素直クールでエロパロPART8

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517素クール3姉妹:2008/06/07(土) 10:15:11 ID:WqPCErpg
 たしかに一回出したにも係らず萎える様子のないものは空に繋がったまま、い
まだに存在をアピールしていた。
「久しぶりだったからね」
「私も」
 お互いに視線を交わすとそれだけで意思は通じた。
「またするね」

「ちょっと待った」

「…………」
 不意に聞こえてきたのはなみ姉さんの声だった。
 ぎぎぎぎと擬音を立てそうな動きで部屋の入り口にたたずむなみ姉さんを見
る。ああ、最悪なことにその後ろには天海ちゃんもいる。
 空はとりたてて驚いた様子もなく姉妹を見ていた。えぇ!
「空は終わったのだから次は私の番だな」
「お姉ちゃん! ずるい私だって」
518素クール3姉妹:2008/06/07(土) 10:15:59 ID:WqPCErpg
 空と僕の関係に驚いた様子……というか気にする様子もなく二人は平然として
いる。いや、その僕は死ぬほど恥ずかしいんですが。
「ふむ、ではここは平等に晴彦に選んでもらおう。晴、私と天海どちらが先が良
い?」
 ってそういう問題じゃないでしょ!
 というか決定事項なの?
「安心しろ、私も天海も処女だ。空と違ってな」
 いやー、あのその……ちなみに空の初めては僕だったわけで……ねぇ……。
「二人とも恋人は私」
 空は僕から離れるとかばうように二人の前に立ちふさがる。いや、その下……
隠そうよ空さん……って僕も晒したままではあるのだけど。
「ならば私は妻だな」
「じゃあ、私はお嫁さんかな?」
 言葉が違えば良いというものではないのですよ、なみ姉さん、天海ちゃん。
「ムリ。日本は一夫一妻」
「ははは安心しろ。晴の両親が行った国は一夫多妻制だからな。いずれ四人で
移住すればいい話だ」
「…………」
「空、そこで黙るんだ! 考えるんだ!」
「お姉ちゃんも天海も晴彦が好きって知ってるから」
519素クール3姉妹:2008/06/07(土) 10:16:37 ID:WqPCErpg
 麗しき姉妹愛だね! っていうか僕の意思は介在しないのかな……。
「ぼ、僕はなみ姉さんも天海ちゃんも好きだけど……」
 空に対する好きとは違う。
「ははは、今は、な」
 なみ姉さんが笑う。というか僕寝取られるの!?
「やっぱりダメ」
 空が手を広げて立ちふさがる。そりゃぁ、ねぇ……。
「冗談だ。たしかに今の恋人は空だからな、そこを汲んで最大限の譲歩をしよう。
四人でするのはどうだ?」
 ダメに決まってるでしょ!
 とんでも発言に僕は言葉を失った。四人って……4P? いや別に息子が反応
してるのはさっきからですよ?
「百歩譲ってそれなら可」
「可なんだ!」
 空さん! とんでもないこといいますね!
「では空の許可も出たことだ。さぁ晴」
 さぁ、じゃないです。
 だから僕に拒否権はないのでしょうか?
「そ、空……」
 空は諦めたように首を振ると僕に笑いかけてきた。
520素クール3姉妹:2008/06/07(土) 10:17:29 ID:WqPCErpg
「大丈夫、晴彦の一番は私だって分かってるから」
 信頼ありがとうございます。空さん。
 でもね、そういう問題かな?
 そんな姉妹一緒にだなんて……姉妹丼?
 想像してちょっと股間が反応してしまった。うわ、最低だ僕。
「ふふふ。では始めるぞ」
 空となみ姉さんが笑いながら僕に近づいてくる。えっと……本気ですか?
 後ろでは天海ちゃんが次は私です! という表情でじっと見つめていた。
 なんだかさっきの夕食と光景が似ている。
 ということは……。
「晴」「晴彦」「晴彦くん」
 三姉妹の魅力的な声を聞きながら僕は今日から始まる『日常生活』に言いよう
のない不安と……期待を抱いていた。
 僕、これからどうなるんだ?
521素クール3姉妹:2008/06/07(土) 10:18:27 ID:WqPCErpg


以上になります。
唐突に投下失礼いたしました。
522名無しさん@ピンキー:2008/06/07(土) 10:22:12 ID:YMqtgL96
GJだ
523名無しさん@ピンキー:2008/06/07(土) 10:27:42 ID:z6PMZnCQ
>>443
つ刹那…って素直クールじゃないかもしれないがな
524名無しさん@ピンキー:2008/06/07(土) 10:30:01 ID:UJBND+g7
>>521
……これはまさか、風呂に入ろうとしたら既に入っていた3人がじいっとこっちを見ているとかそういうフラグか!
GJ!
525名無しさん@ピンキー:2008/06/07(土) 16:08:18 ID:IvYqgN/Y
>>521
GJ
おもしろいし、まだまだ話が広げられそうだな
526名無しさん@ピンキー:2008/06/07(土) 18:12:26 ID:1gq8iWqE
>>521
素晴らしく狂おしく艶かしくGJ!

>>524
建て替えで風呂も大きくなってそうだしなwww
527名無しさん@ピンキー:2008/06/08(日) 15:40:24 ID:DoZsE74h
>>521
GJ!!
ハーレム好きには堪らんね
勿論続くんだよな?
528 ◆6x17cueegc :2008/06/09(月) 00:03:45 ID:oYW/wAAH
皆さんおはようございますこんにちわこんばんわ、これからずっとの人でございます。

エロ無しかつ次回以降への踏み台回、しかも素直キャラ殆ど出番無しなので、エロ読みたい人は読み飛ばしていただいて結構です。
ではどうぞ。
529これからずっと ◆6x17cueegc :2008/06/09(月) 00:04:34 ID:oYW/wAAH
「先輩。」
「なんや後輩。」
 ゴールデンウィークも終わって通常営業に戻った俺の勤め先に安田はこうして毎日来ている。しかも俺の終業
時間を見計らったようなタイミングだ。最初のうちこそ微笑ましかったが最近は苦痛でしかない。何故なら――
「今日こそ先輩の部屋に連れて行ってもらいますよ?」
「……帰れ。」
 4月から一人暮らしを始めて、今まで彼女を部屋に招待したことはない。当然後ろをついてこられたことは何
度もあったがその度に彼女の家に送っている。……おかげで2ヶ月連続で生活費に『電車代』の項目を作ること
になっている。生活苦しいんだぞこの野郎。
「ゴールデンウィークだって遊びに行けなかったし。」
「仕事が休みのときに『どこか遊びに行けへんか』って言うたやろ?」
「私が言ってるのは先輩の部屋に遊びにいけなかったってことです。」
 頬を膨らませて俺の脇腹を小突く。くすぐったくって身体を捩ってかわしていると、奥から伯母さんが出てき
た。あわてて真面目な顔をするがもう遅かった。
「いちゃついてないで、時間まではちゃんと働いてよ。明日は定休日なんだから。」
「……はい。」
 心配そうな顔をする安田にちょっとだけ笑いかけて、それからレジの前に立った。

 それからすぐに時間になった俺は急いで着替えて裏口を出る。以前外で待たせていたら勝手に店の中へ入って
来たことがあったからだ。
 店の外に出た途端に死角から跳びかかられた。腕を組もうと擦り寄ってきたつもりなのだろうがびっくりする
から止めてほしい。
「ああもうくっつきな、暑苦しい。」
「嫌です。先輩、手を離すとすぐ逃げちゃうから。」
 お前がウチに来ようとしなければ済む話だろう、と言いかけて飲み込んだ。そんなことはもう何度も言ってい
る。当然のことながら、今のところ効き目は全く無い。
 溜息をつきながら尻ポケットから財布を取り出して中身を確認する。少し中身が厳しい。給料日までなんとか
食いつながなくてはいけない。
「お金無いんですか?」
「いや。ただ、今持ち合わせあったかなぁ思て。」
「出来れば嘘は吐いてほしくないですね。」
「嘘と違うわ。電車代くらいあります。」
「……電車代、かかってるんですか?」
 しまった、失言だ。しかめ面をして腕にぶら下がっている彼女を見ると真っ直ぐに見返された。その視線に気
圧されるように顎を引くと彼女に襟を掴まれた。
「大した額では無いから気にせんでええ。ホンマに出すんが嫌やったらわざわざ送ってったりせえへんわ。」
 失言を誤魔化そうとわしわし頭を引っ掻き回すと、止めてください、とじろりと睨まれる。彼女は組んだ腕を
解いて少し離れると頭を下げた。
「すみません。」
「頭上げ、別に構へん。ほら、行こか。」
 彼女の手を掴んで引きずるようにして駅へ向かう。辺りはもう薄暗くなってきている。夏に向かって日が延び
ていることを考えると少し時間が遅い。ちょっと急がないと。
530これからずっと ◆6x17cueegc :2008/06/09(月) 00:04:54 ID:oYW/wAAH
「今日、私の家に泊まっていきませんか?」
 目の前に滑り込んできた電車のドアが開く直前、安田が言う。俺は顔も振り向きもせずに頭を一発はたいて電
車に乗り込んだ。目を白黒させて後ろについてきた彼女に向き合う。
「何で叩くんですか。」
「……明日、何曜日や?」
「水曜日ですね。」
「学校あるやろ。」
「そうですよ。でも1日休んだところで置いていかれるようなことはありませんから大丈夫で――あたっ!」
 今度はおでこに手刀を振り下ろす。まあ俺も泊まっていけという言葉にあっちのほうを連想してしまったのだ
が、今はそういうことはとりあえず棚上げ。
「最初から学校休むつもりとか何考えとんねん、ドアホ。」
「だって、4月から殆ど……してないじゃないですか。」
 辺りを見回すようにして声のトーンを落とした。
「せえへんからって何も問題無いやろ。」
「だって、身体が疼いちゃって。」
「疼く暇も無いくらい勉強したらええやろ。大学行くんと違うん?」
 普段からこういうバカをやっているからついつい忘れてしまうが、こいつの成績だったら国公立の推薦だって
簡単にもらえるはずだ。それほど飛び抜けた成績を修めている。
「大学ですか……本音を言えばあんまり行きたくないですね。先輩と一緒にいられる時間が少なくなっちゃいま
すから。」
「そんなしょうもないことで自分の人生決めん、なっ。」
「あて。」
 また手刀。大した力も込めないものだったが、何度も叩かれて流石に気分を悪くしたらしい。おでこを押さえ
ながら睨みつけられた。
「しょうもないことって……そんなこと言わないで下さい。」
「自分のことをどう言おうと勝手やろ。――ほら、もっと詰めんと。」
 乗っていた電車が次の駅に停車して背後のドアが開く。ラッシュと呼ぶほど混みあってはいないが、ドアの側
から動かずにいられるほど空いてもいなかった。

 後ろから入ってくる人に押されないように彼女のほうへぐいと身体を寄せるとくっつかれた。安田は太腿を挟
み込むような形で俺の身体を捕まえる。
「くっつきすぎや。そんな混んでへんやろ。」
 安田は聞こえない振りをして更に身体を寄せてきた。抱きつかれて腹を押される。こんなところで抱きつくな
と怒鳴ることも出来ず、驚きの表情のままじっとしていると電車が走り出した。ガクン、とバランスを崩して彼
女のほうへよろけると、途端に彼女の腕が俺の身体にかかり更に抱きしめられて身体が密着する。
「お前……」
「周りにバレちゃいますよ?」
 彼女は声を押し殺して短くそう返すと、俺の背中の上で楽しそうに指を踊らせた。くすぐったいが我慢できな
いほどじゃない。息を詰めて耐えているとそれが徐々に尻へ下りてきた。ベルトの辺りまで来たときに睨みつけ
たが全く効果が無い。ざわざわという感覚が背筋を走る。
「お前ええ加減に――」
「『きゃー、チカンー』?」
 にこにこ笑いながら俺の尻を撫で回す。電車内は程よく混んでいて今の様子を見られる心配は無かったのが救
いだった。
「……何がしたいんや。」
「んー、何でしょうねえ?」
「言いたいことがあったらはっきり言うたらええやろ。」
「先輩の部屋に行きたいです。」
「アカン、言うたら――」
「『きゃー、チカンー』」
 きゅっと俺の尻たぶを掴んで目を合わせる。本当に言いますよ、と目で語っている。俺はどっちがチカンだ、
と溜息を吐き出しながら、彼女の肩を持って身体の距離を離した。
「……もう遅いから、また今度な。」
「いつですか? 明日? 明後日?」
 ……あー、めんどくさい。
531これからずっと ◆6x17cueegc :2008/06/09(月) 00:05:23 ID:oYW/wAAH
 彼女の家の最寄り駅に降りると駅前の様子が変わっていた。変に人通りが多い。
「近所にショッピングモールが出来たんです。多分そこのプレオープンに人が来ているんだと思います。」
 普段は静かな住宅街が人混みで塗りつぶされたみたいに喧騒で溢れていた。
「帰りに寄ってみようかな。」
「なら一緒に行ってみませんか?」
「……今、何時や?」
「21時に閉まるそうですから急げば何とかなると思いますよ。」
「そうじゃなくて。」
 年頃の女の子を連れたままこんな時間まで出歩いちゃ不味いだろう、と言うと、家まで近いから大丈夫だ、と
返された。ただ問題はそういうところじゃない。
「……道草せんと早よ帰るで。」
「でも先輩、買い物に行くんでしょう? 私も行きます。」
「じゃあ行かへん。」
「じゃあってなんですか。ほら、行きましょう?」
 それまで組んでいた腕を解かれると今度は手で握られた。人の流れを逆流するように引きずっていかれる。自
由に買い物出来るほど財布の中は暖かくないんだけどな……

「先輩。」
「なんや後輩。」
「楽しいですね。」
「……そうか。」
 今日のプレオープンで開いていたのは食料品売り場だった。どの商品も自分の部屋の近所のスーパーでも買え
る物ばかりだ。見たことの無いような珍しい外国製品もあったが、そんなに高いものを買うつもりは無い。1人
暮らしなんて優先すべきは安くて量が多くて、そして最後に美味しいものだ。
 プレオープンだからあちこちに売り切れの札がかけられていて、収穫の無いままぼんやり通路を歩く。すれ違
う人がみんな俺の事をじろじろ見るが、こんなところを制服姿の女子高生に腕を組まれて私服で歩いているんだ
から仕方が無い。第一、安田に離せと言ったところでまず離さないだろう。
 そのとき店員が手にバーコードを読む機械を持って、スウィングドアを押し開けて出てきた。惣菜コーナーへ
向かって歩いていくのでピンときた。急いで追いかける。今度は俺が彼女を引きずって歩く番だった。
「ちょ、ちょっと、先輩?」
「夕飯だけ買うから。」
 腕を振り切って惣菜コーナーに小走りで先回りすると、真っ白な格好をした店員が3割引の値札シールを貼っ
ていたところだった。地味な煮物などのパックしか残っていなかったがこれで十分だ。飯だけ炊けば十分1食に
なる。
532これからずっと ◆6x17cueegc :2008/06/09(月) 00:05:55 ID:oYW/wAAH
 既に2人ほどが待っていたレジに並ぶ。レジ前は閉店間際だというのに人が多かった。カゴに3パックだけ入れ
ている俺とは違って、溢れんばかりに詰め込んでいる人ばかりだ。
 安く夕食を手に入れられてホクホク顔の俺とは対照的に、安田は不機嫌だった。
「私の家に来てくれたら夕御飯くらい……」
「毎日のようにお世話になるわけにはいかんやろ。」
「私はお世話になってるじゃないですか。毎日家まで送ってもらって感謝してます。」
「感謝するんやったらたまには俺のところに来えへんで真っ直ぐ帰ってくれ。」
「先輩が1日の活力です。……あて。」
 後頭部を平手で叩くと、ぱん、といい音を立てながら衝撃が手に残った。
「俺は栄養ドリンクか何かか。」
「先輩のを飲めばもっと元気にっ……叩かないでくださいよ。」
 前の人が会計を始めた。1つ分開いたところへ買い物カゴを捻じ込む。
「ほら、レジの向こう回ってこい。こんなところに2人おったら邪魔やろ。」
 彼女はこくりと頷くとレジの切れ目のほうへ歩いていった。それを見送ってからレジへ視線を戻すと、レジ打
ちが速かったのか殆ど終わっていた。
「いらっしゃいませー。」
 店員のお姉さんはカゴを自分の手前まで引っ張ると、中から手早く数個の商品を取り出しレジを打ち終える。
「652円ですー。」
 金額を言われたのになかなか財布から小銭を取り出せない。変に焦った挙句に床にばら撒いてしまう。俺には
小銭をあんまり使わない癖があるのでかなりの量だった。
「うわっ、すんません!」
「いいですよ、ゆっくりで。」
 店員さんはわざわざレジから出てきて手伝ってくれる。ついでにレジの向こうに回りこめた安田までかがんで
拾い出した。3人の男女が小銭を拾う様子を見て後ろに並んでいた人は他のレーンに移ってしまった。……ゴメ
ンなさい。
 ようやく全て拾い集めて顔を上げ、まず安田から小銭を受け取る。そして――
「はい、どうぞ……ってアンタ。」
 あの人だった。

 お互い気まずい顔をしていると安田が俺達に声をかける。
「先輩。先輩?」
「……あ、うん、なんや?」
「お知り合いですか?」
「ああ……大阪におったときの、知り合いや。」
 さっと安田の顔色が変わった、ように見えた。多分誰のことか分かったのだろう。同じ笑顔でも普段の笑顔と
は違って目に殺気さえ込めているように感じられる。
「そうなんですか。はじめまして。」
 あの人は俺と顔を合わせたことが気まずいのかまだ渋い顔をしている。
「……ああ、どうも。」
「私、飯島先輩と付き合ってます、安田翠と言います。」
「付き合って?」
「はい。」
 小首を傾げる安田に俺は軽く眩暈を覚えた。
「なあ、とりあえず会計を……」
「……そうやな。後ろのお客さん待たせるの悪いしウチも怒られる。」
 彼女は疲れた様子で微笑むとレジに引っ込んだ。
533これからずっと ◆6x17cueegc :2008/06/09(月) 00:06:19 ID:Krm+9V3y
 店を出て大きく溜息をつく。こんなに緊張する買い物はちょっと遠慮したい。
「先輩、どうしたんですか?」
 安田はレジを出る辺りからずっと腕にしがみついている。
「いーえ、何でもないですよ。」
「私が言ったことが不満ならそう言ってください。」
「何もないって言うてるやんか。お前が言うたのはホンマのことなんやから。」
 俺がそう言うと彼女は腕から離れた。珍しいことだ、と思う暇も無く今度は抱きつかれる。しかもタックルを
するように正面から鋭く突っ込んできたので堪えきれずにたたらを踏んでしまう。
「……道路のド真ん中で何すんねん、アホ。離れろ。」
「嫌です。」
「邪魔やから。ほら。」
 普段から使っているカバンと先程の買い物のビニール袋とで両手が塞がって払いのけることが出来ない。
「私は先輩の彼女なんですから別に問題無いでしょう?」
「大有りや。邪魔。」
「……ケチ。」
 ようやく俺から離れるとまた腕を組む。離れて歩くという考え方は全く無いようだ。もう慣れっこだが。

 彼女の家の前まで来るとぐい、と腕を引かれる。
「先輩。」
「なんや後輩。」
「泊まっていきませんか?」
「いきません。同じことを言わすな。」
 彼女の側に引き寄せられた腕をぐい、と引き戻す。するとまた腕を引っ張られる。
「じゃあ夕御飯食べていきましょう。それならいいでしょう?」
「俺が手に提げてるのはなんや?」
「先輩の夕御飯ですね。」
「見切りのな。買うたもんを腐らしたくないんやけど。」
 また腕を引き戻す。もう一度腕を引かれたら今度は蹴り飛ばしてやろうかと思ったがそういうことにはならな
かった。するりと腕から離れる。
「それなら……そうだ、ここでしてもいいですよね?」
 安田はまた身体を寄せてくると正面から抱きつかれる。スーパーの前で抱きつかれたのと一緒の格好だ。しか
し今度は首筋に手をかけぶら下がって唇を寄せてくる。俺は顎を引いてそのキスを避けた。おでこ同士が軽くぶ
つかる。
「……どうしてそういうことするんですか。」
「どうしてこういうことするんですか。」
「いいじゃないですか。ちょっとチュッとするだけですよ?」
「ここは天下の往来と違うか?」
「そんな大げさな。第一、誰も通ってないじゃないですか。」
 周囲を見渡すまでもなく、日が暮れた後の高級住宅街なんて通行人が少ないに決まってる。せいぜいペットの
散歩を兼ねてのウォーキングを行っている人がいるくらいで、それも頻繁に通るわけではない。
「ね?」
「……とにかく手、一遍離せ。」
「むー、先輩そんなのばっかり……」
 安田はむくれた顔をして腕を解き地面に降りた。そのままそっぽを向こうとした安田の唇へ唇を落とす。ほん
の1秒にも満たないキスだった。
「はい、これで終わり。じゃ、お疲れ。」
 突然のことにぽかんとしたままの安田を残して、俺はしてやったりの顔を見せないようにして振り向き家路に
着いた。たまにはこういうのも悪くないだろう。
534これからずっと ◆6x17cueegc :2008/06/09(月) 00:07:31 ID:oYW/wAAH
 駅前に出ると携帯が震えだした。電話の着信だ。
「もしもし?」
『あーもしもし、今ちょっとええか?』
 あの人だった。
「ええよ、何?」
 電話で話をしたいというのだろうか。
『えっと、そうじゃなくて。……会えへんか、て、思て。』
「……ええよ。」
 自分の勘違いが気まずくて一瞬言葉に詰まった。思わず苦笑いを浮かべてしまう。そりゃそうだ。こんなに近
くにいるのにわざわざ電話で話を済ませる必要は無い。
『駅前で待っとるから。どこがええかな?』
「店とか知らんの?」
『一応面接とかで何度かは来たことあるけど、今日がバイト初日やから。』
「そうか。それやったら――」
 駅の東口を出てすぐにあるハンバーガーチェーン店を指定する。駅の構内からでも赤と黄色の看板が見えるの
で分かりやすいだろう。
『分かった。じゃあ入り口で待っとくから。』
 きちんと顔をあわせるのは、いつ以来だったか。多分彼女にアパートに行ったとき以来だ。

 その店の前に行くと、既に彼女が立っていた。タイトな白いTシャツにジーンズといったラフな格好で背筋を
ピンと張って前を見つめていた。
「ゴメン、待たした?」
「待たしたも何も、さっき電話したばっかりやん。ウチはたまたま駅におったからすぐに来れただけで。」
 頬をほんの少しだけ持ち上げて笑む。やはり彼女は何かに疲れているようだ……気のせいでなければ、の話だ
が。
「なんか疲れてる?」
「……それもあるから『ちょっと話したい』って呼び出したんや。入ろか。」
 彼女に促されて後をついて店に入る。

「さて、何の話?」
 自分の注文を目の前に置いて黙りこくってしまったあの人へ声をかける。俺から話したいことも幾つかあった
が彼女からの呼び出しでこういう場になったのだ、その話を聞かないことには自分の話も出来ない。
「……何の話って、どういうことや。」
「ん?」
「アンタはウチの彼氏じゃなかったん? ……ずっと逢いたかったウチはただのアホか。」
 あの人は悔しさを噛み殺すようにして息を吐き出した。怒りのせいなのかぶるぶる震えて前髪が目の前で揺れ
る。
「逢いたかったんは俺も一緒や。」
「それやったら何でこの間は帰ったんよ。ウチなんかと一緒におるのが嫌やったからやろ?」
「違う。俺はただ、あんたとそういうことはしたくないってだけや。」
「何が違うんや!」
 急に大きな声を上げる。平日の夕食時だったこともあって周囲は比較的若い年齢層の人で埋まっていた。その
視線がすべて俺達に突き刺さる。
「……ゴメン。でも、ウチには分からへんから。」
「別にええよ。……説明してもええけど、多分すごく時間がかかるで。」
「構へん。時間とか考えんでええから。」
 俺は分かった、と一つ返事をして最初から――安田と付き合い始めたときの話から順繰りに説明を始めた。
535これからずっと ◆6x17cueegc :2008/06/09(月) 00:09:04 ID:oYW/wAAH
「言い訳やな。」
 30分後、話し終えた俺に彼女が浴びせた一言目がそれだった。
「分かってるよ。でもホンマのことやから。」
「……そうか。アンタにとってウチはもう恋愛対象じゃない、か。」
 前髪を両手でかきあげる。何かを考え込んでいるときの彼女の癖だ。
「ま、薄々そんな感じはしとったけどな。……そやから、余計に腹が立つ。」
「ゴメン。」
「4年以上もウチを待たしてたんやで。気持ちが変わったんやったらすぐに教えてくれたらよかったやん。」
「……ゴメン。」
「いくら謝られても納得は出来へんよ。」
「そやから、ゴメン。」
「……ああもう、イラつくなぁっ!」
 俺は顔を伏せて下唇を噛んだ。どう言われても仕方がない。搾り出すようにして声を出す。
「ホンマ、ゴメン。」
「もうええよ。……結局、『昔』から動かれへんかったのはウチだけか。」
 彼女が振り上げたままの腕をテーブルに落とすと意外と大きな音がした。振動が伝わってくる。
「ウチだけ辛い思いをしたんやから、当然か。」
「俺やって……!」
「知り合いのおらへんところに引越しといて、どの口が言うんや。」
 噛み付くような目をして、でも淡々と口を動かす。
「中学でありもしない噂を流されたことはあるか? 高校でもその噂が付いて回ったことはあるか? 近所を歩
 いてて後ろ指、指されたことはあるか? ……無いんやろ。」
「でも俺はアンタに会いたかった。」
「それはウチも一緒や。」
「……そうやけど――」
 それは確かにそうだ。俺が大阪まで飛んで行きたいと思っていたように、彼女も東京へ飛んで来たいと思って
いたのだろう。だけど。
「――そうやけど、俺はずっとお前のこと考えとった。お前のことしか考えてなかった。今でも前、向けへんく
 らいに。」
「その割りに、一歩も動いてへんウチとは一緒の場所にはおれへんやんか。背中向けたままやったら前には進ま
 れへんやろ。」
「……無理矢理俺のこと、引きずってったアホがおったから。」
「あの子か。」
 無言で頷くと彼女は天を仰いだ。
「あーあー、ホンマ、若い子には勝たれへんかー?」
「2つしか変わらへんぞ。」
「え、そうなん? てっきり中学生でも連れ回してるんかと……」
「あのなあ。」
 そりゃ安田は身長体重プロポーション、どこをとっても大人には見えないけどさ。
536これからずっと ◆6x17cueegc :2008/06/09(月) 00:09:37 ID:oYW/wAAH
 ふう、と彼女が息を吐き出した。天井を眺めてボーっとしている。そうだ、訊きたいことが一つあったんだっ
た。
「やっぱり疲れとるな、自分。」
「……これだけあからさまやと分かるわな。」
 気合を入れなおすように首をぐりぐりやってこちらへ向き直る。
「前にアンタが部屋に来たときからずっと考えてたんや。もしかしたらウチは嫌われたんかな、て。おかげで暫
 く寝不足やってな。」
「暫くって……」
 この間のことは秋が終わって冬に入りかけた頃だった。もう半年も前の話だ。
「暫く、や。……暫くは、暫くなんや。」
 それを聞いて俺は何も言えなかった。半年以上寝つきが悪かったというのだろうか。
「でも今日からはすっきり眠れそうや。ありがとう。」
 テーブルを挟んで右手を突き出してくる。俺は少し躊躇ってその手をとった。
「ほんじゃな。」
「うん。……また、な。」
 俺がまた、というと彼女は少しだけ目を見開いて、それから薄く笑った。冗談も大概にしろ、と目で語りかけ
てくる。
「言うとくけど、冗談と違うからな。」
「虫がええな。」
「知っとるよ。でも――」
 俺にとってお前はいつまでも大事な人であることは変わらないから。

 * * * * * *

「あ、もしもし。悪いな、こんな時間に電話して。」
「いや、特に用は無いけど。お前の声が聞きたかっただけや。」
「なんやねん、たまにはキザなこと言うてもええやんか。一応、俺はお前の彼氏らしいやん?」
「おかしないよ。そら、俺らしくはないけどな。」
「……なんも辛いことはないよ。無理もしてへん。」
「また時間出来たら、部屋呼んだるから。ほんじゃ、おやすみ。」
537 ◆6x17cueegc :2008/06/09(月) 00:10:18 ID:oYW/wAAH
と以上です。

そろそろ彼女と気兼ねなく甘々な性活送らせてやりたいなあ、と思いつつ、多分次は時代劇っぽいアレ。
538 ◆6x17cueegc :2008/06/09(月) 00:33:45 ID:oYW/wAAH
おっと、容量がやばいので次スレ行ってきます。
539名無しさん@ピンキー:2008/06/09(月) 00:36:15 ID:oYW/wAAH
540名無しさん@ピンキー:2008/06/09(月) 07:05:27 ID:/GEWI95U
GJ ! and スレ立て乙です!

安田かわいいよ安田〜
541名無しさん@ピンキー:2008/06/13(金) 09:22:27 ID:l4XhctRa
さっさと埋めてしまおう
あと18KBもある
542じゃあ、埋めネタを:2008/06/13(金) 23:58:09 ID:ipBvVg45
「なあ士郎」
「なんだいマイスィートハート」
「日本には、いつまでいられるんだ?」
「スルーなのな。まぁいつってことは明確にゃ決まってないんだが、そろそろ虫が騒ぎ出してきた頃合だな」
「放蕩癖か」
「せめて放浪癖といってくれ。とにかく、そろそろなんか仕事探して、それにかこつけてどっか行きたい気分だ」
「そうか……あと一月ほど、持ちそうか?」
「んー……微妙?」
「そうか……士郎」
「なんだい?」
「お前はいつ見ても素敵だな」
「唐突だな」
「発言は唐突かもしれんが、私がそう感じているのはいつもの事だ」
「そいつはどうも。俺も同じ気持ちさマイハニー」
「うむ、ありがたく。だがお前の場合、単に顔かたちが優れているというだけではない。
お前の、その何物にも囚われぬ自由な精神と、あらゆることに前向きに折り合いをつけてしまう
余裕があふれ出る、人徳に満ちた顔だ」
「ちっと褒め過ぎじゃねぇ?」
「とんでもない。私は知識を溜め込む事が趣味だが、その応用となるとからきしでな。
士郎の私にはない発想には、いつも感嘆させられているし、尊敬もしている」
「えーと、随分ご立派な御仁みたいだけど、それってどこのどちら様?」
「私の目の前にいる、我が愛しの恋人殿だ。――うむ、我が恋人殿……何度口にしても、この響きは私を
陶然とさせるな。士郎と出合った事、士郎と理解し合えた事、そして士郎が私を選んでくれたこの幸運に
関してだけは、私は神を信じることに吝かでないし、その采配にはいくら感謝してもし足りないな。
――なぁ、キスしていいか?」
「喜んで、こちらからお願いする」
「感謝する――んっ」
「――ちなみに、その辺は俺も同感だが」
「――はぁ。……そうか、士郎も同様に感じてくれていたのか。それはこれ以上ない喜びだ。
おっと、話がずれてしまったな。私の幸福感など今はどうでもいい、今語るべきは士郎の素晴らしさだ」
「あのさ、そろそろ勘弁してくんね? 背中が痒くなって死にそうなんだが」
「……そうか、それは済まなかった。お詫びといってはなんだが、私が責任を持って掻かせてもらおう」
「あとで頼む。それで? 唐突に俺を褒め殺ししかけて、何をお企みで?」
543埋めネタ続き:2008/06/13(金) 23:59:53 ID:ipBvVg45
「それは誤用だな。『褒め殺し』とは相手の欠点を褒め言葉の体裁を装って貶す事で、褒める事で相手を
悶え苦しめるわけではないぞ」
「その辺はニュアンスで。それで真意の程はいかがでございましょうか我が運命の君よ」
「うむ。つまりだな……恋人に対して何かを要求する時は、まず相手を褒めちぎる事から始めるのが
常道と聞いてな」
「なるほどなるほど。おねだりモードだったわけね。でもまぁ、いつものお前も俺を褒めちぎってくれる
訳なんで、そのへんの意思はちょっとわかりづらかったかなー」
「そうか、私もまだまだだな……では単刀直入に言う。旅立ちは、あと一ヶ月ほど我慢して欲しい、お願いだ」
「んー……お前の頼みなら俺だって聞いてやりたいのは山々なんだが……正直キツいな、禁断症状でそうだ。
で、その一ヶ月ってのはなんだ? 来月に何かあんのか?」
「やはり忘れていたか」
「何を?」
「来月は、お前の誕生日だろうが」
「――おお」
「だからな、それを共に祝わせて欲しいと、そういうわけだ」
「祝わせて欲しいって……我が恋人様は、そういうところは謙虚すぎていかんね。そこはもっと、
あのブランドのバッグ買ってとか、あのアクセサリー欲しいとか、そういう要求するものだろうが」
「あいにくと、そういった類への興味はとんと薄くてな」
「よく出来た恋人殿で」
「それでどうなのだ? 私の願いは聞き入れてもらえるだろうか」
「んー……すまん、やっぱ無理そうだわ。俺のビョーキも筋金入りだな」
「そうか……いやこちらこそ済まない。私としても、お前を縛り付けるような真似は本意ではないのだ」
「そこで妥協案だ」
「む?」
「本命の、海外ほっつき歩きはちょっと先延ばしにするとして、だ。その前の禁断症状の緩和を兼ねて、
お前さんでも行きやすい国内にどっかご招待、そこで二人でささやかに誕生会を開くってのはどうだ?」
「――ああ、いいな。それは素敵だ。そうか、二人で旅行、二人で旅行か……」
「悪いなぁ、一所に落ち着けない、根っからの根無し草で」
「ああ、困ったものだ。お前が傍にいない間、私がどれだけ寂しい思いをしているか、正確に理解しうるよう
伝える手段がないのが悔やまれる。
 ……だが一番困った事実は、そんな奔放な面を含めたお前をこの上なく愛してしまっている事だがな」
「なら俺も一つだけ。俺は、自分のわがままを聞いてくれる相手だから、お前を選んだわけじゃないぜ?」
「ふふ、それは光栄だな」
「……いい旅行にしような」
「ああ」
544名無しさん@ピンキー:2008/06/14(土) 01:09:39 ID:tjELdOyG
マジレス大王再び降臨!
545名無しさん@ピンキー:2008/06/14(土) 15:32:10 ID:J6dcTbXT
  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄○ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
           O 。
                 , ─ヽ
________    /,/\ヾ\   / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
|__|__|__|_   __((´∀`\ )< というお話だったのサ
|_|__|__|__ /ノへゝ/'''  )ヽ  \_________
||__|        | | \´-`) / 丿/
|_|_| 从.从从  | \__ ̄ ̄⊂|丿/
|__|| 从人人从. | /\__/::::::|||
|_|_|///ヽヾ\  /   ::::::::::::ゝ/||
────────(~〜ヽ::::::::::::|/        = 完 =

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                   ,.-―っ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                人./ノ_ら~ | ・・・と見せかけて!
           从  iヽ_)//  ∠    再  開 !!!!
          .(:():)ノ:://      \____
          、_):::::://(   (ひ
          )::::/∠Λ てノし)'     ,.-―-、   _
______人/ :/´Д`)::   (     _ノ _ノ^ヾ_) < へヽ\
|__|__|__( (/:∴:::(  .n,.-っ⌒    (  ノlll゚∀゚) .(゚Д゚llソ |
|_|__|_人):/:・:::∵ヽ | )r'        ー'/⌒ ̄ て_)~ ̄__ イ
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|_|_| 从.从从:/ |__|::レ:/      ___/ヽ、_/
|__|| 从人人从 ..|__L_/      .( ヽ     ::|
|_|_|///ヽヾ\ .|_|_     /⌒二L_    |
────────       ー'     >ー--'

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        巛ノi
        ノ ノ                  / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
     ノ')/ノ_ら      ∧_∧       | いきなり出てくんな!!
      、)/:./、      ( ´Д`)      | ビックリしたぞゴラァ!!!
     )/:./.:.(,. ノ)    `';~"`'~,.       \   ________
     \\:..Y:.(  ・ ''    :,   ,. -―- 、|/
_____ 从\、,. ,; .,、∴';. ・  ( _ノ~ヾ、ヽ
|__|_ _(_:..)ヽ:∴:@)       ノ(゚Д゚ #) )
|_|__|_人):|:・:::∵ヽノ)    (_(⌒ヽ''" `ー'
||__|  (::()ノ∴:・/|::|( \    \ \) )        _
|_|_| 从.从从:/ |__|::|ノ   \  ミ`;^ヾ,)∃        < へヽ\
|__|| 从人人从 ..| /:/ _,,,... -‐'''"~   /ー`⌒ヽ、  (( (゚Д゚llソ |
|_|_|///ヽヾ\ ./:/ _ \        /     /T;)   /~  ̄__ イ
─────── ノ (,    \/__/__,ノ|__`つ  ヽ__/
             ´⌒ソノ`

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|__|__|__/ /  ヽヽ,|__|
|_|__|___い 、  , ,ソ_|_|
|__|___/ ̄`^⌒´ ̄\_.|     .l´~ ̄ ̄ ̄`.lヽ
|_|_|  |         |_|    / ⌒ ⌒ ⌒ .| !
||__| 从ヽ-i´ ,_ ,_ 'i-'"_|   / ___ _ _ ___/,イ
|_|_|从イ/´:::::::::::::::::::::::`i、_|  / ̄       /i.|
|__||从/:::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ,._| ~||~~~~~~~~~~~~ ´||
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546名無しさん@ピンキー:2008/06/14(土) 15:32:32 ID:wCKNIf0E
これは良い風来坊と恋女房
547名無しさん@ピンキー:2008/06/18(水) 12:13:58 ID:04RIftk6
埋め
548名無しさん@ピンキー:2008/06/21(土) 00:55:43 ID:f3nVFmc2
u,e
549名無しさん@ピンキー:2008/06/21(土) 23:48:11 ID:PeIPNcYK
550異形平安京恋歌(1/3):2008/06/22(日) 19:54:43 ID:JnyYGoKe
 夜の空にはぽっかりと月が浮かんでいた。
 そのお陰で京の都の小路も、この時間でも割と明るい。
 検非違使(けびいし。平安時代の警察官のような立場)である三善公守(み
よし きみもり)は、一心不乱に円匙(えんし シャベルのこと)で土の地面
を掘っていた。
 額には汗が浮かび頬を伝うが、それを拭う余裕もない。
 急がなければ『奴』が迫ってくるのだ。
 月が照らしているとは言っても、夜の闇は深く、昼と同じとはどうしても言
えない。
 闇の奥に息づく異形が近付いてきているのを、公守は確かに感じていた。
 いつから現れたのか――おそらく、数年前、空から石が降ってきた時からな
のだろうと公守は推測するが、その辺の判断はどちらかといえば陰陽寮の学者
連中の仕事だろう。
 公守達、検非違使の仕事は都の治安を守る事である。
 夜な夜な跋扈する、詠裏庵(えいりあん)と呼ばれるアヤカシ達を、とにか
く鎮める必要があった。
「――という訳で、土の属性に弱い連中を葬るため、公守達は穴を掘るのであ
った」
「誰に説明している……」
 小路をいっぱいに掘り尽くした公守は、息を切らせながら円匙を地面に突き
立て、振り返った。
「さて、誰だろう。月にいるという兎だろうか」
 などと戯言を言うのは、白い水干(すいかん。男物の装束)を着た若い女だ
った。普段は長い黒髪を適当に後ろにまとめ、年の頃は十代半ばだろう。幼さ
の残る可憐な顔が、まっすぐに大柄な公守を見上げている。
 名前を三善藤原楓子(ふじわら かえでこ)という。藤原家に連なる貴族の
娘だ。
 公守は楓子の顔を憮然とにらみつけた。
「そもそも、こんな夜中に貴族の女が出歩くな。危ないだろう」
 すると、余裕を持って公守を見上げていた彼女の表情が綻ぶ。
「お、公守、心配してくれるのか。それは嬉しいな」
 その顔だけで、貴族の男共を虜に出来るだろう。噂に聞くなよ竹のかぐや姫
にも負けるとも劣らないと、公守は思わないでもない。
 だが、それとこれとは別である。
 三善公守は仕事の男なのだ。当分、女はいらぬ。
「京の都の平安を守る。それが仕事だ。お前もこの都の住人だからな。心配す
るのは当たり前だ。大体なんだその格好は。いつ白拍子(しらびょうし。この
時代における踊り子)になった?」
 公守の問いに、楓子はその場で一回り舞って見せた。
「踊りも舞えるぞ。まあ、この格好は単に動きやすさを追求したいだけだ。い
つも着る服は重すぎる」
551異形平安京恋歌(2/3):2008/06/22(日) 19:56:44 ID:JnyYGoKe
「……まあ、それは同意するが」
 公守は昼間の庭越しに何度か見た事のある、廊下を常に裾が擦るほど長い楓
子の装束を頭に浮かべた。
「あんな格好では、公守の仕事ぶりが見れない」
 回想を打ち切り、公守は頭を振った。
「だから、それがおかしいと言っている。何故、お前が俺の仕事を見る必要が
ある」
「決まってるじゃないか。公守が夜這いに来ないからだ」
 そう言って、楓子は少し唇を尖らせた。
 一方公守は脱力しそうになる。
「いや、あのな……」
「何度文を送っても梨の礫だしな。お前が来てくれないから、妾は大変なんだ
ぞ? 毎日毎日、他の男から送られてくる文に断りの返事は返さなきゃならな
いし、第一夜に部屋にいては、余所の貴族共が夜這いに来る。冗談じゃない。
妾はお主以外と添い遂げるつもりはないのだ」
「物好きな……」
 本気でそう思う。
 だが、楓子的には喜ばしい事であったようだ。
「それは、競争相手がいないという事だ。妾にとっては好都合だな。あと、こ
れを受け取ってくれ」
 楓子は懐から白い手紙を取り出し、背を一生懸命伸ばしながら両手で公守に
差しだした。
「……何だこれは」
 受け取りながら、公守は問う。
「見ての通りの文だ。ああ、長文の恋文だから、今は開くな。仕事の邪魔をし
たくない」
「お前がいる事が……」
 迷惑だ、と言いかけて、公守は言葉を止めた。
 穴掘りが終わってから声を掛けてきた辺り、一応楓子も公守に気を遣ってい
るのだ。なら、この台詞は言うべきではない。
 それを察した楓子は、更に顔を綻ばせながら、公守の袖を掴んだ。
「うん、お前のそういう所が好きだぞ、公守」
「やかましい。というか普通、遣いの人間が渡しに来るモノだろうに」
 ふん、と楓子は鼻で笑った。
「そんな仕来りは知らぬ。妾は妾のやりたいようにやる。想いを伝えるのも託
すのも直が一番だ。それを書くのに苦労したぞ。何と三日も掛かってしまった
のだ」
「未来の歌人の期待の新作か」
 懐に仕舞いながら、公守は言う。背後の闇から、禍々しい気配が伝わってく
る。寒さと熱さを併せ持った不快な感覚、瘴気という気配だ。
552異形平安京恋歌(3/3):2008/06/22(日) 19:58:48 ID:JnyYGoKe
異形平安京恋歌(3/3)
「うん、間違いなく妾に惚れるぞ。渾身の一筆だ」
「そうか」
 公守は楓子の頭を一度撫でると、振り返った。
 足下には巨大な穴。正面の闇に目をこらしたまま、公守は円匙を手に取った。
「それより下がってろ。そろそろ来るぞ」
「ふむ、話に聞く、詠裏庵か」
「そうだ。俺の背中に隠れていろ」
「そうしよう。ん、妾も円匙を持ってくるべきだったな」
「……お前、本当に貴族か?」
 裾を楓子が掴んでいるのか、引っ張られる感覚が伝わってくる。
 ……まあ、しがみつかれるよりはマシか、と公守は判断する。
「公守が望むなら、そんな身分あっさり捨てるぞ? まあ、雑談はここまでだ
な」
「その通り。奴がこの穴に落ちたら……」
「うん、埋めるんだな」
 ――敵が、迫ってきた。


穴掘りなのにオチもなし。
以上、”埋め”ネタでした。
世にも珍しい平安京エイリアン二次創作(嘘)。
時代考証とかはほとんど無視なので、ツッコミは勘弁でー。

553名無しさん@ピンキー:2008/06/22(日) 20:21:10 ID:nWSmDnMz
必殺技は炎のコマか月面宙返りか!
まさかこのネタが来るとわ……!
GJです。
続編はロードランナーか?w
554名無しさん@ピンキー:2008/06/22(日) 20:26:39 ID:loOovdv3
タイトルだけで噴いたwww
God Job!!!!!!
555名無しさん@ピンキー:2008/06/22(日) 22:22:18 ID:dmwpvVfI
GJ!
いいな、これw
556名無しさん@ピンキー:2008/06/23(月) 00:17:31 ID:VsoppSu5
平安京エイリアンktkr!!!
すぐにわかってしまったよwww
557名無しさん@ピンキー:2008/06/26(木) 23:46:03 ID:YwaC6zim
白川3姉妹とか誰のことだかさっぱり。
558名無しさん@ピンキー:2008/06/27(金) 06:14:09 ID:vWLtYtRy
 優子はクールビューティという言葉が似合う女の子です。
「好きだ、愛している」
 そういって毎日のように俺に寄り添ってきます。
 彼女は可愛く、そんな優子を蔑ろにする理由もなく、一応恋人です。
 彼女には双子の妹が居り、名前を愛子といいます、 見た目から何からそっくり
なのですが一番は俺への想いだそうで普段意識して差別化を図っている
見た目を優子そっくりに変えて俺に処女を奪わせる暴挙にでました
しかもその時中出しまでしてしまい「責任とって下さい」と言われる始末。

 後日三人で話し合う事になったのですが結果は3P
仲良く二人に中出しを決め、今では
「好きだ、愛している」

「好きです、愛してます」
に挟まれる日常を送っています。

 そういえば今日は二人の妹の翔子ちゃんに呼ばれていたっけ、なんだろう?

―おわり
559名無しさん@ピンキー:2008/06/30(月) 16:33:45 ID:NbgRKAZi
560名無しさん@ピンキー:2008/07/01(火) 02:19:19 ID:JTBz3V9M
561名無しさん@ピンキー:2008/07/01(火) 02:35:34 ID:hjlJ0fNr
562名無しさん@ピンキー:2008/07/01(火) 02:59:42 ID:7tWJBWxU
563名無しさん@ピンキー:2008/07/01(火) 04:06:59 ID:SQDp4mHM
564名無しさん@ピンキー:2008/07/01(火) 07:56:09 ID:m5AKbsPx
565名無しさん@ピンキー:2008/07/01(火) 10:58:34 ID:SQDp4mHM


>>560
日本旅行社
566名無しさん@ピンキー
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄○ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
           O 。
                 , ─ヽ
________    /,/\ヾ\   / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
|__|__|__|_   __((´∀`\ )< というお話だったのサ
|_|__|__|__ /ノへゝ/'''  )ヽ  \_________
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|_|_| 从.从从  | \__ ̄ ̄⊂|丿/
|__|| 从人人从. | /\__/::::::|||
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                人./ノ_ら~ | ・・・と見せかけて!
           从  iヽ_)//  ∠    再  開 !!!!
          .(:():)ノ:://      \____
          、_):::::://(   (ひ
          )::::/∠Λ てノし)'     ,.-―-、   _
______人/ :/´Д`)::   (     _ノ _ノ^ヾ_) < へヽ\
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|_|__|_人):/:・:::∵ヽ | )r'        ー'/⌒ ̄ て_)~ ̄__ イ
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|_|_| 从.从从:/ |__|::レ:/      ___/ヽ、_/
|__|| 从人人从 ..|__L_/      .( ヽ     ::|
|_|_|///ヽヾ\ .|_|_     /⌒二L_    |
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      、)/:./、      ( ´Д`)      | ビックリしたぞゴラァ!!!
     )/:./.:.(,. ノ)    `';~"`'~,.       \   ________
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|__|| 从人人从 ..| /:/ _,,,... -‐'''"~   /ー`⌒ヽ、  (( (゚Д゚llソ |
|_|_|///ヽヾ\ ./:/ _ \        /     /T;)   /~  ̄__ イ
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