自分のデスク
さて、上司になんて言い訳しようか
途方にくれた俺には もう無口少女は見えなかった
´(;ω;)`ブワッ
>>254 ……哀しい……哀しすぎるよっ(T_T)
別スレ用に書いてたSSから1本分離させてみた、そんな小ネタを投下。
ある意味季節モノ、エロ無し。
ではどうぞ。
258 :
球春到来:2008/04/10(木) 23:21:21 ID:meH+Udm8
カーンといい音が響き、数瞬後、それが遠くの方で大歓声を呼ぶ。俺達は野球観戦に来ていた。
前々から気になる娘だった。普段は無口なくせに、喋る時は火が付いたように喋り出す。何よりかわいい。
そこに惚れた。
苦心して趣味を調べ、プロ野球球団・トラーズのファンだということが分かると、俺はすぐさま最寄の野球
場のチケットを予約した。そうして球場近くのレストランも念入りに調べ上げ、そこそこの店を予約した。
無愛想な彼女と少しずつ会話を重ねていき、ようやくこじつけた初デート。今日は勝負の日だ。
俺の隣に腰を下ろした彼女はいつも通り無口で、しかしいつも以上に不機嫌だった。理由は簡単。トラーズ
が一方的に滅多打ちに遭っていたからだ。回はまだ6回だが既に投手は3回は交代しており、それぞれが3点以
上の失点を許していた。更にはたった今、交代したばかりの投手が不用意な一球からソロホームランを喰らっ
ている。
俺のほうは……申し訳無いけど漏れ出る笑顔が止まらない。彼女には伝えていなかったが、実は俺は今日ト
ラーズと対戦しているラビッツのファンなのだ。年に5試合あるかどうかの派手な試合を見ることが出来て楽
しくて仕方なかった。
ただ俺にとって残念なことには隣の席に彼女が座っていること、そしてここがトラーズの応援団のド真ん中
であることだった。彼女はどんどん俯いていくし、周りからは俺が好きな選手に対する野次がひっきりなしに
飛んでいるしで、正直すぐにでも帰りたかった。
周囲の重い空気に耐え切れず、攻守交替でやや静かになったときを見計らって声をかける。
「なあ、もう帰るか?」
「次の回、4番まで回ればまだ分からないし。」
「って……」
次の回の先頭は7番バッターから。ほぼ打順一巡を期待しているということだ。しかしそれでもはるか及ば
ない点差だということは彼女もよく分かっているはずなので、ファンの見る夢物語以上の説得力はなかった。
「……最後まで付き合うよ。」
俺は溜息をつきながら、半分持ち上げていた腰をもう一度ベンチに据えつけた。
7回表、ツーアウト。
残念ながら彼女の期待したような結果にはならず、当然のように9番バッターに代打が送られた。最近注目
されている若手がバットを激しく振りながら出てくる。
俺は内心、もうこれで帰れる、と息を吐き出した。この若手、ベテランが怪我をした隙を縫うようにして開
幕スタメンに名を連ねたのだが、打率1割を切る極度の打撃不振とベテランの復帰から2軍落ちは時間の問題な
のだ。
過去の主軸選手のものを流用したヒッティングマーチを聞きながらグラウンドを眺めていると、俺の手を彼
女が強く握った。驚いて振り向くとポツリと言葉を吐き出す。
「……まだ、分からないもん。」
まるで俺の心の内を読みすかしたような一言に声を失っていると、ヒッティングマーチが鳴り止んだ。
初球、内角を突いたボール球。続けて内角へ投げた2球目、少しだけ甘くなってぎりぎりストライク。今日
のウチの先発は絶好調だ。ストレートが冴え、それが得意の変化球を生かす。いい形でゲームを作っていた。
だが若手とはいえトラーズの代打もプロだ。そこからファウルで2球粘ってカウント2-1の形にする。
ストライクカウントが増えるたび、彼女は俺の手を潰れそうになるほど強く握る。まるで代打の選手に念を
送っているようだ。ファウルを打つたび力いっぱい握るので俺は顔をしかめるのだが、彼女はトラーズの若手
以外のものが見えないらしい。
5球目、今日10個目となる三振を狙ったのか外角低めへ流れ落ちる変化球。打者は必死で喰らいついてバッ
トを伸ばすとボールは高々と舞い上がった。その瞬間、球場の全員が打球を追いかける。
俺のそれに倣おうとしたが、彼女に無理矢理首を捻じ曲げられた。同時に彼女の顔が俺の視界を支配する。
259 :
球春到来:2008/04/10(木) 23:21:43 ID:meH+Udm8
打球が溜息と共にキャッチャーミットに収まるまでのほんの数秒間、唇を合わせて繋がりあった俺達は、暫
くお互いを見つめあう。まだ付き合ってもいないのに、といきなりのキスに俺は戸惑っていた。
「……帰ろ。この回で点が入らなきゃ、どうしようもないよ。」
彼女はすくっと立ち上がると出口へ向かってずんずん歩き出した。不機嫌なのか鞄も何も置いていくもんだ
から拾ってから追いかける。
通路まで出ると意外と人が多かった。彼女と同じように今日のゲームを見限った人たちだろう。数秒間目を
細めて探すと、いた。俺が彼女の後姿を見間違えるわけが無い。しかし見失ってしまってはどうしようもない
ので彼女の方へ急ぐ。
200mほど追いかけて手を握ると俺を一瞥したきり何も言わない。いくら普段から喋らないとはいえ彼女らし
くない態度だ。よっぽど機嫌が悪いのだろう。
「ゴメン、今日は誘うべきじゃなかったかな?」
ふるふると首を横に振って否定する。
「情けなくって、何も言いたくない。」
自分のひいきチームのことだろう。もし俺が逆の立場だったら同じように思うだろうから、そこは分かる。
ただ誘った側からすると、機嫌が悪いまま家に帰らせるのもちょっとひっかかる。
「……じゃあ飯食いに行くか。代金は俺が持つしさ。」
その言葉にも首を横に振る。……俺はどうすれば?
「家、来て。」
彼女の口から飛び出した言葉に俺は自分の耳を疑った。今日が初めてのデートなんだけど。この娘こんなに
積極的だったんだ。
「ラビッツファンなんて……あなたの性根、叩きなおしてあげる。」
「……え、バレてた?」
今日はなるべく顔色に出さないようにしたのに、と言うと、今日初めて彼女が微笑んだ。
「私もあなたのこと、調べてたから。」
バツが悪くなって苦笑いを浮かべると手を引かれる。
「……今日は寝かせないからね。」
本当ならわくわく出来る言葉なんだけど、どうやら今夜はそっちじゃないみたいだ。それでもいいや、少し
ずつお互いを知り合っていけたらいい。
ただ、ラビッツファンを辞めるつもりは無いけどね。
即興で書いてみたので誤字脱字は勘弁。
さて、元のSSを書き直す作業に戻ろうか。
超GJ!
>>260 無口スレ用に書き直すんですね、わかります
さてと、冗談はさておきGJ!!
いいなこれ!GJ!
GJ
現在午後9時。
場所は風呂。
俺は何故か、従姉妹3人に無言の圧力で非難されている。
その理由が
「襲ってこないとは何事か!」
らしい。
普段無口なこの3人に、これほどの行動力があったとは…。
現在午後9時20分。
長女がビキニ、次女がブルマ、三女がスクール水着
という格好をしているのに気付いた。
何故そんな格好を?
と質問したら
「隠されてたエッチな本を参考に」
みたいなことを無言で返してくれた。
嬉しいやら悲しいやら。
(エロは描けないので省略)
267 :
名無しさん@ピンキー:2008/04/12(土) 15:32:18 ID:2LC9LI0y
…寒いよ
……………………………
……(((ガタブル)))…………
…………………………………
………………ふぇ…………クシュン
「ん」
>>267ー268
バイトから帰宅すると、無口っ娘な幼馴染みの翠がとても寒そうにドアの前で震えていたので、家に入れてやることにした。
「………………な、何?」
「いや、何であんなとこにいたのかなと」
「…………待っ、てた、の。あ、……会いたかった、から……」
恥ずかしそうにうつ向いて小さく呟いた時の表情がもうなんかとても可愛らしくて辛抱たまらんです。
「これって一緒にお風呂フラグだよね? 洗いっこしてふにふにむにむにとか、ぴちぴちちゃぷちゃぷとか」
「………………ぅー……」
「入ろ? ね? ね? ほら」
暫し躊躇ったあと、翠はこう言った。
「…………う、うん…………温めて……ください」
そういうわけで喜び勇んでお姫さま抱っこして脱衣所に走りながら保守。
>>271途中からのテンポの良さにふいたwwwwwww
なんとも甘いシチュですな
無口娘がいないから俺が無口になって自分に萌えて抜くわ
えと、唐突ですが、本当にごめんなさい
放置状態になっている保管庫の管理人です
どなたか、保管庫更新、お手伝い願えないでしょうか
livedoorIDを教えていただいたら登録しますので
いろいろと申し訳ないですが、お願いします
275 :
名無しさん@ピンキー:2008/04/14(月) 09:39:24 ID:/b9VRqbv
>>274 ご・・・ごめん・・・お・・お手伝いできないけど・・かく・・・よ?
==
「ててててててて」
そんな擬音が聞こえてくるような早歩き
私のそばにやってきたのは従姉妹にあた珠子ちゃんだ
父の弟に当たる叔父夫婦の娘で、私たちと同居している。
って・・・あ、また泣きべそかいてる
「なに?またふられたの?」
そう問うと
(こくこく)
と頷いた
そう、珠子ちゃんには好きな子がいる。
何を隠そう、それは私の弟の祐二だ
いつも抱きついては引っぺがされ、珠子は泣きながら私の部屋に来るのだ
言葉での表現が苦手な分、そういう表現にしか頼れないんだと思う。
祐二も満更では無さそうだけど、恥しがりやな為に進展が無い。
最初は微笑ましいなぁと思って眺めていたけれど、
しかし、いい加減その繰り返しにも飽きた。
ここは、珠子ちゃんのために一肌脱いでみよう。
「しかたないなぁ・・・それじゃ、おねーさまが秘策を授けよう〜」
そう勿体ぶってA4のコピー用紙1枚を取り出し、それに文字を書く。
「ほら、これもって行きなさい」
渡す。
珠子ちゃんはキョトンとした目で見ている。
しばらく呆然としていたが、何かを悟ったらしい。
顔を赤らめてどうするか考えている。
そして、覚悟を決めた目で、全速力で祐二の部屋に走っていった。
下げ忘れたorz
==
「だだだだだだだ」
廊下を走って、自分の部屋に近づいてくる人物がいるらしい
「・・・珠子のやつ帰ってきやがったか」
くそっ、宿題おわんねーじゃん!
ばっ!っと部屋のドアが開かれる。
珠子はもっていた紙を広げて掲げる
「・・・1回100円?」
(こくこく)
そして、妙に顔を赤らめてもじもじしている
「・・・どーした?」
すると、目を思いっきりつぶって・・・
(ばっ)
「・・・とりあえず理解したから、スカート下ろせ、な?」
=
「だだだだだだだ」
おー、お早いお帰りでー。って、珠子ちゃんの足音じゃないね?
ばんっ、ドアが開かれる
何か投げられる
「ぶへっ」
投げられたものは珠子ちゃんだったらしい。痛いってレベルじゃねーぞ
「・・ったー・・・」
「おい姉貴!珠子になに変なこと教えてんだ!」
「あんたがいつまでたっても珠子ちゃんの愛に気づかないからでしょー」
「じゅーぶん気づいてるから!もうおなかいっぱいなくらい受け取ってるから!」
「じゃー体で証明しなさいよー」
「できるかっ!!」
「うるさい弟だねぇ・・・」
「とりあえず、今度珠子をけしかけたら、ただじゃおかねーからなっ!」
「愛だねぇ・・・」
「うるせぇ、腐れ姉!」
ばたんっ!とドアを閉じて、凄い剣幕で自室へ帰っていく我が弟。
恥しがり屋さんなんだから〜
と、気絶してる珠子ちゃんに気づく。言い合ってるうちに忘れてたよ・・・
さて、どうしたもんかねぇ。
「こうなったら『最終兵器』を使うしかないね・・・」
「〜〜〜・・・?・・・!」
気絶から覚めた珠子ちゃん。
私から発せられるオーラに気づいて逃げ出そうとしている。
そうはさせない。
=
某年・某月/某日
姉の部屋から黒いオーラが漏れている。
俺は生きて次の朝日を拝めない気がする
だから、普段は書いてない日記を、今日だけは書こうと思う。
今日の晩御飯、もう1杯おかわりしとけばよかったな・・・
=
珠子ちゃんがものすごい警戒しているけど、関係ない。
そう、これは私が完遂しなけらばならない義務なのである!
手始めに「アレ」を飲ませる。
「ーーーー!〜〜!〜〜!!!」
ものすごイヤがってる。とりあえず無理やり飲ませる。
「はーい、飲みましょう・・・ねっ!!」
「〜〜〜〜・・・(ゴクッ)」
=
なんか飲まされた
特に何も無いけどなんだろう・・・
朋子おねーちゃんは頼りになるけど、
今のおねーちゃんはすごく怖い・・・
アレ・・・なんか体があつい気がする・・・
あれあれあれ・・・アレ?
「はい、次はこれね。これは口に含むだけ」
「・・・?」
「んふふー、これはね・・・珠子ちゃんが祐二に飲ませるのよ」
「〜〜〜!!?」
お、おねーちゃん・・・なんてこというの・・・
私そんなことできないよ・・・
=
恐怖の足音が聞こえる。
俺は死を覚悟した。
ドアを開ける
「おいきなさいっ!珠子ちゃん!」
珠子ちゃんは目を「><」←こんなにしながら祐二に突っ込んでいく。
おっ、祐二のやつ、めっちゃ構えてる。
「珠子来るなっ!今のお前に捕まったらなんかヤバイ!いつもの100倍増しでヤバイ気がする!!」
「〜〜〜!!!!!」
さすがにおとなしく捕まってはくれないか。
取りあえず祐二の足を引っ掛ける。
「や、やめうぶっ!姉貴いいいいいいい!!」
それに覆いかぶさる珠子ちゃん。
うんうん「アレ」の効果覿面ね〜、なんという積極的な珠子ちゃん。
言われたとおりに、口に含んだ液体を口移しで祐二に飲ませはじめる
「〜〜〜!〜〜!(ゴクッ)ぷはっ!!なんだこれ!」
「あー、それ?しばらくしたらわかるんじゃない?」
「ってそれより!珠子!なにその顔!目!正気かお前!って脱ぐんじゃねぇ!脱がすんじゃねぇ!って、あれ?体動かねぇ!?」
「おー、さすが怪しげな薬。効くねぇ効くねぇ・・・」
「おいっ!姉貴!なに飲ませやがった!?」
「四肢が麻痺する薬」
「で、珠子は!?」
「ん?媚薬飲ませたの?文句ある?」
「文句あるもなにも!なんでそんな都合のいい薬があるんだよ!?」
「あるんだからしかたないでしょ!ネットの海は無限大なのよ!」
「なんだよそれ!ったくなんだってんだよー!!」
錯乱してる弟、そりゃ当然か
その間にどんどん脱がせていく珠子ちゃん。
おー、相当目がイってるね。こりゃ期待できそうだ。っていうかこの子相当エロかったのね。。。
「それじゃねーごゆっくりー」
目的は果たした、古株は去るのみ・・・
「まてっ!珠子!話せばわかる!」
「〜〜〜♪〜〜〜♪」
「う、うれしそうによってくるなっ!ああああっ!!」
祐二のうれしそうな悲鳴が後ろから聞こえた。
「〜〜っ」
「んっ?あれか、よしよし」
祐二です。あの事件以降、珠子と付き合うことになりました。
もともと珠子のことは好きだったので問題ないんです。むしろうれしいくらいです。
そのきっかけとなった姉には、感謝・・・したくありません。
あのあと、勢いあまった珠子に一晩中乗られ続け、3日ほど廃人となりましたが
そんなことはどうだっていいんです。
珠子は無邪気なのです。悪気は無いんだと思います。
でも、あの姉に感化されたのか、ものすごくエロい子でした
このままでは枯れてしましそうです
あれ、股間になにかあたる感触が・・・
(ぐにぐに)
「お、おいっ、珠子、ここじゃだめだから!家に帰ってから!な!?」
(こくこく)
素直なのはいいことだと思います。
でも素直すぎるのもどうかと思います。
俺は幸せ者です。
幸せだと思います。
あれ、、、目から心の汗が・・・
Fin
ごめん!エロ書けなかった! 逃げるっ!
>>280 ……待って…逃げないで…
とっても…GJだから…
>>280 逃げんな!
乙&GJ&続編希望の言葉をくれてやるからちょっと待て!
GJ
なんか勢いがイイ!!
無口娘とやらない夫、ツンデレとやる夫のかぽーという電波が
無「え…と……あの…私なんかで?」や「君だからいいんだよ…常識的に考えて…」
ツ「ふ、ふんっ!ほんと無能ね…ほら、手伝ってあげるわ」や「やっぱりツンは本当は優しいお!大好きだお!」
みたいな
今日は俺の誕生日。
2つ下の幼なじみが、
「プレゼント贈りたいから家に来て下さい」
て意志表示したから来たわけよ。
そしたら何故か、裸でリボンに巻かれてた幼なじみが。
「……プレゼントは、わたし…」
もうね、クリティカルヒットだね。
無口×(裸+リボン)
の公式で俺の心は倍率ドン!更に倍!
「……もらってくれる?」
もちろん!
「……あと、わたしのしょうらいも?」
まかせときなさい!
ていう電波を送信
受信したけどエロ書けぬぇ・з・
287 :
こたみかん ◆8rF3W6POd6 :2008/04/15(火) 17:11:28 ID:8hmUnBvI
sage
すいません間違えて送信してしまいました。
〜無口で甘えん坊な彼女〜
「じゃ、行ってくるよ」
「はいはい、いってらっしゃい。あ、雪春!!秋葉ちゃんに優しくするのよ」
「分かってるよ」
何の変哲もない平日の朝
俺は母さんとこれまた何の変哲もない話をして家を出る。
見てみると我が家から一軒挟んだ家の前に、地元の高校の制服姿の少女が待っていた。
「悪いっ、待ったか?」
「……いや」
普通このやりとりは男女逆だと思う…けど目の前の彼女――秋葉は気付いていないらしい
「……ん」
不意に秋葉がオレンジのリボンを突き出してきた。
「あ〜分かった、後ろ向きな」
俺に背中を向けた秋葉の、その黒い長髪を俺はリボンで器用に結んでいく。
ちなみに俺はいつもポニーテールに結ぶ。秋葉にはこれが似合うし何よりも俺がポニーテール好きだから、ただそれだけ。
支援
「よし、終わったぞ」
「……ありがと…」
「いや、どういたしまして」
「……」
「ん?どうした?」
「……頭なでて…」
「今ここで?」
「……ダメ?」
身長の関係で上目遣いにならないのが残念だ…
とはいえ可愛い顔でそんなことを言われたら断るはずもなく、俺は秋葉の頭をなでてやった。
「……へへッ」
「自分でして欲しいって言ったんだから照れるなよ」
まぁそんなところがまた可愛いんだけど。
「じゃ行くか」
「…うん……」
ちなみに『手をつなぐ』ことを秋葉は強要しない。
いつも甘えてばかりの秋葉だけど何故かこれだけはしない。決して俺の手汗がヒドい、というわけではない。
前から気にはなってはいるものの、本人が何も言わないので深くは追及していない。
「………ねえ…」
「ん?」
「……………大好き…」
「ッッ!!いきなり何言ってんだ!?恥ずかしくないのか?」
「……好きなんだからしょうがない…」
「あのなぁ…」
こりゃ放課後に秋葉の家に寄るしかないな。それまで日中我慢できるか心配だ。
「………何考えてるの…」
「いやッ何でもないよ」「………変態」
「なんで分かっ…って違ぇーよ」
完全に墓穴を掘った俺に向かって、秋葉は微笑みながら呟いた。
「……大丈夫…全部ひっくるめて大好きだから…」
何の変哲もない平日
こんなやり取りから俺達の1日は始まる。
そんな俺達を母さんが優しく微笑みながら見ていたことに俺も秋葉も気付くことはなかった。
以上です。最初の投下ミス改めて申し訳ない。
今後も続く…かも。
批評、注文、要望などあったら遠慮なく
続いてください
さあ、続きを書く作業に移るんだ
GJ!
さあ、エロを書く作業に移るんだ!
あれ、呼び鈴の音が聞こえる。。。誰か来たようだ
>>295の部屋を訪ねたのは…………
「回覧板よ」
右隣の部屋に住む中年女性だった…
>>295は挨拶を返し受け取る。勿論多少の疲れが混じった笑顔で。
しかし
>>295はくじけたりしない。彼の左隣の部屋には………
ダディクールが無口娘に見えてきた俺に何か一言
八分で即レス後丸一日書き込み無しとか無口すぎだろwwwww
300 :
260:2008/04/17(木) 23:25:42 ID:rV8vrnS+
んじゃ口火でも切りますかね。
書くつもりだったほうがますます進まないので逃避エネルギーを続きにぶつけてみた。
ではどうぞ。
球場を後にして約30分、地下鉄数駅と徒歩で彼女のアパートに到着。彼女が鍵を開け、ドアを開けて押さえてく
れたので、少し悪いなと思いながら先に入らせてもらう。
「お邪魔します。」
「……どうぞ、奥に。ベッドに、でも、腰掛けておいて。」
学生向けかと思うほどの小さな部屋だった。廊下と一体化したようなキッチンをすり抜けるようにして奥の部屋
へ向かう。
廊下と部屋とを仕切っていたドアを開けると、俺は軽く眩暈を覚えた。部屋中が黄色と黒のツートンカラーで占
められている。彼女の好きな球団のチームカラーだ。
「こ、これは……」
あまりのレイアウトに言葉を失っていると、後ろからドン、と何かがぶつかった。振り向くと彼女に無言で見上
げられる。ドアの所で立ち止まるな、という無言のプレッシャーを感じて一歩踏み出した。黄色と黒のカーペット
の上を歩き、ベッドの上、縞模様のシーツの上に腰を下ろす。
途端に彼女がスッ飛んできて俺のことを押しのけた。何事か分からないが相当怒っている様子で押しのけた腕に
は結構な力がかかっている。
「そこ、ダメ。」
俺が尻を置いていた辺りを指差して一言言うと、お茶を淹れてくる、と部屋を離れた。ちなみに指差した先には
トラーズのエンブレムがでかでかとプリントされている。
いや、気持ちは分かるけどね……
数分後、彼女が紅茶をポットに入れて持ってくると俺の隣に腰を下ろした。当然のようにエンブレムの位置を外
している。
「さて、性根を叩きなおすってどうやって?」
ベッドの上で2人並んで座るのは俺の精神衛生上非常に良くない。さっさと本題に移ろうとしたその言葉に彼女
はちょっと考え込むと、TVの横にあった本棚を探り出した。すぐに黒いプラスチックのケースを取り出し、それを
DVDデッキに放り込んでスイッチを入れた。
「……名場面集、流すから。」
すぐにTV画面が暗転し、本編が始まる。オープニング、ダイジェストで名シーンが流れている間に彼女は再び
ベッドの上に腰を下ろした。
どうやらこのDVD、トラーズvsラビッツの名場面集だったようだ。さっきからラビッツの青いユニフォームの選
手がかわいそうなことになっている。子供の頃から好きだったラビッツの選手が次々と出てくるのだが、打者は三
振凡打の山を築き上げ、投手は大事なところでホームランを打たれているのだ。それを観ている彼女は何も言わな
いが、でも強く手を握り締めていた。好きな選手が活躍しているシーンを見て興奮しているのだろうか。
俺の方はというと……正直もうお腹いっぱいです。つーか勘弁して下さい。
そんな風に内心音を上げ始めた頃、肩にこつんと何かが当たった。眠たそうな表情をした彼女が頭を俺に預けて
うつらうつらしている。よっぽど今日の観戦が疲れたのだろう、声をかけても起きる気配が無い。
今日は帰ろう、そう決めてしまって、彼女を起こさないようにベッドに横たえた。ポスン、と柔らかい音を立て
てベッドに着地させると、膝丈のスカートめくれて一瞬白い太腿が見える。慌てて裾を直していると彼女が目を覚
ました。ちょうどスカートに手をかけていた俺と目が合う。凍りついた。
「何してるの?」
「……なんにも、してない。」
本当に何もしていないのに声が震える。自分でも情けないなと思ったけど勝手に震えるんだから仕方がない。社
会的な地位なんて微塵もない若造だから訴えられるのは怖くないけど、好きな人に嫌われるほうが耐えられなかっ
た。逃げるように背を向けると上着の裾を掴まれた。
「今日は帰さないって言った。」
「でも……」
「逃がさない。」
俺は彼女の横たわるベッドへ引きずりこまれる。彼女を押し潰しそうになって慌てて両腕を突っ張ると、押し倒
したような体勢になった。
ついでに鳥もつけてみた。あっちもこっちもエロが書けないっす。
逃避エネルギーがまた溜まってきたら続きも書くつもり。自分にわっふる。
>>302 わっふるわっふるw GJですよ。
てか、名前の出ないSSって珍しいな。雰囲気出てて面白いわ。
きっとエロ書いたら力がでるぞ!
ガンガレ!GJ!
さて、全裸モードに移行するか
…!?
……は、…裸………?
(チラチラ)
/////////ッ〜〜〜〜!!!!!!
>>274 レス見て頂けるかはわかりませんが、このスレ好きなので立候補します。
俺もちょっと最近立て込んでて遅くなるかもしれませんが、お手伝いさせて下さい。
一応保管経験はあります。
LivedoorIDは「mukuchihokan」です。
よろしくお願いします。
310 :
名無しさん@ピンキー:2008/04/18(金) 09:50:25 ID:iEjVUIom
nintendouinochi
↑さすがに無口が過ぎるのではないか?w
無口な娘がニコッと笑う
それだけで昇天できる
あまり私を怒らせないほうがいいがニコッと笑うのを想像して萎えた
ミストバーンがすげえ爽やかな笑顔を浮かべるのを想像して吹いたw
317 :
保管庫の人:2008/04/18(金) 23:30:21 ID:x9wwJFeB
>>309氏
ありがとうございます。
登録しましたので、余裕のあるときに手伝っていただけるとありがたいです。
今後ともよろしくお願いします。
>>309、
>>317 …がんばって、私ここが一番だいすきだから…
いつも…悶えさせてくれたり…暖かい気持ちにしてくれたり…とっても楽しい…
…いつもありがと…だいすき
よぉ
>>318また俺のパソ開いて…ん?
あぁ2chかァ、そういや好きなスレがあるとか言ってたな
まぁ適当に保守しとけよ
保守ついでに無口妻
僕の名前は、斉藤千春。チハルだなんて女の子みたいな名前だけど、れっきとした男だ。
少なくとも、見た目で女の子に間違われた事はない。
……まぁ、男らしい外見だとは、自分でも思えないけどね。
つまり、どこにでもいる、目立たない男子高校生ってところ。
そう、目立たない男子高校生の、ありきたりな朝の登校風景、のはずなんだけど……
今僕は、めっちゃ注目を受けている。
正直言って、注目を浴びるのは苦手だ。
目立たない男子高校生って言ったけど、自分はそれで十分だと思ってる。
だからこんな注目を受ける情況は気恥ずかしくてしょうがなくて、さっきから誰とも顔を合わせないように
俯きっぱなしだ。
なんで注目されてるかって? ……うん、実は原因は、僕じゃない。
つまり、僕が注目されてるんじゃなくて、すぐそばに居る原因の、とばっちりを受けてるって所。
そう、注目の原因、僕の隣で歩く……正確には、僕の斜め上、塀の上を踊るようなステップで歩く、彼女の。
うん、いつまでも現実逃避してても仕方ないよね。
僕は意を決して顔を上げ、彼女に話しかける。
「ねぇ、綾……いい加減降りようよ。皆見てるよ?」
僕の呼びかけに、綾のステップが一瞬止まる……けど、すぐにまたステップを再開する。
僕は小さく嘆息した。
彼女の名前は篠原綾。僕と同じ高校一年生。家がお隣同士の、いわゆる幼馴染と言う奴だ。
家族を除けば、僕と一番長くいるのは彼女だし、多分彼女にとっての僕も同じだろう。
別に、何かを約束してるわけでもないけれども、なぜだか僕たちはずっと一緒にいる。
ずっと一緒にいる、のだけども……実は僕は、綾の事がよく判らない。
漫画とか小説だとかだと、「彼女の事は僕が一番知ってるんだ!」とか言えそうなシチュエーション
なんだけど……物心ついたときから一緒にいる僕でさえ、彼女の事は掴みきれていない、と言うのが本当。
まず彼女、とにかく無口。一番長く一緒にいるであろう僕とさえ、一日の会話が使われる単語は両手の指
程度で済んでしまうだろう。
一言も聞かないで一日が終わってしまう事だってザラだ。
その上、ものすごく気まぐれ。何かに興味を持つとすぐそっちに行くし、飽きるとすぐに放り出してしまう。
今そうしてるように、「塀の上を歩く」なんていう奇矯な行動に出ることもザラ。
そしてさらには無表情。何をするにしても、何を言うにしても、表情が代わる事は滅多にない。
彼女の一日の会話は両手の指程度だけど、彼女の表情が変わるときは、一週間でも10に届くかどうか。
正直、何を考えてるか判らない。
その辺を話してくれればいいんだけど、今言ったとおり彼女は無口だし。
無口な彼女でも察して上げられればいいんだけど、今言ったとおり彼女は気まぐれだし。
そんな相乗効果で、たまに交わす会話も、彼女の真意を問いただすためだけで消費し終わってしまう事も多い。
そんな彼女は、学校では「ネコみたいな子」で通っている。
なるほど、と僕は思う。
肉付きは、その、同級生の女の子たちと比べて、だからあの、ちょっと少なめだけど……その分、しなやかに
伸びてる手足といい、今こうして塀の上でステップしている軽やかさといい、無造作にショートに揃えられ
ながらあちこちに跳ねてるやや茶色がかったクセっ毛といい、吊り目気味で、ついで言うと普段はどこに
焦点があってるのか不明瞭な瞳といい、本当にネコっぽいと思う。
うん、現実逃避終了。
「ねえ綾、危ないから降りようよ」
今度の呼びかけは、綾の足を一瞬止めるだけの効果もなかった。
僕は再び嘆息する。
まぁ、この呼びかけがスルーされるのはわかっていた。危ないなんて言っても、スポーツ万能で通ってる
彼女には塀の上での平均台渡りなんてなんでもないことだろう。その気まぐれさから特定の部に所属する事は
ないものの、あらゆる運動部に助っ人として頼りにされて、そしてその期待にキッチリ応えられるだけの
運動神経の持ち主だから(……まぁ、彼女が飽きないうちは、だけど)。
僕はまた嘆息。
仕方ない。切り札を切るとしよう。本当なら、コレは言いたくなかったんだけどね……。
「綾……」
一度言葉を切って、意を決してから。
「……スカートの中見えるよ?」
……反応は、劇的だった。
ステップをぴたりと止めた綾は、すぐさま塀から飛び降りる。しゃがみこむようにして衝撃を吸収する、
危なげのまったくない、本当にネコのような見事な着地だった。
……が、綾は立ち上がらない。
「……綾?」
もしかして、どこか痛めたんだろうか? そんな風には見えなかったけど、だったら大変だ、と僕が心配
していると、綾が立ち上がる。
僕がほっと安心……しようとしたけど、上目遣いに僕を睨む視線に僕はたじろぐ。
「な、なに……?」
見ると……綾の両手は、スカートのお尻を押さえるように添えられていて、その頬はかすかに赤みが差している。
「……えっち」
「?! あ、いや、その、別に本当に見えてたわけじゃ?!」
慌てる僕をじっと見つめる綾。うううう、誤解だよ、本当に見てなんかいないから!
うう、だから言いたくなかったんだ!
と。不意に綾が笑った。かすかに目元が下がって僅かに口元が上がっただけの小さな笑みだけど……
でもそれは、僕が長年見慣れてる綾の笑顔でもある。
唐突に、綾が身を翻す。前に駆け出すようにしながらダンスのような軽やかなステップでぐるりと一回転した
綾が再びこちらを向いた時、その表情はいつもの無表情に戻っていた。
そして綾が、軽く首をかしげる。
「……行こ?」
「え、あ、うん」
僕は小走りに駆け出して、綾に追いつく。
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
俺の無口娘はコレじゃ! と投稿して見る。
幼馴染で貧乳ボーイッシュ娘で気まぐれネコ娘で無表情娘で無口娘と、
浪漫と書いてリビドーが詰め込まれております。
つまらないコピペミス……
>>322の本文最後に、この一行を付け足しておくんなせい。
そんないつもの、僕と綾の朝の風景。
子犬系の無口っ娘もいいがネコもいいなあ……
GJ!
おっと、トリ外し忘れ失礼。
GJ!!さぁ続きはいつなんだ?
楽しみに待ってる
・・・・・( '-')b
俺の好みのド真ん中にストライクした。 GJ〜!
……ツヅクヨネ?
おっけーおっけー。
ご好評いただけたようで何より。
ネタの続く限り、ぽつぽつ続けていくさー。
ただ、俺にとっての無表情無口娘萌えの垂れ流しなんで、
エロはそんなにないのは勘弁な。
エロがないわけじゃないけど、メインじゃなくて、俺の無表情
無口娘萌えのバリエーションの中にエロもある、みたいな。
僕は綾の事がよく判らない、って前に書いたけど、一つだけ確信を持って言えることがある。
それは、綾はものすごく食べる事が大好きな、食いしん坊だってこと。
「…………………………(はむはむはむはむはむはむ)」
……いやこうして、無心にサンドイッチを頬張る綾の姿を見れば、誰だって分かるだろうけどね?
今は昼休み。
天気もいいので、僕らは屋上に出てお昼にすることにした。
「今日は、蒸し焼きササミと卵の親子サンドにしてみたんだ。おいしい?」
両手で持ったサンドイッチから一時も目を離さぬまま、綾はこっくりと頷く。
そしてまた一口頬張ると、無心ではむはむはむはむはむとサンドイッチを味わう。
いやはや、こうして一心不乱に食べてもらえると、作った方としても嬉しいというもの。
綾と僕はお隣さん同士だって言ったと思うけど、双方とも両親は共働きで、自然と僕はおさんどんに
慣れ親しんでいき、今では綾のお弁当も僕が担当するような次第。
放任主義の親の元で、子供に自発的な責任感が生まれたケースと、そのまま奔放に育ったケース、
と言うわけらしい。
ん? そういう情況なら、普通は女の子の方が家事に目覚めていくものじゃないかって?
それに対する僕の反論は二つ。
綾にそんな常識は通用しないってことと、そんな疑問は僕はもう5年は昔に通過済みってこと。
まぁアレで綾も意外と器用だから、やればできるんだろうけど……とにかく気まぐれで飽きっぽいからね。
ゆで卵が茹で上がるまでの時間もじっとしてられなかった実績には、とりあえず僕としては嘆息する他ない。
水筒に用意してあったお茶をカップに注いで綾の傍に置くと、僕は自分の分のサンドイッチにかじりつく。
……うん、上出来。でももうちょっと塩が濃い目でもよかったかな。蒸し焼きチキンのさっぱりさを
生かそうとしたんだけど、卵と野菜のバランスに少し負け気味だ。あ、そうだね、味付けよりも、
盛り付けのバランスで調整してもいいかもしれない。
そんなことを考えつつふと見ると、綾の傍にあったカップは、既に空になっている。
僕はサンドイッチを口にくわえつつ、綾のカップにお代わりを注ぐ。
と、注ぎ終わったのを待ち構えたかのようにカップは素早くかっさらわれ、綾はくーーーーーーっと
それを一気に飲み干す。そしてカップは再び、元の位置に置かれた。
僕は一つ苦笑いしつつ、カップにお代わりを注ぐ。
傍目には随分と綾が傍若無人のように見えるらしいけど、僕としてはまんざらでもない。
だって、こうした食事風景は、綾が自発的に一所に長時間居座る数少ないケースだし。
あの気まぐれで移り気な綾がこうして夢中になってくれてるっていうのも、食事提供者としては
わりと悪くない気分だったり。
くちさがない友人などは、この光景を「うまく餌付けしてるな」と評する。
餌付け……あまりにもぴったりな表現に、僕としては苦笑いする他なかった。
そのあとに続いた「それともお前が調教されてんのかな」には、反論の言葉も見つからず憮然とする
他なかったけど。
それにしても、と僕はバスケットに目を落とす。
そこそこ大きなそのバスケットに詰め込まれたサンドイッチは、既に三分の一が消費されている。
ちなみに、僕が消費したのは、今もまだ口にくわえてるこの一切れのみ。
綾の食べっぷりは本当に見ていて気持ちがいいけど、平均的な女の子の食事量は大きく上回っている。
そのくせ太らないどころか、どっちかといえばスレンダーなままって言うのは、やっぱり食べた量を
上回る運動量のおかげだろう。
……うん、感慨にふけってる場合じゃないね。ペースアップしないと、僕の分まで食べられる。
「ごちそうさま」
「お粗末さま」
いつも無口な綾も、「いただきます」と「ごちそうさま」はきちんと両手を合わせて言う。
うん、ここだけは食事提供者として、きちんと躾させてもらった。さすがの綾も、食事を前にして命じられれば
従わざるをえないらしい。いや、別に綾の事を何でも縛ろうって言うつもりは無いけど、ここだけはケジメとしてね。
……これも餌付けって言われる所以かな。
そんな感じで昼食終了。
ハイペースなままでバスケットを侵食していく綾に抵抗し、なんとか自分の分は確保できた。
それでも確実に、綾は僕よりも食べてるけど。
「今日もいい食べっぷりだったね」
「ん」
一般論で言えば女の子に振るような話題じゃないけど、まぁそこはそれ。相手は綾だし。
綾も本当に本気で気にしてないし。
「大好き」
…………は?!
な、な、なにを唐突に?!
慌てふためく僕をよそに、綾は無表情のままでぼそりと続ける。
「ハルのご飯」
あ、そー言う事……「僕の作るご飯は大好きだから、いくらでも食べられちゃう」と、そういう文脈らしい。
なんというベタなラブコメ的誤解を生む発言。
一瞬で僕に混乱と肩透かしを味あわせてくれた綾は、しかし僕のことになんか頓着せずにくぁぁぁぁっと、
やはり一般論で言えば女の子としてあるまじき大あくびを隠しもせずにすると、そのままこてんと横になる。
「綾……?」
見れば……すでに寝息を立てている。
「………………………」
食べ放題に食べて、眠くなったからすぐに寝て……相変わらずフリーダムだな、綾は!
「まったく……こんなところで寝ると風邪引くよ?」
僕は苦笑いを一つこぼすと、ブレザーを脱いで綾にかけてやり、ランチボックスを片付け始める。
そんないつもの、僕と綾の昼下がり。
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
ご好評に気を良くして、早速続きを書いてみた。
こんな感じで、当分はゆるーく行く予定。
でもこの続きはしばらく待ってね。スタートダッシュはもう品切れだから。
あと、タイトルは「ネコなカノジョの観察日記」に変更させていただきました。決定稿。
読んでくれた方、感想くれた方に感謝多謝。
>>331 さっそくの続き、GJ!!!
「ネコ」な感じがすげー出てて良いと思う。 続き待ってるぜw
ネコっ子GJだぜ
次はちょっとやきもち焼く無口っ子でおながい
そのユルさがたまらんち
無口、無表情、無防備
萌えってレベルじゃねぇぞ!!?
友人のセンスが気になる件
続きが出来たんで投下しようかなと思います
一応今回はエロ有りで
期待に答えられているかは分からないけど
《無口で甘えん坊な彼女〜俺と彼女と母親と〜》
「おい、雪春〜今日帰りヒマか?」
今日も学校での一日が終わり、帰り支度をしている中、俺は友人に呼び止められた。
「悪い、今日は無理」
断るのは忍びないが仕方がない。今日は用があるのだ、とても大切な。
俺は教室を出て急いで校門まで行く、既にそこには同じ高校の制服に身を包み、オレンジ色のリボンで髪を結んだ少女が待っていた。
「………」
目の前の彼女は少し不機嫌らしい。遅刻に関してはいつも寛大なはずだが。
「悪い秋葉、担任の話が長くて、あとちょっと話しかけられて。って怒ってる?」
珍しく不機嫌な秋葉の様子が不安になり俺は問いかける。
「………いや、ただ…」
「ただ?」
「……一人でここにいるの寂しいから…」
そう呟くとちょっとバツの悪そうな顔をする秋葉。いつも甘えてくる秋葉もたまに恥ずかしがる時がある。
出会って六年経つが基準は未だによくわからない。
「寂しいって…まぁいいか。とにかく帰るぞ、母さんが待ってるし」
帰り道、俺達は相変わらず一回も手を繋ぐことなく家の前まで来ていた。
家に入ると奥から母さんが来て出迎える。服装を見るにどうやら料理の真っ最中のようだ。
「ただいま、母さん」
「はい、おかえりなさい雪春。もちろん秋葉ちゃんもね」
「………ただいま…」
秋葉が学校から直接家に来るとき母さんは必ず『いらっしゃい』ではなく『おかえりなさい』と迎える。
さすがの秋葉も初めは戸惑っていたけど今ではすっかり慣れたらしく、当たり前のように返事をする。
「……手伝う…?」
「あら、ありがとう。でもそんなに大変じゃないし大丈夫よ。休んでらっしゃい」
まだ何か言いたそうな秋葉だったけどコクリと頷くと俺よりも先に上へ行ってしまった。
「じゃあ夕飯になったら呼んでよ」
「はいはい分かったわ、そういえば雪春――」
階段に足をかけようとしたその時母さんが思い出したように呼び止める。
「二人ともまだ結婚してないんだから避妊だけはちゃんとしなさいよ。私まだおばあちゃんにはなりたくないし」
母さんからの強烈な一言。しかもその理由が微妙にズレている気がしてならないが…
「ッ!!何言ってんだよ。ほら焦げた臭いしてるよ、早く戻ったら?」
「あらあら、大変!雪春の大好きなお肉が…」
慌てて戻る母さんを見届けつつ俺も自分の部屋へと向かう。
ドアを開けた瞬間、秋葉が抱きついてきた。
不意に人が抱きついてきたらさすがの俺も踏ん張り切れないわけで…
結果として秋葉が押し倒すような形となっている。
ほのかに香るいい匂いとわずかに上気する秋葉の綺麗な顔を間近にして鼓動が速くなるのを感じた。
「………したい…」
元々少し赤くなっていた顔をさらに赤くさせ秋葉が耳元でそっと呟く。
「したいって何?いつもみたいにこうやってくっついてスリスリすること?」
可愛い秋葉の様子にちょっと意地悪したくなり、わざととぼけてみせる。
「………違う…エッチがしたくなったゃったの…」
こう素直に言われるとちょっと物足りない気もするが…
そんなことを言われて完全に俺自身もスイッチが入り、身を起こして彼女をベットに運ぶと間髪入れずに唇を重ねる。
「………んんっ…ん」
互いに舌を激しく絡め合わせていく。息継ぎする時間すらもったいない。もはや自分の舌か秋葉なのかも分からないほどだ。
「………ぷはッ…はぁはぁ」
さすがに息苦しくなった秋葉が唇を離す。もう一度キスをしようとする僕を制して秋葉は制服を脱ぎ出す。
「…皺になっちゃうから……」
服を脱ぐ秋葉に見とれていた俺の視線に気付いたのか、少し恥ずかしそうに秋葉が言う。
何度も見てきたけど、一糸纏わぬ姿になった秋葉はとても綺麗で思わず見とれてしまう。
白い肌に引き締まった体、それでいて女性らしい柔らかさが表れている。
華奢な体つきだが、ほどよい大きさで形のいい胸。その頂にあるピンク色の蕾は既に自己主張していた。
そんな秋葉を見て俺自身がいきり立つ、ズボンの中がとても窮屈だ。
秋葉もその様子に気付いたのかそっと近付くと俺の服を脱がしていく。解放された俺自身が秋葉の目の前に晒される。
「……今日も元気だね………」
「悪い。なんか今日の俺余裕ない」
「………うん、私も。…いいよ…来て」
どうやらいつも以上に興奮しているのは俺だけじゃないらしい。
俺は横になった秋葉の足をそっと開く、ピンク色に染まった秋葉の秘所は既に洪水状態でいやらしく光っていた。
「いつも人に変態っていうくせに…何もしてないのに濡れてんぞ」
「………雪春とするって思うと……はんっ」
秋葉が話している途中だったが俺は我慢しきれず自身を秋葉の中に押し込んだ。
充分濡れていた秋葉の中は強く俺自身を締め付けてくる。キツいはずなのにどこか柔らかさを感じる秋葉の中。
絡み付いてくるそこは意志を持っているかのように刺激してくる。
その感触を味わうかのように俺は腰を動かし始めた。
「……はん、…あっ…ひゃ…」
聞こえるのは秋葉の押し殺した、か細い声と二人の結合部からのなまめかしい水音。それらの音がさらに俺を興奮させていく。
「……あんっ…、ねえ…、あっ…ギュッて……んんっ」
快感に溺れながらも秋葉がお願いをしてくる。
俺は腰を休ませずに秋葉に抱きつき、そのまま唇を合わせる。押しつぶされても押し返そうとする秋葉の双丘の感触がまたたまらない。
「…ぴちゃ…んんッ…はんッ……あんッ」
―繋がりながら抱き合ってキスをする―
秋葉が行為中一番好きなことだ。そのためか秋葉の中が激しく動き出す。一気に射性感がのぼりつめてる。
「くっ、秋葉そろそろヤバいかも」
「……はッ、…私…も…はんんッ」
かすかに口から一際高い媚声をもらしながら、潤んだ瞳でこちらを見て秋葉が訴えかける。
それに答えるように俺も腰の動きを速くしていく。
「んんん―――――!!」
先に達したの秋葉だった。今まで一番大きな声を上げて快感に溺れている。
体を弓なりにして足を俺に絡ませ、俺自身をさらにギュッと締め付けた。
「ちょっ、そんなに締めんなっ、くッ」
与えられる快楽に酔いしれながら俺も白濁液を秋葉の中に放出する。
「……ひゃッ…ダメ、またイっちゃ…んんんッ」
どうやら射精に合わせてまたイってしまったらしい。そんな間も俺は秋葉の中で出し続けた。
射精も終わり俺は自身を秋葉の中から引き抜く。それは秋葉と俺の蜜によっていやらしくテカテカと輝いていた。
幸福な倦怠感の中俺たちは再び抱き合って軽いキスをする。
「……はぁはぁ」
「大丈夫か、激しすぎた?」
「……うんん、大丈夫。気持ちよかったよ……」
嬉しそうな秋葉の微笑をみて俺は安堵の声をもらす。
「そうか、なら良かった」
「……雪春…大好き…」
俺に体を預けてスリスリしている秋葉が不意に言い出す。
というより秋葉の大好きはいつも不意打ちなのだが。
よく何度も言うとありがたみが薄れると言われるけど、秋葉からの『大好き』は何度聞いてもやっぱり嬉しい。
普段自分の口から感情を表現することのない秋葉が言ってくれるのだから。
「俺も。」
―大好きだよ―とは少し恥ずかしくて言えなかった。
「………そういえば…」
お互いの体を拭き着替えている途中で秋葉が呟く。
「ん?どうした?」
「……今日は安全な日だから……」
その言葉を聞いて俺は顔から血が引くの自分でも感じた。直前に人から注意されておいて……
もし安全日じゃなかったらどうするつもりだったんだ?と自問する。
けれどもその答えはすぐに見つかった。
俺は秋葉の方に向かって座り直し、真っ直ぐと目を見据える。
「なぁ秋葉」
「……?」
「大丈夫、何があっても俺は秋葉を裏切らない。ずっとそばにいるから」
一気に俺は言い切る。恐らく顔が赤くなっているのは気付かれていると思う。
秋葉は一瞬キョトンとしたがすぐに頬を赤く染めゆっくりと口を開く。
「…それ……もしかしてプロポーズ」
「いやっ!べ、別にそういうつもりじゃなくて」
「………また違うの…?」
「なんだその今のは俺への誓いというか…そのだから」
ジーっと秋葉が俺を見つめてくる
「…………」
決心して俺は口を開いた。
「プロポーズする時はもっとちゃんとした所で言うから待っててくれるか?」
しばらくの沈黙のあと秋葉はコクリと頷いた。その瞳は涙で美しく輝いている。
「……私…待ってる……」
俺にはプロポーズなんてまだ出来ない。そんな無責任なことは出来るはずがない。
もっと秋葉を支えられるような男になるまで。
でもいつか必ず、必ず迎えに行く。心の中で決心する。
そのまま二人でまったりしていると下から母さんの呼び声が聞こえてくる。
降りていくとテーブルの上には夕食が並んでいた。
三人で食卓を囲み、箸を進めていると不意に母さんが口を開いた。
「そういえば雪春、例の件春信さんも私もOKよ」
「え、父さんもOKって言ってた?」
「ええ、雪春はもう大人みたいなものだもの。いちいち口を挟まないわ。でも秋弘さんにも改めてお願いするのよ」
するとそれまで黙々と食べ続けていた秋葉が口を開いた。
「大丈夫………元々お父さんが言い出したことだから…」
「分かってるわ秋葉ちゃん、でもケジメは付けないと。秋弘さんも可愛い一人娘が心配でしょうしね」
まるで俺を信用していないような言い草だが、さっきの避妊の件もあり何も言い返せない。
「それにしても秋葉ちゃん可愛い声出すのね、聞いてるこっちも恥ずかしくなっちゃうわ」
「ぐほっ!!」
「…………!!!」
突拍子もない母さんの発言に俺がむせかえる。秋葉を見ると真っ赤になっていた。
「ふふっ、やっぱり秋葉ちゃんは可愛いわね。雪春にはもったいないくらいだわ」
微笑みながら母さんは相変わらずマイペースに話続ける。
「……でも…私は雪春が大好きだから…」
「だって雪春。良かったわね、こんなに良い子で可愛いくて、エッチな女の子はそうはいないわよ」
褒められて照れたのか秋葉が下を向く。
でも今何食わぬ顔で凄いことを言っていたような…これぞ『知らぬが仏』といつやつか。
「あーあ。早く春信さん帰って来ないかしら。二人を見てると私も会いたくなっちゃったわ」
とにかくこれからも母さんの天然というか、マイペースさにかなわないだろう。改めて俺は悟った。
夕食も終わり、帰宅するという秋葉を送り届ける。といっても一軒挟んで隣だけど…
「……今度の土日のどっちかはお父さん家にいるかもって…」
「そっか大変だな秋弘さんも」
秋葉のお父さんは何かと出張が多いらしく家にいないことがほとんどだ。とはいえ家の父さんも似たようなもんだけど。
だから今日みたいに秋葉が夕飯を食べに家に来ることがある。
「じゃあまた明日の朝な」
「………うん」
そう言うと秋葉は軽く唇を重ねてきた。
「………おやすみ…」
「ああ、おやすみ」
互いに離れてそれだけ言い合うと秋葉は家の中に入っていった。誰もいない家の中へ。
幸福感を感じる中そのことを思うと少しだけ胸が痛んだ。
「いつか必ずお前を支えられる男になって迎えに行くからな」
閉まった扉を見ながらそう俺は一人呟くと、我が家へと足を進めた。
リアルタイムktkr
え〜今回は以上です
ちなみに描ききれてませんが前回とは異なる日という設定
それにしても無口っ娘が活かせてない気が…
とはいえいくつかの伏線も張ったことだしまだまだ続きますよと
>>344 GJ
さて、語彙力のない俺から言える感想は一つだ
なんという続きが気になる作品か
おかんつえー!
グッジョブ。
>>333のリクエストに応えてみた。
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
もうすぐ予鈴がなる頃だ。そろそろ綾も起こさないと。
「ほら綾、もうお昼も終わりだよ、教室戻ろう?」
「……………」
僕に揺り起こされ、綾はゆっくりと身を起こす。
ぺたんと座り込んで眠たげな目を手でこしこしとこする仕草は、いかにもネコっぽくて綾らしい。
でもこすり終えた綾はそのままの姿勢で、まだぽーっとしてる。
まだ目が覚めきってないらしい。
「ほら綾、起きて起きて」
仕方なく僕は、綾の肩を揺すって声をかける。時間大丈夫かな。いざとなったらこのまま引っ張っていくか。
と。
綾にかけてあった僕の上着が、ぱさりとずり落ちた。
綾の視線が、緩慢にそちらに移る。
「綾?」
しばらくじーっと僕の上着を見ていた綾は、ゆっくりと手を伸ばし、上着を拾い上げて目の前に広げた。
拾ってくれた……のかな? でもなんか、広げた上着を前に小首を傾げてるし……?
と思ったら。
いきなり綾は、その上着をぎゅーっと抱きしめた。
「ちょ……綾?!」
ヤバい。
頬がかーっと熱くなってるのを感じる。
何だか判らないけど、なんとなく焦る僕。
本当にヤバい。いや何がヤバいのかさっぱりわかりませんがとにかくヤバい――!
「綾! 正気に戻れー!」
思わず乱暴に綾の肩を揺するが……綾はまだ寝ぼけてるような、とろんとした表情のままだ。
「……ハルのにおいー」
だから綾、そこでそういう台詞は反則ー!
頬擦りもダメー!!
深呼吸も禁止ー!!
なんやかやで上着も奪い返して、左手にランチボックス、右手でいまだに寝ぼけ眼な綾の手を引っ張って
教室に向かう僕。
綾はまだご覧の通りだけど、予鈴にはもう少し余裕があるし、なんとかなるだろう。
ちなみに僕の上着は当然よれよれだ。うちに戻ったらアイロンかけないと。
綾に思いっきり抱きしめられたから仕方ないけど……。
……抱きしめ……。
ううう、思い出すとまだ頬が赤くなる。
それにずっと綾のお昼寝布団代わりだった挙句に抱きしめられまでした上着には、かすかに綾のにおいも
感じられて……って何を言ってるんだ僕はーーーー?!
なにやら踏み込むには躊躇いを感じる方向に行きそうになる思考を頭を振って払うと、僕は綾の手を引いて
教室へと向かう足を早める。
と。
「……お、チハルも今戻りか?」
「あ、公平」
階段を下りたところで、公平と鉢合わせた。
こいつは杉村公平、僕たちのクラスメイトだ。知り合ったのは高校生になって同じクラスになってからだけど、
明るくて物怖じしない公平は瞬く間にクラスに溶け込んで、僕とも友人になったってワケ。
当然、同じ教室に向かってるわけだから、自然と僕らは連れ立って歩き出す。
公平は、ちらりと僕の手のランチボックスを見て、わざとらしくため息をつく。
「チハルたちは今日も愛妻弁当かぁ……いいなぁ」
「愛妻弁当って……作ってるの僕なんだけど」
「んなもんどっちでもいい! とにかく、お前等が裕福層に属してるには確かだ!」
裕福層て。
「俺なんて今日も一人寂しく購買パンだぜ? 最近マモルも付き合い悪いしよー」
「あー……護はねぇ……仕方ないよ」
わざとらしく嘆く振りをする公平に、僕は曖昧に頷く。護は僕たちの共通の友人だけど……今の話の流れでは、
護の話題は避けた方がいい。
「あーもう、俺も料理の上手なカノジョが欲しい!! いっそチハル、お前が俺のカノジョになれ!」
んな無茶な。
……と。
不意に、右手が強く引かれる。
「………………?」
「………………あの、綾?」
そちらに目を移すと……いつの間やら目を覚ましたらしい綾が、ひっしと僕の上着の裾を掴んでるところだった。
そのいつもは無表情な顔が、今は僅かに口元がきつく結ばれて、ぢーーーーっと公平を睨んでる。
「えーと……どうなさいました綾さん?」
思わず敬語。
だけど綾は、公平を睨んだまま(ついでに裾を掴んだまま)微動だにしない。
「……………………おお」
そんな綾の様子をあっけに取られた様子で見ていた公平は、不意にぽんと手を打ち。
「チハル、お前のこと前から好きだったんだわ。俺と付き合ってくれ」
いきなりナニ言い出すかなコイツわー?!
と、僕がツッコミを入れるより早く、僕の右手が一層強く引かれる。
その目は、いつになく真剣に、敵意すらこもった様子で公平を睨んでいる。
睨まれた公平はといえば……にたあり、と不気味な笑みを浮かべた。
まずい……公平のあの笑い方は、何か面白いものを見つけてそれでもて遊ぶ時の笑い方!
「君の瞳は百万ボルト。その瞳で俺を痺れさせてくれマイハニー」
いつの時代の人間だよ公平。
「…………!(ぐい)」
また強く引かれる裾。
「チハル、俺のために毎朝味噌汁をつくってくれ」
これまた古典的な。
「…………!(ぐいぐい)」
またまた強く引かれる裾。
「わたし達のあの熱い夜を忘れたというの? ひどいわ、アレは遊びだったのね?!」
スマブラを徹夜で対戦したことを言ってるなら、アレは間違いなく遊びだってば。
「…………!(ぐぐぐいっ)」
さらに強く引かれる裾。
公平が妄言を流すたびに、綾はいっそう僕の手を強く引く。
そしてその目は、射殺さんばかりに公平から片時も離れない。
「あのね、綾……いくらなんでも、あんな妄言を真に受けなくっても……」
「ほほー。なるほどなるほどねー」
しかし公平はそんな視線もどこ吹く風で、しきりにおかしそうに感心している。
「いやどーするのこの情況!」
綾の手は、僕を公平に渡すまいと言わんばかりに(と、言うつもりなんだろうね……)裾をきつく掴んで離さない。
それどころか、いまも公平から一歩でも僕を遠ざけようと引っ張り続けている。
「わりぃわりぃ。篠原が表情変えるのはじめて見たもんだから、つい」
「つい、で綾を刺激しないで欲しいかなっ!」
ついでに、どんだけレアなんだよ綾の表情!
「すまんすまん、でも大丈夫だって」
ぜんぜん済まなそうに笑う公平は、視線を綾に向ける。
「ウソウソ、わるいな篠原、今の全部ジョーダンだよ、ジョーダン」
「………………………」
一応、フォローはしてくれるみたい。でも、綾はまだ警戒を解かない。
本当に綾がネコだったら毛を逆立ててるんじゃないかと言うくらいに、僕の上着の裾をきつく掴んだままで
ぢーーーーーーっと公平を睨みつけている。
しかし公平は、そんな視線もどこ吹く風、笑顔のままで言葉を続ける。
「大丈夫だって、チハルは篠原が一番大事に決まってるんだから」
だからいきなりナニ言い出すかなこの男わー?!
綾の僕の手を引く力が、僅かに緩む。
恐る恐る、そちらの方に目を向けると……。
「………………………(わくわく)」
「う………」
こころなしか、何かの期待に輝く瞳でこちらをぢーーーーーーっと見つめる綾と目が合った。
思わず、額に汗が浮かぶ。
これはアレですか。
言えと。
なにかこう、恥ずかしい台詞を言わないとダメだと。
そういう情況なんでしょうかー?!
「ほれチハル。ここは男を見せるべき時ぞ!」
このいざこざの原因が何を言うかなっ?!
「………………………(わくわくわく)」
だから綾さん無言のままそんなキラキラ輝く瞳で見つめないで下さい。
我知らず、頬がまたまた赤くなっていく。
あー………やっぱり言わなきゃダメ?
ダメですかそうですか……。
僕は嘆息一つ。
「あー、あのね、綾……」
「………………………(わくわくわく)」
「………………………(わくわくわく)」
公平までなんか期待に満ちた目で見てるし
「僕はね、公平なんかより綾の方が大切だし、公平のあんな妄言になんて乗りっこないからね」
ヘタレですいません。僕にはこれが精一杯です。
「ぶーぶー、ひどいぞチハルー。俺超傷ついたー」
うるさい黙れ。
それよりも綾だ綾。
「………………………」
綾は、ぢーーーーーーっと僕のことをしばらく見つめてから……ゆっくり、裾を手放した。
ほ、やれやれ……判ってくれたか……あー、でも、裾がもうしわくちゃ……まぁどうせアイロンかけるし……。
とか考えてたら、綾はういつものうっすらスマイルを浮かべると。
「♪」
両手でもって、僕の右手に抱きついてきた!
「ちょ、綾?!」
僕は思わず慌てて、おもわず一歩後ずさりしちゃったけど、綾はしっかりと僕の腕に絡み付いて離れない。
それどころか、ほお擦りとか始めるし!
「ほほー、そう来ましたか」
「のんきに感心してるな元凶! どーするの情況! さっきより泥沼ってるよ?!」
その時非情に響き渡る、予鈴のチャイム。
「お、予鈴か。俺先に教室行ってるわー、じゃあなー!」
逃げやがったー!
後に取り残されたのは、呆然とする僕と、いつまでもいつまでも僕の腕に抱きついてほお擦りしてる綾だった……。
えと……ホントどーすんのよコレ?
追記。
この情況で教室に入ったら確実に冷やかされる、綾は離れるつもりはさっぱりなさそう、
でも授業をボイコットする度胸もない……そんな八方塞りの情況で、僕は授業開始ギリギリまで悩んだ末に、
当分は冷やかされる覚悟を決めて綾を片手にぶら下げたまま教室に入ると。
クラス中、「斉藤と篠原が腕組んでる? ふーん、それが今更なに?」みたいな超スルーな空気だったのが、
とてもとても複雑な心境だったとです……。
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
一段落目を超誤爆して大恥かきました……どうりで改行制限きついと……
333だが、リクに答えてくれてありがd!!
まさかこう来るとは思わなかった
無口猫っ子かわいいよ綾ーーー!!!
GJ
実は綾の方はあんまり意識してなかったのかなって思ってたから、こういう風に
千春に好意を表してるところを見せられると余計にかわいく感じるなあ。
あと公平君とクラスの連中にもGJをw
GJ
・・・百万じゃなくて1万ボルトじゃなかったっけ?
元ネタが違うのならすまん。
え…あの……、これ…いっぱいあるんで受け取ってください……///。
つGJ
逃避エネルギーの溜まりかたが尋常じゃなかったので、一応の完結編を投下。
本番一回のみ。ではどうぞ。
間近に彼女の顔がある。ほんの少し首を伸ばせば唇が触れ合いそうな至近距離だ。
「ち、近いよ?」
目の前の女性は無言でかぶりを振ると俺のネクタイを掴んだ。くいっと引っ張ると頬に口づけをしてくる。突
然に出来事に呆然としているとさらに数度、今度は唇と触れ合う。体を離そうとしてもこのままでは首が絞まっ
てしまうから逃げられない。
仕方がないので、とりあえずおでこを押し付けるようにして口同士の距離をとると、不満そうな顔で見上げら
れた。
「何で逃げるの?」
「いや……」
スカートの誤解から怒られるのではないかと思っていたのに、まさかこうなるとは。突然の出来事にまだ頭が
追いつかない。
そのとき背後のTVがカーンと甲高い音を発した。そういえばまだ名場面集が続いていたんだった。振り返ると
――
「……うわ。」
――球史に残るホームラン3連発だった。打たれたラビッツの投手は後にチームの大黒柱と呼ばれるほどに成
長するのだが、この当時はまだまだ若手。ことある毎に持ち出されるこのシーンは大嫌いだった。
「このDVD観るの、嫌?」
俺の表情を読んだのか彼女が訊く。無意識に頷いてしまう。マズい、と思ったときには遅かった。怒っている
のか悲しんでいるのか、よく読み取れない感情が顔に出ている。
「……野球好きな女って嫌われるよね。」
彼女はぽつり、とそう言うとネクタイを握っていた手が開いた。
「そんなことない。趣味が合うっていいことだから。」
少し置いて、俺は静かに口を開いた。目の前の彼女は目をぱちくりと見開く。
「嘘。だって、嫌だって言った。」
「そりゃ好きなチームがバカスカ打たれてたら気分も悪くなるよ。」
今度は俺のほうから唇を寄せた。鼻の頭にキスを落とす。次は頬、その次は瞼。顔中にキスを散らす。
「くす、ぐったい。」
「じゃあこっちにしようかな。」
唇へ1つ。軽く触れてすぐ離れる。
「俺からは初めて、かな?」
こっくり頷いたのを確認して、2度目。今度は舌で彼女の唇を探る。唇の合わせ目を舐められて驚いたのか彼
女は大きくその瞳を見開いたが、やがて口を開きおずおずと舌を触れ合わせ始めた。彼女は遠慮するようにチロ
チロと舌の先ばかりを触れ合わせてくるのだが、それがどうにもむず痒くなってきた。だんだん我慢が出来なく
なってきて、もっと深く触れ合いたい、と彼女の口内に舌を差し込む。
「ん……」
彼女はほんの少し呻いて整った眉を歪める。小さな起伏も見逃すまいとゆっくりと歯列をなぞっていくと、彼
女はくすぐったそうに身体を捩じらせた。
彼女の口の中を上下往復して、一旦唇を離す。粘度のある涎が彼女の顔にたらりと銀の糸を引く。それがなん
だかエロく感じて、股間が大きく立ち上がってきた。
「このまま、してもいいのか?」
「……好きでもない人、自分の部屋、上げたりしない。」
はっきりと言葉にはしなかったがこれはOKととっていいだろう。ボタンに手をかけて上着を脱がしていく。や
がて凝ったレースの付いた薄いピンクのブラジャーが露になった。予想以上に派手な下着で一瞬手が止まる。面
倒なことを嫌う彼女のことだ、もっとシンプルなものだと思っていたのだが。
「デートだったから。」
何があるか分からない、と胸を両腕で隠しながら頬を赤く染める。これから何かしでかそうという奴の前でそ
んなこと言うか、普通。
「そんなこと言われたら俺、我慢できなくなるぞ?」
「ん。」
彼女は短く返事をすると身体の前で組んだ腕を解いた。俺を受け入れるように大きく開いた胸に飛び込むよう
にしてむしゃぶりついた。
ブラジャーの布地の上から乳首を探る。掌でレース地を押し潰すようにしながら、皮膚が固くしこった場所を
探すのだ。指は柔らかく白い双丘の裾野を滑らせて肉の中に沈める。快感だった。
「がっつき、すぎ……」
「我慢できなくなるって言っただろ?」
乳首が立ち上がってきて、もう触らなくてもはっきり分かるようになってきた。ブラジャーの下側から指を差
し込んで滑らせるように持ち上げると、白い肌とブラジャーより少し濃い色をしたピンクの乳暈がはっきりと現
れた。唇を寄せて音を立てて吸う。涎をすするだらしのない音が上がるが構っていられない。前歯で軽く噛み付
いてやるとビクン、と身体が跳ね上がった。
しばらくそんなことを繰り返していると頭を掴まれた。見上げると彼女は茹ったような顔をしている。大きめ
の瞳からは涙が数滴零れ落ちて頬を濡らしていた。
「下、いいよ……?」
わざと聞こえないふりをして胸を弄り続ける。手にすっぽり収まるサイズのこの胸、俺の好みだ。
「もう、胸、いいから……っ!」
強引に引き剥がされてスカートの下へ腕を引かれた。スカートの中は湿り気を帯びた熱気で充満していて、ク
ロッチの部分に染みが出来ている。下着を脱がそうと手をかけると彼女は少し腰を上げてくれた。ゆっくり脱が
せると愛液が糸を引いてシーツに落ちる。
「すっげ……」
思わず呟く。そこはすっかり開ききっていて、とろとろと分泌液を吐き出していた。蛍光灯の光を弾いて光る
そこは、気のせいかひどく淫靡でとても綺麗だった。今すぐにでも挿れたい、と生唾を飲み込みベルトを外して
ズボンとパンツを一緒に脱ぎ去ると、大きく張りつめた分身が飛び出す。彼女はそこを凝視して、それからすぐ
目を伏せた。もう耳まで真っ赤になっている。……おいおい、もしかして。
「失礼なこと訊くけど、初めて?」
「ち、が。」
彼女は首を振りながら言った。それでも顔は赤いままだ。ちょっと弄りすぎたせいだろうか?
「……痛くて1回しか、したこと、なくて。」
初めてするときが痛いのは誰だって一緒だというのに、俺と顔を合わせてくれない。ただもう恥ずかしがって
いやいやと首を振る。
「じゃあ優しくするから、少しずつ痛みに慣れていこうか?」
俺の言葉にやっと目を合わせてくれて、それからゆっくりと頷いてくれた。
殆ど初めてなんだったらもっと感じさせてやらないとダメだ。それなら、と内腿に手を置いてカエルのように
股を開かせる。そして躊躇わずに中心に舌を伸ばした。
「んっ……」
羞恥に頬を染め、しかしこちらの愛撫には敏感に反応してくれる。ちょっと酸っぱいような愛液を舌で何度も
掬いながら内壁を擦ると、時折びくんと身体が撥ねる。丁寧に愛撫を続けると愛液が溢れてきた。
「あの、もう……」
「全然、じゅるっ……足りないと思うよ?」
挿入がまだ痛いなら可能な限り濡らしておいたほうがいいだろう。それこそ一度イってしまうくらいには。
「足りなくっ! も、頭、フワフワして……っ!」
数度襞を押し分けるようして舐めて最後に前歯でクリトリスを弾くように擦ると、彼女は愛液を噴き出しなが
ら痙攣した。絶頂を迎えてくれたようだ。
「それじゃ、いきますか。」
少し時間を空けてから声をかけると、彼女はうつろな目ながら深く頷いてくれた。まだ息が上がっていて苦し
そうだがそれくらいは我慢してもらおう。そうでなくてはここまで濡らした意味が無い。
入り口にゴムを被せた先っぽを押し当てるとくちり、と粘っこい音が響いた。イったばかりで感覚が変に鋭敏
なのかそれだけで彼女の身体が撥ねる。そのまま体重をかけてゆっくり押し込んでやると、亀頭が全て入った辺
りで彼女の顔が歪んだ。
「い、たくない。」
彼女は腰を止めた俺に一言返すが明らかに声が震えている。痛みを堪えているのだろう。
「痛いんだったら止めるから安心しろ?」
「ちが、う。気持ち、よく……」
つまりもっと進めてほしいということか。そういうことならこっちも歓迎だ。一気に押し進めたいと考えなが
ら、でも彼女のことを考えてゆっくりと進める。ずぶずぶと音を立てながら襞を掻き分け奥へ進み、やっと自分
が全部入り込めたときには快感で頭が弾けそうだった。そのまま自分勝手に動き出そうとする腰を押さえつけな
がら、彼女に動いてもいいか、と訊く。
「も、ちょっとだけ……」
待ってほしいようなので挿入したまま耐えることにした。
暫く見つめ合ってそれからキスを交わしていると、不意に膣がきつく絞られる。彼女を見ると恥ずかしそうに
首を縦に振った。もう動いてもいいようだ。
「激しく、なるぞ。」
挿れたままずっと我慢していたのだ。流石に少し萎え始めていたが快感だけは頭が痺れるくらいに受け続けて
きた。枷を外された今、それを解き放つことしか考えられない。腰を少し引いて少し戻す。そんなことを繰り返
して自分の硬度を取り戻すと、一気に大きく動き出した。 ぐちゅぐちゅと泥を捏ねるような音がして、それが
また俺の本能を沸き立たせる。
「あ、ぅ……」
彼女は痛みを訴えることも快感を伝えることもしないが、嫌がってはいないようだ。調子に乗ってどんどん突
くとようやくかわいらしい声が聞こえてきた。それがもっと聞きたくて腰が止まらない。
「ふっ、うん……はぁんっ!」
彼女は少しだけ感じているらしい。今はもうそれだけでうれしい。そう思った途端、俺も限界が見えてきた。
臍の下に力を込めて耐えるが、それも長くは続かない。短い声を上げ吐精した。
「悪い。俺だけ満足するみたいになっちまって。」
自分ひとり満足してしまったことに対して謝ると、気にしていない、と言ってくれた。
「最後のほうはちょっとだけ、良かったから。」
顔を真っ赤に染めてそういう彼女は無性にかわいかった。その表情だけでご飯3杯いける、マジで。
「……さて、そろそろ終電の時間もあるし帰るよ。」
ヤることはヤったと言わんばかりのタイミングだけど、流石にいきなり泊まるわけはいかないだろう。彼女に
だって都合というものがあるだろうし。
「ダメ。今日は帰さないって言った。」
彼女は起き上がろうとする俺の身体を引っつかみ強引にベッドに叩きつけた。俺は突然のことにただ口をぽか
んと開けることしか出来ない。
「トラーズ好きになるまで、いて。」
バカみたいに開いたままの俺の口を彼女が塞ぐ。
それは無茶な注文だ。君のことを好きになれ、というんだったら簡単なんだけど。
と、以上です。
終了は終了でも延長再試合決定。書きたくなったら名前決め直して書くかも試練。
避妊具は彼女が休んでるときに着けたということで。どこから出したかとか訊いちゃダメ。
ジャイアンズを好きなやつは許せないということですね、わかります.
>>361 一応言っておくと私ジャイアンツファンです。つーかアンチ虎て言ったほうが正しいくらい。
>>362 アンチ虎の兎ファンにして、虎ファンの女の子に虎洗脳されるSSをかいて悦に浸るとは、
なんという高尚なご趣味!
>360
GJ!
トラーズが負けた日は陰鬱で今にでも死にそうなくらい落ち込んで
トラーズが勝った日は人生の喜びを体感してるかのように嬉しそうな彼女を傍でずっと見ているうちに
男のほうもラビッツよりもトラーズのほうが好きになっていくんですね
わかります
えーと、つまり
>>360さんは微Mと言うことなのか・・・・・・いやいやいや
なんか最近活気があっていいなこのスレ
でも俺はこれからも無口を貫くぜ
…………。
(それより私を視てと熱っ視線発動中)
…………………(ニコッ)
『
>>367に負けない位、貴方の事が好き』光線発射中!!
綾「………………(ぢーーーーーーーーっ)」
千春「わかったよ、今日の夕飯は鰹のタタキにするから、売り場にしゃがみこんで張り付かないの」
綾「(こくこくこく)」
千春「それで、どれがおいしそう?(綾の目利きは確かだからなぁ。野生の勘か?)」
綾「………………(しばらくパックを見回した後、一つを指差す)」
千春「(くっ、大パックか……! 中パックで済まそうと思ったのに!)」
綾「………………(ぢーーーーーーーーっ)」
千春「……はぁ。おっけーい、せっかく綾が選んでくれたんだ、それ買うよ」
綾「………………(にこ)」
> ぢーーーーーーーーっ
>しゃがみこんで
>こくこくこく
>おいしそう?
>パック
>にこ
流して読んでいたら、都合のいい単語だけを目で追っていたことに気が付いた
>>370 そのエロティックアイズは、君の宝だ。
一生大事にするんだよ?
彼女は野菜を無言でひたすら食べている。
ただひたすら、もしゃもしゃと。
「・・・おいし」
自家製無農薬野菜だ、美味しいに決まってる。
「・・・わたしも無農薬」
「・・・わたしもたべる?」
ええ、大切に食べさせていただきます。
という電波受信
ごちそうさま
ごぢぞうざまぁ(はぁと
>>374 …………。
(何かを咎めるように睨んでいる)
GWなんだ、そろそろ投下があってもいいはず……!!
「あ〜あ、GWも残り僅かかぁ。なんだかんだでどこにも行けなかったな」
「……別にいい」
「いや、折角の連休だし少しは遊びたかったんだけどな」
「あなたと一緒に居られれば、別にいい」
「……ん…?」
「私と一緒に居るだけでは、駄目?」
「……ああ」
「…そう」
「『一緒に居るだけでは』だけどな。よし、今から二人で遊ぶか」
「……どこで?」
「ベッドの上で」
「…!……何をして?」
「こういうことをして」
「ひゃ……ぁ…」
「さ、たっぷり遊ぶぞ。GWも残り少ないからな」
「………(コクン」
ごめん自爆してくる
学校が終わって、その帰り道。
ごく普通に歩道を歩く僕をよそに、綾は性懲りもなくステップを踏むように軽やかに塀の上を歩いてる。
ああ、今また買い物帰りっぽいお母さんが、綾を指差そうとしてるお子さんをたしなめている。
ため息ひとつ。
「綾、だからそこ歩くのやめようよ……危ないからさ」
いや、綾は危なくないだろうけど、お母さんにたしなめられたさっきのお子さん、手を引かれながらも
いまだにやたら羨望にあふれた表情でずっと綾のこと見てるのがすごく気がかりだし!
真似とかしなきゃいいけど。
と、綾が足を止めた。
てっきり朝みたいにスルーされるかと思っただけに、正直意外。
そんな感想をよそに、綾は僕のほうをちらりと見ると。
「……大丈夫」
と、一言呟いた。
大丈夫って、と聞き返そうとする前に、綾の体が突然翻る。
綾の上体は横向きに勢い良く投げ出され、そこから伸びた両手が塀の上に添えられそこを支点にして
下半身が大きく弧を描く。
そうして前方に振られた綾の両足は、再び見事塀の上に着地。ついでに両手は万歳のように上に大きく
差し出されている。
つまり、終わってみれば、惚れ惚れするような見事な側転だった。
……って!
「あああ綾! そんなことしちゃ危ないって!!」
いや本当に背中を冷や汗が流れる。綾に限ってそんなことはないだろうけど、もし着地失敗したら、
と思うと今更ながらに血の気が引くって!
「……大丈夫」
と、そんな慌てふためく僕の様子もどこ吹く風、綾はもう一度同じことを呟いて。
そして、おもむろにスカートのお尻をめくり上げた――。
・
・
・
・
って綾ぁぁぁぁ?!
もう、さっきのなんて比じゃないくらいに慌てる僕をよそに、綾は再びぽつりと呟く。
「……スパッツだから」
いや確かに目をそらす前にスカートの下に一瞬見えたのはまごう事なきスパッツで、朝の一件を学習
しての対応策なんだろうけど危ないってそういう意味じゃなくてね?!
いやいやそれ以前に綾の小ぶりだけどきゅっと引き締まったお尻の形が目に映るという意味では、
ぴっちりとしたスパッツはある意味でぱ、ぱ、パン……下着以上に凶悪でね?!
いやいやいやそもそも大前提として中が下着だろうがスパッツだろうがショートパンツだろうが
スコートだろうが他のなんだろうが、男の子にとっては「女の子のスカートの下」というスペース
そのものが見果てぬ禁断のワンダーランドでねーーーっ!?
って僕は何を言ってるんだーーーーーっ?!
そんな挙動不審極まりない僕を、塀の上にしゃがみ込み(当然スカートはもう下ろしている、念のため)
膝の上に顎を乗せてぢーーーーーっと見ていた綾は、ぼそりとこう漏らす。
「……ヘンなハル」
いや、綾にだけはそれは言われたくないから。
そんなこんなの一騒ぎの後、僕たちは夕飯の材料の買出しにスーパーに立ち寄る。お互いの両親は今日も仕事で
遅くなるそうだから、当然と言うべきか準備は僕の仕事になる。
……いやどっちかの両親がいても、僕の仕事になる日も多いんだけどね……。
とっくの昔に吹っ切れたはずの自分の人生についての疑問を、ため息一つとともに振り払う。
そんなことを考えながら買い物を用意する僕だけど、振り返ると綾の姿はもうどこにも見えない。
ため息もう一つ。
まぁ、買い物に来て綾がふらりと消えるのはいつものことだ。
試食コーナーを制覇してるか、興味を引いたものの前で獲物を狙う獣の目をしてるか、どっちかだろう。
僕は慌てず、今日の特売品のチェックと生鮮食品の冷蔵庫のストックと品物の値札を照らし合わせながら、
ゆっくりと店内を見てまわる。
ほどなく、綾を発見。今日の綾は、鮮魚コーナーにかぶりつきでぢーーーーーーっと見つめていた。
近づいて綾の見ている先を確認すると、そこにあるのはイカの特売コーナー。
「綾……今日はイカがいいの?」
イカから視線を寸とも外さず、こっくりとうなづく綾。
イカか……煮ても焼いても揚げても生でも使えていいな。値段も見たけど、さすが特売だけあってお得だし。
父さんたちが帰ってきた場合の夜食にもできるように、大目に買ってもいいかな。
この間は、初鰹に綾が目をつけてちょっと大変だった。うん、季節ものだし鰹自体はいいんだけど、
綾は容赦なく大パックをほしがって、ちょっと出費がね……。
そんなことを僕が考えてると。
「あれ……斉藤くん?」
横合いから声をかけられた。
「あ、姫萩さん。今帰り?」
「うん、こんばんは斉藤くん。綾ちゃんもね」
「………………(しゅたっ)」
偶然見かけたクラスメイトに、僕らは挨拶を交わす(綾はイカから目を離さず、手を挙げただけだけど)。
彼女の名前は姫萩紫(ひめはぎ ゆかり)、中学時代からの友達……正確には綾の友達で、そのつながりで
僕とも仲良くなった子だ。まん丸の大きめな眼鏡と三つ編みお下げに顔はやや童顔、趣味は料理と読書と
編み物の大人しい子という、公平あたりに言わせれば「これぞ清く正しいメガネっ子の姿!!」な子だ。
綾とは正反対の正確とも言えるけど、それが逆にいいのか綾とはとても仲がいい。
同じ料理仲間ってことで、僕ともね。
「姫萩さんも買い物?」
「うん、明日のお弁当の用意をしようと思って……」
そこでかすかに頬を染めてはにかむ姫萩さんに突っ込むのは野暮というもの。僕は礼儀正しくスルーする。
「こっちは夕飯の支度なんだ。今日は僕が当番だから」
「いつも大変ね、斉藤くん……今日のお夕飯は、イカなのかな?」
イカから一瞬たりとも目を離さない綾をちらりとみて、姫萩さんが尋ねてくる。
「うん、綾がロックオンしちゃって……でも、いろいろ使えるしいいかなって」
里芋と一緒に煮るのは定番だし、父さんたちのお酒の肴にもいいだろう。イカリングフライとかもいいな、
多めに作って明日のお弁当にまわしてもいい。あとは、七味をたっぷり利かせたイカのステーキとかも僕は
結構好きだったり。お好み焼きや焼きソバの具にするのだって素敵だ。
そんなことを話してると、姫萩さんは小さく笑う。
「斉藤くんのお話聞いてたら、私もイカが食べたくなっちゃった……イカ飯とか作ってみちゃおうかな」
不意に、袖が引っ張られる。
そちらを見ると、いつの間にか傍にいた綾が僕の袖を握り、何かを訴える目でぢーーーーーっと
僕を見つめている。
何を言いたいかは、一目瞭然だった。
くすくすくすと、姫萩さんが口元を押さえて可愛らしく笑う。
「綾ちゃんも、イカ飯が食べたいみたいね」
「……そうみたいだね」
「………………(こくこくこく)」
僕は、頭をかく。
「でも、イカ飯か……作ったことないなぁ」
「斉藤くんだったら大丈夫だと思うな。基本的には材料詰めて煮込むだけだし、時間はちょっとかかるけど、
手間はそんなにかからないよ」
「そうなんだ……だったら挑戦してみようかな」
「うん。あと時間も、圧力釜とかあったら短縮できるし」
「そっか、それはいいこと聞いたな……そうだ、ゲソの方はどうするの? 別にから揚げとかてんぷらとか?」
「それでもいいけど……私は、細かく刻んでご飯と一緒に詰めちゃうかな」
「あ、それはいいね。外もイカ、中にもイカって得した気分になれそう」
「でしょ? あとそういう工夫なら、ワタも一緒に煮込むと味に深みが出ていいよ」
「お、姫萩さんの秘伝だね」
「あはははは、そんな大げさなものじゃないけど」
そう言ってころころ笑う姫萩さんに、僕はふと「最近姫萩さんは、可愛くなったなぁ」と思う。
うん、中学のころから大人しめの可愛い子だったけど、最近は以前よりもずっと明るくなって良く笑うように
なり、華やかな印象になったと思う。
その立役者と言えば、当然……って!
不意に右腕に痛みを覚え、そちらに目を向ければ……。
綾が、僕の二の腕あたりに噛り付いていた。
「……何をしておいででしょうか、綾さん」
思わず敬語。
しかし綾は(当然と言うべきか)答えることはなく、かじるのも止めることなく、僕のことをぢーーーーっと
見つめている。
……いや、眉根の寄り具合をみれば、睨んでいると言うべきか。
と、冷静っぽく語ってる僕だけど、さっきまでイカに夢中だった綾がいきなりこんな行動に出た理由が
さっぱりで、結構動揺気味だ。こういう人目の多いところでこういう行動は控えてほしいと切に
思うんだけど、理由が分からないと止めてもらいようもないし……!
「あらあらあら」
反対に姫萩さんは、楽しそうに笑ってる。
「姫萩さぁぁん……」
「あ、ごめんね、笑ったりして」
思わず情けない声を上げた僕に、姫萩さんは顔の前で両手を合わせ、お茶目な謝罪のポーズをしてみせる。
こういうお茶目な感じの仕草も、前には見られなかったものだ。
……こんな仕草も、わりと似合ってて可愛いと思う。
「って綾、痛い痛いイタイってば!」
綾の噛り付きがパワーアップ。振り払おうにも手荒にはできないし、そもそも体力勝負は綾の方が有利だし。
そんな風に僕が途方にくれてると、姫萩さんが悪戯っぽい微笑を浮かべて、綾の顔を覗き込んだ。
「ごめんね綾ちゃん、心配ないから大丈夫だよ?」
「………………」
綾は反応なし……いや、ちょっとだけ噛まれる痛みが和らいだ、かな?
「うん、本当に大丈夫だから。今のはね、斉藤くんが綾ちゃんにおいしいご飯を食べてもらうための相談なんだよ」
「………………」
綾はまだ僕の腕を放さない。放さないけど、視線は姫萩さんの方に移る。
「大丈夫大丈夫。斉藤くん取ったりしないし、第一斉藤くんが綾ちゃんをないがしろにするはずないもん」
そういってにっこりと笑う姫萩さん。
姫萩さんまで公平みたいなこと言うし!
そもそもそれが今何の関係が!
と思っていたら、しばらくぢーーーーーっと姫萩さんを見つめていた綾が、ちらりと僕に視線を戻すと……
僕の腕から離れていった。
……えーと、今の展開で、なんで?
綾のことは僕も良く把握してるとは言いがたいけど、それでも綾のことは僕が一番分かってるつもりだったし、
少なくとも他の人に分かって僕に分からないことがあるとは思わなかったから、正直戸惑ってる。
僕が噛まれてた部分をさすりながらそんなことをボーっと考え込んでると。
「言っておくけど、綾ちゃんの言いたいことが分かるようになったわけじゃないよ?」
そんな僕の考えを読んだように、姫萩さんが言う。
「ただ今のは、女の子として分かっちゃったから」
女の子として、か……じゃあ、やっぱり男にはわからないことなのかなぁ……?
首をひねる僕が可笑しかったのか、姫萩さんはまたくすくすと笑う。
その笑い方がなんだか妙に大人っぽくて、なんだか頬が熱くなってしまう僕。
って?!
「あの、綾さん……痛いんですけど……」
「………………(むー)」
「あらあらあら」
「姫萩さん……笑ってないで助けてくれないかな……?」
「だーめ、綾ちゃんがかわいそうだから、そう何度も助けてあげません」
かわいそうってどういう事?! それにしても本当に姫萩さんはかわいくなったなぁ……。
「………………(むむー!)」
「って綾、痛い痛い痛いから!」
「あらあらあら」
そんな僕らの様子を見て、姫萩さんは楽しそうに笑うのだった……。
おまけ。
「ところで、綾ちゃんにイカを食べさせて大丈夫なの? 食べ過ぎると腰が抜けちゃうってよく聞くけど……?」
………………。
いや綾はネコじゃないから! ネコっぽいけど普通に人間だから!
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
>>333のリクエストに、真っ当に応えたバージョン。
ごめんね、いつも人の裏をかくことばっかり考えててごめんね。
GJ
うん、まあ、あれだ。
綾も姫萩さんももちろん萌えるんだが……
千春に一番萌える俺はもうだめだ。
俺も噛まれたいと思ってしまった
>>382 GJ!綾かわいいよ綾
姫萩さんかわいいよ姫萩さん
千春鈍いよ千春
ちょっとイカ飯食ってくる
333だが。
リクに二度も応えてもらってもうなんていっていいかわからないくらいウレシス
ニヤニヤがとまりません。どうしてくれますか。GJ!
無口なツンデレ
なんて電波受信したが文で著せねぇ
「………プイッ」
「………///」
>>382 姫萩さんのイメージが姫路さんにすると
とんでもない惨劇が
綾かわいすぎるよ綾GJ!!
390 :
無口ツンデレ:2008/05/06(火) 14:39:32 ID:aWbAy33N
>>387 こんな感じ?
生徒会役員室の狭い部室の中、キーボードを打つ音だけが響く。
会計役の僕は現在、収支決算報告書をまとめていた。
……本来ならば、昨日のうちに報告されてしかるべき報告書を。
いや、別にサボったわけじゃないんだよ?
ただ……とんでもない大ポカが指摘されて、副会長に怒鳴られたのが今日の昼。
会長にとりなしてもらって怒りは納めてもらったものの、ミスった会計報告の修正はもちろん
誰かがしなくちゃならず、その責任の所在は当然僕にあるわけで。
そういうわけで放課後、こうして自分のヘマの尻拭いに、色々な意味で泣きそうな気持ちで
収支決算をほぼ丸々最初からやり直している真っ最中だった。
とはいえ。
ずっと根を詰めてれば、当然疲れてくるわけで。
僕は一区切りついたところでキーボードを打つ手を休めて伸びをすると、休憩を入れてくる
事にした。
「あの……僕ちょっと一息入れてくるから」
そう、僕は向かいの席に声をかけた。
彼女は視線を上げて眼鏡越しにちらりとだけ僕を一瞥すると、そのまま何も言わずに視線を
ノートPCに落とし、また黙々とキーボードを打ち始める。
……えーと、多分「了解した」って事……なんだろうな……?
「は、はは、あはは……じゃあ、行ってくるね……」
無言の彼女のプレッシャーから逃げ出すように、僕は役員室を出て行った。
391 :
無口ツンデレ:2008/05/06(火) 14:41:47 ID:aWbAy33N
……彼女と、もう少し打ち解けられないものかなぁ……。
僕は自販機にコインを投入しながら、そんなことを考えた。
書記である彼女は、僕と同じ一年生。でも、ご覧の通りな抜けてる僕と違って、彼女は仕事も
卒なくミス無く無駄口も叩かず効率的にテキパキとこなす、「デキる女」だった。
見た目だってそれを裏付けるように、一部の隙も無く整えられた制服といい、きっちりと肩口で
切りそろえた髪型といい、細いフレームの眼鏡越しのクールなまなざしといい、日本人形
のように整った顔立ちのなかで崩された事を見たことがないクールな表情といい、まさに
「氷の女」とか「クールビューティ」と言うのに相応しい。
でもそれだけに、無言でテキパキと行動しては周囲に威圧感を振りまいてしまう……周囲も、
何かあった時には頼りになるけど、普段は近寄りたいとは思わない、彼女も周囲に歩み寄ろう
としない、そんな浮いた存在となってしまっていた。
そんな彼女に対して僕は、何くれと話しかけるようにしてたんだ。
あ、いや、その、べ、別に下心があったわけじゃないよ?!
学年も同じだし同じ生徒会に入ったわけだし「どうせだったらギスギスしてるより仲良くしてる
方がいいよね」と思っただけで!
……あー、その、「笑った顔なんかも見てみたいなー」とか思ったのも、否定はしないけどさ……。
けど……最近になると、話しかけても言葉少なに返事してすぐそっぽを向いてしまうような、
そんなことが多くなっている。
彼女は一人で何でもできるし実際一人でいることが多いし、ちょっかいかけてくる僕のことが
煩わしいんだろうか?
……正直、ヘコむよなぁ……。
ごとん、と落ちてきた紙パックのジュースを拾い上げる。
そのジュースのパックを見つめながら、僕は思う。
でも、手伝ってくれてるんだよなぁ……。
今日の僕の居残りは、自分の自業自得だって言うのは前述のとおり。
だから僕は、今日は一人で残って仕事をしていくつもりだった。
そこに彼女は、自ら協力を申し出てくれたんだ。
……あー、「あなたがミスする事を織り込めなかったのは、私のミスだから」っていう、
キッツイお言葉つきだったけどね……。
でもそれ以降、文句一つ言わないで、ずっと仕事を手伝ってくれてる。
正直、彼女の手助けなしだったら、僕はいつまでも見通しも立たないままに途方にくれる
ばかりだったろう。
……悪い子じゃ……ないんだよね。
僕は一度しまった財布を取り出すと、コインを取り出した。
彼女は確か……お昼なんかによく、アップルジュースを飲んでたっけ。
392 :
無口ツンデレ:2008/05/06(火) 14:43:14 ID:aWbAy33N
僕が役員室に戻ると……部屋の中から、香ばしい香りが漂ってきた。
見ると……彼女はマグカップを両手で包み込むようにもって、息を吹きかけてコーヒーを
冷ましてるところだった。
そして横目にちらりと僕を見ると、「おかえり」とだけ声をかける。
「あ、うん、ただいま……」
僕はとっさに、買ってきたアップルジュースを背後に隠す。
あああああ、なんていうか、間が悪い……。
微妙にヘコんだ心境のままで、僕は自分の席に向かって……そして気付いた。
僕の机の上にも、暖かな湯気を上げるコーヒーの入ったマグカップが一つ、置かれてた。
これ……彼女が淹れてくれたのかな?
思わず彼女のほうに目をやると、その視線に気づいたのか、彼女も視線を上げて。
「……ついで、だったから」
そういうと、すぐに視線を伏せて、またコーヒーに息を吹きかけ始める。
……改めてみるその仕草がなんだか子供っぽくて、彼女のイメージとのギャップで思わず
小さく噴出してしまった。
「……なによ?」
「ああ、ごめんごめん、なんでもない」
再び顔を上げて睨みつけるように言う彼女に、僕はにやつく口元をごまかすように口早に答える。
「コーヒーありがとう。そのお返しって訳じゃないけど」
ある種のプレッシャーから開放された僕は、後ろ手に持っていたアップルジュースのパックを
彼女の机の上に置く。
「差し入れ。手伝ってくれてありがとう」
彼女は弾かれたように顔を上げた。その目が、僅かに見開かれている。
……いや、そんなに驚かなくても……。
そして彼女は、何度か僕の顔とジュースを見比べてから。
「……あ……ありがとう」
そう呟くように言った彼女の表情は、伏目がちで、かすかに頬が染まっていて……今まで見た
ことがないくらいの、柔らかい表情だった。
それに、なんとなくドギマギしてしまう僕。
室内に、コーヒーの香りと沈黙だけが満ちる―――。
393 :
無口ツンデレ:2008/05/06(火) 14:44:38 ID:aWbAy33N
「やふーーーーーーい! がんばっとるかね少年ー!!」
とそこに、それまでの空気を扉ごと蹴破って、コンビニ袋を掲げた会長が乱入して来た。
「そんな頑張り屋さんに会長であるアタシ直々の差し入れだー! ……って?」
会長は、コンビニ袋を掲げたままで、僕と彼女の見比べる。
それから、にたありと獲物を目にした蛇を思わせる笑みを浮かべる。
「おやおやー? あなたもいたんだー? ひょっとしてアタシはお邪魔さんだったかにゃー?」
なにが「にゃー」ですか。
「ただ手伝っていただけです」
すっぱりきっぱりとそう応えるその表情はクールそのもので、すっかりいつもの彼女に戻っていた。
「なるほどなるほど、手伝っていた、と」
そういいながら会長、ひょいと僕のノートPCを覗き込み。
「お、ほとんど終わってるじゃーん。えらいえらい、アタシゃてっきり、終わりが見えなくて
泣いてるかと思ってたよー」
……ええ、彼女が手伝ってくれてなかったら、実際そうなっていたでしょうねー……。
「だけどこの進み具合……ズバリ! ずっと手伝って貰っていたと見た!」
ずびし、と僕の顔を指差して断言する会長。
……なんでこういうことにはムダに鋭いんだこの人は。
「いや〜〜ん、アタシが部活動に勤しんでる間、ずっとこの狭っ苦しい部屋の中に詰めていた
若いふ・た・り……青春の甘酸っぱいかほりが漂うわぁ〜」
「お願いですから身体をクネらせないで下さい」
「何しにきたんですか貴女は」
二人がかりのツッコミを受けて、会長は居住まいを正す。
「ん、だから差し入れと、お手伝いにね」
腰に手を当てて、にっこりと笑う会長。
「徹夜の覚悟できたけど、おかげさまで手早くすみそうね。さ!」
ぱんぱん、と手を打つ会長。
「手分けして、手早くやっちゃいましょー!」
「はい!」
返事する僕と、無言で頷く彼女。
会長も自分の席に着き、ノートPCを立ち上げる。
僕も自分の席に戻り、PCのスクリーンセーバーを解除する。
その再起動待ちの間に、ちらり、と向かいの席をのぞき見る。
彼女は、真剣な表情でキーボードを叩いているところだった。
「……なに?」
「なんでもない」
視線に気付いて問いかけてきた彼女に短く応えると、僕は頭を振って
再起動したノートPCに向かう。
作業を再開しながら思い出すのは、さっきの彼女の柔らかな表情。
そして僕はキーボードを打ちながら、「これからもめげずに、彼女に話しかけていこう」
と思うのだった……。
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
会計くん:一年男子。周囲に気を配る心優しい少年。自分で言うほどドジッ子でもない。
書記ちゃん:一年女子。周囲にあわせることをせず孤立しがちなクール系無口。でも、会計くんが
よく気にかけてくれていたので、最近は意識してしまいツンデレっていた。
会長さま:三年女子。コイバナと後輩をからかうのが大好きな明るく朗らかな面倒見のいいおねーさん。
でもやる時はやる。にっこり笑って要求ゴリ押し、みたいな。
無口ツンデレがこれほどの破壊力とは……
惜しみないGJを貴方に捧げる
>>393 会長が某にょろにょろの人っぽいなw
しかしそんなことより無口ツンデレ良いな!!!
ちょっと質問。
無口っ子の一人称形式はアリかね?
具体的に言えば、
「へん! 無口っ子ってのは、なにを考えてるか判らないミステリアスなところと、
それがたまに伝わる事がいいんだ! 心境垂れ流しなんて無粋にも程があらぁ!」
と
「無口っ子の僅かな言葉の裏に、どれだけの想いがあるか知るもまた一興」
と、お前等どっち? って事なんだが。
>>398 前者も良いが後者も捨てがたい。
無口なのに一人きりになるとハイテンションとか、
実は多弁だけど気になるあの子の前では恥ずかしくて喋れないとかも堪らないわけですよw
>>398 後者も読みたいが、基本は前者だな。
何話も続いたり、ずっと無口っ子視点のターンとかなると、イラネってなると思う。
うーむ、
>>401のスレタイみてふと考えたんだが
1.思いっきりパワフル。
2.性格まで硬いツンデレ
3.超絶にゆるい
というお方たちの存在感が強すぎて
『気が弱くて無口』な傍目から見たら正統派な娘たちは
このスレでは希少な存在なような気がする。
ここで俺様が
「無口ではあるが無表情でも無感動でもない(むしろ喋るまでも無くコミュニケーション可能)」
という新機軸を発表。
ブラックラグーンの始末屋ソーヤーみたいなのは、このスレの対象内かな?
自傷癖持ちでキレるとチェーンソー振り回すが
あれは「喋らないのが普通」のキャラじゃないだろ。人工声帯無くしてパニック起こしてたし。
どんな形であれ無口要素があればこのスレ的にはおkだと思う
過去にも無口っ娘視点とか条件付き無口っ娘とかもいたし。
要するに職人さんよ、気にし過ぎないで投下して下さい
>>406 前スレのリレー小説は無口っ娘と男との描写がほどよく交互にあって良かったな。
>>403 それは既に職人様が通った道だ
保管庫いてらー
具体例を挙げるとすると、ふみお氏の『希少的チョコ』とか?
…そういや、氏のSSのヒロインは全部そんな感じがするんだが…。
>>409 あと、かおるさとー氏の作品とかにも
じうご氏のもかな?
・無口専属ナース
・無口家庭教師
・無口喫茶の店主
・無口な音楽の先生
・無口錬金術師
なんて無口娘を受信
>無口な音楽の先生
歌声がきれいだ……ですね、分かります。
>>412 さっそくパクって見る。
結論から言うと、彼女は女神だった。
いや、良くありがちな「女神のような」とかの比喩でなく、そのまんまの意味で。
彼女は、言葉を発する事はなかった。少なくとも、俺はそれを聞いた事がないし、
俺や彼女の友人たちにも、彼女の声を聞いた事がある人物はいなかった。
人目を引く女性ではあった。長く艶やかな髪、いつも笑顔を絶やさない優しい顔立ち、
その物腰はいつも穏やかで静かで、それでいて優雅。
装いは丈の長いワンピースやロングスカートを中心とした、化粧っ気も飾り気もない、
どちらかといえば地味目なものばかりだが、彼女が身につければ清楚と写るのは、
まぁ、贔屓目か。
そんな彼女を、俺たちはどこぞの深窓の令嬢かと噂したものだが、それにしてはいつも
俺たちの傍にいて、いつもバカやってる俺たちの様子を見て、いつもにこにこ
笑ってるような……俺たちからは一歩引いたような立ち居地ではあっても、俺たちを
拒みはしない、そんな彼女。彼女のことは、いつしか俺たちは「何か事情が
あるだろうなぁ」と深く詮索はせず、そのまま彼女を受け入れる事にしていた。
そんな彼女の正体を俺が知ることになったのは、完全な偶然で。
誰が好き好んで入るんだという荒れ放題の裏山に、まぁ語るのもはばかられる
くだらない理由で入るハメになった俺は、その季節外れの過酷なハイキングの
途中でどこからか聞こえる澄んだ歌声に気付き。
そして、その歌声に誘われるように奥へ奥へと入り込んだ俺の見たものは。
そこだけは開かれた森の一角。
優しげな木漏れ日のキラキラと降り注ぐ広場。
その光をスポットライトのように浴びて、気持ちよさそうに歌う彼女。
…………with、
彼女の背中に伸びる白く輝く翼と、
ありえないくらいに集まり、ありえないくらいに行儀よく彼女の歌声に聞きほれる動物たちと、
彼女の歌声を讃えるかのようにリアルタイムで咲き誇る季節感無視の色とりどりの花々だった。
まぁ、そんなこんなで彼女のシークレットリサイタルをこっそり鑑賞した俺は、とりあえず
一段落ついたところで拍手をして俺の存在をアピールしつつ。
誤魔化そうと無駄な努力をする彼女(そら、誤魔化そうにもしゃべらないんだもん)
を容赦なく追い詰めて、事情を問いただしたところ。
「自分は実は女神で、迂闊にしゃべるとその言霊でご覧のとおりの有様だから、普段は
しゃべらないようにしている」という、まぁありがちといえばありがちな裏設定を
ゲットしたのだった。
「ふーん、なるほどねぇ……」
事情を聞きだし終わって(正確に言えば、この期に及んで彼女はしゃべらなかったため、
俺の貸した携帯に文章を打ち込んで見せてもらうという、まどろっこしい光景だったが)
呆気なく呟く俺に、彼女は僅かに眉をひそめる。
「……わりぃ、なんか気に障った?」
俺の言葉に、彼女は慌てたように首を振る。そしてわたわたと周囲を見回してから、
俺が預けた携帯を思い出し、見ていて微笑ましいくらいに真剣な表情で液晶画面を覗き込み
ながら文章を打ち、出来上がった文章をなにやら一仕事やり遂げた晴れ晴れとした表情で俺に示す。
『驚かないんですね、と思いまして』
「いや、驚いてるよ?」
文章を読み終えた俺は、すぐにそう答える。
そうしてから俺は空を見上げて。
「たださ、一度に色々ありすぎて……」
親指を折り。
「一番、いまどきディズニーかジブリのアニメでもねぇだろ!ってくらいファンタジーな光景を目撃した事と、」
人差し指を折り。
「二番、君が実は女神様だったってことと、」
中指を折り。
「三番、初めて聞いた君の声が、想像してたよりもずっと素敵だったことと、」
そして俺は彼女に向き直って。
「どれに驚けばいいかまだ迷ってて」
俺の返答を聞いた彼女は、僅かに目を見開いて軽い驚きを示した後。
彼女ははにかむ様に笑ったあとで、少し照れくさそうに、指を三本立てて見せた。
ああう、コピペミス。ラストに
意外と調子のいい女神様だった。
を追加で。
>>414 GJ!
で、コピペミスはまだあるんだよな?
まさかこれでおわりじゃないよな?
>>414 GJ! プロローグ乙。
ここらでオープニングが始まって、その後本編Aパートが始まるんだよな?
あ、それとも1話はオープニング省略ってパターンかw
>>414 GJ!
さあ早くコピペの作業に戻るんだ。
しかし、仕事の早い職人が多いなw
つまんなそうだwww
あと意中の人に声かけられたらトコトコついて行きそうなのばっかwwwww
むしろ発生する音まで吸収しそうな静けさが・・・
しかし、一石投げ込むと意味不明の会話が発声しそうで怖いな。
○○を同じ部屋に閉じ込めてみたの無口オールスターwww
というかキャラと作品名が全部わかる俺に驚いた
あとひとりわかんねぇw
顔は覚えてるんだが名前と作品が思い出せない
綾波をオマージュしたと言われるルリルリがいないが、あれは無口じゃねーな。
つーかマイナーどころも多いな。ナイトウィザードとか。
毎週アバンテーマで喋ってるからな。毒舌クールって感じか。
431 :
名無しさん@ピンキー:2008/05/14(水) 22:10:09 ID:mVS8Syai
ハイパー無口タイム
無口状態で先生やれないよw
男「…」
女「…」
男「…あの…さ…」
女「…何…?」
男「なんで俺のコートのポケットに手を入れているのかな?すっごく歩きにくいんだが…。手袋は?」
女「…忘れた…」
男「じゃ、そのカバンから見えているモノはなんd…」
女「…(うるうる」
男「…そ、そういう悲しそうな目で見るな…。じゃ、手をコートに入れててもいいよ…」
女「…(♪」
男「…その代わり…」
女「…?」
男「家に帰ったら…その…い、いいかな…?」
女「…ウン…ボクと…一緒に…あたたかくなろ……」
なんか部屋が寒かったので、勢いで書いてみた。そして、ボクッ娘を無理矢理、混ぜてみた。
…半年、ROMって来る。
ワッフルワッフル
無口な任侠の姐さん
というハードル置いておきますね
「あの〜…」
「………?」
「いや…解き終わったんで丸付けを…」
「……………」
「………どうですか?」「…………!!」
「えっ!もしかしてまた同じ所間違えてましたか」
「……(フルフル)…」
「じゃあもしかして……」
「……(ニコ)」
「やった全問正解―――ってうわっ!!」
「………ご褒美…あげるね」
上にあった家庭教師に挑戦してみた。
って投下中の作品ほったらかして何やってんだろ俺。
若頭「では姐さん……いって参りやす」
姐「………………(ふるふる)」
若頭「何ですってぇ? 行くなと仰る?」
姐「………………(こくこく)」
若頭「なぜです?! これは誰かが行かなくちゃあなんねぇ仕事だ!」
姐「………………(無言で俯く)」
若頭「こんな汚れ仕事、行きてえ輩なんぞいるはずもねぇ……だが!
だからこそ、ここで退くわけにはいかねぇんです!」
姐「………………(唇を硬くかみ締める)」
若頭「誰かが……誰かが行かなけりゃぁ、ウチは後ろ指を差され、この界隈を
歩く事すらままならなくなりやす! それはご承知でしょう姐さん?!」
姐「………………(搾り出すような声で)あなたが……いかなくても……」
若頭「……これは姐さんのお言葉とは思えやせん。上に立つモンであるからこそ、
汚れ仕事を下のモンに押し付けちゃあなんねぇ、そうでしょう?」
姐「でも……!(悲痛な声) でも、あなたが行ってしまったら……」
若頭「………………」
姐「……誰がアタシの朝ごはんを用意するんだい?!」
若頭「……だから姐さん……朝ごはんは、もうトースターに食パンセットしてありやすから、
あとはタイマー捻れば……」
姐「………………(ふるふる)」
若頭「くっ……姐さんが朝は和食党なのは重々承知でやすが、姐さんでも用意できるモンと
なるとコレくらいしか……ガマンしてくだせぇ」
姐「………………(涙目でふるふる)」
若頭「く……! な、泣きそうな目をしてもダメなモンはダメなんでやす!」
弟分「あー、アニキ、もういいっすよ。町内会の清掃はあっしが行ってきやすから、アニキは
アネさんのご飯を支度をお願いしやす」
若頭「く、だがそれでは示しが……!」
弟分「あー、アニキ? 姐さん見てくださいや」
姐「………………(涙目で上目遣い)」
若頭「く……判った、おめぇに任せる。くれぐれも町内会の奥様方に粗相のないようにな。
あのお歴々に睨まれたら、ウチらはこの町をまともに歩けなくなるからな」
弟分「へぇ、重々承知でやす。まったく、オバハンがたときたらヤクザより厄介ですな」
若頭「……聞こえなかった事にしておく。行け」
弟分「へぇ、では」
若頭「……さて」
姐「………………(無言で目をキラキラ)」
若頭「朝食は、納豆と焼きジャケでいいですかい?」
姐「……もずく酢も……」
若頭「……へぇ、ではそのように」
姐「………………(無言でいい笑顔で万歳)」
>>438 GJ! その発想は無かった…
半年どころか一日もROMれなかったな…俺…
俺、もっと文章力を高めるために練習するかな…小説を書きたいし…、できたらエロも書きたいし…
俺、頑張ってみる!
>>439を陰ながら応援する無口幼なじみの想いが俺のアンテナをショートさせたんだが……
オーダー!
「元無口幼なじみ現無口俺専用マッサージ師」
女「こ、こんなこと誰にでもやってるんじゃないんだからね!
君だけに特別にしてあげるんだから、感謝しなさいよねっ!」
俺「………………………」
女「おろ? 受けなかった? おかしーなー、今はツンデレが隆盛なはずなのに」
俺「………………………」
女「んじゃ、逆を言って素直クールで行ってみようか。……こほん」
俺「………………………」
女「ああ、君のその逞しい肉体に触れる事が出来て、自分は何と言う幸せものなのだろう。
こうして君の鍛え抜かれた筋肉の繊維一つ一つを揉み解すたびに、私はえも言われぬ恍惚を
覚えるよ。いつまで触っていても触り飽きる事のない、なんという罪な肉体の持ち主か君は」
俺「………………………」
女「惜しくらむは、こうして君がうつぶせになっている以上、私がいかに恍惚に満ちた表情でいるか、
君に見てもらえないことだな。頬を上気させて一心不乱に君の身体を弄ぶ私の顔を見て、
『このイヤらしい雌豚が』と罵ってもらえればコレに勝る喜びはないのだが、それは分不相応な
望みと 言うべきだろうな。いや栓のない事をいってしまったね。忘れてくれ」
俺「……それはただの変態オヤジだ」
女「やっとしゃべってくれたね。ああ、いつ聞いても君の声は心地よく私の心を満たしていくよ。
しかもその言葉が深い。『それはただの変態オヤジだ』、うん、なんという含蓄に満ちた言葉だろう。
昨今の萌えと呼ばれるスタイルをただ踏襲するだけではダメだ、そんなことで萌えが体現できるか
と言うという、鋭い社会風刺を含んだ素晴らしい言葉だよ。
ああ、もちろん君の知性からすればこれしきの言葉など単なる零れ落ちた一滴にすぎないのだろうが、
それだけでも私と言う魂を感動に打ち震わせるには十分すぎるのだよ」
俺「………………………」
女「うん? 今度は黙ってしまったね。ああ、君はなんという残酷な人だ。沈黙を保つなら徹頭徹尾
黙っていればいいものを、値千金の一言のみを私の与えて欲望に火をつけてから、再び沈黙し
私を渇望の地獄に叩き込むとは……今の私は、まさにお預けを食らった犬そのものだよ。
放置プレイと言うやつかい? しかも先に悦びを与えられた後での放置だけにまったく始末に終えない。
本当に君と来たら残酷な人だ。
そんな君の酷薄な扱いが、私をどれだけ喜悦に満たすか、君は知らないだろうな」
俺「…………お前……………」
女「ん? なに? もう素直クールはおなかいっぱい?」
俺「…………よくしゃべるようになったな……………」
女「そりゃねー。誰かさんがすっかり無口になっちゃったから。二人して無口のまんまって言うのも、
なんていうか間が持たないでしょ? だから変わらざるを得なかったって寸法よ」
俺「………………………」
女「あ、ここは変わってしまって君から離れていく事よりも、自分を変えて君の側にいることを選んだ
一途な乙女心にむせび泣く所だから、よろしく!」
俺「……言ってろ」
うーん、「無口俺」と「元無口幼なじみ・現俺専用マッサージ師」とは……
さすがは本家、単なる無口娘などでは満足できない、高尚なご趣味の方がいらっしゃるようで……
いや感服いたしました。
>>442 いやいや、これはこれで……じゅるり……
男が無口ってのもたまにはアリだよな。GJ
男も女も無口でもおk
ヴァルハラナイツなるゲームがあってだな…
主人公(男女選べる)の台詞が名を名乗る時以外は全部「・・・」「!!」「・・・?」なんだぜ
無口主人公が好きならおすすめだ
幼馴染の無口を矯正しようと特訓した結果、無口が直らずに副産物として
アイコンタクトでお互いに正確な会話が出来る様になってしまった二人
>>442 病院坂黒猫を思い出した。
それはさておき無口&マシンガントークという組み合わせはいいものだ。
>>445 無口主人公といったらDQやクロノシリーズもな
そういや聖剣LOMの主人公があるシナリオで一言だけ喋った時は凄く感動したなー
男「おはよう。」
女「…(チラッ」
男「なぁ…」
女「…?」
男「お前、小学生の時からまったくしゃべらないな…。この先、苦労するぞ。…よしっ、今日から話す訓練だ。」
女「…(…」
男「何だ、その嫌そうな顔は…とにかく、『おはよう、マイダーリン♪』と言ってみよう、な。」
女「………(ムスッ」
男「お、おい、怒るなって…。じゃ、『おはよう』って言ったら、パンを一個おごってやるから」
女「…♪ …おはよ…。」
男「おっ、話した。(この方法ならいけるかも…。やっぱ俺って天才!?)」
一週間後…
男「うん、無理♪…金が無い…。」
女「…(ジーッ」
男「あー…パンを買えって?」
女「…(コクコク」
男「すまないが、金が無い…。」
女「…(うるうる」
男「…わかった…買ってやる…」
女「…♪」
男「ちくしょう…。バイトするか…。」
一ヶ月後…
女「…(ジーッ『…上から…5…左から2…』」
男「…『パンか?ほらよ』」
女「…♪」
男「アイコンタクトで通じるようになっちまった…心配だよ…この先…」
女「…ジーッ『…大丈夫…』」
男「…ジーッ『?』」
女「…ジーッ『…あなたが…旦那になれば…///』」
男「…///」
450 :
449:2008/05/17(土) 03:31:19 ID:gcBscISt
PSPからの書き込みって結構疲れるな…
なんか
>>446が求めているのと違うような気がするが…
>>440 応援してくれる無口な幼なじみ…いたら、たぶん俺は小説どころじゃなくなるな…
>>450 PSP乙です
いやいや
そんな感じデスヨ?
まぁ、そこまで正確な伝達が出来る様になるには数年単位の時間が必要かもと思ったぐらいです
話のネタとしてはアイコンタクトの性質上、目を合わさないと会話できないのでそれがトラブルの元になったり
後は何故か「好き」とか「愛してる」とかの言葉が伝わらなくてやきもきしたりとか・・・
・BARの無口な女マスター
・探偵事務所の無口な女所長
・無口な鬼女軍曹
(今日はついてなかったなぁ…)
「ふぅ…。」
俺が酒の入ったグラスを片手に何気なくため息をつくと、
「……?」
BAR『Long silence』の若い女マスター、穂波(ほなみ)がグラスを拭いている手を止めて、
こちらを向いて、どうしたの、というように顔を傾けた。
BAR『Long silence』は、店内は薄暗く、客がほとんどこない、繁盛していないBARだった。
だが、俺はいろんなBARの中でここを選んだ。
なぜかって? 客が入ってこないため、店内は静かだし、それにマスターも無口。
会社という戦場で生き抜いた俺の体を休めるにはもってこいだからだ。
…まぁ…無口なマスターがたまらなく可愛い、というのが最大の理由だが…。
今はマスターとも馴染みになった。マスターは俺が話しかけても、めったに返事をすることがない。
ただ、俺の話を聞いてくれるだけ。しかし、それのおかげで、俺は何度も心を救われた。
「マスター、今日も俺の愚痴話、聞いてくれるか?」
「…(コクッ」
マスターは小さくうなずいた。ちくしょう…可愛い…。少し見惚れてしまった…。
「俺、また会社でへまをやったんだよ…。それで上司にこっぴどく怒られちまった…。」
「…」
「まぁ、俺が会社に遅刻したから…。俺が悪いのは悪い…。だけどな……」
と俺が愚痴話をしている間、女マスターは、微動だにせず聞いてくれた。
「…ってなわけよ…。お、こんなに長い時間、愚痴ったか…。聞いてくれてありがとうな、マスター。」
「…(フルフル」
別に構わない、ということだろう。
…そうだ、こんなにいつも俺の愚痴話を聞いてくれているマスターだ。何か欲しいものを買ってやろう。
「なぁ、マスター。いつも愚痴話を聞いてくれているお礼に、何か欲しいものがあったら買ってやるよ。」
「…いいの…?」
…マスターの声が聞けたー!!今日はぐっすり眠れるな…。
「ああ、ただしあまり高いのは、勘弁な。…なにが欲しい?」
「…ぇっと…///」
うん? マスターの顔が赤い…?
「マ、マスター?」
「…その…あ、あなたが…欲しぃ…。」
ってさ…。ってちょっと待て。ちょ、え?これ何?俺、死ぬの?
「ちょ、待った!マスター、それはどういう意味…?」
「…言ったとうりの…意味…。」
マスター、いや穂波はだんだん俺に顔を近づけて、唇が触れるか触れないかのあたりでこう言った。
「…好き…。」
そして…
―――キスされた。
>>452 一番上の無口な女マスター、というのを参考に書いてみた。
こんなのでいいかな?
>>453 GJ!
全然間をおかずで申し訳ないけど俺もやってみよう。
推敲せずに打つので誤字脱字&gdgdは勘弁。軍隊関係の描写は適当も適当。
ピシィ! 手首のスナップを利かせた鞭がいい音を立てる。
「さー、いえっさー!」
無言で俺達を睨みつける教育係はあまり言葉を発しない女だった。最初こそ女だからといって舐めた態度をとっていた俺達だが、
教官の顔に唾を吐きかけたバカが一瞬で叩き伏せられてからは黙って言うことを聞いていた。
「……点呼。」
列の一番前に立った奴にしか聞こえない大きさの声で呟く。先頭に立っていた俺は慌てて大声でイチ、と叫んだ。
最初こそ小さすぎる声に辟易していたが、上官を相手にしてよく聞こえないからと言い訳をすることは許されない。
今では呼吸と唇の動きで何を喋っているのかなんとなく分かるほどになっていた。
「……よし、明日は休暇だが緩めすぎないように。解散。」
珍しく一言以上、そして全員に聞こえるような大きさで喋った。みんな休みを楽しみにして一言こう返事をした。
「さー、いえっさー!」
他の面子がざわざわと騒ぐ中、俺は一人で修練所を後にしようとする女教官の下へ駆け寄った。女だてらに軍の教官などをしているが、
美人といって差し支えない容姿をしていた。周りに女のいない環境であることを差し置いても十分魅力的だ。
この休みは一つ勝負をかけようと思っていたのだ。
「教官殿!」
なんだ、という顔をしてこちらを振り向く。
「明日はお暇でしょうか。よろしければ私と一緒に休暇を過ごしてほしいのですが。」
「……それは少なからず私との関係を期待していると見ていいのか?」
「端的にいうとそうなります、サー。」
これで第一段階は終了。受け入れられたなら万々歳、仮に振られたとしても俺は娑婆じゃ100人斬りだって済ませた男だ。
必ず落としてみせる。その自信はある。
しかし結果は意外とあっさりしていた。躊躇う様子も無く首を横に振られたのだ。そのまま立ち去ろうとする彼女。
納得がいかずもう一度呼び止めて問い詰める。
「……私は既婚者だ。残念だったな。」
俺は呆然として去っていく教官の背中を見つめることしか出来なかった。
え?無口な『鬼女』軍曹じゃないって?
>>454 既婚者、か…もし続きがあったらどうなるんだろう…
>>453 これはPCからの書き込みです。やっぱりPSPで書いた
>>449とPCでは書き込める量が全然違うな…。
無口な女性の視点での書き方を学ぶために、保管庫の作品を見てこようかな…。
>>454 とりあえず女性への敬称は「マム」なので覚えておいて。
ずっと名無しで、
>>433,449,453を書いてたけど、トリを付けてみる。
これからよろしくです。
>>453 >>454 二人ともGJです
それにしても小ネタラッシュが良い流れで続いているから通常作品を投下するか否か…
流れ切るのもなんだし…
ここではむくちをなおすほんはご法度なようなので
無口っ娘用にこれ置いときますね。
つ あいのことば
BARの無口な女マスターも無口な鬼女軍曹も(・∀・)イイ!!
小ネタに流れもなにも無かろう。
返っていい機会なのでは?
「………………(正直、そろそろ誰かのリクに即小ネタで返すのも疲れてきたから、
流れを変えてもらえたら助かるなー、と言うことを察してもらいたい視線)」
意外と反響がよくてビビった。鬼女ネタがやりたかっただけなのに。
>>456 一応知ってはいるんですけど、どうにもすわりが悪かったので。
>>458 投下! 投下!
通常作品無いからこその小ネタつなぎですから。
鬼女軍曹は自分的には顔真っ赤にしながら小声で必死にF言葉使ってる姿を想像した
>>458さんへ
>>463さんがおっしゃるとうり、通常作品が投下されない時の小ネタですから、
気にせずに投下なさってください!
無口っ娘同士の修羅場が見たい保守
皆さんの温かい心遣いに感謝。
では続きが出来たので投下します。果たしてみなさんに満足してもらえるかどうか…
※以下注意
今回は完全にエロ無しなので嫌な方はスルー対象。
続き物なため今回では話のケリがつきません。
そのくせ軽く長めです。
面倒な土曜日の特別授業も終わり教室を出るとそこには友人が待ちかまえていた。
「雪春、今から飯でもどう?」
俺としては以前にも誘いを断っているため非常に断りにくい。
が、今回も俺はそれを断るしかなかった。
「今日も桐山さんと約束か?」
「まぁそんなとこ」
こいつには別段隠すこともない。なんといっても俺とはかれこれ十二年の付き合いなのだ。
今度は必ず誘いに乗ると約束し俺は校門へと急いだ。
そこには秋葉が一人…
いや珍しく今日はもう一人いる。
先に俺に気付いたのはそのもう一人――柴崎茜だった。
「お、来たな幸せ者」
茜はニヤッと歯を見せて笑う。
よかった…今日は機嫌がいいらしい。
茜はかなりの気分屋なため不機嫌な時にうかつに話しかけると酷い目に合う。
なんでもウルサい奴は特に嫌いらしい。
そのためか無口な秋葉とは上手くいっている。三年間同じクラスというのもあるだろうが。
そしてどういう訳か茜は何かと俺達のことを気にかけてくれる。
本人曰わく『なんか面白いから』らしい。まぁ高校入学時に起きた『自己紹介事件』(茜命名)のせいなんだろうが…
ちなみに秋葉に色々と(性的なことがほとんど)を吹き込んでいるのも彼女だ。
ニヤリと笑いながら茜は秋葉の背を押す。
「ほら秋葉、やってみたら?」
「…………無理」
「じゃあ私がやってもいい?私、雪春くんのこと嫌いじゃないし」
「………」
「いや冗談だよ。怒んないで、秋葉目がマジで怖いって」
完全に蚊帳の外な俺。一体何のことを言ってるんだ?
「いやさ、たまには手繋いでみたらどうかなって」
なるほどそのことか。今となっては俺も全く気にしていなかったのでそのことだとは思わなかった。
「なぁ茜、別にいいんだよ。俺は気にしてないし」
「まぁ二人がそれでいいなら私は構わないけど…」
余計なことを言ってしまったと思ったのか、茜は気まずそうだ。
「悪いな、気使ってもらって」
「…………」
秋葉は無言だったが表情から気にしていないというのが分かる。茜にもそれが伝わったらしい。茜がフッと微笑む。
しばしの沈黙
下校する生徒の声や早く帰れという教師の怒声が聞こえてくる。
「よし!雪春くんも来たことだし私は帰るとするかな」
明るく茜が声を発する。
「おお、じゃあまた来週な」
「………またね…」
「うん、またね二人とも」
茜はそう言うと人より少し短めのスカートを翻して歩き出した。
茜が行ってすぐに俺達も帰り道を歩きだした。
帰り道俺は茜の言葉を思い出す。
秋葉が俺と手を繋ごうとしないのは何故なのだろう?
気にしていないと言いつつ、そういうこともしてみたいとも思う。
なんといっても甘え上手な秋葉のことだ、歩く時に腕を組んできても何もおかしくない。
しばらく忘れていた疑問が再び浮かび上がってきた。
「……………」
秋葉は相変わらず何も喋ることなく俺の横を歩いている。
いっそのこと聞いてみようか?
いや、ここは秋葉が言い出すのを待つべきか?
様々な思いが頭を駆け巡る。
「……」
秋葉がクイクイと俺の袖を引っ張った。
黙りこくっていた俺を不信に思ったのかもしれない。
「………緊張してる…?」
「えっ!?」
何のことか分からず立ち止まる。
「……お父さんに会うから…」
秋葉が心配そうな顔で俺を見つめる。
ヤバい…
そういえば今日は秋弘さんに会って例の話をする日だ…
いかに向こうが言い出したこととはいえ、改めて自分から言いに行くとなるとやはり勝手が違う。
忘れていた緊張感が盛り返してきた。
「………大丈夫。お父さん久しぶりに会うの楽しみにしてるから…」
そう言うと秋葉はどこか嬉しそうに笑った。
俺にはもったいなさすぎるんじゃないかと思うくらい素敵な秋葉の笑顔。
それはどんな言葉よりも俺に力を与えてくれる。
その後もお互い口を開くことはなかったが、さっきとは違う空気が流れていた。
チャイムを鳴らすと秋弘さんが迎え出てくれた。
俺よりも高い身長、どこか気品さを感じさせる出で立ち。何度みてもカッコイい人だ。
「……ただいま…」
「どうもお邪魔します…」
「やぁいらっしゃい。久し振りだね、雪春君。元気だったかい?さ、上がって上がって」
気さくにそして何よりも元気に話す秋弘さん。
それから二人の後についてリビングへと入った。
部屋の中にはいつも通り多くの家族写真が飾られている。
秋弘さんたちの結婚式に加え秋葉が小さい時から今に至るまで。部屋全体がここ桐山家のアルバムのようだ。
「さて、雪春くんこの間の話だけど――」
俺はそれ以上を秋弘さんが言う前に遮った。
「あの、その件ですけどちゃんと両親の許可が出たので…」
次の言葉が少し詰まる。秋葉も秋弘さんも黙って俺の方を見ている。
「俺でよければ是非秋葉と行かせて下さい」
俺は頭を下げた。
「ちょっと秋葉は外してもらえないかな?」
少しの間黙っていた秋弘さんが口を開く。秋葉はただ頷いて部屋を出ていった。
「はは、やっぱり雪春君はしっかり者だな」
秋葉が出ていくと秋弘さんが喋り出す。
俺はポカンとした表情で秋弘さんを見つめた。
「いやね、さっき雪香さんから連絡があってね。雪春君がしっかり言えなかったら追い返して下さいってね」
なんだそれ?
もしかして母さんにいいように試された訳か俺?
「結局の所雪春君はしっかりしていた訳だし、そんな心配はいらなかったけどね」
笑いながら話す秋弘さん。
「それに元々僕がお願いしていたんだ。断られたらどうしようかと思ったよ」
さらに秋弘さんは続ける。
「本当は僕が行かなくちゃいけないんだけどね。どうしても仕事が入ってしまって、いつもいつもホント駄目な父親だな僕は」
急に寂しそうに秋弘さんが言い出す。
本当だったら自分が一番行きたいだろうに…
「いや、ちゃんと秋葉も分かってますよ。それに秋葉前に言ってましたよ」
『………雪春のことは大好きだけど…今はお父さんが一番かも……』
「そうか、あの娘がそんなことを…」
秋弘さんはしんみりと言った。
「でも雪春君のおかげであの娘も随分と変わったよ。ありがとう」
「いや、俺は何もしてないですよ。ただ俺自身が秋葉と一緒にいたいだけなんで」
本来なら恥ずかしいセリフが自然と出てきた。
「そうか…そう言ってもらえるなんて本当にあの娘はいい人に出会ったな」
「いや、それほどでも…」
こう言われるとさすがに少し恥ずかしい。もちろん嬉しさもあったが。
それから二人で少しの間話をし、帰ることにした。
「じゃあ秋葉のことを頼んだよ。とはいえ雪春君なら心配いらないな」
帰り際玄関で秋弘さんが笑いながら言った。
家を出ると、見送りに秋葉がついて来る。
「……雪春」
我が家の門をくぐろうとすると秋葉が声をかけてきた。
「…ありがとう……一緒に来てくれるって」
「それはこっちのセリフだよ。俺を誘ってくれ――」
俺が言い終わる前にそれは抱きついてきた秋葉に遮られた。
「あの〜秋葉?人来るかもよ」
さすがにこの状況を見られるのはマズい。けど引き離すのもまた惜しい。
結局俺はそのままに身を身を任せた。
「……大好き…」
俺の腕の中で目を閉じて秋葉が呟く。
その姿がとても愛おしく、俺は秋葉の頭を軽く撫でた。
土曜日の昼下がりというのもあり近くに人影はない。静かな二人だけの時間が流れていた。
「ありがとな。あれ?リボンが取れかかってんぞ。直すから後ろ向きな」
名残惜しそうに俺から離れ後ろを向く秋葉。
俺はその解けかかっているリボンを結び直した。
「……雪香さんにも宜しく言っといて」
去り際に秋葉が言う。
「分かったよ。母さんに伝えとく」
秋葉が帰るのを見届け俺も玄関を開ける。
何故か玄関には微笑んだ母さんが待ちかまえていた。
嫌な予感が…俺は直感的に感じた。
「ただいま…って何でここに?」
「ふふ、二人をお出迎えしようと思ったけど邪魔しちゃ悪いと思って」
やっぱり…俺の嫌な予感は見事に的中したようだ。
唖然とする俺に構うことなく母さんは続ける。
「でも連休に二人はお出掛けかぁ。私一人お留守番なんて寂しいわね」
一体母さんに翻弄されなくなるのはいつだろうか?
部屋へ戻る母さんの後ろ姿を見ていてそんなことがふと頭をよぎった。
今回は以上です。
本編はまだもう少し続きます。お付き合いしてもらえると嬉しいです。
とりあえずグダグダと続かないように気を付けないと…
一番槍GJ!
いいもん読ませてもらった!
(♯^ω^)… /(^o^)\ (・∀・♯)…
な状況か
うわああああ(AA略
上は忘れてくれ
>>472 GJ、続きマダー?
ところで、「直感的に感じる」のは「頭痛が痛い」表現な気がしました。
>>472 無口酒造より銘酒「ほほえみ 辛口」が贈呈されます
ここで気弱な無口を希望してみる
無口さんの特殊技能
・虎や狼と心を通わす
・宝くじが毎回当たる
・瞳で主人公を倒す
・ボディランゲージの達人
・凄腕ヒットマン
・おまえらの心を狂わす。
てす
無口娘だけど相手の男とは「喧嘩するほど仲がいい」みたいのは無理だろうか・・・。
ネコなカノジョ〜の綾のキャラなら出来そうだ。
あれだと、男の方がおとなしすぎて成立しなさそうだが。
体が大きくて腕っ節も強いけど恥ずかしがり屋で
小柄な幼馴染に依存しがちな無口っ娘
>>488 さあ、そいつを文章にする仕事に早く戻るんだ
490 :
名無しさん@ピンキー:2008/05/23(金) 21:07:27 ID:eUe0CSq8
あ
詳細
493 :
名無しさん@ピンキー:2008/05/24(土) 11:14:42 ID:QRGvmgIe
yu-noというゲームのセーレスは知ってるかい?
494 :
気弱無口:2008/05/24(土) 16:57:33 ID:r9l7rz+M
>>480-482のリクに答えてみたんだけど……なんていうか、その、ごめん。
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
「一方ロシアは鉛筆を使った!!」
この俺、杉村公平は渾身のオチを叫ぶと同時に、両足を交差させて両手を上に大きく広げ(手首だけは曲げて
おくのがポイント)小首をかしげつつ「アメリカ人だってこうは行くまい!」という満面のスマイルを放つ!
静止すること数秒。
「………………………………」
俺のトークショーの特等席に座る我が宿敵・工藤香奈は、しかしいつも通りに、長い前髪で表情を隠すように
俯いたままだった。
その姿勢は、俺が工藤の席の前に立ちゲリラトークショーを開始した時点となんら変わりない。
もう、俺の絶妙のトークなんぞ滋賀にも行けない……もとい、歯牙にもかけないって言わんばかりの、
見事なノー・リアクションだった。
つまりは。
今日もまた、完膚なきまでの俺の完敗だった。
「………ちくしょー!!」
負け犬の遠吠えを放ちつつ、俺は教室を飛び出す。
「いつかお前を笑わせてやるからなぁあああああああああっ!!」
絶叫しつつ全力疾走はキツイが、ここは譲れない。コツは、ドップラー効果を意識するコト。
「あ、公平! もう先生来るよ?!」
ありがとう、先生優しいチハル君が大好きだよ?
「ほっとけ。飽きたら戻ってくる」
うん、バッサリ切り捨ててくれるマモルも、おいちゃんわりと好きだな。
教室を飛び出した勢いのまま俺は階段にたどり着き、そこを駆け下りる。
一階下に降り立った俺は、教室に足早に向かう生徒たちの波を掻き分けながら、廊下を全力疾走。
「……む? 杉村、どこへ行く? それと廊下を走るんじゃない」
「すいませんっしたー!」
廊下ですれ違った車田センセ(担任兼次の日本史のセンセね)に振り返ることなく謝りつつ、俺は階段に
たどり着き、二段飛ばしで駆け上がり、自分の教室に向かう。そして扉の前で立ち止まり、一息。
「ただいま」
「……お帰り」
「早かったな」
俺が飛び出したのとは反対の扉からなんでもないよーなテンション(ただし見るからに汗だく)で
教室に戻ると、呆れ気味のチハルとまったく変わらないマモルが迎えてくれた。
チハルの方なんかは、ハンカチまで差し出してくれる世話焼きっぷり。さすが、このクラスの
「嫁にしたい子No1」の座を姫萩と争うだけのことはあるっ!
惜しくらむは、どっちも売約済みなことだが!
そして、車田センセが教室に入ってくる。
「――うむ、全員揃っているな」
センセは教科書を教卓に並べながら、ぐるりと俺たちを見回してそう言う。
そして、いまだに汗が引かない俺を最後に見て。
「それと杉村、身体を張ったネタも程ほどにな」
固い口調の割りに意外と話せる、というかどんな情況にも質問にも冷静に対処してくる、人呼んで
『武厳学園のマジレス大王』こと担任の車田知恵(くるまだ ともえ)センセの言葉に、教室の中に
静かな忍び笑いの声が生まれる。
センセ、ナイスネタ振り。
それを特に誇るでもなく、収まった頃を見計らってセンセは「では、授業を始める。本日は152ページの……」
と教科書を開き始める。
教室中がそれにしたがって教科書を開く中、俺はそっと斜め前の席の工藤を盗み見る。
工藤は相変わらず長い前髪で表情を隠すように俯いたままで。
今のちょっとした盛り上がりにも、アイツだけはちっとも反応しなかった。
改めて自己紹介をしよう。俺は杉村公平。この武厳学園の一年B組に所属するぴちぴちのフレッシュマン。
特技は、考えるよりも先に滑らかに動く舌。
それをふんだんに活用し、この1-Bきってのお調子モンとして、ムードメーカーの地位を確立しつつある。
ちなみに先ほどの世話焼き少年チハルこと斉藤千春と、ぶっきら人間マモルこと石橋護は、こうしたキラ星の
ごとくの俺の輝きに誘蛾灯に誘われる虫のごとく吸い寄せられた……うそですスイマセンチョーシこいてました
いつもオバカな俺をフォローしてくれる貴重な友人ですゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイ……
とにかく、この学園に入ってからのダチである。
だが、そんな風に着々とクラス内での立ち居地を固めつつある俺に、宿敵が立ちふさがった。
それが例の、工藤香奈だ。
こいつは、こいつだけは、俺がどんな渾身のギャグをかましてもちっとも笑わない。
もともと、大人しい奴だ。制服は他の女子みたいにスカート丈を詰めたりとかしてないし、アクセサリーの
類も一切なし。おかっぱのような髪型は染めもキューティクルも入れておらず、しかも前髪を長くして目元を
隠していて、しかもいつも俯いてるから、こいつがどんな顔してるか知らない奴も多いんじゃないだろうか。
クラス分けされた当初は、それなりにあいつに話しかける奴もいたが……芳しい反応が返ってこないので、
いつの間にやら話しかける人間は少なくなった。結局、いつも教室の隅で目立たずひっそり座ってるような、
そんな奴となったわけだ。
だが、俺にはそれが我慢ならなかった。
俺のギャグに笑わない奴が、よりにもよって同じクラスにいるなんて、許せるはずがない。
よろしい、それは俺への挑戦と見た!
そうして俺は、「いつかこいつを笑わせてみせる!」を合言葉に日々奮闘し。
……そして、連敗を続けているのである、とほほ。
そんな愚痴を俺は、机に突っ伏しながら休み時間のダチとのダベリ中に漏らしてみる。
「あー、チクショウ! 自信なくすぜホント!」
「えーと、その、いつもお疲れ様」
「止めとけ千春。優しくすると図に乗るだけだ」
「チハル、温かいお言葉をありがとう。それとマモル、お前はいつか泣かす」
「やれるものならやってみてもらおうか」
く、さすが野球部期待のルーキーは体格もがっしりしてて、金も力もない優男の俺が物理的に対抗するのは
難しそうだ。……こうなると、何か弱みを握るしかないな。
「……公平、不穏当な事を考えちゃダメだよ?」
考えが読まれちまったらしい。さすがチハル、いつもあの篠原とツルんでるだけのことはある。
ちなみにいつもチハルにべったりな当の篠原は今、授業中からずっとお昼寝中のため、こうして
俺たちは男同士の親交を深める事が出来ているのである。
「しかし公平、実際にいい加減にしたらどうだ? あれだけやっても無反応と言うなら、工藤も
ウザがってるんじゃないか?」
「く、痛いところを……!」
実際、さすがの不屈な俺もそろそろメゲそう。あれだけ工藤専用のオンステージを繰り返しているというのに、
まったくの無反応と言うのも気力がガリガリ削られる。
ましてや芸人として、自分の出した芸が滑ってるんじゃないかという認識は恐怖そのものだ。
うううー、俺はこのまま負け犬として一生を終えるのか?!
「……んーと、僕はそうは思わないかな……?」
と、俺が絶賛ヘコみ中に、チハルがおずおずと切り出した。
俺とマモルの視線がチハルに集まる。
それに少し気圧される素振りをしながらも、チハルは言葉を続ける。
「工藤さん、いつも一人だし……このままじゃ良くないと思うんだ。だから、公平がきっかけになって
もうちょっと打ち解けてくれたらって思うし……」
自分の言葉を確認するように言って、それから少し強い口調で。
「きっと工藤さんも、公平の事を迷惑には思ってないんじゃないかな」
言葉こそ自信なさげだったが、なんだかしみじみと実感のこもった語り口だった。
そしてチハルは、最後にきっぱりとこう言った。
「だから僕は、公平の事応援するよ?」
「……ありがとうチハル、心の友よ〜! 俺様感涙にむせび泣き!」
「わわ!」
俺は身を乗り出し、チハルを抱きしめる。チハルは恥ずかしいのか抵抗するようにもがいている。
「くくく、初いやつめ! 抵抗しても無駄じゃ、どうしてくれウボアっ!?」
「………………!」
「あ、綾……!」
調子乗ってふざけてたら、横合いから飛び出してきた篠原に蹴飛ばされ、教室の床に転がされました。
つーか起きてたんですか篠原さん。
篠原はチハルを守るように両手で抱きかかえ、俺を威嚇をこめて凝視している。
どうやら以前、からかい過ぎたらしい。
えーと。
すかさず身を起こし、すばやく土下座をする俺。
「スイマセンまた調子乗りすぎました!」
「バカが……」
うんマモル、いつかお前絶対泣かすからネー?
そんな俺たちに恐る恐る歩み寄ってくる姫萩こと、清く正しいメガネっ子。あれ、逆だっけか?
「えーと、その……た、楽しそうね?」
「姫萩、こいつに気を使わなくていい。思ったとおりに、『無様だな』とか『キモい』とか言ってやれ」
「わ、私そんなこと思ってないよ?!」
慌てて手を振る姫萩。そして、その場をごまかすように早口で言葉を続ける。
「そ、それよりも杉村くん、お客さんが来てるよ?」
「客? 誰?」
「あなたが杉村公平くん? 始めまして、でいいのかしら? 工藤香澄です」
生徒会長さまでしたー!
いや驚いたね。姫萩に呼ばれて廊下に出てみたら、ホントに今をときめく生徒会長さまがいるんだもん。
工藤香澄、一年のときから当時の生徒会長じきじきのスカウトで生徒会入り、その元で敏腕を振るい前会長の
引退後は二年生でそのまま会長職を引き継ぎ、そのまま二期連続の会長就任を果たす成績優秀容姿端麗、
生徒からも慕われ教師からも覚えめでたい人望の厚い名物生徒だ。その名声たるや、一年坊に過ぎない
俺でも知ってるくらいで。
長く艶やかな黒髪に整った顔立ち、一見すれば日本人形かどこぞのおひい様かというような儚げな印象とは
裏腹に、その眼の力は強い。
事実、伝統に胡坐をかいて落ちぶれた柔道部から抗議をものともせずにごっそり予算を削り、規模は小さい
ながら着実に実績を伸ばしている男子バレー部の予算の増額を果たしたという果断さの反面、きちんと
説明すればどんな話でもちゃんと聞いてくれるという、柔剛併せ持つ女傑である。
そんな生徒会長さまがどうして俺を……。
は?! まさか!
「さては……俺の噂を聞きつけて、そのスター性を見込んで生徒会にスカウト、ゆくゆくは生徒会長の座を
譲り渡す後継者として手取り足取りムフフな個人指導をするために――!」
とりあえずボケてみました。
「んー、私の前任の生徒長はあなたみたいな賑やかなタイプの人だったから、それもアリかもしれないけど……
あの人、賑やかなだけじゃなくて頭も切れて指導力とか人望とかもあったわよ。あなたそれ、持ち合わせてる?」
「すいませんチョーシこきました」
成績は標準に達するのもやっとなくらいです! 課題とかテストとかはチハルの世話になりっぱなしでス。
そんな俺の様子に、会長は口元に手をやって小さく笑う。
なんていうか、そういう仕草がものすごく様になっていて……「かっこいい大人の女性」という感じだった。
でも、スカウトじゃないとしたら、なんで俺を名指しに……?
「まぁ、そんなにかしこまらないで。ちょっとあなたの顔を見に来ただけで他意はないから」
「俺の顔、スか?」
「ええ。妹によくちょっかいを出してる子がいるって言うから、顔くらいは確認しておこうかなって」
妹? まさか……?
「お察しの通り。あなたのご執心の工藤香奈は、私の妹よ」
マジすかー!
いや工藤なんて名前はそれほど珍しくもないし、なにより印象が違いすぎてまさか姉妹だとは思わなかった!
あー、でも、いわれて見れば天使の輪の写る艶やかな黒髪とか口元とか顎のラインとか、結構にてるかも。
……ってことはアイツも、前髪あげたら結構カワイイかったり……?
ってそれよりも。
「妹によくちょっかいを出してる子」に生徒会長が直々にお出ましで会いに来るって……
なんかすごく不安になるんですけどー!
「だからそんなに怯えないでよ。ホントにあなたの顔を見に来ただけなんだから」
「本当スか?」
「ええ、安心して、本当よ。あなた自身のリサーチはとっくに済んでるもの」
「余計不安になったッス!」
「もちろん、ろくでもない子がろくでもない理由で妹にちょっかいかけてるって言うなら、アレする
つもりだったけどね?」
「そこでにっこり笑わないで下さい」
アレって言うのが何かはとても聞けない。ガタガタブルブル。
「ま、それは半分冗談だけど」
残り半分に付いても聞かない事にします。
「とにかく、香奈の事をよろしくねって単なるご挨拶。それだけよ」
「よろしく、すか……」
さっき、マモルの奴に言われた事を思い出す。チハルは応援してくれたけど、それでもやっぱり迷いはある。
「俺なんかがよろしくしちゃっていいんスすかね……?」
「なあに? 意外と繊細なタイプ?」
「意外は余計です」
「あははは、ごめんなさいね。でも大丈夫よ。あの子だって、構ってもらって悪い気はしてないわ。
私にも覚えあるもの」
「会長にも……すか?」
「ええ、その点はさすがに私の妹ね。寂しがり屋のクセに、自分からは声をかけられないタイプ」
あの子は私よりも度を越してるけどね、と会長は笑いながら続ける。
「やっぱり、成績優秀で美人で人望あって、しかもちょっと抜けてるけどそこが可愛いくて仕方ない
優しい彼氏までいる非の打ちどころのない姉がいると、妹は引っ込み思案になっちゃうものなのかしらね?」
「うわ、自分で言ったよこの人」
しかも、彼氏いるのかよ。ちょっとショックー。いや狙ってたわけでもないけど……贔屓してたアイドルに
熱愛発覚ー、みたいな?
「でも……会長が話しかけられないタイプって……こんな別の学年の教室まで押しかけておいて?」
「慣れたのよ、私も。いいえ、構ってもらって、慣れさせて貰ったというべきかしら?」
へーへー、件のカレシさんですか。なんとなくやさぐれモードな俺。
「だからね、私はあなたに期待してるのよ」
……へ?
えーと、その……文脈的に、なにやらこう、おとーさん娘さんを僕に下さい、うむ娘を頼むぞ的な
ニュアンスが……。
なんとなく答えられずにいる俺の肩を、会長はぽんと叩き。
「強いてアドバイスを送るなら、他の人のいないところで声をかけてあげて、って所かしら?
それじゃ、これからも妹をよろしくね、杉村君」
そういい残して、颯爽と去っていく。
後には、反応に困って呆然とする俺だけが残されたのだった。
放課後。
掃除当番の俺がゴミ捨てから戻ると、教室内はがらんとしていた。
とりあえず絶叫する。
「おのれ掃除当番ども(俺以外)め!! ゴミ捨てが最後の仕事とはいえ、俺が戻るのを待たないで帰るとは、
何たる薄情モノ揃いぞ! まぁ、俺だってこの情況なら帰るがな!」
うむ、芸人たるもの一人ノリツッコミくらい、観客がいなくてもこなさなくては。
って。
「………………………………」
「……いたのか工藤……」
つーかスマン、素でお前の存在に気付かなかった。
工藤(同じく今日の掃除当番、か行の終わりからさ行の名前の奴が本日の当番だったのでした)は、自分の席に
座っていつものように俯いていた。
やべぇ。今の俺ちょっと恥ずかしい。
聞く奴がいるならいいだろうって? 違う違う! 人に聞かせない一人ボケツッコミ用と、人に聞かせるネタは
はっきりきっぱり違うんだ!
一人用のネタを他人に聞かれると、すごく微妙なんだ!
とりあえず、ゴミ箱をもどそうと教室に入ると、工藤はますます身を縮こませて俯く。
……いやあの、そうやってあからさまに緊張されると、こちらも気まずいんだが。
「他の連中は、帰っちまったのか?」
俺は、その雰囲気を振り払おうと、フレンドリーに話しかける。
「………………………………」
工藤は、俺の言葉にぴくり、と身を震わせるが、そのまま何も言わずに俯いている。
……き、気まずっ!
つーか工藤と二人だけってのがすげーやりにくい!
いつもなら他の連中がいて、工藤がノーリアクションでも「工藤相手にまた滑った俺」として、
二次的なウケは取れてたんだが……工藤の他の人はなく、当の工藤にリアクションなし!
まさにソーメン鹿! 違った四面楚歌!
俺大ピンチ!
「あー……」
なんか気の利いたことを言おうとして……やばい、なにも思いつかねぇ。俺自慢の考えるより先に動く舌も、
今は動作不良っていうか、この情況でギャグかまして滑ったりしたら、わりと俺のアイデンティティが
致命傷になりそうな危機感が……!
「他の連中はともかく、チハルは残ってくれるもんだと思ったんだけどなぁ……」
そんなわけで、ヘタれた俺はそんなどうでも言いことを言ってみる。ちなみに斉藤なチハルと杉村な俺、
ついでに篠原な篠原も出席番号順に班分けとか言うと一緒になることが多い。
――反応が、あった。
工藤は、弾かれたように顔を挙げて。
でも、何か言いたげに口をもごもごと動かし、でも結局何も言えずに、俺の顔を見ている……前髪で
見えないけど、多分。
反応があったことに少し驚きながら、俺は少し考え。
「ま、義務が終わっていてもたってもいられなくなった篠原に引っ張られたんだろけど」
また反応が合った。
顔を挙げた工藤は、俺に向かってこくこくと首を振る。口が僅かに開いてて、何で判ったのか驚いてるっぽい。
……やべぇ。今俺テンション上がりまくり。
工藤からリアクションをもらえたことで、こんなにテンションが上がるとは……!
調子に乗った俺は、自慢の舌も再起動。芝居がかった仕草で、右手の人差し指でこめかみを押さえつつ、
思案の表情を作る。
「きっとチハルは、篠原に襟首を掴まれて引っ張られながら、残った連中に申し訳なさそうに手を合わせてた、
と見たが……いかがかねワトソンくん?」
工藤は、先ほどよりも力のこもった仕草で、大きくこくこくこくと頷いてる。
いいなぁ、リアクションがあるってステキ。
「なに、簡単な推理だよワトソンくん。なぜなら、アイツラのいつものことだからね!」
工藤に向かって手を振りつつ、そうしめる。
あははは、工藤のやつ拍手し始めたよやぁりぃ!
「なんだよ工藤、いいリアクションしてくれるじゃん」
調子に乗ってそんなことを言った俺は……どうやら地雷を踏んでしまったらしい。
その言葉を聴いた工藤は、ぴたりと拍手を止めて。
自分の両手をわたわたと見比べてから、すごい勢いで両手を脚の上に戻すと、また俯いてしまった。
「………………………………」
俺は、反応に困ってぽりぽりと頬をかく。
はあ。工藤のリアクションを引き出せたと思ったけど……うまくいかねーなー。
今の……つい反応しちゃったけど、本当はこんな事したくなかったんだからねっ!(ツンデレ風)って
リアクションかねぇ……?
もう一つため息をついてから、とりあえず俺は、ゴミ箱を元に戻そうとまた歩き出す。
俺と工藤しかいない教室の中に、俺の足音だけが響く。
さすがに俺にももう、工藤になにか仕掛ける気力はなかった。
「……あ、そこ……」
え?
不意に聞こえた聞きなれないか細い声に、俺は気をとられ。
ズボ。
ずるん。
ごちん。
……ドゴッ!!
「うぐおおおおおおおおおおおおおおおおお!」
俺は、自分の抱えたゴミ箱の影に隠れた、誰かの片付け損ねたバケツに思いっきり足を取られた。
視界が回転、ついでおもいっきり後頭部を打ち付け、眼から火花が飛ぶ。
……おまけに、放り投げられたゴミ箱が、見事に俺のみぞおちを捕らえたのだった。
三連コンボに、俺はのた打ち回って叫び声を挙げる。
なにこのドリフコント?! 狙ってやったならともかく、天然で成立とかありえないだろやありぃ
俺天性の才能あるねマジで?!
よかった、掃除のすんだ教室で、空になったゴミ箱で、ホントーに良かった!
「……ご、ごめんね杉村君……」
――気が付くと、工藤が駆け寄ってきていた。が、のた打ち回る俺に手も出せず、わたわたしてる。
このか細い声……どうやら、さっきの声も工藤のものだったようだ。
「……バケツの事もっと……」
そこで声は途切れる。多分、バケツの事をもっと早く言っていたら、とか言いたいんだろう。
「あー……」
ようやく痛みも落ち着いてきた俺は、上体を起こしながらぼやく。
「確かに、もうちょっと早く教えてほしかったなぁ……」
「……ご、ごめんなさい……」
床にぺたりと座り込んで、両手を足の間に挟むようにしてすごい勢いでしゅんとする工藤。
って言うか。
「さっきもそうだったけど……普通にリアクションとか会話とかできるじゃん」
「……………………!」
俺の言葉に一瞬ピクリと肩を震わせて、しかしまた縮こまってしまう工藤。
コレは……。
……いつもはまったくの無反応の工藤。
……思わず、と言った状況では反応してくれる工藤。
……しかし、そこに触れるとまた沈黙してしまう工藤。
……それと休み時間の、会長の「他の人のいないところで声をかけてあげて」というアドバイス。
今頭をぶつけたのがよかったんかね? バラバラだったパズルのピースがパチリとはまるような感覚。
「工藤さ、もしかして……」
その結論を、工藤にぶつけてみる。
「人前でなんか反応するのが、恥ずかしいん?」
「………………………………」
工藤は、ちょっと顔を挙げて……やがて、こくんと頷いた。
よく見ると……髪の合間から覗く耳が、真っ赤に染まってたり。
………………………………。
そうすか。
恥ずかしかったんすか。
だから必死に反応しないように、こらえていた、と。
「……それだけじゃ……なくて……」
ほう? 聞きましょう。
両手の人差し指をちょんちょんとつつき合わせながら、工藤は続ける。
「……あの……何か反応しなくちゃ、って思うと、余計に……」
ウン。余計にテンパっちゃって何もいえなくなるんダネ。
うんうん、よく判るよ、こうやって間近で工藤見てると。
………………………………。
なんでしょうね、このやり場のない感情は。
本当なら「なんじゃそりゃ〜!!」とでも怒りだすところなんだろうけど、その気にもなれない。
強いて言うなら……レベル上げて装備整えてイベント一通り見て宝箱全部開けて、その末に辿りついた
ラスボスの間にいたのが、涙目で震える人畜無害な小動物だったような、そんな感覚。
判る? ……俺にも判らん。
どうにもやるせないキモチで一杯の心が、うまく制御できない。
「つまり……お前はとにかく恥ずかしがり屋で……その前髪も、そのためってか?」
そんな心を離れた自動制御の舌が、自分でも何の意図で聞いてるかわからん質問を紡ぎだす。
それに対し、少し間を取ってからまた小さくこくんと頷く工藤。
俺は一つため息をつき、思わず愚痴を漏らす。
「隠すなんてもったいねぇなぁ。わりと可愛い顔してんのに」
「………………!」
……はて。
工藤が硬直してる。
さっきまでの比じゃない、固まりっぷりだ。
なんでコイツこんなに固まって、って……。
……………………。
今俺、何て言った?
なんていうかこう、やるせないキモチのままに、深く考えずにさらっと口にした台詞だったんだが。
……なんか、コウ、くりてぃかるナコト、イッテマセンカ、オレ?
「…………………あ……………」
工藤は突然立ち上がると、俯いたままでぱたぱたと教室を飛び出していった。
こっちも混乱中で、止めることも出来ず呆然とその背中を見送る。
つーか止めたところで何をするのかって話だが。
「………………………………やれやれ」
俺は首を振り、思わず呟く。
今のはまずかったかなぁ。
ああいう恥ずかしがりに、あの台詞はヤバいだろう。
…………でも。
俺が転んでて、工藤が近寄ってきたとき。
偶然下から覗き込むような形になって見えた工藤の素顔……実際、わりと可愛い感じだったんだよなぁ。
ついその本音がこぼれちまいました。
でも本当、前髪で隠すのは勿体無いと思うんだ。
やれやれ。俺は意味もなく、頭をかく。
と、廊下の方から、かすかな物音。
そちらを振り向くと……戸口の影から顔だけのぞかせるようにして、工藤がまだいた。
今考えてたことが考えてたことだけに、思わず言葉に詰まる俺。
「…………あのね、杉村君…………」
工藤は、そこまで言ってから少し俯き。
また顔挙げて。
「……また、明日ね……」
それだけ言うと、小さく手を振ってから、すぐさま戸口の向こうに引っ込んだ。
廊下から聞こえる、ぱたぱたと小走りに去っていく物音。
「………………やべ、返事しなかった」
呆然と見送ってしまってから、俺はゆっくりと立ち上がる。
なんとなく視線は、工藤の去った戸口を見つめたまま。
「………………」
また明日、か……。
「……くっくっく」
我知らず、笑いがこぼれる。
また明日、また明日ね、また明日。
とりあえず俺は、工藤に拒絶されてはいない、ってのは確実らしい。
「は、ははは、ははははははは」
テンションダダ上がりの俺。
人前だと恥ずかしい? テンパってどうしていいかわからなくなる?
上等っ!
「覚悟しやがれ工藤! 俺の超絶テクに夢中にさせて、『人前じゃ恥ずかしい』なんて考える事も
出来ないくらいあられもない声上げさせてやるからな!! だぁ〜っはっはっはっはっは!」
「……私も、生徒間の恋愛や青少年のリビドーには理解を示しているつもりだが……」
「……は?」
不意に。
俺だけしかいないはずの教室に、俺以外の声が響いた。
ギ、ギ、ギ、ギ、とぎこちない動きで、工藤が出て行ったのとは反対側の扉へと目を向ければ。
おそらく見回りに来たのであろう、車田センセが腕を組んで立っていた。
「さすがに立場上、双方の合意を得ない不純異性交遊や犯罪行為などは止めねばならなくてな?」
「ご、誤解ですマム!」
そうして。
抗弁もむなしく俺は職員室にドナドナされて、小一時間こんこんと車田センセのお説教を食らったのだった……。
ちゃんちゃん♪
以上、なんですが……なんつーかごめん。
構成とかキャラ配置とかその出演量の割り振りとか、色々間違えた気がする。
杉村公平:軽いお調子者。いつも暗い香奈を笑わせることを目標にしているバカ。
どれくらいバカかというと、公平のキャラ確認に
>>347-350を読み返したら、ずっと裾と袖を
間違えてた事に今更気づいたくらい。
工藤香奈:前髪で瞳を隠した地味少女。優秀な姉のプレッシャーで引っ込み思案。
どれくらい引っ込み思案かと言うと、家族以外の人に話しかけられるとテンパって
何も話せなくなるくらい。いつも話しかけてくれてた公平とお話したいとずっと思ってたが、
話そうと意気込めば意気込むほどますますテンパる悪循環に陥る難儀な気弱無口。
工藤香澄:生徒会長。妹の香奈を気にかけている。今は颯爽として人当たりもいいが、2年くらい前は
孤高の無口ツンデレだった。どれくらいツンデレだったかと言うと、具体的には
>>390-393くらい。
二年で生徒会長になって苦労したり、そのツンぷりに周囲と摩擦を起こしたりといったイベント
をこなしつつ、ずっと支えてくれた副会長(元会計)と付き合い始めてから余裕が出てきて、
丸くなった。デレたとも言う。
ちなみに身内に対しては以前から優しく接しており、妹の世話もよく見ていたし、妹もそんな姉を
頼って、色々と相談に乗ってもらっていた。「クラスの子が話しかけてくれるんだけど、うまく
返事できなくて困ってる」、とか。
今日も彼女は、「……今日ね、杉村君と少しだけお話できたの……」と少し恥ずかしそうに報告
してきた妹に、「杉村君って……ああ、あなたがよく言ってた、よく話しかけてくれてた子ね?
良かったじゃない」といけしゃあしゃあと何食わぬ顔で答えてることでしょう。
車田知恵:日本史の先生。武厳学園のマジレス大王。どれくらいマジレスかと言うと、
「赤ちゃんはどうやってできるの?」
「うむ、男女が愛し合うことで授かるものだ」
「具体的には?」
「興奮し勃起状態となった男性の陰茎を、女性の膣に(以下略」くらい。
ちなみに武厳は「むごん」と読みます。このスレ的なお約束。
斉藤千春:友情出演。脇役になっても、コイツの甲斐甲斐しさは異常。
篠原綾:友情出演。今まで公表の機会はなかったが、一人称は「ボク」。「僕」でも「ぼく」でもなく「ボク」。
表の理由は「千春の真似」で、裏の理由は「貧乳ショート活発娘の一人称として、ここは譲れん」。
石橋護:伏線はあったが初出演。身も蓋もない言動が特徴で、千春と綾の関係を餌付けとか言っちゃう人。
がっしりとした体格の、いかつい野球部期待のホープ。
姫萩紫:友情出演。清く正しいメガネっ子。1−Bのお母さん。伏線としてわりと引っ張ってたけど、
ぶっちゃけ「護と姫萩さんは付き合ってます」の一言ですむ。
1番槍GJ
2番槍でGJっす!!
俺の中で香奈の姿は謎の彼女Xのヒロインもしくは電波的な彼女のヒロインで再生される
てか姉ちゃん性格変わり過ぎだろww
506 :
名無しさん@ピンキー:2008/05/24(土) 21:31:58 ID:FjohGNIj
続きwktk
香奈可愛いなぁw
無口ツンデレの続きも見たい
508 :
名無しさん@ピンキー:2008/05/25(日) 01:10:16 ID:53HAz8iK
香奈は家に帰って『可愛いっていわれた』って姉に話しているのだろうか
続きがきになるぜ
ネコの続きもきになるぜ
保守小ネタでいいからマジレス大王を素直クールスレで暴れさせてやってはもらえないだろうか?
このまま脇に甘んじるには惜しいキャラだ。
ともあれメインはこっちでお願いしたいけどね。
GJ!
学校で俺の隣の席の子が無口っ子で顔はまぁまぁ悪くない。いかにすべきか?
>>512 さぁ、それを文章化して妄想をぶち込みつつエロシーンまで書き上げてここに投下する作業に戻るんだ。
ネコ的無口さんがいるんだから
・イヌ的無口さん
・リス的無口さん
も何処かにいるはずなんだ
「…………」
じー。
視線を注げば、それだけでお兄ちゃんはわたしが何を言いたいのかわかってくれる。
「ん? ああ、もうちょっとだけ待ってね、後はサラダだけだから。
もちろん、君の大好きなゆで卵付きだよ?」
振り返って、笑いながらそう言うお兄ちゃん。
わたしは一安心してこくこくと頷く。お兄ちゃんが忘れるわけが
無いとはわかっていても、確認したくなるのが無類のタマゴ好きのサガ
というもの。ごめんね、お兄ちゃん。
トントントン、と、リズミカルな包丁の音。その手際は、さすがに調理師を
目指しているだけはある。あっという間にサラダを仕上げて、お兄ちゃんは
こちらにやってくる。二人分のカレーとサラダを載せたおぼんを持って。
「はい、お待たせ、香御(かおん)ちゃん」
「…………」
ふわりと、カレーの香りが漂う。
もちろん、カレーの中にもゆでタマゴが入っているのは言うまでもなく。
茶色いルーの中にちょこんと覗く、白と黄色のコントラストが絶妙で……。
ああ……早く食べたい。食べたいったら食べたい。あー、食べたい!
なんてやってたら……
「はは、犬が尻尾振ってるような喜びようだね」
お兄ちゃんに苦笑いされ、少しだけ恥ずかしくなる私。
「それだけ喜んでもらえると、僕も嬉しいよ」
そう言って微笑みかけられて、ますます恥ずかしくなる私。
「じゃあ、いただきます……の前に」
「…………」
「もうちょっとだけ我慢だよ、香御ちゃん。ちゃんと神様に感謝しないとね」
きっとわたしに犬の耳がついてたら、ペタンとヘタレていただろう。
お兄ちゃんの作る食べ物は大好きだけど――特にゆでタマゴの入った
カレーとサラダは大好物だ――、お兄ちゃんと食べる前にしなきゃいけない
このお祈りの時間は、わたしは苦手だった。
お預けを喰らった犬の気持ちが、わたしにはよくわかる。
「……今日の糧を与えてくださった事に、感謝します」
「…………」
そう言って、お兄ちゃんは目を閉じ、胸の前で両手を組む。
その姿はいつも、普段にまして、カッコいい。
「…………」
お祈りの時間は苦手だったけれど、お祈りをするお兄ちゃんの姿は
大好きだ。だから、わたしはこっそりと、お兄ちゃんと違う事を神様に感謝する。
――お兄ちゃんと出逢わせてくれた事に、感謝します。
「……よし、お祈り終わり! じゃあ、食べようか、香御ちゃん」
「…………!」
こくこくと頷くと、わたしは凄い勢いで食べ始めた。
「そんなに慌てて食べなくても大丈夫だよ。おかわりもあるからね」
やっぱり、お兄ちゃんの作るご飯はおいしい。
お兄ちゃんが作ってくれると嬉しいから、余計においしい。
じー。
「ん?」
じー。
「……ふふ、僕の方こそ、ありがと」
やっぱり、視線を注げば、それだけでお兄ちゃんはわたしが何を言いたいのかわかってくれる。
だから――お兄ちゃん、大好き。
「………………」
「………………」
……わ、わかりすぎちゃうのも問題なのかも。
二人で真っ赤になりながら、わたしたちは黙々とカレーを平らげたのであった。
おわりー。
犬っぽくならなかったが、よろしければおひとつどうぞ。
GJなんだぜ
これは続きを期待してもいいのか?
519 :
516:2008/05/26(月) 22:08:18 ID:/lK2nu5/
期待はせんといてくれと言うしかないw
>>516のネタでエロまで持って行って欲しいです…
>>516 「……gj……です」
ジィ〜〜〜〜〜〜〜〜
(続きを期待する眼差し)
522 :
名無しさん@ピンキー:2008/05/27(火) 12:33:31 ID:uQwtaArq
うひょおおおおおおおお
………………
…………
……
保管庫の人、おつ。
ほんとだ更新されてる
乙です
…………。(きょろきょろ)
…………。(まだかな…)
…………。(あ、飛行機雲)
527 :
512:2008/05/31(土) 17:30:06 ID:lON/AQ1O
学校の授業に集中せず2ちゃんねるを見ていた俺が明日辺りにSSを投下しようと思います。
実話壱拾%、妄想九拾%でお楽しみくださいまし。
>>527 まぁ待て期待するが言わせろ
授 業 は 真 面 目 に 受けろ
つうか、ちゃんと18歳以上なんだろうな?
学校と言うとことかきっとまだ○校生なんだろうなと思いつつ期待。
授業サボるのはいいけどボロ出さないようお気をつけて。
大学だったら授業は寝るかサボるか脳内妄想に励むか、なんだがなあw
何が表現されているのかわからない俺はどうすれば
orwを何かと見間違えたんだろう
だが失意体前屈から足先を持ち上げた様に見えなくもない
シリウスの「こいびとどうしですることぜんぶ」のヒロインの無口キャラっぷりが素晴らしい。
が、あまりに素晴らしすぎて自分のお話がパクリになりそうで怖い。
純愛や無口が好きな俺にはあのゲームは最高でした。
>>538 無口だけど内心は…って解るところもいいな。あれは
今日ノベライズ買って来てしまった俺にぴったりのスレですね。
おいちゃん久しぶりに日常シーンでキュンキュン来ちゃいましたよ。
>>510 知恵センセがまだ教師なりたての頃の一エピソードをあっちに落としてみた。
>>542 あっちにも書いてきたけどありがとう!
というか向こうにもわかってる住人何人かいてワロタ
>>538 体験版が気に入ったのでオーダーしてみた。
今年度最初の当たり作であるよう期待
ラブラブ、甘々、純愛が好きなら大丈夫だと思う
>>544 例えるなら砂糖を1kg一袋口に流し込まれるくらい甘々。
体験版重いな・・・
さすが、砂糖が1キロ詰まってるだけはある!
>>538 スタート直後から女の子好感度マックス状態と言うお手軽ゲームは大好きだが、
男の方がそれに胡坐をかいて一方的に欲望ぶつけてくるような奴だと萎える俺は、
この主人公の清々しいまでに突き抜けたバカさ……もとい一途さもポイント高い。
550 :
544:2008/06/06(金) 02:27:33 ID:UejY7SSV
>>545-
>>549 情報thx
大丈夫云々の前にそれを期待しているからその点は無問題。
ゲームに反して食べ物は辛いものが好きな俺が、砂糖のたとえから変な電波受信したので書いてみる。
「皆様、ただいま当機は東京羽田に着陸いたしました。本日もローンスターアライアンスメンバーの全日本航空を・・・」
客室アナウンスが、自分が出発地に帰ってきたことを知らせる。
やがて飛行機は、全日本航空の使用する第1ターミナルの16番スポットに駐機した。前列の座席なので早々に降りる。
国内の短期出張なので預けた荷物は無い。その足で普段どおり京急線乗り場に向かってゆく、とふといつも気にはしなかったものが目に留まった。
辛いものが好物な自分が今までここの辛子明太子屋に気づかなかったのか、と思いつつ、次の品川行きまで時間があることもあって覗いてみた。
なるほど、さすがに専門だけ合っていろいろとおいているが、その中で特に目に留まったのは「白魚明太」と「辛さ2倍明太子」だった。
後者は試食もあり、試してみたが確かに辛い。良い意味で。
一つずつ包んでもらい、品川行き乗り場に向かう。西多摩在住だと、乗り換え回数だけを考えれば成田のほうが楽かもしれない。バスは高いし。
自宅に戻り、カバンを放る。買ってきたものは冷蔵庫に入れておく。
上着を脱いで安酒をグラスに注いだところで、ドアチャイムが鳴った。こんな時間に来るのは一人しかいない。
「はい、どちらさま?」
の質問にも無言。宅急便の最終配達時間帯ぎりぎりでは合ったがその線は消えた。やはり彼女だ。ドアを開けた。
「おかえり」
一言だけこちらに告げ、入ってきた。3件隣の部屋に住む幼馴染兼恋人。手にはありがたいことに3つのタッパー。
「今日帰る日だって言ってたから」
覚えていて、わざわざ夕飯を持ってきてくれたらしい。出張から帰ったばかりの腹と身にはありがたいことこの上ない。
ただ、何時かは分からなかったとのことで、6時ごろにはもう用意しておいてくれたらしい。本当にありがたい。
温め直したい、とのことで電子レンジのほうに向かって行った。その間、自分はカバンから出した洗濯物を洗濯機に押し込んでくる。
…と、「何か」聞こえた気がした。台所から。とりあえず、そちらに向かってみる。
やはり、彼女からの無音の叫びだった。なにやら、口を押さえているが、まな板を見て何故かは分かった。わざわざ、箸休めに明太子を切っていてくれたようである。
…例の、辛さ2倍のを。知らずにつまみ食いしてしまったらしい。
状況を理解したので、対策に移る。グラスに水を入れ渡す、が両手で口を押さえて受け取ってくれない。仕方ないからいったん置いて背中をさすろうとした。
と、途端抱きついてきた。両腕に重みが伝わると同時に、視界も急に塞がった。
…辛い。彼女の舌に残っているだけの唐辛子だけで十分辛い。唇は甘いのに絡む舌に伝わる味は辛い。そのギャップに頭がクラクラする。まさに夢の中にいるような…
やがて、舌から伝わってきた辛さが消え、さらにしばらくして唇同士が離れる。
そして、一言言われた。「口直し」…と。
まずい、かわいすぎる。
…だめだ。変な電波だ。アンテナの設置位置考え直さないと
>>550 受信感度良好。
そのまま受信と発信を続けてくれ。
>>550 受信感度、内容ともに正常かつ良好
続きも是非ともよろしくです
「こいびとどうしですることぜんぶ」の体験版をやってみた
気がついたらいつの間にかソフトを購入していた、びっくり
>>554 俺がいる。今日amazonから届いたんだが・・・
くそっ新手の宣伝か!?
でも期待しちゃう……ビクビク
ナイトウィザード魔法大戦の、真白も素敵な無口っ子だよー、と便乗。
・無口シュール
・無口ヒート
無口シュールは、わりと普遍な気がする。
無口っ子といえば、素直っ子か電波っ子かが二大巨頭と言うイメージだし。
無口ヒートってどんな感じになるんだろう
もともと活発な性格なんだけど
病気や怪我やトラウマ等の外的理由で
無口になってる系かな
無口だけど行動力に富んでると思ってる
男を物陰に引きずり込んで(ry
無口ヒートか…今度書いてみようかな。でも、今のを完成させてからですけど。
そんなこんなで続きを投下します。
続き物なんで前話を読んでいないとアレかもしれませんが…読んでいただければ幸いです。
ガタンゴトン…ガタンゴトン…
数々の電車を乗り継ぎ今の電車に乗ってから数時間。
車窓を流れる風景が町中のそれとは変化してきた。
とはいえこれでやっと全道のりの半分程だ。最低あと二時間は電車に揺られていなければならないだろう。
連休初日というにも関わらず車両内の人は少ない。座席の多くが空席だ。
まぁ行き先が行き先なんだが…
ちらりと俺の肩にこてっと頭をもたれかけて眠っている秋葉の方に目を向ける。
旅の準備で昨日は忙しかったんだろう。秋葉はスースーと可愛い寝息を立てていた。そしてその表情はとても穏やかだ。
それにしても秋葉とこうやって二人で旅行出来るなんて…あの頃からは考えられない。
そう俺と秋葉が初めて出会った六年前からは…
「おい、雪春聞いたかよ?今日転校生が来るらしいぜ」
中学に入学して二ヶ月ほど経ったある日。小学校からの友人――城ヶ崎のぞみが言い出した。
一応言っておくがのぞみは正真正銘の男。
ただその名前と傍目から見たらどう見ても女の子の顔。
今後現在に至るまで初対面で男と見抜いた人はほとんどいなかったが。
それはともかく転校生って母さんが言ってたことだな。
なんでも二件隣の家に引っ越してきた家の娘さんが転入するから仲良くするようにと。詳しくは聞いていないけど。
チャイムが鳴り担任が入ってくると続いて女の子も入ってきた。
背中まで届く黒い長髪。色白なのもあり清楚な印象だった。
正直に言って可愛い娘だと思う。
「みんなと同じクラスになることになった桐山秋葉さんだ。
彼女は家庭の事情で最近引っ越してきたそうだ。仲良くしてやれよ」
担任が紹介すると桐山さんは前に出ておじぎをした。緊張しているんだろうか?表情は堅く無言だった。
「桐山の席はと、おい結城!隣空いてるだろ構わないな」
あれ?結城って俺のことだよな。そういえば俺の隣は端数の分空席だったような…
ふと横を見ると既にそこには桐山さんが座りかけていた。
あぁやっぱり俺の隣か。
とりあえず挨拶しとかないと。そう思い桐山さんに話かける。
「あの桐山さん?」
話かけた瞬間桐山さんの体がビクッとなった気がする。桐山さんがおずおずとこっちを見てきた。
「俺、結城雪春。これから宜しくな、なんかあったら言ってくれれば力になるよ」
「………」
しかし桐山さんは無言だった。さらには睨まれた気がする。
俺は気まずくなり顔を前に戻した。
その日学校で俺たちはお互い話しかけることはなかった。
学校も終わり下駄箱で靴を履き替えているとクイクイと袖を引っ張られた。
誰だろうと振り返るとそこには桐山さんがいた。
「ど、どうしたの?」
「………」
桐山さんは僕に構うことなく靴を履き替えていた。それが終わると一人歩き出す。
「……」
少し歩いて俺がただ立ち尽くしていることに気付いたらしく桐山さんは振り返った。
『一緒に来て』
何故だろう?少なくとも俺にはそう言いたいように見えた。
「もしかして一緒に帰ろうってこと…かな?」
不安たっぷりに俺が聞くと桐山さんは小さく頷いた。
とりあえず俺達は並んで歩き出した。
「………」
「……」
お互い初対面。しかも向こうが極度の無口なため何を話せばいいのか見当がつかない。
ただ黙って歩くだけだった。
しばらくして気まずさに堪えきれず俺は口を開いた。
「桐山さんの好きな食べ物って何?」
もっとマシなことを言えば良かった…言った後で後悔する。
「………」
案の定桐山さんは俺を怪しむ視線を送っている。
とはいえここで引いたら元も子もない。桐山さんの視線に気付かないふりをして俺は話続けた。
「俺はオムライスだな。特に母さんのが美味しくてさ。母さんの作る中で一番かな」
「………」
やっぱりというか桐山さんは無言だった。それにどこか悲しそうな顔をしている。
「ごめん…もしかしてオムライス嫌いだった?」
「………」
桐山さんはただ頭を横に振っただけだった。
またもや二人に沈黙が訪れた。
それから黙々と歩くこと十数分、桐山さんの家の前に到着する。
「じゅあ…また明日」
「………」
桐山さんは軽く頭を下げると家の鍵を開けようとする。
「桐山さんって両親共働き?一人だと大変――」
バタンッ
俺の言葉は桐山さんがドア閉めた音でかき消された。
なんかマズいこと言ったか?ブルーになりながら俺も帰宅した。
翌日、俺達は学校で一度も会話しなかった。いや、むしろ顔すら合わせてくれない状況だった。
放課後今日は一人かと思いながら、靴を履き替えているとクイクイと袖を引っ張られる。
まさかと思い後ろを振り返る、やはり桐山さんだった。
ちなみにその日俺は『また明日』以外は喋らなかった。
学校で口を聞かない、でも帰る時だけは一緒、そんな生活がしばらく続いた。
慣れというのは恐ろしいもので俺の中に沈黙の気まずさというのはなくなっていた。
次第に俺はひとりでに話しかけるようになっていた。
一方的に俺が話かける。桐山さんが黙ってそれを聞く、ただそれだけ。
それでも時が経つと桐山さんは小さく笑ったり頷いたりと反応を見せるようになった。
その内学校でも一緒にいる時間が増えていった。
そんな桐山さんの様子にのぞみもすぐに慣れ俺達三人はつるむことが多くなっていった。
喋ることのない桐山さんが学校で不自由なく生活出来たのはこのためだろう。
二年生の三学期になると桐山さんは欠席することが多くなった。同時にどういう訳か母さんの外出も増えた。
久しぶりの一人での帰宅。家に入っても誰もいない状況。
桐山さんと同じ境遇を味わい少しは気持ちを理解出来たと一人感じた。
「なぁ雪春、桐山さん最近どうしたんだろうな」
ある日の休み時間のぞみが聞いてくる。
「さぁな桐山さんにもなんか事情あるんじゃないの」
「何も聞いてないのか」
「いや聞いたところでどうせ話しちゃくれないって」
「分かんねぇだろ、聞いてみろよ。桐山さんのこと好きなんだろ?」
穏やかな口調でのぞみが言う。
「なんでそんな話になるんだよ」
「違うのか?」
小首をかしげながらのぞみが言う。
「なぁのぞみ…」
「どうした?」
「そのポーズだと余計に女の子っぽいぞ」
「てめぇ…俺を怒らせたいのかよ」
呆れた感じでのぞみはため息をついた。
家に帰ってからのぞみとのやり取り思い出す。
確かに俺は桐山さんに好意を持っている、もしかしたらそれ以上かもしれない。
けど相手の気持ちが分からない。一体俺のことをどう思っているのか。
いや、それ以前に普段何を考えているのかさえ分からない。
「だって桐山さんが何も喋ってくれないからな…」
ベッドの上で俺は一人呟いた。
三年生になっても桐山さんの欠席は減らなかった。また俺も相変わらずその理由を聞けないでいた。
途中何度か聞こうとは思った。でもいざとなるとなかなか口が開かなかった。
心のどこかで何かを恐れていたのかもしれない。
ある日のことだった。
トゥルルルルル
夕食も終わった頃一本の電話が鳴った。
「はい、もしもし?」
こんな時間に誰だろうか?母さんの顔もどことなく険しい。
「はい…そうですか…分かりました夜遅くにお世話様です…」
力無く母さんは言うと電話を切った。
「どうしたの?」
普段見ることのない暗い母さんの表情にたまらず口を開いた。
「私の高校生の頃からの友達がね…亡くなったのよ…」
「え?それは……その…母さん大丈夫?」
「ええ、私は大丈夫よ。ありがとう」
口ではそう言うものの母さんは辛そうだった。
次の日も桐山さんは学校に来なかった。
とうとう俺はのぞみと二人で桐山さんのことを担任に聞いてみることにした。
「お前達は桐山からは何も聞いていないのか?」
その問いに対し二人して首を横に振る。
「桐山のお母さんは前々からお身体が良くなくてな」
担任は一息ついてから再び口を開いた。
『昨日の晩亡くなったそうだ…』
その場に二人を残し俺は急いで家へ帰った。
「母さん!!」
「あらあら、お帰りなさい雪春。どうしたの慌てちゃって」
「昨日亡くなった母さんの友達ってまさか!」
そこまで聞くと母さんは落ち着いた表情で言った。
「そう、秋葉ちゃんのお母さんのことよ」
俺の最悪の予想は的中した。
「なんで…なんで今まで教えてくれなかったんだよ!!」
感情が溢れ俺は母さんを怒鳴りつける。とはいえその怒りはむしろ自分自身へと向けたものだった。
「雪春には余計な感情を持たないで接してもらいたかったの」
やや間を空けてから母さんはなだめるように言う。
「雪春は優しい子だから意識しちゃうんじゃないかと思ってね…」
俺は黙って母さんの話を聞いていた。
「でもね雪春、あなたからも分かってあげないと…」
この母さんの一言が心に響いた。
そうだ今まで桐山さんが話してくれなかったんじゃない。俺が分かろうとしなかったんだ。
彼女が何も言わなくとも…いや、だからこそ俺が聞いてあげなきゃいけなかったんだ。
「俺…これからどうすればいい?」
気付けば涙が流れていた。久しぶりの涙だった。
フワッ
母さんが近づいてきたと思うと抱きしめられていた。
「しっかりお話ししてきなさい。雪春の素直な気持ちを伝えればいいわ」
俺を抱き締めながら母さんは穏やかな口調で諭すように言った。
「それに二人は若いんだしまだまだこれからよ」
優しく微笑みながら母さんは言った。
「母さん、少し出かけてくる」
涙を拭いながら俺は言った。
「はいはい、いってらっしゃい。あ、それと秋葉ちゃん連れてきてね。家で一緒にご飯にしましょ」
家を出て桐山さんの家の前に立つ。
意を決してインターホンを押した。
向こうからは何も聞こえてこない。が構わず俺は言った。
「あの、桐山さん?結城だけど…話があるんだ。開けてもらえないかな?」
少しするとそっとドアが開いた。どうやら聞こえていたらしい。
俺は二階の桐山さんの部屋へと案内された。
思えば女の子の部屋へ入るのは初めてだったがこの時はそれ所ではなかった。
「あの、桐山さん…本当にゴメン」
ベッドに座っていた桐山さんに対して俺は立ったまま深々と頭を下げた。
「俺…桐山さんのこと何も知らなかった…知ろうともしてなかった、どれだけ辛い思いをしてたか気付けなかった…」
桐山さんはただ黙って話を聞いていた。
「これからは俺がちゃんと気付いてあげるから…たがら俺と…」
一息ついて俺は桐山さんの目を真っ直ぐ見ながら続けた。
「桐山さん、これからも俺と一緒にいて貰えないかな…?」
しばしの沈黙
やっぱり駄目かと思い再び口を開こうとした時だった。
「……秋葉」
桐山さんが呟いた。
「え?」
「………一緒にいたいなら秋葉って呼んで…『雪春』」
初めて聞く桐山さんのはっきりとした声。それはとても澄んだ綺麗な声だった。
「……ねぇ雪春」
「分かったよ、あ、秋葉」
名前で呼び会うのがこんな恥ずかしいとは思っていなかった。
顔が熱くなるのを感じる。
「……ありがとう…これからもよろしくね…」
桐山さ――いや秋葉はそう言うとにっこり笑った。とはいえその目は赤く腫れていた。
「大丈夫か?他になんかして欲しいことある」
秋葉は少し考えてから口を開いた。
「……髪結んで」
「髪?」
机の引き出しを開けると少し古びたリボンを渡してきた。
「でも俺やったことないんだけど…どんな風に結べばいいんだ?」
「……任せる」
任せると言われても…
しょうがないからポニーテールに結ぶことにする。
女の子の髪型なんてお団子がポニーテールか二つ結びくらいしか知らないのだから必然ではあった。
「……ありがと」
秋葉は嬉しそうに言う。
「……まだお願いあるんだけど」
秋葉が続ける。
「……学校行く時も一緒がいい」
「分かった。明日からな」
「…あと高校も一緒がいい」
「俺でよかったら」
「……あと…」
そこまで言って秋葉が口ごもった。
「ん?なんだよ」
「………ギュッてして」
そう言うと秋葉は顔を真っ赤にして俯く。
「い、いいのか」
思わず声がうわずった。
「………」
秋葉はただコクリと頷く。
意を決して俺は秋葉を抱き締めた。身長も大して違わないはずなのに秋葉は小さく感じた。
「…へへ……ありがとう」
照れを隠すかのように秋葉がはにかんだ。
「………目つぶって…」
俺の腕の中で秋葉が言う。
「なんでさ?」
「……いいから」
秋葉ってこんなに喋る人だったんだなと思いながら言われた通りにする。
『チュッ』
柔らかい何かが唇に触れたのを感じたと同時にそういう音がした。
「……大好き」
「な、な、なな?」
ダメだ、人生史上初のキスと告白に頭の中がオーバーヒートしている。
どう反応すればいいのか分からないし頭が正常に働いているのかもよく分かっていなかった。
「お、俺だって好きだから。」
パニック状態の中で言えたのはそれだけだった。
「…ありがとう…でも…ちょっと苦しい」
ハッとして秋葉を見る。どうやら気付かない内に強く抱き締めすぎていたらしい。
俺は慌てて秋葉から離れた。
秋葉から離れてようやく俺も落ち着きを取り戻す。
「なぁ秋葉、俺からも一つお願いしていいか?」
「…?」
「俺と付き合ってもらえないかな?」
今更という気もするがケジメはケジメ。今度は俺が生まれて初めての告白をした。
「…………い…いよ」
小さな声でそれだけ言うと秋葉は泣き出してしまった。
俺は自然と秋葉の体を再び抱き締めていた。そして優しく頭を撫でる。
「……本、当は…お、お母さんに…会わせたかった…」
今まで我慢していたのだろう。泣きじゃくりながら秋葉は途切れ途切れに言った。
「本当にごめんな…これからはずっと一緒にいてやるから」
嗚咽を漏らす秋葉の背中をトントンと叩きながら耳元で囁いた。
「……今のプロポーズみたい」
しばしの時が過ぎ泣き止んだ秋葉は顔をあげて口を開いた。
「い、いや別に深い意味は無かったんだけど」
「……違うのか」
そう呟く秋葉は少しがっかりしていた。
秋葉が涙を拭き終わってから俺達は我が家へと行った。
「あらあら、お帰り雪春、いらっしゃい秋葉ちゃん」
玄関で母さんが笑顔で出迎えてくれる。
「どうやらちゃんと話し合えたみたいね」
俺達の顔を交互に見比べながら母さんが言った。
「秋葉ちゃん、雪春のことお願いね。多分この子女の子の扱い方知らないから」
夕食の席で母さんが急に言い出す。本人の前で何てことを言い出すんだか…
「……わかった」
秋葉も普通に答えてるし…
「雪春も優しくしなさいよ。特に女の子にとって初エッチは大切なんだから」
「…………」
「…………」
この母さんの言葉に俺達は凍り付いた。
当の本人は気にすることもなくただ微笑んでいた。
「あのさ母さん、そういうことって普通子供の前で言わないと思うけど…」
「あら、そう?でも二人は付き合うことにしたんだしいいじゃない」
少しも気にかけることなく母さんはのほほんと穏やかな口調で言った。
「なんで付き合うこと知ってるのさ?」
「それくらい二人を見れば分かるわよ」
表情を変えずに母さんは言う。
横では秋葉が顔を真っ赤にして俯いていた。
「じゃあまた明日の朝な」
夕食も終わり秋葉を家の前まで見送る。
「一人で大丈夫か?」
「………うん、明日になれば会えるから」
母さんは家に泊まっていくことを提案したけど、家はすぐ近くということで秋葉は断った。
「………」
ちょいちょい秋葉が手招きする。
なんだろう思い近づくとそっと耳打ちされた。
「………雪春は私とエッチしたいの?」
秋葉まで一体どうしたんだ?早くも母さんに影響されているようだ。
「したくないって言ったら嘘になるけど、焦らなくても秋葉に任せるから」
「……雪春だったらいつでもいいよ」
涼しい顔で答える秋葉に俺の方が恥ずかしくなった。
「…………おやすみ」
「ああ、おやすみ」
最後にそれだけ言葉を交わすと秋葉は家の中へと入っていった。
「あれから色々あったな…」
あの時から三年。とにかく濃い三年間だった。
「……ん…ふぁぁあ」
眠っていた秋葉が可愛くあくびをして起き出した。
「………どこ?」
「どこって言われてもな…あと三十分くらいの所だよ」
「………ずっと起きてたの?」
自分だけが寝ていて悪いと思ったのか、申し訳なさそうに聞いてくる。
「まぁな、秋葉と出会った時のこと思い出してた」
「…変態……」
「は、何でだよ?」
秋葉の言う変態はいつもタイミングがおかしい気がする。
「……へへ…何となく」
笑いながら秋葉は言った。
『――間もなく……霊園前……霊園前お出口は左側に――』
車内アナウンスがかかる。
いよいよか…
二人の長い列車の旅が終わろうとしていた。
はい…今回はここまでです。
次かその次で完結となるかと思います。
既に執筆に入っているのあまり時間空けずに投下できるかもしれません。
ではまた。
GJ!
ちょっと展開が急な気もするが、後半の甘々な感じは良かった!
「こいびとどうしですることぜんぶ」体験版の途中までだけで相当に甘いんだが。
製品版の甘さってどれぐらい?
>>572 体験版がどの辺りまでで終わるか解らんが、あるイベント過ぎると、物凄く甘えっ娘レベルUPする
>>572 作中でよく言われる台詞が「前よりももっともっと好きになっていく」
>>572>>574-575 こういうこと言いたくないけど、職人さんの作品に、少しでいいから敬意をはらう気にはなれないかい?
せめて今日のうちは我慢しようよ。
まあまあ、それだけ魅力的な無口っ子が世界には溢れてるってことで。
>>571 GJ!!てっきり幼馴染なのかと勘違いしとりました。
中学からだってのにこんな甘々だとは…!!
>>571 GJGJGJ!!
出会いと告白と最後のところと
距離感の近づき方が最高だ!
「と、言うわけで今日からこの工藤も俺たちのグループに入れようと思う!」
お昼休み。
僕らがいつのもの面々で(内訳は僕と綾、護と姫萩さん、それから公平)じゃあいつもみたいに皆で
お昼にしようかー、ってタイミングで、公平が工藤さんを引っ張ってきて唐突にそう宣言した。
今言った通り「唐突に」なんで、何が「と、言うわけで」なんだかはさっぱり判らない。
判らないけど、公平の突拍子のない言動はいつものことだし、それに工藤さんがらみの話となれば、
ここのところずっと話しかけてた公平の努力が多分なんかの形で報われたんだろうな、
という察しはついたので、反対するつもりはなかった。
「うん、いいと思うよ」
「私も。よろしくね、工藤さん」
姫萩さんも賛成し、その隣で護も無言でしっかりと頷く。綾は、僕が手に持ったお弁当から片時も
眼を離さないで無言だけど、まぁ嫌なときには嫌っぽく反応するからOKなんだろう。
……ついでに言うと。
一緒に行動する事が多い僕と綾、実は付き合ってる護と姫萩さんと言う組み合わせで、
残る公平は肩身が狭かったんじゃないか……と思うのは邪推にしても、どうしても
僕たちの中であぶれがちになる公平の事を心苦しく思ってたのも確かで。
……野球部に入ってる護が昼練に行く日なんかは姫萩さんもそっちに行くようになって、
残りが三人となると、公平は決まって別行動を取ってたしなぁ。
そこに工藤さんが加入してくれたら、まぁバランスはよくなるんじゃないかなぁ、とかも
思ったりもしてたり。
そんな意味合いも差し引いても、単純にお昼を一緒に仲間が増えるのは大歓迎、なんだけど……。
「………………」
肝心の工藤さん本人が、ずっと俯いたままのこの調子なのはどうしたものだろうね……?
当の本人、ここに引き出されるのは承知のうえって訳でもなく、例によって公平に
事前説明もなく引っ張ってこられたって所かな。
「工藤はいつもご覧のとおりでさ……だから、人前で話したりなんかリアクションが
苦手だったんだとさ」
そんな工藤さんの様子をさすがに見かねた公平が、事情を話し出す。
「つまり、俺のギャグが受けなかったわけじゃないんだ!」
「それは置いておいて」
「置いておくなー!」
「要するに、工藤さんはすごく上がり症だから、こうしてちょっとずつ慣れていこうってことだね」
「そう、そういうこと!」
いつも突拍子もない行動ばかりの困った公平だけど、こういう気遣いも出来るあたりが憎めない。
改めて工藤さんを見る。
背は小柄で、しかも俯き加減だからさらに小さく見える。
特徴的なのは顔を隠すように伸ばされた前髪で、おかげで表情はほとんど判らない。
まぁ今は、赤面してるんだろうなってのは想像つくんだけど。
印象としては、怯える小動物ってカンジ。
「しかし、何をそんなに怯えてるんだ? 別に怒りゃしないから、言いたいことがあるなら言うといい」
ずっと腕組みして黙ってた護が、低い声でそう言う。なんでも言いたいことはズパッと言うタイプの
護には、工藤さんの態度は本気で不可解なんだろう。
でも、それを聞いた工藤さんは、ますます身を縮みこませた。
「……どうしたんだ、工藤?」
小首をかしげてさらに問いかける護から、工藤さんが一歩後ずさる。
公平が、あちゃーと言う風に手で顔を覆った。
「はいはい石橋くん、そこまでそこまで。工藤さん怯えてるでしょ」
そんな護を、苦笑いしながら姫萩さんが押し留めた。
「いや、別に俺は……」
護は言いながら、でも語尾は自信なさげに尻すぼみに消えていく。
その表情は、何処か憮然と言うか、傷ついてるようだ。
180cm近い身長に、がっしりした体型。いつも口をへの字に結んでむすっとした表情の護だけど、
別に不機嫌なわけでもなんでもない。単に、いつもそんな感じなだけだ。
たしかにとっつきにくい所もあるしちょっと歯に衣着せない発言に辟易することもあるけど、
根は間違いなくいい奴だ。
でもその外見は、知らない人から見たらちょっと怖いだろうってのも確かだし、その護から低い声で
ああいう聞かれ方をしたら怒られてると勘違いしてしまうのも仕方ない。
そういえば少し前に、買い物してたら泣いてる迷子がいたんで話しかけたら、さらに泣かれたって
こぼしてたなぁ……。
結局一緒にいた姫萩さんがあやして丸く収まったそうだけど、それを聞いて公平が「休みに仲良く
二人で買い物かよ、けっ!」とやさぐれ始めて、そこに護が「なにか問題が? 二人で買い物くらい、
こいつ等だってしてるだろう」と僕と綾を差しつつ真顔で答え、急に話を振られた僕もついうっかり
勢いでそこで頷いちゃったから、その後公平が教室の隅でずっと体育座りでいじけて大変だった。
いやまぁそれはどうでもよくて。
僕は工藤さんから護を隠すような立ち居地に移動してにっこりと笑いかける。
「護の言う事は気にしないでいいからね。一見怖そうだけど、何も考えてないからさ」
「千春、お前なぁ……」
後ろで護が不満げな声を上げたけど、ここは無視。
「知ってると思うけど、一応改めて自己紹介しておくね。僕は斉藤千春。好きな風に呼んでくれていいから」
「……………………」
反応なし。
うーん……精一杯人当たりのいい表情を浮かべたつもりだったんだけど、ダメだった見たい。このメンバーの
中じゃあ、見た目の人畜無害さには結構自信があったんだけどなぁ(自分で言うのもなんだけど)。
わりと凹む。
この空気に果敢に何度も立ち向かった公平はすごいなぁ。
しかし、この情況……なんか昔を思い出す。
ちらりと横目で見てみると、姫萩さんも同じ思いだったらしく、懐かしがってるような困ってるような、
なんだか複雑そうな苦笑いを浮かべていた。
そういえば、もう一人の当事者の綾はどうしたろう?
さっきから無言だけど、もうご飯が待ちきれなくなってるかな、と思って探してみたら……
綾はいつの間にかこっそりと、工藤さんの背後に音もなく忍び寄っていた。
えと? 綾、一体何を? と思って声をかけることも出来ずにいると、綾は工藤さんの背後から手を伸ばして。
工藤さんの胸を、揉みしだき始めた。
……………………って、ちょ、綾一体何してんの!
恥ずかしながら、この時に僕は「止めるべきだ」と考えることすらできなかった。
それくらいに、綾の突然の行動に意表をつかれていたし……
それ以上に、目の前の光景に眼を奪われていたんだ。
だって……
も の す ご く で っ か い ん だ も ん 、 工 藤 さ ん の 胸 !
今までずっと俯き加減だったから気付かなかったけど、綾に抱きつかれて胸をそらし、さらには
もみしだかれて突き出されることで白日の元に晒されたそのボリュームと来たら、綾の手の平から
零れ落ちそうなくらいだった。
で。
それが、綾に弄ばれて四方八方に動き回る光景と来たら……
決して……決して! やましい気持ちなんてこれっぽっちもなくったっても!
それでも、眼が離せないこの気持ち……
わ、わかるよね?!
判ってくれるよね?!
って、僕は一体誰に言い訳してるんだー?!
「……あっ……だめ……やっ……!」
「……!」
工藤さんの口から、ささやかな悲鳴が聞こえてくるようになって僕はようやく我に返り、慌てて
工藤さんから目を逸らした。
頬がかーーーっと熱くなるのを感じる。
視界の隅では姫萩さんも真っ赤になりながら、護の眼をふさいでいた。
「すげぇなぁ……人間の身体って、あんなに縦横無尽に跳ね回れるものなんだなぁ……まさに生命の神秘……」
しみじみとした声は、公平のもの。どうやらアイツはガン見らしい。
うん、あとで殴ろう。
しばらくして、綾はようやく工藤さんを解放した。
工藤さん、床にへたり込んで荒い息をつきながら、自分の胸を隠すように肩を抱いている。
前髪でよく見えないけど、多分顔は真っ赤で涙目になってるんじゃないかな。
そんな工藤さんを、姫萩さんが寄り添ってよしよしと慰めている。
そして、当の加害者たる綾はと言えば。
「………………………………」
なにやら球形に沿った形にした自分の手の平を時々わきわきとうごかしながら、綾にしては深刻な表情で
それを凝視していた。
綾……その手は止めて、生々しいから。
あと、その手を自分の胸にあてがって比べるのも禁止!
「綾……なんであんなことしたのさ」
あんなこと、を思い出してしまって赤面しながら、僕は綾を問いただす。
綾は手の平から顔を挙げて、僕の顔を少し見つめてから、不意に小首をかしげて、こう答えた。
「…………なんとなく?」
……そうですか。つまりこの件は追求しても無駄ってことですね。
僕はため息をついて、とにかく綾を工藤さんに謝らせようと口を開きかける……
が、それより先に綾はふらりと歩き出し、まだ姫萩さんに抱えられてる工藤さんに右手をすっと差し出した。
「ボク、綾。よろしく」
「………………………………」
工藤さんは少し顔を上げて、無言のままで綾の顔と差し出された手を見比べる。
どうやら、反応に困ってるらしい。
「………………………………」
そして綾は、綾にしては辛抱強く、手を差し出したままで工藤さんの反応を待っている。
なんとなく、固唾を呑んで成り行きを見守ってしまう僕ら。
「………………………………」
「………………………………」
共に無言、なんとなく高まる緊張。いつまで続くかと思った沈黙を破ったのは……やっぱり、
飽きっぽい綾の方だった。
「………反応しないと、Dカップって呼ぶ」
「香奈です、工藤香奈!」
悲鳴のような、泣きそうなで叫んで、綾の手を握る工藤さん。合掌。
「ん」
綾は、そんな工藤さんの様子を気にした風もなく握られた手を確かめるように軽く上下に揺すると、
あっさりと手を離して自分の席に戻り、いつのまにやら僕の手から奪取したお弁当を広げ始める。
「……綾ちゃん、相変わらず読めない子ねぇ」
しみじみと呟いた姫萩さんの言葉に、僕ら全員深く頷いたのだった……。
「まぁ、それはともかくとして、ね」
とりあえずペースを戻そうと、僕は勤めて明るく言ってみる。
そして、改めて工藤さんに向き直って。
「これからよろしくね、工藤さん」
「………………………………」
しばらく、僕の顔を凝視(多分)していた工藤さんだったけど……やがて小さく、でも確かに
頷いてくれたのだった。
それにしても、Dカップかぁ………………。
「……………………(かぷ)」
「って綾、痛い痛い痛いから!」
584 :
オマケ。:2008/06/11(水) 21:35:53 ID:S0iVjrmD
<おまけ:各キャラのサイズ比>
護:180cm近い。がっしりしてる。
公平:男子平均よりやや上。細身のチャラ男。
千春:男子平均よりやや下、綾と同じくらい。線も細い。
綾:女子平均より上、千春と同じくらい。スレンダー。AA。
知恵センセ:綾よりも僅かに上。栄養は全部脳味噌に行った。Bに近いA。
姫萩さん:女子平均よりやや下。すこしぽっちゃり。B。
香奈:姫萩さんよりさらに下。ロリ巨乳。D。
一番乗りか?
それはともかくGJなんだぜ
GJ
手のひら凝視する綾にハゲワラw
587 :
名無しさん@ピンキー:2008/06/12(木) 02:36:21 ID:OiIFjqR6
GJ
gjです
続きがくるまで裸ネクタイで待つ
GJ
オマケで綾がAAなのを確認して二度ニヤニヤさせてもらったぜ
みんな無口になっちゃったね(´・ω・`)
hosyu
ここは一月保守しなくても落ちないから安心汁
593 :
名無しさん@ピンキー:2008/06/15(日) 05:50:49 ID:QMUpjD7E
……ちゃーはんたべたいです…
どなたか、このお嬢さんにありったけのチャーハンを!!
……わたしが…つくって…あげるね…
>>593-595 「てつだって」
じっと見つめて俺に訴えてくる乙音(おとね)。
「いかないで……」
裾を掴んで俺の体を離さない琴音(ことね)。
「……」
「──」
互いの視線をぶつける両者。しかし力関係は歴然だ。
双子の姉──乙音の強い視線が妹──琴音をたじろがせている。
「……」
「……」
「……」
「……うう」
泣きそうになる琴音。
少しかわいそうに思ったので、俺は間に割って入る。
「ケンカすんなよー。琴音、ちょっと待ってろ。すぐにチャーハン作るから」
「……」
少しだけ顔が明るくなったが、すぐにまたうつ向く。
「なんだ? 仲間外れが嫌とか?」
こくりと頷く琴音。
「琴ちゃん」
乙音が妹を優しく呼ぶ。
「大丈夫。抜け駆けしないから」
「……ホント?」
頷く乙音。
琴音の顔が花のように綺麗に咲いた。
やり取りの意味がわからない。抜け駆けってなんだ?
俺が首を傾げていると、双子がこちらをじっと見つめてきた。
「な、なんだよ」
二人の顔は鏡のようにそっくりだ。
さらには西洋人形のように綺麗な顔立ちをしているので、俺は照れ臭くなって顔を逸らした。
普段は意識してないが、改めて見ると二人の可愛さがはっきり窺えてくるために。
二人は顔を見合わせて、にっこり笑い合った。
そして、
「亮介」
「亮介さん」
二人同時に俺の腕に抱きついてきた。
体の柔らかさにうろたえそうになるが、しかしよく見たらこれは抱きつくというより、
「……俺を拘束してどうするつもりだ」
「……」
「……」
「いや、二人だけでアイコンタクトするなよ。説明しろ」
すると乙音が、続けて琴音が口を開いた。
「三人で」
「いっしょに」
「作ろうってか?」
元気に頷く双子。
さっきまでの険悪な雰囲気はない。この二人、基本的に仲は良いのだ。
たまに、さっきのような対立を見せるけど。なぜか俺のいるときに限って。
まあ仲直りしたならそれでいい。
「よし、じゃあ仲良く三人で作るか」
二人はにっこりと同じ笑顔を見せた。
>596
キタレコ
ところで続きは??
このスレは「やっちゃうエロSS」だぞ!?
つまり、仲良く三人で子作りですねわかります
双子丼オカズにチャーハンですね。わかります。
>>596 。 ,、 ,、
゚。・。 ,ヽ ┬'ノ、
゚・゚。 (@)`・lYl・) たったひとつの返しをこぼし
ヽニニフ━⊂ ▽ o 作り直した不潔な炒飯
ει' l\ l\ 鉄のニニフで炒めてこぼす
( (@)・ω・) チャハーンが乙せねば誰がやる
ノ,ノーノ_ノ-ノノ
。・ 。・
。・ 。・゚・
。・ 。・゚・。・゚・
。・ 。・゚・ 。・゚・
。・ 。・゚・ 。・゚・。・゚・
__ 。・ 。・゚・。・゚・。・゚・ 。・゚・。・゚・
| .| 。・ 。・゚・。・゚・ 。・゚・。・゚・ 。・゚・ 。・゚・
|.______| 。・ 。・゚・。。・゚・。・゚・。・゚・。・゚・。・゚・゚ ・。・゚・。・゚。・゚・
ミ,,゜Д゜彡 。・゚・。・゚・。・゚・。・゚・。・゚・。・゚・。・゚・。・゚・。・゚・ 。・゚・。・゚・。・
/ o━ヽニニニニニニニニニニニニニニニニニニフ))
しー-J
(かみかみ)……(ごく)…のど……(はむ)…かはひほう…(かみかみ)…
おぜうさん のどが かわいたのかい ?
おぢさん が カルピス を いれてあげよう !
おぢさん の カルピス だよ !
>>602 __
| .|
|.______|
ミ,,゜Д゜彡
/ つ旦
しー-J
オラ→威力の低さを補うためブースト回数増える→EXコンセ無理→腹持ちはいいが積み枚数多くできず瞬間火力低
ワイスマ→元々威力あるのでブーストはピンポイントでおk→EXコンセ投入→4柿or2柿ヴァルスト柿にできるので威力抜群
なんだよこの扱いの差は…ち…ちくしょう…!(ドカァン)
あれ…なんでここに書いてんだ俺
死んでくる
………………。
ぎゅっ
抱き着いた状態からコブラツイストで愛情表現ですね
>>605 Dで無口を演じてもただのチャット拒否な社交性のない人扱いだから困る
無口な格闘っ娘もいいよね
>>610 俺の彼女はストイックグラップラーか。
どうでもいいが、グラップラー刃牙って全然グラップリングしてないよな。
……どうでもいいな。
初めまして、
自分が昔書いたものの、書き直しをちょっと乗っけます。
「全く簡単な物ね」 女子キックボクシング世界チャンピオン 二階堂レイナは、
反対側のコーナーに立つ少女を見つめる。
高木ワカバ
レイナより頭一つ分低い小柄な少女、
そんな娘が、L−1グランプリの頂点に君臨しているというのだ。
じっと下を向き、大人しめな印象を与える少女。
記者会見の場でも、
「……がんばり……ます」
しか言わず、大部分は付き人が代弁している。
それに比べ、
「それに比べて私には華がある」
一撃必殺のハイ・キック。
ド派手な入場。
そして、観客を引き込む、マイクアピール。
「私こそが、頂点にふさわしい」
目の前の少女は地味な関節技を駆使し、
一般客はいつ決まったのかもわからない。
( スポンサーも、プロデューサーも、
あんな地味な子より私が頂点に立ったほうが、数がとれて、
大喜びするだろう )
「おい、レイナ、油断するなよ!!」
「平気だって、相手は柔術家でしょ?
関節を取りにきた所に蹴りを当てて終わり、簡単よ」
( セコンドもなにを心配してるんだか )
カーン
試合開始のゴングが鳴り、
ゴングと同時に、両者が飛び出し、
凄まじい打撃を受けて、
レイナはマットに沈んだ。
若葉は、普段なら掴みに行く踏み込みの早さで、
そのまま右フックを放った。
体制を低く取り、大きく振りかぶるようなそのフックは、
俗に『ロシアンフック』とも呼ばれ、
打撃を警戒していなかったレイナは
それをもろに顎に受けたのだった。
普段なら、ここで倒れた相手を寝技で仕留めにいくワカバだが、
レフリーにカウントを要請する。
ワン、ツウー、スリー、
カウントが進むがレイナはぴくりとも動かない。
ナイン! テン!
「ホント、……簡単な……試合」
失神したレイナを見つめ、
ワカバはぽそりとつぶやいた。
終わりです、短くてすいません。
しかもエロ無いし
もし良ければ、ちょっとHな場面とか、
また書きに来るかもです。
ではでは〜。
>>615 ワカバすげえ。女子でロシアンフックか
打撃のできるフジメグみたいな感じかな。レイナは渡辺久江
てか、ワカバわざと無口キャラ演じてるのか?策士すぎるだろ
>>611 あの人グラップリング描かないよねw
>>615 GJ
「、」の数が多いのが私的に気になったけど良かった。
エロ有りに期待
アナリストと聞いて顔を赤らめる無口痴女という電波が
フルハウスだかアルフでそんなネタがあったな。
とりあえず、続きができました。
楽しんでいただければ嬉しいです。
「気が……ついた?」
「うわあ!!」
レイナは驚きとともに飛び起きる。
「あ、なんであんたがここに居んの?」
「しんぱい……だった……から」
レイナをじっと見つめて、ワカバはぽそりとつぶやく。
「そう、ありがとう」
とりあえず礼を言うと
―― こくり ――
黙ってうなずくワカバ。
「でぇ!! あんたいつまでいるの!!」
1時間近く無言で見つめあうことに我慢できなくなった、
レイナはついにぶちぎれる。
―― びくっ!! ―― 脅かされたハムスターのように身を震わせると、
半泣きでワカバはレイナを見つめる。
「…わりい、謝る」
プルプルと震えるワカバに優しく近づくとグシグシと頭をなでる。
「たっ、く、あんた、L−1最強の王者なんだろ? プルプルと
ハムみたいに震えてんなよ」
―― フルフル ―― それを聞き頭を振るワカバ。
―― フルフル ―― それを聞き頭を振るワカバ。
「わたし……最強……じゃない」
「へえ、でも今のL−1じゃああんたに勝てる奴いないんだろ?」
―― コクリ ―― その問いにはうなずく。
「じゃあ――」
そう言いかけると、
「無敗と……最強は……別」
「?? 同じ、だろ」
首をかしげるレイナ。
それを聞き驚きで目を見開くワカバ。
やや考えた後、ごそごそと自分のカバンから、
リンゴとバナナを取り出し、レイナの前に置く。
「?? どういうことだ?」
「……ちがった」
ぽそりとつぶやくと、カバンに戻す。
「おい!!」
「人に説明するの……たいへん」
そう言うとカバンよりバナナを取り出し、
またカバンの中にしまい込む。
「私はゴリラか!? もういいよ」
手で追い払うような仕草押して不毛な説明を中止させる。
「たく、バナナばっかり持って、お前結構エロイんじゃね?」
レイナがそういった瞬間、ワカバは耳まで赤くなる。
―― 栗と、子リス ―― ジタバタ。
―― 近藤向かって来いよ ―― おたおた。
―― 証券アナリスト JBL ―― わたわた。
―― ヤッターマン、コヒー、ライター ―― ばたばた。
( こいつ超おもしれぇ )
必死にワカバが耳をふさごうとするのを邪魔しながら、
小学生レベルの悪戯をする女子キックボクシング王者。
「なあ、お前もしかして、処女?」
ボ!!!! ワカバの恥ずかしメーターはいっきにMAXを超える。
ぽて。
そのまま今度は彼女が前のめりに倒れ込んだ。
ぺちゃ、ぺちゃ、ぺちゃ。
「ん、ん、ぅぅ」
奇妙な感覚にとらわれ、ワカバが目を開けると。
「あ、おはよう、先イタダイテルヨ」
レイナがワカバの体を舐めていた。
「い……や……」
「お、ビショビショ、これがほんとの美少女、なんつて」
シーン、あたりに静寂を走らせる、
最も今ここには二人しかいないわけだが。
「よし、じゃあこの濡れてグシャグシャのサポーターも脱いじゃうか」
「だ……め」
脱がされないように抑えていた両手を簡単に振り払うと、
そのまま、するすると器用に脱がしてゆく。
「やめ……て」
「却下です」
か細いワカバの意見を却下すると、
チュプ。
ワカバの大事な女の子の部分に指を差し込んだ。
「は! ……あ、うぅぅ」
「やっば、めちゃめちゃ、かわいいわ、しかしあんた胸ないな」
「ぅぅ……」
両手で握りこぶしを作りながら、
必死にレイナの攻めに耐えているワカバ。
「へへへ、こりゃ、第二ラウンドはいただきかな」
そう言いながらワカバのキツキツの部分を
指でねっとりと攪拌し続ける。
「あ、あう、あうう」
ワカバから声が漏れるたびに、蜜がとろとろと零れてくる。
「うへへ、たまりませんな―奥さん」
完全に親父丸出しの、美少女キックボクサーは
嬉しそうに目の前の少女をいじめ続ける。
「あんた寝技が得意なんじゃなかったの?」
そう言いながら意地悪な人差し指は攻撃の手を緩めない。
「は、はぅぅ、はぅぅ」
首を左右に振りながら拳をぎゅぅっと握り締め続けるワカバ。
レイナはある程度責めると、休み、
ワカバの力が抜けたのを見計らい攻める、を繰り返した。
「お、おね、やめ……」
「ん? おねえさまやめないで? 勿論止めません!!」
ヴィヴィヴィヴィ、先ほどよりさらに激しく、ワカバのいぢめるレイナ。
「ち、ちが、あああぁぁぁ」
「ええのんか? ここがええノンか? ん? ん?」
いまどき三流Vシネマでも言わないようなことを平気で口にして、
ワカバを攻め立てる。
「あんたさぁ、すっげぇペタン娘だけど、あれか?
空気抵抗とか減らすためにわざとペタンにしてるの?」
右手でつぼを混ぜながら、
左手で、ポッチを弄繰り回す。
「あ、ああ、だ、だめ、さわるの……だめ」
体を左右にゆすりながら体全体でギブアップが近いことを宣言するワカバ。
「幾らあんたが無口でも、逝く時ぐらい、逝くっていいなよ」
「ぅうう、だ、いや、あ、ああ、逝く逝く!」
激しいレイナの指使いと言葉攻めの前に、遂にワカバは
決して試合では言うことがなかった、ギブアップを告げた。
「いえーい、ペタン娘制圧完了!!」
ハア、ハア、と荒い息を吐く少女を目の前に
レイナは腰に手を当ててVサインを作る。
「まけて……ないもん」
ぽそり、ワカバがつぶやくのを聞き、
「ん? じゃあこのまま、第二ラウンド逝く?」
すい、掴みかかろうとした手を避けながらフルフルとワカバは首を振る。
「だめ……いま……さわらないで」
「へへ、まぁ、いいや、気も済んだし、次は油断しないからね」
すっと右手で拳を作りワカバの前に出す。
「うん……まってる……リングで」
こつん、ワカバはこぶしを当てて、
誓い合い
この後起こる悲劇も知らずに
二人同時に笑った。
終わり
ありがとうございました。
昔書いたものの改変ですので。
これにて終了でございます
ワカバ可愛えぇなぁ
にしても一時間てw レイナ我慢強いな
ともあれGJ!GJ!
GJですた
続きをワクテカして待ってます
・黒魔術系無口さん
・おまじない系無口さん
・占い系無口さん
>>629 ・占い系無口さん
何やってんだかよくわからない部活の代名詞、如何にも怪しげなオカルト研究会だが、副会長の
占いだけは恐ろしいほどよくあたる。
という評判なので、占ってもらうことにした。件の副部長・砂原詩織と西村進一郎とは、実は
同じ小学校出身の幼なじみだったりするのである。中学高校は別だったのだが、大学で再会したのだ。
「一回三百円だっけ」
「ぇ……………ぇ、えぇぇっ」
放課後暇になったので行ってみると、小銭と顔とを見比べて驚かれた。なんでだ。
「ほら早くやれ早くそれ早く」
「あ…………は、はぃ……」
ちゃらちゃらと小銭を受け取り(収入は部費の足しにしているそうだ)、戸惑いがちに返事を
する。
しばらく待つと、はじまった。
「……………………ぃ」
「い?」
「いっ……いいことが……あると、思います」
「ぉぉぅ」
結果は悪くないようだ。
「具体的には? には?」
「ぇぅっ…………そ、それは……」
いいよどんだが、少しすると決心したように言う。
「……お、おんなのこに、好かれる、と」
何という幸運。
「誰、とかわかる?」
「……ゎ……わたし……」
「ほー、そうか。砂原が。そっか………………ん?」
「………………」
「え?」
「……その……も、貰って、くれますか………………?」
「へ?」
「の、呪う…わ…////」
いい具合に脳味噌が腐ってやがる。
要するに保守ってことだ。
>>629 占い系無口さんを妄想しようとしたら予知能力系無口さんになったよ
>>630 何をどう貰うのか気になるので
詳細を頼む
>>629 おまじない系無口さん
「…………」
一心不乱。
まさにそう表現するに相応しい勢いで、彼女は机を擦っていた。
今日買ってきたばかりらしく、まだカバーに汚れ一つついていない、
新品の消しゴムで、ごしごし、ごしごしと擦っていた。
「何やってんの、沢崎さん?」
「……!」
あ、止まった。
かと思うと、ギギギ、と音が鳴りそうな感じでこちらを振り返り、
僕の顔を見てまた止まった。……なんか、まずい所に声かけちゃったのかな?
「な、なんか、邪魔しちゃったかな?」
声をかけても、彼女は固まったまま動かない。
「おーい、沢崎さーん? おーい?」
眼前で手をひらひらとさせていると、彼女はようやく動いた。
「……!? っ……!!」
というか……脱兎の如き勢いで、教室の外へと駆け出して……見えなくなった。
「……な、なんなんだ一体……?」
見られちゃった! 見られちゃったよぉ!
「あ、由奈……ってちょっと!」
ぎゅむ。
「なんで休憩時間に全力疾走?」
うー、痛いよぉ。離してよ、美樹ちゃん。
「ああ、ごめんごめん。痛かった?」
こくり。……うん。
「そりゃ悪かったわ。ごめんね」
ふるふる。別にいいよ。
「あんたはホントカワイイわねぇ……それはともかく、どうしたのよ?」
ふるふる。……ごめんね、美樹ちゃんにも言えないの。
「……何か深い事情がありそうね。あんたがそんな深刻な顔してるなんて」
……う、うぅ……深い事情があると言えばあるんだけどぉ。
けど、このおまじないは誰かに言っちゃうと効果なくなっちゃうから、
美樹ちゃんにもいえないの。ホントにごめんね。にこっ。
「……むぅ……ま、あんたがいいならいいけどさ」
美樹ちゃんはホントいい人だなぁ……私みたいな無口で根暗なのを
こういう風に心配してくれるなんて。持つべき物は友、だね。
「なんかわたしの事褒めてない? よしてよ、照れるわ……って、
あんた何持ってるの?」
え、あ、これは……!
「ちょっと見せて?」
駄目ぇ! 駄目だよぉ!
「……なんかそんなに嫌がられると余計見たくなるんですけどっ!」
ああっ、取られちゃったっ!?
「えっと……これって、消しゴム? なんか新しいのに、中身は大分
小さくなってるわね? ……あ」
ぎくっ。
「……なるほど、これを見られたわけね、佐伯君に」
ひ、酷いよぉ、美樹ちゃん! おまじないの効果がぁ……。
「あはは、ごめんごめん。お詫びに今度ダブルデートセッティングして
あげるからさ! わたしの彼氏、佐野君の友達だし」
………………。
「……あれ?」
………………だ、だぶるでーと……。
「もしもーし、由奈ー? 沢崎由奈さーん?」
きゅぅ。
「ああっ、由奈が倒れたっ!?」
うきゅぅ……。
「……刺激が強すぎたかなぁ、いきなりダブルデートは」 終わり
>>629 黒魔術系無口さん
「……呪ってやる」
幼馴染の白井渚と下校中、開口一番にそう言われた。
まぁ、いつものことなんで俺こと日下部修一はいつもどおり適当に流すことにした。
「はいはい、今度は何だ、渚?」
「………………」
返答もなく恨みがましい目を向けてくる。
でも、俺より20cmも背が低い渚に睨まれてもなぁ。
上目づかいが可愛いだけで、凄みも何もあったもんじゃない。
「今日休み時間にトランプでこてんぱんにしたことか?」
「………………」
先ほどと変わらずにガンをつけてきてる。どうやら違ったようだ。
「じゃあ、昨日お前が大事に冷蔵庫に取ってあったプリンを食べちゃったことかな?」
「!?」
あ、やべ、ばれてなかったのか。火に油をそそいじまった。
う〜ん、でも、それ以外は特に心当たりないんだよなぁ。
他になにかあったっけ?
「……っ、…………っ!」
俺が考え込んでいる間に、渚は真っ黒なノートになにやら書き込み始めた。
またいつもの黒魔術なんだろうが、ノートを使うのは初めて見るな。
おっ、ノートの表紙にタイトルがあるぞ、なになに……。
…………DEATH NOTE?
「ちょっとまて!それはヤバイって、いろんな意味で!」
俺は慌ててデスノート(?)を奪い取った。
「……ぁ、…………かえして」
「いや、洒落のつもりかもしれんが、洒落になってないから!
ていうか、今度は俺が何をしたっていうんだ?」
「…………クラスの女の子と楽しそうに喋ってた」
「それだけ!?たったそれだけでデスノート!?」
「…………だって…………デレデレしてた」
「どんな等価交換だよ!とりあえず、これは没収な」
「………………」
「そんな目で睨んでもだ〜め!」
どれどれ、なんて書いてあるのかな。
……って、うわ。俺じゃなくて、クラスの女の子の名前が片っ端から書いてあるし。
「……あのさ、こんなことで怒ってたら、世界中の人を呪う羽目になるぞ」
「………………修ちゃんを取られるくらいなら……世界なんて滅びればいい」
「おいおい。そんなことばっか言ってると、嫌いになっちゃうぞ」
「……っ!!??」
いや、そんなこの世の終わりみたいな顔せんでも。
罪悪感でちくちくと胸が痛むと痛むけど、こいつにはこれぐらい言っておかないと、
ぜんぜん反省しないんだからしょうがない。
「…………ご……ごめんなさい」
「うん、素直な渚は大好きだな」
「………………ゎ……………っ」
「え、何?大きな声じゃないと聞こえないよ」
「………………ゎ、わたしも……し、修ちゃんが…………大好きっ!!」
真っ赤な顔で恥ずかしそうに叫んだ渚がどうしようもなく可愛くみえた。
怪しげな黒魔術なんか使わなくても、どうやら俺はとっくに魔法にかかっちまってるみたいだ。
完
GJ
糖尿病予備軍にするつもrかよ
挙げ句の果てに沖縄に駆け落ちするのですね
GJ !!
>>635 の消しゴムのおまじないについてkwsk
>>642 新品の消しゴムに自分の名前と好きな人の名前を書いて
誰にも知られること無くその消しゴムを最後まで使い切ったら
その好きな相手結ばれるとかいうおまじないだったような
カバーの後ろの見えないところに名前を書くんだっけ。
まあ、普通に使って名前まで使わないと意味無いと思うんだけどw
消しゴム普通に使い切ったことないな。ボロボロ砕けてなくなるのは使い切るって言わんよな。
>>644 その通りw
ま、それでもやってしまう人が、おまじないブームの頃には
沢山いたんですよ。
ミサンガとか、ごしごしこすって切れるの早くしたりとかしなかった?
・・・じぇ、じぇねれーしょんぎゃっぷ?
俺もミサンガはしてたけど流石にそれは無いw
ああいうのってしてるの忘れるくらい目標に打ち込んで知らないうちに切れるモノだと思ってたから。
駅を降り俺達は目的地へと歩きだしたんだが…
「結構あるな…この坂」
目の前に続く長い坂道。山道と言っても過言ではない険しい道だ。歩けど歩けど終わりは見えない。
でもこの小山の上が目的地なため歩くしかない。自動車という手もあるが高校生の俺が持っているはずもなく歩くしかなかった。
横を歩く秋葉は涼しい顔をしている。秋葉の荷物を全て俺が持っているためかもしれないが。
「秋葉はよく平気だね疲れない?」
「……初めてじゃないし…」
「あ…そうだよな、悪い」
しまった…俺にとっては初めてでも秋葉は以前にも来たことがあるに決まっているのに…
「………いいよ、それに」
ニコリと笑って秋葉が続ける
「……今日は雪春がいるから…」
相変わらず大胆なことを言うもんだ。慣れていると思ってもやはりドキッとする。
さらに歩くこと十数分ようやく目的地にたどり着いた。
入り口の看板には『四季霊園』の文字が刻まれている。
「………まだ少しあるよ」
ほっと一息つく俺に対しての無情な秋葉の一言。
その言葉通り園内はかなり広く、俺達が向かうのはさらに高い位置だった。
「やっと着いたな」
そして今俺達はある墓前にいる。
「………」
二人でその墓石を見つめる。
隣の墓碑にはこう刻まれていた。
『桐山葉子』
そう秋葉のお母さんであり同時に母さんの友人であった人――葉子さんの墓石だ。
病気を抱えていた葉子さんと多忙の秋弘さん。葉子さんの容態が悪化し秋葉の世話が出来ないという時助け舟を出したのは母さんだった。
高校時代からの友人であった母さんは我が家の近くに引っ越すことを提案したのだ。
何かあったら秋葉の面倒を見ることも出来る、そして一人きりになるかもしれない秋葉にとって俺という存在が必要と思ったらしい。
まぁ二人の思惑通り俺と秋葉はこういう状況になっているし、この選択は正しかったといえる。
「大丈夫か?」
黙りこくっている秋葉に声をかけた。
三年前俺が告白した翌日の葬儀中、秋葉はずっと泣いていた。
無理もない実の母親が亡くなったのだから。
泣きじゃくる秋葉へ慰めの言葉は出てこなかった。何て言えばいいのか分からなかった。
でも今は違う。秋葉を支えると決めたから、何があっても側にいると誓ったのだから。
スッと息を吸い秋葉が口を開いた。
「……お母さん…今日はお父さんの代わりに雪春ときたよ…私の大切な人……」
その声は清く力強かった。
葉子さんの話題となると涙声になっていた今までとは違う。
「……私はもう大丈夫だから……甘えられる人が出来たから…大好きな人が出来たから」
横で聞いていて恥ずかしい。そもそも聞いてしまっていいんだろうか?
しかし久しぶりに聞く秋葉の長い言葉だ、次はいつ聞けるか分からない。耳を塞ぐなんて出来るはずもなかった。
「……ほら、雪春も」
秋葉に促され俺も墓前で合掌する。
(お久しぶりです、葉子さん。今日は秋弘さんに頼まれ代理で来ました。
この前俺は秋葉にずっと一緒にいて支えてやると言いました。その言葉に偽りはありません。でも本当は俺が一緒にいて欲しいんです。
とにかく秋葉のことが大好きなんです。本人の前では恥ずかしくて言えませんけど。
これからも俺は秋葉と一緒にいるつもりです。結婚がどうとかではなくて一緒にいたい、同じ時を過ごしたいただそれだけで充分なんです。
でも最後に一つだけ、絶対に秋葉を幸せにします、俺なんかじゃ不安かもしれませんが約束します)
立ち上がると秋葉が口を開いた。
「……何言ったの?」
「教えねえ」
教えてたまるか。
「…………意地悪…」
口を尖らせている秋葉をよそに荷物を持ち出す。
「いいから戻るぞ」
「……ちょっと待って」
秋葉は振り返り再びお墓の前で手を合わせた。
その間辺りを見渡す。小山の上にある霊園なため周りには自然が溢れている。ここが霊園というのも忘れてしまうほどだ。
今度は目を閉じ耳に意識を集中させる。
風の音、鳥のさえずり、木の葉が擦れる音。音のある静寂がそこにあった。
「…いいよ…」
「ああ、わかった。戻ろう」
すると秋葉が荷物を差し出す。
「………帰りも」
「え!?いや、帰りくらい持てよ、下りだし」
「……ダメ…?」
そんな顔するなって、俺がその顔に弱いの知ってんだろ…
結局俺が二人分の荷物を持ち、来た道を歩きだした。
さあ明日から何しようか?帰るのは明後日だ。
近くの旅館、お墓参りの度に桐山家が利用しているらしい、はとってある。しかし観光地でもないこの土地、他にすることもない。
二人きりで他にすること…ニヤリと笑みが浮かぶ。
「なぁこの後どうする」
前を歩く秋葉に声をかける。
「……変態」
意図を察した秋葉は呟く。
「………いいよ」
頬を赤く染めながら秋葉は言った。
「……ん…ちゅぱ…んん」
久しぶりに味わう柔らかい秋葉の唇。息継ぎなんてさせない。
互いに舌を絡ませ口内を犯しあう。
あの後、旅館に到着し夕食の後、互いに温泉から戻り、何故か一枚しか敷かれていなかった布団の上で唇を重ねた。
「……ふん…ん…ひゃんッ…」
服の上から軽く胸を撫でると声が一段と高くなる。
「相変わらず胸弱いんだな」
耳元で囁きながら秋葉の浴衣はだけさせる。
白を基調に、秋葉の好きなオレンジ色がアクセントとして入っているブラが目に入る。
「新しいやつ?」
秋葉が首を縦に振って答える。
「似合ってるよ」
俺がそう言うと秋葉は嬉しそうに笑みを浮かべる。
もっと眺めていたいが今はそれよりも早く秋葉を感じたい。
ブラを取り払って直接胸を揉む。決して大きくはない、でもないわけでもない。小振りで可愛らしい大きさ。
「……ん…ぅぅん…くッ」
「ほら我慢すんなって、声聞かせて」
堅く立つピンク色の乳首をわざと触らないように胸を揉み続ける。
それでも一番の性感帯であるそこを責められ早くも快感に溺れていた。
そろそろかな
頃合いを見計らって俺はその頂点を口に含んだ。
「……きゃんッ…ぁんっあっ…ひゃッ」
焦らされていた分与えられる快楽も大きい。
この時にしか聞くことの出来ない秋葉の媚声が室内に響いた。
秋葉は俺の頭を抱きかかえるようにして必死に耐えている。
だが胸に頭を押しつける格好のためより刺激が強くなることは気付かなかったようだ。
俺はここぞとばかりに乳首を甘噛みする。もちろん空いている方を指で摘むことを忘れずに。
「…アんッ…やっ…くんッ…んんんンッ!!」
一際高い声をあげると秋葉は体を弓なりにしてピタリと止まる。どうやらイってしまったらしい。
「大丈夫か秋葉?」
ぜえぜえと肩で息をする秋葉に声をかける。
「…………ズルい…」
息切れしながらその一言を漏らした。
「……お返し…」
一瞬天井が見えたかと思うと秋葉が馬乗りになっていた。
シュルシュルと帯を外す音がしたかと思うと下着を一気に脱がされる
「…へへ…元気一杯だね…」
「何だかんだで久しぶりだからな。それにそんなにエッチな姿見せられたら当然だ。」
俺の言うとおり今の秋葉の姿はかなり扇状的だ。
帯を外された浴衣から美しい肩が露わになっている。
そこから覗く形の良い双乳、肌の白色とは違いその頂と頬はピンク色に染まっていた。
「……変態」
照れ隠しにそれだけ言うと秋葉は俺の両足の間へと顔を埋める。
直後亀頭が温かい粘膜に包まれた。
「……はむ…んん…」
愛おしそうに堅くそそり立つ肉棒を口に含む秋葉。頭を動かす度に長いポニーテールが上下左右へと動き回る。
「………」
俺のを口に含んだまま上目遣いでこちらを見てくる。その表情がまた艶やかで普段とは違う美しさがある。
何度も体を重ねてきただけあり俺の弱い所を確実に責めてくる。
早くも射精感が込み上げてきた。
「あ、秋葉、そろそろ」
「……ひひよ…らひても」
しゃぶりながら喋る秋葉。もはや限界の肉棒にとってはそれだけでも大きな刺激だ。
「…くッ」
俺は秋葉の口の中で達した。
慌ててティッシュを探すもそうしている内に秋葉はコクンと飲み込んでしまった。
「あの、美味しくないだろ…」
「…美味しくはない…でも…不味くもない……」
「いや、だったら無理しなくても」
「……私は…胸でできないから…」
自分のなだらかな胸を見ながら秋葉は答えた。
だから代わりに精飲したというのか?嬉しいことには違いないが少し罪悪感が残る。
「誰に吹き込まれた?」
「……茜」
やっぱりな、いやそれ以外ありえないか。
昔から秋葉は自分の胸の大きさを気にしている。
仲の良い友人である茜の胸が大きいので余計に気になるのだろう。
「いつも言うけど胸の大きさは関係ないからな。俺は秋葉のその敏感な胸が好きなんだから」
浴衣から覗く秋葉の双乳をそっと触る。
「……んっ」
軽く触れるだけでくぐもった声を漏らした。
「ほらな、こうじゃないと」
「……やっぱり変態だ…くんッ」
反抗するも上気した表情では説得力がない。
「自分だって人のこと言えないだろ」
秋葉を布団の上に寝かせると浴衣と下着を脱がせる。
そっと下腹部へと手をあてがう。薄めの恥毛を掻き分けると奥からはトロトロと淫蜜が溢れてきた。
「ほら、こんなに濡れてる」
「………雪春だから…」
毎度のことながら嬉しいことを言ってくれる。
俺は指を蜜口の奥へとさらに進めた。同時にもう片方の手で秘唇の上でプックリと自己主張する小粒を刺激した。
「…やっ…ん!!…クリはッ!……うんんッ…」
両胸の愛撫で出来上がっていた体が大きく跳ね上がる。
その衝撃で頭のリボンが取れ長く艶のある黒髪がハラリと布団に広がった。
「……んぁッ…ねぇ…あっ…一つに…なろ…?」
いよいよ我慢出来なくなり悶えながら秋葉が訴えかけてくる。
か、可愛い、可愛いすぎる。いい加減見慣れてもおかしくないのに。
本当はもう一度くらいイかせてからと思っていたが、生憎そんな事を言われて我慢できるほど柔な性欲ではない。
一旦離れ、さっき射精したというのに一向に衰える気配を見せない剛直にゴムを被せる。
「じゃいくよ」
「…うん」
秋葉のそこに狙いを定めると一気に秋葉を貫いた。
「…くぅぅんッ!…あっ…おっきい…ひゃんッ」
「くっ、秋葉が締め付けるからだ…ろ」
他はどうかは知らないが、秋葉の蜜壺は締め付ける力が強い。これは初めての時から幾度となく体を重ねた今でも全く変わらない。
受け入れた雪春を離すまいと柔壁が剛直を押さえ込んでいる。
しかしそれと同時に無数の襞が肉棒全体を這い回るかのように刺激する。
「秋葉…動いてもいい?」
このままですぐに果ててしまう。俺は秋葉の返答を聞く前に腰を動かし始めた。
「…くんッ…ああ…んぁっ…ふんっ……あんッ…」
一突きするたびに歓喜にも似た秋葉の押し殺すような声が聞こえる。
もっと深く繋がりたい。その一心で腰を動かす。
「…あぁッ…ゆきっ…はるッ…んあッ…」
「分かってるよ」
一旦腰の動きを止め体を密着させて秋葉を抱き締める。
「…雪春………」
秋葉は俺の背中に手をまわし温もりを感じるように腕に力を込めた。
同時に秋葉の中がさらにキュッと俺の怒張を締め付けてくる。
「あのっ…秋葉締めすぎ」
「……だって…気持ち…んッ…いいんだ…もんっ…」
ただ抱き合う、それだけ。目立った動きのない行為だが秋葉はもちろん俺も一番好きな体位だ。
ただ動きが無いのは見た目だけで秋葉の中では無数の襞が動き回っているし、刺激を得た肉棒は血が送られ大きく脈打っていた。
「んッ…ねぇ…ゆき…はる…」
早くも限界の秋葉が口を開く。
「……一緒が…いいッ…」
抱き合ったままの形で器用に腰を動かす。一杯一杯に満たされていた膣内から秘蜜が溢れシーツに染みを作った。
「…ひゃッ…やっ…あ…あッ…くんっ…んんッ」
腰をさらに押し出し怒張を最奥にノックさせると甲高い媚声が室内に響いた。
膣内がピクピクと痙攣しはじめたかと思うと、精液を絞り上げるかのようにきつく締まる。
「秋葉ッ…」
「…私もッ…いっちゃ…んんッ……うんんッッッ!!」
俺達二人は同時に絶頂を迎えた。
「……ゴム持って来てたんだね…」
情事後、布団の上でまどろんでいると体をすり寄せながら秋葉がそっと呟く。
「いや、まあな」
すると秋葉は四つん這いになり俺のバッグの中をガサゴソしだした。若干肉付きは足りないものの色白の綺麗なお尻が晒される。
「……こんなに…」
秋葉の手には二箱の避妊具。うち一つのパッケージには『たっぷりお徳用』の文字。
「いや、それはその、家を出る時に母さんが…」
『多分あなた達のことだから足りなくなるわよ。これ持っていくといいわ』
「……雪香さんらしいね」
「まぁ今に始まったことじゃないからな」
箱をバッグに戻し再び秋葉がすり寄ってくる。
軽く頭を撫でてやると目を閉じさらに体を密着させてくる。その姿はとても幸せそうだ。
「…へへへ…大好き…」
不覚にもそのあまりの可愛さにまたもや股間に力がみなぎってきてしまった。
「……変態…」
堅くなり始めた俺の体の変化に気が付く秋葉。
「ま、せっかくゴムも沢山ある訳だし?」
残念ながら一度火が点くと止まれない。俺は秋葉を組敷いてそっと唇を重ねた。
「…んっ……使い切っちゃうかもね…」
そう言う秋葉の表情はどことなく嬉しそうだった。
655 :
オマケ:2008/06/22(日) 06:11:03 ID:TJXvzMFE
それは雪春と秋葉が部屋で愛し合っていた時のこと。
「女将どうかされたんですか?嬉しそうな顔して」
彼はこの旅館のいわゆる板長。先代の女将の頃からここで働く老人だ。
「秋葉ちゃん、ほら桐山さんの娘さんが今日いらしたんですよ」
聞いて欲しかったと言わんばかりに口を開く女将。
数年前に先代女将である母親から受け継いだ彼女はまだまだ若さが溢れている。
「あぁそういえばもうそんな時期でしたか。でもお父さまは見当たりませんでしたが」
「それが今年はボーイフレンドといらしたんですよ」
「ほぉそうか。まぁあの子はべっぴんさんだからねぇ、ぼーいふれんどがいても不思議じゃないさ」
するとおもむろに彼女は宿帳を差し出した。
最近はプライバシーの問題で数は減ったが、この旅館は任意で書いてもらっている。
「でね、これ見て下さいな」
「ん?なんだね……はっはこれはいい」
「ね?なんだか嬉しくてお布団をわざと一枚しか敷かなかったんです」
まるで妹の成長を喜ぶ姉のように顔を輝かせる女将。
彼女の差し出した宿帳、そこには住所と
男らしく力強い字で
『結城雪春:学生』
そして隣には綺麗な字で
『桐山秋葉:妻予定兼学生』
と書かれていた。
今回は長くなりそうだったので2つに分けさせてもらいました。
そろそろ話も大詰めとなりそうです。
毎回GJ下さる方に感謝しながら次を執筆中。
ではまた今度
GJ!
女将GJ!
これはGJ!宿帳www
ほしゅ
「……保守…します………。…………………………………………………これでいいの……?…」
朝からほしゅ
「………おいしい」
無口娘とお昼ご飯保守。
「………あがったよ」
無口娘とお風呂保守。一緒に入ってはもらえない。
「………行こうよ」
無口娘と朝のランニング保守。
「……向こう…席……空いてる…」
電車に乗り合わせた無口幼なじみとの通学までの一時
一緒に座る事もありませんが何か?
『………えっち』
隣の家の幼馴染み無口娘の着替を覗いてしまった瞬間。
窓が閉まってるので声は聞こえないが、口の動きで。
勿論見えたのは、スカートを下ろした時に見えたパンツだけだorz
「………おやすみ」
無口娘と夜の勉強終了。テストは明日だ。
「…騙して…ごめん…これも…仕事なの…」
あぁ、俺はここで倒れる運命なのか。
「…けど…安心して…すぐ楽に…してあげるから…」
けど、愛している彼女に倒されるなら…本望だ。
願わくば、普段無口な彼女がさらに口を閉ざしてしまわないことを。
「…それじゃ…さよなら」
また何処かで。
「…今まで…ありがとう」
こちらこそ、楽しい時間だった。
「…愛してる」
愛してる。
<<ニュース速報です。 本日、14:30に―――>>
無口系レイヴン「騙して悪いが改変篇」
でした。
三点リーダーを使わない無口っ娘はおらんかのう?
>>670 リーダーを使わない。つまり間を取らない。
ということは何事も喋る暇すらないほどにチャッチャカテキパキやってしまうアグレッシブ系無口さん。
ざわ‥ざわ‥
姫萩さんと護の絡みが見てみたいがこのスレじゃ無理なんだろな…
>>670 「歯磨きした?」
「した」
「ちゃんと歯磨き粉付けた?」
無反応
みたいな?
>>673 ごめんね、友達が一人もいない奴ってどうよ?ってことで出したキャラだけど、
やっぱり特定のジャンルに分類しにくいフツーの二人だから。
そこそこエピソードはあるんで、そういうのは本筋を外れない範囲で語るから許して。
…ほしゅ…?
>>675 DカップちゃんのHシーンに期待してる俺はおっぱい星人
>>649-645の続き
無口で甘えん坊な彼女〜彼女からの手紙〜
「ん、ふあぁあ」
朝の日差しを感じ俺は目を覚ました。
体がダルい…特に下半身が。いつもの朝なら起こる生理現象もなく俺のソコは縮こまっていた。
昨日の晩、秋葉と何回したっけか?八回目から記憶がない。
久々に秋葉と体を合わせるといつもこうだ。理性をなくし秋葉を求めすぎてしまう。
有り余る自分の性欲にうんざりしながら俺は体を起こした。
「あれ?」
ここで俺はある異変に気が付く。
秋葉が…いない。
激しく体を重ねた次の日は必ず俺が先に起きる。そして寝ている秋葉に悪戯をしてお互いに火が点いたら朝から…という流れなんだが。
温泉にでも行っているのかと思ったが、浴衣は丁寧に布団の横に畳まれているしそうではないようだ。
そもそも秋葉が先に起きること自体ありえない。
何はともあれ着替えてから探しに行こうと思い布団をどかす。
着替えを済ませ部屋を見渡すと机に手紙が置かれていることに気づいた。
『雪春へ』
それは見間違えるはずもない秋葉の綺麗な文字で書かれていた。
まさか…別れましょうなんてことはないよな…。それはあり得ないと思いながらも緊張している自分がいた。
『おはよう雪春、よく眠れたかな?昨日はその…気持ちよかったよ。
なんでこんな事になってるか分からないよね。実は前々から伝えたいことがあったんだけど…直接話すと上手に伝えられそうにないから手紙でね。
六年前、私の心はどん底だった。お母さんは入院していたしお父さんはあまり家にいないしその上引っ越しなんて、考えられなかった。
元々話すことが得意じゃなかったから友達も出来るとは思えなかったしね。でもそんな私にも楽しみなことがあったんだよ。お母さんがよく話してくれた男の子に会えるってこと。
正確に言うとお母さんがよく話してくれた学生時代からのお友達。とても面白い人、でも優しい人なんだなって聞いてたんだ。で、その人の一人息子はどんな人なんだろうって気になってた。
転校したあの日雪春は優しく私に接してくれた。ああ、やっぱり素敵な人だなって思ったんだよ。
私が何も言わないのに嫌な顔一つしないで家まで送ってくれた。今までそんなことをしてくれる人なんていなかったからとても嬉しかった。
でも一つ謝らないと…あの日の最後お母さんの事を雪春は聞いてきたよね。本当はその時正直に言えばよかった、お母さんのことを。
でも私は言えなかった。変なことを言って避けられるのが怖かったから。
だから私は逃げるように雪春と別れることになったの。本当にあの時はごめんね。
正直嫌われたと思ったんだよ。初対面で一緒に帰って、そのくせ拒絶するように別れてしまって。でも雪春は次の日も一緒に帰ってくれた、そしてそれからも。
いつも雪春は話かけてくれた。城ヶ崎君も紹介してくれた。今まで一人だった私にとってその変化はとても嬉しかった。人と関わるのがこんなに楽しいって初めて知った。
いつからだろうね?気付いたら私は雪春のことがどんどん好きになっていた。一緒にいるだけでドキドキしてきちゃっておかしくなりそうなくらいに。
クラスの女の子と話している姿を見るとすごい嫉妬してたんだよ。ちなみに今でもだからね、これからも気を付けて。
だけどそんな中でお母さんの容態は悪化していっていた。もう助かる見込みがないって聞いて私は学校を休んで病院に通うようにした。お母さんは良く思ってなかったけど。
お母さんに会う度に心が沈む。それでも雪春は何も言及せずにいつも通り接してくれた。ただ知らなかっただけ、後で雪春は言っていたけどそれが私にとって嬉しかった。
そしてあの日、忘れるはずもないあの日。
私の手を握りながらお母さんは言っていた。幸せになりなさい、ずっと応援するからって。多分私が雪春のことが好きなのを感づいていたんだと思う。
それがお母さんの最後の言葉。私の手を握りながらお母さんはこの世を去った。
もちろん悲しかった。泣いても泣いても涙は止まらなかった。誰もいない家で私は泣き続けた。
雪春が来てくれたのはそんな時。それからは雪春も知っての通り。どん底の私に幸せを与えてくれた。
私は雪春に一杯助けてもらったね、本当にありがとう。これから私はその思いに一生かけて応えるつもりだから。
最後に一つ。雪春はなんで私が手を繋がないか気にしてるんじゃないかな。
それは私がお母さんの手の温もりを忘れたくないから。それに手を繋ぐと雪春を縛ってしまうんじゃないかと思うから。雪春には私に拘束されないで自由に生きて欲しいの。
でもね、もういいんだ。
昨日お母さんに言ったの。私は大丈夫だって。誰かと手を繋いでもお母さんを忘れないって。
だから…だからね、雪春さえよかったら手を繋いで欲しい。私をそばから離さないで欲しい。
ずっとそばにいたいから。
雪春が大好きだから。
秋葉 』
手紙を読み終えた俺は部屋を飛び出した。
女将さんから秋葉が昨日の霊園に向かったと聞き俺は走った。
秋葉からの手紙、思えば初めての手紙。正直な秋葉の気持ちが書かれた手紙。
幸せをくれた?助けてくれた?そばから離さないで欲しい?大好き?
なんだよそれ、全部俺が思ってることじゃないかよ。
様々な思いが体を駆け巡っている。だが秋葉に会いたい気持ちそれは確かだ。
霊園に辿り着く。やはり葉子さんのお墓の前、そこに秋葉はいた。
俺を発見すると秋葉は優しく微笑む。
「秋葉っ!!」
俺は駆け寄ると秋葉の体を強く抱き締めた。
「………遅い」
口ではそう言うものの怒っているわけではないというのは充分伝わってきた。
「手紙が長いから仕方ないだろ」
「……頑張って書いたんだよ……」
俺達は見つめ合うとお互いに笑った。色々言いたいこともあったがもはや俺達に必要なかった。
「………髪…」
しばらく抱き合っていると秋葉が口を開く。
思えば秋葉の髪はまだ下ろしたままだ。艶のある黒く腰まで届こうかという長い髪。これはこれでいつもと違う美しさがある。
俺は秋葉からいつものオレンジ色のリボンを受け取ると手際よく結う。もちろんポニーテールで。
三年間ほぼ毎日やっているだけあって俺もなかなか上達していた。
「……昔はお母さんがしてくれてたんだ…」
徐に口を開く秋葉。
初めて聞かされる事実に少し驚きながらも嬉しくなった。そんな大切な役を俺に任せてくれてと。
「……来て」
そう言うと秋葉は身を翻して歩き出した。
林立する木々の間を抜けると見晴らしのよい所へと出る。
「…………」
「す、すごい」
目の前に広がったのは小山から見た大パノラマ。天気もよくとても遠くまで見渡せる。地上に建物はどこにも見当たらない、悠然とした自然がどこまでも続いていた。
こんなに美しい景色を見るのは初めてかもしれない。言葉も出ない。ただ圧倒されるだけだった。
「……この景色があるから…だからお母さんはここを選んだの。いつでも…見られるから……」
眼前の景色を眺めながら誰に聞かせるわけでもなく秋葉はそっと言った。
俺達はしばらく景色を見ていた。
ずっとこのままで二人で同じ景色を見ていたい。そしてこれからも二人で色々な経験を共有したいと思った。それだけ秋葉が愛おしい。
無意識に俺は秋葉の肩を抱き寄せていた。
「………!?」
俺のいきなりの行動に秋葉は驚きを露わにする。
「これからも離さないし俺も離れないからな」
「………」
肩を抱かれ、俺の肩に頭を寄せていた秋葉は目に涙を浮かべながらただ頷いた。
「なに泣いてんだよ」
「……だ、だって…んむんんッ」
俺は秋葉の言葉を聞き終えるよりも早く秋葉の唇に自分のを重ねた。少しだけ涙の味がした。
「…ぷはっ…ズルくない…?」
唇を離した後、頬を赤く染めながら吐息まじりに秋葉は言う。
「嫌だったか?」
悪戯っぽい笑みを浮かべながら俺は訪ねる。答えは知っているが。
「…ううん……もう一回したい…」
そう言うと今度は秋葉から飛びついてきて俺達は深く唇を重ね合った。
「お世話になりました」
「…またね…」
いよいよ帰る日、俺達は女将さんに挨拶をしていた。
ちなみにあの後どう過ごしていたかはあえて触れない。
「ええ、また来年ね秋葉ちゃん」
数年前に世代交代した女将さんはまだまだ若く、とても綺麗な人だ。
「あ、結城君」
帰り際女将さんに手招きされる。
「秋葉ちゃんをヨ・ロ・シ・ク」
妙に色っぽい言い回しに思わずドキリとしてしまう。秋葉に見られてないといいが。
「うちは乳幼児連れでも受け付けてるわよ」
「なっ…何ですかいきなり…」
客に対してなんてことを言うんだ…この人は。しかも頬を緩めた顔からすると確信犯だ。
「ふふ、冗談よ冗談。それはそうとお母さんにもよろしく言っといて」
「母さんを知っているんですか?」
「ええ、雪香さんと葉子さんは母が女将をつとめている時からここの常連さんだったから」
なるほどここは母さん達の思い出の場でもあったわけか。
「二人には昔から凄く可愛がってもらったのよ、雪香さんは特にね」
だからか…どことなく母さんと同じ属性を感じていたのは気のせいではなかったらしい。
「…雪春…?」
秋葉の呼び声が聞こえる。
「あら愛しの秋葉ちゃんのお呼びね。それじゃあね結城君。
では来年もお待ちしております」
女将さんは最後にそれまでの砕けた雰囲気とは打って変わって凛々しい姿で深々と頭を下げた。
「……何話してたの…?」
秋葉はちょっぴり機嫌が悪そうだ。
「あれ?妬いてんのか?」
「……ダメ…?」
小首をかしげて言うその姿がまた可愛い。
「そんなわけないだろ」
秋葉からならどれだけ嫉妬されても構わない。
「……雪春…大好きだよ…」
「い、いいから帰るぞ」
俺達は歩き始めた。
互いの手を深く握りあいながら。
長々と続いたけど一応はこれで完結。
とまぁ一つのエピソードが終わったわけですが、他の話や今回の脇キャラをメインにした話も書きたいと思っているんですが…
その時はまた投下してもいいですかね…?
何はともあれ今までGJをくれた人、拙い文章にも関わらず読んで頂いた人、本当にありがとう。
>>675 俺はやっぱり綾ちゃんのが読みたいな。期待してます、頑張って下さい。
続けてすいません、
>>678にある前話のアンカー間違ってますね。
正しくは>>649-
>>655です。
一番槍GJ!
ハラショー!
>>683 騙して悪いがGJなんでな、乙させてもらおう
1週間が始まる前にあったかい気持ちになれた。
乙。thxです。
>>683 MOEEEEEEEEEEEEEEEE
>>685 レイブン助けてくれ!(萌えの)化物だ!!
ブじゃねーよヴだよ
689 :
名無しさん@ピンキー:2008/07/07(月) 11:48:12 ID:a3p4XaPN
積極的な無口っ子ってのは、いわゆる「ギャップ萌え」って奴なんだろうか?
690 :
名無しさん@ピンキー:2008/07/09(水) 13:52:56 ID:4/+A8X5w
なんか違う気が。
つまりだ
普段無口
しかしクリスマスは裸でリボンに巻かれて
「…わたしが…プレゼント」
なんて一斉攻撃をされたら一網打尽で俺イジェークト!
>>691 オメガ自重www
ギャップ萌えとは違うような。
むしろ喋らない分行動で色々と示してくれるところに萌え
>>683 新参でいきなり来てこの作品を通し読みした。
マジやべぇ、感動した…
基本に立ち戻って、「恥ずかしがり屋無口」が読みたいです。
ネアカ男と恥ずかしがり屋無口の王道コンボということでよろしいか
でも無口って何にでも合うよな。
甘えん坊無口とか…
ツンデレ無口とか…
いるかどうかは別として。
だがしかし、愛を語りながら追い詰めていくヤンデレとは相性悪いんじゃないだろうか?
>>698 無口っ娘は惚れたら一途な印象があるからヤンデレとは相性は良さそうなんだがw
でも無口ってなんか強い女の子なイメージが。
主人公を追い詰めるんじゃなくてひたすら護るってイメージがあるな。
で、勝っちゃうんだよ。
701 :
名無しさん@ピンキー:2008/07/12(土) 12:31:47 ID:ljJ+GzsV
甘えん坊無口、ツンデレ無口、ヤンデレ無口は確かに合うやもしれん。
しかし、さすがにこれを書ける猛者は居るまい!
つ お転婆無口
上の方にそんな感じの子猫ちゃんがいなかったか?
お転婆とはちょっと違うか…。
新ジャンル「ほぼ無反応」
今でも俺の嫁です。
無口と無反応……
似ているようで異なる存在…
誰かこの違いをkwsk
>>704 無口は活きてるけど
無反応は「返事がない。ただのしかばねのようだ。」
じゃあ無反応っ娘の目は虚ろなのか!?
そんな活きのない子を立ち直らせて、だんだん元の無口にする話ですね、わかります。
お前ら……せめてググってから言ってくれよぅ……
課題にしては難しかったわけだ。
709に萌えた。確かに新ジャンルwwww
レイプ目無口か……。
心を開いてくれない無口っ娘と、徐々に仲良くなっていくシチュエーションは確かにイイなw
>>711 昔辛い事があって心を閉ざした女の子が元の恥ずかしがりやの無口っ娘に戻るまでのストーリですね。
つまり攻略の第一歩は女の子を部屋の外に出すことですね
それまではひたすらドアの外から話しかける
「…………………」
次が移動教室で必要な教科書その他を忘れているのを思い出し、
食堂から教室へ急いで戻ってきた僕が見たのは、中空をぼんやりと見ているクラスメイトだった。
彼女は教室のほぼ中央の席で少し首を上げ時計と黒板の境界あたりを見ている、ように見える。
教室には彼女以外居らず、何とも異様な雰囲気を醸し出していた。
その異様さに僕も立ち止まっていたわけだが、そのままでいるわけにはいかない。
予鈴がまだ鳴っていないので授業開始まで五分以上あるとはいえ、それほど時間があるわけではない。
何とか目的を思い出し、自分の席から教材を持ちだそうと一歩踏み出そうとして、はたと気付いた。
そういえば僕の席って彼女の隣だった……。
今朝席替えがあり、彼女の隣の席になったことをすっかり忘れていた。
この異様な雰囲気の中心に近づくのはかなり遠慮したいが、そうも言っていられない。
クラスメイトがこんなことで授業をさぼるのを止めないのも気が引ける。
筆記用具その他を持ち出すついでに声を掛けておこう。
そう自分を納得させて一歩踏み出した。
台風の中心は穏やかというが、この雰囲気は台風ではなかったようだ。
中央に進むほど重みが増してくるようで、居心地の悪さは二次関数的に増えている気がする。
今は自分の席で教科書とノートを出しているが、それはこの異様な空間を作り出している元凶の側にいるということで。
非常に空気が重いというか、以上に居づらい空間というか、何となく拒絶したい空気が吹き付けてくる
そして目には見えない何かが彼女からまき散らされているような感じがするのは、決して気のせいではないと思う。
用具はなんとか出し終わったが、長い前髪に隠されていた彼女の目は焦点があっておらず茫洋としている。
未だに現実世界に帰ってきていないらしい。
それとも目を開けたまま眠っているのだろうか。そうだったら器用なものだ。
何はともあれそのままにしておくことは気が引けるので、とりあえず声を掛けてみる。
「あの、もうすぐ次の授業なんだけど」
「……」
無反応。
「移動教室だからそろそろ移動した方が良いんじゃないかな」
「…………」
返答無し。本当に眠っているんだろうか。だとしたらよほど深く眠っているんだろう。
それとも無視されているんだろうか。そうだったら悲しいけど。
しかし、声を掛けてしまった以上、こちらから引き下がるのも何となく悔しい。
なので、とりあえず揺すってみることにした。
肩に触れた時その細さにちょっと感動したがそれに浸るわけにはいかないので、すぐに揺すりながら声を掛けた。
「もう予鈴が鳴るから起きた方が良いよー」
「ピーガーガガガーピー」
…………はい?
何か人間の声らしくない音が聞こえたような気がしますよ?
……とりあえず反応はあったのだ。もう一度揺すれば起きるかもしれない。
半ば現実逃避するようにそう考えもう一度揺することにした。
「授業に遅れると面倒ですよー」
「カカカカカッ。カカカ」
そこまで言い終わると同時に彼女の首がガクンと垂れ下がった。
背中は真っ直ぐにしたままだったので机に額がぶつかることはなかったのは幸いだ。
…………なんて考えてる場合じゃないですよ!?
何あの声!明らかに人工音っぽいし、人の口から出るのは間違ってる音なのですよ!?
理解しがたい現象に混乱していた僕の視界の中で何かが動くのが見えた。
項垂れていた彼女が頭を動かしていた。
左を見て、右を見て、左を見て。
その仕草は可愛らしい。さっきまでの電波っぷりが嘘のようだ。
そしてもう一度右を見て、視線が下がった。
視線の先は……、僕の手?
「あ、ごめんっ!」
混乱のあまり彼女の肩を掴んでいたままだったらしい。慌てて手を離す。
起きたら肩に手が掛けられていたのだ。気にならないはずがない。
視界から消えた手の持ち主を確かめるように彼女は首を上にゆっくりと動かしていく。
そして僕の顔を見られる角度まで上げたところで止めた。
目を隠すように伸ばした前髪が横に流れ彼女の顔が見られるようになった。結構可愛らしい顔だ。
だが無表情というか、どこかぼんやりとした表情をしている。
ただ目はきちんと焦点が合っており僕の顔を捉えていた。
いきなり起こされたのだ。頭がぼんやりしているのだろう。
見ている、ということは話したいことがあるということだろうし少し待つことにした。
「…………」
一分待ったが、彼女は見ているだけで何も話さない。沈黙が気まずいので肩に手を置いていた理由を話すことにした。
「えっと、寝てたみたいだからさ。起こさないといけないと思って。
もうすぐ授業だし。勝手に体に触ったのはごめん。謝るよ」
「…………」
返事はなかったが髪が少し揺れた。少しだけ頷くように顔を動かしたらしい。
「よかった。ありがとう。
えーと、そろそろ授業だし教室出た方が良いよ」
「……待って」
小さいが何故か耳によく残る声で彼女が僕を呼び止めた。何か聞きたいことがあるらしい。
「ん?何?」
「…………………見た?」
少し顔を赤くして彼女はそう言った。
見た、というのはおそらく寝ている姿を見たのか、ということだろう。
年頃の女の子なのでそういう姿を人に見られるのを気にしているのだろう。
とはいえ、見てしまったものは見てしまったので正直に答えて謝った方が良いだろう。
「うん。寝ているところを見てごめん」
「…………………………………そう」
答えを聞くと彼女は真っ赤になってしまった。よほど寝ているところを見られて恥ずかしかったようだ。
でも見てしまったのは不可抗力なので出来れば許してほしい。
あと一月も気分が悪いまま過ごしたくないし。
きーん、こーん、かーん、こーん
予鈴が鳴った。
そろそろ行かないとまずいようだ。
固まっている彼女にも声を掛けないと。
「あのさ、もう授業だから行かないと。話が何かあるならまたあとで聞くよ」
「え…………あ、はい」
どうやら自分を取り戻したようだ。この分なら彼女も間に合うだろう。
僕は彼女を残して教室を出て行った。
この後、彼女にあれは寝ているのではなくて何かと交信しているという話を聞かされ驚いた僕の話は書く予定がないそうです。
終わり
ちくしょう、無口物とはまた別ベクトル的な意味で続き読んで見たいと思っちまったじゃねーか
GJ!
GJなんだけど
「ピーガーガガガーピー」の所で口からロボじゃないという紙が出てくる所を想像してしまったw
>>716 続きを書け!
そしたら俺もなんか書く。
お互い頑張ろうジャマイカ
電波的な女の子スレと言う物があったりする。過疎スレだが。
721 :
名無しさん@ピンキー:2008/07/14(月) 03:29:35 ID:wgFFrIrv
新ジャンル「無口痴女」。
・無口なブラコン妹
・無口なブラコン姉
>>721 残念だが既出だ。
このスレではむくちじょと言われた。
>>723 マジで!? 恐るべし先達……!
ちょっと保管庫漁って来る。
新ジャンル、無口敏感。
笑顔無口は既出か?
>>726 「おはよ。よく寝れたかぁ?」
(なでなで)
「んっ」
「今日も一日元気でやってこーぜ」
(ビシッ)
「やぁっ」
「ほら、早くしねーと遅刻しちまうぜ」
(ぎゅっ)
「ふぁああぁ……っ!」
(ぴぴぴぴぴ、ぴぴ……)
(ガチャッ!)「もしもしっ!?」
『………………』
「姉ちゃんか? 姉ちゃんだろ? いま何処にいるんだ!?」
『………………』
「ひ、昼休み事だったら違うんだ、姉ちゃんの勘違いなんだよ! なんてー
か、天音の奴が突然『ゆーくんにお話……あるの』とか何とか言って無理矢理
引っ張って行かれたと思ったらイキナリ抱きつかれてキ………とにかく一方的
かつ強引にされただけで、全然合意してなかったんだよ!」
『………………!』
「あんなの絶対(ぜってー)カウントの中に入らないって! それにほら、
姉ちゃんとだって毎朝毎晩してるだろ? あれと同じで……」
『………………!!』
「って違う違う、前言撤回するから! 姉ちゃんとのは、ちゃんと合意っつ
ーか俺がして欲しいからしてるんだもんなっ? 俺的にも天音より姉ちゃんと
の方が上だから、だから姉ちゃんがショックを受ける事なんて全然これっぽっ
ちもないから!」
『………………』
「そ、それにほら、もうすぐ晩飯の時間だろ? 俺、姉ちゃんの作ったコロ
ッケ食いたいから、早く帰ってきてくれよ? 俺、姉ちゃんと一緒じゃないと
飯も喉を通らないんだからさ?」
『………………』
「あとほら、今日は風呂も一緒に入るからさ? また二人で洗いっことかし
たいだろ? 姉ちゃんの体、良い匂いがするから大好きなんだよな俺。」
『………………』
「それからそれから、一緒にビデオ見て一緒に寝ようぜ? 抱きつくなとか
ブラジャーしろとか、もう言わないから! あと姉ちゃんが寝付くまで、ちゃ
んと頭撫でるって約束するから!」
『………………』
「頼むよ姉ちゃん〜? 俺、姉ちゃんの事が世界一好きだから他の女子なん
か畑に転がってるカボチャだからダイコンだからインゲンだから完璧にアウト
オブ眼中だから! だから早く帰ってき……」
『……ゆ……の…………っ』
「え? なに? もっかい言ってくれよ姉ちゃん!」
『……ゆーくんの……ドシスコン……っ!』
(ぷつん、つーつーつー……)
「……え? あ、あれ? ちょっ、おーいっ! マジですかぁっ!?」
>>722を見てティンときたのだ書いてみた、既出ネタだったらスマソ
>>730 グッジョブ。ネタが完全にかぶる事ってめったに無いから、既出とか気にしなくていいんじゃないか?
すばらしい妄想を文章化してるときにそんなことが気になって筆が止まったらもったいない。
無口姉か……年上も良いもんだなw
>>732 「…………おにいちゃん……わたしのことも、わすれないで」
……何か違うなぁ。
>>733 「………(くいくい)」
「………お兄ぃ…(うるるっ)」
こんなもんで
眉毛八の字にして
しがみついてきそう
>>721 無口痴女と言われて思い出すのは『初犬』第1話のふじのん
アレは良かったな。
>>736 それだ。ふじのんだ。
っていうか無口っ娘の脳内イメージは全部ふじのんがベースになっちまってる…
無口ブラコンと言われて梶原さんちの空ちゃんを思い出したが、
アレは別にブラコンではなかったので置いておくのだ。
おっと、微妙に間違っていた
『初犬』収録『ストレンジカインドオブウーマン』のふじのん、だ
>>741 男視点のみでSSにすれば無口とも言えるかな
結論。無口属性はあらゆる属性と相性が良い。
つ ボーイッシュ無口
>>745 それは女の「子」ではないw せめて二十代前半くらいまでで!
……無口未亡人…
今、昔投下したSSの番外編書いてるんだけれど
無口娘のSSって書くの本当に難しいなぁ……
あんまりコミュニケートとらないと、男がでしゃばりにならざるを得ないし、
でも、あんまり娘に喋らせすぎると無口にならないし……
どの辺がボーダーラインなんだろうか
今までも
普段は喋る→ある条件下では無口
なんて娘もいたからあまり細かく定義する必要はないと思う。定義付けは荒れる原因にもなる。
その辺のさじ加減は書き手さんに一存でいいんじゃないか。
とにかく俺はどんな作品でもウェルカムだ
>>751 例え向かい合ってご飯を食べてる時でも、携帯でマシンガントーク並みに話てくる
娘のことだな。わかります。
…昔そんな漫画を読んだな…
言い忘れたが、もちろんメールで
>>751 「だから、あれはクラスメートの倉西さんだって何度も言ってんじゃん!?」
学校の帰り道、俺は幼なじみの彩に何度も言い聞かせた。
「・・・。」
しかし彩はその言葉を信じず、俺が言い訳を言っている最中も黙ったまま
「何を喋ってたの?」「先に帰ったのになんでよ!?」
と目で何度も俺に訴えかけてきていた。
昨日彩と一緒に帰る約束を断って先に帰ったのだが、
帰る途中で買い物している時に倉西さんと偶然遭遇し話し込んでいるところを彩に見られてしまった。
そして今日の朝、彩は今と変わらないこの調子で黙りながらも目で俺に訴えかけて続けている。
時たま俺が目線を外すと頬をつねられ強引に目線を合わせられる。
変な誤解させて申し訳ないと思い、最初のうちは彩の訴えに答えてはいたものの、さすがに幾度となく繰り返される彩の訴えにさすがに嫌気がさしてきた。
そこで俺は腕時計のアラームをセットして立ち止まった。
「今から俺が3分間両目をつむる!!
それで彩が俺の両目を開ける事が出来たら、俺は彩の言う通りにしてやる!
でも、彩がそれを出来なかったら、昨日の事はもうこれでおしまい!!
じゃあ始め!!」
俺は勝手にそう言って、腕時計のボタンを押し両目を思いっきりつむる。
これで当分彩の目線を感じずにすむし、うまくいけば水に流せる。
もちろん彩がこの勝負に乗ってくるのが前提だが、負けず嫌いな彩のこ
とだから…
そう考えていると、彩の細い指が俺のまぶたを開けようとして触れた。
「かかった…!!」
俺は彩に目を開けられないように力一杯両目をつむる。
「・・ん・・・・!!!」
彩は俺の目を開けさせようと精一杯力を入れるが、俺の目は開かない。
暫くして開けさせるのを諦め、今度は俺をくすぐったり叩いたりした。
それでも俺が我慢し続けていると、彩は諦めたのか何もしなくなってきた。
そろそろ3分。俺が勝利を確信したその時だった。
・・・ふに。
突然唇に柔らかい感触を感じる。
「っ!?」
俺が驚いて目を開けると、彩の真っ赤になった顔がどアップで映り込んだ。
少し遅れて腕時計のアラーム音が鳴る。
その音と同時に彩が唇を離し、顔を真っ赤にさせながら俺の手を握って口を開く。
「・・君は・・・・私の・・・物・・・・だか・・ら・・・他の・・娘と・・・・喋っちゃ・・・駄目・・・・・」
勢いだけで書いてみた…
分かりにくくてすまない
orz
…い、いかん、独占欲+無口というツボを完璧に突かれたッ!
存分に萌え転がらせていただいたぜGJ!
>>754 このフリは、どう考えても男の誘い受けだろww
GJだっ!
Hシーンでその時だけ声出して喘がせるべきか、普段通り喋らせずに吐息だけにするべきか悩むなぁ
そんなもの…
我慢してたが出てしまう声…
つまり「ん」だな。「ん」
759 :
名無しさん@ピンキー:2008/07/21(月) 18:34:36 ID:Kq02YEVR
放課後、ひとけのない図書室の奥、ほんのかすかな声が響いた。
本を選んでいた斎藤の、ばっさりと切ったショートカットの首筋が、とてもきれいだったので…、つい、うなじを撫でた。
そのとき不意をつかれた斎藤が出した
「ひゃ!…なに?…」
という普段通りの小さな声に、俺はたまらなくなったなぜか。とまらなくなった何かが。スイッチが完全に入ってしまった。
瞬間、後ろから強い力で斎藤を抱きよせる。
驚いた顔をする斎藤に何も言わず、首筋に何度もキスをした。
斎藤の体がこわばる。
セーラー服の中に侵入した俺の右手は、ブラジャーの上から小さめの胸を発見し、少しだけ強く揉んだ。
「…だめ、図書室…!」
と小さなウィスパーボイスで斎藤が嫌がる。
首筋から耳に唇をうつしてささやく
「本当にいや?」
斎藤が困った顔で後ろを向き、ブンブンとうなずく。
俺はその唇にかみついて、長いキスをした。斎藤は、驚いた様子だったが、なぜか抵抗はしなかった。
くちゅくちゅとキスの音が鳴る。ブラジャーのすき間から指で胸の先を探ると、斎藤の体がびくびくとふるえる。
唇を離すと、斎藤の息づかいが荒い。
肩をゆらして
「…も…やだっ…」と下を向いた。
「じゃあ確かめてみようか?」
斎藤が顔を上げ、訴えるようなる眼でこっちを見た。
左手で細く白い内股をゆっくりと撫であげ、スカートの中にたどり着くと、ショーツの上からも、湿っていることがわかる。ステッチのふちから、あたたかい液体が滲んでいた。
斎藤は体を小さく震わせて目をつぶっていた。耳がまっ赤だ。
「濡れてるよ…本当に嫌なの?」
わざと小さな声でささやくと、涙に潤んだ瞳がじっと俺を見つめ、観念したように首を横にふった。
ショーツの上からそのまま指を何度も上下させる。斎藤の口から小さな声がもれる。
「んっ…ぁん!…ふぁっ…ん…!」
耳を近づけないと聞こえないくらいだ。
「もっと聞かせて」
もう、水に浸したようになってしまったショーツをさげ、指で唐突に中心を犯した。
「ひぁっ!!…あっ!んーっ!ん!あー!あっ!…ん」
かぶるようにチャイムの音が鳴り、斎藤の声はかき消されたがその声は、耳元で大きく響いた。
―いつもは無口で声も小さい斎藤から、初めて本当の声を聞いた気がした。
「いじわるしてごめんな…人が来ちゃうよな」
放心した眼の斎藤と向き合い、もう限界だった俺は、斎藤の中に入った。立っていられなくなったのか、ずるずると座り込んでしまった斎藤を追って、俺達は床で一つにまるまった。
図書室の窓から風が吹いてカーテンが揺れる。外では野球部の号令が聞こえた。
斎藤は何度も小さくあえぎながら「すき…」と呟いて、そのあとかすかな声で「だめ!…いく…」と言った。
二人は汗まみれで、斎藤の顔は涙に濡れていた。
高校最後の、夏休みだった。
攻殻のサイトーさんを浮かべてしまった俺は確実にアホ
>>759 GJ
短くまとめられる人羨ましい…
書こうとするとどうしても長くなってくんだよな
短くても・・・長くても・・・・・・GJな作品はGJなんだよ・・・?
・超ドS無口
・素直クールDE無口
・探偵無口
・男装無口
・無口だけど関西弁
Sで無口だったら怖くね?
ってことで素直と関西弁がいいな
っ【無口+腹話術】
男装無口…
これは新しすぎる
やめてくれー!!
…口では…そう言っても…体は……正直……フフ…。
>>767 この前某西尾さんの某きみぼくシリーズで見たよ。
顔は口程に物を言う、ってキャラだったみたいだけど。
「おい…!?う…、嘘だろ!?」
俺は親戚の娘と一緒に来た執事喫茶で思わずそう言ってしまった。
無理もない。なぜなら、俺の同級生の高原 咲が執事の格好で働いているのだから。
「え!?ええっ!?何で執事!?っちょ!?」
「ちょっと、なにキョドってんのよ!?大人しくしてよね?」
「…………は〜い」
と返事はしたものの…。
「無理だろ〜!!!!?
あの無口でおしとやかな高原が執事…つまり男装してるんですよ!?相当レアでしょ!!?
…けど、高原って男装似合うな…。
凛とした顔立ち、細身でスタイルがいいし…。
他の人と比べて背が低いから逆に存在感が際立つな。
綺麗な美少年執事って感じか?」
などと考えていると、高原がこちらの席に近づいて来る。
そして、とうとう俺は高原と目が合ってしまった。
「や、やあ。こ…こんにちわ、高原さん♪」
俺が軽く手を挙げて挨拶した途端、高原は一気に顔を真っ赤にしてフリーズした。
若干の静止の後、再起動した高原が一目散にこちらに来て俺の腕を掴ん
だ。
「………少し……お借りします。」
と高原が俺の親戚の娘に小声で呟いたと同時に、俺を店の外まで連れて行かれる。
「………」
「………」
連れ出されたのはいいものの、なかなか切り出しにくい…。
思い切って俺は高原に真意を聞いてみる。
「なんで執事?てか、なんで男装?」
「………」
「ああ!!言いにくいよね!?じゃあ、聞かないよ…。
ってか、今見た事は誰にも言わない!!うん、これは俺とお前だけの秘密ってことで…。
じゃあ、俺はこれで……。」
逃げようとする俺を逃がしまいと、高原は俺の裾を掴んだ。
そして、少し泣きそうな顔をしながら俺の顔を見上げこう言った。
「…………約束……だよ……?」
「お、おうよ!!もちろん!」
「……優しいね………君。……そんな……君が………前から……好き
…………///」
……ちゅっ
「…これも……秘密…………///」
勢いで書いた…、後悔してる…orz
後悔する必要ないさ。GJだから
ハイテンション無口
やめとこ。不思議系では済まされない
>>772 ちと今更だがGJと言わせておくれ!
ちょくちょく男装少女スレも見てる身として、存分に堪能させていただいた
……保管庫まだかな?
保管庫って編集自由にできるんだろ?なら俺らでやろうぜ
他人任せイクナイ
昔荒らされたか何かで責任者がロックかけてるから無理。
何かのID晒して編集許可貰わないと。
なんと!
wikiの意味がねぇ
780 :
名無しさん@ピンキー:2008/07/24(木) 08:17:18 ID:EOKmRXwC
そんな…………ぐすん><
ピアノ無口さん
フォークギター無口さん
パイプオルガン無口さん
関西弁無口とか良いと思うんだけど
生かせない言わないで
関西弁からふと連想した方言無口…なんかすごくいいです…
ただよくある題材な気もしなくはない
>>784 田舎から転校してきた娘が方言が恥ずかしくて
無口にってのは結構よくあるような気がする
むくち おれたち
無口芸人
無口女子アナ
無口パティシエ
ということは、職人系無口美女もありえるな
>>787 FEのくせにWiiとか…持ってねえよちくしょう
無口女子アナは何かを決定的に間違えてるな
無口車掌
無口CA
無口エレベーターガール
さあどれ?
無口妄想癖
>>792 どれもこれも接客というか声出し必要な職じゃねーかwww
その無口っ娘は致命的な就職ミスを犯したな
主人公と同じ職ということで無理したか?
むしろ必要なこと以外は喋らないとか。
男の軽口を全部無視して仕事を遂行→男邪魔してはいけないと黙る→「うるさいのは嫌いだけど男君の話なら(ry
CAチップとARチップですね、分かります。
巨乳無口を羨ましがる貧乳無口
>>798 貧(じ〜)
巨(びくっ)
貧(じ〜)
巨(びくびくっ)
貧(もみもみっ)
巨「ぁん!」(びくびくびくっ)
こうか?
ハシビロコウとかいう鳥がいるけど
あいつは無口キャラなんだろうか。
大柄な体型と無口な性格のせいで、みんなから誤解されやすいけど、本当は甘えん坊で可愛いモノ好きのお姉さん、広橋 幸(ひろはし こう)さん(仮名)を想像した
俺疲れてるな…orz
そろそろ容量が危ないな
>>804 いいぞもっとやれ
巨乳無口はおそらく視姦に弱いな
ん?
なんだか女子社員のみんなが集まってる……。
なんだろう?
近づいてみると、一人の女子社員が小さな写真用アルバムを持っている。
それをみて、女子社員のみんなは、はしゃいでいるようだ。
「あ、広橋さん!!」
のっそりと近づいた私に気づいた一人の女子社員、山下さんが私にアルバムを見せる。
「実家の猫が子供産んだんですよぉ。で、親が馬鹿みたいに写真を送ってきちゃって……。広橋さんも見ますか?」
猫の子供……!!
それはそれはかわいらしいに違いない。
でも。
その時、私の稲妻が走ったような顔を見て、山下さんは戦いた。
「あ、そうですよね。し、仕事場に、こんなもの持ってきたらマズイですよね……。ゴメンナサイ!! すぐに片付けます!!」
あ、あの、違……。
否定する前に、すべてを片付けられ、みんなその場から去っていった。
「……見たかった、な……」
はぁ……。
そんな独り言をポツリ。
すると、どこからか聞きつけたのか、彼がやってくる。
そして、彼は、ポケットから一枚の写真を取り出す。
「たぶん、こうなるだろうと思ってな。もらっといた」
その写真には。
“無垢”としか表現できないような、子猫が無邪気に写っていた。
「……か、かわいい」
私は、その写真を胸に抱きとめた。
「そういうお前のほうが、かわいいぞ」
「……………?」
よく聞こえなかった。ので、聞き返すと。
「いや、だから、お前のほうが――、ふん。もういい」
そして、彼は去っていく。
あ、写真のお礼を言うのを忘れてた。
だから、私は携帯電話を取り出し、メールを送る。
件名『ありがとう』
勢いだけで書いてみたが………………。
しかし、出来の悪さに絶望した。
>>804スマン。
( ゚∀゚)・∵. ガハッ
>>809が血を吐いたので病院に送ってきます。
ああ、行く前にこれだけは言っときましょうか…
GJ!
>>808 GJだ。
誤解される無口とその理解者というシチュは、
何がどうあったとしても絶対正義であると書こうとしたら
絶対性技に変換されましたよマイマザー!?
>絶対性技
ここkwsk
「……」
今日は……今日こそは絶対にあいつの思い通りにはならない!
そう心に決めて身構える私の前に、彼が現れる。
「……ははっ、そんなに身構えるなよ」
「……」
「ホントに負けず嫌いなんだから……別にいいだろうに」
そういいながら、優しい笑みを浮かべたまま、彼は私に覆いかぶさる。
ゆっくりと私の身体はベッドに押し倒され、彼は流れるような唇の雨を
私の身体のあちこちに降らせる。
「……んんっ……」
んっ……首筋、弱いのに……彼はそれを知ってるから……だかあ、入念に、
啄ばむように首筋をたどる。やがて、彼が舌を這わせ始めると
「んっ……ふぅ……」
普段、ほとんど声を発しない私の口から、吐息と共に声が漏れる。
「ふふ、どうしてもここは弱いんだよね」
「ふぁっ、んっ、っ……」
……嫌だ。やっぱり、どうしても……感じちゃうよぉ。
「素直になればいいのに……我慢してたら辛いだけだろ?」
「……だ……って……」
だって、いつも私ばっかりこんな風にされて……ずるいよっ!
「ははぁ……なるほどね。いつも自分ばかり感じさせられて、
自分ばっかりイカされちゃうのが悔しい、と」
「……うぅ……」
なんでこの人はいつも私の思ってる事をこうもズバズバと……。
……いや、まあ……だから、好き……なんだけど、さ。
「俺はさ」
「……ん?」
「お前が俺の手の中でビクン、ってなってイッちゃう時、一番気持ちいいんだよ」
「…………」
「だから……俺も、お前と一緒に気持ちよくなってるんだぜ?」
「…………」
な、何というか……ホントにこの男は……もぅ!
……私は、言葉を紡ぐのは苦手だ。だから、彼の身体を抱き寄せて、
「おっ?」
「……ん」
キスをした。
「…………」
「…………」
彼も、私も、今だけは同じように無口。
私の気持ちが彼にわかるように、彼の気持ちが私にわかる……
そんな気がする、わずかなひと時。
「…………」
「…………」
彼の手が、私の一番大事なところへと伸びる。
そうだ……彼に気持ちよくしてもらう事が、彼を気持ちよくする事。
だから……私は、彼の手に躍らされるがまま躍る事にした。
「あっ……くはぁっ」
「……濡れてる」
「ううぅんっ! んぁ……ひゃぁぅ!」
「やっぱり、お前の声可愛いよな」
「……うぅぅ……んぁっ!?」
「今日は……いっぱい可愛がってやるから……いっぱいその
可愛い声、聞かせてくれよな」
「……うっん……あっ、ひぅんっ!」
夜は長い。今日の夜は……特に、長そうだ。
終わり
>>813 で、翌日になるとやっぱり恥ずかしくなって1行目に戻るのか?
816 :
804:2008/07/29(火) 23:43:40 ID:Pc6DsYlB
>>808 まさか俺の妄想が本当に文章化されるとは…ww
GJ!!
817 :
803:2008/07/30(水) 01:05:41 ID:/L6ZpRfq
俺もハシビロコウがこんな展開になるとは思わなかった。
ピッ、ピッ、ピッー!!
「毎朝うるさいな…」
俺は笛が鳴る方を振り向く。
そして毎朝のようにある方向を向き、こう呟いた。
「またあの婦警か…」
数ヶ月前からちっこい眼鏡をかけた婦警が、俺が横断歩道を渡る度に笛を鳴らすのだ。
「仕事に専念しているのは解るが、何故にいつも俺だけなんだよ?
…って本人に言っても仕方ない」
そう思いながらも俺はいつも適当に手を挙げて横断歩道を渡っていた。
その日も俺はいつものように手を挙げながら横断歩道を渡ろうとする。
また笛の音がする…。
「まったく…、また笛の音かよ…?
ん…?
いつもより笛の音が大きいような…?」
そんな事を考えていた刹那、誰かに後ろから抱きしめられた。
「!?」
いきなりすぎてわからなかった。
ただ確認出来たのは、俺の体をしっかりと抱え込む小さな腕と背中に感じる柔らかな感触だった。
その刹那、目の前をトラックが猛スピードで走り去る。
「…あっぶねえ!?」
と思った瞬間、後ろから声がする。
「・・・・・いつも・・危なっかしい・・・・・んだから・・・・・
君の・・事・・・いつも・・・・心配・・・して・・るんだ・・
よ・・・?」
微かに聞こえた声に反応した俺が後ろを振り返ると、いつもの婦警が目
を潤ませながら俺の顔を覗いていた…。
酒に酔った勢いで書いてみた。
しかも、過去の俺の体験談も少し入れて
みた…。
またこんな状況になってみたいな…。orz
くそっ。なんてウラマヤシイ。GJ!
>>819ぐっぢょぶ!!
体験談だと…?
ちょwwkwsk………ゴフッ( '∀'):∴'..
821 :
名無しさん@ピンキー:2008/07/30(水) 16:34:46 ID:bb7JY468
>>821 小5の時に婦警に後ろから抱きしめられたんよ…
車に気をつけろって意味でとっさに抱きつかれたんだけど、背中に胸の柔らかな感触は感じた
そして、にやけ顔になっていたところを友達の母にばっちり見られてしまった…
orz
それが俺の甘酸っぱくも苦い思い出だ…
( づд;)
それはオイスィな。
俺は中学3年の時、教室でイスに座ったまま後ろに背伸びしたら、
たまたま後ろを通った女子の胸元に手が当たり……「ぷにょ」って事があった。
いつもはギャイギャイやかましく仲良くしてた女子だったんだが、
その時ばかりはお互い「!」ってなっちゃってさw 双方何も言えず無口にwww
>>823が普段はしゃべるけど二人の世界に入ると無口になると聞いて
ピッ!ピッ!ピッ!
「「「95…96…97…」」」
「なぁ…筋トレで…この回数は…ねえよな…
ひょっとして…部長と…なんかあった…?」
「ああ…昨日…ちょっと喧嘩を…」
「早く…謝ってくれ…俺達が壊れる前に…」
「わかった…すみません部長、ちょっとこっちへ」
ピィ?
「昨日はごめん」
ピッ!
「ああ、俺が悪かった」
ピィ…
「後でプリン買って帰るか」
ピッ!
「不満か…なら、今日はずっと膝に乗ってていい」
ピッ♪
「もう一声?わかった、プリン全部あーんで食わしてやるよ」
ピ〜〜〜〜〜〜〜〜〜♪
「「「やっと終わった〜〜〜」」」
>>818見たら笛つながりでこんなのが頭に浮かんだ
なんというっ!GJなんだぜ!
>>825 GJ。何部か不明だが、入部して、このカップルをニヤニヤしてたい俺元ハンドボール部員。
続きに期待したい。
いやいやナイス!
俺も入部して観察していたい元サッカー部員。
>>825 皆剣道着での筋トレだと期待する元剣道部
注意書き
・会話形式です
・分岐が3回あります
・しかもどの分岐でもエロ無し
・性格の整合性?何それ、食べれるの?
・そもそも無口じゃ(ry
一つでも気になる人は「不機嫌系無口さん」をNGNameでおk。ではどうぞ。
下谷さんはいつも寝ている。そして珍しく起きているときはいつも不機嫌だ。今日だって机の上で突っ伏した
まま身動き一つしない。先生に耳元で怒鳴られようが身体をゆっさゆっさされようが動かない。たまに死んでる
んじゃないか、なんて思うことさえある。
そして今、そんな下谷さんと一対一で向かい合っている。美術の授業で隣の席の人の似顔絵を描けという指示
だった。
「…………」
心底うっとおしそうですね。何も悪くないはずなんだけど思わず謝ってしまいそうですよ。
「…………」
とっとと素描を終えろと言いたいのは分かるけど、でも残念ながらまだ目しか描き終えていません。……ゴメ
ンなさい。
ゴン!
……確かにごめんなさいって俯いたら顔が見えるわけがないもんね。でもさ、爪先で脛蹴り上げる必要は無い
んじゃない? 痛がってないで早く描けったって、蹴ったのはあなたでしょ。つかその前に授業中なんだから眠
いとかいう態度を見せるのは止めようよ。
「…………」
そんな呆れたって顔しなくてもいいじゃない。正面を向いていてくれないと、このままじゃいつまで経っても
終わらないよ。出来ればこっちに向き直ってくれると嬉しいんですけど……
「亀山君がさっさとしないのが悪い。」
一刀両断。二の句を継ぐ前にチャイムが鳴り響いて彼女は席を立った。
* * * * * *
「……何?」
そんな顔して睨まなくてもいいじゃない。……いや、普通にお願いに来ただけなんですけどね。このままじゃ
授業中に終わらないから顔を写メさせてくれないかなって。ほら、一応最新型だから写真写りはいいしね。……
ちょ、何で睨まれてるの。
ガン!
「別に怒ってない。」
……そんなこと言いながら、今、君の右ストレートが顎にクリーンヒットしたのはなんなんだろうね。そりゃ
あんまり行儀のいいお願いじゃないのは分かってるけどさ、殴られるほどじゃないと思うわけですよ。
「…………」
はぁ……で、ちゃっちゃと撮ってしまいたいんだけど、こっち向いてくれない?
「……何に使うつもり?」
さっきも説明したけどね、美術の課題が遅れてるでしょ? このままだと一緒に放課後残ることになるよっ
て。……なんでそこで黙り込むの。嫌でしょ、巻き込まれて補習とか。
「別に……嫌じゃない。」
嫌じゃない人は6時間目終了と同時に帰ったりしません。現にあなた、すぐにでも教室を出られるようにカバ
ン握り締めてるでしょ。
「…………」
…………。
「…………」
……だから、なんで睨まれてるの。不機嫌だからって当たられても困るって。
「……半分は亀山君のせい。」
そりゃ美術の授業中に終わらなかったからね、仕方ないか。
「そういうところがムカつく。」
はい? ……まあいいや、とにかく――
A「写メ撮らせてよ。」
B「一緒に居残ってよ。」
と一つ目の分岐。Aですか、Bですか?
Bで!
Bですな
Bしかない
じゃあBで。全分岐書き終えてるし、容量埋めも兼ねた小ネタなんでちゃっちゃと行きます。
とにかく、一緒に居残ってよ。来週の授業で素描の提出なのにこのままじゃ終わらない。
「それは私の成績と何か関係あるの?」
あるでしょ、そりゃ。最初に先生『ちゃんともう一人の子に協力しないと採点辛くする』って言ってたしね。
「……覚えてない。」
そりゃ眠そうにしてたもんね。
「何か文句でも?」
いや、別に。
「そう。」
…………。
「……じろじろ見ないでくれる?」
あ、ゴメン。……居残ってくれるということでいいんだよね?
「いいって言った覚えは無いんだけど。」
……じゃあ顔を写メさせてくれないかな、それだけでいいから。
「それは嫌。」
じゃあ居残ろう、そうしよう。異論は認めません。
「何で怒ってるの?」
あなたが我侭だからです。
「誰のせいで居残らないといけないの?」
……あ。
「……まあ残ってあげるけど。巻き込まれてもウザいし。」
恩に着ますっ!
* * * * * *
「どれくらいで終わりそう?」
……分かんないなあ。絵、下手だし。
「……じゃあどれくらい終わってる?」
とりあえず目は描き終わってる。……え、なんか俺不味いこと言った? 目つきがヤバいことになってるんで
すけど。
「こんな馬鹿初めて見たから。」
いきなり人を捕まえて馬鹿とはなんですか、馬鹿とは。
「とりあえずのデッサンでパーツから描き始める馬鹿。」
うぐっ……! 言われてみれば先生が、全体の形を把握するところから始めましょう、とか言ってた気がする
ようなしないような……?
「大馬鹿。」
返す言葉もございません。
「返さなくていいから手、動かして。」
はい。
「…………」
…………。
「……ねえ。」
はい。
「どうして輪郭じゃなくて目から描き始めたの?」
……えーっと、それは――
A「特に理由は無いよ。」
B「下谷さんの目が好きだからだよ。」
分岐パート2。Aですか、Bですか?
これもB
不機嫌というより嫌味?
まぁAで
一応Bで。
まぁBでしょう
Bですね
>>840 A-A-Aから順番に書いていったので、B-B辺りは正直もう集中力が(ry
えーっと、それは、下谷さんの目が好きだからだよ。黒目は澄んだ色しててきれいだし、どっちかというとつ
り目で……って何言わせる気ですかあんた。
「何って?」
危うくこのまま告白っぽい何かをするところだったって話。
「……危うくって。」
そういう空気だったらもっと甘々な台詞吐きますよ?
「吐かなくていい。」
そんなこと言わないで。シモヤマサンハカワイイデスヨ。
「何で片言?」
特に意味は無いけど。でもあなた、散々可愛いって言われ慣れてるでしょ。今更気になるようなこと無いん
じゃ?
「……無い、全然。」
へぇ、それは初耳だね。じゃあもっと褒めてみようか。
「それより手を動かすことに集中して。」
はいはい、最初の目的はそれだったね。……一応訊いておくけど、照れてる?
「まさか。」
……冷静を装っても顔、真っ赤だけど?
「!」
あんたホント可愛いね。普段渋い顔しててもそういうところがあるから好きだわ、俺。
「ありがと。」
素直でよろしい。まあ俺はこういう風に弄るのが楽しいってのが本音だけどね。……睨むなって。嫌いだった
ら褒める以前に会話してません。俺がそんなにお人好しじゃないことくらいは知ってるでしょ、付き合い長いん
だから。
「……まだ5年。」
もう5年、だと思うけどね。中高とずっと同じクラスってなかなか珍しいし、ある意味運命?
「……くだらないこと喋ってないで。」
そうだね、さっさと仕上げますか。
あー、終わったー。これなら文句言われないだろ、多分。
「1時間かかった。」
……手が遅くてゴメンね。でも出来が時間に比例してればいいんでしょ。これでどうよ?
「…………」
どうした、絵見て固まって。
「……これ何?」
は? ……あー、――
A「首描き忘れてるのか。」
B「耳描き忘れてるのか。」
これで分岐ラスト。Aですか、Bですか?
こんどはA
つか、全編どっかにUpしてよ
>>846 元よりそのつもりです。現在StoryEditorからtxtに貼りなおし中。
……あー、首描き忘れてるのか。
「……生首。」
ヤなこと言うなよ。それならこれで、どうだ!
「……線2本って。」
なんだよ、そうとしか描きようが無いだろ。……そりゃ顔の気合の入り方とバランスは取れてないけど、もう
それでいいじゃん。
「納得してる?」
納得してます。だからもう帰ろう。……泣きつくんじゃないかって? 大丈夫、納得いかないなら授業中に誤
魔化しながら直すしさ。
「……ならいい。」
じゃ、帰りますか。
今日は悪かった、居残りに付き合わせて。
「だったら授業中に終わらせるようにして。」
……仕方ないでしょ、どう頑張ってもあなたの顔をきれいに描けなかったんだから。
「…………」
睨むなって言ってるでしょうに。まったく、目つきの悪いのどうにかしたら?
「……そこも含めて好かれてるんだと思ってた。」
それ、自意識過剰。まあ間違っちゃいないけどさ。……ちょ、抱きつくなって。
「感情表現してるだけ。」
それじゃちゃんと喋って伝える練習しようか。俺相手だからまだマシだけど、不機嫌だからって人ぶん殴って
ばっかりじゃいられないでしょ。
「私の気持ちを知っていいのは、亀山君だけ。だから必要ない。」
そういうこと言われると弱いんだよな俺。それを分かっててボディランゲージに走るから始末が悪いよ。……
そうだなあ、せめてもう少し心のうちを顔に出してみるとか、言葉に出すのが苦手でも方法はあるんじゃない?
「…………」
……なんだよ、そんな顔してもあなたの問題であることは変わらないし、それをなんとかしようよって。自分
でも多少は気にしてるでしょ?
「……どうしたら?」
そうだな、例えば……普段から憮然としてるから周りに怖いイメージがつくんだし、ちょっと笑顔を増やして
みるとか。
「……亀山君は平気?」
何が。下山さん、あなたのコミュニケーション能力がアップするんだったらなんでも――
「私があっちこっちに笑顔振りまいても、平気?」
――よく、な、いかもしれない。
「正直な人は好き。」
待て、今のは誘導尋問な気がするぞ。
「素直な人にはご褒美。……ちゅっ。」
……こんなんで許す俺ってマジヘタレだな。
「もっとご褒美、欲しい?」
そりゃ男の子だし……ご褒美以上のことも色々とね?
「……ウチに来て。」
そりゃもう喜んで。
彼女の全く仕方ないな、という顔を掴まえて頬ずりすると後頭部を思いっきり殴られた。そういうのをやめよ
うよって言ってるんだけどなあ……
以上で終了です。
全部投下してゲームブック風にしてもよかったんだけど、
レスの調整とかがめんどくさかったのでこんな形にしてしまいました。
気を悪くした人ゴメンなさい。
>>849 分岐で軽くパラレルになってるのか…
A−A−A最高でした!GJ!!
携帯の俺涙目
>>832-847をまとめに載せる際に他の選択肢の分も
併せて載せて頂けると幸い
>>851 ロダ使ってるし、そう言うのはどうかと
まあ、849本人がOKなら良いのかも知れんが
ID変わらないうちに。
>>852 恥ずかしい出来のSSをばら撒くのには慣れてるんで、全く問題ないです。
本当なら
>>848のような形にしたかったんですよ、でも眠くて眠くて(ry
とりあえず14に行ってきます。
>>848 ぐっじょぶ。よい無口っ子でした。
あと各ルートで微妙に違う亀山君の設定/性格が面白い。
で、ルート選択と結果の飛ばし具合が、まさしく14は死の香り系
のゲームブックの不条理さを思い出したw
余談。
神野オキナの「疾走(はし)れ、撃て!」は、ヒロインが単騎で戦術兵器級
の能力を持ってるくせに口下手で無表情で誤解されやすく恐れられるけど、
実はドジッ子で一途に主人公ラブで、なかなか素敵な無口っ子でした。
856 :
名無しさん@ピンキー:2008/08/04(月) 14:15:00 ID:+E8yQ3jS
ほ
sage忘れた。
858 :
じぇみに。:2008/08/04(月) 23:20:38 ID:eyoqsPes
初投下です。十レスほど頂ければ。
859 :
じぇみに:2008/08/04(月) 23:23:14 ID:eyoqsPes
「イヤッッ・ホゥ――――!」
時は、真夏。
さんさんと照りつける太陽の下、周りの海水浴客の奇異の視線をものともせず、ビーチに少年の雄叫びが響き渡る。
「夏だ! 海だ!! 海水浴だッ!!!」
「うるさい」
海パン一丁姿で叫びまくる少年に足払いをかけて黙らせたのは、セパレートタイプの水着を着た三つ編みの小柄な少女。
ともすると小学生程度に見えなくも無いが、実は少年と同い年で中学生である。
「うう、強くなったな、滝口」
「綱、周りの人の迷惑」
滝口と呼ばれた少女、下の名は睦月、は言葉少なに砂浜とキスしている少年をなじる。
「渡辺、ここは公共の場なんだから、少しは大人しくしろよ」
「願わくば学校でも自重してもらいたいものだな」
周りの男子からも少年を諌める声が相次ぐ。
「いやはは、すまんすまん。開放感の余りつい我を忘れてしまったぜ」
少年、渡辺綱は悪びれた様子もなく、笑いながらむくりと起き上がり、砂まみれのまま既に準備運動に移っている。
「見よ! この青い空! 広い海! 絶好の遠泳日和ッ!
男なら浮かれずに居られる訳があろうかいや無いッ!」
「男ならむしろ女子の水着姿にこそ浮かれるモンだと思うぞ。
普段拝めない大人の女性の円熟した肉体美も鑑賞し放題だ」
「そうは言うがな、フジ」
しれっとセクハラ発言をする男子の肩に手を置く綱。
「女性の水着は市民プールでも見れる。だが遠泳は海でしか出来ない。
なら俺達は泳ぐしかない、そうだろう?」
「プール行っても"料金が勿体無い"とか言って、ひたすら泳いでるくせに」
睦月のツッコミも全く気にかけることなく、綱は海原を目の前にして子供の様にはしゃいでいる。
フジは溜息を一つつき、一キロほど沖合いで風に揺れている赤い旗を指差す。
「しゃーない。付き合ってやるよ。一本目はあのブイまで行って帰ってくる往復で良いか?」
「おう! 負けた方はジュース一本奢りな!」
安い賭け金だとぼやきつつも屈伸で体をほぐし始めるフジを尻目に、一足先に準備体操を終わらせた綱はビーチパラソルの設営をしている集団に向かって声をかける。
860 :
じぇみに。:2008/08/04(月) 23:25:01 ID:eyoqsPes
「むすびー! お前も来るかー!」
パラソルの下部を支えている赤いワンピースタイプの水着を着た少女が顔を上げる。
綱と瓜二つ、とまでは言えずとも、細部まで顔立ちの造りが良く似通っている。所々に女性らしさが現れてはいるが。
結、と言うらしい穏やかな笑みを浮かべたその少女はフルフルと首を横に振る。
「んー? そうか、すまんな。頼む」
「結、なんて?」
睦月達には口を開かない結の意図は掴みかねた。
「"疲れてるからここで荷物見張っとく。皆は泳いで来い"ってさ。午前中俺が引っ張り回しちまったからな。
折角の海なのに。悪いことしたかも知れん」
「……毎度の事ながら良く判るな。結ちゃんの言わんとしてること。双子のテレパシーか何かか?」
「そんなんじゃねえよ。双子っても二卵性だぜ。歳が同じなだけの只のきょうだい」
「あたしの弟なんか、何考えとるかさっぱり判らへんがねえ。これはひょっとすると愛情の有無の違いかしらん」
「俺の妹なんぞ口も利いてくれん。矢張りシスコンブラコン同士だからこそできる芸当だろう」
着替えを済ませたクラスメート達が後からぞろぞろとやって来ては、口々に二人を冷やかしていく。
綱は照れながらもひたすら自分達は正常だと主張している。
話題の対象のもう一方である結の方はと言うと、特に慌てた様子も無く無言で笑いながら兄の様子を眺めている。
二人をからかっていた少女が、少し離れたところで黙々とゴムボートを膨らませている睦月に目をつけ、今度はこちらのほうに絡み始めた。
「おや、ムッキー。つまんなそうな顔しとるね。ひょっとするとやきもちかえ?」
「別に」
「まあまあ、渡辺兄がおむすびと別行動取るめったに無いチャンスやぞ。いつもはおむすびのことばかり気にかけよるからなあ。
ここは悩殺の水着姿で渡辺兄の視線を釘付けにして急接近を図るべきかと」
「そんなつもり、ない」
若干刺々しい口調でお節介な少女をあしらおうとする睦月。
「ああ、判った。水着姿で悩殺するには若干ムネが」
少女の顔にゴムボートがめり込む。
「おーい、全員集合するぞー」
ゴムボートの下敷きになっているお節介少女を置いて、睦月は号令をかけるクラス委員長の元へと急いだ。
861 :
じぇみに。:2008/08/04(月) 23:28:01 ID:eyoqsPes
クラスメート一同が眼鏡男の委員長の周りに集まる。
「よし、全員揃った様だな。点呼は省略する。
今が一時半だから三時半まで自由行動。自由とは言え基本的に二人以上のグループで動く事。
体調が悪くなったり何らかのトラブルに見舞われたら俺か安藤に報告。何か質問は」
男子の一人が挙手する。
「先生はどうしたんですかー?」
「佐藤先生は山登り組みの方に行った」
引率のクラス担任の名前が挙がる。
「まだ山ん中かよ? 俺達は午前中に済ませちまったけど」
「八時間コースで朝七時に出て正午に帰ってくるお前ら兄妹の体力が異常なだけだ。他には」
「おやつは一人いくらまで……」
「質問が無いなら以上で解散」
「おーっし! 泳ぐか!」
遅れて来て今から準備運動を始めるクラスメートらを尻目に、綱達は着替えの入った袋をパラソルの下でゴムシートに腰かけている結に渡しにいく。
「あれ、お前らロッカー使わないの?」
準備運動をしている一団から声がかかる。
「おう、金勿体無いし、ここに置いとく」
「そうか、俺も頼んどきゃよかった」
男子は再び上体逸らしを始めた。
離れたところで前屈運動をしている女子のグループの会話が耳に入ってくる。
「大丈夫なの? あいつらの荷物一人に任せてるけど」
「渡辺さんが管理するんでしょ。"ロボット"には似合いの仕事ね」
「おい」
聞きとがめた綱が血色を変えて振り返る。
結はその腕を掴んでそれを押しとどめた。
「だけどお前あんな――」
何時もと変わらぬ穏やかな笑顔で静かに首を振る結。
それを見て綱も険が取れる。
862 :
じぇみに。:2008/08/04(月) 23:30:49 ID:eyoqsPes
「そうだな。悪かったよ、お前が聞き流してる所を徒に騒ぎ立てようとして」
ぽんと結の頭に手を置く綱。
結はそっとその手をどけると荷物を受け取り、とっとと行って来いとでも言うかのように綱の背中を押した。
「子ども扱いするなって? 悪ぃ悪ぃ。ちょっと待ってろフジ。滝口も来いよ」
ととと、と心なしか軽いステップで駆け寄る睦月に綱はそっと耳打ちした。
「お前、結がまだ女子の間で悪く言われてたりしないかどうか、知らんか」
睦月は気まずそうな顔を見せる。
「たまに聞く。"ロボット"とか"能面"とか。
あ、でも言ってるのはごく一部」
「そうか……」
難しい顔で考え込む綱。
「ごめん。私、そう言う噂ただ聞いてるだけで止めようとかしてない。
陰口って下手に止めると自分も標的になるから」
綱はふっと笑って自己嫌悪している睦月をなだめる。
「その分結に気ぃ遣ってくれてるだろ。それで十分さ」
「……うん」
ふと気付くといつの間にか人ごみを抜けて二人きりになっていた。
フジは波打ち際で二人を待ちつつ、遠方の女性観光客の水着に熱い眼差しを向けている。
急に恥ずかしさが込み上げて来て、睦月は顔を赤らめた。
「ね」
「何だ?」
睦月は俯きながら自分の腕を握り締める。
「私、変じゃないかな」
「ヘンだぞ? どうした急に?」
「そうじゃ、なくて」
きゅっと腕に力を込める睦月。
「み、水着、似合ってる、かな」
そこまで言ってしまってから更に小さく縮こまる睦月。
露出度がそれほど高くないデザインとは言え、へそが丸見えの状態が非常に毛恥ずかしかった。
みっともなくならぬ様、睦月はこの日の為に一ヶ月間ダイエットを敢行していた。
その成果として二の腕や下っ腹が大分細くなったのだが、綱は判ってくれるだろうか。
まじまじと見つめてくる綱の視線がくすぐったい。
863 :
じぇみに。:2008/08/04(月) 23:32:49 ID:eyoqsPes
「……滝口、お前」
「ひゃうっ!」
突然綱に左腕を掴まれ、睦月は跳び上がった。
そのまま真剣な面持ちでふにふにと腕を揉む綱。
「ちょ、つ、綱ぁ。ん……は、はずか――――ふにゃん!」
睦月は振り解くのも忘れて目を白黒させながら揉まれるがままになっていた。もちろん腕を。
「やはりそういうことか」
十秒ほど揉み尽くしてから唐突に腕を開放すると、綱は勝手に何かを納得したのか、したり顔で腕を組んで頷いている。
はあはあと荒い息をつきながら顔を真っ赤に上気させた睦月がゆらりと顔を上げる。
「お前、筋肉落ちてるぞ」
「……は」
綱は自らの力瘤を見せつけながら、説教し始めた。
「育ち盛りなのにメシ抜いてたりしただろ。成長期なんだから肉食え肉。
骨と皮だけでどうするよ。女の癖にナヨナヨしやがって。筋肉も脂肪も無きゃ四肢も動かんし水にも浮かんのだぞ。
見よ! この眩い上腕二頭筋! お前もこの位は鍛えんと俺やフジを追い抜くことなど到底……」
「……ば」
「場?」
俯いている睦月の顔を覗き込む綱。
「ばかああぁぁッ――――!」
「ぐうぉおおおおおお!?」
凄まじい勢いで睦月の右フックが綱をレバーを打ち抜く。
悶絶し前のめりに屈み込む綱を置いて、睦月はずんずんと一人海の方へと歩き去っていった。
「な、な……ぜ」
「なぜじゃねーだろ」
いつの間にか傍で二人のやり取りを見守っていたフジが冷静に突っ込んだ。
864 :
じぇみに。:2008/08/04(月) 23:35:27 ID:eyoqsPes
睦月は一人で黙々と泳いでいた。
体を動かしていると嫌なことは忘れていられる。
クロールでもう十五分ほど泳いでいるだろうか。
ゆっくりと泳いでいるとは言え流石に疲れて来たので、平泳ぎに切り替え、近くにある岩場を目指す。
岩場、と言うよりも子供一人がやっと立っていられる程度のサイズしかない小島に取り付いて一息つく。
普段なら三十分は泳いでいられるのに、明らかに体力が落ちている。
(やっぱり、しっかり食べるべきかなぁ)
後方を伺うと、海岸からはかなり離れていた。
綱たちは海岸線付近で馴らしの泳ぎをしている。
先程の失礼な扱いを思い出し、目線を外す。
砂浜の方を見やると、カラフルなパラソルの下で結が一人座り込んでいた。
睦月の視線に気付くとぶんぶんと勢い良く手を振って来る。
(目、良いんだ)
手を振り返しながら、睦月は渡辺結と言う少女のことを考えた。
常に穏やかな笑みを顔に貼り付けた、全く喋らない、渡辺綱の双子の妹。
あの行動力の塊のような兄の一歩後ろにぴったりと張り付き、自らのペースを乱すことなく、そのフォローすらこなしてみせる、ある意味超人的な少女。
綱の愛情を一身に受ける、最大のライバル。
傍若無人な彼も、妹にだけは細やかな気を遣う。
睦月にとって嫉妬の対象になりそうなものだが、何故か憎めない。
彼女が自分も含め他人への配慮を忘れないからだろうか。
(お話できたら、いいんだけどな)
綱のことはさておき、仲良くしたい。
折角の機会だ、綱の方とは今は話をしたくないし、ここは一つ結と親睦を深めてみよう。
睦月の方が一方的に喋るしかないのだが、それでも得るものはあるだろう。
そう思い立つと、睦月は岩場から離れて海岸に向けて泳ぎ始めた。
865 :
じぇみに。:2008/08/04(月) 23:38:04 ID:eyoqsPes
泳ぎ始めてから数十秒ほど経った頃、突然睦月の右足に鋭い痛みが走った。
(……ッ! 何っ!)
足首を動かそうとすると耐え難い激痛に苛まれる。
体が沈み始め、ばたばたともがいた。
今更になって泳ぐ前の準備運動を怠っていたことを思い出した。
(そうだ! 岩場!)
必死に海面に顔を出し先程休んでいた小島を探す。
遠い、既に百メートルは離れている。
しかも潮の流れで体はあらぬ方向へと押し流され始めていた。
「――――っ! んくッ!」
海水を飲み込んでしまい、むせる。呼吸が続かない。
最早体を起こしておくのがやっとだ。
(助けてッ! ――誰か!)
睦月の叫びは波に飲み込まれた。
「……結?」
バタフライで体を慣らしていた綱は顔を上げ浜の方を見上げた。
妹の様子が変だ。
見知らぬ通行人を捕まえて必死に沖合いのほうを指差している。
釣られて指し示される方向を見た。
弱々しい水飛沫が上がっている。
揺れる黒い三つ編み。
866 :
じぇみに。:2008/08/04(月) 23:40:05 ID:eyoqsPes
「結ぃ――――! 浮き輪寄越せぇ――――!」
間髪を入れず凄まじい勢いで飛んでくる浮き輪を振り返りもせずキャッチすると、綱は猛スピードで水飛沫の方へ一直線に泳ぎ始めた。
五百メートル以上を殆ど息継ぎもせずクロールで駆け抜ける。
監視員の誰かに任せるべきだとか、浮き輪一つ持ってきただけで何が出来るだとか、余計な考えは頭に浮かぶ度に一瞬で消去する。
脳に酸素を使っている余裕は無い。
只ひたすらに、我武者羅に泳いだ。
(ッ! やっぱり滝口か!)
見知った少女が弱々しく喘いでいるのを確認すると、最後の力を振り絞って速度を上げる。
「滝口! 掴まれ! 滝口ッ!!」
沈みかけている睦月の体を捕まえ、脇に抱えていた浮き輪の上に引き上げた。
体重をかけない様気をつけながら背中を揺する。
「……ぅ、なぁ」
「大丈夫か! 水飲んでないか! 息できるか!? できないなら手ぇ叩いて教えろ!」
睦月は必死に咳き込みながら首を横に振る。
「そっか……よかっ」
死に物狂いで泳いで来た疲労が急に圧し掛かり、綱は危うく沈みかける。
だが睦月がその腕にすがり付いて離さなかった為、今度は綱の方が引っ張り上げられる形になった。
二人で一つの浮き輪にすがりつきながら、互いに言葉も無く荒い呼吸を繰り返す。
暫くしてようやく呼吸も落ち着いた頃、突然睦月は綱の首に抱きついた。
目を白黒させる綱。
「ちょっ、た、滝口?」
「ごめんなさい」
綱は少女が震えているのにようやく気付いた。
「……ごめんなさい」
謝罪を繰り返す睦月。
綱は抱きつかれたまま、静かに彼女の背中を叩いた。
「何はともあれ、お前が無事で良かった。だから気にすんな」
「……ぅん」
そのまま海の真ん中で抱き合う二人。
恥ずかしさは感じなかった。
867 :
じぇみに。:2008/08/04(月) 23:42:37 ID:eyoqsPes
「あ――。とは言え、まだ無事とは言えんなこりゃ」
「?」
何故か綱が遠くの方を見て冷や汗を垂らし始める。
睦月も周囲を見回してみた。
陸地が見えない。
360度、空と海しか目に映らなかった。
心なしか波も高くなってきたような気がする。
「……ひょっとして、遭難?」
綱は頷いた。
「しかも引き潮だ」
二人して黙り込む。
綱も睦月もこれ以上泳ぐ体力は残っていない。
浮き輪もいずれは萎んでしまうだろう。
睦月は綱の背中に回した腕に、きゅっと力を込めた。
「滝口? 平気か?」
こくりと頷く睦月。
何故か恐怖は無かった。
一人で溺れていた時はあんなに恐ろしかったのに。
「綱は? 怖い?」
「いや、俺は――――」
突然甲高い汽笛の音が鳴り響く。
続いて近付いてくるスクリュー音。
猛スピードで派手な水飛沫を上げる何かが迫る。
綱は苦笑を浮かべた。
「あいつが居るからな」
小型のエンジン付きボートが横向きになって急制動をかけ、二人の目の前で止まる。
相変わらず穏やかに笑っている少女が手を伸ばし、睦月を海面から引っ張り上げた。
868 :
じぇみに。:2008/08/04(月) 23:45:18 ID:eyoqsPes
********************
夕焼けに染まる海岸線を左手に、一同は宿泊先である旅館に向かっている。
睦月は綱もろとも救急病院に担ぎ込まれ検査を受ける羽目になったが、結局異常無しと言うことで早々に開放された。
大人しくし診断を受けていた睦月とは対称的に、綱は自分は平気であるから検査は不要だと主張して譲らず、結局開放されるのが睦月より遅れてしまう。
付き添いで一緒に待っていた結他数名と共に病院を出る頃には、六時をまわっていた。
「しかも何で俺が滝口背負う羽目になってんだよ」
「お姫様抱っこの方をご希望か?」
「本日のヒーローの役目さ。役得と思いねぇ」
未だに不満げにしている綱をからかう一同。
普段なら一応病み上がり扱いの綱に代わり結が背負う役を引き受けそうなものだが、何故か今日に限っては彼女も冷やかされるのを見守るばかりで、兄を助けようとはしない。
少年の背中に揺られながらうとうとしていた睦月は、ふと首を曲げる。
結と目が合った。
にこりと微笑まれる。
敵わないな、と睦月は思った。
自分はこの少年を支えるどころか、隣に立つ事すらできていない。
ただ、背負われているだけだ。
「足、痛むか」
綱が首を曲げて問いかけてくる。
睦月は首を振った。
少年の気遣いが嬉しくもあり、それを受けているだけの自分が恥ずかしくもある。
「綱こそ、私、重くない?」
「軽きに泣きて、三歩歩まずって位軽いぞ。いいからお前はもっと食え」
「ん……」
言葉と裏腹に、足取りは少し危うい。
よろめく綱を、隣の結がそっと支える。
兄妹の影が重なる。
背中の少女は、ただそれを眺めている。
いつかは、自分も隣で彼を支えられる様になりたい。
睦月は少年の背中に顔を預け、静かに目を閉ざした。
869 :
じぇみに。:2008/08/04(月) 23:46:48 ID:eyoqsPes
「それにしても助けに行くのが少し早すぎやせんかね渡辺兄」
「何だよ藪から棒に」
「空気が読めんなあ。ムッキーも内心もうちょっと遅れて来てくれた方が嬉しかったろう」
「? なんでそうなるのよ」
「いや、呼吸困難に陥っとったら人工呼きゅ――うごッ」
「ちょ、滝口! 背中で暴れんな!」
870 :
じぇみに。:2008/08/04(月) 23:50:44 ID:eyoqsPes
以上です。非エロ注意を忘れてすまん。
初心者ですので至らぬ点などをご指摘いただけると有難いです。
あとおむすびとムッキーどちらがお好みか感想に添えていただけると狂喜乱舞します。
>>870 このスレ的にはおむすびを応援するべきなのだろうが
どうみてもヒロインはムッキーです。本当に(ry
GJ
軽きに泣きそ→軽さに泣きそ なのかな?
とりあえず俺はおむすびとムッキーどっちも取らせてもらう。
873 :
学士:2008/08/05(火) 00:54:29 ID:pBwMPSEA
盛り上がりに欠けるのとテンポが悪いのとあんまり無口じゃないのと
キャラが多くて重要なサブキャラが誰なのかというよりいるのかがわかりにくいのと
台詞になんか違和感があるのと前置きが長いのとなんかダラダラした感じなのを覗けば、
他はGJ
文体は変じゃないから読みにくくはない。
本当ならアドバイス出したいが眠い。スマソ。
あれだ、初回からキャラがたくさん出ると読者が混乱するんだ。
無口成分が足りない気がするのもおしい…
うん、適当ですまん
む〜〜
「…仕方ないだろ。泊まり込みだったんだから」
じーーー
「…言い訳にしか聞こえないっても……見れなきゃわからないだろ…」
じーーーー
「…携帯もすっかり見落としていた、済まない」
じぃぃーーー
「なァ…確かに気付いてやれなかったのはホント悪いって思ってるさ。
けど何度も言うようだけd「それなら…
「!」
「………謝ったり…しないで、さ…」
「……」
「…ちゃんと……言ってあげて……
当たり前の事…だよ?」
「………あぁ、悪い…当然の事だったな…ちゃんと言う」
―――保管庫乙―――
保管庫GJ
>>870 むすびが…大好きです。
最初は応援するつもりがだんだん兄がとられるのがイヤになって〜なかんじになると俺が狂喜します。
保管庫の人乙。
ちなみにリンク間違いとかはここで指摘してもええんかな?
>>870 二兎を追いかけて両方Getに決まってるだろ、常考……
どちらか一方なんて決められないな〜
なぜかこの二人がちょっとだけ仲良くなるところを見てみたいんだが…
ネコなカノジョの観察日記
続き来ないかな〜
>>870 結の方が好きだけど両方ってのもいいと思うよ!
GJ!!!
全三回、前編。7レスくらい。前編は非エロ。
「君達、止まりなさい」
休日の白昼、町の商店街を歩いていた僕達は、突然呼び止められた。
振り返ると、そこに立っていたのは警官の制服と制帽を身につけた若い男。
きちんとした身なりと、倣岸とまでは行かずとも他人に命令し馴れているその態度は、どこからみても警察官らしい。
腰にこれ見よがしに下げた一丁がモデルガンであることを除けば。
別に僕はグリップ部分を見ただけで拳銃の真贋を見分ける事ができるようなミリタリーマニアと言う訳ではない。
ただ金属の匂いも火薬の匂いもしなかったから。
「保護者の方は居るかな?」
「……」
「いえ、僕達二人で買い物です」
黙っている連れの少女に代わって正直に答える。
警官の格好をした男、まだ偽と決め付けるには証拠不足だが、はそれを聞いてとても嫌な匂いを放った。
焦げた髪の毛のような臭気が漂う。
サディストが獲物を捕らえ、これからいたぶると言う時に発する嗜虐心の匂い。
「実は……君達に似た中学生二人が家出してここ周辺を徘徊していると言う情報があってね。
いや、君達を疑っている訳じゃないが、これも仕事なんだ。一緒に署の方に来てもらえるかな」
失礼な、これでも二人とも高校生だ。
しかし、どうしたものだろうか。
この男、匂い云々は置いておくとしても、警察手帳は見せないは、同僚と連絡を取っている気配も無いはで、警官を名乗るには怪しい所がありすぎる。
このまま付いていっても、人気の無い路地裏かどこかに連れ込まれて、身包みはがれる可能性は非常に高い。
周りを見回すが、通行人は時折好奇の目線を向ける程度で、関わろうとする酔狂な人間は居ないようだ。
連れの方はと言うと、ボーっと立ち尽くしたまま何の反応も返してこない。
僕は意を決すると、息を思いっきり吸い込んだ。
「お巡りさ――ん! 偽警官が居ます! 助けてください!」
警官の格好をしたその男は、恐怖の匂いを放ちながら僕達を置き去りにしてその場から走り去ろうとする。
十メートルほど離れた所で周りの様子を伺い、悔しそうな顔をした。
本物の警官なんて、勿論いない。
あの男が本物なら、勿論逃げる必要なんてない訳で。
そして正体を明かされた以上、衆人の目があるここでは僕達をどうすることもできない。
偽警官は訳の判らない罵声を浴びせると、足早に立ち去っていった。
溜息をつく僕。
「やれやれ、災難だったね。案内の途中だけど、もう帰ろうか?」
無関心げに立ち尽くしていた彼女は、こくんと一つ頷いた。
帰路に付く僕の数歩後ろを、彼女は黙って付いてくる。
僕は無い頭で必死に話題を探ったが、その殆どは行きで既に喋り尽くしていた。
「どうして」
ぽつりと彼女が呟く。
彼女の方から話題を振ってくるなんて、ここ二日間で無かったことだ。
僕は少し嬉しくなった。
「どうして、偽警官だって判ったんですか」
これまた話し辛い話題を。
僕は取り合えず誤魔化しておく。
「なんとなく、勘だよ。勘。
ここら辺を偽警官がうろついてるって噂もあったしね」
嘘をつくことに対し、若干心が痛む。
彼女は目を伏せ、
「変なことを訊いてごめんなさい」
と、一言。
会話が続かない。
気まずい。
余り経験したことの無い雰囲気に、僕は戸惑っていた。
僕は生まれつき鼻が利く。
お医者の話によると、どうやら通常の人間の三倍の種類の匂いを嗅ぎ分けられるようだ。
感度も非常に高く、種類によれば犬やネズミを遥かに超えているらしい。
特に敏感なのが、ヒトの感情が発する匂いに対してだ。
人間は嬉しい時、怒っている時、悲しい時、いくらその感情を押し隠していても特有の臭気を発する。
さすがにテレパシーみたいに思考が筒抜けなんていうことは無い。
けれど周囲の人間の喜怒哀楽くらいならば手に取るように判る。
将来警察官になれば警察犬と嘘発見器の代わりになれるだなんて、父さんと母さんは笑っていた。
けれど、普通の人は自分の感情を他人に知られるなんて御免だろう。
特に女の人ならば体臭を嗅がれるなんて屈辱でしかない。
だから、僕はこの体質のことを隠している。
知っているのは両親を除けば、かかり付けのお医者とその知り合いの信用できる学者数名くらいだ。
悪い体質ではないとは思う。
色々な制約はあるが、他人の感情に気をつけていれば大抵のいざこざには巻き込まれずに済むし、労せずして場の空気を読むことが出来る。
友達の感情を嗅ぎ分け、"気が利く良い奴"との評価を得るのも悪い気はしない。
今回のような厄介事にも巧く対処することができる。
だけど、この能力はけして万能じゃない。
たまに、居るのだ。僕でも全く感情を読み取ることのできない人間が。
笹川袖もそんな例外の一人である。
彼女が家に来たのは、つい昨日のこと。
出張中の両親から「親戚の子を預かることになった」との電話がかかってきたのが夕方の六時だった。
昔、正月の時何回か顔を合わせた事がある。その程度の関係の娘。
親戚とは言え歳の近い男女を一つ屋根の下に住まわせるなんて、どうかしている。
勿論、理由は訊いた。
父さんは「詳しい話は帰ってから話す」
母さんは「わが息子を信用している」
訳が判らなかった。
自慢の鼻も、相手が受話器の向こうでは通用しない。
それでも、向こうで何かゴタゴタが起こっているのは感じ取れたので、それ以上は訊かず電話を切った。
彼女が家に着いたのがその十分後、丁度僕が出迎えに行こうと服を着替えていた時だ。
その時から、僕と彼女の奇妙な共同生活が始まったのだが。
「えーっと。さ、笹川さん」
「はい」
椅子に座ってじっと俯いている彼女に、意を決した僕は声をかけた。
「お茶が入ったんだけど……」
「お手伝いしますか」
いや、そうじゃなくて。
早速意思が挫けそうになる。
「飲む?」
「ありがとうございます。いただきます」
湯呑みを受け取ると彼女はゆっくりと音を立てず傾ける。
僕は暫し、その人形めいた美貌に見惚れていた。
きらきらと光を反射する長い髪。
唯一の飾り気である黒い鼈甲の髪飾りに映える。
物憂げに伏せられた長い睫毛。
そして、漂ってくる瑞々しい香草の様な香り。
ただ、その表情から、行動から、体臭から、感情がごっそりと抜け落ちている。
彼女の意思そのものが感じられない。
問いかければ返事はしてくれる。
当たり障りの無い、無難な返事を。
彼女から話しかけてることは滅多に無く、自分の要望を表に出すことは決してない。
かすかに記憶に残る、もっと小さかった頃の彼女は、ここまで極端ではなかった。
(どうにかして、喜ばせてあげたいんだけどな)
そうしたら、きっと彼女は素晴らしい香りを放ってくれるんじゃないだろうか。
そこまで考えて、自分の変態的な思考に唖然とする。
どうやら僕は相当自分の鼻に振り回されているようだ。
頭を振って、思考を切り替える。
彼女はお茶を飲み終えていた。
「ごちそうさま。おいしかったです」
全然美味しいと感じてる人の匂いがしてこないのは残念だ。
「お粗末様、お風呂もう沸いてるだろうから先に入っちゃって」
「はい」
着替えを取ると風呂場のほうへと歩み去る彼女を見送る。
扉が閉まると、僕は緊張感から解放されて溜息をついた。
正直、彼女とどう接してよいのかわからない。
鼻が通用しなくなるだけで、人との距離の取り方がわからなくなってしまう。
それでも、彼女のことが気になるのは、ほんの僅かに漂ってくる独特な匂いのせいだろうか。
何かを我慢しているような匂い。
僕には、彼女が自分と言うものを無理矢理押さえ付けているように感じられる。
あんな小さな体で、一体何を堪えていてると言うのか。
(ひょっとすると、僕?)
年頃の女の子にとって、若い男と二人っきりで同じ住環境に放り込まれるなんて状況は、普通に考えると耐え難いことだ。
僕の事を嫌がってるのに、気付いてやれていないと言う可能性。
十分有り得る。
僕は更に気が重くなって気を紛らわすために湯呑み二つを洗ってしまおうと腰を上げた。
ふと、視線が壁に付いているガス計に向く。
点灯していない。
つまり、今熱湯の蛇口を捻っても、湯が出ない。
彼女が風呂場に向かってから、もうとっくに十分過ぎている。
「いや、そんな馬鹿な」
僕は恐る恐る風呂場の方へ向かった。
電気はついている。
誰かが向こう居るのは気配で判る。
だが、曇りガラスの反対側が結露しているようには見えない。
「笹川さん」
呼びかけてみる。
返事は無い
「笹川さん!」
声を張り上げるが、それでも返事は聞こえない。
彼女は無口で声が小さいから聞こえないだけだろう。
僕の中の臆病な部分がそう囁くが、最悪の可能性への恐れがそれを打ち消した。
「笹川さん、入るよ。嫌ならきちんとそう答えて」
僕は心の中で更に十秒数えると意を決し引き戸に手をかけた。
冷気を頬に感じる。
湯気が全く立ち上っていない。
苦痛の、匂い。
手足を折り曲げ小さく縮んだ彼女は、唇を真っ青に変色させて、冷水が満たされた風呂桶に浸かっていた。
ヒーターとエアコンをガンガンに回し、ブレーカーを落とさない様コンロで牛乳を温める。
砂糖を入れて飲み易くし、毛布に包まっている彼女に渡す。
「熱いから気をつけて。ゆっくり飲むんだよ」
伸ばされた腕に浮かぶ黒く変色した痣には気付かない振りをする。
腕だけではない。
風呂桶から引き上げる際、彼女の手足の所々に青痣が浮かんでいるのを見てしまった。
恐らくは、虐待。
彼女が家に来た理由の一つが、ようやく判った。
しかし、預けるなら僕よりももっと相応しい人間の所に預けるべきだろう。
そこだけは未だに判らないが、僕の成すべきことに変わりは無い。
僕はまず、彼女を知らなければならない。
「笹川さん」
びくりと彼女は震えた。
「水風呂に入ったのは、僕に風呂に入って来いって言われたから?」
彼女は静かに首を左右に振った。
彼女が嘘をつくのは、これが初めてかもしれない。
「僕はそんなこと、君に望んじゃいない」
彼女はびくりと震えた。
かすかに漂う恐怖の匂い。
それすらも一瞬、すぐに匂いは消え無表情を取り戻す。
最初、彼女は僕の注意を引くためにこんな自傷じみた行為をしたのかとも考えた。
でも、きっとそれは違う。
他人の言うことには、一切疑問を差し挟まず、一字一句馬鹿正直に従う。
そして、ひたすら自分を殺し、耐える。
それが彼女の処世術なのだろう。
まるで人形じゃないか。
僕は首を振って悲しみと苛立ちを振り払った。
「別に怒っちゃいないよ。けど、君が不必要に傷つくのは悲しい」
彼女が目を上げる。
「どうして、ですか」
「友達のことを思い遣るのは、可笑しい?」
少し図々しかっただろうか、まだ碌にコミュニケーションを取れていないのに、友達だ、なんて。
すっと彼女はソファから腰を上げた。
牛乳が入っているマグカップを床に置き、僕の方へと近付く。
「な、なに?」
すっと伸びてくる彼女の細い腕。
なんとなく、僕はその手を取ってしまう。
彼女は弱々しくそれを握り返してくる
彼女の掌は、冷たい。
暫くすると、突然彼女の目から涙が零れ出た。
溢れ出る悲しみの匂い。
声も無く、ただぽろぽろと涙を零す彼女を見て、僕は大いに慌てふためく。
何か泣かせるような事をしてしまったのだろうか。
嫌悪の匂いはしなかったので、握った手を離す様な事はしなかったが、どうしたら良いかは全く判らなかった。
「ごめんなさい」
彼女は静かに呟いた。
「馬鹿なことをしてしまって、ごめんなさい」
その時、僕は漸く気が付いた。
彼女は人形なんかじゃない。
他人の感情を理解できる、人の悲しみに共感して泣く事ができる優しさをちゃんと備えていて。
けれど自分のそれをどう表現したら良いか知らない。
きっとそれが許されなかったのだろう。
だから、ただ他人の言われるがままに行動する。
そんな状態が正しいとは、思えない。
僕はもっと彼女のことを知りたい。
彼女の魂の匂いを感じたい。
僕はそっと、袖を抱きしめた。
その晩。
風呂桶から運ぶ際覗き見てしまった彼女の肢体や、抱きしめた時の彼女の感触。
そして彼女の素肌から直接嗅いでしまったハーブみたいな体臭を思い出し、一人ベッドの上で悶々としてしまったのは、又別の話。
投下終了
いかん、見直してみると前回の反省点が殆ど生かされていない。
キャラは減ったが相変わらず盛り上がりに欠けるしテンポも悪い。そしてあんまり無口じゃない。
反響を見つつ、次回は来週末にでも投稿させていただければありがたい。
いいねえいいねえ
続きに期待しちゃうぜ
>>890 投下直後に自分の作品を酷評するのはどうかと。
「すごく面白い」と感じていてもその評価のせいで「そうなのか…」
と人の評価まで変えてしまうこともあるだろうから。
あとこのテンポはかなり好きですよ?
んでGJ!!
能力じゃなくてただの匂いフェチでも通りそうな主人公に吹いたwwww
これじぇみにの人が書いたの?
マジかよ?作風がガラリと変わってるな。もちろん上手くだけど。
二回目でここまで上手くなれるもんなんだ……
そろそろ次スレの時期か…今スレも名作揃いだったな
GJ!
俺もどっちかっつーと鼻は利くほうだが、家の前を通るとその家の晩飯が大体分かる程度・・・
主人公がうらまやしい
これは期待
続きが気になるなぁ
こんにちは。お久しぶりです
しばらく別スレにいたり規制に遭ったりしていました
以下に投下します。今回は短い話です。エロはありますがあっさりめ
『ことりのさえずり』
『本番一分前です』
いつものように番組が始まる。
ああ、また色々しゃべらないと。スイッチ入れば別に苦じゃないけど、やっぱり始まる
前の緊張はいつまでも拭えない。
『五秒前。……三、二、一』
でも大丈夫。ラジオの向こうで聴いてくれる『あの人』がいるから。
「こんばんはー! 『ことりのさえずり』パーソナリティーの鈴川ことりです。今夜も
一時間、私のさえずりにお付き合い下さいっ」
◇ ◇ ◇
鈴川ことり。25歳。深夜ラジオのパーソナリティー。趣味は映画鑑賞。好きなものは
甘いもの。特徴・よくしゃべる。
私の簡単なプロフィールだ。
本名は木村小鳥(きむらことり)。容姿を世間に公表したことはないから、周りには
あまり私の仕事は知られていない。
この仕事を始めたきっかけは、幼馴染みが私の声を誉めてくれたこと。だから、声を
生かせる仕事を選んだのだ。
最初は声優としてこの業界に入ったのだけれど、ラジオの方が受けがよかったらしく、
今では声優の仕事はほとんどやってない。
番組は土曜の深夜。それ以外の日は所属事務所で事務業をしている。その辺りは普通の
OLと変わらない。
自分で言うのもなんだけど、人気は上々。最近メールの数も増えてるし、うまくやれてると
思う。
うまく演じてると思う。
本当は、しゃべるのはあまり好きじゃない。
普段の私はあんまりしゃべらなくて、人付き合いも実は苦手なのだ。
それでもこの仕事を続けているのは、幼馴染みの彼が私の仕事を応援してくれるから。
毎週欠かさず聴いてくれるあの人のために、私は土曜の深夜を頑張る。
◇ ◇ ◇
はい問題! 今日は何の日でしょう?
毎週聴いてくれてるみなさんなら、きっとわかると思います。
今日はですねー、なんとこの番組、二周年記念なんです!
……微妙? あー、スタッフが微妙な顔をするとかありえないでしょ! なんだかんだで
二年間やってきたその積み重ねをなんだと心得る!
まあいいや。正直私もどうでもよかったりするしね。ぶっちゃけすぎ? 冗談ですよー。
スタッフがあまりにやる気なさげで、私も引っ張られるところでした。危ない危ない。
あ、メールいただきました。東京都、ラジオネーム・ゆきだるまさん。真夏なのにゆき
だるまさんはずっとこのネームだね。
えっと、『ことりさんこんばんは。二周年おめでとうございます』ありがとうございます!
『初回からずっと聴いている身としてはすっごく嬉しいです。これからも一年、二年と
言わずに、五十年くらい頑張ってください』
メールありがとう、ゆきだるまさん。でも五十年はちょっと難しいかなぁ……。そんなに
できたらきっと幸せなんだろうけどね。ほら、最近ラジオ局的にも色々経費の削減とか
あるし、この番組もふとしたことで打ち切りになるかもしれません。常にピンチです。
ヤバいです。そもそも五十年もしたら私七十五歳だよ? 足腰立たないよ? 今みたいに
しゃべれないかもしれないよ? そんな状態になったらもうみんなついてきてくれないと
思うよ。ゆきだるまさんはついてきてくれる?
またメールいただきました。北海道、ラジオネーム・カニ味噌大好きさん。私も大好き。
『ことりさん、こんばんは。私はついていきますよ。ことりさんのさえずりはいつ聴いても
元気が出てくるから。ことりさんがおばあちゃんになる頃には私もおばあちゃんになってる
けど、だからこそ元気もらいたいです。その分メールもたくさん送って、少しでもことり
さんを元気付けられたらいいなあ』
カニ味噌大好きさん、メールありがとう。カニ味噌大好きさんは私と同世代なのかな?
そんなに応援してくれるなんて、すっごく嬉しいです! みなさんからのお便りやメールは
とっても励みになってます。だからそんな風に言ってくれるのはとっても嬉しい。カニ味噌
大好きさんだけじゃなく、応援してくれるリスナーのためにも、私もできるだけ頑張ります!
あ、曲のリクエストをいただきました。東京都、ラジオネーム・うさぎのしっぽさん
からのリクエストです。
『こんばんは。二周年おめでとうございます。話聞いてると、この番組もいつか終わるかも
しれないんだなあ、としみじみ思いました。それは当たり前のことなんだけど、好きな
番組が終わるのはやっぱり淋しい。だから少しでも長く続くように、これからも毎週聴いて
応援していきたいと思います。
リクエストは私の好きなアーティストのアルバム曲です。ついつい聴いてしまうこの曲を
ラジオで聴きたい! ことりお姉さんお願いします』
ということで、ふっふっふ、お姉さんはあなたのお願い受け付けますよー。というか
お姉さんて。お姉さんて! そんな風に呼ばれる日が来ようとはっ。気分いいですねなんか。
じゃあ早速行っちゃいます。曲はハンバートハンバートのアルバム『道はつづく』から。
『長いこと待っていたんだ』
◇ ◇ ◇
家に帰り着く頃には、時計の針はもう午前三時を回っていた。
中に入って玄関のドアを閉めると、どっと疲労が押し寄せてきた。二周年ということで
いつもよりしゃべりに気を遣ったせいだろう。このままここで眠ってしまいたい気分に
なってくる。
そんなこと、彼が許さないけど。
「おかえり。小鳥」
出迎えに現れた清川空(きよかわそら)は、いつもと同じ笑顔を向けてきた。
ん、と小さく頷く。口を開く必要はない。彼はちゃんとわかってくれる。
「疲れてるかもしれないけど、ちゃんとお風呂入ろうね。汗もかいてるだろうから」
私はまた頷き、それから幼馴染みの袖を引っ張った。
私が空にだけ見せるサイン。
「一緒に入ってほしいの?」
私は思わず赤面したが、はっきり頷いた。
空は嬉しげに微笑む。
「いいよ。ていうか、ぼくもそうしたかったから」
そう言うと、空は私の頭を撫でた。
また赤くなってしまった。誰かに見られてるわけじゃないから、別に恥ずかしがらなくても
いいんだけど。
空に促されて私は浴室に向かう。
脱衣場で服を脱いで裸身をさらすと、空の表情がまた嬉しげになった。
恥ずかしさから抗議の視線を送ると、彼は首を軽く振った。
「いいじゃない。男は好きな女の子の裸をいつでも見たいんだよ」
女の子て。私二十五歳なんだけど。
「こんなにちっちゃくてかわいい子に、歳なんて関係ないよ」
そう言って私を浴室に押し込む空。扉を開いた瞬間、熱気が顔をむわっ、と叩いた。
振り向いて空を軽く睨む。ちっちゃいって、それはどこを見て言ってるの?
「別に幼児体型なんて思ってないよ?」
口にする時点で多少は思ってるんじゃないか。
「疑り深いなぁ。ぼくは小鳥がかわいいって言ってるだけなのに。座って」
言われたとおりに腰掛け椅子に座る。すると後ろから空がお湯で頭を流してくれた。
ショートカットの髪は洗いやすい。それは誰かにされる場合も同じ。
私はこうして、空に髪を洗ってもらうのが好きだ。空の手つきは丁寧で優しいから。
空に髪を預けると安心する。
「気持ちいい?」
頷く。空は私の痒いところも全部わかってくれて、それは私にとってかけがえのない
ことだ。
しゃべるのが苦手で、それを全部受け止めて理解してくれたのは空だけだったから。
鏡を見ると、わしゃわしゃとシャンプーの泡が私の頭に広がっていっている。
「よし、流すよ」
目を瞑る。温かいお湯が頭から体全体に、泡とともに流れ落ちていく。
「ああ、そういえば二周年おめでとう」
濡れた顔を両の手の平で拭ってから、私は振り向いた。
「記念にケーキ買ってきてるから、上がったら食べよう」
ケーキ。その言葉に私は思わず目を見開いた。甘いものにはつい反応してしまう。空
からの贈り物なら尚更だ。
「でもすごいな。まさか二年も続くなんてね」
空はしみじみと呟いた。
それに関しては私が一番驚いてる。1クール、2クールで終了する番組がほとんどの中、
なぜ私の番組が生き残っているのだろう。
「みんな小鳥が好きなんじゃないかな」
そう、空は言った。
好き。
そりゃ好きじゃなかったら応援なんてしてくれないだろうけど。
直球すぎてピンとこない。
それに、みんなが好きなのは『鈴川ことり』だ。私はそれを演じているにすぎない。
本当の私は、別に、
「同じだよ。ラジオのことりも、今ぼくの目の前にいる小鳥も同じ」
私は呆気にとられた。何を言っているのだろう、彼は。
「小鳥は『鈴川ことり』が偽物だと思っているみたいだけど、あれも立派な君の一面だと
ぼくは思ってる。そうじゃないと、あんなに楽しそうにしゃべれないよ」
違う。それは演じてるだけで、
私が首を振ると、空はいいやと否定した。
「小鳥は気付いてないかもしれないけど、『鈴川ことり』は本当に楽しそうにしゃべるんだ。
でもそれって別に台本があるわけじゃないんでしょ? 小鳥が演じているつもりの『鈴川
ことり』は、いつも明るくて聴いてるこっちも元気が出てくる。アドリブであれだけやれる
のは、元々小鳥の中にそういう一面があるってことなんじゃないかな」
そう、空は言った。
そうなのだろうか。もしそうだとすると、それはつまり、
「要するに、小鳥の人気は本物だってこと。自信持っていいと思うよ」
そう言って、空は私を抱き締めてくれた。
空の言うことをそのまま受け止めて自信を持てる程、私はまっすぐじゃない。
でも、空に認めてもらえることは嬉しいし、応援されることは励みになる。それは空だけ
じゃなく、ラジオを聴いてくれるリスナーに対してもそうだ。
彼の胸に頭を預ける。温かい肌触りにほっとして、私は顔を上げた。
目を閉じて、私達はキスを交わした。
唇を離すと、彼ははにかんだ。
「こういうかわいい面を見れるのは、ぼくだけだけどね」
耳元で囁かれて、私は顔が熱く火照るのを自覚する。
空の手が私の全身を撫で回し始めた。
胸や脚を触られて、私は身をよじる。あの、私疲れてるんだけど、
「せっかくの日曜だからね。いっぱい愛し合おうよ」
そんなことを言う。毎週似たような言葉を聞かされてるんですが。
私はじっと彼を睨んだ。
空は小さく笑って、
「ここじゃ嫌?」
私は頷く。
「でもダメ。今日はここでしたい」
上がってからでもできるのに。ケーキだって食べたいし、
「今したいんだ」
あう……ケーキ……。
そんな未練を彼はあっさり吹き飛ばした。
空の右手が私のあそこを捉える。
体が強張る。そんな急に、
お湯で濡れた指が中に入ってきた。痺れるような感触に、私は彼の肩を掴んでこらえる。
左腕で抱き締められる。深いキスを交わし合うと、私はもう抵抗する気がなくなっていた。
胸を吸われる。そのまま舌が上に移動し、うなじを舐められる。
右手はもうずっと私の中を弄っている。奥までなぞられる感触に、震えが止まらない。
体のいたるところを愛撫されて、私の体は沸騰しそうなくらいに上気した。
「入れるよ?」
私はもう頷くことしかできない。空は私を抱え上げると、あぐらを組んだ脚の上にゆっくり
下ろしていく。
彼の太いのが入ってきた。一気に貫かれて、私は快感の吐息を洩らす。
「気持ちいいよ……」
空の声には余裕がなくて、本当に気持ちよさそうだ。
私は嬉しくなって、自分から腰を動かした。
強烈な刺激が私の奥に響いた。腰が止まらず、私は快感を貪る。空は奥歯を噛み締めて
懸命に何かに耐えている。
奥を激しく突かれて私は悶える。体が上下する度に側面の襞々が擦れて、子宮の辺りが
きゅう、とうずいた。
動けば動くほど刺激が増していくようで、私は快楽に溺れそうになる。
「ごめ……もう無理」
空が言葉を洩らす。いつもよりずっと早いけど、今日の私には充分だった。私ももう
あまり保たない。
私は空にしがみつきながら、ひたすら体を上下させた。
温かい湯煙に包まれながら、意識が高まる。投げ出すように、遠くに。
「小鳥……くっ」
彼が呻くと同時に、全身が震えて快感が駆け抜けた。
私の中で空のも震えている。
意識が飛びそうになる。私はなんとかこらえて、はあ、と深い息を吐いた。
次第に気怠さに包まれる中、私は早くケーキが食べたいと思った。
「上がったら食べようね」
空の声に私は笑顔で頷いた。
◇ ◇ ◇
「こんばんはー! 鈴川ことりです。今週もやって来ました『ことりのさえずり』」
次の週も、私は変わらず『鈴川ことり』を務める。
しゃべるのはやっぱり苦手だ。でも、以前ほど嫌いじゃない自分がいる。
二年間で慣れてしまったのかもしれない。
五十年もやれる気はしないけど、『私を』好きでいてくれる人がいるなら、これからも
頑張れる気がする。
毎週欠かさず聴いてくれるみんなのために、私は土曜の深夜を頑張る。
「うさぎのしっぽさん、先週に引き続いて曲のリクエストありがとう! 曲は……好き
ですねー。ハンバートハンバートのアルバム『11のみじかい話』から、『明日の朝には』
お聴き下さいっ」
以上で投下終了です。
このスレでは比較的高めな年齢設定ですね。
いろいろと書きたいネタはあるので、今後もちょくちょく現れようと思っています。
それでは。
480kb超えたので次スレ立てようとしてみましたが、無理でしたorz
すみませんが、どなたか次スレお願いします
>>905 GJ!
実際にいそうなラジオの語り口調が心地よかった。
ついでにスレ立て挑戦してみるわ。
声優だけどラジオのしゃべりが面白くてラジオのDJが本業になっている人というと
どうしても某男性声優が頭に浮かんでしまうw
それはともかくかく乙です
投下GJ!
次スレ乙
913 :
梅寝た:2008/08/17(日) 16:08:41 ID:trxNdr3R
「はいはい、暴れないでくださーい」
わたしは現在見知らぬ人達に両手両足を押さえつけられ、強制的に仰向けにさせられている。マスクで隠された口からは丁寧な言葉が出ているが、逆にそれが恐ろしい。
「嫌……いやぁ!離してぇ!!」
必死にもがくけれど、相手が大柄で数も多いとなると非力なわたしではどうにもならない。普段の自分からは想像もできない大声で叫ぶけれども無意味に近い。
今この場にいるのはわたしと見知らぬ男達。それと………わたしをここに連れてきた張本人。恋人の男の子。
なぜ、どうして、こんな。絶対にわたしの気持ちを理解してくれていると思ってたのに。デートなんて言ってこんなところに連れてきて、わたしを地獄に堕とすのか。
顔を横にして、恨みに満ちた視線を送る。そらされた。悔しい。
「はーい、いきますよー」
どこか気抜けした声と同時に、見るだけでも吐き気がする異物がわたしの中に侵入した。
「………っ!………!!」
もはや苦痛にのたうちまわることも、悲鳴を挙げることすら許されない。それらの行為は、全て自分に痛みとなって跳ね返ってくる。
「………〜〜!!」
地獄だった。これほどの痛み、地獄以外の何で形容しろというのだ。
その地獄はたっぷり三十分は続いた。途中で気絶したから正確な時間は判然としなかったけれど。
目が覚めたとき、最初に感じたのは温もりだった。
「………」
おんぶされている。今回の地獄の原因に。
なんとなく安心感があったけれど、ちょっと腹が立ったので首を絞めてみる。
「ちょ、痛い痛い」
痛かったのはわたしの方だ。針山地獄だってあそこまで残酷ではなかろう。
「まて、俺を恨むな。恨むなら甘いものを食い続けてなおかつ歯磨きを怠った自分をうらぐぶぅ!」
絞め付けを強化。やかましい口は喉から塞ぐに限る。
というかデートと偽って歯医者に連れていくなんて外道のすることだ。よって罰を下す。
耳に狙いを定め、はむ。
「うおっ!なにぐぅっ!」
歯を立てず舌と唇で甘噛みし、首への拘束は緩めない。アメとムチをコンマ単位の間隔で与えられている感じだと思う。いい気味。
「くっ、いつまでもやらせるか!」
叫びと共にわたしのふとももが鷲掴みにされた。
「……〜!!?」
まずい。わたしがこの人の弱点を知っているのと同じで、この人もわたしの弱点を知っている。わたしはふとももが異常に弱い。
どのくらい弱いかというと、そこをいじられただけで達して………なにを言わせてるの?
だがここで屈するわけにはいかない。わたしの歯痛を作り出した原因には、きっちり罰を与えねば。
決意を固め、わたしは耳への攻撃を再開した。
その後。
わたしたちは近所の住人の通報によりやってきた警官に交番へ連行され、まるまる二時間説教をされた。する場所を選べとか言われた。
当然デートは中止になった。というかこんな歯で甘味処巡りなどできるわけもなく、夕飯もまともに食べられなかった。
腹が立ったので耳に噛みついて泣かせてやろうと思ったら、逆にふとももに噛みつかれて鳴かされた。
本当に散々な一日だった。
………………………最後以外は。
という埋めネタでした
梅ネタのクオリティ高すぎて吹いたww
GJ!
918 :
ume:2008/08/18(月) 06:10:06 ID:uZ5usa69
……せんぱい。
…………恥ずかしいので……一回しか…言いませんから…………。
……ちゃんと……きいててください……。
あいしてみゃふ
……も、もう一回いいですか……?
いいよいいよ
何度でも聞いてやるさ
920 :
つめねた:2008/08/18(月) 23:01:44 ID:Jm0ylbPL
俺が暑さに弱いのを知ってか、太陽はうざったいほど輝き続けていた。ちっとは休め。
せっかくの夏休みなのにどこにも行けない。遠出なんかしたら速攻ばたんきゅーだ。特に恋人のゆいは夏が苦手で、うかつに外出もできない。
そんなわけで、夏はいつも俺がゆいの家に向かっている。出かけられない今、せめて一緒にいるくらいはしたい。ゆいの家ならクーラーもあるし。
しばらく歩いて到着。相変わらずでかいなとか思いながら、インターホンをプッシュ。
すると、扉の向こうからバタバタという音が聞こえてきた。何かあったのか?
しばらく待ってみる。と、
チャララッチャチャーン
「……?」
なんか聞き覚えのある音が中から響いた。なんだっけ、これ?
『愛と勇気を瞬間氷殺。クールホワイト』
………あ、思い出した。
『氷の微笑で平和を凍結。クールパープル』
これって確か、夏限定で放映されてる、
『撲殺。クールブルー』
何故か人気のある戦隊物、
『冷却戦隊、クールレンジャー』
説明しよう。
冷却戦隊とは、夏限定で放映されているアニメのことだ。暑苦しい日本に涼しさをというコンセプトの元、三人の美少女が悪を氷殺するというアニメである。
921 :
つめねた:2008/08/18(月) 23:03:42 ID:Jm0ylbPL
ただ、ふつうの戦隊物とは似ても似つかない。
まず第一。登場人物が全員美少女。これはまだ許容できる。
第二。そのヒロインたちのテンションが異常に低い。どれくらいかというと、町で人が怪獣に襲われていてもスルーするくらい。さらに語尾に『!』が絶対つかない。
第三。前半十五分の時間、意味もなく三人の姿を放映している。サービスカットもある。
もはや戦隊物と名乗るのがおこがましいくらいだが、人気はあるらしい。どうなってんだ日本。
一応怪獣と戦うシーンもあるのだが、戦い方もおかしい。
ブルーが本の角で殴打。これだけ。他の二人は家でグダグダしているだけである。
話を戻そう。ゆいの家からそのアニメのBGMが流れてきたのだ。
なぜ? 俺が聞きたい。どうして? 俺が聞きたい。
……とにかく入ってみよう。がちゃ、と玄関を開ける
「く……クールブルー……さん………じょう」
蚊の鳴くような小さい声。玄関に立っているのは間違いなくゆいだ。だが、格好が異常だった。
簡単に説明しよう。ゆいは現在衣服を纏っておらず、代わりに全身のいたるところに保冷材を巻いていた。起伏がほぼ皆無の胸や一番大事なところも同様である。
「………」
「………」
922 :
つめねた:2008/08/18(月) 23:05:18 ID:Jm0ylbPL
カセットデッキから気抜けしきっている歌声が響く。主題歌まで無気力とは、なめてるだろ。
「…………どうした?」
いくら暑いのが苦手でもこれは異常だ。頭をやられたのか。
「え………っと……」
裸に近い格好もじもじされると、狼さんになっちゃいそうなんですが。
「これなら…暑くないから……おもいっきり………抱いてもらえるから……」
はい狼覚醒率七十%。上目遣いは反則だろ。
「だから………………抱いて?」
その瞬間、狼は目覚めた。俺はゆいの体をぐいっと引き寄せ、力いっぱい抱きしめた…………って冷た!?
「はふぅ…………あっかたい…」
ちょ、この子直に保冷材巻いてるの!?
「おいゆい、お前どのくらいこの格好してたんだ!?」
「…………いちじかん?」
………
その後、ゆいが高熱を出して寝込んだことは言うまでもない。
冷たい埋めネタでつめねた
お粗末
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄○ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
O 。
, ─ヽ
________ /,/\ヾ\ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
|__|__|__|_ __((´∀`\ )< というお話だったのサ
|_|__|__|__ /ノへゝ/''' )ヽ \_________
||__| | | \´-`) / 丿/
|_|_| 从.从从 | \__ ̄ ̄⊂|丿/
|__|| 从人人从. | /\__/::::::|||
|_|_|///ヽヾ\ / ::::::::::::ゝ/||
────────(~〜ヽ::::::::::::|/ = 完 =
,.-―っ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
人./ノ_ら~ | ・・・と見せかけて!
从 iヽ_)// ∠ 再 開 !!!!
.(:():)ノ::// \____
、_):::::://( (ひ
)::::/∠Λ てノし)' ,.-―-、 _
______人/ :/´Д`):: ( _ノ _ノ^ヾ_) < へヽ\
|__|__|__( (/:∴:::( .n,.-っ⌒ ( ノlll゚∀゚) .(゚Д゚llソ |
|_|__|_人):/:・:::∵ヽ | )r' ー'/⌒ ̄ て_)~ ̄__ イ
||__| (::()ノ∴:・/|::| ./:/ /  ̄/__ヽ__/
|_|_| 从.从从:/ |__|::レ:/ ___/ヽ、_/
|__|| 从人人从 ..|__L_/ .( ヽ ::|
|_|_|///ヽヾ\ .|_|_ /⌒二L_ |
──────── ー' >ー--'
巛ノi
ノ ノ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
ノ')/ノ_ら ∧_∧ | いきなり出てくんな!!
、)/:./、 ( ´Д`) | ビックリしたぞゴラァ!!!
)/:./.:.(,. ノ) `';~"`'~,. \ ________
\\:..Y:.( ・ '' :, ,. -―- 、|/
_____ 从\、,. ,; .,、∴';. ・ ( _ノ~ヾ、ヽ
|__|_ _(_:..)ヽ:∴:@) ノ(゚Д゚ #) )
|_|__|_人):|:・:::∵ヽノ) (_(⌒ヽ''" `ー'
||__| (::()ノ∴:・/|::|( \ \ \) ) _
|_|_| 从.从从:/ |__|::|ノ \ ミ`;^ヾ,)∃ < へヽ\
|__|| 从人人从 ..| /:/ _,,,... -‐'''"~ /ー`⌒ヽ、 (( (゚Д゚llソ |
|_|_|///ヽヾ\ ./:/ _ \ / /T;) /~  ̄__ イ
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