アニメも好評のうちに終了し原作も大好評連載中、PS2版も08年1月発売予定の「らき☆すた」でエロいの行ってみよ。
☆カップリングは自由
☆基本的に百合マンセー
☆801は禁止(と言っても男キャラあんまいねぇ)
☆投下した作品の保管を希望しない場合、前もってその旨を知らせること
※マナー等※
※割込みを防止するため、書き込みや投下の前等にリロードを。
※荒らしや煽り、気に入らない人・作品等はスルーで。
※グロやSM、鬱モノなどの過激な内容は断りを入れてから投稿する
※読者=主人公の作品(いわゆる俺キャラもの)についてはNGワード指定や断り文を確実に。
※480KBまたは950レスのどちらかに近づいたら、次スレの準備を。
■みゆきさんの一言メモ
・投稿の際に、メール欄に半角英数でsageと入力すると、スレッドを上げずに書き込めます
『sage』では有効になりませんので、全角・半角を確認してください
・スレッドの閲覧・書き込みは、絶対ではありませんが専用ブラウザの使用を推奨します
これにより『人大杉』のエラーが回避できます
・SS投下は、一度メモ帳やワードパッドなどで書き上げてからまとめて投下してください
投下間隔があくと、他の方がレスできなくなってしまいます
マターリはぁはぁしましょうか。
☆まとめサイト(管理人と職人に感謝!)(避難所の行方はここ参照)
ttp://www33.atwiki.jp/kairakunoza/pages/1.html ☆派生サイト:てけてけかなたさん伺か化計画
ttp://neo-experiment.hp.infoseek.co.jp/index.html ☆前スレ
らき☆すたの女の子でエロパロ31
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1199281170/
>>1 スレ立て乙です。前スレは容量が限界のようですので、誘導もよろしくお願いいたします。
4 :
みゆつか愛してる:2008/01/09(水) 14:46:44 ID:zr9TNB0c
初めてのスレ立てなので、不備がありましたら申し訳ありません。
早速ではございますが、前スレ
>>561-568の続きを投下させていただきたいと思います。
そのまま投下の続きですので、後編の途中からになります。
ではいきます。
Miyuki-side
初めて『つかささん情報』に、つかささんに関する知識を書き込んだとき、一番最後のページに書いた言葉がありました。
『私、高良みゆきが世界で一番愛しているのは柊つかささんです』
それは、『つかささん情報』に書いてある、唯一の私の情報です。私がそのメモを取っていく意味の証でした。
色々ありましたけど、今こうして私とつかささんは、お互いに一糸纏わぬ姿で向かい合って抱き合っています。
頭の上から爪の先まで真っ赤にしながら、つかささんは固く目を閉じて、身体を強張らせています。
「ゆきちゃん……恥ずかしいよ……」
「私もです……でもつかささん、可愛いですよ」
「ゆきちゃんも、すごく綺麗だよ」
つかささんの小さな唇に、そっと自分の唇を重ねると、何もかも満たされていくような気がして……。
「ん……んみゅ……ふっ……」
「んん……ふぅ……」
しばらくキスを交わして、時折つかささんの唇を甘噛みしたり、唾液を舌で吸い取ったりし続けていると、
次第につかささんの身体から力が抜けてきて……私は頃合いを見図り、唇をつかささんの首筋に当てると、
そっと撫でるようにその小さな胸に触れて、円を描くように優しく揉んだり、桜色の部分を指でつまんだりして。
「ふぁ……ゆきちゃん、あっ、あっ……」
つかささんは戸惑うような響きで、しかし甘く蕩けるような声で、感じていることを伝えてくれました。
「苦しかったり痛かったりしたら、言ってくださいね?」
私はその小さな胸の桜色の部分を、舌で転がしたり、強く吸い付けたりしました。
「やっ、はあっ……ゆきちゃん、ゆきちゃん……!」
すると、つかささんはイヤイヤというように身をよじり、やがて私を抱き寄せて、その胸に顔を押し付けました。
「つかささん……?」
「私、寂しがり屋だから、ゆきちゃんにずっとこうしたくて……ゆきちゃんは寂しくさせないでね?」
私は心から暖かな気持ちで微笑むと、「……はい」とだけ答えて、つかささんの頭を優しく撫でてあげました。
「もう大丈夫だから……して?」
つかささんの一番大事な部分にそっと指を触れさせると……小さいながらもすでに熱く湿っていて、私の指はすぐに濡れ、
リズムをつけるように上下に動かすと、その度につかささんの身体がぴくりと動き、愛液はさらに量を増していきました。
「あっ、ゆきちゃん……あっ、ひあっ、ひぁぁ……」
「つかささん、好きです」
「私も好き、好きぃ、ゆきちゃ、あっ、あんっ、ああっ」
つかささんに限界が訪れていました。再びつかささんに口付けをし、そのときの訪れを迎えました。
「ゆきちゃん、も、もう、あっ、ひあっ、あ――――」
どうしてでしょうね。あれだけ知りたい知りたいと願っておきながら、今は無理に調べる気持ちになりません。
ただ、相手に対してわからないこと、わかりたいことは、お互いにゆっくりと理解していくものだっただけで、
それはメモに残したり、むやみに数を増やしたりするものではないということです。つかささんが教えてくれました。
私の抑えきれない知識欲はもう治らない物かもしれませんが、つかささんに愛情として向けることが出来るのなら、
この衝動は一生治らなくても構わないと思いました。つかささんは私のそんなところまで好きになってくれたのですから。
疲れきったつかささんは、私の胸に寄り添って眠っています。ふと、枕元にある『つかささん情報』が目に付きました。
私はそれと、そばにあるペンを手に取ると、おそらく最後の書き込みになるだろう情報を書き記しました。
『情報3477 つかささんには世界一幸せな恋人がいます』
******
Tsukasa-side
しちゃった――。
私が目を覚ますと、すでにゆきちゃんはもう服を着ていて、机に向かって勉強の続きをしていた。
自分がシーツの中で、全裸でいることに気付いてから、さっきまでしていたことを思い出した。
「はぅ……」
「あ、つかささん。起きられましたね」
「な、なんだか恥ずかしいね……」
私がそう言うと、ゆきちゃんは顔を真っ赤に……って、私達は何回顔を赤くすれば気がすむんだろう。
「あっ、あの……つかささん、お洋服どうしましょうか?」
「ええっと〜……ごめんゆきちゃん、そっちの棚の一番下に下着が入ってると思うから……」
はい、と答えるとゆきちゃんは棚に近付き、急にピタリと止まった。
「今度は開けていいんですよね……」
「? どうしたの?」
「い、いえ。なんでもありません」
ゆきちゃんはショーツとブラをそれぞれ一着取り出して、私に差し出した。
「ゆきちゃんの下着……」
「あ、私のことは気にしないでください」
「じゃあショーツだけでも借りてよ。ブラはサイズが……だし」
「いえ、本当にお気になさらずに。つかささんのショーツを着るのかと思うと……」
「思うと?」
「いえ、なんでも……」
『自制が効かなくなるじゃないですか』と小さく呟くゆきちゃん。何をそんなに抑えているのかはわからなかった。
ふと、そんなゆきちゃんを見て、また胸がきゅんと痛くなった。昨日よりは冷たい痛みじゃないけれど……。
好きな人が傍にいても胸が痛いのは、好きな人と結ばれても同じみたいだったんだね。
「ゆきちゃん……」
「はい、なんでしょう」
「きて?」
ゆきちゃんにもっと、傍にいてほしい。ゆきちゃんは『ぐはぁ!』と言うとフラフラと立ちあがって、
私のもとへとゆっくりと近付き、ベッドに腰掛けた。私はそのまま、ゆきちゃんの胸に顔を埋める。
「もう、ぬいぐるみいらないかも……」
「そうですか? 結構可愛らしいぬいぐるみだと思いますけれど」
「ゆきちゃんがいるから……」
時刻は6時になる。ゆきちゃんはそろそろ、帰らなくちゃいけないみたい。
リビングに降りると、お母さんが晩御飯の用意をしていた。ゆきちゃんはぺこりと頭を下げた。
玄関に二人で立つと、急に寂しくなってきた。私は誰も見ていない事を確認すると、ゆきちゃんに抱きついた。
「つかささん……」
「ゆきちゃん……」
私は目を閉じて、ゆきちゃんを見上げるように唇を尖らせた。ゆきちゃんの両手が肩に回って、辺りが静かになって、
ゆきちゃんの吐息が私の唇に感じるようになるほど二人が近付いたそのとき、急に玄関の扉が開けられた。
******
Kagami-side
できなかった――。
こなたの家にお泊りが決まった日、私はついに来るべきときがきたと腹をくくった。
恋人同士になって1ヶ月、手も繋いだ、キスもした、強く抱き合ったりもした。
こなたの家にはその日、こなたのお父さんも小早川さんもいなかった。
私達は二人きりだった。誰の邪魔も無かった。何が起きてもおかしくなかった。どれだけ乱れてもよかった。
私は前日から散々イメージトレーニングを施した。この日のために買った、二万もする勝負下着も用意した。
いのりお姉ちゃんから、クラクラするような香水を勝手に借りた。マムシドリンクを5本も飲んだ。
こなたの家でお風呂に入ったときも、全身をくまなく洗った。歯も磨いた。毛の処理もばっちりだった。
でも、できなかった。こなたと二人で裸になり、ベッドに横たわったところまではよかったのに、
緊張のためなのかどうかはわからないけれど、私は濡れなかった。こなたは一生懸命頑張ったけど、無理だった。
私が気持ちよくさせることができなかったのかも、と自分を責めるこなた。私はそれは違うと否定し、謝った。
自分がここまで、土壇場に弱いビビリだとは思わなかった。一人でしているときは、ビショビショになるくせに……。
私達はただキスをして、裸のまま抱き合って眠った。それで満足したわけじゃないけど、そうするしかなかった。
目が覚めて、私とこなたはベッドの上でおしゃべりをした。こなたによると、つかさとみゆきに『いいこと』をしたらしい。
その内容は教えてくれなかった。いずれわかるようになる、とだけ言っていた。
土曜日の夕方。私は傷心を引きずって自宅に帰った。玄関を開けるとそこには、私を見るなり慌てた様子のつかさとみゆきがいた。
そ、それでは……と頬を染めて帰っていくみゆき。もうちょっといてもいいのに。夕食でも食べていけばいいのに。
つかさはつかさで頬を染めて、みゆきを見送り……と思ったけれどすぐにサンダルをはくとみゆきを追っていった。
見送る気なんだろう。律儀な奴。いつもボケボケ〜っとしてて、すぐ私に甘えてくる寂しがり屋。
私は昨夜こそあんな調子だったけど、つかさはつかさであんなんじゃ色恋すら難しそう。エッチなんて何年も先の話ね。
私がつかさに追い抜かれるなんてことは絶対にないんだろうけれど、私もきちんとこなたとできるようにしなくちゃね!
8 :
みゆつか愛してる:2008/01/09(水) 14:58:06 ID:zr9TNB0c
以上です。
これで一応完結となります。
長々とした作品でしたが、お付き合い頂いて有難うございました。
みゆ×つかの愛情は尽きないので、いずれまた書かせていただきたいと思います。
それでは他職人様の素晴らしい作品を舐めるように読む作業に戻ります〜。
>>1 乙〜
>>8 リアルタイムGJ!
かがみさん・・・先を越されてますぜ
それに気づいたらどんな反応するのやら。
>>8 リアルタイム乙&誘導云々で入れ違い失礼しました。
もうもうもう、全身の体液がメープルシロップに置き換わるくらい甘くてご馳走様です。
お二人さん、お幸せに。
そして。ここ一番で遠坂某ばりに失敗しつつさりげなく妹に抜かれてるかがみに合掌。ぐっじょぶでした。
これだ、俺はこんな砂糖菓子のように甘くて優しいつかゆきを求めていたんだ……
ああ、gj
12 :
名無しさん@ピンキー:2008/01/09(水) 15:15:39 ID:Zopno5yw
>>8 GJ!かがみさん、もうバックミラーから姿消されてますぜw
かがみが何だか…w
ともあれ、お疲れ様でした。
ここまでストレートに甘く進み、円満に終わった話は久しぶりかも。
14 :
名無しさん@ピンキー:2008/01/09(水) 17:25:10 ID:4X5izov1
>>8 よし、とりあえず砂糖を10?Pバケツ一杯吐いておこう!
ウボァー
甘いなぁ。しかし見事なまでのつかフェチみゆきさんですなw
俺も負けてらんないな。早いとこ書かねば
「最高です。天上級の幸せですだばだばぶっぱあぁー」
「うわ、みゆきさん鼻血噴出いきなりすぎ・・・って、あれ」
「なにこれぇ、やたらべとべとしてる」
「しかも何気に赤くないね・・・琥珀色!?」
「すっご・・・甘い匂い・・・むせそう・・・」
「ああなんということでしょうか、あまりに甘い幸せを味わったがために、
体中の体液がメープルシロップに」
「あんたは幸せになる度に人間をやめるんか!」
>>17 みゆきさんはもはや人間どころかクトゥルフの眷属ですらないなw
>>8 GJ!告白シーンのあたりとか切なくて読んでて不覚にも涙が溢れてきたよ…
こんなに涙出たのなんて随分久しぶりな気がする。
キン○ロスが過去に残ってデン○イナーとの別れを迎えた時以来かな…?
>>8 GJ!
そして今、寝逃げでリセットを流しながら余韻に浸ってます。
ならば私は、萌え要素ってなんですか?を流しながら余韻に浸るとしよう
>>1乙
>>8 甘いっ甘いわぁ〜w らぶらぶっぷりに溶けそうになりましたw
24 :
名無しさん@ピンキー:2008/01/09(水) 21:26:48 ID:uPTNg4QZ
>>8 GJです
今日もがんばって2時間ほど書いたんですが
初心者なためか中々進まなくて
遅筆もいいとこですorz
かれこれ2週間もかけて書いている
みなさんの投下スピードには頭が下がる一方です
「頭が下がるといいながらsageないとは・・・(=ω=.)」
>>25 「"sage"の話で"オチ"をつけるか、あんたは……
>>24さん、このスレッドは『sage進行』で進んでるんですよ。メール欄に半角でsageと入れてくださいね」
>>27 「これだーっ!私のほしかった反応はこれなんやーっ(〒ω〒.)b」
>>28 ベタだが無いとさびしいものってあるよね。
前スレが
>>760ぐらいまで行ったんだきっと近い内にマボロシの
>>801に本物のひよりんが降臨する(`・ω・´)
「やはり、私の言葉では通じないのでしょうか……
>>25さんがフォローしてくれたおかげで助かりましたけど」
「ん〜、みゆきさんが一番良いと思うんだけどね。
かがみが言うと
『あんたちっ、ここはsage進行よっ。やり方はググりなさいよっ。
mail欄に半角小文字でsageって入れるだけなんだからっ』
てな感じになって、新しい人が書き込めなさそうだよね」
「悪かったわね。私はこなたさえ居てくれればいいのよっ///」
「お姉ちゃんずるいよ。こなちゃんはみんなのものだよ」
「あと、つかさだと
『えっと、書き込む際には…なんだっけお姉ちゃん?』
みたいになって、天プレが長くなりそうだよね〜」
「む〜、こなちゃんのくせに〜。今からケーキ作るから待っててね」
「つかさ、ここは私が一番詳しいからそれは違うと思うんだけど。それになんでケーキ?」
「じゃあ、あんたがすれば良いじゃない」
「かがみんは分かってないなぁ。私がやったら新人さんには、何言ってるかわかんないよ。ところで、何で抱きしめられてるのかな?」
「じゃあ、今まで通り私でよろしいのでしょうか?」
「良いと思うよ。ここのスレは優しい人多いから、何かあったら皆でフォローしてくれると思うし」
「そうですか。泉さんがそう言ってくれると、自信が持てますよ。だばだば」
「――ウィルス発症者多数。コナークはこれより潜伏する」(ダンボール、ダンボールっと)
「ところで
>>28っ。こなたのまねした黒井先生ねっ。そんなことしても、結k」
この後、かがみの姿を見たものは……
「へんなナレーション入れるなっ。グーで殴られたけど生きてr」
この後、かがみの姿を見たものは……
さて、後は見直すだけのSSを保存したUSBメモリーを会社に忘れた
まあ、見直してる間に気に入らない部分が出てきて、修正してる間に別物になって
そうこうしてると、途中で止まるわけだが…orz
>>30 それは前々スレだね
正月で
>>801行くかと思ってたんだけどね
ちょっと残念(´・ω・`)
>>31 あー、かがみんや?
>「ところで
>>28っ。こなたのまねした黒井先生ねっ。そんなことしても、結k」
ってことだけどさー、『夏の定番』では、
一度だけ『や』語尾してた所があってね、それが
>>28の台詞なのだよ?
だから
>>28はまごうことなき私なのだよ?
あの時お風呂一緒したかがみんに忘れられるなんて、
愛が足りないのぉ?かがみんウユユユユ・・・(〒△〒.)
「あーっ!こなたみっけー!ルパンダーイブ!」
アッーーーー!!
>>32 あれっ?今から見直してくる…orz
「こなたと一緒にお風呂…… 記憶が飛んでるわ。と言うわけで、こなたっ、お風呂に入るわよっ」
「私も一緒に入る〜」
「では、私も…だばだば」
「いや、みゆきは遠慮してくれ」
(私の意見が入る余地は無いのかな?さてと、ダンボールっと)
『これなんやー』じゃなくて『これなんだー』じゃない?
35 :
久留里:2008/01/09(水) 23:20:09 ID:FebRDn7J
>>8 激しくGJ!!
前半→「あーじれったいさっさと告れよお前ら」
後半→「ちょwwww糖尿病にさせる気かwwwwww」
最近の○○フェチウィルスはMacも対応しているから困る。
早速つかみゆフェチウィルスに感染したが、未だに復旧しないww
まぁ、いいか。
つかさでぃす、
最近、ゆきちゃんがとっても幸せなため、
お菓子作るときの甘味料と香料に困らんとです。
でもお菓子作ったあとは、甘味料と香料を
直接口移しされるとです。糖尿病が怖いとです。
つかさでぃす。つかさでぃす。
「でもよく見ると
>>1には"sageって入れるとスレッドが上がらない"とは書いてるけど
"sage推奨"的な事はひとつも書かれてない、てことに今気付いたんだってヴぁ」
「あんたね、sage推奨なんて大抵のスレでの常識でしょうが」
「いやいやかがみん。テンプレってのは初心者の為にこそあるのだよー」
遅ればせながら新スレおつです。
準備されている方がいなければ、投下いたします。
たしかsage強制ではなく推奨だったので今のテンプレになったと思うんだけど、
・投稿の際に、メール欄に半角英数でsageと入力すると、スレッドを上げずに書き込めます
『sage』では有効になりませんので、全角・半角を確認してください
↓
・投稿の際に、メール欄に半角英数でsageと入力してください。スレッドを上げずに書き込めます
『sage』では有効になりませんので、全角・半角を確認してください
くらいに変更したほうがいいんじゃないかな?と提案してみたり( ´∀`)b
42 :
23-251:2008/01/09(水) 23:40:51 ID:XqmZdDTx
「ガラスの壁」 第5話
こなた×ゆたか(かがみ、つかさ、名無しのモブキャラあり)(ゆたか視点)
注意事項
・続き物
・シリアス
5.
金曜日の昼休み、講堂で一緒にお弁当を食べ終わった後、私はいつものように
こなたお姉ちゃんに、キスをねだった。
しかし、お姉ちゃんは首を振って断って、
「いますぐ、退散するなら、ゆーちゃんに黙ってあげてもいいんだけどな」
と、誰もいないはずの舞台裏に向けて威嚇した。
誰かが覗いている!
とても怖くなって、お姉ちゃんの腕にしがみつく。
「怖い…… 怖いよ。おねえちゃん」
お姉ちゃんは表情を和らげると、頭を優しく撫でてくれる。
「出て行ったみたいだね」
「そ、そうなの? 」
「うん。ゆーちゃんは心配しなくても、大丈夫だから」
「う、うん」
ぬくもりを感じながら頷いたけど、一旦わきあがった不安は消えてくれない。
「一体、誰がこんなこと? 」
動揺を紛らわそうとした私の質問に、こなたお姉ちゃんは深刻そうな顔つきを
隠すことなく言った。
「よく…… わからない」
「そっか」
お姉ちゃんを、困らせる気持ちは全くなかったから、敢えて問い詰めなかった。
私の知っている誰かだとは思う。
でも、そんな嫌な事をするなんて信じられないし、信じたくもなかった。
44 :
23-251:2008/01/09(水) 23:53:38 ID:/QxU00/3
急に書き込みができなくなったので、wikiにいれます。
またか、残念
運営もっと頑張れよ
「あらら?人多杉?それとも規制?(=ω=.)」
「一体どうしちゃったの?」
「とりあえず、Wikiに入れてくださるとのことですけど・・・」
「よし・・・一時封印完了・・・ゆたかは・・・誰にも奪わせない・・・」
「み・な・み・ちゃん?」
「ぞくっ・・・ゆ・・・ゆたかっ!?」
「この・・・物々しい祈祷グッズの数々・・・まさか・・・書き込めないように?」
「・・・・(青ざめ)・・・」
「これは、しばらく調教ストップだねみなみちゃん(黒笑)」
「・・・そんな・・・ゆたか・・・ごめん・・・おねがい・・・(涙目)」
「だめだめ・・・こんなわるいこのみなみちゃんなんか、しーらない(さらに黒笑)」
「・・・・くぁwせdrftgyふじこlp;(謝罪と懇願の高速言語、涙目含む)」
↓wiki見た二人
「
>>44、とりあえずGJっていっておいてあげるんだからねっ!」
「涙目になりながら必至で取り繕うかがみん萌え」
「やかましいっ!」
「いよいよえろっぺにつながる展開になってきましたよっ!
ゆうちゃんのいじめられっぷりと、かがみんのいじめっこぶりがね、もうね・・・www」
「ううううう〜〜〜〜;;;;」
47 :
23-251:2008/01/10(木) 00:10:27 ID:zRPxQbuK
48 :
久留里:2008/01/10(木) 00:17:25 ID:uzXXgWtu
>>47 プロバイダによるの鴨。
うちはYahoo!BBのADSLでしょっちゅう規制喰らうんだけど、最近は妙に順調なのでこの後が恐い。
そして激しくGJ!
つかさをどうやって本州に移動させるか考えつつ、貴方の作品の続きを全裸待機しております。
>>33 みゆきさんがお風呂に入ると……ほーら、有馬の金泉のできあがり。(げー
>>34 こなたが大阪弁を使ったのは、
「あかん!ツンデレはツインテールが基本なんやー!」
のほうだと、お、お、思うんだな。
>>47 乙ですー。
しかし……2つめから連投できないって、いくらなんでも変な気がしますね。
もしかしたら、60秒規制から180秒規制に変更されている、なんて可能性もあるかも。
50 :
32:2008/01/10(木) 00:29:50 ID:suQyzvZN
「とりあえず
>>32は腹を切って死ぬべきね」
(´・ω・`)ゴメンナサイ
「そしてこなたは私と一緒にお風呂ね」
「え・・・え?え!?」
「こなちゃんのケの処理きになるー☆」
「目の色ちがうよつかさ・・・」
「また石鹸でいたずらしてください、いやむしろ体全体を悪戯しtだばだば」
「ていうか定番をもう逸脱してるし!今は夏じゃないし!」
夏の定番、冬の番狂わせ、というわけか。
控え室スレに規制についての書き込みがあったけど、どうも再現できないようで……
SETTIN.TXTも弄られてないようだし、原因は不明のままみたい
携帯などの別回線持ってない書き手さんがもし途中で投下できなくなった場合は
避難所に連絡を入れることをオススメします
「わぁ〜大浴場広いねぇ♪」
「お持ち帰りやぁああぁあぁあぁぁあぁあああぁぁぁああああ!!」
「おぉ? ジャックハンマーをお湯に沈めて上に腰掛けると丁度いい高さになるねぇ。お姉さんびっくりだ」
「……」
「こなちゃーん走ったら危ないよ。……お姉ちゃん大丈夫?」
「っとぉ、危うく人として袖が触れてしまうところだったわ」
「あら? この大浴場にはワイン風呂までついているんですね。素敵です。泉さんと一緒に入りたいです」
「あんたの鼻血だ。そんなことよりも、この石鹸でこなたを転ばせたいわね」
「お姉ちゃん。こなちゃんを傷つけるつもりならいくらお姉ちゃんでも、1時間ヘチマタワシで体を洗ってもらうよ?」
「怖っ……いや、ちゃんと理由があるのよ? ほら、うまくいくとこなたが気絶するでしょ? それを看病するふりをして」
「くんずほぐれつ!? 流石お姉ちゃん♪ 早く一面に敷き詰めようよ!!」
「その敷き詰めた上に、ボディーソープを絨毯爆撃しよう。お姉さんも手伝っちゃうよ♪」
「お持ち帰りやぁあぁああぁあああぁぁあぁぁぁああぁあああぁああああ!!」
「ワインの量が凄まじいですね。いったいどこから出てるのでしょうか」
「あんたの鼻からだ。 リンスをトゥギャザーさせるとなおいいわね。それじゃあ作戦開始よ!!」
「私先あがるねぇ〜。長湯しちゃ駄目だよみんな」
「「「「「なんということだ」」」」」
みなみんの顔文字が作れそうで作れない(´・ω・`)
新スレ乙ー
>>1&投下しまくりの職人の皆様乙でつー。
って事で相変わらずスレの流れ速いなーここ。
なわけで過去ログで久留里さんが投下したカメラネタSSの後日談的なモノを鉄道シリーズと並行して
チョコチョコと書き進めておりますがいやー風邪引いた事もあってなかなか筆が進まんのですorz
そして方程式をよくよく見てみたらそうじろうさんのレンズは確かにAF-S VR70-200/2.8Gのグレーだったなァ・・・・・・
(しかしニッコールGはF4やF90系、401系及び601系以外のF-x01系やMF機ではまともに運用出来ない罠)
(´-`).。oO(どーでもいいけど次回投下する時からコテ名乗ろうかしら……)
>>53 こんな状況でヘタにいぬがみけっなんかやろうものなら、
生足ハァハァ'`ァ(*´Д`) '`ァとかいわれるんだろな・・・
ていうかそもそも、寝込みを簡単に襲われる、どうしよう、
3人と同部屋は確実、また寒空にダンボールか(´・ω・`)
そうだ!いい考えがある!
すけきよですっ!グーグー
「う・・・この顔生理的にうけつけないよぉ・・・」
「だめ・・・はがそうにも気持ち悪くて近づけない・・・」
「(鼻血がひいてまともになっている)スヤスヤ」
>>55 拙作で良ければ大いにネタを使って下さい。
使いようが無いほどしょうない作品ばかりですが……orz
401系と聞いて即座に常磐線の旧型車両を思い出した漏れは鉄ヲタであり、元常磐線ユーザ。
>>47 続ききたー。
この名無し娘の群れがみゆきさんの傀儡…もといみゆきさんを慕ってたって子たちかな。
となるとこの時点でみゆきさんが裏でいろいろやってたことになるね。
かがみも怖いヨ…でもGJ!
>>8 亀レスですが、GJです!
今、つかみゆ本描いてる途中だったので非常にテンションが上がりました。
進行やばいけど、意地でも完成させねば。
>>59 コミトレ辺りに向けてですかね?
製作頑張ってください。
自分もそろそろ何か書きたいなあ。
最近音ばっか弄ってるし、そろそろ何かやりたいところ。
フウ・・・最近のみゆきさんはつか☆フェチか・・・
あの鼻血の矛先が、つかさに回るようになるんだね・・・
つかさもどうやらまんざらじゃないみたいだし、
あの二人、確かに相性はバッチリみたいだしね・・・
これで少しは、負担が減るかな・・・
さて・・・残るは・・・
「フシュ〜こなたぁ・・・どぉこぉ・・・・」
鼻血とバルサミコ酢との三すくみ状態から開放され、
只今目下暴走中のコレだよね・・・・。
しかも最近、思うようにこなかがしてもらえない鬱積も手伝って、
今やそのフェチっぷりだけで、人類滅亡(ドリフBGM)って勢い。
ダンボールも無効になりつつある。
だって今のかがみの五感って、私しか見えず、私しか感じず、
私しか嗅げない状態っぽいから。他がみんな透けて見えるみたい・・・。
「この・・・ダンボールの中ね・・・フシュー・・・」
ヒイイイイイイイイイイイイイイイイイイイモオダメラアアアアアアアア
ブチン
貴様の血はなにいr(ここでこなたの記憶が途切れている
ゆきつかもガラスの壁もグッジョブ!
あまりの甘さに胸焼けするかと思った(幸せ的な意味で)w
ガラスの壁も相変わらずその人を引き込んでいく技法がズルいw
こなた×チョココロネ
かがみ×モナカ
みゆき×おもち
つかさ×うにょーん
ところで俺のチョココロネを見てくれ。こいつをどう思う?
>63
なんか同人でそんなネタがあった希ガス。
だが忘れてもらっては困る。
真の鼻血みゆきさんは、こなフェチだということを
いや
つかフェチである
なぜなら俺がみゆつかに目覚めたからだ
こなた×チョココロネってのはみたことないな。
こなたがチョココロネを♂装着してかがみと×××・・・なら
有名な同人誌があるがw
そこでチョココロネ×こなたですよ。
73 :
7-896:2008/01/10(木) 12:32:00 ID:WOTkr5sd
ふむ……どうやら最近、固定カップリングが決まり始めてきて
こな☆フェチ(全×こな)も流石に限界(衰退的な意味で)が近づいてきたかもですね。
ネタも浮かばなくなってきたし、そろそろ新しい作品に乗り換える時期かもしれませぬ。
といっても別作品がぜんぜん書き進まないのですが(´・ω・`)
速筆のコツとかあるのでしょうか……
教えてぶーわさn(ry
>>72 なるほど、コロネが攻めですか……想像できませんw
>>73 えと……派生作品はよかですか?
てか、シリーズとして地道に続けてほしいと思っている、俺ほか一名。
>>73 こなフェチがなくなったら世界均衡(フェチ世界的な意味)が崩れる
てか、氏の作品の投稿がないからおとなしくなってるだけで、ぶっちゃけこなフェチ患者が1番多いと俺は思う。
何が言いたいのかというと
こなフェチをやめるということは、その患者を見殺しにするということ
そんなことがあんたにできるのか?
できないだろう
つまりあんたは書き続けるしかないのだよ!!
76 :
26-215:2008/01/10(木) 13:03:57 ID:9gpc7qGh
明けましておめでとうございます。
お久しぶりです、26-215であります。
もう明けましておめでとう、って時期じゃないですが新年1発目なので^^;
特に投下予定の方がいなければ投下しようと思います。
今回のは会話だらけで些か読み難いかと思いますがご容赦のほどを……
『二人よりも、三人よりも』
・4レス使用予定
・単発
・カップリング無し
※他の投下予定者が5分ほど誰もいなければ投下開始します
終業式も終わり、あまり嬉しくもないクリスマスプレゼントをもらって些か凹み気味だったこなたはいつものようにかがみ達と帰路を共にしていた。
4人でお喋りをしながらバス停で待っていると、ふと思い出したようにつかさが口を開いた。
「そう言えばこなちゃん。去年の冬休み明けの話なんだけど、パスタとかピザとかおうちで作るんだよね?」
「そーだよ。今年もそろそろ引っ張り出して洗わないとなー。んでも、それがどうかしたの?」
「あのね。よかったら見せてもらいたいな〜、なんて。ダメかな?」
「全然おっけーだよ。いつ来る?あ、でも年内は忙しいかな?」
「うーん、どうだろ。うちの手伝いもあるし……」
「ま、ご近所への挨拶とか神社関係の連絡なんかはお父さん達がやるだろうけどね。でもうちの神社の年末年始の手伝いはしなきゃいけないからいつでもって訳にはいかないんじゃない?」
「って言うか、私も年末は忙しいんだけどね。大掃除とかお祭りもあるし。」
「それなら先に言いなさいよ!」
「まぁまぁ。じゃあ年明けの方がいいね。そうだ、みゆきさんもどう?」
「私は構いませんよ。私もどういう風に作るのか興味ありますし。」
「で、かがみは……一緒に作ってみる?それとも食べる専門かなー?」
「あ、いいね。お姉ちゃんも一緒にやろうよ。みんなでやったらきっと楽しいよ?」
「つ、つかさがそう言うならやってもいいけど……って、二人とも少しは受験生の自覚はあるのか?この時期はそんな事やってる余裕はあまりないでしょうに。」
「ふ〜ん。じゃあかがみは来ないんだ?せっかく思い出作りになると思ったのに……そうだよね、受験勉強があるんじゃ仕方ないよ。無理言ってゴメン。」
「だ、誰も行かないなんて言ってないでしょ!たまには息抜きも必要だし。ただ自覚を持ちなさいって言ってるだけよ!私も行くわよ。す、少しは興味もあるし……」
「相変わらずのツンデレだねぇ、かがみんや?まぁ私はともかくつかさの場合は勉強の一環だと思うけど?調理師目指すなら、色々見たいだろうしね。」
「わ、わかってるわよ、そんなの!それとツンデレゆーな!」
「お、お姉ちゃん。周りのみんなが見てるってば。」
「ふふっ。泉さんはこう言ってますが、皆で集まるのが楽しみなんですよ。ね?」
「はぅ?あ、いや、それは、その……」
「こなちゃんもお姉ちゃんには素直じゃないよね。最初から一緒にやろうって言えばいいのにね。」
「つ、つかさまで!そんなんじゃないってばー!」
「なんだぁ?私にあれこれ言う割に、自分も人の事言えないじゃない。」
「むぅ、だからそんなんじゃないって言ってるじゃん!」
そんな風にいつものように騒ぎながら、結局4人とも新学期の始まる前の土曜に集まる事で話はまとまった。
日曜ではないのは、こなたが宿題の大掃除……写すとも言う、をしたいと言い出したからだ。ここでまた一騒ぎあったのは言うまでもない事で……
78 :
26-215:2008/01/10(木) 13:12:57 ID:9gpc7qGh
あれ?書き込めないです……
しばしお待ちを><
79 :
26-215:2008/01/10(木) 13:22:02 ID:9gpc7qGh
まとめwikiの方へ書き込んできます。
向こうへ書き込むのは初めてなのでうまく書けるかどうか……
test
80だが
いやすまん、よくわからん規制かなんかにやられたみたいで。最近多いな。
>>73 あの症状は治ったと思ってもなにかのきっかけで再発する、それが真の脅威なのではw
大陸電波に混じってこんな電波が。
・癒しキャラの座を掛けて、ゆるゆるまったり逝かせバトルを繰り広げる「つかさ×ゆたか」
・巨乳対決「ゆい×みゆき」
・夢の中で近親相k「かなた×こなt …ああっ!天罰下さないで(ノД`)
・たまにはあまえんぼ愛娘sと一緒にお風呂「みき×かがみ&つかさ」
・実は二人っきりだと相思相愛(?)な「チェリー×ひよりん」
・一方的に素敵なオモチャ「ゆかり×みなみ」
・もしも幼稚園で出会っていたら「3年生s」
・もしも有名映画の登場人物がらき☆すただったら
こなかがでロミオとジュリエットを書こうとして挫折した自分が通りますよ
「おおこなた!貴方はどうしてこなたなの!?」
「って、それ川柳?(=ω=.)」
もしかして、2ch側で狐がやってる
1 名前:FOX ★ 投稿日:2008/01/07(月) 04:50:19 ???0
容量つぶし連投あらしを撃退しようといろいろ改造しているです。
これが原因かな?
>>81 ネットが繋がらないらしいですよ 無駄に書き溜めてるにちがいない
無駄とかいうな
>>88 ごめん誉め言葉のつもりだった 吊ってくるわ
誰も準備していらっしゃらなければ
投下したいと思います
よろしいでしょうか?
91 :
28-538:2008/01/10(木) 17:06:52 ID:0yvvfPTN
では、投下をさせていただきます
二度目の投下になります
今回は7レスの予定です
・こなた視点
・かが×こな?
・非エロ
※オリキャラの描写有り(台詞なし)
駄目って人はスルーしてください
「おはよ〜」
「こなちゃん、おはよう」
今日から新学期。
いつものように、学校へ向かうバス停でかがみとつかさの姉妹と合流。
かがみの挨拶に元気が無いのは、また正月の間に体重でも増えたのかな。
「かがつか、おはよー」
いつもなら、すぐにかがみの突っ込みが入るはずなんだけど、下を向いたままだ。
「どったの、かがみ。また正月ぶt」
「こなたっ、みなまで言うなっ」
まさに、滝の様という形容がぴったりなほど涙を流しながら、私の肩を掴んで激しく揺するかがみ。
「毎年同じことを繰り返してるね〜」
もうここまでくると、風物詩と言って良いのかもしれない。
知り合ってから、三回目の三学期の初日。
三回とも、かがみは太ったと言って泣いている。
まあ、正月に限らずにいつもの事なんだけどね。
「で、つかさはどうなの?かがみと変わらない生活だったと思うんだけど」
「うん、わたしは変わってないよ」
今まで私の肩を揺すっていたかがみが、今度はつかさの肩を掴み揺すりだした。
「なんでつかさは太らないの。同じ食事だったし、ほとんど一緒にいたじゃない。ずるいよ〜」
「ずるいっ、て言わ、れてもー。お姉ちゃ、ん、お餅食、べるとき、いっつも私よ、り一個多く食べ、てたじゃない」
いい加減に肩を揺するの止めてあげなよ、かがみ。
つかさ、目が回っちゃってるよ。
かといって、今ちょっかい出すとまた私に戻ってきちゃうからなあ。
っと、ようやくバスが来たよ。助かったー。
「かがみ、つかさ、バスが来たよー」
私は一足先にバスに乗り込むと、一番後ろの席を確保して二人に手招きする。
「ねえ、かがみ。どうしてそこまで体重を気にしてるの?」
確かに、乙女にとっては大事なことなんだろうけど、かがみは気にしすぎだよ。
「だって、体重差が大きいと……」
頬を朱に染めながら、なにやら恥ずかしそうに俯いてしまった。
最後のほうは、声が小さくなって聞き取れなかった。
「お、かがみ。想い人でも出来たのかな〜」
「ちっ、違うわよっ」
狭いバスの中では十分に大きすぎる声。多分運転手さんまで聞こえただろうね。
「かがみ、ここバスの中だよ。そんなに大きな声はどうかと思うんですが」
周りを見ると乗客の何人かが、何事かとこっちを見ている。
かがみもそれに気が付いたみたいで、また俯いてしまった。
「ところでつかさ。お餅食べるときにうにょ〜んってやった?」
「うん。今年のお餅は良く伸びたよ。うにょ〜〜〜んって感じで」
ジェスチャーをしながら楽しそうに話すつかさ。
うん、これは萌えるね。
「こなちゃんはやったの。お餅うにょ〜ん」
くっ、不覚。
同じようなジェスチャーなのに、また萌えてしまった。
でも、その横で俯いたままのかがみ。まだ「体重が…」って繰り返してるよ。
学校に着いても、かがみはどんよりとした雲でも纏っている様な感じだよ。
「かがみ、お昼待ってるからねー」
返事が無い。ただの屍のようだ。
こっちの声も聞こえてないみたいだねー。
かがみと別れて教室に入ると、笑顔のみゆきさんが挨拶してきた。
「皆さん、おはようございます」
「みゆきさん、おはよー。相変わらず早いね」
「あ、ゆきちゃん。おはよう」
みゆきさんに挨拶してる間に、かがみは周りを寄せ付けない雰囲気で廊下を歩いていった。
なんか、ホラー映画のゾンビみたいだよ。
「あの、かがみさんはどうなさったんでしょうか。すごく落ち込んでいるようですけど」
「あ〜、毎年恒例の体重増えたー、だよ。きっと昼休みにはいつもの調子に戻ってるよ」
「だと良いんだけど。朝、お姉ちゃんにお弁当渡そうとしたら、いらないって。一応私が持ってきたんだけど」
なんですとっ。今までなら、お菓子の量を減らすくらいしかして無いのに、お弁当を抜くつもりですか。
これは、今までより重症ですな。
ってことは、やっぱり男がらみか。それなら、このこなたさんが人肌…… もとい、一肌脱いであげましょう。
正月に会った時にはそんな感じ全然無かったから、何かあったとすればその後か。
「ねえ、つかさ。正月からこっち、かがみが変になったのっていつくらい?」
「えっ。変になったのって言われても。今日の朝、体重計に乗った後じゃないかな」
むう、つかさが気付かなかったってことは、かなり巧妙に隠してるね。
「じゃあさ、冬休み中にかがみが一人で出かけた事ってあるかな」
矢継ぎ早につかさに質問を浴びせる。情報は少しでも多いほうが良い。
「あの、泉さん。どうされたんですか」
「いや、今までのかがみと違うからさ。原因を突き止めて、解決するために協力できないかな、と思ったんだよ」
みゆきさんは、そうでしょうか、といった感じで小首をかしげる。
「こなちゃん。お姉ちゃんが一人で出かけたのは、こなちゃんのとこへ行ったときだけだと思う」
ってことはかがみの想い人は私か……
なんて、阿保なこと考えてたら予鈴が鳴った。
「しかたない。続きはまた後で考えよう」
二人はどうしたものかと顔を見合わせた後、私のほうを見て頷いてくれた。
ただ、二人が顔を見合わせたとき、二人とも一瞬あきれたような顔をした気がする。
「みんなおはようさんっ。正月は楽しんだかっ」
本鈴と同時に教室の扉が勢いよく開かれ、黒井先生が現れた。
これも新学期の風物詩だよねー。
一限目が終わり、わずかな休憩時間。
みゆきさんとつかさを呼んで、朝の続きを始める。
「ねえ、私は男がらみだと思うんだけど、みゆきさんはどう思う?」
乙女が体重を気にして食事を制限するのは、男がらみ以外では考えられないんだよね。
「そうですね。例えば、お気に入りの洋服を着てみたら、ちょっと苦しいときなんかも結構ショックですよね」
そんなもんですか?
小学生の頃の服が今でも着れるからその感覚は分かんない。
と言うわけで却下。
「つかさは?」
「うーん。男の人がどうのってことは無いと思う。家では普通だったし、お姉ちゃんそういうの隠すの苦手だから」
確かに、かがみは隠し事が苦手だ。
その大半は、すぐ近くにいるつかさと言う爆弾が暴発してるんだけどね。
「じゃあ、他に思い当たることある?」
つかさはうんうん唸って考えてるみたいだけど、何も出てこないなこれは。
つかさが知らないってことは、かがみめ、よほど巧妙に隠してるな。
それでこそ私の嫁…… もとい、好敵手。
結局、何も分からないまま午前中が終わったため、昼休みに直接聞いてみることになった。
つまらん。それでは影ながら応援すると言う、私の野望が果たせないではないかっ。
すみません。嘘です。
かがみをからかうネタが欲しいだけです。ツンデレが見たいんです。
からかったときのかがみは、すっごくかわいいんだよ。萌えるんだよっ。
「お姉ちゃん、来ないね」
「そうですね。もう来てもいいと思うんですけど」
昼休み、いつもなら来てるはずの時間になっても、かがみが来ない。
「私、ちょっと呼びに行ってくるね」
言うが早いか、私は立ち上がり教室を出て行く。
「よろしくお願いします」
「じゃあ、待ってるね」
かがみのクラスの教室を覗いてみるけど、ツインテールが見当たらない。
「おっす、ちびっ子ー。どうしたー」
「あら、泉ちゃん。柊ちゃんなら出て行ったわよ」
「こっちに来て無いんだよね。どこ行ったか知らない?」
おかしい。昼休みにかがみが、何も言わずにどっかに行くなんて。
やっぱり、これは男関係で間違いない。
「おーい誰か、柊がどこ行ったかしらねーかー」
みさきちがクラスメイトに声を掛けると、中庭のほうで見たという目撃情報がもたらされた。
む、屋上ではなく中庭か。
この時期、屋上で告白というベタな展開と思わせといて、人通りも結構多い、それゆえに目立たない中庭とは。
私は急いで教室に戻ると、みゆきさんとつかさに声を掛けて、中庭へと走った。
中庭に着くと、すぐにかがみのツインテールを見つけた。
隅のほうで誰かと話してる顔は、朝の落ち込んでる顔の印象が残ってるせいか、とても楽しそうに見えた。
なんか悔しい。あの笑顔は私が取り戻すはずだったのにっ。
あれ?私はかがみのツンデレを楽しみにしてたんじゃなかったっけ。
まあいいや、同じようなもんだし。
すぐに二人も追いついてきて、かがみに見つからない様に物陰から覗いている。
「あれは、かがみさんと同じクラスの方ですね。確か、副委員長をなさってる方です」
なるほど。普段から一緒に行動する機会が多い二人。
いつしか、お互いを気にするようになる。
しかし、一緒に行動することが多いがゆえに、告白に踏み切れない二人。
……もう考えるの飽きちゃった。
なんか胸がもやもやするし、ぜんぜん楽しくないや。
これ以上見てても、気分が悪くなるだけだよ。
「私、先に戻ってるね」
かがみに彼氏ができたって、私たちの関係が終わるわけじゃないよ。
でも、かがみが変わっちゃって、今まで通りじゃなくなっちゃうかな。
それは嫌だな。
教室に向かう廊下を歩いていると、後からみゆきさんとつかさが追いついてきた。
「泉さん。どうされたんですか」
「こなちゃん。顔色が良くないよ」
「ん、大丈夫だよ。それよりさ、お昼食べようよ」
大丈夫だよ、私が変わらなければ。
きっと、今まで通りにやっていけるよね。
私たちがお昼を食べ始めようとしたとき、かがみが教室に入ってきた。
「おーっす、来たわよー。つかさ、やっぱりお弁当食べるわ」
そういうと、かがみはいつもの場所を陣取って席に着く。
「はい、お姉ちゃん」
「ごめん、待たせちゃったみたいね。こなた、どうしたの?浮かない顔して」
原因はかがみなんだけど……
でも、言うわけにはいかないよ。
かがみに彼氏ができたのが、なんかよく分かんないけど嫌だなんて。
「ん、なんでもないよ。ちょっと体調が悪いみたいだけど」
「そ、気をつけなさいよ。インフルエンザも流行ってるみたいだし」
かがみはいつもと変わらなかった。普通におしゃべりして、普通に食べて。
でも、私は食欲もおしゃべりに加わる元気もなかった。
食事が終わっておしゃべりも一息ついたとき、かがみが「お願いがあるんだけど」とつかさに話を切り出した。。
「今度時間あるときで良いんだけど、二年生の娘にお菓子作り教えてあげてくれないかな」
「え、いいけど。なんで?」
「それがさ、委員長会議とかで何回か会った事ある子なんだけど、彼氏ができたらしいのよ。
で、バレンタインまでに簡単なものでいいから、自分で作れるようになりたいんだって」
「それって、かがみのことじゃないの?」
思わず言葉が飛び出した。
かがみはきっと、真っ赤になりながら大きな声で否定するだろう。
もしかしたら、テレながら肯定するんだろうか。
「えっ、違うわよ。突然何よ?」
「いや、だって……」
あれ?なんで、いたって平静なの。
「なに、こなたらしくないわね。言いたいことがあるなら、はっきり言いなさいよ」
私が黙っていると、みゆきさんとつかさが朝からさっきまでのことを話し出した。
二人は私をちらちら見ながら話してた。気まずくて、その場から逃げだしたかった。
そして、中庭でのことを話し終わる。
「あー、あれ。うちのクラスの副委員長で、その二年の娘のお兄さん。みゆきは知ってるわよね」
さほど気にした様子も無く話を続けるかがみに、嘘をついてる雰囲気はまるで無い。
「はい。仲の良い兄妹ですよね」
「でさ、つかさと峰岸の料理の腕って結構有名なのよ。他の学年でも噂になってるんだから。
それで、妹さんに頼まれて私に相談してきたわけよ」
「でも、なんでかがみに頼むの?峰岸さんは同じクラスじゃん」
「友達から頼んでもらったほうが、受けてもらいやすいからでしょ。
それに、峰岸のそばにはいつも日下部がいるじゃない。近寄り辛いんだって。
あと、そいつには彼女いるわよ。こっちのクラスの娘なんだけど、知らないの?」
私はみゆきさんとつかさを見ると、二人ともあわてて首を振る。
なんか不自然な感じがするのは気のせいかな。
ま、みんなそういう話には疎いよね。私を含めて……
「で、こなたは私に彼氏ができたと勘違いして、不貞腐れてたということで良いのかな?」
いつものお返しとばかりに、ちょっとにやけた顔で私を見つめてくる。
確かに、さっきの話を聞いて胸のもやもやが消えたよ。
私の中のかがみの存在って、こんなに大きかったんだ。
「そだよー、いつも言ってるじゃん。かがみは私の嫁ってさ。私が面倒見てあげるよ」
できるだけ普段と変わらないように、いかにも冗談ですっ、て感じで返す。
でも、そうなると振り出しに戻ったわけで、疑問が残ったまま。
「えっと、じゃあ、朝言ってた『体重差が』って何のこと?それに、お昼を抜いてまでダイエットしようとしてたのは?」
さっきまでとは違い、少し赤くなりながら小さな声で話し出すかがみ。
「あっ、あれは、正月にあんたの家に行ったときのことよ」
確かに三が日の巫女の仕事が終わってから、かがみは一人でうちに来たよ。
ゲームしたり、本を読んだり。そうそう、宿題写させてもらったりしたけど、別に何も無かったはずだよ。
「え、なんかあったっけ?」
「本読んでるときに、ベッドに座ってたあんたの隣に座ったでしょ」
えっと、最初はゲームしてたんだけど、ちょっと休憩ってことになって、私がベッドに座って本を読み出したんだ。
かがみも適当に座って本を読んでて。
しばらくして、読み終わったからって次の巻を探しだして。
そう、ベッドの枕元に置いてあるよって言ったら、本をとって私の横に座ったんだ。
「ん〜」
「ちょっ、本当に覚えてないの。
隣に座ったら、あんたが私のほうに倒れてきて『かがみ、重たくなった?』って言ったじゃない。
そんなに体重差があるのが気になって、恥ずかしくて、すごく太ってたらどうしようって考えてたのよ」
思い出したよ。かがみが隣に座ったら、なんとなく寄りかかりたくなっちゃって。
何も言わないと恥ずかしいから、いつもみたいにからかっちゃったんだ。
「あ〜、あったね〜。でも、つかさ情報によると体重計に乗って落ち込んだのは今日だよね」
「怖くて計ってなかったのよっ。でも、学校が始まるから覚悟を決めて計ってみたら二キロも増えてたのよ〜」
朝と同じように、滝の様な涙を流しながらこっちを見るかがみ。
「でもさ、私との体重差っていっても、身長が十五センチ以上違うんだよ?」
「いや、ほらさ、なんかあった時に体重差があるとさ大変じゃないかな〜とか――」
なんかあった時ってなんですか?
意味の分からないことをぼそぼそと言って、ちらちらと私を見てるのはなぜ?
何か引っかかる。一つずつ考えることにしよう。
かがみは体重が増えたのを気にしている。
そしてその原因は、私の家での出来事だ。
その時かがみが気にしたのは、私との体重差。
それを少しでも、減らすためにいつもより厳しいダイエットをしようとした。
それを実行できなかったことについては、今は関係ないだろう。
重要なのは、私とかがみの身長差が十五センチ以上あるのに体重を比較したこと。
そして、今のかがみの態度。
そう、そこから導かれるのは――
かがみの想い人は私か……
あれ?
「こなた、さっき私はあんたの嫁。面倒見てくれるって言ったわよね」
かがみが顔を真っ赤にして、私の目を見つめてる。
「いや、あれは、その、なんといい――」
再びの問いかけに言葉をさえぎられる。
「言ったわよね」
今度は瞳を潤ませながら、さっきより近づいてる。
いや、私はリアルで同姓趣味無いはずなんだけど、かがみの迫力と可愛さに負けて頷いちゃったよ。
「じゃあ、今から私はこなたの嫁っ」
かがみに思いっきり抱きしめられた。
その時、みゆきさんとつかさの姿が目に入った。
みゆきさんは「おめでとう。かがみさん」と書かれた小さな旗と、クラッカーを持って鳴らす準備をしている。
つかさは三段重ねのケーキに「お姉ちゃん&こなちゃん おめでとう」とデコレーションを施していた。
いったいどこから持ってきたんだろう。
そういえばさっきから姿が見えなかったけど……
もしかして、二人ともかがみの気持ちを知ってた?
あれ〜〜…… あるぇ〜〜〜〜〜〜〜?
99 :
28-538:2008/01/10(木) 17:19:34 ID:0yvvfPTN
以上です
こなたが変な方向に走っていってますって、注意書き入れるの忘れました
どうもすみません…orz
前回は1レスの作品?だったので、少し長めの作品をと思ったのですが難しいです
もっと精進せねば
では、レスをつかわさせて頂きありがとうございました
>99
こなたがニブいのってなんか新鮮
>>79 日常の一コマ、よかったです!
そしてつくづくそうじろうは勝ち組だなと。
>>99 こなたもかがみもかわいくてGJ!
なんか久々に天然系のこなたを見た気がします。
>>99 かわいいわw 微笑ましくてニヤニヤが止まらないw
ところで書き込めない人がやたらいるみたいですね・・・どうしたんだろう?
>>79 ていうか、ここまで日常に徹し、本来のらき☆すたしてる作品も珍しい。
ほのぼのとにやにやとさせてもらいました(・∀・)b
>>99 知らぬはこなたばかりなり、かw
天然気味のこなたと、そんなこなたに必死なかがみに思わず萌えたwww
さりげに2人がこな×かがフェチ気味なのがまたいいwwww
104 :
103:2008/01/10(木) 20:17:03 ID:suQyzvZN
「あ、最後の行の2人ってのは、あとの2人、
つまりつかさとみゆきさんのことだからね(=ω=.)b」
「いや・・・わざわざ注釈に1レス使わんでいいから」
「でもbig-serverには凄く自信があるみたいよ」
『切り替えは数ミリ秒で完了する。この切り替えを成功させるために、
われわれは半年に渡って入念な準備を進めてきた。
と自信あふれるコメントを弊社に寄せていますが、同時に
もし何かトラブルがあっても12時間以内に復旧させる体制で切り替えに挑む。
と、いざという場合の万全のエクスキューズも忘れずに表明しています。』
ttp://www.maido3.com/server/news/20080108.html
107 :
23-251:2008/01/10(木) 23:19:23 ID:zRPxQbuK
>99
GJ!
まったり、ほのぼのとしていて、とても「らき☆すた」らしいですね。
うっかりもののこなたも、あまあまなかがみも新鮮でした。
昨日はぐたぐたな流れだったので、改めて読んでくれた人に感謝。
スランプで続きが書けないかとおもったのは内緒です。
前スレの>501氏へ。
wikiはとりあえずこのままにします。この先どうなるか分からないので。
108 :
28-538:2008/01/10(木) 23:36:45 ID:pvjR+R6c
>>100-103 まず、読んでくれてありがとうございます
今回は、前回よりも長めのを書きたかったんで、自分の中にあるこなたのイメージをそのまま出しました
私の中でのこなたは、自分に関係ないと思ってることに関してはまったく無視してる感じなんですよね
あと、無駄に何かを演じたがる感じかなあ
最後のみゆきとつかさに関しては、こな☆フェチに思いっきり影響されていますw
大好きなんですよ、こな☆フェチ(やめないでほしいです
一応、抑え気味にしたつもりです(最初書いたのはもっとぶっ飛んでた
ちなみに、
>>31,33も自分だったりします(コンナコトバクロシテドウスル
小ネタは勢いで書いてるんですけど、SSとなると難しいです……
まだまだ、愛が足りないっ!
あと、wikiで投票してくださった方へ
ありがとうございます(間違って投票してたら泣きますがw
すごく励みになりました
また、読んでいただけるよう頑張ります
「SS書き込んだときのIDが、ペッタンなのに私が出ていない…」
「そうだよね。胸ペッタンガールズなのに」
「いや、ほらっ、最近私はゆーちゃんにかかりっきりだったからね」
「そう…、泉先輩は私からゆたかを奪うの…」
「みなみちゃん、私はみなみちゃんが一番だよ。でも、役者としてのことも考えてよ」
「あー、ゆーちゃんは役者として私のほうを見てるだけなんだ(=凵=D)」
「はうっ(どうしよう、どうしよぅ)」
「ほらっ、私がこなたを一番愛してるってわかったでしょ」
「いえ、私のほうが(だばだば)」
「ねえ、ゆきちゃんは私のものだよね?」
って、こんな感じ(どんな感じだよっ)でそのスレを楽しませていただいてます
では、今後もよろしくお願いいたします
書いてる間に
>>107が
ありがとうございます
「Elope」楽しませていただきました
本当に駆け出しですが、楽しんでいただけたなら嬉しいです
情景や状況の描写が駄目駄目なんで、勉強させていただいてます
これからも、頑張ってください
109 :
108:2008/01/10(木) 23:43:08 ID:pvjR+R6c
呑みながら書いたら駄目だよ俺
>そのスレを楽しませていただいてます
このスレを楽しませていただいてます
>情景や状況の描写が駄目駄目なんで
は自分のことです…orz
誤解させたら、ごめんなさいっ
たしかにこなたは周りの出来事には騒ぐけど、自分のことには無関心・鈍感なイメージあるなぁ
俺の超個人的な意見だけど
>>110 俺もそれ同感です。
プラス、人の微妙な変化には結構敏感って感じしますね。(修学旅行のかがみの件とか)
さて胃腸炎も治ってきたし、そろそろ俺もSS仕上げなきゃなぁ…orz
112 :
103:2008/01/11(金) 00:58:28 ID:ooKQWSDC
「あ・・・つっこまn・・・・」が異様に可愛かったのを覚えている。
113 :
ちり紙:2008/01/11(金) 01:21:39 ID:gzJJcTmx
おひさしぶりのSSです。
いずみけのこなた母さんの若い頃の話です。
一応ここはエロパロスレなので、今回はエロを書いて見ました。
こなた×彼氏(ゲーム版プレイヤーキャラ)です。
彼氏はポピュラーなギャルゲー主人公風にしてあります。
野郎との絡みを見たくない人はスルー推奨です。
あまりエロくないかもしれませんが。
114 :
ずっと一緒に:2008/01/11(金) 01:22:51 ID:gzJJcTmx
――季節は5月。
陵桜学園を卒業して、同じ大学に進学した俺と、恋人の泉こなた。
こなたとは高校3年の秋に、俺が転校した先の高校で出会った。
転校した当時、陵桜学園は桜藤祭と言う文化祭の準備で賑わっていた。
こなたと出会い、色々な出来事が起こった。
それはもう、とても一言では語れない位に。
……まあ、紆余曲折あって、俺とこなたは晴れて彼氏彼女になったのだ。
初めてふたりで迎えたGW、今日はこなたが大好きな秋葉原でデートだ。
「ねえ、○○君。アイス食べてかない?」
「ん? そうだな。食べていこうか」
「決まりだね。それじゃ早く並ぼうよ」
こなたが小さな手で俺の手を引いて、露天に向かって駆け出す。
「はいはい」
俺はまるで子供のような彼女に苦笑いしながら、手を引かれるままについていく。
「お兄さん! ダブルのコーンでチョコチップとストロベリーケーキね!」
前の客が注文を済ませてる間、キラキラと瞳を輝かながら、ガラスケースにへばりついて選んだアイスを注文するこなた。
「俺はダブルのコーンでバニラとオレンジシャーベット」
「二つで1160円になります」
「えっと……お金お金っと」
「いいよ。俺が出すから」
ポケットの中の財布を取り出そうとするこなたを静止して、予め出しておいた2000円札を店員に差し出す。
「ありがと」
こなたが笑顔で俺に礼を言う。
「840円のお釣りになります。お待たせしました」
店員がお釣りを俺に渡して、ふたつのアイスをこなたに手渡す。
「優しいお兄さんだね。お嬢ちゃん」
ピシッ。
何気なく店員が言った言葉にこなたが固まる。
べちゃべちゃっ。
こなたの手をすり抜けてアイスが地面に落ちる。
「……お兄さんじゃなくて、彼氏だもん」
腹の底から出した低い声で否定するこなた。
「……え゛っ。そ、それは失礼しました……」
ぷるぷると怒りに打ち震えるこなたの雰囲気に、店員は大きな汗を掻きながら謝罪する。
「あ、これでもこの子と俺、同い年なんで……」
険悪な雰囲気に耐え切れず、店員に一方的にそう告げると、俺はこなたを連れて露天を離れた。
115 :
ずっと一緒に:2008/01/11(金) 01:23:52 ID:gzJJcTmx
※
「まったく!! 失礼しちゃうよ!!」
二人で歩く道すがら、こなたはぷりぷりと頬を膨らませて、まだ先ほどの出来事を怒っていた。
「まあまあ。そんなに怒るなって」
「○○君は、彼女が侮辱されたっていうのに悔しくないの!?」
「いや、別に侮辱なんてされてないと思うんだけど……」
「………」
立ち止まってジト目で俺を睨むこなた。
「そ、そんなに気にするなって。こなたが小さくてかわいいから、知らない人から見たらそう見えるんだよ」
何とかこなたを宥めようとするが、こなたは俯いてぽつりと呟いた。
「……私、○○君の彼女なのに」
「……妹なんかじゃ、ないもん」
「……馬鹿だな。こなたは」
こなたの頭に優しく手を置いて語り掛ける。
「っ!? どうせ私は馬鹿だよっ!!」
俺の手を振り払い、怒鳴るこなた。その瞳は潤んでいて、泣き出す一歩手前だった。
俺はこなたを抱き寄せるとこなたの耳元に囁く。
「そうじゃないよ。他人の目なんかどうだっていいんだ。肝心なのは、俺がこなたの事をどれだけ大切に想ってるかって事だろ」
左腕でこなたを抱き寄せたまま、右手でこなたの頭を優しく撫でてやる。
「……うん」
俺の腕の中で、こなたがコクンと頷く。
我ながら、ずいぶんと恥ずかしいセリフを吐いたものだ。
ちょっと今は恥ずかしくて、こなたの顔を見られない。
こなたの顔が赤くなってるのに気づかない振りをして、俺はこなたを開放すると、こなたに顔を見られないようにすぐ、こなたの手
を取って駆け出す。
「……それじゃ、今度はどこ行こうか?」
「ゲーマーズ? アニメイト? こなたが行きたい所ならどこでもいいよ」
「どこでもいいよ!!」
「○○君と一緒なら、どこでも楽しいから!!」
こなたの元気な返事に、思わず頬が緩む。
俺達はお互いに笑顔で、目的地も決めないまま、街の中を駆け抜ける。
きっと、他人から見れば、俺達は仲の良い兄妹に見えるかもしれない。
けどそんな事関係ない。
俺がこなたの事を大切に想っていて。
こなたが俺の事を大切に想っていてくれれば。
他人の認識なんて関係ないんだ。
「好きだよ。こなた」
「私も○○君の事、大好きだよ」
天下の往来でお互いへの好意を口にして走る俺達は、傍から見たらバカップルなんだろうな。
でもそんなの関係ない!!
「うわ、ロリコンだ」
どこかの小学生が俺達を見てそう呟いたのが聞こえた……。
そういえば、こなたを宥めるのに必死で失念してた。ここは人が沢山いるじゃないか……。
きっと俺達のやり取りを見てた人達は、俺の事をロリペド野郎と思ったんだろうな……。
……でもそんなの関係ねぇ!!
でもそんなの関係ねぇんだ!!
そうさ、関係ねぇんだ……。
ロリコンはステータスだ!!
こなたの事を好きなのがロリコンだと言うのなら、ロリコンだっていいさ!!
ロリコンだっていいさ!!
ロリコンだっていいさ……。
116 :
ずっと一緒に:2008/01/11(金) 01:25:28 ID:gzJJcTmx
※
――翌日。
俺とこなたは原宿を歩いていた。
「どこでお茶しよっか」
俺の左腕に抱きついて歩くこなたが尋ねてくる。
「そうだな、どこがいいかな……」
GWという事もあり、周囲は人で一杯だ。
ふたりで適当な店を選びながら歩いていると、不意にこなたが立ち止まり、中に洋服がディスプレイされたショーウインドーをじっ
と見つめていた。
「その服が気になる?」
突然立ち止まったこなたに尋ねると、こなたは首を横に振る。
「……やっぱり、見えないかな」
「……え?」
こなたの呟きを聞き、こなたが見ている物を良く見てみる。
こなたが見ている物は、ショーウインドーに映った俺達ふたりの姿だった。
「こなた?」
「やっぱり、子供っぽすぎるかな……」
無意識に呟くこなた。
俺は落ち込んだ顔をしているこなたに気づかない振りをして声をかける。
「こなた。その服が気になるなら、中に入ろうか?」
俺の問いかけに、はっとした顔で振り向くこなた。
「……え? あ、えーと、ちょっと私には似合わないかなー」
そう言ってこなたは笑ってみせる。
……もう気にしてないかと思っていたんだが、思ったより根は深いようだ。
「そうか。それじゃ、よそに行こうか」
「うん。……あっ」
「どうしたの?」
「ごめん、ちょっと待って。……もしもし。うん、うん。もう、しょうがないねぇ」
携帯電話を取り出して誰かと話をするこなた。
やがて通話が終わると、こなたは申し訳なさそうに俺に告げる。
「ごめんね。バイトの子が急病で、今日だけどうしても人手が足りないんだって」
「そうか。それじゃ仕方ないな。バイト先まで送ろうか?」
「ありがと。でもまだ明るいし大丈夫だよ」
「そっか。それじゃ、気をつけてな」
「うん。バイバイ」
こなたはそう言って手を振りながら、駅の方へと走っていった。
「……こなた、やっぱり気にしてるんだな」
別に他人の認識なんて、どうでもいいと思うんだけどな。
「こなたもやっぱり女の子って事なのかな」
出来れば何とかしてやりたいが、流石にこなたの身長や外見をどうにかするのはムリだ。
「……うん? 外見?」
「おお!! その手があったか!!」
思わず拳で掌を打つ。
「……何がその手なの?」
「……うおっ!!」
不意に話しかけられ、思わず飛び上がる。
声の主のほうへと振り返ると、そこには高校の時の同級生で、こなたの親友の柊かがみが立っていた。
「久しぶり。元気そうね。今日はこなたと一緒じゃないの?」
117 :
ずっと一緒に:2008/01/11(金) 01:26:30 ID:gzJJcTmx
「あ、ああ。久しぶり。さっきまで一緒だったんだけど、こなたに急なバイトが入ってさ。今さっき別れたとこ」
「そうなんだ」
「そっちの大学はどう?」
「まあぼちぼちってとこかしら」
「ふーん」
「ところで、さっきのその手って何?」
「……こっちの近況じゃなくて、そっちを聞くんだ」
「だって、いつもこなたに電話で聞いてるもの」
「今日は○○君とどこに行った、何をしたとか、ノロケ話をね」
……どうやら、俺とこなたの付き合いは、こなた自身の手によって筒抜けらしい。
「えっと実は……」
こなたにノロケを聞かされてる彼女への申し訳なさと恥ずかしさもあって、彼女に先ほど思いついた事を全部話してしまった。
「なるほど。こなたが子供っぽい外見を気にしてるから、似合いそうで大人っぽく見えるアクセサリーでもプレゼントしようかと」
「うん。たしかあいつ、もうすぐ誕生日だしさ。本当はあいつの欲しがってたゲームソフトでもやろうかと思ったんだけど」
「……彼女の誕生日にゲームソフトって」
呆れた顔で俺を見る。
「そんなジト目で見ないでくれ。俺もそれはどうかなって思ってたんだから」
「まあ、プレゼントがそれでも、こなたならすごく喜ぶでしょうね」
肩をすくめて言う彼女。
「そうだろうな。でも折角のプレゼントだからクリアしたら終わりのゲームより、長く使ってもらえそうなのにしようかと」
「そのほうがいいわよ」
「だけど、ひとつ問題があるんだ」
「問題って?」
「俺のセンスで、果たしてこなたに似合う物を選べるのかって事」
「……良かったら、一緒に見てあげてもいいけど」
「本当か?」
「こんな事で嘘なんて言わないわよ。それにあたしもこなたへあげるプレゼント見ておきたいし」
「サンキュー。かがみん」
「かがみん言うな!!」
「いや、こなたがいつもそう呼んでるから」
「まったくもう。ほら、こなたへのプレゼント見に行くんでしょ」
「ああ」
こうして俺達はこなたへのプレゼントを探して、日が暮れるまであちこちの店をはしごしまくった。
「おかげで良い物が手に入ったよ。一緒に見てくれてありがとう」
こなたへのプレゼントをようやく買った時にはかなり暗くなっていた。
こんな時間まで付き合ってくれた彼女に、礼を言う。
「どういたしまして。こなた喜ぶといいわね」
「うん。早くこなたが喜ぶ顔が見たいよ」
「あー、お熱い事で」
そう言って笑う彼女と別れ、俺は駅へ向かった。
しばらく電車に揺られて、駅を出た俺は気分良く家への帰り道を歩く。
「……ん?」
ポツッポツッポツッ……。
ザアァァァァァ……。
「おいおい、折角気分がいいのにさ。なんで雨が降り出すかな」
苦労して選んだプレゼントを濡らさないように、懐に仕舞い込むと俺は帰り道を走り出した。
「はあはあ……。ちくしょう。どんどん雨が強くなってきたな」
懐のプレゼントを庇いながら、エヴァンゲリオンみたいな猫背で走る俺。
やっと我が家の玄関先が見えてくると、そこには、ずぶ濡れのこなたが立っていた……。
118 :
ずっと一緒に:2008/01/11(金) 01:28:14 ID:gzJJcTmx
※
「こなた!! こんな所で何してるんだよ!!」
「ああもう、ずぶ濡れじゃないか。ほら、とにかく中へ」
全身濡れ鼠のこなたの背中に手を回して、玄関の中へ向かおうとする。
「……○○君」
「私と別れてから、何してたの?」
ずっと俯いたままのこなたが、不意にそんな質問をしてきた。
「え? そんな事より早く中へ」
「答えてよ!!」
俺の言葉を遮り、こなたが悲痛な叫びを上げる。
何だ? 一体こなたに何があった?
「別に、ひとりでぶらついてただけだけど」
「嘘!!」
「いや、嘘って。こなた……一体どうしたんだよ。まるで駄々っ子みたいだぞ」
「どうせ私は子供だよ!!」
顔を上げて俺の顔を見つめるこなたは、泣いていた……。
「……バイトの帰りに見たんだよ」
「かがみと……仲良さそうに一緒にいる所……」
「え?」
どこで見られたんだろう。別に見られて困る事なんかしてないけど。
「……ねえ。やっぱり、かがみみたいな普通の女の子がいいの?」
「は?」
「……私、小さいし、オタクだし、一緒にいても面白くないよね」
「いや、すごく面白いけど」
「デートだっていっつも私の行きたい所ばっかで、本当は退屈なんだよね」
「いや、全然。退屈した事なんかないけど」
「本当はかがみと一緒に行ってた所なんかに行きたいんだよね」
「いや、俺はそういう趣味ないから。ああいう店の良さなんて判らないし」
「そんな嘘言わなくていいよ。私の事飽きちゃったんでしょ……」
「こなたみたいな面白い子、飽きる訳ないって」
「だったら!! なんでかがみと一緒にいたの!? あんなに楽しそうに!!」
「いや、単にその時の話題が盛り上がっただけだけど」
俺の言葉なんてまるで聞いてないのか、こなたは一人でどんどん鬱になる。
「……ひどいよ。好きって言ってくれたのに、裏切るなんて……」
「いや、別に裏切ってないし」
「……っ。ひっく……」
「ああもう。何も泣く事ないじゃないか」
「……だって」
「ほら、もう泣くなって」
俺は泣いてるこなたを抱き寄せる。
濡れた衣服越しに、こなたの暖かな体温と鼓動が伝わってくる。
「よしよし」
俺がこなたの頭を撫でてやると、こなたはすんすんと鼻を鳴らしながらギュッと俺の襟元を掴む。
「……嫌いに、ならないでぇ……」
「一生ならないよ」
俺はそう、こなたの耳元で囁いてから、懐のプレゼントをこなたの顔の前に差し出す。
「ハッピーバースデー。こなた。ちょっとばかし早いけど」
「……え?」
目の前のプレゼントを見て、こなたが呆けた顔をする。
「なんか誤解してるみたいだけどさ。こなたと別れた後たまたま行き会って、プレゼントを一緒に探してもらっただけだよ」
「俺のセンスじゃ、女の子へのプレゼントを上手く選べないからさ」
「え……そ、それじゃ……」
「そ。こなたの勘違い」
「………」
119 :
ずっと一緒に:2008/01/11(金) 01:29:12 ID:gzJJcTmx
「いや、しかしね。まさかこなたがヤキモチを焼いてくれるとはね……」
「そんなに俺の事が好きなのか。こなた」
俺がそう言って笑うと、たちまちこなたの顔が真っ赤に染まる。
「ばか!! ばか!! ばか!!」
ポカポカポカ。
顔を真っ赤にしたこなたが俺の胸をぽかぽかと叩く。
「いててててて!! 勝手に勘違いしのに逆切れかよ!!」
「うるさい!! ばかあっ!! 好きな人が他の女の子とふたりっきりで仲良くしてたら、誤解したってしょうがないじゃん!!」
ポカポカポカ。
「ばか!! ばか!! ばか!! ばかあっ!!」
「ああもう!! いいかげんにしろっての!!」
俺の胸を叩き続けるこなたを無理矢理抱きしめて、キスをする。
「ば、む!? んんーっ!!」
じたばたと暴れるこなたを抱きしめて拘束したまま、こなたの唇を塞ぎ続ける。
「………」
やがて、こなたの体から力が抜けたのを確認して、こなたを抱きしめる力を緩める。
「俺はね、こなたの事を一番大切に想ってる。絶対に裏切らないし、嫌いになんかならないから」
「だから俺の事、もう少し信用してくれよ」
「……うん」
俺の言葉に素直に頷くこなた。
どうにか落ち着いてくれたようだ。
「とりあえず、家に入ろう。このままじゃ風邪を引くから」
「うん……」
※
「こなた。風邪引くから、シャワー浴びてきたら」
バスタオルで髪を拭くこなたにシャワーを促す。
「うん。でも着替えが……」
「ああ。言われてみればこなたに合う女物の服なんて、この家にはないしなぁ」
「……あ、これでいいよ。それじゃ、シャワー借りるね」
そう言ってこなたは部屋の隅に放ってあった、俺のシャツを掴んで風呂場へ歩いていった。
「……お約束だな」
マンガなんかでよくある展開だな、と思いつつこなたが風呂場から出てくるのを待つ。
待つこと10数分。
120 :
ずっと一緒に:2008/01/11(金) 01:29:50 ID:gzJJcTmx
「お待たせー。ああ、いいお湯だった」
俺のシャツだけを羽織ったこなたが、バスタオルで髪を拭きながら部屋に戻ってくる。
やべぇ。
こなたの格好、すごく萌えるんですけど。
袖が長すぎてこなたの手首が見えない。腕だけならどこかのアイドルの格好みたいだ。
だが、それがいい。
小さな女の子が大きな男物のシャツだけを着る。
ありきたりのお約束がこんなにも素晴らしいとは。
「それじゃ、俺もシャワー浴びてくるよ」
思わず抱きしめたくなるが堪えて、部屋を出る。
「・・・・・・私がこんな格好なのにスルー!?」
すまん。雨と汗で汚れてる俺が今、こなたを褒めて抱っこしたりしたら、折角奇麗になった大事なこなたが汚れるじゃないか。
「ん? 流石に俺のじゃこなたにはでかすぎるな」
「もういいよっ」
理性を総動員してクールに対応すると、こなたがむくれてそっぽを向く。
「……こなた。そこの棚にドライヤーがあるから、髪乾かすといいよ」
「それじゃすぐ戻ってくるから」
むくれた顔のこなたを自室に残し、俺は急いでシャワーを浴びに行く。
シャワーで髪と体を洗いながら、こなたへの煩悩を沈める。
10数分後、部屋着に着替えた俺はこなたが待つ自室へと戻った。
※
「おまたせ。あれ?」
ドアを開けて声をかけるが返事がない。
部屋の中を見ても待ってるはずのこなたがいない。
「……トイレかな」
「違うよっ。飲み物淹れてきたんだよっ」
いつの間にか俺の背後に、湯気を立てるマグカップをふたつ持ったこなたが立っていた。
「うおっ! びっくりした」
「ちょっと台所借りたからね」
「ん、ああ。それはいいけど……」
「そんな所に立ってないで、座ろうよ」
「ああ」
俺はなんとなくベッドに腰を下ろす。
「よいしょっと」
こなたは俺の膝の上に腰を降ろす。
「おいおい……」
「駄目?」
振り向きながら、上目遣いに俺の顔を見上げるこなた。
そんな顔されたら断れないじゃないか。
いや、別に断る理由もないけど。
「こなたがそれでいいならいいよ」
「うん。はい」
こなたは嬉しそうに笑うと、俺にマグカップを片方手渡す。
「サンキュ」
こなたの淹れてくれたコーヒーを飲む。
121 :
ずっと一緒に:2008/01/11(金) 01:30:52 ID:gzJJcTmx
「こなたが淹れてくれたコーヒーはうまいな」
「それ台所にあったインスタントだよ。いつも飲んでるんじゃないの?」
「こなたが淹れてくれたからうまいんだよ」
「……ありがと」
俺の言葉に顔を紅くして、自分のコーヒーを飲むこなた。
つくづく表情がころころ変わる女の子だ。
見ていて飽きない。
「こなたってさ」
「ん?」
膝の上のこなたが、俺にもたれかかりながら上目遣いで俺の顔を見る。
あ。
こなたの胸元がシャツの隙間から見えた。
「……」
「私が何?」
「ん、あ、ああ……」
いかんいかん。煩悩退散!!
「こなたってさ、結構……いや、かなり甘えん坊だよな」
「それに、意外に独占欲強いし。俺、もっとこなたはクールなもんだと思ってたよ」
「……どういう意味かな?」
「ああ、別に馬鹿にしてるわけじゃないぞ。なんていうか、こなたはもっと大らかでさばさばしてると思ってたんだ」
「だからさ、さっきみたいにヤキモチ焼いたり、泣いたりするの見てちょっと意外だなって」
「……私って、○○君にどういう目で見られてるんだろう」
「いや、だから別に馬鹿にしてるわけじゃなくてさ、付き合う前とかのこなたの言動や行動からは、今日のこなたは想像も出来なかっ
たって事」
「……私も驚いてるよ」
「だってさ、バイト帰りに○○君とかがみが一緒にいるの見たら、すごく嫌な気持ちになったんだもん」
「昨日の事とかもそうだけどさ。自分がこんなにひとつの事やひとりの人間にこだわるなんて、半年前には想像も出来なかったよ」
「多分、○○君と出会って、○○君を好きになって、付き合うようになったから……」
「だから多分……ううん。きっと、私変わっちゃったんだと思う」
「○○君は、変わっちゃった私は嫌?」
「他の女の子と一緒にいるだけで、ヤキモチを焼いたり泣いたりするような子は鬱陶しい?」
そう言って真剣な瞳で俺の顔を見つめる。いつもの無邪気に笑ってるこなたじゃない。
俺の嘘偽りのない本物の気持ちを知りたがってるんだ。
122 :
ずっと一緒に:2008/01/11(金) 01:31:52 ID:gzJJcTmx
「こなたはこなただよ」
だから、俺は嘘偽りのない本心をこなたに伝える。
「以前のこなたがどうだったかなんて、関係ない」
「こなたが変わったっていうなら、俺だってそうさ」
「半年前のこなたと出会う前の俺だったら、こんなに一人の女の子の事ばかり考えたりしないよ」
「俺は、俺の側にいてくれる、泉こなたという女の子の事が一番大切だよ。いつもこなたの事ばかり考えてる」
「……嬉しいよ」
そう言って、幸せそうに微笑んで俺の胸にその小さな体を預けてくる、世界で一番大切な女の子。
小さいけれど暖かいその体をそっと抱きしめる。
こなたのぬくもりと、その命の鼓動を感じる。
こなたのすべてが愛しい。
こなたが欲しい。
だけど……。
「……いつの間にかもうすっかり遅くなっちゃったな。こなた、家には連絡してある?」
「ううん、まだだよ」
「そうか。親父さん、心配してるかもしれない。連絡しといた方がいい」
「何かこなたが着れそうな物探すからさ。そしたら家まで送っていくよ」
俺はそう言って、こなたを膝の上から下ろして立ち上がろうとする。
「……」
こなたが俺の右手を取って、左手できゅっと握り締める。
「……帰りたく……ないよ」
「こなた……」
「ホントはね、さっき家に電話したんだ……」
「かがみの家に泊まるからって……」
「こなた、それって……」
「もっと……もっと……○○君と一緒にいたいよ……」
「……こなた。それがどういう意味か判ってる?」
「判ってるよ。私、見た目はこんなでも、もうすぐ19になるんだよ?」
「男の人の部屋にずっといるって事が、どういう事なのかって事くらい判ってるもん」
「それとも、私と……そういう事になるの……嫌?」
「そんな事はない。けど……」
「私、まだ不安なんだよ……」
「今は私の事を好きって言ってくれるけど、もし○○君が心変わりしちゃったらどうしようって……」
「……」
「ごめんね。女々しいよね、私」
「だからね、欲しいの……。○○君が、ずっと私だけを見ていてくれるっていう証が……」
「私、こんなだから……。○○君がずっと私の事好きでいてくれるなんて、思えないよ……」
それだけ言ってこなたは顔を伏せる。
そんなに気にしてたのか……。
「……こなた」
俺はこなたの体に手を回して、その小さな体を抱きしめる。
123 :
ずっと一緒に:2008/01/11(金) 01:32:25 ID:gzJJcTmx
「ごめんな。こなたがそんなに不安だったなんて知らなかったんだ」
「俺がもっとしっかりしてれば、こなたにそんな気持ちを味あわせなくて良かったのにな」
「……ううん。○○君は何も悪くないよ……」
「いつだって、○○君は優しいのに、私が勝手に……」
「こなた」
「俺、こなたが欲しい」
「え?」
「本当はもうずっと前からこなたが欲しかったんだ。だけど、俺、こなたの事が本当に好きだから……」
「だから、大切にしたかったんだ。俺は、こなたの事を世界で一番愛してるから」
「あ……」
こなたの瞳から、涙が一筋、流れ落ちる。
俺は涙の流れた跡を親指で優しく拭って、こなたに言う。
「こなたは俺のモノだ。誰にも絶対渡さない」
「○……」
俺の名を呼ぼうとするこなたの唇を唇で塞ぐ。
息が続く限り、お互いを求め合う今までで一番長いキス。
「……こなた。本当にいいんだね」
「……うん。○○君の……モノにして……」
※
「ん……」
俺はこなたの唇に優しく唇を重ねる。
こなたへの愛しさが止まらない。
「んん……んぅっ……!?」
こなたの口内にぬるりと俺の舌を侵入させる。
(し、舌!? ○○君の舌が入ってきてる!!)
ぬめぬめとした他人の舌が、自分の舌に絡められる初めての感覚に、こなたの体が強張る。
(……これが、ディープキス……)
「んちゅ……はむ……ちゅぷりゅ……」
(舌が絡み合う音が……エッチだよぉ……)
(はうんっ……舌が吸われて、○○君の口の中に吸い込まれてる……)
(あぅ……舌がぁ……甘噛みされてるよぅ……)
情熱的なディープキスに、こなたは戸惑いながらも、次第にその感覚に酔いしれる。
(はうん……。なんだか、頭の中がぽわーとしてきたよ……)
「ん、は……ぁ……」
俺が離すと、俺とこなたの口の中から繋がっていた、キラキラと輝く唾液の糸がぷつりと切れた。
「……こなた」
初めてのディープキスの感覚に、酔っているこなたの胸元に手を伸ばすと、俺はシャツのボタンに手をかける。
124 :
ずっと一緒に:2008/01/11(金) 01:32:55 ID:gzJJcTmx
「こなた。脱がすよ」
「うん……」
俺の言葉に頬を桜色に染めたこなたが小さく頷く。
プチ、プチ、プチ……。
シャツのボタンをすべて外して、シャツを脱がせる。
シャツから腕を抜く時、こなたは恥ずかしそうにもじもじしながらも、俺のされるがままに脱がされてくれた。
脱がしたシャツをベッドの下に放る。
こなたはシャツの下に何も下着を着けていなかった。
「……」
俺の膝に座ったこなたの染みひとつない綺麗な柔肌が、俺の目を釘付けにして離さない。
実年齢の女の子達よりも小柄なこなたの体は、確かに発育が遅れているように見える。
だけど、俺にはそんな事は関係なくて。
ただ、大切な女の子が生まれたままの姿を羞恥に震えながらも、俺の目に晒してくれた事が否応無しに俺を興奮させた。
「……」
「えと……その、ごめんね……」
俺がこなたの綺麗な体に魅入られていると、こなたが申し訳なさそうに小さな声で言う。
「何が?」
「こんな、貧相な体で……」
「そんな事ないよ。綺麗だよ」
「……お、お世辞でも嬉しいな……」
俺の言葉にはにかむように笑うこなた。
「お世辞なんかじゃないよ。すごくかわいい。それに……」
「ひゃん!!」
「こんなに柔らかくて暖かい。こなたの体はちゃんと女の子してるよ」
こなたの首筋にキスをすると、彼女はぴくんっと体を震わせる。
「こなた。かわいいよ」
俺はもう一度こなたにキスをすると、こなたの耳元で囁く。
「こなたの体、もっと触ってもいい?」
「うん……」
俺の言葉に顔が赤くしながら頷く。
俺はこなたが頷いたのを見て、こなたの控えめな乳房に両手をこなたの背後から触れてみる。
「……あ」
暖かくて、柔らかい。
確かにそんなに大きくないし、俺の掌にすっぽり収まってしまうけど……。
間違いなく、女の子の柔らかさと暖かさだ……。
125 :
ずっと一緒に:2008/01/11(金) 01:33:18 ID:gzJJcTmx
「ごめんね、胸……小っちゃくて……」
「大きさなんて関係ないよ。俺はこなたのがいいんだから」
そう囁いて、俺は腕の中で大人しく座ってる、こなたの首筋に軽く口付けた。
そしてこなたの胸を親指の付け根と、中指、薬指、小指の付け根で下から掬い上げるようにしながら、優しく揉む。
確かにサイズはそんなに大きくないが、ちゃんと女の子の胸だ。揉む事が出来る。
「あっ……」
「すごく柔らかくて、暖かいよ。出来たらずっとこうしていたいくらいだ」
「んっ……そ、その触り方、なんかエッチだよぉ……」
こなたの乳房を指の付け根で揉みながら、紅く色づいた乳首を親指と中指で摘む。
「ひゃんっ!!」
こなたの体が乳首に与えられる刺激に打ち震え、俺の胸と腹にその震えがこなたの小さな背中から伝わる。
クリクリクリ……。クニュクニュ……。
こなたの可愛らしい乳首を親指と中指で擦るようにしながら、時々軽く力を入れて押しつぶしたりしてみる。
「あっあっ……。駄目、駄目ぇ……。そんな触り方、しちゃ駄目……だよぉ……」
俺の腕の中で両胸を責められながら、顔を紅潮させたこなたが、涙で潤んだ瞳で俺の顔を上目遣いに見る。
「ごめん。痛かった?」
「ううん。……違うの。なんか、変だから……」
「変?」
「その……先っぽが、凄くジンジンして……。変なの……」
「……嬉しいな。俺の手で感じてくれたんだね」
「そ、そんなの判んないよ!!」
たちまち顔を真っ赤にして否定するこなた。
「そう? こなたはエッチなゲームを沢山遊んでるから判るんじゃないの?」
「そ、そんなの判んない!! だって、所詮はゲームなんだし!!」
「そっか。……こなたは、ゲームでオナニーとかはしないんだね」
「オ、オナっ!? ……そ、そんなのする訳ないじゃん!! く、癖になったらヤだし……」
「嬉しいな。それじゃあ、こなたに初めてこういう感覚を教えたのは俺って事なんだ」
「う……。ま、真顔で変な事言わないでよ……」
「別に、変な事を言った覚えはないんだけどな……」
「……うー」
涙目で俺を睨むこなた。
「かわいいよ。こなた」
まだ何か言いだけなこなたの唇を、俺は自分の唇で塞ぐ。
しばらくこなたにの唇を塞いでいると、やがてこなたの体から力が抜けていくのが感じられた。
「……続けてもいい?」
「……うん」
126 :
ずっと一緒に:2008/01/11(金) 01:33:58 ID:gzJJcTmx
こなたの了解を得て、俺は今度はこなたの両足の付け根にひっそりと佇むこなたの大切な所に指を伸ばす。
「……やっぱり、そこも触るんだよね?」
「そりゃ、触らないと進まないし……。嫌ならやめようか?」
「駄目!! やめないで!!」
「でもこなた、なんだか嫌そうだし」
「違うよ……。恥ずかしいんだよ……」
「……」
「……もし、わたしのが変でも、嫌わないでね……」
「ばか。嫌いになんかなる訳ないだろ」
俺はそう答えると、こなたの膝の裏と背中に手を差し入れ、こなたを持ち上げてベッドの上に寝かせる。
そして寝かせたこなたの両足を左右に割り、広げる。
「あっ!! や、だぁ……ぁ……っ」
何も身に着けていない股間を、俺の目に晒したこなたは両手で顔を覆う。
申し訳程度に生えてる、まるで産毛のように薄いこなたの陰毛。
陰毛が前の方にしか生えてないせいで、まるで剥き卵のようにつるんとした可愛らしい股間。
そこには極細の溝が一筋だけ通っている。
初めて見た女の子の大切な所。
しかもこなたの……。
俺の目は、こなたの実年齢に不釣合いな、可愛らしい性器に釘付けになる。
「や、やだ。そんなに見ないでよぉ……」
こなたが恥ずかしそうに嫌々をしながら俺に懇願する。
「ひゃぁっ!?」
俺の指が、こなたのぴったりと閉じている縦筋を撫でる。
「濡れてる……」
指先にぬめり感じて俺が呟くと、こなたは両手で顔を覆ったまま嫌々をする。
「……やだ……ぁ……」
くちゅくちゅくちゅ……。
俺が指を動かして、縦筋を前後に撫でるたびに、こなたの可愛らしい縦筋から愛液が音を立てて溢れてくる。
「くぅん……う……ぁ……んぅぅ……あぁぁぁ……」
指先で撫でてやるだけで、こなたが甘い声を上げる。
いつの間にか両手を顔から離し、こなたが自分の指を噛んで声を上げるのを我慢している。
「こなた。こなたのかわいい声、もっと聞かせて欲しいな」
俺はそう囁くと、こなたの処女溝の左右に野日を宛がうと。
そして、優しくゆっくりと、こなたの処女溝を左右に拡げていく。
「や!? やだ!! 拡げちゃやだよぅ!!」
さっきまで呆けていた目を見開いて、必死に懇願する。
俺はこなたの懇願を無視して、左右に拡げた秘肉溝を観察する。
にちゃあっと粘着質な音と共に、包皮に守られた小さな陰核と可憐な花びらのような陰唇が現れた。
綺麗な桜色の花びらのような陰唇で包まれ、複雑なシワで形作られた柔らかそうなこなたの大切な所。
まるで針の穴のように小さな尿口、それと間違えそうなほど小さな、いまだ穢れを知らぬ処女孔がとろとろと蜜を溢れさせている。
俺の鼻腔一杯に吸い込まれる、こなたの女の子の匂い。
127 :
ずっと一緒に:2008/01/11(金) 01:34:39 ID:gzJJcTmx
「ひあぁぁぁぁぅっ!?」
俺はこなたの処女孔に口付けをして、舌で大陰唇と小陰唇の間の溝、包皮に守られた陰核、小さな尿口、そして膣口を順に舐める。
「ちょっ!! 駄目!! 駄目駄目駄目ぇっ!! そんな汚いとこ舐めちゃ駄目だよぅっ!!」
性器を初めて舐められる感覚に戸惑い、未知の感覚に怯えたこなたが嫌々をする。
「はうぅぅぅんっ!! やだやだあぁぁぁっ!! 汚いってばぁぁぁっ!!」
「こなたの体に汚い所なんてないよ」
俺はそう答えてから、舌をこなた小さな膣口に進入させて、朱く色付く産道を舐める。
びゅくびゅくっと愛液が溢れ出し、俺のあごや鼻元をどんどん塗らしていく。
俺はおかまいなしにそれを嚥下しながら、自分の唾液をこなたの性器全体に擦り込む様にして舐め回す。
こなたの秘所を舐めながら、包皮に守られている小さな陰核を指で摘んでみる。
「ひゃあぁぁぁぁんっ!!」
こなたが背中を反らして、ビクビクと震える。
そして、ベッドの上に背中を落としたこなたはハアハアと荒い息を繰り返す。
「もしかしてイっちゃった?」
舌を引き抜いて、こなたに問い掛ける。
「ハア……ハア……。わ、わかん……ない……よぅ……」
息も絶え絶えに答えるこなた。とても嘘を言ってるように見えない。本当にオナニーはした事ないんだな……。
こなたに初めての感覚を教えたのが俺だという事が嬉しい。
小さく口を開けたこなたの膣口を覗き見ると、ドーナツ状の処女膜が確認出来た。
(これが……こなたの処女膜……)
股間が熱い。
もう今にも破裂しそうなほどガチガチに固くなってる。
「こなた……いい?」
俺はこなたの顔を見つめながら最後の意思確認をする。
「……うん」
「本当にいいんだね? 一度始めたら、多分もう止められないよ?」
「今の俺、こなたが愛しくて愛しくて堪らないから……」
「いいの。○○君、最後までして……」
「わかった」
俺はこなたに頷くと、着ていた部屋着を脱ぐ。
「あ……」
こなたが裸になった俺の股間を見て目を見開く。
「そんなに……大きいんだ……」
「こなたが魅力的だから、こんなになっちゃったんだよ」
俺がそう答えると、こなたは嬉しそうに微笑んでみせる。
「でも……そんなにおっきいの、大丈夫かな……」
「その……ジュニアサイズのタンポンでも……痛くて入らないのに……」
「……俺も初めてだから、よく判らないけど……。多分、今なら大丈夫だと思う」
「それにいつか、こなたの大切な所から、俺達の子供が産まれて来るんだから、きっと大丈夫だよ」
「……なんか、さり気無く凄い事言われた気がするよ」
俺の言葉に一瞬驚いた顔をしたこなたが、微笑みながら言う。
「ん。俺さ、これでもこなたとの将来の事、真剣に考えてるからさ」
「こなた。いつになるか、まだわからないけどさ。俺に責任、取らさせてくれるか?」
「……当然だよ。私の初めては高いんだからねっ」
「ああ。愛してるよ。こなた」
「私も」
俺達はお互いのぬくもりと気持ちを感じあう為、長い長いキスをする。
どれくらいの時間が立ったのかも判らなくなるほどの、長いキスを終えて俺はガチガチに固くなったペニスをこなたの膣口へと押し
当てる。
128 :
ずっと一緒に:2008/01/11(金) 01:35:26 ID:gzJJcTmx
「いくよ。こなた」
「うん。来て……」
ズッズズズズッ……。
こなたの小さくて狭い膣口にペニスを少しずつ挿入する。
ぐっしょりと愛液で濡れそぼったこなたの小さなそこは、少しずつ拡がりながら俺を受け入れる。
「くぅぅ……」
こなたが両目を閉じて歯を食いしばりながら、初めての挿入に耐える。
メリメリメリッ……。
亀頭の3分の2くらいを挿入した頃、亀頭の先端に引っかかりを感じた。
俺はこなたを抱きしめて、一気に腰を突き出す。
ズズズズッ……ぷつん……っ。
俺の亀頭がこなたの処女膜を引きちぎり、更に奥まで侵入する。
「――っ!! いたあぁぁぁぃっ……」
破瓜の痛みに、堪らずこなたは悲鳴を上げて俺にしがみつく。
こなたのまだ誰も受け入れた事のない、穢れなき産道をメリメリと拡張しながら、俺のペニスは遂にこなたの子宮口とキスをする。
「いっ……ひぐ……」
相当痛かったのか、こなたの固く閉じられた瞳から涙が流れる。
「こなた。俺達、今ひとつになれたよ」
俺はこなたの涙をそっと指で拭ってやりながら囁く。
「っ――うん……○○君の熱いの、感じるよ……」
「俺もこなたの熱いのを感じる」
俺達はそう互いに伝えるとキスを交わす。
「も、もう、平気だから、動いていいよ……」
唇を離すとこなたはそう言ってくれる。
「……まだ痛いだろ。顔に出てる」
「えっ?」
俺の言葉に思わず、自分の頬に手を当てるこなた。
「ムリしなくていいから。もう少しこのままでいよう」
「……ありがと。――でも、○○君は辛くないの?」
「いや。こなたのここに包まれてるだけで、凄く気持ちいい」
「ホント?」
「ああ。出来ればずっとこうしていたい位だよ」
こなたの膣はすごくきつくて、ざらざらしてて、温かくて、ぬるぬるしてて、入れてるだけでイってしまいそうになるほど気持ちが
いい。
「そうなんだ……。私、ちゃんと○○君の事、気持ちよくさせてあげられてるんだ……」
そう言ってこなたは、幸せそうに笑ってくれた。
「こなた、愛してる」
「私も○○君の事、一番愛してるよ」
俺達はもう一度、長いキスをした。
129 :
ずっと一緒に:2008/01/11(金) 01:36:01 ID:gzJJcTmx
「○○君。今度は本当に大丈夫だから……」
「わかった」
こなたの言葉に頷いた俺はゆっくりと腰を動かす。
「あ……くぅ……」
ゆっくりとペニスを引き出して、またゆっくりと押し込む。
(たしか、初めての相手には一回深く、二回浅く、がいいんだっけ……)
経験の乏しい俺は少ない知識をフル動員して、少しでもこなたの負担を減らそうとする。
「はふぅ……ひゃう……ふぅ……」
浅く抜き差しを二回してから、一回深く抜き差しをする。
「はぁぁん……あふっ……はぁぅん……っ」
それを何度も繰り返す内に、こなたが少しずつ、痛みだけではない感覚を得た甘い声を上げ始める。
ずじゅっ、ぐちゅっ、ぶちゅっ……。
俺がペニスを抜き差しするたびにこなたの秘所からあふれ出した愛液でいやらしい水音が鳴る。
「はあはあ、はあっ……!!」
「ひゃふぅ……あゃぅぅん……あふぅぅんっ……!!」
俺はこなたの乳首を撫でたり、摘んだりしながら腰を動かし続ける。
「ひゃあぁぁぁんっ!! あうぁぁぁんっ……!!」
こなたが一際甘い声を上げる。
こなたの膣が更に滑りを増して、ペニスの動きがスムーズになる。
俺はこなたの細い腰を掴むと、腰をゆるゆると上下左右に旋回させる。
「あうんっ、ひゃああぁぁぁんっ!!」
膣を拡張するかのような動きに、こなたが一際高い声を上げる。
「ハア、ハア、も、もうそろそろ……!!」
もう限界だ。
ペニスの先が今にも爆発しそうだ!!
「こなた!! こなた!!」
「あふ……あひゃぁんっ――あ、あついぃぃっ!! おなか、のなか、あついぃぃょおっ!!」
「こわれひゃうっ!! わたひ、こわれひゃうぅぅぅっ!!」
「こなた!!」
「あ、ひゃあぁぁぁぁぁぁぁぁんっ!!」
こなたの背中に手を入れて抱き起こし、思い切り抱きしめながら、こなたの中に熱い迸りを注ぎ込む。
ドビュルっ!! ドクドクドクッ……!!
こなたの子宮口に押し付けられた亀頭の鈴割れから、大量の精液が打ち出され、こなたの子宮内壁をネトネトにする。
「あ……あぁぁぁ……」
こなたが大きく開けた口をぱくぱくさせながら、小さな体をビクンビクンと震わせる。
「こなた……」
俺達はどちらからともなく、唇を触れ合わせて、ひとつになれた喜びを分かち合うのだった……。
130 :
ずっと一緒に:2008/01/11(金) 01:36:35 ID:gzJJcTmx
※
「とうとう……しちゃったね……」
長いキスを終えた後、俺の腕を枕にしてこなたがしみじみと呟いた。
「うん……」
「……私の体、どうだった?」
「そんな事聞くなよ……」
「だって、知りたいんだもん。○○君をちゃんと満足させてあげられたのかどうか」
「……最高だったよ。また、抱きたい」
「○○君だったら、いつでもいいよ。私は○○君の物だもん」
「……こなたは物なんかじゃないよ」
「え?」
「こなたは俺の嫁」
「俺が生涯をかけて幸せにしたい、世界で一番大切な女の子だよ」
「……嬉しい。○○君、大好き……」
こなたが幸せそうに微笑んで、きゅっと俺にしがみつく。
幸せだ。
ずっとこんな時間が続けばいいのに。
「……そういえば、さっき思わず中に出しちゃったけど、大丈夫なのか?」
「え? 多分大丈夫だと思うよ。一応安全日だし」
「そうか。それならよかった」
俺がそう言うと、こなたは悲しそうな顔で口を開く。
「○○君は、もし私が妊娠したら嫌なの?」
「ばか。こなたとの間に子供が出来たら嬉しいに決まってるだろ。たださ……」
「俺もこなたもまだ学生じゃないか。俺、さっきも言っただろ」
「俺はこなたを幸せにしたいんだ。だからこなたと子供を幸せに出来るようになるまでは……な」
「……うん」
俺の言葉に納得したのか、こなたの顔に笑顔が戻る。
「あー、でもこなたとの子供か。きっとかわいいだろうな……」
「○○君は子供好きなの?」
「ああ。だからこなたを選んだんだし」
「ひどっ!!」
「冗談だよ」
「冗談に聞こえなかったよ!!」
「そうか。でもこなたとの子供はいつか欲しいな」
「○○君は男の子と女の子、どっちがいいの?」
「どっちでも。こなたが産んでくれた子なら、どっちでも愛せるから。あ、でも出来たら両方欲しいな。最低三人は」
「……私、そんなに沢山産めるかな?」
「まあ、子供は天からの授かり物っていうしな。あくまで俺の希望っていうか願望だから」
「いつか、その時が来たら頑張るよ」
「ああ。俺もこなたと子供を幸せに出来るように頑張る」
俺達はそうお互いに告げた後、本日何度目かもう判らないキスをした。
131 :
ずっと一緒に:2008/01/11(金) 01:37:09 ID:gzJJcTmx
※
「……あっ」
俺の腕を枕にしてるこなたが、突然上半身を起こす。
「こなた、どうかした?」
「あ、あのね、○○君。ちょっと向こう向いててくれるかな」
「何。どうかしたのか?」
「聞かないでよ……。お願いだから向こう向いてて!!」
「わ、わかったよ」
こなたの剣幕に押され、俺はこなたに背を向ける。
「……」
「あ、あれ……」
「ひゃあっ!?」
ドッシーン。
「こなた?」
こなたの声とベッドから落ちたらしい音に驚いて振り向くと、こなたが四つんばいの格好でこちらに尻を向けていた。
こなたと結ばれてからまだ30分くらいしか立ってない訳で。
当然、俺もこなたもまだ裸のままな訳で。
俺の目はこなたが突き出している尻……性器に釘付けになった。
こなたの縦筋はほんの少しだけ開いてて。
年齢不相応の可愛らしいアソコ。さっきまで俺のが出たり入ったりしてた小さな膣口から、白い液体がぼとぼとと床に落ちていく。
えーと、確か、フローバックとか言う現象だっけ。
以前読んだふたりエッチというマンガに描いてあったな。
中出しした精液が自然に排泄されるんだっけ。
「きゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!! 見ないでえぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!」
きゃあだって。
初めて聞いたよ。こなたのそんな悲鳴。
「あーん!! 立てない!! 立てないよぉ!!」
こなたは必死になって立ち上がろうとするが、足腰に力が入らないらしく、何度も膝を床に付けた腕立てをするだけだ。
「私、初めてなのに○○君が激しくするから、腰が抜けちゃったよぉっ!!」
俺が悪者ですか。
「しょうがない奴だな、こなたは」
俺はベッドから降りると、こなたを持ち上げて、ベッドの上に寝かせる。
「しばらく寝てりゃ治るよ」
「うー。アソコが……気持ち悪いよ……。スースーする……」
こなたが半泣きでぼやく。
「わかった。俺に任せろ」
俺はティッシュの箱を机の上から取ってくる。
「え? な、何する気?」
「拭いてやるよ」
「えぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!?」
「ほら、足広げて」
「い、いいよそんなの」
「良くない。こなたが風邪引いても困るし、それに垂れた精液がシーツ越しに布団に染み込むだろ」
俺は半ば強引にこなたの両足を割り拡げると、こなたの股間をティッシュで拭き始めた。
「うわーん!! 恥ずかしいよぉ!!」
「さっきまでもっと凄い事してたじゃないか」
「こっちのほうがもっと恥ずかしいよ!!」
こなたの反論を無視して、こなたの股間を拭く。
「うわ、まだ出てくる。我ながらよくこんなに出したもんだ……」
「まじまじと観察しないでぇ!!」
こなたが何か言ってるが、気にせず拭く。
132 :
ずっと一緒に:2008/01/11(金) 01:37:47 ID:gzJJcTmx
「うーむ。精液以外の物も出てないか、コレ」
そう言って突付いてやるとこなたが真っ赤になって反論する。
「○○君の拭き方がいやらしいからだよ!!」
「何を言うんだ。人聞きの悪い。俺は普通に拭いてるだけだぞ」
俺は勤めて冷静に振舞う。
実際はあれだけ出したのにも関わらず、息子がガチガチになってるんだが、先ほど破瓜をすませたばかりのこなたにもう一度するの
は少々憚られる。
「じゃあ、拭き方を変えるから」
「……あくまで最後まで拭く気なんだね」
「うわーん。まさかToHeart2のこのみや痕の楓みたいな目に合うなんてー」
「何それ。ゲームか何かか?」
俺は泣いてるこなたに、平静を装って適当に返事をしながらティッシュをポンポンと性器に押し付けるようにして、溢れ出る水分を
吸わせていく。
「よし。順調順調」
何枚目かを押し当てて剥がした時、悲劇が起きた。
ベリリッ。
「あっ!!」
「な、何?」
「……ちり紙がこなたのあそこに貼り付いた」
こなたの大陰唇と小陰唇、陰核にティッシュがこびりついてしまった。
「ええええええええええええっ!?」
「すぐ取ってやるから」
俺はそう言って、ティッシュで拭ってみるが、頑固に張り付いてて取れない。
「くそ。指で取るか」
俺は指でティッシュを擦りながら取り始める。
コスコスコス……。
「ひゃ!! ひゃぁん!!」
こなたが声を上げて身悶える。
「こら。こびりついたちり紙を取ってるだけなんだから、変な声を出すなよ」
「そ、そんな事言われたって……あんっ」
くそう。こなたの奴、色っぽい声を出すなぁ。
俺の股間がますます固くなる。
どうにか平静を保つ振りをしつつ、大陰唇と小陰唇のちり紙を取り除くと、こなたの膣口から、愛液がとろとろと溢れ出していた。
「残すはクリトリスのだけだな」
俺はこなたが垂れ流してる愛液を押し付けたティッシュに吸い込ませると、ティッシュに染み込んだ愛液を人差し指に付けて、陰核
にこびり付いたティッシュを擦り取る。擦り取る時に陰核の皮が捲れて、ピンク色の肉真珠が現れた。
「うむ。我ながら良いアイディアだ」
「……」
こなたはもうあきらめたのか、何も言わなかった。
133 :
ずっと一緒に:2008/01/11(金) 01:38:16 ID:gzJJcTmx
「ん?」
こなたの包皮がめくれたクリトリスをよく見ると、白っぽい物がこびり付いてる。
「こんなとこにまでちり紙が付いてる」
俺はこなたのクリトリスを先ほどと同じように、愛液で濡らした人差し指で擦る。
「ふあぁぁぁぁぁんっ!!
「あれ? 取れない」
もう一度同じ方法を試す。
「ひぃやぁぁぁぁぁっ!!」
だが、取れない。
「しゃーないか」
俺は爪でこびり付いてるティッシュを擦り取った。
ガリリっ。
「いたあああああああああああいっ!!」
こなたが悲鳴を上げる。
「ご、ごめん。でもほら、これで奇麗になったから。ほら、最後のも取れたし」
また愛液が溢れ出したこなたの股間にポンポンとティッシュを押し付けながら、人差し指に付いてる最後のティシュを見せる。
つーん。
「あれ?」
なんか、おしっこ臭い。
俺は人差し指を顔に近づけて匂いを嗅ぐ。
「……これ、ちり紙じゃなくて、こなたの恥垢?」
しつこいこびり付きティッシュの正体は、こなたのクリトリスと包皮の間にに溜まっていた恥垢だった……。
「……」
「あ、あははは……」
気まずい沈黙が流れる。
「……ふぇ」
こなたの瞳にみるみる涙が溜まる。そして――。
「うわああああああああああああんっ!!」
こなたが大声で泣き出した。
「しまった!! やっちまった!!」
「うわあああああああああああんっ!! あああああああああああああああんっ!!」
「ご、ごめんこなた!! この通り!! 許してくれ!!」
大きな声を上げて小さな子供のようにマジ泣きするこなた。
俺は何度も土下座してこなたに謝り続けるのだった……。
134 :
ずっと一緒に:2008/01/11(金) 01:38:56 ID:gzJJcTmx
※
「……」
「こなた、もういいかげん機嫌直してくれよ」
10分近く泣き続けたこなたは、ベッドの上で目に涙を浮かべたまま、俺に背を向けて口を尖らせて拗ねていた。
「こなた」
ぷいっ。
「こなた」
ぷいっ。
俺がベッドの横に回り込むと、こなたはすぐにそっぽを向いてしまう。
「いいかげん、許してくれよ……」
「……大成堂のケーキ10個」
「大成堂のケーキ10個で許してあげる」
「わ、わかったよ。今度並んで買ってくるから」
原宿の人気洋菓子店のケーキ10個か。
結構な出費だが仕方ない……。
「……もう遅いから、○○君も寝たら」
こなたがそっぽを向いたまま、俺に言う。
「……ああ」
俺がそう答えて、ソファーに向かおうとした時だった。
「……どこ行くの?」
振り返るとこなたが捨てられた子犬のような目で俺を見ていた。
「……どこにも行かないよ。俺はずっと、こなたの側にいる」
ベッドの中に入り、こなたを抱きしめる。
「……うん」
こなたが俺に抱きついてくる。
「ごめんな。こなた」
「ううん。もういいから。朝までこうしてて……」
「わかった」
俺はこなたを抱きしめたまま、目を閉じる。
「○○君」
不意にこなたが口を開く。
「ん?」
「プレゼント、ありがとうね」
「……まだ、お礼言ってなかったから……」
「……どういたしまして」
「大事にするね」
「うん」
俺とこなたは抱き合ったまま、暖かくて深い眠りに落ちたのだった……。
135 :
ずっと一緒に:2008/01/11(金) 01:39:16 ID:gzJJcTmx
※
「ほら、○○君早く早く!!」
「ちょ、ちょっと待ってくれ。連続5回は結構キツイ……」
「若いのにだらしないよー。今度はあれに乗るんだから!!」
「……勘弁してくれ」
――数日後。
俺達はこなたの希望で遊園地に遊びに来ていた。
「あのふたり、ホント仲いいわよね」
「そだねー。ちょっと羨ましいかも」
「でもなんだか、私達お邪魔虫みたいですね」
俺とこなたを見て笑っている柊姉妹と高良みゆきの三人。
「ほら、こなた。俺だけじゃなくて、今日はみんなも一緒なんだからさ……」
「わかったよ。それじゃ、みんなで乗りに行こう!!」
「……勘弁してくれー」
「駄目だよー。○○君は、ずーっと私と一緒にいるんだもん!!」
そう言って、とびっきりの笑顔で笑うこなた。
幸せそうに微笑むこなたの耳には、俺が上げたプレゼントが、太陽の光を受けて輝いていた。
おわり
136 :
ちり紙:2008/01/11(金) 01:41:10 ID:gzJJcTmx
以上です。
誤字があったので訂正
誤 しつこいこびり付きティッシュの正体は、こなたのクリトリスと包皮の間にに溜まっていた恥垢だった……。
正 しつこいこびり付きティッシュの正体は、こなたのクリトリスと包皮の間に溜まっていた恥垢だった……。
しょうもない物ですみません。
次回はいずみけの続きの予定です。
キタ━━(゚Д(○=(゚∀゚)=○)Д゚)━━!!!
待ってました!ひそかに『いずみけ』ファンな俺!
『いずみけ』第三弾はバカップル時代の2人か'`ァ(*´Д`) '`ァ
いままでのこなたのイメージを完全に覆す
しおらしいこなたがサイコーにたまりません!
そして、多くは語らないが、エッチシーン堪能させてもらいました(゚∀゚*)
いずみけ続きがあるということで、引き続き楽しみにしております(゚∀゚)9m
こなた「・・・計画通り(ニヤリ)」
かがみ「どうしたってのこなた」
こなた「長年のギャルゲで鍛えた、萌え女の子性格設定が
ここで発動!ロリコンの○○君は
きっと繊細なおにゃのこが好みだろうと思ったら、見事ビーンゴ!」
かがみ「・・・・あんた絶対ろくな親になれんぞ・・・」
パティ「アレアレ?先程バイト先で、『○○君・・・』とブツブツ言いナガラ
視線さまよわせ、『やっぱり心配』といって早引けしてったのは
どこの誰デスカ?」
こなた「うげっ!?パティ見てたのΣ(=ω=.)」
かがみ「ニヨニヨ(・∀・)」
みゆき「ニヨニヨダバダバ」
つかさ「ニヨニヨウニョーン」
以上、
>>136GJでした、そして失礼しますたorz
これはなんて甘々!読んでる途中顔がにやけてきてしかたなかったです。GJ
139 :
ちり紙:2008/01/11(金) 07:26:21 ID:gzJJcTmx
読み返したらなんか誤字が大量にありますね・・・。
訂正させてくださいorz
誤 「・・・・・・私がこんな格好なのにスルー!?」
正 「……私がこんな格好なのにスルー!?」
誤 俺はこなたが頷いたのを見て、こなたの控えめな乳房に両手をこなたの背後から触れてみる。
正 俺はこなたが頷いたのを見て、こなたの控えめな乳房にこなたの背後から触れてみる。
誤 俺はそう囁くと、こなたの処女溝の左右に野日を宛がうと。
正 俺はそう囁くと、こなたの処女溝の左右に指を宛がう。
誤 こなたの背中に手を入れて抱き起こし、思い切り抱きしめながら、こなたの中に熱い迸りを注ぎ込む。
正 こなたの背中の下に手を差し入れてこなたを抱き起こし、思い切り抱きしめながら、こなたの中に熱い迸りを注ぎ込む。
>>136 なんて乙女なこなた……嗚呼! 嗚呼! 嗚呼!!
いやあ、甘くてエロくて脱帽です。しかもふきふきとか懐かしすぎてセイカクハンテンタケ噴きました。ぐっじょぶ!
乙女なこなたと聞くとどうしてもぶーわさんのTSものを思い出してしまう
大分向こうは少女漫画よりだけどww
それはともかくちり紙氏GJ!
かんなりエロ甘いですよ!さながらエロゲ風?
あと訂正は保管するときにまとめてしてはどうでしょう?
保管する人も訂正して保管するのは手間でしょうし
朝っぱらからgj!!!
143 :
久留里:2008/01/11(金) 08:38:07 ID:8steZqKX
お早う御座います。みなさんGJです。
出勤直前なので帰ったらゆっくり読みますね。
お出掛け前の一発ネタ。
「よくテレビや雑誌で『東京ドーム何個分』って表現するけど、東京ドームを知らない人がそれ聞いてもイマイチイメージしづらいよね」
「そうですね。都内に住んでいる私ですら、イメージが付きません。
アメリカですと『フットボール場』で例えることがありますね」
「じゃあさ、もっと分かり易くすればいいんだね。
私だったら『さいたまスーパーアリーナ』だね。一度イベントで行った事あるし」
「私は『埼玉スタジアム2002』かな? ワールドカップの時は大盛況だったね」
大分前の話だが…。
「かがみは?」
「私は鷲宮神社ね。でも、あまり広いとイメージつかないわね」
「おーっすみんなー、何の話してんだー?」
みさおが教室に入ってきた。
「みさきちやっほー、あのさ、みさきちだったら何に例える?」
「いきなり何だよ?」
「こなたは『東京ドーム何個分』だとイメージしづらいから、他のモノに例えようとしてるのよ」
「そだなー、私は『わし宮団地』だな。あそこ、意外とでけーし」
「こなたお姉ちゃん、何の話してるの?」
ゆたかとみなみも登場。こなたは話の内容を説明する。
「そっか。私は『西武球場』かな?」
「おぉ、同じ埼玉県民で東武沿線なのに、西武と来たか」
「確かに東武線沿線だけど、実家は東上線だよ?」
「みなみちゃんは?」
「『京成バラ園』………………」
「「……………(何処だよ)」」
今から猛ダッシュで出勤してきます。
では、出先に向かう電車内から、私もネタを1つ・・・
パティ「故郷の皆様、お懐かしゅうございマス、
秋葉原で生まれてアメリカで育った私が
ひさかたぶりに故郷に戻ってまいりマシタ」
こなた「こ・・・こん平っ!?」
パティ「日本橋の皆様、おなつかしゅうry」
パティ「大須の皆様ry」
パティ「中野ry」
かがみ「何?かばんにはまだ若干の余裕でもあるわけ?」
今回の大工事で投稿規制がなくなるといいねえ
146 :
ぶーわ:2008/01/11(金) 17:44:28 ID:t+xhGsmO
ども、おひさしぶーわ
ネットが止まってるので別の場所からこんにちわ
工事は6時から? らしいので投下して逃げますね
「0から始めよう!」の続き投下させてもらいますね
・パラレル注意
・8レス拝借します
「……泉さん?」
「?」
声に気がつき、こなたが振り向く。
私も一緒だ。
病院のロビー、そこに『彼女』は居た。
「……『みゆき』?」
「?」
こなたより先に、私の口が彼女の名前を呼ぶ。
それを聞き、こなたがようやく何かを思い出す。
「……ああえと、高良さん。だっけ?」
「はい、お久しぶりです」
こなたが適当に頭を下げると、丁寧なお辞儀が返ってくる。
高良みゆき……そういやこなたと同じクラスだったっけ。
みゆきのほうが覚えてたのは意外だったけど。
「お見舞いですか?」
「う……ん、いとこの子が入院しててさ」
クラスメイトと世間話……といきたい所だけど、こなたのほうはまた緊張しまくってる。
それでも面識が少しはある分、峰岸たちとかよりはまだましか。
眼はあわさないけど、会話してるだけで結構な進歩よね。
「そうですか……実は私もお見舞いなんです。つかささん……柊さん、って覚えてますか?」
「……うん。まぁ」
その名前を聞いて、こなたと一緒に心臓が跳ねる。
みゆきがこんな所に居る理由はそう多くない。
私のお見舞い、それが一番妥当だろう。
「そのお姉さんも入院してまして……宜しければ泉さんもご一緒にどうでしょうか? つかささんも喜んでくれるはずです」
「……」
みゆきの笑顔の前に、こなたから戸惑いが伝わる。
それは私も同じだ。
つかさが、『居る』。
いくら想定していた事であっても、さすがに緊張する。
「うん……じゃあ後で寄るよ」
「本当ですか!」
みゆきがこなたの手をとって喜ぶ。
こっちを見てくれないのは少し寂しいけど……いつものみゆきの笑顔を見たら、何だか心が落ち着いた。
こなたの手から、みゆきの手の暖かさだって伝わってきたしね。
「では、またあとで」
みゆきと同じ階層まで歩き、別れる。
それまでに色々と会話もしたが、さすがみゆき……ひきこもりやこなたの母親の事には一切触れなかった。
私の病室の場所はみゆきから聞いた。
あとは私が心の整理をするだけ、なんだけどな。
「ここかな」
私が悩んでる間にもゆたかちゃんの病室に辿り着く。
最初にゆたかちゃんと会った集中治療室とはまた違う病室。
そこの扉をこなたが開けると、女性が目に入った。
「おーこなた、よく来たねー」
「こんちわ、ゆいねーさん」
珍しくこなたが緊張する事もなく、手を振る。
彼女の話は歩きながら聞いていた。
えっと、成美さんだっけ? 同じくこなたのいとこで、ゆたかちゃんのお姉さん。
なんでも引き篭もってるときもよく遊びに来てくれていたらしい……追い返してたらしいけど。
「よく一人でこれたねー、お姉さんびっくりだ」
あはは、と笑いながらこなたの頭を撫でる。
でも何処か表情が疲れてるように感じるのは、見間違いじゃないと思う。
「お母さんの事はもう……平気?」
「……」
その女性……成美さんの言葉に、こなたの手が、汗ばむ。
だけど、いつもの様に動悸が速くなることはなかった。
「鋭意努力中、かなっ」
こなたが笑う。
それを見て、成美さんも笑顔をこぼす。
「……そっか、こなたは偉いねっ」
そして二人で笑いあい、お互いを元気づける。
「今日は、きい兄さんとかは?」
「お仕事でね、今日は私がたまたま非番だったからさ」
用意してくれた椅子に腰掛け、ゆたかちゃんの顔をこなたが覗き込む。
包帯は巻かれているけど、私よりは少ないかな?
でも本当に……ただ寝てるだけみたい。
「傷跡は残んないって、後遺症も心配なし……あとは目が覚めるだけかな」
「そっか……良かったね、ゆーちゃん」
「あははっ、ゆたかは綺麗な肌してるもんねー。傷でも残ったら一大事だよ」
二人がゆたかちゃんに話しかけるように会話をする。
それの返事はなくても、信じてるんだ。
いつかその言葉が、返ってくる事を……。
「それで、さ。ゆい姉さん」
「んー?」
お見舞いに持ってきてあった林檎をむきながら、成美さんが返事をする。
少しこなたに緊張感が混じったのは、気の所為じゃない。
「ゆーちゃんって本当に……『事故』、だったの?」
「……どゆこと、かな?」
指が止まり、長く繋がっていた林檎の皮が千切れる。
「調べたんでしょ? ……お仕事だもんね」
お仕事。
じゃあ……彼女がこなたの言ってた、『詳しい人』?
つまり警察関係者、ってことになる。
「あー……こなたの耳にも、入っちゃってるか」
林檎を剥く作業に戻りながらも、少し手が震えている。
「一応はまだ捜査中……転落事故ってことにはなってるけど」
「転落?」
事故にだって、色々ある。
私のように車に轢かれる交通事故。
でもゆたかちゃんはそれとは別。
「公園あるでしょ? ここの近く……来る時バスから見えなかった?」
「え、うん……」
公園。
ここいらにあるのは一つだけのはず。
そう、あの……峰岸たちの居た公園だ。
「あそこってさ、長い階段があるんだよね。上の団地に繋がってるやつ」
転落事故。
階段。
この組み合わせから考えられるのは、一つ。
「その階段から、転げ落ちた……ってのが警察の見解」
「……詳しく、聞かせてくれる?」
「う〜ん……少しだけだよ?」
少し成美さんが渋る。
事件か、事故か。
私たちはそれを確かめに来たんだ。
「発生は夜から深夜にかけて。その次の日の朝、犬の散歩をしてたお婆さんが階段下でゆたかが倒れてるのを発見したみたい」
「夜って……遅くにゆーちゃんが一人で?」
「……そう、なるかな」
曖昧に返事をされる。
どうにもそこは歯切れが悪い。
「その日は、ゆたかが家で一人のはずだったんだ……私も夜勤でさ」
「え? でも、ここって……」
「……そうなんだ」
ばつが悪そうに頭を抱える成美さん。
二人は何か分かったみたいだけど、私にはさっぱり。
「そこの公園は病院には近いけど、私らの家からは大分遠いんだよね」
そんな所にゆーちゃんが一人で?
考えてみれば、おかしな話だ。
事故にあった場所に居たゆたかちゃん。
でも彼女にはそんなところに居る理由なんてないはずだ。
深夜に……誰に告げるわけでもなく。
……。
そこでまた、問題だ。
それでも、彼女は『居た』。
その場所に、その時間に。
「じゃあ、理由があったんだ。そこに居た理由」
「……」
彼女が少し押し黙り、それにこなたも気がつく。
「ゆい姉さんもしかして……知ってるの?」
「……こなた。こっからはさ、警察の仕事なんだ」
成美さんが誤魔化すようにこなたを諭す。
だけどこなたの眼は、彼女を見てた。
「お願いゆい姉さん……私、知りたいんだ」
心臓の脈打つ音が五月蝿い。
私だって、そうだ。
覚悟は決めた。
だから、立ち向かうだけ。
そのこなたの目に負けたのか、成美さんが一度ため息をつく。
「……今からするのは私の独り言。推理他私情も混じってるから、警察の意見って訳じゃないからね?」
一度断った後に、林檎を皿に置いた。
唾を飲むこなたの感覚が伝わり、鼓動が速くなる。
「ゆたかの部屋から、手紙が見つかったんだ。所謂そう……呼び出しってやつかな」
「手紙?」
「一応写しはとってあるよ、これ」
鞄から取り出した手帳を見ると、そこには短く二行の文。
大分短いというか……要点だけ書いてある。
「『これ』がワープロで打った文字で用紙に印刷してあった、本物は今は警察所だけど……作るのはそう難しくないかな」
「差出人とかは?」
「なし、多分ゆたかには……この数行だけで伝わったんだね」
……。
心臓が、痛む。
耳を脈打つ音が、邪魔だ。
『事件の証言の件でお話があります 病院横の公園まで来てください』
それが、ゆたかちゃんに届いた手紙の内容の全て。
この手紙を出す人物。いや……『出せる』人物は、限られてくる。
だから余計に、私の心臓が暴れるのかもしれない。
「事件、ってもしかして……私の学校の?」
「ふぇ?」
成美さんの顔が反応する。
確かに、こなたが知ってていい情報ではない。
「何でそれ……」
「あ、んー、話すと長いから聞かないで」
私に訝しげな目で見られているのに気がついたのか、こなたが慌てて弁明する。
成美さんも同じような目で見ていたが、深くは突っ込まないでくれた。
「そ、ゆたかが関わってた『事件』ってのは数日前の交通事故。学校近くの交差点で、こなたの学校の子がトラックに轢かれたやつ」
「ゆーちゃんはその事件の……」
「重要参考人、ってとこかな。ゆたかの証言だと……その交通事故は、『事件』って事になる」
そしてゆたかちゃんの証言を、成美さんがなぞる。
私から教わってこなたもそれを知っていたが、あえて口は挟まなかった。
あんまり知りすぎてるのも変に思われるからね。
そこから少し話が逸れ、私の事件の説明に入った。
「それでゆたかの証言だと、事故にあった子の双子の妹が『容疑者』の最有力ってことになるかな」
「現場に一緒に、居たんだっけ」
「うん、そだね……本人がそう証言してる。『姉と一緒に下校していた』ってね」
そしてつかさの証言を今度はなぞる。
「ゆい姉さんはどう思う? その子が……ゆーちゃんを?」
「……」
その証言の説明が終わったところで、こなたがようやく確信を聞く。
そうだ、そこが問題。ゆたかちゃんの証言が苦しめるのは、つかさだけ。
だから自動的にゆたかちゃんの事件の犯人も……つかさに?
「確かにこの手紙を出したのは、その子……もしくは事件の関係者じゃないと無理だね」
手帳の文面。
これは確かに、一般の人が知るようなことではない。
少なくとも『ゆたかちゃんが交通事故の目撃者』という事実と、この手紙の『病院』を知っていなくてはこの手紙は書けない。
病院……つまりここ、『私』が眠る病院だ。
「でもね……その妹さんには、『出せない』んだ」
「えっ」
私もこなたも動揺した。成美さんの言葉が、あまりにも意外だったから。
「出せないって……どういう事?」
「『存在証明』って分かるかな? アリバイってヤツ。事件の日妹さんには、それがあったんだ」
その日。
つまり、ゆたかちゃんが事件にあった日。
「その日妹さんは友人の家に居た。これはその友人にも裏もとってあるよ」
「え、じゃ、じゃあどういう事?」
「『妹さんはゆたかの事故の時、現場には居なかった』。これは確定事項」
「でも……その手紙は確かにあったんだよね」
「そう、『誰かがゆたかを呼び出した』。これも確定事項」
……。
不思議だ。
どうしても、うまく全てが結びつかない。
まるで違う種類のジグゾーパズルを混ぜて遊んでいる気分。
そしてそれを無理矢理くっつけようとすると、全てのベクトルがつかさに向いてしまう。
「確かに、こう考えれば簡単だよ? その友人が口裏をあわせてるだけ。姉を殺した妹が、目撃者であるゆたかを殺した」
私が事故にあっただけなら、それはただの交通事故で済んだだろう。
だけど、ゆたかちゃんは言う。
『片方が片方を突き飛ばした』
そしてそのゆたかちゃんも……転落事故。
その安直な直線を引ければ、全てが解決する。
だけどやっぱり……歯切れが悪い。
そこに一つの要素が加わるだけで、全てがおかしくなる。
差出人不明の『手紙』。
だけどそれを出せる人間は限られる。
そしてその一人……つかさは、アリバイがあった。
じゃあ『つかさには、ゆたかちゃんは殺せない』。
それを聞いて少し、心が軽くなった。
……すぐに、切り裂かれるのも知らずに。
「今警察は、その手紙の差出人の特定に必死だよ。事件関係者……主に、その妹さんの家族。かな」
「かっ……」
こなたが言葉を失う。
でも、それは当然なのかもしれない。
私の家族だって私と同じに決まってる。
つかさのはずないって思って、その手紙を……。
「でも無駄足だったみたい、その日はそれぞれにアリバイがあったみたい……ってこれは機密か」
あははっ、と笑う成美さん。
「『ゆーちゃんの事故のとき、事件関係者には全員アリバイがあった』。ってこと?」
「そう、少なくともその妹さんの家族全員はね。だからこっからは私の推理」
少し話を整理しよう。
これはあくまで、仮定の話のもと進められている。
ゆたかちゃんの事故が、『事件だったら』という仮定。
その場合容疑者は『私の事件の関係者』が第一に疑われる。
こんな手紙まであれば尚更だ。
だけどその関係者には、犯行は不可能だった。
「可能性としては二つ……『妹さんに疑いがかかるように誰かが手紙を用意した』、もしくは『他に事件関係者がいる』」
……。
前者は、私にも分かる。
こなたと必死に推理して出した、一つの答え。
でも後者は……考えたことすらなかった。
「こ、後者がよく分かんないな。どゆこと?」
「ゆたかの証言を、そのまま鵜呑みには出来ないってこと」
人間は完璧じゃない。
十人十色とは良く言ったもの。
どんなに正しいものを見ても、人はそれぞれの解釈で捻じ曲げてしまうものだ。
「ゆたかが証言したのは大まかに分けて二つ。『二人が歩いていた』ってこと、『その内の片方が、もう片方を突き飛ばした』ってこと」
ゆたかちゃんに嘘をつく理由はない。
なら、これは真実のはず。
いや……真実に近い『何か』のはず。
「でもゆたかが証言したのは、逆に言うとそれだけ」
「それだけって?」
「『二人』が歩いてた……つまり、その二人の関係は分からないってこと」
少し回りくどい言い方をされたため、こなたと一緒に頭を抱える。
だけど私より先に、こなたが何かに気が付く。
「そっか……それが本当に『姉妹』だったのかは、分かんない」
「そ、それはあくまで『姉と一緒に帰っていた』っていう妹さんの証言があるから立証されてるだけ」
それはつかさの証言。
そこまで聞いて私もようやく理解する。
じゃあつまり……。
「じゃあその被害者の子は、違う『誰か』と帰ってた?」
こなたが私の頭に過ぎった言葉を復唱する。
「それも、ないわけじゃないってことかな。でもそれだと、ひっかかるよね?」
分かるでしょ? といった様子で聞き返す。
そうだ。
これはあくまでつかさの『姉と帰っていた』という証言が嘘だった場合だ。
そこには……矛盾しか残らない。
「嘘をつく理由がない、彼女の証言は確実に彼女の首をしめる」
……。
少し、沈黙が続いた。突きつけられた新しい情報に私は戸惑う。
つかさが現場に『居た』場合……これはしきりにこなたと推理をしていた。
だけど警察の成美さんが新しく突きつけた新しい可能性。
つかさが現場に……『居なかった』場合。
「それなら」
そう、ここで初めて彼女は呈したんだ……『第三者』の可能性を。
そしてそれは……最悪の形で、提言された。
「犯人は事故にあった姉の友人。ってなるかな……一緒に下校するぐらいのね。この場合妹さんは、その誰かを……庇ってる」
私を殺した『誰か』。
それはつかさだけじゃない……私の友人にまで、疑いが向けられた。
そしてもしそうなら、つかさは庇ってる?
だから、嘘をついた? 私と一緒に帰ったって?
でも私は確かに聞いた。
最後の最後……意識が途切れる瞬間に、「お姉ちゃん」と叫び続ける声を。
私の事故の瞬間、『つかさは現場に居た』。これは確実なはず。
つまり、増えてしまったわけだ。
合わないピースが……また一つ。
「ゆたかが嘘を言ってないってなるなら、推理できるのはそれぐらいかな」
もちろん彼女は警察だ。
その考えだって頭においてある、というだけなのだろう。
でも、私にはそれは困惑でしかない。
だってそうでしょ?
つかさじゃない。それを信じるなら……その他。
私の友人たちを疑わなければいけなくなったのだから。
「でもこなた……あんまり、首を突っ込まないほうがいいと思うよ」
成美さんが警告する。
これは警察としての警告でもあり、いとこのお姉さんとしての忠告。
深く関わっても、こなたに得なんかない。
「ゆたかの件とは関係あるって言ってもさ、交通事故の件はこなたには関係ないんだし」
だからその言葉は、当然といえば当然の言葉。
でも少し……胸に刺さった。
そっか。
そう、だよね。
こなたには関係……ないんだ。
「そんな事ないよ」
「えっ……?」
私と同じく、成美さんが呆気にとられる。
「私、知りたいんだ……本当の事」
「……もしかして、知ってるの? その子たちのこと」
成美さんが尋ねる。
その質問も当然だ。
こなたの学校の生徒が巻き込まれた事件。
それに固執する理由としては、それが一番妥当だろう。
「うん……姉のほうだけだけどね」
「あ……」
それを聞いて、失言だと思ったらしい。
姉……つまり、私。
その私は今……同じ病院で、虫の息なんだから。
「……友達?」
それは、何気ない質問だったのかもしれない。
その場には一番あっていた質問。
だけど。
なのに。
なぜか……
私の心臓の音が少し、速くなった気がした。
友達。
短い四文字で、漢字にすればたった二文字。
だけど何処か……恥ずかしい単語。
友達、なのかな? 私たちって……。
こんな体にならなかったら、あの天使に会わなかったら。
そしたら私たちはきっと……出会わなかった。
私たちが出会ったのはそれこそ、神の悪戯。
間抜けな天使が零れ落ちた私を救い上げ、こなたの上にふりかけた。
それだけの……関係。
それだけ、の……。
あ、あれ? 変だな私。
何か……変。
「うん」
「え……」
滲みかけた眼が、見開いた。
「大切な、友達」
こなたは、私を見なかった。
だけど、伝わった。
顔の熱も……搾り出した声、も。
支援
>工事は6時から
これはドジっ子萌えの作戦かな?支援
まだ規制かな?
支援!
俺も俺も
支援カムバーック
支援
続き気になる〜
気になる方はwikiへどうぞ
てす
避難所より転載
27 名前:ぶーわ 本日のレス 投稿日:2008/01/11(Fri) 18:03:39 .ZvEihN2
本スレにあげていた0から始めよう!22話ですが、6時に間に合わなかったためwikiのほうに投下させてもらいます
お騒がせ失礼しました
wikiより転載
規制くらったためこちらに更新します -- ぶーわ (2008-01-11 18:17:45)
ウィキにあげてくれてたのか
ありがとう
そして
>>161 IDがゴォォル!!
みてきましたよー
ぶーわさんGJでした。
続き気になるような切り方が上手い……!
なんというドジッ子wwwwww
不覚にもときめいた
しかしまさか六時に規制になるとは・・・まさしく神掛かってるな
話が進むほど続きが気になってしょうがない!
更新停止って午前6時からの予定だったはずだが
それも結局お昼ごろちょっと重くなっただけで落ちはしなかったし
分かったぞ
これこそゴッドかなたさんの仕業なんだ
まさか神を従えていようとは・・・
つまりネットが止まっているぶーわさんの代わりに投下しようとして、規制食らってしょんぼりなゴッドさんということか。
いかん、萌えてしまう。
ドジッ子で笑った後にwikiで泣いた・・・・・・GJでした
しかしさらに絶望てあーたどんだけかがみいじめるんだw
そしてぶーわさんのHPのゴッドかなたさんが気になりすぎるんですけど
台詞つきということは 続きがあるんですよね!?
wikiでぶーわ氏の続き読んできた
ぶーわさんドSだなwww でも最後はかがみとこなたを幸せにしてあげて欲しい
それと・・・氏のTSの続き待ってるんだが、マダー?
こちらもwikiにて読了。あの引きということは、やっぱり犯人って……?
○○関係で妙に何かを忘れてそうなそぶりをするかがみんも気になりつつ、ぐっじょぶ。
こなた「おおっ、とうとう続き来たよかがみん」
かがみ「ええ、警察の成美さんの話で大分事件が掘り下げられたわね」
こなた「今回は加えて『』が多かったね、重要ってことかな?」
かがみ「安易に信じるのは危ないわね、ミスリードの可能性も否定できないわ」
こなた「むぅー、でも疑ってたら話が進まないよ」
かがみ「そういう時は確実なのは除いていけばいいわ、怪しいのが残るってわけ」
こなた「あ、その怪しいのが隠れ蓑になってるんだね。で、どれが怪しいの?」
かがみ「・・・・・・」
こなた「ちょwww」
手紙がやっぱネックだなぁ
普通に考えたらやっぱり・・・?
174 :
久留里:2008/01/11(金) 23:21:16 ID:8steZqKX
ぶーわさんGぃぃぃぃぃぃいいいいいJっ!!!!
拙作品がぶーわさんのネタと被らないように注意せねば。
時間ごと飛んでるから大丈夫でしょうけど。
あゆみ「そんなことより…」
作者「はい?」
あゆみ「さっさと書け。つかさが待ってる」
作者「わ……わかりました。でも深夜2時にやるアニメだけはせめて観させて下さい」
あゆみ「駄目。録画しなさい」
作者「うちにはビデオデッキは無い」
あゆみ「とにかく、続きを書け」
作者「ちょ、おまっ、次作で消すぞ」
つかさ「あゆちゃんをいじめないでっ」
てな訳でちょっと書いて来ますノシ
ぶーわ氏の破壊力はすごすぎるよっGJ
もっと頑張らねば…
176 :
12-512:2008/01/12(土) 02:26:34 ID:42IeggrY
投下できるようでしたら、投下します
こなかがでかがみ一人称、微エロです
別スレで鏡開きとかやってるのを見て書いてみました
……ちょっとかがみが色ボケっぽいのがあれですが
受験生にとって恋人の存在はプラス?それともマイナス?
味気ない問題集の中にそっと差し込まれた色紙のような若い女性作家の短編を読みながら、私はそんな陳腐な問い掛けを自分にしていた。
そして私は恋人、こなたの姿をできるだけ正確に思い描く。
小学生のような背丈やほのかに色っぽい泣きぼくろ。重たげで、でも走ると風にたなびいて広がる髪。
でもそんな外見的な特徴はみんなが知っていること。
私の頭の中には誰も知らないこなたの知識が一杯詰まっている。
文化祭の夜二人きりになった私達は、どちらからともなくお互いを抱き寄せキスをしていた。
確かにこなたのことは好きだったけどそれまでそこに性的な気持ちはなかったはずだったし、それはこなたも同じだと思う。
ただその時偶然私とこなたのリズムは一致してしまったのだ。
あるいはたんに恋心に対する無知や世間の常識といったものが邪魔していただけだったのかもしれない。
なんにせよそれから私達の関係は急速に進展した。
もともと二年以上毎日のように顔を合わせていた間柄、気付いた時には私はこなたのベッドで裸になっていた。
「現実はエロゲーより奇なりって本当だねぇ、かがみ」
「それを言うなら小説でしょ」
初めてのエッチの後二人で布団にくるまって交わした会話だ。
いつもと同じノリだねって、私達は放心しきった顔を見合わせて笑ったけれどそれはただの照れ隠し。
余韻の残った声、つないだ手の間に感じる湿り気。それらが私に随分遠い所まで来たことを告げていた。
……ああやばい、またちょっとトリップしてた。
こうやって無駄に時間を取られている時点で問いの答えは決まっているようなものだけど、私もこなたもそれで納得したくなかった。
だから受験が終わるまで二人っきりで会うのは一月に一回、そう約束した。
実際そうしてから私達の勉強意欲は上がった。折角会った時に受験のことで暗い顔をしていたくはないしね。
……まあ家の仕事柄約束なんてしなくても、お互いの家で二人きりになれるチャンスなんて滅多にないんだけどさ。
そして今月のご褒美は明日、11日だった。
「そういや11日って鏡開きって言うんだっけ。なんか響きがエロいよね、かがみん」
「またあんたはしょうもないことを……」
そうツッコミながらも、そのエロいことを期待するいじましいこなたの顔にすっかり私は骨抜きだった。
センター一週間前ということでお互いにためらいはあった。
けれどこの機会を逃せば次はいつになるか解らない、そう思うと歯止めは効かなかった。
「かがみー、お風呂出たよ」
階下からまつり姉さんの声が掛かった。
解きかけの問題集を閉じて、タンスから取り出した着替えを持って階段を降りる。
洗面所ではまだまつり姉さんがドライヤーを掛けていた。
「かがみ何か良いことでもあったの?顔がニヤけてるよ」
「別に何にもないわよ」
上に羽織っていたジャージから腕を抜いた所でまつり姉さんが唐突に言った。
私は素知らぬ顔でジャージを脱衣籠に放り込む。
「彼氏とメールでもしてたの?」
「違うっつーの、大体彼氏なんていないって前から何度も言ってるじゃん」
「そう?でも自分では気付いてないかもしれないけど、あんた最近よくそんな顔してるよ。
だからかがみもとうとう、って姉さんと話してたんだ」
Tシャツの裾にかけていた手を離して振り向くと、鏡を挟んでまつり姉さんと目があった。
話しちゃいなよ、確信に満ちた笑顔でそう語りかけてくる。
「勘違いよ、さっきはたまたま過去問がいい出来だったから機嫌が良かっただけよ」
「うわぁ、なんかそれすっごい寂しくない?」
自分だって受験の時は大変だったくせにまるで人ごとだ。
私は軽い苛立ちに任せて、Tシャツを首元まで勢いよくまくり上げた。
「ところでさあ、かがみって最近下着のレパートリー増えたよね」
慌てて脱がなきゃ良かったと後悔したがもう遅かった。
生身の肌が好奇心丸出しの視線に晒される。
「こ、これは前からあったやつよ」
「それはそうだけど随分増えたよねぇ。もうぶっちゃけちゃえよ、父さん以外はみんな気付いてるよ」
「……ただの気まぐれだってば!」
私は乱暴に残りの服を脱ぎ捨てると浴室の扉を開けた。
姉さん達はまだいいけれど、母さんに知られていると思うと恥ずかしくてたまらなかった。
「ねえねえ、相手はどんな人?聞かせてよー」
扉越しに聞こえるくぐもった声を無視して頭からシャワーを被る。
まつり姉さんはしつこく粘っていたけれど、髪を洗い終わる頃には流石にいなくなっていた。
トリートメントした髪をタオルで包みながら私はため息をついた。
私はそんなにだらしない表情をしていたんだろうか、なんだか自分がとても安易な人間になった気がして悔しい。
けれどそれも仕方のないことなのかもしれない。こなたと恋人になってから色んな事が変わった。
まつり姉さんの言った下着もそれの一つ、些細な変化が寄り集まっていつの間にか私の雰囲気は変わっていたのだろう。
例えば前は体重ばかりを気にしていたけれど、最近はそれ以上に肌の調子が気になるようなった。
お菓子は控えるのは当たり前だけど、触れあった時に気持ちいい肌でいたいから朝昼晩ご飯はちゃんと食べる。
峰岸と日下部に、最近目元が穏やかになったって言われたりもした。
みんなが切羽詰まって焦りだす時期だから余計に目立ったらしい。
そしてこのお風呂の時間にも一つの変化があった。
「ん……あっ」
私は右手の指であそこをそっと広げて、弱めにしたシャワーを当てがった。
こなたとする時に変な匂いがしてたりしたら嫌だから、私は自然と丁寧に洗うようになった。
女子の性器ってあんまり清潔なイメージがない。
だからそこに全く躊躇わずに舌を伸ばしてきたこなたにはびっくりした。
「この初々しい反応!萌えるねー」
余裕ぶってはいたけれど、こなたの息がこれ以上ないくらい熱くて早かったのは良く覚えている。
愛おしいのと、恥ずかしいのがこなたの舌の感触と交じり合って私の頭は真っ白になってしまった。
それでたがが外れてしまったのか、その後は私こなたのあそこを舐めてあげた時も何の抵抗も感じなかった。
そこは容姿に違わず幼い見た目をしていたけれど、責められて喘ぐこなたの姿はちゃんとした女の子でそのギャップが面白かった。
……誤解されそうだけどこれはこなたとエッチするための準備であって、オナニーしてるわけじゃない。
けれど準備と言っても髪をいじったりメイクをしたりするのと同じようなもので、意外と楽しんでいるのも事実だったりする。
それにこうしていると、段々とこなたとのエッチが日常になってきているのを感じられて嬉しい。
最初の心臓が破裂しそうな興奮はなくなったけど、こなたを求める気持ちは泉のように静かに途切れなく湧き出して私の心を一杯にしていく。
そんな甘々な気分に浸っていた私の指先にぬるっとした液体が絡みついた。
「……うわぁ、結局欲望に忠実ってことなのか?」
いつもはこんなことないんだけど……前日だからか?
そっと戸を開けて脱衣所に誰もいないか確認する。隙間から入り込んできた冷たい空気が火照った身体を撫でた。
壁に軽くもたれかかって脚を伸ばすと人差し指を中に潜り込ませた。
左の方を小さな円を描くように動かしていくと、ある所で身体がぴくっと震えた。
指先で押し込むと短い吐息が唇をついて出た。
こなたが見つけてくれた私の一番イイ場所。こなたは他にも私の知らなかった私を沢山教えてくれた。
11日は鏡開き、いつものオヤジギャグなんだろうけど何を今更だ。
私の身体も心もあんたの前ではとっくに開きっぱなしなのにね。
179 :
12-512:2008/01/12(土) 02:32:06 ID:42IeggrY
以上です。今回は溶け残った砂糖が舌でジャリジャリいいそうな作品を目指してみました。
みなさんのお気に召せば幸いです。
>>179 なんというデレ一辺倒のかがみ……コレハイイw
とりあえず6?Pバケツに砂糖吐いてきます
ウボァー
>>179 ごめん、鼻から砂糖の固まり出てきた…。
どうしてくれるんだよ!GJ!!
wikiにてぶーわ氏のを読んできた。
相変わらず引き込まれてしまう…
今回分をそのまま鵜呑みにしたとすると、最も怪しい人はあの人になるけど…
きっとまたどんでん返しがあるんでしょうな。
っつかこの先でさらに絶望スか…獄欝って話だし…楽しみだけど怖いな。
>>179 全身が砂糖と化してしまったがどうしてくれる。
GJ!!!!
>>179 12ー512氏キタ!
舌でジャリジャリ言いまくりましたよもう
ななこみゆきの続きwktkして待ってます
>>179 口から和三盆噴きました。かがみん開き万歳!
185 :
ちび:2008/01/12(土) 09:00:09 ID:qSj2FMt4
おじゃまします。懲りずにまた頑張りました。二次創作3回目、語法とか変なところがあったら指摘してくれると嬉しいです。
今投稿しちゃっても・・・大丈夫ですよね。朝だし。よろしいでしょうか(誰かいますか)?
186 :
ちび:2008/01/12(土) 09:05:51 ID:qSj2FMt4
いくっす。
一応の一応は前回の27スレ目の「こなたとつかさ」の続きになります。
今度はR-18を目指したようなそんな感じです。
187 :
パヤパヤ1:2008/01/12(土) 09:07:01 ID:qSj2FMt4
汗で乱れた紫のショートカットに潤んだあどけない瞳。
こなたが見つめる、こなただけを見つめている女の子。
撫で肩の華奢な肢体は無垢なガラスのようだ。
バストやくびれは発達段階にあり、少女と大人の間で危うく揺れていて、情欲を掻き沸かすオーラを纏っている。
青い艶やかな髪は腰からベッドシーツへ流れている。
つかさを捕らえる大人びた目付き、口元、物腰。それらに似つかわしくない、未発達の膨らみ。幼児体型。
アンバランスにも手足はすらりと引き締まっていてつかさをときめかせる。
〜パヤパヤ〜
深夜のこなたの部屋、
つかさとこなたはベッドの上で一糸纏わずに見つめ合っている。
正座するこなた。つかさを睨んで言う。
「もう私止まれない、いいよね?」
女の子座りのつかさ。瞳は判断に困りせわしなく動く。
え〜、それはこわいよぅ。
「私達女同士だし、きっとつかさ、辛い目に会うかも知れない。」
じっと睨んだ目の端々に複雑な感情が滲んでいることにつかさは気付いた。
優しい声をかける。
「そんな顔しないで。」
こなちゃんにはいつも笑っていて欲しい。
「でも…」
「そんなの関係ねぇ。」
なんですと!と、つかさに向き直る。
「私こなちゃんとなら、笑って乗り越えちゃえるって思ってるもん。」
「つかさ…」
照れたつかさは頬を薔薇色に染める。優しさに心を射たれ、こなたは呆然とする。
私、つかさを好きになってよかったよ…。
188 :
パヤパヤ2:2008/01/12(土) 09:08:00 ID:qSj2FMt4
つかさは沈黙をぽつりと破った。
「こなちゃん綺麗。」
手を前について艶っぽく顔を寄せる。
また不意打ちキス!?こなたはドキッとする。が違うようだ。
つかさ睫毛長いね…。
つかさの視線はこなたの肢体に注がれる。
図らずも、潤ませた瞳はこなたを視姦する。
気付かずにつかさは視線を下へ。
「ちょ…、あんまり見られるとさすがに恥ずかしいですよ。」
こなたは恥ずかしさに顔を背けた。
私もつかさ見たかったのに…。
薄明かりに照らされた恥丘の青い茂み。上気して幾ばくか湿っている。自分よりはある。でも薄い…。
ベッドシーツを滑りながら、こなたと体温を交わすほどにまで近づく。
頬にキスをした。
つかさには野花に似た初々しい匂いがある。それはこなたの鼓動をいつも翻弄させてきた。
今もまた心臓を大きく波打たせる。
「うぅ…。」
たまらずに声を漏らす。
つかさは鈴の音のように澄んだ声をこなたの耳元で響かせた。
「今度は私がやりたいな…。」
ぬぉ!なんと嬉しぃ事を!!
「リバァ?ふふんっ、私がつかさに犯されるんだねぇ。」
押され気味のこなたは声が上ずって女の子らしくなる。
「おか…って!わ、私はこなちゃんの彼女…」
「…え?」
振り向く。
189 :
パヤパヤ3:2008/01/12(土) 09:09:45 ID:qSj2FMt4
つかさは両手の指を合わせそれに目線を落としている。蚊の鳴くような声。
「…彼女、」
大きな瞳で上目に覗き、おずおずと訊く、
「…候補?」
「うううん。」
あっさり否定してみる。
つかさは淀んでひしゃげた。
「そ、そうだよね…」
「嫁。」
言ってふふんと笑う。
つかさはぱあっと明るくなる。
「は、早いねぇっ」
つかさは照れくさそうに満面の笑みを見せた。可愛い過ぎる。
「私つかさが好きだもん…」
こなたはつかさのしなやかな柔肌に手を回し、抱き寄せる。
するすると肌を伝う音。互いに愛する人の匂いに包まれていく。
「私も…」
つかさも背中に手を回す。強く抱きしめる。
もぅ、またこなちゃんだ。
こなたは中指に唾液を塗りたくり、つかさの秘貝の開きを楽しみに向かった。
ぬぷっ
「はっ、ぅ。」
ぞくっとする、未知の感覚。自分の一番大切な場所に、大好きな人の指が入った。
くちゅ、ぬちゅ。
「えぇっ、――んっ」
くすぐったさよりもずっと過敏な刺激。その部位をぬるぬると指が動く。
なんかいいのかも…。
一カ所の愛撫が体を支配し、四肢からは力が抜けていく。支えきれなくなる。
ど、どうしよぅ…倒れる。
こなたは察してゆっくりとつかさの背中を腕で抱えて倒れた。
さすがこなちゃん。安心できる。
まさか…!
「こなちゃん、ぁ…、」
こなたは薄桃色の割れ目を攻め続ける。つかさは全身に微弱の電流が流れて、胸の二つの膨らみの先が堅くなっていくのが自ら解る。
「その、はじめて、んぅ、だよね。…ぁぅ、」
「え?」
手が止まった。つかさは息が上がっていることに気が付く。快感が放電されていく。
「はぁっ…なんか、こなちゃん上手いっていうか、慣れてるっぽくて。」
こなたの表情が固まる。いかにもやましい顔で言う。
「実はかがみんとも…」
「えぇ〜〜〜!」
一瞬で涙目のつかさ。
「うわ〜、つかさはいじめがいがあるね、嘘だよ。嘘。」
「うぅ、ひどい。こなちゃん嫌い。」
「おやおやはそんなこと言って体は…」
しかしつかさは頬を膨らませ、眉も釣り上げている。
「あれ、つかさ?」
ぷいと横を向く。
「ご、ごめんね。これはホントエロゲ等々の知識で…」
190 :
パヤパヤ4:2008/01/12(土) 09:11:03 ID:qSj2FMt4
気まずい空気が流れる。
こなたは後悔した。私は馬鹿だ。悲しくなってくる。
「…うふふ」
あれ?つかさ楽しそう…ってしまった!
「ホントこなたはいじめがいがあるなぁ。」
つかさは自分のセリフに笑い出す。
な、なんかつかささん、凄い元気いっぱい?
あはは、やられたよ…。
「つ、つかちゃんのくせにぃ〜!」
二人して爆笑。
「ごめんね、こなちゃん」
「私も。」
深い紫の瞳、エメラルドの瞳。性に魅せられた両者の瞳は女らしく、とても美しい。
「こなちゃん、キスして。」
甘えてみる。
こなたは何も言わずに唇を重ねた。
つかさは目を閉じ、舌を絡ませ熱い吐息を混じりに鋭敏に求める。
気持ちいぃ…。これなら何回でもしたいな。
お互いに豊潤だった。透明で粘性の強い唾液ジュースを二人は堪能する。
ぷちゅ、ぬちゅ
つかさって甘い…。
「…んっ」
喉の奥から喜悦の声が漏れ出た。
唾液は止めどなく溢れ、つかさのうなじを滴る。
キスを解き、大きく口で呼吸する二人。
体が火照る。じっとりと汗ばんでくる。
こなちゃん凄い真剣…。私にメロメロ?
つかさ、色っぽい…。きっとこれ超レア画像だよ。
左手でつかさの熱い乳房に添え、再びゆっくりキスをする。
桜色の突起はすっかり固い。手のひらでコリコリと弄る。
「うんぁっ…!」
つかさはびくんと体を反らした。
膨らみは掴むほどではないため、軽く寄せて揉み込む。
脳内をじんわり満たす虚脱感が襲う。
「…はふぅ、んん」
いやぁ、なんかくすぐったい〜。
とろけるような錯覚。重力がなくなる…。
秘部からシーツへ溢れたつかさの愛液がつたっていく。
こなたは唇を離し頬にキスをした。
うわぁ〜、気持ちいいよぅ…。
左手の愛撫を継続しながら、首筋に口づけし、鎖骨に口づけする。つかさはその度に無意識に声を漏らす。
そして左の乳房の麓。
「あぁ…。」
次って、きっと…
つー
「ふぁっ!」
こなたはエロい舌使いで麓から膨らみの先へ這った。
先端、乳首を一舐めし、強烈に吸い付く。
「あぁぁぅ!」
同時に左手も摘まんで捻るように弄る。
「はぁ、はぁっあぁ、はぁ…」
全身をよじらせるつかさをこなたも全身で押さえ込む。
すごい…こなちゃん気持ちいぃ…。
つかさは愛撫するこなたの頭を抱える。
こなたはいやらしく突起をベロベロと舐め回す。
「やぁーんぅ…」
つかさが動くたび肌がこなたの性器に刷れる。つかさの臀部にこなたの愛液が広く塗られる。
191 :
パヤパヤ5:2008/01/12(土) 09:11:54 ID:qSj2FMt4
べろべろ…、
時折つかさを確認しながら、舌と手でじっくり愛撫する。
ぶちゅぶちゅぷちゅ…、
つかさの頭の奥から快感が大きな波のように押し寄せてくる。
「あぁんっ!こなちゃん!」
うわぁ私、なんかお色気…。
こなたはつかさの前に戻ってきた。
つかさは肌を赤く染め、汗をキラキラと纏い、激しく呼吸し、しかしうっとりとこなたを覗く。
愛しいゆえ、キス。
唇を離すと、無意識につかさはもっとと顔をこなたに寄せる。
また軽い口づけ。
こなたは指でつかさの秘部を揉んだ。
「はぅぅ…」
「本当にびしょびしょだね。」
シーツに染みが出来ている。
「えへへ…」
熱い吐息で照れる。それは愛の証しみたいなものに思えた。
「私もびしょびしょだよ。」
つかさは覗こうとしたが、暗くてよく見えない。
「触ってみてよ。」
「う、うん。」
ドキドキ…。自分の子宮の真上に位置する、こなたの秘所へ腕を伸ばす。
触れると、そこはとても熱くて柔らかく、ジェルのように滑る。
「っん…。」
「ホントだ…。」
愛の秘密。お互いが飼っている体の事情まで知ることが出来た。
嬉しくて二人は微笑み合った。
「つかさ、一緒に気持ち良くなろ。」
つかさは大きく頷く。一緒がいい。
こなたはつかさの左足を右腕で抱え込む。もう片方の足には上から自分の左足を絡ませた。つかさは重くないように気遣う。
つかさの体は軟らかく、左足をこなたの肩に乗り上げても余裕があった。
こなちゃん…?な、なに…?
「じゃあ、いくよ。」
こなたは二人の秘部を強く擦り合わせた。
ぐちゅり…。
「ふわぁ!」
愛おしく、狂おしい快感。
下の唇同士がぬめり合い、愛液が泡立つ。とても暖かい。
「あぁつかさ…。」
こなたは小さな秘豆を擦りつける。
「んぅ、こなちゃん…。」
つかさはシーツを握る。
「こなちゃん気持ちいぃ…」
こなたは動きを速める。
ぐちゅっぐちゅっ…
「あぅ、んぅ…。」
お互いの愛液が溢れ出し、それを性器で感じる。
つかさが感じてる。私達、愛し合ってる…。
「はぁっ、つかさ、私も気持ちいぃ…。」
ぐちゅぐちゅ…
つかさはこなたの割れ目に大胆に擦りつけた。クリトリスが強く摩擦される。
「…っあぁ!」
つかさの腰がもっとと求める。
こなちゃん、凄いよぅ…。
こなたはつかさの足にすがる。声が我慢できない。
「はぁん!ぁう!」
つかさ、美味しい…。
お互いに腰の動きが激しくなるのを止められない。
ぐちゅぐちゅっぐちゅ…
「はっ…はぅ、あぁ」
溢れる愛液が混合されてこぼれ落ち、ベタベタのシーツの上で泡だっている。
こなちゃん!、
「はぁうん!あぁっ、」
気持ちいぃ…すっごくいぃよぅ!
「ぅあぁん!!」
え!?、つかさは動揺した。
快感が怖い、変な感覚。
ぐちゅぐちゅ…。
こなたを求めると、比してそれは大きくなる。
「っあぁ!あっ…っあぁん!」
ぐちゅびちゃ…。
ベッドが軋む。
なんかこわいよ。こんなのまずいかも…。
芯から沸き上がる。
「いやぁ!ぃやぁあぁん!」
病み付きなほどの快感。
つかさの体に納まりきらないほどに大きくなりつつある。
「こなちゃん!…あんぅ!…変なのぉ!!はぁはぁっ・・・私っ!」
助けて…。
「・・・んぁっ!・・・あぁ、つかさ・・・!」
こなたは虚ろな目でつかさを見つめる。
「わ、私もだから、んぅっ!はぁ、はぁうっ!一緒だから、大丈夫。一緒にイこうっ!」
そっか、一緒。
「っうん!・・・んぁ、あっ、あっ!」
二人は獣のように激しく求め合って、ひたすらによがった。
ぐちょぐちゅぐちょ・・・。
「あぁん、んぁう・・・!」
「つかさ、可愛い・・・あぁっ!」
照れるよぅ、余計気持ちぃぃよぅ、
ぶちゅぴちゃぐちゅぐちゅぐちゅ・・・。
もう、だめっ・・・!!
「あぁ!こなちゃん!私、はぁっ私・・・イク!イッちゃうよ!」
「んはぁっ!私も、あぅっ・・・んぁっ!イッく・・・はぁっ!はぅうっ!」
「んぁうっ!いやっ!あぁっ!!」
「ふぁあっ!」
真っ白に飛ぶ。
「はぁああんぅぅっ――――!!!」
二人は強く抱き合い、昇天した。
情事の後、少ししてつかさは眠ってしまった。
こなたは天井を見る。
明日から、色々変わるんだろうな…。
つかさの手を握る。
でも、本当に私がつかさを幸せにできるなら、私どこまででもいけるよ…。
まあ、しかし…。
こなたに重い後悔が生まれる。
深夜アニメ。
予約を、忘れてたよ…。
193 :
ちび:2008/01/12(土) 09:16:08 ID:qSj2FMt4
なんていうか、もっと頑張ります・・・。保管庫の読者に戻って頑張ります。
エロって妄想力だなぁと思ったので妄想、頑張ります。
とりあえずまたくるっす。失礼いたしました。
二人の性格がちゃんと表現されてて
初々しさとエロさが同居しててよかったです
GJ
GJ!オチが秀逸だなあ。
こんな状況下で、深夜アニメの予約を忘れて後悔するこなたにワロタw
てか、
>つかさの臀部にこなたの愛液が広く塗られる。
直接的じゃないのに、なんという扇情的な描写ナノダコレハハァハァ
196 :
kt:2008/01/12(土) 11:08:16 ID:s1cuEB1+
どうも、
前々スレの295スレ目にパティネタを書き込んだ某ハンバーガーショップでバイトしている者(長っ)ことktです
・・・・ネタを思いついたので頼まれもしてないのに書いて観ましたw
、、、ちなみに自分が今勤めているところはダンスに夢中な方じゃなくて武装錬金に出てた方です。
*最初にパティファンの方々に謝っておきます・・・・
*壊れネタ
*登場人物:3年組と1年組とあきら様・白石と・・・
*SSを書くのは初めて+初投下なのでおかしいところがあるかもしれません・・・・
*2レス
*おそらくエロではな・・・い?
それでは、投下してよろしいでしょうか?
―パティ☆フェチ~みんなのパティ~−
「あぁ、パティの濃厚だよぉ・・・私、パティ無しじゃ生きていけない。そういう顔してるでしょ?」
「ちょっ!つかさ!そのパティは私のじゃない!あんたの分はそこにいるでしょっ!」
「でもそんなの関係ねぇ!、パティにバルサミコ酢をかけて舐めると凄く美味しいよぉ〜」
「だばばばばばばば基本の牛のパティもいいのですが、変り種の海老のパティや魚のパティもいいですねだばばばばばば」
「・・・・・・」
「もう、いやらしいなぁパティはこんなに汁がでちゃってるよ・・・フフ、どうしてほしい?」
「・・・ここにいるパティは私のモノダレニモワタサナイワタサナイワタサナイワタサナイワタサナイワタサナイワタサナイワタサナイワタサナイワタサナイワタサナイワタサナイワタサナイワタ・・・」
「ふ、二人とも黒化してるっス・・・それにしてもパティの汁おいしいっス・・・」
「・・・・・・アノ」
「なーあやの〜さっきから何してんだー」
「もうここにいるパティだけじゃ満足できなくて・・・一から作ってるの・・・でも生のパティもいいわぁ・・・」
「・・・・・・ミナサン」
「あのぉ、、あきら様・・・そんなに食べると太っちゃいますよ・・・」
「はぁ?別にいいのよ!あのデコボコしたパティを口から取り込み、、、そして身体へと染み込んで私の糧となる・・・最高の幸せじゃない・・・」
「・・・私がパティなんデスけど」
「モグモグ・・・ん?・・・モグモグ・・・パティさんどったの?・・・モグモグ」
「アーッ!コナタですラ他人行儀!私のミリョクはそのハンバーガーに挟むモノにマケテルのディスカーーー!!」
「モグモグ・・・パティさん・・・モグモグモグモグ・・・それは・・・モグモグモグモグモグモグモグモグモグモグ・・・違う・・・モグモグ・・・わよ?・・・モグモグムシャムシャ」
「あやの〜説得力ないんだってヴぁ」
「そもそモ○○☆フェチシリーズというのハ!タイトルに入ってイル名前の人がミナサンからの愛、いわゆるアモールを受けてダンボール生活をヨギナクされるという話のハズなのに・・・」
「そんな話でしたっけ?」
「ん?・・・ん〜・・・大体そんな感じじゃねぇの?」
「・・・・・・・ここにいてもどうにもならないから帰りませんか?」
「そーだな−、帰るか〜」
・・・・・・
『ふぅ、、どうやらこの世界での不純多数同姓交遊は食い止める事が出来たみたい・・・でも・・・朝も昼も夕も夜も飲み物も油ものだなんて・・・こなたや
・・・・・こなた達が今流行りのメタボにならないかしら、、、、』
「悲しみダ!もう悲しみしかナイ!!・・・・・・アアもうっ誰か私を襲ッテくださぁァアアアアアアアい!!!!」
「ん?読んだかい?」
「帰レ」
『そうくんは反応しちゃらめぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ?!?』
了
199 :
kt:2008/01/12(土) 11:12:29 ID:s1cuEB1+
これにて終了です、、、
なんというかもう色んな意味でごめんなさい・・・・・Orz
それにしてもパティ☆フェチって語呂わr)
,,,,でもパト☆フェチだったら自分の阿呆な頭じゃ・・・・
警察署やパトカーを見るといつもの壊れネタをやるこなた達→そのまま補導
・・・・っていうのしか思いつかないや・・・ハハハ・・あれ?
>>199 単に食い意地が張ってるだけかwww
>フェチシリーズというのハ!(中略)ダンボール生活をヨギナクされるという話
微妙に違うw
>パト☆フェチ
そこでゆい姉さんの出番ですよ
>>193 GJGJGJ!!
2人とも初々しいですな。
>>199 ちょう、お出掛け前に投下すな。
あ、後で読んであげるから覚悟しなさいっ//////
べ、別にアンタの作品読みたくて全裸待機してた訳じゃないんだからねっ、ホントなんだからっ/////
>>193 なんて可愛いカップル! やり取りも「らしさ」がでていて良いですね。
オチも利いてて楽しませていただきました。ぐっじょぶ。
>>199 パ テ ィ 違 い か !
不覚にも笑ったので座布団一枚。ぐっじょぶ。
203 :
ぶーわ:2008/01/12(土) 12:50:10 ID:i2gdcJ6M
ども、昨日は失礼しましたぶーわです
色々情報が混雑したのと規制になるタイミングがとかであんな事になっちゃいました
お騒がせすんません
お詫びというわけではないですけど
>>170で要望あったので色々突っ走ったゴッドかなたさん&かがみをまとめてみました
つ【
ttp://www.geocities.jp/je104049/matome.PNG】
日記でボチボチ描いて遊んでたやつなので妄想度が高いです注意
あ、衣装もはにゅーの完パクじゃ可哀想だったんで新年から変わってます
あと今人袖触の番外編的なの書いてるんですが、今更投下とかして大丈夫ですかね?
良かったらTSものあげた次ぐらいにでも
>>203 ちょ神様何してるんスかwwww
かがみんにばっかりかまうのはまさか・・・
人袖の番外編、個人的には大賛成ですよ!
>>199 ひどいwあまりにもひどすぎるwwwwwwwwwwwwwww
メタボ候補になってくみんな、報われないパティ。
はたして神様の決断は英断だったのだろうかwwww
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
『らめええええええぇ!』
〜世界改変〜
「あ、パティだ、パティ〜〜〜(だきっ)」
「ハンバーグもいいけどパティもね」
「おむねうにょ〜ん」
「同じ胸が大きいのでも、私なんかより雲泥の差ですねだばだば」
「あ、こなタ、いきなり抱きついてなんですカ?
それにミナサンも、え?え?イキナリ胸スリスリしてハいけませ・・・
Oh!No!Ah!(アメリカ版アッーー)」
『しまったわ;;そうくんに気を取られて私ったらつい・・・』
「いや、これでいいんじゃないかかなた
みんなもメタボらずにすむしさハハハハハ;;;」
勝手ながら続きを書いてみました、もうしわけないorz
>>203 俺の保存は光速を超えた!!(゚∀゚)9m
いよいよあれか、かみ☆フェチくるか!?(゚∀゚)9m
>>203 かがみは泉母子を魅了する何かを持っているのだろうかw
番外編楽しみにしてますぜ!
(´;ω;`)ブーワ
>>207 泉母子を母之泉と反射的に読んだ自分orz
>>203 ノ ここにも一人番外編希望者がっ
>>209 …TR〇CK…?
「私はロンリーでスライムな生活を送りたいのだよ〜」
「あんたが言うと全く違和感ないな、それ…」
ゴッドかなたさんはかなたさんの姿を模しているだけで、「泉かなた」とは関係なかったりするような気もしますが。
それはそれとして番外編希望です。
番外編と言わず、ぶっちゃけ2期希b…(神様的圧力)
東北地方につき大雪の中、全裸待機しております(=ω=.)ゞ
214 :
23-251:2008/01/12(土) 16:08:52 ID:ehWxl3Cy
準備をされている方がいなければ投下いたします。
※規制で途中で投下できなかった時はwikiに投下し、
避難所にて報告いたします。
(携帯で書き込める場合は携帯で報告します)
「ガラスの壁」 第6話
こなた×ゆたか(ひより、パティ、つかさ、名無しのモブキャラ有り)(こなた視点)
注意事項
・シリアス
・続き物
・非エロ
6.
私の懐に飛び込んだゆーちゃんは、大粒の涙で頬を濡らしている。
しかし、私は、華奢な身体を受け止めながら、嗚咽を漏らす背中をさすって
あげることしかできない。
ゆーちゃんは声が涸れるまで泣いた後にようやく顔を上げたけれど、瞼のまわりが
真っ赤に腫れてしまっている。
そして、暫くしてから、ぽつりぽつりと今日の出来事を話し始めた。
「ゆーちゃん。今日は帰ろう」
「えっ、でも」
私の言葉に、ゆーちゃんは躊躇っている。
「あの教室にいると、もっと具合が悪くなると思うから」
「う、うん…… 」
私は、校舎の入り口で待っているように伝えると、ゆーちゃんのクラスまで
一直線に向かい、扉を乱暴に開ける。
教室の中には半数以上の生徒がおり、大きな音を立てて入ってきた闖入者に
視線が集中した。
私は、周囲に構わず、ゆーちゃんの席までずんずんと歩き、机の中にある
教科書とノートを次々に鞄の中に入れていく。
「あ、あの、泉先輩? 」
ひよりんこと、田村ひよりちゃんが瞼をぱちくりさせながら、声をかけてくる。
私はとまどっている彼女に伝言をお願いする。
「ゆーちゃんは体調不良で早退すると伝えてくれるかな」
「は…… はいっス」
私の厳しい表情にたじろいたのか、彼女はコクコクと頷いた。
「コナタ、ユタカどうしたのデスカ? 」
一方、パティは事情が分からないという顔をして尋ねてくる。
「パティ、教室にいなかったの? 」
「ヒヨリと、ミナミと、食堂に行ってましたカラ」
大きな胸を揺らしながらパティは答えた。
ふーん。この3人がいなかったから、『あの連中』はゆーちゃんに
馬鹿な事を言ったのか。
私は、ゆーちゃんの鞄を掴むと、教室の隅で佇んでいる女子生徒に向かう。
教室にいる生徒の誰もが私の姿を目で追っているが、そんなの関係ない。
「え…… あっ」
急に上級生に迫られてあたふたしている、これといって特徴のない顔つきをした
生徒の前に立ちはだかると、空いている方の手で胸倉を掴み、思いっきり捻り上げる。
「ひいっ 」
半ば宙に浮いて爪先立ちになった少女の口から、悲鳴混じりの叫び声があがった。
「あなた。ゆーちゃんに酷い事いったね」
私の声と表情は、既に氷点の遥か下にまで冷え切っている。
「ごめんなさいっ…… 泉せんぱい、ゆるしてくださいっ」
冷汗と鼻水と涙をだらだらと流しながら、憐みを誘おうとしてひたすら許しを乞う姿は
酷くみっともなくて滑稽だ。
大体、悪いと分かっているのに何故やるのか、とても理解できない。
「文句があるなら、私に直接言いなさい」
ごく低い声で言うと、彼女は機械仕掛けの人形のように何度も頷いた。
いかにも小人っぽい振舞いを見せてくれた女子生徒に冷たい一瞥をくれてから、
掴んでいた制服を放すと、よろめいて何度か咳き込み、放心したように
地面にへたり込んだ。
この空間に立っていること自体が、嫌になってきてしまうな――
私は、静まり返った教室を出る為、軋んだ音を立てながら扉を開けた。
廊下に出る間際に、突き刺すような視線を感じて後ろを振り返ると、
岩崎みなみちゃんが、物凄い形相で睨んでいる。
しかし、私は何もいわずに立ち去った。
ゆーちゃんのクラスを出てから、荷物を取りに行くために、3年B組に戻り、
自席の脇にかけてある鞄を持ち上げる。
基本的に、教科書やノートは置きっぱなしにするのでとても軽い。
そのまま教室を出ようとすると、つかさが声をかけてきた。
「こなちゃん、どうしたの? 」
不安そうな顔を隠そうともせずに尋ねてくる。
「つかさ。今日は早退するから」
「こなちゃん。具合が悪いの? 」
「『具合が悪い』のは、ゆーちゃんだけどね」
私の簡潔すぎる説明に、つかさはますます思いつめたような表情に
なっている。
「ゆ、ゆたかちゃんが…… 」
次の言葉が思いつかないみたいで、もどかしげに顔を歪めている。
「そういうことだから」
私が、後ろを向いて外に出ようとした時、つかさがいきなり抱き付いてきた。
「つかさ…… みんなが見てるよ」
背中に柔らかくて温かい感触が伝わるけれど、教室にはたくさんの
クラスメイトがいるので、正直言ってかなり恥ずかしい。
「こなちゃん。どこも行かないよね」
「私が、どこかに? 」
何を言っているのかな?
「つかさ。意味分かんないよ」
「ゆたかちゃんと、遠いところに消えたりしないよね」
つかさは泣きじゃくりながら、私の背中に頬をあてているけど、何故そんな
途方も無い事を言い出すのか、よく分からない。
「つかさ。変な想像のしすぎだよ」
向き直ってつかさの頭を撫でて、ポケットから取り出したハンカチを
腫れた瞼に当てる。
「あ、ありがと。こなちゃん」
つかさが泣きやむのを確認してから、私は教室を後にする。
背後にいて見えないはずのつかさの視線が、妙に痛かった。
黒井先生に、事情を説明してから早退する旨を伝える。
先生はかなり深刻そうな表情をしていたが、すぐに承諾してくれたのは
ありがたかった。
昇降口に戻ると、ゆーちゃんがほっとしたように微笑んだ。
「ゆーちゃん。大丈夫? 」
「うん。もう平気だよ」
やっぱりゆーちゃんは笑顔が一番だ。
ゆーちゃんの笑顔は私を救い、世界を滅ぼす…… わけはないか。
つかさの影響で変な空想をしてしまったようだ。
空は澄み渡るように蒼くひろがっている。
12月とはいえ、風はほとんどなく、昼時ということもあって、
日差しに小春日和のようなぬくもりを感じることができる。
学校を出てからは、ゆーちゃんと手を繋いで、葉をすっかりと
落とした街路樹の下をのんびりと歩いていく。
流石に今日は口数は少なかったけど、二人きりの大切な時間を
持てることは嬉しかった。
この幸せが永遠に続きますようにと願わずにはいられない。
「ねえ。ゆーちゃん」
「なあに。お姉ちゃん」
私を見上げながら答えてくれるのは、更に小柄なゆーちゃんだけだ。
「今度の週末、どっか行こうか? 」
ゆーちゃんは顔を綻ばせながら頷く。
「う…… うん! お姉ちゃんと初めてのデートになるんだね」
「あっ、そっか 」
ゆーちゃんと外出したことは何度もあるけれど、付き合い出してから
二人だけで遊びに出かける、つまり『デート』をするのは初めてになるんだ。
「ゆーちゃん。どこがいいかな。遊園地かな? 」
「えっと、どうしよう」
急には思いつかないというより、候補地がたくさんありすぎて決められないと
いった感じだ。
「うーん。宿題にしよっか」
「宿題? 」
ゆーちゃんがきょとんとした顔で尋ねてくる。
「そう。どこにデートに行くか、金曜日までに決めること。もちろん二人に
出された宿題だよ」
「うん。いいよ。おねえちゃん! 」
ゆーちゃんは弾けるような、満面の笑顔を見せてくれる。
この笑顔を守る為だったらどんな事でもしてみせると、私は心に固く誓った。
219 :
23-251:2008/01/12(土) 16:21:03 ID:ehWxl3Cy
読んでくれた方ありがとうです。
最近は、ハッピーエンドな話を無性に書きたいのですが……
どうしてもシリアスになってしまいます。
「性」というものかもしれません。
>219
GJでした。
こちらはほのぼの過ぎるんじゃないかと悩み、シリアスに転換しようかと考えているというのに
なんという贅沢な悩み!!(帰れ
読んでて最初に思ったのは、「ちょっと改行多くね?」と。
次の行が比較的短いのにすぐ改行すると読み難く感じる。
例:『教室の中には半数以上の生徒がおり、大きな音を立てて入ってきた闖入者に
視線が集中した。 』
ここの所は一行で書いても問題と思われ。
逆に良い所。
みなみちゃんの怒りの目線に(((( ;゚Д゚)))ヒィィィと来るのが印象に残った。
インパクトのある部分の描写が巧い。静かな場所で散る火花、そんな感じの強烈さが。
『私を見上げながら答えてくれるのは、更に小柄なゆーちゃんだけだ。』
ここの表現も素晴しい。さり気なくこなたの小さな喜び(?)を表現してるのが。
書評としてはこんなところ。
上の「改行」も、何か意図があるなら何の問題もないんだけどね。
……さて、俺ももう少ししたら投下しますかね。
(↓結構時間が空くので先に投下する方、どうぞ)
>>219 >「ゆたかちゃんと、遠いところに消えたりしないよね」
あああ、刺さる! めがっさ刺さる!!
アレがナニとアレしているだけに、もう切なくて。ぐっじょぶです。
投下宣言をしようとしたまさにその瞬間、23-251さんの投下宣言がw
しかし、GJです! 続きを気になるので投下の量ではじれったいw
と、いうわけでFoolish Form ◆UEcU7qAhfMさんが投下する前に投下させていただきます。
・みなみ×ゆたかもの(ゆたか視点)
・微エロあり
・8〜9レス拝借
では、ほかの職人さんの投下がなければいきます。
私達は午後六時、急に降りだした夕立から逃げるように、私とみなみちゃんは公園のベンチへと駆け込んだ。
ここはベンチに屋根があって、空き缶やガムの包みといった小さなゴミがまばらに落ちている。
「ひゃー」
「ゆたか……大丈夫?」
「うん……さっきまですごくお天気よかったのに、急にくるんだもん」
「ちょっと、濡れちゃったね」
私とみなみちゃんは頭を肩を濡らしてしまっていた。予期せぬ事態。晴天かと思っていたら急に雨雲が浮かび始めて、
私達は何の準備をする間も与えられないうちに、この大降りの雨に見舞われちゃって、ちょっとばかりテンパって、
とりあえずこの公園へと駆け出してきたんだ。屋根のあるベンチだけど、雨粒は地面を跳ねて小さな飛沫になっている。
肩を濡らした事と、もう陽が傾きかけた事、加えて11月ということで、私は少し肌寒さを感じていた。
「ゆたか、寒いの?」
「うん、ちょっとね。みなみちゃんは寒くないの?」
心配そうな顔で、私を見つめるみなみちゃん。水に濡れた黄緑の髪が、濁った光の雫を垂らしていた。
「私は平気……でもゆたかは」
「もうちょっとでみなみちゃんのおうちだったのにね〜。ちょっとでも止んでくれたら、すぐに帰れるのに」
私はみなみちゃんの言葉を遮るように喋った。もとい、遮った。私の身体の事もあって、みなみちゃんは必要以上に
私の事を心配してくれる。それは嬉しいんだけど、すごく申し訳無かった。雨に濡れただけじゃ私は大事はないから
気遣いの空気を作らせない事で、自分は大丈夫だとみなみちゃんに思わせたかった。
「私が本屋で雑誌選びに時間かけちゃったから、ごめんね」
「それは……関係ない。降られるのは運の問題だから。……そうだ、雑誌は濡れなかった?」
「え、うーん……大丈夫……じゃ、なさそう」
私は困ったような笑みを浮かべた。雑誌をいれた紙袋は半分以上湿っていた。
みなみちゃんはポケットからハンカチを取り出すと、私の髪から落ちて頬に垂れた雨粒を、そっと拭ってくれた。
その行動に、私の胸は強く高鳴った。ただしそれに、身体が弱い私にダメージを与えるような痛みは無かった。
(まただ――何度みなみちゃんに優しくされても、ドキドキが止まらない……)
きっと私の頬は、ぽっと染まっているに違いない。みなみちゃんは何も言わないけれど、柔らかな微笑みで返してくれる。
この日学校を終えた私達はすぐに校門で待ち合わせをして、商店街へ短いデートをしていた。
今日はいつもとは違い、みなみちゃんの家の近くの商店街で買い物をすることにした。いつもは私の家の近くだった。
そこでアクセサリーショップに寄ったり、本屋に寄ったり、帰りはみなみちゃんの家の近くの駅で別れる……予定で。
何の前置きも無しにデートって言っちゃったけど、その通り私とみなみちゃんは……恋人同士になっていた。
(私、みなみちゃんのことが好きなの――)
それは三ヶ月前のこと、夏の終わりが近付く頃に自分の想いを半泣きでみなみちゃんに伝えた私。
いつものみなみちゃんからはちょっと想像できない驚いた顔を見せて、それから私と同じく赤面をすると、
返事の代わりにそっと抱き締めてくれたみなみちゃん。私は喜びと切なさで胸が疼き、倒れそうになった。
(私がゆたかをずっと守るから)
二人の想いが通じ合ったその帰り道、私の手を優しく握って歩くみなみちゃんがそう言った。
私は嬉しくもあり、悔しくもあり。私はみなみちゃんにこれまででも守ってもらってばかりだったから。
恋人同士になったとはいえ、私達の間ではそれほど大きな変化は起きなかった。一緒に遊びに行くのを「デート」と呼んだり、
前よりも連絡をする事が多くなったり、一緒にプリクラを撮るときにちょっとばかり身体の触れる面積が多くなったり、
……週に一度のデートでは、最後に必ずキスをするようになったり。
(ゆたか……いい?)
自分の部屋で初めてのキスを思い出すと、今でもどうしようもないくらいもやもやした気持ちになって、私は布団に潜り込む。
小鳥が啄ばむような、唇と唇がそっと触れるだけの優しいキス。私達はそれだけで、お互いにゆでだこみたいになる。
それから何度か唇を重ねてきたけど、いつも腫れ物に触るかのような優しいキス。私は十分満足だった。
それは数え切れないほどってわけじゃないけど、キスなんて一度や二度じゃないのに、何度やっても恥ずかしい。
みなみちゃんも同じみたいで、私達は赤面して、ドキドキして、キスして、離れて、ドキドキして、赤面して、の繰り返し。
それからちょっとの間をおいて、みなみちゃんは照れが混じった柔和な笑顔で私に
(ゆたか……好き)
と言ってくれる。ただそれだけが何よりも心地良くて、みなみちゃんの恋人でいられる喜びを一番に感じる瞬間だった。
(私も、好きだよ。みなみちゃん)
私達はデートの途中、何度か手を繋ぐ。繋ぎっぱなしじゃないのは周囲の視線を気にしているからなんだけど、
(みなみちゃん、みんなが見て……)
(いいから)
私が少しみなみちゃんに追いつけなかったり、疲れが出たりしたときには、私をリードするようにしっかり握ってくれる。
そのときのみなみちゃんの握った手の強さは、周囲の視線なんか全く気にしてくれない強さと頼り甲斐があった。
それが私には……少しばかり悲しかった。それは、恋人同士の手の繋ぎ方じゃない。守る人と守られる人の繋ぎ方。
つまり、私はみなみちゃんに世話をかけているだけ。それを自分で感じるたびに少し辛くなって、でも安心する自分がいて。
私達は恋人同士だけど、友達の間で聞くような、ラブラブだとかイチャイチャだとか、そんな感じじゃない。
みなみちゃんがそんな感じだったらそれはそれで不自然だけど、もしかしたら女の子同士だからかなって穿ったりもして。
結局恋人同士になってもキスをするようになった以外は、前と何も変わらなくて。大きな変化を望んでいるわけじゃないけど、
それはつまり、友達同士のときにもあった私が一方的に守られる立場であることを継続していくということでもあった。
もっときちんと触れ合うなら、恋人同士のように触れ合いたい。みなみちゃんの手に、私からも愛情を込めて触れたい。
今なら触れられるかもしれない。大降りの雨を眺めるみなみちゃんの横顔から、その白くて細い指先に視線を移す。
(よかった。私の手、冷たくなってなくて……)
自分からみなみちゃんの手に触れるなら、暖かな手で愛を示したい。私の手は、それをするに小さくて物足りないけど……。
私の左手がそっと少しづつ、震えながらみなみちゃんの右手に近付く。1センチ距離が縮まる事に、私の気持ちが昂ぶる。
保健室に向かうとき、デートの途中、人ごみの中、みなみちゃんから手を繋ぐときは安心して触れられるのに、
自分からとなっただけで、どうしてこんなに緊張するんだろう。それでも私はみなみちゃんに触れたくてたまらなかった。
やがて私の指先がみなみちゃんの指先にぴっと触れると、みなみちゃんはピクンとわずかに横顔を動かした。
みなみちゃんの手は冬服の袖に半分だけ隠されていて、私は袖から出ている指に探るように、すりすりと指を擦りつける。
横目でちらりと見たみなみちゃんの頬はピンク色に染まって……私はそんなみなみちゃんにさらに触れたくなった。
「……!」
私の指が、みなみちゃんの冬服の袖に侵入する。そのまま指先をみなみちゃんの手の甲で、文字を書くように動かせる。
そんなことを言葉もなく、雨の音を聞きながら続けていた。みなみちゃんは目を閉じて、その温もりを感じているみたい。
触れている面積は1〜2平方センチメートルの世界なのに、しかもいやらしいところに触れているわけじゃないのに、
私達はそれだけで気恥ずかしさともどかしさ、少しの心地良さに昂ぶっていることを、お互いに感じ取っていた。
ここが私の触れたい限界点、もとい触れられる限界点なのかもしれない。物足りなさは適度なスパイスだった。
でも、みなみちゃんはどうなんだろう? もっと私に触れたい? 指先だけで足りているかな?
やがて、私の指からみなみちゃんの感触が消え――なかった。一瞬離れたその手はまた、包み込むように私の手を握った。
みなみちゃんと別々の空間にいても、目を閉じるだけで思い出せる、いつもの温もりだった。
でもやっぱり、みなみちゃんは足りてないのかも。いつまでもこの手と唇だけの関係じゃ、いけないのかもしれない。
*****
雨はさらに大降りになって、単なる天気雨を判断する事はできなくなった。
「雨……止まないね」
「あ」
「どうしたの?」
「ゆたか、待ってて……携帯、借りていい?」
私は携帯電話を取り出すと、みなみちゃんに差し出した。みなみちゃんは慣れた様子でその番号を押す。
どうして早めに気付かなかったんだろう。数分後には高良先輩のお母さんが、車で迎えに来てくれた。
この公園はみなみちゃん家の近くにあるんだから、当然だった。
(あ!)
このままみなみちゃん家に行けば、みなみちゃんを降ろしたあとで私はそのまま駅まで送ってもらえる。
でもそれは、今日はもうみなみちゃんとお別れになる、ということだった。まだ大事なことを済ませていない。
(キス……しておけばよかった)
車の後部座席に座っていた私は、そっと自分の唇に触れた。改めて自分が、あのキスの虜になっていると気付いた。
それにあの指の触れ合いの後だから、尚更おさまりがつかない。みなみちゃんはどう思ってるんだろう。
「それにしてもすごい降っちゃったわね〜、洗濯物取り込むの大変だったのよう」
「帰ったら……手伝います」
「たぶんおおかたのことは今ごろ、もうみゆきがやってくれてると思うのね。今日はつかさちゃんが遊びにきてねえ」
「つかさ先輩がですか?」
私がたずねた。
「そうなのよう。こないだみゆきがつかさちゃん家に泊まりに行ってからすごく仲がよくて、まるで恋人みたい。
今日はつかさちゃんがお泊りの予定だったんだけど、そういえばみなみちゃんに伝えるの忘れてたわ。ごめんねえ」
「いえ……じゃあ今は高良先輩と柊先輩の二人きり……」
「そうなのよう。二人で一緒にお夕飯を作るんだって、みゆきってば柄にもなく張りきっちゃってね」
かがみ先輩やおねえちゃんが一緒ならともかく、つかさ先輩がひとりでお泊りなんて、珍しかった。
いや、みなみちゃん家のお泊り事情はよく把握してなかったんだけど、おねえちゃん達のいつもを見れば……。
「今日はいつもより盛りあがっちゃうかもねえ。よかったらゆたかちゃんも泊まっていったら〜?」
「えっ、あの……私」
「ゆたかは、その……」
「私は全然いいわよう。みゆきやつかさちゃんも喜んでくれるかもねえ。ていうか泊まっていって〜」
イエス以外の返事はなさそうだった。私をみなみちゃんはお互いの顔を見合うと、クスッと笑い合った。
よく考えたら、みなみちゃんの家に泊まるのは初めてで……あとでおうちに電話をいれなきゃ。
それに、まだしてなかったキスができるかもしれないし……。
「そういえばみなみちゃんもゆたかちゃんもビショビショねえ」
「あ……ゆたか、お風呂借りてく?」
「うん、ありがとう」
「二人とも身体冷えちゃったしねえ。そういえばみゆきとつかさちゃん、シチューを作るそうよ」
「みゆきお姉さんのシチューは……美味しいです」
「時間も時間だし、私もお腹ペコペコ〜。あ、そうだわ。二人とも一緒にお風呂はいっちゃいなさい。その方が早いし」
……。
「「えっ?」」
私達を乗せた車はちょうどいいタイミングで、みなみちゃん家に到着した。
******
私達は返す言葉が見つからないまま、みなみちゃん家の玄関を潜った。そこには、エプロン姿の高良先輩とつかさ先輩。
「おかえりなさい、みなみさん。あ、小早川さんも一緒だったんですね」
「みなみちゃん、おじゃましてるね。こんばんは、ゆたかちゃん」
みなみちゃんはただいま帰りました、と呟く。私はおじゃまします、と頭を下げた。すでにシチューのいい匂いが……。
「今日はゆたかちゃんが泊まっていくのよう。思いがけず、賑やかになったわねえ」
どうやら私はもうお泊まり確定になっていたらしい。高良先輩やつかさ先輩もにこやかに迎え入れてくれた。
「じゃあ、二人とも早いうちにシャワー浴びちゃいなさい。そのままじゃ風邪をひくわよう」
「そうですね。では私は着替えを用意しておきますね」
「ゆたかちゃんには、みゆきの小さい頃のものを用意しておいたほうがいいわねえ」
きた……私とみなみちゃんは、顔を合わせることができなければ、お互いに言葉をかける事もできない。
「みゆきとつかさちゃんはお風呂まだだったわねえ」
「はい、後で一緒に……けふんけふん。私達は後ほどいただきます」
私がみなみちゃんの後を追うようにして、二人は脱衣所へと向かった。少しの距離と、緊迫した空気。
どうしよう……それって、みなみちゃんに私の、裸……を見せるってことだよね?
友達同士ならそんなに珍しくないことなんだろうケド……相手はみなみちゃんだし。好きな人だし。恋人だし。
お友達とお風呂に入った事が無いなんてことはなかった。そのときだって別に恥ずかしいとも思わなかった。
でも今は事態が違う。みなみちゃんだってきっと平気じゃない。さっきからずっと重々しい雰囲気を出してる。
タオルを巻いておけばいいよね? 私の貧弱な身体なんか、みなみちゃんは喜ばないだろうし。
……って、喜ぶとかどうかの話じゃないし、みなみちゃんはそんな女の子なんかじゃないし。
(べ、別にそんなエッチなことなんかじゃないよね。女の子同士ならフツー、フツー……)
みなみちゃんがまだ『友達』だったころなら大丈夫だったかと言われたら、それはないんだろうケド……。
「ゆたか……」
「な、なに?」
「制服……洗うから、そのまま洗濯機に入れて」
「う、うん……」
重い足取りでついに脱衣所にたどり着いた。私が先に服を脱いで、お風呂場に入る事になった。
脱衣所の扉の向こうには、みなみちゃんが立っている。タオルを着れば、そんなに恥ずかしいこともないかも。
衣服を洗濯機に放り込むと、私は身体にバスタオルを巻いた。私の身体にはちょっと大きいタオルだった。
起伏のない緩やかな曲線――そんなことを考えても仕方ないから、私はみなみちゃんに声をかけるとお風呂場に入った。
「わ、広……」
やっぱりお金持ちのおうちのお風呂は一味違う。実家のお風呂と比べても三倍も四倍も大きい。
あえておねえちゃん家のお風呂と比較しなかったのは察してほしいところ。
湯船からお湯を救って頭から浴びると、冷えた身体に熱が伝わって、心なしか緊張も解れてくる。
「ゆたか、入るね」
そういうとカラカラとお風呂場の扉が開いて、身体にタオルを巻いたみなみちゃんが入ってきた。
湯気でかすかにしか見えなかったけれど、少し伏目がちに恥ずかしがっているのがわかった。私以上に緊張してるのかも。
「私、友達とお風呂に入るの初めてだから……」
「そうなんだ? じゃあ私が初めてだね」
「うん……修学旅行とかで、クラスメートとは入った事はあるけど……」
「じゃあちょっと緊張しちゃうかもね。それに」
「それに?」
「私、友達じゃなくて……その……恋人だから」
そういうと、お風呂場に沈黙が走る。どうして自分から気まずくなるような事を言っちゃったんだろう。
「あ、頭洗っちゃおうかな」
「あ。シャンプーハット、ここにある……」
「ありがとう。でも大丈夫だよ」
「そう、じゃあ」
みなみちゃんは近くにあったポンプを一、二回押すと、自分の手の平にシャンプーを出した。
「私、洗ってあげる」
「えっ……う、うん。ありがとう」
みなみちゃんの手が私の髪に触れて、それを動かすたびにツインテールを解いた髪に泡が立っていく。
まさか洗ってもらえるとは思わなかった。みなみちゃんはまた、私のことを思ってここまで?
撫でるような優しいタッチで頭を洗われていく。少しこそばゆかった。私は泡が入らないようきゅっと目を瞑る。
「あとでみなみちゃんも洗ってあげるね」
「うん……これ、みゆきお姉さんのお気に入りのシャンプーなんだ」
「そういえばすごくいい匂いがするね。どんなシャンプーなの?」
「海外から取り寄せた、ココナッツ成分の……トリートメントも同じ種類で、髪がサラサラになる」
「高良先輩、髪長いのにすごく綺麗だからね〜みなみちゃんも結構サラサラしてるし」
「ゆたかの髪も……柔らかい。触ってて、気持ちいい」
「わ、私も気持ちいいよ……」
また気まずくなってしまった。みなみちゃんはシャンプーを洗い流すと、今度はトリートメントをとり、同じように洗った。
「ありがとう。すごく気持ちよかった」
「そう、じゃあ今度は」
「私が洗ってあげるね」と口にしようとしたときだった。
「背中、流してあげる」
「えっ! だ、大丈夫だよみなみちゃん」
「任せて」
いくら背中とはいえ、これ以上みなみちゃんに肌を見せるのは恥ずかしかった。水着とかで見られてる部分のはずなのに。
私はもう反論せず、座ったまま身体に巻いたタオルを軽く解くと、無防備な背中をみなみちゃんに晒した。
きっと背中まで真っ赤になってると思ったんだけれど……。
「ゆたかの背中……白くて綺麗」
ボディソープの泡が付着したタオル越しに、みなみちゃんの感触が伝わる。
「ふあ……」
「……! ごめん、ゆたか。痛かった?」
そうじゃない。恥ずかしさで敏感になったのかもしれなかった。みなみちゃんの手が這うように動くたび、妙な心地良さ。
私が首を横に振ると、みなみちゃんはさっきよりも優しい動きで背中を洗ってゆく。
私の背中とみなみちゃんの手の間にある境界線のタオルの感触が消えたような気分。直接触れられてるような……。
「ふぅ……んっ……」
「ゆたか、大丈夫?」
「なんでもないよ……ちょっとくすぐったいかな?」
きっとこのボディーソープも良い物に違いなかったけれど、それを話題にする余裕はなかった。
ただ恥ずかしく、ただ気持ち良い。好きな人にされているからか、久しぶりに誰かにされたからかはわからなかった。
ふと考えた。みなみちゃんは背中まで流してくれた。優しさから? もしかして私にもっと触れてみたかった?
髪が柔らかいって言われたときは嬉しかった。頭を洗われたときも、そして今も、確かに気持ちが良い。
私も、みなみちゃんに触れてほしがってる……? 背中だけじゃなく、この気持ち良さがもし全身にきたら……?
(そんないやらしいこと考えちゃダメ……みなみちゃんがせっかく、優しくしてくれているのに)
公園でみなみちゃんの手に触れたときは、たしかにあれで満足したような気分だった。本当はそうじゃないとしたら。
あのときと今とでは状況が違う。そのせいで私はずいぶん欲張りになったのかな?
今は身体がたくさん触れるだけのきっかけがたくさんある。みなみちゃんが触れさせてくれるかは別として。
そもそもまだ私は、本当にみなみちゃんに触れてほしいのかわからない。みなみちゃんが触れたいのか、もだけど。
背中にかけ湯をして、泡が洗い流された。今度こそは私が、みなみちゃんを洗ってあげる番だった。
「みなみちゃんの髪、本当にサラサラだね。毎日しっかり梳いてるんだね」
「髪が短いから……手間がかからない。ゆたかみたいに可愛い髪形はできないし」
「みなみちゃんの髪型、好きだよ。かっこいいし……って、女の子にこんな褒め方しちゃったら」
「ううん。嬉しい。ゆたかが喜んでくれるなら、私はこのままでいる」
「昔からこの髪型なの?」
「うん。なんとなく、飾ったりいじったりは向いてないと思って」
「私は髪型が子供っぽさに拍車をかけてるみたいで、変えちゃおうとしても全然似合わなくて」
「私と同じ……ゆたかも、今のままで良い」
「うん!」
ようやく、普通と呼べる会話ができる。シャンプーもトリートメントも洗い流して、ついに背中になった。
「じゃ、じゃあみなみちゃん……背中……」
「あ、うん」
みなみちゃんのタオルが解かれて、真珠のような白さを持った背中が露わになった。水に濡れて光沢が増している。
「綺麗……」
「ゆたか、恥ずかしい……」
「で、でもみなみちゃんも同じ事いったんだからね!」
「……ふふっ。そうだった」
タオルにボディーソープを染み込ませて泡立てると、私はゆっくりとみなみちゃんの背中を洗い始めた。
タオル越しでもわかる。シルクのようになめらかな肌触り。予想通り、みなみちゃんの身体は綺麗だった。
「こうしてたまに一緒にお風呂に入るのも楽しいかもしれないね」
「うん……できればまた入りたい」
「そうだね」
「ゆたかは……私と入ってイヤじゃない?」
「全然イヤじゃないよ。だってお風呂にはいるだけだもん。最初はすっごく緊張してたけどね。でも女の子同士だし。
恋人同士って考えてたら、ちょっと恥ずかしくなっちゃうかもだけど、みなみちゃんはいつも通り優しくしてくれるし」
「!」
「こんな風に背中を流しあいっこするのも、すごく楽しいし。たまにおねえちゃんとしてるんだけどね」」
「ゆたか、ごめんね」
「えっ」
突然のみなみちゃんの謝罪に、私はタオルの動きを止めた。ごめんね?
「私、優しくなんかない……いけないことずっと考えてた。もっとゆたかに触れたいと思ってた」
「みなみちゃん……?」
みなみちゃんの右手は、タオルの裾を強く握って震えていた。暴力的な衝動を抑えているみたいに。
「みなみちゃん……でも私達、もう何度も触れ合ってるし、今だってこうやって」
「違うの……だから私は、これ以上制限できなさそうな自分がイヤで」
その声は震えていて、僅かに怒気がこもっていた。でもその怒りは、私に向けられてはいないってすぐにわかった。
みなみちゃんの言葉は口数が少ない分、時折しっかりとした力が込められている。私はそれに何度も助けられた。
「制限できないって……その……」
「さっきだって、ゆたかの髪を洗っているうちに肩に触れたくて、背中にも触れたくて、あまりにも綺麗だったから」
「う……」
「こんなに可愛くて、大好きで綺麗なゆたかの身体に、もっとたくさん触れたいって思ってた。必要以上にでも。
今の私の汚い手で綺麗なゆたかに触って、汚しちゃうかもしれないのに。でもゆたかに触れて、ゆたかに触れられて、
もっと触れられるかもとか考えてしまって、でも調子に乗りすぎて、ゆたかに拒絶されたらどうしようって思って」
拒絶? 私が? みなみちゃんは私にもっと触れたいって。
みなみちゃんの手が汚い? こんなに綺麗で、いつも私の事を気遣って優しく触れてくれる、私の大好きなこの手が?
「ゆたかに公園で手に触れられたとき、すごく嬉しかった。ゆたかも触れたがってるって思って、その気持ちが嬉しくて。
でもきっと、ゆたかの気持ちは私の気持ちとは違うから。好きな人に触れたいって気持ちでも、別のものだから」
そうだったんだ……私は少し、安心したような、どこか恥ずかしくも、嬉しい気持ちが込み上げるのに気付いた。
みなみちゃんも同じだったんだ。触れたいとか、触れてほしいとか、そういうことをずっと考えていたんだ。
……さっきまでの私と同じように。たぶん大きさや方向は違うんだろうけど、お互いにもっと相手を求めていたんだ。
それは普段、言葉数が少ないみなみちゃんが、ここまで自分の本心を話してくれちゃうくらい。
「ゆたか、ごめんね」
「みなみちゃん……」
みなみちゃんが苦しんでいる。自分だけ、邪な事を考えていたんだって自分を責めている。
私の事を心配してくれるその分、自分のことが許せなくなっているんだ。私はイヤだなんて少しも思わないのに。
だったら、その必要は無いんだよ? 私は心の中なら一瞬だって、みなみちゃんを拒絶する気なんてなかった。
私がみなみちゃんを助けてあげなきゃ。元々、私も正直になりきれなかったこともいけなかったんだから。
最初は、本当に私はもっとみなみちゃんに触れたいのかわからなかった。でも今なら、はっきりとよくわかる。
(みなみちゃんに触れてほしい……手のひらだけじゃなくて、唇だけじゃなくて……)
相手に触れたいって思う事がいやらしいことかな? 私達はお互いに触れ合いたいって思っているのに。
確かに私の身体は、触れるには小さくてつまらない身体だけど。こんなに触れたいって言ってくれる人がいるし。
私はその人に一番に触れてほしいって思っているのに……だからみなみちゃんは、自分を責める理由は何もない。
「みなみちゃん“も”、私に触れたいの?」
「うん……えっ?」
「だったら、同じだよ」
私は再び、みなみちゃんの背中を洗う事を再開した。大好きなものに触れてるんだから、できるだけ優しく。
「ゆ、ゆたか」
「その……身体が触れるだけっていうなら、私だってみなみちゃんに触れたいし、触れてほしい。できれば全身。
でも私、こんな小さくて、身体も弱いし、触れるのが躊躇われるような女の子だから。すぐに心配かけちゃうし。
だからみなみちゃんが触れてくれるのが嬉しくて。手を繋いでくれるのが嬉しくて、わざわざ悲観的に見てたけど……。
でも当然だよね。手を繋いでるのが嬉しいときから当たり前だった。好きな人に触れたいって思うのは当たり前。
みなみちゃんが私の事好きだって思ってるなら……私に触れたいと思うし、私も、そう思ってほしい……かな」
自分で言っててとても恥ずかしい。私は俯いたまま両指を絡めて、みなみちゃんの言葉を待った。
「ゆたか、本当に……」
「わ、私ってば、いやらしいかな?」
「……ううん」
顔は見てないけれどわかる。みなみちゃんはきっと微笑んでいる。いつもみたいに、私だけに向けてくれる笑顔で。
それがわかると、私も同じように微笑んだ。それはみなみちゃんも気付いているに違いなくて、それが嬉しくて。
「でも、実際に触れ合うって、ど、どうすれば……」
「う……ゆ、ゆたか」
「なあに?」
「抱き締めて……いい?」
「……うん」
******
みなみちゃんの背中を洗い終えると、私達は向かいあって立っていた。
まだタオルを巻いていたとはいえ、改めて身体を見られるとすごく恥ずかしい。でもそれはおあいこだった。
抱き締め合ったりするだけなら、私達は今までに何度だってやっていた。私が想いを伝えたその日だって。
でも今は服を来ていない。直接密着する場所も、状況の恥ずかしさも段違いにエッチなものになっている。
みなみちゃんは両手を私に伸ばすけれど、どんな風に抱き締めればいいかわからないらしい。手は空中を泳いでいる。
いつもみたいにすっと優しく私を引き寄せて、包み込むように抱き締めるということが、しにくくなっているみたい。
「あ……待って、みなみちゃん」
「うん」
「これ……脱ぐから」
私の全身が真っ赤なのは、きっとのぼせたせいじゃない。震える手でそっと身体に巻いたタオルを外してゆく。
みなみちゃんは恥ずかしくて私を直視できないらしく、斜めに視線を落としてタイルの濡れた床を見つめていた。
「これならいっぱい触れられるから、みなみちゃんも脱いで?」
「う、うん……」
みなみちゃんは恐る恐る自分のタオルに手をかける。そのとき、視線がそっと私の身体へと向かった。
恥ずかしい……羞恥で涙がこぼれそうになる。みなみちゃんの目の前で生まれたままの姿になった私。
でも私はその半面、みなみちゃんに全てを見てほしくて、どこも隠さずに震えながら俯いたままだった。
みなみちゃんも脱ぎ終わったみたいだけれど、私はその身体を見つめることができなかった。自分だけで精一杯だった。
「ゆたか……かわいい」
「や、やっぱり子供っぽいよね……」
「ううん、そういうことじゃない」
「ごめんね、抱き心地の悪そうな身体で……私」
言葉の途中で、私の身体はすっと抱き寄せられる。途端、少しの冷たさのあとにゆっくりと伝わってくる体温。
私達はなにも遮るものがない身体同士で、二つでひとつだったかのように、全身ぴったりと触れ合っていた。
みなみちゃんの心臓が高鳴っているのを感じる。私もそれは同じで、二つの鼓動は同調するように動いている。
「み、みなみちゃん」
「ゆたか……温かい」
「そうだよ、だってお風呂入ってたんだもん」
ロマンの欠片もない正論に、私達はくすっと笑いあった。それで結構余裕ができたのかもしれない。
身長差がだいぶあるから、みなみちゃんの胸に顔をつける形になった。みなみちゃんの両手は私の頭に回されている。
時折、私の髪に撫でるように触れてきて……私はみなみちゃんの背中に回した手にぎゅっと力を込めた。
身体に残る水滴と、少しづつ滲み出てきた汗はさらに、私達をくっつけてゆく。胸とお腹が、足と足が触れ合って……。
みなみちゃんの身体は思っていたよりも細くて……私達はお互いに全身を調べ尽くそうとしているかのようだった。
触れ合うって、こんなに素敵な事だったんだ。ただ肌と肌が寄り添うだけで、愛情をダイレクトに感じる。
私達はしばらく何も言わずに抱き合ったままで、恥ずかしさよりも今は喜びで満ち溢れていた。
「ゆたか」
「ん……」
「気持ち良いよ」
「私も。でもどうしよう……」
「なに?」
「くせになっちゃうかも」
ただ抱き合うだけがこんなに気持ちよかったなんて。それは、相手がみなみちゃんだからなんだろうケド。
「何度もしちゃったら……私」
「みなみちゃん?」
「いつかは、もう二度と離したくなくなる」
ようやく今の私達がお互いに満足のいくふれあいにたどり着けたみたいだった。二人とも、幸せな顔してるだろうから。
たぶん、もっと触れ合うこともいつかはあるんだろうけれど……今はこのままで、時間が止まってほしいくらい。
そういえば、今日はまだやっていない事があることを思い出した。
「ねえ、みなみちゃん」
「なに、ゆたか」
「キス……して」
******
高良先輩とつかさ先輩の作ったシチューは格別だった。特に高良先輩のお母さんはすごく美味しそうに食べていた。
「おかわりはありますから、たくさん食べてくださいね」
「こんなときにお父さんってば、残業だなんて大変ねえ。今日は女の子だらけで盛りあがりましょうね」
私とみなみちゃんは、微笑み合ってシチューに口をつけた。シチューの温かさが尚更頬を緩ませる。
「そうしていると二人とも、まるで姉妹みたいに仲良しねえ」
「そうですか? えへへ、照れちゃいますね」
私は頬を染めて頭を触る。本当は恋人同士です、なんていうことはまだ口にできないけれど……。
それに、実の事を言うと二人の関係はまだ誰にも話していなくて、私達だけのトップシークレットだった。
「だって車の窓から見てたんだけど、二人ともベンチで手を繋いだりしてて……可愛かったわよう」
「えっ……!」
私とみなみちゃんの身体がピシッと石化する。高良先輩とつかさ先輩も、スプーンを止めていた。
見られてた? 結構、恥ずかしいところなんですケド……でも、恋人同士だとは思われてないみたい。
高良先輩はつかさ先輩に何かを耳打ちしてる。つかさ先輩はうんうんと頷いていた。
「だから二人でお風呂に入ってもらえば、もっと仲良くなれると思って〜。お風呂は楽しかった?」
「「は、はい……!」」
今度は二人揃って背筋をピンと立てる。高良先輩の二度目の耳打ち、つかさ先輩の二度目の頷き。
「じゃあ今度はみんなでお風呂に入りましょうねえ」
「わあ、楽しそうですね〜」
と、答えてはみたんだけど……内心は焦っていた。一緒にお風呂がイヤなんじゃなくて……ね?
高良先輩とつかさ先輩は、ふたりそろってニコニコと、私とみなみちゃんに微笑んでいる。な、何だろう?
「ゆたかちゃんのお父さん……じゃなくておじさんには連絡を入れておいたから、今夜は遊びましょう〜」
それから高良先輩とつかさ先輩のお風呂を待って、トランプ的な物で一通り盛りあがって……気付けばもうおやすみの時間。
高良先輩とつかさ先輩は一緒のお部屋で寝るみたい。手まで繋いで、すごく仲良し……うらやましい、かな?
みなみちゃんの部屋で二人きりになると、急にお風呂場のことが思い出されてどうしようもない気持ちになった。
どうして今になって、こんなに恥ずかしく……私の身体、みなみちゃんに全部見られ……。
顔を合わせる事ができない。私は枕を掴むと、顔をぎゅっと押しつけた。みなみちゃんが不思議そうに見ている。
そういえばみなみちゃんの身体を見る事ができなかった。全身で感じてはいたけれど、ちょっと悔しい……。
「ゆたか……」
「なあに? みなみちゃん」
「明日の朝……また、お風呂に入ろう」
「うん!」
でも、世界一お風呂を好きになりそうな予感。
******
(あら、四人は別々の部屋で眠るのねえ。みゆきもつかさちゃんも、みなみちゃんもゆたかちゃんも、
お互い仲良しでお母さん、ちょっと寂しいわね……お父さん遅いし、私は今夜もひとりで寝るのかしら。
でも、四人とも声には気をつけてねえ。一応防音処理はしてあるんだけど、やっぱり心配だし〜。
みなみちゃんとゆたかちゃんは奥手そうだから、一緒にお風呂なんて雰囲気づくり協力しちゃったけど、
みゆきとつかさちゃんはともかく、みなみちゃんとゆたかちゃんはいつ本当のことを話してくれるのかしらね。
いつでもいいから待ってるわね〜お母さん応援しちゃうから。まだまだ先にはなると思うけど〜。
私もひさしぶりに、お父さんとお風呂入っちゃおうかしら。でもあの人遅いし、待ってたら寝ちゃい……Zz)
と、いうわけで投下終了です。一回規制にかかったのですが、何とか逃げ切りました。
前スレ9-727氏のお風呂ものに触発されて書いてしまいました。
誤字脱字等ありましたら申し訳ありません。
それから、以前投下したみゆつかものにコメントいただきありがとうございます。
みゆつかはまた新しいものを書いて近いうちに投下したいと思います〜。
ではでは、他職人様がんばってくださいませ。
湯上りの熱気さえ伝わってきそうなほどリアルタイムにて読了。初々しいみなゆたは、下手な入浴剤より健康に効くんじゃぜ?
そしてキューピッドゆかりん乙。ていうか理解ありすぎです、ゆかりさんw ぐっじょぶでした。
237 :
23-251:2008/01/12(土) 20:45:56 ID:ehWxl3Cy
>235
リアルタイムGJ!
ああもうっ! て、いいたくなるくらい、じれったくて初々しいカップルぶりですね。
たいへん美味しく堪能させていただきましたとも。ええ。
あと、みゆき母たくらみ過ぎw
>221
とても詳しい感想及び、ご指摘をいただき、ありがとうございます。
改行の件ですが、自分自身が読みにくいので、短めの間隔で入れています。
また、文字数ではなく、文節単位、ないし、「文の意味」が分断されないように改行をしている為、
改行のある箇所では、1行あたりの文字数は少なくなっています。
>235
まずはGJ。
さて貴方にも書評を。今後の糧となりますように。
一人称の問題点としては、『登場人物が考えうる』語彙の範囲内でしか地の文が構成されないことに注意。
例えば、『柔和な笑顔』などは『柔らかい笑顔』の方がゆたかの喋る単語として相応しいと思う。
あと、『1センチ』。距離を具体的に描写するのは残念ながら頂けない。ここは『少しずつ』の方がベター。
何故なら、人は距離をセンチ単位で測らないから。(目盛りを用意した環境は除く、念のため)
『手が届く』『届かない』、『手を動かせば届く』『全身を前に出さなければ届かない』など、
大体において身体の大きさを基準にして人は測っているから。
『1〜2平方センチメートル』も同様。狭いことを強調できるような修飾語、『本当に小さなところ』などとした方が良い。
ちなみに、先頭の一マスは開けるべき。これだけでグッと読みやすくなる。
以下は内容。まずは気になった所。
『単なる天気雨を』、ここでちょっと引っかかった。『単なる天気雨かどうか』じゃないかしら。これは多分ケアレスミスでしょう。
『車の後部座席に座っていた私は』、ここでは場面が突然飛んでしまった。車に乗るまでの動向を描いた方が良い。
〜個人的書評〜
みなみが携帯を持っていない? ことは明示した方が良いかも。
一瞬、『家に忘れたのか?』と思ってしまった。
〜ここまで〜
『みなみちゃんの家に泊まる』、ってこれ高良家じゃ(ry
前後関係不明&こちらのミスリードの可能性もあるのでこれは保留。
……って、何だかみなみの母=ゆかりになってるような? 読み違えてたらホントごめんなさい。
『トランプ的な物』は具体的に書いた方がよさげ。大富豪とかナポレオンとか。
んで最後。『Zz』は別な言葉に置換するべき。最後の一行を途切れ途切れにして、最後に『……』で締めればOKかと。
続いて良い所。
7.の、ゆたかのみなみを気遣う心情表現が凄く巧いと感じた。
純情純愛とは甚だ言い切れない二人しか書けない(書かない、ではなく!)こちらとしては見習いたいくらいの文章。
『だったら、その必要は無いんだよ? 私は心の中なら一瞬だって、みなみちゃんを拒絶する気なんてなかった。』
そしてここが本当に上手!! 「心」からみなみに一切の同意を示すような疑問を投げ掛ける描写は神がかりといっても良い。
〜超・個人的書評〜
但し『心の中なら』ってのがちと引っかかり。(おいおい褒めるんじゃないのかよ)
身体では拒絶しないんですk(略
〜ここまで〜
『私達はなにも遮るものがない身体同士で、二つでひとつだったかのように〜〜〜』
そしてここ!! 二人の愛が花開き、遂に一緒になった悦びを存分に表わしてる。
こういうの、俺も昔(初代スレの頃か……)に書いてたよーな。ホント素晴しい。
こんなところでしょうか。次回作にも期待してます。
>237
掲示板に投下すると横の幅が延びるから、大体60字前後で改行すると良い感じ。
この「前後」は、貴方がやっている文節の区切り、又は読点なんかで。
「方法」は問題ないのですよ、ただ「基準」の問題で。
但しこの「基準」って奴も曖昧なので、こちらの「基準」がしっくり来ないというならばそれもまた良し、です。
ちなみに、分割するには短いし一文にする時は長い……
そんな時は思い切ってそこの行を引き伸ばす!
冗長にならない程度に書き足すと、二行に分割した時に自然になるという裏技。(裏でも何でもないけど)
239 :
kt:2008/01/12(土) 21:54:39 ID:+SS8iccQ
どうも、
ktです
沢山の?反応ありがとうございました。
書いてみて思ったのですが改行とか口調とか難しいですね
・・・精進します、ハイ
そして>206さんの改変が蝶、サイコー!です。むしろこれでいいって
くらいに・・・GJです!
では小ネタ『鼻血占い』
☆鼻血みゆきさんネタ
☆登場人物:こなたとかがみ
☆1レス
☆エロ無し
それでは、投下してもよろしいでしょう・・・か?
240 :
鼻血占い:2008/01/12(土) 21:56:05 ID:+SS8iccQ
「ねぇ、かがみん。おみくじ見てひらめいたんだけどさ」
「急になんなのよあんたは・・・・」
「このらき☆すたエロパロ版の作品の中に『こな☆フェチ』ってのが
あるんだけどね」
「ああ、いつかあんたに見せてもらったやつね」
「で思いついたんだけど・・・鼻血みゆきさんでおみくじっていうの面白くない?」
「ハァ?」
「だから、、、鼻血の量で占うのだよかがみん!」
「ふ〜ん。。。で?」
「凶だと鼻血の出かたが『じょじょじょ〜』って感じでさ」
「・・・それは何かを漏らしたのか?」
「で、吉だといつもの『だばだばだばだば〜」っていう風に・・・ん〜
ところで鼻血みゆきさんの鼻血の出かたって『だばばばば』なのか『だばだばだば』
なのか分からなくなる時あるよね?答えは聞いてない!」
「し、知らないわよっそんなのっ!・・・ってか聞くな!」
「どうどう、、そして大吉だと『バシュゥゥゥウ!』ってそやもう凄い勢いでさ〜」
「いったい何を召喚するんだよ!・・・で?大凶だとどうなるの?・・・
いちおう聞いといてあげるわよ」
「ん?何も出さないよ?」
「鼻血占いなのに?」
「ふっふ〜・・変わりにこう言うのだよ『あなたに出す血飛沫など一滴の価値
もありません、もっと人間を磨いてから出直してくる事です』ってネ!」
「・・・あんたよくこんな事思いつくな」
「いや〜それほどでも〜」
「いや褒めてねぇよ」
了
241 :
kt:2008/01/12(土) 21:58:19 ID:+SS8iccQ
これにて終了です、、、
ありがとうございました。てか長っ
ちなみに
大吉:バシュゥゥウ! 中吉:グゴゴゴゴ・・・
末吉:ドドドドド・・ 吉:だばだばだば・・・
凶:じょじょじょ〜 大凶:あ)ryです
となっております。
そういえば昨日は『鏡開き』だったんですね
・・・うわ・・・えろっ・・・(響鬼的な意味で)
>>241 これは普通の小ネタレスでいいんじゃなかろうか?と思ったり…
投下する前に投下された━━━━━(;゚∀゚)━━━━━!!
>240
まずは「・・・」を「…」に、或いは「……」。
これを使いすぎるとうざったく感じるので注意。
(というか、以前このスレに来る前多用していたら怒られた)
あと、「!」や「?」の後は一マス開けること。
ネタは悪くない。特にみゆきさん(鼻血ver)の台詞が情景として浮かんできて笑った。
GJでした。
さて、他人のことばかり言ってないで自分も投下する時間が来たようだ。
2ヶ月前に突然第一章を投下した「Elder youth」、誰が待ってるかは別として待望の第二段だ。
その投下の前に、二つばかり言わなければいけない事がある。
それは勿論、前スレの>482と>550、絵を描いて頂いたお二方だ。
7-896氏、4-243氏。この二人に、無上の喜びとお礼を。本当にありがとう。
「らき☆すた」関連で挿絵を描いて貰えたのは初めてだよ。
もう一つは、お願い。この作品を評価して欲しい。
「GJ!」とかの文面は嬉しい。確かに嬉しいが、自作はどう改善すべきなのか、
長所はどこだったのか。そういった所を加味して、次作に繋げていきたいのだ。
だから、強制する訳ではないけれど、書評の一つでも貰えれば非常に嬉しい。
厳しくも甘くも、好きに評価してくれて構わない。
では、これより投下開始。
新学期も始まって早いもので一週間。気温は下がり雪は積もり、クリスマスも正月も過ぎた。
今、目ぼしいイベントといえばバレンタインデーのみを残した、そんな季節。
「おはよー、かなたちゃん」
「おはよう、はるちゃん」
始まりの月曜日はいつも憂鬱で、日曜日を挟んだ友人との再会を喜ぶ声よりも──挟んですらいない者は特に──、
一時間目の理科を嫌がる声の方が多かった。しかも、それは実験だった。
「ところで、泉君は? まだ来てないみたいだけど」
「それが分からないの。待ち合わせの場所にいつまでも来ないから、先に来ちゃったんだけど。遅刻かなぁ?」
「でもあれで泉君って無遅刻無欠席よね? 今日も多分……あ、ほら!」
言いかけてはるかは歓声を上げ、窓際に駆け寄って遠くを指差した。その先には息せき切って全力疾走する、そうじろうの姿が小さく見えた。
「ありゃどう見ても寝坊だわね。かなたちゃん、起こしに行かないの?」
おどけて聞くはるかに、かなたはもじもじとした声で答える。
「そう君、『女に起こされるのは恥ずかしいし、学校までずっと一緒に行くのはもっと恥ずかしいから止めてくれ!』って言って、
起こさせてくれないの。いつも遅刻寸前なのにね?」
聞き様によってはノロケにも聞こえる答えを、かなたは溜息を吐きながら言った。するとはるかのおどけた笑顔に僅かな陰が差した。
「そっか。なら、私が起こしにいってあげよっかな。あたしなら『女』には思われないだろうし、いいわよね?」
今度は少しだけ、ほんの少しだけ引きつった笑顔で冗談を飛ばすと、かなたの頬は赤く染まった。
「それはダメだよ……」
「ん〜? 何がダメなのかしら? いいじゃない、かなたちゃんが行かないなら私が行くわよ?」
「もう、はるちゃんのイジワル……」
尚もはるかがかなたをおちょくって遊んでいると、そうじろうが息も絶え絶えの姿で教室に駆け込んできた。
「はぁ、はぁ……ぜぇ、ぜぇ……お、おはよう、かなた、はるか」
挨拶もそこそこに、そうじろうは苦しそうに自分の席へと倒れ込んだ。
「こ、これで皆勤賞は死守したぞ」
朝も早よから疲れ切った顔で最後の呟きを唱えると、そうじろうは机に突っ伏して動かなくなった。
一時間目はおろかホームルームすら始まってもいないうちから夢の世界に行ってしまったそうじろうを、
かなたはたしなめたのだが、それは本人に聞こえることはなかった。
否、そうじろうはとてもではないが人の話を聞くだけの余裕が無かったのだ。
ホームルームが程なくして始まり、日直が『起立、礼』と言おうが、理科実験の為に皆が白衣片手に出て行こうが、
そうじろうは目を覚まさなかった。かなたが肩を揺する程度ではダメで、はるかが渾身の力で頭を引っ叩いた時、
やっと身体をノロノロと動かして、目をショボつかせながら、こうべを持ち上げた。
「ん? あ、ああ、はるかか。痛いじゃねーか」
腕を押し付けていたからなのか、顔を赤くしたそうじろうは不平がましい目をはるかに向けた。
「『ああ、はるかか』じゃないわよ、ねぼすけ。今何時だと思ってるの? 一時間目は実験よ、さっさと準備しなさい」
「じ、実験? そうか、実験、実験な」
いつものそうじろうより、大分覇気がない。手を上げるはるかに反駁しないそうじろうではないのだ。
のそのそと動き、ロッカーから白衣を取り出すと、不可解なことに『その後』自分の席に戻って鞄の中から筆入れと教科書を抜き取った。
更にロッカーへと戻ろうとした辺りで、はるかはそうじろうの授業用具一式をひったくり、二人分をまとめて持って教室を出た。
「寝不足? 髪もボサボサだし、目もトロンとしてるし。チンタラしてないで、さっさと行くわよ!」
もう教室には三人しか残っておらず、時計を見れば授業が始まるまで幾許もない。
全力ダッシュで実験室を目指すはるかを尻目に、そうじろうはかなたに気遣われながら、一歩一歩歩いて教室を出た。
「今日は先週伝えた通り、『酸とアルカリ』の実験をします。前回の授業でも言いましたが、
酸とアルカリは混合すると塩になって……」
結局のところ教科書を見れば次のページに答えも何もかも書かれている、
そのような実験に目を輝かせながら集中する者などいない。理解できる者にはさも当たり前のように聞き流し、
理解できない者にはまさにお手上げの状態なのでこれまた聞き流している。
そんな中でそうじろうはぐったりと机に伏して、これまた先生の話を聞き流していた。
「……という訳で、試薬の取り扱いには十分注意するように。では、実験を始めて下さい」
各々のグループは立ち上がり、試験管を取りに行く者、試薬を取りに行く者、それらを静観する者と分かれて、
或いは座ったまま、『酸とアルカリ』実験の準備に取り掛かり始めた。だが、
「泉、お前向こうで塩酸と水酸化ナトリウム取ってきてくれ」
「ん……」
そうじそうは現実と、現実ではないどこかとの間で船を漕いでいて、クラスメイトの話は教師のもの同様さっぱり耳に入ってきていなかった。
「おい、泉? 持ってきてくれって言ってるだろ?」
「あ、ああ」
真赤な顔でよろめきながら立ち上がると、試薬の置いてある教卓へと歩いていこうとし、そしてそのままそうじろうの身体はゆっくりと傾いだ。
「泉? おい、泉!? 大丈夫か!?」
そうじろうは苦しそうな浅い息で返事をするだけで、何か言いたそうだったが一言も発さない。
顔はもう燃え上がる程に真赤で、しかもそれは端から見ても健康的な赤とは言い難い、危険を示す赤だった。
腕は動かすこともできないのか身体の下で圧迫され、足も辛いのか膝を折って丸くなる。
極めつけは額に浮かんだ汗で、教師が手を当てた時に「湿る」ではなく「濡れる」といった形容が正しいくらいだった。
はるかは教師が何も言う前に、一人颯爽と実験室を出て、保健室にいるであろう校医の下へ疾走した。
「凄い熱だ……誰か、保健室へ連れて行ってあげなさい。保健委員の人は?」
駆け寄るクラスメイト。悲鳴を上げそうになるかなた。
群集の真ん中に置かれたそうじろうはもう形振りなど構っていられず、身体をすっかり丸め横になり、
只ただ楽になるように身を捩り続けた。おぞ気に震え、熱に震えながら、何度も何度も虚空を掻き毟り、蹴り上げながら。
いつの間にやらはるかが連れてきた校医によって、保健委員の『誰か』が動き出す必要もなく、そうじろうは運ばれていった。
一瞬の慌しさの後、理科教師は実験の再開を命じたが、どうにも集中した空気は最後まで降りることはなかった。
「まさか泉君、具合が悪かったなんてね。想像もつかなかったわよ。……ちょっと具合悪すぎる気もするけど」
かなたも同意する。
「ホントに。そう君、風邪でも引いたのかな? ……でも、それにしては苦しそうだったけど、大丈夫かな?」
「朝はアレだけ全力で走ってきたもん、大丈夫よ」
はるかは軽く付け加え、かなたも一瞬それで安心した。
「それにしても、珍しいわね、泉君が倒れるなんて」
丈夫なそうじろうが風邪を引いた記憶など、かなたには無かった。だから、何かがおかしいと心の底が警鐘を鳴らしていても、
『まぁたまにはこんなこともあるだろう』、それくらいに考えていた。
実験こそ一人が欠けても問題などなく進行していったが、突然倒れたそうじろうのことが気がかりで、
二人は実験結果についての長い解説を他の生徒に同じく完全に聞き流していた。
休み時間、実験の片付けが終ると直ぐに、はるかはかなたの手を引いて、連れ立って保健室へと向かった。
「失礼します、泉君のお見舞いに来ました」
いるはずの校医は返事をしなかった。もう一度ノックをしても音沙汰がないものだから、はるかは勝手にドアを開けて中に入っていった。
すると、代りにストーブで暖を取っているちゃっかり者が一人、突然の来客に対してばつが悪そうに縮こまっていた。
「泉君、どこー?」
はるかがカーテンの向こうに声を掛けると、一番奥のベッドから幽かな呻き声が帰ってきた。
ずかずかとはるかが遠慮なくカーテンを開け放つと、赤色一変、青白い顔で寝込んでいるそうじろうがいた。
目線だけをはるかに向けて、弱々しく微笑む。
「ちょっ、泉君どうしたのよ!?」
「い、いや……ははは、どうも、インフルエンザ、らしくてさ。熱いのに寒いんだ……頭は火照っててだるいのに、寒気がして、目まいがする……」
それだけをどうにか搾り出したそうじろうは、声を出すのも辛そうに布団を深く被り、もぞもぞ寝返りを打ったかと思うと
そのまま動かなくなった。あとはもう何を言っても答えはなく、トイレから戻ってきたらしい校医に『感染するから』と無理矢理引き剥がされていったはるかであった。
今まではるかの後ろにくっついてそうじろうを見守っていたかなたが、まず校医に聞いたのは容態についてだった。
だが校医の見たところ病状は軽いとは言えず、昼休みにでも手の開いた教師が来るまで病院に搬送するとのことだった。
「少なくとも自力で帰れるほどじゃないし、御家庭に連絡しても外出中なのか、電話に出ないのよ」
妙齢の校医が言うには、命に別状がある程重い病状を呈しているわけではないが、まともな施設で医師による診察と治療は必要らしい。
それを聞くと、今度はかなたの顔が青くなった。
「ど、どうしようはるちゃん、私、私!」
休み時間、即ち面会時間も終り、三階という高みにある教室へと帰る途中、かなたは動揺を隠せなかった。
「かなたちゃん、かなたちゃんのせいじゃないんだから。お医者さんに見てもらって、注射の一本でも打って薬飲んどけば大丈夫よ」
「ううん、私のせいなの……!」
かなたが言うところには、『俺は男だからな、今年一年風邪なんて引かないぞ!』と意気込んで今年の抱負を語り出したのが一昨日で、
「『ホントにできるの?』って聞いたら、短パンとランニングシャツだけで町内一周してきたの……」
はるかはそれを聞いて絶句した。バカだとは思っていたがまさかそこまで意地っ張りだったとは。
「もう、自業自得っていうか、もうバカね」
他に適切な表現が思い浮かばなかったはるかは、一番ストレートな言葉で代弁した。一方バカといわれてかなたも黙ってはいない。
「そう君はバカなんかじゃないよ、私のために頑張ってくれて、それで……」
瞳を潤ませるかなたに、はるかはしまった、と苦い顔で問いかける。この調子だと幼馴染の長所を嫌というほど語らされるに違いない。
なのではるかは責任ごとそうじろうに押し付けることにした。
「あのね、こうやってかなたちゃんを泣かせるような、自称『男』が悪いのよ。そんな奴、バカじゃなくて何なのよ?」
かなたは上りかけた階段の真中で立ち止まり、はるかを真っ直ぐ向いた。そして数秒間はるかの時間を止め、
絶望の淵へと追いやる答えを発した。もちろん、かなたにそんな気はなく。
「そう君は、そう君は私の大事な幼馴染だもん」
「あ……」
はるかは、自身の敗北を悟った。小学校四年のときにクラス替えで初めて一緒になったそうじろうはしかし、
自分の知らないもう六年を、幼稚園にいた頃からずっとクラスも変らずにかなたと遊び、学んで、育ってきたのだ。
そこで育んできた気持ちもまた、時の流れを抜きにしようと、はるかは到底かなたに勝つことなど叶わないと、思い知ったのだった。
一途な想い、真っ直ぐな瞳。そして何より、かなたの身体から発せられる気概、オーラは、
はるかのそれが太刀打ちできる代物ではないと、彼女の心にしっかりと刻み付けられた。
それ程までに、自身と目の前にいる小柄な少女との間に絶対的な格付けがなされるまでに、かなたの眼光は力強さを帯びていた。
「そ、そうね。泉君はかなたちゃんの幼馴染だもんね。そうだったわね……」
惚けた顔で繰り返し、トボトボと階段を昇っていくはるかだったが、昇りきった瞬間、その身体に稲妻が走るのを感じた。
今付けられたばかりの格付けを、何とか挽回する手段、その妙なる虚を掴み取った。
はるかにだけできること。かなたにはできないこと。近すぎる故に遠く、遠い故に近しいそうじろうとの間柄を、はるかはしっかりと感じ取った。
見る間にはるかの脳に血が巡り始め、第二の悟りは振り返り様、かなたの鼻頭をビシッと指して、声高に口から溢れ出した。
「でも、まだ『完全に』負けた訳じゃないんだからね! 私は、泉君のことが好きだから! 大好きだから!
かなたちゃんが泉君と幼馴染を続けるなら、私は泉君と恋人になるわよ!」
高らかな宣言は瞬く間にクラス中の噂になり──あの声が届かない場所といったらプールの中だけだっただろう──、
『知らぬは本人ばかりなり』となったのは、翌日以降のお話。
尤も、知らないのは保健室のベッドで病床に伏していた事態の張本人も勘定に入っているが。
「えっ……?」
かなたの顔に表れた、初めての動揺。未来への不安と、大切な何かが消えていきそうな恐怖。
「だっ、ダメだよ!」
「何がダメなの?」
かなたが一歩後退した感情論を出してきたので、はるかも攻勢に出る。
元々引っ込み思案のかなたを勝気で快活なはるかが喝破していくのは、ある意味当然の成り行きとも言えた。
「私は泉君が好き。私は──
はるかが言いかけた時、二時間目の開始を告げる鐘が鳴った。それに呼応して、階下から複数の足音。紛れもなく教師のもの。
「かなたちゃん、屋上行くよ」
「え、屋上? だって、授業が始まっちゃ……」
「行くよ」
その日、二人は生まれて初めて授業をサボった。そのことを後悔する気持ちは、後々になっても不思議と沸いてこなかった。
またしても書いてから気付いたが注意書き「女性オリキャラあり」を忘れていたorz
もしはるかさんに嫌悪感を持ったら彼女ではなく作者を恨んで下さい……
気を取り直して。
幼馴染であるが故の壁……好きなのに好きといえない微妙な距離。
かと言ってクッションに挟むのは同じく主人公を好きな女の子!
このシチュエーションに魅せられて早幾年、自分でも作ってみたがどうだろうか。
ピュアな想いを抱える三人を楽しんで頂ければ幸いだ。
……ところで、この後も同じくらいほのぼのとした話にするのか、
シリアスな方向に持っていくのかという案が俺の中で交錯しているのだが、ココではシリアスの方が人気高い模様。
アンケートって訳じゃない(=レスの多寡は作品に反映されない)が、
どっちを書いた方が面白いだろうか? 参考にしたいので作品の批評もろとも書いてくれると嬉しかったり。
ちなみに、流石に両方書く時間はナス( ´・ω・)
どこまでも時間が延びていくのが(書いてる俺が)耐えられるなら大丈夫なんだが。
追伸
ラスト付近が某ラノベっぽくなってしまった。
心当たりのある方は「ああ、確かに」とか「いや、そんなことはなかった」などと言ってくれると凄く嬉しい。
とりあえず乙&GJ
しかし、批評とか書評自体このスレには不要だろ。
別に、SSの腕を磨く目的のスレではないんだし。
各々のスタイルで書きたいように書けばいいよ。
>>248 GJっ!
そうじろうとかなたの話って原作じゃほとんどないから、こうやってSS読むのがすんげえ新鮮。
超個人的意見では、このままほのぼのキボンヌですかねwww
>>243 ごめん、投下したのまだ読んでないが、後半部分気になったのでカキコ。
書き手として評価が欲しいのは分かる。
分かるけど、強制させるような書き方はよくないと思う。
自分は、書いたものにGJもらえるのは嬉しい。けど読み手は作品を選べるから、GJつけるもつけないも自由。
良いものにGJは自ずとついてくる。逆もそう。書いたって評価されなければ流される。
自分は後者を経験したから。でもそれがみんなの評価。真摯に受け止めてる。
だから読んでくれた人の意見ひとつひとつを、大事にすべきだと思います。
長文失礼しました。
252 :
ちり紙:2008/01/12(土) 23:46:00 ID:3oGX25aK
向こうにも書いたのですが、まとめサイトに誤字だらけだった「ずっと一緒に」を @wikiの基本操作を見ながらUPしてみたのですが、テキスト以外のリンク等が上手く編集できませんでした。
大変恐縮ですがどなたか詳しい方、直していただけないでしょうか。
削除しようと思っても、調べ方が悪いのか方法が見当たらないので…。
よろしくお願いします。
今後もう二度と自分で編集しようとしませんので…。
wikiの投票フォームとかで点数の高いのを参考にするとかどうでしょう
やっぱ表現の上手いのは点数高いですしね
あと読んでみましたけどあえていうなら折角オリジナルキャラを使うなら、もう少しキャラ付けというか一捻りが欲しいですね
少しはるかさんのキャラが薄いような気がします
このままだとキャラが違うだけでまんまこなたかがみつかさに変えても差し支えないかもしれません
かがみが風邪を引いてこなたとつかさが、みたいな
オリジナルキャラを使って投票の高いものを参考にしてはどうでしょうか?
人には人の考え方があるからなぁ
気持ちは分かるがここの線引きは難しいもの
ただ俺はGJ貰えるだけでも嬉しい
次頑張ろうって気になるからね
参考になる作品を見つけそれでも行き詰ったら
皆に聞いてみるというのはいかがか
余計なお世話失礼
予定されている方がいらっしゃらなかったら投下します
>254
少し後に投下しても構わないかな?
重なって申し訳ないが。
256 :
26-485:2008/01/13(日) 00:18:57 ID:LLqoS55+
んじゃ投下しますよ
・「世界は私を中心としない」の続編
・かがみ×こなた←ゆたか
・6スレ拝借
・こなた視点
・若干シリアス
今回はかがみとこなたの絡みはなく
一部こなたとゆたかの絡みがありますが
物語の展開上ご了承下さい
>255
どうぞどうぞ遠慮なく
お先にいかせて頂きますね
私は歩いていた。
やけに冷たく感じる大粒の雨に打たれながら。
歩いていた。
気持ちの欠片
雨水は靴の中まで濡らし、他の感覚がなくなるほど足を冷やしていた。
重たい足取りで家路を辿る私はずぶ濡れ、すれ違う通行人から訝しげな目線を向けられるほどだ。家から傘を二人分持ってきたのだが、両方とも、想い出と一緒に公園に置いてきてしまった。それにここまで濡れたら今更雨を避けるのも無意味な気がしていた。
少しふらつきながらも、私は着実に我家へと近づき、かがみから遠ざかっていった。
「こなた……ごめん」
かがみの悲痛な声が、顔が私の脳内に蘇る。なおも私の心を締めつける鮮明に焼きついた情景は、茨の鞭を連想させた。
「私もう……頑張れない」
記憶上の音声なのにリアルタイムで聞いているような感覚すら覚える。それだけに私の心は酷く痛んだ。
私には飛び抜けて高性能な録音機でも搭載されているのだろうか。そんな馬鹿な考えを振り払うように、勢いをつけて首を左右させると髪から水滴が飛び散った。そしてまたすぐに新たな水分を含む。
脳内のキャンパスに最愛の人を描く。笑っている顔、怒っている顔、悲しんでいる顔、楽しんでいる顔―――
しかしその片隅には、決して消せない、切なげに俯くかがみの表情。
私はそこからかがみの本心、かがみは私の事が好きだという事を読み取った。予想でも妄想でもない、絶対だと言いきれる事実。
かがみは私を嫌って別れを告げたのではない。
―――私の事を想って別れてくれたのだ。
ゆーちゃんと言い合っていたあの時、かがみが止めに入ってくれなかったらどうなっていた事だろうか。かがみが私達の口論の場に割って入ってきた図を思い描く。
少なくとも私達が元の関係に戻る事は不可能となっていただろう。怒りに身を任せお互いの非を責め合って、最終的にはどうなるかなんて想像もしたくない。
ゆーちゃんを、ゆーちゃんの気持ちを無視して今の関係を保っても、幸福には繋がらない。必ず破滅の運命が私達を待っている。
かがみは自分の気持ちよりも私の将来、家族を優先してくれたのだ。
最初は弱音を吐いているだけかと、現実から逃げているだけかと思って腹が立ったが、違ったのだ。私への気持ちはそんなものだったのかと憤りも感じた。
だが、項垂れるかがみの胸座を掴んで、殴ってでも考え直させる―――
優しいかがみにそんな事が出来るはずがなかった。
私がかがみの事を大好きでも。
だから私は抱き締めた。
大好きだよって伝える為に。
これからもずっと、私の気持ちは変わらないよって。
ありがとうって。
私の気持ちはちゃんと届いたのだろうか。かがみに伝えたのに、私は何故か一面に暗雲が立ち込める空を見上げる。
何となく、後ろを振り返るのは憚られた。
「……家に帰ろう。急に出て行ったから、ゆーちゃんに心配掛けたかな」
私は誰にともなく呟いて歩みを速めた。
頬を伝った雫は、雨だという事にした。
家に帰り着いた時には足の関節の数箇所が軋みを覚えていた。気だるさが込み上げてきたが、玄関で倒れるわけにはいかない。
「お帰りこなた……っておいおい、随分と濡れてるじゃないか」
入れ違いになったのだろう、私より先に帰宅していたお父さんが、戸外で雨を吸って重くなった服の裾を絞っている私を見て驚いた。
「あ……お父さんただいま。帰ってたんだね」
家の中で作務衣以外の服装をしたお父さんは久し振りに見た。着替えていないという事はまだ帰ってきてからそう時間は経っていないのだろう。
「待ってろ。今タオル持ってきてやるから」
そんな事を考えていると、お父さんの声がずぶ濡れの私に降り掛かった。
「ありがとー……へくちっ」
くしゃみをしながら受け答えする。風邪引いたかもなんて考えていると、お父さんはどたばたと居間へ入っていった。
そう言えばゆーちゃんはどうしてるのかな。未だに水分の抜けきらないトレーナーにうんざりしながら、展開があったとはいえほったらかしにしてしまった従姉妹の事を思い浮かべる。
ゆーちゃんがあそこまで声を張り上げるとは思ってもみなかった。とてつもなく激しい口論を繰り広げてしまった事を思い出す。
それだけ私の事を想ってくれているのだろうか。
あの時はかがみの事を悪く言われて頭に血が上っていたものの、少々強く言い過ぎてしまったかもしれない。後で謝っておこう。
そう決心した私だったが、そこで何かから制止が掛かった。
私はゆーちゃんに何と声を掛ければ良いのだろうか。
そして、謝るべきは私なのか。
こういう言い方はあまりしたくないが、ゆーちゃんは私とかがみを引き裂いた。かがみを睨みつけるゆーちゃんを見た時は、初めてゆーちゃんに本気で怒りを感じた。
全てゆーちゃんの所為ってわけじゃないし私にも悪いところは勿論あるんだけど、私も、私の心も子供染みているのかそれを認めようとはしなかった。自分の非を受け入れるよりも相手の非を責めたかった。
私達は元の関係に戻れるのだろうか。
かがみの気持ちに応えられるのだろうか。
心が沈む。正直自信はなかった。
―――出来る事なら逃げてしまいたい。
刹那、ふともう一人の家族の顔が頭を過った。
「ほれ、こなた」
その人は穏やかな顔で私にバスタオルを手渡してくれた。
思い返されるリビングの空気、威厳を持ったお父さんの願い。
「そのまま風呂に入った方が良いんじゃないか?」
「……うん、そうするよ」
切実に現実逃避を願っていた私はそう答えるのが精一杯だった。まともに視線を合わせられない。
後ろめいた気持ちが押し寄せてくる。
「だったらもう一枚必要だな」
風呂場に行くまでに家の中が濡れると困るから、とお父さんは続けた。このタオルで身体や服を拭いて浴場へ向かえという事だろう。私は静かに頷いた。
「今持ってくるからな。風邪引かないようにちゃんと拭いておくんだぞ」
そう言い残して再び居間へと姿を消すお父さん。私は言われたとおり丹念に水分を抜き取っていった。
受け取ったタオルが水分を吸いきって使い物にならなくなった頃を見計らったかのように、お父さんが二枚目のタオルを持ってくる。水滴が足下に滴り落ちない程度にはなっていたので、私はそれを受け取り感謝の意を告げると自室へと向かった。
お父さんからも、逃げるように。
部屋の箪笥の引き出しを開け、一番上にあった下着、トップ、ボトムを取り出す。それらを持ってきたバスタオルと一緒に腕に抱えて部屋を後にする。
脱衣所で湿った服を脱いで洗濯籠に放り込むと、急に寒気が襲ってきた。一糸纏わぬ姿となった私は身を縮こませ、急ぎ足で浴室へと続く扉を通過する。
つまみを捻ってお湯を放出させる。浴槽に溜めるのは時間が掛かると思ったので、簡単にシャワーを浴びるだけにとどめておく。
無数の細い穴が開いた面から降りそそぐ温かさが、冷えきった私の身体を癒していく。
身体を洗おうとスポンジへと目を移すと、私の頭の中をある光景が埋めた。
そう、かがみと一緒に入浴した時の事。
あの時は焦らされた私がかがみにお願いしたんだっけ。何だか思い出したら顔が赤くなってきた。恥ずかしさが浮かび出てしまう。
同時に、悲しみも覚えた。
もうかがみと一緒にお風呂に入る事は出来ないのだろうか。
それどころか、もう会話をする事も、隣で笑う事も。
―――二人で過ごす事も出来なくなるのだろうか。
お湯が噴出し降下する音だけが響く空間で、私は虚ろに目を伏せた。
虚無感が私を嘲るように冷笑しているようだった。
新たに取り出した服を着て、自分の部屋の扉を開ける。時刻は夕刻、雨は少しだけ穏やかになっただろうか。
火照った身体、はっきりとしない意識のまま、私は倒れるようにベッドに身を投げた。
「はぁ……」
溜め息をついても降り積もった想いまでは吐き出せない。先程から私の中を色々な感情が彷徨っていた。
頭では理解している。
私の為に、かがみは離別を選んだんだって。
本当の気持ちを押し殺して、私の幸せを願ってくれたんだって。
そんな事ぐらい、痛いほど分かっている。
分かって、いる。
「うっ……うあぁ……」
ならば、何故私は泣いているのだろうか。
答えは至って単純なもの。
私がかがみを愛しているから。
だがそれはもう、表に出してはいけない、心の中に封印しておかなければいけない―――
伝えてはいけない感情。
かがみだってきっと、胸がはちきれそうな想いだったはずだ。
それでもなお私がかがみを想い続けるのは、かがみの気持ちを無下にするようなもの。
だから私もそれに応えなければならない。
分かっては、いるのだ、けれど。
「うあぁ……!かがみぃ……!」
愛しい気持ちが止まらない。
それは苦しみとなって私を締めつけるのに。
止まらない。
「…………」
しかし止める術はたった一つだけあるような気がした。
ごめんかがみ、折角くれた想いを無駄にして―――
私は心の中で謝ると、ハーフパンツに手を掛けた。
それをゆっくりと引き下ろすと、その下にはいていた純白のショーツが姿を現した。
私はベッドの上で身体を動かし仰向けになると、自分の大切な部分に指を当てて上下運動を始めた。
「あっ……」
下着の中にこもった熱と僅かな湿り気を、指先を通じて感じた。続けて振動を加えると、軽い痺れが下半身から全身へと伝わっていく。
「んっ……」
私の秘裂は難なく私の指を濡れた布地ごと受け入れた。熱傷を負いそうなほどの熱い感覚が、割れ目に埋まった指を包む。
私が手を動かすと、それと連動しているかのように身体も反応を示した。蜜を滲ませた秘所を刺激するとその都度電撃が駆け、腰を揺らして快楽に浸る。
「あ……あっ……」
私が溜め息のような声を漏らせば漏らすほど、愛液は溢れ出し染みが広がっていった。
「かがみっ……!」
今までの人生の中で最も睦んだ人の名前を呼ぶと、急にかがみの顔と共に罪悪感が浮かんできた。
かがみはあんなにも私を気遣ってくれたのに、私は何もしてあげられてない。それどころか辛さを耐えてまでくれた思い遣りを無視している。
止めなきゃって思う。かがみの事を想っているのなら、止めるべきだと、頭は認識している。
だが己の感情に正直な私の身体は、今更行為を中止する事を拒否した。
ショーツの端に指で掴み腰を浮かせる。そのままゆっくりと膝の辺りまで持ってくると、食い込んでいた下着が銀色の糸を引いて離れた。
「ふあっ……」
やはり生地越しに触るのと直に触るのでは感じが全くといって良いほど異なる。全身を流れる電流は強さを増し、益々私を濡らす。
発達の中途だと思われる薄い肉壁を指でなぞる。
「あふっ」
異物の侵入を容易に許した私の秘所は既に粘り気のある液体にまみれていた。それでもまだ快感を得る度にその量を増やしていった。
差し込んだ中指で自分の中を掻き回す。
「あっ……あん……」
淫靡な水音が部屋を満たしていく。
しかし、幾ら快楽を弄っても私は満たされなかった。
どうしても思い出してしまう。
かがみと手を繋いだ事を、唇を重ねた事を、身体を重ねた事を。
その時の感覚を。
もう味わう事の出来なくなったそれは、私を幸せにしてくれた。
そして、何よりも温かかった。
今の私に、それはなかった。
いつの間にか私は自慰行為に耽る手を止めていた。
「あぁ……あ……」
再び溢れ出す涙は頬を伝いシーツに落ちる。
「会いたいよ……かがみ」
数時間も離れて過ごしていないのに、凄く長い間会わなかったかのように私は呟いた。
もっとかがみに触れたい、触られたい。
もっとかがみの事を知りたい、私の事を知られたい。
もっとかがみを感じたい、私を感じられたい。
もう何もかも、ないのに。
その時だった。
「お姉ちゃん……」
私の耳に扉が開かれる音と共にゆーちゃんの声が飛び込んでくる。
「!!」
私は一気に冷静さと血の気を失った。急いで上半身を起こしショーツをはこうとしたが、手元がもたついて上手くいかない。
「柊先輩と別れたの?」
それに手間取っている間に距離を詰められたのだろう。私は全意識をそちらに注いでいた為、ゆーちゃんが私の背後にいつの間にか腰を下ろしていたことに気づかなかった。
私が一人でしているのを見られたのだろうか。ゆーちゃんは私に問い掛けながら私の手首をがっしりと掴んだ。然程力が強いわけでもなかったが、私は抵抗出来なかった。
別れた―――その言葉は刺となり、私の心に深く突き刺さる。
「お姉ちゃん。私本当に、お姉ちゃんの事大好きなんだよ」
ゆーちゃんは逃がさないとでも言うように私を背後から抱き締めて、耳元で囁いた。
「私だったらお姉ちゃんにこんな辛い思いはさせないよ」
肩が震え、呼吸は荒くなる。
「いっぱい一緒に過ごせる。街でも堂々と手も繋げる」
甘い言葉は私の気持ちを両天秤に掛けているようだった。
確かにゆーちゃんとなら街で手を繋いでいても不自然ではないかもしれない。同じ家に住んでいるのだから殆どの時間を一緒に過ごせるかもしれない。
でも私は―――
急に訪れた感覚に私の思考は中断させられた。
「もうこうして、一人でする必要もなくなるんだよ……」
ゆーちゃんはその小さい手を私のトレーナーの中に滑り込ませて、先程から高ぶって自己主張をしていた桜色の突起を摘んだ。
私の首筋に唇がつけられる。大人しい印象だった従姉妹の面影は何処にもなくなっていた。
微弱な電気が迸った。やはり私の身体は正直で、与えられた感覚に素直に反応していた。指先で弄ばれている両の突起物は硬くなり、既に濡れていた大切な所も更に蜜が湧き出てきたような気がする。
それでも、ダメだった。
確かに身体は満足しているかもしれないが、今度は心が不満の声を上げていた。
―――かがみじゃないとダメなんだ。
先に出てしまったのは嬌声ではなく、目から滴り落ちた雫だった。
「…………」
ゆーちゃんの手の動きが止まってもなお、私の目から流れる涙はシーツに染みを作っていた。
「……敵わないなぁ……」
そう呟いて私から離れたゆーちゃんは、ベッドから降り立つと静かにドアの前まで移動した。
「私ね……お姉ちゃんの笑顔が大好きだったの」
私の方を振り返らずにゆーちゃんは言う。
「でも、お姉ちゃんの笑顔を取り戻せる人は私じゃないんだね」
悲しそうに呟くゆーちゃんだったが、言い終わって向き直ったゆーちゃんは―――
「さ、早く柊先輩を追いかけて」
笑っていた。
「……ありがと、ゆーちゃん」
心からの感謝を述べて、私はゆーちゃんの脇をすり抜けて出て行った。
ありがとう、やっと目が覚めたよ。目を瞑って満面の笑みを浮かべたゆーちゃんの顔を思い浮かべる。
今の私にはかがみが必要なんだ。かがみがいない生活なんてきっと出来なくなっている。
未来がどうだからとか、そんなの別れる理由にならない。
私達は今を共に生きて、想い合っているのだから。
「そして……ごめんね」
部屋の中から聞こえるゆーちゃんのすすり泣く声を無駄にしない為にも、私は前を向く。
もう気持ちを偽ったりなんかしない。
階段を二段飛ばしで駆け降り、急いで玄関へ向かう。
「出掛けるのか?」
扉が開きっぱなしだったリビングからお父さんの声がした。
「うん」
私は目尻に溜まった涙を拭いながら、出来る限り明るい声で答えた。
間もなくお父さんが私の前に姿を見せたが、今度はちゃんと顔を見る事が出来た。
「お父さん、ごめんね。私逃げようとしてた」
お父さんが今の状況をどの程度理解しているのかは知らなかったが、私はそうとだけ伝えた。
「今から向き合うんだろう?それにこなたは一番大切な事からは逃げてないさ」
そう言って胸に手を当てるお父さん。
「自分の本当の気持ちからはな」
とても優しい目をしていた。
目頭が熱くなるのを感じながら、私は声を張り上げた。
「よし、いってくるよ!」
「ああ、愛を貫いてこい!」
お父さんと熱く言葉を交わすと、私は雨に包まれる外の世界へ飛び出した。
かがみとちゃんと向き合う為に。
私の本当の気持ちを伝える為に。
本当の幸せを見つける為に。
263 :
26-485:2008/01/13(日) 00:24:44 ID:LLqoS55+
ごめんなさいごめんなさい
エロ有りって書くの忘れてました
途中から付け足しても遅いってのorz
今回はこなたの気持ちを中心としたので
面白くなかったかもしれませんが……
至らない点も多々あるでしょうが
次回もかがみで同じような事をやるのですが
もう少しだけ続きます
はやる気持ちは分かるがおちつけ。そしてGJ!
>>263 何よりもまず6レス目のそうじろうさんに燃えた。そう君男前だよそう君。
私事で荒んでいた気分がいっぺんに晴れました。ぐっじょぶ。
>>219 うーん、やっぱりこなたは自分が大好きな人が絡んだときには本気で怒るんだよなぁ。
もともとそんなイメージ。
恐々としつつ次を待ってますぜー。GJ!
こういうこなたはホントかっこいい
>>263 ゆーちゃんは微かな期待をしつつもこなたの後押しをしに来たのかな、なんて思った。
そして普段が普段なだけにこういう場合のオヤジさんが素敵です。GJ!
かがみ編もどう向き合っていくのか楽しみですわ
267 :
23-251:2008/01/13(日) 00:50:48 ID:n2njY+hh
>256
ありがとうございます。
お言葉に甘えて投下させていただきます。
「お風呂あがりに」
こなた×ゆたか
注意事項
・1話完結もの
・非エロ
「こなたお姉ちゃん。お願いがあるの」
年が明けて三が日が過ぎた日の夜、パジャマ姿のゆーちゃんが覗き込んできた。
ゆーちゃんの下から見上げる目線は殺人的な威力があり、拒否権の発動は極めて困難だ。
「何かな、ゆーちゃん」
「あのね…… 耳掃除して欲しいの」
「ほえ? 」
私は、思わず間抜けな声をあげてしまった。
それって何て王道シチュ?
「駄目…… かな」
ゆーちゃんがしょんぼりとうなだれる。俯き加減もメガトン級の破壊力だ。
「あ…… 違うよ。あまりにも萌えのツボにはまっただけで、全然、おっけーですじょ」
何か語尾がおかしくなっているが、細かいところは気にしない。
「ありがとう。こなたお姉ちゃん! 」
「うおっ、ゆーちゃん。耳掻きもったまま倒れるのは危なっ」
お風呂あがりのゆーちゃんが、あどけない顔を膝の上にのせている。
髪からはシャンプーの香りが鼻腔をくすぐり、脳みそが蕩けそうになる。
暴走しそうになる本能を懸命に抑えながら、耳の奥を覗き込むと、一人では取ることが
困難な垢が奥の方にみえる。
「ゆーちゃん。動かないでね」
「う、うん」
ゆーちゃんの身体に緊張が走る。
私は渡された耳掻きを持って、ゆっくりと耳にあてる。
「んん…… 」
微かな喘ぎ声がもれる。うーむ。ゆーちゃんは本気で悩殺するつもりなのだろうか。
動きの一つ一つが萌え要素となっていて、身動きがとれない。
「どうしたの? おねえちゃん」
不思議そうな顔をするゆーちゃんに、慌てて答える。
「ゆーちゃんが可愛すぎて、耳掃除が進まない…… なんて」
私の言葉に、ゆーちゃんの耳が真っ赤に染まった。
「お姉ちゃん。ありがとう…… 」
この場面で、感謝の言葉が出てくるところがいじらし過ぎる。
ひよりんが同人誌のネタにしてしまう理由が痛いほどよく分かるが、このままでは
肝心の耳掃除が進まないなあ。
私は、ゆーちゃんの少しだけ濡れた髪に右手をあてて、頭を固定する。
それから目を細めて、可愛らしい耳たぶから順に耳掻きをあてていく。
「ん…… くすぐったいよ」
「がまん。がまん」
微かにむずがるゆーちゃんに囁きながら、先端を少しずつ外耳へともぐりこましていく。
「んっ、んんっ…… 」
しかし、ほんの少しだけ耳掻きを動かすだけで、ゆーちゃんは震えて動いてしまう。
いつまでも浮かれている訳にはいかない。間違って鼓膜でも傷つけてしまったら大変だ。
かなり慎重になって、奥に張り付いているある垢をゆっくりと取り出しにかかる。
「んくぅ―― 」
敏感な部分をくすぐられて、ゆーちゃんが悲鳴をあげるけど、今度ばかりは動かしてはいけない。
「ゆーちゃん。我慢して! 」
「う、うん」
必死に身体を固くして、頑張っているゆーちゃんの期待に応えるべく、先端に乗せた垢を
ゆっくりと引き上げていく。
「と、とれた」
私が歓声をあげると同時に、ゆーちゃんは、ぷはぁと大きく息を吐き出して脱力した。
もしかして、ずっと息を止めていたのかな?
耳掻きを逆さにして、梵天とよばれる白い綿菓子のような部分で、細かいホコリをとる。
最後に耳の下をとんとんと叩いて、左耳の掃除は終了だ。
「ゆーちゃん。逆の方、やるよ」
「うん。お姉ちゃん」
ゆーちゃんが、『こっち側』を向いて、私の顔を見上げる形になる。
「お姉ちゃん。今度は優しくしてね」
「萌えるけど、いろんな意味でちがうよ。ゆーちゃん」
突っ込みどころ満載なやりとりをしてから、掃除をしようと耳掻きを持つ。
しかし、ゆーちゃんは不満そうにほっぺたを膨らましていた。
「ど、どうしたの? 」
私は、いきなりご機嫌斜めになったゆーちゃんに問いかけると、頬を膨らましたまま
かなり低い声を出した。
「お姉ちゃんの方が胸…… ある」
「へっ? 」
私は瞼をぱちくりさせて、次の瞬間には、お腹を抱えるほど笑ってしまった。
「お、お姉ちゃんの莫迦! 」
「ごめん。ごめん」
こみ上げる笑みを抑えながら、ゆーちゃんをなだめにかかる。
「胸ランクは同じ極小だけど、私より2年下なんだし、胸の大きなゆい姉さんもいるし、
ゆーちゃんの方が希望あるよ」
自分で言ってて情けなくなってしまうけど、ゆーちゃんが膨れたままでは耳掃除が進まない。
「そっかあ。こなたお姉ちゃんより希望あるんだ」
あのですね、ゆたかさん。そういう言い方は『私』が傷ついてしまいますヨ。
「そ、そうだね」
心で泣いても笑顔。とにかく、ゆーちゃんの機嫌がなおったから良しとしよう。
「ゆーちゃん。始めるよ」
「うん。お姉ちゃん」
右耳の掃除は悪戦苦闘することもなく、すんなりと終わった。
最後にゆーちゃんの耳垢を集めた白いティッシュを見せると、ゆーちゃんは
「えっ、こんなにあるの? 」
と、目を丸くして驚いていた。
これを売るといくらになるのかなと、一瞬でも考えた私は、いろいろな意味で
終わっているような気がしないでもない。
(了)
271 :
23-251:2008/01/13(日) 01:02:39 ID:n2njY+hh
読んでくれた方、ありがとうございます。
突発的にネタが浮かんできましたので、そのままアウトプットしました。
それにしても…… こなゆたは中毒性がある感じです。
技術的な部分を含む書評を、最初書こうと思いましたが、難しいですね。
文芸板には書評をするスレが多くあると思いますが、
エロパロ板でやる事がはたして適当なのか、迷うところです。
うん、出来た作品を早く皆に見せびらかしたいのは分かるけどそれ以前に空気を読む勉強してからここにおいで
なんでこのスレになっていきなり書評とかの流れになったんだ?
今まではそんなのかすりもしなかったんだが
結構前から読み手だけとしてだけど見てるけどなんか違和感がある
ただ俺たちは萌えたいだけなんだ…!
みなみ「ゆたかのほうが・・・将来性・・・(ずーん)」
こなた「病まない病まない
>>271GJ!(=ω=.)b」
みなみ「・・・・・(二重の意味で涙目)」
なんで
>>272は空気嫁って言ってるんだ?
投下だったら事前に断ってるし問題ないと思うが。
そしてFoolish氏の書評については以前にも賛否両論あったよね。
メリットはわかるが、あまり細かいのはやらないのが無難じゃないかな。
本人が望んでるモノでない以上書評とかはしないほうがいいと思う。
ここには「上」も「下」も無いんだから。
>>277氏に同意っ!
たしかに批評が必ずあって、よほどの作品じゃないと感想がネガティブに
流れ込んでいくスレも存在するけどね・・・。
少なくともこのスレでは、そういう批評を必要とするような空気じゃあないはずなんだ。
俺たちは!萌えるために作品を書きっ!萌えるために作品を読んでGJするんだっ!
かがみ「・・・満足した?^^」
うゅ〜かがみん冷たい(〒△〒.)
>>276 ごめん空気嫁は言い過ぎた
でもいくら断ったからって5分はさすがに速すぎると思ったわけだよ
もう一時間ぐらい遅れてもばちは当たらないよ
ってか投下していいか?なんて聞かれたらいいっていうしかないし
280 :
久留里:2008/01/13(日) 01:33:07 ID:XDQXJ2MX
>>277 たまーにツッコむ程度ならいいと思うんだけどねぇ。
冬場の青森の日の出時刻をツッコまれた身としては…。
ちなみにアタシゃwebサイトの基本方針に則って、1行全角45文字を目安にしています。
一応、自分でもサイトを持っていたりもするので。
1978年のカレンダが手に入りました。
始発便で投下出来る鴨知れません。酔っぱらってるけど。
>>278 ところかまわず書評するぬはどうかと思うけど、書いた本人が書評してほしいってのはいいんじゃない?
萌には熱意も必要だしね!
もちろん本人が望むのなら、批評は大歓迎どす。
批評が悪いといってるのではないしね。
>>279 えっ俺には
>>263と
>>267の間は30分位空いてるように見えるんだが
なんか勘違いしてたらスマン
まぁ、そんなことはいいか…それより肝心なこと言い忘れてた、両氏ともGJ!
>>279 別にいいじゃん
先に投下してる人も了承してるんだし
まぅそういう流れで批評してもらいたい人はしてもらえばいいよ
読み手と書き手だとどうしても壁が出来るのは当然なんだからどちらも譲歩は必要だと思うよ
批評云々は
こうゆうところはこうした方が読みやすくなるんじゃね?
ぐらいはいいんでない?
それをどう受け止め、生かすか……
構成と展開を両立できるにこしたことは無いし、一書き手としてはそれくらいのツッコミがあるとむしろ嬉しかったり。
もちろんGJ! を貰えるのが一番嬉しいんだがw
収集がつかないな
騒ぎの張本人はどうしたんだ?
>>288 一晩寝て落ち着いてから書き込んでは如何でしょうか?
乱暴な物言いだとスレの空気が悪くなるだけですから。
批評についてはして欲しい、って書かれているのなら良いことだと思います。
ただ、その流れで投下されるたびに全てに批評が書かれると敷居が高くなってしまうでしょうから、
ここはあくまで作品を投下して皆で楽しめる場所、ということを頭に入れておく必要はあると思います。
つまり何が言いたいかといいますと、ゆるーく楽しめればということです。
>>288は色々書き込む前に
>>272に重ねて
>>279でも失言していることを詫びるべきでは?
でないと折角の書き込みが薄っぺらに感じます
書評についてはどんな作品にも賛否双方の評価があるから収拾が付かなくなるだけでは?
雰囲気が悪くなるのと、ただでさえ流れの速いこのスレでそういったことは避けたほうが
よいのではとも思うからです
そういった経緯や教訓からテンプレの、スルーの記述があるのではと私は思っています
もっとも、設定や呼称、時間軸、物語の重要な部分での誤字などは、wiki保管後に
書かれた職人さんが修正するのに役立つから良いと思いますが
他スレの話で恐縮ですがvipのSSまとめのように避難所に批評スレを設けるのも一つの方法かと
読み手、書き手双方ともに、必要か不要か自分の意志で見る見ないかを選べます
匿名掲示板ゆえ誰にでも何かを言う権利はあり……しかし逆に、何も言わない権利もある。
ここは本人もわかってるみたいだし、結論「人それぞれ」でOK。
ただ、溢れ出る向上心を持って投下している人達ばかりではない。自分から批評しまくるのはどうか。
ここは正しい文章を書く場でもないし、書き手にどの程度の文章力を求めるかなんてのは個人の好み。
多数の人が不快感を抱くような文やストーリーだったら自然と淘汰される。てか叩かれる事もあろう。
でも、それが自然だよ。文章や構成の勉強は他でして来てくれい。
ぶはっwww
確かに紛れもなくKY。
そして紛れもなくGJ(=_=.)b
>>292 KYというか無断転載ならスレの品位を貶める行為と思います
何か年末年始辺りから急にスレの雰囲気が変わった気がします
酔っ払って書き込んでるとか、馴れ合いを通り越した悪ふざけとか
自慢話の様な内容とか
酔っ払って勢いだけで書いてるのではと思う書き込みがいまだ散見できると
残念に思うのが私の思い込みでしたらスレを汚してすみません
>>294 ん、そうか
これも一応無断添付みたいになるのか
すまんかった
7-896氏もすまない。
あまりに好きなもんで勝手に持ってきてしまったorz
あと、無料サイトのせいか、テキストをふつうに置いたら最後に広告のタグをつけられてしまいましたorz
毒になるものではありませんので、あしからずご了承ください。
>>294 7-896氏が自分で描いた絵なら無断転載とは言わない、後でぶーわ氏から
やめてくださいと言われたら今後気をつければいいだけの話…
>>292 アンタは毎回なんというものをwww(褒め言葉)
>>292氏にはとりあえず廊下に立っていただいてw
勢いや馴れ合いまでも否定するような発言されちゃ、さすがに
このスレの空気やふいんき(なぜk)がストップしちまうような気がする。
そりゃもちろん、作品以外の話が際限なく続いちゃうと
確かにこのスレの存在意義にかかわるけどさあ。
ここからは、俺の想定に過ぎないんだけど。
作品書く側も、感想言う側も、そしてネタ出してくる側も、
本来、そこらへんのTPOをわきまえてると思ってるから、
で、今もソノ空気が続いてると思うから、俺も居心地いいんだけど・・・。
俺の勝手な妄想なんだろうかねえ・・・?
そんなに雰囲気崩れてる?際限なく酔ってる?
ヘタに批評とか、ネガティブにそういう流れになりだすと、
>>296のように
一つ作品出すのにもためらう人が出てきちゃって・・・
段々と、投稿できる雰囲気じゃなくなっちゃうんだよなあ・・・
それこそ、1作品逐一批評&罵倒という雰囲気になってしまった某スレのように・・・
つうわけで
>>296GJ!きにするこたあねえ!
らきすたのキャラである必要、しっかりあるじゃねえか(゚Д゚)9m
うなづきながら吹きながら、読ませていただきましたwwwww
なのでwikiにのせるんだ!命令wwwwww
301 :
18-19:2008/01/13(日) 04:26:00 ID:f2NgakeG
反映されないのはあれか、噂の規制か?
携帯からだから大丈夫だと思ったんだけどな……
wikiも弄れる環境じゃないし、日を改めますね
ごめんなさいっ!
>>298 すまん、ちょっとわかりにくかったな
俺は7-896氏じゃなくて、7-896氏のmixiにあった絵を勝手に持ってきちゃった馬鹿者なんだ……
後であっちで謝っておかなきゃ
ちなみにちゃんと許可をとって公開した絵みたいだよ
orzorzorzorz・・・・
続き期待してオリマス(´・ω・`)
間違った
292=295だったorz
・・・もう寝ようorz
306 :
294:2008/01/13(日) 05:17:29 ID:hTzRFkeR
>>300と
>>303前半のとおりの意味です(絵のキャラや内容のことではありません)
>>299 私の思い込みとは注釈しましたが、自分自身が
>>290で書いてるスルーしてない矛盾に自己嫌悪
接続の調子で切れるたびにIPが変わってますが私
>>294は
>>290です
>>290のとおり私も書評については否定的立場です
私も百合板で職人がみんな逃げ出したスレを見ていますので
vipも色々あったみたいですが現在書評は避難所内という形のようです
これ以上馬鹿やらない様に私も寝ます、もう脳みそがミルク粥だ…
307 :
7-896:2008/01/13(日) 05:41:22 ID:GOYq1MvP
7-896氏とぶーわ氏のなんというコンボwwww
衣裳がかわってからやばいな神様、ときめきさせられっぱなしだ
これが噂のかみ☆フェチか、まさしくコラボなんだぜ
オリキャラでここまで浸透したキャラってのも珍しいよな、多少反則技だけどw
さすがにここまで待てば大丈夫だと思いますが、
他に投下される方がいらっしゃらなければ投下します。
――感じるのは、かすかに漂う甘いにおい。
キッチンに備え付けてあるオーブンの前で、一人の少女がしゃがみこんでいた。
額の中心に眉をよせ、心配そうな顔で中を覗き込んでいる。
「本当にちゃんとできるよね?」
向こうの部屋にいる母親に向かって問いかける。
そんなに心配しなくても大丈夫よ、と母ののんきな声が返ってきた。
「でも……、だってこれは……」
目をこらして、中を見つめる。
オレンジ色の光に照らされたそれは、ガラス越しにはうまくいっているのかわからなかった。
ひたすら見つめながら、時間が経つのをじっと待つ。
不安と期待がなんだか変なふうに合わさって、落ち着かなくてしょうがない。
手に着けたミトンに視線を落とした。
あの子は……よろこんでくれるかな――。
ピ――っという音が、オーブンから鳴り響いた。
♪
――ピピピッ、と目覚まし時計の鳴る音がする。
布団の中から手を伸ばして、あやのは手探りで時計の位置を探す。
ふらふらと揺れる手が、うるさく騒ぎたてる時計に触れられ、ようやく音が鳴り止んだ。
ぼやけた思考のまま、ベッドから身体を起こす。
綺麗な長い髪が揺れて、シーツの上へと広がった。
まだ太陽が明るく照らす時間ではなく、室内は少し薄暗く感じる。
なんだかまだ、ずいぶんと眠かった。
昨日の夜は確か……、――同じことをしていたんだ。
それで少し眠るのが遅くなって、寝不足なせいか布団から出るのが少し辛い。
ふぁ……、と欠伸が出た。
寝ぼけまなこの目をこする。
ベッドから降りて、ふらふらしながら部屋を出る。
眠くたって遅刻はしたくない。
今日もまた、あの子と一緒に登校するっていうのだから。
♪
また今度ね、とクラスメイトに声をかけられて、あやのは手を振り返した。
放課後になった教室は、ようやく学校から解放された生徒達によって喧騒に包まれていた。
これからの予定について話し合う人や、さっそく今日から遊びに行こうとする人など、みんな一様に浮かれているように見える。
だけどそんな中にも、少し気の重そうな人もいた。
というより、あやのが今そばにいる机の主がそうだ。
真っ黒い髪の少女は、陸上をやっている時みたいな真剣な表情で、机の上の紙を見つめていた。
「――おーす、日下部。どうだった?」
そんなみさおのところへと、同じクラスの少女――かがみがやってきて声をかけた。
いつもはなんとなく怖い雰囲気(みさお談)な彼女も、今日は機嫌がいいように感じる。
「あー、柊。……いやー、なんていうか、……まあまあだったような」
直視したくない、といった顔でみさおは答える。かがみはその机の上に広がっている紙――みさおの通知表に視線を落とした。
「…………まあ、あんたならそんなもんよね」
なんとも微妙な顔で、かがみが呟いた。
「……それなら柊はどうだったんだよ」
自分の通知表を閉じながら、みさおはかがみに聞く。
「ん? 見るか?」
カバンの中から、自分の通知表を取り出し、手渡す。
「………。…………あれだ。次がある」
みさおはそこに書かれているであろう(彼女としては)衝撃的な結果をみて、何かを吹っ切ったような顔でそう言った。
「峰岸は?」
暗い顔で自分のとかがみのものを見比べているみさおを放っておいて、かがみがあやのへ声をかける。
「私は……あんまりだった、かな?」
「別にこいつに気を使わなくてもいいと思うぞ」
こいつ、と指さしながら、かがみが横から覗き込んでくる。
「……やっぱりさすがね」
「そう、かな?」
手元にある通知表は、自分的には……まあまあといったところ。
とういうよりは、いい……のかも。
隣でへこんでいる彼女には、なんだか申し訳なくなってしまう。
えっと、ゴメンね……、みさちゃん。
「別にいいんだよ。どうせ明日からは夏休みなわけだし、こんなこと気にしなくたってー」
机の上に身体を乗せながら、みさおが口を尖らせる。
「休みの間に挽回しようとか思えよな……。それにあんた受験生だろ?」
かがみはまったく、といったようにため息をついた。
――今日、7月20日は終業式だった。
明日からは、長く拘束されていた学校という檻から解き放たれる、夏休みへと突入する。
けれどその前には、この通知表というものを乗り越えなければならないわけで。
だけどみさおは、完全にそれから逃避することにしたみたいだった。
「はぁ〜、ホンット柊はわかってねえなぁ……。“夏に休む”と書いて夏休みって言うんだぞ? それなのに休まなかったりしたら、夏休みに失礼なんだからな!」
「……あのな」
「今年の夏も、私は休む……全力でっ!」
ぐっとこぶしを握りしめ、みさおは高らかに宣言する。
「ったく、あんたは毎年毎年……。そんなんだから、」
「聞こえない、聞こえなーい。私はこの夏をエンジョイするのー! 夏休みが向こうで私に手を振ってるのー!!」
「おい」
耳に手を当てて、首を振りながらみさおが声を上げる。
ほとんど子どもと変わらない態度をとる彼女に、あやのは苦笑する。
「あー、そうかい。そうまで言うんだったら、もし2学期になって手遅れになったとしても私は知らないからな。あと夏休みの宿題も手伝ってやらないし、その後のことも一切関知しないんで」
「な、ええっ……」
かがみの言葉にみさおは目を見開く。
「夏は受験の天王山って言うしなぁ……。夏を制するものは受験を制す。それなのに日下部は休みまくると……」
すっかり動きを止めてしまったみさおに、かがみが言う。みさおのさっきの勢いもどこかへと消えてしまっていた。
「実際に休みまくった受験生っていうのはどうなるのかしらね。あー、今から来年が楽しみねー」
「うっ……、くぅっ……」
にやりと意地の悪い笑みを浮かべながら、かがみが言う。
なんだか今にも冷や汗をたくさん浮かべそうに、みさおが身じろぎした。
「……それで。夏休みは、何して休むの?」
「っ……!」
勝ち誇ったようなかがみと、すっかり気勢をそがれたみさお。
結局みさおは、
「あやの〜。柊がいじめるよ〜」
あやのに泣きついた。
「せっかく現実逃避してたのに……」としょんぼりする彼女の頭を、あやのはよしよしと撫でてあげる。
「勉強しなきゃいけないことぐらい、私だってわかってるって」
「いや。全然信用ならない」
きっぱりと、斬って捨てるかがみ。
そんなんだから凶暴って言われちゃうんじゃないかな……と、あやのは思う。
「ようやく夏休みに突入したわけなんだから、ちょっとぐらい現実から目を背けたっていいじゃねえかよ……。それに今日は私の誕生日なんだぞーっ。少しは優しくしてくれよ!」
ぶーたれながら、かがみに訴えかける。
「あんたのために言ってるんだけどなぁ……。少しは危機感ってものを持ちなさいよ」
「それでも柊は慈愛とか、そういうのを持ったほうがいいって!」
「………」
「……なんだよ」
「……………………いや、慈愛なんて言葉よく知ってたな……」
何か大変なものでも見たかのような顔で言われて、みさおは声にならないショックを受けていた。
「そういや今日だったわね。元海の日の」
「……そうだぞー。だからなんかくれ」
机の上に身体を投げ出して、みさおはすっかりとふてくされていた。
「そうね。……じゃあ、これでもあげるわよ」
バッグを覗き込みながらそう言って、
「はい、お誕生日おめでとー」
やる気のない口調で、みさおの前にそれを置いた。
「お、おお……。柊にもこんな優しい一面が……。……ありがとう、柊。このポッキーは一本一本大切に食べ、…………ってポッキー一箱かよ!」
ポッキーの箱を持ち上げて、みさおが叫ぶ。
「一応それ、私のとっておきだから。少しは感謝して食べなさいよ」
ううっ、とみさおは声を漏らすと、箱を開けてポッキーを口にくわえた。
「あやの……、なんだかポッキーが苦いよ……」
「そりゃビターだしな」
そんな二人のやりとりを見て、あやのはただ困ったように笑うしかなかった。
♪
「――はい、みさちゃん」
結局かがみと一緒にポッキーをつまんでいたみさおに向かって、あやのは一つの袋を差し出した。
「……え?」
突然渡されたそれを反射的に受け取ると、彼女はキョトンとした顔であやのの顔を見返した。
「私からのプレゼント」
小さく笑いかけながら、彼女に言う。
「………」
「……みさちゃん?」
彼女はジッとそれを凝視しながら、手をわなわなと震わせていた。
そして、
「あ゛、あやの゛〜……」
ひしっ、とその袋を抱きしめた。袋のビニールが、ぐしゃっと音をたてる。
「やっぱりあやのは違うよ。あの優しさを忘れた悪魔とは、ゼンッゼンッ、違うよ! ……こうだよな、普通プレゼントってこういうもんだよな!!」
プレゼントを掲げながら、歓喜にむせび泣くみさお。
ものすごいオーバーリアクションで喜びを表現してくれるのはいいのだけど、少しだけ恥ずかしいような気がして、あやのは困ったような笑みを浮かべた。
「大げさだなぁ……」
と、かがみが呆れたように呟いていた。
「どうせ柊にはこの気持ちなんてわからねえよ。今のこの私の喜び具合なんて。……ありがとう、あやの! さっきの誰かのとは比べられないほどに大切にするから!」
「あ、うん……」
怒涛の勢いで言い放つみさおに、あやのはおされ気味に答える。
「柊も少しは見習えよな?」
「んー? ……ああ、はいはい」
あんただって私の誕生日、なあなあだったじゃない……とかがみが小さく呟いた。
「なんだ? うらやましいのか?」「峰岸からはちゃんと貰ってたの、あんたも見てたでしょ?」「やっぱコレって愛だよな……。絆の勝利だよな」「……聞いてないし」
なんだかんだで仲良く話し合っている二人に、あやのはやっぱり苦笑を浮かべた。
みさおとあやのが彼女と知り合ってから、もう5年目になる。
随分と長い間一緒だった気もするし、それほどでもないような感覚もする。
自分とみさおに比べれば付き合いは短いけれど、それでも今では、大切な友達――親友だと思う。
二人の会話は、見てて飽きない。
それになんだか、少し心地がいい。
いつも元気いっぱいなみさおと、呆れながらも、結局世話を焼いているかがみ。
みさおはよく、かがみは薄情だなんて言っているけれど、今だってすごく楽しそうだ。
かがみがまた、調子に乗ったみさおへと怒りをあらわにしていた。
そんな二人の姿は、やっぱり楽しげにあやのの目には映った。
「――お姉ちゃん」
教室のドアの方から、声が聞こえた。
声のほうに視線を向けると、そこには一人の少女が立ってこっちのほうを眺めていた。
あの子は確か――。
「あ、つかさ。今行くから、ちょっと廊下で待ってて」
かがみがその少女に――かがみの妹へと手を振る。
彼女はそれを聞いて、うんと頷くと廊下へと出ていった。
そういえばあの子とも、ずっと学校が一緒だったんだよね――。
同じクラスになった事はないけれど、こんなふうによくかがみを迎えに来ているのを見かけていた。
双子の妹だというのだけど、かがみと違って、なんだか可愛らしい感じだ。
「じゃあそういうわけだから、そろそろ私、行くわね」
「あ、うん。またね」
「それじゃあ、今度よろしくな。――柊も最後の夏休みなんだし、少しは楽しんだほうがいいぞ」
「はいはい……」
かがみはそう言って軽く肩をすくめると、振り返って教室のドアの方へと足を向けて、
「ああ、そうだ日下部」
「ん?」
何かを思い出したように声をあげた。
「これもあんたにあげるわよ」
そう言うと、カバンの中から何かの袋を取り出し、
「はい、改めてお誕生日おめでとー」
やっぱりやる気の無い声で言って、みさおへとそれを差し出した。
「…………へ?」
受け取りながら、みさおが変な声をあげる。
「これ、なに?」
「何って……、だからプレゼントよ」
「ああ……。……え……」
「この前少し用事があったときに、あんたも誕生日が7月だったなって思い出して……それでね」
かがみの言葉を聞きながら、みさおはまじまじと手元のそれを見つめていた。
「ま、というわけだから。――じゃあね」
そう一気にまくし立てると、スカートをひるがえして、かがみは廊下へと向かって歩いていった。
「………」
みさおは少しの間それをじっと見つめたあと、顔を上げて、
「柊っ!」
そう呼びかけ、ドアから出ようとしていた彼女が振り返る。
「――ありがとっ!」
満面の笑顔で、みさおがそう言った。
「………」
かがみはなんだか複雑そうな顔をして、
「…………声でかいわよ」
それだけ言い残して、廊下へと出て行った。
♪
夏といえば、セミの鳴き声だと思う。
道端の木からその声が聞こえると、夏が来たんだなって実感する。
今もどこかで鳴いている。
誰かの家の木の上からも、生い茂った木々の影の向こうからも。
日差しの眩しさと一緒に伝えてくる。
「にしても今日も暑いなぁ」
帰り道を歩くあやのの隣で、みさおがそう呟いた。手を額にかざして、眩しそうに太陽を見上げていた。
不満そうな言葉と裏腹に、その顔は笑顔を浮かべている。
いつもパワーが有り余ってるような彼女だけど、今はなんだか、すぐにでも走り出してしまいそうだ。
「…………良かったね?」
「?」
「柊ちゃんからのプレゼント」
「……ああ」
ふと、思い出したかのようにみさおが声をあげた。
「あいつにしては気が利いてるというか……。なんかあったのか知らないけど、最近機嫌もいいし」
カバンと一緒に提げた袋に視線を落とし、みさおは言う。
「まあ、良かったのかな?」
にっと笑みを浮かべる彼女。
その顔を見て、やっぱり二人は仲がいいんだな、とあやのは思った。
ずいぶんと長い間、通り続けた道を、二人で並んで歩いていく。
いつものように、みさおがあやのへと話しかける。
いままで通り、あやのは彼女の言葉に耳を傾ける。
彼女はいつでも楽しそうに、嬉しそうに話をする。
自分はそんな彼女に、相づちを打ち、言葉を返す。
時に身振り手振りをつけながら、みさおはいろいろな事をしゃべっていく。
今日は早くに終わったし、これから何をしようか。
今年の夏はちゃんと宿題を早めに済ましたほうがいいかもしれない。でもやっぱり無理そうだ。
今度、柊とも勉強会を開こうか。
勉強もしなきゃいけないけれど、少しぐらい遊びたい。
祭り、花火、プールにサイクリングにハイキングに。
でもやっぱり……。
あやのは、そんなみさおの顔を眺める。
彼女は本当に嬉しそうに、これからの夏の事について想像を膨らませていた。
「もう……最後なんだね」
「ん?」
「夏休み」
「……おぉ、そういやそうだな」
やっぱり彼女は、あっけからんとした口調で言った。
「まあ、最後っつってもまた来年もあるけどさ。……無事に進学できたらだけど」
自分の成績を思い出したのか、苦い顔をするみさお。
「ホント今年の夏は大変だよ……」
「………」
勉強なんて私の性に合わないんだけどな……と、みさおはぼやいていた。
「今年もまた、どこかに出かける?」
「んー、そうだなぁ……。でも柊も言ってたけど、実際そんな余裕があるかどうか……」
「でも……、最後の夏だし」
「そうだよなー。最後なわけだし、なにかそれにあった思い出ってのが必要だよ」
「……うん」
もう、高校に入って三回目の夏だ。
三年生にとっては、本格的に受験の準備を始めなきゃいけない季節となる。
だけど、勉強だけじゃない。
この年の、この季節っていうのは、いろいろなものが流れていく。
例えばスポーツとか恋とか、……友達との思い出とか。
いまいち、最後っていうのが実感できないけれど、だけどなんだか……寂しいって思ってしまう。
今まではずっと、夏が来るとすごく嬉しかったような気がする。
夏休みが来るのが待ち遠しくて、早くやってきてほしいと思っていた。
そしてそんな夏休みは、あっという間に過ぎてしまって、また来年の夏を想像してしまう。
……でも今は――。
「今年は……、何をしたらいいんだろうね」
「ホント、やらなきゃいけないこともあるっていうのに、やりたいこともいっぱいあってさ。せめてあと十日、いや二十日は増やしてほしいよ」
「……そうだね」
確かにそれぐらいあれば、いろいろなことが出来るかもしれない。
なにか大切な思い出もできて、もっと楽しい夏になるかもしれない。
だけどそれでも、季節は過ぎる。
移り変わって秋が来る。
冬も、春も、……次の夏も。
やっぱり思い出が、できるだけ。
高校生最後の……二人でいられる最後の夏の。
それならもう、来なくてもいいんじゃないだろうか。
……そんなこと言ったって、何も変わらないかもしれないけれど。
「――あのさ、あやの」
「……?」
振り返って、あやのは足を止めたみさおを振り返った。
空の真上まで昇りきった太陽の日差しを受けながら、みさおはこちらをじっと見つめていた。
「どうしたの? みさちゃん」
「……そのさ。どうしても頼みたいことがあるんだよ」
そう言って、みさおはこちらのほうへと近づいてきた。
2m、1m…、50cm、30cm…。
ほとんど目の前へと接近した彼女の顔を、あやのは見上げるような感じで見つめ返す。
「み……、みさちゃん?」
「……やっぱりこれは、あやのにしか頼めないんだよ」
びくっ、とあやのの身体が跳ねた。
体の前で、みさおが自分の右手をとって、両手でギュッと握りしめていた。
「あやの……」
「………」
彼女の瞳は、ひどく真剣だった。
黒い黒いその眼差しはとても深く、まるで吸い込まれそうで、意外に長いまつげとか、少し鋭い目尻なんかが、なんだか目に付いて離れなかった。
握られた手が、熱を帯びる。
なんだか急に、日差しが熱いような気がしてきた。
どれくらいそうしていたのか。みさおはたっぷりと一呼吸を置くと、その真剣な表情をそのままに、ようやくその言葉を口にした。
「――今年も……、宿題とか勉強とか、……手伝ってくれないかっっ!」
「………」
「………」
「………」
――どこか遠くのほうで、蝉の鳴いている声が聞こえていた。
「……やっぱダメか?」
「えっ?」
みさおに言われてハッとする。いつのまにか汗をずいぶんとかいてしまっていた。
多分かなり思考が止まっていたのだと思う。
「べ、別にいいよ?」
「ホントかっ?」
「そ、それぐらいなら……。それに毎年そうだし」
みさおがあやのの宿題を写すのは、今に始まったことではない。
8月の終わりになって必死になる彼女の姿は、もはや夏休みの風物詩だ。
「あ、ありがとう、あやの……。ホントに毎年毎年助かるよ……」
みさおはそう言って深いため息をつくと、ようやく手を離してくれた。
視線を落とすと、そこはすっかり熱くなっていて、じんわりと汗で湿っていた。
「もし一人でやったとしたら、絶対夏休みがつぶれちゃうしさ……。これで今年も、安心して……あやのと遊べるよ」
「………」
「覚悟しろよ、夏休み……!」
そう言うとみさおは、太陽を眩しそうに見上げた。
降り注ぐ光を浴びつつも、不敵な笑みを浮かべながら空を睨みつける彼女のことを、あやのは思わずじっと見つめてしまった。
どこからそのエネルギーは来ているんだろう。
なんでそんなに前向きなんだろう。
そんなふうに、思うときがある。
いつだって、無駄だっていうぐらい何事にも全力投球で。
何も考えてないようで、やっぱり本当に何も考えてないように見えて。
それでもいつだって、やりたいことを、やらなきゃいけないことを、そのままの勢いで突っ走っていってしまう。
そしていつの間にか――その後をついていきたいと思ってしまう。
一緒にその道を、突っ走っていきたくなっている。
「……ふふっ」
こらえきれずに、笑みがこぼれた。
「なっ! べ、別に笑うことないだろ」
「だ、だって……」
全然、変わっていないんだもの。
初めて会ったときも、その後もずっと、今みたいな感じで。
少しは大人になったなってこともあるけど、根本的なとこは少しも変化してないような気がする。
あの時のまんま。
いつだって、自分のことを振り回していて。
夏になるとすぐに、勝手に私の手を引いて、外へ向かって駆け出していた子どもの頃と……。
「いいよ……、どうせこの悩みは毎年宿題に悩まされてる人間にしかわからないもんだし。これでも結構、かなり悩んだりしてたんだからな」
「あ……」
みさおはそう言うと、しかめっ面のまま、先へと歩いていってしまった。
その後姿だけでも、拗ねているのがはっきりわかって、そんな子どもっぽい彼女にもやっぱり笑みが浮かんだ。
どんどん先へ行ってしまうみさおに、あやのは軽くため息をつくと、すっかりいじけてしまった彼女の前へと回り込んだ。
「みさちゃん」
「……なんだよ」
「これあげる」
「……?」
そう言って、カバンから出したものを差し出した。
「これ……」
「クッキー。みさちゃんの誕生日だから、また作ってみたの。……よかったら食べて」
「………。……ありがと、あやの」
みさおはそう呟くと、ジッと真剣な表情で手元を見つめだした。オレンジのリボンで綺麗にラッピングされた、――昨夜遅くに作っておいたそのクッキーを。
「……みさちゃん?」
「え? あ……」
声をかけると、ハッとしたようにみさおは顔を上げた。
「いや、その……、あやのが初めてクッキーをくれたのも誕生日のときだったな、って思い出してさ」
「……そうだっけ」
「うん」
と、何かを思い出すようにみさおは手元を見つめる。
「その時あやのはさ、なんでかすごい泣きそうになってて……。『これあげる!』ってすごい勢いで私に押し付けて、その後私が『食べてもいいか?』って聞いても、ずっとうつむいて顔を上げてくれなくて」
「………」
そんなことも、あっただろうか。
それは確か、――こうやってお菓子作りをするようになったきっかけでもあった。
ずいぶんと古い記憶すぎて、今までちゃんと思い出したこともなかった。
「で、しょうがないから私は勝手に一ついただいてね、ちょっと形はいびつだったけど……それはもうおいしかったわけよ。……それでさ。私がそれを言うと、あやのは……」
そこまで言って、みさおは言葉を切った。
「……?」
ふいに口をつぐんでしまった彼女に、あやのは首を傾げる。
「ん、あっ、いやなんでも」
ハハハ、とみさおが手をぶんぶんと振る。
「ま、とにかく懐かしいなって思い出しちゃってさ」
「ありがたくいただくよ」、とみさおは笑顔を浮かべる。
「……よく覚えてるね」
「ん?」
「そんな、昔のこと」
「ああ、そりゃあ。……なんか、すごく嬉しかったんだよ。本当に私のために作ってくれたんだっていうのが、伝わってきてさ」
その時を懐かしむような顔で、みさおは言う。
「あれからかな。あやののクッキーが、私の大好物になったのは。味ももちろんだけど……、やっぱりあやのが焼いたクッキーが一番好きかなぁ……」
「………」
「だから、さ」
みさおの真っ直ぐな瞳が、すぐそこにあった。
「また今度。……いや。これからもずっと……作ってもらえないかな?」
「………」
「ま、まあできたらでいいけどさ」
クルッと後を向いて、みさおはガシガシと頭をかいた。
――そういえば、さっきはなんで悩んでいたんだろうか。
いつか離れてしまうこととか。
きっとこれからは、二人でいられる夏は来ないだとか。
今までの記憶と、思い出と。
そんなものまで、全部終わってしまうような、そんな気がしていた。
「いいよ」
彼女の右手に、手を伸ばす。
「また作ってあげる」
少し驚いた顔でみさおが振り向いた。
「……ホントか?」
「うん。……これからも、ずっとね」
影を揺らして、風が吹きぬける。
焼けつく熱を帯びたアスファルトが、夏を迎えた空気を焦がす。
季節は巡る。
夏はいつか終わりを迎える。
凍えるような冬が来て、春になればまたこの熱い日を思い出す。
「んっ……、よろしくなっ!」
そう言って、にっと笑って手を握り返された。
彼女のその手はあまりにも力強くて。
今にもこの手を引いて走り出してしまいそうで。
これからまた夏休みが来るっていうのが、楽しみでしかたないと、――そう思えた。
夏の日差しは、まだ空高くて――。
♪
――眩しく照らす太陽が、印象的だった。
『食べていいか?』
玄関の前で黙り込んでしまった彼女に、私は問いかける。
『………』
泣きそうな顔を下に向けて、彼女は何も答えない。
『……もらう、から』
一言断りを入れて、袋の中に手をいれた。
いびつな形。
でもそれは、確かに一から作った手作りであるという証拠。
『……ぁ』
口の中に、甘さとどこか香ばしいような味が広がる。
『おいしい……』
ポツリと正直な感想が口から漏れた。
『…………ホントに?』
消え入りそうな、声が響いた。
相変わらず今にも泣きそうな顔で、彼女は見上げる。
『うんっ。すっごいうまいよ!』
そんな彼女を元気付けたくて、私は思いっきり笑顔を浮かべた。
でもそれ以上に、本当にこの贈り物がおいしいと感じたことのほうが大きかったのだけれど。
『……よかった』
そう言って、彼女は涙をこぼした。
泣きながら、嬉しそうに笑みを浮かべた。
……その笑顔があまりにも眩しくて、私は思わず目を細めていた。
――思い出したのは、かすかに漂う甘いにおい。
fin.
以上です。
最後の最後でミスったorz
上の空欄は失敗
書き込みが反映されないのは、「一行目表記無し+22行以上の文章」の場合があるらしい、と聞きました。
とりあえず「一行目に全角スペースを入れる」をすれば書き込みは可能らしい、です。
326 :
ちび:2008/01/13(日) 09:37:42 ID:kNHBlHDO
おじゃまします。
>310 うわぁ、胸が暖まりました。こういうロマンチックな情景を心の流れで書ける人って凄くっていいなぁと憧れます。
アップローダのはDLしました。テキストは僕がMacだからか文字化けしていますが、ワードは読めるので、後でゆっくり読みたいと思います♪
えっとThank you very much for the wonderful present. GJ !!
二次創作四回目(3回目と一緒に作ってましたが)です。前回のは褒めていただいて、恐縮っす。とても嬉しかったです。エロ表現は結構頑張りました。まだまだですが・・・。10-54さんのぼけぼけシリーズみたいなエロさとか、憧れです(作風の違いは抜きにしても)。
投下しても大丈夫でしょうか?(誰かいますか?)
327 :
ちび:2008/01/13(日) 09:44:58 ID:kNHBlHDO
ではでは投下します。
一応
>>185の「パヤパヤ」の続きという事になります。が相変わらずどうということでもありません。
エロはないです。うんと、つかさが好きだから書いてるって感じです。
五次元歴0079年。原宿、代々木公園の木々に囲まれた広場。そこに巨大餅オモチウニョーンが現れた。
この緊急事態に自衛隊と動物愛護団体が出動、日本のサラリーマンは出勤、芸能人達はカミングアウト型謝罪会見を行った。
かがみはみゆきに説明する。「つまり、山手線の円の中に、S字を横に倒した形で中央線がある。これは陰陽道の魔法陣になっているの。」
つかさが続く。「新宿歌舞伎町が闇、皇居が陽なの!ゆきちゃん!」
かがみはみゆきの肩を掴む。そしてじっと見つめる。物凄く真剣だ。
かがみは勇者を迎える女神のように力強く勇ましく叫んだ。
「今こそメガネの力を解放しなさい!!!」
〜その手を掴んだ愛〜
喫茶店、こなたはアイスコーヒーを、その隣のつかさはチョコレートドリンクを、
向かい合って自分はブレンドコーヒーを飲んでいる。
ようやくみゆきは現実に帰って来た。
少しのそぶりもなかった親友の二人。
今、その二人が交際を始めたと告白してきた。
なんと冗談抜きだ。
みゆきが長く沈黙していたので、つかさは肩をいからせて、でも弱々しく泣きそうになっている。
こなたは気合いいっぱいにじっとみつめている。
私ファイトです。何か言わなきゃいけません。
「…え、えっと」
思った以上に小さな声がでた。
二人はほぼ同時に息を飲んだ。その緊張感がみゆきの頭をさっぱりにした。
「…私どうしましょう?」
「私達に言われても…。」
あぁ混乱です…。こうなるとまずいです。
「あのおて、おて、おて…。」
「お手洗い?」
「行ってきます!」
ばんっと手をついて、翻り、みゆきはトイレへ向かって行った。
みゆきが見えなくなってから、こなたは机にうなだれた。
つかさも肩を落とし、ついでに全身もテーブルの下に滑らせた。
ざわつきとジャズが次第に耳に入り始める。
一昨日、こなたとつかさは結ばれた。
その日、つかさは自宅に対して、こなたの家に泊まりこむための嘘をついた。
結果嘘を守るのに、みゆきに説明なしで嘘を手伝ってもらう運びとなり
そのためかがみより先にこの事を伝える事になった。
二人は、みゆきなら受け入れてくれるだろうから勢いがつく、とも考えていた。
「はあ…この空気なんとも言えないねぇ。あたしゃ真剣な空気は似合わないよ。」
「あはは…、こなちゃん、なんかまる子ちゃんみたい。」
「それは『ちび』ということでしょうか?」
「うん、それもあるけど言い回し。」
「ぬぉ、フォロー無しですか!?」
「あのね、こなちゃん」
「むぅ…。なにさ、たまちゃん。」
「これ全部終わったらね、ゆっくり、その…」
「エトワール選にでようかって?たまちゃん。いや、なぎ・・・」
「こなちゃんごめん」
「ん〜私も。で何?」
つかさは小さく深呼吸してエンジンをかけ直した。
「で、デートしようよ!私、お弁当作ってくるから。公園デート!」
言いきって上気して期待の目をこなたに向ける。
こなたの目も子供に爛々と輝く。
「行く!行きたい!」
つかさも明るくなる。
「行きたいよね〜!」
こなたは顔をつかさに近づけた。
「つかさ、ちゅうしたい」
「こ、ここはちょっと…」
わずかに後ずさる。
いくら角の位置とは言え(話が話だったのでこの席を選んだ)、背中合わせの隣とは腰までの仕切りとその上の植物しかない。
が、こなたが一瞬寂しそうな顔をみせたので、つかさは構わずキスをした。
一秒のキス。
こなたはうっとり幸せに浸る。
微笑みあう。
そして凍りつく。
すぐにみゆきは席についた。
キスを目撃したみゆきは頬を赤らめうつ向いた。
何度も二人を覗き見て、奮い立って喉からなんとか引っ張り出すように話し始めた。
「お、お恥ずかしながら、わたシ!」
声が裏返った、
ざわざわ…
しかし二人はこれを無視。
「私は男性にも女性にも恋という恋をした事がありません。ですけど…」
もうみんな真っ赤である。
みゆきは声が裏返らないようにコーヒーを飲み、真っ直ぐ二人に向かって言った。
「お二人が幸せなら、それは私にも嬉しいです。」
そして二人に微笑んだ。
二人は満面の笑顔になった。
「ゆきちゃん!」
「みゆきさん!」
「お二人が親友であることは変わりません。私に出来る限りの応援もしたいと思います。」
「ゆきちゃんも私の親友!ずっと親友!」
「みゆきさん大好き!」
みゆきは「私も大好きです。」と応え、テーブルをオレンジ色に照らすお洒落な照明を見上げた。
「不思議ですけど、二年半私達はずっと四人でいました。」
言葉が空気を暖かく振動させる。
「いつか恋が芽生えるの、わかっていたような気がします。」
夜。
柊家ダイニングルーム。
ホットミルクの入ったカップに息を吹き掛けるつかさ。
それを見たまつりが話しかけた。
「つかさ、何やってんの?」
がたりと椅子がなる。つかさは姉の存在に気付いていなかったらしい。
「え、えっとカップに出来た膜が揺れて面白くて…」
「もう少し有意義に使わない?時間。」
「一応飲んだら勉強するつもり…。」
はあ、この子はホントにぽやぽやしてて少し心配だなぁ。もう夏も終わったんだからさ。…ん?
「でも、まだホットミルクって季節でもないよね。」
「あ、うん。今さっきテレビで『ホットミルクの安眠効果』って特集がやってて、試したくなっちゃって」
………。
「ふ〜ん。よかったね。」
ツッコミどころ大杉で面倒になった。
まつりは自分のカップにコンロの上のポットのコーヒーを注ぎ、いくつかお菓子をピックアップすると、自分の部屋へ戻って行った。
つかさは一口啜る。
舌が高い熱を知覚する。
甘くやわらかな香りが口の中に広がっていく。
ホントだ心が落ち着いて、快適な睡眠へかも…。
何気なくつかさは唇に左手の指を当てる。
指の腹で下唇をなぞる。
とくん…。
あの夜から2日しか経っておらず、すぐにキスを追体験出来てしまう。
そのまま上唇もなぞり、一周する。
目を瞑ると、こなたの舌が入ってくる。
もう一周。つかさも舌を差し出す。
指を舐める。
再び唇に這わせる。こなたの唾液が唇を濡らす。
な、私なにやってるんだろ…。
右手が引き寄せられるように机の下に潜っていく。
だめだよこなちゃん。ここみんな来るし。
「…あぅん」
こなたの手はパジャマ越しに割れ目を撫でた。
気持ちぃ…。
つかさは机に体を伏せた。紫の髪が額にかかる。
荒くなる息を必死で静めながら、割れ目をなぞる。
もう、こなちゃん、好きにして。
「つかさ?」
まつりお姉ちゃん!?
手を抜いて寝たふりに入る。
「えぇ!?ミルク凄っ!」
コーヒーをレンジに入れる。温まっていなかったらしい。
まつりはあたためのボタンを押してから、つかさに近づいた。
「つかさ、あんたは眠り姫だね。」
小さい頃から姉たちはつかさの頻繁な眠りと安らかな寝顔に親しみ込めてそう呼ぶことがあった。
コズミクトラベラ〜ラララ投げ入れろコッペパン〜♪
まつりの携帯の着信。ポッケから取り出す。
「あ、もしもし?」
あれ?
つかさは不思議に思う。声のトーンこそ小さいけれど、よそ行きな、それも上ずった声だ。
なんだか女っぽく意識しているようだ。
「うん。今どこ?」
携帯からは男の人の声が漏れ出している。まさか…彼氏とか!?聞いてないけどぉ!
「別に。暇潰しにメールしてみただけだよ。はぁん?あんたも暇潰しに使うじゃん。」
なんだかまつりお姉ちゃん凄く嬉しそう。
当たり前な感じの会話、それを奏でる生き生きとした声。
「え?もう?…あぁそう、うん。わかった。」
まつりは携帯でわかるか解らないかの声で寂しさを伝えてる。
「じゃ、また。メールするから。うん。おやすみ。」
ふぅ…。まつりはため息をついて携帯を閉じた。
「お姉ちゃん彼氏?」
しまった、つかさ眠り浅かったのか…。
「高校時代の友達。」
「ただの?」
「そうだよ。」
まつりは興味なさ気にレンジを開ける行動に入る。
「嘘だぁ…。」
お姉ちゃんが無駄に素っ気ないときは嘘のときだもん。彼氏かな、かな?
「ホントだって…。」
まつりの顔にほんのり赤みがさす。
「お姉ちゃん顔赤い…。」
「はぁ!?熱っ!」
まつりは言われてすっかり動揺し、コーヒーカップが揺れて手に溢れた。
「だ、大丈夫?」
あっちぃ〜っと、テーブルにカップをおいて、ため息をついた。ジト目でつかさを見た。
「…片想い。誰にも言わないでよ。」
「ホント!?どんな人?」
「ちょ、声がでかいよ」
「ご、ごめん。」
「高校の頃のクラスメイトで、普通に友達だったの。今も友達として続いてるわけ。そいつを私がなんでか好きになっちゃってるってわけ。」
「うわぁ…、すごい。」
「は、恥ずかしいからあとは酔った時にでも訊いて。茶化されるの嫌だから秘密ね。」
「うん。応援してる。」
まつりは再び深くため息をついてから、眉をハの字に苦笑した。
「ありがとう。」
「バレンタインに、私チョコ作るよ!」
「いや、それ宣戦布告にしか聞こえないから。」あんたが作ってど〜する。
「コックさん?」
まつりは疲れた。
翌日。放課後。
すっきりした夕暮れ。
縁起を担いでの同じ喫茶店。
こなたは頬をぶたれた。
「こなちゃん!」
つかさはうつむいたこなたを抱き寄せる。
「お姉ちゃんひどい!」
かがみは向かいに座るこなたに前のめりになってる。
店内から注目を浴びていながら、かがみはそれを全く気にしない。
睨む瞳は怒りとも、憎しみとも、嫌悪とも、嫉妬ともとれる。
沈黙の後、かがみは席を立ち、強引につかさの手をとった。
「これはあんたが悪い。つかさは被害者よ。」
一番嫌な言葉だ。
私が迫ったんだ。告白したときだって、キスをねだったときだって。つかさは流されやすいし。
もしかしたら、彼女に私が望んでいるだけなのかもね。
抱き寄せるつかさは小さく呟いた。
「こなちゃん、愛してる。」
(「好き、なの?」「愛してる。」)
「でも、これは私とお姉ちゃんの問題だから。」
かがみに手をひかれ、つかさは応じて立ち上がる。
「行くわよ。」
「…うん。」
かがみはこなたに背を向け、顔だけ横に、目を合わさずに言った。
「こなた。多分私、もうあんたを友達と思えないから。」
かがみは泣いてしまいそうだった。
これでお別れなんだ。いきなりすぎる。
だから顔を合わせられなかった。
(いったんおしまい)
334 :
ちび:2008/01/13(日) 09:54:52 ID:kNHBlHDO
すいません!!改行多すぎって言われて、修正してたらendが二つになっちゃいました。
シリアスも門外漢でこりゃ、何が何だかですが、ここの作家さん達のシリアスを読みまくってもっと頑張ってみようと思います。大目に見たって下さい。
特に甘〜いみゆつかもあるみたいで、つかさ好きとしてスッゴイ楽しみっす!!
また修行して帰ってきます。おじゃましました。
今日昼過ぎに投下予定なんですが、1レス辺りの行数は22にしたほうが良いんでしょうか?
一応30行で計算して作ったんですが
42、3行くらいまでおk
>>336 そうだったんですか!!見栄えも考慮して段落を30行で必死にまとめてた自分って……
ありがとうございます
批評の話ですけど私も反対ですが、書き手としては批評が貰いたくなる気持ちは解らんでもないので
感想書き込む時は良かった点を具体的に書くようにしてますね
>>310 三人の関係に説得力があって良かったです。
こなかがだと切羽詰まってることが多いかがみのクールな友達付き合いが新鮮でした。
ってな感じで
>>296 楽しませていただきました。ありがとうございます。
26-468です
やっと書けたので投下させてもらいます
6レスほどお借りします
今回はエロも頑張ってみました
つかさ視点、一応前回の続きです
楽しんでもらえたら幸いです
柊つかさは素直な子だ。
漫画を読んで感動したら泣くし、困っている人がいたら力になろうとする。
例え宿題が残っていようと眠くなったら眠る。
そして宿題が残っていたら、眠くても最後までやり遂げる。
――――人様に迷惑とコーヒーはかけちゃいけない――――
この暑さは残暑って言えばいいのかな?
太陽はがむしゃらに頑張っているみたいで、私は未だに冷房の効いた部屋から出られずにいた。
階段を駆ける音がしてお姉ちゃんが帰ってきた。
「いやぁ、外暑すぎだよ。つかさぁ、クーラー効いてるでしょ?入るわよ」
お姉ちゃんも暑さには勝てないみたいで、服をパタパタさせながら部屋に入ってきた。
顔が紅潮していて何となく色っぽい。
「あんた朝から勉強するって言って、漫画読んでるじゃないの」
オレは数学の教科書を持ってるって思ったらいつの間にか漫画を持っていた。
何を言ってるか分らねーと思うがオレも何をしているか分らなかった。
こなちゃんならこんな風に言ったかもしれない。とにかく勉強しようとしていたのは確かなのだ。
「えっと、これはね。勉強してたんだよ?でもほら息抜きというか休憩もしなきゃってね・・・」
「ふーん。それでそんなに漫画が積んであるのね?」
「だってこなちゃんが貸してくれた本だから。早く読んでおきたくって」
趣味が合うってことかな?こなちゃんが貸してくれる漫画は全部面白い。
面白いだけじゃなく、心にすっと入ってくる。読む度にこなちゃんを知っていくみたいで。
「マリ見て?それラノベなのよ、私は読んでないけどね」
「こういうのって百合って言うんだよね、お姉ちゃんはこういうのどう?」
「どうって、そういう世界もありなんじゃないの?本人が好きならね。ったく、こなたのせいで・・・」
「こなちゃんがどうかした?」
『こなた』という言葉になぜか反応してしまった。
「いや、なんでもないわ。それより明日、朝早いんだから宿題やっときなよ」
「うん、片付けちゃうね」
夏休みの宿題を手伝ってもらったお礼がしたいと言い出したのはこなちゃんで、
3連休の間の日曜にお泊まり会をすることになった。
こなたから改まってお礼をしたいなんてなんだか気味悪いわね、なんてお姉ちゃんは笑っていたけど
それが照れ隠しだってことはすぐわかった。
「おじゃましまーす」
「お帰りなさいませ、ご主人サマ♪」
「ってうわ、なんて格好してんのアンタ!?暑すぎてついにぶっ壊れたか?」
「ご主人サマ、今日は一日ご奉仕させていただきますわ、ささお手拭きをどうぞ♪」
「ええい、気持ち悪いからやめい!!」
「もー、ノリが悪いなぁかがみは。せっかくバイト先から借りてきたのにさ」
「あんたはただメイドごっこがしたかっただけでしょ、どーせ」
「そんなことないもん。かわいいって言ってくれるって思ったもん。料理だって用意してるもん」
唖然に取られる私をよそに二人で言い合いを始めて、こなちゃんがしょげてしまった。
「な、なによ。いじけることないじゃない。」
「だってかがみのために用意したんだもん、店長に無理言ったんだもん」
「ちょっと、そんなに落ち込むことないでしょ。け、けっこう似合ってるじゃ・・・」
「え、何?よく聞こえないよ。かがみん」
こなちゃんがニヤりとしたのは気のせいだ、うん。
「だぁから、似合ってるって言ってるのよ」
「似合ってるだけ?」
「あぁもう!かわいいわよ、こなた」
これでいいんでしょ?と言わんばかりにムキになっているお姉ちゃん。
「やっぱかがみんは優しいなぁ、うん」
こなちゃんもなんだか照れてるみたいで、うつむきながらそう言った。
「さ、二人とも上がって。まだお昼には少し早いけどお菓子もたくさん用意してあるよ」
こなちゃんのメイドさん姿は普段から着慣れているからなのか
小窓から差し込む光に照らされる姿は、イタズラっぽい猫口、思考を読み取れない瞳、
その全てが自然に見えて、怒って口を尖らせる仕草まで初めから決まっていたみたいで切なかった。
「猫耳があれば完璧だったんだけどねぇ」
ご機嫌で準備を始めるこなちゃんを後目に、まんざらでもなさそうにため息をつくお姉ちゃん。
普段通りの私たち。心地いい会話。ゆっくり食べるお昼ごはん。大切な人たちとの、かけがえのない時間。
昼ごはんを食べたあと、こなちゃんが片付けをすると言い張るので二人してリビングでゆっくりしていた。
メイド服は着替えてしまったけど「お礼をしたい」という気持ちは思ったより強いみたいだ。
「ねぇお姉ちゃん、さっきのこなちゃん少し変じゃなかった?」
「こなたが変なのはいつものことじゃない」
「そうかもしれないけど、普段よりも女の子っぽかったような」
「どうせメイドごっこの延長でしょ?ま、あいつも少し照れてるってことよ」
ごはんの準備や食べてる時もいつもとは違ったような。
うん、どう違うかって言われると困るんだけどたち振る舞いがいつものこなちゃんじゃなかったような。
同じことをグルグル考えても分らないのでメイドさんごっこだたということにしておいた。
20分くらいゆっくりしているとこなちゃんが片付けを終えたのでみんなで部屋へ向かった。
「すごい部屋ね、相変わらず」
部屋の至るところに人形やポスター、漫画が揃っていて来る度に違った顔を見せる。
それらを眺めるのは嫌いじゃなかった。
二人がゲームを始めたので、それとなく部屋を見回すと机の横にあるものを見つけた。
「こなちゃん、この机にある色紙って何?泉こなた様へって書いてあるけど」
「ふふふ・・・お目が高いですなぁ、つかさ殿は」
四角い色紙を見つめるこなちゃんの目が輝きを帯びている。
「それはね、この前のコンプ祭りで当たったんだよ。なんと作者直筆なのだよ!!」
「へー、この間のやつね・・・。そういうのってちゃんと当たるんだ」
「私も疑ってたけどね、編集の知り合いの人に渡ってるのかなぁ、なんて。でも信じ続ければ通じるのだよ」
「そう、とっても大事なんだね・・・あっ」
横を向いて話を聞いていたら机の角に色紙をぶつけてしまった。
「ちょ、つかさ!!何してるの、それ凄く大事なんだから」
「あう、こなちゃんごめんね」
「初めてサインもらったんだよ、気をつけてよホントに」
あぁ、こなちゃんを怒らせちゃった。いつもは私のドジを笑って許してくれるのに。今回はどうも本気らしい。
いつも怒らない人が怒るとこんなに威圧感があるものなの?こなちゃんはゲームを放り出して色紙を撫でている。
結局お姉ちゃんがなだめてくれてその場は収まった。
小さな石につまずいただけ、この出来事をそんな風に思っていた。
その先にある大きな落とし穴に気づきくはずもなかった。
「かがみ、本当にいいいの?」
一糸纏わぬ姿で身をすくめるお姉ちゃんに、こなちゃんは念を押す。お姉ちゃんも俯きながらこくりと頷く。
「いいも何ももう我慢できないわよ。早くして、こなたぁ」
「じゃあいくね?」
「や、優しくしなさいよ」
サァー、っとシャワーの音がしてお姉ちゃんはやっと目を開ける。人に髪を洗ってもらうって気持ちいいよね。
みんなでお風呂に入ろうと言い出したのは私。この前家で泊まった時にはみんなで入れなかったから。
お姉ちゃんと一緒に入るのも久しぶりで、お泊りに来ているせいか変に胸が高まった。
落ち着かない気分でお風呂に入っていると、こなちゃんが
「洗いっこしよう」
と言い出したので私たちはお互いにシャンプーすることになった。
こなちゃんの髪はふわふわで気持ちよかった。手入れが行き届いたその宝物に触れることが許される人間は、
この世に何人いるのだろう?私にその価値があるのかな?
こなちゃんはお母さんと同じように髪を伸ばすんだと言う。忘れないように、自身の体に刻まれるように守っている
その髪には私が考えている以上の重いものが詰まっているんだろう。
「かがみんや、こっちの方も洗ってあげようか?」
「な、なにするのよ。あっ・・・やめなって、やめなさいよ。」
「ちぇ、じゃあ今度私がお湯に浸かるね」
こなちゃんは口を尖らせてお湯に潜ってぶくぶくやっていた。
このごろお姉ちゃんはよく顔を紅くさせるようになった。
「みんなも何か飲むでしょ?私用意しとくね」
そう言って私たちよりも早くお湯から上がったこなちゃんはアイスコーヒーを用意してくれていた。
ミルク多めのアイスコーヒーは、知らん顔して机の上でたたずんでいる。何となく危なげな気配を感じ取ったので
「危ないから別の場所に置いた方がいいんじゃない?」
と言おうとした、でも遅かった。瞬間、こなちゃんの顔が引きつったのが分かった。見えなくても分かる。
お姉ちゃんも、多分私も、その空間にキングクリムゾンが発動して私たちは身動き取れなかった、いや、バイツァダストできれば・・・。
とにかく、お姉ちゃんがコーヒーを色紙にこぼしたという結果だけは確かだった。
「こ、こなた・・・?」
頬を震わせながら、お姉ちゃんがこなちゃんの顔を覗き込む。こなちゃんは何が起きたか分らないみたいで。
そして、沈黙がその場を支配した。数十秒がやけに長く感じられた。
こなちゃんの方へ目を向け、続いてお姉ちゃんの様子をうかがう。沈黙を破ったのは、こなちゃんだった。
「はは、せっかく、せっかく当たったのに」
上の空で聞いていた私と、泣き出しそうなお姉ちゃん。もう目には溢れ出しそうなくらいに涙がたまっている。
「うぅっ、こなたぁ・・・ごめ、ごめんね。うぅっ」
「はは・・・泉こなた様って書いてんのに、見えないよ。ふふっ」
ダメ。こなちゃんが向うの世界の住人になっちゃう、私が連れ戻さないと!!
「こなちゃん、しっかりして!!」
戻ってくるように、願いを込めて呼びかけた。だめ、そっちに行っちゃやだよ。帰ってきて、こなちゃん。
「う・・・つ、つかさ?あれ、世紀末覇者とファルネーゼ様についての論文は?」
大丈夫、ぎりぎりだけど、大丈夫だ。ちょっと逝きかけているけど私が分かるみたい。
「あ、色紙は、私の大事な色紙はどこ?」
「こっ、こなたぁ。ごめ、うっ・・・ごめんなさい」
こんなに取り乱したお姉ちゃんを見たことがない。
いつも余裕があって、私のフォローをしてくれるお姉ちゃんが、今は罪悪感に押しつぶされそうになってる。
「か、かがみ?いや、その本当に大事なものなんだけど、そんなに泣かなくて大丈夫だよ。ほら」
抱き寄せられて安心したのかな、お姉ちゃんはこなちゃの小さな腕の中で涙した。
「で、でもぉ。こなたが一生懸命手に入れたのに、私どうしたらいいの?」
「も、済んだことは仕方ないって。そりゃショックだけどさ、かがみに泣かれる方が辛いよ」
「だって、こな―」
「もういいでしょ、かがみ。いつまでも言うと私怒るよ、私が大丈夫って言ってるんだから」
何だろうこの違和感は?何かが納得できない。この変なもやもやは、どこから来たの?
二人の仲が収まったんだから良かったはずなのに、心の中ですごく嫌なものが沸いてきているのを確かに感じた。
「じゃあさお姉ちゃん。こなちゃのお願いをひとつ聞いてあげたら?」
そう、これは二人のために言ったんじゃない。私のもやもやが言わせたんだ。
「そ、そうね。私も何もできないんじゃ気持ちが落ち着かないし。宿題でも何でもお願いひとつ聞く。それでいい?」
責任感の強いお姉ちゃんのことだから、私の提案はすんなり受け入れられた。
こなちゃんはもう色紙のことはそっちのけでニマニマしている。
「そうだなぁ、じゃあかがみの体を触らせてもらおうかな?」
「え、なにそれ?」
「だってさっきお風呂じゃ触らせてくれなかったし、こんな機会めったにないじゃん」
「そんな機会は絶対ないと思うが」
「なんでも言うこと聞いてくれるんでしょ。ねぇ、かがみ?」
「う。それは・・・い、一回だけだからね」
さっきのことで気がまいってるのか、お姉ちゃんにいつもの判断力がないことは明らかだった。
それはこなちゃんにも言えることで、目が血走っている。もう、また二人だけの空間が・・・。
「さぁ、かがみ。こっちにおいで。ほらほら」
手つきがちょっといやらしい。いや、そんなことをしようとしているんだから当然なんだけど。
こなちゃんは一体どこまで本気なのか、たまに分らなくなるよ。
「分かったわよ、もう」
お姉ちゃんも覚悟を決めたみたいで、ゆっくりとこなちゃんに近づいていく。
二人の距離が限りなくゼロに近づいたその時、私は目を背けてしまい、何が起きているのか分からなかった。
「ふふ、すごい柔らかいよ。それに凄く気持ちいい」
「な、形が変わっちゃうじゃない。そんなに強く揉まないでよ」
「そんなこと言ってかがみも嬉しそうだよ、こんなに紅くしちゃって」
「やだ、引っ張らないでよ」
何してるの、でもそんなことしちゃだめだよ。
「二人ともやりすぎだよ!!」
そう叫んで前を見てみる。そこには少しほっぺを腫らしたしたお姉ちゃんと、首を傾げるこなちゃんがいた。
「何ってほっぺをプニプニしてるだけだよ、つかさ」
いやぁ、前からかがみのほっぺは十年に一度の逸材だと思ってたのだよ。なんて指を立てて笑うこなちゃん。
「それよりさぁ、つかさ。顔真っ赤だけどどしたの?何か変ななことでも考えちゃったのかな?」
「変なことなんて、私はただお姉ちゃんを」
「ん?その割には声が上ずってないかなぁ?」
急に核心を突かれてその場を切り抜けられるほど私は器用じゃない。こなちゃんはそれを分かってるはずなのに。
「そっか、つかさも触って欲しいんだね」
「え、え・・・そんなこと――」
私の返事を待つまでもなく、こなちゃんは手を伸ばしてきた。
お姉ちゃんは疲れたのだろうか、横でぐったりとしていて、助けを求められそうにもない。
こなちゃんに変なスイッチが入っちゃったのかな?
「ほら、つかさこっち向いて」
「ん・・・」
拒否しようとすれば、簡単にできる。こなちゃんは笑って手を放してくれる。
でも、スイッチの入ったこなちゃんと向き合わなくちゃいけない。そんな直感がした。
「かがみのとちょっと違うね。でもつかさのも気持ちいい」
「こ、こなちゃん。もうちょっと優しく触って」
こなちゃんの指が私の肌に吸いつく。最初は軽くつつかれ、手全体でゆっくりと撫でまわされる。
「ちょ、舐めないで・・・くすぐったいよぉ」
ほっぺを舌で舐められて頭がクラっとしてきた。考えることができないよ、何も。
しばらくこなちゃんに身を任せて、時間の感覚がなくなっちゃったみたいだった。
気づくと天井を見ていた。隣ではお姉ちゃんがこなちゃんに何か文句を言っている。
反省しなさい、とか何とか言っているみたい。でも私嫌じゃなかったよ?
そう言うと、お姉ちゃんはさらにこなちゃんを責め始めた。
「おい、こなた。つかさまで変な子になっちゃったらどうすんのよ」
「ありゃ、ちょっとやりすぎちゃったかな。だって凄くよかったんだよ、つかさ」
「それが心配なのよ、あんたつかさを襲ったりしないだろうなぁ」
「それは大丈夫だって、たぶん。かがみが構ってくれれば」
「何言ってるのよ、もう」
嫌じゃなかった、とういよりも良かった。
でもいけないことをした気もしてきたので、それは黙っておくことにした。
「こなちゃん、ありがとう」
代わりにそれだけ言うことにした。
「まぁでも、そんなに気持ちいいなら私も触ってみたいわね」
「え、お姉ちゃん?」
「ねぇ、つかさ。ちょっとだけ・・・」
「ひゃっ」
「かがみん、あれほど私を叱っておいてそれは理不尽なのでは?」
それとこれとは別。ってお姉ちゃん、何が別なの?
なんて聞き返すことはしなかった。私はもっと触って欲しくなっちゃったから。
「すごく・・・気持ちいいです・・・」
「何言ってるのこなた。いや、でもこれは思ったより気持ちいいわね」
「でしょでしょ、舐めたくなる気持ち分かるでしょ」
「悔しいけど少し分かるかも。いや、やっぱりだめよ。こんなこと」
お姉ちゃんに触ってもらうのは気持ちよかった。だけどそれはマッサージされるような気持ちよさで、
こなちゃんの時みたいに頭がクラクラしちゃうような感じが全然しない。私はそれが欲しいのに。
「お姉ちゃん、舐めていいよ」
「も、もう終わりにしましょ。」
ぷいっと振り返って切り上げたお姉ちゃんは、自分に何かを言い聞かせていた。
「つかさがえっちな子になっちゃったのかもね」
「えっち?私が?」
こなちゃんは感慨深そうに頷くだけで、答えてはくれなかった。私ってえっちな子なのかな?
いけないことなの?もしそうだとしても、もうそれに目を背けることはできないことは分かった。
それは仕方のないことだってことも、私自身が傷つくかもしれないことも、なぜか理解できた。
理解したというよりも、初めから知っていたのかもしれない。時が来ればみんな気づくんだ。
そして、それを教えてくれたのはこなちゃんなんだ。
「こなちゃん、ありがとう」
「どったの、色紙のこと?」
「う〜ん、今日のこと全部。こなちゃんありがとう」
「つかさはいい子だねぇ、ホントに」
「こなちゃんは私に色々教えてくれたよ、私のこと」
「つかさのこと?」
「うん、私の知らなかった私のことを教えてくれたんだよ」
「そっか、でも宿題は教えられないよ。そこはかがみに聞いてね」
「そのお姉ちゃんも、こなちゃんから色々教えてもらってると思うよ」
「かがみもあれで鈍感なとこあるからねぇ。人のことはすぐに心配するのに」
「そうかもね、もっと素直になればいいのになぁ」
「だめだめ、そんなことしたら世界の法則が乱れるって!!」
「あはは、確かにそうかもね。」
「私も素直になれたらな――」
「え?」
「ううん、なんでない。もう寝よっか?」
「あ、えっと。こなちゃん」
「なに?」
「私こなちゃんじゃないと、頭がクラってしないんだ。お姉ちゃんにされてもそういうの感じなかった」
「やちゃったか・・・。それはつかさがかがみに安心してるからだよ」
「そうなのかな?でもそれだけじゃなくて、私は―」
「私は?」
「ごめん、こなちゃん。お休みなさい」
私は―。私はなんて言おうとしたのかな?昨日から変だよ、私。
こなちゃんはもう寝ちゃったみたいで、かすかに寝息を立てている。
優しい瞳は閉じられていて、その無防備な表情はやっぱり何を考えているか分からないけど、
髪は月明かりに映えていつもより稟としていて。私はその髪に触れたいと思った。
髪を撫でながら手を握りたくなった。その瞬間、急に世界が広がった気がして私は目を閉じた。
そうか、そうみたいだ。私は気づかなかった。傍にいるのが当たり前で、しかも大の親友だったから。
自分が理解できない範囲のことだったから、またしてもこなちゃんに知らされたみたいだ。
思わず髪を撫でていた手に力が入っってしまった。
「ん・・・かがみぃ―」
その人の呼ぶ名前は、私じゃない。私を見つめてくれないかもしれない。それでも―。
「私は、こなちゃんが好きだよ」
以上です・・・。
規制が怖くて30行程度にしてしまい、9レス消費してしまいました、すみません。
小ネタについてですが、「つかさはそんなこと知らない」って自分で書いてて思いますけど
そこは遊びの部分ってことでご了承ください。
作製するのに時間が大分かかってしまい、(最後の1レス分大体1時間くらいかかってしまいます)
クーガーの兄貴に怒られそうですが、もっと早く書けるように頑張りたいです。
今回は、ちゅかさがリコーダーを吹いてたシーンからインスパイアされ、なにあの萌えるほっぺ
ほっぺ可愛いよほっぺ
って感じで始まったんですが、楽しんでもらえれば嬉しいです
>>350 日本語変でした
1レス分(30行程度で)1時間かかってしまう。ということです。
初めて尽くしでエロ描写も自分なりにエロさを出すことと
つかさ視点がとても大変でした。
なるべくつかさが普段使いそうな言葉を選んで書いたつもりですが
所々おかしな表現になってしまいましたが
皆さんの素敵なフィルターで上手に読んでもらえると信じています
ちゅかさは「いい子だけど、アホな子(良い意味で)」というイメージがあって、
とにかく素直で優しくて、まっすぐなちゅかさを出せるように頑張ります。
1行でもいいので感想もらえるととっても嬉しいです。
それでは皆さんの素敵な投下を期待しつつ、次回はいつになるやら分かりませんが、
それではまたノシ
352 :
久留里:2008/01/13(日) 17:07:54 ID:XDQXJ2MX
久留里です。
「カケラ」の続きが書けましたので投下します。
・かがみ視点 / みさお兄視点
・非エロ
・9レスほど使用
・シリアス/タイムリープ/鬱展開あり
・オリジナルキャラ(?)が登場します。
・オリジナル設定が多いのは仕様です。
・物語の性格上、鉄分が濃いです。
では、発車致します。
7.
『名古屋ー、名古屋ー、ご乗車有り難う御座いました。
新幹線、中央線、関西線ご利用のお客様は─────』
「ぷはっ」
扉が開いたと同時に私を含めた大勢の客が一気に吐き出される。
私はこの土石流のような流れに押され、私は危うく頭から転ぶところだった。危ない危ない。
荷物も無事だった。怪しいものが入っている紙袋も、多少くしゃくしゃになっただけで、穴は一つも開いていない。
「これ以上あの列車に乗るのは無理だわ。普通列車に乗りましょ」
そう決めた私は、これまた改装前の名古屋駅のホームで体を伸ばし、たまたま目に入った列車の切り離し作業を観察する。
車両と車両が切り離されるシーンは、例え『鉄道少年』でなくても見ていて楽しい。
この駅ではごく日常的な景色なのだけれども、少なくとも私はこういうシーンに遭遇する事は滅多にない。
多分お父さんから借りたのだろう、数人の小学生が緑とオレンジの電車の前でパシャパシャと写真を撮っている。
何だか見ていて微笑ましい。
小学生だけではない。高校生くらいの人や「如何にも」なお爺さんまで、その『非恒常的なシーン』をただ見たり、写真を撮っていたりした。
私は階段を降りて、階下のコンコースへ向かう。
名古屋駅は全ての線路が橋の上にあるいわゆる「高架駅」で、階段の下は連絡通路となっている。
大都市の駅の割にその通路の天井は低く、幅もそれほど広くはない。
連絡通路は3箇所あるようで、今私が歩いているのは「中央通路」というらしい。
壁はコンクリートで出来ていて、ただペンキでクリーム色に塗ってあるだけで、特にこれといって面白味は無い。
蛍光灯がまばらで、天井が低いのにも拘わらず、通路は薄暗かった。
時間は朝6時。ちらほらと通勤客の姿が見えるが、ラッシュはまだ始まっていない。
「3・4」番ホームへの階段が見えた所で、やっと改札口が現れた。
あまりにもがらんとしていて拍子抜けする。本当にここは大都市の駅なの?
(後で気付いたのだが、既にラッシュは始まっており、駅が空いているのはただ単に通勤列車が到着していないだけであった)
次の米原方面への列車はまだ時間があるので、私は一旦改札口を出ることにし、朝食をとることにした。
時代が時代だから、自動改札機はまだ設置されていない。
私は駅員に途中下車する旨を伝え、改札口を出る。
JR(この当時は国鉄か)には『途中下車制度』というのがあるそうで、それを知ったのは、
夜行列車のデッキで会ったあの大学生らしき男の人だった。
名古屋駅の地下街は梅田(大阪)の地下街と並ぶ『迷宮』として知られている。
特に名古屋の場合は複数の地下街が繋がっており、
更に名鉄の新名古屋駅(現在の名鉄名古屋駅)や近鉄名古屋駅といった大きな地下駅があるため、初心者は必ず迷うという。
そして私は今、何故か駅前の市場をうろうろしている。
「まさかこんな所に市場があるとは、ねぇ」
名古屋駅から散々地下街を歩き回り、やっと地上に出られたと思った所が、この市場のある区域だった。
名古屋駅から徒歩5分。素直に地上を歩けば良かった。
いや、地下街と行ったら何か食べる所があると思ったから行っただけよ。
でも、その期待は見事に裏切られた。
確かに店はあったものの、まだ一軒も開いていなかった……。
うぅ、私もやっぱり『田舎者』なのね………。別にいいけど。
市場の中の狭い道をぐるっと周り、都市高速の名駅入口ランプのある大通りに出て、名古屋駅の方向へ歩く。
幸い、(おそらく)地元のチェーンと思われるコンビニエンスストア(!)を見付け、何とか朝食をゲットすることが出来た。
というか、この時代にコンビニがあることに驚いた。つい最近出来たものだとてっきり思っていたので。
もしかしたら同じ様なことが起こるかも知れない。
私は『非常食』としてお菓子も幾つか買い、バッグに詰め込んだ。
こんな所で飢え死にする位なら、多少太っても構わない。
どうせならお腹じゃなくて胸の方に肉が付いて欲しいんだけどねぇ。
私はサンドイッチを囓りながら、再び名古屋駅の方へ歩き出す。
途中、名古屋の待ち合わせスポット(とテレビで紹介されていた)『ナナちゃん人形』の下をくぐったのだが、本当に履いていなかった。
……って、私はオヤジか。
紙パックのマンゴージュースを飲み干し、ゴミ袋と化した袋を駅備え付けのゴミ箱へ投げ入れる。
それと同じタイミングで、『また』携帯電話が着信した。
「『奴』ね…。次は何かしら?」
私は人気の無い所で携帯電話を開き、何故か受信したメールの内容を確認する。
メールには、こう書いてあった。
『指定した列車に乗り、鍵を見付けよ。
ここで言う鍵とは、「条件」のことである』
「はぁ?」
まるで『謎々』のようなその内容に、私は思わず声をあげてしまった。
その時だった。
「ヒッヒッ、よぉ姉ちゃん、そんな所で何してんでい?」
下品な声が私の『足下』から聞こえてきた。
不審に思い、辺りを見回す。誰もいない。
「ココだよココ、なんでい、今日は水色の縞模様かい? ヒャッハッー!!」
水色の縞模様?
私はすぐに「水色の縞模様」に関する情報を脳内で検索した。
コンマ5秒で1件だけヒットした。
「ちょっと!! 何私のパンツ覗いてんのよっ!!」
今すぐ出てこい。そこの排水溝に沈めてやる。
「まだ気付かねーのか? おめーさんの足下だよ、あ・し・も・と。ヒッヒッ」
いちいち笑うな。まるでどっかのバカデカい本みたいね。
私は足下を確認してみた。すると、右足の靴の側に『何か』が落ちていた。
ひょっとして、さっきからケタケタ笑ってる助平野郎の声って…………、
その『何か』を拾い上げる。それはペンダントだった。形は今読み直しているラノベに出てくる『アレ』とよく似ている。
「おー、やっと気付いたか? ヒーッヒッヒッ」
「ペ…ペンダントが喋った………」
流石に驚いた。益々あのラノベに出てくる『アレ』みたいだ。喋り方は同じラノベに出てくる『バカデカい本』みたいだけど。
「おめーか。噂の『時の旅人』とはよ。俺は『時の流れを司るモノ』だ。姉ちゃんはワケあってこの時代に飛ばされた。分かるか?」
『時の旅人』と聞いて中学の合唱祭で歌った曲を思い出す私。
「え、ええ。何となく。でも、ここに飛ばされた理由はサッパリ分からないし、今は『米原に行け』と言われてそこに向かっている所よ」
「ほぉ? で、それは誰が言ったんだ?」
「知らないわよ。厳密に言うと………」
そう言いかけて、私は携帯電話を取り出し、ペンダントの前に『例のメール』が表示された画面をかざす。
何となくだけど、そうやったら「見える」と思ったからだ。
「へぇ。姉ちゃん、随分ハイテクなもん持ってんな? 変わった電子機器だぜ。ヒャッヒャッ」
こいつ、携帯電話は知らないらしい。
「ねぇアンタ。『元の時代』に戻る方法、知ってるんでしょ?」
「おー、ヒントくらいなら出せるぜ?」
何よ、それ。
「それは姉ちゃんにやって貰わねーとならねーんだ。
おめーさんは『元の時代』に戻るために『鍵』を見付けなきゃなんねー。分かるか?」
そういや2通目のメールに『鍵を見付けろ』と書いてあったわね。
「その鍵はこの『世界』の何処かにある。俺はその気配を感じる事は出来るが、生憎この身なんで、
姉ちゃん自身がそれを見付け出さなきゃならねー」
「もし、その『鍵』が見付からなかったら?」
「姉ちゃんは『消える』。そう、跡形もなく、な。ヒャッハッー!」
こいつ、今とても『重要』な事を軽々しく言いやがった。
「『死ぬ』とは違ぇぞ? 『消える』っつーコトはな、おめーさんが『最初からこの世に存在しねー』コトになんだぜ?」
「えぇ?! ってコトは……もぅ………」
「そう、その通りだ。だからこそ、姉ちゃんはその『鍵』を見付けて、ある『奇蹟』を起こす必要がある。
出来るよな?」
「そこで『だが断る』と言えば、私は元の時代に帰る前に綺麗サッパリ『無くなる』という訳ね」
この変なペンダントの言うことが正しければ、私は家族や友人、それに大切な人を失う事になる。
そして、私に関わった全ての人から私の『情報』が全て抹消されることになる。
似た様な流れを色んなラノベで体験しているけれど、まさか自分がその立場になるとは思わなかった。
「ちなみに、だ。あ、コレはまだ言っちゃぁならねーかな? ウヒヒ」
「『ウヒヒ』じゃないわよ! 早く言いなさいよ!!」
「後悔しても知らねーぜ? ヒッヒッ。姉ちゃんの『本体』はまだ、おめーさんが元居た時代に残ったままだ。
つまり、おめーさんは『中身』だけこの時代に飛ばされて、自分のアタマに思い描いた姿が『仮の姿』として顕現してるっつーワケだ」
コイツの言っていることを翻訳すると、私自身は元の時代、つまり2007年12月に残ったままで身体ごと飛ばされた訳ではない。
で、今いる『この時代』で動き回るのにもう一つ「本体」が必要なため、代わりの身体を私自身でイメージして『創った』という訳だ。
………という事は?
「ねぇ、つまり、元の時代に居る私はどうなってるの?」
「さぁてな。今頃葬式でもしてんじゃねーのか?」
「ひ、他人事みたいに言わないでよ!! こっちは真剣なのよ!!?」
「俺にとっちゃ他人事さ」
「何か隠してるわね。言いなさい」
「それは出来ねー。これでおめーさんが鍵を探す気が失せて、消えちまっちゃこっちも困るんだぜ」
「どうして? 私が消えるだけなんだからアンタにとっては問題無いでしょ?」
「いやー、それが困んだよなー。鍵が誰かに盗られちまったら姉ちゃんの時代はごっそり『歴史』から消えることになる」
「つまり?」
「『世界の終わり』だ」
それって私『だけ』が消えるんじゃなくって、私達の時代そのものが無くなるってことじゃない!!
「さぁどーする? 自分の命が助かってついでに世界も救えるんだ。一石二鳥だろ? ヒャッヒャッヒャッ」
段々苛々してきた。コイツはマジで言ってるのか、どうも話し方に真剣味が足りなさすぎる。
てか、コイツ自身はどうなってもいいのか?
「俺は構わねーぜ? 俺は俺の使命を果たすだけだ。まぁ、使命を果たさずに消えるのは少々心残りだが、な。ヒャッーハッハッ」
「分かったわよ。元々探すつもりだったんだし。でも、『元の時代の私』の事は後でちゃんと説明しなさいよね?」
「おー、約束するぜ? ところでおめー、なんつー名前でぃ?」
「私? 私はかがみ。『柊かがみ』よ」
「ヒーラギカガミ? 変な名前だなぁ」
「お前、今すぐ排水溝に流すぞ」
「おーっと、世界が無くなる世界が無くなる♪」
「わわわわわ分かってるわよ!! 名前、無いの?」
「だから言ったじゃねーか。俺は『時の流れを司るモノ』だ」
「何か長ったるくて呼びにくいわね」
私はコイツにニックネームを付ける事にした。そうね、性格が例のバカデカい本に似てるから……、
「『マルコシアス』」
「は?」
「マルコシアスって呼ぶわね。あ、『バカマルコ』でいっか」
「おいおいおい、何だそのミョーチクリンな名前はよォ。名前に『馬鹿』はねーだろ『馬鹿』はよォ、薄幸の美少女・ヒーラギカガミ?」
変な称号を付けるな。
「あー、もう!! 五月蠅いわね!! 今首に付けるから静かにしてなさいよ!!」
「おー、ところで?」
「何よ!!??」
「そろそろ電車、出るんじゃねーのか?」
「あ、やばっ、急がなきゃ」
こうして私は現代へ戻るための『鍵探し』のため、この口数の多い変なペンダントを相棒に米原を目指すことになった。
「ところでアンタ」
「おー、何だ?」
「私の読んでるラノ……えーっと小説みたいにさ、私とアンタだけで会話するって事出来ないの?
ほら、よく物語であるみたいに、『私達にだけ通じて、周りに聞こえない会話』ってやつ」
「出来ねーコトもねーぜ? 麗しき旅人・ヒーラギカガミ?」
「じゃあそれで会話しましょ? 『鍵』を狙ってる奴も居るんでしょ? 聞こえたらマズいわ」
「おー、それもそうだなー。長けき賢者・ヒーラギカガミ」
「それに」
「それに?」
ある程度席が埋まっている電車の車内を見回して、
「ハタから見たら『私が』さっきからブツブツ独り言を言っている変な人に見られるわよ」
「なんでぇ、そんなことか」
「そんなことじゃないわよ!!!」
私はさっきからお喋りを止めないペンダントに向かって、思わず怒鳴ってしまった。
乗客全員が私の方を見、何やらヒソヒソ話している。
(あの子、ちょっと変じゃない?)
(そうね、さっきからペンダントに話しかけてるし)
あー、もう、最悪。
さっさと『鍵』を見付けてこのバカを焼却炉にブチ込んで元の時代に帰りたい。
「しゃーねーな。ホレ」
一瞬、車内に閃光が走った。ペンダントの濁った紅い玉は輝きを増して、銀色のチェーンが金に変わった。
このチェーン、『本物』かしら?
〈ホレ、こうすりゃ周りの奴にゃ聞こえねーだろ?〉
私にバカマルコの声が届く。耳にではなく、『アタマ』に。
私は彼(?)に話す様子をイメージしながら、話してみる。
〈うん、その様ね。〉
〈試しに俺に向かって叫んでみな?〉
〈うん〉
私はペンダントに向かって叫ぶイメージをし、心の中で叫ぶ。
「うわぁぁぁああああああ!!!!」
刹那、車内が騒然となった。私は恥ずかしくなって電車のトイレに避難する。
〈アッヒャーッヒャッヒャッヒャッヒャッ!!!!!!!!! こりゃ傑作だぜ!!!!!! ヒーッヒッヒッヒッヒッヒッ!!!!!!! げほっげほっ〉
ペンダントの中でむせるな。
すっげームカついた。コイツ、用が済んだら絶対即刻必ず確実に溶鉱炉にブチ捨てる。
〈ヒーッヒーッヒーッ、笑い過ぎて死にそうだぜっ、ヒーッヒッヒッヒッ。
『ちゃんと』イメージしねーとさっきみてーに爆弾ブチ撒けるコトになっから気ぃ付けな。アヒャーッハッハッ!!!!!!〉
絶対潰す。金槌で粉末になるまで潰す。潰したから溶鉱炉に捨ててやる。
とんだ騒動に見舞われた米原行き普通列車は無事に関ケ原を越えて、米原駅に到着した。
これで最初の任務は終了。私はマルコシアス(と名付けたペンダント)と共に携帯電話の着信を待った。
間.
翌朝──────。
「あやのが待ってる筈だ。だから学校に行け」
「嫌だ、行かない。私、兄貴と一緒に『探す』」
「駄目だ。学校へ行け。お前はお前でやる事がある。
昨日言った通り、あやのと一緒にかがみちゃんとその身近にいる子達の事を調べるんだ」
おれとみさおが朝の納豆ご飯を食べながら言い合っているのは、今日の予定の事である。
今日は月曜日で平日だが、おれは元々用事があったので有給をとっていた。
結局その用事は後日延期となったので、おれはその日を『例の事故』の現場に行って色々調べようと考えた。
一方、みさおの学校はまだ冬休みが始まっていない。だから、あやのと一緒にかがみちゃん達の事を調べて欲しいのだ。
みさおが嫌がっているのは、自分の友達が何人か事故に巻き込まれていることを懸念しているからだ。
おれも「大丈夫だ」とは言うが、本当に大丈夫かどうかは分からないし、もしもの事があっても責任が取れない。
「分かった。学校まで一緒に行こう。帰りにも迎えに行ってやる。それでいいな?」
現在、通学ルートである東武伊勢崎線は東武動物公園駅より先は運休となっている。
しかし、みさおは元々自転車通学なので、道路が寸断されない限り通学は可能だ。20km離れているのでそれなりに時間は掛かるが。
納豆ご飯を食べ終え、もう一度歯磨きをして出掛ける準備をする。
「「行ってきます」」
「行ってらっしゃい。本当に気をつけてね。みさおもちゃんと学校行くのよ?」
「ああ、大丈夫だよ、母さん」
「うん…………」
おれは、我が自慢の妹と共に家を出た。
「全く、私が仕事だったらどうするつもりだったのよ?」
「そしたら自転車で行くつもりだった」
「馬鹿。何キロあると思ってるのよ? いい加減免許取りなさいよね?」
「五月蠅いなぁ。どうせ免許取ったって、ウチには車は無いよ」
ハンドルを握りながら、おれの幼馴染み、峰岸がブツブツと文句を言う。
いいじゃないか。ちょうど良い所に居たんだから。
「わざわざおれの家に停めてくれたって事は、つまり、こういう事だろ?」
「違うわよ。私は電車が停まってるからあやのを学校まで送っていくついでに、みさちゃんを送っていくつもりだったのよ」
一台のミニバン(エスティマハイブリッド Gセレクション)が現在は県道となった旧国道を南下する。
線路は寸断されても平日の日本人は(一部を除いて)会社や学校に行かなければならない。
国道は大渋滞しているので、おれのアドバイスで併走する旧道へ誘導した。
おれは自動車部品メーカに勤めておきながら、実は、車の免許を持っていない。
母親に取るなと五月蠅く言われたのと、田舎町の割には自転車でも何とか生活出来ること、
それに、わざわざ隣町の教習所に行って高い金出して取るのも馬鹿馬鹿しかったので、免許を取るのを止めにしたのだ。
教習所に行く金があれば、フルカーボンフレームのロードバイクが楽に帰る。
余談だが、今峰岸が運転しているエスティマは『コイツの』所有物である。
新車でしかも現金で買ったらしい。
確かエスティマのハイブリッドは400万近くする筈。そんな金、何処にあるんだ?
「こつこつと貯金してれば、車の一台くらい買えるわよ」
「お前はその前に結婚費用を貯めた方がいいんじゃないのか?」
「アンタに言われたくはないわ。この自転車馬鹿」
「五月蠅いやい」
走っている県道は「もと国道」のくせに道幅が狭く、やたらと曲がりくねっている。
一車線の区間も多く、ここが現役時代は凄まじい地獄絵図が見られたことだろう。
おれは想像するだけで背筋が凍る。
道があまりにもくねっているので、備え付けのカーナビは役に立たない。
そこで裏道に詳しいおれが代わりに最短ルートをナビゲートする。
「次の角を右に」
車は停止線で一時停止し、峰岸は左右を確認。
ハイブリッド車ならではの『キーン』という制御装置の音が静かに聞こえる。まるで最近の電車のよう。
ハンドルをいっぱいに切って、何とか一車線の角を曲がることが出来た。大柄な割に小回りが効くらしい。
そして、再び『キーン』という音と、思い出した様にエンジンが動き出し、それぞれの音を奏でてゆっくりと加速する。
「やっぱり車は要らない。車なんて金ばっか食う乗り物だ。
自転車はいいぞ? ガソリン代安いし、車検も税金も無い。あるとすりゃあ年一度の部品交換くらいだな」
「それ、何百回目かしら? 鷲宮みたいな田舎じゃ車無きゃ生活出来ないわよ」
峰岸はおれの何百回目(らしい)かの自転車理論をあっさりと否定する。
「だから、おれが良い例だろ? 見てみろ、車は運転出来ないけど、ちゃんと立派に生活してるないか」
「そんな事で威張るな。アンタ、実家暮らしでしょ?」
「残念でした。おれは2月から一人暮らしを始めます」
「へぇ、初耳だわ」
そういやコイツには隣の2DKに引っ越すことを話していなかったな。
「これであの狭苦しい家とはおさらばだ。みさおもやっと『女の子』らしい部屋で暮らせるんだから喜ぶだろう」
「そのみさちゃん、アンタの家に住む気でいるみたいよ?」
「………ああ、そうなんだよ。まぁ、2人でも住めるけどね。おれは…………」
「はいはい、分かったわよ。ところで、」
「ところで?」
「私にも手伝える事があったら言って。送り迎え以外なら何でもやるわ」
「じゃあパンツくれ」
「今すぐ降りろ」
「冗談だって」
「はぁ、全く」
「あのさ」
「何よ?」
「何だか『8年前』みたいだな」
「………………馬鹿」
峰岸は前を見ながらふんっと鼻を鳴らして、知らんぷりをした。
一車線の貧相な県道は次の交差点で二車線となり、やがて四車線の立派なバイパス路となる。
越谷市を抜け、綾瀬川を渡る。
草加市に入り、おれと峰岸を乗せたエスティマは、まもなく事故現場の高架橋に到着する。
以上でございます。
何か某小説のキャラらしきものが登場しますが、かがみんの趣味なので許してやって下さい。
次回はつかさ&あゆみ視点でお送りする……と思います。
元ネタ: 灼眼のシャナシリーズ
(高橋弥七郎:著 いとうのいぢ:イラスト 電撃文庫刊)
>>350 エロパロ板の規制は60行で4KBです。
1行40文字なら60行書いて大体4KBになります
それはともかくGJ
つかさのぼけぼけで可愛らしいところがよく書かれていたと思います
ごきげんよう。投下させていただきます。
『4seasons』の続きです。
■かが→こな。
■大変シリアスな感じです。
■エロなしです。
7レスになります。
今回からトリップつけました。
自サイト作って転載?しようと思っているので
念のための本人認証です。
§4
気がついたら子供の頃から見慣れた天井を眺めていた。
私は、いつのまにか自分の部屋のベッドの中にいた。
あの後どうしたのだろう。どうやって家に帰ったのだろう。それを思い出そうとしても、
記憶に霧がかかっているように曖昧な情景しか出てこない。
小ぶりになってきた雨の中、全身ぬれねずみになった私を発見したとき、つかさは
どれだけ驚いただろう。あのとき私はつかさの顔を見たとたんに安心して気を失って
しまったから、その後のことは何もわからなかった。
なんだか車に乗せられていた気がする。その振動を身体のどこかが覚えていた。
してみると、お父さんかお母さんを呼んだのか。いや、その時間二人とも仕事中だった
はずだから――まつりお姉ちゃんか。
身体に力が入らない。なんだか酷くだるかった。
つかさは、まつりお姉ちゃんになんといってごまかしたのだろう。いや、そもそもつかさ
自身がどう思っただろうか。
私が着てた服はどうしたろう。着替えさせてくれたのはつかさとお姉ちゃんのどっちだろう。
ケータイは駄目になっていないだろうか。
ベッドの中でそんなよしなしごとを考えながら、私は一人煩悶転々としていた。
身体を動かす度、頭に刺すような痛みが走る。吐く息には熱が籠もっていて荒い。ふわふわと
した非現実感に捕らわれている。
こなた。
その名が思い浮かぶ度、未だ目尻に涙が浮かぶ。
やっぱりこんなことになってしまった。
こなたのためにしたことだったのに。こなたのことを思ってしたことだったのに。そんなものは
全部ひとりよがりの愚行だったのだ。
――そしてみゆきのことを考えた。彼女はこうなることを半ば予期していたのだろう。
それがわかっていてなお、他にどうすればいいのか思い浮かばなくて、困っていたに違いない。
あの日、私たちの誕生日パーティーの夜。
こなたとつかさが寝てしまって、私とみゆきの二人で話をした。
あのときの会話を思い出す。
――「うん。大好き」私はそう云った。
>>361 GJです
かがみとの掛け合いトークが上手いですね。
ところで投下予定の方が居ないようでしたら、数分後に投下したいと思います。
今思えば、みゆきの策略にまんまと乗ってしまっていたのかもしれない。
寝ぼけているからと云って普段云いそうもないことをしゃべり出したこと、唐突に中学生時代の
話を始めたこと。全て私の口を開かせるための計略だったとしてもおかしくない。
みゆきは机に突っ伏したまま上目遣いに私を見ていた。先ほどと変わらない姿勢だった
けれど、不思議とさっきまでのみゆきとは別人のように感じられた。
「……女の子が女の子を好きになるなんて異常だ、などというつまらないことは――
思っていらっしゃらないようですね」
「まあね。悩んだこともあったけど、その段階はもう過ぎたわよ。私は私。否定しても仕方ないもの」
「そうですか。……では、このところ泉さんを避けていらっしゃるのは、想いが強すぎるから
敢えて歯止めを掛けようと、そうなさっているのでしょうか?」
「う……うん」
さすがに直視できなくて、視線を逸らした。顔が熱くなっていくのを感じていた。いまの私は
熟れたトマトのような顔色をしていることだろう。
想いが強すぎる、なんて。
ただ好きだとか恋しているとかならまだよかったけれど。そう云われてしまうと、なんだか
私がこなたに対して抱いている性欲を見透かされているようで、堪らなく恥ずかしかった。
けれど、ちらと眺めたみゆきが酷く思い詰めたような表情をしているのを見ると、昇った
血の気が引いていくように感じられた。
「…みゆき?」
みゆきのそんな表情を、以前一度だけみたことがある。学校帰りの駅前で、捨て猫を
見つけてしまったときの顔。
「……あ、いえ。申し訳ありません。なんと申し上げたら良いのかわからなくなって
しまいまして……」
「……私のしてること、もしかして間違ってるのかな?」
私がそういうと、みゆきは虚をつかれたような顔をした。
「……そう、そうですね……。でも、他にどうしようもないのでしょう……」
しばらく逡巡するように言葉を濁したあと、みゆきは私のことを正面からみつめて、
こう云った。
「でもかがみさん、その道はきっと長く険しいです。――ご覚悟を」
覚悟――。それなら、もう出来ている。
そのとき私はそう思った。
会いたいのに会わない覚悟なら、もうできていると。
けれど私は、このときみゆきが云った“覚悟”の意味を、まるっきり理解できていなかったのだ。
その見通しの甘さが今の状況を招いたのだろう。
覚悟を。本物の覚悟を。
――それは一体、何をする覚悟だろう。
「――私は、もう覚悟を決めました」
真剣な顔でみゆきは云った。
「私ならともかく、みゆきがしないといけない覚悟って?」
「かがみさんが泉さんとうまくいかなくて、私たち四人がバラバラになって二度と会えなくなる、
そのことへの覚悟です」
二度と会えなくなる。そう、そうなるのだろう。
もし私が間違えて、私とこなたの間がぎくしゃくしたら、きっとつかさだってこなたと
会いづらくなる。みゆきだって、こなたと二人で今まで通りというわけにはいかなくなるはずだ。
「だから、かがみさん。どうしようかと迷ったときに、私に遠慮したりはしないでください。
ご自分のことだけ考えてください」
その結果どうなろうと、覚悟はできている。
――そういうことなのだろう。
「そんな……でも……勉強をしているよりも一緒にいるのが楽しい、そんな友達だって、
さっき云ってたじゃないの」
「勉強をしているよりも一緒にいるのが楽しい、そんな友達だからですよ」
そう云ってみゆきは笑ったけれど、その笑いは随分無理をして出したもののようで、
なんだか酷くひしゃげた笑い顔になってしまっていた。
その笑顔に返す言葉が見つからなくて、私は黙り込む。
大丈夫だよみゆき、私がこなたに想いを告げることはありえないから、そんな覚悟は必要ないよ。
そう云いたかったけれど、なぜだかそれを口に出すことができなかったのは、もしかしたら
心のどこかで、こなたを避けている自分が間違っているのではないかと、わかっていたのかもしれない。
いつのまにか、部屋を沈黙が支配しているのに気づく。
みゆきを見ると、まぶたを閉じてこっくりこっくりと船をこぎ出していた。
気がついたらもう十二時近い。
みゆきにしてはがんばった方なのだろう。布団に寝かせてあげようと思って近づいたとき、
みゆきがぱっと目を開けてこう云った。
「マーガレット」
「は?」
「マーガレット、とても綺麗に咲いておりますよね」
窓枠の花、こなたにもらった大事なマーガレットのほうを向いて、みゆきが云う。
その鉢植えは、枝分かれした茎の先に、一重咲きの白い花を二つ三つと咲かせていた。
「私も、綺麗に咲かせようと思ったのです。園芸の本に複数当たって、国会図書館まで出向いて
植物学の学術書を調べました。マーガレットの構造、植生、生活誌まで調べて、綺麗に
花が咲くようにと。……でも、上手く咲いてくれませんでした」
云っている端からみゆきは、まぶたが落ちては慌てて目を開けるということを何度も
繰りかえしている。もはやろれつが回っていなくて、所々発音が怪しかった。
「……どれだけ知識を蓄えて、どれだけ考えて正しいことをしようとしても、この世界は
そんな人の営みをあざ笑うように、思うようにいかないことばかりで……ましてや、
人の心なんて……」
「ありがとうみゆき……。わかったから、もう寝よ? 私たちには明日も明後日もあるんだから」
そう云ってふらふらと揺れるみゆきに肩を貸して、布団まで引っ張っていった。
「マーガレット……マーガレットの花言葉、ご存じですか?」
「『真実の友情』でしょ? つかさに教えてもらったわよ」
「ええ、それもそうなのですが、『恋占い』という花言葉もあるのですよ」
「恋占い……」
そう呟いて、綺麗に咲いた窓枠の花を眺めてみる。
なるほど恋占いか。
綺麗に咲いたから成就するというわけでもないのだろうけれど。占いなんてそもそも信じて
いないけれど。
それでもそれは少し嬉しかった。
そのとき、みゆきはとうとう力尽きたのか、倒れるように私に覆い被さってきた。
「わっ!」
まるで押し倒されたような形になる。
みゆきの大きな胸が比較的小振りな私の胸を押しつぶしていて、その感触に下半身が
少し疼いた。
「み、みゆき、ちょっと、その……」
私が両性愛者だと知っていて、この気の許し方もないもんだ。
怪しい感情を振り払うようにわざと乱暴に押しのけようとしたそのとき、耳元でみゆきが囁いた。
「私は、何があってもかがみさんの味方です……」
みゆきは、ずるい。心の底からそう思った。
§5
その日から私は高熱を出して寝込んだ。
いくら真夏とはいっても、ずぶ濡れのまま何時間も放置していたのだから、風邪もひくと
いうものだ。
強いストレスが身体の抵抗力をなくしていたというのもあるのだろう、38度を越える高熱は、
小学校以来のことだった。
高熱にうわつく朦朧とした意識の中で、迷宮をぐるぐると彷徨った。
熱に悲鳴を上げた身体が感じる圧迫感。腫れた気管支が作り出す息苦しさ。
そんな感覚が、悪夢だけの持つメソッドに則り、奇怪なイメージに姿を変えて迫ってくる。
頭上に崩れ落ちてくる巨大な森林の塊。
凍りついた湖面の底に閉じこめられて、透けて見える水上にどうしても浮き上がれない。
夜に息をしようとしても、闇が喉で膨れあがって空気が届かない。
そんなイメージにとらわれて、私は小さな子供みたいに震えていた。
ぜーぜーと喘鳴音が聞こえる。
意識のあるときに見える天井はぐらぐらと傾いで、狂ったパースペクティブを描きだしている。
けれど、そのかたわらにはいつもつかさがいた。
朦朧とした悪夢から解放されたときも、たまの穏やかな眠りから目覚めたときも、そこには
いつもつかさがいた。
「……そんな、つきっきりで、いなくても……いいわよ…。自分の、勉強、ちゃんと、
しなさいよね……」
喘鳴音の狭間からなんとか声を絞り出してつかさに伝えるけれど。
「うん、大丈夫だよ、ちゃんとやってるから。たまたま見にきたときにお姉ちゃんが起きて
るんだよね〜」
などと云って微笑むつかさは、いつのまにか随分嘘が上手くなった。
夢の中には、何度も何度もこなたが現れた。
振り向いて走り出そうとするこなたを追いかけるけれど、走っても走ってもその距離は
縮まらない。おいついたと思って抱きしめたらそれは涙の塊で、次の瞬間その涙は雨に
なって私の全身を濡らすのだ。
悪いことは重なるもので、よりによってこんな時に生理まで始まった。
やっと身を起こしておかゆを食べられるくらいに回復した私は、自分の惨憺たる有様を
みてため息をついた。
ただでさえ暑いさかりなのに、高熱にうなされていた私は全身汗みどろで、昨夜つかさが
換えてくれたシーツもパジャマもすでにぐっしょりと湿っていた。
腕を顔の前にもっていって臭いを嗅げば、不快な体臭が鼻孔に流れ込んでくる。
つかさはたまにタオルで拭いてくれたけれど、そのくらいでは体臭は到底とれるものではない。
そこに経血の腥い臭いが加わるのだから堪らない。つかさがそばにくるだけでも自分の
臭いが気になって赤面してしまう。
卓上の鏡を引きよせて見てみると、酷い顔をしている。
かさかさにひび割れた唇、脂の浮いた小鼻、涙袋の青黒い隈。
こんな顔、家族以外には見せられないな。そう思って苦笑する。
起こしていた身体を倒して枕に顔をうずめた。それだけの動作でも、じんじんと頭が痛くなる。
頭も関節もお腹も心も痛かった。
つかさもお姉ちゃんも何もいっていこないけれど、どう思っているのだろう。
それが気になったけれど、目を閉じているうちに私はまた眠りに落ちていた。
夢の中、またこなたが現れた。
辺りは薄暗く、なぜかすでに雨が降っている。
ざーざーと降る雨音にかき消されて、こなたが何をいっているのか聞き取れない。
耳をそばだたせているうちに、こなたはまたいつものように振り返って駆けだしていって
しまったので、私は慌てて追いかける。
今度はおいつくことができた。
こなたはくるりと私の方を振り向いて、ぼそぼそと何かを云った。
「……が……み…」
雨音で所々聞き取れなかったけれど、それは間違いなく私の名前で。
それが嬉しくて、思い切り抱きついた。
夢にしては厭にリアルな感触が返ってくる。けれど夢というのは総じてそういうもので、
夢を見ているときにはそれが夢のようだとは思わないものだ。
「…か…が……み…?」
こなたは困ったような顔で私をみつめている。
なんだかおかしな反応だと思った。完全に拒絶されるか、さもなければ喜んで抱きつき
返してくれるか。これが夢ならばそのどちらかになると思った。
そう思って腕の中を改めて眺めたら、そこにこなたがいた。
私の部屋で、ベッドの中で、かたわらにこなたがいて、私はこなたに抱きついていた。
「かがみ……? あの、痛いんだけど……」
そう云って困惑顔で私を見上げるこなたは、紛れもなく現実のこなたで。
「わああぁぁぁあーー!!」
思わず、思い切り突き飛ばした。
「ぬぉっ!」
こなたはそんな声を出しながらふらふらと後ろによろめいて、ぺたんと尻餅をついてしまった。
あまりのショックに慌ててこなたから離れるようにベッドの隅に後ずさって、私はそこで
身を縮こまらせた。
「なんで……なんでいるのよぉ……」
「なんでって……」
こなたが呟くけれど、私はそれどころじゃなかった。
急激に動いたことで、頭が破鐘のように痛む。
頭の血液が全身に回ったのか、眩暈のような強い立ちくらみに襲われた。
腫れ上がった声帯で無理に大声を出したから、肺の奥からこみ上げてくる強い咳の発作に
襲われて、背中を丸めて咳き込んだ。
苦しくて苦しくて、気絶しそうになる。
「かがみ、大丈夫!?」
こなたが慌てて駆け寄ってこようとするけれど、私は懸命にそれを押しとどめた。
「……おねがい……こないで……」
布団を目元まで引き上げて、顔を見られないように。
目元、目元には多分目脂が沢山ついている。でも見ないわけにはいかないから、少しだけ
目を覗かせるようにして。
「近づかないで……おねがい……」
それを云っただけでまた咳き込む。目の端にちかちかと赤い斑点が舞い散った。
こんなところ見られたくない。
こんな臭いを嗅がれたくない。
汗と脂と垢と経血の臭いに塗れて、好きな人とは会いたくない。
私はこんな身体でこなたに抱きついたのだ。そう思うと死にたくなった。
恥辱とショックと熱と咳に翻弄されて、私は混乱の極みにあった。
「……わたし、ただお見舞いしようと思っただけなんだけどな……」
律儀にドアの前まで離れて、こなたは寂しそうに云った。
そんなこなたを見て、その言葉を聞いて、涙腺が決壊したように涙があふれ出した。
来てくれた。
こなたが来てくれた。
それは本当に嬉しくて、叫び出しそうになるほどだったけれど。
何をどう云えばいいのか、なにもわからない。混乱して、頭が回らなくて、子供みたいに
泣きじゃくる。咳き込む。嫌な音の咳が出る。
「……近寄らせては、くれないんだよね?」
こなたが泣きそうな顔でそういうので。
私はますます哀しくなって、必死で首を縦に振った。
「ごめん……ありがとう……でも、ごめん……」
何一つ説明できない私には、ただ謝ることしかできなかった。
覚悟が。覚悟が足りないから。覚悟が出来ていないから。
「いいよ……。なんかわたしいると、かがみますます体調悪くしそうだし……」
そう云ってドアを開けて立ち去ろうとしたこなたは、最後に振り向いて私に訊ねた。
「……わたしたち、これで終わりってわけじゃないよね?」
こなたがそう云ってくれて、嬉しくて、それが凄く嬉しくて。
私は声も出せずに、泣きながら何度も何度もうなずいた。
少し安心したように微笑んだこなたが、とっくに部屋から出て行ってしまっても。
私は壊れた水飲み鳥のように、ドアに向けて泣きながら何度もうなずいた。
玄関の引き戸を開ける音がして、しばらくしてから自転車のスポークの回転音が聞こえてくる。
こなたが帰っていったのだ。
咳の発作も治まって、私はほっとしてベッドに倒れ込んだ。
全身が酷くだるい。今にも眠り込みそうになる。
壁を見つめながら、ふわふわと漂うような非現実感に身体を漂わせていた。
と、ドアを開ける音がして誰かが入ってきた。
見なくてもわかる、この跫音はつかさだ。
つかさは、私のベッドのかたわらで立ち止まって、ぽつりと呟いた。
「こなちゃん、帰ったよ」
「……うん」
壁を向いたまま、私は答えた。
「あの日お姉ちゃんはこなちゃんと遊びにいって、ぼろぼろになって帰ってきた」
つかさは私の背中に向けて話し出した。
「なにがあったのかなって思ったよ。いくつか可能性があるなって思ってた。でもわからなかったから、
それで今日こなちゃんに電話してみたんだ。こなちゃん、慌てて駆けつけてきてくれたよ」
背中を向けたまま、私は目を閉じた。
これでいいのだと思った。肩の荷が下りた気がした。
みゆきにわかったのだから、つかさにもわからないはずがない。
「……わかった?」
小声で訊ねたけれど、その答えは聞くまでもなかった。
「うん、お姉ちゃん、こなちゃんのことが好きなんだ」
「そうだよ」
そのとき私は、やっとみゆきが云った“覚悟”の意味が、朧気ながらにわかった気がした。
(つづく)
以上です。ありがとうございました。
次で夏も終わると思います、多分……。
あと、まとめサイトの夏第一話のコメントで、
花言葉の展開を完全に予想されててちょっと笑いました。
それではごきげんよう。
>>373 リアルタイム遭遇GJ
そして
>>366失礼しました。
このような神作品の途中に割り込んでしまい・・・
少し吊ってきます。
>>373 ごきげんよう!
最近このシリーズが楽しみで仕方ない。
何のメタファーが隠されているのか等を考えたりして、とても読み応えがあります。
>373
リアルタイムぐっじょぶでした。
かがみの心情が、ものすごく細やかに描かれていて
こちらまでココロが痛くなってしまいました。
続きを楽しみにしております。
本日、時間をおいてから投下する予定ですが、
>374氏はいつごろ投下されますか?
>>350 GJ!!「〜もん」ってぐずるこなためちゃくちゃかわええ
思わずニヨニヨしちゃういました
けっこうシリアスな展開なんだけどつかさのほんわかしたふいんきで楽しく読めました
続き期待してます
378 :
374:2008/01/13(日) 19:48:35 ID:cinfG4tD
>>376氏へ
読み返してたら修正個所などが在りましたので
私に構わずバンバン行ってください。
>378氏へ
了解しました。20時30分頃に投下します。
380 :
名無しさん@ピンキー:2008/01/13(日) 19:53:35 ID:o4AgIGlq
ああsage忘れすみませんorz
そもそも前の投下からどれくらいしたら次の職人は投下OKなんじゃろか
たった一日留守しただけなのに、もうコメントが追いつかないってなんでさ。
皆さま、まとめてで恐縮ですがぐっじょぶでした。
さ、もう少し休んだら仕事するか(血涙
な、何なんでしょーか、ここ数日の投下ラッシュは!
量だけでもえらいことになってるのに、どれも続きが気になって目が離せない良作ぞろい(
>>296除く)ってのは一体?
注ぎ込まれている労力を考えただけでも、まとめてでしかGJレス返せないのが申し訳ないってもんでさあ。
皆さんレベル高杉っスよGJ!
てか、続き物なのにみなさん執筆ペース早すぎ(汗
>>350 GJです!
確かに微妙にエロいですねw
386 :
23-251:2008/01/13(日) 20:30:29 ID:n2njY+hh
それでは投下いたします。
「ガラスの壁」 第7話
こなた×ゆたか(こなた視点)
・続き物
・非エロ
・シリアス
7.
クリスマスまで一週間余りとなった土曜日。
商店街のスピーカーからは、少しノイズの混ざったクリスマス・ソングが流れてくる。
私は、となりに寄り添うように歩いているゆーちゃんと、初めてのデートを楽しんでいた。
私が自分自身とゆーちゃんに出した宿題の答えは、『ショッピング』に行くことだ。
最初はアキバ探訪も考えたけれど、ゆーちゃんが十分に楽しめないはずだから、
シンプルに、近くの駅前をのんびりと歩くことに決めた。
商店街を行き交う人々は、師走という月名が示すように、いつもより足速になっている。
地上を行き交う人々の喧騒と熱気によって、初冬の寒さは幾分かは打ち消されている。
「こなたおねーちゃん」
楽しげに周囲を見渡していた、ゆーちゃんが立ち止まった。
ゆーちゃんは大きな瞳を煌かして、ショーウィンドウを眺めている。私も中を覗くと、
幾つかのオルゴールが並べられていた。
「お店、見てみたいな」
ゆーちゃんが、私の手を引きながら誘ってくる。
「うん。いいよ」
私は軽く微笑んで、扉に手を伸ばした。
建物の中に入ると、懐かしい金属音が多くの場所から聞こえてくる。
音の発信源はもちろん、アンティークな部屋のところ狭しと置かれている
様々な形をしたオルゴールたちだ。
古びた木造の床をぎしぎしと鳴らしながら、店内をゆっくりと見て回ると、
アニメキャラクターが描かれたオルゴールが、片隅に置かれてある。
私は、吸い込まれるように手にとり、後ろについているネジを回していく。
ぜんまいをしっかりと巻いてから手を離すと、余りにも有名なオープニングテーマが流れた。
「お姉ちゃん。この曲の『本当の名前』って何かな? 」
私の手元にあるオルゴールを興味深げに覗き込んできた、ゆーちゃんの質問に答えると、
「そのまんまだね」
と、少しだけ苦味を帯びた、ビター味のような笑みを浮かべている。
いつものゆーちゃんとは少し違う大人っぽい笑顔だ。
「私、昔、読書感想文で書いたことがあるの」
「えっ? 」
私が目を丸くする。このアニメ、ノベル化されていたかな?
「ふふ、違うよ。おじいちゃんのお話」
「おじいちゃん? 」
「うん。『奇巌城』だよ」
「あっ」
モーリス=ルブランの方か。
この方面の話でゆーちゃんに遅れを取るとは不覚の極みだ。
私は、一旦、がっくりとしたけど、気を取り直してオルゴールを見つめる。
シリンダーと呼ばれる円筒が、ゆっくりと回転して、円筒に生えている無数の突起が、
金属製の櫛の歯に当たることによって、様々な音が弾き出される。
オルゴールの音色には透明感があるけど、同時に、もの哀しさが醸し出されてくるように感じる。
私はその場に佇んで、瞼を閉じてオルゴールの音色を堪能した。
ゆーちゃんが、気に入ったオルゴールを買ってから外にでると、冷たい北風が吹き込んでくる。
「さむっ」
ゆーちゃんが自分自身を抱きしめるようにして、華奢な身体を竦める。
「寒い? 」
私は反射的に寒空から覆い隠すようにゆーちゃんをコートで覆うようにして抱きしめた。
ゆーちゃんは顔を赤らめて、
「ううん。暖かいよ」
と、宝石のような笑顔を浮かべてくれた。
通りを行き交う人たちの視線が気になって、抱きしめていた時間は少しだけだったけど、
私はもちろん、ゆーちゃんの鼓動も速くなっているはずだ。
冬至を間近に控えたこの季節は、一年で最も日照時間が短い。
午後5時を回ると、空は暗くなっており、代わりに、商店街に備え付けられている
数多くのライトが人々を照らしている。
「少し早いけど、夕食にしようか? 」
「うん。お姉ちゃん」
「お店、どこがいい? 」
「うーん。寒いから温かいものが食べたいな」
「そだね 」
結局、私の選んだお店は、うどん屋だった。
デートコースとしてはちょっと、とも思えるけど、身体はしっかりと温まるはずだ。
熱いうどんを、ふーふーと言いながら、少しずつ食べているゆーちゃんを眺めながら、
私は、以前から聞きたいと思っていたことを尋ねた。
「ゆーちゃんって、ちょっと前に絵本を書いていたよね」
「えっと、もしかして『氷姫』の話? 」
恥ずかしそうに頬を朱に染めながら、ゆーちゃんは答えた。
ゆーちゃんは、ゆい姉さんへの誕生日プレゼントとして、自作の絵本を
プレゼントしたことがある。
「うん。そうなんだけど。今も絵本を描いているのかな? 」
「あ…… う、うん」
恥ずかしそうにもじもじしている時のゆーちゃんの可愛さは、
萌え要素のカタマリとしか表現できない。
「どんな話か教えてくれるかな」
「でも、平凡だよ」
「それでもいいから」
私はせがんだ。
ゆーちゃんの事がもっと知りたい。私の知らないゆーちゃんを教えて欲しい。
「うん。じゃあ、話すよ…… 」
ゆーちゃんは水を口に含んでから、ゆっくりと語り始めた。
―― 昔、姉妹である、ふたりの王女様が仲良く住んでいました。
ある日ふたりは、お互いに、姉妹以上の感情を持つようになりました。
しかし、この国では、女の子同士の恋愛は法で禁じられています。
ふたりは人目を忍んで愛し合っていましたが、いつまでも隠しとおせるはずもありません。
王様や大臣たちに知られてしまい、悲しいことにふたりは引き裂かれてしまいます。
そして――
「この後は? 」
急に言葉を切ったゆーちゃんに問いかけると、少し困った顔で、
「実はまだ、決まっていないの」
困った様子で、両肩を竦めて言った。
もしかして、ゆーちゃんのお話は、今の自分達の関係を置き換えているのだろうか。
「そのお話、身に覚えがあるね」
「私もあるよ。おねえちゃん」
「続きを読むのが…… 少し怖いな」
私とゆーちゃんの関係が、絵本の王女達のように、誰かに引き裂かれてしまったらと
思うと身震いがする。
平穏な日が続いて欲しいと思うけど、今週の火曜日の出来事が脳裏に蘇ってしまい、
得体の知れない不安が膨れ上がってきてしまう。
「私も、続きを描くのが怖いんだ」
「でも、怖くても進めるんだね」
私が半ば呟くよう言うと、ゆーちゃんは、オルゴール店でみせた表情とはやや異なる
苦笑を浮かべて頷いた。
「ゆーちゃん。あの日の後、クラスの人に何かされていない? 」
心を蝕む不安から逃れようとして、話題を変えて、ゆーちゃんに尋ねる。
「うん。大丈夫。かばってくれてありがとう。お姉ちゃん」
「そっか」
私は少しだけ安堵のため息をついたけど、今後、どうなるか分からないと思うと
憂鬱な気分は、なかなか晴れてはくれなかった。
終業式まであと1週間、何も起こらなければいいのだけど。
私は、この時、もう少し周りを見るべきだったかもしれない。
ゆーちゃんの事しか考えずに、自分の周りの人たちや、ゆーちゃんの周りの
人たちの事を頭に入れて行動すれば、あのような事態は起こらなかっただろう。
しかし、一方では、恋愛とは人を盲目にしてしまうものだから、
この結果は必然だったという思いもある。
性別を問わず、ある人に対して、全てを擲つような激しい恋愛というものを
体験することは、長い人生においては必要かもしれないのだ。
果たして、恋愛によるリスクは甘んじて受けるべきなのだろうか……
私とゆーちゃんは、食事を終えて店を出た。
あたりはすっかりと闇に包まれており、既に冬の代表的な星座であるオリオン座が
東の空に、己の存在を強く主張していた。
「私の『宿題』は終わったけれど、問題なのは、ゆーちゃんの『宿題』だね」
私が少しだけ顔を赤らめながら切り出すと、ゆーちゃんは、既に耳たぶまで
真っ赤になっている。
「本当に、これでいいの?」
昨日の夜、ゆーちゃんの話を聞いたときは、正直言って仰天して、何とか止めようとした。
でも、ゆーちゃんがあまりにも熱心に提案するものだから、渋々ながら、
承諾せざるをえなかったのだ。
「う、うん。お姉ちゃん。私、ネットで調べたし。がんばるから」
「うーん。頑張るといってもね」
ゆーちゃんにパソコンを貸したのは失敗だったかな。
意外かもしれないけど、ゆーちゃんの趣味は『インターネット』で、その手の知識についても、
やけに吸収が速かった気がする。
彼女が希望する場所を、ゆい姉さんや、ゆーちゃんの両親が聞いたら絶句するに違いない。
「分かった。絶対に後悔しないね」
私が念を押すと、ゆーちゃんは小さな身体に、はちきれんばかりの気合を入れて……
「うん」と頷いた。
ショッピングを楽しんだ駅前の商店街を出て、住宅街を貫く裏通りに入ると、
街灯は少なく、人影もほとんど見当たらない。
隣を歩くゆーちゃんを護る為に、周囲を警戒しながら寄り添って歩く。
幸いなことに何事もおこらず、裏通りを抜ける。
そして、私達は、住宅街の外れから突如出現した、西洋の城を模したど派手な建物を見上げた。
私は、カーテンで隠されている入口の前から、『お城』を睨み上げて、
寄り添っている恋人の手を強く握り締めて言った。
「行くよ。ゆーちゃん」
「う、うん。お姉ちゃん」
私たちは、俗に言う『ラブホ』の入口の門をくぐり抜けた。
生涯で初めてのラブホ体験が、従姉妹でかつ同性というのはアブノーマルの極みだけど、
ゆーちゃんの決死の覚悟に対しては、全力をもって応えなくてはいけない。
もっとも、年齢制限に引っ掛かって追い返されたら笑うしかないのだけど。
392 :
23-251:2008/01/13(日) 20:38:17 ID:n2njY+hh
以上です。
読んでくれた方、そして、>374氏ありがとうございました。
話は中盤から後半へと入っていきますが、結びまでしっかりと繋げることが
できれば…… と思います。
今日はアレですか?
私の命日ですか?(鼻血的な意味で)
まとめてで本当に申し訳ありませんが職人の皆様に心からのGJを贈らせて頂きます!
続きも全裸で待ってますw
ほぼリアルタイムにて読了。
とうとうルビコン川を越えてしまうのですか……。ていうかElopeで結末知ってるだけに切なくてもう。
震えながらもぐっじょぶ。
395 :
374:2008/01/13(日) 20:49:18 ID:cinfG4tD
>>392 本当にGJです!
修正作業そっちのけで読みふけってしまいました。
次回は、こなたとゆーちゃんが・・・
いかん、妄想していないで作業に戻らなければ。
>>382 確かに投下間隔が短いような気がしますね……
>>350 皆さんたくさん投下されてるようで少しずつしか読めませんがGJ!!
つかさのほっぺたは確かに気持ち良さそうですなww
日常の描写が素敵でした
自分も早くまとめなければ……
基本的に前の投下者が投下終了を告げたら、あとは自由でよいのでは?
職人のほうにも時間的な都合や、続編とかは投下間隔のこだわりもある
また昨晩みたいに荒れかねないので、個人的な感覚としてとお断りした上での意見ですが
10分以上あけられないときは投下予告の時に、一言何かかメッセージを添えればいいと思います
>>392 まずはGJです。
さて、これで一線を越える事になる訳ですね…
ところでゆーちゃん、そんな内容の絵本はどうかと思うぞw
>>398に賛成
職人さんとしては、投下後のレス(GJ、批評問わず)が楽しみなのは当然だし、
読み手としても感想書きたいのも判る。
でも投下する側もタイミング的に僅かに出遅れる場合もあるし、
いつも投下可とは限らないので、被らない限りは2作品連投になっても
いいんじゃないかな?
投下が終わったら、2作品分のレスをすればいいだけだし。
作者さん達のスケジュールを優先してあげた方が流れ的にも
何かとスムーズだと思うです。
うぉ、何かのお祭りですか?
まとめてで申し訳ないですが、GJ
久留里氏へ
>>359 >ロードバイクが楽に帰る。
は、楽に買える。では無いでしょうか
投下宣言をしようと思った矢先に続々と投下宣言がw
今日は職人による大傑作祭りですね〜。
皆々様方GJでした!本当はひとりひとりにレスをしたいのですが……。
みなゆたにコメントくれた方、ありがとうございます!
それからこれは個人的に
>>238 Foolish form氏
書評ありがとうございます。
一人称に関しては割と気をつけていたのですが、どうやら少しばかりミスがあったみたいですね。
先頭に1マスを開けていないのはあえてですね。こだわりで、SSでは開けないようにしているんです。
みなみの携帯と『みなみちゃんの家』という描写に関しては私の 壮 絶 な 勘 違 い がありましたw
保管庫のほうには大幅な改訂加筆を加えて保管させていただきたいと思います。
他、様々なご意見ありがとうございます。勉強になります。
では、二日連続になってしまううえ、続きが気になる傑作達のあとになりますが投下です。
・みゆき父×ゆかり、ゆい自慰、ふゆき×ひかる
・ハードエロあり
・3レス拝借
では、他の職人さんの投下宣言が無ければ投下したいと思います。
1、
「あっ……!」
一糸纏わぬ姿になったゆかりの乳房に、その手はやや乱暴に掴みかかってきた。
大きさこそ標準だが非常に形が良いゆかりの胸が、握力をもって歪んでいく。
ゆかりは乱暴にされるのが好きだった。それは暴力的な行為が好きだということではない。
普段はひょうひょうとしたキャラクターで周囲の人間を惑わせるゆかりではあったが、
セックスのときは相手に惑わされて、相手のペースに沿うことで、強い快感を得られるタイプなのだ。
「あっ……あなたっ……胸、気持ち良いです……」
胸の形が大きく変化するたびに、ゆかりは卑猥な嬌声をあげる。夫の指が、固くしこった乳首をつまむ。
そのままキュッと強くつまむと、強烈な快感が走り、ゆかりはさらに大きな声をあげる。
「ああんっ! ……胸、感じるんです! もっと強く、あっ、もっと強く、揉みしだいてください……」
ゆかりからの懇願に夫の性欲はさらに昂ぶった。ゆかりもまた、そんな自分に淫欲を掻き立てられる。
結婚して間も無い二人ではあったが夫の帰りはいつも遅く、この日は1ヶ月ぶりのセックスであった。
寝床に入ってはゆかりの要求をつっぱねる夫。おあずけを食らうほどにゆかりの情欲が蓄積され……。
ゆかりはついに自分から、抱いてくださいとおねだりをした。それが二人の箍を外したのだった。
「あなたぁ……もっと激しく、私の○○○をいじってくだひゃい……」
夫は右手でゆかりの陰茎を潰すように愛撫し、左手は乳房を弄んでいた。
ゆかりは快感を与えられるたびに犬のように涎を垂らし、そして更なるステップへの要求をする。
「わ、私、もうだめ……入れてください。……はい。私の○○○に、あなたの○○○をぶち込んでください!」
四つんばいになったまま、淫らに濡れた陰部を曝け出したゆかりは、腰をふりながらそう叫んだ。
間髪入れず、夫の猛り狂った接近3ピクトがゆかりの中へとダーリンダーリンプリーズする。
「ああっ! すごいっ! あっ、ひゃあっ、あなたのが入ってるっ、お、奥まで入ってますっ!」
夫はまるで獣のように、ゆかりの中を貫いてゆく。何度も何度も侵入し、その度に腰のぶつかる音が鳴る。
「ああっ、しゅごい、壊れちゃいそうっ! あっ、あんっ、いやあっ、こっ、腰が止まらないのおっ!」
すでに何度貫いただろうか。二人にはすでに限界が来ていた。ゆかりの身体がオルガスムスを待ちうける。
「な……膣に出してっ! あなたの精子、くだひゃい、私を孕ませてくだひゃい……!」
瞬間、夫はこれまでで一番深く、ゆかりの中を貫いた。同時に、熱を帯びた欲情をゆかりの中に放出する。
「あっ、あん、ああああ、ああ――――――!」
激しく身体を痙攣させ、絶頂に達するゆかり。数分後、ゆかりは夫の腕枕の中で語り始めた。
「私ねえ。子供ができたらつけたい名前があるんですよね〜。女の子なら『みゆき』って名前なんですけど。
男の子なら……えっ? なんで『みゆき』か、ですか? 女の子っぽくて可愛らしい名前でしょう?
いい加減子供がほしいですね……あっ、あなたったら、またですか? 今日はもう四回もしましたのに。
早く私達の間に子供ができるように、二人で頑張らないといけな……あんっ! あっ、あなたぁ……」
その三ヶ月後、二人はゆかりの妊娠を知る事になる。さらに7ヶ月後、ひとつの命が誕生した。
萌え要素満載の歩くWikipedia、高良みゆき、その人である!!!!!!!!!!!!!1111111
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
「なんてことがあったのよねえ」
「そ、そうなんですか……」
笑顔で話す母にみゆきはどう返答すればいいか困っていた。両親の馴れ初めを聞いたのは、失敗だったかもしれない。
2、
「はあっ……きよたかさぁん……」
すでにしわくちゃになったシーツの上で、成実ゆいはもう1時間以上も息を荒げて激しく悶え続けていた。
時刻は午後12時。明日はちょうど非番である。この日もゆいは朝6時出勤の夜10時帰宅だった。
くたくただった。もともと警察という仕事は当然のように激務なのだが、ゆいはそれを理解して目指した仕事だ。
身体の疲れなら女のゆいと言えど、自分の仕事を考えれば我慢できる。むしろそれだけ国民に貢献できる、と喜ばしい。
それでも―――心の疲れだけはどうしても、癒してくれる存在を必要としていた。
「気持ちいいよぉ……きよたかさんに激しく触られて、私のパトランプもうチカチカ点滅してるのぉ……」
疲れたままで帰ってくるのは、人っ子一人いない暗い部屋……一番自分を癒してほしい人は、ずっと遠くにいた。
(いつになったら帰ってくるの? 元気なフリしてるけど、寂しいんだよ……きよたかさん……)
愛情だけは溢れているのに、満たされない心と身体。疲れているとはいえ、ゆいは毎晩、ついこうして自分を慰めていた。
目を閉じてきよたかの熱い胸板と頼り甲斐のある指を思い出す。大きめな自分の胸を強く揉みしだき、ゆいは嬌声をあげる。
「きよたかさんの特殊警棒……もうこんなに固くなってるんだ……私が手錠をかけてあげるよっ」
ゆいの脳内では、目の前にいつもの見慣れたきよたかの肉棒が晒されている。数年前、ゆいを少女から女に変えたそれは、
世間でいうところの巨根であった……ゆいはまだ少しかむったそれの皮を、愛でるように剥いていく(脳内で)。
「きよたかさんの覆面パトカー、いつものパトカーになっちゃったね……。お口で事情聴取してあげるからね?」
ゆいの小さな口が、きよたかのそれをご馳走を口にしているのように頬張る(脳内で)。収まりきれない分を、舌で奉仕する。
「おいひぃ……きよたかさんの44口径、こんなにビクビクって威嚇射撃してふ……私これ大好きだよ……」
ゆいの右手が、自分のショーツへと差し込まれる。パンストはすでに脱ぎ捨ててあり、ゆいの秘所はすでに熱く溢れていた。
「溢れてる……私の事件現場、もう証拠だらけになってる……きよたかさんにもっと取り調べしてほしいって……」
ゆいは両足をM字に開いた。こうやってきよたかに見られるのが、ゆいは大好きなのだ。恥ずかしさを伴う快感だった。
「きよたかさぁん……私のイケナイところじっと見て……現行犯で被疑者確保して……?」
目の前にいないはずのきよたかの視線を感じるたびに、ゆいの愛液が溢れ出してゆく。ゆいは陰茎を指でつまむと、
きよたかの指を思いだし、何度も何度もつねってみる。その度にゆいの口からは卑猥な声が漏れた。
「やあっ! 私の階級章つままないでぇ……きよたかさんにされると、我慢できなくなるよ……」
シーツはすでに愛液でぐっしょりシミができていて、それは殺人現場に残された血痕のようだった。
「ね、きよたかさん……そろそろ、入れて? きよたかさんに検問してほしいの……」
きよたかの肉棒が、ゆいの膣内に挿入された……想像に合わせるように、ゆいの指が三本、膣内に挿入される。
「あっ、きっ、きよたかさん……! 激しすぎ……スピード違反だよっ……!」
ハイテンションな暴走キャラ、でお馴染みのゆいではあったが、それはセックスのときも何一つ変わらなかった。
特に愛する者、きよたかとのセックスはマル暴よろしくの速度オーバーだった。きよたか以外と肌を重ねた事はないのだが。
「きよたかさんの白バイすごく早いっ……ひああっ! そこっ、そこはダメッ……駐禁とっちゃうよぉ……!」
容赦無く貫いてくるきよたかの巨根(脳内で)。ゆいの身体に、愛しい人から与えられる衝撃と快感が走る。
「あっ、もうダメッ、私とんじゃうっ、二階級特進しちゃうよおっ、ひあっ、きよたかさぁん、逮捕して……!」
やがて、ゆいの身体にふわりと浮くような感覚がすると、そのままひとり絶頂へと達した―――。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
「ううっ、ゆいの中に現場急行するよ、ゆい、はあっ、うっ……!」
そう言うと、きよたかの肉棒は自身の手の中で欲望を吐き出しながら爆ぜた。
かくして、離れ離れになった寂しい二人の夜は更けてゆく……。
3、
「だ、だめだっ、ふゆき、やめろって……!」
「やっぱりひかる先生はこれが好きですね。立ったままアソコを舐められるのが。昔からそうでしたものね」
夜の保健室。人目から逃れるように、二人の女教師はカーテンを引いたベッドの横にいた。
「これ、結構大変なんですよ? ひかる先生、身長が小さいから……私も十分にかがまないと」
「あっ、ふあっ……! お、お願いだからやめてくれ、ふゆき……誰かくるから……!」
「誰もきませんよ? これないようにしてあるんです。それに、ふゆきじゃなくて『ふゆき先生』ですよ」
ピチャピチャという水音が、静かな保健室に響く。同時に響くのは、ひかるの口から漏れるいやらしい声。
スカートの中に顔を突っ込んでいるふゆき。ひかるの足はガクガクと震え、ふゆきの頭を押さえないと崩れ落ちそうだった。
「ダメじゃないですか、ひかる先生。保健室の床をこんなにビショビショにするなんて」
ひかるの足元には、身長に見合った小さな秘所から溢れ出た愛液でささやかな水溜りができていた。
「それはふゆきが……こんなことをするからだろう……」
「でも本当にイヤだったら、私を突き飛ばしてでも拒否できるはずですよ?」
スカートから顔を出すと、愛液で口の周りを汚したふゆきの顔が、いつものように穏やかな笑みを浮かべた。
ひかるは顔をピンクに染めると、視線を逸らすように床を見つめた。それを見ると、ふゆきの嗜虐心がさらに燃える。
その性格から、いつもはふゆきより優位にいるひかる。「結婚してくれ」などの冗談を、簡単に口に出せるほどに。
しかし本当は誰かに責められるのがたまらなく好きなのだと、幼馴染のふゆきは昔から自然と理解していた。
そしてそんなふゆきも……おっとりとした性格の裏に、サディスティックな本性を隠し持っていた。
その柔和な笑顔の裏には、ひかるの痴態を心待ちにしている小悪魔が棲んでいる……それがひかるには怖く、魅力的だった。
「だからって、ここはイヤだ……!」
「あら、じゃあ他のところならいいんですか?」
「そうじゃなくてだな、もっとこう……ふあっ!」
ふゆきは再びスカートに顔を突っ込むと、舌による奉仕を再開する。ひかるの愛液は、無味だがふゆきにはご馳走だ。
「ひかるさんはいつもはぶっきらぼうな言葉づかいなのに、気持ち良いときは女の子らしいんですよね」
「そ、そういうことをいうなっ……あっ、やだ、ああっ……!」
ふゆきはひかるのクリトリスに軽く歯を立てた。ひかるは声をあげ、いつもは煙草を加えている歯が、カタカタと鳴る。
「でも、ひかる先生がいけないんですよ? 結婚してくれだなんて私を誘うから……そんなに私が好きなんですか?
そうですよね。こんな舌技、忘れられないですからね。結婚したら毎日してもらえるかもって思ってるんですよね?」
「ばかっ……私はただ……ひっ……ああっ!」
「そうですね……ちゃんと私のことを『ふゆき先生』って呼んでくれます?」
「呼ぶっ! 呼ぶから、ふゆき先生、ふゆきせんせぇ……!」
「はい。よくできました。ではご褒美に、もっと気持ちよくしてあげますね」
「えっ……あああっ! やだっ、ふあっ、あっ、やだあ……!」
「可愛いですね、ひかる先生は……ほら、いつでもイッていいんですよ?」
「ここじゃいやだぁっ……! あっ、あっ、ふゆき先生っ、ひあんっ」
ひかるの手が、閉まっていたカーテンをぎゅっと握った。限界が訪れようとしている。
「あっ、あああっ……!」
愛液と少しの尿を交えたものを、保健室の床とふゆきの顔に浴びせながら、ひかるはカーテンを掴み崩れ落ちた。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
「なんてプレイを毎日させてくれたら、結婚してあげてもいいですよ」
微笑むふゆきを背中に、ひかるは脱兎のごとく逃げ出した。くそ、調子に乗りすぎた。
ふゆきのやつ、おっとりキャラのくせに攻めのSなのか。まあキャラとしては良いんだが……。
以上です。
誤字脱字等ありましたら申し訳ありません。
しかも大常連さんの傑作続編もののあとにギャグハードエロですみまs(ry
そして
>>374氏の投下を心待ちにしつつ……保管庫へといってまいります
リアルタイムにて読了。
成実夫妻のアホの子っぷりにニューナンブ噴きました。ふゆ×ひかで別のものも噴きました。ぐっじょぶ。
あ、あと。
>右手でゆかりの「陰茎」
それだとふたなりになってしまいます。危険です。むしろその方g(自爆
こうきたかw
ハードエロGJ
……いやすいませんゆいの部分の台詞の数々は
エロ漫画にはよくある言い回しとはいえギャグにしか見えませんw
投下される方が多くて感想が書ききれないですが、心からGJを叫びたい!
>361
名古屋駅構内の話とか、バカマルコとかつぼに嵌りっぱなしでしたとも。ええ。
次は米原編になるのでしょうか? わくてかがとまりません。
関が原から急に増える雪を眺めながら、白い伊吹山を臨むのが冬場の愉しみでした。
>406
ハードエロなのに爆笑させてもらいました。
接近3ピクトのくだりはとくに……
気合の入った3連発ですね。最後の3〜4行がピリッと効いて上手い!って思いました。
あと、ごめんなさい。いろんな意味で陰茎はやばいです。
一行目改行だとダメなのか…
よし、そういう事なら再チャレンジっ!
しばらく待って、誰もいないようなら投下しますよ
全裸にて待機
412 :
名無しさん@ピンキー:2008/01/14(月) 00:00:49 ID:HdSAer7X
>>407 ふゆひか!ふゆひか!
あんまり見かけないので嬉しいです
GJ!
413 :
久留里:2008/01/14(月) 00:04:40 ID:C8FHcvuJ
>>401 ご指摘有り難う御座います。
保管庫に保管され次第、修正します。
ていうか、自分で自分の作品を読んでみたが、
あまりにも話が繋がっていなくて「おれなんか氏ね」って言いたくなったorz
でも、誤記修正のみにとどめます。
久々にきたら、なんですかこのスレの速さは。(誉め言葉)
速い、速いよ!
4日放置したら大量の作品が、化け物か!
とりあえずシリアスもハードエロも絵も全てGJ!
415 :
18-19:2008/01/14(月) 00:21:24 ID:3b9b1QWD
そろそろいいかな
今朝投下しそびれた例のアレ、いっちゃいますよ!
注意事項などは
>>301 TSモノね、それだけ注意!
苦手な人はスルーでお願い!
堅苦しかった新品の学生服もようやく馴染んできた、5月の朝。
着替えを済まし台所へと入った俺を迎えたのは、リズミカルな包丁の音と間延びした声だった。
「おはよう、お兄ちゃん」
「おう、おはよ」
冷蔵庫から牛乳パックを取り出しながら答える。声の主は俺の双子の妹、つかさだ。
……妹、な。わかってるとは思うが一応言っておく。お間違いなきよう。
「おはよー。かがみにつかさ」
瞼を擦りながら扉を開けたのは2番目の姉、まつり姉さん。
大学生で、霊媒体質の……ってそりゃ別スレの設定だな。
まつり姉さんが俺の手から牛乳パックをひったくり、グラスに注ぎ始める。あ、ついでに俺のも頼むよ。
「自分でしなよ。……それよりつかさ、最近早いじゃない」
確かにつかさは近頃、起床が早い。平日の朝はまず台所に立っているつかさの顔を見るのが日課になっている。
それでもたまに、俺が嫌がらせに近い起こし方を敢行しなければならない日もあるのだけれど。
「うん、お弁当作らなきゃいけないから」
理由はそれ。特別に決めた訳ではないが、俺とつかさの弁当を作るのはつかさの仕事だ。
その代わりと言ってはなんだが、俺はつかさの勉強を見てやっている。
……交代制? 冗談だろ?
俺に作らせたら毎回国防色丸出しの弁当になっちまうぜ?
つかさの包丁捌きを眺めながら、まつり姉さんが言う。
「なんていうか……ほんと家庭的よね、つかさは。私はそんな凝ったお弁当作れないなー」
えへへ、と笑うつかさの握る包丁は、玉葱を微塵切りにしている最中だ。
人参やら挽き肉やらと一緒に焼いて、ミニハンバーグでもこしらえるつもりなのだろう。
「つかさ、結構モテるんじゃないの? 可愛いし料理もできるし」
まつり姉さんの口調には、どこかからかうような色が混じる。
それはあれだな、つかさから男の匂いを嗅ぎ取れない事をわかってて言ってんだな?
そんなことないよう、と答えるつかさの声を聞きながら、俺はぼんやり考える。
つかさに彼氏……ねぇ。
─ おす☆かが もってけ!べんとーばこ ─
学校へ向かうバスの中、最後部座席。
窓側の座席で肘をついて、外に流れる風景を眺める。
一面の田圃では若い稲が育ち、緑色の光を跳ね返してキラキラと輝いている。
きっと窓を開ければ色のついた若葉の匂いが爽やかな風と共に──
「「ふぁああぁぁあ……」」
畜生、でかい欠伸の二重奏で台無しだ。
反対側に目を向けると、視線に気付いたのか、とろんとした目に涙を浮かべたこなたが
同じく眠そうな顔のつかさと共に振り向いた。
「豪勢な欠伸だな」
「いやぁ、実は徹夜でネトゲにインしててさ……もぉ眠いのなんのってぇ」
隣に座るこなたはそうぼやいて、また欠伸をひとつ。
「ったく、だらしねぇなぁ。そんなんだから成長しないんだろうよ」
「かがみひどーい、気にしてるのにぃ」
そう言ってぷーっとふくれるこなた。
なんだそりゃ、どっかのロリ担当の従妹の真似か? 可愛くねぇぞ。
「大体さあ、だらしないって言うんならさ、つかさもさっき大あくびしてたじゃん」
「そりゃつかさは早起きしてるからな、最近は」
こなたの隣に座っていたつかさは何故だか嬉しそうに、
「お弁当作るのが楽しくて」と微笑む。
ま、早起きするのはいいことだ。学生の本分は勉強だけどな。
昨日の夜だって宿題見てやってるうちにいつの間にか寝てやがったし。
……俺よりつかさの方が睡眠時間は上のはずだが気にしない。勉学に励む時間を削って早寝早起きをするのは
なにか違うような気もするが気にしない事にする。
「お兄ちゃんが隣にいると、安心して眠くなっちゃうんだよね」
そう呟いて、いつもの人畜無害な笑みを浮かべるつかさ。
妙に気恥ずかしいことをさらりと言ってのけるあたりが天然たる所以なのか。
きっと深く考えずに喋ってるんだろうな。
ほら、それを聞いたこなたがあのにんまり笑いをこっちに向けて……
……ないな。
おかしい。てっきり「いつの間に妹フラグ立ててたのかな? かがみん」とか言って面白がるもんだと思ってたのに。
こなたは俯いて、床の一点を見つめているようだ。その顔は長い髪に隠れて見ることはできない。
「こなた……?」
「かがみ」
こなたは俺の名前を呟いて、ゆっくりと、頭を……
「肩貸して」
俺の左肩に乗せた。
「……はあ?」
「いやもう眠くって。学校着くまでちょっと寝させてぇ」
おねがい、か・が・みん……と妙な声色で囁くこなた。最後の方は消え入るような声だったな。
泉こなた、スリープモード。……ってちょっと待て!
「ふざけんな、離れろ!」
「いーじゃん、減るもんじゃないしぃ」
「人の視線が……っておい! 涎垂れてんぞ、制服汚れるっつーの!」
俯いてたのはただ眠かっただけか。ったく、心配して損した。
ただ、俺は気づいていなかった。
こなたの向こうに座るつかさが、そんな俺達を見て──
暗い表情を窓の外へと、向けるのを。
◆ ◇ ◆ ◇ ◆
校門の傍に天使が立っていた。
例のKYなエンジェルさんなどではない。分厚い本も持っていなければ電波なことを喋り始めることもなく──
……ああすまん。認める。天使はさすがに言い過ぎた。
てゆーか許可もないのにいいのか? ま、いいよね。お互い様だし。
「おはようございます」
その天s──高良みゆきさんが柔らかく微笑む。
毎朝、美少女が校門前で待ってくれている、なんてのはちょっとした奇跡だと思うのだがいかがだろう。
「おはよう、ゆきちゃん」
「みゆきさん、おっはよー」
俺を、ではなく俺達を、っていうのが惜しいところ。
というか校門前ではなく駅で待ち合わせして、同じバスに乗っていただければ登校を共にできる時間が長くなるというもので、
俺としてはそちらのほうを是非とも希望したい所存ではあるのだが、いかんせん天使様はそこまで頭が回らないのかなんなのか、
もしかすると俺との時間をあまり重視してはいないのか──
などと考えながら教室に入り、鞄を机に引っ掛けたところで、背中に軽い痛みを感じた。
「よぉ、柊」
谷口、極力俺に話しかけるな。脳内のみゆきフレイヴァーが霧散する。
「そうでございますか、さすが柊様、目線がお高いことで。このモテ暴君が」
ひどい言われようだな。なんだその面白くなさそうな顔は?
「そう、面白くないんだ俺は。全くこの世は理不尽だぜ、神なんていねぇ!」
妙にヒートアップしているバカを無視して席に着く。この机についた傷にもそろそろ愛着がわいてきたところだ。
「柊、俺は不思議でしょうがねぇ。俺のような愛情を人の形に固めたような男が一人寂しく校門をくぐるその時にだな、
なんでお前みたいな無愛想な野郎が女子を3人も引き連れてヘラヘラと校庭を歩いてやがるんだ?」
お前は愛情でできてたのか、そりゃ知らなかった。その成分分析には断固異論を唱えるがね。
というか無愛想とはなんだ。それにヘラヘラなんて……してないと思う。おそらく。
「泉こなたはいいとして、高良さんと一緒ってのが許しがたい」
その言葉に少しだけイラッとくる。なんだ、カルシウムが足りてないのか?
つーかイラつきポイントが良く解らん、自分の事なのにな。俺は何にイラついてんだ?
モラトリアム。ちょっと違うか。
「このモテ格差はなんなんだ? お前と俺にどんな違いがあってこの差ができたんだ?」
違い、ねぇ。あるとすればそれは……つかさか。
つかさがいなけりゃこなたと知り合う機会も無かっただろうし、高良さんと昼を過ごすことも無かっただろうからな。
「そう、柊つかさ。……柊、俺はとことん神を憎むぜ。俺とお前にゃ、産まれからしていかんともしがたい差があったなんてな」
そう言って俺の肩を掴む谷口。さっき神はいないと叫んでた筈だがな。
「俺様的美的ランクAマイナーの柊つかさを妹に持った時点で、俺はお前に追いつくことはできなくなった訳だ」
なんだそりゃ? この学校の女子全員をチェックでもしたのか。
「おうよ、ってこりゃどっかで話した気がするから省くがな。ちなみに高良みゆきはAAAだ」
それは妥当なランクだと思う。つかさについては怪しいもんだがね。
「怪しいものか。容姿は良いし醸し出す雰囲気も柔らかく、そして極めて家庭的ときやがった。
……毎日柊つかさ印の弁当が食えるお前が心底羨ましいぜ」
そう言ってから、何か思いついたような顔をする谷口。嫌な予感がするね。
「柊、お前の弁当を食わせろ」
なーに言ってんだこの馬鹿は。嫌なこった。
大体俺の食うもんが無くなっちまうじゃねぇか。
「そりゃ俺の弁当やるからよ」
頼む、この通り! と頭を下げる谷口。似非バファリン男も形無しだな。
……そこまでするほど魅力かね、この弁当箱は。
まあ、一回くらいならいいか。その下げきった安い頭に免じて恵んでやるよ。
◆ ◇ ◆ ◇ ◆
そんで、その日の昼休み。……ってまぁた昼休みか、芸のない作者だなぁ。
俺はいつものように、弁当箱持参で隣のB組の引き戸を開ける。
おーっす……って、あれ?
「つかさはいないのか?」
「黒井先生に連れてかれたよ」
こなたの声にへぇ、と返しながら、手近な空いている椅子を引き寄せて座る。さりげに高良さんの向かい側をゲットするのも忘れない。
「珍しいな。あいつ、どんな悪事を働いたんだ?」
「授業中に携帯から派手なカノンを鳴らしちゃってさ。今頃ありがたいお説教でも聞いてるんじゃないかな」
そりゃつかさらしい。ま、すぐ戻ってくるだろ。黒井先生はそれなりに話のわかる先生だからな。
「そうですね、ではつかささんが戻ってくるのを待ちましょうか」
例えその気がなくとも高良さんがおっしゃるのならばそうしますとも。
既にチョココロネの袋を破りかけていたこなたとは対照的に、友人への気配りを忘れない高良さん。
その柔らかな微笑みからは慈愛の光がにじみ出しているようだ。眺めているだけで幸せな気分に──
「あれ、かがみん」
それを邪魔するようにこなたが俺の名を呼ぶ。なんだどうした?
「今日はお弁当箱、違うね」
ああ、これか? これはだな……
「みんなごめんね、待たせちゃって」
その声に振り向くと、俺達の方へ歩いてくるつかさの姿があった。
……なんだその一仕事終えました、みたいな顔は?
「携帯は無事奪還できた?」
こなたの声に、えへへーと笑いながら携帯を取り出すつかさ。カエルのストラップが揺れている。
「授業中はマナーにしとけよ」
そのアホ面の万年軍曹蛙に向けて言ってやる。つかさの事だ、どうせまた同じような失敗するんだろうよ。
だからな蛙軍曹殿、お前が携帯をちょっと弄ってマナーモードに設定してやってはくれないか。
それができりゃ、俺の権限で二階級特進くらいはさせてやってもいいぞ。
ケロロ少尉ってなんか強そうで腹立つな、と考えながら弁当箱の蓋を開くと、隣に座ったつかさが
「お兄ちゃん、お弁当……どうしたの?」
と、──どこか不安そうに──言う。
そういや、さっきも同じような事訊かれたな。
「あれだ、お弁当交換ってやつだ。これは谷口……ああ、俺のクラスの奴の弁当でな。
俺の弁当は今、谷口が食ってるよ」
それを聞いたつかさの顔が、どういう訳か悲しそうに、それも束の間……
「おにぃちゃんの……」
徐々に、──ああ、つかさのこんな顔は久しぶりに見るな──
怒りを秘めた、泣き顔になって……
「おにいちゃんの、ばかぁーっ!」
……怒号にぐわんぐわんと揺れていた情けない脳味噌がやっと落ち着いた頃には、つかさは教室から姿を消していた。
つかさに怒鳴られた、という事実も認識できないうちに。
423 :
18-19:2008/01/14(月) 00:43:37 ID:3b9b1QWD
予測変換のばかやろおーっ!!!
……すみません取り乱しました、以上です。
あれ、なにこのつかさルート?
男女のこなかがを、って思って書き始めたはずなのに!ふしぎ!
そしてこっそり7レス使ってた事はないしょ!
そんじゃ、失礼しました。
424 :
18-19:2008/01/14(月) 00:45:55 ID:3b9b1QWD
ああひとつ忘れてた、続くよ!続きますからね!
どんくらい後になるかはわかんないけど!
それでも俺は男女こなかがを望みつつ先を期待!
まあでも、このあとのかがみの、男のフォローに期待します!
まずは
>>423GJ!
ランク付け、ちゃんと使っていただけたようで、なによりですw
GJ!
続きktkr!
待ってた甲斐があったぜ!!
かがみが選べるルートは1つじゃないことにびっくりしたw
テスト
>>373 ぐぁー!今回も胸が痛いなぁ…
かがみもいつか覚悟決めて、こなたと向き合えるといいな…
あと何となくだけど、つかさもこなたのことを…?
>>392 うぅむ…結末がElopeであるということで素直にニヤニヤできない…
次は誰の邪魔も入らない場所での逢瀬ですかな。
…本当に邪魔が入らないといいんだけど…。
>>423 妹にさえフラグ立ててるのかこの兄はww
うまくフォローしてこなたルート進んでくれるといいなー
429 :
9-727:2008/01/14(月) 04:59:42 ID:20HBRPZO
2日みないだけでレスが2倍になっているなんて……本当に恐ろしいスレです。
常套句ではありますがまとめてですみません、みなさんGJです!
そして前回のお風呂モノでみゆつか愛してる氏を触発してしまうなんてとても光栄です。
こういうのって書いててよかった、と思える瞬間ですね。
さて、私も投下させていただきます。人のいない時間だから非エロで15レス使っても大丈夫ですよね!
カップリングは多分みゆき&みなみだと思います。キャラが崩れぎみ(とくに後半のみゆきさん)ですが、
ギャグもの(?)ですので軽い気持ちで読んでいただけると幸いです。
今回も懲りずにお風呂シーンあり!では、いきます。
「……はぁ」
私の住んでいるところは街路樹が立ち並ぶ二車線の大通りに面しているけれど、
車といえば周りの住宅地に住んでいる人の車くらいしか通らないので、夜になるととても静かだ。
だから私が自分の胸を押さえる度に鳴る、この「ぺたぺた」という音も、
それに続いて口から漏らされる小さな溜息も、
どんな音にも掻き消されることなく、私の部屋の中に響いてしまう。
「…………」
高校生になれば、大きくなるはず。
中学生の頃はそう自分に言い聞かせてきた。
でも大きくなるのは身長ばかりで、一応身体測定の度に期待してみるのだけれど、
手帳の『胸囲』の欄には、毎回、数日前に自分で測ったそれと全く同じ数字が書かれているだけだった。
人生、そう都合よく思い通りにはならない。
そんなこと、わかっているのだけれど、でも、
「どうして……?」
肝心のそこは大きくならないまま、私は高校生になった。
スレンダーとか、細くて羨ましいとか、そんなことを言ってもらえるようにもなった。
けれど本来なら褒め言葉であるはずのそれも、私にとっては文字通り少し胸が痛む言葉だった。
私の向かいの家に住んでいる、昔から私と姉妹のように仲良くしてくているみゆきさん。
いつからだろうか、彼女のそこと自分のそことの差を感じるようになったのは。
年が二歳離れているとはいえ、みゆきさんのバストは、私なんかとは比べ物にならないほど大きい。
この差は何……? やっぱり、
「吸収……?」
私が少し前から密かに唱えている(と言ってもゆたかから聞いた泉先輩からの受売りの)吸収説。
もちろん本気で信じているわけではないのだけれど、
ゆたかとそのお姉さんの成美さんや、自分とみゆきさんを見ていると、
もしかしたら本当に吸収されているのでは、と思ってしまうこともある。
(吸収……できたらいいのに……)
窓の外を見ると、街路樹の隙間からみゆきさんの家がちらりと見えた。
金曜の夜の月の光は明るく私達を照らしているけれど、みゆきさんの部屋の電気はもう消えていた。
私の住んでいる住宅街は相変わらず静かで、数十分前から足音一つ聞こえてきていない。
そういえば『寝る子は育つ』という言葉もある。
……今日は早く寝ることにしよう。
「おやすみなさい」
私は部屋の電気を消して、ベッドに横になった。
「……き……っス……」
私が眠りについてどのくらいだろうか。
私は私の耳元、もっと厳密に言えば私の頭の中で何か声が響いているのを感じた。
「……きて……くだ……っス……」
どこかで聞きた覚えのある声。私の記憶の中にある声とは口調が違うけれど……
そう、確か学校で何回も聞いたことのあるような……。
「起きて下さいっス、岩崎さんっ!」
初めはぼんやりとしていた声がしだいにはっきりとしてきて、
何度目かの呼びかけで私は体を起こした。
思い出した、あなたは……
「ふぅ、やっと起きてくれたっスね」
私は初め、自分の目に写っているものを信じることが出来なかった。
寝ぼけているのかと目を擦ってみても、そこに居るのはさっきと同じ……
そう、さっきと同じ……手のひらサイズの、
「小さな、田村さん……?」
「田村さん……? だ、誰っスか、それは……?
えーっと、今更ながら一応確認させてもらうっスけど、岩崎みなみさんでいいんスよね?」
背中から生えている二つの羽根を動かし、宙に浮んでいる『小さな田村さん』からされた質問に、
私は訳もわからないまま頷いた。
彼女の姿はまるで妖精のようで、
体の周りがキラキラと輝いて、電気を付けなくてもその姿ははっきりと目に映った。
チュールの重ねられたふんわりとしたスカートが特徴の黄色いドレスを着ていて、
子供の頃に絵本で見た、年を取らない男の子の物語に出てきた、あの妖精にそっくり。
けれどそれ以上に目を惹くのは彼女の顔で、
そっくり、というものではなく、眼鏡をかけているところも、膝のあたりまであるような黒いロングヘアーも、
頭から二本の触角のようなものが可愛らしくぴょこんと出ていること以外は、
何から何まで私の知っている田村ひよりさんと同じだった。
「あなたは……?」
このような状況に置かれたならば、十人中十人がするような、ありきたりかもしれないが、当然の質問。
特に私の場合は思い当たる人物の名を一度否定されている。
もちろん、田村さんがここにいることはありえないことなのだけれど、
それでも百パーセント絶対に有り得ないことかといわれればそうではない。
けれど彼女は田村さんではないという。
では、今私の目の前にいる、『人』なのかも定かではない彼女は一体……?
「私は、『吸収の神』っスよ」
目の前の彼女は、神と名乗った。
彼女は腰に手をあて、どうだと言わんばかりの顔でこちらを見ている。
それにしても、
「吸収の……神?」
「そう、吸収の神っス。夢とか空想とかじゃなく、れっきとした、実在する神っス。
岩崎さん、さっき『吸収したい』と願ったっスよね?
吸収の神は人々のそんな願いをキャッチするっス。
つまり、岩崎さんの熱ぅ〜い思いが、私を呼び出したというわけっスね。
今までも何度か岩崎さんからは『吸収』という単語を受信してたんスけど、
なかなか『吸収したい』とは願ってくれなかったんスよ。
でも今日、ようやく岩崎さんから、『吸収したい』という願いを聞いたんで、
晴れて岩崎さんの前に姿を現すことができるようになったというわけっス」
……確かに、寝る前に『吸収できたらいいのに』とちらりと思ったけれど、
それがまさか神さまを呼び出してしまうとは誰が想像しただろう。
というかそんなに強く願ったわけではないのに……。
「細かいことは気にしないッス。私もヒマなんスよ」
神さまのわりに、随分と適当な性格みたい……。
「その神さまが、私に何の用……?」
「野暮な質問っスね〜、本当は自分でも分かってるんじゃないっスか?」
目の前の神さまは少し意地悪そうに笑った。
確かに。『吸収したい』という願いで現れた『吸収の神』。
その神さま一体何をしてくれるのか……分からないはずがない。
私は彼女が次の言葉を発するより前に、期待という名の胸の高鳴りを感じずにはいられなかった。
「私は岩崎さんに、『吸収』させてあげに来たんスよ」
ぞく、と一瞬体に鳥肌が立った。
そして段々と自分の精神が高揚してきているのが、はっきりと感じられた。
まさか、こんなことが本当に起こるだなんて。
「岩崎さんの吸収したいものは分かってるっス。ううーん、乙女の純情な悩みっスね〜」
私は彼女のほうを見て、少し目に力を込めた。
「ご、ごめんなさいっス……。
でも、吸収といってもただでさせてあげられるわけじゃないっス。
一応相手のものを奪うわけっスからね。それ相応のリスクを負ってもらって初めて、
私も力を貸すことができるようになるというわけっス」
やはりただでは吸収させてもらえないか、と少し残念だったけれど、
チャンスがあるだけ私は幸運なのだから、この機を逃すわけにはいかない。
「リスクというのは……どんな?」
このリスクこそが、きっと私にとって最重要事項。
自分が出来ることなら、少々難しいことだってこなしてみせる。
私はおそらく、今までにないほどの覚悟を決めた眼差しを彼女に向けていた。
「よくぞ聞いてくれたっス。岩崎さんのリスクは、『四つの条件』で、
これを全てクリアしなければ、私が吸収の力を使うことはできないっス。
一度に言うんで、よく聞いて下さいっス」
「…………」
自分が生唾を飲み込む音が、喉から伝わって耳に入った。
「そのクリアすべき条件とは、
@ 相手のバストを実際に見る。
A 相手にバストについて質問し、相手がそれに答える。
B 自分のバストと相手のバストを直に合わせる。
C @〜Bまでを1時間以内に行う。
以上の四つっス。いやー我ながら上手い条件だと思うんスよねー。
私の好きな漫画からビビッと閃いたんスけどね、これが……、…………」
自称「神」が他に何か言っていたようだけれど、私の耳にはもはや届いていなかった。
私は段々と自分が失望していくのを感じた。
こんなの、こんな条件、
「……できるわけがない」
「えっ?」
「できるわけがないっ!」
「今言ったっスか……? できるわけがない、と……」
「……なぜこんな条件に?」
いくらなんでも無茶すぎる。
Aは可能、@も辛うじてできるレベルだとしても、
Bはほとんど不可能だと言っていいし、さらにCという条件のおまけ付きだ。
少々無理をすればできるのかもしれないけれど、
その後、バストと引き換えに全てを失うであろうことは避けられない。
神さまは、ずいぶんと意地悪が好きな小悪魔だった。
「し、仕方ないっスよ……さっきも言った通り、
相応のリスクを負ってもらわないと……そ、そんなに睨まないでほしいっス……
それに吸収するものに関係するリスクじゃないといけないわけで……」
「条件の変更は……?」
「え、えーと……出来ないこともないっスけど……
最低限これくらいのリスクを負ってもらわないといけなくて……
それで私としてはその……折角考えたんだし私の案を採用してもらいらたいな、なんて……
い、嫌ならいいんスよ? それなら他の人のところにいくまでっスから……」
「そう、それじゃあ……」
「全くしょうがないっスね〜……って、えっ?
ちょ、ちょっと待って下さいっス! いいんスかそれで!?
よーく考えて下さいよ、吸収できるんスよ?
こんなチャンス、普通は一生に一度もないんスからね!?」
目の前の神さまは、なんだかひどく動揺しているようだった。
このままもう少し可愛がってあげようかな……。
「でも、そんな無茶な条件、できない……」
「お願いします! この通りっス!
最近全然仕事が無くって、久しぶりの仕事なんス!
これで岩崎さんにフられたら、また私は……ココ○チでメンチカツを揚げなきゃ……ううっ」
……泣かせてしまった。
まさか彼女がそこまで追い詰められていただなんて……。
あの条件だって、彼女が私のために頑張って考えてくれたに違いない。
それを、彼女の気持ちを、私は踏みにじってしまった。
そう思うと私は居ても立ってもいられず、
「あ、あの……私、協力するから、その……泣かないで……?」
「ひっく……えっ? ほ、ホントっスか?」
彼女は顔を上げて、涙で濡れていた顔を晴らせていった。
良かった、なんとか泣き止んでくれたみたい……。
「うん……私、頑張るから……」
「あ、ありがとうっス!! 岩崎さんは私の女神っス!」
彼女は小さな手で私の指を握り、ぶんぶんと大きく動かした。
こうして神さまに神と呼ばれた私は、若干の不安を胸に、彼女の条件を受け入れることになった。
というか、最初はこちらがお願いする立場だったのだけれど……
いつの間に間違ってしまったのだろう。
「いらっしゃい、みなみちゃん。
何時ぶりだったかしらねー、こうやってみなみちゃんがウチに泊まりに来るのも」
「こんばんわ、みなみさん。今日はゆっくりしていってくださいね」
「はい、おじゃまいたします」
神さまの「お風呂っス! 作戦決行はお風呂の時しかないっス!」という助言を受け、
翌日の土曜日、私はみゆきさんの家へお泊りに行った。
一応、勉強会という名目を用意してあったのだけれど、
高良さん一家は特に私に理由を聞くことなく、泊まることを了承してくれた。
「岩崎さん家も相当なもんでしたけど、この人の家もかなり広いっスね〜」
小さな田村さんこと神さまは、どうやらその姿も、声も、私だけしか感知できないようで、
私の横で羽をぴこぴこと可愛く羽ばたかせながら、感嘆の息を漏らしている。
「じゃあ、後でお茶を持っていくわね」
「ありがとうございます」
「ありがとうございます、お母さん。では、私の部屋に行きましょうか、みなみさん」
「はいっ」
ゆかりおばさんの言っていたとおり、
みゆきさんの家にあがるのは久しぶりだったのだけれど、
お家の中も、そして今居るみゆきさんの部屋も、前におじゃましたときとあまり変わりはないようで、
強いていうならばみゆきさんの机の上にある、
大事そうに写真立ての中に入れられた写真は、今までに見たことがないものだった。
「これは、去年の夏に泉さん達と海に行ったときの写真なんです。
黒井先生や、小早川さんのお姉さんの成美さんもご一緒で、
とても賑やかな、楽しい旅行だったことを覚えています」
みゆきさんは思い出したようにそっと笑い、その時のことを話してくれた。
行きの途中、成美さんが壮絶なカーチェイスを繰り広げたこと、
泉先輩がスクール水着を用意していて、けれどそれがとても似合っていたこと、
みんなで入ったお風呂で、石鹸を踏んで転んでしまったことなど、聞けば聞くほど興味深い話ばかりで、
聞いている私も一緒にそこへ行ったような、とても楽しい気持ちになった。
いつか、私達――ゆたかや、田村さん、パティ達も、一緒にそんな経験が出来るのかな。
今度、みんなにこの話をしてみよう、と私は心の中で小さく決めた。
「みゆきー、みなみちゃーん、夕ご飯の用意が出来たわよー」
みゆきさんと話していると時間があっという間に過ぎてしまい、
ゆかりおばさんが私達を夕飯に呼ぶ声が聞こえた。
「今日はみなみちゃんが来てくれたから、久しぶりに張り切っちゃった」
と言ってゆかりおばさんがテーブルに持ってきたのは、
トマトをベースに、色とりどりの野菜が散りばめられたスパゲティで、
視覚だけでも食欲をそそられるのに、さらにとても良い香りがしていて、
ゆかりおばさんの張り切り具合を私達に伝えるのには、十分すぎるぐらいだった。
また、オーブンの中からは、薄く輪切りにされたピーマンが目を惹く丸いピザが出てきて、
それもスパゲティ同様、早く口に運びたいという欲求を刺激させる、おいしそうなものだった。
「う、うおおっ、た、食べたいっス!!」
神さまの言うことに私も同意で、私はすぐに席に付いて手を合わせた。
「「いただきます」」
「はい、召し上がれ♪」
ぱく、もぐもぐ、ごくん。
私とみゆきさん、二人の音が重なる。
「とても美味しいですよ、お母さん」
「はい、とても美味しいです」
見た目と香りに違わず、味もとても美味しい料理で、
失礼かもしれないけれど、普段のイメージとギャップのあるその腕前に、私はいつも驚かされる。
「ふふっ、私もやればできるのねっ」
そう言って音符マークを出しながら、うきうきと台所へ戻るゆかりおばさんは、
可愛らしい、という表現が一番似合っていて、
どちらかと言えば落ち着いた物腰のみゆきさんとは対照的で、なんだか面白いな、と思ってしまう。l
「わ、私にも一口下さいっス! お願いっス!!
神は怪我とかしても全然平気ですし、食べなくても死にはしないっスけど、
これを横で見てるだけっていうのはあまりにも酷っス!!」
私の横で少し涙目になりながら料理を懇願する神さまに、
私は気づかれないようにそっと小皿にピザを一切れ乗せて、
隣の空いているイスの上に、二人から見えないようにそれを置いた。
「あ、ありがたいっス……! この恩、一生忘れないっス!
あむ、あむ……うおおおお、美味いーーーーーっ!!」
すっかり立場が逆転してしまった神さまを見て、
神さまに一生とかあるのかな、とか、もう少し神さまらしくしてほしいな、と考えながら、
私はまたフォークにスパゲティを巻きつけ、口に運んだ。
「あ、もうこんな時間なんですね。みなみさん、お風呂にしましょうか」
夕飯の後、私と勉強会をしていたみゆきさんは、そう言って開いていた参考書を閉じた。
お風呂。
その言葉を聞いて、はっと思い出す。
みゆきさんと過ごす時間が楽しくてつい忘れてしまっていたけれど、
私の本来の目的は今日、みゆきさんのバストを吸収することだった。
私はみゆきさんが後ろを向いた隙に、机の上で寝息を立てていた神さまを叩き起こした。
「ふぇっ!? も、もう朝食っスか!?」
「これから、お風呂」
私は小さく神さまに告げた。
「おふ……ろ……? じ、冗談っスよ、冗談……。
まかしといて下さいっス。と言っても、頑張るのは岩崎さんのほうっスけどね」
そう、私の本当の戦いはこれから。
みゆきさんのバストを吸収出来るか出来ないかの大勝負。
とは言っても、あんなに優しくしてもらったみゆきさんから
バストを奪うということをしてしまうのは、今更ながら気が引けているのも事実なのだけれど。
「大丈夫っスよ。今まで吸収されていた分を取り返させてもらうだけっス。
それにあのみゆきさんって人、かなりのバストみたいっスから、
ちょっとくらいなくなっても気が付かないっスよ。ひっひっひ」
私の耳元で神さま、もとい悪魔の囁きが聞こえる。
その顔は、誰がどう見ても神さまには見えない。
でも……うん、そう。
今までの分を返してもらうだけ。
だから……ごめんなさい、みゆきさん。
「では、お先に入らせていただきますね。また後で」
「待ってください……みゆきさん」
「はい、何でしょう、みなみさん?」
あくまで自然に、あくまで自然に……。
「今日は……一緒に、入りませんか……?」
「みなみさんとご一緒に……ですか? ふふ、いいですよ。
なんだか昔のようですね。では、行きましょうか、みなみさん」
ふぅ……ひとまず作戦成功。
優しいみゆきさんのことだから、
私の提案にも少しも疑問を持つことなく賛成してくれると思っていたけれど、
やはりこうして実行に移してみると少しは緊張するもので、
私はまず、計画の第一歩を踏み出せたことに安堵するとともに、
これから始まる戦いに向けて、体が少し強張っていくのを感じた。
「いよいよっスね……岩崎さん」
「うん……きっと、大丈夫」
私は自分に言い聞かせるようにして呟き、お風呂の用意を持って、みゆきさんの部屋を後にした。
「昔のよう、とは言っても、やはり今では少し恥ずかしいですね」
と、タオルで前を隠しながらみゆきさんははにかむようにして笑った。
小さい頃、みゆきさんとはよく一緒にお風呂に入ったものだけれど、
そのときは全く気にすることのなかったみゆきさんのバストは、
タオルに隠れていてもしっかりと自己主張している。
もちろん、みゆきさんがお風呂に入るときにタオルを使うことは、最初から予想していた。
事前に神さまとした打ち合わせによると、@の「相手のバストを実際に見る」という条件は、
やはり包み隠さず全部見なければいけないらしい。
しかし、体を洗うときは嫌でもタオルを外さなければならないので、
この条件に関しては私はほとんど心配していなかった。
そしてBの条件が最も難関であることは言うまでもないのだけれど、
Aの「相手にバストについて質問し、相手がそれに答える」という条件も、意外に難しいものだった。
ただ質問して、みゆきさんが答えるのは簡単なのだけれど、肝心なのは質問の内容で、
バストに関する質問となると、どうしても生々しい質問になってしまい、
口にする恥ずかしさと、質問のタイミングがネックになってくる。
内容も幾つか考えたのだけれど、これといった良いものは出てきてくれず、
仕方がないので「バストのサイズ」についてという、シンプルなものを今のところ用意しているけれど、
ただ、この質問の場合、みゆきさんがはっきりと答えてくれるかどうかが微妙なラインで、
神さまによると、相手からの答えの内容ははっきりとしたものでないといけないらしく、
分からない、などといった答えはノーカウントになるそうだ。
けれど「大体〜くらい」という風ならOKらしく、
この条件のクリアには少々運が絡んでいると言ってもいいかもしれない。
そしてクリアの順番に関しては順不同で、
@〜Bのうち、どれか一つをクリアした地点から、Cの条件のいうところの一時間が始まるらしく、
お風呂に一時間も入っているかどうかは分からないけれど、
Cの「@〜Bまでを1時間以内に行う」という条件に関しては、
それほど心配しなくてもいいように思えた。
しかし、さっきも言ったとおり、Bの「自分のバストと相手のバストを直に合わせる」という
条件が一番難しいのにも関わらず、私は未だ、この鬼門を突破する手段を考え付いてはいない。
寝ている隙に、というのも考えたけれど、その方法はあまりにもリスキーで、
第一、みゆきさんが寝付くまで待っていなければならず、
その前にAの条件もクリアしていないといけないので、
やはりお風呂のときに全てクリアしてしまうほうがいいように思えた。
けれど、一体どうやって「胸と胸を合わせる」という不自然な行為を、
違和感のないように実行すればいいのだろう。いくら考えても、全く良い案は浮かびそうになかった。
どうしよう、一体、嗚呼、神さまでも居ればいいのに……(横に居るけれど、何もしてくれないし……)
「大丈夫ですか、みなみさん?」
というみゆきさんの声で、私ははっと現実に引き戻された。
みゆきさんは少し癖のあるピンクの綺麗な髪を流し終えていて、
どうやら私は、みゆきさんが髪を洗っている間ずっと吸収のことを考えていたようだ。
こうしている間にもどんどんお風呂の時間はなくなっているというのに、
このままでは一つの条件もクリアできないまま終わってしまいそうだった。
「みなみさん、お風呂に入ってからずっと黙ったままでいらしたので……
もしかして、のぼせてしまいましたか……?」
「い、いえ……大丈夫です……」
「それなら良いのですが……」
駄目です、みゆきさん……あまり優しくされると、決心が鈍ってしまいます。
今までの分……今までの分……返してもらうだけ……よしっ。
「はぁー、私も帰ったらゆーっくりとお風呂に入りたいっスね」
神さまの声は無視して、自分のすべきことを考えないと……。
「あ……みゆきさん、その……背中、流してもいいですか……?」
まずはみゆきさんに近づこう。そうすれば、自ずと@やBのクリアに繋がるはず。
「あら、よろしいのですか? ふふっ、では、お願い致しますね、みなみさん」
私はみゆきさんの声に従い、浴槽からあがり、小さな座椅子を持ってみゆきさんの背中側に腰掛けた。
この座椅子は私達がまだ小さいとき、こうして体を洗いあったりするときによく使っていたもので、
私はそのときの光景を思い出して少し懐かしい気持ちになった。
尚、みゆきさんは背中にかかっていた髪を片方にまとめて前に垂らしていたので、
バストが丁度髪の毛で隠される形になってしまい、残念ながら私が@の条件を満たすことは難しそうだった。
「痛く……ないですか?」
「はい、とても気持ちがいいですよ、みなみさん」
みゆきさんから受け取ったタオルを手に、綺麗な色白の背中を傷つけないように丁寧に泡立てて滑らせていく。
なんてことのない動作なのだけれど、光るようなその美しい肌を見ると、
まるでレコードに針を乗せるときのように、なんだか慎重になってしまう。
タオルを持っていないほうの手でつつ、となぞってみると、
まるで雪でもさわっているかのようにさらさらとしていて、もしみゆきさんの名前を漢字にするとしたら、
美しい雪、と当てるのが一番相応しいのかもしれないな、と私はふと考えた。
そのうちみゆきさんが、
「あ、あの……く、くすぐったいです、みなみさん……」
と、肩をすこし震わせながら言ったので、私は慌てて撫でていた手を引っ込めた。
「ありがとうございました、みなみさん。
では、今度は私が流させていただきますね」
そう言うとみゆきさんは座椅子を持って私の後ろに回り、そっと腰掛け、
私から泡のついたタイルを受け取った。
「こうしていると、やはり小さいころを思い出しますね」
優しく私の背中を撫でながら、みゆきさんは続けた。
「あの頃はみなみさんが私を姉のように慕ってくださっていたので、
私も可愛らしい妹が出来たみたいで嬉しかったんですよ。
けれど、みなみさんは少し恥ずかしがり屋な方でしたので、
私以外の方に人見知りをしてしまっていないかどうか、心配でもあったんです。
ですが……そんなことは取り越し苦労だったようですね」
みゆきさんは小さくふふ、と微笑って、
「最近のみなみさんは、よく笑われるようになりました。
特に先ほど、私の部屋でお友達の小早川さんや田村さん、パトリシアさん達の話をしていたときのみなみさんは、
それはもう楽しそうに笑っていらして、みなみさんがとても優しいご友人に囲まれ、
楽しい学校生活を送っていらっしゃることが伝わってきました。
私はそんなみなみさんを見ることができて、とても嬉しく思うんですよ」
みゆきさんは動かしていた手を止め、鏡越しににこりと私に向かって微笑んだ。
私もみゆきさんの笑顔につられるように、自然にみゆきさんに向かって微笑んでいた。
それから二人で体の残りの部分を洗い、シャワーで流し合いをしてから一緒に浴槽に浸かった。
「温かいですね、みなみさん」
「はい……とても……」
二人で入るお風呂は一人のときよりも少し温かい気がした。
なにもかもを忘れてしまいそうなほど安心できるひと時。
なんだかこのまま眠ってしまいそうだ。
そういえば、なにか大切なことを忘れているような……。
「あのー、岩崎さん……? 吸収のこと……忘れてないっスよね?」
吸収……? 外部にあるものを内部に吸いとること……?
それよりもこの小さな人は一体誰……?
……ああ、思い出した、確か吸収の神様だった。
それで彼女は吸収って言ってたみたい……。
そしてさらに思い出したことは、私は今吸収のためにみゆきさんのおうちに来てて、
今はその作戦の真っ最中ということ。
私はこのお風呂の間に課せられた条件をクリアしなくちゃいなくて……
ああ、よかった、全部思い出すことが出来た。
思い出すことができたということは、つまり、
私は今の今まで、吸収のことをすっかり、
「忘れていた……」
「どうかしたんですか、みなみさん?」
「い、いえ、なんでもありません……」
本当はすごく大事なことだけれど……というかみゆきさん、あなたが原因です。
みゆきさんといると優しさに包まれて、つい幸せな心地になってしまうから……。
「なんだか良さげな雰囲気だったから声をかけずにいたんスけど……
それよりもどうするんスか!? 気付けばもうお風呂は終わりみたいな感じじゃないっスか!
条件も一つもクリア出来てないみたいっスし……」
そう、私は結局条件@すらクリアすることが出来なかった。
条件をクリアしたら神様が二つの触角でそれをビビッと感知するらしいので、
彼女がまだそれを感知していないということは、やはり駄目ということらしかった。
おそらく何度かは目に入っていたのかもしれないけれど、
はっきりと「見た」という認識が無ければクリアしたことにならないということなのだろう。
こうやって思案している間にも、段々とタイムリミットはやってきている。
一体どうすればいいのだろう。
水面に口を近づけて息を吹いてみる。ぶくぶくぶく。
「何遊んでるんスか岩崎さん!」
人間、焦ると本当にどうしていいか分からないというのは本当のようだった。
私は顔を上げ、みゆきさんのほうを見た。
とりあえず、条件を一つでもクリアしなければ……
「あの……みゆきさんのバストは、どのくらいなのでしょうか……」
あまりに不自然すぎるタイミングで、あまりに不自然すぎる内容の質問。
しかし今私はそんなことに気を使う余裕はなかった。
とりあえず一つでも多くのクリアを。ただそれだけしか頭に無かった。
「ば、バスト……ですか? どのくらい、と申しますと……サイズをお答えすればよろしいのでしょうか……」
突然の質問に、さすがのみゆきさんも目をきょろきょろとさせ、慌てているようだった。
私はみゆきさんの顔を見つめたまま、首を一度だけ縦に動かした。
「その……あまりはっきりとはお答えしにくいのですが……ええと……ごにょごにょ」
「!!」
みゆきさんに耳打ちされて聞いた数値は、私の想像を上回るものだった。
私のサイズで一番近いゾロ目なんかとは比べ物にならないくらいのゾロ目……。
なんだか溜息が出てしまう。はぁ……。
「きたきたぁっス! Aの条件クリアっスよ!!」
私がみゆきさんからバストのサイズを聞いたのと同時に、神様の触角がビビッと反応し、
彼女の体が一瞬輝きに包まれた。今神様は私の横で楽しそうに踊っている。よし、この調子。
しかしこの調子、とは言っても、一体これからどうすればいいのだろう。
まずは@のバストを実際に見る、からクリアすべきだろうか。
でもさっきみたいにいきなり「バストを見せてください」なんてことは言えないし、
いや、もう勢いで言ってしまったほうが……?
みゆきさんなら戸惑いはするだろうけれど、多分見せてくれるだろうし……。
でも、やっぱりそんな強引な手段は使いたくないから、横目でみることにしよう。
……
…………
駄目。波が立ってて上手く見ることが出来ない……。
「あの……どうされたのでしょう、みなみさん。先ほどから様子が変なようですが……」
「あ、いえ……なんでもありませんから……」
私はまたみゆきさんに心配されてしまった。
そんなに挙動不審になっているのかなと、少し恥ずかしくなる。
「やはり、具合が悪いのではないですか?
無理をしてはいけません、やはり、もう出ましょう、みなみさん」
みゆきさんはざばぁとお湯を波立たせて湯船から出て、
私の方に振り返って少し屈み、私の手を取った。
「えっ……あっ……」
みゆきさんがそんな体勢になるものだから、私は間近でばっちりと二つのそれを見てしまったわけで……
「おおっ! またきたぁっス!! この調子で最後までいっちゃいましょう、岩崎さん!」
予期せぬところで私は条件をもう一つクリアすることとなってしまった。
それにしても……本当に二つ歳が離れているだけなの……?
と、私は少し泣きたい気持ちになった。
そんな私とは対照的に、神様はまた手と足を動かして楽しそうだ。なんだか可愛らしい。
「立てますか? みなみさん」
みゆきさんは誤解をしたまま、私の目をまっすぐに見つめている。
「え、あの、違うんです、本当に……」
「みなみさんは優しい方ですから、私に心配を掛けまいとしてくださっているのですね。
でも今はお体のほうが大切です。どうか、無理をなさらないでください」
みゆきさんの大きな瞳に移った自分の姿を見て、私はふと今日あったことを思い返していた。
玄関でのお出迎え、みゆきさんの部屋、食事の時間、そしてお風呂……
いつもそこには、昔と変わらない優しいみゆきさんが居た。
いつでもこうして私を優しく見つめていてくれていて、
柔らかな笑顔と、温かな包容力で、私を守ってくれていた。
あなたは……本当に素敵な方ですね。
私は自分が情けないです。
そんなあなたを騙して、バストを奪おうとしていたんですから。
やっぱり、こんなこと……いけませんよね。
「はい、すみません……みゆきさん」
私はみゆきさんに手を取られながら、静かに立ち上がった。
「で、出ちゃうんスか、岩崎さん! せっかくここまで来れたのにっ!」
そう神様は言うけれど、みゆきさんのあの目を見てしまっては、
たとえ百戦練磨の武士といえど、一秒で戦意を失ってしまうだろう。
私は神様のほうを見て、こくりと頷いた。
「岩崎さん……それが岩崎さんの選んだ道なんスね……。
もう私は何も言わないっス! 岩崎さんは頑張ったっス、感動をありがとうっス!!」
神様は目の辺りに腕を当て、涙を拭う仕草をしている。
私こそすみませんでした、神様。結局お仕事、させてあげられませんでしたね。
私は足を浴槽の外に出し、みゆきさんとお風呂場の入り口に向かった。
けれど、みゆきさんがドアの持ち手に手をかけたのと同じくらいに、
どういうことか私の視界がぐらりと揺らぎ、ぼうっとした感覚に襲われた。
まさか、お風呂の中でいろいろ考えてるうちに本当にのぼせてしまった……?
「みゆきさん……」
「大丈夫ですか、みなみさん!」
私は体を支えてもらおうと、みゆきさんを呼び止め、ふらつく足でみゆきさんに近づいた。
「すみません、みゆきさ……あっ!」
「!!」
しかし、突然の歪みに対応しきれない私は体をうまくコントロールすることが出来ず、
思い切りみゆきさんに飛びついてしまい、ふわり、と体に柔らかいみゆきさんの感触が伝わってきた。
最後の最後で本当に心配をかけてしまったな、と申し訳ない気持ちだったけれど、
めまいが治まるまでの少しの間、私はずっとみゆきさんに抱きついていた。
けれど、胸に感じるこのふわふわとした感じ、これってまさか……?
「うおーーっ! きたぁーーっ!!」
と、神様が叫んだのを聞いて、私は全てを確信した。
みゆきさんに倒れ掛かってしまったことにより、
私は偶然にも、Bの「自分のバストと相手のバストを直に合わせる」という条件をクリアしてしまったのだ。
「全ての条件クリアっス! さすがっスね岩崎さん!!
いやー、すっかり騙されたっスよ。神をも欺くとは、見事としかいいようがないっス」
と、神様は私の顔の横で嬉しそうにしている。
クリアできたのは全くの偶然で、騙すつもりなんてこれっぽっちもなかったと私は弁解したかったけれど、
みゆきさんが居る手前、声を出すことができないのがとてももどかしい。
なので首を横にふるふると震わせてみるけれど、神様は私が条件をクリアしたことがよほど嬉しかったのか、
そんなことには気付いてもくれなかった。
「派手な演出とか全くなくて申し訳ないんスけど、もう吸収は終わってるんで、
あとは一晩眠れば明日の朝にはもう効果が出ているはずっス。よかったっスね、岩崎さん」
そう神様は言ってくれるのだけれど、もう私には吸収する気はなかったわけで、
結果的には嬉しいことが起こるのかもしれないけれど、私はとても複雑な心境だった。
「あ……すみません、みゆきさん……」
私は長い間みゆきさんに抱きついていたことに気付き、
めまいももう治まっていたこともあってみゆきさんから離れた。
「あの、みゆきさん……?」
けれどみゆきさんは上の空、といった具合に遠いところを見つめていて、
私が呼びかけてもしばらくは何も反応してくれなかった。
「はっ……す、すみません、みなみさん。お体の調子はよろしいですか?」
「はい、もう大丈夫です。それより、みゆきさんこそ、大丈夫ですか……?」
「え、ええ、何でもありません。では、もう出ましょうか、みなみさん」
私は本当にどうしたのかな、と思ったけれど、みゆきさんが大丈夫というのでそれほど気にも留めず、
私達がお風呂から出て体を拭き終わる頃には、そのことをすっかり忘れてしまっていた。
「おやすみなさい、みゆきさん」
「は、はい、おやすみなさい、みなみさん」
お風呂から出た後、少しだけおしゃべりをして、私は客間へと向かい、
用意されていたベッドに体を潜り込ませた。
目を閉じてから少しした後、私は自分の居る部屋のドアが開く音と、
それからこちらに向かって近づいてくる足音を聞いた。
誰かな、と思って目を開けると、最初は暗くて分からなかったけれど、
みゆきさんのようだったので、
「みゆきさん……?」
と聞いたのだけれど、そのみゆきさんらしい人は何も答えずに私のベッドの中に潜りこんできた。
私は少し不安になったけれど、やがて目の前に、
私に覆いかぶさるようにしてみゆきさんの顔が現れたので、その不安もすぐに消えてしまった。
みゆきさんは相変わらず何も言わずに、いつもの柔和な表情とは違う真剣な眼差しで私を見つめていた。
「みゆきさん、どうしたんです……」
そして私はみゆきさんに質問し終わる前に、みゆきさんの唇にで口を塞がれた。
バストと同じくらい柔らかいみゆきさんの唇……って、
「み、みゆきさんっ!?」
私は驚いて、みゆきさんの肩を持って唇を引き離した。
今、私は確かにみゆきさんにキスされた。でも、一体何故、どういうわけなのか、全く分からない。
パニック状態になる私に、みゆきさんは、
「今日……ずっとみなみさんの熱い視線を感じていました。
とくにお風呂場では、私のバストを食い入るように見つめていましたね」
確かに今日は吸収のこともあって、みゆきさんを意識して見つめるときが多かったかもしれないけれど……
というか、まさか、この展開は……?
「さらにあのような質問、そして最後の情熱的な抱擁……。
私はみなみさんの、本当の気持ちに気付いてしまいました。みなみさんは……私の体に大変な興味がおありのようですね」
「!!?」
私は必死に顔を横に振った。
勘違いをしている。みゆきさんはものすごい勘違いをしている。
私はお風呂でみゆきさんに抱きついてしまったときのことを思い出した。
そういえばあの時、何か様子がおかしかったような気がしたけれど、
まさかあの時、私がみゆきさんの変なスイッチを入れてしまった――!?
「うふふ、恥ずかしがらなくてもいいんですよ。
今日は私がたっぷりとみなみさんに、私のことを教えてさしあげますからね」
と、みゆきさんはにこりと笑った。
その笑顔には逆らえないような、絶対的な何かが込められていると感じた。
もう、私はこのままみゆきさんの餌食になるしかなさそうだった。
さっき、昔と変わらないなんて思いましたけど、あなたは随分と変わってしまったんですね。
私は藁にもすがる思いで神様のほうを見ると、神様はうずくまって体を小さく震わせ、
二つの触角を動かしながら、体をキラキラと輝かせていた。
ということはつまり……
「おおおおっ!! き、来てるス! 最高の反応っス!!
私の触角が、今岩崎さんがみゆきさんと体を重ねれば、超ド級の吸収が出来ると告げているっス!!
この機を逃す手はないっス、岩崎さん! やっちゃって下さいっスーーーー!!!!」
なんということなのだろう。
神のお告げは、私にこのままみゆきさんに食べられてしまうことを望んでいるようだった。
「ふふ、ふふふ……」
自然と笑い声が、口から漏れた。
こうなったら、いけるとこまでいってしまおう。
みゆきさんの全てを吸収するつもりで、受け入れてやるっ……!
「では、最後のお勉強会を始めましょうか、みなみさん……」
その日の夜、私はみゆきさんのバストの大きさと絶倫ぶりを、身を持って体感した。
「う……ん……」
明くる日の日曜日の朝、カーテンの隙間を縫う太陽の光と、囁くすずめ達の声で私は目を覚ました。
みゆきさんはまだとても幸せそうな顔で眠っている。
ふらつく足取りで私はみゆきさんの部屋に戻り、頭をぼーっとさせたまま着替えて、荷物をまとめ、
持ってきたノートに書置きをして、破いて机の上に置いた。
みゆきさんには悪いけど、今日はこのまま帰らせてもらおう。
もし今日もう一度みゆきさんと二人きりのときに目が合えば、
私はみゆきさんにもっとすごいことをされてしまいそうな気がするから……。
「昨日はおじゃま致しました……みゆきさんにもよろしくお伝え下さい……」
「いいのよみなみちゃん。またいつでもいらしてね」
覇気の無い声でゆかりおばさんに挨拶をして、私は自分の家へと戻った。
高良家に、壮絶な思い出を残して。
「ふう……」
私は自室に戻り、ベッドに寝転んだ。
昨日は本当にいろんなことがあったな、と思い返して、すぐにやめた。
でも、なんであんなことになったのだろう……?
「そうだ、吸収……!!」
私はベッドから飛び起きて、鏡の前に立った。
そうだ、そうだった。私は吸収のためにみゆきさんの家に行ったんだった。
そして吸収は大成功。さっきの着替えのときにはぼーっとしてて忘れていたけれど、
どのくらいになったのか、早く確かめてみないと。
きっと、夢にまで見た大きなバストが……
「えっ……」
シャツを脱ぎ、ブラを外すと……そこにはいつも通りの起伏の無い胸が写っていた。
子供のころから変わることのない、見るのも飽きるほどの胸。
でも何故? 吸収は成功したはずじゃ……?
私は動揺し、しばらくして落胆した。夢だったのかと疑いもした。
しかし破かれたノートや荷物を見ると、やはり夢ではなかったのだと分かった。
では、最初から神様などいなかったのだろうか。
私のバストの吸収を手伝ってくれる神様など、最初から存在していなかったのだろうか。
そう考えると、すべてのつじつまが合う。
神様は、私があまりにバストにコンプレックスを抱いているために作りだしてしまった、偽りの存在。
だから他の誰にも見えないし、声も聞こえない。私だけが知覚できる。
吸収の力なんていうのも全て空想。空想だから、効果も無い。
想像の条件を満たしても、バストなんて、増えやしないんだ。
……そうか、そうだったんだ。全部……「嘘」だったんだ。
「ふふ、ふふふふ……」
昨日と同じみたいに、自然に笑い声が漏れてくる。
おかしくて、仕方がない。あれが、全部自分の作った嘘だったなんて。
「あは、あははは……あはははははは……!!」
乾いた笑いは止まることがなかった。
頭のネジが飛んでいったみたいに、私はしばらく笑い続けた。
「あ、あの〜……岩崎さん……」
「あははは……えっ?」
突然、頭の中に響くような聞き覚えのある声がして、私の笑いは止められた。
「神様……?」
「そうっス、夢とか空想とかじゃなく、れっきとした、実在する神っス」
目の前の彼女は、神と名乗った。
彼女は机の上のペンを持ち、置いてあったノートに文字を書いた。
ノートには確かに私のではない字で「ごめんなさい」と書かれている。
やはり、神様はちゃんと実在するようだ。
私はひどく安心した。よかった、嘘じゃなかったんだ。
でも、「ごめんなさい」って、一体……?
神様は、何だかすごく申し訳なさそうな顔をしている。
「あの……バスト、見たんスよね……」
そう、そういえば神様が本当に存在するということは、吸収の条件の話も本当だということで、
それが成功したにも関わらず私のバストはそのままなのには、何か理由がないとおかしくなる。
「うん……そのまま、だった……」
「す、すみませんっス!!」
神様は机の上に乗って、土下座した。
「どういうこと……?」
「実は、条件のクリアまでは大成功だったんスけど……。問題は……その後のことでして……」
「その後……?」
というと、
「はい……みゆきさんとの……えーと、『お勉強会』のことっス……」
瞬間、フラッシュバック。
「い、岩崎さん? 大丈夫っスか?」
「う、うん」
「えと、そのときに私の触角の反応通り、超ド級の吸収に成功したんスけど……。
それが、私の想像を遥かに超えるほどの吸収量でして……」
「それで……?」
「吸収されたものは一旦情報になって私を経由して岩崎さんに届くんスけど、
その……それがあの時は私のキャパシティを超えてしまったというか……なんというか……
つまり、私が処理できないほどのデータが一気に流れ込んできてしまったというわけでして……」
「それで?」
「行き場を無くした想定外の膨大な量のデータは、
今まで蓄積してきたものを吹き飛ばして逆流させてしまうほどの、ものすごい『爆発』を引き起こしたんス……。
い、岩崎さん……目が……」
「そ れ で ?」
「ひっ……あの、その、つまり、全部パーになったというか、おじゃんになったというか、
私も全然予測できない初めての事態でして、私が未熟なばっかりに、申し訳ないっス、ホントに、
あの、またご縁があったらお仕事させていただきますんで、さような……ひいっ!」
「……逃がさない」
私は飛んでいこうとする神様の足を持って、彼女を引き止めた。
「あなたのせいで、私とみゆきさんの関係はめちゃくちゃ」
「あ、あの……本当に、ももも、もうしわけなななな……」
「神様は、怪我とかしても全然平気……でしたよね?」
「え、そ、そうっスけど……あの、お手柔らかに頼みます……」
せーの、
「ぺたぺたぺたぺたぺたぺたぺたぺたぺたぺたぺたぺたぺたぺたぺたぺたぺた
ぺたぺたぺたぺたぺたぺたぺたぺたぺたぺたぺたぺたぺたぺたぺたぺたぺた
ぺたぺたぺたぺたぺたぺたぺたぺたぺたぺたぺたぺたぺたぺたぺたぺたぺた
ぺたぺたぺたぺたぺたぺたぺたぺたぺたぺたぺたぺたぺたぺたぺたぺたぺた
ぺたぺたぺたぺたぺた YURYYYYYYYYYYYYYYYY!!!!
ぺたぺたぺたぺたぺたぺたぺたぺたぺたぺたぺたぺたぺたぺたぺたぺたぺた
ぺたぺたぺたぺたぺたぺたぺたぺたぺたぺたぺたぺたぺたぺたぺたぺたぺたぺたぺたァ!!!!」
「ヤッダーバァアァァァァアアアアア」
私の「ぺたぺたラッシュ」を受けて、神様は壁をすり抜け、ゴミ収集車に飛んでいった……ような気がした。
今日は早く寝よう……なんだかとても、疲れたから……。
次の日、電車の中でみゆきさんからの熱い視線を感じながら、
もう二度と吸収説なんて信じないと、私は心に決めたのだった。
「みなみちゃん、おはよう!」
「おはよう、ゆたか」
「あ、おはよう、岩崎さん」
「…………」
「ん、どうしたの、岩崎さん」
「……神様の、バカ」スタスタ
「い、岩崎さん!?」
「田村さん、みなみちゃんと何かあったの?」
「ううん、何にもないはずなんだけど……(ま、まさか同人誌を見られた!?
それで、内容には満足だから私を神だと思っているけれど、バストが小さめだったから怒ってる、とか……?)
い、岩崎さん、ちょっと待って! 今度はもっとバスト大きめに描くから〜!!」
445 :
9-727:2008/01/14(月) 05:21:41 ID:20HBRPZO
これで終わりです。みなみちゃん理不尽すぎ!
書き終えた感想としては、わけのわからない作品を作ってしまったなぁと(笑)
最初はギャグ路線でいこうと思ったのに途中で義姉妹愛的な話になって……
みゆきさんがキャラ崩壊して結局あんなオチになってしまいました。
そして保管庫をチェックしてみたら12-482氏の
「攻めのみゆき、受けのみなみ」という作品とみゆきさんのキャラが少しかぶってて、
13話のアニメ店長よろしく「あーーーーーーーーー!!!」って感じでした。
あと「あれ?これゴッドさんともかぶってね…?」とも書いてて思いました。
でも反省はしていませ(ry 神様ひよりんは書いてて楽しかったです。
読んでくださった方、ありがとうございました。
GJ!!
みなみん可愛いよみなみん
最後のひよりんの「次はバスト大きくするから」発言が可愛くてツボった
かみ☆フェチの俺としてはぜひゴッドかなたさんバージョンも期待しております!!!!
>>445 待ちに待ったみゆみなキター!!!
仲良し姉妹っぽいみゆきとみなみがずっと見たかった私にとって
これはご褒美以外の何物でもない!感動した!超GJ!!!
吸収の神様は役立たなすぎだなwwww
しかし、みなみは欲しかった物が手に入らなかった代わりにdでもない物を
手にいれてしまったようで・・・うーむ、これからみゆきさんはもっと「お勉強」に
励むようになるのかなぁ
あ、でも案外みなみの胸ほんとに大きくなるかもよ?ほら、そういう行為
してるとホルモン分泌とやらで性徴作用が促進されて・・・っておんや?
みなみさん、なんでそんな怖い顔して後ろに立っtくぁwせdrftgyふじこlp;
ああ、壊れてるみゆきさんは輝いてるなあ。
ゴッドひよりんとかお人よしのみなみちゃんとか、色々可愛くてぐっじょぶ。
しっかし、このスレも神ポジションのオリキャラが増えたなあ。
1-808さんちの漫画の神にぶーわさんちのゴッドかなたさん、久留里さんちのバカマルコに今回のゴッドひよりん。
そのうちオリンポス12神とか言い出しそうだ。オリだけに。
>>445 みなみん可愛くてGJ
そしてゴッドひよりんが良い味出してますね。
では私も投下したいと思いますが、
投下予定の方、居ますでしょうか?
居ないようでしたら、数分後に投下したいと思います。
450 :
22-468:2008/01/14(月) 10:03:36 ID:S2f1do2g
それでは投下させていただきます。
タイトル『IFから始まるStory 第3章 別れへのカウントダウン【前編】』
31スレ目『IFから始まるStory 第2章 巡る想い』の続き
注意事項
・かがみ視点
・かがみ&こなた
・非エロ
・7レス使用させて頂きます。
・パラレル(つかさが稜桜を落ちたという設定)でシリアス
↑苦手な方はスルーで御願いします。
木枯らしが吹くと、視界一面に枯れ葉の絨毯が広がり
寒空の中で揺れ動く枝先には春の到来を急かしているような桜色の蕾があった。
それは何十回も繰り返されてきた自然の摂理に他ならないが
樹木の大群に囲まれるように、1本の樹だけが寒々しい焦げ茶色をしていたのを
私は良く覚えている。
そんな桜達が一斉に花開き、狂うように咲き誇っている情景は
恋に焦がれた私の心を投影しているみたいで、なんだか不思議な気分にさせてくれる。
「こなたも見たかな・・・この桜を」
恋は盲目なんて言われているけど、だからこそ見えるものだって有る。
同じ笑顔でも微妙に変化しているし、
気丈に振る舞っていても憂いを帯びた雰囲気は伝わってくる。
でも、私が手を差し伸べる事は出来ない。
頭上に広がる桜の花弁に触れられないのと同じように。
その桜の木も段々と深い緑色に包まれ始め
季節は春から初夏へと移り始めた休日の昼下がり、
つかさの喚き声を発端に私達の物語は加速度的に終幕へと近づいていった。
「うわぁぁぁぁん!!」
「ねえ、つかさ。泣いてばかりじゃ分らないわよ。何があったの?」
「グス、グス・・・こなちゃ、に・・・うわぁぁぁん!」
我が家に響き渡るつかさの泣き声は、既に半時を経過していて
それでも無尽蔵に零れ落ちる涙と、枯れる事の無い声で
これは唯事では無いと直ぐに分かった。
そして、その泣き声に邪魔されながらも
懸命に会話を繋げようとするつかさの口から発せられた単語は
私の思考能力を急激に低下させ、理性と本能の均衡を徐々に崩壊させていった。
「つかさ・・・悪いけど、もう一度言ってくれる」
つかさが話した内容は容易に理解できた筈なのに
それを聞き直している私は、酷い姉だと自分でも思う。
「今日、こなちゃんから・・・」
永い区切りの後に発せられる言葉は既に知っているが
それでも聴覚を研ぎ澄まして、つかさの一言を聞き漏らすまいとしている私は
何を考えていたのか自分でも分らなかった。
「・・・別れようって言われた」
再び耳にする事となったつかさの言葉は
まるで麻薬のように私の肢体に溶け込み、理性を蝕み続けていく。
これ以上、つかさと話をするのは危険すぎる!
残りわずかな理性が懸命に警告音を鳴らし続けていたが
垂れ目な瞳から零れ落ちた涙の跡が、痛々しく残っているつかさを目前にすると
私の足や腕や口までもが機能しなかった。
「私・・・こなちゃんに嫌われるような事、しちゃったのかな?」
「・・・そんな事無いわよ」
それでも、絞り出すような声でつかさに語り返したけれど
こんな言葉は戯言にしかならず、言えば言うほど私の胸を圧迫してくる。
「つかさはこなたの事が好きなんでしょ? だったら、そんな風に考えちゃ駄目よ」
言葉を繋ぐ度に、苦しくて噎せ返るような想いが私を押し潰してくるのに
歯止めの利かない口は、本来の目的を忘れて彷徨う様に動き続ける。
止まってよ、私の口。
もう苦しい想いはしたく無いのに。
どんなにこなたを想い続けても決して実らない想いなんか、さっさと捨てたい。
でも、この想いは私を優しい気持にさせてくれる大切な宝物。
だから捨てる事が出来なかった。
「ねえ、つかさ・・・こなたと縁りを戻したくないの?」
「・・・ウン、戻したい」
そうよね。
つかさはこなたの事を愛している。
こんなに泣きじゃくる位、とても愛している。
そして・・・私も愛している。
ずっと、ずっと愛してきたし、これからも愛し続ける。
それなのに実らなかった想いは哀れ過ぎて、
行き先の無い気持ちは何所まで彷徨い続けるの?
もう、辿り着きたい・・・こなたのところへ
思考にならない考えが、脳内のシナプスを活性化し
電気信号と化した情報が、体内の神経を介して全身に行きわたった。
それはまるで雷に打たれたような電流が全身を駆け巡り
もはやコントロールが利かなくなった私は、つかさの部屋を飛び出し
玄関に停めてある自転車に跨るとペダルに全体重を掛けた。
「お、お姉ちゃん。待って。何処に行くの?」
私を呼止るつかさの声が聞こえている今なら、まだ引き返せたかもしれない。
だけど私は、戻るべき現実を放棄して向かいたい理想へと進み続けた。
「ごめんね、つかさ・・・酷いお姉ちゃんで」
何度も呟き続けた妹の名前が、本人に届く事は無いのに
それでも謝り続けたのは唯の自己満足かもしれない。
衣服が肌に張り付く位の汗が噴きだし始めた頃
私は半年ぶりとなる泉家の玄関先でチャイムを鳴らしていたが
インターホンから返答が全く無い。
だけど、鍵が掛かっていない玄関の戸を開けた時に感じた温もりから
こなたは居る、と確信した私は何度も呼び掛けた。
「こなたー、居るんでしょ? 入るわよ」
返事の無い玄関に足を踏み入れ、物音の無い廊下を歩み続けると見えてくるこなたの部屋。
その扉を開けると青髪の少女が椅子に座ってキーボードを弄っていた。
「休日の昼間からパソコン? 少しは外に出たら?」
取り付くつもりでは無かったが、自然と発せられた第一声は他愛もない世間話で
そんな私に返事をしてくれないこなたに、一歩ずつ近づきながら部屋を見渡してみると
やたらファンシーな小物が増えているのに気付いた。
そっか・・・つかさがプレゼントしたのね。
その小物を見るたびに、つかさの泣き顔が脳裏に浮かびあがり
失っていた理性が急速に私を支配し始めた。
そして、こなたの背後で立ち止まった私が語りかけた言葉は
己の理想とは遠く掛け離れていた。
「つかさ・・・泣いてたわよ」
「・・・」
「どうして別れるなんて言い出したの?」
「・・・」
頭で考えて選んだセリフは空虚すぎて、こなたへ届かないかもしれないけれど
私は話を止める訳にはいかなかった。
「こなたは・・・つかさの事が好きなんでしょ?」
「・・・」
「好きなら・・・縁りを戻してよ」
此処で“ウン”と言って欲しい。
決して首を横に振らないで・・・お願いだから。
そんな私の本心では無い期待を裏切って
こなたは首を横に振りながら、揺らぎ無い決心だけを伝えてきた。
「私は、つかさと縁りを戻す事は出来ないよ」
こなたの声が私の鼓膜を振動した次の瞬間、
さっきまで見えていたファンシーな小物が一瞬で視界から消え去り
今は後ろ姿の少女しか映っていなかった。
そして、その少女を見る度に何度も捨て去ろうとして
何度も大事に抱え込んだこなたへの想いが、私の内側から溢れ返り
私を簡単に壊してしまった。
「別れるなんて言わないでよ」
「・・・かがみ?」
声のトーンが変わった私を不思議に思ったのか
振り返る事の無かったこなたが、椅子を半回転させて
その半目な瞳には動揺が見え隠れし、目尻は若干赤くなっており
何より私だけを見てくれている“こなた”という存在が愛おしかった。
もう、良いよね
我慢したよね・・・わたし
だから・・・言っちゃうね
「別れられたら・・・今まで我慢してきた私は何だったの!」
「かがみ、どうしたのさ」
「どうもして無いわよ! 私は・・・こなたの事が好きなの!」
こなたの色と、つかさの色が入り混じったこの部屋で
私という異色が入り込んでしまった。
それはタブーだったのか、私には理解する術は無いけれど
明確に誇示していた事実は、こなたの驚いた表情の中に見える拒絶の反応だった。
「・・・ごめん。かがみ」
「そっか」
元々は諦めていた恋に、淡い期待を込めただけの衝動だった筈。
それなのに、私の瞳から溢れてくる滴は一体何を意味しているのだろうか。
こなたに振られたから?
つかさを裏切ったから?
私が愚か過ぎたから?
考えれば考える程、静かに流れ落ちる涙の量は増えていくばかりで、
輪郭すら分からないこなたの姿は、過ぎ去った理想の残骸だった。
「泣くつもりは無かったのに・・・ごめんね、こなた。嫌な姿を見せちゃって」
私の勝手な独り言に“ブンブン”と擬音が聞こえてきそうな勢いで
首を左右に振るこなたの心遣いが、私の弱い部分を締め付けてくる。
「謝らないでよ、かがみ・・・つかさを傷つけて、かがみを傷つけて・・・悪いのは私なんだから」
それでも、こなたは傷つけた相手以上に傷ついている。
不器用で鈍感で愛くるしくて、素直になれないところが私と似ているのに
いつも私ばかり茶化してくる。
そんなこなたに私は惹かれて、理想と現実の区別がつかなく無くなった。
だから知りたい。
こんなにも私を狂わせたこなたが、つかさと別れるなんて言い出した理由を。
「ねえ、こなた・・・どうしてつかさと別れたの? まさか、つかさの事が嫌いになったとか」
「私ね・・・つかさの事は今でも好きだよ」
「え?」
「好きで好きで、堪らなく好きで・・・だから別れようと思ったんだ」
こなたは雲を掴むような事を言っていて、私が理解できる次元を遙かに超えていた。
それでも、涙を拭った私の瞳に映ったこなたの顔は
悲しみでも無ければ満ち足りた笑顔でも無く、無表情とは違った面持ちをしていて、
始めて見る表情なのに、ずっと前から見ていた既視感を覚えた。
「つかさと別れる事が出来たから・・・これで、全てを終わらせられる」
「こなた?」
「私ね・・・余命、半年って宣告されたんだ」
物語には必ず始まりがあり、そして終りが訪れる。
その間に幾つもの喜怒哀楽を繰り返して、時には急ぎながら時には緩やかに
終着点を迎える事となる。
そんな事は分かっていた。
分かっていたのに、目の前のこなたの言葉を
一生懸命排除しようとしている自分は、何一つ理解しようとしなかった。
春には満開だった桜達も、今は深い緑の帽子を被っていて
その大群に囲まれるように、1本の樹だけが痛々しい焦げ茶色をしていたのを
私は決して忘れない。
458 :
22-468:2008/01/14(月) 10:09:28 ID:S2f1do2g
読んで頂き有難うございます。
第3章という事で、かがみ達は3年生になっておりますが
その辺りを全く触れる事が出来ませんでした。
そして章を重ねる毎に、話が飛躍しているような気が・・・
あと、どなたか存じませんがwikiでコメント頂き有難うございます。
御期待に添えた作品になっていれば良いのですが
459 :
名無しさん@ピンキー:2008/01/14(月) 12:15:28 ID:+nJ2IaGI
>>445 GJGJGJです!
壊れみゆきさんたまりませんw
やはりお風呂ものはいいですね、次はどんなお風呂ものを(ry
>>458 病気告白キタ――(゜∀゜)――!!!!
切ないですね〜続きが気になって仕方ありません!激しくGJです!
>>407 すみません、これは「陰核」の間違いでしたw
壮絶な間違いだったので保管庫では改稿させていただきました。
461 :
ぶーわ:2008/01/14(月) 12:20:47 ID:+nJ2IaGI
下げ忘れて名前も入れ忘れるとは何たる失態
最近ドヂが 多いです
>>458 えええええ、切なさに切なさが重なる、なんという展開。
結末を勝手に予測して、早くも涙目です。GJ!
>>459 自分の作品の絵を描いていただけるのは初めてなので、とても感激いたしました。
ここに今一度、感謝の意を表したいと思います!
463 :
23-49:2008/01/14(月) 13:31:24 ID:iSlwwdzn
どうも、23-49です
前作「ハニマスタード・ラプソティー」の続き、上がりました
他にどなたもおられないようでしたら五分後ぐらいから投下させてください
・こなた&みさお
・こなた視点
・エロ無し
・5レス使用
・黒キャラ注意
万一途中で投下できなくなった場合は wiki に直接上げ、避難所に報告します
PC以外の端末を持っていないのでこちらへのアナウンスはできません
不自然な間が空いた場合は wiki か避難所を参照してください
簡単だった。
そう。考えてみれば――否。本来なら考えるまでもないほどに、実に簡単なことだった。
かがみを挟んで私の対称位置にいる人物。
かつ、峰岸さんが味方をする相手。
そんなの、一人しかいないじゃないか。
そんなことにも気付けないなんて、どうやら私は相当に面食らってしまっていたらしい。
でも、分かったよ。
構図は見えた。陣営も把握した。
丸二日かけて情報を収集し、作戦も立てた。切り札も用意した。あとは幕を上げるだけ。
それじゃあ行こうか。
第二ラウンド、だよ。
−−−−−−−−−−−
栗色攻略戦
−−−−−−−−−−−
私立だからか、この陵桜学園には毎週じゃないけど土曜日にも授業がある。
ふだんは面倒くさいだけのそのことが、今日だけはありがたい。
あの学食遭遇戦から四十八時間が経過したこの放課後。私、泉こなたは学校の図書室を訪れていた。
ある人物と待ち合わせをするために。
「――お、きたきた。おーい、こっちこっち」
程なくやってきた待ち人に、手を挙げて笑顔で呼びかける。
「……」
さすがに場所を考慮してか、相手は仕草だけで返答し、そのまま歩み寄ってくる。
そして手に持っていた四つ折りのルーズリーフを、私が着いている大机の上に広げて置いた。
“放課後、図書室まで来て。できれば一人で”
自分の筆跡によるその短い文章に私は一旦目を落とし、そしてまた相手の顔を見上げる。
不可解八割、不機嫌二割ってところかな。
「なんだよちびっ子。わざわざこんなモン使って呼び出して」
その人、日下部みさおは表情どおりの声で言った。
「あ、うん。ゴメンね」
なるべく申し訳なさそうな顔を作って謝る。
それは紛れもなく私が彼女の靴箱に仕込んだものだ。三時間目の休み時間を利用した。
「ちょっと、かがみには知られたくなくてさ。メアド知らないし。――えっと、何か予定あった?」
「ぃや、別にねーけど。てかなんなんだよ」
言いながら、みさきちは私の向かいに腰掛ける。ちょっと警戒入ってるね。愛想良くしすぎたかな?
ならばさっさと本題に入るとするか。
「聞いたよ。最近がんばってるんだって? 勉強」
「ん? あー。まーな」
ふむ、意外と反応が薄いね。誰に、とも訊かないし。
ま、想定の範囲内だけど。
「どんなふうにやってるの?」
「……なんでそんなコト訊くんだよ」
おっと、ここで硬化しますか。
だったら少しほぐしてあげちゃおう。
「だって、みさきちって私とレベル同じぐらいだったじゃん? だから真似できるかなーと思って。
かがみやみゆきさんの流儀じゃハードル高すぎるんだよね」
「……ふぅん」
ちょっと意外そうな顔をしたあと、何気ない感じでみさきちは相槌を打つ。
でも微妙に喜んでるよね。わかりやすくて助かるよ。
「なんてゆーかさ、やっぱ受験生なわけだしね私も。いつまでもなまけてるわけにもいかないし、
何よりさ、いつまでもかがみに頼りっぱなしじゃ迷惑だと思うんだよね」
続く私の言葉――特に最後の部分に反応し、眉がピクリと動いた。
そしてまた「ふぅん」とつぶやくと、
「……しゃーねーな。わかったよ。教えてやろうじゃないの」
偉そうにそう言った。
ちょっと赤くなってる。かわいいもんだねぇ。
「――つっても別に特別なコトはしてねーよ。基礎をみっちりやってるだけ。とりあえず最初は
一年の復習から始めた」
「ほうほう」
「ここに受かったってことはさー、ここの授業についていけるって判断されたってことじゃん?
そう思って真剣にやってみると、意外にイケるんだゼ、コレが」
「おおー」
「あとはまー、繰り返しだな。解らなくなったら解るところまで戻ってやりなおす。
あ、でも歴史なんかは逆だぜ。まず大雑把に憶えて、そっからだんだん細かくしてくんだ」
「なるほどなるほど」
得意げに語るみさきちに、できるだけ感情を込めて相槌を返す。
その作業は思ったより簡単だった。てか意外と、本当に参考になるかも。
明らかに誰かさんの受け売りな部分もあるけど、あえてツッコミは入れないでおく。
まだ機嫌を損ねられちゃ困るからね。
「ま、そんなトコかな。なんか質問ある?」
「うーん……今はちょっとないかなー。またあとで思いついたら訊いてもいい?」
「おっけーおっけー、おねーさんに任せなさい」
えっへん、と胸を張るみさきち。
どうやらポーズじゃなく、素で得意になってるね。……頃合い、かな?
「でもさー」
「ん?」
私の自然なつぶやきに、みさきちは笑顔で首をかしげる。
その笑顔に向け、隠し味程度に尊敬の念を匂わせて、そっと本命の問いを差し出した。
「なんで急にがんばろーと思ったの?」
答えは、実はだいたい知ってる。
おおよその見当はついてたし、ゆーちゃんにも確認を取ったから間違いない。
「んん? ……へへん、知りたいか」
みさきちの笑顔が、勝ち誇ったようなものへとシフトする。
シミュレーションBか。
よりにもよって、一番やりやすいパターンとはね。
「う、うん」
勝利への確信を押し殺し、わずかに戸惑いの色を見せると、みさきちは得意げにうなずいた。
「そーかそーか。ならば教えてしんぜよぅ」
その姿からは、もはや疑いも警戒も完全に消えている。
ここまで来ればこちらから口を挟む必要はもうないだろう。
新世界の神にでもなった気分だよ。
まさに計画通り。笑いをこらえるのがこんなに大変だったとは、ってね。
そうしてみさきちが語った内容は、だけど少し意外なものだった。
かがみにもっと構ってもらうために勉強をがんばる――そこまでは予想通りだったけど、
まさか夏休みの宿題を自力でできるかどうかなんて賭けまでしたとはね。
道理で自信満々なわけだよ。
口ぶりからして賭けそのものには負けたみたいだけど、かがみの心を動かすのには成功した、と。
試合に負けて勝負に勝った、ってことになるのかな。
ともあれ、これで欠けていた最後のピースも埋まったし、全ての準備は整った。
覚悟はいいか、泉こなた?
「どーするー? ちびっ子。おまえも中間あたりでがんばってみっか?」
余裕たっぷりに笑うみさきち。
声大きいよ。図書室だよここ。
ま、いーけどね。もう用は済んだし、そろそろご退場願うとしますか。あともつかえてるし。
「いやぁ、二番煎じはどーかな。そもそも私には無理だよ」
無理だし、無意味だ。
「へっへん。ま、やるだけやってみろよ。勉強できて損ってことはないぜ?」
「あはは、そーだね。がんばってみようかな。ありがとね、みさきち」
「おう。どーってことないって」
「いやホント。付き合ってくれてありがと。参考になったよ。こんど何かおごらせてよ」
「そか? じゃあ……」
遠慮のない調子でつぶやきながら、みさきちは視線を宙に飛ばし、そしてニヤリと笑った。
「確かバイトしてるんだよな? コスプレキッサ、だっけ。そこでなんか食わせてくれよ」
そ、そう来ますか。
誘導無しだとナニ言い出すかわかったモンじゃないね。別にいーけど。
「おっけ。とっときのオススメ出すよ。いつがいいかな、っと……」
言いつつ、スカートのポケットから携帯電話を取り出す。
ふふふ、激辛パフェなんかどうだろうね。
――あ。
かがみから着信入ってるよ……
何も言わずに連続ですっぽかしちゃったからかな。まったく寂しがり屋さんなんだから。
でも今はこっち優先。
ゴメンねと心の中で謝りながら、何気ないふうを装ってスケジュールを呼び出す。
「えーっとね、来週は火曜と金曜、あと次の日曜にシフト入ってるから――」
いつにする、と言いかけたところに、
「あっ、そーだ! それより!」
大声が被せられた。
さすがに慌てる。
「ちょっ、みさきち声大きいっ。ここ図書室っ」
「うおっ。ご、ゴメンゴメン」
奥の方のちょっとした隠しスペースだから周りに人はいないけど、それにしたって限度があるよ。
「もぉ……で、なに?」
「あ、うん。岩崎のこと」
「え――」
思いがけない名前に、心臓がドクンと跳ねた。
思いがけないってゆーか、最初からずっと頭にあったけど、相手から出されるのは想定外だ。
なんで? まさか、知ってる?
「い、岩崎って、岩崎みなみちゃん……?」
「そっ。その岩崎。おまえって、あいつとワリと仲いいよな?」
「……まぁ、ね。ゆーちゃんの友だち、だし」
「だよなっ? だったらさー、おまえからも陸上部入るように頼んでみてくんないかなー。
なんかいっくら口説いてもぜんぜんでさ。あんだけの逸材がもったいないって」
「……」
え?
「……はい?」
「だから、勧誘。あいつめっちゃ足速いんだぜ? 知らねーの?」
「う、ううん。知ってる」
私と同じぐらいだとは聞いたよ、ゆーちゃんから。
けど……なんだ。そんなことか。ビックリした。計画が全部パーになるかと思った。
でも考えてみればゆーちゃんにもひよりんにも口止めしたんだし、そんなわけはないよね。
「……別にいいけど、なんで私?」
「だからぁ、仲いーんだろ?」
いやまーそーだけど。みさきちよりは付き合い長いけど。
でも難しいと思うなあ。それって言い換えれば、放課後はゆーちゃんを放置しろってことじゃん。
そんなの、たとえゆーちゃん本人から頼まれたってOKするとは思えないよ。私なんかじゃなおさらさ。
「まあ、言うだけ言ってみるけど……保障はできないよ?」
「よしっ! じゃー契約成立な!」
ずいっ、と手を差し出してくるみさきち。
仕方なく握り返す。
「だから、声大きいって」
ま、いっか。
「そんじゃ私、少し調べ物してくから」
「おうっ。じゃまたな、ちびっ子」
そして来たときとは対照的な騒々しさでみさきちは去っていった。
それを見届けると、私は、
「さて、と」
つぶやいて。
顔の向きはそのままに。
「――峰岸さん」
呼びかけた。
二秒、
三秒。
反応はない。
目を閉じる。
「…………」
十秒数えて、開ける。
すると音もなく。
気配もないままに。
「こんにちわ、泉ちゃん」
その人、峰岸あやのさんは私の真正面に佇んでいた。
……演出を心得てるねえ。
☆
「うん、こんにちわ」
まずは笑顔でお出迎え。
峰岸さんも笑ってる。けど、
「どうして、いるって分かったの?」
うわ、ホントに不思議そうな声。ぜんぜん裏が見えない。みさきちがアレだった分、なおさらか。
でもそんなの関係ねぇ。ここまで来たらやるしかないさ。
とりあえずこちらも笑顔は崩さずに。
「ううん、分かんなかった。でも来るって信じてたよ。――どう? 隠れやすかったでしょ、ここ」
両手を軽く広げて周囲を示す。
奥まった隠れスペース。
逆に言えば、内側からも周りが見えにくいってこと。
私からもみさきちからも死角になる場所は、ちょっと調べただけでも四ヶ所はあった。
「うん。……そっか、まんまと釣られちゃった、ってわけだ?」
さりげない動きで辺りを見回しながら、峰岸さんは悪戯っぽくつぶやく。
同時にこぼれた髪を耳にかけなおす仕草は逆に大人っぽくて、そのギャップがすごい威力だ。
コレがふだん目立たないんだからなあ。
どんだけ自己制御が上手いんだか。
「でも、それと私が来ることとは、関係ないんじゃない?」
「そうだね。でも、みさきちに用がない日は一緒に帰ってるんだよね? だったら峰岸さんも手紙を
見る可能性は、高いでしょ。で、見さえすればもう、来るでしょ」
「そう?」
「そう」
「『一人で』って書いてあったじゃない。それを無視すると思ったの?」
ひどいな、と峰岸さんは微笑む。
またホントに悲しそうだし……
「いやいや、実際来といてソレはないでしょ。ってゆーか、そうじゃなくてね」
ぴ、と人差し指を一本立てる。
「だって“ヒロイン”同士の直接対決だよ? それを知ってて見逃す“読者”がいるかな?」
「そっか……」
峰岸さんのまぶたが、かすかに開いた。
色素の薄い瞳が垣間見える。
「……それで、どうするの?」
「……っ!」
うわぁ。
なにコレ? 声色とか使ってないよね? なんか雰囲気が一変したんですけど。
たまらず顔を伏せてしまった。
目を開けただけで、なんでこんなに……東の龍王かこの人。
「……場所、変えよっか」
ごまかすように、そのまま立ち上がる。
けど、もともとそのつもりではあったし。好都合だと考えよう。
「あら、調べ物するんじゃなかった?」
さっきの凄味を収納し、またしても本当に不思議そうに峰岸さんが訊いてくる。
普通に考えたらイヤミなんだろうけど、まるでそうは聞こえない。恐るべきは、その柔らかさか。
「もちろん、調べるよ?」
「私を?」
「そゆこと」
そして頭の回転も速い。いやホント、これは思った以上に強敵だ。
よくこんな人とノンキにマンガ談義なんてできたな、二日前の私。
でも、なんなんだろうねこの感じ。
ゾクゾクする。
469 :
23-49:2008/01/14(月) 13:42:44 ID:iSlwwdzn
以上です
ありがとうございました
といわけで、前哨戦でした
次回、こなたVSあやの(VSて)、本戦に入ります
>>469 リアルタイムGJ! 続き待ってました!
あやの怖いよあやの
こっちまでなんかゾクゾクしてきました
>>458 まさか病気とはね…。それが理由か。
もう一緒にはいられないから、このままだと今以上につかさを傷つけるから、
だから別れた、てとこかな。うー、切ないなぁ…
>>469 峰岸怖いって。
さぁ、どう勝負?をしていくか楽しみですぜ
>>469 背景コンビをここまでイキイキと動かせるあなたには毎度脱帽です。
今後も楽しみにしています、GJ!
473 :
ぶーわ:2008/01/14(月) 14:58:38 ID:+nJ2IaGI
ども、ゴッドかなたさん描いてもらって狂喜乱ぶーわです
『彼女は遷移状態で恋をする』の続き投下させてもらいますね
本家おす☆かが復活で、こっちが立つ瀬ないです! でも嬉しい!
・TS注意(かがみつかさみゆき男性化)
・かがみ編5レス こなた編5レス 計10レス拝借しますね
「あ、そろそろ始まりますよ」
みゆきの言葉に、全員が空を仰ぐ。
そして破裂音や空を上る音をBGMに、空に花が咲く。
そういやこれを見に来たんだっけな、とそこでようやく思い出した。
両手の感覚ですっかり忘れてたというのが本音かな。
しかし……本当に何なんだこの状況は。
どうして右側に峰岸が居て、左側に日下部が居るんだ?
いや、居るのはいいよ居るのは。
誰が何処にいようが俺の知ったこっちゃないさ。
でも何で……手なんか繋いでるんだろ。
やばいな、峰岸ファンに見つかったら殺されるぞ
ってか日下部強く握りすぎだろ。
そろそろ千切れそうで痛いんだが……まぁ悪い気はしないな。
そうやって、俺は浮かれていた。
だから……偶然だった。
空に広がるのは、満開の花火。
耳を連続で劈いていく破裂音に軽く眩暈を覚えながら、偶然俺の視界は『それ』をとらえた。
両手にあるクラスメイトの温もり……それが少し気恥ずかしかったのかもしれない。
そいつらの顔も見れなかった所為で、俺の視線は『彼女』に向けられた。
……最初言っておく、あくまで『偶然』だからな。
その、後の事も。
「こなた?」
俺の眼に、今呼んだ名の『彼女』が映った。
他の奴らは全員、空の花火に目を奪われている。
なのにそいつは……違った。
「あ……」
俺の声に気がつき、こなたと視線があった。
だけどすぐに、俺から顔を背ける。
一瞬、何が何だか分からなかった。
何て言うのかな、花火が俺の頭の中で爆発した気分。
耳に反響する炸裂音が、妙に邪魔だった。
……。
眼があったのは、一瞬だった。
顔をあわせたのも、一瞬。
なにせすぐに顔を背けられたから。
だけど見た。あれは……泣いてた? いや、そう見えただけ?
でも確かに花火に反射して、こなたの顔に何かが光ったのを俺は見た。
……気がする。
「どうかした? 柊君」
峰岸が俺の視線に気がつき、空から視線を俺に移す。
手を繋いでた所為もあってか、思いのほか顔が近かった。
「やっ、いや……」
その峰岸ドアップに動揺して、俺も慌てて視線を空に戻す。
だけど、空に映る満開の花火も何処か眼に入ってこない。
入ってくるのは……さっきのこなたの顔。
やっぱり泣いてた、のか?
何で? 理由は? そうだ、泣く理由がないだろ。
あいつが泣くのなんて滅多にないし。
そうそう、ないないありえな……ん?
なんだろう、今頭の中で盾と矛がすんごい勢いでぶつかり合った気分。
その衝撃の余韻が俺の脳に届いて、痺れるような快楽が脳みそをゆっくり抉っていく。
……。
ああ……そう、だ。
あったじゃないか……それもつい最近。
今頃になってようやく思い出した。
俺……泣かせたんだっけ。
よく分かんないまま怒って、酷いこと言ってそれで……。
て、ちょっと待て。
……なんてこった、俺まだ謝ってすらないじゃないか!
何を呑気に、浮かれてるんだ?
そんな事してる場合じゃないだろ?
一番最初に言うべきだっただろ?
……ごめん、って。
「悪いっ、峰岸。日下部」
「へっ?」
「ふぇっ?」
二人と繋がっていたそれぞれの手を離す。
空の花火に気をとられていたから、二人とも眼を丸くする。
だけどそれも気にせずに俺は、二人から離れる。
そのまま日下部の目の前を通り抜けそして……。
「こなたっ」
「!」
そのまま、こなたの手を……掴んだ。
馬鹿をやってる自覚はあった。
何を皆の前でやってるんだと心も自制の声を叫ぶ。
でも体が勝手に動いたんだ……仕方ないだろ。
「来いっ!」
「ふぇ……えっ?」
そのままこなたの手を引く。
もちろん俺のそんな行動に、他は呆気にとられるだけだ。
……約一名を除いてはな。
振り向かなかったけど、憎たらしい笑顔は見えてるぞ……ったくお前はそういうやつだよ。
「悪いが後を頼む……みゆき」
「はい、任されました」
最初に言っただろ?
そういうもんなんだよ……親友ってのはさ。
遠くで、花火の音がする。
少し離れただけで祭りの喧騒も今は遠い
たまに空に開く花火と、公園の安っぽい電灯が俺達を照らしていた。
「か、かがみ……っ」
こなたの声に俺も脚を止める。
何処まで行こうなんて考えてもなかった。
ただ少し、二人になりたかった。
それにその何ていうか……ああ、そうだよ、恥ずかしかったんだよ悪いか!?
「どうかしたの?」
ああ、そりゃそんな質問するよな。
突然手を掴んで、連れ去ったりなんかしたらそりゃ尋ねるさ。
悪いがちょっと待ってくれ……今少し、頭を整理してるところだ。
勢いって怖いよな、普通するか? こんなこと。
ええい、何でまだ手繋いだままなんだ。
いやまぁそりゃ……柔らかい、けど。
うああ余計な事考えてる場合じゃないだろ!
「えと……ごめん」
「……っ」
熱暴走する頭で、言葉を搾り出す。
その言葉の意味がこなたにも伝わったのか、繋いでいた手が少し強く握られた。
「まだ、ちゃんと……謝ってなかっただろ?」
……全部俺の所為だ。
俺が浮かれて、忘れてた所為。
本当は一番最初に、言うべきだったんだ。
顔を遭わせた、一番最初に。
なのに、他の事考えてて……こなたの事、全然考えていなかった。
「酷いこと言って悪かった、本当にごめん」
下げれるだけ頭を下げる。
それだけの事を俺はやったと思ってる。
だから、すぐに返事があったのは少し意外だった。
「いいよ」
声に顔を上げる。
こなたの顔が目の前にあった。
花火をバックライトに受けたその笑顔が、栄えた。
その時、何故だろうな。
俺の胸の奥で……不思議な音が聞こえた気がした。
心臓を太鼓に見立てた、祭囃子が。
「かがみが本気であんな事言うわけないって知ってるもん。だから、気にしてないよ」
こなたの笑顔が網膜に焼きつく。
……ん?
な、なんだ?
なんでだ?
手が痺れてきた……こなたと、繋いでるほうの手が。
胸の奥の音色が騒がしく耳に響く。
いやいやいや、何を意識してるんだ? 俺は。
手ぐらい繋いだって普通だろ?
日下部や峰岸とも繋いでたじゃないか、なぁ?
だ、だから別に気にすることなんて……。
「あ、そ、そっか」
なかったのに。
何故か、その手を離してしまった。
へ、変だぞ俺。
暗い所為で見えてはないと思うが多分……今、顔がやばい。
トマトのほうがまだ何ぼかマシな状態だ。
「あ、ほら。ここからも花火見えるよっ」
花火の音が聞こえ、こなたが空を仰ぐ。
公園の木々の間から漏れた花火の光が、もう一度こなたの顔を淡く照らす。
……。
その、笑顔に安心したからかもしれない。
俺はこなたに聞いてしまった。
思わず。
何故か。
うっかり。
……どうしても。
「なぁ、こなた」
「うん?」
こなたの眼が俺を見る。
ど、どうしたんだ? 俺は。
動悸がさっきから、おかしい。
こんなの、まるで……。
「なんでさっき……泣いてたんだ?」
「えっ……」
それを直接、見たわけじゃない。
一瞬だった。
ほんの一瞬。
花火の光の反射で僅かに光った、微かな光源。
でも……確かにあれは、涙。
今は何故かそれが、確信だ。
「あははっ、何言ってんの? かがみ」
こなたが俺から、白々しく視線を外す。
それにまたカッときて。
頭に血が上って。
……俺ってやつは、どうしてこうなんだろうな。
そのまま俺は、やってしまったわけだ。
また、な。
「……こっち、見ろよ」
こなたの頬を俺の手が掴む。
そして無理矢理、視線を合わせる。
手が、痺れる理由が分からない。
動悸が早くなる理由だって分からない。
でも……触れた頬は、柔らかかった。
「なんで……泣いてたんだ?」
もう一度、聞く。
近かったこなたとの距離が、さらに縮まる。
吐息が俺の鼻をくすぐり、妙にそこだけむず痒く感じる。
「泣いてなんか……ない、よ」
こなたの震える声が、小さく聞こえる。
その度に心臓が、張り裂けそうなくらいに暴れる。
「泣くはずないよ。泣くわけ……ない」
それは俺に言っているようで、不思議な違和感。
まるでこなたが自分自身に言っているような、そんな感覚。
そのまま、俺の指に……『また』冷たいものが触れた。
……。
そこまで来て俺はようやく、思い出す。
この状況が、何を意味するのか。
これはまるで……あの日と一緒じゃないか。
「こっ、こなた?」
驚きに手を離し、近かった彼女の顔を遠ざける。
指に触れた涙が心臓を跳ねさせる。
泣いてる……こなたが、また。
また俺は、泣かせたのか?
またこなたを……。
「ち、違うからっ」
その心の声に答えるように、こなたが慌てて涙を拭く。
だけど、それは止まらない。
目の前でただ零れる涙を見て……俺は立ち尽くすしかできない。
俺には何も……出来ない、のか?
「違う、違うから、見ないでっ……お願い」
その言葉が。
その涙が。
その……全部が。
俺の中の何かを……壊した気がした。
「っ!」
こなたの驚きや嗚咽の混じった声が、耳に届いた。
まるでゼンマイ仕掛けの日本人形。
俺の中の壊れた歯車が、俺の体を勝手に動かす。
気がついた時には、俺の手は――ああくそっ、何をしてるんだ俺は。
後になって考えれば、自分がおかしかった事に気がつく。
それでも後の祭りでしかない。
泣き喚くこなたの手を掴んで俺は――うああ頼むからやめてくれ、頭がどうかなりそうだ。
なんでだ? 何でこうなった?
理由なんか分からない。
でも確かに『居る』。
ここに、彼女が。
俺の両腕の中に……こなたが。
「これなら、見えないだろ」
自分で口走った言葉の意味も、よく分からない。
いや、意味は分かっても無茶苦茶だ。支離滅裂すぎる。
両腕が、こなたを支える。
その中に、彼女の全てがある。
腕に寄りかかった重さが、彼女の全て。
俺の腕の中で泣く、彼女の全て。
嗚咽と慟哭が俺の体の中を通り過ぎていき、両手に力をこめる。
もう、花火の音は聞こえなかった。
静寂が支配する中で。
安っぽい舞台照明の下で。
俺とこなたは……二つの影を、一つにしていた。
もう一度言っておく。
これは……偶然だ。
色んな偶然が、重なった結果。
それぐらいしか、今の俺には説明できない。
この行動の意味も。
この、動悸の意味も。
(続)
「来いっ!」
手がまるで、火傷するくらいに熱かった。
強く握られたその手が痺れて、脳まで麻痺していく感覚。
私の手は今……かがみに握られていた。
突然だった。
かがみの声に振り向いて、眼を合わせた。
だけど溢れた涙を見られたくなくて……顔を背けた。
そしたらあとはもう、この状態。
ただ彼に引っ張られてそのまま、人ごみを掻き分けていく。
それが突然すぎて。
その理由が分からなくて。
繋いだ手が恥ずかしすぎて……。
私はそのまま何も言えずに、彼にされるがままについて行く。
顔が燃えそうな位に熱い。
心臓の鼓動がピッツィカートみたいに暴れる。
……ああ、私はまたみっともなく何かを期待してる。
期待なんて、したら駄目だって分かってるのに。
ほら、心を落ち着けよう。
こんな繋いだ手なんて、意味ない。
振り払えばいい。
振り払って言えばいい、どうしたの? って。
そうするだけで……いいのに。
「かがみ、どうかしたの?」
震えて上擦った声が出た。
……手を、繋いだままで。
そんな自分の女々しさが、嫌だった。
私の声に反応して、かがみが足を止める。
誰もが空の花火を見に河川敷に集まって、こんな小さな公園には誰も居ない。
私と……かがみ以外。
繋いだ手が痺れて、それが脳に伝わっていく。
どうして手、繋いでるんだろう。
他人から、どう見えてるんだろう。
そんな事ばかり考える自分が、惨めだった。
だって、無駄なんだ。
その全部を考えること自体……。
「ごめん」
「……っ」
かがみの声が、届く。
声で、耳に。
振動で、手に。
それが私の動悸と混じって、不協和音。
そこからかがみの言葉だけを必死に探す。
……謝られた。
それだけを理解した後に、一瞬呆気に取られた。
でもすぐに分かった、その謝罪の理由が。
「まだちゃんと、謝ってなかっただろ? 酷い事言って悪かった……本当にごめん」
そのまま私の前で頭を下げる。
それは少し不思議な光景。
いや、私が見慣れないだけなのかもしれない。
でもその姿が何処か、滑稽で……可笑しかった。
もしかして、皆の前で謝るのが恥ずかしかったのかなって。
それでも……私のために、謝ってくれたんだなって。
……かがみらしいな、って。
「いいよ」
だから、笑ってしまった。
私の声に反応して、かがみが顔を上げる。
声に出なくて良かった。
顔だけだったら暗くて……見えないもんね。
「かがみが本気であんな事言うわけないって知ってるもん。だから気にしてないよ」
「……そっか」
安心したのか、かがみの手が離れる。
……。
そ、そうだよね。
私を連れ出すだけだったんだから、もう繋いでる必要なんてないよね。
うう、だからそういう所が女々しいんだって。
か、考えちゃ駄目だって。
考えたらまた顔真っ赤になっちゃうもん。
うああ、意識しちゃったらもう!
わ、話題を逸らさなきゃ。
話題話題……ああそうだ、何しにここに来たのか忘れてたっ。
「あ……こ、ここからもっ花火見える、ねっ」
わざと話題を花火にふり、注意を空に向ける。
空と言っても、木々の間から微かに見えるくらい。
上手く笑えて言えたと思うけど、今はそれより顔の熱を何とか……。
「なぁ、こなた」
って向いてないし!
こ、こっち見てる。
返事……えと、返事。
「う、うん?」
上擦って変な声が出た。
ど、どうしたんだろかがみ。
じっと、私を見てる。
その視線に貫かれて……鼓動が暴れる。
かがみが……見てる。
私だけを。
……私だけ、を?
それに気がつき、不意に情景が頭に叩きつけられる。
それはほんの数分前の、惨めな情景。
そうだ、ついさっき。
皆が空に目を奪われる中で、見ていた。
かがみが……『私だけ』を。
「なんでさっき、泣いてたんだ?」
「えっ……」
心臓が、跳ねた。
まるで私の心の中まで、彼の目で貫かれている気分だった。
「あ、あははっ。何言ってんの? かがみ」
視線を逸らし、頭に浮かんだ言葉を適当に並べる。
ううん、そんなはずない。
だってすぐに拭いた。
顔だって、すぐ背けた。
あんなに暗かった。
だからこっちを向いてただけじゃ、見えるわけない。
見えてたはず……。
「っ!」
……その時、だ。
私の頬に、何かが触れた。
その何かが私の顔を、かがみに向けさせる。
視線が交わった。
鼓動が、速くなった。
「……こっち、見ろよ」
それは、かがみの手。
それが私の顔を固定する。
『あの時』と……まったく同じ状態。
その光景が、また私の頭の中に無理矢理叩きつけられる。
「なんで、泣いてたんだ?」
声が耳から入って脳を、劈く。
それに、答えられるはずもない。
だって何て言えばいいの?
悔しかった?
嫉妬した?
惨めだった?
苦しかった?
「泣いてなんか、ないよ」
そうだ、そんなはずない。
だって分かってるから。
意味なんか、ないって。
そんな感情……持つだけ無駄なんだって。
「泣くはず、ないよ」
自分で復唱する。
そうやって、自分に言い聞かせる。
その言葉を体に染み込ませて、紛らわせる。
「泣くわけ……ない」
そうだよ、泣くわけない。
分かってるんだもん。
ねぇ、そうだよね?
それでいい。
それで、いい。
それで……いい!
そうなのに……それでいいはず、なのに。
ねぇ、なんで?
なんで、私は……泣いてるんだろ。
泣くわけないのに、ね。
「こ、こなたっ?」
かがみが慌ててその手を外す。
駄目だ。
泣くな。
泣いたら絶対、困らせる。
だってかがみは何もしてないよ?
そう、何も……。
私には何もして……くれない。
「違う……から」
涙は、止まらない。止まってくれない。
早く、止めなきゃ……ほら、かがみが困ってるよ?
ねぇ止まってよ、お願いだから。
止まれ、止まれっ、止まれぇっ!
「違う、違うから」
そうだ、違う。
かがみの所為なんかじゃない。
私が勝手に泣いてるだけだから。
違うからっ。私の所為だから。
だから……。
「見ないで……お願いっ」
見られたくなかった。
だってこの涙はきっと、嫉妬の涙。
そんな女々しくて醜くて……みっともない涙。
そんなもの、かがみに見られたくない。
じゃあ、前みたいに逃げればいい。
そうすればきっと、かがみには見られない。
……でも、それが出来ない。
かがみの傍に……居たい。
でも……でもっ!
そんな、矛盾した感情が私の中で暴れる。
それが惨めで、嫌で……涙になってまた溢れる。
その時だった。
涙を必死で拭う私の手が、止まった。
私が止めたんじゃない……誰かが、止めた。
誰かの手、が。
誰の手だろう――二人しかいないのに
どうして、止めるんだろう――かがみしかいないのに
どうして、かがみなんだろう――かがみしかいないから?
どうして……好き、なんだろう――ううん、かがみ……だから
「これなら、見えないだろ」
声が、私を弛緩させていく。
暖かい何かが私を包む。
何時の間にか私は、包まれていた。
かがみの、全てに……彼の暖かさに。
それが嬉しかったのかすら、分からない。
溜まっていた何かを吐き出す様に。
私はただ、泣いた。
かがみの腕の中で……ずっと。
「もう、平気か?」
「……うん」
どれくらいだったんだろう。
空の花火はもう、咲き乱れることもなかった。
祭りの喧騒も次第に小さくなり、私はかがみの腕から離れる。
ここだって、誰かが通らないわけじゃない。
それにいつまでもかがみに抱かれてるのは……ちょっと、我慢が出来なかった。
今だって心臓が右に左に反復横とびしてる気分。
顔なんか、今なら卵も焼けそうなくらい。
でも……涙は落ち着いた。
心も、その中の……馬鹿げた感情も。
「ごめんね」
「……あ、謝るようなことじゃないだろ」
かがみが、言葉を濁らせる。
もしかして……かがみも照れてるのかな。
そうだといいな、って思うのは……悪いことじゃないよね。
……。
顔がまた、熱を持った。
体を包んでくれた彼の手の暖かさが、まだ残ってる気がする。
あ、あははっ。
馬鹿だな、私。
きっと、ご褒美なんだ。
諦めようって決めた事への、神様からのご褒美。
そうだったら……辛い、ご褒美だよね。
だって……ああ駄目だな、考えるからいけない。
そうだよ、そうやって考えることすら……無駄なんだから。
「……行こっか、皆待たせちゃってるね」
かがみに背を向ける。
ありがとうは、心の中で言うね。
声に出したらきっとまた、考えちゃうから。
それで、全部にしよう。
これで全部。
私の、馬鹿げた感情の……私とかがみの、全部。
「こなた」
「?」
かがみの声に、振り向く。
「どうかした? かがみ」
その時の私の顔は、どんなだったんだろう。
笑ってた? 泣いてた?
……そんなの、後になっても思い出せない。
でもかがみのその声だけは。
その言葉だけは……一言一句、忘れられない。
「浴衣、似合ってるな」
(続)
484 :
ぶーわ:2008/01/14(月) 15:19:31 ID:+nJ2IaGI
きた―!!o(゚∇゚*o)(o*゚∇゚)o〜♪
甘い。とても甘い!続きが気になって仕方ありません。
GJ!!
>>484 続ききたああああああああ!!!!!!
読んでる最中ずっとこのニブチンが!!とか思ってたけど
最後の最後でよく言ったかがみ!!ついに男見せてくれた!!
そして乙女全開のこなたがヤバイほどカワイイ・・・
次も超期待してまっさ!!GJ!!
やっほいktkr
やっとかがみのすべきことが書かれた気がします。
しかしよくこなたの心理をかけるぁ、と感心してしまいました。
うん、うまい…GJっした☆
488 :
久留里:2008/01/14(月) 16:07:47 ID:C8FHcvuJ
投下の勢いが速過ぎてGJする余裕すら与えられぬとは……。
>>445,458,469
皆さんGJなのです。
それと…、
>>448 あゆみ「私よりもあんな変な奴の方が良いってワケ?」
マルコ「うるせぇ!! ケツの青いガキがギャーギャー騒ぐんじゃねぇ!!」
作 者「いい加減にしないと出番減らすぞ」
あ・マ「「その前にさっさと続き書け!!」」
今夜登場するので、この子を生暖かく応援してやって下さい。
489 :
久留里:2008/01/14(月) 16:10:08 ID:C8FHcvuJ
ついでなんでスレ立ててきます。
あ、結局テンプレはどうなりました?
(みゆきさんの一言メモについて)
491 :
久留里:2008/01/14(月) 16:13:31 ID:C8FHcvuJ
492 :
久留里:2008/01/14(月) 16:14:33 ID:C8FHcvuJ
>>490 32のやつをそのまま使ってしまいました……。
乙です
とうとうdatナンバーも1200000000超えましたか
ここは長寿ですねぇ……
新スレが立った(久留里さん乙です)今なら言える。
>>488 >この子を生暖かく応援……
ということはあゆみちゃんもまたゴッドの一柱であり、バカマルコが時の流れを司るようにツンとデレを司ったりしますか。
待てあゆみちゃん、その桜島大根はどこから取り出したにぎゃぁぁぁぁぁ!?
>>487 逆に考えるんだ
ぶーわ氏は女のkちょぶわさんらめぇぇぇ
>492
乙です。
今スレは速かったですね。
レス番も500に達していない(SS含有率が高い)ですし。
>429
GJ!
みなみちゃんが、凄く可愛らしかったです。
胸の悩みは切実なんだけど、肝心なところで、
「吸収」を断念してしまうあたりの記述が、みなみちゃんの性格が
巧みに表現されているな、と思いました。
埋めコネタ
「なあ柊、今日は何の日だったか覚えてるか?」
『あんたじゃあるまいし、さすがにそのくらいは知ってるわよ。成人の日でしょう』
「はい正解。ぱちぱちぱち〜。今日はその、全国いたるところではめを外して呑めや歌えやのドンチャン騒ぎの日です」
『……もうちょっとましな言い方できないのか』
「じゃあ、ニュースでは飲酒や暴力沙汰ばっかり取り上げて、まったくいい印象のない日とか」
『あのなー』
「沖縄とかも、成人式の様子さえ報道されなければ、観光地として良い印象だけをあたえられたのにな」
『日下部は成人式に恨みでもあるのか?』
「別にそういうわけじゃないけど、ただ、テレビを見ててもそんなニュースばっかりでつまんないなーって」
『それでこうやって私に電話してきたと』
「そういうこと」
『ホントに自堕落ね……。それでも受験生?』
「そうですよー。私はしがない受験生。そして柊も同じく受験生」
『あんたと一緒にするな。……たく、私は困るわよ。あんたに『柊先輩』なんて呼ばれるのは』
「ハハハ、いくらなんでもそりゃないな。目指してる大学も違うし。でも、そんなことにならないように私も頑張ろっかな」
『なんなら今から勉強会でも開いてみる?』
「いや、今日は勘弁」
『どうしてよ。あんたのためを思ってやろうかって言ってるのに』
「外に出たら飲酒運転の車に轢かれた〜なんてことがあるかもしれない」
『ねえよ』
>>484 ほわぁぁぁああああGJ !
甘いし熱いし燃えるし萌えるし最高でしたw
次回また、かがみはヘタレに戻るんですか? w
↑に便乗埋め小ネタ
「成人式といえば?」
「振り袖きてどんちゃん騒ぎするお祭りだよね♪いいなぁ、あきらもはやくどんちゃん騒ぎやりたいなぁ♪」
「あの、あきら様?なんども説明しましたけど、成人式はどんちゃん騒ぎするものじゃありませんよ?」
「どんちゃん騒ぎして、白石に全部払わせて」
「ちょ、え?」
「あとは海外でハネムーン♪」
「……あきら様?」
「なぁに?」
「どっからハネムーンなんて文字が?」
「え?」
「べ、別にあんたなんかとハネムーン行きたいわけじゃないわよ!誰が!誰があんたなんかと!」
「ししし知ってますよ!あ、あきら様にはきっと白馬の王子さまがっ」
「あのさー」
「「日下部は黙れ」」
「みゅー…」
「成人の日って、なんなんだろうね?」
「いきなりだなおい。なにか、またスイッチでも入ったか?」
「かがみ、そのスイッチ入ったって止めてくんないかな」
「いや、こなたがそういうこと言い出すときは、なにかしら危ない発言が多い気がするし」
「そんなことないでしょ。極当たり前に、人としてだね〜」
「どうせ、成人の日に逮捕される新成人は、とか言いたいんだろ」
「いや、そうなんだけどね。私はもうエロゲを堂々とできるわけだよ」
「それがどうした」
「いや、それって大人として認められてることじゃないのかな?」
「それは…」
「日本ってそういうところが曖昧だよね。一部では十八歳、他では二十歳とかさ」
「じゃあ、あんたの思う大人ってどんななんだ?」
「ん〜、エロゲなんかを架空の世界と思えることかな」
「どんな判断基準だよっ」
「じゃあ、自分を大事にしながら、人を大事にできること」
「あっ、あんたにしてはまともなこと言うじゃない」
「そりゃね、私は私だけど、かがみはかがみだし。好きな人は大事にしたいよ」
「――さてと、受験に向けて頑張らないとね…///」
「しかし受験かあ・・・つかさはやっぱり料理関係、もしくは栄養関係かな」
「あの子の場合、そういったことよりも、睡眠の癖のほうが心配だわね・・・」
「あー・・・料理系の朝は早いからね・・・得意なお菓子関係は特に・・・」
「かがみはやっぱり、法学関係だよね、進路」
「もちろん、法曹界は異様に狭い門だから、今のうちから
知識は貯めるだけ貯めておかないと」
「狭い門といえば、医学界を目指すみゆきさんもか」
「まーみゆきの場合、あの蓄積っぷりだけで十分受かりそうな気もするわね」
「ある作品で言ってたけど、東大の理Vって
蓄積してきた知識じゃない種類の知性も求められるんだって?」
「そういう話みたいだわね」
「ほーそーかそーか、じゃあ私のように生まれ持った知性で
合格することも可能なわけだ」
「やぶからぼうになにを突然・・・アンタが知性?いよいよ寝言極まったか?」
「こう見えても私学校勉強以外における知性には、自信があるのですよ。
そして一夜漬けで高校テストの高得点いける、ホンバンに強いタイプだし」
「おーい・・・あんたもドラ○ン桜から影響うけた口かー?
大体一夜漬けで攻略できるような場所が、日本一いや世界一狭い門と
認識されるとおもってんのか?
そもそも根本的な問題として、あんた医者やりたいんかい」
「んー、ほらあれよ、法外な医療費を取ってあちこち旅をする、
無許可だけど凄腕の医者って燃えない?」
「・・・影響受けたのそっちかよ・・・あーもう・・・」
「でも・・・泉さんならひょっとして出来るかもしれませんね」
「み・・・みゆきまでなにを!?」
「泉さんから見え隠れする、あふれ出る知性、爆発する知性をもってすれば
あの医学会の不沈空母も突き壊すことが可能かもしれませんだばだば
そして私と共に、先進医学をリードするのですだばだば」
「・・・いや・・・その・・・言ってみただけだから・・・じゃね(脱兎)」
「あっ!お待ちになってください、私の生涯のパートナー!」
「こら待て!こなたは私の法律事務所の助手になるんだから!」
「させないよ、こなちゃんは私のスイーツショップのアシスタントになるんだよ!」
「こちらコナーク、私の将来が決まった。特殊部隊隊員、そして傭兵・・・」