乙
3 :
泉こなた:2007/12/17(月) 03:54:57 ID:IfmbAJk9
ふーっ・・・ようやくみんなから逃げてこれたよ・・・
さて、また捕まらないように隠れないとね。
ダンボールダンボール・・・
>>1乙コロネ
5 :
柊つかさ:2007/12/17(月) 05:37:46 ID:zNbhHeS7
>>1さん乙です
わあ、新スレなの〜?こなちゃんも皆さんもよろしくね〜♪
6 :
高良三行:2007/12/17(月) 05:41:13 ID:0Xy7fLlm
今後の私の活躍にも期待する意味で、
>>1乙です
んふっ、困ったものです
7 :
柊かがみ(男):2007/12/17(月) 06:12:55 ID:f2ojFhEu
>>1乙
つかさはともかく、俺は絶対にあんな奴を好きにならんぞ!
ぜぜっ絶対な!本当だぞ!
>>1乙です
保管庫も1000達成したんだし、何かイベントやりたいな。
SSコンテストとか
コンテストってどんなもんでしょか?
ひとつのお題に沿ってみんなでSSを投下するって事でいいのかな
純情は、殿方お三方におまかせするとしまして、
こちらは、逃亡しておられます泉さんを散策いたしますだばだば。
鼻血レーダーだばだば
あ、泉さんの香りがします、あのダンボールですだばだば
>>1 乙です
>>9 時期的にクリスマスとか?
ちょっと広すぎるから、もう二つほど何か加えて三題噺なんていいかもね
TSひよりんって、リアルでここの住人じゃねーかと思うんだが
>>12 むしろ、こなたの方だと思うぞ。広い意味でのヲタだしw
まあ、百合ばかりを求めてるというなら話は別だがw
>>1乙です
28スレですか・・・早いですね
ところで準備している方が居なければ投下したいと思っていますが
TS祭りの最中(?)にKYな投下ですが大丈夫でしょうか?
レスが無ければ思い切って投下させて頂きます。
15 :
22-468:2007/12/17(月) 11:09:19 ID:p4/RbtAE
特にレスが無かったようですので、思い切って投下いたします。
タイトル「IFから始まるStory 第1章 出会い編」+「IFから始まるStory 第1章 友情編」
注意事項
・つかさ&かがみ&こなた+みゆき
・エロなし
・パラレル物注意(苦手な方はスルーでお願いします)
・26スレで投下した「序章」の続きです
・8レス使わせていただきます。
・若干シリアス
新しい制服に身を包み満開の桜並木を一歩一歩踏みしめながら歩いていると、
新しい生活が始まったと実感するのは私だけでは無い筈。
だけど体の奥底で蠢く蟲みたいな嫌な感覚は、
右を向いても左を向いても見慣れない景色の所為なのか
又は今までとは明らかに変わってしまった生活を受け入れられない
私の心が落ち着かない所為なのか、
恐らく両方正しくて両方間違っていると思う。
もっと単純に言うならば『つかさ』が私の隣に居ない事が最大の理由。
ピンク色に染まった並木道を見ても、
高校1年生のクラス割を見ても考える事はつかさの事ばかり。
『またドジ踏まなければ良いけど』とか『気の合う友達が出来れば良いけど』とか、
姉として心配事は尽きないけど
でも本当は『つかさの傍に居たい』と思う気持ちで一杯になっている自分を認めたくないだけ。
「入学式お疲れさん。とりあえず自己紹介しとこか」
妙な関西弁を話す金髪の先生が私達のクラス、1年B組の担任で名前は黒井ななこ。
入学早々にする事と言ったら自己紹介がセオリーで、
あ行から始まるから私は中間ぐらいだけど
そういえば以前読んだラノベで突拍子も無い自己紹介をして
クラス中をドン引きさせてた話が有ったわね。
たしか・・・
「ただの人間には興味ありません。この中に宇宙人・未来人・異世界人・超能力者が居たら私のところに来なさい」
そうそう、そんな感じって。あれ? 今のは空耳かしら
「そっか〜、まだ放送されてないから分かんない人が多いか・・・それじゃ改めて、
幸手市在住の泉こなたです。こんなナリでも飛び級小学生じゃ無いよ。
あれ〜、これもダメ?」
初日の自己紹介で1年B組のクラスメイト達を宇宙の彼方に追いやり
朝から憂鬱だった私の心を解きほぐしてくれた人物。
これが泉こなたとの出会いだった。
衝撃的な自己紹介から1週間ほど経過してクラスメイトの顔ぶれを大分把握できた頃、
私にも友達と呼べる仲間が出来た。
名前は『高良みゆき』と言い、育ちが良さそうな所謂お嬢様タイプで
何所かズレた感じの天然系。
つかさとも相性が良さそうだから今度紹介してみようかと思っているんだけど、
みゆきは東京在中で私達は埼玉県在中。
土日を使わないと一緒に遊ぶのは難しいのよね。
そういえば中学の時に一緒だった峰岸や日下部は隣のクラスになったから、
B組には同じ中学出身者が居ない。
それも少し寂しいけど気分を一新するには丁度良いわ。
「みゆき、お昼一緒に食べない?」
「あ、はい。柊さん」
その『柊さん』って呼ばれるのは恥ずかしいから辞めて欲しいと言ったんだけど、
みゆき曰く『親しい仲にも礼儀あり』だそうで中々辞めてくれない。
私も気にしないようにしているつもりだけど、
手の届かない場所が痒いような変な感覚なのよね。
「みゆきは初日の自己紹介でクラス中を凍りつかせた泉さんと何か話をしたの?」
「まだなんです。お話をしたいとは思っているのですが中々機会が無くて」
初日からクラス全員に顔と名前を覚えさせるには十分すぎる
インパクトな自己紹介を見舞ってくれた泉こなたと話をしてみたいとは思っているのだが、
当の本人は放課後になると直ぐに帰ってしまう帰宅部らしく
私が教科書を鞄に詰めている時には既に行方知らず。
お昼休みの時はいつも寝ているから話しかけにくいのよね。
そんな感じで4月も半ばを過ぎた頃、それは突然やってきた。
放課後に糟日部駅前の本屋へ立ち寄った時、泉こなたの姿が見えたから
『本読むんだ』と物思いにふけていた次の瞬間、
目の前の男性に気付かず盛大にぶつかってしまった。
「あ、大丈夫?」
「はい。私こそすみません」
本来なら此処で終わりなのに、何故か闘志を立ち昇らせている泉こなたが後ろに立っていて
「私の学校の生徒に何をする!」
と聞こえた時には惚れ惚れするくらい奇麗な正拳突とローリングソバットが
私の目の前で繰り出されていた。
「逃げるよ!」
「え、ちょっ」
有無を言わさずに私の手を引くと、全速力で走りだしたのに
「危なかったね〜」
と、余裕で話しかけてくるこいつを見て思った事は
『小学生にしか見えない体の何処から、そんな体力が湧くのかしら』なんて、失礼極り無い事だった。
「な・・・ゼエ・・・なんで・・・ハア・・・わたしまで」
「あの場に居たら学校とか教える羽目になるじゃん。だから連れ出してあげたの」
『善意でやってあげた』みたいに言ってくれてるけど、
めちゃくちゃ迷惑だと感じるのは私の気のせいかしら?
「そういえば自己紹介まだだったね。私は」
「泉さんでしょ」
私が先に名前を言ったのが原因か、
又は走った事で脳に酸素が行き届いていない所為なのか分からないが、
泉さんは半目の瞳を若干開き『あれ?』という顔をしている。
「え〜と、何で私の名前知ってるの?」
「だって同じクラスじゃない」
「・・・あ〜、うん。そうだね」
まさかとは思うけど
「私の名前、知ってる?」
「え〜と、ちょっと度忘れしちゃって」
「高良みゆきよ」
「あー、そうだった。今後も宜しく」
やっぱり知らないみたいね。
迷惑を掛けられた腹いせじゃないけど、今日だけ『高良みゆき』を語ってしまった私って
大人げ無いかなと思いつつ、泉さんは明日になれば名前を忘れてる気がするから
『別に良いよね』と自己完結する事にした。
「泉さんは、これから家に帰るの?」
「こなた」
「へ?」
「私の事はこなたで良いよ」
「えーと、それなら私も呼び捨てで良いから」
「それじゃ遠慮無く、宜しくみゆき」
後悔先にたたずって良く言ったものだわ。
あんな嘘言わなければよかった。
こうして私は二度と駅前の本屋に行けなくなったという問題を残して
泉こなたとのファーストコンタクトに成功した。
次の日。
朝のHR前にみゆきと談話しているとこなたがやって来て
「みゆき〜。昨日はあの後、何とも無かった?」
「えっと・・・何の事でしょうか、泉さん」
「あれ?」
話が噛み合わないこなたとみゆきが頭頂部に?マークを浮かべている姿と、
それを見て事情を知っている私が笑いを堪えているという
傍から見れば何とも珍妙な光景が教室の隅で繰り広げられていたが、
黒井先生が朝のHRを始める為に元気良く扉を開けた事により有耶無耶になってしまった。
それでも私は『後で説明するか』と、休み時間が来るのを楽しみに待っていたり
『つかさに紹介する人物が一人増えたわね』などと、
今度の休日にこなたを家に招いてみようかと考えたりと
気がつけば、高校に入って初めて『楽しい』と感じた瞬間だった。
桜の花もすっかり散ってしまい、今は毛虫の寝床を提供している葉桜と
気持ち良さそうに天空を泳ぐ鯉のぼりを見ていると
ゴールデンウィークが間近に迫っている事を嫌でも実感してしまう。
そして高校に入学して以来初めて、家に友達を招く事になったのも
ゴールデンウィークに入ってからで、
みゆきは遠いから無理でも、こなたは隣町だから
もっと早く呼べば良かったと思ってしまう。
「かがみ〜、明日は鷹宮の駅前に集合で良いの?」
「うん。午前10時頃に駅前に来てくれれば迎えに行くから」
「明日が楽しみですね」
この前の騒動以来こなたとみゆきと私はかなり親しい仲となり
朝のHR前や昼休み、放課後といった学校に居る時間の殆んどを一緒に過ごしている。
こなたの第一印象は滅茶苦茶で何所かのネジが飛んだ奴かと思っていたが、
話すようになってからは、こなたに対する印象が大分変わった。
世間一般に言う『オタク』だけど、周りの空気を読む事を知っていて
からかう事をしても相手を本気で怒らすような真似はしない。
その絶妙な気遣いに、最近の私は心地良さを感じ始めているけど
本人の前では絶対に言えないセリフだわ。
その夜。
つかさに、明日こなた達が遊びに来る事を告げると『楽しみだね〜』と、
予想外の返事が来た事で思わず面喰ってしまった。
いつもは人見知りする性格が原因で初対面の友達が家に来る事を嫌がるのだが、
今日は片鱗すら見せない。
「ずいぶん楽しそうね。どうしたのよ?」
「だって、お姉ちゃんが嬉しそうに友達の事を紹介するのって初めてだから、
どんな人なのか気になって」
『そんなに嬉しそうに紹介していたかな?』と思う反面、
『いつもは嬉しく無いと言いたいわけ?』と納得出来ない物言いだが
『つかさが喜んでくれれば何だって良いわ』と結論付けてしまう最近の私って
姉バカなのかしらと本気で悩む事が偶にある。
次の日の朝は、キャンパスに描いたような青空が視界一面に広がっていて
何処を見渡しても雲ひとつない見事な快晴。
つかさも寝坊する事無く一緒に鷹宮駅前でこなた達が来るのを待っていると、
改札の出口に見覚えのある一房のアホ毛が居るのに気がついた。
「こなたー、みゆきー」
私の呼ぶ声が聞こえたみたいで、普段着だと小学生にしか見えないこなたとは正反対に
OLと見間違えてしまうみゆきが仲良く私達に近寄って来るのを見て
親子みたいと思ってしまったのは此処だけの話。
「かがみ〜、はよー」
「おはようございます。柊さん」
「おはよー」
挨拶を済ませたこなたとみゆきが、私の右隣をチラチラと見ていたのが不思議に思えたが、
つかさの紹介をしていないからだと気づいたのは若干の静寂の後だった。
「二人には言ってなかったわね。この子はつかさって言って、私の双子の妹なのよ」
「つかさです。よろしく」
「高良みゆきです。宜しくお願いします」
「私は泉こなた。かがみのピンチを救った救世主なのだよ」
先月の本屋で正拳突を見舞った事を話しているのか?
別にピンチでも何でも無かったのに勝手に現れて好き放題やっただけな気がするけど
でも悪気が有る訳じゃなさそうだから気にしない事にしている。
「すごいね〜。お姉ちゃんのピンチを救ったなんて」
気にした方が良さそうかしら。
つかさが要らぬ誤解を招かない為にも、私の名誉の為にも。
駅前で軽い自己紹介を済ませた後、家に向かって歩いている途中
つかさは何やら真剣に考え事をしていたようだが
「え〜と、泉さんと高良さんの事を何て呼んだ方が良いかな?」
蓋を開けてみれば気に掛けるのもバカバカしい内容だった。
「私の事はこなたで良いよ」
「私も呼び捨てで構いませんよ」
「でも初対面で呼び捨ては・・・そうだ!」
何かを閃いた時に見せる自信満々の顔で、つかさはこなた達を見ると
「こなちゃんと、ゆきちゃん。どうかな?」
満面の笑顔で二人にあだ名を付け、それを聞いた本人達は満更でもないみたいで、
しかも、つかさに応えるようにみゆきが私達の事を
「それでしたら私も、『かがみ』さん、『つかさ』さんと呼ばせて頂いても宜しいでしょうか?」
と言ってくれたのが何故か嬉しくて
「うん。良いよ、ゆきちゃん」
久しぶりにつかさのチャームポイントである笑顔を見ていると
この四人なら仲良くなれると確信した。
「あれ?」
駅前から暫く歩き、家の入口にある鳥居をくぐった所で
こなたが私達に何かを言いたそうな顔をしているのを見て
初めて我が家を訪れる友達が同じ態度を取る事が多いから大体の察しがついた。
「私達のお父さんは神社の神主なの。だから家も神社に併設されているから鳥居から入った方が近いのよ」
「神社の娘!という事は、かがみ達は巫女さん?」
「そ、そうだけど」
「ぬおー!」
家の前で急に叫び出したこなたの事を放っておけば良いのか、
又は救急車を呼んであげた方が良いのか、更には薬を用意した方が良いのかと
考えられる最善の方法を思い浮かべたが、結局は何も出来ずに見守っているだけだった。
「ごめんごめん。つい巫女さんに反応しちゃって」
今までそういう反応を示された事が無いので、
やはりこなたは私達とは何処か違うと再認識させられたが
「こなちゃんって面白いね〜」
このつかさの一言が可笑しくて、こなたの奇行が些細な事に思えてしまった。
こなた達が帰った後、縁側で何かをするでも無く東の空に昇った月を眺めていたら
つかさが私の隣に腰を下してきた。
「今日は楽しかったね、お姉ちゃん」
「そうね」
「また、こなちゃん達と一緒に遊びたいね」
「出来るわよ。こなたとなら夏休みになれば毎日会えるし」
「そう・・・だね」
「つかさ?」
つかさを見てみると、眩い月明かりに照らされた
まるで絵画の様な一筋の涙が私の視線を釘付けにする。
「夏休みになれば・・・グス・・・いつも一緒に・・・グス・・・居られるよね」
無理やり話しを続けようとするつかさの肩に腕を廻し軽く抱き寄せると
意思を無くした人形のように私に体重を預けてきて
狂ったように泣き続けた。
それは堰止めていたダムが破堤するよりも荒々しくて
如何なるものを飲み込んでしまいそうな勢いがあり
つかさが溜め込んできた思いの重さを初めて実感した時だった。
これ以上、無理をしなくて良いのよ
泣きたければ泣いて良い
私がしっかりと受け止めるから
つかさの泣き声をBGMにしながら見る月は、やけに霞んでしまい
満月なのか三ヶ月なのかさえ分からない程だった
24 :
22-468:2007/12/17(月) 11:17:44 ID:p4/RbtAE
読んで頂きありがとうございます。
それと前話で感想頂きありがとうございました。
※つかさが稜桜に行かないなら
こなたとかがみを同じクラスにしてみたくなり、勢いで書いてみました
こりゃまたGJ!
本来つかさが体験すべき、こなたとの衝撃的な出会いと、
こなた、みゆきと同じ時を共有するというイベントを
ねこそぎかがみに奪われる形、
作中では今だ描かれていませんが、
つかさが今、どのような学校生活を送っているか
だいたい想像が付いてせつなくなります。
どんなふうに4人が進んで行くのか、もう目が離せません。
つかさ「最近、私の出番がない、または扱いが副次的だよぉ><」
かがみ「まあ、これも私の人気のたまものってやつよねえ」
つかさ「デモソンナノカンケェネェ、この催淫バルサミコ酢で
こなちゃんは私のもの、うにょ〜ん(゚ω゚)」
みゆき「みなさん楽しそうですね、最近副次的と鼻血がデフォの
私も交ぜてくださいだばだば」
柊姉妹「アッー!!!」
こなたはだんぼーるのなかにいる
26 :
泉家の従姉妹:2007/12/17(月) 12:18:52 ID:oR4Nabvy
うふふっ、まさかお姉ちゃんも私が段ボールの内側に張付いているとは思わないよね?
すーはー すーはー……
美味しそうないい匂いだね、お姉ちゃん……ぽた
あ、涎がぽたぽた
27 :
泉家の砂糖菓子:2007/12/17(月) 13:12:36 ID:7Muga1SS
私ら、さながら囮ですZE!
28 :
14-319:2007/12/17(月) 17:51:22 ID:zFBvfPu5
どうも久しぶりです。14-319です
ちょくちょくこのスレに名無しで現れては小ネタをずっと書かせてもらっていました
久しぶりに書いたので、文章がまとまってないかもしれませんがよろしくお願いします。
久しぶりじゃなくてもまとまってなかった気がしますけどね…。
以下内容
かがみ&つかさ
非エロ
鬱?なのかはよくわからんのです
7レス使用
ん〜…っと……
静かな朝に目覚めて私は体を起こす。
近くに置いてあった時計で現在の時間を確認した。
うん、いつもどおりね。
ベットから離れて伸びをした。
「ふぅ…」
どうせつかさはまだ寝てるだろうし起こしに行ってやるか。
自分の部屋を出てすぐにつかさの部屋の前に向かう。
なんの前触れもなくつかさの部屋のドアをあけてみた。
しかし、その部屋の中にはつかさの姿が見えなかった。
…先に起きて下に行ったのかしら?
ま、たまにはこんなこともあるわね。
でも、あの子にしては早いし珍しいわね…
いろんなことを考えながら下に降りたが、それらの考えは全て打ち砕かれた。
誰もいなかった。
この家に。
洗面所、居間、お父さんとお母さんの部屋、
それに姉の部屋、家のどこを探してもいなかった。
台所にすら誰も居なかった。
なぜ?この時間なら台所には必ず誰かはいるはずだ。
お母さんはもちろん、お父さんもいるはず。
けど、あるはずの姿がないのはおかしい。
「嘘…よね?」
こんな現実…あるわけないわよね…?
どこのビックリ企画…?
「おーい」
…
「誰かー!」
…
「誰かいないのー?」
何回か大声を出して呼びかけてみるけど、当然その声はむなしく家の中に響くだけだった。
音もしない。音がするものと言えば私の呼吸と足音と心臓の音ぐらいだった。
その中で出てくる時計の針の音が耳を突く。
なぜ誰も居ない?私を置いてみんなで出かけた?
私に内緒で?そんな内緒の話してたらすぐにつかさの様子で分かるはず。だからそんな事はない。
しかし、私はそんな事があるかもと思って家の廊下を歩いて玄関に靴があるか確かめに向かっていた。
玄関に向かう時の廊下はいつもより長く感じた。
その廊下を照らす朝の太陽の光が妙に暗くも感じた。
歩いて向かった先…玄関にはなかった。
「嘘…でしょ?」
私の靴以外がいつもの場所からきれいに消えていた。
どうして……どうして誰もいないの…?
誰も…いないはずはない…。
そう思った。
…
もう、私は居ても立ってもいられなくなって行動を起こした。
まず起こした行動は電話だった。
こなたの家へ。繋がらない。
次にみゆきへ。繋がらない。
日下部にも繋がらない。
峰岸にも…。
知ってる限りの電話番号にかけた。
誰も出なかった。
居間に行ってテレビもつけようとしたが電源すらつかなかった。
いつのまにか私は自分の部屋に戻っていて着替えをしていた。
着替え終えたら脇目もふらずにすぐに家を出た。
家を出て最初に向かったのが神社だった。
ここなら誰か…いるはずだ。
しかし、歩いても歩いても人影は見当たらない。
「ほんとに誰もいないの…?」
こんな不安がたくさん溜まって行く。
そんなはずはない。
だけど、目の前の光景…朝からのことを考えたら怖くなってきた…。
神社から離れるも人はいない。ただただ家が建ってるだけ。
このまま駅へ向かってみる。
家が並んで建ってるのが少し腹立たしく感じた。
「誰の…いたずらよ…」
呟いて見るけど当然周りに誰もいないから反応はなし。
「つかさ」
呼んで見るけどもちろん反応はなし。
しかしそれだけでも『なぁに、お姉ちゃん?』というつかさの声が聴こえてきそうだった。
駅へ来るも途中、車のエンジン音も人の足音も聞こえなかった。
聞こえて来る物は自分の呼吸と足音と心臓の音だけだった。
太陽の光が妙に眩しかった。
それを受けて私はもう昼なんだと思った。
元からこの町は静かだったけどさらに静かに、そして落ち着いていた。
駅のすぐ近くに立っているけど電車はいつになってもここには来る気配もなかった。
飛行機、車、バイク、自転車、人、犬、猫、鳥さえも見えなかった。
「どうすれば…いいのよ…」
涙が出てきそうになるが堪える。
もう、どうしようもなかった。
駅から離れても離れても誰も居ない。
人が集まりそうな場所に行っても誰も居ない。
何も音がしないこの空間がさらに寂しく感じさせる。
それに人の温かさを全く感じさせなかった。
この町全体が冷たくなっている。
私は周りを見渡す。
私の目に映るものは建ち並ぶ家と長く続く道路とたまに生えている木々ぐらいだった。
人っ子一人いない所がこんな感じだなんて私は思ってもいなかった。
わずかな希望を探るように頭の中でなにかが起きるのを期待している私がいた。
しかしそれももう…だめだと思った。
こんな状況ではなにもかも潰されてしまう。そんな気がした。
…
私は無意識の内に大声を出して叫んでいた。
「誰かぁーーーーーーーーっ!!」
叫んだ瞬間、私の目の前がそこで暗転した。
―
「っ…」
…
暗闇の中に私は目を覚ました。
「はぁ…はぁ…」
今のは夢だったのよね…?
自分の頬をつねってみる。
痛い。
目が完全に覚めきっていた。
そこで私はやっと現実に戻ったという事がわかった。
誰もいない世界…かぁ…
夢でもとてもいやなものね…。
忘れたいけど忘れられなかった。
少しリビングに行って落ち着こうと思ってベットから離れて廊下に出るためにドアを開けた。
廊下は真っ暗だった。
そして、廊下に足を出した瞬間つかさの部屋から小さな物音が耳に入ってきた。
勉強でもしているのかしら?
でも……今、何時よ?
夜遅くだったらつかさが起きてるはずがないわね…。
少しの思考を頭の中でめぐらせて、
階段に向けて足を動かしていたつもりが、つかさの部屋に向けて足を動かしていた。
ハッと気付いた瞬間その部屋の前に来てドアを開けていた。
…
ドアを開けた音に反応してすぐに帰ってきた音が大きく布が擦れ合う音だった。
部屋の中は真っ暗だった。
「つかさ?」
声を出してその名を呼んでみる。
…
返事はなかった。
いないなんて事はないわよね…?
しかし布団がちょっとだけ動いたのに気付いた。
「つかさー?」
もう一度口を動かして呼んでみる。
「お姉ちゃん…?」
返事が帰ってきた。
その声の内容は間違いなく私の事を指したものだった。
…よかった。もしかしたら誰もいないと思っていたこそ、とても安心した。
そして、私をお姉ちゃんと呼ぶ存在はただ一人。つかさしかいなかったからだ。
「つかさ、そこにいるの?」
私はまた確認した。
「うん…ここに、いるよ…」
暗闇の中でもベットの上で布団を被っているつかさを確認する事が出来た。
「お姉ちゃん…こっちに来て欲しいな…」
気のせいなのか、つかさの声が微かに震えて聞こえた。
「分かったわ」
なにも考えずに返事をしていた。
暗い部屋の中を歩いてつかさが横になっていたベットに座る。
「それで、なに?」
「えっとね…一緒に寝て欲しいんだ…」
今、つかさがどんな表情をしているのかある程度は予想が出来た。
何かを怖がっている。そんな感じがつかさから感じられる。
「そんな怖がらなくてもいいわよ。私がいるから…ね?」
とにかく私はつかさを落ち着かせるよう頑張る。
「うん…」
なんでここに来てるんだっけ…?
えっと、下に行って落ち着こうと思ったらいつのまにかつかさの部屋に来て…、こうなってるわけか…。
今はつかさを落ち着かせようとしてるけど、逆に私がつかさに落ち着かされてるような気がしなくもない……。
私はつかさと一緒に横になった。
この状態だとつかさの吐息が感じられる。
そして、髪の感触も匂いも。
つかさが近くにいるということを嫌でも自覚させられる。
「お姉ちゃん…聞いて欲しいことがあるんだけど…」
「ん、なに?いいわよ、言ってみて」
「さっき…お姉ちゃんがここに来るちょっと前までに見てた夢なんだけど…」
夢…ね…。
夢と聞いてすぐに浮かび上がってきたのは、思い出したくもなかった夢だった。
「それで、その夢に誰もいなかったの。私以外の人が…」
え……?
「お姉ちゃんもお母さんもお父さんも…近所の人も、町の人も…誰もいなかったの…」
まさか…つかさが話してる夢の内容って…。
「電話をかけても、駅に行っても、歩いても歩いても誰もいなかった…」
私が見た夢と…。
「探しても探しても同じような景色だけが続いていただけ…」
同じ…?
「その辺りで目が覚めて、今…お姉ちゃんが来てくれたんだ…」
「そう…」
こんな返事ぐらいしか出来なかった。
「それが…とても怖くて冷たくて…何もなかった…」
…やっぱり私達は双子なのね。寂しがりやは私もつかさも変わらない。
そう。私はあの夢が怖くて冷たかったからつかさの部屋に来たのかもしれない。
「だから…目が覚めた時も怖くて…誰もいないと思って、部屋の中から出られなかった…」
物音がしたのはそういう事ね。
「…あそこのドアが開いた時も怖かった。けどお姉ちゃんだと分かってからとても安心出来た」
私も…つかさがいると分かってからとても安心出来た。
「お姉ちゃん…聞いてる?」
「聞いてるわよ。つかさは寂しがり屋なんだと思いながらね」
人の事言えないけどね…。
どうして私は強がりなんだろうと思う。
「うぅ…」
「それより早く寝ないの?明日も早いでしょ?」
「うん、そうだね」
つかさの返事だけしか耳に残らなかった。
そして私はつかさと一緒に目を閉じた。
…
10分ぐらいはたったか、それでもあまり眠れなかった。
気付いた時にはつかさはいつのまにか寝息をたてて私を抱き枕みたいにしながら寝ていた。
…少し、苦しいじゃない…。そんな抱きつかなくても私はどこにも行かないわよ…。
ま、たまにはこういう事も悪くはないわね。
私は、つかさの頭を撫でてあげる。
つかさが幸せそうな表情をしてるのが少し見えた。
この子といたらあんな夢もすぐに忘れることが出来そうだった。
そう思うぐらい、私はつかさを支え、つかさに支えられてる事が分かった。
「ぅ…ん…お姉ちゃん…どこ……」
寝言か…。
やれやれ…。
「…むにゃ……どこに…いくの……」
ばかね。ここにいるじゃない。
どっか行こうとしてもあんたが抱きついてるから無理よ。
「つかさ、おやすみ」
夜の挨拶をして私は目を閉じた。
おしまい
以上です。ありがとうございました。
もうちょっと修行したいですね…。
>>36 俺の脳内で即座に映像化されました。姉妹可愛いよ姉妹。
根っこのところではやっぱり似ている二人に、ぐっじょぶ。
>>24 つかさが不憫すぎるよ……
これからだんだんとつかさにも幸せになってほしいな
続きに期待です。GJです。
>>36 姉妹仲良しGJです。
お姉ちゃんぶっているけれど、
奥底ではつかさに依存しているのがいいですな。
この二人はいつまでも仲良くしていてもらいたいものです
>>11 SS書きの意見からすると、一週間で仕上げるってのは結構キツイですよ……
時期的に大晦日かお正月あたりの話だといいんじゃないかと。
二週間あれば参加者も余裕があるかと
本当にSS(ショートショート)でいいなら、数日練って校正すれば出来るんだけど
年末はやっぱりみんな忙しいかな……?
書き忘れてたけど、
>>1乙です&新作2本GJです&即死回避支援
いつの間に新スレに…?
>>1乙そして投下乙です
SSは正月前後のほうが良いんじゃないでしょうか…
ただ、投下祭になると、多くの人が興味のあるSSを投下しないと、GJすら言われなくなり、全くスルーされますがね。
コンテストみたいなもの、やれればやってみたいですね
投下できるか出来ないかはともかくとして。
コンテストかー、楽しそうだけど投下が集中しそうだなぁ
コンテスト用のはwikiにあげるってのはどうだろう、そしたらこっちは普通に続けられるけど
>>40 やっぱりコンテストなわけですし、それなりのものを書いてみたいと
二週間ってのは自分の執筆スピードに余裕見込んで設定したけれど、
ある程度余裕見込んだほうがいいと思いまして
って、結構反響ありますね。
とりあえず、仮でいいんで書きたい方何人います?
私一人目〜
45 :
20-612:2007/12/17(月) 19:23:41 ID:YiSdSTSt
空気を読まずに質問。
Tiny☆Starsの後編が長くなりすぎました……orz
書き終わってはいませんが全部で13レス分くらいにはなりそうです。
連投制限に引っかかるのも怖いので、2分割して投下したいのですけど、よろしいですか?
よろしければきょうは前半部分だけ投下したいと思います。
46 :
ようちゃん:2007/12/17(月) 19:28:29 ID:z0LqKuVj
あー。
俺、早くエロ画像
みてぇー!!
47 :
3-283:2007/12/17(月) 19:41:40 ID:nmFNd8gO
>>45 狙って誤爆スレ等に途中で行くなど工夫をして、一気に投下しても大丈夫じゃないですかね?
49 :
20-612:2007/12/17(月) 20:02:58 ID:YiSdSTSt
>>47 うわっエロッ
ひよりん、ノリにノッてやりすぎちゃいましたかwwww
ひよりは封印したいみたいだけど、
話を聞いたこう先輩やこなたあたりに見せろ見せろとせがまれそう。
続きがあるものなら、見てみたいです。
GJ!
>>48 それも考えたんですけど、自分の文章だとそれだけ長いものは読むのがつらいんじゃないかと思えたもので。
わがまま言ってごめんなさい。
では、投下したいと思います。
・こなた&かがみ
・(相変わらず)エロ無し
・7レス(前半分)
春にみゆきから突きつけられた疑問は、夏が過ぎ秋になっても解決していなかった。
いや、むしろ悪化したと言っていいかな?
こなたからのメールや電話に出なくなってしまったんだもの。
電話は留守番電話サービスに録音されたメッセージを聞くだけ。
メールも送られてきたものを読むだけになってしまってる。
結果、こなたからの連絡は減ってしまった。
でも、メール本文や録音された声に、私を責める言葉はない。
むしろ、こなたの都合でメールが送れなくなっていることを詫びる文面ばかりだ。
たぶんそれは、こなたの気配り。
高校時代にこなたに言った『こなたは社交性ゼロ』、あれは間違い。
クセこそあるものの、こなたの社交性はズバ抜けている。
なかなか会う機会のなかった峰岸や日下部たちと、あっという間に打ち解けてしまったのが、その証拠。
パトリシアさんや田村さん、岩崎さんとも知り合いになれたのも、こなたがいたからだと言っていい。
ゆたかちゃんがいたからだ、と考えることもできる。
でも、こなたがいなければ、ああまで打ち解けられなかったかも。
たぶん、黒井先生とも。
でも私は、こなたから逃げ出した。
自分自身で理由をつかめないままに。
そして自分が逃げ出したことに背を向けて、大学の仲間と遊んでいた。
楽しんでいるフリをしながら。
そんな私の様子を尻目に、つかさ、みゆき、こなたの3人は、しょっちゅう連絡を取り合っているようだった。
3人の楽しげな様子を思い浮かべ、自分が取り残されたような気になってしまう。
自分から踏み出せば3人の輪の中に入っていけるのに、そう思いながらもその場から逃げ出す私。
この時ほど自分が情けなく思えたことはなかった。
だけどそれを気にしている様子を表には出さずに、大学や図書館へ通いつづける。
自分の中のモヤモヤしたものから逃げ出すように。
まあ、講義を復習したり、学内イベントやサークル活動をしていると、時間が足りなくなるのも事実なんだけどね。
学内や公立の図書館には通いづめで、司書の人たちに顔を覚えられるほどだったりとか。
サークル活動にはほぼ皆勤状態だとか。
おかげで学内の知人友人とは、それなりにやれている。
反面、連休はおろか夏休み中もこなたと会うことはなかった。
そして結局、私の中のモヤモヤ感は消えなかったのよね。
「コスプレ喫茶、ですか?」
先輩からその話が私の元にやってきたのは、そんなある日のこと。
学園祭の催し物として、サークルのメンバーでコスプレ喫茶をやるというものだった。
すでに実行委員会には届済みで、場所も教授のコネでいい場所がとれそうだ、というところまで決まってしまっていた。
仕方がないので衣装などはどうするのか聞いてみたところ、知り合いから借りられることになっているとのこと。
「サイズとか大丈夫なんですか?」
「心配しなくていいよ」
ふいに声をかけられてふりむくと、どこかで見たような男の人が笑いながら立っていた。
少し痩せ型ではあるけれど、神経質そうなところのない男の人。
かもし出す独特の雰囲気が、この人もオタクであることを感じさせている。
どこで見たんだろうと考えていると、男の人はふしぎそうな顔で聞いてきた。
「どうかした?
俺の顔、なんかついてる?」
「い、いえ、違います違います。
ごめんなさい、ジロジロ見ちゃって。
で、矢野先輩……この方は?」
改めて話を持ってきた先輩の矢野さんににたずねてみた。
なんでも友人のツテで紹介してもらった、よその大学のアニ研OBの田村さんだとのこと。
どっかで聞いたことあるフレーズだなあとは思ったけど、あえて気にしなかった。
というより理性が拒否したんだと思う、そんな偶然があることを。
「で、柊さんはどっちにする?
奥で調理をする方に回るか、それともコスプレして接客する方に回るかだけど」
少しだけ悩んだ後、接客する側に回ることを先輩に告げる。
学園祭の喫茶店だもの、大した料理を出すわけではない。
でも、私にできるレパートリーでは喫茶店に向かないのも事実。
お姉ちゃんたちですら私の料理を『男らしい』と評するほどなんだよね。
がんばってレパートリーを増やそうと、みゆきにも教えてもらってはいる。
けど、いまだに上達の兆しが見えないんだよね、これが。
ちょっと思い出して少し凹んだことは、内緒にしておこう。
「よっしゃあ! これで売り上げNo.1はいただいた!」
私がコスプレして接客する、ということに対する先輩たちの歓迎の度合いが凄い。
なんだか、私が接客に回ることが狙い通りらしい。
そんな先輩たちの様子が少し気にはなったけど、決まった以上は本腰を入れるつもり。
で、なんだかんだでその後、男3人、女4人がコスプレをすることに決まった。
それからサークルの仲間は三つの班に分かれた。
一つ目は学祭の実行委員会と打ち合わせたり、機材の手配をする班。
ふたつ目はメニューを考えたり調理法や盛り付けを考える班。
で、三つ目が接客や衣装に似合った動き、さらには店内イベントの練習をする班。
それぞれが連携をとりながら準備をはじめることになったのだった。
「じゃ早速、衣装合わせをしよう。衣装は全部ウチに置いてあるから、みんなウチに来て」
誘われるままゾロゾロと田村さんの家に向かう私たち。
遠いから夕食もごちそうするということで、みゆきとゆかりさんに連絡。
− そうなんですか。じゃあ今夜は遅くなるんですね。わかりました。はい、ではゆっくりと楽しんできてくださいね。 −
みゆきから聞く、心の底からの優しい声も久しぶりだ。
あの日からずっと、私を心配している声しか聞いたことがなかったから。
「うん、楽しめるかどうかは……まだ゙わからないけどね。
とりあえず、どんなことになるか楽しみにしてる」
私のことばに安心したのか、みゆきの明るく笑う声が聞こえてくる。
− いいことがあると、よろしいですね。 −
その言葉に少し引っかかりをかんじたけれど、あまり気にも留めずに電話を切る。
田村さんも自宅に連絡を入れていたようだけれど、どんな話をしていたのかはわからない。
このとき聞き耳を立てておけばと、ちょっぴり後悔した。
列車の中ではそれなりにラノベやアニメの話で盛り上がる、小さめの声でだけど。
アニメを見る時間はロクに取れないけれど、なんとか話にはついていけてる。
原作を知っているおかげかな。
会話の中にときどき、独特な言い回しが出てくるけれど、それも理解できた。
たぶん、こなたのおかげ。
あいつと話しているうちにマニアックな用語を覚えてしまったようだ。
もっともこれは、感謝していいものかどうか悩むところだ。
「柊さんって、勉強一筋かと思ったら、けっこうくだけてるんですね」
「やっぱりツンデレだよ、柊さんは」
「ええっ?
ちょっと待って、なんでそうなるんです?」
私の抗議を無視してみんな納得していた。
ああ、これがこなたの言う「脳内補完」って奴ですか。
「一度そういう風に見えたら、そうとしか見えなくなる」っていう。
だけど直後、どこかで見たような雰囲気の笑顔で同級の男子が言った。
「柊さんはツンツンだよ。だって、デレがないもの」
みんながもっと納得していたのには凹んだ。
こういうとこは何とかして欲しい、マジで。
たぶん、ムリだろうけどね。
やがて話が弾む中、時折見る景色に見覚えがあることに気づいた。
(あれ、ここは?)
実のとこ、切符は先輩たちが買ったんで、目的地がわからないのよね。
渡された切符の額面を見て、けっこう距離があるとは思ってたけど。
でも、見覚えのある乗換駅に近づいていったとき、もしやという思いはさらに強くなっていた。
そして更なる幸運を願う自分がいることに少々驚いた、自分はこんなにロマンチストだったかなあと思いつつ。
やがて、よく見知った駅にたどり着く。
そこからバスを乗り継いで、さらに少し歩いたところに、田村さんの家はあった。
少し年季の入った2階建ての一軒家、それが田村さんの家だった。
「さ、ここが俺の家だ。遠慮なく上がってくれ」
うながされるままに玄関に。
みんな落ち着かなさ気にキョロキョロ見回している。
もちろん、私も。
「お邪魔しまあす」
いつまでも玄関先にいるわけにはいかないので、上がらせてもらうことに。
なんだか玄関に出ている靴が多いなあ、と思いつつ。
見たことがあるような靴が、1足だけ乱雑に脱ぎ捨ててある靴を直したあとでね。
田村さんの案内で客間に通される私たち。
大きめの客間に案内してくれたあと、田村さんが出て行く。
「衣装を持ってくるんで、しばらく待っててくれないか」と言って。
どんな衣装が出てくるんだろうかとか、うまく接客できるんだろうかと、みんな不安げに語りだす。
でも、せっかくなんだから店内でイベントなんかもやりたいよね、などという声も。
しばらくすると客間に近づいてくる複数の足音が聞こえた。
「ああ、悪いんだけど両手がふさがってるんで、襖を開けてくれないかな?」
田村さんの声に近くにいた私が開けると、大きなダンボール箱を持った田村さんが入ってきた。
だけど、入ってきたのは田村さんだけではなかった。
田村さんの後に続いて、同じように大きなダンボール箱を持った3人の女の子が入ってきたのだ。
ひとり目は田村さんによく似た雰囲気の、メガネをかけた少しボサボサ気味な長髪の女の子。
そして2人目はブロンドのショートヘアーがよく似合う、活発そうなアメリカ人の女の子だった。
もちろん、ふたりとも見覚えのある子だった。
だけど最後に入ってきた女の子に、私の目は釘付けになっていた。
小学生と見間違えそうになるほどに、小柄で長髪の女の子。
私が会いたくないと思い、そしてまた、とっても会いたいと思っている女の子。
その子は、猫を思わせるような笑みで私を見ている。
驚きのあまり私は、大きな声で話しかけてしまった。
「田村……ひよりさん! パトリシアさん! こなたっ! 何であんたたちが?」
「柊先輩、こんばんは」
「かがみ、久しぶりですねえ」
「かがみん、やっと会えたね」
口々に話しかけてくる3人を見て、私は確信した。
というか、これが現実であることを突きつけられたと言った方がいいかな。
そしてその間、私の時間は止まっていた。
誰もピクリとも動くことなく、静寂が8畳の客間を支配している。
なんだか、「ザ・ワールド!」というこなたの声が聞こえたような気がした。
けれど、ほほ笑んでいるこなたの口は動いていない。
たぶんそれは私の心の中で聞こえた声。
こんな時にまでこなたの声が聞こえてくるなんて、どうなってるんだ私。
驚きが薄れると共に私の視界が歪んできた。
そして私の頬を熱いものが流れていく。
たぶんそれは、私の涙。
逃げ出したいけど、近寄りたい、そんな思いが交錯している。
頭の中が冷静になれないまま体だけが動き出す、静寂を破って。
みんな驚いてたけどそんなことにはかまわず、こなたに近づく。
心の奥底で、会いたいと思い続けていた人の名前を口にして。
「こなた……」
歪んだ視界のまま近寄ろうとして足がもつれ、前へと倒れこんでしまった。
こなたはとっさに箱を脇へ落とし、私を抱きとめる。
すると、私の顔がこなたの胸にふわりとおさまった。
「かがみ、大丈夫?」
「うん、ありがとう」
こなたは私が膝立ちの状態になるまで、抱きしめていてくれた。
ようやく落ち着いて話ができるようになったころ、ニンマリ笑いながら言う。
「どれみ、捕まえた」
「莫迦……」
こんな時までアニメネタかい……そう思いつつもうれしさのあまり、それ以上突っ込むことができなくなっていた。
かわりに私もこなたを強く抱きしめる。
「会いたかった、でも……」
「言わなくてもわかってるよ、かがみん」
コツンと額を合わせ、見つめあう。
トクン、トクン、こなたの胸の奥から心臓の脈動が伝わってくる。
トクトクトクトク、私の心臓が早鐘を打つ。
こなたの顔が赤くなってる。
私の顔も赤いだろう。
何も言わずに、ほほ笑みあう。
抱きあう腕に力が入る。
『こなたが好き』
そんな言葉が頭に浮かぶ。
でも、それは愛情?
それとも友情?
整理のつかない私の気持ち。
そこに背を向け逃げ出してたんだ。
この思い、知られたらきっと嫌われる。
そんな思いが背中を押して。
でも、こなたと離れたくないという気持ち。
ずっと一緒にいたいという、私の気持ち。
これだけは真実。
心の中を吹き抜けていた、すきま風がやんでいる。
どこからか湧き出ていた、孤独な思いが消えている。
体の奥から熱い思いが溢れ出す。
こなたの顔を見続けるうち。
抱きあう私たちの間では、2人だけの時間が過ぎていく。
静かに、静かに……
けれどその時間は、あっという間に終わりを告げた。
「ああ、そろそろいいかな?」
呆れ顔で言う矢野先輩に続いて、ひよりさんとパトリシアさんが言ってくる。
「柊先輩、大胆ッスね」
「かがみ、こなたと百合百合だったんですね!」
あわてて離れると私たちが注目の的になっていることに気づく。
何とか誤解を解こうと必死になればなるほど、シドロモドロになってうまく言葉が出てくれない。
「いやあ、バレちゃったね、かがみん」
なに落ち着いてんのよこなた!
それじゃ、まるで私とこなたが……レ、レ、レ、レズだって言ってるようなものじゃない!
あんた、『リアルで百合属性ない』とか言ってたクセに、それでいいの?
と、とにかく否定しなくちゃ!
「ちょ、おま、なに言ってんのよ!
先輩、ひよりさん、パトリシアさん、みんな、違うから!
私とこなたは、そんなんじゃないから!」
ああ、なんか逆効果だったみたい。
みんなの私たちを見る目が生暖かい気がする、なんとなく。
なんとかしなくちゃいけないわね。
このままじゃみんなに誤解されちゃうじゃないの。
こなたと私がレズだって。
それだけは避けなくちゃ!
絶対に!
私のためにも、そして、こなたのためにも!
「柊さん、落ち着いて。
みんなわかってるから、今のが冗談だって」
「へ?」
うつむき気味に考えこむ私に、矢野先輩が声をかけてくる。
見ると、パニックになっているのは私だけだった。
先ほどまで感じていた生暖かい視線は、かけらも存在していないことに気づいた。
あ……これって、もしかして?
「柊さんて、落ち着いたイメージがあったんですけど、意外にあわてやすいんですね」
同じ講義で会うことの多い女の子が、目を丸くしていた。
やっちゃいました、私?
穴があったら入りたい、その言い回しがよく理解できた瞬間だった。
私がへたりこんだ直後、大きな笑い声が部屋中に響いた。
そこから先、話が弾んだことは言うまでもない。
「いやあ、まさか柊さんが『こなたとパティ』の知り合いだったとはねえ」
矢野先輩がにやついた顔で言う。
ああ、コスプレ喫茶をやろうというだけあって同じ穴のムジナだったんですね、先輩。
たぶん、そんな思いが顔に出たのだろう、こなたまでもがにやついた顔で言う。
「まさかお店の常連さんが、かがみの先輩だったなんてねえ」
ああなるほど。
だから『コスプレ喫茶をやろう』って言い出したんだ、矢野先輩。
てか、先輩の趣味全開ですか!
だけど、なんかおかしい。
何でここまでお膳立てされてるのよ。
私とこなたの再会が!
これはたぶん、何かあるな。
そう思った私は、こなたに質問をぶつけてみた。
「ところで、こなたさん。
なんでこんなにも都合よく再開できたのかしらね?」
なかば言いがかりに近い私の質問に、こなたは言葉をつまらせた……って、ええっ!
まさか、あてずっぽうが大当たりなの?
だけど、いつまでたってもこなたは話してくれそうにない。
「あんた、私に隠してることがあるでしょ?
さっさと話しなさいよ!」
私の勢いに気おされたのか、口をモゴモゴさせていたこなたがポツリポツリと話しはじめた。
「い、いやあ。それはね。かがみがなかなか会ってくれないからさ。
あっちこっちのツテを頼って、ね……」
なんでも田村さんは、ひよりさんの2人いるお兄さんのうちの下のお兄さんなんだそうだ。
で、そのお兄さんの大学時代の後輩の友人が、私と同じ大学に在籍していて、その友人の先輩の、そのまた友人の弟が、矢野先輩だということらしい。
なんだかややこしいわね。
57 :
20-612:2007/12/17(月) 20:09:26 ID:YiSdSTSt
ああ、注意書きに「オリキャラあり」って入れとくの忘れてたよ……orz
とりあえず今夜はここまで。
続きはまた後日ということになります。
58 :
ひよりん:2007/12/17(月) 20:12:45 ID:L2rQ7ik/
>>47 ぬおっ!久しぶりに私の出番っすかGJ!
あの憧れのお二人を描いてくる上で、
しっかり私にエロに絡めてくるとは流石っす!
でもいいんすか?他にいっぱい可愛い子いるってのにわざわざ・・・
むぅ・・・私そんなに可愛くないってのに・・・
パティ「なにいってるデスか!ひよりんのPrettyさはグンバツネ!
日本のフジョシ(腐ってもいマスが、もう一つの意味デス)ネ!」
みなみ「私たちでこんなに・・・彼女・・・よっぽど・・・溜まってるみたい・・・
だから・・・ゆたか・・・」
ゆたか「うん!慰めてあげようね、私たち手伝うよ!」
ちょwwwwwみんな何じりじり近づいてるッスか!?
手ワキワキってwwwwwみんな目が尋常じゃないしwwwww
こういうのは泉先輩の専売特許じゃないっスkwwwwwアッー!!
59 :
ひよりん:2007/12/17(月) 20:25:19 ID:L2rQ7ik/
わりこんでしまったっす・・・orz
すまないっす・・・orz
それはそうと、
>>57もGJ!
ようやく・・・という感じ、
積年の、というと大げさだけど、
きっとかがみ先輩の思いはそれほどだったと思うっすよ!
さあそして季節は冬、どうなっていくか楽しみッス
久しぶりに王道カポゥもみられたし眼福ガンプクwww
って!みんな!まだ私っすか!?
みなりん、「復讐は・・・こんなものではない」って何っすか!?
ゆうちゃん、「おねえちゃんはかがみ先輩に任せて・・・」って、え!?
パティ!「ジツワワタシズットマエカラオシタイモヲシテ」って日本語壊れてる!
私こんなキャラじゃないってのにwwwwwwアッーーー!!
>>57 あくまで意地を張るかがみと
その性格を見越した再会劇にニヤニヤが止まりません
かがみの性格がじれったくてしょうがなかったのですが
ここで止められるのもちょっと辛いですw
>>58 なんであなたがここにいるw
>>47 なんかエロSS書きながら勃っちゃって思わずヲナってしまったあの日を思い出した
62 :
ぶーわ:2007/12/17(月) 21:38:27 ID:0Xy7fLlm
「好きなわけないだろ」
そんな、十文字にも満たない言葉。
その文字を租借するたびに、喉の奥で詰まった玉子焼きがファイナルベントしだす気分。
おかげで飲み込むのが大変で、気分は下の下だよ。
カラオケで十八番のレミ○ロメンも上手くサビが伸びてくれないしな。
多分歌詞が気に食わないんだな、うん。
歌い終わった後に、次の曲を確認。
……うん、タイトルからにアニソンだな。
ったく、カラオケなんだからもっと俺達にも分かるやつを歌えばいいものを。
「おいこなた、次お前だぞ」
「あ、うん」
マイクを差し出す……っと、持つ方はこっちか。
「うお!」
ガシャンと無機質な音が外から漏れる音楽と混ざり、ざらつく不協和音。
手渡したはずのマイクが空に弾み、机に急直下したからだ。
おいおい、いつのまにお前はドジっ子属性がついたんだ? つかさやみゆきじゃあるまいし。
「ごめん、取り損なっちゃった」
それを拾うと、歌詞のでる画面に向かう。
ん? 何だか違和感。
今眼を逸らされなかったか?
「いいご身分ですね」
と、席に戻るとみゆきに睨まれた。
なんだ、こなたの隣りに座れなかったのはそんなに悔しいのか?
それともさっきの曲のサビでムセた所為か?
「どういう意味だよ、そりゃ」
「別に、なんでもありません」
ドシン、と音を立ててその不機嫌な顔の横に座る。
おい、狭いんだから詰めろよ!
「なんでもないこたないだろ、含んだ言い方しやがって」
「鈍感って、時に罪ですよねってことです」
「だから分かんねっつうの!」
「しっ、泉さんが歌うんだから黙っててください!」
ああもうこいつら嫌い。
俺の向かいでもさっきまでつかさが俺を睨んでたし……ちなみに今は右に同じだ。
まぁ確かに、歌は上手いからなこなたは。
さっきの平野の新曲も良かったよ、って今度も平野か。
でも今日はなんかいつもより声が出てる気がする。
なんていうかそう、投げやりに歌ってるんだよな。
それを愉快に盛り上げる馬鹿二人……げに男とは情けなし。
しかしそんなに好きなのかね、その……こなたが。
イマイチ俺にはまだその可愛い云々の話が分からん。
だってほら見ろよ、歌う姿は雄々しいが如何せん身長がな。
良くて中学生、ヘタすりゃ小学生……犯罪レベル!
……。
まぁきっとそのおかげだろうな、俺達が仲良くやっていけてるのって。
隣りでこなたの歌声に呆けてるメガネがいつか言ってたんだよ。
こんな男女の関係は奇跡だとかなんとか。
確かに奇跡といえば聞こえはいい。
だけど要は、こなたに魅力がないって言ってるようなもんだろ?
……いや、あるんだっけ? 今それを議論してるわけか。
そうだそうだ、そこで問題が起きてるわけだ。
その奇跡から外れた……そこの馬鹿二人。
「おい馬鹿一号」
「なんですか? その馬鹿より成績の悪い脳みそ甘露煮君」
てめーに勝てるかっつの!
くそっ、一声かけるとすぐこれだ!
甘露煮は上手いんだぞ!
「お前は、こなたに告白する気はあるのか?」
こなたの歌声に紛れて、その言葉がようやく相手に届く。
ピクン、とメガネの奥の眉が動いたのは見逃さなかった。
「……ふぅん、ただの鈍感甘露煮じゃないみたいですね。こんな本人の居る所で言うあたりはめがっさKYですが」
甘露煮はもういいっつの!
いいんだよ、どうせ自分の歌声で聞こえてねーから! お前の席ねーから!
「確かに、君の危惧してるとおりです。私かつかさ君が告白すれば……今の関係は壊れてしまうでしょう」
俺達だって男。そしてこなたは……女、一応な。
その関係に気がつけば、確かにこの関係は終わる。
だってそうだろ? 断るにしても受け入れるにしても、あとの二人は除け者だ。
残念無念、俺達の友情も愛情の前では塵に等しかったってか?
「つかさ君も、それを心配していましたよ」
「あいつが?」
向かいの席でこなたの隣りという絶好の場所をゲットした所為もあってか、如何せん鼻の下が伸びてる弟に目をやる。
なんだそりゃ、俺は聞いてないぞ!
「まぁかがみ君は違うクラスですしね、ホームルームの後に相談されましたよ」
おいおい、まじかよ。
あのつかさがそこまで積極的だとは、お兄ちゃんびっくりだ。
ってゆーか普通恋敵に相談するか? 相談相手ってのはちゃんと考えような。誠○ね!
「俺はお前らを応援してやりたいところだが……そういう話だったお断りだぞ?」
俺は今のこの瞬間が楽しいんだ。
みんなとカラオケで馬鹿騒ぎして、遊びまわってさ。
それをぶち壊そうってんならラブコメ展開なんてお断りだね。
あれだほら、卒業式ぐらいにでも勝手にやってくれ。
「重々承知ですよ、私もつかさ君もね。所謂紳士協定というやつです」
じゃあなんだ、どっちもこなたには告白しないってか?
んだよ、俺の知らないところで色々話が進んでるな。
まぁつーか俺は今回蚊帳の外みたいなもんだからなぁ……。
おっと、そうこうしてるうちに曲が終わったか。
ぬおおっ、92点? 俺の粉雪の89点をあっさり抜きやがった!
いつも競るけど負けるんだよなぁ……い、いやまだ終わらんよ!
俺はここからがクライマックスだぜぇええ!!!
「そろそろ時間だってさ」
……とか意気込んだところで、部屋に備え付けの安っぽい電話をつかさがとった。
なんかそんなわけで、皮肉屋メガネの妙に低い地○の星で幕を閉じた。
お前好きだよな……その曲。
そうしてカラオケは終わった。
帰りになんか、こなたをどっちが送るとか揉め始めたから頭にきついのを据えてやった。
ったく、下心がみえみえだぞお前ら。
あわよくば部屋に上がりこもうって腹だろ!
まぁどうせこなたのおじさんに睨まれて退散することになるから一緒だよ。行くだけ無駄無駄。
あの人男には厳しいんだよなぁ……そんなに娘が大事かね。
俺なら送り狼にはならないから送ってやるか、とも思ったが馬鹿二人が鬱陶しそうだから進言するのもあほらしかった。
「さぁて、俺らも帰るか」
こなたも去ったところであとは男三人、むさ苦しいったらないな。
ん、なんだよお前ら。
何変な目で見てるんだ?
ああ、あれか。さっき殴ったのを怒ってるってか。
「かがみ君」
「お兄ちゃん」
ゆっくりと近づいてくる二人。
お、おーい二人とも、目が怖いデスヨ?
何をそんなに怒ることがあるんだ?
やっぱあれか? 貴重な送り狼のチャンスを失ったからってか?
いや、なんかもっと別の殺意めいたものを感じるが……。
「一発は、一発ですよ?」
「必殺……僕の必殺技」
ちょ、鈍器はらめええええ!
……。
フクロにされ遠ざかる意識の中で、別れ際のこなたの笑顔が不意に浮かんだ。
あれは、笑ってたんだよな? よく分かんないけど。
まぁ、俺が気にすることじゃない……か。
(続)
「好きなわけないだろ」
そんな、十文字にも満たない言葉。
それが一文字ずつ、私の胸に釘となって突き刺さっていく。
毒の塗られたその釘が私の血に混じり、体を蝕んでいく。
痛いのはどうして? なぜならそれが、毒だから。
苦しいのはどうして? なぜならそれが、何の毒か分からないから。
だから、笑うしかない。
皆と騒いで、馬鹿みたいに声を張らして歌って。
頭が真っ白になるくらい、息が出来なくなるくらい……何も考えられなくなるくらい。
「おい、こなた」
「!」
『彼』の声が耳を劈き、体が強張る。
どうしてだろう。
心臓の脈打つ音が、酷く耳につく。
声をかけられただけなのに、顔すら見れない。
「次お前だぞ」
マイクを突きつけられ、少し呆気に取られる。
ああ、そうだ。
皆でカラオケに来てるんだっけ。
それで今、私の番が回ってきたんだ。
「あ……うん」
手を伸ばし、『彼』の手からマイクを受け取ろうとする。
でもそのマイクが、空中で不自然に回転した。
その所為。
その所為で一瞬、私の体に電気が走る。
「うお!」
ガシャンという音と、彼の驚いた声が耳に届く。
彼の指と触れた指先が、まるで火傷をしたみたいに痺れていた。
「ごめん、取り損なっちゃった」
手早くそれを拾い上げると、彼の顔も見ずにカラオケの画面に向かう。
突き刺さった釘が、胸をえぐり刺激し始める。
駄目だ、変な事考えちゃいけない。
そうだよ、歌えばすぐに忘れちゃうような些細な事。
ほら、私の好きな平野の曲の前奏が騒がしく鳴り出した。
そんな気分じゃなくても、音に乗ればいい。
それだけで、今はそれだけに集中出来る。
うん、この曲は得意なんだ。100点だってとったことあるし。
ってのは嘘か、でも95〜97ぐらいならスタンダードで出せるもんね!
よぅし、今日こそ100点を……。
「……なたに、」
「っ!」
だけどサビで舌を噛む。
鉄っぽい味が邪魔をして、上手く舌が回らない。
向かいの席から聞こえてきた声。
私の歌声で紛れたけど、かすかに聞こえた。
なた? なた……鉈? 嘘だ!
いやいやいやそうじゃなくって、多分こなた……私の名前、だよね?
……かがみが、私の話をしてる。
そ、そりゃするよね。今歌ってるのは私なんだし。
おでこに拍手打って「まいったぜ」ぐらい言ってるんだよきっと。
うん、きっとそう。
私の歌声に参ってるんじゃないかな、あははっ。
……。
だ、だから別に気にすることじゃなくてええとっ、うんっ。
うああ、今歌詞間違った音外したぁっ!
「わぁ、凄いやこなちゃん。92点だってさ、お兄ちゃんにまた勝っちゃったね」
ようやく曲が終わり、席に座るとつかさが呑気に話しかけてきた。
……隣りに座ってるんだからそうやって名前ぐらいだしても普通だよね。
「あんがと。つかさっ」
うん、普通だ。
みゆき君。うん、これも普通。
そして……むぅ。
みゆき君の隣りに、視線を滑らせようとしてやめる。
私って結構図太いって自覚はあったのにな。
結構……気にするほうみたい。
昼休みのあんな言葉、引きずってるなんて。
「そろそろ時間だってさ」
みゆき君のこぶしの聞いたプロジェ○トAが耳を流れる途中に、つかさが割って入る。
そっか、三時間なんて四人だったらあっという間だったね。
「あれ、もう暗いやっ」
「ですね、日が暮れるのも早くなったものです」
みゆき君が相変わらずの物腰で空を見上げる。
もうそろそろ肌を打つ風が冷たくなってきたころ。
「送るよ、こなちゃん。一人じゃ危ないしね」
「あははっ、いいよそんなの。平気平気」
「いけませんよ、最近は不審者も増えてきてるといいますし」
妙に二人が突っかかってくる。
それぞれに手を掴まれ、断ろうにも断れない。
そこで……妙な事を考えた。
手が三つあったら、どうなってたかなって。
……掴んで、同じ事言ってくれた?
ははっ、馬鹿な妄想。ゲームのやりすぎかなっ。
「何言ってんだ馬鹿ども」
「んがっ」
「ごっ」
妙な奇声をあげて二人が悶える。
その拍子に、二人の手が外れた。
「かがみ……」
視線が交わった。
ずっと……避けてたのに。
そしてまただ。
心臓がまた、跳ねた。
そのまま、切り裂かれることも知らずに……みっともなく。
「そんなガキみたいなやつ、襲うやつ居るかよ」
「……っ」
思わず伸ばしそうになった手が止まり、行き場をなくす。
彼の放った言葉が、私の心の釘を打ち付けていく。
どうして痛いの?
だってそれが、毒だと分かっているから。
どうして苦しいの?
それが何の毒だか……分からない、から。
駄目だ。
笑え。
……笑えっ。
「そ、そう……だよっ」
ようやく漏れた言葉が上擦ってて、みっともなかった。
大丈夫、ほら笑えるよ?
だってほら。
今は、笑うところ……だもん。
「二人とも心配性だよねっ、私みたいなの誰も相手にしてくれないよっ」
「そうそう、視界にも入らないってな」
「あははっ、酷いなぁーかがみは」
笑うたびに、その釘が奥へと進んでいく。
彼の笑顔を見るたびに、さらに奥に……奥に。
いっそ、その毒が私を殺してくれればいいのに。
だけど私には分からない。
その毒がなんなのか。
ううん、少し違う。
分からないんじゃない……分かりたくないんだ、きっと。
「んじゃ、そういうことだから」
「こ、こなちゃんっ!」
「泉さんっ!」
二人の声が聞こえない振りをして、そのまま踵を返した。
返した踵は戻せない。
だって振り返ればきっと私の顔は……笑って、なかったから。
(続)
69 :
ぶーわ:2007/12/17(月) 21:53:21 ID:0Xy7fLlm
ばるさm(「スルーされたとです、つかさです、つかさです」
何がともあれGJ、このこじれていく様がたまらぬ。
こうなったら徹底的に
かがみにはキョンを
みゆきには古泉を
通していただきたいものです=ω=.
そしてつかさには国木田をw
>1
新スレ乙です。
問題なければ投下いたします。
>47
GJ!
ひよりんエロすぎw
規制に負けずがんばってください。
>>70 いやいやしかし、出番のそんなに多いわけでもなかったキャラが、ちょっとした
きっかけで大ブレイクすることだってあるわけだ。
某谷口みたいに。
>>69 GJ !
うわああぁぁぁぁあ・・・こなたside切ない・・・
かがみの鈍感振りがエロゲ主人公を髣髴とさせていい感じですw つか、意地を張ってるだけだな
続きが気になる
74 :
23-251:2007/12/17(月) 23:37:38 ID:5sUX2beY
「Elope 」第2話
・こなた×ゆたか
・非エロ
・続き物
・シリアス
2.
瞼をあけると列車は駅に停まっている。
車内は消灯されているものの、微かなざわめきが耳朶を叩く。
「どこだろう? 」
時計の針は4時を回っている。窓の外に視線を移すとホームの
看板には「豊橋」と書かれていた。
隣に座っているゆーちゃんは、眠りについている。
「ん…… 目が覚めちゃったよ」
私はひとりごちると、席を立ってホームに降り立つ。
「寒っ」
冷気が四方から襲い掛かり震える。
私は、ホームの自販機で缶コーヒーを買って車内に戻った。
温かいコーヒーをすすりながら、トランクの脇から時刻表を
取り出す。
ぱらぱらと捲って、東海道本線(下り)の欄を開いて、
隅っこの方に、「ムーンライトながら」の記載欄を眺める。
この列車は豊橋駅には4時55分まで停車するようだ。
時刻表を何気なしに眺めていると、再び急に瞼が重くなる。
「睡眠用にいいかな…… 」
ぼんやり考えながら、再び眠りの井戸に落ちていった。
再び起きた時は、既に目的地が迫っていた。
一年で一番、日差しが短い時期だけど、仄かに東の空が
白みがかっている。
私は、まだ眠っているゆーちゃんを揺り起こした。
「ゆーちゃん。起きて」
「ん…… うーん」
暫くの間、ゆーちゃんはしきりに瞼を瞬かせており、
「あ、お姉ちゃん!? 」
まだ、意識がはっきりしていないようで、しきりにあくびを繰り返す。
「ゆーちゃん。もうすぐ着くから」
「ご、ごめんなさい」
列車は、各駅に止まりながらも着実に進んでいく。
住宅街が過半を占めていた視界に、ビルが目立つようになる。
周囲の乗客も各々の荷物を取り出し始めて、車内は一気に
騒がしくなる。
「次は、名古屋です…… 名古屋では7号車から9号車までの
切り離しをいたします」
車掌のアナウンスが頭上から聞こえてくる。
私とゆーちゃんはトランクをかかえて立ち上がった。
夜行列車は、6時7分、定刻通りに名古屋駅に滑り込んだ。
ホームに降りると、まだ6時を回ったばかりだというのに、
既に通勤客が忙しなく構内を行き交っている。
「お姉ちゃん。えっと、どうすれば…… 」
見知らぬ土地に降り立った、ゆーちゃんは戸惑いを隠せず、
不安そうに私を見上げている。
「ゆーちゃん。私とはぐれないでね」
「う、うん」
ゆーちゃんはこくこくと頷く。
何気ない仕草の一つ一つが、萌え要素になってしまうところが、
ゆーちゃんの罪づくりなところだ。
私達は改札口を通り、広いコンコースを歩いていく。
駅と一体化している高島屋の入り口を眺めながら、『桜通口』
と、いわれる東側の出入り口を出ると、高層ビル群が視界に入った。
まだ小さい頃、お父さんに連れられて来た時とは街並みが
一変している。
「さてと、時間をつぶさないとね」
小さな車輪つきのトランクを引きずっている、ゆーちゃんに
声をかけた。
流石にこの時間から、『知人宅』に押しかけるのには問題がある。
「ゆーちゃん。まずは朝ごはんを食べにいこっか」
「うん」
私達は、地下街へ降りた。
名古屋の人は地上を歩かず、地下を歩く、といわれるのは誇張では
あっても虚偽ではない。地下に降りると人の密度が明らかに増える。
私はガイドブックを眺めながら、迷宮のような地下街を歩き回り、
開店したばかりの飲食店に入る。
モーニングを頼んでから、ゆーちゃんに声をかけた。
「疲れた? 」
「うん…… 少し」
いくら質の悪くない座席とはいえ、夜行列車で一気に東京から
名古屋まで移動したのだ。
体力に自信のない、ゆーちゃんが疲労するのも無理はない。
「お姉ちゃん。あの…… 知り合いの方の家ってどこなの? 」
少し緊張気味に、ゆーちゃんは話した。
「地下鉄でひと駅だから、すぐ近くのはずだけど…… 」
私は、昨日プリントアウトした地図を取り出す。
「えっと、地下鉄『東山線』ひがしやませんって読むのかな?
の隣の駅だね」
私は『伏見』と書かれた駅を指差した。
伏見駅から更に5分ほど歩いた場所に、私達の目的地がある。
私は電話を取り出して、お世話になるひとに電話をかけた。
コール音を2度聞いただけで、すぐに相手がでる。
「もしもし、いず…… 」言いかけて私は、慌ててハンドルネームを
名乗る。
『あっ、貴方でしたか。おはようございます。今どこに? 」
「名古屋駅の地下街です」
『もう準備はできていますから、来ていただけますか? 』
「すいません」
『では、よろしく』
短い会話が終わる。
「待たなくても良くなったよ」
私は、ゆーちゃんに笑顔を浮かべて言った。
ぎゅうぎゅうに混んでいる地下鉄で揉まれた後、7時30分を
過ぎる頃には、マンションについていた。
玄関の前に備え付けてあるインターホンを鳴らす。
「今、あけるから」
扉が開かれると、20代後半の男性が招きいれてくれた。
「急で申し訳ないんだけど…… ちょっと集合時間が
早まっちゃたのでね」
荷造りを既に終えていた男性は、申し訳なさそうにいう。
「それは、かまいませんけど…… 」
「僕が、家に戻るのは1月12日だから、それまで自分の家だと思って、
自由に使ってくれていいよ。集金とかそういう理由で押しかけてくる
連中は無視してもらっても構わない。全て口座振替にしているから」
それでも、私達にコーヒーを振舞ってくれながら、男性は笑顔を
崩さずに言った。
「あと、途中で家に戻りたかったら、鍵は、管理人に預けてくれるかな。」
「…… 分かりました」
既にこのひとには事情を伝えていたが、ここまで至れり尽くせりだと
流石に恐縮してしまう。
「本当に、ありがとうございます」
「せっかくのリアルな邂逅を、堪能したいのは山々なんだけど…… 」
苦笑しながら彼は、私の耳元で囁いた。
「自分の『旦那』がこんなに可愛い子だなんて、いろんな意味で
衝撃的だよ」
結局、ネトゲ上では『嫁』となっている男性は、9時前には海外旅行に
出かけていってしまった。
独身男性の一人住まいの部屋としては十分すぎるほど部屋は広いし、
掃除も行き届いている。
つまり…… 当面やることがほとんどない。
「ゆーちゃん。もう少し寝ようか」
「うん。実は昨日よく眠れなかったの」
「あれぇ? ゆーちゃんも」
私の記憶では、ゆーちゃんはすやすやと眠っていたと思っていたけど。
「ううん。電車が止まったとき。えっと、静岡と浜松だったかな。
目が覚めちゃって」
「その時は、私は寝ていたよ」
「あはっ、入れ違っちゃったんだね」
ゆーちゃんは透き通るような笑顔は、私を心底嬉しくしてくれる。
それだけに、ゆーちゃんの笑顔を奪っていた人達を、決して許す
つもりはなかった。
「ゆーちゃん。いっしょに寝よう」
「うん」
きちんと整えられていたベッドに一緒にもぐりこむ。
「こなたお姉ちゃん」
「なにかな? 」
「お休みのキス…… して」
小さな唇を心持ちあげて瞼をつぶる。
私は、ゆーちゃんの背中に手を回すと、ゆっくりと唇をふさいだ。
感想、ありがとうございます。
「ながら」は、一度、その前の大垣夜行も乗ったこともあります。
大垣夜行のシートはひたすら直角で硬かった。
次回は、こなたとゆたかの同棲生活編となるのか、それとも……
GJ!空気感が伝わってきていいなぁ。
逃避行の行方、気になります。
今気付いたけど前々スレ(26スレ)まだ落ちてないんですねw
検索すると、3スレ並ぶのが何だか不思議ですね。
>>81 GJです。
伏見駅とか、物凄く馴染みのある駅が出てきて…つい想像しちゃいましたよ。
84 :
ちび:2007/12/18(火) 00:32:19 ID:wAWKxcZE
すごい・・・。
ホントになんであの旅行の空気が出せちゃうんだろ・・・。
ていうか、この先をどのように想像しても
果てしなく鬱展開が広がるような気がするのは
私の気のせいでしょうか。
空気とか生活観とかがリアルなため、
なおさら重く伝わります(´・ω・`)
ひとえに、こなたの力量に全てが・・・ッ!
久しぶりに、パワフルこなたがみれるか!
それとも、このスレの流れに相応しく悲壮感こなたとなるか!
ゆたか「おねえちゃん、あらぬ方向に指差して何してるの?」
86 :
書く人:2007/12/18(火) 01:08:38 ID:x3AmYT8D
>>81逃避行の雰囲気がよく出ていてGJ!
さて、ぶーわさんに負けないように頑張ります。
ベッドの上で向かい合いながら座るこなたとゆたか
どこまで言っていいか分からなかったこなた、はこんな風に切り出した。
「異性同士での恋愛感情なしでの友情って…ないのかな?」
つかさとみゆきのことは伏せた。しかし彼らと面識のあるゆたかには大まかな状況が理解できることだろう。
「…えっとね」
少し考えるそぶりを見せてから、ゆたかは言う。
「私は……二つは―――恋と友情って似ているものだと思うんだ」
「似てる?」
Yes、Noを聞くはずのクローズドクエスチョンに対しての第三の答え。
こなたは耳を傾け、一方のゆたかは少し恥ずかしそうに…
「私ね……実は、この間……みなみ君に告白されたんだ」
「っにゃうっ!?」
いきなりの爆弾発言。
まったくそんなそぶりも見せていなかったというのに…!
いや、一週間くらい前に、少しぼうっとしていた日はあったけれども…!
「そ、それで、どう思ったの!?」
「そりゃ、びっくりしたよー」
詰め寄るこなたに、ゆたかは苦笑する。
「私、みなみ君のこと、本当にただの―――ううん、ただのじゃないや。
大切な、一番の親友だと思ってたのに、いきなり女の子として好きだなんて言われちゃったんだもの」
「……裏切られた、って思った?」
ゆたかは首を横に振る。こなたはその表情を注視するが、無理や嘘を付いているようには見えない。
「どちらかというと、ちょっと嬉しかったかな。私みたいな子のことを、女の子に見てくれて。
もちろん、最初からそう言うつもりで私に親切にしてくれてたなら少し傷ついたかもしれないけど、そんなんじゃなくて、
いつも一緒にいたら自然と好きになってたって言ってたし…」
つかさやみゆきも、きっとそうだったのだろうと、こなたはゆたかの話を聞きながら思った。
きっと一緒にいる内にそう言う気持ちが育ってきたのだろう。
「それで、ゆーちゃんはOKしたんだよね」
先を促すために、こなたは確認をする。けれども
「ううん」
「っっんにゃうっ!?!?」
首を横に振るゆたかの姿は、先ほどを上回る衝撃だった。
え、で、でも…!
「あ、ふったんじゃないよ!そうじゃなくて…保留させてもらったんだ」
「そ、そういうこと…」
こなたはいつの間にか乗り出していた体を横に倒す。
感じるのは脱力感と、ちょっとした失望。
今日も学校で、ゆたかとみなみが仲良くしているのを見かけていた。
告白を断っても、友情を保てる一例というわけではなかったようだ。
「けど……やっぱりふっちゃうんだよね?友達としか見てられないんだから……」
「そうでも……ないよ」
「え?」
うつ伏せになっていたこなたは、顔を上げて改めてゆたかを見て…はっとした。
そこにあった、妹同然に思っていた少女の顔が、なぜか自分よりずっと大人びて見えたからだ。
「あのね、お姉ちゃん。みなみ君に告白されたとき……少しだけ、私、ここが変わっちゃったんだ」
ゆたかは胸に手を添える。
「心の中でね、みなみ君に向かってた想いの―――友愛っていうのかな?そんな感情のベクトルが、そのままちょっと方向をかえたの。
―――恋愛の方に」
告白された時の胸の高鳴り。それを思い出すように目を閉じるゆたか。
少しだけ桜色に染まった、僅かな微笑み。
きれいだな、とこなたは思った。
「この変わったベクトルが、変わった心が、ただの一時的な気の迷いか、本当に変わってしまったのか分からなかったから、
だから、本当に変わってしまったって確信できるまで、待って貰うことにしたの。勇気を出してくれたみなみ君には悪いけどね。
―――それで、さっきの答えなんだけど」
我知らず見とれていたこなたに、眼を開いてゆたかは言う。
「好きって感情は友情とか、家族愛とか、恋愛とかいろいろあるけど…みんな同じなんだと思う。ただその方向が、ちょっとだけ違うだけで。
そして、人の心は変わっていくものだから。いろんな楽しいことや辛いことや、そんな風にゆっくりと変わっていくものだから。
だから…きっとその心のベクトルも、少しずつ変わっていくものなんだよ」
「どうにもならないこと…なのかな?」
「努力することも大事だと思うよ。ゆいお姉ちゃんときぃ兄さんも、そうだったから。
ただ好きってだけじゃなくて、相手をもっと好きになろうと努力してたし、今でもそうしてる。
けれど……努力だけじゃどうしようもないこともあると思う」
「そっか…仕方ないことか…」
移り変わってしまう人の心。それは季節ごとの花の色と同じく、抗いようのないものだろうか?
「あ、だけどね!悪いことじゃないと思うよ。変わっていくのは」
俯きかけるこなたに、ゆたかは言う。
「私、みなみ君に告白されたとき、すごくドキドキした。
今、みなみ君のことを考えても、やっぱりすごくドキドキする。
不安になったり、怖くなったりすることもあるけど……誰かを好きになる、恋をするって、素敵なことだよ。
だから―――お姉ちゃんも、自分の心のベクトルが変わっちゃったことを、クヨクヨする必要はないと思うよ」
「……ふえ?」
不意に、話題の先を見失った。
こころのベクトルが変わった?
誰の?
私の?
ああ、そういうことか。
こなたは理解した。どうやらゆたかは、こなた『が』みゆきやつかさを好きになって悩んでいるのだと勘違いしたらしい。
「あ、あれ?違うの?」
こなたの様子に、自分が何かを間違えたと気づいたらしく、ゆたかはつぶらな瞳をパチクリとさせる。
「ちがうちがう。多分ゆーちゃんが想像してたのと事実は違うと思うよ」
「え、そうなの、私てっきり―――」
てっきり、何だろう?
私がみゆき君を好きになったと思ったのだろうか?
私がつかさを好きになったと思ったのだろうか?
私が―――
「てっきり、鏡センパイのことを、好きになっちゃったのかと思った」
―――何かが、変わった。
「―――そんなわけ、ないじゃん」
「…お姉ちゃん?」
違和感を、ゆたかは感じた。
「ありがとね、ゆーちゃん。相談に乗ってくれて!」
こなたはベッドから降りて立ち上がる。
表情はいつもの垂れ目と猫のような口元。
「しっかし、いつの間にそんなイベントをクリアしてたのかなぁ。しかも私たちに黙って
後で告白の様子とか、しっかり聞かせてもらうよ?」
いつもと同じ表情と、いつもと同じ声音に、いつもと同じ言葉。けれど…
「え、や、やめてよぉ!恥ずかしいよぉ〜」
けれど、何かが違う。
答えながらも、うす布をはさんだような違和感を、ゆたかは感じた。
「まあ、その辺りはゆい姉さんが来た時にでもじっくりと。お風呂入ってくるねぇ」
適当に着替えを掴むと、こなたは部屋を出て言った。
違いはない。
普段のこなたと、何ら違いはないはずだ。
「気のせい、だよね」
自分に言い聞かせるように呟くゆたか。
その過ちを、彼女は後で後悔することになる。
まずは上着を脱ぐ。
「――なわけ、ないじゃん」
ズボンを脱ぐ。
「かがみを好きだなんて―――」
シャツを脱ぎ、
「―――そんなこと―――」
ブラを脱ぎ、
「―――あるわけないじゃん」
パンツを乱暴に脱ぎ捨てた。
脱衣所の床に散乱する服。
一糸まとわぬ姿になったこなたは洗面台の鏡を見る。
「こんなに、ぺったんこで、お肉とかも付いてないのに…」
言いながら、けれど事実は違った。
かがみの向こうに居たのは、確かに……
「私……女なんだ」
胸には確かに、僅かながらも脂肪が集まり、慎ましやかな丘陵を作っている。
同年代の少女と比べては劣るものの、広い骨盤の周りには肉が集まり、細いウェストとの外周差によってくびれを作っている。
思春期の、少女の体。そして心も。
『おっす、こなた』
かがみの声が聞こえた気がした。
『なんじゃそりゃ!』
からかうと直ぐに真っ赤になって怒るかがみ。
『しょうがないなぁ』
あきれながらも宿題を見せてくれるかがみ。
『確かに臭いよな』
とりとめない世間話で笑顔を見せるかがみ。
いろんなかがみの姿が脳裏を横切る。
いろんなかがみの声が耳朶を震わせる。
笑うかがみ。怒るかがみ。呆れるかがみ。そして――
『俺、親友、だろ?』
「止まってよぉ…」
胸を押さえながら、こなたは苦しげに言う。
けれども動悸は止まらない。
みゆきに抱きしめられた時よりも早い鼓動。
つかさに押し倒された時より深い鼓動。
今までの人生で感じたことのないほどに強い鼓動を、ただ彼のことを想うだけで感じる。
もしもあの時―――今日の教室で肩に手をやられただけでなく、そのまま抱きしめられたらと想像すると、その鼓動はさらに激しくなる。
彼のことを…かがみのことを…
「なんで……私……!」
言葉にしたくなくて、言葉にしてしまえば戻れなくなりそうで、けれども言葉は止まらなくて――
「好…きぃ……」
Clrt+Alt+Deleteは、ない。
気づいてしまった。
ゆたかの言葉を借りるのならば、心のベクトルが動いてしまった。
ゆたかとの会話で元から恋心の方に向かっていたことを気付かされたのか、それともゆたかの会話がベクトルを変えたのか。
それは分からない。ただ厳然とした事実が一つ。
自分は―――泉こなたは柊鏡を、好きになってしまったのだと。
「なんで…みゆき君やつかさじゃないのかな…?」
せめて彼らのうちのどちらかを好きになったのだとしたら、少なくとも一人を傷つけるだけで済んだのに。
「なんで…今さらなのかな…?」
親友でいて欲しいと頼ってその舌の根も乾かないうちに…。
親友であると、親友でいてくれると言ってくれた日のうちに…。
「なんなんだろうね…」
可笑しくなる、自分の心が。
「どうして…女なんだろ、私」
少女としての心と体。
こんな体だから、みゆき君とつかさの心のベクトルを変えてしまった。
こんな心だから、かがみの厚意を裏切るような想いを抱いてしまう。
性別。いかんともしがたい、壁。この問題の根本。
「どうして…」
鏡を見る。
膨らまないことが不服だった胸が、みっともなく腫れあがった煩わしいものに思えてきた。
ひそかに自信があったウェストのくびれが、貧弱に痩せ衰えた醜いものに見えてきた。
そうじろうが愛用する剃刀。安全剃刀ではない、刃物といて十分な機能を持った、剃刀。
洗面台に置かれたそれが、こなたの目に入った。
彼女は、それを手に取った。
【泉こなた閑話・了】
91 :
書く人:2007/12/18(火) 01:14:42 ID:x3AmYT8D
あらかじめ言っておきます。死にません。
次は柊兄弟のターンです。
では
>>91 リアルタイムGJ!!!
やべえええええええええ続きはやく! はやく!
なんてところで終わらしてくれるんだあんたって人は!
続きに期待しております!
>>91 三行「んふっ、こまったものです・・・」
司「おにいちゃんのくせに・・・」
鏡「な・・・なんだよ2人とも・・・やるってのか・・・」
2人「GJ!!」
鏡「( ゚д゚ )」
ついにこな☆ターンキタ━━(゚Д(○=(゚∀゚)=○)Д゚)━━!!!
もうwktkするしかない(゚∀゚)
>>91 GJです
ぶーわ氏とはこれまた違った切り込みで面白いです
しかしやはり着地点は同じ?
続きに期待大です!
ちょ、こなた!何しようとしてるんだァァァァ!?!?
……それにしても、TSのおかげで、らき☆すたでは書けなかった男女の関係が書けるようになったのがいいですな。
祭りになかなか参加できない俺涙目。orz
さて、投下いいでしょうか?
中国は広州よりお送りします。7レス、エロなし、CPなし、こな&みさ&かが。
この三人の組み合わせ好きなもんで。すいません。
たぶん「喧嘩をやめて」と同じ時空の話。
最近SS書いてないなぁと思って、ネタ帳から引っ張り出してきました。
時間の都合でイマイチ練れてないけど……orz
「……たのむ、ちびっ子! 力貸してくれっ!!」
教室の空気が、ピシッ、と音を立てて凍りついた。
昼休みの3年B組。
私の前で土下座してるのは……みさきち。
かがみも、つかさも、みゆきさんも……みんな、目が点になっちゃってるよ。
私とみさきちは、決して仲が悪いわけじゃない。
最近は私がC組に遊びに行ったりもするし、休みの日にはみんなで勉強会をしたことだってある。
だけど、冗談半分とはいえ、かがみを取り合うライバルでもある私たち。
みさきちに土下座なんてされる、筋合いも脈絡もなんにもないはずなんだよね。
「ちょ、ちょっとみさきち、顔上げてよ……体裁悪いよ〜」
だけど、みさきちは簡単には顔を上げようとしなかったんだ。
……いったい何なのさ、この展開!?
――――――――――
Runners
――――――――――
「いやさぁ……実はさ」
やっと顔を上げたみさきちは、ぽつりぽつりと語りだした。
高校最後の陸上、千六百メートルリレー。みさきちの最後の晴れ舞台。
よりによってこの大事な時期に、我らが陵桜学園陸上部は食中毒患者を出してしまったんだそうで。
メンバーが集まらない中、どうしても勝ちたいみさきちが最後に頼ったのが、私ってことらしい。
「あんたの足の速さは私が保証するからさ……頼む! 力貸してくれっ!!」
また土下座しようとするみさきちを、つかさとみゆきさんがあわてて制する。
「ん〜……だけど、ぶっちゃけ私、走るの好きじゃないしな〜……」
「こなた、日下部がこうまでして頼んでるんだから、引き受けてあげなさいよ」
「そうは言うけど……」
「またアニメか? 録画して後で見ればいいじゃないの」
確かに、「ゴールデンタイムのアニメが見られない」って理由で、帰宅部を貫いてきた私。
……でも、今私が渋ってるのは、そんな理由じゃない。
そりゃ、私だってちょっとは運動には自信あるよ。
……だけど、労せずして能力に恵まれただけの私が、今まで頑張ってきた陸上部のみんなを差し置いて、晴れの舞台に出て もいいのか、ってことが、どうも引っかかってた。
私のキャラじゃないから、おくびにも出さないけどさ。
「う〜ん……」
「泉さん……日下部さんがこれほど頼んでらっしゃるんですから、考えてあげてもいいのでは……」
「そうだよ、こなちゃん。こなちゃんならきっと大丈夫だよ」
みさきちを両側から羽交い絞めみたいにしたままで、みゆきさんとつかさが同時に言った。
少しだけ非難の色が混じった、二人の視線が痛い。
「……わかったよ、今回は協力したげる」
「!! ……ちびっ子、いや泉さん! ありがとうっ!!」
二人を振りほどいて、みさきちがまた土下座モードに入った。いや、だからやめてってば。
全裸待機!wktkしてます!
たまにはみさお分も摂取しないと!
―×― ―×― ―×― ―×―
「……あ、こなちゃんだ。おはよー」
「おっす、こなた」
「おふぁよぉん」
爽やかな朝の光の中で、一人だけ爽やかでないやつがいる。
自慢のアホ毛は垂れ下がり、目の下には隈。ひょろひょろと歩いてくる姿を見ていると……
「まぁたネトゲーで徹夜か? ……今体調崩すようなことしてどうすんのよ。ちょっとは自重しなさい」
……なぜだか、無性に腹が立ってきた。
「いや、まあ、その」
歯切れの悪い返事が、また私をイラつかせる。
「まあ、普段やりつけないことをすると、けっこう堪えるね」
「言ってる意味がわからんわ」
「だいじょーぶ、だいじょーぶ。ちゃんと約束は守るヨ」
半分夢の中にいるような顔で、のほほんと返す。
まったく……マイペースにもほどがあるわ。
「おー、泉、おはよう」
「あー先生、おふぁようございまふ」
「なんや、干物みたいな顔してからに」
「干物って……まあ、いろいろと大変なんですヨ」
「大変? インできへんほど大変なんか」
イン……って確か、ネトゲーにアクセスすることよね。
こなたのやつ、ネトゲーで寝不足なんじゃないの?
「もちょっとだけ待ってくださいよ〜、先生。もちょっとで終わるんで」
「なんや、つれへんなぁ……ギャルゲーでも攻略しとんのか?」
曖昧に笑ってごまかすこなたを見ていると、またちょっとイラッときた。
日下部の期待を裏切るような真似をしたら……いくらあんたでも、ただじゃおかないわよ。
―×― ―×― ―×― ―×―
「……ふうっ、すっかり遅くなっちゃったじゃないの」
一日一日と日は長くなってきているけど、さすがにこんな時間になると、道行く人の姿もよく見えない。
誰そ彼時、とは、昔の人もよく言ったものよね。
明日発売の最新刊。我慢できなかった私は、生徒会のあとちょっとだけ足を伸ばした。
早売りの本屋を何軒も回って、ようやく見つけたのは倖手市のはずれにあるお店。
そういえば、こなたの家ってこの近くよね……
「……ほっ、ほっ、ほっ」
植え込みの向こうから、足音とリズミカルな呼吸が聞こえてくる。
確かに誰かいるんだけど、ここからではよく見えない。
彼方から聞こえてきたそれは、私の脇を抜けて……
低い植え込みの向こうに、一本だけ立ち上がった青い髪が見えた。
「……こなた……何やってんの?」
「うぉっ!? かがみん!?」
足音が突然止まって、アホ毛が左右にぶんぶんと振れる。
「こっちよ、こっち」
つま先立ちで、植え込みの向こうを覗き込む。
肩を大きく上下させながら、見上げるようにこちらを見ているこなたの姿があった。
ランニングシャツにトレパン、ジョギングシューズ。見た目にはいっぱしの市民ランナーって感じ。
「……なんだ、ちゃんと練習してんじゃないの」
「いや・これは・その・ちょ・待っ・」
「……とりあえずクールダウンしなさいよ、待っててあげるから」
もうちょっと遅くなる、と家に電話を入れて、こなたと二人で公園のブランコに腰を下ろす。
首の後ろでまとめた長い髪。何本かの毛が、汗に濡れた額に張り付いてる。
水をかぶったように汗に濡れたシャツを透かして、飾り気のないスポーツブラが見えた。
「落ち着いた?」
「んく、んく、……ふうっ。……な、なんとか」
九百ミリリットルのポカリを一気に半分近く飲み干して、こなたが大きく息をついた。
いきなり呼び止めたのは、ちょっとまずかったかしらね。
「まったく……ちゃんと頑張ってるなら、なんでそう言わないのよ」
いささか呆れながら、聞いてみる。
「いや、ほら、あるじゃん? 私のキャラとかさ〜」
「よくわからん」
よくわからん、とは言ってみたものの。
確かに、いつものこなたらしくないっちゃないかもしれないわね。
でも、そんな事より、こうやって真剣にトレーニングに励んでるこなたが……なんだか、とても愛らしかった。
―×― ―×― ―×― ―×―
青空はどこまでも高く、見上げたその先で、夏近い太陽がその存在を主張している。
歓声と声援の中、先頭のランナーが目の前のトラックを駆け抜けて、第一コーナーに差し掛かっていく。
陵桜チームは第四位。先頭集団からは……引き離され気味だ。
グラウンドを隔てた向こう側で、次の走者がグリッドに入っていくのが見える。
その中には、ひときわ小さいあいつの姿。
「こなちゃーん、がんばってー!」
「つかさ、気が早いわよ」
「だ、だって……」
目を点にして、上下に飛び跳ねながらつかさが言った。……あんたのほうが、こなたよりよっぽど緊張してないか?
第一位、第二位。次々とバトンが渡っていく。
最後の力を振り絞って、陵桜の選手がリレーゾーンへ飛び込む。
こなたへとバトンが渡り、前走者がくず折れるように膝を突く。
その執念が乗り移ったかのように、はじけるような勢いでこなたが走り出した。
……一瞬、その足元がおかしな動きをしたのが気になったけれど。
ストレートでスピードを乗せて、そのままの勢いで第一コーナーへ飛び込んでいく。
アウトから強引にパス、第三位へ浮上する。たなびく長い髪が、残像のようについていく。
第二位との距離が、少しずつ、少しずつ縮まっていく。
「よーっし、行けー、こなたっ!!」
「こなちゃーん! ガンガン抜いちゃえー!!」
「泉ちゃん! お願いっ! みさちゃんに……っ!!」
「泉さんっ! ファイトですーっ!!」
気がつけば、みんな声を涸らして叫んでいた。
私も、つかさも、峰岸さんも、そしてみゆきまでも。
「お姉ちゃーん! がんばれー!!」
「泉先輩……頑張って……!」
「Oh! beautiful! 戦う者は常に美しいのデース!」
「泉先輩! スプリンターっス! 小山ゆうっス! 神の領域を見るっス!!」
そしてそれは、ゆたかちゃん達も同じだった。
田村さんの言ってることは、相変わらずわからないけど。
目の前のストレートを、矢のようにこなたが駆け抜けていく。
だけど、その表情を見た時。ヒートアップしていた私の心は凍りついた。
……その表情は、明らかに苦痛に歪んでいたから。
最終コーナーを抜けて、ホームストレートへ。
順位は第二位。……あと一歩、あと一歩が届かない。
リレーゾーンには、タスキをかけた日下部。こなたにタイミングを合わせて、スタートダッシュに入る。
「……みさきちぃぃぃっ!」
こなたが、吠える。
「任せとけぇっ!」
日下部も、吠える。
地面を大きく蹴って、飛びつくように。
こなたの手から、日下部の手へ。
バトンが、渡った。
……スローモーションのように、こなたが姿勢を崩して転がるのが見えた。
「泉さんっ!!」
「こなちゃん!?」
「こなたっ!?」
ゴロゴロと地面を転がったこなたは……綺麗な横受身を決めた。
そういや、格闘技経験者だったわね、あの子。
「よいしょっと」
ひょいっと起き上がり、ぱんぱんと服の砂を払う。
私たちの視線に気づいたのか、頭を掻きながらこちらに向かってVサイン。
「……ふーーーっ」
安堵の吐息を後ろに聞きながら、私はトラックに沿ってこなたのほうへと駆け出していた。
――いやー、さすがに追っつかなかったよ――
――あんたは十分頑張ったわよ、後は日下部に任せときなさい――
―×― ―×― ―×― ―×―
……結局、私ら陵桜学園陸上部三年生の最後のリレーは二位に終わった。
最後の大会、念願の一位を取ることはできなかったけど……
私も、ちびっ子も、そしてみんなも。全てを出し尽くした清々しい気持ちで、二番目の表彰台に立つことができた。
こんな時、オタクなら「燃え尽きたぜ……真っ白によ」とか言うんだろーな。ちびっ子でも言うのかな?
応援してくれたみんなは、なぜか泣いてた。
悔し涙じゃないと思う。たぶん、感動ってやつなんだろーな。
柊もしっかりもらい泣きしてやんの。可愛かったよなー。
言ったらすっげー剣幕で怒られるから、言わないけどさ。
夕陽に染まった国道に、私と柊、そしてちびっ子の長い影が伸びている。
パーティーの準備をするといって、みんなは先に帰ってったけど、柊はちびっ子と一緒に帰ると言ってここに残った。
「いやー、ちびっ子、今日は本当にありがとうな」
もう何度目かわかんねーけど、私はちびっ子に心から礼を言った。……なんか、何度言っても言い足りねーんだよなー。
「ごめんねー、もう一歩で頭取れると思ったんだけどなぁ」
「バカゆーなよ。あっちだって全力疾走してんだ、全力疾走すれば勝てるってモンじゃないZE☆」
どんなに頑張っても、陸上競技の勝者は一人、いや一組か、しかいない。
二位以下は最下位と同じ、なんて言った選手がいたけど、それは違うだろ、って私は思う。
そんな気持ちで走ってたら、ほとんどの陸上選手が報われねーじゃん。
自分に勝つことができたら、そいつらはみんな勝者なんだぜ。
「……さて、と」
「どったの? 二人とも、急に立ち止まったりして」
柊と二人で、ちびっ子の方を振り返る。
「ちびっ子、あんた足くじいてるだろ」
「えっ?」
「無理してたってわかるわよ」
柊に相談された時、やっぱりな、って思った。
前走者からバトンを受け取った時、「あ、やったな」って思ったんだ。
無理して隠してたみたいだけど……私と柊の目はごまかせねーぜ。
「いや、全然大丈夫だよ?」
そういって笑ってみせてるけど、右足に体重かけないようにしてんのはバレバレだっての。
「まったく、こーゆーのはすぐに言わないとダメだぜ? ……ほれ」
ちびっ子の前で腰を下ろして、肩越しに振り返る。
「え?いや、大丈夫だってば」
おーおー、慌ててる慌ててる。らしくねーけど、なんか可愛いじゃん。
「いーからいーから、ほれ、早くおぶされって」
「ホント、大丈夫だってば〜」
「はいはい、そうね。大丈夫ね」
「ちょ、ちょっとかがみん、押さないでよ〜」
柊の声とともに、背中にのしかかるような感触があった。ナイスアシストだぜ柊。
「立っていいわよ、日下部」
「おっし、行くぜ〜」
「ひゃわわっ!?」
両足を内肘に挟んで持ち上げる。後ろに転びそうになったちびっ子を、背中から柊が支えた。
「お、下ろしてよ〜、大丈夫だよ〜〜……」
「うひゃ、ちびっ子って見た目よか重いな〜」
「大丈夫よ、私がこうして後ろから支えてるから」
「ちょ、かがみ〜、お尻触ってる触ってる!」
「我慢しなさい、こうしないと支えられないじゃないの」
「ぅゅぅぅ〜〜……」
ちびっ子の頬が赤いのは、夕陽の照り返しだけじゃないと思う。
柊がニマニマと笑ってんのが、その証拠。
さーて、帰ろっか、名誉の負傷兵。みんなが待ってんぜ。
― Fin. ―
以上です。
スポーツこなたが書きたかった。後悔はしていない。
……ごめんなすい、最後のところとか心情的にはこなみさかがなんだけど、展開的にはかがみさこなかもしれないorz
一応、まとめWikiは検索しましたが、なんか同巧ネタがありそうでハラハラしてます。みのがしてくれよう。
書き始めとか展開が、どうにもワンパターンなんだよなぁ……
ぶーわさんの構成力とか分けてほしいっす。orz
ニヤニヤさせてもらいましたGJ!
ヨヒデハナヒカヨヒデハナイカ
クルシフナイチコフヨレ
かがみ「だまれこなた」
まずはGJ
こなたはやっぱり、やればできるこ
一度やる気を出したらとまらないこ
ということが再認識される、いい作品です。
107 :
97:2007/12/18(火) 01:49:30 ID:sXqalz+v
割り込みゴメン、吊ってくる
それでもGJ!
みさお分がみwなwぎwってwきwたwwwww
スレ立てから一日も経ってないのにもう100KBとかこのスレの職人様達は化け物かっ!(誉めてます)
まとめてで申し訳ありませんがGJ!!
「んふっ、これがこのスレの住人の力です。あと私の」
「お前何もしてないだろ」
「考えてもみてください、私のような天才メガネっ子、ツンデレツインテール、天然バルサミコ酢のような存在が都合よく一同に介するように登場するでしょうか?」
「知らねーよ」
「時にこな☆フェチでの私は、過激でしょうか?」
「過激だよ!」
くっ・・・もう我慢できん・・・
悪いが、言わせてもらうぞ!
snegのような出来事なんてな、
そおー簡単に転がってるものか
隣のヲタは理想(本音)
理想過ぎて回答がみつからねえ!
意味不明ボケをやめろ!
鼻血を止めろ!
人の話をきけ!
アーーーーッ!!!
111 :
ちび:2007/12/18(火) 03:33:13 ID:wAWKxcZE
当たり前なのかもしれないけれど
自分のがあの好きな保管庫にあるってのが物凄い嬉しい・・・。軽く死ねそう。
やっぱ酷いから、恥っっっっっずいけれど。
管理人様ホントに拙作をわざわざ普通に扱ってくれてどうもありがとうございます。手間かけました。
絶対いいの書けるようになってやる!!
112 :
ちび:2007/12/18(火) 03:38:16 ID:wAWKxcZE
あ、名無しさんなのか・・・。ありがとうございました。
>>69 うぅむ…胸が痛い…気になる人から、
例え相手側にそんな気持ちがなくてもそんな言葉聞いちゃうとキツいよね…
ぐぁ…絵、消えてるorz
>>91 さらに胸が痛い!そしてなんてところで止めてしまうのか!
親友であることを求めて、
その日のうちに自分の本当の気持ちに気付いてしまうってのもきついなぁ…
例え最悪の結果にならないと事前に言われてても先が若干怖い。
しかし気になってしまう読者の性。
Tiny☆starsでようやくの再会があったと思ったら遷移状態のこなかがが切ないし、elopeのこなゆたはどう考えても明日がないし、
SEXCHANGEのこなたは切るのは髪か手首かって感じで激しく心配だし、妄想屋さんちのスポーツこなたは青春なんだってヴぁ!
まあ要約すると、皆さんぐっじょぶでした。
こなた「ほんっと、ここのあたしって、なんかネガティブ展開だったり、
総受け展開だったり、繊細展開だったりで元気ないよね」
かがみ「あんたなんかまだいいわよ」
つかさ「そうだよこなちゃん」
こなた「へ?どゆこと」
かがみ「私らなんか・・・・男 に さ れ る 始 末 なんだからね!」
こなた「うぐっ・・・そりゃまあ、確かに・・・」
みゆき「あなたがたはまだ幸いです。
わたしなんかだばだば、これですよだばだば」
こなた「・・・今の立場、甘んじてうけます・・・」
>>116 「でもね、お姉ちゃん。私、今の流れって『なるべくしてなった』、って気がするんだあ」
「えっ?」
「どゆコト? つかさ」
「だって、作品が1000本超えちゃってるんだよ。作家さんたちだって、ネタに困ってるんじゃないかな?
みんな、書きたいんだけどネタがないなあ、ワンパターンになっちゃうなあって悩んでると思うんだ」
「確かにそれはありそうですね……」
「だから、ちょっとだけ違った世界の話が出てくると、あっという間にお祭りになるんだと思うよ。
ゆきちゃんが鼻血出しちゃうのも、お姉ちゃんがお兄ちゃんになっちゃうのもね」
「ふむ。一理あるわね。シチュエーションさえあれば、いくらでも展開が沸いてくるってことね」
「みなさん、すばらしい才能をお持ちですよね」
「火種さえあれば、爆発的に燃え上がる……それがクリエイターというものなのだよ!」
「ふーん、消費専門のあんたが言うわねー」
「むー、かがみんは辛辣だなぁ。SSの中じゃあんなに可愛いのに」
「う、うるっさい!」
「……ところでさー」
「何よ?」
「私たちが今こうしてしゃべってるのも、原作とはちょっとだけ違った世界だよね」
「え、そうかしら? ……私たちはちゃんと女の子だし、みゆきは鼻血流してないし……」
「……つかさの指摘が鋭すぎるっ!(ビシッ)」
(ナニーー!? こ、こなちゃんのくせにーー!!)
118 :
名無しさん@ピンキー:2007/12/18(火) 12:13:03 ID:pxvn+qV/
>>117 火種ならば、昔からフィクションの題材になっているこんなのはどうか
人々を救うため、みwikiん法師とその一行が転軸(=東京外神田あたり)にありがたい教典(=wikiデータ)を求めに旅をする物語。
みwikiん法師「御仏のご加護です(どばー)」
こな悟空「あちゃー!ぼんぼーあ えっごーあ まうんたぃんとっ…」
かが浄「って河童かよ!大体なんで中国の伝奇に日本の妖怪が出るんだ!」
つ八戒「えええ!?私ぶたさんなのー?ぶひー(;>。<)」
さらにこんなのはどうか
みーwiki姫「……」
ジャンこなた「狭いもんだよ銀河系♪」
サーかがみ「元ネタがわかんねーよ」
ドンつかさ「やっぱりぶたさんなんだ…orz」
ラッキー☆スタージンガー
ごめん。ageちったorz
解除きたあああこの2週間の間に投下した皆、GJだったぜええええ!
俺だけかも知れんが、ここ最近の男化の流れは理解不能
落ち着いたらまたおにゃのこの方に戻ってきてくだしあ
>>121 俺も好きなキャラが男化されてるの読むの嫌だな
まあSSの前に大体TSありって書いてくれてるし読み飛ばせばおkじゃね?
>>117 「つかさが突っ込みっていうなら、私がばるさみこす〜とか言えばしっくりくるのかなこの場合」
「かがみんだと萌えないなあ」
「なんだと!」
「でも、自分を突っ込みって認めるとは流石はかがみんw」
「う…うるさいっ!」
「では私は、どうすれば宜しいでしょうか?ぇと…て、てもて?」
「(おのれ…みゆきさんめ…この天然っぷりは毎度ながら卑怯だ…)」
TSって聞くとどうも某MMOを思い出す
ごめん、独り言だ、ヌルーしてくれ
「んふっ、とうとう恐れている事態が起きてしまいました」
「前スレの埋めで言ってたやつか?」
「そうです、どうやら皆さんの百合萌は私たちの予想を遙かに超えてしまっていたようです」
「確かに、まさかこんなに速いとはな」
「さすがに騒ぎすぎたのが原因ですね、埋めだけでなく小ネタにまで使われていますから」
「しかしそれは仕方ないだろ、結構な人が乗っかっちゃったわけだし。小ネタまではさすがに取り締まれん」
「問題はというと、きちんと注意事項などを書いてTSものを連載してる方々の肩身が狭くなってしまうことです。ですからこうやって言い出さないように軽くプレッシャーをかけてたわけですが」
「まぁ埋めネタなんか目を通さない人だって居るだろうし、読んでてもいい加減スルー出来なくなったって人も居るだろ」
「そうですね、その点では責任の一端は騒いだ我々にあるわけです。代わって謝罪しましょう」
「1スレか……短い命だったな」
「ええ、観測する対象が存在するから観測される対象が存在しうる。人間原理の根本です」
「悪かったなこいず……みゆき、さんざん悪口言って」
「いえいえ、なかなか歯ごたえのない相手でしたよ。……と、皮肉を言えるのもこれが最後です」
「みゆき……」
「かがみ君……」
『だ、ダメですぅっ! 801は禁則事項なんですよ!』
「あ、神様」
「出番なしうにょ〜ん」
「おっけ、わかったわ。……ヌル〜〜」
「えっと、ヌル〜〜……こうでいいのかな?」
「はい、ヌルーですね。……えっと、ヌル〜〜……」
「ちょ、みんな、ヌル〜〜ってそーゆー意味じゃ、な、あ・あ・あんっ」
「……ふふっ、こことかどう? 重点的にヌルーちゃうわよ〜?」
「こなちゃんがあえいでる……こなちゃんがあえいでるよぅ……かわいい……はぁはぁ」
「泉さんはこのあたりが弱いようでつね、メモしておきばしょう(だばだば)」
「ひゃぁぅぁ! い、
>>125のバカぁぁ、ぁ、ぁ、あぁぅ……ん・ん・ん・んんぅっ!!」
「私はTSと聞くと、某SRPGを思い出すね〜」
「裁判になったことで有名なアレか」
「かがみ、結構詳しいね?」
「その手のゲームは嫌いじゃないしね」
「そういえば、あのゲームにもツンデレのお姫様とかいたよね〜?」
「いや、たしかにあれも一種のキャラゲーだけどな……
というか、ツンデレから離れろよ」
連載してる人たちはちゃんと注意書きしてるわけだし、何の問題もないかと
大概かがこなだから逆に新鮮で楽しいけどな
むしろスルーできないほうが問題
男化も普通に楽しんでますけどね
>>129 小ネタや返事にまで男化を使ってるからスルーできないし文句が出ていると思う
>>129 同意
キャラに愛があれば、性別変わろうがかんけーねぇ
それが愛だよ(=ω=.)b
>>130 その小ネタのほうでスルーできない人が出てきて、連載してる人が肩身が狭くなるのが問題って126は言いたいんじゃないかな
>>131 つまりTSが受け入れられない人はキャラに愛がないと?
それは暴論極まる
あと男体化なんてニッチなTSの中でも更にニッチだってことは理解しておいた方がいい
>>132 連載してる時は注意書きあるけど小ネタまでは注意書きを書けないから
嫌いならスルーしろって言うけど読むまで分からないでしょ
名前に分かるように何かつけるとかしたほうがいいかなと思う
連載の終了、TSブーム、1000作品突破…
規制にかかって書き込めない間に様々なものがこのスレを通り過ぎていった。
それらにリアルタイムでレスできなかったのは少し悲しいけど、
それら全部を包括する意味でこの言葉を書き込んでおきたい。
みんなGJ!
136 :
126:2007/12/18(火) 15:37:14 ID:GPVOggb+
つまり小ネタにするほうにも非があるわけで、そっちを叩かれるのはともかく
ルールを守って連載してる方々まで肩身が狭くなるのはおかしいんじゃないかと言いたかったわけです
小ネタみたいにして逆に混乱させて失礼
いつものゆる〜いエロパロスレにお戻りください↓ 今後は
>>134のとおり小ネタで使うときも名前欄にTS注意ぐらい入れるべきかと
ここの流れの速さの一因に、SSの感想まで科白形式のコネタにして投下するということが挙げられるかも
感想じゃ注意書きは入れられないし、となると科白形式自体を自重したほうがいいのかな……?
うわ、リロ忘れorz
「ゆきちゃん、何かいい解決方法はない?」
「そうですね……。
やはり小ネタでも、どこかにTSと入れておけば
後は各自の専用ブラウザのNGワード機能などでフィルタをかけられますから
今後はネタ師の方々も一言書いてくださると助かりますね」
「専用ブラウザのNGワードにはお世話になるよね〜」
「お姉ちゃん、セリフ形式ネタとかTSネタ自体も自重した方がいいのかな?」
「それは違わない? 書く人の自由なんだしさ」
「そだね。 まあ、SS職人さんもネタ師さんも閲覧者さんも、
それぞれ互いを気遣うってことでFAじゃないかな?」
あ、勘違いしてたらすまん
自分も科白形式書いたことあったので、自重しておこうかな
というだけで、他人にも強制しようって意味じゃないです
ごめんなさい
>>131 それはどうよ。
TSが受け入れられても、そうじゃなくても良いじゃない。
受け入れられないからなんなのかと。
ごめんちょっといらっときたから樹海いってくる
143 :
7-896:2007/12/18(火) 16:23:19 ID:toscQ5x0
き……規制解除!!
長かったです……
嬉しさのあまりこんな壊れネタを投下してしまいます。
『クリスマス』
「大変よみゆき!! 校庭のど真ん中にこなたのパンツが放置されてるわ!!」
「なんですって!!」
みゆきはすばやく窓を開け、飛び出した。
ここは3階とかそういう説明はもうしなくても大丈夫だと思う。
なんでいきなりあんなこと言ったのかって?
だ っ て 今 休 み 時 間 だ し 。
「そういえばみんな、もうすぐク
ドゴォオォオオォオォォオォォオォオオオン!!
あったりする?」
「あ、ごめんこなた。何かが校庭に落ちた音で聞こえなかったからもう一回言ってくれる?」
「えっと、だからね? もうすぐクリスマスだけど何かほしいものとかあったりする?」
そういえばもうそんな時期か……
クリスマス……ローマ字読みでクリストマス。どうでもいい? そんなことは分かってるわ。
「そうねぇ……去年は欲しかったラノベ数冊だったから、それ関連で今年はこなたかしらね」
「どの辺に繋がりがあるのか分からないのですが」
「私は去年可愛いエプロンだったよ♪ 今年はこなちゃんが欲しいな、108人くらい。1人は保存して
もう一人は見せびらかすために、ずっと一緒にいるんだ♪ 3人目は誰か貸してほしいっていう人が現れたときに
条件付で貸してあげる用。4人目は夜の」
「みゆきさんとかはどうなのかな? ……あれ? いない」
「残念だわ、こなた……みゆきはもう」
そこまで言った時、突然勢いよく掃除用具入れが開いた。
近くにいた……誰だっけ……マイクだっけ? が吹き飛ばされていった。
「何の話ですか?」
みゆきが出てきた。
なんなんだその掃除用具入れは。名前のまえに『どこでも』とかつくのか?
みゆきはそのままこなたに近づいて手を握り、質問の内容を確認した。
手を握る必要はどこにもない。
「ク」
「プレゼントですか……去年は綺麗なイヤリングをもらいました。今年はそうですねぇ……」
なんで1文字で分かるんだ。
「泉さんとかほしいですね!!」
「なんで凄むんだよ」
突っ込みを入れつつ、みゆきの頭にチョップを入れた。
「あ、そうだかがみさん、ひどいじゃありませんか」
「ナニガーヨ」
「かがみ、なんでカタコト?」
『62人目は一緒にお料理作って、63人目はおはようのキ』
「パンツ。隅々まで探しましたけどどこにもありませんでしたよ」
探したのか。マジで。
あの広い校庭を隅々まで?
「仕方ないので、泉さんの家まで行って持って来ました」
そう言いながらこなたのパンツ(縞々)を広げるみゆき。
待て。私の分はどうした。
144 :
7-896:2007/12/18(火) 16:24:45 ID:toscQ5x0
「へー、みんないろんなものもらってるんだね。私お父さんからしかクリスマスプレゼントもらったことないよ」
「……? それって普通じゃないの? うちもお父さんだけど、クリスマスプレゼントくれるのは」
「だから、それプラスサンタさんでしょ? 皆は。私もサンタさんからプレゼントもらいたい」
「ふおぉおぉぉおおぉぉおぉおおお!?」× 全校生徒
もしかしてこなた、サンタをまだ信じてるっていうの!?
流石こなただわ!! 期待を裏切らない!!
かわいいわ……かわいい!! きっと24日の夜は枕元にちっちゃい靴下を置いて、ワクワクしながら眠りにつくに違いないわ。
あぁ……想像しただけで記憶が飛びそう……
「え? サンタっていないのセバスチャン? ソリにのって、トナカイと一緒にやってくるんじゃないの?」
「泉、泉が考えているようなサンタっていうのは架空の」
「イスラム!!」
「ムハンマド!!」
みゆきの意味不明な掛け声と共に繰り出されたビンタによって……マイクだっけ? は、どこか遠くに行ってしまった。
さらばマイクよ永遠に。
「むぅ、結局のところサンタっているの?」
「泉さん、これをご覧ください」
そう言いながらみゆきが取り出したのは……スイカ?
「みゆきさん、これなに?」
「これは『スイカの縦縞を横縞にする研究』で作ったスイカです」
ものすごくどうでもいい研究だな。
「でも横縞じゃないね」
「はい」
「なんで?」
「実は、実験の最中にとんでもないことが起こってしまったんです……泉さん」
「と、とんでもないことって?」
「飽きてしまったんです」
それはおまえ個人の問題だろ。
「……」
「まぁそういうことです」
どういうことだよ。
「なるほど、サンタはちゃんといるんだね」
そんな会話どこで交わされたのだろうか……
「そういうこなちゃんは何かもしいものとかないの? クリスマスパーティーとかの参考にしたいんだけど」
108人言い終わり、誰も聞いていなかったことを知ってしょんぼりなつかさがようやく会話に加わった。
みゆきが息を荒げている。何だ、あんたは雑食なのか?
「私はそだね〜……今欲しいものといえば」
「私がほしいんですよね」
「え、いや、その」
「私はいつでも大歓迎です」
「み、みゆきさ」
「挙式はいつ」
「みゆきうるさい」
「申し訳ありません」
「えっと、私はみんながくれるっていうなら、どんなものでも嬉しいよ♪」
今日は皆で仲良く鼻血を噴いた。
午後いっぱい鼻血を噴いた。
鼻血ってあれだけ出しても大丈夫なものなのね。
え? あんたらだけだって? ふふふ♪ そんなバナナ。
以上です。今回はギャグ分大目にしてみました。
そして解除で興奮していたせいか、上のコメをよく読んでませんでした……空気読んでなくてすみません(´・ω・`)
そういえば、台詞ネタの話題がでてましたけど、あれってよく使ってくれている鼻血m(ry)も含まれてるんでしょうか?
やっとこさ規制解除っ
あ〜んど、ネット環境無しが2日間続いて久しぶりに見にきたら
すごいことになってるよ
ようやく読み終わりました
皆さんまとめてで申し訳ないですが、GJです
前スレからの、ぶーわ氏の絵を見損ねたのが残念です〜
前スレ
>>658 雄みなみ:中村悠一
雄ひより:阪口大助
雄パティ:置鮎龍太郎
…意外と合うから困る
>>142 論点ずれてないだろ。発端はその話題なんだから。
148 :
名無しさん@ピンキー:2007/12/18(火) 16:50:52 ID:jkkxsIT0
>>144 今回もGJすぎるwww
スイカのくだりでおもいっきり吹いちまったwww
sage忘れたorzスマソ
150 :
142:2007/12/18(火) 17:06:50 ID:GPVOggb+
>>147 ごめん、ずれてるは言いすぎた。
でも平行線で空気悪くなるだけだからこの辺で区切ったほうがいいと思うんだ
>>145 pixivでらき☆すたタグ検索すればいいことあるかも
151 :
147:2007/12/18(火) 17:24:27 ID:pFKs8TFA
>>150 区切りをつけるのは賛成。
過去にもTS作品はあったんだし
「小ネタにTS使うのは自重する」
ぐらいで双方妥協できないかな?
というか
>>136でこの話は解決じゃなかったのか?
153 :
150:2007/12/18(火) 17:29:15 ID:GPVOggb+
自重とまではいかなくても最初にTS注意ぐらいはいれるべきだよね
それなら専サバではじけるだろうし
>>152 そうですた ごめん吊ってくる
小ネタにもTSを使う場合は丁重に(注意書きとはいかないまでもTS注意の一言を)、という話
↓いつものらき☆すたエロパロスレをお楽しみください
>>144 ちょwwwとんでもない人が復活してしまったwww(とてもいい意味で)
GJ!!!久しぶりだったからか、いつも以上におもっきり笑ったwww
つか、みwikiがパンツ取ってきて、かがみが
>待て。私の分はどうした
盛大に吹いたwwwちげーだろとwww
とにかくGJ!また次の作品も期待してます!
>>150 情報thx
行ってみたら、メンテナンス中だったw
黒井先生の気持ちがちょっと分かった…orz
>>144 スイカのくだりで何か哲学的なことを言うのかと思ったら意味なしかよw
こいつらにまともな展開を期待するほうが間違ってるんだろうが(いい意味で)
みなみが軍オタだったっていう電波を受信した。もう 誰だよ・・・・
159 :
ぶーわ:2007/12/18(火) 17:57:47 ID:sXqalz+v
>>159 うわ、ありがとーございます
神速で保存しました
皆様、無駄レススミマセンです
ではROMに戻ります(´・ω・`)ノシ
以前21スレで、16-187氏が斬新な神作品「すばらしい日々」を発表された時に
氏はきちんと詳細な注意書きを入れられましたが、作品の独自設定と重いテーマに
賛否両論で白熱したことがありましたね。
その時、流れを変えた書き込みがあります。
保管庫の小ネタ(21)
http://www33.atwiki.jp/kairakunoza/pages/1139.html の
220-220
バカップル2名によるどうでもいいだべりからの3レスです。
TS論議を眺めていて、ちょっと思い出しましたので未読の方はよろしければ。
162 :
161:2007/12/18(火) 18:38:46 ID:AdAo/Ggq
レス番号220-222の誤りです。
>>161 おー、そんなんあったなぁと懐かしんでいたらその下のゴッドかなたさんに台無しにされたw
>>159 自分も最近忙しくてチェックし損ねていたけれど、
日下部兄妹がめちゃいいな〜
こんな妹が欲しい……
>>159 とりあえずこいずみゆきさんに吹いた
そして古泉有希と変換した俺の携帯には自己改革が必要なようだ、持ち主の嫁くらい把握しておきなさい
参加者いるか不安だけれども、SSコンテスト要綱まとめてみた
・テーマは『大晦日・お正月』 締め切りは12月31日まで
・本スレ圧迫防止のため、まとめに直接投下。
できない人はあぷろだにUP、それもできない場合に限ってここに投下で。
・まとめに投下したらスレに告知。
本スレ感想流れ防止のために、ページ最下段のコメントで感想をお願いします。
・作ったページは、SSコンテストまとめページにリンク。
いつもの投下同様に、作者、スレ、カップリングなども編集。
・1月1日から一週間投票期間。専用の投票フォームから投票。
期限は一週間。一人で何度も投票できてしまうが、そこはモラルで……
こんな感じで考えて見ましたが、どうでしょう?
あと、まとめ管理人さんに話通したほうがいいと思うが、どうだろう……
同時にまとめwikiに投下すると場合によっては混乱します。
トップページの投稿フォームへの「保管しました」の報告は
全員分を一度にまとめてやるべきです。
コンテストを実施するなら、の話ですが。
168 :
ぶーわ:2007/12/18(火) 20:29:50 ID:sXqalz+v
TSの件も落ち着いたようなので投下させてもらいますね
『彼女は遷移状態で恋をする3話』かがみ編つかさ編投下します。
それぞれ3レス、計6レス拝借します
問題のTSものです、苦手な方はスルーをお願いします
今日は日曜日。
一昨日のカラオケの所為で喉の調子は最悪。
なのにもっと調子を最悪にしたのが、騒がしく鳴った携帯だ。
着信か……うげ、変態メガネ。
「……もしもし」
『やぁやぁ、起きてますか? 朝が遅いようでなによりです』
んがくくっ。
ったく、何で朝からこいつの皮肉を聞かなきゃならんのだ。
「つかさじゃあるまいし、起きてるよ」
あの馬鹿はまた昼まで寝てるよ。
ったく、いくつになってもガキなんだから。
「何のようだ? 生憎皮肉に付き合うほど暇じゃないぞ」
『ええこちらもです、それぐらいなら朝の特撮に流し目するほうがなんぼかマシです』
じゃあとっとと話を進めろ!
『今日の午後はお暇ですか? もちろんつかさ君も』
「今日?」
ええと、日曜日だよな。
宿題はもう全部済んでるからそうだなぁ……。
『まぁどうせ暇ですよね、答えはまったく聞いておりません』
流し目で特撮見てんじゃねえよ!
「暇だったらなんだ? またカラオケとか言い出すなよ?」
『いえいえ、泉さんのほうから連絡がありまして』
こなたから?
ははぁ、どうせあれだろ?
数学の宿題見せてー、とか。今回は一杯出てたからなー。
……ん?
「お前に、きたのか?」
『ええ、私のところに。んふふ』
自慢するような鼻息が耳に届く。
なんだそりゃ、いつも俺に宿題見せろってせがむ癖に。
今回だってまたせがんでくるだろうから、早く終わらせてやったてのによ。
……くそっ、なんかモヤモヤするな。
こいつの自慢するような鼻息の所為だ!
『というわけで、私の家に午後どうですか?』
「つっても、俺は終わってるぞ?」
『……はぁ』
な、なんだそのため息は!
『個人的には、超個人的には……こんな電話だってしたくなかったところです』
ああ、そりゃそうだよな。
連絡しなけりゃこなたと二人、仲睦まじく勉強会だったってのに。
そういや言ってたっけ、紳士協定だとかなんとか。
相変わらずそういうところはマメだよな、お前。
「まぁ、分かった。つかさ叩き起こして飯でも食べたら行く」
『なるべく遅くていいですよ、二人の時間が増えますから』
ああ、分かった分かった。
早めに飯食べて11時には行けばいいな。ふんっ、いつもの皮肉の仕返しだ。
『では、また午後』
「ん、分かった」
携帯を切り、ベッドに投げ捨てる。
さぁて、じゃあ愚弟を起こさないとな。
どうせまた昼まで寝息を立ててるだろうし……母さんがちゃんと起こしてるはずなんだけどな。
なのにいつも「なんで起こしてくれなかったのー」と騒いでるし。
部屋を移動すると、案の定馬鹿みたいに寝息を立ててるし。
机の上には宿題……おお、お前もちゃんとやってたか。
……ほとんど白紙だったのは眼をつぶるか。
「おい、つかさ。起きろって」
「ん〜……お兄ちゃん?」
数発頬を叩いてやったらようやく起きた。
でも薄く開けた目をすぐ閉じやがる。
はぁ……ったく。
「ほら、起きて飯食え。それでみゆきの家行くぞ」
「ゆきの家ぇ? 何しにぃ?」
まだ寝惚けてやがるなこいつ。
しょうがない、とっておきを使うか。
「こなたも、来るぞ」
「……」
待ってくれ、今脳みそで計算してるから。
いつもコイツは反応が遅いんだよ、今多分右脳と海馬ぐらいを交互に情報が行き来してるから。
「こなちゃんも!?」
はぁ……自分の弟ながら、情けない。
もうすっかりお目覚めですよ、駄目だねこりゃ。自分が見えてない。
「なぁ、つかさ」
「うん?」
母さんの用意してくれていた朝ご飯を食べるつかさの向かいに座り、手にしていたお茶を机に置く。
軽く辺りを見渡すと、珍しく他には誰も居ない。
父さんや姉さんたちは部屋だろうし、母さんは今は洗濯の最中だ。
こういう話をする時は気を使わないと、まためがっさKY呼ばわりされかねん。
「この前は聞きそびれたが……こなたの何処が好きなんだ?」
「ふぇ?」
箸をくわえたまま、疑問符を重ねる。
そして何食わぬ顔で口に頬張ったご飯を租借してから、一分。
顔が、爆発した。
……完。
じゃあ終われないか。
「なっ、なな、何言い出すのさっ」
「あーその反応も昨日見たからいい、天丼は嫌いなんだ」
とりあえず落ち着かせてからか。
相変わらず話のテンポが悪いな……今に始まったことじゃないが。
「俺には未だに分からん、みゆきもベタボレみたいだしな」
あの変態メガネがあそこまで何かに固執するのは、初めにあった頃からは想像も出来ないな。
知ってるか? あいつが初対面の俺に言った言葉。
『言語を介さない猿と喋るほど、私の脳は安く出来ておりません』
んだもしらんあんじょーすったらん!
それも今のような馬鹿にした笑顔すらなかったからな、変わったよあいつは。
何処か目が優しくなったというか……それも、やっぱりこなたの所為なのか?
「そ、そりゃやっぱさ、その……可愛いし」
呆けてたつかさがようやく話し出す。
うん、そっから分からん。
顔? 顔なのか? アホ毛? アホ毛なのか? ギィガアァアアアホ毛ェエエブレ(ry
「多分、初めて会った時から……だったのかも」
「初めて? ああ、そういやお前が一番最初に会ったんだよな。俺達の中で」
確か、外国人に道を尋ねられて困ってるところを助けてくれたんだとか。
……普通、逆じゃね? 助ける側だろ、男なら。
ま、まぁともかく確かにヒーローみたいな存在ではあるよな。
「あとはその気持ちが強くなったっていうか、なんていうか……」
「ああ、もういい。大体分かった」
兄弟の顔を赤らめるのなんか見てられん。
ほら、いいからとっとと食べろ。
そして行くぞ、みゆきの家に。
……でもこなたのヤツ、なんであんな変態メガネを頼ったんだか。
俺でいいだろ、俺で。
いや、そりゃ確かにあいつみたく優しくは教えられないが。
まぁこれで次からはみゆきに頼るだろ。
俺の手間もはぶけるってわけだ、良かった良かった。
そりゃまぁ、寂しくなるが。
……。
ん?
寂しい?
ははっ、何言ってんだか俺。
さて、教科書でもまとめとくかな。
ああそうそう、前見つけた分かりやすい参考書もってってやるか。
なんか分かりやすかったし高校の教材にしてはアニメくさい絵とか載ってたんだっけ。
こなたに丁度いいだろ、と思って買ったやつだ確か。
……しまった、買って放置したままだったな。
いいか、今日にでも渡そう。
(続)
今日は日曜日。
一昨日のカラオケの所為で、喉の調子は最悪。
体のほうも……あんまり、良くない。
それは、カラオケの所為?
……。
悶々とする頭では、大好きなギャルゲーも進みが悪い。
いいや、また今度にしよっと。
パソコンの電源を切り、ベッドに身を投げる。
それでも心の中で、何かが暴れてる、
自分の感情がよく分からない。
私は、どうしたいんだろ。
どう……して欲しいんだろ。
もやもやした、曖昧な感情が私を取り囲む。
駄目だ、こうやってるほうが余計考えちゃう。
何かしなきゃ……何かないかな、無心で出来るのって。
勉強? あはは、そんなの私がするわけ……。
「あぁっ!」
思わず声が漏れた。
しまった、すっかり忘れてた!
数学宿題出てたじゃん!
わっ、ど、どうしよどうしよっ。
そうだ、携帯携帯。
ああもぅっ、なんで携帯してないんだろっ。携帯携帯しろってまた怒られるよ!
ええと、あったあった。充電器に刺したまんまだったみたい。
ふぅ、これで一安心。
えっと、助けてかがみさ……。
「……っま」
寸前。
発信ボタンを押す寸前で、その指が止まる。
多分、液晶に映った名前を脳が租借したから。
な、なんで躊躇してるんだろ。
言えばいいじゃん、いつもみたくさ。
電話して、宿題見せてって。
そしたらまた怒りながら言うのかな、「丸写しは駄目だぞ」って。
結局見せてくれるんだけどね、あははっ本当ツンデレだよね。
……。
押す。
……押す? 押す!
「あ、もしもし?」
数回の発信音の後に、携帯の向こうから音がする。
『もしもし、おはようございます。泉さん』
その奥からは、みゆき君の清々しい声が聞こえた。
……意気地なし。
「ごめんね、朝から」
『いいえいいえ、泉さんならいつかけてきても大丈夫ですよ』
あっはっは、とみゆき君の笑い声がする。
やっぱ優しいな、みゆき君って。
その笑い声ならきっと……私の心に釘は打ち込まないのかな。
「実は数学の宿題が出てたじゃん? 私まだやってなくてさ」
『ああ、そういう事ですか』
その一言で全部理解してくれたらしい。
あはは、話が早くていいね。さっすがみゆき君。
『では午後にでもウチにどうぞ、泉さんの家では難しいでしょうし』
ああ、そうだったね。
前遊びに来たら全員お父さんに追い出されたんだっけ。
結局皆でカラオケに繰り出したけど。
「うん、分かった。じゃあ午後に行くよ」
そう言って電話を切った。
ふぅ、これで宿題は安心だね。
……なんて、安心してたのが間違いだったわけで。
「こんにちわ。こなちゃん」
「よッス」
「あ……」
みゆき君の家を訪れて最初に視界に入ったのは、瓜二つの紫の塊。
それに一瞬呆気にとられるが、慌ててみゆき君を見る。
「み、みゆき君。これ……」
「ああ、呼んでおきましたよ私が。どうせなら皆でやったほうがいいでしょう?」
「おいおい、これ扱いはねーだろ」
かがみからいつもの突っ込みが飛ぶ。
あ……わ、笑わないと。ほらっ。
だって、笑ってきてるんだよ?
だからそれに、笑い返せばいい。
「も、もうっ。みゆき君と二人で仲良くフラグ立てよっかなーとか思ってたのに、お邪魔虫だなぁ二人とも」
「ええそうですよね、あいかわらずのKYっぷりは健在です」
「誰がだこら!」
「君以外に居るとでも? 自覚がない分余計厄介ですよね」
「や、やめなよ二人ともぉ……」
口喧嘩しだす二人の間につかさが割って入る。
相変わらずこの三人は、絶妙なバランスだなぁ。
「まぁ始めましょうか。泉さん、どうぞ」
「うん、ありがとっ」
と、差し出された座布団に座る。
そして四人で四角い机を囲む。
……私の向かいが、かがみ。
なるべく視線は上げないようにしよう。
「丸写しするんじゃないぞ、ちゃんと自分で考えろよな」
だけどその場所からは、いつもの声が聞こえてくるわけで。
その言葉好きだよね……何回言うつもりなんだろ。
「大丈夫ですよ泉さん、私がきちんと教えますから」
おおっ、助かるよみゆき君。
そうだよ、かがみだと間違うとすぐ怒るんだもん。
みゆき君なら優しく丁寧に教えてくれるもんね……なんか、物足りないけど。
「うぅ……ゆき、ずるい」
つかさが何か悔しがってたけど、どうしたんだろ。あ、かがみに殴られた。
「集中しろ、ほとんど白紙だろお前」
私がみゆき君に教わってるんだから、自動的にかがみはつかさを教えてる……お菓子食べながら。
そういや好きなんだよね、特に甘いのが。
「あまりポロポロと食べかすを散らさないでくださいね」
「わぁってるよ、それくらい」
「おやこれは失礼、一般的な常識を持ち合わせているなんて知りませんでした」
「うっせーよ!」
相変わらずのみゆき君の皮肉に、かがみが食って掛かる。
あはは、相変わらずだなぁ、
それに私やつかさも笑みをこぼす。
まぁ、そんな感じで賑やかに勉強会は進んでいった。
だからあんまり、気にしなくてすんだ……かがみのことを。
「じゃあ、そろそろ休憩にしましょうか」
時計も三時を回ったころだった。
区切りのいいところでみゆき君が本を閉じる。
それにようやく私やつかさも机に項垂れる。
うああ、やっぱり優しく教えられても疲れるもんなんだね。
「あ、そうだゆき」
「はいはい、なんでしょう」
机に項垂れていたつかさが顔を上げる。
「ケーキ作ってきたんだ、皆で食べようと思ってさ」
「ああ、それは素晴らしいですね。何処ぞのお兄さんとは気遣いが違います」
「聞こえてっぞ!」
あはは、とかがみを軽く交わすみゆき君。
でもつかさのケーキかぁ、美味しいんだよねつかさのって。
勉強にはやっぱ甘いものが必要だよね! コレ宇宙の(ry
「それで、切り分けたいんだけど包丁とか借りられるかな?」
「ええもちろん、私もジュースを持ってきましょうか。こっちですよ」
と、つかさを引き連れてみゆき君が席を立つ。
多分台所に案内するのかな。
いいね、ケーキにジュース。
頭を使った反動でまだオーバーヒートしてる。
ん?
何か忘れてるような気がする。
……。
「つかさのやつ、何を大層に抱えてるかと思えば……」
「!」
机にうつ伏せたまま、固まる。
パタンと閉じた扉が耳を劈いた。
そこから耳に届いたのは……ふんっ、という荒い鼻息。
それと、自分の心臓の音。
どうしよう。
どうしようどうしようどうしよう。
私今……かがみと、二人だ。
(続)
175 :
ぶーわ:2007/12/18(火) 20:45:34 ID:sXqalz+v
続きます
まぁこういう乙女イベントは外せないわけですよ。
すいません乙女脳で
>>175 くそっ、みゆき、嫌な奴だと思っていたが、いい奴じゃないか。
そして、TSだからかやけに乙女チックなこなたもかわいいです
>>167 参加希望者は個々にまとめwikiに投下して……と考えていたけれど、
どうやって大量投下を処理するか
いや、それ以前に参加希望者がいるのか?
>>175 知ってるか?原子が遷移状態から元に戻るとエネルギーが放出されて光になるんだぜ。
その「光」がハッピーエンドなのか、バッドエンドなのかわからんが、ひとつ言えることは…
GJ!!
と規制解除されたので書き込んでみる
>>175 なんという王道的展開。
いちいちこなたが可愛すぎる…
そろそろかがみも自分の気持ちに気付いてもいい頃合…かな?
そうなった時どうなるかが楽しみ〜GJ!
ちょwwwwスレ進むの早すぎww
今更だが
>>1乙
勢いだけなら、アニキャラ個別板のつかさ萌えスレ並(最盛期400レス/日)だなwww
1レス辺りの密度が違うけどwww
「おだまりバカマルコ」
「ふひひ、サーセン」
すまん、違う作品のネタだった。
>>175 なんていうか・・・GJすぎて鼻血が出そうです ! (みゆき的な意味で)
181 :
名無しさん@ピンキー:2007/12/18(火) 21:52:21 ID:JUQSJa+U
うわぁ〜もうめっさ続きが気になります!!11!
ところでぶーわ氏の男かがみがキョン
男みゆきが小泉
男つかさがリュウタロス
の声で脳内再生されるのは自分だけでしょうか?
自分は男みゆきの声がTOAのジェイド(子安さん)の声になった。
兎にも角にも、
>>175GJという事で。
スルーしろとは言うが、スルーした結果ほとんど読むものが無い状態ってのはいただけないな
>>183 俺もTSは苦手だけど流行り物は仕方ないよ
こなかがやかがこなに興味ない人だって今までそうなんだったろうし
いちいち当てこすりみたいに言わないで置こうぜ
しかしNGするにもIDで弾いちゃって平気なのか悩むw
同じ日にTSでない作品と浮かされたらどうしよう、とかな
みゆき君は小野よりも子安だな
「最終的な願いは互いに『らきすたで楽しみたい』なのに、なぜ人は争わねばならないのかっ!?」
「細かな嗜好ってものがあるからだろ」
「ですよねー……って、まぁ、実も蓋もないけどこれが結論だよネ」
「ルールとマナーさえ守れば何を投下しても基本自由なんだから、好きなものがないなら自分で書くのがいいんじゃないかしら。
別に今はTSしかダメってわけじゃないんだから」
「何だって読んで楽しんじゃう雑食のかがみ様は気楽ですなー」
「うっさい、そういうスタンスの人も居るって事よ」
それはやはり、某ニコニコの某三段ナニガシの影響だろうかw
188 :
187:2007/12/18(火) 22:36:17 ID:dc2RBKDm
読むものないってTSものは二つしかなくないか?
書く人氏とぶーわ氏のしかないよな
>>182 >>185 同士よ。小野がやって違和感なさそうなのは…みなみか?
話変えるけどSSコンテスト出ようかどうか迷ってる。ゆたかの誕生日SSも間に合いそうにないのに、今からやって間に合うのだろうか…。
しかも、携帯しかないから直接投下だし…。
失敬
執筆中に降ってきた全く無関係な電波がちょっと邪魔になったんで、放出させてくだされ
2レス使用
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
「今月の目標! みゆきさんに「ググれ」と言ってみたい!」
「唐突過ぎてわけわからん。てかそれは目標じゃなくて願望だろう」
「細かいことは言いっこなしだよかがみ」
「こなちゃん、「ぐぐれ」ってなに?」
「うん? グーグルで検索しろ、の略かな?」
「ぐーぐるって?」
「ググれ」
「へぇっ!? わ、わかんないよぅ……」
「……つかさは期待通りに動いてくれるよねぇ」
「人の妹で遊ぶんじゃない。――つかさ、グーグルっていうのは、インターネットの検索サイトのことよ」
「えっと……ヤフーみたいなもの?」
「ヤフー使ってるんだ、つかさ……」
「えっ? だ、だめなの?」
「だめじゃないわよ。――いちいち茶々入れんじゃない!」
「あはっ☆」
「こいつは……。――そうね。厳密には少し違うけど、インターネット上の情報を検索できるって点では、
ヤフーもグーグルも似たようなものよ。つまり「ググれ」っていうのは、「自分で調べろ」ってこと」
「そうなんだ〜。……え? っていうことは、つまりゆきちゃんに……」
「そう! 歩く百科事典とも言うべきみゆきさんに、自分で調べろと言う! それが今月の目標!」
「それは、無理なんじゃないかな〜……」
「そう? 私たちだったら難しいだろうけど、こなたなら簡単じゃない?
あんたの得意分野は、さすがのみゆきでも全部は分からないでしょ」
「もちろんソレは真っ先に考えたよ。けどねぇ〜……言う前に自分で調べちゃうと思うんだよねぇ〜」
「あー、そっか。そうだねー」
「なるほど。分からないってだけじゃ駄目なのね。その場ですぐ分からなければ意味がない、と、
そんな状況を作らないといけないわけか……難しいわね」
「そぉそぉ。……なんだかんだ言いながらちゃんと考えてくれるかがみん萌え」
「うっ、うるさいわねっ!」
「あら、みなさんお揃いで。何のお話ですか?」
「あ、ゆきちゃん」
「噂をすれば、ね。ちょっとあんたのことで――」
「ストップかがみ! ――みゆきさん、今のもう一回言って!」
「はい? え、ええと……みなさんお揃いで……?」
「惜しい! そのあと!」
「……何のお話ですか?」
「ググれ」
「……」
「あ……」
「……はい?」
「ぃやったぁーっ!! 早くも目標たっせぇーいっ!! イエス! イエス!! イエーッス!!!」
「こなちゃんおめでと〜」
「いやそれ違うだろ! ってか検索しても出てくるか!」
「あ、あの……これはいったい……」
「ググれ」
「ぐぐれ〜♪」
「……は、はぃぃい?」
「よっしゃーっ! 二回目ーっ!」
「私も言えたよ〜♪」
「い、泉さん? つかささん……?」
「まったく、こいつら……」
「あの、か、かがみさん? 「ぐぐれ」とは何なのでしょう……?」
「それはね……、……あ。ちょっと待って、みゆき。――そこの二人、騒いでないで聞きなさい」
「ん〜? なに、かがみ?」
「どうしたの、お姉ちゃん?」
「見てなさい。――みゆき、今の質問、もう一回頼むわ」
「あ、はい。「ぐぐれ」とは、何のことなのでしょう?」
「自分で調べなさい」
「え……」
「あ……」
「……って言う意味の、まあ一種のスラングよ」
「そうなんですか。勉強になりました。かがみさん、ありがとうございます」
「ちょまっ! かっ、かがみっ! なにやってんの!?」
「ずるいよお姉ちゃぁん!」
「なに言ってんのよ。間違ってるのはそっちでしょ。手段と目的を取り違えてはしゃいじゃって。
今のあんたたちみたいなの、何て言うか、知ってる?」
「むぅ……知らない」
「なんていうの?」
「ググれ」
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
以上
お粗末
>>193 ギリギリで割り込みそうになってスマンorz
上手くまとまってるw落語みたいだw
「……『ググれ』怖いです、『ググれ』怖いです……(ガクガク)」
「あちゃ、やりすぎちゃったかな……ご、ごめんね、みゆきさん」
「いえ……元はといえば、私の不勉強ですから(涙目)」
「みゆきのせいじゃないわよ。元はといえば禅問答みたいな難題ふっかけるこなたが悪い」
「あい……反省してます(ショボン)」
「ところで、泉さん?」
「は、はひっ!?」
「私、ここらあたりでLive Searchが怖いのですが……」
「ふぉっ!?」
「インターネット検索って面白いですよね。私、いつもお世話になってるんですよ(にっこり)」
「うわ、やられたぁ!ブラフでしたかみゆきさん!」
「あんたよりみゆきの方が、一枚上手だったみたいね(ニヤニヤ)」
「そっかぁ……ブルーハワイの時に、『ググってね』って言えばよかったんだぁ」
「ダメダメ、つかさにそれ言われたら、みゆきさんマジで立ち直れないよ」
(!! こ、こなちゃんのくせにーーー!!)
>>196 うわ、続きがあったんだ
そう来ましたかw
>>190 残念ながら、過去に書いたTSモノの続きが書き上がりそうな作者がここにひとり。
タイミングがいいのか悪いのか、TSブームとかぶっちゃった。
完成してもしばらく投下は見送ろうかな、と。
これ以上TS粒子濃度濃くするのもアレだし
俺もTSにはあんまり興味が無いが、流行モノはどんどん流行ったらいいんですよ( ´∀`)b
そのうち、みなゆた百合百合で組んずほぐれつ、オチでひよりんが萌え狂う…
なんて作品が投下されるの待ってますw
>>199 >>200の後で矛盾してるかもしれないが、校正終わった時に投下するのがいいと思うんだ。
TSファンがまったく居ないのならともかく、こんだけ祭になってるのに勿体ない
>>199 断りを入れてから書き込むぶんには、いいのではないでしょうか、と言ってみる、
凄い前に落としたみなゆたモノの続きを今更書いてる暇な人がここに。
……でも、20日までには……かきおわるかなあ。
今から問題なければ投下します。
祭とは言うものの、ぶーわ氏が例のごとく大量生産してるだけでは?w
>>ググれの流れに
「実は、『ググれ』には上位の言葉があるのだよ」
「へえ、なんだってのよ、言っとくけどこの問いに『ググれ』なんていうなよ」
「言わないよぉ・・・
ググレカス [ gugurecus ]
(西暦一世紀前半〜没年不明)
(AA略)
」
「こなた・・・あんた絶対友達なくすぞ・・・」
「いやあ、みゆきさんのことだから
この系統でググって年表調べ尽くしそうだけどねwwww」
「みゆきを変な道に染めるな!」
変なネタ出してすみません
>>203ドゾー
ゆたか→こなたもののシリーズが複数あって
それぞれの設定がごっちゃになってしまったので
他人と被るジャンルで続きを書くとしたら何の続きなのかを
しっかり言ってほしいな、と
物覚えの悪い人間からの願望。
207 :
23-251:2007/12/19(水) 00:05:40 ID:lkIiT8jp
Elope 第3話
・こなた×ゆたか(かがみ他、多数)
・かがみ視点
・続き物
・非エロ
今日は24日。いわゆるクリスマス・イブだ。
本来なら楽しい日のはずだったが、一本の電話が全てを変えた。
こなたとゆたかちゃんが駆け落ちしたと聞いたとき、本当に
目の前が真っ暗になった。
衝撃を受けたまま半ば叫ぶようになって尋ねる。
「いつからいなくなったの? 」
『岩崎さんの親御さんの話によると、終業式の夜に家をでたそうです』
「岩崎……あ、ゆたかちゃんと仲良くしている背の高い子ね」
『ええ。昨日の朝、小早川さんの親御さんが、ゆたかちゃんが家に
寄っていないか、電話してきたそうです』
みゆきの話がやけに遠くに聞こえてしまう。
「それでですね。あ、あの…… かがみさん。聞こえてます? 」
「あ、ああ。ゴメン」
激しく揺れる心を、何とか押さえ込む。
(落ち着け、私。慌てては駄目だ)
こなたとゆたかちゃんの関係についての噂は、12月も半ばに
差し掛かった頃に、不自然な程に急速に広まった。
こなたから、普段からは想像できないほどの暗い顔つきで、
ゆたかちゃんが実家に戻されたのを聞いた日が、終業式の前日だ。
事件が起きる前兆は十分すぎる程あったのに、二人の行動に
気がつけなかった、自分の愚かさ加減に心底腹がたつ。
激しく乱れる心を必死で抑えながら、私はみゆきに尋ねた。
「みゆきにも、心当たりはないのね」
「ええ…… 残念ですが 」
「でも、皆で考えれば、何かいい知恵が浮かぶかもしれない」
「そうですね。私たちの知らないことを把握している方もいるでしょうし」
衝撃で固まっていた私の思考が、ようやく動き出す。
「こなたとゆたかちゃんの関係者を呼ぼう」
「関係者…… ですか」
みゆきが流石に驚いた口調になる。
「もちろん。来ることができない子もいるけど、できる限り集めたいの。
みゆきも手伝って欲しい」
「分かりました」
みゆきと連絡先を分担した後、私は黒電話の受話器を下ろした。
「こなたの…… 馬鹿」
なんで、相談してくれないの?
喉から出掛かった言葉を押さえ込み、私は携帯のボタンを押し続けた。
2時間後、電話をしたメンバーは全員集結を終えた。
私に、妹のつかさ、みゆきの3年生、パティことパトリシアさんと、
岩崎みなみさん、田村ひよりさんの1年生、合計6名が、私の家の
居間に集まる。
誰の目にも不安と焦燥の色が混じっていた。
私は一同を見渡してから、おもむろに口を開く。
「もう、みんなも知っていると思うけど、一昨日の夜、こなたと
小早川ゆたかちゃんが失踪したの」
厳しい視線が私に集中する。
「最初に知った、岩崎さんから教えてくれるかしら」
「はい…… 」
やや青ざめた顔色で、岩崎さんは口を開く。
「昨日の昼頃、私の家に、ゆたかのお母さんから電話がありました。
今朝、起きたときに机の上に、泉先輩と『駆け落ち』をする旨の書き置きが
あったそうです」
「ゆたかちゃんの、自筆の書き置きですか? 」
みゆきの質問に、岩崎さんは頷いた。
「はい。詳しい内容は分かりませんが、泉先輩との仲が引き裂かれたので、
駆け落ちをするしかない、と書かれていたそうです」
みゆきが続けて質問する。
「小早川さんの親御さんは警察には連絡したのでしょうか? 」
みなみちゃんは首をかしげた。
「実は、私も警察に届けているか伺ったのです。しかし、親御さんは
自分達のせいだと悔やんでいらっしゃって…… その為か、今のところ
警察に届けるつもりはないそうです」
無口な印象を受ける岩崎さんだったけど、今日はかなり詳細に
話してくれた。
「ありがとう。岩崎さん」
「いえ」
なかば、刑事課の失踪事件に対する捜索会議という雰囲気で
話が進んでいく。
「田村さんと、パティはいつ知ったのかしら」
まず、田村さんが口を開いた。
「私が知ったのは、岩崎さんから電話を受けた時からっス。
内容はさっき、岩崎さんと話されたことしか分からないっスよ」
続いて、パティが流暢な日本語で語る。
「ワタシは、こなたが昨日、バイトのシフトがあったのに
来なかったから、おかしいと思ってケイタイに電話シマシタ。
でも、全然つながらなくって、こなたの自宅にデンワしたの
ですよ」
パティは豊かな胸をゆらしながら続ける。
「こなたのファザーが出てきて、こなたとゆたかがElopeした
ことを知りました。」
「えろーぷ? 」
つかさが首をかしげる。
「はい。Elopeです。日本語で言うと『駆け落ち』ですね。決して家出では
ありません」
「あ、ありがとう。パティちゃん」
つかさがほんわかした笑顔を浮かべてお礼を言った。受験は大丈夫か?
「こなたのファザー。泣きそうな感じでした。最愛の娘と、萌え要素の
カタマリのゆたかが同時に姿を消したノデス。殿中、ノー、心中を察するに
余りアリマス」
パティの話に皆の顔つきが引きしまる。
今、一番つらいのは、私たちじゃなくて、こなたのお父さんと、
ゆたかちゃんのご両親だった。
「そういえば、パティも、コスプレ喫茶で働いていたのね」
「そうデス。降誕祭の前はニホンでもかきいれ時デス」
「もしかしたら…… 」
私は、脳裏に閃いた。
「こなたも、どこか別の場所で、コスプレ喫茶みたいなところで働くつもり
かもしれない」
私の言葉に、みゆきも同意する。
「泉さんが、すぐに働く職としたら、うってつけかもしれませんね」
「まさか、アキバの近くにいるんスかねえ? 駆け落ちって、逃避行とも
いえますから、普通、もっと遠いところに行くのではないっスか? 」
田村さんは、首を捻りながら疑問を呈するが、答えを出したのは
パティだった。
「確かにアキバは萌えの最大の聖地デスガ、ニホンには、他にも萌えを
タンノウできる場所はアリマスよ」
田村さんの顔を見ながら言葉を続ける。
「大阪のニホンバシ、名古屋のオオスは、東京のアキバと合わせてニホンの
三大聖地と呼ばれている場所デス」
突っ込みどころ満載の台詞だが、結構いい線をついているかもしれない。
「あのー、お姉ちゃん」
少しためらいがちな様子で、つかさが話しかける。
「なに? 」
「黒井先生だったら、詳しく知っているんじゃないかな。こなちゃんと
仲が良かったし」
「なんで早く言わなかったの? 」
私は、焦燥から、つかさを責める口調なってしまった。
「ご、ごめんなさい」
つかさがおろおろして謝るが、今のは完全に自分が悪い。
「いや、こっちが悪かったわ。ゴメン」
つかさに謝ってから、ポケットに入れていた携帯を鳴らす。
5度のコール音がこれほど待ち通しかったことはない。
「もしもし。黒井ですけど」
「こんにちは。柊です。突然電話してしまい、すみません」
「ああ、姉の方か。まあええけど。なんや? 」
私は、一息入れてから言った。
「こなたと、ゆたかちゃんは何処に失踪していますか? 」
電話口で息苦しい沈黙がたっぷり十秒は続いて、ようやく言葉が
返ってくる。
「柊。それを聞いてどうするんや」
黒井先生は、こなたの行方を『知っている』ことをこの瞬間に確信した。
「先生。教えてください。私たち、必死でこなたとゆたかちゃんを
探すつもりです。でも、行方が絞り込めないんです」
「絞り込めないってゆーと、いくらか候補地はあがっとるんやな」
先生は、試すような口ぶりで言った。
「実は、こなたとゆたかちゃんと親しいメンバーが、私の家に
集まっています。皆で相談したところ、大阪か名古屋というラインが
浮かんでいます。先生はご存知なのでしょう? 教えてくださいっ」
暫く沈黙が続いた後に、届いたのは先生の怒りの声だった。
「柊。実は自分、この件で猛烈に腹がたっとんのや」
「黒井…… せんせい? 」
「誰が、泉と小早川の仲なんて暴いたんや? そんな奴が学校の生徒に
いるのが分かった時点で、むかついてしゃーないわ」
「あ、あの…… 」
黒井先生は、私たちのうちの誰かが、こなたとゆたかちゃんの関係
を暴いた可能性がある、と言っていることに気がづいて寒気がする。
それでも、今はありったけの勇気を振り絞って聞くしかない。
「私は、こなたたちが心配なんです。お願いですから教えてください」
私は携帯の通話口で必死になって言った。
なおも暫く、黒井先生は黙っていたが、大きくため息をついた後で
教えてくれた。
「泉と小早川は、名古屋におる…… 泉の知人宅に身を寄せているで」
「その知り合いの家は、何処なんですか? 」
しかし、黒井先生は冷然とした口調ではねつける。
「それは…… 知らん。分かっていたとしても言えん。善意で部屋を
貸してくれとる人に迷惑はかけられん」
「先生…… 」
いつも元気で明るい先生がこれほどまで、憤りを示していることに
たじろいて、それ以上は、追求を続けることができなかった。
「センターも近いし、おとなしゅー家で勉強するのも、別の行動を
とるのも自由やで。柊」
黒井先生は最後に少しだけ声のトーンを落として、携帯を切った。
私は、すくっと立ち上がり、皆を見渡しながら宣言する。
「こなたと、ゆたかちゃんは、名古屋にいるわ。私は、明日の朝一の
新幹線で二人を連れ戻しに行く。一緒に行きたい人は教えて欲しい。
でも、無理強いはしないわ」
「お姉ちゃん。私もいくよ」
「私も…… 行きます」
「明日と、あさってはバイト、お休みにシマスネ」
「先輩、私も同行するっスよ」
「泉さんと小早川さんを必ず、連れ戻さないといけませんね」
私の意志に全員が賛成してくれて、胸が熱くなる。
しかし、同時に二つの不安が胸をよぎった。
まず一つは、見知らぬ土地で、しかも短期間で二人を見つけることが
できるのか?
もう一つは誰かが悪意を持って、こなたとゆたかちゃんの仲を
『ばらした』という疑惑を、黒井先生から指摘された点だ。
皆が準備をする為に家を去ってから、私はソファーに座り込んで
じっと考え込んだ。
215 :
23-251:2007/12/19(水) 00:14:25 ID:lkIiT8jp
毎度のことながら感想、ありがとです。
流行そっちのけの、独自路線を爆走中だな……
あと、かがみんの一年生ズへの呼び方に心底困ったかな。
流行なんのそのな姿勢こそ、創作家の基本姿勢の1つ
気にすることなどナイナイ
ばらしたのは誰か、そしてその意図は?
そしてかがみんの心中は?
鬱展開な中進んでいく怒涛の展開に目が離せぬ!
激突必至以下次号!
かがみ「こなた・・・ハ○ワラネタ持ってくるなんて、ほんとあんたいくつよ・・・」
SSを書く動機に流行などいらんのです。
重要なことはただ一つ、己の中の萌えをいかに表現するか。
などということはともかく、
>>215乙です。あやうく割り込むところでした。
サスペンス的に行くのかアドベンチャー的に行くのか
続きが楽しみです
イ"ェ"ー2週間ぶりのOCN規制解除ktkrー!!!!
>>215 乙。
とりあえずいつもの面子がこなゆたを迎えに行った所で2人がどんな反応を返すかが見物。
そして俺もとりあえずいつかの過去スレで思案してると書き込んだ
らきキャラwith鉄道ネタSSがよーやっと完成した所だったりするので投下のタイミングを見計らってたり。
しかし本格SS書くのは初な上にほぼ情景描写メインに近い仕上がりなので自信がない(((((((;;゚Д゚))))ガクガクブルブル
ちなみに大垣夜行は18の時に9375Mに帰省目的で1回乗ったきりですw
(当時は湘南色の165系でしかも東京始発だったんだよなー)
>>215 犯人はこの中にいる、ときましたか。こなゆたの関係を快く思っていないというと、あの人かはたまたあの人か……。
はらはらしながら、こなゆた救出隊の活躍に期待します。ぐっじょぶ。
みゆき「お久しぶりです、泉さん」
こなた「えっ?ああ〜、ひ…久しぶりだねぇ〜〜…、え〜〜と……
タ……タブッ…! え〜〜と……
あっははは…ねぇ?もう久しぶりだよホントに……」ハハ…ハハハ…
みゆき(ええ〜〜忘れてるよこの人…
『たぶっ』て言ってたよ!完ペキ忘れてるよこの人ーーー!!)
>SSコンテスト
>>166 要項の方、とりあえず把握しました。
wikiトップ辺りにコンテストの宣伝など書いておくと
ログが流れやすいスレの方より人が集まりやすいんじゃないかな、と思ったり。
>>167 個人的にはまとめページの方に連絡フォームを新しく作り、そちらの方に連絡を入れてもらうようにすると、
通常の更新報告と混ざらず混乱も少ない、と思うのですが……。
実施の方が正式に決まりましたら、wikiの方に連絡お願いします。
>>182 あれ、こんなところに俺がいる
失礼、トリップだけだとわかりませんね。
保管庫の管理など担当させていただいてます、ましまろなどと申す者です。
224 :
名無しさん@ピンキー:2007/12/19(水) 01:22:20 ID:+r0+w007
ゆーちゃんとの逃避行とか男体化とか良く思いつきますねぇ。
しかも面白いし。見習いたい物です。GJ。
ところでまとめサイトに保管して頂いたSSの誤字とか発見したら、どうしたらいいんでしょうか?
@wikiの操作なんてわかんないし、勝手にいじってもし間違って他の方のSSとかおかしくしたら洒落にならない・・・。
5月28日生まれのこなたがこの前39歳になったと泉君家の家庭の事情で言ってるのに、後日のはずのこなたの毎日でこれは5月下旬のある日常なんて言ってるのはありえない・・・。(6月中旬が正解)orz
そもそもこなた達の住んでる地域にスーパー ヤマナカがあるのか?とか。orz
もうね、馬鹿か、阿呆かと自分。orz
こんな体たらくなのに前スレで感想くれた方ありがとうございました。
需要があれば続けたいです。
挿絵描きたいと言ってくれた方、そんな事言われるとすごく嬉しいのですがw いずみけ描いてくれたくれた方ですか?
おまけ 『知らないほうが幸せな事もある』
こうたろう「母さん、どうして俺の名前はこうたろうなんだ?」
こなた「ん? ○○君がね、がんばってこーちゃんを産んだ私と、快く婿養子として迎えてくれたお父さんの名前から考えたって言ってたよ」
こうたろう「ふーん」
〜○○の回想〜
こなた『名前、考えてくれた?』
○○『ああ、がんばって俺の子を産んでくれたこなたと、快く婿養子として俺を迎えてくれたお義父さんの名前から文字をもらったのをね』
こなた『どんな名前?』
○○『こなたろう』
こなた『……。あ、あははは……冗談ばっかり』
こなた『で、本当はどんな名前なの?』
○○『だから、こなたろう』
こなた『もう。冗談もほどほどにしないと怒るよ。で、本当はどんな名前なの?』
○○『……。こうたろう』
こなた『こうたろう、か。○○君にしちゃ、いい名前考えてくれたね』
こなた『今日から、君の名前はこうたろうだよ、こーちゃん』
○○(一生懸命考えたのにな……。こなたろうって名前。っていうかその場しのぎの思いつきで変えた名前かよ、俺の息子!!)
〜現在〜
○○(言えやしない……。言えやしないよ……)
○○(本当は本気でこなたろうと名付けようとしたなんて、ましてやその場しのぎで咄嗟に出た名前を付けたなんて、絶対に言えやしない……)
>>223 いつもお疲れ様です。
(・∀・)ゝ敬礼っ
SSコンなのですが、保管庫に保管したことない人も簡単に保管できますか?
携帯からの投下も多いと思いますが、その場合はどうすれば良いでしょうか。
30分のトークのSSは無理なのかなぁ・・・
>>224 ○○「♪はしれーはしれー・・・」
○○「歌っている所こうたろうに見られて以来1週間になりますが
いまだに口利いてもらえませんorz」
>>175 ひとつだけいいかね。
♂みゆきが古泉化してるんだが、性別だけじゃなくて性格まで変わってるならその旨明記してもらえると助かる。
ぶーわ氏だけに限った話じゃないけど、性転換した「だけ」のみゆきなら、あんな物言いしないだろ。
かがみ=キョンもそうだけどキョンはもともとツンデレだから違和感がないだけかもしれんなー。
つかさだけじゃね? 元の面影残してるの。
「ふもっふにしか見えないww」「キョンに(ry」なんて、誉め言葉じゃないだろ。
>>228 確かに元になった「みゆきさん」ならしないだろうって言う話し方する事は俺も気になったかな、なんというか、トゲがあるというか毒があるというか……
「変わったのは性別のみ」という前提で読むと違和感を禁じ得ない。
小泉小泉言われてるけど実際小泉ではないよな
むしろ上でも言ってたジェイドにちかいかと
あっちもなんか天才臭い設定だったっけ?
性別代えたから性格もある程度変えてるんじゃない?
性別変わって性格変わってないのは今のところ、vipつかさ氏の男体化こなたと、こなふぇの人のみのるんくらいだね。
TSものは性格そのままでストーリーすすめるのが難しいのかな?
おら個人的に、あの男性化こなた作品は好きだったのう。
あれとかがみを絡ませて'`ァ(*´Д`) '`ァを期待してたのに〜(´・ω・`)
読み返してみたけど小泉化というか皮肉屋になるのはかがみと話すときだけだよな
こなたやつかさとの接触はみゆきさんっぽく描写されてる気がするよ
さすがに考えなしってわけじゃないかと
元キャラが好きだからこそ性格そのままでTSするのが
醍醐味かと思ってたけどそうでない人も多い見たいだしな
別に愛がないとかそう言う意味じゃなくてな
と言うか、キャラの性格云々は
『このキャラがあのキャラっぽい』とか、
『このキャラはあのキャラに似てる』みたいな話題が出てから変化が顕著になった希ガス
まああれだ、かがみは女のままでもキョンっぽい所もあるし、
それを男性口調にしちまうとキョンによく似た男になるのは仕方ないか、と。
こいずみゆきはちょっとあからさまかな、とは思うけどね。
だからそのつなげ方はやめいw
古泉有希と変換してしまうじゃないかwwwww
ここでみゆき→ビバップのジェットと大胆変換したMADが
ニコニコにあるんだが、あれはもう
こだわりとか違和感とかそういうのを超越してたなあwwww
ええと、返信書いている間に流れが変わってしまったようですが、明日も早いので書き込んでおきますね。
>>224 おお、あのSSの作者さんですか。件の作品は楽しく読ませて頂きました。
誤記修正の件ですが、最近は更新連絡に使われることが多くなったwikiトップの連絡フォーム、
実はアレ、誤記の修正依頼にも対応しております(「報告フォームについて」の最上段参照)。
自分でやり方が分からない場合は、あそこに書いておけば私や更新を手伝って下さっている方々が代理で修正を行うので、ご利用ください。
修正個所がいろいろ面倒で自分で修正したい場合は、以下のような感じで行えば大丈夫だと思います。
1.修正したいページの一番下のメニュー(「以下から選択してください」と表示)から、
「このページを編集」をクリック
2.本文がでてくるので、修正したい個所を修正する
3.編集に必要な認証文字列をボックスに入力して「ページを保存」をクリック
>>225 保管自体は大して難しいものではない……と思います。
一番大事なページの作成も、
1.各ページの一番下の「新しいページ」をクリック
2.名前の入力ボックスにSS名を入れて「新規ページ作成」をクリック
3.文章をコピペ
4.編集に必要な認証文字列をボックスに入力して「ページを保存」をクリック
というごく簡単な操作でできてしまうので。
それに次ぐ作業も大して難しいものはないですね。
とはいえ、指標があることに越したことはないので、コンテスト用の保管ガイドなんかを作っておくとよさげな気がします。
携帯からの投下に関してですが、少なくとも自分の使っている携帯ではwikiの編集は出来なさそうです。
できる場合は普通通りに、できない場合はスレに投下し、コンテスト出展用のSSであることを明記、
代理保管の旨をフォームに書いておく、なんてのはどうでしょうか。
239 :
ぶーわ:2007/12/19(水) 02:50:36 ID:bCdxO94w
ども、何かと話題にあがるたびにビクビクしてるぶーわです
みゆきの性格に関してですが、かがみにだけ皮肉屋って設定は最初から決めてました
>>233 さんの指摘どおり、一応かがみ以外にはみゆきさんっぽくしようとしてますが何分文章力が拙いもんでして
というかかがみとぐらいしかまだ絡んでないんでそう見えないかもしれません。
あ、あと確かにちょっと古泉君っぽいとの指摘があったのでそれっぽくしたのは事実です。(んふっ、とか)
でも正直小泉君なのか? とか自分でも思ってます。そんな彼、皮肉屋だったっけ?
一応三話では皮肉屋になった理由にちょろーんと触れようとしてみたつもりです……が、伏線っぽくしようとして失敗でしたすんません!
細かくは一応、彼女は遷移状態で恋をする-みゆきside-を書くつもりです。
ちなみに遷移状態は英語でtransition state→TS
一応メイン四人のことを指してるつもりです
えっ、分かりにくい? 土下座!
長文失礼しました
>>239 つまりこなたは遷移状態で恋をして、他三人は性転換で恋をするわけですね
なるほどキチンと考えとか伏線があっての性格変更だったわけですね!
余計な茶々いれ失礼しました、自分の読解力のなさに吊ってきます
いや、そういう指摘があること自体は良いことだと思う。
キャラの性格が多少変わってる位ならともかく、TSでそうなってると殆んどオリキャラだし。
このスレはらき☆すたスレなわけで、TSも鬱もオリキャラもいいとは思うけど、あくまで主役はらき☆すたのキャラであり、TSして性格まで変わってるキャラを認めるとなると、らき☆すたでなくなってしまうと思う。
極端な話し、名前だけ同じならいいのか?ってなりかねない。
ぶーわ氏や書く人氏の作品は、きちんとらき☆すたになってるから問題無いと思うけど、これから「らき☆すたSSでは無い」作品が出てきてしまうんじゃないかという不安を抱きます。
あまり投下してくれる人を縛るような発言はしたくないのですが、やはり警鐘は鳴らしておこうと思いました。
おこがましい、思い上がった考えですいません。
長文失礼しましたm(__)m
PS
俺は両者の作品は大好きです。
みゆき編wktkしてますね!
>>222 いつも保管、お世話になっております。
今回からきちっと名乗らせてもらおう。
コンテスト企画の4-320です。
コンテストに関しての投下は、
1.まとめに投下
2.カップリング保管庫・作者一覧&作者ページにリンク
3.コンテストまとめページにリンク
4.コンテストまとめの連絡フォームに書き込み
5.本スレに投下報告
以上の作業を投下する人にやってもらおうと思います。
wikiを操作するのが難しい人は、
捨てアド作るんでそちらに送ってもらおうかなと考えています。
〆切りは12月31日となります。
ちょっと不安なのは参加者がどれだけいるかです。
参加希望者の方はコテつけて、
今日中に参加希望の旨を書き込んでくれるとありがたいです。
何名くらい参加者がいるかのアンケート調査なんで、
参加が不安な人もOKです。
4人程度参加者がいれば本決定ということで。
とりあえず4-320、参加希望一人目。
このような企画を行うのは初めてのことなので、
至らない点などあると思いますが、
どうぞよろしくお願いします。
244 :
3-402:2007/12/19(水) 07:49:36 ID:BVPnZ37w BE:75581093-2BP(3159)
>>9の3-402です
私も参加希望という事でよろしくお願いします
245 :
18-490:2007/12/19(水) 11:50:06 ID:CLuFpmW5
こんちわー。
そろそろ今年も終りますが皆さんいかがお過ごし(ry
前スレの「苺と混乱〜序章〜」の続編投下します。
・タイトル『苺と混乱〜決意〜』
・かが×こな(みな×ゆたも含む)
・非エロ
*注意*
本作品はストロベリー・パニックのパロです。
またラノベ版とアニメ版がごっちゃの設定になってます。
苦手な方はヌルーで。
4スレお借りします。
>>215GJ!!
ひとつツッコまさしてもらいまっさ。
上方では「自分」は二人称でっせ。
せやけど黒井先生が似非関西人だって特徴が出ててええな、って思いますた。
「兄貴〜」
「なんだ?」
「問題です。『日本橋』は何て読むでしょう?」
「これは関東に住んでるおれたちへの引っかけだな?
簡単だ。答えは『にっぽんばし』だ」
「ブッブー。残念でしたー。答えは『にほんばし』です。
世界史の黒井先生が言ってたんだけど、大阪の『日本橋』も本来は『にほんばし』と読むらしいぜ。
アクセントは違ぇけどな」
「なんだ。そういうことか」
「そーゆーこととはなんだ?」
「そういうことだからそういうことだと言ったんだよ」
「ぷー、兄貴の意地悪ー」
「ちょ、誰が意地悪だっ」
「自分の胸に手を当てて言ってみ?」
「(ry
「あーあ、また始まっちゃったわ。ホント、みさちゃんにはかなわないや。てへ」
他の人おもGJ!!です。
―――エトワール。
アストラエアの丘に佇むミアトル、スピカ、ル・リムの3校の生徒から選ばれる知性、愛情、気品を取り備えたカップルに与えられる称号。
その称号を手にすることによって二人の愛情を確かめあうがため…
ただ単にその称号を手に得たいがため…
はたまた、エトワールを是非とも自分の学校から出したいという生徒会の裏事情まで…
色んな思いが意識が蠢いている中、その称号を手にするためのエトワール選はこく一刻と迫っていた。
そんなアニメかラノベでしかありえない世界で出会ったのは、今私の腕の中にいる泉こなただ。
背も顔もまだ幼い少女のようでいて、少しタレ目がちな瞳はキラキラと若さ特有の輝きに満ちている。
その瞳の下にある泣きボクロとぴょんと跳ねたあほ毛がどこか現実のこなたを思わせるようで、ついつい「エトワール選に出るわよ」なんて言ってしまった。
いや、『言ってしまった』という言い方には多大な語弊がある。
私は『言いたかった』のだ。
私の言葉の意味が分かっていないのか、放心状態のままのこなたの手をとり、こなたを探していたみゆきやつかさの所まで連れて行くと、つかさが心底嬉しそうに「良かったです!」と言ってこなたを教室へと連れて行った。
二人の姿を見送った後、先程決めた自分の意志をみゆきに伝えると、
「……本気、なんですか?」
と、苦虫を潰したような顔をしながら私を見た。
へー、こっちのみゆきはそういう顔もするのね。なんて感心してしまう。
というか、私はいつも本気に無敵に元気に勇気だ。
どうせ夢ならこなたと実質ハッピーエンド的なEDが見たいもの。
先程の初々しいこなたの姿を思い出し、ついつい口角があがってしまうのを手で隠して、決して機嫌がいいとは言えない表情を浮かべているみゆきを見据える。
「みゆきは、今年もミアトルからエトワールを出したいんじゃないの?」
ラノベのおかげで本来、花園静馬である私が見ることの出来ない生徒会の裏事情は分かっている。
どこの学校の生徒会も自分の学校からエトワールが出ることは誇らしいことだ。
特に一番歴史の深いミアトルならなおのこと、エトワールを何とか自分の学校から出しておきたいという気持ちは強いのだろう。
「それは……」
「じゃあ、いいわよね。手続きはみゆきに任せるわよ」
と、いうかいつもの私らしくないくらいのノリのよさである。
仕様?まぁ雰囲気に呑まれてるのかもね、私。
みゆきから抗議の言葉が出る前に、みゆきに背を向け、何故か高まる胸の鼓動を書き消すように長い廊下を歩いた。
アストラエアは下界から遮断するように丘の頂上にある。いわゆるお嬢様学校、よね。
アストラエア一の歴史をもつミアトル。
部活や自分の能力を誇りとするスピカ。
上の2校より比較的穏和で自由な校風をもつル・リム。
どの学校も他の学校にはない独自の存在感を持っている。
そんな広い校舎の中、フと足が向いたのは宿舎である《いちご舎》ではなく、馬場であった。
なんでこんな早朝から馬場に向かったのかは、自分自身分からない。
もしかしたら、あの子はそこにいるかもしれない、と感覚的、いや、もう断定的と言っていい程に確定していたからなのかもしれない。
エトワール選でのライバルであり、スピカの王子様と呼ばれる彼女を。
「はっ!!!」
ヒヒーンという馬の声と共に力強い透き通った掛け声が聞こえた。
ストロベリー・パニック、長いわね…略してストパニでは、渚砂・静馬以外にも主人公的なカップルがいる。
それがスピカの王子様こと鳳天音とそのお姫様と呼ばれるに相応しいほど可愛らしい此花光莉のカップルである。
私の現実の世界でこのカップルに相当するのは…
もう説明するまでもないでしょうね。
「お早う、みなみちゃん」
朝の日を背負って、王子様と呼ばれるに相応しい姿をした岩崎みなみがそこにいた。
「エトワール、様…?」
こんな朝早くから私がここに来るのは予想外だったらしく、汗が滴る前髪を手で拭いながらみなみちゃんが驚いたように呟いた。
にしても、デフォ過ぎて笑っちゃうわね。
結構な確信を持っていたとはいえ…よくこうもキャラに相応するものよね。
「あの…」
自嘲気味に笑っていると、白い馬から降りたみなみちゃんが私の方へ声を掛けた。
「こんな朝早くから、どうしたんですか?」
「…確かめたくてね」
「え?」
みなみちゃんが鳳天音であることと…
「エトワール選、出場するって聞いたけど?」
エトワール選という単語に、みなみちゃんの左眉がピクッと動いた。
答えを聞くまでもない質問ね。
「お相手は………小早川ゆたかちゃん、かな?」
口角を上げて意地悪な顔をみなみちゃんに向けると、ふいっと視線を外された。
「………」
耳まで真っ赤よ、みなみちゃん。
こういうのなんて言うんだっけ?クーデレ?
って、こなたじゃないんだから…
「私もエトワール選に出ることにしたのよ」
「え?」
「今日はそれを報告にね。なんたって相手はスピカの期待の星、岩崎みなみちゃんだしね」
みなみちゃんは俯くように顔を下げてから小さな声で私に呟く。
「私は、別に…」
「あらあら、そんな弱気じゃお姫様が可哀相よ。ね、ゆたかちゃん?」
木の後ろに隠れたつもりだろうけど、私の左目の端の方ではさっきからチラチラ動く小さなツインテールを捕らえていた。
見た人の90%の人が可愛いと思うであろう、気品溢れる白いスピカの制服をきたゆたかちゃんが少し気まずそうに顔を覗かせた。
「ゆた、か…?」
今、ゆたかちゃんの存在を知ったみなみちゃんが驚いたように声を掛けると、一見小学生にも見える体を木の後ろからぴょこと現す。
「あっ、ご、ごめんなさいっ!!お邪魔するつもりはなかったんですけど…その…」
「いいのよ、私はゆたかちゃんにも用事があったから。さっきの話も聞いてたんでしょ?」
「あ、えっと、盗み聞きするつもりは…」
両手でフルフルと完全否定してるゆたかちゃん。
そんな焦らなくても、とって食いはしないわよ。
「ゆたか…」
「あ、天音…せんぱい…」
「あの、大会が近いって…聞いて…」
後ろの手をモジモジさせながら、しどろもどろに話すゆたかちゃん。
「えっと…その…」
あーもう、アンタ達は中学カップルかっ!!!
「………それじゃ、二人とも、エトワール選頑張りましょ」
完全に二人の世界に入る前に邪魔者は去るわよ。
私は周りに百合を纏った二人から逃げるように、さっき来た道ではなく、ル・リムの校舎へと向かう。
天音・光莉カップルがあの2人なら、次にキャラが成立つ人と言ったら…
まぁ間違なくないあの人しかいないわよね。
ふぅ、と息をはいてこのアストラエアの影の番長の名をもつ彼女の元へと足を急がせた。
251 :
18-490:2007/12/19(水) 11:58:28 ID:CLuFpmW5
以上です。
キャラがたってない奴らがいっぱいいますが…
暖かい目で見てやって下さいorz
それでは、お付き合いありがとうございました。
沢山の感謝とご機嫌よう ノシ
>>251 んー。
ゆーちゃんの台詞が「みなみちゃん(みなみせんぱい?)」でなく「天音せんぱい」になってしまってますよ、というのがまず一つ。
そこからの連想で、ストパニを忠実になぞり過ぎているのではないか、と余計な心配もしてしまいます。
もう少しらき☆すた寄りにベクトルを向けると、もう一化けしてくれるんではないかなあ、とかチラ裏しつつ。
>>251 GJです。
自分はストパニを知らないのですが、要所要所に解説があるのですんなり読めますねー
しかしみなみの乗馬って、想像しても全然違和感無いなあ。
自分ももう少し時間が経ったら投下しようと思います。
投稿前リロードしなかったら、18-490氏と投下が被るところでした…
>>252 うぉ、ご指摘トンクスです。
wikiで修正しときます。
話の流れの件ですが、とりあえず登場人物が出揃うまではストパニメインでいこうかと考えてたんスが…
確かにらき☆すた寄りの方がいいスよね。
次作から検討してみます。助言ありがとうございます。
255 :
253:2007/12/19(水) 13:27:37 ID:UNNkQsm4
別件が入ってしまい、ちょっと投下するのが厳しくなりましたorz
宣言しておいて何ですが、また後で投下します…
>>239 なるほどー、確かにちょっとみゆきさんキャラ違うかな? とか思ってたけどかがみにだけなのか
それってつまりヤキモチ的なあれ? みゆきsideにwktkしときます
でも確かにみゆきさんのまんまの性格の男性だと親友、とは呼びずらいかもね
よくて友達とか気のいいクラスメイトとか
かがみの言う最初の頃と変わったってのが気になる
257 :
vipつ○さ:2007/12/19(水) 15:18:49 ID:BJPYc2qZ
>>232 まだいるにはいるよ。
完全にROM専になってるけど。
>>254 自分はストパニファンなのでこれくらいでも有りかなと思いましたが読み返してみるとらき☆すた成分が不足してるのは確かかも知れませんね。
現状「キャラクターの名前・外見がらき☆すたのそれである」「かがみ=静馬が俯瞰的な知識を持っている」以外はほぼストパニですし、もう少しでいいから「ああ、らき☆すたキャラなんだな」と思わせてくれる描写が欲しいかも。
ゆたか=光莉とみなみ=天音は予想通り(というかストパニも知ってる人なら9割が当てたと思いますがw)
259 :
25-176:2007/12/19(水) 18:04:35 ID:qDfk9rOu
重くなる前に投下したいと思います。
■16レス前後使用
■つかさ中心+かがみとこなた
■非エロ
前回ちょっと指摘されたので、少し書き方を変えてみました。
それでは、宜しくお願い致します。
「うーん、やっぱりつかさの作るクッキーは美味しいねー」
「えへへ、ありがとー」
休日の昼下がり、こなたは柊家に遊びに来ていた。
つかさの焼いたクッキーを食べながら、つかさと二人で楽しく話している。
こなたは三人で遊ぶ…つもりで来たのだが、生憎かがみは別の友人と遊びに行っていた。
しばらくゲームで遊んでいたのだが、ずっとこなただけのプレーが続いたのでお喋りに切り替えたのだ。
「それにしても、本当につかさは料理上手いよね。
やっぱり昔から料理は好きだったの?」
「うーん、確かに小さい頃からやってはいたんだけど…
元々、興味があって始めたわけじゃなかったんだ」
「…え、そうなの?」
つかさがいつもとは違う、柔らかさが抜けた表情になる。
その様子を見て、こなたは多少戸惑いつつも質問をした。
「…えーとさ、それじゃ何で料理を始めたの?
私みたいに仕方が無い状況で…って訳じゃなさそうに見えるし…」
「うん…丁度お姉ちゃんもいないし、良いかな。
ちょっとだけ長くなるんだけど、いい?」
少し遠くを見るような目をしているつかさ。
当時に何かあったのだろうか…
こなたはそんな雰囲気を感じ取っていた。
「…うん、聞かせて」
そこから、つかさは静かに話し始めた。
姉と自分の事。
そして、自分が料理に打ち込み始めたきっかけを…
◆
幼稚園の頃、つかさは男子にちょっかいを出されることが多かった。
もちろん4〜5歳の子供がやる事なので、からかって反応を楽しむ程度のものだったが…
つかさはからかわれると、すぐに泣き出すことが多かったために、ちょっかい出しの格好の的だった。
だが、そんなつかさには同じ幼稚園内に一つの頼れる存在がいた。
…双子の姉、かがみだ。
「ちょっと!つかさをいじめるな!」
「わー、『しゅごしん』がきたぞー、にげろー!」
「だれが『しゅごしん』よーっ!」
つかさがからかわれて泣き始めると、大体すぐにかがみが飛んできた。
なので幼稚園内では、『かがみはつかさの保護者』というイメージが定着してしまっていた。
「だいじょうぶ、つかさ?
たまにはつかさもいいかえしなさいよ、むこうがおとこのこだからってえんりょしない!」
「あうぅ…だってだって、いいかえすなんてこわくてできないんだもん…」
「なさけないわねー、もっとしっかりしなさいよ」
「はぅ…」
生来の優しさと気の弱さが災いして、どうしても言い返す事ができないつかさ。
自分の身に問題が起こった時、必ずそれを解決するのはかがみという構図が出来上がっていた。
小さい頃からこの形が出来上がったため、かがみもつかさも特にこの事について気にしてはいなかった。
だが、後にこの関係について考えさせられる機会が起きる。
そのきっかけは、小学校に上がった時の『ある出来事』だった…
かがみとつかさ、小学二年生の時。
つかさは、相変わらずの気の弱さでからかわれる事が多かった。
それでも幼稚園時代のように泣くことは少なくなったが…
やはりその度にかがみが助けに入るのは変わらなかった。
そんなある日、つかさにとって一つの転機となる出来事が起こった。
給食の時間、つかさはいつものように給食当番から食事をよそってもらい、席に戻ろうとした。
だが…
ガシャン!カラカラカラ…
「いたたた…うわあぁぁぁ、どうしようどうしよう…!」
机の前まで来たところで足をもつれさせてしまい、派手に転んでしまったのだ。
教室の床に飛び散った給食。
クラス内が突然の出来事に、一時騒然となる。
同時に、近くにいた友達がつかさを心配して話しかけてきた。
「大丈夫、つかさちゃん!?怪我しなかった?」
「う・うん、大丈夫だけど…あうあう、どうしよう…!」
うろたえてその場から動かないつかさ。
と、そこに別のクラスメイトの女子が割って入ってきた。
「何してるの、急いで掃除しないと!
柊さん、こけちゃったのは仕方がないから、急いで片付けて!」
言うと同時に、掃除用具入れへと飛んでいくクラスメイト。
それにつられて、他の生徒達もモップや雑巾を取り出しに行った。
…しかし、つかさはその場でへたりこんだままだ。
頭が混乱していて、次にどう行動すれば良いのか整理がつかなかったのだ。
その様子を見て、友達がつかさに声を掛ける。
「ほら、つかさちゃん。
とりあえず立って、食器を片付けよう?」
「あ…あ、うん、そうだね…」
結局、つかさは落とした食器を使用済み食器のカゴに入れただけで、掃除は全てクラスメイトが終わらせた。
そして食事の時間が終わった後の昼休み、つかさはとあるクラスメイトの女子に声を掛けられた。
「柊さん、ちょっといいかな?」
「あ、え…?」
それは、先程つかさが混乱していた時に割って入ってきた女子だった。
その事を認識するなり、つかさはすぐに謝った。
きっと、さっき動けなかった事についての話に違いない…そう直感したからだ。
「えっと…さっきはごめんなさい、私…動けなくなっちゃって…」
「…謝るんだったら、さっきは自分から行動してほしかったわね。
普通こぼしちゃったら、雑巾とかですぐに拭く位はするでしょう?」
「あ…う…」
一つ一つの言葉がつかさの心に刺さる。
だが、最も厳しい言葉がその後に発せられた。
「柊さん、普段お姉さんに守られているから…『その事』に慣れちゃってるんじゃないの?
さっき長い間動かなかったのも、『誰かが助けてくれる』っていう考えが少しあったからじゃないの?
自分で何とかしようって考えたことは無いの?」
「…!」
言われた瞬間、つかさはこれまでの事を思い返した。
ちょっかいを出された時、自分がミスをした時、勉強がわからない時…
そんな時、いつも姉であるかがみの姿がそこにあった。
最初はかがみが自主的に助けてくれることが多かったが、今は自分から頼りに行く事も多い。
そこには、かがみへの『依存』があった。
つかさは自分でも気がつかないうちに、『姉が守ってくれることは当然の事』と考えるようになっていたのだった。
この事実を認識した途端、つかさの心にある感情が生まれた。
それは依存しきっていた自分への悲しさか、これではいけないという焦りか…
つかさ自身、うまく説明できない感情が渦巻いた。
「そ・それは…その…」
口ごもるつかさ。
この事について反論は全くできない。
しかし、つかさはこの状況で『そう考えた事は無かった』と言う事ができなかった。
言ってしまえば、つかさの中の色々なものが崩壊しそうだったからだ。
それは、つかさの自己を守るための小さなプライドだったのかもしれない。
「…まあ、仕方がないわね。
何にしても、自分からもう少し何とかしようって気を起こした方が良いと思うわよ?」
「…うん、ありがとう…」
その日、つかさは一つの決意をした。
お姉ちゃんに依存する事をやめよう…
つまり、なるべく自分の力で物事を解決できるように努力しよう、と。
『姉に助けられてばかりの自分』を変えたいと思ったのだ。
…だが、決意だけでは物事はうまく進まないもの。
つかさはこの決意を立てた事によって、逆に自らの弱さを認識する事になる。
◆
一ヵ月後、つかさはリビングの隅でうずくまっていた。
お姉ちゃんに頼らない。
その決意を立てたはいいものの、結局以前と変わらない生活を続けてしまっているのだ。
あれから、いつもの様にかがみがトラブルの現場に駆けつけてくれた事が何度かあった。
その度につかさは、かがみに言葉を伝えようとしたが…できなかった。
『大丈夫だよ、自分で何とかするから』
…それだけの言葉が、どうしても言えない。
まだ、心のどこかで姉という存在に甘えているのだ。
そして、それはつかさの心に深く根を張っていた。
深く染み付いた『それ』は、一朝一夕に取れるものではない。
つかさは甘えてはいけないという思いと、頼りたいという心の間で悩み続けていた。
…と、その時だった。
「…つかさ?どうしたのよ一体」
かがみがリビングに入ってきた。
隅っこでうつむいているつかさを見て、何があったと思ったのだろう。
かがみは心配そうな表情で、いつもの元気さが無いつかさを見た。
「あ、お姉ちゃん…何でもないよ、何でもないから…」
無理に笑顔を作って返事をするつかさ。
しかし、そんな事でかがみをごまかす事はできなかった。
「どう見ても何でもないようには見えないわよ。
…何か悩みでもあるの?良かったら言ってごらん?」
つかさを心配してくれているかがみ。
しかし、その優しさがつかさには辛かった。
お姉ちゃんが相談に乗ってくれる。
…でもそれは、またお姉ちゃんに頼ることになる。
それだと、せっかく決意したことをまた達成できなくなる…
つかさは、心の中でそう思っていた。
しかし…
「…実はね、私…」
結局、つかさはかがみに相談した。
自分はこれまで、姉に頼りすぎだったのではないかということ。
そして、自分はその状況を改善しようと頑張ったこと。
しかし、結局この一ヶ月間その目標に近付くことが出来なかったこと。
こうして相談する事に複雑な気持ちを抱きつつ、つかさはかがみに全てを話した。
「…そんな事を考えてたの?」
「…うん…」
つかさは話している間、かがみの顔を見ることができなかった。
ある意味、仕方が無い事だっただろう。
自分が頼らないように…と考えていた姉そのものに相談しているのだ。
…やはり、自分はまだ甘い。
自己嫌悪に落ち込みそうになった、その時だった。
「つかさらしくないわね、何をそんなに変な風に考えてるのよ」
「えっ?」
つかさが考えている方向とは、別のニュアンスの答えが返ってきた。
かがみは、さらに言葉を続ける。
「そりゃ、確かになるべく自分で解決できた方が良いとは思うわよ?
でもさ、そうしようと決めたからって、そんな急に力がつくわけじゃないでしょ。
特につかさの性格じゃ、『ああいう』トラブルを自分の力だけで物事を解決できるようになるのは、まだまだ厳しいわよ」
「うう…そんなハッキリと言わなくても…」
少し落ち込むつかさ。
「大体、私が助けに入るのは『他の人がつかさに向けて行動した結果起きる』トラブルだけよ?
男の子からちょっかいを出されたり、からかわれたりするパターンね。
つかさの行動で起きたトラブルには、流石に助け舟を出せないわよ。
それさえも自分で解決しようとしないなら、私もそのクラスメイトの言葉に同意するわね」
「あ、う…」
お姉ちゃんに頼らないように。
そればかりを考えていたせいで、自分自身の欠点を修正することまで気がまわっていなかった。
最初にクラスメイトから言われた言葉だったのに…
…自分は何を勘違いしていたんだろう。
そんな考えが、つかさの頭をよぎる。
「…それに、つかさは自分が頼りっぱなしだって事を悩んでいたみたいだけど…
私だってつかさに頼っている事…助けられている事があるんだよ?」
「…ふぇ!?」
意外な言葉だった。
自分が姉に頼られ、そして姉を助けていた…?
全く自覚がなかったつかさにとって、その言葉の衝撃は大きかった。
「私が落ち込んでたり、悩んでいたりしていた時…
そんな時、つかさはいつも私を元気付けようとしてくれてるよね。
つかさがかけてくれる言葉で、いつも私は安心できるんだ。
そういう意味では、私はつかさの事を頼りにしているんだよ」
「えっ…私…が…?」
かがみは悩んだり落ち込んだりした時、それを一人で抱え込む癖がある。
それをいち早く察知し、声をかけるのはつかさだったのだ。
助けられてばかりだと思っていたが、実は自分も姉を助けていた…
この言葉は、つかさを追い詰めていた心を緩めさせるのには十分だった。
…だが、つかさの心の隅には何かがまだ引っかかっていた。
「それに、私達はまだ小学生じゃない。
そんな難しいことを考える必要は無いわよ!
あれこれ考えず、今まで通りにいこうよ、ね?」
「…う、うん」
「ふふ、少しは笑顔が戻ったみたいね」
話が終わり、リビングから出て行くかがみ。
その後姿を見ながら、つかさはある事を考えていた。
自分が直していくべき部分。
それは、先程のかがみとの話ではっきりとわかった。
この事については、これからの生活でゆっくりと直していけば良い。
だが、つかさはもう一つの事も考えていた。
今までかがみが落ち込んでいた時の事を思い出していたのだ。
かがみが机の前で泣いていた時、頭を抱えて悩んでいた時…
そんな様々な場面で、つかさは確かにかがみの心をフォローしていた。
そして、落ち着いたかがみが『ありがとう』と言葉を返す。
…しかし、そこにはいつものかがみから抜け落ちているものがあった。
そう、『笑顔』だ。
かがみは、とにかく心に色々な事を溜め込むタイプだ。
なので一旦落ち着いたとしても、心に余裕ができない。
心の片隅に、必ず不安要素が残るようにしてしまっているのだ。
油断してはいけないという、かがみの堅実な面がそうさせているのだろう。
しかしそれでは、精神の方が持たない。
そんな事を続けていれば、いつか何かしらの形で爆発する可能性もある。
いつも自分を体だけではなく、心まで守ってくれるお姉ちゃん。
力が弱い自分としては、せめてお姉ちゃんの心をしっかり守りたい…
その為にはどうすればいいのだろうか。
またそういう状況になった時、お姉ちゃんの心を芯からほぐすためにはどうすればいいのか…
その時、ふとつかさの頭に一つの考えが浮かんだ。
かがみが今まで、一番良い笑顔をしていた時の事。
楽しく話をしていたときの事。
少し重い話をしていても、ある事がきっかけで先程までの緊張が解ける時…
「…あ」
つかさは思いつくやいなや、すぐに家の本棚をあさった。
しばらくごそごそとやっていたが、ある本を一冊手に取った。
それは、菓子作りのレシピ本。
「…お姉ちゃんが一番幸せそうな時って、お菓子を食べてる時だもんね」
少なくともつかさの記憶の中で、一番かがみがリラックスしている場面はお菓子を食べている時だった。
ならば、自分の想いを込めたお菓子で心を暖めてほしい。
単純な理由だったが、それが当時のつかさが出来る精一杯の事だった。
何より、これまで自分を守ってくれていた事のお礼にもなるから。
早速作ってみよう…と思ったが、思いとどまった。
せっかくだから、ちょっとお姉ちゃんを驚かしたい。
そこで、つかさはかがみが家にいない時に菓子作りの練習を始める事にした。
>>215 情報を漏らしたのが誰なのかも気になりますが、
それ以上に続きが気になります……
名古屋という手掛かりしかない中、捜索隊はどうやって二人を探すのか、今からわくてかです。
>>251 すとぱにが!!
みなみちゃんとゆーちゃんはやはりその二人しかないですね(笑)。
ではよるよると蕾はどうなるのか、そしてルリムの最高権力者は誰なのか、き、気になる……。
と、ここでちょっと質問です。
空気読まずにSS(欝要素あり)を投下したいと思うのですが、だいじょうぶでしょうか?
◆
母・みきの協力も得て、つかさは菓子作りの練習を始めた。
初めての菓子作りに選んだのは、クッキー。
なるべく自力で頑張りつつも、難しい所は母の助けを借りつつ作っていった。
…そして、試作第一号が完成。
早速、母と一緒に試食してみる。
「あら、結構美味しく出来たじゃない。
初めてにしては上出来よ、これは」
「うん、思ったより良い感じに出来たねー」
想像以上の出来栄えに喜ぶ二人。
後はもう少し練習して、ちゃんと一人でも作れるようにしよう…
そう思った時だった。
「あれー、つかさ、お母さんと一緒にクッキー作ったの?
どれどれ、一つ食べさせてよ」
「あ、まつりお姉ちゃんー」
姉のまつりが入ってきた。
まつりは机の上に置かれたクッキーを見ると、すぐに手を伸ばして口の中へと放り込んだ。
反応を待つつかさ。
ところが、まつりからの反応は予想外のものだった。
「…あれ、何だかちょっと微妙だね…お母さん、いつもと作り方変えた?」
「えっ!?あの…まつり、あのね?」
今回はつかさが主に作ったのだ、と説明しようとするみき。
だが、まつりはそのまま感想を喋り続ける。
「何だかいつものお母さんらしくない味だね。
新しい味に挑戦しようと思ったの?
前より美味しくないから、これはやめておいた方がいいんじゃな…」
「まつり!これはつかさが初めて作ったクッキーなのよ。
私はつかさの作業を手伝っただけなの!」
言われた瞬間、まつりの顔が凍りつく。
「えっ……あ…!」
まつりの多少大雑把な性格が、ここで災いしてしまった。
つかさは母の作業を手伝っているだけだと思い込んでしまい、思った事をそのまま口に出してしまったのだ。
まつりとみきは、恐る恐るつかさの様子を見る。
つかさは、下を向いたまま黙っていた。
その様子を見て、まつりが口を開く。
「…ご、ごめん…あの…お母さんの作業を手伝っているだけかと思ってね…その…えっと…」
まつりは混乱していた。
自分が発した不用意な言葉のせいで、つかさを傷つけてしまった…と。
みきも同じように、つかさが傷付いたのではないかと心配していた。
だがその直後、つかさが急に顔を上げる。
「まつりお姉ちゃん、感想ありがとう。
もっと美味しくなるように、色々試してみるね」
二人の予想に反して、明るい表情と口調で返事をしたつかさ。
流石にこれには、まつりとみきの両名が驚いた。
いつものつかさだったら、半分泣きべそ状態になっていただろう。
しかし、今日は違った。
『美味しくない』という意見を素直に聞き入れ、なおかつもっと美味しくすると言ったのだ。
今までからは考えられないつかさの様子を見て、まつりは戸惑いながら言葉を返した。
「い、いやその…ちょっとストレートに言い過ぎてごめん。
えっと…美味しく出来たクッキー、期待してるね」
「うん、頑張るね!」
一体つかさはどうしたのだろう。
そんな考えが、まつりの頭の中を駆け巡った。
一体どうしたのか…と聞こうとしたが、流石に居心地が悪かったのか、そのまま退席した。
一方、当人のつかさはもっと美味しく作ろうと意気込んでいた。
(そうだよね、やっぱり食べてもらうならしっかり美味しいものを作らないと…
誰が食べても『美味しい』って言ってもらえる位のものにしなくちゃ!
…何より、かがみお姉ちゃんに美味しいって感じてもらわないと意味が無いもんね)
そう、今のつかさは『かがみに美味しく食べてもらいたい』という事だけを考えていた。
理由はどうあれ、想いという物は人を強くする。
つかさは色々な意見を貪欲に取り込み、より良いものを作ろうという気概に満ち溢れていた。
…それからしばらくの間、つかさはかがみが家にいない時を使ってクッキー作りの練習を続けた。
そして一ヵ月後…
「うん、良い感じにできたーっ!」
休日の昼過ぎ、台所につかさの声が響いた。
あれからつかさは何度も改良を重ね、少しずつクッキーの味を高めていった。
そして一ヶ月経った今日、最初の頃とは比べ物にならない程のクッキーを作り上げたのだった。
まずは自分で試食するつかさ。
どうやら、納得がいく味にできたようだ。
そこでつかさは母を呼び、出来上がったクッキーを試食してもらった。
「まあ、これ凄く美味しいじゃない!
お母さんも形無しだわ…腕を上げたわね、つかさ」
「えへへ、頑張ったもん」
嘘偽りの無い賞賛の声に、つかさは少し恥ずかしそうに、しかし嬉しそうに笑った。
ようやく美味しいクッキーが作れるようになった。
後は、かがみに食べてもらうだけ…
その時だった。
「…ただいまー」
玄関の戸がゆっくりと開けられる。
声の主はかがみだ。
いつもなら5時近くまで遊んでいるのに、今日は早く戻ってきた。
「お帰りなさい、かがみ。
今日は珍しく早いわね?」
「お母さん、ただいま。
…うん、今日はちょっと早く解散しちゃってねー」
笑いながら返事をするかがみ。
だが、つかさの目には笑顔の裏の顔が見えていた。
(…お姉ちゃん、何かあったみたいだ…)
そのまま部屋に戻るかがみ。
つかさは、後を追ってかがみの部屋へ向かった。
扉の前に近付くと、中から声が聞こえてくる。
…それは、押し殺した泣き声だった。
流石にこの状態で部屋に入るわけにはいかない。
かがみの状態が落ち着くまで待った後、つかさは部屋をノックする。
「…お姉ちゃん、入っていい?」
「…つかさ?…いいわよ」
声の雰囲気だけは、いつもの状態に戻っていた。
部屋に入ると、そこには机の前に座った、少し目のまわりがほんのり赤いかがみがいた。
「どうしたのよつかさ、また何かわからない事でもあったの?」
あくまで平静を装うとするかがみ。
しかし、あからさまに無理をしているのがつかさには丸分かりだった。
「…お姉ちゃん、今日何かあったの?
帰ってきた時、何だか様子が変だったから…気になって…」
「…!」
その瞬間だった。
かがみはつかさに抱きつき、泣き出したのだ。
いきなりの事につかさは驚き、戸惑った。
「お、お姉ちゃん?」
「つかさ…うっ…聞いてよぉ…ぇぐっ…」
つかさはかがみをなだめながら、話を聞いた。
聞くと、友達と遊んでいる最中に些細なことで喧嘩したらしい。
それだけならまだ良かったのだが、相手がかがみの持っていた人形を壊したのだった。
それは、かがみが一番気に入っていた、そして大事にしていたもの。
目の前でそれを破壊されたショックから、かがみは相手に一発ビンタを入れてそのまま帰ってきたらしい。
「そうだったんだ…」
「大事だったのに…お気に入りだったのに…!」
先程とは違い、今度はしっかりと感情を表に出しているかがみ。
やはり一番近い、そして一番気を許せる存在の前だからだろうか…
そこには姉と妹という関係を越えた、信頼しあえる二人の関係があった。
「お姉ちゃん、元気出して。
お人形は壊れちゃったかもしれないけど、今までの楽しかった思い出は残ってるでしょ?
…あのお人形さんは、ずっとお姉ちゃんの心にいるよ。
だから…泣かないで…」
「うっ……ひぐ…っ…!」
それからしばらく、かがみはつかさの胸で泣いた。
とっても頼もしいお姉ちゃんだけど、意外と弱いところもあるんだな…
そんな事を、つかさは考えていた。
…そして十数分後、かがみは落ち着きを取り戻した。
「…ありがと、つかさ。
また…助けて貰っちゃったね」
「ううん、私はお姉ちゃんの話を聞いただけだよ」
「…あはは、相変わらずつかさは控えめねー」
かがみの顔に笑顔が戻る。
と、その時だった。
かがみが急にバランスを崩して倒れそうになった。
「うわっ…とと…」
「お、お姉ちゃん?どうしたの?」
「うん…ちょっと疲れちゃったみたい。
今日は色々あったからね…」
先程までは気がつかなかったが、確かにかがみの表情には疲れの色が出ていた。
喧嘩と怒りから来た疲労、そして泣いた事による体力の消費が大きかったからだろう。
ひとまず、つかさはかがみをベッドに寄りかからせる。
そして、しばらくつかさはどうしようか考えていたが…
「お姉ちゃん、ちょっと待っててね」
言うなり、つかさは部屋を飛び出した。
急に部屋を出て行ったつかさを見て、かがみはきょとんとする。
つかさ、急にどうしたんだろう…
普段とは少し違う様子のつかさを見て、かがみは多少不思議に思っていた。
しばらく待っていると、とたとたと音を立てながらつかさが戻ってきた。
「お待たせ、お姉ちゃん」
「急にどうしたの?…って、それは?」
つかさの手には、かがみが戻ってくる前に焼き上げたクッキーを乗せた皿があった。
そう、この時のためにつかさは今までクッキーを作る練習をしていたと言っても過言ではない。
部屋の真ん中にある机に皿を置き、つかさがゆっくりと喋り始める。
「疲れちゃった時には、やっぱりお菓子を食べるのが一番だよ。
お姉ちゃんが帰ってくる前に、クッキーを焼いたんだ。
一緒に食べようよ」
「え?…これ、つかさが作ったの!?」
かがみにとって、それは衝撃的な事だった。
かがみはつかさが今まで料理をしている所を、全く見たことがない。
しかし、つかさが持ってきたクッキーは見た目からしてとても良く出来ていた。
ほんのりと良い香りも漂っている。
気が付くと、かがみはクッキーに自然に手を伸ばしていた。
「じゃあ…いただきます」
「うん、食べてみてー」
まだほんのり温かいクッキーを、かがみは口の中へ入れる。
その瞬間、香ばしくて優しい香りが口の中一杯に広がる。
それは、かがみの予想を超えた美味しさだった。
「えっ…お、美味しいっ!
こ、これ本当につかさが作ったの?凄すぎるわよ!」
「えへへ…ありがとうー
実はお姉ちゃんが家にいない時、こっそり作るのを練習してたんだ。
お姉ちゃんに食べてもらいたいなって思って…」
クッキーを食べるかがみの顔には、先程まで泣いていたのが嘘だったかのような笑顔になっていた。
そんなかがみを見て、つかさもつられて笑顔になる。
(よかった…お姉ちゃん、心が和らいだみたい。
やっぱり一生懸命作って良かった…)
かがみの様子を見て、ほっとするつかさ。
自分も一緒に食べようとした、その時だった。
「…つかさ、ありがとう」
かがみが声をかけてきた。
それに気付いたつかさはクッキーを取ろうとした手を止め、声の主を見る。
そこには、普段はめったに見せる事の無い、優しい表情をしたかがみがいた。
「このクッキー、とても美味しいわよ。
…それに、凄く優しい味がする。
つかさの優しさや想いが伝わってくるような…そんな味がする」
「そ、そんな、大げさだよー」
「いや、本当よ。
…やっぱり私は、こういう所はつかさに敵わないんだなって思うわ。
つかさの優しさには…とってもね…」
穏やかな表情で話すかがみ。
つかさはその言葉を、静かに聞き続けた。
「…つかさのお菓子は、体にも心にも優しいと思うわ。
私にとって、一番美味しくて嬉しいものかもしれない。
だから…今度またつかさが何か作ったら、是非食べてみたいな」
かがみが顔を少し赤くしながら、つかさに微笑みかける。
つかさはそれを受け、自然に言葉を返していた。
「うん、もちろんだよ!
これから色々美味しいお菓子を作っていくから、期待していてね!」
「本当!?それじゃあ、楽しみにしてるね!」
満面の笑顔で喜ぶかがみ。
つかさも、そんなかがみを見て笑顔でいっぱいになっていた。
この日はかがみにとって、とても辛い日になった。
だが、同時にとても幸せな日でもあった。
…そして、つかさにとっても最高に幸せな一日になった。
それは、姉妹の絆がより深まった日。
この日が二人にとって、人生に深く刻まれる日の一つとなったのは間違いなかった…
◆
「…そっか、つかさが料理を始めたきっかけは、かがみを思っての事からだったんだね」
「うん、それからお菓子作りにはまって、段々普通の料理にも興味が出てきて…
気が付いたら、今みたいな感じになってたんだ」
目の前にあるクッキーを手に取り、こなたがふと声を漏らす。
「この美味しいクッキーも、かがみがいたからこそ出来たって訳かあ。
…何だかちょっと、かがみとつかさが羨ましいな…」
こなたは、かがみとつかさの『姉妹としての絆の深さ』に羨ましさを覚えていた。
もし、自分にも実の姉や妹がいたらどうなっていたのだろうか…
そんな事を、つかさの話を思い出しながら考えていた。
と、その時。
「たっだいまー!
あ、こなた来てたんだ?いらっしゃいー」
「やあかがみ、お邪魔してるよー」
「ちょっと待っててね、荷物置いてくるからー」
かがみが帰ってきた。
いつもと変わらぬ笑顔で帰ってきたかがみ。
しかし、友達と遊びに行っていた割には帰ってくるのが早い。
こなたはそれを見て、つかさに一つ質問をした。
「…ねえつかさ、今日のかがみはどう?」
「え?…ふふ、大丈夫だよ、今日は特に何も無かったみたい。
多分友達の都合で、早く解散しただけじゃないかな?」
「そっか…あはは、良かった。
…でも、泣いちゃうかがみを少し見たかった気もするけどね」
「流石にもうそんな事はないでしょー、私達もう高校三年生だしね」
「はは、そうだよねー…以前ダイエット失敗した時は泣いてたけど」
「あはは…でも、それお姉ちゃんの前で言っちゃ駄目だよ?」
笑いあうこなたとつかさ。
丁度そのタイミングで、かがみが部屋に入ってきた。
「お待たせー…って、何二人で笑ってたの?」
「んーん、何でもない、ただの世間話だよ。
それよりほら、さっきつかさがクッキー焼いたから一緒に食べよー」
「おー、それじゃ早速頂こうかしら」
「食べ過ぎてまた太らないようにねー」
「うるさいわ!」
料理やお菓子の美味しさをさらに素晴らしくするもの。
それは、作り手の心。
思いを込めて作ったものを食べれば、皆も自然と笑顔になれる。
今、こなた達はとても良い笑顔で喋り、笑いあっている。
その絶えぬ笑顔は、つかさのクッキーに込めた思いがこなた達の心に響いた結果なのかもしれない。
277 :
25-176:2007/12/19(水) 18:29:34 ID:qDfk9rOu
以上です。
シーケンサーと格闘していて、いつの間にか出来上がったのがこれでした。
…まあ、世の中には不思議なこともあるという事で。
何だかんだで過去話三つ目になっちゃいました。
意外と本編から繋ぐ事ができるから、面白いですねー
それでは、お目汚し失礼致しました。
リアルタイム遭遇!
ほのぼのしていて心癒されました。
GJ!!
>>277 ほのぼのしつついいお話でした。やっぱり姉妹愛は美しいです。
回想シーンのつかさ以外のキャラがその歳にしては
言葉遣いがしっかりしていたのがちょっと気になりましたが、
つかさの性格の描写はとても納得させられました。
>>279 かがみは昔からしっかりしてそうだから、多少堅めな口調でも良いかな…と思ったんですが、
注意してくるクラスメイトは少しやりすぎましたね。
これでも多少柔らかめに崩したんですが、
これからこういう系統の作品を書く場合は気をつけようと思います。
GJ!エロパロ板であることを忘れちまいましたとも!
あと
>>268、空気は自ら作るものであるのだし、投下に自重は必要ないぜ。期待してる
だが割り込みだけは勘弁な?
>>277 うわああああなんという完成度……
つかさを守ってあげたり、時にはハッパをかけるかがみんと、
そんなかがみんのために、失敗にもめげずにお菓子作りを頑張るつかさが滅茶苦茶眩しい!
最後は思わず涙腺温まりました、本当にGJです!!
……で、こんな良作の投下中だったにもかかわらず、
リロードするのを忘れて割り込んでしまった自分は最悪です、本当に申し訳ありません!!!
以後暫く自重します……。
かがみ「まったく、こればっかりはつかさに完敗。
本気で美味しいんだもの。
これなら、志望の調理師も夢じゃないわね
ていうか、パティシエもいけるわよ」
つかさ「そ、そかな・・・」
こなた「あー確かにつかさのクッキー食べちゃったら
市販のは買えないほどおいしーのはわかるけどさ・・・」
かがみ「こなた、あんたなにがいいたいわけ?」
こなた「パティシエという、夜明け前仕込みが当たり前の職に
休日の自主起床が午後に平然と食い込むような
壮絶なおねぼうさんにはムリなんじゃないかなって」
つかさ「(こなちゃんのくせにいっ!)」
何がともあれ、
>>277GJでござる
お菓子作りの真相はもうこれでいいんじゃないかってくらい、
姉妹設定と神シンクロしている。
これ読んだら、俺もつかさのクッキーが食いたくなったヽ(`Д´)ノ
>>277 激しくGJ!!
つかさの優しさに惚れたw
うちの妹はクッキーを焼いてくれないというのに、かがみは幸せ過ぎですわ。
「えへへ、照れるなぁ〜」
「べ、別にアンタに言われたからって嬉しくないんだからっ!!」
「顔真っ赤にして必死に言い訳するかがみん萌え」
「う、うるさいっ/////」
くそおおおおおおおおおおおおお
>>277のせいで俺のつかこな熱が刺激されてしまったじゃねえかあああああああああああ
のんびり幸せほのぼのなつかこな読みてえええええええええええええええ
本スレから誘導されてきました。
18禁でもありませんし、そうじろう視点のSSですが、投下してもよいでしょうか?
おk、おk、やっちまえ
>288
thx
では、空気を読まずに投下します。
きっかけは何てことないことだった。
夕食を何にするか、悩みながら近所のスーパーで食材を選んでいた。
天ぷらにでもするか、いや、待て、小麦粉のストックあったっけ?
とふらりと小麦粉類がおいてあるコーナーに向かった。
まだあったかもしれないけど、まあ腐るものでもないし。
と小麦粉の袋をひょいと持ち上げた。
袋の裏側が目に入った。
「うどんの作り方」
うどん?ああ、そうか、小麦粉を練ったらうどんになるなぁ。
何か閃いた。
今度、こなたと一緒にうどんでも作るか。喜んでくれるかなぁ?
それに自分で打ったうどんって結構うまそうだもんな。
よし。今日の今日は無理だけど、これ買って行って今度うどん作ろう。
そうと決めてから、書店に行き、「おいしい手打ちうどん」なんて本を買い、ホームセンターで麺棒やら捏ね鉢やらを買い準備は万端。
やはり形から入ってしまうのが性分ってやつか・・・と一人苦笑。
夕食の天ぷらを作りながら、幼稚園から帰ってきたこなたに話しかける。
なあ、こなた。今度お父さんと一緒にうどん作ろうか?
「うん。うどん大好きだから、一緒に作るぅ〜。いつ作るの?今?すぐ?」
いやいや、今度だよ。今度の土曜日、幼稚園終わってから一緒につくろうか?
「うん。いーよー!どようび、ようちえんおわってからつくる〜。うどん〜うどん〜」
何か、かなり喜んでるし、とりあえず頑張るか。
「ただいま〜!おとーさーん!うどんつくろー!」
こなたは帰ってくるや否や幼稚園のかばんも放り出して駆け寄ってくる。
おう!早速作るか!
「おー!」
とこなたと共に台所でうどんを作り始めることにする。
と言ってももう材料やら道具やらはきちんと準備してある。
小麦粉の袋を開けて、正確にグラムを量る。
二人分だから200グラムでいいか。でそれを捏ね鉢に入れると。
そして塩を10グラム、水を90グラム。
塩と水を溶かして、そのうちの92グラムだけ使うのか。
「わたしもやりたい〜!」
ああ、ちょっと待っててね。今すぐやらせてあげるから。
捏ね鉢に塩水を少しずついれて粉とあわせると。
「わたしも〜。」
いいよ。一緒にまぜまぜしよう。
こなたも捏ね鉢に小さな手を入れて混ぜている。すごく嬉しそうだ。
塩水を徐々に入れていきながら全体に万遍なく水が行き渡るように混ぜると。
しかし、ちっとも水が行き渡っている気がしないが、大丈夫なのか?
ぼそぼそし過ぎのような気がするんだが・・・。
まあ、いいか、細かいことは気にしないことにしよう。
それより、こなたが本当に楽しそうなのが嬉しい。
「おとーさん、たのしーね〜!」
こいつにしてみれば、粘土遊びか泥団子か何かみたいなんだろうな。
でも確かにこの作業は大人にしても楽しかったりするな。
うーん。塩水を規定量投入してもまだぼそぼそしてるな。
本当に大丈夫なんだろうか。ちょっと不安だが、まあいいか。
よーし!こなた!今度はこれをビニール袋に入れて踏むぞ!
「ほんとに〜?これをふむの?」
そうそう。ビニール袋に入れるから大丈夫だよ。
厚手のビニール袋に入れて、ぼそぼその粉の塊をまとめながら踏む。
「わたしもふむ〜!」
よーし、踏んでみろ!
こなたが小さな体で一生懸命踏む。踏んでいるうちに何故かぐるぐる回ってしまうのが可笑しい。
しばらく踏んで広がったら折りたたんでまた踏む。
こなたと交代でずんずんと塊を踏んでいるうちにぼそぼそがしっとりとしてきた。
おお、本当にうどんらしくなってきたなぁ。
「そうだね〜。うどんらしくなってきたね〜。」
ふたりで顔を見合わせて笑う。
しばらくうどんの塊を寝かせることとマニュアル本には書いてあった。
まあ2時間も寝かせりゃ十分らしい。
その間、ふたりで昼寝をすることにした。
うどんもオレたちも仲良く昼寝して、再びうどんを踏む。
それからテーブルを綺麗に拭いて、麺棒を使って伸ばすらしい。
かなり力が要る作業だ。
「わたしもやる〜!」
ちょっと待って、これ力いるし・・・て、そうか。
こなたに塊の一部を少しだけちぎって渡す。麺棒の代わりにスリコギを渡す。
これでこなたも一緒に出来るね。
「うん、わたしこれでうどんつくる〜っ。」
大喜びで小さな手でスリコギを使って小さな塊を延ばしている。
こうやって嬉しそうな顔を見ると、一緒にやってよかったなと心から思う。
まだまだ包丁を使わせたり、火を使わせたりするには早いけど、こうやって簡単なものでも作らせてみるのはいいかもな。
こなたもかなたのように料理が得意になってくれると嬉しいな。
「お父さん、ご飯できたよ〜。今日のはちょっと自信作だよ〜」
なんて将来作ってくれるかな。
って、妄想に耽ってるうちにいい感じに延ばせたな。
よーし、こなた、次はいよいよ、うどんを切るぞ。
「え〜、まだもっとごろごろしたい〜。」
ふふん。これからがうどんのラストスパートだぞ。これからはもっと楽しいぞ!
「そーなの?」
そーなの!
と、いうわけで延ばした塊を折りたたみ、四センチ幅ぐらいで切った。
うどんはふとめのものがうまいからな。
こなたが延ばしてた塊も切ってあげた。
さあ、茹でるぞ!
鍋にたっぷりの湯を沸かし、切りたてのうどんを投入。
こなたもいすを持ち出し、うどんが茹で上がる様子を興味深そうに眺めている。
「うどん、お鍋の中でぐるぐるしてるね。」
してるね〜。
10分も茹でて適当なところでうどんをざるにあげ、よく洗う。
ぴかぴかと綺麗に光っている。
せっかくだから、ざるうどんにして食べようか?
「うん。ざるうどん、だいすき〜。」
大きな鉢に洗ったうどんを盛り付けて、めんつゆを用意。
薬味も適当に準備して、さあ!期待のうどんだ!
「いっただきまーす!!!!」
二人してうどんをすする。
?!
なんだ、こりゃ?
なんというか、コシがない。全然ない。
それにしっかり茹で上がっていないところがある。おかしい。
慌てて、マニュアル本を読み返す。
茹で時間を勘違いしていた!!
「12分〜13分が標準で太くした場合はもっとかかる。」
いかん。全然駄目だ。せっかく作ったのにこれじゃあ・・・。
もったいないが、捨てるしかないか。
なあ、こなた・・・
「おとーさん!おいしーね〜。」
ふっとこなたを見ると、嬉しそうにうどんをすすっている。
「いっしょにつくったうどんは、いつもよりずっとおいしーね〜。」
本当に嬉しそうに笑顔で食べている。
そう・・だね。
「そうだよ。いつものよりずっとずっとおいしーよ。」
そう・・だね。おいしー・・・ね。
自分で作った贔屓目を入れても安い白玉うどんの方がよっぽどうまいと思う。
コシがないくせに、少し粉っぽいうどん。
でも娘は、こなたは、こんなに喜んで食べてくれる。
おいしい、おいしいと食べてくれる。
そうか、こうやって一緒に作って、一緒に食べるっておいしいんだね。
「そだよ。」
そう・・・だよね。
「どうしたの?おとーさん。ないてるの?どっかいたいの?」
いや、なんでもない・・・。なんでもない。
「だいじょーぶ?おとーさん?」
大丈夫、大丈夫、ちょっとワサビがツーンときただけだよ。
結局、ふたりで「おいしーうどん」を全部食べきった。
以来、こなたは事あるたびに
「うどん、つくろーよー」
とうどん作りをせがむようになった。
まあ、オレも以来うどん作りの本やらテレビ番組やらを熱心に見て、徐々にコツをつかんでいったし、それなりに上達はしていったと思う。
また二人で一緒にいろいろと料理をつくるようにもなった。
カレーやらハンバーグやらそれこそ簡単なものばかりだが、一緒に作って一緒に食べるってのはやっぱり楽しいし、「おいしー」のだなと思う。
そんなこんなで「おいしーうどん」を初めて作ってから半年もたったころ、季節は冬になっていた。
こなたも幼稚園でクリスマスなんてものを聞いてきて、サンタさんがやってくるのを楽しみにしているようだ。
ウチでもクリスマスパーティなんてものをやるか。
ケーキは買ってくるしかないけど、何か料理を二人で作って楽しくやるか。
しかし何を作ったものかねえ、あんまり凝ったものなんてオレも無理だしな。
うどんも楽しいけど、さすがにクリスマスにはねえ・・・。
そんなとき、オレはホームセンターでいいものを見つけた。
今年のクリスマスは、コレでアレを作ろう。
さすがにケーキやらを作ることは出来ないけど、アレなら比較的簡単にできそうだし。
クリスマスに関係あるような関係ないような料理だけど、でもまあコレはコレで楽しそうだしな。
オレは急いでレジを済ますと家に帰った。
「あ、おとーさん、おかえり〜。あ、それなに?かってきたの?おみやげ?」
そう、おみやげ!もうすぐクリスマスだろ。クリスマスの準備のために買ってきたんだよ。
「なになに?みたいみたい!あけていい?あけていい?」
いいよー。開けてごらん。
こなたが買ってきた箱を必死に開ける。
「なにこれ?なにするものなの?」
ふふん!これはね、パスタマシンっていうんだよ。
「パスタマシン?なにそれ?」
スパゲッティを作る機械なんだよ。ここにパスタの塊を入れてグルグルってやるとスパゲッティが出来るんだよ。
「へー!すっごいね〜!」
そう、クリスマスにはパスタは欠かせないだろ。
「そうなの?」
そうなの!また一緒に「おいしースパゲッティ」を作ろうね。
「うん。いっしょに「おいしースパゲッティ」つくろうね」
おわり
すません。
SS初投稿でお目汚しかと思いますが、お許しくだしあ
先日、パスタマシンを購入してパスタ作ってみたのですが、意外に簡単でした。
そこで「は!」っと電波受信して一気に書き上げました。
お読みいただきありがとうございました
>>295 力の限り音速超過かつ全力全開にてリアルタイムGJ!
いやもう、ほのぼのしてしんみりしてる上に、泉家のお正月パスタとか後のお料理上手こなたとか、ツボを心得ていらして
楽しく読ませていただきました。こちらこそ、良いお話をごちそうさま。
かくいう我が家でも、パスタマシンがほこりをかぶっています。
母がそば粉を注文したらしいので、その時にでも使ってあげようかな。
幼稚園児こなたんの健気さに泣いた
パスタマシン…なんか某タマゴマシンを思い出すのはなんでだろうか…
それはともかくGJ!
ぼのぼのでよかったですよー
>>295 GJだってヴぁ
明日の昼飯がうどんで決定しますた(´Д`)
>>295 いい話だ・・・(泣
父娘の交流が微笑ましい。
ほのぼの感動系はいいな。
>>295 初めての投下ゆえか、描写が薄いところがありましたが、
それ以上に幼稚園児こなたんとそうじろうの二人がほほえましい!!
幼稚園児こなたんは健気でかわいいですな〜
ほら、そこのピンク眼鏡。鼻血止めなさい。
>>295 GJだったお!
幼女こなたが可愛くて可愛くて…
そうじろうがすっごく笑いながらこなたを育てたんだろうなー、と微笑ましくなりました。
…………こなたが一瞬「粉太」に変換されたのは内緒。
>>295 GJ!
なぜか味皇かなたさんを思い浮かべてしまった俺は末期。
料理ネタ連発ktkrです
大切な人のためにお菓子作りの腕を上げるつかささん、
心を込めて作った料理はどんなものでもおいしい泉さん親子。
なんといいますか、もう鼻血がどばりばせんだばだば。
GJ感動とぼのぼのをありがとう!
あと関係無いんだが今日のうちの夕食がうどんだったんだ・・
306 :
味皇かなた:2007/12/19(水) 23:06:18 ID:WjE13/3e
お い し い わ 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
(只今空高く飛び立ち、お空の星座構成変更、かなた座出現)
GJ!
なんてほのぼのしてて、しんみりしてしまうんだろう。
親子の優しさがじんじんと伝わってきます。
えっと、予定のある人がいなければ投下いたします。
308 :
23-251:2007/12/19(水) 23:15:36 ID:Ee7aOqSa
Elope 第3話
・こなた×ゆたか(+つかさ、かがみ) ゆたか視点
・続きもの
・非エロ
・シリアス注意
4.
昨日のクリスマス・イブは、おねえちゃんと二人で祝うことができた。
ケーキにロウソクを立てて、七面鳥を焼く。
ちょっとだけ飾りつけもして、クラッカーを鳴らしたり、ほとんど
日常と変わらない雰囲気で、楽しく過ごすことができた。
マンションの部屋を貸してくれた親切な人に、ほんとうに
感謝しなくっちゃ。
そして、今日はクリスマス…… 昨日の夜はお姉ちゃんと久しぶりにエッチを
したので、体がとてもだるい。
でも、離れ離れになってから初めてのえっちだから凄く嬉しかった。
今日は、お姉ちゃんは、早速バイトの面接にいっている。
地下鉄でもう一駅向こうにある『大須観音』という駅の近くにある、
喫茶店らしい。
一方、私は、食材を求めて名古屋駅の隣にある、高島屋まで出かけている。
マンションが市の中心部に近いため、スーパーが見つからないのは
困るけれど、百貨店でも食材を買うことはできる。
腕時計を眺めると既に11時30分を回っている。
先程、『桜通口』と呼ばれる、駅の東口のそばにある、大きな時計台の
ところまで、私を迎えに来てくれると、こなたお姉ちゃんから連絡があった。
買い物を既に終えていた私は、中央コンコースを歩いて
待ち合わせ場所に向かっていた。
冬休みに入っていることもあって、行き交う人たちの表情はどこか楽しそうだ。
明らかに旅行に出かける家族連れや、デートに出かけているカップルも多い。
11時50分……
私は、待ち合わせ場所としていた時計台の下で、全くの予想外の人と
顔を合わせた。
「ゆ、ゆたかちゃん!? 」
「柊つかさ…… 先輩!? 」
私は、数歩たじろく。どうして? なんで先輩がこんなところにいるの?
「ゆたかちゃん。よかったあ」
つかさ先輩は安堵の表情を浮かべて、一歩近づく。
私は身構えながら、動揺を必死で抑えて尋ねる。
「あ、あの。かがみ先輩も近くにいらっしゃるんですか? 」
つかさ先輩は、嬉しそうな口調のまま答えてくれた。
「うん。さすがに広いでしょ。だからみんなで手分けしてゆたかちゃんと、
こなちゃんを探すことにしたんだ」
つかさ先輩は、今の私にはできない天真爛漫な笑顔を向けてくる。
「あの…… 申し訳ないんですけど。どなたが名古屋までこられているのですか」
私は、殊勝そうな表情をつくり、つかさ先輩から情報を仕入れる。
「えっとね。おねえちゃんに、ゆきちゃんと、みなみちゃん、ひよりちゃん、
パティちゃんが探してるんだ…… みんな心配してるよ」
「そう…… ですか 」
一瞬でもここに留まる事は危険。脳から盛んに警告が送られてくる。
「ゆたかちゃんがこんなに早く見つかるなんて予想外だったけど。
本当にラッキーだったよ」
無邪気な口調でいうと、つかさ先輩は携帯電話をポケットから
取り出した。
「今から、お姉ちゃんに電話するね」
つかさ先輩が携帯電話のボタンを押した瞬間、私は買い物袋を『わざと』落とす。
ビニール袋の中から、大根があふれ出し、玉ねぎが地面を転がる。
「あっ、ゆたかちゃん…… 落ちてるっ」
携帯を片手で持ちながら、つかさ先輩はしゃがんで転がった食材を
追いかける。
先輩の視線が一瞬離れた隙に、私は逃げ出した。
「はあっ…… はあっ…… 」
呼吸がひどく荒い。
ほんの少し走っただけで、胸が苦しくなる。
自分の弱い身体が、心底嫌になってしまう。
「ま、まって、ゆたかちゃん! 」
つかさ先輩は、逃げ出した私の後を、あわてて追いかけてくる。
体力が全くといっていいほど無い私と、平均的なつかさ先輩の距離はじりじりと
つまってくる。
それでも人ごみを迷彩にしながら、『桜通口』を出て、地下街へと繋がる
階段を、駆け足で下りる。
何度も足を踏み外しそうになるけど、よろけるように地下街に出て、
降りたところを右に曲がって、闇雲に走る。
地下鉄の改札口を回りこむようにして、更に突き進む。
「はあっ…… はあっ。もう限界っ」
荒い息をついて立ち止まり、後ろを振り返ると、つかさ先輩の姿は
見えなかった。
私は、大きく息をついて壁によりかかる。大した距離を走っていない
はずなのに、体中の筋肉が悲鳴をあげて、目眩が襲う。
つかさ先輩を撒いたことを確認すると、携帯を取り出して、
お姉ちゃんの番号を押した。
『お、ゆーちゃん。どしたの? 』
「あの、私とお姉ちゃんの友達がみんな、名古屋にきてるのっ」
『えっ…… 』
お姉ちゃんが絶句している。
「ゆーちゃん。今どこにいるの!? 」
切羽詰った口調で聞いてくる。私は辺りを見渡すけど、当然のことながら、
どこにいるのかさっぱり分からない。
『何か、目印になるものはない? 』
「えっと、近くに『大名古屋ビル』って看板があります」
『ゆーちゃん、もしかして地下にいる? 』
「うん。ビルの入り口みたい 」
白を貴重とする地下街の奥に、妙に茶色っぽい空間が広がっている。
「ゆーちゃん。そのビルのエレベーターをあがって3階まで上ってきて
くれるかな? 」
「3階? 」
『うん。3階。そこにコンタクトの店があるから、その傍で待ってて。
すぐに迎えに行くから』
「お姉ちゃん。ごめんね」
『気にしないで、10分もすれば着くから。そこを動いちゃ駄目だよ』
「うん」
携帯を切ってから、ビルに入る。
銀行が視界に飛び込んだ後、飲食店街を横目に歩く。多少迷ったけれど
8つのエレベーターが、4つずつ並んでいるのを見つけることができた。
エレベーターに乗り3階に上ると、コンタクト屋さんが眼前にあらわれる。
どうして、お姉ちゃんがこの階を指定したか分からなかったけど、
信じて待つ。ちょうど10分が経った時に、紺色のコートを身に纏った
お姉ちゃんがあらわれ、私は泣きながら胸に飛び込んだ。
お姉ちゃんは困ったような表情で、それでも頭をなでてくれる。
優しさが嬉しい反面、いつも困らせてばかりの自分がとても情けない。
しばらく胸を貸してくれたお姉ちゃんが、不思議そうな顔で言った。
「どうして、私たちのこと分かったのかなあ? 」
お姉ちゃんは首を傾げている。私も同感だ。
「いきなり時計台のところでつかさ先輩があらわれて。みんなも
来ているって」
「本当につかさで良かったよ。もし、かがみだったら、ゆーちゃん。
絶対に逃げられなかったよ」
「う…… うん」
私が頷いたとき、こなたお姉ちゃんの携帯が鳴った。
「噂をすれば、かがみからだ…… 今は出るからね」
昨日からいろんな人からメールやら、電話の留守録が私たちの
携帯に入っていたけれど、私とお姉ちゃんは無視していた。
でも、今は情報を集めなくてはいけない。
私はお姉ちゃんの耳元に近づき、声をひろおうと試みる。
「やあ…… かがみん」
『やあ、じゃないでしょ。何やってんのよ。アンタ! 』
かがみ先輩は猛烈に怒っている。
「まあ、ちょっとした旅行をだね」
『嘘いわないで。ゆたかちゃんと駆け落ちしたこと、みんな知って
いるんだからねっ』
こなたお姉ちゃんの、空気が少し下がる。
「そこまで、知っていたから…… 追いかけてきたんだ」
『そうよ。ゆたかちゃんも一緒にいるんでしょ。今、どこにいるのか
教えなさいよ』
いきなり私の名前が出てきて、身体がびくっと震える。
「私たちを、離れ離れにしたのは誰なのカナ…… カナ」
「お、お姉ちゃん…… 」
私は、こなたお姉ちゃんの言葉に棘が含まれていることに
気がついた。
『そ、それは分からないわよ。いきなり噂がひろまったし』
かがみ先輩は少し動揺した口調で答え、お姉ちゃんは淡々とした
口調で続ける。
「かがみ。私、戻るつもりはないよ。だから探さないで欲しんだけど」
『そんな訳にはいかないわ』
おねえちゃんは、ほっぺに指を当てながら、いらいらした口調に
なっている。
「どうして、そっとしてくれないのかなあ」
『こなた。アンタ分かってるの? もうすぐ卒業なのよ。受験は
どうするのよ! 』
「うーん。受けなくてもいい気がしてきた」
こなたお姉ちゃんは、とんでもない台詞を口にする。
『頭いたくなるようなこと言わないで! それにゆたかちゃんは
どうするのよ。まさか陵桜を中退させるつもりなの? 』
かがみ先輩の言葉が胸に突き刺さる。
我慢できなくなった私は、こなたお姉ちゃんから携帯を
もぎとり叫んだ。
「こなたお姉ちゃんを責めないでください! 」
『ゆたかちゃん? 』
かがみ先輩は一瞬たじろく。
しかし、すぐに厳しい言葉を浴びせてくる。
『ゆたかちゃん、よく聞きなさい。あなたのワガママがみんなを
困らせているのよ』
かがみ先輩の言葉は、鋭い刃となって、私の傷口をざくざくと
えぐってくる。
『岩崎さんも、田村さんも、パティもあなたのことが心配でわざわざ
名古屋まできているの。自分たちの時間を惜しんでね』
私は、ぽろぽろと涙があふれてくる。
なんで、みんな、私なんかの為に、こんな遠いところまでくるのだろう。
だけど…… 同時に、何か途方も無いほど、どす黒い気持ちが
心の底からわきあがっていてしまう。
「わたしだって、駆け落ちなんかしたくありませんでした」
『だったら戻りなさいよ』
「でも、誰かが私とお姉ちゃんの秘密を暴いたんです。その人が分かるまでは
帰りません」
断固とした口調になったかどうかは分からないけど、気力を振り絞って答える。
『そう…… ゆたかちゃん。でもね。私はあなたたちを絶対に逃がさないわ』
私は、かがみ先輩の言葉を聞いた後、徒労ばかりが募るやり取りに疲れて
一方的に電話を切った。
「もう、後戻りできないね」
こなたお姉ちゃんが、小さなため息をついた。
「お姉ちゃん。これから、どうしよう? 」
「すぐに家に帰るのは愚策ってものだよ。居場所を突き止められたらTHE ENDだしね」
「でも、どこで鉢合わせするか分からないよ」
「まるで『リアル鬼ごっこ』だね」
こなたお姉ちゃんは、冗談めかして言った。
「それでは追っ手を撒きにいきますか」
「うん。お姉ちゃん」
お互いに顔を見合わせて笑うと、私とお姉ちゃんは、ビルのエスカレーターを
降りて、再び地下街へ戻った。
316 :
23-251:2007/12/19(水) 23:27:18 ID:Ee7aOqSa
読んでくれた方、感想をくれた方、ありがとうです。
ゆたか視点は難しいですね。
まずは軽いジャブの応酬から始まりました。
地下迷宮のアドベンチャーになりそうな感じです。
>246
さんくす。参考になります。
GJ!
「お、お姉ちゃん……こんな所に隠れて大丈夫なの
「ぬふふ……まさか、ダンボールに隠れているとは、誰も思うまい!」
「何やってんだ、アンタは……」
「のわあ、かがみ様!?」
「先輩、メ○ルギアネタはベタすぎっス……」
犯人探しもさることながら、誰が犯人であってもいままでの仲良しには戻れないだろうな、という
切なさが重奏低音のように響いてくる……悲しくもGJ。
>>316 名古屋の地下街はダンジョン、とは使い古されたネタですが……まさか本当にそうなるとは!
今回はこなたを応援したい感じです。
とりあえず、ミッドランドスクエアからパチンコ屋を通過して豊田ビルに抜ける、人通りの少ない地下道とかで。
ともかくもぐっじょぶ!
>>316 シリアスさと展開の軽快さが両立されてて面白いGJ
GJ!!!!
今後の展開が楽しみでしょうがない
>>316 GJ!こなたがかがみにさえ棘のある態度を取る、ってことは
かがみ自身をか、自分の友達全員を疑ってるからなんだろうな…
うぅむ…出来ることなら仲のいいみんなに戻ってもらいたいけど、難しそうだ…
>323
アリガトー&乙です。
もう寝ようと思ってたところ、最後に覗いてよかったです。
まさにこんな感じをイメージして書いてました。
アリアトウゴザイマスタ。
>>323 「おお、幼女よ(エクスプロード)! 萌えとロリに! 幼女よ! 幼女よ! 萌えとロリに!」
「みゆきうるさい、あと去年のラノベのネタを延々と使い古すな、ていうかこなたハァハァ」
「とてとてこなちゃん……かあいいよぉ、お持ち帰りー」
「えーと、そういうわけで例によってダンボールの中からGJー」
>>323 こらそうじろう!
うどん生地は直に踏ませてはいかん!
とか言いつつ、ほのぼの可愛くて良い感じですね。
こういう環境で育ったなら、こなたは悪い子にならない筈だ。
327 :
J.A:2007/12/20(木) 00:01:27 ID:g9jXTTBF
>>316 GJです こなたも本気みたいですね。
逃げ切るか?捕まえるか?そして裏切り者の存在・・・この状況が全員をどんな心境にするか
とりあえずこなたサイドを応援しますね。
ちなみにJ.Aってゆうのは某巨大兵器です。
さっきまで見ていてつい。
小麦粉の値段が上がりそうだというのにうどんを作りたくなった
どうしてくれる
ちょっと遅めですがGJです
ゆーちゃん誕生日おめでとー!
330 :
27-318:2007/12/20(木) 00:12:22 ID:S499QMQr
ゆーちゃん誕生日オメーーー
TSの地雷原、27-318です(ぶーわ氏のTS投下トリガを引いたのだから)。
当の日に、何とか件のこな×ゆた←みなみSSを投下したい……
今日は完全徹夜確定ww
誰か作ってくんないかなあ、「こなたギア・ソリッド」。メタルギア・ソリッドのシステムで。
ギャグバージョン:
こな☆フェチ患者を撒いて校外へ脱出すればクリア。
わざとみゆきに見つかり、鼻血を煙幕代わりにして突破するなどパズル性が高い。
シリアスバージョン:
ゆたかを連れて名古屋ダンジョンから脱出すればクリア。
二人行で、しかもゆたかの足の遅さと体力の問題から難易度は高い。
アイテムは多種多様!
・こな砂糖
大概の敵をひきつけられる
・バルサミコ酢
つかさの前で使うと……?
・ラノベ
かがみの前で使うと……?
・ゴッドマスク
ゴッドかなたさんが呼べる(役に立つかは不明)
しかしこな☆ふぇちネタも大人気だな
一体かがみ達はこなたのコスプレを眺めるためにどれだけのお金を喫茶店に費やしたのであろうか?
クリスマスは当然サンタコス、正月は干支のきぐるみ、子どもの日はボーイッシュだと個人的に嬉しい
うどんネタは俺も書いたことあるけどオチが思いつかなくて途中で断念したorz
無線サポートはそうじろう&かなたさんとかかな?
そうじろうは某兄弟蛇よろしく実は敵(というかこな☆フェチ)だったりしそうだw
もっとこなたをくれ!とか言う人まで出てきそうでこわい。。。
なんかマニアックなこと言いまくっちゃいそうだから
ROMに戻る
こちらスネーク、こなたの家に潜入した。
みWikiさん、指示をくれ!
ちょwwスネークまでこな☆フェチサイドにwwww
こなた「こちらオターク、○宮神社に潜入したヨ」
かなた『わざわざそう君のために、ごめんね。
今回の任務は、この神社の双子の巫女さんの撮影らしいんだけど……
でも大丈夫なの?相手はこな』
ロリコン『竹箒での落ち葉掃きは絶対押さえてくれよ。他にも神楽の奉納とか、
更衣室でのサラシ姿も見のが……うわかなたいきなりなにをすやめr』
>>331 こなたはこな☆フェチの解決のカギを握っている幾人かに接触するがこなたに埋め込まれたFOX-DIEならぬ、kona-umaウィルスにより、こなたの出会う人物はすぐに発作を起こし正気を失ってしまう。
逃走の果てに自分と瓜二つなコードネームBIG-konataと称する人物(kなたさん)と対峙する。
「世界を救いたくば私を倒しなさい」と語るその人物の真意とは…!
うん、病院行って来る。
>>325 「しゃぶってやるぜ!しゃぶってやるぜ!(うどんの汁の一滴も残さぬ勢いで)」
340 :
久留里:2007/12/20(木) 01:19:40 ID:K+GXzScj
さて、そろそろ寝ようか…………ん?
>>295 ぅぉぉぉおおおおおお!!!!!!!激しくGJ!!!!
漏れはこういうほのぼの系には弱いんだ。
さては漏れを睡眠不足にする気だな?どうしてくれる?
次の作品が楽しみになってきてしまったではないか!!!
よし、勢いに任せて小ネタだ!!
「てなわけで今からすき焼き大会を始めたいと思いまーす!!」
「こなちゃん、すごい気合い入ってるね」
「ま、こなたらしいわね。私も大丈夫かな?」
「大丈夫、料理へたくそなかがみでもすき焼きは簡単だよ」
「ふふふ、私も楽しみですわ」
「ちょう待て。なんでウチの家でせんならん?」
ここは黒井先生の家である。
「まーまー、細かいことは気にしない。先生どうせ暇でしょう?
こうやって可愛い教え子がパーティしようってんだからやりましょーよー」
「自分、誰やねん。まぁええわ、ほな、早速作るか」
「それではまずコレを…「ちょう待て!!」
「ふぇ?」
「それ何や?」
「いやだから割り下を…」
「そんなん入れんでええわ。よっしゃ、ウチがもっと簡単なやつ教えたる。
これも授業や。自分ら、よう聞きぃ」
「「「「は………はい」」」」
「まずは牛肉を焼く」
つかさが肉を焼く。その間、こなたがななこに指示され、大量の白菜をブツ切りにする。
「焼けてきたらその白菜を入れる」
カセットコンロに置かれた鍋はこれでもかと言わんばかりに白菜で埋まってしまう。
「そ、そんなに入れていいんですか?」と、かがみ。
「ほいで、いとこん(糸蒟蒻)とエノキと……あとは好きなもん入れて、
醤油と砂糖だけで煮る」
ななこの指示により数分ですき焼き鍋は煮込みモードとなった。
水は入れない。白菜の水分で十分な水分が得られるからだ。
20分後……
「よっしゃ出来た!! ささ、遠慮せんと、早よ食べなはれ」
「おぉー、これが『ななこ流すき焼き』か」
「なんかうちのすき焼きと違うね、お姉ちゃん」
「そ、そうね。でも、大丈夫かしら?」
「なんだかつゆが真っ黒なんですが………」
「はっはっは、そんなん気にせんで、ほら、はよお食べ」
すでに缶ビールを3本目に突入しているななこ。
テンションは学校にいる時とは桁違い。
4人はおそるおそる醤油漬け状態のすき焼きに箸を延ばす。さて、お味は…??
「先生、醤油入れすぎですよ。流石に」
341 :
久留里:2007/12/20(木) 01:28:52 ID:K+GXzScj
>>316 そしてこちらも毎度毎度GJ!!!!
新たな展開にwktkしてまっせ。
どうでもいいけど、今年の夏に余った18きっぷ消化のために
日帰りで名古屋に行って、その足で千葉の実家に帰ったのを思いだした。
しかしなんですか、このMGSな流れは。
あえてここで流れに逆らい、ノーマルなみんなに対して
スネークこなたが
性欲を持て余す
などというのはどうだろうか。
かがみ「まったくあんたは、ろくでもないことばっかり・・・」
こなた「そんなかがみ…即座に突っ込み入れるなんて、性欲を持て余す」
これから投下します。3レス。
別にゆたかの誕生日だからってわけではないのですが
微エロ、こなた×ゆたか
泉家の台所。
こなたはコップの三分の二ほどの高さまで水をいれ、そこにやかんから少量のお湯を
注いでぬるま湯を作った。洗面器に水を注ぎ、そちらにも適量のお湯を入れてぬるま湯を
こしらえた。
洗面所からタオルを二本とってきて、その片方をぬるま湯で濡らす。静かな台所に
チャプチャプと水音が響いた。
コップを右手、乾燥タオルと濡れタオルを左手に持ってゆたかの部屋のドアの前に立ち、
両手が塞がっていることに気付いた。多少行儀が悪いが、見咎める者はいないので、その
まま――ドアは前もって半開きにしてあった――足でドアを開けて中に入った。
「ゆーちゃん」
ベッドに横たわるゆたかは、三秒ほど間を空けてこなたの方を向いた。
頬は赤らんでいて、普段よりも幼く見える。目は虚ろで、こなたのことが見えているか
どうかも怪しい。口は半開きになっていて、荒い呼吸を繰り返している。
ゆたかは風邪をひいて高熱に苦しんでいる。その姿は、あまりにも無力で、あまりにも
無防備で、あまりに可憐だった。きっと、頭はぼんやりしていて何も考えられないだろう。
何があってもこなたを頼るしかない。その様相に、こなたは『萌え』を感じた。
なんとか覚醒しようとしたゆたかの口が『い』の形に動くのが、こなたには見えた。
「お姉ちゃん……」
「喋らなくていいよ。楽にしてて」
布団を剥いでゆたかのパジャマを触ると、じんわりと湿り気を感じた。この熱なら相当
の汗をかいているはずだった。正しい処置をすれば快方に向かうという証明でもある。
「気持ち悪いでしょ。体拭くよ」
ゆたかは軽く肯いてきただけで、それ以上何もしてこない。本当に辛いんだなと思って
てきぱきとパジャマを脱がせた。ブラは着けていなかったようで、平らな胸が露になる。
普段から着けていないのか、風邪でそれどころではないのか、訊ねてみたかったがやめて
おいた。
「せっかくだから下着も換えちゃうよ」
ゆたかはまた、ただ肯くだけだった。
「ゆーちゃん、ちょっと危険だよ」
何が危険なのかゆたかが理解できないだろうとわかったうえで、そんなことを言って
みた。予告どおり下着も脱がせて、ゆたかは一糸纏わぬ姿になった。もちろんゆたかは
一切抵抗しない。
「可愛いよね……」
出るところは出ておらず、くびれるところはくびれておらず、ちょっと下に視線を向け
ると、触り心地のよさそうな割れ目があった。こなたに劣らない幼児体型。
その姿を見ていると、こなたは胸がざわつくのを感じた。もっと『何か』をしてみたい
という衝動。――危険なのは、こなただった。
「でも、ダメだよね」
病人の服をいつまでも裸にしておくわけにはいかない。こなたはぬるま湯で濡らした方
のタオルでゆたかの身体を拭いた。平らな胸のちょっとだけ膨らんだところや、きれいな
スリットの近くを拭くときに湧き上がる衝動に、気付かぬふりをする。
全身を拭いたあと、乾いたタオルでもう一度拭いて、タンスの中から換えのパジャマと
下着を取り出してゆたかに着せた。
あとは薬を飲んで水分補給してもらって、じっくり寝ていればいい。
「ゆーちゃん、おくすりだよ」
「うん……」
しかしゆたかは答えるだけで、何もしない。
「ねえ……」
病気のときは言い知れぬ心細さに襲われて、甘え気味になってしまうもの。ゆたかは
すがるような上目遣いでこなたを見やった。
「おくすり、飲ませて欲しいの?」
子供に諭すような口調で、こなたは尋ねる。
「うん、お願い……」
子供のように、ゆたかは懇願する。
「しょうがないなぁ」
内心では喝采をあげながら、仕方なくといった風に錠剤を取り出す。こなたはその錠剤
を自分の舌に乗せて、コップのぬるま湯を少量口に含んだ。
左手をゆたかの頬に、右手を顎に添えて、自分の方を向けさせる。ゆたかと唇を重ね
合わせると、舌でゆたかの唇を開いた。
「ん……」
ぬるま湯をゆたかの口内に流し込む。舌に乗せておいた錠剤をなるべく口の奥に送って
やろうと――それは単なる言い訳でしかない――舌をねじ込む。ゆたかの舌に自分の舌を
絡ませると、高熱のせいかとても熱く感じた。何度も舌でねぶって、ゆたかの舌を味わう。
どさくさで錠剤はどこかへ行ってしまったので――これも単なる言い訳でしかない――
口内のどこかにあるはずのそれを探そうと、ゆたかの口の中に舌を這い回した。上下左右、
ありとあらゆる部分を舌で探り、その度に舌の感覚――味覚がゆたかの味を脳に告げる。
「はぁぅ……」
「いつのまにか飲んでたんだネ」
こなたは一旦口を離して、次の錠剤を取り出した。今度は溶けやすいタイプの錠剤で、
舌に乗せるとすぐに苦味を感じた。
今度は水を口に含まず、そのまま口付けた。再び舌をねじ込んで、ゆたかの中に渡す。
水の代わりに、こなたは唾液をゆたかの中に注ぎ込んだ。ゆたかはそうすればもっと唾液
が出てくるとでもいうように、舌を絞るように唇ではむ。
ゆたかの唇は、とてもいい感触だった。このまま味わい尽くしてしまいたいほどに。
けど、そうはいかない。そうしてはいけない理由がある。
「ちゃんと水も飲まないとね」
風邪には水分補給が重要。ましてやさっきまで寝汗をかいていたのだ。あくまで看病を
しなければならない。
少し多めにぬるま湯を口に入れて、みたび口付けをかわした。
「んっ……」
こぼさないように、がっちりと頭を掴んで慎重に注ぎ込む。できれば離したくないと
思いながら。繰り返し繰り返し、まるで愛情を注ぎ込むように――
それから数時間。一眠りしたゆたかはだいぶ症状が軽くなってきた。
「ありがとう、お姉ちゃん」
「なんのなんの。姉としての当然の勤めですよ」
ゆたかにも余裕ができたようなので、こなたはニヤリと意地の悪い笑みを浮かべた。
「ゆーちゃんの可愛いとこ見れたしネ」
「あ、あの、あれは……」
熱は引いてきたのに、また赤くなってあたふたする。ぼーっとしていたからといって、
都合よく忘れたりはできないようである。
「あの、私、いつもあんなふうになるわけじゃ……」
「時々はなるんだよね。つまり初めてじゃないと」
「はうっ!」
失言に気付いたときにはもう遅い。こなたは会心の笑みを浮かべる。
「ゆい姉さんにもやってもらってたわけだ」
「み……みんなには内緒にしてねっ!」
うまく誤魔化したようだが、これも失言であることをこなたは見抜いていた。
「内緒にするヨ。特にみなみちゃんには」
「な、なんでみなみちゃんが!?」
慌てふためくゆたかが可愛くて、更に意地悪したくなってしまう。
「本当はみなみちゃんに看病してほしかったんだよね。私を見たとき『みなみちゃん』
って言いかけてたよ」
だから、軽々しくゆたかに手をだしてはいけない。少なくとも不意打ちのような真似で
みなみからゆたかを奪ってはならない。――もっとも、それはこなたの妄想が正しければ
の話であるが。ゆたかとみなみが本当に『そういう』関係なのか、こなたに確証はない。
「そんなの覚えてないよっ!」
「つまり無意識ではみなみちゃんを求めてるわけだ。そのくせ私まで誘惑しちゃうなんて、
ゆーちゃんは魔性の女だねぇ」
「誘惑って……ええっ!? 私、そんな」
今度、おくすりの時間が来た時はゆたかをもっと味わってしまおうか、それとも潔く
みなみに機会を譲ろうか、半分は冗談で、半分は真剣に考えてみるのだった。
−おわり−
347 :
3-283:2007/12/20(木) 02:17:56 ID:bLtHZ4Yd
このままエロに持ち込もうと思ったのですが
病人にそれは酷だよなと思ってやめました。
エロくしないのは読者にとって酷かもしれませんがw
ゆたかには「誕生日おめでとう」ですが
これは別に誕生日記念SSというわけではありません。
っていうかこんなSSで記念されても困るでしょうしw
348 :
26-215:2007/12/20(木) 03:44:15 ID:xRDtHqZY
皆さんこんばんわ、以前『風邪の特効薬?』を書いた者です。
今日はゆーちゃんの誕生日という事で記念SS書いてみました。
思いつくまま書いたので思ったより長文になってしまいましたが、最後までお付き合いいただけると幸いです。
では割り込みにならなければ投下開始します。割り込みになってしまったら、その人の投下後に拙作をとうかします。
『プレゼントにはリボンをかけて』
・こなた&ゆたか
・8スレ使用予定
・エロシーン無し
投下中に人大杉になりませんようにw
12月に入った最初の日曜の朝。
珍しく早く目が覚めた私は(お父さんはえらくビックリしてたけど)、ゆーちゃんやお父さんと一緒にご飯を食べると新聞広告を眺め始めた。
年末のこの時期は売り尽くしだの歳末セールだのと色々と安く買い物が出来るから、広告のチェックはそれなりに重要な事だったりする……もうプロ野球の応援セールの時のような失敗は繰り返さないのだよ。
同じものでもお店によって違うなぁ、なんて思いながら眺めていると、セールの広告じゃないのが目に入った。それは市民会館からのお知らせで……
ある日の昼休み。
今日はかがみは自分のクラスでお昼を食べるそうで、つかさとみゆきさん、私の3人でお昼を食べてる時にふと思いついた事を口にする。
「そーいえば20日がゆーちゃんの誕生日なんだよね〜。」
「へー、そうなんだ〜。じゃあおうちでパーティとかやるの?」
「そのつもりだけどね。で、ものは相談なんだけどお二人さん。よかったら手伝ってくれないかな?」
「私は大丈夫ですけど、お邪魔してよろしいんですか?」
「へーきへーき。二人ならゆーちゃんも知ってるし、大勢いた方が楽しいだろうしね。」
「うん、じゃあ私もお手伝いするー。」
「じゃあかがみにも声掛けてみよっか。あ、この事はゆーちゃんには内緒ね?」
「あははは。わかったよ、こなちゃん。」
「そう言えばみなみさん達はどうなさるのでしょう?同じクラスのお友達ですし、あちらでも何かやるようでしたら……」
「それなら向こうも一緒に誘っちゃおうよ。みゆきさん、お願いしていいかな?」
「ええ、構いませんよ。もちろん小早川さんには内緒で、ですね?」
「さすがみゆきさん、話がわかる。」
「では少々行ってまいりますね。」
「よろしくー。それじゃーつかさ、かがみのとこに行くよー。」
「あ、待ってよ、こなちゃーん。」
急な話だったけど、思ったよりトントン拍子で話が決ったよ。
しかもかがみに声掛けに行ったら、一緒にいたみさきちと峰岸さんまで手伝ってくれる事になったし。なんだかチアのメンバー勢揃いだね。
ケーキや料理はつかさと峰岸さんに仕切ってもらう事にした。2人ともお菓子作りは上手だから今から楽しみだ。飾り付けなんかは当日手の空いた人がやればいいしね。
当日までまだ余裕があるから、準備と言っても材料の買い出しやプレゼントの準備くらいだけど。
そんなこんなで当日。
皆がうちに集まって準備する間の時間、ゆーちゃんを足止めする大役は私の担当だ。と言っても、私としてはちょっとしたデートが出来るから嬉しい限りだけど。
まぁ2、3時間くらいだから軽くウィンドウショッピングとお茶するくらいかな。
「んじゃゆーちゃん、行こっか?」
「あ、待ってよぉ。おねーちゃん。」
小走りに駆け寄ってくるゆーちゃんを待って、並んで歩き出す。
と、手袋をしてない手を暖かく何かが包んだ。見ればゆーちゃんが手を繋いでくれてる。
お返しにぎゅっと握り返す。2人とも背が小さいのをたまに嘆くけど、こういう時は逆にありがたかったりする。恋人には見えないけど仲のいい姉妹には見える訳で、人目をはばかる事無くいちゃつけるからね……まぁ限度はあるけどさ。
「えへへ。こうしてお姉ちゃんと一緒に帰るのって久し振りだね。」
「そういやそうだね。ここしばらく用事があったからね〜。まぁそれも終わったし、これからはまた一緒に帰れるからさ。」
「うんっ!それにここ何日かみなみちゃん達も用事があるって言って、なかなか一緒に帰れなくて寂しかったんだ……」
と、手を握るだけじゃなく腕にぎゅっとしがみ付いてくるゆーちゃんを優しく撫でてあげる。
ゆーちゃんの誕生日パーティの準備とはいえ、やっぱり寂しい思いさせちゃったなぁとちょっと罪悪感が沸いてくる。
「よぉし、じゃあ帰る前に寄り道して行こうか!」
色々話しながらあちこち見て歩いて、喫茶店に入ってちょっと休憩&時間調整。
私はミルクティー、ゆーちゃんにはホットココアを注文してメールを確認。あと1時間くらいで準備が完了するらしい。移動の時間も考えると30分くらいいればいいかな?
「ふ〜。やっぱお店の中はあったかいね〜。ゆーちゃん、疲れてない?」
「うん、これくらいは平気だよ。それほど歩き回った訳でもないし。」
「そろそろお父さんがケーキとか買ってるはずだから、これ飲んだら帰ろっか。」
「そうだね。でもお手伝いしなくていいの、お姉ちゃん?」
「いーのいーの、今日はゆーちゃんが主役なんだから。まぁ本当は内緒で準備しようとも思ったんだけどね。
変に内緒にしておいても、お父さんかゆい姉さんがうっかりばらしちゃうかも知れないし。あとは私の時みたいに内緒にしすぎて空振りになるのが嫌だったんじゃないかな?」
「あははは……あの時は本当に寂しかったんだからね。おじさんもゆいお姉ちゃんも……」
「むぅ、だからちゃんと謝ったじゃん。用事がある時はちゃんと連絡するようにしてるし。」
「そういえばそうだよね。じゃあ今日はお言葉に甘えちゃうね。」
そう、パーティをやる事自体はゆーちゃんに言ってある。ただし『みんなでやる』ことは知らせてない訳で。みんなの用事がこの準備だと知ったら……どんな風に驚いてくれるかな?
「そだそだ。ちょっとかがみに電話掛けるから、鍵開けといてくれるかな?」
「はーい、じゃあちょっと待ってて。」
「あ、かがみ?うん、もうちょっとで家に着くんだけどさ。例の件はOKだよね?うん、うん。おーありがとー。んじゃまたねー。」
横で聞いてる分には何気ない電話だけど、これはかがみ達に到着を告げる合図。
家に着くとゆーちゃんが鍵を開けてドアを開けて……
「ただい……」パンパン!パパパーーーン!!「ひゃぁっ!?」
「ハッピーバースデー、ゆたかちゃん!」「おめでとう、小早川さん。」「おめでとう、ゆたか。」「Happy Birthday,ユタカ!」
「え、え?あれ?えっと、これ?」
突然のお祝いの言葉に目を白黒させるゆーちゃん。そこにはチアで一緒になったみんなとお父さんにゆい姉さん。手に手にクラッカーを持って笑顔で待っててくれた。
んっふっふっふ、驚いてる驚いてる……って、どっかの中年警察みたいな笑いになっちゃったよ。
ようやく落ち着いてきたゆーちゃんを後ろから抱きしめて、
「ゆーちゃんの事驚かそうと思ってね、みんなで準備してたんだよ。ごめんね、寂しい思いさせちゃって。それと、ハッピーバースデーゆーちゃん♪」
そう伝えてからゆーちゃんのほっぺにちゅっとキスしてあげる。ポンッと音がするんじゃないかな?って感じで耳までまっかになっちゃうゆーちゃんを
「Oh コナタ、ダイタンネ!」
「あーもう。いくらみんな知ってるからって少しは人目を気にしろっての。見てるこっちが恥ずかしいわ。」
「いいなぁ、ゆーちゃん。好きな人からのキスなんて最高のプレゼントだね!」
なんてみんなでひとしきりからかう。本当に可愛いね。
「ほらみんな、そんなところじゃ寒いだろう。早く中に入りなさい。」
お父さんに促されて、みんなで家に入る。その間ゆーちゃんはみんなのおもちゃ状態だ。
私とゆーちゃんが着替えて部屋に入ると、パーティの準備はすっかり完了して主役の到着を待つだけだった。
「お待たせ、みんな。でわでわ……さぁ始めるザマスよ!」
「またそれか!まともに始めなさいっての、ったく。」
私の音頭に呆れながらローソクに火を灯すかがみ。みんなにジュースを渡していくつかさ。みゆきさんやみなみちゃんが取り皿を配り……そんな光景を眺めながら本当にいい友達を持ったなー、なんてしみじみ思いながら明かりを落として、
「では改めて。16歳の誕生日おめでとー、ゆーちゃん!」
「「「「「「「「「「おめでとう、ゆたかちゃん!」」」」」」」」」」
あ、笑顔のまま泣いちゃってる……そんなに喜んでくれると、計画立てたこっちも本当に嬉しいよ。
「ひっく……ありが、とう。みんな。ん……すごく、うれしい、です。」
「ほらほら、嬉し泣きもいいけどやっぱり笑顔の方がいいよ。」
そう言って涙を拭いて優しく頭を撫でてあげると、ようやく落ち着いたみたい。
「私の為にこんな素敵なパーティを準備してくれて、本当にありがとうございます!」
元気にそう言うと、ローソクを吹き消すゆーちゃん。それと同時にみんなで恒例の歌を歌い出す。
「……ハッピーバースデートゥーユー♪」パチパチパチ……
拍手とともに歌い終え、明かりを点けると
「さぁて、今日は騒ぐよー!無礼講だ〜〜!!」
「「「「「「「「「「「おー!!!」」」」」」」」」」」
さぁ楽しいパーティの始まりだ!!
つかさと峰岸さんのケーキや料理、パティと私の歌&パフォーマンス、etc、etc……挙げたらきりがないほど騒いだらプレゼントの時間だ。
かがみとつかさから可愛いワンピース、みゆきさんとみなみちゃんは童話集、みさきちと峰岸さんはリボンとイヤリング。
ひよりんからは……同人誌?じゃなくゆーちゃんを中心にしたマンガみたい。パティはコスプレ衣装……どっかで見た光景だよ。
お父さんとゆい姉さんはスケッチブックとクレヨン、色鉛筆。
みんなゆーちゃんの好みとか私に聞きに来てたからね。みんな色々考えてたみたいで、どれもゆーちゃんを喜ばせていた。
最後は私から……ゆーちゃんの左手を取ると、そっと薬指に嵌めてあげる。
青いトルコ石のシルバーリング。ここ数日、市民会館でやっていた銀細工教室で作ったものだ。
「これ作るんで市民会館通ってたら、なかなかゆーちゃんと一緒に帰れなくてね。ちょっとぶきっちょだけど……」
「へぇ。あんたにしては頑張った……って、おい!その指!」「Wow!コナタ、愛の告白デスネ!」「やるな、ちびっ子!」
あーやっぱこうなるよね。私達の仲はみんな知ってるからいいやとか思ったんだけど。やっぱりちょっと恥ずかしい。
ふと繋いだままのゆーちゃんの手が震えてるのに気づいてゆーちゃんを見ると、俯いたままじっとしてるのが目に入る。
「あれ、どったの?ゆーちゃ……んっ?!んん……」
どうしたのか聞こうとした口が塞がれた。ゆーちゃんの唇で……
「わわっ、ゆたかちゃん?!」
「あらあら、大胆ですね。」
「ゆたか、みんな見てる……」
「スケブスケブ……って自重しろ私!」
みんなが騒いでるのも耳に入らないのかキスしたままぎゅーっと抱きしめられ、
「ぷはっ。ちょ、ゆー……っん、んぅ…あむ」
一旦離れたかと思ったらまたキスされた。今度は舌まで絡めるディープなやつ。さすがにみんな声も出ないみたい。いくら二人のこと知ってても、ゆーちゃんがここまで大胆になるとは思わないよね。
時間にして数分。やっと解放された私はぼんやりとゆーちゃんを見つめるくらいしか出来なくて。当のゆーちゃんは、
「お姉ちゃん、ありがとう……世界中で一番愛してる!」
と笑顔と共に元気よく宣言してくれました。
「いやぁ……ゆたかがこんな積極的になるとは、お姉さん本当にビックリだよ……」
「姉妹の愛の告白……くーー、これは萌えるな!」
最初に立ち直ったのは保護者ズ。しかしビックリで済ませたり、なんかサイテーなセリフを言ったり……この2人はある意味凄いと思う。
続いて起こったのは拍手の嵐と祝福の言葉。
「ソノママWeddingBell鳴ラシチャイマスカ!」
「2人とも素敵……私もお兄さんといつか……」
「も、もう。2人とも、そういうのは私達が帰ってからにしなさいよね……」
嬉しそうに指輪を撫でるゆーちゃんと、多分顔を真っ赤にしてる私。いつもと立場が逆になっちゃったね、なんて思いながらも、幸せそうなゆーちゃんを見てるとたまにはいいかな?と思う。
特大イベントも起きて最高に盛り上がったけど、お祭り騒ぎも終わりは来る訳で。
「それじゃあ電車の時間もあるし、そろそろお開きにしようか。」
「そうだねー。楽しい時間ってあっという間に過ぎちゃうよね。」
「いやぁ、今日はホントにいいものを見せてもらったッスよ!」
「あぅ……もう言わないでよぅ、田村さん!」
「でも、本当に幸せそうだよ。ゆたか。」
「まぁまぁ、あまり私の嫁をからかわないでおくれよ。」
「よ、嫁って……お姉ちゃん!」
「ソウソウ、オ邪魔虫ハ退散スルデス。」
「そうですね。馬に蹴られる訳にもいきませんしね。」
なんて言いながら、みんなは帰っていった。
「みんな、今日は本当にアリガトね!」
「ありがとうございました!今日の事は一生の思い出です!」
最後にそう声を掛けて、後ろ姿が見えなくなるまでゆーちゃんと2人で見送った。
「いやぁ……騒いだ騒いだ。お父さんもゆい姉さんもありがとね。」
「なんのなんの。可愛い家族の為ならいつでも何回でもかまわないぞ!」
「そーだよー。可愛い妹達のお祝いだもん。喜んでやるさー。」
「おじさん、ゆいお姉ちゃん。今日は本当にありがとうございました!」
「はっはっは。気にしなくていいよ、ゆーちゃん。おじさんも楽しかったしね。」
「さって、あたしもそろそろ帰らないとね。おねーさんは明日もお仕事なのだ〜。」
「それなら俺が送っていくよ。今日は酒も飲んでないしね。」
「いいんですか?ならお言葉に甘えます、おじさん。」
「それじゃ車出すから少し待ってて。あ、そうだ。片付けは明日でいいから、2人とも風呂入って休んでいいぞ。」
「えっ、いいの?」
「ああ、流石に疲れただろ。残り物も帰ってから俺が片付けておくから。」
「じゃあお願いするね、お父さん。ゆーちゃん、いこっ。」
「えっと……ありがとうございます、おじさん。」
「さてと。じゃあ行こうか、ゆいちゃん。」
ゆい姉さんを乗せたお父さんの車を送り出してから、ゆーちゃんに先にお風呂に入るよう勧めた。
お父さんはああ言ったけど、全部任せっ放しはさすがに気が引ける。かと言ってゆーちゃんの前じゃ出来ないからね。
よっぽど疲れてたのか、ゆーちゃんが素直にお風呂に入るのを見届けると空いたお皿を片付け始める。料理が残ってるのは小皿に移して、ジュースのペットボトルは冷蔵庫。
一段落するとゆーちゃんが出てきたので入れ替わりで今度は私の番。
ゆっくり体をほぐしながらお湯に浸かると、あったかくてつい寝ちゃいそうになる。さすがに自宅の風呂場で溺死はしたくないので、眠気を堪えてお風呂から出るとちょうどお父さんが帰ってきた。
「なんだ、片付けやっちゃったのか。本当にゆっくりしてよかったのに。」
「いやいや、全部は終わってないって。さすがに飾りなんかは大変だからね。」
「しっかし、娘がもう1人本当に出来るとはなぁ。ゆいちゃんじゃないが、お父さんビックリだ。はっはっは。」
「ちょっ、お父さん?」
「前にも言ったがお父さんは応援するぞ。それに友達もお祝いしてくれるみたいだしな?お前達は幸せものだなぁ。」
「ん……そうだね。でもさすがに結婚は出来ないよね。」
「確かにな。でも書類だけが繋がりって訳じゃないだろ。2人が末永く一緒にいられるなら、そんな紙切れに意味はないさ。」
「お父さん、なんかかっこいい事言ってるね。」
「そうだろう?お父さんはかっこいいんだぞ。やっと理解したか、娘よ!」
「……そうやって調子に乗らなければもっとかっこいいのにね。」
「うぉっほん。ま、まぁ今日はご苦労さん。ゆっくり休めよ。お父さんももう休むからな。多分ぐっすり寝るからちょっとの騒ぎじゃ起きないと思うぞ。」
「は?な、何言ってるのかな?」
「年甲斐もなくはしゃいじゃったからなぁ。まぁこなた達も夜更かしするなよ?」
「しないってば!もぅっ。おやすみ、お父さん!」
ごめんなさい、もうちょっと起きてます。
あの口調は多分お父さんは気づいてる。私のやろうとしてる事に。変な所で勘がいいから。
一旦部屋に戻って、ちょっと準備をしてからゆーちゃんの部屋に向かう。
「ゆーちゃん、起きてるかな?」
「お姉ちゃん?うん、起きてるよ。どうぞ〜。」
部屋に入るとゆーちゃんはベッドにちょこんと座って指輪を眺めてたみたい。
「どうしたの、お姉ちゃ、ん?その格好は??」
まぁ不思議がるのも無理はないよね。今の私の格好見れば……今私はテルテル坊主みたいにシーツをまとってるんだから。
「ゆーちゃんにもう一つプレゼントがあってね。」
「え?私これだけで十分すぎるよ?」
そう言って指輪にそっと指を這わせるゆーちゃん。
「まぁまぁ、こっちはおまけみたいなものだからさ。受け取ってくれるかな?」
「お姉ちゃんがくれるものなら喜んで受け取るけど……」
可愛らしく首を傾げてこちらを見るゆーちゃんにあと一歩のところまで近づいて。
「じゃん!プレゼントはワ・タ・シ♪」
まとっていたシーツを落とすと……一糸纏わぬ、じゃなく素肌にリボンを巻きつけた体が露になる。
これぞ裸リボン!
微妙なところだけリボンで隠す、このせくしーな姿を見よ!
「いやぁ、エロゲとかでこう言うの見て一度やってみたかったんだよね〜〜。どうかな?」
と、ゆーちゃんを見ると私をじっと見たまま固まってる。って、あれぇ?はずしちゃったかな?なんて思ってるとゆっくりゆーちゃんが腕を伸ばして私の腕に触れる。
そのまま掴まれるとゆーちゃんらしくない力強さでベッドに引き寄せられ、ゆーちゃんに組み敷かれる形になった。
「あ、あれ?ゆーちゃん。けっこう力あるんだねぇ?」
「お姉ちゃんがプレゼントなんだよね?」
笑顔のゆーちゃんに静かな声で聞かれる。あの……ゆーちゃん、目が笑ってないです。
「そーだけど。いつもと雰囲気が違うよ、ゆーちゃ、ん……んむ、ふぁっ。んん……」
最後まで言えませんでした。パーティの時以上に激しいキスのおかげで……
あははは。変なスイッチが入っちゃったみたいですね、ゆーちゃんてば。
「えっとー……や、優しくしてね?」
「うん。無理♪」
「ちょっ!ゆー、んっ。んーー!」
「ぷぁ……ふふっ、いっつもお姉ちゃんがしてくれる事してあげるね。」
おとーさん。ちょっとの騒ぎじゃなくなるかも知れません。
起こしちゃったらゴメンナサイ。
翌日。
私は朝から動けませんでした。
そんな私を、体が弱いはずのゆーちゃんが甲斐甲斐しく世話してくれましたよ。
今日が休みで本当によかった……
357 :
26-215:2007/12/20(木) 03:51:57 ID:xRDtHqZY
いかがでしたでしょうか?
よもや記念SS第1号になってしまうとは……
光栄に思うと同時に、こんなのでいいのか?とも思ってます^^;
感想、批評などバンバンいただけると嬉しいです。
それではおやすみなさいませ〜m(_ _)m
初のリアルタイムGJ!
しかしこなたwwベタすぎてその発想はなかったwww
こなかが信者の俺でもすんなり受け入れられる良作でした。
最後にもういっちょ、GJ!
359 :
26-215:2007/12/20(木) 04:21:52 ID:xRDtHqZY
追記と言うか返信?
>>358 元ネタは某動画サイトで見た、とある替え歌MADこなかがVer.の歌詞からですw
あまりにベタ過ぎて、誰かに先を越されないかドキドキでしたが^^;
そしてリアルタイム遭遇とGJに感謝です♪
「即死魔法」を書かれた17-139氏の作品をもう一度見れないかなあ、
何ら無理な設定を使わないで、キャラも崩さず、壊さずなので
読み手は何ら拒否や嫌悪を感じず、物語に引き込まれ、萌え死。
このクォリティで、一作きりなのは残念で不思議です。
微妙に文体の個性を抑えているような印象もあり、
もしかしたらこのスレのかなりのクラスの作家さんが挑戦か実験的な作品を
別作家名で投下の可能性とか勝手に想像して、
仮にそうなら17-139氏の顔の次の作品をとか願ってみたり。
>>360 きっと>479が書いてくれるさ
479に期待
相変わらず流れ速えー。
しかも今日はゆーちゃん祭りで一気に350kbまで逝きそうな悪寒。
(ちなみに現時点でのスレ容量は275k。3日で半分使い切るってこのスレの職人は化け物か!?w)
さてらきトレフィギュ(非ねんどろぷち)の発売日が26日で確定したみたいだし、まだ加速かかるかな?
ゆーちゃん、ハピバ!!!
オレからの多大なる愛を受け取ってくれっ。
>>357 こなゆた、いいよ、こなゆた(*´Д`)ハァハァ
朝からおっきしたオレを誰が攻めるだろうkちょ、みゆきさ…やめ…
アッー!!!
>>347 ツボでした(´Д`)b
やっぱりキスはいいよキスは。うん。
>>357 ゆーちゃんがこなたのことを好きっていう感じがすごく伝わってきました。
パーティの雰囲気もいいし、大満足です。GJ!
しっかし、ゆうちゃんの誕生日とはいえ、
なんなんでしょうこのみなみ涙目の流れはw
こなた「やっぱ、私の方が胸があるからかな?カナ?」
みなみ「…(暗黒モード)」
>>363 みゆき「ですから、何度も申し上げますが、
わたしが襲うのはいずかがつかさんだけですだばだば」
3人「ぶっちゃけた!ていうか、略された!!」
>>360 最後の方でみんな壊れてると思うんだけど
鼻血でてるし
エビぞりで気絶してるし(←俺が吹いた場面
というか、無理な設定・キャラ崩し・壊しが読み手に嫌悪感与えてるみたいな発言に聞こえるから
気をつけたほうがいいと思う
悪気はないんだろうけど
>>365 みなゆたSSを書いていたはずが、
何故かみなみちゃん涙目どころじゃないどん底の展開になってしまい、
誕生日が終わるまで何もできない自分も涙目orz
待ちの間仕方なく続きを書いていたら見事に詰まって全然進まないし、
この前買った○トバスでも一段落させてくるかなorz
はとバス?
>>367 俺も書きあがってるけどさすがにこの流れだと投下出来ないのばっかり(欝、TS)だw
というわけでゆたかちゃんもの書いてるけどみなみちゃんがまた空気になりそうです
そういえばみなみって、かがみ こなた つかさ に次ぐ人気
なのにここでは出番少ないよね
無口キャラはアニメとかだと栄えるけど、小説だとなかなか難しいんじゃない?
あんまり喋らせちゃうとイメージ崩しちゃうし
えーと、らき☆すたって、主人公のこなたが全キャラ攻略していく話だよね?
>>367 そして自分のもみなみが欝展開……
ゆたかはかなり幸せになるが。
鬱だろうがTSだろうが鼻血ブーだろうが、全て大好物なオレが、SSうpを要求するっ!!!
みなみ「…(ゆたかを守るように抱きながらこなたを睨む)」
こなた「あー(ぽりぽり)これまた、勝負フラグ?」
みなみ「いじめる…」
ゆたか「どうしたのみなみちゃん」
みなみ「(涙目)みんな…いじめる…」
こなた「まいったネこりゃどうも…=ω=.;
せめて、小ネタ時だけでも、お二人をそっとしといて
あげよっかぁ」
ゆたか「大丈夫だよみなみちゃん、私はどこにもいかないから」
みなみ「ゆたか…」
かがみ「いじり好きのあんたにしては、えらい素直に引き下がるわね」
こなた「もとより成立しているカップルに手を出すのは
エロゲの中だけと決めてますからなっ」
かがみ「またそっち方面かよ…」
こなた「それに私にはかがみんがいるし♪」
かがみ「ば…ばか…(///」
みさお「んなこと言って…5年以来続いていた私とひぃらぎの
仲に割って入ったのはどこのどいつだ;;」
あやの「みさちゃんのボルテージが…上がってるわ…
でも…そんなみさちゃんが…ポッ(嫉妬みさ☆フェチ)」
>>376 こなた「ん?私、みさきちも好きだよ?」
みさお「ちょ、おまっ、何不意打ち……(///)」
みさきち、発症のきっかけであった。
379 :
360:2007/12/20(木) 16:06:08 ID:rEZUzorW
>>366 おっと、二次創作ですから、無理な設定・キャラ崩し・壊しなどの元の作品世界からの
ブレもひとつの表現なのはもちろんですが、全否定と誤解が生じましたか。
作品の流れが説明になっている自然な作品以外は、それらを使っていながら
前置きも作中の説明もない作品は流石に辛いですけれどと書けばよかったです。
作品 即死魔法ですが、このままアニメのシナリオになりそうな気もします。
つかさが言い出した、姉妹が逆ならというのはアニメでもあった話でしたし、
コミカルな作品中では鼻血や仰け反ったりなどは一般的な表現なので
キャラ壊れとは感じていませんでした。
>>379 >誤解
いや、大丈夫。俺は何がいいたいのかは分かってるから。
拒否や嫌悪の部分が『即死魔法』の優れた部分を強調するために使ってるのは分かるけど
人によっては逆に、「無理な設定・キャラ崩し・壊しを使ってる作品に拒否や嫌悪を感じる」ってふうに
それらを否定してるようにも捉えられるよってことを言いたかったんだ。
自分も分かりにくくてすまんかった。
確かにコミカル路線ではそういう表現はデフォだけど
ただ、作中で最後につかさがかがみを襲うところや、みゆきの発言とかは、原作やアニメから考えると、
あの作中のキャラたちは、微妙に壊れてる類に含まれるんじゃないかと思う。
381 :
21-260:2007/12/20(木) 16:58:12 ID:/1IqvGrn
>>379>>380 どんまいです。
というか、自分も失言とか投下ミスとかが恐ろしいまでに多いので注意しないといけないですね。
>>375 よんでこうかいすることになってもこうかいしないでくださいね(謎)
というわけで、これ以上名作良作が飛んできて自信喪失する前に、空気読まずに投下っ
■さぁぁて前回までのあらすじわぁっ
抑え切れない恋心の果てに、ゆたかと無理矢理口づけを交わしてしまったみなみ。
しかしそれは、友達同士でいられた時間の終わりでもあった。
壊れてしまった二人の関係、もう戻れない、ゆたかに包まれていた優しい日々……
だが、そんなEDは納得いかんのだ、みなみとゆたかの決着が、こんなもので良い筈がない!!
果たしてみなみはゆたかの愛を取り戻せるのか?
それともやはり幸せは、異性なしには得ることができないものなのか!?
エロなし・みなみ(&ゆたか)中心・一部突然変異を起こしてきれいなひよりん・気のせいか百合、
それと何故かこなたとかがみが学校一のカップルになってたり……。
展開がかなり重苦しい(特に始めの4レスくらい)ので鬱が苦手な方は注意してくださいっ
↓以下、全部で7+1レスほど、書き込みいきますっ
もし神様がいるなら、時間を巻き戻してもう一度ゆたかを看病させてほしい。
こんな形で終わる位なら、こんな恋なんて諦めて、また友達に戻りたい。
……でも、それは決して届かない願い。
今の私に許されているのは、寂しい空き教室の隅で、あの瞬間を悔やんで泣くことだけ。
「ゆたか……」
大好きなひとの名前が、頭の中に何度も浮かんで、そのたびに良心を苛む。
その痛みに耐え切れずに溢れる涙は、拭っても拭っても、後から後からこみ上げてきて……。
4時間目はとっくに終わって、昼休みも半分過ぎたのに、普段通りを装う元気も出ない。
そんな私を見下ろす空は、今の自分と同じ、太陽を失くして鼠色に染まっていた。
みなみべりー・ぱにっく! 〜神無月の漫画家さん〜
「小早川さん、早退したんだって――」
教室に戻ってすぐ、後悔で塗り潰された心に、誰かの声がのしかかる。
ゆたかを保健室にエスコートする時や、体育の時間以外は、私は特に注目されたりしない。
けれど、目を痛々しく泣き腫らした今の私は、教室に入った瞬間から、格好の話題の的だった。
心にできた大きすぎる空洞を誰かが見つけて、別の誰かに話して……
気がつけば憎らしいまでの連帯感で、クラスのそこかしこから嫌な噂や推理が上り始めた。
「そーいえば岩崎っていつも小早川にベタベタだったよな?やっぱ岩崎って……だったんかな?」
「もしかして保健室で告ってフラれたとか」
「えー、もうすぐ柊先輩化すると思ってたのに……」
目を閉じて、投げかけられる言葉から意識を逸らそうとする。
けれど、自分の一番痛い場所に突き刺さる言葉を、気にしないなんて無理。それどころか……
「けど小早川も大変だよな。頼りの保健委員がこんな趣味……」
「そんなこと――!!」
「は、ははっ、悪ぃ、ちょっと言いすぎたわ……」
思わず本気で怒鳴りかけた私と、何人かの抗議の視線に押されて、その男子はそそくさと
引っ込んだ。しかし、投げかけられてしまった一言は、その場を支配していつまでも消えない。
だってそれは、私を含めた多くの人が、どこかで意識していた言葉だったから。
「あんなの、気にすることないよ?」
気まずい空気の中に、田村さんがすすっと割り込んできた。
棒立ちのまま固まっていた私の背中を撫でて慰めてくれる。
その横ではパトリシアさんが、武道やら任侠やら、日本の精神美(?)について語りながら、
近くの何人かの女子を巻き込んで、私を励ましつつ今の失言に抗議している。
「…………」
ここはお礼を言わないといけないのに、普段でも不慣れな『ありがとう』を言う元気なんてなくて、
そのまますとんと椅子に落ちる。
……いや、違う。気力がないのもそうだけど、お礼を言えなかったのは、私のせい。
二人のお陰で、『居心地』は大分良くなったけれど、肝心の良心の呵責は消えないままだから。
自分が叩かれるだけなら、いくらでも我慢できる。
けど、自分がしたことのお陰で、ゆたかにまで負担をかけてしまうのは耐えられないから。
今の一喝と、田村さんやパトリシアさんのお陰か、変な謗り声は静かになったけれど、訝しみの
視線は変わらない。いや、それどころか更に酷くなっている気もする。
こんな場所に、ゆたかが戻ってきたらどうなるだろう。きっと今の私のように、教室にいる間中、
ずっとこんな視線を浴びせかけられて……そう思うたび、胸の奥がきりきりと痛みを増す。
なら、私はどうすればいい?ゆたかを少しでも傷つけないために、何かできることはある?
決まってる。簡単なことだ。
私から、ゆたかと距離を置けばいい……。
そう、きっと私達はこれで良かった。
今回の事件のお陰で、ゆたかは私と別れられた。
同じ女の子を好きになる『普通じゃない』私と……わがままで変態で自分勝手で、ゆたかを看病
するふりをして本当は欲情していた、そんな私と別れられたんだ。
……無理矢理嘘をつく。誰もいない机を見ながら、必死に自分を納得させる。
私は自分から、ゆたかが汚れてしまわないように……そう思って、別れたんだ。
だいじょうぶ、私なんかいなくても、ゆたかならきっとがんばれる。
辛い時とか体調を崩した時は、泉先輩や田村さんたちが支えてくれる。
嫌な噂だって、私がゆたかから遠ざかれば、きっと何日もしないうちに消えてくれる。
だからゆたかは、私のことなんか忘れて、がんばって……。
きーん、こーん、かーん、こーん。
自分を納得させる作業に取り憑かれていた私を、今日最後のチャイムが引き戻す。
いつの間にか授業は終わり、下校の時刻になっていた。
「やば、傘持ってきた?」
「今日はさっさと帰って寝るわ。金ねーし」
教室中から一斉に上がる明るい声と、机や椅子が擦れる賑やかな音。
けれど私はずっと自分の席で、人がいなくなるのを待っている。
今の自分を帰りに見られないように、見られてこれ以上、ゆたか絡みの噂を囁かれないように。
「……」
ただ一箇所を除いて全ての席を埋めていた同級生も、私をちらりと流し見たり、逆に目を逸らし
たり、遠回りして私を避けたりしながら、塾へ、部活へ、思い思いの場所へ消えていく。
騒がしかった教室から、生徒が何人かずつ減っていき……
「ごめんね、非番だったのに」
「Don't worry ヒヨリン、だが我々は百合のため、萌えを忘れた人のため、デスヨ?」
「恩に着るよパティ、この埋め合わせは……を……ね?」
「Wow !!! 恐悦至極に存じまス♪ではそろそろCafeに出撃シマスネ、後のコトは頼みましたヨ!」
パトリシアさんが軽快に飛び出していった後には、たった二人だけが残された。
俯き続ける私と、それを見つめる、丸眼鏡が似合う、膝下まで届く長い髪をした彼女の。
「ちょっと、前に座るね」
前の席の椅子をくるっと回して、すとんっと腰を下ろす。
生徒がいなくなった教室では、その音が嫌に耳障りに聞こえた。
沈黙が、辛い。
特に用事がない限り、大宮の漫画の店に行くか、自宅や漫研の部室に直行して原稿と闘って
いる田村さんが、私の前に座って会話のタイミングを伺っている。
話題は間違いなく、私にとって辛いこと。
そんな話をするのは怖くて、悲しくて、それなのに何故か断る気にもなれなくて……。
椅子に座っていて、背中を向けることもできない私が、意固地に下を向き続けて、どれほどの
時間が経った頃だろう。
「岩崎さん」
田村さんに呼ばれた私は、条件反射的に、途方に暮れた顔を上げていた。
やけに広く感じる教室で、田村さんと向き合う。
毎日話をしている人の筈なのに、体が強張る。まるで面接試験でも受けているようだ。
……そう思ってみて、やっと気付く。
ああ、そうか。田村さんと二人きりで話すのは、これが初めてなんだ。
思えば、いつも私達の間には、ゆたかがいてくれた。
ゆたかと並んで話をして、ゆたかがいない時は、昔と同じように、一人で過ごして。
ゆたかを通さないと、私は友達と話もできなかったんだ……。
「あのさ、た、単刀直入だけど……その、昼休みのこと、少し聞いてもいいかな?」
近くに人気がないのを確認してから、普段より小さめの声で聞いてくる。
私はどうしたらいいか分からず、黙ったまま。
でも、それを『否定はしていない』と取ったのか、田村さんは話を続けた。
「その、悪気はなかったんだけどさ、ちょっと気持ち悪いフリして授業抜けて、ゆーちゃんの様子
見に行ったら、岩崎さんが保健室から飛び出して、どこかに走ってくの見ちゃって……」
そこからは、大体予想通り。
私の方も気になったけど、ゆたかの方が不安で、ベッドの傍に駆け寄った。
ゆたかは『何でもない』って笑おうとしていたらしいけど、どう見ても無理が見え見えで、こんな
状態で授業を頑張るのは辛いからと、先生に頼んで早退にしてもらったらしい。
「家に連絡したら迎えに行けるって言うから、ちょうど良かったよ」
疲れた笑みを浮かべる田村さんを見て、ほっとする。
こんなに優しい田村さんがいれば、ゆたかは何も心配ない。それなのに、どうして私は……。
「ねぇ、岩崎さん、さ……」
今の顔を見られるのが嫌で、再び俯いた私に、田村さんが聞いてくる。
「ゆーちゃんのこと……」
「田村さん」
その先は、聞かれちゃいけない。聞かれたら、頷いてしまう。折角の決意が鈍ってしまう。
だから、言われる前に。
「ゆたかのこと、なんだけど……明日から、ゆたかのこと、みて、あげ……」
ゆたかのためにできる、私の最後の頼みごと。
これを伝えれば、きっとみんなうまくいく。もうゆたかは変な目で見られなくなるし、私もゆたかに
変なことをできなくなる。それで、ハッピーエンドになれる、はず……
なのに、その言葉の終わりの方は凍りついて、声になろうとしなかった。
「私、ゆたかに近づいたらだめだから……田村さんなら、優しいし、ゆたかとも仲良し、から……」
どうして、うまく言えないの?
いつもと同じように、自然に言わないといけないのに、どうして、また涙が出そうになるの?
どうしてこんなに悲しい、本音に見えない声になるの?
「だから、ゆたかの調子が悪いときは、たむら……」
「だめだよ」
ポケットティッシュを取り出しながら、田村さんが言葉を遮る。
「ゆーちゃんの一番は、岩崎さんだしね。岩崎さんが休んだ時は代わりになるけど、そうじゃない
時は、岩崎さんが……」
「違う」
それはもう昨日まで。今日のあの時、私が壊してしまった。
だから、私は……。
「田村さんは、私のこと知らない、私がゆたかに何をしたか知らない、ゆたかはもう私を嫌いで、
私も、ゆたかと……」
「嘘だよ、岩崎さんとゆーちゃんは、今だって特別の」
「そんなのじゃない、ゆたかとはもう何でもっ」
「そんなわけない!!」
椅子を跳ね除け、反射的に駆け出そうとした私の手を、田村さんが引っ掴む。
何があっても絵描きとして庇い続けてきた、その大切な左手で。
「――っ!」
力任せに引っ張られても、引きずられて机を引き倒しそうになっても、田村さんは頑に離さない。
それどころか、こんなに意地を張る私の方に、真っ向から視線をぶつけてくる。
時間にすれば、きっと10秒にもならない程度。
運動が得意な筈の私の方が、その剣幕に折れていた。
「その……ご、ごめ……」
「いいっていいって。未来のエトワールを見守るのは……いや、なんでもないナンデモナイ……」
私が大人しく席についたのを見てから、荒い息と一緒に椅子に座り直す。
腰掛ける間際に作った不敵なVサインは、まるで何かをやり遂げた勇者のようだ。
「けど、私の本能が許せないから、ちょっとお節介焼いてもいいかな?」
親身な笑顔で、聞いてくる。 さっきのごたごたで緊張が解けたせいだろうか。
私は先生に注意される子供のように、小さく頷いていた。
「……岩崎さんさ、もったいなすぎるよ。ここでゆーちゃんから逃げちゃうなんて」
いつもとはちょっと違う、穏やかな声で、田村さんは『お節介』を始めた。
「逃げてるわけじゃない。私はゆたかに酷いことしたから、ゆたかと別れないといけないから、」
「嫌われた、ねぇ……」
真剣に考えているのか、それとも呆れているのだろうか。田村さんは少し考え込んで……。
「それって、本当に『嫌われた』の?岩崎さんが『思い込んでる』わけじゃなくて?」
「え……?」
詰め寄るような笑顔で、そんな言葉を口にした。
「いやなんか、ゆーちゃんが岩崎さんを嫌いになるのがどうしても想像できないんだよね。
夜×光はむしろ……だし、ヤンデレとか黒化とか?いやそれでもゆーちゃんならきっと……」
「田村さん?」
「……はっ、ごめんごめん、漫画家の癖で、つい」
何だか思考が変な方向に脱線していた田村さんを、こっちに引っ張ってくる。
「でもさ、やっぱりゆーちゃんを無理矢理嫌いになるなんてダメだよ。
それに何となくだけど、岩崎さんがしたことって、ゆーちゃんにとっては、岩崎さんが思ってる
ほど酷いことじゃないような気がするんだよね」
只今良からぬことを考え中、という邪笑に、思わずぱっと顔が火照る。
違う、田村さんが思ってるようなご都合主義な展開なんてない。それは私の叶わない夢で。
そうだ、田村さんは私が何をしたか知らないから暴走しているだけで、でも、もしゆたかが……。
「はぐぁっっ♪」
クールダウンの作業を、謎の雄叫びが妨害する。
田村さんが突然頭を抱えて、重心が崩れる限界近くまで仰け反っていた。
この角度は危ない。咄嗟に椅子から立ち上がって、後頭部を机の縁に強打しないよう支える。
「もう少しで倒れるところ」
「あ、ありがと……まじ助かったわ……」
ひとすじの冷や汗を流しながら、安堵のため息をつく。
けれど体勢を整えるや否や、田村さんは私の顔を覗き込んで、言った。
「でも、今の顔で確信したわ。やっぱりどんなに誤魔化しても、岩崎さんの一番はゆーちゃんだよ」
「顔?」
「そう、さっきの……って、そっか、自分じゃ分からないよね、ザンネン。
……でも、古今東西、二次元でも三次元でも、人は本当に気になる人のことになると、どうしても
その人専用の顔しちゃうもんだからね」
とんでもなく恥ずかしいことを言われて、さっきよりももっと真っ赤になる私。それをたっぷり堪能
しながら、田村さんもさっき以上の酷い笑顔を浮かべた。
くぁあぁあああっ、これでご飯10杯は逝けるっ!と、嬉しそうに付け加えながら。
「例えばこな×かが……あ、こなた先輩とかがみ先輩ね、があんなにカリスマになってるのも、
ルックスとか天性のかけ合いだけじゃなくて、『二人がすごい幸せ』ってのが伝わってくるから
じゃない?特にかがみ先輩なんか、普段はすごいツン……マジメで、笑っても作り笑いだけど、
泉先輩と一緒だとキレたり照れたり、一人の時より断然生き生きしてるでしょ」
「そうなの?」
「そうなの、私達がよく見てるかがみ先輩は特別。もしかして一人の時に会ったことない?」
私の中のかがみ先輩は、とても生真面目には見えない。むしろ気さくで楽しくて、時々同じ女性
から見ても惹かれるくらい、例えようもなく可愛い顔をすることもある。
でも、言われてみれば確かに、私がかがみ先輩に会った時は、いつも傍に泉先輩がいた。
今までそれがかがみ先輩の『素』だと思っていたけど……あれが、泉先輩専用……?
「でも岩崎さんも、かがみ先輩に負けてないよ?さっきの照れてる顔とか、その前の怒った顔とか、
昼休みに陰口叩いてたみんなが見たら絶対萌え死ぬって」
「そんな、私……」
「私も同人やってるせいかな、人の表情とかよく観察してるけど、それでも普段のみなみちゃんは
無表情っていうか……でも、ゆーちゃんのことになるともう吐血するほど可愛いんだよね。
喜んだり怒ったりわざと普段通りのフリしたり、ああもう羨ましいくらいの恋だなぁって」
自信満々に断言してくる。
本当は気付いているのに、必死に目を逸らしている『私』の代わりに。
「でも、こんなのやっぱりおかしい。私は男の子じゃないし……」
「だから萌え……いや、よかったんじゃない♪
だってさ、もし岩崎さんが男だったら、入学試験の出逢いはなかったわけでしょ?
それに、頭よくてスポーツ万能で、クールで優しくてピアノも弾けるイケメン……orz……なんて、
絶対学校中の女子からマークされるよ?
そしたらゆーちゃんの性格だと、私なんかが、とかって遠慮しちゃうんじゃないかなぁ」
もう隠し通せないと知っているのに、必死に言い訳をかき集めてくる天邪鬼な私。
だけど田村さんは強気の笑顔と説得で、否定も迷いも消していく。
この顔は……そうだ。
優柔不断なヒロインにやきもきして、つい暖かい野次を飛ばす、おせっかいな観客さん。
「それに、『同性だからこそ』幸せになれた恋だってたくさんあるよ?こな×かがだってそうだし、
アニメとか小説とかだってそういうのたくさんあるし。今度○テナと○リみてと○無月と○タハネ
進呈するから、参考に見てみたら?ティッシュが足りなくなるよ、感動で」
「いい、何となく遠慮する……」
田村さんの理論は、ちょっとご都合解釈気味だ。最後の方なんか、何だか怪しい宗教の勧誘
みたいになっていたし。でも、こんなに『本音』に気付かされると、もう一度……。
「けど、それはさておいて、もう一回ゆーちゃんと話してみたら?泉先輩風に言えば、きっとそれで
またフラグ立つよ?」
「……!」
田村さんの言葉と、心の声が重なる。
ちらっと、時計を見やる。
次のバスまでは……確か、運がよければぎりぎり飛び乗れる時間。でも……。
「――みなみちゃん」
ぴょんっ、と椅子から立ち上がると、私の体を廊下の方に向ける。
「ええと……」
胸の奥で燻ぶる何かをどうすればいいのか、いや、分かってはいるけれど本当にそうしても
いいのか戸惑っている背中に、ぐいっと物理的な力がかかる。
「こういう時は突き抜けるしかないって♪みなみちゃんの足なら間に合うでしょ?」
私の中の本音と、私を励ましてくれた友達が、一緒になってエールをくれる。
だから、私は。
「うん、ありがとう……それと、遅くなったけど、昼休みの時もありがとう、たむ、……ひより」
とびっきりの笑顔で『GJ』のジェスチャーを返すひよりにお礼をして。
2,3歩踏み出した勢いのまま、教室から走り出した。
扉を開け放って、左右確認もしないで飛び出して、誰も居ない廊下を走る。
昼間ゆたかとの別れに向かって歩いたその場所を、今度はゆたかに会いに行くために。
今まで心に積もり続けていたものを吹き飛ばすストライドは、始めは戸惑い混じりに、けれど
次第に大きく、速く。
長く伸びた廊下をあっという間に抜けて、御手洗の前を通り過ぎて――
『だいじょうぶ?保健室……一緒に行こうか?』
『あ……』
頭の中を、懐かしい思い出が過ぎる。今でもはっきり覚えてる、ゆたかとの出逢い。
通い慣れ過ぎて忘れかけていたけれど、この廊下を初めて歩いたのは、入試の日、ゆたかを
保健室に連れて行った時だった。
あの時は名前どころか、同じ受験生だってことも知らなくて。
すごく小さくて可愛かったから、てっきり受験に来た誰かの妹さんだと思っていて……。
御手洗の先にある階段を、二段飛ばしで駆け下りる。
途中すれ違った先生の『走ると危ないぞ』の声は、今日だけはスルー。
1階に着いたら、昼間も通った保健室への分岐を無視して、下駄箱へ。
『会えてよかったです。ずっと、返そうと思ってて……』
出逢いの次は、採寸の日の再会。
あの日、私を見つけたゆたかが、ハンカチを返してくれた。
あげたつもりだったハンカチだったのに、余計な手間をかけさせて、ちょっと悪い気がして……
でも、それだけのためにこんなに自分を探してくれたことが、ううん、ゆたかが自分と同じ、
陵桜の一年生だったことが嬉しかった。
それから二人並んで、色々な話をしながら、裏門のバス停まで歩いて……。
『今日は、家の車だから……』
『あ、はい、じゃあここで』
散りばめられた思い出を追いかけて、濡れて色の変わったアスファルトを突っ走る。
傘を取り出す暇も惜しんで、正門前でバスを待つ人ごみを横目に裏門へ。
こんな時に、一番早いバスが、こっちのバス停に来るバスだなんて、ちょっとした嬉しい偶然。
ぎりぎりの所で信号に引っかかったバスに先回りして、懐かしい場所に滑り込んで、
大切なあの言葉をリフレイン。
『じゃあ……』
『……あのっ、これから3年間、よろしくお願いしますっ』
あの日ここから帰ったゆたかと同じ道で、糟日部の駅へ、そして夕方の人ごみの合間を縫って
飛び乗った電車で、ゆたかの家の最寄りの駅へ。
駅に着いたらすぐに飛び出せるように、鞄を握り締めたまま、ドアのすぐ側で待機する。
でも、そうして水滴だらけの窓から、ゆたかの家の方に目を凝らす間にも、
思い出が止め処なく溢れていく。
一緒に新しい教室に入った入学式、二人で花火を見上げた夏祭り、みんなで踊ったチアダンス、
それにあの恥ずかしすぎる宝塚喫茶……。
ううん、そんな特別なイベントだけじゃない。朝の挨拶や、休み時間の世間話、一緒に食べる
お昼や保健室でのやり取り――そんな何気ない普通の時間も。
私がしまっていた思い出の中には、いつもゆたかがいて、私の方を見て笑っていた。
「ゆたか……」
本当に、どうして今になるまで気付かなかったんだろう。
きっと私は、あの日田村さんの本を見て、意識し始めた時よりもずっと前から……
ゆたかと出逢って、別れて、また再会したあの頃から、こんなにゆたかが大好きだったんだ。
目的の駅に着いたら、ドアが開き終わるのも待たずに、電車を飛び出す。
他の乗客が押し寄せる前に無人の階段を駆け上り、改札をすり抜けて、後はゆたかの家まで
ひたすら走るだけ。
家に行ってみたって、会えるかどうかも分からない。
もし会えても、ドラマみたいなハッピーエンドになれる保障はない。
うん、知ってる。それなのに、それでも今は1秒でも早く、ゆたかの家に行きたかった。
信号待ちで呼吸を整えて、それ以外は立ち止まらない。
こんなに走っていては、折り畳み傘なんて殆ど役に立たない。秋雨に濡れた制服が風を受け、
体温がどんどん奪われていく。
向かい風と雨の中、教科書の詰まった学生鞄と傘を手にしての長距離走は想像以上に過酷で、
両足の筋肉も限界に近づいていく。にも関わらず、それを無視して走り続ける。
今日、私はゆたかに酷いことをした。
眠るゆたかに一方的に迫って、謝ることも、素直になることもしないで、自分勝手に逃げ出した。
それなのに、今更また会いに行こうとしている私は、酷くわがままだと思う。
……でも、会いたい。
会いに行って、もし会ってくれたら、自分がこれまで秘密にしてきた何もかもを打ち明けたい。
ずっとひとりで、読書と勉強で休み時間を潰してきた私に、はじめてできた居場所。
自分が寂しいことさえ知らなかった私が、はじめて求めたぬくもり。
そんなかけがえのないひとと、このまま別れてしまうなんて、そんなの、絶対に嫌だから――。
最後の横断歩道を渡って、畑交じりの住宅地に入る。
この頃にはもう、全身が悲鳴を上げていた。
最早『走る』というより『早歩き』と言った方がいい速度。
呼吸のリズムは滅茶苦茶。酸欠の足と雨水の染み込んだ靴では小さな段差や短い坂道も
億劫で、重々しい足音は呼吸と鼓動と、傘を叩く雨音と混ざって曖昧だ。
鞄や傘を握り締める指先の感覚だっておぼつかない。
……それでも、足を止めない。
止まったら『何か』が冷めてしまう、今はこのまま走りたい、走らなくちゃいけない。
何故かそんな風に、心が声を張り上げている気がするから。
荒い息をつきながら、最後の曲がり角を曲がる。
街灯の点り始めた道をひたすら進んでいくと、やっとゆたかの家が見えてきて……
「え――!?」
ゆたかの家の前に、小さな影が佇んでいた。
夕暮れの空と、黒い傘の影を写し込んで深い藍色に染まった長い髪を、風に揺らしている。
小さな体とは裏腹の存在感。ここまでふらふらになっても走り続けていた足が、
気圧されたように止まる。
それを合図にしたかのように、その人はこちらに振り返り……
「こんばんは、みなみちゃん」
一見のほほんとして友好的に見えるのに、何故か不敵な覚悟も感じる――そんな、今までに
見たことのない不思議な表情で、泉先輩は私を迎えた。
389 :
21-260:2007/12/20(木) 17:14:36 ID:/1IqvGrn
かくしてここに、ゆたかを巡る決戦の火蓋が切って落とされた。
反転流行中の世でゆたかと結ばれる術は唯一つ、性域(と書いてさんくちゅありと読むきん)の
どこかにあるらきすたエロパロスレ29に辿り着き、狂皇コナフェーチの許可を得ること――。
腐女宮での戦いで『ゆずれない願い』に気付いたみなみは、急ぎ貧乳宮へと戻った。
だがそこで彼女を待っていたのは、(原作4巻の童話ちっくな意味で)氷漬けになったゆたかと、
そんなゆたかを護るかのように立ち塞がるこなたんだった。
果たしてみなみちゃんは見事ゆたかとこなたを押し倒し、狂皇のもとに辿り着けるのか?
それともここで百合道輪廻の彼方に堕ちてしまうのか!?
次回 『みなみべりー・ぱにっく』第4話
は、現在誕生日にマニア和す……のは無理そうなので聖夜前の完成を目指して書きちゅうっ
…………い、いじょう失礼しましたっ、読んで下さった皆様に大感謝ですっ(苦)
ちと欝SSごめんでした!つーかみなりんやこなたんの性格が!突然変異したひよりんが!
そして恐ろしく蛇頭蛇尾に終わる悪寒が……
まあ、がんばろう……。
390 :
名無しさん@ピンキー:2007/12/20(木) 17:17:52 ID:IaRvrQPa
ひよりんを名字じゃなくて名前で呼ぶところが良かった。
>>389 本編とってもいいよ!
最後のソードマスターヤマトっぽいおまけもGJ!
欝は入ってるけど、欝が苦手な私も楽しめたよ!
もう一度GJ!
>>389 リアルタイムGJ!!!!
こ、ここで寸止めとか!!続きが気になるっ!!!
393 :
書く人:2007/12/20(木) 17:45:20 ID:theojso8
帰宅してここに来たらなぜか「ゆたか祭り会場」になっていたので、
短編を即興で仕上げてみました。
キャラに違和感があったらごめんなさい。それと原作と現実の時系列関係は無視してくんさい。
それからニコニコ動画で『メルト』で検索してからくると幸せになれるかも。
あ、今回はTSなしで。
みな→ゆた
シチュ:花火大会
394 :
恋に落ちる音:2007/12/20(木) 17:46:38 ID:theojso8
毎年、近所で花火大会が開かれる。
私には興味がなかった、今年までは。
「だ・け・ど☆b⊃!目も合わせられな〜い♪」
遠くから聞こえる祭囃子。それに上書きするように、特徴的な声が聞こえる。声は旋律に乗っていた。歌だ。
自分の前を歩く小柄な後姿が声の主。
「こなちゃん、いい歌だね」
小柄な背中の隣、リボンをつけた浴衣の後ろ姿が話しかける。柊つかさ―――私の通う高校の先輩。
「うん、メルト、って曲だよ。初音ミクの」
小柄な背中―――泉先輩が答える。
長い髪に眠たげな目と猫のような口。
一見して年下にしか見えないけれど、この人もセンパイ。そして……
「最近、他にもいろいろ歌ってるよね、お姉ちゃん」
そして小早川ゆたか―――私、岩崎みなみの大切な親友の従姉。
〜恋に落ちる音〜
「なんだ?またアニソンか何かか?」
そう言うのは柊かがみ先輩。つかさ先輩の双子の姉。
私の周りには他に人がいる。
高校に入ってから出来た友達のパティさんに田村さん。それからご近所のみゆきさん。
私も含めて合計八人。
「違うのだよ、かがみん。初音ミクっていうのは科学の限界を超えてやってきたVocaloidなのだよ!」
「何よそのボーカロイドってのは?」
「DTMのソフトっすよ!もう大ブレーク中っす!」
「ソーデース!ニコ厨皆、ネギでミックミクデース!」
「ネギ?DTM?みっくみく?」
「ますます分からん。っていうかそもそもDTMってなによ?」
「そ、そりゃ、えっと…」
「デスクトップミュージックのことですね。
VocaloidとはYAMAHAが発売した、人の声を合成して歌わせることができるソフトのことです。
初音ミクとはVocaloid2の音源「キャラクター・ボーカル・シリーズ」のイメージキャラクター、第一弾です」
「おおう!さすがみwikiさん!」
途切れることなく、自然と回っていく会話。
学校行事でもないのに、こんな大人数で歩くのは、これが初めかもしれない。
楽しい。
「あの、みなみちゃん?」
不意に、つかさ先輩上目づかいに声を掛けてきた。少しためらうように
「ひょっとして…うるさいの苦手だったかな?」
え?
「さっきからずっと静かだし…だとしたらごめんね?なんか騒がしくなっちゃって」
「ぁ、そ、その…」
違う。そう言おうとして、けれど私の舌は動かない。
失礼にならないように、けれど畏まり過ぎないように…。
言葉を探して焦れば焦るほど、言葉は逃げていく。
ああ、センパイも気まずそうにしている。
きっとこの無言を肯定と受け取られてしまう。
「いいえ、みなみちゃんは嬉しそうですよ」
隣から、柔らかい声がした。
ゆたかだった。つかさ先輩は首をかしげる。
「そう?けど私たちだけしか話してなくて…」
心配そうなつかさ先輩に、ゆたかはいつものタンポポみたいな柔らかい頬笑みを返す。
395 :
恋に落ちる音:2007/12/20(木) 17:47:33 ID:theojso8
「みなみちゃんはちょっと照れ屋さんでおしゃべりが苦手だから…。
あ、けれど好きなんですよ、おしゃべりとか、みんなで一緒にいるのとか。
さっきからずっと嬉しそうでしたし、ね?」
水を向けられて私は、頷いた。
ゆたかの言っていたことは、私の思っていたこと、言いたいと思っていたことそのままだったから。
まるで、私の心を読んでいるみたいだ。
「そうなの?よかったぁ」
つかさ先輩はほっとしたように笑うと、再び会話の輪の中に戻って行った。
「……ありがとう」
少しして、私はゆたかに言った。けれど返ってきたのは不思議そうな表情。
「え?何が?」
「さっき……助けてくれて」
「そんなの!当然だよ」
気負った風もなく言うゆたか。
大したことがない、本当にそう思っているのだろう。
けれど、私にとっては何よりも有り難く、嬉しいことだった。
口下手で、感情を表すのが苦手な私を、誰よりも理解して、一緒にいてくれるゆたか。
傍から見れば、ゆたかが私を頼り、わたしがゆたかを支えているように見えるかもしれない。
けれど本当は逆。
ゆたかがいなければ田村さんやパティさんと友達になれなかっただろうし、泉先輩達ともこうして一緒にいられなかっただろう。
頼ってるのはむしろ私の…
「ねえ、みなみちゃん!」
「えっ、は、はい!」
突然、泉先輩の顔が目の前に現れた。
いや、私が単にぼーっとしていただけかもしれないけれど。
目を白黒させる私に、泉先輩はさらに混乱させるようなことを聞いてきた。
「男のツンデレも萌えるよね!?」
「?」
ツンデレ?萌える?
「あんたねえ!いきなりそんなこと聞いてもみなみちゃんが困るだけでしょ!」
かがみ先輩が言うとおり、私は困っていた、心から。ただでさえ話を聞いてなかったのに、その上、萌えるかとか言われても…。
一方の泉先輩は不服そうに、
「や、ほら、一般人の意見を聞きたくてさ」
「私の意見は一般人も意見じゃないのか!」
「ラノベ読むじゃん」
「だからってオタクとは限らんだろう!
大体雨の時に女の子に対して『しょうがないから入ってやる』とかいう男のどこがいいってのよ?」
話を聞いて、大体の内容が分かってきた。
泉先輩が歌っていた『メルト』という歌の中に、雨の日に折り畳み傘を持って憂鬱にしている歌い手(女の子)の隣に立った男の子が
『しょうがないから一緒に入ってやる』という下りがあった。
そう言うシーンから、そんな感じにいう男の子をどう思うか、というのを泉先輩は聞きたかったらしい。
「もう!かがみったら自分はツンデレのくせに男のツンデレの機微は読めないんだから」
「ツンデレ言うな!」
「私はちょっと憧れるかな、そういうの」
「つかさ、あんた悪い男に引っ掛かりそうね」
「あうっ」
「いや、そこは男子の反応によりますよ!
耳まで真っ赤か自信満々かで好みが分かれるっすね」
話題は既に私の手から移っていた。戻ってくる気配もない。
ほっとしたけど、少し残念。
396 :
恋に落ちる音:2007/12/20(木) 17:48:17 ID:theojso8
「みなみちゃん」
「?」
ゆたかが声を掛けてきた。無言で問い返すとゆたかは
「みなみちゃんは、そういう男の子のこと、どう思う」
…やっぱり、ゆたかは私の心が読めているんじゃないだろうか?
私は、ゆたかの掛けてくれた話題に答えようとして…
「…ごめん、よくわからない」
情けない。せっかくゆたかが話しかけてきてくれたのに…。
けれど、そんな中途半端な面白味もない答えに、ゆたかは笑顔を見せてくれて
「よかった。私も男の子のことよくわからなくて…」
はにかむような笑った。
花火大会の会場は、もうすぐだった。
30分後、私達は花火がよく見える河原から、少し離れた公園にいた。
「ごめんね、みなみちゃん」
「ううん」
ベンチの上に座った私は、ゆたかに膝枕をしている。
人ごみで、ゆたかが体調を悪くしてしまったのだ。
この公園は立地の関係で花火が殆んど見えず、人がいない。
私とゆたかはここで待つことにした。
泉先輩達は自分たちも残ると言ったし、ゆたかは私も行けと言っていたが、私は残った。
花火大会を楽しみにしていた泉先輩に申し訳ないし、ゆたかを一人にしておけないし、それに―――
花火大会が、始まった。
音だけが届く。
「あ…始まっちゃった…」
ゆたかが、悲しそうな声を出す。
私も残念に思う。ゆたかにも見せてあげたかった。
そう思っている間にも、花火は次々と打ち上げられていく。
どーん、どーんと。
爆発音と言うには丸い響きの音。けれども小さくないそれは、震動として体に直接感じる。
胎児が感じる母親の心音は、こんな感じなのだろうか?
「みなみちゃん…ごめん」
しばらくしてからもう一度、ゆたかが言った。
声が少し湿っていた。心配になる。
「ゆたか…?」
「私がこんな体だから……ごめんね、迷惑を掛けて…」
ゆたかが、泣いている。
違うのに。謝る必要なんてないのに。
どうして、こんな時にゆたかは私の心を読んでくれないのだろう?
いや、そんなことを思っていては駄目だ。
いつも私を支えてくれるゆたかが泣いている。守ってくれるゆたかが悲しんでいる。
だから、今は私の番。
397 :
恋に落ちる音:2007/12/20(木) 17:49:24 ID:theojso8
「あのね…?」
緊張でもつれそうになる舌を動かしながら、必死に言葉を探しながら、
「私…いつもはこの花火大会、見に来ないの」
たどたどしく、私は想いを紡ぐ。
「今年来たのは……ゆたかが一緒に行くからだったから…」
「みなみちゃん?」
少し驚いたように、ゆたかが私の顔を見てきた。
恥ずかしいと思って、けれど目は逸らさない。
「ゆたかと一緒だから、花火を見たいと思った。一緒じゃなければ、全然意味がないから…。
だから……私は、今、こうしている、幸せだよ?」
言い切った。
私の心は伝わっただろうか。
考えている間に花火大会が終わったのか、花火の音は聞こえなくなっていた。
私は不安になりながらゆたかの返事を待つ。
ゆたかは、最初驚いたような表情をこちらに向けていたけれど、やがてその顔がゆるんだ。笑顔の形に。
そして眼尻に浮かんでいた涙をそっとぬぐって、
「ありがとう、みなみちゃん…。大好きだよ」
花火の音がした。
聞こえたような気がした。けれど、それは気のせい。
花火大会は終わって、聞こえてくるのは喧騒と虫の声だけ。
けれども音は聞こえる。
体を揺らす振動とともに、音が聞こえる。
鼓動の音だ。
そう気付いたのはしばらくしてからだった。
気づけなかったのは、その鼓動の音があまりにも大きかったから。そして、あまりにも優しかったから。
来る途中、出店で買ったラムネ。
わずかな炭酸の淡い痺れと、優しい甘さ。
この音も同じ。
大きく響いて体を痺れさせるくせに、乱暴じゃない。
ああ、そうか。この音に心当たりがあった。
それは来る途中。泉先輩が歌っていた歌のワンフレーズ。
恋に落ちる音
ああ、きっと実らない恋なんだろうな。
ああ、きっと叶わない恋なんだろうな。
私の恋に落ちる音。初めて恋に落ちた音。それは花火の音だった。
一瞬だけ咲いて、すぐに散る、実を結ばない儚い花。
けれど、今は、せめてこの音がまだ体の中に残っている間だけは、そんな現実を忘れておこう。
「私も大好きだよ、ゆたか」
すれ違うLikeとLove。けれど、今だけは伝わってると信じる。
遠くから、泉先輩の声がする。
ゆたかは慌てて膝枕をやめようとするけど、私はそっと押しとどめる。
もう少しだけ…もう少しだけこの余韻を楽しませて。私が恋に落ちた音の…。
【完】
398 :
書く人:2007/12/20(木) 17:51:01 ID:theojso8
以上です。
SEXCHAMGEについては、今夜気力があったら書きます。
たとえ今日書けなくとも明日にはせめて一本は投下したいと思ってます。
では…
399 :
379:2007/12/20(木) 18:04:49 ID:rEZUzorW
>>389 思いが深くなるほど気弱なって悩む、みなみの心の描写GJです。
ちょっとシニカルな、真面目モードのひよりも魅力的です。
みなみをむかえるこなたが、どちらモードか、続き楽しみです。
>>381でのフォローもありがとうございます。
>>380了解です。
>>398 こ、これで即興って……どんな文章力だ(汗)
こなた達のまにあな会話にゆーちゃんとみなみちゃんの以心伝心、すれ違い……
花火の音、恋に落ちる音、心理描写から背景の儚い花火まで、なにからなにまでGJすぎ!
けど、こんなレベルの作品が当たり前に飛んでくるって、ここはどんなスレだよ(泣き笑い)
>>398 GJです。
花火の音は心へのノック音…と、何遠回しな事書いてるんだ自分orz
メルトと聞いて、ポップンが即浮かんだのは自分だけでいいや。
さて、TROOPERSでもやってこよ…
あ、書き込み忘れてた。
21-260さんGJ!ROMってた頃から待ってました。
26-215さんも久留米さんもGJです!!
>>344はキスの描写がエロスぐるww
他のGJできなかった作品の分も含めてまとめてGJ
>>398 >ああ、きっと実らない恋なんだろうな。
>ああ、きっと叶わない恋なんだろうな。
このフレーズがたまらなくカッコイイです。
こんなカッコイイ文章書けたらな〜
>>389 ひよりんカッコイイよ、ひよりん。
時々腐ったおなごだけれど、根はいい娘なんです
メインキャラよりもひよりに活躍に目が行ってしまった。GJ!!
さて、
>>243から一日以上経ったけれど、参加者二名
これではちょっと無理か……
>>398 GJです。いいですよー
参加しようかと思っていますが
まずネタが浮かばないことには参加出来ないんだよなぁ…
保管庫を見る限り、意外にもクリスマス作品は少ないのですが、
「そこに需要あり」と書き手さんたちがストック中で、
24日と25日にリアルタイム投下が集中したら……ワクワク
406 :
20-612:2007/12/20(木) 20:28:30 ID:1ulQdZFp
>>398 即興でこのクオリティですか。
凄過ぎです。
>>403 ひよりんは女として腐っていても、人として腐ってはいないのですよw
さて、ようやくTiny☆Starsの後編その2が書きあがりました。
結局残り6レスのつもりが9レス分に。
後編全体では16レス分になってしまいました。
よろしければ投下したいと思います。
407 :
20-612:2007/12/20(木) 20:34:41 ID:1ulQdZFp
それでは、投下いたします。
・こなた&かがみ
・オリキャラあり
・(最後まで)エロ無し
・9レス(後半分・完結編)
です。
「よく見つけたわね、こんなつながり」
私の突っ込みに、ぺったんこな胸を張って得意げな顔をするこなた。
いや、確かにすごいけどさ、いばっていいことなの、それ?
だけどいつまでもこの話題を引きずっていては、話が進まないと思い直す。
「まあ、この話はここまで。
とりあえず、衣装を選びましょう」
「照れるかがみんに萌え」
「ほっとけ」
ほくそ笑むこなたを気にしないことにして、衣装を見せてもらう。
ふうん、けっこう種類あるんだ。
箱の中には、有名どころからマニア向けまでのいろいろな種類のアニメや特撮の衣装が入っていた。
「みんなイベントで使った奴なんで、衣装が決まったらサイズ測らせてもらうよ。
あとで手直ししとくから」
ひよりさんとパトリシアさんがメジャーを手にニッコリほほえむ。
ああ、このために来てもらってたんだ。
女の子のサイズを男の人が測るわけにはいかないしね。
やがてみんなは思い思いの衣装を手にとって、ああでもない、こうでもないと騒ぎ出す。
こういう空気、好きだなあ。
私もいろいろ手にとり、どんなのがいいかと考えはじめる。
いろんな作品があるけど、やるならやっぱフルメタかな。
ボン太くんもいいけれど、それだと入り口で客寄せするしかなくなるわね。
かなめや恭子だと『ただの女子高生』だし、ここはテッサにしよっかな、などと考えていると背中をつつかれた。
「なに?」
振り返ると、こなたが変わった衣装を私に当てている。
どうやら、これを私に着せたいらしい。
「かがみにはこれが似合うと思うんだけどなあ」
そう言って見せてくれたのは、やたらとリボンのついたメイド服。
これとおそろいだと言って、マントとセットになった黒いセーラー服も見せてくれた。
てか、これって……
「ヴィルヘルミナとシャナかい!」
思わず突っ込みを入れてしまう。
「おおう!
やっぱり、かがみならわかってくれると思ったよ」
だけど私は、おそろいにしたところでいっしょにコスプレはできない、これは学内イベントなんだからとさらに突っ込む。
それにバイトはどうする、バイト先が忙しいとか言ってなかったかと言うと、こなたはほくそ笑む。
「むふふふふ、最近はいろいろと自由が利くようになってね、学園祭の期間に店内改装することにしたんだよ。
だからその間私は休みが取れるってわけ」
それって公私混同じゃないのか?
それにそんなことしたら、店長さんだけじゃなく、みんなに迷惑がかかるんじゃない?
いくら信頼されていろいろ任されてるからって、それに甘えちゃダメじゃないのよ!
ヘタしたらクビになっちゃうじゃないのと、こなたを問い詰める。
「だあいじょうぶ、元々この時期に改装することになってたんだよ。
だから具体的な日程をつめるときに、学園祭に合わせてもらえるように頼んだんだ。
あ、そうそう、言っとくけど店長には事情を話してあるよ。
だから、このスケジュールもOKしてくれたんだし」
手のひらをヒラヒラさせながら答えるこなた。
少し離れた場所でパトリシアさんがうなづく。
どうやらいろいろと根回し済みらしい。
「こなたさんにはアドバイザーという名目で、手伝ってもらうことになっているから。
大丈夫、おそろいの衣装、着てみたら?」
矢野先輩の言葉に「やるな、先輩」と思いつつ、ふと気になったことを聞いてみる。
「ねえ、こなた。
ひょっとして、うちのサークルがコスプレ喫茶をやることになったのも……」
こなたはイタズラに成功した子供のような笑顔を浮かべ、私の質問に答えた。
「ご名答!
ぜぇんぶ、私がお願いしたことなんだよね、これ」
「なんですとおっ!」
立ち上がって大声を出す私にみんなの注目が集まる。
でも、そんなの関係ねぇ!
「あんたって人は、私に合うためだけにどれだけの人を巻き込めば気が済むのよ!」
大声を出す私の背中越しにサークル仲間の声が聞こえてくる。
「柊さん、いつもと違うね」
「なんだか、いつもより生き生きしてる感じ。
こっちが『本当の柊さん』なんじゃないかな?」
「ツンデレだ、ツンデレだ」
「泉……こなたさんだっけ、あの人と顔を会わせてから変だよね」
「じゃ、やっぱり、あのふたりって……」
ヒソヒソ話に、ひよりさんやパトリシアさんも加わっている。
「そうなんすよ。
あのふたり、高校時代から仲がいいんすよ」
「かがみとこなたは大親友ですからね!」
顔を赤くして仁王立ちの私の肩を、矢野先輩が軽くたたく。
振り返ると、ニコニコ顔の先輩が言う。
「確かに提案したのはこなたさんだよ。
けどさ、別に柊さんとこなたさんのためじゃないんだよね。
元々やってみたかったんだよね、コスプレ喫茶って。
たけど『衣装の用意できないし、ノウハウもないし、ムリだなあ』って思ってたんだ。
実際、衣装着せて接客させてるだけだと意味がないんだよね。
コスプレしているキャラのイメージに合わない接客をしちゃったら、いけないし。
ま、高校や中学だったらOKなんだろうけど、大学の学園祭だからね。
もうちょっと凝ったものにしたいじゃない。
そんなとこへ、兄さんの知り合いを通してこなたさんから連絡をもらったんで、引き受けたんだ。
だから、そんなに責めないであげてよ、こなたさんを」
先輩の笑顔を見ているうちに、体の力がぬけて座り込む。
先輩の言葉がどこまで真実かはわからない。
でも、少なくとも『私に罪悪感を抱かせないための発言』であることくらいは、理解できた。
ならば、ここで意地をはって『やめる』と言い出す方が、かえって迷惑……だろうね。
大きくため息をついた後、今の私にできるとびっきりの笑顔で先輩に答えた。
「ありがとうございます!」
そのあとしばらく、何かと騒ぎながら衣装を選ぶこととなった。
で、けっきょく私は、こなたとおそろいのコスプレをすることになったのよね。
こなたがシャナで、私がヴィルヘルミナということで。
こなたはおろか、みんなにイメージどおりといわれて、少々複雑な気分。
私ってあんなイメージなのか?
衣装を選び終わるとすぐに採寸がはじまった。
採寸はパトリシアさんとひよりさんが女子を、矢野先輩が男子を担当することに。
その後の順番待ちの結果、私はパトリシアさんに、こなたはひよりさんにやってもらった。
採寸されたデータは次々と田村さんの大学ノートに記録されていく。
なんでも、こういう作業の時は手書きがいいのだそうだ。
やがて作業もすべて終わって、みんなで食事。
食材の費用は田村さんにこなたとつかさ、そしてなんと、みゆきも出したのだそうだ。
遅くなると電話した時の、みゆきの言葉がよみがえる。
− いいことがあると、よろしいですね。 −
みゆき……知ってたのね、このこと!
帰ったらとっちめてやらなきゃ。
「わぁ……」
出てきた料理を見て、みんなからため息が。
注文したらかなり高額そうなメニューが、ゾロゾロと出てきたのよね。
「うちのメニューから何品か作ってみたんで、食べて食べて」
笑顔で料理をすすめるこなた。
言われるがままに一口、また一口と。
「おいしい!」
みんなから口々に高評価を得る、こなたの用意したメニュー。
その様子を見ているだけで、なんだか私までうれしくなってくる。
「レシピも簡単だし、こんなメニューどうかな?
あ、見た目は高そうだけど、材料はスーパーで売ってるやつで十分だよ。
うちでもそんなに高い金額つけてないから。
まあ、下ごしらえにちょっと時間がかかるけどね」
こなたの問いかけに、きれいに料理を食べ終えた先輩が答えた。
「いいと思いますよ。
じゃあ、あとでレシピ教えてもらます?
厨房担当に覚えてもらうんで。
できたら、レクチャーしていただけるとありがたいんですけど……」
矢野先輩の言葉に、こなたは少し考え込む。
レシピを教えることに抵抗はないんだと思う。
自分から言い出したわけだし、提供を。
レクチャーする時間が取れるかどうかを考えているんだろうな、きっと。
「ちょっと待っててもらえます?」
ふいに立ち上がって部屋から出て行く、こなた。
どうしたんだろうと思っていると、手帳を片手に戻ってきた。
ああ、スケジュール確認ね。
いろいろと任されるようになってから手帳でスケジュール確認しているとか言ってたな、そういえば。
こなたは手帳を手に矢野先輩に近寄って、なにやら話しこんでいる。
お互いが都合つけられる日を見ながら、スケジュール調整してるんだろうな。
「じゃあ、この日とこの日で」
おそらくは日付の部分だと思われる場所を指差し、矢野先輩に言う。
先輩は大きく頭を下げて、答えた。
「ありがとうございます。
じゃあ、当日集まるように指示しておきますんで」
話がまとまると、今度は私の方に近づいてくる。
やたらニコニコしているけど、この顔は何かたくらんでいる顔なのよねえ。
いったい、何を考えていることやら。
そしたら手帳の日付を指差してこんなことを言ってきたのよ、あいつったら!
「んじゃ、この日とこの日、かがみのとこへ泊まるんでよろしく」
「んな!
なに勝手に決めてんのよ!」
「だあってえ、久しぶりに会ったんだもん。
もっと話そうよう。
きょうだけじゃ、まだまだ話したりないし。
それに、みゆきさんにもOKもらってあるよ、泊まりのこと。
だからいいでしょう、ねえ?」
抱きつこうとしながら話す、こなたの言葉に驚いた。
みゆき、あんたそこまで……
恥ずかしいから近寄るなと言いながら、こなたをかわし続ける。
さっきのことを思い出して赤くなりながらね。
でも、心の底から湧き出てくるうれしい気持ちには、勝てなかったのよね。
結局こなたに抱きつかれてしまったわよ。
とはいえ、頬ずりは勘弁して欲しい、頬ずりは。
抱きつかれるのは何とかガマンできるけど、そこまでやられるとかなり恥ずかしい。
たぶん、いい見世物になってるんだろうな。
まわりの静けさから、そう思う。
ため息をついてしばらく好きにさせたあと、新たに気になったことを聞いてみる。
「それにしても、ほんとに手回しがいいわよね?
いつから計画してたのよ、このこと。
あんたにしちゃ、えらく計画的な気がするんだけど?」
私の顔をじっと見つめたあとで、こなたは口を開いた。
「今年の春からだよ。
あんなことがあったんだもの。
ガマンできなくなっちゃったんだよね。
だから何が何でもかがみに会わなくっちゃ、って思ったんだ」
少しずつ真剣なものになっていくこなたのまなざしが、私を突き刺す。
その時、あの時にみゆきから言われたあの言葉を思い出す。
− 泉さんも薄々気づいてらっしゃらるようですよ。かがみさんが泉さんを避けているってこと −
何か言わなくちゃと思ってるのに、言葉が出てこない。
後ろではまたヒソヒソ話が始まっていた。
「やっぱり柊さんと泉さん、アヤシくない?」
「どう考えても恋人同士の会話でしょう、あれ」
あのう、シャーペンで何か書いてる音がするんですけど。
ひょっとして今の状況、だれか書いてます?
振り返りたいけど、さすがにこのタイミングでこなたから目をそらすわけにはいかない。
真剣に私のことを見つめるこなたの目を、私も見つめ返す。
そっか、私が逃げ続けている間、こなたは真剣に考えていてくれたんだね。
そう思うと、体の中から勇気がわいてくる。
こなたの行動に、真剣に答えるための勇気が。
深呼吸ひとつして、こなたに話しかける。
「ゴメン。
私、こなたから逃げてた。
一足先に社会に出たこなたが一所懸命に頑張ってるんだもの、私も頑張んなくっちゃって思ったんだ」
だんだんと顔が熱くなってくる。
しかも赤くなった顔を見られていると思えば思うほど、ますます顔がほてる。
「でも、頑張れば頑張るほど思っちゃうんだ、まだまだ努力が足りないって。
だから、こなたにはまだ会えない、そう思ってガマンしてたんだ、会いに行くのを」
目頭が熱くなり、視界が歪みはじめた。
たぶん泣きそうな顔になっているんだろうな、こなたが心配そうな顔をしているもの。
「そしたらだんだんと、こなたにどんな顔して会ったらいいのか、わかんなくなっちゃって。
それで、それで……」
頬を一筋、熱いものが流れていく。
とうとう言葉につまって、何も言えなくなってしまう。
せっかくわいた勇気も、これが限界。
どうしたら……と思っていると、こなたは抱きしめる力を強くして言ってくれた。
「別にそのまま会いに来てくれていいんだよ。
かがみに会える、かがみと話せる、それだけで十分なんだから」
「こなた……」
私は何を意地を張っていたのだろう?
こなたに対し、なんで格好つけようと思ったんだろう?
……私は馬鹿だ。
大学のA評価が何よ!
こなたを遠ざけて何がしたいのよ、私は!
「ゴメンね」
心の底から素直に言葉が出てきた。
ぽんぽんと私の背中を叩く、こなた。
それは、「わかっているよ」との、無言の答。
「こなたあぁぁぁっ!」
ついに私は大きく叫んで泣き出してしまう。
こなたは何も言わずに抱きしめてくれている。
私が泣き終えたのを見たあと、こなたは言った。
「落ち着いた?
寂しがりのウサちゃんなのにムリするんだから、かがみんは」
「莫迦……」
真っ赤になりつつ答えたあと、後ろを振り返る。
「ところで、そこで何をしているのかしらね?」
シャーペンを手に大学ノートになにやら書き込んでいるひよりさんの動きが止まる。
となりでノートを覗き込んでいるパトリシアさんもいっしょだ。
油の切れたぜんまい仕掛けのような動きで、ふたりは私を見る。
「あ……」
無言で近づくと手にしたノートを取り上げる。
何を書いたのかとその内容を見た瞬間、私の顔が火を噴いたように熱くなった。
そこに描かれていたのは、私とこなたの濃厚なラブシーン。
あのう、ひよりさん。
あなたまだ高校生ですよね?
こんなの描いていいと思ってます?
しかも私たちがモデルですって?
なんだか頭が痛くなってくる。
ひよりさんが同人誌を作っているのは知っている。
でも、その作品のモデルに自分がというのは考えもしなかった。
ページをめくるとさらにショッキングなことが。
描かれているのは私たちだけじゃなかったの。
ゆたかちゃんと岩崎さんがモデルになっている絵まであったのよ。
どうやら私たちの絵もふくめ、だいぶ以前から描いていたらしい。
まいったわね。
そんな混乱の極みの私の手から、ひょいとノートが奪われた。
手の出てきたほうを見ると、奪ったのはこなただった。
こなたはパラパラとページをめくってから、ひよりさんに一言。
「もしもしひよりんや。
次は私たちの話ですかい?」
戸惑いながら、そのつもりだとひよりさんは答える。
マジですか、それ!
でも、こなたは特に気にした様子も見せずに言ったのよ。
「なら絶対にわからないようにしてね。
ね、かがみん。
それならいいよね」
「わ、わかったわよ……
ひよりさんOKしたげる。
その代わり、絶対わからないようにしてね。
私たちがモデルだってこと!」
ひよりさんは大きな声でお礼を言いながら頭を下げた。
で、けっきょくこの話は、ここでおしまいになったのよ。
楽しかった時間もやがて終わり、みんなそろって駅へと向かう。
見上げれば日はとっぷり暮れていて、星が夜空にきらめいていた。
プラネタリウムみたいに多くは見えないけど、有名な星座は何とかわかるほどに。
夏も遠く過ぎ去って、秋真っ盛りのこの季節。
そろそろ夏の装いでは寒く感じるようになってきた。
空を見上げて、ぶるっと体を震わせる。
「なにか、羽織ってくればよかったかなあ」
そんな時、ふと空いているほうの手が握られる。
見ると、こなたが私の手を握っていた。
「こなた……」
「寒いよねえ、かがみ」
いきなりのことで、あっけに取られて言葉が出てこない。
そんな私を見て、こなたは猫を思わせる笑顔で私をからかう。
「おんやあ?
かがみんや、私に惚れたんですかい?」
「そ、そんなわけないでしょ!
なに言ってるのよ、あんたは!」
ふいに立ち止まり、沈黙があたりを支配する。
だけど、それもほんの一瞬のことだった。
「ぷ……」
どちらともなく吹きだしてしまう。
この懐かしい空気。
ああ、こんなことも忘れてたんだ。
自分の愚かさが情けない。
やがて、ひとしきり笑った後で、こなたが言い出す。
「一緒に暮らさない?」
いきなりなにを言い出すのかと見つめていると、こなたは言葉を続けた。
「かがみと会えないでいる時、ずっと思ってた。
『かがみにそばにいて欲しい』って。
でも、それって告白じゃん?
だから言わないでおこうって思ってた、今年の春までは。
でも、もうそれも限界!
かがみが階段から落ちたって聞いたとき、とってもショックだったんだよ。
かがみのいない世界なんて、思いもよらなかったから。
この気持ちが愛情か友情かと聞かれたら、たぶん友情。
でも、かなり愛情に近い友情だと思う。
友愛って言葉、それが一番近いんじゃないかな?
たぶん、本来の意味とは違うとは思うけど。
私はそれでいいと思ってる。
だから、ね?」
こなたの笑顔を見たら、突っ込みを入れる気にならなかった。
肩をすくめて「しょうがないわね」というのが精一杯。
空を見上げて私は言う。
「きれいな星だよね。
この星空は無限のかなたまで続いている。
あんなに小さく見える星々も、ほんとうはとても大きなものなんだよね。
それに比べて私たちの小さいこと。
ちょっとしたことで、ウジウジ悩んじゃってさ」
涙をぬぐって、こなたを見る。
どんな返事が返ってくるのだろうと、不安げに私を見つめているこなたを。
「どうあがいたってしょせん小さな私たち。
人の命を星に例えるなら、とっても小さな、見落としそうなほどに小さな星。
夜空の星とは違う小さな星々、それが私たちなんだよね。
だったら、小さなことでくよくよしたって、はじまらないじゃない?
だからこなた、一緒に暮らそうよ!
すぐに……とはいかないかもしれないけど、ロースクールを卒業するころには必ずね!」
こなたの表情が、ぱあっと明るくなる。
「うん!」
目を潤ませるこなたと、ふたたび歩き出す。
見ると、みんなは少し先で、私たちが来るのを待っていた。
妙ににやついた笑顔で。
仲がいいなとからかう男子に満面の笑顔で答える。
「うん!」
少し足を速めてみんなに合流した時、こなたが突然言い出す。
「そうだ!
お店の名前どうするの?
せっかくだからつけようよ、名前!
『タイニー・スターズ』なんてのはどう?
英語で『Tiny Stars』って書いて、間に『☆』を入れて『Tiny☆Stars』ってのは?」
「いきなりだな、おい。
でもいいんじゃない?
『Tiny☆Stars』って名前。
私たちのお店にピッタリだと思うわよ」
私の言葉にみんながうなずく。
「いろいろ候補はあったんだけど、しっくりくるのがなくて悩んでたんだよ。
こなたさん。
『Tiny Stars』、使わせてもらいます」
「ようっし。
それじゃ、頑張るぞうっ!」
こなたの言葉にみんながエールを返す。
これから頑張ろうね、こなた。
ふたりで、一緒に……
【おわり】
417 :
20-612:2007/12/20(木) 20:40:17 ID:1ulQdZFp
やっと完結です。
予定の倍以上の長さになっちゃいました。
見積もりが甘いんですな(自嘲
ところで、みなさんはSSの執筆に何を使ってます?
わたしは「FreeNote」ってフリーウェアで1レス分の行数を計りながら書いてます。
ハッピーエンド乙であります。
>>417 乙&GJした!
ちなみに、私は秀丸で書いてます。
書きあがってから、60行以内の切りのいいところでセパレータ(といっても文字列ですが)を入れて
コピペで貼ってます。
なお、絵は0.3mmのシャーペンとスキャナとPhotoShop5です。
>>417 完結、乙です。
かがみを包み込めるまでに成長した今のこなたにエールを。
いつもさりげないみゆきさんのフォロー。
きっとこなたとみゆきさんの間でこんな会話があったと思います。
「みゆきさん、本当に色々協力してもらって…」
「いえ、かがみさんのことに無我夢中な泉さんを見てると、
私も心が温かくなりますから。」
「えっと…そっ、それは、ひとえに愛だよ!」
「うふふ、ちょっと妬けますね。」
みゆきさんにもいい人が現れないかな。
>>417 完結おつかれさまでした!
想いが通じる瞬間って、どうしてこんなに眩しいんだろう……
好きな人にはなかなかくっつけない青髪翠眼こなたと、こなたの面倒を見ているようで……な
ちょっと不器用なヴィルヘルミナ・カガミン、ふたつの小さな地上の星に幸運をGJ!
>>333 >子どもの日はボーイッシュ
当然それは「裸に金太郎の前掛け着用」だよな?
>>417 やばいほどGJです
何でこのスレは素晴らしい書き手さんが多いんだっ
「書いて書いて書きまくるっす!」
「でも、そんなかでいくつ使えるのかね、ひよりん」
「くぅっ…。先輩、書き手は百ある中から一つでも出せればそれで…」
「ひよりんや。苦労が多いねぇ」
「そんなことないっすっ。自分がやりたいからやってるっす。苦労と思ったら負けっす」
「でもさ、モデルにした人が読んで分かるのは止めてほしぃなぁ」
「なっ、何のことっすか?」
「最近多かったよね。ゆーちゃ…」
「先輩、もしかして…」
「いやぁ、部屋に置いてあるからねぇ。誰が読むかはね」
「先輩たちのは、絶対ばれないようにしますからっ。お願いします」
「そのかわり、しっかり書いてよ。かがみんとのラブラブなところ」
「もちろn」
「こなたっ、あんた何言ってるのよっ」
「ぶつこと無いじゃないかぁ。だって、一緒に住むんだよ。あ〜んなことやこ〜んな…」
「ちょっとは自重しなさいよっ。そういうこと言うのは一緒に住んでからにしなさいっ」
「かがみ〜、それは肯定してくれてんるんだよね?」
「あっ、当たり前でしょ。私だってこなたのこと、すっ、好きなんだから」
「やっぱり、かがみは俺の嫁っ」
「もう、それで良いわよっ」
「先輩。それも書いていいっすかっ!」
「「もちろん書けっ!」」
いや、すみませんっ
本当は、自分が書いてるのが稚拙に見えてしかたなくて
でも、書く事を否定したくないってネタにしようとしたんだけどね
気づいたらこんなことに…orz
>>357 ゆーちゃんエロいよゆーちゃん
翌日、動けないこなたにいろいろやってそうw
>>389 こういう展開でひよりんが活躍してくれるとなんか嬉しいです。
真面目な話なのに趣味を隠せていないところが
「かっこよくないキャラ」の魅力といいますかw
>>398 切ないけど読後感のいい作品でした。
>ゆたかは慌てて膝枕をやめようとするけど、私はそっと押しとどめる。
こういう何気ない動作がとても「らしく」感じられました。
>>417 ハッピーエンドになってよかったです。
「会えない時間が愛を育てる」みたいなフレーズがありましたが、
二人の関係のためには、こうして別れる時間が必要だったのかも。
二人を見た周りの反応にニヤニヤ。ここのスレ住人がその立場だったら
喝采をあげるところですがw
良作の連発でちょっと気がひけますがこれからSS投下します。
エロ。ゆたか×みなみ。3レスほど。
「私は今まで深い付き合いをした友達がいないから……プレゼントとかあげたことないから、何を
あげればゆたかが喜んでくれるのかわからなくて……」
滅多なことでは表情を崩さないみなみだが、今は乙女のように恥じらっている。
否、みなみは乙女である。だからゆたかにそれを捧げることに決めた。
拒絶されてしまったらと思うと、怖くて唇が震えた。それでも、ゆたかが大好きだから捧げたい。
受け取ってほしい。
「だから、プレゼントは私……私を、もらってほしい」
衣服を脱ぎ捨てると、みなみの素肌にリボンだけが巻きつけてあった。全長何メートルあるか
わからないが、みなみの起伏の少ない身体に丁寧に巻かれたリボンは女の子の大事な部分だけを
巧妙に隠していた。
「ゆたか……」
返事が来るのが怖かった。沈黙するゆたかを泣きそうな顔で見つめる。
ゆたかは何も言わずに歩み寄ると、リボンの結び目に手をかけた。
「はい。お受けします」
みなみの瞳から涙がこぼれた。みなみにとって悲しい出来事を想像して溜まった涙であるけれど、
今は嬉しいから、それは嬉し涙。
「もう、みなみちゃんってば……」
みなみの顔を引き寄せると、瞳の下にキスをして、涙を拭いとる。そのまま涙が零れた跡を
辿って、唇にキスをした。
「これからみなみちゃんのこと貰っちゃうんだから……まだ泣くのは早いよ」
ゆたかの指が結び目を引っ張ると、リボンが解けた。みなみの身体を解放した薄布は、自らも
解放されてはらりと舞い落ちる。それと同時に、みなみの大事な部分も露になった。
「隠しちゃダメだよ」
手で隠そうとしたみなみの機先を制して、ゆたかは鋭く言い放った。
「みなみちゃんはもう私のものなんだよ」
その宣言に、みなみの胸が奮えた。みなみはゆたかのもの。その事実に、鼓動が高鳴る。
「ん……ちゅっ」
さっきキスをしたゆたかの唇が、今度はみなみの秘唇にキスをした。みなみは再びそこを手で
覆いそうになって、しかしその手をゆたかに掴まれる。
「だからダメだってば」
『めっ』とでも言うようにみなみを見上げ、みなみにはそれがとても魅力的に思えた。
「だって、いきなりそんなところ……」
「私はここがいいんだ……ダメ?」
そんなことを言われて断れるはずがない。おそらくゆたかもわかってやっていた。
「それに、みなみちゃんのここ、綺麗だから……んっ」
「ん……くぅっ……やあっ……そんなっ……」
まずはみなみの秘唇の外側に沿って舌を這わせた。繰り返しやっていくうちに、みなみの呼吸は
次第に深く大きくなってゆく。みなみに一切の抵抗がなくなったと見て、ゆたかは秘唇の中に舌を
挿入する。
「んあっ……っく……くぅ……」
ぴちゃっ……ちゅぷっ……淫靡な水音が二人を更に興奮させる。
「あじがかわってきたよ」
それはみなみの女の子がゆたかを受け入れているという証拠。そこは唾液とは別の液体によって
濡れていた。
「ゆたか、が……んくぅ……いいから」
みなみがたどたどしく紡いだ言葉に、ゆたかはしっかりと応えて、舌の動きを激しくした。
「やっ、あっ、はぁっ、あああぁっ!」
好きな人に愛されているという悦びと、経験したことのない快感に、みなみの表情が歪む。
もっと感じたい。もっとゆたかに気持ちよくしてほしい。それ以外何も考えられなかった。
「ゆたか、もっと、もっとぉ……」
もっと欲しい。普段のみなみからは考えられないほどはしたなく懇願する。
それなのに――
「どうして……」
突然、止めてしまった。止めてほしくない。もっと欲しい。縋るような目で訴える。
「だって、これじゃみなみちゃんの顔が見えないんだもん。ちゃんと気持ちよくしてあげるから、
みなみちゃんの可愛いところ、もっと見せてほしいな」
みなみは力強く何度も肯いて、ゆたかを待つ。
「そういう表情、私以外の人に見せちゃダメだよ。みなみちゃんは私のものなんだから」
ゆたかはみなみをしっかりと見つめて、その指でみなみの秘唇を――
「――はっ!」
ひよりは書きかけの原稿に目を落とした。まるでたった今、その存在に気づいたかのように。
「……私、いつのまにこんなの……」
あしたは親友であるゆたかの誕生日。ゆたかの友達たちと話し合って何かプレゼントをしようと
いうことになったのだが、ゆたかがかつて姉に自作の絵本をプレゼントしたことを思い出し、自分
なりに漫画でも描いてプレゼントしようかと思ったのだ。幸い、それを思い立った日から数えれば
十分な時間があった。
ゆたかとみなみをモデルにした二人の女の子の友情をテーマに構想を練って、いざ描いてみれば、
なぜかエロ同人が出来上がってしまっていた。
そう、無意識だったのだ。こんなものを描いてしまったのは。
「16歳のプレゼントに18禁の漫画とか、何をやってるんだ私はっ!」
その作者も16歳だろうとかそれ以前の問題だろうとか、突っ込むべきところはいくらでもあった
が、如何せんそれをやってくれる者はいなかった。もっとも、ひより一人きりだからこんなことが
できるのであって、誰かがご丁寧に突っ込んであげたら、ひよりは即座に窓から飛び降りること
だろう。
ひとしきり悶えたあと、ひよりは改めて自分が描いた原稿を読みなおした。
「いつのまにかスキルアップしてたんだね、私……」
みな×ゆたを観察し、萌え続ける日々の中で、脳の隅から隅まで毒されてしまったらしい。
気がついたらエロ同人を描きあげてしまうとは、萌えの力とは偉大なものだ。
「……って、しみじみしてる場合じゃないっ!」
よほど集中していたようで、時刻は夜中の二時を回っていた。つまり、現在は既にゆたかの
誕生日である。今からまともな漫画を描こうと思っても到底間に合わない。
――どうすればいい? 打開策など何も思いつかない。一晩で漫画を完成させるなど、岸辺露伴
以外の漫画家には不可能だ。悩んだ末にひよりがとった選択肢は――
「あえて寝るッ!」
余裕があるように見えるが、要は現実逃避である。
翌日――ではなく、十数時間後。みんなでゆたかにプレゼントを渡す段になった。
こなた、かがみ、つかさ、みゆき、パティ……それぞれのプレゼントを、ゆたかは心の底から
嬉しそうに受け取った。
その笑顔は何より眩しくて、愛らしい。もはや萌えの究極形。泉先輩にとっては高良先輩が最萌え
キャラのようだが、自分にとってはゆたかが最強の萌え――などとひよりは考えていた。
そして、いよいよひよりの番。
「あ、えっと……これ、自分で描いた似顔絵……喜んでもらえるかわからないけど……」
しどろもどろになりながら、イラストの入った色紙をゆたかに手渡した。似顔絵と言いながらも、
そこにはみなみも一緒に描かれていた。
朝になってみると漫画ではなくイラストでもいいじゃないかと思いついて、授業中に先生に見つ
からないように注意しながら完成させたものだ。おかげで今日の授業内容は覚えていない。
なぜみなみも描かれているかといえば、手が勝手にそうしてしまったのだ。
「こっちが私で……こっちはみなみちゃん?」
ゆたかとみなみの上半身だけが映っていて、その二人が手を繋いでいるという構図の絵だった。
よく見ると、その手は恋人繋ぎなのだが、今のところそれを指摘する者はいない。
「私にとっては岩崎さんと一緒にいるときの小早川さんが一番魅力的で……どうかな?」
真実を伝えたわけではないが、嘘はついていない。
恐る恐る反応を窺う。恥ずかしいだけでなく、怖かった。
(これってあの漫画の岩崎さんみたい……って、違ーう!)
まずは自重することにして、再びゆたかの表情を窺った。
「うん、素敵な絵だよ。ありがとう! ね、みなみちゃんもそうでしょ?」
ゆたかが喜んでくれて、ひとまず安心した。しかし、本当に怖いのはみなみの方だ。こちらは
ゆたかと違って表情が読みづらい。漫画では一応描き分けているつもりだが、リアルではあまり
上手くいかない。
「……ありがとう」
だから、そう言われただけではよくわからない。ただゆたかに合わせているだけかもしれない。
「私もゆたかのことが好きだから……描いてもらって嬉しい」
ゆたかのことが好きだから。ゆたかのことが好きだから。ゆたかのことが好きだから。
「田村さん、いつの間にペンを持ってたの?」
「――はっ!」
知らぬ間に漫画を描こうとしていたようだ。危ないところだった。
「つ、次行こう次! 最後は岩崎さんのプレゼントだよ!」
慌ててその場を取り繕う。あまり誤魔化せてないようにも見えるが、気にしない。
「……ゆたかに似合うかどうかわからないけど……」
みなみから受け取った包みをゆたかが開けると、中から二本にリボンが出てきた。
淡いピンクとブルー。優しい色のそれは、なんとなくゆたかとみなみを連想させた。
(リボン! リボンっスか!? 『私をあげる』っていうアレっスね!)
穏やかな雰囲気を尻目に、ひよりの脳内は百合の嵐が吹き荒れる。
「着けてみて、いいかな?」
ゆたかは片方のリボンを解いて、ピンクのリボンで同じところを結わえた。
「代わりに、これをみなみちゃんにあげるね」
「えっ……」
みなみがわずかに躊躇うが、すぐに頭をゆたかの高さに合わせる。その髪の一房をまとめて、
さっきまでゆたかの髪を飾っていたリボンで結わえた。
端正な顔立ちでショートカットのみなみに少女趣味なリボンは不思議と似合っていて、居心地
悪そうに俯いているせいもあって、保護欲をそそるような、普段とは違った印象を見せていた。
「みなみちゃん、似合ってるよ」
「そ、そんな……」
「おー……いいじゃん、それ」
「みなみちゃんって、可愛いところもあるんだね」
「意外な一面を見た感じね」
「素敵ですよ」
「Very cuteデスよ、ミナミ!」
身じろぐみなみと賞賛する一同。みなみは何も言えず縮こまってしまう。そんなみなみを皆で
弄り回したりして、その場は始終和やかな雰囲気だった。
(互いにリボンを渡して、互いをリボンで縛って……自重しろ、自重しろーっ!)
約一名を除いて。
−おわり−
428 :
3-283:2007/12/20(木) 22:45:27 ID:bLtHZ4Yd
429 :
ひよりん:2007/12/20(木) 23:12:12 ID:WQDvLcsn
ゆたか「やっぱり田村さん、溜まってるみたいだね」
みなみ「やはり・・・・発散・・・・させるべき・・・」
パティ「流石萌えカポゥ第一人者ネ!気遣いも一流ネ!」
や・・・やっぱり自分、遠慮させてもr
みなみ「今日はゆたかの誕生日・・・プレゼントあげない・・・非常識・・・」
ゆたか「イラストはもちろん前座だよね?^^」
パティ「モチのロンです!プレゼントといえばひよりん、これ常識デス!」
ゆーちゃんいつになく攻撃的!ていうか自分がネタになるの勘弁wwwwアッー!!」
小一時間後・・・
アー、ちょっと・・・アッチの世界行きかけたッス。
>>428さんGJッス。
さすが私の脳内を、よく心得てるッス。
水が低きに流れるように、
思考がエロ同人に流れていく様が
よく描かれてる快作だと思うッス
リボンシチュも、とびっきり、エヘ・・・エロかったッスよぉ・・・・エヘヘヘ・・・・
ゆたか「あ、田村さんまだ妄想モードだよ」
みなみ「まだまだ、調教が・・・足りてない・・・模様・・・」
パティ「今宵はひよりんで夜通しパーティーネ!」
ちょwwwwまだ終わってなkwwwwwアッー!・・・・あおおおおーーーーっ!!
>430
自重しろwwwwwwwwwwwww
GJ!!
433 :
7-896:2007/12/20(木) 23:21:43 ID:LpD70mAz
>>428 なんというひよりんですかww
今日はゆたか祭りであり、ひより祭りでもありますねww
>>429-430 あなた達は本当にwwwww
さてと……どうも、7-896です。
誕生日と聞けば、逃すわけにはいきません。祭りに参加させていただきます。
そして、またもやみなみちゃん涙目路線ですみません。
まだあまり時間が経ってませんが、できれば余裕を持って今日中に投下したいので
行かせてもらいます。
ゆたか視点
こなた&ゆたか
非エロ
7レス
※途中微妙に鬱表現使用
設定上、リアルと曜日が違ったりします。
それでは投下します。
他の皆よりも、体の弱い私。
そんな私の中で生まれた蕾は、見落としてしまうほどに小さくて。
私自身、その存在に気づいたのはここ最近だった。
かといって、その蕾がなんの蕾なのか、皆目見当もつかなかった。
だけど私は、無意識のうちにその蕾に水をやり、暖めて、花が咲くのを待っていた。
小さくても生き生きとしたそれが、なんだかとても大切なものに思えたから。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
『誕生日の日に咲いた花』
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
心地よい朝の光りに、ゆっくりと目を覚ます。
目覚まし時計に目を向けると、針は6時を指していた。少し早く目が覚めてしまったみたい。
かといっても、目覚めがよくて目はばっちり覚めている。
体の向きを変えベッドに手を突き、力を入れて立ち上がると、スプリングがギシッと音をたてた。
「……あれ?」
部屋を見渡して気づいたことがある。カレンダーがなくなっていた。
おかしいな、ここに置いてあったはずなのに……
取り敢えず私は手早く着替えを済ませて、リビングへ向かった。
「あれ?」
またもやリビングで違和感。テレビがついてない。リモコンに手を伸ばして、電源と書かれたボタンを押す。
テレビはうんともすんともいわない。壊れちゃったのかな……
確認するためにテレビに近づこうとした時。
「あ、ゆーちゃんおはよ」
後ろからかけられた声に振り返ると、きちっと制服を着こなしたこなたお姉ちゃんが立っていた。
「おはようお姉ちゃん。あのね? テレビがつかないんだけど」
「あー、それね。今ちょっと壊れちゃってるからつかないんだ。明日辺り新しいの買いに行くから我慢してね」
「あ、うん。それはいいけど」
そういえば昨日もテレビ付近でおじさんが何かやっていた気がする。
「でもそれだと天気予報とか見れないね、お姉ちゃん」
「まぁ仕方ないでしょ。取り敢えずご飯でも食べよっかゆーちゃん。手伝ってくれる?」
「うん。それにしてもお姉ちゃん今日は早いよね」
「ん〜、なんとなくね」
「そうなんだ……」
お姉ちゃんと会話を交わす。そこでも違和感があった。
お姉ちゃんの言葉がなんだかそっけない。
機嫌……悪いのかな。
一緒に朝食を食べている時も、あまり会話が続かない。
「今日は天気が良いねお姉ちゃん」
「そだねー」
まるで、会話を続けるのが億劫なようなお姉ちゃんの返事。
心臓がキュッと締め付けられるようで切ない。
あ、もしかしてお姉ちゃんあの日なのかな……あの日?
「ねぇお姉ちゃん、今日って何日?」
「今日は20日だよ、ゆーちゃん」
やっぱりそうだ……今日は私の誕生日。
ってことは、お姉ちゃんのそっけない態度はきっと、あれだ。
漫画とかで読んだことがある。突き放して寂しくさせておいて、あとでびっくりさせて喜ばせようっていう。
お姉ちゃん私がこんなのに引っかかると思ってるのかな。私だってもう高校生なのに……
……でも、私のためにそういう計画を立ててくれてるんだ……そう思うと、すごく嬉しい。
私の、口許は自然と緩んでしまう。
「どったのゆーちゃん?」
「ううん、なんでもない♪」
「……変なの」
一度そう見えてしまうと、お姉ちゃんの冷たい態度も、なんだか暖かくて可愛らしく見える。
朝ご飯も、いつもより美味しく感じた。
今日の夜が今から楽しみ♪
先に行くねというお姉ちゃんに続いて、いつもより早めに家を出た。
「おはよーみなみちゃん、田村さん、パトリシアさん」
「おはよ……」
「オハヨーデスゆたか」
「おはよう小早川さん。それでさその人のことなんだけどね」
3人もなんだかそっけない態度。私を一瞥すると、すぐに3人で話し込んでしまった。
みんなもそうなんだ……こなたお姉ちゃん、皆にも声かけておいてくれたのかな。
私は気づかないふりをして机に座り、授業の準備をし始めた。
その間も3人の様子をチラチラ見ていると、みなみちゃんと目が合う。
あ、慌ててそっぽ向いてる。みなみちゃんクールなのに、演技は苦手なんだね。えへへ。
それがなんだか嬉しくて、授業中笑顔を隠すのに苦労した。
いつもより学校が終わるのが長く感じた。
「みなみちゃん。胸ってもむと本当に大きくなるのかな?」
「そういう話は…聞いたことある…」
「じゃぁ、私がもんであげるね。みなみちゃん気にしてるもんね」
「ゆたか…。私も、ゆたかのを…」
>>431 大丈夫…だと思う
ちょっと水風呂に入って落ち着いてくる…orz
放課後。案の定、3人は用事があるといって先に帰ってしまった。
久しぶりに一人で歩く夕暮れ時の帰り道。楽しそうな親子連れやカップルに視線が動く。
結局、休み時間も昼休みも、4人でいっしょにいたにはいたけれど、会話なんてあってないようなものだった。
廊下ですれ違ったお姉ちゃんの友達、かがみ先輩、つかさ先輩、高良先輩
それから日下部先輩、峰岸先輩も、なんだかよそよそしかった。
理由は分かっていても、やっぱり寂しい。
でも、それももうすぐで終わる。家に帰れば、きっとみんなが私の誕生日を祝ってくれる。
ケーキはどのくらい大きなケーキなんだろう? クラッカーとか鳴らすのかな、私びっくりしちゃうかも。
プレゼントはなんだろう? ……お姉ちゃんは、どんなものをくれるんだろう。
私はワクワクしながら、泉家のドアを開けた。
「……?」
家の中からは物音がしない。てっきり入った瞬間にクラッカーを鳴らされると思っていた私は少し拍子抜けしてしまった。
靴を脱ぎ、揃えてからリビングに向かう。音をたてないように忍び足で、リビングの前にたどり着く。
扉をそっと開けて、中を盗み見た。
「……誰もいない」
リビングには誰もいなかった。飾りつけもしていないし、ご馳走の匂いもしない。
なんでだろう……私はリビングを後にして、自室へと向かった。
その途中で、こなたお姉ちゃんの部屋からなにやら音が聞こえた。
私は期待を胸に扉を開く。
お姉ちゃんがテレビに向かってコントローラーを操作していた。
私に気づいたお姉ちゃんが、ゲームをポーズしてこちらに首だけを向けてくる。
その顔はいつものかがみ先輩やつかさ先輩、みなみちゃんたちに向ける飄々とした顔で
いつも私に向けてくれている、優しい顔ではなかった。
お姉ちゃんが私だけに向けてくれるその笑顔が、密かに自慢だった。
体の真ん中が、ズキンと痛む……どうして?
「あ、おかえりゆーちゃん……どうかした?」
「……た、ただいま!! えっと、お姉ちゃん、何してるの?」
「ゲームだよ。見れば分かるでしょ?」
「あ、うん……そう、だね」
「何か用でもあった?」
「……な……んでも……ないよ……邪魔して、ごめんなさい」
「そ」
耐え切れずに、首を引っ込めてドアを閉めた。
最後に聞こえた声は、まるで私の心臓を冷たい氷の刃で抉るように、感情のない言葉だった。
どうして……どうしてお姉ちゃんは私に笑ってくれないのだろう……
昨日までは……私の大好きな笑顔を、私だけに見せてくれたのに……
私……お姉ちゃんに嫌われるようなこと……したのかな。
沈んだ気持ちのまま、お風呂に入る。
この気持ちはシャワーでも洗い流すことはできなかった。
大好きなはずのお姉ちゃんの作った夕ご飯も、味がしなかった。
暖かいお湯が、体に沁みるような錯覚を覚えた。
お風呂から上がって、自室のベッドに横たわる。
こんなに気持ちが苦しいのはなんでだろう。
誕生日を祝ってもらえなかったから? ……ううん、違う。
きっともっと深いところ。根元の部分。それが何かは分からないけど。それだけは分かる。
薄い胸の奥で燻って、それは外に出たがっているのに、私自身がそれを躊躇っているみたい。
今回の件が、それを加速させてるのだろう……
そんなことを考えながら、この現実を受け入れぬように、私はズブズブと夢の中に落ちていった。
雨音に目を覚ます。
結構大降りみたいだ。ゆっくりと起こした体は、なんだか重く感じた。
……。
お姉ちゃんに謝ろう。このままなんて嫌だから。あの優しい笑顔を見られないなんて……嫌だから。
なんで機嫌が悪いのか分からないのに、謝るだけ謝るなんて、ふざけてるかもしれないけれど。
許してもらえなくても、謝ろう。お姉ちゃんと、かがみ先輩たち、それからみなみちゃんたちにも。
鏡の前に立つ私は、ひどい顔をしていた。目は充血して、髪はぼさぼさ。
こんな私じゃ、誰も受け入れてなんかくれないよね。櫛で寝癖を大人しくさせて、頬を軽くピシャピシャと叩く。
うん。がんばろう。急いで着替えて、部屋を出る。お姉ちゃんは部屋にいなかった。
どうやらもう起きたみたいだ。身を翻して、リビングへと向かう。
どうやって謝ろう……ど、土下座とか? そんなので許してくれるのかな……
謝罪の方法も定まらないまま、私はリビングの扉を開けた。
パン!! パン!! パパパン!!
「!?」
突然鳴り響く銃声……じゃなくて、これは……クラッカー?
『誕生日おめでと――!! ゆたかちゃん』
「おめでとうございます♪」
「おめでとう、ゆたか」
「誕生日おめでとう!! ゆたか!!」
「おめでと、小早川さん!!」
「おめでと……ゆーちゃん」
「え? え?」
そこには、満面お笑顔の皆がいた。
部屋中に施されたデコレーション。美味しそうなご馳走。私が願った光景だ……でも。
「えっと……私の誕生日……昨日なんですけど」
「え?」
皆驚いたように顔を見合わせている。日日を間違っていたことに驚いているのだろうか。
「もしかしてゆーちゃん、まだ気づいてないの?」
「え? 何が?」
「今日、20日だよ?」
「……ふぇ?」
ふと、昨日なかったはずのカレンダーが目に入った。
今日は日曜日。その枠の中心には、大きく『20』という数字が書かれていた。
ど、どうして? 確かに昨日20日って。
「昨日私が20日って言ったのは嘘だよ」
「え? え? どういうこと!?」
「だから、昨日は19日だってこと。ゆーちゃんにばれないようにカレンダーとか時計とか、いろいろ細工しておいたんだよ」
「クラスの方では、私達3人が19日だということをばれないように、いろいろ裏で手をまわしたりしたんスよね♪」
え? ってことは……
「ゆーちゃんはまんまと私達のドッキリ&サプライズにひっかかったということさ♪」
頭の中が真っ白になった。
「いやー、でも本当にうまくいくとはね。私絶対無理だと思ってたわよ」
「ゆーちゃんが天然で助かったねぇ。これならつかさにも通用するね」
「こ、こなちゃん!! どういう意味!?」
笑顔で笑う皆。
ポカンとしていた私に、お姉ちゃんが向き直った。
「改めて……ゆーちゃん、誕生日おめでとう」
私に向けられた笑顔は、私の大好きな優しい笑顔だった。
向日葵のような、それでいてコスモスのような……私の大好きな笑顔。
私の心に咲いた小さな花。
私は……そこでやっと理解した。
「お゛ねぇぢゃぁああぁあああん!!」
「うお!? ちょ、ちょちょちょ、ゆーちゃん!? どうしたのいきなり泣き出して!? 顔ひどいよ!?」
あぁ……そうか……私は、お姉ちゃんのことが……
そのあとはともかく大変だった。
どうやら皆私が寝ている間に、徹夜で飾りつけとか料理をしたみたいだった。
みんな眠かったからか、テンションがおかしかった。
日下部先輩はいきなり服を脱ぎ始めるし、峰岸先輩は『あ〜ん』とかいいながらつかさ先輩のおでこにおかしをくっつけるし。
つかさ先輩はずっと笑ってるし。高良先輩はジュースと間違ってお酒を持ち出して、ゆいお姉ちゃんと飲み比べをして勝っちゃうし。
おじさんは『俺は勝ち組だあああああああああああああああ!!』とか叫びながらどこかに走っていっちゃったし。
田村さんはパティさんと一緒に、お姉ちゃんが言うにはアニソンを大声で歌い始めるし。
1億だとか2000年とか8000年とか
愛してるううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううう!!
とか言ってた気がする。みなみちゃんは正座して寝てた。すごい。
特に驚いたのがかがみ先輩。何日もかけて練習したのだと、突然ドジョウ掬いをし始めたの。涙を流しながら。
それをお姉ちゃんは手を叩きながら笑ってた。
でもときどきこっちを見て、私の体を心配してくれる。それがすごくうれしかった。
ようやく皆が静かになったのは、夜の9時。
部屋は荒れ放題。みんなも荒れ放題。みんな女の子なのに……
苦笑いしつつ、私とお姉ちゃんで毛布をかけて周る。
全員にかけ終わったところで、お姉ちゃんと並んで端っこに腰かける。
「お姉ちゃんは眠くないの?」
「眠いよ? でもまだ寝たくないんだよね……もうちょっとゆーちゃんとお話したいし」
「……ありがとう、お姉ちゃん」
窓の外を見ると、星が瞬いていた。
「お、雨止んだね」
「うん……あ、そうだお姉ちゃん、ひどいよ」
「ふぇ? な、何が?」
「私を喜ばせるためだったとしても、あんなに冷たく私に当たるんだもん」
「そ、そうだったっけ? とにかくばれないようにばれないようにって、感情を表に出さないようにしてたから、よくわかんないや」
「むぅ〜」
「あはは、ごめんごめん、そんな膨れないの♪ まぁそんな顔もかわいいけどさ」
天真爛漫な笑顔を向けてくれるお姉ちゃん。
私のこころも暖かくなる笑顔。
「誕生日会……どうだった?」
「……いままでで一番……楽しかった」
「そっか……」
そしていきなり、優しい笑顔になる。そのたびに、私の心臓が大きく高鳴る。
「ゆーちゃん、こっちおいで」
「……うん」
膝立ちになって、お姉ちゃんの傍に寄る。
私よりも少しだけ大きな体に寄りかかる。お姉ちゃんはその暖かい手で、優しく頭を撫でてくれた。
「ちょっと寒いね……よっと」
「あっ」
少し力を入れて引き寄せられる。
体の大部分がお姉ちゃんと密着している感触に、鼓動が早くなった。
心臓さん、そんなに自己主張しなくても分かってるよ。
近くに余っていた毛布を掴んで二人で包まると、さっきよりも暖かくて、お姉ちゃんの優しい匂いがした。
少しの間その匂いに浸りながら、私は呟いた。
「お姉ちゃん……お姉ちゃん?」
「すぅ……すぅ……」
あ……寝ちゃったんだ……少し残念。
「がんばってくれたもんね……お姉ちゃん」
たまにはいいよね、とお姉ちゃんの頭を、精一杯の優しさを込めて撫でる。
さらさらで気持ちい。
あ、そういえば、私のことを不安にさせたお返ししなくちゃ。
私は、お姉ちゃんの頬にかかった髪の毛をかきあげて、短くキスをした。
これくらいはいいよね。
「みぅ……」
「えへへ……擽ったかな……」
ずれた毛布を直して、お姉ちゃんの胸に蹲る。
不器用で優しい、私のお姉ちゃん。
その暖かい体に包まれて、ゆっくりと目を閉じた。
規則正しい、トクントクンという音を聞きながら、私は眠りにつく……
――お姉ちゃんにもらった最高のプレゼント
――体の真ん中で咲いた、この暖かい気持ちを
――いつか、大好きなお姉ちゃんに
――伝えられますように
【 fin 】
442 :
7-896:2007/12/20(木) 23:29:55 ID:LpD70mAz
以上です。
ネタもないし今回は誕生日SS無理かな、みたいに思っていたけど、その日になると案外浮かぶものですね。
今日思いついたものを書きなぐった作品のためか、あんまり煮込んでないので
多少おかしなところがあるかもしれませんが、温かい目でお願いします。
さて、あとでこのSSの絵でも描こうかな。
あれ?みなみちゃん、その手に持ってるボールはいったいなn
ちなみに自分は、メモ帳で書いてます(ぇ
絵の方は下書きから全部SAIですね。
最近まではスキャナで取り込んでからでしたけど。
>>442 隠そうとして、冷たい印象を与えるこなた
それを敏感に感じるゆーちゃん
GJです
そして、すみません。割り込んでしまった
ちょっとした間だからといって、リロしなかったらこんな事に…
まじ、今から水風呂入ってきます……λ
>> 7-896さん
あんたって人はぁぁぁ!
途中までガチで鬱系かと思ってしまったじゃないですか、どうしてくれるんです!?
謝罪と賠償を要求したいけど読後の幸せ感ですでに10倍返しになっているのでわたくしめがお礼を支払います、 本当に良い作品をありがとうございました!
>442
グッジョブでした。
「当日になると浮かぶ」ってのは激しく同意。
……当方も二週間以上悩んでたのに今日になったら沸くわ沸くわ。
という訳でこちらも投下。連続レスで申し訳ないがそろそろ日付を跨ぎそうで。
時間がなくてあれこれ突っ込みどころがあるかもしれないが。。。
それでは、お楽しみ下さい。
シフォンみたいにふんわりしてて、メープルシロップみたいに甘くて。
でもほんのりラズベリーみたいなすっぱさと、ミントみたいな心地よさの……
「はい、みなみちゃん。あーん」
「あ、あーんって、ゆたか、恥ずかしいよ」
「大丈夫だよ、ここには私たちしかいないから。はい、あーん」
ゆたかはフォークを卵焼きに突き刺して、無邪気に差し出した。
「も、もう、ゆたかったら……あーん」
みなみもみなみで、顔を紅潮させながらも大人しく従い、おずおずと口を開けて卵焼きを迎え入れる。
しばらくもぐもぐやってからこくんと飲み込んで、みなみは顔を綻ばせた。
「甘くておいしいよ、ゆたか」
優しく微笑みかけたみなみの顔は安らかで、ゆたかは余りのまぶしさに思わずミートボールをフォークに突き刺して、
「ここっ、これも食べてよ、みなみちゃん!」
みなみの鼻頭にぶつけてしまった。
ゆたかが謝ろうとするより早く、目の前のフォークを引っ込められるよりも早くみなみはぱく、とミートボールを食べた。
そして鼻を指で何度かなぞり、付いたソースを舐め取ると、事も無げな顔でタコさんウインナーを箸で摘んで
ゆたかの口許に運んだ。
「お礼に私も、あげる。あーんして」
怒られると思いきやまったく予想外のことをされて、ゆたかは戸惑いを隠せなかった。
タコさんウインナーを食べさせてもらったのが早いか、取り敢えずフォークを置きハンカチを取り出してみなみの鼻を拭いたが、
それも焼け石に水で、火照った顔は冷めそうにもなかった。
顔を紅くしながら交互に相手の弁当を口に運ばせる。はにかんだ笑みを浮かべながら、
他に誰も居ない屋上での二人きりを過ごしていると誰かが知ったら、
猛烈な勢いでペンからインクが迸ることは凡そクラス中の誰でも予想できた。
そんな一週間の終りは、伯父のそうじろうが出張、従姉のこなたが柊家に泊り込みということで、
二人は一緒に週末を過ごすことに決め、早速家に帰ろうとした。……が、しかし。
「雨、降っちゃってるね……」
「そうだね……天気予報だと10%って言ってたのに」
どう予報しようが降ってしまう雨は降ってしまう。みなみは完全に不意を突かれた形で折り畳み傘もなかったが、
ゆたかは偶然にも置き傘があったのを思い出して、昇降口へと戻っていった。その後姿がとてとてと駆けていくのを見て、
思わずみなみはボソリと本音を漏らしてしまった。
「可愛いなぁ、ゆたか」
その声が聞こえたのか、ゆたかの足はピタリと止まって、もう一度ゆるゆると歩き出した。そして傘立てから自分の傘を
引き抜いて、目玉焼きでも焼けそうな顔でゆたかが振り向いてカクカクと歩いてきて。
そして、何もないところで躓いて倒れかかった。
「わぁっ!」
「わっ……」
みなみの胸に。
世界で一番平坦であろう場所に頭から突っ込んだゆたかはしかし、とても暖かく柔らかい場所で優しく抱きとめられた。
ゆたかがそっと、崩れた足を立て直して見上げると、安堵の溜息を吐いたみなみが穏やかに笑いかけていた。
「危なかったね、ゆたか」
ゆたかが何度も『ごめんね』と頭を下げるのも気にせず、みなみはその手をゆたかの頭に乗せて、ゆっくり言った。
「ゆたか。ゆたかは悪いことをした訳じゃないんだから、『ごめんなさい』って言う必要はないんだよ」
そうやって優しく頭を撫でられ、ゆたかは満面の笑みを零した。
「うん。ありがとう、みなみちゃん!」
今度は『ありがとう』を連発し始めたのでみなみは些か困ってしまった。だが、差し当たって悪い気分ではなかったので、
ゆたかが『み、みなみちゃん、ちょっと苦しいよう……』と二の腕をポンポン叩くまで、
みなみは小さな身体をギュッと抱きしめていたのだった。
しかし、如何せん傘は一本、入るのは二人。しかも二人には頭一つ分もの身長差があって、
ゆたかが差した傘はみなみの頭や肩に度々引っかかった。しかもそうやって歩いて、まだ校門にも辿り着けなかった。
雨はどんどん強くなって傘を叩くようになり、やがて端から垂れる滴で二人の肩は濡れ始めた。
みなみはいてもたってもいられなくなって、ゆたかの傘を取り上げた。
「ほら、これで濡れない」
そうしてきゅっと、傘を持っていたゆたかの手を握って、そっぽを向いた。そのまま足早に歩き出すものだから、
ゆたかは遅れまいと頑張って足を動かすのに必死だった。みなみの歩幅はかなり広くて、ゆたかには一杯いっぱいに
思えたが、不思議と置いていかれることはなかった。
そして何より、ゆたかの身体には雨粒一つ垂れ落ちることはなかった。
駅に着いて屋根が二人を覆う頃、やっとみなみは歩調を緩めた。そして傘を畳むと水気を払ってつっけんどんにゆたかへ
差し出した。そっぽは向きっぱなしだった。
ゆたかが『みなみちゃんってば、可愛い』と言ったが最後、みなみは完全に無言になって常々ゆたかより一歩先を歩くように
なった。だが、二歩以上離れることはなく、ずっと手を握り続けていた。
改札を抜けて駅のホームに降り立った後も、みなみは終始無言で、顔を俯けてゆたかには何としても見せまいと
努力していた。そしてそれは電車に乗るまでは実り続けた。
電車がホームにゆっくりと滑り込んでくると、開いたドアから沢山の人々が降り、一時的に電車内は空白になった。
みなみは巧みに、一つだけ空いた席にゆたかを誘導して座らせると、自分は立ったまま右半身を隠すように身体を傾けて
吊り革を握った。
程なくして発車のベルがホームに鳴り響き、ゆっくりと電車はホームから走り出して行った。
沢山の人々と、一組の身長差カップルを乗せて。
「ねぇ、みなみちゃんは座らないの?」
「あぁ、うん、私は立ったままでいいから」
次の駅に着いて、ゆたかの左隣が空いたにも関わらずみなみは座らなかった。
右肩を庇って見せまいと、みなみは俯いたまま呟いた。
「私のことは気にしなくて良いから……」
するとゆたかはすっくと立ち上がってみなみの横につき、『じゃあ、私も立ってるよ』と吊り革を掴もうとして、
「あ、あはは……」
届かなかった。そこでゆたかは改めて自分の低身長をボヤいて手摺りに掴まろうとした瞬間、
電車はガタンと少し乱暴な加速で走り出した。
「わっ、わわっ!」
ゆたかは出しかかった手を虚空で掻きながら、バランスを崩して後ろ向きに倒れかかった。
「おっと」
すると突然ゆたかの背中に手が滑り込んできて、そしてゆっくりと抱き留められた。
ふわりと軽い身体を起こされると、今し方乗ってきたのか、そこには老人が奥さんらしき人を連れて立っていた。
「さて、さて。こんな爺婆にも席を譲ってくれるとは、嬉しい世の中もあるもんだ。ありがとうな、お嬢さんたち」
そこでゆたかが立ち上がったのを、席を譲ってくれたと思った老夫婦が、恭しく礼を言いながら腰掛けた。
「そうだ、丁度余ってるのがあるから、お嬢さんたちにあげますよ」と、老婦人は手に持ったバッグの中を探し始めた。
二人にそんなつもりはなかったので断ったのだが、押し切られる形でゆたかもみなみも、
小さな飴玉を一つずつ貰ってしまった。
「あ、ありがとうございます」
二人が声を揃えて礼を言うと、老人はいやいや、とかぶりを振った。
「お二人さんの仲の良い、いや、仲睦まじいのを見ていたら、昔の婆さんとのことを思い出してな。その礼だて」
老人は半分茶化しながら言ったつもりで、婦人も当然のように『いやだわ、お爺さんったら』と返しただけだった。
だが、その時の二人の顔と来たら、まるで二匹の茹で蛸だった。
三つ先の駅で、老夫婦は降りていった。何度も礼を言い、頭を下げながら。
「ゆたかとあんな風になれたら良いな……」という呟きは、今度は本人に聞こえずして終った。
二人が次の駅で降りて改札に向かう時、ゆたかはみなみがしきりに右肩を隠している理由に気付いた。
「なんだ、みなみちゃん、言ってくれればよかったのに」
聞けば、ハンカチを忘れてきたんだとか、みなみの肩はぐっしょりと濡れていた。
「ゆたかには濡れてほしくなかったし……それに、これは私自身が選んでやったことだから」
ゆたかはハンカチを取り出そうとして、ふとその手を止めた。しばらく考えた後、
やにわにゆたかは大胆にもその腕を全身で掴んだ。
「じゃあ、私も私自身で選んだことをやるよ、みなみちゃん」
結局、駅から家に帰るまで、ゆたかはみなみにひっついたままだった。
二人が家に帰ると、当然ながら誰もいなかった。そこに一つのただいまと、
一つのお邪魔します、そして一つのいらっしゃいが響いた。
久方ぶりに無人になった家は静かで、けれども暖かな残り香ははっきり残っていて、
まるで泉家には座敷童が一人住み着いているようだった。
ゆたかがリビングに入っていくと、なにやら白い箱が置いてあった。その上には、一通の封筒。
続いて入ってきたみなみはその封筒を見るなり合点した様子でひとり頷き、ゆたかが開けるのを待った。
「なんだろう、これ?」
ゆたかが開いたグリーティングカードからはピアノで綴られた「Happy birthday to you」が流れ始め、
立体的に作られた一枚のイラストは、親友が丹精込めて作ったものだと一目で分かった。
まるでサプライズパーティーのように、みなみは今日一日言いたくて言いたくて、でも我慢していた言葉を紡ぎ出す。
「誕生日おめでとう、ゆたか。これからもよろしくね」
振り返ったゆたかの顔は笑顔一杯で、目じりには嬉し涙さえにじみ出ていた。
「あ、ありがとう、みなみちゃん。この曲演奏してくれたの、みなみちゃんだよね? それに、この絵は田村さんの絵だし……
多分、これも」
白くて小さな箱を開けると、そこには三段に積み重ねられたデコレーションケーキが、燦然と輝いてそこにあった。
ガトーショコラの三段重ね、その淵には可愛いサイズのイチゴが何個も散りばめられ、ホイップクリームで彩られた最上段は
『誕生日おめでとう ゆたか』と、如何にも手作りといわんばかりの字形が踊っていた。
「これも、こなたお姉ちゃんたちが作ってくれたんだよね……」
そしてどうやら、それがウェディングケーキであるらしいことは、同じく如何にもなナイフが添えられていることから、
少なくとも製作者の意図であることは二人の無意識で朧気に分かっていた。
誰もが、その気遣いでわざと誕生日を二人きりにデコレートしたことを。
「ありがとう、みなみちゃん。ありがとう、みんな。私、ホントに嬉しいよ……」
拭いても拭いても熱いものが滂沱と流れ落ち、ゆたかはこの一年で一番の笑みをみなみに向けた。
……向けたのまでは良かったが、その後がいけなかった。
ゆたかは感激の余り頭に血が昇りすぎて、そのまま真後ろに倒れこんでいった。
「ゆっ、ゆたか!?」
みなみの声遠く、ゆたかは幸せの海に身を沈めていった。
「……たか、ゆたか?」
「う、うん……?」
次にゆたかがゆっくりと目覚めた時、辺りはもう随分ととっぷり暮れ、空は墨を垂らしたような真っ暗な闇だった。
雲は厚く垂れ込め、湿った風は吹き、今すぐにでも雪がちらつきそうだった。
「あれ? どうして私、ベッドで寝てる……の?」
キョトンと訳が分からず首を傾げるゆたかに、みなみは簡単に説明した。
「……つまり、ゆたかは幸せすぎて倒れたの」
「幸せすぎて……あはは、そんなこともあるんだね……くしゅん」
意識が戻って暫くすると、今度はゆたかの身体に嫌な熱がまとわりついてきた。
みなみがさも当たり前のような顔で額と額をくっつけると、ますます熱が上がっているようだった。
「ちょっ、みなみちゃん、恥ずかしいよ」
「大丈夫。ここには私たちしかいないから。それに」
昼間言われたことをまるっきりお返しで言うと共に、みなみは滅多に見せない悪戯っぽい笑みを浮かべた。
「熱が出た時は、もっと上げて汗をかけば下がるから」
言うだけ言うと、『ちょっと待っててね』と残し、みなみは部屋を出て行った。戻ってきた時には、その両手に鍋。
「初めて作ったけど、どうかな……」
蓋を開けると、そこには卵粥。虚弱体質のゆたかにはうってつけのメニューだった。
蓮華で一匙すくうと、みなみはふーふーと息を吹いて冷まし、ゆたかの口許に持っていく。
「はい、あーん」
「みっ、みなみちゃん、自分でできるよぅ……」
「病人は大人しくしてた方がいい……はい、あーん」
みなみは追撃の手を緩める気などサラサラないらしい。ゆたかは観念して口を開け、程ほどに温かい粥を食べた。
「おいしいよ、みなみちゃん。初めても何も、こんなに美味しいのは私こそ初めてだよ」
さて、これで気を良くしたのはみなみの性か。自分でも一口ばかり食べてみて、味を再確認すると、
徐に二口目を食べた。そしてそのまま、ゆたかへと近づいていく。
「へ、どうしたのみなみちゃん? みなみちゃ……んむっ」
みなみは大胆にも、粥を口移しにしてかかった。口の中にある粥を舌で押し出して、ゆたかの口へと運んでいく。
ゆたかも観念したのか逆らおうとはせず、ただ与えられる食べ物と愛情とを受けることに専念した。
口移しは鍋が空になるまで続き、その度に銀のアーチが架けられ続けた。
粥を食べ終わった後は、みなみが一つだけ提案してきた。
「ゆたか、ケーキ、食べられる?」
「うーん、あれを二人で半分こするとしても、全部は無理かな……」
「分かった、それじゃ一切れだけ食べよう」
そう言ってみなみが持ってきたのは、ケーキを一台丸ごとと、ナイフ。
「このナイフは、二人で切るものだから……」
慎重にゆたかをベッドから降ろして、二人は寄り添う。一本のナイフを、二人で握れる程近くに。
「それじゃ、行くよ、ゆたか」
「うんっ」
心を込めて入れられた刃はしかし、永遠に二人を分かたないだろうと、誰もが分かる。
その証拠に、ケーキを食べている二人の笑顔が眩しすぎて、この絆を断ち切ろうものならば、
それこそ地球ごと滅ぼす他になかった。
ケーキを食べ終った後は、パジャマに着替えてのピロートークが暫く続いた。
ゆたかのクシャミがアクビになり、そして寝息に変わる頃にはみなみもトロンとした目でゆたかを温かく見守り、
最後に額へと軽いキスをして、みなみもゆたかの身体に身を寄せて、同じベッドで仲良く眠りに着いた。
後日談。
「おーおー、初いねえ初いねえ」
「ちょ、こなた一体何やってんの」
「何って、ナニも起こらないようにゆーちゃんのお姉さんとして健全なる青少年育成の為に、
仕方なく、仕方なく監視カメラというものをだね……」
「だから、なんでそれが我が柊家のパソコンで見れるのよ」
「かがみん、技術の進歩って奴はあっという間なのだよ」
「……もうやってられんわ」
「あれあれ〜。そう言ってる割にはしっかり見てるんじゃありませんこと?」
「う、うるさいわね!!」
そんな訳でできました。
初めての非エロ、初めてのみなみ主導(?)。
難産極まりない作品だったんですが、どうでしょうか。
クリスマスネタを投下する時は多分(いや、ガチ?)エロです。
プレゼントは危ないものの予定。
それでは、ゆーちゃん。改めて誕生日おめでとう。
夜中の11時半とか遅い時間に投下してごめんなさい。
読んでくれたみんな、ありがとう。
そしてスレの皆様に幸あらんことを。
(編者意訳:クリスマスが「2008年の」クリスマスだとしても気にすんなよ!)
452 :
みなりん:2007/12/21(金) 00:01:16 ID:WQDvLcsn
>>451 GJ・・・
やっと・・・おちつける・・・作品に・・・めぐり合った・・・
でも・・・あなたには・・・ドッジボールを・・・ぶつけなければ・・・
ゆたか「みなみちゃん、まさか・・・世界一・・・のくだり?」
みなみ「(涙目)」
な、なんかいつの間にか凄い量の投稿が……皆様凄まじすぎです。
さすがは誕生日記念といったところでしょうか。
ちょっと出遅れてしまいましたが、私もSSを投稿させていただきます。
●短編4レスほど投下させていただきます。
●ゆたか誕生日記念の非エロ話。
●原作4巻「雪解けの花」前提です。
「そっかぁ……」
お仕事なら、しょうがないと思う。でも、やっぱりお姉ちゃんがいないのは寂しいな。
もちろん、おじさんとこなたお姉ちゃんがいて楽しいのは確かだけど……ゆいお姉ちゃんは、
ゆいお姉ちゃんだから。
「まあ、仕事が終わったらすぐに来るって言ってたから大丈夫でしょ」
「そうだね」
うん、きっと大丈夫。ゆいお姉ちゃんのことだから、遅れてもきっと来てくれるよね。
私の想いをわかっているみたいに、こなたお姉ちゃんもおじさんもにっこり笑ってくれている。
そんなみんなのあったかい想いを受けて――
私は今日、十六歳を迎えることができました。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
陽だまりの樹の下で
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
「えーっと」
戸棚を開けて、たくさんの種類のお皿を見上げる。
「お姉ちゃん、深皿よりもスープ皿のほうがいいよね?」
「そうだね、深皿じゃちょっと量が多くなっちゃうし」
お鍋をかき混ぜているお姉ちゃんが、首をちょっとだけこっちに向けて答えてくれました。
「わかった」
言われた通り、スープ皿を四人分手にしてゆっくりとまな板の上に移します。
「まったく……ゆーちゃんったら座って待ってればいいのに。ね、お父さん」
「そうだぞー。なんてったって、今日の主役はゆーちゃんなんだからな」
「だって、いきなりそう言われても落ち着かなくて」
からかうように言う二人に、ちょっと照れくさくなっちゃう私。
「まあ、そこがゆーちゃんらしいといえばゆーちゃんらしいか」
「かもねー」
二人の気遣いは嬉しいけど、いつも通りにしたいときはいつも通りにしたいもん。
「ただいまー」
玄関を開けて、いつものようにごあいさつ。
「ああ、おかえりー」
「ゆーちゃん、おかえり」
お姉ちゃんとおじさんからも、リビングのほうからいつものようにあいさつが返ってくる。
このお家に引っ越してきてからかなり経って、今ではすっかりあたりまえの出来事。
リビングに入れば、のんびりとマンガを読んでいる二人。この光景も、今じゃすっかりおなじみです。
「ごめんね、遅くなっちゃって」
「いーのいーの」
私が謝ると、お姉ちゃんはひらひらと手を振って優しく笑ってくれました。
「せっかくみなみちゃんとひよりんが誘ってくれたんだもん。そっちのほうも大事でしょ」
「でも、こんな時間になっちゃったし――」
「気にしないの。特別な日なんだから、たまには羽目を外したっていいじゃん」
「そうだよ。料理も煮込み料理にして、いつでも食べられるようにしておいたからさ」
多分待っていたはずなのに、二人とも気にしていない様子でそう言ってくれます。
「ありがとう。おじさん、お姉ちゃん」
だから、これ以上は悪いと思ってお礼を言いました。
「まだこれからテーブルを用意するから、ゆっくり着替えてきて大丈夫だよ」
「うんっ……あ、そうだ」
「どしたの?」
「あのね」
部屋を見渡しながら、どうしても気になったことを口にします。
「ゆいお姉ちゃん、まだ来てないの?」
いつもだったら、こういう日には来てくれるゆいお姉ちゃんがいません。
「あー、今日はちょっと仕事が長引くって言ってたから、まだかかるんじゃないかな」
「そっかぁ……」
お仕事なら、しょうがないと思う。でも、やっぱりお姉ちゃんがいないのは寂しいな。
もちろん、おじさんとこなたお姉ちゃんがいて楽しいのは確かだけど……ゆいお姉ちゃんは、
ゆいお姉ちゃんだから。
「まあ、仕事が終わったらすぐに来るって言ってたから大丈夫でしょ」
「そうだね」
うん、きっと大丈夫。ゆいお姉ちゃんのことだから、遅れてもきっと来てくれるよね。
私の想いをわかっているみたいに、こなたお姉ちゃんもおじさんもにっこり笑ってくれている。
そんなみんなのあったかい想いを受けて――
私は今日、十六歳を迎えることができました。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
陽だまりの樹の下で
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
「えーっと」
戸棚を開けて、たくさんの種類のお皿を見上げる。
「お姉ちゃん、深皿よりもスープ皿のほうがいいよね?」
「そうだね、深皿じゃちょっと量が多くなっちゃうし」
お鍋をかき混ぜているお姉ちゃんが、首をちょっとだけこっちに向けて答えてくれました。
「わかった」
言われた通り、スープ皿を四人分手にしてゆっくりとまな板の上に移します。
「まったく……ゆーちゃんったら座って待ってればいいのに。ね、お父さん」
「そうだぞー。なんてったって、今日の主役はゆーちゃんなんだからな」
「だって、いきなりそう言われても落ち着かなくて」
からかうように言う二人に、ちょっと照れくさくなっちゃう私。
「まあ、そこがゆーちゃんらしいといえばゆーちゃんらしいか」
「かもねー」
二人の気遣いは嬉しいけど、いつも通りにしたいときはいつも通りにしたいもん。
そう思いながら、今度はスプーンとお箸を四人分取り出してテーブルに置いていく。
今は三人しかいないけど、きっともうすぐゆいお姉ちゃんも来るはずだから。
「んじゃ、次はこっちをお願いできるかな」
「はいっ」
お願いされて、今度はお盆を手にしてキッチンへ。
エプロン姿のおじさんはお鍋とにらめっこしながら、お玉をぐるぐるかき回し続けていました。
お鍋の中からは、ほんのりと牛乳とコーンの甘い香り。
「そろそろ頃合いかなっと」
コンロの火を止めて、スープ皿を手にするおじさん。手にしていたしていたお玉から
お皿に注がれていくのは、とろとろに煮込まれたホワイトシチューです。
「おいしそうですね」
「もうかなり煮込んでおいたからね。タマネギなんかは形が無くなっちゃってるかも」
「でも、それもまたコクが出ておいしいんだよねー」
お姉ちゃんも私の隣に来て、おじさんの手元を見ていました。
「それにしても、ゆーちゅんは珍しいよね」
「えっ?」
「いやさ、牛乳はダメなのにシチューは大丈夫だっていうのがね。シチューって牛乳を
煮込んだものだろ?」
「ほらっ、よくあるじゃないですか。そのままじゃ無理でも、調理すれば食べられるものとか」
「おー、なるほど」
「トマトはダメでもミートソースは大丈夫とか、そんな感じかな?」
「そうそう」
私の言葉に、おじさんもお姉ちゃんも納得したようにうなずいてくれます。
そんな風におしゃべりしながらも、私が手にしているお盆にはシチューが満たされた
スープ皿が三人分載せられていきました。
「気を付けなよ?」
「もうっ、大丈夫だってば」
ほんと、お姉ちゃんもゆいお姉ちゃんと同じで心配性なんだから。
苦笑いしながら、お盆を両手で持ってテーブルに。あとはいつもの席にお皿を置いて、と。
「これでいいかな?」
「うんっ、オッケー」
満足そうにうなずくお姉ちゃんに、私もつられてうなずきます。
テーブルに並んでいるのは、ごはんにホワイトシチュー、ほうれん草とベーコンのバター炒めに、
キャベツのピクルス。お野菜が多いメニューだけど、バランスがとれた味付けじゃないかな。
「それじゃあ、そろそろ食べよっか」
「あいあいさー」
「はいっ」
エプロンを外したおじさんにうながされて、いつもの席に座る。
目の前のスープ皿からは、シチューがほかほかと湯気を立てていておいしそうです。
だけど……
「ゆいお姉ちゃん、まだ来ないなぁ」
時計は八時をまわっているのに、電話もまだ来ません。いくら残業とはいっても、
もうそろそろ帰ってきてもいい時間なはずなのに。
「あー、きっと食べているうちに来るはずだよ」
「そうかなぁ……」
お姉ちゃんのことだから、事故とかに遭ってないといいんだけど……
「まあ、きっとそろそろ来る頃でしょ。ケーキの時には、ゆい姉さが来るまで待とう?」
「うーん……そうだね」
確かに、心配しすぎるのもいけないかな。
さっきはお姉ちゃんたちのことを心配性だって思ったけど、私も心配性なのかも。
「じゃあ、いただきます」
「いっただっきまーす」
「いただきますっ」
おじさんにならって、私たちもいただきますのあいさつ。
まずはスプーンを手にしてから、シチューをひとすくいして、と……
「はむっ」
口にしたとたん、ルーのやわらかい味が広がっていきます。
本当は嫌いなはずの牛乳の味も、こうして食べるとおいしく感じられて不思議……んっ?
「どったの? ゆーちゃん」
「えっ? う、ううん、何でもない」
首を傾げていたのを見られていたみたいで、あわててお姉ちゃんに手をひらひら振ります。
――でも……この味は、確か……
そう思いながら、スプーンで具をすくってみる。
中に入ってるのは、コーンにニンジン、とろけかけのタマネギにじゃがいもと、あとは
……鶏肉? でも、確かおじさんとお姉ちゃんはいつも豚肉を使ってたはずだよね?
どうしても何かが引っかかって、その鶏肉をルーといっしょに食べてみると……
「あっ」
心の中で浮かんだ疑問が、その味で溶かされていきます。
「この味……」
まわりを見回してみても、この味の作り主はどこにもいません。
確かにおじさんたちが作るシチューはおいしいけど、いつもの味じゃないから。
「ゆ、ゆーちゃん?」
もしかして、お姉ちゃんが習ったとか?
でも、この味は確かに私がよく知っている味。
私が、いつも食べていた味と変わらないはず……
「あ、えっ、えーっと」
じーっと見つめていると、何故かくちびるの端をぴくぴくとさせるお姉ちゃん。
「おねーちゃん?」
「どっ、どしたのかなー?」
しかも、何故か言葉を詰まらせてるし……もしかしてっ!
「おじさん、ちょっと失礼しますっ!」
「わっ、ゆ、ゆーちゃんっ?!」
私は急いで席を立って、廊下に出ました。
お姉ちゃんたちが考えることだから、きっと――
バタンッ!
「ゆいお姉ちゃんっ!」
「おわっ! ゆ、ゆたかっ!?」
ほらっ! やっぱりお姉ちゃんの部屋にいたっ!
* * *
「まったくもう、お姉ちゃんたちったら……」
部屋に戻った私が、ぷんすかしながらシチューを食べていると、
「い、いやぁ、まさか気付かれるとは」
「というか、ビックリさせるはずがビックリさせられるとは」
私の隣でゆいお姉ちゃんが、そして向かいでこなたお姉ちゃんがぽりぽりとほっぺたをかいていました。
「ゆいお姉ちゃんのこと、すっごく心配したのに」
「ご、ごめんね、ゆたか。ちょーっとばっかり驚かせようと思ってただけなんだよ」
スプーンをシチュー皿に置いてから、申し訳なさそうに私の顔をのぞき込んでくるゆいお姉ちゃん。
「それに、こなたお姉ちゃんまで私にウソついて」
「わ、私もちょっとばっかり驚かせようと思って……あ、ちなみに発案者はゆい姉さんだからね」
「ちょっ、汚っ! 元はと言えばこなたが同意したんじゃんかー!」
「おいおい、そりゃ二人とも共犯ってことだろ?」
「キッチンを貸したお父さんもね」
「ついでに手伝ってくれたおじさんも」
「うぉーい!」
もうっ、三人して押しつけ合っちゃって……でも、それだけ私に楽しんで欲しかったってことなのかも。
「私のことをびっくりさせようとしたのは、三人とも確かなんでしょ?」
「「「は、はい……」」」
シチューを飲み込んでからそう言うと、三人ともしゅんとしちゃった。
だから……怒るのは、ここまで。
「ありがとう。私の誕生日のために、いろいろしてくれて」
「ゆーちゃん……」
「ゆたか……」
今度は、素直に笑ってみせます。
だって、わかってるもん。三人とも、こういうのが大好きな人たちだって。
「でも、まさかゆいお姉ちゃんがシチューを作ってくれてたなんて」
「あ、いやー、あはははは」
お礼を言うと、ゆいお姉ちゃんってば恥ずかしそうに顔が真っ赤っか。いつになっても、
お姉ちゃんのこのクセは変わらないんだね。
「でもゆたか、よく気付いたね。私がシチューを作ったって」
「だって、私がよく知ってる味だったんだもん」
私はそう言って、ちょっとだけぬるくなっちゃったシチューをまた口にしました。
「牛乳嫌いだった私にも食べられるようにって、お母さんとゆいお姉ちゃんが工夫してくれた味」
おじさんが言っていた通り、私は牛乳が苦手。それは今でも変わらなくて、ほとんど飲めない。
お母さんからもゆいお姉ちゃんも、私の牛乳嫌いにはすごく苦労してたっけ。
だから、鶏肉のコクで牛乳の味を目立たなくしたって、二人ともよく言ってた。
「小さな頃から大好きな味だから、今でもよく覚えてるんだ」
「たはーっ、ゆたかの記憶には参ったね」
おねーちゃんびっくりだって苦笑いしながら、お姉ちゃんが私の頭を撫でてくれる。
でもね、記憶だけじゃないんだよ?
お姉ちゃんとお母さんが、私のために作ってくれた味だから……ずっと、心に残ってたんだもん。
「けど、時間がかかるのによく作れたね? 今日もお仕事だったんでしょ?」
「んにゃ、今日は公休だよ。ちょうどタイミングもいいから、久しぶりにゆたかに作って
あげたいなーって思って」
「そうなんだ」
「だから、シチューを作らせてもらって、そのままこなたの部屋に隠れてたってわけ」
「お姉ちゃんたちったら、そこまでするなんて……」
「いえいえー、可愛い妹のためならえんやこらだよねー」
「ねー」
体を乗り出して、ハイタッチするお姉ちゃんたち。
警察官って、決まったお休みも取りにくくて大変なはずなのに、私のためにここまで
してくれるなんて……ほんと、私ってば幸せ者だなぁ。
「それにさ」
「うん?」
「こないだの誕生日プレゼントのお返しも込めて、ってとこ」
「あっ」
お姉ちゃん、ちゃんとあの絵本のことを気にしてたんだ。
「私には器用なことは出来ないけど、手作りには手作りが一番だって思ってね」
そう言いながら、私に笑顔を向けてくれるゆいお姉ちゃん。
それは、初めてシチューを作ってくれたときの、おひさまのような笑顔のまま。
「改めて……お誕生日おめでとう、ゆたかっ!」
やっぱり、お姉ちゃんってすごいな。
ちょっとココロが沈んだり、体の調子が悪くなったりしても、すぐに笑顔にしてくれるんだもん。
だから……
「ありがとう、お姉ちゃんっ!」
――いつも、私のことを想ってくれて。
心の中でそう付け加えながら、私もとびっきりの笑顔でうなずきました。
というわけで「陽だまりの樹の下で」、いかがでしたでしょうか。
久しぶりの投稿で、早速ぽんこつっぷりを晒してしまいました。
「雪解けの花」は姉妹愛のいいエピソードだなと思い、
ゆたかの誕生日にもそういうお話って出来るかなとこんなお話を考えてみました。
5巻でもいいエピソードがありましたが、ゆたかとゆいの二人って実にいい姉妹ですね。
お楽しみいただけましたら、幸いです。
すんません。感想をつけるタイミングがつかないんですけどw
>442
まずはぐっじょぶ。
誕生日を移動させる…… すごい力技ですな。
ゆーちゃんのココロの揺れが繊細に描写されていたように感じました。
何より、心がほんわかと温かくなるような、素晴らしい作品だと思います。
そして、ゆーちゃん。誕生日おめでとう!
>450
リロードせずに感想はさむところだった。
こちらもGJ!
なんという甘々!
>459
ゆーちゃんの雰囲気がすごくよく出てた感じがしました。
純粋で素直なところが彼女の魅力なんでしょうね。
461 :
書く人:2007/12/21(金) 00:15:28 ID:TVk98fXh
なんかスゲエ伸びているんですが…。
しかもゆーちゃん誕生日SSが大量に。
さて、少々気が引けますが、書けたんで投下します。
TS有り
462 :
書く人:2007/12/21(金) 00:16:37 ID:TVk98fXh
なるべく何気ない風を装うつもりで、かがみはつかさの部屋の扉を叩いた。
「つかさ、ちょっといい?」
「いいよ」
あっさりと、返事が来た。
かがみは肩の力が抜けるのを感じた。
よく考えれば今のところ、つかさがこちらに対して態度を変える理由はない。
つかさは自分がこなたを好き―――だったことを知らないのだ。
そう、好き『だった』
(俺はこなたの『親友』)
かがみは自分に言い聞かせる。
自分はこなたの親友として、こなたを悩ませている元であるこの恋愛沙汰を終わらせる。
そのために、まずはつかさをあきらめさせる。
「入るぞ」
わざわざ言ったのは、なぜか扉が重く感じたからだ。
らき☆すた SEXCHANGE 相対編
部屋に入ってかがみが驚いたことに、つかさが勉強机の椅子に座ってこちらを見ていた。
そして机の上には、広げられたノートと教科書。
勉強をしていたようだ。
かがみは失礼とは思いながら信じられん、という感想を持った。
「どうしたの?」
「う、うん、なんでもない」
つかさが不思議そうに尋ねてきて、かがみは我を取り戻した。
「す、座るぞ?」
「いいよ?どうしたのお兄ちゃん。何か変だよ?」
笑うつかさに、かがみは少々カチンとくる。
こっちの気持ちも知らないで!それならこちらだって考えがある。
かがみはベッドに腰をかけ、つかさに厳しい視線を向ける。
いつもつかさがだらしなかったりした時に叱るための、兄としての顔で、
「つかさ。こなたから大体の事情を聞いた」
前ぶりもなく言う。つかさが驚きの表情になり、次に納得したような顔になる。
「ああ、だからか。それで?」
余裕の表情。見慣れた、のほほんとした顔。
それが今のかがみには気に入らない。
その感情を助走にして、かがみは核心を言いきった。
「こなたに言い寄るのはもう止めろ。こなたが――迷惑がっている」
「…」
かがみは続ける。意思が萎えないように、意識してきつい言葉を選びながら
「放課後、こなたに相談されたんだ。
あいつ、お前かみゆきを選ぶことで、今のグループが散り散りになることを怖がってたんだ。
あいつ、中学の頃、友達だった男子に告白されたんだって。
それを断って疎遠になってってのがトラウマになってるらしくてさ。
泣いてたんだぞ。あのいつも余裕たっぷりのこなたが。
お前達のせいで」
「…そう、なんだ…」
俯くつかさ。
つかさを傷つけてしまったか?
その事に後悔を覚えるが、けれどもここで止めるわけにもいかない。
つかさから目を逸らし、自分の元を凝視しながらかがみは言う。
463 :
書く人:2007/12/21(金) 00:17:15 ID:TVk98fXh
「……もう、こなたを困らせるのは止めろ。
お前もみゆきも、本意じゃないだろ?好きなら身を引くってのも選択肢じゃないか?
撤回して、ただの友達に戻れよ。どうせあんなチビで色気のない奴への思いなんて、すぐに忘れて元通りになれるって。
な?」
これで役目は果たした。
安堵を感じながらかがみはつかさの方を見て―――息を呑んだ。
つかさが、かがみを見ていた。
「な、何だよ?」
真剣な、つかさの表情。
料理を作る時に時たま見せる真剣なそれを、遙かに鋭く硬い表情、視線。
初めてだった。こんなつかさを見るのも、こんな風につかさに見つめられるのも。こんな風に、つかさに気圧されるのも。
「お兄ちゃん、聞かせてくれる?」
「だから、なんだよ」
かがみは負けじと、睨み返す。
けれども、つかさはかがみの視線を気にしていないようだった。
つかさが関心があるのは、かがみの反応だけ。
「お兄ちゃんは…こなちゃんのことをどう思ってるの?」
「っ…」
痛いところを突かれたと思って、けれど顔に出さないようにする。
わずかに奥歯を噛みしめてから
「親友だよ。大切な」
嘘ではない。嘘じゃない。自分に言い聞かせながら、
「それ以外なんだって言うんだよ?」
「そう…」
つかさは頷いて
「悪いけど、それはできないよ」
つかさが放ったのが、拒絶の言葉だと理解した後、感じたのは怒りだった。
「…なんでだよ」
なぜ、つかさはこなたを傷つける選択をするのか?
なぜ、つかさが自分の言うことを聞かないのか?
なぜ、つかさも諦めてくれないのか?自分は想いを―――封じ込めたというのに!
「お前、こなたが迷惑がってるって…」
「うん、聞いたよ。…僕だって、ゆき君だって、こなちゃんを悲しませたくないよ」
「だったら…!」
「だから今日、帰る時にゆき君と約束したんだ。
この恋の結果がどうなっても、振られても、僕たちはこなちゃんの友達でいよう、って」
「それはお前らの都合だろ!?」
かがみは声を荒げる。
「それでお前達は納得するかもしれない!けれどこなたの気持ちはどうなるんだよ!
どちらかを選んで、どちらかを傷つけなきゃいけないこなたの気持ちを!
お前達は納得するかもしれないけれど、こなたは傷つけた奴と顔を合わせ続けなきゃならないんだぞ!」
「だから―――両方とも振られろ、っていうの?」
かがみの言葉が詰まる。
つかさが突いた所。それは矛盾。
「どちらかを選べば傷つけるのは一人で済むのに、二人を傷つけろっていうの?おかしいよ、それ」
「……どっちか選んだら、振った相手の前で見せつけることになるだろうが。
お前がもし振られたら、好きだった奴と友達が…こなたとみゆきがいちゃつくのを見てなきゃならないんだぞ?」
「うん、辛いだろうね。…けど、大丈夫。きっと祝福する」
「お前はそうかもしれないけど、その時のこなたの…!」
「いい加減にしなよ!」
464 :
書く人:2007/12/21(金) 00:18:08 ID:TVk98fXh
「――っ」
驚きが先だった。つかさに怒鳴られたという事実に思い当たったのは、その一拍後だった。
つかが、いつも自分を頼ってきた、自分の後ろをついてきた、自分が守ってきた弟が…
怒りではない。悲しみでも、まして恐怖でもない。
純粋な衝撃と、そしてつかさの厳しい視線が、かがみを貫いて動きを止めていた。
「こなちゃん、こなちゃん、こなちゃん……。
こなちゃんが悲しむから、こなちゃんが辛いから…。何を言ってもこなちゃんの事ばかり。
――お兄ちゃんの意見はどこにあるの?」
「俺…俺はこなたのことを考えて…!」
「嘘だよ」
正面から否定される。いや、看破される。
「お兄ちゃんはこなちゃんのことを考えてるんじゃない。
こなちゃんの為と言って―――こなちゃんを言い訳にして逃げてるだけだよ 」
かがみは、目の前が真っ赤になった気がした。
そして気がついたら立ち上がって、つかさの胸ぐらをつかんでいた。
「つかさぁっ!」
「僕は逃げないよ」
至近距離で交わされる視線。
怒りに燃えたかがみの視線と、静かな白熱を帯びたつかさの視線。
勝ったのは…
「僕は逃げない」
「くっ…」
勝ったのはつかさだった。
突発的な怒りにまかせた行動など、明確な意思と決意の前に立ち向かうには、あまりにももろく卑小だった。
胸ぐらを掴んで、自分の方に引っ張りつけているはずなのに、かがみは自分が追い詰められているのを感じる。
「こなちゃんを傷つけるかもしれない。こなちゃんを悲しませるかもしれない。
それは怖いし、そんなことしたくないけど、それでも僕は自分の気持ちに嘘はつかない。
傷つけた分、癒せるように、悲しませた分、喜ばせてあげらるように、僕はがんばる。
こなちゃんと真っ直ぐ向かい合うよ。嘘は…自分に嘘はつかない。ゆき君もね。
お兄ちゃんとは――――自分の気持ちに嘘をついて、こなちゃんを言い訳にして僕たちの邪魔をするようなことはしない!」
かがみの中で、怒りが再び燃え上がって、つかさを突き飛ばした。
背中から、つかさは本棚にぶつかる。本が何冊か零れ落ちる。
「―――勝手にしろ!」
そう捨て台詞を残して、かがみは部屋を出た。
いや、出たと言うより逃げ出したのだ。背中に向けられるつかさの視線に、返せるものが何もなかったから。
「畜生…」
部屋に戻って、かがみは絞り出すように呟いた。
思えば、最初から勝負は決まっていたようなものだったのだ。
つかさは心の底からの想いの上に立っている。
それに対して、かがみの論理は逃げと、自己欺瞞の継ぎ接ぎにしがみ付いているだけだ。
「全部その通りだよ…」
つかさとみゆき。どちらかを応援すると言う選択肢もかがみにはあった。
けれど、それをしなかった。耐えられなかったからだ。二人のどちらかがこなたと付き合い、それを親友と言う位置で見続けるのが。
つかさの言う通り、こなたを言い訳にして邪魔をしていたのだ。
「くそぉ……」
夕日の差し込む教室でこなたを支えようと―――自分の想いを殺してまで支えようとした決意を、自分で汚したようなものだ。
情けない自分。それに比べてつかさはどうだ?
465 :
書く人:2007/12/21(金) 00:18:48 ID:TVk98fXh
真っ直ぐに勇敢にこなたと、そして自分の想いと向かい合おうとしている。
一緒だと思っていた。常につかさの一歩前を歩いていたと思っていた。手を引いてやってると思っていた。
けれど今は―――その背中が遠い。
「―――っ!!」
怒りにまかせて、机の上のブックラックを凪払う。
辞書とノートが散らばって、床に落ちる。
ただそれだけ。胸の中に澱のように溜まった気持ち悪い感触は消えないし、爽快感もない。
残ったのは散らかった部屋と、ブックラックの角にぶつけて付いた手の甲の傷。
ジクジクと言う痛みが、惨めだった。
隣の部屋から、何かが散らばる音がした。
随分荒れてるようだ。
かがみとつかさを隔てている、一枚の薄い壁。
それに目を向け、その向こうにかがみの姿を思いながら、つかさは呟いた。
「僕は、逃げないよ。お兄ちゃん。ゆき君も。だから……」
その先は、言わなかった。
言えるほど、つかさも聖人君主でもなければ、こなたへの思慕は浅くなかった。
新たに得た後悔と、再確認した決意。
正反対な物を得た二人は、次の朝、同じ驚きを得た。
朝のバス停で会ったこなたの髪が、短くなっていた。
【相対編・了】
466 :
書く人:2007/12/21(金) 00:19:51 ID:TVk98fXh
我ながら空気読めてないなぁ。
さて、では今宵投下された作品を読んできます。
>>442 ふぉおおお!!!GJ!!!!
こなふぇちとは打って変わってシリアスも素晴らしい!!
文章が非常に上手い。
…うおお。最近こなかが好きの自分の脳内がこなゆたに侵食されていっている気が…。
ちょ、もう412KBって……w
流れが速すぎて感想がおっつかないわ眠れないわでもうへとへとですよ(良い意味で)
いやー、GJです
>>459 いつもながら料理の描写が巧くて羨ましいです
住居は違っても心は繋がってるって感じで温かい話でした。
>>442 誕生日パーティの存在を秘密にして驚かせるというパターンの
裏をかきたかったのはわかりますが、普通に外出したゆたかが
日付を勘違いし続けるというのはいくらなんでも無理があるのでは……?
な、なんだこの勢いは!皆さんGJ!
そしてまたも体調崩して執筆どころじゃなかった俺涙目!
>>362 >しかも今日はゆーちゃん祭りで一気に350kbまで逝きそうな
350どころか、400KB突破(00:10現在)してしまうとは。
471 :
名無しさん@ピンキー:2007/12/21(金) 00:40:12 ID:fAK57P1p
>>459 独特の、通じ合う心のやさしさが溢れてくると思えば……あなたでしたか。
思わず夜食に、シチューを解凍してしまいました。
以前、「きみにとどけ」読んでいる途中で物語の空間を共有したくなって、
路線案内で時刻を調べてしまったこともあります。
(ちなみに11月現在でも、全く同じダイヤの列車が見つかりました。)
鬱だろうがTSだろうが鼻血ブーだろうが、全て大好物なオレが、SSうpを要求する!!!
とか言っていた
>>375はこの状況を見てどうなってるだろうか?
>>442 ネ申 め
前回のみゆきやあやのの時といい
なんでこうあんたの書く誕生日SSにははずれがないんですか。
俺の中では誕生日SS=7-896氏という公式がなりたっています。
なんだかんだでテラGJ!!
次の作品も待ってるっす。
>>451 今度はゆたこなだとぅ!?
素晴らしい二人だ。甘くて糖尿病になりそうだよ。
GJすぎる!!
>>459 お久しぶりです!!
もうあなたの作品は前置きで分かるので、安心して読むことができますよ。
俺もシチュー食いたくなった……
というかあなたはもう家族愛を司る神ですね。
ほんとGJです!!
>>469 そのためにゆたかの天然属性とみなみ達の裏工作があるんじゃないか。
きっとゆたかの視界に入る日付という日付を3人で片っ端から排除していったんだろう。
ゆたかもうれしさであんまり周り見えてなかったみたいだし。
それにたった1日で急いで書いた作品なんだから、たとえ穴があっても仕方ないこと。特にこれだけ詰め込んだ作品は。
そういうことに突っ込むのは野暮だと思う。
作品ってのは揚げ足取りはじめたら途端につまんなくなるんだぜ。
もうちょっと余裕を持って読むことをお勧めする。
474 :
26−598:2007/12/21(金) 01:06:53 ID:eFacFjSx
どうも、26スレ目でこなたの策略というssを投下した者です。
また思いついてしまったので投下します。
またこなかがものです。
475 :
こなたの失敗:2007/12/21(金) 01:07:51 ID:eFacFjSx
「かがみさまー!寄り道付き合ってー!」
放課後。私はいつものように隣の教室に飛び込み、ついでにかがみの胸の中にも飛び込んだ。
「ひゃっ!?こ、こらっ、いきなり抱きつくんじゃない!」
「顔真っ赤にしちゃって〜。相変わらず可愛いなあかがみんは♪」
「あ、あんたはいつもいつも・・・!」
かがみは顔を真っ赤にしたまま・・・いや、さらに赤くして私を引き離そうとしている。
く〜っ!やっぱりいいねえ、ツンデレは!
こういう期待通りの反応をしてくれるから、かがみ弄りはやめらんないんだよね〜。
おっと、話が逸れるとこだった。
「という訳で、付き合ってよかがみん」
「なにがという訳だよ!それといい加減に突然抱きついてくるのは止めなさい!」
抱きつくのをやめ、本題に戻った私に猛然とかがみが抗議を始めた。
「寄り道はいつものことじゃん。私とかがみはオタク仲間だからね♪抱きつくのは殺伐とした現代で不足がちのスキンシップってやつだよ
〜」
「私はオタクじゃないっつの!スキンシップだって時と場所を考えなさいよ!」
「あれあれ〜?それは時と場所を考えれば抱きついていい、ということかな?」
「そ、そういうわけじゃ・・・」
ああ、やっぱり可愛いなあかがみんは・・・。
結局、そのまま30分ほどかがみ弄りで時間が過ぎた。
楽しいからいいけどね♪
「全く・・・教室のど真ん中であんなことをするなんて・・・」
目的の店に向かう途中、かがみは先ほどのことでぶつぶつ文句を言っていた。
私としては、もう周りの人たちは何度も見てるから慣れっこになってると思ってるんだけどね〜。
「ところでこなた、今日はどこに行くの?」
「ん〜と、とりあえず本屋かな?読書で教養を高めるってやつだね」
「どうせあんたは漫画しか読まないだろ・・・。私が貸してあげたラノベは読みやすいから読んでみなって」
「それは今度読むってば〜。とりあえず今日は巷で話題の18禁同人誌を何冊かゲットするつもりだからね」
「あんた一応女子高生だろ!」
476 :
こなたの失敗:2007/12/21(金) 01:08:43 ID:eFacFjSx
そんなこんなで本屋に到着。
もちろんアッチ系を専門としている店だ。
入り口付近に置いてあるフルメタのやおい本に、興味ない風を装いつつも熱い視線を送るかがみをとりあえず放っておいて、私は目的のも
のを探した。
「おっ、あったあった」
そう言いながら私が手に取ったのは、あのひよりんがもの凄い勢いで薦めてきた特濃の百合本だった。
リアルでの同姓趣味はない私だが、エロゲとかでは結構好きだったりするのだ。
その他にも何冊か漫画を購入した私は、何か本をこっそりと読んでいたかがみに声をかけた。
「かがみ〜ん、もういいよ〜」
「うひゃああああああああっ!?」
かがみは飛び上がって驚き、素早く本を元の場所に戻した。
「こっ、こなたか・・・。も、もう用はいいの?」
必死に普段どおりを取り繕うかがみ。
こういうとこもポイント高いんだよね♪
「うん、一応ね。・・・かがみはさっき読んでたやつ買わないの〜?」
ニヤニヤしながら尋ねてみると、
「か、買わないわよ!」
と真っ赤になりながら叫ぶ。
ああ、予想通りの反応・・・カ・イ・カ・ン♪
「いや〜、かがみんはカワユイね〜。そんなかがみんに今日付き合ってくれたプレゼントだよ〜」
「ん?何よこれ?」
「開けてからのお楽しみだよ。じゃね〜♪」
かがみに渡したのは、私が買ったのと同じ百合本。
大した値段じゃなかったから、かがみんにも布教しよっかな。
・・・これがあんな事態を招くなんて、私は知る由もなかったんだ・・・。
477 :
こなたの失敗:2007/12/21(金) 01:09:29 ID:eFacFjSx
「こ、こなたの奴・・・い、一体何のつもりかしら・・・」
帰宅後、こなたから貰った本を開けてみると、未知の世界が広がっていた。
(こ、これが『百合』ってやつなのかしら・・・。なんでわざわざこなたは私にこんなものを・・・?)
ペラペラとページをめくる私。
その本の内容は、叶わぬ恋だと思っていた親友同士の少女たちがお互いの気持ちに気付き、晴れて両思いとなる。
そして2人はお互いを求め合い、禁断の世界へと・・・というものだった。
(はっ!!!ま、まさかーーーーー!?)
そのとき、私の脳裏にある考えが浮かんだ。
「こなたもこういうのを望んで、る・・・?」
考えたことを呟いてみると、顔が赤くなっていくのが自分でもよく分かった。
「だ、駄目よ、女同士だなんて!」
叫びながらゴロゴロとベッドの上を転がり回る私。
傍から見ればさぞかし滑稽だろう。
(でも、よく考えると・・・)
夕日が差し込む部屋。
向かい合うこなたと私。
既にお互い何も身に着けてはいない。
口付けを交わし、見つめ合う。
「かがみ・・・」
「こなた・・・」
「かがみん・・・」
「こなたん・・・」
そして2人は重なり合いながらゆっくりとベッドへと・・・。
・・・い、いいかも・・・。
いや、これは最高だよ、うん。
「こなたはあの小さな体に私への気持ちを必死におさえてたのね・・・。でも大丈夫!すぐにその苦しみから解放してあげるわ!」
私の中での決意は固まった。
あとはこなたの気持ちに応えてあげるだけだ。
都合よく今日は家に誰もいないし、思い立ったが吉日なので早速私はこなたを呼び出した。
478 :
こなたの失敗:2007/12/21(金) 01:10:11 ID:eFacFjSx
「かがみー、来たよー」
買ってきた本を読んでいた私の所に、突然かがみからメールがきた。
(今日誰もいないから家に来て、か・・・。全くかがみんは淋しんぼだな〜♪)
呑気なことを考えながらかがみの部屋へと向かう。
勝手に入っていいって言われてるしね。
「かがみー?いるんでしょー?」
部屋は真っ暗だったけど、人の気配がしたので中に入る。
ガチャッ
突然部屋のドアが閉まり、ついでに鍵も閉まった音がした。
「ちょっ、えっ?」
「こなた・・・」
慌てる私にそっと声をかけたのは当然のことだがかがみだ。
・・・何故か服を着ていない。
「えええええええええええええええええええっっっ!?」
「こなた、あんたの思い、しっかりと受け止めたわ・・・。そしてこれが、私の答えよ・・・」
な、なにを言ってるんだろうかこの子は。
私の思い?かがみの答え?さっぱりわかんないよ〜!って!
「な、なんで手をワキワキさせながら近寄ってくるのカナ?」
後ろに下がりながらかがみに尋ねてみる私。
すると、
「こなた〜〜〜〜〜〜〜〜〜♪」
「うにゃああああああああああああああああああっ!?」
・・・問答無用で襲い掛かられた。
こんなイベントのフラグ、立てた覚え、ないんだけどなー・・・。
479 :
26−598:2007/12/21(金) 01:12:54 ID:eFacFjSx
一応これで終わりです。
今回も勢いで書いてしまったので、不自然な点や誤字があると思いますが、生暖かい目で見てやってください。
妄想で「こなたん」と呼ぶかがみが変にツボに入ったw
どうしてくれるGJ
>>479 萌えGJです。
前回同様、こなたのあわれっぷりがいいですねw
独特の終わり方が面白いです。
>>469 自分でもそれは思ってました。
そのはずなのに、ゆたかが勘違いし続ける場面の描写が少なすぎたかもしれませんね。
もしかしたら会話とか帰り道とかで19日というのを聞いていたかもしれないのに……
なにぶん即席でして……すみません。
あとで細かくそういう
ゆたか「今日は20日だね」
みたいな勘違いをし続ける描写を増やしておきたいと思いますゆえ。
なにとぞ。
つかさ「
>>479さんGJだよ、でもこなちゃんのセカンドバージンは
私のバルサミコ酢で決まりだからね☆」
みゆき「
>>479さんGJです、かがみさんうまいこと
抜け駆けしてくださいましたね、罰として、
今度泉さんをモノにするときは、セットでモノにいたします。
嗚呼、ロリ☆キュンボディとツンデレのバリューセット
2度美味しい至高のフルコース
考えただけではなぢがどばどばどば」
つかさ「ゆきちゃんのくせにいっ!!私だって、
お姉ちゃんと一緒にバルサミコ酢〜」
そして、争っている間に戦い→友情→愛へと昇華し、
伝説のボケボケバカップル、みゆ☆つかが誕生したのは別の話
う〜ん
かがみは真面目な性格な分、思い込んだら激しそうだなァ。
壊さず微妙に壊れてるキャラがGJ
484 :
483:2007/12/21(金) 01:31:50 ID:fAK57P1p
485 :
久留里:2007/12/21(金) 01:31:52 ID:fSWxvqrT
それぞれにGJ!!と言いたいとこだが、
あまりにも作品が多いのでまとめて「GJ!!」とさせていただきます。
職人さんたち、すまぬ。
さて、ひかげの過去の話を書いている最中な訳ですが、
書いている最中に何度か設定を変えてしまうせいで中々進まないorz
こういう時はいっそのこと途中まで投下するのもアリですかな?
>>485 ありだと思うけど、過疎っている時ならともかく、ここ24時間で大量に投下されてるし
半端に投下されるよりはきちんと完結してもらったほうが自分としてはありがたい
やっと読み終わった・・・・何?この速度…なんか触媒ぶっ込んだ?
とにかく全員GJ!!
488 :
久留里:2007/12/21(金) 02:26:52 ID:fSWxvqrT
>>486 サンクス春日部駅前店。
やっぱり中途半端に投下しないで、じっくり練ってみることにしました。
そのうち良いストーリーが思い浮かんで何とか完成出来るかもしれませんので。
いやぁ、ストーリーを考えるって、こんなに大変なんだな。
仕事柄書いている製品の実験レポートを書くのとはえらい違いだ。
凄い伸びてると思ったら、今日はゆーちゃんの誕生日だったね。納得。
どれもこれもいい出来で読んでて楽しかった〜
>>466 つかさ強いなぁ…強い決意をした男ってこういうものか。
あと気になったのがこなたがどれくらいばっさりやってしまったのか…
>>459 GJ&お久しぶりです!
最近あなたの姿を見かけなくて寂しかったんですよーwww
あなたの作品数が100を越える日を心待ちにしてますwww
ふぅ、全部読んでたらこんな時間だぜ?
まとめてですまないが、全員GJだ!!
はやくも次スレに近づいてるのが おっそろしいいぜえええええええええ
492 :
ぶーわ:2007/12/21(金) 03:25:27 ID:GPQXxHsF
ども、誕生日SSも間に合わなかったんでTSもの投下させてもらいますね。
0始も書き終えてますけど、見事にゆたかちゃん鬱な話なので少し自重します
『彼女は遷移状態で恋をする』4話、かがみ編4レス こなた編4レス
TSものなので注意! 苦手な人はスルーしてください。
↓8レス拝借します
日曜だというのに変態メガネのお誘いで、今俺はそいつの家に居る。
まぁどうせ家に居てもすることは変わらない。
つかさが怠けないように監視しながら、読み終えてないラノベを読み進めるだけだ。
「そろそろ休憩にしましょうか」
それで三時を過ぎたぐらいだったかな、みゆきが疲れたこなたを見かねてそんな事を言い出したのは。
まぁ日ごろ使ってない頭を使ったんだ、オーバーヒートぐらいするよな。
ちなみにうちの弟も右に同じだ。
ん? でもなんか顔を上げた。
「あ、そうだゆき」
「はいはい、なんでしょう」
「ケーキ作ってきたんだ、皆で食べようと思ってさ」
「ああ、それは素晴らしいですね。何処ぞのお兄さんとは気遣いが違います」
「聞こえてっぞ!」
ったく、気を抜くとすぐ俺に皮肉を飛ばしやがるんだこいつは。
でもつかさのケーキかぁ、美味いんだよなつかさのは。
勉強にはやっぱ甘いものが必要だよな! コレ宇宙の(ry
「それで、切り分けたいんだけど包丁とか借りられるかな?」
「ええもちろん、私もジュースを持ってきましょうか。こっちですよ」
そう言ってつかさを連れて部屋を出る。
台所にでも行くんだろな、じゃあ大人しく待ってるか。
しかし……。
「つかさのやつ、何を大層に抱えてるかと思えば……」
思わず漏らす。
いやいや、ずっとなんか大切そうに持ってたんだよ紙袋を。
触ろうとしたら怒ったし、何かも教えてくれなかった。
多分、こなたにあげるように作ってたんだろうな……甲斐甲斐しい。
まぁ……当の本人はそこの机の上でショートしてるけど。
でもこなたにしては頑張ったほうなんじゃないか?
珍しく集中してたじゃないか、いつもなら注意力散漫の癖に。
「ほら、ケーキが来るんだろ? 少しは片付けろよ」
ラノベに枝折をはさみ、近くに置く。
こんな汚れた机の上で食べられるほどケーキは甘くないぞ! 甘いがな!
「……うんっ、そだね」
俺が身を乗り出したところでようやくこなたが体を起こす。
むっ、まただ。
また眼逸らしやがった。
「……なぁ」
「うん?」
それに、ちょっと腹が立ったのかもしれない。
机の上の教材を片づけながら、つい聞いてしまった。
普段の、クールで知的で冷静な俺なら聞かないようなことを。
「なんで……みゆきだったんだ?」
「えっ……」
聞いたあとに、顔が熱をもったのが分かる。
なっ、なんで俺はこんな事聞いてるんだ?
まるで「なんで俺じゃないんだ?」って聞いてるようなもんじゃないか!
「その……宿題だよ。いつもは人にまっさきに電話かけてくる癖に」
「……」
いや、別に答えを期待してるわけじゃないぞ?
どうせくだらない理由だよきっと。
携帯引っ張り出したら最初にみゆきの名前が眼に入ったとか、その辺だ。
なのに何故か……聞いたわけだ。
理由を。
そうだ、何故か。
「別に」
そんな、期待した答えが返ってくるわけないのに。
「かがみには、関係ないじゃん」
「なっ……」
関係ない?
な、なんだその棘のある言い方は!
「かっ、関係なくないだろっ。いつも人に見せろとかせがんでくる癖に!」
……俺は何を言ってるんだ?
今のを要約するとどうなる?
『なんでアンタ私に相談しないのよ!』
ってなんで女口調なんだよ!
「関係、ないよっ!」
ふいっと、首ごと顔を背けられる、
だから……ああくそっ!
「人と話す時ぐらい、こっち見ろ!」
「!」
思わず。
思わず、だからな。
思わず両手で顔を掴んで……無理矢理視線を合わせてやった。
こなたの柔らかい髪と頬が手に触れ、妙に恥ずかしい。
ええい、今はそんな事考えてる場合かっつの!
「俺じゃなくあのメガネに頼ったのが気に入らんっ! なんだ? 俺はあんな変人より頼りにならんのか?!」
「み、みゆき君はかがみなんかより優しいもんっ」
なぁっ!? あいつが優しい?
何処だ、どの辺がだ?
人の顔見かければ捕まえて皮肉言って。
あんなやつがクラスの委員長ってのが俺は未だに信じられん!
どうイカサマすればあんなのが人望を集められるんだよ!
「それに、かがみなんかよりも頭いいじゃんっ。いつまでたってもテストで勝てない癖にっ!」
「なっ……」
その言葉が俺の逆鱗に触れて。
いや、そんな難しいもんじゃない……ただ、カチンと来て。
むかついて。
腹が立って。
鼻息がかかるほど近づけた顔に向かって俺は……言った。
言ってしまったわけだよ。
所謂そう……禁句ってやつを。
「はっ、じゃあお前はどうだよ!」
俺は何を怒っていたんだろう。
後になって考えれば、何に腹を立てていたのかさえ思い出せない。
俺を……頼らなかったから?
ははっ、何だよ。それ……。
何が知的だ、冷静だ……クールだ。
「ろくに勉強もしないで、ゲームに漫画尽くしの生活、遊び呆けるばっかりで何もかも他人任せで……」
ああ、やめろやめろ。
頼むから止まってくれ。
頼むからこの馬鹿を止めてくれ。
つかさでもいい、変態メガネでもいい。
それ以上踏み込ませるな……こなたに。
俺は知ってる。
こいつは面倒くさがり屋で、お調子者で、馬鹿みたいに単純で……。
それでいて、酷く……もろいんだ。
「悲しんでるだろうよ、お前の死んだ母親も!」
「……!」
その、すぐ後だ。
俺の指に、冷たい何かが触れる。
それが何なのか、俺の脳が租借するまで少し時間がかかった。
俺の手は何処にある?
こなたの、頬。
そこに流れるものなんて、決まってる。
……涙、だ。
「あ、やっ!」
その涙に驚き、思わずこなたから手が離れる。
俺は……何をした?
「……こ、こなたっ。俺」
何を、言った?
今までの自分の行動が、脳に無理矢理入ってくる。
勝手に腹をたてて。
勝手に捕まえて。
勝手にこなたを……傷つけた。
「……がみ、なんか」
こなたの唇が、少し動いた。
その微かな唇の動きに少し色気を覚えたのは多分……俺が馬鹿だからか。
そのまま俺の頬を、強い衝撃が走った。
「かがみなんか……大嫌いッッ!」
聞こえたのは、多分……こなたの声だ。
頬を走った衝撃が、ゆっくりとその言葉を揉み解していく。
それともう一つ、バタンと戸の締まる音。
もう俺の前には……こなたは居なかった。
目に残る残像は、こなたの泣き顔。
それから、俺を睨んだ……涙で歪んだ顔。
その相反する感情のどちらもが、俺の言葉で引き起こされた。
俺の不用意で……自分勝手な言葉で。
頬に感じる熱は、こなたの手がそこにあった事を思い出させる。
手に感じる熱は、こなたの頬がそこにあった事を思い出させる。
そしてこなたの言葉が……俺をゆっくりと貫く。
なんて、言った?
大嫌い?
あ、ああ。
意味は、分かる。
どういう意味で口にする言葉かも、分かる。
……。
おいおい、どうした?
俺は何を、考えてるんだ?
俺だって言ったじゃないか。
こなたのことなんか、好きなわけないって。
好きなわけない。
じゃあ、嫌いってことだろ?
そうだ、俺も言っただろ……それと一緒だよ。
俺は好きじゃないって、こなたに言った。
そしてこなたは俺に……大嫌いって言った。
それだけ。
ただそれだけなのに、何でだ?
何で俺はこんなに……ショックなんだろう。
(続)
耳に、携帯電話の無機質な電子音が響く。
手元でずっと鳴り続けているから、とるのは簡単だ。
だけど、それに返事をする気力さえない。
誰からなんて、分かんない。
そういう設定……面倒だもん。
ここはもう、みゆき君の家じゃない。
私の家の……私の部屋。
その、ベッドの上。
「人と話すときぐらい、こっち見ろ!」
かがみの声が、まだ頭に響いてる。
耳に……頭の奥に。
私の顔に、彼の手の熱がまだ残ってる。
狭い部屋で、彼と二人。
そしてあんなに……距離が、近づいた。
鼻息がかかりそうなくらいに。
唇が、触れそうなくらいに。
心臓の鼓動の音が耳障りなほどに、鳴り響く。
そんな高鳴りも、無駄になるのが分かってる癖に。
私の心はみっともなく、暴れた。
そして、もう一つ響く声。
それは誰の? ……私、の。
「大嫌いッッ!」
なんで、あんな事を言ったんだろう。
あんな事を、言われたから?
多分そう。
きっと、そう。
「好きなわけないだろ」
心のカセットから声が再生される。
その度に私の胸に刺さった釘が、暴れだす。
そんな事言われたら……そう、返すしかない。
だって、好きじゃないんだから。
どんなに想っても、好きじゃないんだから。
想う?
誰が?
私が?
誰を?
かがみを?
あはっ。
あはははははっ、何それ。
そんなわけないじゃん。
あんなガサツで、乱暴で……あんな、酷い事言うやつ。
「悲しんでるだろうよ、お前の死んだ母親も!」
二人っきりの部屋で言われた言葉が、もう一度過ぎる。
分かってる。
分かってるよ、かがみ。
勢い、でしょ? うん……分かってる。
かがみが本気で、そんな事言うわけない。
私が馬鹿にするような事言ったから、怒って……思いもしないことを言ったんだよ。
分かってる。
分かってるのに……まただ。
胸の奥で、暴れてる。
そんな勢いで言った、酷い言葉じゃなくて……私の言葉が。
「大嫌いッッ!!」
心の再生機能は、リピートを続ける。
そうだ、言った。
言ってしまった。
思ってもいないのに、そんな事。
声を張り上げて、彼の頬を引っ叩いて。
言ってしまった。
勢いに任せて、その場の怒りに任せて。
そうだ、大嫌い。
嫌い、嫌いキライきらいきらいきらいきらい……。
その言葉を反芻して、体中に染み込ませていく。
抱えた枕は、勝手に濡れていた。
もう一度、電子音の羅列が頭に響く。
携帯から流れる音楽が、私の耳を劈く。
聞き覚えのある、洋楽。
この選曲は……かがみ。
良い曲だから、って言って私の携帯のを勝手に変えた。
だからかがみからかかってくる時はいつも、この曲。
……戻してなんかない。
だって……面倒だから。
矛盾した気持ちが、頭を侵食する。
大嫌い。
それを言われたかがみは、どんな気持ちだったんだろう。
……。
きっと、何んとも思ってない。
だってそうでしょ?
好きなわけ……ないんだから。
じゃあ、一緒だよ……嫌いと。
そうだよ、これで良かった。
あはは、何を悩んでるんだろう。
可笑しいね、馬鹿だよね。
これで……良かったんだよ。
嫌だもんね。
一緒に居たくなんかないよね。
だって……嫌いなんだから。
「ひ、くっ……うぅうう」
零れた涙の泉が、私の枕に染み込んで行く。
その海に飛び込めばきっと……死ねるのかな。
この毒に身を委ねれば……死ねるのかな。
この動悸の音を無視し続ければ……死ねないのかな。
「好きなわけないだろ」
大嫌い。
「好きなわけないだろ」
大嫌いっ。
「好きなわけないだろ」
大嫌いッッ!!
心の中で反響し続ける彼の言葉に、返事をし続ける。
だって、そう返すしかないから。
他にどう、返せばいい?
そうだよ、私だって一緒。
ほら、言い返してやればいい。
かがみの事なんか、好きなわけない。
好きじゃない。
嫌い。
大嫌い
大っ……。
「……好、き」
涙の海に溺れながら、助けを求める声が漏れた。
その微かな藁にしがみ付く事しか出来なくて。
漏らした言葉に、すがる事しか出来なくて。
だから、気がついてしまった。
気がつくしかなかった。
大嫌い。
心の言葉が響く。
嘘だ。
そんなの……嘘。
嫌いなわけ、ない。
だって私の中にはいつも彼が居て。
彼の隣りに居るだけで、楽しくて。
自然と、笑みがこぼれて。
ただ一緒に居たくて。
それだけで……幸せで。
気がつかなかったのはどうしてだろう。
そんなの……分かってる。
きっと、気がつきたくなかった。
気がつけばきっと、笑えなくなる。
彼の前で、いつものように。
気がつけばきっと、目を合わせられなくなる。
彼の前で、いつものように。
気がつけばきっと。
気がつけば……絶対。
心に突き刺さった釘から、毒が溢れる。
私の体を蝕み続ける毒。
それは簡単な、気持ち。
それに気がついた今は……もう、苦しくない。
痛いのはどうして?
――それが、毒だから。
苦しいのはどうして?
――それが、何の毒か分からないから。
それは恋という病。
愛という奇病。
好きという……毒。
どうして気がつかなかったんだろう。
どうして気がついてしまったんだろう。
どうして。
どうして……。
その毒が回り続ける限り、この痛みはとれることはない。
ジワジワと押し寄せる痛みに、全身が蝕まれていく。
だけどもう、苦しくはない。
だって、気がついたから。
気がついて……しまったから。
私は好きなんだ。
かがみの事が……どうしようもなく。
ただ、狂おしいほどに
(続)
501 :
ぶーわ:2007/12/21(金) 03:51:39 ID:GPQXxHsF
>>501 GJ!
もう(日付的に)今日に予定があろうと知ったことか!
俺は(全てを読破する為に)人間をやめるぞー!!!
つまり何が言いたいかと言うと皆様凄絶なまでにGJです
>>501 うあぁ…かがみ…勢いとはいえなんということを言っちまったんだ!
それは本当に禁句だょ…だから、いい加減自分の気持ちに気付けー!
こなた視点のほうはもう切なさ全開すぎる…あんなこと言われても好きだなんてもう…!
先が気になりすぎるorz
>>501 とりあえず、画像の下側に吹いてしまった…
確かに、何となくありそうですな。
絵も文もGJ!
やっちまったぜかがみんや!
ていうか「なかよし」ってww
一晩寝るだけでもう感想が追いつかない! ふしぎ!!
いやもう。噴いたりほのぼのしたりはらはらしたり、忙しいのなんのって。
まとめレスで恐縮ですが、皆様にかぎりないぐっじょぶを!
507 :
18-230:2007/12/21(金) 11:24:44 ID:ZEs3jDqO
なんかもう皆さん凄すぎますよ
まとめてごめんなさいですが、皆さんGJです!
さて、もう当日に体力の最大値を刷り減らしてまで書くのは止めにしたかったんですが……またやっちまいました
しかも今回は当日に投下のタイミング図ろうとしたら出来ないという事態にorz
でもせっかく書いたものですし、投下させていただきます
以下注意事項です
・カップリング無し
・エロ無し
・多分5レスです
・受け付けない方はスルーで
あと携帯からなので文体がおかしいかもしれません
では
「ちょっと遅くなっちゃったかな……」
仕事帰りの車の中で一人呟く。
「まっさか、帰り間際にあんな急な仕事が入るなんてねー……」
警察官になってからろくに休み取れないけど、やっぱり今日ぐらいは無理にでも休み取っておきたかったなあ……。
「おっと、いけないいけない」
今は運転に集中しなくちゃ。事故なんて起こしたら目も当てられないしね。
一刻も早くゆたかに会いに行く為にアクセルを思いっきり踏む。
え?スピード違反?
そんなの気にしない気にしない。
―――
ようやくゆたかの住んでるところ――つまりおじさんとこなたの家に着いて、リビングへと特攻した。
「やほーい!みんな元気ー?」
「あ、姉さん。こんばんはー」
「こんばんは、ゆいちゃん」
いつものように接してくれる二人に笑顔で返答する。
そして今日の主役にも挨拶をする。
「ゆたかー!お誕生日おめでとう〜!いやー、お姉ちゃんもこんな妹を持って……あれ?」
キョロキョロと辺りを見回す。
リビングにはゆたかの姿はどこにも無かった。
部屋に戻っちゃったのかな?
「こなた、ゆたかは?」
「残念、今はここには居ないよ。姉さん、ちょっと遅かったかなー。今までお祝いパーティーやってたんだけどね」
「あちゃー……。お姉さんがっかりだ」
せっかくの誕生日パーティーに参加出来なかったのは痛いなあ……。
でもまだゆたかの誕生日は終わってない。
つまり私にも挽回のチャンスはあるってことだよ!
そのチャンスを掴む為にゆたかの居場所を聞く。
「ねえ、ゆたかはどこにいるの?」
「ゆーちゃんなら、今お風呂だよ」
「なるほど、お風呂かあ」
ちょっと待たなくっちゃね。
と、こなたがこっちにおいでおいでと手を降ってきた。
こなたのそばに移動する。
「ほら、ゆい姉さん。スキンシップスキンシップ」
ほえ?
「スキンシップ?」
「姉妹仲良く一緒にお風呂入るなんて滅多に無い機会だよ。フラグ立っちゃうかもよ」
「へ?フラグ?」
「まあつまりはゆーちゃんと一緒にお風呂に入ってみれば?ってことだよ、ゆいちゃん」
「そうそう。こういう機会もあんまり無いんだしさ」
うーん。言われてみれば確かにそうかも……。
お風呂場で誕生日を祝うっていうのもいいかもしれないかな?
よしっ、だったら善は急げだ!
「ありがとう二人とも!」
「あっ、姉さんストーップ!」
風呂場にダッシュで向かおうとしたところをこなたに止められる。
「その……一つ聞いてもいい?」
「もっちろん。このゆいお姉さんに何でも聞きなさいっ」
えっへん、という感じで胸を張る私。
「ここに来るのに車で出した最高時速は?」
え?最高時速?
早くゆたかに会いたくって急いでたから全然気にしなかったけど……。
えーっと、あの時は確か……信号が5つぐらい全部青で……あ、思い出した。
「時速150キロっ!」
「あんた本当に警察官か!」
―――
自分の服を脱ぎ捨てて、思いっきり風呂場のドアを開く。
「ゆたかー!お誕生日おめでとう〜!!」
「わっ!」
私の急な登場に驚くゆたか。
「ゆ、ゆいお姉ちゃん。どうしてここに?」「決まってるでしょ?ゆたかの誕生日をお祝いに来たんだよー。……でもちょっと遅くなっちゃったかな?あとお風呂場だし。ごめんね、ゆたか?」
「う、ううん。そんなこと無いよ。ありがとう、お姉ちゃん」
ありゃ、なんだか反応がよくないなー。
ひょっとして驚かせちゃったかな?
よし、だったら元気づけてあげよう!
「ささ、後ろ向いて。お姉さんが背中流してあげるよー」
「だ、大丈夫だよ。一人で出来るから」
「まーまーいいじゃない。今日はゆたかの誕生日なんだから、気にしないって」
「……それじゃあ、お言葉に甘えて。よろしくね、ゆいお姉ちゃん」
「オッケー。任せてね〜」
くるりと背中を向けるゆたか。
その背中をスポンジでゴシゴシと洗う。
「力加減はどうー?」
「うん、大丈夫。ちょうどいいよ」
「よしよし」
そのまま背中を洗い続ける。
それにしても、もうゆたかもこんな歳かあ。
全く、時が流れるのは早いよ。
そう思ったら、改めてゆたかが大きくなったって感じがしてきた。
……やっぱり身長は昔と変わらないんだけどね。
「お姉ちゃん?」
「うーん?」
「ちょっと聞いてもいいかな?」
「いいよー。どーんとこーい」
「ゆいお姉ちゃん、たまに私に会いに来てくれるけど……それって大変じゃない?迷惑かかってない?」
うーん。私は迷惑だなんて一度も思ったこと無いけどなあ。
「前にも言ったかな?私はゆたかに会いたくて来てるんだよ。それ以外の意味なんて無いって」
「うん……。ありがとう、ゆいお姉ちゃん。やっぱりゆいお姉ちゃんは、私の一番のお姉ちゃんだよ」
ゆたかのその言葉を聞いた瞬間、それだけで胸いっぱいになって……なんだか元気が出てきた。
「ありがとう、ゆたか。なんだか、ゆたかの誕生日なのに、私がプレゼントもらっちゃったみたいだね」
「そ、そんなことないよ」
「照れない照れない。……よーし!今日はお姉ちゃん頑張っちゃうぞー!」
「きゃっ!お姉ちゃん、くすぐったいよっ!」
「大丈夫大丈夫!お姉ちゃんに任せてくれればオールオッケーなのさ!」
「大丈夫じゃないよっ!もう、誕生日なんだから少しは手加減してーっ!」
―――
「こうしてゆい姉さんを巡って、ゆーちゃんときー兄さんとの泥沼バトルが……」
「こなた、縁起でも無いこと言うの止めような」
投下終了です
……ごめんなさい、全然オチて無いっす
しかもなんというgdgd(´・ω・`)
あと皆さんの文章力に脱帽
っていうかこのスレの消費速度に(ry
ちなみに俺は言うまでもなく携帯で書いてます
おかげで右腕が毎日腱鞘炎のピンチに晒されておりますよ
最後に
一日遅れたけど、ゆーちゃん誕生日おめでとう!
もうそんなこんなで残り50kb近く…
このスレの職人は化け物か!?(褒め言葉的意味で)
>>513 十分よかったですよー。
GJです
GJ
いいね、こういうの
どうして、ゆたかのssが多いのだろうと思ったら、昨日は誕生日だったのか・・・。
俺も、一作品くらい書いておけばよかった
>>516 そうだ、書いてしまえ。書き始めたらどうにでもなる。
519 :
名無しさん@ピンキー:2007/12/21(金) 13:46:42 ID:hRWjVcQQ
…ちょっとまとめサイトを見てきたら…
こんなに莫大なSSが投下されたスレ、世界にあったか…?(汗
流石は我らのらき☆すたスレ!
三日見逃すだけで貫徹は決定!
ホントここはヘルアンドヘブンだぜぇ! フゥハハー!
今までひよりん
>>801まで行ったことが無いんだ。そのせいでひよりんネタが書けない。
なんて濃くて良いスレだ
522 :
ひよりん:2007/12/21(金) 15:30:04 ID:i83Zzcda
いや、気なんか使ってもらわなくていいっす。
私は原稿一筋。みんなのそばにいてみんなを見ているだけで幸せッスから。
ゆたか「みなみちゃん、なんてつれないこというの」
パティ「ソウデス、ひよりんは被写体としても負けてなんて
ないデス。いやむしろ惚れてしまいs」
みなみ「第一…私たちばっかり遡上にあげて…自分だけ
高見の見物とか…かなり卑怯…」
いやいやいや!そんなこと決して決して!
私あなんかよりみんなを書いた方が…ほら…
よく映えるッス!
職人さんたちもこの通りやる気満々だし…
私なんか出したらスレがもったいないッス!
ゆたか「まだ…そんなつれないこというんだ?(涙目)」
みなみ「ゆたか…なかせた…(怒)」
パティ「これはまた、恒例のやついくしかありませんネ、
一蓮託生呉越同舟越後の船、ウチテシヤマム、いざ出陣!」
あwwwちょwwwまたwwww最近癖にwwwもっとswwwアッーーー!!
523 :
ひよりん:2007/12/21(金) 15:40:56 ID:Oqt/Ew7C
よくみたら、いろいろ間違えてるorz
ゆうちゃんの最初のセリフ「みなみちゃん」じゃなく私ッス
次のパティも「惚れてしまいまs」ッス
それに私の中間のセリフ「私あなんか」って何…
「私なんか」ッス…
ちょwwwみんな罰ってなにwwwちょwwwゆうちゃんテクニシャwwwアッーーー!!
524 :
ぶーわ:2007/12/21(金) 16:24:45 ID:yz+W1jw7
『彼女は遷移状態で恋をする』の続き投下させて貰いますね。
前に言ってたみゆき君編です。本当は全部終わってから書きたかったんですが、色々批判も多かったので少し前倒しちゃいました
・TSもの注意
・6レス使用
天才。
そう呼ばれたのは何時くらいからですって?
ふふっ、そんなの覚えていませんよ。
だって貴方も覚えてないでしょう? 初めて喋った時のことなんて。
母は優しい人でした。
愉快な人でした。
よく笑う人でした。
私が一つ字を読めばそれはもう、踊りながら喜んでくれました。
問題を一つ解きました。
テストで100点をとりました。
クラスで一番になりました。
その度に見せてくれる母の笑顔が、堪らなく好きでした。
そうやってそれを繰り返していけば、ほら。
後は勝手に周りが呼んでくれるんです、簡単でしょう?
その所為もあってか、知識を広げることも一つの趣味になりました。
あれを知った。じゃあ、次はあれを。
これも知った。じゃあ、次はこれを。
じゃあ、次はどれを?
……いつからでしょう、そうやって知識に固執して、人との付き合いを疎かにしてきたのは。
人付き合いなんて、簡単なものです。
人付き合いなんて、単純なものです。
なぜなら、そういう知識があるからです。
笑顔を見せる。
笑顔を返される。
挨拶をする。
挨拶を返される。
そうするだけで手広く、薄い関係を築く事が出来ます。
だってほら、大体皆さん同じ反応をされますから。
ほら、いいですか?
「こんにちわ」
はいこんにちわ。
挨拶をされれば返しましょう。
それも笑顔で。
ほら、返ってくるのは笑顔。
誰にでも良い顔をしましょう。
それならほら、誰もが良い顔を返してくれますよ。
私の言う人付き合いなんて、そんなものです。
それだけで、特に深く関わる必要なんてありませんよ。
そんな事をするよりももっと、知識を蓄えたいんです。
一つ覚えればまた、母が褒めてくれますから。
100点をとればまた、母が笑ってくれますから。
「高良君ってさ」
そんな中でした。
ピョコンと飛び出たアホ毛を振りかざして、私の前に現れました。
青いロングの髪を棚引かした、一人の少女が。
ふふっ、なんでしょうか。
いくら話しかけても結構ですよ?
笑顔で返してみましょう。
「メガネっ子で、委員長だなんて……萌えキャラだよね!」
「……」
こんにちわ。はいこんにちわ。
こんばんわ。はいこんばんわ。
それぞれ対応した言葉がありますね。
では突込み所満載のこの言葉に、私はなんて返せばいいんでしょうか。
ここで面食らう、という言葉を始めて体験したわけです。
「一般人にそんな言葉が分かるか!」
「んぎゃ!」
次の瞬間、そのアホ毛が揺れました。
もう一人現れました。
これまた、何の変哲もない男子生徒。ちょっと人相が悪いですね。
「いきなり悪いな、こいつは病気なんだ」
「うわっ酷っ! かがみは分かってないなー」
そこで私の前でもめ始めます。
そのまま男性が泉さんの首根っこを掴んで連れて行ったわけですが……。
これが所謂、私たちの出会いだったわけです。
その日の昼食、学食での出来事でした。
母はお弁当を作らないので、いつもは自分で作ります。
それがうっかり、家に忘れてきてしまったわけで。
恐らく母の昼食になってるでしょう……そういう人ですから。
「おーい、高良君。こっちこっち」
その時、一度聞いたような言葉が右から左に。
「ここ開いてるよ、座んなよっ」
「ええどうも、ありがとうございます」
学食はいつも人気ですから、そうそう開いてる席なんてありません。
もちろんいまいち要領の悪い自分には嬉しいお誘いです。
要領については文献には載ってないんですよね、これが。
まぁでも助かりました。
これも八方美人の効果でしょうか?
「泉さん」
「うん、何ー?」
人気のB定職を食べながら、泉さんが顔を上げます。
隣りの席だったので意外と顔が近かったのは、後になっても覚えてるものですね。
「萌えって、何ですか?」
「ぉぉう! い、いきなり凄いこと聞いてくるねっ!」
いえいえ、貴方ほどではありませんよ。
メガネっ子。これは分かりました、メガネかけてますからね。
委員長。うん、これも分かります。
でも……萌えキャラ?
ここにまた一つ、知識の一つが転がってるわけで。
もちろんそれを逃す手はありませんよね?
キャラ、これは恐らくキャラクターの略称でしょう。
そしたらやっぱり、問題になるのはその接頭語。
「うーん、何ていうのかな。高良君は萌え要素で溢れてるわけだよ!」
「萌え要素って何ですか?」
要素、は分かります。
でもそこにまた、気になる接頭語が。
「ふむ、そこは……謎だね」
ビシッと指を私に突きつける泉さん。
「萌えっていうのはね……人類が未だ解決出来ていない謎の一つなんだよ!」
「そ、そうなんですか?」
思わずメガネの奥も光ります。
そんな謎が、私にあるそうです。
つまり、また一つ私には解くべき問題が増えたわけですね。
「大丈夫大丈夫、私がしっかり教えてあげるよ! これからは萌え師匠と呼ぶように!」
人類が解けない謎なのに、泉さんは知ってるらしいです。
それはご教授願わないといけませんね。
あぁ、それと後で本当にクラスで呼んでみましたが、真っ赤になって訂正されました。
どうやら冗談だったようです。いやはや、そういうのはなかなか分からなくてすいません。
その日からでしょうか、彼女と少し打ち解けだしたのは。
「みゆき君はさ」
いつしか名前で呼んでくれるようになった泉さんのアホ毛が、今日も一段とはねています。
そして笑顔で、よく分からないことを言ってきます。
「こうメガネをクイッと上げる動作を見につけるべきだよ!」
「こ、こうですか?」
利き手の中指でメガネのレンズとレンズの間を持ち上げ、位置を直します。
……というかずれないように調整は一応してるんですが。
「むむっ、それはいけないね。常に緩めて、ずれるように整備しておくこと!」
「は、はいっ」
ずれるのに整備とはよく分かりませんが……これも萌えを知るための一つなんでしょうか。
「あはは、こなちゃんまた難しいこと言ってる〜」
その隣りでつかさ君……私のクラスメイトが笑います。
彼は泉さんと元から親しいらしく、最近は三人で話すことも多くなりました。
「ちなみにつかさは、五回に三回は何もないところで転ぶんだよ! あと携帯はつねにマナーにしないこと!」
「へ、ぇええ?」
向こうにも無茶な要求をして、また話に花が咲きます。
もちろん彼女……泉さんにも、笑顔という花が咲きます。
いつからでしょうか。
私は……その笑顔に見惚れるようになってきました。
母に笑って欲しい。
その感覚が徐々に、彼女に笑って欲しいという気持ちに変わっていくのは……そんなに遅くはありませんでした。
原因? そんなのは分かりません。
だって泉さんが言いましたから。
人類が未だ解けていない謎の一つだって。
でも私にも少し、分かりましたよ。
私はきっと……彼女に萌えてるんでしょう。
ふふっ、可笑しいですね。
不思議とその気持ちを伝えようとは、思いませんでした。
その笑顔が凍りつくのを、見たくはありませんでしたから。
ですから、私はまたいつものように笑顔を見せるわけです。
八方美人で凝り固まった、作り笑顔ですけど。
「みゆきくーん、一緒にご飯食べようよ」
「ええ、かまいませんよ」
それはある、昼食の時でした。
彼女は購買で買ってきたチョココロネを持って、私を誘いにきました。
もちろん、初めての出来事です。
彼女はよく他の女子とも食べたりするのを見かけていたので、嬉しかったのは覚えています。
そして誘われた先にいたのは、もちろんつかさ君。
個人的……超個人的な意見を言わせて貰えれば、彼も私と同じ気持ちなのかもしれません。
まぁ、勘ですね。
理論的な私にしては、珍しくですが。
ですが……もう一人。
「? 誰だ、こいつ」
人相の悪い男性が目に入りました。
つかさ君の隣りに座って、踏ん反り返って座っています。
最初は一瞬誰かと思いましたが、すぐに思い出しました。
あの乱暴な男性ですね、泉さんを殴っていた。
……。
はて、何でしょう。
このモヤモヤと感じる違和感は。
「みゆき君、クラスの委員長なんだっ」
「……ふぅん」
彼の目が私を見ます。
睨む、というよりは観察すると言ったような目で私を見ます。
「それでねみゆき君。こっちがかがみっ、つかさのお兄さんだよ」
お兄さん?
へぇ、そういえば言っていましたか。双子のお兄さんが居るとか居ないとか。
……確かに顔は似てるかもしれませんが、雰囲気はちょっと違いますね。
これもまた泉さんの言う、萌え要素とかってヤツなんでしょうか?
「違うクラスでね、これがまた凄いツンデレなんだよ〜」
「誰がだ!」
ニヤニヤと笑いながら、その彼をからかう泉さん。
……なんでしょう、またなんだかモヤモヤです。
これに該当する感情が見つからないため、悩んでしまいます。
ああ、でもツンデレは該当しました。
泉さんがいつか教えてくれましたっけ?
ええと、ツンツンでデレデレ? 抽象的すぎます!!
「ぶぅ、かがみはもっと女の子に優しくするべきだと思うなぁ」
「誰が女だ? 何処に居る? 俺の目の前に連れてきて欲しいもんだ」
「……」
その時でした。
笑って居た泉さんの笑顔に少し、影が入りました。
それはごく僅かで、微かでしたけど……確かに私には見えました。
だって私が好きな笑顔はもっと、輝いていましたから。
「も、もうっ。酷いなぁーそんなんじゃ彼女出来ないよ? 相変わらず女子からは怖がられてるのにー」
「うっせーよ!」
いつものように見える笑顔も、何処か私には無理してるように見えます。
その理由は多分……この、彼なんでしょう。
ああ、またです。
モヤモヤ、モヤモヤ。
心が絞られるような、不思議な靄が私を襲います。
「……お前、喋らないのな」
「?」
悩んでいる間に、彼の声が私に飛びました。
顔を上げると、そのツリ目と交わります。
泉さんは横で笑ってますが……何処か、元気がありません。
モヤモヤ、モヤモヤ。
うう、ゲシュタルト崩壊してきました。
「つまんねーやつ」
と、手にしていたお弁当から箸でおかずをとりあげます。
その言葉を聞いたからでしょうか?
ええ、多分そうですね。
それをきっかけに、溜まっていたモヤモヤを……発散させてしまいました。
「あいにく」
「?」
私の言葉に、彼が顔を上げます。
そして、言ってしまったわけです。
顔に張り付いた、満面の作り笑顔で。
「言語を介さない猿と喋るほど、私の脳は安く出来ておりません」
……。
それを言い終わった後は、何て言うんでしょうか。
辺りが静まりました。
こなたさんの口からチョココロネが落ち、つかささんの口からオカズが飛び跳ねました。
「み、みゆき君?」
「ゆ、ゆきっ?」
「はい、なんでしょう?」
驚く二人にももちろん笑顔を返します。
だって、そうすれば笑顔が返ってきますから。
「だ、誰が……猿だって?」
向かいの男性が睨んできます。
それにももう一度笑顔を返しましょう。
でもそこからは、笑顔は返ってきませんが……まぁ要らないですね別に。
「おや、鏡を持ってきましょうか? いけませんね、鏡を見ないと自分の顔も分からなくなったらおしまいです。名前もかがみの癖に」
「ん、んだと!?」
彼が身を乗り出します。
何でしょう、モヤモヤが晴れていきます。
これは所謂、皮肉というヤツでしょうか?
こうやって口に出すのは初めてですが、スッキリするものですね。
しかし何処かの文献にも書いてありました。
皮肉とは相手を不快にさせるもの、だと。
いやはや、それはいけませんね。
八方美人が私の特技ですから。
ではこうしましょう。
このモヤモヤが出てきた時だけ、私は皮肉を言いましょう。
それならいいでしょう? おあいこですから。
だってそのモヤモヤはきっと、私の不快。
やきもちや……嫉妬。
ふふっ、おかしいですね。
私にもそういう感情があったみたいです。
いえきっと、泉さんが植えつけてくれたんでしょう。
……その日から、でしょうか?
その、初めて皮肉を言ったその日から。
私の八方美人な笑顔のメッキが……少しずつ、禿ていったんです。
(続)
531 :
ぶーわ:2007/12/21(金) 16:38:11 ID:yz+W1jw7
続きます。
というわけで、みゆき君編でした。
一応こんな理由で少し性格を変えちゃったわけですが……な、納得してもらえたでしょうか。
0始はあまりにもゆーちゃん鬱展開すぎるので、次スレまで自重しますね
ってもう462KB……いかほどー
532 :
書く人:2007/12/21(金) 16:46:42 ID:vzso1orw
リアルタイムGJ!
いやさ、帰ったらひよりんネタが話題になってたから
ちょろっと短編書いて登校しようとした矢先にこれですよ。
そっか、みゆき君はこういう経緯で皮肉屋になったのか…。
らき☆すたの新しい形を見せてもらってあじゅじゅしたー!
あ、ついでに空気を読まずにひよりネタ、投下します。
エロ・凌辱表現有り
533 :
書く人:2007/12/21(金) 16:48:33 ID:vzso1orw
即売会のイベント会場の裏の倉庫にひよりは引きずり込まれた。
暗い倉庫の中には男が2…3…何人だ?
分からない。けれどもこれから何をされるかは想像がついた。
助けを求めて大声で叫ぼうとして――殴られた。
一回目で頬を張られ、二回目の拳で倒れる。
そこを二人掛かりで抑えつけられ、服を引き裂かれた。
「声を出すな」
前から伸しかかる男の声。
暴力への恐怖に、ひよりは口を紡ぐしかなかった。
それを見て満足したのか、男は愉悦の表情を浮かべる。
異性を腕力で屈服させた歪んだ愉悦。
男はベルトに手をやった。一物が取り出される。
「ひっ――!」
その醜いかたまりを目の当たりにして、ひよりは息を呑む。
血管が浮かんだ、歪な肉の槍。
「いや…いやぁ…!」
悲鳴は、けれど殴られることへの恐怖のせいで、蚊の鳴く程度にしかならない。
男はそんなひよりの訴えを無視して準備を進める。
ローションを一物の先端に垂らす。
ひよりへの気遣いなどではない。単に自分の快楽のための準備。
現に、ひよりのまだ男を知らないクレパスは、固く閉ざされたまま。
醜い先端がひよりの聖域に押し付けられた。
奪われる。こんな形で―――!
最後の抵抗を試み、手足をばたつかせようとするひより。
しかし数人がかりの拘束は、少女の細腕ではびくともしない。
絶望、恐怖、嫌悪感―――様々な負の感情に満たされたまま
―――貫かれた
「っっ!!!」
引き裂かれるような感覚。
悲鳴を上げなかったのは、入れられると同時に手で口を押さえられたから。
男は動き始める。自分の快楽のためだけに、ひよりの都合など全く無視をして。
異物感と激痛しかない交わり。
ひよりは涙を浮かべてそれに耐える。
早く終わるように祈りながら。
そして―――終わる。
男が急に動きを止め、ひよりは体内で何かが蠢くのを感じた。
「あ…っ」
取り返しのつかないほどに深く汚された感覚。
ひよりの目から光が消えた。体から抗う力が抜けた。
心が止まる。
「おいおい、一発で壊れちまったぞ」
「もっと泣きわめいてくれないと詰まんなくね?」」
「いいじゃねえか。楽で」
これからさらにひよりを汚そうとする男達の会話が、彼女の耳に届く。
けれども、絶望の淵に突き落とされた少女には、もはやどうでも良いことだった。
534 :
書く人:2007/12/21(金) 16:50:14 ID:vzso1orw
===================================
「田村さーん!」
「うおっ!ど、どうしたのよ、ゆたかちゃ…うお!?」
原稿を上げた翌週の学校で、ひよりはいきなりゆたかに抱きつかれた。しかも抱きついてきた本人は泣いてる。
「い、一体何が…」
「田村さん……」
「あ、岩崎さん、いったいなんですとー!?!?」
後半の台詞のテンションが上がったのは、みなみも抱きついてきたからだ。しかも目を潤ませて。
「あの…一体何が……?」
百合展開は、傍から見ている分にはいいがいきなり当事者にされても困る。
助け船を求めて辺りを見渡せば
「あー、ヒヨリ、ソーリー」
喜怒哀楽が発揮している彼女にしては珍しい、あいまいな表情のパティ。
原因はこいつか!?
「何があったのよ、これは!」
「実はデスネ…その、ひよりの新刊を、二人が…」
新刊、と言われて真先に思いつくのは一つ。
金曜に仕上げ土日で何冊か試しに印刷した原稿―――内容はオリジナルハード凌辱物。
あれを見られた?⇒鬱だ。死のう。
直結でそう考えたひよりだが、しかし現実の推移は彼女の予想を上回る。
「田村さん…辛かったよね?」
「え?」
ゆたかの言葉に、天国or地獄に旅立とうとしていた意識が引っ張り戻される。
ゆたかは嗚咽をこらえたかすれた声で
「初めてがあんなのなんて……酷過ぎるよね…」
「あ、あの…一体」
「体験…なんでしょ?」
耳元によせられたみなみの口から漏れた言葉。
2人は一層強くひよりを抱きしめ、そしてひよりは二人の会話と以前の記憶から状況を推理する。
1.彼女たちは私が描いたアレな本を読んだ
2.以前マンガのネタは体験などがネタになってると言った。
結論:マンガのストーリ=私の体験と思い込んでるよ、この二人!
パティに見つめられながら、ゆたかとみなみに抱きしめられたひよりは途方に暮れた。
2人が流す涙は、汚れた心にはめっちゃくっちゃ痛かった。
【完】
orz
投下しておいて、改めてこの作品のネタ的文章的ひどさを思い知った。
ちょっと自重してくる。
>>523を見た後下の文を書く→リロード→ぶーわ氏のターンが開始していた→仕方ない、お蔵入りか
→しばらくして再びスレを見る→再びひよりんのターン
ということで。
−―−―−―−−
>>521 そういや、801ってので思い出したんだが
俺の地元では「やおい」は「柔らかい」という意味を表す方言だったりするんだぜ
ひより「つまり、このスレはソフトなエロよりハードなエロを求めていると!……ってあれ?」
みなみ「田村さん…まだ満足してないみたい」
ゆたか「じゃあ、もっとしてあげるね?」
パティ「アンタも好きネー、ヒヨリ」
ひより「あwwwちょwwそれw手に何持ってwwwwだめwwいやwwもっとwwwアッーーー!!」
こなた「おおぅ、みんな盛り上がってるねー。どれ、私も加勢してしんぜよう」
ひより「なwwwそれはwwwちょwww先輩うますgwwwwwア、アッーーー!!」
それにしても、最近ひよりん乱開発されてるようなw
−−−−−−−−
ということでお二方ともGJです
ぶーわ氏、書く人氏GJです
素晴らしい書き手の方々の後で躊躇しますが
流れを読まず初投稿させていただきます
といっても、1レスですが…
みゆきとこなた
非エロ
「ねぇ、みゆきさん。なんで私は泉さんなの?」
「それは、子供は親の苗字をそのまま引き継ぐからではないかと。
今の苗字と言うのはですね、江戸時代には、一般庶民は苗字を名乗ることが許されていな……」
「いや、そうじゃなくて。かがみもつかさも名前で呼んでるのに、何で私だけ苗字なのかなあ」
お恥ずかしいです。また勘違いをしてしまいました。
「そうですね。私は基本的に、人の名前は苗字で呼ぶんですよ。
でも、かがみさんとつかささんを苗字で呼ぶと、どちらも柊さんになってしまいますから」
「なるほどね〜。でもさ、できれば名前で呼んでくれないかな」
いつも元気な泉さんが、今は寂しそうです。
でも、なぜでしょう。理由がよく分かりません。
「どうされたんですか、泉さん。私が何かしてしまいましたでしょうか」
「いや、だからさ名前で呼んでくれないかな。なんか悔しいんだよね〜。
二人は名前で呼ばれてるのに、私だけ苗字ってのが」
笑顔を作ってはいらっしゃいますけど、瞳に寂しさが現れています。
友達のことを名前で呼ぶのは普通のこと。
泉さんは、私のことを友達だと思ってくれているから、名前で呼んでほしいのですか?
それとも、かがみさんやつかささんへの対抗心ですか?
どちらにしても、私が寂しがらせているのは事実です。
そして、それを解決できるのも私だけ。
改めて、普段と違う呼び方をしようとすると、緊張してしまいます。
「こっ……」
声が裏返ってしまいました。
泉さんは私に期待のまなざしを向けてます。ちゃんと呼んであげなくては。
「こなたさん」
名前を呼ぶだけなのに、なぜこんなにどきどきするのでしょうか。
私を見つめるこなたさんはすごく嬉しそうな笑顔で、
そんなこなたさんを見ると、さらにどきどきが増しています。
「みゆきさん。これからも名前で呼んでくれるかな?」
そんな顔で見つめられると、断れないのですが……
「あのっ、こなたさん」
普段の私らしくない、緊張で勢いの付いた感じのしゃべり方。
「どうしたの?顔真っ赤だよ、みゆきさん」
かがみさんによく向ける、猫口でかわいらしい顔をして私を見ています。
とても嬉しいですね。
それで気が付きました。
私が、かがみさんやつかささんに対抗心を持っていることに。
「いえ、改めて名前をお呼びすると、緊張すると言うか恥ずかしいと言うか。
ですから、二人のときだけお名前で呼ぶということでよろしいでしょうか。
それと、他の方には内緒でお願いいたします」
「おけ〜。じゃあ、二人だけの秘密だね。でも、二人のときは必ず名前で呼んでね」
「はい。お約束します」
私が『こなたさん』と呼ぶのは二人だけのとき。
小さな秘密ですが、こなたさんと二人だけの秘密を持つことが、なぜこのように嬉しいのでしょう。
はっきり分かるのは、いつまでもこなたさんの笑顔を見ていたい、ということです。
ところで、こなたさんが先ほどから「フラグがたったかな?」などと言ってるのはどういう意味でしょう?
(おしまい)
なんとなく思いついたものを書いてみました。
お目汚し、失礼しました。
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
■ ikaへ!!! ■
■ どうか怯えないで、これを読んで欲しい。 ■
■ ■
■ 「JASRACへ登録されても、今から『取り消し』できる」 ■
■ ■
■ とにかく、ネット上にその意志があることを示せば、 ■
■ 君は一躍ヒーローとなり、協力者も現れる。 ■
■ ■
■ 頼む、全ては君にかかって居るんだ! ■
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
★DQNゴの担当に向けてe-Mailで以下の文章を送るだけでOK★
「みっくみっくにしてあげる」の楽曲に関わる契約の話ですが、
未成年者の私が、親の同意なしに行ったものであり、取消します。
従いまして、違約金等、如何なる名目であっても、
この件に関しまして、御社から私が賠償請求されることはあり得ないことも
あわせて御確認いただき、JASRACなど関係各所への届け出の
取り消し処理の手続きをよろしくお願いいたします。
今回の経験は色々と勉強になりました。
甚だ遺憾なことではありますが、精神的にひどく消耗しておりますので、
これにて御社との契約交渉はいったん打ち切りとさせていただきたいと思います。
私の作品の運用については、私が精神的に不安定な現在の状態から
完全に立ち直ってから、じっくり考えてからにしたいと思いますので
以後の連絡は不要です。
短い間でしたが、ありがとうございました。
540 :
名無しさん@ピンキー:2007/12/21(金) 19:17:32 ID:EsoKf4KK
>>538 みゆきさんに萌えっぱなしだっぜ!
ところで最近ひよりんのハードエロが読みたくなった
勿論ゆたかとみなみとパティに開発されまくったガチエロひよりんな
>>538 GJ!でした。
だが、こなゆきならこれをしない訳にもいかないのも事実です。
こなぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁゆきぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ
(゜Д゜) ねぇ
みゆき
「……あの、失礼ですが、「こな」と「ゆき」の長さから間の長さを割り出しますと、
『こなぁぁぁぁぁぁゆきぃぃぃぃぃぃ』
が妥当ではないかと……
(○Д○)ねぇ」
544 :
6-748:2007/12/21(金) 20:53:00 ID:hvewWz65
何という投下ペースw
素晴らしき職人さん方GJです
既に忘れられているかもしれませんが
「二人の証」の続編出来ましたので投下します
誰も居ないようでしたらいかせて頂きたい
545 :
6-748:2007/12/21(金) 20:57:39 ID:hvewWz65
・かがみ×こなた
・5スレ拝借
・エロ有
そんじゃ完結編いきますよ
これから私達が立ち向かっていかなければならない数々の困難。
お互い口には出さないけど気持ちは分かっている。
その不安だけ画私達にお互いを求め合わせた。
不安定に絡み合って
重い。
空気の正確な重さなんて知らないし興味もないけど今私達がいるこなたの部屋の空気は、外界のそれよりも何十倍も重量があるように思えた。何か変な物質が溶け込んでいるのかと疑ってしまう。物理的な重さではないのかもしれない。気持ちの問題だろうか。
会話がなくなってから三十分は経過しているだろう。私は持参した読み掛けのラノベを、こなたはベッドの端に積んであった漫画を、お互い少し距離を取り合って黙々と読み進めていた。
話したい事は山程あるのにそのどれもが言葉にならず口から出るのを躊躇っている。ぐるぐると嫌な感情が渦巻くのを感じてその所為で内容は殆ど頭に入ってこなかった。
こなたともっと話したいのに。あまりにも多くの情動に私は混乱していた。
沈黙に耐え切れなくなって途中のラノベを勢い良く閉じる。発せられた音は静かな空気中を伝わり部屋中に響いた。
私がこなたの方を見るのとこなたが私の方を見るのはほぼ同時だったと思う。こなたも開いていた漫画を閉じて口を中途半端に開けていた。
「な、何?」
私が立てた音が予想外に大きかったのだろうか、こなたは少し困惑した表情で私に何事かと聞いてきた。
「え、えっと……」
私は急いで話題を探す。
「きょ、今日ゆたかちゃんは?」
「え?普通に学校だよ」
「あ……」
尋ねてから今は平日の午前中だったと思い出す。私の頭はすっかり今日を休日だと勘違いしていたらしい。
「じゃ、じゃあおじさんは?」
「担当の人に原稿を渡しに行くとかで朝から出かけたよ」
夕ご飯までには帰ってくると思うけど、とこなたが付け足す。
「そ、そうなんだ」
私が頷いてやっと成立した会話は呆気なく終了を迎えてしまった。このままでは苦痛な沈静がこの部屋をまた支配する事になる。
何とか話題を出さないと……私は自分の脳細胞をフル動員させる。
「あ、じゃあこの家には私とこなたの二人だけか」
錯乱しているのだろう私の頭は言わなくて良い事を発するよう口に命令を出したようだ。私の言葉にこなたは頬を朱に染め目を見開き、気まずい沈黙が待ってましたと言わんばかりに訪れる。
「そ、そうだけど……」
完全に失言だった。私は何も言えなくなり再び閉じたラノベを開いて目をそちらに向けてしまった。横目で確認するとこなたも頬を赤くしたまま漫画の続きを読み始めていた。
だが今度は煩いくらいの高鳴りを見せる心臓の律動的な運動が私の読書を邪魔する。周囲が静かだからこなたにも聞こえてしまうのではないかと危惧してしまうほどだ。
逃げたい衝動に駆られたが、こなたと話したいという感情はまだ収まっていない。
「ね、ねぇ」
振り向きざまに言った言葉が重なった。そのまま私達は硬直してしまう。
「な、何こなた?」
「か、かがみこそ何?」
ああ、もうダメだ。
「え、えっと……あんまり長居しちゃあれだから……そろそろ帰るわね」
「え?あ、うん」
あれってどれ?と問いたそうなこなたをよそに私は鞄を持って逃げるようにこなたの部屋を出た。見送ってくれるのだろうこなたも私に続いて部屋を後にする。
逃げたいと思った理由は考えない事にした。
「じゃ、また明日ね」
玄関で靴を履き、ドアノブに手を掛けながら振り返って言った。
「うん、またね」
笑顔で送り出してくれるこなたに私も精一杯の笑顔で別れの挨拶をする。
扉を開いて外に出ると、真っ先に冷たい風からの洗礼を浴びた。季節と時間に不相応な気候に、今日は風が強くて冷え込むって言ってたっけと今朝の天気予報を思い出す。
背後で音がした。
その音に振り向くとこなたによって閉ざされた泉家の扉が目に入った。私はそれに妙な寂寥感を覚えてしまった。
気持ちを伝え合ったばかりなのに、もう二度と会えないかのような、こなたが何処かへ行ってしまうかのような感じ。
私達の関係を受け入れてもらえないかもしれないという不安が、こなたが私から離れていくんじゃないかという不安が、私を不安定な情緒にさせる。
私達はこれから上手くやっていけるのだろうか。
広がった街頭の風景で昨日の夢がフラッシュバックした瞬間、私は居ても立っても居られなくなり来た道を戻り始めていた。痛みを堪えて全速力でこなたの家を目指す。
訪問者を迎え入れる扉は施錠されていなかった。私はこなたを見たい一心で再び玄関口に飛び込むと―――
そこには瞳を潤ませたこなたの姿があった。
「……っ!」
「かがみっ……!」
今にも泣き出してしまいそうな表情のままこなたが私に駆け寄ってくる。考えるよりも先に身体が反応して、私はこなたを強く抱き締めた。
密着した部位からこなたの温度が、想いが、決意が伝わってくる。
「独りにしないで……」
こなたの口から発せられたか細い声。私は何を独りで悩んでいたのだろうか。
もう独りで苦しむ必要はない。こなたも私と同じ苦しみを味わっていたのだろうから。
「一先ず……部屋行こうか」
私の提案にこなたは無言で頷いた。それを見て私は扉を閉め鍵をかけると、こなたと一緒に想いが通じ合った場所へと向かった。
汗ばんだ手を握り合わせるとこなたが静かに目を瞑った。
「かがみ、来て……」
「うん……」
初めて聞くこなたの甘い声。空いたもう片方の手をこなたの頬にぴったりと添えると、こなたが身体を寄せてくる。
私はもう何も考えられなくなっていたし考える必要もないと思った。私達は磁石の両極同士のように意識する事なく距離を縮め、唇を重ねた。
初めは強引にしてしまったキス。二度目のそれはお互いが引き寄せられるかのような自然なものだったからだろうか、受ける感覚が全く別物のようだった。
私は唇を重ねたまま、舌を伸ばしてこなたの張りのある唇を舐めた。僅かに唇の間に隙間が出現し、そこから舌を忍び込ませていく。
柔らかく熱い感触が私の頭をショートさせようと追い込むようだった。
「んんっ……」
おずおずと伸ばされたこなたの舌に自分の舌を絡めると、より一層淫靡な感覚が私を襲った。目眩がしそうなほど熱い唾液と吐息、こなたの唇の感触、甘い髪の匂い、全身を駆ける痺れた感覚。心の平安と興奮が一体となり私の身体をこなたで満たしていく。
「んはぁ……」
存分にお互いを求め合った後、そっと唇を離すと透明な糸が私達を繋いでいた。
口から引かれた細い唾液の線。こなたが手の甲でそれを拭う。
その淫猥な行為に私の理性が崩壊を始めた。
「こなた、私もう……」
こなたの肩を少し強く掴むと、こなたは目を見開いて私を見た。
「我慢出来ないかも……」
私は真っ赤になりながら下半身に目をやった。
「え?えっと……」
途端にこなたにもそれが伝染する。私の言いたい事、やりたい事は伝わったらしく、こなたは必死に言葉を探している様子だった。
「その、私、初めてだから……」
照れながらも一つ一つ丁寧に言葉を紡いでいくこなた。
「優しく……してね?」
囁くような台詞と上目遣いに私は溶けてしまいそうになった。
「ふあっ……」
こなたをベッドに横たえると小さな声が上がった。恐怖半分期待半分といった感じで私をじっと見つめている。
先程から急速な高鳴りを見せていた私の脈動は、そんなこなたの姿を見て更に活性化を始める。
「脱がして良い?」
私が許可を求めると、こなたは答える代わりに軽く万歳をして手伝ってくれた。私はそれを見届けてから少し大きめのトレーナーの裾に手を掛けた。上半身から引き抜き、続いて下に着込んでいたニットのシャツとブラを押し上げる。
これがこなたの……何度か見た事はあったが意識の違いの所為だろう、その時のものとは全く違って映る私を魅了して止まない光景に思わず息を呑んだ。
私は心の奥から込み上がってくる愛しさをこなたに伝えるように身体を重ねた。
「ひゃっ……」
可愛らしい声が漏れる。いきなり直に触って良いのか分からなかったので、私はこなたの両肩に手を置き首筋に舌を這わした。
「んっ……ひゃうっ!」
徐々に高まっていくこなたの声と私の興奮。悩ましげに身体を揺するこなたを優しく包むように抱き止めて鎖骨の辺りまで顔を動かした。少しずつ荒くなるこなたの息遣いを聴覚で感じながら、棒状の骨を中心に丹念に舐め回していく。
「ん……はぁっ……」
私の想像とは限りなくかけ離れていた目の前の小さな恋人。普段のアグレッシブな姿は何処にもなく、まるで風に吹かれ儚げに振れ動く一輪の花のようだった。
こなたの白い肌を舌でなぞりながら胸部へと移り動くと微かな膨らみに遭遇した。未発達な乳房は手の平に収まってしまいそうな大きさで、その中心には慎ましやかに淡紅色の突起が鎮座している。
「恥ずかしいよぉ……」
こなたの胸を凝視していると、羞恥に染まったこなたの声が聞こえた。
「こなた、綺麗……」
体感時間では久しぶりに喋った気がする。それぐらい私はこなたに夢中になっていたのだろう。素直な感想を口にするとこなたの顔にほんのりと赤みがさした。
どうしようもない恋しさを感じた私はなだらかな二つの丘の頂点にたたずむ乳首を親指と食指で摘み上げた。
「ひゃっ!」
恐らくは体験した事がないのであろう感覚から逃げようとこなたが身体をよじらせた。その声が、仕草が、雰囲気が私を性感帯への愛撫へと没頭させていく。
桜色の突起物に顔を近付けて口に含んだ。
「ひゃうんっ!」
ひときわ大きな声が私の内耳に響く。こなたを気持ち良くさせているという事実は私を加速させる要素として十分過ぎるほどだった。
左右の乳首を交互に舌で転がし、時には強く、時には優しく吸い付ける。
「あっ……かがみぃ……」
切なさと嬉しさが混じり合ったような声で私の名が呼ばれた。
私がこなたを求めているようにこなたも私を求めているのだと実感する。
「何?」
快楽の所為で無意識の内に呼ばれただけかもしれないとも思ったが聞いてみた。
「私、はっ……もうか、かがみから離れないから……」
刺激に耐えるように目を瞑っていたこなたがゆっくりと開眼した。涙で湿り気を帯びた半開きの瞳が私に向けられる。
とても優しい目だった。
「かがみもっ……私を離さないで……ね」
今にも消え入ってしまいそうな小さな声。だけどその言葉はずっしりとした響きを持って私の心の中に残った。
伝わってきたこなたの胸中。将来に対する希望、不安、喜憂。それは決して安定する事のない未来。
それでもこなたは私を選んでくれた。私と苦難に立ち向かう事を選択してくれた。
左胸の辺りから、こなたの規則正しい生きている証と共に断固たる決意が伝わってくる。
「うん……約束だからね」
私は緩みそうな涙腺を必死に保たせながら、こなたのズボンへと手を伸ばしていった。
ベルトを外しズボンを脱がせていくとブラとお揃いの柄のショーツが現れた。先程の行為でかなり高ぶったらしく濃い染みを作っていた。
布越しに割れ目に触れるとこなたの身体が大きく仰け反った。
「ああっ……」
愛液を吸い込んだ布地、侵入してきた私の指を受け入れるかのように挟み込む熱さを持ったこなたの秘所は私の予想よりも遥かに上の感触の良さも持ち合わせていた。
私はすっかり我を忘れて虜になってしまっていた。蜜を滲ませ大分濡れてきた部分を指で触るとちゅぷっと水音がする。
「凄い濡れてる……」
「い、言わなくて良いよぉ」
そのまま中指を押し込むとショーツの生地ごと埋まっていってしまった。熱く濡れた感触が埋没した指の腹を包み込む。
「んっ……んあっ!ふああぁ……!」
更に指を食い込ませ押し進めていくとこなたが長い喘ぎ声を上げた。己の理性を維持する何かが爆ぜたかのようにこなたが乱れる。
私もそろそろ限界が迫ってきていた。こなたの大切な部分を見たくなりショーツに指を掛ける。
「ふえっ?」
戸惑うこなたを無視して一気に引き下ろした。空気中に晒されたこなたの恥ずかしい部分は湿っぽく透明な糸を引いている。
「ちょ、ちょまっ……」
もっと近くで見たい。私がそっと顔を寄せると、こなたは慌てて我に返って制止を掛けてきた。同時に足に力が入れられる。
「隠さないで良いの」
こんなに綺麗なんだから……と私が続けると、こなたの太腿から力が抜けていった。自然に開かれる足に手を添えて開脚作業を手伝う。こなたの秘所が再び私の目の前に広がるのにそう時間は要さなかった。
ふっくらとした秘肉の間に走る一本の切れ目。蜜に濡れた薄めでヴァージンピンクの肉壁は微かな水気で光り、小さなしこりのようなものの周りを包皮が覆っている。
ごくりと喉を鳴らして、私はこなたの大切な部分に手を伸ばした。
「あっ!かがみ、そこ……」
ゆっくりと指を差し入れると、愛液が溢れ出してきた。刺激が強すぎるのかこなたは身体を縮こまらせる。
溢れる蜜を掻き分けるように割れ目に沿って指を動かしていくと、秘唇が指の下で形を変えていった。
「ああっ……はぁ……はぁぁ……!」
快楽に呑まれて喘ぐこなたを見ていると自分の融通が利かなくなってきた。私は本能のままにこなたの秘裂に自らの舌を宛がった。
「はあぁん!」
こなたの腰が跳ね上がる。舌先を動かして舐め上げていくと新たな愛液が湧き出し、甘酸っぱい匂いが広がった。
「か、かがみ……私達、上手くやって、いけるかな……」
切なげに腰を揺らしながらこなたが尋ねてきた。先の事を考えると不安なのだろう、途切れ途切れの言葉からこなたの気持ちが痛いほど伝わってくる。
好きすぎて怖くなってしまう。
でも、こなたとなら―――
「大丈夫、一緒にやっていこう」
疑問符を付けなかったのは私の覚悟を示したかったから。
「う、うん……っ」
身を乗り出して、天を仰いで硬くなった先端とその周辺をを舌でなぞる。右手を使って秘所への愛撫も続ける。
「かがみっ……ずっと……大好きだよっ……!」
「私もっ……大好きっ……こなたぁ……!」
指先で包皮にくるまれた肉芽に刺激を与えた途端―――
「はあぁぁっ!ああ、あんっ……ああぁぁっ!」
こなたは大きく背中を仰け反らせ、溢れ出た蜜がシーツを汚していった。
「大丈夫?」
「うん、もう平気」
後始末を終えた私はベッドに横たわっているこなたを見遣って言った。
こなたはあの後急に眠気に襲われたらしく、今にも眠ってしまいそうな感じでとろんとした目はすぐにでも瞼が落ちそうだった。
「少し寝た方が良いよ。夕方頃起こしてあげるから」
「そうさせて貰うよ」
こなたは欠伸をしながら布団を被った。
―――そして手を私に差し出してきた。
「眠れるまで……手握ってて」
「しょうがないわね」
苦笑いしながらこなたの隣に腰を下ろす。
「ありがとう……」
小さな手が私の手を握った。
その瞬間、温かな感触と共にふと過った底知れぬ不安。
この手が離れていってしまうのではないか、残酷な世間が私達を引き裂いてしまうのではないか。想像しただけで気が動転してしまいそうだった。
大切なのはこれからだと自分に言い聞かせる。
決して離したりするものか。
固い決意が心の中で結ばれた時、私は安らかな寝息を立てるこなたの手を無意識に握り返していた。
それは私達が初めて困難の入口に二人で立った、記念すべき日の昼下がりの出来事。
〜Fin〜
551 :
6-748:2007/12/21(金) 21:04:10 ID:hvewWz65
他の方々の神作品に押されぬよう頑張ったのですが
遅筆な上にこの出来とはorz
「見ろ!
>>546-550がゴミのようだ!」
何はともあれ完結出来たのは
暖かいお言葉を下さった皆様のおかげ
最後まで付き合ってくださった方々
心よりお礼申し上げます
あれ?あれえ?常註って言ってもいいくらい頻繁に来ているはずなのに
いつも違う神様に会うよ?
どうして?
と、とにかくリアルタイムGJ&完結おめでとうございます。
やはりこなかがですね、こなかが。最高でしたGJ!
>>551 いやムスカ様、わざわざその言い方で卑下せんでも……
遅筆な人間なぞいくらでもいまさぁね。かく言う俺もその一人でさぁorz
完結させるのは大変なことですし、もっとこう「えへん」と胸を張ってよろしいかと
GJ!
もう488KBか
らき☆すたはまだ半年は戦えるな
まだだ!まだ終わらんよ!
……と、言いたいところですが、
ほんとにもうこのスレも終わりで次スレの季節ですな
ともあれ、書き手の皆さんお疲れ様&GJでした
確かにそろそろ…
と言うことでスレ立てて来ます。
20分ほど待っても経つ気配がないようでしたら私がしてきます。
自分が投下した4日前が昨日のように感じるんだぜ…
作者様方超おつかれだぜ!!!!
やはりこのスレは神がかってるな……
満遍なく色んな料理が出てくるのがここの凄いところですね
このスレはゴッドかなたさんによって見守られています
百合料理をメインにパラレルや欝といった味付けの他に、最近ではTSといった珍味も好まれています
560 :
537:2007/12/21(金) 21:55:17 ID:7ByoXzsL
>>551 6-748氏GJです
堪能させていただきました
何ゆえ卑下されるっ!
俺の立場がっ…
いや、最初から無いんですがねw
レスくれた皆様、ありがとうございます
正直、SSと言って良いのかどうかも分からないもので申し訳ないです
書き始めたばっかりで、文章の書き方とかよく分かりません…orz
次はもうちょっとしっかりしたものを書きたいと思います
それでは、しばらくROM専に戻りたいと思います
561 :
556:2007/12/21(金) 21:57:32 ID:vZRfPG1P
誰も立てる気配がないので立ててきますね
>>479 策士策に溺れてますね……
でも全然可愛そうに見えないというか、むしろかがみんもっとやれというか(笑)
こなたんは次はどんな空回りをしてくれるのだろうGJ!
>>501 かがみきゅんもこなたも、辛い、辛い……
頼むからもう一度仲良しさんに戻ってくれと願わざるを得ないGJ!
>>513 ゆい姉さんとゆーちゃんの洗いっこ。でもえろさよりも、あたたかい。
でもゆい姉さん、スピードの出しすぎと修羅場フラグは勘弁なGJ!
>>531 みゆききゅんはこうしてこなたに惹かれていったのですね(笑)
しかしこの速度でこんな裏話(?)をどうやって書けるのか不思議でしょうがないです。
新種のスタンド能力かとか思いつつ0からシリーズと一緒に続きをわくてかGJ!
>>534>>536 ひよりんはとんでもない貧乏くじを引いてしまってますね(汗)
でもこれでくじけちゃだめだ、がんばれひよりん、まけるなひよりん!
と、なにげにひよりん萌えな自分がニヤニヤしながら声援送ってみるGJ!
>>538 これがこなた流のフラグのたてかたか……
密かにこなたのことが気になり始めてる+こなたの変化に敏感なみゆきさんに萌え。
こなああああああああゆきいいいいいいいいいいGJ!
>>551 私は駆け出しSS書きだ、6-748氏により読者の理性が破壊された。緊急事態につき私が臨時に指揮をとる。
こなたはかがみの初めてを願っている、ドアを開けた瞬間を仕留めろ
こなたからパンティを抜け、処女を傷付けるなGJ!
以上おそすぎる感想すみません。
って、なんだ、これは!?SSがこんな所まで……!?
>>551 完結御目
緊迫した雰囲気の出だしだけに、
冒頭三行目の その不安だけ画 の誤字が目立ちます。
かがみの自慰から始まったときは暴走?片思いエンド?と鬱っぽい事を考えました。
しかし、二人の証言葉だけであきらめないかがみの体当たり的な押しの描写に、本気なら完全拒否まで諦めない
というシーンからどんどん引き込まれました。
次作お待ちしています。
しかし、以前スレにもありましたが、作者ページに6スレの作品なくして
6-748とはこれ如何に?と私も気になります。
566 :
名無しさん@ピンキー:2007/12/21(金) 22:17:04 ID:HXAzGyng
埋めとしてロマサガやってて浮かんだネタ
みのるド「ねんがんのしゅやくのざをてにいれた!」
あきら「ころしてでもうばいとる」
みのるド「な、なにをするきさまらー!!」
おk、吊って来る
しかも下げ忘れとか
樹海行ってくるか
568 :
6-748:2007/12/21(金) 22:20:31 ID:hvewWz65
>>565 指摘有難う御座います
「不安だけ画」って何だよ…
名前については皆さん適当に付けてるのかなと思い
勝手に作ってしまいました
何もかも初心者でごめんなさいごめんなさい><
問題あれば今すぐ変更します
こんな奴ですが皆様のお言葉に元気出して
次の作品も全身全霊で書きますっ
>562
スレたて乙です。
>568
誤字なんか気にするな。
推敲に気を使うくらいだったらひたすら書くべし。
あと、名前は最初に投稿したレス番が多いみたいだよ。
ちょっと待ってまだ四日しかたってないのに次スレって・・・・・
TSネタで「つかさだけ男」という意味不明な電波が飛んできた
「は、恥ずかしいよ、こんなカッコ……」
「キタ――――!! 絶対似合うと思ってたよ!」
「わ、私より女の子らしいじゃない」
「あらあらあらあら、まあまあまあまあ」
しかも女装ネタ
「ひゃっ!?」
「あー、でもやっぱココはオトコノコだねぇ♪」
「ちょっ! なに勃たせてんのよ!」
「あらあらあらあらあらあらあらあら、まあまあまあまあまあまあまあまあ」
殺してくれ
みゆきさんどうしたwww
「あらあら、まあまあ」はみゆきさん?ww
>>572 みゆきというより、みゆきの母っぽいなww
ゆたか「このスレは私の誕生日のお祝いがいっぱいで嬉しかったです」
みなみ「よかったね。ゆたか」
ひより「なんか私がすごいことになってるきがするっすけど」
パティ「そーデスカ?ひよりんはいつもどおりでしたヨ」
ひより「いやっ。私はあそこまでっ…」
ゆたか「ねえ田村さん。私とみなみちゃんっをいつもあんなふうに見てるの?」
みなみ「わたしは…、気にしない。…と言うか、嬉しい」
ひより「申し訳ないっす。同人作家としての血がそうさせるっす」
ゆたか「そうなんだぁ。でも、想像だけじゃ足りないでしょ?」
ひより「小早川、さん?」
みなみ「田村さんも…一緒に…」
パティ「オー、ミンナひよりんのこと大好きデスネ」
ひより「ちょっ、待つっす。私は…まっtwwちょwwwwきもちiwwwアッーーー!!」
すまねっす。ついさっきROM専になんて書いたのに…
最近「仮面ライダー THE FIRST」を観た
かがみが1号でみゆき君が2号という電波を受信した
>>570 もちろんSSにして次のスレに投下するんだよな?
>>551 えろーーーーーい!
えちぃ描写巧いなぁ……
>>575 鼻血はリジェクション(拒絶反応)だったのか……
さて。なんとか中国から帰ってきたことだし、挿絵でもひとつ描きたいなあ。
来年の後輩達の修学旅行先が中国だと聞いて不安な俺
個人的にアメリカとイギリスと中国にだけは行かせたくないな
俺、修学旅行ハワイだったんですけど……
しかもよりにもよって開戦記念日でしたし(´・ω・)
らき☆すたの女の子でエロパロ29
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1198241946/ ,、
| `ヽ、
,r‐--}`ヽレ‐-、.`ヽ、
. \ / ,| }`ヽ、.`ヽ、`ヽ、
. \ / / //| | /| `ヽ、`ヽ `ヽ、
\ // / // .l l/| |、 ヽ ヽ `i
\ / / / //| /| | l| ヽ ヽ ヽ |
\ l | / /,.. -、 l | ,..-、 ヽ ヽ ', |
\-、 ! / l //r`::r ヽ、.l lr:::ヽヽヽ i ヽ .l |
r'{ヽ ',__ ヽ{ ト| l l.:::ノ i__,/ ゝ l:::::::r' 〉 ト、 ', ∨ |
{ニi//`ヽ、 l 、i. ___,ノ '、 `ー ,' / |) ) } | ヽ′
y / ` < |` 、_ ー `ー‐'_,/ |'´ | ,/ | || 次スレのご案内です
>' ,/ /ヽ,.-、_>-‐ <) l レ' | ||
\ ,/ / ,//::/ /::/ / | }{
\ / ,.-‐' ,∠ f=======┐ |( ヽ
{ { i、___ / /| || | i l ゙゙゙゙
__... -‐ヽヽ|′/l/⌒,ネ || | | l
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/,..-‐ァ'´ _,. '´/ // ,/::::/77:::::::| lヽ、_ノl )ヽ | ヽ
. 〃´ // / / / ,|::::/:/::l:::::::ノ| \__,/ノ / | ヽ
アングロサクソンは味覚がおかしいからな
ハンバーガーなどという高カロリーな浅ましい食いものを
恒常的に口にする神経が理解出来んし、イギリスも食に関して鈍感すぎる
あれ? パトリシアさんこんな夜更けに何の(ry
埋めネタ
クリスマスイブ
このSSで語られる一人の少女こなたは、全く趣味のための物欲にまみれていた。
イブのこの日も、その少女はコスプレ喫茶のアルバイトを終えた。そして、家族や恋人のもとに向かう人々が行き交う街で、この日ばかりは営業時間を延長しているその手のショップでこの時期に集中発売されるグッズの買い物を楽しんだ。
そのためにこの日は、わずかな友人や、家族からのパーティーの誘いすら断っていた。
帰り道で教会の前でシスターに寄付を求められたが、冬コミに少しでも資金を回したい少女は黙って通り過ぎた。
両手に一杯の今日の戦利品の紙袋を抱えて遠ざかるその後ろ姿を見送っていたシスターは、悲しそうなため息を漏らすと光に包まれた白い衣装の姿になると天に昇っていった。青い長い髪をしたその小柄な姿はどことなくこなたに似ていた。
わずかな寄付でもしていたら、慈悲深い神がお与え下さるクリスマスの奇跡にめぐり合えていたのだが、もちろんこなたはそんなことを知る余地もなかった。