あっちで待機してるから早く持ち場に戻りなさい。
ていうか1と2は視点が違うだけじゃないかw
保守
久々に投下と投下の間隔が広いな
まぁこれもこの頃職人さん達が頑張ってくれてるから感じることだけど
>>549 俺も全く同じこと考えてる
むに氏が一人で頑張ってくれてたときと比べるとなんとも思わないが
今日は日曜だしほのかに期待してるw
保管庫に保管されてない作品が結構あるな…
気づいたならお前さんも保管庫更新してくれよ…
>>552 す…スマン
俺は典型的な「俺がやらんでも誰かが(ry」タイプなんで…
過去ログとかってあるかな?
554 :
名無しさん@ピンキー:2008/03/05(水) 08:49:24 ID:LqczrJZb
↑うざい
>>553 持ってる人は持ってるんじゃないか
誰かに頼めばうpしてくれるんじゃね?
俺はすまんがもってないorz
>>556 そうですね…ダメもとでもいいので聞いてみます
どなたか過去ログお持ちの方おられますか?
558 :
名無しさん@ピンキー:2008/03/07(金) 15:21:09 ID:LiliFt6i
ヒント:携帯
専ブラというものがある
トラブルガールズ三作目です。地味に頑張ります。
エロが少ないと反省し、今回は多め?に書きました。
では投下↓
何かいろいろ大変な時(保管庫関連)にすいません…
キーンコーンカーンコーン
と3時間目という微妙な授業が終わる
しかも俺の苦手な数学が今も頭の中で妙な数式を立てている
勿論こんな事になるくらいなら本気で勉強して普通にしようと日々思うのだが
ララや春菜ちゃんに教わってでもしてみろ
違う方向に頭の回転がフルになる
古手川は、何か気まずくなりそうだし最近俺を遠ざけてる感じがする
まぁ不可抗力だが何度も裸を見てる事だし、嫌われるよな…
ヤミは……うん、無理だ!
となるわけだから決心しても実行できずにいつもそうなる
後は…嫌だけど補習でカバーするしか他に方法が存在しない
日々の積み重ねってのは大事なんだと改めて思う限りで…
でも救われる授業も週に3回はある
得意でも苦手でもない、正に絶好の手抜きができる授業…
そう!体育!!!
しかし今日は、サッカーをやるって事でいつもより真剣になる
なぜなら俺は元サッカー部だから足手まといになるわけにはいかない
それに何より…サッカーが好きだという理由も含まれている
家庭内事情で辞めざるをえなかったし、何度も忘れようとした
でも、やっぱり好きなものは好きで簡単には忘れさせてくれない
実際俺が忘れたくないのかもしれないかもな……
俺がサッカーを好きな理由…
ボールを蹴って相手を抜く
相手のゴールにシュートを決める
プレイしている時は嫌な事を忘れられる
勝った時の喜び
以上の理由が半分を占めるが、残りの半分は
皆と笑ったり泣いたり出来ること
典型的だがそれが俺がサッカーを好きな自慢できる理由だ
たぶん、俺以外の大半の奴等が同じ理由だと思う
「リト〜!後は頼む!!!」
猿山からのパスを受け取りゴールに走る
周りの皆は俺が人を抜く度に歓声が高鳴る
そしてゴール前
このボールを蹴ってゴールにシュート……しようとした時
ってな…んだ
体が重い、頭が痛い、息が苦しい…
何だよ…一体…
俺は唐突にワケも分からないままその場に倒れた…
―保健室―
「あら?やっとお目覚めかしら…結城君」
まだフラフラする頭を抱えながら応答する
「良かった…だってずっと目を覚まさないから、
もう起きないのかと心配したわ」
せ、先生!?
「ふふっ…冗談よ…」
恐ろしい冗談を言うこの人は保険の先生であり宇宙人でもある御門先生
いつも俺はからかわれているがいざとなった時はとても頼りになる先生だ
そんな先生に俺はなぜ突然倒れたのか尋ねてみた
「倒れた理由?…いろいろあるけど…一番の理由は
突然の激しい運動ね。体を調べさせてもらったけど筋肉が痙攣していたわ」
確かに最近、運動全然してなかったな
って!か、体!?そ、そういえば服が体育着からジャージに…下も…
「クス…大丈夫よ。男子にやってもらったから」
男子?
「貴方が倒れてここに来てクラスの皆が心配してたわ。恵まれてるわね」
そうか…皆俺の事を心配してくれて…
後でお礼と謝罪しなきゃな
「はいっ…これ塗り薬。一晩安静にしていれば、朝には治ると思うわ」
俺は御門先生にお礼を言って帰ろうとした
ん?…待てよ…御門…先生?…先生…せんせい…先生!!
「ん?どうかしたの?」
翌日
「リト!あんまり無茶しちゃ駄目だからね」
早速我が妹の美柑に忠告された
心配してくれるのは有り難い事なのだが、昨日から10回ぐらい
耳にたこができる程言われた
「大丈夫だよ!私がちゃんとリトを見ててあげるから♪」
ララ…その気持ちが俺への負担に繋がることをいい加減気づいてくれ
―学校―
朝、皆にちやほやされながら一人一人に「ありがとう」「心配かけたな」
というワンパターン戦法でお礼と謝罪を述べた
心なしか古手川が少し笑ってくれていたような感じがした
―放課後―
俺は保険室に行ってもう一度体の具合を見てもらう
とララに言って何とか撒くことに成功した
ララに居ては困る訳があるからだ
「先生〜来ました!」
!には俺の決意の塊が現れている
「…本当に…いいのね…」
はい!
「…後悔…しない?」
?…はい!
「…ふふ…もうこんなに大きく」
はい!って、先生!!!!!ふざけんな!
「あら、つい…ごめんなさいね。それじゃあウォーミングアップも
済んだことだし、お勉強…しましょうか」
「ウォーミングアップって…」
さすが御門先生…ツッコミが堪えない
そして御門先生なら信頼も置けるし、教え方が上手そうだし
勉強相手には相応しいと思ったのでこの前相談したのだ
早速勉強スタート
「…………(俺)」
「………ぇ……(先生)」
始めてから3問目ぐらいで間違えたらしい
よくよく考えてみれば計算が狂っていた
やはり近くで見られているため、いつもより緊張が増す
「…………………(俺)」
「…ぇ…ぇ…ぇ…く…ふ…(先生)」
俺は許可を下した。笑いの許可を…
…御門先生爆笑中…
「はぁ、はぁ…っハァー…」
どうやら収まったらしい
「ごめん。俺…数学本当に駄目で…」
誠心誠意…心から投げかけた言葉
御門先生は手を前に出して首を大きく横に振った
「こちらこそ…そのー…ごめんなさい…
教える立場の人間が笑ってたら話にもならないわよね」
御門先生は本気になってくれたのか先生らしい的確な教え方で
俺がいくつ「なるほど」と言ったかは俺ですら分からなくなる程上手かった
「………………(俺)」
「………………ん、よく出来ました」
先生はご褒美のつもりなのか、俺の頭を撫でてきた
「せ、先生///恥ずかしいッスよ!」
「ふふっ…頑張った生徒にはちゃんと褒めて可愛がってあげなきゃ♪」
恥じらいながらも、着実に学力が上がっている事は嬉しい
もっと頑張ろうとしたが、下校時刻なので御門先生に迷惑をかけないよう家へ帰った
御門先生との二人だけの授業は一週間と設定
一週間後に試験があるからその日まで付き合ってもられる事になった
なぜか御門先生の授業は飽きずに取り組める
そのため学力は向上し続けた
ただ…少し困るのは、俺が難しい問題を解いた時のこと
最初の方は頭を撫でていただけなのに、抱きついたり
髪、おでこ、頬などにキスしたりと段々エスカレートしていった
でも、その時の先生は凄く楽しそうで…嬉しそうだった
―最終日―
今日の先生はいつもと違っていた
椅子をキィーキィー音を鳴らすだけで肝心の授業をしてくれない
「あ、あのー…先生?ここ分かんないんスけど…」
この問題はかなり難しく俺じゃあとても解ける問題ではなかった
「最後の問題なんだから、自分で解かなきゃ駄目よ」
と言いながら椅子から立ち上がる御門先生
やっと何か教えてくれるのかと思ったが、俺の後ろに移動しただけ
「…うーん…やっぱ無理だろ…先生〜おしええっ!!」
あろうことか御門先生は後ろから抱きついてきたのだ
「せ、先生!まだこの問題解いてないって!」
「ん…」
いや、「ん」じゃなくて……
もしかして…先生…俺に 甘えてる?
「…先生…」
御門先生は俺の言葉を聞くと抱きしめる力を強くした
そして甘い吐息と共に可憐で美しいスベスベの手で俺の頬を擦る
その吐息は耳の敏感な先端部分にあたりとてもこそばゆかった
「結城…君…」
俺の名前を呼ぶや否や先生の赤みがかった舌が耳をすべる
「んぁ…」
思わず女々しい声をあげてしまった
「クスッ…結城君…可愛いわぁ」
可愛いと言われても男として素直に喜べない
御門先生はしばらく耳を愛着していたが、それと同時に俺の胸も擦ってきた
「もう硬いじゃない♪」
ご機嫌な声をあげながら俺への悪戯を進める
俺は一生懸命この問題を解こうと奮闘しているのだが、やはり先生の行為が邪魔をする
それに追い討ちをかけるかのごとく
俺の唾液まみれになった耳を、優しく甘噛みしてきたのだ
「ひぁう!…」
また女々しい声を出してしまった
そして御門先生は耳から首へと舌を這わせ、俺のその部分は侵食された
「…ハァ…ハァ…ふ…ぅ…」
俺は呼吸を整えながら今目の前にある壁と後ろにある壁を超えようと真剣に取り組みだした
自分を無視されたのが気に触ったのか、もう一度俺を強く抱きしめ前の壁から遠ざける
そして、御門先生は危険な匂いと共に危険なワードを口にしたのだ
「ねぇ…私が今考えてること…分かる?」
いつも分かりません
「じゃあ、ヒントよ………欲求不満♪」
ヒントも糞もねー、そのまんまじゃねーか
と一様物語上ツッコミ役なのでツッコんでみる
まぁ、何を言うのか大体分かっていたけどこうもストレートだとは…
「そ、そういう行為は生徒相手だとまずいんじゃあ…」
そもそもエロゲーじゃあ、あるまいし…
「…結城君だからよ…」
…え?
俺はその言葉に驚き思わず後ろを振り向いた
「…貴方と居ると凄く楽しいのよ。退屈もしないし…気が楽って言うのかしら。
そして、結城君…貴方を見てるだけで…ここ…」
御門先生は俺の手を下半身部分へと移行した
「うわ…」
御門先生の魅惑な下着は熱く、濡れていた
そして不適な笑みを溢しながら俺の頬を手で優しく擦り自身の顔に近づける
「ねぇ…次は…体で知識を憶えない?」
御門先生の誘うような吐息+甘い声
俺が下を向こうとすると、顎を持たれ上へと持ち上げられる
先生の目は黒く…凄く奥が深そうだった
俺は少し放心状態に陥っていたが自然に回復し目線を下に向けた
「あ…の…」
「ゆうき…君……」
俺と御門先生の我慢大会は終止符が打たれた
っと言ってもどっちが勝ってもこういう事になるのは避けられなかった
別に避けたいとも思わなかった
「ん…はぁ…」「ん…」
少しのキス…触れるだけのキスを3回ぐらいした後
お互いに舌を出し、深いキスに変わった
その間…俺はまったく動けなかった
御門先生にがっしりと頭を支えられ、触れるだけでも気持ち良かったのに
こんなにエロくて淫らなキスをされては、放心するのは必然だった
「ん、ん…んむ、ぴちゃ、はむ…んん」
俺は応戦することはできず息をするのに全身全霊をかけている
俺と御門先生の口元は唾液がこぼれて下の床が水溜りになっていた
それから御門先生は名残惜しそうに俺の口から離れていった
「…ハァハァ…ハァ」
「ふふっ…結城君には少し、激しすぎたかしら?」
そ、そう思うなら早めに止めろって…
「ん…ごめんなさい…でも、とても良かったわよ…
あんなキスしたの何年ぶりかしら?」
やっぱり御門先生は知識豊富でこの後の行為も全部知ってそうだ
前の相手って誰だろ?…なぜか凄く気になる…
「…ん?…クスッ…大丈夫よ。ただのフレンドだから♪
あれ?もしかして…嫉妬?」
ち、違う!た、ただ…ただ気になっただけで…そもそも俺は!
「西連寺さん…あるいは、王女様…でしょ」
「…先生…」
御門先生は少し不満そうに俺を見つめながら「ふぅ…」とため息をついた
「いいのよ。好きな娘がいるって事はとても大事なことだから…
それに…ふふっ…もう此処…苦しいでしょ?」
さっきからずっと我慢してました
御門先生はまた笑い、俺のジャージを脱がせた
その手つきは慣れていて…って当たり前か…保険の先生だし…
肝心の俺の息子は、立派に上を目指していた
先端部分から少しガマン汁が出ていた事は気にしない
御門先生は黒光りしているサラサラな髪を手で後ろに持っていった
腰を落とし前鏡になり俺の息子を眺める
先生の舌が俺の息子につんと当たった
「あぅ…」
俺はどうしてこう…女々しい声をあげてしまうのか…
「あら?とても可愛いと思うケド?」
だから可愛いって俺にとって嬉しくn!
「ちろ…ちろ…ぺちゃ、じゅ…」
御門先生の舌がいやらしい音を響かせながら俺の息子に刺激を与える
これだけでも果ててしまいそうだ
かり、裏筋、たま…どの部分も侵略され、後はおれの息子がどこまで堪え…
ブシュウー……
「ふ…ぅ…って悪りぃ!先生!」
「んん…意外と濃いのね…ふふ…今ので完全にきちゃったわ」
御門先生のスイッチは完全にオンになってしまった
自分で秘部を掻きまわし、胸も揉みだす先生
俺は先生とアイコンタクトを交わしおもむろに胸を掴んだ
とても柔らかく、マシュマロを掴んでいるような感じ…
御門先生の目は垂れ、口も開けたまま
こんなエロくなるんだ…
…先生……可愛い…
「んぁ、はぁ…はぁ…はぁ…もう…ダメぇ…」
俺は美しく…そしてとても愛らしい保険の先生に自ら接吻をした
「ん、はぁ…んむ…ん、んん」
どちらともなく自然に口は離れた
その際、二人を繋ぐ銀色の糸を引いていたがすぐに切れた
俺は椅子に座りながら、初となる行為を受諾しようとしている
御門先生は俺の上にきて、息子と秘部で遊んでいる
俺の息子の先端にかなりの快楽が押し寄せてきた
「せ、せんせい…」
その言葉を待っていたのか、俺の肩を掴み
「じゃあ、いっきにいくから…力、抜きなさい…」
先生の腰が落とされる…
激しい波が俺に大打撃を与えた
俺と先生は一つになったのだ
先生は慣れた腰振りで俺に快感をもてなしてくれる
胸が俺の胸に当たり、射精を我慢するのがやっと…
改めて先生の体を見ると素晴らしいグラインドでナイスバディだった
「…ん、んはぁ…はぁ、ぁん…
す、凄いわぁ結城君…とっても大きくて…お、奥に当たるぅ」
御門先生の腰の振りはピークを向かえ同時に俺の息子は限界にきていた
だが、ここでイクわけにはいかない
今まで俺の勉強に付き合ってくれたお礼に先生には良くなって貰いたいのだ
それに…もっと、先生とこうしていたいという願望も…
「あん!あん!ハァんん、き、気持ち…あぅ…ゆ…きく」
御門先生は俺を目一杯抱きしめ最後の佳境に入った
よがり狂う俺と先生は正にオスとメス…先生は口を耳元に持っていき
「うぁ、あん…す、好きよ…ゆうきくん…貴方の髪も顔も手も…ぜんぶ…」
俺は…答えがわりとして最後の一突きで返答した
「あ、ん…ああああああ!!…」
俺と先生は同時に果てた
俺は自身の欲望を先生の膣内にかなりの量を注ぎ込んだ
全てを出し終わっても俺達は離れなかった…
試験が終わり、俺は開放感に浸っていた
御門先生のおかげで高得点を取ることは必死なので心配もない
これで俺は晴れて自由になった…わけだ…
もう、保健室に寄る必要も…なくなっ………ん?…そうだ!!
―保健室―
「……っはぁ〜……」
窓の外を見つめながら大きな溜息を一つ…
「……結城…君…。……っふぅ〜…さぁ、仕事仕事!」
作り笑いをしながら手にある仕事に取り掛かる御門
俺はドアに手をかけ静かに開ける
「…え?」
「…まだ、やり残したものがあるんで…」
そういって俺は手に持ってる最後の問題を叩いた
御門先生は少しきょとんとしていたが
「…ふふ…そう」
御門先生は心から笑ってくれた
そして新たな課題を出し俺と先生の二人の授業が再び始まった
以上、トラブルガールズ三作目終了。
次やるとしたら…う〜ん…誰が良いでしょうか?
>>572 GJ!!
ご負担をかけるのもアレだし職人さん方は保管庫のことは気になさらないで結構ですよ
ところで最後の1行はリクを募集すると受け取っていいのかい?
個人的に凛!…と言いたいところだがキャラ立ちも絡みも微妙だしやりにくいと思うから
春菜かルンあたりがいいカナー…
574 :
むに:2008/03/09(日) 16:11:05 ID:bgsodFVq
二週間ぶりです。
正直新作ゲームにハマっててサボってました。
久々の投下、レモン番外編第二弾。
今回はララで軽い百合風味(?)
前回も言いましたが、受け付けない方はスルーをお願いします。
現行スレなら更新させた事あるけど…。
ギシッ――…。
ギィ――…。
(ん……ぅ………何の音?)
真夜中、突如聞こえてきた何かが軋む音に睡眠妨害され、虚ろな意識の中でリトがゆっくりと目を開けると――。
「あ、リト起きちゃった」
「ラッ、ララぁ!!?///」
そこには、リトの身体を押さえつける様に馬乗りになって楽しそうな笑顔を浮かべているララがいた。
しかも当然の如く裸で。
「おおおお前一体何やってるんだよ!?また人のベッドに潜り込むつもりだったのか!!?ダメだぞ、ちゃんと自分の部屋で寝ろよな!!
つーか寝る時は服着ろって何時も言ってんだろぉ!!いやその前にそこからどけって!!///」
突然の、真夜中の裸の女の子の来訪(今に始まった事じゃ無いが…)に慌てふためき、何とか部屋に返そうと怒鳴り散らすリト。
しかし…。
「えへへ…、今日は違うよぉ〜♪」
「へ?」
そんなリトの台詞をララは軽〜く受け流し、今日の目的が添い寝じゃない事を告げる。
「あのね、前にリサから貰った恋愛についての本を読んでたんだけどね」
(―ってまだ持ってたのかよ、あの訳の分からんHow to 本…)
「その中に、好きな人をメロメロにするには『ヨバイ』ってのをするのが効果的だって書いてあったの♪」
「はあっ!!?///」
無邪気な笑顔でとんでもない事を言い出すララに驚愕するリト。
「待て待て待てぇい!!!お前いきなり何バカな事言い出すんだよ!!てかお前『夜這い』の意味分かって言ってんのかぁ!!?///」
「寝てる人にこっそりえっちなコトする事でしょ?よいしょっと…」
さり気にリトのシャツを捲くし上げながらサラリと答えるララ。
「――ってコラァ!!何どさくさに紛れて人の服を脱がせにかかってんだよぉ!!?」
「脱がさなきゃヨバイ出来ないじゃん。ブラ取るよ?」
「取るなぁ!!そもそも夜這い自体するなぁ!!てゆーか――!!///」
「ん?」
「そ…そーゆーのは異性に対してやる事であって…。オレ今同性だし…///」
ここで自分の身体変化を盾にして、この場を何とか切り抜けようと誤魔化し始めるリト。
「あ、そっかぁ…」
「そそ、だから今こんな事やったって意味無いってば///」
「少なくとも今乗り切れば、今後の夜這いに対して対策はいくらでも立てられる」という考えを胸に、
何とかララを諦めさせようと説得を試みる。
「………んー…」
「リトの言ってる事も一理ある」と思ったのか、しばし考え込むララ。
――が、それも一瞬の事で…。
「でも大丈夫だよ。今は女の子でもリトはリトだし♪」
「なぁっ!!?///」
どこまでも前向きなララらしく、結局そんな結論に達した。
「ブラ取るね?」
「ちょっ…///」
抵抗しようとしたが、マウントポジションを取られてる事に加え、ララの常人離れした怪力に押さえつけられて身動き一つ取れない。
器用に片手でホックを外して、ララはリトのブラジャーを剥ぎ取った。
「わぁ…、やっぱり大っきぃなぁ、リトのおっぱい。それに…、触り心地もさいこぉ…♪///」
「お、おい…やめ……あっ……は…///」
ポツリと呟きながら、両手で優しく、壊れ物を扱うかの様にリトの胸を揉みし抱くララ。
少しずつ、マシュマロみたいなふわふわした様な感触に酔いしれ始め、やがて無意識の内に乳首を口に含んで、
赤ちゃんみたいに吸ってみたり舌先で転がしてみたりし始める。
「ぁ…はぁ………ぅ…んぅ……ら…ララぁ…///」
感じながらも、残った理性をもって何とか引き剥がそうと抵抗するリト。
だが、ララの愛撫と身体に当たる二つの膨らみの感触の所為で思う様に力が入らず、
少しずつ理性をトバされていき次第になすがままの状態に陥っていく。
「んむ……ちゅ………ん……ふふっ、リトかわいい…♪」
僅かに見え隠れするリトの恍惚の表情にちょっぴり満足気はララ。
「コッチも……ね?」
リトの身体を撫でる様に片方の手を滑らせ、下着の中へ――。
「やっ…!そ…そこは……ああっ…!///」
「わぁ…、もうぐちょぐちょだよ?リトのココ…♪」
触れてみるとクチュリと厭らしい水音が聴こえてきて、その音を聞いたリトの顔が羞恥心に溢れ、ララから目を背けた。
「ぉ……お前が調子に乗って…あんなにするからっ…///」
「ちゃんと私で感じてくれたんだ。うれしい…♪」
心から嬉しそうな微笑を浮かべるララ。
「私も………ほら…///」
リトの手を取って自らの秘裂に触れさせる。
「ぁ……濡れ……///」
「えへへ…、リトの反応見てる内にこんなになっちゃった…///」
指から伝わるララの『女の子』の温もりと、溢れ出る愛液の生暖かさ…。
ふざけて抱きつかれる時とは明らかに違う、リトにとって初めて体験する直接的な感触である。
そして、これをきっかけにリトの理性は完全に崩落した。
「ぁの………もっと……触ってみていい…?///」
「ぅん…、いじりっこしよ♪///」
お互いにゆっくりと指を動かし始める。
クチュクチュと秘裂を弄る音が二重奏となり、より一層部屋に響き渡る。
「あっ…ふぁっ!……リ…リトぉ…!気持ち良い……ああっ…!///」
「んふぁ……はっ……ララぁ……その表情エロぃ…ぅわぁっ…!///」
「リ…リトだってぇ…!凄くえっちな顔…ああっ…!して…んんっ…!してるよぉ…!んむっ…///」
どちらともなく唇を重ね、互いの舌を求め貪り合い、流れてくる唾液を呑み込んではまた舌を絡ませる。
その行動に比例して、秘裂を弄り合う指も速度を上げ、聴こえてくる卑猥なハーモニーも徐々に大きくなっていく。
「むはぁっ…!あっ…!リ…リト激し……ふわぁあっ…!だ、だめぇ!いっ、いっちゃあ…!いっちゃうぅぅーーっ!!///」
「お…オレもぉ…!ああっ…!も……限かぁ…!ぅわぁああーーっ!!///」
一気に頂点まで上り詰め、瞬間、二人の身体がビクンと強張り、お互いに噴出させた大量の愛液がシーツをグッショリと汚していく。
身体は痙攣して思う様に動かず、ララは糸の切れた人形の様にリトの上に倒れ込んだ。
「はぁ……ぁ……ぁはぁ…///」
「ぁ…はぁ……はぁ……は……///」
お互いの胸の膨らみの感触を感じながら、そのままの状態でしばらく呼吸を整え合う。
「は……ぁ……はぁ………えへへ…リトのえっち…♪///」
「誘ったのはお前だろ…。お前の方がえっちだって…///」
再び唇を重ね合う。
先程と同じ様に舌先で口内を弄び合いながら唾液交換し、それが媚薬となって二人の欲望は萎える事無くより深くなっていく。
加えて、部屋に充満する妖艶な雰囲気とお互いの放出した淫臭が更に拍車を掛ける。
「んちゅ……ん…ぅ……はぅ…ん………むはぁ…っ…リトぉ……ココ、キレイにしてあげるね…///」
そう言って、頭をリトの秘裂に近付け、秘裂をリトの頭に近付けさせるララ。
「ふふっ…凄くキラキラしてる…。それに……えっちな臭い…♪///」
「ララだってぐちょぐちょだぞ…?マジでエロ過ぎ…///」
ぽーっとした表情で大事なトコを眺め合う二人。
そのえっちな光景に思考回路が麻痺して、頭の中が真っ白になってゆく。
あるのはただ一つ…。もっといっぱい気持ち良くなりたい…、もっと相手を気持ち良くさせたい…。ただそれだけである…。
「リトも……私のをキレイにして…。今度は舐め合いっこしよ…?///」
「ぅ……ぅん………分かった…///」
ソロソロと舌先を秘裂へと伸ばして、ほぼ同時に割れ目の部分をなぞった。
「うふぅっ…!///」
「んんぅっ…!///」
ゾクリと身震いして一瞬動きが止まったが、直ぐに再び舌先を秘裂に這わせる。
絶頂したばかりだから敏感になっており、舌が蠢く度に膣から愛液が止め処なく溢れ出して、秘裂や周りの茂みまで汚していく。
それをお互い腰を掴んで口元に引き寄せ、顔下半分愛液まみれになりながら夢中で舐めとり合い、
一滴も残すまいと喉の奥へと流し込む。
「んまぁっ…!あっ…んぐっ…ちゅ…ぅ……はぁ…凄ぉい…どんどん出てくる…。甘いのいっぱい……ふぁあっ…!」
「んっ…ぷわぁっ…!はんっ…ぐ……ちゅる…ぅあ…ララも……んぐぅ……すっげー溢れて……追いつかな……ああっ…!///」
「ふわぁ……リトぉ……もっと……もっとちょうだぁい…。リトももっとしていいからぁ…///」
「ああ……オレも……もっとララのジュース欲しい…///」
更なる快楽感を求め合うかの様に、割れ目の入り口部分だけを這わせていた舌を今度は膣内へとねじ込んだ。
「ぅわぁぁっ…!はぁぁ…あぁぁん…!はっ…れろ…んちゅ……リ、リトぉ、気持ち…んああっ…!き…気持ち良いよぉ…!///」
「ぁああっ…!ラ、ララぁ、ララも…ふわぁあっ…!ラ、ララも上手…あぁぁっ…!///」
月明かりだけが照らす部屋に響き渡る、お互いの秘裂をピチャピチャ舐め合う音と、コクリと喉を鳴らして愛液を飲み込み合う音、
そして部屋中に満ち溢れる淫臭――。
それらの要素全てがリトとララの性欲を更に燃え上がらせ、更に淫らな行動へと誘う。
「ぷはぁっ…!リトぉ……もっと気持ち良い事しようよ…///」
「ふぁ…は……ぇ?///」
リトの秘裂から口を離して、最初の馬乗り体勢になるララ。
そこから、自分の尻尾をお互いの秘裂の間へゆっくりと近付けていく。
そして…。
「いくよ、リト…///」
「い、いくよって…、おま……何を――///」
「する気なんだ?」と聞こうとしたと同時に、ララの尻尾が二人の秘裂の間に潜り込んだ。
「ふわぁあっ!!///」
「きゃうぅぅっ!!///」
二人一斉に嬌声を上げる。立て続けにララは尻尾を動かし、自分とリトの秘裂を擦り付け始めた。
「ふわぁああっ!はぁ…あぁああっ!し…シッポぉ…!シッポとアソコがぁ!あぁぁんっ!かっ、かんじちゃうぅっ!!///」
「ぅわぁあぁっ!あっはぁぁっ!す、すごいこすれて……きゃああっ!だ、だめぇ!なんか…やぁああっ!!///」
二つの性感態を駆使して、リトと自分を攻め立てるララ――。
ララの尻尾と秘裂による攻めでただただ快楽の波に流されるリト――。
口元から涎を垂らしながら押し寄せる快感に溺れ、それでももっとこれ以上の快楽感を求め合うかの様に、
自らの腰を動かしぶつけ合う。
「あぁぁん!ぐ…ぐちゃぐちゃいってぇ……わ…わたしとリトのお汁が混ざり合ってぇ……すごいえっちだよぉ…!!///」
「ラ、ララぁ…!あんま…あんっ!あんま激しく……するなってぇ…!!」
「だ、だってぇ!腰とシッポが勝手にぃ!そ、それにリトだってぇ!ひゃあぁああっ!!///」
尻尾で秘裂の割れ目から上部の突起物まで満遍なく擦り合わせ、
腰をお互いに押しつけ合う様にぶつけ合い、
貪る様にディープキスを交わす。
まるで盛りのついた獣の様に、リトとララは本能のおももくままにお互いの身体を蹂躙し合う。
そして――。
「あぁぁああっ!!ラ、ララぁ!!お、オレもうっ!!///」
「わっ、わたしもぉ!!ね、ねぇ、いっしょ…一緒にぃっ!!///」
「ふわぁあっ!!い、いく!いくいく!!もうだめっ――!!///」
「きちゃあ!きちゃうよぉ!!わたしぃ、いっちゃうぅぅっ!!///」
「「ひゃあぁああーーーーー――!!!///」」
――――――
「――なんて事無かったの?」
「あるわけ無いでしょうがぁ!!!///」
保健室にリトの怒号が響き渡った。
「えー無いのぉ〜!?なんだつまんない。私てっきり結城君の事だから既にヤる事ヤったんだと思ってたけど…。
さっきみたいな感じで♪」
御門先生がニヤニヤしながら勝手な妄想を繰り広げる。
「あのですねぇ!!そんな事ある訳無いしやる訳無いでしょうが!!オレは鬼畜か何かですか!!?」
「え?何を今更」
「どーゆー意味だそれはぁ!!?」
かなり失礼な事を言う御門先生にリトの怒り爆発。
『ピキッ』
「「…………へ?」」
不意に、空間全体にひびが入った様な音が聞こえ、氷河期に逆戻りしたかの様な極寒の冷気が辺りを包んだ。
「こ……これ…は……」
滝のような冷や汗を流しながら、冷気が漂って来る方を見ると…。
「結城……リト……」
「やっ、ヤミぃ!!?」
全身『殺気』という名の武装を施したヤミが立っていた。
「あ…あなたは……プリンセスと毎晩……そんなえっちぃ事を…///」
顔を真っ赤にしながら全身を震わせ、軽蔑の眼差しをリトに向けるヤミ。
「まままま待て待て!!今のは御門先生の妄想であってオレは決してそんな事は――!!」
必死で弁明するリトだが、ヤミの耳には全く入っていない様で――。
『ジャキッ!!』
有無を言わさぬ迫力で髪の毛を無数の刃へ変身させ――。
「死んで下さい…!///」
「ちょっ、待て――キャーーー!!!」
「きゃあっ!あなた達暴れるなら外で――!!」
そして、保健室は戦場と化した――。
582 :
むに:2008/03/09(日) 16:29:53 ID:bgsodFVq
投下終了です。
……………えー…、グダグダになっちゃいましたねぇ〜…。
他の人の作品と比べてみると自分のレベルの低さが良く分かる!
まだまだ修行が必要だと思う今日この頃です…。
むにさんお疲れ様です。
続いてで悪いのですが、唯モノを書いてみたので投下します。
584 :
甘い看病:2008/03/09(日) 17:35:47 ID:GCw9ORRS
―雨が降っていた。
空は肌寒い空気を呼び込んで黒く澱んでいる。
昇降口にて、一人静かに佇む少女―古手川唯は、沈痛な面持ちのまま、どんよりとした空を仰ぎ見る。
「雨、か…」
唯はその小さな唇でそっと静かに呟くと、そのまま視線を落とした。
絶えず地面を打つ雨だれを、唯はぼんやりと見つめ続ける。
「今日は、降らないと思っていたのに…」
放課後、先ほどまでの快晴が嘘のように急に降り始めた雨。
唯はふっとため息をついてしまう。
風紀委員としての仕事を片付け、これから下校しようとしていた矢先のでき事だっただけに、やり切れない感情が沸き上がる。
普段の唯であれば、きちんと折り畳み傘を持参している筈なのだが。
「もう!降水確率0%って、嘘じゃない!」
今朝の天気予報に悪態を吐きながらも、持て余した右手で長い黒髪を耳の上にそっとかけ直す。
降ってしまったものは仕方がない。心を落ち着け、そのままゆっくりと瞼を閉じると、唯は静かに耳を澄ました。
唯は、雨音が好きだった。周囲の余計な雑音を消し、勉強や読書が捗るそれには、確かな情緒があると感じていたからである。
人気の無い校舎。屋根を打つ滴。規則正しく動く、自分自身の鼓動。
だんだんと穏やかになっていく気持ちに、唯は心地よい感覚を覚え始めていた。
「たまにはこうやって、何もしないでのんびりとするのも良いのかもしれないわね」
くすりと呟きながら、そっと自身の肩を抱きすくめる。雨によって運ばれてくるひんやりとした空気に、唯の体は小刻みに震えた。
「ちょっと、寒くなってきたかしら…」
いつまでもこうして立ち竦んでいても仕方が無い。職員室に行って傘でも借りてこよう。
そう思って踵を返す…と、下駄箱に向かって全速力で走ってくる一人の少年―結城リトの姿が目に止まった。
「いけね!遅くなっちまった!」
部活にも委員会にも入っていないリトが、こんな時間まで校舎に残っているとは珍しい。
ずっとここまで走ってきたのだろうか。息を乱しながら下駄箱から靴を取り出すリトに、唯は興味を抱く。
唯は、高くなっていく鼓動を感じながら、そっとリトに近づき、声を掛けた。
「結城君じゃない、こんな遅くまでどうしたの?」
昂ぶる気持ちを抑えて、できるだけ自然に語りかけてみる。
唯の存在に気づいたリトは靴を履く手を止め、はにかんだ笑顔を唯に向ける。
「ああ、古手川。いや、今日の小テストまたぼろぼろでさー、先生に補習喰らってた。しかも俺一人…」
笑いながら恥ずかしがるリトの表情に、唯は半ば呆れながらも、二人っきりで会話が出来るこの状況に心を躍らせていた。
「そうだったの。もう、ちゃんと勉強しなきゃダメよ?次の期末テストまで、あんまり時間も無いんだからね?」
上機嫌な唯は、優しく諭すようにリトにお説教をする。
リトに本当に伝えたいことはこんなお説教ではないのだけれども、素直になれない自分の気持ちにもどかしさを感じ、唯の胸はちくりと痛んだ。
唯のいつもとは異なった様子の穏やかなお説教に、リトは少々困惑しながらも素直に耳を傾ける。
「わ、わかってるよ…ちゃんと次のテストに向けて、頑張って勉強するって」
唯はその返答にふんわりと微笑むと、今度は鞄を持つ手にぎゅっと力を込めてリトを見つめる。
「そ、その…結城くん、今から帰りよね?」
「ああ、そうだけど。古手川も?」
「う、うん。そうなんだけど…」
唯はこくりと頷くと、そっと目を伏せる。
「傘…持ってきてなくて」
いつもリトに対して偉そうにお説教をしてるくせに、傘を持ってきていないだなんて、だらしのない女の子だと思われてしまうのではないか?そんな些細な心配事が、唯の心を曇らせる。
「そうだよな。ふつう今日みたいな日は誰だって持ってきてないって!みんな職員室に行って、落とし物の傘を借りて帰ったらしいぜ?」
リトの、本人は意識していないであろうさりげない心遣いに、唯は救われた気持ちになる。
「そうなの…え?ってことは、もしかして今から職員室に行っても…」
唯はふと思い至った疑問を口にしようとするが、一瞬躊躇った間にリトが述べる。
「ああ、もう品切れだろうな…」
「そ、そうよね…」
流石に、職員室が保管している傘がそんなに多くないことは、容易に想像が付いた。
「ど、どうしようかしら…」
585 :
甘い看病:2008/03/09(日) 17:37:32 ID:GCw9ORRS
再び落ち込む唯。唇をきゅっと結び、思い悩んだ表情のまま俯く。そんな唯を見ていられなかったリトは、思い切って声を掛けた。
「古手川!その…俺ので良ければ使ってくれ!」
そう言うとリトは、唯に対して自分の持っていた折り畳み傘を差し出した。
「え?ゆ、結城くん?」
戸惑いながらも唯はそっと受け取る。
両手に握られた、男物の無骨な傘。それを見やると、やがて唯の心はみるみるうちに暖かくなる。
「偉いのね結城くん。こんな日にまで傘を用意してるだなんて」
珍しく唯から素直に褒められたリトは、恥ずかしそうにして視線を逸らす。
「ち、違うんだ…俺、いつもロッカーの中に一本だけ折り畳み傘を置いとくようにしてるんだ。そ、その…今日みたいな日の為にさ!」
照れながらそう語るリトを見つめがら、唯の心は嬉しさでいっぱいになる。
が、またふと浮かんだ疑問を唯は投げかけずには居られなかった。
「ということは、結城くん…もしかして教科書とかも全部ロッカーに置きっぱなしなんでしょう!?」
「ギクッ!!」
瞬間、図星を付かれたリトは体を硬直させるも、急ぎ靴を履いて昇降口から逃げようとした。
「ちょ、ちょっと待って結城くん!結城くんの分の傘はあるの?」
呼び止められて振り返るリトは、困ったような表情を見せる。
「いや、無いけど…」
じゃあ一緒に…と唯が言おうとするよりも早く
「その傘小さくて、一人しか入れないんだ」
そう述べるリトに対し、唯は複雑な想いを抱く。
確かにリトの言うとおり、この折り畳み傘では、相合い傘は難しいだろう。
「だからって、結城くん一人が濡れながら帰らなきゃいけないだなんて…」
そんな唯の、申し訳なさそうな言葉に対して、リトはニカッと笑って答える。
「気にすんなって!古手川は女の子じゃないか。俺なら全然平気だって!」
「で、でも…」
まだ納得のいかない唯に対してリトは背を向けると、全速力で昇降口から飛び出していった。
「あ、ちょっと結城くん!」
「じゃあな、古手川!また明日!」
そう言い残し、雨の中駈けだしていくリトを見つめながら、唯は貰った折り畳み傘を両手でぎゅっと抱きしめる。
「結城くん…///」
リトの優しさに身を捩らせながら、唯はその背中が見えなくなるまで見送った。
上手いし書くの早いな。
587 :
甘い看病:2008/03/09(日) 17:39:18 ID:GCw9ORRS
「どうしよう…結城くんに、傘借りちゃった…///」
その夜、唯は机に突っ伏しながら、下校時の出来事に想いを馳せる。
いつもであれば、この時間は勉強に励む唯も、この日ばかりはなかなか身が入らないでいた。
机の縁をつぅっと指でなぞりながら、自分に背を向け走り出したリトの姿を思い返す。
「べ、別に、カッコいいとか、そういうことを思ってるわけじゃないんだから!///」
唯は一旦我に返るも、一度紡ぎ出したリトへの想いは止められなかった。
「でも…優しいな…///」
そう言うと唯は、枕元に置いてあるクマのぬいぐるみを手に取って抱きしめた。
柔らかい綿の感触が、溢れる気持ちを更に促す。
「結城くん、か…」
結城リト。
唯は彼のことを、最初こそクラスの風紀を乱す問題児だとばかり思っていたが、彼の純粋な心と優しさに触れ、今となっては特別な存在となっていた。
それが恋なのかと問われれば難しいところだが、唯が何かしらの形でリトに好意を抱いていることは、紛れもない事実であった。
熱っぽくなった心を懸命に静めて、両目を強く瞑る。
これまで男の子と深い仲になったことの無い唯は、嬉しさと戸惑いの入り交じった心境で悶々としていた。
あの後、リトの傘をさしながらご機嫌で帰宅した唯は、玄関先にて兄の遊と入れ違いになった。
「あれ?お兄ちゃんどこに行くの?」
「ああ、今日からサークルの合宿で3日くらい家空けるから、留守番宜しくな」
短く言い放ち、遊はせっせと靴紐を結んでいく。
「そ、そう、今日だったわね。行ってらっしゃい」
「ああ……ん?」
ふと、遊は唯が大事に持つ見覚えの無い傘に視線をやり、更に唯の上気した頬に注目すると瞬時に事情を見抜いたのか、ニヤリと口元を歪めた。
「へぇ、お前男から傘借りたのか。やるじゃん」
「な!?///」
なぜわかったのかと驚いた唯は、それこそ動揺を露わに顔を真っ赤にさせながら口をわなわなと震わせる。
遊はそんな初々しい妹の反応が可笑しくて仕方がないといった様に微笑みながら、くしゃりとその頭を撫でると玄関のドアに手を掛けた。
「きちんと乾かして、それから綺麗に畳んで返してやるんだぞ?男はそういう心遣いに結構弱いからな」
「わ、わかってるわよ!お兄ちゃんには、関係ないでしょ…///」
遊に何もかも見透かされて面白くないのか、唯は視線を逸らすとぷぅっと顔を膨らませる。
「まぁそう怒んなって。じゃあな唯、お土産期待しながら大人しくしていろよ」
「う、うん、気を付けてね」
旅行鞄と傘を手に家を出る遊を、唯は不機嫌ながらも寂しい面持ちで見送った。
遊からのアドバイスは、唯にとっては煩わしくもあり、また頼もしいものでもあった。
遊が自分のことをからかいつつも心配してくれていることは、唯の心にちゃんと伝わっていた。
それだけで、この兄妹は十分だった。
588 :
甘い看病:2008/03/09(日) 17:39:59 ID:GCw9ORRS
今、リトの傘はバスルームに干してある。明日の朝には乾く筈だ。
「ええと、そうしたら、綺麗に畳んで…ああ、それから、何かお礼をしなくちゃいけないわね」
唯は上機嫌にぬいぐるみを抱きしめたまま、リトが喜んでくれそうなプレゼントを思い描く。
「手編みのマフラーなんかどうかしら?ううん、でも今から編むには時間がかかるし、そういうのはクリスマスとかに用意するものよね。どうしよう…」
唯はぎゅうっとぬいぐるみを抱きすくめる…と、ある考えが思いついた。
「そうよ!心が籠もっていれば、別に物じゃなくても良いわよね。例えばうちに招待してあげたり、或いはデートとか…」
そこまで言うと、はっと唯は我に返り、頬を染めながらぬいぐるみに顔を埋める。
「な、何がデートよ…私ったら浮かれすぎ…ハレンチだわ///」
唯は心を落ち着けようと、指先の手入れを始めた。
リトのことを考えると、いつもよりも念入りに仕上げようと気合いが入ってしまう。
オイルでマッサージしてから、甘皮の処理をする。1日の終わりに行う、唯のささやかなおしゃれ。
ネイルは校則違反なので、せめて爪磨きで整えようと、唯は丁寧に手入れをしていく。
「結城くん、風邪ひいたりしてないかしら…」
結城家が学校から近いとは言え、流石にあの雨の中を濡れずに帰れたはずがない。
「大丈夫かしら?明日、学校来れると良いんだけど…」
唯は手入れを終えると、天井の蛍光灯に向けて両手をかざす。
その視線の先に、綺麗に仕上がった自分の指先が映り、唯は満足した様子で頷いた。
「もし結城くんが風邪をひいたら、私がお見舞いに行ってあげなくちゃ///」
リトの為にと、あれこれ看病をする様子を思い描きながら楽しそうに笑うと、唯は机から離れてベッドへと腰掛ける、と
「…っくしゅん!」
くしゃみをした唯は、震える自分の肩を抱きすくめる。
風呂から上がってからというもの、唯は暖かい格好をするのも忘れてリトへの想いに没頭していたのだった。
「湯冷め…しちゃったかしら?もう!私としたことが…早く寝ましょ」
唯はそそくさとベッドに入ると、ぬいぐるみを枕元において声を掛ける。
「うふふ…おやすみなさい、結城くん…///」
ぬいぐるみの頭をよしよしと撫でると、唯は幸せそうに眠りについた。
589 :
甘い看病:2008/03/09(日) 17:42:05 ID:GCw9ORRS
「38.2℃…よくもまぁ、学校に来ることが出来たわねぇ」
唯の脇から取り出した体温計を凝視すると、御門先生が素直に感嘆の声を上げる。
保健室のベッドに横たわった唯は、熱い吐息を吐きながら天井をぼぅっと見つめていた。
「一体どうしたの?もしかして昨日、雨に濡れて帰っちゃったのかしら?」
―いや、雨に濡れながら帰ったのは私じゃなくて結城くんなんだけれど…と、この場に関係のないリトの話題を出せるわけもなく、唯はただ己の体調管理の甘さを嘆いていた。
「ご迷惑をおかけしてすみません…もう大丈夫ですから…」
そう言ってベッドから降りて上履きを履こうとする唯を、御門先生にしては珍しく、慌てて制する。
「ダ、ダメよ、まだ大人しくしていなくちゃ。今薬をあげるから待ってなさい」
唯の体に丁寧に毛布をかけ直すと、御門先生は棚から薬の入った瓶を選び始める。
焦点の定まらない視線を虚空に漂わせながら、唯は今までの出来事を思い出す。
「ええと、朝起きて…頭が痛かったけど、結城くんの傘を畳んで登校して、それから…」
「骨川先生から聞いたわよ。あなた、授業中に突然倒れたんですって?」
唯は思い出した。
数学の授業中、指名されて黒板の問題を解いていた唯は、急にそのまま崩れ落ちるようにして気を失ってしまったのだった。
ついさっきまで意識がなかった唯は慌てて自分の身の回りをチェックする。
辺りを見回すと、自分の物と思しきブレザーが壁際に丁寧にかけられ、寝苦しくならないよう配慮してくれたのか、胸元のリボンも外されていた。
時刻を確認すると、午後3時。今日は半日授業なので、とっくに放課後。
数学の授業は4限だったので、かれこれ3時間以上は眠っていたことになる。
「私…どうやってここへ?」
「うふふ、結城くんが背負って運んでくれたのよ♪」
ふと浮かんだ唯の疑問に対し、御門先生はウインクをして答える。
「えっ、結城くんが…///」
瞬間、唯の鼓動が高鳴る。
「ええ。彼ったら一生懸命、教室から保健室まであなたを運んでくれたのよ。ほんと、優しい彼氏を持ったじゃない古手川さん♪」
御門先生の言い放つ「彼氏」という響きに、唯は顔を真っ赤にしながら慌てて言い繕う。
「そ、そんな…違います!結城くんはそういうのじゃなくて…///」
そんな唯の反応に、御門先生は口に手を当て、楽しそうにころころと笑う。
「噂をすれば、かしら?」
「え?」
唯が疑問を口にすると同時に、保健室のドアが勢いよく開かれた。
「唯ー!大丈夫!?」
「ラ、ララさん!?」
ふわりと胸に飛び込んでくるララの甘い香りが、唯の鼻腔を擽る。
戸惑う唯を尻目に、ララはいきなり自分の額を唯の額へと当てて体温を計る。
「あ、熱ぅ!うわぁ、すごいお熱だねぇ唯。大丈夫?辛くない?」
ララの心配そうな表情に、唯はたじろぎながらも嬉しい気持ちで一杯だった。
「え、ええ…もう大丈夫よ。心配してくれて…ありがとう…///」
唯の感謝の言葉に全身で喜びを露わにしたララは、両手を広げるや否や、ぎゅうっと唯を抱きしめる。
「唯ったら急に倒れちゃったりするんだから。本当に心配したんだよ!」
「もぅ、ララさんったら…///」
恥ずかしそうに身を捩らせて抵抗する唯に、ララはどこから取り出したのか、手にした冷○ピタを唯の額に綺麗に貼り付ける。
ひんやりとした心地よい感触に、唯の不快感は徐々に消え去っていく。
「お熱が出たときには、これを貼ると良いんだよね?どう、唯?気持ちいい?」
「ええ…ありがとうララさん///」
気持ちよさそうな唯の表情に嬉しそうに頷いたララは、まるで姉が妹をあやすかの様にぽんぽんと唯の頭を撫でる。
「ちょ、ちょっと、子供扱いしないでよね///」
「えー、いいじゃなーい♪」
ララからのスキンシップに、唯は熱によって上気した顔を更に赤くさせる。
590 :
甘い看病:2008/03/09(日) 17:42:40 ID:GCw9ORRS
「古手川さん、お加減はどう?」
ララの背中からひょっこりと顔を出したのは春菜だった。
「勝手だったとは思うんだけれど、古手川さんの帰りの準備はしておいたからね」
春菜は手にした唯の鞄を、そっと渡す。
「早く風邪治して、元気になってね!」
そう言うと、春菜は自分の手を唯の手に重ね合わせてぎゅっと握った。
「あ、ありがとう西連寺さん…ララさんも…///」
そう言うと、唯の頬に、つーっと一筋の涙が伝わった。
「え?ちょ、ちょっと唯?」
「こ、古手川さん?」
二人が驚きの声を上げるも、一度溢れだした感情は止められない。
今までずっと孤独だった唯にとって、二人の暖かな優しさは、唯の心を溶かすのには十分だった。
止めどなく流れ出る涙。唯は恥ずかしさで顔を両手で覆う。
「ご、ごめんなさい!私ったら…///」
「そんな!謝ることなんてないよ!」
「ララさんの言う通りよ!」
ララと春菜が、優しく唯の体を、そして心を、包み込むように抱きしめる。
「暖かい…///」
こんなにも自分を想ってくれる友達の存在に、唯は心の底から喜びを感じていた。
一頻り泣いて落ち着いた唯に、御門先生が「どうぞ」と薬を渡す。
「明日は日曜日なんだし、今日のところは早く帰ってゆっくりと休みなさい。お家の方に迎えに来てもらいましょう」
そう言って電話を取ろうとする御門先生に、唯は小さな声で遮った。
「そ、それが…両親は海外へ出張中で、兄もサークルの合宿に行っているので…家には私しか居ないんです…」
俯きながら語る唯の言葉を受けて、御門先生は思案に暮れる。
「そうなの。じゃあ私が…って言いたいところだけど、これから職員会議があるのよねぇ」
人差し指を口元にあてがって考えていた御門先生だが、やがて意を決した様に口を開く。
「じゃあ、結城くんにお願いするわ」
「そうだね!リト、頑張って!」
「ええ、結城くん、悪いけどお願いね」
三人の視線が、保健室の入り口に突っ立っているリトへと向けられた。
「え?…俺っすか?」
リトは自分を指差して聞き返す。
「そうよ。だってあなたじゃない。古手川さんをここまで背負って運んできてくれたのは♪」
御門先生からの「当然でしょ」とでも言いたげな物言いに、やがてリトは観念したように首を縦に振った。
「ありがとう結城くん」
御門先生は満足げに微笑むと「よろしくね」と職員室へと足を向けた。
「じゃあリト、私たちも先に帰るけどー」
「何かあったらいつでも呼んでね結城くん」
ララと春菜はリトにそう言い残すと、唯に「お大事に」と笑顔で手を振って保健室を後にした。
「……………」
「……………」
停止する時間。
唯は恥ずかしさを露わにしながら、震える声でリトに問いかける。
「も、もしかして結城くん…最初からそこに居た?」
「え、えーっと、そのー…」
リトは曖昧な表情をしていたが、やがて引きつった笑顔のまま、申し訳無さそうに頷いた。
591 :
甘い看病:2008/03/09(日) 17:43:40 ID:GCw9ORRS
リトの胸元で、唯が手に持つ二人分の鞄が揺れる。
「ごめんなさい、結城くん。家まで送ってくれるだなんて…」
「気にすんなって。それに古手川、すっげぇ軽いし」
「そ、そう…///」
唯をその背にしっかりと背負いながら帰路につくリト。
負担をかけない様、一歩一歩ゆっくりと歩いていく。
「俺の方こそごめんな。二人分の鞄持たせちまって」
「大丈夫よこれくらい。結城くん、手が塞がっているんだから仕方ないわ」
そう言うと唯は、リトの背中にこつんと額を当てる。
(結城くんの背中って、意外と大きいのね…)
クラスの中でも決して大柄とは言えないリトの背中も、今の唯にとってはとても頼もしく思えた。
「そ、その…さっきは恥ずかしい所を見られちゃったわね///」
唯は火照った頬をリトの肩越しに押しつけるようにして話す。リトに顔を見られることの無いこの体勢が、唯を無意識のうちに素直にさせていた。
「そんなことないって!俺、感動したんだ!女の子同士の友情って、いいなぁって」
迷うことなく自分の気持ちを述べるリトの言葉を受け、唯の頬は更に赤みを増していく。
「ララも西連寺も、古手川の目が覚めるまでずっと待っていてくれたんだぜ?ほんと、二人とも優しいよな」
まるで自分がしてもらったかのように、嬉しそうに話すリト。
「え、ええ…///」
今まで自分を心配してくれる友達など居なかった唯にとって、二人の献身的な優しさは、何物にも代え難い喜びであった。
「…でも、私が教室で倒れたとき、保健室まで運んでくれたのは結城くんなんでしょ?御門先生から聞いたわ」
「え、あ…いや…」
「その…ありがとう…///」
唯からの素直な感謝の言葉に不意を付かれ、一瞬口ごもってしまったリトだったが、しっかりと前を見据えると静かな声で唯に告げる。
「古手川に、お礼がしたかったんだ」
「え?」
「俺が体育祭でケガしたとき、古手川は自分のリレーを棄権してまで付き添ってくれただろ?だから、そのお礼だよ…」
「ゆ、結城くん…///」
自分のことを気遣い、助けてくれたこの少年の存在を、唯はただただ愛おしいと感じていた。
二人はお互いを意識してしまい暫く無言になっていたが、やがてリトの言葉が沈黙を破った。
「それにしても…」
「え?」
リトの含みを持った語り出しに、唯は少し身を強ばらせる。
「なんで昨日傘を使ったお前が風邪ひいてるんだよー!ふつうは逆だろー!」
「な!?そ、それは…///」
―結城くんを想って悶々としているうちに、湯冷めしちゃったのよ…などとは言えるわけもなく、唯はリトの背中で恥ずかしそうに震えた。
今まで我慢していたのか、一気にまくし立てたリトは、心底可笑しそうに盛大に笑い出す。
そんなリトの笑い声に恥ずかしさを抑えきれない唯は、必死に抵抗するかのように、力の入らない手で鞄をリトの胸に叩きつける。
「バ、バカ!私は、結城くんと違って…そ、その…せ、繊細なんだから!///」
「へぇー、ほぉー、ふぅーん…古手川が繊細ねー、そうだったのかー」
「も、もう…知らない!///」
そんな唯の反応を微笑ましく思いながらも、実を言うとリトはかなり切羽詰まっていた。
両の掌に収まるしっとりした太股の肉感。
背中に密着して押しつけられる柔らかい胸の感触。
そして絶えず耳元を擽る、熱を帯びた唯の吐息に、リトの理性は崩壊寸前だった。
唯をからかうことによって気を紛らわそうとしたものの、そんなものは焼け石に水であったことは言うまでもない。
(た、耐えろ俺!古手川の気持ちを踏みにじるな!)
そんなリトが苦境に立っていることなどいざ知らず、唯はゆっくりと流れていく景色に目を見やる。
(小さい頃、よくこうやって、お父さんにおんぶしてもらったっけ…)
くすりと笑うと、その背中をギュッと抱きしめる。リトには気づかれない様に、優しく、そして心を込めて。
遠き日の追憶を辿りながら、唯はどこか懐かしさを感じる安らぎに身を委ねていた。
592 :
甘い看病:2008/03/09(日) 17:45:33 ID:GCw9ORRS
「古手川、入るぞ?」
コンコンと控えめなノックと同時に、リトの声が唯の部屋に響く。
「いいわよ」
唯は濡れた髪の毛を乾かす手を休めると、リトを自室へと招き入れた。
「気分はどうだ古手川………っ!?」
リトは唯の姿を見るやいなや、途端に絶句する。
しっとりと濡れたしなやかな髪、熱によって赤みの差した頬、そして初めて見る唯の可愛らしいパジャマ姿に、リトは扇情的な感慨にとらわれた。
「な、何よ…じろじろ見ないで///」
唯は胸元を隠すようにして身を縮ませる。勿論パジャマはきちんと着ているのだが、家族以外の男性…特にリトに、自分の風呂上がりの格好を見られることが、唯の羞恥心をかき立てた。
「わ、悪い…さっぱりしたか?」
「う、うん。ありがとう」
唯はタオルを丁寧に畳むと、ごそごそとベッドへと入っていった。
「その…お腹空いてないかな?と思って、古手川が風呂入っている間にちょっと作ってみたんだ」
そう言うと、リトは小さなお盆に乗った料理を唯の目の前まで持ってくる。
リトが作ったのは、カボチャのリゾットとレモネードだった。ひんやりとした室内に広がる、食欲を刺激する匂い。
唯は思わず驚嘆の声を上げる。
「こ、これ…結城くんが作ったの?」
「え、あ、いや…俺もお粥なら経験あるんだけど、リゾットの方は作るの初めてなんだ。居間に置いてあったレシピを見ながら、勝手に冷蔵庫の中の物を使わせてもらって、その…余計なお世話だったかな…?」
しどろもどろしながら説明するリトに対し、唯は首を振って答える。
「ううん、そんなことない!結城くん、料理も出来るだなんて凄いわ。その…ちょっと妬けちゃうかも…///」
「そ、そうか」
鈍感なリトは悲しいことに、唯の妬ける対象を理解できなかったものの、褒められた嬉しさを露わにしながら身を乗り出す。
「じゃあさ古手川、食べてくれよ。口開けて」
「へ!?///」
目の前に差し出されたスプーンに唯は一瞬戸惑うも、リトの言葉の意味に気が付き顔を真っ赤にさせる。
「こ、子供扱いしないで!自分で食べられるわよ!///」
「そ、そういう意味で言ったんじゃないって。俺が、その…古手川に食べさせたいんだ…」
「え!?そ、そんな…え、ええと…///」
必死に食い下がるリト。その目は真剣そのものだった。
しばしの沈黙。やがて唯は観念したかのように目を閉じると、リトに向けて口を突き出す。
「古手川…?」
「し、仕方ないわね…ちゃんと食べてあげるけど、こんなことは…もうこれっきりなんだからね!///」
唯のその言葉に満面の笑顔を見せると、リトはリゾットをスプーンで掬って唯の口元へと運ぶ。
「はい古手川、あーんして」
「っ…///」
593 :
甘い看病:2008/03/09(日) 17:46:04 ID:GCw9ORRS
唯は恥ずかしさに眉根を寄せながら、小さな口でスプーンを受けるとゆっくりと咀嚼する。
その仕草に、リトは期待と不安に満ちた眼差しを向ける。
「ど、どう…?」
「うーん…」
何かを考えるようにしながら味わっていた唯だが、やがて咽下すると唇を指でなぞるようにしながら感想を述べる。
「ちょっと、味が濃いかしら…」
「マ、マジで?ごめん!バターと塩の分量間違えたかな…」
そう言いながらリトは面目無さそうに頭をかく。
そんなリトを見た唯は大袈裟に手を振ると、慌てるようにしながらフォローを入れる。
「で、でも美味しいわよ!口の中でとろけるみたいになって、後味も悪くないし、さっきまで私あんまり食欲無かったんだけれど全部食べれそう!本当よ!///」
自分の感想がリトの気に障ったのだと思ったのか、唯は一気にまくし立てると、また口先をリトへと突き出す。
「古手川…」
リトは感動を覚えた。別に大したことはない。古手川に、ただ少しのお礼がしたかっただけなんだ。
そう自分に言い聞かせても、自然と笑みがこぼれそうになるのだった。
「じゃあさ、これも飲んでみてくれよ」
リトは唯の手に、レモネードが入ったコップを持たせる。輪切りにされたレモンがゆったりと浸かっており、唯はそれをスプーンでかき混ぜる。
喉が渇いていたのか、こくこくと美味しそうに喉を鳴らすと一気に飲み干していった。
「冷たくて美味しい…」
「本当は暖かくするもんなんだけどさ、お風呂上がりなら冷たい方が良いかなって思って。古手川、一杯汗かいちゃってたし」
リトの、一つ一つの細やかな心遣いが、唯の心を擽っていく。
「あの、私だけ食べているのも気が引けるし、結城くんも一緒に食べましょ?」
「そうか?わかった。じゃあ、俺の分もここに持ってくるからな」
ベッド脇から立ち上がったリトは、そのままとてとてと台所へと向かっていった。
その後ろ姿を見つめながら、唯は溢れる自分の気持ちを抑えるかのように、枕元のぬいぐるみをぎゅっと胸に抱きしめた。
594 :
甘い看病:2008/03/09(日) 17:47:37 ID:GCw9ORRS
「古手川、洗い物終わったよ」
「うん、ありがとう」
「古手川、洗濯物取り込んだよ」
「う、うん、ありがとう」
「古手川、ゴミ捨て終わったよ」
「う、うん…ありがとう…」
「古手川、これ体拭くお湯とタオルね」
「あ、ありがとう…///」
「古手川、じゃあ俺帰るから」
「へ!?///」
唯の家に来てから早4時間あまり。やるだけのことはやったと満足して帰ろうとするリトの言葉に、唯は慌てふためく。
「も、もっとゆっくりしていっても良いのに…」
「ゆっくりって…お前、それ病人が言う台詞じゃ無いだろ」
リトの言う通りなのだが、唯の心の奥で、リトをこのまま引き留めたいという想いがくすぶっていた。
「それに古手川、家に帰ってから全然眠ってないじゃん」
「そ、それは…そうだけど…」
唯は毛布の端を握りしめると、そのまま引き寄せて顔を埋めていく。
「俺のせいでゴタゴタさせて悪かったな。明日は日曜日だし、もう今日はゆっくり休めって」
「う、うん…」
(せっかく結城くんに家に来てもらったのに、看病と家事だけ押しつけて帰らせるだなんて…)
唯は唇をキュッと噛むと上目遣いにリトを見上げる。
そんな唯の視線にも気が付かないリトは、せっせと帰り支度を始めていた。
「えーっと鞄は持ったし、財布…ケータイ…」
と、そのとき、窓をポツポツと叩く静かな音が部屋に届き、二人は思わず顔を見合わせた。
「え、まさか…」
「雨、かしら…?」
リトは窓辺にかかるカーテンを開けると、外の風景を覗き見る。
突然降り出した雨に、街灯の下を通勤帰りの大人たちが小走りに去っていく姿が見受けられた。
「また雨かよ、こりゃ本降りになる前に早く帰らないと!」
リトはカーテンを閉め、くるりと振り返るとベッド脇に座る。
「じゃあな古手川、お大事に。しっかり眠って早く風邪治せよ」
リトの別れの挨拶にも、唯は俯いたまま答えない。
憮然とした表情。
リトはその心を窺うことが出来なかったが、やがて諦めたように唯の髪をかき回すと「じゃあな」と短く告げ、背を向けて立ち上がる……が、くっとその体が突然止まる。
「行かないで…」
「古手川…」
唯が、リトの制服の袖を、その細い指先で懸命に掴んでいたのだった。
「私を、一人にしないで…」
背中越しに、唯の懇願にも似た声が聞こえてくる。
「お願い、結城くん…」
それが今の唯に出来る、精一杯の抵抗であり、我が儘であり、望みであった。
その切実な願いに、リトの心は鷲掴みにされる。
リトは自分の手をそっと唯の指先に触れる。握り返してくる唯の暖かい手。
こんなにも冷えきった部屋に、誰も居ない家に、たった一人で過ごさねばならない寂しい夜。
そんな孤独を、リトは、この少女に味わわせたくはなかった。
リトは唯に向き直ると、決心したかのように口を開く。
「わかった…今夜は俺、ずっと古手川の傍に居るから」
「ゆ、結城くん…///」
唯は心の底からありがとうを込めて、リトの腰に抱きついた。
595 :
甘い看病:2008/03/09(日) 17:48:08 ID:GCw9ORRS
「ごめんなさい。お兄ちゃんの服、結城くんには大きかったかしら?」
風呂上がりのリトに対し、唯は遊のシャツを差し出した。
「いや、まぁちょっと大きいけど、ゆったりしてて寝るのには丁度いいよ」
「そう、なら良かったわ」
にっこりと微笑む唯。
ふとリトは、今まで思っていた感情をぶつける。
「古手川って、最近変わったよな」
「へ!?///」
思いがけないリトの言葉に、唯は面食らった顔をする。
「なんていうかこう、会ったばかりの頃に比べて柔らかくなったっていうか…」
「な、な、な…///」
口を震えさせるも二の句が継げない唯に対し、リトは更に駄目押しの文句を繋げた。
「だから俺、今の古手川のこと…なんていうかその…素敵だと思うぜ…?」
唯の心はもう、爆発寸前であった。
そんな唯の気持ちを知ってか知らずか、照れくさそうに頬をポリポリとかきながら、リトは就寝の体勢に入った。
唯が用意してくれた布団をせっせと床に敷くと、そそくさと入り込み、ふぅっと息をつける。
「じゃあ寝ようぜ古手川。電気消してくれ」
「………」
「古手川?」
「な、なによ…」
「何で電気消さないんだ?」
「そ、それは…///」
「お前まさか、いつも電気付けっぱなしのまま寝てるのか?」
「…っ!?///」
どうやら当たったらしい。
リトはクスクスと笑うと、それ以上は追求しないようにして、ばさっと毛布を被った。
どれくらいの時間が過ぎたのだろう。
静寂を破ったのは唯だった。
「結城くん、起きてる?」
「ああ…」
(っていうか、明るくて寝れないんだけど)
という言葉を飲み込んで、リトは答える。
「あの…あのね…そ、その…///」
「ん?」
何か言い何か言いたげな唯であったが、なかなかその口からは本題が出てこない。
唯の、ただならない様子に何かを感じ取ったのか、リトは布団から這い出て面目無さそうに謝った。
「ああ、悪いな。俺が居ると眠れないよな。やっぱり俺、廊下で寝るよ」
「ち、違う!そうじゃないの!///」
唯はガバッと布団を跳ね除けて起きあがると、上目遣いにリトを見つめる。
「そ、その…い、一緒に寝てくれない?///」
「……………は?」
唯からの提案がリトの脳内に正確に届くまで、きっかり5秒間は要した。
「だ、だから!私と一緒にベッドで寝て欲しいって言ってるのよ!///」
耳まで真っ赤にさせながら、唯は喚き散らすようにしてリトに言い放つ。
「で、でもね?隙間は5センチくらい空けて…あ、あとハレンチなことは絶対にしないでよね!///」
無理難題な唯の注目に、リトは最初こそ固まっていたものの、やがて頬を引き締め直すと、その瞳を見据えてしっかりと頷いた。
596 :
甘い看病:
「結城くん、起きてる?」
「ああ…」
(だから眠れないってば)
蛍光灯に明るく照らされた室内。
隣には艶っぽい吐息を吐きながら、熱い体を寄せてくる女の子。
どう考えても眠気が来るほうがおかしかった。
リトは明るい天井をぽけーっと見つめながら、唯の言葉に耳を傾ける。
「今日は、本当に色々とありがとう。
ええっと…傘を貸してくれて、倒れた私を保健室まで運んでくれて、
家に着いてからは看病と家事をしてくれて…ご飯、本当に美味しかったわ、ご馳走様。
今度、あのリゾットの作り方教えてくれる?それから…」
文字通り熱に浮かされたかのように、唯の感謝の言葉は止まらない。
リトはそれを少々恥ずかしくも誇らしげに聞いていたが、やがて唯の口がピタリと止む。
「…古手川?」
リトは寝返りを打って唯に向き直る。
「ほ、本当はね…」
込み上げてくる胸の熱さに耐えるようにしながら、震える唯の整った唇。リトは、為す術もなく目を奪われる。
「本当は、私が…私が結城くんの看病をしたかったんだから!///」
「え!?」
唯の決壊した想いは、もう誰にも止められなかった。
「昨日だって、結城くんに傘貸してもらえて嬉しくて、
お礼をしなきゃって思って、結城くんが風邪ひいたと思って、
どうやって看病しようかなって考えていたら湯冷めしちゃって風邪ひいちゃって、
でも結城くんは元気で、逆に私に優しく看病してくれて……もう、私、バカみたいじゃないのよ!!////」
溢れる想いと同時に、唯は泣き出した。
唯の告白とも取れる感情の吐露に打ちひしがれたリトは、無意識のまま、その腕に唯を抱き寄せて包み込んだ。
「結城くんのことが好きなの!好き!好き!大好き!!///」
リトの胸で泣きじゃくりながら、唯は心の赴くままに叫んだ。
「ありがとう…俺も、古手川のことが…」
リトは抱き寄せる腕に力を込めると、すぅーっと深く息をする。
こんなにも自分の事を想ってくれるこの女の子のことが、リトは、ただただ愛おしくて堪らなかった。
「俺も、古手川のことが…好きだ!」
瞬間、リトの背中をぎゅっと唯の両腕が抱きしめる。
「嬉しい…!///」
声を上げて唯は泣き続ける。それは、至上の喜びと同義。
「やっと…やっと言えたよぉ…!///」
唯はリトの胸に顔を埋めて抱きついた。それは本当の意味で、二人の想いが一つに重なった瞬間であった。