らき☆すたの女の子でエロパロ31

このエントリーをはてなブックマークに追加
52426-485:2008/01/08(火) 23:00:58 ID:mDnvv7dI
色々と拙い点等あるでしょうがいかがでしょうか
シリアス物は中々筆が進まない……
結末はどうなる事やら
続きます
525名無しさん@ピンキー:2008/01/09(水) 00:02:41 ID:GG+xVZAS
GJ!
緊迫した場面の連続で一気に読めました。
ただ >522で、今まで話し合いをしていた、こなたが急に、かがみをかばって
ゆーちゃんを責める言葉を放った部分の描写については、やや唐突な印象を受けました。
もう少し、描写を厚くして『ため』を持たせた方が、こなたの憤りが伝わった気がします。
続きを楽しみにしております。
526名無しさん@ピンキー:2008/01/09(水) 00:04:22 ID:4OG+xUbg
>>524
GJですぜ
うぅむ・・・胸が苦しい・・・
ダメだよかがみ…ちゃんと向き合っていかないと…
二人で進んでいかないとダメだぁぁ・・・
みんな辛いなぁ・・・でもがんばれー!
527名無しさん@ピンキー:2008/01/09(水) 00:27:54 ID:Qy803dAB
>>524
激しくGJ。
切なねぇ…切なすぎるぜ、かがみっ!
続編にwktk。


メガッサ私事だが、最近ノロウイルスだか、こな☆フェチだかが流行ってるらしく…
皆体調管理には気をつけるべきっ!
と、さっそく急性胃腸炎になったオレが言ってみるorz
528名無しさん@ピンキー:2008/01/09(水) 00:44:54 ID:rjuOCsPR
>>524
部屋の緊張感が伝わってきて、思わず鳥肌が立ってしまいました。
シリアスものは大変ですが、頑張って下さい!

さて、最近「お風呂」というシチュエーションがすごくツボで、こんなのを作ってしまいました。
息抜きによんでいただけたら幸いです。地の文無し、4レスです。
529ふたりでお風呂・こなたとゆたか (1/2):2008/01/09(水) 00:45:56 ID:rjuOCsPR
 

 カッポーン


「……あちちっ」

 パシャパシャ

「ん……大丈夫、かな」

 ガラッ

「ゆーちゃんはろー☆」
「うわあぁっ! び、びっくりさせないでよー」
「ごめんごめん、たまには一緒にどうカナと思ってネ」
「んもー、しょうがないんだからー」
「ほらほらっ、いとこ同士なんだから隠さない隠さないっ」
「わっ、ちょっと、お姉ちゃんっ! ふふっ、くすぐったいよぅっ」

 チャプン

 ザバァ...

「ふぃー、やっぱりお風呂は温まるネ」
「うんっ、体の中からぽかぽかしてくるよね」
「ゆーちゃんはお風呂好き?」
「うん、好きだよっ」
「私も好き。ウチのお風呂はそれほど広くないけどさ、
 それでもお風呂に入るとなんだかゆーっくりと出来るんだよね」
「確かにそうだよね。なんだかすごく落ち着いた気分になるもんね」

 ピチョン

「……ゆーちゃんは、私のこと、好き?」
「えっ? うん、もちろん好きだよっ?」
「じゃあ、ゆい姉さんと私、どっちのほうが好き?」
「ええーっ!? そ、そんなの言えないよぅっ!
 二人とも私の大事なお姉ちゃんだもん……どっちが、なんて決められないよっ」
「ふふ、ごめんごめん。ゆーちゃんがそういうのは分かってたけどさ、それでも聞いてみたくて」
「どういうこと……?」

 チャプ...

「私さ、ゆーちゃんがウチに来てから、頑張って『良いお姉ちゃん』を目指してたんだ」
「うん……」
「ゆい姉さんって、普段は結構ぶっ飛んでるって感じだけど、
 実はゆーちゃんのこと、誰よりもよーく見てて、よーく知ってるんだよね。
 だから、ゆーちゃんがウチに来るって決まったとき、
 そんなゆい姉さんの代わりになれるかなって、正直言うとちょっと不安だったんだ。
 今でも、私はちゃんとゆーちゃんの頼れる存在になれてるかな、とか、たまに自信持てないときがあるんだよね」
「そんなことないよっ、こなたお姉ちゃんは、すごく良いお姉ちゃんだと思うもん……。
 私も、すっごくこなたお姉ちゃんに助けられてるなって思うこと、よくあるし……」
「ありがと、ゆーちゃん。でも、やっぱりまだまだだなって思うんだよね。
 この前まで私は、お父さんと二人で暮らしてて、どっちかっていうと『頼る側』の人間でさ、
 かがみ達にも結構頼ってばっかりで、誰かに頼られたりするなんてこと、なかった。
 けど、ゆーちゃんが来て、私も『頼られる側』の人間になってみて、初めてその大変さ……
 んー、大変さっていうよりは……『大切さ』が分かったんだよね」
「『大切さ』……?」
530名無しさん@ピンキー:2008/01/09(水) 00:46:01 ID:Qzv0lmVQ
そうじろうが良い味出してるなあ……
父って凄いよね。
531ふたりでお風呂・こなたとゆたか (2/2):2008/01/09(水) 00:46:38 ID:rjuOCsPR
「うん……やっぱり誰かに頼られるような人間じゃないと駄目だなって、最近思うんだ。
 そういう、頼られる人って、すごく輝いてて、すごく優しくて、すごく魅力的な人で、
 そしてなにより、誰かに頼ってもらうってことは、すごく嬉しいことなんだよね。
 頼ってばっかりじゃ気づけないようなことが、頼られてみていっぱい分かった。
 だから私、ゆーちゃんにはすごく感謝してるんだ」
「そんな……私のほうこそ、こなたお姉ちゃんにはいっぱい感謝してるんだよっ。 
 ……さっきお姉ちゃん、ゆいお姉ちゃんの代わりって言ってたけど、
 最近、お姉ちゃんのこと、すごくゆいお姉ちゃんぽいなって思うんだ。
 お姉ちゃん、前にゲームしながら寝ちゃってたことあったでしょっ?」
「う、うん……コタツに入ったままだとついつい……」
「ふふっ、あのとき、お姉ちゃん寝言で私の名前を呼んでくれてたんだ」
「ホントっ!? な、なんだか恥ずかしいナ……」
「昔、ゆいお姉ちゃんが遅くに酔っ払って帰ってきたことがあって、
 そのままソファーで寝ちゃったんだけど、そのときもお姉ちゃんみたいに私の名前を呼んでくれててさ、
 なんだかそのことを思い出しちゃって。
 だから、私、すごく二人に愛されてるんだなって思うんだよね」

 ピチョン

「……ゆいお姉ちゃんがきよたかお兄ちゃんに着いていかなかった理由って、知ってる?」
「今の仕事が好きだから……ってこと?」
「うん……。お姉ちゃんはそう言ってるけど、
 本当は……私のために残ってくれたんじゃないかなって思うんだ……。
 そう言うと、きっと私が迷惑かけてるんじゃないかなって思うだろうから、言わないだけで……
 んー、やっぱり考えすぎかなっ?」
「ゆーちゃんのため、かぁ……。でも、ゆい姉さんなら、それも分かる気がするな。
 ゆーちゃんのこと、きっときー兄さんと同じくらい……ひょっとしたらそれ以上に大切に思ってる人だからね」
「きよたかお兄ちゃん以上は言いすぎだよぅっ、多分……。
 でも……ゆいお姉ちゃんが残ってくれるって聞いたとき、やっぱり嬉しかった。
 ゆいお姉ちゃんと離れなくて済むんだなって思ったら、すごくほっとした。
 私も、ゆいお姉ちゃんのこと、やっぱりすごく大切なんだなって思う……。
 あっ、もちろんこなたお姉ちゃんのことも、すっごく大切に思ってるからねっ?」
「ふふっ、分かってるって。ゆーちゃんは優しいネ」
「ホントだってばぁっ! んもうっ」

 ジャブジャブ...

「……こなたお姉ちゃんは私のこと、好きなんだよねっ?」
「うん、もちろんっ」
「じゃあ、かがみ先輩とはどっちが好き?」
「な、なななんでそこでかがみの名前がっ!?」
「ねぇ、どっち?」
「え、えーっ!? うーん、そ、それは……ゆ、ゆーちゃん、意地悪だよぅっ……」
「さっきのお返しっ♪ それで、どっち?」
「うぅ……じゃあゆーちゃんが私とみなみちゃん、どっちが好きか答えたら言ってあげる」
「み、みなみちゃんは関係ないでしょっ!?」
「じゃあ、私のほうが好きなんだ。やったぁっ」
「そ、そんなことないもんっ! 
 あっ、でもこなたお姉ちゃんが嫌いってわけじゃなくて……うわああっ」
「ふふ、ゆーちゃんはホントにかわいいなぁっ。やっぱりかがみといい勝負だネ」
「わっ、き、きゅーに抱きつかないでよっ! 危ないよぅ、お姉ちゃんっ!」

 ワーワー

 ザブン゙ザブン...

532名無しさん@ピンキー:2008/01/09(水) 01:09:45 ID:JoVccXd2
ぬ、人多杉に引っかかったかな?
でわその間に、>>527へのネタw

かがみ「依存性此方抱擁接吻症」
つかさ「夢遊病性此方視界内進入時気絶症」
みゆき「造血性此方感覚認識型鼻粘膜不全出血熱」

みさお「発作型鏡嫉妬時情動失禁」
あやの「操伽羅歌嫉妬性影付微笑症」

ゆたか「黒笑性南着替調教症」
みなみ「沈黙性豊服従時々病照症」
ひより「突発性百合現場遭遇時原稿量産症候群」
パティ「衣装遊性日和虎視眈々的秋葉原中毒症」
5339-727:2008/01/09(水) 01:34:31 ID:7dtqZCCK
すみません…なんかきゅーに書き込めなくなりまして…これがアクセス規制というやつなのでしょうか。
携帯から書き込もうとしても端末番号うんたらかんたらで出来ず、ずっとパニック状態でした。(今書き込み方法を調べたところです)
結構長いのにこんなトラブルで中途終了とは情けないです。
残りはwikiにあげさせていただきます!スレの皆様に多大な迷惑をおかけしまして本当にすみませんでした。
534久留里:2008/01/09(水) 01:40:48 ID:FebRDn7J
>>524
GJ!!
切ないよ、切なすぎるよ。泣きそうになりましたよ。

>>529
GJ!!
みさお
「この間チビっ子の家行ってシャワー借りたんだけどさー、我が家の4〜5倍くらい広くてビビったぜ。
 ウチなんか2人で入れねーどころか、足も伸ばせねーんだぜorz」




さて、「カケラ」の続きを投下いたしますよ。容量大丈夫かにゃ?

・>>クモハ471-478 の続き。
・つかさ視点 / みさお兄視点
・非エロ
・7レスほど使用
・シリアス/タイムリープ/鬱展開あり
・オリジナルキャラが登場します。
・オリジナル設定が多いのは仕様です。
・物語の性格上、鉄分が濃いです。

※アクセス規制で書けなかった場合はごめんなさい。次スレで投下します。
535名無しさん@ピンキー:2008/01/09(水) 01:40:58 ID:nA+kDDUW
どどんまい
536カケラ 6-1/5:2008/01/09(水) 01:41:39 ID:FebRDn7J
6.

「朝よ」
「ん………んんーっ」

ゆっくりと身を起こす。
「ん……ふぇっ?! ここどこ?!!」
「やっと目が覚めたわね」

あ、そうだった。
私は気が付いたら鹿児島県の山中の駅に居て、そこで普通列車に乗ってこの女の子と出会ったんだ。
で、隼人駅で乗り換えて、それから…………、
「えっと、何だっけ?」
「忘れたの? あなた、一生『元の場所』へ帰れないわよ」
ごめん、悪気はなかったんだけど、途中で眠くなっちゃって。
「はぁ、まあいいわ。それよりお腹空いたでしょ?」
「うん……」
「朝ごはんにしましょ」

そうだ、思い出した。
私は隼人駅で日豊線という路線で西鹿児島駅に向かって、この子が「自分の家」で泊まらせてくれたんだ。
で、今いる古い木造アパートがその子のお家……………にしてはあんまりな部屋だった。
テレビドラマに出てくるようなアパートで、部屋は畳敷きの6畳間だけ。
お風呂は無く、トイレと洗面所は共通のまるで独身寮のような所だった。
あ、独身寮っていうのはテレビドラマで見たのがそういう設定であって、私は一人暮らしはまだした事ないよ。

その子はどこか「親近感」があった。
歳は12歳くらいで身長はこなちゃんと同じくらい。
昨日は白いコートを着ていたから分からなかったけど、淡い黄色のトレーナーに臙脂色のチェック模様の入ったキュロットを穿いていた。
対する私はデニムのオーバーオールで下は黄緑と緑の縞模様のセーター。
彼女は、日豊線の列車(一番前は何故か機関車が付いていた)の中で、私の今の状況を全部話してくれた。



まず、私が飛ばされたのは『昭和5X年』の12月18日。日付が変わったから今は19日。
その鹿児島県にある『霧島西口』駅(今は霧島温泉駅というらしい)に『意図的に』飛ばされたらしい。
ただ、私を飛ばしたのは悪意があってではなく、私を、そして『私にとって大事な人』を助けるためだったらしい。
まさかと思って彼女に「あなたが飛ばしたの?」と訊いてみたけれど、答えはノーだった。
代わりに彼女はこう言った。

『あなたがこの時代で死なれては困るの。何としてでも元の時代に戻らなければならないの』

この言葉を聞いたとき、私は彼女の言っていることがサッパリ分からなかった。
多分、私が馬鹿だからだけじゃないと思う。
彼女の言っていることが、悪く言えば馬鹿馬鹿しく聞こえたからだ。
まわりから見れば、彼女は「おかしな子ども」としか見られなかったのかも知れない。
でも、彼女のこの一言…いや二言は、説得力があって、力強かった。
だから、私は彼女の話を全部信じる事にしたんだ。

それにしても……。
「『私にとって大事な人』って………………誰?」
真っ先に思い浮かんだのは同じクラスで一番仲の良いこなちゃんとゆきちゃんだった。
確かに二人共好きだけど、彼女が言う『私にとって大事な人』とはちょっと違う様な気がする。
537カケラ 6-2/5:2008/01/09(水) 01:42:19 ID:FebRDn7J
「朝ごはん、出来たわよ」
女の子がぶっきらぼうな声で私を呼ぶ。

彼女の生活はいたって謎だった。
この部屋はどう考えても彼女の家ではない。数年間ずっと空き家だったとしか考えられない。
そうでなければ『当時の』小学生くらいの女の子が、ここまで生活感の無い家に一人で住んでいる筈がない。
そもそも彼女は私が『この時代に』飛ばされたことを知っているし、
服装なども『現代』に近いものとなっている。
この時代にはまだ普及していない筈の携帯電話を見せても、特に驚くことは無かった。
ただ単に興味が無かっただけなのかも知れないけれど。
果たして、この子はどうやって生活をしているのだろう?


「昨日も言った通り、私で良ければ一緒に付いていくわ。あまり役に立たないとは思うけど。
 でも、現代に戻るには───」
彼女が言いかけた台詞を私が続けて言う。
「──私が自分の力で『鍵』を見付ける必要がある、だったね」
「やっと思い出したようね」
ちょっとおマセな女の子がニコリと笑う。
あまりにも不自然なその表情を見るに、彼女は十数年の人生の中であまり笑ったことは無さそうだ。
「何よ?」
目玉焼きを口に入れながら私に問いかける少女。私はずっと彼女のことを凝視していたらしい。
「え…あ………ごめん、何でもない」
お陰で恥ずかしくなっちゃった。

トーストにマーガリンを塗って口に入れる。市販品をただ焼いただけのものだが、これが結構美味しい。
目玉焼きも良く焼けており、不器用そうで結構器用だ。
朝ごはんはそれだけしか無かったけど、私は泊まらせてもらった身なので文句は言えない。
「で、その『鍵』は、どこで手に入るの?」
「私だって分からないわよ。私は元々、アナタに付いていくつもりは無かったんだし。
 私の使命はアナタに『西鹿児島へ行け』と言うことだけだったんだし」
「しめい?」
「そうよ……ってそれはどうでもいいわ」
私にはあまりどうでも良くないんだけど。
「とにかく、『鍵』の場所は分からない。でも、何となくだけど『気配』は感じるられる。
 だから私で良ければ付いていってもいい」
「うん、いいよ。てか、むしろ付いて来て。私、一人じゃ多分帰れないと思うから」
もしここで拒否したら、間違いなく私は元の時代へ帰る事は出来ないと思う。
折角の情報源を捨てる訳にはいかない。それに、根拠は無いけど彼女の事は信用出来る。
538カケラ 6-3/5:2008/01/09(水) 01:42:43 ID:FebRDn7J
1枚のトーストと1枚の目玉焼きはあっと言う間に食べ終わった。
彼女が食器と布巾を持って部屋を出る前に、どうしても訊きたいことがあったので訊いてみる。
「ひとつ訊いていいかな?」
「何よ?」
「名前」
「名前?」
「あなたの名前。良かったら教えて?」
「そういうのって、自分から名乗るものなんじゃないの?」
あ…そういうものだよね。普通は。
って何で私は年下の子に気を遣っているのだろう……。
「ごめん。私は柊つかさ。『つかさ』でいいよ」
「ふーん」
「あなたは?」
「………………」
「………?」
「………あゆみ」
ちょっと恥ずかしそうな彼女。
「『あゆみ』ちゃんね」
「………うん」
「あ、そうだ。ねぇ、『あゆちゃん』って呼んでいい?」
しゃがんで彼女と目線を合わせる私。いきなりあだ名で呼ぶのは、やっぱりダメかな?
「……う、うん。いいわよ」
あれ? 顔真っ赤にしちゃった。
「どうしたの?」
「う………うるさいうるさいうるさい!! べ、べべべ別に何でも無いわよ!!」
何故か焦ってる『あゆちゃん』。何だか照れている様に見えるけど、気のせいなのかな?
「ほ、ほら、は、はは早く支度しなさいよっ。も、もうすぐ行くわよ」
あゆちゃんはドスドスとわざと音を立てながら部屋を出て行ってしまった。

私、悪いことしちゃったかなぁ……。
539カケラ 6-4/5:2008/01/09(水) 01:43:25 ID:FebRDn7J
天文館の商店街を抜けて、路面電車が行き交う「天文館電車通り」という大通りに出る。
わざわざ電車を使う距離ではないし、お金をあまり持っていないので、私たちはこの道をひたすら歩いていく。
昭和5X年(西暦で言えば197X年)と言えば、第二次オイルショックのあった年だ。
これも歴史の授業で習ったんだけど、街の活気をみるに、
二度目の方はトイレットペーパーを買い占めるほどの騒動には至らなかったみたいだ。

大久保利通の大きな銅像を右手にみて、私とあゆちゃんは高見橋を渡る。
やがて、広いロータリが現れて私たちは西鹿児島駅に到着した。
まわりからはどんな風に見えるのかな? やっぱり姉妹に見えるのかな?
ちょっとだけ「お姉さん」になった気分で何だか嬉しい。

三角屋根が可愛らしい西鹿児島駅。
テレビで観た今の駅舎は確か真っ赤で角張った建物で、そこだけさいたま新都心みたいだった。
雰囲気が全然違う。30年間の『重み』を感じた……ような気がした。

因みにどうして私が西鹿児島駅の事を知っているのかというと、
中学3年の時の社会科のテストで、時事問題として九州新幹線が採り上げられたから。
「3月に新八代駅と鹿児島中央駅を結ぶ新幹線が開通しました。
 将来は博多駅まで開業するこの新幹線の名前を答えなさい」
という少々マニアックな問題だったので、よく覚えている。
テスト当日の朝、NHKのニュースを観ていなかったら間違いなく答えられなかったよ……。

「ぼけーっとしてないで、早く行きましょ?」
あゆちゃんが私を呼ぶ。そうだった、『鍵』を見付けなきゃいけないんだった。
私たちは駅舎の中へ入る……と思いきや、あゆちゃんは何故か外の女子トイレの方へ。
そして、何故か二人で個室に入った。

「ど、どうしたの?」
「大丈夫。多分だけど、そろそろ『来る』と思うの」
『来る』?
今私たちはトイレの個室の中にいて、あゆちゃんは確かに『来る』と行った。
「く、来るって、も、も、もしかして、アレの事?」
それを聞いたあゆちゃんは「はァ?」という顔をして呆れている。
え? アレじゃないの?
「何勘違いしてんのよ。私は『まだ』よ」
背丈はこなちゃんくらいあるんだけどね……。
「えっと、そうだ。貴方の携帯電話って奴? それ開いてみて?」
「え? ここ電波届くの?」
……いや、流石に『時間単位』で離れているから、いくらFOMAでも電波は絶対届かないよね?

その時だった─────。
540カケラ 6-5/5:2008/01/09(水) 01:43:55 ID:FebRDn7J
携帯電話が着信した。昨年の授業中での反省を活かして携帯電話はマナーモードにしていた。
ブルブルと震える電話機の画面には、シンプルに『MMS Received: 1』と表示されている。
──って誰? 英語表示にしたの!!
あ、そう言えば昨日、こなちゃんが私の電話機をイタズラしてたような気が。
うぅぅ、酷いよぉ。
────あゆちゃんが恐い顔をしたので慌ててそのメールを開いてみる。

『西鹿児島駅前の女子トイレに行け。
 掃除用具入れの中から封筒を見つけ出し、その中にある乗車券で目的地へ迎え』

それだけでメッセージは終わっていた。
「ふーん」
「何か分かったの?」
「ちょっと『臭う』わね」
「『鍵』のこと?」
「そう」
「その、『気配』が感じるの?」
「違う。とにかく、掃除用具入れからその封筒とやらを見付けましょ?」
「うん。でも……」
「何よ? 早くしないと乗り遅れるかも知れないわよ?」
「わ、分かってるよ。でも……」
「でも?」
ここ、公衆トイレだよ?
二人で掃除用具入れを漁っている所を他の人に見られるのはちょっと……。

結局、私がトイレの前で見張ることにし、あゆちゃんが一人で探すことになった。
封筒はあっけなく見付かった。
流しの奥に積んであった、予備のトイレットペーパーの間に挟まっていたらしい。
乗車券を確認する。
「小倉?」
「北九州の街よ。アナタの町から列車で行くと、最初に通る大きな駅が小倉駅」
「へぇ、詳しいんだね」
「ま、まぁ、地元だしね」
その割には埼玉訛りだよね?
「さ、は、早く乗りましょう? えっと、今の時間は?」
「えーっと、7時55分……」
「つ、つかさ!!」
「な、なななな何??!!」
「発車まであと1分!!」
「えーーーーっ!!」


私たちは何とか列車に乗ることが出来た。
特急「有明」号門司港行きは、北九州へ向けて長い長い道のりを走っていく────。
541カケラ 間-1/2:2008/01/09(水) 01:44:36 ID:FebRDn7J
間.


『376』


この数字を見て何のことか分かった人は、今、おれが見ているニュースサイトを開いていることになる。
この数字───


───夕方の『事故』で犠牲となった電車の乗客と、高架橋の下で生活していた住民たちの数だ。


全乗客およそ800名のうち、約半数が亡くなり、残りは重軽傷を負った。
おれとみさおが住んでいる5階建てのわし宮団地よりも背の高い高架橋から、電車が落ちたのだ。『橋ごと』。
無理もない。酷い言い方になるが、おれはむしろ、現時点での生存者が居たことに驚いた。
それとともに、胸を強く痛めた。



東武伊勢崎線は北側と南側の区間に別れて折り返し運転を実施、北千住〜久喜・日光線南栗橋間の列車は全て運行を取りやめた。
車両基地が春日部駅の北側にあるので、南側の区間は電車が詰まって『渋滞』を起こしているらしい。
おれ達はあの時、JRで帰ったのは正解だった。そのJRも今ではカオス状態になっているという。

史上最悪の鉄道『事故』が起こった。
救出作業をしている中、早くも埼玉県警による現場検証が始まった。
事故が発生してまだ半日も経っていないというのに、早くもマスコミはお得意の「安全神話」だの「危機管理体制」を餌に東武鉄道を叩いている。
全く、アンタらは全くの幸せ者だな。
直接の被害者は利用客と電車の乗務員、そして橋の崩壊で下敷きになった住宅街だろう。
しかし、東武鉄道も被害者なのだ。

国立高専の機械学科出身のおれは、機械工学の他に、囓っただけだが建築物の構造計算の勉強もしている。
それが今の職に活かされている訳だが、それはどうでもいい。
現代の建築技術や頭の固い東武鉄道の管理体制を考える(後者はあくまでもイメージだが)と、
大地震でも起こらない限り複々線の橋がそう簡単に崩れる筈がない。
それに、崩壊したのは新田駅と蒲生駅との間だけであって、他の高架区間は特に問題は無かったという。
(ソースは東武のニュースリリース「秋の高架橋点検の結果について」による)
もしかしたら、これは『事件』なのかも知れない。誰かが、意図的に。
いやいや、もしかしたらこういうケースもあり得るのかも知れない。
542カケラ 間-2/2:2008/01/09(水) 01:50:54 ID:FebRDn7J
「兄貴ぃ〜」
みさおはさっきからおれの側にずっと丸くなっている。
体をガクガクと震わせて。

本当に怖がっている。

いつものアホみたいに笑っている我が妹が。

みさおここまで怯えることは滅多に無い。『あの』時以来だったような気がする。
それはどうでもいい。

「大丈夫だって。クラスメイトの事が心配なんだろ?」
「うん……でも、ちょっと違う」
「?」
「今さ、すんげー『嫌な予感』がしてならねーんだ」
「? あやのは無事だったぞ」
あの凶暴な姉貴が居りゃ、例え津波で埼玉が水没したとしても大丈夫だ。
「ちげーよ。他の友達だよ。例えば…」
「例えば?」
みさおが友達の名前を言おうとした時、

『ジーーッ』

間抜けなブザーが鳴った。昭和40年代以前では標準だった『呼び鈴』の音である。
母親が玄関を開ける。おれとみさおも顔だけ出して来客を迎える。
扉が開くや否や、40代半ばの「お母さん」らしき人が現れた。はて、この前神社でお会いした様な気が?
「あら、『柊』さん?」
「う、ウチの娘、こちらにお邪魔していませんか?!」
と大声で言った。完全に平静さを失っている。
彼女の一言で、おれは何を言いたいのか理解した。みさおの『嫌〜な予感』が当たってしまった。


「ウチの娘がまだ帰っていないんです。電話も、携帯電話のメールも、一つも入っていなくて…………」
みさおの友達、柊かがみちゃんのお母さんは、泣きながらおれ達に説明した。
「みさおちゃん、何か聞いてない?」
「い、いや、今日は一度も連絡が……」



『嘘』であって欲しい。
『嘘』であって欲しい。
そうだ、ちょっと帰りがいつもより遅いだけなんだ。
余所の子だとはいえ、かがみちゃんはウチの妹がいつもお世話になっている。
「みさお、安心しな。ちゃんと帰って来るさ。そうだ、今から鷲宮神社に行こう。
 そこで『無事に帰れますように』ってお祈りするんだ。いいな?」
おれは小さな子どもをあやすように、みさおに言う。

我が妹は、泣きながら小さく「こくん」と頷いた。





『今、新しいニュースが入りました。今日午後6時頃発生した高架橋崩壊事故現場で、
 大破した車両から10代後半と思われる女性3人が先ほど救出されました。
 草加市立病院へ運ばれましたが、意識不明の重体となっております。
 繰り返します──────』
543名無しさん@ピンキー:2008/01/09(水) 01:53:33 ID:eyz8R2aS
え…えっと…

とりあえずリアルタイム乙

嘘だよな?、偶然だと言ってくれ!
違うにしてもタイミング良すぎるよ…。
544名無しさん@ピンキー:2008/01/09(水) 01:56:54 ID:qcQmucqh
>>542
同じくリアルタイムにて読了。


みさ兄視点が入ったときからこうなるんじゃないか、とは思っていましたがやはりそうでしたか。
しかし、あゆみちゃんといいこなたがぶつかった人といい、まだまだパズルのピースが必要そうで……。
とりあえず、こなたたちの復活を信じて続きをお待ちします。ぐっじょぶ。
545カケラ 6 by 久留里:2008/01/09(水) 02:04:04 ID:FebRDn7J
以上でございます。
燃料が尽きたので一旦ここで区切ります。
その間、現場検証でもしておいて下さい。



おまけ
「みんな携帯電話はどんなの使ってる?
 じゃじゃーん、私は最新型のauなのだよ。テレビ観れるしラジオも聴けるのだよ。
 ふっふっふ。これでアニメが何時でも観放題」
「アンタ、ツーカーやめたんだ」
「酷いよかがみん。しょうがないじゃん。会社自体無くなっちゃったんだから」
「まぁね。ウチは家族全員ドコモだよ。私はコレで、つかさはコレ。
 どっちも横のボタンを押すだけでパカっと開くヤツよ」
「あんまりよく分からないんだけど、お姉ちゃんの方が高性能みたいだよ」
「その割にはかがみは使いこなしていないような気がするけど…」
「う、五月蠅いわねっ。ケータイなんか、電話とメールが出来ればそれでいいのよっ!!」
「みゆきさんは?」
「私は泉さんと同じauですよ。父が同じ系列の会社を経営しておりますので」
((今この人、地味に凄いこと言った))
「おーっすチビっ子〜、あと柊ぃ〜!! 何の話してんだ?」
「私はオマケかよ」
「今ケータイはどこの会社のやつ使ってるか話してたところだよ」
「へーっ。私はSoftbankだぜ。ほれ」
「おぉー、見掛けによらず可愛い電話ですこと」
「うるせーよ、泉。ちなみに兄貴は外国製の変なやつ使ってる」
「え? お兄さんは確かパソコンみたいなPHSだったはず……」
「あれ? 兄貴地味に2台持ってるのか。何に使ってんだ?」
「さ、さぁ。私はドコモだよ。お姉ちゃんから貰ったやつだけど」
「み、峰岸………」
「それ、何年前の?」
「えっと、お姉ちゃんが確か学生の頃だったから…、ちょうど5年前の機種かな?」
「「おお、凄い」」
「電池はこの前買い換えたばかりだし、まだ使えるから私はこれでいいの」
「おぉ、流石はあやのん。凄いね〜」
「こなた、それ、聞きようによってはバカにしているように聞こえるわよ」
「ご、ごめんなさい……」
546名無しさん@ピンキー:2008/01/09(水) 02:08:38 ID:ruxgCg99
あやのもみさお兄と揃えてウィルコム持ってるのかw
実際恋人用にウィルコムは便利だよねぇ
547名無しさん@ピンキー:2008/01/09(水) 02:09:29 ID:JoVccXd2
こなた「カム・・・パネル・・・」
ゴス・・・
こなた「だから痛いって(〒ω〒.)」
かがみ「やかましい、今度縁起悪いこといったらフェチ発動だかんね」
こなた「うぐぅ・・・
    それにしてもかがみ、これすっごい読ませるよね・・・」
かがみ「ああ、例の『カケラ』?」
こなた「こんなに引き込まれるSFは久しぶりだぁよ。
    単なるタイムリープものに駄することのないよう
    鉄道と時代の風景を上手く盛り込み、
    物語を組み上げてる」
かがみ「鉄道と時代背景の知識もかなりあるみたいね。
    物語が進むごとに引き出しが増えそうね」
こなた「そして・・・少しずつ進んでゆくサスペンス!
    この3人って・・・もしや・・・もしや・・・
    カム・・・パ・・・」
かがみ「こなた・・・ルパンダイブしていい?」
こなた「ユルシテクダサヒカガミサマ」
かがみ「とにかく、>>545はGJといっておいてあげるんだからね」
こなた「同じくグジョォ!先期待してるよっ!」
548名無しさん@ピンキー:2008/01/09(水) 02:32:08 ID:ZPvpt7FG
>>527
ああ、それか……
ここ数日、半ば断食状態ですぜorz 仕事はしてるけど。


>>532
総称して、突発性難治性対特定対象性欲異常亢進症候群。
正式名称はこの五倍ほどの長さがあるのだが(以下略

仕込み中のSSより。
体調不良とスランプで進まねぇ……orz
549名無しさん@ピンキー:2008/01/09(水) 02:37:04 ID:nA+kDDUW
こなた「推理ものといえば最近あれ見ないよね、かがみんが殺されたやつ」
かがみ「ぶーわさんのやつね。0から始めましょうだっけ?」
こなた「ちょwそれ違うww0から始めよう!だよ、あれも最初はギャグだと思わせといてまさかのミステリーだよね」
かがみ「つかさが犯人かどうかってやつね、これも推理しがいがあるじゃない」
こなた「ゆーちゃんが嘘をつく理由はないし、やっぱ何か違うのを見たのかな?」
かがみ「どうかしら、ミスリードの定石として劇中でその可能性が提示されたやつはブラフが多いのよね」
こなた「かがみ・・・ひ○らしのやりすぎだよ。つかそういう推理の仕方ってどうなのさ」
かがみ「いいのよ、またきっと予想を裏切ってくれるわよ!」
こなた「うわさりげにハードル上げた」

続き・・・まだですか?
5504-243 ◆X9xLTlcDnY :2008/01/09(水) 02:40:43 ID:ra8zacJj
>>453
超絶亀レス&KYながら、ゆたみな大好き支援(´・ω・)ノシ
http://www.geocities.jp/extream_noise/rakisutaep/img/yutamina2.jpg
551名無しさん@ピンキー:2008/01/09(水) 02:52:43 ID:T0tUQ1SS
>>542
GJ!謎が謎を呼ぶ展開、引き込まれますな

しかし、最初の方から思ってましたが、
もしかして飛ばされた三人、それぞれが一人忘れてる?
552名無しさん@ピンキー:2008/01/09(水) 02:52:47 ID:NpzskgKC
もうすぐ次スレ必要だし小ネタ投下
〜こなかがツンデレ漫才〜

「ねーねーかがみ。私にお弁当作ってよ」
「やーよ。なんで私が」
「お願いだヨ〜、『べ、別にアンタのために作ったんじゃないんだからね!』を見たいんだよ〜」
「めんどくさいわよ。つかさの分も作らなきゃならないのに」
「この際チョココロネをかがみからもらうだけでもいいんだヨ〜。
かがみからもらうことに意味があるんだからさ〜」
「本当にチョココロネでいいのね?
アンタは本当にしょうがないわね〜・・・。

で、小麦粉っていくらだっけ」
「生地から作るのかよ」
――――――――――
「ねーねーかがみ。宿題写させてよ」
「やーよ。自分でやりなさい」
「お願いだヨ〜、ネトゲのやりすぎでついつい寝ちゃうんだよ〜」
「自分でやらなきゃ頭に入らないでしょ」
「今度からは自分でちゃんとやるからさ〜。
かがみにはもう迷惑かけないって誓うヨ〜」
「本当に自分でやるのね?
アンタは本当にしょうがないわね〜・・・。

じゃあ写しちゃうからノートを貸して30分待って」
「アンタが書くのかよ」
――――――――――
「ねーねーかがみ。バレンタインチョコちょうだい」
「やーよ。アンタ女でしょ」
「お願いだヨ〜、かがみからツンデレ的な貰い方をしたいんだよ〜」
「急に言われても困るでしょ」
「この際手作りだなんてワガママは言わないヨ〜、
市販の物でいいからかがみの愛を受け取りたいんだよ〜」
「本当に市販でいいのね?
アンタは本当にしょうがないわね〜・・・。

すみません、そこのゴディバください」
「高級品かよ」
――――――――――
「ねーねーかがみ。私のバイト先に遊びにきてよ」
「やーよ。意味わかんないわよ」
「お願いだヨ〜、いつもオタクの男の対応ばっかりでつまらないんだよ〜」
「女性客もたまにはくるんでしょ」
「同じ女性客ならかがみにきてもらいたいヨ〜。
ちょっとサービスしちゃうからさ〜」
「本当にサービスしてくれんのね?
アンタは本当にしょうがないわね〜・・・。

で、その店はカメラOKなの?」
「撮るのかよ」
553名無しさん@ピンキー:2008/01/09(水) 03:19:44 ID:chJQ10gc
>>309は予知能力を持っているようです。
554名無しさん@ピンキー:2008/01/09(水) 05:04:27 ID:VqG8YCTk
555名無しさん@ピンキー:2008/01/09(水) 06:57:38 ID:F1qlOZpT
>>550
ちょw なんてモノをww
みなみはゆたかのモノでも、ゆたかは俺のもの
556名無しさん@ピンキー:2008/01/09(水) 08:02:18 ID:fjIA23ge
>>545
GJ! やっぱり…なのか?

そんな中、
>「え? ここ電波届くの?」
>……いや、流石に『時間単位』で離れているから、いくらFOMAでも電波は絶対届かないよね?

>その時だった─────。
ここまで読んだ瞬間に俺の携帯(DoCoMo P702i)が本当に鳴って、そのあまりのタイミングの
よさに笑うしかなかったわけだが。
557名無しさん@ピンキー:2008/01/09(水) 10:54:29 ID:jEnja7Z6
>>545
GJ!うーむ。。。どうなってしまうやら・・・
日下部兄妹の視点が入ってきたあたりからもしかしてー・・・とは思ってたけど。
続きが気になるー
558名無しさん@ピンキー:2008/01/09(水) 13:29:45 ID:zr9TNB0c
やっぱりベテランな職人さん方は描写が巧いですね……。
お勉強させていただいてます。
魅力的な「世界は私を中心としない」に触発されちゃいましたよ〜……。

>>431-438を書いたみゆ×つかシンパです
続きを投下したいと思うのですが、
少々長く容量的に不安が残るので
次スレを立てて投下させていただいてもよろしいでしょうか?
次スレにはまだ早いようでしたら、立つまで投下を見送るようにしたいのですが……。
559名無しさん@ピンキー:2008/01/09(水) 14:17:15 ID:G04MaS5x
次スレを立てといてこっちに投下、すれば埋めにもなって一石二鳥!(え

いやまぁ、30キロバイトなんてすぐなようで意外と埋まらないもんだから大丈夫だとは思うんですが
どうでしょう?
560みゆつか愛してる:2008/01/09(水) 14:24:09 ID:zr9TNB0c
そうですか〜では、投下させて頂きます。
容量が埋まるようでしたら次スレを立てさせていただきますね。

>>431-438の続き
・みゆき×つかさ
・ちょっと長め
・エロ有り

ではいきます〜
561みゆき×つかさ・後編1:2008/01/09(水) 14:26:02 ID:zr9TNB0c
Miyuki-side

ああ、そうでした……私は昨日つかささんのお部屋にお泊まりしたんですよね。
今日はたしか土曜日。学校はお休みでした。ゆっくりと上半身を起こし、時刻を確認します。
早朝6時半。つかささんは未だ眠りの中のようです。昨日の夜はあれだけ……疲れたのだから当然ですね。
昇りたての朝日が窓から差し込みます。リビングに降りればつかささんのご両親が朝食の準備でもしているのでしょう。
私はどうしましょう。二度寝というのも難しいですし……早起きもこういうときに困りますね。
「つかささん……」
小さな寝息を立てるつかささんにそっと近付き、その愛くるしい寝顔を確認します。
ああ……胸にズキューンときますね。小さなお口、キュートなお鼻、少しはれぼったい瞼……はれぼったい?
(つかささん……泣いていたのでしょうか?)
もしかして、昨日の、その……行為の最中に? 私の……私の名前を、呼びながら……。
思い出して、私は顔が熱くなるのを感じました。昨晩のつかささんの声、あれは私に向けられていたもの……。
本当は喜ぶべきことのはずなのですが、頭の中で整理が追いつきません。
(と、いうことは……私とつかささんは、その、両想いと考えてよろしいのでしょうか……)
だとすれば私は、どのようにしてつかささんに想いを伝えればいいのでしょう。受け入れる気ならありますのに。
再びつかささんの寝顔に視線を移します。少しの力で壊れそうなくらい、小さくてか弱くて、いとおしいその寝顔。
胸の奥が強く締めつけられてたまらなくなり、私はため息をひとつ零しました。
なぜ、つかささんは泣いたのでしょうか。怖い夢を見た……ということはなさそうです。
お恥ずかしながら、私もつかささんのことを想っては、時折……ひとりでいたすようなこともあるのですが、
感極まってくると涙腺が緩むということは度々あります。しかし、瞼が腫れるほど泣く事はありません。
かがみさんがいないので、寂しさが抑えきれなかったのだとしたら……私は自分を呪うしかありません。
こんなに近くにいながら、つかささんが小さな胸に抱く寂しさを癒すことができなかったのですから。
(つかささん……私ならいつでもそばにいます。寂しがらせたりなんか、絶対にしません。約束します。
私じゃダメですか? つかささんのあの言葉が本当なら、私にあなたの寂しさを紛らわせてくれませんか?)
もし、あのときのつかささんの言葉が……私のことを好きだと言ってくれたあの言葉が……。
勢いで出てしまっただけの言葉なら、寂しさのあまりに出ただけの言葉なら……。
私はそれでも構わないと思いました。つかささんの寂しさを、一緒に抱えてあげるだけの存在でもいいんです。
(苦しいです、つかささん)
つかささんを包むシーツをつまんで、強く握りました。涙腺がまた緩くなってきたみたいです。
つかささんを起こさないように、その胸に顔を押し付けました。なぜか私まで寂しくなってきたみたいです。
(ごめんなさい、つかささん。私まで、つかささんに頼って寂しさを紛らわせようとしてしまっています)
愛する人が傍にいても、たまらなく寂しくなる事もあるようですね。シーツが私の涙を吸っていきます。
だとすれば……つかささんは私を想って泣いてくれたのでしょうか。あの言葉通りに私を好いてくれていたのなら、
今の私と同じ寂しさで泣いてくれていたのでしょうか。それは、私に都合のいい勘違いなのでしょうか……。
(こういうとき泉さんならどうするんでしょう。きっと、自分に正直に、愛しい人に甘えるんでしょうね。
かがみさんなら……できるだけ我慢して、ふとしたときに泉さんに思いっきり甘えてきそうですね。
お二人とも羨ましい限りです。私にも、それくらいの勇気や、行動力が、つかささんに対してあったなら……)
そういえばあの二人、昨日はついに……なのでしょうか。私は二人に失礼だと思い、その考えを振り払います。
やがてシーツから顔を起こすと、私は少し残っていた涙を拭い、つかささんのお部屋から出ました。
リビングにいるつかささんのご両親に、何かお手伝いできることがあればと思ったのです。
つかささんの寝顔をいつまでも見ていると、切なさで潰れそうなので……。

******
562みゆき×つかさ・後編2:2008/01/09(水) 14:27:01 ID:zr9TNB0c
Tsukasa-side

「ふぇ……」
目を覚ました。枕もとの時計を見ると、朝の8時半だった。一瞬「遅刻!」と思ったけれど、そういえば土曜日。
それからゆっくりと昨日の記憶が戻ってきて、私はシーツを頭からかぶった。それからゆっくりと、ベッドの下を見る。
ゆきちゃんはいなかった。布団はしっかりとたたんであって、さすがは早起き……って私が遅いんだけど。
(やだな……起きたくない。いつまでも寝ていたかったのに……)
それは、いつものように私がねぼすけだからじゃなかった。起きて、ゆきちゃんに会わせる顔がなかったから。
きっと昨日のあれは、全部ゆきちゃんに聞かれてた。はしたない声も、ずっと胸に秘めていた本当の気持ちも……。
そもそも、ゆきちゃんが隣にいるのにあんなことをしてしまった私のせいだ。ゆきちゃんに、イヤらしい女の子だと思われちゃったんだ。
ううん、思われたんじゃない。私はきっと、イヤらしい女の子なんだ。ゆきちゃんに嫌われても仕方ないようなことをしたんだから。
(……やだ)
ゆきちゃんに嫌われても仕方ない? 本当に? 私の中で、仕方ないなんて言葉じゃ片付けられない事だった。
(……いやだよ、嫌われたくないよ。ゆきちゃんと離れるのなんて、絶対イヤだよ)
たとえ私がゆきちゃんに想いを打ち明けて、それで二人が気まずくなる事があっても、離れ離れにはならないようにしてあげるって、
こなちゃんは電話で言っていたけど、こんなことで嫌われちゃったら、こなちゃんやお姉ちゃんがいくらフォローしても無理。
私だって、自分の事を考えてそんなことをされたら……驚くし、ちょっとイヤだなって思う。それが好きな人なら別だけど……。
(私、どうすればいいのかな……辛いよ、お姉ちゃん、こなちゃん、助けてよ……)
もしも今顔を合わせたら、ゆきちゃんはどんな顔をするんだろう。ゆきちゃんは優しいから、そんなにイヤそうな顔はしないはず。
でも、戸惑ったような顔しちゃうんだろうな。それから私のことをちょっと避けるような感じで、口数も少なくなって……。
そんなことを考えるほどに、私は私を責めたい気持ちになった。人を叩いた事の無い私でも、もし目の前に私がいたらきっと叩いてる。
(ゆきちゃん、嫌いにならないで……たくさん謝るから、もう二度としないから、お願いだから……)
私はシーツに身体をくるんだまま、枕に顔を押しつけて、そんな言葉を唱えていた。ちゃんとゆきちゃんの前で、口にすればいいのに。
歯医者が怖いね、と何気ない話をすることも、もう無くなってしまうなんて私には耐えられなかったから……。
昨日の、私の髪を撫でたあの手が、ゆきちゃんが布団に入るあの音が、寝入り端で聞いた幻聴だったら、気のせいだったらよかったのに。
そんなことを考えてたら、ふと……ひとつの疑問が生まれた。
(どうしてゆきちゃんは……私の髪を撫でたの?)
隣であんなことを……しかも、自分のことを考えながらされたはずなのに、どうして私をあやすように、慰めるように、
あんなに優しい手つきで、私のことを撫でてくれたんだろう。私のことを、汚いとか思わなかった? 触るのもイヤだとか、考えてない?
(私が疲れてるように見えたから、眠りやすいように撫でてくれたのかな……?)
だとしたらゆきちゃんは、私のことを嫌いにならなかった? それとも、混乱してふいに出た行動? ゆきちゃんは優しいから?
ますます私の頭の中はこんがらがって……でもそれは、ほんの少し希望を持たせてくれて、もしかしたらぬか喜びなのかもしれないけど。
(ゆきちゃんって、あのとき実は寝ぼけてました……とかじゃないよね)
そんなことを考える余裕が、ようやく出てきた。あのとき頭を撫でられた、あの感触。傷付けないように優しく触れてくれたかのような。
好きだった。図々しいかもしれないけど、これからもああいう風に私のことを撫でてほしかった。叶わない願いなんだけど……。
(……逃げてちゃダメだよね)
私はシーツを脱いで、がばっと上半身を起こした。時刻は8時45分。あんまり寝ていると、ゆきちゃんが帰ってしまう。
(こんな大事な事まで、寝逃げに走っちゃダメだよね。……こなちゃんが応援してくれているんだから!)
嫌われるのは怖い。けど、いつまでも逃げていられるわけじゃないし、嫌われそうなら私も頑張って、ゆきちゃんの信頼を取り戻したい。
私って単純だと思った。ほんのちょっと嫌われていない可能性ができただけで、ここまで前向きになれちゃうなんて、笑っちゃうくらい。
(想いを伝えるのは難しいけど、こなちゃんだって、お姉ちゃんだって頑張ったんだよ? だったら今度は……私が頑張らなきゃ!)

******
563みゆき×つかさ・後編3:2008/01/09(水) 14:28:20 ID:zr9TNB0c
Miyuki-side

つかささんはまだ起きていないみたいです。つかささんのお母さんと一緒に朝食を作り、すでにみなさんお召し上がりになりました。
つかささんのお姉さん……いのりお姉さんが「起こしてくるよ」とは言ってくれましたが、昨日の事もあったので疲れてるだろうと思い、
いえ、まだ寝かせてあげてくださいとお願いしました。それまでの間に世間話などをして、時刻は8時50分を回りました。
「ゆ、ゆきちゃん、おはよー」
「えっ、あ……おはようございます、つかささん」
パジャマ姿のつかささんがリビングへと起きてきました。あまり起きぬけといった感じがしないのは気のせいでしょうか。
私はできるだけ自然な笑顔で返事を返しました。大丈夫、不安定なこの感情は、悟られてはいないみたいです。
「えへへ……ごめんね、ずっと寝ちゃってて」
「いえ、気になさらないでください。せっかくの休日ですしね」
「でも、ゆきちゃんが泊まりに来てるのに、なんだか悪いよ〜……」
「そうよつかさ。みゆきちゃんなんか早起きしてご飯作るの手伝ってくれたんだからね。あなたもそのくらい、できるようにしなさい」
つかささんのお母さんが、呆れた顔で言いました。それから私に向かって「本当にごめんなさいねえ」と。
「うう〜……自分でお弁当きちんと作ってるから、いいかなーって……」
「つかささん、料理はお上手ですからね」
「ゆきちゃん、ご飯作ってくれたの? お客さんなんだから、もっとゆっくりしてってもよかったのに……」
「いえいえ、他のお宅の台所を触れる機会もそんなにありませんし、むしろ楽しかったですよ」
「みゆきちゃん、お料理すごく上手で、今日なんかバルサミコ酢を使った……何かを作ってくれたのよ? レシピ教えてもらっちゃった」
「バルサミコ酢を使った……何かは割と簡単にできるので、忙しい朝型には最適ですね」
「うわぁ、楽しみだよ! ゆきちゃんの作ったバルサミコ酢を使った……何か!」
そんなに喜んでもらえると、私もお手伝いの甲斐があったというものです。昨日はつかささんのグラタンを堪能させていただきましたし。
「みゆきちゃんは本当に、物腰も柔らかくて、上品で、どこにお嫁に出しても恥ずかしくない女の子ね」
「そ、そんなことは……」
急に褒められてしまって、私は赤面したままかぶりを振りました。少しばかり褒め過ぎです……。
「本当、私に息子がいたらこんな子をお嫁にしたいくらい。この際娘でもいいからもらってくれないかしら。つかさとかいかが?」
「「えっ!!!!!」」
私とつかささんの声が見事にユニゾンしました。二人揃って頭のてっぺんまで真っ赤になって……。
「も、もう! お母さん変な事言わないでよ!」
「冗談に決まってるじゃないの」
「ううー……どんだけ〜……」
私は返す言葉も無く、ふふふと笑っていました。冷静を装ってはいましたが、心臓はすでにはちきれんばかりの早鐘で……。
内心、『つかささんのお母さん公認!』とも思いましたが、そんなわけはなく……とりあえず、今だけは勝手に浮かれててもいいですよね?
(つかささんは私の嫁……いえ、私はつかささんの嫁?)
つかささんのお母さんは割と、お冗談がお好きなようです。柊家の台所に立って、いろんな知識を得る事もできました。
(これらは是非、『つかささん情報』に記入すべきですね)
私は「お手洗いお借りします」と告げると、トイレへと向かいました。トイレのドアを閉めると、メモ帳を取るためポケットに手を……。
……何もありません。たしか今朝、パジャマから昨日のお洋服に着替えて、たしかポケットには常にメモ帳を入れるようにしていて……。
同時に、全身の血の気が引く音が聞こえ……たような気分になりました。先程よりもさらに早く、心臓がドクンドクンと鳴っています。
(……落とした? この家のどこかに、あのメモ帳を?)

******
564みゆき×つかさ・後編3:2008/01/09(水) 14:28:52 ID:zr9TNB0c
Tsukasa-side

ゆきちゃんの作ったバルサミコ酢を使った……何かはとても美味しかった。なんていうか、ゆきちゃんのように優しい味わいだった。
身はとても柔らかくて、でも歯ごたえがあって、味は甘からず、辛からず、さっぱりしながらコクが……って、よくわかんないや。
(朝からゆきちゃんの作ったご飯を食べられるなんて、幸せ〜)
食卓には、私の分だけ朝食が並んでいた。みんなもう食べちゃってたみたい。私の目の前には、ゆきちゃんが座っている。
トイレを出たばかりのゆきちゃんは、なんだか浮かない顔をしていて、なにか落ち着かないようにそわそわ……。
お腹でも痛いのかな? 便秘気味だとか、月のものが始まっちゃったとか……それとも、私がゆきちゃんのお料理を食べているから?
「おいしいよ、ゆきちゃん♪」
「あ、ありがとうございます……」
「ゆきちゃん……お腹痛いの? なんだかずっとそわそわして……」
「あっ……いえ、なんでもありません。お気になさらないでください」
「……?」
ゆきちゃんはいつもの笑顔を私に返してくれた。
変なゆきちゃん。何かあったのかな……って思ったとき、私はすっかり頭から消え去っていた事を思い出した。
(もしかして、昨日の夜のこと……?)
私のお箸が止まった。ゆきちゃんはそのことを思い出して、私になんて言葉をかけてあげようか考えてるのかな?
これは私の勘だから、あまりあてにはならないケド……ゆきちゃんは私が心配していたより、私のことを嫌ってないように思えた。
でもゆきちゃんはしっかりと、私が『好き』って言ったのを聞いてたんだよね。こんなにそわそわするのも無理無くて……。
それに気がつけば、食卓のあるリビングには二人きりで、お姉ちゃん二人は外出、お父さんは休日出勤、お母さんはお洗濯。
お互いに、どうしても意識しちゃうに決まってる。私は止めていたお箸を動かして、朝ご飯の残りをちょっと無理めに平らげた。
「ゆ、ゆきちゃん!」
「は、はい! ……なんでしょう?」
「あ、あのね……」
「は、はい……」
「……きょ、今日、お休みだし、どこかいこっか?」
違うのに〜……私が言いたかったのかこんなことじゃなくて、昨日のことなのに。でも、時間はまだまだあるからいいよね?
だけど私は、そこでゆきちゃんが断ってきたらどうしようかまでは予想してなかった。もしかしたら、ゆきちゃん帰っちゃうかも……。
「きょ、今日ですか? そうですね、お天気もいいですし……あっ、でも……」
「でも?」
「いえ、その……はい、あの、そうですね! あっ、でもつかささん、お勉強のほうは……」
「あっ! そっかぁ、そうだよね……」
そういえば昨日、してなかった。もうすぐテストも近いのに。それにしてもさすがゆきちゃん。私なんか完全に忘れちゃってたよ。
……って、そうじゃないよね。一緒に遊ぼうって誘ったのを、流されたのかもしれないんだし……やっぱり避けられてるのかな。
「じゃあ、ゆきちゃんはおうちに帰ってお勉強しないといけないよね……」
「え、ええ……あ、いえ、そうですつかささん。よかったら一緒にお勉強しませんか?」
その言葉に、私はばっと顔を上げた。真っ暗な底無し沼に落ちているところを、急に引き上げられたような気持ち。
一緒に? ゆきちゃん、一緒にお勉強してくれるの? 私のこと、避けてないの? まだ一緒にいてもいいの? いてくれるの?
「で、でも、ゆきちゃんはいいの? 私、お勉強の足ひっぱっちゃうかもだし、それに……」
「いえ、お気になさらないでください。つかささんの教科書と筆記用具を貸していただければ、こちらでもできますし……」
「ありがと……ゆきちゃん、ありがとっ!」
天にも昇る気持ち。とりあえずゆきちゃんには嫌われてないってことがわかった。朝食、ゆっくり味わって食べればよかった。
あとは、タイミング。本当に大切な事を伝えるタイミングと、私の勇気だけ。

******
565みゆき×つかさ・後編5:2008/01/09(水) 14:30:32 ID:zr9TNB0c
Miyuki-side

つかささん達にバレないように、私はしっかりと家中を凝視していました。どこかに、私のメモ帳が落ちているはずです。
あれをもし、つかささんに見られていたらと思うと……つかささんが嫌悪の表情で私を見つめるシーンが容易に想像できます。
せっかく両思いなのかも知れないとわかったのに、すべてが台無しになってしまいます。
運良くそれがつかささんではなく、つかささんのご家族の方に見られてしまったとしても……。
大事な家族がその友達に、しかも同性の友達に、ストーカーまがいのことをされているだなんて知られたら……。
「ゆきちゃん……お腹痛いの? なんだかずっとそわそわして……」
「あっ……いえ、なんでもありません。お気になさらないでください」
「……?」
どうやらだいぶ挙動不審になってしまっていたようです。つかささんでも気付いてしまうくらい(つかささん、ごめんなさい)、
私は動揺を隠しきれていないのでしょうか? つかささんはお箸を止めて、なんだか不安そうな顔をしていました。
おそらく、つかささんはメモ帳をまだ見ていないはずです。だとすれば、まだこの家のどこかにメモ帳は……。
つかささんは朝食を急いで食べると、私を外出に誘いました。お休みですし、それは当たり前の事なのかもしれません。
しかし、私はこの家を離れるわけには行きませんでした。迷惑な話かもしれませんが、アレを見つけるまでは……。
「いえ、その……はい、あの、そうですね! あっ、でもつかささん、お勉強のほうは……」
「あっ! そっかぁ、そうだよね……」
つかささんは露骨に落ち込んだ顔をしました。ああ、ごめんなさいつかささん。私もできればつかささんと遊びたいんですよ?
こういうのをKYというのでしょうか、せっかくのお休みなんですから、ちょっとくらい一緒に遊んでもよかった筈です……。
「じゃあ、ゆきちゃんはおうちに帰ってお勉強しないといけないよね……」
「え、ええ……あ、いえ、そうですつかささん。よかったら一緒にお勉強しませんか?」
我ながら名案だと思いました。これなら、私は柊家にまだ居続けることができます。メモ帳を探す猶予が生まれます。
つかささんに断られたらどうしようかと思いましたが、「ありがと……ゆきちゃん、ありがとっ!」と素晴らしい笑顔で言われ、
私はあやうく昇天するところでした。愛らしいです、可愛すぎます。一緒に勉強できるのを、そこまで喜んでもらえるなんて。
もっとも私が、保身のために出した提案なのです。つかささん、ごめんなさい。でも私も一緒に勉強できて幸せです。
「じゃあ、私準備しちゃうね!」
「あ、私もお手伝いします」
「お勉強って苦手だけどね……ゆきちゃんと一緒ならきっと楽しいかも〜」
「私もです。楽しすぎて、集中できないように気をつけないとですね」
私達はうふふあははと笑いあって……そのすごく和んでいる空気に対し、急に気恥ずかしくなりました。
今、二人揃ってちょっと恥ずかしい事を口にしていたような……いえ、単なる友達として、ですよね。でも両想いですし……。
万が一つかささんと私が結ばれることがあって……もしそうなったのなら、先程のような会話をいつものようにするのでしょうか。
お互いの何気ない言葉に笑い合って……それはあの昼食の時間のときとはまた違う空気があって、二人は頬を染めて……だばだば。
「私、数学でちょっとわからないところがあって……ゆきちゃん、よかったらちょっとだけ教えてもらえる?」
「ええ、わかる範囲でしたら……私も少し、英語のほうに不安がありまして……」
「う、それは助けてあげられないかも……」
ああ……つかささんつかささんつかさsんつつtかkkつかt……勉強があまりお得意でない所も可愛らしいです……。
私達はつかささんのお部屋に向かうと、テーブルと教科書、二人分のノートと筆記用具を用意しました。
「それでは、まずはつかささんが苦手なところを一緒に考えながら解いていきましょう」
「うん、よろしくお願いします、ゆきちゃん先生♪」
あ、だめです、血圧がアがってシんでしまいマス……。なんとか耐えきって、とりあえず勉強は始まりました。
そのほのぼのとした空気に少しばかりあやうく、メモ帳の存在を忘れるところでしたけれど……。

******
566みゆき×つかさ・後編6:2008/01/09(水) 14:31:44 ID:zr9TNB0c
Tsukasa-side

お勉強をしている間、ゆきちゃんは何度かくらくらとしていたみたい。本当に大丈夫かな?
ゆきちゃんは驚くほど教えるのが上手で、私もなんとかだけどついていけて、教え方の節々にゆきちゃんの優しさを感じた。
なにより、ゆきちゃんの声を聞きながらだと、どうしてもそれを聞きたくなるから、一つも聞き飛ばすことがないし、
ゆきちゃんの声をさらに聞きたくて、私は必要以上に何度も質問して……ゆきちゃんの迷惑になっていたかも。
「……それでここのBrsmks=dndk^120にこの公式を代入したようなフリをして、ここがこうなるわけです」
「あ、そっかぁ。う〜ん……うん! 覚えた! ……と思う」
「つかささんはわからないところを中途半端にせずにきちんと質問していただくので、教えるほうも助かります」
「そうなの?」
「ええ、わからない部分を残したまま次に移ると、どうしても躓いてしまいますし」
えへへ……だって、ゆきちゃんの声、もっといっぱい聞きたいし……。
「ごめんね。ゆきちゃんのお勉強、全然はかどってなくて……」
「いえ、いいんですよ。私も復習のつもりでいますし、教える側に立つのも十分勉強になりますしね」
ゆきちゃんってば、やっぱり優しいよ〜……『それに……つかささん……近付け……密着……』とか呟いてたけど……。
「次からはひとりでできる……と思う……」
「なにかわからないことがあったら、何でも聞いてくださいね」
じゃあ……ゆきちゃんの気持ちが知りたいな。そんなことを考えて、私はひとりで勝手に顔を真っ赤にした。
勉強も大事だけど、私には昨日の事を聞くことと、自分の気持ちを告白するっていう大事な仕事が残ってる。
告白って、今まで想像したことなんてなかったけど、もしもするんだったらロマンチックなところかなって思ってた。
自分の部屋で勉強中に……なんてことになっちゃうかもしれないなんて、全然思ってなかった。
せっかくゆきちゃんが教えてくれたんだから、きちんと勉強に集中しないといけないのに、いざ告白の事を考えていると、
どうしても心臓がバクバクいって、教科書の文字を追うことが出来なかった。ゆきちゃんはゆきちゃんで、まだそわそわしてる。
「ゆきちゃん……」
「はい、何ですか?」
「……ううん、なんでもない」
やっぱり何度決意を固めてみても、土壇場で尻すぼみになっちゃう。こなちゃんのエールを何度も頭の中で再生してみる。
今日の朝の反応や一緒に勉強してくれることから考えても、ゆきちゃんは私の想いを聞いても、嫌ってはくれないはず。
……私の気持ちは昨日のうちにとっくにバレちゃってるんだけど……。
だから私は必要以上に怖がらずに、想いを打ち明けてもいいはず。ゆきちゃんは迷惑に思うかもしれないけど……。
それとも、もしかしたらゆきちゃんも、私のこと受け入れていいと思ってる? 私の勘違いとか、そうじゃなく?
(ねぇ、ゆきちゃん。そうなの?)
ゆきちゃんは聞こえるか聞こえないかの小さなため息をひとつ吐くと、ペンをノートに走らせていた。
座りっぱなしでお尻が痛い。何気なく座り方を帰ると、ポケットに何か感触がした。中に何か入ってるって、ようやく気付いた。
あ……そういえば昨日、ゆきちゃんのメモ帳拾ったんだっけ……たくさんの私が詰まった、ちょっと嬉しいメモ帳。
これ、ゆきちゃんに返さないとまずいよね。もしかしてさっきからそわそわしてたのも、これを探してたのかもしれないし。
「ね、これってゆきちゃんのだよね? 昨日拾っちゃって……遅れちゃったけど、返すね」
私はメモ帳をポケットから取り出すと、それを何気なくゆきちゃんの目の前に出した。
そのとき私は見ちゃったんだ……ゆきちゃんの顔が、一瞬で真っ青になっていくのを……。

******
567みゆき×つかさ・後編7:2008/01/09(水) 14:33:23 ID:zr9TNB0c
Miyuki-side

気がつけば私は……つかささんの手からメモ帳を強引に取り上げてました。
(どうして!? どうしてつかささんがこれを……!)
そのメモ帳を隠すように、私はつかささんに背を向けてかがみこみ……全身から嫌な汗が吹き出るのを感じました。
つかささんが差し出したそれには、たしかに書いてありました。私の文字で、『つかささん情報』と。
(よりによってつかささんが……一番見られたくない人なのに……)
私はつかささんの顔を直視する事が出来ず、背を向けたままメモ帳を強く握りました。唇はふるふると震え……。
「あ、ゆきちゃん、その……」
「つ、つかささん……」
「う、はい……」
「その……中は覗きましたか?」
しばらく沈黙が流れて、つかささんは大きく頭を下げ、大声で答えました。
「ごめんなさいっ! いけないことだとは思ってたんだけど、私の名前が書いてあったから、我慢ができなくて……!
すぐに返そうと思ってたんだけど、うっかり忘れちゃってて……ごめんね、軽蔑しちゃうよね、本当にごめんなさい!」
「ど、どこまで……」
「え?」
「どこまで見たんですか……」
「……たぶん、全部」
この家に来て、何度顔を赤くした事でしょう。しかし、今この瞬間が一番、私の顔が真っ赤になったのかもしれません。
見られてしまいました。よりによってつかささんに、一番知られたくない私の姿を、全て見られてしまいました。
(恥ずかしい……! つかささんに嫌われて……こんな私の本性を……つかささんはずっと知ってたなんて……!)
もう何も考えられなくなりました。つかささんはきっと、私のことを気持ち悪いと思っていることでしょう。
このメモ帳をつかささんがいつ読んだのかはわかりませんが、朝からずっと私の前で、平気そうなフリをして……。
こういうときはきちんと、たとえ許してもらう事はなくても、相手の目を見て謝らなければいけません。
しかし私は、目から溢れる物を堪える事ができずに、つかささんに背を向けたまま口にする事しか出来ませんでした。
「つかささん、ごめんなさい! つかささんに黙って、こんな恐ろしい、気持ちの悪いことをしていてごめんなさい! 
私、つかささんのことが好きで……つかささんのことを少しでも多く知りたくて、それでこんな出過ぎた真似を……!
もう二度としませんから許してください! これは全部破いて捨てますから、嫌いになってもいいですから……!」
自分の知識欲を、生まれて初めて呪った瞬間でした。こんな風に生まれた自分を、殺してしまいたい気持ちになっています。
「ゆ、ゆきちゃん……」
つかささんはよろよろと近付くと、私の頭をそっと抱きかかえました。私の嗚咽に混じり、もうひとつのすすり泣く声……。
それでも私は顔を上げて、つかささんをきちんと見つめる事が出来ません。愛する人が、泣いているというのに……。
「お願い、ゆきちゃん、泣かないで……気持ち悪いだなんて思ってないよ、破ったりしなくてもいいから泣かないで……。
嫌いになったりしないから……ゆきちゃんの知られたくないこと、勝手に覗いちゃってごめんね。本当にごめんね」
「本当ですか? 嫌いになっちゃいませんか? 気持ち悪いって、思わないですか?」
「ホントだよ。だから泣かないで……私、あんなにたくさん私の事知られてるなんて思わなかったから驚いちゃったけど、
こんなに知ってくれて嬉しいって思っちゃった。あんなに私の事知りたいと思ってる人が、しかもゆきちゃんで……」
つかささんは優しすぎます。こんな私にも温かい言葉をかけてくれるだなんて。それだけで私は、赦しを得た気分になりました。
「そ、それにね……おあいこなんだよ? 私達」
「おあいこですか……?」
私はまだ顔を上げず、つかささんの胸に頭を預けたままでしたが、つかささんが小さく深呼吸したことはわかりました。
「ゆきちゃんも私の……は、恥ずかしいところ見ちゃったでしょ……?」

******
568みゆき×つかさ・後編8:2008/01/09(水) 14:37:52 ID:zr9TNB0c
Tsukasa-side

顔から火が出るくらい恥ずかしかった。だってもう知られちゃってるとはいえ、一人でしてたことを告白するんだもん……。
でも、私の大好きなゆきちゃんが、あのゆきちゃんが、泣きながら私に謝ってる。ゆきちゃんは何も悪くないのに。
ゆきちゃんは私のせいでたくさん恥ずかしい思いをしたのに。だから私も、恥ずかしい思いをしなくちゃいけないんだ。
「ゆきちゃん……昨日、見てたんだよね? 私が、その……ひ、ひとりでしてたところ」
「え……?」
ゆきちゃんがようやく顔を上げてくれた。眼鏡の奥の聡明な瞳は、今だけは強く潤んでいて、儚げに見えた。
「私がゆきちゃんの名前を呼んで……その……」
「わ、私が起きてたのを知ってたんですか……?」
「う、ううん! している間は知らなかったんだけど……ゆきちゃんが髪を撫でてくれたときに気付いちゃって……」
「あ……!」
ゆきちゃんは顔を真っ赤にしている。きっと私も同じはずだった。俯いたままスカートをぎゅっと握って、話し続ける。
「ゆきちゃんは寝ていると思ってたみたいだけど、私起きてて……それに、私がゆきちゃんのことを、その」
「つ、つかささん……」
「す、す……」
恥ずかしさはピークに達していた。たぶん、一人でしていたことを改めて告白した事より、ずっと恥ずかしい事だった。
『好き』の一言は私にとってすごく重く、勢いにまかせて言えてしまうかもって思ったけど、やっぱり怖くて。
「ゆきちゃんのこと、す……」
「つかささんっ!」
私は急に、強く抱き締められた。でも、全く苦しさや圧迫感を感じない、優しさと包容力に満ちた腕の強さで。
背中に回された、ゆきちゃんの両手。私のささやかな胸に押しつけられた、豊満で柔らかい感触。
「ありがとうございます。でも、もう大丈夫です。無理はしないで……続きは、私に言わせてください」
「ゆ、ゆきちゃ……」
「好きです、つかささん。世界中の誰よりも好きなんです。お願いですから、つかささんの全てを教えてください」
緊張が一瞬で全て解けていったのを感じた。やっぱりゆきちゃんの言葉が、私に一番の安心を与えてくれるんだ。
『好き』の一言は重い言葉だけど、好きな人から言われれば、とても嬉しい言葉で。私は胸の中に溢れる物を感じていた。
「ありがとう、ゆきちゃん……でも私、もう無理はしてないよ。今ならはっきりと言えちゃうんだから。
私も好きだよ、ゆきちゃん。ずっと言えなくてごめんね。ゆきちゃんに辛い思いをさせちゃって、ごめんね」
ゆきちゃんはさらに腕の力を強めて……ちょっと苦しいかな? 胸おっきいし。でも、全然イヤじゃない。
「どうしてなんでしょうね、私達は互いに想い合っていたはずですのに、ずいぶんすれ違っていました」
「あはは、おかしいね」
私達は落ち着くと、二人で並んで座ってベッドに背中をあずけたまま、勉強も忘れて寄り添い合っていた。
「ね、ゆきちゃん。聞きたい事があるんだけど……」
「はい、なんでしょう?」
「あのメモ帳、私以外の人の分もあるの?」
「あ……いえ、つかささんの分だけです。私が全てを知りたかった相手は、その、つかささんだけで……」
「私も。ゆきちゃんに、私のこともっとたくさん知ってほしいな。……だからね?」
私はゆきちゃんの目を、上目遣いでじっと見詰めた。それを口に出すにはすごく恥ずかしかったけど。
「ゆきちゃんのしたいように……私のことをたくさん調べてほしいな……?」

******
569みゆつか愛してる:2008/01/09(水) 14:43:11 ID:zr9TNB0c
と、容量に限界が訪れましたので
次スレを立てたので続きはこちらで投下したいと思います。
他職人さん&支援&読み手のみなさん、今回もGJでした。

らき☆すたの女の子でエロパロ32
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1199857229/
570名無しさん@ピンキー:2008/01/09(水) 14:48:04 ID:j+C9O0/W
つ、つ、つかゆき!つかゆき!
わっふる!わっふる!
スレ立て乙!
571名無しさん@ピンキー:2008/01/09(水) 15:42:21 ID:qcQmucqh
>>570
ワッフルは次スレにあり、急行せよ!

らき☆すたの女の子でエロパロ32
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1199857229/

つーことでここも埋まる、かな? あじゅじゅじゅしたー。
572名無しさん@ピンキー:2008/01/09(水) 16:00:43 ID:/R+K6FN7
まだ追いついてないのに次スレに行こうとしている…
このスレ怖い(いい意味で)
573名無しさん@ピンキー
             __t─-v-─ァ__
            <:::::::::::::::::::::::::::::::>
          <´:::z-r─--v、:::::::::>
           く:::::{  |    }ハ::}:::::〉
      ,...:::' ̄ヾ<::::i  ィ=z  z=く 〉:::>
   ,...::::´::::::::::::::::::V:::レ´ !       `!::/   らき☆すたの女の子でエロパロ32
  /:::::::::::::::::::::::::::::::}rj ≡≡   ≡≡|<    http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1199857229/
. 〈:::::::::::::::::::::::::_::z-┤ u '''  i   '' |ノ
  ヽ:::::::::::::::::ス_r- 、`¨l、  、__   ノ   <2008年もらき☆すたエロパロをよろしくおねがいしまっす!
   ヽ:::::::::::::::::::ヾ:::::`ー-{ヽー--‐ イ_..:-─::.、
    \:::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ-{チ-<::::::::::::::::l
     \:::::::::::::::::::\:::::::::::|o::::::::::::::::::::::l::l
       \::::::::::::::::::ヽ::::::::|::::::::::::::::::::::::l::l
.          入::::::::::::::::::::::::::|:::::::::::::::::::::::l:〈