スクールデイズの分岐ルートを考えるスレ part3

このエントリーをはてなブックマークに追加
1名無しさん@ピンキー
もしかしたらあり得たかもしれない物語。
ひょっとしたら辿り着けたかもしれない結末。
そうした幾つもの可能性が重なり合ってるのがSchool Daysです。
そこで、スクイズで可能だったと思われる展開を自由な発想でSSにしてみませんか。
もちろん、Over flow関連作全てが「あり得た可能性」に含まれるので他作もアリです。

◆前スレ
スクールデイズの分岐ルートを考えるスレ part2
ttp://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1199367974/
2名無しさん@ピンキー:2008/02/09(土) 13:54:10 ID:MC9t4OBT
<言葉からのお願い>
次スレは980レス、480KB超えたら立ててくださいね。
あと荒らしは反応しないように。
あとこのスレはsage推奨ですのでメール欄にしっかりsageと入れてくださいね。
以上のことが守られない場合は鉈でお仕置きですよ。
3名無しさん@ピンキー:2008/02/09(土) 14:20:29 ID:G074zYXZ
>>1
4名無しさん@ピンキー:2008/02/09(土) 15:03:30 ID:CEhW9jVO
>>1
乙!
5名無しさん@ピンキー:2008/02/09(土) 16:47:51 ID:Em/wfxWd
>>2
確か前スレでも誰か言ってたが鉈でなく鋸
6名無しさん@ピンキー:2008/02/09(土) 17:01:28 ID:CEhW9jVO
<言葉からのお願い>
次スレは980レス、480KB超えたら立ててくださいね。
あと荒らしは反応しないように。
あとこのスレはsage推奨ですのでメール欄にしっかりsageと入れてくださいね。
以上のことが守られない場合は鋸でお仕置きですよ。




直してみた。
次立てる人はよろしく
7名無しさん@ピンキー:2008/02/09(土) 17:47:14 ID:mS35D+qO
>1
乙!ここでの色々な神頑張れ。超頑張れ
8名無しさん@ピンキー:2008/02/09(土) 22:21:29 ID:ecpZHe+I
2月12日 土曜日
 夜 桂家にて

『誠くん明日ちょっと家に行っても良いですか?』
「ああ、暇だからいいよ」
『よかった…』
「しかしいきなりだな…」
『迷惑でしたか?』
「言ったろ暇だって。気にせずきなよ。楽しみにしてるから」
『ハイ♪』

9名無しさん@ピンキー:2008/02/10(日) 01:25:15 ID:nkOXfFWs
2月13日 日曜
 昼

「こんにちは〜」
「やぁ、まぁあがれよ」
「お邪魔します」
 言葉を連れて自分の部屋へ入る。
 部屋に入っていつものように人間座椅子になって言葉を抱きかかえる。
 言葉に会って1年経つがまた胸が大きくなっている。
 要所要所発達が続いているようで抱いているととても気持ちが良い
「それにしても今日は唐突だったな、何かあったのか?」
「はい、大切な用事があったんです」
「なんなんだ?」
「その…チョコ持ってきたんです」
 そう言いながらポケットから少し大きめの袋を取り出す
「チョコ?」
「はい、バレンタインのチョコです♪」
「バレンタインは明日のはずだが…」
「大丈夫です。義理チョコですから」
「義理って…」
「誠くんへの感謝と愛情を込めた義理チョコです♪」
10名無しさん@ピンキー:2008/02/10(日) 01:25:58 ID:nkOXfFWs
「普通恋人に義理チョコ贈るか?」
「変ですか?」
「多分…」
「なら”いつもお世話になってる”お友達”に対してなら良いですか?」
「はい?」
「あ、いいんですか♪」
 いや、そういう意味の”はい”ではないのだが…
「なら私が食べさせて上げますね。あ〜んしてください」
 そう言いながらこっちのほうに向き直って
 袋の中からちっちゃいハート型のチョコをつまんで俺に差し出す言葉
 あ〜んって…あ〜んって…
「はい、誠くん。あ〜ん」
「あ〜ん」(条件反射)
 俺は義理と言う事を忘れ、言葉が差し出すチョコを幸せに食べていた。
 ちょっと恥ずかしい気もするが…まぁ、こうやって食べさせてくれるからまぁいいや
「美味しいですか?」
「ああ、美味い」
「よかった…沢山作りましたからもっと食べてください♪あ〜ん」
「あ〜ん」
 :
 :
11名無しさん@ピンキー:2008/02/10(日) 01:28:00 ID:nkOXfFWs
「ほら…言葉もあ〜〜ん」
「だけどこれは誠くんのために作ってきたのに…」
「いいじゃないか、ほらあ〜〜ん」
「…あ〜〜ん」
 俺が差し出すチョコを少し恥ずかしそうに食べる
 その仕草がまた可愛い…
「モグモグ…」
「美味しいか?」
「はい。誠くんが食べさせてくれるから」
 こんな可愛い事も言ってくれるし…
「ほら、もう1個」
「だめです。次は誠くんの番です。あ〜ん」
「あ〜ん」
12名無しさん@ピンキー:2008/02/10(日) 01:57:16 ID:nkOXfFWs
「ふう…美味かったぞ言葉」
「誠くんに…」
「もう良いぞ言葉、チョコ食べ終わったんだし…」
「誠くんによろこんでもらえて嬉しいです♪」
「しかしさ…なんで今日なんだ?明日でも良いのに…」
「明日は学校じゃないですか…」
「…うちの学校持ちこみ禁止してたっけ?」
「…学校終ってからだと…こうやって食べさせて上げられないですから…」
 赤くなってうつむく言葉
 もう…たまらなく可愛い!!!
 ギュ!!
 思いきり言葉を抱きしめる
「きゃ!?」
「言葉はホント可愛いなぁ…」(髪サワサワ)
「そんなこと…」
「あるって…」(ちょっと強く抱きしめ)
「…(真っ赤)」
「ホント言葉は最高の彼女だよ…」(頬すりすり)
「…誠くんは最高の彼氏です♪」(すりすり)
「言葉〜」(なでなで)
「誠く〜ん」(すりすり)
 結局今日はこれ以上何もせず日が暮れるまでこんな調子でイチャイチャしてた。
13名無しさん@ピンキー:2008/02/10(日) 01:58:52 ID:nkOXfFWs
 2月14日 月曜

 学校 休み時間 誠のクラスにて

「誠くん」
「あ、言葉。どうした?」
「バレンタインのチョコ持ってきました」
 教室中がざわめく。世界はこめかみを押さえてる…
 ちょっと怖いが無視して言葉に駆け寄る
「チョコって昨日もう…」
「今日は”恋人の”誠くんへの本命チョコです。最後のバレンタインは学校で渡したかったんです」
「だから昨日のは義理だったのか…」
「はい♪どうぞ」
 ホント可愛いなぁ…
 俺は言葉が差し出した大きい箱を受け取った
「ありがとうな、言葉」
「あ、もう一つ…あげたい物があるんです」
「なんだ?」
「あの………」
 急に声が小さくなって聞こえなくなる
「??」
「あの……」
 やっぱり聞こえない。仕方が無いので言葉に顔を近付ける
 …と顔に言葉の両手が添えられて…
14名無しさん@ピンキー:2008/02/10(日) 02:01:49 ID:nkOXfFWs
 チュ…
 言葉の唇が俺の唇を優しくふさいだ…
 周りで世界や泰助達の怒号が聞こえてるような気もするが頭に入ってこない…
「えへへ…バレンタインにキスってドラマみたいで素敵ですよね?」
 唇を離した言葉の顔は真っ赤で…
「普通二人きりのときにキスはすると思うけど…」
「だって…セオリーどおりじゃつまらないじゃないですか…私なりのアドリブです…」
 顔が真っ赤になって…凄く恥ずかしいんだろう…
 やっぱりここは…
「言葉…」
「はい…」
「俺もアドリブしたいんだけど…いい?」
「私…今逃げたしたいくらい恥ずかしいです…」
「俺は別に恥ずかしくない」
「もう…誠くんってば…」
「…ダメ?」
「…恥ずかしいです…でも…いやじゃないです…」
「…目を閉じてくれると嬉しい…」
「はい…」
 そう言って素直に目を閉じる言葉に俺は周りに見せ付けるように甘いキスをするのだった…
15名無しさん@ピンキー:2008/02/10(日) 03:47:44 ID:0grFUzki
前スレで感想をくれた人がいて嬉しかった・・・
「この本オススメだよ」とか言われないと読まないくらい
おれは本を読むのは基本的に苦手・・・
以前、名前は忘れたけど、有名な小説家?が
「どの本を読んでもつまらないと思ったから、自分で書いた・・・気づいたら今の自分がいた」
みたいなこと言ってるのを見たけど、
学がないおれには無理なことだと思っていた・・・
初めて見たのはアニメ版。・・・気絶して1週間は吐血してた。
PC版で言葉のエッチシーンをニコニコとかで見て複雑な気持ちになってた。
そして、その他もろもろさんの「心」を読んで書いてみようと思った。
な前回のでやり残したと思ったことを全部詰め込んで・・・
言葉マンセーな・・・そんな生暖かいあなたへ・・・
行くぜ! BEAT SWEET!!
16BEAT SWEET:2008/02/10(日) 03:49:05 ID:0grFUzki
 BEAT SWEET



絵に描いたような青空
満開に咲いて、花びらがヒラヒラと舞う桜の木の下で、
顔をうずめるように寄りかかって言葉は泣いていた。

「うぅ・・・くっ・・・うぅぅ・・・」

今日は榊野学園の入学式
同級生の女の子と比べて、ルックスもスタイルも良く、生まれつきほんのり茶色い髪の毛・・・
小学校、中学校と男子にからかわれ、
女子にはそれを嫉妬され、嫌がらせともイジメとも言える意地悪をされてきていた。
『もう・・・あんなツライ日々は終わったんだ・・・』
新しい学園生活よりも、過ぎ去った過去が言葉は嬉しかった。
可愛らしい制服を気に入り、中学まで三つ編みだった髪の毛はおろし、
ほとんどの生徒が保護者と入学式に参加するなか、
両親の仕事の都合で1人で参加した言葉・・・
何も起こるはずがない・・・不安な気持ちは言葉になかったのだが・・・
17BEAT SWEET:2008/02/10(日) 03:49:51 ID:0grFUzki
『教室に行きたくない・・・』言葉はそう思っていたがそうもいかない。
厳しいけど、優しい、いつだって言葉の心強い味方のお母さんはここにはいない。
どうしたらいいのか答えも見つからず・・・ただ泣くことしかできない言葉・・・

「大丈夫?」
入学式に遅刻して来た誠が言葉に声を掛けた。周りには他に誰もいない。
一瞬だけ誠の方に振り返ると、またすぐ振り返って言葉は涙をハンカチでふき取った。
「泣いていたみたいだけど・・・」
「泣いてなんかいません!」言葉は素早く振り返ってちょっと威圧的に言った。
「そぉ?」そう言いながら誠はポケットから鏡を取り出して、言葉の顔に鏡を向けた。
言葉はハッとした。ほっぺたの涙のあとに1枚の桜の花びらが付いていたから。
「桜の花言葉知ってる? あなたに微笑む・・・って言うんだぜ?」
「・・・」言葉は何も言わないで頬についた花びらを手ではらった。
「今日の朝、テレビで言ってたんだけどさw」
ちょっとはウケると思っていた誠だが、言葉は俯いたままだった。
言葉の胸に、誠と同じ『祝  入学』と書かれたリボンに誠は気がついていた。
「何か・・・あったの?」
誠は片方だけ外していたipodのイヤホンのもう片方も外して問いかけた。
18BEAT SWEET:2008/02/10(日) 03:50:19 ID:0grFUzki
言葉は俯いたまま誠に話始めた。
「わたし・・・小学校、中学校って・・・嫌がらせされてて・・・」
「・・・」誠は言葉の左手首に付けられたまだ新しいミサンガをチラっとだけ見た。
「気持ちを切り替えて来たのですが・・・また・・・イヤな事とか・・・言われて・・・」
「そんなの簡単だぜ!」誠はニコっと笑って言葉に言った。
「えっ!?」
「オレがぶっとばしてやるよ!!」
「・・・」
「まぁ・・・ケンカってしたことないんだけど」苦笑いをして誠は言う。
「・・・」
「うぅ〜、あっ、クラス委員長になってバカ共を支配するのは!?」
「そんな支配だなんて・・・」言葉はまた泣き出しそうになった。
「えぇ!? ちょっ、泣く場面じゃなくない!?」
「ごめんなさい・・・」
「ほらっ、これ、貸してあげるからさ! これもあげるし!」
そう言って誠はipodと1粒の飴を言葉に渡した。
「音楽聴いて元気出しなよw」
「優しいですね」 言葉は初めて男の子に優しくされて戸惑っていたのだった。
「人に優しく? みたいなw 自分にもっと優しくなんだけどねww」
「ふふふw」やっと笑った言葉・・・誠も微笑んだ。
「行こう? オレ・・・3組の伊藤。よろしくね」
「わたし・・・4組の、桂言葉です。」
19BEAT SWEET:2008/02/10(日) 03:50:54 ID:0grFUzki
誠が教室に入ると、みんな席に着いていた。
携帯をいじるか、隣の人とオシャベリする奴らがほとんどだった。
黒板に書かれた座席表を見て席に着くと、隣の席にいた世界が話しかけてきた。
「よろしくね! あたし、西園寺世界っていうの!」
「あっ・・・あぁ・・・すごい名前だねw」
「よく言われるw 自分では気に入ってるんだけどねw 世界って呼んでよ!」
「わかったよw」笑顔で答える誠
「名前、何ていうの?」
「伊藤誠」
「よろしく!まことw」
「あぁw」
「あたし、ぱねぇ系だからさw」       [ぱねぇ=半端ねぇの略語]
「そういうノリ・・・キライじゃないよw」
先生が来てそれなりの挨拶が済むと、1人ずつ出身中学と何か一言で自己紹介をした。
ほとんどの一言が「よろしくお願いします」の一言で誠は『つまらないな』と思ったが、
誠もその一言しか言わなかった。
クラス委員長は、やりたい奴がいなければ先生が決めるとのことだったが
清浦刹那が立候補した。
教壇に立って、改めて自己紹介をした刹那を見て、誠は心の中で思った。
『あんなピアスしてる奴が立候補するのかよw』
20BEAT SWEET:2008/02/10(日) 03:51:38 ID:0grFUzki
入学式は終わり、誠は駅に向かった。
周りに人がいない事を確認してトイレの中に入る。
カバンからマルボロのソフトパックを取り出し、慣れた手つきでトントンとタバコを取り出し、火をつけた。
中学を卒業する頃に知ったタバコは、誠には理解できない味だったが、いつの間にか日常に当たり前のモノになりつつあった。
「よぉ〜」
いきなりの声に誠はガバっと振り返った。
「見つかったらヤバイだろw」人の気配を感じて、個室トイレの上からこっそり覗いてみてた澤永泰介。
クラスメイトだとわかって話しかけてきた。
「同じクラスの・・・」誠は個室に誘われて入って行った。
2人はタバコを吸いながら話をした。
2人のタバコをトイレットペーパーに包んで、水に流す頃にはなんとなく意気投合していた。
「じゃぁな、誠、オレ、こっちだからさ」
「あぁ、じゃあな、泰介」
21BEAT SWEET:2008/02/10(日) 03:52:20 ID:0grFUzki
言葉は家に着いて、制服のままベッドに寝転んで、誠から借りたipodを聴いていた。
子供の頃から抱いて寝ていた、パンダのぬいぐるみを抱きしめながら聴いていた。
どこかで聴いたことがある音楽や、名曲と言われる音楽、トランスやクラシック・・・
たくさんの音楽が入っていた。
「お気に入り」となっているトラックを見ると、30曲程が入っていた。
BOOWY、Perfume、limpbizkit、THE MAD CAPSULE MARKETSなどなど・・・なんとなくバンド系が多かった。
次々と言葉が聴いたことのない曲が流れた。
『男の子って、こういうのが好きなんだ・・・』
言葉は、ただなんとなく、ぼんやりしながら聴いていた。
しばらくして、テンポが良かったり、ノリのよい今までとは違う、静かに始まる曲が流れた。
『だけど明日は きっといいこと・・・あると信じてたいの・・・Maybe Tomorrow・・・』
REBECCAの「Maybe Tomorrow」
言葉は泣いた。
悲しいから泣いたのではない。
切ない声でNOKKOが歌うMaybe Tomorrowに、涙の理由なんて説明できなかった。
22BEAT SWEET:2008/02/10(日) 03:53:25 ID:0grFUzki
つづく・・・('A`)
23BEAT SWEET:2008/02/10(日) 08:16:31 ID:0grFUzki
朝、言葉が教室に入ると、ぎこちないながらもクラスのみんなは賑やかだった。
何人かが出身中学の卒業アルバムを持って来ていて、それをみんなが見て盛り上がっていた。
言葉の耳にそれとなく話声が聞こえてくる。
「原巳中って他に誰がいるの?」
「ん〜、誠ぐらいかな?・・・3組の伊藤」
「1人だけ!?なんか、アルバム持って来た意味なくない!?」
「見たいって言うから持って来たんじゃん!!」加藤乙女はちょっとムッとして言った。
『え!?』言葉はもしかして・・・と思った。
「すいません、わたしにも見せて下さい」
「桂・・・さん? 別に・・・いいけど・・・」乙女は少しびっくりしたが快く見せてくれた。
『やっぱり・・・昨日の人だ・・・』
「あれ? 何? 誠のこと知ってるの?」
「いえ・・・ちょっと気になるっていうか・・・」言葉は慌ててアルバムから手を離した。
「ふぅ〜ん」乙女はニヤニヤしている。
「ぜんぜん、そーいうのじゃないですから」言葉は手を振って否定した。
「何も言ってないじゃんw」
「・・・」言葉は恥ずかしそうに固まっていた。
「誠って、けっこうモテてたんだよねぇ〜」
「そうなんですか!?」食いつく言葉。
「うん。中1の頃にたまたまあたしがネットでBOOWYのこと知ってさぁ」
「バンドのですね?」
「そうそうw で、それを誠に教えてあげたら『キタコレ!!』とか言ってハマったみたいでさ」
うんうん、それで? という感じで頷く言葉。
「で、いつの間にかギター超うまくなっててw」
「ギター!?」
「うんw 普段はバカなことばっかりだけど、ギター弾くとすごいんだよw」
「そうなんですかぁ・・・」言葉はなんだか嬉しかった。
24BEAT SWEET:2008/02/10(日) 08:17:16 ID:0grFUzki
言葉は入学式での出来事を乙女に話した。
「わぁ〜w なんだかロマンチックだねw」
「そう・・・見えますか?」
「うんw それでクラス委員長になっちゃうのはすごいけどw」
「うぅぅ・・・」
「なんか、おもしろくなってきたねぇ・・・あたし、協力する!!」
「えぇ!?」
「気になってるんでしょ?」
「うぅ・・・」モジモジしてるだけで反抗はおろか、抵抗すらしない言葉。
「作戦開始! うまくいったら今日の学食、桂さんのオゴリね♪」
そう言って乙女は携帯をいじりながら席に着いた。
ブッー、ブッー、ブッー、
『メールか・・・加藤?』授業中にこっそりと見る誠。
「お昼学食で一緒しない?友達連れて行くから2対2でさw カッコイイ男の子連れて来てね(*^ー゚)b」
「加藤の誘いはロクなことないからなぁ( ´_ゝ`) でもわかったよ ┐(´ー`)┌ 」
それを見て乙女は言葉にメールする。
「お昼学食行こう♪誠来るよ.。゚+.(・∀・)゚+.゚」
「えぇ!?すごい緊張してきました(*≧Д≦)」
言葉は返信して乙女の方を見てみると、乙女は言葉を見てニコニコしていた。

25BEAT SWEET:2008/02/10(日) 08:17:50 ID:0grFUzki
昼休みに学食に集まった4人。
「あれ?     言葉?」 一瞬の間はあったけど誠は言葉の名前を忘れてはいなかった。
「こんにちは。誠くん」 ペコリと頭を下げる言葉。
「なんだよ誠・・・こんなカワイイ子達と友達なのか!?」興奮気味の泰介。
「オレ、澤永泰介! 彼女募集中でぇ〜すw」 
「はじめまして。澤永さん」 テンションの高い泰介を見てクスッと笑いながら言葉は言った。
「あたし・・・アンタのこと知ってる・・・」ふてぶてしい乙女。
「えぇ!? オレのファンとか?」
「違うわよ。要注意人物って写メが回って来てた・・・」
「ちょwwなっwwwどうしてよ!?」
「えっと・・・続きは食べながらにしよっかw」誠が間に入って言った。
乙女は冗談だったからと遠慮したが、言葉は約束通り食券を渡し、2人で鳥ラーメンの列に並んだ。
言葉と乙女が席に着こうとすると、
「それで、要注意人物ってどういうこと?」誠が待ちきれない様子で聞いてきた。
泰介はまったく心当たりがないような顔で乙女の方を見る。
「3組に甘露寺七海っているでしょ? その子と以前からバスケ絡みで知り合いなんだけどさ・・・」
「甘露寺さん!? 同じ中学でした」言葉は乙女に言った。
「そうなんだw すごい奇遇だねww」言葉にはいつも通りの話し方な乙女。
「それで、七海は黒田さんって子に聞いたらしいんだけど・・・」
「黒田!? あいつ・・・何かとオレに絡んできやがって・・・」ムッとする泰介。
「澤永・・・入学してから女の子のこと盗撮してるらしいじゃん。そういうの気持ち悪いんですけど! ねぇ?桂さん?」
「確かにそれは・・・ちょっと・・・イヤですね・・・」言葉ちょっと困った顔。
「ちょwwそれは誤解だよ!!」泰介は慌てた。
「それじゃ、説明よろしくぅ〜」イジワルな口調の乙女
言いにくそうに泰介が話始めた。
26BEAT SWEET:2008/02/10(日) 08:18:55 ID:0grFUzki
「オレの姉ちゃんこの学校卒業なんだけどさ、姉ちゃんが言ってたんだ・・・榊野学園の伝説・・・
『好きな人の写真を携帯の待ちうけ画面にして、誰にもバレずに3週間隠し通せたら想いが叶う』って・・・
だけど好きな人に許可もらって写真撮る訳いかないだろ? だからコッソリ撮ってたんだよ・・・
まぁ・・・目移りしていろんな子を撮ったのは悪かったけど・・・」
「素敵なおまじないですね」言葉は興味津々だった。
「でしょ? それにスカートの中を撮った訳じゃないんだしさぁ」
「澤永携帯貸して! 見ないと信用できない!」
乙女がそう言うと泰介はまるで、スーパーで初めて万引きして、捕まったおばさんのように携帯を出した。
言葉にも画面が見えるようにして携帯をいじる乙女。
顔を両手で隠し、指の隙間から2人を見る泰介。
「ん〜、スカートの中は撮ってないみたいね・・・」
「そうみたいですね・・・」
「だろ? だからもう返してくれって」
話はまとまりそうだった・・・が、泰介が目移りしながら撮ったいろんな子の中に乙女と言葉も写っていた。
「あたし・・・澤永のこと、ぜんっぜんタイプじゃないんですけどw」
「はっきり言うなぁ・・・桂さんは!? オレのこと・・・どう?」
「えっと・・・その・・・ごめんなさい・・・」申し訳なさそうに謝る言葉。
「ぐぁあ〜、すっげー悲しい〜」
「っていうか、おまじないする前にあたしらにバレてんじゃんw」乙女は笑った。
「ま〜いいじゃんw他の子探しておまじないしなよ泰介w」フォローする誠。
「しっかし、こんなにたくさんよく撮ったものねぇ〜w」
「そんなにあるの!?」泰介を見て誠は言った。
「誠になら特別にメールで送ってやるよw」
「澤永ごめん! 間違って写真全部削除しちゃったw 」
「えぇー!? 完全にわざとじゃんか!!」がっくりとヘコむ泰介
「誠、残念だったねぇw 」
「お・・・おれは興味ないって!!」
「ふぅ〜んw」意味ありげに乙女は笑った。」


27名無しさん@ピンキー:2008/02/10(日) 09:59:21 ID:sapNjK2w


だが先に向こうをうめてくれ。
おちるぞ
28名無しさん@ピンキー:2008/02/10(日) 10:53:07 ID:R+pyVjNd
>14
がはっ(←大量吐血)!!
言葉幸せモノは見ていて暖かな気持ちになるが、
これは劇薬だ。
でも、おかわり(笑)。
2926:2008/02/10(日) 11:33:04 ID:0grFUzki
>>27
よくわからないけどこっちに書いたほうがいいように感じたからこっちに書いたんですけど、
続きは向こうに書いたほうがいいのでしょうか?
30名無しさん@ピンキー:2008/02/10(日) 12:10:27 ID:UDi74jM1
>>29
前後がわからなくなるから続きもコッチのほうが良いと思う
向うの埋めは短編か雑談か他の人の続きでうまるでしょ
3129:2008/02/10(日) 14:08:00 ID:0grFUzki
>>30
前後がわからなくなるってのもそうですよね・・・
>>27さん・・・ごめんなさい・・・ここに続き書きますね('A`)
32BEAT SWEET:2008/02/10(日) 14:08:55 ID:0grFUzki
「おれは興味ない・・・かぁ・・・ 誠ってさ、嘘をつくとき右の眉がちょっと上がるんだよ」
「!?」
「だから誠は写真が気になってたはずw」
そんな話をしながら歩く2人の少し後ろにいる誠と泰介。
「鳥ラーメン食べてる2人・・・エロかったよなぁ〜」
「?」
「髪の毛かき上げながらすすってるんだぜ!? 」
「なんかほんとに要注意人物だなw」
「くっそ〜、2人同時に振られた気分だぜ〜」
「気分じゃなくて、振られたんだろw」
「なにも削除することないよなぁ」
「あはは、おれも見てみたかったよw」
「誠・・・オレ、なんか燃えてきたw」
そう言って泰介は、前を歩く2人にこっそり近づいて、思い切りスカートをめくった。
「きゃっ!?」2人同時に声を上げる。
「そういうパンツぜんっぜんタイプじゃないんですけどw」乙女にそう言って逃げ出す泰介
「なっ!? さぁ〜わぁ〜なぁ〜がぁ〜!! いつもはもっとカワイイのですぅ!!」そう言って追いかける乙女。
言葉はその場で立ち止まり、誠のことを見つめた。
「見ました!?」
「み・・・見てないって・・」
誠の右の眉がちょっと上がった。
言葉はクスッと笑った。
『本当なんだw』
33BEAT SWEET:2008/02/10(日) 14:09:39 ID:0grFUzki
教室に戻ると泰介はまっすぐに黒田のところに行った。
「要注意人物はないだろ!? 同じ中学出身なんだからもっと優しくしてくれよ!!」
「なによ〜、ホントのことでしょ! バカっ!!」騒がしい2人にクラスの目が集まる。それを見て誠は・・・
「甘露寺! 4組の加藤達と学食行ってきたんだけど、桂さんと同じ中学なんだって?」
「桂? あんまり話した事ないけどね〜、伊藤・・・好きなの?」
「別に、聞いてみただけ・・・」
「桂って男ウケ良かったから、よくからかわれててさ〜、それのせいか男恐怖症らしいから、優しくしてあげなよ?」
「だから、聞いてみただけだっつーのっ」遠まわしにアルバムを持って来てもらう作戦は出だしから失敗した。
放課後になって誠が下駄箱に行くと、言葉が待っていた。
「一緒に帰りませんか?」
「そっか・・・同じ方角だっけ」
電車に乗り誠の隣に座る言葉。
「これ、お返ししますね。ありがとうございました。」ipod登場。
「あぁw どうだった? 元気出たでしょ?」
「はいっ、誠くんセンスいいですよね。歌詞が気になる曲があったんで今度買ってみます。」
「よかったらCD貸すけど?」
会話は途切れることがなかった。
泰介と乙女の話、音楽の話、クラス委員長になった話・・・
『次は〜西原巳〜』社内アナウンスが流れる。
「おれ、ここで降りるからさ。」
「はい。それじゃ・・・また明日・・・」ドアのところで見送る言葉。電車は動き出した。
ガラス越しに見える改札口に向かって歩く誠。
言葉は写真を撮った。
『誰にもバレずに3週間・・・かぁ・・・』
34BEAT SWEET:2008/02/10(日) 14:11:19 ID:0grFUzki
次の日の放課後も、誠が下駄箱に行くと言葉がいた。
「あっ、誠くん・・・今帰りですか? 」
「あぁ、一緒に帰ろうか?」
「はいっ」
昨日と同じように誠の隣に座る言葉。
「ふぁあ〜、何だか眠くなってきたよ・・・ちょっと寝ていい?」
「じゃあ、駅に着いたら起こしますね」
「うん。頼むよ・・・はいっこれ、」そう言って誠はipodのイヤホンの片方を言葉に渡した。
お気に入りトラックを再生すると誠は目を閉じた。
「今のわたし達って・・・周りから見ると・・・恋人に・・・見えてるんですかね・・・」
誠はすでに寝ているのか聞こえなかったのか、返事はなかった。
言葉は周りを見渡すと誠の方に目を閉じて寄りかかった。
チラっと誠のことを見ると気持ちよさそうに寝ていた。
その時REBECCAの「Maybe Tomorrow」が流れた。
あんなに泣いた曲だったはずなのに、今の言葉には心地よい歌に聞こえた。
『おまじない・・・もう効いてるのかな・・・』

35BEAT SWEET:2008/02/10(日) 14:11:51 ID:0grFUzki
誠が部屋に着いてみると、リビングのテーブルにメモが置いてあった。誠の母親の字だ。
「冷蔵庫にご飯があるからチンして食べてね」
メモをクシャと丸めながら冷蔵庫を開けた
「これで何か買って食べてね」と、千円札が置いてあった。
『またかよw』
誠の母親は、夜勤をする時にはいつも千円札を渡していた。
夜勤の時のご飯は、子供の頃からいつもジャンクフード。
両親が離婚して、母親と2人での生活。 けれど誠は、他人が想像するような不幸は感じていなかった。
近所のコンビニで、お弁当とほうじ茶を買った帰り道に乙女から電話がきた。
「澤永にあたしの携番とメアド教えたの誠!?」
「あぁ・・・わりぃ、迷惑だった?」
「家に帰って来てからメールバトルになってるよ・・・」
「あはw 楽しそうじゃん」
「でさ、あたしも桂さんに誠の携番とメアド教えておいたからさ」
「!?」
「一応言っておこうと思ってさ、じゃっ、また明日ね〜」
『メールバトルか・・・』
けれど言葉からの連絡は何もなかった。


36BEAT SWEET:2008/02/10(日) 14:12:41 ID:0grFUzki
誠はぼんやりと授業を聞いていると、初めて見るアドレスのメールが来た。
『おっ? 言葉か!?』

「ことぴーだよo(^-^*)o ことぴーとメールしよう誠くんo(≧∇≦)oキャ♪」

『なっ!?』
訳がわからなかった
『ことぴー!?』
フリーズ状態になっていると、少し経ってまたメールが来た。

「言葉です。さっきのは加藤さんがメールしました。授業中ごめんなさい。」

『やっぱりな、オカシイと思ったんだよw』
「びっくりしたよ(^_^;)メールあんま得意じゃないけどよろしくね(・∀・)ノシ」
「私もあんまり得意じゃないですよ。こちらこそよろしくお願いしますo(^_^)o」
「ふぅ・・・」ホッとする言葉
「どうだった?」
「勝手にメールするなんてヒドイですよ加藤さん」
「まぁまぁ! うまくいったんでしょ?」
「うぅぅ・・・」
「誠のこと好きなんでしょ?」
「気になってはいますけど・・・好きって言うのかどうか・・・」
「そう? 誠にらぶらぶなビーム出してるの見えるけど?」
「そ・・・そんなビーム出してません!」
37名無しさん@ピンキー:2008/02/10(日) 18:40:41 ID:1hrRf5XS
@語り手:誠
 世界と別れて二ヶ月が経つ。
学校で聞いた噂では、世界は最近、家に帰っていないらしい。
自室のベッドの上で横になりながら、そんなことを聞いたのを思い出した。
どうしても気になり、机の中にしまっていたメモ帳を引っ張り出し、世界の携帯へかけてみた。
言葉の手前、携帯のメモリから世界の電話番号を消していたのだ。

ピロロロロ……

世界の携帯の着信音は、家のリビングから聞こえてきた。


A語り手:誠
 メールの着信音が鳴った。
確認してみると、ついさっき別れ話をした言葉からのメールだった。

『誠くん、上を見て下さい♥』

顔を上げると、こちらに向かって飛び降りてくる途中の言葉の姿があった。


B語り手:???
 ある夜、歩道橋を歩いていると背後に人の気配を感じた。
振り向くと、そこには、鋸を構えた見知らぬ少女の姿が。
首筋には、いつまにか鋸の刃が宛がわれていた。

「……す、すみません、人違いでした。」

そういうと少女は、鋸を離し、どこかへ去っていった。


C語り手:???

 ある夕方、海岸での散歩の帰り道。
後を振り向くと、そこには包丁を構えた少女が。

「……あ、人違い」

少女は踵を返すと、脱兎の如く去っていった。


D語り手:澤永泰介
 ある夕方、海岸での散歩の帰り道。
後を振り向くと、そこには包丁を構えた女が。
よく見ると、学園を退学して失踪していた西園寺だった。

「…さ、西園寺…?」
「人違い…だけど、お前も死ね!」
「がぁっ!」

十分後、俺は死んでしまった。
38名無しさん@ピンキー:2008/02/10(日) 18:42:29 ID:1hrRf5XS
アニメ2板からの転載の続き

E語り手:世界
 嫉妬に狂って誠を殺した私。
その後日、桂さんから荷物が届いた。
大きな箱だった。

「西園寺さんを決して許せませんが、一度はあなたに感謝したのも事実ですから……」

中には、誠の首から下の遺体が詰め込まれていた。


F語り手:誠
 ある日、学校から帰って家に入ると違和感を感じた。
何故か身体を警戒心が包む。部屋の様子を見渡した限り、
別段、部屋の中の物の位置が変わったわけでもなかった。
そもそも、そんな心当たりも無かった。

ただ気のせいだと思っていた数日後。
妙な息苦しさで夜中に目が覚めた。
…リビングから物音が聞こえる。
静かに起き出して、そっと扉を開けると、
隙間から覗いて音の発信源を目で探る。

「───!」

そこには、フランスに行ったはずの世界が、冷蔵庫を漁っている姿があった。
39名無しさん@ピンキー:2008/02/10(日) 18:45:25 ID:1hrRf5XS
G語り手:世界
 その日、朝目覚めると、きちんと締まっておいたはずのダンベルが枕元にあった。
おかげで、寝返りを打った拍子に頭をぶつけてしまった。
誠と桂さんのことでショックを受けて引き篭もって、数日後目のことだった。

「なんで勝手に移動してるのよ。出した覚えは無いんだけどな…」

後日、夜中に人の気配がして目が覚めた。
その直後、後から”ボスッ”と、ベッドの上に重たいものが落ちる音が。

「また……また出来なかった……」

背後から聞こえた声には聞き覚えがあった。
ダンベルを落としていたのは、お母さんだった。


H語り手:誠
 ある日、電車に乗っていたときのこと。
俺は、乗車口付近で立っていて、窓の外の景色を見ていた。
電車が地下鉄に入って、景色がトンネルの壁に変わったとき、
あの日、自殺して死んだはずの言葉の姿が窓ガラスに映っていた。
言葉は反対側の乗車口に立って、俺に微笑みかけていた。

(言葉!?)

俺が気付くと同時に、言葉はこちらに歩み寄ってきた。
慌てて反対側の乗車口に振り向くが、そこには誰もいない。

(何だ…ただの幻か…。疲れてるんだな、俺)

そう思って再び窓ガラス視線を移した。

「───」

そこには、ガラスの向こうで、頭から血を流して微笑む言葉の姿があった。
40名無しさん@ピンキー:2008/02/10(日) 18:47:13 ID:1hrRf5XS
ある日、フランスにいる(コワレタ)世界から手紙が届いた。
(某所のコラムの改変なので、おかしな点がありまくり)


誠、元気にしてる?
私はなんとか元気だよ。誠に会えないのが寂しいけどね。

そううそう、私のいるフランスは暑い日が続いてるんだけど、誠の所も暑いんだってね。
ま、そんな時はあの写真を桂さんに見せて涼しくなってよ。え?何で涼しくなるだって?
あはは、簡単なことだよ。


私との浮気がバレて涼しくなるってこと。


オッケー!
わかったら、誠もフランス語を勉強して、私みたいなクレバーな人間を目指して頑張ってね!
41名無しさん@ピンキー:2008/02/10(日) 18:49:03 ID:1hrRf5XS
それにしても、誠はエッチを知ってからっていうもの、色々な女子に手を出してたよね。
だけど、誠も私のモテモテ加減から比べると大したことないわね。
なんつったって、私の場合はモテ方の次元が違うんだもん。
私は今日も色んな裁判所から引っ張りだこだし、明日は司法省だよ。
誠も私くらいモテるようになったら、フランスに一緒に来れたと思うんだけどなぁ。

ところで、誠は日頃、どういうことを考えて暮らしてるの?
おっと、いつもいつも私のことしか考えてないなんて言っちゃ照れるよ。
いや、気持ちは分かるんだけどさ、桂さんが黙ってないからね。
誠の本命は桂さんなんだし。

多分、誠は普段、いろんなことで悩んで人生を送ってるんじゃないかな。
私だって色々悩みがあるんだけど
(刹那ー、今日のスクイズ人気キャラクター投票、ちょっと調べといて。 って、何これ?また私の人気が下がってるじゃない!キー!)
ま、今日は誠の悩みを聞いてあげようってこと。

これでまた私のファンも増えて、次回作辺りで私が攻略対象に復活するってもんよ。


あぁ!私って、なんでこう頭がいいんだろ!
おっと、前置きが長くなりすぎちゃったから、そろそろ本題に入ろっか。
え?前置きが長いのは、誰かさんの話も同じだって?
アッハハ!刹那ー、また誠が刹那の悪口言ってるよー!


Q1.俺はいつもいつもとても貧乏なんだ。どうしたらお金持ちになれるんだ?

全く、誠は何かって言うと、カネ、カネ、カネなんだから。
そんな小さな事に悩んでないで、もっとこの私みたいにクレバーな人間になることを目指したらどうなのよ。
(え?また私のランクが下がったって?キー!)
おっとゴメン。

さて、誠はお金持ちになりたいってことだけど、それは極めて簡単♪
さしあたり10万ユーロほど用意して、私のお母さんが経営するレストランの株を買ってくれれば万事解決♪
そう、株ってのはね、みんなで買うと値が上がるものなんだよ。
将来性豊かな株を買って、誠も億万長者の仲間入りをしてみない!?
おっと言い忘れたけど、株ってのは買ったら売っちゃいけないものなんだよ。
売ったら値が下がるからね。


さて、今日は誠に大サービスってことで、私のすばらしい能力の一つを分け与えてあげたけど、残念ながらこれでおしまいなの。
なにせ将来、フランスで支店を展開する準備もあるから、それに向けて、こっちはもう猫の手も借りたいほど忙しいんだ。
おっと、だからと言って猫なんか送ってこないでね?

そうそう、暑中見舞いでも書いて、私に送ってくれると嬉しいな。
それでうっかり桂さんに浮気がバレて、思いきりクールな思いができて一石二鳥!
いやぁ、ホンット、私ってなんでこんなに天才なんだろう!


じゃあ、誠、日本に帰ったらまた会おうね。


世界より
42名無しさん@ピンキー:2008/02/10(日) 18:49:58 ID:1hrRf5XS
転載終わり
43BEAT SWEET:2008/02/10(日) 21:10:47 ID:0grFUzki
入学式から2週間が過ぎ、学園生活に溶け込んできていた。
昼休み、誠と泰介は屋上の出入り口の前にいた。鍵がかかっていて屋上へは行くことができない。
「ふぅ〜、やっぱここでタバコ吸うのが1番落ち着くな誠!」
「そうだな、誰も来ないしな」
「そう言えばおまじないってやってるのか?」
「やってないけど?」
その時、誰かが階段を上がってくる音がした。
誠と泰介は急いで携帯灰皿でタバコを消すと、何事もなかったようにその誰かを待った。
「せ・・・世界」
「なんだよ西園寺かよ〜びっくりしたぜ」
「何やってんのアンタ達!? うわ、タバコ臭〜い」
タバコの煙が充満していた。
「あたしが先生だったら、ヘタしたら退学だよ!?」
「次からは気をつけるよ・・・なっ誠?」
「・・・世界は何しに来たんだよ?」
「あたし?」
世界は古臭い鍵を出して出入り口の扉を開けた
「じつは天文部なんだ・・・あたしが部長だよ!!」
「おぉ!! すげー西園寺!! これ何て秘密基地!?」
世界は秘密の場所が欲しくて入部していた榊野学園で1人だけの天文部員だった。
「これなら安心してタバコが吸えるな誠w」
「ちょーっと待ってよ!! 誰も入って来ていいなんて言ってないけど!?」
「別にいいだろ? 部長の言うこと聞くからさ〜」
「どうしよっかなぁ〜」
「誠も言うこと聞くってさ」
「おれは何も言ってないだろ!!」
「誠・・・ここは言うこと聞いておけって!」
「・・・」
「で、おれ達は何をすればいいんだ?」
「ん〜。キス・・・キスしてくれたらいいよ」
44BEAT SWEET:2008/02/10(日) 21:11:20 ID:0grFUzki
屋上に出入りできるようになるにはキスが条件。
世界はサラリとそう言った。
「えぇー!? いいのか西園寺!?」 いつも以上に異常なテンションの泰介。
「キスだけだからね?」
「あぁ!! わかったから早くしよーぜ?」
「ちょっ、そんな急かさないでよ〜」
必死な泰介とは対照的に、黙ったままの誠。
見られるのはイヤだとのことで、先に世界に連れられて屋上に入って行く泰介。
5分くらい経ったのだろうか・・・泰介が誠の所に戻ってきた。
「いやぁ〜、もぉサイッコー!頭の中がまっ白だったぜ〜」
「・・・」
「ん? 誠? どうした? 誠の番だぞ?」
誠は世界のところに歩き出した。
「今度は誠の番だね♪」
「どうしてもキスしないとダメなのか?」
「なんで? 誠って彼女いたんだっけ?」
「いないけど・・・」
「澤永のあとだからイヤなの? それともあたしじゃイヤ?」
そう言いながら誠の首に腕をからめる世界。
「やっぱおれ・・・」
誠が何かを言いかけると、世界は誠にキスをした。
「んん・・・」
どれくら時間が経ったのだろうか・・・
軽い力では離れない世界のことを、誠はムリヤリ突き放した。
「もういいだろ・・・」
「ごめ〜ん、ちょっと気持ち入っちゃった」
「・・・」
「あたし・・・誠のこと好きかも・・・」
45BEAT SWEET:2008/02/10(日) 21:11:53 ID:0grFUzki
放課後に下駄箱で、言葉は誠のことを待っていた。
待ちうけ画面を見ている。
『あと1日で3週間誰にもバレない・・・』
誠の姿が見えた言葉は駆け寄ろうとした。
「誠く・・・」
誠の隣には誰かがいた。
何か言い争ってるようだった。
「ま〜だ怒ってるの誠? 楽しくやろうよ〜」
言葉は気がつくと2人の前にいた。
「誠くん?」
「こ・・・言葉・・・」
「西園寺・・・さん・・・?」世界のことに気づく。
「言葉・・・世界のこと知ってるの!?」
「3組と4組は体育とか合同だからね〜、えっと・・・桂さんだよね?」
「一緒に・・・帰りましょう・・・誠くん」
「ちょっと〜誠のこと誘惑しないでよ〜」
「あぁ・・・一緒に帰ろう・・・言葉・・・」
「ちょっと誠、彼女のあたしのこと置いて行く気?」
「え!? そう・・・なんですか!?・・・誠くん?」
「ぜんぜん違うから! 行こう・・・言葉」
「彼女じゃん! キスしちゃったし!!」
「何言ってんだよ!!適当なこと言うなよ!!」
いっつも冗談ばっかり言ってる誠が真剣な顔をした。
そして言葉のことを見つめた。
「おれはキスなんてしてない!!」右の眉が上がった。
『ウソ・・・』
「したじゃん!! むちゅ〜って♪」
「あんなのキスじゃねーよ!」
『キス・・・したんだ・・・』
「あれは世界がムリヤ・・・あっ、言葉、待って!!」
言葉はそこにいるのが耐えられなかった。

46BEAT SWEET:2008/02/10(日) 21:12:59 ID:0grFUzki
言葉が家に着くまでに、誠からの電話やメールの着信音が何回も鳴った。
言葉は電源を切った。
自分の部屋に着いて携帯の電源を入れてみると、誠からのメールが20件あった。
メールを見ないままテーブルに置いて、ベッドに横になった。
「お姉ちゃ〜ん、お母さんがご飯食べに行くから用意しなさいだって!」妹の心が部屋に入ってくる。
「そう・・・」
また誠からの着信音が鳴る。
「お姉ちゃん電話鳴ってるよ?」
「・・・」
「わぁ〜♪ この人お姉ちゃんの彼氏?」勝手に携帯を見る心。
「ちょっと、心やめてよ!!!」心から携帯を奪い取る言葉。
「お姉ちゃん怖いよ!! どうしたの!?」 心にはなぜ怒っているのか、わからなかった。
言葉はハッとした。
「ごめんなさい・・・心・・・今は1人にしてほしいの・・・」
「ご飯食べないの?」
「今日は食欲がないの・・・」
「わかった・・・」心は部屋から出て行った。
『わたし・・・どうかしてるよね・・・誠くんの・・・彼女でもないのに・・・
おまじない・・・もうちょっとだったのに・・・あと1日・・・あと1日だったのにな・・・』
言葉はそのまま寝てしまった。
朝起きると、空は暗い灰色で雨が降っていた・・・
47名無しさん@ピンキー:2008/02/10(日) 23:25:54 ID:+bB9BGoi
>>46
期待。
48名無しさん@ピンキー:2008/02/10(日) 23:37:35 ID:HxQ87z/I
よく考えてみれば高校一年なんだよな。乙女と言葉や誠と光の出会い方
は原作設定見ると最悪っぽいがもし違ってたらまた違った物語になるか
もしれん。
49名無しさん@ピンキー:2008/02/11(月) 02:07:55 ID:jl266cq5
>>15
お疲れ様です。
この先楽しみにしています。

私がスレを早めに立てたせいでご迷惑をかけてしまいましたね。
申し訳ありませんでした。

私の拙い作品をきっかけの一つとして頂けた様で恐縮です。

「こんな下手なやつでもブログ公開してるんだ、
 俺ならもっと上手く書けるぜ」

って感じのきっかけだったとしてもお仲間が増えて嬉しいですw
50名無しさん@ピンキー:2008/02/11(月) 13:06:44 ID:G21Gb/q1
続きまだー?
すごく気になる
女の子してる言葉、優しい誠、理想的だ
51mark:2008/02/11(月) 16:51:21 ID:fix0k4aE
急遽思いついたネタを1つ。どうして原作や2次創作にもなかったかな……
逆にベタ過ぎたのでしょうか。(うけけけ)整合性は無視して下さい。
そういう事を無理やりさせて、女の子を怒らせないように………

「ぐあッ……!あ……ああっ……ぎゃあああああ!!」

今はのたうち回り叫ぶ彼の声もただの雑音でしかなかった。
理科室の床には私の唾液と、彼の精液に混じり、夥しい、血。
そして、先ほどまで散々私の口を犯していた、彼のペニス。
……非力でただ犯されるしかできない存在だと思っていた私の、
思いついた唯一の抵抗が、それだった。

……誠君が西園寺さんと別れて、私とやり直してくれると言った。
だから、私は彼に別れてほしいと言った。
しかし彼は聞きいれず、私を手放そうとはしなかった。

………これは、自分が力ある存在だと思い込んでしまった哀れな彼への天罰だ。
おとなしく聞き入れてくれさえすれば、あの時後夜祭でされた事も、今まで
私の身体を散々弄んだ事も、水に流しますと言ったのに………

「た…… たすけて…… ば、ばけもの……」

私が化け物なんて、失礼な人だ。つい先日まで私に魅了されていた
澤永さんが、股間を押さえながら私を恐れている。
その手からは、血だけでなく、別の液体も流れているようであり、
傷にしみるのか、再び彼は絶叫した――――
52名無しさん@ピンキー:2008/02/11(月) 16:59:27 ID:/ohD3guP
>>46
続き期待してますぜw
53名無しさん@ピンキー:2008/02/11(月) 17:04:17 ID:TRuulces
>51
そりゃレイパー、やられて当然だ。
状況が状況だから、正当防衛も認められるんじゃないか?
54名無しさん@ピンキー:2008/02/11(月) 21:35:22 ID:vIlbMRnJ
>>15
なんか皆可愛いw
>>51
すまんやっぱり吐き気が…(泣きそうで)
55BEAT SWEET:2008/02/11(月) 22:30:05 ID:yI0pHu+6
>>47
ついついヤンマガ読んじゃっていたけどこれから頑張って書きますね!

>>49
>こんな下手なやつでもブログ公開してるんだ、俺ならもっと上手く書けるぜ

そんなイジワルなこと言わないで下さいよ!
以前2ちゃんで感想を書きますみたいな事を言って
あなた様のブログで感想をしたのがおれです。
きっかけの1つじゃなくてきっかけそのものです!!
勉強させてもらいます!!


>>50
続きがすごく気になるだなんて嬉しすぎます。・゚・(ノ∀`)・゚・。
けど、ものすごいプレッシャーを感じるっす('A`)

>>52
さっきヤンマガはぶん投げました!
続きやらさせてもらいます!

>>54
みんな可愛い!? そんなこと言われるとは思ってもいなかったのでびっくりしましたw
56BEAT SWEET:2008/02/11(月) 22:31:29 ID:yI0pHu+6
ギリギリまで学園前駅で言葉を待っていたけど来なかった。
買ったばかりのタバコから1本取り出して火を点けて残りは握りつぶして壁に投げつけた誠。
『くそっ・・・』
教室に入り席に着くと世界はいつもと同じ様子だった。
「今日は雨だから屋上に行けないね〜」
「もう行かねーよ・・・」
「え?」
「タバコは辞めた・・・」
「じゃぁ、あたし達どうなるの?」
「もともと何もないだろ?・・・悪いけど世界の事、なんとも思ってないから・・・っていうか、まじでむかついてる・・・
キスしたこと誰かに言ったら殺すからな! 彼女だとか言っても殺す! 電話やメールしてきても殺す!
とにかく、おれの気に障るようなことしたらぶっ殺すからな!」
「何凄んでるの? バカじゃないの? まじムカツク!! からかっただけじゃん!!」
『ナンなんだよこの女・・・』
誠は泰介のところに行った。
「泰介このライター欲しがってたよね?」
「なんだよ誠? くれるのか?」
「あぁ・・・おれ、タバコ辞めたんだ・・・」
「まじ!?タバコ止めるだなんてマジメだな」
「タバコ吸わないとマジメなのかよ・・・」そう言いながらライターを手渡す誠
「いやぁ〜ここんとこラッキーだぜ〜w 昨日はキスできて、今日はライターかぁw 次は何だろう?」
泰介はその日、先生にタバコを見つかった。
57BEAT SWEET:2008/02/11(月) 22:32:26 ID:yI0pHu+6
電話は出ないし、メールも返信なし・・・休み時間のたびに言葉のクラスに行ってもいない。
まだ雨は降り続いていた・・・
それを見て誠は閃いた・・・
『まずは、各クラスの廊下に置いてある傘置き場から言葉の傘を抜き取って隠す・・・
途方にくれる言葉の前に1本の傘で登場する・・・相合傘しながら昨日の事を説明して・・・
仲直りすると雨も止んでいる・・・うん・・・完璧だ・・・』
放課後急いで下駄箱に行き、影で待機する誠
『ごめんよ言葉・・・ちゃんと傘は返すから・・・』
言葉が来た。
雨に目もくれず突き進む言葉・・・
『ちょ・・・えぇ!?』それを見て慌てて飛び出す誠。
「言葉!!」言葉の腕を掴んで下駄箱の影に連れ戻す誠。
「誠・・・くん・・・」言葉は目を合わせようとしない。悲しい顔した言葉を見て誠は胸が締め付けられた。
「話を聞いてよ・・・」
「・・・」
誠は昨日からの出来事をありのままに話した。
「だから・・・したくてした訳じゃないんだ」
「本当ですか?」
「うん、本当だよ」眉毛は動かない。
「・・・」
「言葉・・・」
「・・・わかりました・・・一緒に帰りましょう・・・」
ホッと肩をなで下ろす誠。
『ちょっと可哀想だったかな・・・でも、キスしたのは事実だし・・・』
絡み合った糸はほどけた・・・1つだけ結び目を残して・・・
それから相合傘で帰った。
誠が降りる駅でドアが閉まる寸前に誠は傘を言葉に渡してきた
「また明日ね!」
そう言った誠をよく見ると、隣に居てわからなかったが、右肩がビショビショに濡れていた。
言葉は苦笑いして手を振った。
『やっぱりわたしは・・・誠くんのことが好き・・・』
言葉が家に着く頃には雨はやんでいた。
58BEAT SWEET:2008/02/11(月) 22:33:12 ID:yI0pHu+6
もうすぐ夏休み。
久しぶりに4人で学食。
「みんなは夏休み何をするんだ?」
泰介は先日タバコを見つかり、夏休み返上で全部補習と引き換えに停学を免れていた。
これに懲りて泰介もタバコを止めたようだ。
「あたしは部活かなぁ〜」
「わたしは・・・家族と旅行へ行ったり・・・のんびりです・・・」
「おれは何しようかなぁ・・・」
「誠はおれと一緒に補習だろ?」
「なんでだよw」
「期末テストの出来が悪かったら全部補習じゃん?」
「え!? まじ!?」
3人とも頷く。
「赤点3つ以上だったらみたいだけどな。誠・・・バカだから決定じゃね?」
「いいじゃんw 澤永とラブラブできてさw」
からかう2人に言葉が言う。
「誠くんはいつも冗談言ったり、子供っぽいとこありますけど、
そんなに馬鹿じゃないですよ!ただちょっと・・・勉強が苦手なだけで・・・」
「言葉・・・ひと思いにバカって言ってくれ・・・」
誠の赤点は4つだった。
59BEAT SWEET:2008/02/11(月) 22:33:39 ID:yI0pHu+6
泰介と毎日一緒の補習はそれほど悪くはなかった。
いつもの学校とは違う雰囲気の学校も新鮮だった。
たまに会う部活に励む乙女。
言葉からメールも来た。
「こんにちは誠くん。補習頑張って下さいね。わたしは今ニースに居ます。みんなで来てみたかったです。」
「補習はいいけど、泰介がウザイよw ところで・・・(´-`).。oO(ニースって何県なの?) 」
「誠くん、おもしろいですね(^-^)お土産楽しみにしてて下さいね」
今日は7月26日、泰介の誕生日だ。
「何かプレゼントしてくれよw」
補習の帰り道にピュアバーガーに行くことになった。
「何かおもしろそうなことない?誠?」
「そういうのほんとウザイよなー」
「せっかくの誕生日なのに男と2人だなんてな〜」
「あっ!」
「ん?」
「バンドのヴォーカル・・・やらないか?」
「誠・・・楽器できるのか!?」
「それなりにね」
「あんま気が乗らないなぁ」
「夏休み終わって少し経ったら文化祭だろ? ヴォーカルやれば女の子にモテるかもしれないぜ?」
「誠・・・」
「ん?」
「バンドやろうぜ!!」
「そう言うと思ったw」
「おもしろそうになってきたなw」
60名無しさん@ピンキー:2008/02/11(月) 22:34:23 ID:yI0pHu+6
言葉は旅行から帰って片付けをしていた。
『これとこれが澤永さんと加藤さんで、こっちが誠くんで』
「言葉、楽しそうね。お友達にお土産?」 
今までの旅行ではありえなかった量のお土産が気になる言葉の母、真奈美。
「と・・・友達にお土産だよ・・・」
「そう・・・待ち受け画面の子?」
「なっ!? 心ったらおしゃべりなんだから・・・」
「ねぇ・・・彼氏なんだったら家に連れて来なさいよ」
「誠くんはそういうんじゃ・・・」
「誠君っていうのね・・・会ってみたいな〜」
「お母さん楽しんでるだけでしょ」
「明日楽しみに待ってるね」子供のようにはしゃぐ真奈美
「ちょっ、そんな急に言われても」
「心にも教えてあげなくちゃ」そう言って部屋を出る。
『もぉ・・・』
言葉は少しだけ考えると誠に電話した。
「もしもし?誠くん? 言葉です。」
「あぁ、帰って来たんだね」
「はい・・・それで・・・ですね・・・」
「いやぁ〜ニースって外国でしょ? すごいね言葉んちって」
「そんなことないですよ・・・それでですね・・・」
「今日の補習英語でさ〜先生に聞いたんだ〜」
「あの・・・誠くん?」
「あ、ごめん、何?」
「その・・・お土産渡したいし・・・明日、わたしの家に遊びに来ませんか?」
「いいの!? 喜んで行かせてもらうよ!!」
「それじゃ、楽しみにしていますね」ガチャ
『明日・・・楽しみだな・・・』
2人ともそう思っていた。
61名無しさん@ピンキー:2008/02/12(火) 01:50:06 ID:SKE0anAc
>>37-41
前にここで見たのも混じってるみたいだが、一部改変されてる?
世界ネタだったのが、言葉ネタになってるのがある。
62名無しさん@ピンキー:2008/02/12(火) 02:02:45 ID:uFL4iB29
>>55
あの感想を書いていただいたのはあなたでしたか。
ありがとうございます。

ただ私が下手なのは事実なのであっさり乗り越えて行って下さいw

今後のバンド展開楽しみにしています。
63名無しさん@ピンキー:2008/02/12(火) 12:58:39 ID:13PZI7o2
ホラーよりほのぼのが読みたい。
ので、ホラー系は他所でやってもらえると助かる。
64名無しさん@ピンキー:2008/02/12(火) 13:01:53 ID:jxtPwylY
いや、それは君個人の話。
嫌なら読まなければいいだけだ。
65BEAT SWEET:2008/02/12(火) 14:34:07 ID:1lDX+LSM
>>62
はい・・・あの感想です・・・
自分も言葉に投票してましたw
言葉メインの作品を楽しみにしてますね!!
そして引き続き勉強させてもらいます!!
66BEAT SWEET:2008/02/12(火) 14:34:55 ID:1lDX+LSM
補習が終わって、電話で道を聞きながら言葉の家の近くまで来ると、言葉は門の前で立っていた。
「誠くん、見えますか?」
「うんw 見えたよw じゃ、電話切るね」
言葉は誠に普通の一軒家と言っていたが・・・
『ちょ・・・これ・・・普通ってレベルじゃ・・・』びびる誠
「す・・・すごい家だね・・・」
「普通ですよ・・・」ほんとにそう思ってる言葉。
門を開けて進むと、ガレージに映画の中から出てきたような車があるのに誠は目がいった。
「誠くん・・・車が好きなんですか?」
「そんなことはないんだけど・・・カッコイイねこの車・・・」
「お父さんがお母さんの事をデートに誘うのに買ったらしいんです・・・
昔はよく湾岸線をドライブしたんだとかって・・・」
まるで白いモビルスーツ・・・その車はBMW2002ターボ。
世界初ターボ搭載市販車。僅か1670台のみ生産。最高速度211km。
当時ボルシェより早く、ポルシェより安価であった・・・    [おれが欲しいだけッス('A`)]
「思い出のある車なんだね」
「そうですね・・・さ、どうぞ」玄関が開いた。
「わぁ〜♪ 誠くん、ほんとに来てくれたんだぁ♪」
「はじめまして、誠君」
「靴は脱ぐんだぞ?」
家族全員揃っていた。仕事を抜け出してきてまで。
『言葉・・・こういうことは先に言っておいてくれよ・・・』言葉の方を見るとニコニコしている。
「はじめまして、伊藤誠です。」
初めて家に来る言葉の友達・・・それも男の子・・・複雑だけど嬉しそうなお父さん・・・お母さんも嬉しそう。
「ん〜、その・・・君、趣味はなんだね?」「あなた今はそんなこといいのよ!」 
「えっと・・・音楽を聴いたり・・・ギターを少し・・・とか、です・・・」
「ほぉ? エレキか?」
「エレキです。」
「男の子らしいわね〜」
「もぉ〜、お父さんはあっちへ行って! お母さんもお茶の用意お願い!」言葉が入ってくる。
言葉の部屋に行こうとすると、お母さんに呼び止められリビングのソファーに案内された。
「ごめんなさい誠くん。騒がしくて。」
「そんなことないよ。気にしないで」
お茶を持ってくるお母さん、その後ろからお父さんが何かを丁寧に持ってきた。
誠の目の前にそれを置いた。長さ1m、幅30pぐらいの黒い箱をゆっくりと置いた。
67BEAT SWEET:2008/02/12(火) 14:35:33 ID:1lDX+LSM
開けてみて・・・といった感じで手を差し出すお母さん。
「わわっ♪ 何? 何?」わくわくしている心
言葉も何なのかわからずキョトンとしている。
誠がその黒い箱を開けると、『もしかして・・・』と思っていた通りにギターが入っていた。
『ファイヤーバードだ・・・』
そのエレキギターはギブソンの1990年型ファイヤーバードV
1990年、不死鳥のごとく再発売される。ヴィンテージの香り漂う逸品・・・    [これもおれが欲しいだけッス('A`)]
あとで誠が聞いた話では、言葉のお父さんは仕事で出会ういろいろな人に対処できるよう、何かとチャレンジしてみたり
付き合いの関係で買ったり貰ったり・・・そのせいでまるで骨董品屋か雑貨屋みたいな部屋があるらしい。
「たまたま家にギターがあったら、弾いてもらいたくもなるわ」誠にギターを弾いて欲しいようだ。
「心も聞きた〜い♪」
「わたしも・・・聞いてみたいです・・・」
言葉にもそう言われたら断る理由はない。
「わかりました。」誠は1フレットのとこに挟んであるピックを取ってチューニングを始めた。
少しペグを回して調整するだけで心は「カッコイイ!」と騒いだ。
チューニングが終わりEのコードをジャラーンと弾くと、言葉が心に人差し指を立てて静かにするようにジェスチャーした。
誠のギターテクニックは4人の想像を軽く超えていた。
しばらく適当に弾いて、最後に誠は、誰もが1度は聞いたことがあるだろう曲を弾いた。
『G線上のアリア』
言葉のお父さんは目を閉じながらウンウンと頷いていた。
68BEAT SWEET:2008/02/12(火) 14:36:10 ID:1lDX+LSM
やっと開放されて言葉の部屋。
「ごめんなさい・・・家族全員でわがまま言って・・・」
「すごい緊張したよ」
「誠くん・・・かっこよかったです・・・」
「そぉ?」
「はいっ、とっても」
照れる誠。
「加藤さんからギターの話は聞いてましたけど、あんなに上手だとは思っていませんでした。」
「そう言われると、いつかスピーカーで音出してるのを聞かせたいよ」わざとアンプのことをスピーカーと言った。
「いつか聞かせてくださいね」
「うん。約束する」
しばらくして、不自然にすぐ近くに置いてあったモノを言葉は手に取った。
「あの・・・これ・・・お土産です」
「いいの?」
「もちろんです」
「開けても・・・」
「いいんですよ」
普段はビリッビリに破いて開ける誠だが、丁寧にラッピングを解いた。
中にはカラフルなハンドタオルが入っていた。
「おぉ!! ちょうどタオルが欲しいと思ってたところなんだよ!!」誠は大げさに喜んで見せた。言葉はそんな誠を見て喜んだ。
誠は女の子の部屋に来たことは初めてではなかったが、今までにはない変な気持ちだった。
「いい部屋だね」
「そんなに・・・見ないでください・・・」
「あのぬいぐるみとかって名前つけてたりしてそーだよねw」
「うぅ・・・」
「やっぱつけてるんだw 教えてよ」
「ヒミツです・・・」
「ギター頑張ったのになぁ・・・」いじけてみせる誠
「ぷりん・・・です・・・」しぶしぶ恥ずかしそうに言う言葉
「こっちのパンダは?」
「メロン・・・です・・・」
「食べ物ばっかじゃんw」
「もぅ・・・だからヒミツだったんです」プィっと顔を背ける言葉。
誠は萌えた。
69名無しさん@ピンキー:2008/02/12(火) 17:58:30 ID:qOHwjea3
>>68
ほのぼのするなぁ〜
頑張れよ。
70mark:2008/02/12(火) 18:46:34 ID:7EtwHDeE
どら焼き好きの某猫型ロボットが出る漫画を見て思いついたネタを1つ。
51で書いたような展開にはなりませんので、ご安心を。


屋上で澤永と誠が2人きりの状態である。

誠 「泰介、何読んでんだよ。まさかエロ本じゃないだろうな?」
泰介「バーカ、漫画だよ漫画。最近ガキの頃読んだ漫画に
   凝っててな。……やっぱ藤●先生は偉大だぜ」

そう言い、一冊の単行本を見せる澤永。

誠 「ド×●△んかあ〜。懐かしいな。俺も昔は結構読んだぜ」
泰介「んで、このシーンがホント笑えるんだよ」
誠 「うん、どれどれ」


一方、同じ頃……

世界「今日こそは、誠のハートをゲットしてみせるわよ!」
言葉「それは私のセリフですよ西園寺さん。それに、誠君の彼女は
   そもそも私じゃないですか。」
乙女「あんた見たいな乳オバケに、伊藤は渡さないわよ!私はあいつと同じ中学の
   時から、伊藤の事が好きだったんだから」
光 「この際だから、私も澤永に告白しようかなーなんて思ったりして。」
刹那「…………………。(これは手ごわい)」


屋上に辿り着く5人。
71名無しさん@ピンキー:2008/02/12(火) 19:01:15 ID:5QEJ+M02
>>68
誠といっしょに
漏れも萌えた
>>70
ガンガレ!!
72mark:2008/02/12(火) 19:13:17 ID:7EtwHDeE
世界(あ、いたいた)「おーいまこ……むぐッ!?」
言葉「静かにして下さい。何か話しているようですよ?」
乙女「2人してなに話してんだろ?」
光 「よく聞き取れないなー……」

誠たちに気付かれないよう、そっとドアを開け、耳をそばだてる4人。
それを後ろから眺める刹那。

誠 「俺、本当に泰介の事が好きなんだ」
泰介「うれしいぜ、誠」


ガーーーーーーーーーーン。

誠 「いや確かにこれは笑えるな。ス●夫の驚いた顔といったら」
泰介「だろ?……このいかにも誤解して驚いた顔がなー。いやホント
   笑えるぜ」
誠 「でもわざわざセリフまで真似しなくていいじゃないか。誰かに
   聞かれたら、誤解されるかもしれないぜ?」
泰介「普段は誰も人が来ねーんだから、平気平気。それに
   最初にノリノリでセリフ言ったお前に言われても説得力ないぞ」
誠 「それもそうだな。じゃあ一旦教室に戻るとするかな………!!」
泰介「なんだよ誠。それこそジャ●アンとの●太が空き地の土管で話していた内容を
   誤解したス●夫みたいな顔し………て?」

後ろを振り返ると言葉・世界・乙女・光の4人が、『信じられない』
という表情で誠と澤永を見ている。
73mark:2008/02/12(火) 19:39:44 ID:7EtwHDeE
誠 「まさか…… さっきの話、全部聞いてたりしたりする?」
言葉「ま、誠君……… これは何かの間違いですよね?」
世界「優柔不断で男らしくない奴だとは思ってたけど、ま、まさか……」
誠 「いやその、これは誤解だって。泰介とはただ……」
乙女「伊藤がホモだったなんて……… なんでよ……」
泰介「あれはただ漫画の話で、俺と誠はそんな関係じゃ……」

そう言い終わらないうちに、光の罵声が飛ぶ。

光 「うっさい!2度と近寄ってくんな!……澤永のホモ野郎!ハードゲイ!
   うわーーん………」

光、退場。

乙女「私…… 伊藤の事本当に好きだったのに…… 伊藤のヴぁかぁーーー!」
誠 「ぐぼぇッッ!?」

乙女のパンツもとい、パンチが誠の頬にクリーンヒット。乙女、退場。

誠 「いいストレートだったぜ…… ガクッ」

世界「って勝手に気絶するな!誠…… まさか本当に?」
誠 「だから誤解だって!話せばわかる!これは、」
世界「……ごめん。そういう事なら、さすがに私の出る余地はないしね。
   安心して。同性愛者だからって、私は誠や澤永を差別したりしないから」

そう言いながら、自分の世界(ワールド)に入り、退場。

誠 「こ、言葉だけは俺の事信じてくれるよな?…これは誤解なんだって」
言葉「……私は、自分が寛容な人間だと思いあがっていました。そういう
   人達がいる事はもちろん知っていましたが、誠君と澤永さんが
   そうだったなんて……」
誠 「だ、だからそうじゃなくて……」
74mark:2008/02/12(火) 20:03:09 ID:7EtwHDeE
言葉「それなのに、私は誠君の本質を知ろうともせず、誠君に
   すごく無理をさせていたんですね…… ごめんなさい……
   私は人として未熟でした。……でも、短い間でしたけど、
   誠君と過ごした日々は忘れません…… どうか心の狭い
   私を許して下さい……… さようなら」
誠 「人の話を聞けぇーーーー」

言葉、涙を流しながら、退場。

泰介「なぁ、誠……」
誠 「なんだよ……」
泰介「……俺達って、ひょっとして……すげぇ悲惨?」
誠 「考えたくない……ん?清浦……」

4人が去り、2人だけの屋上に刹那がやってきた。

刹那「伊藤……」
誠 「なんだよ…… 清浦まで俺達をホモだと誤解しているのか?」
刹那「ううん。私は伊藤たちの事を信じるから。」

自分達より30cm近くも小柄な刹那が、今は女神にさえ見えた。

泰介「うぉぉぉおお!やっぱり委員長だけはわかってくれたかー。
   なあ頼むよ。あいつらの誤解を解いてくれ!頼みます!
   神様仏様、委員長様」
誠 「俺からも頼むよ。このままだと俺達2人、本当にゲイカップル
   だって誤解されちまう。清浦だけが頼みなんだ……お願いします!」

土下座して、刹那にお願いする誠と澤永。
75mark:2008/02/12(火) 20:19:21 ID:7EtwHDeE
刹那「……それは無理」
誠 「え…… どうして!」
刹那「人の口に戸は建てられないから。……それに、まぎらわしい
   事を2人だけで話していた伊藤達にも責任はある」
泰介「そんなつれない事言わないで助けてくれよ(泣)」
刹那「私は世界のところに行かなくちゃ。きっと心の中で泣いているから、
   ちゃんとフォローしないと」

そう言い、去っていく刹那。

刹那(誤解が広まる方が、私にとっても都合がいいから。
   これなら、伊藤に悪い虫は近寄らないし、伊藤は
   私だけのもの)


翌日には、誠と澤永がハードゲイな関係だと学園中の噂になり、
誠たちは、かなーーり長い間、灰色な学校生活を送る羽目になるのであった。

(おしまい)
76名無しさん@ピンキー:2008/02/12(火) 20:31:11 ID:ahPuwMZH
言葉の退場がいやにあっさりしていると思うけど
刹那の黒さ・愛らしさはgood
77名無しさん@ピンキー:2008/02/12(火) 20:51:30 ID:SKBSDMjM
刹那がいる誠はまだしも誰も女子の味方なしでハードゲイよばわりで灰色学生生活の澤永哀れw
78名無しさん@ピンキー:2008/02/12(火) 21:54:13 ID:uFL4iB29
>>65
頑張って下さいね。
続き楽しみにしてます。

ギブソンというとなんとなく課長王子を思い出しますね。

>>72-75
なかなか面白かったです。

これで言葉は悲惨な目に遭わずにすむし誠には刹那がいるし澤永は姉に集中できるし
これもHappyEndかも知れませんね。
79名無しさん@ピンキー:2008/02/12(火) 22:02:45 ID:qOHwjea3
>>74 勝手に分岐

刹那「だったら…伊藤はゲイじゃないってことを見せつければいい…」

誠「えっ…それって、どうゆうことだよ。」

刹那「ついてきて。」

誠「わかったよ。」

澤永「あの…俺は?」

澤永を無視して屋上を出ていく誠と刹那。

―教室―
ガラッ
誠と刹那が教室に入ると一斉に注目を浴びた。

男達&女達「あ…あいつってゲイなんだろ…なんでも屋上で(ry」

80名無しさん@ピンキー:2008/02/12(火) 22:18:46 ID:qOHwjea3
世界「刹那!なんで誠と…誠はゲイなのよ!」

刹那「違う。伊藤はゲイなんかじゃない。」
そう言うと刹那は誠を引き寄せ、mouth to mouth

誠は顔を紅くし…動かない。

教室全体の時が止まった。
刹那「伊藤はゲイじゃない。」
時は動きだす。
誠「き、清浦…何を…」
清浦「伊藤は私とじゃ嫌だった?」
誠「いや。嬉しかったよ。」
世界「だめー私だって誠と(ry

騒ぎを聞き付け乙女と言葉も――
一時後
世界「うん。私は信じてたよ誠のこと。」
言葉「そうですよ。だって誠は私の彼女ですから」
乙女「私も信じてたよ」
刹那「私は最初から…」

81名無しさん@ピンキー:2008/02/12(火) 22:25:26 ID:KT9a+ztN
>mark氏
あはは。
こういう、Valentine's Dayのようなノリ、大好きです。

>79氏
これはこれで楽しみな展開。
82名無しさん@ピンキー:2008/02/12(火) 22:26:15 ID:qOHwjea3
その後…澤永のみゲイの称号を与えられ、校内のゲイたちから狙われました。









ちなみに誠達は…
世界「私、妊娠したかも…」
言葉「嘘はだめですよ。中に誰もいませんよね?」
乙女「私も妊娠…」
言葉「貴方はただのセフレですよね?」
刹那「私は伊藤の…」
言葉「誠君はロリ属性ではありません」

言葉「やっぱり私が誠君の彼女にふさわしいんです。」

誠「…(別にロリでもいいんだが…いや…むしろロリの方が)」



適当にやった。うん。
83名無しさん@ピンキー:2008/02/12(火) 23:13:09 ID:jxtPwylY
>>82
GJ

これはこれですごく誠らしくていい
84名無しさん@ピンキー:2008/02/12(火) 23:18:11 ID:nIT5EaYM
SS職人のみなさんで公開SSを一つの同人小説にして
出版してくださいよ
買うから
85名無しさん@ピンキー:2008/02/13(水) 00:35:04 ID:OsDgucYu
>>69
頑張ってみます!
てか、今度は適当じゃなくって本気で気合入れたの作ってみてくださいよw

>>71
萌えただなんて・・・燃えてきました(´・ω・`)ハイ・・・スイマセン


>>78
うぅ・・・もろもろさんやmarkさんと比べると明らかに違うみんなのレス・・・
未熟さを痛感しました・・・だけど・・・
頑張りますw

>>84
ほんとそうして欲しいですよね!
てか、今までにそういうのがなかったってことですよね!?
そっちのがびっくり・・・
86BEAT SWEET:2008/02/13(水) 00:35:47 ID:OsDgucYu
学校がはじまり、文化祭の準備が少しずつ動き出した。
クラス委員長が文化祭実行委員をやるので、言葉とはたまにしか一緒に帰れなくなったが
泰介とバンドの練習をするのでちょうどよかった。
言葉に文化祭でバンドをやることを言うと、とても嬉しそうにしていた。
放課後に誠の家で練習をした。ドラムとベースは打ち込み。
はじめの頃はぎこちなかったが、もともと仲の良い2人。完成度は高くなっていった。
スタジオで本格的な練習をすることにした。
スタジオに直行できるように誠は学校にギターを持って行った。
3万8千円で買ったギター。ジミヘンドリックスなどでお馴染みのストラスキャスターだ。
安物だったが、誠にとってはギターをはじめた頃から使っている、愛着のある宝物だ。
「誠! そろそろ行くか?」
教室の1番後ろに立てかけておいたギター。誠は近づくと違和感を感じた。
開けて見てみると、傷だらけになったもはや楽器とは言えないギターが顔を出した。
「なんだよ・・・これ・・・」状況が理解できない誠。
「ヒドイことする奴いるのねぇ〜」
「世界!? まさか・・・お前がやったのか!?」
「なんであたしなのよ? 知らないわよバカッ!!」
「・・・」
「なっ!?そんな言い方ないだろ西園寺!」
「もういいよ泰介・・・行こうぜ・・・」 
駅に向かう時に泰介が、先生に言おうと言ったが、そんなことはしなくていいと断る誠。
「文化祭はどうするんだ?」
「すぐにはギター買える金がねーよ・・・」
「それもそうだな・・・」
「辞退するしかないかもな・・・」
「せっかく練習したのにな・・・」
2人にはどうすることもできなかった。

87BEAT SWEET:2008/02/13(水) 00:36:26 ID:OsDgucYu
誠が家に着くとテーブルの上に千円札が置いてあった。
部屋に入ってギターを置くと、言葉から電話があった。
委員会が早く終わったから、スタジオに見学に行きたいとのことだった。
「スタジオ行かなかったんだよ・・・」
「どうかしたんですか?」
「おれ、ドジだから転んでギター壊しちゃってさ・・・」
「そうなんですか・・・」
「え・・・っと、明日にでも楽器屋さんに行って直してもらうよ」
直るはずないのはわかっていたが、言葉が心配しないようにその場しのぎの嘘をついた。
ぼんやりしてると時間は経っていて、お腹がすいたのでコンビニへ行った。
帰ってくると玄関の前に、見覚えのあるハードケースを持った言葉がいた。
「言葉・・・どうして・・・」
「澤永さんに家の場所と事情を聞きました。」
「そっか・・・」
「家に帰ってお父さんとお母さんに話しをしたら・・・これを・・・持って行けって・・・」
「お父さんとお母さんが? 貸してくれるの?」
「ちょっと早いけど・・・誠くんの誕生日プレゼントです。」誠の誕生日まで1ヵ月ぐらいあった。
「こんな高いモノ・・・もらえないよ・・・」
「気にしないでください・・・家にあっても誰も弾けませんし」
「それに・・・誠くん・・・約束したじゃないですか。スピーカーから出る音を聞かせてくれる・・・って」
「でも・・・」
言葉はハードケースを誠に押し付けた。
「文化祭・・・楽しみにしてますね!」
そして、タクシーを待たせてあるからと言って帰った言葉
誠はハードケースの取ってのところに、アルミ製のタグが付いているのに気づいた。
『こんなの付いてたっけ?』
小さく何かが刻印されていた。
『33322』
その時の誠は、ハードケースのシリアル番号くらいにしか思わなかった。
88BEAT SWEET:2008/02/13(水) 00:37:03 ID:OsDgucYu
文化祭がはじまった。
誠達のクラスの出し物は「桐箪笥の歴史と作り方」お客さんはまばらにしか来なかった。
誠と泰介は4組を覗きに行った。言葉のクラスは「占いの館」
占いだけではなく、黒板に大きく「秘密の榊野学園伝説」と書かれ、
誠も知っていた、携帯待ちうけ画面のおまじないや、
後夜祭でフォークダンスを踊ったカップルは永遠に結ばれるなど・・・いくつか箇条書きされていた。
1番人気は、好きな人を想って願いを込めて作るミサンガ・・・というものだった。
泰介は欲しいらしく、言葉に教えてもらいながら作り始めてた。
言葉の手首のミサンガは2つになっていた。
体育館でのライブは午後からだ。
1年、2年、3年の順番でステージに上がるのだが、1年生でバンドをやるのは誠と泰介だけだった。
言葉と乙女は比較的前のほうのイスに座っていた。
何人かがのど自慢のようなステージを終える頃には、
体育館の中は榊野学園の生徒だけでなく、保護者や他校の生徒などの一般客で埋まっていた。
誠と泰介の出番が来た。
ファイヤーバードを腰の位置に低く構えて立つ誠。
「緊張するなw」
「ははは、そうだなw」
普段クラスの中でムードメーカー的存在の泰介は、それほど緊張してないようだ。
2人がステージに上がると、立ち見してる人がいるほどになっていた。
誠は言葉がどこにいるのかわからないようだったが
言葉には誠の首にまいてあるカラフルなタオルが見えた。
「今日はおれ達のために集まってくれてありがとう!」
ミュージシャンになりきってそう言う泰介に会場はウケた。
泰介のカオスなMCと誠のギターに会場は盛り上がった。
このあとに出てきた人達のステージは、誰の目にもお粗末に見えただろう。


89BEAT SWEET:2008/02/13(水) 00:37:32 ID:OsDgucYu
「すっげーおもしろかったな誠w」
「泰介サイコーだったぜww」
「モテすぎちゃったら困っちゃうぜw」
誠と泰介が体育館をあとにすると、言葉と乙女が待っていた。
「誠!かっこよかったよw」
「はいっ、とてもかっこよかったです」
「あはは〜、もっと言ってくれよ〜」
「澤永には言ってないんだけど?」
「そんな照れるなって〜、ねぇ? 桂さん?」
「澤永さんは・・・かっこよかったというより・・・その・・・おもしろかったです・・・」
「うぅ・・・なんか素直に喜べないなぁ・・・」
そのまま4人で文化祭を見て回って、そのまま後夜祭に参加した。
フォークダンスを踊っているカップルは1組もいなかった。
校庭の真ん中にあるキャンプファイヤーを見つめる誠と言葉
お互いに『好き』の一言が言えないままだったが、
磁石のS極とN極のように引かれ合っていた。

90BEAT SWEET:2008/02/13(水) 00:38:04 ID:OsDgucYu
誠の誕生日が近づいてきた。
「誕生日は帰りにみんなでピュアバーガーでも行くか? 誠の分おごるぜ?」
「何よ澤永? 誠の分だけ!?」言い争う2人。
誠が言いずらそうに言う。
「ごめん・・・その日は・・・ほら、おれ、母さんと2人で住んでるから・・・」
「なんだ誠? マザコンか?」
「澤永さん! 家族は大切ですよ!」
「そうよ! シスコンのアンタがよく言うわよ!」
誕生日を前にすると、言葉が家に来て欲しいと言った。
「心が誠くんに会いたい・・・って、言うこときかないんです・・・」
その後に、クッキーを手作りすると付け足して言った。
「わぁ〜♪誠くん、来てくれたんだぁ〜♪」
言葉がクッキーを作ってる間、誠は心の相手をしていた。
「ちょっとお姉ちゃん見てくるね♪」心がキッチンに様子を見に行った。
誠はリビングのソファーで待っている。
「あら? 誠君、来ていたのね」言葉のお母さんが帰って来た。
「おじゃましてます」
「ゆっくりしていってね」
「あの・・・ギターなんですけど・・・」
「?」
誠はギターのお礼をした・・・
「言葉がそう言ったの?」
「えっ!?」
小さくため息をつくと、真奈美はキッチンの方に目線を入れたあとに話始める。
「様子が変だとは思ったのよね・・・学校から帰ってくるなり
『あのギターわたしがもらってもいい!?』
なんて言って・・・普段あんまり物を欲しがらない子だから・・・」
「!?」
「別にいいわよと言ったけど・・・誠君にプレゼントしてたのね・・・」
「・・・」
「お母さんズルイ! 誠くんは心に会いに来たんだよ!!」心が戻って来た。
手にはつまみ食いしているのか、クッキーを持っていた。
「言葉には内緒よ?」小声でそう言って部屋を出る真奈美。
焼きあがったクッキーはキツネ色とチョコ色の2種類あった。
「心も作ったんだよ♪」
「誠くん・・・食べてみてください」
誠はチョコ色のクッキーを食べた。
「すごいおいしいよ!!」
嬉しそうな言葉。
言葉が作ったクッキーはチョコ色だったようだ。
91名無しさん@ピンキー:2008/02/13(水) 01:16:14 ID:hEmLJzJj
>>90
GJ
ギターの種類はわからんが、マルニのTurbo好き、って…w 渋いというか、ゲテm(ry w
てか、これだけ設定を変えてるのに、ドンドン引き込まれるストーリーになってる スゴイス
スクイズへの愛も感じるし、脇役たちもいい味出してるし
続きがすげー楽しみですw
92名無しさん@ピンキー:2008/02/13(水) 01:18:54 ID:/Pw1rXPg
>>75

言葉はまた後で後悔して帰ってきそうな予感w
93mark:2008/02/13(水) 17:47:22 ID:/oS6wGoj
ageついでに空気読めといいたくなる一本を。

視聴覚室 上映会途中

世界「それにしてもさっきのカップルはすごかったわ」
七海「私でも先輩とはそこまではやらないなあ」
乙女「あ、画像が切り替わったよ。次入ってきたのは……」
世界「誠に…… 桂さんだ」
七海「ひょっとしたらこいつは見物かもしれないね」
乙女「私はパスするからいいよ」
七海「とか何とか言って、あんたもジロジロ見てんじゃん」

刹那「あ、上着を脱ぎ出した」
乙女「ネクタイとリボンも外して……」
世界「まさか…… 本当に?」
七海「いよいよ次はって……あれ?」

1時間後

七海「確かに休憩する部屋だから、そういう事もありえなくはないけど……」
乙女「なんというか…… 空気読めって感じ」
世界「ここはホッとするはずなのに、なんか、微妙にいらつくんですけど」
刹那「…………。(休憩室は本来はこう使うもの。でもちょっと残念)」

足利「一応まだ続きがあるんだけど…… なんか、みんなシラけてるみたい
   だから、今日はこれで終わりにするね」


誠と言葉は2人で仲良く『休憩室』で仮眠をとったのであった。
もちろん皆が期待するような事はありませんでしたとさ★
94mark:2008/02/13(水) 17:48:28 ID:/oS6wGoj
ageてなかったか、失礼剣
95名無しさん@ピンキー:2008/02/13(水) 18:04:02 ID:ORg4FDvw
言葉「死んじゃえ!!」
ピキ―ん
言葉「逆風の太刀!!」
世界の首は飛んだ。

その場にいた誠と光と甘露寺はなぜか拍手をし、自分も技が閃いたらいいのに
なあと思った。
96名無しさん@ピンキー:2008/02/13(水) 22:09:08 ID:OsDgucYu
>>91
他にもカッコイイなぁって思う車はあるけど
02ターボはチューニングパーツがたくさんあるから
日本の過酷な交通事情を考えると02ターボが(・∀・)イイ!! 
って・・・高くて買えないんですけどね。・゚・(ノ∀`)・゚・。

レス見て気絶しました!少年マガジンぶん投げて続きをやるっす!!
97BEAT SWEET:2008/02/13(水) 22:10:06 ID:OsDgucYu
誠の誕生日。
下駄箱で上履きに履き替えようとすると、メモとクッキーが入っていた。
メモを見ると誠の知っている名前が書いてあった。
文化祭でのLIVEから数日後、誠に告白をしてきた女の子だ。
その場でゴメンナサイしていたつもりだったが・・・
「おぉ!? 何だよ誠? ラブレターか!?」
「・・・」
「誠! 早く読んで聞かせろよ!!」1人で盛り上がる泰介。
「泰介が先に見ていいよ・・・」 誠はラブレターなどをもらうのは初めてのことではなかった。
泰介はメモを声に出して読み始めた。
「え〜っと・・・
『伊藤君お誕生日おめでとう、伊藤君は今は彼女は欲しくないって言ってたから振られたとは思ってません。
クッキー作ったので食べてください・・・33322。』だってよ・・・
なぜだ! なぜ誠ばっかりモテるんだー!!」
「!?」誠は一瞬でタグの刻印を思い出した。
「ところで誠・・・クッキー食べてもいいか?」
「泰介・・・33322って何だ?」
「好き・・・ってことだろ? 携帯でメール打つ時とかの」クッキーを食べながら言う。
「そ・・・そっか・・・」
98BEAT SWEET:2008/02/13(水) 22:10:31 ID:OsDgucYu
言葉はリビングで雑誌を見ていた。
「お姉ちゃん何見てるの?」
「なんだっていいでしょ」
「わぁ〜♪ 占いだぁ♪」
「もぅ・・・心はあっちへ行って!」
ムリヤリ覗き込んでくる心。
「え〜っと、お姉ちゃんは〜、『やぎ座のあなたにとってこの冬は最大の恋のチャンス♪
気になるあの人との時間を増やせば運気は上昇。きっと恋は・・・』えっと・・・」
「こ・こ・ろ!!」
「わっ、お姉ちゃんが怒った! 逃げろ〜♪」
「まったくぅ」
言葉は占いの続きを見た。
『きっと恋は成就します・・・かぁ・・・』カレンダーを見るともうすぐ冬休みだった。
その頃誠は、乙女に言われたことを思い返していた。
『誠はほんと鈍感! クリスマスは大イベントなんだから!
女の子は誘ってもらえるの待ってるんだからね!』
「そうは言ってもまた補習があったっけ・・・」誠はまた赤点4つだった。
「・・・33322・・・か・・・・・よしっ」
電話をする誠
「言葉? あの・・・さ、クリスマスって何するのかな?って思って・・・」
「誠くんは・・・何をするんですか?」
「いや・・・あの・・・補習があるんだ・・・けど・・・」
「けど? 」
「補習が終わったら、言葉がヒマしてたら・・・会えないかなって・・・」
「・・・」
「ちょっとしか会えないだろうけど・・・だめかな・・・」
「わたしも・・・誠くんに会いたいです・・・」

99BEAT SWEET:2008/02/13(水) 22:11:03 ID:OsDgucYu
クリスマスが来た。
誠は補習が終わると、言葉との待ち合わせ場所の駅前のツリーに向かった。
言葉と会ってイルミネーションでキラキラしてる街を歩いた。
誠が言葉に、何かしたいことはあるのか聞くと、ゲームセンターに行ってみたいと言った。
「へぇ〜!?意外だなぁ、言葉ゲーム好きだったんだ?」
「いえ・・・ゲームは苦手です・・・」
「え!? それじゃどうして?」
どうやら言葉はプリクラを撮りたいようだ。
何枚も撮りたがり、撮るたびに丁寧にハサミで切って渡してくる言葉は、
誠にはとても無邪気で可愛く見えた。
なんとなく駅前のツリーに戻ってみると、
電気を消してローソクの明かりの中で賛美歌を歌うという
「キャンドルナイト」なるイベントをやるところだった。
まわりにいる人達にローソクが配られた。カップルには2人で1つのローソク。
歌が終わった時にローソクを消すと、ツリーがライトアップされるとのことだった。
「なんだかすごいことになってきたね」
「はいっ、とてもロマンチックです・・・」
賛美歌が始まると、その場にいる人みんなが耳をかたむけた。
「誠くん・・・今のわたし・・・幸せです・・・」
「うん・・・」
賛美歌が終わり、ローソクが消えはじめた。
2人は向かい合ってた・・・
誠がアゴをちょこっと動かし、言葉が消しなよという感じで合図をすると、
誠に消してという感じで言葉は手で合図してきた。
ほとんどのローソクは消えていた。
誠は頷き、軽く息を吸い込んで息を吹き始めた時、
言葉は誠にキスをした。
ローソクはすべて消えていた。
重なり合う唇が離れた時、ツリーが眩しく輝いた。


100BEAT SWEET:2008/02/13(水) 22:11:59 ID:OsDgucYu
「ごめんなさい・・・びっくりしちゃいますよね・・・」下を向いて言葉が言った。
「言葉・・・」
誠はやさしく抱きしめた。
「びっくりしたけど・・・嬉しかった・・・」
言葉も誠をそっと抱きしめる。
「これ・・・安モノなんだけどさ・・・」誠はポケットから指輪を出した。
「えっ!?」
「クリスマスプレゼント」
言葉はその指輪を左の薬指につけると、今までで1番の笑顔をしてた。
「わたしも・・・誠くんに渡したいものがあります・・・」
そう言って可愛らしい指輪ケースのようなものを出した。
誠はそれを見るのは初めてではなかった。
それは言葉がいつも持ち歩いているらしく、お守りみたいなものだと言っていたモノ。
「誠くんに・・・持っていて欲しいんです・・・」
けれど中身は見ないでいて欲しいとのことだった。
言葉は誠のことを見つめて言った。
「必ず見せる時が来るから・・・」


101mark:2008/02/13(水) 22:26:53 ID:/oS6wGoj
>BEAT SWEETさんへ

なかなか飛ばしてますね。「33322」の意味が素でわからなかったですが、
なるほど携帯で文字を入力すると3(さ行)2(か行)をそれぞれ
3回と2回打つと、確かにそうなりますね。こういう発想は自分には
なかなか出来ないです……

星座占いを見て、恋愛運を気にしている言葉と妹の心も微笑ましいです。

あとは勝手なお節介ですが、文章を適度な所で1行(場合によっては2行以上)
あける事と、横に書きすぎない事でだいぶ読み易くなるかと思いますが、
いかがでしょうか?

では、頑張ってください。スレッドpart3では私は短編中心でいこうかと思います。
さすがに怒りシリーズは長過ぎた……
102名無しさん@ピンキー:2008/02/13(水) 22:42:36 ID:h/NbcRYW
>93
GJ。
誠の行動以外は、すべて各キャラに合っている。
さすが大作を書かれた方は、キャラのいじり方が上手い。
103名無しさん@ピンキー:2008/02/13(水) 22:44:49 ID:dCh2DXIs
>>101
「33322」はサマイズネタだw
104名無しさん@ピンキー:2008/02/13(水) 22:54:50 ID:u5EKz/dm
33322

これ使ったなら
エロなしで突き進むのがお約束だよな きっと
105名無しさん@ピンキー:2008/02/13(水) 23:59:11 ID:OsDgucYu
>>101
markさんにレスされるなんて。・゚・(ノ∀`)・゚・。
勝手なお節介は・・・言われて当たり前な感じしました・・・
自分でも左下の段に移って読む時に1段飛ばしたり・・・
次から参考にさせてもらいます!
自分はスレ2から見てたんで怒りの最初の方が見れてないす('A`)
33322は>>103さんの言うとおりです・・・自分にはこういう発想ぜんぜん('A`)ムリ

>>102
あぁ〜なんだか照れるw さすがだなんてww

>>103
正解です('A`)

>>104
エロなしのがいいってことですか・・・



寝るす('A`)オヤスミナサイ
106名無しさん@ピンキー:2008/02/14(木) 00:26:19 ID:qYUxYA69
>>101
おや?markさんも短編ですか。

怒りの誠の様な長編も楽しみにしてますから気が向いたら書いてくださいね。

>>105
書くのが楽しくなってこられたようですね。
その調子で頑張ってくださいね。
107名無しさん@ピンキー:2008/02/14(木) 00:42:02 ID:1JM/VrWc
これってまとめスレとかはまだ無し?
最初のSSが読みたいんだけど…
108名無しさん@ピンキー:2008/02/14(木) 00:53:32 ID:m4VPXKPB
>>93
GJ!!
そんな誠&言葉が好きだw
109名無しさん@ピンキー:2008/02/14(木) 00:54:08 ID:m4VPXKPB
>>105
いやいや敢えて自分はエロを期待するお
110名無しさん@ピンキー:2008/02/14(木) 02:38:42 ID:2IYsK2tJ
新スレおめでとうございます。
前スレで、過去に別の作品で別の場所に投稿していたホラーネタを、
加筆・改変して落としてた者ですが、新天地を見つけたのでそこへ
移ることにしました。
短い間でしたが、どうもありがとうございました。
111名無しさん@ピンキー:2008/02/14(木) 02:46:11 ID:5L9q2MP8
>>93 >>105
ニヤッ、としてしまうw どんな格好でお昼寝してたんだろw 絵が欲しいw
33322は、みなさん仰ってるとうり、サマイズネタですので、markさんも
ぜひPLAYすることをお勧めします

>>100 >>105
ツリーのキスシーンの演出、上手すぎっすw ギャーwww
ケースの中身はなんだろ?予想するのはまずい?w [空気呼んで予想は止めときます('A`)]
続き、楽しみにしてますw
112名無しさん@ピンキー:2008/02/14(木) 02:48:56 ID:5L9q2MP8
アンカ、間違えた 上の>>105は、markさんへの>>101ですw
113名無しさん@ピンキー:2008/02/14(木) 20:15:51 ID:qYUxYA69
>>110
私は色々な作品を読みたかったので移られるのは残念ですが
行った先でも頑張ってくださいね。
114mark:2008/02/14(木) 20:40:03 ID:rRPfDlvN
マークです。今回も同じ闘撮ネタですが、今度は51とは違う方向で相当ヤバイです。
さすがにメイン・脇・チョイ役で名前のあるキャラにやらせるのは完全に
冒涜ですので、名無しに犠牲になってもらいませう。でもこれも現実では
ありえなくもないでしょう(原作無視で吸いません)

視聴覚室 上映会途中

世界「しかし、色んな愛の形があることで。」
七海「今度先輩に誘われたら、私もお願いしてみようかな?」
乙女「今度は…… ベッドは1台しかないのに4人で入ってきたよ」
光 「ひょっとして、複数でプレイするっての?」
刹那「………スワッピングかもしれない。」

やがて服を脱ぎ出し、いよいよ営みが始まるのかと思いきや……

世界「あれ、煙草を吸い始めたよ。」
七海「した後に一服するっていうのは聞いた事あるけど……何か変だな」
乙女「なんか茶色っぽい塊みたいなものも持ってるね」
光 「もう1組の男女は、なんか薬みたいのを飲んでるけど……」
七海「まさかバイ●グラとか? でも若いのに勃たないのはちょっと……」
刹那「……違う。あれはひょっとして……」

刹那の指摘に、世界たちも何かに気付く。

世界「ひょっとして、あれって法律に違反したりする薬なのかな……?」
七海「まさか、頭に『ま』がつくモノだったりして……」
乙女「ちょ、ちょっと…… それってマジやばいんじゃ……」
光 「じゃああのタバコも、ひょっとしたら、ただのタバコじゃなくて……」
刹那「……多分、(危険コードとみなし削除)ナ。」

世界たち・他の生徒「えーーーー!?」

室内は騒然。

上級生A「みんな、静粛に!」
上級生B「どうすんのよ!?これじゃあ鑑賞どころじゃないよ」
上級生C「さすがに通報したほうがよくない?これシャレになんないよ!?」
上級生D「でも通報したらうちらの盗撮がばれるし…… 推薦入学が
     取り消しになっちゃうよ」
上級生E「だいたい足利がカメラ仕掛けようっていったんじゃない。
     どーしてくれんのよ!?」
足利  「あんた達だって、乗り気だったじゃない!?私だけのせいにして
     逃げる気なの?冗談じゃないわよ!!」

上級生達も仲間割れ状態である。明日はどっちだ!?
115スクイズイフ:2008/02/14(木) 21:52:10 ID:xBs21faG
>>114
GJ〜しかしある意味危険な試写会だなw

次も楽しみにしてます
116スクイズイフ:2008/02/14(木) 21:53:19 ID:xBs21faG
SchoolDays-if0話a
今日は榊野学園の入学式…幼なじみで親友の世界と同じ高校へ進学した…
そう小学校だろうが中学校だろうが…そして高校だろうが私は世界が行くところと同じ何処へ行く…
私達は2人で一つ…世界と私で互いに補って生きてきた…これからもそれは変わらないと信じていた…
だけど出会ってしまった…私は一生恋などしないと思っていたのに…


入学式前にクラス分け表が張り出されていて私と世界は3組だった〜同じクラスなのは良かったと思う……
体育館で行われる入学式まではまだ時間があるので散策してみる〜世界は早速同じクラスの女子と仲良く喋っている…
確かさっきの紹介では山県さんと言ったかな…世界のこういう社交性の豊さは正直凄いと思う…
と思いながら体育館の方へ歩くと前方に身体の大きい男子2人が歩いてくる…
正直苦手なタイプだけど特に関係ないと思えば怖くはなかった…が
通り過ぎる直前
??「おお〜」
??「マジか?」と言う声が聞こえたかと思うと突然肩をつかまれて
??「小学生が高校来ちゃ駄目だぜ!」と言われ男子2人に囲まれる事態に…
普段ならこのぐらいの事には馴れていた…何時も自分の身体的な事で、からかわれる事は日常茶飯事で…
だけど急に肩を掴まれてパニックになっていた…だから必死に耐えるつもりだった…
大概からかう人達はからかい甲斐がないと判ると離れていく…だから今は必死に耐える…
??「ほら漫画でよくある飛び級小学生じゃないか?」
??「へぇ〜初めて見たぜ!本当にいるんだ!すげー」
周りを見るとちらちらこちらを見てるが誰も係わり合いになりたくないのか…
誰も見て見ぬ振りしていた…しかし堪えていた涙が限界に…泣き出しそうになる直前〜
??「おい!お前ら何、馬鹿な事やってるんだよ」
刹那「……え!?」
限界に達していた時、突然後ろから声がした
最初は世界が来てくれたと思ったけど…違った
そこには知らない男子が立っていた…誰だろう?
117スクイズイフ:2008/02/14(木) 21:54:04 ID:xBs21faG
SchoolDays-if0話b
??「高校生になって〜女虐めて恥ずかしくないのか?」
??「??かよ?小学生以来か…久し振りだな〜」
?「まあ久し振りだけど…周り見て見ろよ…みんな見てるぞ〜」と言われ男子2人は見渡すとみんなチラチラ見ている…
彼らは自分等のしてきた事に今更だが気付いたようだ…
??「何か不味いかも〜」
??「ああ〜」と言って慌て始めた…
?「その子が泣く前に逃げた方がいいぞ〜いきなし停学喰らいたくないだろう?」それが止めになったのか〜
「後は任せた」と言って逃げていく
?「全くアイツら何にも変わってないな…」そう言うとこっちを向いて
?「え〜と大丈夫か?」そう言われた瞬間、我慢していたものが一気に零れだした
刹那「ううう…」我慢しようと堪えるけど止まらない涙…
?「ほら、泣くなって…ハンカチいるか?」
刹那「…もってる」かろうじて言う…
?「気ぃ、強そうな顔してんのにな…ちょっとからかわれたぐらいで、泣くなよ〜」
?「なあ、えーと…清浦だっけ?…いいか〜また、あいつらがちょっかい出して来たら俺を呼べば何とかしてやるから…」
?「だから、安心しろって」
刹那「…安心?」何で安心なんかできるだろう…男はいつも女を泣かせる生き物だ…瞬さんだってさっきの男達だって…
?「ああ、任せろ…あいつらなら、俺の知り合いだし言って判らないヤツじゃ…」今、目の前で慰めてる男だって…みんなみんな……
刹那「しない」
?「は?」
刹那「あなたが誰かは知らないけど」
?「あ、俺、伊藤ね」
刹那「…とにかく」
?「名前は、誠」名前なんか聞いてない…聞いたって意味ない…
刹那「とにかくっ」
?「ああ」
刹那「誰にも頼らないから」そう私は男なんかに頼らない…
?「そうか〜まあ、そういう強いのもいいか〜」強い?…この人は何を言ってるの?初めて顔を上げて顔を見た…
少し頼りない感じの〜だけどまるで妹を宥めるような言葉で語りかける…
刹那《誰っていってたかな…イトウ?》
刹那「…強い?」知らないうちに声が漏れた…
?「ああ、その勢いで、クラス委員にでもなってビシビシとクラスを回していけば誰もつっかかってこないんじゃない?」
刹那「…そっか」この人慰めているんじゃない…励ましてくれてるんだ…?「うん。似合ってると思うぜ。クラス委員」
クラス委員か…そんな事考えたこともないや…
118スクイズイフ:2008/02/14(木) 21:54:52 ID:xBs21faG
SchoolDays-if0話c
クラス委員か…この人は私に似合ってるって言ってくれた…今までそんな事を言う人いなかったかも…
刹那「うん」私は先までの暗い気持ちから凄く嬉しい気持ちに変わってる事に気付く
?「推薦してやろうか」
刹那「自分で立候補する」
?「よし、じゃあ俺は清浦に投票してやるよ〜なっちゃえなっちゃえ」
刹那「……うん」
?「んじゃ、泣きやんだみたいだし、行くか」あれ?いつの間にか泣いてない…けど素直になれず…
刹那「…泣いてない」そう言うのに手一杯だった
?「あーはいはい。そうだった。強い清浦は泣いてない」と少しふざけて言うが不快な感じではなかった…でも何か素直になれず呻く
?「ほら、入学式。行こうぜ」そう言うと体育館の方へ向かう
?「じゃあな先行ってるぜ…」
刹那《伊藤だったかな…》何か嬉しい気持ちになっていた…不思議な男子だな…

程なくして世界の声がして…「刹那!」と呼ぶ声がして世界が来てくれた〜山県さんから聞いて飛んできてくれた
最初は私1人で何とかしたみたいに思ったらしいので…
自分を助けてくれた人がいて同じクラスの男子で伊藤と言うらしいと言うと世界は調べてくると言ってまた行ってしまった…
もうすぐ入学式なのに…

その後世界が調べた〜と言うかさっきの話でいた山県さんと同じ中学出身で話によればイイヤツらしい…
まあ誰も助けてくれなかったのにわざわざ助けてくれる〜ある意味お人好しなのかもしれない
その後学校で3組のクラス委員を決めるHRがあって3人の立候補にて投票が行われ接戦の末、
私はクラス委員に選ばれた…
世界が私の前と後ろの席の甘露寺七海と黒田光に投票を呼び掛けたきっかけで友達になり…
伊藤からはクラス委員になった事をおめでとうと言われ約束通り私に票を入れてくれて頑張れと励ましてくれた

でもそれ以降伊藤とは特に接点がないまま時間だけが過ぎていった〜気がつけば夏休みだった
一ヶ月半も伊藤を見ることができない…そう思うと辛いけど世界が以前撮ってくれた伊藤の写真だけが救いな気がした…
119スクイズイフ:2008/02/14(木) 21:55:31 ID:xBs21faG
SchoolDays-if0話d
夏休み…お母さんや世界のお母さんからはラディッシュでバイトしないかと言われたけど…断った
同様に世界がおたふく風邪をこじらせた時も頼まれたが頑として受け付けなかった〜
だから結局夏休みは時々光や七海に呼び出されたり世界を看病して治った後、母さんと一緒に仕事がてらパリに行ったりと…
特に何もない長くて退屈な夏休みだったと思う…

二学期…久しぶりに見る伊藤は特に何も変わっていないように見えた…
世界からバイトの話が出た時、伊藤の家が近いから会えるかもと言われ心がぐらついたけど…
下手に会えて欲深くなるより遠くから見てるだけで満足しないと…
そんな事を考えて暫く経った後、思い掛けない事が起こることになる…

3組教室
担任の先生からの鶴の一声で急遽席替えをHRで行うことに…
一部の生徒が今の席だっと騒いで授業にならないらしく…まあ澤永を含む一部生徒だから仕方がないと思うけど…
案の定その事をみんなに発表すると半分悲鳴と半分歓喜の声に分かれていた…
泰介「なんだよ〜今のままが良いんだけどなあ〜」とボヤいていたので…
刹那「ちなみに澤永含む一部生徒が騒がしい為、席替えをしますので…文句は澤永含む一部の人にお願いします…」と言うと…
泰介「ぐはー!」と言って仰け反る〜「委員長キツいよ…」とボヤく
周りの生徒達は「澤永!おまえのせいかよ!」と軽く冷やかしながら笑っている
席替えは滞りなく進み中、気に入らない席を交換しあう席のトレードが行われている〜
ちなみに私は例の問題児、澤永の隣…まあ仕方がないと思い席の移動を準備していた…あ、そう言えば世界は今日休みだった〜残念がるかな…
光「刹那…」光が呼びかける
刹那「なに?」
光「刹那は席何処?」
刹那「…澤永の隣だよ〜替わりたい?」分かっているけどつい意地が悪くなる
光「うう〜替わって欲しいけど…この席じゃ刹那嫌かな?」番号を見て驚く…アノ人の隣の席の番号…
光「嫌だよね〜あんなヤツの隣じゃ〜」
刹那「いいよ…」つい、か細くなる声だが今出せる最大の声だった
光「…刹那なんか顔色おかしいよ〜無理なら…」
刹那「ううん大丈夫…光いいよ…折角のチャンスだから…ね…」努めて笑顔で言う…
光「うん〜ありがとう刹那」満面の笑みで喜ぶ光…そして番号の交換
しかしまさか…隣の席なんて…思い掛けない事に心臓の鼓動が早い…
そして…
120スクイズイフ:2008/02/14(木) 21:56:13 ID:xBs21faG
SchoolDays-if0話e
私は自分の荷物を持ち階段を昇る…ひどく時間がかかる気がするがやっとの事で登り切ると席の前に立つ…
刹那「い、伊藤…」何とか勇気を出して呼ぶが…
伊藤は携帯電話を見て物思いにふけっていた…それを見て私はホッとしたのか少し落ち着いた…
席に座り荷物を整理し終わったが…まだ伊藤は携帯を眺めていた〜ふと携帯の見ている画面が気になった
まさか今、見てる画面は例のおまじない…伊藤の好きな人の写真?
そう思った瞬間…一気にそれまでの緊張が抜けた〜
刹那《そうか伊藤…好きな人いるんだ…》そう思うと残念ではあるけれど隣の席になって変な期待をしないで済むと…
少なくとも伊藤の好きな人が私ではない事は確かだから…そう思うと待ち受けを見たい衝動に刈られるが…辞めておく

私は隣になれただけで満足しよう…これまでと同じ…でもこれからは少しは話もできる〜そう思うと楽しくなってきた

そして隣りの伊藤に声をかける…
刹那「伊藤…」


0話「刹那の刻」完

1話「隣の席から始まる物語」へ続く
121スクイズイフ:2008/02/14(木) 21:56:55 ID:xBs21faG
と言うわけで〜
清浦刹那こと〜せっちゃん誕生日記念で急遽作った0話です

2日で作った為、修正してませんのでブログには修正版を載せる予定…と言うわけで見づらい読みづらい喋り方がおかしい?はお許しを〜

すべてはせっちゃんの誕生日の為に〜
122名無しさん@ピンキー:2008/02/14(木) 22:43:45 ID:hP9+toEN
>>121
おつかれっす
それで、最初に繋がるわけですね
続きも楽しみにしています
123名無しさん@ピンキー:2008/02/14(木) 23:38:18 ID:L1CueSyP
優しさだけじゃいけない。
そう、誰か傷つけても、誠くんだけは…譲れない…

『 暗 転 入 滅 』

誠くんの為でもない、ましてや私の為でもない。
ただ、本能が、私にそう命じている。

鋸で、出刃包丁で、西園寺さんのお腹を切り裂きたい。
金槌で、金属バットで西園寺の頭を思いっきり殴りつけたい。
私から誠くんを奪った西園寺さんを、人として殺すのではなく、屠殺したい。

―――ものとして。

泣き顔なんてどうでもいいんです。

殺しただけでは飽き足らない。
死体を、肉を、パーツを蹂躙したい。
―――私のこの手で。
誰の力も、協力も、借りることなく。

そのためには、少しの間だけ、誠くんに嫌われても、構わない。
ううん、これは、私の最初で最後の我侭。
大好きな誠くんだもの。
きっと……分かって……ううっ…うっ……

なぜ?
どうして?
涙が止まらない。
何でだろう…なんでだろう…ナンデダロウ…

……ううん…これでいいんです…
私はこの涙を最後に人という心をこの部屋に置いていきます。
帰れなくなるかも知れません。
そのときは、誠くんが、私を…私を…

次回、SchoolDays 「愛故に」
誠くん、愛しています♥
124名無しさん@ピンキー:2008/02/14(木) 23:58:30 ID:sKCEw6Wu
>120
お疲れさまでした。
読み終わった瞬間、脳内にsummerdaysのオープニングソングが流れました。
料理が旨いとビールが欲しくなる。そんな感覚かもしれません。

>123
感動と恐怖とが交互に来るな(苦笑)。
まあ、これはこれで、GJ。
125名無しさん@ピンキー:2008/02/15(金) 00:04:40 ID:7z9lj4HH
言葉日記


今日は澤永さんの剥製が作りたくなったので、エッチに誘う振りをして誘拐してきました。
居合いの免許皆伝を頂いている私ですが、他にもまぁ…フフッ。
え?澤永さんの剥製を作りたくなった理由ですか?

簡単なことですよ。

……復讐です。澤永さんへの。




家に誘い込んだ澤永さんを麻酔で眠らせ、服を脱がせていく。
澤永さんの髪の毛以外の体毛をガスバーナーで焼いて、準備は整った。
まずは後頭部から背中の上部にかけて、目立たぬよう最小限の切り込みを入れる。
次に、切り込みからめりめりと皮を引き剥がしていく。
ここで肌に傷をつけてはいけないため、作業は慎重に行う。
頭が抜ければ後は簡単、皮をめくりながら、服を脱がす要領で右腕左腕を引き抜いていく。
続いて腰、そして一気に両足をめくりあげていく。

思ったより弾力性があったので意外と楽な作業でした。




完全に引き剥がし終わった皮を、あらかじめ用意していた澤永さんの型に被せていく。
……ピッタリです。

瞳にはヴェネチア製のガラス玉をあしらって剥製は完成。
オリジナルに負けず劣らず憎たらしい。







こうして私の作業は、約3時間半ほどで終わりました。
今、ソファーの前に立たせて、コーヒーを飲みながらゆっくりと鑑賞して、生卵をぶつけているところです。
クスクス……あぁっ!至福の時間♥


ただ問題は残った澤永さんの中身の方。
人の輪郭を持った赤い塊は、 まもなく麻酔が切れ、目を覚ます時間です。
126名無しさん@ピンキー:2008/02/15(金) 00:37:12 ID:RMYqlRAa
127名無しさん@ピンキー:2008/02/15(金) 01:14:13 ID:a0x19vKo
>>121
お疲れ様です。

この流れならあんな悲劇を呼ばずに済みますね。
128名無しさん@ピンキー:2008/02/15(金) 01:20:11 ID:a0x19vKo
>>107
各自のブログで自分の作品をまとめてる人とここだけの人とまちまちですね。
全体をまとめてる人はいないはずです。

というか職人さんが何人いるかもわかりませんし。

>>114
かなりやばげですねw
でもありそうな気が。


さて私もそろそろ寝ます。
129スクイズイフ:2008/02/15(金) 01:20:54 ID:MnU34qfe
>>122
ありがとう〜昨日急遽思いついて書きました
元々ネタはあったのでそれを書くだけだったけど
やはりもう少しゆっくり書かないとw
さて続きは一応書いてますが・・・ちと2月中に載せれるか?
かなり難産です・・・6話は。
まあ初めて書くSSなのでどこまで出来るかわかりませんが
頑張ります

>>124
ありがとうっす〜サマイズ動画をDVDで焼いて毎日観ながら
if書いてます・・・やはりまこちゃん&せっちゃんは最高バカ
ップルw

>>127
せっちゃんが誠の隣なら世界のような事はしないしね〜まあこのSSはスクイズの中にサマイズ入れたくて考えたから
しかしせっちゃんって動かすの難しい追い込まれないと告白しないし〜
130 ◆Z1avlYLVtI :2008/02/15(金) 02:23:06 ID:P9rFGEyn
今晩は。スクイズクリア記念に一本投下します。
『彼女だけの彼』のその後の話というSSです。

それじゃ、いかせてもらいます。
131彼女だけの彼・その後〜1〜 ◆Z1avlYLVtI :2008/02/15(金) 02:24:43 ID:P9rFGEyn
桂言葉には悩み事があった。それもある程度に深刻なものである。
 それは、彼女の恋人である伊藤誠のことだ。
 

 言葉に対する誠の裏切り行為。それに傷ついた言葉は、更に追い撃ちをかけるように誠の親友である澤永泰介からの
強姦により処女喪失。このあと更に紆余曲折を経たものの、誠は言葉を選んだ。
 長くそしておぞましい悪夢としか考えられない出来事を経験したものの、愛する誠は自分のもとへと帰ってきてくれた。
自分を選んでくれた。
 このことにより、言葉の心は満たされていた――はずだった。
 ある一つのことを除いては。

 これらのように書いていると、寄りを戻すこととなった二人の仲がまたこじれてきたとか、早くも仲違いを
始めたのかと思われるかもしれないが、さにあらず。
 いたって良好な関係を築き直している。そう、一度は根底から壊れてしまったその関係を、今度は永久に揺るぎのない
ものへとだ。
 では、言葉は一体なにを悩んでいるのか。
 それは、誠が自分を求めてきてくれないということだった。
132彼女だけの彼・その後〜2〜 ◆Z1avlYLVtI :2008/02/15(金) 02:25:30 ID:P9rFGEyn
同じ年頃の少女たちと比べ、著しく劣っていた性に関する知識。皮肉にも澤永に犯されたことにより、言葉は
それへと触れて手に入れることとなった。
 無理やりに犯された初体験。言葉は身体だけではなく、心も深く傷つき涙を流した。だが、しばらくしてこれでは
いけないと気付かされた。澤永の精液を膣内へとたっぷりと流し込まれたことだ。愛する誠の子供ならばともかく、
自分をレイプしてきた男の子を孕むことなど、到底考えられることではないし、受け入れられることではない。
 従って、知り合いの医院を頼って念入りに検査をしてもらい、不測の事態を防ぐことになった。
 この後も、澤永は言葉へと迫り度々犯してきた。言葉は拒むが盛っている若い男は聞く耳を持たない。それによる
行為でも避妊が行われることはなかった。
 そのため、言葉は再び件の医院の助けを借りてピルを服用することとなった。
 
 これにより妊娠の危機は回避できて、誠を取り戻すために澤永を振り、その結果、誠は戻ってきてくれたわけだ。
 言葉はある程度覚悟をしていた。
 誠も自分の身体を求めてくるのだろうと。確かに自分の身体は男好きのするものであるということが、今では
嫌というほどに理解できるのだから。
 しかし、どういうことなのか。誠は一向に言葉を求めてくることはなかった。
 再び付き合うようになって、登下校はもちろん、学校にいる間も多くの時間を共にするようにしている。休み時間も
昼食をとる昼休みも、また休日も。
 それらの多くの時間で、そのような怪しい雰囲気になりかけたことはある。言葉自身も僅かながらの期待を抱いて
誠へと身を委ねた。誠は彼女を優しく抱きしめてそっとキスをする。
 そして、『好きだよ、言葉』そう囁いてお終いなのだ。
 何度もそうだった。
 自宅に招いて以前の言葉では考えられないような振る舞いで誘惑をしても、誠の家へと招かれてあからさまに媚びて
擦り寄っても、結果は同じ。

 『好きだよ、言葉』

 言葉はなにも言えなかった。
133彼女だけの彼・その後〜3〜 ◆Z1avlYLVtI :2008/02/15(金) 02:26:21 ID:P9rFGEyn
 再び付き合うようになってから一ヶ月。自宅のバスルームで言葉は入浴をしていた。いつもなら大好きなはずの
この時間。しかし、ここしばらくはあまり楽しそうには見えない。
 「私は誠くんの彼女、なんだよね……?」
 ここしばらく繰り返している独り言を呟く。反響の強い浴室のため、そのことばは更に大きくなり言葉のなかへと
返ってくる。
 浴槽へと肩まで身を沈めて体を温める。それにより体温そのものは上昇していることは間違いないものの、心は
あたたまっているとは言い難い。
 「誠くん、本当は私のこと嫌いなのかな……」
 言葉はこう思っていた。一度は他の男から抱かれて手垢のついてしまった自分へと、誠は興味を向けてくれることは
ないだろうと。しかし、誠は西園寺世界を捨て、言葉を選んで抱きしめてくれた。
 自分たちは心から通じ合えたのだと言葉は歓喜した。それならば次は、肉体的な契りを結びたいはず――だと
思っていた。
 だが、誠から求められたことは一度たりとして、ない。自分からそのようなことを持ちかけても、あの台詞で
やんわりと止められている。
 そう、拒絶されているようにさえも感じられてくる。
 自分はお情けで付き合ってもらっているのではないか。穢れてしまった自分は、本当は嫌われているのではないか。
 抱く価値もない女だと思われていのではないか。いや、本当は触れたくもないと思われているのではないか。
 「……そんな、そんなことないよね? 誠くんは私を選んで……私のところに戻ってきてくれたんだもの……」
 言葉の双眸から熱い雫が零れ落ちていく。こんなときは、大好きな彼に会いたい。心の底からにそう思う。
しかしながら、ここしばらくの誠は電話をしても捕まらないことが多かった。
 そのことを次の日に会って聞いてみても、
 『眠っていたので気付かなくて、夜中に掛け直しても迷惑だろうからやめておいた』
といったふうにしてはぐらかすような曖昧な返事しか返ってこなかった。
 もしかして、別の女と会っているのではないか――そういう考えが脳裏を過ぎることもある。言葉自身は誠を
寄りを戻すにあたり、彼のことを信じる。誠は言葉のことを信じる。そう約束しあった。それなのに、心のどこかでは
誠のことを疑ってしまう自分がいる。
 彼から向けられている目と態度からは、以前のような肉欲先行のものではなくて、慈しむような愛情さえ感じられて
いるというのに。
 「……ううん。また疑ったりなんかしちゃダメ。誠くんの彼女は私なんだから」
 頬から水面へと滴り落ちていた涙を、お湯で顔を洗い流し落とす。
 そして風呂から上がったのだった。
134彼女だけの彼・その後〜4〜 ◆Z1avlYLVtI :2008/02/15(金) 02:27:17 ID:P9rFGEyn
 出されていた課題を消化して目覚まし時計へと目を向ける。時刻は夜の十一時前。少し凝りを感じた肩へと手をやり、
軽く揉み解してすぐそばにある携帯電話を見ていた。
 (少しだけお話したいな。ちょっとだけならいいよね……?)
 夜分遅くなってきているので決して褒められた行為ではない。だが、誠の声が聞きたくて言葉は携帯を手に持って
開いた。
 液晶ディスプレイに映し出された画像に顔がほころぶ。にかっと笑顔で言葉の肩を抱いてピースサインをした誠
の姿を写したものがそこにはあった。言葉自身も当然ながらに笑顔で顔を赤らめている。
 ちなみに誠の携帯電話にも、同じ写真が待ち受け画面としてディスプレイを飾っている。
 『また付き合う記念に証を残そうぜ。で、お互いの携帯の待ち受けに使う。これなら授業中でも、都合がつかない
 ときでも、いつでも会えるだろ?』
 あのとき、誠が言葉を彼女だと言ってくれた日。このことばが、ただただ嬉しかった。一ヶ月がすぎた今でも
泣き出してしまいそうになるほどに。
 実に十秒近くも見詰めていた言葉。はっとして顔を赤らめる。
 「うん、電話しなきゃ」
 誠の番号を呼び出して通話ボタンを押す。呼び出し音が続くが三十秒を過ぎても繋がらなかった。
 そっとため息をもらす。あまりしつこくしてもいけないだろう。迷惑にもなるし、嫌われるようなことも
したくはない。
 「おやすみなさい、誠くん」
 変わらない笑顔のディスプレイの彼氏へと口付けて電源を落とし、言葉は部屋の照明を落とした。
135彼女だけの彼・その後〜5〜 ◆Z1avlYLVtI :2008/02/15(金) 02:28:18 ID:P9rFGEyn
 「んっちゅっ、ふぅぅん」
 自分の部屋にて言葉は誠と口付けをして舌を絡ませあっていた。歯、歯茎、そして口内の奥深くへと蹂躙されて
いく。唾液を吸われて、言葉は誠の唾液を流し込まれた。コクコクと喉を鳴らして嚥下していく。
 甘い、甘い味がした。唾を求め求められる。これほどに興奮することなのかと戸惑いつつも、言葉は悦んで誠の
ものを受け入れていった。
 手で触れられて大きな乳房を愛撫されていく。以前――出会って間もなくのころは、嫌悪感と恐怖心に支配されて
拒んで、彼を引っ叩いてしまったその行為。
 「あぁあっん、誠くん、気持ちいい……です」
 あの頃の思いは一切なく、誠の手から与えられる快感を享受するのみだった。
 ショーツも取り払われて、念入りに愛撫されたのちに誠は言葉の秘所へと己のモノを宛がう。ぬちゃっといやらしい
水音が部屋に響き、言葉の内部へと徐々に収められていく。
 「ふぅぅっ。いいです、誠くん……っ!」
 言葉は挿入されただけで軽く達してしまった。それを見て男は――澤永は、顔をニヤケつかせながら言い放つ。
 「くうっ、桂さんのなか……たまんないよ。すぐにでも出しちまいそうだ」
 「……っ!?」
 ことばにならなかった。先ほどまで自分を愛してくれていた誠が、何故かあの陵辱魔へと変わっていた。
 室内に満たされていた甘い空気は重苦しい吐き気を催すそれへと変貌していた。
 「動くよ、桂さん」
 「い、いやぁ……。やめて……」
 「へへっ、いやよいやよも好きのうちってね」
 か弱い少女の哀願の声をあっさりと無視して野獣は腰を振りたくる。そこには無論、愛情など一切存在しない。
 あるのはただ、自分の快楽を求めるための身勝手な牡の本能だけだった。
 「いや、いやぁ……やめて、やめて……ください」
 「なに言ってるんだよ、桂さん。こんなに濡れまくってオレのチ○ポ旨そうに咥え込んでいるってのに」
 「ああっ、だめっ……。そんな動かないで、痛い、痛いの……」
 「まだそんなこと言うの? そんな嘘を言っちゃう口はキスで塞いじゃうよ。んっ」
 「んんっ!? んっんっんっ!!」
 下の口だけではなく、上の口も犯されていく。愛しいあの人ではなくて、最も憎い男の唾を無理やりに流し込まれて
いっていった。全身の毛穴という毛穴が開き、イヤな汗がどっと溢れてくる。
 瞳から溢れてくる熱い涙はまったく止まりそうもない。
 「……はっ、はぁっ、イクよ、桂さん。またなかにたっぷりと流し込んであげるからね」
 「……っ!? いや、いや、いやぁ……。やめてぇーっ!」
 うっと低く呻いた澤永の体がビクッと揺れる。あのときと同じ感触が襲ってきた。身体の奥底へと熱い熱い子種を
注がれていく、あの感触。そこにあるのは純粋なる絶望のみだった。
 両の瞳は光を失って暗い色を湛えていた。
 まただ。また、自分は――犯されてしまった。胎内の奥深くへとまた種付けられてしまった。
 言葉の秘所から己を引き抜いた澤永は、満足げに一息ついて傍らにいる少女へとことばをかける。
 「桂さんは一生俺のものなんだよ。誠なんかに今更やれないね。誠も誠で西園寺相手にしっぽりとやっている
 はずさ。もう俺に抱かれた桂さんなんかを、誠が相手にするわけないだろ」
 「…………」
 「さてと、またやろうか……」
 そして、陵辱魔は言葉へと――。
136彼女だけの彼・その後〜6〜 ◆Z1avlYLVtI :2008/02/15(金) 02:29:25 ID:P9rFGEyn
 「……いっ、いやあぁぁぁぁぁーーーーーっ!!」
 閑静な住宅街の一角に位置する桂邸。その家の長女の部屋にて絶叫がこだました。
 荒く荒く息をつく。言葉は両肩を抱いて室内を見渡していく。澤永の姿はどこにも見られなかった。
 夢だったのだ。とても歓迎できる類のものではなくて、それは言葉にとって一番なかったことにしてほしいと
願わずにいられないこと。決して消えることのない、癒されることのない記憶。
 「うっうっうぅ……ひっく……」
 安心したことと最悪なことを夢見てしまったことで涙が溢れ、綺麗なシミ一つ見当たらない頬を伝っていく。
 『お姉ちゃん……? ねえ、お姉ちゃん!? どうしたの……っ!?」
 扉の向こうから言葉の妹、心が何度もノックしてくる。姉の悲鳴を聞いて飛び起きてきたのだろう。その声からは
焦燥感が見受けられた。
 「ひっく、くぅっ……」
 それに気付いた言葉はベッドから起き上がって、のろのろと扉の前まで行き座り込んで廊下にいる妹へと
語りかけた。
 「んっ、ううん。な、なんでも……っ、ないの」
 「だって、お姉ちゃん泣いて……」
 「なんでも、ないから……」
 泣いていることはごまかしようがない。
 「お姉ちゃん……」
 「だいじょうぶ、だから……。もう遅いでしょ。心、寝なさい」
 「…………。うん、わかった」
 不審に思いつつも、心はなにかを察して引き下がり自室へと戻っていった。自分では姉の助けにならないという
ことがわかったのかもしれない。
 そのままドアの前で嗚咽を漏らし続けると、涙が引き赤く腫れてしまった瞼をこすり立ち上がる。照明を点して
ベッドへと戻り、枕元に充電器に繋いでおいた携帯を開いて電源ボタンを押す。
 やがて、自分を抱いて笑顔を見せている写真の誠が現れると、言葉はそれをじっと見詰めて語りかける。
 「誠くん。私は、私は、私は誠くんの彼女ですよね? そうですよね? あの人が言ったことなんて……
 嘘ですよね? 私たち好きあって愛し合ってお付き合い……しているんですよね? あのとき屋上で言ってくれ
 ましたよね、私のことをこれからは誠くんが守ってくれるって。私たち、ずっと一緒にいられるんですよね?
 誠くん、誠くん、誠くん、誠くん、誠くん、誠くん、誠くん、まことくん、マコトクン……」
 この夜。言葉の部屋からぶつぶつと誰かを呼び続ける声が途絶えることはなかった。
137彼女だけの彼・その後〜7〜 ◆Z1avlYLVtI :2008/02/15(金) 02:30:21 ID:P9rFGEyn
結局、言葉は再び睡眠をとることはできなかった。眠くなってきてもまたあの悪夢に引きずり込まれてしまう
ような気がして叶わなかったのだ。
 クッションと携帯を抱いて過ごした夜。身体も頭もなにがなんだかわからなくて、携帯の液晶画面へと
語りかけるそんな夜だった。
 早朝五時半。普段よりも随分と起き出すことにした。一階へと降りて洗面所に行き、洗顔をする。ひどい顔だった。
 顔色は青く、腫れあがった両の瞼が痛々しかった。
 制服へと着替えてキッチンへと入る。普段はしっかりと朝食をとるようにしているのだが、今日の言葉は
とてもそんな気にはなれなかった。せめてお腹に溜まるものをと牛乳をコップ一杯だけ飲むことにした。
 そして、避妊薬を口にする。あの時以来の習慣となったことだ。誠に抱かれても――彼が気兼ねなく自らを
抱いてくれるようにと続けている、この薬の服用。
 「本当に効いているんだよね? ちゃんと病院でも検査してもらったし、自分でも薬局でお薬買ってきて
 調べたもの……効いているよね?」
 あんな夢を見てしまったためか、もしかしてあの男の種が自分の胎内に根付いているのではないかと思えて
きてしまう。だが、検査は陰性だった。そんなはずはないのだ。
 「…………」
 歯を磨いて、昨日のうちに準備していおいた通学鞄を手に取り、家を出る。
 六時前。もう電車は動いている。
 目的地は学校――ではなく、誠が住むマンション。一刻でも早く彼に会いたくて、言葉は早足で駅へと向かって
いくのだった。
138彼女だけの彼・その後〜8〜 ◆Z1avlYLVtI :2008/02/15(金) 02:31:17 ID:P9rFGEyn
ピピッピピピッピピピッピピピピピッ!
 
 無機質な目覚まし時計の音が響き渡る。
 「……んっ。おきる、起きるよ」
 欠伸をかみ殺しながら、伊藤誠はベッドから起き上がる。時刻は朝の七時十五分。予定通りだ。ここしばらく、
とある事情により睡眠不足の状態が続いており、疲労が回復しきれていない。
 高校一年生の若い肉体ではあるものの、こうハードスケジュールが続くとどうしても体が普段以上に重く
感じてしまう。
 制服に着替えて部屋を出ると、洗面所で身だしなみを整える。続いて台所にいって、昨日の夕飯で作っておいた
おかずを弁当箱に詰め込んで、残り半分には予約で炊いておいたほかほかの白米を盛り込む。
 言葉との昼食用のものだ。あのとき以来、毎日サボることなどなく続けていることだった。十二月になって
寒さがかなり増してきたため、屋上に行くことはめっきり減ってしまったが、お互いの教室などで食べるように
している。
 当初は周りの視線が気になっていた誠と言葉だったが、今ではそんなことは一切関せずに仲睦まじくお互いの
持ってきた弁当のおかずを交換したりと楽しいお昼の時間を過ごしている。
 「いってきまーす」
 片手には学生鞄、もう片手には件の弁当が入ったポーチを下げて、誰もいない家に挨拶して施錠をし、エレベーター
へと向かった。
 一階へと着いてロービーを出たところで、玄関先にて佇む人影に気付いた。
 彼の恋人の桂言葉だった。
139彼女だけの彼・その後〜9〜 ◆Z1avlYLVtI :2008/02/15(金) 02:32:09 ID:P9rFGEyn
「あれ、言葉?」
 「誠、くん……」
 こちらへと振り返った言葉の様子に違和感を覚えた。いつも自分の姿を見ると微笑んでくれる。だが、今朝の
彼女に笑みはない。青白い顔色で自分を見詰めてくれるばかりで、それに目の焦点がおかしい気もする。
 「誠くん……」
 「……?」
 一歩、言葉が誠へと踏み出してきた。
 「誠くん……」
 また一歩。
 「誠くん……」
 距離は確実に縮まっていく。そしてロビー内へと言葉は足を踏み入れる。
 「誠くん……」
 「言葉……?」
 「誠くん……」
 すぐ目の前まで来た言葉は右手をすっと上げると、誠の頬へとそれを這わせて撫でていく。
 「誠くん。私は誠君の彼女ですよね……? 彼女ですよね? 彼女ですよね? 彼女ですよね? 彼女ですよね?」
 「言葉……?」
 誠は状況を把握しきれなかった。朝、学校に行こうとすると家の前に彼女が来ていて、迎えに来てくれたのかと
思えば、とてもそうは見えない。自分を見ているようで見ていない。言葉の瞳はどこか別の遠くを映し出している
ように感じられた。
 「誠くん。私たち、好きあって愛し合ってお付き合いしているんですよね? 誠くんはもうどこにも行かないで
 私のそばにいてくれるんですよね? 私たちお付き合いしているんですよね? ずっとずっと私をそばに置いて
 くれるんですよね? 私のことを守ってくれるんですよね? 私、誠くんの彼女ですよね? 彼女ですよね?
 彼女ですよね? 彼女ですよね? 彼女ですよね?」
 「…………」
 誠の頬を擦り続けながら同じような問いかけを幾度となく繰り返していく言葉。
 「私は誠くんの……」
 「言葉っ!」
 手にしていた鞄と弁当を床へと落として、力いっぱいに誠は恋人を抱きしめていく。
 「言葉、どうしちゃったんだよ? 俺がわからないのか? 誠だよ、おまえの彼氏だよっ!」
 「まこと、くん……?」
 暗い暗い暗い深淵の闇のようだった言葉の双眸に光が蘇る。
 「まこと……くん。うっ、うっうっう……うわぁーーー……っ!!」
 壊れたようにして泣き叫び続ける言葉を誠は必死になって抱いていた。未だに見当すらつかないものの、
こうしていないと言葉が本当に壊れてしまうような気がして。
 慟哭に暮れる恋人をただただ抱きしめていた。
140彼女だけの彼・その後〜10〜 ◆Z1avlYLVtI :2008/02/15(金) 02:33:00 ID:P9rFGEyn
「ちょっとは落ち着いた?」
 「……はい。すみません。ご迷惑お掛けしてしまって」
 とても学校に行けるような状態ではないと判断した誠は、言葉を家へと上げていた。そして彼女が以前に
美味しいと言ってくれた紅茶を淹れて勧めて飲ませていた。
 「よくわからないけど、俺は言葉が本当に好きだから言葉を選んだんだ。だから、言葉が俺に別れを切り出さない
 限りは、俺は言葉の彼氏だよ」
 二人がけのソファにて並んで腰を下ろしている。誠は言葉を優しく丁寧に抱き寄せた。ゆっくりと子供に言い聞かせる
ときのようにして、背中を擦ってやりながら言葉の反応を待つ。
 「誠くん、いくつか質問があります。いいですか?」
 「ああ」
 「私と誠くんはお付き合いをしているんですよね?」
 「もちろん」
 「誠くんは、私のことを抱きたくはないんですか?」
 「……えっ}
 思わず誠はことばを失う。純粋な彼女の口から紡がれることばとは思えなかった。自分の聞き間違いではないのか
とさえ思い、戸惑っていた。
 「私のことを抱いてはくれないんですか? あの人――澤永さんに弄ばれて汚れてしまった私なんかは抱く気には
 なれませんか?」
 「……っ」
 それは誠にとって忘れたいことだった。言葉は自分の親友に無理やり関係を結ばされた挙句、幾度となくその餌食にされ
続けていたのだ。
 真剣に向き合って守らなければならなかった言葉。しかし、自分がふらふらと他の女に惑わされているうちに取り返しの
つかないことになり、結果、言葉は心身ともにズタズタにされてしまった。
 泰介が悪いのだと逃げていた。だが、本当に悪いのは誠だった。言葉を裏切ってなにをするということもなく、ただ
楽なほうへ楽なほうへと流され続ける道を選び、それへと舵を切っていた。
 付き合うようになって、出会ったころのような奥ゆかしい姿へと言葉は戻ってくれたのだと思っていた。
 しかし、現実は――。
 「言葉……俺は」
 「抱いていただけないのなら、私、死にます。誠くんの彼女でいられるうちに。天国って大好きな思い出だけを
 抱えて行けるんですかね? それが叶うんだったら、誠くんと出会ったころのことと、この一ヶ月の誠くんの
 彼女でいられた思い出だけをもっていきたいです」
 「……言葉」
 「だってこのままだと、私たちきっとダメになると思います。私、今すぐにでもおかしくなってしまいそうで……。
 そうなると誠くんにまた迷惑かけちゃいます。気が触れた女なんかと付き合っているなんて知られたら、可哀想
 だから……。だから……」
 「言葉っ」
 誠が力強く抱きしめたことにより、言葉は彼の腕の中へとすっぽりと収まり、そして彼女が持っていたティーカップは
床へと落ちて残っていた紅茶は絨毯へと染み込んでいった。
 「誠くん……」
 「そんなこと言うな! 俺やっと言葉のことが一番大事だってわかったのに……。言葉が死んだら俺も後を追うからな。
 言葉、おまえとずっと一緒にいたいんだよ……。だから、そんなこと、言うな……」
 誠は泣いていた。自分の罪深さに初めて正面から向き合って、それによりその重さに押し潰されそうになりながらも
言葉を抱いて泣いていた。
 「誠くん……」
 自分の胸にすがり付いて嗚咽を漏らしていく誠を、言葉は慈しむようにして彼の頭をそっと抱きしめた。
141彼女だけの彼・その後〜11〜 ◆Z1avlYLVtI :2008/02/15(金) 02:33:49 ID:P9rFGEyn
「ごめん、今はまだ無理なんだ。一週間後まで待ってほしい。俺はそのときにそういうことをするって決めて
 いたから。言葉の気持ちを無視して悪いと思うけど、俺が決めたことをわかってほしい」
 言葉へとすっと頭を下げていく。
 「わかりました。さっきは死にたいとか言っちゃいましたけど……」
 「……けど?」
 「誠くんに愛されているってわかりましたから。それにちゃんと愛してもらえるって約束してもらえましたから、
 絶対に死んだりしません」
 「うん、約束だ」
 「はい」
 二人は小指出して絡ませあい、そして微笑みあった。誠も言葉もどちらの顔も憑き物が落ちたようになって
晴れやかなものへと変わっていた。
 誠は柱時計へと目を向けた。十時が近くなっている。学校は二時間目の授業の最中となっていることになる。
 「さて、学校行こうか。サボってうちにこもっててもつまらないだけだ」
 「はい……あっ」
 「なに、どうかした?」
 「今朝、お弁当作ってきませんでした……」
 「そっか。冷蔵庫に材料あるから、二人で作ってそれを持っていこう。俺の弁当もあのとき落っことしてひどい
 ことになってるだろうからさ」
 「はいっ!」
 自然と手を繋いでキッチンへと足を運んでいったのだった。
142彼女だけの彼・その後〜12〜 ◆Z1avlYLVtI :2008/02/15(金) 02:35:02 ID:P9rFGEyn
「おおーっ、誠。遅かったっなて――ぐふうぉおぉっ!?」
 三時間目の休み時間に学校へと来た誠は教室に着くなり、澤永の席へと直行して豪快に殴り飛ばしていった。
 「なっ、ちょっと伊藤っ。あんた、泰介になにすんのよっ!?」
 尻餅をついて頬を押さえ呆然としている澤永を庇い、黒田光が立ちはだかる。
 「泰介。俺はおまえのことがやっぱり許せない。だけど、一番悪いのは俺だ。だから、今度はおまえが
 俺のことを殴れ。全力でだぞ」
 黒田に構うことなく澤永を立たせて言い放つ。クラスメイトたちは事態がまったく理解できなくて目を大きく
見開いて事の成り行きを見守っている。
 「な、なんで俺が誠のこと殴らなくちゃいけないんだよっ」
 「いいから!」
 「わ、わかったよ……」
 誠の剣幕の前に気圧されて澤永は言うとおりに拳を握りこんで要求通りに頬へと殴りつけた。
 「……っ! これでいいんだ、これで。黒田」
 「なっ、なによ?」
 「泰介のやつ、バカだからちゃんと言わなきゃわからないからな。自分がされてイヤだって思うことは、
 今みたいに強引に殴ってでもしてわからせろよ」
 「え……っ」
 誠が言いたいことが理解できたのだろう。驚きの表情を浮かべつつも、一つだけはっきりと頷いていった。
 「なんか、殴られたりバカ呼ばわりされたり……今日の俺、厄日か?」
 ヒリヒリと痛む頬をしきりに擦りながら、澤永は首を捻っていた。


(続く)
143 ◆Z1avlYLVtI :2008/02/15(金) 02:36:26 ID:P9rFGEyn
以上で完了です。
続きはまた後日に。

それでは。
144名無しさん@ピンキー:2008/02/15(金) 07:26:12 ID:KU2d0gJr
>>◆Z1avlYLVtI
ハッピーエンドの陰になっていた部分を取り上げたこのスレに相応しい内容です。
今後二人がどうなっていくか期待しています。
145名無しさん@ピンキー:2008/02/15(金) 09:14:54 ID:EVnRNX47
やばい本気で泣いた
簡単にレイプ入れる作品あるけど実際問題人生台無しする女性多いから、SS読んで泣いちゃったよ
レイパーが何も理解してないのが悔しいけど、あんなこと今更掘り起こしたくないのもまたリアルなんだよな…
146名無しさん@ピンキー:2008/02/15(金) 15:43:55 ID:tfRbxO2W
>>143
GJです。
誠カッコいいな。
続き楽しみにしている!
147woodchuck:2008/02/15(金) 18:04:54 ID:FiiXlsE+
<華は散らず>

校庭の隅にたたずむ世界の姿を見かけた
「せか・・・」と名前を呼び、駆け寄ろうとしたそのとき
ポケットに入れてあった誠の携帯電話が震えた
「ん・・?」取り出すと泰介からの着信だった
「なんだよ 泰介の奴・・」
一瞬でるか迷った誠だったが結局電話に出ることにした
その瞬間「ことくん・・ぃやぁぁぁぁぁ・・・・・・助けて・・・まことくん・・」
という叫び声とも泣き声ともつかない声が耳を引き裂いた

「なんだ?」
間違いがない、これって言葉の声だ
なんで泰介の電話なんだ??
動転する誠・・・
言葉はさっきまで4組のお化け屋敷の受付をしていたはず
誠はこちらに振り向く世界を視界からあっさり断ち切り
今来た道を全力で駆け戻る そこに迷いはなかった
階段を駆け上ると4組の前にはまだ受付の机があり
その上に腰掛けるようにして乙女とその友達3人がだべっていた
乙女が誠の姿に一番先に気がついたのだが
そのときには誠はもう入り口付近までたどり着いていた
薄暗いうえ逆光になっていたので誠にはわからなかったが
乙女たちは一気に気色ばんでいった

「加藤! 言葉を知らないか!」と乙女の両肩をゆすりながら誠が叫んだとき
部屋の中から振り絞るようなくぐもった声が聞こえた
「(まことくん・・ まことくん・・・)」
誠は入り口をふさぐようにして立ちはだかった3人組の一人を押しのけると
その勢いのままお化け屋敷内になだれ込んだ
「ことのは!」と大きく叫ぶ
大きな物音がする一画に強引に体を滑り込ませる
言葉の歪んだ顔が誠の目にはいった
制服の上着は無残に引き裂かれ下着姿、これでもかと丸く身を縮めている言葉の上に
唸り声をだしその口をふさぐようにして覆いかぶさっている男がいた

一瞬目の前の光景がなんなのか理解できなかったが
「うわぁぁぁぁぁぁぁ・・・!!!!!!」と誠は声にならない声をあげながら
そばに落ちていたおそらく片付け途中だったと思われる角材をとっさに手に取り
後ろから暴漢の体めがけて振り下ろしていた
それは物音に気がついた暴漢が振りかえるのとほぼ同時だった
「たいすけ・・・?」
そう思ったときにはもう既に振りぬいていた
角材は振り返った泰介の額で真っ二つに折れ
飛んだ片端は少しの間を置いて部屋の仕切りのカーテンにあたり
そこで勢いを失い、カラン・・と乾いた音を立てて止った
誠の後ろには距離をおいて乙女、小渕ら4人が青ざめた顔をして立っていた
________________________________________
148woodchuck:2008/02/15(金) 18:05:53 ID:FiiXlsE+
<華は散らず2>

________________________________________

「泰介、これはいったいどういうことだ・・」
「誠ぉ 痛ぇよぉ 何するんだよぉ」泰介は場違いになれなれしい口調で誠に話しかける
でも表情は乙女たちと同じように凍り付いていた
「泰介、どういうことだ」
やや冷静を取り戻した誠は、泰介を言葉から剥がすようにしてベッドから引き摺り下ろし
言葉と泰介の間に割って入った
「だからさぁ これは学祭の伝統で・・ 桂さんが寂しそうにしてたから慰めようと思ってだ・・)」
最後のことばは消え入るように小さくなっていた
少しの間をおいて
「でも誠は桂さんを捨てたんだろ?西園寺とよろしくやってたじゃないかよ」
「なんで今になって俺の邪魔をするんだよぉ」と唇を噛む
誠には返す言葉がなかった。
「レイプは犯罪だ」なんてセリフはその場に似つかわしくないとなぜか思った
世界とよろしくやっていたのは事実だがそれを言葉の前で言われるのには抵抗があった
無言のまま言葉に向かい、自分の上着を脱いで、その肩にかけた
そして「もう大丈夫 だいじょうぶだから」とやっとのことで声をかけた
言葉の目はしっかりと前を向いて誠をみていたが、体はずっとふるえたままで身動きもしなかった
誠は言葉の横に腰かけその手を握ると泰介、乙女たちを交互に見据えながらことばを継いだ
「言葉は必死の思いで俺に連絡をしてきたんだ。お前の慰めるってのは襲い掛かるってことなのか」
「それと加藤たちはこのことを知っていたんだな。さっき俺が中に入ろうとしたら、そこの森だっけ、小さい方が邪魔したもんな」
「あのね・・ 伊藤、わたしたちはね・・」と口を挟もうとした乙女を制して誠は話を続けた
「俺はこれから言葉を家まで送り届ける。そこで言葉の家のひとに相談をすることにする。おまえ達もこのまま家に帰れ」
「行こう、ことのは」と手を強引にひっぱると抱えるようにして言葉を教室の外まで連れて行った
誠は少しでも早くその場から言葉を連れ出したかったのだ
靴も破れた服も全部抱えて、言葉は「(はい)」とちいさく返事し誠に従ったのだった
__________________________________________
149woodchuck:2008/02/15(金) 18:09:49 ID:FiiXlsE+
<手をつなぐ力>

4組の入り口には世界が呆然として立っていた
何も言わずに校庭から走り去る誠をみて、その場に刹那たちを置き去りにして誠を追いかけてきたのだ
紅潮した顔をして出てきた誠は世界に気がつきもしないようにその脇を通り抜けようとしたが
世界が「まこと! 桂さん!」と声をかけ誠の手をつかんだ
「あ・・・せかい・・ 」
はじめて世界の姿に気がついた誠はつぶやくようにその名前をよんだ
「どうしたの誠、桂さんのその姿は・・・・」
誠はどう返答してよいものやら困っているようだった
「とにかくこっちに来て」
世界は誠と言葉を3組の喫茶店の控え室に連れて行った
そこにはさっきまで着ていたウエイトレスの服があったからだ
「すこし胸がきついかもしれないけど・・」
クラスの中で一番太目の子がきていたブラウスを言葉に渡し
「ちょっと誠ぉ 着替えの最中も部屋の中にいるわけ?」と言って誠を部屋の外に押し出した
「ぁぁ・・」と世界に言われた誠はふらつきながら教室の扉の向こう側に姿を隠した

「桂さん まずはこれを着て」
「(はい。。 西園寺さん。。)」
言葉はとても小さな、でもしっかりとした声で返事をした
ゆっくりとした手つきで渡されたブラウスを着るのだが、案の定ボタンの留め方で迷っているようだった
「これかわいいデザインなんだけどちょっと着にくいのが問題だったのよね」と努めて明るい口調で世界が話す
着替えを手伝い、言葉の姿が整うのを見届けると
スタッフ用においてあったペットボトルのお茶を言葉に差し出した

横に腰かけると「たいへんだったね・・・」と世界は言葉に優しく語りかけた
言葉は(はい)と小さくうなづくとおもむろにそれは嗚咽にかわった
慌てた誠がガラリと扉をあけてはいってくる
「まだ入っていいって言ってないのに・・」と世界は不満げだったが
「でもいいわ 心配だったんだろうし。。 誠も飲む?」といって同じペットボトルを誠に手渡した
誠は身なりの整った言葉をみて安堵すると、ペットボトルを握りしめたまま
言葉の横に座り、ぎゅっとその手を握り 反対側にいる世界に向かって 
「世界、ありがとう ほんと助かったよ」と礼をのべた

(いつもと座る順番がちがうな)なんて場違いな感想ももちながら
世界は言葉の手をにぎる誠の手をじっと眺めていた
「世界、今日はごめんな 何も言わずにきてしまって おれ、今から言葉を家まで送り届けてくるから。」
「いいのよ こんな状況だったんだもの」世界は自分に言い聞かせるように誠に返事をしていた
「あとからかならず電話するから でももしかしたら明日になるかも」
「うん まってる ぜったいにして、待ってるから 遅くてもいいから・・」と世界は答えた
(最後にはかならずわたしのところに戻ってきて)そういいたかったが言えなかった
言葉の手を握り締める誠の手がそれを言わせてくれなかったのだ
150woodchuck:2008/02/15(金) 18:10:54 ID:FiiXlsE+
<手をつなぐ力2>
___________________________________________

もうフォークダンスは終わっていて、
言葉と誠はキャンプファイアーの残り火がくすぶっているだけの校庭を横切り校外に出た
途中、言葉とふたり通り過ぎる姿をいぶかしむものはいたけれど、声をかけてくるものはいなかった
通りにでてからタクシーをつかまえることを誠は提案したのだが言葉はなぜか嫌がった
それで誠は言葉の希望のまま、いつもの通り電車にのり言葉の家まで送り届けることになった
その間、言葉はしがみつくようにして誠の腕を離さなかった
ずっと無言のままだった言葉が電車にのってしばらくしてから口をひらいた
「(まことくん ありがとうございました)」
「(ごめんなさい いつも迷惑ばかりかけてます わたし)」
言葉はあいかわらずしがみついたままだった
「いや いいんだよ あんな状況だったわけだし それに俺に電話をしてくれて正直嬉しかった あれにはびっくりしたけどな」
「(でも西園寺さんとフォークダンスをするつもりだったのでしょ だからごめんなさい)」
(・・・・)
「(最後のフォークダンスを一緒にするとその年1年間はずっと仲良くできるって学園の伝説なんですよ)」
「ぇぇそうなのか 誘われたから踊るつもりだったのは確かだけど そんなこと知らなかったよ」
「(そうなんですか)」
「うん」
言葉の頬がすこしだけ赤みを帯びたように見えた
「わたし、誠くんと学祭は一緒にまわれなくって残念でしたけど」
「(ぁぁ)」
「でも 最後にまことくんが来てくれてうれしかった」
「(ぁぁ)」
(そういえば俺、言葉に何時間でも待ってるって言われてたっけ)
わずか数時間前までは言葉を避け続けていた自分だったのに
今は腕を組むようにして二人でいる
その事実に誠は不思議なものを感じていた
世界とのフォークダンス・・・あまり残念に思っていないことも不思議だった
______________________________________________
151mark:2008/02/15(金) 19:04:14 ID:BwIgYcNk
色んな物書きさんが集まってきましたね。私も精進せねば……
今日は感想だけ。

>彼女だけの彼

私は具体的な感情や性描写を書くのは苦手なので、参考になります。
前スレで私が書いた拙著では、言葉も幸せでしたが、1年経っても
あの時の傷は完全には癒えてませんでしたしね…… おまけに澤永の
改心を見る事も事実上不可能になってしまったし……

やっぱり澤永は、誠とは違う意味で無神経な性格なので、光みたいな
タイプの方が合ってるでしょうね。彼も普段は愛すべきバカなのにねえ。

>woodchuck

間一髪、間に合いましたか。誠がもっと血の気が多い性格だったら、
確実に澤永を殴り殺していたでしょう。乙女や3人組も間近で殺人を見た日には、
普通の人間の反応を示しそうです。
でも、元はやっぱり誠がはっきりしない上に、流されやすい事に原因があるしな……

でも同じ状況に放りこまれて、メインキャラより適切な判断・行動ができるかは
わかりませんね…… 私はもてなくてよかった、うん。
152名無しさん@ピンキー:2008/02/15(金) 19:21:50 ID:8PaECRHh
雲一つなく晴れ渡った正午の空。
私は、結婚式に出席するために、親友の刹那と共に教会に足を運んでいた。
今日は誠と桂さんの新しい門出の日。
取り出したコンパクトミラーの中には、ダークスーツに身を包んだ緊張した顔をした私が写っていた。
隣の刹那は私を心配そうに見つめ、しっかりするようにと声をかけてくる。

…そうだ。刹那の言う通り、しっかりしなきゃ。
今日は二人の新しい人生を踏み出す大事な日。
私はそのお祝いに来てるんだから…


周りにはかつての知人、友人がおり、皆一様に祝福ムード。
私だけが沈んでるわけにはいかない。
精一杯の笑顔で二人に「おめでとう」って言ってあげなきゃ。


やがて、時間になって式が始まった。
壇上の前では、真っ白なスーツに身を包んだ誠と、
真っ白なウェディングドレスに身を包んだ桂さんが新郎新婦の宣誓をしている。
そして、宣誓が終わると誓いのキスをした。
その瞬間、小さな拍手。
153名無しさん@ピンキー:2008/02/15(金) 19:28:07 ID:8PaECRHh
外に出ると、惜しみない拍手を浴びながら新郎新婦が現れた。
桂さんがブーケを投げると、そのブーケは風に流れて小さな女の子の元に降った。


…そろそろ言わなきゃ。


二人が車に乗る直前がそのチャンス。
刹那から離れて二人の前に立つと、私はシミュレーション通りに笑顔を繕って二人に言った。

「誠、桂さん、おめでと…あ、あれ?」
「世界?」
「西園寺さん?」

気が付くと、私は駆け出していた。
154名無しさん@ピンキー:2008/02/15(金) 19:32:04 ID:8PaECRHh
それから月日は流れて、私は家を出て一人暮らしを始めた。
誠との思い出が残る地にいるのが辛かったから。

見も知らぬ土地で、私は極普通にOLとして働き始め、一見すれば特に変化の無い日々を過ごしていた。
けど、私は、時間を見つけては誠の面影を探して街をさまよっていた。
髪型が似てる、目元が似てる、顔つきが、声が似てる…
どんな些細なことでもいい。私は誠を思わせる男性が欲しかった。
街で男性に声をかけられては誠の面影を探し、それさえあれば私はすぐに交際した。
でも長続きはすることなく、早くて一週間、遅くて十日。
付き合っては別れ 付き合っては別れの繰り返し。
声をかけてくる男は、みんな私の体目当てだった。

そんなある日。
付き合った男性の数が、両手両足の指の数を足しても数えられない回数に達した頃、
私は交際相手の借金の保証人にされた挙げ句、相手に逃げられてしまった。
借金の額は大きく、返済はしたが貯金が底を尽き、勤めていた会社にかかってきた
度重なる督促電話が原因で、勤め先を解雇されてしまった。
不況の中、再就職もままならず、実家を大見得きって出た手前、今更戻る気になれない。
155名無しさん@ピンキー:2008/02/15(金) 19:40:24 ID:8PaECRHh
現在、刹那や友人たちは各々の人生を歩んでいて、彼女らの邪魔をしたくはなかったし、余計な心配をかけたくなかった。
私の胸中に絶望が広がり、生きるのも嫌になってきた。

……あはは

私、なんか疲れちゃったよ……




気が付くと、私はどこかのビルの屋上にいた。
フェンスを越えて、見下ろす眼下にはジオラマのように小さな街の光景が広がっている。
私は大きく息を吸い込むと、一歩踏み出した。


(刹那、みんな、今まで本当にありがとう。満足なお礼も言えずにごめんね。
誠……さようなら。私は誠の居ない場所に旅立つわ……)


私はもう一歩踏み出し、身体を宙へとやった。

(…………)

落下していく私の身体。
その最中、私の中に今までの楽しかった思い出、悲しかった思い出が現れて消えていった。
最後に思い出だした思い出は誠の結婚式。

あの時、誠の隣に立っているのが私だって夢を毎日のように夢見ていた。
どうして最初から私は正直になれなかったんだろう……
高校時代、もっと自分に正直になっていれば、もしかしたら今頃は……
本当に私は馬鹿だ。救いようのない馬鹿。
やがて地面が近づくと、私は静かに目を閉じた。


ドシゃ


156名無しさん@ピンキー:2008/02/15(金) 20:45:59 ID:Aq5Uj5a4
>>155
貴様……ほのぼのとした雰囲気をぶち壊しだ!


















でも良かったGJ。
これでこそスクイズ。
157名無しさん@ピンキー:2008/02/15(金) 22:43:02 ID:MnU34qfe
>>155
世界も言葉も誠と結ばれないとどちらも悲惨な結末しか想像できないからなあ〜

刹那や光達はまだ自分の足で歩いていけそうだし〜
158名無しさん@ピンキー:2008/02/15(金) 23:20:40 ID:WJmAFLzn
>「彼女だけの彼」氏
レイプの二次被害という、見たくないリアリズムに鋭く迫る
作者様の筆力に、心の震えを禁じ得ませんした。
144、145氏もコメントされているように、
いいお仕事に感謝すると共に、続きをお待ちしています。

>「woodchuck」氏
こちらもまた、力作ですね。
特に、澤永の言い分を一言加えた点に、物語の深みを感じました。
ただ、(ROMの身で大変恐縮ですが)一言だけ惜しかった点をば。
サブタイトルがあると、内容が予測できてしまいます。
(例)華散らず=レイプ寸前で阻止成功
折角の良作ですから、緊張感を持たせるためにも、
日時場所のようなボカしたサブタイトルにされるのも、
1つの手かと思いました。
続きを楽しみにしています。

>155氏
156氏に同意。
徹底的に救いのない話もまた、あり得る1つの形。
後味は悪いが、GJ。
159名無しさん@ピンキー:2008/02/16(土) 02:24:17 ID:fPPqEtt+
>>142
前半、きつ過ぎw 続きは幸せを期待するよw
>>150
あぁ… あの…最悪の状況から、救ってくれてありがとう… こっちも続きに期待します
>>155
うーんw やっぱBADはキツイなぁ…

てか、みなさん、GJですよ このスレ益々目が離せませんw
160名無しさん@ピンキー:2008/02/16(土) 07:20:09 ID:5mnyRiCa
>>121
遅くなったけど乙です
最後以外はスクイズのプロローグとしても通じるな
161いたるの引越し:2008/02/16(土) 09:25:00 ID:70NufSlY
いたるの家出の続編です。

いたるの引越し。


桂家リビングにて。

「かんぱーい。」
桂家全員と誠といたると卯月が祝杯を挙げていた。
今やっているのは沢越家から桂家に引っ越したいたるの引っ越し祝い
兼歓迎パーティだった。

引越しと言うと元いた場所やそこにいた人たちとの悲しい別れがつきものだが
今回のいたるに関しては皆無だった。
引越し先は子供の頃から大好きな桂家だったし、
元いた場所からはずっと離れたかった。
それに学校の転校も必要なかったから友人関係もそのままだった。
だからいたるは今回の引越しを心底喜んでいた。

それはずっといたるを心配していた誠もそうだし
いたるを気に入っていた桂家全員もそうだった。
162いたるの引越し:2008/02/16(土) 09:25:33 ID:70NufSlY
「あーそれにしても清々した。
 やっとあの親父から離れる事が出来たよ。」
「長かったよなあ、俺も嬉しいよ。」
両親の離婚後ずっといたるを心配していた誠も本当に嬉しそうだ。
「さあいたるちゃん、遠慮しないでどんどん食べなさい。」
今日の料理は桂父が懇意にしてるレストランのシェフに
出張調理を頼んで作らせたものだった。
「そうよ、折角名シェフに来てもらったんだから。」
真奈美も本当に嬉しそうだった。
いたるの引越しを一番喜んでいるのは桂夫妻なのかもしれない。
「ありがとうございます、おじ様おば様。」

料理もデザート以外は全て出終わってみんなそれぞれ寛いでいると
「いたるちゃ〜ん、飲んでるぅ?」
酔って頬を染めた心がいたるに肩を組んで絡み付いてきた。
「心お姉ちゃん、私未成年だから・・」
「いいじゃ〜ん、一緒に飲もうよぅ。」
「心、いい加減にしなさい!」
言葉が心の頭を押さえつけていたるから引きはがした。
「いたたた、お姉ちゃんちょっとは加減してよお。」
「ダメ!心も今日からこの家ではお姉ちゃんなんだからしっかり自覚しなさい。」
「今までだっていたるちゃんにはお姉ちゃんしてたよぉ。」
163いたるの引越し:2008/02/16(土) 09:26:07 ID:70NufSlY
「はいはい、いたるちゃんこっちにいらっしゃい。」
言い争いを続ける姉妹を尻目に真奈美がいたるの腕を取って移動させた。
「おば様どうしたんですか?」
「今日はいたるちゃんの大好物をちゃんと用意したわよ。」
席に着いたいたるの目の前に運ばれてきたのは特大の桃パフェだった。
しかも桃は缶詰じゃなくて生の高級桃を贅沢に使用していて
普通の店では絶対に出てこないパフェだった。
「おば様、これすごいですね!」
「この人がいたるちゃんのお祝いには欠かせないだろうって言ってね。」
それをばらされた桂父はとても照れくさそうにしてた。
「とっても嬉しいです、おじ様おば様。」

いたるは喜んでパフェを頬張った。
「本当に美味しいです。」
それは今まで食べたどんなパフェよりも美味しかった。
でも量が量なので1人で食べられそうになかった。
「お二人とも一緒に食べませんか?」
「じゃあ私たちも頂きましょうか。」
「そうだな。」
いたるはパフェを2枚の取り皿に盛り付けて二人に渡した。
3人で楽しそうにパフェを食べてる姿は本当の親子のようだった。
164いたるの引越し:2008/02/16(土) 09:26:47 ID:70NufSlY
その様子を言葉も誠も微笑ましく見ていた。
「いたるが可愛がってもらえそうで安心したよ。」
「いたるちゃんはこの家に最初に来た時からみんなのお気に入りでしたよ。
 とっても可愛くてずっと側にいて欲しいってそう思える子でした。
 今でもそれは変わりませんけどね。
 多分私の両親もそうだと思います。」
「そうだったな、あの時は言葉も俺をほったらかしで
 心ちゃんといたるを取り合ってたっけ。」
「そ・それは済みませんでした。」

「いや、いいんだよ。
 兄としては嬉しかったから。
 いたるには言葉や心ちゃんみたいな人が必要だったし。」
「そうなんですか?」
「いたるは何かあるたびに1人で俺とお袋の所にやって来てた。
 それはあいつにとって俺以外に頼れるやつや
 遊び相手があまりいなかったからなんだ。
 だから言葉と心ちゃんに会えてあいつは本当に嬉しそうだった。」
「私達は少しはお役に立てたんですね。」
「それどころかすごく感謝してるよ。
 言葉達のおかげで随分助けられたからね。
 ありがとう言葉今までいたるを可愛がってくれて。
 心ちゃんも。」
誠が心の方を向くと心は酔い潰れて卯月に膝枕をされていた。
「心ったら・・情けないわね・・・」
こうして楽しい夜は更けていった。

165いたるの引越し:2008/02/16(土) 09:27:27 ID:70NufSlY
数日後風呂場の脱衣所にて


「ねえいたるちゃんも?」
「う・うん、心お姉ちゃんも?」
「やばいね・・」
「うんやばい。」
実は風呂上りにふざけ半分で体重計に乗ってみたら思った以上に
二人とも体重が増えていたのだ。

理由は簡単、食べすぎである。

桂夫妻が出張に行く前に食材を置いていったのだが
それはいたるの好きなものばかりだった。
そしていたるの好きなものはカロリーが総じて高かった。

しかも食材の量も多かったのでカロリーも大量に摂ってしまったようだ。
「どうしよう?心お姉ちゃん。」
「カロリー控えて運動するしかないよね。
 お父さんのツテでスポーツクラブに行けるから一緒に行こう。」
「そうだね、心お姉ちゃん。
 あーでも三日坊主で終わりそうで怖いな。」
「じゃあお姉ちゃん誘うよ。
 はっぱをかけてくれる人が必要だし。」
「でもどうやって誘うの?」
「そこは任せといて。」
166いたるの引越し:2008/02/16(土) 09:28:06 ID:70NufSlY
誠と言葉のマンションにて。

「ねえ、お姉ちゃん。」
「なあに?心。」
「最近太ったんじゃない?」
「ええっ!?」

End
167mark:2008/02/16(土) 09:49:55 ID:MOAsjTTm
今日は暇ですので、朝から寝覚めの悪い一時を。これもありえそうな話。
人災も忘れた頃にやってくる……(リアリティは目を瞑っておくんなまし)

連鎖(我が子へif)

10数年後

2人の夫婦が買い物をしに、デパートにやって来た。男性の方は年相応な顔つき
だが、女性の方はまだ20代でも通りそうな美人であり、大人の落ち着きも
兼ね備えている。

「今日は久しぶりに2人きりで買い物が出来たな」
「そうですね。最近は仕事が忙しくて中々お互いに合う時間がとれません
 でしたし」
「いつもすまない。本当はもっと、こうして一緒に過ごす時間が欲しいんだけどさ。
 ……って、言い訳だな。ごめん」

夫は妻に申し訳なさそうに、そう言う。

「いいんですよ。あなたのお仕事は人の命に関わるものなのですから。
 私のわがままで困らせるわけにはいかないですから」
「……ありがとう。俺には勿体無いくらい、本当にできた奥さんをもらえて
 俺は幸せだ」
「もう……… そう思っているのなら、ちゃんと子供ともお話してあげて
 下さいね。口ではあなたの事をうっとおしがっていますけど、まだ親に
 甘えたい年頃なんですから」
「わかってる。(子供の名前)も、大人へと成長しているんだと実感するよ。
 ……子供が出来て数年は、本当にがむしゃらだったし。」

そう夫は言い、妻も昔の事に思いをはせる。

「あの時は本当に冷や汗ものだった。君のお父さんにはすごく叱られて、
 本当に迷惑をかけたし。今思うと、完全に若気の至りだったな」
「……そうでしたね。まだ高校も卒業していない段階でしたし、学校を
 1年休学して、育児に専念して……」
「親のありがたみをあの時ほど感じた事はなかったな。…本当ならちゃんと
 手順を踏んでから、こうならなくちゃいけなかったんだけど」
168mark:2008/02/16(土) 10:27:40 ID:MOAsjTTm
「でも、あなたは逃げずに、私にも子供にもちゃんと向き合ってくれました。
 だから、お父さん達も許してくれたんだと思います。」
「え、そうなんだ?……君のお父さんには会うたびに、嫌味を言われるから、
 今でも嫌われているのかと思ってたけど」

「くすくす…… 口では確かにそう言ってますけど。あなたがちゃんと親として
 の自覚が持てているか、わざと意地悪な事を言って試しているんですって。
 お母さんが内緒で教えてくれました。『いい加減素直になればいいのに』って」
「ははは………」

夫は妻の話に苦笑いする。



「今日は久しぶりに、2人きりで過ごせて良かったよ。言葉」
「はい。まことく……いえ、あなた」
「今は子供もいないんだから、昔みたいに名前で呼んでほしいな」
「そうですね。誠君」

結婚して子供中心の生活に移行し、お互いに名前で呼び合う事は少なくなっていた。
久しぶりに、そのものとまではいかないが、誠と言葉は、恋人同士の気分に
戻れたような気がした。

「では、私はちょっとお化粧直しに行ってきますので、待って頂けませんか?
 すぐ済ませますので」
「別にそこまで気を遣わなくたっていいよ。レストランの予約時間には、
 まだ十分あるし」

そう言いつつも、昔と変わらない初々しさを保つ彼女に、誠は嬉しさを覚えた。

「すぐ済ませますので。その間、荷物だけ見ていただけますか?」
「ああ、わかった」
「では、行ってきます」

そう言い、言葉は化粧室の入口へと消えていく。

「じゃあゆっくりと、待つ事にしますか」

誠は少し離れたところにある休憩用のいすにすわる事にする。
169mark:2008/02/16(土) 10:57:39 ID:MOAsjTTm
「ふう………」

誠はいすに座り、人の行き交いを見て、何を考えるでもなく、ゆったりと
過ごしている。

……そして、化粧室へ入る、目深の帽子を被った1人の若い女性には、
全く気がつかなかった。


10数分後

「言葉のやつ遅いな…… まあ化粧には時間がかかるもんだし、
 これくらいで俺が文句言う筋合いはないか」

そう呑気に構えて、独りごちていた誠だが、次の瞬間、女性の悲鳴が
化粧室から聞こえてきた。

「誰かー!大変よ!人が血を流して倒れている!救急車を呼んで!」
「え……?」

そう言いながら、悲鳴を上げた女性が慌てて化粧室から出てきて、
騒ぎを聞きつけた店員たちが駆けつける。
中年の女性に話を聞く人間と、そのまま化粧室に入り、中の状態を
確認しようとする人間に別れ、やがて彼らからも、中で人が負傷しているとの
声が挙がり、救急車をよべと怒声がし、店内は騒然となった。

「すみませーん!誰か近くに奥で倒れているお客様の関係者の方はいらっしゃいませんか?」

化粧室近くのフロアの責任者らしき男性が大声で呼びかける。

「あの、なんの騒ぎなんですか?言葉になにかあったんですか!?」
「ひょっとして、あなたは関係者の方ですか?」
「夫です!それより、言葉になにかあったんですか!何か怪我したとか
 なんとかって……」
170スクイズイフ:2008/02/16(土) 11:03:10 ID:wUpZ2fRg
>>160
ありがとうです
元々セリフ書き写しだからこそ2日で作れたものだし〜
本当はif付けるの止めるか悩んだけど読んでる人が混乱するのもアレなので〜

まあだから最後辺りを世界がいる席替えを入れればまんま本編なんですがね(*'-')

ちなみに今は5.5話を18日に間に合うように作ってます〜
さて間に合うかな(笑)
171mark:2008/02/16(土) 11:43:24 ID:MOAsjTTm
空白の時間

「うっ……… ごふっ……」

口から血を流し、激痛に顔を歪めながら腹部を押さえる言葉。それを見下ろす帽子の女。
その手には血の滴る包丁を握り締めている。

「……どう…して、こんな事をするの…… う……」
「……あなたに恨みがあるから。死んでほしい。」
「どう…して…?見ず知らずのあなたに…… 恨みを買うような憶えは……」
「あなたに憶えがなくても、私にはある。」

そう言い、今まで被っていた帽子を脱ぎ、サングラスをはずす。
意外にも中学生くらいの顔立ちであり、面影のあるその顔を見て、言葉は驚愕する。

「……まさ…か… あなたは……」
「そうよ。私は西園寺世界の娘。……あなたの恋人…… いや、今は夫なのかな?
 そいつに誑かされて、捨てられた……お母さんの子供だよ!」
「………!!」
「お母さんは昔の傷を直せないまま心を病んで、2年前に死んでしまった……
 でも、それでもずっとその男の事を愛していた!……お母さんの心と身体を
 ボロボロにしたそいつを!」

「………………」
「呑気にいすで座ってたあの男を殺してもよかったけど、それじゃあ私の
 気持ちがおさまらない。……だったら、1番大事なものを奪ってやるって、
 そう思った。」

「……あなたがあの男なんかと一緒にならなければ、お母さんが苦しむ事も
 なかった。私がこうしてあなたを刺す事もなかった。……あの男も
 そうだけど、あなたも元凶なの。私達母娘を不幸にした!!」

そう言い、世界の娘は、憎しみの篭った目で言葉を見下ろす。

「……ごめん……なさ……い……」
「……今更謝ったって遅いんだよ。せいぜい苦しんで死ね。あの世で
 お母さんに土下座して詫びろ!」

そう吐き捨て、さらに何度も刺す。
そして、血痕が目立つ箇所に付いていない事を確認した彼女は、予め用意していた
タオルで、血のついた刃物を拭き、自分のかばんに刃物ごと押し込む。
そして、トイレに入ってきた時と同じ姿で、何食わぬ様子で出ていった―――
172mark:2008/02/16(土) 11:52:28 ID:MOAsjTTm
血溜りの中、言葉は段々意識が薄れていく。
先ほどあれ程感じていた痛みも小さくなっていく。
視界が霞み、ぼやけ、見えなくなっていく。

………ああ、これから私は死ぬんだ。

やがて、自分の幼い頃の記憶が次々とよみがえり、
最期に完全に意識が途切れる前に見た記憶は………


誠と世界、そして自分が3人で初めてお昼ご飯を共にした屋上での思い出だった。
173woodchuck:2008/02/16(土) 12:09:15 ID:sDIrNvwV
>>151,158,159
ほか読んでくださったみなさま感想ありがとうござました

>サブタイトルがあると、内容が予測できてしまいます

プロットを題名にかえてそのまま載せてました
おっしゃるとおりだと思います 原作のように最後に出す形に変えてみます
あと時間経過もわかりやすい方がと思い、続きでは少し変えてみますね
アドバイスありがとうございました。

174woodchuck:2008/02/16(土) 12:16:30 ID:sDIrNvwV
>150からの続きです

言葉の家の前につくと誠は聞いた
「ご両親には俺のほうから話をしようと思うけどかまわないか?」
「(ご迷惑じゃないですか?)」
「かまわない 今日ずっと言葉をひとりにしてしまったのは俺の責任だし
泰介も加藤も俺の友達・・そのうえ目撃者でもあるから見たままを全部ご両親に伝えておきたい」
「(わたしはかまいません)」
お互い目をあわせてどちらからともなくうなずくと言葉はインターホンのボタンを押した
「ただいま戻りました 言葉です」
なかからロックを外す音がして、心ちゃんがドアの隙間から顔を覗かせる
「あぁぁ おねぇちゃんが彼氏つれてきたよぉ 早速お母さんに報告ぅ!」
いつもなら「こころぉ!!!」と叫ぶはずの言葉が無言なのをいぶかしんだ心ちゃんが
リビングのドアをあけたままこちらを覗くようにみている
そしてもう一度こちらに戻ってくると「まことくんは怖い顔してるねぇ どうしたのかなぁ」と言いのこすと
改めてキッチンにいるお母さんを呼びにいった

心ちゃんに呼ばれた真奈美さんが玄関まででてきた
「あの先日おじゃましました伊藤誠です」
「今日はその..急いでお話することがあって夜分ですがお邪魔しました」
先日の気弱そうな表情ではなく引き締まった表情の誠をみて真奈美はただごとではないと感じたが、
こころが遠くからじっと眺めているのを感じごく普通に話を継いだ
「今日は学校祭だったのよね 言葉を送ってくれてどうもありがとう
誠君、おなかはすいてないかしら ありあわせで良ければ、すぐに用意するから一緒に食べていってほしいのだけれど」
と優しくウインクした。
そしてそのあと顔を誠に近づけると小さく(わかったわ でもお話は少し後で)と言った
誠は小さく頷いた
_______________________________________________

(あいかわらず桂家の夕食はすごいな)と誠はひとりごちていた
(「ありあわせ」ってこういうのを指して言ってよい言葉なんだろうか)
自分でもこんなに腹が減っていたと意外に思うくらいたくさん食べてしまってから誠はちょっとしまったと思った
となりからは、こころちゃんが一生懸命話しかけてくるのだけれど、
この後のことを考えると緊張して普通に返事できないでいた
「もうぉ おねぇちゃんがいると、まことくん、心のことちっともかまってくれないからつまんないよぉ 
おねぇちゃん先にお風呂はいってよ」
誠の手をずっと握っている言葉をにらみつけると心はもっと強引なことをはじめる
「ねぇ、まことくん、おねぇちゃんがお風呂はいってる間、こころの部屋へいこうよぉ」と手を引っぱる
「心、貴方は明日も学校があるのだからすぐにお風呂に入って寝なさい。
あまりわがままばっかり言っているとお父さんに報告しますよ。」
「でもお母さん、おねぇちゃんだって学校あるでしょ 今までまことくんと一緒にいたんだから、今度はこころの番だよぉ」
「何言ってるの、言葉は明日は休みなの。お疲れ休みで一日休校なんだから さっさとお風呂に入って寝なさい!」
「ちぇっしょうがないなぁ まことくん、次はもっと早くに来てね こころ待ってるから」といって不承不承部屋に戻って行った
心が自室に引き下がるのを確認した真奈美は、紅茶を3人分淹れるとリビングに移動した誠と言葉の前のソファに腰掛けた

「さぁいいわよ」と目を細めて誠に話しかける。言葉がずっと誠の手を握っているのは真奈美も承知していた。
(きっと何かあったんだろうけど、さすがにねぇ・・・)
「ねぇ言葉、あまりぎゅっと握っていると誠君、手が痛くなってしまうわよ」
はっとした言葉は手を引っ込める「あら、そんなにびっくりしなくても(笑」
(あの言葉がここまで男の子になつくなんてね。。。)
そんなやり取りを見ていた誠は、世界に帰り際に渡された言葉の制服の入った袋を前にだして発言した。
「あの・・突然でびっくりするとは思いますけど、とりあえず安心して聞いてください。その。。言葉さんは無事なので」
と前置きしてから袋を開けた。なかからさんざんに破れた言葉の制服がでてきたのを見て真奈美は息を呑む。
「あの大丈夫でしたから その俺、間に合ったはずですし・・」真奈美のこわばった表情をみて誠はさらに言葉を続ける
あやうく大声をあげそうになった真奈美だったが誠のその言葉を聞き、やっとのことで声を出すのをこらえることができた
となりで言葉が首をたてにこくこくと振っている
「(そう)」気を取り直すために一口紅茶を飲むと真奈美は「いったい何があったの?」と静かに聞いた
175woodchuck:2008/02/16(土) 12:20:32 ID:sDIrNvwV
誠は途中、言葉に何度も確認しつつ、先日桂家を訪れてから今日までにあったことを一つ一つ話した。
言葉にとって辛い内容もあったけれど言葉はずっと口を挟まずに黙って聞いていた。
誠は世界のことはなるべく触れないように気をつけたが、最小限のことはやはり出さざるをえなかった。
そして自分の気持ちがふらついていることも隠さずきちんと話した。
最後に今日4組で起こったこと、泰介のこと乙女たちのことを真奈美に伝えた。

「そう。。。 わかったわ とにかく誠君 今日はありがとうございました。
今日の事件のことは主人が戻り次第、桂としてどうするか考えようと思います。
たぶん学校にはきちんと話すことになると思います。もしかしたら警察ってことになるかもしれません。
主人の結論がでたら貴方にはきちんと連絡をいれます、それでよろしい?」
「はい、すべてお任せします。泰介も加藤も私の友人ですが、したことは絶対に許されることじゃないと思いますから」
誠は冷静な真奈美の返事をきいて心底安堵し大きくため息をついた。
誠の表情がゆるむのを確認した真奈美から最後に思わぬひとことがあった。
「あと誠君・・・誠君はこれからも言葉とお付き合いを続けるつもりはあるの?」

いきなり核心を突く質問をされて誠は一瞬体を固くした。
でもゆっくりとそしてはっきりと答えた。
それが今の自分にできる精一杯であることを自覚していたから。
「これからのことは、迷いがないかと聞かれたら正直、迷いがあります。
でも、今ここで言葉さんを失いたくはないです。
もう少しだけ考える時間があれば できれば言葉さんと二人で話す時間が欲しいです。
言葉さんの望まない結果は出したくない。でも自分の納得できない答えも嫌なんです。」
(存外腹の据わった男の子のようね 言葉が惹かれるのもわかる気がするわ)
真奈美は満足した表情で「わかりました。そのことは二人でね(笑、私『達』は口をだしません。」と答えた。
__________________________________________________

車で家まで送らせます、という真奈美の申し出を丁重に断って、誠は言葉に向いた。
言葉はもう、誠が手を離しても震えてはいなかった。
「もう大丈夫だよね 僕はこのまま家に帰る。世界にも報告しなければならないし。
もし電話したくなったらかまわずかけて欲しい、これからはきちんと電話に出るから。
通話中だったりしてつながらなかったらメールでもいいからね。」
言葉は嬉しそうにうつむいて頷いている。
「でもやっぱり今夜は早くに寝るといいよ 寝られなかったらお母さんと一緒に寝てもらうといい。」
といってから歩きだす。
真奈美が一歩後ろでくすりと笑っていた。

電車の中で世界への報告をどうしようか迷った誠だったが、結局 メールで連絡することにした。
世界が知っていることは省き、桂母に報告したのと同じ内容を伝えた。世界は面食らってるかもしれない。
でも、最後の桂母の質問とそれに対する自分の答えだけはメールにいれなかった。 言えるはずもなかった。
世界は自分こそが誠の彼女だと思っている。もう片思いではないのだ。あのとき誠の方が告白したのだから。

全部送り終える頃には自宅マンションの真下についてしまっていた。
最後に「これから風呂に入るから・・一息ついたら電話する」と書いたメールを送った。
送り終えたら言葉からのメールが届いていた。
誠は慌てて言葉に電話をすることになる。
聞くと今から警察へ被害届けを出しにいくのだという。
泰介たちがどんな処分になるのかなと気にはなったがあまり拘りもなかった。
それよりもこれからの世界との関係、言葉との関係のほうが気になった。
そして電話の言葉はこれまでの言葉と雰囲気がなんだか違っていたこと。
「わたし、今のわたしのままではダメだって思うんです」という言葉の一言の方が印象的だった。
_______________________________<言葉の覚悟 了>___________
176woodchuck:2008/02/16(土) 12:29:41 ID:sDIrNvwV
桂・父の動きは迅速だった。
誠が帰宅したのと入れ替わりで戻った桂・父は妻からさきほどの報告を聞かされた。
入浴直後の言葉をリビングによび、怪我の有無を確認 手首と太ももに青あざができたと言葉の報告をきくや
知り合いの医師に連絡をして往診と診断書の交付を依頼、会社の顧問弁護士に連絡をとり原巳警察署で落ち合うことになった。
誠が最期の最後に間に合ったことが桂・父の決断を後押ししたのは明らかだった。
言葉は父と同道して警察署へ被害届けと診断書を提出し調書の作成をして家に戻った。
言葉は澤永のことだけを伝えるつもりだったのだが、
弁護士はその経緯を説明するなかできちんと加藤および森ほか2名のこともきちんと調書に書かせていた。

「言葉、このまえは伊藤くんに悪いことをしたなぁ こんなに男気のある奴とはお父さん思わなかったよ
もういちど伊藤くんにあわせてくれないかな? 今度はきちんと言葉のボーイフレンドとして扱うから
彼がいてくれて本当によかった」

目を潤ませて自分が褒められたようになんども頷く言葉だった。
____________________________________________________
 
自宅に戻ると、母さんは夜勤で、すでに出勤したあとだった。
(冷蔵庫に貼られている勤務予定表を指でたどる)
「今日は深夜(勤務)、昼前まで戻ってこないか」と独り言をいって風呂の用意をした。
(今日はつかれたなあぁ・・ 言葉のこと世界のこと・・・考えがまとまらない)
普段よりも長く湯につかる。結局考えはまとまらないまま風呂をでて着替えると自室にもどり電話をした。

「世界、遅くなってごめん・・」
「誠ぉ メール読んだよ だいたい想像はついてたけどあの澤永がねぇ・・桂さん大丈夫だった?」
「うん 家族と一緒なら大丈夫、最悪の状況ではなかったし きっともう落ち着いているはず」
「あの・・」
「ん? なに世界」
「あ・・ううん そっか やっぱり家族って大事だよね うちはお母さんと二人きりだからもっと母さん大事にしよっかな」
「それはうちも同じだけど 世界には清浦もいるだろ」
「うん刹那もいるね 小さい頃からいっしょだから姉妹みたいなもの? いっとくけど・・」
「清浦が姉なんだよな?」
「違うよ 私がおねぇさん おねぇさんのほうがナイスバディなのが常識でしょ」
「っても、しっかりしてるの清浦のほうじゃん」
「まぁねぇ」
「あのさぁ・・」
「うん」
「・・・・」
「どうした?」
「ううん なんでもない」
「そっか 俺眠くなってきたよ、そろそろ切るな」
「ぁうん 誠?明日の片付け手伝ってくれるんだよね?」
「ああ 昼過ぎには学校に行くつもりだよ 皆の待ち合わせも1時だったよな?」
「うん そのあとクラスのみんなで打ち上げするかもしれないって」
「わかった 参加するかはそのとき決めるわ」
「そう・・そう伝えとくね」
「あのね・・ まこと?」
「なに?」
「ううん なんでもないよ おやすみ・・ また明日ね」
____________________________________<世界の焦り 了>________
177名無しさん@ピンキー:2008/02/16(土) 23:26:28 ID:3klLe3jm
>mark氏
ぐはっ。
なんでわざわざ、ほのぼのからどん底へ叩き落しますかね(苦笑)。
しかし、まあ、「衝撃が大きい≒筆者の腕前が良い」に他ならない。
特に、走馬灯にそのシーンを持ってくるあたり、
筆者は泣かせ方を良くご存知の様子。
悔しいけど、GJ。

>woodchuck氏
GJです。
空気が読めない(無理もないが)心と、
空気が読めすぎる桂母とのコントラストが、
否応なく緊張感を高める演出ですね。
続きを読むのが楽しみです。
178名無しさん@ピンキー:2008/02/17(日) 01:21:24 ID:JAjYD1uE
>161-166
神乙。そこから妊娠?騒動とかフィットネスで乳ばいんばいんとか
出来そうでwktk
179名無しさん@ピンキー:2008/02/17(日) 01:48:51 ID:SdJBVumj
>>178
ご感想どうもです。

今のところ違う方向で考えていますがそういう展開も面白そうですね。
180名無しさん@ピンキー:2008/02/17(日) 09:38:23 ID:BWuGGl6O
職人さんGJすぎる。毎日このスレを覗くのが楽しみでしかたない。
言葉の幸せを祈ります
181名無しさん@ピンキー:2008/02/17(日) 10:59:04 ID:4a5XIyNk
>166
お、いたるシリーズ新刊も出ているな。
GJです。
それにしても、秀作が多数出てきて嬉しい限りです。
182woodchuck:2008/02/17(日) 11:22:07 ID:Lh3JqGxo
>176の続きです

翌日の昼前、遅くにおきてまだ着替えてもいない誠に言葉からメールが入った。
「誠くん起きていますか? 今、西原巳の駅前にいます。
今日の片付け、誠くんも行きますよね。よろしければご一緒しませんか?」
誠は食事がまだだと伝え、改札近くの喫茶店で落ち合うことにした。

服をきがえてリビングをとおると、夜勤から戻ってきた母さんがソファで眠りこけていた。
そのままにして出て行こうとするとむくりと上半身だけ起き上がる。
「誠、今日も母さんは夜勤だから ご飯は適当に食べといてね お金をおいとくから」
「ああわかった。俺も学校祭の打ち上げもあるからどうせ帰りは遅くなるし
もしかしたらそのまま誰かの家に泊まるかもしれないけど いいかな?」
「仕方が無いわね お願いだから悪さだけはしないでね」
「わかってるよ そんなこと」
慌てて靴をはき外へとびだした。
「もう仕方のないこだねぇ 全く」
伊藤・母はけだるげにそうつぶやいた。

「言葉  外に出てきて大丈夫なのか? 昨日の今日でお父さんが許してくれるとは思わなかったんだけど」
「大丈夫でした。お母さんが味方になってくれましたし 今日のお父さん、まことくんの名前だしても怒りませんでしたし」
「それにお父さん、警察から帰る車の中で誠くんをきちんとボーイフレンドとして認めるって言ってくれたんですよ」
「あ、あのお父さんが・・ ねぇ」
「それで、出かけるときにお母さんが 色々くれたんです」
(ん?映画のチケットかなにかかな)
「時間ができたらまた・・ あの一緒にでかけませんか?」
「ああ 言葉がかまわなければ」
(言葉も不安なんだし それくらいかまわないよな?)
「そんな 私が一緒にいたいんですから」
(いっしょにいたい・・ か)
「そっか お母さんは約束を守ってくれたんだ」帰り際の真奈美さんのはなしを言葉に話して聞かせる。
「きっとお父さんとお母さんは俺たち二人で話す時間をくれたんだと思うよ」
「そうかもしれませんね 父と母を見ていても話し合いは大切だと思います。
でもねまことくん、そんなに慌てないでいいんですよ。
私はまことくんが決めたことに従うって、もう自分で決めてるんです。
まことくんが望むことがわたしの望むこと、そう決めたんです。
だからまことくん、ゆっくり考えてくれていいです。待ってますから」
いつになく力強い言葉のせりふに誠は圧倒されてしまった。
誠はちからなく「ありがとう ことのは」と頷くことしかできなかった。
_____________________________________________________

学園に着くと、既に世界はじめクラスメイトが結構そろっていたが泰介の姿はなかった。
3組にくらべると4組はひとがほとんどいない。でもなぜか加藤とあの3人組は来ているようだった。
乙女は誠の顔をみると何か言いたげだったが、となりにいる言葉に気がつきすぐに引っ込んでしまった。
誠もこちらからは何も動かないという態度で声もかけずに無視することに決め込んだ。
そして言葉と二人であらわれた誠をみて、世界は少しびっくりしているようだった。
世界の目線で気がついた甘露寺と光が誠たちを睨んでいる。
そばにいた清浦は無表情なまま変わりがなかった。
183woodchuck:2008/02/17(日) 11:22:53 ID:Lh3JqGxo
「いったいどういうことよ! 伊藤」
こちらに走ってきた光がいきなり誠に食って掛かる。
「どうって何の話だ?」
「何って、世界とでなくって桂さんと一緒にくるってどういうことかってことよ」
「ん?世界とは学園で待ち合わせしてたし、・・・桂とは偶然電車で会ったんだよ」
わざと「桂」とよび、駅で待ち合わせしたことも咄嗟に隠してしまったが
言葉はそんな誠の反応も苦にせずに、光に話した
「そうなんですよ 西原巳の駅で偶然、わたしはあちらに出かける用事がありまして」
光は二人の距離がとても近いことを見逃さず、その手が触れ合わんばかりなのを凝視してから
「ふ〜ん 伊藤の言うことなんか信じてないけどさ まぁいいや 世界泣かしたらタダじゃおかないからね」
そう捨て台詞をはいてぷりぷりしながら光は戻って行った

4組は1時を過ぎても集まりが悪いようだったが、言葉は気にせずに片づけを始めている。
お化け屋敷の方がゴミの量が多いため、誠は言葉を手伝って一緒にゴミを運んだりしていた。
となりで「あのバカどうしてこういう肝心のときにこないかなぁ もぅ」と光が澤永のことを愚痴っていた。
通りがかった世界に、光のことをあごでしゃくって教えると
「(わたしから言うのもなんだし困ってるのよ)」と小声で世界が答えた
「(でも俺からいうのもなんだろ・・じきに学校側には知れるわけで、週明けには多分みんなが知ると思うんだけど)」
と内緒話をつづけると、すぐ後ろで言葉がじっと見つめていた。
誠が一瞥すると言葉は誠に微笑み、何もなかったように仕事を続ける。
世界はその言葉の姿にイラついたのか「じゃぁね 誠」といって立ち去ってしまった。
誠にとってはもう決着がつきかけている泰介のことよりもこちらの問題の方が大きな問題だった。
________________________________________________

時間は3時をまわりかけていた。
「まことくん もうお仕事は終わりましたか?」
「もう そろそろかな」
「この後の予定は何かありますか?」
「いや 特にないよ もう帰ろうかなって思ってた。昨日は打ち上げをするかもって聞いてたんだけれど、
何でも女バスの連中が女子集めてなんかするらしくってクラスの打ち上げはキャンセルになったんだ。
うちのクラスってほら、甘露寺や世界たちがなんでも仕切ってるからさ、あいつらがいないとすぐにこうなる」
「そうなんですか」
「言葉は参加しないのか?」
「ぇぇわたしは皆さんとあまり仲がいいわけではありませんし 女バスのひとってうちのクラスだと加藤さんたちですから・・」
「たしかにそうだったな 甘露寺は同じ中学出身って聞いたけど、でもあまり仲よさそうじゃないな」
「わたし昔から友達ができなくって」
「言葉はこんなにいい子なのにな なんでだろう」
「まことくんの周りにはたくさんの人がいますよね いつも」
「はは変なのも多いけど・・今度紹介・・・」
といった後、泰介や乙女のことを思い出す2人、気まずい雰囲気が漂う
「はい でもわたしには、まことくんがいますからいいんです」
その言葉を聞いてことのはの顔をじっと見つめる誠
「その・・ まことくん、まことくんが西園寺さんのことも好きなの知ってます。
でも私のことは嫌いになったわけじゃないんですよね?
昨日助けてくれたのも、そのあと電話をしてくれたのも・・・わたし誠くんがいないと・・・だめなんです だから・・」
うつむき気味の目線だったが言葉の視線はしっかりしていた。言い終えると潤んだ目で誠を見上げる。
その言葉の表情には有無を言わせぬものがあった。少し気おされたようになり、誠ははっと息を呑む。
「ああ、俺は言葉のことが好きだよ。」
なにものかが言わせたのか 誠は意識しないまま口を開いてしまっていた。
一度話し始めればあとは素直に言葉をつなぐだけだ。
「すれ違って誤解して、言葉に辛い思いをさせてしまったけど、でも、でも、、言葉のこと好きだよ」
頬を染めてうつむく二人、自然にそのまま並んで校門に向かって歩き出す。
184woodchuck:2008/02/17(日) 11:52:25 ID:Lh3JqGxo
二人並んで駅前をあるく
何度か手を伸ばしてはひっこめる言葉
やっと思いきってまことの服の裾をつかんで体を寄せる
「ん? ことのは どうかした?」
「あの・・ご予定がないのでしたら これからわたしとデートしませんか?」
「え・・?」
「やっぱり西園寺さんとじゃないとダメですか?」
「いや そんなことは・・」
「じゃぁぜひ・・、今日家を出てくるときに 母からチケットをいくつか貰ってきたんです」
「お昼にいってたやつだね 映画かな?」
「映画もありますよ あとペアの食事券とホテルの宿泊券・・・」
「ぇえええ?」
「はい」  無垢な瞳で自然に見上げる言葉
「それって」明らかに挙動不審だ
「そういうことです」大きな胸をさらに張らせてまっすぐ前を見て言う
「お母さんがくれたって言ったよね」情けなさ全開で確認する
「はい」こともなげに答える
「そう。。。」

昨晩言葉が電話でいった台詞を誠は繰り返していた
(わたし、今のわたしのままではダメだって思うんです)
(ああ これが言葉のだした答えなんだ)

誠はいままで悩んでいたことの殆どすべてが霧消するのに気がついた
言葉には信頼されていない・・嫌われているかもしれない・・受け入れてもらえてないんじゃないか?
(わたし誠くんがいないと・・・だめなんです)

そんなネガティブな感情がすべて打ち消されるのを感じていた
_______________________________<氷解 了>
185名無しさん@ピンキー:2008/02/17(日) 11:54:34 ID:JWpe3Tvp
ショート1.学校の帰り道にて

乙女「誠。」
誠「なんだ?」
乙女「前から薄々気付いてたんだけど、誠は私のこと好きだよね?」
誠「はぁ?」
乙女「ど、どうして告白しないのよ?あ、分かった!振られるのが怖いのね?」
誠「何で俺がお前に告白しなきゃならないんだ…」
乙女「そりゃあ、誠の告白を私がオッケーするなんて万に一つも有り得ないけど、
   でも、しなきゃ可能性は0なのよ?」
誠「はぁ…」
乙女「無理だと思うけど、するだけしてみなさいよ!もしかしたら奇跡的にうまく
   いくかもしれないじゃない!」
誠「……あのなぁ、乙女。それが人に頼み事する奴の態度か?」
乙女「べ、別に頼んでるわけじゃないわよ。ただ、あんたの優柔不断さを更正しようって。」
誠「あのなぁ…はぁ。どうしてもって頭下げるんなら考えてもいいよ。」
乙女「え?…マジ?」
誠「ん?ちゃんと誠意を込めてしてくれたらな。」
乙女「おっ、お願いします!私に付き合ってって、好きって言って下さい!!」
誠「あ…いや、本気にされても困るんだけど…」
乙女「……」
186名無しさん@ピンキー:2008/02/17(日) 12:03:07 ID:JWpe3Tvp
誠「どうせ、俺が真に受けてうろたえるとこ見て退屈しのぎしようってんだろ?
  そういう暇潰しは他をあたってくれ。冗談でもタチが悪いぞ。」
乙女「ノリが悪い奴。男なら敢えて騙される位の度量がほしいわね。」
誠「はいはい。って、なんだよ急に早歩きして。」
乙女「用事思い出したからちょっとね。じゃ、また明日学校で。」
誠「じゃあな。」




乙女(……誠の…誠のバカ!本当か嘘か位、見分けてよ!)
乙女「う…うぅ……」
187mark:2008/02/17(日) 12:42:31 ID:P/CX2lbT
人の数だけ、色んなスクイズワールドが展開されてますね。
昨日のはやり過ぎたかな…… 半分は自分の愛する誠の血をひく人間に
殺される展開はむごいですね。(苦笑)言葉も自分の罪深さにようやく
気付いたのでしょうか…… 誠が生き残ったのは完全に皮肉です。
それでは、感想をば。

>woodchuckさんへ

自分の意志で決心した言葉は、やっぱり強いですね。
単純に男性に都合のいいタイプというばかりではないですし。
このワールドでの光は、誠が世界と付き合っていたのが、再び言葉に
乗り換えたので、腹を立てているのかな? 真相を知った時、どういう
気持ちになるのでしょう…… 世界の動きも注目か?

>ショート1さん

いわゆるツンデレ乙女全開ですな(笑)。やっぱクイーンオブ不器用は君だ!
嫌われる面も大きいし、七海みたくわかりやすい制裁をくらわないので、
嫌いな人も多いと思われるキャラですが、原作で乙女が晴れて誠と付き合える
ルートは1つしかありませんしねえ。散るルートを経由した場合、絶対に
誠とは付き合えませんし。鮮血までいった日には、苛めの代表格でもある彼女も
ただではすまないでしょう……

夕方か夜になにか書こうかな。
188woodchuck:2008/02/17(日) 16:17:36 ID:Lh3JqGxo
>>187
基本設定はスクイズ本編の
本当の気持ち-明かされた関係-散る言葉√までを基本に
補助設定はサマイズの設定の流用がメインで
あとif設定として説明不足にされた誠の中学のときの失恋の経緯や
一部親の基本設定や親同士の知り合い関係などを空想補完していきます
ただし誠は入学時から言葉に惹かれているというサマイズに近い設定です

今までROM専で楽しかったので
暇にあかせて書いてみたんですが書くほうも楽しいですね
伸ばすほうよりもエッセンスを残して切る方が難しい
結果だらだらと長い文章を読ませてしまうことになって申し訳ありません
189woodchuck:2008/02/17(日) 16:20:18 ID:Lh3JqGxo
>184の続きです

光 :「ねぇ七海?今日の女バスの集まりってなんなの?」
七海:「いや実は私も良く知らないんだ 学園祭の打ち上げを女子だけでするから集まれって聞いてきただけ」
光 :「そうなんだ 確かに男どもがいると鬱陶しいこともあるからね」
七海:「まぁそうだな 先輩が休憩所の打ち上げって言ってたのがちょっと気になってるんだけど」
光 :「先輩って七海や加藤さんが結構苦手って言ってたあの人?」
七海:「そう、私に彼氏がいるって言ったら目の敵にするし大変なひと」
世界:「そう、でもねぎらいの場をつくるなんて良いところもあるんじゃないの?」
七海:「まぁね 確かにそうだけど あまり信用しちゃダメだ」

女バスの部員達がプロジェクターをいそいそと用意している

世界:「七海たちは手伝わなくっていいの?」
七海:「ああわたしたちは休憩所の準備の方担当だったからな こっちの担当じゃないし
それにあまり仲のよくない連中ばっかりだから手伝いにくいんだ」

遠巻きに眺めていた乙女は壁にもたれている世界たちを見つけて近づいてきた
例の3人組もいっしょである

乙女:「あの〜 西園寺さん?」
世界:「なに?加藤さんよね?」
七海:「ああ4組の女バス部員だよ よぉ乙女」
乙女はちらっと七海の方をみて手をあげたあともう一度世界のほうに向く
乙女:「うんそう あのさ西園寺さん 少し話があるんだけど・・ 昨日の・・」
世界:「昨日の・・って もしかして桂さんのこと?」
光:「込み入った話?席外そうか?」
乙女:「うん そうしてくれると助かる」
光:「刹那 あっちいってようか」
刹那:「うん」 
先ほどまで乙女たちがいた入り口付近までいく刹那と光
七海:「桂の話って? 桂の野郎まだ世界の周りをうろちょろしてるのか? おい乙女、ちゃんと〆とけって言ったよな?」
乙女:「ぁぁ ううん それなんだけどさ」
世界:「何? 七海もかんでるの?」
七海:「何っておまえのためじゃないか もともと桂って、男に媚売っててむかついてたのもあるけどさ で、乙女なんの話だ?」

乙女は思い切って事情を打ち明けた
七海はその間ずっと苦虫を噛み潰した表情をしていた
世界はあらかた誠から聞いていたことだったのもあって素直に聞くことができた
後ろの3人組も気まずい表情をしてうつむいている

七海:「そりゃ さすがにまずいんじゃないか?」
乙女:「でも これってあんたが言い出した話なんだしさ 相談に乗ってくれてもいいじゃん」
七海:「たしかにそうだな これが元で全部ばれたらあたしら相当まずい立場になると思う」

190woodchuck:2008/02/17(日) 16:20:45 ID:Lh3JqGxo
やっと打ち上げが始まるようだ
足立という先輩がマイクを片手に洋々と話している
「本日は無礼講、男がいて楽しんだ人も楽しめなかった人も今日は思いっきり楽しんでねー!」
とりまき連中が「おー!」と拳を振り上げて盛り上げる
いきなり映し出されたのは休憩室のベッドだった
「な・・・ あそこで隠し撮りしてたのか!そんなの聞いてない」七海が慌てる
それにかまわず映写が続けられた
どこかで見たことのある男女があられもない姿でもつれる様が次々と映し出される
みんな最初は手で顔を隠したりして照れたりしていたが
すぐにそんな恥じらいは忘れて画面に魅入られる
「これは〜組の・・すごいねぇ」とあっという間に皆、大喜びである
何組かの映像が流れた後、なんと七海と花山院先輩が映し出されたのだ・・
「ああ・・ダメ」
七海は慌てて映写機の方に向かうが仲のよくない同級生ががっちり守っていて止められない
「甘露寺さんって見た目に似合わずかわいいのねぇ・・これは見直したわ」と足利先輩がマイクで叫ぶ
「お 兄 ぃ ち ゃ ー ん」みんなが大きな声でからかう
同時に先輩の取り巻きが一斉にゲラゲラと笑い出すにいたって
七海はいたたまれなくなり部屋から出て行ってしまう

見かねた光が七海を追いかける 世界も追いかけようとしたが乙女が引きとめた
「西園寺さん 待って まだ話があるの」
とりあえず光が追いかけたから・・そう思った世界は、残った刹那にも七海のことを頼んでもとの場所に戻った
「で、話ってなに?」
「あれから伊藤からなにか言われなかった? 昨日の件で」
隠してもしょうがないので、誠が言葉を家まで送り、言葉が親と警察まで行ったことなどを世界は話した
「そっか 当然だよね あたしたちこれからどうなるのかな」
「もし悪いことをしたと思っているならきちんと謝ったほうが良いと思うよ それでどうなるかはわからないけど」
「・・・・・」
乙女も後ろの3人もそれ以上はなにも聞いてこなかった。

そのとき映像が切り替わった
急に周辺が騒がしくなる
・・・泰介が言葉に襲い掛かるシーンである
言葉が泣き叫ぶ
かまわず容赦なく服を引き裂いていく泰介
半裸になった言葉に覆いかぶさるようにして押し倒す泰介 大活躍である
「なによこれ?ちょっとまずいんじゃない?」
「4組の桂じゃん?」一年生のひとりが言う
「4組の桂ってあのとりすましててちょっとむかつくくらい巨乳の女でしょ?いい気味なんじゃない?」そんな声も聞こえる
・・・そこへ誠が現れる 陵辱シーンにならなかったのをホッとする反面、期待はずれに怒る面々もいる
「ぇえええ誰よこの助けに来た奴!」
「知ってる3組の伊藤でしょ 桂と付き合ってるって噂だったけど 本当だったのかな」
「ちがうわよ たまたま助けに行っただけよ」慌てて世界が口を挟む
「でもお姫様を助けるナイトって感じだよね こいつ」
お姫様とナイト・・その表現で世界は思いのほか自分が傷つくのを自覚した
この後ずっとこの件で持ちきりだった
ここに光がいないのは不幸中の幸いだったと世界は思った。
______________________________<隠し撮り 了>____
191mark:2008/02/17(日) 18:47:15 ID:P/CX2lbT
>woodchuckさんへ

レスありがとうございます。いや私も前スレでは長文書きすぎましたし、
あまり気にし過ぎなくてもいいと思いますよ。上映会で足利ら上級生が見せた陰湿さや、
部外者の様々な反応は、良く出来ていると思います。

実は、私は原作はスクイズ・サマイズ共に未プレイで、アニメ版しか知らないです。(大汗)
その為、どうしても知識面や微妙なニュアンスが不足するのは否めず、自分的に
都合の悪いところは描写をぼかしたり、省いたりして結構ハッタリもかましています。
ともかく、頑張って下さいね。
192mark:2008/02/17(日) 19:26:02 ID:P/CX2lbT
では私も書きますか。嫌われ役である3人組を題材に。(言葉苛めの件は
無視して下さい)こんな感じで会話するんだろうか?


授業も終わり、他の生徒たちは部活や同好会に参加する者、友人達と帰宅する
者、さまざまである。来実、みなみ、夏美の3人は教室に残って、
途切れる事なく、ダラダラとおしゃべりに花を咲かせていた。流行の音楽や、
ファッション、好きな芸能人の話、苦手な教師の陰口や、来週行われる予定の
文化祭の事など、さまざまである。……そして、当然ながらお決まりの話題に
話が移る。

「そういえばさ、来実は(彼氏の名前)と付きあってるんだよね?」
「うん、そうだよ。それがどうかしたの?」

みなみが言いにくそうにしながら、来実に質問する。

「……実はさ、私……」
「あ、ひょっとして、みなみも彼氏できちゃったとか?当たりでしょ」

夏美が悪戯っぽくみなみに聞くと、彼女は『うん』と小さく頷いた。

「よかったじゃん!乙女ちゃんやうちらと居る時以外は、みなみは結構大人しいから、
 心配してたんだよ。」
「こーの裏切り者めが。で、相手はどんな奴なの?ウチの学校の奴?」
「ううん、違う学校。」
「それで、いつから付き合い始めたの?どうやって知り合ったわけ?」

来実と夏美に質問攻めにされるみなみ。

「もうー。ちゃんと答えるから、いっぺんに質問しないでよ」
「早く早く」
「……付き合い始めたのは先週からかな。それで、私が中学の時の友達と、
 電話で話しててね。その友達の知り合いで、今フリーの男の子がいるから、
 よかったら声かけてみるけど、どうかなって言われちゃってさ……」

「ふーん、それでその男の人に会って、付き合うって決めたわけか。
 紹介されたとはいえ、自分から会いに行くくらいだから、結構
 カッコよかったりするのかな?」

夏美の推測は当たらずも遠からずと言ったところか。
193mark:2008/02/17(日) 20:08:49 ID:P/CX2lbT
「そう……かな」
「携帯にそのかっこいい〜彼氏との写真とかも、当然……あるよね?」
「うん……」
「いいな〜。私も見せてよー。」
「え、今?だめだめ」
「いいじゃん、減るもんじゃないし」

惚気とからかいの綱引きが続き、数分後、みなみは携帯のメモリーに記録した
彼との写真を来実と夏美に見せる。

「うわぁー。超かっこいいじゃん。ちょっと妬いちゃうなー。」
「それで、名前は(彼氏の名前)。年は私より3コ上で、大学に通ってるの」
「ごめん、明日から苛めていい?ちょーっとこれは調子乗り過ぎかな」

わざと夏美が凄み、来実やみなみが『夏美こわーい』と笑いながら返す。

「だったらさ、今度の学祭にその彼氏招待しなよ。ひょっとしたら、
 そういう展開になっちゃったりするかもよ」
「えー。でも初めてって結構痛いって聞くし……」
「私はそうでもなかったよ。別に血なんかドバっと出なかったし。
 こういう事は何事も経験だって」

来実はあっけらかんと答え、自分の経験談をもとに、みなみに心構えを
レクチャーする。真に性を謳歌しているかはともかく。

「あーあ、来実に続き、みなみもバージン卒業かー。学祭はちょっと
 寂しいかも」
「夏美も誰か気になる奴がいたら、アタックすればいいじゃん。
 待ってるだけなんて、流行んないよそんなの」
「わかってるけどさ、別に今気になる男なんていないし。乙女は
 別みたいだけど」
「乙女ちゃんが好きな男って誰なんだろう?前に聞いた話だと、中学の
 時の同級生だって言ってたけどさー」
194mark:2008/02/17(日) 20:21:45 ID:P/CX2lbT
「乙女は確か原巳中だったな。ここの生徒でそこ出身の奴って、
 少なかったと思うけど」
「うちのクラスで他に原巳中出身の奴って、いたっけ?」
「いや、いないと思う。それに、うちのクラスの男子には乙女は全然興味ないし」
「じゃあ、案外隣のクラスだったりして!」


少女達のよもやま話は続く。学祭まで、もう少し。
195名無しさん@ピンキー:2008/02/17(日) 21:06:32 ID:Tqj27rWm
誠「俺は言葉好きなんだ。言葉だけを愛するって誓ったんだ。だから世界…」
世界「…そっか。やっぱりそうだよね。分かってたけど…分かってたけどさ…」
誠「…それじゃ、俺、行くから。」
世界「誠。最後にお願いがあるの。」
誠「何?身体は無しだぞ。」
世界「分かってる。誠と手を繋ぎたいの。今日で関係が終わるなら、最後の思い出にせめて…」
誠「なんだ、そんなことか。」
世界「ホント!?」

・ ・ ・

世界「ウフフ…。誠とこうして手を繋いで歩けるなんて、嬉しいわ。」

(何あの子、あれもしかして人間の…)
(警察を呼んだ方がいいんじゃないか…)

世界「誠とずっと手を繋げて、私、幸せ♥」
196名無しさん@ピンキー:2008/02/17(日) 21:46:01 ID:KzknvHN3
「誠くん、ひどいです……」
「ごめん、言葉……。つい手がすべっちゃって……」
「手がすべったって……誠くんいつもそうです」
「うぅ……」
「もう……そんなことする誠くんとは、今度から一緒にお風呂入ってあげません」
「すまん、言葉……。今回は俺が悪かった……」
「今回もです」
「うぅっ……」
そう、私は今、誠くんと一緒にお風呂に入っています。
いつからでしょう?
誠くんと一緒にお風呂に入るようになったのは……。
あれから……
誠くんと真の恋人となってから、本当にいろんなことが……
幸せなことがたくくんありすぎて、あまり良く覚えていません。
197名無しさん@ピンキー:2008/02/17(日) 21:46:25 ID:KzknvHN3
「ほらっ……言葉、頭洗ってやるから、機嫌なおしてくれよ……」
ゴシゴシ……
「あっ……」
突然、シャンプーを出して、私の頭を洗い出す誠くん……。
ゴシゴシ……
「そうだ、これ忘れてた……。ほら、言葉の好きなシャンプーハットだぞ」
そう言って、私の頭にシャンプーハットを被せて、再び私の頭を洗い出す誠くん……。
「私が好きなんじゃなくて、誠くんが好きなだけです」
「けど……こうしないと、目にシャンプーが入ってしまうぞ」
それが当然の様に、誠くん……。
そんな誠くんに、私は不満顔で……
「いたるちゃんにしてるからって…。私、そんなに子供じゃありません」
「確かに胸は子供じゃないな」
そう言って、唐突に私の胸をつつく誠くん……。
「きゃっ!」
私は突然のことに驚いて、タオルで身体を隠しながらお風呂場の隅に避難します。
そして一言。
「誠くんの、バカ」
「ははは……。拗ねた言葉も可愛いなぁ……」
「笑ってごまかしても駄目ですよ。もうこれからは、一緒にお風呂入ってあげません」
私はぷいっ、と首を振る。
198名無しさん@ピンキー:2008/02/17(日) 21:47:23 ID:KzknvHN3
「まぁまぁ……ちょっとした裸同士のスキンシップじゃないか……。
ほら……心ちゃんともお風呂でこんなこと、よくやるだろ?」
「心は誠くんと違って、そんなことしません。そんなにHなのは誠くんだけです」
ホント、誠くん……Hです。
「そうか……まぁ、いいや」
「良くありません」
「ともかく……。まだ、頭洗い終わってないんだから……。そのまま外に出ていくつもりか?」
「あっ……」
ここは誠くんの家のお風呂です。
確かにこのまま外に出ていったら、お家が水浸しになってしまいます。
だから私は誠くんに訊きます。
「……もう……Hなことしませんか?」
「約束する」
「絶対ですよ」
「ああ……」
「嘘ついたら……」
「言葉をお姫さま抱っこして校内一周」
「駄目です。二周してください」
「わかった……」
「じゃあ……」
そう言って私は誠くんの前に、背中を向けて座ります。
199名無しさん@ピンキー:2008/02/17(日) 21:48:30 ID:KzknvHN3
ゴシゴシ……
これが初めてじゃないのに、なんだかとってもくすぐったいです。
ゴシゴシ……
「どうだ? 言葉、気持ちいいか……」
「はい……誠くんがHなことしないから、気持ちいいです」
「うぅっ……」
今日の誠くん、なんだか『うぅっ』言ってばかりで、少しかわいそうです。
だからちょっとだけ……
ほんのちょっぴりだけ……
本当の気持ち……
「冗談です。本当は誠くん……すごくあったかいです……」
「そうか……。それじゃ、言葉。これからは俺のことを『あなた』と呼んでくれないか」
「どうしてそうなるんですか?」
当然の疑問に、私は誠くんを問いただします。
「いや……。やっぱり言葉みたいな可愛い彼女に、『あなた』と呼ばれたいのは、
彼氏の夢というか……」
「………」
言葉みたいな可愛い彼女……
そんな風にストレートに言われてしまうと、なんだかとっても恥ずかしいです。
大好きな誠くんにそんなこと言われたら、なんだかすごく恥ずかしくて……
でも……
とってもうれしいです。
だから……
「じゃあ……ほんの少しだけですよ……」
「あぁ……」
なんだか真剣な顔して、誠くん……
そんな顔で私の方をじっと見つめています。
あまりに真面目な顔をしてるので、なんだか緊張してきました。
たった一言、『あなた』……
そう言うだけなのに、頬が火照っているのがはっきりとわかります。
200名無しさん@ピンキー:2008/02/17(日) 21:49:23 ID:KzknvHN3
でも……
どんなに恥ずかしくても……
やっぱり……
大好きだから……
「あ……あなた……」
笑顔と……
ありったけの大好きを込めて……
私、上手に言えたでしょうか?
誠くんは満足してくれたでしょうか?
「言葉……もう一回」
「嫌です」
「なんでだよ……言葉、もう一回」
「誠くん……どうして、最初に『もう一回』が来るんですか?
 もっと最初に……『良かったよ』とか、他に言うことはないんですか?」
そう……
私は誠くんのその一言を楽しみにしていたのに……。
「良かったよ」
取り繕うかの様な誠くんのセリフ……
でも……
「もう遅いです」
ザバァァァァァ……
最初に誉め言葉が返ってくると思って頑張ったのに、誠くん酷いです……。
だから私は頭についたシャンプーの泡を流して、さっさとお風呂の中に入ってしまいます。
201名無しさん@ピンキー:2008/02/17(日) 21:49:54 ID:KzknvHN3
「言葉……身体洗わなくていいのか?」
「誠くんに洗ってもらわなくてもいいです。
誠くんが出た後で、また一人で洗いに来ますから……」
「そうか……じゃあ、俺も……」
ザバァァァァァ……
そう言って、私のいる浴槽に入ってくる誠くん……。
「………」
「………」
「言葉?」
「………」
「言葉?」
「………」
「言葉さ〜ん?」
「………」
「もしかして言葉、怒ってる?」
「当たり前です」
「だってさぁ……。もう一回言って欲しいくらい良かったから、そう言っただけなのに……」
それでも……
最初に……言ってもらいたかった言葉があるんです。
『言葉……可愛いよ』って……最初にたった一言、言ってもらいたかったんです。
そんな私の想い……
あなたは気付いてますか?
誠くん……
202名無しさん@ピンキー:2008/02/17(日) 21:50:51 ID:KzknvHN3
「あのさ……言葉……」
本当に……すまなそうに言う誠くん……。
「………」
「さっきはごめんな……。なんか怒らせちゃって……」
「………」
「でも……」
「俺……女の子の気持ちになかなか気付いてあげられない様な、鈍感な男だけど……」
「………」
「俺……」
「言葉のことが好きだから……」
「俺……言葉のことが誰よりも好きだから……」
「だから……」
「あっ……」
強引に奪われた唇。
だけど……
それはとてもあたたかくて……
誠くんのぬくもりが……
誠くんの想いが……
とてもあたたかくて……
「これで許してくれないか? 言葉……」
「……はい……」
そんな小さなことで怒っていた自分が子供みたいに感じられました。
だから……
「誠くん……」
「ん?」
「ごめんなさい。こんなことで拗ねたりしちゃって……なんか私、子供みたいです」
「そんなことないさ……。それに……」
「俺……そんな言葉も大好きだから……」
「誠くん……」
私も……
私も大好きですよ……
ちょっぴりHな誠くんも……
ちょっとだけ強引な誠くんも……
そしてとっても優しい誠くんも……
みんなみんな大好きです。
みんなみんな大好きな、誠くんです。
だから……
たくくんの想いをいっぱい詰め込んで一言……
「私も……そんな誠くんが大好きです」

あなたとお風呂 完
203名無しさん@ピンキー:2008/02/17(日) 22:31:57 ID:BRWyqInG
ネット上に、伊藤誠の女バージョンの「伊藤真琴」と災厄の男にしてスクイズの
悲劇の最大の元凶でもある「沢越止」の二人の生活を書いた『School Girls Days』
話が存在するのですが、今のところEx2と断章しか見つからなかったのですが、
なかなか面白いので興味があったら呼んでみてください。
204woodchuck:2008/02/17(日) 22:36:50 ID:gcMtzJAF
>190の続きです

「ことのは・・」
「はい 何ですか まことくん」
さんざん言葉に圧倒された後、暫くして冷静を取り戻してから誠は話しかけた。
「今日は映画をみて 本屋さんへいって それから食事・・」
「はい!」満面の笑みである

誠は言葉の笑顔がまぶしかった そしてその笑顔を見てやっぱり自分は言葉が好きなんだと誠は痛感した
最初言葉に惹かれて、世界にキスをされて世界に目移りして、言葉がよそよそしくて遠ざかって
今度はまた言葉に惹かれている・・・そんな自分がいやだと誠は思ったが
言葉の美しい姿、流れるような髪、愛らしい微笑みに抗うことなどできようもなかった。
どうしようもなく言葉に惹かれていることを自覚するよりほかなかった。

「でも食事をしたら そのまま家までおくるから」
「え どうしてですか わたしとお泊りするのはイヤですか?」戸惑う言葉
「いやじゃないよ 本当は一緒にいたい でも我慢してる やせ我慢かもしれないけど我慢しなくちゃいけないと思ってる」
今は世界のこともそのままだし、またここで流されてばかりだと、いずれ言葉をまた傷つけてしまう…

いつになく真剣な表情の誠をみて言葉もじっと見つめかえす
「どうしてですか?」
「今おれは、言葉が俺のこと心から信頼してくれているってわかってとても嬉しいんだ」
「はい こころから誠くんを信頼しています」
その言葉をきき、いつもの優しい誠の表情にもどる
「だからその信頼を大事にしたい あと言葉のご両親からの信頼も」
「・・・・」(唇をぎゅっとかみ締める言葉)
ずっと誠の服の裾を掴んでいる言葉の手を反対側の手で握り離すと
今度はしっかりと自分の手で包み込む誠、その手に力をこめてしっかりと握る
「昨日あんなことがあったんだ 俺といっしょと知ってても内心は絶対心配していると思う」
「・・・・」(上目遣いで誠をみる言葉)
この目はまだ納得してくれてないサインなんだろうなぁ
誠はなんとなく言葉のボディランゲージに慣れてきた
「でも家に送って行ったらおやすみのキスだけはいっぱいする それくらいはいいかな?」
「(・・・・・)」(真っ赤になってうつむく言葉)
あ・・落ちた・・言葉ってほんとうにかわいい 誠はそんな言葉を優しくみつめた

(俺はこれからも言葉を守っていけるだろうか)
(そのとき世界はどうなるのだろう)

誠はそう思うと少しだけ罪悪感を感じたが、今だけはそれを忘れることに決めた
デートなんだから相手のことだけを考えるのが礼儀だよな・・・・と

「さぁ時間もないし このまま行こうか」とちょっと早足で誠が歩き始める
照れ隠しに大またで歩く誠と少し距離ができてしまう。
あわてて「はい」といって小走りで追いかける言葉の姿はとてもけなげだった。
_____________________________________________
205woodchuck:2008/02/17(日) 22:38:28 ID:gcMtzJAF
デートの最中、言葉はずっと誠の腕をはなさなかった
何度も弾みで押し付けられる言葉の柔らかい胸の感触に最初はとまどったものの
言葉が誠の表情に気がつき「気にしてません」と言ってくれたのでそのドキドキを楽しむことができた
映画は言葉のお勧めのホラー物、誠は苦手だったのだが、
そこは男としてしっかりエスコートしないと・・・
・・・かなり頑張ったが手に握った汗だけはごまかせなかった
気づいた言葉が優しく微笑んでハンカチで拭いてくれた
「わたしもとってもドキドキしているんです」拭いた手をそっと自分の胸に当てる
暗がりのなか言葉が顔を近づけてそうつぶやく
誠はたまらなくなりその場で唐突に言葉に唇を重ねた。
「(あん まことくん・・・)」
「(ゴメン 帰るまで我慢ができなかった)」
「(まことくん あまり顔を近づけたままだと・・)」
ゴホンッ!ゴホン! となりと後ろから同時に聞こえた大きな咳払いで慌てて離れたが
ぎゅっと握った手だけは最後まで離さなかった。

そのあと榊野町の本屋街をめぐる二人
仲良く肩をならべて歩を進める
言葉は新書のコーナーでどれを買うか相変わらず迷っている様子だった
「ことのは?」
「・・・・」
反応がない
ほっぺたをつんつんとつついてみる
「(あ・・)なんですか まことくん」
「なんにも なにか気に入った本はあった?」
「いいえ ちょっと今の気分とはちがうかなぁって思ってたところです」
「もう少し見てるかい?」
「いいんですか? でもおなかすきませんか?」
時刻はは7時を回っていた
「まだ いいかな じゃぁ僕はその辺を一回りしてくるからゆっくりとみているといい」
好きな本を前に遠慮させるものどうかと思ったし
ずっと手をつなぎ続けているには自分の理性に限界を感じ始めたので
ちょっとクールダウンすることにする
「はい すみません」
言葉はちょっと嬉しそうだ
あいかわらず本屋さんにはいると根が生えるんだな(笑 と思ってぶらぶらを続行すると
ちょうど、以前言葉が気に入ったと言っていた絵本があったのでプレゼントすることにした
値段も丁度手ごろだし・・
言葉には内緒で買い、食事のときに渡そうと思う
206woodchuck:2008/02/17(日) 22:39:07 ID:gcMtzJAF
食事は榊野ヒルズの展望部分ににある有名なイタリアンレストランだった
ドレスコードが気になったけれどもギリギリセーフだったらしい
いつもの格好でなかったのが幸いしたのかな
もしかして言葉の顔パスなのかもしれないけど・・・
とりあえず案内された席に着くと先ほど買ったプレゼントをさっそく渡す

「いいんですか? 嬉しいです」
「うん 招待してもらったものには見合わないけど・・いいよね」
「ありがとうございます」

プレゼントのおかげか話がとてもはずむ
好きな本の話題から今聞いている音楽の話
誠の趣味がギターだと聞いて言葉はちょっとびっくりしたようだった
「ぜひ一度聞かせてください」
「う〜ん あまり上手じゃないけど それでもよければね」
普段誰にも聞かせないのだけれども言葉に頼まれると断れない誠だった
言葉の趣味は読書だけだと思ったら色々あるらしい
でも多くは両親から無理やりさせられたものだとはにかんで答える
さすがお嬢様だと思えるものから意外なものまで多数のラインナップだった
「へぇ・・言葉は武道までするのか」
てっきり運痴と思っていた(実際体育の見学をする姿を良く見ていた)が
居合いと弓道をすると聞いて感心した。
どちらも集中力の鍛錬にはよいのだと言葉が説明する
弓道は弦が風を切る音と矢がパシッって乾いた音で的にあたる音が気持ちよいのだそうだ
居合いの方は完全にお父さんの趣味の押し付けだと言う
「でも父はすごいんですよ 巻き藁をスパーんって一太刀で・・・」
「巻き藁ってあの時代劇で試し切りとかいって出てくる奴?」
「そうです そうです」言葉が説明を続ける
「父の知り合いに刀剣を扱ってる人がいて、以前素晴らしい刀が手に入ったって言ってうちにみえたことがあって・・」
言葉の話を要約すると、「古青江」という銘剣があってそれにお父さんが惚れこんでいるというのだ。

(余談だが「こあおえ」という時、言葉は毎回噛むものだから
ナプキンに文字で書いて教えてもらうまできちんとその名前がよくわからなかった。
名前のいわくについても話していたが以下割愛)

そしてそのお父さんが機嫌の良いとき、巻き藁を切って見せてくれたことがあってそれが先ほどの話なのだと・・
「父は女でも武道のたしなみは必要だっていって、わたし無理やりさせられていたんです。
さすがに中学までで勘弁してもらいましたけど、今でも道具は蔵に置いてあります。
心は今もさせられてまして、不満ばっかり言ってますよ ふふっ」と楽しそうに話す
誠の脳裏にふと「刀の錆にしてくれる」って台詞が浮かんだが
頭を軽く振って追い出すことに成功した。

楽しい食事時間もあっという間に過ぎてしまう
二人で食べたイタリアンのペアセットはサービスでポラロイド撮影がついていた
色々悩んだ末、お店の人に勧められるまま
二人仲良くひとつのドリンクを飲むところを撮ってもらうことにした
「はいチーーズ!」フラッシュの光がまぶしい しばらくして浮かび上がる二人の姿
誰がどうみてもかわいいカップルの姿にさすがに誠は照れくさくなってしまった
「これ、私が持っていてもいいですか?」と言葉が聞く
誠は眺めていた写真を言葉の手のひらの上におくと、赤くなった顔を隠すように残ったドリンクを一気に飲み干した
207woodchuck:2008/02/17(日) 22:40:31 ID:gcMtzJAF
食事を終えた後、約束どおり誠は言葉を家まで送り届けた
なんとなく歩くスピードが鈍る言葉だったが誠は手をしっかりとひいた
坂道にさしかかったところで肩を組むようにする
「もう夜は寒くなってきたから」
言葉はただ体を添えるようにして歩く
食事中はあれだけたくさんおしゃべりをしたのに
家に近づくにつれてだんだん無口になる二人
でもとうとう門の前まできてしまう

「(約束・・)」
言葉がいじらしい表情で誠を見上げつぶやく
誠は言葉の手をひき門灯の光が届かないところまでいき
そっと言葉の背中に手を回す
言葉もそれにあわせ誠の腰に手をそえた
それからたっぷり10分以上約束を果たす誠・・
 はむぅ・・あぁん・・ちゅ・・
言葉は控えめだけれども誠の動きを邪魔しないで全部受け止める
ふたりの動きは完全に一体化している
でも最後は塾から帰ってきた心とその親友卯月に邪魔されるのだった
卯月ちゃんは週末を利用して桂家にお泊りに来たところだった

「うわあああああぁぁぁあぁ お姉ちゃんが家の前でキスしてる!!」
「(・・・・・)」卯月ちゃんはびっくりして無言である
「あのね卯月ちゃん あのお兄さんはお姉ちゃんの彼氏で誠くんだよ 誠くんはとっても優しくてね・・・・」
「(は・・・・?)」心を見つけたとたんまっかになる二人
誠と言葉は慌てて一歩離れる
すかさず誠は撤収作業に取り掛かる
「じゃぁ今日は楽しかった ありがとう言葉 おやすみぃぃ」
といいつつもさらに一歩一歩後ずさる

「えええもう帰っちゃうの? ダメだよう お父さんとお母さんにも会わなきゃ」
あわてて心が追いすがり誠の服の裾をひっぱる
こんな仕草も姉妹で似るのか?などと誠は思うが
「いや もういい時間だし その、毎晩お邪魔するわけにもいかないわけで」
っと形式的な断りをいれてみる
「いいのいいの 今日は卯月ちゃんも来ることになってるんだから
誠くんが増えたってかまわないってば!寄って行かないと今見たこと全部お父さんに報告するからね」
ここを交渉のしどころと一気にまくし立てるこころ。
「(・・・・・)」(それはまずいぞ心ちゃん)無言の誠
さっき頭をふって追い出した台詞が頭をよぎる。
「こころぉ! そんなこといって誠くんを困らせないの!」
さっきまで呆然としていた言葉が、正気を取り戻して姉として注意をする。
「いいの?おねぇちゃん そんなこと言うと、心ちゃんは悲しくなっちゃって口がすべるよ きっとすべると思う」
「(・・・・・)」
言葉はしたを向き唇をかんでいる
心ちゃん・・自分で「ちゃん」づけはないろ?っと突っ込みたくなるのを我慢する
もうこうなった心ちゃんは誰にも止められない

無言の言葉は手を伸ばすと誠の上着のすそを引っ張る
(やっぱり同じだ)誠は場違いに笑い出しそうになる
「ああ 仲がいいんだ! もう新婚のカップルみたいだよ 卯月ちゃん」
そんな言葉をこころちゃんが見逃すわけがない
卯月ちゃんはなんと言っていいかわからない様子だ
これがトドメを刺したようで言葉は顔全部を真っ赤にして顔をあげる気配がなくなった

「わかったよ 今日のお礼も言わなくちゃならないし、少しよらせて貰うよ」
「いいかな言葉」  最後は誠が折れた
言葉はとっても嬉しそうだった
_________________________________<咲き乱れる気持ち 了>_
208名無しさん@ピンキー:2008/02/17(日) 22:46:36 ID:BRWyqInG
もしも、伊藤誠が女の子で沢越止と住んでいたらの話。

School Girls Days 断章

 真琴と鬼畜親父ののどかな朝

 ピピピピピピピ……

 机の上に置かれた携帯電話のアラーム機能が作動し、朝を告げた。ベッドの上から伸びた手が、それを止める。
「ん〜〜〜……」
 盛大に息を漏らしつつ、部屋の主である少女――伊藤真琴は布団をのけて、ベッドの上で伸びをした。
「ん……今日もいい天気」
 カーテンの隙間から漏れる日の光に目を細め、微笑むと、真琴は着替えを始めた。パジャマを脱ぎ、綺麗にたたむと、鍵付きのクローゼットに仕舞い込む。そして代わりに学校の制服を取り出し、手早く着替える。寝起きはいいらしく、寝ぼけたところはない。
 クローゼットに鍵をかけると、真琴は3分ほどかけて部屋の外に出た。そして、3分ほどかけて部屋をロックする。何をしているかと言うと、異常なほどたくさんの鍵が彼女の部屋についているためだ。
 ドアには「真琴の部屋。立ち入り禁止。特に父さんは入ろうとしたらコロス」と書かれている。ご丁寧にも、鉈で唐竹割りという猟奇なイラスト入りでだ。もっとも、真琴の絵心のためか、モチーフの割には怖くはないが。
 
 部屋を出た真琴は、廊下を進んでいくと、別の部屋の前に立った。ドアには「止」と書いた看板がかかっている。「STOP」と言う意味ではない。部屋の主の名前である。
 真琴は少しためらった後、部屋のドアを開けた。
「父さん、朝よ。起き……ふんっ!」

 めごしっ!

 挨拶の途中で、部屋の中から真琴に向かって飛び掛ってきた影があったが、真琴は慌てず、手にしたバールのようなもので、その影を殴り倒した。
「ぬおあああああぁぁぁっっ!?」
 側頭部を暴打され、激痛にのた打ち回る影を見下ろし、真琴は冷たい声で言った。
「……今朝も無駄に元気ね、父さん」
 すると、影……真琴の「父親」であるところの沢越止(さわごえ・とまる)はすっくと立ち上がり、娘に向けて腰を突き出すような妙なポーズをとった。
「うむ、精力が有り余って仕方ないぞ。今朝もこいつがお前の中に入りたいと哭いて……」
 真琴は皆まで言わせず、父が突き出した股間の怪しげな膨らみを、バールのようなものでストライクした。
 止は轟沈した。

 
209名無しさん@ピンキー:2008/02/17(日) 22:55:19 ID:nKEZbkEg
>>203
>>208
なんのつもりかは知らんが、やめろ
作者本人ならともかく、なんでもないやつが勝手にうpするんじゃない

勝手に作品を晒すなんてテロみたいなもんだぞ
それにageるんじゃないよ、このバカ野郎
210名無しさん@ピンキー:2008/02/17(日) 23:03:23 ID:KzknvHN3
>woodchuck様
ありがとう。嬉しくて涙が出てきてた・・・
俺達言葉好きはこんな展開を心からのぞんていたんだよ・・・
あの屑ルートから言葉を救ってくれてありがとう・・・
211名無しさん@ピンキー:2008/02/17(日) 23:07:17 ID:vnucKaI0
>woodchuckさま
サブタイトルの位置変更、うまく働きましたね。
とくに、もし、<氷解>というサブタイトルがアタマに出てきてしまうと、
いい意味でのハラハラ感が台無しになってしまうところでした。
一層、続きが楽しみです。

>「ショート1」作者さま
「私に付き合ってって、好きって言って下さい!!」 なんて
ひねくれた告白よりも、ストレートな告白の方が余程簡単だろうに…。
でも、乙女ならありそう。作者さまの設定の勝利と言えましょうか。

>markさま
3人娘は、言葉苛め以外となるとほとんど印象がないが、
それだけに意外と自由な展開があり得るかも。
ともあれ、GJ。

212名無しさん@ピンキー:2008/02/17(日) 23:07:47 ID:vnucKaI0
>195さま
ううっ。
描写を意図的にカットしているせいか、余計に怖い。
ともあれ、GJ。
でも、一日の最後に読むのがコレだと、寝付き悪くなりそう(苦笑)。  

>「あなたとお風呂」作者さま
あ、甘い、甘すぎる(砂吐)。
特に、「もう一回」という反応で拗ねるところとか、
もう破壊力満点です。
今回は、頭でなく魂がコメントします。
ごちそうさまでした。(フォント倍角)
213名無しさん@ピンキー:2008/02/17(日) 23:25:10 ID:vnucKaI0
>woodchuckさま(追記)
<咲き乱れる気持ち>拝見しました。
そう、すべてはこの時のためにっ!!
…すみません、取り乱しました。
世界との関係等、まだまだ見せ場が続くのでしょうが、
ともあれ、一言だけ言わせて下さい。
ごちそうさまでした。(フォント倍角)
214 ◆Z1avlYLVtI :2008/02/18(月) 00:09:16 ID:5TSlpvMn
他の職人の皆様方、GJです。

さて、今晩は。
彼女だけの彼・その後 の後編を投下します。
それではいきます。
215彼女だけの彼・その後〜13〜 ◆Z1avlYLVtI :2008/02/18(月) 00:10:28 ID:5TSlpvMn
 誠によるケジメの付け方を受け、事情を全く知らない一年三組の一同は、普段は大人しいというか覇気のない
主体性のない誠の突然の行動に戸惑いを隠せなかった。
 そのためなのか、四時間目が始まっても多くの生徒たちは誠へとチラチラと視線を送っていた。

 そしてそのような浮ついた空気のなかでの授業も終わり、昼休みがやってきた。生徒たちの憩いの時間である。
 誠はいつものようにして、ポーチに入れた弁当を携えて教室を出て、言葉のいる隣の四組へと向かった。
 誠自身も、自分が先ほどの授業中から注目を浴びていることは自覚していた。そのようななかで言葉を招き入れて
三組で昼食を摂るのは、憚られた。せっかく元気を取り戻してくれつつある言葉を、級友たちの自分に向けられている
好奇の目に共に晒すことはしたくなかった。
 それに、誠が自分なりにケジメをつけたと考えていても、言葉にしてみれば澤永の姿を見るのは、まだ微妙だろう
ということもある。
 一週間後に彼女と本当の恋人同士になるまでに、言葉にとって精神的な負担となるようなことはなるべく避けられる
ことは避けようと、誠は静かに誓うのだった。

 廊下に出ていた言葉が微笑を浮かべて誠を出迎える。そのままに四組で食べようと告げて彼女も了承して、言葉の
席へと行く。
 そして、二人で仲良く隣り合って席へと着き、二人でこしらえてきた弁当を広げた。
 当初、一ヶ月前の頃は隣のクラスからのこの来訪者に対しての、四組の人間の反応は微妙なものだった。
 とはいっても、昼休みをどこの場所で過ごそうがそれは自由なのだから、それも自分たちのクラスメイトである
桂言葉と食事をする光景を目にしていくうちに、
 『ああ、あの二人って付き合ってるんだ。それなら、一緒にご飯食べたいよね』
と都合よく解釈してくれて何事もないようになっていった。

 ちなみに、三組に言葉が来る場合も同じようなものとなっている。もっともこちらでは、甘露寺七海を始めとした
言葉を虐めていた人間たちは気まずさと居心地の悪さに耐えかねて、昼休みになるとどこかへと逃げるようにして
消えるようになっていた。
 そのなかにはもちろんながら、西園寺世界も含まれている。あの一件で誠が担任の山本教諭に席替えを訴えたこと
により、誠と世界は隣同士から遠く離れた席へと変わった。
 あれ以来、誠は宣言したとおりに世界と会話を交わしていない。さすがに露骨に避けるようなことはしないが、
そこに誰もなにもいないというような――そこにあるのは空気であるというスタンスを取っていた。
 おそらく、たぶん……いや、絶対に誠が世界を許すときはこないだろう。例え、世界が和解をどんなに切望したとしても。
 今朝のことで、より一層に言葉への想いを深めて、誰が大切なのかということを改めて自覚した誠が、揺れることは
もうないのだから――。
216彼女だけの彼・その後〜14〜 ◆Z1avlYLVtI :2008/02/18(月) 00:11:19 ID:5TSlpvMn
さて、四組での誠と言葉の昼食の席へと舞台を戻そう。
 弁当の出来は誠による監修のかいもあり、上々なものだった。学校に来る前にてコンビニに立ち寄って買い求めてきた
ペットボトルのお茶を飲みつつ、会話を弾ませながら箸を進めていっていた。
 「……あれ? 誠くん」
 「んっ、どうかした?」
 ほんの僅か前まで顔をほころばせていた言葉。しかし、誠の顔に異常を見つけて、その笑顔は次第に曇っていった。
 「ほっぺたが赤くなってて、ちょっと腫れてます。どうしたんですか?」
 「ん、ああ。授業中に居眠りしようとした自分への自戒とお仕置きにね。自分で殴ってみた」
 とっさにごまかしていた。決して褒められることではない。それは、恋人へと嘘をついたということに他ならない
のだから。だが、これはついてもいい――ついたほうがいい嘘だと解すべきだろう。
 「…………」
 言葉はなにごとか思案している様子だった。一方の誠は弁当へと意識を戻して、それを咀嚼していった。
 「誠くん」
 なにごとかを思いつき、ぽんっと両手を軽く合わせた言葉が、くいくいと誠の袖を引っ張る。
 「なに?」
 「ちょっと目を閉じてください」
 「? ああ」
 要求通りに従う。
 次の瞬間――。頬にちゅっと瑞々しい唇の感触が訪れていた。
 「……っ!?」
 赤くなっていない反対の頬も染めていく誠。恋人の反応を楽しみつつ、言葉はにこにこと微笑んでいる。
 「痛そうなので、早く治るようにおまじないです」
 「お、おまじないですか」
 「はい」
 変わらず微笑姿の言葉。自分が結構なことをしてしまったという認識はないらしい。
 『うわっ、桂ってダイタン……っ! あんな大人しそうな顔してるのにっ』
 『やっぱアレだよ。もういろいろヤっちゃって深い仲なもんだから、かるーいスキンシップぐらいの
 意識なんだよ』
 『だよねー。桂、普通ににこにこしてるもん』
 『変わるものなんだね、男ができると……』
 『あーあ。私も彼氏ほしいなー。あと一週間であれじゃん』
 『うっさい! それをゆーなっ!』
 『どうせどうにもならないんだって。皆で集まって遊ぶしかないんだよ、きっと……』
 『うっさい! それもゆーなっ!』
 離れた席で彼氏のいない言葉のクラスメイトたちが、キャーキャーギャーギャーと騒いでいる。羨望の眼差しで見るよりも、
ネタの一つとして楽しんだほうが有益だと判断したようだ。
 もっとも、若干数名はやはり妬ましいようであるが。
 (ときどき考えつかないようなことをやるよな、言葉って……)
 「? どうかしました?」
 「なんでもない」
 一年四組の昼休みは、いつにもまして賑やかなものへとなっていっていた。
217彼女だけの彼・その後〜15〜 ◆Z1avlYLVtI :2008/02/18(月) 00:12:26 ID:5TSlpvMn
 本日最後の授業を終え、榊野学園には放課後の時間が訪れていた。部活に入っている者はそれぞれの活動場所へ、
そうでない者は、やっとやってきた自由に過ごせる時間を思い思いに過ごすことになる。
 後者である誠と言葉は、今日も連れ立って学校をあとにする。どこぞへかと寄り道にでも誘おうかと考えた誠は、
ふと頭に浮かんだことを提案してみることにした。
 「ねえ、言葉」
 「はい」
 学校から駅までの道をのんびりまったりと歩いていく二人。彼らの間に穏やかなときが流れていく。
 「今日、これから言葉の家に遊びに行っていいかな?」
 「……えっ」
 ぱたっと足を止める言葉。その瞳は潤み頬は上気していく。一週間後と言わず早くも誠がその気になってくれたのかと、
その顔は雄弁に語っていた。
 それに、誠が自分から遊びに来たいと言ってきたのは初めてである。言葉は期待せずにいられなかった。
 「い、いや、違うんだっ。今夜夕飯を一緒に食べられないかなって」
 「お夕飯を、ですか?」
 「うん、そう。ほら、この前に遊びに行ったときさ、心ちゃんが俺のハンバーグを食べたいって言ってくれただろ? 
 今日、駅前のスーパーで国産のブランド牛をふんだんに使ったいいひき肉が特売なんだよ。あれでやったら
 きっとすごく美味いやつが作れると思うから」
 「……がっかりです……」
 「えっ?」
 ぼそっと呟いてあからさまにため息をついてみせる。しかし、自分の提案が受け入れてもらえるか気が気でない
誠は気付いていない。
 気を取り直し、言葉は頬に手を寄せておっとりと妹の今日の予定を思い出していた。週で一番習い事が少ない日で、
そう遅くない時間に家に帰ってくるはずだ。
 「あっ、そうか。心ちゃんがいないと意味ないんだよな……」
 「大丈夫ですよ。心、今日の帰りは早いですから」
 「えっ、本当?」
 「はい。だから、姉妹揃って誠くんのことを大歓迎しちゃいます」
 「よかった……って、げっ。もう四時前じゃないか!」
 「えっ?」
 「その特売って夕方四時からのタイムセールなんだよ。早く行かないと、おばさんたちに全部持って
 いかれちまう!」
 「えっ、あっ、誠くん……っ!?」
 言葉の手を引いて誠は、駅前へと走り出していく。それにより言葉も走ることとなった。
 運動はあまり得意ではない言葉だが、繋がれた手のあたたかさが嬉しく、愛らしい笑顔を浮かべて彼氏へと
ついていった。

 無事に目的のひき肉を確保し、その他のハンバーグの材料を揃えると電車に乗って二人は桂家へと向かった。
 家に着くと早々にエプロンを装着して、二人して料理に取り掛かる。本日二度目の共同作業だ。
 準備を終えて心の帰りを待つ誠と言葉。言葉の話の通りに、夕方六時前に帰宅した心は我が家へと来てくれた
客に大喜びであった。
 しかし、自分は一緒にクッキングタイムへと参加できなかったことだけについては、少しばかり不満そうであった。
 
 この日の夕飯は、実に賑やかなものに終始した。両親が共に仕事で多忙なため、家での食事だと姉妹二人きりか、
もしくは妹の習い事のために、それぞれ単独でという味気ないものが多かったからだ。
 普段は年配のハウスキーパーさんが来て掃除から食事まで面倒を見てくれるのだが、二人よりも三人、それに
父親以外の男性との夕食というのは新鮮なものであったらしい。
 連れてきた彼氏に妹が過剰にじゃれつくことだけは、姉にとって不満であったようだが。
 
218彼女だけの彼・その後〜16〜 ◆Z1avlYLVtI :2008/02/18(月) 00:13:19 ID:5TSlpvMn
 「えーっ、もう帰るのー? もっと遊ぼうよー」
 お暇する時間になったため、誠を玄関まで見送りにくっついてきた桂姉妹。その妹のほうが誠の手をとって
不満げにしつつ引き止めようとしてくる。
 「ごめんね。もう遅いし、それにちょっと用事あるんだ」
 「そうよ、心。誠くんを困らせちゃダメよ」
 言葉はさりげなく二人の間に割ってはいる。こころなしかその表情は固い。誠にベタベタする妹にどうやら
お怒りらしい。
 「そうそう。ひき肉たくさん買えて多めに作れたから、よかったら明日も食べて。電子レンジで温めるだけで
 大丈夫だから。それと言葉」
 「はい」
 「ソースは二つ作ったんだけど、今夜使っていないやつは冷めても美味しいやつなんだ。それを使ってくれれば、
 明日の弁当のおかずにもなると思う。明日、詰めてきてくれると嬉しいな」
 「はい、わかりました。でも、結構大きかったですよね」
 「明日、二人で半分こにしよう」
 「は、はいっ」
 「……むー」
 姉とその恋人が醸し出す親密な空気に心は面白くなさそうだった。柔らかそうなほっぺたを膨らませて
むくれている。
 「言葉」
 すっと言葉を抱き寄せて目を瞬かせて驚いている彼女に口付けをする。
 「……っ」
 「それじゃ、おやすみ。心ちゃんもおやすみ」
 ドアを開けて出て行った誠を呆然としつつも、言葉はうっとりとして頬を染めて見送る。
 「やらしーっ……。ふう。ねえ、お姉ちゃん」
 「な、なに?」
 「一緒にお風呂入ろ。それと、今夜……ううん。しばらくの間一緒に寝てほしいな」
 「えっ、心、どうしたの?」 
 年齢の割には大人びた面を見せる妹からの突然の申し出に驚く。何年か前までは甘えん坊だったのだが、
今ではこのようなことを口にしてくるのはとても珍しいことだった。
 「えっとね、今日、友達にね……。怖い話を聞かされちゃって、ちょっと一人で寝るのは怖いかな、なんて……」
 「…………」
 挙動不審になりながらに、たどたどしく説明してくるところを見て合点がいった。
 昨夜、言葉が悪夢にうなされていた。それならば一緒に眠れば、少しは気が紛れるのではないかと考えた
ようだ。
 「心。ありがとう……」
 まだ体の小さい妹をぎゅっと抱いて感謝のことばを伝える。
 「な、なんでお姉ちゃんがお礼言うの。一緒に寝てもらうわたしが言わなきゃいけないのに」
 「……そうね」
 「ほら、もうお風呂入ろ。いつまでもこんなとこにいちゃ風邪ひいちゃうよ」
 「ええ」
 妹は姉の手を引いて家へと戻っていく。二人とも表情が柔らかかった。
 今夜、いや、しばらくの間は言葉はこれで悪夢にうなされずに済むことだろう。
219彼女だけの彼・その後〜17〜 ◆Z1avlYLVtI :2008/02/18(月) 00:14:03 ID:5TSlpvMn
桂邸を後にした誠は駅へと走っていた。目的地は自宅ではない。彼にはこれから行くべきところがある。
 ポケットに入れておいた携帯電話から着信があった。走り続けながらも、電話に応対するためにそれを取り出して
通話ボタンを押す。
 「は、はい。……ええ。今そっちに向かってます。大丈夫ですよ。……ええ、全力で走っていきますから。
 は、はい。また後ほどに」
 簡単に会話を終えて携帯を戻し、先ほどよりもスピードを上げる。
 誠は暗く寒い夜道を疾走していく。
 まだしばらく頑張らなければならない。だけども、この時間も愛しい彼女のことを思えばと考える誠にとっては、
決して苦になることではなかった。

 場所はまた戻って、桂邸――。
 姉妹二人での入浴を終えて、言葉は自室にて心の宿題を見ていた。
 「ねえ、お姉ちゃん」
 「なに、またわからないところ?」
 妹を机に向かわせて、自分はその隣に椅子を持ってきて腰を下ろし、文庫本を開いていた言葉は顔を上げて
心へと目を向ける。
 「そうじゃなくて。楽しみだね、クリスマス」
 「クリスマス?」
 「やだなー、お姉ちゃん。あと一週間でクリスマスイブだよ。今年はどんなプレゼントもらえるのかなー」
 教科書とノートから顔を上げた心は、両足をぷらぷらさせながら楽しそうに笑顔を見せていた。
 「そうか、一週間後ってクリスマスだったんだ。……誠くん」
 「お姉ちゃん?」
 今朝方はよくわからなかった誠からの約束。夜遅くなっておぼろげながらではあるものの、恋人の真意が
言葉は理解できてきたような気がしていた。
220彼女だけの彼・その後〜18〜 ◆Z1avlYLVtI :2008/02/18(月) 00:17:20 ID:5TSlpvMn
誠が指定した一週間後――。
 それはクリスマスイブだった。いつものように誠と言葉は一緒に下校して、一旦それぞれの自宅へと帰った。
 それから改めて誠は桂家に言葉を迎えにいった。
 二人は電車に乗り、榊野町をへと足を運んだ。
 言葉は、今日はそういうことをする日だと聞かされていたため、期待と緊張をしてこの一週間を過ごしてきた。
 誠も言葉も余所行きの服装だ。言葉は言葉で、普段よりも力を入れておめかししている。
 年若い恋人たちで溢れる今夜の榊野町。ふと周囲を見渡せば、手を繋ぐだけではなくて仲良く腕を組んでいる
カップルの姿も多く目に付く。
 言葉は勇気を出して彼らに倣い、誠の腕に自分のそれを絡めてみた。そっと上目遣いに様子を窺ってみる。
 誠はやや驚いた表情を見せてきたものの、笑顔でより強く腕を組んでくれた。
 なかなかに初々しいこの二人。クリスマスイブの始まりは上々のようだった。

 「ここって……」
 「榊野ヒルズのホテルだよ」
 「はい、それはわかってます。でも、どうしてここに……?」
 ホテル内へと入り、誠は予約していたということを告げると、本人確認をと求められて学生証を差し出した後に、
受付係りからキーをもらうとエレベーターへと言葉を伴っていく。
 三階で止まり、キーに刻印された番号を確認した誠たちは、部屋を見つけて鍵を開けて入っていた。
 部屋の照明を点してコートを脱いでハンガーに掛けて、持ってきたバッグをテーブルへと丁寧に置いた。言葉も
誠の視線に促されて同じようにする。
 誠がベッドへと腰を下ろしたことにより、スプリングが軋んでいく。手招きされて言葉も横へと座った。
 「しっかし、普通の部屋っぽく見えるんだけど。これで十万円だもんなー。榊野ヒルズのブランド料って
 ことなんだろうけどさ」
 室内を値踏みするようにしてジロジロと見渡していく誠。
 「は、はあ」
 「俺さ、言葉と出会った頃は、ただ言葉に触りたいってエッチなことばかりに囚われてた。でも、また
 やり直すことになってからは考えが変わったんだ。
 言葉は俺が守る。傷つけるようなことはしないってね」
 「…………」
 「言葉がそういうエロいことに嫌悪感を持っているのは、ちゃんと理解できたから。だから、言葉が本当に俺を
 信頼して身を任せてくれるまで待とうって。ときどきそういう空気になったこともあったけど、言葉、目がどこか
 怖がっているように見えてたから」
 「そう、ですか……」
 今にして思えば、そういうことをさせないとまた捨てられるのではないかと、言葉は恐れていたところもあった。
 誠はしっかりと言葉のことを見てくれていたようだ。
 足をぶらぶらとさせながら尚も誠は続けていく。
 「で、せっかく初めてのエッチをするんだから、思い出に残るようなところでしようって思ったんだよ。なかなか
 苦労したよ。頼み込んでキャンセル待ちに食い込ませてもらって、毎日何度も何度も確認の電話かけまくって。
 今日が空かなかったら家に招くつもりだったんだけど、よかったよ。ぎりぎりまで粘ってさ。
 榊野ヒルズで過ごすクリスマスイブ! 悪くないだろ?」
 「あの、お金は……?」
 「なけなしの貯金をはたくことにしたんだ。でもそれだけじゃ足りなくて。深夜バイトに励んでた」
 「じゃ、じゃあ、夜に電話に出てもらえなかったのって……」
 言葉の大きな黒い瞳が潤んでいく。
221彼女だけの彼・その後〜19〜 ◆Z1avlYLVtI :2008/02/18(月) 00:18:25 ID:5TSlpvMn
「お金を用意するために、せっせと働いてました。それとこれ」
 ズボンのポケットをまさぐって、ラッピングされた小さな箱を取り出し、言葉へと握らせる。
 「開けてみて」
 「は、はい」
 赤いリボンと包装を解いてなかから現れたものは、小さな宝石箱だった。
 言葉は手が震えるのを自覚しつつも開けていく。
 そこには二つのシルバーリングが入っていた。同じデザインのものであり、ペアリングらしい。
 「今すぐは無理だけど、言葉、結婚しよう」
 「……っ」
 「俺、今は物足りないところばっかりだと思う。だけど、いつか言葉に相応しい男になってみせる。だから、
 ずっと一緒にいるために結婚してほしい……じゃないな。俺と結婚してください」
 誠は立ち上がってすっと頭を下げ、そして右手を差し出す。
 「私で、いいんですか……?」
 「うん、もちろんだよ。っていうか、ここで振られようものなら、俺生きていけないよ?」
 「……はい。私を、誠くんの、お嫁さんに、してください……っ」
 言葉もベッドから腰を上げて、顔を上げた誠へと飛びついて、唇を重ねていった。
 言葉は泣き顔と笑顔が混ざったよくわからない表情ではあったが、誠にはそれすらも美しく映っていた。


 せっかく素敵な部屋を用意してくれたのだから、言葉は自分自身も綺麗に――身を清めて誠に抱かれたいと
訴えた。誠も快くそれを了承してくれた。先に風呂を済ませた誠はベッドで待っているはずだ。
 言葉は胸が高鳴るのをはっきりと感じていた。待ちに待った時間がいよいよ訪れる、そう思うだけで胸は
いっぱいとなり、そして鼓動は激しさを増していく。
 バスローブを身に纏い、浴室を出る。顔を上げて胸を張り、しっかりとした足取りで戻っていった。
 言葉に気付いた誠は顔を赤らめていった。普段から美人だし可愛いと何度も思っていた。
 誠の前に現れた言葉。
 風呂上りのためにその白い肌は薄い桜色になっており、艶かしい雰囲気を出していた。
 立ち上がって出迎えた誠。息遣いの感じられる近くまできて、言葉は足を止めて顔を上げて見詰める。
 言葉はふとサイドテーブルに置いてある宝石箱へと視線を送った。
 「あの、誠くん」
 「な、なに?」
 「私の左手の薬指に指輪をはめてもらえませんか?」
 「あっ、そっか。そうだな。じゃあ俺には、言葉がはめてくれる? もちろん、ここね」
 先に誠から言葉の手を取り、そのほっそりとしている薬指へとリングを通していく。続いて言葉が誠へと自分に
してもらったことをした。
 誠は照れくさげにしながらその指先を見る。言葉はぽーっとした面持ちにて左手に輝く白銀の指輪を見詰める。
 「よかったよ。アクセサリーショップの店員さんに言葉の体格のことを話したら、このサイズでぴったりだと
 思うって言われてたんだ。ぴったりみたいで、よかった」
 「……はい、ぴったりです」
 「あとね、ネックレスにするチェーンもオマケしてもらったんだ。さすがに学校にははめて行けないだろ?
 でもネックレスにすれば、肌身離さずに身につけられる。それは家に置いてきちゃったから、明日にでも
 改めて届けるよ」
 「誠くん」
 「うん?」
 「ずっと……一緒ですね」
 「ああ。ずっと一緒だ。もう絶対に離さないからな」
 誠は優しく言葉を抱き寄せて、そっと彼女の唇へとキスをしていった。
222彼女だけの彼・その後〜20〜 ◆Z1avlYLVtI :2008/02/18(月) 00:19:28 ID:5TSlpvMn
理想のデートスポットの上位へとよく挙げられる榊野ヒルズホテル。二人が今夜宿泊するのは一番安いクラスの
部屋とはいえ、ベッドはなかなかに豪奢なものであった。
 ちなみに言葉は、以前に家族でこのホテルの最上階に存在するロイヤルスウィートへと宿泊した経験がある。
 そこに比べれば、広さも内装も文字通りに天と地ほどの差がある。だが、言葉にとってそのようなことは
些細なことでしかない。
 愛しい誠が自分のためにと夜遅くまで働き、苦労して用意してくれた場所なのだ。それを思うだけで胸は
満たされ、あたたかい気持ちでいっぱいになる。
 言葉は生涯忘れることはないだろう。それだけ深く感動をしていた。

 そこへと腰掛けて、手を重ね合わせている誠と言葉。二人とも緊張しているようである。
 それもそのはずだろう。今夜は将来を誓い合った二人にとっての初夜なのだから。
 「えっと、よ、よろしくお願いします……」
 「あ、う、うん。俺こそ、よろしくね……」
 すっと瞳を閉じて瑞々しさと可憐さを併せ持った唇を差し出してくる。両手を言葉の肩へと置き、誠は
そこに誘われていき口付けていった。
 「んっ」
 唇同士が軽く触れ合うだけのバードキス。当然、若い二人がその程度で満足できるわけなどなく。まずは
誠が舌で言葉の唇をなぞっていき、おずおずと差し出されてきた言葉と舌を絡めあう。
 ぴちゃぴちゃといやらしい水音が室内に響き渡っていく。
 「くちゅん、んっ、ふぅうん。あふんっ」
 誠はか細い肩から移動して頭を抱き、言葉は細身に見えながらも意外とたくましい腰へと腕を回していった。
 「んっ、くっうぅぅ、あぁ」
 言葉の頭を撫でていた誠は、今度は華奢な背中へと持っていき愛撫していく。優しい、優しい愛しかただった。
 以前の誠であったら自分の肉欲へと忠実に従い、言葉をあっさりと押し倒していったことだろう。しかし、今の
誠は違う。丁寧に口付けを交わしながら言葉の身体をゆっくりと撫ぜていき、言葉の性感を徐々に呼び起こして
いくようにと苦心している。
 (誠くん、優しい……。私に気を遣ってくれているんだ……。嬉しい、な)
 「ちゅっ、ふぅぅん、ふぅあぁぁっ」
 誠も言葉も瞳を閉じてお互いの口内を夢中でまさぐっていた。口唇、白い歯、歯茎。飽きることなどなく、
淫らな舌戯を楽しむ。
 「言葉、俺に言葉の唾呑ませて……」
 「は、はい……」
 自分の唾液を喉を鳴らして美味そうに呑んでくれる。堪らなく興奮する。今度は言葉が誠の唾液をねだっていく。
 恋人の口から渡されていくそれは、ただただ甘いものだった。

 バスローブをゆっくりと脱がせていく。
 白く大きな乳房とその頂点に位置する淡い桜色の乳首。平らで滑らかなお腹に可愛らしいおへそ。きゅっと
括れたウエスト。胸とは対照的にまだまだ未成熟さが目立つお尻、しかしながら年頃の少女らしい清楚さと
思わず触れてしまいたくなるような魅力を放っていた。
 「ま、まことくん……?」
 言葉は誠からの熱すぎる視線を全身に浴びたことで、身じろぎをした。
 「ご、ごめんっ。その、綺麗だなって。もっと気の利いた台詞を言えればいいんだけど、これしか出てこないや。
 言葉……」
 「は、はい」
 「綺麗だよ」
 「っ! は、はい。ありがとう、ございます……」
223彼女だけの彼・その後〜21〜 ◆Z1avlYLVtI :2008/02/18(月) 00:21:51 ID:5TSlpvMn
 そっとそっとベッドへと押し倒していく。緊張と期待を隠しきれずに赤く染まった顔。誠は堪らなく愛しく
思えてならなかった。
 「えっと、触るね……。もしイヤだったら遠慮なく言っていいから」
 横になっても崩れることなく、見事に美しい形を保っている言葉の乳房。震える右手と左手を這わせていく。
 ふにふにと軽く揉んでみる。
 「んっ、ふうっ」
 以前のように平手が飛んでくることはなさそうだ。柳眉を八の字に歪ませて手を口元へと持っていき、人差し指を
軽く咥えて耐えるようにしている。
 (なんかすごく色っぽいんですけど……。女の子ってこんなに柔らかかったっけ? それとも、言葉が特別って
 ことなのかな……)
 以前抱いた女のことを思い起こしてみようとしたが、それはつまらないことなのでやめることにした。
 この目の前にいる女の子のほうが、素晴らしいということは間違いないという結論へとあっさりと至ったからだ。
 より大胆に踏み込んでいく。小指の先ほどの大きさの突起へとキスする。そのままに口へと含み、ちゅぱちゅぱと
いやらしい音を響かせていった。
 「ふあああっ、誠くん、気持ちイイ、ですっ」
 (よかった、大丈夫みたいだ。甘い気がするのはなんでだろな?)
 興奮のために次第に激しくなっていく誠の愛撫を受けても、圧倒的な質量を誇る言葉の胸はそれを優しく受け止め、
形が崩れることなどもない。
 (これだけ大きかったら、うん。やってみるか)
 両手を用いてその大きな乳房を寄せると、二つの勃起した乳首を同時に口にした。そして舐め転がす。
 同年代の少女のなかでもずば抜けたバストサイズを誇る言葉のものだからこそできる、そんな芸当だ。
 「ああっああぁっ、一緒になんて……ダメですよぅ……!」
 じわりと熱い雫が瞳へと溜まっていく。だが、声音は拒んでいない。恋人から与えられる快楽を待ち望んでいる、
そんなふうに感じられる。
 誠はちょっとだけ強めに吸ってみる。
 「だ、だめ、乳首痺れちゃいますっ。おっぱい気持ちよすぎて……っ!」
 「いいんだよね? わかった、もっとやってあげるよ」
 「ひゃあぁんっ、ま、まことくぅん……すごい……」
 言葉は、はしたないと思いつつも、嬌声を止めることはできなかった。
224彼女だけの彼・その後〜22〜 ◆Z1avlYLVtI :2008/02/18(月) 00:22:36 ID:5TSlpvMn
胸の次はすっと浮き出ているあばら骨を撫でられていった。性感帯というにはまだまだ経験が乏しいために
なんともいえないところかもしれない。であるものの、くすぐったさとは違うものを言葉は感じ取っていた。
 そのままにお腹にも触れられる。手のひらでなぞられていくだけで、どこか落ち着く。そんな不思議な
印象だった。
 そして、誠はとうとう言葉の秘所へとたどり着いた。
 「言葉、見せてくれる……?」
 「……はい」
 誠は言葉の両膝へと手を這わせて、ゆっくりと開いていった。自然と言葉の女性としての一番大事な場所へと
吸い寄せられていく。
 さすがに恥ずかしいのか。
 言葉は誠から視線を外して横を向いてしまった。
 「触るからね」
 顔面を近づけて間近に言葉の陰部を見詰めていく。漆黒の髪と同じ色をしたアンダーヘアが申し訳程度に
飾っている。控えめな彼女らしいなという感想を誠はもった。
 「そ、そんなにじっと見ちゃうんですか……?」
 言葉はちらちらと視線を送ってきても、どうしても逸らしてしまう。やはり、まじまじと見られてしまうという
のは恥ずかしいものなのだろう。
 「えっと、舐めるね」
 「えっ、はぅっうっ……んんっ」
 両手の指で割り開いたそこへと顔を埋める。始めは周囲からにしていく。濡れてきていた愛液の匂いと、石鹸の
匂い。
 膣口へと舌をすぼめてちょんちょんと触れて、今度はそれを押し込んでみる。
 「んっ、言葉のここ……甘いよ」
 「そ、そんな嘘ですっ。そこは汚いだけ、ふぅんン……っ!」
 舌はそのままに、指で小さなクリトリスを触れていく。それにより、言葉の身体はビクンっと敏感な反応を
示した。
 (そういえば、ここってすごい敏感なとこだって話だったな。ごめん、言葉)
 クリトリスへの刺激はお預けにして、入り口のほうへと意識を集中させていった。
 もっとも、これはこれで厳しい責めなのであるが。
 「舌だけじゃ、なくって……指もっですか……っ!? ま、まことくん、もうダメ、です……っ!」
 恋人の反応に気をよくしつつ、誠は言葉の哀願を受け付けずに納得のいくまで彼女の陰部へと愛撫して
いくのだった。
225彼女だけの彼・その後〜23〜 ◆Z1avlYLVtI :2008/02/18(月) 00:23:26 ID:5TSlpvMn
「えっと、ごめんね?」
 「恥ずかしかったです。でも……」
 「嬉しくて気持ちよかったです」
 「……っ」
 言葉が微笑んで上目遣いに誠を見詰めていく。その仕草が艶のある今の姿と相まって、とてつもなく可愛く見えて
ならなかった。
 「誠くん。ベッドの端に座ってくれませんか?」
 「えっ? うん、わかったよ」
 言葉の頼みとおりに誠はそのようにした。言葉はベッドから降りて誠の股の間に跪いてペタンと座り込む。
 「言葉……?」
 「誠くん。私に誠くんのここを舐めさせてください」
 「えっ、いいよ。無理しなくていいから」
 誠のペニスを言葉は白魚のような手で握っていった。触られたことにより、誠は快感と戸惑いに支配される。
 言葉は無理をしているのではないか――誠にはそう思えてならなかった。
 「私、初めてはあげられないですから……。だから、それならせめてお口の初めてを誠くんに捧げようって
 考えてたんです」
 悲しげな表情のなかに凛としたものがあった。そこまで決意してくれたところを拒否などできるはずがない。
 ほんの少しだけ言葉から視線を外して、上を向き天井を見上げた。
 こうしないと涙が零れ落ちてしまいそうだったから。こんなにも自分のことを深く想い、一途に愛してくれる
女の子をとんでもない苛烈な道へと追い込み、それを傍観するだけだった自分が許せなかったから。
 一瞬、部屋に静寂のときが訪れた。言葉は誠の心情を察してくれたようだった。
 「私、絶対やりますから」
 「うん……お願いって、ええっ!?」
 それは愁嘆場を嫌った言葉の突然の宣言だった。せっかくの初夜。悲しげな雰囲気ではなくて、お互いに
一生の思い出にできるような体験にしたかったのだ。
 「んっ……うむン、ちゅるっ」
 勢いこむとそのまま一気にペニスを頬張り、口内へと溜めておいた唾液をたっぷりとペニス全体にまぶしていく。
 「ちょっ、くっ。こ、ことのは……っ」
 「ふむん、……ちゅぅうっ、ぴちゅるっ」
 いきなりの先制攻撃にして不意打ちの一撃。
 心の準備ができてなく、またしんみりとしていたところを襲われたことにより、すさまじい性感が誠の股間へと
訪れる。
 なにぶん、初めてなために言葉の舌戯はまだ拙いものだといえる。だが、それを差し引いて補ってあまりある
誠に気持ちよくなってほしいという一生懸命さと愛情が合わさり、快感をもたらしていた。
 顔を紅潮させ射精感を耐えようとしている誠を、言葉は垂れてくる髪を耳へとやって上目遣いに見詰める。
 誠は、この一ヶ月の間に渡って、以前の彼では考えられない清く正しい禁欲生活を送っていた。
226彼女だけの彼・その後〜24〜 ◆Z1avlYLVtI :2008/02/18(月) 00:24:15 ID:5TSlpvMn
それはもちろん、全てはこの日のために。
 しかし、苦にならなかったのかと問われれば、首を何度でも横に振れる。なにせ、自分を一途に慕ってくれる
極上の美少女があれこれと画策して誘惑してきたのだ。
 口では格好のいいことを言ってみたが、何度言葉のことを押し倒そうかと思ったことか。また、何度彼女を
想像のなかで犯してしまおうと思ったことか。
 でも、耐えた。我慢した。
 繰り返そう。全てはこの日のために。
 そういうわけで、言葉の身体を丁寧に愛撫しているうちに、既に我慢の利かなくなっていた誠。
 限界は簡単に訪れ――誠は爆ぜた。
 「ごめん、言葉っ。出る……!」
 彼女の口内に射精するのはさすがに悪い気がして、引き剥がそうとした。しかし、言葉は誠の腰に両手を
回して抱きついた。
 「んんーー……っ!?」
 口のなかへと飛び込んでくる精液の奔流を、目を瞬かせて驚きつつも懸命になって言葉は受け止めていった。
 やがて流れが止まると、溜まったそれを一気に飲み干した。
 「んっ……。ううっ、ちょっぴり苦いです……」
 涙目となりながらも、健気に笑顔を作って誠を見上げていく。
 「誠くん、どうでしたか? 私、上手くできましたか?」
 「ああ。ありがとな……」
 跪いていた言葉をぐいっと引き上げる。誠はそのまま抱擁して、その一言に全ての気持ちを乗せた。

 あれだけ射精したのに、まだ立派に勃起している自分の分身に誠は呆れる思いだった。
 だが、これで言葉と繋がって一つとなり、本当の恋人となることができる。
 改めてキスをしてベッドへと優しく押し倒していく。
 そのときがいよいよ訪れようとしていた。
227彼女だけの彼・その後〜25〜 ◆Z1avlYLVtI :2008/02/18(月) 00:25:05 ID:5TSlpvMn
誠は枕の下から隠しておいた避妊具を取り出した。ぴりっと包みを破いてそれを装着しようとしていく
ところを、言葉から制されてしまった。
 「大丈夫ですよ」
 「えっ、でも」
 「このときを思って、私はピルを飲んできましたから」
 「ピル?」
 「はい、ずっとです。男の子ってそのままのほうが好きだって聞いてましたから。それに、誠くんを直に
 感じたいです……」
 「……わかった」
 ゴムを脇へと追いやる。右手を一物へと添えて言葉の入り口へと宛がう。くちゅっといやらしい水音が部屋に
響いた。
 痛みは、ない。
 それでも誠は言葉のことを気遣って、ゆっくりと押し進めていった。濃厚な前戯によって、言葉の秘所は
しとどに濡れそぼっていたこともあり、苦もなく挿入できた。
 言葉は思わず瞑っていた目を開く。言葉を貫いている男は――恋人である誠だった。
 (よかった、夢じゃないよね……? 誠くんだよね?)
 「こ、言葉? どこか痛いのか?」
 双眸から熱い涙を溢れさせていく言葉を目にして、誠は焦りを覚える。もしかして、まだ言葉にとって
セックスは負担が大きいのではないのか、と気になってしまう。
 「ご、ごめんなさい。嬉しくて……。ずっと、ずっと誠くんのこと待ってて。やっと来てくれたから……。
 私、本当に嬉しくて……」
 「ごめんな」
 動かずにそっと優しく言葉を抱きしめていく。もしかしたら、誠も泣いているのかもしれない。
 『んっ……』
 どちらからでもなく、自然と唇を重ね合わせていた。そこにいるのが彼で、彼女で。ただそれが嬉しかった。
 「ちゅっ……ん。動いて、いいですよ。私に誠くんを感じさせてください」
 「うん。わかった」
 誠はゆっくりと腰を前後させていく。お互いに相手の体を感じることができて、それから与えられる体温が
心地よかった。
 「んっ、ふぅぅあぁぁっ! 誠くん、まことくん……っ」
 「言葉、言葉、ことのは……っ」
 言葉が誠の腰へと両足を回してより深い挿入をねだっていく。それに応えるべく、誠は言葉の上半身を抱きしめて
腰を振りたくる。
 「んっ、はむン」
 唇を吸いあい、唾液を交換しあう。言葉の身も心も完全に許してくれているという目の色が、誠を追い立てていく。
 「言葉っ、ずっと一緒だからなっ。ずっと一緒だ!」
 「まこと、くん……っああっ!」
 言葉の胎内の奥深くへと潜り込んだ誠のペニスが、大きく反り返って爆ぜていった。
 「まこと、くん……」
 「言葉……」
 愛する男の熱い想いを受け止めながら、言葉は今度は自分から誠へと口付けていった。
228彼女だけの彼・その後〜26〜 ◆Z1avlYLVtI :2008/02/18(月) 00:25:59 ID:5TSlpvMn
二人は上半身を起こして手を繋いでいた。言葉は誠の肩へと頭を預けている。
 「私、幸せです」
 「うん。俺もだよ」
 沈黙が訪れる。だが、決して嫌な空気ではない。穏やかなそれが室内を支配していた。
 言葉は左手へと目を向ける。そこには銀色に輝く指輪がある。それをじっと見ていた言葉はあることを
思いついた。
 「ねえ、あなた……」
 「ええっ!?」
 思わずぎょっとした誠。その反応に言葉は不満そうである。
 「誠くん、ノリが悪いです。私たち結婚するんですよね? さっきプロポーズしてくれましたよね?」
 「うっ、うん」
 「だったらいいじゃないですか。ねえ、あなた」
 「な、なんだい?」
 さすがに声が上ずるのは隠しようがない。それにこの『あなた』という呼び方をぞくっとくるものがある。
 「一回で終わりなんですか? 私のこともっと気持ちよくしてほしいです」
 「わかったよ、言葉」
 そして、何度交わしたかわからない口付けを再びする。
 
 いつの間にか雪景色となっていた今夜の榊野町。
 しかし、そんなことはお構いなしに若い二人の燃え上がり続ける愛は、それを溶かさんばかり続いていった。
 
 心も身体も通じ合わせて本当の恋人同士となれた、誠と言葉。二人の熱い夜は、まだまだ終わりそうもない――。


 翌日。肌の色ツヤの大変良くご機嫌な少女と、頬がこけてげっそりとした少年が仲良く帰っていく姿を目撃したホテルの
従業員たちはこう思ったそうである。
 『そうとう頑張ったんだな、彼氏は』
 と。
229彼女だけの彼・その後〜27〜 ◆Z1avlYLVtI :2008/02/18(月) 00:26:54 ID:5TSlpvMn
十二月二十五日。クリスマス当日。
 榊野町で一夜を過ごした誠と言葉。誠は言葉と共に桂家を訪れた。そしてありのままに、言葉の両親に昨夜の
ことを報告した。
 可愛い娘がいきなり現れた男に持っていかれる。そのことに言葉パパは、怒り、嘆き、悲しみ、動揺を隠せなかった。
 しかし、もともとヒエラルキーにおいて女性陣が絶対上位である桂家。ごねる言葉パパの意見は、最高権力者である
言葉ママにより一蹴されてしまった。
 正々堂々と話に来た誠の心意気を、言葉ママは高く評価したらしい。
 反対しようものなら娘の悲しげな視線を一身に浴びる。妻からは可哀想なものを見るような目で見られる。
唯一の味方だと思っていた末娘からは、空気読めという視線を受けてしまう。
 四面楚歌となり、家庭内村八分の危機に陥ることを恐れた言葉パパは、振り上げかけた拳を下ろさざるを得ず、
泣く泣く二人のことを許した。
 ただし、条件がついた。
 まず一つ目に、学生の間は学業を第一に優先すること。
 二つ目に、セックスをするなとは言わないが、避妊は必ずして学生の間は子供を作らないこと。
 三つ目に、高校生らしい節度ある交際をすること。
 ……などが課されることとなった。
 誠には、絶対に娘――言葉のことを大事にすることと誓わせたのだった。
 
 そういうことで、この日を境に、誠と言葉は恋人からステップアップして婚約者の関係となった。 
 
 二人は、親に関係を公認してもらったのだからと、交わした約束を忠実に守っていった。
 誠は、ピルが完全に避妊できるということではない
(コンドームなどを併用することで百パーセントの避妊率に近づくということ)を知ると、自主的にそれを用意する
ようにして協力していった。
 言葉一人に負担を押し付けることを、よしとしなかったのだ。
 それと学校ではいやらしいことは絶対に行わなかった。二人が甘いひと時を過ごすのは、週末にお互いの家に
泊まりにいくときだけと、誠と言葉は取り決めた。
 もっとも、桂邸に泊まるときは心の教育上によろしくないからということで、自粛することになったのだが。
 もちろん、学業においても、我侭を聞き入れてくれたお互いの親の顔へと、泥を塗らないようにと励んだ。

 こうして、二人は順調に愛を育んでいった。

 そして――。


 数年後――。
 若い男女が役所から出てきた。見ている人間が赤面してしまうほどの睦まじさであった。
 「言葉。改めてよろしくな」
 「はい、あなた」


 人間の記憶を完全に消し去るということは、ほぼ不可能なことなのであるという。良い記憶も、また悪い記憶も。
 しかし、こう考えてみてはどうだろうか。
 悪い記憶を忘却の彼方へと追いやってしまうほどに、たくさんの素晴らしい思い出を作っていけばいいと。
 その悪い記憶を思い出さないぐらいに、良い思い出で埋め尽くしてしまえばいい。

 伊藤誠とその妻となった言葉。
 二人はたくさんの思い出を作ってきた。そしてこれからも作っていくことだろう。
 今も昔も変わらずに仲睦まじい誠と言葉。
 この二人に心配はいらないだろう。そう、永遠に――。


                                        (終わり) 
230 ◆Z1avlYLVtI :2008/02/18(月) 00:27:51 ID:5TSlpvMn
以上で『彼女だけの彼・その後』は完了となります。
長文でしたけれども、読んでいただいた方、お疲れ様でした。

内容が内容なので叩かれるのも覚悟していましたが、受け入れていただけたようで、
ほっとしております。

書くこと書いて満足したので、自分は常駐スレに帰ることにします。
拙作にお付き合いいただいたこのスレの住人の皆様方、ありがとうございました。

それでは。
231名無しさん@ピンキー:2008/02/18(月) 00:46:32 ID:lhelnW1t
>◆Z1avlYLVtI さま
感動して涙が止まらない・・・
「彼女だけの彼」の正史後日談として採り上げてもらいたいぐらい。
最高・改心の出来です。
言葉を守り、言葉を幸せにしてくれた誠には感謝。
ヒルズで初エッチをさせてあげようだなんてなんて男気のある奴なんだ。

結婚しようは一番よかった。
言葉、嬉しかっただろうなぁ・・・

幸福感に満たされながら寝ます。おやすみなさい。
本当にGJでした。
是非また書いてください。
232water:2008/02/18(月) 01:29:06 ID:y+TWz8qC
一つ投下する。
原作「みんなの誠」その後からの物語。
233water:2008/02/18(月) 01:31:11 ID:y+TWz8qC
「あうぅ……頭が痛い。」
「ちゃんとお薬は飲んだの?」
母が確認を取ってきたので光は素直に答える。
「うん…。でもなんか今も体がだるいの…。」
「そう困ったわね…。熱も引いてないみたいだし。店が忙しいから病院にも連れて行け
 ないし…。」
母が風邪が治る気配のない光を見て少し弱った表情になる。光は体に鞭打って母に促す。
「お店行ってきなよ。お母さん欠けると店が回らないよ?」
「そうだけど…。あら?誰か来たみたいだわ。」
そう言って母は部屋を出て行く。光は時計を見る。今日は平日だがもう学校は終わって
る時間だ。もしかして級友が尋ねてきてくれたかもしれないと朝から一人で寂しく寝て
いた光は淡い期待をする。やがて母が戻ってきた。
「彼氏さんが来てくれたわよ。」
光は自分の母の言ってることが分からなくなった。はて?自分はいつ彼氏なんか作った
のだろう。分からない…。だから体を起こし母に尋ねてみることにする。
「彼氏って誰?」
「いつもあなたが家に泊まりに行ってるじゃない…。誠君だっけ?」
「はい?」

光は友人の七海でもなく、刹那でもなく、世界でもなく誠が尋ねてきたのを聞いて光は
絶句してしばらく固まった。まさか誠が尋ねてくるとは予想外だった。私の好きな人が
出来たの発言で母はすっかり誠が私の彼氏と思い込んでいるがとりあえず私は正規の彼
女ではない。正規の彼女は世界だ。まあ私が誠に後輩の女の子を紹介してるのでそれも
微妙なとこだが…。母は光のそんな思惑など知らずに喋り出す。
「誠君部屋に入ってきていいわよ。」
「ちょっっ、私の部屋の前まで来てるの?娘の確認もとらないで勝手に家の中まで入れ
 ないでよ。」
「何言ってるの?風邪を引いたあなたを見舞いに彼氏が尋ねてきてくれたのよ。断るの
 は失礼でしょう。」

母は何か悪いことをしたかしら?という顔をしていた。光はこっちの準備も整ってない
のに勝手に呼ばないで欲しいと母を呪った。ドアが開かれ学生服を着た誠が部屋の中へ
と入ってくるがどこか挙動不審にしている。
「いつも娘がお世話になってます。誠君、緊張しないで楽にしてていいわよ。」
「は…はあ。」
誠は緊張を隠さずに母に相槌を打つ。
「じゃあ私はお店に戻りますんで、後は若い二人でごゆっくり。」
母はそう言い誠と光を残して部屋を出て行く。二人きりになりしばらく黙っていたがや
がて光が誠に向かって口を開く。
234water:2008/02/18(月) 01:37:40 ID:y+TWz8qC
「何で来たのよ…。」
「お前が学校休むなんて珍しいと思ってな。きちゃ駄目だったか?」
「そうは言わないけど…。世界達もこの後来るかも知れないじゃない。私たちの関係ば
 れたらやばいでしょうが…。だから学校ではあんたと仲悪く振舞ってるし、夜にだけ
 あんたの部屋に行ってるわけで…。」

光は自分たちが友人たちには決してばれてはならない関係だと言うことを誠に言うが誠
はそれがどうしたとばかりに平然と話す。
「世界と清浦は用事でここにはまず来ないよ。あいつらの会話をそばで聞いてたから間
 違いない。」
「あっそう…。でも予告無しに来ないでよ…。こっちにも準備というものがあるんだか
 ら寝てたから髪はぼさぼさだし、寝巻きだしさ…。」
光は自分のいつもは束ねているが今は下ろしている髪を自分の手で撫でる。誠が私の家
に来るのは初めてなのでどうも気恥ずかしい。誠の家で恥ずかしいことを数え切れない
ほどやってるにも関わらずだ。何か緊張する。

光は頭の痛さとだるさが耐え切れなくなりまた布団に入り顔だけ布団から出すことにす
る。
「それは悪かったな。だが病人は余計なことしずに寝てたほうがいいと思うんだが。」
「女には女の事情があるの!!分かった?」
「はいはい…。でっ光、病状は?表情見てるとつらそうに見えるが…。」
「頭痛がするのと全体的に体がだるい。」
光は誠に素直に自分の体の状態を話す。誠はそれを聞きしばらく黙っていたがおもむろ
に光の額に手を当ててきた。 
「うわっ。俺のと比べて熱いわ。」
誠は自分の額にも手を当てて手の感触で熱さを比べていたがいきなりそんなことされた
光はたまったものではない。
「ちょ、ちょっと…何するのよ誠。」
「ちょっと調べただけなんだからそんなびっくりするなよ…。」

誠は悪気もなくそう言い放つ。光は誠の行動のせいで胸の高鳴りが余計に酷くなったの
を感じ誠に忠告する。
「誠。あまり私をびっくりさせないで。これ以上私の熱を上げたいの?」
「すまん…。唐突だったか?」
「あんたのせいで体温1度は上がった気がする。」
光は誠にそう憎まれ口を叩く。いや本当に家に誠が来たせいで心が乱されっぱなしだ。
まさか私がこんな状態なのにHしに来たのかとか、後輩を紹介してほしくて私の元に
来たのかとか、私に告白するためここに来たとか…、そんな考えが頭の中を支配して
ぐるぐる回っている感じだ。
235water:2008/02/18(月) 01:38:07 ID:y+TWz8qC
誠はそんな光の葛藤は知る由もなく違う話題を投げかけてくる。
「2年生に進級してちょっとはクラスメイトも変わるかなと思ったけど相変わらず同じ
 メンバーなのな。しいて言うなら甘露寺と言葉がクラス入れ替わったくらいか。」
「そうだよね。」
2年生になり教室も変わったが世界も刹那も泰介もいっしょでクラス替えと言う感じが
しない。知ってる知人では七海のみ4組にいき代わりに桂さんが3組に来たので光とし
ては特に環境が変わったというわけではない。まあ決まったものは仕方ないと光は思う。
誠が光に話し掛ける。

「今日席替えして俺、お前の隣になったんだけど、世界との兼ね合いどうする?」
「別にこれまでどおりでいいじゃない。学校では仲悪く他では仲良くでさ。」
今までこれで関係はばれずに続けてきた。後輩を誠の家に呼び紹介料をもらって二人で
分け合い自分達も体の関係を続ける、これからもおそらくそれは変わらないだろうと光
は考える。
「それがちょっとやっかいなことになってな。お前の前の席が言葉なんだよ…。」
光は話を聞き確かに厄介だと思った。あの日のスワッピングの1回のみだが言葉は誠と
光が関係を持ったことを知っている人物二人のうちの一人だ。あの日以来光は言葉とし
ゃべってないが今回近くになったことでいろいろ話してくるかもしれない。

「うーん。桂さんはそんなにおしゃべりじゃないと思うけど、世界達に私たちの関係が
 桂さん経由でばれたらまずいわねえ…。」
「あと泰介も隣が世界だぞ。あいつしゃべりそうなんだよな。」
光は頭が痛くなってくる。いや元から痛いが更にだ。なんでこんないかにも自分達の関
係を危うくするような状態になってるのか。いや…ぼちぼちこの関係を終わらせる潮時
なのかもしれない。そう考えて光は誠に話す。
「ばれたときはばれたときだよ。あんたがしっかりしてさえいれば世界もそう怒らない
 だろうし…もしそれで別れたとしても…。」
「別れたとしても?」
「…私が骨を拾ってあげるわよ。」
光は誠に向かってそう言う。世界が誠の彼女だから私は誠と体だけの関係を続けてきた
が世界と別れた場合誠はフリーなので私が付き合ったとしても別に文句ないだろう。そ
の代償に世界とは修復不可能なほど仲はこじれるだろうけど…。
しかし光の考えなど誠は分かりもせず光に話しかけてくる。

「光は、今日はゆっくり休んでろ。自分の女関係のことは自分で何とかするさ。お前が
 悩むことでもないしな。」
「へえっ。誠からそんな言葉が聞けるなんてね。明日は台風かしら?」
光は女に本当にだらしない誠からそんな言葉を聞きつい本音が出てしまう。
「俺だっていつまでも女関係でふらふらしてるわけにはいかないからな。前に進まない
 と…。ところでこれはなんだ?」
「それは牛乳がゆ。熱かったから少し冷ましてあるんだけど。」
誠が指差したお盆にのっているものを光は的確に答える。母が持ってきたのだがどうに
も熱すぎて食べれたものではなかった。でも時間がたちぼちぼち冷めてる頃かもしれない。
光がおかゆを食べようと体を起こすが誠がとんでもないことを言い出す。。
「俺が食べさせてやるよ。」
「え?いやいいからそんなの…。自分で食べるって…。」
光は丁重にお断りをするがどうも誠はノリノリのようだ。話を全く聞かず既におわんか
らおかゆをスプーンで掬っている。
236water:2008/02/18(月) 01:38:44 ID:y+TWz8qC
「ほら、あーん。」
「うぅ…誠今日は意地悪ね。」
光は誠の説得を諦めて口を開くと誠は口の中におかゆを流し込んでくる。光は口の中で
おかゆを味わい体の中があったまるのを感じる。おかゆもあるが恥ずかしさで体温が上
昇する割合の方が多いような気がする。
「食べ終えたか?じゃあ次な。」
誠はまたスプーンでおかゆを掬い光の口元まで持ってくる。光はまたそれを口に含み飲
み込んだ後でしゃべる。

「誠…。高校生にもなってこんな…。もう恥ずかしくて死にそう…。」
「ほら光、しっかり食べないと体良くならないぞ。」
光は誠に遠まわしにやめてくれるよう哀願したが誠はやめる気配はなくそのままおかゆ
を光に食べさせ続けた。おかゆがなくなりようやく光は解放される。
「うう…。誠のせいでまた熱上がった…。」
「俺のせいなのか?」
「あんたのせいよ。私が弱ってるのをいいことに好き勝手して。」
「好き勝手?おかゆ食べさせてあげただけじゃん。」

光は誠のいつもはしない行動に面食らい恥ずかしいやら気持ち悪いやらで心の中は非常
にざわついているが誠はいたってのほほんとしている。それが癇に障り光は誠を軽く睨
んで話す。
「どういうつもりでこんなことしたのよ、もう。」
「光の弱ってる表情なんて見たことないから意地悪したくてつい…。」
「最低ね、あんたって。」
「そこまで言われると心外だな。俺はただ光を助けようとしただけなのに…。」
「むぅ…。」

誠の行動は多少悪ふざけが混じっていたが基本光を気遣ってのものだ。それを言われる
と光も黙ることしか出来ない。
「前に、うちの家でいたるが光と同じように風邪で寝込んだことがあったんだがそのと
 きもこんなふうに食べさせてあげたんだけどな。」
「いたるちゃんは誠の家で1,2回会ったこともあるけど、その子と私が同じ年齢だと
 でも?」
「妹にするのと同じふうに接したつもりだったが…無理があったか…。」
「私は一応あんたと同級生なんだから。」
「そうだったな。」
「もうっ、恥ずかしいたらありゃしない。」
光は誠の顔から目を背ける。ただ光自体はこの状況を心底嫌がってたわけではない。私
が風邪を引いたら誠はこういうことをしてくれるということが分かり新しい発見に驚き
つつ少し嬉しかったのも事実だ。ただ弱みをあまり誠に見せたくないのでついきつくな
ってしまった感じだ。
237water:2008/02/18(月) 01:39:26 ID:y+TWz8qC
光は照れを隠せないまま次の話題に移すことにした。
「誠は何か本を読むの?」
「マンガも読むしラノベも読むかな。」
「そっか、私は基本少女漫画だけど、少年漫画も読むかな。ラノベは読まないや。」
「1、2冊でよければ貸すぞ?」
「どんなジャンルがあるかよく分からないのよね。」
「じゃあ俺の家でゆっくり選べばいい。」
「そっか、それもそうよね。」

光は誠の言ったことに納得し、今度家に行ったら誠のお勧めの本でも貸してもらって読
もうと考える。そして誠が別の話題を切り出す。
「光はカラオケとかが好きそうだな。」
「カラオケは好きね。世界達とよく行くし。誠は…歌ってがらじゃないか。」
「ああ。代わりに泰介とゲーセンとかに行ってる。たまにパチスロもな…。」
「見つかったらそれ相応の処分が下されるわね…。」
光は真面目そうな誠がパチンコにたまに行ってる事に少し驚いた。しかし誠とここまで
とりとめのない話をしたことがあっただろうか?毎日夜に誠の家に行ってHしてちょっ
と話して寝るだけ、まさに体だけの関係だろう。そう考えると今日みたいに誠から私に
いろいろしてくれるのはこれが初めてかもしれない。そう思うと少し心が落ち着かなく
なってくる。

誠が黙ったままの光を見て話しかけてくる。
「どうした?黙っちゃって。」
「ううん。あんたがこうして私の家に来るのはなんか変な感じだなって…。恋人どおし
 じゃないのに。」
「そうだな…。でもなぜかここに足を運んでいたんだ。なんでだろな?」
「私に聞かないでよ…。」
光は誠の問いかけに適当な答えが思いつかず困惑してしまう。
「ごめん。変なこと言って。そろそろ俺は帰ることにするわ。」
「そう…。帰るんだ」
「今日は体を休めて、明日元気な格好で学校に来いよ。」
誠はそう言って立ち上がろうとする。光はそれを見て誠に声をかける。
「ちょっと待って、じっとして…。」
誠は疑問に思いながらも光の言うことをしっかりと聞きその場で静止する。光は誠の顔
を両手で引き寄せ誠の唇と自分の唇を合わせる。
「んんっ。」
二人はしばらくキスしていたが少し時間がたちお互いの唇が離れる。光は頬を赤く染め
て誠に向かって今の自分の心境を話す。
「今日は……来てくれて嬉しかった。今のキスはその…お礼だから…。」
「……ああ、分かったよ。」

誠は突然のキスに恥ずかしがりながら光の部屋を後にする。光は布団の中に入り体を休
ませながら考える。誠は…今の自分を変えようとしているのだろうか、だとすると私は
どうなる?今まで見た中では誠は私のことなど眼中になく体しか見ていないと思い込ん
でいた。だが今日家に来てくれたことで誠が私をどう思ってるのかが分からなくなって
きた。一体誠はなにをかんがえてるんだろう?駄目だ…頭がぼうっとしてくる。頭痛が
酷くなってきたみたいだ。とりあえず誠がどう動くか分からないので一時期商売は休業
しておこうと考えそれっきり頭を空っぽにして誠の言葉どおり体を休めるため眠りにつ
いた。
238water:2008/02/18(月) 01:40:05 ID:y+TWz8qC
誠は黒田家を後にし自分の家へと向かって歩き出す。前から顔見知りの二人組がこっち
に向かって歩いてくる。二人は誠に気付いたようだ。
「伊藤、どうしたの?こんな所で。」
「わー、先輩久しぶりです。」
加藤乙女、可憐の姉妹が誠に話し掛けてきた。二人とも誠と中学からの知り合いで中学
の頃はよく親しくしていた関係だ。
「ああお前らか…。ちょっと本屋にな。」
本当のことを言うと面倒なことになるので嘘をついておく。
「こんな遠くまで?近所に本屋はあるけど。」
「でもお姉、あそこってあまり大きくないから置いてる本少ないよ?」
乙女の疑問に可憐が突っ込みをいれる。乙女は少し思案顔になるが可憐は別の話題を切
り出す。

「まあいいや。先輩一緒にケーキ買いに行きませんか?レモンカスタードケーキが有名
 な洋菓子店なんだけどぜひ先輩と一緒に行きたいなあなんて…。」
可憐はにこやかに誠にそう言ってくるがさっき出てきたばかりなのにまた行くのも気が
引ける。迷ってるうちに乙女が話し出す。
「伊藤行かない?私がおごってあげるからさ。」
「うーん。でもなあ…加藤におごらせるようで悪いし…。」
「まあまあ伊藤先輩一緒に行きましょ?ね?」
乙女と可憐は洋菓子店に行く気満々のようだ。女の子は甘いものが大好きなんだろうか
誠はそう疑問に思いつつやっぱり断りを入れる。
「やっぱ行くのはやめるよ。ちょっと行きづらいし。」
「じゃあちょっとここで待っててよ。うちらが買ってくるから。」
「先輩逃げちゃ駄目ですよ?ケーキはお持ち帰りにして3人でどこかで食べましょう。」

乙女と可憐はそう言って洋菓子店へと向かう。誠の意見などろくに聞かずに行くところ
ケーキがよほど食べたかったのだろうなあと誠は思う。光がたまに家に持ってきてくれ
るケーキは誠も何回か食べたことはあるが確かに評判どおりおいしい。まあおやつに食
べてもいいかな…腹も減ったし…そう考えてると二人はケーキと自動販売機で買ったジ
ュースを持って誠の前に現れる。誠は乙女から袋を渡される。
「はいこれ伊藤の分。ここじゃなんだから近くの公園に行こう?」
誠、乙女、可憐は少し歩き公園にやってきて3人はベンチに座る。正面から見て乙女、
誠、可憐で誠は両手に花状態になり少し困ってしまう。
「先輩どうしましたか?照れてます?」
「からかうなよ…。」
「伊藤はほんと変わらないよね…。中学の頃とさ。」
乙女と可憐はにこやかに誠の顔を覗き込んでくる。誠はこの二人とここまで接近したこ
とはない。というより女の子二人を両脇に抱えたことすら今までない。最高言葉と世界
と屋上でお弁当を食べたことくらいだ。誠はそういうわけで緊張してしまう。
239water:2008/02/18(月) 01:44:28 ID:y+TWz8qC
「ジュースはレモンティーを買ってきました。ミルクティーの方がよかったですか?」
「いやこれでいいよ。おごってもらってるんだしな。」
「そうですか。では食べましょうか?」
それを合図に3人はケーキを膝の上に置いて食べ始める。誠は一口ケーキを食べる。ま
ろやかな甘味が口いっぱいに広がる。やはりおいしい。横を見ると乙女は静かに備えの
スプーンで一口一口ゆっくり食べ、可憐はそれよりちょっと速いスピードでときおりジ
ュースも飲みながら食べている。誠も二人の邪魔をせず目の前の物を食べる事に専念し
た。3人とも食べ終わり誠は二人に話し掛ける。

「しかしこれは評判どおり本当においしいな。」
「だよね。七海がおいしいって言うから買ってみたけど癖になりそう…。」
「お姉…。口にクリームついてる。みっともないよ?」
「げっ!まじで?」
乙女はびっくりして手で口元をぬぐいその光景を見て誠と可憐はくすりと笑う。
「何よう…二人して笑って…。」
「いやすまん。別に笑うとこでもないのにな。」
「ごめんねお姉。」
誠と可憐は乙女のちょっと怒ったしぐさに苦笑しながらも謝る。乙女はそれで納得した
ようでいつもの調子に戻った。

「伊藤って今付き合ってる人いたんだっけ?」
「私も聞きたいです先輩。」
誠は乙女と可憐に今はそっとしておいて欲しい話題をもってこられ困惑してしまう。形
の上では世界と付き合ってはいるが学校のみでの薄っぺらい関係だ。光とは体の関係の
みで付き合ってはいない。光が紹介してくる後輩は論外。さてどう言えばいいのやら。
誠が何も言わずにいると可憐が察したかのように話しかけてくる。
「先輩、何もいわないってことは今フリーですか?えへへこれはチャンスかな。」
「いや俺は…その。」
「七海から聞いたんだけどさ、伊藤って西園寺さんと仲がいいとか…。」
「うわっライバル出現!!」
乙女の言葉に可憐が大げさに驚いてみせる。誠はそれを見てどう反応していいか分からず
苦笑いするほかない。
「可憐、伊藤困ってるよ。もうこの話題はやめよ?私が話を振ってなんだけどさ…。」
「もう、お姉はそれだから駄目なんだよ。」
「何が駄目なのよ…。」
「もう何もかも全部。」

可憐は乙女の態度に少し苛立ち気味のようだ。それをぼんやり誠は見ていたが突然携帯の
着信音が鳴り携帯のメールを見る。
(お前今どこにいる?ゲームを返しに来たのだが家に誰もいないからドアの前で困って
 いる。道草してないで早く帰って来い。by泰介)
誠は泰介のことをすっかり忘れていた。光の家を出るまでは覚えていたのだが…あまり待
たすのも悪いので急いで帰らねば。誠は立ち上がり二人に声をかける。
「悪い。急な用事が出来た。また今度な。」
240water:2008/02/18(月) 01:45:03 ID:y+TWz8qC
誠はそう言って去ってしまい公園には乙女と可憐が残された。
「先輩行っちゃったね、私達も帰ろうか。」
「そうね。帰りましょう…。」
二人は公園を出て自分の家路へと向かう。
「しかし、お姉ももう少し積極的に行かないとさあ。」
可憐は呆れた眼差しで乙女を見る。
「うー。」
乙女は唸り声を上げるが可憐はひるまない。
「これじゃあ、いつまでたってもお姉の思いは報われないよ。」
「むー。」
「うーだのむーだのじゃなくて、もっと行動すべきだと思うんだけど。伊藤先輩がフリー
 だと分かったなら、じゃあ私が彼女になろうか?というべきとこじゃないの?」
「ちょ!!無理無理無理。」
可憐は注意をするが乙女は出来ないとアピールする。乙女は可憐の攻めから逃げるためか
唐突に違う話題を切り出す。

「この前伊藤のマンションでさぁ。」
「あっ逃げた、まあいいや。それで、マンションがどうしたって?」
「マンションの前で伊藤と同じクラスの子を見たのよね。名前は確か…黒田だったかな。」
「その人がどうしたの?」
「私を見たらやばっとか言って逃げるようにマンションの中に入っていったのよ。何かし
 たのかしら私。一度も話したことないのに。」
「うーんお姉に後ろめたいことでもあったのかな。でも接点ないのに逃げるのも変だね。」
「伊藤と恋仲とか…そんなことはあるわけないか。」
「案外そうだったりして…。伊藤先輩と仲がよければお姉くらいの情報は話してるかもだ
 し。会って気まずかったのかも。」
「あれ?そうなると伊藤は二人の女の子と親しくしてるってことになるけど…。」
「誰と?ああ西園寺先輩と黒田先輩か。」

可憐は3人で公園にいた時の会話を拾い出して西園寺の名を出す。乙女はそれにうなずく。
「でも。こんなの推測にしか過ぎないわよね。黒田が伊藤の家に行ったかどうかも確認し
 てないし。マンション内の違う家かもしれない。」
「それだとお姉から逃げる必要ないんじゃないの?お姉と黒田先輩接点ないんだから。逃
 げるとしたら伊藤先輩絡みだと思うけどなあ。」
「うーんと話を整理すると伊藤と仲がいいのは西園寺さんは確定でもう一人仲がいいのが
 いるかもしれないと…。」
乙女は今までの話を要約しまた少し考え可憐に再び話す。
「このままでは高校生活伊藤の友人のままで終わってしまうわね…どうしたものやら。」
「だーかーら、お姉が伊藤先輩に対して弱気なのが一番の原因なんだってば。もっといけ
 いけでいけばいいのに…。」
可憐に愚痴られるが乙女はそれに反応せず何か考えていた。そして考えがまとまったらし
い。
「ふむ、伊藤は二股の疑いがあると…。ちょっと行動してみるか、可憐耳貸して。」
「え、なになに?……………お姉結構策士だね。」
「可憐、友達にもよろしく言っといてね。」
「うん、分かった。どうなるかは分からないけどね…。」
乙女と可憐は話し合いをしながら家へと帰っていった。

 第1話 「光と乙女の思惑」 終
241water:2008/02/18(月) 01:51:30 ID:y+TWz8qC
ここで終り。二話以降は後日書く。
1話に出てこなかった言葉達は二話以降に出す予定。
2年生になってるので加藤は可憐、二条姉妹、三馬鹿と手札がいっぱい
なのでどう絡ませようか現在思索中。
242名無しさん@ピンキー:2008/02/18(月) 01:56:19 ID:GB1wz+cK
>>241
GJ!
光と誠の恋愛的なからみは新鮮で
wktkニヤニヤしながらよませてもらいました。
これから乙女たちがどうするのかたのしみです!
243名無しさん@ピンキー:2008/02/18(月) 02:05:25 ID:pvPTuTgC
>◆Z1avlYLVtI さま
大作、お疲れ様でした。
題材は猛毒品ですが、できた料理は大変なご馳走。
いわば、最高級ふぐ料理でしょうか。
また、気が向きましたら、作品をご投下くださいませ。

>waterさま
これもまた、扱うのが難しい素材。
それだけに、期待も高まるところ。
続きを楽しみにしています。
244名無しさん@ピンキー:2008/02/18(月) 03:00:58 ID:oip60tWa
>185
TTT 乙
245いたるの誕生日:2008/02/18(月) 03:48:34 ID:Ik02Gsb0
いたるの引越しの続編です。

いたるの誕生日。


誠と言葉のマンションにて。

「いたるちゃんおめでとう。」
いたると言葉と誠と心が祝杯を挙げていた。
今日はいたるの誕生日、同級生からは夕方カラオケ屋で祝ってもらったらしく
いたるにとって今日二回目のパーティだった。

「これは俺と言葉からだ。」
「これは私から。」
それぞれプレゼントをいたるに渡した。
誠と言葉からは服の仕立券で心からはネックレスだった。
「みんなありがとう。」
いたるはすごく嬉しそうだ。
こうして大好きな人達に囲まれて何の心配もなく誕生日を過ごせるのは
両親が離婚して以来初めてだったからだ。
246いたるの誕生日:2008/02/18(月) 03:49:23 ID:Ik02Gsb0
「いたる、お前の好きなハンバーグだぞどんどん食べろよ。」
「うん、ありがとうお兄ちゃん。」
今日の料理もケーキも全て誠が張り切って作ったものだ。
桃パフェも手作りでとても美味しそうだった。

桂家と関りを持つようになってご馳走を食べる機会は増えたけれど
いたるは今でも誠の料理が大好きだ。
いたるにとって誠の料理が普通の人が感じる母の味に当たるのだ。
『子供の頃は”おにーちゃのハンバーグ♪”なんて言いながら食べたっけ。』
あの頃のいたると違うのは誠以外にも
一緒に食べてくれる大好きな人が増えた事だ。
今日の料理は心も言葉も一緒に喜んで食べてくれている。
いたるはどんなプレゼントよりもそれが一番嬉しかった。

いたるが周りを見回すといつの間にか心が席を外していていた。
暫くして戻ってきた心は一冊のアルバムを抱えていた。
「誠お兄ちゃん、このアルバムってお姉ちゃんとの思い出?」
「それはいたるが小さい頃の写真だな。」
「じゃあ見よう。」
「心、人のアルバム勝手に見るもんじゃ・・」
言葉が言い終わるより早く心はアルバムを開いた。
247いたるの誕生日:2008/02/18(月) 03:50:17 ID:Ik02Gsb0
「うわー、いたるちゃん可愛い。」
子供の頃のいたるが手や顔を汚しながら大喜びで
ハンバーグを食べている様子が写っていた。
「もう!恥かしいよ心お姉ちゃん!」
アルバムは楽しそうないたるでいっぱいだったけれど
一枚だけ寂しそうないたるが写っていた。

それは誠と手を繋いだいたるが駅を背景にして写っていたものだった。
『この頃もそうだったし、ついこの間まで私はこんな顔をしてたんだろうなあ。
 お兄ちゃんやお姉さん達と楽しく過ごしても
 家に帰るのが嫌で本当に辛かったよ。』
いたるの楽しい時間は子供の頃から本当に短かった。
だから誠達と一緒に過ごした時間が楽しければ楽しいほど
別れる時の辛さもひとしおだった。

家に帰ればあの親父がいてずっと身の危険を感じながら過ごす必要があった。
だから小さい頃は帰りの電車の中で何度も泣いたし
家に着いてもなかなか誠を離さなかった。
そんな日々に耐えられずよく家出をしたし
母と誠と一緒に暮らしたいと訴えた。

でも両親の離婚時の取り決めでそれは叶わなかった。
自分のそんな立場を何度も呪ったし理不尽さも感じていた。
248いたるの誕生日:2008/02/18(月) 03:50:50 ID:Ik02Gsb0
そんな時に優しい言葉や心と出会い兄以外にも頼れる人がいる事がわかった。
もしこの出会いがなかったらいたるはとんでもない非行に走ったかもしれないし
精神を病んだかもしれない。
でもそれはあくまで事態の軽減であって根本的な解決ではなかった。
最近まで誠や言葉達との別れ際はとても辛かったのだ。

でも今は桂家に引っ越してそんな心配は要らなくなった。
そしてこれからもそんな日々が続く。
いたるはそんな日常にすごく感謝したい気持ちになった。

美味しいご飯を作ってくれる兄にも。
いつも優しい言葉や心にも。
本当の娘のように可愛がってくれる桂夫妻にも。

「おにいちゃん、お姉さん、心お姉ちゃん本当にありがとう。
 これからもよろしくね。」

End
249名無しさん@ピンキー:2008/02/18(月) 04:00:07 ID:Ik02Gsb0
みなさんお疲れ様です。
スレが活性化されていて色々な作品を読むことが出来て嬉しいです。

今回のいたるSSですが私としては「もうゴールしてもいいよね」
って感じで書きました。
いたるSSは少し間を開けようと思いますがひょっとして今回で最終回かもしれません。
#でも気まぐれですぐに書くかもしれませんがw
250名無しさん@ピンキー:2008/02/18(月) 13:57:04 ID:4TVDr2H2
>>210
こちらこそ 拙文喜んでいただけて感動です
>>211
アドバイスありがとうございました
またお気づきのことありましたらよろしくお願いします

> ◆Z1avlYLVtI さん
おつかれさまでした とても読み応えがありました。
すごくまっすぐな2人に感動です

>waterさん
人物の配置、場面の変化とても参考になります
光がとてもかわいく見える表現に愛を感じました。

>>249
いたるの誕生日・・ 堪能させていただきました
とってもほのぼのとして最後に泣かせる 憎らしい演出に脱帽です。
またぜひお会いできますように
251woodchuck:2008/02/18(月) 13:57:38 ID:4TVDr2H2
「あら言葉おかえりなさい 今日はお友達のところに泊まるって聞いてたはずだけど?」と真奈美さんが声をかける
誠のそばまで来ると「(誠くん、言葉とケンカしたわけ・・でもなさそうね・・まぁいいわ)」
「あの友達に急用ができちゃって、それで誠くんとお出かけして送ってもらったの」と
リビングにいる父親に聞こえるようにわざと大きな声で言葉が返事をする
誠くん・・という言葉に反応してテレビをみていた桂・父が腰をあげて玄関まで出てきた。
「おぉ伊藤君、昨日は言葉が大変お世話になったようで・・・」
「丁度いい、相手が欲しかったところなんだ こっちにきて私の相手をしてくれないか」
「貴方、誠くんも用事がありますし、言葉や心が離しませんから・・・」
「いいじゃないか どうだ?今日はこの家に泊まっていかんか?なんなら私からおうちの方に連絡を入れるが」
「今日は母は夜勤の日ですし、もともと外泊するかもとは言ってありますので連絡はいりませんが その、、こちらで泊まるのはさすがに・・・」
「この状況をみて可哀想とは思わないかい?女(真奈美)女(言葉)女(心)女(卯月)今日は肩身が狭すぎるんだ」
上機嫌な桂・父は女性陣を順に指差して苦笑いする
「・・・確かに」
「なぁ、わかってくれるよな?なら決まりだ 真奈美、グラスをもう一個持ってきてくれないか」
「ダメですよ まだ未成年なんですから」
「気にするな 男同士でウーロン茶なんて味気ないだろ 介抱なら言葉が喜んでするぞ きっと」
「はいはい 適当なところでやめておいてくださいね」
「おとうさんズルーイ!今日こそ心が誠くんと一緒にいるはずなのにぃ!」
「心は今日は卯月ちゃんといっしょの日じゃないか また今度にしろ、また今度」
昨日以上に不満顔な心ちゃんだったが卯月ちゃんとお風呂にはいるらしく呼ばれて出て行った

「ところで伊藤くん、昨日の件なんだが・・」
「はい なんでしょう」
「相手の男は君の友達ということなんだが」
「お恥ずかしい限りです。普段はおちゃらけてて楽しい奴だったんです。
魔が差したというか、学校祭の雰囲気に呑まれてってことだとは思うのですが」
「とりあえず被害届けは出したし週明けには学校へ通告するつもりなんだが」
「それはしかたがないと思います。やったことはやったことですから。
でも、友人としてあいつの相談には乗りたいですし、もしあいつが詫びを入れたいといったら連れてきてもかまいませんか?」
「言葉のいないところでならかまわない。私の連絡先を教えるからそこへ連絡しなさい。」
「あと加藤さんといったっけ」
「はい、4組の加藤乙女です あいつは中学のときの同級生で男女分け隔てなく遊んでた仲なのでよく知ってるんですが
部活をマジメにするしさっぱりした性格でとてもあんな陰湿なことをする奴じゃなかったんですが・・・」
「彼女も知り合いなのか 君は知り合いがおおいんだな」
「たまたまです でも知り合いが皆で迷惑をかけたわけで申し訳ないです」
「いやいいんだよ 君は恩人なんだから」
「でも・・・」
「伊藤くん、友人を大事にするのは立派だが、いちいち全員の責任まで負ってたら身が持たないぞ」
「はぁ」
「若い頃は間違いを犯す その責任は自分で取らなきゃならない でも今回はまだ取り返しがつく 君のおかげだ
もし君がいなかったらと思うと・・・」桂・父の目にうっすらと涙が浮かんでいた
(言葉ってお父さんからも愛されている 俺とは違うんだよな)
なんだかあったかな気持ちになる誠だった。

ひとしきり話を終えた頃
真奈美さんとつまみを作っていた言葉が
それぞれのグラスももってリビングにやってきた
「あらあら泣き上戸でしたっけ あなた」と真奈美さんが笑う
「そんなことより言葉も飲むのか?」
「わたしだけ仲間はずれなんてダメです」
「ま、たまにはいいか」
仲の良いご両親に囲まれた言葉に
お風呂からでてきた心ちゃんと卯月ちゃんも加わって
とても和んだ時間をすごした誠だった
_________________________________<言葉の家族 了>___
252woodchuck:2008/02/18(月) 14:00:26 ID:4TVDr2H2
すみません>251は>207の続きでした

翌朝、夜勤明けの母親の帰宅に間に合うように早々に桂家を辞した誠は
特に用もなかったので駅から海岸沿いにゆっくりと歩いて帰ることにした
ラディッシュの前を通るとき、中を覗いたら世界が急がしく立ち働いているのが見えたが
昨日の言葉とのデートやお泊りのこともありなんだか声をかけるのもためらわれて素通りした
「一応メールだけでもいれとくか」
(世界、バイト忙しそうだね。前を通りかかったけどちょっと疲れてるのでこのまま帰る。
言葉のことありがとうな 誠)
「これでよしっと」
世界はふと外から視線を感じて通りを見やったがそこにはもう誠の姿はなかった。

誠がマンションの前までたどり着くと そこには乙女と乙女の親父さんの姿があった
乙女の親父さんは昔から誠のことを息子のようにかわいがってくれるひとだ
背中をバンバン叩くのだけはいやだったけれど
乙女の両親はとても夫婦仲が良いことで有名で
どんなときでも親父さんはおばさんを大切に扱っていた
本人は「違うぞ、怖がってるだけだ」というけれど
そんな親父さんを誠は大人の男として尊敬をしていた

「おーい誠!」
誠を見つけるとすぐに親父さんが声をかけてきた
「これから時間があるか?」
「はい 今戻ったばかりですけど、予定はないので大丈夫です」
「じゃぁちょっと付き合ってくれ」
「それじゃぁ少し待っててください 着替えたいし 母さんにメモ書いてきますから」

さっき素通りしたラディッシュに親父さんの車で乙女と三人移動することになった
移動の途中、乙女はずっと窓の方をみて顔を合わせることがなかった
誠のほうから何かいうこともなく、気まずい沈黙が続いた
そんな空気をさっしてか親父さんは誠に「母さんは元気か?」などと話しかけるのだった

ラディッシュの中にはいると世界が注文をとりにやってくる
「あ まことじゃん どうしたの?珍しい 世界さんのウェイトレス分を補充しにきたのかな?」
などと冗談をいいつつくるっと回って見せる
正直まぶしすぎて正視できない誠だった
「世界 さっきメール送ったんだけど 見てくれた?結局戻ってきちゃったけどさ(はは」
誠のまえに並んで座っている二人に目をむける世界
「あ、そうなんだ? それで加藤さん と・・・加藤さんのお父様ですか?」
「ん? 誰だい誠、乙女」
「西園寺さん、誠と同じクラスなんだ」ぼそっと答える乙女
「そっかこいつの父親だ、よろしくしてやってくれ ん?誠、好きなもの頼んでいいぞ」
「加藤といっしょのものでいいですよ 加藤、ミックスジュースでいいのか?」
「うん」
「じゃぁ コーヒーホットとミックスジュース2つな」
「はい 承りました」
世界は事務的にオーダーを確認すると誠たちを一瞥して戻っていった
(デートって雰囲気じゃないから まっいいか )


253woodchuck:2008/02/18(月) 14:01:00 ID:4TVDr2H2
誠は奥側の席に座っていた
正面から親父さんと乙女を良く見ると
乙女の頬が赤くはれているし、口元に切れて出血したような跡があるのに気がついた
「加藤、その顔・・・・」
「あ〜 気にするな 親の俺が殴ったんだからな」
「親父さん いつも女子供に手を出すのはって自分が言ってるじゃないですか!」
いきなり誠が声を荒げる
娘に乱暴する父親というのは誠には到底受け入れられない存在だ・・
「まあそんなに熱くなるな 今回ばかりは別だ 理由は誠も知ってるだろう」
これには誠も沈黙するよりほかなかった
「誠、もとよりおまえには非はないがな 父親として今回のこと、理由のひとつは、
おまえにもあると知ってもらいたいと思って今日呼んだんだ
それと相手のご両親、本人にお詫びに伺わなければならん」
お詫びはともかく「理由のひとつ」と言われては聞き返さざるをえなかった
「どういうことですか?」
「ほれ 乙女 おまえからきちんと話せ」
乙女はそっぽを向いていたが親父さんから小突かれるとしぶしぶ前を向いた
そして消え入りそうな声でつぶやいた
「(わたし伊藤のことが好きだったの)」
「(だから桂のこと・・・・)」
それだけ言うとテーブルに伏せて泣き出してしまった
「そんな・・・」
「昔から娘の気持ちには気がついていたけど 今回のことはあまりに哀れでな」
「どうか乙女のこと嫌わないでやって欲しいんだ」
「おまえの彼女を襲わせたなんてのは許されることじゃないが、長年溜め込んでいたこいつの気持ちを思うとな」
「その・・ショックでしたけど、嫌うなんて事はない。親友だと思ってるから。」
「親友か・・・」乙女の頭を優しくなでる親父さん
えぐえぐ泣き続ける乙女
今の誠には乙女にどう声を掛けていいのかわからなかった。
とりあえず自分のできることを親父さんに伝える。
「彼女のご両親には話してあります。お詫びをするつもりなら案内しますけど。」
「今回のこと今まで理由がわからなかったけど 乙女は乙女だと思ってましたから・・」
誠は乙女の姿を戸惑いながら見つめる
「ところでおまえは乙女のこと女としては見てなかったのか?
親バカかもしれんがこれは俺じゃなく嫁ににてかなりの美人だと思うがな」
「かわいいって皆に言われているのは知ってました。でも俺には幼馴染で、いいことも悪いことも一緒にする仲間だったから」
「そうか わしにとってもおまえは息子みたいなものだしなぁ」
ほんとうに愛おしそうに親父さんは乙女の頭をなでている
「たぶん・・・・これからは意識すると思います」
ずっと泣き続ける乙女なんていままで見たことがなかった誠は思わずそういってしまった。

「だってよ乙女 これから頑張ればいいじゃないか なぁ!」と娘の背中をバシバシ叩く
それでもずっと乙女は呻くように泣き続けていた。
飲み物を携えた世界が来た。乙女の姿をみて思うところがあったようで
「顔を洗いにいきましょうよ」と乙女をバックヤードまで連れて行った。
親父さんと二人その後姿をじっと眺めていた
世界のお尻の辺りがどうしても気になってしまう。
ふと気がつくと親父さんがこっちをじっと見ている。
「ところであの娘もおまえの彼女なのか?」
「?!」むせる誠
「その辺はちょっと込み入ってまして・・・・」
ニヤニヤする親父さん
「なんだ・・おまえもやっぱり止の息子だったってわけか」
ニカっと歯を見せて親父さんが笑う
この言葉が誠にとっては一番きつい一言だった。

_____________________________________________________

254woodchuck:2008/02/18(月) 14:01:31 ID:4TVDr2H2
誠は昨晩教えてもらった桂・父の携帯電話をならすと
「そうか 加藤さんのほうなんだな わかった ならそのまま自宅まで案内してほしい」
「わかりました」
誠は親父さんに順に道を教えながら後ろの席に座る乙女に話しかける
「加藤、いや・・・乙女・・・もう気にするな。 きちんと謝れ それで俺たちは元通りだから」
親父さんはちょっと良い顔をして笑っていた
「(うん)」消え入りそうな声で乙女がつぶやいた

桂家に到着すると誠が呼び鈴をおす
なかから真奈美さんの声がする
案内されるままに玄関を開けると
桂・父と真奈美さんが待っていた

「あのこちら加藤さんと加藤さんのお父さんで・・」
紹介する暇もなく親父さんが玄関先で土下座をしている
「申し訳ございません、うちのバカ娘がとんでもないことをしまして」
少し禿げ上がった額を地面にこすりつける親父さん
いつも余裕をもった口調で周りを従える親父さんのこんな姿を見るとは思わず
誠はびっくりしたまま身動きができないでいた
「こらオマエもとなりに来ないか!」と下から乙女を怒鳴りつける親父さん
親父さんの横に正座して縮こまる乙女
そんな姿を見かねて真奈美さんがたたきまで下りて二人に立ち上がるように促す
「誠くん、言葉は自分の部屋にいるから行ってあげてくれないかしら」
「わかりました」
親父さんにアイコンタクトし乙女に小さく「(頑張れ)」と励まし誠は二階の言葉の部屋へ向かった
_____________________________________________________

階下では親父さんが平身低頭謝りつづけているのが気配でわかった
どうやら素直に乙女も謝ることができたようだ
言葉にあらかたの経緯を話し終えたころ
階段を上がってくる足音がして扉がノックされた 乙女だった
乙女は部屋に入ると言葉に素直に詫びた
「桂 今回のこと私が悪かった 許してもらえるとは思ってないけど でも本当に悪かった」
「わたし 今はなんて言ったらいいかわかりませんが・・・」
ちらりと誠のほうをみて考える言葉
「でもまことくんが貴方を連れてきたってことは許してあげろということだと思いますから許します」
(え・?!)
「まことくんが信じるなら私も信じます」
「ことのは・・」誠はじっと言葉をみる
同じくびっくりした表情で言葉を見つめる乙女
そしておもむろに口を開いた
「桂、わたしずっと伊藤のこと好きだったんだ。友達じゃなくってずっと伊藤のことが好きだった」
「だからあんたが伊藤と付き合ってるって聞いて許せなかった 
あの時教室で『誠くんのこと好きなんでしょ?』って言われたけどその通りだった
でも助けに来たのは伊藤だったし、その伊藤もあんたもあんなひどいことした私を許すっていうなんて・・」
崩れ落ちるように膝をつき、さっきまで泣いて赤くなっていた目をまた赤くはらしながら乙女が話す
「わたしあんたのこと応援はしない だって今でも伊藤のこと好きだから でもきちんと向き合って勝負することにするから」
「わかりました わたしも負けません」
誠のことは置き去りで女同士で話がついたみたいだった

255woodchuck:2008/02/18(月) 14:01:58 ID:4TVDr2H2
そのときポケットの携帯が震えたので誠は二人に合図をしてベランダにでた
電話は泰介の姉の美紀姉ぇだった 美紀姉ぇは榊野学園のOGで誠たちの5歳上、大学2年生
泰介は筋金入りの姉(シス)コンで彼女には頭が上がらないが
美紀にとって誠は大のお気に入りだったので、最初にあった時に携番を交換して以後よく電話がかかってくる
学園1年生の誠にとって美紀は大人の魅力たっぷりでいつも話をするのが楽しみだった
でも今回の電話はいつもの電話とは違う様子だった
「ねぇ誠くん、泰介のことなんだけど」
ナーバスな口調で美紀がはなす
「泰介、文化祭から戻るなり部屋に引きこもってしまって 最初は疲れただけかとも思ったんだけど
昨日一日でてこないし今日もまだ部屋の中で・・・ 動く気配はするから死んじゃいないと思うんだけど・・・」
「誠くん何があったか知らないかな?」
一瞬、伝えるべきか迷った誠だったが、弟思いの美紀のことを良く知っていることもあって素直に話すことにした
電話の向うで凍りつく美紀が想像できた
しばらく無言が続いた後
「今誠くんはどこにいるの?」
「今その言葉の家にいます 泰介と一緒にいた言葉のクラスメイトも僕の知り合いでその謝罪に一緒についてきたんだ」
「そう、悪いけど帰りにこちらに寄ってくれないかな
間が悪く今両親二人ともいないのよ このまま泰介をひとりにして出かけるのもはばかられて・・・」
「わかりました」
「ほんと迷惑かけてゴメンね」と美紀姉ぇのすまなさそうな声が耳に残った。
_________________________________________________________

桂家を3人で辞したあと親父さんの車で帰路に着く
「誠、このまま家に送るからな」
「あ、親父さん・・迷惑かけついでで悪いんですが」
「おおなんだ 迷惑かけたのはこっちだろうに」
「友達の家に呼ばれてるんで近くの駅でいいんでおろしてもらえませんか?」
「といってもおまえ疲れてるだろ ついでだから送ってやるから道を教えな」
「ああ ありがとうございます じゃぁ遠慮せず甘えます(笑」
泰介の家までの道を教える
「乙女、泰介に会いにいくんだけど・・・ なにか伝えることあるか?」
加藤・・と呼ぶのもよそよそしいと思い、乙女と呼ぶことにした
「うん いい」
「そっか」
暫く考え込むようだったが
「誠、『迷惑かけた』っていっておいてくれるかな」
「ああ わかった 伝えとくよ」
___________________________________________<乙女の気持ち 了>______
256名無しさん@ピンキー:2008/02/18(月) 17:21:13 ID:Ik02Gsb0
>>250
美紀の登場がすごく楽しみです。
それと同時にあの澤永がどういう反応を示すかそれも楽しみです。
是非頑張ってくださいね。


いたるSSのご感想ありがとうございます。

書く予定の長編が放置状態になってるのと
書くならある程度ネタを溜めてから書こうかなと思ってますので
とりあえず一時中断の予定です。

ただ再開する気力が湧かなければこのまま最終回にしても
いいかなとは思っています。
257名無しさん@ピンキー:2008/02/18(月) 17:50:23 ID:Cf8mY1ZZ
誰もが考えることかもしれんが、言葉と世界の人間関係的立ち位置が逆だったらどんな話に
なってたんだろ?

<言葉>
・刹那は幼なじみにして親友。小さいころは「せっちゃん」「ことぴー」と呼び合う仲。さすがに
 高校生なってからはそう呼ぶのは控えているが、いまでも頻繁に互いの家を行き来している。
 刹那にとっても言葉は心からわかりあえる親友以上に大事な「真友」。消極的なところのある
 彼女を一人前にするのが自分の使命だと自負している。
・七海も中学時代からの友人。中学のとき、七海がつぎに赤点とったら補習になり、部の試合
 に出られなくなる……という局面があり、悩んでいたところを、見かねた隣席の言葉が助力を
 申し出て一緒に試験勉強して乗り切った。それに恩義を感じた七海は、言葉とつきあうように
 なり、誤解されやすい言葉の美点に気づく。元々姉御肌な彼女は、世間知らずで内気な
 言葉に「あたしが守ってやらなくちゃ」的保護欲を刺激されている。
・その他、光たちとも高校に入ってから友人関係を築いている。夏休みなどは言葉の家に
 女の子たちが集まってパジャマパーティーなども行った。
<世界>
・一見、明るく元気だが、いまいち空気を読めず、周囲からは「空回りしているイタイやつ」
 「能天気なアホの子」的に見られて、クラスでは浮いている。あからさまなイジメは受けていない
 ものの、潜在的ハブられ候補。女子が奇数なため、体育などでペアを組む際に余りがち。
・本人も内心では自分の現状に気づいているが、表面上は必死に否定。家族にもそんな
 様子は見せていない。

――といった状況だったとすると。
……うん、ごめん。言葉のひとり勝ちしかありえない。あれだけハイスペックな言葉に、
世界が対抗するには、味方機の支援と、有利な状況がないと無理と言うのがよくわかる。
その圧倒的不利な状況下からでも、勝利(まこと)をもぎ取る言葉様は、まさにガンダムか
「管理局の白い悪魔」並にスゴいなあ。 
258名無しさん@ピンキー:2008/02/18(月) 18:41:55 ID:GB1wz+cK
>>257
あらためて世界は周りにたすけられているんだとおもう

あと管理局の白い悪魔って、なのはか⌒*(・∀・)*⌒
259名無しさん@ピンキー:2008/02/18(月) 19:07:12 ID:NLTQd4OI
>249
乙。「ゴールなんてさせないのさ☆」なんて言ってみる
でも、ブログの「心」や12話IFみたいな切ない系シリアスもポルナレフ無しも
読みたいので新作も待ってるお(´・ω・`)
260名無しさん@ピンキー:2008/02/18(月) 20:35:37 ID:QCuXCN+i
でもそれだったら世界にかわいそうな子萌え票がついたことは
間違いない
ただ言葉に裏切り属性がないからなあ。スクイズがはじまらんかも
誠はずっと「世界」に憧れていて(普通に可愛いからありうる)
刹那は自分も誠を好きだったけど消極的な言葉が唯一興味を
持った誠の隣の席を譲ったがある日言葉が誠の携帯の待ちうけに
なっている世界をみてしまい…
だめだこの時点で言葉なら世界と友達になって誠にいい顔しよう
なんて積極性は考えられない
「西園寺さんが好きなんですか…?でも、応援…できませんっ」
って自己完結で終わりそうな気がする
261名無しさん@ピンキー:2008/02/18(月) 22:48:49 ID:5Pq4dLJU
言葉様の積極性スペックをもうちょっと上げて、誠と世界の仲がうまくいくよう
本気で世話を焼いてるうちに知らず知らず自分も・・・・・・というパターンなら
行けるか?
262mark:2008/02/18(月) 23:01:41 ID:35e4mYNU
1日経っただけで、もうこんなに進んでるのか…… 妄想力旺盛で負けそう(汗)

>woodchuckさんへ

言葉・乙女の親父ーズがいい味出してますね。原作・アニメでは家族は
ほとんど役立たずというか、意図的に排除されてますけど、ここでは
親として娘の事をちゃんと大事に思っている事がわかります。
割と冷静かつ建設的に問題を解決しようとしているので何よりです。
普通なら言葉の件は親同士の争いに発展しかねない出来事ですけどね……
澤永のお姉さんも参戦かな?

>waterさんへ

光を題材にした創作は珍しいですね。明るい割に冷静で功利的な面も
ある彼女ですが、誠とのセックスフレンドな関係から、ちゃんとした
恋人に昇格するのでしょうか?でも正式な彼女は世界ですし、今のところは
加藤姉妹の動きにも要注意ですね。さらにあらたなキャラも参戦の
ようですし……… 
263名無しさん@ピンキー:2008/02/18(月) 23:02:25 ID:ZuMLQD0M
>>249
いつも、あったかいSS ありがとうございます
ご存知とは思いますが、顧問様が16歳のいたるを描いてくれましたね
あの姿を目に焼き付けてから、もう一度、その他さんのいたるSS読んでみようと思いますw

他のみなさんも GJです
264名無しさん@ピンキー:2008/02/18(月) 23:08:22 ID:8nuh9nXV
需要があると思うSS

・「そして言葉とED」の補完
〜肝心の言葉と誠の再開シーンが抜けている。
 言葉が不安を抑え、誠を信じて待っている間の心理描写や
 誠が言葉を選んだ理由などが知りたかった。後は言葉が素敵でしたというHシーン。

・プールの補完
 誠は言葉とプールに来ると世界を構ったり、ナンパから逃げたりと言葉を粗末に扱っているので
 水着をほめたり、一緒に中を回ったりするシーンが欲しい。プールの中によくある泡の出るお風呂に二人仲良く入る場面とか。

・肉欲ED補完
〜誠が言葉へ溺れるシーンが欲しい

・我が子へED補完
〜某同人誌のように誠が生還し、言葉が泣いて抱きしめるシーンが欲しい
 出来れば世界失踪後に二人が愛をはぐぐむ場面も。

〜永遠にED
 ラスト、言葉の懇願を受けたら普通は世界を振るはず。ぜひ言葉を抱きしめて
 寄りを戻してほしい。
265名無しさん@ピンキー:2008/02/18(月) 23:13:42 ID:8nuh9nXV
そういえば顧問様のHPにいたる16歳の絵がでたけど
これはいたるSSをよく書かれる方の功績では?
266名無しさん@ピンキー:2008/02/18(月) 23:20:20 ID:rmsWeG72
>264

>〜永遠にED
 ラスト、言葉の懇願を受けたら普通は世界を振るはず。ぜひ言葉を抱きしめて
 寄りを戻してほしい。

それ、TV版と変わらん・・・(つー事は最後はNice_Boat行き?)
267名無しさん@ピンキー:2008/02/18(月) 23:40:00 ID:Ik02Gsb0
>>259
>>263
中断或いはフェードアウトを決心したその日に
まさか顧問様のあんな燃料をもらえるとは思えませんでした。

>>265
私の下手なSSごときにそんな影響があるとは思えないですw


いたるSSですが中断或いはやめると言ったその日ですがせっかくの燃料があったので
ネタ作りだけでも続けていく事にしますw
268名無しさん@ピンキー:2008/02/18(月) 23:53:01 ID:z9N6Fhk5
>>257
その世界ってキラキラのきらりになんとなく似ている気がするのですが・・・
でもあまりに力量差があるとライバルにすらならないって点で
はらはらしたストーリーを作るのが難しそうです
>>261
そのままハイパー言葉が持ち逃げして終わりそうです。
ちょっとロースペック世界がかわいそうな気がしますね。
269woodchuck:2008/02/19(火) 00:37:58 ID:QvWurgC/
>255の続きです

澤永家の近くで車をおり、手を振って車を見送った
携帯電話で家の前まで来たことを美紀姉ぇにつげるとロックが外されて中に入る
泰介の部屋の前を一旦素通りしてリビングに案内された
「それで、泰介は・・・」
「さっきの電話からなにも変ってないわ」悩ましそうに顔を歪める美紀姉ぇ
「とりあえず声をかけてきます」
「えぇ・・・」

「おい泰介 誠だ 聞こえてるか」
返事はない
美紀姉ぇの手前というのは気になったがそのまま続ける
「おい泰介 聞こえてるだろ 何いまさら隠れてるんだ」
中にいるなら出て来いとばかりにドアを蹴飛ばす
「俺は気が立ってるんだ、言葉を襲ったことだけじゃない
あのときの言い訳もそうだし、今だって美紀姉ぇを困らせてることもそうだ」
「男だったらやったことの責任くらいとれ ひとりが怖いなら友達を頼れよ そんなに俺は頼りないか」
ドアの向うで人が動く気配がする
「加藤なんか親父さんに殴られて顔腫らした状態で言葉と両親に詫びいれたんだぞ おまえよりよっぽど潔い」
さんざんにけなす誠にびっくりして美紀姉ぇが堪らず部屋から出てくるが誠はこれを制する
「閉じこもって問題が解決すると思ってるなら死ぬまで閉じこもってろ
おれは暫く美紀姉ぇとおしゃべりしたら帰るからな 美紀姉ぇの顔でも眺めてないと胸糞悪いから向うへ行くぞ」
おろおろする美紀姉ぇの手をひきリビングまで戻る

「さぁ座って」美紀姉ぇを自分の前の席に座らせる
「お茶淹れてきますから」・・勝手知ったるなんとやらで美紀姉ぇの好みのハーブティを入れて戻る
「じゃぁ約束どおり美紀姉ぇの顔でも見ながら待つとしますか(笑」というと
あっけに取られた美紀姉ぇが「誠くんってこんなキャラだったっけ」と苦笑する
「あぁ・・確かにいつもと違うかも」
「そうよねぇ でもこっちの誠くんのほうがお姉ちゃんの好みだわ」
「ちょっと・・・」すぐ照れるところはいつもの誠だった
「まだ修行は足りないみたいねぇ」と鈴のように美紀姉ぇは笑った
言葉に無条件に受け入れられ信頼されている、そんな自信が自分を変えたのかもしれない、誠はそう思った。
______________________________________________

しばらく美紀姉ぇとおしゃべりを続けた。
言葉のことについてかなり根堀葉堀聞かれたので辟易して
以前返り討ちされたゲームの再戦を申し込んだ。
古いゲームだけどやっぱり面白い、星のワルオブラザーズ3で盛り上がる
美紀姉ぇはどうしてこんなに強いのか・・・ 
美人のはずなんだけどどうしてゲームをするときはあぐらになるのか・・・
疑問を冷静に思い浮かべるが、そうはいってもどうしてもあらぬところに目がひきつけられてしまう
ちらちら美紀姉ぇの方を見ている間にどんどん引き離される
当然といえば当然だが、また返り討ちにされた・・。
終わったときに美紀姉ぇがさらりという
「誠くん おねえさんばっかり見てるから勝てないのよ(ふ」
ちょっと悔しかった。

270woodchuck:2008/02/19(火) 00:40:13 ID:QvWurgC/
時間はすでに5時を回っている
さすがにもう時間切れかなと思い、席を立とうとしたとき
カチャっと音がして泰介が部屋をでてきた
無精ひげにボサボサの髪、涙の線がついた顔、情けないのもこれほどにという姿だった
「やっとでてきたな このバカ」 誠はゆっくりと近づくと胸を拳で軽く叩く
「誠ぉ・・・」すがりつくように誠に抱きつく泰介
近づいた美紀姉ぇにも同じように抱きつく
いつもなら蹴飛ばしている美紀姉ぇも今日は違うようだ
やさしく何度も頭をなでている
「おぃ 頭は大丈夫か? 俺が殴りつけたところ・・・」
美紀姉ぇがあわてて触ると今でもかなり大きなコブがあるようだ
「痛ぇよ ねえちゃん」 泣きそうな顔だった美紀姉ぇの顔が崩れる
「このバカはもう・・・」
「バカ、バカいうなってば・・・」
「でも今回ばかりはね おまえはバカだからさ」
「うう・・・・俺どうしたらいいかな?誠、ねぇちゃん」

誠は順にあの事件の現場で別れてからのを話した もちろんプライベートは除いてだが・・・
言葉の父親が被害届けをだして月曜日、つまり明後日に学校へ話しにいくだろうってことと 加藤からの伝言と
話を聞くうちに現実が見えてきたのか元々気の小さな泰介はどんどん顔が青ざめてきている
「今から 謝りにいかないか」誠がたまりかねて声をかける
「言葉のお父さんには許可をとってあるんだ。言葉のいないところでなら会ってくれるって。」
お父さんにあう・・そう、聞いたとき、泰介の顔はさらに青ざめてしまったが
「泰介、おまえがやったことに比べたらたいした事はないよ ねぇちゃんが言葉さんだったとして
おまえ、言葉さんのお父さんの気持ちわかるんじゃないの?」
「うぅ・・・」
「まさか殺されはしないと思うけど・・一応、居合いの有段者だそうだから な」
ちょっとだけ虐めたら 燃え尽きたような表情で「わかったよ」と泰介が答えた。
_________________________________________

桂・父の携帯にかけるのは本日二度目だ
いいかげん慣れればいいのにやはり緊張する 
大会社の重役らしく威厳があるしとにかく賢いひとだったからだ
「伊藤くんだね さきほどはどうも あの加藤さんという方、本当に面白いひとだなぁ
こんなきっかけで知り合ったのは好ましくはないが、それでも話せてよかった思う
誠くんの小さな頃の話とかうちの家内とも話が盛り上がっていたようだよ(笑」
でも予想外に桂・父は上機嫌だった これも親父さんの人徳か?と感心せざるを得なかった
「そうですか 本当にありがとうございました。
小さい頃から世話になっている方でしたので穏便にお話いただけて感謝します」
「それで、用件はなんだい?」
「あの、、その、、もう一人の方なんですが・・ 」
「 澤 永 泰 介 か 」
いきなりトーンが厳しいものとなる
「はい」返事をするのも重々しい
「うむ・・で、なんと言っている?」
「元が小心者なので放心状態というのが正しいところなんですが ずっと引きこもってまして」
「なんだ加害者の癖にひきこもってるのか 情けない奴だな」容赦がない
「はい、それで涙ながらに悔いています」
「ふん」
「一度会ってやってくれませんか お願いします」
「気に入らなければ首を撥ねてもかまわないのでお願いします」
となりで青ざめる泰介、美紀姉ぇはこんな誠に慣れたのか黙って聞いている
その冗談で溜飲がさがったのか
「わかった オフィスの方に行く用事があるから そうだな6時に榊野町の・・・・」
車を運転する美紀姉ぇに目的地を教えたあと、誠は流れる景色をぼーっと眺めていた
271woodchuck:2008/02/19(火) 00:43:19 ID:QvWurgC/
受付で用件を伝えると秘書と思しき女性がエレベーターで案内をしてくれるようだ
物すごい勢いでエレベーターが上がっているのは景色の変化でわかるけれども殆ど揺れない
到着した階が何階だったのかも緊張してわからなかった

部屋に案内されると桂・父は大きな耳掻きのようなもので刀をパタパタしている
(もしかしてあれが古青江?)
あれなんて道具だったっけ?時代劇でよく見るよなぁ・・・などと思っていると
「伊藤くん、紹介をしてくれ」
「は はい、こちらは泰介の姉の美紀さんです
今日泰介のことで電話をもらってそのまま一緒についてきてもらいました」
「それでこちらが澤永泰介です その、、言葉さんに手を掛けた・・・」
その言葉と同時に泰介が膝をついて涙をぼろぼろさせながら
「すみませんでした すみませんでした〜」と壊れたテープレコーダーのように言い続ける
「わかったからとりあえず静かにしてくれ」
厳しいひとことに「(ひっ)」と小さく悲鳴をあげて泰介はその姿勢のまま固まる

「美紀さんとやら ご両親はどうされている?」
「両親は仕事で週末留守にしておりまして・・ 本来ならはせ参じるべきところなのですが
とりあえず姉として保護者の代わりについてまいりました 失礼をお許しください」と丁寧に頭を下げる
「そうですか ご両親のことは良いとして まずは泰介くんと話をさせてもらえますかな」
「はい 席を外したほうがよろしいでしょうか」
「そうですな・・ 貴方がいるとこの男はどうも頼りなくなるようだから申し訳ないが」
「わかりました 先ほどの控え室で待たせていただきます」といってさがる美紀姉ぇ
「僕も席を外したほうがいいですか」
手入れをしていた刀を片手にもち誠と泰介の近くまで来ながら桂・父が答える
「いや 気になるだろ?ほんとうに首を刎ねるんじゃないかと 君はここに残って見届けてくれたまえ」
「は はい」

そう答えたとき桂・父は古青江を構え一閃・・・泰介の頭上を刀が風を巻き起こして通り過ぎた
「ひぃぃぃぃ・・・・・・」そのまま泡を吹くように卒倒する泰介
空中には泰介の髪の毛が飛び散っていた
「首はついているか?澤永泰介」 腰をぬかして返事がまともにできない泰介
「うむ・・振りが鈍ったかな」 
泰介の悲鳴を聞いた美紀姉ぇが部屋に再度飛び込んできたときには
桂・父は刀を鞘に戻しつつデスクの椅子に沈み込んでいた
「鷹司弁護士に電話を・・・」秘書に向かって桂・父が指示をだしていた
___________________________________________

「かっぱだね」
「かっぱだねぇ」
「カッパ・・・あっはhっはhっはhっは」

「美紀姉ぇ。。」
泣き笑いをして車を運転する美紀姉ぇの手が危ういので
慌てて声をかける
先ほどの一閃で泰介の頭頂部は丸く虎刈りにされていた
とてもじゃないがそのままで外は歩けない
電話をかけてこれからいつも行く美容院ではなく
昔子供の頃いっていた床屋へ行く予定だ
美紀姉ぇは携帯を俺に渡して言う
「こいつの頭、写真にとっといて」
「それ?ひどくないですか?」と形だけ言って
自分の携帯と美紀姉ぇの携帯で写真を撮っておいたのは内緒だ。
泰介は終始無言のままだったが最後に口をひらく
「ぅぅ・・・気持ち悪い」
「ぇえ?吐きそうか?」
「ちがう」 
泰介はズボンの股間を引っ張るようにして情けない顔をしていた。
272woodchuck:2008/02/19(火) 00:45:26 ID:QvWurgC/
あの後、弁護士との用件をすませ受話器を置いた桂・父はゆっくり話し始めた
「澤永泰介」さきほどまでとは打って変わってその言葉は優しかった
「おまえは二度と私の前に出てくるんじゃない 言葉の前にもだ
学園生活は普通に送れ、なるべくマジメにな。
大学でいっしょになることは言葉の成績からもないだろうからあとは知らん」

そして古青江を桐の箱に収めると話を続けた

「たしかに若いうちには無茶もする、私だってしたことはある。
それでも取り返しのつかないことはしてはいかん 人間として
ただしそういうのはそんなに沢山あるわけじゃないんだ
今回貴様がやろうとしたことはその数少ない取り返しのつかないことだ
それをとめてくれ、さらにはこんな所まで付き添ってくれた友人に感謝しろ
私が感謝している以上にお前は感謝しないといけない。わかったらとっとと出て行け」
腰の抜けた泰介は這うようにして退室した。さいごまで「すみません すみません」といい続けていた。
___________________________<かっぱ 了>_______

(顛末)

桂・父はあの足で被害届けを取り下げたようだ
学校には報告をしたがきちんと謝罪され彼らが反省している旨も伝えてくれたようだ

日曜日には泰介と携帯電話で少しだけ話をした 少しは落ち着いているようだ
記念にメールであの写真を送っておいてやった。
その足で世界にも報告をいれた 
ぎこちないながら世界は話に相槌をうって「よかったね」と言ってくれた
世界にも写真をと思ったがさすがにそれは可哀想かと思い自重した
言葉からは短いメールが数通、まとめて返事をしてから寝る前に電話をした
「まことくん 昨日はお疲れ様でした 今日会えなかったのが寂しかったです そのかわり明日がとても楽しみです」
屈託のない言葉の笑顔が想像できた

美紀姉ぇからのメールには笑えるような怖いことが満載だった
泰介は5厘刈にされたらしい。
床屋さんで一番短い部分にあわせたらそうなったとのことだ。
5厘=1.5mmって注釈が書かれている。
・・・・ぉぃ・・・・言葉のお父さんは怒らせてはいけない人だと思う
仕事から戻った両親にはなしたら、しこたま泰介が殴られたということと
両親そろって改めて謝罪に伺うと桂家に申し出たら、あっさり断られたらしいことが書かれていた。
逆に髪の毛のことを真奈美さんから申し訳なさそうに言われたらしい。

金曜日の試写会の件は人の口に蓋はできないわけで漏れ広がり
泰介の頭をみて皆がなにやら囁きあっていた
周囲から「レイパー」「レイッパゲ」などとさんざんに言われている
泰介が今後の学園生活をまともに送れるのかどうかは相当に怪しい
ある意味退学にされるよりも辛いんじゃないかと思う
でもまぁこれくらいは自業自得だ。あいつにはいい薬になるだろう
俺だって本当に心から許したわけじゃないし。

午前中に桂・父母が来校し、午後には泰介と加藤、3人組が呼び出されていた
泰介は明日から1ヶ月の停学、加藤と3人はそれぞれ1週間の停学となった
普通なら全員退学でもおかしくは無いと聞いていたが
逆にこの軽い処分が言葉が「傷ついていない」ことを皆に周知させるのだという
そう後日一緒に食事をしたときの桂・父からいわれた。
そうそう、あと手元が狂ってあれは髪を切りすぎたんだそうだ。
本当は頭の上を少しかすめるだけでほとんど髪を切るつもりはなかったらしい・・・・・・・・・・・。
___________________________________________
273名無しさん@ピンキー:2008/02/19(火) 00:50:16 ID:nOZv1XG6
>woodchuck氏
いつも楽しく拝見しています。
親父’sがいい味を出していますね。
続きを楽しみにしています。
274woodchuck:2008/02/19(火) 01:02:17 ID:QvWurgC/
以上で「散る言葉if」の終了となります。
読んでくださった皆様、お声を掛けてくださった方々ありがとうございました。
この話を考えたのは
レイパーに犯される言葉がかわいそう過ぎるうえに
そもそもその行為ってストーリーに必要なのか疑問だったことが発端です
もちろんそれで言葉の美しさが際立つと言えばその通りなんですけど・・・
それと原作だと若者だけで物事が進行しますが実際は親の存在って大きいから
あまり描かれていない親を担ぎ出そうと思って書きました。
泰介だけはピュアメールのことがあるので姉の美紀ねぇに
誠父と誠母は今後のストーリーで出てくる予定です
普通であればこのまま『らぶらぶ言葉一直線』なんですが、
他の職人さんのようなsexy表現力に欠けると自覚していますので
(イチャイチャ表現が照れてしまい続けられないのです)
逆に全年齢でもいけるほどに開き直ろうかと思っています。
ストーリー分岐としてはここで「言葉only/trueハッピーEND」と「その他」に別れる感じです。
続編では後者、視点を世界・刹那よりに移していきます。
出番のなかった世界・刹那を書いてみたいだけなんですけど
言葉を汚すつもりは無いですが、これまでと多少雰囲気がかわるかと思いますのでお許しください。

                                  woodchuck 拝

>>273
応援の言葉ありがとうございました
さいごはちゃけてしまいましたが
なんとか最後まで楽しくという目的は果たせたのでは?と自己満足しています
275名無しさん@ピンキー:2008/02/19(火) 01:04:07 ID:HWL3Btyg
転載

「…うぅ…う…」

ここは何処だろう?
今は自分がどこにいるのか、どうしてここにいるのかわからない。
身体は倦怠感に包まれて、目を開くのも面倒に感じた。
それでも目を開くと、どこか暗いところに自分はいるらしい。
数時間前まで、私は誠の家で、誠と一緒に宿題をやっていたはずなのに…

その日、いつも通り誠と一緒に下校して、それぞれの家へと帰っていった。
そして、その日の夜。私がいた誠の部屋にノックがあった。
誠は外のコンビニに出かけていて、誠が戻って来たのだとばかり思っていた。
私は、何も疑うことなく、部屋のドアを開けた。

「誠、おかえ…グァッ!」

そして、何者かに、刃物で喉を切られ床に倒れた。
声を出そうとしたが、空気音が漏れるだけで声にならない。
悲鳴も上げられず、助けも求められない。
私が何者かの姿を確かめようと顔を上げようとしたとき、その人物に頭を刃物の柄で殴られて意識を失ってしまった。



ザザーァー

「………しょ、ここに捨てれば死体は見つからないですね…。」

何やら誰かの独り言が聞こえる。
薄れゆく意識の中で、波の音と誰かの声が聞こえた。
身体は何かの布に包まれているらし、く全く身動きがとれない。

「……うなら、西園寺さん。」

次の瞬間私は水の中に投げ込まれた。
布の中に錘が入っているらしく、私の身体は瞬く間に沈んでいった。

「私…なんでこんなことに……ま…こ……とぉ……」
276名無しさん@ピンキー:2008/02/19(火) 02:08:38 ID:mW6ZmK67
>>274
お疲れ様です
ちゃんと大人がいれば、の展開はアリとは思っていましたが、woodchuckさんの
桂父、乙女父の描写は、スゴイ、の一言です
また、叔母風呂ワールドの設定を崩していないところにも上手さを感じます
今後は、分岐あり、雰囲気の変化ありということですので、wktkして待ってますw
277名無しさん@ピンキー:2008/02/19(火) 13:48:39 ID:YEIQ9LXj
もう
おまいら・・・・・・・

いい仕事しすぎでつ 。・゚・(ノД`)・゚・。
278mark:2008/02/19(火) 16:41:27 ID:pwiIENhQ
暗い話ばかりですみませんが、懲りずに書きます。具体的な制裁を受けるより、
乙女にとっては1番辛い事かもです。誠・言葉・世界達にとってもBADですが(苦笑)
散るルートとさよなら世界(あるいはアニメ11話に近い状態)を参考に。


「集合ーー!」

顧問の先生の声がし、一斉に練習を止めて、部員たちが集まる。

「いよいよ明後日は試合なので、今日は早目に切り上げる事にする。
 日程は前に配った紙に書いてあるので、各自そのつもりでいるように。
 緊急の連絡については………」

普段はあまり練習に顔を出さない顧問であるが、試合間近とあって、
直接指導しに連日出向いてきている。細かな説明を終えた後、部員達で
体育館の掃除を行い、それが終わると部長による終了宣言があり、1日の
部活の終了となるのが、榊野学園の女子バスケ部の日課だ。

私は七海や妹の可憐と一緒に、更衣室に行き、制服に着替える。
シャワーで汗を流してサッパリしたいんだけど、この学校には水泳部用の
それしかなく、こういう時は不公平だなと思う。

「※※高なら、そんなに強くないから、私が出るまでもないかもな。」
「そうかも。七海はうちの部で1番強いから、出来れば強豪と当たるまでは
 温存しておきたいんだけど」
「でも試合に出ないと、なんか落ち着かなくてさ。勘が鈍るのも嫌だし」

勝気な七海らしいセリフだ。私も七海と同じくレギュラーとして出場するが、
七海の運動センスには敵わない。

「でもお姉だって、2年になってからは、ずっとレギュラーをキープしてる
 じゃん。3年の先輩方もいるのに」
「今の3年は、実力的には2年の私らと大差ないしね。七海は別格として、
 私でも2年なら何とか出れるわけだけどさ」
279mark:2008/02/19(火) 17:45:04 ID:pwiIENhQ
1年の時は、卒業した足利先輩たちと七海との確執があって、
お世辞にも部内の雰囲気はあまり良くなかった。彼女達が卒業して
影響力が薄れ、現在の3年の先輩も、卒業した先輩達ほど派閥意識は
薄く、立場の弱かった1年の時よりはずっとましになった。

「あんたも乙女のように頑張れば、来年には試合に出れるようになるよ。
 練習はきついと思うけど、挫けずついてきな」
「はい、七海先輩。試合でお姉がズッコケたら、その時は代わりに出ますね」
「こらー!誰がずっこけるのよ!誰が!」

可憐の発言に思わずカチンときてしまい、思わず言い返してしまう。
ホントにもう〜!こういう時の妹には、姉の私でもむかついてしまう。
しかも可憐は私より要領が良く、敵を作りにくい得な性格なので始末が悪い。

「あははは、相変わらずだな。……じゃ、明後日は頑張ろうな!バイバイ」
「ああ、じゃーね」
「七海先輩さよならー」

七海と別れ、私は可憐と一緒に運動した後の水分補給を兼ねて、
校内に設置してある自販機に足を向けた。


自販機には他の運動部員たちが、ユニフォーム姿でジュースやお茶を
買いに来たりしていた。

「あ……」
「お姉どうしたの?並ばな…… あ」

私と可憐は、1人だけ制服姿で順番待ちをしていた男子生徒に目が行き、
それが誰なのかが分かり、思わず気分が沈んでしまった。
そして、私達に気付き、親しげに声を掛けてきた。
280mark:2008/02/19(火) 18:49:01 ID:pwiIENhQ
「よお、加藤じゃないか。可憐も一緒なんだ」
「当たり前じゃない。私と可憐は同じ部活なんだから」
「……先輩、こんにちは」

伊藤が私達に声を掛けてくる。中学の時とおなじように。
2年でも私とはクラスが異なったので、あまり話す機会はなかった。
……それに、いま伊藤と話すのは辛い。

「……先輩はこんな時間まで何してたんですか?」
「うん?ああ、ちょっと幾つか追試受けてたんだよ。終わったんで、気分転換にね」
「そうですか……」
「そういえば、明後日はバスケの試合があるんだってな。うちのクラスの
 部員から聞いたぜ」
「うん……」
「応援にはいけないけど、試合頑張れよ」
「任せなって!……私と七海で軽くシメてくるからさ」

私は中学時代のノリのつもりで、伊藤にそう応えた。
彼はジュースを買うと、『じゃあな』と笑顔で挨拶して去り、私と可憐も
それに応えた。『いつもの』ように。

「お姉……」
「なによ?」
「……なんか、先輩から知らない匂いがしていたね」
「…………!」
「……ごめん。」

少し気まずい雰囲気になり、私達はお互いに無言になった。
可憐にまでやつ当たりする事無いでしょうに………
私の気分を読み取ったのか、可憐はいつもの笑顔で、
『ちょっと用事を思い出したから、先に帰ってて』と言い、
『夕飯までには帰ってくるのよ』と応え、妹と別れた。

……私に気を遣ってくれたんだろう。ごめん。
281mark:2008/02/19(火) 19:53:35 ID:pwiIENhQ
私は1人で電車に乗り、可憐より一足先に家に帰り、そのまま
自分の部屋に向かった。
部屋に入り鞄を置いた後、靴下だけ脱ぎ捨て、制服姿のままで
ベッドに身体を投げ出した。

……2年になってから、あいつは変わってしまった。
いや、正確には当時あいつが付き合っていたらしい西園寺さんが、いなくなってからだ。
どうも外国に引越したらしいのだが、詳しくはわからない。
そして、伊藤は同じ学年の女子や後輩達と、次々と宜しくやる関係に
なっていった………

可憐の友達であり同級生でもある、二条にも手を出したようであり、
その事で二条との仲が悪くなったと、可憐はぼやいていた。
可憐も私と同じく、伊藤に憧れており、ショックだったのかもね。
でも私達はあいつに強く言う事も出来ず、お互いにあまり関わりのない
高校生活を送っている。

1年の時は仲良く過ごしていた夏美達とも、クラスが変わってしまい、
たまにメールで世間話をする程度だ。……どうも、夏美達もあいつと
関係した事があるらしい。

……そういえば、あれだけ嫌っていた桂も、もう学園にはいないんだ。
澤永を嗾けて、あいつを追い落としてまで、伊藤と切り離した。
あいつが桂をレイプしている所が盗撮されていた時は、やばいと感じ、誰かが
学校か警察にチクるかもしれないと、内心ビクビクしていたっけ………

結局誰も関わり合いになりたくないと思ったのか、上映会の件が教師達や
外部に知られる事はなかった。もっとも、澤永に対する風当たりは強く、
彼は首を傾げていたようだが、桂を自分の彼女にしたと完全に思いこんでいた
あいつにはどこ吹く風であり、その後も桂と関係し続けたらしい。
282mark:2008/02/19(火) 20:16:03 ID:pwiIENhQ
そして、2年の進級時に桂の名前はなかった。
転校したのか中退したのか、わからない。
澤永がろくに避妊もせず、その為妊娠して中退したという噂も流れたが、
当の本人は否定しているらしく、真相を確かめる術はない。
………今更知ったところで、何かが変わるわけでもないけどね。


1つだけハッキリと言える事は、私が素直に行動するには、既に手遅れだと
いう事だ………


第X話 『後悔』
283スクイズイフ:2008/02/19(火) 20:38:04 ID:TxBKNN9b
>>282
このルートだと刹那は転校してないけど見限ってるヤツか〜後日談としてはGJです
でも学校で過ごすと必ずある話だよなあ〜
まさにスクールデイズ〜

話は変わっていたる祭りに間に合わずしかも顧問様のイラスト見てピーンときて大幅修正〜
とりあえず…遅くなりましたがいたる誕生日おめでとう!
284名無しさん@ピンキー:2008/02/19(火) 20:49:27 ID:p6ixBU26
何となく、アメリカンジョークの長編を作ってみた。



諸事情によりフランスへ渡っていた清浦刹那。
彼女は、母親の仕事の都合で再び日本へ戻ってきた。
出国した日から数えて、三年振りのことだった。
帰国したら最初に会いに行こうとした人物、親友の西園寺世界の住まいへ向かう途中、
彼女は公園で、もう一人会いたいと思っていた人物と出会った。
伊藤誠。かつて、自分が思いを寄せ、諦めた男性。
そんな彼は、公園のベンチに腰掛け、顔を俯かせていた。
刹那は思わず、誠の近くへと駆け寄り、声をかけようとしたが、途中で彼が泣いていることに気づいて足を止めた。
彼の両手には一枚の写真が握られており、彼は時折、「世界…世界…」と呟いていた。

「伊藤…?」
「……せつ、な…?」

刹那の声に気付いて、誠は顔を上げた。
一瞬ほうけたような顔をした誠は、「久しぶり」と声を発し、二、三、言葉を交わすと、再び顔を俯かせた。
写真に写るものが気になった刹那は、そっと写真を覗き見たが、そこには、先ほどまで誠が口にしていた人物が写っていた。
撮られたのはいつ頃のものかはわからないが、恐らく、自分が出国してから一年ほど経ったものだろうと推測した。
同時に、彼が涙を流していた理由を察し、信じたくはないと思ったが質問することにした。

「伊藤…どうして泣いてたの?」
「…うぅ……世界…」
「まさか……」
「痩せてたころの世界…うぅ…!」
「…………」

その言葉の意味を理解するのに、一分ばかり時間を要したが、理解したとき、刹那は誠の頭を思わず殴りつけていた。




オチなし
285名無しさん@ピンキー:2008/02/19(火) 20:50:28 ID:p6ixBU26
本スレでも言ったが、いたる、誕生日おめでとう!
286woodchuck:2008/02/19(火) 21:58:43 ID:QvWurgC/
昨日までの投稿で、美紀姉ぇのことを好意的に取り上げてくださる方がみえたので
美紀姉ぇ主役の短編を(と言ってもけっこう長文ですみません)書いてみました
設定はこれまでの設定のままです
if本編の続編に入る前の箸休めのつもりです
本来のルートとしては外れてしまうのですが・・・
ご感想いただけると励みになります。よろしくご一読ください。

                    woodchuck 
________________________________________

美紀姉ぇはいらいらしていた
何にってバカな弟に
あんな事件を起こして反省はしているようだが
一向に勉強をするようなそぶりはなく自室であいかわらずゲームやネットばかりしている
実の姉として言いたくは無いが、誠から聞いた言葉さんのお父さんの言葉を思い出すと
腹立たしいやら情けないやらでいたたまれなかったのだ。
すでに両親は弟を見捨てているのかもしれない。逆に甘やかしすぎて対応に苦慮しているのか。
どちらにしても親としての機能を果たしていないのは明らかだった。

携帯電話を見つめて「う〜ん」とうなる
もう何度目なんだろうか
電話を掛けようと思う相手はそのバカ弟の親友である
どうしてあのバカにあんな親友ができたのか
もしかしたらあいつは男運だけよいのかもしれないとか
それで運を使い果たしてしまったのかもとか
そういうネガティブなことを考える
いつかまともに恋愛をしてくれるんだろうか?
いや私も人のことは言えないが・・・碧に負けっぱなしだったわけで
でも一生弟がこのままだとすると
両親がいなくなったら全部わたしが背負うことになるのか?
いやありえないだろそれは・・・ どっかに蹴飛ばして始末しないといけないかもしれない

弟の親友を思い出す
姿かたちはちょっと違うのだが雰囲気とか背負っている影とか
なんだかあいつによく似ているのだ、圭に・・・
妹思いのところとか、実の父親に殺意に近い嫌悪感をもっているとか
妙な符号も私には運命の再会?いや出会いに見える。
圭のときは私も幼くってうまく包み込んでやることはできなかったけど
相手は弟と同じ年齢、今では私も大人の女・・・かな? 
上手く行くと思うんだ。
この前だって誠は私の体をずっと見つめ続けていた
言葉ちゃんだっけ?彼女らしいけど、あの様子じゃまだなんだろう
実は彼女、言葉ちゃんの雰囲気が碧に似ているって部分が気にならなくはなかったんだが
・・・これは無視することにする
負け戦を思い出してばかりだと勝ち癖はつかないっていうからな
イメージトレーニングは重要だ

無論、いまどきの若い子は経験が早いというし、
私らのときでも中○生で経験していたわけだから
彼だってそれなりの経験もあるだろうけど・・・
きっと同級生よりは私のほうが魅力的に映るはず
それに誠なら弟のことも見捨てたりはしないだろう
少なくとも一生私が一人で背負うなんてバカな結果にはならないはず
うん、そうだ・・・ やっぱり彼に頼ろう
迷惑かもしれないが決して嫌とはいわないだろうし それを理由にまた会えるのは嬉しい

                            <美紀姉ぇの逡巡 了>
287woodchuck:2008/02/19(火) 21:59:47 ID:QvWurgC/
後始末に付き合ってくれたのが2週間前
あれから数回、いやウソだな 毎日1回はメールの交換をしている
わたしは実はマメな女なのだ 裏技ばっかり使ってるわけじゃない 正攻法こそ大事だ
前は裏技を使って自滅したってのもあるんだが・・・
だから今日はメールじゃなくって電話にするだけ、別にとっぴなことではないはず
理由はどうしようか・・・ お礼? そうだなお礼と相談で行こう
あれから2週間、彼は一度もうちに来ていない
たしか謹慎中は無駄に同級生などとコンタクトをとってはならないとあるので、
これは仕方が無いといえば仕方が無いが、メールの中身を見る限りは女関係で忙しいという風にも考えられる。
実際にあって確認しないとわからない部分もある。
これはもうこのあたりで会っておくのも正解なんじゃないか、そう思えてきた。

電話をかけてみる
すぐに出てくれる。声も明るくなんだか嬉しそうだ。
少なくとも私は嫌われていない。いやむしろ好かれている?いや増長するのはよくない。
丁寧に先日のお礼を述べる。ここまでは大人の礼儀?でもここからは女の礼儀だ
ちょうどよい具合に土曜日・日曜日はフリーなのだという。言葉ちゃんの話をふってみたが
どうやら友達と出かけるってことで週末全部とりあげられてむしゃくしゃしているらしい。
付き合い初めで彼女に置いてけぼりにされて怒る?初々しい
なんだか昔を思い出す だめだだめだ今の恋愛に集中しろ美紀・・・
実際これは好都合だ。塞いでいるときやイライラしているのを慰めるのが定番だろ?大人の女としては。

最終ゴールをヒルズのシティホテルにする
いや最後を決めてから逆算してデートのルートを決めるなんてはしたないか?
そうじゃない、合理的って言うんだと思う。
ホテル代で結構かかることを前提にすると・・・
じゃぁ夕食は高すぎるのはちょっと、もちろん奢りって考えとかないと
リーズナブルなフレンチならOK? ひとり2000円ちょっと お酒内緒で飲んでもこれなら大丈夫
その周りのプレイスポットは?っと・・・
一緒に汗をかくなんてのもいいか、いろいろすっきりするだろうし気分も乗るかな
久しぶりにボーリングにでもいくか、あ・・この多目的施設なら一杯遊べる。よしこれにしよう

大まかなデートプランが埋まる
次は服を選んでっと 誠の視線があつまっていた自分の部分を確認する
なに顔を赤らめているんだ?美紀 でもホントそのものをじっと見てたんだなあの子 恥ずかしい
わざとショートパンツに生足にしてみる ちょっと小さめだがセクシーには違いない
わたしの魅力はスレンダーなところなんだからそこを強調するのがセオリーだ
刺激が強すぎる? いや大人の女の魅力としては普通だろう。動き回ることを考えても都合がいい。
少し寒いかな?とは思うがブーツにすれば多少はいいだろうし車で移動するからな
あとは室内ばかりだから問題は無いだろう。
下着はこれとこれっと・・・ ふむ我ながらいいじゃない
かつての敗戦から必死になって勉強した甲斐があった
まさか年下に使うことになるとは思わなかったけどね
                         <年上の意地 了>
288woodchuck:2008/02/19(火) 22:01:19 ID:QvWurgC/
土曜日の2時 誠のマンションの前に車を止める
携帯電話をならすとすぐにマンションのドアが開くのが見える通路からこちらに手を振っているのが見える
窓を開けてそれに応える ほんとかわいいわ 弟には感じないのになんでだろう
エレベーターホールに姿が見えこちらに走ってくる
最初が肝心よね 車をおりて お尻を突き出すようにして助手席のドアをあける
もちろんわざとだ 走ってきた誠が最初に私のヒップから足に視線を移すようにタイミングを合わせる
ウインドウ越しに誠の視線の移動が見える
ヒップが中心で最後ははみ出ている下着にそこで釘付け・・・まノーマルな反応ね
これだけ反応してくれるなら恥ずかしいのを我慢して身に着けてきた甲斐があるというものだ
アクセサリーつきの紐Tなんて大学では絶対にはけないから

車をすべるように走らせる
たわいも無い話に終始しているけど
助手席の彼は私の体を眺めるのを止められないようだ
最初は遠慮がちだったけど 私がとがめないのを確認すると大胆に見つめるようになっていた
まだ手を出すなんてことは無いからそのまま放置することにする
信号待ちのときに顔をむけると恥ずかしそうに目を伏せる なかなかいい反応だと思う

だんだん打ち解けてきたところでこの2週間のことを聞き始める
あんまりしつこく聞くとこの前のように逃げられてしまうので
遠まわしに遠まわしにと気をつける
だんだん状況が見えてきた。
先週言葉ちゃんと初体験をしたらしい・・・ちょっとタイミングを間違ったかな
でもそれで次っと思ったときにするりと逃げられたと・・・なかなか上手いのかなあの娘
安売りしないところなんてほんと碧そのままだと思った。
でもダメよ・・・一度捕まえたらしっかりと握っておかないと
こんなところにだって伏兵はいるんだからね(笑
でもこの話を聞いたときに勝ちが見えたと思った。
だって一度覚えて溜まってて期待してるんだから
多少メニューが変わったって食べてくれるでしょ
よほどまずいものじゃない限りさ

ボーリングでもスペア取るたびストライク取るたびガーターが出ても
ずっと抱きついて腕にしがみついて最後にでたストライクのときは頬にキスしてみた
ずっと恥ずかしそうではあったけど嫌がることは一回もなかった。
ゲームセンターでは照れくさかったけどプリクラを何枚かとり半分にわけて、もちろんキスプリも混ぜておいた
誠の携帯をとりあげて内緒で裏側に一枚貼っておく。もちろんキスしてるやつ。
大人の女は用意周到っと(笑

最後にシューティングゲームで叩き伏せてやって、罰ゲームでおんぶをさせた。これもわざと。
もう目に見えて前が膨らんでるのがわかる。
隠すのに苦労しているね。武士の情けで指摘はしない。後から全部言うつもりだけど。

食事の席でダメを押す 相談があることは言っておくが相談はしない。
わざと足をテーブルのしたで絡めてみる
びっくりはしているけど嫌がっては居ない
姉が弟をからかう範囲はもうとうに逸脱しているだろう
ここのお店はテーブルが小さめだからできる
人の多い地区で値段が安い=場所が狭い 当然のサイクルだろう
カップルの距離はその分当然近くなるから若いカップルには人気のスポット・・・上手いものだ

食事が終わりかけたとき「相談にのってくれるよね?」と聞く
恋人同士じゃないのにホテルにいくなら理由がいるのだ
好きっていうのは後から言えばいい
ここで言って逃げられては元も子もない
たとえその理由がとってつけたものであっても
聞くほうがそれで納得すればよいのだ
そして今の誠がそれで納得しないわけがなかった
289woodchuck:2008/02/19(火) 22:02:14 ID:QvWurgC/
ホテルの部屋にうつる
一応、部屋に入ると誠が聞いてくる「相談って?」
形だけだ。それは誠だってわかってるはず。
わたしは椅子に上着をかける誠にそっと近づき、うしろから抱きつく
顔を赤らめているのはわかるが、
逃げるそぶりは無いし動揺もしていないようだ
想定の範囲内ということなんだろう 振り向かせてキスをする
意外に上手い 私のほうが夢中になりそうだ いや上手すぎる・・・ なにこれ?
・・・圭とキスしているみたい。
リズムといい舌が刺激する部分といい
・・・なんだか唾液の甘さまで同じ気がしてきた
いやそんな細かなところまでわかるわけないじゃないと自分でつっこむ
でも冷静で居られたのはそこまでだった

腰が抜けるのがわかる
力が全身からぬけていくのだ
ふと気がつくと
あれ、誠が私を抱きかかえているじゃない
お酒なんてほとんど飲んでないのに・・・ 
ちがう キスだけでいかされたんだ・・・

誠がやさしく私をベッドに横たえる
首筋から肩に掛けてやさしく指が這う
ダメだってば今刺激したら・・・
(ああもう・・・ショートパンツ脱がすならボタンくらい全部外してよ)
もう・・・まったく抵抗できない
それからはされるがままだった
次から次へと刺激がきたのは覚えているけど時々断片がなくなってる
年上作戦は・・最後の最後で台無しだった。

翌朝、妙にすっきりした気分で目が覚める
隣には誠、うん、夢ではないことを確認する
きっちりと彼の旗をふって、触って仕返しをしておく・・・
うん、これなら大丈夫か
朝起きたら親友の姉が馬乗りになってました。
泰介が言ってた「ぽるなれふ」って奴だな
これならいくら誠でも驚くだろう
案の定、目が開いたけど状況が読み取れていないようだ
いわゆるひとつの「ずっと私のターン?」
危険日だったけどそのまま出させてしまう
う〜ん満足♪
____________________<決戦は土曜日 了>

290woodchuck:2008/02/19(火) 22:05:25 ID:xTqA3P/k
チェックアウトをして遅めの朝食をとる 近くのファーストフードだ。
もう恋人気分は出来上がってるから
そんなに贅沢をしなくたっていいだろう 財布にも辛いし
そのかわりサービスだけは怠らない。ずっとしがみつき時間があればキスをする
その代わり舌を入れる時間だけは短くしてとお願いしておく。
昨晩のような醜態を公衆の目の前で晒すってのは危険すぎる
歩きながら弟のことを相談する。親身になって相談に乗ってくれる。
これから会いに行くとも言ってくれた。謹慎の話をしたら
「なに言ってるの?きれいなお姉さんに会いに行くだけでしょ」と笑って嘯く
うん、若くても男の子はこれくらい頼りがいがなくちゃね

土曜日に会ってから24時間が経過
今は私の家にいる。両親は今週も仕事で不在。
弟は自分の部屋に篭城している。
カーテンを閉め切った部屋の中で
電気もつけず、ヘッドフォンを掛けてよく見たらエロゲに夢中・・・嘆息
そっと音を立てないように扉を閉める
でもまぁこれで私の部屋には近づかないだろう。
見てきたまま誠につたえ、彼を部屋に招き入れる
弟のことは後回しにしてもらおう
もう我慢も限界だった。
時間制限つきとはいえ何回も彼の舌の感触を味わっていたのだ。
誠は昨日の情報を基にしているのだろうか?
全て的確な刺激で最短で私を追い詰める
あ・・やばい 誠が一回目の充足感を得るときには私の意識はほとんど飛んでいた。
気がつくとわたしの手首は軽く結ばれてしまっていた。
その辺に出してあったわたしのスカーフのようだ
後ろ手になっていて拘束感がある。
なんで?わたしの性癖を知ってるわけがないのに?
どうしてと聞くとそんな感じがしたという
そんな経験は圭以外とはなかったのに体は喜んでいる
ああもうだめだ・・・完全に溺れそう・・・そう思ったときには今度は完全に意識を失った。

_______________________________

気がつくとわたしの手首の拘束は解かれており
ベッドにはいって眠っていた。丁寧に毛布がかけられている。
色々な場所はきれいにふき取られていて不快感はないが私は何も身に着けていなかった。
脱ぎ散らかしたはずなのに丁寧に置かれた服をみて 誠の性格がわかった。
誠と圭の符号についてはまた時間を掛けて調べたほうがよさそうだ
偶然の一致にしてはあまりに似すぎているから
291woodchuck:2008/02/19(火) 22:07:54 ID:xTqA3P/k
とりあえずきれいにたたまれた服を取り出すと
さっと身に着けてリビングに向かう
少し前まで人がいた気配はあるのだが誠の姿は見えない
トイレ?お風呂?と思うが誰も居ない
風呂場は濡れたあとがあったので誰かがはいったのは間違いが無い
おかしいなぁ一人で帰ったのかな?車で送るって言っておいたのに

ふと気になって弟の部屋を覗く
あいかわらずヘッドフォンをしているのだが
なにかぶつぶつと言っている
じっと聞き耳を立てて聞いてみるがわからない
どうやら同じ言葉を繰り返しているようだ

「(どうしてなんだよ まこと おまえには西園寺だって桂だっているじゃないか
 ずっとおまえのターンなんて卑怯だろ なんで姉ちゃんまでもってくんだ)」

なにか違和感を感じた
真っ暗ななかモニターの光で見える床の印象がさっきまでと違うのだ
弟の座っている椅子の足の部分が何かで隠れている
わたしは慌てて部屋のライトのスイッチを押していた・・・・・・・・・・・・・

____________________<END>___

(あとがき)
ピュアメールのいくつかのルートの設定が混在していますが
基本的には圭は碧にさらわれて美紀はふられた設定です
初体験は圭、そのあとはそれなり
ゲームねたは本編に入れたのでそれ以外で
本当はリアルピュアメール?にしようかと思ったんですが
・・・言葉・世界のどろどろ・・・誠の相談相手=匿名(美紀)という設定
でも話が伸びすぎるので断念しました
いつか使ってみたいネタ一覧に入れておきます
ショートパンツはなんとなくイメージで
あれはバスケのユニフォームだったはず
・・・あぁ乙女と絡ませればよかったんだ、今頃気がついても遅いですね

最後、バッドエンドにトライしてみました
生々しいのは書きがたかったので余韻型で
あとは皆さんに想像で補完していただくということで逃げます。
世界に言葉に美紀までってどんなけやねん
さすがに泰介がかわいそうになるその行動の報いと思っております。
かっとしてやった、でも後悔はしていない。

                              woodchuck 拝
292名無しさん@ピンキー:2008/02/19(火) 22:16:21 ID:/rTpZJTu
いたるSS書いてたものです。

10作以上書いててなんですがアホな間違いに気付きました。
いたるは誕生日が昨日だったのでそれまでは16歳なのに
私はずっと17歳で書いてましたw

2chに投入した分は直しようがありませんがブログの方は直します。
もし顧問様が暗に「ちゃうぞアホ」と叱ってくれたのなら
なんとなくありがたい話ですw
293名無しさん@ピンキー:2008/02/19(火) 22:17:48 ID:D4nRiOgp
明かされる関係の後、スワッピングから復帰する言葉ハッピーENDが
予定されてたけど削除されてしまった。

是非このスレで補完を希望する!!!
294名無しさん@ピンキー:2008/02/19(火) 22:48:07 ID:/rTpZJTu
>>286-291
GJです。

美紀と誠の絡みも面白いですね。
また別の話も楽しみにしています。
295名無しさん@ピンキー:2008/02/19(火) 23:35:18 ID:fadwMCKM
>mark氏
誰一人死んではいないけど、誰一人生きてはいない。
すごく後味悪いわ…、
と思いつつも、もう一度読み返す自分がいた(苦笑)。
今回もGJです。
特に、何も悪くない可憐を加えて、痛々しく動かすことで、
暗さ・重苦しさを出す工夫は、流石と思いました。

>284氏
おのれ、
前半部分を読んで抱いたセンチな気分返せ(笑)。
でも、GJ。

>woodchuck氏
自分はピュアメールを全く知らないのだが、
ぐいぐい読み進めてしまった。
元ネタ知っていればもっと美味しかったのだろうなぁ。
GJです。
(追伸)
サブタイが<年上の意地>とな。爆笑しました。
こういう遊び心、大好きです。
296名無しさん@ピンキー:2008/02/20(水) 01:37:24 ID:1jFyXkMg
>>291
いま、まさにピュアメやってる最中なのですが、まだ1END(碧純愛)のみなんで
ちょい、ネタバレ怖いですw
が、読んでしまったものはしょうがないw 今後も楽しみにしています
297water:2008/02/20(水) 14:57:23 ID:+VOtIOEG
ちょっと少なめだけど二話を投下。
298water:2008/02/20(水) 14:57:53 ID:+VOtIOEG
「一時間目は数Uか。」
誠は鞄から授業で使う教科書、ノートを出す。朝のホームルームも終わり一時間目が始ま
ろうとしていた。今回もクラスの委員となった清浦刹那が黒板の前に立ち全員に聞こえる
ように話す。
「今日は先生が出張でいないので各自で自習とのことです。代わりの先生は来ないので静
 かに自習するように。」
刹那がそう言って自分の席へと戻っていく。
「ようし寝れるぜ。」
「本でも読もうかな。」
「DSでもやろう。」

勉強などする気はさらさらないクラスメイトのセリフがちらほら誠の耳に入る。誠はとり
あえず勉強しずに持って来たラノベを読むことにする。
「誠君…誠君。」
「ん?何。」
誠から見て右斜め上の席に座っていた言葉が周りに聞こえない小さな声で誠に話し掛けて
くる。しばらく疎遠だったから話し掛けられるのは随分久しぶりだ。
「クラス同じですね。ふふっ。」
「うん、そうだね。席も近くになったし…。」
「久しぶりに話しませんか?」
「一応授業中だからな。小さな声でな。」
誠は言葉にそう注意をする。言葉はそれにうなずいて話す。

「誠君、机の下に隠した本はなんですか?」」
「これはラノベだよ。本屋で売ってる。」
「ああそれなら私も何冊か持ってます。」
「言葉も読むんだ。」
「ええ。でも面白いのと面白くないのとで判断分かれますよね。一巻読んだだけでその後
 読まなくなるのもあれば続編買っちゃうのもありますし…。」
「俺もそれはある。苦手なのは読んだらすぐに売っちゃうしね。」
「人によっても好みがありますよね。私と妹の心でも好きな本違いますし。」
「そうだね。」
誠と言葉は授業中でもありながらラノベ談義で盛り上がった。しかし唐突に隣の席から声
が小さく飛ぶ。
「あんたたちうるさい。真面目に勉強してる子もいるんだから。」
「黒田さんごめんなさい。つい…。」
言葉は光にうるさくしたことについて謝罪する。誠は光の方を見ると数学の勉強をしてる
ようだ。数学の自習なんだから数学をやる、全く問題ないと誠は思う。
「伊藤、あんた世界がいながら桂さんと話すなんていい度胸ね。」
「別にいいだろ。」
「良くない。」
299water:2008/02/20(水) 14:59:02 ID:+VOtIOEG
光は誠にとげとげしい口調で話してくる。誠はそれを聞き光に話す。
「何が良くないんだ?」
「そ…それはほらあんたは世界の彼氏なんだから世界のことを見てなきゃ駄目でしょ。」
「ああそうですか。それより黒田、世界から風邪って聞いたが治ってよかったな。」
「ふ…ふん。あんたに心配されるなんてね。」
光はそう言ってまた勉強に移ることにしたようだ。言葉は誠にまた話す。
「黒田さん怒っちゃったのでそろそろ私も勉強することにしますね。」
「大丈夫だよ。生理二日めで苛ついてるだけだから…足が痛い!!」
「…殺すわよ。」
誠は光に足を踏みつけられた。地雷を踏んでしまったようだ。その証拠に光は夜叉のよう
な目でこちらを睨んでいる。
「誠君、今のは酷いと思います。女の子は毎月それには苦しんでるんです。」
「いや桂さん、念のため言っとくけど今日は生理じゃないから。」
「あれそうなんですか?」

光の言葉を聞いて言葉はきょとんとしている。誠は男の自分が立ち入る領域じゃないなと
二人を見守ることに専念する。光は勉強も忘れて言葉に話す。
「伊藤のデリカシーがないからそれについて怒っただけだから。」
「なるほど。」
「ところで桂さんは澤永と付き合ってるんじゃないの?何で伊藤と話してるのよ?」
「澤永さん?ちょっと前に別れましたよ。」
「「え?何で?」」

誠と光は泰介と言葉が別れたことに驚き同時に声を出す。言葉はよほど思い出したくない
のか一言だけ二人に言う。
「……聞かないでください。」
「「はっはい分かりました。」」
言葉の重い空気に耐えられなくなり誠達はこれ以上詮索するのはやめた。よほど酷い目に
あったのだろうか?これ以上この話題に触れない方がよさそうだ。誠はそう思い話題を変
える。
「と…とりあえず授業中なんだから勉強しようか。」
「そうですね。」
「私は最初からそのつもりで二人に注意したつもりなんだけどな。」
誠と言葉と光はそれで会話を打ち切り各自自習に移ることにした。誠は数学の参考書を開
き問題を解き始めるが急にトイレに行きたくなり席を立つ。誠はドアに向かって歩き出す
が授業中なので無断で外へ出ようとすると当然声が掛かる。
「伊藤どこに行くの?授業中だよ。」
「清浦ちょっとトイレに行ってきていいか?」
「トイレ?なるほど…行ってきていい。」
刹那に許可をもらえたので誠は教室を出てトイレに行くことにした。
300water:2008/02/20(水) 14:59:48 ID:+VOtIOEG
光は数学の問題に悪戦苦闘していた。普段あまり勉強に打ち込んでないせいかたまにやる
とさっぱり分からない問題が多い。自分で考えても分からないので誰かに教えてもらおう
と隣を見るがトイレに行っていなかった。だから前の席の言葉に頼むことにする。
「桂さんちょっと悪いんだけど、この問題教えて?」
光の言葉に言葉は振り向き光に答える。
「ええ別に構いませんよ?」
「良かった…この問題なんだけどね…。」
「ああ、それは三角関数の公式を上手く使って解くんです。この公式を当てはめると式が  
 きれいになるので後は二次関数みたいに解くだけです。」
「なるほど、これでいいのかな?」
「うん。それであってると思います。」

光は言葉に教えてもらい一つ問題が解けた。光は言葉の机の参考書が気になり話し掛ける
「その本は何?数学の参考書?」
「ああこれは、赤チャートでかなり難しい問題が載ってます。」
「分かるの?」
「さっぱり分かりませんね…。難関大学の問題がずらりと載ってますから…。」
「この学校で支給される参考書は黄色のチャートだけどそれ持ってないの?」
光はそう言って机の上にある黄色の分厚い参考書を言葉に見せる。だが言葉は光と同じ本
を鞄から出して光に見せる。
「ちゃんと持ってますよ。勉強するために赤チャートは個人的に買っただけです。」
「ふーん。」
勉強がとくに好きではない光は言葉の考えが良く分からなかった。誠の情報によると言葉
は校内でもかなり上位のレベルらしい。中の下くらいをさまよってる自分とはえらい違い
だ。

「桂さん頭いいよね。大学とか決めてるの?」
「いえ、特には…。黒田さんは?」
「大学か専門学校かだと思う…。」
「決まってないも同然じゃないですか。」
「あはは。そうだね。」
光は高二なのでまだ進路など決めてはいない。だけどいつかは決めなければいけないと思
うと憂鬱になってくる。中学の頃を考えるとよく榊野学園に入れたものだ。光は受験の頃
の思い出にふけっていた。
「誠君は大学とか決まってるのですかね?」
「伊藤?さあね。むかつくことに成績は私より良いみたいだけど。」

光は憎憎しげに話す。誠の家で成績を見たが確実に私よりはよかったのを覚えている。平
均よりは上の位置だろうと光は思う。
「誠君、どんな進路選ぶか興味湧きませんか?」
「ふん、全然沸かないわ。あいつ嫌いだし。」
光は内心興味はあるが学校では仲が悪いことになってるため無関心を装わなければならな
いので言葉にそう言う。言葉はそれを見て不審に思ってるようだ。
301water:2008/02/20(水) 15:00:35 ID:+VOtIOEG
「なに?桂さん何か変?」
「いえ…別に。」
「いやなにか言いたそうなのはみえみえなんだけど…。」
光は明らかに不審がってる言葉を見て心に余裕が無くなってくる。まさか私たちの関係に
気付いてる?いやいや気付いてない気付いてないと光は心を落ち着かせるが言葉の次の話
でさらに余裕がなくなる。

「なぜ黒田さんは誠君と仲が悪い振りをしているのですか?数ヶ月前に私の家で誠君と関
 係を持ちましたよね。澤永さんからあいつらが裏で付き合ってるなんて知らなかったぜ
 と言ってましたけど。」
「私はもともと澤永が好きだったから伊藤に頼んで示し合わせてもらっただけだから。」
「なるほど。だからスワッピングなんて手段をとったんですね?澤永さんと結ばれるため
 に…。」
「うんそう…。」
光はあの日起こったことの経緯を言葉に話す。これで納得してくれればよかったのだが言
葉は納得してくれなかったようだ。

「でも、結局あの後黒田さん誠君と一緒に帰っちゃいましたよね。」
「だって桂さんがいたから…。」
「今はもう別れましたから実質澤永さんはフリーですよ。」
「そうだね。桂さんが別れたならアタックしてみようかな、あはは。」
光は言葉にそう言うが今の時点ではもう泰介に興味が湧かない。今は脳内にいまだにトイ
レから帰ってきてない誠を思い浮かべてしまう。光はいまさら手遅れだよと思い言葉を見
る。言葉はさらに話を続ける。
「そういえば思い出しましたけど一ヶ月前、澤永さんが誠君の家に行った時黒田さんの小
 物入れを見つけたと私は聞きましたが黒田さん誠君の家に行ってます?」
一ヶ月前のことはうろ覚えだが不注意で誠の家に忘れていったものはあるかもしれない。
光は言葉にばれそうになっているのを感じあせる、というかもうばれてる気がする。
証拠のネタとしては十分だろう。誠の奴…しっかり片付けといてよと光は思う。

「誠君がトイレに行ってる隙に澤永さんが小物入れの中身見て黒田さんのと判断したらし
 いんですけどね。」
「桂さん、このことは世界達には内緒にしてね…お願いだから。」
光は観念して言葉に正直に話す。言葉はさして驚いた様子はなくただ光の言葉を受け止め
また話す。
「やはり誠君の家に通ってたんですね?」
「うん…。」
光は相槌を打ち言葉はしばらく考えまた話す。
「もう一回同じ質問しますがなぜ誠君と仲が悪い振りをしてるのですか?」
「分かるでしょう…世界にばれないためよ。」
「そうですか…。器用ですね。私では到底出来ないでしょうね。」
「そうかな…。」
302water:2008/02/20(水) 15:04:04 ID:+VOtIOEG
言葉は淡々と光に感想を述べる。光が黙っているので言葉が続けて話してきた。
「この先はどうするつもりなのですか?誠君とこのままお忍びの関係を続けるのですか?」
「一応恋人は世界ということになってるし…。」
「つまり二番手の位置に甘んじると…やはり器用です黒田さんは。しかしそれでいいので
 すか?体だけの関係となりますが。」
「誠が私をそう見てるから…。それならそれでいいかなと思ってる。」
「あなたがそういうのなら別に止めませんし私も西園寺さんに言いません。だけど本当は
 きちんとした形で付き合いたいのではないですか?」
光は言葉の質問に明確な答えが導き出せない。
「迷ってるんですね?」
「うん…。」
「まあそれは自分で答えを出してください。私はあなたを助けることができませんので。」

言葉はそう言って光に念押しをする。光は言葉は誠のことがもともと好きだったのは知って
いる。あれから時が過ぎたが多分まだ思いは心に秘めたままだろう。
光は言葉に質問をする。
「桂さん、誠のこと…今でも好き?」
光の質問に対し言葉はしばらく考えた後、光に話す。
「好きですね…。」
「そう…。」
光は想定内の答えが返ってきたのでそう驚かなかった。もうちょっと話をしたかったがトイ
レから誠が戻ってきたようだ。
「あれお前らいつのまに仲良くなったんだ?」
「いやちょっと勉強教えてもらっただけだよね桂さん?」
「ええそうですね。」
光と言葉は誠が戻ってきたのでさっきまでの話題は打ち切って勉強に集中した。
それから日にちがたち言葉と光は少し話す程度の仲にはなる。だがそれとは別に最悪の事態
は一刻一刻と迫っていた。
303water:2008/02/20(水) 15:04:38 ID:+VOtIOEG
ある日の昼休み誠は加藤姉妹と泰介と一緒に食堂で学食を取っていた。最初泰介と食べてい
たが途中で二人が一緒にいい?といわれたので承諾して今に至る。
「誠ー、俺に彼女紹介してくれよー。」
「そんなこと言われてもなあ。」
「澤永はいかにも女狙ってますーって雰囲気が駄目なんじゃないの?」
「あーそう見えますね先輩は。」
泰介が誠と乙女と可憐に突っ込まれる。
「そんなこというなよー。うーん、じゃあクールなキャラのほうがもてるのか?」
「うーん、一概にそうとも言わないと思う。伊藤はクールなキャラ…なのかな?」
「微妙だね…。」
乙女と可憐は誠を見てそう言う。可憐は続けて話してくる。
「スポーツできる人ってけっこうもてるんじゃないかな。サッカー部とかバスケ部とかカッ
 プルけっこういるし。」
「バスケといえば七海も彼氏がいたわね。顔が男前だから彼女もいそうだけど。」

乙女がおかしなことを言ってる気がしたので誠は突っ込む。
「甘露寺はレズじゃないだろう。」
「そうね両刀使いね。」
乙女はそう結論付ける。誠は七海に聞かれてやしないかひやひやものだ。いないからといっ
て好き勝手言うのはどうかと誠は思う。可憐は話の流れを無視して別の話題を言う。
「お二人は何か部活をやってるのですか?」
「俺達は二人とも帰宅部だけど?なあ泰介?」
「ああ、そうだな。でももてるのなら入ってみようかな今からでも…。」
「やめなさいよ。それが女狙ってる雰囲気なんだってば…。」
「うぐ…。難しいな。」
乙女に駄目だしされて泰介は黙ってしまう。しかし誠からしてみると言葉と一時期付き合い
光も好きだったことからそんな悲観することもないのではと思う。
「とにかく俺は彼女が欲しいだよ。」
「学校内でか?」

泰介の話に誠が突っ込む。
「できればだ…。」
「じゃあさ、山県さんなんかどうかしら?」
乙女が泰介に誠と乙女の中学の同級生を紹介する。ちなみに山県愛は同じクラスでもある。
「山県か、うーん…。一応選択肢の中にいれておこうか。」
「今日からレッツアタックよがんばれー。」
乙女は彼女を欲しがっている泰介を女の子を紹介することで応援するようだ。誠はそんな乙
女を見て面倒見があるなあと思う。しばらく黙っていた可憐が話してくる。
「伊藤先輩は普段映画とか見ます?
「いやそんなに…最近ではトライアングルラブというのを見たな。」
「あー確か二股の話ですよね。」
「そうそう、どろどろしてたんだよなあれは…。」
「先輩は二股しちゃ駄目ですよ?」
304water:2008/02/20(水) 15:05:17 ID:+VOtIOEG
ごめんなさい、二股してますと誠は思うほかなかった。実に気まずい…。乙女は気まずそう
にしている誠を見て不審に思ったのか話し掛けてくる。
「どうかしたの伊藤?」
「いや別に何にも…はは…ははは。」
「怪しいなあ…。伊藤ってもてるし…。」
誠の苦笑いに乙女が怪しんでる様子だ。泰介と可憐はそんな二人を見て話し合う。
「あの二人って仲いいのか?」
「ええ、中学の頃からあんなですよ。」
「ふーん。俺もあんなふうに仲がいい女子がいたらなあ。やたらうるさい女子はいたけど。」
「誰です?それ。」
「同じクラスの黒田って言うんだけどこれがまたうるさくてかなわんのよ。」
「へえー。」

楽しく食事や会話を楽しんでいた4人だったが突如空気が変わる。血相変えてこちらに向か
ってくる女子がいる。誠は姿を見て言葉だと言うことに気付く。言葉が誠達の近くまで来た
ので話し掛ける。
「どうかしたの?息を切らして。」
「誠君ここにいたんですか。今すぐ教室に戻ってください。西園寺さんと黒田さんが言い
 争いをしてるんです。」
「なんであいつらが?清浦がいるんじゃないのか?」
「清浦さんだけでは止められないからこうして私が呼びに来てるんです。」
言葉は誠に強い口調で言う。清浦でも止められないなんて一体何があったのだろうか?なん
かいやな予感が誠の脳内を支配する。
「じゃあ行ってみるよ。もう食事は済んだし。」

言葉はそれを無言で見送る。そして残された3人のうちの一人の泰介が言葉に話し掛ける。
「桂さん、西園寺と黒田は何で言い争ってるの?教室にいたから知ってるよね。」
「なんか二股がどうとか言ってましたけど…。」
「あっ…。心当たりがあるな。でも俺は言ってないよ。」
「私も言ってませんよ。」
乙女と可憐は二人に混ざろうと話し掛ける。
「桂、二股がなんだって?」
「加藤さんには関係ありませんよ。」
「澤永先輩心当たりがあるって聞きましたけど、なんなんですか?」
「いや…うーんとどう言えばいいのかな。ごめん、やっぱよく知らない。」
「えー!?なんですかそれー。」
言葉と泰介は二人には事の詳細は言わなかった。乙女と可憐は意外にもあっさりと身を引き
二人で内緒話をしだした。
「とりあえず様子見だね。お姉。」
「そうね。今回のことで二人が伊藤から離れてくれたら私にもチャンスが巡ってくるわ。」
「はてさてどうなることやら。」
言葉と泰介はその後すぐに食堂から姿を消したため二人の会話を聞く者はいなかった。

 第2話「ばれた関係」 終
305water:2008/02/20(水) 15:07:53 ID:+VOtIOEG
ここでおしまい。次は言葉と泰介が別れるまでの1.5話かそのまま本編の
三話を投下するつもり。しかし加藤姉妹が腹黒いな俺が書くと…。
306スクイズイフ:2008/02/20(水) 18:17:33 ID:T7V/8z7A
>>305
乙です〜
この光ルートだと確か刹那が誠と光の関係に全然気付いてないんですよね〜

二股がバレてどうなるか?楽しみ〜
加藤姉妹は可憐が策士ですから全然大丈夫でしょw
307名無しさん@ピンキー:2008/02/20(水) 18:21:30 ID:o+dAt5bz
>>305
乙です。
加藤姉妹は腹黒でOKです。

そのまま行っちゃって下さい。
308名無しさん@ピンキー:2008/02/20(水) 18:29:47 ID:0vCUXLz/
>>305
いろいろ吹っ切った、冷静な言葉、カッコイイw
この光と言葉なら、うまくいけば友達になれるかもね
続きがwktkです
309名無しさん@ピンキー:2008/02/20(水) 19:18:16 ID:x/+ewucy
>>305
世界と光の修羅場は今までの公式スクイズに無かっただけに面白そうですね。
310woodchuck:2008/02/20(水) 21:55:27 ID:os9jkUZF
(第一部のあらすじ)>147〜>272

学園祭当日 世界とフォークダンスをするために校庭に向かった誠に
言葉から必死に助けを求める電話がかかる
加藤乙女たちにそそのかされた泰介のレイプから間一髪のところで救い出し、
一度は途切れた言葉との交際を復活させる誠
言葉からの深い信頼が誠を変えていく
壊された友人関係を修復させるため動く誠は、その経緯で言葉の両親からも信頼され
そのぶん世界とのつながりが薄れてしまう。

第二部開始よろしくお願いします。
__________________________________

(第二部 序)

きっかけは言葉といったイタリアンレストランだった
あの日、誠たちの席とは別の客を担当していたウェイトレスの一人
彼女の妹は1組の女子の姉だった
しかも間が悪いことにその妹も誠のファンだった
「なぜだかもてる、一部に人気」そんな風評に姉も興味をもっていて
妹の学園祭にきていた。とうぜん3組の喫茶店にも顔を出していたのだ

「あ・・あの子」
昨日みた顔を間違えるわけがない
妹が噂をしていた男の子だ 私服だけど間違いがない
一緒にいるのは黒髪の美しい子・・嫌味なほどスタイルがいい
あんな子も世の中にはいるんだな いったいどういう関係なんだろ やっぱり彼女?
妹は彼はフリーだと言ってたけど・・教えたら泣くよねやっぱり
招待券をもっているところをみると、どちらかの親が関係者なのだろうか
こんな高いお店に学園生が2人でなんて、生意気だけど絵になってるわ

じっと見ていると
ポラロイドをもった同僚があてられたように顔を赤くして戻ってくる
「もう初々しいたらありゃしないわ 見てるこっちが恥ずかしい」
たしかにお似合いのうえに初々しさが際立っている
商談のビジネスマンや社会人のカップルばかりのなかであれは目立つ

自宅にもどってからその話をきいた妹は
その日みたビデオの話を姉に聞かせた
「やっぱり付き合ってたんだ、あの二人 ほんと残念・・ 彼かっこよかったんだよね
お姫様を助け出すナイトって友達も言ってたよ」
姉妹2人してため息をつく・・・はぁ、いいなぁ・・・

月曜日は大きな事件で持ちきりだった
何処からともなく漏れる試写会の一件、当事者の一人が丸坊主になっている事実
噂はあっという間に学年とびこえ学校中に広まる
午後になって相次いで呼び出される1+4人
女子4人の関連性ははっきりしなかったがタイミングから皆が察している
そんななかレストランの一件と試写会のナイトの話も尾ひれをつけて女子の間を中心に広まる

311woodchuck:2008/02/20(水) 21:56:38 ID:os9jkUZF
いつもなら真っ先に動く七海は静かなものだった
隠し撮りでショックを受けたのは事実だったが
それよりもイジメの扇動をしていたことが何処まで漏れるのかの方が気になり身動きができなかった
乙女が呼び出された以上、自分が呼び出されるのも時間の問題だと思っていた
そんな中、あの話を一番最初に聞きつけたのは光だった
泰介のことで大きなショックを受けていた光だが
その泰介の話を確認するために色々なツテをつかって情報を集めていたのだ

「なんてバカなんだろうあいつは ここまでバカだとは思わなかったわ」
怒り心頭な中、誠と言葉の関係にも腹を立てる
「なにが駅で偶然であったよ そんな言い訳通じるわけないじゃない」
しかも誠があの現場で泰介をたたき伏せたことも怒りを増させている
逆恨み以外のなにものでもないが、今の光には「誠憎し」はアイデンティティにも近いものがあった
でも世界にそのまま伝えるわけにも行かない・・光は歯噛みするよりほかなかった。

刹那はいつもの刹那だった、少なくとも見た目には
(伊藤・・)
噂の真偽を量りかねていたが、やはり誠が言葉と付き合っているのだろうと納得した
(世界を守らなきゃ・・)
刹那の行動原則は明快だ 自分の想いもあったがその前に世界、いつでもそうだ
(私には時間がない)
刹那は誠を探した
________________________________________

午前中 誠はずっと泰介のそばにいた 周りから距離を置かれる泰介は哀れだったし
それが親友としての責任だと思った
午後になり呼び出される放送をきき、職員室まで泰介を送って行った
そのまま教室に戻るのもためらわれた。足はいつしか屋上にむかっていた。
(食欲もないしな ポケットには朝コンビニで買った携帯食、これでいっか)
合鍵をつかって屋上の扉を開ける ギギギッー きしむ音がする
言葉と世界、3人で昼ごはんを食べていたのがずっと昔のことのように思われる
手すりから遠く榊野町の方を眺める
教室の喧騒とはうってちがってここは静だ
運動場で午後の授業の準備をする姿がみえる

「はぁぁ・・・」誠は大きくため息をつき小さな袋をあけひと囓りする

そこに言葉が現れた 手には大きな包みを抱えている
「まことくん そんなのでは体を壊します メーですよ」
誠の口癖をまねて優しく微笑む
「朝がんばってお母さんと作ったんです まことくんの分もあります」

「よくここがわかったね」
「まことくんのこと一番知っているのはわたしって言いたいから」
誠は言葉をじっと見つめる
すると少しうつむいて舌をちょろっと出して言葉が言う
「実は澤永さんと一緒に歩いていかれるところを見てました
 なかなか戻ってこられないから、どこかにいると思って探したんです
 でも一箇所目でみつけましたから ふふっ」
「そうか 言葉は何でもお見通しか」
勢いをつけてフェンスから体をはなすと言葉が座るベンチにゆっくりと腰掛ける
言葉は誠の膝の上にお弁当を載せ、すっと体を近づけると頭を誠の肩の上に寄せた
風にゆれた髪が誠の耳をくすぐる
二人で過ごす久しぶりの屋上の時間 日差しはまだ強くまぶしい
312woodchuck:2008/02/20(水) 21:57:54 ID:os9jkUZF
そこに刹那があらわれた
「伊藤・・・」
言葉はむっとした表情を隠し、頭をまっすぐになおす
「清浦さん」返事をしたのは言葉だった
刹那は言葉の存在を無視して話をつづける
「伊藤、話があるんだけど 世界のことで」
「清浦さん、お急ぎですか? 今食事中なんです もしよろしければお隣に座りませんか?」
「いい、はなしが済んだらすぐ教室に戻るから」
言葉はじっと刹那を見据える 刹那に動じる気配は全くない
「伊藤・・」
「清浦、話が長くなるなら 放課後、時間を取ってくれないか」
「わかった」
「あと世界のことなら言葉も関係する、連れて行ってかまわないか」
「それはダメ」
「でも・・・」言葉が口をはさむ
「私からの話、世界の話以外に私の話もある 桂さんは関係ない」
「(・・・)」言葉が返事に困り誠を見つめる
「言葉、おれを信じてくれるか」
「(はい)」
「わかった 放課後ひとりでいく」
________________________<それぞれの思惑 了>_

清浦とはピュアバーガーで待ち合わせをすることにした

言葉との昼食後、席にもどると世界が待っていた
「ねぇ誠 お昼はどうしたの?」
「(・・・・)」
「ねぇ・・」
「泰介を送っていったあと屋上に行った」
「きちんと食べたの?」
「ああ」
「ひとり?」
「(うん)」
返事として成立したかどうかもあやしい小さな声だった
刹那がこちらをじっと見つめている
それに気がついた誠は目を臥せ話を切り上げる
「もう授業始まるぞ」

「誠 の う そ つ き !」
突然世界が大きな声を上げる
「な ん で 私 に 隠 し 事 を す る の よ!」
もう教室には先生が入ってきている
周囲の注目が世界と誠に集まる
世界は涙を浮かべて教室から出て行ってしまう
「先生、世界が気分悪いようなので保健室に連れて行きます」
刹那がそう宣言して後を追う
誠は世界を追いかけることをしなかった
ただじっと世界と刹那の後姿を眺めるだけだった
______________________________
313woodchuck:2008/02/20(水) 21:59:04 ID:os9jkUZF
中庭のベンチに世界は座っていた
あの時は誠が迎えに来た おまじないは効いた…
でもおまじないの力だけじゃダメなのかな…

どうして私、桂さんを誠に紹介しちゃったんだろ
桂さんが好きだという誠が憎らしかった
私は一学期の初めからずっと誠が好きだったのに
全然気がついてくれない 好きだけど憎らしかった
刹那に無理をいって席を替わってもらい
これからって思ったらあの携帯電話の写真
あのとき素直に告白してたらどうだったんだろ
誠は桂さんのこと忘れて私だけを見つめてくれたのかな

誠のためにいろいろするの楽しかった
喜んでくれる誠の笑顔が好きだった
世界・世界っていつも私を見ててくれた
あのときがずっと続けばよかったのに

わたしはまたこのベンチに座ってる
あのときは誠が見つけてくれた
ぎゅっと抱きしめてくれた
でも、私はまたひとりだ
頬をつたった涙が膝で強く握っている世界の手の甲に落ちる
涙がとまらない、あふれ出すように頬を伝う

わたしが好きだって一番だいすきだって言ってくれたのに まこと
どうしてまた桂さんの方を向いてしまうの?
私じゃダメなの? どうして? わたしはいつだって誠を見つめているのに・・

一旦世界を見失った刹那だったが
通りかかった移動中の生徒の情報から 中庭にいる世界を見つけることができた
遠めに見ても世界はボロボロだった
そばまで近寄り、そっと横に座る
無言のまま世界の手の涙をぬぐい そのハンカチを世界に握らせる
「せつなぁ」
よしよし・・まるで子供をあやすように刹那が世界の頭をなでる
刹那の小さな肩に世界が抱きつく形になっている

刹那と世界ではこれが普通だ
それももうすぐ適わないものとなるかもしれない
世界にはまだ伝えていない
伊藤がいるなら大丈夫と思った矢先がこれだ
今世界の前から私が消えたら世界が壊れてしまう
世界はわたしの半身
それだけはさせない
いざとなったら私はひとり日本に残ってもいい
踊子さんなら何とかしてくれるし母さんも許してくれるはず
もちろん母さんは悲しむだろうけど
仕事に打ち込んでいるのは母さんの都合だし
母さんだってそろそろ子離れするべき時期だ
少なくとも世界よりは数段強いのは間違いがない
たしかに母さんのことは心配だ
でもきっと一人で大丈夫だろう
それよりも今はきちんとこの状況を整理するべきだ
世界にできないことは私がする それが私の役割なんだから

__________________<世界の涙・刹那の決意 了>
314名無しさん@ピンキー:2008/02/20(水) 22:32:52 ID:z1xAmxkX
>>305
うお、、GJ!
じっくりと読ませていただきました。
光が可愛くて・・・、
あとこの話をよむと、言葉と光が意外にも仲良くなれそうだなとおもいました。

続き楽しみにしています!
315名無しさん@ピンキー:2008/02/20(水) 22:39:55 ID:aqmtZ4vg
>>woodchuckさん
GJ!いつも楽しみにしてます。
誠が言葉一筋でありますように
316名無しさん@ピンキー:2008/02/20(水) 23:29:47 ID:OMmVNNfk
>>314
付き合ってみたら地味に相性いいと思いますよ光と言葉は
317名無しさん@ピンキー:2008/02/21(木) 00:24:55 ID:l1QG/AsN
>305
乙です。加藤姉妹は二虎競食の計を世界と光に仕掛けたのかな?
318名無しさん@ピンキー:2008/02/21(木) 01:46:52 ID:uYLHcOoS
>>313
wktk
でも、こっちの七海には、もうちょっとお灸が必要だなw
光の逆恨みもオイオイな感じだしw
とにかく、続きに期待w
319名無しさん@ピンキー:2008/02/21(木) 11:18:32 ID:OWYem7hD
>>water氏
原作の光は割り切りの人という印象がありましたが、
割り切りを抜くと意外と魅力的なキャラになるのですね。
新鮮な驚きでした。
続きを読むのが楽しみです。

>>woodchuck氏
第2部お待ちしていました。
前章では、てれてれ言葉や渋い親父'等を堪能したのですが、
世界との関係が半ば放置されていたので、
心の中でおかわりを切望していました。
光・刹那もいい立ち位置に配置されていますし、
今後の展開が楽しみです。
320名無しさん@ピンキー:2008/02/21(木) 20:14:34 ID:GewOmFLR
>>315
すみません ほんとうにすみません
言葉は幸せになりますが
やっぱり誠は誠になってしまいました
あらかじめお詫びをいたします
>>319
そういっていただけるとはげみになります どうもです
321woodchuck:2008/02/21(木) 20:15:52 ID:GewOmFLR
>313の続きです

「ねぇ世界」
世界は返事をしなかったが話は聞いているようだった
「伊藤のことなんだけどね」
「世界、これまでのこときちんと私たちに話してないんじゃない?」
一瞬世界の体がびくっとするのを刹那は逃さなかった
(やっぱり何かあるんだ)
「二学期になって席替えしたでしょ?私と世界が席を替わった」
「あのあとずっと世界は伊藤といっしょだったよね?」
世界は身動きひとつしない
「でもあるとき、伊藤が血相を変えて皆に聞いて回ったんだよ『世界は何処にいる?』って」
「それに覚えているの、伊藤からの電話で桂さんのこと話してる世界のこと
 ・・デートがどうだとか・・お泊りしたあの日のこと」
「あの時は何を変なこと言ってるんだろうってくらいで気にも留めなかったんだけど」
また世界の体がこわばるのを感じる
「いつも一緒にいたはずの伊藤が世界を探し回るなんて変だよね」
「あの頃の世界と伊藤っていったいどういう関係だったの?
 傍から見たらまるっきり付き合ってるみたいだったけど」

「あの頃はあの頃、今は私たち両思いなんだから・・・」
ずっと黙っていた世界が口を開く
「誠はわたしのことが好きって言ってくれた。一番だいすきなひとだって・・・」
最後のほうはまた涙でにじむ

「世界、私はいつだって世界の味方、たとえ何があっても世界のそばには私がいる 少なくとも今は…」
「だから教えて、今までわたしが知らなかったこと。世界が教えてくれなかったこと」
「世界の味方をうまくするのにはそれが必要、伊藤とのこときちんとするにはそれが必要」
刹那は世界から体を離すと両手を世界の頬に添えてまっすぐ自分の方に向ける
小さいけれども抗えない力強さをもつ刹那の手、まっすぐ見つめる赤みを帯びた瞳
_______________________________________

観念したのか世界がポツリポツリと話し始める
刹那から譲られた席でおこった霹靂
桂さんマニアになった二人
連日の作戦会議はデートそのもの
桂さんと誠の初デート、あの時は刹那電話を聞いてたでしょ?頷く刹那

本当はあのまま諦めるつもりだったこと
でも最後と思って誠にキスをして涙がとまらなかったこと
その後も誠から相談を受け続けて気持ちが揺らいだこと
桂さんが誠を大切にしなかったこと、傷ついた誠をいつも慰めていたこと
誠との肉体関係については言わなかったが刹那には伝わったようだ
そして誠は桂さんをふり、世界を選んだこと・・

世界が話すまま、ずっと刹那は黙って聞いていた
世界の言葉が途切れて刹那はやっと口を開いた
「それが学校祭のフォークダンス直前で変わったのね」

「(うん)」世界が小さく頷く
桂さんにきちんとつきあっていることを伝えなかったことと
七海をはじめとした桂さんイジメが影にあることは刹那にも理解できた
そして伊藤の性格を考えて刹那は嘆息する
伊藤の性格で桂さんを見捨てるなんてできるわけがない
入学式の日、自分を救った伊藤の姿を思い出す
ましてやさっき屋上でみた桂さんは伊藤を拒否しつづけるような姿ではなかった

何が桂さんを変えたのか、おそらくは澤永の暴走を止めた伊藤の姿だろうけど
そんな劇的な再会を果たしたあとのあのデートの様子・・噂は刹那も知っていた
世界は気がつかなかったが刹那の顔が曇った
322woodchuck:2008/02/21(木) 20:17:06 ID:GewOmFLR
先生の手前、このままでいる訳にも行かず、世界を保健室まで連れて行く
連れ帰ってこのまま伊藤のとなりに座らせることはできなかった
そのまま午後はずっと世界と一緒に居ようとも思ったが
刹那は伊藤と放課後に会うことを伝えなかった
今は休ませてあげたい
思案したあと光にメールをした
「世界は保健室にいる 今日一日はこのままにする 放課後世界をつれて帰って欲しい
ピュアバーガーの前は通らないで別の道をつかって」簡潔なメールだ
世界に休むようにといった後一旦教室に戻ることにした。
___________________________<世界の告白 了>


放課後少しまってから席を立つ 保健室にも寄ったが世界はすでにいなかった
光がうまくやってくれたのだと思う
そのまま駅前のピュアバーガーに向かった
念のため二階席にうつり伊藤と向かい合う
伊藤のことを想う自分の気持ちは封印できているだろうか
伊藤は緊張しているのだろうか、親指をかむ癖があるなんて初めて知った

「清浦・・」
話し始めたのは伊藤の方だった
「ん・・」
「清浦はどこまで知ってるんだ?」
「どこまでってその前に何のことか言われないとわからない」
あえて突っぱねてみる
「世界と俺のこと、そして俺と言葉のこと」
「そう、まずは世界と伊藤が桂さんマニアだったことから知ってる」
さっき聞いたばかりだということは伏せる
伊藤の認識と世界の認識のずれを知るのが大切だ
「そっか」
まったく驚いていない様子だ 世界があれだけ必死に、ずっと隠していた事なのに
「あと桂さんと金曜日の片付けしたあとデートしてたことも知ってる 榊野ヒルズのイタリアンのお店」
これにはさすがに伊藤も驚いているようだ
そう、私は何でも知っている、そう思わせれば伊藤は隠し事できないはずだ
一気にたたみかけることにしよう。私は伊藤への想いだけ隠し通せばよいのだから簡単なはずだ
「伊藤が世界と深い仲だったことも、今は桂さんになびいていることも知ってる」
伊藤は何も答えない 否定しないというのが事実だと裏付ける 胸がちくっと痛んだ
「伊藤、世界とのことどうするつもりなのか教えて欲しい。
 二人の関係が桂さんと関係があるのはわかる、でも世界をどうするか決めるのは伊藤だから桂さんは関係ない。」
_____________________________

323woodchuck:2008/02/21(木) 20:18:28 ID:GewOmFLR
「身勝手なようだけど…」
重々しく伊藤が口をひらく、ああやっぱり世界は捨てられる・・刹那は理解した
「世界には清浦も甘露寺も黒田もいる、言葉には俺しかいない」
「それはその通り、でもそれは単なる事実、伊藤が誰を好きかってことには関係がない」
ぴしゃりと刹那が制する
「好きと同情はちがう、そんな理由で世界が傷つけられるなんて納得できない」
「桂さんは同情でも愛情でもどちらでもいいかもしれない、伊藤が桂さんを選ぶならそれでかまわないのかもしれない」
「でも世界は、世界は「大好き」と言ってくれた伊藤を信じてる」
一言一言ことばを選びながら刹那が続ける、(そんな理由じゃ私も納得できない)
「いったい伊藤は誰が好きなの?誰と一緒にいるのが幸せなの?」
伊藤は黙ったままだ
「伊藤・・ 伊藤は世界のことが好き?」
(・・・)
「どう?」
「好きだ」
「それは桂さんよりも?」
「わからない」
「伊藤は桂さんのことが好き?」
「ああ 好きだ。憧れの存在だった。」
「どういうこと?」
「入学式のとき桜の木の下を歩いている姿を見かけた。毎朝、電車でいっしょだった。 
そのときからずっと目で追いかけていた」
(そう、わたしがずっと伊藤を見ていた間、伊藤は桂さんを見ていたんだ)
「見ているだけ?」
「そうだ、嫌われるくらいなら見ているだけで満足だった。」
「それで携帯電話に桂さんの写真を?」
「おまじないとは違う、付き合えるなんて思ってもいなかった。
ただいつでも、言葉の姿を見たいと思ったときに見られるようにって」
「そう」
伊藤は私とおなじだったんだ。ぎゅっと自分の携帯電話を握り締める
(伊藤、伊藤は幸せだったんだよ その想いを隠すことなく伝えることができたんだから
 それは世界のおかげ、動機がどうであったとしても世界のおかげなの)

しばらく二人とも窓の外を眺めていた。帰宅する生徒の数がまばらになっている

324woodchuck:2008/02/21(木) 20:20:21 ID:GewOmFLR
「おれ、高校に入る前に振られたことがあるんだ それが初恋だったと思う」 唐突に伊藤が話し始める
「原巳中にいたとき、3年になるときに引っ越してきた子がいてさ」
(それって誰?)
「原巳中の連中って男と女、分け隔てなく悪友みたいに遊んでて」
「うん」
「その中に加藤とかもいたわけだけど 無理やりひっぱりこんでやったんだ」
「え?」
「目がねかけてて、割と地味で、友達ができにくそうだったから 加藤もわりと気にしてていつもかまってた 俺ともいい雰囲気だったし」
「うん」
「中学卒業ってときに進む高校も同じってわかったから」
「思い切って告白しようと思ったんだ」
「うん」
「でも、その前にその子には別に好きな奴がいるって加藤から聞かされてさ」
「?」
「もう告白するつもりで呼び出したあとだったもんだから、困ったんだ」
「仕方が無いから好きだっていうやつをつれていって紹介しちゃった」
「え・・!?」
「それでおしまい」

「俺って人の好意を読みきれないとこがあってさ」
(伊藤は鈍感 それは間違いない)
「そのときばかりはこれ以上ないくらい凹んだよ」
「うん」
「山県も俺のこと好きなんだって思い込んでたから」
(えぇぇぇあの山県さん? うちのクラスじゃん)
「山県って知ってるよな?うちのクラスの」
「うん」
「高校はいったらまた同じクラスだろ?もうマジ落ち込んでさ」
「うん」
「そのとき出逢ったのが言葉だったんだ」

「クラスに帰ると山県がいるし思い出して落ち込むんだけど、 不思議と言葉を見てる間だけはそのことを忘れられた」
「ほら 言葉って美人だろ」
(うなずきたくない・・)
「それにスタイルもいい」
(・・・)
「なにムっとしてるんだよ」
「別に」
「でも絶対彼氏がいると思ってたんだ
 だから見つめているだけで幸せだって」
「うん」

「それが休み明けの席替えで変ったんだ」
「世界…」
「ああ」
「俺は見ているだけでよかったんだ でも世界に待ちうけ画面を見られちゃった」
「うん」
「世界って小うるさいだろ しかも噂好き」
「うん」
「絶対ばらされるって思ったんだ
 ばらされたら唯一の幸せがなくなってしまうじゃないか」
「それで呼び出した?」
「そしたら世界は脅すんじゃなくって仲を取り持つって言ってくれてさ そのときは疑ってゴメンって思ったけどそれ以上に信じられなかった」
「なんで?」
「だって理由がないだろ?席が隣り合わせになっただけで、
 世界とはまったく付き合いがなかったんだからさ」
「うん」
「で、言われるがままに桂に近づく計画を進めたんだ そう、桂のことをばらされるよりは従ったほうが幸せだと思ったから」
_______________________________<みつめるだけで幸せ 了>___
325mark:2008/02/21(木) 21:58:33 ID:ZvnFo9NC
最近ネタが思いつかん…… 今日は澤永をいじる。(逆にありえないネタかも)


泰介「誠、オレ桂さんの事あきらめるわ。」
誠 (言葉と付き合っている俺にはありがたいけど)「そりゃまた急だな。何でだ?」
泰介「いや、俺とした事が迂闊にも身近な存在というのを忘れていてな。」
誠 「身近な存在?……ひょっとして黒田の事か?」
泰介「なんで黒田と俺とが付き合うわけ?……違うよ」

誠 「いや、てっきり俺は黒田と付き合い出したとばかり……じゃあ誰なのさ」
泰介「ひ・み・つ。 だはははは」
誠 (不気味に笑って気持ち悪い奴だな。……でも女好きな泰介から言葉を
   諦めさせるくらいいい女って、いったい誰なんだろう)

自分のうぬぼれだという思いもあるが、言葉ほどの女性はそうそういないと、
誠は思っていた。

澤永家

泰介「姉ちゃん……」
美紀「今は私とアンタだけしか居ないんだから…… ちゃんと名前で呼んで」
泰介「じゃあ……、美紀」
美紀「泰介、好きよ……」


姉と出来ていた澤永であった。………人間ってわからない。
326名無しさん@ピンキー:2008/02/21(木) 22:35:32 ID:IWFSZwEE
>>325
一番平和でハッピーな展開に思えるのは俺だけだろうかw
327名無しさん@ピンキー:2008/02/21(木) 23:38:17 ID:uYLHcOoS
>>326
いやいや、スイッチ押し魔のSさんのほうが…w
328名無しさん@ピンキー:2008/02/22(金) 16:33:35 ID:Xi1ChP+2
五年振りに戻ってくる日本は、空港を出た私に懐かしさと嬉しさを感じさせた。
母の仕事の都合でフランスへ渡り、慣れない海外生活から来るホームシックや、
友人知人のいない土地での疎外感、生活習慣の違い等に悩まされたあの日々…。
それらも、今となってはよき思い出であり、よき人生経験でもある。
私は母と共に、母が帰国前に新たに購入したというマイホームへ”帰宅”した。
今度の住いは、出国前に済んでいた場所から少し遠いところだったが、決して、
見知らぬ場所というわけではなった。

翌日、日が昇っている間に荷物の片付けを済ませると、私は自室で地図を広げた。
私は夜になったら向かいたい場所があった。本来なら昼に行くべき場所だったが、
夜のほうが都合がいい。必要事項を調べると、私は夜を待った。




日が沈み、待っていた夜が訪れる。
私は目的地と到着までに掛かる時間をもう一度確認すると、すぐに準備に取り掛かった。
コートをはおり、マフラーを巻いて、手袋をはめて、最低限の路銀を持って家を出る。

「いってきます。」

私は徒歩で目的地へ向かった。
329名無しさん@ピンキー:2008/02/22(金) 16:34:31 ID:Xi1ChP+2
夜の風は冷たく、吹き抜ける一陣の風が頬を撫でて身震いをさせる。
出かける時間が遅いわけでもないのにも関わらず、珍しく家にいた母に外出を咎められた。

でも、それも当然だと思う。

ここは日本といえど、新天地。
近所を散歩すると告げただけで、行き先を告げなかったのだから。
けれど、幸いにも、外出自体を中止することにはならなかった。
私も既に二十歳を越え、成人している身。
あまり拘束してしまうのも、どうかという思いが母にあったのかもしれない。





私の目的地は、現在の家から距離はあまり離れておらず、徒歩でもせいぜい三十分程で辿り着けそうな場所だった。
現に、私は三十分程で目的地へ到着すると、手袋を外してコートのポケットに仕舞い込んだ。

「ハァ…」

途端、手が悴んだように感じ、思わず手に息を吹きかけた。
私が足を運んだこの場所は、街で一番広い敷地を持つ墓地。
私は墓地に一歩踏み込むと、中を進み始めた。
330名無しさん@ピンキー:2008/02/22(金) 16:35:53 ID:Xi1ChP+2
この墓地には、この街で生涯を終えて、埋葬された人たちの墓が並んでいる。
歩き回ること数分、私は墓地の奥に据えられている墓石たちの元へ来ていた。
墓石に挟まれた小道を歩き、数少ない墓石たちの中に、かつて想いを寄せた
彼の名の墓を見つけた私は、一瞬、目を開き、ふらりと力なく膝をついた。






覚悟は出来ているつもりだった。






もう、生きて再会できないのだと。





けれど、この国を長く離れていたためなのだろうか?
今更ながら、私には五年も時が流れたという実感が無い。
時差呆けや渡航後独特の不安定な感じはするけれど、私はフランスで、
時間の感覚さえ忘れてしまうほど、がむしゃらに毎日を生きていた。
フランスにいた五年という時の経過が、感覚として含まれていないのは当然なのかもしれない。
331名無しさん@ピンキー:2008/02/22(金) 16:36:49 ID:Xi1ChP+2

手向ける花も、墓石に注ぐ水も持たない墓参りは、彼を弔うものではなかった。

ただ、自分自身にまぎれも無い現実を見せ付けるため。

自分が思いを寄せた彼は、もうこの世の何処にも居ないのだと思い知らせるため。

ともすれば、あるはずの無い希望に縋りそうになる自分の弱さと決別するため、これは必要なこと。





そう、ここに彼は居ない。
ここにあるのは、かつて彼であったものの成れの果て。
私に触れた肌も、私を見つめた瞳も、私を包んだぬくもりも……
すべてが炎に焼かれて、ここに納められているだけ。


私は、震える指先で墓石に刻まれた名をたどる。






「伊藤…」
332名無しさん@ピンキー:2008/02/22(金) 16:38:02 ID:Xi1ChP+2

こんなに辛いとは思わなかった。

彼が死んだという話は、帰国直前に届いた踊子さんからのエアメールで知っていたことだった。






喪っても耐えられると思っていた。
でも、それはただの思い込みに過ぎなかった。
彼への想いは捨てていたつもりなだけだった。
どうやら、私は深いところに入り込んでいたようだ。
実際は、長い年月の間に累積した地層のように、想いが積もっていただけだった。
忘れていた時間の感覚が波のように押し寄せてくる。
伝えられなかった言葉が喉元に留まって、私を苦しませる。
五年分の時間が、想いが、私を飲み込み、何度も現実を突きつけてくる。




彼女も……



ふと、私は、あの日を最後に別れた親友を思う。

あの子も、この絶望を彷徨っているのではないかと。




私と彼女は幼い頃から一緒に同じ時を過ごしてきた。
いわば、半身とも呼べる存在。
この世で同じ哀しみを知る存在は、彼女に他ならないだろう。

エアメールで、彼女が行方不明になっていることは知っている。
彼女は…世界は、とても弱い。
いつも自分の気持ちを押さえ込んでは抱えきれなくなって、自分を閉じてしまう。
今もどこかで、取り返しのつかない過ちを犯した償いを、自らに課すことでかろうじて
孤独に耐えているのかもしれない。




私は、親友として、半身として、彼女を連れ戻さなければならない。
絶望の縁を彷徨っているであろう彼女を、救い出さなければならない。


私は立ち上がると、もう後を振り返ることなく、墓地を後にした。



「伊藤…。あなたはもういない。けれど……あなたがいなくても、私は必ず、
 世界を見つけて連れ戻してみせる。そして……自首させて、世界を楽に
 させて見せる。だから……見ていて、伊藤……」


333スクイズイフ:2008/02/22(金) 17:15:33 ID:k/2Bv74t
>>332
我が子への後日談ですね〜
つい顧問様の描いた25歳刹那が墓参りしている図を思い浮かべてしまった…
でも妊婦で行方不明って…言葉様にやられてしまった気がした…

アニメの刹那も生きていてもらいたいが〜この20歳刹那のように…

乙です
334名無しさん@ピンキー:2008/02/22(金) 19:31:01 ID:maXWfQJ+
アニメの刹那ってどうなったんだっけ?
335名無しさん@ピンキー:2008/02/22(金) 21:32:55 ID:zBWXSWLJ
>>334
パリに行っちゃっておしまい。
あの世界では途中退場した刹那が一番の勝ち組だったわな。
336スクイズイフ:2008/02/22(金) 21:34:46 ID:k/2Bv74t
>>334
不明〜ただぬまきちが言うには別世界に旅立ったといってたね
12話Cパートでは誠、言葉、世界そして刹那の4人がいない榊野学園が描かれていたかららしいが〜
パリの学校に通う刹那が出てたらそんな話もないだろうけどね
337名無しさん@ピンキー:2008/02/22(金) 21:47:17 ID:uhw/Zduu
>>328-332
一人芝居、独白
とっても雰囲気があってひきこまれました
・・こういう雰囲気のある短編って
一枚の挿絵で、ものすごくぐっとくるんじゃないかと想像しました。
5年後の刹那って憂いがあるだろうなぁ
338woodchuck:2008/02/22(金) 21:48:29 ID:uhw/Zduu
>324の続きです

その後の伊藤の告白は世界のそれと全く同じだった
ただ伊藤は最後まで「世界は伊藤に近づくために桂のことを詮索した」とは思わず
「世界は長く伊藤と一緒にいる間に伊藤に惚れた」そう思っているようだった
つまりあくまでも伊藤にとっての世界は「世話焼きの親切な世界」なのだ
もし伊藤に世界の動機を話したらどうなるのだろう?
一瞬思ったがそれが世界のためになるとは思えなかった

ただ冷静に考えて、伊藤の気持ちは今はもう明らかに桂さんにあると考えた
世界は桂さんへの伊藤の気持ちは同情だって思っているようだけど
どちらかというと世界への思いのほうが同情に近いようだ
同情というのが語弊があるなら「愛着」といったほうがいいのか
世界といた時間は伊藤にとってかけがえの無いものであるのは間違いないだろう
おそらく世界が「女」として伊藤に近づいた最初の相手だったんだろう
ファーストキスにその涙、おそらく男女の関係……胸が痛む……
桂さんのことが好きだと今更気がついても
伊藤が「捨てられない」のは世界のほうだ

以前なら世界は、桂さんに拒絶された伊藤を抱きしめることができた
でも今、その桂さんは伊藤にすべてを委ねるような気持ちでいる
伊藤を拒絶するなんてことはもう無いだろう
屋上でみた桂さんの表情は完全に恋する女のそれだ
伊藤に近づく女への警戒心を隠そうともしていない
それでも全幅の信頼をおいて伊藤に任せている
今ここに桂さんが来ていないのは伊藤を信用している証だ
悔しいけどそれは認めざるをえない
弱い世界がここにいないのとは理由が違うのだ

まともにかんがえて伊藤には桂さんを避けて世界のところへ戻る理由がない
唯一「同情」でしか………
伊藤の世界への思いにすがるしかない
世界にはずっと伊藤といて築いてきたものがある
幸にも、伊藤自身は伊藤が桂さんのことが好きであり世界のことは同情なんだとは思い到っていない
おそらく二人とも同じくらい好きと考えて
どちらにも決められない優柔不断な伊藤に伊藤自身が迷っているんだろう
たしかに伊藤は優柔不断なんだけど本当は気がついていないだけ
急がないといけない
伊藤が自分の隠された気持ちに気がついたらもう手が打てなくなる
もしそれを桂さんが見抜いて世界を追い出したら世界は・・・
別れ際に念を押すことにした
339woodchuck:2008/02/22(金) 21:49:18 ID:uhw/Zduu
「伊藤、世界は伊藤のことが好き 今まで生きてきた中で一番好きになったのが伊藤だと思う
これは横にいる私がおもうこと。世界のことで間違ったことはない私が思うこと。
そして世界は自分のことを『愛してる』『大好きだ』と言ってくれた伊藤のことを信じてる」

伊藤が頷く

「たしかに世界はおしゃべりなくせに口が下手、よく隠し事をする。
 でもそれは気が小さいから、弱いから、
 世界はガラス細工のような心を持っている。
 今、伊藤が世界を捨ててしまったらおそらく世界は完全に壊れてしまう。
 確かに今なら私がそばにいる。光や七海たちもできる限りそばにいてくれるとは思う。
 でも伊藤の存在はもう私たちよりも大きい。そんな世界だから伊藤にしか任せられない。
 今ここで約束をして欲しい。伊藤、、世界を傷つけないで。
 桂さんとのことを清算しろとは言わない。伊藤は優しいから」

(伊藤は優しいから桂さんを捨てないのではない、優しいから世界を捨てないのだ・・)
そう心の中で言い直してから話を続けた。

「伊藤、いつまでも世界のことを気に掛けてあげて欲しい。
 世界は桂さんよりきっと弱い。私たちが守っていてもその弱さは隠せないのだから」

しばらく考えた後、伊藤が答えた
「わかったよ 世界のことは真剣に考える でも正直自信は無い」
刹那は最後の一言に不安を感じた
いつもの伊藤なら「わかった」とだけ言いそうなのに・・・と
でもできるかぎりのことはした。これ以上は薮蛇になると判断して刹那は伊藤と別れることにした。

__________________________________<刹那の推理 了>__

世界の家に向かって歩く、世界のマンションは自宅から歩いて数分ととても近い
家に一度帰ることも考えたが直接いくことにした。
数分でもはやく世界に会いたかった。
途中光に電話をする。世界の様子を聞くためだ。
「ああ刹那、うん家まで送ったよ 殆ど口を聞かなかった。 正直困った。
 あれって桂と伊藤のせいなんだよね?」
光は桂さんと伊藤の復縁の噂を知っているような口ぶりだった。
「どうも桂さんを助けたのは伊藤みたい。
 世界はそれで以前のことを思い出してあんな態度だったみたいなんだけど。」
光が割り込んでくると伊藤が世界につらく当たるかもしれない。
そう思って刹那はごまかし気味に話すことにした。
そんな刹那の戸惑いを感じたのか光が聞く
「世界のことは刹那に任せたほうがいいんだよね?」
「うん、そうだね 任せておいて」
「わかった 伊藤になんかされたら協力するから遠慮なく言ってね」
「わかった ありがとう」
光の伊藤嫌いはさらに強くなっているようだ
澤永のこともあるからだろうけど、今の光にはあまり深い相談はできなさそうだと感じた。

340woodchuck:2008/02/22(金) 21:49:57 ID:uhw/Zduu
ピンポーン。。インターホンを押す。しばらくして踊子さんの声がした。
「せっちゃん? ちょっと待ってね開けるから。」
「はい」
ガチャリ。。すぐに扉があく。
踊子さんは帰宅まもない様子だ。まだ化粧も落としていない。
「今帰ってきたところなんだけど、世界、口をきいてくれないのよ
またいつものお拗ねモードだと思うんだけど、悪いわね せっちゃん」
「いいえ 慣れてるから」
「そう言ってくれるのはせっちゃんだけよ せっちゃんがいないと世界はもうダメダメだから」
いつもと変わらぬ笑顔を振りまいている踊子さん
「とにかく世界に声をかけてきます」
刹那はいつもの表情のまま世界の部屋の前に向かう
トントン。。ドアをノックする。
「せかい」
「聞いてるよね」
「今日、世界に聞いたこと、わたし伊藤に確認してきた。」
ドアの向こうで人が動く気配がする。世界は聞いている、確信した。
「ねぇ世界、桂さんに勝てる自信ある?」
部屋の中の動きが止まったのを感じた。
「世界が伊藤に近づいた理由を伊藤は気がついていない」
「もうひとつ、伊藤は桂さんを捨てられないんじゃない。世界に愛着があるだけ。」
「ねえ世界、世界は伊藤をつなぎとめるために伊藤を縛っていない?」
「おそらく伊藤が本当に愛しているのは・・)
バタン。。ドアがあいて世界が大きな声でいう
「せつなぁ!言わないで!!!」

「世界、中に入れてくれる?」
_____________________

世界はベッドの上でパジャマ姿で体操座りをしている。
刹那はベッドの下で正座をして世界を見上げる
世界のほほには涙のあとが幾筋も見える
・・・・・・・・・・・・
[>「世界に現実を突きつける」
 「世界に無理やりあきらめさせる」
・・・・・・・・・・・・

刹那:「世界、伊藤は世界も桂さんも好きだって言ってた」
世界の表情が緩む
   「伊藤自身はまだ本当の気持ちに気がついていない」
世界:「本当の気持ちって?」世界が初めて口をひらく
刹那:「伊藤は桂さんが好き」
世界の顔が歪む
   「桂さんが受け入れてくれないとき伊藤は世界に逃げてた
 でも今の桂さんは違う。伊藤を受け入れている。
 どこまで二人の関係が進んでいるかはわからない。
 でも今日の桂さんは今までの桂さんとははっきり違ってた。」
世界:「どう違ってたの?」
刹那:「伊藤のことを完全に信用している
    全てを伊藤に任せるって態度だった」
世界は無言のままだ
   「今日、屋上で伊藤と話をした。お昼休みのこと
    そこには桂さんが伊藤と一緒に居た
    時間が無いので午後に場所をかえて話すことにしたんだけど
    そのとき伊藤が桂さんも同席させていいかって聞くから断った。
    桂さんは食い下がったけど、伊藤が任せてほしいって言ったらあっさり引き下がった」
341名無しさん@ピンキー:2008/02/22(金) 23:26:19 ID:dKw26NWt
耳をすませばのように誠に言葉、結婚しよう!と言ってほしい
342名無しさん@ピンキー:2008/02/23(土) 00:56:27 ID:TfnEYHQg
>>341
BugBug版を読むといい。
343名無しさん@ピンキー:2008/02/23(土) 02:53:59 ID:IsI7yYSh
言葉のマウスパッドや抱き枕でこれだけ受けるんだとしたら、
オリエント辺りで言葉のそっくりドールが出たら買う人いるんだろうか?
344名無しさん@ピンキー:2008/02/23(土) 03:08:31 ID:IsI7yYSh
>>343
誤爆です・・・すんません。
345mark:2008/02/23(土) 10:08:54 ID:jNCLP2c1
今日はひねらず、可愛げに。(別に萌えを意識しているわけではないんだけど)

寝顔


「うーん………」

まだ夜明け前なのに、思わず目が覚めてしまった。さすがに
まどろみの中に戻りたいと思い、目を閉じようとしたけど、
二度寝はかえって身体にはよくないので、眠い目を瞬きしながら、
上体を起こした。

…………。
しだいに暗闇に目が慣れてきた。部屋の時計は、朝の4時前を指している。
お弁当を作る時でも、ここまで早く起きる事はない。

「すー…… すー……」

誠君が静かに寝息をたてている。
彼の寝顔を見て、昨日は誠君の家にお泊りしたんだと思い出した。
これが初めてというわけじゃないんだけど、やっぱり気持ちが
昂ぶっていたのかな?
誠君の寝顔を見つめながら、そう思う。

誠君は相変わらず静かに寝息をたて、目を覚ます気配はない。
彼より早く目が覚めた事は、何度もあるが、こうしてじっくりと
誠君の寝顔を眺めるのは初めてかもしれないな。
346mark:2008/02/23(土) 10:45:48 ID:jNCLP2c1
昨日の夜、互いに愛し合った時に見せた恋人の表情とも、
普段学校で私に見せる友人としての顔とも、あるいは私の家に遊びに来た時に
妹の心や、誠君にたまに会いに来るいたるちゃんに見せる、
優しい兄としての顔とも違う、素の飾らない誠君が、そこにいた。

なんだか、誠君本人ですら知らない秘密を、私だけが知っているという、
ちょっぴり不思議な気持ちになり、思わず笑ってしまう。

そんな事を思っているうちに、部屋の暗がりが先程よりも薄れてきた。
今日は特に予定を立てていない。いつもなら、誠君と2人で何をするか、
どこに行くか決めるのだが、最近はこうして良い意味でいい加減に
時間を過ごす事も、心地よくなってきた。

「誠君…… 愛しています」


私は誠君の唇に、そっとキスをした。
これからも、よろしくお願いしますね。

(おしまい)
347名無しさん@ピンキー:2008/02/23(土) 21:28:39 ID:MHejGu40
「なあ言葉……俺、下手だよな…」
隣でしょげた背中を見せている誠くん。
今日は遊園地で、いっぱいいっぱい私と遊んで
その後ホテルで、イッパイイッパイ私で遊んで…。
でも…誠くんはいつも事が終わったあと、寂しそうなんです。
汗だくになった後姿が、とてもとても侘しいんです。
「どうしたんですか?誠くん」
「いや…言葉は本当は気持ちよくないんじゃいかって…な」
それは本当です…。
誠くんは一生懸命私を愛してくれているんですけど
けど…
私は一度も、『臨界』は体験していないんです…。
「そんな事ないですよっ」
「いや、無理しなくていいんだぞ…言葉。演技だってのは分かっていたから」
とっくの昔に誠くんは知っていたんですね…。
私がわざと声を出していたって事を…。
「俺は女は言葉しか知らないんだから、下手なのは当たり前なのかもな」
誠くん…その言葉、凄く嬉しいです…。
「でも…自信なくすなぁ…」
「俺、確かに早いし荒いし…」
「挙句の果てに言葉には…なぁ…」
「そんなことないですっ!」
私は知っているんですっ!。
誠くんの優しさを。
誠くんがとてもとても私を愛してくれている事を!。
「誠くんは、いつも私の事を思って抱いてくれているんですよねっ!」
「誠くんは、私の上に乗っている時、体重がかからないように自分の体を腕で支えているんですよねっ!」
「それで、私の弱い体の負担がかからないように、加減して動いてくれているんですよねっ!」
「確かに、私はいままでイッた事はないです…」
「けど…それは誠くんが私のことを思っての事…ですよね」
「ですから…今日は…」
誠くん…大好きです…。
この背中も、背中の奥にある心も全部…。
だから…言います。
恥ずかしいですけど…言いますっ!。
「今日は私を、イかせてくださいっ!」
348名無しさん@ピンキー:2008/02/23(土) 21:29:09 ID:MHejGu40
言っちゃった…。
こんな言葉、私の言葉じゃない…。
けど、誠くんに今日は…今日は…。
「言葉…いいのか?」
「いいです。誠くんなら…」
「ヘンになるほど…気持ちよくなりましょう?」
ぴちゃぴちゃぴちゃ…
ぴちゃぴちゃぴちゃ…
「あ…はぁっ!、はぁっ!」
凄いです…誠くん。
こんな…こんな…
こんなに激しいとは思いませんでした。
下半身が…もう感覚がないです。
「あっ…あっ…」
そんな舌を奥に入れないでくださいっ。
そこまでされたら…私…私…。
「本当に本気でいいのか?」
途中で止めないでください。
いまさらです…誠くん。
ここまで来たら、行く所まで行きましょう…。
「二人で何処か遠くに行きましょう…」
「それこそ、真っ白になるまで…」
ぎしっぎしっぎしっぎしっ!
ぎしっぎしっぎしっぎしっ!
ぎしっぎしっぎしっぎしっ!
ぎしっぎしっぎしっぎしっ!
ベットのきしむ音。
部屋に響いて、私の声と交錯して…。
「あっ!あっ!あっ!あっ!!」
IN、OUT、IN、OUT
IN、OUT………IN、OUT、IN、OUT
動きが…速い。
そして激しい…。
私の中で暴れるリズム。
そして、覆い被さる誠くんの重み。
そして…
にちっにちっにちっにちっ!
にちっにちっにちっにちっ!
脳細胞まで響いてくる私の中のいやらしい音。
それが頭の中をさらに真っ白にさせていく。
溶けそう…溶けそう…。
「そろそろいくよ…」
私も…です。
「そらっ!!」
ぎしっぎしっぎしっぎしっ!ぎしっぎしっぎしっぎしっ!
ぎしっぎしっぎしっぎしっ!ぎしっぎしっぎしっぎしっ!
16分のリズム
32分
64分…
128…
ああ…どうでもいいです…
どうで…も……・・
349名無しさん@ピンキー:2008/02/23(土) 21:29:39 ID:MHejGu40
「あ………」
ぎしっぎしっぎしっぎしっ!
ぎしっぎしっぎしっぎしっ!
「これで…何回目だ」
「何回でも…いいです」
今度は…後ろもいいです。
お腹の中がずっとかき回されて…
すぽっ
「あ…ごめん。抜けちゃった」
そんなぁ…
「ぬいちゃだめ……」
もっとうごいください…
もっと…もっと……
「よし…」
とにかく、やればやるほど気持ちよくなって…
これで、誠くんに気がねなく…
というよりこれからもずっと、こんな感じで…
こんな感じで…
私に乗ったり…
私が乗ったり…
おうまさんごっこもやったり…
椅子にすわってやったり…
どんなことでも…
どんなことでも…
ああ…ああ…
「ああっ!!ああ――――――――――――――!!!!!」
この日は誠くんと一緒に失神しました…。
そして、ホテルを出て家に帰った時のお母さんの一言…。
「やりすぎよ…」
今度から、気をつけるね♪
350woodchuck:2008/02/23(土) 21:30:02 ID:pxhLu0j7
>>340の続きです

世界:「(やっぱり桂さんと一緒にいたんだ)」とつぶやく
刹那:「世界、わかってない」
   「世界が伊藤を信じなかったら、伊藤は居心地が悪いだけ
    今みたいに桂さんのことで伊藤を責めてたら
    きっと伊藤は世界と一緒にいるのを苦痛に感じるようになる」
世界:「だって私は誠の彼女なんだよ」
「彼女なのに独占したいって思っちゃいけないの?」
刹那:「元々伊藤は桂さんがすき」
世界:「でも今は私のことがすきなんだもん」
刹那:「世界、しっかり聞いて。元々伊藤は桂さんが好きだったの
    世界は桂さんの代わりにされてたの
    桂さんが伊藤を受け入れないって伊藤は信じた、だから一旦は桂さんを振った」
世界はちいさく首を振っている
   「あの事件をきっかけにその前提が変わったの
    今の桂さんは伊藤を受け入れている 心から信頼している
    それはたぶん澤永のしたことがきっかけ
    おそらくそのきっかけは加藤さんたち」
ここまでは噂を再構築して得た結論
   「そしてそのきっかけは世界が七海たちを焚きつけたことにある」
そしてこれが世界の告白から得たもの

世界:「わたしそんなことしてないもん!」
刹那:「わたしも今日の昼まではそう思ってた。
    でも世界は世界が桂さんを伊藤に紹介したって誰にも言わなかった
    だから私たちには桂さんが伊藤に粉をかけてるように見えてた
    七海は元々桂さんにいい感情を持っていなかったから、
    世界を助ける名目で桂さんイジメを扇動した。」

   「確かに世界は直接には言っていない。でもその動き知らなかったとは言わせない。」
   「私もうかつだった。こんな結果になるなんて思いもしなかった。」


世界:「せつな・・ どうしたら、どうしたら誠と別れないですむと思う?」
刹那:「今の状況では世界は桂さんには勝てないと思う」もう何度言っただろう
世界:「(・・・)」
刹那:「だからもし世界がどうしても伊藤と別れたくないというのなら
    世界、世界が桂さんに勝てると思うまでは我慢しないとだめ」
世界:「どういうこと?」
刹那:「とにかく、桂さん以上に伊藤にとって居心地のよい女になる努力をしないとだめ
    でもそれって単に都合のいい女って思うかもしれない。
    これは普通に考えたら友人として幼馴染としては勧められない。
    わたしは正直、諦めるなら今のほうがいいと思ってる。今なら私が支えてあげられる」
世界:「わたし、誠を失わないですむなら何でもするよ」

世界の予想通りの答えに刹那は嘆息した。昔から世界は諦めが悪い。
二人の歴史上、世界が唯一諦めたのは「せっちゃん」という名前だけ、それも半分だけ。
世界は「せっちゃん」と私を呼ぶことはない。他の人が呼ぶのを許しただけ。
なにしろ世界の諦めの悪さは筋金入りなのだ。
351名無しさん@ピンキー:2008/02/23(土) 21:30:51 ID:pxhLu0j7
重なってしまった・・・
すみませんお先にドウゾ
352woodchuck:2008/02/23(土) 21:34:53 ID:pxhLu0j7
刹那:「それならまず・・・」刹那は指折りはなす
   「桂さんと伊藤のこと、伊藤には詮索しないこと」
   「桂さんよりも伊藤のそばに居るようにすること」
   「桂さんとも仲良くなるように努力すること」
   「できる?」
世界:「・・・・それ全部?」
刹那:「そう、全部」
   「伊藤に、伊藤自身が世界のことを好きだって気持ちに、疑問を持たせないようにする」
   「伊藤がそれに疑問をもったとき、残るのは今なら桂さんだから。」
世界はじっと下を見つめたまま微動だにしない
刹那はかまわず続ける
   「それしか方法はないの」
   「伊藤は世界と桂さんの二人が好き、あの性格なら何もなければ結論を先送りにする。」
   「桂さんは伊藤が決断するまで文句はいわない。それに友達はいないから世界が友達になってあげれば喜ぶ。」
   「この前の件、世界が桂さんのこと介抱したって聞いた。それは好都合。」
   「わだかまりはあるけれど、今なら桂さんは世界のことをもう一度受け入れるはず。」
   「そして世界が3人の関係をコントロールするの」
世界:「コントロール?」
刹那:「そう、支配するの」
   「伊藤がどういうときに桂さんとぶつかるのか。桂さんが疑問に思うのか。」
   「桂さんが伊藤と会わないときに伊藤をつなぎとめながら観察をすればいい」
世界:「それができたとして、その後はどうするの?」
その部分が一番問題なんだけど・・ 前向きなだけいいか・・・ かまわず進める
刹那:「世界が桂さんに勝てると確信したとき」
世界:「うん」
刹那:「爆弾を破裂させればいい」
世界:「爆弾?」
刹那:「うん 世界がそれまでに溜め込んだ、桂さんの伊藤への疑問の種を全部伊藤に明かすだけでいい」
世界:「それでどうなるの?」
刹那:「さっきわたしは前提が変わったといった」
うん。。と世界が頷く
   「ならもう一度前提を変えるしかない」
   「その爆弾で伊藤が信じている桂さんの信頼感が、なくなったと感じれば世界の勝ち」
   「もし桂さんは伊藤を受け入れてないって思ったら、伊藤は桂さんを諦めるはず」
   「でも、桂さんと伊藤が本当に信頼関係で結ばれてたら、そのときはもう勝ち目は無いと思う
    伊藤は桂さんを『憧れ』だって言い切ったの それだけ桂さんのことを求めてるから」

世界:「どうしてそんなことがわかるの?」
刹那:「伊藤の初恋の話を聞いてきた」
世界:「えぇぇぇえぇぇええ!」
刹那は誠が話した内容を要約して伝える
刹那:「相手はうちのクラスの山県さん」
世界:「や ま が た さ ん?」
世界はベッドの端まで出てきてしまっている。刹那の顔をまじまじと見ている。
刹那:「うん」
かまわず話し続けることにする。そろそろ立ち直ってきたかなとも思う。
353woodchuck:2008/02/23(土) 21:38:36 ID:XPb6Vzr5
   「伊藤は人の気持ちを読めないって自分のこと思ってる」
   「そういう苦手意識はそうそう改善されるものじゃない」
   「だから今もってる自信だって崩し方さえ間違わなかったら必ず崩れる もしそこに不確実な部分があればね」
   「山県さんのときは加藤さんに嵌められたんだけど、伊藤はいまだにそれに気がついていない」
   「じゃぁ今度は世界が伊藤を嵌めればいい。しかも一番近い位置をキープしておけばそのまま世界の勝ち」
   「加藤さんはその場所を取っておくことを忘れたからダメだったの。邪魔するだけじゃ勝てっこない。」

世界:「加藤さんってあの加藤さん?4組の」
刹那:「たぶんそう」
世界:「加藤さんも誠のことが好きだったんだ・・もうあいつもてすぎだよ」
刹那(世界はここにもう一人いることも気がついてない。なんてアホの子なんだろ)
思わず笑いそうになる。
   「どう?桂さんに勝てる気がしてきた?」
世界は首をかしげているがまんざらでもなさそうだ。
   「いい?絶対に伊藤を追い詰めちゃダメだから。今の世界では桂さんには勝てない。」
世界:「わかった」

世界は諦めないでいいとわかれば現状を受け入れる。
基本は諦めが悪いだけ。現状を受け入れないわけじゃない。
刹那はいつものことだと思う。
でもこの勝負、正直世界の勝ち目は薄い
桂さんと伊藤の信頼関係を本当に崩せるかどうかなんて私にだってわからない
いやむしろ無理なんじゃないかなって思っている
あの話し合いに出てこなかった時点で桂さんの伊藤への信頼はゆるぎないと感じたから
つまり世界を煙に巻いて問題を先送りしただけと言えなくも無い
でもこうでもしておかないと世界は現実を受け入れはしないから・・・
あーだめだ 私が弱気じゃ世界が勘付く、世界は勘だけは鋭いから

刹那:「まずは週末まで様子をみてやってみる」
世界:「うん」
刹那:「それがうまく行くようだったら次の手を考えよう 私も話があるし」
世界:「ん?それなら今聞くよ」
刹那:「今はダメ、世界の結果で伝える中身も変わることだから」
世界:「う〜ん わかったよ」
刹那:「じゃぁ目的は果たしたからかえるね」
世界:「うん お休み あと・・ありがとう)」
刹那:「どういたしまして」
   「ちょっと踊子さんにも用事があるからそれを済ませたら家に帰るね。
    世界はもう寝てていいよ。」
____________________________<刹那の立案 了>_____
354woodchuck:2008/02/23(土) 21:40:44 ID:XPb6Vzr5
世界の部屋をでるとキッチンには踊子さんがいた。
世界の様子を聞きたそうだ。
「ねぇ せっちゃん、伊藤くんって春ごろ二人で騒いでいた彼よね」
踊子さんはあれできちんと見てるんだな・・と刹那は思う
「そう あの伊藤」
「世界はその彼と付き合っているの?」
そういえば前に伊藤君って来たことがあったわね・・と思い出す
かわいい子だったなぁ・・結構私の好みなのよねぇ なんてへらへらしている。
「付き合っているというか、仲がいい」
彼=やってることやってる、そう考える踊子さんに「彼」というのはリスクが大きい
「彼ではないの?」
「友達以上彼氏未満っていうのがちょうど」
「せっちゃんじゃなかったのね」
「うぅ・・・」(ほんとによく見てるよ…)
「せっちゃん?」
「世界には内緒」
「わかったわ」両手で頬杖をついた踊子さんが微笑む
「で、あの荒れようってことは上手くいってないのでしょ」
「うん」
「どう?うまくいきそう?」
「わからない」
「でも最後は機嫌よくなってたじゃない」
「策を授けただけ」
「なら上手く行くのね」
「わからない」
「でもせっちゃんが世界に勧めたのならきっと上手く行くでしょ」
「本当は勧めたくなかった」
「そうなの?」
「世界は弱すぎる」
「そうね」
「別れるのを受け入れることもできないし勝ち抜く根性もない」
「それは仕方ないわよ 全部せっちゃんがもってっちゃったんだから」

私と世界は姉妹だけど双子じゃないんだよ踊子さん…
それに別に私は別れを受け入れたわけじゃないんだけど…といいそうになってやめる

「おばさん、知ってるよね? お母さんの転勤」 本題に移ることにした。
355名無しさん@ピンキー:2008/02/23(土) 23:44:49 ID:JoEN0LBi
>>mark氏
ほのぼの作、拝見しました。
カーブも直球も、いいお仕事ですね。

>>woodchuck氏
うわ、刹那が稀代の謀将になってしもうた。
でも、全く違和感がない。お見事です。
続きを楽しみにしています。

>>347
内容がアレなので、こっそりと。
ええ、こういうのも大好きですとも。
356water:2008/02/24(日) 01:44:06 ID:2e3AzFBR
先に1、5話が出来たので投下。言葉と泰介が別れるまでの話。
時系列としては1話より前だがまあ違和感なく読めると思う。
357water:2008/02/24(日) 01:44:29 ID:2e3AzFBR
この家でスワッピングが行われて随分月日が流れ、もうすぐ春休みも終り新学期が始まろ
うとしていた。言葉はいまだに澤永泰介と付き合いつづけており電話で誘われてはあちこ
ち連れまわされる。正直言って苦痛以外の何者でもなかったが、泰介と付き合ってるとき
は不思議と好きだった誠のことは忘れさせてくれる。ただ一人ぼっちになるとまた誠の顔
が脳内に思い出されそのたびに心が傷つけられる。
「まだ私は…誠君が好きなんでしょうね。あれからメールも電話もしてないのに…。」
言葉はテレビを見ながら独り言を言う。一緒に見ていた心が姉の独り言にびっくりして言
葉の方を振り向く。

「お姉ちゃん、どうかしたの?独り言なんか言って…。」
「心?いやなんでもないわ、気にしないで…。」
「ふーん。うわーうわーキスシーンだよお姉ちゃん。」
テレビを見るとちょうどドラマのキスシーンが写しだされている。心は驚いているが自分
は特に驚かない。これ以上のことをしてるからだ。しかも好きじゃない相手と…。快楽に
体をゆだねるということは個人的にはいけないことだと思うがそうでもしないと誠君を失
った悲しみで心が押しつぶされてしまう。だから私は澤永さんをセフレと位置付け、時節
関係を持っている。しかしこれでいいのかと自分でも思う。しかし、その他の手段は思い
つかない…。このまま行ってしまうのだろうか…先行きが見えない未来に不安になる。
黙っていた言葉を見て心が不安に思ったのか話し掛けてくる。

「お姉ちゃん、元気ないねどうしたの?」
「心は心配しなくてもいいのよ。」
「なんで?」
「これは自分の問題なんだから…。」
言葉は心にそう言うが心は納得してくれず心配そうに見る。
「でもお姉ちゃん…元気ないの今日だけじゃないよ?ここ数ヶ月ずっとそう。笑った所な
 んか見たこともないよ?」
「そうかな?」
「そうだよ…。なんかいつも思い悩んでる感じだもん。」
言葉は意外と心が自分の事を見てくれるのを嬉しく思う。心はそれなりに自分と年は離れ
ており自分とは正反対で活発な子であり友達もいる。クラスでろくに友達もいない自分と
は大違いだ。そんな心が時々うらやましく思うことがある。
「心は何も悩みがなさそうでいいわね。」
「そんなことないよー。習い事も多いしお姉ちゃんの彼氏がいやらしい目で見てくるし。」
純粋な小学生の心は遠慮なく泰介をけなす。
「心。澤永さんに何かされたの?」
「んーん。ただ足とか体を嘗め回すような目で見てくる。」
358water:2008/02/24(日) 01:45:32 ID:2e3AzFBR
「はあ…。」
言葉は心の話に溜息をつく。澤永さんは一緒に歩いてる時も町の女の子を目で物色したり
あの子かわいいねと自分に言ったり何か女の子に対する配慮が足りない気がする。好きじ
ゃない自分だから適当に苦笑いで合わせているが普通に付き合ってる子からすると文句の
一つでも出るくらいデリカシーがない。
「心、あまりに酷かったらお姉ちゃんに言って。私から澤永さんに言ってあげるから。」
「んー、そのことなんだけどさ。お姉ちゃん、あの人と付き合ってて幸せ?」
「何でそんなこというの?」
「テレビを見てよ。」

言葉は心に言われたとおりテレビを見る。そこには仲のよいカップルが楽しそうに食事を
しているが言葉には心の言いたいことがいまいち理解できない。
「何がいいたいの?」
「普通恋人と付き合ってるとあんなふうに楽しそうにしてるよ。お姉ちゃんちっとも楽し
 そうじゃないもん。」
「……。」
言葉は心に言われ心の奥底を探られたような気分になり黙る。
「それにお母さんも心配してるよ。お姉ちゃんは気付いてないと思うけど…。」
「お母さんが?」
「うん。」

言葉は家族に心配を掛けてることに対して申し訳ないと思うと同時に一人で葛藤と戦い続
けている自分をもどかしく思う。心配掛けてごめんね心…。でもお姉ちゃんどうしたらい
いのか分からないのよ…。
心はさらに雰囲気が暗くなった言葉に話し掛ける。
「お姉ちゃん…。なんか悩み事があるなら聞くよ。」
「心に話してもねえ…。」
悪いが小学生に相談事を持ちかけるのはどうもブライドが許さない。特に恋愛事など心に
分かるとも思えないから言葉はやんわりと断る。
「お姉ちゃん…私ってそんなに頼りないかなあ。」
「心に恋愛がわかるとも思えないから…。」
「お姉ちゃんひどいよ。人が心配してるのにさ。」

心は言葉に断られたことで酷く傷ついたみたいだ。言葉はしまったと思い心にフォローを
入れる。
「ごめんね。ちょっと言い過ぎたわ。」
「じゃあ話してくれる?」
心は急に笑顔になり言葉に話を催促してくる。そしてキッチンにいた母親の真奈美も言葉
の元へとやってくる。
「言葉。ずっと前から元気ないのは家族の私たちが一番よく知ってるわ。何を悩んでるか
 話してくれるかしら?」
心と真奈美は言葉を羨望の眼差しで見つめてくる。言葉は観念して正直に話すことにした
359water:2008/02/24(日) 01:46:04 ID:2e3AzFBR
「私、この先どうしたらいいのか分からないの。」
「それは澤永君とどう付き合っていくかってこと?」
真奈美はそう言うが言葉が首を振って否定する。
「じゃあどういうことかしら?」
「澤永さんは本当に好きな人じゃないの。本当に好きな人は…もう手の届かない所に行っ
 てしまった。だからどうしたらいいのか分からないの。」
「とりあえず私たちにきちんと分かるように話してくれる?」
「去年の2学期に友人だった人から伊藤誠君を紹介されたの。学祭の頃からすれ違いが起
 きて疎遠になっちゃって…悲しかったの。そんなとき澤永さんから強引に誘われて…嫌
 だったんだけど、誠君がいなくて寂しかったからやけになって付き合いだして…。」
「友人だった人とは?」
「今、誠君が付き合ってる人がその友人なの。」

真奈美は一呼吸置き休んでると心が次に話し掛けてくる。
「お姉ちゃん、好きでもない人と付き合ってたの?」
言葉は無言でうなづく。
「言葉、事情は分かったわ。でもそれは自分で乗り越えなければならない問題だと思うわ
 言葉が誠君と付き合えなくて苦しんだのは分かる。私も失恋の経験はあるからね。それ
 がどれだけつらいものかは分かる。でもいつまで過去に縛られて生きているつもりなの
 かしら?時間は無常にもどんどん過ぎていくわ。」
真奈美が言葉に語る。
「過去に縛られる…か。そうかもしれない。」
「人生楽しいことばかりではないわ。むしろつらいことの方が多いかもしれない。でもみ
 んなそれを乗り越えて大人になっていくのよ。言葉は、今そのつらいことを乗り越えよ
 うとしてもがいてる最中、違うかしら?」

言葉は真奈美の話を聞いて黙る。
「一人で乗り越えられなかったら私達が手助けをしてあげる。そのための家族でしょう?
 最終的には自分の力で乗り越えなければならないけど私達がアトバイスしたりして力を
 貸すことは出来るわ。それとも私達じゃ頼りない?」
言葉は真奈美の言葉を否定する。
「そんなことない。聞いてもらって気が楽になった。こんなこと恥ずかしくて誰にも話せ
 ないから。」
「言葉、これからどうするかはあなた次第よ。でも忘れないで、困ったときはいつでもあ
 なたの心のささえになれる人間がいるということを…。」
「うん、分かったお母さん。ごめんなさい、今まで気を使わせちゃって。」
言葉は二人に話したことで心のもやもやがだいぶ消えすっきりした表情になる。言葉は自
分の部屋へと戻っていき、後には心と真奈美が残される。
「むー。私、何の役にも立てなかったよー。」
「心にはまだちょっと早い話だからね。」
心と真奈美は言葉が何か吹っ切った様子を見て安堵の表情を浮かべた。
360water:2008/02/24(日) 01:47:57 ID:2e3AzFBR
言葉は自分の部屋で携帯で泰介に電話をかける。しばらくコール音がした後相手が出る。
「澤永さんですか?」
「あーあなたは言葉ちゃんかしら?」
言葉は泰介の電話に掛けたつもりなのになぜか女の声がして絶句する。何もしゃべらな
かったせいか向こうから話してきた。
「今、泰介は私がお仕置きしてるからね。ちょっと替わるね。」
おそらく電話の相手は泰介の姉の美紀だろう。何度かあったことはあるがすこぶる元気な
印象を受けた。しかしお仕置きとは…なにがあったのだろうか?と言葉は考える。
「あー桂さん?助けてくれよう。」
「何をやったんですか?」
「それはその…痛いって姉ちゃんぶたないでくれよう。」

言葉は向こうが何か大変なことになってるみたいだが手短に用件を話す。
「澤永さん、私と別れてくれませんか?」
「ええー。どうして?」
「すみません。いろいろ考えた結果その結論にたどり着きまして…。」
「そんなあ。」
「じゃあそういうことでお願いします。」
「うう…。ひでえよう。桂さんも姉ちゃんも…。」
「気になるんですが、お姉さんに何をやったのですか?」
「それは姉ちゃんのパンツを…。(泰介余計なこと言うな)ぎゃあー。」

電話はそこで切れてしまい言葉は最後まで聞き取ることは出来なかったが最後のパンツの
台詞からしてろくでもないことしてお姉さんに見つかって怒られてる最中だということだ
ろう、まあ関係ないかと言葉は考える。
続いて携帯電話の名前欄を見る。欄には伊藤誠、西園寺世界の名があった。自分の過去を
乗り越えるために消去しようと試みるが消去は出来なかった。
「ふう。消さなくてもいいかなこれは。もしかしたら電話がかかってくるかもしれないし
 こっちからかけることもあるかもしれないから。」
言葉は結局消さないことにし、携帯電話をポケットに入れる。新学期がもうすぐ始まりク
ラス替えもある。そこでは友達はできるだろうか…。楽しい思い出ができるだろうか…。
はたまた新たな出会いがあるのだろうか…。そして自分はそれを経験しどう変わるのだろ
うか…言葉はずっと部屋でそんなことを考えていた。

これは誠が光の家にお見舞いに行く2週間前のお話。

 1,5話 「吹っ切った言葉」 終
361water:2008/02/24(日) 01:51:16 ID:2e3AzFBR
ここでおしまい。

真奈美さんと心が上手くキャラとらえてるかは不安だが本当に言葉の助けに
なりそうなのはこのルートの後だとこの二人くらいかなと思った。

次は三話を投下する予定。
362名無しさん@ピンキー:2008/02/24(日) 09:35:08 ID:C3fKkrsp
言葉が誠と三話で結ばれますように
363名無しさん@ピンキー:2008/02/24(日) 10:49:02 ID:Bq2/NcZh
言葉様が幸せになれればそれでいい
364名無しさん@ピンキー:2008/02/24(日) 16:31:29 ID:88+FezpW
あえて光エンドを希望する
365名無しさん@ピンキー:2008/02/24(日) 17:09:31 ID:8JqXSLwb
>>354
刹那の策士ぷりはお見事。
しかし、アニメの様にカオスになるだけような気もする。
それに仮に世界が勝ったとしても「鮮血の結末」や「永遠」が待っていると思う。
言葉が一番傷ついているのはいじめやレイプなどではなく誠の裏切りだから。

言葉について、
>「別れるのを受け入れることもできないし勝ち抜く根性もない」
このセリフは世界にも当てはまっていないわけでは無いが、言葉の方が当てはまっていると思う。
彼女はただ、都合の悪い現実から目を逸らしているだけで別に強いわけではない。
「鮮血の結末」や「永遠」は彼女が現実を認めざるを得なくなり、
彼女はその現実に耐えられず、壊れてしまうことになる。
もし、勝ち抜く根性があるなら都合の悪いから目をそらしたり、暴挙に出たりしないだろう。
366名無しさん@ピンキー:2008/02/24(日) 21:22:35 ID:4+BCMFDf
>>355,365

そうですよね「策士」・・・
前章であまりに誠・言葉の結びつきが強くなってしまい
無理やり引っ張るためになってしまったのが実情なんですが
「入蜀を説く諸葛亮」という気分でした(ニガワラ

>>365
言われてみれば確かに  >言葉
この文章を書いてるときのイメージは
世界:諦めが悪いけど諦めないで良いとわかれば現実的
(言葉の写真をみても「紹介する」という逃げがあればそれを受け入れる)
(言葉に知らせていなくても彼女という実があれば日陰で我慢しうる)
言葉:自分の信じる事実以外は受け入れない=頑迷
(自分が誠のそばに居れば誰がそばに居ても受け入れる=二人の彼女)
(完全に目が世界に向いてもそれだけは命を懸けても受け入れない=永遠に)
つまり誠の目が自分に向いていないのは絶対に認めないが、その他はたいてい受け入れ可能
こんな分類でした。
367woodchuck:2008/02/24(日) 21:23:38 ID:4+BCMFDf
>>354の続きです

「ってなーに?舞にからかってこいって言われたの? 
 嫌味は十分自分で言ってるくせに もう最近は聞き飽きたわ」手をひらひらさせている。
「ちがう」
「って冗談よ。で、それがどうかしたの?」
「わたし、親離れしたい。」
「え?」
「わたし、日本に残りたいと思ってる」
「それって舞に単身赴任させるってこと?」
「たぶんそれは無理 お母さんそんなお金もってないし マンションはもう明け渡しが決まってる」
「じゃぁ・・」
「ここで下宿させて欲しい。ダメならラディッシュの寮に入れてもらえないかと」
「う〜ん 舞には言ってあるの?」
「言ってない」
「ちゃんと理由を聞いてもいい?親離れなんて言い訳じゃなくて」
「世界を放ってはおけない」
「それはわかるけど そんなにダメダメ?あの子」
「ぜんぜんダメ」
「そう。。。」踊子は頬杖を崩して頭を抱える
「わかったわ」
「いいの?」
「せっちゃんの寝床と食事くらいはなんとかする。でも舞の説得はごめんよ。
 わたし舞に泣かれたらどうしようもなくなっちゃうから」
「それはわたしがする」
「じゃぁ 問題なし」
机にペタっと手を伏せ、その上にあごを乗せた横着な格好の踊子さんがいたずらっぽく笑った。

________________________________________________

世界の家をでて、月明かりの下、どうやってお母さんに話そうか迷いながら歩く
世界が捨てられたとき、私が居なければ世界はとんでもないことになる
伊藤とのこと上手くいくかどうかじゃない、
だめなこと前提にして世界を最後で守るためには居残っていないといけなのだ
世界のためと素直にいって、果たしてあの母が許してくれるだろうか
いっそのこと自分の恋のためとでも言おうか

お母さんと踊子さんは親友で恋敵、そのままずっとライバルだって言ってた
今でもお母さんはことあるごとに踊子さんと張り合っている
さっきの踊子さんの冗談もじつは冗談じゃない
今回も踊子さんかお母さんかどちらかがフランス行きとなるって競争をしていたらしい
家では「勝った 勝った また勝った」と数日うるさい
実際は久しぶりに勝っただけのはずなのだが、最後に勝てば全部勝ったも同じと母はうそぶいている
まぁそのライバル心ゆえに女の割には会社で出世してもいるようだ

ならばそこを突いてみるか
ウソだとばれたら怖いから、2番・3番目の手かな
う〜んどうしようか
これ以上にいい案が浮かばない
でも、もうマンションの前に着いていた。
368woodchuck:2008/02/24(日) 21:24:25 ID:4+BCMFDf
家ではお母さんが仕事のまとめだろう、ノートPCを広げてカタカタとキーを叩いている
何も言わずにそばを通り過ぎて台所で牛乳を飲むためのコップを取り出す
「ねぇ せっちゃん?」
「ただいま」
「ご飯すぐに食べるでしょ?」
台所を見回すが、それらしいものは無い
「ううん 温めて食べるならいつ食べても同じ、後から食べる」
(どうせ昨日のカレーが冷蔵庫にあるはずだ)
「いやねぇ そんな嫌味をいうなんて」
「嫌味?違う それよりもお母さんに話があるんだけど」
迷っていても仕方が無い、お母さんを一日でも早く説得しないとそれだけ作戦に支障を来たす
「なぁに せっちゃん 引越しの準備のことなら心配しなくていいわよ。
 ほんと私物だけ持って行けばいいし 人に見られたくないものだけ荷造りすればいいの。
 あとは業者の人がやってくれる手はずになってるから」
黙って母が話すのを聞く
「ちがうの?」
「ちがう」
「じゃぁなに?」
「私、フランスには行かない」
「え?そのことはもう納得したんじゃないの?世界ちゃんのことも片付いたって」
「実は世界のことも片付いていない。でも本題は別」
「どういうこと?」

コップを片付けるように見せかけて、一度お母さんに背を向けて思案する
お母さんはわたしの表情を見抜くのがことのほか上手いからいつもそうしている
(う〜ん やっぱりあれしかないか)

「好きな人がいる」
「ぇ・・・?」
「お母さん、春ごろ世界と話してたの盗み聞きしてたよね」
「ぇ・・ええ・・まぁ・・)」ギクリとして固まる舞
「その人」
「そうなの?」
(あぁ誠君だったわよね 世界ちゃんと二人で大騒ぎしてたから覚えてる)
「色々考えたけど、今日本を離れるのは私にとって得策じゃないって結論になった」
「どういうことなの?」
「今諦めたら私は一生後悔するし、一生見せ付けられると思ったから」
「一生後悔はいいとして、見せ付けられるってどういうこと?」
「世界の好きな人も同じ」
「(・・・・)」

(よし効果があった、これならいける)
しばらくお母さんは考え込んでいる様子だった
そしておもむろに口をひらいた

「それ 踊子は知ってるの?」
「私が好きなひとが世界の好きな人とおなじってこと?」
「そう」
「なら知ってる」
「世界ちゃんは?」
「知らない 世界には内緒っておばさんには言ってある」
「そう」
369woodchuck:2008/02/24(日) 21:25:38 ID:4+BCMFDf
またしばらく考え込んでいる
いつものパターンならこれが最後の思案だ
お母さんは結論を出すまでそんなに何回も迷わない性格だから

「で、勝ち目はあるの?」
「わからない」
「どうして?世界ちゃん、そんなに彼の心に食い込んでるの?」
「そういうわけじゃない それよりも強いライバルが居るし 数も多い」
「今の状況は?」
「世界は2番目 捨て身で攻撃するっていってる」
「一番は?」
「名前だけなら教えてあげられる 桂言葉さんっていうの 4組の子」
「かつら?・・桂・・桂ぁ??? もしかしてその子、
 原巳浜の坂をのぼったところにある高級住宅地に住んでない?」
「家は確かその辺、とんでもなくお金持ちだって世界が言ってたから覚えてる」
(どういうことだろ お母さんの知り合いなわけ? 
 こっちに食いつくなんて予想外なんだけど)
「(真奈美の娘に世界ちゃん、せっちゃんまで・・・ひとり不戦敗ってのもね)」
なんか色々考えている表情だ。
こういうときのお母さんはろくなことを考えていない・・・と思ったとき

「わかったわ、せっちゃん。すきなだけ頑張りなさい。」

あまりにあっさりとお許しがでてびっくりしたが
私をみるお母さんの目は真剣そのものだった。

「そうと決まれば手配を変えなくちゃね」
「住む場所を決めないといけないわね ぁぁ忙しいわ」
「住む場所は踊子さんに何とかしてもらうつもりだけど ダメ?」
「どうして踊子なの?」
「お母さんが許してくれなかったら家を飛び出すつもりで最初におばさんに話したの」
「踊子はなんて?」
「お母さんを説得できたら家と食事の面倒は見てくれるって お母さんの説得は断られた」
「そう、踊子らしいわ」
なんだかとてもうれしそうだ
「じゃぁ住むところは踊子と相談して。私も忙しいからそうしてくれると助かる
 踊子にはわたしからも頼んでおくから。ぁ費用はきちんと負担するから安心してね」
「ありがとう」

結果オーライだったけど上手くいってよかったと胸をなでおろす。
桂さんのことはおばさんに後からでも聞いてみよう、何か知ってるかもしれないし。
今確認して前言撤回されても困るから。

_______________________<三つ巴の予感 了>_____

(顛末)

結局住む場所は世界のマンションに決まった。
世界の部屋では狭いから、世界の部屋を踊子さんの部屋と入れ替えて
世界と私が一緒の部屋で眠ることになった。
このことはとりあえず世界にはまだ内緒だ。
370woodchuck:2008/02/24(日) 21:28:04 ID:4+BCMFDf
以上で第二部終了となります

無理無理のつなぎでしたが
刹那と踊子・舞あたりのやりとりを自分なりに楽しんでいました。

第二部は世界のために必死になって状況を変えようともがく刹那の物語
気分は諸葛亮、入蜀を説く・・・でした
最後の副題で壮大なネタバレをしたかもしれない^^;ってことで
ご高覧いただき有難うございました
                            woodchuck 拝
371みどりの日:2008/02/24(日) 22:09:45 ID:4WX8Ag8+
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
言葉にとって、夫である誠が帰ってくる時間は、とても嬉しいひととき。
今日も、誠がお風呂に入っている間に、鼻歌など歌いながらコートを片付ける。
ただ、今日は、内ポケットに入った宝石箱に気づいた。
中身は指輪。フライングとは知りつつも、嬉しさのあまりこっそり嵌めてみた。
のだが…。


☆某日PM8時、誠、帰宅後お風呂上りのリビング。

言葉、宝石箱を抱えて。
「ぐすっ、ぐすっ。誠くん、浮気していたなんて。私、信じてたのに…」
「ちょっと待って、言葉。浮気って、一体何のことだよ?」
「いつも私に微笑んでくれてると思ったら、裏でこんなもの買ってるなんて…。
最近、帰りが遅いのだって、そういうことだったんですね…。ぐすっ。」
言葉、宝石箱を見せる。
「ちょっと、それは言葉に買ってきたものだよ。いつもありがとう、っていう意味で。
なのに、なんで浮気者呼ばわりされなきゃいけないんだよ。」
「嘘なんてつかなくてもいいです。だって、私の指のサイズとは、全然違うじゃないですか。」
「え? 言葉、7号だよね? 店の人が間違えたのかな…。いや、これには7号って書いてあるな。
(何かに気づいた様子で)言葉、ちょっとこっちに来てよ。」
「あ(気づいて慌てた表情で)。私の勘違いでした。もういいですから。いいですから。
だから、手を引っ張らないで。嫌ぁぁ。」
372みどりの日:2008/02/24(日) 22:10:27 ID:4WX8Ag8+
☆5分後。体重計そば。

「プラス7キロ。指輪、入らないわけだ。」
「(背中を丸めて、しょんぼり)…。」
「じゃ、解決したところでご飯にしよう。」
「…」
「言葉?」
「…」
「言葉さーん。」
「…誠くんだけ食べて。」
「そんなにショックだった?」
「…」
(誠、ポンと手を叩いて)
「ああ、なら簡単じゃん。体重を減らすには、入りを減らすか、出を増やすか。
で、入りを減らすのは体に悪いからさ、出を増やさないと。」
(誠、言葉を抱っこして、寝室直行。)
「ま、誠くん、目つきが変。(あ、この目はそういうこと?)
ちょっと。そんな。明日はお出かけが…、あぁ。」
373みどりの日:2008/02/24(日) 22:11:44 ID:4WX8Ag8+
☆2時間後。寝室。

「…死んじゃうかと思いました。」
「うん。」
「だからあの目つきの誠くんは嫌いなんです。腰に力が入りません。
これじゃ、明日お出かけできません。」
「ごめん。ちょっと、やり過ぎたかな。でもさ、気持ち良く…なかった?」
「(毛布を口元までかぶって、背を向けて)そういう問題じゃありません。」
「(つんつん)あれ、怒った? ねえ、機嫌直してよ。
わずか2時間で、お肌つやつや。しかもカロリーも消費。
俺の溢れんばかりの真心、わかるでしょ?(にぱっ)」
「それは真心じゃなくて、下心です。目がそう言ってます。」
「うわ、ひでぇ。そんなに信用ない?」
「ありません。誠くんは、昔からえっちでした。今もそうです。」
「まぁ、それは否定しないよ。『前』がああだったし…。
でも、俺がえっちになるのは言葉にだけだし、これからもそうでありたいと思っている。
それだけは解ってくれよ。」
(誠、後ろから言葉を抱く)
「…もう、そんなこと言ったって、何も出ないんですからね。」
「かわいい鳴き声は出るかな(笑)。」
(言葉、真っ赤になって、まくらで誠の頭を連打。)
「ちょっと、言葉、やめて。少しは手加減してよ。」
「誠くんは、私がお願いしても、手加減してくれませんでした。」
「した方が良かった?」
(言葉が手にする武器が、まくらから辞書に変更。)
「あたっ、辞書は反則。言葉、ちょっ、やめっ…(フェイドアウト)」
つくづく一言多い誠であった。

でも、翌日の夕食は、誠の好物であるロールキャベツであった。
なんのかんの言っても、伝わるものは伝わっているようだ。


せっかく誠くんがくれた指輪。なんとしても嵌めてみたい。
かといって、毎晩こんなえっちでは体がもたない。
後に言葉がいたる・心のダイエット提案に乗ったのは、こう思ったからだと伝えられている。

(終わり)
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

お目汚し恐縮です。

あと、ラストの部分は、しばらく更新のない「いたるシリーズ」支援も兼ねて、
166と若干のつながりを持たせてみました。
お気に召さなければ、削除いたしますので、ご一報くださいませ。

                          みどりの日
374名無しさん@ピンキー:2008/02/24(日) 22:16:43 ID:mEhvIZ28
甘過ぎて鼻血が出た
しかし(・∀・)イイ!


幸せな言葉様を拝めて最高だああああああああああ
375名無しさん@ピンキー:2008/02/25(月) 00:09:24 ID:FxW09YLo
>>373
いたるSS書いてる者です支援どうもですw

一応いたるSSに関してはネタを纏めてまして近々再開の予定です。

併せてブログの長編の方も昨日から新しい物を始めました。
376親友と 1/2:2008/02/25(月) 03:04:46 ID:imZs0FqI
「刹那。……刹那は、伊藤のこと……好き?」
「え?」
2学期の始まり。昼食の終わり際にふと空気が色を変える。
人の減った中庭を風が吹き抜けていく。
周りに七海や光の姿はない。
刹那と二人きりだけで話したいことだ。そう世界が言っているのだと、刹那は理解する。
ただ、俯いているその表情を、刹那は見ることが出来なかった。
いつものからかう調子と明らかに様子が違う、それだけは分かった。
世界が何を思ってそんなことを聞いてくるのか――。
少し戸惑いつつも、刹那はゆっくりと口を開く。
「……うん」
「そっ、か……」
どこか落胆した世界の声色。その意味に気付くのに、あまり時間は要しなかった。
「もしかして、世界も?」
「……ごめん」
「どうして世界が謝るの」
「だって、だってもともと私が刹那のために動いてたんだし……刹那は、私の大事な親友だし」
どうしたらいいかわからない。そう訴えているように、刹那には感じられた。
思わず刹那から小さな溜息が漏れる。
――私が世界を傷つけるわけにはいかない。
世界の幸せ――刹那にとってそれは最優先事項である。
胸の痛みを感じないことは決してなかったが、意を決め、唇を開く。
「……世界。私が伊藤のこと諦める。だから世界は」
「そんなのだめだよ!!」
不意に顔を上げた世界のどこか震えた、けれど強い声。
刹那の言葉を遮った自分の声に驚いたようで、世界は一瞬視線を泳がせ、そしてもう一度俯いた。
「刹那にだって幸せになってもらいたいよ……。私のせいで刹那が苦しい思いするなんて、そんなの嫌……」
「世界……」
悲痛な世界の訴えに、胸が締め付けられた。
377親友と 2/2:2008/02/25(月) 03:05:18 ID:imZs0FqI
しばし思考を巡らした後、一度だけ頷いて、刹那は世界の手をそっと触れた。
驚きに、世界が刹那を見つめる。
「じゃあ私は伊藤のことを諦めない。だけど世界も諦めないで」
「え……?」
言いたいことが分からないのだろう、眉を寄せて世界が首を傾げる。
「一緒に頑張るの。それでもし伊藤が世界を選んでも、私は文句を言わない。それは私の努力が足りなかったってことだから」
「……うん。じゃあ私も文句言わない」
「ありがとう。……もしふたりとも振られちゃった時は、たくさん泣こうね」
その言葉に、世界にいつもの笑顔が戻る。
「やだ刹那。最初から振られること考えてたらだめだよー」
「それもそうだね」
二人で笑いあう。
瞬間。チャイムが耳に届いた。
「あ、もうお昼休み終わりだ! 急いで戻ろう! ほら、刹那!」
「う、うん」
世界が刹那に手を伸ばす。
その手を取って、刹那は駆け出す。
世界と、共に。

(終わり)
378376-377:2008/02/25(月) 03:12:06 ID:imZs0FqI
はじめまして。お目汚し失礼いたしました。

サマイズを見ると世界はこういうこと考えてなさそうな気もしなくもないんですが、
こういう展開があれば少なからず違ったんじゃないかと思い、書いてみました。
続きは考えていませんが、思いつけば書いてみるつもりはあります(需要はあるかわかりませんがw)。
でもそうなるとことのはさまをどうしたらいいか…そこで悩んでしまいますw
ことのはさまがだいすきなので…。

それでは、失礼しました。
379名無しさん@ピンキー:2008/02/25(月) 03:12:55 ID:IonJuhM8
>>377
GJ!刹那と世界がいいかんじだ。
それでも世界なら、まけたときに引きこもるきがするw
380名無しさん@ピンキー:2008/02/25(月) 03:17:11 ID:uV0XQRja
いや
たぶんこう言う


「 貸 し て 」
381mark:2008/02/25(月) 19:23:05 ID:q0LQkGQ1
今日は何気に初めての世界話。誠と世界が同棲生活。(永遠にIF)
世界の性格的にありえないかもしれませんが、ネットで読んだ某同人誌を参考に。


「うわぁぁああああっっッッ!!」

な、何!? 誠の絶叫する声が聞こえた気がして、私は目を覚ました。

「はぁ…… はぁ……」
「誠?どうしたの……」

誠の顔を覗き込むが、暗がりで見ても青ざめた顔色をしている。
真夏でもないのに、ひどく寝汗もかき、表情も険しい。
……でも、その理由はわかっていた。誠はまだ……

「なんでもないよ。夜中なのに大声出してごめん……」
「……いいよ。桂さんの夢を見ていたんでしょう?」
「違うよ世界。あれはもう過去の事だよ……」
「嘘つかなくていいよ。……私だって今でも夢に見る事あるんだから。」

私と誠にとって、決して忘れる事の出来ない記憶を、8年前に桂さんに
焼き付けられた。あの時笑いながら落下し、次の瞬間、頭が砕かれ、
脳漿がぶちまけられ、首や他の部分が不自然な曲がり方をし、でもあの笑顔のまま
永遠の存在になってしまった桂さん――――

「あの頃の私は本当に馬鹿で、自分の気持ちを素直に出せずに、
 桂さんから誠を奪ってしまった。………それがどれだけ桂さんを
 傷付けたか、今でも後悔してる」
「………世界のせいじゃないさ。俺が全部悪い。もっと人の想いに
 真剣に向き合っていれば、言葉が死ぬ事もなかった。恨まれて
 当然だよ」
382mark:2008/02/25(月) 20:22:41 ID:q0LQkGQ1
桂さんが自殺してしばらくは、お互いの顔を見る事さえ辛く、
高校を卒業する頃には、完全に誠とは疎遠になっていた。
あの時の事が嫌でも思い出され、自分の部屋で独りでよく泣いていたっけ。
自分は悪くない、勝手に自殺した桂さんの方が悪いんだと思い込みたかった……

短大に進学してからは、少しでも過去の事を紛らわそうと、いろんな
男性とお付き合いをしたが、どれも長続きせず、心に無駄に
傷を増やしただけだった。
就職してからもそれは同じで、日々の忙しさに身を任せて、なるべく
何も考えないように誤魔化して生きていた。

……そんな日々を送っていたある日、携帯を何気なしに見て、メモリーに
誠の電話番号とアドレスがまだ残っていた事を思い出したのだ。
……いや、忘れてはいなかったけど、あえて避け、それが習い性に
なっていただけの事だった。

「最後に電話やメールしてから何年も経っていたから、とっくに
 携番やアドレスも変えているだろうし、もし通じても、誠もとっくに
 大人だから、付き合っている彼女の1人くらいいるだろうなと思って、
 軽い世間話をするつもりで、誠に電話したんだっけ。そしたら……」

「まさか世界から電話があるとは思わなかったよ。……学生の頃だったら、
 絶対に出なかったけど、話すくらいならいいかと思って、久しぶりに
 世界と話した」

それだけで終わるはずだった。すでに終わった事であり、今更私と誠が
再びどうにかなる事なんかないと思っていた。

「でも、この会話が終われば、今度こそ2度と誠と関わりのない人生を
 送る事になるんだという予感がした。……本当にそれでいいのかって、
 柄にもなく考えた。」
383mark:2008/02/25(月) 21:52:13 ID:q0LQkGQ1
私は時間の空いている日に久しぶりに会えないかと頼み、当然誠は渋った
ものの、何とかOKをもらい、高校を卒業してから数年ぶりに
私は誠と再会する事になった。

「あの時は世界と会うのは、これっきり最後にするつもりだった。
 ……言葉と過ごした記憶を忘れる事なんか出来やしないし、俺が
 幸せになる資格なんかないと思っていたし……」
「……どんなに言い訳しても、桂さんを死なせてしまった原因は私達にある。
 その事実に押し潰されそうになって、ずっと過ごしてきた。」

……でも。それでも私は誠を諦める事が出来なかった。桂さんが自分の
命を捨ててまで誠への想いを貫いたように、私も人生で本当に
愛する事が出来る男性は誠しかいないんだと、再会して、改めてそう思い
知らされたから。

「……誠とこうして同じアパートで過ごして言うのも変だけど、
 どうして自分でもこうしようとするのか、時々わかんなくなる。
 肌を重ねている時だって、心が痛くなって、泣いちゃう事だってあるし」

私には、桂さんのように死をもって、誠への愛を貫くというやり方は出来ない。
そうなると、共に生きて寿命をまっとうする事で、誠との絆を少しずつ
強くしていくという、とても地味で辛いやり方しか、ない。
しかも、自分の罪と、桂さんの姿をした『悪夢』に耐え続ける事が
出来るのだろうか……… 


その答えを見出す為に、いばらの道は続く。
384名無しさん@ピンキー:2008/02/25(月) 22:05:25 ID:bTY4zdIi
>みどりの日
言葉を大事にする誠(・∀・)イイ!
拗ねる言葉もかわいいし、オチもまたかわいらしいw
恥ずかしがってポカポカ殴る言葉萌え〜

是非また書いてください。
385woodchuck:2008/02/25(月) 22:08:19 ID:R8AdA0uy
昨晩で散る言葉part2 を終えました
本来の言葉純愛路線用に書いたエピローグを投稿します

いじめとレイプ未遂から無事復帰後
言葉と誠は無事結ばれます
その後のある一日のお話です
________

<秘密の約束>


「あなたそろそろ言葉が戻ってくるそうですよ」
「ぉぉおそうか もうそんな時間か」
「ぇぇ…」
「で、元気なのか?」
「もちろんですよ
 誠くんも今日は休みを取ってますから
 そろそろ着きますよ」
「うむ」

ピンポ〜ん 

「はーい ほら噂をすれば…」
「ご無沙汰しています」
「ぉぅぉぅ挨拶はいい、すぐ入ってきなさい」
「はい、言葉僕が抱くよ」
「は、はい貴方」

「わ〜かわいい!」
「ありがとう、こころちゃん」
「いやだなぁ誠くんに言ったんじゃないよぉ」
「わかってるってば」

「お父さん、お母さん、こころ ただいま」
「おかえりおねぇちゃん」
「おかえりなさい言葉」
「おかえり言葉」

_________
386woodchuck:2008/02/25(月) 22:09:42 ID:R8AdA0uy
「失礼します」
「いらっしゃい誠くん」
「ぉうよく顔を見させてくれないか」
「すみません、気がつかなくて どうぞ抱いてやってください」
「それで名前はもうきめたのか?」
「はるか」です。はるか…春の香りとかいて「春香」
「そうかぁ「春香」か よしよしおじいちゃんダゾ
 ぁぁやっぱり病院で見たときに思ったとおりだ
 言葉の小さい頃にそっくりだなぁ」
「ほんと… 貴方… よく似ていますわ…」
「よろしくね春香ちゃん…
 誠くん、おねぇちゃん、名前の由来は?」
「ぇ?あの…まことくん?」

僕は言葉に相談することなくこの名前を決めてしまったから
言葉が戸惑うのも無理はない

「春に生まれたこの子にはぴったりだ…それじゃダメかな?」
「ううん、とってもかわいい名前だよ」
たしかに2月半ばだから春は春だけど…
そんなことを考えているのかな
心ちゃんも言葉もちょっと不思議そうな顔をしている


春、言葉と初めてであった学園の桜の下
あのときの言葉の美しさは今でも忘れられない
そしてこれからもずっと覚えていたい
ここにたどり着くまで実にたくさんのことがあった、それも今は昔
おれの今の幸せが始まったのもあの春の日だから
あの香(かぐわ)しい君との出会いを忘れないために
春香が成長して、いつかあの時の君と同じ歳になったとき
この想いを君にきっと伝えよう それまでは秘密
伝えるまで絶対に君たちを守り通す それが自分との約束

           ・・・秘密の約束 おわり・・・
387みどりの日:2008/02/25(月) 22:31:36 ID:J/gXBGeL
>>woodchuck氏
そうでしたか。刹那は入蜀諸葛亮でしたか。
自分は、北伐諸葛亮だと思っていました。
終局的な負け戦を完全に読み切りつつも、
作戦立案に全てを賭ける後姿。
あと、仕える主が微妙にダメダメなところが(苦笑)。

あと、ものわかりが良いのかノリの人なのか
よくわからない刹那母が魅力的でした。
まあ、ストーリー上、退場してしまうのでしょうが(苦笑)。

ともあれ、続きを楽しみにしています。

>>376
GJ。利他心のある世界は珍しいですね。
ただ、一般的には、「女の友情はオトコで壊れる」らしい。
どう展開するのか、はたまた一般論をいい意味で裏切るのか、
要注目ですね。
388みどりの日:2008/02/25(月) 22:59:55 ID:J/gXBGeL
>>mark氏
「永遠にIF」からの展開ですか。
以前、誠・乙女ものを拝見したことがありましたが、
それに負けず劣らず、もの悲しいストーリーですね。
とくに「心に無駄に傷を増やしただけだった」のワンフレがいいですね。
GJ。

>>woodchuck氏(秘密の約束)
恋が愛に昇格し、愛は愛でも男女愛から家族愛に昇格する。
そんな暖かい過程がいいですね。
ただ、子供の名前の由来という重大なことを、妻に言わない、
妻もイマイチ納得しないままってのは、ちょっとあり得ない。
そこが残念。
見る立場で大変恐縮だが、もっといいモノが書けそうだったので、
今回のGJは半角にしておきます。
389名無しさん@ピンキー:2008/02/25(月) 23:09:45 ID:FxW09YLo
いたるSS作りましたので投入します。

みどりの日さんが作られた作品の続編にしようかと思いましたが
前後の雰囲気が変わりすぎるので申し訳ありませんが
前から考えていた話で行かせて頂きます。

ただ折角話を振っていただきましたので番外という事で
一話完結で近日中にみどりの日さんの続き話を投入させていただきます。
390いたると心のダイエット:2008/02/25(月) 23:11:23 ID:FxW09YLo
いたるの誕生日の続編です。

いたると心のダイエット。

桂家にて。

心は言葉から電話で怒られていた。
「(心!なんであんな嘘言ったの?)」
「嘘って何かな?」
「(私が太っただなんて嘘ついて!!
 体重計で載ってみたら全然増えてないし
 誠君にも聞いてみたけど太ってないって言われたわよ!!)」
「ばれた?」
「(こんな大事な事で心の話を鵜呑みに出来ないわ!)」
「ひどーい、妹を信用してないのね?」
「(当たり前よ!!昔から何回私をタチの悪い嘘で騙してきたの!?)」
「それを言われるとねえ。・・」

心は仕方が無いので今回の事態について正直に答えた。
自分達が予想以上に太ってしまった事。
そこでスポーツクラブ行きを考えたけれど
二人だけだとダレそうなので言葉も仲間にしようとした事。

しかし話題が話題だし切り出し方が不味かった。
「(とにかくスポーツクラブにはあなた達だけで行きなさい!!)」
言葉は怒ってしまって行動を共にしてくれないようだ。
「はーい。」
しかたなく心は電話を切った。
側で様子を見ていたいたるもがっかりした様だ。

「お姉さんやっぱりダメ?」
「あの様子だと完全に怒っちゃってるねえ。」
「仕方ないね。私と心お姉ちゃんの二人で行こうか。」
「そうだね。」
391いたると心のダイエット:2008/02/25(月) 23:12:20 ID:FxW09YLo
スポーツクラブにて。

心といたるが通う事になったスポーツクラブは会員制で
しかも筋の良い客ばかりだったのでトレーニング中に
ナンパをしてくるような下品な者はいなかった。
トレーニング機材も充実していてるしインストラクターの人数も
ちゃんと確保されていて正に言う事無しだった。

食事の量もある程度減らしてインストラクターに組んでもらった
メニューをこなしていくうちに二人の体重も徐々に減っていった。
二人の体重が以前の状態に戻った頃には美人姉妹が来ている
という評判が立ち、車のワイパーにパーティの招待状が挟まれていたり
ボンネットにメッセージつきの花束が置かれるようになった。

以前のストーカー騒ぎでこの手のことには嫌気が差していた二人は
スポーツクラブに通うのを暫くやめる事にした。
392いたると心のダイエット:2008/02/25(月) 23:13:26 ID:FxW09YLo
誠と言葉のマンションにて


「お姉さんお久しぶり。」
いたるは言葉に抱きついて頬擦りしていた。
いたるは太った自分を言葉に見られるのが嫌でここ数週間
会っていなかったのだ。
「お久しぶりです、いたるちゃん。」
言葉もそんないたるの頭を撫でて久々の再会を喜んでいた。
「お姉ちゃんお久しぶり。」
「あら、心もいたの。」
こちらにはジト目をくれて冷淡な反応だった。
「お姉ちゃ〜ん。」
心がいたるの様に言葉に抱きついて誤魔化そうとしたけれど
近づく前に言葉に額を押さえられて近づけなかった。
「心はもう少し反省しなさい!うちは大変だったんだから!!」

「そうだぞ。体重は変わらないけど念のためにって
 言葉が言うもんだから俺は毎晩大変だったんだぞ。」

フラリと誠が奥の部屋から出てきた。
393いたると心のダイエット:2008/02/25(月) 23:14:38 ID:FxW09YLo
「ええっ!?」
「ま・誠君!」
心といたるは驚いて言葉は真っ赤になって俯いてしまった。
誠はここ最近体重が5Kgも減ってしまった。
周りからは精悍になったと好評だったりやつれたと心配されたり
色々だったけれど睡眠不足で参っているのは事実だった。
言葉は確実に体重が減ってウエストも細くなっていた。
こちらは美しさが増したと好評だった。
「そう言えばお姉さんウエスト減ったねえ。でも胸はそのまま大きいし。」
いたるは言葉の体をあちこち触り始めた。
「い・いたるちゃん・・くすぐったいです。」

「いいなあお姉ちゃんは。
 私も今度は誠お兄ちゃんにお願いしようかなあ。」
「ダ・ダメ!そんな事は許しません!!」
「心お姉ちゃんずるいよ!私はどうすればいいの!!」

『今は揉めてても今日でこの話題は終わりになりそうだな。
 心ちゃん、いたる泊まりに来てくれてありがとう。』
心底安心しきった誠がそこにいた。

End
394みどりの日:2008/02/25(月) 23:46:57 ID:J/gXBGeL
>>いたるシリーズ氏
参りました。
「毎晩こんなえっちでは体がもたない。(拙作)」を、
誠の方にするとは。
見事な返し技をくらったような、清清しい感じです。
これを読めただけでも、
恥を省みず拙作を投稿した甲斐があったというものです。
395名無しさん@ピンキー:2008/02/26(火) 00:00:36 ID:PUx/8aIT
>390-393
乙!誠が幸せ?なオチ初めて見たかもw
ブログでの連載もwktkしてます。

>みどりの日氏
こういう話も好きなんで頑張って欲しいです。
396名無しさん@ピンキー:2008/02/26(火) 00:57:04 ID:jergV582
>>394-395
ご感想ありがとうございます。

>>394
前々回のダイエットへの誘導は心が言葉へついた嘘と言うのが
前提になっているので作っていただいた話からは辻褄が合わなくなるのと
今まで使ってきた言葉と誠の設定や立場がまるで変わってしまうので
どうしても続けられませんでした。


楽しみにしていますのでこれからも色々と投稿してくださいね。

>>395
立場の弱い誠にも安息を与えてみましたw

ブログの新しい話は始めたばかりなので生暖かく見守っていてくださいw
397water:2008/02/26(火) 01:15:50 ID:CRRqTBdt
三話を投下する。

世界についてだが刹那がいること+寝とってる光の方が不利な立場ということで
ガンガンいかせることにした。
398water:2008/02/26(火) 01:16:16 ID:CRRqTBdt
誠が教室へと戻ってくると世界の怒声が耳に響いた。
「光、もう一度聞くわ。誠とどういう関係なの?」
「私、何が何だがさっぱり分からないんだけど…なんで私が伊藤と…。」
世界が光に罵声を浴びせる。誠が教室に戻ってきたのを気付いた刹那はこちらに歩いてく
る。心なしか少し怒ってる様子だ。

「伊藤、光と関係を持ってるっていうのは本当なの?」
「まった。まずなぜこんなことになってるか説明してくれ。」
「4組の子の話だけど、伊藤と光は世界に黙って付き合っていて、結婚の約束までしてい
 ると聞いた。」
「4組の子って…誰だよ。」
「小泉さん達が廊下で話してたのを聞いた。」
「清浦はそれを鵜呑みにしてるのか?」
「してない。だから伊藤に直接聞いてる。」

刹那は誠を刑事が被告人を見るかのように見つめている。誠は図星をつかれて黙ることし
か出来ない。黙ったままの誠を見て刹那が続けて話をしてくる。
「否定しないの?だったらこれはデマじゃなくて本当のこと?私はデマだと思ったから伊
 藤がきっちり世界に誤解を解いてくれれば解決する話だと思ったのに。」
自分で女関係をなんとかすると言っておいて自分自身で解決できなかった自分に腹がたつ
が、今がその時だと思って誠は刹那に真実を話すことにした。

「本当は、自分自身の口で世界に言いたかったんだが…俺は光と関係をもっている。」
「どういうこと?話して…。光の学校の伊藤と接する様子からみるととてもそうは思え
 ない。」
「ああそうだろうな…。あいつは演技をしてるからな、みんなに分からないように…。」
「世界にばれないように?騙しだよねそれって…。いつから関係持ってるの?」
「4ヶ月ちょっと前から…。」
「そんな前から…ひどい。」

刹那は今も言い争ってる世界と光を見てそう呟く。
「光を責めないでやってくれ。俺がしっかりしてないのが悪いんだから。」
「これじゃ世界がかわいそう。赤の他人と浮気してるならまだしも、世界の友人である
 光となんて…。」
「世界には悪いと思ってるよ。」
「嘘でしょ。じゃあなんで二股が4ヶ月も続くの?世界の事を大事にしてないからこそ
 そういうことができるんじゃないの?」
刹那は容赦なく誠に言葉を浴びせ掛ける。刹那は世界の古くからの友人なのでその分怒
りも半端ではないのだろうと誠は思う。
「ごめん。あの時の俺は本当にどうかしてたんだ。」
「私に謝るんじゃなくて世界に謝って。」
「ああそうだな。でも俺は本当に…。」
誠が何か思い悩んでるのを感じ取ったのか刹那は少し口調を和らげて質問してきた。
399water:2008/02/26(火) 01:16:51 ID:CRRqTBdt
「伊藤…4ヶ月前に何があったの?」
「話すとすごい長くなるんだけど言わなきゃならないだろうな…。」
「うん。話して。」
刹那に誠が事の詳細を話そうとした瞬間、横からものすごい怒声が耳に響く。
「誠!!一体全体これはどういうことなの?光と関係持ってたなんて…納得いく説明して
 くれるかしら。」

誠が横を見るといつのまにか世界が近くまで来ていた。少し遠くでは光が気まずそうな表
情でこちらを見ている。
「とりあえず世界落ち着いてくれ。」
「落ち着いていられるわけないでしょう!!」
誠が世界をなだめるが効果は無しでさらに怒らせたようだ。
「誠と光が相思相愛の仲だって聞いたんだからね。光はかたくなに否定してるけどさ。」
「世界、清浦の話してることと微妙に違うぞ。」
「私は1組のクラスの子が話してたのを聞いたのよ。光が誠の家に通ってるって。」
「何でそんな情報がこんなに広範囲で広がってるんだ?」

誠は今までのことを振り返る。いつも毎晩のように光は自分の家に来ていたが極力分から
ないように学校では演技をしてるし、自分の家から登校するときは電車の時刻をずらした
りと策を練っていたのを一番近くにいた自分がよく知っている。どこから情報が漏れたの
か分からない。もしかして…泰介か?自分の不注意で光の小物入れを見つけられてしまっ
たが…。でも黙っておいてやるって言ってたし…うーんわからん。
誠はいろいろ考えていたが世界の一声で我に戻る。
「問題はそこじゃないでしょうが!!誠が光と浮気してるのか、してないのかを聞いてる
 のよ。」

誠が世界に正直に話そうと思ったとき光がやってきて世界に言う。
「世界は私と伊藤の仲の悪さ知ってるでしょう。どうしてそんな情報鵜呑みにするの?」
「だって他の子から聞いたんだもん。」
光は自分と仲が悪いと言うことを前面に出してなんとか場を収めようと必死なんだろうが
刹那にばらした以上もうそんなことは無意味だ。だから光に教えてあげることにする。
「光…もういい。演技しなくていいから。清浦にはもう真実を話したから。」
「誠…。」
光は誠にそう言われ演技でなく素の状態に戻る。それを見て確信したのか世界がまた二人
に対して怒鳴る。
「やっぱり関係持ってたのね。信じられないわ、どうしてこんなことするのよ。」
「ごめん世界。」
「ごめんですんだら警察なんかいらないわよ。」
「本当にごめんなさい。」
誠が世界に対して謝るがそれでは怒りは静められず光の方を向く。
400water:2008/02/26(火) 01:17:28 ID:CRRqTBdt
「光、名女優ね。仲が悪い振りをしてたのは誠との関係がばれないためか、ふーんなるほ
 どねえ。」
「……。」
光は世界の話には反論できず黙ったままだった。世界が嫌味たっぷりにまた話す。
「光ってさあ、澤永のことが好きじゃなかったけか?それも演技?すごいわねえ。世界さ
 んびっくりだよ。今からでも役者の修行でもしたらどう?売れるんじゃない?」
「……。」
「黙ったままじゃ分からないわよ。何とか言いなさいよ名女優の光ちゃん。」
「……。」
「獅子身中の虫とはまさにこのことね。こんな身近に敵がいたなんてね。」
「……。」
「どうしてこんなことができるの?親友を裏切るなんて…。」
「……。」

世界の嫌味に対し光はうつむいて黙って聞いていた。時折拳を握ったり唇をかみ締めたり
必死に耐えてる様子だ。このままでは永遠に世界は光をなじりそうなので誠が世界を止め
る。
「やめろ世界。」
「誠。誠は光の味方をするの?私のことは好きじゃないの?ねえ答えてよ、ねえ…。」
世界は感極まってきたのか目から涙が溢れ始め誠の肩を両手でつかんで揺さぶる。
「誠の彼女はあたしなんだから光の味方なんかしないでよ。」
「……。」
誠は世界の物言いにどう反応していいかわからず黙ったままだった。その場で今まで黙っ
ていた刹那が世界に話す。
「世界…。落ち着いて。」
「刹那…刹那…うわあああん。」

世界は刹那の胸に顔を埋め本格的に泣き始めた。刹那は誠の方を見て話す。
「伊藤、今は世界が落ち着いて話を聞ける状況じゃないから込み入った話はまた今度…。」
「ああ…分かった。」
「光もそれでいい?」
「……。」
「光?」
「……誠に任せる。」
「そう…。」
刹那は光の元気がない返事を聞き世界をなだめる事に専念しだす。誠は見るからに気持ち
が沈んでいる光に話し掛けようとするが、先に話し掛けられる。
「誠…席に戻ろうよ。ここじゃ話しづらいから。」
「分かった。自分たちの席に戻ろう。」
誠と光は自分たちの席に戻る。
「世界も刹那も怒っちゃったね。」
光は落ち込んだ表情で誠に話す。 
401water:2008/02/26(火) 01:18:11 ID:CRRqTBdt
「そりゃ当然だろう。あの二人は昔からの幼馴染って聞いたからな。俺は清浦のあんな怒
 った顔見るのは初めてだ。」
「私も世界があんな怒ったのは初めてみるよ。私もしたことがしたことだから罵倒される
 のは覚悟してたけどあそこまでとは思わなかった。」
「それにしても、お前驚くほど何にも言わなかったな。」
「私のほうが寝取ってる立場なんだから明らかに立場が悪いし、それに世界と刹那の2対
 1ではきついもん。誠が割って入ってくれて本当によかった。」
「そうか。」

誠と光はしばらくお互い黙るが誠は光に確かめたいことがあるので聞くことにする。
「お前が風邪を引いて俺がお見舞いに行った時、骨を拾ってあげると言ったな。それって
 どういうことだ?」
「そのままの意味だけど?もう少し分かりやすく言わないと分からない?」
「ああ。教えてくれるか。」
「世界と別れた後、誠を他の女の子に渡すくらいなら私がもらうって意味よ。」
「えっそれって…。」

誠は光の方を振り向き光の表情をうかがうがからかってるわけではなさそうだ。光が頬を
赤らめて誠に話す。
「私はね…あんたのことが好きだから…。」
「えっと…それは本当?」
「うん…。今なら私を受け入れるのはともかく私の話を真剣に聞いてはくれるよね。」
誠は振り返る。泰介、言葉とのスワッピングが失敗して以降光や光の紹介する後輩を食い
物にしてきた。それでも光は常にそばにいたが自分は光のことを体だけしか見ていなかっ
た。まあ光もそんな自分に上手く対応していたようだが…。あれから月日がたちやっと自
分も落ち着き自分のずさんな女関係を正そうということまで考えついた。光はもしかして
自分が立ち直るのをずっと待っていたのだろうか。
「俺って荒れてたんだな本当に…。お前から家でそんなこと言われたこともあったけど気
 にもとめてなかったよ。」
「誠は桂さんの幻影をずっと追ってたもんね。ショックなのは分かるけど随分引きずった
 よね。」
「そうだな。気を使わせて悪かったな。」
「別にいいって…。」

誠は光の思いを受け入れるか受け入れないか迷う。世界との決着が付いていないからだ。
「光の思いは聞いたよ。でももう少し待ってほしいんだ。」
「分かってる。世界との問題もあるしね。」
誠と光は話を済ませ午後の授業の準備に取り掛かるが、席に戻ってきた言葉が光に声を
掛ける。
「大丈夫だったんですか?」
「まあなんとかね。また話し合いはしなければならないけど。」
「そうですか…。」
言葉は特に気にとめもせず席に座り授業のチャイムが鳴り授業が始まる。その後の授業は
誠はいろいろ考えていてろくに頭に入らなかった。放課後になり家に帰るとき誠は光にし
ばらく来ないで欲しいと申し出をし光はそれを承諾した。そして誠は家に帰り一人でこれ
からどうするか考える。何しろ犀は投げられたのだ、決断をしなくてはならないと誠は考
えるがさらなる悩みの種がこの後増えることになる。
402water:2008/02/26(火) 01:18:47 ID:CRRqTBdt
次の日の朝、誠は駅で電車を待っていた。
「伊藤、奇遇だね。」
「よお、加藤か。こうして朝会うのは久しぶりだな。」
「そうだよね。電車は一緒なのに驚くほど接点がないよね。」
「今日は一人か?」
このところ乙女は妹の可憐と一緒にいるのが目立つので誠はそう尋ねてみる。
「可憐は今日は先に行ったよ。朝早くから学校でなんかやるんだってさ。」
「ふーん。委員会かなんかかな。」
「だと思うよ。ところでさ、伊藤、昨日伊藤を巡って女のバトルがあったんだって?」
「あちゃー。聞いてたのかよ。」
「あんだけ西園寺さんが大声出してたらねえ。そりゃばれるよ…。」

誠は昨日の出来事が頭の中によみがえる。喚きまくっていた世界、意外にもしおらしかっ
た光、世界をなぐさめていた清浦、修羅場を変な視線で見ていたクラスメイト、全て現実
に起きた事でありこの問題は自分で解決しなければならない。
「まあ、自分のしたことだし自分で何とかするよ。」
「そうなんだ。」
乙女は誠の言った事に対し淡々と返事をして誠に質問してきた。
「伊藤は西園寺さんとよりを戻すつもりなの?それとも…。」
「分からん。俺はどうしたらいいのだろうか…。昨日一晩考えてもいい案が思いつかなか
 ったし…。」

誠は今の自分の正直な気持ちを言う。昨日の今日だ、まだ心の整理が整ってはいない。乙
女は続けて話してくる。
「大丈夫よ。その子達とよりを戻せなくても伊藤と付き合いたいという人は少なくとも一
 人はいるから…。」
「そうなのか?」
「その子が誰か聞きたい?」
「聞きたいような聞きたくないような…。」
「教えてあげるよ……そのちょっとこっちまで来て?」
403water:2008/02/26(火) 01:19:23 ID:CRRqTBdt
誠は言われた通り乙女の近くまで寄っていく。乙女は覚悟を決めたような表情で話す。
「今、伊藤の目の前にいる子だよ。」
「え?加藤が…。」
乙女は顔を赤らめながらうなずく。誠は予想していない告白に大いに戸惑う。
「でもお前は仲のいい友人で…。」
「またそれだ。伊藤って私を女として見てないよね。私はずっと伊藤のことを異性として
 見てきたのに…。」
「今そんなこと言われても困るよ…。」
「とにかく…その…私は伊藤の事好きだから…。」

乙女の精一杯の告白を聞いて誠は修羅場解決をほったらかして乙女に行こうかと一瞬考え
るが、何とか思いとどまり乙女に言う。
「今、女関係で戸惑ってる最中なんだ。聞いてたから分かるよな。そっちを解決しなきゃ
 いけないから。」
「解決できなかったらどうするの?」
「ぐうっ。」
誠は乙女の言った言葉が胸に突き刺さる。確かにその可能性もなくはない。本当に困らせ
ることを加藤は言うなあと思う。
誠が思い悩んでいると助け舟が来たように電車が到着する。二人は一緒に乗ったがたまた
ま誰もいなかった駅のホームとは違い、電車の中は人がいるので恋愛話はうかつにできず
誠と乙女はとりとめのない話をしざるをえなかった。二人はそのまま学校へと向かい下駄
箱までやってきて誠は靴を履き替えていた泰介に声を掛けられる。
「よお、誠、加藤と一緒に登校か、いいねえ。」
「からかうなよ。ほら行くぞ。」
「そんなに急がなくても遅刻にはならないって…。」
誠は乙女から逃げるように泰介と一緒に教室の方へと向かっていった。
404water:2008/02/26(火) 01:20:07 ID:CRRqTBdt
乙女は誠と泰介を見送り自分も下駄箱をで靴と上履きを履きかえる。しかし何度思い出し
ても恥ずかしい…。ついに伊藤に告白してしまった。可憐の後押しもあったのだが自分が
これほど大胆になれるとは思いもしなかった。途中で電車が来てはぐらかされてしまった
が誠は私の気持ちをきっと受け入れてくれるだろう。そのためにも誠をめぐっていい争っ
てる二人の動向はチェックしないと…。そんな風に考えていると横からいつもクラスでい
っしょの小泉夏美、小渕みなみ、森来実に声を掛けられる。
「おはよ。乙女。」
「おはよう。」
「おはよー乙女ちゃん。」

乙女は挨拶をしてきた3人を見て挨拶を返す。
「うん。おはよう。今日は3人で登校?」
「ううん。校門のところでばったり会っただけ。」
夏美は乙女の質問に対し返答をする。来実が乙女に話し掛けてくる。
「それにしても乙女ちゃんの噂は本当だったんだね。昨日3組ですごい言い争いしてた
 もんね。はたから聞いてる分にはすごい面白かったけどね。きゃははは。」
「私も知り合いに聞いた話なんだけどまさか本当だとはね。」

乙女はそう来実に言うが知り合いなんて嘘で自分が情報源である。可憐に言われたこと
だが知り合いから聞いた話にしたことにしておけばもしもの時に苦情が来ないし、おし
ゃべりな友人に話してそこから噂を広めさせればあとは特に何もしなくても勝手に広ま
ってくれるとの事だ。そう言う意味ではこの3人に話したのは最適だったかもしれない
情報通の夏美、うっかり発言が多い来実、クラスのムードメーカ―的存在なみなみとお
しゃべり好きな子ばかりだ。4組の他の子にも話したが彼女達ほどは期待できなかった
だろうと乙女は思う。

それまで会話に入り込めず置いてきぼりにされていたみなみが乙女に話し掛ける。
「悪い噂ってすぐに広まるよね。今回みたいにさ。特にこの学校って恋愛に寛容だから
 そういう情報には他の高校より敏感だし…。今じゃ3年生も、1年生も知ってる子は
 知ってるしね。」

みなみにそう言われるが3年生はともかく1年生は可憐や一葉や二葉の功績が大きい。
自分と同じくクラスメイトに話しただろうし、学生の出入りが激しい下駄箱や食堂など
でもみんなに聞き取れるくらいの声で誠と西園寺と黒田の関係を話を膨らませてしゃべ
ったとも家で可憐から聞いた。わが妹ながら恐るべしだが味方になるとこれほど心強い
のもいないだろう。そうなると後は時間の問題、今回のようなことになるのは容易に想
像できる。万が一、二股じゃなくても苦情を受けるのは私達ではないので傷がつくこと
はない。乙女はみなみに返答をする。
405water:2008/02/26(火) 01:20:55 ID:CRRqTBdt
「いい噂はなかなか広まらないけどね。」
「だよね。不思議なものね。」
みなみは乙女の話に賛同するし来実もまた話に乗ってくる。
「噂が一人歩きしてる感もあったし。私なんか2組の子から伊藤が西園寺と黒田を孕ま
せたの?って聞かれたよ。」
「いやそれはないでしょう。」
いくらなんでもそれはありえないだろうと乙女は思い来実にそう言う。どこで捻じ曲が
ってそんな情報になったのか…私はもう少しオブラードに包んで言ったつもりだが…。
乙女は誠には悪いがまあいいかと軽く考える。夏美が乙女に別の話題を切り出す。

「それより乙女、今日伊藤と一緒に登校してなかった?」
「え?うん…。一緒に来たけど。」
「もしかして、乙女って伊藤にラブ?後ろから二人が話してたのを見た感じでは夫婦み
 たいだったけど?」
「はわわわ。な…何を言い出すのよ。た…ただの友人よ。」
乙女は図星をつかれぎこちない返事になってしまう。ばればれなのが分かってしまい来
実が呆れた表情になる。
「乙女ちゃんばればれー。隠すの下手だね。」
「うう…。」

乙女は自分の不器用さを呪った。こういうとき可憐なら上手く対応しそうなんだが…。
みなみが乙女に話してくる。
「でも今伊藤は修羅場の真っ最中なんじゃなかったかな?確か…。」
「うんそうなんだけどね。」
「ああ!もしかして、騒ぎに乗じて伊藤を取っちゃおうと考えてるとか?」
来実が乙女にそう言ってくる。来実の言ってることはほとんど当たりであり、それを見
計らって頑張って乙女は朝、誠に告白をした。後は誠が来てくれるのを待つだけだが…
どうにも不安だ。

乙女の不安げな顔を見て3人は乙女に話す。
「しょうがないな。乙女手伝ってあげるよ。伊藤は今関係こじれてる状態だし、乙女で
 も十分チャンスあるからね。」
「私たち3人で乙女ちゃん親衛隊結成だね。」
「でも乙女、告白とかした?」
夏美と来実が乙女に協力をすると言い、それに乗じてみなみが乙女に質問してきた。
「一応…朝。」
乙女は正直に答える。夏美が乙女に感想を漏らす。
「おお―すごいじゃん。てことは後は結果待ち?」
「そうなんだけど…。不安。」

乙女は自分の心情を明かす。来実はそんな乙女を気遣ってかちょっとあくどい提案をし
てくる。
「修羅場で西園寺と黒田が離れてくれれば文句無しだし、どっちか生き残ったらうちら
 が排除してあげるよ。」
「そう…ありがとう。」
夏美達が味方になってくれるならもしかしたら自分はいけるかもしれない。みなみが話
をまとめるように言う。
「うちらは乙女の味方だからね。」
「心強いわね、ありがとう。」
乙女は自分には可憐、一葉、二葉、夏美、みなみ、来実と仲間がいるから自分の誠への
思いは報われそうだと考えると元気が出てくる。乙女はそんな3人と一緒に教室へと歩
いていった。
406water:2008/02/26(火) 01:21:37 ID:CRRqTBdt
光は既に教室に入って自分の席に座り、昨日の出来事、これからの事を考えていた。
誠は私の思いを受け入れてくれるだろうか?今まで誠がずっと心ここにあらず状態だっ
たので自分も誠に合わせていろいろ対応したが、誠が改心したので私も素直に昨日誠に
告白をした。しかし、世界との二股問題が解決してないのでそれは保留にされている。
いつか話し合いをするんだろうがその予定はまだ決まっていない。
光は隣の席を見るがまだ来ていないらしく空席のままだった。
「ふう…。早く来なさいよね。いろいろ話したいことがあるのに…。」
空席に向かって愚痴をこぼす。

「光、ちょっと話があるんだけど?」
「何?世界…。」
今一番話したくない人物に話し掛けられて光は憂鬱な気分になる。
「実際誠とどこまで進んでるの?」
「それは…言えない。言ったら世界怒るでしょ…。」
「あっそ。」
世界は不機嫌なのを隠そうともせずそう吐き捨て光を睨む。光は世界を観察するが昨日
とテンションはあまり変わっておらず言葉次第ではすぐに爆発して喚き散らしそうな感
じだ。だから光は慎重に言葉を選ぶ。

「そのことは今度話し合おうよ…ね?」
「そうね。ただ一つだけ質問があってね。」
「何、質問って?」
「光は誠に一度でも好きって言われたことがあるの?」
光は胸に矢が突き刺さったかのようにズキンと痛む。そんなことは一度たりとも言われ
たことがない。今まで誠にセフレ扱いされていたんだから当たり前だ。
光がうつむいて黙っているのを見て世界は不敵に微笑む。
「その様子ではないみたいね。」
「何が言いたいのよ。」
「誠は光のことを恋愛対象として見てないということだけど。」
光は再度胸に矢が突き刺さり心が痛む。そうなんだろうか…。誠は改心しても私を体し
かみていないのだろうか…。そう考えると悲しくなってくる。 

「そんな…ことない。」
そう言うのが精一杯の抵抗だった。なので世界にはちっとも効かなかったようだ。
「そんな無理しなくてもいいのに。体だけの関係って素直に言えばいいじゃん。」
光は昨日のこともあって心の余裕が無くなってきており話の上手い切りかえしができず
再び黙る。
「私はまあ彼女だしね。格が違うわ。光は誠から見れば所詮セフレだし。」

光は今まで我慢を蓄積していたがついに堤防が決壊してしまった。
「あんたが誠の何を知ってるのよ。誠のうわべだけしか見てないじゃない。誠が悩んで
 ることすら気付いてやれないくせに。よくそれで彼女が勤まるわね。」
「な…何よ。」
世界は光に反撃をされ少したじろぐ。
407water:2008/02/26(火) 01:22:34 ID:CRRqTBdt
「彼女だったら彼氏の状態くらい気を配っておきなさいよ。」
「ふ…ふん。何よセフレの分際でえらそうに。」
「何ですって!!」
光は世界の昨日からの横暴な話しぶりにいろいろ切れてしまい不快感を隠さず怒鳴った。
二人がそれを境に口喧嘩が始まったので近くにいた言葉と山県愛がやってきて二人を止
めようと話し掛ける。

「黒田さん落ち着いてください。」
「世界、みんな見てるから…。」
二人はそれでもおさまりがきかない。
「桂さんは引っ込んでて!!」
「愛は関係ないでしょ!!」
言葉と愛はそう言ってまた言い争いを始めた二人を見て溜息をつく。
「弱りましたね。清浦さんか誠君がいれば止まりそうなんですけど。二人ともいないし。」
「うん。」

しばらく二人で言い争っていたが世界が愛の方を見て話し掛ける。
「愛はどう思う。光が私から誠を寝取ったことについて…。」
「ええ?」
愛は世界の声に反応するが明らかに嫌そうな顔をしている。巻き込まないでくれといわん
ばかりの顔だ。光も負けじと言葉に話しかける。
「桂さんは世界と私どっちが誠の彼女にふさわしいと思う?」
「えっと…。」
言葉も愛と同じく巻き込まないでくれという表情だ。しかし世界は愛、光は言葉を見て返答
を待っている。二人は本当に困った表情になりこの場から逃げたいのが誰から見ても分かる。
世界は味方が一人でも欲しいのか言葉の方を向く。

「桂さん、私の友達だよね…。」
言葉は世界のそれを聞き地雷にでも触れたのかそれまでの逃げ腰とうって変わって不快感を
あらわにして話す。
「都合のいい時だけ友達面しないでくれますか?私は西園寺さんの味方には絶対になりませ
 んから。」
世界は言葉の承諾を得られなかったので愛の方へと矛先が向かう。
「愛は私の味方だよね?」
「違うでしょ。愛は私の味方よ。」
世界と光が愛がどっちの味方につくかで言い争いを始め、愛は光の方を向いたり世界の方を
向いたりおろおろしだす。もはや誰も止められないと思ったがバンッッ!!と唐突に大きな
音が響く。
408water:2008/02/26(火) 01:23:15 ID:CRRqTBdt
光は体の奥底にまで響く大きな音を聞いて我に返る。刹那が手で自分の机をおもいっきり叩
いたらしい。自分も世界も我を失っていて刹那が来ていたことに全く気付かなかったようだ。
刹那がゆっくりと世界の方を振り向く。
「世界…。昨日家で学校での言い争いは迷惑になるからあんなにするなといったはず…。」
「でも…光が。」
「世界、私の言うことが聞けないの?」
世界は刹那のどすのきいた低い声で怖気づいてしまう。刹那は次に光の方を向く。

「光、今週の日曜日世界の家で話し合いをするから都合つくかどうか聞いてくれる?」
「う…うん分かった。」
光は刹那に相槌を打ちながら観察するが、クラスで騒いだことが相当頭にきているらしい。
昨日とはまた違った方向性の怒りだ。刹那はクラス委員ではあるが今回みたいに脅して力づ
くでクラスをまとめるキャラではないはずなのだが、彼女にそうさせざるを得ないほど私達
はうるさかったということだろうか?我を失って騒いでしまった自分を恥ずかしく思う。

光は刹那に尋ねる。
「刹那、手は大丈夫なの?」
「少し痛い。でもあまりにもうるさいからこうせざるを得なかった。」
「ごめんなさい。」
「うるさくするのは世界の家で存分にやればいい。学校ではしないで。」
「分かった。」
こうして修羅場の第2ラウンドは終わった。世界は刹那に促されて自分の席に戻っていった
言葉と愛は騒動がおさまりほっとした表情になり自分の席へと戻っていく。誠が教室に来た
のは全てが終わったその後である。

「おはよう光。」
「遅い!!大変だったんだからさっきまで。何をしてたのよ。」
「先生に捕まって泰介と荷物運びをしてたんだよ。いい迷惑だよ。」
「ふーん。あっそうそう今週の日曜日世界の家で話し合うから都合つくよね。」
「ああ、大丈夫だ。」
誠の承諾を得て光はいよいよ決戦ねと思う。誠がどんな答えを出すかは分からない。世界を
選ぶかもしれない。自分を選んでくれるかもしれない。それは分からないけれども…やっぱ
り…その…私を選んでくれるかなあと淡い期待もしてしまう。しかし誠に悟られるのも嫌な
ので聞こえないようにこっそリと言う。
「誠…信じてるからね。」

 第3話「修羅場勃発・前半」 終
409water:2008/02/26(火) 01:27:47 ID:CRRqTBdt
ここで終り。

個人的に光ED見る限り誠が光を恋愛対象として見てないからこそ光が
純愛捨てて割り切ってるような気もするので、誠がちゃんと恋愛対象と
して見てあげれば光もそれに答えてくれると思うんだ。子供は喜んで産
んでるんだし。

あとここにいるさまざまな職人さんお疲れ様です。いろいろ参考にさせ
てもらってます。
410376-377:2008/02/26(火) 01:30:55 ID:DyDz37+H
>>379さん
ご感想ありがとうございます><
確かに世界は引きこもりそうですねー。
サマイズの報告後のシーンが容易に浮かびます…w


>>みどりの日さん
ご感想どうもありがとうございますっ。
顧問様のブログで「心に余裕がある世界は人を思いやれる」的なことを見かけたので。
誠に彼女が居ない、ということで、多少は余裕があるんじゃないかと思って。

>女の友情はオトコで壊れる
はい。その通りですねー……。
実は自分自身の身をもって経験しているのでとてもよくわかります…orz
彼女たちの場合は、せっちゃんがくっつく場合、世界が我慢できないだろうなぁと思っています。
世界がくっつけば、うまくやっていくんだろうとは目に見えるんですがw
411名無しさん@ピンキー:2008/02/26(火) 01:33:28 ID:lYDYwYQg
>381-383
最初の一行で、思い当たる節が…>某同人誌
永遠END後、疎遠になっていた2人が同棲するに至った経緯が
上手く補完されていますね。
私は言葉派に近いですが、今回は世界に少し同情してしまった…

この後、成長した心たんが誠に関わってきませんように…
412名無しさん@ピンキー:2008/02/26(火) 01:36:00 ID:BtelSKIC
皆さん、乙です。
これからも頑張ってください。
413名無しさん@ピンキー:2008/02/26(火) 01:47:41 ID:aVCbBSIM
>>409
GJ!
ついに修羅場がきたぜ…。
世界は本当に、刹那にはかなわないんだな。

あと光が意外にもまっすぐにむかっていったのがよかった。


この先の展開にwktkが止まらん
414スクイズイフ:2008/02/26(火) 05:33:52 ID:6OdggU3H
SchoolDays-if6話a
日曜日〜朝、時計を見ると8時…世界にメールするも一向に返事がこない
仕方がないので電話しようと携帯をいじってると…着信〜表示は…伊藤誠!
何の用だろうか?気になって出てみる…
刹那『もしもし…』
止『せっーちゃ〜おはよう』
刹那『止ちゃん?!…おはよう〜どうしたの?』
止『いたるね〜あさおきたら、せっーちゃいないからさみしくなったの〜』
刹那『うん…ごめんね〜止ちゃん…』
止『でねでね〜いたるといっしょにあそぼう!』
刹那『うー、止ちゃん〜お兄さんいないかな?』
止『かわるね〜おにーちゃ、せっーちゃのでんわだよ〜』代わって…
誠『ごめんなあ〜止のヤツすっかり懐いちゃて…で今日はどうなのかな?〜やっぱり無理か?』
刹那『私は大丈夫だけど…誠のお母さんは?』
誠『今朝急に仕事入ってな〜夜まで帰らないんだ』
刹那『え〜止ちゃんかわいそう…』
誠『でさ夜まで時間空いたのと実は言葉からさっき電話があって…』
刹那『う、うん…』
誠『実は…』

榊野町〜駅前
あの電話から2時間後〜駅前に集合と言うわけで待ってると…
光「刹那〜お待たせ!」
泰介「委員長〜おはー!」
刹那「おはよう…相変わらず仲がよろしい事で…」
光「やだ〜刹那ったら〜きゃは!」と言って澤永とイチャイチャし始めた…
刹那《バカップル…》などと思っていると…
何かが後ろからぶつかってきた感触とボフッと言う音が後ろから聞こえて振り返ると〜
止「せっーちゃ!」と言ってスカートを掴んでいる〜
刹那「止ちゃん〜おはよう…」と言ってしゃがんで止に挨拶する
光「刹那…その子何処の子?」と聞くと…
誠「おはよう、ごめん〜ちょっと遅れた…」と言って見慣れない小学生の女の子を連れて〜その少し後ろには言葉さんが…刹那「おはよう…」
泰介「誠〜おはよう〜」
光「げっ、伊藤…」
誠「何が、げっ〜だよ!黒田?」
光「あははっ〜ごめん、つい癖で…おはよう〜」
誠「まったく…まあいいや〜ああこちら、4組の桂言葉さん…でこの子は妹の心ちゃん〜だったよね?」
心「心です〜」
言葉「みなさん〜おはようございます…今日はすいません突然お呼びだてしまして…」
光「そんな事ないわよ〜おかげで楽しい休日になりそうだし…ねえ泰介?」
泰介「おお〜まったくその通り〜持つべきは友だよ…なあ光!」
誠「まあ、ここで話し込むのも何だし行こうか」
415スクイズイフ:2008/02/26(火) 05:34:44 ID:6OdggU3H
SchoolDays-if6話b
榊野町〜女子更衣室
光「知ってたけど…こうやって間近で見ると…」
刹那「うん…体育の時、着替えで見てるけど…改めて見ると…」
刹那「凶器…」
光「凶器ね!」2人は言葉を見て呟く…
言葉「…凶器ですか?…」と言って顔を赤くして自分の胸をまじまじと見る…
心「まだまだお姉ちゃんの大きさじゃあ、うちのお母さんには適わないよ!〜お母さんの胸は122めーとるあるよ〜お姉ちゃんは10ゴモゴモ!」
言葉「心!!」と言って口を押さえる…
光「122メートル?!〜ってセンチの間違いでしょ〜って122センチ!?デカ!」
刹那「ダブル突っ込み、乙〜光…《でも122って…さすが言葉さんのお母さん》」
言葉「もう心ってば…」と更に赤くなっていく…
光「しかし〜何か学園内究極対決って感じね…」と光が刹那と言葉を交互に見比べると…ポコ!
光「痛い!刹那暴力反対〜」と頭を叩かれてボヤく
刹那「何を言いたいか判ったからだけど…文句ある?」と言って凄む!
言葉はよくわからない表情で2人のやりとりを見ている
光「ごめん〜でも今日は誘ってくれてありがとう桂さん…一度遊びに来てみたかったんだ!」
言葉「あ…いえアクアスクエアのチケットを沢山貰ってしまって〜使わないと勿体ないし…」
光「世界も本当に勿体ない…前から来てみたいとか言ってたし〜相変わらず連絡取れないの刹那?」
刹那「うん…」世界どうしたんだろう?

榊野町〜アクアスクエア
泰介「しかし女子って何で着替えるのこんなに遅いんだ?脱ぐだけじゃないのか?」と入り口前で待つ3人〜
誠「…まあ色々準備があるんだろう〜男と違って…
そんなに気になるなら黒田に聞けばいいだろう〜恋人だろ?」と止の相手をしながら泰介に返す…
泰介「…そんな事聞いたら…殺されるって!」と言って慌てる〜
誠「そうか?まあ突っ込みぐらいはありそうだ〜拳で!」
泰介「むう〜そういえば…誠は結局3人のうち誰が本命なんだ?」
誠「ブッ…いきなし何だよ〜それ?」
泰介「いや〜だって西園寺か?桂さんか?委員長か?てな感じでどれが本命か判らないし〜」
誠「…そんなのいないよ…少なくとも今は考えたくない…
もし決めたらこの楽しい時間がなくなると思うとな〜」止が不思議そうな顔で覗く…
泰介「ふ〜ん…そんなもんなのかな〜」
誠「そんなもんさ〜」
止「せっーちゃ!きた!」と言って駆け出していく…
416スクイズイフ:2008/02/26(火) 05:35:22 ID:6OdggU3H
SchoolDays-if6話c
榊野町〜アクアスクエア
言葉「すいません…お待たせして…」
《おおおおおおっ!》
光「泰介〜お待たせ〜」
《おおおっ!》
刹那「…お待たせ…」
《お……》
心「誠くん!お待たせ!」
《……》
……………
刹那「…おい…今もの凄く失礼な事…考えてたでしょ…」目が据わっていく…
光「刹那〜奇遇ね…あたしもそう思った…」2人の女子が立ちはだかる
誠「え?!いや〜その…胸がどうとか全然そんな事考えてないよなあ〜泰介?」
泰介「そ、そうだよ…胸の大きさなんて全然問題ないよな〜誠?」
刹那「…死ね…」刹那の蹴り!
光「天誅じゃあ!!」光の張り手!
誠は蹴りで〜泰介は張り手で2人同時にプールへ落ちていく〜

誠「非道い目にあった〜アイタタ…刹那…意外に凶暴…」
泰介「光〜許して…俺が悪かった…」
光「どうせ桂さんより無いわよ!ふん!!」
心「誠くんのエッチ!」
言葉「心!そんな言い方してはいけません!《男の人ってやっぱり好きなんですね…》」
刹那「…すけべ…」
止「う〜んと、え〜と、すけべ〜」
誠・泰介「う〜ごめんなさい」と土下座する2人であった〜

馬鹿やった後〜それぞれ別れて行動する事に…
泰介「気を取り直して〜光…何処から遊ぼうか?」
光「そうねえ…やっぱり定番のウォータースライダー行こう!」
泰介「おう〜」と言って2人で向かっていく…
心「誠くん〜心と浮き輪で流れるプールで遊ぼう!」腕を引っ張って言う…
誠「ごめん〜止見てないといけないから…」
言葉「誠くんが困るでしょ…我が儘ばかり言ってはいけません!」
刹那「あ…誠…止ちゃんなら私が見てるから言葉さん達と遊びに行って…さあ止ちゃん、お姉ちゃんと遊ぼう…」
止「うん、せっーちゃとあそぶ〜」と言って子供用プールへ…
誠「あ…ごめん〜じゃあちょっと行ってくるよ!」

子供用プールに着くと〜止「せっーちゃ〜あのすべりだいですべる〜」
刹那「はいはい〜止ちゃん…」
すべり台を何回も滑って堪能した止は…
止「うきわでプカプカするの〜」
刹那「はいはいプカプカしようね…」
浮き輪に飽きると次々と巡る間しく遊びを変えていく〜
刹那《なんか楽しい…妹を持つとこんな感じなのかな?》
今は足でバシャバシャと水を叩いて遊んでいる
止「せっーちゃ!」
刹那「なあに?止ちゃん?」
止「せっーちゃは…おにーちゃのこと………」
417スクイズイフ:2008/02/26(火) 05:36:02 ID:6OdggU3H
SchoolDays-if6話d
榊野町〜アクアスクエア
可憐「全くうちのお姉にも困ったもんだよ…先輩に彼女ができたからって仕方がないのに…」
二葉「私達もーショックだけどー」
可憐「だから気を利かせてここで〜みんなでパッーと騒いで、私達は受験勉強の疲れ&
先輩に彼女ができて超ショック〜を癒やしに…誘ったのに…
『そんな気分じゃない』…全く胸もなければ度胸もないんだから!」
一葉「胸は関係ないよ〜可憐ちゃん…」
二葉「あれ一可憐ちゃん〜伊藤先輩いるよー」
一葉「え、え、二葉ちゃんどこどこ?」
可憐「…へ?!先輩?」
誠「あれ〜可憐…一葉に二葉も…お前達も遊びに来たのかよ?」
可憐「そ、そうなんですよ…受験勉強の息抜きでってあれ?その子…あれ先輩、止ちゃんは?」右腕に掴まっている少女が気になるようだ
誠「止は俺の友達と子供用プールで遊んでるよ〜」
可憐「まさか…その子…先輩の…彼女?」
誠「バ〜カ…この子は友達の妹さんだよ…」
可憐「バカは非道いですよ〜先輩」
誠「悪い悪い〜」
言葉「心〜いい加減、誠くんを…」後ろから連れと思われる人が来て言う…
可憐「…《なな何?!あれは…90のGは絶対オーバーしてる…まさか先輩の彼女?…しかし…なる程お姉が落ち込む訳だ〜》」
一葉「…《やっぱり胸が大きくないと駄目なんだ、先輩〜》」
二葉「…《うーん先輩はやっぱり胸が大きい方が好きなんだー》」
誠「ああ…こちらは桂言葉さんと妹の心ちゃん」言葉「こんにちは…桂言葉です」
心「心です〜」
可憐「あ、あははこっちの双子の一葉、二葉〜私は可憐だよ〜よろしくね…で先輩達は今から何処に行くんですか?」
誠「心ちゃんが浮き輪で流れるプールを遊びたいって言うんで浮き輪借りに行くとこ〜」
可憐「あ〜奇遇ですね私達もそうなんですよ…じゃあ先輩も一緒に行きましょー」誠の左腕に掴まって引っ張っていく〜
誠「う〜わだから引っ張るな〜」
心「こっちこっち〜」と同じく右腕を引っ張る〜
一葉・二葉「あ〜ん可憐ちゃん!先輩〜待って!」と3人の後へついていく…

言葉「もう〜心ってば…《3人の後輩に…誠くんってやっぱりモテるんだなあ〜》」と思いつつ歩いて後を追いかける…
言葉《もし誠くんが刹那さん、世界さん…私のうちの誰かと付き合うようになったら〜または全く違う女の子と…
今の友達の関係はどうなるんだろう?》ふと思う言葉だった…
418スクイズイフ:2008/02/26(火) 05:36:38 ID:6OdggU3H
SchoolDays-if6話e
榊野町〜アクアスクエア
結局、可憐達と合流して刹那達と少し遅い昼食をとる事に…
誠「ほ〜ら止、両手でしっかり持って…美味しいか?」
止「うんーおいしいよ〜」満面の笑みで答えるが少し大きいらしく具がこぼれそうに…
刹那「止ちゃん、ちょっと大きいね〜もう少し小さくするね」
止「うん」刹那に渡す〜
心「は〜い誠くん〜あーんして」と言ってサンドイッチを口に差し出す〜
誠「あ〜はいはい、アーン〜パク〜モグモグ」
心「誠くん〜美味しい?」
誠「うん〜美味しいよ〜心ちゃん」
可憐「あ〜先輩、オニギリも美味しいですよ〜はいアーン」
誠「ちょ、ちょっと待てまだ口に入って…うぐ!」突っ込まれるオニギリ…
二葉「あー先輩〜これも美味しいーですよー」と今度は二葉が食べてたケーキを口に…
誠「う゛ぉごぉぐぅがぁ《まだ入ってる》…グゥゴォ!?」さらに突っ込まれる
一葉「あ〜二葉ちゃん、ズルい〜先輩こっちも!」
止「はい、おにーちゃ!」食べてたサンドイッチを口に入れようとする止〜
刹那「止ちゃん、お兄ちゃん無理だよ〜」止めようとする刹那…

同じテーブルでその光景を見ているカップル…
泰介『なあ光…一言言いたいが…いいか?』と光に小声で話す〜
光『…何言いたいかは大体判るけど…いいよ』こちらも小声で答える〜
泰介『羨ましい!!』拳を握って小さく叫ぶ!
光『この泰介の浮気者!』こちらもいつの間にかサンダルを持って頭を小さく叫びながら叩く!
泰介『…まあ今のはお約束〜ナイス突っ込みだ!光!…しかし何だろうなあこのハーレムは?』
光『私に言われても…困る…』
泰介『さっき誠に本命は誰だって聞いたんだけど…確かに決めかねるよなあ〜これじゃ』
光『…』
泰介『どうした?』
光『…一学期の時、別のクラスの…中学の頃の知り合いに伊藤を紹介して欲しいって言われたんだけど…』
泰介『ほう〜』
光『あの頃って伊藤とは全然面識無かったし…断ったんだけど…全く何であんなのがモテるのか?』
光『…でもこんな状態は絶対続かないよ〜いつかは刺されるよね〜!』
泰介『あ〜やっぱり?』
光『私だったら刺すね〜間違いなく!』
泰介『…《マジ怖》』
そんな目の前のやり取りを見て一声かけて〜一足先に遊びに行く泰介と光であった
419スクイズイフ:2008/02/26(火) 05:37:20 ID:6OdggU3H
SchoolDays-if6話f
榊野町〜アクアスクエア
昼食を食べ終わって腹休めに暫く会わなかった後輩達の近況を聞く…
可憐、二条姉妹ともに榊野学園を目指している事を告げられる…
誠「そうかうちにくるのか…可憐、一葉、二葉〜頑張れよ!」
可憐「はい先輩!」
一葉「は、はい〜が、頑張ります!」
二葉「はーい〜頑張りますー」
少なくとも来年の春にはまた賑やかい後輩達と交流が持てそうで嬉しいやら大変やらだが…
誠《賑やかなのは良いことだよな…おっと!止がこっち見てる…よし!》
誠「さてまずゴミ片づけて…」
言葉「あ〜私やっておきますから…行って下さい」
誠「え?!あ、じゃあ頼むよ言葉!…止〜今からお兄ちゃんと何して遊ぼうか?」
止「うーんとね〜うーんとね…ながれるプールでどんぶらこ〜どんぶらこ〜」
誠「あ〜はいはい…じゃあ行こうか〜」立ち上がって止の手を引いて行こうとすると…
止「せっーちゃもいっしょ!」と言い刹那の手を掴む〜
刹那「止ちゃん!?」
止「…やくそくー」
刹那「あ…あ、うんそうだったね…じゃあ行くね」
止「うん〜」
誠「約束?何だ?約束って?」
刹那「え〜と…ひみつ…」
止「うーんと、ひみつ!」
誠「む〜まあいいけど…でも午前中も止を見て貰ったのに…子守ばかりで悪いよ…」
刹那「…じゃあ誠と止ちゃんと一緒に遊んで貸し借り無しでいいよ…」
誠「貸し借りって…まあ刹那がそれでいいなら…行こうか〜」
刹那「うん…」
誠「じゃあみんなまた後でなあ〜行くぞ!」
心「え〜誠くん!心も止ちゃんと遊ぶ!」と言って後ろから追い掛ける…
言葉「あ、はい〜いってらしゃい…」と言って見送りゴミの片づけ始めている
可憐「…へっ!?」
一葉「…ええ?」
二葉「…あーれ?」
可憐《あれ先輩の彼女ってこの人じゃあないの?…》
可憐「あの〜桂さんは…先輩の彼女じゃあ…ないんですか?」
言葉「え?!…あ、はい〜友達ですから…彼女ではないですね…」
可憐「あはは〜すると刹那さんでしたよね…あの人は?」
言葉「…多分誠くんはまだお付き合いしてる方はいないと思います」
可憐「あ〜そうなんですか…何か凄く仲良いように見えたから…てっきり…」
二葉「先輩…ああ言う人がー好みなんだ〜」
一葉「そうなの?二葉ちゃん?」
言葉「…好きな人を決めるのは…誠くんですから〜」と言って黙々と片づける…それを聞き唖然とする3人〜
420スクイズイフ:2008/02/26(火) 05:38:01 ID:6OdggU3H
SchoolDays-if6話g
榊野町〜駅内
楽しい時間は瞬く間に過ぎて夕方になる…
刹那は見送り泰介は葵町方面、残り全員の誠達は原巳浜方面にそれぞれ駅のホームへ向かうところで…
止「い一や〜せっちゃといっしょにかえる!」
誠「止!ワガママばかり言うと刹那がもう会ってくれないよ!」
止「まだせっちゃといたい…」と言う状態が続く…
誠「みんな悪いな〜止、説得してから行くから先に帰っててよ…」と言うが…
言葉「良いですよ〜じゃあホームで待ってますね…心行くわよ!」え〜と言いながら連れてかれる心…
可憐「私達も待ってます〜」二条姉妹を伴って行く…
泰介「俺達は先帰るよ〜またな!」
光「刹那〜また明日!バイバイ」

誠「せっちゃんは明日学校だから無理なんだよ…また今度遊べば良いだろう?」
止「い一や〜まだいっしょにいる〜」頑固にパイプに捕まって言う…
刹那「誠…少し二人きりで話せないかな〜止ちゃんと…」
誠「わかった頼むよ…」少し離れたところで誠は佇む…
止「せっちゃ一」と言いながら刹那に抱き付く止…
刹那「止ちゃん…約束覚えている?」
止「やくそく〜うん!おぼえてる一」

回想
止「せっーちゃは…おにーちゃのこと…すきすきー?」
刹那「え?!《止ちゃんに嘘をつきたくない…》うん好きだよ〜」
止「おにーちゃもせっーちゃのこと〜すきすきだよー」
刹那「…そうなの?」突然の事に顔が赤くなる
止「だから、がんばって」フレーフレーと手を動かす〜

刹那「私ね〜頑張るから止ちゃんも私と約束しよう」
止「うん!」
刹那「止ちゃんはまだ、お兄ちゃんとは一緒に住めないけど、いつかは一緒に過ごせるように頑張ろう」
止「…ううー」それを聞いて不安がる止…刹那は髪に付けていたリボンを外すと…
刹那「だからこのリボンは私と止ちゃんとの約束の証〜これを私だと思って…」止の髪の付いているリボンを外して刹那の赤いリボンを付ける
止「せっちゃんのリボンだ〜」と言ってガラスに映る少しバランスの悪い左右のリボンを見ながらぴょんぴょんと跳ねる…
刹那「やくそく〜」小指差し出すと止も真似て小指を出して絡ませると
止「うん」
刹那「またこっちに来る日が分かれば必ずお姉ちゃんも会いに行くから〜だからお兄ちゃんの言うこと聞くんだよ」
止「うん」そう言って止を抱き締める刹那…
刹那「じゃあホームまで一緒だよ」2人で誠の元に歩いていく
421スクイズイフ:2008/02/26(火) 05:38:39 ID:6OdggU3H
SchoolDays-if6話h
電車内〜原巳浜方面
誠「一時はどうなるかと思ったけど刹那が説得してくれて助かった〜」横でスヤスヤと寝る止…
言葉「凄く懐いてましたからね…」同じく心も言葉の横で寝ている
可憐「しかしこの止ちゃんを宥める事ができる人が先輩以外にいるのが驚きましたよ」
誠「そうだな〜不思議だよ本当に…」
光「しかし伊藤…ちゃんとお兄さんしてるのには感心感心〜見直したわ…」
誠「それはどうもありがとうございます〜黒田くん」と皮肉る
光「キィー全く素直じゃあないんだから伊藤のバカ!」
誠「ふんだ〜」いがみ合う2人…そして…

(原巳浜〜原巳浜〜)
言葉、心、光が降りる駅に到着〜
言葉「それじゃあ誠くん…今日は無理言ってすいません」
誠「いや〜こっちこそ助かったよ…また明日な」
心「ふああ〜誠くんまた遊ぼうね…」眠い目を擦りながらお別れを言う
誠「心ちゃん…またね」
光「じゃあね〜伊藤」
誠「また明日」
再び電車の中…
可憐「そう言えば来週学祭なんですよね?」
誠「おう〜遊びに来るか?」
二葉「良いんですかー」
誠「3組は喫茶店だけどもし来るなら案内ぐらいはするぞ〜まああんまし長い時間は無理だがな」
可憐「はい〜お願いします」3人は嬉しそうに喜んでいた…

世界の家〜刹那
踊子「あら〜せっちゃん、いらっしゃい」
刹那「世界います?」
踊子「いるけど…多分死んだように眠ってるから〜」
刹那「何かあったんですか?」
踊子「友達とお酒飲んだらしいけどね〜あの子の年で興味持つのは良いんだけど…
私の大事にしていたお酒まで飲んだものだから〜罰でキツいお仕置きしたの〜」
刹那「なるほど…《踊子おばさん〜さすが容赦ない》」
踊子「あら〜珍しいわね、リボン外したの?」
刹那「あ…はいちょっと…イメージチェンジです」Vサイン
踊子「そう…似合ってるわよ〜せっちゃん」
刹那「ありがとう…おばさん〜では失礼します」
まあ詳しい話は明日かな?と思いつつ親友をどう慰めるか思案する刹那であった

6話「誓いのリボン(Another SummerDays)」完
422スクイズイフ:2008/02/26(火) 05:39:16 ID:6OdggU3H
え〜本来5.5話としてイタル祭りの為に作ったのですが…
顧問様のイラスト見た影響で色々いじってたら登場人物が増えてしかも話に収集がつかなくなり
あえなく削ってしまったスクイズイフ6話です…


しかし最近のSSスレの活性化とまた面白い話が多くて…このまま載せずにひっそりとブログに置いてもいいかな〜
とも思ったけどやはり最後まで載せたいと思います

一応あと3話ぐらいで終わる予定…最後まで頑張ります
423名無しさん@ピンキー:2008/02/26(火) 09:52:25 ID:3TCslyrt
スクールデイズの分岐ルートを考えるスレ part4
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1203986961/l50

職人の皆様お疲れ様です
ちょうど480kb超えたみたいなんで
新スレたてました
424名無しさん@ピンキー:2008/02/26(火) 10:14:05 ID:3TCslyrt
>>397
waterさま

光の反応がとてもリアルで(冷静に受け続けるところなんかとくに)
修羅場の臨場感がすごい・・・ 
乙女の告白のタイミングも本編のタイミングに酷似していて憎らしい設定です

>>388
ぁ・・だめでしたか でも励みになりますありがとうございます
「秘密と約束」って思いつきとニコ動で見た「めぞん最終回」が元なんですが
ちょっとだけ改変する別案があるのでまたの機会に再チャレンジします
そのときはまた教えてください!
いたる〜 こういう日常の中のくすぐったいイチャってのがまた。
料理だと、薄味だけどしっかりしている 濃い味だけどくどくない?
絶妙なテンポとバランスだと

>>414
スクイズイフさま
これ削ってしまうのはもったいないです・・・ほのぼのとした展開なのに
裏で緊張感が高まるのが・・・刹那といたるの部分はィィ!
続きも是非ノーカットでお願いします
425名無しさん@ピンキー:2008/02/26(火) 14:42:11 ID:iSkCJNRZ
少し着てないと凄いスレの進み様…
誰か良ければこのSSは誰ENDとかそういうの教えて下さい
426名無しさん@ピンキー:2008/02/26(火) 16:32:00 ID:pUP90BQJ
>>422
乙。言葉の友情を尊重する思いと、
いたぅの相変わらずの空気読み能力が良し
最後まで楽しみにしてますよ

他のシリーズもかなりたまってきたから読まないと…
427woodchuck:2008/02/27(水) 16:07:00 ID:S3z0z0RN
本来ですと第3部に入るはずだったのですが
この調子で書き込むと容量を食ってしまう・・・
他の方の分を早々流す結果となると考えて
残りは↓↓に格納庫を作って安置しました

http://woodchuck.blog27.fc2.com/

もしよろしければお越しくださいませ
ご感想などいただけると幸甚です
明日から別のものを考えてます
その際はよろしくです。
428スクイズイフ:2008/02/27(水) 19:45:31 ID:JPw84Ffg
>>427
楽しませて貰いました〜
ってか勿体無いからどんどん載せてください〜


特に踊子さんの憂鬱が笑わせてもらいましたから〜
429名無しさん@ピンキー:2008/02/28(木) 01:47:10 ID:EeOjFsxG
みどりの日様。

先日振って頂いた別バージョンのダイエット話を
なんとか書いてますのであと数日お待ち下さい。


>>427
いたるSSとか書いてる者です。

私が書いてるようなバカみたいに長い話でなければ問題ないと思いますよ。
過疎になるよりはずっといいですから。

ブログへは行かせて頂きました。
踊子さんの話がいいですね。
とても気に入りました。
430名無しさん@ピンキー:2008/02/29(金) 01:16:58 ID:MS7UHhWz
スクールデイズの分岐ルートを考えるスレ part4
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1203986961/
431:2008/03/02(日) 23:09:56 ID:KwB13Awl
432名無しさん@ピンキー:2008/03/07(金) 16:49:54 ID:mq8i3BYo
                             _   ブーン♪
                       彡   , ' '´  ,、`ヽ  ミ ミ
           .    ー=三  _____ ノノ i ,ノノ ))リヽ、 ___
       _             {l,、,、,、,、l|l=と|!il| "ワノl|つ=l|l,、,、,、,、l}
     '´,  ,、ヽ           ヽ  ヾ ヾンヽミ 三 彡,,ツ  彡
  . ⌒゚i ノノソ ))リ゚⌒  ー=三        )ヾミ  彡ノ
    ノン(l*´ヮノリ               (ミ  彡´
      {(つiつ                 )/   うめます
      //_j ヽ     ー=三         (
     (し'~              _ _ ____)

433名無しさん@ピンキー:2008/03/07(金) 16:50:30 ID:mq8i3BYo
      ∧(⌒∧
      ,´/´^`ヽ
     ノ〈 从ソ)ハ
     (リ(!゚ ヮ゚ノリ    ムクリ
     _| ⊃/(___
   / └-(____/     /⌒ヽ


       _ (⌒
      ,´/´^`ヽ
     ノ〈 从ソ)ハ
    (リ(!゚ ヮ゚ノリ  
    /)\><|つ      中に誰もいませんよ      
⊂<(/  8/     
 し\_ヘ_/      
     し'
434名無しさん@ピンキー:2008/03/07(金) 16:51:15 ID:mq8i3BYo
        _     _ (⌒ 
      '´/ ,、ヽ ,´/´^`ヽ 
      i (ノノ"))i ノ〈 从ソ)ハ___ ふが
      li l|゚ ヮ゚ノl|.(リ(!゚ ヮ゚ノリ /\
      リ. (ヽつ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|.\/
     ((゙く/_lj〉| せかい  |/
        じフ . ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

        _           _ (⌒     
      '´/ ,、ヽ         ,´/´^`ヽ      フ`` ^ヘ
      i (ノノ"))i   \\  ノ〈 从ソ)ハ___    Z 、{`゙^"ネ
      li l|゚ Ο゚ノl| \\  (リ(!゚ ヮ゚ノリ /\ ^ヘ( ゚ ロ゚ノi  わっ
      リ. (ヽつ つ    /| ̄ ̄ ̄ ̄|.\/ ⊂i}ホiつ|
     ((゙く/_lj〉))       | せかい |/      ナT |
        じフ        . ̄ ̄ ̄ ̄      |__|_j

   _     わっ 悪い 手伝うよ
 '´/ ,、ヽ     ミ````ヽ_         _ (⌒
 i (ノノ"))i    ミ,,,,,,,,,,  |        ,´/´^`ヽ
 li l|゚ ヮ゚ノl|   (´∀`;ソ       ノ〈 从ソ)ハ___ふが
 リ./)允iつ    /f~Y~jヽ       (リ(!゚ ヮ゚ノリ /\
((゙く/_lj〉))    U!_ハ__lソ      /| ̄ ̄ ̄ ̄|.\/
   じフ      .i_l__j         | せかい |/
                      ̄ ̄ ̄ ̄

                   こんなに重いの一人で…大変だね
  クラス委員の仕事なので…
        _             
      '´/ ,、ヽ ,         フ`` ^ヘ   _ (⌒
      i (ノノ"))i  ____________  Z 、{`゙^"ネ ,´/´^`ヽ
      li l|゚ ヮ゚ノl|/     /\^ヘ( ゚ ロ゚ノi ノ〈 从ソ)ハ
      リ. (ヽつ ̄ ̄ ̄ ̄|.\/  ( ヽ つ(リ(!゚ ヮ゚ノリ
     ((゙く/_lj〉| せかい |/     ナT |
        じフ . ̄ ̄ ̄ ̄      |__|_j
435名無しさん@ピンキー:2008/03/07(金) 16:52:05 ID:mq8i3BYo
::::::::::::|:::::/ __/斗''" i:/   !    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
::::::::::::|::/  /´   /    |   | 
ヘ:::::::::N ((  ̄ ))     |   | Hey!Hey!
. ∧:::::!  `  ̄ ´      |   |
/ |:::`:ト            |  < (さっさとうめましょう。)
 l:::::i:!        _      !    |
 !::::从      W ̄ ̄ ̄|   |
/::::::::::::\    |′     |   |
:::::::::::::::::::::>   ゝ     |   \_____________
   コ ト ノ ハ サ マ
436名無しさん@ピンキー:2008/03/07(金) 16:52:35 ID:mq8i3BYo
       '´/ ,、ヽ   
       i (ノノ"))i
       li l|゚ ヮ゚ノl|
        リ/つ{⌒l^0
     //\ ̄⌒'^ (⌒
    // ※ \ ,´/´^`ヽ
   \\※ ※ノ〈 从ソ)ハヽ みかんまってー  
     \`ー─(リ(!゚ ヮ゚ノリ ヽ                 (;゚;;)
       ̄ ̄ ヽつヽつ ̄  ⌒ヽ〃⌒ヽ〃⌒ヽ〃⌒ヽ〃

       '´/ ,、ヽ   
       i (ノノ"))i
       li l|゚ о゚ノl|
        リ/つ{⌒l^0
       と__)__)   ==  //\ ̄⌒'^ (⌒
               =  // ※ \ ,´/´^`ヽ
               == \\※ ※ノ〈 从ソ)ハヽ  
                =   \`ー─(リ(!゚ ヮ゚ノリ ヽ  
                ==    ̄ ̄ ヽつヽつ ̄       (;゚;;)
437名無しさん@ピンキー:2008/03/07(金) 16:52:57 ID:mq8i3BYo
・・・ごめん、なんだか自分があらしにみえてきた

ウメアトハタノム
438名無しさん@ピンキー:2008/03/08(土) 12:22:02 ID:vQRwrQlA
誰か短編でかけばいいんじゃねw
439名無しさん@ピンキー:2008/03/08(土) 12:51:31 ID:ExS9QLia
::::::::::::|:::::/ __/斗''" i:/   !    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
::::::::::::|::/  /´   /    |   | 
ヘ:::::::::N ((  ̄ ))     |   | Hey!Hey!
. ∧:::::!  `  ̄ ´      |   |
/ |:::`:ト            |  < (>>438書け)
 l:::::i:!        _      !    |
 !::::从      W ̄ ̄ ̄|   |
/::::::::::::\    |′     |   |
:::::::::::::::::::::>   ゝ     |   \_____________
   コ ト ノ ハ サ マ
440名無しさん@ピンキー:2008/03/08(土) 22:35:59 ID:8UdAz83E
::::::::::::|:::::/ __/斗''" i:/   !    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
::::::::::::|::/  /´   /    |   | 
ヘ:::::::::N ((  ̄ ))     |   | Hey!Hey!
. ∧:::::!  `  ̄ ´      |   |
/ |:::`:ト            |  < 埋めようぜ
 l:::::i:!        _      !    |
 !::::从      W ̄ ̄ ̄|   |
/::::::::::::\    |′     |   |
:::::::::::::::::::::>   ゝ     |   \_____________
   コ ト ノ ハ サ マ
441名無しさん@ピンキー:2008/03/08(土) 22:37:02 ID:8UdAz83E
        _     _ (⌒ 
      '´/ ,、ヽ ,´/´^`ヽ 
      i (ノノ"))i ノ〈 从ソ)ハ___ ふが
      li l|゚ ヮ゚ノl|.(リ(!゚ ヮ゚ノリ /\
      リ. (ヽつ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|.\/
     ((゙く/_lj〉| せかい  |/
        じフ . ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

        _           _ (⌒     
      '´/ ,、ヽ         ,´/´^`ヽ      フ`` ^ヘ
      i (ノノ"))i   \\  ノ〈 从ソ)ハ___    Z 、{`゙^"ネ
      li l|゚ Ο゚ノl| \\  (リ(!゚ ヮ゚ノリ /\ ^ヘ( ゚ ロ゚ノi  わっ
      リ. (ヽつ つ    /| ̄ ̄ ̄ ̄|.\/ ⊂i}ホiつ|
     ((゙く/_lj〉))       | せかい |/      ナT |
        じフ        . ̄ ̄ ̄ ̄      |__|_j

   _     わっ 悪い 手伝うよ
 '´/ ,、ヽ     ミ````ヽ_         _ (⌒
 i (ノノ"))i    ミ,,,,,,,,,,  |        ,´/´^`ヽ
 li l|゚ ヮ゚ノl|   (´∀`;ソ       ノ〈 从ソ)ハ___ふが
 リ./)允iつ    /f~Y~jヽ       (リ(!゚ ヮ゚ノリ /\
((゙く/_lj〉))    U!_ハ__lソ      /| ̄ ̄ ̄ ̄|.\/
   じフ      .i_l__j         | せかい |/
                      ̄ ̄ ̄ ̄

                   こんなに重いの一人で…大変だね
  クラス委員の仕事なので…
        _             
      '´/ ,、ヽ ,         フ`` ^ヘ   _ (⌒
      i (ノノ"))i  ____________  Z 、{`゙^"ネ ,´/´^`ヽ
      li l|゚ ヮ゚ノl|/     /\^ヘ( ゚ ロ゚ノi ノ〈 从ソ)ハ
      リ. (ヽつ ̄ ̄ ̄ ̄|.\/  ( ヽ つ(リ(!゚ ヮ゚ノリ
     ((゙く/_lj〉| せかい |/     ナT |
        じフ . ̄ ̄ ̄ ̄      |__|_j
442名無しさん@ピンキー:2008/03/09(日) 00:57:17 ID:+yqVKWk5
誘導用
スクールデイズの分岐ルートを考えるスレ part4
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1203986961/l50


::::::::::::|:::::/ __/斗''" i:/   !    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
::::::::::::|::/  /´   /    |   | 
ヘ:::::::::N ((  ̄ ))     |   | Hey!Hey!
. ∧:::::!  `  ̄ ´      |   |
/ |:::`:ト            |  < 次逝ってみよう
 l:::::i:!        _      !    |
 !::::从      W ̄ ̄ ̄|   |
/::::::::::::\    |′     |   |
:::::::::::::::::::::>   ゝ     |   \_____________
   コ ト ノ ハ サ マ


443名無しさん@ピンキー
::::::::::::|:::::/ __/斗''" i:/   !    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
::::::::::::|::/  /´   /    |   | 
ヘ:::::::::N ((  ̄ ))     |   | Hey!Hey!
. ∧:::::!  `  ̄ ´      |   |
/ |:::`:ト            |  <  (次すれでもよろしく)
 l:::::i:!        _      !    |
 !::::从      W ̄ ̄ ̄|   |
/::::::::::::\    |′     |   |
:::::::::::::::::::::>   ゝ     |   \_____________
   コ ト ノ ハ サ マ