魔法少女、続いてます。
ここは、 魔法少女リリカルなのはシリーズ のエロパロスレです。
『ローカル ルール』
1.リリカルあぷろだ等、他所でのネタを持ち込まないようにしましょう。
2.エロは無くても大丈夫です。
3.特殊な嗜好の作品(18禁を含む)は投稿前に必ず確認又は注意書きをお願いします。
あと可能な限り、カップリングについても投稿前に注意書きをお願いします。
【補記】
1.また、以下の事柄を含む作品の場合も、注意書きまたは事前の相談をしたほうが無難です。
・オリキャラ
・原作の設定の改変
2.以下の事柄を含む作品の場合は、特に注意書きを絶対忘れないようにお願いします。
・凌辱あるいは鬱エンド(過去に殺人予告があったそうです)
『マナー』
【書き手】
1.割込み等を予防するためにも投稿前のリロードをオススメします。
投稿前に注意書きも兼ねて、これから投下する旨を予告すると安全です。
2.スレッドに書き込みを行いながらSSを執筆するのはやめましょう。
SSはワードやメモ帳などできちんと書きあげてから投下してください。
3.名前欄にタイトルまたはハンドルネームを入れましょう。
4.投下終了時に「続く」「ここまでです」などの一言を入れたり、あとがきを入れるか、
「1/10」「2/10」…「10/10」といった風に全体の投下レス数がわかるような配慮をお願いします。
【読み手 & 全員】
1.書き手側には創作する自由・書きこむ自由があるのと同様に、
読み手側には読む自由・読まない自由があります。
読みたくないと感じた場合は、迷わず「読まない自由」を選ぶことが出来ます。
書き手側・読み手側は双方の意思を尊重するよう心がけてください。
2.粗暴あるいは慇懃無礼な文体のレス、感情的・挑発的なレスは慎みましょう。
3.カプ・シチュ等の希望を出すのは構いませんが、度をわきまえましょう。
頻度や書き方によっては「乞食」として嫌われます。
4.書き手が作品投下途中に、読み手が割り込んでコメントすることが多発しています。
読み手もコメントする前に必ずリロードして確認しましょう。
リンクは
>>2
2 :
名無しさん@ピンキー:2007/12/21(金) 21:07:51 ID:qN/64fAp
3 :
リリカルバイオレンス 4-12/11 ◆kd.2f.1cKc :2007/12/21(金) 21:08:49 ID:qN/64fAp
新スレ乙。
>>3 でもって小説GJ!!
アリサかっこよすぎて、思わず鳥肌たった。
>>3 投下前に残り容量確認しようぜブラザー
ともあれGJ
アリサスキーの血が騒ぐw
>>1さんスレ建て乙です
前スレ
>>485さん、
>>3さん両氏とも超GJでした。
次の投下も楽しみにしてます。
1000スレまでいかなくても書き込みできなくなるんですね。
残りの容量ってどこで確認したら良いんですか?
>>7 容量が501KBになったら書き込めなくなる。
現在のスレの容量の表示される場所はブラウザ次第。
例えばIEだったら書き込みフォームの左上だし、Janeだったら画面右下。
前スレ 484 上から、フリード・クロノ・シャッハ・ロッサ・カリム・マリー・ゲンヤ・ギンガ・ラッド・ラグナ・ガリュー
以下割愛 でOK? あとラグナ。二回言うな。
中原麻衣だからね。
ティアスバは中の人頑張りすぎっス。
すみません。ホッドゾヌは常時表示じゃないんです。マジ申し訳ない。orz
>>10 ああっ、カナ坊ネタが通じないっ。ちなみに中の人はなのはさん。
機動六課のクリスマス感想
サンタサンの議論にあずまんが大王のちよ父サンタを思い出した……。
ヴィ『ユーノはいねえけど、フェレットはいるよな』
アギ『あははーコイツフェレット信じてるよvvvv』
シグ『フェレットはいるぞ』
アギ『なんだよバカじゃない! バカじゃないぞー!』
……すんません悪ノリし過ぎました。地獄でベレッタに撃ち殺されてくる……
>>13 君が淫獣(フェレット)がアギトに子宝を強制的にプレゼントしにくるという話を書くのなら
きっとべレッタで撃ち殺されることはないだろう。
むしろ、身長が20cm伸びて成績も上昇、お陰で彼氏も出来ましたになるはずだ。
>>11 GJ! アリサスキーには溜まりませんな。
あ、ホットゾヌでも設定で常時表示に出来ますよ?
「ツール」「オプション」「スレッド/ブラウザ」で「スレッドのサイズを表示」にチェックを入れれば、
右上に表示されるレス数の横に表示されるようになります。
Σ( ゚Д゚) スミマセンシツレイシマシタ
>>3スレ立て乙&アリサGJ
アリサかっこいいですね、どうもクロノタイプの才能がありそうな感じ?
次も楽しみにしています
>>9 それで合ってると思う。
ラッドなんてドマイナーなキャラをよく入れたな
そしてユーノ哀れ・・・・・・
つまんねえ非エロものなんていらねえんだよおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお
ほんとにStS新参は害悪だな
『いたずらユーノくんなの?』
「おやすみなさーい、ユーノ君」
「おやすみ、なのは」
ボク達は寝る前の挨拶をかわしお互いに寝床についた
数時間後、ボクは目を開けて、なのはの方を見る
「むにゃむにゃ・・・」
なのははぐっすり熟睡してるようだ
(・・・そろそろいいかな)
ボクは寝床を抜け出して、なのはのベットに忍び込む
「すーすー・・・」
(よく寝てるな・・・これなら大丈夫だよね)
ボクは、なのはの胸元からパジャマの中に侵入する
「んんっ・・・」
着けてる小さなブラを咥え取る、するとボクの目の前に未発達な胸が露出する
(なのはが悪いんだよ・・・男のボクの前で何度も刺激的な格好をするから・・・)
ボクは心の中でそう呟くと、小さな乳首を舐める
「ひあんっ・・・・」
なのはの体がピクッと反応した、そのままボクはさらに舐め続ける
「あ、あんっ・・・ああん」
小刻みな反応が返ってくる
(まだ大丈夫だよね・・・)
ボクは次にズボンの下に潜り込む、目指すのはもちろん大事な場所だ
白いパンツが見える、ボクはゴクリと息を飲む、恐る恐る股間の上を舐める
「ひゃんっ」
なのはは、胸よりもさらに反応をみせた、ボクは気を良くしてさらに舐める
「ひやぁぁ・・・んんっ」
布地が透けてワレメがうっすらと見えていた
(・・・さすがに動物姿のボクには、これ以上は無理か今日はこのへんにしようと)
深夜のなのはにするイタズラ、これが動物姿のボクの密かな楽しみであった・・・本当は突っ込みたいけど我慢我慢
日が昇り朝になる
「おはよーなのは」
「おはよーユーノくん、そうだちょっと後ろ向いてて」
「なにかな?」
なのはに言われるまま、後ろを向く・・・
「いいよユーノくん」
ボクは振り向いた・・・そこには魔法使い姿のなのはが・・・しかもレイジングハートシューティングモードだし
「夜にコソコソと何をしてるのかな〜?」
顔は笑顔だが青筋をたててる・・・う〜ん、気付いていたんだね・・はははは
シュパァァァーーーー
光に消える意識の中、ボクはこんな事なら最後までヤっとけばよかったなと思った
【おわり】
「もうあんなイタズラしちゃ駄目だからね」
「わかってるよなのは」
なんとかボクは三日三晩にわたる謝罪で許してもらった・・・外で吊らされて一夜を過ごすのは辛かったな・・・
「おやすみなさい、ユーノくん」
「うん、おやすみなのは」
数時間後・・・
「すぅーすぅー・・・」
寝息が聞こえる・・・闇に包まれた部屋で二つの目が怪しく光る
「ふふふ・・・あまいよ、なのは」
健全な男子が一つ屋根の下で美少女と暮らしてて我慢できるものか、いやできない!
しかもこの三日間でボクの欲望は溜まりに溜まってた
そして慎重に・・・気配を悟られないように再びなのはのベットに忍び込んだ
なのはの顔の近くまでくる
「すぅ・・・すぅ・・・むにゃ」
よく寝てるのを確認しボクは隠された自分のペニスを起たせる・・・今日の狙いは口だ
「さぁなのは、ウィンナーだよ」
ボクはなのはの小さな口の中にペニスを挿れこむ
「んっ・・・んん〜〜〜っ」
なのはは口の中に入った異物の侵入に反応しめす、なのはの舌がボクのペニスの亀頭に触れてくる
「うは、これは気持ちいいな」
そのまま腰を動かして、口に出し入れする・・・
「んん〜〜〜っ」
舌が絡んでき、時に吸い付いてくる・・・もしかして起きたかと心配したが体の本能的無意識行動で、どうやら心配はないようだ
安心したボクはそのまま快楽を楽しむ、なのはの幼い口の感触を、そしてボクはそのままイった
「ん〜〜〜っ・・・」
ドクドク・・・なのはの口の中に思いっきり溜まってたのを吐き出した
「ごほっごほっ・・・」
口に入ってくるドロドロした粘液に、むせるなのはだったが
ゴックン・・・そのまま飲み込む、それを見て満足するボクであった
「はむっ、んん〜〜」
するとなのははボクのペニスを再びしゃぶりついてくる
「ははは、そんなに美味しかったのかな?」
すっかり調子にのるボク、しかし・・・
「んん・・・ウィンナー・・・もっと食べたい・・・」
『ガブッ』
「へっ・・・・jkhふぉいおfごいうfほghlhsどいhglhn!!!!」
ボクは声にならない悲鳴を叫んだ・・・
光が部屋に射し込む・・・目覚まし携帯音が鳴ってる・・
「う〜ん、もう朝か・・・んんっ」
口の中がネバネバする・・・それになんか生臭い・・・
「うぇ〜なにこれ?変な白いのがお口に入ってるよー」
ふと気付く、もしかしてまたユーノくんのイタズラ?
「もうユーノくんでしょう、また変なイタズラして許さないよ!・・・あれユーノくん?」
いつもの寝床にユーノくんがいない・・・何処へ?
「キュゥゥゥゥゥ・・・・ン」
下で鳴き声がする
「なに?・・・て、ユーノくん!!?」
そこには股間部が血まみれな死にかけユーノくんがいたのでした
「なのはー!ユーノくん去勢したって本当!」
「いくらなんでも可哀想よ、なのはちゃん!」
「いや・・・したっていうか・・・しちゃったて言うか・・・」
教室で尋問をうけるなか、遠い目で外を見るわたしでした・・・
「、はぁっ、・・・はぁっ・・・」
もう、走れない・・・
彼女は一人だった。
動物病院で、黒い、よく分からないものと対決していた、喋るフェレットを抱きかかえて。
その、思念体に追い立てられて。
気付いたら。
フェレットも、赤い宝石も、手の中から無くなっていた。
「・・・だ、誰か・・・」
誰も居ない。
空高くから淡い光を投げかける、月だけが、見ていた。
そして。
「・・・!!!」
アカイ眼をぎらつかせた、そいつが。
少女を見下ろしていた。
歯が、がちがち鳴る。睨みつけられ、カラダが動かない。
思念体は、眼下の震える獲物を満足げに睥睨すると。
細い触手を一つ、ゆっくりと伸ばした。
「ひぃっ!」
禍々しいソレに、頬を撫でられる。べちゃり、と糸が伸びる。
一気に殺さず、じわじわと嬲るつもりか。
見開かれた瞳の輝きを、絶望が取って代わった。
いつの間にか数を増した無数の触手が、少女を組み敷く。
「あ・・・、あ・・・」
もう逃げられない。
もう逃げられない。
眼だけ動かして。
触手が上着のすそを掴み、下着ごとゆっくりとたくし上げるのを、見ているしかできない。
臍。
「あ、ああああああ・・・」
なだらかなすそ野。
「そんな・・・」
低い丘。
「い、いや・・・」
慎ましやかな頂。
首をぶんぶん振って、拒絶の意思を表そうとするが。
そんなものにはお構いなく。
触手群がいっせいに襲い掛かり、上着を全て引きちぎった。
「っ、やだああああああっ!」
家族でも、友達でもない、人ですらない相手に曝され。
恥ずかしい、と訴える間もなく。
「や、やめてえっ、私の胸、揉まないでっ!」
両胸をゆるゆると揉まれる。
ぐちゅぐちゅと這い回る気味悪さに、涙さえ出てきた。
触手の動きが変わった。
「ひああ・・・」
捏ねられ。
「痛いっ!」
捻り潰され。
「あうう・・・」
優しく撫でられる。
「な、なんで・・・?」
見る間に、頂が自己主張し始める。と。
「あぁあ・・・」
新たな攻撃目標を発見した触手に、いたぶられる。
「もう、もう・・・」
許して、との懇願をつき返すように。
口元に、一際大きな触手が突きつけられ。
「ん、んぶううぅううぅっ!!」
小さな口をこじ開け、巨大なモノが突き進む。
口内いっぱいを占領したソレのおぞましさに、寒気が走る。
「う、う・・・んぶうううぅうぅうっ!」
突然に、動き出す。口から出て行くかと思いきや、最奥まで突かれる。
次第に速くなる動きに、喉奥まで明け渡してしまう。
「んーっ、んんんーっ」
極力、考えまいと固く目を閉じるが。
「っ!!!!!!」
奥に、どぷどぷと、何かが。
吐き出すことも出来ず、胃まで全て滑り落ちていく。
新たな攻撃目標を発見した触手に、いたぶられる。
「もう、もう・・・」
許して、との懇願をつき返すように。
口元に、一際大きな触手が突きつけられ。
「ん、んぶううぅううぅっ!!」
小さな口をこじ開け、巨大なモノが突き進む。
口内いっぱいを占領したソレのおぞましさに、寒気が走る。
「う、う・・・んぶうううぅうぅうっ!」
突然に、動き出す。口から出て行くかと思いきや、最奥まで突かれる。
次第に速くなる動きに、喉奥まで明け渡してしまう。
「んーっ、んんんーっ」
極力、考えまいと固く目を閉じるが。
「っ!!!!!!」
奥に、どぷどぷと、何かが。
吐き出すことも出来ず、胃まで全て滑り落ちていく。
満足げな触手が出て行く。
途端に全て吐き出してしまおうとするが。
「うあ、ああ・・・も、やめてえ・・・」
取り囲んでいた触手が、我も我もと殺到する。
「んう、んん・・・」
口内で暴れる触手のほかにも。
体中、撫で、弄られる。
何も言えず。
2度目、今度は口内をいっぱいにされ。
周囲の触手も一斉に、少女に向かってぶちまける。
「ああ・・・」
頭から、シャンプーかボディソープのボトルを2,3本被ったように。
真っ白に穢された少女は、泣く泣くおぞましいソレを嚥下した。
「!!、嫌ああああああっ!」
スカートも奪われ、小さな下着も、邪魔だと言わんばかりに引き千切られ。
情緒も何も無く。
凶器が、幼い割目に照準を合わせる。
「あ、あ、あ・・・」
壊される。
顔面蒼白で震える少女に、しかし、敵は侵略を開始した。
「うわ、うわあああああああああああっっっ!!!」
潤滑油は触手のヌメリのみ。
あまりに小さい入れ物に、あまりに大きな肉が押し入っていく。
「痛い、よお・・・」
ようやく処女膜まで到達した凶器だが、すでに血に濡れていた。
だが、それを物ともせず、膜を突き破る。
「ああああああああああああああっっっ!!!」
ずぶずぶという音が、少女の耳にははっきりと聞こえた。カラダがばらばらになる音だ。
奥まで侵攻したと思いきや。
「う、動くのやだあっ!うごかないでえっ!!」
アカい凶器が律動を開始する。
ひいひい泣き喚く少女を押さえつけたまま。
未発達の筋肉が、必死に締め上げるが。
そんな抵抗など、効きはしない。
「あああ、ああ、あああ・・・」
呻く少女は、体内から更に増した圧迫感に気付いた。
それが何なのか気付く前に、恐ろしく粘度の高い迸りが、膣内に叩きつけられた。
全く力なく、横たわった少女。
凶器と一緒に、紅みを帯びた驚くべき大量の白濁液と、申し訳程度の粘液が排出される。
「ぅぁ・・・・・・」
もう、何も分からないし、何も分かりたくない。
少女は、意識を手放し、ゆっくりと、思考は闇に沈んでいく。
凄惨な陵辱劇は幕を閉じ・・・・・・るワケが無かった。
「い、いああああああああああああっっっ!!!」
真下から内臓ごと揺さぶられる衝撃に、むりやり意識を覚醒させられる。
「いい、痛いいいいっ!もう、やめてええええっ!」
成熟していない子宮の入り口を、強引にこじ開けられ。
ずぼずぼと出し入れされる。
太ももに触手がしっかり巻きついているので、少女は叫ぶことしかできない。
程なく2度目の射精が行われ、母の海は、文字通り真っ白に塗り潰された。
「ああ・・・」
あふれ出る白濁に栓をするかのように、新たな触手があてがわれる。
もう、ゆるして。
それが聞き届けられることのない願いだということは理解している。
もう、寝させて。
今も続いている陵辱のことも頭から追い出して、
「!!!、嫌嫌嫌嫌ああああああっ!」
楽になる方法など、用意されていなかった。
「そこ、そこ違ううううっ!やめてえええええっ!」
肉の赤みを失うほど、拡げられた幼い秘裂。
そこからさほど離れていない不浄の孔が、次の哀れな獲物となった。
「痛いいいいっっ!!いたいよおおぉぉぉっ!」
必死に尻の力を抜き、すこしでも痛みを和らげようとするが。
ぐいぐいと逆流してくる凶器に併せ、鋭い痛みが走る。裂けているのだろう。
「ゆ、ゆるしへぇ、・・・・・・」
前と、後ろから、内臓をぐちゃぐちゃにされる。
ごりごりと、2本の触手は我が物顔で少女を蹂躙する。
激しい突き上げに、がくがくと、少女の顔が揺すぶられ、涙と涎を撒き散らす。
もう何度目だろう。
胎内の熱い奔流を感じつつ、少女はとうとう、意識を失った。
「ぁ、ぁ・・・・・・」
指一本すら、動かせないで。
一帯を包む、すえた臭い。
カラダが浸かる、辺り一面の白い海。
今もまだ、カラダから吐き出され続けている。
前の孔も、後ろの孔も、まったく元の形を覚えていないが。
四肢を力なく投げ出した少女には、もう、全てが、どうでもよかった。
少女は再び、意識が拡散するに任せた。
誰も居ない。
空高くから淡い光を投げかける、月だけが、見ていた。
「恨みはないが・・・許せ」
「や・・・あ・・・ぁ・・・ああああああああああああああぁぁっ!!!ぁ・・」
拒絶の声も空しく。赤黒く脈打つ肉の棒が、容赦なくなのはの胎内へと突き込まれる。
既に戦闘でボロボロだったバリアジャケットの上半身は男の手によって剥かれ、ロングスカートもお腹の上までたくしあげられている。
男の突き込みに震える左足に、先程まで純潔を守っていた薄桃色の下着がひっかかっていた。
なのはが目を覚ましたそこには、褐色の肌の。屈強な男が立っていた。
そしてその横には自分を打ち倒したあの少女も。
男はあくまでも、無表情に。
少女はその幼い顔に、残酷な笑みを浮かべ。
なのはが剛直に貫かれていく様を見ている。
「抜い・・・あくぁ・・・うああっ!!っひぎ・・あああぁっ!!」
痛い、のたった一言で済むような激痛ではなかった。
何故。どうして。一体この人はわたしに何をしているの。
激しい痛みと共に、なのはの脳内を疑問が駆け巡る。
いくら精神的に大人びているとはいえ、まだ九歳の少女に性の知識は殆どなかった。
それでも今自分へと覆いかぶさってきているこの男が何かしらの目的をもってこのような行為に及んでいるのは理解できた。
だが、なのはに出来るのは、ただ泣き叫ぶことだけ。
「ぎっ・・・・いあああああぁああぁぁああぁっ!!やぁっ!!ぁあっ!!ぁああぁ!!やぁあぁ!!」
まるで、灼熱の中打ちあげたばかりの鋼の棒が入れられているようだった。
熱くて、痛くて。なのはの胎内に、圧倒的な存在感で突き進んでは、引き返し。
男の腰が前後する度、なのは自身の赤い純潔の血に染まった肉槍がなのはの膣を切り裂いていく。
何度も、何度も。無理矢理開かされた両足の付け根の痛みになのはは悲鳴をあげた。
頬を、激痛の涙が伝っていく。
「・・・ヴィータ・・・少し・・・黙らせろ・・・」
「ん・・・了解、ザフィーラ」
男の言葉に、ヴィータと呼ばれた少女が立ち上がる。
「やああぁぁっ!!!・・あぁ・・・あぁ!!・ひぐっ!!・・・ぅあぁあぁあっ!!!!ぅんぅ!??」
揺さぶられる度なのはの口から漏れていた叫び声が、急にトーンダウンする。
「んぶぅぅぅっ!?」
涎すら吸えず開きっぱなしだったなのはの口を・・・・ヴィータの唇が塞いでいた。
(っ・・・何・・・?わた・・し、この子に・・・・?)
「んぐっ!!!んんんんん!!!んむぅぅ!!んーっ!!!!」
少女の行動への驚きによって一旦戻ってきかけた思考が、再び激痛によって散らされる。
だがなのはの口は少女のキスによって閉じられ、悲鳴がわずかに漏れるだけだ。
「んーっ!!・・・んっ!?うんっ、んぐんんんーっ!!!」
口内を、少女の舌が蹂躙していく。
上顎内部を舐められ、舌と舌を絡ませてくる少女。口と口の隙間から、二人分の唾液が流れ落ちる。
(やぁ・・・だめ・・・痛・・・気持ち悪・・・助け・・・・)
更に少女は、露になったなのはの乳首へとその指先を伸ばす。
「!!!???」
突然、胸の山頂を少女の柔らかな指先に摘み上げられ、それにあわせなのはの身体がビクリと反応する。
(な・・・に・・・?今、ビリッて・・・)
「!?・・・んんんーっ!?んむぁっ、んぐんんぅーっ!!!!んっ!!んっ!!」
今度は乳首だけでなく、左右の未発達の丘、全体を。
少女の小さな手によって揉みしだかれる。男の激しく、乱暴な突き込みとは対照的にゆっくりと、やさしく。
その都度なのはは、生まれて初めて感じる感覚に、ビクン、ビクンと身体を痙攣させていた。
上半身を、快楽によって。
下半身を、獣性によって蹂躙され続ける。
溢れ出る涙と涎で、顔はぐちゃぐちゃだった。
二人がかりで行われるその責め苦に、敗北によって傷ついた身体が耐えられようはずもない。
後ろ手に縛られた両腕は三人分の体重を受け既に感覚はなく、背骨も激しい責めにみしみしと音を立てる。
「!!!!!!!!!!!!んんんんんんんんんんんんんんぅぅうぅぅぅっっっ!!!!????」
突如として、男──ザフィーラの腰の動きが加速し、激化する。
多少なりとも慣れつつあった痛みが激痛として再認識され、なのはは一瞬白目を剥きかけた。
(んぁ・・・・だ・・・めえ・・・・助け・・・・終わ・・・てぇ・・・)
せっかく取り戻した意識を、なのはは再び手放そうとしていた。
目の焦点が合わず、間近で口内を攻め続ける少女の顔すら碌に見えない。
───ああ、駄目。
意識が、遠い世界へと飛び立つ、その直前に。
「!!!!!!」
男の剛直が、今までになく深い位置までも突き入れられ。
「んんんんんんんんんんんんんんんんんんぅぅぅぅぅ!!!!????んんんんんっーーーっ!!!!」
お腹の中に注がれた熱い何かに一際甲高い叫びをあげ、意識を取り戻す。
だが、せっかく取り戻した意識も、真っ白で。
何ら思考をしてはくれない。
「ん・・・んぅ・・・ん」
ただ、体から何かが引き抜かれた感覚と。視界の隅に映った、肩で息をする男の様子から。
(ああ・・・終わっ・・・・んだ・・・・)
苦痛の終焉を、回らない頭でも認識することができた。
そして少女が離れていくと同時に、なのははまた気を失った。
───これが、終焉でなく。
幕開けに過ぎないことを。
わずか10分後、彼女は知ることになる。
「ふあぁっ!!あ、あぁっ、あ!!ひ・・ぃ、やあぁっ!!!」
どこまでも、深く、深く。
それは少女の中を、垂直に近い角度で抉っていく。
「───ぅあぁっ・・・!!っあ、っ・・!!ん、くぅっ・・・」
何度、貫かれたろう。
どれほどの間、こうしているのだろう。
「っあ、や、ぅやあぁあっ、んんっ・・っく、やぁ、あ、ふあっ」
灼熱の肉棒が出入りするたび、少女の身体はがくがくと揺れ。
その身に感じるのは、痛みだけではなくなっていた。
殆ど全裸に近い格好で、身体のあちこちに生臭いねばねばを付着させたまま。
痛みと、それ以外の感覚、その両方に脳髄を焼かれながら。
幼き少女がしるわけもないが、その体勢はいわゆる騎上位というもので。
「あ、あ、・・ぃやぁ、んく、や、あ、あっ、や、あぁ・・・あ、ぁあぁあああぁっ!!」
高町なのはは例の褐色の男───ザフィーラによって下から攻め立てられ続けていた
口内へと、熱い迸りがぶちまけられる。
凶悪なまでに太く巨大な剛直でいっぱいになっている少女の口に、それを受け入れるだけの容量は既になく。
生臭い粘液を嚥下するのは、幼い少女にとって困難であることこの上ない拷問であった。
結果として下しきれなかった分の白濁は溢れ、滴り、少女の身へと降りかかり汚していく。
「!!!!!」
身を引いてその飛沫をかわすことも、許してはもらえない。
下の口も同様にまた、口内を埋め尽くしているそれ以上に大きな肉槍に攻め立てられていて、腰を引くより先に最奥まで貫かれていくのだ。
「おらっ、噛んで逃げよーったって、そうはいかねーかんなっ!!生憎コレには痛みは通ってないんでな!!」
「・・・・・」
無言で後ろから膣奥を擦っていくのは、褐色の獣人。
そして毒づきながら少女を蹂躙する剛直の持ち主は、犯され続ける少女以上に幼い赤毛の女の子だった。
「んんんんぅっ・・・!!!!」
もう、両腕には、揺さぶられ続ける身体を支えるだけの力も残ってはいない。彼女を前後から貫き、抉っている二本の
極太の杭に支えられ、無理矢理身を起こされているに過ぎないのだ。
フェイト・テスタロッサは涙で霞んだ視界で自分を犯す少女を見上げつつ、敗北の味を味あわされ続けていた。
(なの・・・は・・・・・なの・・・・・・・・は・・・)
助けられなかった友の名を、心の中でただただ、呼び続ける。戦いに敗れた彼女ができる、それは唯一のこと。
二人の優秀なベルカの騎士と、守護獣に対し、彼女は友のためとたった一人で戦いを挑んだ。
いくらフェイトが実力者であるとはいえ、その行動は無謀以外の何ものでもない。
なす術なく打ち倒され、デバイスを破壊された挙句、今こうして全身を蹂躙されている。
「ほんとだったらさっさとリンカーコア奪うとこだけどな!!もーしばらく楽しませてやるよ!!」
「んぶうううぅぅっ!?んんっ!!うぬぅっ!!!」
紅の少女の嘲りと共に、再度口の中が生臭い液体に満たされていく。
彼女──ヴィータの股間に変身魔法で生やされた醜悪な形の男根は何度その精力を放出しても、衰える気配というものがなかった。
あっけなく処女を奪われ、媚薬と催淫効果のある魔法に肉体を漬け込まれ。
褐色の肉槍が膣壁を抉り擦りあげていく感覚にフェイトは喘ぎ、悶える。
バリアジャケットが引き裂かれた胸元では、二つの頂が弄られ、つんと立っていた。
背後から貫くザフィーラが覆いかぶさってきて、平らな双丘を揉みしだく度に乳首が擦られ、つつかれ、
声なき声が口と男根との隙間から漏れ出していく。
「・・・・・!!・・・!?」
そんなどうすることもできない状況の下、涙にまみれぼやけた視界の片隅に、達すると同時に彼女はなにかを捉えた。
一つは、緑色の服を着た、冷たい目の女性。
そしてもう一つは────自分以外の誰かへと群がる、数人の裸の男達の姿であった。
「・・・・・」
「んは・・・あ・・・あ!!あ!!あああああぁっ!!!」
シャマルは、バックアップと補助のエキスパートである。魔力を持たない一般人の意識を奪い、
操ることなど、造作もない。
現に今、こうやって。
「や・・・ぁ・・・もう・・・いや・・・ゆる・・・ふぁああぁ・・・」
彼女の手によって自我を失った男達が、なのはを犯し続けているのだから。
前後の穴は当然のこと。
左右の小さな両手に一物を握らされ。
全身に精液を浴びながら泣き喚く少女は、目と鼻の先で犯され続ける親友以上によがり、腰を振る。
絶頂に到達したのは、一度や二度ではない。
「ふぁああ・・だめ・・・え、いや、ふむぅ、ん!!んううぅ!!んんぅ・・・」
唯一開いていた口にも肉棒が押し入り、あぶれたモノ達は我先にと少女の身体へと先走りに濡れたその先端を押し付けてくる。
「んーっ!!んっんっ、ん!!ふぁむ!!むぐ、んんうぅぅぅ・・・!!」
おそらくまた達したのだろう。もう汚されていない部分など微塵もないお腹へと子種を浴びせられ、背中を反らせて
目を見開くなのはへとシャマルは近づき、耳元へと囁きかける。
「・・・あらまぁ、こんなにもよがっちゃって。変態さんなのねぇ、なのはちゃんは」
「────!!・・・・・!!・・・!!」
「一体、何回イッたのかしらねぇ、この淫乱さんは」
無駄な努力とわかっていながら、今度はきつく目を閉じまたイってしまわぬよう快楽に耐えるなのはにも、その声はしっかりと届いていて。
「見なさい・・・あなたを助けに来たお友達の姿を・・・・」
「!!・・・!!ん、ん!!・・・・!!!!!」
かろうじて目を開け、見やった先では金髪の少女が光のない目を虚空に泳がせ、前後から突き上げられている。
(あ・・・・あ・・・・フェイト・・・・ちゃ・・・)
「あなたのせいよ」
(そ・・・・んな、そん・・・・な・・・)
「あなたの心が、リンカーコアを渡さないから」
(ふぁ・・ここ、ろ・・・・?)
「だから、お仕置きなの。あなたと、そのお友達に」
「怨むなら自分の心を、魔力を怨みなさい・・・・雌豚なのはちゃん」
「そ、んな!!んは、あああああぁああぁっ!!!!!」
シャマルは口元を歪め嘲笑を浮べながら歩き去っていく。
少女が彼女の話を聞けるよう命じられていたのであろう、若干緩やかになっていた
男達の攻めが再び、激しさを増す。忘れかけていた快楽の波にまたも飲み込まれていくなのは。
途切れることのない絶頂が、全身を駆け抜けていく。
(た・・・しの・・・せ・・・わた・・・のせいで・・・ェイト、ちゃ・・・まで・・・)
(た・・・しの・・・せ・・・わた・・・のせいで・・・ェイト、ちゃ・・・まで・・・)
自分の心が魔力を押さえ込み、素直に渡さなかったせいで。
そのせいで友までもを巻き込んでしまった。
(いや・・・もういや・・わたしの・・・わたしのぉお・・・・)
「んんんんんんんーーーーっ!!!!んっ!!んっ!!んっ!!」
視線の先の友はもう、ものも言わずただ快楽を享受するだけに成り下がっていた。
あれもみんな、自分のせい。
(わたし、がっ・・・・!!)
心が、ヒビワレテイクのがわかる。
自分を、友を。
こんな目に遭わせる心なんて、砕けてしまえばいい。魔力なんて、奪われてしまっていい。
なのははむせび泣きピストンに揺さぶられ続ける身体で、そう願った。
何度も、何度も。締めつけ、貫かれ。しゃぶり、ぶちまけられ。よがり、注ぎ込まれながら。
何度も、何度も、強く願った。
───そして。壊れゆく彼女の願いは、叶ってしまった。
薄暗い闇の中、2人の人物がそこに居た。
一人はやや細身の男、身体だけ見れば人とも形容できるかもしれないが、その男の背
中からは大小様々の触手が何本も伸び、もう1人の人物、年端も行かぬ小さな少女の手
足をからめ取り宙吊りにしていた。
空中に四肢を吊り上げられたその少女は一糸まとわぬ裸の状態で涙を流し、くぐもっ
たうめき声を上げている。少女の身体には触手から吐き出されたであろう白濁した液が
顔といわず胸といわず張り付いていた。少女の素肌がのぞいている部分を探す方が困難
なほどに。
そしてその少女の愛らしい口に、小さく可憐な膣口に、自身で触ることなど考えもし
なかった菊門の3つの穴に、男の背中から伸びた触手が潜り込み、滑稽なほどリズミカ
ルに出入りを繰り返していた。
そして時折触手が、ぶるるっ、と震えたかと思うと、途端白い物が少女の口や膣口や
菊門から溢れ出す。口内の触手は時折その口から引き抜かれ、少女の顔に白濁液を大量
にぶちまけ、少女の虚ろな眼の中までをも白く汚していった。
〜 魔法少女リリカルなのは 〜 ”散ル明日”
ガギンッ!と甲高い音を立てて、なのはの振るうレイジングハートが男の触手の一つ
に薙ぎ払われた。
「うあっ!!!」
思いもよらぬ衝撃になのはは思わず手にした杖を取り落とす。
「なんだ、その程度か」
顔すら見難い暗がりの中で男が呟く。
「砲撃に長けた輩かと思ったが、わざわざ接近戦を挑んでくるからどれほどのものかと
思ったが、なんのことはない、ただ棒っきれを振り回すだけとはな、つまらん」
「そ、そんな・・・」
未だ痺れの残る手を震えさせながらなのはは後ずさりする。
「なんだ?これがそんなに不可解か?」
言って男はさきほどレイジングハートを叩き落した触手を揺らす。
「私は魔道師とはいえ、魔法を戦闘方面に使う技術ははからっきしでね。肉体改造や強化
の方向に長けているのだよ」
男は1本のみならず数えるのも困難なほどの数の触手を背中から唸らせる。
「ひっ・・・ぃっ!・・・」
なのはの目が恐怖に見開かれる。
「まぁ、言ってみれば魔法戦に弱い分、その他で接近戦や防御に耐えうる用意をしてきた
のだが、まぁ、こいつらもそれの1つだ。人間の身体にも普段は軟弱だが、こと行為に及
ぶに当り硬質化する器官があるだろう?それの応用だ。無論強度や操作性は比較にならん
がね。おっと、お前のように年端も行かぬ少女にはまだ少し早いお勉強だったかな?ん?」
にやにやと口を歪ませながら、なのはの微妙な表情の変化を読み取る男。
「ふむ、知識だけは知っているようだな」
「!」
心の中を読まれたかのような言葉に赤く染まった顔をそむけるなのは。
「まぁ、それはこれからじっくり身体に叩き込んでやるとして、だ」
じりっ、と男が一歩進み出る。あわせるようになのはも後ずさる。
「私も目立つ戦いはは好かん、さっさと終わらせるか」
言って男は振り上げた触手を一気に地面に突き立てる。なのはの取り落としたレイジン
グハートに向けて。
バキャッ!という音と共にレイジングハートのコアたる赤い宝玉がガラス玉のように砕
け散る。
「Mas・・・」
「レイジングハート!!」
「杖の心配より、自分の心配をしたほうがいいぞ、少女よ」
顔を上げたなのはに触手の1本が襲い掛かる。
どむっ!という音と共になのはの腹部に衝撃が走る。
「ぐぁっ!!」
バリアジャケットで衝撃を緩和されていなかったら今の一撃でなのはは昏睡していた
だろう。最も意識を失わなかったことが決して助かったとは言い切れないが。
「ほう、ちゃらちゃらした服に見えて意外と丈夫だな、それも魔法の産物だったか」
膝を付き、げほげほと咳き込むなのはに魔道師が近づく。
「ならこれくらいではどうかな」
2本の触手が立て続けになのはの腹部を襲う。
轟音と共になのはのバリアジャケットが内部から爆発し、衝撃を緩和する。
「あぐっ!!!げほっ!!」
緩和してなお、胃の中のものを吐き出さなかったのが不思議なくらいの衝撃になのは
は倒れこむ。
「ほう、なるほど、爆発により衝撃を緩和する、ふむ、リ・アクティブ装甲のようなも
のか、面白い、今後の参考にさせてもらうとする、か!」
言って男は三度触手をなのはに向けてふるう。
身を守るべき鎧を失った少女の身体はその一撃で壁まで吹き飛び、今度こそなのはの
意識は暗転した。
〜 〜 〜 〜
「う・・・」
頬をなでる柔らかな感触。
くすぐったさともっと撫でられていたいという感触になのはの意識が暗がりから戻っ
てくる。
ゆっくりと開けられた目に最初に飛び込んできた光景・・・
「きゃぁあああーーーーーーー!!!」
さきほどレイジングハートを粉砕し、なのはの腹部を強打した触手が、打って変わっ
た柔らかさでなのはの頬を撫でていた。
「いやっ!!いやぁっ!!!いやあああぁぁーー!!っっ!?!?」
叫びと共に違和感。
四肢が自由に動かない。
暗がりの中、目を凝らしたなのはの視界に浮かび上がる触手・・・
その群れ。
天井、壁、部屋の床以外の全てを埋め尽くす触手の群れの中の数本が、なのはの手足
に絡みつき、なのはを×の字に宙吊りにしていた。
「きゃぁあああぁぁぁああーーーーーーーーーーー!!!」
喉の奥からの絶叫。
なのはの手足を縛っている触手の他にも数本がその鎌首をなのはの方に向けながら、
ゆらゆらと揺れていた。
「うるさいぞ、少し黙れ」
「ひっ!!!!!!!!」
男の声がした。
なのはの頭の中から。
ひっ!!ひぃっ!!!ぎゃあああーーーーーいやぁああああーーーーー!!」
なのはの股間から生暖かいものが流れ、太ももを濡らしていく。あまりの恐怖による
失禁である。
「ふはははは、お漏らしとはこれはこれは、ずいぶんと可愛いお嬢ちゃんだ」
「いっ、いやぁっ!やだぁっ!見ないでぇーーーー!!」
羞恥により一時的に恐怖を忘れ、必死にそれを止めようとするなのは。それでもなお
内ももを伝わる流れは止まらない。ぴちゃぴちゃと尿が床に当たる音が、むせ返るよう
なアンモニア臭が、なのはの羞恥をより一層掻き立てていく。
「えぐっ・・・やだぁ・・・止まってぇ・・・やだよぉ・・・」
ぐすぐすと泣きじゃくるなのはにさらに頭の中から男の声が響く。
「小便を見られたのがそんなに恥ずかしいか、そうか、自分の今の格好はさほど気にな
らないと見える」
頭の中に響く声にはっと顔を上げ、あわてて自分の身体に視線を向けるなのは。
なぜ今まで気がつかなかったのか、今のなのはは一切何も身に着けていない裸であっ
た。やっと膨らみかけた胸も、発毛のかげりすら見えないふっくらとした恥丘も一切隠
すものなく、その姿を晒していた。
「やっ!わ、私、は、裸っ!やっ、いやああぁぁぁぁ!!!」
自由にならない四肢を必死に動かそうとするも、手足の触手はびくともしない。みる
みる羞恥で顔のみならず全身が真っ赤になるなのはに、触手の群れの中から男の顔が浮
かびあがる。
「ひぃっ!!!」
突如現れた顔に止まりかけていた小水がやや勢いを増し、さらになのはの太ももを濡
らしていく。
「くっくっく。まだ出るか。まったく節操のない。もしかして見られたいのか?」
無論なのはは火が点いて死んでしまいそうなくらい恥ずかしい。当然男もそれを知っ
ての言葉だった。
そして単に暗かったからだけなのか、顔しか見えていなかった男の全身がようやくな
のはの視界に入ってきた。ぱっと見はどこにでも居そうな少し細身の男である。だが、
その背中からは先ほど見た数よりさらに多くの触手がうねっていた。
そしてなのは同様男も衣服を一切身に着けていなかった。自然となのはの視線は男の
下腹部に移る。そこに起立するなのはの腕ほどもあろうかという男根。
知識としては知っていたがそんな臨戦態勢の一物を初めて見たなのはは、本能的にそ
れから目を逸らした。
「ふふ、見たのは初めてのようだな。よーく見ておけ、いずれ見たくても見れなくなる。
お前の体の中に入るのだからな」
以前すずかの家でアリサやフェイトと共にお泊り会をした時に、拝借したすずかの姉
の蔵書の一つがそういう本であった。幾人もの女性が惜しげもなく足を広げ。男と絡み
合っている写真が何枚も載っていた。
そのときのアリサの「こういうことは好きな人としかやっちゃいけないんだって、も
しやったら犯罪になるんだって!まぁ、なのははユーノが居るし、フェイトには兄さん
がいるから問題ないかしらね」という言葉がぼんやりと思い出された。あの時は慌てて
否定したが股間がなぜかむずむずしていた。
それでも写真の中の女性の天国のような表情になぜか強く惹きつけられ、なかなか目
を離すことができなかった。自分もいつかこんな顔でユーノ君と一緒になるんだ、と怖
いような嬉しいような淡い期待をなのはは抱いていた。
それも叶わず、
今まさに、格好こそは写真の女性達と同じだが、柔らかなベッドも愛しい人の顔もな
いまま触手に宙吊りにされ、同じことをされようとしているなのはは、天国とは対極の
恐怖に顔を歪ませながら、近づいてくる男から視線を逸らすことができなかった。
「さて、眠っている間に少々お前の身体をいじらせてもらった」
何をされるかと恐怖に震えていたなのはに男がそんなことを言う。
「えっ・・?」
「まぁ、見た目は変わっていない。心配はするな」
男の言った通り、別段自分の身体におかしい所は見受けられなかった。最もだからと
言って安心などできるはずもないが。
むしろ頭の中で声がすることか、となのはは一瞬思ったが、
「そうではない、気付かないか?私は別に今まで口をあけて喋っていたわけではないぞ」
確かに男の口は一切動いていなかった。念話のようなものかとなのはが思うと、
「いや、そうでもない。もっと単純なことだ。さっきからお前の考えていることに私は
反応しているが気付かないか?」
「っ!?」
確かに、頭の中で声がするとか念話とかのことはなのはが口に出したわけではない、
ただ頭の中で思っただけである。にもかかわらず、目の前のこの男はそれにぴたりと回
答している。
「まだ気付かんか?これだ」
言って男はなのはの小指ほどの太さの触手をなのはの眼前に持ってくる。そしてその
触手をぶるっ、と小さく振るわせる。
と、なのはは自分の身体に違和感を覚えた。耳の奥からなにかむず痒いような心地よ
いような感触。
「うっ・・・っ!?」
思わず呻いた声でなのははその触手がどこに繋がっているか気付いた。
自分の右の耳からの感触に。
「ぇ・・・や・・・そ・・・」
「わかったか、この触手はお前の耳からお前の脳に直接繋がっている。これによってお
前の考えていることが私には手にとるようにわかる。さらに情報を引き出すだけでなく、
おまえの頭に直接言葉を送ったり、それからこんなこともできる」
言って男はまたその触手を小さく振る。
途端!
「うぎゃあああぁぁぁぁ!!!!!」
突如なのはの身体に走る耐え難い痛み。魔法戦で敵の攻撃を直接受けたような、いや
それすらもなまぬるい激しい痛みが。
「がっ、かはっ・・・うぁっ・・・」
自由にならぬ四肢を必死に振わせるなのは。
「わかったか。痛みや快楽といった感覚は神経が外部の刺激を得て脳がそれを判断する
ことによって初めてそれぞれの状況に成りえるのだ。つまり脳の一部に刺激を与えてや
れば、このように外的要因がなくても様々な状況をその相手に伝えることができる」
ぜいぜいと宙吊りのまま喘ぐなのはに淡々と語る男。
「つまりこういったこともできる、そら」
また男が触手を振るわせる。
「はうあああああぁあっぁあああ!!あっあっあぁっ!!うああぁーーーー!!!!」
絶叫と共になのはの股間から生暖かい液体がぶしゅっ!と吹き出し、吊り上げられた
身体がびくん!と大きく震える。
さきほどのような失禁ではない。やや粘度のある透明な液体、愛液がなのはの膣口か
ら勢いよく吹き出していた。
「ふああぐあぁああうあぁぁうあぁうあうあうぅぅぅ・・・・・」
「ふむ、どうやらまだ絶頂というものを知らなかったらしいな。それもつまらん、いい
か、こういう場合は「イク」と言うのだ。それが女が絶頂に達した時に相応しい言葉だ、
それ、言ってみろ」
もう一度男は触手を振るう。途端、またしてもなのはの身体がびくんびくんと痙攣す
る。
「うぎゃはぐあぁぁぁあぐぅぅぅぅううう!!!!!!!!」
「下品な声だ、「イク」と言え、言うまで何度でも続けるぞ」
苛立つように男は二度三度と触手を振るう。
「ひゃがぁぁぁぁあああ!!あぎゃぁぁああああああぁぁぁ!!!」
「わめくな、「イク」と言え!」
「ひぎゃぁぁああぁぁ!!!イッひゃうああぁ!!!いっ、いぐぅぅぅぅ!!!!!!
いひまひゅうううぅぅぅぅ!!!!イックううぅぅゥゥゥっ!!!!!!」
触手の動きがぴたり、と止まり、電気ショックを受けたようにびくびくと振るえてい
たなのはのからだがぐたっ、と力なく垂れ下がる。
「いっ・・・いひまひゅ・・ひひましゅから・・・もう・・・ひゃめへ・・くらひゃ・・・」
「ふむ、ではその学習の成果を見せてみろ」
またしても容赦なく触手を振るう男。
「ひぎゃぁあぁああ!!!イっぐぅぅううぅぅ!!!イクぅぅううっっっ!!!」
股間からまさに失禁したと思えるほどの愛液を吹き出し、なのはは崩れ落ちる。最も
触手につながれているので倒れることもできないが。
「い・・・いひました・・・・いいましひゃから・・・もう・・ほねがひ・・・」
「ふむ、まぁいいだろう、もう少し聞いていたい気もするが、まぁ、ちゃんと答えられ
たからな。だがいいか、これからは達したら必ず「イク」と言え、いいな」
「・・・ひゃ・・い・・・」
呂律の回らぬ舌で答えるなのは、ただ現状から逃れるために必死に返事をする。
時間にして十数秒、数回の責めでなのはの足元には彼女の尿と愛液が大きな水溜りを
作っていた。
「さて、お前のことを少し調べさせてもらうか」
「・・・ぇ・・・」
顔を上げかけたなのはの頭に男の声が響く。
「ああ、別に喋る必要はない。こっちで勝手に調べる」
言って男はなのはの耳に入り込んだ触手をぐにぐにと動かす。
「うぁあぁぁぁっ!ふはっ!あぐぅううぅぅぅ!!!」
途端なのはの身体を襲う快楽。
だが自慰すら経験したことのないなのはにはそれが快楽とわからない。絶頂を知って
いるのに快楽を知らぬという不幸な少女は、ただ未知の感覚に打ち震えるだけであった。
「ん?おお、これは悪かった。痛くないように少し気持ちよくしてやろうと思っただけ
だが、ん?ほうほう、まだ自慰も知らなかったのか、ふんふん、なるほど。よく覚えて
おけ、これが快楽というものだ、そのうちこれを求めて止まぬようになるからな」
「ひゃうぅぅうぅぅぅっ!」
聞こえているのかいないのか、なのはは喘ぎ声を上げ続ける。その間も男はなのはの
耳に差し込んだ触手を動かし続ける。
「ふむ、名前が高町なのは、か、ふむ、時空管理局の魔道師か。ランクもかなり高そう
だな、その年で大したものだ。だが闇雲に突っ込んでくるだけとは、まだ実戦経験はあ
まりないと見えるな。む?ほう、そうでもないな、あの闇の書を封印した連中の一人か、
なるほど、私が勝てたのも多少の運があったようだな」
「ひゃぐぅぅ!!!ひゃ、ひゃめへぇええぇ!!おかっ!おかひくなりゅううぅぅ!!」
「処女の身で快楽すらまともに知らぬ身ではこの刺激はきついか。まぁ、じき慣れる。
発狂するようなことはないから安心して喘ぐがいい。そういう風に身体をいじってある」
「ひぎゃああああああああああああああっぁぁぁ・・・イッ・い・・・」
「さっきの学習の成果を見せたいのか?だが私が必要な情報を得るまでは達することは
できんぞ。思う存分喘ぐがいい」
「そ、そんひゃっ!あぐぅあっ!!ひぎいいぃぃぃっ!!!!!」
小さな空間に響き渡る絶叫。男はなおも触手を動かし続ける。
吹き出ることはないにせよ、なのはの股間からは愛液が溢れ出し、足を伝わり、床に
糸を引いて垂れ下がる。
自由にならぬ四肢を必死に動かし、ちぎれるほどに頭を振り乱し、喘ぎ声を上げ続け
る。それが今のなのはにできうる全てであった。
「ひっ・・・いかへてくらひゃいいぃぃ・・・もっ、もう、ひやぁ・・ぁあぁああっ!
ひぎぃっ!まっ、まひゃぁああぁぁ!!!あっぐぅぅうううっ!!」
そしてたっぷり5分ほどもなのはを陵辱した男は、
「ふむ、なるほど、だいたいわかった。よし、褒美だ、イッていいぞ」
男は最後にぶるんっ、と触手を振るわせる。
それを合図になのはの小さな身体ははじけ飛ぶように大きく痙攣した。
「あぎゃがぁぁぁぁあぁぁ!!!!ひっ!!ひぐっ!!いぐぅううぅぅ!!!!!」
さきほどのものより遥かに大きい波。その快楽の波に翻弄されるなのはは、満足に動
かぬ手足をばたつかせ、悶え喘ぐ。
それをさも面白そうに見つめる男の前でひくっ、と一つ大きく痙攣すると、なのはは
がくりと頭を垂れ気絶した。
「ふむ、この程度で失神するか。まだ少しいじり方が足りなかったかな」
言って男はなのはの顎をつかむと自分の方になのはの顔を引き上げる。
「とはいえ、このまま寝てられても困る。それ、起きろ」
またしても男はなのはの耳に入った触手を揺らす。
そのとたん、かっ、と見開かれるなのはの両目、そして、
「ひぃぃぃ!!!だめへっ!!まっ、まはイふぅうううぅ!!!!」
がくがくがくっ!と大きく身体を痙攣させ、気絶したはずのなのはは飛び起きた。
無論喘ぎ声と共に。
「ぎゃひぃいいぃ!!!がぁあぁっ!あっ!あああぁーーー!!!」
がくっ、と力なく垂れ下がるなのは。男はなのはに近づき、再び顎に手をかけ、無理
やりなのはの顔を自分に方に向けさせる。
虚ろな目でぜぃぜぃと喘ぐなのはに男の声が響く。
「勝手に気絶などするな。私の許可なくしてもはやお前は息をすることすら許されぬと
思え、わかったな」
「ひゃ・・・ひゃい・・・わひゃり・・まひら・・・」
ぐったりとしたまま、焦点の合わぬ目で、口調で、なのはは機械的に答える。
そんななのはを見て満足そうに、よし、と呟くと男はなのはを吊り下げていた触手を
解く。
べしゃっ、と床に崩れ落ちるなのは。自身の愛液と尿の水溜りの上に。
「うっ・・・ぐっ・・・」
よろよろと上体を起こそうとするなのはだが、手足にまったく力がはいらない。この
短時間で今まで知らなかった快楽を叩き込まれたなのはの身体は、主の命に従うことが
できなかった。さらに自身の大量の愛液でぬめる床に手を取られ足を取られ、まるで生
まれたての子馬のように必死に立ち上がろうともがくなのは。
しかし子鹿のような溢れる生命力の輝きは全くなかった。
いつのまにか男は椅子に腰掛け、そんな悶えるなのはを面白そうに見つめている。
そしてようやく取っ掛かりを覚え、上体が起こせるかに見えたなのはに対し、容赦な
く耳に入れた触手を振るう。
「うぁあっ!!ああーーーーーーーーーっ!!!」
突然の快楽にまたしてもなのはの身体が痙攣し、起こしかけた上体がまたしても床に
突っ伏す。
「ほらどうした。立ってみせろ、早く」
「あうっ、あ、あぐっ・・・」
お尻を高く突き上げた状態で愛液に顔を埋め、はぁはぁと喘ぐなのは。
男からはそんななのはの股間が丸見えであった。
溢れ出た愛液は股間から尻から太ももから足全体にべっとりと塗りたくられ、いつの
間にか点けられたわずかな光を反射しててらてらと輝いている。
男は鎌首をもたげていた触手の一本を喘ぐなのはの股間に近づかせ、すいっ、と一撫
でさせた。
「ひぁっ!!あうううぅぅぅっ!!」
腰を支えていた膝が崩れ、床に張り付くなのは。
「ふふ、どうした。軽く撫でてやっただけだぞ、叫ぶほど気持ちよかったのか?」
「あっ・・・ああっ・・・ああっ」
「おっと、いかんいかん、忘れていた。お前の快楽に対する感度を上げてやったのを忘
れていたよ、いや、すまんすまん」
少しも悪びれた様子もなく言い放つ男。
顔だけ男の方を向きながらはぁはぁと喘ぐなのは。さきほどの絶頂ほどではないが、
ただ股間を撫でられただけで意識が飛んでしまいそうな快感が襲ってきていた。
「それだけ感じればさほど痛みもなかろう。そのユーノとやらには悪いがそろそろ頂く
とするか」
男の口から出たユーノという言葉も霞がかかったようななのはの頭では理解できない。
未だ喘ぐなのはの両足を2本の触手が掴み、ずるずると男の方へ引きずっていく。
「ふぐぅぅぅっ!!!」
「おやどうした。床に乳首が擦られただけでそんなにはしたなく喘ぐものではないぞ」
股間への一撫でと、床に擦れた乳首だけで息も絶え絶えななのは。
「しかしこれから何が起こるかまだ今ひとつ解っていないようだな、どれ、少し教えて
やるか」
言って男は耳に入れた触手をまた一つ振るわせる。
途端なのはの頭にものすごい勢いで古今東西、性の知識が流れ込んできた。
「やっ!!ひっ!!いやっ!!な、なにこれぇぇえぇ!!」
強制的に脳に刷り込まれる性の知識。
「やっ!いやっ!!やめ、やめてぇ!!!」
必死に頭を振り、それらを振り払おうとするなのは。無論そんなことで情報の入力が
止まるはずもない。
「これから何が起こるかわざわざ教えてやろうと言うのに、なんだその態度は。黙って
受け入れろ。それともまたさっきの様
っ!?」
その言葉になのはの身体がびくりと震えた。快楽による恐怖。この短時間でいやとい
うほどそれを覚えさせられたなのはは条件反射的に身体を固くした。
「そうそう、それでいい、人の好意は素直に受けるものだぞ」
ニヤニヤと言う男。無論その間もなのはの頭にはどんどん性の秘め事が流れ込んでき
ている。
「ひっ!、そ、そんな、こ、こんなこと・・・いやっ!そ、そんなっ!!」
うつ伏せのまま触手に引っ張られた足を閉じることもできず、大切な部分を男に晒し
たまま、なのはは恐怖に悲鳴を上げる。
「ふむ、まぁ、こんなところだろう、どうだ、大体解っただろう?これから自分がされ
ることが」
なのはの顔は既に顔面蒼白であった。歯をカチカチと鳴らしこれから起こるであろう
惨状を考えると声を出すこともできなくなった。
「ふむ、なるほど、そう考えていたか、ではお望みどおりそういう風にしてやろう」
「ひっ!!!」
自分の考えていることは男に筒抜けであることを忘れていたなのはは思わず息を呑ん
だ。
男は触手をさらに2本追加し、なのはの手を絡め取ると宙吊りにする。
Yの字で椅子に座っている男の前に引き寄せられたなのはは涙を流し哀願する。
「お・・・お願いです・・・や、止めてください・・・」
「なにを言う。お前がこうされたいと思ったのだろう。私はそれを叶えてやろうという
のだぞ、何を遠慮することがある」
「ひっ!いやぁー!やめてぇーーーー!!」
なまじどうされるかわかっている分、恐怖も倍増する。
「そして足も上げるんだったな、確か」
「いやぁーーーーーーーーー!!!」
先になのはの足を掴んでいた触手がなのはの足を高く上げ、上げた手の位置まで持っ
てくる。
空中でVの字にされたなのはの股間は隠すものなど一切なく男の前に大きくさらけ出
された。
「ほう、なんだ、期待しているのか?愛液が溢れ出してきたぞ」
「いやっ!うそっ!!いやぁーー!!!やめて、見ないでーーー!!!」
「嘘ではない。お前のことはお前以上に知っている。さっきお前の脳に直接聞いたから
なな。例えばこうだ」
言って男は触手の1本でなのはのクリトリスをその包皮の上から押しつぶすように押
さえつける。
「うぁっ!あああああああぁーーーーーーーっ!!!イッ!イクぅぅぅ!!!」
クリトリスを押さえつけるという行為だけで絶頂に達するなのは。
ぷしゅっ!という音と共になのはの膣口から愛液が噴出す。男の顔に幾筋か飛んだそ
れを男は舌で舐め取る。
「くっくっく、処女の潮吹きか、なかなかいい味をしているじゃないか、それにちゃん
と教えたことを守ったな。いい娘だいい娘だ、どれ、少し褒美をやるか」
言って男は吊り下げられたなのはの股間を自分の顔のそばまで近寄らせ、舌でなのは
の股間を愛撫しだした。
「ひぃぃぃぃ!!!ひゃぐっ!!やめっ!やめてへぇぇーーー!!」
男は膣口の周りをひとしきり舐めると、穴の中に舌を差し込んできた。
「あああああぁぁぁぁーーーー!ひゃぁぁがぁあぁぁっ!!!あーーーーっ!!!」
生まれて初めての愛撫らしい愛撫。強制的な絶頂や、ただ触手をあてがわれただけの
ものと違い、快楽を与えるための舌の動き一つ一つがなのはの脳を掻き揺らす。
「叫ぶだけではやっているこっちもつまらん、ちゃんと喘いでみせろ。さっき教えただ
ろう」
「ひはっ!!きっ!きもちいいいいぃぃ!!!オ、オ○ンコがー!!オ○ンコの中ぐり
ぐりされてきほちいいいぃぃーーー!!!!やぁーー!!またいくぅぅ!!!!」
およそ彼女の口から出るには早すぎると思える言葉を、なのはの脳は、口は、そして
心は、すらすらと紡ぎ出す。
その言葉に満足した男はなのはの膣口から舌を引き抜くと、そのまま舌でクリトリス
を押しつぶした。
「うああああぁぁっ!!!!いく、いく、いくっ、イクぅぅぅぅっ!!!!!!」
幾度となく口から発せられた絶頂の声。もはやなのはにその言葉に対するためらいは
存在しなかった。
さきほど以上に身動きの取れぬ身体をびくびくと震わせながら、股間からとめどなく
流れるひときわ熱い愛液を尻から床にぽたぽたと垂らしながら、今までの中で最大級の
絶頂に彼女の身体は打ち震えた。
「うっ・・・っく・・・あっ、ぐっ・・・」
初めて外的刺激によって絶頂を迎えた膣口はひくひくと痙攣し、絶頂の大きさを物語っ
ていた。
男はそんななのはの股間に指を這わせ、これまたひくひくと震えるクリトリスを容赦
なく2本の指でこねる。
「ひっ!!ひぃぃっっ!そ、そんっ、い、いまっ!!ひっ!!イッた・・・ばかっ!!
あうぅぅうううっ!!!」
「続けて達することも今のうちに覚えておけ、こういうふうに、なっ!」
言ってぐいっ、とクリトリスを押しつぶす。
「いぎゃぁぁぁ!!!まだいぐうぅぅぅ!!!!!やらっ!ひやぁっ!らめぇ、もっ、
もうらめぇぇぇ!!いぐぅぅぅぅっっっっ!!!!!!!!」
頭を垂れ、肩で大きく息をするなのは。その小さな身体にそぐわぬ絶頂の痙攣に男は
満足そうに口の端を歪めた。
さて、そろそろよかろう。この状態でこうするのだったな」
男の声と共にまた1本の触手が進み出てなのはの腰に巻きつく。
「ひっ!ひぃぃぃっ!!!や、やだっ!やだやだやだっやだーーーーーーーーーっ!!」
あふれる快楽に身を委ねたなのはも、自身の処女喪失となると瞬時に意識が覚醒し、
精一杯の抵抗を示した。無論、言葉と身体を揺らす程度のものでしかなかったが。
「そうか、そんなに私に処女を奪われるのはイヤか、ふむ」
言って男は考えるかのように腕組みをした。
その言葉にもしかして何かすれば助かるのかと思うなのはの思考をあざ笑うかのように、
「残念ながら、駄目だな」
男は椅子に座ったまま、なのはの腰に巻きつけた触手を一気に引きおろした。
狙い違わず。男の肉棒はなのはの膣内に一気にめり込んだ。
「ひぎぃっ!!うぎゃああぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!」
一瞬にして処女膜は引き千切れ、一気に子宮口に届いた男のペニスはなのはの体を突
き上げる。
「いぎいぃぃ!!いっ!いたぁあああぁぁぃぃぃいい!!!!」
余りの激痛に目を見開き泣き叫ぶなのは。
いくらこれ以上ないくらい濡れていたとはいえ、なのはの小さな身体には規格外のサ
イズの男根を、一気に叩き込まれてはたまったものではない。
だが男はそんななのはを気遣うことは一切しなかった。
「いい具合にキツイぞ、お前の中は。では動くぞ」
「ひぃっ!や、やめっ!ぎゃぁああぁぁぁぁ!!!」
なのはをいたわる気などさらさらないと言った風に、男はなのはの腰に巻いた触手で
もって、彼女の身体を上下させ始めた。
ザクザクと突き崩すようなピストン運動。一突きごとになのはの口から絶叫が漏れ、
股間からは破瓜の純血が飛び散る。
大量の愛液もあまりにかけ離れたサイズの代物に対しては、潤滑油にこそなれ痛みを
緩和するには役不足であった。絶叫と破瓜の血は一突きごとにその大きさと量を増して
いった。
「いぎゃぁぁぁっ!!やめへっ!!ぬいてぇーーーーーー!!!ぎゃぁぁぁーーー!!」
そんななのはの絶叫などおかまいもせず、男はなおもピストン運動を続ける。
「しっ、しぐっ!ひんじゃぅーーー!!!やめへぇーーーーーー!!!!」
「ふむ、いいぞ、中々の名器ではないか。なに、じきに痛みもなくなる。これから毎日
いつでも犯してやるからな、すぐに具合もよくなる」
言いながらもピストンのスピードはまったく衰えない。ごりごりと、まるでやすりで
削るかのように男のペニスがなのはの膣を蹂躙していく。
「いだいー!いたいいたいいだいいたいいだいーー!!やっ、やめてぇーー!!!!」
よかろう、そんなに止めて欲しいなら止めてやるか、ちょうどそろそろ出るぞ」
ほんの1時間ほど前のなのはならその言葉の意味することがわからず首をかしげたで
あろう。だが今のなのはには死刑宣告にも等しい言葉の刃だった。
「ひぐっ!いたっ!や、やっ!やめっ!!出さなっ!いだぁっっ!!!」
「何だ、出されるのはイヤか?それならばすっとこのままだぞ、その方がいいのか?」
「いだぁいーー!!いやぁ!やめっ、いたいっ、いやぁっ!!」
「む、おお、そうか、もう子を成すことができる体なのか、ふはは、それはいい、思う
ぞんぶん私の精をくらうがいい」
「!!!ひぎっ、やっ、やぁあぁぁ!!やめっ!だっ、いだぁっ!出さないでっ!やっ
うぁぁっ、やだあぁぁっっ!!!」
「残念だがお前の都合を聞く気はさらさらない」
ドグンッ!!!
言うが早いか男はなのはの膣内に大量の精液をぶちまけた。
「ぎっ!!ぎゃああぁぁぁ!!!ひぐうううぅぅ!!イッ、イッグウううぅぅーーー!」
一瞬にして大量の精液に膣内から子宮内まで埋め尽くされ、その衝撃でなのはは絶頂
に追いやられた。
「ああ、忘れていた、子宮に精液を浴びると強制的にイクようになっているぞ、っと、
すまんな、言うのが遅かったか」
極限の痛みから一転、瞬時にして絶頂を迎えたなのはは感覚の急変さに付いていけず、
あっさりと失神していた。
男は白目を剥き、がくりと頭を反らして失神するなのはを腰の触手でずるり、と引き
上げる。
引き抜かれた結合部からごぼごぼと音を立てるかのように大量の精液がなのはの破瓜
の血と相まって朱色の濁流となって流れ落ちる。
「まぁ今回は私も注意を忘れていたからな、勝手に失神したことは大目にみてやるとす
るか」
男は触手を使って床の一角になのはを降ろす。そこには粗末ながらもベッドらしきも
のが置かれていた。
「よかろう、本当は使うだけ使ったら捨てようかと思っていたが、意外とお前は具合が
よさそうだ。当分は傍に置いてやるとするか」
そういって男は音もなく闇に溶け込んでいった。
残されたなのははその言葉を聞けるはずもなく、暗い闇の中、涙と粘液に汚れながら
ただ横たわっていた。
薄暗い闇の中、2人の人物がそこに居た。
一人はやや細身の男、椅子に腰掛け、背中から異形の触手を何本も生やし、もう1人の
人物、年端も行かぬ小さな少女 −名を高町なのは、という− に、起立した自分の男根、
少女の腕ほどの太さのあるそれを少女の小さな口に咥えさせていた。
「そうだ、ようやくコツを掴んだようだな。その舌使いを忘れるな」
ぐはっ、と咥えていた肉棒を口から引き抜き、弱々しく答えるなのは。
「ふっ、ふぁい、わかり・・・ました・・・」
「よし、では出してやろう。残さず飲め」
「うっ・・・は・い・・・」
涙ぐみ、再び肉棒を咥えるなのは。
「もっと奥まで咥えろ」
男の言葉にぎゅっと目をつむり口いっぱいに男根を咥え込むなのは。息苦しさと圧迫感
と、それに倍する羞恥と恐怖でぽろぽろと涙をこぼす。
「よし、いくぞ」
ドゥッ!
恐ろしいほどの勢いで男の鈴口から精液が放出される。衝撃に目を見開いたなのはの口
の中を瞬時に埋め尽くした精液は、そのまま喉奥へ流れ込み、なお溢れた分が口と肉棒の
わずかな隙間からだらだらとこぼれ落ちる。
それでも必死に男の言いつけを守ろうと精液を飲み込むなのは。だがいまだに放出され
るそれは少女の吸入能力をあっさりと超え、なのははごふっと咳き込み、肉棒を口から離
した。
床に手を付き咳き込む少女に、なおも止まぬ精液の奔流がシャワーのように降りかかる。
髪から頬を経て床に滴り落ちる精液。
その床に落ちるぺたりっ、という小さな音にびくっと反応するなのは。
「ごっ!ごめんなさい!ごめんなさい!!すっ、すぐに舐めます!ぜっ、全部舐めます!
舐めますからぁっっっ!!!」
床に這いつくばり、ピンク色の小さな舌を何のためらいもなく床にこぼれた精液に押し
付け、舐め取るなのは。飢えた犬が餌を漁るかのように必死にその行為に没頭する。
男はそんななのはを冷たい目で見下ろし、
「こぼしたな・・・」
それ以上に冷たく言い放った。
「ひっ!!!ごめんなさい!許してください!つぎっ、つぎは、次はちゃんと飲みます!
飲みますから許してくださいっ!お願いしますお願いしますお願・・・」
「駄目だ」
男はすがり付こうとする少女をその背中の触手で手足を縛り上げ、空中に吊り下げる。
「失敗したのはこれで5回目だな。では5回連続でイカせてやろう」
「ひぃぃぃぃっっ!!やめっ!やめ、やめてくださぃぃーー!いやぁーお願いー!」
髪を振り乱し必死に言葉で抗うなのは。
「駄目だと言っている」
男は細い触手を彼女の右の耳に狙い違わず滑り込ませる。
「ひぃぐっ!!!!」
少女は知っている。これから自身の意に降りかかる衝撃を。この耳に入り込む触手の総
毛立つ感覚はその前兆だということを。
「いくがいい」
言って男はその細い触手をぶるっ、と振るわせる。
「ひぎゃああああああああああああああああああああああああぁぁぁぁぁぁ!!!!!!
いくぅううぅぅぅぅううぅぅっ!!!!!!!!!!」
快楽の前触れのない状態で巻き起こる瞬時の絶頂。幾度となく少女の身にその男によっ
て引き起こされた脳の刺激による強制的な絶頂。男の予告通りそれは1度で終わらない。
「あと4回だ」
「うあああぁぁ!やめっ!いやぁ!!イきたくないぃぃ!!もういやぁああぁ!!!イギ
たくないぃいぃ!いぎだぐなぁあぁぁぁぁぁぁいぐぅぅぅぅぅっ!!!!!!」
なのはの股間、未だ発毛のない未成熟な外見の膣口から噴出す愛液。その内部にひっそ
りと息づき、清めの証として存在しているはずの処女膜は、とうの昔に眼の前の男により
無残に破り取られていた。
その愛液の噴出も冷めやらぬ間に、男の声がまた響く。
「あと3回だな」
「あぐっ!!ぎいぃぃぃ!!!ひゃぐっ!らっ、らめっ!!ま、またああぁぁぁぁっ!!
あぐうあああああああ・・・あーーーーーーーーーーーっ!!!」
絶叫と共になのはの股間から愛液の噴出とは違う勢いで一条の水流が流れ出る。
びちゃびちゃと床に落ちる尿の音を聞きながら、当然来るであろう次の絶頂の波のため
に頭を反り返らせ、息を吸い込むなのは。
「・・・」
だが、不思議なことにそれは訪れなかった。
「・・・?」
何が、となのはが反らしていた頭を戻すと、さきほど以上に冷たくなのはを見つめる男
と視線が重なる。
そのえもいわれぬ冷たさになのはの背中にざわり、と恐怖が走る。
「また言いつけを守らなかったか・・・」
「・・・ぇ・・・」
「言ったはずだな?達したら必ずイクと言え、と」
「・・・あっ!?・・・ぁ・・・ぁ・・・」
恐怖に青ざめ、全身でがたがたと震えだすなのは。
「・・・ゃ・・・いゃぁ・・・おね・・が・・・ゆる・・・し・・・」
答えず男はもう1本、細い触手を今度はなのはの左耳にぬるり、と滑り込ませる。
「ひっ、ぎぃ・・・っ!!う・・あ・・ぁ・・あ・・あ・・・」
ずるずると耳の中を蹂躙される感触にうめき声をもらすなのは。
「今1度、その身に教え込んでほしいようだな・・・そらっ」
2本の触手がうねる。
「ぎっ!ぐあぎゃぁあぁぁぁーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!」
白目を剥き、絶叫するなのは。
「いっ!?いぅぎゃはうぁーーーーー!!あぎゃあああぁぁぁーーーー!!!!!」
必死にイクと叫ぼうとするなのはであったが。絶頂の瞬間、まさに登りつめたその瞬
間に容赦なく次の絶頂が襲ってきた。
「うグぎゃぁああーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!!!」
息をする暇さえなく、二度、三度、四度と絶え間なく襲い掛かる絶頂の波。
「ああぁ・・ぁ・・・ぁ・・・・・・ぁ・・・かっ・・はっ・・ぁ・・・・・・・・」
もはや叫ぶことすらできなくなったなのはにそれでも男は触手をふるい続け、立て続
けに絶頂を叩き込む。
十数回ほどもそれを繰り返すし、ようやく男は触手の動きを止めた。
既に息も切れ、死体のごとく、ただ反射的に痙攣を繰り返すだけのなのはの身体を、
どさりと床に落とす男。
「もう少し、いじる必要があるか・・・」
薄暗い闇の中、男の小さな呟きがもれる。
思考すら停止し、呼吸によるかすかな胸の隆起以外に動かないなのはにはその言葉は
届かなかった。
〜 〜 〜 〜
まぶた越しに光を感じ、はっと目を覚ますなのは。
何が光っているかはわからなかったが、おそらくは魔法の産物であろう。電球ほどの
明るさの光源がいくつか部屋の中に支えるものもなく浮かんでいた。
そのとりたてて強力とは言えない光でも、男に捕らえられて以来薄暗い部屋に監禁さ
れていたなのはの視覚には、目を細める必要があるほどの明るさだった。
まぶしさにやや涙ぐむなのはの目に触手をうねらせた男の背中が映る。
男は起き上がったなのはにはまだ気づいておらず、なにやら本を片手に机の上の機材
と格闘しているようだった。
(・・・何・・・してるんだろう・・・)
じきに慣れた目で男の様子を伺おうとしたなのはであったが、ふと、自分の首周りに
違和感を覚えた。
(何・・・これ・・・?)
場所だけに見て確認することはできないが、どうやら首に何かが巻かれているらしい。
それに手を伸ばしたなのははそのぐにゅっとした感触に顔を顰める。
どうやら細目の触手が首に巻きついているらしかった。男の背に繋がっているわけで
はなく、なのはの首にのみ存在しているようであった。
(首輪・・・なのかな・・・)
なのはがそんなことをぼんやり思っていると、男がなのはに気づいた。
「目が覚めたか」
「!・・・は、はい・・・」
つかつかと男がなのはに近づく。
「気分はどうだ?どこか身体に痛むところや違和感はないか?」
「え?・・・い、いえ・・・何も・・・ありません」
男と出会ってから初めてとも言える自分を気遣う言葉に困惑するなのは。
「そうか、ならばいい。少々多めに・・・もはや私でも元の身体に戻せぬほどに身体を
いじったのでな」
「!?」
何をっ、とあわてて自分の身体に触れるなのは。
「ふ、心配するな。前と同じように見た目は変えてはいない。それに・・・」
「・・・それ・・に?」
「どのみちもうお前は私から逃げることはできぬ。その首輪は私の魔力でおまえの首に
纏わりつき、その形状を維持している。私からの魔力が途切れればその首輪は瞬時にお
前の首を締め付け、へし折るようになっているからな」
「っ!?」
あわててなのはは触手を外そうと手をかける。
「おっと、無理に外そうとしないことだ、私以外がそれを外そうとしても同じ結果にな
るからな、死にたくないなら滅多なことはしないことだ」
「そ・・・そん・・・」
首輪にかけた手を震えながら外すなのは。
「やっ、やめてください、に、逃げたりしません、絶対に逆らいません、だっ、だから
は、外してください、お、お願いします・・・」
震える口調で哀願するなのは。
「別にお前が逃げるとは思ってはいない、まぁ、逃がすつもりもないが。だがお前の仲
間がお前を助けにくる可能性はある。そのための保険だ。なにしろ私は魔法戦が苦手な
のでな。おっと、それから私から離れすぎるとやはり同じことになるぞ、あまり私から
離れないようにな」
(逃げられ・・・ない・・の?・・)
男の言葉にがく、と糸の切れた人形のようにくず折れるなのは。
どのみちレイジングハートを失ったなのはに戦って勝てる見込みはなかった。唯一手
があるとすればただ全力で逃げるだけだったのだが、それも叶わなくなった。
(わたし・・・ずっと・・・このまま、ここで・・・)
「なぁに、心配することはない」
男から意外な言葉がかかる。
「え・・?・・」
「今からお前に私の肉棒と触手の味を存分に味あわせてやる。なに、じきに絶望などな
くなる。これのことしか考えられなくなるようになるからな」
「・・・」
なのはは答えず、ただ目から一筋、こぼれた涙が頬を伝い、床に落ちて小さく弾けた。
〜 〜 〜 〜
「うっ・・・くふぅ・・・あぁっ・・・・はぁっ!・・・うっ!!」
処女を失った時のように手足を大きく開かされ、Vの字に宙吊りにされたなのはの胸
と股間を執拗に触手にまさぐられること早1時間。
昇りつめようとすると触手の動きがぴたりと止まり、快感が治まりかけるとまた触手
の動きが活発になる。そんな蛇の生殺しの状態でなのはは延々と、自由にならぬ身体を
悶えさせ続けていた。
「はぁっ・・・ふっ、くふぅっ、うあぁっ・・・はぅっ!!・・・あぐっ」
その間、男は椅子に座りそんななのはをただ見据えている。
「お願いでっ!すふぅっ!!!も、もぅ・・いかっ!ふぐっ!!いかせてくだああぁっ!」
幾度となく懇願するなのはに答えようともせず、ただ触手を動かし続ける男。
緩慢な触手の動きに耐え切れず、少しでも快感を得ようと必死に自ら腰を振るなのは。
しかし吊るされた状態ではなかなか触手の動きにタイミングを合わせることができず。
更なるもどかしさを招いてしまう。
「いやぁぁっ!もうっ!お願いでっすぅぅ!!おねっ、がっ!イカせっ!うぁぅぅうっ!
やぁぁっ!いかせてぇぇぇえぇぇええぇっっっ!!!!!!!!!!!!!!」
「・・・そんなに昇りつめたいか?」
「?!」
実に1時間ぶりに男が口を開いた。なのはにはそれが天の声にも聞こえる。
「いかせてっ!!いかせてくださいっ!!はうぅっ!!なっ、なんでもしますっ、なん
でもしますからぁああぁ!!おねがいぃぃぃいぃぃいぃ!!!!」
「1時間か・・・まぁいいだろう、そろそろ始めるか」
言って男は立ち上がりなのはに歩み寄る。
「あぁっ!ああっ!お願いしますっ!お願いしますっ!はやっ、早くぅっ!!入れてぇ!
いかせてぇ!!!お○んこしてぇええぇぇ!!!!」
必死に股間を突き出すし、男に哀願するなのは。彼女を知る、いや、たとえ知らぬ者
でも年端もいかぬ少女がそんな格好でそんな言葉を吐けば哀れさに顔を背けるであろう。
一時の快楽に身をまかせ、全てを捨てうる哀しき姿。
無論、当の少女はそうは思ってはいない。それが全てだというように、不自由な身で
すこしでもと足を開き、男を迎え入れようとする。
「はやくうっ!はやくっ!!いれっ、うぅあぁっ!いれえーーーっ!!!」
男はなのはの胸と股間をまさぐっていた触手をどかせると、男の剛直よりわずかに細
目の触手を改めてなのはの膣口にあてがう。そしてそのすぐ後ろに同じような触手が10
数本群がる。
「ああっ!いれてっ!いれてっ!入れて入れて入れてえええぇぇーーーっ!!」
さんざん弄ばれ、真っ赤に充血した陰唇とひくひくと震える淫核を見据えた男は、物
も言わず、なのはの中に触手を突きこんだ。
「うあああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっっっっっっっっっっっっっ!
いっぐぅうぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅっ!はぁぁぁぁぁぁぁっっ!!!!」
ようやく待ちに待った衝撃を受けた膣は瞬時に脳に刺激を送り込み、一瞬にして少女
を絶頂においやる。
目を見開き。口を半開きにし、よだれを垂らすなのはの顔は、まさにかつて少女が見
た本の女性達と同じく天国の表情だった。
そのまま触手を前後に動かす男。絶頂の余韻に浸る間もなく、あらたな刺激がなのは
の脳に送り込まれ、少女を蝕んでいく。
「はうっ!ひっ!あうっ!あっ、ああっ!いっ!いいっ!きもっ、きもちひいぃぃ!!
オ○ンコぉぉぉ!!はぐっ!!あふぇぇぇっ!!ひっ、いいいいいいいぃぃぃぃぃ!!
もっとぉ!!もっとしてへぇぇ!!きぼちひぃぃぃぃっっ!!!」
そして男はわずか数度ピストン運動をした触手をずぼっと抜き取ると、それをなのは
の顔面にもってくる。
「ひゃぅっ!やめっ!やめないでぇ!!もっとおおおぉぉ!もっとしてぇ!!お○んこ
ずぼずぼしてぇえぇぇ!!」
「言われなくてもそうしてやる」
男のその言葉に触手がぶるっと振るえ、大量の白濁液をなのはの顔面に浴びせかける。
「ひゃぐぅぅぅ!!」
顔面に受けた精液を狂喜の顔で受け止めるなのは。口に入り込んだそれを喉を鳴らし
て飲み込む。
「おっ!おいひぃ!!精子おいひぃっ!あびゅっ!!もっ!もっとぉぉおおおぉぉ!!
もっと飲ませてええええぇぇっ!!!!!」
顔中に吐き出された精液はどろどろとなのはの胸から腹までを白く汚していく。
そのむせ返る匂いすらなのはにはかぐわしく感じられた。
そして男は股間に群がっていた触手をまた1本なのはの秘唇に差し込む。
「あぎゅううぅぅっ!!まっ!まはきらぁああぁぁっ!ああっ!あっ、あぁぁっ!!」
そしてその触手もまた、数回のピストンの後、なのはの膣を抜け出て、顔面に精液を
ぶちまける。
「おぼっ!!うごぉっ!!おぶっ!!おいひぃぃぃっっっ!!!もっとぉぉぉ!!!」
眼の中にまで入り込んだ精液に視界を白く濁らせながら。狂喜するなのは。
「もっとっ!!もっとくださひぃぃぃ!!!ザーメンちょうだいぃぃーーーーっ!!」
わずか二度の顔射で、溺れ死にそうなくらいどろどろの顔で男に哀願するなのは。
「ちょ、ちょほだひぃぃ・・お○んぽぉ・・ざぁめんちょおだひぃ・・・もっとぉぉ」
そして男はそれに答えるかのように新たな1本をなのはに差し込む。
「うあぁぁぁっ!きっきはぁぁぁぁぁっっっっ!!!!あぐぅぅっっ!!!」
そしてやはり数度ピストンしただけでなのはの股間からそれを抜き取る。
だがしかし今度はそれを顔面にもってくることはしなかった。
「ひゃうっ?・・・・」
なのはが不信に思うより早く、別の箇所に触手があてがわれる感触。
「ひゅえっ・・・そ、そこっ、ちがっ・・・おしり・・・」
「知っていよう、ここも快楽を得る場所だということを」
言ってぐにゅりっ、となのはの菊門に触手をねじ込んだ。
愛液で濡らされた触手は意外にもすんなりと小さなすぼまりを押し広げ、なのはの体
内に入り込んだ。
「うぎゅぁぁぁぁぁっっ!!!!!!!!あっ!あっ!ああっ!!うぁぁぁぁ!!!」
未知の感覚に叫ぶなのは。それでも悲しいかなその感覚には快感が入り混じっている。
「うああぁぁぁっ!おしっ!おしりっ!おひりぃぃぃ!!うぁぁぁぁぁぁっ!!!」
前の穴と違い、ぞくぞくと這い上がるような快感が身体の奥から奥から湧き上がって
くる。ゆっくりゆっくりと触手が入り込むにつれ、底の見えない快楽がなのはを襲う。
「おぁああぅぅぅ!!くっ、くるぅ!!お腹の中からくるぅぅぅうううぅぅ!!!」
「じき慣れる。前の穴とはまた違った面白さだろう。ん?」
入り込むだけではなく、触手はなのはの身体の中でぐねぐねと腸壁を擦りあげる。
その刺激に腸壁は愛液のごとく腸液を滲ませ、それがさらに触手の動きを滑らかにし、
一層の快感をなのはの脳へ送り込む。
「あううううぅぅぅっ!!!きっ!!きもひぃぃっ!!おひりっ!!おしりのあなぁっ
うぁぁぁっ!!!ひぅぅぅ!!!」
ゆっくりとした動きでも、はや触手は30cm以上もなのはの中に入り込んでいる。
ややって触手がぶるっと震え、なのはの身体の奥に精液を注ぎ込んだ。
「うあぁぁぁぁぁっ!!!!なっ!なかにぃぃぃっ!ひぃぃぃぃっっっ!!」
射精された、と思う間もなく触手が一気になのはの身体から抜き取られる。
「ひぃぃぃ!!おひりでいぐうううぅぅぅぅっっっ!!!!!」
あまりの勢いに肛門がめくれあがり、その刺激でなのはは絶頂に達した。
「ひぎっ、ひぐっ・・うっ・・・おひっりっ・・・いっ・・いっひゃった・・・ぁ・・」
顔を反らし、初めての後ろの穴での絶頂に打ち震えるなのは。あがあがと口をわなな
かせ、突き出した舌が震える。
「ひゃぐぅうううぅぅうっ!!!まっ!またぁああぁぁぁ!!!!」
余韻にひたることすらさせまいと、触手がまたもなのはの菊門に入り込む。
「がはっ!はっ!はっ!!はあぁぁぁぁっ!!またおひりぃぃぃ!!またぁあぁぁ!!
あうぐぅぅぅぅっっ!!そっ!ひぎゃっ!!まぁぁあ!!」
そしてさらなる1本がなのはの秘唇を割った。
「やっ!!はぐっ!!にっ!にほんんんんんんんんんっ!!おひりぃ!!お○んこぉぉ、
やあぁぁぁっ!!りょうほうーーーーーじゅぼじゅぼくるぅぅぅぅっ!!!!」
2本の触手がぐりぐりと双方の穴の中で蠢く。
腹を突き破るかのように、どすどすと突き上げる。
かと思えば薄皮を隔てた2本がその薄皮の存在を無視し、なのはの胎内で無理やり絡
みつこうとする。
「ひぎゅうううっっ!!おっ!おなかぁぁぁ!!やぶけるぅぅぅっ!!はあぁっっ!!
も、もっとぉぉぉっ!!もっとずぼずぼしへぇぇぇぇ!!!」
身体の中を好き勝手に蹂躙する触手に止めるどころかさらなる刺激を求めるなのは。
「そうか、まだ欲しいか」
「ひゃっ!ひゃいいいいいいぃぃ!!ほっ、ほひいですぅぅ!!もっとくださいいぃぃ
あぐううぅぅっ!!もっとぉっ!!!!!ぐねぐねでなのはのなかぁ、もっとぉぉ!!」
男は満足げに頷くと、叫び声とよだれを垂らすなのはの口に触手をねじ込ませた。
「ぐぅぅぅうっぅぅぅぅぅっっ?!?!」
入り込んだ触手は口の中だけでは飽き足らず、なのはの喉奥までぐりぐりとその先端
を進ませる。
食道を越え、胃の中に先端がたどり着くと、そのまま触手はピストン運動を始めた。
「ごぅぅぅっ!ごふっ!!!ふぐぅぅぅっ!!!!」
もはや叫ぶことすら許されず、喉の粘膜をも蹂躙されるなのは。
「安心しろ、その状態でも呼吸はできるようにしてある。心配せず喘げ」
3つの穴を男の思う様に荒らされるなのは。それでも苦痛はない。むしろ喉の奥から
さえ快感が沸き起こってくる。
愛液と腸液と唾液を潤滑油として一層激しくなっていく触手の動きがなのはをあっと
いう間に頂点へと導く。
「ぐぅぅぅぅぅぅぅぅうぅぅぅ!!!!!!!!!!!!!うぅーーーーーー!!!」
そんな状態ですら必死に男の言いつけを守ろうと、必死にイクと叫ぼうとするが、当
然言葉になどなるはずもない。
「ふ、どうやら言いつけは忘れなかったようだな、まぁ、そんな状態なら許してやろう。
いや、むしろがんばったご褒美をやらないとな」
男の言葉に口からの触手は直接胃の中に精液を放出し、ついで後ろの穴の、さらに前
の穴の触手も大量の精液を吐き出した。
「ぐっ!!!!!!おぅぅぅぅぅぅぅぅぅっ!!!!!!」
子宮に精液を浴び、強制的に絶頂に導かれるなのは。
「ぐぉっ、おっ・・・おぐっ・・・おっ・・・・・・」
3本の触手に貫かれたまま、びくびくと身体を痙攣させるなのは。
触手が3本ともずるりとなのはから引き抜かれ、口から尻の穴から膣口から、ごぼご
ぼと精液があふれ出す。
手足を縛っていた触手も、その戒めを解き、なのはの小さな身体は精液の溜まる床の
上にべしゃり、と仰向けに倒れこんだ。
解剖される蛙のようにだらしなく手足を広げ、焦点の合わぬ目を見開いたまま、ぜぃ
ぜぃと喘ぎながら3つの穴から白濁を垂れ流す少女。
その様に、男は思案するような顔をする。
「ふむ、気付くと思ったがわからなかったようだな・・・む、ちょうどいいものがあるな」
意味のわからないことを言うと、男は触手で床にころがる「ある物」を掴んだ。
細長い棒状のそれを精液と腸液でぬめるなのはの菊門にゆっくりと差し込む。
「うっ・・・うぁぁ・・・な、なにっ・・・・か、硬い・・・うぁぁぁぁ・・・」
「なに、とは薄情なやつだな、慣れ親しんだものに対して」
「っ!?」
はたしてまだそれほど動けたのかと思うほどに上半身をがばっと起こしたなのはの目
に映る銀色の光。当たってほしくなどなかった想像と一致した現実がそこにはあった。
「うぁっ・・・あっ・・あっ・・いやあああああああああああああぁぁぁぁっ!!!」
コアを失い、デバイスとしての機能を果たさなくなった、彼女のかつての愛杖、レイ
ジングハートを不浄の穴に埋め込まれ、なのはは絶叫する。
だが悲しむ間もなく、ずぶずぶと自分の中に入り込んでくる愛杖にすら快感が巻き起
こる。
「ひぃぃぃっ!!いっ!いやっ!!やだっ!こんなっ!!やだっ!!やだぁぁっっ!!」
男根や触手ならいい、というわけではもちろんないが、それでも幾多の苦楽を共にし
たよき相手に貫かれるのは想像に絶しがたい。
しかもそれに対して快感を感じている。
引き裂かれそうな心とは裏腹に、なのはの後ろの穴は快楽を得るために杖を飲み込も
うと収縮を繰り返した。
「やあぁぁぁっ!!!感じたくないっ!!あぁぁっ!!こんなのいやぁぁぁぁっ!!」
「まったくひどい言われようだな。杖も可哀相に」
言って男はなお一層杖をなのはの中に突きこむ。
と、突如胃の辺りに違和感を覚えたなのはは、その違和感と共にある疑問を感じた。
「え・・・な・・・なん・・で?・・・」
「ふむ、ようやく気づいたか」
男の言葉と共に胃の違和感は吐き気をもよおしてくる。そして喉奥にぐりっ、とし
た感触を感じ、なのはは信じがたい現実に気が付いた。
そう、レイジングハートが少女の身体を貫いている。
後ろの穴から「真っ直ぐ」になのはの胃まで到達しているのだ。
「あ・・あ・・ああああああああぁーーーーー、がふぅっ!!」
叫ぶなのはの口から銀色の輝きが飛び出し、その絶叫を塞いだ
「少々骨がいったぞ、口から胃を経て尻の穴までまっすぐに腸を改造するのは」
「うぉごぉぉおおおぉっぉおおぉっ!!!!」
おそらく恐怖や拒絶の類を叫んでいるのであろうが、聞き取れるはずもない。
男は触手でもって口から飛び出したレイジングハートの杖尻をぐい、と持ち上げる。
文字通り身体を貫かれたなのはは、抗えるはずもなく身体を引き起こされる。
「おぐぅぅぅうぅぅぅぅっっ!!!!!!!!」
重力によりなお一層深く貫かれたなのはの身体は、杖の柄と先端のコア部分を繋いで
いる一層太くなった部分、カートリッジ部をもその菊穴に飲み込み、魔力の薬莢を収め
るマガジンを股間に挟み、つっかえ棒としてようやく下降を止めた。
「おぅぅっ・・・ごっ・・・・がっ・・・・」
なのはの呻きに合わせて、歯が柄に触れ、がちがちと嫌な音を立てる。
「さっきの触手で気づくとおもったが、こんなものを入れなくてはわからんとはな」
言ってがくがくとレイジングハートを揺らす男。
「おぐっ、ごぁっ!ごぉぉっ!!」
先ほどの責めで今だ足にきているなのはは、その足で全体重を支えることができず、
結果レイジングハートに貫かれながらそのマガジン部に体重を半分預けている格好に
なる。そんな三角木馬に近しい状態で杖を揺すられてはたまったものではない。ぎり
ぎりと股間にマガジン部が食い込む。
だが、
そんな痛みすらにもなのはの身体は反応し、何も入っていない膣口はこっちにもとせ
がまんばかりに愛液を滲み出させる。
(やだ・・・なんで・・・なんで濡れるのぉ・・・こんなの痛いだけなのに、レイジン
グハートなのに・・・)
頬を伝う涙と共に、愛液がレイジングハートのマガジンに、破壊されたコアに伝う。
悲しい快楽に、なのはは一層の涙と愛液を流し続けた。
「ふむ、どうもやはりうめき声だけではつまらんな、どれ」
言って男はなのはの喉に手をかざす。その手から魔力の光がにじみ出て、触手の首輪
に纏わり付く。
「これでよかろう。そら、喋ってみろ」
「え?・・・・・・・・・・・・・・えっ!?!??!」
それはまぎれもないなのは自身の声、喋ることなどできようはずも少女の声であった。
「え・・そんな、なんでっ!?こっ、声っ!?」
「おまえが「喋ろう」とした言葉の振動を、おまえの首の触手をふるわせて出している。
簡単に言うとスピーカーの原理のようなものだ。まぁ、難しく考える必要はない。肝心
なのは口を塞がれても喘ぐことができるということだ、素晴しいだろう」
男はさも得意げに笑う。
「よし、ではそろそろ仕上げにかかるか」
終わったの?
陵辱でも別に構わないんだが、TPOをわきまえない投書なので、
透明あぼんした。
というか、保管庫とかからコピペしてるんじゃないか? 読んだことのあるのが入っているんだが。
まぁ、あぼーん推奨か
>>1も守られていない上にコピペだものな
まぁとりあえずID:eMGzcaAcが害悪だと分かったということですな。
レスが増えてて、大型投下があったのかとwktkした俺のぬか喜びどうしてくれる。
ここはやはりナノウザーU世さんに降臨してもらわないといけないようだな。
「eMGzcaAcをHOUGEKIせよ!HOUGEKIせよ!」
「すげえ!ナノウザーさんお得意の串刺し&零距離砲撃のコンボだ!」
「さすがナノウザーさんだ!荒らしとは言え一般人にも容赦ないぜ!」
「やべえ!俺興奮して勃ってきた!ちょっとトイレへ行ってくる…!」
要するにStS以前まではこれくらいは陵辱投下されてたというのに
今の現状はなんなんだってことだ
陵辱かあ、更生と称して服役している博士の目の前でウーノを輪姦するとか。
>>65 コピペするしか能がないくせに、今更正義ヅラしてんじゃねーよカス
書けよ!コテでもつけて自分で書いてみろよ。文才がないとか言い訳すんなよ?
それとも自分で書いたのがスルーされたり批判されたりするのが怖いのか?
書き手のせいにばっかすんな。ふざけんな。いい加減にしろ
この手の香具師を相手にしちゃいかんよ。ちょっとお頭の可哀想な人なんだから。
以下スルー推奨。
何がすごいかって、これを書いた人がCherry Light/もう一人の私の人ってとこだ。
思わず新婚の人に続きを期待したくなってしまったじゃないかw
バーニングアリサの続きマダー?
71 :
ておあー:2007/12/22(土) 17:43:27 ID:0mkvMXBy
やっぱり好きなキャラでないと書きにくい、でも好きなキャラだからあんまりひどいのは・・・という
矛盾の中でスバル陵辱が書きかけのまま中断してます。どうでもいいですね。
昨日レス下さった方、ありがとうございました。
カウンセリングを受けに来た順番は修道女→シッバーレ→預言者→技官→チョイ悪親父→螺旋姉→捜査主任が
正解です……自分の力不足を痛感する次第であります。ちなみにリンディ提督は町内会の温泉旅行に
出かけているので本作には登場しません。でもそんな事は気にせず、ユー×なのの欠片も見えないま
ま夕刊2日目突入です。
今回の注意
・舞台はJS事件終了後、本編でいう新暦75年の年の瀬です
・基本はギャグですが、根底にあるのは『ほぼ全員に見せ場を』という気持ちです
・一部を除いて全ての登場人物が等しく壊れています。フリーダムです
・そしてネタまみれなおバ会話を繰り広げてます
・エロはユー×なのでちょっと(なのはさん的な意味でなく)だけあります。今回じゃないです
・その他オリジナルのカップリングが幾つかあります
・割といろいろ妄想設定です
という事で今回注意が多いです、酔狂な方だけお付き合いください。
シリーズのタイトル兼シルバーカーテンの起動キーは『機動六課のクリスマス』です。
72 :
ておあー:2007/12/22(土) 17:43:51 ID:0mkvMXBy
3.
そんなこんなで迎えたクリスマス・イヴ当日。
当初の予定通り、六課隊舎では全隊員とプラスアルファが揃ってのクリスマスパーティーが盛大に行
われていた。
懸案だったプレゼントの方も、隊長達で話し合った結果何とかフォワードそれぞれに喜んでもらえそ
うな物を用意する事ができた。これらのプレゼントは夜のうちになのはサンタ(協力:シスターシャッ
ハ)の手で、彼女達が眠っている間に部屋に届ける予定である。
最初は馴染みのない行事に戸惑っていた地球出身者以外のメンバーも、『とりあえず楽しめばいいだ
けなのだ』と気づいてからは素直にはしゃぎ始め、誰が持ち込んだのかアルコールが用意されていた事
で宴は一気にヒートアップしてリミットブレイクモードに突入。
「ついでに忘年会で無礼講や!」
という部隊長の発言も飛び出し、隊長もバックヤードスタッフもない大騒ぎがひたすら続く。
事件が起こったのは、そんな騒ぎの真っ只中の事だった。
「た、大変です! 二つの犯罪組織の小競り合いが大規模な争いに発展し、街が大混乱に陥っています!!」
血相を変えて飛び込んで来たのは別室にいたグリフィス・ロウランだった。
なのは達六課のメンバーがオフシフトの時にその穴を埋める交代部隊、その指揮官を務めている彼は
パーティーには参加せず、モブキャラ達と共に律儀に仕事をこなしていたのである。
だが部屋を一目見てむしろこっちにも救援が必要そうだ、と判断した彼はすぐに踵を返す。
「失礼しました! やはり別の部隊にお願い――」
「ちょい待ち」
その時、普段は『ガチンコでは竜なしのキャロにしか勝てない』と自認する部隊長が、親友の高速移
動魔法を彷彿とさせる動きで副官の襟首を掴んだ。
「詳しい話を聞かせてえな」
「で、ですがこの状況では……」
「自分から喋るか無理やり吐かされるかどっちがええ?」
「……兼ねてより対立が伝えられていた二つの違法魔導師組織の間で末端構成員の小競り合いが起こり、
それが引き金となって組織同士の全面抗争に発展した模様です。市民はパニックに陥り、混乱に乗じて
他の犯罪組織からも強盗や略奪に走る者が出て街は大変な事態になっています」
「シグナムはどないしたんや? まさかまたサボっとるんか?」
「いえ、首都防衛隊から救援要請を受けたシグナム部隊長はアギトさんを伴って自らも前線に出ていま
すが、いかんせん数が多く全てを抑えられないのが現状です。地上本部の指揮系統も混乱しており、こ
のままではミッド全土に混乱が飛び火する恐れがあります」
交代部隊の指揮官を務めているのはシグナムである。
ザフィーラ先生の前では『働きたくない』などと社会人にあるまじき発言をしていた彼女だったが、
あの発言の直後にアギトが八神家に加わった事で確変したらしく、包帯を巻いた腕を押さえて「っは…
…し、静まれ……私の腕よ……怒りを静めろ!!」などと物騒な台詞を吐いて夜な夜な隊舎付近を徘徊
するようになっていた。
一応腕の傷は模擬戦でついた本物なのでカッコいいと思ってやっているわけではなく、眼も邪気眼と
いうよりはやてに出会う前の彼女を彷彿とさせる物に変わっているので純粋に闘争に飢えているだけだ
ろうが、どうせ遊び人から転職するなら狂戦士ではなく賢者になってほしかったところである。なにせ
ベルカ式魔法の使い手においては、万能型は本当に稀少なのだ。
レヴァンティンも主が殺る気を取り戻したのが嬉しいのか、先日も自ら組み上げた強化案―ボーゲン
フォームを超えるリミットブレイクモード案を持ち込みマリーを悶絶させていた。
なので確かにそんな最近のシグナムであれば、戦場があるとなればすぐに飛び込んでいっただろう。
だが……そもそもいくら管理局の部隊とはいえ、レリック事件が専門の六課が単なる違法魔導師の抗
争に出張る事など通常ではあり得ない。それは即ちそれだけ事態が切迫している事の証明にもなる。
半分以上アイゼンのドリルで掻き回されたような頭でもその事に気づいたはやては一旦宴を中断させ
皆の注目を自身に集める。
「はいはーい、みんなちょっと注目やぁー!」
「どうしたんですかぁ? 八神部隊ちょー」
はやての声に好き勝手に騒いでいた全員の視線が集まる。
「ぬゎあんとおおぉっ、このめでたいクルゥゥィースマスの日にぃ、街ではしゃぎ過ぎて一線を踏み越
えた頭がアッパッパーな連中がおるらしいんやー!!」
「な、なんだってー!!」
「それはどういうことなんだキバ……じゃなくて部隊長!!」
アッパッパーなのはお前らだろ、と言いたくなる衝動をグッと堪え、グリフィスは事の推移を見守る。
「どうやらそいつらはこの街に……あ・の!! 『JS事件』を解決した私ら『機動六課』が居る事を
知らんらしいわ……さぁあそこで問題や、私らはいったい、どないしたもんやろなあっ!?」
「断固生かしておくべきではないと考えます、サー!!」
「同感であります!!」
「戦争(クリーク)! 戦争(クリーク)! 戦争(クリーク)!」
全員が酷く酔っ払っている事もあって、場は異様な雰囲気に包まれる。
後にグリフィスはこの時の様子を振り返ってこう語っている。
「あの時は脳裏にこの言葉が浮かびました……『ダメだこいつら……早くなんとかしないと……』と」
そんなグリフィスの心情には全く関係なく、場の盛り上がりはますます激しくなっていく。
「よろしい、ならば戦争や。カアアアアアリィムウウウウウウウ!!」
実はこの時、なのは達のリミッター解除を行える数少ない人物であるカリム・グラシアもこの場にい
た。なのはサンタの手伝いをするためシャッハが呼ばれていた事と、自慢の新作ケーキを披露しにロッ
サが来ていた事で二人に同行していたのだ。もちろん彼女も大変に酔っ払っている。
聖王教会の人間が他宗教の行事を祝っていいのかは疑問だが、こんな事ができる緩さこそが聖王教が
多数の次元世界に広まっている理由なのだ。
「ここにいるわよぉ、はやてぇ」
おぼつかない足取りでカリムがはやての前に踏み出す。
「こんなおめれたい日に悪さをするなんて、本当にぃ……許せません!」
「ほんならぁ……命令したらええ! 殲滅させぇて!! 壊滅させぇって!!」
「もおちろぉん! 塵に過ぎない犯罪者どもはぁ……塵に返せぇい! AMEEEEN!!」
なんだかもう思いっきり異教徒の言葉を叫んでしまっているカリムに、これはさすがにまずいとグリ
フィスが止めに入る。
「それはダメです、やめてください! 騎士カリ……」
が、既に時遅く。
「拘束制御術式開放。第参号(鉄槌の騎士)……第弐号(夜天の王)……第壱号(金の閃光)……第零
号(魔王)開放。状況N、『リミッター解除』発動による承認認識。目標敵の完全沈黙までの間、能力
使用、限定解除開始……ポチっとな」
彼女達を繋いでいた鎖はいとも簡単に解き放たれる。
「はやてぇ……命令(オーダー)は唯一つ(オンリーワン)、見敵必殺(Search and Destroy)よ」
「……えーと、ほんならサーチとデストロイのどっちをしたらええの?」
「……んー、じゃあデストロイの方で」
「了解や。宇宙戦艦に乗ったつもりでおってな」
少佐ならぬ二佐が部下達に開戦を告げる。
「いよっしゃあああああぁ! 行くでぇ! 六課サンタからミッドのみんなへ、犯罪者のない綺麗な街
をプレゼントやあああああああああ!!」
「いよぉおおおっし! やるぞおおおおおっ!!」
「非才の身ながら、お手伝いさせていただきます」
「WRYYYYYYYYY!!」
"サンタサン"どころかサタン(悪魔)そのものと化した集団がこの世の者とは思えぬ雄叫びをあげる。
グリフィスは凍りついた。
このままでは街から犯罪者が居なくなる前に街が無くなって綺麗なサラ地になりかねない。
「わたしも行くー!!」
そして聖王も雄叫びをあげる。すぐ後ろでザフィーラが『マジで!?』と言いたげな顔をしたが彼女
の表情は本気だ。
「ヴィヴィオ!? ダメだよ、危ないよ!!」
「わたしも戦えるよ! ママとユーノさんからディバインシューターとラウンドシールドも教わったの、
それに街を壊す悪い人達を放っておけないよ!!」
最強の砲撃魔導師であるなのはとディフェンスに定評のあるユーノから教わった魔法、それは確かに
強力だろう。
しかしこれから始まる戦いはおそらくR指定だ、彼女の健全な成長の為にも絶対に戦場に連れて行く
わけには行かない。
「だめだよヴィヴィ――」
「よう言うた、さすがなのはちゃんの娘や! うちに来てリィンをファックしてええで!!」
「はやてちゃん!? 私はレズじゃないですよ!?」
「リィン曹長、ツッコむところが違います!!」
「いやだから女の子同士だとツッコめないですよ!?」
「そうじゃなくてええぇ! どこで覚えたんですかそんな下品なボケ!?」
「いよっしゃあ! 責任はクロノ提督が全部取る! ただしヴィヴィオ、危なくなったらすぐ逃げるん
やで!!」
「うん!!」
「八神部隊長!!」
「グリフィス君……そこをどくか眼鏡にグリグリ指紋を押し付けられるか二つに一つや、好きな方を選
んでええで」
「くそ……ボクは……なんて無力なんだ……」
がっくりと膝をつくグリフィスの横をバリアジャケットを装着した仲間達が次々と通り過ぎてゆく。
最近ヘリパイに転向した通信士の「私、倉庫から武装ヘリをかっぱらってきます」という声に反応して
「じゃあ私はアースラで出撃します」などと物騒な事をのたまう恋人の声が聞こえた気がしたが、もう
彼にそれを止める気力はなかった。
というか幻聴に違いない。だって彼の知っている恋人は内勤組なのだ。前線なんて似合わない、ちょ
っと内気で自分からは手も握れないかわいい女の子なのだ。
「ザフィーラさん……あなた、酔ってないですよね」
グリフィスはただ一言呟く。
ヴィヴィオの後をついて行く蒼い狼の聴覚にだけ捉えられるような小さな声で。
そして声に反応し、歩みが止まる。
「……なぜですか? あなたなら、みんなを止められるかもしれないのに!!」
「Sランクオーバーの魔導師集団からすれば、私もお前と同じく無力な存在だ……だがここで無駄に命
を散らすくらいならば、せめて外の悪党からヴィヴィオを護って散りたい」
「ザフィーラさん……あなたは」
「ハラオウン提督に連絡を取ってくれ。『訓練室が壊れる』と言えば状況は伝わる。それからフィルス
相談役とキール栄誉元帥、クローベル統幕議長にもだ」
「『伝説の三提督』に!?」
「ザフィーラからだといえば取り次いでもらえるだろう。次元世界の命運はお前にかかっている。頼ん
だぞ」
それだけを言い終えると、ザフィーラはグリフィスの返事を待たず部屋を出て行く。
「そうだ……こうしちゃいられない!」
その背中を呆然と見送っていたグリフィスも立ち上がる。
「こんなことで諦めちゃいられない……意地があんだろ、男の子にはぁ!!」
4.
ミッドチルダの首都、クラナガンの中心部。
時空管理局地上本部のあるこの地に、今ミッド中から千人を超える違法魔導師や次元犯罪者が終結し
つつある。既に一般市民はとっくに逃げ出しており、法と秩序を護る人間が集うはずのこの場所は、今
は法を乱そうとする者の集会場へと成り果てていた。
「よぉおめえら、ちょっと聞いてくれよお!!」
その中の一人が叫ぶ。
「まあ最初はくだらねえケンカもしちまったが、それがきっかけでこんだけの違法魔導師が集まった。
どいつもこいつもテメエか金の為にしか魔法を使わねえ、筋金入りのイカした小悪党どもだ。そこで提
案なんだが……ここは一致団結しねえか? 幸い俺達の天敵、時空管理局の地上本部は先の事件で消耗
しきってやがる。こんだけの人数で一気に攻め込みゃ、あの地上本部をブッ壊してクソ憎たらしい局の
連中に一泡吹かせてやることができる!!」
そうだそうだ! とあちこちから賛同の声が上がる。
「いよぉしやろうぜお前ら! 俺らの仲間をさんざムショにぶち込んでくれたレジアスの野郎は残念な
事に勝ち逃げだ、俺達の手で復讐する前におっ死んじまったがよお……天国のあの野郎にも届くように
盛大な花火を上げてやろうぜえぇ! まあ俺達の仲間を死刑台に送ったせいで地獄に落ちてるかもしれ
ねえがなあ!!」
うおおおおおおおおおおおおおおおおおーっ!! と犯罪者達が叫び手にしたデバイスを振り上げる。
「いよぉし! んじゃあ、まずは景気付けにそこで隠れてるSランクを血祭りにあげるとすっかぁ!!」
「げえっ! アイツらこっちに気づいてるぜ!?」
「あれだけの人数だ。エリアサーチを使える人間がいてもおかしくはない」
自分達の居場所が露呈しアギトが動揺を見せるが、シグナムは冷静な態度を崩さない。
「なんでそんな余裕ぶっこいてんだよ!? アイツらこっちに来てるぜ! 早くユニゾンして戦わなき
ゃ……」
「アギト」
シグナムはアギトの言葉を遮ると、負傷した局員達を指差す。
「私が退路を開く。お前は皆を連れてこの場を離れろ」
「ハァ!? アイツらの中にはAAAやAAの奴だっているんだぜ!? いくらアンタがSランクだっ
つっても今はリミッターがかかってる! カートリッジもない!! それに数だってあんなに……」
「ああ。状況は絶望的、確実に負けるだろうな」
「だったらなんで!」
「そうですシグナム二尉! 我々はもうダメです。ここは貴方とアギトさんだけでも……」
アギトだけでなく局員達も口を開くが、シグナムは黙って首を横に振る。
「元々私の命は十年前に失われていたはずのものだ。それに管理局という組織に属している以上、この
ような日が来る覚悟は常にしていた」
「そんな……!」
「ここにいる皆の命が助かるのであれば、この命など安いものだ。きっと主はやても……いや、それで
も叱られるだろうな」
「ダメだダメだ! アタシはアンタの融合騎だ! 融合騎がロードを捨てて自分だけ助かるなんて事で
きっかよ!! それにせっかくニートだって脱出したのに……」
「融合騎であれば、ロードの言う事は聞く物だ……すまんな。騎士ゼストからお前を頼むと言われてい
たのに、こんなに早く別れる事になってしまうとは……あと私はちゃんと働いてる」
そろそろいいかよー!? という違法魔導師達の声と笑い声が聞こえる。
「もう時間が無い。すまんが、誰かこの子を連れて行ってくれ」
「シグナム!!」
局員の一人にアギトを託すと、シグナムは隠れていた陰から飛び出す。
「待たせたな」
「どういたしまして……なんだアンタ、よく見りゃイイ女じゃねえか」
シグナムを取り囲んだ男達が下卑た笑いを浮かべる。
しかし彼女はその表情が意味するところを察しても、顔色一つ変えずに愛刀を構える。
「お前にも悪い事をしたな。せっかくのパワーアップ案、使ってやる事ができそうにない」
『いえ』
いつも甲高いレヴァンティンの自動音声が、普段より少しだけ低いトーンで短く答える。
「そうか……ならば行くとしようレヴァンティン。いつも最期は闇の書の蒐集で終わっていた人生だ、
屍の山に囲まれて迎えるのもまた趣が違ってよいだろう」
魔導師達が一斉に魔力弾を放つ。どうやら危険な近接戦闘は避け、確実に仕留める作戦らしい。
「無頼にしてはいい作戦だ、だが完遂できなければ意味は無い!」
『Sturmwellen!』
レヴァンティンに炎を纏わせ衝撃波を放つ。
陣風は眼前の魔力弾を巻き込み爆発を起こすが、カートリッジが無いためかいつもの威力がなく全て
を打ち消す事はできない。しかしそれは彼女にとって想定内、相殺しきれなかった魔力弾はレヴァンテ
ィンで叩き落とし強引に弾幕を突破する。
「うわわぁっ!」
「こっちに来やがった!!」
高速で迫る敵に驚き、魔力弾を放っていた魔導師達が我先に逃げ出すが、慌てているためか一人が足
を縺れさせ派手に転倒する。
「情けない。私が知っている子供達は、どのような敵を前にしても無様に逃げる事はしなかったぞ」
レヴァンティンを振りかぶる。
このまま刃を振り下ろせば、この男は脳天を熟した石榴の様に割られて息絶える。
例え魔力がなくとも簡単に人の命を奪える。それが魔力保有量の少ないベルカの民が産み出した、ア
ームド(武器)の名と姿を持つデバイスだ。
眼前の敵まで5メートル、4メートル、3、2……
一閃。
「ぐひゃん!!」
男が吹き飛んだ。
レヴァンティンの背で脳天を打ち据えられて。
「この――ぐわっ!?」
後方から迫る別の魔導師の鳩尾に回し蹴りを叩き込みその場を離脱。一瞬の後彼女の居た場所に数十
の魔力弾が着弾し爆ぜる。
『主!?』
「……そしてあの子達が知る私は、どのような敵であっても反撃する意志を無くした相手の命を奪うよ
うな真似はしないだろう。誇り高きベルカの騎士は……それともただ自分が管理局員という立場に染ま
っただけか」
立場や責任というのはまったく厄介なものである。
できるのであれば一生働かずに修行や模擬戦だけして暮らしたいというのが本音だ。
しかし、それでは親友が特大ホームランをかっ飛ばした時の気持ちは一生理解する事ができなかった
だろう。
散り散りになっていた魔導師達が、再びシグナムを囲むように陣形を立て直していく。
「騎士とは君主を護る一振りの剣。そして剣とは命を奪うもの。眼前の敵一人殺せぬようでは、もはや
烈火の将を名乗る事はできんかもしれんな。ただのいち公務員に格下げだ」
シグナムは自嘲気味に呟く。しかしその顔に浮かぶ笑みに皮肉や嘲りの色は一切見られない。
『主はマイスターはやての剣であり、同時に我が主でもあります。そして君主とは命を護るもの。己に
刃を向けた相手に気遣いができる今の主こそ、人の上に立つ将に相応しい器です』
「レヴァンティン?」
『騎士は時として仕える君主を選べませんが、武器もまた使い手を選べません。『烈火の将』シグナム
という使い手に巡り会えた事を私は誇りに思います』
全方位から魔力弾が迫る。
「有難い事だが、それでは主はやて以前の私は仕えるに値しなかったということか? まったく失礼な
剣だ!!」
『その通りです! ただ一方的に使役されるだけ、まったく失礼な主人でした!!』
――避ける。
――躱す。
――いなす。
――弾く。
――鞘で受ける。
――受け流す。
――突っ切る。
――打ち据える。
――左肩に被弾。鞘を取り落とした。だが損傷は軽微。
――蹴り飛ばす。
――叩きつける。
――今度は右足に被弾。ダメージは軽くはないが、浮いて戦えば問題ない。
――誘導弾。
――数が多い。振り切れない。
――敢えて受ける。追撃、全身に多数。全弾命中。
――しかしまだやれる。剣を振るうのに、腕一本が動けば事足りる!!
聖夜のクラナガンに紅い戦乙女が舞う。
数え切れない魔力弾を身に受け倒れ、それでも体が動く限り何度でも立ち上がる。
そして……その時が徐々に近づいてくる。
「どうしたどうしたぁ!?」
「反撃してこいよ!」
容赦なく浴びせられる罵声に、もう反論する余裕さえない。
「長距離砲撃行くぞおらぁ!!」
一際大きな魔力弾、おそらく砲撃魔法に類する大塊が直撃し、炎の魔剣を弾き飛ばす。
それでも今代の主がデザインした騎士甲冑が、己を犠牲にして砲撃のダメージを緩和する。
だが、それだけだった。
おっしゃあ、直撃したぞ!
まだ反撃してくるかもしれねえ、もう一発撃ち込め!!
そんな声が聞こえてくる。
「やれやれ、心配せずともこちらは品切れだ……相手の状態を見切る技量もないのか」
そんな奴らにやられるのは悔しいが、どうやら次の一撃はもう回避できそうにない。
しかし時間は十二分に稼げた。アギトは責任感の強い子だ。きっと局員達を安全な場所まで導いてく
れるだろう。
両の手が空なのは少しばかり寂しいが、この胸に一本、最期まで折れずに残った剣がある。
何度も打ち、強く鍛え上げてくれた友に感謝して己の幕引きとしよう。
シグナムはゆっくりと目を閉じた。
「いくよ、アイゼン!!」
「ぎゃあああー!!」
「うわああーっ!!」
どうやら幻聴が聞こえてきたようだ。人間は死の間際にこれまでの人生が走馬灯のように浮かぶとい
うが、人間を模したプログラムである自分にも似たような現象は起こるらしい。
「おい、何勝手にあきらめてんだよシグナム!!」
うるさい奴め。私はもう疲れたのだ。眠いのだ。動きたくないのだ。
「そんなんだからニートって呼ばれんだよ!!」
「私はニートではないっ……ぞ?」
目を開いた先にあったのは旧知の仲間、そして彼女の家族と十年来の戦友の姿。
「それじゃあ『カートリッジがあればこんな奴らになんて……くやしいっ(ビクッビクッ)』みたいな
展開でも期待してんのか? 残念だが今の作者じゃ輪姦モノを書いてもギャグにしかなんねーよ」
「……ヴィータ」
手にした炎の魔剣を差し出しながら鉄槌の騎士が哄笑する。
「まったくもう、ドMにもほどがあるわ。でもそんなに滅茶苦茶にされたいなら特別に次の新作に登場
させてあげてもいいわよ」
「……シャマル」
ベホマをかけながら湖の騎士が苦笑する。
「……」
「……いや、お前は何か喋れザフィーラ」
「シグナム! 大丈夫か!」
「……アギト」
ザフィーラの陰からつい先程今生の別れを告げた融合騎が飛び出してくる。
「局員達は安全な場所まで退避させておいた、心配は無い」
「そうか……」
「こんなにボロボロになって……だから言ったじゃんかよお……」
「すまんなアギト……心配をかけた」
「シーグーナームー♪」
「……主はやて」
守護騎士に続いて、彼等を束ねる主がシグナムの前に立つ。
「その……申し訳ありません」
頭を下げるシグナムをはやては笑顔で許す。
「みんなの命を守ろうとしたのは立派や。せやけど自分も最後まで諦めたらあかん。天国の初代リィン
に叱られるで……それからこの子にもや」
「……テスタロッサ」
「まさかカートリッジ無しで千人斬りに挑むなんて、バトルマニアにもほどがありますよシグナム。し
かもこんな、自分で大盛りを頼んでおいて残すような真似するなんて」
「う"……」
「一人で食べきれないなら私達にも少し分けてくだ……」
「フェイトちゃん! コンビネーションの途中で抜けないで!!」
「あ、ごめんなのは! じゃあシグナム、また後で」
「待て、テスタロッ……む!?」
そう言いかけて、シグナムは目を見開いた。
彼女の視線の先にあったのは、魔王と雷神が合体攻撃を準備する姿。
高町なのはとフェイト・T・ハラオウンのコンビネーションといえば、半端ではない攻撃力を持った
広域攻撃魔法である。廃棄区画ならともかく、そんな物を市街地で放てば影響は計り知れない。発動の
許可はまず下りないだろうしはやても承認しないはずだ。
「あの……主はやて……」
「なんや? ああ、シグナムのリミッターならさっきカリムが外してくれたで? さっきまで好き勝手
にやられた分、思いきり憂さ晴らししたらええわ」
「え、あ、いや……ではなくて止めなくてよいのですか、あの二人を」
「なんでや?」
「……もしかしてアルコールをとられましたか?」
「んー、まあちょっとな」
「ここにいる全員がですか?」
「ヴィヴィオ以外は全員かなあ」
辺りをよく見れば、見知ったフォワード達に混じってアルフやシスターシャッハがいる。
それだけではなく、なぜか非戦闘員のはずの騎士カリムやヴィヴィオ、アイナさんまで掃除機を構え
嬉々とした表情で魔導師達に対峙している。
「……なあ、シグナム」
アギトがすーっとシグナムの耳元に近づき囁く。
「なんか、みんな雰囲気がいつもと違わないか? 妙にテンションが高いっていうか、怖いっていうか」
「うむ……」
シグナムはこの中で一番まともそうなザフィーラとアイコンタクトを取ってみる。
「……?」
「……」
「……!?」
「……」
「……アギト、ユニゾンだ」
「えぇっ!? なんで!?」
「っふ……邪気眼を持たぬ者にはわからんだろう……」
「そんなもんアンタも持ってないだろ!?」
状況を理解した烈火の将はとりあえず盾の守護獣と同じ道を選んだ。
同時になのはとフェイトの詠唱が完了する。
「フィールド形成…発動準備完了ッ!! では教育してやるなの! 悲鳴を上げろ、豚のようになの!!」
「N&F中距離殲滅コンビネーション、空間攻撃ブラストカラミティ」
「全力……全壊ッ!!」
「抵抗、無駄!!」
「「シューーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーート!!」」
「やべえ、アイツら見た事あるぞ! 『管理局の白い悪魔』だ!! 『金の閃光』や『夜天の王』もい
る!! こいつらあの『機動六課』だよおっ!!」
「馬鹿野郎、人数では圧倒的にこっちが勝ってんだ! くそっ、誰でもいいあの詠唱を止めろ!!」
「無理だ! 誘導弾も近接攻撃も周りの奴らに全部防がれ――」
ぎゃあああああああぁああああぁぁぁあぁああ!!
かくして役者は全員演壇へと登り……夜半の惨劇は幕を上げる。
←To be continued...
本日投下分は以上です。お付き合いくださった方はありがとうございます。
まともなキャラがザフィヴィだけでは心許ないという事で姐さんが本気を出したようです。しかし長年
のニート生活で体が鈍っていたせいか最後に息切れ。んー実に惜しい。
あとアギトはシグナムの嫁。異論は作品でのみ認める。いやらすぃのを頼む。
次回予告
ミッドチルダが誇る若き天才魔導師、高町なのはが極秘裏に進める『魔王量産計画』。
今宵クラナガンはその訓練場と化し、魔力と混沌の渦が街を飲み込み加速してゆく。
果たして違法魔導師達はかつての強敵(とも)、レジアスが愛したこの地を守る事ができるのか。
そして彼らの前に姿を現す巨大艦船の正体とは?
次回魔王少女リリカルNANOSING『スーパークロノタイム』ご期待ください。
あーとりあえず一つだけ聞きたいんだけどさ。
……敵どっちだっけ?
>>84 どっちも敵だろう。グリフィスの心労的な意味で。
それはともあれ、GJ過ぎです。ベホマと喋らないザフィーラで、もうだめだった。
あと、邪気眼と血に餓えているでござる。どっちががやばいと思う、これ
>>83 GJっす
折角漫画版で出たのに三期で出番のなかったブラストカラミティが見れて嬉しかったっす
>>85 寧ろ邪気眼が血に餓えてるなの、って感じだろw
> それだけではなく、なぜか非戦闘員のはずの騎士カリムやヴィヴィオ、アイナさんまで掃除機を構え
>嬉々とした表情で魔導師達に対峙している。
ありゃ、途中送信…
>>83 アイナさんで吹いたwww
ところで、おにゃのこがおにゃのこを犯すシチュは「陵辱」のカテゴリーに入るんだろうか?
GJ!
働いてる姐さん見るの何スレぶりだろ。
>アギトはシグナムの嫁。
ばっきゃろう。シグナムの嫁はフェイト一択だ。
と声を大にして言いたいのでそのうち作品で反論させてもらう。
……二ヵ月後ぐらいに。
ああ、フェイトの旦那はクロノと提督と義兄とエロノの四択な。
>>83 腹筋崩壊したぶんの病院代と、さっきコーヒーふいて動作が怪しくなったパソコンの修理代
請求させてもらっていいですか。
それはさておきGJwwwwwwwwwwwww
ってかカリムさんあーたどんだけ呑んだんだwwww
というか吹きすぎたwwwwwwwwwwwwwwwww
もうだめぽいwwwwww
シグナムがニート間に邪気眼にめざめちゃってるお(´・ω・`)
>83 この猿真似野郎がっ!貴様まさかそれは血継限界の……!
いや、ネタ多すぎwwwでも姐さんかっこえええちょーはたらいてるよぅ素敵ぃいいいい
ええもうゴゴでもコピーキャットでも好きなようにしてくだs
で……エロエロなんでこの流れのまんま夕刊にしちゃうとかいう暴挙にでてもいいでしょうか?って相談なんですが
>>91 夕刊ktkr
進路OK...投稿、どうぞ!
>92 thx! よし、ほいではいきますっ!
御託はいいからさっさと書こうぜ そう思うだろ?あんたも
……ってカズ兄がいってた(曰く、某教導官さん)
(WARNING!)
わーいえろえろ〜w
でもはやクラじゃないんだな!ごめんね。ラブラブかと思わせつつ(ry
[クライド×シャマル][おもいっきりR20][子供は見ちゃダメー]
シャマルさんが暴走気味
あとちょっと鬱ぽいかもしれませんが、筆者の仕様です。ごめんなさいw
それでは衝撃の――東ス○(こら
八神家の家族達が夕食を終え、はやてもヴィータとリィンと共にすでに眠りにつき、シグナムも自室でザフィーラも定位置にすっかり
落ち着いているにも関わらず、珍しくクライドはキッチンのソファーでお気に入りのワインを開けていた。
それに気づいたシャマルが、入浴を終えた少し濡れた髪のままその長椅子の後ろに立つ。
「珍しいですね」
「そうかな……たまに飲んではいるよ」
「いえ……そうではなくて。それは2杯目では?」
先ほど入浴前に渡した分量からすれば、普段の彼が注ぐワインの量も良く覚えていた彼女にとって、その減り方は明らかに2倍以上で、
料理は兎も角細やかさにおいては決して家族の誰にも引けを取らない性格からすれば、その判断は割と容易であった。
「ああ……確かにな」
そこで会話を途切らせて、金髪の人は回り込むと彼の隣に腰を降ろす。
「何か嫌なことでもありました?」
「いや……そんなことはないのだがな」
カウンセラーよろしく、さりげなく微笑みつつ、さりげなく問いかけられて彼も思わず口が滑る。
「この間から見ていてはやては……何かこうきらきらと輝いているというか。まだまだ可能性も秘めていて、未来も開けているように見えて。
そう考えたら、やはり消えるまでこのままの方がいい気がしてならないんだよ」
「そうですか?」
「ああ、きっと相応しい人が見つかると思う。そうなって欲しいし、大丈夫だろう……はやては本当に可愛いからな」
そこでもう一度ワイングラスから琥珀色の透明の液体を飲むが、誰がどうみてもあまりいい飲み方ではない。
「じゃあ、どうして飲んでいらっしゃるのかしら?」
「さあ……何故だろうな」
彼自身、勿論自分のいらつきの理由も、何を誤魔化しているかもしっかりと自覚があるのだが、それは言葉には変わらなかった。
そこでシャマルはワイングラスを持っていない手を、そっと自身の手の平で挟む。
「シャマル殿……?」
相談役やカウンセラーであれば、当然弱みに付け込んで手を出すような真似はご法度である。
当事者になってしまうとそれは救助者としては失格だから。
だがしかし、普段何気ないように見えて実ははやてと彼の様子にしっかりと妬いていた彼女に、その則は余りにも無力であった。
「私でよかったら……いいですよ?慰みものにして頂いても」
「いや、でもしかし、それは」
濡れた瞳でじっと見つめつつ、強く拒まない彼の手を口元まで運ぶと、抑え付けていた欲求と共にその人差し指をしっかりと口に含んだ。
そしてその感情を誇示するように、その指をちゅぱちゅぱ音と立てて唾液を塗り付けつつ、貪り始める。
「シャマル……殿」
ちゅうちゅうと何度も人差し指を吸ってから、今度は中指へと変えて再び艶やかに唇を動かしながら食む。
開いた手に髪を掻き揚げられつつ頬に触れられて、艶っぽい台詞が聞こえる。
「んふ、子供達はもうお休み。今は大人の、じ・か・ん」
その台詞に呆れた笑顔を返されるが、再びくちゅくちゅと音をさせながら人差し指と中指を2本一緒に食んで、唾液を塗りつけていく。
少しだけ指を動かす度に、何度も切なそうに閉じられる瞼にほだされて、クライドもワイングラスを置くと指を引き抜いて今度はしっかりと唇を重ねた。
「んぅ……」
のっけから舌を絡ませて遠慮なく深くなっていく口付け。
濡れて絡み合う舌の音がアルコールどころではなく2人の理性を奪っていく。
唾液に濡れた指先を首筋から胸元に這わせ、そのまま風呂上りの柔らかい胸へと服の間から指が滑り込む。
肩口から脱がされ、あっさりと露になる豊かな乳房。
両方の手で、その先端を摘まれ手の平で握りしめられてふにふにと揉まれつつ形を変えられても、シャマルが拒む気配は全くなかった。
それどころか唇が離れると、ぐいぐいと胸を揉みあげられる度に、軽く首を仰け反らせつつ熱い吐息まで吐く。
「あ……うん」
しっかりとした男の手の平に胸を掴まれる感覚に酔いしれて、頬の色も染まる。
嫌な思い出のようにその手には乱暴さがなく、一方的でもどこか怖くはない優しさが篭められていて、彼女も安心して身を任せた。
「こっちも……」
その片方の手を捉えると、長く白いスカートを白く綺麗な腿の付け根まであっさりとめくらせて、そのまま内側へと導く。
再び口付けながら、彼が足の間を手でさすると少しずつその力が抜けていく。
うっとりと舌を絡めてくる彼女はどうみても交わる悦びの虜で、応える側も理性が割り込む隙を奪われていく。
足の間の手がそのまま下着の上から最奥に触れると、布越しでも分かるぐらいにはっきりと濡れていた。
「ん……ふ」
指先でその濡れている中心をぐにぐにと濡れた布ごといじられて、あまりのもどかしさに切なげに声が漏れた。
「直接……お願いですから」
「ああ……」
懇願に応えて手を下着の下に上から滑り込ませ、指先で弄びながらぐちゃぐちゃとかき混ぜる。
「あっ……あっ」
上気した頬と共に表情は恍惚を帯び、愛撫の感触に身を委ねていく。
しっとりとした深い口付けと、掴まれた胸と、奥までかき混ぜられそうな勢いの指に、普段の穏健さは欠片もなかった。
彼も後ろから抱きしめなおすと、胸と性器への愛撫をさらに続けていく。
「クライド……様」
「ん……?」
ふと唇が離れた瞬間に、哀願が漏れた。
「嫌な思い出……消してもらっていいですか」
「ああ」
彼の中に眠っていた罪悪感と濡れた瞳がさらなる深みへと誘っていく。
キスを繰り返しながら、蹂躙されながらも手の平で優しく白い肌を撫で回されていく感覚に、シャマルは頭の奥まで感じずにはいられなかった。
(嬉しい、暖かい……すごくいい)
勿論それだけ触れ合えば物足りなくなってくるわけで、彼女は触れられながら自ら服を全て脱ぎ捨てると、
再び切なげにクライドの首に腕を回しながらその口に舌を滑り込ませた。
「ん……」
濡れた花びらに触れられている指先の感覚が心地良くて、もう奥まで貫いてもらわない事には落ち着きそうもない。
「クライド様ぁ」
「むう」
服を剥ぎ取ろうとする彼女を手伝って、あっさりと衣服を全て剥ぎ取られると、
空気に晒されてしっかりと大きくなっていてそれ愛おしげに触れるシャマル。
「ください……」
彼はその言葉に思考を全て奪われたまま、抱き合いながらソファーの背と自身の体の間に白く柔らかな体を挟み込みつつ、お互いの中心を触れ合わせていく。
「ああ……」
軽く触れ合っただけでも、甘いため息がクライドの耳元で吐かれた。
「初めて……とかあるのか?」
「ええ、一応。でも慣れてますし、大丈夫ですよ。それに貴方となら……」
「わかった」
一応の確認の後、白く綺麗でふっくらとした柔らかい肢体にしっかりと覆いかぶさりながら、ゆっくりとその濡れ切った場所へとあてがったものを押し込んで少しずつ繋がっていく。
「ああ……」
一瞬だけ抵抗があったが、彼女の言葉通りそれは強くなく、またクライドもそれなりに経験はあるわけで、あっさりと最奥まで繋がった。
しっかりと背中に腕を回した金髪の人に、彼は正直な感想を漏らしてしまう。
「逃げてるな……俺は。シャマルに」
即座に返って来るそれは嬉しそうな答え。
「いいと思いますよ、傷の舐めあいで。私の傷も……舐めて下さい」
そういって本当に首筋をちろ、と舐められて、ああ、と応えた彼もゆっくりと腰を動かし始めた。
しっかりと足で挟み込んだその人の動きに、多少赤いものも混じっているのであるが、痛みを意に介する様子もなくただただ酔いしれる。
「いい……こんなの初めて」
「そう、なのか?」
「はい……交わった事自体は何度もありますが、こんなに嬉しいのは初めて」
彼女の染まった頬とその台詞は、少女のように綺麗に可憐で、少しだけ気恥ずかしくなってしまったクライドは、誤魔化すように首筋を食んだ。
「あ、やん……」
そして再び再開される腰の動きに、濡れた音が部屋に響いていく。
ぐちゅ……ぐちゅ……
主を裏切っている背徳感が、さらに彼女の脳髄を刺激し交わる部分にさらなる蜜を増やしていく。
「あ、ん……」
女の小さな声に、彼もまただんだんとその速度を速めていく。
逃避と裏切りの快感が重なって、エンドレスに堕ちていく2人。
ぐちゅ、ぐちゅ、ぐちゅ、ぐちゅ
「あん、あん、んん、いい、いい」
じゅ、じゅ、じゅ、じゅと聞こえてくる音に自ら酔いしれながら、またしっかりと中で動いている彼の温もりに悦びは加速する。
じゅ、じゅ、じゅ、じゅ……
「ふふ、裏切り者ですね、私、あっ、ああっ」
「気にするな……俺もだ」
「ふふ、あっ……そうね、あっ、ああっ」
本格的に速くなって遠慮なく叩きつけられる、覆いかぶさった人に貫かれている側は否が応でも頭の中までもが白く染まった。
「い、あ……ん」
「くぅ」
じゅじゅじゅじゅ…と小刻みに出し入れを繰り返されて、シャマルは彼の体の下で叫びつつ、背に回した腕にしっかりと力を篭めた。
「も、もう、あ、や、や、や!」
ぱんぱんぱんぱん――と何度か叩きつける音が響いたその後に――ひときわ大きく叫びつつ、彼女は激しく体を震わせた。
「いやああああああああああああああああああああああああああああああ!」
果てたのを感じて、クライドは動くのを止めて優しく唇を塞ぐ。
全身を撫で回されて、しっかりと何度も貫かれて、しかも再び口付けられてもう本当に溶けそう、と思わずにはいられなかったが、
まだ中に入ったモノは膨れ上がったままであった。
自ら唇を離させると、緑色の魔法陣を展開させる。
「ベッドに転送しますね」
「ああ」
繋がったままベッドの上に移動すると、今度は彼を押し倒してしっかりと体を重ねたままは、腰を動かし始める。
「あ……ふ……」
「シャマル……」
たまに仰け反りながら、本当に心地よさそうな恍惚の美しい表情を間近で見せられて、彼も高揚感を覚えずにはいられない。
体を起こして改めて抱きしめあうと、今度は上下に体を激しく揺さぶり始める。
「ああ、いい……」
胸もつかまれて、激しく欲情しながら快楽に溺れていく。
激しく動く白く柔らかい肢体と額に玉のような汗も浮かび始めて、顎に手を添えられて、じゅくじゅくと音をたてる部分を自らくねらせかき混ぜていく。
「ひい、ああっ!」
はばかりなく嬌声をあげつつ、艶やかな濡れた瞳を見せつけながらぐちゅりと唇を重ねる。
んー、んーっ、と苦しげに息をしている癖に、快感への欲求は止まる事を知らず、じゅぶじゅぶと動かされていく腰。
クライドも背中にしっかりと腕を回し抱きしめると、お互いのぬくもりに溺れていく。
再び唇が離れると、彼の腕の中で激しく乱れる声は理性へのはばかりが全く感じられなかった。
「あー、あー、いい、いいっ!」
ぐちゅ、ぐちゅ、ぐちゅ、ぐちゅ
だんだんと体の動きが早くなり、直立した棒をてらてらと光らせながら出し入れさせて、何もかも忘れて悦びに浸りまくる。
「あ、あ、も、もうっ!」
再び胸と顎とに手を添えられ、じゅくじゅくと自ら腰を回せば、限界が訪れないはずがない。
「ああああああああああああああああああああああああっ!あっ、……あ……」
果ててからしっかりと抱きついたまま、思わず謝罪を漏らした。
「ごめん、なさい……全然我慢できなくて」
「いや、大丈夫」
汗でぐったりとした美しい顔に、慰めるようにしっとりと口付けると、柔らかい微笑みに変わる。
それから一度引き抜くと、その整った顔の口元へと綺麗にしろといわんばかりの体液の絡み合ったモノを押し付ける。
勿論遠慮なく嬉しそうに咥えこまれた。
「はむ……」
「おお……」
境目から根元まで舌が這い、しかも激しく頭を振りながら奥まで咥えこむ動きは、かなり上手である。
「く、うまいな……」
「んふ」
本気で美味しそうに愛おしげに舐められて、抑えてきた分と彼女のその表情と技量に促されて、
大きくなったモノが激しく震えつつ白い体液を吐き出すまでさほど時間はかからなかった。
「んお……!」
「ん……」
喉を鳴らしながらごくごくと飲み込んでいく。
零すどころか最後の一滴まで吸い尽して、だがそれでも萎縮することはなく、それに小さくキスをした彼女は、
白く綺麗なふっくらとした足を大きく開きつつベッドに背を倒した。
仄かな橙色の明りに照らされて、妖しく煌く花びらをくぱっと自身で広げつつ、誘う。
「私、まだこんなになってるんです……ください」
「ああ……」
しっかりと覆いかぶさって繋がり、体を交えていく。
そして再び熱く白い液体が彼女の中に注ぎこまれたとき――彼女は今までで一番激しい享楽の叫びをあげた。
その後も舐めあい、吸いあい、何度も交わってそれこそクライドの精を根こそぎ吐き出してしまってから、2人はそのまま眠りに落ちた。
次回、裏切りのシャマルさんなの!?に、どらいぶぅ――いぐにっしょん!
ほいではまた月曜にノシ
エロースなシャマルさんGJ
なんだろう、クライドさんの声優が小山力也さんに脳内変換されるwww
お二人ともじーじぇ!
>>力ちゃん
シャマルゥのリミッターが限界突破するからやめれwwww
>>98 イイヨイイヨー
ほんのりとしつつなんか退廃的な感じが
>>99 クライドがシャマルに食い荒らされるw
射丸先生のデバイスをフォークにする気かw
気付いたら新スレになってた、遅まきながら
>>1乙
>>69 文面だけ見たらCherryLightの人が荒らしてるのかと思ったじゃないか。
っかあの人甘いだけの人じゃなかったのな、知らなんだ
>>98 GJ!!
シャマル先生のエロはひっさびさに見た!
このままヴォルケン全員喰ってくれ、クライド氏!
(含むザッフィー)
すげえGJ!! シャマル好きには堪らんな。
前スレで予告していた中将主役SSの一話が完成したので10分から投稿したいと思います
オリジナルストーリーでオリキャラも登場するので苦手な方は注意してください
数多くの次元に存在する管理局地上部隊を統括するミッドチルダ地上本部。
その一階ロビーに管理局の制服を着た三人の若者がいた。
「知り合いのヘリのパイロットと合コンに行くんだが、お前達も来ないか?」
その言葉に残りの二人は足を揃え、敬礼、
「是非とも准陸尉殿にお供したいであります!」
「同じく!」
「そうか、そうか」
「……随分と楽しそうだな。よければ私も仲間に入れてくれんか?」
「おうよ! 何人でも来やが……れ」
ノリノリで振り向いた准陸尉は声の主の姿を見て、顔を真っ青にした。なにしろ、
「ゲイズ中将!」
実質、地上本部のトップであるレジアス・ゲイズ中将その人だったからである。
「他の隊は既に巡回に出ているが、君達は何をやっているのだ?」
怒気はない、しかし低く凄みのある声でレジアスは三人を恫喝する。
その声に三人の胆は縮み上がった。
「も、申し訳ありません。チーム・エクスレイ、以下三名、すぐに巡回任務に向かいます!」
三人は脱兎の如く本部施設から出ていく。
「まったく」
レジアスは溜め息をつき三人の後ろ姿を眺める。
チームリーダーの准陸尉は最近昇進した影響で態度が緩み始めているようだ。
(あとでもう一度注意した方がいいかもしれんな)
激務の合間を縫って息抜きの散歩の筈だったが結局、地上部隊の事を考えてしまっている。
しかし、それをさほど苦に思っていない自分に気づきレジアスは人知れず苦笑した。
「巡回とは、また面倒な事をしているな」
三人と入れ替わるようにして、外見は三十代半ばの白衣の男が向かってくる。
知的だが神経質そうな顔は不健康で陰気な印象を受ける。
「室長、これから夜勤か?」
室長と呼ばれた男はレジアスの横に並び、
「いや。最近はずっと本部に泊まり込んでいる。今は散歩中だ」
奇遇だな、と笑いそのまま二人は一緒に歩き始める。
「巡回しても局員の給料に上乗せされる訳ではない。定時で返してやったらどうだ?」
「数年前の空港火災も偶然居合わせた本局の魔導師達のお陰だと聞いている。
もし、その魔導師達がいなければ……」
奇跡といわれた死亡者ゼロの救出劇。この件に関してはレジアスも渋々ながら本局の力を認めていた。
「過去の可能性を論じるのは暇人の趣味の場でだ。
未来の可能性ならいざ知らず、過去の可能性など私達には必要ない」
室長も思う所はあるようだがレジアスのような危機感は抱いていないようだ。
「首都防衛隊は犯罪者相手を想定している。
災害救助に対応が遅れても仕方ない。火災原因がロスト・ロギアでは事前の予見も無理だしな」
「それを怠慢だとは思わないか?」
「思わんな。
私達は、数人集まれば世界が救えるようなスーパーマンではない。
出来る事と出来ない事を見極め、出来る事に全力を尽くす。それが最善だ」
「私は、そう簡単に割り切る事は出来ない。何物も溢す事なく守りたい。それが……」
「E計画。お前の悲願だな」
室長が引き継ぐ。
E計画。レジアスが提唱した地上部隊の戦力増強案の総称である。
「まあ、私も下げたくない頭を下げ、飲みたくもない酒を飲んでようやく始動した計画だ。
要の一つである迎撃兵器も試作型を経て完成の目処が立った」
「上手くいけばスカリエッティと協力する必要もなくなる」
スカリエッティ。それがレジアスの苦悩の原因の一つだった。
数多くの事件で広域指名手配されている次元犯罪者なのだが、現在、レジアスはその男を本局の捜査から匿う役目を負っている。
必要に迫られていた、命令ゆえに逆らえなかったという言い訳も可能なのだが、未だ少年のような正義感を持ったままのレジアスには耐えがたく、
またそんな自分に人望があるという事実が彼の良心を傷つけていた。
「……そう言えば、先日、訓練校のファーン・コラードと話す機会があった」
そんな様子を見かねてか室長は唐突に話題を変更した。
「コラード三佐か」
「訓練生の多くは本局への“栄転”が夢だそうだ」
室長は最初、小馬鹿にしたように笑ったがすぐに口元を引き締め、
「これ以上の人材流出を許せば組織として成り立たなくなる。最悪、制度として本局への異動を禁ずるべきだな」
「お前も言ったように地上の多くの人間が本局への転属を希望している。そんな制度、内外からの反発で成立はせん」
「だがどうする。現状、本局からの誘いがあれば二つ返事で了承する有り様。挙げ句、地上は本局の下位組織扱いだ」
室長は白衣のポケットに手を突っ込んだまま歩く。いつもより歩調が速いのは苛立っているからのようだ。
「地上の待遇を改善し本局と対等にするしかあるまい」
「理想論だ。私とお前とあと、……いや、とにかくもう何年も状況改善に務めてきたが人材流出に歯止めがかからん」
「室長……」
付き合いが長いレジアスから見ても室長が感情を露にする事は稀であり、それだけ苛立ちの深さが窺える。
「……前も言ったが教会も本局も排除しミッドチルダは独立して運営すべきだと思う」
「今のミッドチルダに独力でやっていくだけの力があるか?」
「その為のE計画だろう。それに、ミッドの人間は他の世界の為に税金を納めている訳じゃない」
管理局からの独立。室長が時折口にする話だ。佐官クラスの中には賛同する人間も少なくないと聞いていた。
しかし、それは、
「反逆だぞ」
「ふん。本局に搾り取られ衰弱するよりはマシだ」
自分と正反対の事を考えている親友に閉口した所で、自分達に向かって歩いてくる人影に気付く。
「ナカジマ三佐か」
陸士108部隊の責任者を務める壮年の男である。
「人の往来がある場所で不穏当な発言は控えるべきですな」
どうやら先程の室長の言葉を聞いていたらしい。
一方の室長は皮肉げな笑みを浮かべる。
「愚痴を話せる相手が少なくてな、つい饒舌になってしまった。それで、密告でもするか? 三佐は本局シンパのようだが」
ナカジマ三佐は僅かに眉を潜めた。
仮にも地上の実質トップ、しかも本局嫌いを公言している人間の前で「本局シンパ」等と言ってほしくなかったのだろう。
「気にするな、三佐。室長の性格の悪さは有名だろう。それに君の娘達の事情も理解している。……君が本局寄りでも仕方あるまい」
「……此方も差し出がましい事を」
互いに二の句を継げず沈黙が降りる。
「……先程の室長の話と関連するが、三佐は地上と本局の関係についてどうすべきだと思う? 忌憚のない正直な意見を頼む」
「……建前はどうあれ既に本局と地上のパワーバランスは火を見るより明らかです。自分自身として本局追従の姿勢が最良かと」
それだけ言うと敬礼、そのまま去っていく。
その後ろ姿を見ながらレジアスは隔たりを感じていた。
室長もナカジマ三佐もミッドチルダを守ろうという思いは同じ筈である。なのに三人は異なった方法を模索してしまっている。
それが、物悲しかった。
「まあ、いつ不具合を起こすか分からない娘を二人抱えていれば本局寄りはしょーがないな。
地上に機人のノウハウがあれば味方に引き込めたんだが」
ナカジマ三佐が完全に視界から消えた後、室長はポケットから出した右手の人指し指で髪を弄り出す。
「……言葉の節々に毒が混じっているぞ」
「そうか? 別に私は気にしてないぞ、最早、暗黙の了解とはいえ三佐からタイプゼロの報告がなかった事なんて微塵も気にしてないぞ」
耳をほじり指に付着した耳垢に一息。
「本局じゃ何年も前から最高評議会の指揮の元で戦闘機人が運用されるってお前の秘書が言っていたが」
「ナカジマ三佐が娘を引き取った時期を考えれば可笑しな話ではないな。……地上での運用は無理そうか?」
戦闘機人とは読んで字の如く人と機械を融合させた存在で魔法のような先天的資質に依存しない優れた能力を保持している。
レジアスは一時期、戦闘機人による地上部隊の戦力強化を狙っていたのだ。
だが室長は嘆息しながら首を横に振る。否定の意である。
「表立って運用するとなると人権団体が真っ先に噛みつくだろし世論の支持も受けられんな。義手、義足程度なら問題ないだろうが、流石に全身はな。
それにE計画のせいで本局から煙たがられている時期に余計な攻撃材料を与えるのは賢明ではない。まったく、扱いに困る代物だ」
「三佐も娘達を余計な事に巻き込みたくなかったのだな」
「ただでさえクイント・ナカジマ死亡事件で疑われてるからな」
さらり、と人が気にしている核心部を突いてくる。
「室長……」
そこで気付く。何かは分からないが室長は心につっかえがある。これは、それを吐露する為の通過儀礼。
「結局、遺体だけでも帰ってきたのはクイントだけだったな」
「……あのあと二人でスカリエッティと評議会を問い詰めたな」
思い返されるのは今でもレジアスを苦しめる後悔の記憶。
「馬鹿な奴だ。私達が何をしていようと放っておけば良かったものを」
「あの正義と使命感の塊のような男には黙っている事は出来なかったのだろう」
脳裏に浮かぶのは威風堂々としたまさしく騎士と呼ぶに相応しい男の姿。
「……」
不意に室長の足が止まる。いつのまにか医務室の前まで来ていたのだ。
「なあ、レジアス。お前はどうする? お前からは常に迷いを感じる。それじゃ何も成せない。このまま行けば待っているのは底なしの闇と破滅だぞ」
偽りを許さぬ真剣な問い。問われているのは己の信念。そして室長は下される答えに何らかの思いを託している。それに対してレジアスは、
「今更、清廉潔白な道を進もうとは思わん。他人から謗りを受け醜聞にまみれ、闇に葬られる結果になろうとかまわん」
「……」
「ミッドチルダを守るという正義を成すためなら泥水も啜ろう、悪魔とも手を結ぼう、悪と呼ばれてもいい」
「……」
「私の覚悟を疑っているなら宣言してやろう。私は道を踏み外した訳ではない。他人から理解されぬ道を選んだだけなのだとな」
その間、黙って聞いていた室長だったが、ふっと顔を綻ばせる。
「実を言うと私は最近諦めかけていたのだ。
友を亡くし、最高評議会には飼い殺され、人心は地上から離れて行って、E計画も無駄なんじゃないか、もうミッドチルダはゆっくり腐敗していく一方なんじゃないかと。
だが、お前のお陰でやる気が戻った」
――ありがとう。
室長はもう一度笑った。
司令部に戻ってきた中将の顔は晴れやかで、その場に居た局員は何事かと顔を見合わせたが真相を知る者は当事者の二人のみであった。
時間は進み、日付が変わる頃になった時、司令部に一つの通信が入った。
それも緊急を要する専用回線である。
「中将、巡回中の部隊がアンノウンを発見したと」
「報告は正確に行え!」
「も、申し訳ありません」
レジアスの声にオペレーターは萎縮し慌てて確認を取り出した。
「巡回中のチーム・デルタがB5区画にて正体不明のケースを発見。先の火災事件の原因となったロスト・ロギアとの関連が疑われるため、指示を求む、との事」
「そうか」
レジアスは口髭を擦り数巡思案し、
「専門の調査班を送る。チーム・デルタはその場で周囲の警戒。当該部隊に出動命令」
「了解しました」
彼の副官であるオーリスが頷き、即座にメンバー編成を始める。
最初の異変は一瞬だった。司令部のモニターすべてにアラートの文字が乱舞し異常を告げるアラームが鳴り響く。
「何事だ!」
レジアスの怒声とアラーム音に動揺しながらもオペレーターは正確に状況を報告する。
「し、市街地で魔力反応! 数値が、九十八万!」
「同時にチーム・デルタとの通信途絶!」
「……」
レジアスの背中を冷たいものが伝う。
「ぁっ、魔力反応ロスト、しかし、依然通信途絶」
時間にして僅かに数秒。だが、その数秒は確実にレジアスの精神を削り取った。
「すぐに近隣の部隊を向かわせろ!」
そして、数分。
『こちらエクスレイ・ワン。状況報告』
中央の大型モニターに准陸尉の顔が映し出される。
「こちら司令部、報告どうぞ」
『B5区画においてデルタ・ワンを保護。負傷している。至急医療班を送ってくれ』
言葉が終わる前に、オーリスが手元の端末を操作し医務室へ連絡を入れる。
『エクスレイ・トゥー、スリーが捜索にあたっているがチーム・デルタの報告にあったケースは発見出来ず』
ここまでの報告を聞き、レジアスは悪寒にも似た違和感を感じた。
何故、彼は他の、チーム・デルタの、局員の報告を、しないのか?
「エクスレイ・ワン、報告は完璧に行え、准陸尉! 他の局員はどうした」
『……っ』
准陸尉は苦虫を噛み潰したような顔になり一度視線を逸らす。
『チーム・デルタ、残りの二名は、死亡です』
死亡です、その言葉を聞いた瞬間、レジアスは落下するような浮遊感と貧血のような目眩を感じた。
「その、報告に虚偽はないな」
『……ありません』
青ざめ、時折口元を押さえながら言葉をつむぐ准尉の姿は何よりの信憑性を持っていた。
「……」
だが、信じられない。
チーム・デルタの三名とは出動の前に言葉を交わし合った筈だ。それから一時間も経っていないのだ。
それが、死亡した。
突然突きつけられた事実に思わず膝を屈しそうになる。
しかし、それをする訳にはいかない。自分はこの場で最も高い立場の人間なのだ。
どんな状況でも気丈に振る舞い部下に弱気な姿を見せる訳にはいかない。
「エクスレイ・ワン。周囲の警戒を継続したまま救援を待て。オーリス、周囲の交通を封鎖、そしてマスコミへの報道規制を」
十分ほど経っただろうか。
モニターからヘリの駆動音が鳴り、准尉も合わせるように上空を見上げる。
オーリスが手配した救援が到着したのだろう。
室長を始めとした医療班やデバイスを掲げた陸士部隊が准尉の背後を慌ただしく動き回る。
そんな中で軽い電子音とともにモニターに新たな人影が映し出される。
『陸士108部隊のナカジマ三等陸佐。報告を引き継ぎます』
「ナカジマ三佐、エクスレイ・ワンの報告に間違いはないのか?」
何度も繰り返した問いかけ。その度の答えは、
『間違いありません』
「……そうか」
『本来なら映像も送るべきなんでしょうが、その遺体の損傷が激しく……』
「それほどなのか?」
『殺されたというより、猛獣に襲われたとか、肉の解体現場で事故に遭ったって方が納得いきますね』
「……」
『……! 中将、陸曹長を乗せたヘリが発つようです』
デルタ・ワンの階級は陸曹長だったな。そんな事を考えながらオペレーターに指示を出す。
「室長、容体はどうなのだ?」
モニターに小さなウィンドウが開き室長の顔が映し出される。
その背後には盛り上がったベッドが見える。そこに陸曹長が寝かされているのだろう。
『傷はBJごと肩を貫通、神経も血管もズタズタ、内蔵にもダメージが見られる。命には別状ないが、ある程度の後遺症は覚悟した方がいい』
受け答えをする中でモニターの隅で動くものを捉えた。
『く、ぁ、中将』
『おい、大人しく眠っていろ。傷が開いても知らんぞ』
モニターの向こう側でベッドが動き、室長がその動きを押し留める。
『い、え』
無事な方の腕で室長の手を払いのけ陸曹長は上半身を起こす。
『報告します。敵は、黒い長髪と、外套、そして魔力光。金の左目と赤の右目のヘテロクロミアの男でした』
それは声というより口からかろうじて漏れる息に近かった。
「……」
仲間は死に自身も重傷を負っている。この状況では仮に眠っても誰も責めないだろう。
しかし、彼はあくまでも報告を優先させたのだ。
レジアスの深奥から言葉に出来ぬ衝動がこみ上げてきた。
『それと、ケースは奪われましたが、中身はそこに』
震える手で備え付けの卓上に置かれた自身のデバイスを指差す。
『……ほう』
室長がデバイスに触れ、二言三言呟くとデバイスの上部が砕け、透明な結晶体が転げ出てきた。
「……ご苦労。今は十分に休め」
『はっ! そうさせて、頂きます』
言い終えると陸曹長は糸が切れた人形のようにベッドに倒れ込んだ。
『……レジアス。通信を終了していいか?』
「ああ。かまわん」
「ま、待って下さい」
オペレーターの一人が弾かれたように声を上げた。
「回線に何者かが割り込みを! 阻止出来ません!」
『管理局トソレニ与スル愚カ者ドモヘ』
流れ出てきたのは合成された耳障りな声だった。
『コレハ警告デアリ布告ダ。貴様等ガ偽善ト選民思想デ塗リ固メラレタ管理局ト共ニ有ルトイウナラ
違ワズ我等ノ裁キヲ受ケル事ニナルダロウ。マズ手始メニ貴様等ノ権威ノ象徴デアル中ツ大地ノ法ノ塔ヲ怒リノ業火デ焼キ尽クシテヤル。
……ミッドチルダヲ捨テ逃ゲ出スナラ今ノウチダ。ケラケラ』
『ふふ。誰かは知らないが、中々に愉快なパフォーマンスだったなぁ。ウーノ、発信源は特定出来たかい?』
『申し訳ありません、ドクター。何分突然だったもので』
『なぁーに、問題はない。情報ならドゥーエが集めてくれるからね。私達はこのイベントを観客として楽しもうじゃないか』
『議長、通信はミッドチルダ全域の地上部隊と各種報道機関に及んでいるようです』
『情報統制にも限界があり、すぐにでも本局の耳に入るでしょうな。しかし、この時期にこれ程の規模のテロ行動。偶然とは思えませんな』
『因縁か。やはりそう易々と断ち切れるものではないようだな』
通信が終了した司令部は完全なる静寂に包まれていた。
レジアス・ゲイズ中将の全身から発せられる怒気と重圧に誰もが呼吸すら忘れていた。
ギリッと謎の破砕音が部屋に響く。
中将の奥歯に亀裂が入った音なのだがそれを知るよしのないオペレーターの一人が肩を震わせる。
「諸君」
長い沈黙の後の第一声は驚く程に抑揚がなく、裏にある筈の感情を読み取る事が出来なかった。
「陸曹長の証言と一致する人間を捜し出せ。本局のデータベースを使ってでも、一刻も早くな。
そしてミッド中央に駐屯している部隊の各部隊長を緊急招集。地方の部隊にも非常事態を通達しておけ。
報道機関からの問い合わせには答える必要はない」
「了解です」
司令部はにわかに騒がしくなり、様々な通達や関係各所からの問い合わせが飛び交う。
その中でレジアスは静かに瞑想する。
(何者かは知らんし、どれ程の戦力だろうと関係ない。ミッドチルダの平和は必ず守ってみせる)
新たな決意と共に。
以上です
無駄に中将を美化しすぎたかな?と思わなくもないです
あと中盤で終わらせとけばボロが出ない短編ですんだかな、とも思ったり
題名については即興で決めたのであまり触れないで下さい
>>114 GJ!
やべえ、序盤も良い所なのに無茶苦茶熱いw
俺も12時前後ぐらいにユノなのエロ投下します。
じーじぇ!
非常に良いです。これはいい中将。
ゲンヤの立ち位置の解釈とかもいい感じ。
続きに期待してます。
オッサン共が熱いぜ。GJ。
119 :
名無しさん@ピンキー:2007/12/22(土) 23:57:27 ID:vdax029J
中将オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!
実を言うと、三期で一番好きなのが三人娘でもなく新人でもなく中将なんだ・・・
さて、予告通り行きますか!
・ユーノ×なのは
・エロあり
全ては君の色に彩られ
「ユーノくーん!」
「わっ、と!?」
そう言って飛び付いて来たなのはを、ユーノは慌てて受け止める。
えへへ、と腕の中で幸せそうに笑うなのはを見て、ユーノは囁いた。
「ふふっ、大胆だね、なのは」
「にゃ?」
「……周り、見てごらんよ」
そう言われてなのはが周りを見渡すと、周りの人間と悉く目が合う。
……まあクリスマスで賑わっている雑踏のど真ん中でいちゃついているのだから当然と言えるが。
「あ、はう、にゃぅぅ……」
一気になのはは真っ赤になり、ユーノはそんななのはを赤くなりながら微笑んで見詰める。
しかし、そんな状態になっても回した腕を解かないあたり、なのはもいい根性をしているが。
「ほ、ほら、みんな待ってるんでしょ!? 早く行こう!?」
「……うんっ!」
……しばらくして、恥ずかしさに耐えられなくなったユーノがなのはの手を引っ張る。
それになのははにっこりと笑って頷いて……、ユーノの腕を抱え込んだ。
「―――っ!?」
ふにっ、と腕に伝わる柔らかい感触に、ユーノは飛び上がる。
しかし、なのはににぱー、と微笑まれては、何も言える訳も無く。
「えへへ……ほら、早く行こ? ユーノ君」
「あ、うん……」
もはや完全に攻守が逆転しているユーノとなのは。
と、ユーノが何かに気付いたように、なのはに向けて、言った。
「……そう言えば……、ヴィヴィオはこっちにもう慣れた?」
「うん、お母さんやお姉ちゃんとも仲良くなってるし」
そう言って笑ったなのはに、ユーノも良かった、と微笑んだ。
「……うわ……」
翠屋の前にある長蛇の列を見て、ユーノは思わず感嘆の声を上げる。
と、それを見て、なのはが照れ臭そうに、それでいて気まずそうに笑って、言った。
「え、えーっとですね、こんなにお客様いるから、お店の中戦争でして……」
「……手伝って欲しい、と?」
「にゃ、にゃはは……」
何故か敬語になってそう言うなのはにユーノが突っ込むと、なのはは気まずそうに笑う。
そんななのはに微笑みかけて、ユーノは言った。
「ふふ、別に構わないよ」
「本当!? ありがとう!」
そう言ってまた飛び付こうとするなのはを何とか押さえつつ、ユーノは店内に入る。
と、そこに声がかかった。
「いらっしゃいませ……って、ユーノ君?」
「すずか? 何やってるの?」
「手が足りないから手伝ってくれって士郎さんに頼まれちゃって」
そう声を掛けてきたのはすずか。と、その声に反応したのか、店の奥の方にいたウエイトレスがやって来た。
「ユーノ! ちょうど良かったわ、手伝いなさい!」
「判ってる、そのつもりだよ、アリサ」
そう叫んできたアリサに微笑みかけ、ユーノは店の奥に向かう。
アリサは肩透かしを食って一瞬だけきょとん、とするが、すぐに我に返り、気を取り直すように頬を叩く。
と、そんなアリサに、すずかが声をかけた。
「アリサちゃん、アリサちゃん」
「ん? 何よ、すずか」
「……ユーノ君はなのはちゃんの恋人なんだから、惚れちゃったりしちゃ駄目だよ?」
そう何の前触れも無く言って来たすずかに、アリサは硬直する。
……そして、アリサの身体はわなわなと震え……、
「何バカな事言ってるのよすずかーっ!」
そう叫んで、すずかの頭にげんこつを落とした。
……3時間後。
「あ、ありがとうございました〜」
最後の客を見送って、よれよれになってへたり込むなのは。
ユーノもアリサもすずかも状態は似たようなもので。
「ふふふっ、4人ともお疲れ様」
そう桃子が声を掛けると、4人は示し合わせたように同じテーブルに集まった。
「……ふう……」
大きく溜息を吐いて、脱力するユーノ。さらり、と髪がその顔に零れ落ちて来て、ユーノは鬱陶しそうにそれを払いのける。
そんなユーノを見て、意外そうにアリサが声を掛けた。
「……最後まで持ったわね。途中でぶっ倒れると思ってたんだけど……。
調べ物するのが仕事だってなのはから聞いてたから、体力持たないと思ってたのに……」
そう言ったアリサに、ユーノは苦笑して答える。
「いくら何でもそこまで体力落ちてないよ。
……それに、3日徹夜したりするよりは、まだ精神的に楽だしね」
「「……え?」」
そのユーノの答えに、アリサとすずかは凍り付く。
……やがて、解凍したアリサが恐る恐る言った。
「……ね、ねえ、ユーノ。それって……月に何回くらいあるの?」
「……月じゃなくて、週に1回くらいかな?」
「……その間、ご飯は……?」
「……栄養食品くらい、かな……」
そうアリサとすずかの質問に答えたユーノ。その答えに、2人は顔を見合わせて……、
……青筋を立てて、アリサがユーノに詰め寄った。
「……ユーノ、とりあえず一発殴らせなさい」
「な、何で!?」
「……何でそんな不健康な生活しといて……、私達より肌も髪も綺麗なのよーっ!」
そう言って暴れ出したアリサを、なのはとすずかは慌てて止めた。
「……いたた……」
「にゃはは……だ、大丈夫? ユーノ君」
アリサに殴られた頬をユーノが擦っていると、なのはがそこに手を重ねる。
そのままえへへ、と微笑むなのはに、ユーノも微笑み返して……、
「……ごほんごほん」
「「!!?」」
突然咳払いが聞こえ、なのはとユーノは飛び上がった。
慌ててそっちを振り向くと、そこにはにこにこと笑った桃子が立っていて。
2人は真っ赤になって、慌てて離れた。
「2人とも、仲が良いのは大いに結構だけど、少しは周りも見ましょうね?」
「「……ぁぅ……」」
そう言った桃子に、2人は真っ赤になって俯く。
そんな2人を見て、アリサは首を振りながら席を立った。
「……馬鹿らし」
「あら、もう帰っちゃうの?」
「ええ。……これ以上このバカップル見てたら、また暴れそうなので」
そう言ったアリサに、苦笑しながらすずかも席を立つ。
「……私も、そろそろ帰りますね。ノエルやファリンが、パーティーするって張り切ってましたし」
「そう、気をつけてね」
そう言った桃子に挨拶して、アリサとすずかは翠屋を立ち去った。
「じゃ、ね。ラブラブバカップル」
「結婚する時は、教えてね?」
……帰り際にそう言って、なのはとユーノを硬直させて。
「なのは、ユーノ君。……帰るわよ?」
……片付けが終わり、桃子がそう言うまで、2人は微動だにしなかった……。
「あ、なのママーっ!」
「ヴィヴィオ、ただいま」
「おかえりなさい!」
なのはが家に着くなり飛び付いて来たヴィヴィオを、なのはは微笑みながら受け止める。
そのままヴィヴィオの頭を撫でるなのはを見て、高町家全員が癒されたような微笑みを浮かべる。
と、ヴィヴィオが少し遅れて入って来たユーノに気付いて、
「ユノパパーっ!」
そ の 時 、 刻 が 止 ま っ た 。
「……ユーノ君、少し、話を聞かせてもらってもいいかな?」
何とかヴィヴィオが投下した爆弾から立ち直って、士郎が言う。
……その手には、何時の間にか短刀が握られていて。
お話を聞くと言うよりも殺す気でしょ、と思いつつ、ユーノは何故かその顔に笑みを浮かべる。
……現実逃避しているとも言う。
「……あ……あう……にゃう……」
本来なら止めるはずのなのははオーバーヒートしているし、ヴィヴィオは自分が投下した爆弾の威力に気付いていない。
桃子と美由紀はなのはを見てにやにやしているだけで。
……つまり、今の士郎を止める人間は誰もいなくて。
「……安心して構わないよ。殺さないギリギリで止めるのには慣れてるからね」
そう言って、士郎はユーノに詰め寄って……、……突然ユーノが頭を下げた。
「……本当は、もう少し手順、と言うか雰囲気を作ってから言いたかったんですけどね……。
……士郎さん、僕と、なのはとの結婚を、承認していただけませんか?」
そう言ったユーノに、士郎は苦虫を噛み潰したような表情をして動きを止める。
と、そんな士郎から短刀を取り上げながら、桃子が口を開いた。
「……なのは、なのははどうなの? ユーノ君と結婚したいって、思ってるの?」
「……え、あ、あう……」
そう桃子に聞かれ、なのはは真っ赤になって逃げようとするが、美由紀がそれを止める。
なのははそのままオーバーヒートしかけ……、
……ほんの僅かに、しかし確かに、頷いた。
その夜。
「さ、ヴィヴィオちゃん。今日は桃子おばあちゃんと寝ましょうか♪」
「うん!」
そう言って、桃子はヴィヴィオを連れて部屋に戻り、それに憮然とした表情をしたまま士郎がついて行く。
美由紀も部屋に戻りかけ……、……途中でユーノを振り向いて、悪戯っぽく言った。
「……ユーノ、今日はなのはの部屋で寝る事、いいね?」
「み、みみ、美由紀さん!?」
「家中に響き渡らない程度には自重してねー♪」
「お、おお、お姉ちゃーん!?」
最後にユーノとなのはを真っ赤にさせて、美由紀は爆笑しながら部屋を出て行った。
「……」
「……」
火を噴きそうな程真っ赤になって、ユーノとなのはは見詰め合う。
と、急になのはがはにかむように微笑んで、言った。
「え、えっと……、ふつつかものですが……」
「―――っ!」
赤くなったなのはの頬に、はにかんだ表情に、ユーノの理性はぐらつき……、
「はにゃっ!?」
……いきなり、なのはを横抱きに抱き上げた。
「ユ、ユ、ユユユ、ユーノ君!?」
「……ほら、部屋、行こ?」
真っ赤になって慌てるなのはに、ユーノが笑みを浮かべてそう言うと、なのはの動きが止まる。
完全にスイッチが入っているユーノ気付き、なのはは一気に青くなった。
「ユ、ユーノ君、ち、ちょっと待って……!」
「だーめ、待たないよ」
「はううううっ!」
……なのはを横抱きにしたままユーノはなのはの部屋に入ると、なのはをベッドの上に放り出す。
「きゃうっ!?」
そして、悲鳴を上げたなのはにユーノは覆い被さって、唇を重ねた。
「んふっ!? んっ、んんーっ!?」
「んっ……、可愛いよ、なのは」
じたばたと暴れるなのはを押さえ込み、ユーノは口付けを続ける。
なのはの口内を荒らして行くと、みるみるうちになのはの身体から力が抜けて行った。
「んんっ……、んっ……」
「……ふふっ」
ユーノが唇を離すと、なのはは完全に脱力してベッドに沈む。
はあはあと荒い息を吐くなのはを、ユーノは愛しそうに見て、耳元に唇を寄せ、囁いた。
「これから……よろしくね? お、く、さ、ん?」
「にゃううううっ!?」
途端に火が付いたように真っ赤になったなのはの服を、ユーノははだけさせる。
そして現れたなのはの胸の先端を、ユーノは口に含んだ。
「きゃ、はああん! あ、ひっ! らめっ、それ、らめっ!」
「ふふっ、本当になのははこうやってされるの、弱いよね……」
舌先でなのはの胸の先端を転がしてやると、なのははみるみるうちに快感に支配される。
びくびくと震え続けるなのはに、ユーノは追撃をかけた。
「で、こうされたらすぐにイっちゃう、と♪」
「あああああっ!!」
こりっ、と固くしこり立った胸の先端に歯を立てると、なのはの声が明らかに変わる。
もうすぐイっちゃうな、と感じたユーノは、もう一度胸の先端に歯を立て、もう片方の先端を摘み上げた。
「ひ、あ、あ、あー!! も、らめ、イっ、ちゃ、きゃああああんっ!!!」
……その瞬間、なのはは限界まで身体を反らせて、絶頂に達した。
「……ひゃう……、あふっ、はぁ……」
ひくひくと震えながら、なのはは絶頂の余韻に浸る。
と、そんななのはを見ていたユーノは、にっこりと意地悪く笑って、言った。
「……胸だけでイっちゃうなんて、なのはって本当に敏感なんだね」
「―――っ!」
そう言われ、なのはは一気に真っ赤になり、顔を両手で覆う。
そんななのはを見て、ユーノは微笑みながらなのはの秘所に手を伸ばし、
「んっ……んっ!」
……身体を震わせながらも、必死で口を押さえて声だけは出さなかったなのはに、少し膨れっ面をした。
「……ふーん、僕、なのはの声好きなのに、聞かせてもらえないんだ。
……それだったら、僕にだって考えがあるからね?」
そう言うなり、なのはの中を激しく掻き回し始めたユーノ。
送り込まれて来る強烈な快感に、なのははまた絶頂に達しかけ……、
「……おっと」
「!?」
……その寸前、ユーノはぴたりと手を止めた。
潤んだ瞳でなのははユーノを見上げるが、ユーノは意地悪な笑みを浮かべるだけ。
と、ユーノがなのはの耳元に唇を寄せ……、
「……なのはが可愛い声聞かせてくれないなら、僕だってイかせてあげないから」
「んんんっ!?」
そう囁くなり、またなのはの中を激しく掻き回すユーノ。
少し落ち着いて来ていた快感が叩き起こされ、なのははみるみるうちに限界に達し……、
「〜っ!! ……」
……また指の動きが止まり、なのははギリギリの所で踏み止まらされる。
がくがくと快感を求めて身体を跳ねさせるなのはを、ユーノはにこにこ笑って見詰め……、
「……自分からおねだりするまで絶対イかせてあげないからね? なのは」
……そう、囁いた。
「あ、ひ、も、ら、めえ……っ!! ……は……、……ぅ……」
また寸止めされて、なのははぽろぽろと涙を零す。
10回以上寸止めされて、なのはは口を押さえるのも忘れ、快感を得る事だけに頭が一杯になっていって。
「……お……願い……、お願い、ユーノ君……。もう……じらさないでぇっ……、……イかせて……、イかせてよぉっ……」
……ついに、なのはは快感に屈服した。
「……よくできました♪」
そう言うと、ユーノはいきり立った自分自身をなのはの秘所に宛がう。
じゅくじゅくに濡れたなのはの秘所は、物欲しそうにひくひくと震えて。
「……それ♪」
「い、あ、あーっ!!!」
一気にユーノがなのはの奥に自身を突き込むと、なのはは絶叫する。
その瞬間、中がぎゅうぎゅうと締まるのを感じ、ユーノは微笑んだ。
「……なのは、もうイっちゃった?」
「……ひ……あ……は……」
ユーノが声をかけても反応出来ずに、ただ幸せそうに身体を震わせるなのは。
そんななのはの腰を掴むと、ユーノはそのまま激しく突き始めた。
「あ、あああああっ!!! しゅごい、しゅごいよおっ!」
すると、なのはは強烈過ぎる快感に翻弄され、必死にユーノにしがみつく。
快感に蕩け切った声で、表情で喘ぐなのはを見て、ユーノはさらに責めを激しくした。
「ふ、ふっ! 本当に、可愛い、ねっ!」
「あくぅんっ! らめ、またイっ! はあああん!!!」
びくんびくんと際限なく震えて達しまくるなのはを見て、ユーノはにこにこ笑う。
きゅうきゅうと締め付けて来るなのはの中に、ユーノは押さえきれない快感を感じて。
「く……っ! なのは……、そろそろ……!」
「きゃう! はああっ、ふあああん!」
そうユーノが声をかけても、なのははただ一心に快感を貪るだけ。
そんななのはの最奥に、ユーノは自身を突き込んで、
「な、の、はぁっ!」
「あ、ひ、ああぁああぁぁあああっ!!!」
欲望を叩き付けると、なのはは限界まで身体を反らせ、……やがて、崩れ落ちた。
崩れ落ちたなのはの髪を撫でながら、ユーノは少しだけ思い出し笑いを浮かべる。
「……それにしても……、桃子さん、凄かったなぁ……。
『両想いなんだし、2人とも20歳になるまで待てばこっちの世界でも勝手に結婚出来るわよ』だったっけ?
それで士郎さんを一発で黙らせちゃうんだから……」
高町家最強は桃子さんなのかな、とユーノは考えて、
……もう1つ何かを思い出し、苦笑した。
「それと、すずかにもびっくりしたなあ……。偶然だとは思うけど、まさかあのタイミングであんな事言われるなんて……」
ひょっとしたら、バレてたのかなあ……、とユーノは少しきまずそうに呟いて……、
急に身動ぎをして、身体を起こしたなのはを見て、微笑んだ。
「おはよう、なのは」
「……ぁ……」
身体を起こして、ぼーっと焦点が定まらない目でユーノを見るなのは。
身体を隠そうともしないなのはに、ユーノは苦笑して、言った。
「……そんなに、良かったの?」
「……うん……、凄かった……」
そう、まだ意識がはっきりしていないのか、半ば熱に浮かされたようにして頷くなのは。
そんな無防備過ぎるなのはに、ユーノはにっこりと微笑んで……、
……そのまま、なのはを押し倒した。
「にゃっ!?」
びくっ、と途端に怯えたような表情をするなのはに、ユーノは唇を寄せ、囁いた。
「……なのはは満足したかもしれないけど、僕はまだ全然満足してないんだ。
……だから、僕が満足するまで付き合ってもらうからね?」
「……え、えっと、それって、拒否権は……」
「……やだなあ、そんなのある訳無いじゃないか」
……翌日、なのははベッドから起き上がれず、もう1日追加で休暇を申請したらしい……。
これで終わりです。
……クリスマスSS書くつもりだったのに、何でクリスマス色皆無なこんなのが出来上がったんだろうorz
しかも、これ書いてる時、呪いレベルで何か発動してたしorz(停電2回、住んでる市で乱射事件1回)
>>98 エロイ、エロイよ社丸三 GJ
<カズ兄がいってた(曰く、某教導官さん)
え!何時から喪失大地の悪魔と兄妹になったの?ハートの名を持つ読心異能持ちの○なみさん
もう一人のほうの悪魔さんだと確かに兄だが高町家的に
>>131 GJです
クリスマスそれは子供ならプレゼントもらえてウハウハ、大人なら相手がいれば楽しい日、
親ならプレゼント選びに悪戦苦闘、そして相手がいない俺は悲しく苦しみにもだえる日
きっとそんな迷える子羊的な呪詛が降り積もった結果に違いない OTL
え、クリスマスって都市伝説でしょ?
ではなく、夜も更けたところで、クリスマス前にちょっと投下させてくださいな
なのフェ前提のにぎやかしです
冒頭に強力でゴイスーで格好良いオリジナルなロストロギアが1個と、
強力でゴイスーで格好良いオリキャラが二人も出ていますが、諦めてください
最近、壊れなのはさんが、攻めだけどMな気がしてきました、お気をつけください
フェイトさんがお馬鹿なのは仕様です、気にしないでください
微妙なエロがあります、略して書けば微エロです、入れてませんし
当初は、次元犯罪者サンタクロースをフルボッコしてしまったはやてが、
子供達に恨まれ、独身者から喝采を浴びていたのですが、最後の良心で変更されました
良心を使い果たしたせいか、ボケが微妙に黒いところがあります、申し訳ありません
ゲンはや風味があります、お気をつけください。
四捨五入すると確実に友達な、友達以上恋人未満あたりです、絡みません
柳生宗矩は、ロストロギア《聖王の大仏》の上で呵々大笑した。
−そんな、有り難い大仏様が我らを攻撃なさるなんて!?
−末世じゃ、末法の世が来たのじゃああぁぁ!!
伽藍を崩され逃げ惑う、現地の方々が大仏の足元で阿鼻叫喚の大騒ぎである。
「広域次元犯罪者 柳生宗矩、貴方を逮捕します!」
「もうやめてくれ、親父殿!」
大仏の頭頂へと飛び移ったのは、蓬髪隻眼の青年剣士と、見目麗しい異国の女性。
宗矩が子、柳生十兵衛と、異世界の魔導師、フェイト・T・ハラオウンであった。
「是非も無い、その身で味わえ我がミッドチルダ柳生が! 真髄を!!」
「ミッドチルダ柳生!?」
そう、かつて日本で生まれた柳生新陰流が、朝鮮に渡って朝鮮柳生となり、
やがて大陸を征して中華柳生、シベリア柳生と発展し、ついには次元の壁を越え、
ミッドチルダ柳生と相成った事は周知の事実である。
そして今、精妙かつ巧緻にたけた剣閃がフェイト・T・ハラオウン執務官を襲う!
『或る執務官のラッピング』
八神はやて特別捜査官は、魂の抜けた挙動でショッピングモールを、
歳末大売出しの札の最中を、ポイントカードを持って彷徨っていた。
貯まったポイントで、福引。
3等、食品包装用ラップ1年分。
なんでやろう、なんで私はこないなところで一人で福引やってんのやろう。
両手に抱え込んだ、細長い筒の束が哀愁を誘う。
年末年始を潰してクリスマスは仕事でしたと言う予定だった、S級ロストロギア捜索任務は、
青き狼に乗って金色の大仏に降り立った執務官の手腕によって、2日で解決されてしまった。
古き言い伝えが真であったせいで、巻き添え長期休暇に突入である。
おのれフェイトちゃん、そんなに私にシングルベルを聞かせたいんか。
いや、わかっとる。あの子は単に、家族や恋人と一緒に過ごすために頑張っただけなんや。
おかげで今年は故郷の、リインの居る空に挨拶にもいけるし、感謝こそすれ恨む事やない。
恨む筋合いは無いんやけど、周囲に漂う胸焼けしそうな濃厚なラブイチャ臭の最中、
通行人は皆が皆、両手に幸せを抱えこんで、私の手元にはラップ一年分、どないせいと。
なんか泣けそうなのに涙も出てこないから、せめて諸悪の根源に電話を入れて、愚痴った。
「そういえば、前々から思っとったんやけど、なんでミッドにクリスマスがあるねん」
−クリスマス? 何の事かな、それは
「え、だって私も去年はトナカイさんやったり、フェイトちゃんもサンタさんに」
−やだなぁ、はやて、クリスマスは97管理外世界の風習だよ
「う、嘘や! だって毎年トナカイさんやったもん! 今年こそはサンタさんやもん!!」
−Sir Fate. Are you happy?
−YESバルディッシュ、幸福であることは市民の義務だ
「ちょ、そのネタは、そのネタだけは駄目えええぇぇぇ!!」
金切り声をあげた…彼女はここに至って、クリスマスに隠された意味がやっとわかったのだ。
嗚呼、何という惨めで不必要な誤解であったのか!
嗚呼、なんと愛情豊かな心に背いた、何という頑固、身勝手な離反であったことか!
しかしこれで良かったのだ。何もかも これで良かったのだ。苦闘は終わりを告げたのである。
彼女はやっと自分に対してシングルベルを鳴らしたのだ。
ミッドチルダ
一種の無可有郷であり、次元間戦争後の混乱の中で成立したようであるが、
誰がどのような経緯で現状に至らせたのかは、忘却や歴史の改竄により明らかではない
クラナガンのいたるところに眼球を模した紋様と、いくつかの文章が書かれている。
戦争は平和である
自由は屈従である
無知は力である
彼女はミッドチルダを愛していた。
−まあ、冗談はさておいて
「笑えんわ!」
−年末の帰省、すずかのとこに泊まる予定だったけどさ
「うん」
まあ、家が有るのは、なのはちゃんだけやし、
フェイトちゃんに至っては、帰省って言うより、旅行って感じやけど。
−母さんが思いついちゃって、アースラ関係の暇な人が大量に、それはもう大量に
「そして宴会へ…と、みんな暇やなぁ」
発端から結末までが目に浮かびそうになって、苦笑する。
というか、例年の如くという気がするのは、気のせいやろか。
ああ、そういえば去年は六課やったから、二年ぶりなんか。
−参加者への一時渡航許可は、団体で申請しているから、ナカジマ三佐でも誘ってみれば?
「あー、無理無理、イブは家族で過ごすそうやさかい」
てか、なんでそこでゲンヤはんの名前が出てくるかな、い、いやそもそも、ええと、そうです、
既に玉砕しております執務官殿、その道は既に先月に通った道だと、泣いていい?
何故やろう、どよーんと効果音がついて、身体から鬱な気配が染み出していく自分を、自覚した。
い、いや別にゲンヤはんがどうとかいうわけやないんやけど、ないんやけど…
−んー、なのはとティアが、久しぶりにスバルに会いたいという事に出来るよ
「出来るよって、何やらかす気や自分」
−私も、ギンガに会いたいかな
「え、えーとな、えーとな、フェイトちゃん」
−うん
天然なのか、気を回しているのだか、判別がつかないのが困り者やけど、
ボケで返したり、見栄をはって否定してみたりもしたいんやけど、
「おおきにな」
−じゃ、頑張って
素直に激励を受け取って、通話を切って、かけなおす。
かける番号は短縮の1番、昔から何度もお世話になっとる陸士部隊の、
「あ、ゲンヤはん 今ちょい話せる?」
不思議と、いつのまにか楽しい気分になっていた。
(付録 司書長は簀巻きにされて、天井から吊るされています)
縛りあげていた。
常日頃、性別を問わず羨望の眼差しにさらされる、ハラオウン家の若き執務官の双丘は、
今現在、食品包装用ラップフィルムによって締めあげられていた。
平素は触れる事さえ躊躇わせるほどの、きめ細かい、透けるような白い肌が、
ポリ塩化ビニリデンによる、合成樹脂独特の光沢に陵辱されている。
樹脂の端に擦り切れて、乳房には幾重にも赤い筋が走っていた。
圧迫と擦傷、重なる二つの苦痛からか、その肌にはしっとりと汗が浮き、
潤いを得た柔らかなそれが、貪るように弄っている指先に、吸い付いてくる。
「な、なのは…痛い、痛いってば」
加虐者と被虐者、捕食者と食材、悪魔と死神、星と雷、教導官と執務官が、
自室のベッドの上で、何か変な方向に突き進んで、戻ってこれなくなっていた。
後ろから、形が変わるほどに強く締め付けて、耳を噛む。
樹脂に押しつぶされながらも存在を主張する、桜色の突起を指で転がす。
自らの乳房も形が変わるほどに強く押し付ければ、重なる肌から、伝わる震えが、
体温が、お互いの苦しみが同調しているかのような錯覚に囚われて、喘ぎ、
「痛い? …でもね、ラップを握っている私の手も痛いんだよ」
なら止めようよと叫ばれても、聞く耳など持つはずも無く、
きっと、不規則に揺れるサイドポニーから、何か電波でも受信していたのだろう。
たぶん、色魔淫界あたりから。
「そうだ、いいこと思いついた」
お前、俺のケツの中でドライブイグニッション、じゃなくて、
思いつくままに、包装されて苦しんでいる生ハム甜瓜にも合成樹脂束を渡し、
縛って、縛り、お互いにさまざまな場所を縛りあいながら、耳元で誘いをかける。
−このまま、お風呂に入らない?
水を得て、甲高い音をたてて擦れるお互いの身体を想像して、身震いが走る。
汗と涙に塗れ、期待に満ちた眼差しを交し合い、蕩けきった顔に朱がさす。
樹脂の擦れ合う音に身を揺らし、立ち込める臭気が甘く湿気り、咽を鳴らし、
羞恥と苦痛に愉悦を感じている、お互いの表情を舐めとりながら、焦がれた。
全身の皮が引きつり、裂け、体液が混ざり、染み込み、不快な音をたて、絡み合い、
裂傷に激痛が注がれて、身も世もなく泣き叫ぶ様は、どれほどまでに不品行だろうか。
血流が妨げられ、浮かされて、失った水分を、塩分を、お互いの身体から奪い取り、
肌も、液も、意識さえもが危険なほどに混ざり合い、溶け合っていく、錯覚。
すでに二人の目に光は無く、息も荒く、言葉も無く、震えるままに身を寄せ合い、
潤み溢れ続ける股間を、交わった太腿に擦りつけあい、音を立てて貪るように、唇を吸い、
やがて、嬌声と供に透明樹脂があたりに撒き散らされた。
(終)
なんかつける人が多いみたいなので、うちもあとがきー
要は、サランラップで縛るまでの、一連の流れでした
前スレでレスくださった方たちに、有難うございます、
まだ間に合います、さあツルペタをやめて、たゆんたゆんに、ではなく、
なのフェ分が追加されたおかげで、はやてがサンタをフルボッコせずにって、
それが理由かと小一時間
それでは、おやすみなさいませ
141 :
kometi:2007/12/23(日) 04:26:42 ID:YfL+Uzcd
オリキャラでてくるSSを書いたんですが、投下してよいものか意見を聞かせてください。
内容
・主人公はフェイト
・stsの終了後の話。連載ものです。
・エロなし萌えなし、ハッピーエンドに向けて鬱もあり。
・オリキャラはプレシアの旦那です。
>140 もうね、サランラップ好き過ぎwwww俺もてかてかしてきたwwww
>141 たぶんプレシアぱぱんぐらいなら平気。というか戦闘絡まなきゃ平気(ちょ
ちょい鬱でも注意書きすれば大丈夫
しかし中将はかっこいいしなのユはえろいしなんなんだこのスレは、素敵過ぎるじゃないかw
>>140 GJ!まさか本当にサランラップで縛ってくれるとはwww
あなたとは良い模擬戦仲間になれそうだ
>>141 wktk
>140
ちょwww但馬守wwwww
……金目様か。
>141
テスタロッサパパン……どんな人なんだろう?
145 :
kometi:2007/12/23(日) 11:24:44 ID:YfL+Uzcd
それでは、オリジナルテスタロッサパパンSSを投下します。長いのでご了承ください。
タイトルは「cold sleeper」です。
風で舞い上がった砂塵が、顔を直撃する。
振りむけば誰もおらず、そもそも最初から自分は一人だったことを思い出す。それでも、後ろに誰かがいる気がして、或いは誰かにいて欲しいという願いをこめて、男は何度も後ろを振り向いた。
しかし、あるのは果てしなく続く赤い空と、ひび割れた荒野だけ。
そこには自分しかおらず、そもそも自分は最初から一人だった。いや、少し前まで……少なくとも去年までは、一人ではなかった。妻がいた、2歳になる娘がいた。暖かい家庭と幸せな未来への希望があった。
だが、男はそれを捨ててきた。
「お願い、危険な仕事はもう止めて」
何度、妻にそう言われたことだろうか。
「パパとママと、3人で遊園地に行きたい」
娘との約束を、何度も破って来た。
破綻は、あっという間に訪れた。
何もかもを捨てて、或いは何もかもに捨てられて、自分はここに立っている。
理想のために、全てを犠牲にして。
男は静かに、支給された杖を取り出す。ストレージデバイス。魔法の発動を支援し、サポートしてくれる高速計算法術杖。
支給品とはいえ、彼の長年の相棒だ。そして、男が見下ろしているのは、巨大な岩山を刳り抜いて作られた巨大な研究所。
任務内容:違法研究施設の調査、及び可能な限りの破壊工作
「覚悟は良いな、俺はできている」
自分のするべきことを再認識し、男は座していた丘を一気に駆け抜けた。
38年後。
金属が焼け焦げた匂いが鼻をくすぶる。日はそろそろ南中に差し掛かろうとしており、その光を遮るものは何もない。
ゲンヤ・ナカジマ陸上三佐は、まるで砂漠にでも放りだされたような気分で額の汗を拭った。
「事故・・・ってわけじゃねぇわな」
足下に転がっている残骸を蹴飛ばしながら、ゲンヤはぼやいた。
それは数分前のことだ。ゲンヤ率いる陸士108部隊に、地上本部からクラナガンの郊外で起きた爆発を調べよとの命令が下った。
そこは今では誰も使わない旧暦時代の道路があるだけで、周囲に爆発を起こすような施設はなく、ゲンヤは暴走族あたりが派手な事故でも起こしたのかと考えた。
だが、出動した陸士108部隊が現場で発見したのは、横転し、炎上している護送車、そして・・・。
「ガジェットか・・」
ガジェット・ドローン。それは、先のJS事件において、首謀者ジェイル・スカリエッティが使用していた自立戦闘機械だ。スカリエッティが逮捕された今、
その全ては機能停止したはずであり、こんなところで見つかって良い代物じゃない。
「失礼、ここの指揮官はどちらに?」
背後から聞こえた声に、ゲンヤは振り返る。そこにいたのは、彼がよく知る人物であった。
「おお、誰かと思えばクロノ提督。陸の事件に首を突っ込むたぁ、珍しいこともあるもんですな」
「よしてください。別に、陸の管轄を荒らすつもりはありませんよ」
次元航行部隊提督、クロノ・ハラオウンは苦笑しながら肩をすくめる。
「それで、実際のところ何しに来たんだ?」
「たまたま地上本部に用がありましてね。そしたら、郊外で爆発があったと聞いて、興味本位でここまで来たのですが」
「ってことは出歯亀か。提督は良い趣味をしていますな」
「すみませんね、出歯亀で」
いかに提督といえど、クロノはまだ25歳の若者だ。歴戦の陸士部隊を束ねるゲンヤにかかれば、たちまち子ども扱いである。
「冗談はこれくらいにしましょう、三佐」
「そうだな。おい、護送車の方は何かわかったか!?」
ゲンヤが護送車に呼びかけると、荷台を調べていた部下が中から顔を出した。
「ダメです。誰かがいた痕跡はあるのですが、どににも見当たりません」
「運転手の方も即死のようで、まったくのお手上げです。ただ、この車は間違いなく時空管理局のものです」
運転席側を調べていた男の言葉に、ゲンヤは顔をしかめる。
「管理局の車か・・・・提督、あんたはどう思うね?」
話を振られたクロノは、逡巡した後に、答える。
「今は何とも言えません。ですが、これだけははっきりしている。護送車で運ばれていた何者かは、まだ発見されていない」
「そうだ。そいつが生きているのか死んでいるのか。そしてどこにいるのか。それが問題だ」
苦虫を噛み潰したように、ゲンヤは護送車を見る。
(また、厄介な事件の予感がするな)
その日、フェイト・T・ハラオウンは、昨日解決した次元犯罪に関する報告書を地上本部に提出するため、首都クラナガンを訪れていた。
そして、無事報告書を届けた後、フェイトはかねてより約束していたある人物と会うために、待ち合わせ場所である喫茶店を訪れた。
「あ、フェイトさん。こっちです」
そこにいたのは、彼女の友人にして元部下であるギンガ・ナカジマ陸曹であった。
「久し振りだね、ギンガ。元気そうで良かった」
「フェイトさんこそ。わざわざすみません、お仕事中に」
憧れの女性との再会に、ギンガは目を潤ませる。かつて命を助けられて以来、彼女はフェイトに同性として強い憧れを抱いているのだ。
「それで、仕事の方は順調?」
「はい。みんな良い子たちばかりで、むしろ私の方が色々と勉強させられているみたいで」
ギンガは平時、スカリエッティが造りだした戦闘機人、通称ナンバーズの更生プログラムの指導を行っている。
大半を彼女たちが隔離されている離島で過ごしており、今日は久し振りの休暇ということでフェイトに会えないかと誘ってきたのだ。
「そっか、楽しそうで何よりだ」
「はい。ノーヴェなんて、最近、父さんのことを「お父さん」って呼ぶようになったんですよ。そしたら父さんも「よし、全員まとめて面倒みてやる!」って大見栄切っちゃって」
「はは、三佐らしいね。でも、そうなるとギンガはあの娘たちのお姉さんになっちゃうんだ」
「ええ。実際、そのようなものなんですけどね」
ギンガとその妹スバルもまた、戦闘機人タイプゼロである。そういう意味では、ナンバーズのお姉さんと言えるかもしれない。
(そっか、お父さんか・・)
楽しそうにナンバーズのことを話すギンガを見て、フェイトはちょぴり寂しさを感じた。
フェイトに父親の記憶はない。母であるプレシアは、アリシアがまだ小さかった頃に離婚しており、幼少を過ごした時の庭園にも写真などの類は一切なかった。
そのため、父親というものがどんなものなのか、実感が持てないのだ。ただ、友人達の話から、何となく強くて優しい人なのだとは思っていた。
不意に、テーブルの上に置いていた待機モードのバルディッシュが点滅した。
『・・・こちら、時空管理局地上本部。港湾区において、ガジェットらしき反応を感知。付近にいる局員は、速やかに現場に急行してください。繰り返す・・・』
港湾区にガジェットが? 何故今さら? いや、今は考えている場合ではない。本当にガジェットなのだとしたら、被害が出る前に何とかしなければ。
フェイトの思考は、瞬時に執務官としてのそれに切り替わる。一方、ギンガは心得たとばかりに頷くと、傍らにあった伝票を手に取った。
「行ってください。支払は私が」
「ありおがとう。領収書は本局宛てでね」
礼を言って店から飛び出し、フェイトはバルディッシュを掲げる。
「バルディッシュ・アサルト・・・セットアップ!」
そこに現れたのは異質な男であった。
一言で言い表せば黒。タンクトップも革のズボンも左腕が敗れたロングコートも指なしの手袋も滑車付きのブーツも。
全てが黒一色であった。左耳につけているピアスでさえ黒という念の入り様である。その中で唯一異彩を放っているのが、金色の髪と紅い瞳であった。
それだけならまだ、奇矯な格好をした変人で済まされるかもしれない。だが、男のまとっている空気は明らかに周りの人間と違い、血と砂ぼこりの匂いしかしない。
そこにいるだけで場の空気を乱す様は、さながら金魚鉢に放り込まれたブラックバスだ。故にその男は異様ではなく、異質な男だった。
「まいったな・・・迷ったぞ?」
男は低くドスの利いた声で呟く。ただそれだけのことなのに、周りにいた子ども達は彼を怖がって泣き出してしまった。
「あぁ、うるせぇ。こちとら目が覚めたばかりで機嫌が悪ぃってのに」
ボヤキながらも、男は子ども達から離れる。できるだけ人のいないところに。そう、港の方に。
(いったいどれだけ経ったんだ・・・畜生、今は新暦何年だ?)
何か日付が書かれたものはないかと見回すが、整備された道路には古新聞一つ落ちていない。場所が場所なだけに街頭テレビのようなものもなかった。
(まあ、港にいけばなんかそれっぽいものもあるだろう)
思考を切り替え、記憶とは違ってしまった道を歩く。
その時、目の前の角から5歳くらいの少年が勢い良く飛び出してきた。
「ぬわっ!?」
とっさのことで回避もできず、男と少年はぶつかってしまう。
「おい、急に飛び出すと危ないぞ」
「ひぃっ・・・・」
男が声をかけた瞬間、少年は恐怖で目に涙を浮かべた。
「まいったな。俺ってそんなに怖い顔か?」
自嘲気味に笑って、男は少年の頭を優しく撫でる。男の予想外の行動に、少年は顔を上げる。
そこには、引きつりながらも精一杯の微笑みを浮かべた男の顔があった。
「少年、名前は?」
「・・フィ、フィリオ」
少年は恐る恐る、自分の名前を口にする。
「フィリオか。ごめんな、怖がらせちまって」
「う、ううん。ぼくの方こそ・・ぶつかってごめんなさい」
フィリオが謝ると、男は心底嬉しそうに笑った。
「そうか。フィリオは優しいな」
鬼みたいに怖い笑顔だったが、フィリオはもうそれを怖いとは思わなかった。怖い顔をしているけど、このおじさんはとても良い人だ。
「ぼくはフィリオ。おじさん、名前は?」
「お兄さんな。お兄さんはヴェルデ・テスタ・・」
言いかけて、口ごもる。しばし考えた後、男は再び名乗った。
「ヴェルデ・ヴァーチェッタだ」
それはいたはずの男と、いないはずの女との出会いの物語。
まるで時のゆりかごに揺られるように、男は時を超え、女のもとへと現れる。
魔法少女リリカルなのはSTRIKERS・異伝「cold sleeper」
始まります。
燃える護送車と、自分を取り囲む浮遊機械。
それが、久方ぶりに目覚めた彼が、最初に見た光景だった。
「まいったな。目覚めていきなりこれじゃ、泣けてくるぜ」
放たれた魔力弾を避けながら、ヴェルデはボヤいた。護送車を運転していた男はとっくにくたばっており、増援は期待できない。
頼りになるのはこの身と、運転手が持っていたデバイスだけだ。
「良いぜ、やりてぇんならやってやる!」
かつてそうしたように意識を集中する。このデバイス――先端に青い宝石と、それを挟むようにU字型の突起がついた杖は優秀で、
彼が局員時代に使用していたデバイスよりも遥かに早く、魔法を組み上げることができた。
「覚悟は良いな、俺はできている」
叫びとともに、魔法が発動する。
『Photon Lancer』
魔法少女リリカルなのはSTRIKERS・異伝「cold sleeper」
第1話「2つの金色」
バリアジャケットを装着したフェイトは、すぐに飛行魔法で港湾区へと向かった。
普段は市街地での飛行は禁じられているが、ガジェット出現と同時に飛行の許可は下りていた。
『Sir,200ヤード先に魔力反応。何者かが戦闘を行っているようです』
見ると、遊歩道付近で魔力光らしき光が確認できた。バルディッシュの言う通り、誰かがガジェットと戦っているようだ。
「急ぐよ、バルディッシュ」
『Yes,sir』
魔力障壁を展開しながら、ヴェルデはフィリオを庇うように立つ。海面を割って出現したガジェット達は、容赦の欠片もなく、魔力弾を障壁に叩きこんでくる。
「海の中から来るたぁっ、お前ら怪獣か!」
ヤケクソ気味に叫んでみるが、ガジェットには当然通用しない。
このまま攻撃を受け続ければ、やがてはダメージが飽和状態になり、障壁を維持できなくなる。そうなると、自分はおろかフィリオにまで危害が及ぶ。
(囮になるか・・・いや、今動けば流れ弾がフィリオに当たる。せめて一機・・・一機分の穴があれば・・・)
叶わぬとわかっていても、ヴェルデは願わずにはいられなかった。自分は良い。どうせ一度は死んだ身だ。だが、この子は・・・フィリオは違う。この子は今を生きている。
「死なせられるかよ、畜生!」
そして、とうとう魔力障壁が限界を迎えた。
せめてこの子だけでも守ろうと、ヴェルデはフィリオを抱きしめる。
その時、ヴェルデは遥か頭上で雷鳴を聞いた。
『Thunder Fall』
轟音とともに打ち落とされた雷が、数体のガジェットの機能を停止させる。それにより、ヴェルデが欲しくてやまなかった。攻撃の隙が生まれた。
瞬時に術式を構築。デバイスを通じて魔力を開放する。
『Blitz Action』
フィリオを抱えたまま加速し、ヴェルデは隊列を崩したガジェットの群れを駆け抜ける。
走りながら、ヴェルデは先ほどの落雷を放った者のことを考えていた。誰だか知らないが、
一歩間違えれば自分やフィリオまで巻き込んでしまうような広域攻撃魔法を躊躇なく使用し、見事ガジェットのみを仕留めてみせるとは、
余程自分の腕に自信があるのか、肝が据わっているかのどちらかだ。
「まいったな、当たったらどうする気だ?」
ボヤきながらも、ヴェルデは笑っていた。彼の背後には、既に射撃魔法の発射スフィアが形成されている。
「けど、嫌いじゃないぜ、そういうの!」
落雷がガジェットに落ちると同時に、眼下の男は少年を抱えて駆け出した。やはり、少年を庇って攻めあぐねいていたようだ。
誰だか知らないが、一般人がガジェット相手によくぞここまで保ったものだ。
ガジェットの注意もこちらに向いたことだし、彼なら安全なところまで逃げ切ることができるだろう。
「バルディッシュ、次で仕留めるよ」
『Yes,sir Load Cartridge・・・』
「待って、ストップ!」
眼下で発生した魔力光を見て、フェイトはバルディッシュを制止する。
止せば良いのにあの男、ガジェットを攻撃する気のようだ。
「バルディッシュ、フォトンランサー!」
『Yes,sir』
フェイトの足下を中心に、金色の魔法陣が展開する。同時に、フェイトの前に同じ色のフォトンスフィアが形成された。
フェイトが最初に覚え、そして最も熟練度が高い魔法、フォトンランサーだ。
『Photon lancer』
『Photon lancer』
「ファイアッ!」
「ファイアッ!」
そして、空と地上、対局の位置から、全く同じ魔法が、全く同じタイミングで放たれた。
周囲にガジェットの反応がないことを確認し、フェイトはガジェットの残骸が散乱する遊歩道に降り立った。
(私、なんであの人が撃つタイミングがわかったんだろう?)
先ほどの攻撃は、まるで最初から示し合わせていたように、全く同じタイミングで放たれた。そして、お互いが撃ち漏らしをカバーするように、全ての魔力弾が別々の標的を狙っていた。
確信があったわけではない。だが、あの時、男が何を考え、どのように動くかが、何となくではあるがわかったような気がしたのだ。
「あんた、管理局の人間か? だったら、この子を保護してやってくれねぇか? あの妙な機械との戦いに巻き込まれちまってな」
やがて煙が晴れ、男の姿が露になる。全身黒づくめ、手にしているのは管理局支給のストレージデバイス。そして・・・・。
「え!?」
まるで、落雷に打たれたような気分だった。その髪の色が、その瞳の色が。何から何まで自分そっくりで。何より、自分の中の何かが告げている。自分は、この男を知っていると。
それは男も同じなようで、驚愕に目を見開き、口をあんぐりさせる。
「ま、まさか・・・・アリシアなのか・・?」
その言葉に、フェイトの奥底に眠るアリシアの記憶がスパークする。
そう、この男。この人は・・・・この人は私の・・・。
「お父・・さん・・・・?」
薄暗い闇の中で、少女はか細く呟く。
「見つけた・・・・」
少女の目の前に映るのは、金髪の女性と、金髪の青年が向かい合う映像。
女性は予想だにしなかった事態に戸惑い、青年は喜びと後ろめたさがない交ぜになった複雑な表情を浮かべていた。
「見つけた・・・フェイト・テスタロッサ・・・待っていなさい。お父様の仇・・必ずあなたに報いを・・・・」
闇の中で、少女はか細く呟く。憎しみと恨みのこもった声で・・・。
to be continued
154 :
kometi:2007/12/23(日) 11:45:55 ID:YfL+Uzcd
以上、プロローグと第一話です。
妄想だらけですみません。
GJ
これは面白そう。続きをたのしみにしてます
>>140 うはwww
サランラップ馬鹿だw
相も変わらず教導官と執務官が素敵すぎですな。
クリスマス前にGJ!!
>>154 おお!!
自分も続きが楽しみになった。
頑張って書いてください。
おお〜今までありそうでなかったプレシアの旦那の話ですか
続きを期待させてもらいます
>>114 覚悟完了済みの中将に重傷を負ってでも任務を果たす陸士、活躍フラグが立ってるアインヘリアル
暗躍してそうなスカと三脳、非殺傷?なにそれな敵
なにこの、俺の嗜好をピンポイントで刺激するSS!
>>154 GJ! 俺も自サイトでプレシアの旦那ネタ書いてるが
うん、進んでない上に特撮ネタとオリ設定に走りすぎてる俺のより1000倍面白い!
これから定期的に来ないと。
やっぱりヴェルデさんは高速移動と雷でフェイトと噛み合うバトルスタイルのようですね?
『なぜ見てるんです!?』な感じの敵らしい少女にも期待大です。
これはGJ!
続きが楽しみです。
>>158 あなたまさか浅倉さんじゃないですよね?
プレシア旦那、特撮、オリ設定ときたら浅倉さんしかおもいつかないんですけど。
それはともかく
>>1-154 GJ!です
162 :
ておあー:2007/12/23(日) 17:50:25 ID:eQJwHbfp
>>118 それもあるけど剣を十字に構えて目が光ってる奴の元ネタが長年わからなくてこの前やっとわかったか
ら漫画を読んだばっかりってのも大きいです。眼鏡好きにはたまらん作品です。
さて昨日レス下さった方、ありがとうございました。
実は推敲の段階で「今宵のレヴァンティンは〜」を邪鬼眼の台詞に差し替えてたから消し忘れがあった
かと思ってめちゃビビったじゃないか……誤字脱字や名称の間違い、不要な箇所の削り忘れは読み手の
興を削ぐので極力気をつけるようにしていますが、もしチェック漏れがあれば申し訳ないです。
それでは夕刊3日目をどうぞ。
今回の注意
・舞台はJS事件終了後、本編でいう新暦75年の年の瀬です
・基本はギャグですが、根底にあるのは『ほぼ全員に見せ場を』という気持ちです
・一部を除いて全ての登場人物が等しく壊れています。フリーダムです
・そしてネタまみれなおバ会話を繰り広げてます
・エロはユー×なのでちょっと(なのはさん的な意味でなく)だけあります。今回じゃないです
・その他オリジナルのカップリングが幾つかあります
・割といろいろ妄想設定です
という事で今回注意が多いです、酔狂な方だけお付き合いください。
シリーズのタイトル兼シルバーカーテンの起動キーは『機動六課のクリスマス』です。
5.
その日、クラナガンは悪魔達の狩場と化していた。
「受けてみて! スターライトブレイカーのバリエーション……ジェノサイドブレイカーーー!!」
「ぶううううううううううるあああああああああああああ!!」
「へっ、汚い花火なの」
「なのはさんすごーい! よーし、あたしだって!! 開発中のリボルバーシュートのバリエーショ
ン……ブロークンンンンッマグナアアアアアムッ!!」
「ちょ、それ勇者お……ギャーーーーーース!!」
「うわああああ、パンツめくれええええっ!!」
「な、なんだこいつ!? あっちょっと待って、ちょ、らめぇ……アッー!!」
「このガキ、ちょこまかと……のわあああああ!」
「『速さ』が足りないッ! 次!!」
『explosion!』
「私のターン! 真紅眼の白龍(レッドアイズ・ホワイトドラゴン)を召喚!!」
「なんだこりゃあああ!?」「ド、ドラゴンだあああっ!!」
「滅びのブラストストリーム!!」
「「ぎゃあああああああああー!!」」
「どうして逃げるのかな? かな?」
「うわああああ、来るな、この鉈女あああああああああ!!」
「くそっ! なんなんだこのヤンデレ女は!」
「ヤンデレ……? やだなあ、ヤンデレっていうのはああいうのを言うんだよ」
「うふふ、グリフィスなんて捕まって拷問されればいいんだ。それで絶望してフェムト化すればいい
んだ」
「やめて! なんかすっごく怖いからやめて!!」
ちゅどーん ちゅどーん
「な、なんだ!?」
「ヘリです! 管理局のヘリが魔導ミサイルをおおおおおーっ!?」
「魔導ミサイル!? あのぶっちゃけ魔導って名前がついてるだけの質量兵器か!?」
「バレットイメージ、魔道ミサイル……シュート♪ ああ……カ・イ・カ・ン」
「うらあああああああっ!!」
「こっちはなんだー!?」
「ドリルです!! 幼女がハンマーにドリルで男の憧れが大変です! あとはトマホークがあれば完
璧です!!」
「黙れこのロリコンが! とにかくベルカ式は遠くから撃ちゃイチコロだ! 囲んじまえ!!」
「遠くから撃てば……? ベルカの騎士の力をなめんじゃねえっ! 食らえ、『目からビーム!!』
だにょ!!」
「そんなあほなあああー!?」
『……い、いいのかシグナム?』
「既にこれだけ派手にやっているのだ。今さら被害を心配しても仕方がない」
『わ、わかったよ……猛れ、炎熱!!』
『Borgenform!!』
「借りはすぐ返す主義でな……釣りはいらん、とっておけ」
『Flammefalken(烈火の隼)!!』
「ぎゃーっ!!」(×100)
「ば、化け物どもめ……!」
「一旦引いて……って、手が俺の腹からー!?」
「ああっ、大丈夫か同胞(はらから)!!」
「そ、そんなダジャレはいいから……ぐはっ」
「あらあ、バリアジャケットが無傷なのにこの技が効くなんてなんて弱……ゲフンゲフン。じゃあお
約束ってことで……臓物(ハラワタ)をブチ撒けろッ!!」
「うわーっ!!」「ぎゃあー!!」「狙撃だと、くそっ!? どっから狙ってぐあぅ!!」
『snip shot』
「その綺麗な顔を吹っ飛ばしてやる!」
「イタタタタタ! 止めろ! 髪の毛を吸い込むなー!!」
「すごいわねえ、さすが吸引力の変わらないただ一つの掃除機、ダ○ソン」
「イデデデ……髪が! 髪が抜けちゃう!!」
『すいませーん、お待たせしましたー』
「な、なんじゃありゃあああああ!!」「せ、戦艦が出てきたぞ!!」
『さすがにアルカンシェルは撃てないんで、軽食とお飲み物を用意しましたー。殲滅に疲れたらここ
で休憩してくださいねー』
「烈風一刃! ……カートリッジが切れた!?」
「よし、チャンスだ!」「囲んでやっちまえ!!」
「くっ、こうなったら……トンファーキ〜ック!!」
「「トンファー関係ねえええええええ!!」」
「予言の結果が出ましたぁ」
「そ、それで!? 俺はいつ結婚できるんだ!?」
「……一生無理れすね」
「そんな……嘘だといってよカリム!!」
「悲しいけど、これ現実なのよね(まあこの後は一生監獄暮らしでしょうふぃ)」
「アコース査察官、シャーリーさんが休憩に来ました!」
「了解、ルキノくん。今焼きあがったばかりの新作ケーキでおもてなしするとしようか」
「アコース査察官、敵も何人か一緒に来ました!」
「了解、ルキノくん。甘いものが好きって感じでもないし、ボクの猟犬でおもてなしするとしよ
うか」
「ちくしょう、総崩れだ!」「いったん引くしかねえ!!」
「だめー! 逃がさないもん!!」
「なんだこのガキ?」「ちょうどいい、人質にしてやる!!」
「でぃばいーん、しゅーたー!!」
「(バキッ)いてっ、ちょ、やめ、(ドカッ)くそっ!」「相棒!? (メコッ)うがっ、この……
(ゴッ)ふがっ! こおおのガキイイイッ!!」
「きゃーっ!!」
「おりゃあああっ!!」
「ぐふっ!」
「アルフさん!」
「まったく、こんな小さな子供相手にいきがってんじゃないよ」
「く、くそ……覚えてろよー!!」
「あー逃げたー!!」
「ああ、心配ない心配ない」
「縛れ、鋼の軛!!」
「ぐはあああ!! ど、どうみても、刺さってます。本当にありがとうございました……(ガクッ)」
「ザフィーラ!」
「アタシらがいるからには、ヴィヴィオには指一本触れさせないよ」
「ありがとー、アルフさん、ザフィーラ! でも……ザフィーラって喋れたんだ……?」
「!! ……ク、クゥン?」
(……この期に及んで隠す必要はあるのかい?)
「ありがとうね、アルフ、ザフィーラ」
「余所見なんかしやがって……数なら圧倒的にこっちが上なんだ、覚悟しろこの痴女!!」
「痴女(ぷちっ)? ……少し、頭冷やそうか」
「ええ!? だ、だってそのスク水チックな格好はどう見てもおおおわああああ!!」
『すごいです、フェイトさん』
「二刀流でバッサバッサ……まさにフェイト無双やなあ」
『ですね……あ、はやてちゃん、あっちに敵ばかりの場所が!』
「了解や! デアボリック……エミッション!!」
……以上は後に『戦場のメリークリスマス事件』と呼ばれる惨劇のほんの一部である。
ものの数分のうちに千名以上いた違法魔導師達は総崩れとなり、今は散り散りになって逃走を図っ
ている状態であった。
しかし彼女達がそれを許すはずがない。三人の隊長達は彼等の最後の一兵まで息の根を止めるべく
最後の攻撃準備を行っていた。
「それじゃあそろそろでっかいの行くよー! フェイトちゃん、はやてちゃん!!」
「了解!」
「おっけーや!!」
三人の悪魔長が各々の最強技を放つべくチャージを開始する。
一方他所では汗をかいて酔いが抜けたエリオがキャロを必死で止めていた。
「天地貫く業火の咆哮、遥けき大地の永遠(とわ)の護り手、我が元に来(こ)よ……」
「もうやめて、キャロ!!」
「HA☆NA☆SE!!」
「とっくに周辺建造物の耐久力はゼロだよ! もう勝負はついたんだよ!! ていうか何でこんな事
になってるのー!?」
俺達の命より建物の方が大事なんですかー!? という外野の声はフリードの火球で掻き消される。
「ヴォルテールなんて絶対ダメー!! あっちじゃ隊長達がなんかすごいのチャージしてるし、この
ままじゃクラナガンが……何とかしないとっ! 誰かー! 助けてください!!」
ミッドの中心で救いを叫んだエリオの声は砲撃音と悲鳴に飲み込まれその場にいる誰の耳にも届か
ない。
しかし、その真摯な願いが通じたのか今まさに救世主は戦場に到着しようとしていた。
「チャージ……完了!! ブラスター3! スターライトオオオ……」
「プラズマザンバー……」
「響け終焉の笛……ラグナロク!!」
『ちょっと待てえいお前らああああああああ!!』
「「「ひょ?」」」
天空に轟いたその声に、三人娘の動きが止まる。
が、突然の事に制御が効かなかったのか、広範囲SLB用に展開されていたビットの一つが暴発し
射線の先にいた魔導師達の断末魔が響いた。
「あーなのはちゃん先走りはずるいで!」
「にゃはは、ごめんごめん。じゃあ改めて……」
『だから待てえい!!』
「もう、さっきから邪魔するのは誰なの!? そっちを先に撃ち落すの!!」
「……だ、ダメっ!!」
「どうしたのフェイトちゃん?」
「この声は……私のお兄ちゃんだよ!!」
『やれやれ、やっと正気に戻ったかフェイト。とはいえこれまでやった事が帳消しになるわけじ
ゃないがな』
ジャーン、ジャーン、ジャーン!! とド派手な音を立てながら空中に現れたのは、XV級大型次
元航行船、クラウディアだった。
「げえっ、クロノ! 提督!!」
『とってつけたような言い方はせんでいい、はやて。さて……今回僕がわざわざここに来た理由がわ
かるか?』
「そらもちろん、三期で不発に終わったスーパークロノタイムを実現させるためやろ? えらい気に
しとったもんなあ」
『なぜそれを……ってちがーう!!』
クラウディアからバリアジャケットを纏ったクロノが飛び出す。
「ロウラン君から非常事態を告げる連絡があったんだ! メッセージは『訓練室が壊れる』。この言
葉が意味するのは『次元災害級の事態が起こる可能性あり』だ!! だから君達を止めに来た」
「心配せんでもこのトリプルブレイカー撃ったらやめるで? 相手が全滅するから」
「だからそれを撃ったらクラナガンも崩壊するだろうが! だいたいなぜ君達のリミッターが解除さ
れているんだ!?」
「騎士カリムが一晩でやってくれました」
アースラで休憩していたカリムがクロノの視線に気づいてていとーく、とひらひら手を振る。
「騎士カリム、なぜ貴方が!? くそっ、シスターシャッハは何をしてたんだ!!」
「シスターならあそこで暴れとるで」
「トンファービィイーム!!」
「だからトンファー関係ねえええええー!!」
「ちゅうことや」
「……揃いも揃ってこの酔っ払いどもがー!! もういい、君達の相手をしていたら本局からの増援
が来てしまう。この後の隠蔽工作をスムーズに行う為に実力を行使させてもらうぞ! 悠久なる凍土、
凍てつく棺のうちにて永遠の眠りを与えよ……」
クロノはデュランダルを構える。
彼が本気である事を示す極大凍結呪文の詠唱が聞こえてきたところで、さすがのはやてにも焦りが
浮かんだ。
「ちょ、こんなとこでエターナルコフィン!? 無茶苦茶や! リィン、対低温用のフィールドはや
く!!」
『やってますけど、クロノ提督が詠唱を終える方が早いですっ! 間に合わないですー!!』
「……凍てつけっ!!」
『Eternal Coffin』
クロノの言葉がトリガーとなり、攻撃対象を付近に存在するものを丸ごと凍結させる広域攻撃魔法
が放たれる。
「ねむい……ねむい……けど眠ったら死ぬ……」
『はやてちゃん、しっかりしてください! 攻撃は受けてないですよ!!』
「ほぇ?」
「アホか君は。君を狙ったら周囲の街ごと凍りつてしまうだろう」
クロノが溜息をつく。
「ほんなら、放たれた魔力は何処に?」
「あそこだ」
クロノが指し示したのは、空。
そしてその先にある常識外の大きさの氷塊。
空に向かって放たれたデュランダルはかつて闇の書の闇ごと付近の海を凍らせたように、今見渡す
限りの夜天を凍らせていた。
「まずはその酔いを醒ましてもらわないといけないからな。手っ取り早く頭から水でも被ってもらう」
「……クロノ提督て、濡れ透けフェチやったん? それとも濡れ髪好き?」
「君はもう喋るな……シグナム」
「ここに」
いつの間にかクロノの横に控えていたシグナムが両の手に炎を宿らせMAP兵器の発動を開始する。
「なぜそこにシグナムがいるーっ!?」
「氷を溶かすには熱が必要だろう。こんな事は子供でも分かるぞ」
「アカンアカン、氷系の高位呪文と炎系の高位呪文を組み合わせたらメドローアに……ってそんな話
やないって! シグナムかて私らと一緒に暴れとったやないか!!」
「確かに彼女は君達がここに来る前から局員を率いて犯罪者と戦っていた。だが酒に酔っぱらってや
りたい砲台に暴れた君達とは根本的に違う」
「いやいや、一緒に暴れとったって! 数個上のレス見たらわかるし! なんやノリノリで新技撃っ
とったし!!」
「数個上? レス? ……シグナム、君の主人はいったい何を言っているんだ?」
「おそらく酔っぱらいの戯言でしょう。真面目に耳を傾ける必要はありません」
「だろうな。それじゃあはやて、フェイト、なのは……他多数。少 し 頭 冷 や そ う か」
「こんの裏切りモンがああああああーー!!」
血を吐きながら絶叫する者。
「そのネタはさっき私が使ったよお兄ちゃん!!」
こんな時でもツッコミを忘れない者。
「諦めちゃダメ! 諦めたらそこで試合終了なの!!」
なお反撃しようとする者。
「粉砕! 玉砕! 大喝采!!」
「キャロ、もういいんだ……一緒に頭を冷やそう?」
素直に諦める者。
「……なあ、レジアス。今だから言えるけどよ、俺らアンタの事嫌いじゃなかったんだぜ? アンタ
は今目の前にいる化物達に比べりゃ屁みてえな奴らを上手い事使って、何度も俺達の計画をブッ潰し
てくれたよなあ……あの頃はこっちも何とかお前の裏をかいてやろうってんで、暇さえありゃ顔突き
合わせて無い知恵絞ったもんだ……俺がお前のいる場所に行ける訳はねえけどよ、もし向こうで会え
たらまた、楽しくやろうぜ……」
人生を振り返る者。
「もう帰るのー?」
「そうだよ、悪い奴らはあらかた片付けちまったからね。あとはママ達に任せてアタシらは先に帰ろ。
冷えてきたし、ヴィヴィオが風邪引いたら大変だよ」
「だいじょーぶ! ザフィーラにくっついてたら、全然寒くないもん」
「バウッ!」
「……」
『あ、ヴィヴィオにザフィーラとアルフさん、戻るんならアースラで送っていきますよー』
『ちょうど紅茶も入れたところさ。冷えた体が温まると思うよ』
「だってさ、どうするヴィヴィオ?」
「おねがいしまーす!」
そしてちゃっかり脱出する者。
こうして、その場に集まっていた、其々に異なった想いを抱いた者達は――
「火竜、一閃!!」
氷と炎の併せ技で皆等しく頭を冷やされた。
ちなみに非殺傷設定なので死にはしません。たぶん。
『うっひゃ〜……ちべたそう……』
「怪我をしているというのにすまなかったな、シグナム」
「いえ、主の為ならばこの程度の傷などどうということはありません」
「……それじゃあ、後で君からもその主にお説教しておいてくれ。とりあえず怪我の手当てをする、
中に入ってくれ」
「ありがとうございます。行くぞ、アギト」
『……なあ、シグナム』
「どうしかしたか?」
『いや、コンクリート舗装のせいでさ、大量の水が地面に染み込まずに溜まって大変な事になってる
んだけど……』
「うむ。これを教訓にして、新たな都市計画には水害対策もしっかり盛り込んでもらいたいものだ」
『……シグナム、もしかして怒ってたのか?』
「別に怒ってなどおらん。たとえ私が寒空の中必死の想いで戦いあまつさえ死にかけている時に、仲
間達がこちらに差し入れの一つも寄越さず酒を飲んで騒いでいたのだとしてもそれは私が怒る理由に
はならん」
『まあ、気持ちはわかんなくもないけどさあ……』
「さあアギト、中へ入るぞ。まったく今日はよく冷えるな」
こうして、事件は『街で暴れていた悪い違法魔導師達は、正義の味方機動六課とそれを援護した艦
船クラウディアの乗組員によって無事解決』された。
なおこの一件を機に市民から『ミッド地上本部にももっと優秀な魔導師を多く配備するべきだ』と
いう声が多く寄せられ、数年後の大規模な改革に繋がっていくのだがそれはまた別の話である。
←To be continued...
170 :
ておあー:2007/12/23(日) 17:58:53 ID:eQJwHbfp
以上です。お付き合いくださった方、ありがとうございました。
レジーと悪党達の間には無言の男の詩や奇妙な友情(おそらく一方的)が存在したようです。
そして昨日名誉回復しそこねたシグナムが空気を読まずに一人マジな新技を披露してますが無害で
す。姐さんこの上レヴァ剣の新モードとかチートですよ姐さん。
>>ゲリラ氏
ごっつぁんです。といってもあと二日だけなんですがw
ということで明日は海上隔離施設組、明後日が大人の時間の予定です。
海馬キャロwwwwwwwwwwwwwwwwwwww
ておあー氏の才能に嫉妬したwwwwwwwwwww
無茶苦茶というか
なんという歳末スペシャル!
これは本来原作でやるべきことだ(断定
ところで司書長はどこだ?
>172
ウロススレの鍋の中に。
じーじぇ。
でじこがかわいかったです。まる。
GJwwwwwどこまでネタを盛り込む気ですかておあー氏w
桜木シグナムに吹いたw
>>172 これが司書
途中送信してしまったorz
>>172 これが司書長の必殺技、インビジブルヒロインだよ。
効果は、裏ヒロインである自分の存在を表舞台からけす。
ちなみに効果は本人の意思とは無関係に発動しています。
もうネタだらけでわけわからんw
トンファーキックで撃沈したw
>>170 なんというネタ大盛り……はっちゃけてますなぁ
たまにはこーゆーのもいいGJ
しかしヴィヴィオは、いつもどんなのに出てきても無敵な気がする…w
美味しいキャラだなぁ
>>170 GJ!!クリスマスって恐いっスねw
昨日から今日にかけてエロ、非エロとも職人さんの投下が多い気がします。
もしかして俺たちへのクリスマスプレゼント?
180 :
kometi:2007/12/23(日) 21:48:23 ID:YfL+Uzcd
こんばんわ。「cold sleeper」の続編を投下したいと思います。
一話分の尺が短いので、2、3話くらい一気に落とします。
・今回あたりからオリ設定の色が強くなります。
それは突然の出会いだった。
青年は、自分のことを「娘」と呼んだ。
自分は、彼のことを「父」と呼んだ。
だからそれは、紛れもない事実。気持ちがどれだけ否定しても、記憶がそれを肯定していた。
魔法少女リリカルなのはSTRIKERS・異伝「cold sleeper」
第2話「過去から来た男」
「どうして理由を言ってくれないの!」
「何度も言っただろう、これは陸の事件だ!」
狭い小部屋の中で、フェイトとクロノは怒鳴りあっている。かれこれ1時間、2人は同じようなやり取りを延々と繰り返していた。
ここは陸士108部隊隊舎の中にある取調室だ。あの後、サイレンの音を聞きつけた黒づくめの青年はいずこかへと去ってしまい、
少年の保護を優先したフェイトは彼を追いかけることができなかった。仕方なく駆けつけた陸士隊とともに現場検証を行っていたのだが、
そこに何故か義兄であるクロノが現れ、半ば強引にフェイトをここへ連れ込み、「この件からは手を引け」と言ってきたのである。
「フェイト、君だって海と陸には住み分けがあることを知っているだろう。本局の人間は、地上の事件に極力手を出してはいけない」
「私が聞きたいのはそんな一般論じゃない。あるんでしょ、私を遠ざける理由が!」
クロノらしからぬ言葉に、フェイトは激昂する。彼は何かを隠している。それは、誰の目にも明らかだ。
「あの黒い男の人・・・・私と同じ髪の人のことだよね」
「会ったのか、あの男と」
「・・・私のこと、『アリシア』って呼んだ・・・・ねぇ、あの人は誰? 私に・・・テスタロッサに関係ある人なんでしょ!?」
「それは・・・・言えない」
「クロノ!」
「フェイトさん、落ち着いて!」
今にもクロノに掴みかかろうとしていたフェイトを、ギンガは制止する。
「フェイトさん、暴力を振るっても、何も解決しません」
「そうだぜ、ギンガの言う通りだ」
ゲンヤも娘に同意する。一応、事情聴取という名目でこの部屋を使っているため、名ばかりの書記官として彼に同席してもらっているのだ。
ギンガは、その補佐というか、2人のストッパー的意味合いが強い。
「・・・はい、軽率でした」
「そうだな。だがな、提督さんよ」
今度はクロノの方を向いて、ゲンヤは言った。
「こいつはお前さんたちの問題だ。だから、俺らがちょっかい出す権利はねぇ。けどな、知らないままで後悔するよりは、
知って後悔した方が良いんじゃねぇか? それとも何か、おたくの義妹は、この程度のことで根を上げるほど、柔な小娘なのかい?」
「違う、そんなことはない!」
「だったら、言ってやんな」
ゲンヤの言葉に、クロノはし押し黙る。そして、しばし逡巡した後、降参だとばかりに両手を上げた。
「わかりました、包み隠さず全部話します。ですが、三佐」
「ああ。ギンガ、俺達は外で待っていよう」
「え、父さん?」
書記官がいなくなっては、事情聴取という名目が成り立たなくなるのでは?
「構うもんか。どうせ、みんなさっきの事件の調査で出払っているんだ」
「・・・・わかりました。フェイトさん、クロノ提督、失礼します」
フェイトとクロノを残し、2人は退室する。
気まずい雰囲気が流れる中、最初に口火を切ったのはクロノだった。
「話すと言ったからな、今さら撤回する気はない。けれど、これを聞いたら後戻りできなくなる。それでも良いか?」
「うん、覚悟はできている」
強く、ハッキリとフェイトは頷く。
「わかった。これはついさっき局のデータベースで知ったばかりのことで、まだ僕とナカジマ三佐しか知らないことだ」
そう前置きして、クロノはフェイトの目を見つめる。その目に強い意思が宿っていることを確認すると、再びクロノは口を開いた。
「君が遭遇した黒づくめの男。彼の名はヴェルデ・ヴァーチェッタ・・・懲役300年の凶悪犯罪者。そして・・・・プレシア・テスタロッサの、元夫だ」
「プレシア母さんの・・・夫・・・?」
「つまりは、血縁上で君の父親ということになる」
そう、それでなければ説明がつかない。不可思議な同調、同じ色の髪と瞳、奇妙な既視感。初めて会ったにも関わらず、自分は彼を「お父さん」と呼んだ。
あれは、自分の中のアリシアとしての記憶が言わせたことだ。
「待って、プレシア母さんの旦那さんなら、60歳近いおじさんでないとおかしいよ。けど、彼はどう見たってまだ20代だったよ」
「それには訳がある。まずは、彼の局員時代のことを話そう」
そして、クロノは語りだす。秘匿され続けてきた、ヴェルデ・ヴァーチェッタの生涯を。
「ヴェルデ・ヴァーチェッタは、かつて本局武装隊に所属していた、ストライカー級の魔導師だった。魔導師ランクは陸戦A。
得意としたのはスタンドアローンでの戦闘、潜入工作」
決して魔力が高かったわけではない。特殊技能も持っていない。だが、足りないものは鍛錬と工夫で補った。
愚直なまでに修練を積み重ね、鍛え抜いたその体と魔法は、あらゆる不可能を覆したという。一説には、彼こそがストライカーのルーツであると言われている。
しかし、そのために犠牲にしたものは大きかった。
「経歴を見ただけで驚いたよ。一年のほとんどを最前線で過ごすなんて、僕にもできない」
家族を顧みず、平和だけを望み、戦いぬいた故のストライカーの称号。
「そのせいでプレシアともすれ違い、アリシアが2歳の頃に離婚した。そして、あの事件が起きたんだ」
それは、新暦37年のこと。ミッドチルダ南西部において演習を行っていた陸士隊二個中隊が壊滅するという事件が起きた。
ただちに現場に駆けつけた本局武装隊は、そこで血まみれになって倒れるヴェルデを発見し、これを保護した。
その後、生存者の証言から犯人がヴェルデであることが判明し、彼は裁判にかけられ、当時では異例ともとれる300年の冷凍刑に科せられた。
「300年の・・・冷凍刑・・・」
「そう、本当なら、300年眠っているはずだった」
だが、彼は目覚めてしまった。どういう経緯かは知らないが、彼は時空管理局本局へ護送される手続きが取られていたのだ。
そして、その途中でガジェットに襲撃され、そのショックで目覚めてしまったヴェルデは現在逃亡中というわけである。
「以上が、僕の知っている全てだ。すまない、君には辛いことだと思って、話さない方が良いと思ったんだ」
フェイトは答えなかった。答えられなかった。38年もの時を超えて目覚めた青年。彼は今、どこで何をしているのか。
それだけが気がかりで、フェイトは何も言うことができなかった。
to be continued
時を超えた男がいる。
彼は罪を犯し、その罰として長い眠りについた。
そして目覚めた世界で、実の娘とそっくりな少女と出会った。
魔法少女リリカルなのはSTRIKERS・異伝「cold sleeper」
第3話「father and daughter」
多分、そこに行けば会えると思った。
アルトセイム。かつてフェイトがプレシアとともに暮らした、時の庭園が停泊していた場所だ。
開発とは無縁な緑豊かな場所で、フェイトにとっては故郷のような場所である。そして、多分彼にとっても。
「ここに来れば、会えると思いました」
湖面に映った月を見つめる金髪の青年に、フェイトは話しかける。
「ああ。ここなら、会えると思っていた」
自分を見下ろす金髪の女性に、ヴェルデは答える。
きっと、2人は気づいている。お互いが、自分達にとってなんなのかを。
「単刀直入に聞くから、正直に答えてくれ。お前は・・・アリシアじゃないのか?」
「はい。私はフェイト・・・フェイト・T・ハラオウン・・・あなたの娘、アリシア・テスタロッサではありません」
フェイトは語る。アリシアが死亡したこと、自分がアリシアのコピーとして、プレシアに造りだされたこと。PT事件の顛末。
自分が知りうる限りで、彼が知りたがっているであろう全てを語って聞かせる。
長い長い独白が終わると、ヴェルデはフェイトから目を反らし、湖面に石を投げ入れる。湖面に映っていた月が、波紋でユラユラと揺れた。
「滑稽だな。38年も眠っていて、妻にも娘にも死なれて・・・・俺は世界で一人ぼっちか・・・畜生っ!」
自虐するように、ヴェルデは後頭部を木の幹に打ち付ける。
「そして何か、お前はアリシアのクローンで・・・プレシアを殺した張本人ってわけだ!」
行き場を失った嘆きは、怒りとなってフェイトに牙を向く。
覚悟はしていた。確かに、自分は母を救うことができなかった。殺したのだと言われても、否定する気はない。
それすら受け入れようと、何があっても強く前を向こうと、そう心に誓って生きてきた。だから・・・・。
「お前が・・・プレシアを・・・」
彼に殺されても、文句は言えないと思っていた。
ヴェルデの手には、管理局支給のデバイスが握られている。距離はほぼ0。オーバーSランクの魔導師といえど、
この距離で直撃を受ければただでは済まない。
「・・・・・・・・・・・」
冷たい風が頬を撫でる。
ヴェルデは撃たない。唇を結び、何度も手の平に力を込めるが、魔力が流れる気配すらない。
やがて、ヴェルデはデバイスを待機状態に戻すと、力なく尻餅をついた。
「撃てるかよ・・・例え本人じゃなくても、お前はアリシアだ。プレシアが生んだ、もう一人の俺の娘だ。それを、父親の俺が撃てるかよ」
ヴェルデの頬を涙が伝う。それが妻と娘との別れを悲しむものなのか、或いは新たな娘との出会いを喜ぶものなのかは、誰にもわからない。
ただ、涙を流す彼を見ていると、フェイトは堪らなく悲しくなった。
そっと、フェイトはヴェルデの手に自分の手を添える。
「教えてくれませんか、プレシア母さんのこと」
「・・・・ああ」
2人は話し合った。プレシアのこと、アリシアのことを。自分達を繋いでくれる、唯一の絆を。
「プレシアは、俺が管理局に入ったばかりの頃に出会ったんだ。いけ好かないが良い女でな、よく喧嘩したが、それがきっかけになっちまったんだろう。
いつの間にか、あいつのことしか考えられなくなっていた」
「私は、母さんのことはよくわからないんですけど、私の中のアリシアの記憶では、とても優しいお母さんでした」
「ああ。アリシアには優しかったからな。けどな、結構嫉妬深くて、浮気の一つでもしようものならものすごい剣幕で怒りやがって」
「それは、自業自得です」
「手厳しい。そういうところはプレシアそっくりだ」
「お褒めに預かり、光栄です」
「褒めてねぇ・・・で、この場所でプロポーズしたんだ。その時はさすがに、緊張したな」
「私も、12年前までここで母さんと暮らしてたんです」
「そうなのか? あいつ、結構可愛いとこあるじゃねぇか」
「惚れ直しました?」
「当然、なにせ俺の妻だからな」
「そういえば、今何歳なんですか?」
「えっと、26で冷凍されたから・・・・64歳。もう爺さんだな」
「ということは・・・18歳で結婚したんですか!?」
「まあな。そういうお前は何歳だ? 恋人はいるのか?」
「・・・・20歳です。恋人は・・・・いません」
「ははっ、落ち込むなって。きっと良い奴いるから。そうだ、俺の同級生を紹介してやろうか?」
「もうヨボヨボのお爺ちゃんじゃないですか!」
2人は話した。とりとめないことを。お互いの近況を。まるで、隔てられた時間を埋めようとするかのように。
やがて、自然と話は、かつてヴェルデが起こしたという陸士隊壊滅事件へと矛先が向かった。
「・・・・あの、本当に、陸士隊を壊滅させたんですか?」
「・・・・・・・・・」
「もし無実なら、私がなんとかします。難しいかもしれませんが、調べてみて・・・・」
「悪い。覚えてないんだ。何があったのか、そこだけゴソッと抜け落ちている」
「そう・・・ですか・・・」
力なく、フェイトは肩を落とす。
「気にすんな。やったのは事実だし、管理局に不満がなかったわけじゃねぇ。ま、キレて見境がつかなくなったとでも思っておくよ」
それは、どういう気持ちなのだろうか? 自分がやったかも定かではない罪で、裁かれるというのは。少なくとも、フェイトには想像することもできない。
「それじゃ、俺はもう行くわ」
「え、もう・・・・?」
「あんま夜更かししていたら、体壊すぜ。それに、俺は逃亡者だ。命ある限り逃げ続けなきゃな」
シニカルに笑い、ヴェルデは夜の森へと去っていく。フェイトは何か言おうと口を開くが、
歩き去る背中があんまりにも寂しそうだったので、いったい何と声をかければ良いのかわからず、ただ見送ることしかできなかった。
闇の中で少女は呟く。恨みを込めて、憎悪を込めて。
闇の中で少女は妬む。彼女の幸福を、我が身の不幸を。
「待っていてね、お父様。必ず助けますから、今は私の自由にさせて・・・・あの女を殺したら、すぐに助けに行くから」
闇の中で少女は呟く。あの金髪の女性を憎み。
闇の中で少女は呟く。父を捕まえたあの執務官を。
to be continued
支援
186 :
kometi:2007/12/23(日) 22:00:35 ID:YfL+Uzcd
とりあえず、ここまでです。会話文がやたら多いですが、ご容赦ください。
>>186 GJ!!リアル読みしてすごい面白いですw
どうなる?まじでどうなる?
>>186 いやいやテスタロッサパパンとフェイトの会話部分とか好きですわー
Good Job!
しかし、冷凍刑っての映画とかでも使われたりするが、冷凍されてる間、
本人寝てるだけだし、刑罰として意味あるのか疑問…。
>>188 『世話なんかしたくねーよぅ……でも外に出すわけにはいかねーし……そうだ! 凍らせればいいじゃん!』
な理論だったりしてw
>>186 GJ!
wktkwktkwktk
イイヨイイヨー
>>188 自分だけ時間の流れから取り残されるって辛いよ。
あと、更生の見込みが無くてかつ殺すと色々面倒な奴相手には有効。
まぁでも問題の先送りな面が少なからずあるのは確かだよな
冷凍刑……氷の結晶が細胞膜を突き破るほどの温度で凍結させれば
て、これは死刑か
193 :
サイヒ:2007/12/23(日) 23:03:25 ID:junZD/qm
今年最後のクロフェは何にすべきや、と脳内円卓会議にかけたら「インパルス!インパルス!」と満場一致で決定。
というわけで、クロフェのバリアジャケットエロの前編いかせてもらいます。執務官だいぶバースト気味。ついでにちょいS。前回ほどではないけど。
ぶっちゃけ犯ってるだけの話。ストーリー?俺そんなもん食ったことないよ?
萌えとか燃えとかギャグとかハートフルは他の職人様に任せた。俺はいちゃラブとエロスに生きます。
194 :
サイヒ:2007/12/23(日) 23:04:45 ID:junZD/qm
「……なあ、フェイト」
戸惑ったような、呆れたような声。
声の主であるフェイトの恋人、クロノは難しい顔をしている。
「なに?」
クロノが何を訊きたいのか分かっていながら、わざと首を傾げてみるフェイト。
「どうしてそんな格好してるんだ?」
クロノが指摘したフェイトの服装。それは戦闘時に纏うバリアジャケット姿であった。
インパルスフォーム。ゆったりとした漆黒の布地で構成されたそれを、恋人であり家族であり上官であ
るクロノが知らないはずはない。
クロノが本当に言いたいのは、なぜこの場所この時間にこの格好をしているかだろう。
場所は戦艦の艦橋でも訓練場でもなく、我が家の自室。時刻は夜の十時。普通恋人同士がこのシチュエー
ションに置かれれば秘め事が始まるものであり、現にフェイトもそのつもりで彼の部屋を訪れている。間
違っても戦闘服が必要な場ではない。
「前に真ソニックフォームでしたら、すごく激しかったでしょ? だったら、こっちでもクロノが喜ぶか
なって思って」
フェイトの説明にも、クロノは腑に落ちない顔のままである。
露出度が高く扇情的な真ソニックフォームと違って、インパルスフォームの露出度は低い。ニーソック
スとスカートの間から腿がちらりと見えている程度であり、指すらも手袋で隠れている。
これを見てそそられるか、と言われても疑問符がついて当然であろう。
そんなクロノの様子に、フェイトは内心にんまりと笑う。
彼は気づいていない。このインパルスフォームは、ある一点においては真ソニックフォームを上回る凶
悪な魅力を備えていることを。
まあ、気づかなくて当然とも言える。フェイト自身、少しバリアジャケットの意匠を変えようかとあれ
これ試していて偶然気づいたものなのだから。
そして気づかれないことこそが、フェイトがこの服装を選んだ理由であった。
基本的に受身を好むフェイトだが、たまには主導権を握りたくなる日もある。そして、今日はまさにそ
んな日だった。
しかし普段はフェイトに甘いクロノも、ベッドの上では自分の好きなように動きたがる癖がある。やる
とするなら、思考の死角をついて一気にフェイトのペースに持ち込むしかない。
「ねえ」
そんな考えはおくびにも出さず、フェイトは少しだけ艶を混ぜた声でねだる。
「クロノもバリアジャケットを着て」
「……どうしてだ?」
「そっちの方が雰囲気が出るから」
「どんな雰囲気なんだか」
「外とか仕事場とかでしてるみたいな雰囲気」
これは本当に他意はない。自分が着たから彼にも着て欲しいという程度の理由である。
疑わしげな顔をしながらも、クロノは提案を受け入れてくれた。
ポケットから待機状態のデュランダルを出して、バリアジャケットを装着する。
フェイトと違って、十年前からあまり変化の無い黒装束。いつもと違って、肩から突き出している棘の
ようなものがない。危ないと思って外したらしい。
「まずは私がしてあげるね」
ベッドの中央に座っているクロノ。その足元の方からにじり寄っていき、フェイトは彼のズボンの前を
開いた。
いつもならすでに硬くなり引っかかって開きにくいが、今日はすんなり下ろせた。出てきた陰茎は、ま
だ萎びている。これから性交をするのだという気分に、いまいち浸れてないらしい。
その先端にフェイトはちゅっとキスし、そのまま舌で舐めだす。すぐに血が通い始め、大きさも硬さも
数倍に膨れ上がった。
しかしフェイトはその幹に舌を伸ばすことも手で擦ることもせず、棒付き飴を楽しむ子供のように舌を
亀頭で動かすだけであった。
「フェイト、もうちょっと強く……」
「焦らなくていいよ。クロノの大好きなこと、すぐにいっぱいしてあげるから」
先端から分泌されつつある塩味の液体をじゅっ、とすすってフェイトは口を離す。
本番はここからだ。
膝立ち状態になり、クロノの顔と同じ高さに胸を持ってくる。まだ何が起こるのか分かってないらしい
彼の眼前で、ゆっくりとボタンを外していく。
ボタンを外すとき特有の、ぷちぷちという金属音。
胸の上から下乳の辺りまで外したところで、上着の合わせ目に指を引っ掛けて一気に引っ張った。
「うっ……!」
押し殺した唸り声をクロノが上げる。
弾けるように飛び出したのは、大きさも張りも完璧なフェイトの美乳。
いつもならこの下にもう一枚バリアジャケットを着込んでいるのだが、今日は上着の下は直接素肌であ
る。
ただのフェイトの胸なら、クロノはさんざん見慣れているだろう。
しかし今は服と中途半端に外したボタンによって上下左右から根元を絞られて、ただでさえ大きいもの
がさらに突き出している。
おまけに布地の黒さにより、肌の白さがいっそう映えている。
インパルスフォームを着たフェイトにしか出来ない、クロノの魅了の仕方だった。
効果は抜群だった。クロノはそれこそ視線で穴が開きそうなぐらい、まじまじと見つめている。そのま
ま顔が近づいてくる。
「だめ」
クロノの唇が乳首に接触する寸前、フェイトは額をつんと弾いて止めた。
このまま胸を吸わせたりしたら、その愛撫に翻弄されて好き勝手にされてしまうだろう。
「口じゃなくて、こっちで味あわせてあげる」
淫卑に笑い、フェイトはもう一度クロノの股間にしゃがみこんだ。このまま、奉仕に見せかけて一気に
自分のペースに持ち込む。そうすれば、しばらくクロノの身体はフェイトの思うがままになる。
先ほどより明らかに硬さと熱さが増した肉棒。そのまま挟むと思わせておいて、屹立した肉棒の先端に
豊かな胸を着地させた。
「つぅっ……」
胸での奉仕は何度もやっているが、基本的に幹を挟むものであり亀頭を刺激したことはない。慣れぬ感
触に、クロノが戸惑ったように呻く。
硬さも太さも申し分ないクロノの肉棒だが、さすがにたっぷりとしたフェイトの乳房を支えられるわけ
がなく、横に傾きかける。
「あっと」
フェイトは右手で陰茎を、左手で自分の胸を支える。そのまま、むぎゅっと押しつける。
柔らかい乳肉はクロノの亀頭を完全に埋れさせ、鈴口の窪みすらみっちりと塞いでしまった。
身体を上下に揺すり微細な刺激を与えつつ、陰茎を握る指も小さく動かして裏筋を撫でる。
「けっこう、くるな……」
「ふふ、クロノは本当におっぱい好きだね。もし私が貧乳だったら、愛してくれなかった?」
「……答える必要があるのか、その質問に」
クロノの返答は悪い意味ではなく、分かりきっていることを言う必要がないということだろう。
(こういうことは、ちゃんと口にしてくれた方が嬉しいのに)
マシになったとはいえ、やはり彼は鈍感だ。内心ふくれながら、フェイトは乳遊びを続ける。
しかし初めてのこととはいえ、しょせんは前戯のそのまた前戯。快感は薄い。またすぐにクロノが焦れ
るような顔になった。腰も僅かながら乳房を押し上げるよう動いている。
「がっつくのは格好悪いよ」
「それは君もだろう」
きゅっと胸の先端が捻られた。
「まだ僕はなにもしていないのに、こんなに硬くしてる」
胸の形が変わることによる軽い刺激と飲み干すクロノの体液だけで、フェイトのそこはすでにしこって
いた。
「は……ん……」
性感に小さく火が灯り、もっとしてほしくなるが自制する。今フェイトが本当にしたいことはクロノを
攻めることであり、攻められることではない。
「挟んであげるから手をどけて」
やや強引に愛撫の手を中止させる。
フェイトも胸を離すと、出口を塞がれていた先走りが吹き出すように流れて胸と手を汚した。その液体
を、肉棒に塗りこめる。
準備は完了した。胸の谷間を開いたフェイトは、灼けた鉄棒のように熱い肉塊を導き入れた。
脇を締め、両側から押さえつける。クロノの男根は、先端を除いてすっぽりとフェイトの胸の中に取り
込まれた。
「なんだか……いつもより挟むのがきついな」
「そうかな?」
力加減は普通のはずだが。服に根元が絞られているからかもしれない。
「でも、きつい方が気持ちいいよね?」
「……それもそうだな」
「じゃあ、始めるよ」
ぬめりは充分なので、始めからフェイトは激しく身体を上下させた。
白い肉の間から出入りする赤黒い物体。グロテスクなはずのそれが、フェイトの目には美味しそうとも
可愛いとも思えるのが、我ながら不思議である。実際に味を知り、これが見た目以上に凶悪なシロモノで
あることも知っているのに。
新たに零れた液体により、すぐにぐちゃぐちゃと音が立ち始めた。摩擦熱で、フェイトの胸も温度を上
げていく。
身体を動かすのを止めて手だけで乳房をぐにぐにと捏ね、乳肉の間から顔を見せている先端に吸いつく。
だいぶ苦味が強くなった先走りを、舌の上で転がして味わうフェイト。
『クロノの、いつも以上に濃いよ。そんなに溜まってた?』
「そんなこと……訊かないでくれ」
『最後にしたのは一週間前だったかな。それから自分で処理しなかったの?』
「だからそんなの……くぅっ」
念話でも彼を攻めつつ、クロノの味にうっとりするフェイト。その間も胸の蠕動は止めない。
以前は胸が日に日に大きくなっていくのが恥ずかしく、小さくすることが出来ないものかと無理なこと
を考えていたものだったが、今はこうして彼を悦ばせることが出来るためありがたく思っている。
頭も動かしているため、髪が頬にかかった。邪魔な髪の毛を、わざとゆっくりかきあげる。こういう仕
草もクロノを興奮させると、いつのまにか覚えた。
案の定、先走りの量がはっきり分かるほど増えた。陰茎全体が膨れ上がり、温度も確かに上がっている。
軽くつつけばそれだけで破裂しそうである。
「は……ぅぅっ……!」
だがクロノはまだ耐えている。双丘に激しくしごきあげられて仰け反りながらも、もう出そうだとも弱
くしてくれとも口にはしない。
(我慢したって無駄なのに……)
ちろちろと雁首を舐めながらフェイトは思う。
クロノがフェイトの性感帯を知り尽くしているように、フェイトもクロノが感じる場所を熟知している。
主導権さえ握り続けられれば、クロノを射精させることは難しくない。もし今すぐフェイトが本気になれ
ば、十秒経たずして果てさせることが可能だろう。
もっとも、我慢してくれる方がフェイトも愉しめる時間が延びてありがたいのだが。
「ぷはぁっ」
少し息が苦しくなったので、いったん全部の行動を止める。
酸欠なのか熱さのせいなのか、ぼうっとしている頭を冷ましていると、内股のあたりに違和感があった。
むず痒さのような、切なさのような奇妙な感覚。
無意識に足を擦り合わせてから、その理由に思い当たった。
もう一度口を亀頭に戻しながら、そっと自分の股間に触れてみた。
上半身と同じく、こちらもスカートの下は直接秘裂である。ぬるりと、指先に感じる熱い液。
(……濡れてる)
それもうっすらとした湿り気ではなく、指を動かせば小さく水音が立つぐらいに。
触れたとたんに、疼きが倍増する。思わず指が入り口を開き、潜り込んだ。
第一関節まで入ったところで侵入は止まったが、そのまま指を折り曲げて敏感な粘膜を擦る。自然に、
フェイトの背中が猫のように丸まる。
(ふぁ……見てるのかな)
こっそりやっているつもりでも、きっとクロノは気づいて凝視しているはずだ。フェイトの自慰を。頭
の辺りに、視線を感じる。
「はっ……ん……!」
そう思うと背徳感のようなものに背を押されて、よけいに指が止まらない。見られたい。もっと見せつ
けたい。こんなはしたない自分に激しく欲情させたい。
(私、いつのまにこんないやらしくなったんだろ……)
昔はこんなではなかった。会話中にその手の話題が出ようものなら頭に血が上って俯いてしまい、そこ
を友人達にからかわれてばかりだった。同い年の女の子と比べれば、性知識は十分の一もなかっただろう。
それが、クロノと肌を合わせるようになって一年足らず。今やクロノのものをしゃぶりながら、自分で
自分を慰めている有様である。
(でも……かまわない……よね)
こんな姿をフェイトが見せるのは、愛しいクロノだけだ。彼ならこんないやらしい自分でも受け入れて
くれる。いっぱい愛してくれる。
ぼやけた頭で、指をもう一本増やそうかと考えた時だった。胸を弾き飛ばす勢いで、クロノが立ち上がっ
た。同時に、フェイトの頭が掴まれ前後させられる。
「うむぅ!? んん!! んー!!」
咽頭を突き破る勢いで口内が蹂躙され、一気に意識が鮮明になる。反射的に暴れるフェイトだが、後頭
部の手が許してくれない。
一際強く腰が口に叩きつけられ、同時に口中が熱い液体で溢れた。ほとんどは唇からこぼれたが、一部
が開いたままの気管に流れ込む。激しい吐き気に涙目になるフェイト。
最後の一滴まで放出してからようやくクロノの手が解かれ、フェイトは激しく咳き込んで口と喉の中の
ものを全部吐き出す。クロノのバリアジャケットに、唾液交じりの白濁液が飛び散った。
「ごほんっ! げほっ! ……もう! ひどいよクロノ!」
自分が盛り上がるのに夢中になって焦らしすぎたフェイトも悪いが、さすがにこれだけ乱暴なのには腹
が立つ。
「すまない。君がその……一人でしている姿を見てたら、つい我慢し切れなくなって」
やっぱりばれていたらしい。
「本当にごめん」
「…………いいよ。別に」
怒り顔を一転、笑顔に変えるフェイト。その顔のまま、クロノにすり寄る。
「その代わり、ここからは私にやらせてね?」
「ああ、かまわない」
予定とは少々違うが、とりあえずフェイトの好きなように出来るのは確定した。
クロノの肩をそっと押し倒し跨る。体位は色々あれど、女性の側が主体で行うものはこれぐらいになる。
お互いの潤滑液が流れ出す場所をくっつける。
挿入の直前、フェイトは浮かべていた笑顔の質を変える。目を細め、唇の端を吊り上げる悪役じみたも
のに。
「ねえ、本当に私にやらせてくれるんだよね?」
フェイトの表情に剣呑なものを感じ取ったのか、クロノが慌てだす。
「い、いや、ちょっと待ってくれ。やっぱり……」
「もう遅いよ。いっぱい、満足させてね……!」
ね、と同時に腰を落とした。
「あはぁんっ!」
自分の指では絶対に味わえない、身体の奥底がこじ開けられる感覚。
一気に挿入れたので、衝撃が強すぎてやや痛い。だが開発されきった性感にとって、多少の痛覚は快楽
を促進させるものとなっている。
「すっご……い。奥まで届いてるよ……」
そのまま、フェイトは自分の感じる所で腰を振り立てる。膨れた雁首が次々に敏感な場所を擦っていく
のが、例えようがないほど気持ちいい。
子宮口は擦るより突かれるのがいいので、腰を上下させる。愛液が泡立ちかねないほどに激しく膣内が
かき回される。
結合部分がどんな有様になっているのか見たいが、スカートが邪魔でよく見えない。これだけは失敗だっ
た。
「フェ……イト、また、出そう……だ」
瀕死の病人のようなか細い声が、身体の下から上がった。
「早いよクロノ。そんなにだらしなかったっけ?」
「そんなこと、言われても……!」
フェイトの拍子で快感を振り回されているのだから、リミットが早くて当然だ。よっぽど切羽詰ってい
るのか、自分でも腰を突き上げてくる。
フェイトには、そんなクロノの表情が変化するのを愉しむだけの余裕がある。我慢しているクロノの顔
は、本当に可愛い。童顔気味なところが、またそそる。
その顔に、これ以上ないほど力が入った。
「もう、出……る」
「だめ」
クロノが最後の一突きをした瞬間を狙い済まして、フェイトは腰の力を完全に抜いた。
膣が緩んで、感じていた硬い肉棒の感触が失せる。それはクロノも同じこと。
「あっ……」
空ぶったクロノが、情けない声をあげる。その鼻を、ちょんとつついてやる。
「私が満足するまで、射精しちゃだめなんだから。自分勝手にイッていいのは一回だけだよ?」
「そんなこと……」
「頑張ってね。私の好きなようにやらせてくれるんでしょう?」
「そこまで言ってない……」
しゃべりながらクロノの波が収まったのを見計らい、フェイトは腰使いを再開する。さらにクロノが胸
やお尻に手出ししないよう、手首を掴んで押さえ込んでしまう。
今日の自分はやたら意地が悪いな、とフェイトは自覚する。本来なら戦闘中にしか纏わないバリアジャ
ケットを着ていることで、気分が高揚しているのかもしれない。
「もういいかげんに、出させて、くれ。おかしくなりそうだ!」
何度もクロノが果てかけるが、その度にフェイトは腰を止めたりして許さない。
とはいえ、フェイトも身体の中を抉られ続けているのである。クロノよりだいぶ遅れはしたが、終点が
見えてきた。
「もうちょっとだけ、我慢し……てね。ふぁんっ! 私も、そろそろイけそうだから……!」
その一言で腹を括ったのか、もうクロノは何も言わず激しく腰を動かすだけになる。
フェイトもようやくクロノの動きに合わせる。身体を貫かれる衝撃が、何倍にもなった。
お互いの動きが完全に合致した瞬間、くらりと貧血のように目眩がした。
「ク……ロノ、出していいよ……。私のお腹、いっぱい……ああっ!?」
最後まで言い終わる前に、子宮口を激しく亀頭ではないものが叩いた。びしゃりと、身体の奥でクロノ
の子種が飛び散った。
「はああぁんっ! きちゃうぅ……っ!!」
背筋がなにかに引っ張られたように伸び、そして緩んだ。
恋人の上に倒れこんで、その顔に頬擦りするフェイト。クロノのバリアジャケットに乳首が擦れて、ちょ
うどいい後戯にもなった。
「最後は頑張ってくれてありがとう。すごく、よかったよ」
ちゅっ、とフェイトは感謝のキスをクロノの唇に落とした。
クロノは我慢の反動か、ぐったりとしてろくに口もきこうとしない。
彼が動かないのをいいことに、フェイトは首筋にキスマークをつけたりしてしばらく遊んでいたが、ま
だ身体の中に収めたままのクロノの分身が小さくなりだし、これはまずいと慌てる。
精力は溢れすぎているクロノだが、受身になるとやたら弱いのだ。このままだと眠ってしまいかねない。
クロノはそれで満足かもしれないが、フェイトにすればたまったものではない。十九歳の若々しい身体
は、一度射精された程度では前哨戦にすぎないと言わんばかりに火照りを増している。
また挟むなりなんなりして大きくしてもいいが、その場合は自動的に主導権はフェイトが握って進める
ことになる。
そうなってもそれなりに気持ちいいだろうが、攻める方は一回で満足した。今のフェイトは、抱くより
抱かれたい。
(あれ、使おうかな)
頭をよぎる考え。クロノを誘惑するためにいくつか用意してある手段の一つ。
ただしこの手を使えば、間違いなくクロノは自制心は消し飛ぶだろう。
そうなった時の彼は、凄い。身体と言葉でフェイトを嬲り尽くし、胎内が精液漬けにされるまで犯され
る。抱かれるのではなく、犯される。
このまま彼を安らかな眠りにつかせてやるか、それともどちらかが気絶するまで交わり尽くすか。
ほんの少しの葛藤。勝ったのは欲だった。理由の第一はやはり性欲が解消されていないからだったが、
フェイトもそういう獣じみた性交はけっして嫌いではなかったから。身体の隅々までクロノが入ってくる
感覚は、そういう抱かれ方でないと味わえない。
(本当に、エッチだな私)
苦笑して、フェイトは枕元に置いた黄金のデバイスに手を伸ばした。
「ねえクロノ」
演技半分、本性半分の蕩けた表情で、フェイトはくすりと笑った。
「こんなのも用意してるんだよ」
主の声に合わせて、バルディッシュが起動する。
『Lightning form』
機械音声が響き、フェイトの身体が一瞬光に包まれる。輝きの下から再度現われたフェイトの姿に、ク
ロノが眼を見開き硬直した。
胴を覆う黒い布地。腰周りにはピンクのミニスカート。所々に赤いバンド。それはフェイトが過去に着
ていたバリアジャケット。ライトニングフォーム。
ただでさえ水着に近かった服装を、フェイトはさらにいやらしく改造していた。
まず背中を開いて背骨のラインをほとんど丸見えにしている。
布地は究極的に薄くし、身体にぴっちりとフィットさせてある。硬く勃った乳首の形がはっきりと浮き
上がるほどだ。
また胸はバンドによって上下を圧迫してあり、インパルスフォームの時とは違った形に歪んで飛び出し
ている。
戦闘機能を完全に排除し、世界でたった一人を誘惑するために作られた服装。鏡の前で試着した時には、
あまりの卑猥さに自分で真っ赤になってしまった。
だがその効果が予測どおりなのは、血走りそうなクロノの眼で分かる。
さらに一歩、クロノをどろどろの欲望の沼に完全に叩き落すべく、フェイトはとっておきの仕草を出す
ことにした。
ミニスカートと前垂れ。その端を摘んで、ゆるゆると持ち上げる。
少しずつ灯りの下に浮かび上がるのは、股間の黒い三角地帯。切れ上がりを深くしてあるので、端から
陰毛が見えそうである。
バリアジャケットはその用途上、汗などの水分で透けないようになっている。だがフェイトはその性質
も変化させていた。
着替えたばかりだというのに、すでにべっとりと愛液を吸って形を浮かび上がらせている谷間。そこに
クロノの目線が集中した瞬間、腰に力を込めた。
膣圧で押し出された液体と空気が、こぷっと音を立てて零れ落ち太腿を伝い落ちていく。
ぐびりとクロノの喉が鳴る。その喉から上に舐め上げるような視線で、フェイトは笑いかける。
「するかしないか、早く返事してくれないとやめちゃうよ。どうする?」
「…………決まっているだろ」
低い声のクロノの返事。いつのまにか吹っ切れて澄んだ表情になっている。
口元にはうっすらとした笑い。そして眼の色に普段の彼の面影は無く、ぎらついて獣めいた光を放って
いた。
その眼だけで、フェイトの子宮はひくんと痺れた。同時に、心中で誇らしさに似た気分が湧き上がる。
堅物で冷静で優秀な提督であるクロノを、ここまで欲望剥き出しにさせることが出来る人物は、この世
で自分以外にいないのだ。
そのことと、これから始まる悦楽の時間を思い、フェイトはうっとりとした笑みを浮かべながら押し倒
された。
続く
203 :
サイヒ:2007/12/23(日) 23:18:42 ID:junZD/qm
前半はここまでです。
ラブエロも大好きですが、爛れまくってるエロも好物です。後編はもっとぐちゃどろにしたい。
「もっとセックスする!」とかそんな感じ。いや、元ネタはあんまりぐちゃどろじゃないですが。
次回はやや鬼畜ロノとライトニングの尻。なんとか今年中に投下できたらいいな。
ついでに旧ソニックも入れてもいいんですが、やるかやらんかまだ検討中。
ここまで来たらフェイトのバリアジャケットコンプリートを目指したいが、どうやっても前書いた真ソニックとかぶりそう。
>>やりたい砲台に
どれだけなのはさんのSSを書いてるかがよく分かる誤字ですねw
>>186 おおっ! その日のウチに2話目が読めるとは思わなかった!?
ヴェルデさん、図太くて強いのがかっけえ……
その内ファイナルベントで縦回転パイルドライバーを(それはベルデ……
まさか敵の少女はナンバーズの試作品か未公開ナンバー!? と予想してみました。
それと、個人的な意見ですけどStSにもプレシアの旦那って出す余地あったと思うんですよね。
スカを旧知の仲で戦闘機人に改造されてフェイトの前に立ちはだかるとか……
とまあ、んな事は追いといて続き楽しみにしています
クロフェイ最高GJ!!!!!
サイヒ氏…あんた神だよ。
3期での設定の追加で物語に出せる物の幅が増えたからね、戦闘機人や人造魔導師とか、アルハザード関連も
こっちで言うとこのムー大陸やアトランティスのような伝説上のものから中世ヨーロッパ
から見たローマ帝国みたいに過去に存在した高位技術を持ていた実在の世界に変わったし
>>205 <スカを旧知の仲で戦闘機人に改造されてフェイトの前に立ちはだかる
YOU書いちゃいなYO
>>203 相も変わらずサイヒさんGJです!!
フェイトさんが良い感じw
ぜひバリアジャケットコンプしてください。
クロノの暴走とフェイトの壊れっぷりを楽しみにしています。
個人的にはやるとこまでやって欲しいです。あ、あと出来たら今年中に後半をwww
楽しみにしています。
なんか濃いい触手モノないかな?
触手スーツ着せられて拘束されて泣こうが喚こうがイキ狂おうが気絶しようが
精神壊れるまで、つーか壊れても放置されるくらいガチなやつ。
一応過去のはチェックしてるが。
おはようございます〜
>132 みーつめるきゃっつあい、えーぶりばでぃだんしんぐ、みーどりかわーひかー……って高町兄ってそっちかよ!
悪魔っつーと兄妹どっちも悪魔染みてるから丸一日悩んじまったじゃねえかwwwwん?なんだこの青いリボンと鋼の糸ガフッ
>140 なんかフェイトそん電話で形式ぱくられたっぽい!?むしろぱくって、ぱくってぇ!(黙れ
>103 クライドはザフィまで食ってそれでもはやてだけは残すんですね!
いや無理です……多分筆者のエロ体力ゲージ的に。もう0よ!(早
それから、とりあえずこれだけは。
>170 目からビーム使わずにシュワルベフリーゲン使えよwwwwあとトンファー関係ねええええええwwww
さてほいじゃアルt……もといIS、泥沼発動
(警告。注意というより警告)
シャマルさんが黒いです。ファンの方ごめんなさい
はやてちゃんも怖いです。ファンの方ごめんなさい
精神的にグロいかもです。ファンの方……いるのか?
[子狸VSヤンママ]
ブラックサンタからプレゼント投下〜w
撃滅の――日本○済新聞 謎
翌朝、まだ暗いうちに真っ先に起きだしたはやてが、キッチンに入ってみれば即座に散らかった衣服が目に入った。
(……)
そのまま廊下へ戻って、クライドの部屋を覗くが誰も居ない。
もうそれからは確認もせずに自室に戻って、再びぼふっ、とベッドに倒れこんだ。
(なんか、見てはいけないものを見てしまった気がするんやけど……)
案の定、それからしばらくしてばたばたと慌しく動く複数の人間の音がシャマルの部屋の方から聞こえてきて、
それは浴室へ向かい、十数分後今度はそこからキッチンへと移動していく音を聞きながらぼーっと待つはやて。
さらに数分待って、音がしなくなって落ち着いたと思われる判断をして、いつも通りを装って再びキッチンへと向かう。
そして相変らずの仲の良さで、シンクの前で朝食の準備をしていた2人は振り返りつついつも通りに挨拶を返した
――ただし髪はどちらもまだ濡れていたが。
「おはよう、はやて」
「おはようございます、はやてちゃん」
「うん、おはようさんやー」
そしていつも通りにシャマルの反対側に彼を挟んでダシなんかを取り出し始めるはやてであったが、心中穏やかであろうはずもない。
(なんで……なんでやねん……クライドはん……)
昨日までと違い、全く照れもせずに淡々と朝食を作るはやての様子に、隣の2人は少しだけ違和感を感じつつも表面的にはいつも通りを装っていて
それが余計に彼女は腹立たしかった。
(うん、ええっていったし、ええよ……ええって……それで……うん……)
自問しながら他の家族達も起き出してきて、そのままいつも通りに――はやてが昨日までとはうってかわって照れていないことを除いて――
いつも通り過ぎるほどに朝の時間が過ぎていく。
ただ、そこまでくれば当然クライドもシャマルも薄々感づいてしまうわけで、危ないかな、と2人して口にこそ出さないものの考えつつ、
準備を整えて玄関の中で彼に見送られて、外に出ようとしたその時であった。
「じゃあ、いってきます」
「ああ」
と家主の言葉にクライドが返したそこまでは、それはもう平坦で代わり映えのしない日常であったのだが――
さりげなく全てを許しあった2人の様子に黒々とした感情が生まれて渦巻き始めて止められなくなっていたはやての口はもう、そこで限界であった。
「クライドはん――」
「?」
誰もが予想し得ないそのタイミングで、下へ向かって突然叫ぶ。
「シャマルは抱けるのに、うちは抱けへんいうんか!?」
それだけ叫んでがん!と玄関を開けると凄まじい勢いで飛び出した。
あっけにとられて、沈黙したまま動けない残された家族達。
それから、本当に全く完全に意味を理解できない小さい姿のリィンを除いて、かの2人に視線が突き刺さる。
代表してそれを注意したのはやはり将であった。
「クライド殿も、シャマルも――度が過ぎるようだと、承知しませんよ」
「わかった……」
「ごめんなさい……」
それから颯爽と出て行くシグナムに続くヴィータとザフィーラであったが、とぼとぼと歩きだず最後尾のシャマルの様子に
先ほどの展開の意味が未だ理解できないリィンは一生懸命首をひねっていた。
仕事中も会話どころか視界に入るのすら煩わしかったのか、徹底的にはやてはシャマルを遠ざけた。
帰りも一応一緒ではあったものの、声を聞くのすら嫌なのかぴりぴりとした雰囲気の主に、付き従う騎士達を支配するのはほとんど常時の沈黙。
それは夕食が始まってからも変わらずで、味は勿論クライドの料理であるからまずいはずはないのであるが、
ヴィータは正直うまく食える雰囲気じゃねーよな、と思わざるを得なかった。
そして――皆が食べ終わってクライドが皿を運び始めたのを見て、それを手伝いに立ちあがったシャマルが、
シンクに向かう彼に馴れ馴れしく寄り添った瞬間にはやての中で何かか切れた。
がたん、と突然立ち上がった主に全員の視線が集まる。
「シャマル――」
冗談も笑いもない、純粋な怒りだけの表情に、緊張が走る部屋。
「クライドはんに、触るな」
はやてにしてはかなり珍しい――当人達の意思を確認しない、命令。
だが受けた側は、半身で上から冷たい瞳で睨みつけつつ、あろうことか煽って返した。
「は?」
なんのことでしょう、と言わんばかりの声に、怒りは加速する。
「クライドはんに触るないうてるんや。聞こえへんやったか?」
「ろくにさわれもしない小娘が何を仰っておられるのかわかりかねますが」
「なんやて!」
ぎぎぎぎとぶつかり合う視線。
うわ、はやてデバイス起動しそう――とヴィータが思うほどの形相である。
「なんや空気がえらい偉そうな事いうてはるなぁ?」
「子狸さんは大人しく魔法ど田舎世界へお帰りになられたらいかがでしょうか」
「ほー、うちの命令がきけへん、いうのやな?」
「色恋に主従は関係ありませんからー」
ザフィーラ、いざというときは主を頼む、シャマルは私が――心得ている、と念話で確認を取るさすが言うべき程落ち着いて身構えている
将と守護獣はともかく、食事中はフルサイズの白い部屋用ワンピース姿のリィンはテーブルの下に身を隠しつつ顔だけだしてとにかく怯えている。
はやてちゃん、もしかしてデバイスを――と彼女が思ったその時には、もう先端に十字と円を組み合わせた金色の錫杖は彼女の手に握られていた。
対するシャマルの方もすでにクラールヴィントをリンゲフォルムに変え、指に携えている。
「綺麗なお顔が血まみれになりとうなかったら、いますぐその汚らわしい口を閉じいや?いてまうどわれ」
「前衛がいないと何も出来ないお姫様マジシャンが何を仰いますかー」
その刹那、斜め下からシュベルトクロイツがシャマルの体に振り上げられたが、三角形の緑色の盾であっさりと止められる。
「ほー、おもしろい、ようゆうた。なんもでけへん、ってどういう意味かいな?」
「言葉通り、そのままですが?」
完全に見境のなくなったはやては、その場で足元に円形の魔法陣、シャマルとの間に三角形の白い魔法陣を展開させる。
「響け終焉の笛――!」
といけない。冷凍刑もエロエロもGJですよ〜
ほいではまたノシ
いきなりラグナロクはねーよwwwwwwwwwwww
じーじぇ!
216 :
kometi:2007/12/24(月) 08:36:36 ID:+4QQw8Ne
おはようございます。「cold sleeper」の続きを投下したいと思います。
今回も2話落とします。
なんという修羅場
GJ!!
理想のために戦い続けた先で待っていたのは、たった一枚の紙切れだった。
「別れましょう」
あいつの言葉は、いつだって正しかった。間違ったことなんて一度もなかった。
だから、あの時もそれが一番良いと思っていた。
「そしてお前はアリシアを死なせて、稀代の大犯罪者に墜ちたってわけだ」
自分がよく知る聡明で慈愛に満ちた彼女からは想像もできない非道。禁忌の技術。その産物として産まれた、もう一人の娘。
「プレシア。お前は馬鹿だ・・・けど、一番の馬鹿は、お前を守れなかった俺自身だ・・」
本当に、世界はこんなはずじゃなかったことばかりだ。
「俺はどうすれば良い・・・答えてくれよ、プレシア・・」
魔法少女リリカルなのはSTRIKERS・異伝「cold sleeper」
第4話「襲撃」
目覚まし時計が鳴り響く。耳障りなその音に、フェイトは顔をしかめて寝返りを打つ。
「ううぅ・・・やっ!」
パキッと何かが壊れる音とともに、目覚まし時計が沈黙する。音が止んだことで再びまどろみに戻ろうとしていたフェイトは、次の瞬間、完全に覚醒した。
「あぁぁっ、寝坊したぁぁ」
まだ原型を留めている時計盤は律儀にも時を刻み続ける。それがいっそうフェイトをせき立てた。
朝シャン、ブラッシング、化粧。いや、それよりも・・・。
「電話、学校に電話ぁっ!」
ザンクト・ヒルデ魔法学院。そこは、聖王教会が運営している魔法学校だ。フェイトの親友、
高町なのはの義娘にして自分が後見人をしている少女、高町ヴィヴィオもここに通っている。
「ごめんね、ユーノに迷惑かけちゃって」
自分の前を歩く青年、ユーノ・スクライアに、フェイトはすまなそうに言う。
「別に良いよ。最近じゃ、こういうことでもないとみんなの役に立てないからね」
“なのはの”ではなく“みんなの”と言うあたりが、いかにもお人好しな彼らしい。
「こめんね、ヴィヴィオ。フェイトママ、遅刻しちゃって」
「ううん。フェイトママ、ちゃんと来てくれたもん。それに、ユーノがいてくれたから寂しくなかったよ」
「ありがとう。もう、なのはったら肝心な時にいないんだから」
「懇談が決まったのが先週だったからね。教導任務中じゃ、帰るに帰れないよ」
今日は、保護者を交えた三者面談の日だった。だが、先月から教導任務に出ているなのはは戻ってくることができず、
後見人であるフェイトに白羽の矢が立ったのだ。
「でも珍しいよね、フェイトが寝坊するなんて」
「はは・・面目ない」
たまたま、客員教授をしていたユーノが代わりに出てくれたから良いものの、
もし彼がいなければ2時間もヴィヴィオを待たせる羽目になっていた。
「フェイトママ、泣かないで・・」
「うん、泣いてないよ。これはおめめが汗を流しているんだよ」
などと話しながら木漏れ日を歩いていると、突然フェイトがありえないものでも見たかのような顔をした。
「どうしたの?」
「う、ううん。何でもないよ・・ちょっとヴィヴィオを連れて、あっちに行っていてくれる? すぐに行くから」
「うん? わかった。行こうか、ヴィヴィオ」
「うん」
訝しげながらも、ユーノはヴィヴィオを連れて湖の方に向かう。それを確認した後、フェイトは呆れ顔で茂みの中に佇む男に声をかけた。
「どうして、こんなところにいるんですか?」
「つれねぇなぁ。昨日はあんなに親睦を深めたっていうのに」
「そのおかげで、今日は寝坊しちゃいました」
「そいつは悪かったな」
そう言って、ヴェルデ・ヴァーチェッタはシニカル笑った。
遠くで戯れるユーノとヴィヴィオを見て、ヴェルデは口笛を吹く。
「恋人はいないとか言っていたけど、まさかもう結婚して子どもまで作ってたとはな」
「ち、違います! ユーノとはそんな関係じゃないですし、ヴィヴィオは親友の子で、私は後見人をしているだけです!」
フェイトは真っ赤になって否定する。
「知っているよ。高町なのはだろ」
「・・・調べたんですか?」
「娘の恩人だからな。どんな奴なのか知りたかった」
ある意味、とんでもないことを口にする。高町なのはがPS事件に介入しなければ、
プレシアも死なずに済んだかもしれないのだ。怨んでいてもおかしくはない。
「俺は前向きなんだ。それに、美人に悪い奴はいねぇ」
「そんな、いい加減な・・」
「よし、俺は高町なのはを嫁にする!」
「ああっ! それ絶対ダメぇっ!」
意図の読めないヴェルデの言葉に、フェイトは翻弄される。なんなんだろう、この軽いノリは。
父親というものは、もっと渋くて逞しくて優しい人だと思っていたのに。プレシアはこの男の何が良かったのだろうか?
「けど、安心した」
不意を点いた言葉に、フェイトは我に返る。
「楽しくやっているみたいじゃねぇか。それが高町なのはのおかげだっていうなら、俺はそいつに感謝しかしねぇ」
どこか寂しそうに、けどそれ以上に嬉しそうに、ヴェルデは笑う。
「あーあ、俺がすること何にもねぇじゃん」
ああそうか、とフェイトは納得した。この人が未だこの街に留まっているのは、自分のためなのだ。
プレシアとアリシアにしてやれなかったことを、せめて自分にはしてあげようと。けれど、その必要がないくらい、今のフェイトは幸せだった。
「あの・・おとう・・ん・」
「ヴェルデで良いよ。無理されても、嬉しくとも何ともねぇ」
「はい・・ヴェルデさんは、これからどうするんですか?」
「言ったろ。逃亡者は逃げるだけさ。最後にお前と会えて、良かったよ」
もう会うことはないと、事実だけが告げられる。せめて最後に何か言おうと、フェイトは口を開き・・・。
「いやぁぁぁっ!」
悲鳴がそれをかき消した。
振り向くと、湖の周りを数体のガジェットが浮遊していた。そのうちの一体は、ヴィヴィオを拘束し、連れ去ろうとしている。
ユーノは負傷しているのか、倒れたままピクリとも動かない。
いち早く反応したのはヴェルデだった。ヴィヴィオを助けるため、加速魔法を発動する。しかし、距離があり過ぎて間に合わない。
「ママぁぁっ」
「ヴィヴィオぉぉっ」
石に躓き、地面に転がりながらフェイトはヴィヴィオの名を叫ぶ。
まただ、またさらわれた。自分の不注意で、自分の判断ミスで、またヴィヴィオがさらわれた。
「ヴィヴィオぉぉぉっ!」
叫ぶことしか、彼女にはできなかった。
to be continued
222 :
kometi:2007/12/24(月) 08:47:28 ID:+4QQw8Ne
続いて、第5話ですが、最初に言わせてください。
僕はこの話を、205の人の書き込みを読む前に書き上げていました。
投下が今日になったのはお直しに時間がかかったからと、間を開けないと投稿できなくなるからです。
何度来ても緊張するな、とクロノは思った。
物々しい気配と張りつめた空気。とても、同じ本局の中とは思えない。だが、ここにいる人物の重要性を考えれば、それも頷けるというもの。
「全て話してもらいますよ、ミゼット議長」
ここにいるのは、ミゼット・クローベル。本局統幕議長にして、管理局黎明期に活躍した、伝説の三提督の一人だ。
「ヴェルデ・ヴァーチェッタ・・・・いや、ヴェルデ・テスタロッサに隠された真実を・・・・」
「・・・・・・・・」
ミゼットは目を閉じる。そう、世界はこんなはずじゃなかったことばかりだ。そう言ったのは、いったい誰だったのだろうか?
魔法少女リリカルなのはSTRIKERS・異伝「cold sleeper」
第5話「造られたもの」
ベッドの上で横たわるユーノのケガは酷いものだった。
致命傷こそないものの、左腕は骨折、右腕には多数の裂傷、腹部には打撲の跡があり、
首には一歩間違えれば動脈に達していたような傷があった。頭も打っているようで、包帯がグルグルと巻かれている。
「ごめんね、僕がしっかりしていれば・・・」
「ううん、対AMF訓練を受けていないのに、全治2か月で済んだだけでも幸いだよ」
「退院したら、陸士訓練校のカリキュラムでも受けてみようかな」
もしくは、なのは直々に教導してもらうか、と呟きながら、ユーノは無理をして半身を起こす。
「ユーノ、寝てなくちゃダメだよ」
「こっちの方が、考える分には楽だよ・・・それに、こうしている間にも、ヴィヴィオは辛い目にあっているんだ」
「うん・・・」
言われて、自分の不甲斐無さが身に染みてくる。JS事件の時もそうだ。自分が目先の敵に目を奪われなければ、ヴィヴィオはさらわれずに済んだかもしれないのに。
「とにかく、まずはなのはに連絡をとろう。それから、地上本部の力を借りて・・・・」
「ダメ、それはできない」
「どうして?」
「これが、あそこに落ちていたの」
フェイトが取りだしたのは、音声を録音するレコーダーだ。旧式のごつい奴で、今ではマニア以外欲しがらない骨董品である。
ヴィヴィオがさらわれたすぐ後、ヴェルデは心当たりを探すと言ってどこかへ行ってしまった。
フェイトもユーノを病院に連れて行こうと彼のもとへ近づいた時、自分が先ほど躓いたのが石ではなく、このレコーダーであったことに気づいたのだ。
「再生するね」
フェイトがボタンを押すと、レコーダーが再生される。しばらくは雑音のみが続いたが、やがてそれに紛れて、幼い少女の声が聞こえてきた。
『・・・フェイト・テスタロッサ・・・・聖王の器は私が預かったわ・・・・返して欲しければ、一人でこちらが指定する場所に来なさい。
こちらの言う通りにしないと、可愛い可愛い聖王陛下がバラバラになっちゃいますよ。管理局に知らせてもすぐにわかるから、素直に一人で来てくださいね・・・・・』
そして、場所の座標が告げられる。ミッドチルダ南西部。くしくも、ヴェルデが陸士隊壊滅事件を起こした場所だ。
「フェイト、これは罠だ。一人で行くなんて危険すぎる」
「それでも、行かないと。ヴィヴィオがさらわれたのは私のせいなんだし。それに、
なのはが命を賭けてあの娘を助けたのなら、私も命がけであの娘を助ける」
泣いている人を助けるために、自分は執務官になった。だったら、その思いを貫くだけだ。
「ユーノはここで休んでいて。それと、これを・・・・」
フェイトは、適当なメモ用紙に何かを書き殴ると、ユーノに渡した。
「これは?」
「もしもの時の連絡先。1時間して戻らなかったら、ここに連絡して」
大丈夫だから、と言ってフェイトは病室を後にする。
「大丈夫だから・・・今度は私が・・・・フェイトママが、助けるから」
薄暗い通路を、ヴェルデは油断なく進む。
崩れかけの壁、老朽化したコンピューター、今にも崩れそうな天井。何もかも、38年前と変わらない。
いや、電力が流れていない分、あの時以上に不気味な雰囲気を醸し出していた。
ここは、ジェイル・スカリエッティが使用していたラボの一つだ。かつて、ヴェルデはここに踏み込んだことがある。
そこから先の記憶は抜け落ちていてよく覚えていない。ただ、自分が取り逃がした犯人を娘が捕まえたというのは、なんとも気の利いた皮肉だなと思った。
「やはり来たわね、ヴェルデ・テスタロッサ」
制御室らしき場所に出た途端、施設に電力が復旧した。
「ごきげんよう、ヴェルデ・テスタロッサ。私はトレディッチ。偉大なるジェイル・スカリエッティが造りし最後の戦闘機人」
現れたのは、10歳にも満たない少女だった。紫色の髪に金色の瞳。どことなく、スカリエッティの面影がある。
「13ね・・・13番はギンガ・ナカジマだと聞いていたがな」
「あんな試作品と一緒にしないでもらえる。私の方こそ13に相応しい。13番は私よ!」
激昂するトレディッチ。まさかと思って、ヴェルデは尋ねる。
「お前、名前を貰っていないのか?」
「ええ。お父様は私とともにこの研究所を破棄しましたから、この名も自分でつけました。
そして、いつかお父様の役に立てるその日までここで暮らしてきたの」
つまり、こいつは自分の意思で勝手に行動しているということになる。
スカリエッティも、何ともはた迷惑なものを残していってくれたものだ。
「悪いが、お前のままごとに付き合っている時間は・・・ない!」
瞬時に形成したスフィアから、フォトンランサーが発射される。
金色の魔力弾は狙い違わずトレディッチを捉え・・・命中することなく掻き消えた。
「なっ、AMF!?」
「そうよ。あなた程度の魔力で、こいつを突破することはできないわ!」
右腕に、鋭い痛みが走った。何かが宙を飛んでいる・・・・そう、あれは俺の腕だ。
「ぐあぁぁぁぁぁっ!?」
そこにいたのは、かつて高町なのはを傷つけ、再起不能寸前まで追いやった、ガジェットW型だった。
そいつが、ヴェルデの腕を切断したのだ。
「痛そうねぇ。なんなら、修理してあげましょうか?」
「人を・・・・機械みたいに言うんじゃねぇ・・・」
「あら、じゃあその肘から先のものはなに?」
「なんだと?」
聞きたくない言葉を、聞かされた気がした。
「その腕を見てごらんなさい。それが全ての証明よ」
恐る恐る、右腕の切断面に目をやる。赤黒い肉と捩じれた血管、流れ落ちる鮮血。そう、そこにはそれがあるはずだ。
なのに、そこにあるのは、ケーブルと歯車がこんがらがり、基盤が剥き出しになった機械の塊だった。
「そんな・・・まさか・・・・・」
「そうよ、あなたも戦闘機人・・・・・いえ、それになり損ねた実験体よ」
失われた記憶が蘇る。忘れたふりをして、記憶の奥底に封じたはずの、忌まわしいあの言葉が。
『肉体の機械化には成功したが、クライアントが求めるものにはならなかったな。
内蔵兵装も一度しか使用できぬとは』
忘れられるわけがない。あの紫の髪と、金の瞳。
『廃棄するか・・・いや、この近くで管理局が演習を行っていたな。実戦テストといこうじゃないか』
そうだ、自分は・・・・自分はあの時、あの男に改造されて・・・・。
「うわぁあぁぁぁぁっ!」
ヴェルデの心は、呆気なく崩壊した。
to be continued
227 :
kometi:2007/12/24(月) 08:59:13 ID:+4QQw8Ne
以上です。
ユーノが魔法学校の客員教授をしているというの、勝手な設定です。その方がいても違和感ないので。
けど、ヘタレになっちゃいました。
そして、205の人。あなたのカンは正しく大正解でした。
>>227 GJ!!なんという衝撃の事実。これならずっと冷凍されてた方が良かったのでは?
229 :
205:2007/12/24(月) 09:22:57 ID:cBCGJlLw
なんてこったい……ここまで当たると逆に笑えますね。いえ自分に対してです。
ユーノの教授設定は違和感なさすぎですよ〜。少なくとも最終回で魔王と覗きやってるよりも説得力あります。
そしてベルデならぬ(しつこい)ヴェルデさんは改造人間だったのね〜。
一度きりのISは一体何なのか? まさか蹴り技!? なわけないですね(そのネタから離れろ)
>>203 GJ!
相変わらずフェイトがえろえろですね。
>>213 リンディママンとのときは修羅場らしい修羅場はなかったのであまり期待していなかったのですが……
すばらしい修羅場でした!!!
こんな修羅場を待っていた。続き楽しみに待ってます。
暇つぶしに短編のレベルですらないものです。ガチな非エロが好きな人もエロ陵辱が好きな人も
これで「コーヒー」ブレイクをしてください。
タイトル−管理局の男はこれでいいのだ−
(クラナガンのとある雀荘・・・)
クロノ 「幸せになりたいな〜」
ゲンヤ 「幸せじゃないのー?」
クロノ 「ナカジマ三佐は?」
ゲンヤ 「うーん、そもそも男の幸せって何だろうね?」
クロノ 「男の幸せね・・・」
ガリュー「・・・」
ゲンヤ 「地位とか金とか」
ヴァイス「あっ、それチーっス」
クロノ 「ダジャレかよw」
ガリュー「・・・」
ゲンヤ 「名誉とか女とか」
ヴァイス「幸せって普通でいることじゃないスか?」
ゲンヤ 「?? どういうこと?」
ヴァイス「例えばこうして仕事帰りにみんなでマージャンとか」
クロノ 「う〜、確かに、今俺幸せだわ〜」
ガリュー「・・・」
ゲンヤ 「そうかもね〜」
クロノ 「いいね、なんだかw」
ガリュー「あっ、提督。それロンです。」
ゲンヤ 「ガリュー、しゃべれんの!?」
ガリュー「メンタンピン ドラ三、12,000です。」
クロノ 「いい・・・すごくいいわ・・・」
−管理局の男はこれでいいのだ−
fin
聖夜の贈り物
>>231 「はるかな星がふるさと」なガリューだな。
>>210 濃いいねぇ……触手スレいくか、金だして同人誌買ったほうがはやくね?
濃いかどうかは別にして、記憶に残ってる触手ものといえば、
2スレ目の「ヴァァァァ×なのは」。触手スレのやつの甜菜。
640氏の『パートナー』後編、『魔法少女リリカルなのはA’s −世界の、終わり−』
最近のだと、ておあー氏の『Fallen star』もガジェットものだが一応触手にはいるか?
>>227 なにぃーーーー!パパンに何があった!?期待
投下行きまーす。
注意事項
・捏造有り過ぎ
・レイジングハートの形状が(アニメ、リリちゃとも)違います。
・ついでに本編とレイジングハートの特性も違います。
・正直アリサ強杉。どこの跳躍系だ。
・こんな流れですが非エロシリアス。
・なのは属性の方にはちょっと申し訳ない内容かも。
・あぼーんキーワードは「リリカルバイオレンス」
『Defencer』
バルディッシュが、自動でシールドを張る。フェイトは身構えた。
『Ray Lance, Clash, Tri』
レイジングハートの声。
3発の、青白い小さな魔力光。あの時と同じ……
ダ・ダ・ダン
ビシッ……
「!?」
フェイトは、驚愕に眼を円くする。
連続して着弾したそれは、小さく、詰められた魔力の量自体は小さいが、それは鋭く、
金色の光の盾に突き刺さった。貫(ぬ)かれる事こそ無かったが、光の盾にヒビが入る。
────改良型、シールド貫通に主眼を置いた……
新たに現れた少女も、砲撃魔術なら一流、いや超一流をつけても良い。けれど、この子
は、こういうところが恐ろしい。
こっちの魔法を見せれば、それだけあの子の手も増える。
「ごめん、ルール違反だってわかってる。そもそもあたしの身勝手でこんな事になっちゃ
ってる、でも」
少女──アリサは、西洋剣のフォームを取ったレイジングハートを構え、気絶した新た
な少女との間に立ちはだかるように、立っていた。
「もともとあたしが引いた“Joker”だから────」
アリサの声に、フェイトはバルディッシュを握りなおした。
リリカルバイオレンス
PHASE-5:Raising Heart
『Flier Fin』
「ごめん、行かせてもらうから」
アリサはそう言って、振りかぶった。
『Divine Clasher』
なのはのディバイン・バスターに比べれば、見た目出力は数分の一。だがフェイトはシ
ールドではなく、急機動でかわした。
「ちっ」
悪態をつきつつ、アリサも飛び上がる。
「やっぱり、シールド貫きの特性を持たせてる」
見下ろすフェイトに、下からアリサが迫ってきた。
『Scythe Form』
バルディッシュの刀具部分が動き、魔力刀の大鎌となる。
「たぁぁぁぁぁぁっ」
『Sprite Slash』
鋭い光を帯びたレイジングハートが、バルディッシュの魔力光の刀身とぶつかり、凌ぐ。
バチバチと火花を散らす。
ギリッ、両者の間で鈍い金属の軋みが聞こえたかと思うと、先にレイジングハートの魔
力光が砕けるように霧散し、アリサは握ったレイジングハートごと弾き飛ばされる。
「くぅっ」
『Axel Fin』
スニーカーから生えた、オレンジ色の光の翼が、瞬きながら羽ばたく。踏みしめるよう
にして、位置を留める。
「はぁっ」
『Ray Lance, Clasher mode』
レイジングハートの刀身が瞬き、光の魔力弾が打ち出される。
「っ」
すり抜けるようにして、フェイトが高速でアリサに迫ってくる。
『Sprite Slash』
『Device Form』
キィン。
澄んだ金属の音を響かせ、レイジングハートとバルディッシュが交錯する。
「えっ!?」
アリサは眼を円くする。
バルディッシュは魔力光の刀身を消し、実体でそれを受け止める。
「ぐっ」
アリサは体勢を崩す。レイジングハートをその腰元まで下げさせられる。
『Scythe Form』
発生した魔力光の刀身、その先端が、アリサの首筋に突きつけられる。
「ジュエルシード……渡して」
「嫌よ」
「!?」
伸ばされたアリサの左手の指先、フェイトの喉元で、魔力弾が収束している。
『Ray Lance, Shoot Ready』
「…………」
一転、フェイトとアリサの表情が入れ替わる。
「悔しいけど、今回のあれはアンタに渡す、だから今日はさっさと帰ってくれない?」
川面に浮いている、青白い光を放つ結晶。
「それとも、決着がつくまでやる? あたし、魔法の才能は無いかも知んないけど、あき
らめは良くないわよ」
アリサは、フェイトを睨みつけるようにして言う。
『Caution!』
レイジングハートが告げる。
「フォトンランサー!」
木々の中から、魔力光の、太い矢が放たれる。
「プロテクション!」
アリサが動くより早く、その直前に、緑の光が魔方陣を描き、盾になる。
紅い魔力の矢は、それに当たって霧散した。
「ちぃっ」
言いつつ、紅い疾風が、アリサとフェイトの元に向かって走る。
「うわっ」
物理的に突き飛ばされ、アリサは高度を落とし、そこで踏みとどまる。
「アルフ」
「前言撤回してやるよ」
アルフと呼ばれた、紅い狼は、アリサにも聞き覚えのある声で言う。
「末恐ろしいチビだね、アンタは。それでフェイトの半分も魔力があったら、あの女にも
一泡吹かせられるだろうに」
「そんなことっ、私がさせないっ」
紅い狼の背にかばわれるようにしつつも、フェイトは驚いたような表情になり、ムキに
なったように言った。
「冗談だって、フェイト」
紅い狼はそう言ってから、アリサの方を向きなおす。
「アンタの言う通り、今夜は見逃してあげる。さっさといっちゃいな!」
アリサはなおも彼女達を訝しげに睨みつつ、高度を落として、木々の間に着陸する。
「ユーノ、なのはを!」
こくん、足元にいたフェレットが頷く。トトトッと駆けて、なのはの元に寄った。
アリサが向いていた方角の空に、青白い光の柱が迸る。ジュエルシード封印の光。
「どう?」
アリサも踵を返してなのはに寄り、ユーノに問い質す。
「命には別状無いけど……左腕の、骨か、関節に異常があるかも」
「それって、折れてるって事?」
アリサは、心配そうな表情で身を乗り出すようにする。
「とにかく、早く運ばないと……でも、あまり腕は動かさないようにして」
「でも、どうやって……」
きょろきょろとアリサは首を回して見渡した後、はっと思い出したように、
「そうだ、携帯」
バリアジャケット展開前の服に入れた通り、上着のポケットから出てきた。
「えっと、……なのはのお父さんやお母さんじゃまずいから……しょうがない、ファリ
ン!」
数コールでファリンが出る。
『ハイハイ〜 あれー、アリサちゃん、お隣にいないんですかー?』
「そのっ、ちょっと眠れなくって、なのはとユーノと散歩に出たのっ」
『はぁ〜、散歩ですか〜、良いですねー』
半分寝ぼけてるのか、ファリンは緊張感の欠片も無い、間延びした口調だった。
「なんだけどっ、えーと……そ、そう、なのはが川辺でころんじゃってっ、気絶してて、
腕も動かなくて……」
『ふぇー、それは大変ですねー……って! それは大変じゃないですか! どこにいるん
ですか、今!?』
突然、ファリンの声に緊張が入ってくる。どうやら覚醒したらしい。
アリサは、簡単な場所を伝えて、電話を切り、ファリンの迎えを待つ。
「なのは……」
アリサは、泣き出しそうな顔で、なのはの傍らに膝をつく。なのはの右手を握る。
「ごめん……ごめんねなのは……あたしが……バカな事言ったからっ……」
アリサは半分泣きながら言う。
それに反応したのか、なのはが、意識を取り戻して、眼をゆっくりと開けた。
「アリサちゃん……来てくれたんだ……」
言ってから、周囲をを見渡そうとして、苦痛に表情をゆがめる。
「動いちゃ駄目だ」
ユーノが、叱り付ける様に荒い声で言う。
「……あの子……フェイトちゃんは?」
「えっと……今日のところは引き上げるって、その……」
アリサは若干言葉に迷った後、事実だけを伝えた。
「そっか……」
なのはが、弱々しく微笑む。
「いつも、アリサちゃんには敵わないなぁ……」
「なのはっ、ごめんねっ」
なのはの自嘲的な言葉に、アリサはなのはの手を握りなおして、贖罪の言葉を繰り返す。
「アリサちゃんが謝る必要ないよ……私が魔法を使いこなせなかったのは、私のせい」
なのははなお優しげな瞳を見せて、アリサに言う。
「こんなときまで、どーしてあんたはそーなのよっ! 子供なんだから、泣き言恨み言の
ひとつも言いなさいよねっ!」
口調は荒いが、アリサの表情は、泣き崩れかけたそのままだ。
「じゃあ、アリサちゃんにお願い聞いてもらおうかな」
クスッと、なのははどこか意地悪く笑う。
「あの子、フェイトちゃん、止めて」
普段のように言ってから、なのはは声を低くして、さらに言う。
「絶対。出来なかったら、怒るよ?」
なのはの言葉に、アリサは一瞬、言葉を失う。
だが、それもほんの少しの間。アリサはなのはの身体をいったん一瞥すると、視線をな
のはの顔に戻し、
「解った、やってやろうじゃない」
と、アリサは目尻に涙を湛えたまま、胸を張った。
なのはの潜在的魔力の質と量は、訓練次第では史上稀に見る、強力な戦闘魔導師になれ
る可能性がある。
だが、現状は強力な砲撃魔術が”使えると言うだけ”で、フェイトには手も足も出ない。
元々彼女は運動能力も人並みかそれ以下で、学習能力も特筆するほど高いというわけで
はない。
「51、52、53、54……」
早朝のバニングス家、朝日が差し込む庭で、アリサは木刀を握り、正面から打ち下ろし
の素振りをしていた。
木刀はみやげ物屋に置いてあるような代物で、と言うか、そもそもみやげ物屋で買った
ものなのだが、重くはないが小学3年生が振り回すには少々でかい。
「100!」
目標の回数は終える。だが……
「だめだ、こんな普通の事してても、フェイトに勝てっこない……」
息を整えつつ、アリサは言う。
なのはとは逆に、運動神経と飲み込みの速さは人並み以上だが、魔力では人並み(ユー
ノ曰く、平凡よりやや下)がフェイトに対抗するには、その優位が崩れる接近戦しかない。
だが、今のところフェイトは接近戦、バルディッシュを使った打撃戦でも2人より実力が
上だ。
「こうなったら……」
息を整えながら、アリサは考えた。
その日の夕方。
「いらっしゃいませ。あれ、アリサちゃん?」
喫茶『翠屋』。
カウンターにいた桃子が、入店してきたアリサに気付き、声をかける。
「なのはなら家でおとなしくしてると思うけど」
桃子は明るく、優しげに微笑みながら、アリサに言う。一緒に居て、なのはが怪我をし
たと言うのに、桃子は嫌悪する様子もない。
「それともケーキか何かお買い物?」
だが、アリサの表情は硬いものだった。俯きがちだった顔を上げ、意を決したように言
う。
「すみません、恭也さん居ますか?」
「えっ……恭也?」
意外な名前に、
「え、ええと、厨房に居たんじゃないかしら?」
「すみません、失礼します」
桃子が戸惑ったように言うと、アリサはスタッカートの効いた口調で言い、カウンター
から厨房の方へと入っていく。
恭也は、厨房の奥の流し台で、食器を洗っていた。傍らに、忍もいる。その後継はアリ
サにとって必ずしも愉快なものではなかったが、構っていられない。
「あれ、アリサじゃないか」
恭也が先に気づき、振り返る。続いて、忍もそれに倣う。
「今日はすずかと一緒じゃないの?」
訊ねてくる忍に、アリサは無言で頷く。
そして、恭也に視線を向けた。
「恭也さんにしか頼めない事があって、来ました」
「俺に?」
恭也は意外そうに、眼を少し円くする。
「かなりぶしつけなお願いですが、私に、その、剣術を教えてくださいっ」
アリサはかすかに躊躇いの姿勢を見せた後、そう言って、頭を深く下げた。
恭也は一瞬、呆気に取られて目を円くし、忍と顔を見合わせる。
だが、軽くため息をつくと、僅かに怒ったような困ったような、表情になった。
「悪いがアリサ、御神流は一子相伝、門外の人間に教えるわけにはいかない」
恭也は突き放すような口調で言う。だが、それで簡単に引き下がるようなアリサではな
い。
「そこまで本格的なものじゃなくていいんです、基本的な、剣の持ち方とか、教えてもら
えれば、それで良いんです!」
顔を上げ、恭也の眼を見る。
「……もしかして、この前なのはが怪我をしたのと、何か関係があるのか?」
アリサの態度に、恭也はしかし、逆に表情を険しくして、訊ねる。
「アリサちゃん?」
忍は、驚いたように目を円くする。
「そんな言葉は、しかもうちに来るってことは、即実戦で使うって事だ。そうだろう?」
なのはの怪我は、左肘靭帯損傷、全治2週間。入院はしていないが、自宅で安静の事。
利き腕だけに、場合によっては生涯を左右しかねない。
「詳しい事はいえませんが……その通りです。なのはの怪我とも関係あります」
アリサは、一瞬、耐えられないように視線を逸らすが、直ぐに恭也の瞳を見つめなおす。
「でもっ! 譲れないんです、どうしても負けられない、だから、無理を承知でお願いし
に来ました」
「…………」
少し困惑げの忍。アリサと恭也は、お互い睨みつけるかのように見つめ合っている。
「解った……」
「恭也?」
聞き返したのは、忍だった。アリサはキョトン、とした表情をする。
「事情を聞いても、アリサもなのはも答えないだろ。だからと言って、父さんのところに
話を持っていかれても話がややこしくなるし、絶対駄目だといったらかえって危ない」
少し苦い顔をしながら、恭也は言った。
「あ、ありがとうございます!」
アリサは表情を明るくし、言う。
「ただし、本当に基本の動きだけだ。御神流の技の真髄に関わるような事は、教えられな
いし、もしそんなものが必要になるほど危ない事だったら、さすがに俺や父さんが出させ
てもらう。いいな?」
「は、はい!」
恭也の言葉に、アリサは直立不動の体勢になって、高く返事をした。
すると、恭也は翠屋のエプロンを脱ぎ、
「悪い忍、これ片付けておいてくれ」
と、忍に手渡した。
「あ、ううん、良いけど……」
忍は、戸惑いがちに言いながら、それを受け取る。
「それじゃあ、早速今からだ。まずは家まで駆け足、ついてこいっ」
「え? あ、ええっ!?」
アリサの格好は、下校途中、聖祥大附属小の制服に、カバンを背負ったまま。
だが、恭也はそんなことは関係ないといったように、走り出し、勝手口から出て行って
しまう。
「あ、ま、待ってくださいっ」
アリサも、取るものもとりあえず、駆け出して、恭也を追った。
……夜の帳も下りた頃。
海鳴市、市街中心部に立つ高層マンション。
その最上階の一室に、彼女達は居た。
「フェーイト」
アルフは、フェイトの寝室を覗き込む。心配そうに走る顔の翳(かげ)を、おどけた口
調で隠した。
「あれ!?」
アルフは、それを見て、軽く驚いたような声を出した。
「どうしたのアルフ? 私、何か変な事した?」
「あ、いや、ご飯綺麗に食べたんだーって」
アルフは、盛られていたものが綺麗になくなったお皿の乗った、ランチトレイを指しな
がら、そう言った。
「あ、うん……」
薄く微笑みながら、フェイトは言う。
「食欲なかったけど、無理にでも入れた」
「へぇ」
アルフは意外そうな声を出す。
「この程度で参ってるようじゃ、きっとまたあの子に負ける」
フェイトは言って、腰掛けていたベッドから立ち上がる。
フェイトにとって、”剣型のインテリジェントデバイスを持つ、白いバリアジャケット
の少女”との2戦は勝利とは言えなかった。
しかも、とんでもない速度で、それも本来なら絶望的に近い魔力の出力差をつめてなお
覆そうとする程の進歩を見せている。
時間をかければ負ける。
こちらの手の内を見せすぎても負ける。
フェイトに焦りが生じていた。
「バルディッシュ」
『Yes, Sir. Set up, Ready』
三角型近似の六角形をした、小さなプレートにはめ込まれた宝石が、答える。
それまで着ていたドレスに変わり、黒いバリアジャケットが、フェイトの四肢を覆う。
フェイトの右手に、長柄の斧を模したデバイスが現れる。
「行こう、アルフ」
「あいよっ、張り切っていこー」
アルフはおどけて言った。フェイトに余計なプレッシャーがかかるのは好ましくなかっ
たが、ポジティブ方向に傾いてくれるのなら構わない。
2人は、マンションを出ると、満天の星空に舞った。
「あ゙ー、恭也さん、やっぱり容赦ないなぁ……」
リムジンの後部座席で、行儀悪く手足を投げ出しながら、アリサは言う。
高町家に着いた後、いきなり木刀を持たされ、握りの形から構えまで取らされた後、そ
れで素振り。
回数をこなす事は覚悟していたが、形を守りながら、というのは、まだ小さいアリサの
身体には酷な事だった。
だが、それでも、反射的に漏れそうになる泣き言を無理矢理飲み込み、振り続けた。
夕日が完全に沈む頃、アリサは小休憩のはずが、いつの間にか寝てしまっていた。眼が
覚めるまでに、優に3時間は経っていた。高町家にある道場の片隅に居たはずが、客間の
布団に寝かされていた。
その後、高町家で食事を一緒にさせてもらった。アリサとしては、気まずかったが、士
郎も桃子も、そしてなのは本人も、怪我を気にした様子はなかった。
だが、だからこそ、アリサにとって負い目になる。なのはがこういうときに泣き言をス
トレートに出す相手で居てくれたら、むしろ、気が楽だった。
────あたしだけ、泣き言なんていってらんないのよ。
自分に言い聞かせるように、心の中で反芻する。
『Master』
胸のレイジングハートが、小さく語りかけていた。
「! 鮫島、停めてっ」
アリサは、はっとして言う。
「は? はっ」
運転席の、バニングス家の執事長でもある鮫島は、聞き返しつつも、ハザードを焚きな
がら、リムジンを路肩に寄せる。
「お嬢様!?」
鮫島が聞くが早いか、アリサはリムジンのドアを開けて、歩道に飛び出していた。
「ごめん、すぐ戻ってくるから!」
そういい残し、路地を駆けていく。
『ユーノ!』
走りながら、ユーノに念話で語りかける。
『間違いないよ。僕も向かってる。多分、もう近くに居ると思う』
その頃、ユーノは、人々の足の合間を縫いながら、やはり駆けていた。
路地から、別の太い通りに出たとき、アリサは、眩い光に反射的に手で仰ぐ。
一瞬の紅い閃光、そして、現れる青白い光の柱。
「レイジングハート、いくわよ!」
『OK, Master. Set Up』
燃える炎のような鮮やかのオレンジ色をした、魔力光の魔方陣が、アリサを取り巻くよ
うに展開する。バリアジャケットが装着される。そして、西洋剣に姿を変えたレイジング
ハートを、握る。
『Flier Fin』
スニーカーからオレンジ色の光の翼が生え、アリサは空に舞い上がる。
「────居た」
アリサは、ジュエルシードの光の柱の側に浮かぶ、金色と赤の光を見つけると、それに
向かって飛んだ。
>>236-246 今回は以上です。
今回からサブタイトルをつけました。
以前の話も、
1話 Innocent Starter
2話 To Powered
3話 Be Confronted with
4話 "I'll be back!!"
です。保管所編集の際に反映してくれたらと思います。
>>247 おおお家出る前に良いもん見れたぜ!
健気なアリサかわいいよアリサ
249 :
ておあー:2007/12/24(月) 17:32:18 ID:uQunQSm8
アリサかわいいよアリサ…でも二期から入った人間なので微妙に縁遠いです…
昨日レス下さった方、ありがとうございました。
ユーノ? まだあわあわわてるるような時かかかかかかか(AA略)
本当は明日出てくるはずだったんですが、投下量/日のバランスが崩れすぎるので調整のため今日から
登場します。『出ないの?』と思った頃に現れるのが三期のユーノクオリティ。
もっともこの話では円滑にスレを進めるために思いっきり注意書きに名前が出てますがw
今回の注意
・舞台はJS事件終了後、本編でいう新暦75年の年の瀬です
・基本はギャグですが、根底にあるのは『ほぼ全員に見せ場を』という気持ちです
・一部を除いて全ての登場人物が等しく壊れています。フリーダムです
・そしてネタまみれなおバ会話を繰り広げてます
・エロはユー×なのでちょっと(なのはさん的な意味でなく)だけあります。明日です
・その他オリジナルのカップリングが幾つかあります
・割といろいろ妄想設定です
という事で今回注意が多いです、酔狂な方だけお付き合いください。
シリーズのタイトル兼シルバーカーテンの起動キーは『機動六課のクリスマス』です。
6.
一方、ところ変わってミッド海上の隔離施設。
市内で阿鼻叫喚の地獄絵図が繰り広げられていたのと時を同じくして、ここでも宴が開かれていた。
もっとも前者のそれと比べると後者はずいぶんとマイルドな宴である。
「じゃあ次はセインさんが一発芸やりまーす……『落とし穴』! ……あ、あれ?」
「一応脱走防止の機能が働いているのだ……ISなど使えるはずがないだろう」
「アハハ、やっぱりセインはアホっスー!!」
「ぬあー、お姉ちゃんを馬鹿にすんなー!!」
実に平和的。
むしろいつも通りの光景である。
宴の参加者は戦闘機人、ナンバーズの更正組。
それに彼女達の更正プログラムを担当するギンガ・ナカジマとその父ゲンヤに普段機人達のメンテナ
ンスを担当するマリーを加えた10人。先祖が地球出身のナカジマ親子の発案で行われたクリスマスパ
ーティーであった。
「しっかし、アイツらはまあ……ほっとくと何時間でも騒いでるな。若い連中ってのは元気なもんだ」
「今まであの子達はこういった経験をする事がほとんどなかったでしょうから、楽しくて仕方ないんだ
と思いますよ。これからはこういう事ももっとたくさん経験させてあげたいですね。もっと、たくさん
……」
その発案者二人は姉妹達とは少し離れた場所で彼女達の騒ぎを見守っている。
「それにしてもよかったんですか、父さん?」
「ん? 何がだ?」
「八神部隊長やスバルから誘われていたんでしょう? 六課の方のクリスマスパーティーに」
「ああ、その話か。まあ向こうに行ってもよかったんだがな。向こうに人数が集中しすぎてもいかんだ
ろ、それに昔の上司がいちゃあ、八神も気楽な気分で楽しめねえだろうしな」
むしろそこはいて頂きたかった、残念。
「そんな事言って、こっちに来た本当の理由はマリーさんがいるからだったりして」
「な!? ば、馬鹿な事言ってんじゃねえよ、親をからかうのもほどほどにしろってんだ、ててててや
んでぇ」
ギンガの指摘にゲンヤは慌てて否定するが、余りにも怪しすぎるその態度は逆に図星であると言って
いるようなものである。
もっともギンガは父がマリーと再婚するとしても反対する気はない。
確かに二人は年齢こそ離れてはいるが、双方とも分別のある大人である。娘の自分が反対できる理由
はどこにもない。
既に十年以上続いている家族ぐるみの付き合いで彼女の人柄は十分に分かっているし、実はマリー本
人からもゲンヤから求婚されれば、それを受けるにやぶさかではない事を確認している。
詰まるところ、実はゲンヤのプロポーズ待ちな状態なのだ。
「私はマリーさんが新しいお母さんでも構わないですよ?」
「ぶふっ!?」
ギンガの追い討ちにゲンヤが飲んでいた砂糖入りミルク緑茶を噴き出す。これも元はといえばマリー
の好物だ。ゲンヤとしては糖分の摂取過多が気になるらしいが、マリーに気に入られたいという一心で
未知の飲み物に挑戦しているゲンヤの姿は見ていて微笑ましく、ついこんな風に悪戯をしたくなってし
まう。
(マリーさんには無理に焚きつける事はしないでって言われてるけど、これくらいはいいよね。それに
マリーさんが父さんの側にいてくれるようになれば、私もカルタスさんと……)
「何か言ったか?」
「い、いえ、何度もナイデスヨ!」
「へー、そうデスカ」
まあ誰と付き合おうが構わねえけどよ、と愚痴りながらゲンヤはテーブルにかかった茶を拭き取って
いく。
「まあそれにアレだ、六課の連中には手土産も送っといたしな」
「手土産?」
「おうよ。ミッド南部はアルトセイム地方でしか栽培されてねえっつう稀少なブドウで作られた、知る
人ぞ知る名酒『時の庭園』、一口飲めばアルハザードまでブッ飛ぶような心持ちになれるって言われる
一品だ、それから他にも俺がお勧めの安くて美味い酒をこうドバーッと……」
「父さん……八神部隊長もなのはさん、フェイトさんもまだ未成年ですよ? それにスバルやティアナ、
エリオ君やキャロちゃんだっているのに……」
「いやまあその辺は向こうで自粛すんだろ、それに仮に飲んじまっても少しぐれえなら大丈夫さ」
ゲンヤはそう言って豪快に笑った。
まさか海の向こうでは、自分が送った酒が原因で首都が陥落しかけた事など知る由も無い。
ちょうどその時お手洗いから帰ってきたマリーが皆に声をかけた。
「みんなちょっと外に出てみない? なんだか凄い事になってるよ」
*
「うわ……すご……」
「何か一面真っ白っスねー……」
施設の屋外エリアに出た一同は目の前に広がる銀世界に圧倒されていた。
「すごい雪ですね、父さん……」
「雨だな」
「父さん?」
「いや、雨だよ……」
「おとーさーん」
「……ハッ!? あ、ああ……こりゃすげえ雪だ」
「父さん……飲みすぎ?」
「わあ……」
稼動して日の浅いノーヴェは、始めて見る雪に興味深々の様子である。
「……ねえ、チンク姉。これって一体何なの?」
「これは『雪』だな」
「ゆき?」
「ああ、上空の気温が低い時、雲の中に含まれる水蒸気が大気中の微粒子を核にして氷晶と呼ばれる結
晶を形成する。この氷晶が空から落下する際、第97管理外世界の単位・セルシウス温度で0℃以上に
なることなく地上に到達した場合に観測される現象が『雪』だ」
「……ごめんチンク姉。もう一回最初から聞いていい?」
チンクの説明をさっぱり理解できないノーヴェにディエチが助け舟を出す。
「空の上の気温が低いから雨の粒が凍って、それがそのまま落ちてきたって考えればいいよ」
「うむ、まあ感覚的にはそのような捉え方でよかろう」
「へえ……そうなんだ。ありがと、チンク姉、ディエチ」
「ところでこれって一体何なんスかねえ?」
三人がアカデミックな話をしている横で、アホの子トリオの残り二人も同じ問題に突き当たっ
ていた。
「あれ、ウェンディはそんな事もわかんないの〜?」
「ええっ、じゃあセインはこれが何なのかわかるっスか!?」
「当然! これはね……雲のカケラなんだよ」
「雲の……カケラ?」
「そう! ほら、今空一面に雲が浮かんでるだろ?」
「確かにそうっスね」
「普段は柔らかそうなあの雲が、今日はこの寒さでカチンコチンに凍っちゃってるんだよ。そんでカチ
ンコチンの雲同士が空の上で擦れあって、削れた小さな破片が今降って来てるのさ」
「おおっ! 凄いっス! 理論的な説明っス! 久々にセインを見直したっス!!」
「へっへ〜ん、お姉ちゃんだってやる時はやるんだよ♪」
むしろ理論とは対極の位置にありそうなファンタジックな答えだが、久々に姉の威厳を取り戻
したセインの名誉を傷つけないよう誰も本当の事は教えない。
「……寒いの?」
「……少しだけ」
「……手。繋ぐと暖かいよ」
「……そうだね」
そしてこちらはどこまでも二人の世界。
今降っている物が雪だろうが槍だろうが、別に二人には関係ないのだ。さすがにミストルティンが降
ってきたら違う反応もするだろうが。
姉妹達がはしゃぐすぐ側では、保護者組も予想外のホワイト・クリスマスに少し興奮していた。
「なんだかロマンチック……でも珍しいですよね、ミッドの中心部に雪が降るなんて」
「そういえば私も記憶に無いなあ。私生まれも育ちもクラナガンなんだけど」
「マリエル技官やギンガに覚えがねえのは当然だよ、俺もこんだけ降ったのは見た事ねえ。こりゃ明日
辺りでけえ戦争が起こるかもなあ」
「ええ〜縁起でも無い事言わないでくださいよ、ナカジマ三佐」
「そうですよ父さん。それに、珍しい事があった時に『明日は雪が降るかも』って言う事はあるけど、
その逆なんてないでしょう?」
何度も言うが、暢気に会話する三人は知らない。
つい先刻、まさにその『その逆』があった事を。
「ギンガ……先生」
「あら、どうしたのノーヴェ?」
気がつくと、チンクやディエチと一緒に居たはずのノーヴェがギンガ達の前まで来ていた。
「何か私に言いたい事があるのかしら」
「えと……その……」
ノーヴェは何かを言いかけようとするが、どうしても言葉が出ないのか俯いてしまう。
ギンガはそんなノーヴェを急かす事はせず、彼女が自ら口を開くのをじっくりと待つ。
「あのっ! ……あの時は、ごめんなさい」
「地上本部の話? いいわよ、あれはもう過ぎた事なんだから」
確かにノーヴェを含む戦闘機人とスカリエッティには瀕死の状態にまで追い込まれたり体を改造され
たりした。しかしそれはもう過去の話だ。
当人がしっかりと反省し、二度と同じ事を繰り返さないというのであれば、こちらもその謝罪を受け
入れる。でなければ、彼女達も自分も前には進めない。
「それに……色々、ありがとう、って……今日だってアタシ達の為にこんなパーティーを開いてくれて」
「ノーヴェ……」
ノーヴェは空を見上げる。
「……ねえ、ギンガ先生」
「……うん?」
「世界には、この雪みたいにまだまだアタシ達の知らないものがいっぱいあるんだよね……アタシは、
もっとそんなものを見たり、聞いたりしてみたい……だから、明日からもよろしくお願いします」
「……うん。こちらこそよろしくね、ノーヴェ」
ギンガはノーヴェを抱きしめて、その頭を優しく撫でる。
ちょっぴりウルっと来た顔を見られたくなかったからだがもちろんそんな事は向こうには内緒だ。
昔はこうやってスバルの頭をよく撫でてあげたものだ。
戦闘スタイルや声が似ているせいか、どうしてもスバルとこの子を重ねてしまう(もっともそれを言
うと、目の前のこの少女は怒るだろうが)。性格などはかなり違う、むしろ真逆に近いがそれでもいと
おしい事に変わりはない。
ギンガにはナンバーズの更正プログラムを担当してわかった事が一つある。
教師というものは素直な教え子もかわいいが、手のかかる子もまたかわいいものなのだ。
その様子を見守っていたゲンヤも二人に近づきノーヴェに声をかける。
「まあギンガについてきゃ間違いはないさ。しっかり学んでゆっくりやっていきゃあいい」
が。
「え!? そ、そうですね……あ、チンク姉が呼んでるからアタシもう……じゃあっ!!」
「あ、ノーヴェ!?」
「……ありゃ? もしかして、俺ぁあの子に嫌われてんのか……」
脱兎のごとく駆け出して行ったノーヴェの背中を見て、ゲンヤが俺なんかやったっけなー、と呟く。
そしてそんな教え子と父親の姿を見ながら、ギンガは苦笑を浮かべていた。
どうやら彼女はなかなかに厄介な初恋をしてしまったようだ。
前途は多難であるが、こればかりは彼女の味方をしてあげられそうにない。
しかし……目の前にいるこの男性は、何故に親子ほども歳の離れた女性ばかりを惹きつけるのだろう?
「ハアッ、ハアッ……た、ただいま、チンク姉」
「おかえり……ところでノーヴェ、姉はいつお前の事を呼んだのか記憶に無いのだが」
「あう……聞こえてた?」
「嘘をつくのは感心しないぞ、ノーヴェ。しかしお前が素直になるのであれば、姉もお前に協力してや
ろう。何、年の離れた男性の心を動かす方法ならば、姉にも多少心得がある」
「……雪だるま」
「……うん」
「……私が頭で」
「……僕も頭」
「……どうしよう」
「……二人でもう一個作って、トーテムポールにしよう」
「……そうだね」
「……シュート、シュート、シュート。なんか違う、あの人の砲撃はもっと力強かった……もう一回」
「ぬわー!! ディエチの雪玉は痛すぎっス! もう雪合戦はいやっスよ……ライディングボードがほ
しいっス。白銀にシュプールを描きたいっスよ」
「ウェンディ……ライディングボードは浮いてるからシュプールは描けないよ」
「ああそれもそうっスね、やっぱ今日のセインは冴えてるっス。ところでセイン、この雪ってあのふわ
ふわしてる雲のカケラなんスよね? なんでぶつけられるとこんなに痛いんスか?」
「そりゃあ凍ってるからでしょ」
「でもこのカケラ、暖めたら溶けて無くなっちゃうっスよ? なんでふわふわしたあの雲に戻らないん
スか?」
「そ、それは……」
ミッド海上の隔離施設。
天(ある意味人)からのクリスマスプレゼントのおかげで、それぞれの心が少しだけ近づいたり遠の
いたり複雑に絡みかけたりしているが、基本的には穏やかに過ぎたホワイトクリスマスであった。
「なに、この白い物体が何か教えてほしい? これは『雪』と言ってだな……」
「……セインはやっぱり嘘つきっス! チンク姉の説明と全然違うっス、尊敬して損したっス!!」
*
「暇だな……ちくしょう、当直じゃなけりゃ俺も隊長達と一緒にパーティーに参加してたのに……だい
たい向こうじゃ男は隊長一人だけでハーレム状態なんだから、ギンガくらい置いてってくれればいいの
にな」
「まあまあ……それに暇なのが一番ですよカルタス二尉。なんでもクラナガンの方じゃ徒党を組んだ違
法魔導師が暴れまわったせいで、六課も鎮圧に駆り出されたそうですし」
「そりゃ物騒な話だな、犯罪者達が気の毒になるくらい……ま、確かに平和が一番か……」
7.
「ふう、疲れた……」
深夜、機動六課隊舎。クラウディアから帰還したなのはは、ようやく自分の部屋の近くまで戻ってき
ていた。
あの後、クロノとシグナムの水流に頭を冷やされた六課メンバーは直前にその場を離脱した数名を除
き、全員がクラウディアに回収された。ちなみに違法魔導師達も残らず検挙されたが、あまりに数が多
いので近隣の拘置所に片っ端から牢にぶち込まれた。
人権無視だと弱々しく主張する者もいたが、「対応が追いつかないので、いっそこのまま放置して凍
死させては?」という非人道的な案を採用しなかっただけマシと思ってもらいたいものである。
その後六課メンバーはクロノから今回の件について説明を受けた。
まず事前にクロノや三提督に話が伝わっていた事もあり、とりあえず六課の面々と魔導師達が牢の中
で第二ラウンドを行う事はなさそうだということだった。
『とりあえず年末年始も近いので、今年いっぱいは暫定的に活動凍結』の旨を言い渡されたが、いわ
ゆる『冬休み』のようなもので、実質的には罰とも呼べない処分である。
彼らに連絡したグリフィスとそれを指示したザフィーラの英断に全員が二人を褒め称えたが、そのザ
フィーラはちゃっかり水流を回避、グリフィスも恋人であるルキノが水流を回避したので今頃は隊舎で
ヨロシク仮面ダッツノーやっているだろうという事で、数分後には賞賛の声は消えていた。
それからスーパークロノタイム(お説教)が一時間ほど続き、いい加減皆が疲れ果てた頃フェイトと
カリムによるチームブロンドがクロスボンバーを敢行し、その隙をついて他の全員がその場を脱出した。
二人のダイレクトアタックが成功し既成事実が作られれば今後同様の事態が起きた時に便利なので、
チームブロンドにはぜひ頑張ってもらいたいところである。性的な意味で。
回避組の処遇については後日改めて検討する予定だが、とりあえずロッサに関してはスターライトト
ンファーを食らわせる、シャーリーによるグリフィスのNice Boat.エンドだけは回避するという点で意
見が一致したところで『夜も遅いから今日はもう解散』という流れになったのだった。
だが、そんな瑣末な事は抜きにして、今はただやる事を済ませ休みたい。
レイジングハートの声が廊下に響いたのはそんな時だった。
『マスター、マスターの部屋から魔力反応を感知しました』
「……誰か部屋にいるの?」
一瞬未知なる侵入者に警戒が高まる。
しかしレイジングハートの次の言葉が、なのはの警戒を解いた。
『既知の魔力パターンです。おそらく部屋に居るのは――』
●
騒ぎで部屋で眠っているであろうヴィヴィオを起こさないよう、まず念話でその人物に呼びかける。
(こんな夜中に、人の部屋で何をしてるのかな……ユーノくん)
(……な、なのはあっ!?)
予想通り、念話での声は相当に慌てたものだった。普通にドアを開けていれば絶叫ものだっただろう。
(とりあえず、部屋に入ってもいい?)
(う、うんまあいいけど……笑わないでよ)
(?)
『笑わないで』の意味が掴みかねず、疑問を浮かべたままなのははドアを開ける。そこで飛び込んで
きたユーノの姿を見てなのはは思わず吹き出した。
「ユ、ー、ノ、くん……それ……ぷぷっ」
「……だから笑わないでって言ったじゃないか」
目の前に立つ十年来の幼馴染は、全身赤と白で覆われた『サンタルック』だった。
●
「……それで今ちょうど六課に戻ってきたところだよ。今日あった出来事はそんな感じかな」
「……ず、ずいぶん濃い一日だったんだね。主に夜半にかけて」
それから10分後。
なのははユーノに今日あった出来事について話していた。
どうやらグリフィスから直に救援要請を受けたクロノを除けば、本局の方には地上で何が起こったの
かまだ詳細な報告がなされていないらしい。
地上本部の混乱や『伝説の三提督』の無言の圧力があった事はもちろんだが、地上と本局の連携が元
々上手くいっていなかったのも幸いしたと言えるだろう。おかげで後は報告書の書き方を少し工夫する
だけで万事解決である……罪の意識とかそういったものは除いての話であるが。
「それで、六課は大丈夫なの?」
ユーノがなのはに質問する。
既にサンタのコスプレはやめて、いつもの少しくたびれたスーツ姿に戻っていた。
「クロノ君には『とりあえず年末年始は業務停止』って言われちゃった。まあ仕方ないよね」
「んー、クロノがそう言ったんなら、あとはアイツに任せて素直に休んでおけば安心だとは思うけどね」
普段はやれ人使いが荒いだの、いい加減使い魔呼ばわりはよせだのとクロノに恨み節なユーノだが、
なんだかんだいって彼の事は信頼している。
「アイツの事だから、今頃朝一で提出できるよう書類の山と格闘してるんじゃないかな」
●
その頃の『クラウディア』提督室。
「……このバインドを解け、フェイト。まだ酔いが冷めてないのか?」
「うん、冷めてないよ。だからクロノの体で温めさせて」
「……騎士カリムもですか?」
「はい(はぁと)」
「お願いです、こんな事はもうやめてください! 私には妻も子も……」
「まぁ……クロノ提督のって、思ったより小さいんですね」
「普段はもっと大きいんですよ」
「こんな状況じゃ誰でも縮み上がるわ! だいたいフェイト、なぜ君がボクのデュランダルのサイズを
知っている!?」
(ふふ、でもこうやって舐めたら……? んちゅ、くちゅ……)
(チンポ舐めたい! ふしぎ!!)
(ですよねー)
(という事なので失礼しますね、提督)
「どういう事だー!! く……や、やめてくれ……過去のトラウマがああああ! アアー!! サンピイコワイサンピ
イコワイ、ヌコシマイトサンピイコワイ--!!」
クロノは書類以外のあらゆるものと格闘している最中のようです。
Zzz.●
「そういえばユーノくん、どうしてサンタの格好なんてしてたの?」
「ああ、あれ……?」
ユーノは恥ずかしそうに頭を掻く。
「いや、今日はクリスマスだからさ。ボクもヴィヴィオにプレゼントを用意してたんだ。たぶんヴィヴ
ィオは起きないだろうと思うけど、もし目を覚まされたら困るから……」
「それでわざわざサンタさんの格好を?」
なのはは一人サンタの格好に着替えるユーノを想像して笑顔がこぼれる。
「ユーノ君はいいパパになれるよ」
「まさか君に見られるとは思わなかったよ。ていうか君やフェイトも一緒に寝てると思ってた」
「だったらなおさら先に連絡してくれないと……目が覚めていきなりあんな格好した人がいたら問答無
用で迎撃しちゃうよ」
「ら、来年こんな機会があったら気をつけるよ……それにしてもまさか地上がそんな事になってて、そ
れに六課がしっかり絡んでたなんてね」
「う"……ごめんなさい」
謝るなのはの顔を見てユーノは苦笑した。
多少やりすぎたとはいえ千人を超える違法魔導師の一斉蜂起という前代未聞の大事件を、僅か数時間
で完全解決したのだ。恐縮するどころか胸を張っていい。
まあもっともこれは『勝者の伝える歴史』しか知らないユーノだから言える事であって、実際の光景
を目の当たりにしていれば考えは180度変わったかもしれない。それとも彼女達の無茶には慣れっこ
の彼ならさらに180度回って今と同じ結論に至るかもしれないが。
「そういえばユーノサンタはヴィヴィオにどんなプレゼントをあげたの?」
「うん、ええと……」
ユーノはなのはを連れて眠っているヴィヴィオに近づくと、枕元に置いたプレゼントを指差す。
「あれなんだけど」
彼の魔方陣と同じ、淡いグリーンの包装紙に包まれたそれは雑誌大の薄い長方形をしていた。
「あの形だと……スケッチブックか何か?」
「残念、正解は絵本でした。この前ヴィヴィオがミッド文字とベルカ文字を覚えたって言ってたでしょ?
だからちょうどいいかな……と思って。そういえば、なのはももしかしてヴィヴィオにプレゼントを用
意してたりする?」
「まあ、ちょっとしたものだけどね……いいなあヴィヴィオは、サンタさんがいっぱいいて」
「……うん」
「ヴィヴィオ?」
「起きちゃった?」
「……ごきげんよー……」
ヴィヴィオを起こしてしまったかと身構える二人だが、どうやらただの寝言だったようだ。
夢の中で一足先に魔法学院に通っているのだろうか。
「……しゅーと……」
杖代わりなのか、手に握ったザフィーラの尻尾を振り回している。
ヴィヴィオの足元で丸まっているこの盾の守護獣は大方ヴィヴィオが眠りにつくのを待っていたが自
分も疲れていたので眠ってしまったというところだろう。
本来ならば彼も頭冷やそうかリストに入ってしかるべきなのだが、なのはとしてはヴィヴィオに免じ
て許してあげたいところだ。ただしうちに来てヴィヴィオをファックするのは許さない。
「……勝ったケロー……えへへ……」
「あはは、夢の中で模擬戦でもしてるのかな。やっぱりヴィヴィオは魔導師が向いてるのかなあ」
「なのはみたいに? それなら絵本よりカートリッジでもプレゼントしたほうがよかったかな」
「それはダメ。こんな小さな頃からカートリッジを使ってたら、いつか私みたいに体を壊しちゃうよ」
なのはの表情が真剣なものに変わる。
カートリッジシステムは一時的に爆発的な魔力を得られる代わりに、大事故に関わる可能性も高い。
一度堕ちているなのはは、自身の事故以来周囲の人間が危険な行動を取る事について敏感である。
「普通のデバイスならいいけど、カートリッジ式は体への負担が大きいから……これまでの事とか考え
ると、たぶん魔法と全く関係ない人生は送れないと思う……でもできればヴィヴィオには怖い思いや危
ない思いをしてほしくないんだ」
「その為に、自分の体はどうなってもいいの?」
「えっ」
今度はユーノの表情が真剣なものに変わる。
「シャマル先生から聞いたよ。『ゆりかご』戦での後遺症、まだ残ってるんでしょ?」
「う"」
「本来なら数年は休養が必要なのに、全力で戦わないと新人達に教えられない事があるからってちっと
も聞く耳をもってくれないって」
「でもそれは……」
「なのは」
ユーノがなのはの肩を掴んで引き寄せる。
「いつかボクはなのはに言った事があったよね。『ボクがなのはと出会わず、魔法とも出会わなかった
らどんな人生を送ってたか考えてしまう』って。でもそれに対してなのはは『自分は魔法に出会えてよ
かった、だから"会わなかったら"なんて考えたくない』って言ってくれた。それが嬉しかったから、ボ
クはあの日からもうその事は考えないようにしてる。だけど八年前の事故や今回みたいなことがあった
ら……やっぱり考えちゃうよ」
「……ごめんなさい」
「本当に悪いと思ってる?」
「……思ってるよ」
ふう、と溜息をつきながらユーノが笑う。
「その顔、全然反省してない。それでも同じ状況になったら迷わず同じ手段を選ぶって顔だ」
「ち、違うもん! それに、一応今だって前より体には気を使ってるもん!!」
「でもやっぱり使うんでしょ? ブラスターモードを」
「それは……その」
なのはがもごもごと口篭る。
こういう時に嘘でも「使わない」と言えないのは彼女の性格だ。頑固だけど実直で嘘がつけない。
そんな性格だから自分の身を躊躇なく危険に晒し、困難に立ち向かう事ができるのだ。
「まったく……ヴィヴィオの存在が少しは鎖になるかと思ったけど……このままだとヴィヴィオを引き
ずったまま何処までも飛んで行きそうだね」
「し、しないよそんな事ー!!」
でもそれがいいのだ、とユーノは思う。
某兄貴風に言えば、『強い人だ、惚れがいがある!』というやつである。発言者に比べるとまだまだ
自分の余生は長そうだが、それでもこの先の人生を賭けるに十分値する。
「だからさ……ボクもヴィヴィオと一緒に引きずられる事にするよ」
「へ?」
ユーノは胸元から小さな箱を取り出す。
この日サンタが用意したもう一つのプレゼント、どうせ今日も渡せないだろうと思いながら持ってき
たが、こうなったら勢いでいってしまうに限る。
「結婚しよう、なのは。君の事はボクが落とさせない。全力で踏みとどまって、いつでも君がボク達の
事を忘れないようにしてみせる」
「……」
「……って、思ってるんだけど……ダメかな?」
「……」
「……ア、アハハ。そうだよね、ていうか結婚とかいう以前に、まず交際からだよね」
「……」
「ていうかつまらないデスカ? 寒いデスカ? ひきまシタカ? 痛かったディスカー?」
「……」
「だよね! ごめんね! キモイよね!? じゃあボクもう帰るから、フェイトやはやて達にヨロシク!!」
オーノーだズラもうダメズラ、高いところから落ちた分ダメージが滅茶苦茶大きい、ていうか最後ま
で振られっぱなしだった兄貴を引用した時点でもうアウトだよねアハハハハ、お前を信じる俺を信じろ
な方の兄貴にしとけばよかった、ああでもそれだとすぐに死別しちゃう事に……
自棄気味でパニックに陥りながら部屋を出て行こうとするユーノの服を、なのはの指が掴んだ。
Σ●!!
←To be continued...
261 :
ておあー:2007/12/24(月) 17:41:02 ID:uQunQSm8
以上です。お付き合いくださった方、ありがとうございました。なんか寸止めっぽいけど別にどう
という事はないよね。
それはそうと海上組は平和でいい……六課と海上組なら断然海上組を選びます。もちろんゲンヤパ
パンと俺をチェンジでハーレ……え、監獄組? えーと、たぶん夕食にちっちゃいケーキとかついて
きました。そんな感じ。
短期集中夕刊も明日が最終回です。一日遅れのサンタサンになれるよう慣れないエロも頑張ってみ
たけど、やっぱり不安だらけなので今晩ケーキでも食べながらもっかい推敲してきます。ではー
>>261 GJです!!それぞれのクリスマス・・・セインさんはやっぱドジっ子ですねw
そしてなの×ユーとうとう終盤きましたね。都築が気になる!!
GJ!
さあ都築がどうくるかワクテカしてますよ!!
乙。
チームブロンド自重しろ。
そして都築が……つ、都築!?
やべぇ、ヤッてる最中に原作者乱入とか見えた。
266 :
39-528:2007/12/24(月) 21:41:24 ID:b+Ci9niu
皆様
お久しぶりです。
拙作「History repeats itself」が一応完結まで書けたのですが…
新規分が35文字(全角)×約1600行になってしまいました。
さすがにこれを連続で投下するのはまずいかと思いましたので、
22:00頃 Chapter-C
23:00頃 Chapter-D
24:00頃 Chapter-E
25:00頃 Chapter-F & Epilogue
といった感じで投下を考えているのですが、大丈夫でしょうか。
p.s. この3連休殆ど外に出ずにこのSSを書いてしまいました。orz
>>266 自分の投下したいようにしてくれたら。
予告さえあればいつでも支援するから。
合間に他の職人さんも来て投下するかもしれんから、念のため容量気をつけてな
現在約317kb。まさか今日明日中で使い切るなんてことは…ない、とオモウガ…
269 :
39-528:2007/12/24(月) 22:01:56 ID:b+Ci9niu
OKみたいですので、投下いたしたいと思います。
以前41スレで投下した「History repeats itself」の続きになります。
今回はまだ(A〜Fの)の中間あたりになります。
・エロ無し、ただしグロ(体内機械破壊等)表現あり
・JS事件から約2年後が舞台。(プロローグ、エピローグに一部違う時間あり)
・そのためオリ設定が一部(デバイス設定、ナンバーズの進路等)入ります
・ノーヴェ&スバルが主役。あとギンガとウェンディもメインで出ます
(プロローグ、エピローグに他のキャラも。
ただし、今回はウェンディ&ギンガの方が多いです)
・スバル重傷(大破)、ノーヴェ負傷、あるいはStS本編17話やメガミ今月号
(2008年1月号)のStSコミックのスバル負傷シーンがダメな(見られない)
方は、このストーリーはスルーして見ないようお願いいたします
(なおスバル、ノーヴェ共に死亡しないで生き残ります)
(なお、今回投下分にはグロ表現はまだ入っておりません)
タイトルは「History repeats itself」になります。スルー等される場合はこれをキー
にしていただければと思います。
それでは、よろしくお願いいたします。
第17区画のとある遺跡…かつて住居だったと思われる小さな石造りの建物…
内で捜索行動中のプレアデス1,2の2人。
「そういえば」
小さな部屋を覗き込んで見終えた後のスバルが、ノーヴェの方を見るとそんな
言葉をノーヴェに向かってかけた。
「ん?」
別の部屋を覗き込んでいたノーヴェは、スバルの方を振り返ることもなく条件
反射的にそう呟く。
「メール……来てたんだよね」
「何の話だ?」
スバルからの言葉の続きに、ノーヴェは彼女に聞き返す。
ノーヴェの問いかけに、スバルは嬉しそうにこう答えた。
「…チンク姉から」
「えっ?……あ、ああ」
スバルの返答に、ノーヴェは言葉少なげに…でも何か嬉しそうに…肯定した。
「ねえねえ、なんて書いてあったの?」
興味津々という口調で、ノーヴェに聞くスバル。
「曹長補学校の様子とか、仲良くなった同期の奴とか…って何でお前に話す必
要があるんだよ」
途中まで気楽に答えそうになっていたが、ふと何か思い出したかのようにそう
答えるノーヴェ。
「えー、いいじゃん」
当然のような口調でスバルが言い返す。
そして、屈託のない、いつもの明るい笑顔でこうノーヴェに言った。
「だって、姉妹でしょ…私達」
姉妹。
スバルの口から出たその言葉に、ノーヴェは何か反抗するような…その割には
ほんのりと頬を赤らめていたが…表情でノーヴェが言い返す。
「な…何言ってんだよぉ!?」
「えー、だって今はノーヴェもチンク姉もナカジマ家なんだし」
スバルの言葉に、ノーヴェは突き返すような口調で返答する
「あ…あたしはギン姉やゲンヤ父さんは認めたけど、お…お前は姉妹とは思っ
てないからな」
「えー、ヒドイよ。名字は同じナカジマになったのに」
「う、うるさい! お…お前とは敵ではなく味方になっただけで、か…家族と
は、これっぽっちも思ってないからな!」
「うー…お姉ちゃんは悲しいよぉー」
ノーヴェの否定に、オヨヨと泣き崩れるような仕草…まあ本気で泣いているの
ではなかったが…でノーヴェに語りかけるスバル。
「初めて家に来た時は、初々しくて素直だったのに…」
「ちょ…あ、あれは父さん…いやゲンヤがいきなりチンク姉とあたしをちょっ
と話があるといって連れて行ったからで…」
何故か…そう思っているのはノーヴェ本人のみのようだが…ドギマギしながら
スバルの言葉に対してそう反論するノーヴェ。
「ううう…チンク姉は優しくしてくれるのにぃ」
「あ、あと…お前チンク姉のこと『チンク姉』って呼ぶなっ!」
「えー、ヒドイよ。ギン姉のことは『ギン姉』って呼んでるのにぃ」
「そっ、それは…ギン姉が『私のことはギン姉って呼んで良いよ』って言った
から…」
「あっ、私もチンク姉が『姉のことはチンク姉って呼ぶがよい』って言ってく
れたもん」
「チ、チンク姉が『良い』って言っても、あたしが『良い』って言ってないか
らなっ!」
……
……
ふとしたことから突然始まった姉妹喧嘩…それはJS事件当時のようなむき出
しの憎悪と殺意をぶつけ合ったものではなく、本当は仲の良い姉妹同士がやる
ようなある意味ほほえましい姉妹喧嘩…は、捜索もそっちのけで継続した。
顔を合わすと毎回と言っていいほど始まっていたスバルとノーヴェの姉妹喧嘩。
起こると周りもやれやれといった感じで優しく見守ったり頃合いを見て仲介を
入れたりしていたが、此所では2人だけなのでそんな妨害(?)も無く続いてい
った。
そんないつもの姉妹喧嘩の掛け合いを続けながら、スバルとノーヴェはそれぞ
れ自分達に新しい家族が増えた経緯を走馬燈のように思い出していた。
更正施設収監後、ナンバーズの7人の少女達は今後のメンテナンスのため…
そして更正プログラム受講中に万が一反旗を翻して脱走等しないように各IS
を一時封印するため…本局のマリー達技術者によって各種の検査を受けさせ
られた。
その際に彼女達の遺伝子情報も調べられたのだが、それで彼女達の何名か…
特にクローン型…の元となった遺伝子のオリジナルが判明した。
その中のノーヴェとチンクの2人…ゲンヤやギンガも薄々感づいてはいたよ
うだったが…の遺伝子情報は、殉職した元時空管理局の陸士部隊捜査官クイ
ント・ナカジマ…同じ戦闘機人のスバルとギンガの母親。本当はノーヴェ達
と同様にクローン元なのであったが…がオリジナルであった。
その事実は、オリジナルのクイントの関係者…家族のゲンヤ、ギンガ、スバ
ルの3人に伝えられた。
その後、ゲンヤ・ギンガ・スバルのナカジマ家で何度か話し合いがもたれ、
色々な意見や要望が飛び交った結果……ある結論にナカジマ家は至った。
更正プログラムが終了し、彼女達ナンバーズの7人が管理局に(保護観察も兼
ねて)入局して少し経った頃。
管理局員としてもまだ覚束ない状態のチンクとノーヴェは、夕方定時後に突
然ゲンヤに呼び出された。
緊張している2人を前に、ゲンヤはリラックスした態度でこう言ったのだった。
「今夜、うちでメシを食ってかないか?」
気楽な表情のゲンヤの口から出た言葉に、2人は思わず
「「ハァ?」」
と聞き返してしまった。
よし決まりだと言いながらゲンヤは、呆気にとられたままの2人をそのまま
引っ張るように自宅に連れて行った。
そしてゲンヤの住んでいるナカジマ家の官舎に入った2人が見たのは……
夕食というよりはパーティーという感じの沢山の料理が並ぶテーブルと、更
に奥のキッチンで料理を作り運んでいるギンガとスバルであった。
「ナカジマ家にようこそ!」
というスバルの言葉に、2人には訳の分からないまま夕食というかパーティ
ーが始まり…ティアナやキャロが見たら驚くというか、逆に納得するかもし
れないが…スバル達4人の少女達が旺盛な食欲を発揮してテーブル上を綺麗
にした後、ゲンヤは場を整えるかのように咳払いをしてから真面目な顔でチ
ンクとノーヴェに向かってこう問いかけた。
「ところでチンク、ノーヴェ…お前達、ナカジマ家に入らないか?」
「「えっ??」」
またしても2人は同じようにゲンヤに聞き返してしまった。
その後ゲンヤは、2人にナカジマ家への養子縁組について語り始める。
家族会議での話し合いの内容…2人がクイントの遺伝子を持っている自分の
娘のようなものであること。きちんとした籍があれば2人の将来の活動にも
管理局以外にも色々と有利になること。
そして何より、かつて敵として対峙し殺し合いをしていたはずのギンガとス
バルが、2人を家族として迎えたいと強く希望していること。
ゲンヤの話が終わった後、2人は考え込むようにしばらく黙っていた。
ゲンヤも、2人に回答は今すぐでなくて時間をおいて考えてからでも良いこ
とを付け加えると、夕食は終了ということでスバルやギンガを含めた3人で
2人を宿舎まで送っていった。
その後、チンクとノーヴェはそれぞれナカジマ家への養子縁組について考え
ていた。他の姉妹達のこと、ゲンヤのこと、ギンガやスバルのこと、そして
…自分のこと。
ゲンヤ達の申し出は悪いと思わない。ただし自分達2人以外の姉妹達を差し
おいて、自分達がそんな良い話を受けてよいのかという後ろめたさを2人は
強く感じていた。
そんな2人の様子をどこから聞いてきたのか、セインやディエチら他の姉妹
達が2人に何かあったのかと口々に聞いてきたのは、やはり姉妹の絆がなせ
る業なのだろうか。
初めは2人とも関係ないとはぐらかしていたが、ふとした事で2人の養子縁
組の話が明るみになった時、2人は覚悟した…姉妹達からの反応を。
だが、2人を迎えたのは予想外ともいえる…祝福の言葉だった。
「良かったじゃん」
「おめでとう」
「おめでとうっス」
「「おめでとうございます」」
誰一人避難したり咎めたりということはなく、当然ともいえる感じで2人に
養子縁組を勧める5人の姉妹。
ゲンヤからの養子縁組の話が出た時と同じくらい…いや、もしかしたらそれ
以上…の驚きであった、チンクとノーヴェの2人にとって。
5人の姉妹達は続けるように2人に語りかける。
「姉様が幸せになるなら、反対なんてするわけないじゃないですか」
「たとえ名字が変わっても、僕達が姉妹であることに変わりはないですから」
「そんな良い話、蹴っちゃダメっスよ」
「あたし達は大丈夫だから、心配しないで」
「というわけで、こんぐらちゅれーしょん!」
…実際にはもっと色々と語り合っていたのだが、最後は5人からこんな言葉
で締めくくられた。
そんな姉妹達の言葉に、今まで一番涙を見せないであろうチンクとノーヴェ
は堪えきれず大粒の涙をこぼしながら、感謝の言葉を5人に述べていたのだ
った。
それから数日後、ゲンヤに養子縁組を受け入れる旨を2人は伝えた。
その後2人は、法的な手続き等で役所や関係部署をゲンヤやギンガと一緒に
回った。
その際に、今回の養子縁組はゲンヤだけでなくフェイト執務官やクロノ・リ
ンディ両提督のハラオウン家の面々、元機動六課部隊長の八神はやて一等陸
佐、そしてカリムをはじめとする聖王教会の方々…スバルやギンガと同じく、
かつて敵として戦っていた面々…が表から裏から様々な助力をしてくれてい
たことを、2人は次第に知っていくことになった。
そんな強力なサポートもあってか、2人の出自の特殊性にも関わらず殆ど問
題なく手続きが進められた。
……そして、3ヶ月後。
名前だけだった2人の氏名に……変化が現れた。
チンク・ナカジマ
ノーヴェ・ナカジマ
こうして……2人は正式にナカジマ家の一員となった。
喧嘩のネタもなくなったのか、ようやくノーヴェの口から出る言葉にスバルの
悪口が入らなくなった。
「ったく、いい加減にしろよ、スバル」
口喧嘩をしながらも途中から捜索を再開していたノーヴェは、愚痴るようにス
バルにそう言うと、隣の部屋へ移動する。
「うん。そうする」
普段の明るい…ティアナからは『何も考えてないみたい』と云われることもあ
るが…口調で答えながら、スバルも次の部屋に入っていった。
数分後。
全室に迷子等の要救助者がいないことを確認後、スバルとノーヴェは次の区画
へ向かった。
今までとは違い、次の区画…ここからかなり離れた第5区画へ行くには、地上
の道で行く場合今まで通ってきた区画をまた戻って、途中の分かれ道から大き
く迂回するような道を通る必要がある。
しかし2人は空架ける道…ウィングロードとエアライナーで空中に最短距離の
経路を築き、その上を駆けていく。
「そういえば、チンク姉からのメールにあったけど…来週から一週間、校外演
習でクラナガンの地上本部に行くんだって」
空の道を駆けながら、スバルは隣を疾走するノーヴェにそう語った。
「ああ、あたしのメールにも書いてあった」
振り向くことなく、ノーヴェもそう答えた。
「今週は緊急出場待機シフトで、今回の異世界への緊急出場があったけど…来
週私達は通常待機シフトでミッドチルダにいるから、上手くオフシフトを調整
すればチンク姉にも会えるかも」
ノーヴェにそう語りかけるスバル。
「そうか…本局の曹長補学校じゃなくてクラナガンだったら、オフシフトでも
何とか行けるか」
久しぶりの…約半年ぶりの姉との再会が実現しそうなことに、顔をほころばせ
つつあるノーヴェ。
チンクが時空管理局本局……次元空間に浮かぶ巨大なステーションにある陸・
海・空三隊合同の曹長補学校に入学したのは、約半年前のこと。
ノーヴェやウェンディが特救に入る少し前のことである。
更正プログラム終了間際、そして管理局に入ったばかりの頃のチンクは、自
分が管理局員として何ができるか模索し続けていた。
ノーヴェやウェンディ、セインのように自分のISが人命救助等に応用でき
るタイプではない…触れた金属を爆発物に変えて遠隔操作で爆破するIS…
破壊しかできないランブルデトネイターがISである自分は、はたして何が
できるのか。
結局結論は出ずに、ある意味流されるようにチンクも管理局に入局。
入局時の研修で行われたある面接で、チンクは思い切ってその時の面接官に
尋ねた。
「私は…私の能力(ちから)は、この管理局で何ができるのでしょうか?」
その時の面接官…シェベル・ブレイザー一等陸尉は、チンクの眼…その時は
まだ隻眼だった…を見据えるように、こう語ったのだった。
「お前さんの能力(ちから)は、牙(きば)無き者の牙に…刃(やいば)無き者の
刃になれる」
牙無き者の牙、刃無き者の刃。
その意味が計りかねて心の中で反芻しているチンクに、シェベル一等陸尉は
更に語り続けた。
「お前さんは自分の能力…ISっていうんだったか。それが人命救助とかに
は生かせないって思ってるんだろう」
シェベルの言葉に、チンクは図星を突かれたように金色の眼を丸くする。
「確かに、お前さんのISランブルデトネイターは、災害救助…特に人命
救助には不向きだわな」
呆気なくチンクのISの欠点を言い放つシェベル。
しかし、それを聞いてガックリという表情になったチンクに向かって、シェ
ベルはこう言い放った。
「しかし、管理局の仕事は災害人命救助だけじゃない」
シェベルの言葉に、チンクは下げかけた顔を再び上げる。
「違法魔導師や技術者、それに管理されてない竜とかの魔獣…こんな危険な
奴らが、何の力もない一般の人たちを襲うことも多い。
我々管理局員だけが被害を受けるのならまだ我慢できるが…何の魔法も力も
持たない、ましてや襲われる理由すらない普通の人々が襲われ、巻き込まれ、
そして命を落としてしまう」
「お前さんの牙や刃は、そいつらの牙や刃と同じだ。力も…牙も刃も無い普
通の人に向ければ、たちまち命を奪えるものだろう」
シェベルの語りに、チンクは微動だにせず聞き続ける。
「だが、お前さんの牙や刃を、普通の人ではなく…襲ってくる違法魔導師や
魔獣に対して使えば、どうなる」
シェベルからの問いかけに、チンクは何か気づいたような表情になる。
そんなチンクの変化を見たシェベルは、前に乗り出すように自分の顔を近づ
けると、こう言い続けた。
「そう、お前さんが普通の人…牙や刃の無い人に代わって戦う…守ってやる。
そういう戦いも、管理局の立派な仕事の一つだ」
研修中はきつくて堅い表情しかチンクの記憶になかったシェベルが、口元に
笑みを浮かべた優しい表情でそう言い終えると、顔を戻して再び背をソファ
ーに預けるように座り直した。
「ありがとうございます。ブレイザー一等陸尉」
シェベルにそう感謝の言葉を述べると、チンクは深く頭を下げたのだった。
そうして入局時の研修を終え、後方部隊の会計部…入局前の進路希望で第一
志望に書いたのだったが…に配属されて2,3ヶ月近く経った頃のこと。
当時の上長である会計部長に呼ばれたチンクは、部長から本局の曹長補学校
への入校試験の受験並びに入校の辞令が言い渡された。
後方部隊で会計業務に就いていた自分が、突然下士官のための学校に入校する。
チンクにとって驚天動地な話に一瞬我を忘れそうになったが、その直後に入
室した人物を見てチンクは納得をした。
その人物は、入局時の面接で自分の不安を打ち明けた面接官…シェベル・ブ
レイザー一等陸尉であった。
シェベルは昨年発足した新しい曹長補学校…陸・海・空の3隊で別々にあっ
た曹長補学校を統合して3隊の曹長候補生を一緒に教育・指導する。今まで
の陸・海・空の縄張り意識による横の連携の乏しさの解消策の一つとして、
将来の幹部候補生達に3隊の特性を柔軟に組み合わせた作戦作成や指揮管制
の能力を育て、そして自分の隊以外の2隊との交流を深め人材の輪を広げて
いくことを理念としている…の教官になったこと、入局時研修で面談したチ
ンクの能力…ISの直接的な戦闘力もだが、それ以上に指揮能力や戦況分析
能力などの部隊指揮官の適性も高い…の可能性を評価して彼女の入校を推薦
したのだった。
シェベルの推薦の言葉に、チンクは再び感謝の言葉を述べると曹長補学校の
受験並びに入校の辞令を受け取った。
一ヶ月後、チンクは曹長補学校の入校試験を受験。
元々頭も良かったチンクは試験勉強もしっかりと行っていたこともあり、2
週間後当然のように合格の通知を受け取った。
曹長補学校への入校に伴いチンクが本局の官舎へ引っ越すことになった日。
それまで運良く官舎が近く…ミッドチルダ西部とクラナガン近郊…だったノ
ーヴェとスバルが、別れを惜しむように涙を浮かべながら…本人達は泣いて
いないと言い張っていたが…チンクに抱きついてなかなか離れなかったハプ
ニングもあったが、新しい家族となったばかりのゲンヤやギンガを始めとす
るナカジマ家を離れることになった。
曹長補学校入校後はメールやモニタ通話で定期的にチンクとノーヴェ達は連絡
を取り合っているが、スバルとノーヴェは特救という部署ゆえ緊急待機や緊急
出場が不定期かつ頻繁にあり、かつ曹長補学校は2人の拠点であるミッドチル
ダからは離れた本局にあることから、入校以来直接会うことは一度もなかった。
更に以前は本局の技術部でないとできなかった戦闘機人のメンテナンスも、通
常の定期メンテナンス程度であればミッドチルダのクラナガン郊外の技術部支
局でも現在は可能になったため、なおのこと本局へ行く機会が無くなってしま
ったのだった。
そんな状況での、チンクのクラナガン来訪は妹のノーヴェ…そしてスバルにと
って心躍るものであったことは間違いない。
−もしかすると、その嬉しさがあの−『悲劇』を誘ったのかもしれない−
支援?
規制ですか?
支援。
以上で、Chapter-Cは終了です。
っと、投下してから気づいたのですが 05が2個(=1個は06)になっておりました。
ご容赦願います。
あと今回は割とチンク分が多くなってしまいました。
シェベルが言っていた「牙無き者の牙」という言葉ですが、実はリリカルなのはの原作
となった「とらいあんぐるハート3」の前前作「とらいあんぐるハート」で出てきた言葉
(台詞)が元になっております。(「刃無き者の刃」は、それの改変版になります)
ここまででやっと半分なのですが、残りもどうかよろしくお願いいたします。m(_ _)m
(もし問題がなければ、Chapter-Dは23:00頃に投下いたします)
>>279 GJ!!チンク姉と面接官の話は本当に良かったです。
老婆心ながら、残量に気をつけて!!
281 :
39-528:2007/12/24(月) 23:01:12 ID:b+Ci9niu
それでは予告通りに投下いたしたいと思います。
先ほど本スレで投下した「History repeats itself」の続きになります。
今回はまだ(A〜Fの)の中間あたりになります。
・エロ無し、ただしグロ(体内機械破壊等)表現あり
・JS事件から約2年後が舞台。(プロローグ、エピローグに一部違う時間あり)
・そのためオリ設定が一部(敵キャラ、デバイス設定、ナンバーズの進路等)入ります
・ノーヴェ&スバルが主役。あとギンガとウェンディもメインで出ます
(プロローグ、エピローグに他のキャラも
・スバル重傷(大破)、ノーヴェ負傷、あるいはStS本編17話やメガミ今月号
(2008年1月号)のStSコミックのスバル負傷シーンがダメな(見られない)
方は、このストーリーはスルーして見ないようお願いいたします
(なおスバル、ノーヴェ共に死亡しないで生き残ります)
※なお、今回投下分にグロ表現が入っておりますので、ご注意のほどよろしく
お願います。
タイトルは「History repeats itself」になります。スルー等される場合はこれを
キーにしていただければと思います。
それでは、よろしくお願いいたします。
第5区画上空に近づいたスバルとノーヴェは、ウィングロードとエアライナー
の先端を地上へ降ろしていく。
区画の中央に位置する、比較的広い空き地に降ろされた空路を2人は駆け下り
ていった。
空き地の中央から少し離れた場所に立った2人は、空き地の向かい側にある物
体を見つめる。
「あれは…」
「うん。例のアンノウンだね」
空き地の向かいには、先ほど見たのと同じような巨大な土塊の人形が8体、や
はり同じように綺麗に切断され、穴が穿たれていた。
そんな土塊の残骸達を見ながら、ノーヴェはこう呟く。
「しかし…こいつら誰に、何のために作られたんだ?」
この世界は太古にある程度…次元航行技術は勿論、惑星の大気圏を脱出する技
術レベルにすら達していなかったが…栄えた文明は幾つか発生していたようだ
が、ロストロギアレベルの物が作られた痕跡はない。
また、次元世界間の複数の勢力が入り乱れるような世界でもない。
この世界…第243観測指定世界は、稚拙な技術で作られた遺跡が幾つか存在
している、いたって平凡で平和なごく普通の観測指定世界の一つでしかないは
ずであった。
しかし、二日前にこの平和な世界で発生した…謎の襲撃事件。
土塊の巨人達が多くの家々を壊していき…多数の人々が瓦礫の中に閉じこめら
れたり負傷したりしたのだ。
この世界に駐留していた陸士部隊だけでは人数が足りず、すぐさま増援要請が
管理局へ発信された。それを受け、緊急待機シフトに入っていた特救の数チー
ムが直ちに次元航行艦ヘリオスに乗り込み現場へ急行した。
スバルとノーヴェが所属するチームもヘリオスに乗り込み、昨日…事件発生の
数時間後の翌朝には事件現場に到着し、救助活動を開始していたのだった。
そして今日、事件捜査のための執務官チームと第2弾の救助チームが次元航行
艦エルメスで到着…その中にギンガとウェンディも入っていたのであった。
最初に派遣された特救のチームを始め、駐留部隊や増援の救助チームの働きも
あってか、負傷者は多数出ていたが幸いなことに死者は現時点では1名も出し
ていなかった。
被災区画の殆どで捜索並びに救助活動が終了し、現在の未捜索区域は残り僅か
になっていた。今日中には全区画の捜索と救助が完了し、負傷者の治療のため
の医療チームと事件調査担当の執務官チームを残して、明日には他の救助チー
ムはミッドチルダ等の元の拠点に帰還する予定であった。
二日前の深夜以降、駐留部隊が現場に駆けつけて以来巨人達が実際に動いて襲
撃しているところは直接確認されていなかった。ただしその後発見された土塊
の巨人の残骸のうち、原形をとどめずに破壊されている何体かは説断面の乾燥
状態から、その後も活動していて何者かに破壊された可能性が高いとの報告が
入っていた。
スバルとノーヴェの2人も、アンノウンの襲撃も想定して周囲を警戒しながら、
空き地周辺の建物の捜索を開始する。
先ほどと同じように2人は別れて一つ一つ建物の中を見て回る…スバルは右回
り、ノーヴェは左回りに…つもりで、降りた地点から近い建物に2人は向かった。
ノーヴェが少し早く建物に入り、スバルは少し遅れて隣の建物に入った。
ノーヴェも、スバルも入った建物には要救助者などは見あたらず、ノーヴェが
左隣の建物に入り、スバルは右隣の建物に入ろうとした時だった。
ガサッ。
そんな物音が、スバルの入ろうとした建物の中から聞こえてきた。
「ん?」
スバルはすぐさま建物の中に入り、辺りを見回した。
「あっ」
部屋の隅にある1m四方の小さなついたての陰に、何か陰のようなものがチラ
チラ動いているのがスバルには確認できた。
音を立てないようにそっとスバルはついたてに近づいていく。
「……」
ついたてのそばに立ったスバルは、ついたての裏側をそっと覗き込んだ。
ついたての陰にいたものは……
壁に背を預け、膝を抱えて座りながらスヤスヤと眠っている……
4,5歳位の、民族衣装らしき服を着た……
……一人の少年であった。
スバルはついたての陰に回り込み、少年の前まで来るとしゃがみ込んだ。
そして少年の頭を優しく撫でながら、こう声をかけた。
「ねえ、キミ…」
スバルの声に、少年は目を覚ますように頭をゆっくりと上げ始めていた。
「あっ…大丈夫かい?」
頭を上げて寝ぼけ眼で自分を見上げる少年に、スバルは優しく語りかけた。
「う…うん」
少年はまだ眠たそうな声で、そう答えた。
「えっーと…ここだとよく寝れないから、別の場所に行こうか」
スバルはそう言うと、少年を立ち上げようと少年の両脇に手を入れる。
「あっ…」
ヒョイと軽く脇から体を持ち上げられると、少年はちょっと驚いた表情になり
声を漏らした。
「あっ、ゴメン。大丈夫だった?」
「ううん…だいじょうぶ」
スバルがすまなそうにそう少年に聞くと、少年もすまなそうにそう答えた。
「ありがとう…それじゃあ、外に出ようか」
少年の言葉にスバルは笑顔でそう言うと、少年を抱きかかえて部屋を滑るよう
に外へ向かった。
「!」
外に出て日差しを受けると、少年は一瞬ビクッと身を固くしスバルにしがみつ
いた手の力を少し強くする。
「だ、大丈夫?」
スバルが心配そうにそう尋ねると、少年は緊張を緩めスバルの顔を見上げなが
らこう答えた。
「うん…へいき」
「そう…よかった」
ホッとした顔でスバルはそう言うと、抱きかかえていた少年をそっと地上に降
ろした。
「んしょ」
少年がふらつくこともなくしっかりと立っていることを確認すると、スバルは
別の建物内を捜索中のノーヴェに向かって大声で呼びかける。
「ノーヴェぇ!」
「なんだよ!? スバル」
いきなり大声で呼ばれたノーヴェが、そうぼやきながら建物から出てきた。
「ったく何だ…って、うわぁ!?」
外に出てきたノーヴェは、スバルの側に立っている少年に目がいった。
「えへへへ…要救助者1名確保っと」
ちょっと得意げな口調でそう報告するスバル。
「はあ……まさか本当にいたとは」
ノーヴェが信じられないという感じで、そう言葉を漏らした。
スバルとノーヴェの2人の姿を、少年は頻繁に首を動かして2人を見比べるよ
うに見ている。
そんな少年の姿に、スバルはしゃがんで少年の目線に顔を合わせるとこう尋ねた。
「どうしたの? 私やノーヴェをキョロキョロみてるけど、何か変かな?」
スバルの問いかけに、少年は不思議そうにこう答えた。
「おねえちゃんたち…ふたごなの?」
「えっ?」
「あっ?」
2人は同時に声を上げた。
その後スバルとノーヴェは目線を合わせ、数瞬何か意思疎通をしているかのよ
うな間をおいた後、2人とも『またか』というようなややウンザリという表情
に一瞬変わる。
しかし、スバルはすぐににこやかな笑顔になると、こう少年に説明をした。
「うーん…殆ど双子みたいなものなんだけど…正確には双子じゃないんだ」
「??」
スバルの説明に、殆ど理解できていないような顔になる少年。
「おいおい…」
少し離れた所に立っているノーヴェも、呆れた表情でスバルを見る。
確かに、自分達の出自…ある人物の遺伝子を使用したクローンである…をこん
な小さな子供に理解させようというのは、まず無理と言っていいのではないだ
ろうかとスバルも思う。
髪と瞳の色以外は、背格好や顔の表情まで双子といっていいほどスバルとノー
ヴェは似ている。
更に、2人のBJ(バリアジャケット)はスバルの青とノーヴェの赤の色を入れ
替えただけの全く同じデザイン…正確に言うと、スバルのBJを元に、ノーヴ
ェのISベースのBJを作成したのだが…なので、余計に双子と思われること
が多かった。
285 :
kometi:2007/12/24(月) 23:05:01 ID:+4QQw8Ne
間の悪いことに「cold sleeper」第6話ができたのですが、投下は見合わせた方がいいですか?
ノーヴェとチンクがナカジマ家へ養子縁組した時、チンクはギンガの1歳下と
いうことで申請をしたが、ノーヴェはスバルと同い年…しかも誕生日も同じ…
ただし生まれた時刻はスバルの方が早い…ということで申請していたのだった。
申請書類作成に関してはやてやリンディが中心になっていたので、その2人の
企みかともノーヴェは思ったが、自分では知識もなく書類の訂正もできなかった。
まあナカジマ家に入った後は、スバルもノーヴェも同じようにギンガに甘え、
そしてチンクに甘えていた。
ある時、ギンガが『まるでスバルが2人になったみたい』とこぼすと、チンク
も『ノーヴェが2人になったみたいだ』とこぼし、2人の姉は笑いあうことも
あったのだった。
「あのねぇ」
「ん?」
少年の言葉に、スバルは耳を傾ける。
「ぼくたちはね…みつごなんだって」
「へえー…三つ子なんだ」
少年の素性に繋がる情報を聞いたスバルは、更に情報を引き出そうと少年に尋
ね始める。
「じゃ、弟か妹がいるのかな」
「うん…いもうととおねえちゃん」
「そうか。そういえば、キミの名前はなんていうの?」
「あ……」
「?」
「あうすてる」
「ふーん…アウステルっていうんだ」
「うん」
「それじゃあ……お父さんとお母さんの名前は分かるかな?」
兄弟や少年の名前を聞き出したスバルは、更に両親の名前を少年に尋ねる。
「……」
「ん?」
少年が黙ってしまったので、スバルが更に尋ねようとした時、
「……いない」
「えっ?」
「とうさんも、かあさんも、ずっとまえにしんじゃった」
少年の告白に、スバルは少年を傷つけてしまったかと思い謝り始める。
「ご……ごめんね、アウステル君」
「……」
「お姉ちゃん、悪いこと聞いちゃったね。ごめんね」
「ううん…だいじょうぶだよ。だっておねえちゃんとうぅるがいるんだもん」
先ほどの告白とはうって変わって明るい顔でそう答える少年に、スバルも笑顔
でこう言った。
「そうか…アウステル君はしっかり者で強い子なんだね」
「うん」
スバルの言葉に、少年は元気よく頷いて答えた。
「えーと、アウステルアウステルっと。ホィっと」
スバルが少年に関する情報を聞き出している一方、ノーヴェはそれを元にコン
ソール画面で行方不明者リスト等のデータベースで少年の身元を検索していた。
「えーと……って、0件かよ。じゃ三つ子で検索してみるか」
少年の名前…アウステルで行方不明者リスト検索したが見つからず、全住民の
データでの検索に切り換えて再開する一方、ノーヴェは別の情報をキーに平行
して検索を開始した。
「ええと同じ年齢で同じ誕生日の姉弟が3人いて、両親が死別のところっと…
エィっ!」
「うーん、行方不明者リストには該当世帯は無しか。じゃあこっちも全世帯で
検索っと」
行方不明者リストでの結果…今のところ全て0件…を見てノーヴェは全住民対
象での検索に次々と切り換えて再検索を行っていく。
スバルの方はというと、少年の前に屈み込んで質問を続けていた。
「どこに住んでたのかな?」
「かる…こさ」
「カルコサ?…うーん、何処だろう」
そう言ってスバルもコンソール画面を横の空中に表示させ、リボルバーナック
ルを装着した右手でコンソールを操作して地名の検索を開始した。
「……」
「ん?」
コンソールに表示される検索途中の結果を見ていたスバルは、少年の視線が自
分の右手に向かっていることに気づいた。
「どうしたのかな?」
スバルの問いかけに、少年は興味ありげな目でスバルの右手を見ながらこう答
えた。
「おねえちゃんのみぎてって、かっこいい」
「え?…あっ、リボルバーナックルのことだね」
好奇心に満ちた目で自分のリボルバーナックルを見つめる少年に、スバルはち
ょっと自慢げに説明し始める。
「これはね、お姉ちゃんのお母さんの形見で、すっごく強いんだよ」
スバルの説明をした後、少年はスバルに恐る恐るといった感じでこう尋ねた
「さわっても…いい?」
「うん、いいよ。いくらでも」
少年からの申し出を、快く承諾するスバル。
スバルの返答を聞くと、少年はリボルバーナックルを左手でぺたぺたと触りだ
した。
「はぁー。スバルも何やってんだか」
相変わらずスバル達から少し離れた所で、少年の身元照合のための検索を続け
ているノーヴェ。
行方不明者リストの検索は全て終了し、一件も該当するものがなかった。
全住民対象の検索ももう少しで終了するが、今のところ出た結果ではこちらも
該当無しだった。
「あの子…何者なんだ?」
そうノーヴェが呟いた時、通信モニタがコンソール画面の隣に開いた。
『こちらギャラクシー1、ギンガ。そっちの状況は?』
「あ、ギン姉」
モニタ上に映った義姉が、義妹に尋ねる。
「要救助者1名を確保。救助本部に報告済みだけど、救護班が来るまであと30
分かかるから、それまで要救助者と共に現地で待機中」
『そう。こっちは要救助者は確認できずよ』
288 :
39-528:2007/12/24(月) 23:09:30 ID:b+Ci9niu
>>285 kometi様
申し訳ありません。
あと10分位で一旦投下終了なのですが、よろしいでしょうか。
「そういえば、ウェンディの見つけたって言ってた少年は?」
ギンガの報告を聞いて、ノーヴェはギンガにそう聞き返した。
『あれから再度周辺を捜索したんだけど、見つからなかったわ』
「はあ、やっぱりウェンディの見間違えかぁ」
『うーん。でも私もモニタ越しに確認したら、単なる見間違いとは思えないん
だけど』
ギンガがそう答えた直後、もう一つ通信モニタが反対側に開く。
『そうーっス! 見間違いじゃないっス!!』
先ほどの少年の第一発見者兼肉眼での目撃者であるウェンディ本人が、ノーヴ
ェに抗議する。
「あーそー…ハイハイ」
『あっ、その言い方信じてないっスね!』
『え、えーと。ノーヴェ達が確保した要救助者ってどういう人なの?』
ノーヴェとウェンディの口論が始まりそうになったのを遮るように、ギンガが
ノーヴェにそう尋ねる。
「男の子…4,5歳位の遊牧民らしい子だけど」
『男の子…4,5歳位の?』
「そう。名前はアウステル、三つ子の3人姉弟の真ん中で、両親は既に死別。
あと住んでいる所はカルコサって所らしいよ。スバルが色々聞いたところだと」
『そう。両親がいないってことは、他に保護者の方がいると思うからその方に
連絡を入れないと』
ギンガがそう言ったところで、ノーヴェがこう付け加えた。
「それがギン姉、こっちでも身元を確認しようとしたんだけど、今のところ全
く見あたらないんだよ。この子」
『『えっ?』』
モニタ上のギンガとウェンディが同時に驚いた。
「行方不明者リストでは全く引っかからなかったから、全住民のデータで再検
索中なんだけど…あっ」
『『?』』
ノーヴェはモニタ上の2人に説明している途中で、コンソール画面に全住民対
象の検索が終了したメッセージが出たことを確認する。
「ダメだ…全住民のデータにも該当無しなんて」
『それって…』
『ノーヴェ!』
ギンガが何か語ろうとした時、モニタ上のウェンディがノーヴェに言う。
『ノーヴェ達が確保した少年の画像、見せてくれっス』
「ああ、良いけど」
そう答えると、ノーヴェはコンソール操作して画面に少年の画像を表示させる
と、ウェンディとギンガに送信した。
一方こちらの、スバルと少年…アウステルの2人。
「あははは…もう、いいかな?」
興味津々の眼差しでリボルバーナックルを触り続ける少年に、スバルは申し訳
なさそうに止めるよう声をかけた。
「……」
少年はスバルの声が聞こえないかのように、ぺたぺたとリボルバーナックルを
触り続けていた。
「うーん…」
右利きのスバルは、少年にリボルバーナックルを触られ続けられているため、
コンソールの操作等が右手でできず困っていた。
とはいえ、少年の無邪気で興味津々な顔を見ていると強引に腕を振り払うこと
もスバルにはできなかった。
でもさすがにそろそろ止めさせた方が良いかと思ったスバルは、もう一度優し
く少年に手を離すようにお願いをする。
「えーと、お姉ちゃん仕事ができないから、ちょっと手を離してくれるかな?」
「うーん…」
少年はまだ触り足りないという表情で、スバルのリボルバーナックルに手を触
れたまま考え込んでいるようだった。
そして、こちらはノーヴェと、モニタ上のギンガとウェンディ。
『こ、これって…』
『う、ほ、ホントっスか」
モニタ上の2人は、ノーヴェの送ってきた画像を見て驚嘆の声を上げた。
「ん? どうしたんだ? 2人とも」
ノーヴェの問いかけに、ウェンディが答える。
『こ…この子って、あたしがさっき見つけた子っスよぉ!!』
「な…何だって!?」
『私もモニタで見たけど、この子とそっくりよ』
ギンガも同じように答える。
「で、でも、そっちの子はギン姉達の区画で見たんだろ? いくら何でもそん
な子供が、この入り組んだ迷路みたい道を通って、そんな短時間でここまで来
れるはずがないよ!」
『で、でも』
『おかしいわ…ノーヴェ、私達も今からそっちに向かうから、その子を絶対逃
がさないように注意して』
ウェンディの言葉を遮るように、ギンガがノーヴェにそう言った。
「うん…わかった。ギン姉」
そうノーヴェが言い終える瞬間……ノーヴェは何かが地面に落ちるような音を
聞いたような気がした。
そして、再びスバルと少年の2人。
仕方ないから、優しくこの子の手を取って外しちゃおう。
そうスバルが思って左手を少年の手へ持って行こうとした時…
「こわしても…いい?」
「え?」
そう言った少年の顔は笑顔だった。
……天使のような無垢で明るい
……悪魔のように無邪気で残酷さを秘めていた
「Magical response is increasing rapidly.
(魔力反応急激に増加中)」
足元のマッハキャリバーが警告を発した。
リボルバーナックルに触れている少年の左手の手首の周りに、5個の緑色の光
点が現れる。
光点は5個同時に各点の左側に一個飛んだ点に向かって真っ直ぐ動き始める。
光点は光跡…五芒星を描きながら、行き先の光点に重なる。
そして更に5つの光点は、左隣の光点に向かって緑の線を延ばす。
左隣の光点と重なり五芒星を内包した正五角形を手首の周りに描いた後、5つ
の光点は更に左隣の光点に向かって弧を描き始める。
弧の先が隣の光点に到着し、五芒星・正五角形を内包した円が描かれた瞬間、
円の内側に文字…ミッド式ともベルカ式とも違う、全く知らない魔法文字のよ
うな…が輪を描くように記されていく。
……この間、ほんの数秒たらず。
少年の手首の魔法陣に見とれていたスバルは、自分の右腕…リボルバーナック
ルに覆われていない右肘あたりに、同じような魔法陣が出現していることに気
づいた。
「じゃあ…まず、これ」
少年がそう呟いた後、スバルの右肘を取り巻いている魔法陣がゆっくりと回転
し始めた。
そして回転と同時に、魔法陣の周囲に空気が渦を描くように巻き始める。
さらに、魔法陣が取り巻いているあたりのBJに変化…表面の魔力結合が分解
されていく。
「Magical corrosion around the right elbow.
(右肘付近で魔力浸食が発生しています)」
マッハキャリバーの新たな警告を聞いて、スバルは右腕を少年の手から振り払
おうとした瞬間…
「バチン」
「ドサッ」
スバルの目線の先から……リボルバーナックルが消えた。
あれ?
不思議に思ったスバルは、自分の右腕を肩から見た。
白いBJの肩口…同じく白いBJの二の腕。
そして、右肘を見ると……
「バチバチ、バチィ」
小さな火花を時折上げ、血液や潤滑液を滴らせている……
普段なら絶対に見えないはずの……
内部骨格フレームや人工筋肉の断面が、そこにあった。
綺麗に切断された自分の右腕の断面をみたスバルは、目線を更に下に下げた。
地面に転がっている……リボルバーナックル。
拳とは反対側の方を見ると……
「バチ、バチバチ」
右肘と同じように火花を上げ血を滴らしている、もう一つの自分の右腕の断面
がそこにもあった。
スバルは、少年の方を見た。
少年は先ほどと変わらない笑顔…天使のような明るさと、悪魔のような無邪気
さを秘めた…で、スバルを見ている。
「Emergency backstep.
(緊急離脱します)」
マッハキャリバーは、相棒の危機を察して自力でスバルを引き離そうと、ロー
ラーを逆回転させる。
「キュルルルルーーー」
空転しかけながらも、ローラーはスバルを少年から引き離していく。
しかし。
その少し前、少年はスバルのお腹…へその少し上あたり…に右手を触れていた。
少年が右手を触れると同時に、少年の手を中心にスバルの右肘のと同じような
魔法陣がスバルの腹部に描かれていく。
マッハキャリバーによって少年から離れつつある……スバル。
だが、スバルのお腹…素肌のように見えるが、他の部分よりは弱めとはいえ魔
力防護が施されている…に描かれた、直径12,3cm位の魔法陣がゆっくり
と回転しながら、周囲の空気を引き込むように魔法陣の円周上に小さな旋風を
巻き上げていく。
そして。
「ドッゴォォォーーーーーンンン……」
大砲のような轟音を立てながら、スバルは腹部を支点に前へ折れ曲がるように
両脚と両腕…右腕は肘までだったが…を前で放り出しながら、宙を舞った。
BJの上着が、後ろへ大きく捲れあがっていた。
そんなBJの上着の下のあたりを、幾つかの小さい物体が舞い飛んでいた。
それは……血液や潤滑液に濡れた、機械部品の数々。
ついさっきまで、スバルの体内に在って稼働していた……戦闘機人の部品であ
った。
以上で、Chapter-Dが終了です。
やっと、以前夢で見たシーンの所まで来ることができました。
もう少し続けたいのですが、大丈夫でしょうか。
取り合えず、24:00時頃に続きを投下いたしたいと思います。
>>285 kometi様。
申し訳ありませんでした。
とりあえずこの時間はこれで問うか終了ですのでよろしくお願いいたします。
294 :
kometi:2007/12/24(月) 23:18:39 ID:+4QQw8Ne
>288
あ、ちょっと用事できたので、1時過ぎくらいまで投下できないっぽいです。
そちらが全部投下し終えた辺りで戻ってきます。
>>293 GJです。
地上本部襲撃時チンクと戦闘した時は左腕とデバイスが損壊、腹部に損傷でしたが
今回は、右腕全損、腹部を抉られましたね 戦闘機人の場合何処までの損壊が死に
なるかは不明ですが、さてどうなる?
なぜかスバルが喰らった技、某忍者漫画の螺旋○に見えた
296 :
kometi:2007/12/24(月) 23:32:02 ID:+4QQw8Ne
できれば、その時間あたりに容量がどれだけ残っているか、誰か書き込んでくれれば幸いです。
500kbでオーバーの所358kb
298 :
39-528:2007/12/25(火) 00:02:58 ID:b+Ci9niu
それでは予告通りに投下いたしたいと思います。
先ほど本スレで投下した「History repeats itself」の続きになります。
今回は(A〜Fの)の後編(その1)あたりになります。
・エロ無し、ただしグロ(体内機械破壊等)表現あり
・JS事件から約2年後が舞台。(プロローグ、エピローグに一部違う時間あり)
・そのためオリ設定が一部(敵キャラ、デバイス設定、ナンバーズの進路等)入ります
・ノーヴェ&スバルが主役。あとギンガとウェンディもメインで出ます
(プロローグ、エピローグに他のキャラも
・スバル重傷(大破)、ノーヴェ負傷、あるいはStS本編17話やメガミ今月号
(2008年1月号)のStSコミックのスバル負傷シーンがダメな(見られない)
方は、このストーリーはスルーして見ないようお願いいたします
(なおスバル、ノーヴェ共に死亡しないで生き残ります)
※なお、今回投下分にグロ表現が入っておりますので、ご注意のほどよろしく
お願います。(前回よりも表現的にきついものになっていると思います)
タイトルは「History repeats itself」になります。スルー等される場合はこれを
キーにしていただければと思います。
それでは、よろしくお願いいたします。
「!?」
『何っ!?』
『何スか!?』
さっき聞こえたような落下音から数秒もしないうちに聞こえてきた轟音。
モニタ上のギンガとウェンディにもはっきりと聞こえた轟音に、ノーヴェは音
のした方を見る。
ノーヴェの視線の先にあったものは……
自分に背を向けた状態で、宙を舞っている……スバル。
捲れあがったBJの上着の下には、素肌(にみえる)の背中に開いた……直径12
cm位の丸い穴。
断面に幾つか火花を散らすその穴の向こうには……先ほどスバルが保護した少
年の、邪悪さを帯びた笑顔があった。
『ノーヴェ!?』
『何があったんスか!?』
モニタ上のギンガやウェンディの言葉も、ノーヴェには聞こえてなかった。
スローモーションのように数m宙に舞ったスバルは、重力に引かれて地面へ降
りていく。
「ドスン……ドサッ」
少年から数メートル離れた地面にぶつかって一度バウンドした後、スバルは地
面に仰向けに倒れていた。
ノーヴェは、倒れているスバルを見た。
……目を見開き、口を半ば開きかけた表情の、顔。
……肘から先にあるはずのリボルバーナックルが無い、右腕。
そして、へその上あたりに開いた……直径12cm位の、穴。
……その穴の中から、時折パチパチという音と共に、火花が走った。
「う…」
ノーヴェは睨んでいた……少年を。
「ううう…」
ノーヴェの表情に憎悪が満ちてくる。
「うおおおおっぉぉぉぉーーーーー!!!」
「ガシャン、ガシャン、ガシャン、ガシャン、ガシャン」
ノーヴェの雄叫びに合わせて、ジェットキャリバーの両ふくらはぎにあるリボ
ルバーカートリッジが回転し、装填されたカートリッジをロードする。
エアライナーが急角度で展開し、ノーヴェは少年の真上へと駆け上がっていく。
少年の真上へ到達すると、ノーヴェはエアライナーから飛び降り、少年の頭上
をめがけて両足を蹴り下ろしていく。
「ギュイィィィーーー」
ジェットキャリバーの両足首あたりにあるギアリングは、既に高速回転をして
いる。
「Revolver Break.
(リボルバーブレイク)」
ジェットキャリバーがそう宣言すると、両足のローラーの下に1個ずつ…計2
個のエネルギースフィアが形成される。
「うおぉりゃああああぁぁぁぁぁーーーーー!!!!!」
エネルギースフィア2個を先頭に、ノーヴェのジェットキャリバーが少年を襲う。
だが、少年は怖がったり怯んだりという表情は一片も見せず…逆に、笑みを深
めていく。
「ドォオオオォォォォーーーーーンンン……」
ノーヴェの着陸…というか蹴り抜いた後。
直径数mのクレーターの中心に、ノーヴェは片膝を突いて座り込んでいた。
その足元は……ついさっきまで少年が立っていたはずの場所。
しかし……手応え…この場合は足応えとでもいうのだろうか…がノーヴェには
感じられなかった。
すぐさまノーヴェは周囲を見回した。
右、左……少年の姿はなかった。
そして、もう一度右を見た瞬間。
「!?」
先ほどはいなかったはずの少年が、すぐ前に立っていた。
…いや、立っているというよりは『浮かんでいる』といった方が正しいか。
少年は両足を地面に付けずにノーヴェの前に立ち、右手を向けていた。
「こんのおぉ…」
そう叫びながら左腕で少年を殴ろうとしたノーヴェ。
だが、少年の右手を中心に、あの五角形を内包した魔法陣が形成される。
「!!」
ノーヴェはとっさに右腕のショットナックル…ガンナックルの後継で、主にア
ンカー用のワイヤーレイを発射する。以前のような光弾も使用可能…で防御シ
ールドを展開し防御をする。
が、しかし。
「ドォォォーーーンンン……」
「うぁぁぁぁーーーー」
ショットナックルの前で発動した砲撃は、防御シールドを浸食して破った後、
ショットナックルを叩き砕き……その後ろのノーヴェの体ごと、背後の壁に埋
め込んだ。
「く……くそお…」
めり込んだ壁の穴から、ノーヴェが這い出てきた。
右腕のショットナックルは原形をとどめない位に破壊され、BJもダメージを
受けていた。
「うっ!」
右腕を動かすと激痛が走った。
見ると、右腕は普段からあり得ない場所で折れるように曲がっていた。恐らく
内部の基礎フレームまで逝ったのだろう。
だが、そんな痛みを無視するように、ノーヴェは壁から体を完全に出そうとする。
「く…うぉぉ…」
だが砲撃のダメージが残っているせいか、すぐには出られなかった。
少年は、クレーターの中心でノーヴェが出てくるのをしばらく見ていた。
が、もうすぐノーヴェが体を完全に外に出そうとした時、
「あっ…じかんだ」
そう言って少年は空を見上げる。
「に…逃がすかぁぁ!!」
そう叫びながらノーヴェは壁から出る。
ダメージと埋め込まれた所が少し高さがあったせいか、地面に降り立った時に
バランスを崩し、膝を突いてから前のめりに倒れ込んでしまった。
だが、諦めずにノーヴェは立ち上がろうと顔を上げる。
その時、ノーヴェが見たものは……
体の周囲に旋風を纏わせ、宙へ浮かび上がったかと思うと……風のように上空
へ飛んでいく、少年の姿であった。
「ま……待てよ…」
そう呟きながら腕を立てて立ち上がろうとするノーヴェ。
「く……うぁ!」
一瞬立ち上がったが、またバランスを崩してノーヴェは倒れ込んでしまった。
「く……くそぉ…」
また立ち上がろうとして負傷した右腕を延ばした時。
「!?」
右腕の先に、何か当たった感触があった。
「?」
ノーヴェはその感触のあった場所へ目を向けると、そこには……
「パチ、パチパチ」
断面から火花と血液とかを滴らせていた……
スバルのリボルバーナックルが転がっていたのだった。
「!!」
リボルバーナックルを見た瞬間、ノーヴェは思い出したかのように辺りを見回す。
そして、探していたものを見つけるをノーヴェは思わず叫んだ。
「スバルぅーー!」
クレーターの向こう側に、先ほど見た時と同じように仰向けのまま倒れている
スバル。
「スバルぅ」
砲撃のダメージと右腕の激痛を完全に忘れたかのように、ノーヴェは負傷した
右手でリボルバーナックルを掴んで立ち上がり、ローラーで滑りながらスバル
に近づいた。
その頃、ギンガとウェンディは遺跡上空をウィングロードとスピーダーのエリ
アルレイブでスバル達の所まで駆けているところであった。
「ギン姉。あの音は一体…」
「分からないわ…でも、あの土人形のアンノウンを破壊した、もう一つのアン
ノウンの可能性が高いわ」
ウェンディの疑問に、ギンガがそう答える。
「土人形や建物の破壊状態から見て、もう一つのアンノウンはかなり高い攻撃
力を持っていると思う」
「あの音からすると、砲撃系の使い手ってことっスか」
「あと、切断系もね」
「急ぎましょ。もしあのアンノウンなら、あの娘達が危ないわ」
「了解っス」
そうギンガが言うと、ブリッツキャリバーとスピーダーの速度を上げていった。
そして、少年が飛び立っていった後のノーヴェとスバルは……
スバルの右側に着くと、ノーヴェは一旦リボルバーナックルを地面に置いた後、
座り込んでから左腕をスバルの背中に回して、スバルの上半身を抱き上げた。
「スバルっ! スバルっ!」
必死に抱き上げたスバルに呼びかけるノーヴェ。
「バチ、バチバチ」
「おい! しっかりしろ! スバルっ!!」
腹部の穴で幾つか火花が走るなか、何度もそう呼びかけるノーヴェの目には、
いつしか涙が溢れていた。
ポタッ。
ノーヴェの涙が一滴、スバルの顔に落ちた。
その時…スバルの目に少し光が戻り、口が動き出した。
「う……あ……」
「ス……スバルっ!」
「あ……ノー…ヴェ」
スバルの声に、ノーヴェは何故か嬉しさを感じていた。
「わ……私……何してたん……だっけ……」
意識を取り戻したばかりのスバルは、自分の状態をまだ完全に把握していない
様子だった。
「あ……あいつが……アウステルって奴が」
「ああ……そうだ……あの子が……」
ノーヴェの言葉に、スバルは思い出したように呟いた
「バチ……バチバチ……バチバチ」
「あ……」
スバルは、至近距離から聞こえる火花の音に気づいた。
そして火花の音のする方を顔を少し上げて、見る。
「あはは……これは……ひどいや……」
自嘲気味に笑みを浮かべながら、スバルは残っている左手で腹部の穴の所を触
っていく。
「パチ……バチパチ……」
左手で触っている最中にも、穴の内側の断面の何カ所から小さな火花が発せら
れていた。
そして、ノーヴェの方を見ると、すまなそうな表情でこう言った。
「ごめん……ちょっと…油断……してた……」
そして、スバルは言葉を続ける。
「ノーヴェは……大丈夫……?」
「おい!……しっかりしろ!!……」
ノーヴェは叱りつけかのようにスバルに声をかける。
その声は、完全な涙声であった。
「あ……ノー…ヴェ……」
「!?」
スバルの言葉に、ノーヴェが反応する。
スバルは一度目を閉じて…すぐまた開くと、ノーヴェにこう言った。
「お願い……ティアには……言わないで……」
「もう……何も言うな……」
普段なら絶対に見せないであろう泣き顔を、隠す気も無くさらけ出してそう言
ったノーヴェ。
そんなノーヴェの顔を見つめながら、スバルは申し訳なさそうな顔で、こう続
けた。
「もうすぐ……執務官…試験…だ……か……」
「!?」
スバルの異変に気づいたノーヴェが、スバルの体を見る。
「パァン、パチン、パァン……」
スバルの腹部の穴の中で、今までない大きな火花が幾つも爆ぜていく。
「ぅ……ぁ……ぁ……」
火花に合わせるように、スバルの体が痙攣を起こす。
そして、焦げるような臭いが周囲に漂い始める。
「スバルぅぅ!! スバルぅぅ!!」
「パァン、パチン、パチン……」
ノーヴェの叫び声の響く中、スバルの腹部に開いた穴の内側の断面で、破断さ
れた部品がショートし、火花を吹いて爆ぜていく。
普通の人間より頑丈である戦闘機人だが、これだけ大きな穴……しかも重要な
器官や部品が集中している腹部に開いたら、確実に命に関わる。
たとえ治療……修理をしたとしても、蘇生できない……つまり死んでしまう可
能性が高いのだ。
「パァン、パチン……」
火花が小さく、数を減らしていく。
そして、
「……パチン」
少し大きめの爆ぜる音がした後……
ガクッ
スバルの全身から力が抜けた。
「スバル…?」
ノーヴェは抱きかかえているスバルを揺り動かす。
「……」
だが、スバルは黙ったままだった。
目から光は消え、口元から血が零れ赤い筋を一本顎に向かって引く。
「スバルッぅぅぅーーーーー」
ノーヴェは号泣した。
戦闘機人として…いや人として、生まれて初めてといえる位の、号泣。
「うぁぁぁーーーーん……うぉぉぉーーー」
ノーヴェの泣き声は、夕刻の遺跡の空に響き渡っていった。
以上で、Chapter-Eが終了です。
かなりスバルに対してグロいことをしてしまいましたが、一応注意書きにもありますが
スバルは助かることになっています。(ただし、かなり危ない瀕死寸前でしたが)
もう少しで完結なのですが、大丈夫でしょうか。
取り合えず、25:00(12/25 01:00)時頃に続きを投下いたしたいと思います。
>>305 ちょwwwwwスバルゥゥゥゥゥ!
戦闘機人の身体が壊れる場面の表現力に嫉妬…
ただ擬音の「バチバチ」ってのが読んでると少し気になる
今371kBだね。容量的にはおkだと思われる。
お前らメリークリスマス!
>>305 GJ!!最後はどうなるんでしょうねスバル。
つぎもwktkしながら待ってます(笑)
無理せずに自分のペースで投下してくださいませ(*^^)v
それと
>>306氏の言っていたように自分も擬音の部分の「」がちょっと気になります。
擬音に「」はつけなくてもいいんじゃないでしょうか??
>>309 逆に考えるんだ
ホントは小さい音で聞き取りにくいから
スバルが気を利かして「バチバチ」と声に出しているんだと
>>310 待て待てw
じゃあ、「ドォーーン」って砲撃音もスバルが気をきかせて(ry
とたんにコミカルなネタになっちまったじゃねーかw
>>311 自分で言っといてなんだが
そう考えるとシリアス分が全部吹っ飛んでギャグにしか見えなくなるな
自重しよう俺、自重しよう
315 :
39-528:2007/12/25(火) 01:07:54 ID:dSuXkFcH
皆様
お疲れ様です。
ええと、History repeats itself 最終章(Chapter-F)とEpilogueですが、
色々と手直しをしておりますので、26:00(12/25 02:00)頃に投下を延期
いたしたいのですが、よろしいでしょうか。
>>306 >>309 7,8年前位にSSを書いていた時は、特に気にせず擬音も「」内に書い
ていたような。
実は私も擬音の「」はちょっと変かなと思っていたのですが、Chapter-A
等の擬音も「」付きで書いていたので、合わせていたのですが。
とりあえず、次の投下分から擬音の「」を外しますので、ご容赦願います。
>>310-313 本当はそんなシリアスなシーンを上手くギャグやコミカルに使えれば
良いのでしょうが、さすがに自分はそこまでの文才はないので無理ですハイ。
316 :
39-528:2007/12/25(火) 01:14:14 ID:dSuXkFcH
>>296 今現在(12:25 1:12)の本スレの容量は約374KBです。
ごめん、擬音の「」つきでケータイ小説思い出した
続きマダー?
319 :
39-528:2007/12/25(火) 02:33:07 ID:dSuXkFcH
すみません。ついうとうとしてしまって遅れてしまいました。
それでは予告からは遅れてしまいましたが、投下いたしたいと思います。
先ほど本スレで投下した「History repeats itself」の続きになります。
今回は(A〜Fの)の後編(その2)あたりになります。
(Epilogueは今回遅れたこともあるので、別の時間に投下いたしたいと思います)
・エロ無し、ただしグロ(体内機械破壊等)表現あり
・JS事件から約2年後が舞台。(プロローグ、エピローグに一部違う時間あり)
・そのためオリ設定が一部(敵キャラ、デバイス設定、ナンバーズの進路等)入ります
・ノーヴェ&スバルが主役。あとギンガとウェンディもメインで出ます
(プロローグ、エピローグに他のキャラも)
・スバル重傷(大破)、ノーヴェ負傷、あるいはStS本編17話やメガミ今月号
(2008年1月号)のStSコミックのスバル負傷シーンがダメな(見られない)
方は、このストーリーはスルーして見ないようお願いいたします
(なおスバル、ノーヴェ共に死亡しないで生き残ります)
※なお、今回投下分には直接的なグロ表現は入っておりませんが、前の章の
グロ表現と関わりのある文とかはありますので、ご注意のほどよろしく
お願います。
タイトルは「History repeats itself」になります。スルー等される場合はこれを
キーにしていただければと思います。
それでは、よろしくお願いいたします。
「ん!? あれは!?」
「?」
ノーヴェ達の所にギンガとウェンディがもうすぐ到着しようかという頃。
ギンガは視認できるようになった2人のいる空き地を見て驚きの声を上げる。
空き地に開いた数mのクレーター。
その脇に地面に仰向けに倒れている白い服の少女と、その少女を座って抱きか
かえている、双子のようにそっくりな白い服の少女。
「ノーヴェとスバルっス!」
ウェンディも視覚センサーの感度を上げて確認した。
「男の子が……いない」
ギンガは少年を捜したが、視界には見つからない。
「ギン姉、2人の様子が変っす!」
「え?…これは!?」
更に接近して詳しい状況が分かるようになると、ギンガ達はスバルとノーヴェ
の現状を認識できるようになった。
「こちらギャラクシー1、ギンガ・ナカジマ陸曹長。次元航行艦ヘリオス応答
願います」
ウィングロードを駆けながら、ギンガは通信モニタを開いて上空1000km
で待機中のヘリオスに通信を繋いだ。
『こちらヘリオス8、通信担当オルテェア・コンチェル二等海士。ギンガ陸曹
長、ご用件を』
「ヘリオスのカラベル・シャラン主席医務官に繋いで! 早く!!」
『了解。ただ今転送します』
ヘリオスの通信士に繋がると、ギンガはヘリオスの主席医務官への取り次ぎを
依頼した。
『こちらカラベル。どうしたのギンガ?』
通信モニタの映像が切り替わり、ギンガと同い年…いや高めの声からすると、
もう少し年下かもしれない…くらいの女性が映ると、その女性がギンガに問い
かけてきた。
「カラベル。スバルとノーヴェが負傷したの」
『えっ!? 本当?』
モニタ上のカラベルは驚きを上げる。
「ええ。しかもスバルは右腕切断、腹部に大口径の穴が貫通の重傷だわ」
『腹部貫通!? ちょっとそれはレベル3の重傷じゃない!!』
カラベルは更に驚きの声を上げる。
『レベル3は本局でないと完全に治せないわ。この艦の設備じゃ本局まで移送
する間の応急処置くらいしかできないわ。しかも本局に着くまで保たなかったら』
「カラベル、だからお願い!!」
カラベルの言葉に対し、ギンガがそう強くお願いを言った。
「今からウェンディが転送ポイントまで2人を連れて行くから、準備をお願い!」
『わかったわ。ここの設備で代替器官をエミュレートしてみる』
「ありがとう、カラベル」
『お礼は2人を診てからよ。転送ポイントに着いたら合図してね。それじゃ』
そう言って通信モニタが閉じられる頃、ギンガ達はノーヴェ達のいる空き地に
降下しているところだった。
ギンガとウェンディは、空き地のクレーターの縁あたりに舞い降りた。
「スバル! ノーヴェ!」
ギンガが妹達の元へ駆け寄る。
「2人とも、症状は?」
スピーダーを脇に抱えながら、ウェンディも2人に近づいていく。
「うぁーーーん……うぇーーん……」
そこには、膝の上にスバルを抱き上げ、ギンガ達の到着も気づかずに泣き続け
るノーヴェの姿があった。
「ノーヴェ!」
「うぁぁぁーーーーん……」
目の前にギンガが来ても、ノーヴェは泣き止むことはなかった。
「スバルと、あなたも治しに艦に戻るから。スバルを離して」
「うぁぁぁーーーーん……」
両腕…負傷して折れた右腕も…でスバルを抱きかかえていたままのノーヴェは
ギンガの指示にも反応せず、泣き続けた。
「ギン姉、スピーダーの準備はOKっス!」
「Preparation for First-Aid mode.
(救命モード準備完了)」
ウェンディはスバルの横にスピーダーを裏返し…エリアルレイブで飛行する時
の状態…で置く。
後は、スバルをスピーダーに載せてやれば救命モードが稼働してスバルの応急
処置……せいぜい止血や液漏れ止め、ショート防止措置くらいだが…が実行さ
れるはずであった。
しかし。
「うぅぅ……うぅぅ……」
放心したように涙を流してるノーヴェが、スバルを離さない。
ウェンディは横からスバルを引っ張ってスピーダーに載せようとしたが、ノー
ヴェは頑としてスバルを離そうとしなかった。
「……」
ギンガは、何か決心したように再びノーヴェの前に立つ。
「ノーヴェ」
ノーヴェにそう声をかけるギンガ。
「ノーヴェ。スバルを離して。一緒に艦に戻りましょう」
「……」
ギンガの問いかけに、何も返さないノーヴェ。
そんなノーヴェを見ていたギンガは、しゃがみ込んでノーヴェの顔の前に自分
の顔を近づけると、
パチィーーーン
と右手でノーヴェの左頬を平手打ちした。
「あっ…」
自我を取り戻したように目に光が戻ったノーヴェが、そう声を漏らした。
「ノーヴェ」
ノーヴェの目線に合わせて、ギンガが語り始める。
「お願い。スバルをスピーダーに載せて、転送ポイントまで連れて行って」
ギンガの言葉を、じっと聞いているノーヴェ。
「今すぐ連れて行けば、スバルはまだ助かるわ」
ギンガはノーヴェの目を見据えながら、語り続ける。
「でも、これ以上遅れたら……助からないかもしれない」
助からないかもしれないというギンガに言葉に、ノーヴェは一瞬ビクッと反応
する。
「だから、お願い! スバルをすぐにスピーダーに載せてあげて!!」
「う…うん」
ギンガの最後の言葉に、ノーヴェは自分を取り戻したように頷いた。
「ごめん。わかったよ、ギン姉」
そう答えると、ノーヴェはスバルを両腕で抱き上げて目の前のスピーダーの上
にそっと載せた。
「Hoop bind.
(フープバインド)」
移動中に動かないように、スピーダーがフープバインドを発動し、スバルごと
スピーダー自身にフープバインドを数個掛け始める。
「あ!」
足首や胸部からフープが掛かるのを見ていたノーヴェは、ハッと気づいて自分
の足元に置いてあったスバルの右腕…そしてリボルバーナックルをスピーダー
上の切断されたスバルの右肘の先に、元に戻すように置いた。
パチ
リボルバーナックルを固定するようにフープが2本掛かり、スバルの固定が完
了した。
「Her vital activity level is very low, but she is still alive.
(生命活動レベルはかなり低くなっていますが、彼女はまだ生きています)」
スピーダーが診断結果を報告する。
「Start First-Aid mode.
(救命モード開始します)」
スバルの体の周囲に10cm位のISテンプレートが数個現れ、スバルの体の
各所を調べるように移動し始めた。
そして、スバルを載せたスピーダーが1m位浮上する。
「移送準備OKっス!」
ウェンディの言葉に、ギンガはノーヴェにこう尋ねる。
「ノーヴェ、一緒に行ける?」
「う、うん」
「The damage is eighty-seven percent. No influence in driving.
(ダメージは87%。走行に影響ありません)」
ノーヴェとジェットキャリバーが答える。
「それじゃあ、転送ポイントまで一直線で行くよ!」
「「はいっ!」」
ギンガの掛け声に合わせて、ウェンディと…ノーヴェが返事をする。
「Wing Road.
(ウィングロード)」
「Air Liner.
(エアライナー)」
紫と黄色の道が、ギンガとノーヴェの足元から一直線に空中へ伸びていく。
「んじゃ、こっちもっス」
「Aerial Rave.
(エリアルレイブ)」
スバルを載せたスピーダーの端に捉まりながら、桜色のISテンプレートを足
元に展開する。
「「「Go!」」」
3人と1台が、夕暮れの空の彼方へ、一直線に駆け上がっていく。
「スバル…」
スピーダーと併走しながら、ノーヴェはスピーダーの上のスバルを見つめる。
『うぁぁぁぁーーーー!!!!!』
2年前…まだドクターのラボにいた頃、こいつとは敵として戦った。
『ノーヴェ…』
JS事件終了後、更正施設に入ったあたし達に、あいつは友達のように会い
に来た。
スバルを見つめながら、ノーヴェはスバルと出会ってからの日々をラッシュフ
ィルムのように思い出していた。
『ノーヴぇっ』
管理局入局時の研修で、特救の説明会のアシスタントいう名目でコイツはあ
たし達に知らせずにやってきて、驚かしていた。
『ノーーヴェーー!』
チンク姉とあたしがナカジマ家に入った時、痛くなる位抱きしめて頬をグリ
グリされて……でもアイツが一番泣いていた。嬉しそうに。
『ノーヴェ!』
あたしの特救への転属が決まった時、人がいるのも憚らずに廊下であたしの
手を取ってブンブン振り回していた。大喜びしながら。
『……ノー…ヴェ……』
そして、自分が死にそうな位の重傷なのに、あたしやティアのことを心配す
る……スバル。
そして、ノーヴェの心の中では……
スバルの笑顔が……リフレインされていくようになっていった。
『ノーヴェ…』
『ノーーヴェーー』
『ノーヴェ!』
『ノーヴぇっ!』
『ノーヴェっ』
……
……
……
以上で、Chapter-Fが終了&本編『終了』となります。
一応Epilogueまで含めて本編『完結』という形なのですが、結構私だけで多量に
投下してしまったこともありますので、最終のEpilogueはもう少し時間をおいて
から(本日(12/25)中くらいには何とか。ただし場合によっては次スレになってから)
投下いたしたいと思いますので、ご容赦願います。
325 :
kometi:2007/12/25(火) 05:13:42 ID:jifJvATK
やっと入れた・・・人大杉・・・。
4時間ほど遅れましたが、「cold sleeper」第6話を投下したいと思います。
今回は1話だけです。
・話の位置的に無印・A’sの第11話に該当します。つまりバトルです。
・終わり方が鬱になる(読み手にとって)と思います。
薄暗い執務室で、ミゼットは己が知りうる全てをクロノに語って聞かせた。
「当時の管理局・・・特に陸は今以上に戦力が乏しく、ヴェルデ・テスタロッサは出向という形で地上本部に協力していました。彼は戦闘だけでなく、
潜入調査や破壊工作に関してもエキスパートでしたので、ジェイル・スカリエッティが違法研究を行っていると思われる施設に単独で送り込まれたのですが・・・・」
「スカリエッティに捕まり、戦闘機人に改造されたと」
「今にして思えば、彼に与えられた単独任務も、最高評議会の陰謀だったのかもしれません」
当時はまだ、人体改造のノウハウが完成していなかった。だが、逆に言えばそのための実験材料は多いに越したことがない。ヴェルデ一人を独走させることで、
邪魔者を消し、実験材料を確保することができる。25年前にスカリエッティが人体と機械の融合技術を確立されるまでに犠牲となった実験体。彼もまた、その一人だったのだ。
「そのことに気づいたのは、JS事件が終わってからでした。騎士ゼストが残してくれた情報がなければ、彼は今でも眠り続けたままだったでしょう」
本局へ護送し、暴走の危険性がないかチェックした後に保護観察処分。それが、あの日の予定であった。
ガジェットにさえ襲撃されなければ、フェイトと出会うこともなかっただろう。
「まったく、本当に世界は、こんなはずじゃなかったことばかりだ」
常日頃からの口癖を、自嘲気味に言う。その時、部屋の扉がノックされた。
『失礼します。ハラオウン提督に面会人です』
魔法少女リリカルなのはSTRIKERS・異伝「cold sleeper」
第6話「雷VS雷」
薄暗い通路を、フェイトは一人歩く。襲撃に備えて武装してきたが、予想に反して猫の子一匹現れなかった。
それどころか、曲がり角に来る度に天井に照明が灯り、進む道を知らせてくれる始末である。
(誘われている・・・・)
アサルトフォームとなったバルディッシュの柄を握り締め、フェイトは奥へと進む。やがて、多目的ホールのような開けた空間に出た。
同時に、壁に備え付けられているモニターの電源が入り、縄で拘束されたヴィヴィオの姿が映る。気絶しているのか、グッタリとしている。
「ヴィヴィオ!」
『はいはーい。ヴィヴィオはここだよ、フェイトママ』
画面の外から、ヴィヴィオとそう年の変わらない少女が現れる。間違いない、レコーダーに録音されていた声だ。
『自己紹介しましょうか。私はトレディッチ。ジェイル・スカリエッティが造りし戦闘機人の一人よ』
「戦闘機人・・・まだ残っていたのか」
『まあ、怖い顔。そんな顔じゃ男の人にモテませんよ』
「黙りなさい・・・すぐに武装を解除し、投降しなさい」
苛立つ気持ちを抑えつけ、フェイトは執務官として自分が成すべきことをしようとする。ヴィヴィオを助けるにしろ、
あの女をぶっ飛ばすにしろ、まずは2人がどこにいるのかを探らなければ始まらない。
『できませーん・・・と言いたいところだけど、私も鬼じゃないので、ゲームで決めませんか?』
「ゲーム・・・だと・・ふざけているのか!」
『いいえ、至極真面目でございます。フェイトお嬢様が勝てば、無条件で降服しますわ・・・では、対戦相手の登場!』
画面の中で、トレディッチが何やら操作する。すると、反対側の扉が開き、闇の中から何かが現れる。ガジェットかと身構えるが、
現れたのはフェイトがよく知る人物だった。
「ヴェルデ・・・さん? どうして・・・」
ヴェルデは答えない。悲しそうに俯いたまま、デバイスをきつく握りしめている。その手は、錆びついた鋼でできていた。
「その手・・・まさか?」
『ピンポーン。その人は、38年前にお父様が改造した戦闘機人の実験体なのです。壊れた腕は、私が治療したんですよ』
剥き出しの骨格フレームに、とぐろを巻いたケーブル。明滅を繰り返す基盤。それを治療と呼ぶのはおこがましい。
人としての形を繕わず、ただ部品をくっつけただけの応急修理だ。
フェイトはとうとう激昂する。
「お前は・・・・お前もスカリエッティと同じだ! 人を人と思わず、命を弄んで!」
『光栄ですわ、お父様と同じだなんて』
トレディッチは恍惚の表情を浮かべる。この少女、とっくの昔に価値観が崩壊していた。
『さあ、ヴェルデさん。私の言う通りにしてくれれば、お父様の研究で死んだ奥さんと娘を生き返らせてあげますよ』
「ああ・・・わかっている」
ゾッとするような冷たい声で、ヴェルデは言った。
「ヴェルデさん、そんな奴の言うことなんて!」
「信じるな、か? 俺にはもう何もない・・・お前のために生きようとも思ったが、やっぱあいつが・・・プレシアのことが忘れられねぇ・・・・」
ヴェルデがデバイスを構える。それが何より、彼の覚悟を物語っていた。
「覚悟は良いな、俺はできている」
『さあ、時間無制限一本勝負。お互いの大切なものを賭けて、どちらかが死ぬまで、徹底的に殺しあってくださいな!』
無味乾燥な病室で、ユーノは自分の不甲斐無さを痛感していた。
ヴィヴィオを守れなかった。フェイトを行かせてしまった。
「ごめん・・・なのは・・・・」
全部自分が弱いからだ。弱いから、大好きなあの娘の大切なものを守れない。
「別に謝られるようなこと、した覚えないけどな」
丁度、扉を開けて病室に入ってきた人物が、そう言ってため息をついた。
『Riot Form』
「はぁぁっ!」
展開されたチェーンバインドをライオットブレードで切払い、フェイトは加速する。
スピードに反応しきれていないのか、ヴェルデの左側に僅かな隙があった。
そこを目がけて、バルディッシュを振りかぶり・・・・。
「くっ・・・・」
嫌な予感がして、飛び退く。一瞬後、フェイトが駆け抜けるはずだった空間が爆発した。
「はぁ・・はぁ・・・」
「どうした、息が上がっているぞ?」
機関銃のように降り注ぐ魔法の嵐。フェイトは止まっていた体に指令を送り、再び加速する。
戦闘が始まって20分。フェイトはヴェルデ相手に攻めあぐねいていた。
S+とAランクではそもそも勝負にならない。だが、ヴェルデは一筋縄ではいかない相手であった。
使用する攻撃魔法はフォトンランサーのみ。それを補助するのはバインドに魔力機雷といった無数の罠だ。
離れれば弾幕が降り注ぎ、近づけば罠が動きを封じる。仮にそれを潜り抜けても、冗談みたいなリーチの蹴りが待っている。
それらがヴェルデの高速機動と合わさることで、彼自身が走るブービートラップと化す。それがヴェルデ・ヴァーチェッタの戦い方だった。
魔力資質の差は戦力の決定的差とはならず、状況に合わせた応用力と、的確に使用出来る判断力が大切だ、
というのがクロノの口癖だが、ヴェルデの戦い方はまさしくそれだ。
状況に応じた罠を駆使し、獲物をそこに追い込む戦い方は、
彼自身が勝つために模索し続けたスタイルなのだ。
『Defensor』
「痛っ・・・・・」
防御魔法を展開し、ダメージを受けながらも魔力機雷の中を飛ぶ。
そうしなければ、フォトンランサーの連射を避けきれない。
「ヴェルデさん・・・・」
「馴れ馴れしいぞ、成り損ない!」
何より恐ろしいのは、ヴェルデが本気だということだ。放たれる殺気は本物。
魔法も非殺傷設定が解除されている。魔力ダメージでノックアウトなんて考えは、彼の中にはない。
(強い・・・これが、ストライカー・・・・)
思えば、フェイトがストライカーと戦うのはこれが初めてだった。
エースとは、優れた魔導師に与えられる称号であり、総じて高い魔力、技術、特殊な技能を持つ者に与えられる。
そういう意味では、フェイトの親友である高町なのはや、ライバルであるシグナムは正しくエースだ。だが、ストライカーは違う。
ストライカーの称号は、必ず勝利を呼び込む英雄に与えられる。その人がいれば勝てる。どんな困難も乗り越えられる。
それが意味するものは一つ、決して負けないこと。勝ち続けることこそ、ストライカーの宿命だ。
フェイトの前に立ち塞がっているのは、それを体現した男なのだ。
「だったら、これなら!」
バルディッシュがカートリッジをロードする。
『Photon Lancer Genocide Shift』
無数のスフィアがヴェルデを取り囲む。かつての切り札、ファランクスシフトの発展型であるこれには、
面倒な呪文詠唱も相手を拘束するバインドも必要ない。近づけないのなら、力押しで一気に押しとおるまで。
「撃ち砕け・・・ファイア!」
フェイトの合図とともに、世界が金色で染め上がる。1000発を越えるフォトンランサーの雨に耐えられる者は、フェイトの知る限り一人しかいない。
どんな防御魔法を使用しようと、これで勝負は決まったはずだ。
そう思って気を抜いた瞬間、白煙を切り裂いて、強烈な蹴りがフェイトを吹き飛ばした。
「がはっ!?」
受け身も取れず、壁に激突する。あり得ないことに、ヴェルデは無傷で立っていた。
「ど、どうして・・・」
「とっさに、魔力機雷を盾にしたんだ。機雷は誘爆の性質を持っていて、大量にかき集めりゃ、下手な防御魔法より優秀だ」
原理的には、なのはが使用する最終防衛手段リアクターパージと同じものなのだろう。
一発の機雷が爆発することで、連鎖的に他の機雷が爆発、その爆風がジェノサイドシフトからヴェルデを守ったのだ。
「これで・・・終わりだ・・・」
ヴェルデのデバイスが、フェイトに向けられる。
「・・・すまない」
先端にスフィアが形成される。恐らくフォトンランサー・・・放たれれば、間違いなくやられる。
飛び退こうにも、左右には無数の魔力機雷が待ち構えている。ただ一点、フォトンランサーの射線上を除いて。
「・・ソニックフォーム!」
ならば、撃たれるよりも早く、斬る。
『Sonic drive. Ignition』
余分な装甲をパージし、バリアジャケットをスピードに特化した真ソニックフォームに換装、
そのままバルディッシュを振り抜き、雷光すら追い抜く速度で地を駆ける。
「・・・・ふっ」
突如、ヴェルデはスフィアを消した。罠かと思ったが、勢いのついた体は止まらない。
そのままバルディッシュを振りおろし・・・呆気なく、その胸に突き刺さった。
「え・・・・・?」
あまりの手応えのなさに、フェイトの手から力が抜ける。
「言っただろ。覚悟はできていると」
お前に、殺される覚悟を。
自分にできることは、それしかないと言うように。
「嘘・・・そんな・・・・ねぇ・・・嘘でしょ・・・嘘だと言って・・・いやぁぁぁっ!!」
フェイトの叫びが、暗闇に響き渡った。
to be continued
334 :
kometi:2007/12/25(火) 05:36:37 ID:jifJvATK
以上です。前回もですが、こんな終わらせ方ですみません。
次回は次のスレになるかもです。
では、解説らしきものを少し。
・ヴェルデさんの戦闘スタイルは射撃魔法と蹴りを組み合わせた怒涛の攻撃で
相手を必殺の罠に追い込むというものです。派手な立ち回りをするクロノって感じでしょうか。
明確に描写していませんが、戦闘中はかなりの速さで走りまわっています、この人。
・魔力機雷は設置型のディバインシューターみたいなものと思ってくれて構いません。
突っ込んでいくタイプのフェイトにはものすごくいやぁな攻撃手段で厨っぽいですけど。
gj!
死にざまのせいかヴェルデがマスターアジアに脳内変換されてしまったw
めりくりっ!StirikerS時間軸では今日は彼女の命日か……
スバノーヴェもプレシアパパンもGJですよ〜
もう少しゆったり投下してもいいような、気もするけどw
まあ日が日だしいいのかな……
(警告。精神的に黒い表現が含まれます)
夫婦の絡みは該当の時間軸に入れるべきだったかな。でも連載だと忘れられるし……うーん
言い訳はナシで。IS、ヤンデレ発動
[病んでるはやて][ちょっとだけクライド×リンディ]
昨日に引き続き、
はやてちゃんが本気で壊れてます。ファンの方ごめんなさい
シャマルさんが危険に危ないです。ファンの方ごめんなさい
多分本連載中で一番重いです。ごめんなさい
ほいでは抹殺の――朝刊
蓄積された魔力を凄まじい勢いで消費しながら夜天の魔導書がばらばらとめくられていくと、3点に膨れ上がる白い魔力の光球。
こんな近距離でぶっぱなせば勿論、シャマルはともかくはやて自身やクライド、家族全員が巻き添えになることはいうまでもない。
とはいえ各自心得があるわけで、そうそう重傷などは負わないであろうが、物的被害――簡単に言ってしまえば家の方はただでは済まないのは間違いなかった。
さすがにクライドがそこでシャマルを諭す風に、仲裁をかける。
「シャマル――」
その声に、目の前の魔法陣と光の球にすら全く怯える様子もなくはやてを睨みつけていた彼女は、ふぅ、と一息ついて、それはわざとらしい普段のような笑顔に変わる。
「お風呂の準備してきますね」
そこでやめておけばいいのに、クライドの頬に小さくキスをしてから部屋の外に逃げた。
その挑発にはやては魔法陣は消して、シュベルトクロイツを金髪の人が逃げた壁の方に投げると、それはがん!と壁に突き刺さる。
はぁ、はぁと息を荒くしながらまだそちらを睨みつけている彼女に、クライドが声をかけようかとしたが、すごい勢いでぷいっ、と顔を背けられ、
杖を壁から引き抜くと、そのまま廊下や何かにがんがん叩きつける音と共に八つ当たりをしながら、自室へと戻っていった。
残されたクライドは深い吐息を吐いてから、素直に残った騎士達に謝る。
「すまない。巻き込んでしまって」
「いえ、それは構いませんが――」
答えた将は、そこで言葉を区切って穴の開いた壁のほうへ視線を向ける。
「さすがに、なんとかしないとまずいですね」
「そうなんだが、どうしていいか……」
片手で頭を抱え込んで悩む彼に、勿論シグナムも回答を持ち合わせてなどいるわけもなく、沈黙に包まれる。
しかしその沈黙の中、席にようやく座りなおしたリィンだけは、今の一幕について問いかけずにはいられなかった。
「ヴィータちゃん、今のはいったい――はやてちゃんもシャマルも凄い怖いです……」
暢気にデザートのアイスクリームのスプーンを咥えたまま、教えようとするが教えようがない。
「うーん、リィンはわかんなくていいっつーか、今の見てわかんねーなら、説明しようがねーよ」
「そ、そうなんですか……困りました」
クライドが原因なことだけは理解していたが、何に対して怒って、何に対して喧嘩しているのか、彼女には全く見当がつかなかった。
翌朝もクライドが調理をする両隣から聞こえてくる会話は恐ろしく物騒であった。
「シャマル、料理へたくそなんやから手伝わんでもええで?邪魔なだけやし」
「あらー、折角はやてちゃんにカレーでも作って差し上げようかと思いましたのに。砒素入りで」
「ほー、そら面白い。じゃシャマルの分にはちょこーっと108部隊の密輸物倉庫からトリカブトくすねていれとくなー」
なんでこんなことになってしまったのか――と彼の心中は戸惑いきっていた。
こんなはずじゃなかったのに、と誰さんかと同じ言葉を考えてしまう。
そして、それとほぼ同時に数日前ハラオウン家に戻ったときの事を思い出した。
〜
朝の光に満ちたハラオウン家のリンディの寝室――もとい夫婦の寝室のベッドの上で隣で眠っているリンディの髪を
寄り添ったまま生前のようにいじってぐちゃぐちゃにしているクライド。
まどろんでいる彼女が、その手の動きに意識を呼ばれると、もうまた髪崩して――と仕方なさそうに微笑んだ。
ちなみに白い上掛けこそかかっているものの、2人とも全裸である。野暮な突っ込みは必要ないであろう。
さらに言えばクライドはこの彼女の緑色の長い髪を崩すのがかなり好きであった。
普段から完璧で超然としていて、抱き合ってもどこか距離のあるような交わり方で、勿論、それも含めて彼はリンディを好きになったのであったが――
その彼女の髪を指先で崩すとその矜持を綻ばせられる様な気がして、楽しさを感じずにはいられないのである。
「はやてちゃんなら、なにをしても許してくれそうだし、なんでもしてくれそうよね」
「……何を言ってるんだ」
冗談めかして寄り添ったままの間近の顔からそんな事を言われる。
少しだけ呆れた笑顔でかわしたが、冗談だけでは終わらなかった。
「やっぱり貴方は違うわ……ううん、一緒だけど、違うの」
「そうかな?」
「我が家の家訓を作ったのは誰だったかしら?」
彼女の言おうとしている意味合いに思い当たる節がなく、彼は問い返す。
「家訓?」
「失った過去は、取り戻す事はできない。だけどその悲しみに、他人を巻き込んでいい権利は何処の誰にもありはしない、ってクロノが教えてくれたの」
「そうか……」
「私ももう、おばあちゃんなのよ?行きたいんでしょ。行っていいわよ。私は大丈夫だから」
「すまない」
そこで本当に申し訳なさそうに目を閉じた彼の額に短くキスをする。
「あの子は……本当に自分を大切にしないから――助けてあげて」
その台詞に目を開くと、彼もはっきりと答える。
「わかった」
〜
――そうやって八神家に戻ってきたはずのクライドであったのだが――現状の惨状は凄惨たるものであった。
傷つけたくないが故に踏み切れなかったはやてと、逃げるように抱いてしまったシャマルの2人がいがみあって、しかも全く和解する気配すらない様子に、
こんなはずじゃなかったのに、ともう一度彼が思わずにいられないのも無理はない。
朝食が始まっても相変らずで、ちりちりと魔力を纏わせていそうな2人の一挙動一挙動に――たまに比喩ではなく本当に魔力を帯びる事もあったが――
緊張しっぱなしのキッチンの空気。
なんせ塩、醤油を取るのですら手が近づこうものなら、それだけで目線がぶつかり合って火花が散る始末である。
たいして食べないうちにそれぞれが部屋を出て行くと、残された家族達は揃ってため息をつくしかなかった。
そしてそれはそのまま職場にも持ち込まれ、シグナムとザフィーラ、リィンとは共にいるものの、ヴィータ、シャマルとは別行動をとる主を将は見守っていたが、
突然思い出したかのようにひどく高揚感のある乾いた一人笑いをするその状態が危険な事だけは明らかであった。
(ヴィータ、そっちはどうだ)
(とりあえず問題ねえ。そっちは?)
(嫌な予感がする。はっきり言って主らしくない)
(そっか。しかしなんつーか、色恋っつーのはおっかねーな……)
(恋は一種の狂気だからな。だからこそ美しくもあるのだが。しかし――いくらなんでも危険すぎる。今夜は、かなり気をつけた方がいいかもな)
(マジかよ……昨日のあれよりやばいのかよ……)
(家の中だけで済めば、まだいい方だろう。頼むぞ)
(わーってっよ。ほいじゃな)
(ああ)
念話を切って、かの主の方を観察してみるが、今度は憂いを帯びた瞳で窓から深遠の次元空間を見つめていた。
そしてお昼過ぎ、ヴィータから再度連絡が入る。
(どうした?)
(シャマルの奴、早退しやがった)
(……ふむ。わかった)
それだけを聞いて主を見ると、椅子に座ったままいくつかの宙に浮かんだウィンドウと格闘している様子で、少しだけ安堵する。
だがその窓のひとつに某医務官が職場に居ない事を判断できる一覧が表示されている事にまでは気がつかなかった。
そして帰り道、――てやる、――てやる、何かをぶつぶつ言いながら歩いているはやての背中が将はひどく気になった。
そしてシグナムの予感は、見事に的中してしまう。
夕食後、昨日とほぼ同じタイミングで片付け始めたクライドを手伝うシャマルが、見せ付けるように腕を絡めて楽しそうに寄り添っている様子を
壊れた瞳で見つめていた主の様子に、将は危ないな――と予見していたが、突然ふらっと立ち上がった時はまだ大丈夫か?と判断した。
だが、それは誤りではやての思考はといえば――
(なんや?うちにはあんな子おったっけ?おらんはずよな。うちからあの人を取るような子はおらんはずや。
うん、うちにいてるのはシグナムと、ヴィータと、ザフィーラと、リィンだけや。あんな金色の頭の子は知らん。
せや、いるはずがないんやから、どないしてもええよな、うん。あれや、つまり、消してしまっていいってことや。
邪魔もん、うん、邪魔や。いらん)
シンクの2人の背後にそっと忍び寄ったはやての手に、刹那金色の錫杖が突然現れて、気づいたシグナムであったが座っていた為に半歩挙動が遅れた。
そして――それが高々と振り上げられた。
コロシテヤル
位置と速度から間に合わないと判断した将が叫ぶが――
「シャマル!」
ほいではまたノシ
おもしれええええwwwww
おお、一晩寝てただけで3本も投下されてるとは、クリスマス職人乙です!!
>>324 GJ!スバル大丈夫じゃねいですよね。ノーヴェのペイバック・タイムが楽しみ。
>>334 GJ!ヴェルデさん・・・生き残って欲しいです・・・
>>340 GJ!修羅場修羅場(((( ;゚Д゚)))ガクガクブルブル
>>340 あんたクリスマスに何つーもんを投下してんだwwwwww
もっとやれ
あ、もちろんハッピーエンドで
GJ! 朝刊最高です!
脳汁でまくりですよっ
>>340 あ、あれ? もっとハートフルな話だったような? だんだん雲行きがw
GJでした
「ヘクチ!!」
空飛ぶソリに乗って、可愛いくしゃみをしたのは、赤いBJを着た女の子。
ただ、何時もと違って、その要所要所には、白くフワフワしたものが、あしらわれているが。
「冷えたのか?全部配り終わるのには、まだ時間がかかる。……少し休むか?」
ソリを引くのは、頭に角の様なアクセサリーをつけた、蒼い狼。
「いや………朝までに全部配っちまわないと台なしだからな。一気に配っちまおう」
「そうか………」
雪が降る、ミッドの空をソリは、一晩中飛び続けた。
翌朝
ミッドに少しだけ不思議な事が起きていた。
親の無い子供や、入院している子供達が、朝起きると、玩具やぬいぐるみが、その枕元に置いてあったのである。
子供達は、大いに喜び、この不思議で、心温まる事件は、少しだけTVで取り上げられたりもした。
「クリスマスにプレゼントなんて、『地球』だけの風習やのにな……」
「ヴィータは、クリスマスに主からプレゼントを貰った時、大変喜んでましたから。
ヴィータなりに考えての事でしょう」
「そっか……」
笑みを浮かべた主は、ベットで眠る小さなサンタクロースの頭を、軽く撫でる。
「お疲れ様。小さなサンタさん。」
これをきっかけに、ミッドにクリスマスが少しづつ浸透していく事になり、やがては、国民的行事になる……
でも、どれだけ時間が過ぎても、ミッドで描かれるサンタクロースの姿は小さな女の子の姿。
………てのを思い付いてたけど肉付けしてる時間が無かった;;
リンディさんの髪を弄べるクライドが憎い。
しんぐるべ〜る♪
しんぐるべ〜る♪
orz
クライドさんとザフィーラがくっつけば全て解決
351 :
ておあー:2007/12/25(火) 16:04:18 ID:HtmSVp4z
なんか人大杉って出るのですが、これって回避不能ですか?
とりあえず『携帯でのアクセスについて』から見てるんですが
ちと投下には不便・・・
>>351 2ch専用ブラウザ使えば回避可能〜
353 :
ておあー:2007/12/25(火) 16:32:27 ID:HtmSVp4z
>>352 どもです。でもなんか普通に見られるようになりました。ということで今のうちに・・・
昨日レス下さった方、ありがとうございました。
最後の夕刊です。不要な前書きは無しにして早速行きましょう。
今回の注意
・舞台はJS事件終了後、本編でいう新暦75年の年の瀬です
・基本はギャグですが、根底にあるのは『ほぼ全員に見せ場を』という気持ちです
・一部を除く全ての登場人物が等しく壊れています。フリーダムです
・そしてネタまみれなおバ会話を繰り広げてます
・エロはユー×なのでちょっと(なのはさん的な意味でなく)だけあります。今日です
・その他オリジナルのカップリングが幾つかあります
・割といろいろ妄想設定です
よく考えたら毎回注意を書く必要なかったかも。
「……っはあっ!!」
「……ぷはー!」
人間形態に変身したザフィーラと、その手で口元を塞がれていたヴィヴィオが同時に大きく息を吐
いた。
「……ま、まさか不意打ちでプロポーズとはやってくれるなスクライア」
実は、ザフィーラは眠ってなどいなかった。
というよりもヴィヴィオが自分の尻尾を固く握り締めたまま寝てしまったせいで帰るに帰れなくな
ってしまい、仕方なくここで寝ようかと思っていたらいきなり部屋にサンタの格好をした変な奴が入
ってくる。何者かと思いよく見るとそれは自分のよく知る無限書庫の司書長で、おそらくは無害だろ
うが一応声をかけたものか迷っていると今度は部屋の主であるなのはも帰ってきてそのまま二人で話
し込む……といった具合で、部屋を出るにも口を開くにも微妙にタイミングを逃してしまい狸寝入り
を決め込まざるを得なくなってしまったのだ。
だが、ヒートアップしたユーノがなのはにプロポーズし、ヒートアップしすぎたユーノのせいでヴ
ィヴィオが目を覚ました時点で状況は変わった。なにせここから先の展開は第二次クラナガン侵攻戦
(ちなみに第一次はスカリエッティ)と違い性的な意味でR指定なのだ。
かくして空気を読んだ守護獣はヴィヴィオをお持ち帰りぃ〜して脱兎の如く部屋を飛び出したのだ
った。
「……すまなかったな。苦しくないかヴィヴィオ」
「うん、だいじょーぶ……ってあれ? いつかのお医者さん?」
ヴィヴィオは人間態の自分を見て不思議そうな顔を浮かべている。
そう言えば彼女を含む六課の面々には数日前に一度この姿を晒していたのだった。ならば今さら説
明しないわけにはいかないと思い、ザフィーラはヴィヴィオに全てを告げる事にする。
「ヴィヴィオ……実は私は医者ではない。ザフィーラなのだ」
「ふえ……えええぇーっ!?」
「私やアルフは『使い魔』或いは『守護獣』と呼ばれる者だ。本来は獣の姿をしているが、このよう
に人間の姿をとる事ができるし――」
ザフィーラが狼の姿に戻る。
「獣の姿でも話をしたり、魔法を使ったりできる」
「そうなんだ……でも、どうして今までお話してくれなかったの?」
「獣が話す姿を見て驚かせてはならないと思い伏せておいたのだ……だが結局はこうして驚かせる事
になってしまった。すまないな」
「んーん! ぜんぜんだいじょーぶ!!」
ヴィヴィオは目をキラキラと輝かせながらザフィーラに飛びつく。
「じゃあね、今日はヴィヴィオといっぱいお話しよっ! ヴィヴィオ、ザフィーラとお話したい事が
いっぱいあったんだ!!」
「しかし……ああ、そうだな」
どうせ部屋には戻れはせんしな……と判断したザフィーラは、ヴィヴィオが風邪を引かないよう、
体を丸めて狼の温かい毛でヴィヴィオを包み込む。
「ふかふかであったかーい……」
「風邪を引いてはならぬからな。さて、それではどのような話をしたものか……」
「じゃあね、まずね! うーんと……あれ? ていうか、なんでザフィーラはヴィヴィオをこっちに
連れてきたの?」
「ブホッ! ……そ、それはだな。これから……二人が大事な魔法を使うからだ」
「まほー?」
「そうだ、一組の男と女が二人で力を合わせる事で初めて使う事ができる一種の合体魔法だ。大変な
集中力を要するゆえに、我らが邪魔をしてはならない。しかしこの魔法が成功すれば、ヴィヴィオに
弟か妹が増える事になる」
「ほんとー!! ねーザフィーラ、ヴィヴィオもその魔法覚えたい! ヴィヴィオとザフィーラでそ
の魔法覚えて、いっぱい弟や妹を作る! それでみんなでママを護るの!!」
「ブフーッ!! ……そ、それはお前にはまだ早い!」
「えー、なんでー?」
「知る必要はない!!」
「ええー……グスッ」
「す、すまん、思わず声を荒げてしまった……だが案ずるな。もっとお前が成長すれば自ずと覚える
事ができるはずだ」
「ほんと!? じゃあヴィヴィオはやくおっきくなるね!!」
「うむ……しかし、その為にはまず好き嫌いを無くさなければならんぞ。ピーマンも食べねばならん」
「ええー! ピーマンやだー!!」
●;〜
「……っはあっ」
「……ぷはっ」
ユーノとなのはの唇が離れ、二人が同時に息を吐く。
もう何度口付けを交わしたのかわからない。
鞄やらサンタの衣装やら手荒に掴んでユーノが部屋を出ようとしたその瞬間。
なのははその服の裾を掴んでいた。
「……あの、なのは?」
「……で」
聞き取れないほど小さな声。きっと彼女の口元が動いているのに気がつかなければ、何かを言った
という事すらわからなかっただろう。
なのははユーノの服を掴んだまま動かない。
だからユーノもそのままの格好で動けない。
「その……離してくれないと、帰れないんだけど」
ぶんぶんと、なのはが無言で横に首を振る。
「……帰っちゃダメってこと?」
こくこくと、なのはが無言で縦に首を振る。
「……えっと……それってつまりどういう事?」
「……」
「やっぱりボク帰るね」
「……だめ」
「へ?」
「その……帰らないでユーノ君……今、ちゃんと返事するから……」
ああなるほど。なまじ変な勘違いをしないよう、ここでキッチリ息の根を止めるって事ですか……
さすが教導官、ボク達に出来ない事を平然と
「……その! あの、いきなりの事だから、混乱しちゃって……だからどう返事したらいいのかわか
んなくなっちゃって……でもダメとかじゃ全然なくて、凄くビックリしたけど嬉しいし、ユーノくん
はつまらなくないし、寒くもないし、引いてもないし、痛くもないし、謝る必要なんて全然ないし、
キモくなんてないし……どっちかっていうとだけど……かっ、こ、いい、し……」
……平然とやってのける。そんな顔でそんな事を言われたら、もう人間をやめるしかないじゃない
か……倫理とかそっち系の意味で。
ユーノは顔を真っ赤にしながら俯くなのはに近づくと、その唇を強引に奪う。
「ん"ん"っ!?」
突然のキスに混乱するなのはをユーノはしっかりと抱きしめると、なのはの唇を塞いだまま念話で
彼女に語りかける。
(簡単だよ)
(ユーノくん……)
(わかりやすく伝えるよ。今から言う事をなのはができれば、君の想いはボクに伝わる)
(……!)
(どんな言葉でもいい、目の前の男(の理性)を素直な言葉でぶっ飛ばして。全力全開、手加減無し
で!)
ユーノが唇を離す。
「……さっすがユーノくん……わっかりやすい」
再び二人の唇が重なる。
今度のキスはなのはの方から。そして自身の素直な言葉を伝える。
(私も大好きだよ、ユーノくん。私もユーノくんと一緒にいたい。これからもずっと……)
なのはが唇を離す。
そしてにっこりと笑う。十年前と変わらない笑顔で。
「私にも来たね……サンタさん」
「ボクがこの前無限書庫で見た本に、こんな事が書いてあったよ。『女の子は心がキラキラ輝いてい
ればいつまでだって少女なんだから』って」
二人はそのまま抱き合ってベッドに倒れこみ、また唇を合わせる。
何回だって構わない。十年分の想いを満足させるには一晩中そうしたって時間が足りないのだから。
「ふにゅ!?」
だからというわけではないが、今日のユーノは積極的に攻める。
舌を器用に使ってなのはの唇をこじ開け、そのまま舌をねじ込む。
(えっ、ええっ、ユーノくん!?)
(大人のキス……嫌かな? だったらやめるけど……)
正直、ユーノ自身もまだ早いかなという気持ちはある。
今までずっと友人だった関係が、今日ようやく大きな一歩を踏み出したのだ。おそらくこの数分間
はこれまでの十年間に匹敵する、あるいはそれ以上の進展があった。だから彼女が自分の急激な態度
に戸惑い、拒絶した場合はもっとゆっくり関係を深めていけばいいと思う。
……だがしかし。
体はやっぱり正直なのだ。
ちょっと潤んだ瞳も、ほんのり赤く染まった顔も、時折漏れる切なげな声も、六課の制服の上から
でもはっきりとわかる胸の感触も、教導官という身分である事を忘れさせてしまう小さな肩も、少し
すえた、でも全然不快じゃない汗の匂いも。
その他諸々彼女の全てがユーノを刺激し、今すぐに目の前の少女を手に入れたいと訴えてきている
のだ。
だからこれが最終確認。
もしやんわりとでも拒絶されたら、その時は素直に諦める。でも……
(ちょっとびっくりしたけど……うん、でも大丈夫だよ)
――王大人(理性の)死亡確認!!
(……じゃあ、無理だったら言ってね)
言うが早いか、ユーノはなのはの口内を舌で掻き回していく。
「ん、んーっ……ぁん……はぁっ……!」
なのはは若干抵抗する素振りを見せたが、言質はとってあるとばかりユーノは気にせず彼女の中を
蹂躙する。
「……だっ……ゃ……ん……んんっ!?」
一通り口内を嘗め回し、彼女の舌に己の舌を絡ませた時なのはの反応が変わった。
どうやらただ闇雲に内頬や歯茎を撫で回すより効果がありそうだ。こちらの方が明らかに反応がい
い。
「……ぁっ! ……ひぁっ!!」
人の舌の長さなどさほど個人差はないが、感覚的には自分の舌で彼女の舌を巻き取るイメージで絡
みつかせる。
「んくっ……はぁっ……ふぁ……あっ……」
互いの舌を擦り合わせるうち、少しずつなのはの声に艶っぽいものが混じり始める。
正直なところユーノ自身もかなりキている。
本格的に性を意識するようになった時には、既になのはに想いを寄せていた。それからもずっと片
思いを継続してきた、だから自身にはその手の経験が一切ない。一応知識としては知っているが、実
際にやってみるとどんな風になるのか自分でも想像がつかないのだ。
上で繋がるだけでこれだけ気持ちいいのに、もし最後までいけばどれだけのものになるのか。
確かめたい。
ユーノは舌を抜き取ると、荒く息をつくなのはの耳元で囁く。
「なのは……君がほしい。君の全部が」
「……うん」
惚けたような表情で、なのはがゆっくりと頷いた。
●.〇(▽)
数分後、ベッドの上に一糸纏わぬ姿になった二人がいた。
「ユーノくんの体って、けっこうがっしりしてるんだね」
スーツの上からは想像し難い、意外に厚い胸板になのはが指を沿わせる。
「無限書庫に篭りきりだと、どうしても運動不足になっちゃうからね。それでアルフに勧められて筋
トレを始めたら、これが意外とクセになっちゃって」
「アルフさんが?」
「うん。『男はガッシリした体型の方が断然かっこいい』って」
そこはかとなくアルフ自身の『理想の男性』が透けて見えるような意見である。
だからまあ安心なのだが、先程やられっぱなしだったのをお返しする意味で、なのはは少しだけ意
地悪な発言をしてみる。
「じゃあ、ユーノくんはアルフさんに気に入られたくてトレーニングを始めたの?」
「だったら……どうするの?」
なのはとしてはてっきりユーノが慌てふためく様を想像していたのだが、ユーノは逆にそう言って
なのはの豊かな胸に手を伸ばす。
「ひゃんっ……!」
「なのはの体って、意外と柔らかいんだね」
「……ひゃあっ!? ……教導、隊……って、……ぁん……言っても、使う……のは……体より、
魔力だし……っあ、ユーノ、くんっ……そこダメっ……!」
想定外の反撃だったこともあって、不意打ちに近い形で敏感な場所に触れられたなのはは悲鳴を上
げる。
それでも律儀にユーノの言葉に答えようとするのだが、ユーノはそんなものは無視してなのはの胸
を揉みしだく。
(甘いよなのは……そんなニヤニヤした顔でそんな言葉を言ったって、本気で怒ってないって事はボ
クにでもわかっちゃうよ。ていうか……女の子の胸ってこんなに柔らかいんだ……)
擬音で表現するなら『ふにゅ』か、それとも『くにゅ』? とにかくそんな感じだ。ユーノの人生
において、こんな触り心地の物は今までなかった。
適度な弾力、適度な触感、適度な暖かさ。
今まではやてが仲間にセクハラに走る姿を見る度になぜ同姓の胸にそこまで興味を示すのか、と疑
問に思ったものだが、ようやく彼にもその理由が分かった。
「ユー、ノ、くんっ……ダメ……あっ!」
「ごめん……無理」
ユーノはちょっとした感動すら覚えながら、なのはの懇願を却下し空の方の手も伸ばす。
その心持はさながら誘蛾灯に導かれる虫である。
しかしやられるに側にとってはたまったものではない。
「あふっ! だ、め……っ……気持ち……よすぎ、て……ひゃぅっ!!」
「ごふっ!?」
予想されるさらなる刺激から逃れようとなのはが暴れ、闇雲に動かした腕が裏拳の要領でユーノの
後頭部に直撃した。
「はぁっ……はっ……ご、ごめんユーノ君! 大丈夫!?」
「だ、だいじょうぶ……」
ユーノは悶絶しながらもすぐに起き上がる。既にスイッチが入ってしまった彼は、裏拳一発で止ま
らない。
「でも……二度はごめんだから」
今度はなのはをベッドに押し倒し、そのままその上に覆い被さる。
「え、え、う……あ……」
「ちょっと窮屈かもしれないけど、ごめんね」
なのはが抵抗する暇もなく、ユーノは自身の両手でなのはの両手を押さえつけ、今度は顔面を胸に
埋める。
「ひゃっ……あ、や……だっ……くすぐったいよぉ……ぁんっ!!」
(やっぱり凄く柔らかいし……それにいい匂い)
鼻腔いっぱいに広がるなのはの匂いに、ますますユーノはヒートアップしていく。
そのままぐにぐにと顔を動かしてたっぷりと触感を楽しむ。ああ、こんな枕欲しいなあ。もっとも
書庫の仕事が徹夜続きのせいで、ベッドで寝れる事なんてほとんどないけど……
ユーノがそんな事を考えている一方、なのはの方は早くも最初の限界が近づいていた。
この時点でユーノは知らないが、彼女もまたこういった経験は皆無なのだ。
さすがに一通りの知識はあるし、興味から胸や秘所を自身の手で弄ってみた事もある。それにユー
ノほど相手への想いを自覚していた訳ではない。
けれど、それでも彼女にとって家族以外に最も近い立場の人間はユーノだったし、心の内ではその
気持ちに気づいていたのか誰かと付き合ったりする事はなかったのだ。勿論教導官としての仕事に打
ち込んでいたのも大きな原因ではあるが。
少し話が横道に逸れたが、とにかく慣れない経験からくる快感に彼女はすっかり翻弄されていた。
そして――
腕に伝わっていた力が不意に弱まった事に気づいたユーノは顔を上げる。
「なのは?」
ユーノはなのはの顔を見る。
その表情は蕩けきっている。ユーノが自分を見ている事に気づいているのかいないのか、なのはは
息も絶え絶えに呟いた。
「……はっ……ユー……ノ、くん……はっ、むね……もう……ダ……」
「もしかして……」
ユーノは思考を巡らせる。
もしかして、これは世間で言うところの『イッた』というやつなのだろうか。
ええと……こういう場合はどうしたらいいのだろう。
ユーノの知識として、挿入する前には色々と相手を気持ちよくさせてあげなくてはいけないという
ものがある。それに従って……いや、正確には思いっきり自分の欲望を満足させていただけなのだが、
一応その辺りの準備運動を兼ねての今までだったのだがまさかこんな状態に陥ってしまうとは。
勿論ユーノ自身はまだ満足していない。既に彼のそこは最大限に怒張し、先端からは先走りが垂れ
ている。
(えっと……やっぱりこれは日を改めた方がいいのかな)
そのまま勢いで押し通してもいいが、さっきまで一人で楽しんでいた事もあるしなまじ冷静になっ
てしまったせいで理性も復活し始める。元より王大人の死亡確認なのだ、あやふやもいいところの代
物である。
「ごめんなのは、ちょっとやりすぎちゃったね……続きはまた今度に……」
「ダメ、だよ……ユーノくん、まだ満足してないでしょ……?」
「ううん、ボクの事はいいか……」
「……だって……私、ユーノくんにまだあげてないから……私の全部……」
「なのは……」
なのはの表情は真剣だ。
ユーノとしては少し心配ではあるが……こうなったら、覚悟を決めていくしかない。
「わかった。じゃあ今からボクのをその……挿れるけど、無理だと思ったら言ってね」
ユーノは体勢を変え、自身のモノをなのはの秘所にあてがう。
(よく濡れてないと痛いって聞くけど……見た感じ十分ぽいし大丈夫だよね)
指などで確かめるまでもなく、なのはのそこからはとろりとした蜜が垂れ出しており、しっかり準
備はできていると判断。そのままゆっくりと挿入していく。
「……ふああぁっ!?」
人生で始めての、秘所に異物が進入する感覚になのはが喘ぐ。
「痛い?」
「はっ、ん……だいっ、じょうぶっ……続け、て……」
ユーノはなのはを傷つけないよう、細心の注意を払いながら自身を深く埋めていく。幸い双方の大
きさに問題はないようで、少しずつだが確実にユーノのモノはなのはに受け入れられていく。その時
ユーノの先端が何かに突き当たった。
「奥まで……いった?」
「……ううん、違う……よ……んぁ、そのまま……先へいって……はっ」
そこでようやくユーノはようやくなのはの『まだ全部あげてない』という言葉の意味を理解する。
「わかった、少し痛むかもしれないけど……我慢して」
ユーノは一度深く深呼吸をするとそのまま一気に突きこむ。
処女膜の耐久度がどれほどのものなのかわからない。そのため少々手荒でも確実な方法をとった。
「はっああっ!!」
なのはの叫びとともにより深くまでモノが沈みこみ、今度こそその先端が最奥に達する。
「全部……くうっ……入ったよ」
「うん……あふっ……」
なのはの内部が痛いほどユーノのモノを締め付け、それまで比較的冷静だったユーノにも余裕が無
くなっていく。これは悠長に構えている暇はなさそうだ。
「なのはっ……少し、動くよ……」
「……うん、……きてっ!」
なのはの方も余裕はない。今自分が受けている感覚を頭に刻み込み、これから来るであろうさらな
る刺激を想像して備える。
ユーノがゆっくりと腰を動かす。
くちゅり、という音が耳をつき、二人の本能を刺激する。
「んっ! うっ、うんっ……くぅっ!!」
再びゆっくりと突き入れられ、なのはが強く短い喘ぎを繰り返す。破瓜の時のような痛みはもうな
いが、寧ろ全ての襞を一気に擦り上げられる今の方が何倍も刺激が強い。
「あっ、くっ、ユー、ノ、くんっ!!」
「なのはっ、なのはっ……!!」
少しずつユーノの動きが早さを増していく。その腰振りが激しさを増すと同時に、二人の脳裏も白
一色に染め抜かれてゆく。痛みも羞恥心も互いを労わる心も瞬間ごとに消え失せ無くなっていく。
今二人にあるのはただ、快楽という感情ただ一つだけだ。
「なの、はっ……! そろ、そろ、出るっ……!!」
ユーノが叫び、限界が近い事を知らせる。
「いい、よっ! そ、のま、まっ、出して、っ!!」
なのはが応える。ユーノはその言葉に全てを忘れそうになるが、最後に一欠けらだけ残った理性が
それを拒む。
限界まで快楽を貪り……引き抜く。
が、その時なのはの脚がユーノの腰に回され、その動きを阻止した。
「うえっ!? う、だ、はっ――」
「う、あ、あ、あああぁーっ――」
そして、ユーノはなのはの中に己の精を全て注ぎ込み――二人は果てた。
「はあっ、はあっ……なの、はっ……?」
自慰行為の射精時とは段違いの疲労感に、ユーノがばったりと倒れ込む。
ちょうどなのはの上に折り重なるように倒れた事もあって、先刻大いに楽しんだ胸の感触がまた自
身の胸板に押し付けられるが、今はもうそれを楽しもうという気すら起こらない。
なのはの方も疲労感と達成感で完全に体が麻痺しており、自分に覆いかぶさっているユーノを払い
のける気力もない。
ユーノはそのまま体をごろんと半回転させ、なのはの横に寝転がった。
「ごめん……なのは。その……君の中に……」
「だい、じょうぶ……今日は……安全な日、だから……」
未だ呼吸の整わないなのはが、すまなそうなユーノに笑顔を浮かべて答える。
「それに、ユーノくんとの初めてだから、どうしても全部欲しかったの……」
「もう……でもいくら安全日だからって、絶対に妊娠しないとも限らないんだよ……もし直撃しちゃ
ったら……」
「にゃはは、その時はまあ……なんとかなるんじゃないかな。ヴィヴィオも弟か妹ができたら喜ぶだ
ろうし……」
「……もう」
ユーノは侠気な恋人に苦笑いを浮かべながら、その体を優しく抱き寄せる。
「大好きだよ、なのは……」
「私も……愛してるよ、ユーノくん……」
十年分の想いの結実。
二人は互いに最高の笑顔を見せると、しっかりと抱き合った。
Zzz.●.〇(●<I love you.>▽)
「遅いですね、高町一尉……少し眠くなってきました……」
「シャッハ、僕はもう帰らせてもらっていいかな? これ以上夜更かしすると明日の仕事に響くんだ
けど……」
「ロッサ」
「ハハッ、まさか冗談だよ……ていうか、いったいこれは何を待ってるんだい?」
「ああ、高町一尉からフォワード陣にクリスマスプレゼントを届けたいから壁抜けの力を貸してほし
いって言われてるんです」
「なるほど……っていうか、プレゼントってこれかい? なんだか……」
「ロッサ」
「ごめんなさい。もう何も言いません」
「はあ、騎士カリムも戻ってきませんし……やはり異教の祭事に関わったのはやりすぎたんでしょう
か……」
Zzz.▽。〇(▽<I love you.>●)
「んっ、あっ、あっ、お兄ちゃん――!!」
「くはっ――はあっ、はあっ、フェイト、もうやめ……」
「ハア、ハア……はい、次は騎士カリムの番ですよ」
「ありがとうございます、フェイトさん」
「ま、待って……もう無理……もう出ません……」
「またまた。体はまだこんなにお元気ですよ、クロノ提督」
「た、助けて、おねが……アッー!!!!」
「ふふふ……たまには異教の祭事に参加するのもいいものですね♪」
時間無制限1R、クロノ・"スーパークロノタイム"・ハラオウンVSチームブロンド……
TKOによりチームブロンド完勝。
8.
翌日。
12月25日。
――機動六課訓練場。
自主練習するため集まったスバル・エリオ・キャロが興奮気味に話している。
「凄いね! やっぱり"サンタサン"は実在したんだ!!」
「スバルさんのところにも来たんですか?」
「私達のところにもです、本当にびっくりですよね」
「うん、来た来た!! 見てこれ、今クラナガンで一番人気のケーキ&アイスバイキングの無料食べ
放題券!! もうずっと行きたかったんだ〜……エリオとキャロは何をもらったの?」
「ボクは訓練用の新しい靴ですね。最近足が大きくなってるらしくて……すぐにサイズが合わなくな
っちゃうんで……でもプレゼントされたこの靴、ちょうど今の足にぴったりなんでびっくりしちゃい
ました!」
「私は回復魔法の教本です。最近シャマル先生から少し教わってるんですけど、自分でも勉強しよう
と思ってたんで本当に嬉しいです」
「あ、あはは……それはよかったね二人とも」
「「はい!」」
「よーし! じゃあ業務停止処分で仕事もないし、自主練が終わったらみんなでこのバイキングに行
こっか!! このバイキング一枚で5人まで使えるから、ギン姉やアルトにも声かけて!!」
「いいんですか!? ありがとうございます!!」
※今クラナガンで一番人気のケーキ&アイスバイキング:死亡フラグ発生
「あれ、でもティアさんは誘わなくていいんですか? 自主練にも来てないし、もしかして昨日のア
レで風邪でも引いたんじゃ……」
「ああ、ティアは今ちょっとね……まあ今回は不参加って事で。ああー楽しみだなー、山盛りのアイ
スにケーキー♪」
頭のアホ花は満開、実に人生を楽しんでそうで真に結構である。
――隊舎内。スバルとティアナの部屋。
タコ殴りにされた男が正座させられている。
「……それで。どうして朝起きたら、ヴァイス陸曹がアタシ達の部屋にいるんですか? しかも頭に
ストッキングを被って、全身をリボンで縛られて」
「……あ、ありのまま」
「クロスミラージュ」
『Yes sir.』
「おわっ、そんな物騒なもんこっちに向けんな! いやぶっちゃけた話俺にもよくわかんねーんだよ!
なんか昨日クラウディアから出て隊舎に帰る途中から記憶がねーんだって!!」
「ストームレイダー、貴方は何か言う事ある?」
『……一身上の都合により黙秘権を行使します』
「ちょ、ストームレイダー!? お前本当の事知ってんだろ!? 俺の無実を証明してくれよ!!」
『……申し訳ありません(まだ機能停止したくありません)』
「……で、年頃の女性の部屋に無断で侵入した責任をどう取ってもらうかなんですけど」
「だからよぉ!!」
「アタシ最近買いたい服とかあったんで、今日一日荷物持ちしてもらっていいですか? それから夕
食は夜景が綺麗ってテレビで評判のクラナガンの高級レストラン、もちろんヴァイス陸曹持ちで」
「人の話を聞けぃ、このバカタレが!!」
「あら、いいんですよ? 八神部隊長に今朝の事を報告しても……ちょうどヘリパイも二人になった
事ですし」
「……く、くそっ! まったく納得いかねえが……わーったよ! その代わりそれで手打ちだ!!」
「ありがとうございます、ヴァイス陸曹♪」
「……ああちょっと待て。どうせだったら夕飯にラグナも一緒に誘っていいか?」
「え、ええっ!? それは普通にダメー!!」
「はぁ!? なんでだよ!!」
「だ、だってお金とかいっぱいかかっちゃうじゃないですか!!」
「いや、金出すのは俺だろ……?」
どうやらフォワード陣四人とも、なのはサンタのプレゼントは気に入ってもらえたようである。
――同隊舎内の一室。
眼鏡をかけた男と、男と同じ髪の色をした女が生まれたままの姿でベッドに横たわっている。
「ねえ、ルキノ」
「なんですかグリフィスさん?」
「実はその、六課が解散した後の事なんだけどさ……ボクは事務官になって、艦船の事務業務をやり
たいんだ。それで……よかったら、君にボクの事務官補になってほしいんだ」
「……」
「……その、よかったらでいいんだけど。君にも夢があるだろうし」
「私、この先艦船の操舵手になりたいって思ってたんです……だから、グリフィスさんも次元航行部
隊に転属するなら……一緒の艦船に乗れたら……いいなって……」
「え、それって……はは、まいったな……」
胸を晴れ男の子。君の意地が守った二人の未来はきっと明るい。
――同隊舎内の別の一室。
寮母さんの朝は早い。
「ちょっと寝坊しちゃったけど……まあいっか。さて、今日も一日頑張りますか」
……あんまり早くもないか。とりあえずお仕事頑張ってください。
――同隊舎内、廊下。
最近自棄気味のメカニックと大きさ以外は人間と大差ない融合型デバイスがすれ違う。
「あ、おはようですシャーリー」
「あー、おはようございますリィン曹長」
「シャーリー、なんだか元気なさそうですね。私でよければ悩みを聞きますよ?」
「あはは……実は最近ちょっと辛い事がありまして……」
「辛い時は誰かの胸で泣くのが一番ですよ。リィンでよければ慰めてあげるです」
「それは、どうもです……待てよ……デバイス……慰める……人間と変わらない……ちょっと元気が
出てきました、ありがとうございますリイン曹長!!」
「あれ、リィンはまだ胸を貸してないですよ?」
ユニゾンデバイスの技術を応用した、業界の歴史を塗り替える超高性能ダッチワイフ(女性用有)
の完成まであと数年。その試作第一号は実在の人物がモデルとなっているらしい。
――同駐機場。
少女がひたすら頭を下げている。
「本当に申し訳ありませんでしたっ!!」
「いやいや、まあヘリも無事帰ってきたし、俺らが怒ってもしょうがねえからよ」
「そうそう、酒の失敗なんて誰にでもあるこった」
「あ、ありがとうございます〜」
「ところでよ、ものは相談なんだが……お前さん、六課が解散したら本格的にヘリパイ一本でやって
みねえか? 『JS事件』の記録映像を見たんだが、正直管制デバイスもなしにあんだけの動きをで
きる奴なんぞ、武装隊でも数えるくらいしかいねえ。お前さんヘリパイの才能があるぜ」
「そ、そんなに褒められると恥ずかしいです……」
人間万事塞翁が馬。これが彼女の転機になるのだから、まこと人生とは不思議なものである。
――同部隊長室。
始末書の山に追われる部隊長を赤毛の分隊副隊長が慰めている。
「あー……こらちょっと終わりそうにないなあ。年末年始は書類に埋もれて過ごす事になりそうや…
…ちゅうか、だいたいこんな事になった原因はお酒を持ち込んだ誰かさんちゃうんか、見つけたら絶
対ギッタギタにしたる……ブツブツ」
※ゲンヤ:死亡フラグ発生
「まあまあ、そんなこと言わないで頑張ろうよはやて……アタシも出来るだけ手伝うからさ」
「あはは……ヴィータは書類仕事も得意やもんな、この前シグナムが褒めとったで」
「え? そ、そんな事ないよ、シグナムが苦手すぎるだけなんだって……」
「……」
「……」
「……あれ、私にはなんかないんか?」
貴方は中盤に結構出張りましたから……
「おいちょっと待てよ! アタシは『目からビーム』くらいしか見せ場なかったじゃねーか!!」
たとえ二次創作であろうと、作者を馬鹿にする登場人物は先生許しません。ギャグじゃない輪姦も
のだって書けるっつーんだバーロー……たぶんだけど。
――同隊長室。
開かれた幼い女の子の瞳は、片方が翡翠で片方が紅玉の鮮やかなオッドアイ。
「あれ……ここ、ママ達とわたしの部屋?」
キョロキョロと周囲を見回すが、紛うことなき彼女とママ達の部屋である。
「じゃあ、あれは夢……?」
部屋にユーノさんがいて、いきなり誰かに連れ出されて、それがカウンセラーのお医者さんで、実
はお医者さんはザフィーラで、つまりザフィーラは実は喋れて、それでいっぱいお話して……
「ぜんぶ、ゆめ……」
落ち着いて考えれば確かにそうだ。狼が喋るはずがない。
「そうだよね……」
少し寂しいけどしょうがない。そういえば、今日は部屋にママ達もいない。ザフィーラは今日もお
仕事だろうか。あーあ、早く学校に行って友達を作りたい。
ふと、枕元に何かが置かれている事に気がついた。綺麗な包装紙に包まれている何かが二つ。
「開けていいのかなー?」
とりあえず、小さな箱から開けてみる。中に入っていたのは真っ赤な宝石が一つ。
「わー、キレイな石だぁ」
『石ではありません』
「しゃ、しゃべったあ!? も、もしかしてママのレイジングハートとおんなじ……」
『その通りですマイマスター。製作はマリエル・アテンザ技官、依頼したのは貴方の母上。マスター
の為に作られた、マスター専用のインテリジェントデバイスです』
少女とデバイスの友情大活劇が始まるのはもう少し先のお話。
――同隊長室前のドア。
外から部屋の様子を窺っていた犬耳の男性が踵を返し歩き始め、同じ犬耳をつけた少女が後を追う。
「いいのかい? あの様子だと、ヴィヴィオは昨日の事を夢だと思っちまうよ?」
「むしろその方がいい」
※ザフィーラ:死亡フラグ回避
「いずれ時が来れば私とヴィヴィオは離れねばならん。深く情を注げば、その分彼女にとって辛い別
れになってしまう」
「アンタにとっても……だろ? まあアンタのその気遣い、もう無駄だと思うけどね。別に止めやし
ないけどさ……んしょ」
「む……どうした、腕など組んで。というか組むなら大人の姿に戻れ。ぶら下がるな」
「まあ別にいいじゃん。ところで今日からしばらく休みなんだろ? だったら一緒に街にでも出ない
かい? ちょっと行きたいところがあるんだよ」
「いったいどこだ?」
「今クラナガンで一番人気のケーキ&アイスバイキングさ」
※今クラナガンで一番人気のケーキ&アイスバイキングに死亡フラグ追加。ついでに何やら楽しそ
うなフラグも発生
「ケーキにアイス……? 肉の食べ放題ではなくか?」
「まあそれもいいけどさ……どうしたんだい? ボーッとしちまって」
「いや、お前にも可愛らしい一面があるのだと思ってな」
「やめとくれよ、照れるじゃないか」
「……ただし行く時はお前が元の姿に戻るのが条件だ。また以前のように職務質問をされては叶わん」
次元を超えた遠距離恋愛は順調に進行中のようである。
――某ミッド郊外の拘置所。
昨日はなす術なく蹂躙された悪党達だが、一晩経って元気を取り戻したようだ。
「おい、飯はまだかー!!」
「狭いんだよ、何とかしろー!!」
「ぶえっくしょい! ちくしょー、風邪引いたから医者呼んでくれよー」
「こら、お前ら少しうるさいぞ!! 朝食は現在準備中、移送先も決まり次第伝える。それから……
風邪を引いている者が多いようなので医者に来てもらった。美人の女医だぞ、ありがたくみてもらえ」
「へえー、医者は女だってよ! 楽しみだな!!」
「俺下半身の診察もしてもらいたーい!!」
「ダハハハハ! お前は去勢手術でもしてもらえっつーの!」
「おはようございます、医務官のシャマルです」
「ぎゃあああああああああああああ!!」
「た、助けてくれー! 殺される、みんな殺されちまうよーっ!!」
「むしろ殺せー!! もう『蝕』は二度と嫌だー!!」
シャマル医務官はこの後も各地の拘置所を回って患者を診察する予定になっている。
――艦船クラウディアの訓練場。
二人のSランク魔導師が、デバイスを手に対峙している。
「テスタロッサ……貴様、自分が何をやったかわかっているのか?」
「もちろんわかっていますよ、シグナム」
「……ならばここに呼び出された理由も分かっているな。私とレヴァンティンが貴様の性根を叩きな
おしてやる、覚悟しろ」
「……本当にそんな事の為に私を呼び出したんですか?」
「……なんだと?」
「おかしいと思ってたんです、シグナム……貴方がはやてを危険に晒すような行動をとるなんて……
でも今はっきりとわかりました。主君への想いを超えるものがあった……愛、ですね?」
「な、何を勝手な推測を……」
「シグナムも一緒にどうですか? 障害があるほど恋は燃えますよ?」
「だ、黙れテスタロッサ!! ハラオウン提督には妻子がいるのだ! このような想いなど捨てなけ
ればならんのだ! ……アギト! レヴァンティン!!」
「……ユニゾン……イン……」
『……シランデアホー』
「それが間違ってるんですよシグナム! 逃げればいいってわけじゃない、捨てればいいってわけじ
ゃもっとない!! だよね、バルディッシュ!?」
『……サー』
武器は使い手を選べない。
――同提督室。
金髪の美女がミイラのようになった男に膝枕をしている。
「……騎士カリム」
「なんですか? クロノ提督」
「……これも貴方は予言していたのですか?」
「『聖なる王の教えと異教の祭事が交わる日
魔を束ねる王に対し、過去より彼の時が蘇る
愚者達は溺れ、中つ大地の法の塔は変わらぬ姿を守るが
それを先駆けに数多の海を守る法の守護者は砕け落ちる』
12月25日、『預言者の著書(プロフェーティン・シュリフテン)』に狂いなし」
「そうですか……それでは、今後の私の運命も予言していただけますか?」
「ごめんなさい……私の予言は解釈次第で内容が変わる、よく当たる占い程度でしかありませんから」
「そうですか……」
頑張って提督。ここを乗り切れば、きっと一生スーパークロノタイム。
――聖王教会。
一組の男女が、夜が明けても帰らない騎士を待ち続けている。
「やはり……迎えに行った方がいいのでしょうか……」
「んー……なんとなくだけど、今は行かない方がいい気がするよ」
「? ところでロッサ、昨日『明日の仕事に響くから早く帰りたい』と言っていませんでしたか?」
「……記憶にございません」
「烈・風・千・刃……スターライトトンファー!!」
ドゴッ、メキョッ、バキッ、ドンガラガッシャーン……
――海上隔離施設。
今日もいつも通りの一日が始まる。
「……トーテムポール」
「……溶けたね」
「……此処を出たら、その時は二人で北の方へ行こうか」
「……うん」
「うわっ、もうこんな時間!? なんで起こしてくれなかったんだよウェンディ!!」
「もうセインなんか知らないっス。だいたい自分で起きられないのが悪いっスよ」
「おはよう、みんな」
「おはようございます、ギンガ先……ギン姉!」
「あら、おはようノーヴェ……うふっ♪」
「将を射んと欲すれば、先ず馬を射る必要がある……ちゃんと教えたとおりやっているな、姉は嬉し
いぞ」
「なんか……青春だね」
訂正。今日もほぼいつも通りの一日が始まる。
――陸士108部隊。
男と男の決闘が始まる。
「どうしてもギンガが欲しいならその前に俺を倒してからだ、カルタス」
「わかりました、隊長……容赦はしませんよ!」
『explosion!』
「いいっ!? て、てめえデバイスを持ち出すなんざ卑怯だぞ!」
「(立場的に)強い貴方に勝つためです!!」
「ち、ちくしょう、なんだってんだこの既視感はよおおおおおおおー……ぐはっ」
「約束です、ギンガさんは頂いていきますよ」
「失礼します、ナカジマ三佐がこちらだと伺ったんですが……」
「あ、すいませんマリエル技官。すぐに引き渡しますのでえぇっ!?」
「おいおいカルタス、まだ勝負は始まったばかりだろうが? さっさと立って続きをやろうぜ」
ちなみにカルタスのデバイスは捜査協力で六課に赴いた時に支給されたストラーダの兄弟機だそう
です……決闘の行方? それは誰にもわからない。
――何処かの隔離世界。
そこに住むのは一人の少女と彼女の母、そして少女を守護する者。
「ルー、ちょっと来なさーい」
「どうしたの、おかあさん」
「ほら、このニュース!」
「クラナガンを襲った違法魔導師集団、機動六課により鎮圧……」
「機動六課って、確か貴方のお友達の……」
「うん。エリオとキャロがいる場所……二人とも、頑張ってるんだ……」
「貴方も負けないように頑張らないとね」
「……うん。私も強くなる……それで、ガリューをちゃんと、元の世界に帰してあげる……」
誰にも帰るべき場所がある、だから別れは必然になる。
でも大丈夫。守護者がいなくなっても……もう少女は一人じゃないから。
――そして。場所は再び機動六課。
少女が仕事に出る青年を見送る。
「でもいいの、ユーノくん?」
「まあ冷静に考えたら、ボクにもなのはにも立場とか仕事とかあるしね……将来的に結婚するとして
も、今はそれを前提にしたお付き合いから始めるって感じでいいんじゃないかな」
「……うん、まあ冷静に考えたらそうだよね……」
「……寂しい?」
「……ちょっとだけ」
「……じゃあ、今日は仕事を休んで、ずっとなのはと一緒にいようかな」
「え、えええっ!?」
目の前の青年の突然の心変わりに少女は驚く。
でも青年からすれば、「ちょっとだけ」なんて言われたらしょうがない。
だって目の前の少女の「ちょっとだけ」は、「全力全開」と同意語なのだから。
「なのは、今日からお休みでしょ? ボクも有給使えってうるさく言われてるしさ。書庫の方もボク
がいつ過労死してもいいようなシフトを組んであるから、一日くらい休んでも影響はないし」
「そ、それはうれしいけど……でもいいのかな……あと過労死しそうなの?」
「過労死はジョークだよ。一日くらい休んでも影響がないってのはホントだけど」
「ごめんユーノくん……生々しすぎて笑えないよ……」
「はは……それでどうする?」
「……ホントにお休みしてもいいの?」
「大丈夫だよ……それに」
「それに?」
「クリスマスってのは、25日が本番でしょ?」
基本的にミッドチルダにクリスマスを祝う習慣は無い。
優秀な魔導師を多く輩出している事で、管理局内ではそれなりに認知されている第97管理外世界
―いわゆる地球だが、一般的なミッド人にとっては管理『外』世界の一つである。
そこに住む人間がどのような生活形態や風習を持っているかを知る者は少なく、せいぜい地球出身
の者が内輪で集まってささやかな宴を催す程度だ。
ただまあ、時々はミッド人がクリスマスを祝ったり、宴がド派手になったりする事もある。
なのは、そういえば昨日ひとつ言い忘れてた事があったんだ。
ユーノくんも? 実は私もなんだ。
じゃあ、二人で一斉に言おっか。
うん!
せーの……
メリー・クリスマス!!
魔法少女リリカルなのはStrikerS『機動六課のクリスマス』――完
371 :
ておあー:2007/12/25(火) 16:44:08 ID:HtmSVp4z
短期集中夕刊『機動六課のクリスマス』これにて終幕です。
書き手の欲望に任せた酷い作品でしたが、もし楽しんで頂けたのであれば幸いです。
色々言いたい事はありますが長くなるのでここは一言だけ……
ほぼ全キャラ書いた今なら言える、やはり三期は登場人物が多す(ry
本当にありがとうございました。最高の住人達にメリークリスマス。
>>371 ユー×なの マジGJ!
>「ボクがこの前無限書庫で見た本に、こんな事が書いてあったよ。『女の子は心がキラキラ
>輝いてい ればいつまでだって少女なんだから』って」
ちょwwwwwそれ原作者の名言じゃないかwwwwwww
しっかし…まだ
>>400いってないのに
450KBとは…何とも恐ろしい…
>>371 GJ!最後の最後までこのクオリティ、おつかれさまっした!
というか、クロノに死亡フラグが立ってるのは気のせいですか。
それに対してユーノめ、美味しいところを持っていきやがって!
なのユースキーなので最後のお話は特に満足させていただきました。
おつかれさまでしたー。
>>371 GJ!最後の最後までこのクオリティ、おつかれさまっした!
というか、クロノに死亡フラグが立ってるのは気のせいですか。
それに対してユーノめ、美味しいところを持っていきやがって!
なのユースキーなので最後のお話は特に満足させていただきました。
おつかれさまでしたー。
ってなんで二重になっとんねん(´・ω・`)
>>371 GJ!!乙でした!!
笑いありハラハラありなのは×淫獣の山場に感動ありと本当に面白かったです。
最後に、ておあー氏にもメリークリスマス!!
>>371 GJでした。
夕方の楽しみがなくなってしまうは惜しまれますが、楽しい一時でした。
これから残業に入る力も得られました。
最後にメリークリスマス!!
>>371 GJ!!
楽しかったんだぜ!最高のクリスマスプレゼントだ!
まったく話が変わるがストームレイダーの人格って男?女?どっちだっけ?
>>371 おお、GJ!
……別に輪姦物書けなくてもいいんじゃないかな、それも個性だし。(俺も書けないし)
……正月にここの職人(+いろいろなキャラスレからSS職人招聘して)で大投下大会やりたいな、と思ってるんですが……。
死にますよね、主にWiki管理人さんがw
でもま、個人的には正月までにはもう1本SS投下予定です。
>>371 乙GJ。
死亡フラグを華麗に回避するザフィーラがステキでした
あと、はやては独り身を弄られるだけまだマシなんだなと思いました
囚人の獄卒役が当然のように割り振られるシャマルさん……
ここで9歳当時の3人娘ガチ陵辱物が投下されたら最高だ
触手とかが大活躍する感じの奴
そんなに読みたきゃ自分で書けば?
リクエストが下手だなぁ
もうちょっと具体的で、なおかつエロい妄想を吐き出すんだ
職人のリビドーを刺激するんだ
さすれば(ry
一つ投下してもいい?
386 :
41-340:2007/12/25(火) 21:46:17 ID:FNV65Gmn
時間が無いので投下します
前スレでレジアスのおっさんssを投下したものです
今回はゲンヤさん…なのか?
・エロなし
・魔法少女的要素なし
・あんまり推敲できてません
前もって謝っときます。ごめんなさい。
クリスマスに時間の空いてる人だけ読んでください。
387 :
熱血ゲンヤ:2007/12/25(火) 21:48:48 ID:FNV65Gmn
ゲンヤ・ナカジマは軍の共同墓地に来ていた。
「また…俺は生き残っちまったなぁ…なあお前ら…」
彼等はJS事件の時に殉職した。
高町なのは一等空尉を始めとする機動6科の活躍に隠れてあまり注目はされなかったが、
そこには確かに信念を貫き、大切な物の為に戦った男達がいた―――
「大丈夫だ…俺は……忘れない…」
*********************
「ガジェットT型、V型猶も行進中!合わせて35機…40、まだ増えます!」
「砲撃を全面に集中しろ!車でもヘリでもいいから持ってきて壁にしろ!」
地上のガジェットの進攻を食い止めるべくゲンヤは指示を飛ばす。
しかしいくらこちらの魔道士が優秀だとしてもあちらの数が多過ぎる。
「どうにか…打開策を考えないと…なんとかしねぇとな」
「ナカジマ三佐!もうここは維持できません!」
「く…総員撤退だ!第三防衛ラインまで退くぞ!」
しかし退くといってもガジェットはすぐそこだ、おとなしく撤退させてくれるはずもないだろう…
「三佐!自分に…第二分隊に殿をつとめさせて下さい!」
「だが…第二分隊は負傷者もいただろう」
「大丈夫です、皆まだ戦えますし、重傷の奴は治癒魔法かけてマンホールの中にでも入れときますよ!」
「しかし…「我々は!…」」
「我々は何度も現場で三佐に助けられてきました…隊員の中には『親父みたいな人だ』って言ってる奴らもいるんですよ。
だから、これは部隊の総意です!どうか、我々に殿の誉れを!…」
「…わかった…」
こいつらは軍人だ…殿をつとめるということがどんな事かはよくわかっているだろう。わかった上で言ってるのだ。
と、そこに通信が入った。
「三佐、負傷者及び武器カートリッジの収容、完了しました。」
「了解、すぐ行く。撤退準備が出来次第開始しろ」
「了解」
「三佐、ご無事を」
「お前もだ。死ぬなよ」
わかってる。これが気休め以外の何物でもないということなど、自分がどれだけ残酷な言葉を吐いているかも。だが
「ええ、死にませんよ」
笑って答えやがった。
388 :
熱血ゲンヤ:2007/12/25(火) 21:51:25 ID:FNV65Gmn
――――――――――――――――――
「お前らよく聞け、我々第二分隊は殿をつとめることになった」
皆黙っている。だがその顔から悲壮感は窺えない。みな壮観とした面持ちだ。
「これは俺が勝手に決めた事だ。皆はついてくる必要はない。今すぐトラックに乗って行っても構わない……が、どうする?」
「隊長、それ本気で聞いてるんすか?」
「あんな機械なんかに尻尾巻いて逃げろと?」
「隊長が1番傷だらけじゃないですか」
「大体隊長一人じゃ何にもできないでしょ、僕らがいないと」
口々に言い合う隊員達。
「ったく、好き勝手言いやがって…」
いつもはまともに働こうともしないのに…こいつらは…
「よし!なら配置につけ!あの不細工な機械を止めるぞ!」
「「「「応!」」」」
本隊はもう出発しただろうか。
後ろを見ると最後のトラックも後ろ姿が小さくなっていっている。
あとは自分達が時間を稼ぐだけだ。
所詮分隊程度の戦力では高が知れている。だから交戦しつつ後退し、誘導する。
名も無き分隊長は古い友人を思い出す。
「ヴァイス…お前もどっかで戦ってんのか?…同じ空の下でさ…」五人がかりで誘導してきたのは大きな交差点。
「だとしたら…なかなかにいい気分だ!…」
ミッドチルダの地下には各家庭にガスを供給する地下パイプがある。建設費の関係か、かなり浅く敷かれたそれは、よくガス漏れ事件を起こして問題になっていた。
「十分引き付けたな…」
五人は固まり、デバイスを地面に向ける。
「隊長、俺達部隊を撤退させれたんですよね?」
「これで何分稼げますかねー」
「あーこの前八神部隊長にあったときサイン貰っときゃよかったな」
「な…お前ふざけんな!八神さんに合ったのか?!羨ましい奴め!」
全くこいつらは…最後の最後までうるさい…最高の隊員だ……
「ゲンヤ三佐…後は、頼みます!………総員!てぇーーッ!」
―――――――――――――――――
大きな音と共に遠くで煙が上がっている
ゲンヤ・ナカジマは軍用トラックに乗りながらそれを見ていた
「あいつら…」
「ナカジマ三佐、泣いて」
「いや、こいつぁ血だよ。奴らのながした、そしてそのほかの大勢の兵士が流した血よ」
「血…ですか………――!三佐殿、電信です。第三防衛ラインの布陣、完了したそうです。我々が付き次第戦闘を開始出来ます!」
「わかった。」
389 :
熱血ゲンヤ:2007/12/25(火) 21:53:45 ID:FNV65Gmn
そして10分後、防衛ラインに着き、トラックから降りながら聞く。
「隊員は?」
「全員スタンバってますよ」
即席の壁の後ろ側には整列した隊員達。
「さぁ三佐、みんな三佐の言葉を待ってます」
「オウ、任せとけ」
ゲンヤが台の上に立つと、皆の顔が急に引き締まった。
「おめぇら知ってると思うが、今回の戦は今までとは格が違う。確認しただけでもガジェットが80機以上、しかもまだ増えていやがる。
犠牲無くしてここを守りきる事なんかできやしねぇ。だがここを通せば奴らは市街地になだれ込む。だからここを死守しなくちゃいけねぇ!
ここで奴らを迎え撃つぞ!」
『了解!!』
勢いよく叫ぶと皆各自の持ち場につく。
全員のデバイスから閃光が迸る。
「やったか!?」
隊員の一人がデバイスを下ろし言う。
その一拍後、その隊員は首から上が飛んでいた。
「バカヤロウ!攻撃の手を休めるんじゃねぇ!」
「三佐!ガジェットT型改、まだ来ます!」
「臆するな!攻撃を集中しろ!」
だがAMFを強化し、固定武装も装着したT型改まで出て来て戦況は不利になるばかり。
トーチカもその能力を十分に果たせぬまま一人、また一人と倒れていく。
390 :
熱血ゲンヤ:2007/12/25(火) 21:54:23 ID:FNV65Gmn
「三佐!飛行型も接近中です!」「く!……空戦魔道士は何をやっている?」
「三佐……ここは我々が、三佐は…」
「どこに逃げるってんだ?それにここを死守しろっつったのは俺だぜ…上官が部下を見捨てて逃げれるかってんだ!」
「ナカジマ三佐…」
「俺は戦う。魔法も何も使えやしないが、最後の最後まで諦めたりはしねぇ!だから…行くぞお前ら!」
「了解」「応!」「終わったら飲みに行きましょうね」「もちろん三佐の奢りで」
もう隊員もかなり少なくなったが、まだ戦える。
「そういやゆりかごを相手してるのは機動六課だってな」
隊員の一人が大声を張り上げて叫ぶ
「あのカワイコちゃんぞろいの部隊がか?本当ですか三佐」
「ああいまあいつらも必死で戦ってるんだ」
「そりゃいけませんね…」
「なんでだ?」
「なんでって三佐、戦場で死ねるのは男の特権じゃないですか」
「ハハッ!確かにそうだ!」
飛行型ガジェットまで到着しやがった。
全く、俺も遂におめぇんとこまで行くことになりそうだぜ、クイント……
後悔なんざしちゃいねえが、ギンガとスバルがもうちょっと成長するのを見届けたかったな……
「六課の嬢ちゃん連中にばかり手柄をあげさせちゃ俺達も形無しだ!108部隊の意地を見せてやれ!全力全開で撃つぞ!射撃用意!」
全員デバイスに一層魔力を篭め始める
この一撃に全てをかけるつもりで。
「てっーーーーー!!!」
轟音と共に魔砲が放たれる。
幾重にものびる光はガジェットを破壊していく。
だが…それでもなのは達が撃つそれとは規模も威力も劣るもので、大量のガジェットを全滅させることなど出来はしないのだが…
「さ、三佐…これは……」
破壊しきれなかったガジェットは次々と動かなくなり飛行型も地上に落ちていっている。
「やったのか…六課の連中が……」
隊員達は何が起きたのか今一よくわかっていないようだ。
「俺達…勝ったのか…?」
「ああ、おめぇらが守りきったんだ、もっと胸を張れ!」
「マジかよ」「ウッヒョーー」
叫ぶ隊員達。抱き合って喜んでる奴までいやがる。
それからはあっという間だった。レジアス中将が死んだり、他にもお偉いさんが三人ほど死んだらしく、本局の方はものすごく慌ただしかった。申し訳程度の葬儀をし、補償も雀の涙くらいしかでなかった。そのあまりの処遇に文句を言ったが、取り合ってもらえず、今に至る。
*******************
「お前らは……守ったんだよ……」
誰にも知られない勇者たちにゲンヤは言葉を送る。
「だから…安心して自慢してこい……」
今日も墓石は、何も語らない――
391 :
41-340:2007/12/25(火) 21:58:29 ID:FNV65Gmn
以上です。
読んでくれた方ありがとうございました
でも上で謝ったからもう謝罪しないぜフゥハハハハー
もしよろしければご指導ご鞭撻のほどお願いします。
ところでそろそろ女性も出そうと思うのですが
フェイスカ はやレジ なのレジ シグレジ
どれがいいでしょう?一応全部プロットはできてるんですが
シグレジ
GJ
しかしなんだそのカオスなカプはwww
じゃ、はやレジで1つ。
GJです
ゲンヤ、かっこいいよ、ゲンヤ
そして自SSじゃ微妙な扱いでごめんよ
希望のシチュとしてはシグレジかな
シグナムはかつては航空隊にいたらしいし
さて、俺も明日には投稿出来るように頑張るか
もの凄いカプだなおいw
俺が今書いてるエリなのが霞みそうだ…書くのやめるか。
>>391 い、異色すぐるwww漢のSSだなこりゃwGJ
>補償も雀の涙くらいしかでなかった。
亡くなった隊員の悲劇的な処遇、報われなさを出そうとしたのだろうが、
時空管理局の遺族補償が雀の涙とはとても思えないんだよなぁ。
現在459kb
>>391 えー、あー、何だ。
ここは魔法少女のエロ小説スレのはずなんだが、
というのは置いといてGJ!!レジアス職人はまさに漢だな。
>>391 「0.7秒くらいは、あの機人達を足止め出来るんじゃねえかな」
「すげえだろ?俺さ、世界をーー0.7秒救えるんだぜ?」
が抜けるぞ
おま、俺も実はツッコミたかった事をw
マンホールの辺りからニヤケっぱなしだったぜ
しかし、俺が言うのもあれだが本当に中将は人気だな
カワカミンに汚染された奴も多くねww
>>401 総力戦というか、いち兵隊の見せ場も多かったからな、アレの最終巻は。そりゃあ、あんだけ燃えるモン見せられたら汚染もされるさw
…何か異常に重くないか?
壷使わんとマトモに見れんぞ…
ギコだけど、一応見れる。一瞬重い時もあるが。
この時期はアクセスが集中するんじゃないか?
所詮この世は独男だけ……
ここ3日は本当に人多いな。
書き込んでいる俺もその原因なんだろうけど。
残りの容量も少ないから、職人さんも投下を控えているんだろうけど、
そうなったらスレが進まずにROMっている奴ばっか増えて悪循環だな。
じゃあ早々と消費しないと?
>>347 遅レスだけどGJ。たった1レスでほのぼのさせてもらいました
>>371 GJ!面白かったです。ザッフィーかっこいいよザッフィー。ザフィーラは二次創作では割とかわいそうな役をやらされる事が多いけど本来は優しくそして渋かっこいいんだよなぁ・・・・・・
次回作も楽しみにしています
410 :
名無しさん@ピンキー:2007/12/26(水) 02:17:36 ID:RxSY3wCM
>>371 亀レスですがユーなのエロ話と笑える六課話をthunkyouべりまっち!
いぃクリスマスプレゼントでした。。。
>>391 司令官であったゲイズ中将は自らが建立させた遥拝所に幹部を集めて泣きながら次のように訓示した。
「諸君、ナカジマ部隊長は、軍命に背き地上本部の警備を放棄した。
魔道師がいないから戦いは出来んと言って勝手に退りよった。
これが陸士隊か。管理局は魔道師がなくても戦いをしなけれぱならないのだ。
デバイスがない、やれカートリッジがない、魔道師がいないなどは戦いを放棄する理由にはならぬ。
カートリッジがなかったら自分の魔力があるじゃないか。
魔力がなくなれば、腕で行くんじゃ。腕もなくなったら足で蹴れ。足もやられたら口で噛みついて行け。
管理局の使命を忘れちゃいかん。
ミッドチルダは神州である。神々が守って下さる・・・」
以下、訓示は一時間以上も続いたため、戦闘の連続で魔力が消耗し、立っていることができない魔道師たちは次々と倒れた。
やはり思ったとおりだ!
ておあー氏のSSの続きは都築を超えているッッッ!!!
本部「野郎。タブー中のタブーに触れやがった」
>>391 カップルでなくてもいいけどフェイトさんとスカちゃんの絡みは好きだわ。
おはようございます〜。埋めですか……
じゃあひどい年末スペシャルってことで朝刊2話+間にリインネタでお送りします
昨日、HDD内にお供えしていましたがこのまま闇に葬るのもあれなので埋めついでに
>343 私が最初にここに投下したお話で、バルディッシュに止められて以来、
ここではハッピーエンドしかやらないことになっています。むしろ何があろうとハッピーエンドにしてやります
ただクライドは一ヶ月限定と自分で設定出してるんでこれは覆せないところ……
(警告)
これ以上このテンションは無理っすw
今回で女の戦いは終息です。まだここまでは結構黒いですが
若干流血ありますが、もちろん死人なんてでません
[まだちょっと黒め][ちょい鬱]
ほいではとりあえず朝刊、1回目〜
がつん、と鈍い音が響き頭部に杖が直撃したが――単なる偶然か無意識の回避か、鋭利な部分が突き刺さってはいなかったが、
シンクにしな垂れかかった金髪の髪が赤く染まっていく。
容赦なくもう一度錫杖が振り上げられたが、今度は素早く動いたシグナムが間に合い羽交い絞めで止める。
「主はやて!なにをなさるんですか!」
「殺してやる、殺してやる!この薄汚い裏切り者を、殺してやるんや!」
完全に錯乱していると判断した将は、失礼します――と断ってから、手刀を肩口へ落とすと、意識を失った主の体から力が抜けた。
「リィン、治療を」
「は、はい……!」
痛みに耐えてこそいるものの、クライドの呼びかけにも答えて意識もあり傷もさほど深くはなかったが、
場所が場所の為人間を模している以上、血の流れは多かった。
慌しく包帯等を持ち出してくるヴィータ。
そのごたごたが一段落して、はやてもシャマルも部屋のベッドに寝かせてようやく一息つくが、真っ暗な廊下に集まった騎士達に言葉はなかった。
クライドは座り込んで広げた両足に腕をのせたまま俯いて、動かない。
まだ治療をしていた黒い部屋用のワンピース姿のリィンがシャマルの部屋からとてとてと戻ってくると、報告がある。
「血は止まりましたし、傷もそんなに大きくないです。もう2、3回治療すれば」
「ああ、ありがとう。リィン」
「はいです……」
将のねぎらいの言葉にも、いつものように明るい返答はない。
「なんで、こんなことになってしまったですか……」
「わからん」
すまない――と下の方から小さく聞こえるが、将は首を振った。
「貴方のせいではないでしょう。勿論、シャマルのせいでも主のせいでも――誰のせいでもないですよ」
「そうかもしれんが……」
どうすれば誰もが幸せになるお話にできるのか、未だ答えが見つからない。
とにもかくにも対処をしない訳にはいかなかった。
「とりあえず、ザフィーラ、シャマルについていてもらえるか。ヴィータは主に。監視――とまでは言わんが、見守っていて欲しい」
「心得た」
「おうよ」
紅の鉄騎と守護獣の後姿を見送りながら、再度シグナムに問いかけるリィン。
「人の心って――どうなっているんでしょう」
「人の心は宇宙よりも広くて深い。全てを推し量ることなどできんさ」
「そうなんですか……でも、でも……あんなはやてちゃんを見るのは……いやです」
「そうだな」
背丈に応じた少女らしい戸惑う瞳で未だ廊下に座ったまま俯いている人を見るが、何故仲良くできないのか――としか考えつかなかった。
日付は変わっているものの深夜と呼ばれる時間帯に目覚めたシャマルは、身支度を整えるとそっと部屋を出て行こうとした。
勿論、ベッドの傍らに伏せていた守護の獣がその気配に気づかないはずもなく、呼び止める。
「――何処へ行く」
「……私は、いらない子みたいだから……いたら、また怒らせてしまうから」
「……」
それだけを言い残すと、廊下に出てそれから玄関の音を遠くで響かせて完全に気配を消した。
翌朝、ひどく楽しそうに朝食の準備をクライドと共にしている主の後姿を少しだけ痛々しく見守っていたシグナムであったが、
ゆっくりと起き出してきた青い狼から報告を受けると、さすがに眉をひそめた。
「ふむ――どうするかな」
「お伝えするか?」
「お伝えしないわけにもいくまい――局に所属している以上、最低限の責任、決まりごとは守らねばならん」
「そうだな」
ヴィータに頼むか、と人選を決めて新聞を広げて待っていると、またほとんど寝ているフルサイズの寝巻き姿のリィンを引きずりながら、
ぼさぼさ髪全開でかなり眠そうに目をこすりながら紅の小さき騎士が現れた。
「おはよう、ヴィータ」
「おはよう、はやて……あれ?」
普段必ずいるはずの湖の騎士がいないことに気づいたタイミングで、切り出すシグナム。
「シャマルが出て行ったそうだ」
「え!?」
驚いたヴィータが掴んでいたリィンの寝巻きを思わず放して、床に落とされた末っ子はぎゃわっ!と叫び声あげた――がまだ寝ている。
そのままはやての足元に駆け寄ると、服を掴みながら訴えかける。
「はやて!シャマルがでていっちまったって!探しにいかなくていいのかよ!」
「ん?だれやシャマルって。うちはそんな子しらへんでー」
笑顔で言い切られたが、そこで引き下がる彼女ではない。
「はやて!駄目だって!このままでいいのかよ!?」
さすがに寝食を共にしてきた妹と変わらない存在の訴えは無視できず、仕方なさそうに表情を曇らせた。
「わーかった、わーかーったって。じゃご飯食べたら探しにいこか」
「ほんとに?」
「ほんとやって」
「ほんとにほんとに?」
「ほんとにほんとやってー」
「うん、それならいいけどさ……」
穏やかにヴィータの髪を整える主の様子に、本当に大丈夫なのだろうか……と未だ不安の消えないシグナム以下他の家族達であった。
[魔法少女リリカル聖杯戦争][もしなのは世界に聖杯が出現したら――][Fate/stay nightのパロ]
絡みがメインなので単なる単発ネタです。クロスじゃないけど設定がクロスすぎまする。よって激しくわかりにくかと思われます。組み合わせは
[リインフォースとキャロ][プレシアママンとルーちゃん][フェイト×大人なエリオ][エリオ×ちっこいフェイト][ウェンディとスバル][ティアナとスカ]
台詞が謎だったりティアナが設定先読みしちゃったり、なのはさんが神父だったりしますが多分にネタです。ごめんなさい
クロススレにも投げれず、こっちにも投げにくく可哀想な子なので埋めに入れてあげてください
ごめんなさいごめんなさいファンの方ゴメンナサイ
朝刊とは一切関連性はありません
……リインに会えればなんでもよかった。正直反省しt
うっかり森の中で未解読の召喚魔法をこっそり試してみたら、超かっこいい銀髪のお姉さんがでてきてびっくりー!
――なんて浮かれている場合じゃないよね……と目の前の現状を見つめなおすキャロ。
まさか自分の目線より遥かに背の高いお姉さんに、貴方は私の使い魔ですか?と問うわけにも行かず見上げたまま固まっていた。
しかし茶色い大きな本を持った黒いぴったりとした腕の見える衣服と長さの違う黒いソックスのその人の第一声は、意外なものであった。
「貴方が私のマスターか?」
「は、はい……?ま、マスター、ですか……」
「そうだ……呼び出したのは貴方では?」
「あ、はい、そうですけど……貴方は?」
「私の名前は、リインフォース」
「え?リィンさん……?はやてさんのところの?」
「……!?何故その名前を」
「この間まで同じ部隊に居ました!私は、キャロ・ル・ルシエ。アルザス出身の竜召喚師です」
「なるほど……。主は、壮健であられるか?」
「はい。とっても元気です!色々お世話になりました」
「そうか。しかしその様子だと私を呼び出した理由がよくわかっていないようだが……」
「は、はい……実は良くわからない召喚魔法を見つけて、試してみたくて、その――」
その答えを聞いて、咎めるように一度だけ瞼を閉じて開いた。
「よくわかりもしない魔法を試しに使ってみるなど感心しません。
特に召喚魔法であれば制御できない魔物を呼び出してしまう可能性もあることは召喚師であれば、最低限の心得として教わったことでしょう?」
「は、はい……ごめんなさい」
いきなりお説教されてしまうが、非が自分にある上に説得力もあって素直に受け入れるしかなかった。
素直に謝った可愛らしさに微笑むと、そこで片膝をつく。
下から見上げられる赤い目はとても優しくて安心感があって、キャロは怯えずに済んだ。
「貴方は私を呼び出してしまった以上、選ぶ権利があります。他の参加者を私を使役して全て倒して望みを叶えるか、
辞退して生き延びるか――それは自由です」
「他の参加者って……?」
「今貴方が私を呼び出せたという事は、近い世界――もしくは貴方に関係する人達が似たような状況になっているはずです。
その人たちと戦って、最後の勝利者となればありとあらゆる望みを叶える事ができる、と言われています」
「そ、そうなんですか……よくわかりませんけど、私は特に望みは――」
それを聞くと、残念そうに少し俯いた。
「そうですか……できれば再び主の所へ戻りたかったのですが、それでは仕方ありませんね」
「あ、あああ!待って待って!」
「え?」
「私、お手伝いしましょうか?」
「……いえ、でも貴方を危険に晒すわけには」
「でも、リインさんは、八神部隊長――えとはやてさんのところへ戻りたいんですよね?」
「それは、そうですが」
「だったら私、お手伝いします!やらせてください!」
真っ直ぐな瞳に少し悩んでしまう彼女であったが、立場は一応呼び出された側であるから意思は尊重しなくてはならなかった。
「わかりました――。そこまで仰るのでしたら、お願いいたします。ですが、危険を感じたら、すぐ棄権をしてください。これだけはお願いします」
「はい!」
「それで、私のクラスなのですが――」
「クラス?」
「役職といいましょうか、この戦いにおける呼び方のようなものです」
「ほえ?」
????をいっぱい浮かべる彼女に説明は諦めて、そっと立ち上がってから自分の割り当てのみを告げる。
「私は――バーサーカーのようですね。今は十分制御できていますが――生前の行いのせいかもしれません」
「バーサーカー、ですか……強そうです」
「そうですね……強さよりも相性が大事なのですが。とりあえず過去や未来の時を止めて呼び出されていますから、魔法も蒐集されたものが使えそうです。
少なくとも主に会うまでは、負けるわけには行きません。行きましょう」
「はい!」
そしてほぼ同じ頃、同じようにうっかり森の中で――しちゃったルーテシアの目の前には、超おばさんの癖に胸の開いた派手な服の
杖を持った感じが悪く目つきの鋭い魔導師がいた。
「え、えと――」
「なに?貴方?私を呼び出してくれたのは」
「は、はい多分……」
「ふん、キャスターね。まあいいわ。私はプレシア・テスタロッサ。お前は?」
「わ、私はルーテシア……」
「そ、まあいいわ、名前なんて」
とどこからか丸い武器を取り出していきなり長い紫色の髪の少女に突きつける。
「え、え!?」
「私は向かう、アルハザードへ!そして取り戻すのよ、全てを!」
「ぎゃああああああああああああ!?」
――ルーテシア&プレシア組――契約破棄によりリタイア
そしてほぼ同じ頃、うっかり転送魔法の術式を間違えたフェイトの目の前には、雑な赤い髪の長身の男性が現れていた。
手に持つはどうみてもストラーダ。BJもさすがにズボンの裾は長くなっているが自分の意匠と良く似た元ライトニング隊のもの。
そして、真っ直ぐな瞳は間違いなくエリオであった。
「え、エリオ?」
「ふぇ、フェイトさん!?」
「うわあ、うわあ!すごい、背私より高い!かっこいい!」
「え、え?あ、あのその、僕は、あのランサー、らしいのですが」
「ん?あ、とりあえずちょっとお茶しながら話そうか」
「あ、はい……」
(わー、すっごい素敵になってる、どうしよう、どきどきしてきた)
お茶の後、映画を見て、食事に行って――本来の目的はあっという間に忘れ去られたとか。
――フェイト&エリオ組――目的間違えてリタイア
そしてほぼ同じ頃――したエリオの目の前には、ザンバーフォームのバルディッシュを携えた、エリオと背丈が同じぐらいのフェイトが現れていた。
「え、え……?」
「貴方が私のマスター?」
現在とは違い、BJも随分色っぽい意匠で目もきりっとしている癖に可愛らしいが――どうみてもフェイトであった。
「ふぇ、フェイトさん?」
「え?何故私の名前を……」
「あ、えーっと……僕は、エリオ・モンディアルといいます。いつも、フェイトさんにお世話になってます」
「そ、そうなんだ。ごめんなさい、それは多分未来の私だから――」
「あー、なるほど……」
少しだけ申し訳なさそうに瞳を伏せた、その金髪の少女はとても儚げで可愛らしくて、思わず見つめてしまう。
「えと、それでね。私はセイバーみたいなんだ、エリオ……君」
「は、はい……フェイト、さん」
「呼び捨てでいいよ」
「あ、じゃ、じゃあ……フェイト」
「うん」
そこでにっこりと微笑まれて、その笑顔にとくん、と胸が脈打つ。
(すごい、可愛い……)
「とりあえず、色々説明するね」
「う、うん……」
――ちっこいフェイト&エリオ組――多分成立
そして――休憩室でコーヒーを飲んでいたティアナの目の前のソファーに、何故か天井を突き破って赤い長いコートを羽織った黒い服の男性が
ふてぶてしく――はなく、割と楽しそうに足を組んで座っていた。
ただ、その挑発的な金色の瞳と紫色の髪は、どっからどうみてもドクター・ジェイル・スカリエッティーであったが。
「え、えと……私が、ツインテでツンデレだからってのはまだわかるんだけど、アーチャーならシグナムさんとかなんじゃないの?
どうしてあんたがでてくるのよ……」
「いや、ほら、あれだ。私の開発コードネームはアンリミテッド・デザイア。彼の固有結界もアンリミテッド――」
「そっちかー!」
――ティアナ&スカリエッティ組――成立
それから紆余曲折を経て、元フォワード隊4人はそれぞれの相棒を引き連れて、立会い役と呼ばれる人の存在を探し出し、
聖王教会に属する片田舎の教会へと足を踏み入れると、祭壇の前に立っていた神父服姿の茶色いサイドポニーの人が振り返った。
「ようこそ!迷える子羊の諸君!求めるは贖罪かね、断罪かね――それとも戦いかね」
随分劇画チックな台詞ではあるが、まあどっからどうみてもなのはさんなのであるが。
ティアナが代表して突っ込みを入れる。
「あ、あのーなのはさんが、立会い役なんでしょうか……?」
「うん、そうだよー。私が見届ける役なのー。怖くなったら棄権して保護を求めてここにくればいいのー」
「は、はあ……」
「で、最後に残った人が、前回の優勝者と戦うのー。つまりラスボスね」
「え、前回の優勝者って誰ですか?」
「それは私なの!」
「スバル、エリオ、キャロ」
「うん」
「はい」
「はい」
「「「「棄権します」」」」
「えええええええ、ちょ、ちょっと待ってー!そんなー!全ての世界の本のオリジナルを収めた無限の書庫の出番がー!」
――魔法少女リリカル聖杯戦争――完
↑タイトルが滅茶苦茶でごめんなさいorz
(注意)
一番最初に謝っておきますごめんなさい
シリアス過ぎてキャラが疲れてしまったようです、ごめんなさい
中の人ネタやパロネタを連射してます、ごめんなさい
なのはさんの教導!の世界に一瞬だけおじゃましてます、ごめんなさい
よってなのはさんがひどい扱いになってますからミッドチルダのお住まいのスバル・ナカジマ様他、ごめんなさい
中の人が年末で壊れているようです、ごめんなさい
[アナザーワールド跳躍魔法が今日だけ使える設定]
こういうのがお嫌いな方は、シャマルさんが戻ってきたけどお触り禁止令発令されちゃった、で済ませて置いてください
あと最後の一段落が来年の前振りになってますごめんなさい
何か今年は謝っていてばかりのような気がしますごめんなさいごめんなさい
それでは今年最後の朝刊〜・゚・(ノ∀`)・゚・。
果たして家族揃って局を休むことにして、ヴィータに引っ張られて庭にでたはやては、自身の姿をバリアジャケット姿に替え、
小さい姿で宙に浮いたリィンと紅の鉄騎にも促す。
素直に従った2人であったが、とりあえず必要性が感じられなかった。
「なあ、はやて、バリアジャケットなんているのか?」
「あーうん。実はちょーっと変わった転送魔法をまた夜天の魔導書の中から見つけてな。試してみようかなーって」
「そ、それは平気なの……?」
「大丈夫やって。ちゃんと帰ってこれるよ。帰る分には何も制約ないし。
……ただ行き先がどこにでるかわからんのと、1年に1日しか使えないんが問題やけどな」
「え、え?それって……」
「ほないくでー。ミラクル、パラレル――平行世界へひとっとびー!」
「「えっ、えーっ!?」」
ぱっと景色が変わり3人が転移された先は、えらく緑色の多い宇宙艦艇のような――というか透明な窓の外に広がっている
数多の星達を見れば、ウィンウィンと機械の唸る音が聞こえるし、宇宙艦艇のブリッジそのものであった。
「は、はやてちゃん……ここはどこです?」
「ここはなー、トール○ンマー発射直前のイズ○ローン要塞へ絶賛突撃中の、○国軍艦船のブリッジやー」
「はやて、絶対探す気ねえだろ?!だろ!?」
「そんなことあらへんでー、死ぬ気やったらこれ以上のところはあらへんでー」
「わっ、要塞の方が光ったですよー!?」
「わーっ、わー!ジークなんとかー!?」
ずごーん!
切り替わった景色の中、がっくりと両の手を地面につくヴィータ。
「あ、危なかった……」
「はやてちゃん、今度はどこです?なんかさっきと似てますけど……」
透明な窓の外に広がるは宇宙。しかし機材の色が妙に黒い。
「ここはなー、クロ○ブレイ○キャノンが発射される直前のエオニ○軍旗艦の中や〜」
「いや、絶対こんなところいねえって!はやて!」
「そんなことあらへんって!キャロはピンク頭で天然やし、たゆんたゆんの姉さんは重火器好きそうなシグナムみたいやし、
ウィスプ系でちびっ子はルーちゃんみたいやし、ぺったんこなお嬢様はリィンみたいやんかー。あとクロノクロノっていっぱいでてくるし」
「だれがぺったんこですかー!?」
「あ、あとほら、暴力女がなのはちゃんやし」
「わ、わっ!何か光ったですよ!?」
「わー!わー!どうせ同じ製作元なら目からビームの方にしてくれにょーーーーーーーー!」
「ヴィータそれキャラちがああああああああああああああああああああう!」
ずごーん!
「あ、危なかった……」
「あれ、ここは……ミッドチルダの訓練場ですか?」
見覚えのある景色に辺りを見回すが、それにしては施設がやたらと破壊されている。
「戻ってきた?」
「いや、ちゃうでー。ここはなー高○なの○一等○尉with○イハさんが絶賛暴走中の某第13訓練場のB区画やー」
「いや、はやて、それ伏せなくていいんじゃ!?」
「いやいや世界違うしな〜、一応な」
「わ、わ、気づかれたみたいですよ!?」
「わー!わー!こっちみんなあああああああ!」
「はやてちゃんヴィータちゃんリィンちゃん、いたあああああああああああああ!!!!!」
「everybady dance now!!」
「うわあああああはやてが暴力女なんていうからあああああああ!」
「うちのせいかー!?」
ずごーん!
実質的に全く探す気のない3人組はさておいて、シャマルは頭に包帯を巻いたまま某異世界の真っ赤に染まった夕暮れの下、
ぽっぽっぽと蒸気船の音の響く川の土手で一人たそがれていた。
ぷー、ぱー、と豆腐屋の鳴らす呼び笛がどこからか聞こえてくる。
「……確かに私は空気で陵辱されてもフラグ立てまくっても突っ込まれないし出番数十秒のラグナちゃんより反応ないし
新参のチンクちゃんやディードちゃんがすぐに可愛いっていってもらってるのにいつまでたっても言ってもらえないし
挙句中の人のせいでデバイスはフォークにされかけるしそりゃーあま○ゆ絵で可愛いくて清純可憐なヒロインで癒し担当で
仮面つきミッシングリング絡みの最強生物の旦那様とかいてくれたらいいけどそうじゃないし、
しかも獣耳と尻尾なんて生えたらザフィーラとまんまかぶりじゃないのよ!
私だって少しぐらいいちゃいちゃしたっていいじゃない、何も病んでまで殴らなくても」
ぶつぶつと謎のボヤキを溢しながら、最後の一言だけはしっかりと本音を漏らす。
ぐすん、と涙ぐんで膝を抱え込んでいると何故か赤いママチャリを押しながら現れるシグナム。
「……ここだったか」
「……シグナム」
後ろの席を促されて横向きに座ると、どこかへ向かってペダルを漕ぎ始めた。
夕の過ぎ去る風が心地良くて、嫌な気分が薄れていってくれる。
「いい加減に折れてやれ」
川の土手を走りながら、そんな言葉で諭されるまでもなく本人も重々承知の事である。
「わかってるわよ、そんなこと……」
子供達の遊ぶ声を遠くに聞きながら夕日を見上げてみれば、気持ちよく眩しい。
「かの人の心がどこにあるか、とうの昔にわかっていることだろうに」
「うん、そうね……」
「そうでなければ主もあそこまでは怒らんだろう」
「わかってるわよ、ちょっと我侭言ってみたかっただけなんだから」
「ふっ、愚か者めが」
「愚か者っていわないでー、これでも乙女なのよー」
「乙女というより当て馬……」
「それ以上言ったらはらわたをぶちまけてやるんだからー、ニート侍ー」
「ああ、悪かった悪かった」
くだらない笑いをしながら、無駄に人力で進む夕日の土手を振り返ってみれば、金髪の人は少しだけ笑顔になれた。
あれから絶賛落下中のアク○ズにロ○コン大佐と一緒に張り付いてみたり、核爆発寸前のジャ○ローに紛れ込んだりしていたはやて達であったが、
勿論シャマルが見つかるわけもなくなんとか無事に帰ってきて、大人しくクライドと夕食の準備をしていると、玄関で音がして誰かが帰ってきた気配がする。
ほどなくしてキッチンに入ってきたシグナムつきのシャマルを快く迎えるヴィータ。
「シャマル、おかえり!怪我は大丈夫?」
「うん、ただいま、ヴィータちゃん……」
家族全員の視線がそこではやてに集まるが、夕食の準備の手を一瞬だけ止めて振り返って、冷たく宣言しただけであった。
「なんや、戻ってきたんか?別にいてもええけど、今度クライドはんに触ったらどうなってもしらへんでー?」
「はい……」
それだけ告げて困った表情の隣の彼に再び寄り添うと、家族達に背中を向けてしまう。
接触禁止令の出されてしまったシャマルは、皆の見守る中、寂しく俯いてただ立ち尽くしていた。
そして家族の心はバラバラのまま、ほどなくミッドチルダ全土を震撼させる大事件に立ち向かうはめになろうとは、このときは誰も知ろうはずもなかった。
某軌道拘置所の監視ルームの全ての画面には非常事態を示す赤い文字が激しく点滅している。
「ば、ばかな……」
それを唖然として見つめている男性局員は、ある一室が完全にもぬけの空となっている事実をまだ受け入れられないでいた。
その牢の入り口に掲げられた画面では、金色の「W」というプレートだけが薄闇の中で虚しく光っていた。
新年には出来次第再開いたします
それでは皆様よいお年をノシ〜
今日の朝刊は厚いな
さて次スレ立ててくる
>>425 GJ
> 今日の朝刊は厚いな
ほら、元旦前に配られる新春特集みたいなもんだよ
>>425 かける言葉を間違えたorz
乙
>>424 何だかシャマルがかなり可哀想なことになってますが
ばらばらの状態でちゃんと事件に向かうことができるのだろうか…
新年が待ち遠しいです
あと連レス失礼
[ウェンディとスバル]が見当たりませんが
>429 ご め ん な さ い
自分でオチつけてどーすんの……以下 [スバル×ウェンディ] 上の補間ですごめんなさい……
とある訓練場でウィングロードを起動したはずのスバルであったが、何故かぴっちぴちのピンク色のボディコン服姿の
ウェンディがボードを持って現れた。
「あ、あれ?ウェンディ?」
「およ?スバルさんちわっす!」
「なんでウェンディが出てくるの?私魔法間違えた?」
首を傾げるスバルに簡潔に説明する。
「離島にいる自分は私とは別物っす!とりあえず戦って勝てばOKっす!あと私はライダーっすからよろしくっす!」
「うーん、よくわからないよ?」
「つまり姉と生き別れたり、身内にひどい目に遭わされたりする役回りっす!」
「別にギン姉と生き別れてないし、父さんにもひどいことされてないんだけど……」
「もしかしたらたゆんたゆんになれるかもしれないっすよ?」
「えー、たゆんたゆんになってもなあ……」
「じゃあ、暴走したスバルさんをギンガさんが命がけで止めるとかどうすっか?」
「おお?それなんかかっこいいかも。どういうこと?」
「つまりっすねー……」
スバル×ウェンディ組――成立したけど勘違いしてそう
うん、たゆんたゆんがぬけてたごめんなさい。もうだめぽたゆんたゆん
>420
スカリエッティの宝具は無限の欲望を形にする固有結界か?
展開したら果てのない荒野に無限のナンバーズがひざまづいていたりして。
>>420 GJ ところでなのはさんのサーヴァントは司書長かな?だったらキャロリインT組なら勝機はある気がする。
殲滅力なら他の追随を許さないだろうし、リインはなのはにすら負けてなかった気がする
>432
フリード、ヴォルテール、闇の書の闇。
どこの怪獣映画?
>432
フリード、ヴォルテール、闇の書の闇。
どこの怪獣映画?
>>432 寧ろ初代リインは作中唯一なのはさんが全く歯が立たなかった相手
戦えてたように見えるけど、実際は完全にジリ貧だった。
さらにはアルフと淫獣のバインドをあっさりディスペルしたり
なのはさんの砲撃喰らってもほとんどダメージなしだったりと冗談みたいな強さだった。
漫画の校長?そんな人は知りません。
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l  ̄ '¬トl. | | .| l/丶 ゝ、 、- , ,li / ヽ ヽ なのはさん
ヽ _,,,/` | l |/ |,-, 'く`ァ` - ' '  ̄ | l
,,,___ '''ー―――'''''" ` l. l | . l l.||| /l ‖ / ,l/ 主役譲って
` ヘ、 | l l l /| | | || \| ./ ,/l
ヽ { l l ll l |l / , /  ̄ ヽ / | くださいよ!
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l | _| 广ヽ__,/ ,,-'''ヽ、 ヽ / |
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☆魔法少女リリカルなのは総合エロ小説_第43話☆
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、
ヽヽ
__________ , - ―- 、`;. :ヽ ここから生きて
――――――――― ' /-――-、 `:. :. :.`、, - ― - 、 帰れると思うな……
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` 、/ `l | ` 、 ' イ:. /:. :./:. :.l:. l::.!トリ.レ|.l l.|リ|斗ハ、:.|:. :.l 丶、:. :. :.ヽ 教育してやるの
` / / ` 、 /:. l:. i:. :.l:. :.l:. l:. :.|.r行ミ`| l| 'チ圷》 l| .|l /、 丶:. :. :. :ヽ 豚のように
.、 / / ` 、 /:. :. l .l:. :.l,:. :l:. ト:.;ル ヒ ソ ヒ-ソ l .|ィ) ゝ、 丶:. :. :.`、 泣き叫べ!
`゛ 、 `、 、 /:. :. :.レ 丶 、|:. :.:|:.| ゝ  ̄  ̄ ,'| |イ `ヽー---ゝ、:. ヽ
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ヽ 丶` l ! r ,_ / l /:. :. :. /// ._/ |.l 、 ` / |.l r "|/__ ヾヽ_ :. :. :. :. :. :.ヽ
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| ! l l <圷示 'イ圷示 |‐ 、,/ | ヽ! /
l ∧ | ヽ ゞ=' ゞ=' |ζ} l / ねぇママ〜、クロスファイアーシュートを
| ! ', l\ ゝ , l、ノ 、 教えて、ヴィヴィオも聞き分けのない凡人の
レ 〉、ト、 ヽ. /ヽ\ ヽ 頭を冷やしたいの。
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/⌒ヽ,/  ̄ ` ヽ{/ <二¨
/ /:::/- \ヽ.
| / :::i . ,. i ト、} 頑張ったね...じゃあ、大人の階段昇ろうか?
| :::{ ::.. .....::/イ:| | | リ
! ::::|i::::::::::::::::::::::::/イ,イ:レレ―-く^ ヽ、
| ::::| \:::ヽ:::::::::/ |::∧ ヽ. }
| ::::| Y^ ー ' , レ'::::! ヽ. ! | いや、私は少女の心はいくつになっても忘れたくないんで
| ::::| / ̄ ` 、i_ノ| ::::|::::::::::::i:::::::|:: | てかこの部屋何ですか?ちょっと!誰か!!
| / ::::|┴――‐< ̄ ̄ /^ヽ/ `Y.|::.| _r 、
| / ::::|::::::::::::::::::::::::::::::::::/::::::rヘ<二ユ,|:::}┴、 `!
. |/: :::::|::::::::::::::::::::::::::::::,.ム::::::::V.人. i ∨ `V
|:::::::::::/::::::::::::::::::> ' ´| ` く_:::::::ヘ.i / ̄ \/}
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/ ` ー ´ `丶、 おかしいな、どうしちゃったのかな?
/ ,.へ ー‐-、` 、 ティアナはなのはの教え子だけど
__ _,. ‐'´/ / ヽ/ ! なのは専属のM奴隷は私だけなんだよ。
`ヽ、__/ / / / / / ヽ ∨ ! 本編で頭冷やされるのは黙認したけど
/ / / ,' / / / / , ヘ、 ', | 本編外ですら、私をはぶるんだったら
. / / / l ,' | i ! | | | | | | ! | i | | ソニックフォームの意味、ないじゃない。
|イ / ' | ! ィ'∧ハ∧! | ハト、ノ |ヽ ,' |,'| ちゃんと、私だけのご主人様でいてよ。
| ! | .| | N‐l/-| Vーリ-|/ / / N | ねぇ 私の言ってる事
'., ト、 l | ト、 <圷示 'イ圷示 / / ! | 私の性癖 そんなに間違ってる?
. ヽ|. \ト, | ヽ| ゞ=' ゞ=' ′7 ∧ |
| | ', , / ,' | 少し、頭冷やそうか…
. レ∧ ハ ′ / , |
/ ', ! ` 、 ` ` イ l !
. | ! |/く/ `= - ≦=|_| | |
-―――| |/::.{ /^\. } | |`ー- |_
〃::.::.::.::.::.::.::.::.| |::.::.::.| /\V/, |::.:| |ヽ::.::.::.::.::.::  ̄ヽ
∧::.::.::.::.::.::.::.::./:| |.::.::.::W/∧\.Y::.| |:.',::.:.::.::.::.::.::.::./::|
|::.ヽ_ -――/::.ヽ|:.::.::.∧く_./ ヽ._>∧:| /:.::.〉――-- _/.:.:|
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