☆魔法少女リリカルなのは総合エロ小説_第41話☆

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1名無しさん@ピンキー
魔法少女、続いてます。

 ここは、 魔法少女リリカルなのはシリーズ のエロパロスレです。


『ローカル ルール』
1.リリカルあぷろだ等、他所でのネタを持ち込まないようにしましょう。
2.エロは無くても大丈夫です。
3.特殊な嗜好の作品(18禁を含む)は投稿前に必ず確認又は注意書きをお願いします。
  あと可能な限り、カップリングについても投稿前に注意書きをお願いします。
【補記】
1.また、以下の事柄を含む作品の場合も、注意書きまたは事前の相談をしたほうが無難です。
  ・オリキャラ
  ・原作の設定の改変
2.以下の事柄を含む作品の場合は、特に注意書きを絶対忘れないようにお願いします。
  ・凌辱あるいは鬱エンド(過去に殺人予告があったそうです)

『マナー』
【書き手】
1.割込み等を予防するためにも投稿前のリロードをオススメします。
  投稿前に注意書きも兼ねて、これから投下する旨を予告すると安全です。
2.スレッドに書き込みを行いながらSSを執筆するのはやめましょう。
  SSはワードやメモ帳などできちんと書きあげてから投下してください。
3.名前欄にタイトルまたはハンドルネームを入れましょう。
4.投下終了時に「続く」「ここまでです」などの一言を入れたり、あとがきを入れるか、
   「1/10」「2/10」…「10/10」といった風に全体の投下レス数がわかるような配慮をお願いします。

【読み手 & 全員】
1.書き手側には創作する自由・書きこむ自由があるのと同様に、
  読み手側には読む自由・読まない自由があります。
  読みたくないと感じた場合は、迷わず「読まない自由」を選ぶことが出来ます。
  書き手側・読み手側は双方の意思を尊重するよう心がけてください。
2.粗暴あるいは慇懃無礼な文体のレス、感情的・挑発的なレスは慎みましょう。
3.カプ・シチュ等の希望を出すのは構いませんが、度をわきまえましょう。
  頻度や書き方によっては「乞食」として嫌われます。
4.書き手が作品投下途中に、読み手が割り込んでコメントすることが多発しています。
  読み手もコメントする前に必ずリロードして確認しましょう。


リンクは>>2
2名無しさん@ピンキー:2007/12/12(水) 21:21:57 ID:uf49/G/Z
『リンク』

【前スレ】
☆魔法少女リリカルなのは総合エロ小説_第39話☆
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1195952007/

【クロスものはこちらに】
リリカルなのはクロスSSその27(実質28)
http://anime3.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1196174166/

【書き手さん向け:マナー】
 読みやすいSSを書くために
 http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/5301/1126975768/

【参考資料】
・Nanoha Wiki
 http://nanoha.julynet.jp/
・アリサだもんっ!
 ttp://homepage3.nifty.com/damenahito2000/
・R&R
ttp://asagi-s.sakura.ne.jp/data_strikers.html
(キャラの一人称・他人への呼び方がまとめられてます)

☆魔法少女リリカルなのはエロ小説☆スレの保管庫
 ttp://red.ribbon.to/~lyrical/nanoha/index.html  (旧)
 ttp://wiki.livedoor.jp/raisingheartexcelion/d/  (wiki)
3名無しさん@ピンキー:2007/12/12(水) 21:26:01 ID:uf49/G/Z
申し訳ない、リンク修正忘れてた

☆魔法少女リリカルなのは総合エロ小説_第40話☆
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1196788564/l50

リリカルなのはクロスSSその29
http://anime3.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1197295459/l50

吊ってくる
4名無しさん@ピンキー:2007/12/12(水) 21:54:56 ID:1pjKFsVO
>>1
526-111:2007/12/12(水) 22:12:30 ID:uf49/G/Z
誰も居ないようなので投下させていただきます

うん、前スレがまだ36kbほど容量を残してるのは知ってる
でも、書き上がった奴の容量を量ってみたら48kbあったんだ・・・
自分が投下したいから、スレ立てした私は・・・かなり馬鹿っぽい恥知らずだ

それでもいい、自重はしない。馬鹿な恥知らずと笑ってくれ。投下行きます

・前スレに投下した「nowhereU」の後日談に当たります
・エロ有り、メインはエリオ、フェイトです。キャロ分もありますがエロには絡みません
・「nowhere」「nowhereU」「機動6課の、それから」の設定を幾つか持ち越しています
・なのはさんとヴィヴィオが出てこない理由は、なのは>教導隊復隊、ヴィヴィオ>本局保護施設とでも
・SS04はまだ聞いていません。致命的な矛盾があっても黙ってやってください
・タイトル「フェイトさんは大変な告白をされてしまいましたU」

では、投下します
アースラの執務室である
書類仕事を何とか終えて、ぐったりと机に突っ伏したはやてはほっぺたを机に押し当てたまま、はぁ、と溜息を吐いた
フェイトに少々きつく当たって、半ば無理矢理、彼女とエリオ、キャロの3人に休暇を取らせたが・・・

「嗚呼・・・正直、私も休みたい・・・」

思わず、ぼやきが出てしまった
6課の治安維持業務への参加は、急ピッチで再編成が進んでいる地上部隊の協力もあって徐々に減ってきてはいる・・・
フォワードの面々の負担が軽くなるのは良いことだ。だが、隊舎新設に当たっての書類仕事がガツンと舞い込んできて、はやてはほぼ毎日書類に向き合う日々を過ごしていた
誰かに代わってもらいたいくらいだが、流石に6課の運営に関わる重大事項を部隊長が放棄するわけにはいかない
加えて、ライトニング小隊の休暇は彼女が押し付けるように取らせたものである。不在の補填は自分でしなければ、と決めていた
彼女の騎士達は揃って心配げだが、甘えてばかりはいられない・・・だが・・・

「あー・・・せめて、はよ帰ってきて欲しいなー・・・」

自分で3日間のんびり休んでこい、と言ったのだが、ついつい、はやてはそんな台詞でぼやいてしまう

その時、インターホンのチャイムが鳴った。来客の予定は無かったので部隊の誰かだろう。副官:グリフィスと事務官:ルキノは、今日は本局で研修会な筈だから・・・
騎士達の誰かがお茶でも持ってきてくれたのだろうか・・・?そんな風に考えて、はやてはぐったりした姿のまま「どーぞー」と応えた

「はやて、ただいま」
「・・・って、ホンマにもう帰ってきたんかいな!!!?」

ドアの向こうから現れた10年来の親友の姿に、思わず起き抜けにツッコむはやてであった



○フェイトさんは大変な告白をされてしまいましたU



「・・・と、いうわけで、休暇は1日で切り上げることにしたんだ。これ、お土産」
「あ、おおきにな・・・でも、勿体無いなぁ。折角、3日間も有休取り付けたのに」

菓子折(バレアラック名産:雪苺のグラッセ)を受け取りながら、はやては嘆息した。彼女のぼやきも尤もだ。フェイトも苦笑を浮かべてしまう
有休を自主的に切り上げて仕事に帰ってくるなんて・・・

「エリオとキャロが言ってたよ。今度は私達が頑張って、八神部隊長達にお休みを取ってもらわないと、って」
「そっかぁ・・・二人とも良ぇ子やなぁ・・・」
「うん・・・本当に、良い子だよ」

極上の笑みを浮かべて、フェイトは頷いて見せた
同性であっても見惚れる程の美しい微笑に、はやても釣られるように笑みを浮かべてしまう
以前は、「良い子すぎて困る」とまで言ったフェイトだが、最近は素直に、エリオとキャロの優しいところや真面目なところを受け止めることができているようだ

「お母さんの教育の賜やね?」
「そんなこと無いよ・・・あの二人は、元々優しい子だったんだから」
「そやね。それで、その自慢の子供達は今はどうしてるん?」



「だあああぁぁぁっ!!!」
「はぁっ!!」

ガ、キンッ!!
アースラの甲板上では、鋭い剣戟の音が響いていた。打ち合わされるのは槍と剣。ストラーダとレヴァンティン
鍔迫り合う格好になると、流石に膂力と体格で勝るシグナムが有利だ。彼女は力任せにレヴァンティンを振って、エリオの体勢を崩そうとする
だが、エリオは逆らわず、逆にその力を盗んでストラーダを振り回しながら一歩踏み込み身を翻す。そしてストラーダの石突きでシグナムの左小手を狙う

「!?やるなっ!」

奇手に肝を冷やしたのも一瞬のこと。脇を開けてストラーダを空振りさせて、体勢を崩したエリオを抱き留めながら片手で構えた愛刀を首筋に突き付ける
決着、である。だが、この少年はこんなにも息が上がるほどの強敵だっただろうか・・・?
「・・・参りました。はぁ、適わないなぁ・・・」
「いや、良い動きだったぞ」

息を切らしたまま、シグナムは認めざるを得ない

「全く・・・空恐ろしい程だな。お前の成長ぶりは」

フェイトも10年来の好敵手だが、彼女の戦法は、速さでこちらを翻弄しながら射撃魔法を織り交ぜて急襲するというスタイル・・・ミッド式高速魔導師の定石である
だが、エリオのスタイルは、フェイトよりも、むしろ自分に近い。あくまで“騎士”らしく、己の技術での真っ向勝負で向かってくる。最近は特にそうした傾向が強い
センスとしては、既にほぼ自分と対等・・・勿論、魔力やデバイス、体格、何より経験の差はあるのでそうそう遅れを取りはしないが
“師範代”としては、愛弟子の成長が強く感じられることが何より嬉しい

「あ、あの、シグナム副隊長・・・そろそろ放して欲しいんですが・・・」
「む?・・・あぁ、すまん」

シグナムが頭二つ分は背の低い少年を左手で抱き留めた姿だが、彼女の身体とエリオの間、彼の首の辺りではレヴァンティンの白刃がギラついているのである
首元に段平を突き付けられたままボーっとされては血の気が引く・・・というよりも、顔の真正面に迫る豊かな膨らみの方を意識してしまって頬を紅潮させていたのだけど

「しかし、休暇明け早々に稽古を付けて欲しいとは・・・何かあったのか?」

レヴァンティンを待機モードに戻し、騎士甲冑を除装しながらシグナムはエリオに尋ねた
普通ならば、土産話の一つでもするところだろうに、彼は予定よりも随分早く6課に戻ってきて、シグナムと顔を合わせるや否や稽古を付けて欲しいと申し出たのである
シグナムの問い掛けに、エリオはストラーダを杖付いて・・・何となく、海を眺めながら話し始めた

「・・・実は・・・向こうで事件があったんです」
「事件?」
「はい・・・キャロの故郷、ル・ルシエの集落に、殲滅指定になっている氷竜が迫っていて・・・僕達は、その竜を迎え撃ちました」
「ふむ・・・」

シグナムにとって・・・竜と言えば10年前、はやての為にリンカーコアを蒐集していた時のことを思い出す
とある魔導師を追い詰め、彼が召喚した赤竜をレヴァンティンの一閃で屠った事があった
「その氷竜に、苦戦したのか?」
「はい。雷撃に耐性があったのか、フェイトさんとバルディッシュには相性が悪い相手で・・・苦戦しました」
「ほう、テスタロッサが苦戦となると・・・お前が竜を倒したのか?エリオ」
「・・・はい」

シグナムの問い掛けに、エリオははっきりと頷いた。竜を仕留めてみせた、という愛弟子の快挙を褒めてやろうか。と思い付いたシグナムだったが、
頷いたまま俯くエリオの顔には喜色など欠片もない・・・酷く、暗い顔だった

「フェイトさんとキャロの援護を受けて・・・僕は竜を殺しました・・・未熟で、弱い所為で、嬲り殺し同然のやり方で・・・命を奪ったんです」

ストラーダの柄をきつく握り締める拳が震えていた

「・・・怯えていたのに、死にたくないって願っていたのに・・・あの目が・・・今でも、忘れられません。それでも、僕は・・・僕は、殺しました。あの竜を、この手で」
「エリオ、嬲り殺しとは強者が弱者に対して行う下劣な振る舞いだ。お前達がやったことは違う」
「苦しんで死んだんだったら・・・同じ事です」

自分を責める少年に、シグナムは少し考え込み・・・静かに尋ねた

「それで、お前は後悔しているのか?その竜を殺したことを」
「いいえ、後悔はしていません。でも、悔しいんです・・・人間の勝手な都合で殺されなきゃならないあの竜を、せめて、一撃で葬ることができるくらいに、強くなりたくて・・・」

騎士として、敵手に対する最大の思いやり・・・それは、倒すべき相手を、苦しめぬ事。それは慈悲であり、救いである
かつては闇の書の守護騎士として、数多の騎士、魔導師からリンカーコアを奪い、闇の書の糧として蒐集していた自分達が忘れていた、騎士としての矜恃・・・
まだまだ幼いというべき少年だが、その胸の奥には騎士の誇りを宿している・・・その事に、シグナムは眉を下げて赤毛の上に掌を乗せた
思わぬ子供扱いに、エリオは思わずシグナムの顔を見上げる・・・“師範代”は優しく笑っていた

「今の気持ちを忘れない限り、お前はどこまでも強くなれる。烈火の将が保証しよう」
「シグナム副隊長・・・」
「私で良ければいつでも付き合ってやるぞ。但し、無茶な修行を行うようだったら・・・その時は、容赦しない。高町の様にな。約束できるか?」
「は、はい!」
「それでは、もう一本行くか?全力でぶつかってこい!」
場面をアースラの甲板から内部に移そう。怪我人の居ない医務室に、キャロとシャマルと・・・小さな曹長:リィンは居た
ケリュケイオンを手に、瞼を閉じて精神を集中させているキャロの様子を眺めながら、シャマルはリィンに小声で尋ねる

「・・・どう?リィンちゃん」
「・・・すごいですよ。広域探査の範囲、かなり広くカバーできてるです」

キャロは帰って来るなりシャマルの医務室を尋ね、土産のお菓子を渡すや否や、エリオと同じように魔法の勉強を見てくださいと頼み込んだのである
彼女のポジションはフルバック。そしてシャマルもヴォルケンリッターの中では同じポジションである。最後衛としてできることを、先輩から学びたい。そう思っていた

「それじゃ、精度はどうかしらね・・・キャロ。これからランダムにサーチャーを出すわ。私とリィンちゃんの二人で幾つあるか。数えてみて」
「はいっ!」

気合いの入った返答に、二人はにっこり頷いて・・・それぞれのデバイスからサーチャーを放った
勿論、魔力反応には隠蔽迷彩を被せて、である。並の探査精度では見つけることさえできないだろう
誤差±5個くらいまでの精度だったら上出来ですよー。とリィンは思っているが・・・

「・・・シャマル先生のサーチャーが37。リィン曹長のが41・・・どうでしょう?」

びしっ、と小さな笑顔が固まった。恐るべき事に、完璧な精度でサーチャーの数を捕らえていた

「お、お見事です!」
「はぁぁ〜・・・あ、ありがとうございます」

流石に疲れたらしい。大きく息を吐きながら、キャロはリィンにほやっと笑って見せた

「すごいわね・・・あれだけの広範囲で、こんなにも精度を出せるなんて・・・私は、範囲の広さには自信があるけど、精度にはあまり自信が無くて・・・」

はぁ、と溜息を吐くシャマルだが、そんな自己評価が謙遜であることをキャロは知っている・・・平素は医務官として籍を置いているが、彼女も総合AA+ランク保有者なのだ
彼女とクラールヴィントのバックス能力は、主に探査・治癒に長け、捕縛もこなす。味方の生存能力を上げ、敵の力を削ぐ・・・後衛の鑑と言えた

「私にとって、シャマル先生は目標ですから・・・いつかは先生くらいの、すごい魔導師になってみせますっ!」
同じポジションであるキャロからすれば、シャマルの存在は憧れである
だが、もしもここに、同じくヴォルケンリッターの一人、ヴィータが居たらキャロを真剣に説き伏せただろう

『こんなのに憧れてちゃロクなもんにならねーぞ』

とか何とか

「でも、急にどうしたですか?魔法を見て欲しいって・・・何かあったです?」
「あの、その・・・秘密にしておいてくださいね」

リィンからの問い掛けに、そう前置きをして・・・キャロはゆっくりと語り始めた

「実は・・・6課が解散した後の進路のことで、ちょっと色々考えてて・・・」
「ふむふむ?」
「今までは、できればフェイトさんの補佐官に就きたい。って思ってたんですが・・・色々考えて、自然保護隊に戻りたいって思ったんです」

自然保護隊はその名の通り、主に辺境惑星の自然環境を守るための部隊である・・・だが、悪く言ってしまうと閑職であり、自然愛護に意欲を燃やす者以外には嫌われている隊だ
キャロは、6課編入以前は自然保護隊に属していたこともあるが・・・しかし、執務官補と自然保護隊では、立場が随分違う。どういう心変わりだろうか?

「どうしてです?」
「故郷に、アルザスに戻った時に・・・竜を、退治したんです」

全てを凍てつかせながら彷徨する氷竜・・・思えば、あの竜は昔の自分に似ていたのかも知れない
居場所を求めて彷徨いながらも、触れる物全てを拒絶していた、あの頃の自分と・・・

「私は・・・エリオ君と、フェイトさんに協力してもらって・・・竜を、殺しました・・・その事は後悔していないし、必要な事だったって、今もそう思ってます」

本音を言えば辛くて仕方がなかったが、それでも、ル・ルシエの里を護る為に必要な事と、覚悟を決めて臨んだのだった
勿論、エリオが己の弱さに歯噛みをして悔しく思ったように、犠牲を無くして何も護れない自分が悔しかったし、勝手な都合で殺されなければならない氷竜の存在が哀しかった

「あんな風に、生き物を、生き物から命を奪ったことは初めてで・・・その時、思ったんです」
きつく、きつく、小さな拳を握り締めて、キャロは言った

「こんな思い、できれば2度としたくないし、どんな相手にもさせたくない・・・って」
「・・・それで、自然保護隊に戻るって決めたですか?」
「はい。それに・・・辺境惑星の稀少生物は、いつでも狙われているんです。お金になるから、珍しいからって言うだけで・・・
私は、小さい力しか持ってません。全てを救う事なんてできません・・・それでも、できる限りのことをしたいんです。
勝手な都合で命を奪う人が居るように、私は私の勝手な都合で、命を護ってあげたくて・・・それで・・・私にできることの中で、もっともっと、強くなりたくて・・・」

力説を終えて、キャロはハッと我に返った。こんなことまで喋るつもりはなかったのだが・・・
シャマルは、にっこり笑ってキャロの両肩に手を置いた。大きな覚悟を負ったのは、あまりにも小さな双肩・・・その肩に、少しでも重荷に耐える力を分けてあげたい
無力な騎士である私にも、きっとそのくらいの事はしてあげられる・・・シャマルは、ぱん、と両肩を叩くと、笑顔でキャロに告げた

「私の教導で良ければ、いつでも力を貸すわ。その代わり、背伸びはダメよ」
「あ、リィンも!リィンも頼ってくださいですよっ!」

憧れの優しい騎士と、割り込んできた小さな上司に、キャロはほやっと笑って、びしっと敬礼を向けた

「はいっ!よろしくお願いします、シャマル先生。リィン曹長!」

ぺこっと頭を下げるキャロに、二人は笑顔で顔を見合わせる
だが、シャマルは、あ、と声を上げて、キャロに尋ねた

「自然保護隊のことは、フェイトちゃんとエリオには相談したの?」
「フェイトさんには相談します。でも、エリオ君には・・・」

曇った顔を俯けて、キャロは考え込んだ
いつか二人で、できるならばフェイトの補佐官になりたい。そんな夢を語った中で、
もしも執務官補になれなかったら・・・その時は、スバルとティアナの様にツーマンセルで、同じ部隊に志願しよう・・・そんな風に語ったことがあった
だけど、自然保護隊への復隊というのはあくまで自分の希望・・・はっきりと言えば我が儘だ
騎士として非凡な才を見せる彼の少年には・・・辺境惑星での自然保護活動なんかよりも、もっと似合う部隊が在るように思う
俯く少女の顔から、その内心を読み取ったらしい。シャマルはキャロの顔を覗き込むように跪いて、視線を合わせて優しい口調で言い聞かせた

「ねぇ、キャロ。あなたの心配はわかるけど・・・それでも、きちんと話すべきだと思うわ。エリオは大切なパートナーなんでしょう?」
「でも・・・」
「一月前は、エリオが6課を辞めるかも知れないってあんなに泣いてたのに・・・あの子のことが嫌いになったの?」
「そ、そんなこと無いですっ!!エリオ君は大好きですし、一緒にいたいって思ってます!・・・ぁ」

自分が何を口走ったのか。数瞬遅れて彼女は理解し、可哀想なくらいに顔から首筋まで真っ赤に染めて俯いてしまった
シャマルは愛弟子の可愛らしい姿を眺めて、少し意地悪な笑みを浮かべる

「だったら尚更、その気持ちを伝えないと。ね?」
「・・・は、はい・・・」

消え入りそうな声音でそう呟く少女の髪を柔らかい手付きで撫でて、シャマルはニッコニコの笑顔でキャロの小さな背中を送り出した
そんなやりとりの意味がいまいち理解できなかったのか。リィンが首を傾げて尋ねてきた

「シャマル?さっきのキャロはどうしてエリオに相談するのをためらってたですか?自分で一緒にいたいって言ってたのに」
「んふふー。さぁ、何ででしょうねー?」
「む、シャマルが意地悪ですーっ!」
「リィンちゃんも、いつかきっとわかるわよ。きっとね・・・」



そして、その夜・・・エリオは稽古でかいた汗を軽くシャワーで流し、夕食も済ませると・・・何となく、甲板に上がっていた
少し湿っぽい海風が肌を撫でてゆく感触が心地良い。天を仰げば満天の星空と、半分に欠けた月

「そう言えば・・・アルザスの星空、見られなかったな・・・」

先の休暇で、いつかキャロが話してくれたアルザスの星空を見逃してしまっていたことを思い出して、エリオは少しだけ休暇を切り上げたことを惜しく思った

「・・・エリオ君?」
不意に名前を呼ばれ、振り返ると・・・昇降口のドアから、自分の姿を見つけたキャロが小走りに駆け寄ってくるところだった

「キャロ?どうしたの、こんな所まで?」
「その、何となく・・・エリオ君は?」
「僕も・・・何となく、かな」

そう言って、エリオは甲板の上に胡座で座り込んだ。キャロもエリオの隣に膝を抱えるように座り込む
そのまま、しばし、二人は無言のまま絶景の星空を楽しんでいた・・・

「あ」
「?」

キャロが、つ、と星空を指差す。エリオはその指先が何を示したのか、視線を向けるが・・・

「今、流れ星が通ったよ。見えなかった?」
「見えなかった・・・悔しいなぁ。キャロは知ってる?流れ星が消える間に・・・」
「願い事を3回唱えると、それが叶う・・・エリオ君も、フェイトさんに教えてもらったの?」
「うん・・・フェイトさんに保護されて、流星群を見に行ったんだ。それが、初めて見た星空で・・・あっと言う間に消えちゃう流れ星にムキになって・・・」

あはは、とエリオは照れたように笑ってみせた。あの時のことを思い出すと少し恥ずかしい
遅くなったから帰ろうと促すアルフの言葉も聞き入れず、じっと星空を睨み付けて、流れ星が視界の中で煌めく度に必死で願い事を繰り返し・・・
結局、夜空が白み始めるまで小さかった自分はそうしていて・・・それでも、フェイトは何も言わずに自分に付き合ってくれていたのだった

「・・・エリオ君は、流れ星にお願いをするとしたら・・・どんなお願いをするの?」
「初めて流れ星を見たときの願い事は、“早く大きくなりたい”だったよ・・・今は・・・“大切なみんなと一緒にいたい”かな」

大切なみんな

その言葉に、キャロの胸に鈍い痛みが走る・・・だけど、それでも、自分は言わなくてはならない

「私の・・・」
「ん?」
「私の、願い事はね・・・」

涙声になってしまう自分が悔しい。嫌われるかも知れないからやめておけと胸の奥で叫ぶ自分がいるのが情けない
それでも、キャロは言った。ぽろぽろと涙を零しながら

「・・・“エリオ君と、一緒にいたい”・・・」
「キャロ・・・僕は、居なくなったりしない。キャロの傍に居るよ。いつだって」

涙の理由はわからないが、少しでも彼女を安心させたくて、エリオはハンカチを取り出してキャロの涙を拭ってやりながら、そう言って笑って見せる・・・
だけど、キャロは首を横に振って、涙の粒を散らしながら、ドロドロの涙声で言った

「違うの・・・私はね・・・エリオ君・・・う、うっ・・・ひくっ・・・」

嗚咽を上げ始めたキャロの姿に、エリオは慌てた。慌てたが、シャツの袖をがっちり掴んで涙顔を胸に押し付けてこられては動きようが無いし、
涙の理由が自分にあるのなら、フェイトに助けを求めるのはキャロに申し訳ない・・・結局何もできないまま、微妙に腰が痛い中途半端な体勢のまま約5分

「・・・落ち着いた?」
「うん、ごめんなさい・・・急に、泣き出したりして・・・」
「泣きたいくらい不安な事があるなら・・・話して欲しいな。僕で力になれるなら」
「・・・うん」

涙を拭って、洟をかんで、キャロは話し始めた・・・

「いつか、二人で話したよね。6課が解散したら、フェイトさんの補佐官になりたい。って」
「うん、そうだったね・・・僕は今でもそのつもりだよ?それが叶わなかった時は、キャロと二人、一緒にどこかの部隊に志願しようって約束もちゃんと憶えてる」
「・・・私は・・・あのスノードレイクを退治した時から考えてたの・・・こんな風に、人間の都合で命を奪われる生き物を、護ってあげたい。って・・・
だから、6課が解散したら・・・自然保護隊に復隊しようと思ってるの」
「・・・そう、なんだ・・・」

歯切れの悪い口調で、エリオはそう返した
二人で決めた夢を追い掛けたかったが、キャロは自分の道を見つけていた・・・裏切られた、なんて気持ちは全く無いが・・・

「・・・それで・・・私は・・・」
「・・・ごめん、キャロ。少し考えさせて」

キャロが言いたかった台詞はわかる。自分と共に歩みたい・・・その気持ちは痛いほどに理解できる
エリオにとっても、キャロは大切なパートナーだ。絶対に離れたくはない・・・だけど、同じくらい、フェイトの事も大切なのだ
フェイトにはフェイトの、執務官という役職がある・・・だから二人で執務官補となって、何かと大変なフェイトを支えていきたい・・・そう願っていた
3人一緒が、一番良かった。だけど・・・

「・・・っく・・・うっ・・・」

甲板にキャロを置き去りにして、アースラの廊下をエリオは走る。涙で視界が霞むのが鬱陶しい
フェイトと共に在りたい。だけど、キャロの事も大切なパートナーとして支えてあげたい・・・そのどちらかしか選べない苦しさに、エリオは涙顔のまま廊下を駆ける
目指す先は無意識に自室を選んでいた。階段を飛び越し、廊下を駆け抜け、曲がり角に差し掛かったところで

「きゃっ!?」
「わっ!」

柔らかい衝撃に鼻を打ち、姿勢を崩して転びそうになった・・・だけど、身体を支えたのは冷たい廊下ではなく、暖かい掌だった

「エリオ、廊下を走っちゃ・・・え、どうしたの?どこか、怪我でもしたの!?」
「・・・フェイト、さん・・・あ、わっ!ご、ごめんなさいっ!」

ぶつかった相手は彼の保護者で、廊下とキスするところだった身体をしっかり抱き留めてくれていた。という事実に今更気付いて、エリオは弾かれたように身を離した

「ごめんなさい、フェイトさん!僕は、その、大丈夫ですから!」
「・・・エリオ、ちょっと待って」

慌てて駆け出そうとしたエリオの背中に、フェイトは制止の言葉を投げ掛けた
振り返らなくても彼女がどんな顔をしているのかエリオにはわかる・・・涙顔を見られてしまったし、きっと、自分を責めるような、不安な顔をしている筈だ
「・・・エリオ、泣いていたの?」
「・・・はい」

強がる、という選択肢は選ばなかった。いくら嘘を吐いても、彼女には見破られる
自分は嘘が下手な癖に、他人の嘘には敏感なフェイトである。執務官、という職業上、身に付いた癖かもしれないが

「キャロの姿も見えないけど・・・まさか、喧嘩でもした・・・?」
「ち、違いますっ!キャロと喧嘩なんて、そんな・・・」

でも、自分は必死に思いを伝えようとしていたキャロを置き去りにしてしまった
それは、どんな喧嘩よりも酷く、彼女の心を傷付けてしまったのではないだろうか・・・

「・・・う、うぅっ・・・ひ、くっ・・・」
「エリオ・・・あ、ああ・・・えっと・・・」

しゃくり上げ始めた少年の手を引いて、フェイトは走り始めた。向かった先は・・・



「・・・ごめんね、はやて。いつか埋め合わせはするから」
『気ぃ使わんでもえぇけど・・・まぁ、その、しっかりな』

フェイトとエリオは、アースラの小さな浴場に居た。はやてと通信で話をしていたのは、浴場の使用許可を取り付けてもらっていたのである
何故、風呂場の使用に部隊長・・・提督と同レベルの管理者の権限が必要なのか、と問われれば、
転送ポートを持つ次元航行艦とは言え、積める物資には限界がある・・・水もまた然り。というわけで、浴場の使用は最高責任者の許可が必要なのだ
尤も、現状アースラは港に停泊している艦であり、浴場は24時間開放していても良さそうなものだが、男女で分かれた使用時間以外は原則使えない・・・と言うことにしていた

「あの、フェイトさん・・・何で、お風呂なんですか?」
「悲しい時はね、身体が温まれば楽になるんだよ。そういう時は心が冷えちゃってるから・・・さ、入ろう?」

実は、書類にかまけて入浴時間を逃していた事も理由の中に入っているのは、彼女だけの秘密だ
脱衣場で制服を脱いで、二人は浴場に入る。普段ならば断固として抵抗するであろうエリオも、今日ばかりは素直だった
その事が嬉しいようにも思えるが、常とは違って沈んでいるのだ、と思えばやはり寂しい・・・
頬を紅潮させることもなく、沈んだ面持ちのまま掛け湯を済ませるエリオの姿にフェイトは眉を顰めていた。調子が狂うどころの話ではない。最早、異常というべきだ

「・・・はぁ」

湯船に浸かり、掌で掬った湯で顔を洗う・・・そうしている間にも、エリオは揺らぐ湯面に映る自分の顔をじっと見ていた
エリオが自分から話せないのならば・・・それはそれで構わない。誰にだって言いたくないことの一つや二つはあるものだ。だけど、そこにキャロが絡んでいるとしたならば、
何とか問い質さなければならないだろうか。フェイトは頭の中でアレコレ考えながら、そっとエリオの様子を伺っている

「・・・フェイトさん」
「ん、何?」

湯船に浸かって100程数えた辺りで、エリオが切り出してきた。フェイトは何でもない様子を装って、エリオの方を見た
相変わらず、じっと下を向いた顔で・・・エリオはぽつりぽつりと話し始めた

「・・・実は・・・将来のことで、少し・・・いや、すごく、悩んでるんです」

10歳にして将来に不安を抱くとは、などと思う事なかれ
子供は子供なりに、未来に対して漠然とした不安を抱くことがある。大人のように不安の理由が自覚できない分、病巣は深く、厄介と言えるのだ

「6課はいつか解散するって、八神部隊長から聞いて・・・キャロと二人で決めてたんです」
「何て、決めてたの・・・?」
「あの・・・黙っててごめんなさい、フェイトさん。僕達は、フェイトさんの補佐官を目指してました。シャーリーさんに頼んで、法務関係の勉強も、こっそりしてたんです」

フェイトは、吃驚した。心の底から
シャーリーがマリーさんから技術部への転向を誘われているのは知っていたが、まさかエリオとキャロが自分の補佐官を目指していたとは夢にも思わなかった

「そう、だったんだ・・・でも、それだったら、ちゃんと私にも教えて欲しかったな」
「ごめんなさい・・・シャーリーさんが補佐官を降りるかどうか、未定だったから・・・
もしも、補佐官になれなかった時は、キャロと二人で、ツーマンセルで同じ部隊を志願しようって決めてたんです・・・だけど・・・」
「だけど・・・?」
「・・・キャロが、言ったんです。6課が解散したら、自然保護隊に戻るって・・・それで・・・僕は、どうしたらいいのか、わからなくなって・・・」

涙が滲んできたのを隠したくて、エリオは両手で湯を掬うと、叩き付けるようにして顔を洗った

「僕は、フェイトさんの力になりたいし、キャロとも一緒にいたい・・・だけど・・・」

フェイトは、気付かれないように苦笑を浮かべた・・・エリオの悩みの根底には、彼の純粋な優しさがある。それはとても素晴らしいものだが、今はその優しさが彼を苦しめていた

「ねぇ、エリオ。その答えはね、エリオが自分で見つけなきゃいけない」
「フェイトさん・・・でも、僕は・・・」
「私は、何も言わないよ。エリオが私とキャロのことを真剣に想っていてくれる事、知ってるから・・・だから、何も言わない。エリオが自分で決めて」

敢えて、フェイトは少し突き放すような物言いをした
優しい少年のことだ・・・もしも、フェイトがこうして欲しいと願えば、エリオはそうしてしまうだろう・・・それは、ダメだ
フェイトは保護責任者として、エリオとキャロを今まで支えてきた。だけど、生き方だけは、自分で決めなくてはならない

「・・・う、ぐ・・・」

エリオの葛藤はわかる・・・もしも自分が、エリオとキャロ、どちらかとしか生きられないとなれば、同じように際限無く思い悩むだろう

「・・・僕は・・・フェイトさん・・・僕は・・・」

風呂場だというのに、からからに干上がった口調で、エリオは涙顔をフェイトに向けた
大きな瞳の端から涙が溢れ、頬を滑り落ちて、湯船の中に小さな波紋を作った



「・・・僕は・・・キャロを、支えたい・・・」



エリオの涙声に、フェイトは黙って頷いた
執務官補になれなかった時、二人で一緒に居ようと約束していたが・・・それが理由の全てではない
スノードレイクと戦うことを決めた時も、ルーテシアを救いたいと願った時も、キャロは一人で抱え込もうとしていたように思う
そんな彼女の、優しくて危なっかしい小さな背中を見ていられないから、護ってあげたかったから、だから・・・・・

「・・・ごめんなさい、フェイトさん・・・僕は・・・キャロの騎士で、在りたいです・・・」
「うん・・・エリオ、そういうときはね、謝っちゃダメだよ。ちゃんと胸を張って、堂々として、そうして言わなきゃ。エリオは騎士なんだから」
「っく・・・ご、ごめんなさい・・・」

苦しい決断でも、決心を打ち明けてくれたことはすごく嬉しい・・・フェイトは、エリオの隣に腰掛けると指先で涙を拭ってやった

「エリオが泣いてる理由は、わかるよ。私を捨ててキャロを選んだ、って自分で思ってるんでしょう?」
「・・・は、はい・・・」
「それ、違うよ。エリオはね、両方を選んで、キャロの傍に付いただけだよ。私とはもう二度と会わないとか・・・そんなつもりじゃないでしょう?」
「も、勿論です!」
「だったら、そんな風に考えないで。ほら、泣き止んで。立派な騎士に涙は似合わないよ?」
「は、はいっ」

ばしゃばしゃと顔を洗って、エリオは顔を上げた
目元には涙の名残が感じられるが、決意を打ち明けたことで胸のつかえが取れたのか・・・その顔付きはすっきりとしている

「あの・・・フェイトさん、ありがとうございました・・・それと、困らせちゃって、ごめんなさい」
「良いんだよ。悩みも苦しみも分かち合おうって決めたでしょ?・・・さあ、今の気持ちをちゃんと伝えてあげなさい」

祝福のつもりでフェイトはエリオの頬に唇を押し当てた。その際、裸の胸が腕に当たってしまい、エリオはようやく自分が全裸でフェイトと相対していたのだと言うことを思い出す
一瞬で、茹で上がったように真っ赤になった顔を俯けて、にっこり笑うフェイトの顔を直視することもできず、

「し、し、し、失礼しますっ!!」

ソニックムーヴもかくや、という程の速さで浴場を飛び出していった・・・その小さな、だけど頼もしい背中が戸口に消えたのを確かめてから、フェイトは溜息を吐いた



――― 振られたことがちょっとショックなのは、彼女だけの秘密だ
エリオは廊下を駆けていた。甲板でキャロと話してからおよそ20分ほど ―――
部屋に戻っただろうか?そう思いもしたが・・・小さな影が廊下の曲がり角から現れてきた

「きゅくるー!」
「あ、フリード。キャロは、部屋?」

エリオの姿を見つけたフリードは、撫でてくれ、とでも言わんばかりに頭を擦り付けてくる。食堂でお総菜の残りでも貰ったのか、口元が少し汚れていた
小さくとも賢い飛竜殿はエリオの問い掛けに少し首を傾げ、首を横に振った。どうやら、部屋ではないようだ

「そっか・・・ありがと、フリード!」
「くきゅ!」

そうなると、甲板だろうか・・・エリオはもう一度、甲板を目指して走り出した



あまり想像したくは無かったが、やはりキャロは、星明かりの下で一人、膝を抱えて震えていた
だけど、その原因を作ったのは自分だ・・・彼女の真剣な気持ちに向き合えず、置き去りにしてしまった自分の所為だ
エリオは、そう自分に言い聞かせると、キャロの傍に駆け寄った

「キャロ・・・」
「・・・あ・・・エリオ君・・・」

涙の乾いた跡が、柔らかい頬に残っている。冷たい夜風と孤独に震える少女の肩に上着を羽織らせてやりながら、エリオはキャロの隣に跪いた

「・・・ごめん、キャロ・・・逃げたりして・・・」
「ううん・・・私こそ、エリオ君を困らせて、二人で決めた約束を破って・・・」
「違うよ!キャロは悪くないんだ。僕が、臆病で、キャロの気持ちに向き合えなかったから・・・ね、キャロ・・・」
「?」

肩を抱いて、真っ直ぐに瞳を覗き込んでくる少年の瞳には、これ以上無いくらいの“本気”の光が見えている
「・・・僕は、怖かったんだ。僕は3人一緒が一番良かった・・・だけど、キャロが居なくなることで、バラバラになっちゃうんじゃないか。って・・・」
「・・・」
「僕は、キャロの事も、フェイトさんの事も大好きだから、どちらかを選ぶ事なんて考えたこともなくて・・・」
「それは、私も同じだよ・・・エリオ君とフェイトさん、どっちが大切かって聞かれたら・・・どっちも大切な人って答えるしかないよ・・・」
「うん、僕もだよ・・・でも・・・」

細い肩を掴んだ掌に、少し力が入る。エリオは、今の気持ちをどう伝えればいいのか、一瞬迷ったが・・・フェイトに言えて本人に言えないようでは、情けないことこの上無い
ありのままの気持ちを、エリオは口にした


「僕は・・・キャロの傍に居たい。同じ場所で生きていきたい・・・君の、騎士で在りたい。そう、願ってる」


キャロは大きな瞳を見開くようにして、少年の顔を見返した

「フェイトさんに頼まれたから、とかそんなんじゃないんだよ?僕は自分の意志で、キャロと一緒に行きたいって思ったんだ」
「エリオ君・・・」
「勿論、キャロが許してくれるなら、だけど・・・」

少しだけ苦笑の混じった笑みを浮かべるエリオに、キャロの瞳からはまた涙が溢れてくる
悲しみではなく、喜びのために。キャロは泣きながらエリオの胸に飛び込んだ・・・何度も彼の名を呼びながら、何度もありがとうと伝えながら
エリオは、そんな彼女の背中を撫でてやりながら、己の決意を固めていた・・・

「う、ぐす・・・ご、ごめんね・・・昨日から何だか、泣いてばっかりいるみたいで・・・でも、嬉しくて・・・」

目尻の涙を拭いながらそう呟く彼女が愛おしくて、エリオは上着ごと彼女の身体をそっと抱き締めた
夜風に当たり続けていた身体は、震えるほどに冷えていた・・・自分の温もりを分けてあげたくて、エリオはぎゅっと抱擁をきつくする

「・・・でも、エリオ君・・・フェイトさんは、本当に・・・?」
「うん・・・フェイトさんの事は、勿論大好きだし、できれば一緒に居たかった・・・でも、」
「?」
エリオは少しだけ身体を離し、指を伸ばして、キャロの胸元・・・蒼い護り石を連ねて作った首飾りに触れた

「どんなに離れていても、きっと心は繋がってる・・・それを、教えてもらったばかりだからね」
「・・・うん、そうだね」

4年間、故郷を離れていたキャロだったが、里の人々はみんな、自分のことを想ってくれていた・・・
だから、フェイトとの別れは辛いけど、今生の別れになるわけではない。エリオとキャロの二人で誓った言葉も忘れはしない

――― 辛い事があった時は一緒います、困ったことがあったら助けに行きます、進む道を間違えたら、叱って連れ戻しに行きます ―――

心の中で忘れない限りは、きっと繋がっていられる・・・だから、辛いことでも、耐えられる・・・そう確信して、少年と少女はお互いの小さな身体を抱き締めた



すっかり身体の冷えたキャロを自室まで送り届けて、エリオは人気のない廊下を歩き・・・フェイトの部屋の前まで辿り着いた
深夜、と言うような時間ではないが、来訪には少々非常識な時間かも知れない・・・だけど、フェイトにも伝えておきたい・・・今の、自分の気持ちを
エリオはインターホンのチャイムを押した

『・・・エリオ。キャロとは、ちゃんと話せた?』

モニターに現れた保護者は寝間着姿だがまだ眠っていなかったらしく、そう尋ねてきた

「はい、ちゃんと話せました・・・それで、少し、フェイトさんともお話したくて・・・」
『うん、わかった。鍵は開けたから、入ってきて』
「はい、失礼します」

小隊長用の個室は、一般隊員の部屋よりも少し広かった。ベッドは二段ベッドではないし、デスクも大きい
6課隊舎で使っていた個室と比べれば、欠片も色気が無い殺風景な部屋ではあるが・・・次元航行艦内の一室、という事を考えれば仕方のないことである

「いらっしゃい、エリオ・・・キャロとはちゃんと話せたんだね」

エリオの明るい顔を見て、ベッドに座って髪を拭いていたフェイトはにっこりと笑って見せた
「はい・・・ちゃんと話して、伝えました・・・また明日にでもキャロと二人で、フェイトさんにお話しします」
「うん、わかった・・・」

寝間着姿のフェイトを見るのは初めてではないが、肩をはだけた、黒のスリップのような寝間着姿というのは、子供であっても目のやり場に困る
普段は下に七分丈のスパッツを穿いているのだが・・・まだ髪が乾いていないからなのか、今は素足を組んでいた

「それで、エリオのお話って、何?」

髪を拭く手はそのままに、フェイトは立ち尽くしている少年に尋ねた

「!あ、あの・・・僕からは、その、お礼を、きちんと言いたくて、えと、あ、ありがとうございましたっ!」

律儀に頭を下げる少年の姿がなんだかおかしくて、フェイトはくすくす笑いながら、少し意地悪な口調で唇を尖らせた

「どういたしまして・・・でも、振られちゃった事は、少し寂しいかな・・・?」

わざとらしく拗ねた顔で、フェイトは俯いて見せた
見え見えの演技なのだが、エリオはそれでも大慌てに慌てて、大袈裟な身振りで両手をブンブン振りながら、必死に弁明を述べる

「ふ、ふ、振っただなんてそんな!僕は、えっと、その、勿論そんなつもりじゃなくて、その、キャロの事もフェイトさんの事も、同じように大切に思ってます!!」
「・・・本当に?」
「本当に本当に本当ですっ!!!」
「・・・どのくらい?」

意地悪な笑みを浮かべて、フェイトはそう尋ねた。勿論、大切に思っている、という言葉に嘘が混じっていないことは承知の上である
エリオは、顔を真っ赤にしたままアレコレと考え込んだ挙げ句・・・

ベッドに腰掛けるフェイトに歩み寄ると、彼女に抱き付いて、唐突に唇を奪った

「ん、んっ!!?」
これ以上無いくらいに不意を突かれたフェイトは目を丸くして、抵抗も何もかもを忘れて、されるままになってしまう
細くとも、年齢不相応にしっかりとした両腕に抱き竦められて、フェイトはただ、至近距離で唇に吸い付いてくる少年の顔を眺めていた

重ね合わされた唇の間から、熱くぬめる舌が口の中に滑り込んできた
頬の裏、歯茎のラインを隈無くなぞり、舌に絡みついて・・・今度はフェイトの舌を引き出すように動き、エリオの唇にしゃぶられる

「んっ、んっ・・・んーっ・・・!?」

少しざらついた感触に擦られつつ、柔らかい口唇にきゅっと舌をしごかれる度に・・・フェイトは身体の奥が熱くなるのを感じていた
胸は高鳴り、頭は熱が回ったようにぼーっとしてしまう・・・時折跳ねる身体を抱き締めたまま、エリオは存分にフェイトの唇を貪った

「ん、ちゅっ・・・はぁ・・・」

口の中で吐かれた熱い吐息を契機に、エリオは唇を離した・・・つ、と唾液の筋が二人の唇を繋いでいた

「・・・エリオ・・・いきなりなんて、酷いよ・・・」
「ごめんなさい・・・でも、言葉でうまく言える自信が無くて、その・・・気が付いたら・・・こうしてました・・・」

意地悪が過ぎた事を内省しながらも、フェイトは髪を拭いていたタオルを手放すとエリオに身を寄せ、身体をぴったりくっつけ・・・少年の掌を自分の胸に導いた

「フェイトさん・・・?」
「エリオ・・・私も、エリオのこと・・・大好きだよ。自分の事よりも大切に思ってる・・・だから、今度は私が証明してあげる。どのくらい、エリオが大好きか・・・んっ・・・」

ごめんね、キャロ。と、心の中で一言だけ謝って、今度はフェイトの方から唇を求めた
二人は唇を重ね合わせ・・・エリオは自分の掌で、薄手の寝間着越しに高鳴るフェイトの鼓動を感じていた
どちらの舌なのかわからなくなるくらいに、激しく、情熱的なキスを交わしながら、エリオはそっとフェイトの胸を揉む
布地の上から指先で乳房を撫で上げ、付け根の辺りからきゅっと挟み込むようにして揉む・・・その度に、ぴりぴりとした快楽の電流が走り、フェイトは唇の端から嬌声を上げた

「ふぁっ・・・んっ、ちゅ・・・んんぅっ・・・はぁっ・・・エリオ、何だか・・・キスが上手になった・・・?」
「そ、そうでしょうか?」
「うん、そんな気がする・・・んっ、んーっ・・・ぷは・・・うん、離れたくなくなっちゃうくらい・・・上手だし、美味しいし・・・」
すっかり蕩けきった瞳で、フェイトはまたエリオの唇に吸い付いた
くちゅ、くちゅ、という互いの舌が唾液を掻き混ぜる音が唇の端から漏れ出るほどに舌を絡ませながら、甘い唾液を啜り込む
その間にも、エリオはフェイトの乳房への責めを激しくしてゆく。スリップとブラを捲り上げると、弱点である下乳の辺りを4本指で擦りながら、親指で乳首をむにゅっと突く
指先で触れられる度に、フェイトのたわわな乳房はむにむにと形を変え、豊かな弾力で指先を押し戻そうとした

「んっ、はぁっ・・・あっ、あっ、あんっ!エリオ・・・っ!!」

親指の先で張り詰めた乳首を掻くように弾く。その度にフェイトは身体を揺すって喘ぎ声を漏らす・・・その反応が楽しくて、エリオはそうしながらフェイトの耳元に唇を寄せた
舌を伸ばして耳朶をそっと舐める・・・それだけで、フェイトの身体は本当に電流でも流されたのかと思えるほどに大きく跳ね上がった

「きゃぅっ!?あ、はぁっ・・・び、吃驚した・・・」
「ご、ごめんなさい・・・」
「ん、良いよ・・・それじゃ、私も・・・」

フェイトの白い指先がエリオのズボンの上を這い、カチカチにいきり立ったエリオの性器に触れた

「ふぇ、ふぇ、ふぇ、ふぇいとさんっ!?」
「ん、逃げちゃダメだよ、エリオ・・・私も証明するって言ったでしょ?」
「で、でも、あの、その・・・」
「・・・恥ずかしい?」
「・・・は、はい」

消え入りそうな声でそう呟いたエリオに、フェイトはにっこりと、しかして淫蕩な笑みを向けた

「恥ずかしいのはこんな風にされてる私も一緒だよ・・・でも、私もエリオにしてあげたいから・・・おあいこ。ね」
「え、でも、ま、待ってくださいフェイトさんッ!!?」

ズボンと下着ごとずり下ろして、包皮が残る亀頭を指先でそっと撫で、フェイトは指を絡みつかせた
剛直、というには些か頼りない性器ではあるが、10歳という若年の割にはなかなか立派なストラーダ(隠喩)である
細い指先がきゅっきゅっと揉むように包み込み、ゆっくりと前後に扱き始める
「あっ、うあッ!フェ、フェイトさんっ!」
「エリオ・・・気持ち良いんだよね。真っ赤な顔、可愛いよ・・・んっ」

性器を弄ばれて、腰を震わせるエリオに口付けを落としながら、フェイトはゆっくりと、しかし徐々に早く扱き立てる
エリオも負けてはいられないと思ったのか片手を胸から放すとフェイトの秘部に宛がい、汗とは質が違う、ぬめりを帯びた潤いを指先に纏うと、開いた膣口にそっと押し込んだ

「んん、あ、は、うぅぅっ!」

秘部への刺激に、フェイトも腰を震わせて・・・崩れ落ちそうになる身体をエリオにしがみつくことで何とか持ちこたえさせた
膣中の襞を擦るエリオの指先に、すっかり息が上がってしまう。身体には力が入らない・・・それでも、エリオの肩に寄りかかったまま、手淫は止めない
包皮をずり下ろして亀頭を完全に露出させ、先走りを漏らし始めた鈴口をきゅっと指先で押さえ、くにくにと刺激する

「うあぁぁっ!?」

未知の刺激に翻弄されて、エリオも悲鳴のような嬌声を上げた
自分と同じように、エリオもまた熱い吐息を漏らしている・・・フェイトは、ベッドに仰向けに寝そべると、頬を真っ赤に染めながらも両脚を開いた
さらけ出された秘部は既に熱く潤い、雄を誘うようにぱっくりと開いている

「エリオ・・・頂戴・・・」

熱に浮かされたような瞳で、フェイトはそう懇願した
エリオは、その言葉に身体が操られているかのように、フェイトの淫らな肢体にそっと抱き付いた
薄い胸板に押し付けられる豊かな乳房の感触。しなやかでありながらも柔らかさを保った四肢。そして、そこだけが別の生き物なのではないかと思えるほどに、淫らに咲いた秘部
脳髄を痺れさせるような、噎せ返るほどの濃い雌の匂いに誘われるように、エリオは己の性器をフェイトの秘部に埋め込んだ
待ち侘びた挿入に、フェイトは悲鳴のような嬌声で答える

「ん、あああぁぁぁぁっ!!!」

粘液に包まれたエリオの性器は僅かな抵抗を感じながらも、ずるりと、呑み込まれるようにフェイトの膣中に入り込んだ
膣中の襞は精を絞りだそうと貪欲に蠢き、ぐねぐねと中でうねっている・・・エリオは、生意気にもそんな秘部の蠢きに耐えるように歯を食いしばって、腰を振り立てた
前後に揺する程度の稚拙な腰使いだが、それでも雌に快楽を与えようとする雄の本能に突き動かされて、エリオは必死に腰を使った
「あっ、あっ、あっ、えりお、えりおっ!」

小さな亀頭に膣中を抉られる感触に、フェイトは背筋が粟立つ程の快感を感じながら、エリオの身体にしがみついた

「フェイトさんっ・・・もう、ダメですっ・・・く、あっ、あぁっ!!」
「ん、んっ!?私も、もうっ・・・ふあぁぁっ!!」

一際大きな嬌声を上げて、フェイトはエリオの腰に自分の両脚を絡みつかせた
これ以上できないくらいに腰を密着させ・・・膣中に吐き出される熱い迸りを感じながら、フェイトの身体はゆっくりと弛緩していった・・・

満ち足りた弛緩の中、荒い息を吐く身体から、暖かい手によって寝間着と下着を脱がされている事に気付いたフェイトは、快楽の余韻に霞む視界を凝らした
豊かな胸に顔を埋めるように倒れ込んできたエリオが、そっと舌を伸ばして乳首をつつくように舐めている

「ん、エリオ・・・っ!?」

驚いて、少年の名前を呼ぶが・・・彼は潤んだ一瞥を返しただけで、赤ん坊の様に乳首を口に含んだ
母乳など出るはずが無い身体だが、エリオは乳を求めるように、堅くしこり立った乳首を唇で挟み、口の中では舌先でつつきながら、ちゅっちゅっと吸い上げる

「やっ、エリオ?あっ、それだめっ・・・んっ・・・はぁっ!」

絶頂を越えたばかりの敏感になっている身体を責められて、フェイトは為す術もな快楽に喘いだ
エリオは抗議の言葉には耳を貸さず、抵抗するように身をくねらせるフェイトの裸身にしがみついて動きを封じ、乳首を吸い、右手でたぷたぷと乳房を揉み、乳輪を指先でなぞる
背中に回している左手は、そのままフェイトの脇腹まで回し、優しい手付きで撫で上げた・・・ゾクゾクとした悪寒にも似た快感が身体を駆け巡る

「フェイトさん・・・キレイです」

ちゅぱ、という音と共に乳首から唇を離したエリオにそう言われて、フェイトの心臓は思い掛けず高鳴った
鼓動が跳ね上がった理由は、エリオが綺麗だって褒めてくれたからだ・・・だけど、どうして、こんなにも・・・?

混乱する思考は、エリオの愛撫に中断させられた
エリオは両手の指先で腰から脇腹、お腹までをさわさわと撫で上げながら、豊かな乳房の頂に接吻を落とし、そのまま唇を滑らせてゆく
胸の上で何度も、音を立ててキスの雨を降らせ、乳房の間を舐めてゆき、しなやかな腹筋を通り越し、おへその中にそっと舌で触れた

「っ!!?きゃぁっ!!?」

身体の中心から走った電流に、フェイトは思わず悲鳴を上げさせられた。身体はビクリと跳ね上がり、電流の余韻が体中をぴりぴりと痺れさせている
まさか、自分の身体の真ん中・・・臍までが性感帯だったとは夢にも思っていなかったフェイトであった
エリオの唇は腹部を越えて女性らしい丸みを帯びた下腹部を抜け、粘液に湿る柔らかな陰毛を掻き分け・・・フェイトの股間に辿り着いた

「フェイトさん・・・いっぱい、気持ち良くなってください」

その言葉に、均等な期待と不安をフェイトは感じ、どうにか身を離そうと藻掻こうとする・・・が、エリオの方が早かった
ぷっくりと膨らんだクリトリスにキスで触れ、しとどに溢れる愛液を吸い上げるように女陰に貪りついたのだ
自分が吐き出した精液までも飲み込んでしまうことには何の躊躇いも見せず、エリオはただ、フェイトに快感を与えるために全力を尽くす

「やぁぁっ!!エリオ、エリオぉっ!んっ、ふあぁぅ!あ、あ、んっ、あああ、だめ、だめぇっ!!」

股を閉じようとして腿に力を込めるが、股間を舐められながらではそんな抵抗も叶うはずがない
エリオはフェイトの膝の裏に掌を挿し入れると、ぐい、と持ち上げるようにして大きく開脚させた。ぱっくりと開いた秘部から、菊座までは露わになる格好を取らされた
食いしん坊な赤子が口から涎を垂らすように、フェイトの秘部ははしたない涎をだらだらと垂らしている
唇で秘部を啄むように刺激しながら、舌先を膣口に浅く挿し入れて、顔を小さく前後に動かしながら膣中を舐めあげた

「フェイトさん・・・」
「はぁっ、はぁっ・・・エリオ・・・」

愛液でべたべたになった顔をフェイトの股間から離して、エリオはいきり立った己の性器を再びフェイトの秘部に押し当てた
二度目の挿入では、最早抵抗と呼べる要素は何一つ無く、むしろ望んで受け入れるように、フェイトの膣は貪欲にエリオの性器を咥え込んだ
エリオはフェイトの腰を掴むと腿に力を込め、熱い沼地と化したフェイトの秘部を突き上げるように腰を深く突き込んだ
ぱんっ、というエリオの腰と、フェイトの尻がぶつかる音が、これから行われる行為の激しさの予兆のように大きく響く

「フェイトさん・・・いきますよ」
「ん、んっ・・・」
小さな絶頂の細波が何度も意識を揺らがせる・・・意識同様に、絶え間なく襲い来る快楽に翻弄される身体を捩りながらも、フェイトは何とかエリオに頷いて見せた
エリオはそれを確かめると、短距離走のスタートを切る直前のように大きく息を吸い込み・・・日々の訓練で鍛え上げられた下半身を駆使して、激しく腰を突き立てた

「うあああぁぁぁぁっ!!!!」

フェイトは髪を振り乱して、絶叫のような嬌声を上げた。豊かな乳房は勢い良く弾んで彼女の身体を襲う衝撃の激しさを物語る
痙攣するように膣中は収縮し、肉襞は突き込まれる性器に絡みつくようにぎゅっと締まるが、そんな抵抗をものともせず、エリオはフェイトの秘部を蹂躙する

「エリオっ、くっ、ん、んんーっ!!だ、めっ・・・私、もう、ずっとちっちゃいのが、来ててっ・・・ん、あぁぁっ!!!」

溢れる愛液が隙間から噴き出し、エリオの腰にまで跳ねかかった
フェイトは両腕と両脚でエリオの身体にしがみつく・・・食虫植物が、虫を捕らえるように、全身を使ってエリオの身体に抱き付いた
そしてフェイトは、快楽に潤んだ赤い瞳をエリオに向けて、息も絶え絶えという風情ながらも唇を動かし・・・

「・・・んっ、術式、逆算・・・拘束帯・・・ん、あんっ!リリースっ・・・ふあぁぁぁっ!!!」
「うああっ!ふぇ、ふぇいとさん、何で・・・!?くっ、あぁぁっ!!」

突如、膣の中で膨らんだエリオの性器にフェイトはひとたまりもなく絶頂に押し上げられ、エリオは迫り上がってくる射精感に堪えきれず、白い欲望をフェイトの中に吐き出した



「・・・全く、もう・・・おかしいと思ったんだよ・・・」
「すみません・・・」

全裸のまま、エリオはシーツの乱れたベッドに正座をさせられていた

「でも、こうでもしないと・・・フェイトさんに、伝えきれないかなって、思ったから・・・」

エリオの独白に、フェイトの顔は火が点いたかのように真っ赤になった
エリオが二度目の挿入からこっち、あれほどまでにピストン運動を繰り返して射精をあそこまで堪える事ができた秘密に、フェイトは気付いていた・・・
彼は、あろう事か、己の性器を締め上げるように魔力の拘束帯:バインドを巻き付け、射精を強制的に押し止めていたのである
なのはやユーノほどの拘束魔法はなかなか使えたものではないが、手錠程度のバインドならばエリオで使える・・・
単純な術式でしか魔術を組めないので、あっさり逆算されて破られてしまうのだが

「でもね、エリオ・・・あんな風に我慢するのはエリオが辛いだけだったでしょう?私は・・・それは、その・・・気持ち良かったけど・・・」

それだけは認めざるを得ないフェイトであった・・・が、この少年にそれを白状してしまうと、この子は我が身を省みず無茶ばかりしてしまう
それに思い至って、慌てて言い換える

「と、とにかくね、もうあんな事しちゃダメよ」
「はい・・・」
「・・・折角お風呂に入ったのに、汗かいちゃったね。一緒にシャワー浴びようか?」
「えっ、あ、あの、その・・・」

散々、裸を弄んだ筈なのだが・・・妙なところでウブな少年の手を引いて、フェイトはシャワールームに向かった





「ねぇ、エリオ・・・私は、エリオが好き。エリオとキャロが大好きだよ」
「僕も・・・フェイトさんとキャロの事が、大好きです」
「うん・・・ありがとう・・・エリオ・・・」





そして、およそ4ヶ月後・・・

新築された隊舎の屋上、ヘリポートには、旅装を纏ったエリオとキャロの姿。そして、それを見送る形の隊長陣の姿があった

「エリオ、キャロ。忘れ物とかしてないよね?お財布は?IDカードは?行き先はどこかとかちゃんと憶えてる?あと、ハンカチは持った?」

心配顔であれこれ世話を焼こうとするフェイトに、一同は揃って苦笑を浮かべていた
とはいえ、流石に今日ばかりはそれを冷やかそうとするものは居ない
二人もはにかんだ笑顔を見せて、背筋を伸ばしてはやて以下、機動6課隊長陣に向き直る

「・・・それでは、皆さん。この1年間、本当にお世話になりました」
「なのはさん、フェイトさん、八神部隊長、ヴィータ副隊長、シグナム副隊長、シャマル先生、ザフィーラ・・・本当に、ありがとうございました」

馬鹿丁寧なお辞儀をするエリオとキャロに、一同は笑顔を見せて、その小さな背中がヘリの搭乗口に消える
小さな窓の中で二人が涙顔で手を振っているのを見て、フェイトは両手をぶんぶか降って離陸してゆく機体を見送っていた

「いってらっしゃい!エリオ!キャロ!二人とも身体には気を付けてね!!」
「フェイトさんも、お体を大切にしてください!」
「落ち着いたらお手紙書きます!絶対です!!」

旅立ちを見送るのに、涙だけは見せないようにしよう・・・そう決めていたはずなのだが、赤い瞳からは止めようのない涙が溢れていた



この別れが一時のものであるとはいえ、辛くない筈がない・・・だけど、いつかは必ず会えるから、次に再会した時は極上の笑顔で二人を抱き締めてあげる為に・・・



「・・・私も、頑張らないとね・・・うん・・・」


誓いを新たに、フェイトは颯爽と歩き始めた
3人で作ってゆく、光り輝く未来に向かって・・・“子供達”に誇れる母親で在る為に





こっそりと、フェイトは袖口で目尻をゴシゴシ拭った

――― とはいえ・・・失恋は、やはり苦しいのだ
3326-111:2007/12/12(水) 22:31:13 ID:uf49/G/Z
以上です、長々とスレ汚し失礼しました

すまん、ペドは無理だ・・・

しかし、子供の決意と覚悟、そして強さ。大人の涙と迷い、弱さ
そんな場面ばかりを描く私はどう考えても紳士にあるまじき破廉恥漢です
本当にすみませんでした

では、スレ汚し失礼しました

34名無しさん@ピンキー:2007/12/12(水) 23:15:15 ID:y7V8ac0a
GJ!!
読みごたえあるなあ
35名無しさん@ピンキー:2007/12/12(水) 23:50:03 ID:ZGwri0SD
GJ!

……しかし、個人的にはフェイトとエリオにくっついてほしかったな(;;)
36名無しさん@ピンキー:2007/12/12(水) 23:51:02 ID:eXxeNX+L
GJ!
やっぱりフェイトさん一家は最高だ。
素晴らしい愛をありがとう。
37名無しさん@ピンキー:2007/12/13(木) 00:09:39 ID:8xBVEVap
>>33
GJ!
にしてもクオリティ高いな。
38名無しさん@ピンキー:2007/12/13(木) 00:12:08 ID:osroWHAd
>>33
イイヨーイイヨー
しかしフェイトさんってばエロいお母さんだな!
39名無しさん@ピンキー:2007/12/13(木) 01:59:26 ID:Ggeutk0K
>>33
フェイエリな展開も見てみたいんだぜ!
40名無しさん@ピンキー:2007/12/13(木) 01:59:54 ID:Ey3UZopU
失恋しているフェイトをなのはが(´д`)
41名無しさん@ピンキー:2007/12/13(木) 02:05:55 ID:4IRrR5qZ
>>33
終電を逃して1時間かけて歩いて帰ってきた身に、この素晴らしいSSはとても嬉しい…
GJです!
素晴らしい愛情をありがとう!
42名無しさん@ピンキー:2007/12/13(木) 21:31:54 ID:nIWMBwBA
>>33
GJ
心温まるSSをありがとう。
フェイトさん優しすぎる。(ノ_・。)
43名無しさん@ピンキー:2007/12/13(木) 21:47:16 ID:utkDkoWv
投下します

また間が空いたので概要のおまけを更に入れておきます

わだかまりはほとんどなくなったものの、
休日に遊びに行ったエリオとキャロを見守りたい
そんなフェイトの思いをはやてが子供化の魔法で解決させる。
だが、潜入先の遊園地で待っていたのは子供化のギャップによるハプニングだらけ!
おまけに1番見つかりたくない親友のなのはにまでその姿を見られてしまう!
どうなるフェイト! がんばれフェイト!

再び機動6課の休日 その4 始まります。
44再び機動6課の休日 その4:2007/12/13(木) 21:49:04 ID:utkDkoWv
「ど……どちら様、ですか?」
 フェイトの袖を面白そうに掴みながら首を傾げるヴィヴィオを目の前に、エリオの時と同じように別人のフリをしてしらばっくれる作戦に出るが……。
「フェイトちゃん……どうしたの? そんな姿になっちゃって」
 ヴィヴィオの後ろを見上げると、今一番会いたくない親友のなのはが不思議そうな様子でフェイトを見下ろしていた。
「あの……フェイトって誰ですか?」
 アニメや漫画なら顔に大きな冷や汗がフェイトの顔に描かれるであろう、それほど切羽詰った表情で半ばやけっぱちで嘘の返答する。
「え……フェイトちゃん、記憶が無いの? もしかして……また変なロストロギアでも見つけておかしくなっちゃった!? 私のことは解る?」
 なのはは慌ててしゃがみこみ、フェイトの両肩に手を載せ懸命に説得を開始するが、子供の姿になった当人は困惑したままだ。
 そもそも、フェイトがなのはの魔力を感知したのと同じように、なのはもフェイトが常に持ち歩いてるバルディッシュの待機状態の魔力を良く知った上で感知している訳で、
この状態で本人じゃないと言い張るのであれば何かによって記憶を操作されたか、一時的な記憶喪失になっていると判断するのは当然の結果であった。
「えー? フェイトママじゃないけどフェイトママだよ。ね? なのはママ?」
 ヴィヴィオもそれを感じ取ったらしく、前者はフェイトの姿そして後者はフェイトの魔力についてなのはへ確認を取った。
「間違いなくフェイトママだね、ヴィヴィオ。だからなのはママはフェイトママの記憶を取り戻すために、ちょっとショック療法をやってみるね」
「うん! なのはママ頑張って!」
 左手でヴィヴィオの頭を撫でながら、右手で赤く丸い宝石の形をしている魔法デバイス、レイジングハートを取り出すなのは。
「レイジングハート。ブラスター1をコンパクトモードで」
《All Right》
「えっ? あ、ちょっ……」
 片手で持てる小さな魔法のステッキの様な形状になったレイジングハートを構えたなのはが、状況が把握できていないフェイトにじわりじわりと迫り寄る。
「フェイトちゃん、ちょっと痛いけど我慢してね」
 レイジングハート先に魔力の集束が始まっている、どう見ても攻撃するき満々のなのはを見てようやく自分の状況を把握する。
「ごめん、なのは! ちゃんと記憶もあるし体が小さい意外は問題ないよ」
 平謝りするフェイトに、振り上げていたなのはの手が止まる。
「あれ? 本当に大丈夫なの? フェイトちゃん」
「う、うん。この姿になってるのはちょっと事情があって、ね……」
「あー、やっぱりフェイトママだー。フェイトママ、ヴィヴィオと一緒だね」
 ヴィヴィオは爪先を立てながら、フェイトの隣で無理やり背丈を合わせつつその頭を撫でていた。
「えへへ。フェイトママ正直に謝ったからヴィヴィオがいいこいいこしてあげる」
「うん、ありがとう。ヴィヴィオ」
 それを喜んで受け入れている様子は、あたかも仲の良い幼い姉妹の様な光景であった。

「……そう言う事だったんだ」
 ヴィヴィオがフェイトにいいこいいこしてから少し経ってから、フェイトが今までの経緯をなのは達に説明した。
 話してる最中に解った事が、なのはとヴィヴィオも街で買い物などを済ませた後に遊園地に来る予定だったらしい。
 もっと早く把握しておけば、回避できる手段はあったかもしれないと更に後悔した瞬間だった。
「そう言う事なの。だから2人が戻ってきたらそう言うことにしてもらえないかな?」
 ベンチに座っているなのはの上に座らされているフェイトはそうお願いした。
「そうだね……」
 その要望になのはは軽く考え込んでいた。
「じゃあ、こう言う約束してくれるなら手伝ってあげても良いよ?」
 耳打ちをされたフェイトの顔が、終わりかけの夕暮れ時の景色からでも解るほど見る見る真っ赤になる。
「え……で、でもそんな事したら仕事が……」
「大丈夫。何かあっても私が手伝うし、その辺ははやてちゃんも保障してるんだよね?」
45再び機動6課の休日 その4:2007/12/13(木) 21:49:57 ID:utkDkoWv
「あ、うん……そうだけど……」
 顔を赤らめたまま顔を背けるフェイト。
「どうしてもダメって言うなら別のお願いにでもするけど」
 困った表情のなのはを見てフェイトは首を横に振った。
「ううん。なのはがそれで良いならそれで良いよ」
 フェイトも少々困り気味であったが賛成する。
「それじゃあヴィヴィオ。今日だけフェイトママの事はプレセアお姉ちゃんって呼んでね?」
 なのはは膝上に座らせているフェイトの更に膝上に座っているヴィヴィオにそう話しかける。
「うん、フェイトママじゃなくてプレセアおねえちゃんだね。ヴィヴィオ解ったよ」
 後ろを向いて2人の話を聞いていたヴィヴィオが元気良く答えた。
「よし、ヴィヴィオは良い子だね」
「うんうん、良い子だから私もいいこいいこしてあげる」
 2人が頭を撫でるとヴィヴィオは嬉しそうに微笑んだ。
「うん、それにしても……」
「な、何? なのは」
 ふにふにと自分の膝上にいる子供姿のフェイトのあちこちを軽くつまんでいるなのは。
「この時のフェイトちゃんって、こんなに柔らかかったっけ?」
「それは……あっ……なのは、そんな所揉んじゃ……」
 感覚は大人のままなのであろうか、本当の子供であればくすぐったいと反応する場所をまさぐられると大人の反応をするようである。
「へぇ、感覚は大人のままなんだね。今夜が楽しみだよ、フェイトちゃん……」
「ヴィヴィオもするー。お医者さんごっこー」
 耳元で艶やかに呟くなのはと同時に、ヴィヴィオも無理やり体を捻りフェイトを正面からあちらこちらをいじり始める。
 だが、こんな最中に2人が戻ってきたらマズい。
 早く止めて貰いたいと願うものの、子供の感覚を大人の脳で感じ取るかつて無い感覚も捨てがたいと、複雑な心境でそれに甘んじるフェイトであった。
46名無しさん@ピンキー:2007/12/13(木) 21:51:26 ID:utkDkoWv
だんだん短くなってる気がしますがこれにて投下完了。

エロ無し言ってる割には少しえっちくなってしまいました。
とりあえず、次回で終わる予定なのでご期待を。
47名無しさん@ピンキー:2007/12/13(木) 22:13:31 ID:prpZT1SA
うはw
さっそくいじられてるフェイトさんかわゆいwww
どんどんエッチクしていってください、むしろカモーンです。
投下楽しみに待ってます。
48名無しさん@ピンキー:2007/12/13(木) 22:20:18 ID:nwanMI7L
イイヨイイヨー

とりあえずすぐ魔力に訴えるなのはさん自重wwww
49名無しさん@ピンキー:2007/12/13(木) 22:22:32 ID:7m7vmLyy
>>46
GJだ!
しかしプレセアお姉ちゃんって…某君と響き合うRPGを思い出して仕方ないwww
それにフェイト、はやてにシグナム、最後になのはとどんだけ女を狂わせれば……あれ、外が明るくn
50名無しさん@ピンキー:2007/12/14(金) 00:34:26 ID:zjXJb6aQ
>>49
>某君と響き合うRPG

戦斧の様にでかくなったバルディッシュを幼ボディでブン回すフェイトさんと申したか
で御歳二十こうh
(雷鳴轟く
51名無しさん@ピンキー:2007/12/14(金) 07:51:35 ID:0/gtD3IM
test
52ておあー:2007/12/14(金) 15:48:20 ID:ro97YGU7
ダレモイナイ、投下イマノウチ…前スレが微妙に残ってますが、容量が足りないようなのでこちらに・・・
前回レス下さった方、ありがとうございました。

て 「ところでこの守護獣(前スレ>>414)を見てくれ。こいつをどう思う?」
●<『It's a direct hit. (直撃ですね)』
て 「おま……そこは『すごく……直撃です……』だろ……まあそれはともかく、蹴りだのご飯抜
   きだの、ここ数スレのザフィの扱いの悪さは見るに忍びない。何とかならんのか?」
●<『I have a method. (手段はあります)』

というプチトマト型インテリジェントデバイスとの会話があったりなかったりしたので玉砕覚悟で
ネタザフィの流れに反逆。諦める方向には進みたくない…そう、ここは抗う場面です!!

今回の注意
・ちょっと粋がってみたけど……うん、非エロなんだ。すまない
・ザフィーラとアルフがまったり
・時期的にはA'sエピローグの後、はやてがクラナガンに移住する直前
・本編で解決しなかったあの謎について答えを捏造してみた
・一部キャラが黒かったり壊れてたりします


以上がアウアウな方はシルバーカーテンの使用をお願いします。
53-Fairytale-:2007/12/14(金) 15:49:21 ID:ro97YGU7
「ザフィーラ?」
 
 八神はやてはフェイト・T・ハラオウンから彼女の守護獣の居場所を聞かれ、怪訝そうな表情で
答えた。

「会が始まってしばらくは一緒におったけど、そういえば見当たらへんなあ」
 はやては辺りを見回すが、確かに普段は自分の側から一定の距離以上離れず、自分の様子をそれ
となく見守ってくれているその姿が今は何処にもない。

「まあ、どっかその辺におるんちゃう? ザフィーラにもいろいろ思うところがあるやろうし」 

 中学を無事卒業し、なのは達がミッドチルダに生活の拠点を移すまであと数日となったこの日。

 バニングス家が所有する別荘で、関係者を集めてのお別れパーティーが行われていた。
 なのは、フェイト、はやて、アリサ、すずかの仲良し五人組と彼女達の家族はもちろん、アース
ラの乗組員等を含む時空管理局の関係者も参加した大規模なパーティーは、お別れ会という事で初
めの方こそ粛々とした雰囲気で進んだものの途中からはただの大宴会と化し、今では何処に誰がい
るのかわからない有様になっていた。

「思うところ?」
「ほら、私らがクラナガンに引っ越したら、これまでみたいには会われへんようになるやろ」

 ああ、とフェイトが納得したように手を叩く。

「そういえばいないね、アルフも」
「せやろ?」

 ザフィーラとフェイトの使い魔、アルフ。
 どちらも狼を素体としている事もあり(ザフィーラは使い魔である以前にプログラムではあるが)
管理局の任務が無い時などは二人して出かけたりする場面も目撃されていた。

 だが、ミッドに活動の拠点を移すフェイトに対し、アルフは『フェイトの帰る場所を守る』ため
海鳴に残る事を決めていた。
 つまり二人にとっても別れの刻は迫っていたのだ。
 もし周囲が噂するように恋人かそれに近い関係であるのならば二人で何処かへ消えてもおかしく
はないだろう。

「なんや、二人の事が気になるんか? フェイトちゃんも興味なさそうな顔して意外とそういうの
好きなんやなあ」

 もっとも高町なのはとユーノ・スクライアという二大巨頭の陰に隠れて目立たないだけで、ザフ
ィーラも相当な朴念仁ぶりである。二人がどこまで進展しているのか本当のところを知る者はなく、
周囲の者達にとってその真相は艦船アースラに七不思議の一つと化していた。
 はやてに笑われたフェイトは顔を真っ赤にして反論する。

「そ、そんなんじゃないよ! 私はただあの格好の二人が普通の人に見られたらどうしようって思
っただけで……!」

 確かに今日の二人は人間形態をとっていた。
 会の参加者達は魔法の存在について既に認識している人間ばかりなので心配は無いが、何も知ら
ない一般人に犬耳と尻尾という、明らかに普通の人間とは違う身体的特徴つきの二人を目撃された
らどうしようというフェイトの心配も分からないではない。

「まあ今日ここに居るのは私らだけやし、もしたまたま通りかかった人に見られてもその時は『海
鳴の森に住む獣人、その名はウミゴン!』みたいな感じで新しい街の名物になってくれるんとちゃ
う? ネッシーみたいな感じで」
「もう……」
54-Fairytale-:2007/12/14(金) 15:50:12 ID:ro97YGU7
「あはは、まあ心配あらへんて。それにもし誰かに見られても、見た方も言いふらしたりせえへん
よ。今の日本で尻尾の生えた人間を見たなんてゆうても、『御伽噺やないんやから』で笑われて終
わりや」
「そ、それはそうかもしれないけど……」
「まあどないしても気になるっちゅうんやったら……シャマル」

「はあい、ここに」
 いつからそこにいたのか、クラールヴィントを指に装着済みのシャマルが既に待機していた。

「探しに行こか?」
「でも、もし二人で話とかしてたら邪魔しちゃ悪いよ」
「まあ仲良くお話しとるくらいやったらええんやけどな」
「まあお話には違いないですよ? 使うのが普通の言葉か肉体言語かって違いだけで」
「ハハハこやつめ」
「え? え?」
「ああ、気にせんでええよ。むしろフェイトちゃんはずっとそのままのフェイトでおってな。ほん
なら私らはちょっと二人の要救助者を探しに行ってくるわ」
「え、あ、ちょ……」
「ん、やっぱり一緒に来る? どうせなのはちゃんは今日はアリサちゃんやすずかちゃんとベッタ
リやし、話する人がおらへんのは寂しいもんな」
「他にも話する人はいるよ! シグナムとかヴィータとか……」
「夜の森は物騒やしな、シグナムも用心棒に連れてくわ。あとヴィータはリインを寝かしつけに行
って、そのまま一緒に寝てしもたで」
「……クロノとか」
「あら、クロノ提督ならさっきエイミィさんとどこかに消えて行きましたよ?」
「……」


 五分後。

「わ、私はただ急にアルフが居なくなって心配だから探してるだけだよ! 別に友達が少ないとか
じゃないんだよ!?」
「わかっとるって。ユーノ君とかもおるしな」
「あ(忘れてた)」


「あら……お酒が進んでないわよ、ユーノ君?」
「だめよレティ、ユーノ君はまだ未成年なんだから。はい、代わりにハラオウン家特製のお茶で我
慢してね」
「いや、この場合むしろお酒の方が……」


-Fairytale-
55-Fairytale-:2007/12/14(金) 15:51:10 ID:ro97YGU7
 フェイト達が臨時の捜索隊を結成していた頃、当の『要救助者』二名はパーティー会場から少し
離れた湖畔にいた。

「……体の調子が優れないのか?」

 口を開いたのはザフィーラ。

「別に……」

 短く応えたのはアルフ。

 もともとこの二人が会話する時は、もっぱらアルフが話しザフィーラが相槌を打つ形になる。
 それが今日はアルフがほとんど喋らないため、珍しくザフィーラの方から話題を振る格好になっ
ていた。

「なんでもない訳がないだろう。普段は人の物まで勝手に食うお前が、自分に取り分けられた料理
を残すなど明らかに不自然だ。悪い箇所があるのなら、シャマルに……」
「なんでもないって言ってんだろ!!」

 沈黙。

「スマン、悪かった」
「いや、アタシの方こそ……」

 ザフィーラが話しかけ、アルフが言葉短かに答え、会話が途切れ、またザフィーラが話しかける。
 湖畔に来てからの二人は万事においてこの調子だった。

 しかし何度そのサイクルを繰り返しただろうか。
 ふいに、アルフがこの日初めて自分からザフィーラに声をかけた。

「……あのさ」
「何だ」
「……いつ発つんだっけ?」
「四日後の朝だ」
「そっか」
「そうだ」
「……あのさ」
「だから何だ。言いたい事があるならハッキリと言え」
「……寂しくないのかい? この街を離れるの」

 ザフィーラは少しだけ考える素振りを見せた後、何かを見つけ出すように目を細める。

「主はやての下に呼び出され、この地で暮らす様になって六年。転生と消滅を繰り返しながら過ご
した永き時に比べれば、六年という日々はほんの短い期間に過ぎん。ただ……一人の主の下に留ま
り、一箇所で過ごした時間としては今回が一番長い」
「そうなのかい?」
「基本的に闇の書が完成に近づけば、我らヴォルケンリッターは自ら闇の書の一部として吸収され
消滅する。我らは所詮、闇の書の頁を効率よく蒐集する為に造られたプログラムに過ぎん。闇の書
が完成すれば我らの存在は意味を成さなくなる。中には稀に我らを手駒として用いる主もいたが…
…それも長くは持たなかった。闇の書という巨大な力を手に入れたいという欲望に抗う事ができず、
やがては……」
「そっか……」
「そういう意味では、この場所には少なからぬ思い入れがある」

 いつもは寡黙なザフィーラが珍しく饒舌に語る。
56-Fairytale-:2007/12/14(金) 15:51:47 ID:ro97YGU7
「主はやてと出会った。

 争いの無い日々という物を初めて知った。
 空の青さと星の美しさに気づく事ができた。

 自分達が存在する理由を否定された。
 代わりに新たな理由を得た。

 闇の書の一機能に過ぎなかった自分が、初めてそうプログラムされたからではなく、己の意志で
主を護り、救いたいと思った。
 そして……初めて主の命に背き、誓いを破り、過ちを繰り返した」

 ザフィーラが一旦言葉を切り、拳を硬く握り締める。

 それは彼にとって、未来永劫消す事のできない苦い記憶。
 彼だけではない。ヴォルケンリッターは皆今でもあの時はやてを救おうとして彼らが犯した罪を、
これまでの主の下で犯してきた全ての罪を忘れてはいないし、忘れようとはしない。今までもそう
だったし、きっと彼らはこれからもそうしていくのだろう。

 けれど諦観に心を閉ざし、その罪にゆっくりと押し潰されていた過去の彼らはもういない。
 過去に、未来に、運命に。
 正面から向き合い、背負い、償うために前を向いて一歩を踏み出す。
 そんな生き方がある事を、永遠にも似た彷徨の末に巡り会えた今の主が教えてくれた。
 
 だから言葉が途切れたのは僅かな時間。
 再びザフィーラが口が言葉を紡ぎ、アルフはそれを見守る。

「やがて、我らを止めようとする者と出会い、心揺り動かされた。

 それでも運命は変わらず、一度はこれまでのように消滅した。
 だがまた同じ場所に送還された。

 そして今度は、運命を変えるために戦った。
 戦いが終わり、小さくは無い犠牲の元に遺った物があった。
 遺された言葉があり、遺された心があり、遺された道があった。

 今でも我らはこの道を歩み、またこれからもずっと進み続けていくだろう。
 その道を辿れば、始まりの地はこの場所だ。
 闇の書の転生機能が失われた今、我らの生は正真正銘唯一の人生となった。だが、たとえ幾度転
生を繰り返したとしても、この地で会った出来事や人々の事はけして忘れないだろう。
 この地は我らにとってもう一つの故郷。
 きっと何処に行っても、何をしていてもこの地が我らにとっては『帰ってくる場所』だ」

 ザフィーラはそう言い切ると天を仰いだ。

 その横顔を見たアルフは少しだけ寂しそうな表情を見せた後、笑顔を作り口を開く。
57-Fairytale-:2007/12/14(金) 15:52:29 ID:ro97YGU7
「アタシが此処に残る理由、もう一つできたね。フェイトだけじゃなく、アンタの『帰る場所』で
もあるこの場所を守る」
「そうだな。お前が居てくれれば安心だ」
「おう、任しときな。前線は引退するけど、いざとなったらいつだって戦線復帰してやるよ。その
代わり」
「無論だ。主はやてを護り、彼女を助けこの世界の平穏を護る」
「オッケ、間違ってもアタシを出張らせるような場面を作るんじゃないよ」

 盾の守護獣と金の閃光の使い魔が拳を合わせ笑いあう。

 その時すっかり機嫌を取り戻したらしいアルフのお腹が『きゅくる〜』とどこかのチビ竜のよう
な音を奏でた。

「どうやら食欲も戻ったようだな」
「まあ、食ってないから腹も減るさ。さあ、食い直しに戻るとするかねえ」
「やれやれ、その調子なら心配なさそうだな」
「心配? アタシをかい?」

 ザフィーラがずっこける。

「何やってんのさ」
「だからさっきからそう言っているだろう……全く、お前という奴は」
「なんだ、珍しくアンタの方からこんなところに連れてきたと思ったらそういう訳かい。そりゃあ
悪かったねえ。まあアタシにだって調子の悪い時くらいあるよ。気にしない気にしない」






「……それでは、困るのだ」





「え?」




 狼の聴覚が不意に捉えた、ほんの小さなその呟き。

 アルフがザフィーラの顔を見やる。
 普段はめったに表情を崩さないザフィーラが、『しまった』という表情をしていた。

「今何か言ったよね?」
「き、気のせいだろう」
「いーや、確かに聞こえた! なんでアタシの調子が悪いとアンタが困るんだよ?」

 追求するアルフも少し顔が赤い。
58-Fairytale-:2007/12/14(金) 15:53:22 ID:ro97YGU7


 
 沈黙。

 まだ沈黙。

 まだまだ沈黙。

 まだまだまだまだ(ry


 

「し……しばらく会えんというのに、別れ際に見るお前の顔が曇っていては安心して発てんだろう」


 沈黙を破ったのはザフィーラ。

「だ、だから何か悩みがあるのならば相談に乗ろうと言っているのに、お前が……」



 おそらく、この場にヴィータがいたら腹を抱えて大笑いしていただろう。
 おそらく、この場にシグナムがいたら今後十年はからかいのネタにされていただろう。 
 おそらく、この場にシャマルがいたらニヤニヤしながら場を去り、翌日にはそこら中に噂が広ま
っていただろう。
 
 耳と尻尾を小刻みに震わせ、面白いほどに動揺しているザフィーラ。
 アルフはそんな彼につかつかと歩み寄ると、すっとその背後に回り――


「そんなもん、とっくに解決しちまったよっ!!」


 大きな思い切り背中を引っぱたいた。

「……っ!! 何をする!? ア……ルフ……」

 引っぱたく、というよりむしろ殴打に近い一撃を食らい、ザフィーラが派手に倒れる。
 そのままアルフは蹲るザフィーラに抱きつき――

「愛してるよ、ザフィーラ!!」

「ア、アアアルル、フッ、な、ななな何を……」
「ほらほら、女がここまで言ってんだよ!? 男として返す言葉があるだろっ! なんなら態度で
示してくれてもいいんだよ!!」
「ここ言葉だとっ!?」
「そうだよっ!」
「そ、そんなこどぉっ!」
「ほれ言いな、さっさと言いな!!」
「こら、殴るなっ……くそっ!」

 そしてザフィーラはついにその言葉を口にして。 
59-Fairytale-:2007/12/14(金) 15:54:41 ID:ro97YGU7
「愛している! 愛している! 愛しているぞ、アルフっ!!」
「ちょっ、声が大きいっ! 向こうの連中に聞かれたらどうすんだよっ!!」
「ギャウン!!」

 また殴られた。
 

 ここで両人の名誉の為に言っておく。
 自然界では、往々にして雌の方が強いのだ。
 

    ◆


「……ったく、いきなり大声を出すんじゃないよ」
「……言えと言ったのはお前の方だろう」

 湖畔の草むらに、一組の男女が寝転がっている。
 先程まで大喧嘩(という名の一方的な襲撃)をしていた二人だったが、その熱も冷めようやく落
ち着きを取り戻しつつあった。

「……ねえ、ザフィーラ?」
「何だ」
「一つ、お願いがあるんだけどさ。聴いてくれるかい?」
「願い事によるな」
「……こういう時は、普通嘘でも『何でも聞く』って言うもんだろ」
「……悪かった。何でも聞く」
「ホントかい?」
「それは今お前が……本当だ」
「そうそう、それでいいんだよ。そんじゃあ早速なんだけどさ、アンタのその今の格好……向こう
で暮らすようになったらやらないでくれないかな」
「人間態の事か?」
「そう。任務でその姿になる必要があるとかなら、別に構わないんだけどさ。なるべくなら見せな
いようにしてほしいってだけで」
「それは構わんが、一体なぜだ?」
「それはまあ……別にいいじゃん。男が細かい事を気にするもんじゃないよ」
「細かいと言われても困るのだが……それとも何か理不尽な理由なのか? それならばこの頼みは
却下だ」
「はぁ!?」
「どうしてもというのであれば理由を説明しろ」
「くうっ……乙女心のわかんない奴だねっ! この鈍感!! 朴念仁!!」
「は!? なぜそうなる!?」
「いいかい、一度しか言わないからよく聞きなよ! ……アンタの顔がいいから、他の女が近寄っ
てこないようずっと狼の姿でいろって言ってるんだよ! もうっ!! わかったかい!!」
「……把握した。しかしそのような理由であれば、頼みを聞くわけにはいかんな」
「なっ! 聞くだけ聞いといて……」
「どうしてもというのならこちらから一つ条件を追加だ。お前のその姿を見て、他の男が近寄って
こないとも限らない。だから普段はずっとあの子供の姿でいろ」
「――っ! アンタはまたさらっとそういう事を……」
「駄目か?」
60-Fairytale-:2007/12/14(金) 15:55:25 ID:ro97YGU7
「じゃあこっちも条件を一つ追加! アタシの前で人型になったらキス一回!! それで手を打っ
といてやるよ!!」
「それならばこちらも条件をもう一つ追加……」
「却下!!」
「な、なぜだ!?」
「なんでもだよっ!!」
「……分かった、了解だ」
「よし。それでこそアタシの惚れた男だよ」
「……しかし」
「なんだい、まだ文句があるのかい」
「いや、もうない。ただ少し思い出した事があるだけだ」
「思い出した?」
「ああ。古代ベルカに伝わる古い御伽噺。呪いで醜い化け物の姿に変えられてしまった王子が、優
しく美しい姫の口づけによって呪いから解き放たれる。そんな御伽噺だ。」
「ふうん……でもその御伽噺と私達には、決定的な違いがあるよ」
「どんな違いだ?」
「醜い化け物に変わった王子と違って、アンタは狼の姿でも十分カッコいいってとこさ」
「……ふ、ふむ。だが、姫とお前にも決定的な違いがあるぞ」
「へえ、どんな違いだい?」
「姫と違ってお前は優しくはなギャウン!!」


    ◆


 それから、二人は何事もなく戻ってきたのだが……

「結局シャマルが酔っ払ってクラールヴィントを使えんかったせいで、二人とも見つけられへんか
ったなあ」
「エイミィさんの代わりにぃ〜、にょろーん♪」
「……まあこの酔っ払いはほっとくとして、どないしたもんやろ」
「あ、はやて! 二人とも戻って来たよ!!」
「ありゃ、ホンマやね。さあそんならどないして尋問したろうか……ってあら?」
「アルフがちっちゃくなって、ザフィーラは狼の姿で、しかも傷だらけになってる……?」
「ま、まさか!!」
「どうしたのはやて!?」

「……ロリ形態のアルフと獣姦&SMプレイ!? あかん、それはなんぼなんでもマニアックすぎ
るでザフィーラ!!」


「……はやて、少 し 頭 冷 や そ う か。シャマルさん」
「はぁ〜い♪ はらわたをぶちまけろぉ〜、旅の鏡ぃ〜」


 ずぼっ。


「ておあああああああああああぁぁぁぁっ!?」
「ああっ、ザフィーラ!? しっかりおしっ! メディーック! メディーック!!」
「ダメアルフ! むしろそれをやったのがメディックだから!! それからごめんねザフィーラ!!」


 結局ザフィーラは、クラナガンに出発する日まで寝込む事になるのだが、それはまた別の話。
 

「コップがちいっとも空いてないわよぉ、ユーノくぅん?」
「だめよレティ、それ以上やると桃色の砲撃が飛んでくるわ。はい、代わりにハラオウン家特製の
お茶で我慢してね」
「お、お酒は飲んでないけど、吐きそうです……」
61ておあーorz:2007/12/14(金) 15:56:36 ID:ro97YGU7
以上ザフィーラが三期で人型にならなかった理由でした。お付き合いくださった方、ありがとうご
ざいます。

……うん、『人に頼む前にまず自分で書け』を実践したらこのザマなんだ。ごめんな。悪りい。す
まねえ。許せ。
という事でこれから少し頭を冷やしてくるので、超絶カッコいいザフィーラとロリ形態アルフの獣
姦&SMプレイを誰か頼m(ry


あと前スレ>>22
ユー×4&10……って自分の書いたやつです……よね? 
構想は無い事もないんですが、かなり長くなりそうなので手をつけられないのが現状だったりしま
す。自分の場合既に書きかけのフリエリが富樫状態、数の子話も書きかけと長期戦の結果が芳しく
ないので……生暖かく見守ってもらえれば幸いです。
62名無しさん@ピンキー:2007/12/14(金) 15:58:29 ID:FaRFkmL9
>>61
GJ! 初めて投下に遭遇して感動した。
意地っ張りな二人は見ていて楽しいなw
63名無しさん@ピンキー:2007/12/14(金) 17:04:12 ID:l8yLv/2W
>>61
GJ!久しぶりに幸せなザフィーを見せてもらいました
ユノなのとは違ったいいバカップルでww

>「いいかい、一度しか言わないからよく聞きなよ! ……アンタの顔がいいから、他の女が近寄っ
てこないようずっと狼の姿でいろって言ってるんだよ! もうっ!! わかったかい!!」

他のキャラが美形揃いなだけに、『たで食う虫も好き好き』と言う言葉が…あれ、こんな時間に誰だろう…
64名無しさん@ピンキー:2007/12/14(金) 17:11:57 ID:GY0NEJqG
GJ!
しかし熟女二人はユーノ狙いなのか…?
65名無しさん@ピンキー:2007/12/14(金) 17:45:36 ID:0/gtD3IM
GJ!
これは良い盾の守護獣!このザフィーラは間違いなく良い父親になれる

>「まあお話には違いないですよ? 使うのが普通の言葉か肉体言語かって違いだけで」
>「ハハハこやつめ」
>「え? え?」

むしろ肉体言語verを!

66名無しさん@ピンキー:2007/12/14(金) 17:46:32 ID:CYBEBpEG
>>61
お前は甲斐性なしのロクデナシだ。



よくやった。GJ。

>>63
童顔女顔揃いの男性陣の中で屈指の男前なザフィーラになんてことを……
67名無しさん@ピンキー:2007/12/14(金) 21:18:37 ID:G3gNTXZZ
>>33
 相変わらずいいお話でした、GJ!

 しかし、あれですね。
 キャロとの初えっち時に、どうしてエリオくん、こんなに上手なのってな
ことになりそうな気がするんですが……。
 その辺どうなんでしょうかっ?!
 そこから始まる三人ピー

>>61
 GJ!
 二人の間にそんな約束があったんだと素直に信じてしまいそうなSSでした。
 ごちです。
68名無しさん@ピンキー:2007/12/14(金) 21:29:39 ID:LxWZLL6X
>>61
GJ、ナイスカップルです。

前スレ555のAA、続きが気になるんですが。
69名無しさん@ピンキー:2007/12/14(金) 22:39:41 ID:nlACNkbi
いい話が二本もあってウレシス
どっちもG・J!
後前スレAAで埋めた奴ちょっと出てこい
70名無しさん@ピンキー:2007/12/14(金) 23:15:18 ID:6hqI4g2a
保管庫wikiが放置されてるのは触っちゃいけないことなんだよね?
71名無しさん@ピンキー:2007/12/14(金) 23:23:01 ID:0/gtD3IM
保管作業、手伝いたいんだけど・・・編集ページに入れないんだ
無知でスマン、無能でスマン

だから、管理人の方、詳しいwikiの編集方法を教えてください。orz
72名無しさん@ピンキー:2007/12/14(金) 23:37:59 ID:UmXQH/tq
LivedoorID持っててwikiの成形ルールさえ知ってりゃなんとかなるんじゃねーの?
73名無しさん@ピンキー:2007/12/14(金) 23:41:01 ID:llCykkaQ
編集制限されているから
立候補しないと許可してもらわないと
編集できないよ
74名無しさん@ピンキー:2007/12/14(金) 23:47:35 ID:0/gtD3IM
そうだったのですかぃ・・・
立候補、っていうと、livedoorIDの提示でOKなんでしたっけ?

いきなり立候補します!って言うのも管理人さんにご迷惑でしょうが・・・微力ながら力になりたく思っています
その他、条件などあれば教えていただけませんか?よろしくお願いします


75名無しさん@ピンキー:2007/12/14(金) 23:56:46 ID:/e+SZbr2
乙っすなの
76549 ◆xbn1Z6LB3Q :2007/12/15(土) 09:22:50 ID:X7m7wLnc
>>70
不甲斐ない管理人でごめんなさい。
過去スレのテキストは今夜アップする予定です。

>>74
いえ、立候補はいつでも大歓迎です。
Livedoor IDを取得して教えてください。
編集できるように登録します。

いつも保管庫を押さえてアクセス数1位だったとこが、Livedoorからインタビューを受けていたのにもかかわらず荒らされて移転しました。
なので誰でも自由編集にするのは怖くてできません。

で、まとめ方については、こんなところでしょうか?
・読み切りは1ページにまとめる。
・続き物は目次ページを用意し、各回のページに目次へのリンクを入れる。
・SS本体のページには作者ページへのリンクを入れる。
・タグは作者名、短編/長編の区別、主登場者や組み合わせ、スレ番号、エロ種別、目次ページなら目次を入れる。
・スレ毎に作品一覧のページを作る。
・作者毎に作品一覧のページを作る。
・新しい作者は作者一覧にリンクを追加する。
・特別な構成のSSは臨機応変に。

では、これから病院のハシゴをしてきます。
77名無しさん@ピンキー:2007/12/15(土) 11:12:39 ID:St+XyNr/
壱乙
そして549さん、頑張ってください!
7874:2007/12/15(土) 12:09:28 ID:E9JNN93J
>>管理人殿

livedoorID 「oratori0」
オラトリ・ゼロです。最後の0は数字のゼロです。紛らわしいですがよろしくお願いします

無能者ではありますが、微力を尽くさせていただきます
そして、病院はハシゴするもんじゃないですぜ。ご自愛ください

では
7938 ◆KHEtQ2j5Nc :2007/12/15(土) 13:20:24 ID:bfXOAQLQ
管理人さんリアルにご自愛ください。

それはそれとして、書きあがったので投下します。

・ヴェロッサ×はやて
・裸エプロン
・いじめられるのが好きなMなはやてさん

では、行きます。
8038 ◆KHEtQ2j5Nc :2007/12/15(土) 13:21:24 ID:bfXOAQLQ
ある部隊長の誘惑

「……はぁ……」

溜息を吐いて、ぐでーっと机に突っ伏すはやて。

「……あかん……、ロッサ分が足りん……」

そう呟いて脱力するはやてに、通信が入った。

『……はやてちゃん?』
「は、ははは、はい! な、な、何や!?」

大慌てで身体を起こすはやてに、なのはは苦笑して、言った。

『任務、完了したよ。ロストロギアは無事回収したし、怪我人も無し!』
「ん、分かったわ。……今から戻るんやと、こっちに着くの、真夜中になってまうな……。
 ……急な任務も入っとらん事やし、今日はそっちに泊まって、明日帰ってくればええで?」
『うん、分かった。……みんな、喜ぶよ』

そう言って笑ったなのはに、はやても微笑む。
と、突然通信が入り、はやては表情を真剣な物に変えた。

「あ、ごめん、通信入ったわ。……ほな、楽しんで来てな?」
『うん!』

そう言ったあと、なのはからの通信は切れ、間髪入れずにはやては通信を切り換える。
と、

『あ、はやてちゃん?』
「リンディさん! ……どないしたんですか?」

珍しく焦った様子のリンディが映り、はやては首を傾げる。
と、リンディが焦った表情のままで口を開いた。

『実は、本局の方で食中毒が発生しちゃって、医務官の人手が足りないのよ。
 ……シャマルさんの手が空いてたら、ちょっと本局の方に回してもらえないかしら?』
「今シャマルは暇なはずですし、ええですよ。すぐに行くように言っておきますわ」
『本当? 助かるわ、ありがとう!』

じゃあ私は他にも声掛けないといけないから、と言ってリンディからの通信が切れると、はやては腕を組む。

「リインはみんなについとるし……、今日はうちとザフィーラだけなんか……」

何ザフィーラに作ってあげよかな、とはやてが考えていると、ザフィーラから念話が入った。
8138 ◆KHEtQ2j5Nc :2007/12/15(土) 13:22:53 ID:bfXOAQLQ
『……主』
「ん? どないしたん? ザフィーラ」
『……その、ですね。アルフが今日早く上がれるようなので、その……』

やたら歯切れが悪いザフィーラ。良く見ると、微かにその顔は赤くなっていて。

「……デートの約束でもしとるん?」
『!!?』

そうはやてが呟いた瞬間、ザフィーラは硬直し、はやては思わず吹き出した。

「……ええよ、行っといで。……今日は宿舎に戻ったらあかんで?」
『あ、主ぃっ!?』

思わず真っ赤になったザフィーラに、はやては爆笑しながら通信を切って……、……途方に暮れた。

「それなら、今日は1人なんやねえ……」

そうはやては少し寂しそうに呟いて、ふうっ、と1つ溜息を吐く。
……すると、何を思い付いたのか、はやては突然ぽん、と手を打った。

「……そうや、そうやそうやそうや!」

そう言いながら、はやては通信機を操作する。
そして、モニターに映った青年の姿に、はやてはへにゃ、と表情を崩した。

「ロッサぁ♪」
『ん? どうしたんだい? はやて』

へにゃへにゃと笑み崩れるはやてを、ヴェロッサは微笑んで見やる。
その笑みに魅了されながら、はやては口を開いた。

「あのな、ロッサって今晩暇?」
『……ちょっと待って……、……ああ、特に予定は無いね』
「それやったら、今晩私の所に来ん? 今日、だれも家におらんけん」

そう言ったはやてに、ヴェロッサは一瞬だけ目を見開く。
しかし、すぐにいつもの笑みに戻ると、口を開いた。

『それなら、お邪魔させてもらおうかな』
8238 ◆KHEtQ2j5Nc :2007/12/15(土) 13:23:56 ID:bfXOAQLQ
その夜、
はやての宿舎の前に立ったヴェロッサは、いつも通りの表情で、インターホン押す。
と、そこにはやての声が聞こえた。

「……ロッサやろー? 鍵、開いとるでー?」

そう言われ、ヴェロッサは無用心だな、と思いながらドアを開け、中に入る。

「お邪魔するよ、はや……て……」
「……い、いらっしゃい、ロッサ」

……そして、はやてを見るなり固まったヴェロッサに、はやては少し赤くなりながら笑う。
今のはやての服装は、素肌の上にエプロンを羽織っただけ。
そう、所謂「裸エプロン」だった。

「ど、どう? 似合っとる……かな?」

そう言うと、はやては恥ずかしさに耐えかねたように、後ろを向いて逃げ出そうとする。
そんなはやてを抱き締めて、ヴェロッサははやての耳元に囁いた。

「……はやて? もしも僕が来る前に他の人が来てたらどうするつもりだったのかな?
「そ、それは……」
「……言っておくけれど、僕はこう見えても独占欲強い方なんだからね?」
「……ぁぅぅ……」

真っ赤になって縮こまるはやてに、ヴェロッサはにっこりと笑って、囁いた。

「……そんな無防備なはやての身体に、ちゃんと教え込んでおかないとね?
 ……そんな格好してる所他の人に見られたら、どんな風になるか」
「―――っ!」

その瞬間、はやては真っ赤を通り越してオーバーヒートする。
しかし、その表情には、明らかに喜びの色が浮かんでいた。

「(……久し振りに……、ロッサにめちゃくちゃにしてもらえる……!)」

……どうやら、はやては今までヴェロッサに虐められ、達しまくり……、
……虐められる事に病み付きになってしまったらしい。
そんなはやての内面は露知らず、ヴェロッサははやての身体に手を滑らせた。
8338 ◆KHEtQ2j5Nc :2007/12/15(土) 13:24:34 ID:bfXOAQLQ
「……あ……あかん……料理、冷めてまうよぅ……」

こりこりと胸の先端を転がされ、身体を震わせながらはやてはそう言う。
……語尾にハートマークが付きそうな程甘い声で言っていたのでは、説得力も何も無いが。
しかし、

「……そうだね。……デザートは、食事の後に食べるのが普通だしね」

そう言ってヴェロッサは手を止め、はやてを抱き上げて居間に向かう。
その胸に顔を埋めながら、はやては後悔の溜息を吐いた。



「……うん、おいしいよ、はやて。……はやて? 食べないのかい?」

そう聞いてくるヴェロッサを、快感と困惑がごちゃ混ぜになった目で、はやては見やる。

「た、食べられないの、あんっ! ロッサの、せいやろっ……!」
「そうかい?」

そう、「右手で食事をしながら左手ではやての胸の先端を弄っている」ヴェロッサが言う。
ふるふると震えるはやてに、ヴェロッサは意地悪く微笑んで、囁いた。

「……僕が食べ終わったら本気ではやての事食べちゃうからね?
 ……今食べて、体力付けておかないと、何回だって気絶するかもしれないよ?」

そうヴェロッサが言うと、はやては顔を真っ青にして、必死で食事を取ろうとする。
そんなはやてを快感で邪魔してやりながら、ヴェロッサは微笑んだ。

「……でも、本当においしいよ、はやての料理。
 ……いつもこれを食べられるヴォルケンリッターのみんなは幸せだね」
「そ、そう? ……ふあっ!」
「……でも、僕もはやてが食べられるから、おあいこかな?」

そう言ったヴェロッサに、はやては真っ赤になる。

「ば、ばかっ! 何言う……てっ……」

思わずはやては叫ぼうとするが、襲い来る快感にまともに喋る事も出来ない。
と、ヴェロッサが食事を終わらせ、はやての後ろに回り込んだ。
8438 ◆KHEtQ2j5Nc :2007/12/15(土) 13:25:13 ID:bfXOAQLQ
「あっ、あっあっあ! らめっ! まだ……私っ……!」
「……だーめ。ちゃんと僕言ったよね? 夕飯食べ終わったら、はやてを食べるって」

そう言って両方の胸の先端を転がされ、首筋に舌を這わされて。
快感に身体を跳ねさせるはやてを、ヴェロッサは立たせた。

「……ほら、部屋のベッド、行こ?」
「きゃ、んっ! あふっ! ふああっ!」

まるで生まれたての小鹿のように足を震わせながら、はやては少しずつ前に進む。
秘所からはどんどん愛液が溢れ出し、床にぽたぽたと落ちて行って。

「……はーやーて、もう少し急いで。……いそがないと、この場で潮噴くまでいじめるよ?」

そうヴェロッサが言うと、はやての歩くスピードが僅かに上がる。
そのままはやては何とか部屋まで辿り着く。と、いきなりヴェロッサに突き倒された。

「きゃ、はああっ!?」

成す術無くうつ伏せに倒れたはやての身体に手を差し込んで、ヴェロッサは胸を揉みしだく。
面白いように形を変えるはやての胸を弄りながら、ヴェロッサは微笑んで、言った。

「良く頑張ったね、はやて。……ご褒美に、一回イかせてあげるよ♪」
「はああああっ!!」

そう言ってヴェロッサが胸の先端を強く摘むと、はやてはびくんと震える。
そのままヴェロッサが強くはやての胸の先端を扱くと、はやては強すぎる快感に翻弄された。

「……普通、ここまで強くしたら痛がると思うんだけどね……、
 ……もしかして、はやてってMっ気あるんじゃないのかな?」
「い、あああああっ! そ、そんな事な、ひゃあああん!!」

そうはやては言うが、今にも達しそうなくらいに感じまくっていたら、説得力も何も無くて。
ギリギリの所で踏み止まっているはやての耳を、ヴェロッサは甘噛みした。

「ひ、っ! あ、ら、らめ! おっぱいで、も、イっちゃ、うううううっ!!!」

……その瞬間、踏み止まっていた何かが切れたように、はやては絶頂に達した。
8538 ◆KHEtQ2j5Nc :2007/12/15(土) 13:26:11 ID:bfXOAQLQ
「……ぁ……あひ……はぁっ……」

がくがくと止めど無く震えるはやてを、ヴェロッサは微笑みながら見つめ……、
……いきなり指をはやての秘所に突き込んだ。

「い―――っ!!?」

途端にシーツを掴んで快感に耐えるはやてに、ヴェロッサは意地悪な笑みを浮かべ……、
……指の動きを激しく、それでいて無茶苦茶なものにした。

「いあ、あ、あ、あああ! ロッ、サ、やめ、激し……っ! くああああっっっ!!!」

あっと井馬に絶頂に達するはやてを見て、ヴェロッサは指を引き抜き、はやての身体を転がす。
そして、仰向けになったはやての秘所に、ヴェロッサは吸い付いた。

「きゃあああんっ!」

もはや悲鳴を上げているはやてだが、ヴェロッサは責めを休めない。
秘所の上の突起を吸い上げてやると、はやては涙目になって震えた。

「らめっ! らめえ! また、ひっ! あああああ!!!」

3度目の絶頂に達し、身体を限界まで反らせるはやて。
しかし、ヴェロッサはさらに強く突起を吸い上げた。

「っ―――!!!」

身体を反らせたまま硬直するはやての秘所にもう一度指を差し込んでやると、はやてはぶんぶん首を振る。

「らめっ! らめぇっ! わらひ、もっ、イっれるのにいっ!!!」

もう完全に呂律が回っていないはやて。
しかし、ヴェロッサは責めを止めるどころかさらに激しくして。

「あー! あー!! あー!!!」

絶頂という位置から降りれないまま、はやては痙攣を繰り返し、

「ひ、あああああぁぁあぁあぁあぁあ!!!」

とどめ、とばかりに突起に歯を立てられて、はやては気絶した。
8638 ◆KHEtQ2j5Nc :2007/12/15(土) 13:26:52 ID:bfXOAQLQ
「か……はっ……、はふ……」

ぺちぺちと頬を叩かれ、はやては意識を取り戻す。
しかし、1分以上達しっぱなしだったのはさすがにきつかったのか、はやては放心状態で荒い息を吐くだけで。

「……はやてー?」
「ふぅっ……、はふっ……」

ヴェロッサの声にも反応できず、ひくひくと震えるだけのはやて。
そんなはやてに、ヴェロッサは微笑んで……、……自身をはやての秘所に宛がい、一気に、貫いた。

「っ!!!!?」

その瞬間、はやては絶頂の嵐に飲み込まれ、気を取り戻す。
しかし、がくがくと快感に震えるだけのはやて。そんなはやてを抱き締めて、ヴェロッサは言った。

「……おはよう、はやて」
「ロッ、サぁ……? きゃうんっ! これ、しゅご、いいいっ!」

全く腰を動かしていないにも関わらず、立て続けに絶頂に達し続けているはやて。
そんなはやてに意地悪な微笑みを送って、ヴェロッサはゆっくりと腰を動かし始めた。

「あっ、あああああっ!!! ろっさ、ろっさぁっ! あ、あひ、ひああああん!!!」
「……ふふ、凄いね、はやて」

快感に抵抗する事すら出来ず、ヴェロッサの腕に縋り付くのが精一杯のはやて。
何回も何回も達しまくり、はやては身体を捩らせる。

「らめっ、らめ! もっ、許し、ひゃあああん!!!」
「……だーめ。はやてはもう何回もイってるかも知れないけど、僕は1回もイってないんだよ?」

そう言って、ヴェロッサは少しずつ腰の動きを早めていく。
どんどん強まって行く快感に、はやては気絶しそうになり……、
そんなはやてに気付いたのか、ヴェロッサの動きが急に激しくなった。

「あーっ!!! や、良すぎ、きゃうううんっ!!! あふああっ!!!」

はやてはさらに強くなった快感に翻弄されるが、あまりに快感が強すぎて気絶も出来ない。

「く……っ!」
「い、あ、ひ、ああぁああぁあぁあああっ!!!」

……そして、ヴェロッサが欲望を解き放った瞬間、はやては最後の絶頂に達し……、
……幸せそうな表情をして、気絶した。
8738 ◆KHEtQ2j5Nc :2007/12/15(土) 13:31:38 ID:bfXOAQLQ
これで終わりです。

何ではやてをMにしたのかは俺にも判らない。
……俺の中ではむしろMはフェイトなのにw

……あれ、何だか金色の棒みたいなのが迫っt

>>50
成長が止まってるだけで確か28s(雷旋轟天斧)
88名無しさん@ピンキー:2007/12/15(土) 13:55:29 ID:o3eKRQTm
>>87
無茶しやがって……(AAry
89名無しさん@ピンキー:2007/12/15(土) 15:26:11 ID:7+uHzdlK
>>87
彼女の場合、年のことは一般的な女性以上の精神的外傷が発生しうる禁句だぞ、成長しない容姿の
せいで化け物扱い、感情凍結の影響で父の死を救うまたは看取ることも、奉公に出ていた妹アリシアの
不幸も知ることが出来なかった、というリアル浦島太郎状態の最悪版だぜ
そんなこと言う奴は、パーティメンバーの秘奥義連打で消し炭になってしまえ!!


と別作品へのあふれ出る愛はともかく、投稿作品はGJです。
9038 ◆KHEtQ2j5Nc :2007/12/15(土) 16:30:45 ID:bfXOAQLQ
>>89
分かった、分かったから落ち付け、俺も響き合うRPG含めて、〜RPGとなるシリーズ全部大好きなんだ。
剣玉少年×その斧少女のカプも大好きだしな。

……だから、今度そのカプでSS書いてやるからその馬鹿でかい雷の剣を俺めがけて突き込むのh(インディグネイトジャッジメント)

いい加減スレ違い自重だな、こりゃw
91名無しさん@ピンキー:2007/12/15(土) 17:52:48 ID:TiGE/YIS
>>90
スレ違い自重というより全体的に自重した方がいいと思いますよ。
というかお願いですから自重して下さい。
92549 ◆xbn1Z6LB3Q :2007/12/15(土) 18:02:35 ID:+ZgIjkj+
>>78 74氏
IDを追加しました。
分からないことがあったら質問してください。
では、よろしくお願いします。
9374:2007/12/15(土) 19:13:18 ID:E9JNN93J
確認させていただきました
既存のレイアウトを参考にしながら作業してみます
物凄く初歩的な質問をするかもしれませんが、その時は生暖かい眼差しで可哀想な生き物を見るように見守ってやって、
そして質問に優しく答えていただければ・・・

しかし、何故このタイミングでマウスが逝きますかね・・・買い換えてキマス・・・

管理人殿、感謝であります。そして、お身体を大切に・・・
94名無しさん@ピンキー:2007/12/15(土) 19:15:56 ID:tHaKDXZO
管理人さんもお手伝いさんも乙です!

忙しくて声援しか送れない私を許してください……。
95名無しさん@ピンキー:2007/12/15(土) 19:26:41 ID:MfreUo5O
>>91
言いたい気持ちは重々わかるんだが・・・
あきらめろ、都合の悪い声は聞こえない(聞かない)人なんだから
96名無しさん@ピンキー:2007/12/15(土) 21:38:06 ID:4Ylrdfih
>>90
GJ
いつもいつもエロばかり量産しおって……うらやましい!
はやてはMでいいんじゃない?
積極的に求めても、いつも逆転されるイメージが…


そして
>剣玉少年×その斧少女のカプも大好きだしな。
>……だから、今度そのカプでSS書いてやるから
その言葉、テイルズスレの住人でもある俺が覚えた。
97名無しさん@ピンキー:2007/12/16(日) 00:54:15 ID:Oij0IYqa
某所のweb漫画のおかげではやて×エリオに目覚めた俺だ
98Mr.P:2007/12/16(日) 07:32:01 ID:4jvqzaxS
 裏・朝ちゅんの最終話お持ちしました。
 前スレで覚えておられ、催促してくれた方ありがとうございます。

 ではエロいフェイエリ行きます。
 前話は保管庫でmr.pのタグで探してみてくださいませ。
99姉ショタフェイエリ:2007/12/16(日) 07:40:07 ID:4jvqzaxS
 目覚めたエリオがまず目にしたのは、魚の切り身のような赤い肉が覗く深い肉の亀裂だ
った。
 目線を上下させて、そこがフェイトの股間に当たる部位だと気づく。フェイトはそこに
白く細い指を出し入れしてよがり狂っている。
 保護者に抱いていたイメージを根底から崩されるような光景である。
 ショックで茫然自失となってもおかしくはないの光景なのに、エリオは視線を逸らせず
それどころか食い入るように見てしまう。
「エリオ……エリオっ、いっちゃうよっっっ」
 一際高い声でフェイトは鳴いた。粘液に濡れた手がぎゅっと肉芽を摘むのをエリオは目
撃した。
 むっちりと肉の詰まった太ももがひくひくっと痙攣して、亀裂のような秘唇の奥から淫
水が飛び出し跨られているエリオの顔に落ちた。
 自らの指で薄桃色の柔肉を慰め達したフェイトは糸が切れた人形のごとく、くてりと布
団に倒れ伏す。全身の緊張が解けた勢いのまま眠ってしまったようだった。
 エリオは自分の顔にそっと触れてみた。飛沫がついているのを確認し、指の平に乗せて
よく見てみる。水みたいなさらさらとしたものだった。匂いをかいで見ると、フェイトの
股間から匂った匂いと同じ生臭い香りがする。エリオは自然と鼻の頭を膨らませて、深く
匂いを吸い込んだ。
 フェイトは白い裸身を晒したままぐったりとしている。自分が意識を失う前は服を着て
いたはずなのに、いつのまにか全裸になっている。このままだと風邪を引いてしまうとエ
リオは心配した。
「フェイトさん、起きてください。ちゃんと寝ましょうよ」
 部屋は空調が聞いており、布団さえ被っていれば問題ないだろうとエリオは声をかけた

 正しい位置に寝ていたエリオに対し、フェイトは頭を足元へと向けてしまっている。こ
のままでは布団をかぶせることもおぼつかない。
 うつぶせているフェイトの肩を揺すってみると、顔を隠していた前髪がはらりと動き寝
顔が露になった。熟睡しているようで、起きる気配はない。
 ちゃんとしたベッドの位置に寝かせようと、エリオはフェイトの肩に腕を回した。
 髪を巻き込まないようにして、抱き起こすと下敷きにされていた乳房が重力のままにゆ
らりと動いた。
 手を伸ばせば届くそれにエリオは触りたいと感じて、けれど勝手に触ってはダメだと自
制して、押さえ込むために生唾をごくりと飲み込んだ。
 寝かせたフェイトは女神のようで魅力的だった。エリオの股間の性器はさっきからずっ
とぴんと立ってしまったままだ。
 つんと硬くなった陰茎を突付いてみる。ゴムの塊のような感触をする肉槍は疼いていて
、もっと人の肌が触れたいと主に訴えていた。促されるままにエリオはぎゅっと握ってみ
た。
 エリオの脳裏に、フェイトに指先で弄られ口に含まれ「漏らした」ときのことが巡る。
この部分で感じた快楽は今までエリオが感じたことのある感覚とはどれも違った。
 もう一度あれを味わいたい。
 フェイトの手つきを思い出しながら、動きを模して陰茎をさする。
 やわやわとするとじんわりと痺れるような気持ちよさが訪れるが、強く握ってやると窮
屈さと疲労感しかやってこない。
 自分の手で感じる快楽は思ったほどの、フェイトがこうすると気持ちいいと教えてくれ
たほどのものではなかった。
「フェイトさんはもっと上手なのに……上手くできないな」
 この手が自分の手ではなくフェイトの手だったらよかったのにと、エリオはもどかしく
感じた。
100姉ショタフェイエリ:2007/12/16(日) 07:41:07 ID:4jvqzaxS
 ちらりとフェイトの手を見てみると、しっとりと自身の愛液で濡れエナメルでコーティ
ングされてるかのようにてらてらと光を反射させていた。
 その手を意思からは遠いところの部分の自分である本能が掴んでしまう。エリオは体に
何かに取り憑かれたかのような錯覚を覚えた。
「こんなことしちゃだめなのに……」
 根拠はない。けれど漠然と自分がしてしまうことはいけないことだと感じていた。
 考えている間にも、体は思考に反して行動し続けていた。掴んだフェイトの手を陰茎へ
と導いた。フェイトのひんやりとした手に自分の手を重ね、剛直を握り締める。
 握り締めて動かすと、フェイトについていた愛液が潤滑油となり他人の手とは思えない
ほどたやすく動いた。
「あ、あ、あぅ、フェイトさんっっっ」
 エリオの罪悪感は雪だるま式に増え続ける。寝ているときに勝手に腕をとって汚いとこ
ろに触れさせている自分は、変態でどうしようもない存在なのではないのだろうか。
 性器で感じる快楽はエリオから意思の自由を奪う。いけないことだと考えているのに、
指を止めることが出来ない。
 肉茎の付け根が熱を持ってきた。尿意を我慢したときに感じるものと似た熱だ。
「だめだ、もうやめないと……っ また変なのでちゃう」
 エリオはこのままだとどうなるか知っていた。激しい雷のような快楽と共に、フェイト
の口に吐き出したものをまた噴出してしまう。
 予兆のように先端からは透明な、尿とは違う液体を実感のないままに溢れ出してしまっ
ている。
 名残惜しいけれど、これ以上自分が出したものでフェイトを汚すことだけは避けなけれ
ばいけない。
「?!」
 そう思った矢先のことだった。フェイトの指先がエリオの手の動きとは関係なく逸物を
ぎゅっと握った。
 熱はすぐそこまで来ていた。もう止まれない。
「だめっ フェイトさん、離して! 漏れちゃうぅぅぅっ!」
 びゅるっびゅるびゅるっ。
 どくんとエリオの性器が跳ねた。白い粘液が堰を切って勢いよくフェイトの手に飛び散
った。
 弓なりになって射精したエリオは、さっきフェイトがそうしたようにくたりとベットに
四肢を投げ出し弛緩した。
 最初のときのように失神はしなかったが、やはりエリオにはまだ早い強い刺激だった。
漂白され、すべてがどうでもいいと感じる倦怠感の中、息を整えるままにゆっくりと眠り
の海へと沈んでいく。
「やってほったらかしで寝るのはひどいんじゃないかな?」
 睡眠へと沈降するエリオの意識を引き止める声がかけられた。声音からはわずかに怒気
が感じられた。
 寝ている頭の脇のベッドのスペースを叩かれ、エリオは目を見開いた。
「フェ、フェイトさん、起きてたんですか……?」
「うん、エリオがごそごそしてるからね」
 エリオの視界にいっぱいに広がるのはフェイトの顔だった。赤い瞳がぱっちりと見開か
れ、眠ろうとしていた自分を映している。あまりに近い距離にエリオはたじろいだ。
「ねえ、エリオ。これってなに?」
 フェイトはエリオが手を重ね動かし、精を吐き出した手を差し出した。後片付けも何も
していないので、白いゼリー状の子種が手のひらに飛沫として付着したままだ。
「えっと……それは……すいません……」
 エリオとしては、なんと答えようもなかった。弁明する言葉などなく、口に出す声は尻
すぼみになっていく。自分の股間から溢れてきたものが何かエリオは知らない。けれど根
拠のない罪悪感で胸がいっぱいでついと目を逸らした。
 フェイトは充実感から微笑んでいた。エリオは男としての本能に突き動かされて暴走し
、自分の手を使って性欲を発散したのだ。エリオのはじめてである精通を奪って間を置か
ずにである。それだけ自分がエリオには異性として魅力的に映っているということである
。女としての冥利に尽きるというものだ。
 フェイトにエリオの行為を攻める心地なんて一欠けらもない。あるとすれば、やるだけ
やってまた自分を放置して寝ようとしたことぐらいだ。
101姉ショタフェイエリ:2007/12/16(日) 07:41:51 ID:4jvqzaxS
「私、ちょっと不思議なんだ。今何に対して謝ったの?」
「……フェイトさんの手のひらにおしっこみたいなのだしちゃったことです」
「出したのが何か知ってる?」
「よくわかりません。おちんちん触られてると出てきちゃうんです。あの、僕病気なんで
しょうか」
 エリオは今になって陰茎から尿以外のものが出てきたことに不安を覚えていた。まず体
調を疑って不安そうな表情を浮かべている。
「ほら、そんなに心配そうな顔しなくてもいいよ。それが出るのは自然なことだから。男
の子は気持ちよくなっちゃうとそれを出しちゃうの」
 エリオの性知識はゼロに等しい。それだけ未成熟な年齢であり、そのことがフェイトを
刺激する。
「そうなんですか」
「うん、女の子にもね。これに該当するのがあるんだよ。エリオも私の見たでしょ?」
「は、はい」
 エリオは目覚めたときの光景を思い出す。フェイトの股間から透明とも白く濁っていた
とも言える蜜が溢れ、指を動かすたびに掻き出されていた。
 あのときフェイトは自分と同じように快楽に溺れていたのだ。自分はそれを盗み見てし
まったのだ。本来他人が見てはいけないものであることをエリオは感じ、やましさとなっ
て縛りあげる。
「もう。私もエリオのを見ちゃったんだし気にしなくていいんだよ。けどきちんと最後ま
でしないと減点だね」
「そう言われると助かりますけど。責任ってなんです?」
「ほら、私のここもう一度見てみて。女の子が触られると一番気持ちよくなるところなん
だよ」
 フェイトは体操座りの姿勢から足を開き、性器を広げるようにM字に足を開いた。陰毛
の影になっていた陰唇がくぱあと口をあけ涎を垂らしていた。桃色の肉は水気を保ち、男
が来るのを今かと待っている。
「フェイトさん、すごく濡れてる……」
 気持ちよくなったら出てくる体液が男女にはあるとフェイトは言った。
 だと言うならば、フェイトはさっきの自分と同じ状態にあるのだとエリオは察する。視
線を向けると、フェイトは頷いた。
「ね、今度はエリオが私のを触ってみて。エリオのを見ていたら我慢できなくなっちゃっ
たんだ」
「わかりました、はじめてですけど、がんばります」
「やさしくよろしくね。……んっ……」
 気持ちよくするのは難しいということを、さっき自分の体で知った。
 恐る恐るといった手つきで未知の器官へ手を伸ばす。
 伸ばした指は小陰唇にあたる小さな肉の花びらに触れた。耳たぶのような感触に湿り気
を帯びている。
 花を開くととろりと蜜が滴った。エリオは間の桃色の肉に触れてみると、ふわふわと豆
腐のように柔らかい。
 蜜を掬ってこねるようにしながら、秘肉を科学者のような手つきで触っていく。
「んっ……はぁんっ エリオ、そこだよ。そこがいいんだよ。……あうぅんっ」
 フェイトがあげる嬌声を頼りに、どこが気持ちいいのか探っていく。
 やがてエリオは小陰唇の上部に他の部位とは違ったものがあるのに気がつく。なんだろ
うという好奇心が湧き手でつまんでみる。途端、敏感な肉芽を摘み上げられたフェイトの
体がガクガクと震え、一際大きい嬌声が上がった。
「んんあああああっっ 強い、強いよぉぉっ」
102姉ショタフェイエリ:2007/12/16(日) 07:43:11 ID:4jvqzaxS
「このこりこり硬くなってるところがいいんですね。膨らんでます」
「そんなにぐりぐり潰しちゃだめぇっっ」
「これっておちんちんみたいなものなんですか?」
「うん、そうだよ。エリオのみたいに先端から精液はださないけどね」
「でも代わりに下の方から白いのが溢れてきましたよ」
 肉の花弁の間から湧き出していた透明な体液がいつの間にか白く濁ってきている。エリ
オはすくい上げて、どう違うのかとまじまじと見てみた。
「エリオがそんなところを触るから出てきちゃったんだよ。ね、もっと奥の方触ってみて

「奥……ですか?」
「うん。女の子のはね、指ぐらい入るように出来ているんだよ。……うんんっ」
 どこからこの蜜はあふれてくるのだろう。探っていた指は花弁の間に隠された入路を通
って、にゅるりとフェイトの内側へと潜りこんだ。
 膣の中は熱く溶けていて、一昼夜とろとろに煮込んだスープのような有様だった。エリ
オの指をきゅっと締め付ける。
「女の人の体って不思議ですね」
 感慨深げに見上げてくるエリオに、フェイトは照れて笑った。無知で純粋なエリオに対
し、自分がひどく淫乱に思えて一抹の恥ずかしさを覚えたのだ。
「女の子からみたら男の子だってそうだよ。あ……そこ、そこ気持ちいいとこだよ。もっ
と動かしてっ」
 エリオはさらに中の感触を確かめるために、指を曲げてみた。膣の内壁が弾力をもって
指を押し返そうとする。フェイトの腰がぴくりと揺れた。
 フェイトの言葉を受け、二三度さらに押し、ざらざらちしている表面を指の腹で擦って
みる。ゆるゆると膣口が柔らかくなってきた。一本だけではまだこの淫穴には足りないよ
うな気がした。
「ん……また、はいってきたぁ……」
 エリオは恐る恐るといった調子で、人差し指に続いて中指もそろそろとフェイトの急所
へと沈める。乾いていた中指はすぐに愛液で溶かされるように濡らされた。
 普通に一緒にいるだけでは触れないところに今自分は触れている。フェイトの特別な存
在になった高揚感がエリオを襲っていた。射精しくたりと力を失っていた陰茎がむくりと
再び硬直を取り戻していた。
 フェイトの視線は熱をもってそこへ注がれている。エリオは視線から逃れるように身じ
ろぎした。
「あんまり、見ないでください……」
「エリオは私のを触って見てるじゃない。そんなのは不公平だよ」
「あぅっ」
「手を動かすのはやめたらダメだからね」
 フェイトはエリオの物に手を逃した。指先が触れただけで、性感の感覚を覚えたばかり
のエリオには強すぎて全身の感覚を奪われてしまう。フェイトの秘肉をこねる指が止まる
のは仕方がないことだった。
「ううっ、がんばります」
 エリオはフェイトの中を弄る指に神経を集中させて、どこがいい反応があるのか探そう
と努力する。
 その間も、フェイトの陰茎をまさぐる手つきは止まることはない。揉んだり、摩ったり
、握ったりと多彩で落ち着きのない刺激をエリオは送られる。フェイトの手で慰められる
たびに、エリオは歯を食いしばって耐え手淫し続けようとした。
「エリオ、よくがんばったね。もうしなくてもいいよ。指もそれなりに気持ちよかったけ
ど、じれったくなってきちゃった」
 エリオの膣の中を弄っていた手は手首のところをベッドの上から押さえつけられた。フ
ェイトが動いたことで、指はにゅぽっと居心地がよかった膣の中から抜けてしまう。エリ
オの手についていた愛液がシーツに染みを作った。
103姉ショタフェイエリ:2007/12/16(日) 07:43:50 ID:4jvqzaxS
 やさしげな手つきでもって、エリオはベッドへと寝かせられた。フェイトがその上に跨
る。何がこれから行われようとしているのかよく理解していないエリオは、体を持て余し
獣欲を燃やすフェイトに押し倒された。
「フェイトさん、この体勢だと何もできないんですけど……」
「エリオは何もしなくていいよ。私が気持ちよくしてあげるから。天井の染みでも数えて
いて」
 冗談めかした言葉を発して、フェイトは腰を浮かせる。一滴二滴とエリオの肉つきの薄
いふとももに愛液が雫となって落ちる。
 エリオはこれから何が起こるのだろうと、未知への恐怖がむくむくと頭をもたげてくる

「大丈夫。すぐよくなるよ」
 フェイトの手がそっと胸に乗せられた。フェイトが腕でも体重を支えているようで、ベ
ッドに押さえつけられている。体の重さを感じながら、エリオは焦げ付くような熱い赤い
瞳で見つめられた。
 エリオは自分の陰茎の先端が湿り気を帯びた凹凸にふれ、ぴたりとはまったことを感じ
た。金色の陰毛に隠され見えないが、こんこんと溢れる蜜で濡れていることから、今まで
自分が指を入れていたところの入り口に亀頭が触れているのだと気づいた。
「けど、ごめんね。エリオ。これからすることでエリオのことを傷つけちゃうかもしれな
い。これはわがままで、私がエリオにしたいからするの。……だからエリオは恨んでもい
いよ」
 自分はフェイトに食べられるんだと思った。血も肉も骨も、フェイトと一つになるのだ
と予感した。
「……僕は何をされても恨みません。フェイトさんのことが好きですから」
「私もエリオのこと大好きだよ。……だから、止まれないんだ」
 フェイトは泣きそうな顔をした。泣き止んで欲しいとエリオは思った。
 明確な理由もなく、エリオはフェイトへ腕を伸ばした。けれど手が届くよりも早く、フ
ェイトは腰を落とした。
 ずりゅりゅりゅりゅっ。
「えええっ?! あつぅぅぅっ」
「はぁっ……。エリオの堅いの、入っちゃったあ……。私、保護者なのにエリオのはじめ
て食べちゃったよ」
 熱に浮かされるようにフェイトはつぶやいた。
 フェイトの淫芯は燃え上がっており、エリオは陰茎が溶かされているのではないかと疑
うほどに熱かった。今自分の肉棒がどうなっているのか、わからない。フェイトの膣に完
全に埋没してしまってる。
「うわあ、さっきのところに全部入っていっちゃってる……」
「うん、エリオのおちんちん、私の中でぴくぴくしてるよ。2回も出したのに元気だ」
 声を弾ませながらフェイトは中にあるのを確認するかのように下腹をさする。
 膣の中は溶鉱炉のように熱くて、それでいて手で優しく肉棒を包むように締め上げてく
る。最初からそうであるかのように隙間などなくぴっちりとくっつき合い、エリオは男根
にこのような役割があることを理解した。
「エリオ……。ごめんね、私がはじめてとっちゃって」
「僕は今うれしいですよ。どうしてダメなんです?」
 こんなに気持ちよくしてもらっているのに、フェイトはなぜすまなそうな顔をしている
のか、今のエリオにはよくわからなかった。
「エリオが恋人を作ってえっちしたときに、きっと私の顔が浮かぶよ。そのことがエリオ
とエリオの未来のお嫁さんに申し訳ないかな」
「あの、フェイトさんがお嫁さんじゃだめですか」
「私はエリオより9歳も年上だから、先におばさんになっちゃうよ?」
「それでも、僕はフェイトさんが好きです。おばあちゃんになっても一緒にいさせてくだ
さい」
 エリオは自分に跨っているフェイトにお願いした。フェイトは本気を感じて身を乗り出
した。ぐっと顔と顔との距離が狭まる。
104姉ショタフェイエリ:2007/12/16(日) 07:44:38 ID:4jvqzaxS
「エリオがいいって言うまでは一緒にいてあげるよ。これは約束の証」
 フェイトはゆっくりとも取れる動きで唇にキスを落とした。
 子供がするような口付けだった。
 だからこそ、今まで行われた行為よりエリオが与えられた衝撃は大きく、フェイトの恋
人となったことが実感となって身に降りかかる。
「ありがとうございます。がんばってフェイトさんにふさわしくなります!」
「そんな風に考えなくてもいいのに。私はエリオはエリオであるだけで愛しいよ?」
 フェイトはそっとエリオの頬を撫でてくる。
 ぐいっと腰を擦りつけるように動かした。柔肉が蠢き、エリオの陰茎が嬲られる。
「ん……。エリオの、すごく硬いね。鉄で出来てるみたい」
「フェイトさんの中、ぐねぐね動いてます……」
「もっと動いてみるね。たくさん気持ちよくなって欲しいな」
「もう、十分いいですよ。あうううぅ、またぎゅって動いたっ」
「それよりもっと、もっと気持ちよくしたげる」
 金色の長い髪を揺らしながら、跨っているフェイトはゆさゆさと腰を激しく動き始めた
。腰を揺するたびに、ぐいぐいと肉棒は前後上下に振り回される。膣の中から流れてくる
熱い愛液じょぽじゅぽと卑猥な音を立て、エリオのふぐりまでを粘液に塗らしていく。
「はっはっ、ね、こうするともっと気持ちいいんじゃないかなっっ?」
「あうぅ、いいです。先っぽにこりこり当たって気持ちいいっ」
「私もいいよっ。子宮がきゅんってうずいちゃうっ」
 獣のように荒い息を上げて、フェイトは膣の天井、固さを感じさせる子宮口をこりこり
とエリオの陰茎に当てる。
 全方位から舐められるような膣の内壁にやっと馴れてきたところに、異な感覚を与えら
れて、エリオは喘ぐことしか許されない。自分からフェイトに何かしたいと思うも、何を
してあげればいいのかわからない。
 動くたびに鞠のようにはねるフェイトの大きな二つの乳房が、あんなに動いて大丈夫な
のかなと気になった。
「なに。エリオ。またおっぱい触ってみたいの?」
 視線に気がついたフェイトは、身を倒してきた。しなやかな筋肉に支えられ、乳首はつ
んと上を向いていた。
 エリオとしては、特に触りたいわけではなかったが、こうまでしてくれて何もしないほ
どフェイトの体に無関心ではない。
 まだ子供であるエリオだからこそ、乳房は母性を携え強力に惹きつける。何か考えるよ
りも早く、しっかとエリオの指は白い風船のようなふわふわとした乳房に手を伸ばしてい
た。
「じゃ、じゃあ……ふぁん……触ってみますねっ。」
 話している間にもフェイトは腰を動かしエリオを攻め立てる。胸に手を伸ばすエリオの
声は嬌声交じりだった。
「うわ……やっぱりフェイトさんのやわらかいや」
「あうん。エリオ、触るの上手になってるね」
 エリオの手の内で自在に形を変えるフェイトの乳房。まさにマシュマロのような感触だ
った。
 ぶちゅりと結合部分から粘液が音を立てる。
「エリオ、キスしたいな、キス。エリオの唇食べちゃいたい」
「いいですよ。フェイトさん、どうぞ食べちゃってください」
 フェイトに食べられるなら、エリオは本望だった。自分からフェイトの柔らかな唇に口
付けをした。フェイトの腕が背へと巻きついて、離さないとばかりに抱きしめられる。
「ん……はぁ……エリオの唇おいしいよぉ……」
 はむはむと唇に歯を立てられ、貪られるようにキスをされる。
 唇を割って、ひどくぬるぬるしたものが口内に侵入してきた。突然に事態に驚くも、フ
ェイトの行為ならば心配要らないとエリオは肩の力を抜いた。
105姉ショタフェイエリ:2007/12/16(日) 07:45:59 ID:4jvqzaxS
「んっ……んん……フェイトさんの舌、別の生き物みたい……」
 口の中とまだ幼い肉槍を粘液でかき回される。エリオは体がフェイトに支配されている
と錯覚した。
 フェイトの呼吸を本当に近くに感じる。エリオは今幸せだった。
 口の中をなめつくしたフェイトはエリオの首筋へと場所を移す。
「くすぐったいですよ、フェイトさん。うっ……、もうすぐきちゃいそうです?」
「来ちゃう? エリオの精液きちゃうの? どろどろのが溢れるんだね!」
「はいっ。いきますっ。くぅぅぅっっっ」
 熱いマグマのような塊が陰茎の付け根からこみ上げてくる。きゅっとふぐりが収縮する
。エリオはつながったまま、爆発するように温もりをフェイトの中へと吹き込んでいた。
「はぁっ……熱いよ。エリオ……。まだびくびく私の中で跳ねて噴出してる。ううんッ…
…あぅ……妊娠しちゃいそう」
 精が子宮の隅々まで染み渡り、フェイトは法悦の表情を浮かべて受け止めた。
 ごぼりと柔肉と男根の隙間から泡だった白い精液が滲みでる。
「はぁぁぁ……。フェイトさん、気持ちよかったですよ……」
 エリオは意識が明滅していた。
 初めてで三度も射精して、馴れないことに幼い体は休息を求めていた。性交後の倦怠感
と共に強烈な睡魔が訪れ、言葉が途切れ途切れになる。
 フェイトも同時に達したようで、身をエリオの隣のスペースに身を投げ出していた。激
しくエリオの上で乱れていたことにより、汗を浮かせた体のまま眠っていくエリオを見送
る。
「おやすみ、エリオ。夢の中にも私がいるといいな」
 眠りの世界に片足を突っ込んでいるエリオは抱き寄せられた。耳元でそっとやさしげな
声音で囁かれる。
 エリオがその日に最後の言葉であり、安心した心地でフェイトの胸の中で眠りに落ちた

 望まれるがまま、母のような姉のようなフェイトと一緒にいる明日を夢見ながら。
 どちらの願望なのか、場所は教会でフェイトはウェディングドレスを着ていた。





 もっとも現実は夢のようにすんなり行くわけはなく。
 寝坊したフェイトを見に来たなのはに露見したり、はやてに部隊長として注意されたり
、キャロを泣かせたりするのだが、安らかに眠る二人はそんな明日のことは知らなかった


106姉ショタフェイエリ:2007/12/16(日) 07:49:13 ID:4jvqzaxS
 以上でこの物語は終わりです。
 お付き合いありがとうございました。
 次は年明けにギンゲンでお会いしましょう。
107名無しさん@ピンキー:2007/12/16(日) 07:49:57 ID:w6taxZai
一番槍GJ!
やっぱりショタを食べるお姉さんはいいな!
108名無しさん@ピンキー:2007/12/16(日) 11:52:13 ID:2oWgDxCo
エリフェGJ!
しかしキャロはちゃんと意味合いを理解できるか不安のような……
意外とほえっ?としてそうな気がするw
109名無しさん@ピンキー:2007/12/16(日) 12:14:07 ID:HPDHZq4q
「私も混ぜて!」
110名無しさん@ピンキー:2007/12/16(日) 13:01:58 ID:GbCeyDQo
>>108
どんな様子だったかは、HPで確認してくれ
111 ◆6BmcNJgox2 :2007/12/16(日) 15:48:41 ID:BJiD/g6V
ちょっと中途半端(?)な時間ですけど書かせて頂きます。

・ロストロギアの影響でなのはが一日だけ赤ん坊に戻ってしまう
・その赤ん坊なのはをヴィヴィオが世話する事になる母子逆転のお話
・非エロ
「え!? なのはママが大変な事になったの!?」
ある日、突然ヴィヴィオは電話でそう報告を受けた。何でも回収したばかりのロストロギアが
誤作動を起こし、その影響によってなのはの身に大変な事が起こったそうである。
そうなればいてもたってもいられないヴィヴィオは慌てて管理局の方へ向かった。

現場にはフェイトやはやてを初めとする様々な面々が既に集まっていた。
「なのはママは一体どうなったの!? 大怪我でもしたの!?」
ヴィヴィオは必死だった。ここまで人が集まる程の大騒ぎであるからして、
なのはがとにかく大変な事になったのは必至。もしかして命に関わる様な大怪我をしたのでは?
…と、血は繋がっていなくともなのはを母親と慕うヴィヴィオはなのはが心配だった。
「大丈夫。なのはちゃん別に怪我はしてへんよ。」
「でも…ねぇ………。」
皆は何やら苦笑いしており、そこでフェイトが胸に抱いていたある物をヴィヴィオに見せる。
それは小さな赤ん坊だった。
「バブ〜! ダァ〜!」
「何この赤ちゃん? そんな事よりなのはママは!?」
「いや…この赤ちゃんがなのはなんだけど…。」
「え…。」
フェイトの一言にヴィヴィオは一瞬固まった。
「落ち着いて聞いてな、ロストロギアの誤作動でなのはちゃんが大変な事になったんは
先に電話でも話した通りやけど、その大変な事がこれや。つまり赤ちゃんなってもうたんや。」
「え? 本当に…? 本当にこの赤ちゃんがなのはママなの?」
ヴィヴィオは改めてフェイトの抱く赤ん坊の方を見るのだが、確かに髪の色や
目の色など、なのはを思わせる面影が幾つもある事がヴィヴィオにも分かった。
と、そこでユーノが一冊の本を持って皆の前に現れた。
「なのはを赤ちゃんに戻してしまったロストロギアの正体が分かったよ!」
どうやらユーノは無限書庫からロストロギアに関しての文献をサルベージして来ており、
皆の前でその本のページを開いた。
「これはどうやら若返りの研究を行っていた成果物みたいだね。」
「若返りの研究!?」
ユーノの発した『若返りの研究』の言葉に皆はざわめき始めた。
やはり『若返り』と言う奴は全次元世界共通の人類の夢であるから、注目されないワケは無いのだが…
「と言っても、そのロストロギアは失敗作みたい。何しろ若返る年齢調節が利かず
強制的に赤ちゃんに戻ってしまうだけだし、効果はたったの一日と来てるからね。」
「何や〜、たったの一日か〜。」
皆は思わず拍子抜けしてしまうのだが…
「でもまあ良かったじゃない。一日待てばなのはは元に戻るんだから。」
「そうやな。そういう意味では幸いやな。」
ユーノがサルベージして来た文献に記された通りになのはが一日で元に戻ると知るや否や、
皆は忽ち安心していた。そしてヴィヴィオはフェイトの胸に抱かれながら小さく動く
赤ん坊なのはの方を見つめながら言った。
「なのはママも最初は赤ちゃんだったんだ〜。」
「そうや。最初は誰だって赤ちゃんなんよ。」
はやては笑顔でヴィヴィオにそう言うが、さらにヴィヴィオは言い返した。
「本当に本当? じゃあもしかしてゲンヤおじちゃんも最初はこんな赤ちゃんだったの?」
「え…?」
普通に考えれば勿論ゲンヤにも赤ん坊の時代があったのであるが、フェイトやはやて達には
どうもゲンヤの赤ん坊時代と言うのが想像し辛い。その為に今のゲンヤがベビー服を着て
おしゃぶりを口に咥えてベビーベッドに寝ている光景を連想してしまい、スバルとギンガには
申し訳ないと思いながらも吹いてしまっていた。
「プッ…プププ……も…もちろんや……もちろんヴィヴィオの言う通りや………。」
「どうしたの〜? どうしてそんなに笑ってるの〜?」
ヴィヴィオは何故はやてが吹いているのか分からずに首をかしげていた。
とりあえず、これで事件は解決と言う事で、次にはなのはが元に戻るまでの一日、
誰がなのはの世話をするか? と言う事へ話題が移るのである。
「なのはは僕が責任持って世話しよう! いずれにせよ近い内に僕はなのはと結ばれて
子供も生まれるだろうし、本当に子供が生まれた際に世話する練習も兼ねて…。」
と、まず第一に立候補したのはユーノであったが、直後にフェイトに軽く突き飛ばされてしまった。
「私はそんなの認めない! 赤ちゃんなのはは私がお世話するんだよ!」
「ああ! フェイトさんずるい! なのはさんは私がお世話したいです!」
と、フェイトに対して異を唱えたのはスバル。なのはに対して熱狂的とも言える
憧れを抱いているスバルだからこそ、赤ん坊化したなのはを一日だけでも良いから
世話をしたいと言う事なのだろうが、それにさえ異を唱えるのがはやてだったりする。
「ダメやダメや! 赤ちゃんはお人形さんやあらへんよ! ちゃんと責任持って
世話出来るもんが引き取らなあかん! っちゅ〜ワケでなのはちゃんは私が預かる!」
何だかんだ偉そうな事言っておきながらはやても赤ちゃんなのはが可愛いから
世話したいだけだったりする。それだけでなく…
「あたしもはやてに賛成だ! はやてなら信用出来るからな!」
と、ヴィータもはやての意見に賛成した。はやてが赤ん坊なのはを世話する事になれば
はやての守護騎士であるヴィータもまた赤ん坊なのはを世話する事が出来るからである。
「いやいやはやてには任せられない! なのはは将来夫となるこの僕が!」
「だからそんなの認めないって言ってるでしょ! なのはは私が!」
「いくら相手がフェイトさんだって譲れません! なのはさんは私が!」
残念ながらユーノもフェイトもスバルも引き下がる様子を見せず、忽ち
赤ん坊なのはの取り合いが始まってしまった。ついには赤ん坊なのはを
直接掴んで引っ張り合う事態にまで発展し…
「オギャー! オギャー! オギャー!」
なのはも痛がって泣き出してしまった。だが赤ん坊なのはを自分の物にしたくて
必死な皆はそれに気付かずに一心不乱に赤ん坊なのはを引っ張り続ける。
「もうやめてぇぇぇ!!」
「!!」
部屋中にヴィヴィオの怒鳴り声が響き渡り、涙目になりながら皆を睨み付けていた。
「なのはママ痛がってるよ! どうして気付かないの!?」
「あ……それは……。」
「オギャー! オギャー!」
今更になってやっと気付いた皆は気まずくなるのだが、そこでヴィヴィオがなのはを
取り上げ抱き上げる。小さな見かけより重い体に少々身を落としそうになるが、
それでも何とかヴィヴィオは赤ん坊なのはを抱き上げさらに言った。
「なのはママはヴィヴィオがお世話する! 今日はヴィヴィオがママになるんだもん!」
「ヴィヴィオ………。」
その時のヴィヴィオの目は本気だった。普通ならまだ小さいヴィヴィオに
赤ん坊なのはを任せるのは不安と考えるはずなのだが…先程なのはが痛がっていた事も
気付かずにひたすらなのはの取り合いをしていた事もあり、皆はヴィヴィオに対して
まともに何か言い返す様な事は出来なかった。
「しゃーない…。なのはちゃんはヴィヴィオにまかすわ。」
「でも…何かあったら私達に連絡して? 力になるから。」
とりあえずここは赤ん坊なのはをヴィヴィオに任せる事に決めた。
もっとも、どうせ直ぐに音を上げて皆に助けを求めてくると皆は考えていたのだが…
ヴィヴィオが赤ん坊なのはを抱っこして帰宅してから数時間が経過した。
ちなみに粉ミルクや哺乳瓶、紙オムツも皆が用意してくれた。
「なのはママすやすや寝てる。」
ヴィヴィオのベッドで気持ち良さそうに静かに寝ている赤ん坊なのはの姿を見ながら
ヴィヴィオは優しい笑みを浮かべていた。
「それじゃあなのはママが寝ている間に学校の宿題を済ませようっと!」
なのはが寝ている間にヴィヴィオは机に向かい、学校の宿題を始めるのだが…
「オギャー! オギャー! ビェェェェェン!」
「え!?」
突然なのはは泣き出してしまったでは無いか。ヴィヴィオは慌てて宿題を中断し、
なのはを抱き上げた。
「どうしたのなのはママ!」
「オギャーオギャー!」
とにかくヴィヴィオはなのはを軽く揺らしながらオムツの方を調べた。
別に特に漏らしている様子は無い。ミルクを飲ませてからそこまで時間も経過していない故に
お腹が空いて泣き出したと言う線も無さそうだ。だとすれば単純に赤ん坊なら
良くある突然理由も無しに泣き出した事と見るべきだろう。
「なのはママ! お願いだから泣き止んで! ほ〜ら高い高〜いだよ!」
ヴィヴィオは赤ん坊なのはを持ち上げたり下ろしたり、揺らしたりと
色々と泣き止ませられる様な事をやるのだが…
「オギャー! オギャー!」
一向に泣き止む気配が無い。部屋中に赤ん坊なのはの泣き声がなおも響き渡り、
これにはヴィヴィオも思わず涙目になってしまうのだが…それを必死に堪えた。
「泣いちゃダメだもん。今日はヴィヴィオがなのはママのママだもん。だから無いちゃダメ…。」
ヴィヴィオは涙を堪えながら、再びなのはを持ち上げたり下ろしたり、揺らしたりと
なのはが喜べる様な試行錯誤を続けた。今日だけは自分がしっかりしないとダメだから…
だから絶対に泣かないとその思いを胸に…。

「キャッキャッ! ダァ〜!」
「良かった。やっと泣き止んでくれた。」
やっと泣き止んで笑い出した赤ん坊なのはにヴィヴィオも安心するのだが、
それも束の間、赤ん坊なのはは突然ヴィヴィオの髪の毛を引っ張り始めたでは無いか。
「あ! 痛い! 痛いよ! なのはママやめて!」
「キャッキャッ! ダァ〜!」
髪の毛を引っ張られると言う行為は地味に痛い。これにはヴィヴィオも涙目になってしまうが
赤ん坊なのははやめる所かむしろそれを面白がってなおもヴィヴィオの髪を引っ張り続けた。
「痛い痛い! なのはママやめてよ〜!」
「キャッキャッキャ!」
ほとほと困り果てるヴィヴィオだが、赤ん坊なのはは赤ん坊故の無邪気さで
悪気は無いのであろうから怒るに怒れない。そしてヴィヴィオには今の赤ん坊なのはの姿が
かつてなのはに色々我侭言って困らせていた以前の自分の姿が重なって見えた。
「そっか…。あの時ヴィヴィオが色々我侭言ってた時のなのはママもきっとこんな気持ち
だったんだね…。なのはママごめんね。だからヴィヴィオも少し我慢するよ。」
赤ん坊なのはの世話を通して自分がどれだけなのはに迷惑を掛けて来たか…
それを悟ったヴィヴィオは少しだけ大人への階段を上がった…様な気がした。
その後でヴィヴィオは赤ん坊なのはに一つのぬいぐるみを渡した。
以前なのはに買ってもらったフェレットのぬいぐるみである。
フェレット形態のユーノを思わせるその可愛らしいフェレットのぬいぐるみは
ヴィヴィオが初めてなのはに貰ったウサギのぬいぐるみに続いてのお気に入りだった。
そして例え赤ん坊になろうとも何となく分かるのか、赤ん坊なのはは
そのフェレットのぬいぐるみが気に入った様子であり、ヴィヴィオのベッドの上で戯れていた。
「ゆ〜のくん! ゆ〜のくん! バブゥ〜! ダァ〜! キャッキャッキャッ!」
赤ん坊なのははフェレットのぬいぐるみを抱っこした状態でベッドの上を
転がりながらそう言っていた。やっぱり例え赤ん坊になっていてもそういうのが分かるのだろう。
ヴィヴィオは机に向かって宿題をしながらも微笑ましい気持ちになっていた。

ヴィヴィオが宿題を終えた後で、静かになった事に気付いたヴィヴィオは
赤ん坊なのはの方を見ると、そこではフェレットのぬいぐるみを抱いたまま
すやすやと眠りに付いてる赤ん坊なのはの姿があった。
「ゆ〜のくん…ゆ〜のくん…キャッキャ…。」
寝言でもその様な事を言っている。恐らくは本当にフェレットと遊んでいる
夢でも見ているのだろう。
「でもちゃんと布団着ないとなのはママ風邪引いちゃうよ?」
ヴィヴィオは赤ん坊なのはに布団を被せると、自分の寝る用意を始めた。

「お休み…なのはママ…。」
寝る用意を済ませたヴィヴィオは布団の中にゆっくりと潜り込み、
赤ん坊なのはを優しく抱いた。
「なのはママあったかい…。」
ヴィヴィオにとって赤ん坊なのはの世話は色々と大変だったが、これで
いつもヴィヴィオを世話してくれるなのはの気持ちが分かり、
ヴィヴィオにとって有益な一日であったに違いない。
「ヴィヴィオもいつかは大人になって…本当にママになる日が来るのかな?
こんな風に赤ちゃんを抱いて…。」
ヴィヴィオはすやすやと眠っている赤ん坊なのはを優しく抱きながら
様々な想いを馳せていたが…そうしている内に彼女もまたゆっくりと眠りに付いた。

夜が明けて朝になり、ヴィヴィオが目を覚ました時にはなのはは既に大人に戻っていた。
ユーノが無限書庫からサルベージして来た情報の通りたった一日の効果に過ぎなかったのである。
「ヴィヴィオ…一日ありがとう。」
赤ん坊になっていた頃の記憶が残っているのか、なのはは目を覚ましたヴィヴィオに
優しく微笑みながらそう口ずさみ、ヴィヴィオの顔にも笑みが溢れた。
「わーいなのはママやっぱり元に戻ったー!」
ヴィヴィオは嬉しくて、思わずなのはに抱き付いていた。
                 おしまい
116 ◆6BmcNJgox2 :2007/12/16(日) 15:56:33 ID:BJiD/g6V
自分で書いといてなんですけど、赤ん坊の時のなのはの
「ダァ〜!」でアントニオ猪木の「1! 2! 3! ダァァァァ!!」
を連想してしまいましたスマソセン
117名無しさん@ピンキー:2007/12/16(日) 16:12:45 ID:SBudIn4y
ヴィヴィオママGJ!

>>116
AGOなのは想像して吹いたwww
118名無しさん@ピンキー:2007/12/16(日) 17:23:53 ID:IRZ/p4in
>>116
GJ!
いい話なのにユーノやフェイトが出てくるとなんかこう、押さえきれない独特感が漂いますなw
119名無しさん@ピンキー:2007/12/16(日) 17:58:09 ID:HPDHZq4q
じーじぇ!

ヴィヴィオに任せると決めた後も皆して
ドアかなんかの隙間から覗いてるもんだから
おしくらまんじゅうになる姿を幻視してしまうんだぜ
12026-111:2007/12/16(日) 18:32:11 ID:7JKfpK2U
>>116

GJ!これは良いヴィヴィオ
しかし後書き自重w甥っ子をあやす時に噴いたらどうしてくれますかww


それと、業務連絡です
32スレの保管作業を終了しました
スレ中で指摘されていた誤字、気付いた範囲での固有名詞の誤りなどは修正しましたが、見落としはあると思います
執筆陣諸兄は、一度は目を通して確認してやってください。何せこれが初めてのwiki編集だったもので・・・

ごっそり抜け落ちてた!保管されてねぇ!

という叱責、ウェルカム。手落ちは早めに正さなければなりませんので
それと、次の、33スレの保管作業ですが・・・作業中の方はおられますか?もし作業中の方が居ましたら、担当の事で相談させてください

それでは失礼

121サイヒ:2007/12/16(日) 20:22:39 ID:w6taxZai
>>120
作業ご苦労様です。
自分の作品なんですが「最近更新したページ」の「サイヒ」から飛ぶと
32スレに投下した「3人目の子供」だけがあるページになり、
「職人一覧」の「サイヒ」から飛ぶと名前が「21スレの329」のページに飛び、
このページは29スレ分までしか登録されておらず、
31スレに投下した「The child of the couple」がどっちにも登録されていないということになってます。

とりあえず全作品保管されてることはされてるんで構わない言えば構わないですが、
気になったんで時間がありましたら訂正作業お願いします。


性別反転編は今晩……は無理くさいんで明日か明後日に投下予定。
一回ぐらいは空気読む。
122名無したん(;´Д`)ハァハァ:2007/12/16(日) 21:09:10 ID:fLCJ69VU
訂正しました。
31スレの登録ミスは自分です、サイヒ氏、申し訳ありませんでした。
26-111氏、えとすみません。
途中からコテを名乗られた方の場合、
ページはレス番のまま、Wiki内で表記対応しています。
職人一覧で確認してから、作成して頂けないでしょうか。
33スレはお願いできますか、34スレは自分が受け持ちます。
保管遅かったり、ミスしたり、色々とごめんなさい。
123名無しさん@ピンキー:2007/12/16(日) 21:18:33 ID:K6Fss9Eb
>>121
サイヒさん、クロフェの性別転換モノ投下してくれるんですか!?
待ってました―!!
明日、明後日の夜を楽しみに待ってますwww
いつか自分も空気を吸ってクロフェを書いてみようと思います。
12426-111:2007/12/16(日) 21:18:43 ID:7JKfpK2U
>>122氏、サイヒ氏
修正感謝です。改名事情までは全然考慮していませんでした・・・以後気を付けます

恥をかいたついでにもう一つ、質問させてください
「削除したいページ」ができてしまった場合、管理人殿に消して貰うしかありませんか?
125名無しさん@ピンキー:2007/12/16(日) 21:19:26 ID:7JKfpK2U
書き忘れ。33スレ、承りました
126名無したん(;´Д`)ハァハァ:2007/12/16(日) 21:43:06 ID:fLCJ69VU
>>124
削除権限は管理人様にしかないようです。
管理人様もお忙しいようなので、自分は空ページにした上でリンクしないようしています。
あと、職人一覧でリンクされてない職人さんは、8スレ以前の職人さんなので、
同じレス番が被ったときは、半角で○○スレ○○って形式で登録しています。
それでは、33スレ、お願いします。
12726-111:2007/12/16(日) 21:47:35 ID:7JKfpK2U
>>126

ご助言、感謝です。以後注意します
それでは、34スレ、お願いします
128名無しさん@ピンキー:2007/12/16(日) 22:01:22 ID:GBW+5wka
>>106
Mr.P氏 GJ!

以前、リクエストした者ですが、応えてくだすってありがとうございます。

ショタをお姉さんが食べちゃうというシチュは大好物なので、今まで待ちに待っておりました。
129名無しさん@ピンキー:2007/12/16(日) 22:48:55 ID:GBW+5wka
>>110
Mr.P氏のHPってあるんですか?
それとも保管庫のことなのですか?

質問の上に連レスですがお願いします。
130Mr.P:2007/12/16(日) 23:13:59 ID:4jvqzaxS
 拙作を読んでいただきありがとうございます。

>>129
 自サイトの宣伝になるようで非常に心苦しいのですが、PUNPKINGという名前
のサイトです。
 まずそちらの作品を書いており、その上で「姉ショタフェイエリ」の話を思
いつきスレで書かせていただきました。
131名無しさん@ピンキー:2007/12/16(日) 23:29:13 ID:GBW+5wka
>>130
早速のお答えありがとうございます。

これからも氏の作品を楽しみにしてますので、よろしくお願いします。
132名無しさん@ピンキー:2007/12/17(月) 01:15:41 ID:Z9J1mnWJ

夜も更けたところで、ちょっと投下させてくださいな

お馬鹿フェイトさんを書こうと思っても、
なぜかまともに出番の無い不思議です。

エロ味が無かったので、今回は冒頭に混入してみました。
おかげでオチが暴投していません、困ったものです。

なのフェ前提で、男前なザフィーラ分が増量されています。

べ、別に朝刊で売りに出されて単価が下がった時に、
買い込んだわけじゃないんだからねっ

相変わらず次元軸が捻れの位置の改変度です、ご注意ください
なのはさんが、さりげなく調教済で病んでます、ご注意ください


SLBは想定の範囲内でしたが、Aランクのスルーには泣きました
133或る執務官の逢引:2007/12/17(月) 01:16:56 ID:Z9J1mnWJ
冷えた空気が肌を刺す早朝、身支度を整える前にまず、
ベッドの上に腰掛けて、お互いの体温で温めあう。

なのはが、膝の上で甘えてくる。

軽く抱きしめて、唇を重ねる。
舌を入れてこようとするのを察して、口を離す。

「駄目だよ、なのは」
「うー、フェイトちゃんが意地悪なの」

苦笑して、撫でる。

「今晩あたり、しようか?」

返答は声に頼らず、身を寄せて、小さく頷いてきた。

まだ梳いていない髪を撫でつけながら、八神家にヴィヴィオを預かってもらって、
ザフィーラは確保したいけど諦めようか、などと大まかな予定を立てて、

そんな時、ふと、意地悪を思いついた。

「もうすっかり、身体が発情してるよね」
「そ、そんな事ないよ」

「嘘」

一言で、斬って捨てる。

「今日の教導される局員さんたち、雌の匂いを嗅がされながら頑張るんだ」

抱きしめた両腕に、びくりと、小さな震えが伝わってくる。

「きっと頭の中で、何回も犯されているよ、髪も、耳も、鼻も、瞼も」

両手で顔を撫でながら、ひとつひとつ区切って囁いてみた。
髪と言えば髪を、耳と言えば耳を、擦りこむように撫でつける。

「子宮の中も、たぷたぷって音がするほど注ぎ込まれているんだ」

口をぱくぱくと開け閉めして、赤面している様子が可愛らしい。

「想像した?」

優しく聞いてみるのは、笑顔。

「…やっぱり意地悪なの」

ポリネシアンセックス、6日目の朝だった。
134或る執務官の逢引:2007/12/17(月) 01:17:34 ID:Z9J1mnWJ

『或る執務官の逢引』



フェイト・T・ハラオウンが、見知らぬ男と腕を組んで歩いている。

その一報を受け取ったのは、八神はやて特別捜査官。
彼女は至急、本局内に対策本部を置き、現状の把握に努めた。

「これが、問題のライブ映像です」

シャリオ・フィニーノ執務官補佐が、小会議室を占拠して設置された対策本部にて、
光学パネルにバルディッシュ・アサルトからのライブ映像を表示させようとする。

「ちょい待ち、なんでライブ映像が出せるねん」

シャーリィが、眼鏡を光らせながら視線を逸らす。

刹那、その体躯は天高く舞い上がり、空中で半回転、教導官の肩に首筋が乗せられる。
天地逆の姿勢で開脚させられた足に、背後に跳んだ捜査官が両足を捻じり込み、広げ、
両腕を絞り上げ、そのままの姿勢で3人絡んだまま着地する。

会議室の床に、何か凄いものを打ち付けた音が響いた。
執務官補佐の肢体が、とても芸術的な感じになっていて、わんだほー。

近くに居たところを拉致されて、居た、ヴィータとシグナムが驚愕の叫び声をあげる。

「あ、あれは…なのLAP!」
「知っているのかヴィータ!?」

「ああ、訓練中の莫迦話だったんだが、まさか本気でやらかすたぁ」
「というか、物理的に可能なのか? 天井の高さ的に」


なのLAP、それは……リリカルバスターと八神スペシャルを組み合わせた、
まったく新しいコンビネーションホールドである!

犠牲者込みの3人とも、スカートである事が最重要ポイントとされる。
デヴァインバスターの2倍、いや10倍の破壊力がある事は言うまでもない。

(無限書庫供出資料:『あのたゆんたゆんを、サランラップで縛りてぇ』より抜粋)

135或る執務官の逢引:2007/12/17(月) 01:18:13 ID:Z9J1mnWJ

「さて、先天性覗き屋本舗の仕置きも済んだ事やし」
「ライブ映像を確認してみるの」

何事も無かったかのように、会議が進行した。
シャーリィの席には、代役で呪いウサギが置かれている。

「あそれ、ぽちっとな」

室内が消灯し、室内前方の光学パネルに、デバイスより転送されたライブ映像が表示される。
あきらかに視点がデバイスの位置で無いのには、たぶん、壮絶な技術の無駄遣いがあるのだろう。

フェイト・T・ハラオウン執務官が、楽しそうに笑いながら、誰かと腕を組んで歩いていた。
何処かの公園か何かだろうか、麗らかな日差しの中、池の周りの散歩道といった風情である。

二人の手元には紙袋、バケットとかが突き出しているところを見ると、日用品のようだ。

腕を組んでいる相手は、浅黒い肌の逞しい体躯に、青い髪。
何処の次元世界の出身なのか、長めの耳が、毛皮のような濃い体毛に覆われている。

「ふーむ、なんや男前さんやなぁ」
「……まだ、浮気と決まったわけじゃないの、ないの、ないの、ないの」
「どこかで見たおぼえがあるのですが…どこでしょうか」

三者三様の反応に、些か呆れながらもヴィータが発言する。

「いや、ザフィーラだろ」

盲点、そんな漢字が空中に浮かぶような雰囲気を伴った、静寂。
そして、ポンと手のひらを叩いて、ああそうそうと言いながら、はやてから発言した。

「言われてみれば、そうや、ザフィーラによう雰囲気が似とるわ!」

「ふむ、無骨ながら誠実そうな風貌と言い、まさにザフィーラですな」
「ザフィーラがアルフさんみたいに人間形態になれたら、こんな感じなのかな?」

「なれたらってなんだ、なれたらって!?」

ものすごく不穏当かつ薄情な発言群を、慌ててヴィータが押しとどめる。
息を切らせる彼女の肩に、いつの間にか近寄っていた主が優しく手を置いて、

「イヤやわヴィータ、まるで、ザフィーラが人間形態をとれるみたいやん」
「ふむ、一考の余地はあるのではないですか? 守護獣ですから可能かもしれません」

「そやなー、ヴィヴィオのお守りとかも楽になりそうやしなー」
「うん、フカフカでなくなったら、遠慮なく撃ち墜とせるの」

「却下や、ザフィーラが危ない」

打算も何も無く、伝わってくるのは真摯な思い。
この場に居る誰もが、此れ以上無いほどに本気である事は疑いようも無く、

ザフィーラを思うヴィータの切なさが、炸裂寸前になった。
136或る執務官の逢引:2007/12/17(月) 01:18:53 ID:Z9J1mnWJ

「しかし、あのたゆんたゆんを押し付けられて、眉ひとつ動かさないのは何でや?」
「紳士ですな、ザフィーラにも見習って欲しいものです」

「いや、だからザフィーラだって!!」

ヴィータの魂の咆哮は、華麗にスルーされる。
突如、鼻腔より鮮血を迸らせながら、教導官が倒れたせいである。

画面に押し付けられるように表示された、巨大な臀部のせいだった。

尻だった、どこまでも尻だった、果てしなく斜め下から撮影されていた、浪漫だった。
きっとシャーリィは販売目的だったのだろうと、確信させるのに充分な位置指定だった。

斜め後方から、地獄の断頭台のような音が轟き、驚いたヴィータが振り返って見てみれば、
そこには呪いウサギが1匹、安置されているだけであった。

「で、なんで尻やねん」
「なんか、池のカルガモを撫でようとしているみたいなの」

鼻血を流しっぱなしにしながら、至福の笑みで画面を眺めていた教導官が応える。

「あ、こけた」
「お約束なやつめ」

もはや諦観の境地に達したヴィータと、端から見物を決め込んでいるシグナムが、
のんびりと茶をシバきながら、しみじみと実況している。

誰もが激しい水音を想像した瞬間、画面の端から逞しい腕が伸びてきて、
入水しようとしていた執務官の首根っこを引っ掴み、宙吊りにする。

呆れ果てたように、何か言う。
決まり悪そうに、笑顔で応える。

残念ながら、音声にまでは対応していなかった。

その埋め合わせというわけでもないのだろうが、
静謐なパネルを前にした、会議室の中は騒然となっている。

「尻に目もくれず、濡れ透けフラグもスルーやと! どこまで紳士なんやあの男!?」

「いや、種族が違うし」
「ふむ、随分と意味深な発言だな」

「いやあぁああぁぁぁああぁあああああああぁぁ!?」
137或る執務官の逢引:2007/12/17(月) 01:19:39 ID:Z9J1mnWJ

絶叫に促されて画面に眼を向ければ、浅黒い肌の咽もとに、擦り付けられている金色。
はにかんだ笑顔でじゃれている執務官は、それは、とても幸せそうで、

−なんでだろう、なんでこんなに、あたしや、はやてや、ザフィーラは、
 死亡フラグを累積させるのが、こんなにも上手なんだろう。

以後の展開を予想して、頭痛がして、ヴィータは泣きたくなった。

「あああぁぁの見た感じ痴漢男!フェイトちゃんにマーキングされてるのおおぉおぉぉ!!」
「花の乙女がマーキングとか言わんの!」

誰かがフェイトちゃんのものになるぐらいなら、いっそ私があぁ、なのはちゃん、
それ意味わからんから、わからんからあぁ、HA☆NA☆SE!このガリュー!
え、それ罵倒なん!?じゃ地雷王、違いわからんから、わからんからあぁぁ!!

「てーか、見た感じって、どこらへんだ?」

放置すると主のライフが0になりそうだったので、嫌々ヴィータが合いの手を入れる。

「声が!」
「音声入ってねーよ!」

幻聴まで聞こえ出した教導官に向かって、鉄槌の騎士が脊髄反射でツッコミを入れた。

「きっと画面の外で、フルパワーエレクチオンがマックスボルテージなのおぉ!!」
「ちょ、落ち着いて、落ち着いてなのはちゃん! シグナムも止めてー!!」

「うろたえるな高町!」

次の瞬間、教導官は車田飛びで、高々と虚空へ舞い上がった。
星が砕けてギンガのランクがインフレして泣いていたが、天井の高さは謎のままである。

「安心しろ、加減はしていない」
「しろよ!」

返すアイゼンでツッコミを入れてから、ヴィータは席に座りなおした。
正直、頭を抱えて喚きたかったのだが、ぐっと堪える。

高町なのは教導官の席には、3分ほど、ヴィヴィオ専用ウサギが安置されていたと言う。

長きにわたる盟友であり、勇ましき外見の中に、不器用な優しさを持つ盾の守護獣のために、
主に気取られぬようにそっと、ヴィータは心の中で涙した。
138或る執務官の逢引:2007/12/17(月) 01:21:38 ID:Z9J1mnWJ

(余談)



本局前、対象がこちらに向かってくるとライブ映像で知った対策班一行は、
通用門の前で二人を待ち構えている。

通りすがる誰もが蒼白になり、全力でその場を遁走した。
どこかで回状でも回ったのだろうか、先ほどから、通用門の回りに人の姿が見えない。

今、特別捜査官の手には、騎士の杖が携えられている。

バリアジャケットの背中で「私は今年もシングルベルやというのに」と語っていた。
魔力光がどす黒く変質しているように見えるのは、目の錯覚か。

教導官の持つ魔道師の杖は、エクシードモードだった。

バリアジャケットの背中が「駄目なの、もう止められないの」と叫んでいる。
誰に聞いても、高町ヴィヴィオは母親似だと言うであろう。

烈火の将は、漂ってくる血と硝煙の香りに、全身がどことなく、うずうずしている。
執務官補佐は一度復活したが、その後いろいろあって、呪いウサギである。

鉄槌の騎士は、通夜のように沈痛な面持ちであった。

139或る執務官の逢引:2007/12/17(月) 01:22:08 ID:Z9J1mnWJ

かくして、一同は邂逅する。

「あ、なのは 差し入れ持って来たよー」
「主、こんなところでどうなされたのです?」

逡巡、声、というものは記憶に密接に結びついていると言う。

映像記録と、音声、それらがパズルのピースのように組み合わさり、
一瞬で、懐かしい記憶を次々と蘇らせる。

それは、若き執務官と対峙する盾であり、陽色の使い魔と競い合う槌であり、
誓いを捧げる4柱の騎士の一人であり、軛を放つ鋼の守護者であった。

「あ、ザフィーラ、人間形態でどないしたん?」
「いえ、少々荷物が多く、手が足りなかったもので」

なごやかな会話だったが、夜天の主は目をそらしていた。

「ありがとうフェイトちゃん、ちょうど一息ついたところだったんだ」
「無理しちゃ駄目だよ、なのは、すぐやりすぎちゃうんだから」

暖かな会話だったが、不屈のエースも目をそらしていた。

「久々だな、その姿も」

烈火の将の目は、懐かしさに細められてはいたが、やはり視線は宙を彷徨っていた。

形容し難い微妙な雰囲気に気圧されて、戸惑っている二人に対し、
ついには倒れ臥し、口から魂を吐き出しているヴィータが声をかける。

「ザフィーラ、構わねぇからそのままハラオウン家に貰われちまえ」

鉄槌の騎士の言葉には、常に誠が在ったと人の言う。

(終)
140名無しさん@ピンキー:2007/12/17(月) 02:07:45 ID:ZdZUygi9
えっと……後書きはなしかな?……とりあえずGJ!
141名無しさん@ピンキー:2007/12/17(月) 02:22:39 ID:Ch5QCEsn
GJ
元ネタが分かればもっと面白いんだろうなw

さて燃料投下しますよ
142名無しさん@ピンキー:2007/12/17(月) 02:23:22 ID:Ch5QCEsn
『時空管理局インフルエンザ予防接種会場』

「はやてさん……ここは……?」
「インフルエンザが流行するのも時間の問題、ってことで、任務に支障が出ないようにお上の方から予防義務づけられとんねん」
「注射……ですか?」
「あはは、キャロ?そんな怖がらんでええんやで!『チクッ!』とすんのは一瞬やからな!……ほら、見てみい……?」

「嫌だあああああああああああ!そんなふっとい針なん」
「ヴィータ……これくらい耐えなければ……え?!いや!わわわ私はひ日頃から体調管理には万全を期しているから大じょ」

「「アッー!!!!」」

「シグナムさん……?」
「ヴィータさんも……」
「……あ、あはは、は……まっ!まぁ大丈夫やからな二人とも!うん!」
「「……」」
143名無しさん@ピンキー:2007/12/17(月) 02:25:11 ID:Ch5QCEsn
〜注射終了〜
「ふぇぇ……やっぱり注射って嫌だなぁ……」
「……」
「……エリオ君?」
「……泣かないぞ……こんなの……泣かないぞぉ……」
「!……ふふ!もしかして泣いちゃったの?」
「?!ちっ!違うよキャロ!こんなのどうってこと無い!」
「へぇ〜♪うふふ!あはははは!」
「も、もう!!」


〜3日後〜
「……38度……8分……」
「……僕をあの時笑ったのは誰だっけぇ……キャロ?」
「う゛ぅ……ごめんね……エリオ君……」
「……冗談だよ。もうちょっとしたら担当の人が来てくれるから、無理しないで休んでるんだよ?」
「……はい……ありがとね……」
「ゆっくり治そうね?……じゃあ、悪いけど訓練行ってくるよ。なるべく早く戻るけど」
「うん……いってらっしゃい……」
144名無しさん@ピンキー:2007/12/17(月) 02:30:05 ID:Ch5QCEsn
「インフルエンザかぁ……キャロの様子は?」
「熱があること意外は特に……」
「エリオぉ?こーゆー時は付きっきりで看病するとポイント高いんだぞぉ?」
「ポイント……?」
「あぁこらスバル……まぁ、そうさせてあげたい気持ちは分かるけどさ……」
「……エリオ……キャロが心配かな?」
「なのはさん……僕は……」

『あ゛ー、あー、……エリオ=揉ん……ゲフン!エリオ=モンディアル三等陸士!機動六課課長権限において午後は強制有給とします!繰り返ーす!エリオ……』

「!ふふ、はやてちゃんたら……」
「良かったじゃん、エリオ!」
「……とりあえず、早いとこ着替えて看病してあげなさいよ?」
「皆さん……ありがとうございますっ!!」

〜はやてデスク〜
「ふぅ……彼女の世話くらいきっちりやってあげな……」
「マイスター……」
「……甘すぎかなぁ……」

「失礼しますっ!!八神課長はいらっしゃいますか!?」
「なんや、そないに慌てて……白衣……医局の方?」
「はい!……実は……六課に今インフルエンザの方がいらっしゃいますよね?」
「はぁ……キャロかな?……それが何か?」
145名無しさん@ピンキー:2007/12/17(月) 02:34:12 ID:Ch5QCEsn
「検査の結果から分かったんですが、キャロさんが罹患したのはインフルエンザじゃないんです!……もっと危険な……」
「?!なんやて!じゃあ、どないな病気なんですか?!」
「それは……



(看病か……フェイトさんが前してくれたっけ……僕はキャロをしっかり看病出来るかなぁ……)
「ただいまー……キャロ今日は特別に許可が出て……」
「…………」
「……って……キャロ……?」

(熱い……熱い……体が……カラダが……)
「……キャロ!?」

(エリオ……君……?……えりお……くん……好き……すき……)

「大丈夫キャロ!?顔が真っ赤だよ?!すぐに誰か……」

ギュッ

「え?」

(欲しい……ほしいよ……)「……エリオくん……ほしいな……」
「!?キ、キャロ……んむぅ?!」

(えりおくんと……きすしてる……?……わたし……きす……しあわせ……)

「っぷは!!……キャロ!?どどどうしたのさ?!」
「ねぇ……もっと……しよ……気持ち良い……コト……しよ?」



「それは……『淫』フルエンザです!!」
146名無しさん@ピンキー:2007/12/17(月) 02:36:19 ID:Ch5QCEsn
毒電波受信したけど続きなんて\(^o^)/だからせめて毒電波布教しにきましたごめんねごめんね

誰か続き書いてorz
147リリカルバイオレンス 2-1/9 ◆kd.2f.1cKc :2007/12/17(月) 03:10:31 ID:9YTo+bji
「もーっ、なんなのよこれはーっ」
 まるで蔦のように、ねじくれ無規則に伸びた木の枝に手足を絡め取られかけながら、ア
リサは悪態をついた。
「暴走したジュエルシードの力が、手近な樹に作用したんだよ」
 アリサの肩にしがみつきながら、ユーノが言う。
「傍迷惑なところに樹なんか植えるなー!」
 めくれ上がりかけたスカートを押さえながら、アリサは毒つく。とは言え、元々ありふ
れた街路樹である。無茶も良いところだ。
「何とかしてよレイジングハート!」
 ブンブンッと、白銀の剣になったレイジングハートを振り回しながら、言う。
『Yes, Master』
「えっ?」
 レイジングハートがそう言ったかと思うと、スニーカーのような靴──バリアジャケッ
トの一部──から、鮮やかなオレンジ色をした、光の翼が生えた。
『Flier Fin』
「ひょええぇぇぇっ」
 アリサは空中を舞う、と言うより、むしろその翼に振り回されるようにして、一定方向
に飛んでいく。
「うわっ」
「わわわっ」
 急停止、つんのめるようになったアリサは反射的に、そして振り落とされそうになった
ユーノは必死の、悲鳴を上げる。
「もう、レイジングハート!」
『Sorry』
 不機嫌100%と言った感じで、レイジングハートを怒鳴りつけるアリサ。
 だが、その視線の先にあるものを見て、はっとする。
「あ、あれって!」
 それは、見た目を言うなら、巨大な水色の宝石、肥大化したジュエルシード。
「けど、アレをふっ飛ばしちゃったら……!!」
 アリサは愕然とする。透明なその塊の中に、人間がいた。自分らより2つか、3つ、年
上の、男女。顔に見覚えがある。今日の午前中、試合観戦に付き合った、高町なのはの父、
士郎が監督を務める、翠屋JFCのメンバーと、その彼を応援に来ていた女の子だ。
『No Problem, Master』
「えっ? レイジングハート?」
 アリサは軽く驚いて、レイジングハートに聞き返す。
「大丈夫だよ、純粋な魔力の打撃だけを与えれば良いんだ」
 ユーノが説明する。
「人間が受けても、気を失ったりするだろうけど、死んだり、大きな怪我をすることはな
いはずだよ」
148リリカルバイオレンス 2-2/9 ◆kd.2f.1cKc :2007/12/17(月) 03:11:07 ID:9YTo+bji
「なーんだ。それならそうとはやく言ってよね」
 そう言って、アリサはびゅっ、とレイジングハートで空を切る。
「行くわよ、レイジングハート」
『OK, Master』
 アリサが、レイジングハートを、その大きなジュエルシードに向けた。
『Divine Shooter』
 剣の切っ先に当たる部分から、オレンジ色の光が放たれる。
 砲撃というにはか細い、しかし鋭い一条になって、ジュエルシードめがけて延びていく。
 だが、それが放たれると、巨大化した樹は蔦のような枝を、そのジュエルシードを守る
ように、魔力光の矢の前に晒す。
 オレンジ色の光の矢は、数本の枝を透過したが、ジュエルシード本体に届く前に霧散さ
せられてしまう。
 ────だが
「前言撤回、何ヒトが苦労してるときにそんなシアワセそうな顔して寝てるのよーっ!」
 怒った様に言いながら、ほとんど垂直に近い斜め上から、アリサがジュエルシードめが
けて“降って”きた。
「頼むわよ、レイジングハート!」
『OK, Sprite Slash』
 キィン、と金属の響くような音を立てて、レイジングハートの刀身が光を放つ。それを、
アリサは正面からジュエルシードに叩きつけた。
 パリィン。
 薄いガラスの容器のように、それは砕けて、中からまばゆいばかりの魔力光が溢れ、し
かし一定のベクトルを持たず霧散してゆく。
149リリカルバイオレンス 2-2/9 ◆kd.2f.1cKc :2007/12/17(月) 03:11:58 ID:9YTo+bji

 光が晴れたとき、町を覆いつくしていた樹はただの街路樹に戻り、そして、その傍らに、
少年と少女は横たわっていた。
「大丈夫、気を失ってるだけだよ」
 鼻先で2人の様子を調べていたユーノが、アリサを見上げて言う。
「それならよかった」
 アリサは胸を撫で下ろすように言ってから、視線を移す。
 地面から、丁度90cmぐらいの高さに、元の大きさに戻ったジュエルシードが、風に流さ
れる事もなく浮いている。
「レイジングハート」
『OK』
 アリサはレイジングハートに語りかけてから、その先端でこつん、とジュエルシードを
叩いた。
『Sealing Jewelseed No.X』
 やはり、ジュエルシードは光となってレイジングハートに取り込まれ、レイジングハー
トのコアが一瞬輝き、余剰圧力放出弁が開いて、水蒸気交じりの熱気が放出される。
「はぁ、やれやれ」
 アリサは、自分で肩を揉みながら首を回すと言う、年寄りじみた仕種をする。
「レイジングハートもお疲れ」
『Thanks, Shifts to sleep mode, Good-bye again 』
 バリアジャケットが解除され、アリサは着ていた私服に戻る。
 小さなルビーのような宝石になったレイジングハートを、下げていたネックレスのペン
ダントに嵌めた。
 ────僕の使えない砲撃魔法も何とかこなすし、それに、あの一瞬の判断。
 ユーノはアリサの肩に飛び乗りつつ、思う。
 アリサは気が長い方ではない。年齢を考慮したとしても、どちらかと言えば激情家の部
類に入ると言って良い。
 ただ、一度臨界点を突破すると逆に度胸が座るタイプなのだ。落ち着いているときより
も、キレているときの方が、目の前の事象に対しては冴えるのである。
 欠点として、“目の前以外”が見えなくなる。
 文章にすると矛盾があるようにも見えるが、往々にしてこの手の性格の持ち主は少なく
ない。
 ただあくまで“性格”の問題であって、絶対的な“能力”と同調するわけではない。
 その意味で超小学生級と言って良い能力を持つアリサ・バニングスと言う少女は恵まれ
ていた。
 ただ、彼女の傍らに同等のレベルの少女が2人いる為に、抜きん出ては見えない。
 また、特化した面を持つ他の2人に比べると、アリサはいささか器用貧乏の気があった。
 ────でも、やっぱりリンカーコアの出力が小さい……
150リリカルバイオレンス 2-4/9 ◆kd.2f.1cKc :2007/12/17(月) 03:12:45 ID:9YTo+bji
 ユーノは憂う。
 ────今は良いけど、管理局、いや、それよりも、悪意のある別の魔導師が介入して
きたら……
「あら何ユーノ? どうかした?」
 眉間にしわを寄せるフェレットに、アリサは半ば何気なく声をかけた。
「ななっ、なんでもないよっ、他にどんなところにジュエルシードがあるかと思ってっ」
 ユーノは、胸の内を見透かされたような気がして、慌てて誤魔化した。
151リリカルバイオレンス 2-5/9 ◆kd.2f.1cKc :2007/12/17(月) 03:13:22 ID:9YTo+bji

「と言うわけで、私は魔法少女になったわけよ」
 ブッ。
 フェレットが思わず吹いた。実に器用なフェレットである。
 場所は月村家。月に数回行われる3人+αのお茶会の場である。
『あ、あ・あ・あ・あ・アリサっ!?』
 実際に舌が動いているわけではないのに、念話でユーノが飛ばしてくる言葉がどもって
いる。
『だいじょーぶだって、この2人なら』
 アリサは念話で返して、ユーノに向かってウィンクして見せた。
『何を根拠に……』
 ユーノはげんなりした表情を見せる。
「ん、どうしたのよ2人とも?」
 ユーノから視線を戻すと、なのはとすずかが、気まずそうに苦笑している。
「い、いや、えっと……魔法少女なんて、いきなり言うから」
「あーっ、なのは、アンタ私を頭のかわいそうな子だとか思ったでしょう!?」
 アリサは驚いたような怒ったような、顔を少し紅潮させてなのはを見る。続けて、ジロ
っと視線をすずかに移す。
「すずかもそうなのね?」
「え、あ、別にアリサちゃんが嘘ついてるとか、そう思ってるわけじゃないよ?」
 すずからしく、当たり障りのない言葉を選びながら言うが、それはアリサの目にも一目
瞭然だった。
「2人して失礼な! よーし、そこまで言うなら、変身するとこ見せてやろーじゃない
の!」
『ちょ、アリサ……!!』
 ユーノがとめる暇も有らばこそ。
「レイジングハート!」
『Yes, Master』
 最高クラスのインテリジェントデバイスは、あくまで使役者に忠実だった。
『Lady... Set Up』
 青白い魔力光の魔方陣が、月村家のテラスの床、アリサを中心として描かれたかと思う
と、それがオレンジ色に変わる。レイジングハートの大きなコアが出現したかと思うと、
西洋剣を模した実体がその周囲に現れる。垂直の魔方陣がアリサを取り巻き、ロングスカ
ートの可愛らしい私服を、活動的なデザインのバリアジャケットに変える。
 魔方陣の光が消える。
 なのはとすずかは、2人とも椅子からずり落ち、テラスに尻餅をついた状態で、呆然と
アリサを見ていた。
「ふっ」
152リリカルバイオレンス 2-6/9 ◆kd.2f.1cKc :2007/12/17(月) 03:14:09 ID:9YTo+bji
 アリサは格好つけるように、レイジングハートの切っ先を、テラスの入り口に向けた。
「はぅっ!?」
「あ゛」
 悲鳴のような短い声、そしてそれを上げた主を見て、アリサは驚いて声を上げる。
 月村家メイドの“ドジな方”、ファリンがのけぞって、背中から倒れかけた。
「しまった」
 飛び出しかけるが、間に合わない。お茶とお菓子の乗ったお盆を持ったまま、ファリン
がひっくり返りかけた、その時。
 緑の魔方陣が、ファリンの背後に現れ、その背中を、やや弾力の過剰なクッションのよ
うに弾いた。
「はぅっ」
 ファリンはそれでバランスを取り戻し、よろよろっとよろめきながらも、なんとか姿勢
を取り戻した。
「おー」
 なのはとすずかが、揃って声を上げた。
「凄い、今のも魔法なの?」
 すずかが聞いてくる。
「ん、ま……まぁね」
 さも自分がそうしましたというように、アリサは取り繕いつつ、
『ちょっとユーノ、今のアンタでしょ?』
 と、若干不機嫌そうに、念話でユーノに問いただす。
『まぁね、もう、魔法そのものは隠さなくてもいいと思ったし』
『まぁ、そうか』
 念話でユーノにそう伝え、軽くため息をつく。
「何がなんだか良くわかりませんが、とりあえず助かりましたー」
 まだ軽く目を回したまま、ファリンがテラスのテーブルまで歩いてきて、お盆を下ろし
た。
 アリサはバリアジャケット姿のまま、椅子に座りなおす。なのはやすずかも座りなおし
た。
 アリサはティーカップに手を伸ばす。
「あ、あのアリサちゃん、ごめんね、疑ったりして」
 なのはが、今度は別の意味で気まずそうな苦笑を浮かべ、言う。すずかも似たような表
情だ。
「信じてくれればそれでいいのよ」
 そう言って、アリサが軽くティーカップを煽ったとき。
『Master』
 小さく、レイジングハートがアリサを呼んだ。警告を発するように、コアがちかちかと
発光する。
153リリカルバイオレンス 2-7/9 ◆kd.2f.1cKc :2007/12/17(月) 03:14:56 ID:9YTo+bji
『ユーノ、ひょっとして』
『うん、近くにジュエルシードがあるみたい』
 ユーノに念話で問いかけると、肯定の答えが返ってきた。
『よりによってすずかの家の中か、まずいわね、さすがにこれに2人を巻き込みたくはな
いし』
 アリサはティーカップのふち越しに2人の姿を見る。
『僕もそれに賛成する』
『どうしよっか』
 アリサは考え込みかける。
「ねぇ、なんか寒くならない?」
 なのはが、アリサとすずかを見て、そう言った。
「え、そうかなぁ?」
 すずかは、キョトンとした表情で、そう答えた。
「キュキュッ」
「あっ」
 その時、ユーノが小さい鳴き声を上げて、ととっと駆けて行き、月村家の庭園の木々の
中に走って行ってしまう。
「あっ、ちょっと、ユーノ! アンタ、待ちなさいよ!」
 素で、慌てて立ち上がり、アリサはユーノを追って行く。
 ユーノを追ってしばらく進むと、突然、あたりの色彩が、微妙にぶれるような感触に陥
った。
「っ……ユーノ、何かしたの?」
 軽い眩みを覚えつつ、前を見ると、ユーノが立ち止まっていた。そこに近寄り、問い質
す。
「封時結界。このあたりの時間の流れを外側と少しずらして、干渉できなくしたんだ」
「へぇ、そんなことも出来るんだ」
 アリサにしては珍しく、素直に感心した。
「僕がちょっとは、得意な魔法」
「ふーん……後であたしにも教えなさいよ」
 ジト目でユーノを見ながら、アリサは言う。
「や、やり方だけだったら」
 実際のところ、謙遜するユーノに反して、広域結界はそれなりに魔力を必要とする魔法
だった。ユーノは己の失敗を悟るが、後の祭り。
「なんか引っかかるわねぇ」
「そ、そんなことないよ」
 途端に不機嫌そうになるアリサに、誤魔化すように言う。
 ────ま、レイジングハートもあるし、発動させるぐらいだったらなんとかなるかな?
154リリカルバイオレンス 2-8/9 ◆kd.2f.1cKc :2007/12/17(月) 03:15:42 ID:9YTo+bji
 自分の生殺与奪がかかっているような気がして、ユーノはそう思い込んで自身の精神的
安定を取り戻そうとした。
「そ、それより今は、ジュエルシードを」
「っ、そうだった」
 ユーノに言われ、アリサの顔に緊張が戻る。
「一体どこに……」
 あたりを見回そうとしかけたとき、ズズン、ズズン、と、小さいが、地響きがした。
 しかも、移動している。
「な……」
 音源のほうを振り返ると、そこに、灰色がかった虎縞の、見上げるような高さの、“巨
大な子猫”がいた。
 一瞬、アリサとユーノは呆然としてそこに立ち尽くす。
「な、なによなによアレは!」
 理不尽さに文句を言うように、アリサは声を張り上げた。
「多分……あの子の、大きくなりたいって願望が、正しく叶えられたんだと思う」
「珍しく暴走してないわけか。でも、アレじゃちょっとすずかも困るわよね」
 アリサはそう言って、ふー、とため息をつくような仕種をしてから、
「レイジングハート」
『OK, Master』
 バリアジャケットの一部であるスニーカーから、オレンジ色の光の翼が生える。
『Flier Fin』
「行くわよ、ユーノ!」
 飛行するというよりは、ホバリングするように(機動○士ガン○゙ムのド○のように)、
低空から森を抜けて、巨大化した子猫に迫る。
「レイジングハート、Ray Lanceで」
 だが、いつものように、OK, Master. の声は返ってこない。
『Caution!』
「えっ? Caution!?」
 ネィティブスピーカーであるアリサが、レイジングハートの「警告」の言葉に聞き返し
かけたとき、
『Protection』
 眩い、見た目どおり攻撃的な光が、アリサに──正確に言うなら子猫にめがけて、迸っ
て来る。それも複数!
『Dual Exercise』
 オレンジの光の盾が、光芒の矢と同じ数だけ生まれ、その行く手を阻む。
「うわっ!」
 盾は簡単に弾けて、割れて、消滅した。光の矢も、盾にぶつかった時点で消滅したが、
相殺し切れなかったエネルギーが運動エネルギーに変換され、アリサは、子猫のほうに吹
っ飛ばされる。
155リリカルバイオレンス 2-9/9 ◆kd.2f.1cKc :2007/12/17(月) 03:16:23 ID:9YTo+bji
「むぎゅ」
 子猫の毛皮に、顔面から突っ込む。
 肩に乗っていたユーノは、振り落とされた。
 ────ま、まずい、これは……
 ユーノは、体勢を立て直しつつ着地しながら、その事実を感じる。
「な、なんなのよ、一体! こんな乱暴な真似をするのは誰!?」
 起き上がって振り返りつつ、アリサは不機嫌そのものの声を上げる。
 そして見上げた視線の先には、アリサのバリアジャケットとは対称的な、黒い衣装の少
女。
 ────まずい、本職の戦闘魔導師だ。
 ユーノがそう判断した通り、その黒い衣装はバリアジャケット、手には黒い──しかも、
インテリジェントデバイス。
「一体何の用!? っつか、用事があるなら、玄関の門から入ってきなさいよね!」
 アリサは睨みつける。だが、相手は動じない。淡々とした表情で、アリサを見る。
 鮮やかな金髪は、いわゆるブロンドのアリサよりもさらに淡く、かつきめ細かい。緋色
の瞳。
「アリサ、まずいよ、あんまり挑発しちゃ!」
「何言ってんのよ、先に手を出したのはあっちよ、あっち!」
 宥めようとするユーノに、アリサは不機嫌そうに声を荒げて、言い返す。
「でも、まずいんだってば」
 ────この子、アリサなんか目じゃない、管理局ならAA、いやそれ以上に振るかも
……
 だが、そんなことを言えば、ますますアリサはムキになるのが目に見えている。
 とは言え、結果的にユーノが言っても言わなくても、状況にさしたる変化はなかった。
「このアリサ・バニングス様をこーんな目に合わせといて、ただで済むと思ってるんじゃ
ないでしょうね!?」
 アリサは、レイジングハートを振り回しながら、怒鳴る。
 それに対して、少女はただ、やや視線を俯かせるように下げた。そして、再び見上げる。
その先には、アリサではなく、巨大化した子猫。
「こ、こいつムカツクぅ」
 レイジングハートを握り締め、アリサは唸る。
「あ、アリサ落ち着いて──」
 そのユーノの願いは、悲しいかなアリサに届く事はなかった。
「痛い目あわーす!!」
 ちょっと9歳の女子小学生にはあるまじき指のジェスチャーを入れつつ、アリサはそう
怒鳴った。
156リリカルバイオレンス 2-10/9 ◆kd.2f.1cKc :2007/12/17(月) 03:18:29 ID:9YTo+bji
>>147-155
>>146氏の直後投下&警告忘れスマソorz
捏造有り過ぎ&中途半端に切れたバイオレンス2話ですた。

>>149はレス番ミス、2-3/9です。
157名無しさん@ピンキー:2007/12/17(月) 03:33:36 ID:Ch5QCEsn
>>156
リアルtimeGJ
158ゲリラ兵 ◆QCnUms2uBE :2007/12/17(月) 06:37:44 ID:mSwsP0P5
>139 つ、ツンデレとかしても萌えないんだから!絶対だから!嘘じゃないんだから!

……何かザッフィーが確保されてしまったようです。まだ出番あるのにw増やしとくか

はやては……しんぐるべーるしんぐるべーる ははは

他のみんなもGJ、だぜ!長文はうざいんでやめとくぜ!とりあえず俺のハートにマスタースパークとだけいっとk(ス レ チ

(多分注意書き)
[はやて×クライド][ぷち戦闘]
犯人は名前つきのオリキャラです。妙にテンション高いですが、まあ盛り上げ役ってことでひとつ
はやてもダーリン(?)が近くに居て舞い上がっているようです。伝染して騎士達も台詞の中身とか若干変です
よかったら仕事しろと言ってあげてください

ほいでは朝刊〜w
159〜ソラノカケラ〜(30)(1/2):2007/12/17(月) 06:38:41 ID:mSwsP0P5
 廃棄都市区画の上空ではやては宙に浮いたまま、現場にいる緊張感の欠片もなくおにぎりをはむはむと食していた。
片手にシュベルトクロイツ、片手にクライド特製のラップに包まれたおにぎりを持っているのであるからとんでもなく謎な絵である。
そして隣には給仕係の彼も浮いたまま、器用にバスケットを浮かせて水筒から紙コップに暖かい紅茶を注いでいた。
ひとつ咀嚼し終わってその紙コップを受け取ると、一口飲んでから本当に幸せそうにほっと息をつく。
「ほんま美味しいわ……うちは幸せもんや」
「……さすがに大げさすぎる気がするが」
「いやいやそんなことあらへんって」
味云々以前に一緒に居られる事の方が遥かに幸せなのであるが、さすがにそこまで口走ることはしなかった。
そこでほっぺたについたご飯粒にクライドが気づいて、人差し指でそっと取る。
この間のように謎な叫びをあげることだけはなんとか我慢して、その瞬間を見逃さず、ぱくっと咥えた。
「こら、行儀の悪い」
「にふふ」
ちょっとだけ指を舐めてから口を離すと、彼の笑顔に頭の中まで照れずには居られなかった。
(嬉しい嬉しい嬉しい嬉しい嬉しい嬉しいどないしよどないしよどないしよどないしよどないしよ)
全く、どこが緊急任務中なのかわかったものではない。
(ああもう、もっとにゃんにゃんしたい!にゃんにゃんにゃんにゃんにゃんにゃんにゃんにゃんにゃんにゃんにゃんにゃん!)
状況に完全にそぐわない思考を頭の中でぐるぐる回す不謹慎極まりない恋する乙女。
「まだ食べるか?」
「にゃん?」
「……にゃん?」
はっ、うちは今なんて……と脳内の言葉が思わず出てしまって激しく焦るが、ちょうどいいタイミングでティアナからの通信の画面が開く。
今回は音声だけではなく勿論、TV電話形式で戦闘服姿の彼女の姿も見ることができた。
「八神二佐、8番区画地上で一応の足止めに成功しました。といっても勝手に彼が止まっただけなんですが……」
「ふむ。こっちはみんな配置済みや。とりあえず説得してみよか?」
「お、お願いします……」
サーチャーからの画像が順次拡大し、映し出されたのは軽いリーゼントの金髪に青い瞳に少し顎の尖った囚人服姿の若い男性であった。
良くわからないが両手を上に上げて片足でくるくると回っている。何故か凄く楽しそうである。
「名前、なんていうん?」
「チョーコー・ソク、だそうです」
「どんだけ安易なネーミングやねん!全く親の顔が見てみたいもんやわ」
「あ、あはは……」
空中のコンソールに触れて、音声の出力先を彼の間近に設定すると、拡声器モードに音声を変更してから一応説得を試みる。
「あーあー、てすてす。ちょーこー……あーもうめんどいわ!そこなチョコ!あんたはもう完全に包囲されてるでー。大人しくお縄につきーやー」
その声が聞こえたのか、音源に向かって彼は叫び始めた。
「チョコじゃないデース!チョーコーデース!ミーを止めれるものなら止めてみろってんデース!
ミーはファースト!ミーはスピードデース!HAHAHAHAHAHAHAHAHA!!」
「……執務官補佐殿、何やこの謎なキャラクターは……」
「えと……元はごく普通の陸上選手だったらしいんですが、ある日突然魔力の使い方に気づいたみたいで、
走り回っていた所を局員に質問されて、それを無視した為拘留されたようです」
「ざ、罪状は何や……?」
「歩行速度違反?でしょうか」
「あ、あふぉか……まあ職務執行妨害は確実やけど」
画面の向こうの彼の周囲を遠巻きに数人の局員達が囲んでいるが、何故か全員制服姿だった。
あれ、なんで制服なん?と疑問に思ったはやてであったが、その問いはとりあえず後回しにする事にする。
そしてその上空の割と低いところに浮かんでいる、赤い2本のお下げの騎士と、その脇に小さい姿で飛んでいるばってんつきの融合機。
「あーもースピードかスウェードかなんかしらんけど、大人しく捕まる気はないんかー?」
もう一度はやてが説得を試みるが、返事はあっかんべーつきのおしりぺんぺんであった。
「かっちーん!」
わざわざ音声で怒りを表現してから、2人の騎士に号令をかける。
「ヴィータ、リィン、やっておしまい!」
「あいあいさー!」
「了解です!」
160〜ソラノカケラ〜(30)(2/3):2007/12/17(月) 06:40:16 ID:mSwsP0P5
即座に遠慮なく唸るグラーフアイゼン。
だが目にも止まらぬ速度で回避されて、さしものヴィータも驚く。
「こ、こいつはええ!」
続けて大人の目線の高さほどまで降下したリィンも氷のダガーをいくつか牽制で放ったが、シュンシュン、と綺麗にかわしきられてしまう。
「この人いったい――」
白いバリアジャケット姿の彼女も、何よりその速度に驚くが彼はそれだけでは終わらなかった。
即座にリィンの背後に回りこみ、そして――人指し指の先でその小さなヒップにタッチした。
ぷにゅん
「!?!?!?!?」
「OH!小さいデスけどグッドデース!いいヒップデース!」
さらに喜ばれながらふにふにと突かれて、あっさりと二代目祝福の風の怒りは頂点に達した。
「ふりーれんふぇっせるうううううううううううううううううううううううううううううううううううん!!!!!」
即座に氷の柱が彼の居た場所にできるが勿論回避され、矢継ぎ早にさらに氷柱を作りまくるリィンであったが、
かすりもせず無駄に氷の塊ができあがっていくだけである。
「このセクハラ野郎が!」
高く振り上げたアイゼンを一気に振り下ろすが、これまた素早く回避され地面に突き刺さる鉄の伯爵。
と、やや前傾姿勢気味に宙に浮かんでいたヴィータの背後に回りこむと今度は騎士服のスカートの裾を思いっきり上にまくりあげた。
「!?!?!?!?」
丸見えになる下半身とウサギちゃんのついた下着に、主に男性局員の目が釘付けになる。
「OH!ウサーギちゃん!プリティデース!」
両の拳を顎に添えて頬を染めつつ嬉しそうにケツを振るセクハラ犯人。
「てめえ……!」
ごごごごご、と涙目で振り返りながら、ついでに久方ぶりに瞳の色まで青く染まった。
「ブ ッ コ ロ ス」
ガシャコンガシャコンと何に使うか良くわからないカートリッジが飲み込まれていくアイゼン。
それから物凄い勢いで振り回されるハンマーと生成される氷の塊が止め処なく彼を襲うが、余計に煽る高笑いをしながらあっさりと全て回避されてしまう。
「せやから色気出さんとスパッツにしとけいうたのにー!」
中継を見守っていたはやては、恐るべしき精神攻撃に驚いていた。
「セクハラ攻撃に2人のハートはズタボロや!やるなチョコ……!」
暴走する2人をあざ笑うように振り回しながら、隙を見て一直線に離脱していくチョーコー。
だがその行く先の道路の中央には、烈火の将ことシグナムがレヴァンティンを片手で切っ先を下げて持ったまま待ち構えていた。
「シグナムー!そっちいったでー!」
161〜ソラノカケラ〜(30)(3/3):2007/12/17(月) 06:41:00 ID:mSwsP0P5
ふっ、と笑って眼前に迫る相手を見据えたが――ひゅんと脇を通り過ぎた風に髪が少しなびいただけで、彼女自身は微動だにしなかった。
「働きたくないでござるー!?こらーシグナム!ちゃんとやらんかー!サボると晩飯抜きやでー!こらー、きいとるかー」
画面の中の彼女は、一応素直に謝罪の意を表明した。
「はい、申し訳ありません。ですが確かに速いですね。拙者でも追いつけないかと」
どうやら相手の力量を見極めていたようだ。
「むぅ、シグナムであかんかったら誰も追いつけへんやんかー」
「何か手を練らないと無駄足です」
「せやな。なーティアナ、これどうやって捕まえたん?」
違う画面のティアナの方へ、前回のパターンが使えないかと情報を求める。
「ええっとですね、少しお待ちを。……あ、ありました。ええっと、逃走していたところを偶然居合わせた管理局員が確保。
確保したのは自然保護隊所属の竜騎士と召喚師――ってこの組み合わせはどこかで」
「おっけいおっけい。タネはわかったで。確かにあの2人なら鬼ごっこと勘違いして追いかけてくれそうや」
そして事実、鬼ごっこよろしく3時間ほど追い掛け回した某コンビが疲れ果てて動けなくなった彼を確保したのであったが、はやて達が知る由もない。
しかも元六課最速の人の愛弟子であるから、師匠がこの逃走犯の性質を知らないはずはなかった。
(おのれフェイトちゃん、これの相手しとうなかったからティアナを寄越したんやな……!あの女狐め!)

 とある管理局本局の一角で書類を抱えて走り回っていたフェイトは、母親にばったりと出会った。
「ふふーん、おっしごとおっしごといっそがしいー♪あ、母さん、今日も綺麗だね」
「おほほほほ」

 一方はやて。とにかく問題は目の前の解決である。
確かにフェイトかエリオであれば単純に速度押しで勝負できるかもしれないがどちらもこの場にはいない。
「しゃーない、こうなったらうちが!シャマル、座標は頼むな」
「はい」
どこかに待機していると思しき何故か少し楽しそうにしている緑色の騎士服の人に、魔法の出現先は任せて詠唱のない謎の魔法を発動させた。
「いくでー!今週の、びっくりどっきりまほー!」
掲げたシュベルトクロイツがきらりん、と陽に煌いた。
162ゲリラ兵 ◆QCnUms2uBE :2007/12/17(月) 06:42:23 ID:mSwsP0P5
うは、また分母増やしちまったごめんなしあorz
ほいでまはたノシ
163名無しさん@ピンキー:2007/12/17(月) 07:40:32 ID:8IBUnYmY
朝刊GJ!!
敵があまりにアホキャラでウケタ。
164名無しさん@ピンキー:2007/12/17(月) 08:35:19 ID:yN+dx/Bd
>>139
亀レスですがGJ!!
冒頭ではエロエロな内容なのに、
その直後の壊れたギャグ展開は相変わらずお見事ですwww
教導官はきっと愛ゆえに記憶力も(ry
或る執務官シリーズは一番好きなのでこれからも頑張って下さい
これからもおバカな執務官と壊れた教導官の愉快な愛物語を楽しみに待ってます。

とりあえずシャーリーにじーじぇ。
165名無しさん@ピンキー:2007/12/17(月) 08:58:53 ID:oEqm7scl
>>33
遅レスだが超GJ!
エロスな上にこれまたいい話だ。
フェイトとキャロで勝った話ってこれがはじめての気がする
原作の裏にこんな話があったかと想像すると激しくもだえますw

>>106
これまたテラエロスw
やっぱりフェイエリは最高すぎる!!
166 ◆6BmcNJgox2 :2007/12/17(月) 09:21:05 ID:TkJsyj6t
>>162
これは吹きました。歩行速度違反www
ですけど地味にやっかいな相手ですね。
逮捕はなるか! って感じで続き楽しみにしてます。

>保管庫の管理人様
実に申し訳無いのですが…
「フェイトは新たな恋に生きるのだ編 」が
本来長編の「三部作」の中の三作目でなければならないのに
「短編」の方に入っています。これを「三部作」の方に移せませんか?
167名無したん(;´Д`)ハァハァ:2007/12/17(月) 09:32:32 ID:wEmKt4Dt
保管庫手伝いです、訂正しました。
◆6BmcNJgox2氏、こちらこそ申し訳ありませんでした。
168 ◆6BmcNJgox2 :2007/12/17(月) 09:34:47 ID:TkJsyj6t
>>167
ありがとうございます。
169名無しさん@ピンキー:2007/12/17(月) 10:13:16 ID:WTPYm64z
>>162
フェイト職務放棄w
女狐VS子狸の争いがあったりするわけですねw
170名無しさん@ピンキー:2007/12/17(月) 11:29:07 ID:CDN7br54
まとめ見ながら思ったが、フェイトの恋愛モノって茨の道ばっかりなような気が…

なのは(百合)
エリオ(年の差)
クロノ(兄妹)
171名無しさん@ピンキー:2007/12/17(月) 11:34:40 ID:0NSli+LC
俺(次元の壁)
172B・A:2007/12/17(月) 11:56:37 ID:AqNTmyKy
自作したSSを投下します。

タイトル「フェイトの悩み」

・クロノ(20歳)×フェイト(15歳)です。
・そのため、クロノとエイミィは婚約していません。
・エロなしです。
・話の展開が多少強引です。
173名無しさん@ピンキー:2007/12/17(月) 11:58:04 ID:aG/IqsFS
>>170
最近はユーノも増えてってるな。
あとここに限定しなければ恭也のSSもある。
174フェイトの悩み@:2007/12/17(月) 11:58:30 ID:AqNTmyKy
それはある土曜の昼下がり。フェイト・T・ハラオウンは海鳴の自宅マンションのリビングで
分厚い本とにらめっこをしていた。
「うーん・・・」
何を悩んでいるのか、先ほどからフェイトはページをめくる手を止め、同じ箇所を読み直して
は熟考し、ため息をつくという作業を繰り返している。
「いったい、何を悩んでいるんだ?」
見かねて声をかけたのは、フェイトの義兄、クロノ・ハラオウンだ。年若いながらも次元航行
艦の艦長を勤め、地上にいるよりも次元の海を航海している時間の方が長いと言われている生
粋のワーカーホリックの彼が、自宅でのんびりとしているのは非常に珍しいことだ。彼自身も、
できることなら職場に戻って書類整理の一つでもしたいところなのだろうが、クロノの仕事中
毒っぷりに前々から文句を言い続けてきた事務課が、先日、溜まりに溜まった有給休暇を消化
させようと半ば強引に休暇を承認させたため、明後日までは一切の予定がない状態だった。そ
のため、することもなくこうして自宅でコーヒーをすすっていたのだ。
「うん、ちょっとね」
答えるフェイトの声はいつも以上に小さかった。経験から、これはかなりの重症だとクロノは
思った。
175名無しさん@ピンキー:2007/12/17(月) 11:59:44 ID:Qtv5PXg6
GJ。なんか変なテンションになってきたww
八神家基準では色気づくとウサギパンツで色気抑えるとスパッツなのかww
176フェイトの悩みA:2007/12/17(月) 12:01:27 ID:AqNTmyKy
(なのはと喧嘩でもしたのか?)
義妹の親友にして教導隊のエース、高町なのはの顔を思い浮かべる。フェイトが悩むとすれば、
それが一番妥当なところだろう。
そこで、ふとフェイトが読んでいた本の表紙に目が止まる。そこに書かれている文字は日本語
ではなく、ミッドチルダ語だ。しかも、彼らが仕事柄よく読む本である。
「法律書じゃないか。なんでまたこんなものを?」
少なくとも、休日に女の子が読む本ではない。執務管としての仕事かとも思ったが、彼の知る
限り、今現在、フェイトが手がけている裁判はなかったはずだ。
「少し、気になって」
そう言って彼女が見せたのは、民法、それも結婚に関する法律が書かれたページだった。
「ここ、結婚したら男女どちらかの戸籍に入らなきゃいけないって書いてあるでしょ」
「あ、あぁ・・・」
脈絡のない話の振りに、クロノは困惑する。まさか、「お兄ちゃん、私、結婚してハラオウン家を出ます」
と告白されるのではないだろうかと不安がよぎる。
「それで、戸籍に入ったらその戸籍の名字になっちゃうでしょ………」
「フェ、フェイト、あああああ相手は誰なんだ? 僕が知っている男なのか?」
一瞬で、義妹の恋人候補達の顔が思い浮かぶ。
アレックス、ランディ、グリフィス、ザフィーラ……まさかグレアム元提督? もしあの淫獣だったら即刻、
永久凍結して二度と悪さができないよう虚数空間に放り込んでやる。
半ば反射的に、クロノは愛杖デュランダルを取り出していた。放っておけば、そのままゲートを開いて無限
書庫まで突っ走ってしまいそうな勢いだ。
それを見て義兄の誤解に気づいたフェイトは、慌て首を振る。
「ち、違うよ。別に結婚とかそういうのじゃなくて。第一、今は管理局の仕事とエリオの事で手一杯だし」
顔を真っ赤に染めながらフェイトは言う。どうでも良いが、仕事と子育てに奔走する15歳というのはどう
なのだろうか?
「ほら、少し前に管理局を辞めた人、いたでしょ?」
「ああ、あの子か」
アースラのブリッジクルーの一人で、先月初めに寿退社した女性だ。確か、フェイトとも親しかったと記憶
している。
「この前、クラナガンでその人と会ったんだ」
177フェイトの悩みB:2007/12/17(月) 12:03:34 ID:AqNTmyKy
その日、エリオと共にクラナガンで買い物をしていたフェイトは、偶然その元クルーと再会した。
そのまま成り行きで喫茶店に入り、思い出話に華を咲かせたのだが、話している内にフェイトは
段々と違和感を覚え始めた。
なんとなく、彼女の雰囲気が違うのだ。自分が知っている彼女は、聡明で計算高く、インテリジ
ェンスに富んだ人物だった。しかし、目の前にいる彼女は垢抜けていて、言葉の端々にいい加減
な調子が見え隠れしている。極めつけは、たまたま店に入って来た彼女の友人が、フェイトの知
らない名前で彼女を呼んだことだ。
フェイトは、彼女が自分の知らない別人に変わってしまったような気がした。
「それで、私もいつか結婚したら、ああなるのかなって」
結婚して、ハラオウンかテスタロッサ、或いはその両方の姓を別のものに変えて。今の自分とは
違う、全くの別人になってしまうのではないかという不安をフェイトは感じていた。
フェイトにとって、テスタロッサ・ハラオウンという名は特別なものなのだ。プレシア・テスタ
ロッサによって、姉アリシアのコピーとして生を受け、最後まで母親の愛情を受けられなかった
フェイトは、それでもプレシアを母親として愛し、感謝していた。そして、本当の自分を始める
ための一歩として、自分を迎え入れてくれたハラオウンにも。だからこそ、フェイトにとってこ
の2つの名はとても大切なものなのだ。だから、結婚して姓が変わった知人を見て、いつか自分
も彼女のように別の姓を名乗ることに不安を感じたのだ。
178フェイトの悩みC:2007/12/17(月) 12:05:17 ID:AqNTmyKy
「だから、民法なんて読んでいたのか」
今の姓を残せないかと、フェイトなりに考えた結果があれなのだ。
その結果は彼女の希望に反するものだったのはいうまでもない。
日本では現在、夫婦別姓の法律が話し合われているようだが、生憎
ミッドチルダではまだそういった話はないのだ。
「まったく、何を悩んでいるかと思えば」
クロノはフェイトの艶やかな金髪をくしゃっと撫でた。最近ではめ
っきりする機会がなくなった行為だが、フェイトはかつてと同じよ
うに目を細め、くすぐったがる。
「うぅ〜ん、クロノ?」
「悩むほどのことでもないだろ。苗字が変わっても、君が君でいる
限り、その名は意味を持ち続ける」
過ぎ去った日々は、決して消えはしない。ああすれば良かったと思
う過去があるように、これで良かったのだと思える過去もある。
「それでも、君がテスタロッサ・ハラオウンのままでいたいという
のなら、僕はそれでも構わない」
それだけ告げると、クロノはフェイトの髪から手を放す。そして、
もう言うことはないとばかりに、すっかり冷めてしまったコーヒー
カップを持って自室に引っこんでしまった。
一人リビングに残されたフェイトは。ぼうっと天井を見上げたまま、
クロノに言われた言葉を反芻する。

『君がテスタロッサ・ハラオウンのままでいたいというのなら、僕はそれでも構わない』
                  ↓
『テスタロッサ・ハラオウンのままでいたいなら、結婚しなければ良い。僕はそれでも構わない』
               ↓
『僕と結婚すれば、苗字を変える必要はない。僕はそれでも構わない』

「……………」
無言のまま、フェイトの顔は熟したトマトよりも真っ赤に染め上がった。
結局、その日フェイトはクロノとまともに顔を合わせることができなかった。

                              fin
179B・A:2007/12/17(月) 12:06:48 ID:AqNTmyKy
以上です。
省略されてしまい、申し訳ありません。
180名無しさん@ピンキー:2007/12/17(月) 12:39:08 ID:CDN7br54
>>173
恭也か…『なのは』では一貫して忍とくっついてるんであまり考えたことなかったなぁ…
…っていうか何で忍だったんだろうか。
俺の記憶する限りとらハのメインヒロインではなかったはずだが。
181名無しさん@ピンキー:2007/12/17(月) 12:52:25 ID:aG/IqsFS
その辺はよくわからんな。
とらハスレでも結論出てないし、まあ忍がお気に入りなんじゃねとかそんな邪推?

確かにまあ3のメインヒロインはフィアッセでOVAでもヒロインやってたし、
あと発売後人気は那美さんがNo.1だけどね。
182名無しさん@ピンキー:2007/12/17(月) 12:54:58 ID:GpqAwNdT
すずか繋がりで忍なんだろう
神社とかだったらそっちの人間関係を広めなきゃいけないし
183名無しさん@ピンキー:2007/12/17(月) 12:55:42 ID:yN+dx/Bd
GJ!!
勘違いして真っ赤になる
184名無しさん@ピンキー:2007/12/17(月) 12:56:41 ID:yN+dx/Bd
GJ!!
勘違いして真っ赤になるフェイトがかわいいなwww
とりあえず、クロノ
そんな発言は絶対誤解を招いてくれるぞw
185名無しさん@ピンキー:2007/12/17(月) 13:00:00 ID:yN+dx/Bd
GJ!!
勘違いして真っ赤になるフェイトがかわいいなwww
とりあえず、クロノ
そんな発言は絶対誤解を招いてくれるぞw
186名無しさん@ピンキー:2007/12/17(月) 13:25:21 ID:/z4YnT6a
>>183-185
とりあえず、オチケツw
187名無しさん@ピンキー:2007/12/17(月) 15:37:22 ID:uD+Vmt4Z
安西先生…

ヴォルテールの射精が見たいです…
ヴォルテールと白天王の絡みが見たいです…
188名無しさん@ピンキー:2007/12/17(月) 16:03:34 ID:MBS9Y4uV
次の患者さんどうぞ
189名無しさん@ピンキー:2007/12/17(月) 16:12:36 ID:BZYz+j9P
3人娘とキャロ以外の話が読みたいです…
190名無しさん@ピンキー:2007/12/17(月) 16:20:47 ID:93KOJyaT
石田先生とはやての話が読みたいです…
191( ゚Д゚):2007/12/17(月) 16:24:27 ID:9YTo+bji
>>180
ここに限定しないんで良いなら、恭也×リンディ(アニメなのは版)ってのもあったぞ。
192名無しさん@ピンキー:2007/12/17(月) 17:20:25 ID:/qdmVYoc
>>190
百合板でやれ。待ってるから。
193名無しさん@ピンキー:2007/12/17(月) 18:43:34 ID:OZrsCNCQ
>>182
原作の続編から忍が彼女やってた気が。
OVAでも忍だったし。
194名無しさん@ピンキー:2007/12/17(月) 19:20:38 ID:87DqtdK3
>>134
>『あのたゆんたゆんを、サランラップで縛りてぇ』

こんな出逢いをしていなければ、私とお前はいったいどれほどの友になれただろうか…
195名無しさん@ピンキー:2007/12/17(月) 19:53:11 ID:LejolwpT
>>193
どうもとらハで恭也との関係性が恋人以外に存在しないキャラだかららしい。

フィアッセ=年上の幼馴染、姉貴分
忍=クラスメイト
那美=年下の幼馴染
美由希=従妹兼義妹兼弟子
晶=弟子兼妹分兼高町家料理番
レン=弟子兼妹分兼高町家料理番

といった具合に、ゲーム開始時点で忍とだけ殆ど関係性が存在しないんですな。
ノエルはノエルエンドでも忍と結婚してたので、そこに含める形なんでしょう。
196名無しさん@ピンキー:2007/12/17(月) 20:00:47 ID:NXm8IYSM
>195
忍×ノエルと申したか。
197名無しさん@ピンキー:2007/12/17(月) 23:31:38 ID:ySooaFUy
>196
 それ、原作だと普通に……w
19826-111:2007/12/18(火) 00:18:11 ID:WbAbVXp5
業務連絡です
33スレの保管作業が終了しました。執筆陣諸兄は確認の程をよろしくお願いします

>>167
午前中の修正、ありがとうございました
34スレの保管作業、よろしくお願いします
199名無しさん@ピンキー:2007/12/18(火) 01:23:51 ID:Qa5GhNpt
>>195
さて、近親愛好家からするとなのちゃんが含まれていない理由を小一時間ry
200名無しさん@ピンキー:2007/12/18(火) 01:25:45 ID:28ODIqu2
>>199
とらハのなのちゃんはクロ君の嫁だから
201名無しさん@ピンキー:2007/12/18(火) 01:43:08 ID:nJaOzqX7
>>197
特定の相手が見つかるまでの間、主人が発情期に入ったときの
性欲発散用のセクサロイドも兼ねてるからなあ、自動人形は。

まあ忍は恭也とくっついてからも呼んで3Pとかしてたけど。
202名無しさん@ピンキー:2007/12/18(火) 02:31:34 ID:0VCUpfeK
>>200
そういえばそうだったな。すっかり忘れてた・・・
20339-362:2007/12/18(火) 03:55:03 ID:TvmrSYEf
投下してもよろしいでしょうか?
204名無しさん@ピンキー:2007/12/18(火) 03:59:59 ID:nJaOzqX7
今は人いないし多分大丈夫。
20539-362:2007/12/18(火) 04:03:19 ID:TvmrSYEf
注意書きです

・非エロなのは作者が(ry
・前回からの続編です
・ヤンデレ表現等あります(今回は含みません)
・キャラ破壊が加速的に進みはじめます
20639-362:2007/12/18(火) 04:03:50 ID:TvmrSYEf
ここは、とある世界の喫茶店。
コーヒーや紅茶の味もなかなか。ケーキにいたっては絶品という人気店だ。
全席禁煙らしく、灰皿がどこのテーブルにも見当たらない。
そんな店の一番奥の四人席。
そこに一人の男がコーヒーを飲みつつ、ぼーっとしていた。
どうやら、人待ちのようだ。
「………あれからもう三ヶ月かぁ。」
彼の名はユーノ・スクライア。
三ヶ月前にひょんなことからフェイト・T・ハラオウンの恋人となった男である。
その彼が人待ちということは、当然その相手は恋人であろう。
「最初は色々不安だったけど、まぁなんとかうまくやってるよね。」
これまでの恋人としての三ヶ月を反芻するユーノ。
もともと自分たちは高町なのはが好きだったが、彼女の態度に希望を見出せなかった。
とどめとばかりに、なのはからのデートのキャンセル。
彼としても、脈が無いと考えるしかなかった。
そんな折に、フェイトから持ち掛けられた提案。
『わたしなら、ユーノだけを好きになってあげるよ?』
その言葉は甘い毒のように、彼の心を侵食していった。
なのはが振り向かないなら、僕が誰と付き合ってもいいじゃないか、と投げやりな気持ちでその提案を受け入れた。
当然、そんな始まりで前途に希望を感ずるほど、ユーノはポジティブではない。
そもそも、彼は三ヶ月前の時点ではフェイトのことがそれほど好きだったわけでもなかった。
ただ、なのはの態度やあの日のデートのキャンセルなどを考えたとき、このままでは、一生報われないのではないかと。
そう諦めたから、フェイトの告白を受けたに過ぎなかった。
彼女が告白してきたのも、なのはを思いつづけても報われないと感じたからに違いない。
―少なくとも、ユーノはそう考えていた。
当初はフェイトのことは、ただの友人としての『好き』であったのだが、この三ヶ月の間に、彼の心は変化していた。
その変化とは―
コーヒーを飲み終え、もう一杯注文しようとしたその時、ドアベルを鳴らして金髪の美女が店内に入ってきた。
彼女は、店内をキョロキョロと見渡す。
ユーノと目が合うと、彼女は嬉しそうに駆け寄ってくる。
そのまま、四人席なのにも関わらずユーノの隣に座り、その腕をぎゅっと抱きしめる。
「ユーノ、ごめん。待たせちゃったよね?」
「いいよ。フェイトも忙しかったんだろう?」
20739-362:2007/12/18(火) 04:04:37 ID:TvmrSYEf
いつもの事なのか、ユーノはちょっと赤くなっているものの、振り払おうとしない。
「やっぱり優しいね。ユーノは…」
「そ、そうかな……」
ユーノの顔を見てニコニコしているフェイトは、それだけで満足なのか、一向に注文をする様子がない。
店員が微妙に困った顔でこちらを見ているのに気付き、ユーノは言う。
「とりあえず、メニュー、何にするの?僕はいつものとおりコーヒーだけど。」
「ううん、そうだなぁ。わたしは…」
フェイトはユーノの腕から体を離すと、メニューを眺め始める。
ユーノはフェイトが離れてくれたことにちょっと安堵しながら、コップに口をつける。
そこで、コーヒーを飲み終わっていたことを思い出す。
近くの店員を呼び、適当なケーキを二、三品注文するフェイト。
彼も、コーヒーをもう一杯注文しておく。
注文し終えると、店員はそそくさと去って行ってしまった。
恐らく、この空気に耐えられなかったのだろう。
「あのさ、フェイト……」
「なにかな?」
「席、向かい側に移ってくれないかな。その…隣だとちょっと。」
その言葉に、フェイトは不満げな表情をするものの、ユーノの言うことには逆らわないらしい。
ユーノの向かいの席にそのままの表情で座るものの、ユーノの顔をしばらく見ているうちに、その頬が緩む。
「ユーノ…久しぶりだね、会えなくて寂しかったよ……」
「久しぶりって…この前デートに行ったの三日前じゃなかったっけ?」
ユーノがフェイトと付き合って驚いたことは、フェイトは一見しっかりしているように見えて、結構甘え性であるということだった。
特に、なのはのことで時には対立もした自分に、このような態度をとっているとは信じがたい思いであった。
三ヶ月と言う時間があり、それにも大分慣れてきたのだが。
「そうは言っても、恋人なんだよ?毎日会うのが普通じゃないかな、やっぱり。」
不満げに反論するフェイト。
「まったく、フェイトは甘えん坊だなぁ…」
フェイトの頭をまるで子犬にするかのように撫でつつ諭す。
「そりゃ、僕だって出来るならそうしたいけど、僕たちも仕事があるわけだし。」
彼らは一応は社会人であり、時間が合わない日もあるだろう。仕方ないことではある。
「だから、一緒に住もうかって言ってるのに。」
頭を撫でられ、嬉しそうにしながら、その意見にはなお不満げなフェイト。彼女としては、ユーノに甘えることの出来ない時間が多いと耐えられないのだろう。
「あのね、エリオとキャロもいるでしょ?だから、そうするにしてもあと一年ぐらいはダメだって。」
いくらなんでも、保護者が男と同棲などマズ過ぎるだろう。
20839-362:2007/12/18(火) 04:05:39 ID:TvmrSYEf
「……わかってるよ。」
不承不承と言った面持ちで頷く。
「それに、毎日電話やメールしてるしさ。そこまで気にすることでもないだろ?」
「ううん、やっぱり直接ユーノに会うのは違うよ。」
その言葉に、ユーノは内心溜息を吐く。
そうは言っても、電話やメールを欠かしただけで彼女は大騒ぎするのだ。
「まぁ、僕も直接フェイトに会えるのは嬉しいけど……それで、今日ってここでお茶するだけだっけ?」
「うん、ごめんねユーノ。わたし、今日は夜に仕事が入っちゃってるから…」
「まぁ、僕もこれから仕事入ってるし……」
「そうなの?時間は?」
仕事が入っているとは言っても、十分時間に余裕はある。
一緒にお茶するぐらいは問題ない。
「まぁ、さっき注文したケーキをフェイトが食べ終わるまではいられるよ。」
気楽にそう笑うと、フェイトが悪戯な笑みを浮かべる。
「それじゃ、ケーキをずっと残しておこうかな?」
「……やってもいいけど、僕は先に帰るよ?」
呆れた声で、ユーノは答える。
彼女の気持ちもわからなくないが、仕事なのでどうしようもない。
「やっぱり?……しょうがないよね、うん。」
しょんぼりと、うなだれてしまうフェイト。
店員がやってきて、ケーキをテーブルに置いていく。
「ご注文は以上でよろしいでしょうか?」
はい、とユーノが答えると、店員は伝票を置いていった。
フェイトは、ケーキを見つめ、何か考えている様子である。
「フェイト?ケーキ、食べないの?」
ユーノが尋ねても、フェイトはじっとケーキを睨んでいる。
そして、意を決したように、バッと顔をあげる。
「ユーノ!」
「な、なに?」
フェイトはケーキをフォークで切り、そのまま突き刺す。
そして、ケーキを刺したままのフォークを皿に載せる。
「ユーノ……その、あーん…って、わたしに食べさせて?」
頬を染め、照れながらフェイトはそのフォークの取っ手をユーノに向ける。
「ちょ、ちょっと待ってよ!な、なんでそんな恥ずかしいことを……!」
「わたし、今日はそうしないとケーキ食べれないな。」
「えーとね、フェイトさん?そういうことは控えようって、三日前に言ったばかりだと思うけど?」
ユーノの脳裏に、三日前の光景が甦る。

公園に出かけた二人は、そのまま昼食を摂ることにした。
フェイトが弁当を作ってきたらしく、二人でそれを食べることにしたのだが。
『あ、あれ?箸が一膳しかない?』
『もぉ、ユーノ。お箸なんて一膳で十分だよ?…はい、あーん。』
後のことは、語るまでも無い。
そして、その羞恥プレイに懲りたユーノは、フェイトにその行為の禁止を命じたのだった。

「えー?あれはわたしからだけじゃないの?」
「違います!そういうことは二人っきりの時だけにしようって言っただろ!?」
不満げなフェイトに、強い調子で言っておく。
「っていうことは、二人っきりの時ならいいんだね?じゃあ、今日はいいや。」
が、フェイトにはあまり効果がないようだった。
嬉しそうに、ケーキをパクつき始める。
その様子に、何か言っても無駄だと思い、ユーノは諦めてコーヒーを飲む。
しばらく、静かな時間が流れ、フェイトはケーキを二個ほど食べ終える。
彼女は、フォークを一旦置いてユーノに話し掛ける。
20939-362:2007/12/18(火) 04:06:10 ID:TvmrSYEf
「ユーノ、そういえば今月の予定はどう?その、またお茶したいし……」
ユーノは、鞄から手帳を出し、スケジュールを確認する。
「そうだなぁ…今月は特に忙しくないなぁ。あ、来月から結構仕事入ってるな…」
手帳に記したスケジュールを見つつ、コーヒーをあおるユーノ。
来月の分、今月は仕事が少ないらしい。
とにかく頑張って仕事を早く片付けているのも一因だが。
「えっと、わたしは…お茶なら、いつでも大丈夫だよ。デートは…その、再来週しか空いてないけど…」
彼女の方はいつも忙しいらしく、完全な休日は月に四日程度だった。
けれど、休憩の時間を使えば一緒の時間を作ることは出来るらしい。
その裏で、彼女の努力があるのは明白だが。
「わかった。今度は僕は五日後がいいな。フェイトは大丈夫?」
「うん…それまで会えないの寂しいけど、我慢するよ。」
フェイトは寂しそうに呟いて、最後のケーキを口に運ぶ。
ユーノも残りのコーヒーを飲んでしまうと、鞄に書類を仕舞った。
「それじゃ、僕はさっき言った用事があるから……その、もっと一緒にいられればいいんだけど。ごめん。」
フェイトに謝っておく。彼女を放置したり、ないがしろにするとあまりいいことはないのだ。
「うん……仕事だもんね…」
尻尾を垂らすかのように、しょんぼりしながら言う。
でも、今日はユーノに会えてよかったと、そう笑う。
そして席を立ち、帰ろうとするユーノに、
「待って、ユーノ。ちょっといいかな?」
「ん?何?」
「その…やっぱりユーノは、まだなのはのこと……好き?」
不安そうに顔を曇らせながら、フェイトはユーノに尋ねる。
恐らく、この三ヶ月ずっと彼女が聞きたかったことだろう。
ユーノは、なのはのことを完全に諦めきったのか、と。
「…………………うん、きっと、まだ完全に諦めきれてないと思う。」
真剣に、ユーノも答える。彼女の望む答えじゃなくても、誤魔化すことは出来ない。
確かに、なのはのことを諦めようとは思ったものの、そう簡単に割り切れるものではない。
その答えに、フェイトは悔しげに下を向く。
けれど、全てがあの時のままではないのだ。
「けど……」
「けど?」
あれからのなのはの対応は、以前と変化が無かった。
つまりは、そっけなく扱われていたのだが、彼はかつてのように傷つくことは無かった。
それはフェイトのおかげだと、そう思うのだ。
結果として、なのはの言動はユーノの彼女への想いを風化させ、フェイトへと心を傾かせることとなった。
「けど、どっちが上とかわからないけど、僕は、フェイトが好きだ。その…そばに、いて欲しいと思ってる。」
その言葉に、フェイトは下を向いたまま、ぽろぽろと涙を流す。
「フェ、フェイト?その、傷つけちゃったかな…ごめん。」
おずおずと、ユーノはフェイトに話し掛ける。
泣かせたのは自分だ。それで罵倒されても、しょうがないと覚悟を決めて。
「違うよ…わたしはその、嬉しかったんだ…ユーノがわたしにそばにいて欲しいって言ってくれて。」
ぐすぐすと泣きながらも、ユーノを見て、微笑む。
その笑顔は、本当に嬉しそうで。

(僕のあの時の選択は、きっと間違ってなかった。…僕とフェイトは、きっとこれからもうまくやっていける。)

泣いているフェイトが気になったものの、彼女がいいと言うので、仕事に行くことにした。
ドアベルを鳴らし、ユーノは外に出る。
ふと空を見上げると、黒い雲が空を覆っていた。
「…雨どころか、雷も落ちてきそうだな。」
ユーノはひとりごちながら、近くの売店に傘を買いに行った。

21039-362:2007/12/18(火) 04:06:45 ID:TvmrSYEf

それから三日後。
ユーノは、とある理由で機動六課に来ていた。
ここで当然のように考えられる理由は、恋人であるフェイトに呼ばれた、というものだが。
そうではなかった。
そうではなかったからこそ、彼は多少の不安を覚えていた。
彼が六課に来た理由とは、
「なんなんだろう?なのはが『会いたい』なんて……」
彼のかつて―というには些か早すぎるが―の想い人であった高町なのはに呼ばれたのであった。
今まで、あまり連絡をしていなかったのにも関わらず、わざわざ呼び出されたのだ。
考えられる理由は当然ながら、
「フェイトのこと………かな。やっぱり。」
あれからなのはと話していないとフェイトは言っていたが、噂がどこかから漏れたのかもしれない。
もしフェイトのことであるとするならば、いったいどのような用件なのだろうか。
普段の彼女から考えれば、二人を祝福してくれるのかもしれない。
ともかく、彼女の呼びかけに応じないわけにはいかなかった。



「…ここならいいかな。」
訓練場の森の中。
一組の男女がこの閑静な敷地に入ってきた。
言うまでもなく、高町なのはとユーノ・スクライアであった。
はやてになのはの居場所を聞くと、もうすぐ新人たちの訓練が終わるから訓練場に行けば会えるとのことだった。
その足でユーノは玄関に向かい、ちょうど帰ってくるなのはに遭遇した。
聞けば、『他の人のいるところじゃちょっとしにくい話』らしく、二人でわざわざこの森まで来たのであった。
「………………………」
ユーノは、いつもより遥かに緊張していた。
それもそうだろう、『他の人のいるところじゃちょっとしにくい話』なのだから。
今から何を言われるのか、内心は戦々恐々としていた。
一方、なのはは言おうか言うまいかちょっと悩んでいる様子だった。
即断即決のなのはにしては珍しい態度だと言わざるを得ない。
が、ユーノは自身の怯えを鎮めるのに精一杯であり、なのはの様子にまで気を配ることが出来なかった。
やがて、意を決したように、なのははユーノを見据える。
その頬は、赤く染まっていた。

「ユーノ君……やっとわたしの仕事のほうも一段落したから、その、結婚…しよう?」

静かに風が吹き、なのはの髪を揺らしていく。
「な、なのは。それって、本気……だよね?」
震える声で、ゆっくりと彼は聞き返す。
まさか、まさか自分がなのはにプロポーズされるとは、思いも寄らなかったからだ。
しかも、恋人を一段飛び越して、結婚である。
疑問符で聞き返してしまうのもわからなくもない。
「わたしは…冗談で人にプロポーズするような人じゃ、ないよ。それとも、ユーノ君の中では違うの?」
ちょっと怒った様子のなのはに、ユーノは急いで取り繕う。
「い、いや。僕たちって、今までそんな感じじゃなかったし。そもそも、いきなり結婚だなんて……」
「全然いきなりじゃないよ。だって、ずっとわたしたちは……恋人だったんだし。」
頬を可愛らしく膨らませながら、なのははさも当然のように言う。
が、彼としては青天の霹靂である。
しかし、告白されたとしたら、一つだけ思い当たる節があった。
「……なのは、ひょっとして、ずっとって、あの日から?」
21139-362:2007/12/18(火) 04:07:17 ID:TvmrSYEf
あの日、これからは無限書庫で働くこととなったユーノになのはが伝えた言葉。
彼だって、最初は告白だと思っていた。
だが、彼女のあまりにも変わらない態度から、勘違いだと思いつづけていたのだ。
「うん。…あの時、ユーノ君がわたしの告白を受け入れてくれたときから、ずっと…ずっと……」
彼女は、遠く懐かしむように呟く。
そして、悲しげに顔をうつむかせる。
「でも、ユーノ君にとっては、そうじゃなかったんだね。……なんで、なのかな?」
「なんでって…なのははその次の日も、僕に友達みたいに……告白の前と同じ様に接してたから………」
あの告白の翌日、彼女は普段と変わらない様子で、フェイトとばかり話していた。
まるで、昨日のことなど知らないかのように。
「だからずっと、なのはは僕のことを友達だと思ってるんだって、そう思ってた。」
「…きっと、言い訳になっちゃうと思うけど、聞いてくれないかな?」
彼は頷く。
彼女が今まで自分のことを好きだったというならば、どうして今まで友達のような態度だったのか。
純粋にその理由を知りたいと、そう思った。
「まずは、あの告白の次の日から…だね。」
思い出すように、振り返るように彼女は語り始める。
「わたしは、その時まで人を好きになるっていうことがよくわかってなかったから……ユーノ君とどんな風に話せばいいか、どんな顔でユーノ君を見ればいいのか、わからなかったの。」
だとすれば、彼女がフェイトとばかり話していた理由は、ユーノに何を言っていいかわからなかったから。
デートの時、言葉が少なかったのは、嫌々出かけていたからではなく、何を話せばいいかわからなかったから。
「………………………………」
ちくり、とユーノの心に痛みが走る。
「それでね、その…小学校を卒業したら、もうちょっと積極的に恋人らしいことしようって、そう思ってたんだけど……」
そこまで言って、なのははちょっと怒ったように頬を膨らませる。
「ユーノ君、フェイトちゃんも一緒に連れて行こうって言うんだもん………」
「え……?」
「え?じゃないよ……あの時、わたしすごい落ち込んだんだよ?折角のデートなのに、って。」
「そんな……なのは、普通に『いいよ』って言ったじゃないか。」
あの時、渋るかと思ったけれども、あっさりとフェイトがついてくることを認めた。
それで、ユーノはなのはが自分に友人以上の感情を持っていないと思ったのだった。
「だって、ユーノ君の言うことに反対して、嫌われたく、なかったんだもん。」
拗ねたように、彼女は呟く。
なのはがそれをおとなしく受け入れたのは、ユーノの提案だったからだった。
フェイトに対する不快感だって彼女にはあったが、そんな自分を見せてユーノに嫌われることは彼女にとって何よりも恐ろしかったのだった。
「フェイトちゃんの前で…知ってる人の前でなんて、そんな風にわたしは出来ないから……」
「それは僕もそうだって思う……」
結局は、自分が元凶だった。
自分がフェイトの提案を呑みさえしなければ、なのはの態度はユーノでもわかるほどにはっきりしていたに違いない。
だからと言って、フェイトが悪いわけではない。彼女も、ユーノのことを考えてああ言ってくれたのに違いないのだから。
「じゃ、じゃあ、最近、ずっとそっけなかったのは?」
「そっけなかった…?あ、この前のデートをキャンセルしたこと?」
「それもあるけど…いつも仕事ばっかりで…」
21239-362:2007/12/18(火) 04:09:56 ID:TvmrSYEf
「仕事を頑張ったのは、管理局でやらなきゃいけないことを早く終わらせて、ユーノ君と早く結婚するため、だったんだけど……ごめんね、今まで言えなくて。そういうの、照れ臭くて。」
彼女は頬を染めたまま、えへへ、と照れ笑いを浮かべる。
一方、ユーノは愕然とする思いだった。
「その…やっぱり、みんなの前で甘えるのって、恥ずかしくて。ごめんね?やっぱり、傷つけちゃった……かな?」
心配そうに、気遣うように、なのははユーノを見る。
「いや…僕は…別に…」
なのはの言葉、仕草。その一つ一つが、ユーノの心に突き刺さる。
彼女は、自分の事を……恋人だと、思ってくれていたのだと。今更ながらに理解してしまう。
「でも、もう教官のお仕事はおしまい!これからはユーノ君と一緒にいられるんだよ!」
明るい声でなのはは言う。
その幸せそうな顔を見たとき、ユーノは自分の根本的な勘違いに気付いた。
なのはは、別に一夫多妻な女性でもなくて、仕事のことが何よりも大切な人でもなくて。
―好きな人との幸せな生活を夢見る、普通の女の子だった。
それなのに、自分はなのはが言った言葉を誤解し、苦しみつづけていた。
そして、挙句にフェイトと恋仲になったのだ。
本当の彼女は、自分に溢れるほどの好意を寄せつづけてくれたというのに。

(………僕は、なんて酷い、男なんだろうか。)

自嘲するしかなかった。
不安だったら、聞けばよかった。
「なのは、なのはは僕のこと、どう思ってる?」
と。
それを聞く勇気がなかった。
ただの友達だと言われるのが怖かった。
だから、結果としてなのはの気持ちに気付かずにいた。
「そのね、ユーノ君。やっぱり、さっきのプロポーズ、取り消そうと思うんだ。」
「…………………」
自分の気持ちに気付かなかった彼が嫌になったのかもしれない。
そうであればいいと、ユーノはそう思った。
21339-362:2007/12/18(火) 04:10:29 ID:TvmrSYEf
「ユーノ君は、まだ心の準備、出来てないと思うから。だから、今は……」
「今は?」
そのユーノ返答に、こほんと軽く咳払いをして、なのははユーノをまっすぐ見つめる。
いくらかの不安と、期待を瞳に湛えて。
「わたし…ユーノ君と離れたく、ない。その……そばに、いて欲しいな。」
それは、いつかと同じ告白。
ずっとそばにいたいという、率直な言葉。
彼女は、フェイトとユーノのことも知らずに、ユーノも喜んでくれると思っている。
何故ならば、ユーノのなのはに対する態度を見れば、彼が好意を抱いていることは一目瞭然であったのだ。
断るはずがなかった。
だから、彼女は幸せそうに笑っている。
その笑顔は、ユーノの心に罪悪感を感じさせ続けていた。
過去の自分への悔恨。
そして、なのはとフェイト、二人への感情。
それらが頭を掻き混ぜ、ユーノは気が狂いそうだった。
ただ、一言。
「なのは、ごめん。………その返事、明日でもいいかな?」
「え?どうして?」
なのはは、不思議そうな表情で首をかしげる。
彼女としては、当たり前にユーノも喜んでくれるだろうと思っているのだ。
「本当にごめん……色々、考える時間が欲しいんだ…」
彼女も、ユーノの言うことにあえて逆らう気はないらしい。
「……ユーノ君がそう言うなら、いいけど。それで、明日のいつかな?」
「じゃあ、明日の今日と同じ時間で。」
ユーノは何とか声を絞り出す。
返事を楽しみに待ってる、と無邪気に笑いながら彼女は戻っていった。
森にはひとり、男が立ち尽くす。
その頬には、何のためだろうか、涙が流れていた。



21439-362:2007/12/18(火) 04:14:05 ID:TvmrSYEf
なのはさんが空気を読み忘れたようです。


そういうわけで、修羅場を期待してた人、すいません。
次回こそそこまで行きたいと思います。

えっと、あと、これには分岐が3つあります。
名前を付けるのが面倒なので、EMD1,2,3ということにします。
このうち、ヤンデレが出現するのは1,2のみなので、どうしてもダメな人は3だけ見るといいかも…

無駄に長くてすいません、ほんと。
215名無しさん@ピンキー:2007/12/18(火) 04:26:15 ID:T4HGz8zU
>>214
GJでした

それにしてもこれは

     ヤ   バ   イ

216名無しさん@ピンキー:2007/12/18(火) 04:53:38 ID:FL8fpvH8
>>214
待ってました&GJ

七時には仕事行かなきゃならんのに興奮して寝られん、
明日は次長に怒られるとするか・・・
217名無しさん@ピンキー:2007/12/18(火) 05:00:52 ID:RhMYGxbt
>>214
GJ
前回から楽しみに待ってたよ。
鬱だorz
209で終了でいいよね。
218名無しさん@ピンキー:2007/12/18(火) 05:09:01 ID:DN+J503L
>>214
都築、もとい続きが楽しみだw
悪魔と雷神の闘いwktk
219( ゚Д゚):2007/12/18(火) 06:24:34 ID:0AEPjkR8
GJ!!
っつか、ユーノがどっちを選んでも修羅場、というより2人の修羅が降臨するシーンしか思い浮かばん。
3はどうするんだ? はやてかシグナムかシャマルか、はたまたすずかか美由紀にでも逃げるのか!?
220ゲリラ兵 ◆QCnUms2uBE :2007/12/18(火) 06:58:50 ID:SXwzfZJu
>214 ガクガクブルブルガクガクブルブル
……見てる分には楽しくていいねw

>175 レスは嬉しいけどリロードしてあげてね、いあほんとに

[はやて×クライド][捕り物ちゅ]
……最近だんだん元ネタのはやてに近づいてきた気がします
あと今週はだんだん短くなっていきます。多分筆者のテンション的に 謎

ほいでは朝刊〜w
221〜ソラノカケラ〜(31)(1/2):2007/12/18(火) 07:01:27 ID:SXwzfZJu
全速で逃げるチョーコーの眼前の道にわらわらと何か小さく黄色い謎の物体がぴよぴよと無数に湧きあがり、思わず彼は足を止めた。
「ワッツ!?」
ぴよぴよと鳴きながら動いているが、どっからどうみてもお風呂用のひよこちゃんであった。
「どや!可愛くて踏めんやろ!参ったかチョコ!」
画面の向こう側に叫ぶが、確かに足こそ止めたもののじーっと観察だけしていた。そして――
「こんなものこうしてやるデース!」
と気の赴くままに片っ端から激しく踏み潰し始める。
ぴぎゅーぴぎゅーと聞こえてくる間抜けな音に頭を抱えるはやて。
「あああああうちのひよーこちゃんがー!折角夜天の書の中から発見した古代ベルカ式のお風呂専用魔法がー!」
「……はやて、さすがに遊びすぎではないのか」
さしものクライドでも渋い顔で突っ込まずにはいられないというものである。
「ああ、大丈夫やよ。単なる時間稼ぎやし」
「ん?」
とそこで笑みを消して後輩に指示を出す。
「ええよ、ティアナ」
はい!ときりっとした返事が返ってくる。
「結界担当配置完了!結界展開!」
ばっ、と彼女が手を下ろすとひよこのわらわらと居る中心から、結界が広がり始める。
周囲の家屋の屋根の上の数人の結界担当局員もほぼ制服姿であったが、
サポート専用らしきバリアジャケットに身を包んだ自前のデバイス持ちも幾人か混じっていた。
そしてその空間内に閉じ込められ――るはずだったのであるが、兎に角良くわからなかったのかとりあえず逃げる事にした
捕縛されうるべき対象はあろうことか結界の展開する外壁から走って逃走を試み始めたのである。
それこそ生半可な速度であれば一瞬で包まれてしまうのが通常なのであるが、あっさりと振り切りさらには距離まで離れていく。
はやても呆れずにはいられなかった。
「……なんちゅー速さや。ほんま才能の無駄遣いすぎや」
「HAHAHAHAHAHA!遅いデース!スロウリィデース!矢でも鉄砲でも機関銃でも核ミサイルでも持って来いデース!」
そしてそのままはやてのいる廃棄都市区画に近づいていく。
「しゃーないな。プランその2いくでー。ヴィータ準備はええか?」
転送で先回りしていたヴィータは、近づいてくる奴を死ぬほど睨みながらぐぐぐ、と拳を握りしめて耐えていた。
「っきしょー!捕まえたら耳からアイゼン突っ込んで反対の穴まで耳掃除してやっからなー!」
「そ、そんなことしたら死ぬがな……まあ加減してやってな」
「ぎぎぎぎ、ちゃんと避けろよ!やるぞアイゼン!」
「ja」
カートリッジが飲み込まれ、振り上げられたアイゼンは彼女の体の数十倍以上の大きさのハンマーに変わる。
「轟天爆砕!ギガントぉ――」
それに気づいた犯人は上空を見上げて両頬に手を当てて叫んだ。
「ノオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!?」
「シュラークっ!」
廃棄都市区画の路上に叩きつけられるグラーフアイゼン。
元のサイズに戻った後には、でかでかと開いた穴。
かろうじてかわしたチョーコーは、尻餅をついて恐怖していた。
「アンビリーバボー……はっ」
しかしその開いた穴に下水が通っていることに気づいた彼は、これ幸いとばかりに飛び込む。
「かかったなチョコ!地下に逃げ込んだが3年目や……!リィン、アギト、シグナム、シャマル、ザフィーラ、頼むで!」
222〜ソラノカケラ〜(31)(2/2):2007/12/18(火) 07:01:59 ID:SXwzfZJu
地下と思しき場所に居る画面の向こうの仲間達はすぐに了承したが、戦闘服のアギトからだけは文句が返ってきた。
「なんであたいだけ最初っから地下なんだよ!暗いし寒いし汚ねえしやってらんねーよ!あとばってんちびの次に呼ぶな!」
いつも通りにその台詞に怒るリィン。
「だからなんでばってんちびなんですか!いい加減名前で呼んでください!」
「べーっだ!」
「むきーっ!」
「こらこら、2人とも。とりあえずあれを捕まえてからや」
「はいです……」
「ぐぐぐ、しかもなんでこんなにいっぱい壁作らせたんだ?」
「すぐにわかるって。ほら、アギト、そっち行ったで。頼むわ」
「しゃーねーなっ!」
下水道の中、小さい何かがいることに気づきもせず相変らずの速度で通過しようとした逃走犯であったが、
そこに突っ込む直前に目の前の空間が真っ赤な炎で埋め尽くされた。
「炎熱、召喚!」
「ひぃぃぃっぃぃいぃぃ!?」
一瞬突っ込んで、慌てて焦げながらリバースする。
「アーチーチーアーチー!」
「よっしゃ!そのまま追いかけてな」
「あいよっ!」
はやてが他の画面に視線を移すと、今度は氷の塊や、白や緑の鋼の軛に行く手を塞がれる様が次々と映し出されていく。
そしてチョーコーは外の光が差し込む割と広めの四角い空間を見つけて飛び出そうとしたが、そこには烈火の将が待ち構えていた。
「レヴァンティン!」
「ja」
「おおおおおおおおお!」
カートリッジを飲み込ませ蛇腹形態にその姿を延長させると空間を螺旋状に埋め尽くしつつ、壁を抉りつつ彼の眼前に迫る。
「シイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイット!」
かろうじてリバースしてかわすが、戻って走る下水は海上へと向かう一本道。
「はやてちゃん!あと30秒!」
観測担当のシャマルから残り推定時間を報告されて、うん、と頷いてから全ての画面を消し
片手にシュベルトクロイツ、片手に夜天の魔導書を持ち詠唱を開始する。
「悪魔の微笑と誘惑を糧に果て無き闇を曳航する永遠の船将よ、我を導き迎合せし時へと誘え」
下水の出口と思しき上空に闇の光球が浮かび、少しずつ大きくなっていく。
「フリング・ホリニ・ヒュミル・シュベルト。果て無き闇を呼び起こせ。フリング・ホリニ・エーギル・シュベルト。全てを闇で埋め尽くせ」
「10・9・8……」
クライドの目から見て、集中して詠唱する朝の光に照らされたはやての横顔は、表面的な意味合いだけではなくきらきらと輝いていた。
223ゲリラ兵 ◆QCnUms2uBE :2007/12/18(火) 07:05:06 ID:SXwzfZJu
……といけない。詠唱は適当に捏造してます。魔法自体はStSでもぶっ放してますし。多分……わかるよね?
ほいではまたノシ〜
224名無しさん@ピンキー:2007/12/18(火) 07:48:12 ID:bkJIIBwU
>>214

 ほああああああ。
 修羅場の予感にテンション上がります!
 続き楽しみにしてますね。
225名無しさん@ピンキー:2007/12/18(火) 10:26:14 ID:fWJ0AGRi
>>106
遅レスですがGJ!!
ギガエロスな展開に興奮を隠せませんでした
この後は毎晩のようにエリオがフェイトさんの部屋に・・・
226B・A:2007/12/18(火) 10:52:29 ID:EtYv1zDX
どうも、174-178の「フェイトの悩み」の続編ができましたので投下します。

タイトル「フェイトの戸惑い」

・クロノ(20歳)×フェイト(15歳)です。
・その裏で、ユーノ×なのはだったりします。
・エロなしです
・クロノが映画好きになっています。多少本編と性格の差異が大きいかもしれません。
227フェイトの戸惑い@:2007/12/18(火) 10:54:29 ID:EtYv1zDX
事務課の懇願で不本意ながらも3日間の休暇を貰うことになったクロノは、暇を持て余していた。
とはいえ、さすがに五年も海鳴で暮らしていれば娯楽の一つも理解するというもの。かくして、
クロノは自宅マンションから程近いレンタルビデオ店を訪れていた。
「さてと、前回はホラーで酷い目にあったからな。今回は違うジャンルにするか」
かなり前に見たゾンビ映画のことを思い出し、苦笑する。あの時はフェイトも一緒に見ていたのだが、
出てくるゾンビがあまりに気持ち悪く、場面が変わる度にキャーキャー悲鳴を上げて怖がったのだ。
それは相当のトラウマになったようで、しばらくの間、フェイトは夜中に一人で眠れなくなってしまった。
「あれの新作、出たんだけどな」
実は密かに楽しみにしていたのはフェイトには秘密である。
ちなみに、クロノが好きなジャンルはサスペンス映画だ。社会派ドラマも好きだったりする。
逆にアクション映画は好みではなく、マッチョな男が一人で戦って最後は大爆発で終わりという荒唐無稽な作品は特に苦手だ。
リアリティが感じられない。
それから、ああでもないこうでもないと悩むこと小一時間。そろそろ決めないと夕飯に間に合わないなと思い始め頃、
意外な人物と遭遇した。
228フェイトの戸惑いA:2007/12/18(火) 10:56:28 ID:EtYv1zDX
「あれ、クロノじゃないか?」
親しげに話しかけてきたのは、管理局が誇る無限書庫の司書長にして若き考古学者、
クロノにとっては十年来の友人であるユーノ・スクライアだった。
「なんだ、淫獣か。どうした、成人コーナーはこっちじゃないぞ」
「うん、そっちは後で覗くつもりってちょっと待て! 誤解を招くようなことをサラッと言うな!」
「誤解されてもおかしくないことをしてきたからだろ」
無印で行った悪行を忘れたとは言わせない。
「まあ、この際それはおいておいてだ、こんなところにいて良いのか? 確か、ロストロギア関連の資料請求を
3件ほど依頼していたはずだが」
「ああ。君のところ以外からの依頼も含めて12件、新しく入った文献の整理に論文の執筆。けど、昨日までに全部片づけた」
凄惨な顔で語る言葉はそれだけに説得力があった。恐らく相当の無茶をしでかしたのだろう。かなりの間寝ていないのかもしれない。
彼がそこまでしなければならない理由となると・・・・。
229フェイトの戸惑いB:2007/12/18(火) 10:58:21 ID:EtYv1zDX
「あれ、クロノくん?」
陳列棚の影からひょっこり現れたのは、フェイトの親友にして管理局の白い悪魔・・・もとい、
教導隊のエース・オブ・エース、高町なのはだ。
「久しぶり。いつ帰ってたの?」
「昨日・・・いや、一昨日の夜か。有給を取れと事務課がうるさくてね、3日だけ休みを取ったんだ」
「あは、クロノくんは頑張り屋さんだもんね」
「クロノの場合はもうほとんど病気だよ」
その病気の一番の被害者であるユーノはげんなりとした顔で言う。無茶な要求を突き付けられることはや5年。
仕事のために自宅や発掘現場から無理やり引っ張られたこともあった。よくぞまあ、今日まで耐えられたものだ。
『クロノ、頼むから今日だけは仕事の依頼はキャンセルさせて。ただでさえ、今日の休暇を取るのに一月かかったんだ。
次になのはと会えるのはいつになるか・・・・・・』
『わかっている、僕だって休暇中だ。野暮なことはする気はないさ』
不安そうなユーノにクロノは念話で語りかける。こき使っているのは確かなので、すまないという気持ちは多少あるのだ。
230フェイトの戸惑いC:2007/12/18(火) 11:00:09 ID:EtYv1zDX
「ところで、クロノくんは何を借りるの?」
2人の会話など露ほどにも知らないなのはは、無邪気な好奇心を向けてくる。
「いや、まだ決まってないんだ。僕もフェイトも楽しめるものをと考えると、なかなか良いのがなくて・・・」
「ちなみに、クロノはどういう映画が好きなんだ?」
「これだ」
幾つか候補として籠に入れておいたDVDを手に取り、2人に見せる。
「法廷サスペンスに社会派刑事ドラマ」
「こっちは実話をもとにした戦争映画・・・クロノ、君は映画の趣味まで質実剛健なんだ」
「どういう意味だ、淫獣?」
「言葉通りの意味だよ。まったく、手堅ければ何でも良いってわけじゃないのに」
そう言って、ユーノは手近な棚からDVDを手に取る。平凡な小学生がぬいぐるみみたいな生き物と
一緒に魔法のカードを封印するアニメ、その劇場版だ。
「せめて、これくらいにしておけば?」
「ユーノ、他人事だと思って楽しんでいるだろ」
それともそれはお前の趣味か? と問いただしたくなる。
「まあまあ、クロノくん落ち着いて。ユーノくんもあんまりからかわない」
「はーい」
「僕は最初から冷静だ」
仲裁に入ったなのはは、そこでふと何かを思い出し、隣の陳列棚からあるDVDを持ってきた。
「これなんてどうかな? この前、お姉ちゃんから借りたマンガの実写版なんだけど」
「これ、もしかして恋愛映画か?」
「うん、もしかしなくても恋愛映画だよ」
ある意味、一番縁遠そうな人物に勧められ、クロノは困惑する。しかし、よく考えれば彼女はフェイトの親友だ。
なら、彼女の好みも考慮にいれての判断なのだろう。
「ありがとう、見させてもらうよ」
多少苦手なジャンルでもあるが、フェイトが喜んでくれるのならそれも我慢しよう。時間もあまりないので、
クロノは手短に礼を言って2人と別れ、なのはから渡された映画を借りて家路についた。
231フェイトの戸惑いD:2007/12/18(火) 11:02:02 ID:EtYv1zDX

そして、その夜。
「クロノ、お風呂沸いたから、先に入って」
「ああ、すまない」
リンディが町内会の慰安旅行に出かけてしまったため、現在ハラオウン家の家事はフェイトが取り仕切っていた。
アルフもいるにはいるが、野良犬の縄張り争いで助っ人を頼まれたとかで夕方に出かけたっきり帰ってきていない。
フェイトいわく、今夜は帰りが遅くなるから夕飯はいらないだそうだ。
「あれ、映画借りてきたの?」
テーブルの上に置きっぱなしだったレンタルショップの袋を見つけ、フェイトが聞いてくる。
「ああ。なかなか決まらなくて、苦労したよ。ホラーじゃないから、後で一緒に見よう」
そう言って、クロノは浴室に向かってしまう。一人残されたフェイトは、何気なく袋を手に取り、
入っているDVDを取り出した。そして、おもむろに裏返してタイトルを読み・・・・・・赤面した。
その映画のタイトルは『僕は妹に恋をする』だった。
「く、クロノ・・・・・・これ・・・?」
「人気漫画の実写版だそうだ。人気商品らしくて、品切れになることが多いらしいぞ」
クロノの声に、シャワーの音が重なる。もう、浴室に入ってしまったらしい。
さすがに、裸の男性を問いただすような暴挙は、15歳の少女にはできない。
「クロノ・・・・・誘っているの?」
彼女の呟きに、答える者はいなかった。
フェイトの誤解は続く。

                   fin
232B・A:2007/12/18(火) 11:02:32 ID:EtYv1zDX
以上です。お粗末さまでした。
233名無しさん@ピンキー:2007/12/18(火) 11:23:15 ID:MPmHBIk7
ちょwwww なのはwwwww
何を薦めてるんだwwww
わざとなのか? それとも天然?
234名無しさん@ピンキー:2007/12/18(火) 11:25:02 ID:m2kOjuB6
>>232
メール欄に半角でsageと入れた方がいいですよ。
そしてGJ
235名無しさん@ピンキー:2007/12/18(火) 13:02:28 ID:rEuMZ6/W
なのはさんマジ悪魔www
236名無しさん@ピンキー:2007/12/18(火) 13:03:44 ID:S1F/OCji
>>214
どう見てもNice boat.です。本当に(ry
237名無しさん@ピンキー:2007/12/18(火) 13:56:53 ID:44bs0bkv
>>214
GJ!!
END3はハーレムENDか?
238名無しさん@ピンキー:2007/12/18(火) 16:20:50 ID:S1F/OCji
>>231
GJ!なのだが・・・・・・

アルフなにやってんだよwwwwww
239名無しさん@ピンキー:2007/12/18(火) 16:46:48 ID:V2Xw5KkP
>>214
テラ Nice boatwww

>>232
どうみてもユーノが勧めてるのがCCにしか見えない件w
240名無しさん@ピンキー:2007/12/18(火) 19:02:21 ID:ePwE/f01
>>1
乙だゴルァ!


    前スレ>>128    前スレ>>128    前スレ>>128
  ( ゚д゚ )アンダーソン君( ゚д゚ )アンダーソン君( ゚д゚ )アンダーソン君
_(__つ/ ̄ ̄ ̄/_  _(__つ/ ̄ ̄ ̄/_  _(__つ/ ̄ ̄ ̄/_
  \/     /      \/     /      \/     /


   <書かないのか?     <書かないのか?     <書かないのか?

  ( ゚д゚ ) ガタッ        ( ゚д゚ ) ガタッ       ( ゚д゚ ) ガタッ
  .r   ヾ         .r   ヾ          .r   ヾ
__|_| / ̄ ̄ ̄/_  __|_| / ̄ ̄ ̄/_   __|_| / ̄ ̄ ̄/_
  \/    ./     .  \/    ./     .   \/    ./     .
     ̄ ̄ ̄          ̄ ̄ ̄           ̄ ̄ ̄


                          <もったいない!
 ⊂( ゚д゚ )
   ヽ ⊂ )       ( ゚д゚ )⊃                 <もったいない !
   (⌒)| ダッ    (⊃ / ダッ
   三 `J       | (⌒)
     ⊂( ゚д゚ )  .  し´ 三
      ヽ ⊂ )                 <もったいない!
      (⌒)| ダッ
       三 `J



前スレ>>128を一部改変、加筆してみたぜゴラァ

非エロだゴルァ
241なのはさんの教導!(外伝)inspired by 128君:2007/12/18(火) 19:03:14 ID:ePwE/f01
【注意書き〜当SSの成分】

当SSの50%はなのは「さん」で出来ています
当SSの20%は>>128君(前スレ)の夢で出来ています
当SSの13%はLYRICALで出来ています
当SSの10%はなんちゃってハートマン軍曹で出来ています
当SSの6%は古き良き某所のネタ(1氏,21氏)で出来ています
当SSの1%は怨念で出来ています





【補足】
・本来、この話は前スレ>>128氏の書き込みを見て思いついたのですが
OCN規制につき、12/5~12/18昼?ぐらいまで規制くらってて投下できませんでした。
泣きそうだったぜゴルァ…。

・視点や、時間軸(「〜日目」)などがちょっぴりだけ似た感じの作品が
最近、某サイトさんのところで掲載されて、どきっとしたわけですが。
このSSは、その作品を拝見する以前に書き上げたものであり、
アッラーに誓ってそちらに影響を受けたわけではありません。念のため。

242なのはさんの教導!(外伝)inspired by 128君:2007/12/18(火) 19:04:26 ID:ePwE/f01
新暦69年。
その年、戦技教導隊にある人物が入隊する。
13歳という史上最年少の若さで、戦技教導官となったその人物は、
ある小さな事件をきっかけに瞬く間にその名を知らしめることとなった。


/////////////////////////////////////////////

150 名前:名無し局員くん@正義の味方 投稿日:M0069/04/19 22:12:05 ID:paprd46a
    >>145
    だから言っただろ。40年代のテキスト教官はザコ

151 名前:名無し局員くん@正義の味方 投稿日:M0069/04/19 22:42:33 ID:garexa53
    戦技官に新人が入ったって噂マジっぽい
    例の辺境から来た奴

152 名前:名無し局員くん@正義の味方 投稿日:M0069/24/19 23:12:05 ID:ea3d5gha
    新人?詳細キボヌ

153 名前:名無し局員くん@正義の味方 投稿日:M0069/04/19 23:30:35 ID:garexa53
    どうせ、たいした実力じゃないさ。

154 名前:名無し局員くん@正義の味方 投稿日:M0069/04/19 23:36:28 ID:/urwq9lm
    食堂のおばちゃんズの噂によれば、入局3年目のド新人って話だぜ
    ありえねぇ〜史上最年少だってよ

155 名前:名無し局員くん@正義の味方 投稿日:M0069/04/19 23:47:03 ID:na5mtrah
    教導隊の新人?俺がボコボコにしてやんよ
     ∧_∧    
     ( ・ω・)=つ≡つ
     (っ ≡つ=つ
     /   ) ババババ
     ( / ̄∪   

156 名前: 名無し局員くん@正義の味方 投稿日:M0069/04/19 23:58:49 ID:csp4defg
    今日、俺の行ってる教官研修で妙に若いやつが来たんだよ。
    名前は「ハカマチナヌパ」だって。
    魔法の存在すら知られてない辺境の世界から来たらしい。
    ちょっとかわいいからって、それで通るほど甘くないっつーの。
    とは言え、ホントにかわいいから応援したくなってきたよ。


    噂では、あのロストロギア【検閲削除】とタイマン張ったやつも来るとか聞いてたけど、
    それらしいやつはいなかった。ガセなのか?

157 名前: 名無し局員くん@正義の味方 投稿日:M0069/04/20 00:06:36 ID:ywp91mml
    ロストロギアとタイマンwwwwwwwwwwww
    あほかwwwwwwwwwwwどんだけwwwwwwwwwww

158 名前: 名無し局員くん@正義の味方 投稿日:M0069/04/09 00:25:17 ID:fv8m2xaqk
    >>156
    どうみてもガセです本当にありがとうございました。
   
243なのはさんの教導!(外伝)inspired by 128君:2007/12/18(火) 19:06:41 ID:ePwE/f01
159 名前: 名無し局員くん@正義の味方 投稿日:M0069/04/20 00:46:30 ID:ejt7bnzz
    女かよ……<新人
    今年の教官研修はあのハートガン三佐だぞ?トラウマになるんじゃね?

160 名前: 名無し局員くん@正義の味方 投稿日:M0069/04/20 00:52:56 ID:ea3d5gha
    そんときゃ、漏れが慰めてやるよ。ナヌパちゃんハァハァ
    
161 名前: 名無し局員くん@正義の味方 投稿日:M0069/04/20 00:57:29 ID:vdih25nk
    まあ、ハートガンかよwwwwwwwかわいそうにwwwww
    ナヌパちゃん、初日で泣きながら逃げ出すんじゃねwwww

162 名前: 名無し局員くん@正義の味方 投稿日:M0069/04/20 01:29:42 ID:kk1isu42
    いいな〜。教導隊逝きてーーよおーーーーー
    
163 名前: 名無し局員くん@正義の味方 投稿日:M0069/04/20 01:37:31 ID:fv8m2xaqk
    >>162
     ( ´・ω・)人(・ω・` )ナカーマ
    てか、いいこと思いついたぜw
    その新人倒したら、俺らにも教導隊から声かかるんじゃね?wwww

164 名前: 名無し局員くん@正義の味方 投稿日:M0069/04/20 01:46:53 ID:kk1isu42
    お前、頭いいなw

165 名前: 名無し局員くん@正義の味方 投稿日:M0069/04/20 02:03:11 ID:na5mtrah
    ま、とりあえず、俺が今日そいつの様子をみてきてやんよ

//////////////////////////////////////////////////


ハートガンは教育隊のベテラン戦技教官だ。
階級は三佐にもかかわらずあだ名は『軍曹』。
見た目は小柄なおじ様だが、その実、管理局きっての鬼教官として恐れられる男である。
そんな彼が最近、密かに楽しみにしているのが、
『リリカルちゃんねる』と呼ばれるネット上の巨大掲示板。
ここで交わされる本音や裏事情、表には出てこない醜聞の類は、
情報源として存外役に立つと、ハートガンは感じていた。

「ハカマチナヌパか…」

教導官になるための研修は過酷なことで有名だ。
果たして、その新人はどこまでやれるのか?
聞けば、かなり若く、入局して3年しか経っていないという。
最年少というから、おそらく十代前半。
この若さで、教導隊に推薦を受けるくらいだから、
相応の才能の持ち主なのだろうとハートガンは推測する。
だが、それが何だというのだ?

244なのはさんの教導!(外伝)inspired by 128君:2007/12/18(火) 19:07:55 ID:ePwE/f01

どんな人間も完璧にはなりえない。
天才と呼ばれる人間も含め誰もがいつかどこかでヘマをやらかすもんだ。
そう、人は失敗する生き物だ。
重要なのはそういった危機、苦境の局面でどう行動するかだ。
苦しい時、追い詰められた時にこそ、そいつの真価がわかる。
天賦の才!
実に結構なことだ。
だが、順風満帆で育ってきたひ弱な甘ちゃんなど、
俺に言わせれば役立たずの害虫でしかない。

一体、ほんの十数年しか生きていないお子様に、
戦時のエースたる教導官が本当に務まるというのか?
疑念は尽きない。
見極めてやろう、とハートガンは思った。
見極めてやる、使える奴なのか、そうでないのか。
使えないのなら、適当に理由をつけて送り返してやればいい。
もし、俺の眼鏡に適う野郎ならば僥倖。
この手で鍛え上げて、最高の戦闘教導官に仕立て上げるまでだ。

●初日
噂の新人はすぐにわかった。栗色の髪に、白いやつ。
本人は努めて平静を装っているようだが、集団から妙に浮いている。
さて、どんなものか?

「おい!ハカマチ!」
「高町です」
「……!」

くそっ!これだから掲示板は当てにならん。
「ハカマチ」じゃなくて「タカマチ」じゃねぇかクソったれ!
しかし、内心の狼狽は顔には出さず、
怪訝な顔をして生意気にもこちらを見返してきている白いのに、
当然といった顔をして上から目線で傲然と言い放つ。

「今日から貴様をバカマチと呼ぶことにした!どうだ、嬉しいだろう!?」
「は?バ、バカ…」

タカマチは目を丸くして、ポカンと口を開けた。
ふ、青いな。どれ、少しばかり教育してやろう。
やつの眼前に鋭く指を突きつけて、思いっきり怒鳴り散らす。

「口答えするとはいい度胸だ!クソが!シュートコントロール300回!!」
「うにゃぁぁぁぁ〜!?」

タカマチにそう言い渡して、俺はほかの奴らをざっと眺める。
ちっ。どいつもこいつも雑魚いな…。
245なのはさんの教導!(外伝)inspired by 128君:2007/12/18(火) 19:09:07 ID:ePwE/f01

「200…205…210…」
「あーん?」

一通り、見渡してふとタカマチのほうに視線を戻すと、
既に200を数えていた。
待て待て待て!
まだ一分も経ってないぞ!
ズルでもしたか!?この俺の目の前で不正を働くとはいい度胸だ!
頭にカッと血が上り、やつを張り倒そうとした時、
俺は信じられない光景を見た。

(うぉおぉおぉおぉおぉおぉおぉお!?同時に5つの魔力弾を制御してるのか!?
 それに、何だあの速さは!は、速すぎて残像しか見えん!)

「280…285…290…295…300!おわりました!」
「な、なかなかはやいな。シュートコントロールはよくやるのか?」

結局3分もかからずに終えたばかりか、
汗ひとつかいていないタカマチの様子に驚愕しながら、
俺はそう尋ねた。が、その返答はさらなる驚愕を呼び起こすものだった。

「毎朝1000回やってます」

「そ、そうか…っ!だが、ぬるいな。5000回やれるようになれ」

「ご、5000回…」

ふふふ。驚いているな。計画通りだ。
本当は1000回できるというだけでも相当凄いのだが、
ここで天狗になってもらっては困るのだ。
俺は敢えて無理難題をふっかけたつもりだったのだが…
だが、やつは輝かんばかりの笑顔でこう返してきやがった。

「わかりました!頑張ります!」

(「タカマチナノハ」、どうしてどうして…やるじゃねーか。いい拾い物をした。よろしい。
 ならば戦争だ。貴様を徹底的に鍛えて一流の鬼教官に仕立て上げてやるぞ!)
246なのはさんの教導!(外伝)inspired by 128君:2007/12/18(火) 19:10:28 ID:ePwE/f01

●二日目
イライラする。原因はタカマチだ。
やつは魔力制御も出力量も空間認識のセンスも抜群だ。
だが、

「くぉら!バカマチ!もっときびきび動かんか!」
「サー、イエッサー!…ところで、あのぅ…私の名前はタカマチなんですが」
「睨みが足りん!殺す気で睨め!外周20周!」
「ふぇえええええ!」
「返事の仕方も知らんのか!さすが辺境出身の未開人だな。10周追加だ!
 それと貴様の昼飯は抜きだ。未開人らしくその辺の昆虫でも食ってろ!」
「さ、さぁ、いぇっすさー!」

(魔力も戦術の組み立ても申し分ないのに、この体力の無さはどういうことだ!
 砲撃オンリーでやっていけるほどアグレッサーは甘くないぞ!ここで最低限の
 体力はつけてもらう!ケツの穴でミルクを飲むようになるまで徹底的にシゴいて
 シゴいてシゴき倒してやる!泣いたり笑ったりできなくなるようにしてやる!!)


●三日目
「バカマチ!なんだその蚊の泣くような声は!タマ落としたか!」
「サー、イエッサー!!ところで自分はタカマチであります。あとタマはついてな」
「バカマチで十分だ。文句あるのか?よし、腕立て50回!おら!いーち、にぃー」
「サー、イエッサー!いーち、にー、うぅぅ…」

(ほう、俺の恫喝にも怯まず言い返そうとするとはな。根性は認めてやるよ。
 家に来て妹をファックしていいぞ!ってこいつは女だったな、ちっ。もったいない。
 しかし、まだ元気そうだな。意外と体力あるのか?よし、もっとシゴいとくか。)

「よんじゅうなーな、よんじゅうはーち、よんじゅうきゅー…」
「ぜーぜー(や、やった、あと一回でおわる)」
「よんじゅきゅー、…いーち、にぃー、さーん…」
「えええええーーーーーーーー?」
「おらおらおらっ!誰が止めていいと言った!まだ『五十』とは言ってないぞ!」
「ひぃぃ…」


●四日目
やはりイライラする。原因は、や・は・り、タカマチだ。
こいつは人にモノを教えるってのをまるでわかってない。

「今の動きの意図は何だ?」
「は、はい。えっと、あの人達がどういう風に動くのか様子を見ようと」
「これはおままごとじゃないんだバカマチ!実戦形式なんだから手を抜くな!」
「サー、申し訳ありませんでした。ところで自分はタ」
「この演習が終わったら腕立て50、F5式構築術式20回だ、バカマチ」
「サーイェッサー。ぐすん…」

(どうも要領が悪い。魔法戦ではあんなに小賢しく頭が回るというのに…。
 この戦闘バカめっ!この分では、指導手法に習熟するのはまだ先だな。
 この程度で泣きそうな顔をするなバカマチよ。よし、とりあえずもっとシゴいておこう。)
247なのはさんの教導!(外伝)inspired by 128君:2007/12/18(火) 19:11:32 ID:ePwE/f01

●五日目
イライラする。原因はあのバカマチだ。
生徒役に向かってホワイトボードで戦術を講義させたのだが、内容はまあいい。
問題はあの態度!

「教導官がそんな弱腰でどうする!相手はクソだと思え!今のところイチからやり直せ!」
「サ、サーイエッサー…」

(教官役がオドオドするなぁぁぁぁああ!!上目遣いに見つめられても陥落するのは
 ごく一部のロリコンどもだけだっバカもん!Sランカーの癖にこの自信の無さは何だ?
 くそっ!俺が求めているのはもっとこう殺伐とした、殺るか殺られるかって感じの 
 一触即発の触れれば切れるナイフみたいな緊張感なんだよおおおおおおおおお!)


●六日目
タカマチは、と・に・か・く、手がかかる。
戦闘スタイルも思考もかなり極端に走る傾向があって危なっかしい。

「デバイスに頼りすぎだ!貴様の制御能力は馬鹿げているのだからもっと有効に使え!
 M18構築術式30回、戦術教科書P80-140までの内容をレポートにまとめて提出!」
「サー…イエッ…サァ…」

(さすが「不屈のエース」とよばれるだけあってしぶといな。まるでゴキブリのようだ。
 俺のシゴきにここまで耐えるとは…明日からコイツだけ訓練量10割増しにしてみるか?)


●七日目
この一週間で俺の血圧はだいぶ上がった気がする。
なんだか10分ごとにバカマチを怒鳴りつけているような気がする。

「何度言ったらわかる!そんな態度だからなめられるんだバカマチ!そこで立ってろ!」
「サァ、イェ、ッ、スゥサァ……」

(ちょっと生徒役に反抗されたぐらいでキョドるなぁぁぁあああ!ただでさえ、外見と
 年齢で舐められやすいのだから、ガツンと言わないと収拾つかなくなるぞ!?
 優しいということと甘いということは違うんだ!厳しい嫌われ役も必要なんだよ。
 シット!畜生がっ!教官役はドS鬼畜の冷血漢ぐらいでちょうどいいんだよっ!)


●八日目
イライラを通り越して、もうヤケクソになってきた。

「生徒相手に「お願い」してどうする!尻からひねり出すクソほどの威厳すらない!」 
「…サ、ァ…イェ、サ……」

(だあああああああああああーーーーー!集団教導でこんな態度じゃ致命的だ!
 おのれ!これは神から与えられた試練なのか?そうか、そうなのだな!?
 くそったれ!上等だ!こいつに俺様のシゴキ用語を直々に教え込んでやる!)
248なのはさんの教導!(外伝)inspired by 128君:2007/12/18(火) 19:12:38 ID:ePwE/f01

●九日目
「ええぃっ!貴様には学習能力がないのかっ!もっと怒れ!怒鳴れ!ブチ切れろ!
 これだけ言われて悔しくないのか!?もういい!ミルク臭いガキはスッこんでろ!!」
「……ギリッ……」

(おっ?おっ?やっと怒ったか?さあ、見せてみろっ!貴様の全力をっ!)





そして、研修最終日――――




249なのはさんの教導!(外伝)inspired by 128君:2007/12/18(火) 19:13:40 ID:ePwE/f01
「違うんだよッ!」

ミッドチルダ地上本部上空。
白い雲が風に乗り、優雅に流れていく。
その泰然とした様を切り裂くように、
天を突く怒号が響き渡る。

それと同時、地上に桜色の光が生まれる。
その魔力は、莫大かつ濃密。
それは、一筋の閃光となって天へと駆け上がり、
空を割り、白い雲を突き抜け散らす。

光は即ち高町なのは。
本局武装隊で勇名を馳せた若き空のエース。

人であれば、普通、ただ息をするのも困難な高度にありながら、
魔導師の身を守るバリアジャケットにその身を包んではいなかった。
白い教導隊制服の上に羽織った紺色の軍用コートは、
音をたててながら激しい風に煽られ、たなびくに任せている。

身体はまだ成長しきっておらず、小柄。
しかし小柄な身から吹き出す濃密な存在感は、
空を仰ぐもの全ての人間の目を惹きつける。

彼女は歯をギッと強く噛みしめ、
厳しい表情で地の人々を睥睨する。
その顔に刻まれるのは憤怒の表情。

その姿を見た者達は後にこう形容する。
曰く、魔王と。


「私がウザイっていうなら殺して見せろよ!エースの教導は違うんだよ!」

「不屈」の異名をもつ若きエースは吼えた。
小さな赤い玉を天に振りかざす。
紅玉が陽の光にきらめき、その形を変えてゆく。
手にしたデバイスは黄金の音叉型。

構えたその先に現れるのは、幾重にも重なる魔法陣と薄紅の極光。
大気にたゆたう魔力が集束され、魔法陣のもとへと流星のように降り注ぐ。
紺碧の空に、赤、青、黄、緑、様々な色の星が降り集う。
それらの魔力はすべて限界まで圧縮され、一個の砲弾と化す。
怒りに歪めた表情のまま、彼女が紡ぐは破壊の詩。必殺の砲。

「スターアァァァァライトォォォォ、ブゥレイカァァァァァアアーーーーーッ!!!!!」

砲撃は自身のイメージ通りの軌跡を、正確になぞり、
桜色の砲はさながら鉄槌をくだすかのように、大地へ降下した。
250なのはさんの教導!(外伝)inspired by 128君:2007/12/18(火) 19:14:51 ID:ePwE/f01
/////////////////////////////////////////////

236 名前: 名無し局員くん@正義の味方 投稿日:M0069/04/29 06:00:11 ID:garexa53
    ちょwwwwwwwwwwっうぇwwwっをまwwwwwww
    うちらの宿舎wwwwwwwww崩壊wwwっうぇwww

237 名前: 名無し局員くん@正義の味方 投稿日:M0069/04/29 06:10:31 ID:bstni9sj
    うわああああああああああああああああああああああ
    なんじゃこりゃああああああああああああああああああ!?
    
238 名前: 名無し局員くん@正義の味方 投稿日:M0069/04/29 06:12:35 ID:ouwy71k
    ちょwwwwっうぇええwwwwwwwwwwwえうぇうぇええwwwwwww
    なにあれwwwwwwwww化け物wwwwwwwwwwwwwww

239 名前: 名無し局員くん@正義の味方 投稿日:M0069/04/29 06:16:52 ID:miy9dt3j
    誰だよ宿舎ぶっ壊したのはぁぁあああ 《゚Д゚》ゴラァァァァァァァァァァァァァア!!!!!
    アルカンシェルでも持ち出したのか?

240 名前: 名無し局員くん@正義の味方 投稿日:M0069/04/29 06:20:23 ID:hxt72yfy
    いや噂の新人がやったwwwwwwwwwwwwww
    やりやがったぜwwwwwwwおまwwwここまでくるともう笑うしかwwwwww

241 名前: 名無し局員くん@正義の味方 投稿日:M0069/04/29 06:25:15 ID:gx7821gu
    ロストロギアとタイマンはったって話もあながち間違いではないかもな……
    しっかし、こりゃあ、教導隊にくるわけだわ
    一般の武装隊じゃこの娘は手にあまるわ

242 名前: 名無し局員くん@正義の味方 投稿日:M0069/04/29 06:38:43 ID:qd56inwwc
    ちょwwwwwwwwwwwまてよwwwwwwってことは何か?
    俺らこれからあの化け物に教導うけなきゃならんのか??
   
243 名前: 名無し局員くん@正義の味方 投稿日:M0069/04/29 06:47:00 ID:t9zjgv2f
    あれで13歳とかwwwwwwwwwwばかじゃねwwwwwwwwww
    歩くMAP兵器krktwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww

244 名前: 名無し局員くん@正義の味方 投稿日:M0069/04/29 07:02:34 ID:alm6w41e
    誰だよ、おい。大した実力じゃないとかほざいてたのは……

245 名前: 名無し局員くん@正義の味方 投稿日:M0069/04/29 07:05:29 ID:kwtti94q
    ちょwwwwwww起きたら天井が吹き飛んでるしwwwwwwww
    ありえねぇええええwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww

246 名前: 名無し局員くん@正義の味方 投稿日:M0069/04/29 07:12:35 ID:trm0z3a
    だれか現場写真うp〜

247 名前: 名無し局員くん@正義の味方 投稿日:M0069/04/29 07:34:07 ID:miy9dt3j
    つttp://moemoe.lyrical/suzuka7083.jpg
251なのはさんの教導!(外伝)inspired by 128君:2007/12/18(火) 19:15:54 ID:ePwE/f01

248 名前: 名無し局員くん@正義の味方 投稿日:M0069/04/29 07:35:12 ID:pw2m8gd
    ちょwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww
    なんぞこれwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww

249 名前: 名無し局員くん@正義の味方 投稿日:M0069/04/29 07:35:16 ID:alm6w41e
    ちょwwwwwwwテラ戦後wwwwwwwwww

250 名前: 名無し局員くん@正義の味方 投稿日:M0069/04/29 07:35:17 ID:ds5m2lm
    ちょwwwwwwwwwwおまwwwwwこれはwwwwwwww

251 名前: 名無し局員くん@正義の味方 投稿日:M0069/04/29 07:35:26 ID:fgtbta14
    >>247
    エエエエェェェェ(゜Д゜;)ェェェェエエエエ
    これ・・・コラだよな?ひどすぐる・・・・・・・

252 名前: 名無し局員くん@正義の味方 投稿日:M0069/04/29 07:35:39 ID:mkss98w
    ちょwwwwwwww何これwwwww    
    核爆発?

253 名前: 名無し局員くん@正義の味方 投稿日:M0069/04/29 07:35:43 ID:o6nwe1x
    こえええええええ

254 名前: 名無し局員くん@正義の味方 投稿日:M0069/04/29 07:35:50 ID:trm0z3a
    wwwうえっwwwwうぇwwwww宿舎終了のお知らせwww

255 名前: 名無し局員くん@正義の味方 投稿日:M0069/04/29 07:36:03 ID:96nokyn
    ぶはwwwオレンジジュース吹いたwwwwww
    うp写真の詳細キボンヌ

256 名前: 名無し局員くん@正義の味方 投稿日:M0069/04/29 07:36:11 ID:ed82jnxl
    >>255
    ヒント:武装隊の白い悪魔

257 名前: 名無し局員くん@正義の味方 投稿日:M0069/04/29 07:36:28 ID:pw2m8gd
    アイツかwwwwww納得したwwwwwwww

258 名前: 名無し局員くん@正義の味方 投稿日:M0069/04/29 07:36:46 ID:bor3emo
    やつはまだ生きてたのかwwwwwwwwwww
    墜ちて再起不能って聞いたんだが……不死身かよw

259 名前: 名無し局員くん@正義の味方 投稿日:M0069/04/29 07:36:53 ID:teana10
    >>256
    誰?

260 名前: 名無し局員くん@正義の味方 投稿日:M0069/04/29 07:37:23 ID:ndeaj7n
    >>259
    知らない方が幸せ。オマイがこの先、アレと関わらずに済むことを祈る。

/////////////////////////////////////////////////////////
252なのはさんの教導!(外伝)inspired by 128君:2007/12/18(火) 19:16:59 ID:ePwE/f01



「バカマチーーーーーーーーーー!!やりすぎだあああああああああああああああ!!!」

「ふぇぇえぇぇえええーーーーーーーーご、ごめんなさーーーーーーーーーーい!!!」




●●●

その日の夜



「は、はい。そうであります。はい。申し訳御座いません!
 この度の訓練中の事故は本官の不手際によるのででして…はい。
 はい。承知しております。申し訳ありません。二度とこのようなことは…」

くっ!な、なぜこの俺が
涙目で方々に謝罪の通信を入れにゃならんのだ?
畜生、畜生、畜生!
タカマチがブチ切れた事は、
俺の計画通りではあったが、
いかんせん被害が甚大すぎた。
どうやら俺は虎の尾を踏んでしまったらしい。
いいものが見れたという満足感もあるが、
今では多少、後悔している。
くそっ!降格は辛うじて免れたものの、
幹部陣からの嫌味の嵐と減棒が痛い…。

くそっ!頭が痛い。
外で一服してくるか…。


そして俺は見た。
253なのはさんの教導!(外伝)inspired by 128君:2007/12/18(火) 19:18:12 ID:ePwE/f01

10個ほどの桜色の魔力弾が凄まじい速さで
2つの空き缶を打ち上げているのを。

「2450...2460...2470...2480...2490...」


その回数は2000を越えている。
一体いつまで続けるつもりなのだろう?
そういえば、と思い出す。
確か初日に、1000回じゃぬるい、5000回やれとか言った様な気も。
まさか、俺が言ったことを真に受けているのか?
馬鹿なやつだ…『5000回』ってのは、わざと出した無理難題だ。


「2530...2536...2539...」

しかしどんどん、ミスも多くなり、ペースも落ちてくる。
見れば、タカマチは肩で息を息をしているではないか。
もう限界だろう。

「2613…2620...あっ!」

案の定、途中でコントロールを何回か外し、
何度か粘っていたが、遂に缶が地面に落ちる。
カランカランと空き缶が転がる音が虚しく夜空に響く。

タカマチはもう一度、空き缶を夜空に向かって降りあげ
驚くべきことに一から数えだした。

「10...20...30...40...50...」


こんな調子で続けていたら、いつまでたっても終わらないだろう。
シュートコントロールは集中力との勝負だ。
人間の集中力には限界がある。無論、魔力にも。
俺の知る限り、シュートコントロールの最高記録は昔、
教導隊の総隊長をつとめていた男の3005回だ。
254なのはさんの教導!(外伝)inspired by 128君:2007/12/18(火) 19:19:13 ID:ePwE/f01

だから、これは到底無理な話だ。
人間の能力の限界を超えている。
出来るわけがない。

魔法という力を得て、人の出来ることの範囲は広がった。
鳥より速く空を飛び、火や氷、雷に風、様々な自然現象を操る。
それでもやはり限界というものは存在する。
かつて若いとき、この世に不可能な事などないと思ったこともある。
しかし、寄る年波、そして
蓄積された様々な――大抵は苦汁に満ちた――経験、
それらが否応にも現実を思い知らせる。この頃は特にそうだ。
いつからだろう?
俺が諦観と妥協を覚えはじめたのは?


「130...140...150...160...」


ただひたすらに、がむしゃらに、
限界に挑戦し続けるタカマチの後ろ姿に
いつの間にか、俺の目は釘付けになっていた。

ああ、またしくじって缶を落とした。
そして、タカマチは再び缶を宙に放り投げる。
夜のしじまに缶を打つ甲高い音と、荒い息だけが響く。


「本当に馬鹿だな」

気づけば口に銜えたままだった煙草も、
すっかり短くなってしまっていた。

俺はタカマチに背を向け、きびすをかえして歩き去った。


あいつは何処まで高く飛ぶつもりなのだろう?

255なのはさんの教導!(外伝)inspired by 128君:2007/12/18(火) 19:20:08 ID:ePwE/f01
。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。

(秘)個別評定書【戦技教導隊研修:(新)】   MK05―第133期

研修区分   戦技教育総合
認識番号   G-1036/133/D7002
本人氏名   高町なのは(三尉)
魔導師ランク 空戦S+  
研修地    地上本部001合同演習場
実施年月日  69年4月19日〜同年同月29日
評定責任者  R.L.ハートガン(三佐)

〔 項目 〕  〔 評定 〕…優・良・可・不可
戦闘技術  【 優 】
専門知識  【 良 】 
倫理性   【 優 】
積極性   【 優 】
指導力   【 可 】
統率力   【 良 】
社会性   【 良 】
自己統制  【 優 】

〔 総合判定 〕…A・B・C・D(合格)/E(不合格)

対象官職への適格性 【 B 】

自由記入欄〔最年少ではあるが、実力は十分に高いレベルに達している。
       殊に集束技術については目を見張るものがある。また、現状
       に満足することなく常に一段上を目指す意欲も評価される
       べきだろう。訓練生相手への指導力・リーダシップについては、
       当初は十分でなかったものの、本研修において向上したものと
       考える。総合的に見て適格であると判断。今後に期待したい。〕


。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。
256名無しさん@ピンキー:2007/12/18(火) 19:21:30 ID:ePwE/f01
ラーメン食って・・・来る前に、シリーズ本編の続きいくぞゴルァ
257なのはさんの教導!(その6):2007/12/18(火) 19:23:01 ID:ePwE/f01

当SSには、以下の警報・注意報が発令されております。
各自、十分に注意されたし。

【警報】
・魔王ネタ警報
・性格差異警報
・捏造設定警報
・オリキャラ警報(名無しモブ)

【注意報】
・意外とシリアス風味カモ注意報
・長台詞注意報
・ユーノ解説役注意報
・アルフがロリじゃないよ注意報
・燃えスバル注意報
・脅えスバル注意報
258なのはさんの教導!(外伝)inspired by 128君:2007/12/18(火) 19:24:03 ID:ePwE/f01
あるところに、小さな女の子がいた。

ある日、その子は、父親の書斎兼研究室にこっそり忍び込む。
どきどきわくわく。
女の子は珍しいものを見れるという期待と、
父親にばれるかもしれないというスリルを味わいつつ、
父親の研究室をくまなく探検してまわった。

――愉快な音を立ててクルクルまわる駒のようなもの
――液体を下から上へと螺旋状にあがっていく泡
――美しい紋様が織り込まれた香りつきの絨毯
――高速演算の結果が表示されてたモニター
――青や赤や緑、キラキラ光る何かの結晶
――奇妙に曲がりくねったカラフルな管
――どこかの世界のミニチュア模型
――ダンスをする観葉植物
――魚の骨の化石
etc...etc...


女の子の目に映ったそれらは、
どれも素晴らしいものに見えた。

(お父さんのお部屋ってびっくり箱みたい!)

うきうきしながら女の子は歩を進める。
やがて部屋の最奥にたどりつく。
そこにあったのは、円筒型の透明なケース。
そのなかには、点滅を繰り返す、小さな赤いビー玉がひとつ。
円筒型のケースの正面のボードに何かが書いてある。
少女は習いたての知識を総動員して文字を読む。

「えーと。んと…。アール・エイチ・タイプ・オー・エム・ヴァージョン7.5.2?」

《Yes, little lady. Good job (そのとおりですよ、お嬢さん。よくできました)》

「……!」
少女はとびあがった。
驚きのあまり、思わずしりもちをつく。

「いたたたた…」

《Are you O.K? (大丈夫ですか?)》
259なのはさんの教導!(その6):2007/12/18(火) 19:25:08 ID:ePwE/f01

再び声がかけられる。
女性の声だ。無機質な電子音声。
だが、その声音はどことなく理知的な印象を与える。

少女が恐る恐る、ケースの中をのぞくと、
なかの赤くて丸い玉が答えるように点滅した。

「今の…しゃべったの、あなた?」
少女がそう尋ねると、赤い玉が《Yes》と答える。

「ほんとうに?」
《Yes》
「ほんとのほんと?」
《Yes》
「ほんとのほんとのほんと?」
《...How many times do I have to tell you?(…何度言えば?)》

「すごい!本当にこれがしゃっべってるんだ」
人間でない小さなビー玉みたいな物体が人と意思疎通をしていること。
そのことに対し、恐れとも喜びともつかない奇妙な衝撃を少女は感じた。
すごい。
しりもちをついた痛みも忘れ、何度もただそれだけをつぶやいた。
それ以外に湧き出す感情を表現する術を女の子は知らなかった。

それから、毎日、毎日、女の子は父親の目を盗んで、
研究室のなかのしゃべる小さなビー玉に会いに行った。
その不思議なビー玉は、彼女の初めての友達だった。

だがある日、その小さな友達は突然いなくなった。
彼女の父親が、それをどこかにやってしまったのだ。
わんわん泣き続ける娘に、
父親は言った。
「あれは極秘プロジェクトなんだよ」
「だから、見たことは誰にも言っちゃあいけない」
「忘れなさい」



しかし、誰が友を忘れえようか。
女の子は長じて、デバイスの開発や調整を行う技術者となる。
それは父親と同じ仕事だった。
だが、技術者を目指すきっかけとなった原体験は、
父親そのものの存在ではなく、赤くて丸い小さなデバイスとの出会い。
そんな彼女にとって、デバイスは単なる機械ではない。
心を通わせることのできる友達なのだ。


。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。
260なのはさんの教導!(その6):2007/12/18(火) 19:26:09 ID:ePwE/f01
新暦76年5月14日

時空管理局本局はパニックに陥っていた。
事態の収拾に、右往左往する局員達。

だが、ある人物が現われると、
さながらモーゼの十戒のごとく
人垣がきれいに割れていった。

その日のマリエル・アテンザの様相についてある局員は後にこう記している。

「マリエルの姿を見たものなら、
だれもがその光景を忘れえないであろう。
ボタンをかけず開きっぱなしの白衣はたなびくに任せ、
右手に一枚の紙を握り締めたまま、足ばやに歩いていた。
彼女の目は前方をまっすぐ見つめたままであった。
歩くたびに腕を大きくふりながら、だれにも注意を払わなかった。
自分のやっていることに心を奪われて、
その目には群集は映らないかのようでもあった。」と。


マリーがやってきた場所は、円筒形の空間。
円筒の上部にあるはずの天井は
あまりに遠く、可視することができない。
内部のあちこちに細い通路が縦横に走っている。

無限書庫。
時空管理局本局内にある、
管理局が管理を受けている世界の書籍やデータが
全て収められた超巨大データベースである。


その部屋の中央にぽつんと、男がひとり坐っていた。
緑色の紐でゆるく結わえた淡い栗色の髪に細身の体躯。
モニターを手元に表示させ、何かを読んでいるようだ。

マリーはそっと男の背後から、画面を覗き見た。


261なのはさんの教導!(その6):2007/12/18(火) 19:27:07 ID:ePwE/f01


スレッド名 ▲           ┃◆時空管理局板◆┃
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
1:故ゲイズ中将について語るスレその27(51)
2:【もう】教導隊員はドS集団の集まりVIII【許して】(604)
3:管理局の白い悪魔は化け物かッ!第28戦目(100)
4:某教導官が本局で暴れてる件(992)
5:【KO☆RO☆SE】 魔 王 降 臨 祭 【KO☆RO☆SE】(708)
6:ちょwwwwwwタカマチ強すぎワロスwwwwwww(437)
7:【教導隊員】これは聖王教会の陰謀【暴走】(139)
8:タカマチ教導官はなぜあれほどまでに凶暴なのか?(152)
9:【危険】タカマチは死刑でおk【人物】(41)
10:魔法文明がもたらした最も悪しき有害な砲撃魔導師(272)
11:正しい遺書の書き方5通目(521)
12: 【人柱】B区画の人々を弔うスレ【生贄】(32)
13:【世界】なのはさんサイコー!イイイイヤッホウゥゥゥ!【征服】(203)
14:ちょwwwwwwwwだれか助けてwwwwwww(82)
15:【魔王に】誰かアインヘリアル持って来いよ【対抗】(623)
16:【俺の】Y二佐は婚約済とかいうガセネタが流れてる件【嫁】(883)
17:堀の中でなぬはさんを待つ香具師の数→(553)
18:【魔王に】誰か古代ベルカの聖王連れて来いよ【対抗】(372)
19:これはハンニャさまの祟りじゃ(828)
20:タカマチのタイーホマダァ-? (・∀・ )っ/凵⌒☆チンチン(53)
21:【犯罪者】タカマチオワタ\(^o^)/【ブタ箱】(4)
22:管理局の白い悪魔は化け物かッ!第27戦目(1000)
23:■白に選ばれし漢の体制への逆襲 by Nanoha(20)■ (79)
24:なのはさんが俺にもっと輝けと囁いている (263)
25:なのはさんハァハァ(´Д`;)その30なの!(718)
  ……

262なのはさんの教導!(その6):2007/12/18(火) 19:28:15 ID:ePwE/f01
「うわぁ……見事なまでになのはさん一色ですね…」
マリーは苦笑しながらそうつぶやいた。
ユーノ・スクライアは、その様子に眉をひそめた。
「マリーさん、笑い事じゃないですよ。こんな大事になっちゃって」

人差し指でメガネを直しながらユーノは深くため息をついた。
「なのはったら、一体何を考えているんだ…」

マリーはその言葉を聞くと、腰をかがめ、
声をひそめるようにしてユーノの耳元でささやいた。
「本気でなのはさんが、自分の意思で、こんなことをしていると思っているんですか?」


「…それは…どういう意味だい?」

ユーノが怪訝そうにこちらを見つめるのに構わず、
マリーは手元にモニターを開き、ウィンドウを操作して、
あるデータを呼び出し、ユーノのほうに見せた。
「これは、レイジングハートが構築した封鎖結界です。でもこの術式、ミッド式ではないですよね?」
「……!」

マリーが示した情報に愕然とし、
食い入るようにして、
モニターの術式データを読み出したユーノに、
マリーはさらに語りかける。

「現存の魔法術式にはこれと一致するものはありませんでした。
では、これは一体どこの術式なんでしょうねぇ?未知の文明の術式でしょうか?
しかし、これほどの技術力を持つ魔法文明が発見されてない、というのもおかしな話です。」
ここで、マリーは一息おいた。
ユーノの顔は目に見えてこわばっていた。

「『現在にないのなら過去を探せば良い』と、いう言葉のとおりです。
 この魔法は、過去に滅んだ魔法文明の術式――つまり
 ロストロギア(古代遺産)――である、と推測するほうが自然です。
 レイジングハートの、もとの、持ち主であるあなた。
 ユーノさんはかの有名なスクライア族です。
 遺跡発掘を生業としていたスクライア一族ならば、
 ロストロギアに触れる機会も多いでしょうね。
 それに、P・T事件のきっかけとなったジュエルシードだって、あなたが発掘したものでした」

ユーノの顔が蒼白になっていく。
ひとつ首を振って、マリーに向き直る。
「RHがロストロギアだっていうんなら、おかしいよ。
 管理局の、君の手によって何度も検査や修理が行われてきたのに
 そんな、今更……」
263なのはさんの教導!(その6):2007/12/18(火) 19:29:17 ID:ePwE/f01
「ええ、私もRHがロストロギアだなんて考えたこともありませんでしたよ。
でも、そうでないなら、これはどう説明するのですか?」
モニターの術式を指しながら、マリーは鋭く切り返す。

「ユーノさん…あなたなら何か、知ってるはずですよね。
原因は不明ですが、何かのきっかけでRHが暴走しているのは確かです」

相変わらずユーノは険しい顔で黙りこくったままだった。
そんな彼の態度に、マリーはじれったさをもはや隠せない。
マリーは本来、このように弁で人をやり込めるような柄ではない。

そんな彼女がここまで、積極的に動くのには理由があった。
マリーは怖いのだ。

現在、管理局のほうでは、秘密裏に対策チームが組まれ、
レティ提督が対策チームの陣頭指揮をとっている。
これは、身内で人員を固めた、あくまで秘密裏の動きだ。
管理局上層部が本格的に介入してくる前に、
できるだけ穏便にことをおさめなければならない。

それは勿論、なのはの教え子達の安全と、
なのはの身を将来とを案じた故のものであった。
無論、マリーにも、かれこれ十年の付き合いがある
なのはのことを心配する気持ちはある。
しかしマリーはそれとは別に、RHについて憂慮していた。
(レティ提督が考えていたあの作戦が実行されたらRHは……)

ユーノの態度に、業を煮やしたマリーは、唇を噛んだ。
「ところで」
普段なら決して見せないような、シニカルな笑み。
「ロストロギアを無断で保持、
あまつさえ当時、民間人だった女の子に渡し、
さらに暴走事故を引き起こしたとなれば、
そのロストロギアを引き渡した本人はどうなるんでしょうねぇ?」

「君は」ユーノは思わずうめいた。
「僕を脅しているつもりか?」

「高飛びします?今なら間に合いますよ。管理局も混乱してますし」
おそらく、ユーノは、様子からしてレイジングハートが、
ロストロギアであるとは知らなかったのだろう。
そして、マリーも短くない付き合いから、ユーノの責任感の強さを知っており、
彼が一人尻尾をまいて逃げだすとは思っていない。

挑発するように、マリーは言葉を紡ぐ。
これは、一種の賭けだった。
「高飛びするんなら手伝っちゃいますよ?その代わり」
言葉に力を込める様にしてユーノに叩きつける。
「話していってください。レイジングハートのこと」
264なのはさんの教導!(その6):2007/12/18(火) 19:30:42 ID:ePwE/f01

ユーノは微かに身じろぎし、視線を揺らした。
マリーはユーノから目を離すことなく、問いかけた。
「どうします?逃げるんですか?」

マリーはユーノを見つめ、その視線をユーノも受け止め、見つめ返す。
しばらく沈黙が続いた。

逡巡の後、ユーノは言った。
「まさか」


「では、答えてください。…あのデバイスは、何処で手に入れたんですか?」


●●●

本局の一画、第101会議室は、レティ・ロウラン率いる数十人の局員に
よって占拠されていた。表札も何も掲げられてはいないものの、此処は
実質、《高町なのは対策本部》と化していた。
会議室の長机で向かい合わせに坐っているのは、対策本部長である
レティ・ロウランと、マリーに連行されてきたユーノ・スクライアであった。


「……つまり何?レイジングハートはロストロギアだった、と?」
「僕も今の今まで気づきませんでした」
「レイジングハートは元々あなたのものじゃないの?」
「あれは、スクライア一族の兄貴分だった人がお守り代わりにくれたものなんです。
 古代オグズ文明の発掘品のひとつだったらしいですけど。」

ユーノの言葉に、レティは思わず頭を抱えた。

「なんで古代文明の発掘品を勝手にほいほい私物化してんのよ?
それだからスクライア一族は盗人一族だのなんだのって言われるんじゃないの」
「あはは…すいません…」

二人の会話に、結界の術式を解読中のマリーが口を挟む。
「でも、やっぱり変じゃないですか?RHはどうみたって、ミッド式のデバイスでしたよ」

マリーの突っ込みに、ユーノは言い辛そうに切り出した。
「いやぁ。なんかあのデバイス、起動させようとしても、うんともすんともいわなくって、
 誰も使えなかったらしいんですよ。それで、あれは多分、不良品か未完成品、つまり
 ガラクタみたいなものだと思ったらしくて、リサイクルというか何というか、強制的にミッド
 式の術式と技術で上書きして改造したものでして……」
265なのはさんの教導!(その6):2007/12/18(火) 19:31:43 ID:ePwE/f01

「ええっ…それは……」
「ほんっとスクライア一族はロクな事しないわね…」
マリーは絶句し、レティは胃を押さえながら八つ当たり気味に呻いた。
ユーノは、それに返す言葉もなく、気まずそうな顔で身を小さくしていた。

はぁ、と息をひとつはいてレティは何気なく呟いた。

「それにしても古代オグズ文明ねぇ…ミッドチルダの魔法文明にも影響を与えた
 文明のひとつだったわよね。じゃあ、まあ、ミッド式との親和性は高いか……」

その言葉にマリーも昔を思い出すようにして、合いの手をうつ。

「古代オグズっていったら、『白い悪魔』の伝説で有名ですよねー。
 あれ、子供の時、私もお父さんによく絵本で読んでもらいましたし」

ユーノもその話題に乗っかる。伝説といえど、それも歴史を知るための史料と
なりうるため、考古学者でもあるユーノはこういった類の話にも造詣が深かった。

「英雄譚の一種だね。ふたつの槍を自在に操り、民を苦しめる怪物を退治して
 まわった民衆のヒーロー。彼はあまりの強さに『悪魔』とすら呼ばれたとか」


「ふーん。まぁ、いまの私達には関係ない話だけどね」
「そうですね。御伽噺ですし。でも『白い悪魔』だなんて、なのはさんみたいですね」
「あはは。そういえば。凄い偶然だね」

三人は偶然の一致にひとしきり笑った。



「マリー、結界抜き、いけそう?」
話が一段落したところで、レティがマリーに問いかける。

「ううぅ〜。この結界2枚重ねなんですよぉ〜。
一枚目はもう抜けますけど、二枚目の方にてこずってて…」
「確かにこれは。何て複雑な術式なんだ…」
マリーとユーノが結界の術式が表示された画面を見つつ、唸っていると
威勢のいい声で、会議室に通信が飛び込んできた。
266なのはさんの教導!(その6):2007/12/18(火) 19:32:52 ID:ePwE/f01


<<あたしに任せときなっ!内側の一枚なら、なんとか抜いてみせるよ!>>

「アルフ!」
「アルフさん!」

驚きの声をあげるマリーとユーノに、「私が呼んだのよ」とレティが説明して、
通信画面のアルフに向き直る。アルフは近年の子供の姿とは違い、
昔、フェイトの補佐をしていた頃と同じ、大人の女性の形態をとっていた。

「実際に実力行使でなのはさんを抑えるとなると、かなり骨よ」
<<まぁ、何とかなるさね。こっちにゃ、ストライカーがいるんだし>>

あっけらかんと言うアルフの楽天的な態度に、少々不安を覚えながらも、
レティはアルフの後ろにいる増援を通信越しに確認した。
「確か、起動六課のアタッカーだったスバル・ナカジマ…一等陸士?」
<<はい!>>

レティはすばやく、脳内で計算をめぐらせる。
(この子ならいけるかもしれない。)

「まぁ、くれぐれも無理はしないこと。二人ともいいわね?」
<<わかってるよ!>>
<<はいっ!!>>


「何とかRHの方を、止められれば…」
画面に向き合いながらマリーが苦しげに言う。

「勿論、それが一番穏当な解決方法だわ。
 でも、保険はかけておかないとね…」
その言葉に、マリーは苦虫を噛み潰したような表情になる。
「最悪、RHを破壊して止めるつもりですか?」
「そうならないように最善は尽くすわ」

交わされる会話にユーノの顔色も悪くなる。
「はっ…破壊って…」
「あのままじゃ、なのはさんの立場がどうなるか…わかるわよね?」
「くっ…」
唇を噛みしみてユーノはうつむく。

会議室まで響いてくる砲撃音に、レティはため息をつく。
「長い一日になりそうね…」


●●●
267なのはさんの教導!(その6):2007/12/18(火) 19:34:19 ID:ePwE/f01


<<アルフ!今だ!>>

聞こえてきた念話に瞬時に反応し、アルフは拳を振りかぶった。
マリーとユーノによって解読済みだった二枚重ねの結界の外側部分が、
ジグソーパズルをブチ撒けたように崩れおちる。
狙うのは、その先にある二枚目!

「バリアァァアアア!ブレイクッ!!」

裂ぱくの気合もろとも、アルフは結界を拳で殴りつけた。
打ち抜いた部分からヒビが入り、薄桃色の結界は、盛大な音をたてて割れた。

即座にスバルが割れた結界を越えて、内部に突入していくが、すぐに足を止める。
突入したスバルの目の前には、白い服の魔導師が仁王立ちしていた。
驚いてスバルは思わず名前を呼んだ。

「な、なのはさ…っ!?」

だが、言い終えないうちに、白服の魔導師は、
無表情でショートバスターを撃ってきた。
ノーモーションからの砲撃だったため、スバルの反応が遅れる。

が、アルフが飛び込んできて、間一髪でシールドを張る。
「こらっ!ぼさっとしてんじゃないよ、スバル!」

「す、すいませ…え?」
またしても、スバルの反応は遅れた。
十分に強度もあるはずのアルフののシールドが一撃で砕け散ったのだ。

「だぅううわああああああ!?」
爆発の余波でスバルはしりもちをつき、
アルフは壁を突き抜けてはるか後方まで吹き飛ばされる。

スバルは呆然と、なのはを見る。
そして気づく。
なのはの足元には、ボロボロになった人の形をした物体が、多数転がっていた。

「ぁ……」
268なのはさんの教導!(その6):2007/12/18(火) 19:35:42 ID:ePwE/f01

なのははゆっくりと長槍をスバルに向けて構える。
その動作にはじかれたように、スバルは立ち上がり、疾走した。
彼女の心の中はたったひとつの思いで満たされていた。

(止めなきゃ!なのはさんを!止めなきゃ!)

壁を足場にして一気に跳躍。
(なのはさんは優しい人だもん!なのはさんにこんなことさせちゃ駄目だ!)

「マッハキャリバー!」
<<All right buddy >>

「ドライブ!」
<<Ignition >>

「止めるんだ!私が!」

強迫観念にも似た思いに突き動かされながら、
スバルは敬愛する自らの師に向かって、自身の拳を打ち込む。

「うおぉおぉおおおおおおおおおおお!」

だが、破れない。
なのはとスバルを隔てる一枚の壁。
シールドがスバルのリボルバーナックルを阻む。
今まで幾多もの敵を退けてきた、なのはのシールドはビクともしない。

「うおおおぉうぅらぁあぁあぁああぁあぁぁあぁあぁあぁああああ――――!!」

スバルはカートリッジを使い、さらにギアをあげて、打ち込むがやはり破れない。

「堅……すぎ、るっ!!」

しゃにむにシールドに向かって殴りかかるスバルの上から、
冷や水を浴びせかけるような声がかけられる。

「おかしいなぁ、どうしちゃったのかなぁ、スバル」
「な、なのはさん?」

その瞳は、まるで虫けらを見るような目であった。
スバルはいつかどこかで聞いたような台詞回しと声色に、我知らず身震いした。
269なのはさんの教導!(その6):2007/12/18(火) 19:36:53 ID:ePwE/f01

「本気でやったら、スバルが私に勝てるわけ、ないじゃない…」
「ぅ…あ、あの…なっ、なのは、さん?」

対峙する憧れの人のどこまでも冷たい声に、
スバルはその身ばかりか声までも震わせた。
スバルはすがるような目線でなのはを見るが、
なのはの表情は微塵も揺らがない。

「そんなこともわかってなかったなんて、私の教え方間違ってたかなぁ…」
「…っ!なのはさんっ!目を覚ましてください!」

目を伏せわずかに考え込むような仕草。
スバルは正気を取り戻すことを願って必死に呼びかけるが、
当のなのははそれをまったく意に介さず、自問自答してひとりで完結する。

「間違ってるなら、修正してあげなきゃね…うん」

そういい終えるが速いか、シールドの向こうで
黄金の槍がA.C.Sモードに移行されるのを、スバルは見た。
戦慄が走る。
エクセリオンバスターA.C.S
――それは高町なのはの誇る最も危険な奥の手。
いわば零距離砲撃での特攻である。

スバルは危険を感じ、いったん後ろに下がって遮蔽物に身を隠そうと
飛びすさった。が、そこから足が動かない。
まるで、根っこが生えてしまったかのように、スバルの足が動かない。

<<It's a Delay Bind !(遅延設置型のバインドです!)>>

マッハキャリバーが叫び、バインドを解除しようと試みる。
だが、目の前の相手は待ってくれない。
なのははRHを前のめりに構え、すでに突貫態勢に入っていた。

顔をひきつらせるスバルを見て、
なのははニィッ、と歯を見せて嗤った。
それは、スバルが大好きだった
いつもの人を安心させるような優しい笑顔ではなかった。
血も凍るような凶悪で獰猛な笑みだった。

「じゃあ、スバル、いくよ?たっぷり、可愛がってあげる」
270名無しさん@ピンキー:2007/12/18(火) 19:38:01 ID:ePwE/f01
ラーメン食ってくるノシ
271名無しさん@ピンキー:2007/12/18(火) 19:41:30 ID:2bJx+1F2
女キラ・ヤマト自重。
272名無しさん@ピンキー:2007/12/18(火) 19:57:08 ID:ooF3ZsWn
つか相変わらずゲイズスレ一番上なんだな
273名無しさん@ピンキー:2007/12/18(火) 20:00:14 ID:7atYkSyA
>>270
続き待ってるぞ
ラーメン喰いてぇww
274名無しさん@ピンキー:2007/12/18(火) 20:02:43 ID:gnCv9fEE
>>270
おいしいラーメン屋を教えてあげますから早く続きを(><)



とりあえず甥っ子くんの無事を祈るばかり……
275名無しさん@ピンキー:2007/12/18(火) 20:29:42 ID:k6vDuAJG
>>270
なのはさん怖ぇーーーーーーー!
某100年の魔女が思考に混じってる気がするけど、気にしない

とりあえず、近所で評判のパーコー麺を紹介しますので、執筆のほう頑張ってください。
276名無しさん@ピンキー:2007/12/18(火) 20:29:57 ID:lYrRf8n7
掲示板にティアナがいる件についてwww
277名無しさん@ピンキー:2007/12/18(火) 20:35:13 ID:ung73kAc
>>270
スバル…… 振動拳を使わないからそんなピンチになるんだよ。
いえ、使わなかったのは、元々プロットを創ったのがSS04発売前の為だと思いますが。

なのはさん、事件の解決後に、正気に戻ったら引退しそうだよなぁ。 それか刑罰を望みそうだ。
レイハさんの不調に気づいてたのに、放置していた事とか、しでかした事に無茶苦茶、責任果感じて。
無印の頃から、やたらと責任感の強い人だし、自分に厳しい人でもあるし。
278名無しさん@ピンキー:2007/12/18(火) 20:56:16 ID:EwWNAZj4
わくわくてかてかw続き期待
なのスバ好きだーっ!
279名無しさん@ピンキー:2007/12/18(火) 20:59:50 ID:aQrgzc+l
…ハートガンに萌えた俺は異端か?
彼の指導の結果が本編だと思うと悲しすぎるがww
280サイヒ:2007/12/18(火) 21:02:10 ID:D1n13IWF
予告どおり投下しに来ました。
超特殊エロにつき以下の注意書きに目を通してください。

・性別反転した男フェイト×女クロノのエロ。
・両者の頭のネジがすっ飛んでます。特に提督の嫁。俺にしては珍しいSなフェイト。
・前々スレに投下した「Mischief of cat」のアナザー続編となります。
・本来の続編である前スレに投下した「初体験をもう一度」は別に読んでなくて大丈夫です。
・作者が空気読んだからといって作品が望まれた物になっている保障はありません。TSってこうですか?本気で分かりません!

ではどうぞ。
281彼が彼女で彼女が彼で:2007/12/18(火) 21:04:19 ID:D1n13IWF
 天の光は全て雷だ。
「ぎゃあああああああ!!」
 普段の自分にあるまじき悲鳴を上げて、リーゼアリアは全力で走った。
 半瞬前まで自分がいた位置に、雷神の槍が降ってきて地面を爆砕させる。
 反撃案どころか、射手がどこにいるのかもつかんでいない。とにかくこの集中爆撃地帯を走り抜けない
ことには、何も出来ずに惨殺される運命にある。
 その時リーゼアリアの視界の片隅に、黒焦げで痙攣している物体が目に入った。
「ロッテ!?」
 全力で踵を踏ん張り急停止。コンマ一秒かけずに身をよじりながら方向転換した。天からの雷槍は、な
んとか服を掠っただけですんだ。
 再びトップスピードにギアを入れながら、駆け抜けざま指の力だけで妹の服を引っつかんだ。
「生きてる!?」
「…………吾輩は猫である。名前はまだ無い」
 手遅れだった。
 走る速度が落ちるし捨てていこうかとちらっと考えたが、流石に姉妹を見捨てたとあっては寝覚めが悪
い。背中に担ぎ直した。
「む、モクセイでSOSキャッチ! しーきゅーしーきゅー、待ってろにゃ、いま助けに猫が行く!」
「モクセイよりあたしを助けなさい!!」
 やっぱり捨てて行こうと決断した時、砂煙で隠れていた視界が急に晴れた。背後で聞こえていた爆音も
いつのまにか止んでいる。
「よしっ、逃げ切った!」
 ここからは、とにかく距離をおいて弾幕を張り近づけないようにしながら、次の策を考えていくしかな
い。高速戦主体の相手には相当厳しい戦法だが、近接担当のリーゼロッテがこの有様では他に手がない。
 まず相手の場所を特定しようと振り向いた瞬間。
「うをわっ!?」
 鼻先一寸の距離に金色の刃があった。
 二刀のうちの一刀を突きつけ、静かな怒気を湛えた金色夜叉が目の前にいた。水を張ったか盆のような
無表情の中で、瞳だけが燃えているのが怖すぎる。
 つまり撃ち切ったから射撃が止んだわけではなく、自分を追いかけてきただけだったのかと理解しなが
ら、リーゼロッテ両手を上げて降伏ポーズを取った。
「こ、降参降参。これで私たちの零勝七敗。そろそろ模擬戦終わりにしよ?」
「まだ一時間も経っていませんよ。最低半日はつきあってもらうつもりですから」
「ちょっ、ちょっ、ちょっと待ってよ!! だからどうしてあなたそんなに怒ってるわけ!? 全然身に
覚えが無いんだけど!?」
「分からないことがあったら人に聞く!」
 まだ多次元世界に思考がぶっ飛んでいる妹は無視する。
 しかしどちらかの言葉が癇に障ってしまったらしく、フェイトの目尻が吊りあがる。
「……自分達が小さいクロノに何をしたのかも覚えてないんですか」
「え? クロノ? …………あ、ひょっとして昔いたずらしたことおおおおおぉぉぉぉ!?」
282彼が彼女で彼女が彼で:2007/12/18(火) 21:05:51 ID:D1n13IWF
 一瞬で二刀が巨大な剣に変化し、唸りを立てて振り抜かれた。
 咄嗟にひっくり返ったリーゼアリアはかわせたが、背中から振り落とされたリーゼロッテの身体は、剣
の軌道上に取り残される。
 バックスクリーンどころか伝説の時計台に突き刺さる勢いでかっ飛ばされた妹は、五回地面でバウンド
して動かなくなった。
 返す刀でリーゼアリアを両断しようと、剣が振りかぶられる。
「待った! 待った待った待った! クロノのことならいいものがあるから!!」
 ぴたりとフェイトの動きが止まった。しかし下手なことを言ったらすかさず振り下ろすと、力の籠った
腕が語っている。
 ごくりと唾を飲み込んで、リーゼアリアは口を開いた。
「クロノの別の初めてがもらえるものがあるから」



       彼が彼女で彼女が彼で



「それでこれもらったの」
「…………全くあの二人は」
 搾り出すようなクロノの声。その声音はいつもよりも高く、男の野太さのようなものがいっさいない。
「……それで、君はそうする気満々なわけだな」
 睨んでくるクロノの手足はベッドに紐で縛りつけられ自由を失っている。犯人であるフェイトはその隣
に腰掛け、手の中の時計を弄んでいる。
 見た目は安物の腕時計だが、その正体は立派なロストロギアである。その能力は性別反転。装着者は男
なら女に、女なら男に変化する。
 こんなものを渡したリーゼアリアの真意はこうである。
『自分達がもらってしまったクロノの初めてはどうにもならないから、女の子にしてそっちの初めてをも
らえばいい』
 当たり前だが、クロノがそんなことを了承するはずがなく、この状況はシャマル印の睡眠薬を一服盛っ
てフェイトが作り出した。
 そしてクロノが眠っている間に、すでに二人ともロストロギアを使用済みであった。
 フェイトは顔の柔らかさがやや失われ、胸が消えたり股間に変なものがついたりしただけだったが、ク
ロノはだいぶ変化した。
 面貌は元の面影を残しつつも完全な女顔となり、なにより髪の毛が伸びた。烏の濡羽色の髪が腰まであ
る。
 その黒髪を一房、手の中でさらさらと流してみた。黒さは濃いが、癖毛でやや痛んでいる。それでもフェ
イトの周囲に黒髪の女性は少ないから、新鮮味を覚える。
283彼が彼女で彼女が彼で:2007/12/18(火) 21:06:57 ID:D1n13IWF
「気づいてるかもしれないけど、副作用で魔法は使えなくなってるから、抵抗しても無駄だよ」
「こんな馬鹿げた真似はやめるんだフェイト」
「大丈夫、痛くないように優しく抱いてあげるから」
「僕の話を聞いてないだろ!?」
「万が一孕んじゃっても責任取るし」
「どこまでする気だ君は!?」
「クロノみたいに後ろはしたりしないよ。後ろは、ね」
「口はする気なのか!!」
 動転しまくっているクロノのわめき声を聞きながら、改めてフェイトは異常なこの状況を再認識する。
 ベッドに縛りつけられている恋人。愛情ではなく獣欲で彼を犯そうとしている自分。傍から見たら完全
な強姦現場だろう。ましてや二人の性別は反転しているのである。狂ったと思われてもしかたがない。
 もし立場が逆なら、いかに相手がクロノであろうともフェイトは泣いて許しを請うたであろう。
 それでも我慢できない。目の前のクロノであってクロノでない存在を抱いて、髪の毛の一筋に至るまで
自分の色に染め上げたい。
 ふと、フェイトは思う。自分は今どんな顔をしているのだろう。すまなさそうな顔をしているのか。そ
れとも涎を垂らさんばかりの欲に満ちた顔をしているのか。
 自分でも把握できない表情のまま、フェイトはクロノの頬に手を沿え顔を近づける。
「こんな変態な女でごめんね。でも、どうしてもクロノの初めて欲しいから」
 その言葉を最後に、フェイトは残っていたわずかな理性をかなぐり捨て、クロノの唇を奪った。
 ふわりとした柔らかさと瑞々しさが、いつもとはっきりと違う。中の味も知りたくて、歯を割って舌を
侵入させる。だがいつもなら情熱的に絡めてくる舌は、ぴくりとも動こうとしない。せめて自由になる部
分だけは抵抗するつもりらしい。
 なりふり構わぬ手段を取っただけに、協力が得られるとは思っていない。ならば強制的に燃え上がらせ
ればいいと、フェイトはそのまま頬、顎、首筋と唇を落としていく。
 続いて下に行くと見せかけて、不意打ちで耳をぺろんと舐め上げた。
「ふぁ……」
 予想以上に可愛らしい声が上がった。自分ものとは思えない声に恥ずかしくなったらしく、クロノは横
を向いてしまう。
 いい声が聞けたと頬を緩めながら、今度こそフェイトは服を脱がしにかかった。ワイシャツのボタンを
口を使ってゆっくりと外していく。アンダーウェアも、裾を咥えてまくり上げた。当然ブラジャーなどつ
けていないので、クロノの生白い乳房が大気に晒される。
 現れたのは、まっ平というわけではないが男物の服でも不自由が無いぐらいの貧乳である。
(リンディ母さんは大きいのに)
 やっぱり遺伝子の大半は父親からもらったらしい、と写真でしか知らない義父を思い浮かべる。
「うっ……」
 小さな呻き声。顔を盗み見れば、クロノは自分の胸を見て顔を赤らめていた。本来の自分にありえない
ものを目にしたことで、羞恥心が煽られたのか。
284彼が彼女で彼女が彼で:2007/12/18(火) 21:08:48 ID:D1n13IWF
 その胸に顔を埋めて、深々とクロノの新しい身体の匂いを肺に吸い込む。まだクロノは風呂に入ってい
ない。一日の終わりの身体からは、ほんのりと汗の香りがした。
 クロノの匂いなら汗であろうがなんだろうが、フェイトにとっては芳しい香りとなる。行為の後に彼の
胸板に顔を埋め、その男くささに包まれるのなどは大好きである。
 その時と比べれば、臭気はだいぶ薄い。女性になって体臭が薄れたなどではなく、単純に汗の量の問題
だろう。
 しかし匂いが少なくても、普段の筋肉質とは違うふにゅりとした胸の感触がなかなかにいいものだった。
頬擦りしながら、フェイトはクロノの乳房に指を這わせた。
 フェイトは胸が最大の弱点だが、クロノはどうか分からない。それでも女性ならそれなりに感じるはず
だから、とりあえずふにふにと揉んでみる。
 事を始めたらクロノは激しく暴れるかと思ったが、口以外の抵抗はほとんどない。リーゼ姉妹にも縛ら
れていたらしいから、その時のトラウマが甦って萎縮しているのだろうか。
 胸全体の脂肪をかき集めるようにしたうえで、一番感じる点を探すべくクロノの反応を見ながら指を乳
房に埋め込んでいく。
 乳首の下付近を押し込んだ時、明らかにクロノの反応が違った。
「ん、くっ……」
 それまでのただくすぐったそうな顔から、甘さの混じった声が漏れる。
 性感帯を見つけ出したフェイトは、そこを中心に攻め立てる。すぐに突起がつん、と上を向いた。
「クロノ、乳首が勃ってる」
「……ただの生理現象だ」
「違うよ。女の人はただ胸を揉まれているだけだと、こんな風にはならないんだよ。エッチな気持ちにな
らない限りね」
「そんなこと……ああぁっ」
 くにくにと乳首を押し潰してやれば、反論など簡単に黙らせられる。
 そのまま手は止めないまま反対側の小振りな胸に吸いつき、ねっとりと唾液を塗りこめ舌で突起を可愛
がってやる。
「く……あっ、あ……」
 ひとしきり胸を愛撫していたフェイトだが、気になることがあった。なんだか高まっていく反応と速度
がフェイトのそれに酷似している。
(ひょっとして……)
 フェイトは腕を背中に回し、クロノのうなじをつつっと撫で上げてみた。
「ひうっ!」
 驚きとは別種の嬌声が上がる。
 次は鎖骨を甘噛み。また似たような声をクロノは発した。
 フェイトは確信する。女性になったクロノの性感帯は、フェイトのものと極めて近い場所なのだ。感度
もほとんど同じと見た。
285彼が彼女で彼女が彼で:2007/12/18(火) 21:10:20 ID:D1n13IWF
 そうと分かればこっちのものである。クロノにいつもされていることをしてやれば、そのまま普段フェ
イトが感じている通りになり、進捗度を把握しやすい。なにより、いつも自分をいじめぬいて悦に浸って
いる彼への仕返しにもなる。
 フェイトの心に嗜虐癖が湧き上がる。滅多に顔を出さないだけに、一度燃え上がるとどこまでも加速し
ていく感情。
「クロノ」
 唇の端を吊り上げて、フェイトはクロノに笑いかける。彼の頬の辺りがはっきりと引きつった。
「いつも私にしてくれてるいろんなこと、たっぷりお返ししてあげるね」
「まっ……」
 返事など聞かず、フェイトは乳首を摘みあげた。そのまま手の平で転がしたり擦りつけたりと、縦横無
尽に弄くり倒す。
「ひぅっ! も、もっと弱くしてくれ……!」
「分かった」
 あっさりとフェイトは引いてやる。
「胸は弱くしてあげる」
「……胸、は?」
 クロノの疑問と同時に、フェイトは鎖骨にかぷりと噛みついた。歯型がつくまで口に力を込め、それか
らその痕を癒すように優しく舌でいらってやる。
 胸は言葉どおり弱く揉んでいるが、クロノの呼吸が落ち着きかける度にぎゅっと握りつぶして叫ばせる。
 そんな強弱つけた愛撫を数分続けただけで、クロノはすっかり出来上がってしまった。
 顔は真っ赤に染まり、目からは力が失われている。
 そろそろ次に進んでもいいだろうとフェイトは判断する。
 ズボンを脱がすため、足の紐を一度ほどいた。脱がし終えたらまた縛るつもりだったが、ズボンを引き
抜いてもクロノの足は完全に脱力しきって特に動きを見せない。これなら暴れることもなさそうだと、フェ
イトはそのままにしておくことにした。
「うわぁ……」
 そこを覗き込んだフェイトは、驚嘆の声を上げた。
 自分のものでは見れない角度からの光景を目にしたこともあったが、それ以上に濡れ具合が凄かった。
 入り口は半開きになってひくひく震えており、だらだらと垂れ流されている愛液は透明ではなく白く濁っ
ている。きっと中はどろどろにぬかるんでいるだろう。
 多少強めに攻めはしたが、処女なのにこの感度の良さは少々おかしい。
 自分はどうだったかと思い出してみるフェイトだが、初めて抱かれた時はクロノに触られる全ての部分
が熱く、あげくにキスされただけで危うく意識が飛びかけた。それ以前に自慰したことは無論あるが、性
知識の拙さからあまり深くまですることはなかった。つまりなんの参考にもならない。
 まあ、不感症よりはましだろうと、フェイトは勝手に結論づける。
286彼が彼女で彼女が彼で:2007/12/18(火) 21:12:03 ID:D1n13IWF
 上半身はある程度満足するまで堪能した。なら次は秘められた場所の番である。
 くちり、とフェイトは指を押し込む。まずは一本だけだが、わずかな抵抗感はある。これだけ濡れても
そうなのは、やはり初めてだからだろう。
「クロノのここ、溶けちゃいそうなぐらい熱いよ。ねえ、どうしてこんなになってるのかな?」
「くっ…………」
「だんまりはずるいよ。それとも、これも生理現象って言う気かな?」
 捻じ込むようにして進めていくと、自分で入れる時にはなんなく通り抜けるはずの場所に、襞のような
ものがある。もうすぐこれを破りクロノを自分のものに出来るのだと思い、フェイトは恍惚とした。
 どんどんフェイトは妖しい気分になっていく。
 同性愛趣味はフェイトに無い。周りに美女はたくさんいるが、そのうちの誰かを啼かせたいと思ったこ
とは皆無である。
 それが女性化したクロノの喘ぎ声を聞き乱れた表情を見ているだけで、性欲が猛ってくる。女のままだっ
たら、股下をクロノに負けないほど濡らしていただろう。
 身体に伴って嗜好も男性のものになったのか。それともどんな身体になろうとクロノはクロノで、フェ
イトの愛しい人だからだろうか。
 余計なことを考えていたら、つい指の加減を間違えた。
「痛ぅっ……」
 誤って膣壁に爪を立ててしまった。
「あっ、ごめんなさい」
「……謝るぐらいなら、早く止めてくれ」
「それはだめ」
 一言で斬って捨て、逆に指をもう一本増やした。陰唇の上の敏感な部分も、薄皮を剥いて指で摩る。
「ふくっあっ……!」
 ぐちゃぐちゃという卑猥な音色が部屋に響き、その音が高まるにつれクロノもどんどん上り詰めていく。
その一部始終を、フェイトは間近で鑑賞させてもらい愉しむ。
 そして達しかける寸前に、ちゅぽりと指を引き抜いた。
「あ……」
 期待をすかされたクロノが、切なげに喘ぐ。
「お願いするなら最後までしてあげる。ちゃんと、どこをどうしてほしいか詳しく言ってね」
 目を細めて笑うフェイトを、呆けていた瞳に光を取り戻しながらクロノが睨み上げてくる。
「っ……誰が言うものか」
「じゃあこっちでもいいよ」
 愛液でてらてらと光っている指を、クロノの唇に押し当てる。
「綺麗に舐めて」
 もちろん、クロノの唇が開くことはなかった。
「どっちもクロノが私にさせてることだよ。自分だけやらないつもり?」
 しかも口にしたらしたらで、そんなこと言うのは変態だの、どんな味がするだのと泣くまでいじめられた
ものである。復讐するは我にあり、だ。
287彼が彼女で彼女が彼で:2007/12/18(火) 21:14:18 ID:D1n13IWF
 指を戻して、ちゅぷちゅぷと入り口だけを水音立ててかき回してやるフェイト。一度火照りきったクロ
ノの身体には弱すぎ、かといって身体を冷ますこともできず生殺しな状態に保ち続ける手管。
 恥を捨ててねだってくる瞬間を、まだかまだかとフェイトは心待ちにする。
 だがクロノは、指を噛んで必死に耐えている。胸の先端を軽く触ってみても、声すら漏らそうとしない。
 俎上の鯉のくせして強情なクロノに、フェイトは苛立つ。自分はとっくに理性を捨てているのに、クロ
ノは正気のままというのが気に食わない。だったら、こちらが好き勝手に調理させてもらうまでだ。
「……いいよ。素直に言ってくれたら優しくしてあげようと思ったけど、そういうつもりならおかしくな
るまでめちゃくちゃにイかせてあげるから」
 とりあえず舌で嬲ろうと思いその光景を想像した途端、ずくんと下腹部が痛んだ。
 見下ろせば、本来無いはずの出っ張りが目に入る。
 男になった時点で下着は窮屈だったので脱いでいたが、服装はフェイトもクロノもそのままである。
 そのスカートが、反り返ったものでテントを作っていた。クロノを攻めている間に零れだした液体で、
漏らしたようにスカートに染みが出来ている。
 この痛みは、早く解放してほしいという股間からの要請らしい。子宮とはまた別の疼きは、意識すると
どんどん強くなってくる。痛みには慣れているフェイトだが、これはなんだか勝手が違う。
(やっぱり気持ちよさも、男の人は違うように感じるのかな)
 耐性をつけておいた方がいいかもしれない。慣れぬ快感で、挿入れた瞬間射精したなどという情けない
ことにならないように。
 フェイトはスカートを脱ぎ落とす。露になったグロテスクなものは、天を衝いて時折ひくりと脈動する。
 その肉棒を、熱いクロノの秘裂にひたりと押し当てた。まだ本番に移行する気はない。このまま擦れば、
フェイトは快感に慣れることができ、クロノは攻められて一石二鳥だ。
 そう考え、少しだけ強めに一擦りした瞬間。
「ああぁぁ!?」
 激しい声を上げたのはフェイトの方だった。
 陰茎を擦って得られる快感は、淫核を触られた時のようなものだろうと思っていた。
 だが現実は全く違った。全身の血が下半身に集中し、軽い貧血のように頭がくらりとする。その逆に、
さらに膨張した肉棒は張り裂けるような激痛を生み出す。
 痛い。なのに気持ちいい。
「なに……これぇ……」
 数回往復させただけで、フェイトの呼吸は荒くなる。
 裏筋を擦っただけでこれなら、本番はどれほどの快感を与えてくれるのだろう。その欲求に、フェイトは
もう一秒も我慢できなかった。
288彼が彼女で彼女が彼で:2007/12/18(火) 21:16:02 ID:D1n13IWF
 腰をずらして、亀頭と花弁を接着させる。
「いくよ。クロノの初めて、食べちゃうね」
「やめっ……」
 制止を振り切り、フェイトは一気に根元まで叩き込んだ。肉の膜が一瞬だけ抵抗したが、儚いものだっ
た。
「がっ!!」
「はああぁぁぁん!」
 激痛と快感の二重奏が響く。
「はあっ……クロノ、いつもこんなに気持ちいいの感じてたんだぁ」
 蜜壷とはよく言ったもので、熱したとろとろの蜂蜜に突っ込んでいるような気分である。しかもその熱
さのまま、きゅうきゅうと締めつけてくる。
 止まったままだと即座に放出しかねない。フェイトは意識を少しでも外に向けようと、全力で腰を動か
した。
 破瓜を迎えたばかりのクロノが苦しそうに呻くが、一度動き出した腰は止まらない。最初に優しく抱く
と言ったことなど、もはや遠い彼方だ。
 亀頭にこつりと当たる固い突き当たり。そこにぶつける瞬間だけは、女と同じ感触だった。
 消し飛びそうな思考を必死に検索し、フェイトは自分が一番感じると思しき場所を突き上げた。
「ああ……あああああっ!!」
 苦痛の消えた、完全に快感だけの声。やはり、女のクロノは異常に感度がいいらしい。
 別の体位で交わったら、はたして彼はどんな嬌声を上げてくれるのだろう。
 うまく動かない指で手の紐をほどき、突っ込んだまま身体を半回転させた。
「あ、くぅっ……!」
「んんっ! 出ちゃいそう……!」
 敏感な部分を強く捻られる感触に、二人して呻く。
 後背位で味わうクロノの膣は、また別の味だった。身体の奥の奥にまで突き入れているようであり、ま
た掴んだ尻肉の柔らかさがたまらない。指先まで快感に浸れる。
 そうしている間も、限界が近づいてくる。
 女の絶頂は頭がどんどん白くなっていき最後はそれが破裂して全身に快感が飛び散るが、男はまず根元
が熱くなって背骨沿いに頭まで快感がやってくる。もう耐えられそうにない。
 この身体でも危険日はあるのだろうかという考えが一瞬頭をよぎったが、そんな瑣末なことはどうでも
いいと振り捨てる。
 クロノの子宮を自分の精液で満たしたい。フェイトだけの女にしたい。
289彼が彼女で彼女が彼で:2007/12/18(火) 21:17:53 ID:D1n13IWF
「出る。出ちゃうよクロノ!」
「た、頼むからそれだけは……外にしてくれっ!」
「いやっ! クロノのナカで出す!」
 体重をかけて圧し掛かり、身体全体でクロノの華奢な肉体を押さえ込む。頭さえ動かせないように、唇
にむしゃぶりつく。
 クロノの子宮口に最大の強さで腰を叩きつけた瞬間、欲望が爆発した。
「んん!!」
「んぅん〜〜!!」
 お互いの絶叫が口の中でこだます。
 液体どころか精巣まで吐き出してしまいそうな放出。
 少しは慣れたはずだったのに、そんなものはきざはしにすぎなかったと無理やり理解させられる怒涛の
快感。
「あぁ……はああぁぁ……」
 目尻に涙さえ浮かべながら、フェイトは異性の絶頂に浸りきった。
 射精の終わるのと同時に、膝ががくりと崩れ落ちる。身体全体の骨も筋も、抜けてしまったかのように
頼りない。
 虚ろな頭でもうこのまま寝てしまおうかと考えていると、いきなり手が引っ張られた。そのまま体を入
れ替えられ、ベッドに押し倒される。
「好き勝手にやってくれたなフェイト……!」
 痣がつくほどの強さでフェイトを押さえ込んでいるのは、もちろんクロノである。
 単純な腕力勝負になれば今は男であるフェイトの方が有利なはずだが、身体に力が入ってくれない。
「腰が抜けたみたいになってるだろ。慣れない身体でイッたらそうなるんだよ」
「で、でもクロノは……」
「僕は体験済みだからな。あの二人が、こんな面白そうなものを僕に使わなかったとでも思うのか?」
 そんなこと、リーゼアリアは一言も口にしなかった。もっと詳しく問い詰めておくべきだったとフェイ
トは臍を噛むが、時すでに遅しである。
「さすがにここに出されたのは初めてだけど。……貴重な経験をありがとう」
 言葉とは真逆の復讐心に燃えた目で、クロノはさらに手の力を強くする。
「女の身体の良さはさんざん教えてもらったから」
 クロノに似合わぬ悪魔じみた笑いが浮かぶ。
「今度は男の気持ちよさを僕が教えてやろう」
 陰茎がぐいっと握られ、その強さのまましごき上げられる。
 快感と激痛の入り混じった地獄の始まりだった。
290彼が彼女で彼女が彼で:2007/12/18(火) 21:19:39 ID:D1n13IWF

「はぁはぁ……お願い。手ばっかりじゃなくてクロノの膣に出させて……」
「駄目だ。こっちの方が僕のを手でする時の勉強になるだろ」

「もう勃たない……ひゃん!?」
「電気なんか流さなくても、男はここの前立腺を刺激したら絶対に勃つように出来てるのさ」

「……もう痛くて出せない。許してぇ」
「せっかく挿入れさせてあげたのにだらしないな。……射精出来なくてもいいか。僕が勝手に愉しませて
もらおう。途中で萎えたりしないでくれよ。その時は、もっとひどいことさせてもらうからな」



「ごめんなさいごめんなさいごめんなさい!」
「いや、そもそも悪かったのは僕の方だから」
 朝早くからベッドの上で正座し、頭を下げあうフェイトとクロノ。
 二日連続となったご乱行から一夜明け、ようやく双方頭が冷えて相手へのひどい仕打ちに青ざめ謝り合っ
ている次第である。ちなみに身体は元に戻っている。
 三十分近くこんな有様で一向に進展が無いのに業を煮やしたのか、クロノが謝るのを止めて口を開いた。
「じゃあこうしよう。僕がリーゼ達とのことを黙っていたのは、一昨日君に絞られたので帳消し。昨晩の
分はその後のことでこれも帳消し。これでどうだ?」
「……そうだね。そうしようか」
 最後にもう一度だけ頭を下げあって、きれいに水に流す。
(それにしても、昨日は凄かったなあ。私あんなに叫んで、イかされて、最後なんかあんなことまで……)
 結局、女でも男でも自分はクロノにいじめられる運命にあるらしい。
 昨夜の事を反芻しているうちに、身体の奥に残っていた埋れ火が快感と羞恥の記憶で段々と大きくなっ
てくる。
 時計を見れば、まだ出勤時刻まで余裕があった。情交に及んでシャワーを浴び、一緒に朝食をとるぐら
いの時間は充分に。
「……ねえ」
 クロノにフェイトはそっとしだれかかった。
「どうせなら最後に一回普通にして、それで全部終わりにしよ?」
「……そうだな」
 彼も似たような気分だったのかすぐに応じてくれて、胸が優しく揉まれる。慣れ親しんだ快感にフェイ
トは小さく身震いした。
 こんな風に普通にするのは二日ぶりなのに、ずいぶんと久しい気がする。
(やっぱり女の方が気持ちいいかな……)
 そう思いながら、恋人の甘い愛撫にフェイトは静かに溺れていった。


      終わり
291サイヒ:2007/12/18(火) 21:21:07 ID:D1n13IWF
以上です。
女クロノの外見イメージは、サ○ンナ○ト3のアズ○アをちょっといじった感じ。
性格はクロノとだいぶ違いますがね。
男フェイトは皆さんの中でお好きなようにご想像ください。

フェイトは女のままで百合るとか、
ヤンデレ化してもっと強姦風味にするとか、
百合スレで見かけた触られただけで射精しちゃうへっぽこ執務官とかも考えましたが、
性別反転は初めてだしスタンダードに。もう二度とやらないけど。
男の喘ぎ声を何種類も考えるのは精神的に辛すぎる。


>>122氏 26-111氏
保管庫の修正ありがとうございました。
大変な作業でしょうが、がんばってください。
292名無しさん@ピンキー:2007/12/18(火) 22:18:39 ID:gKGBsTu+
>>270
久しぶり!やっぱり規制に引っ掛かってたのか・・・
前半も後半もGJ!続きが待ち遠しいぜ!
>>291
GJ!
女でも男でも結局は主導権を握られてしまうヘタレなフェイトに萌えたww
293名無しさん@ピンキー:2007/12/18(火) 22:20:30 ID:+RQHrlYE
>>214
遅ればせながらもGJをば
……つかこれはヤベー。危険な香りしかしねぇよ……

>>232
GJ。ユーノにいいようにからかわれるクロノ、天然で追い詰めるなのはw

>>270
ハートガンさんいいねぇ。しかしその結果がなのはさんのアレか……!
そして本編。レイハさんがロストロギア、楽しみ。このままだと犯罪者なユーノは何かするのかな?
GJっしたー!
294名無しさん@ピンキー:2007/12/18(火) 22:48:48 ID:eykhKijQ
>>291
お疲れ様です、サイヒさん!!
相も変わらずGJ!!!
フェイトさんかわいすぎるwww
喘ぎ声を考えるのお疲れさまでしたw
29539-528:2007/12/18(火) 23:21:03 ID:OrQzRIM2
皆さん
お久しぶりです。

間が開いてしまいましたが、History repeats itselfの中編を23:30頃から投下
いたしたいのですが、よろしいでしょうか。
29639-528:2007/12/18(火) 23:36:44 ID:OrQzRIM2
他の方の投下もないようなので、は投下いたしたいと思います。

以前39スレで投下した「History repeats itself」の続きになります。
今回はまだ(前・中・後の)中編になります。

・エロ無し、ただしグロ(体内機械破壊等)表現あり
・JS事件から約2年後が舞台。(プロローグ、エピローグに一部違う時間あり)
・そのためオリ設定が一部(デバイス設定、ナンバーズの進路等)入ります
・ノーヴェ&スバルが主役。あとギンガとウェンディもメインで出ます
 (プロローグ、エピローグに他のキャラも。
 ただし、今回はウェンディ&ギンガの方が多いです)
・スバル重傷(大破)、ノーヴェ負傷、あるいはStS本編17話やメガミ今月号
 (2008年1月号)のStSコミックのスバル負傷シーンがダメな(見られない)
 方は、このストーリーはスルーして見ないようお願いいたします
(なおスバル、ノーヴェ共に死亡しないで生き残ります)

(なお、今回投下分にはグロ表現はまだ入っておりません)

タイトルは「History repeats itself」になります。スルー等される場合はこれをキー
にしていただければと思います。

それでは、よろしくお願いいたします。
297History repeats itself - Chapter-B : 01:2007/12/18(火) 23:38:28 ID:OrQzRIM2
「うーんと、ここも要救助者は無しっスと」
迷路のように入り組んだ遺跡の街路の中、珍しく十数mの直線が確保されている
街路の中央に立ち、確認するようにそう言うとウェンディは表示させたコンソー
ルモニタに映し出された遺跡の図面に、今まで確認した数カ所の区画に消し込み
のマークを入れる。
マークを確定し保存した直後、直線の街路の端からローラーの音が接近してウェ
ンディの少し前で止まった。
「こっちも要救助者は確認できなかったわ」
ローラーのエッジを立てて停止したギンガが報告する。
「えっと、第10区画も無しっスと」
ギンガの確認した区画にウェンディがマークを入れる。

「しかし、本当にいるんスかねぇ。その足跡の持ち主の子供って」
マークを入れながら、ウェンディがギンガに尋ねた。
「今朝最初に発見した捜査隊によると、その足跡はできて間もない…どんなに前
でも昨日の夜以降にできたものらしいわ」
次の捜索区画についてコンソールで確認しながら、ギンガが答える。
「あと足跡の側にあったアンノウンも、切断面の粘土の乾燥とかから切断された
のは足跡と同じくらいの時間帯の可能性が高いって云っていたわ」
「って、ちょっと前まで動いていたんスか、アイツ」
ギンガの語った新しい情報に、驚いたウェンディはギンガが来た方とは反対の直
線の街路の端を指さす。

その先には、躯を3つに切り刻まれ…更に、人間でいえば心臓付近に直径十数セ
ンチの円形の穴が貫通するように1ヶ所開けられている土塊の巨人の…なれの果
てが転がっていた。

「その可能性は高いわ」
ウェンディの言葉に合わせてギンガも巨人を一瞥したが、別段驚く様子を見せず
冷静に答える。
「今のところ動いているアンノウンは確認されてないから大丈夫と思うけど、
もし動いているアンノウンに遭遇したら、破壊せずに動態のまま確保してね。捜
査隊に引き渡して調査するから」
「うぃ、了解っス」
ギンガの言葉に、ウェンディがいつもの口調で答えた。

コンソールを閉じると、ギンガはウェンディに呼びかける。
「それじゃ、次の区画に行きましょう」
「ラジャーっス」
背中に背負っていたボード…IS対応のインテリジェントデバイス、スピーダー
を空中に浮かべると慣れた動作で飛び乗る。
それを確認したギンガは、ローラーを軋ませながらウェンディと一緒に巨人の骸
を背にして街路を進んでいった。



路上を駆けるギンガの上空…約10m位の高さを、ウェンディはギンガを追うよ
うに滑空していた。ここら辺の区画は建物の高さも二階程度で低く、街路には天
蓋が無く上空からでも街路の様子が確認できるためであった。
「うーーん…」
滑空しながらウェンディは周囲を見回し、要救護者…恐らくは小さい子供の姿が
ないか観測していた。
「Boss, no life response or no movement reaction within the section.
(ボス、区画内に生命反応および動体反応はありません)」
自分が乗っているボード…スピーダーから探査結果の報告があった。
「サンキュっス、スピーダー」
そう感謝の言葉をスピーダーに返したウェンディは、再確認するかのように周囲
を見回しだした。
298History repeats itself - Chapter-B : 02:2007/12/18(火) 23:40:09 ID:OrQzRIM2
バイタルセンサーモード、ON。
ウェンディがそう思考すると、両目の色が僅かに変わった。
体温から出る赤外線、そして魔導師でない一般の人でも微量に内在し発する魔力
の発散を感知するバイタルセンサーモードであれば、これくらいの低層建築であ
れば地下1階位までなら建物内の人間の所在をほぼ100%特定できるはずである。

「えーと…」
先ほどスピーダーが探査していたが、再度ウェンディは自分の目で確認をし始める。
スピーダーのサーチ能力を信じていないわけではないが、念には念を入れて…それ
とスピーダーのサーチ能力の想定外の事象である可能性も考えなければならない。

…以前溺れて低温の流水の底に沈んでいた要救助者を見つけた時は、スピーダーも
自分のバイタルセンサーでも感知できず、偶然要救助者が着ていた明るい蛍光色の
服の色が通常の眼…視覚センサーに引っかかり発見したことがあったからだろう。


結局、再探査でも自分のセンサー…バイタル、通常の視覚センサーでも子供の姿
はおろか小動物の動きすら見あたらなかった。
「うーん…やっぱりいないっスね」
『私の方も見あたらないわ』
路上を低速で走行しながら、建物の中や脇の路地などを調べていたギンガからも
返事が返ってきた。
「それじゃ、次の区画に行きましょう」
「了解っス」
ギンガの言葉にウェンディが答えて、2人が次の区画へ進路を変えた。



…その瞬間。



フュッ


2人は同時に、ある方向から微風を感じた。

普段であれば無視してしまうような弱い風だったのだが、何故か2人は何ともい
えない違和感をその風から感じていた。

「キィィィーーーー」
ローラーのエッジを効かせての急ブレーキで停止したギンガは、その微風の方向
…先ほど探査して何も見つからなかった区画の方を見る。
同じく空中で急旋回して停止したウェンディも、もと来た後方の区画の方を振り
返る。

『ウェンディ、何か見える?』
地上からギンガが上空のウェンディに尋ねる。
「ええと…」
ウェンディは眼の視覚センサーを望遠モードに切り替える。
元々射撃型として作られたウェンディは、遠距離の視覚能力も当然強化されてい
るのだ。

倍率を上げながら風の方向を見ていくと、少し狭い路地に、小さな影……人の形
をした『もの』が立っているのをウェンディは見つけた
「いたっッス!……324m先に1人いるっス」
ウェンディはそう叫ぶと、ギンガに座標データを転送する。
『分かったわ。ウェンディ、先にあなたが行って』
「ラジャーっス」
座標データを受け取りながら、ギンガはウェンディに先行するように指示をした。
299History repeats itself - Chapter-B : 03:2007/12/18(火) 23:41:34 ID:OrQzRIM2
街路上空をスピーダーで滑空しつつ、ウェンディは先ほど見つけた小さな影を望
遠モードで見つめ続けている。

そんなに動いていない。その場でうろうろしている。
接近するに従い、その人の形をした影ははっきりとした人間…遊牧民的な感じの
男の子用のデザインだが、事前に調べたこの世界に関するデータや今まで見てき
た他の世界のとは完全に一致したところがない変わった衣装…色合いは地味なが
ら、格子状の模様のある生地が特徴の…を着た、4,5歳位の子供らしいことが
ウェンディには見て取れるようになってきた。

「An object confirmation. No magical response from that.
(対象確認。対象から魔力反応は検知されません)」
スピーダーからも報告が入る。
「いるっス…間違いなく」
確信を強めるようにウェンディは呟く。

しかしその確信を強めるに従って、ウェンディはある疑いも深めていった。

「でも、なんで……さっき同じ所を調べたのに見つからなかったスかねぇ?」


そんなこんな考えている内に、路地の中を彷徨いている遊牧民の少年の姿が手に
取れるような距離までウェンディは近づいてきた。
「着陸するっスよ」
「All right, boss. (了解、ボス)」

少年に威圧感を与えないように、速度を落とし真上からではなく脇の街路から滑
り降りるようにウェンディはその路地に降り立つ。
「ウィっス!」
「!?」
空から降りてきて挨拶をしてきた少女に、その少年は少し怯えるようにビクッと
体を後ろに退かせた。
「大丈夫っス! お姉ちゃんは悪い人じゃないっス」
スピーダーを路地の壁に立てかけた後、これ以上刺激を与えないようにウェンデ
ィは生来の明るい表情でそう言葉をかけながら、少しずつ少年に近づいていく。

「……」
少年は下がらずに止まっていた。
先ほどまでは怯えの色が見えていた少年の顔だったが、心なしかその表情にも僅
かだか柔らかさを帯びてきているように見える。
「いい子っス。お姉ちゃん達が、お父さんやお母さん達の所に連れてってあげる
っスよ」

一歩ずつ一歩ずつ少年に近づいていくウェンディ。
もう少しで、この子を保護できる…
そう思いながらあと2,3歩で少年の所に届こうとした瞬間、少年は突然後ろを
向いて路地の奥へ駆けていった。
「あっ!? 待つっス! ボク」
ウェンディも少年を追いかけようと駆け出す。

少年は少し奥に開いていた遺跡の建物の入り口から中に入り込んだ。
「ちょっと! ちょっとっス!」
ウェンディも少年を追って建物の中に入る。

「おーい! ボク、どこっスかー!?」
この遺跡の特徴の一つである高い位置…低くても3m位…にある四角い窓から射
し込む日の光で照らされている白い室内を見回しながら、ウェンディは何処かに
いるだろう少年に呼びかける。
300History repeats itself - Chapter-B : 04:2007/12/18(火) 23:42:51 ID:OrQzRIM2
「うーん…どこっスかねぇ」
見回しながらウェンディは呟いた。
「確か、此所は出入り口は1ヶ所しかないはずっス」
データにあるこの建物の見取り図を表示させて再確認しながらウェンディは奥の
部屋へ進んでいく。

『ウェンディ』
通信モニタが空中に開いてギンガの顔が映る。
「ギンガ姉」
『さっき見つけた子は保護できた?』
モニタ上のギンガがウェンディに尋ねた。
それに対して、ウェンディはバツが悪そうな顔で答える。
「いやぁー、スミマセンっス。もうちょっとで保護できたんスが……怯えてしま
ってようで奥の建物の中に隠れてしまったっス。んで、今その建物の中を捜索中
っス」

『そう。でも建物の中にいるのね』
「そうっス…あっ、その子の画像データとか今送るっス」
ギンガの問いにウェンディは答えると、コンソール画面も空中に出して操作する。
『ありがとう、ウェンディ…私もあと少しで到着するから、一緒に探しましょう』
「了解っス」
データ送信を終えた後、ウェンディは通信モニタも閉じて奥の部屋へ入っていった。


「しかしこの建物の中、結構部屋が多いっス」
外見ではそれほど大きい感じはしなかったが、内部は小さい部屋に細々と分かれ
ていて、思ったより捜索ははかどらない。

この建物に限らず、この遺跡の建物は小さい部屋で細かく分かれているのが多い
ことが特徴である。また建物だけではなく、街中の道も狭めで直線部が短くジグ
ザグに曲がりくねっているのが殆どである。故にこの遺跡内ではギンガやスバル、
ノーヴェのようなタイプが地上の捜索に一番適していると云えよう。
ウェンディのような空中機動型は上空からの捜索なら良いが、地上に降りての捜
索では一般の捜索隊隊員とさして変わらない機動性となってしまう。

とはいえ、自分が先に来ていて建物の中という限られた空間内ということもあり、
ウェンディは楽観的な感じで室内を探索し続けていた。


「ええと…ここもいないっス」
うす暗い部屋を覗き込んでチラッと見回すと、ウェンディはそう呟いて隣の部屋
へ移動する。
暗視に赤外…様々なセンサーを駆使しているがいかんせん部屋の数が多いため、
すぐに終わるというウェンディの予想をあっさり裏切り捜索は終わる気配は無い。

『ウェンディ』
ある部屋の中を覗いている最中に、突然通信モニタが空中に現れる。
「あっ、ギンガ姉」
『ウェンディ、今中なの?』
「うぃっス。室内探索中っス」
ギンガからの問いかけにウェンディが答える。
『私は今到着したところ。捜索中ってことは、まだ見つからないのね』
「スミマセンっす」
ギンガの質問に、ウェンディはバツが悪そうに答えた。

『大丈夫よ。私も内部を捜索するから未捜索の部屋の場所を教えて、ウェンディ』
「了解っス。今データを送るっス」
そう言ってウェンディがコンソール画面を出してギンガに未捜索部のデータを
送った直後。
301History repeats itself - Chapter-B : 05:2007/12/18(火) 23:43:55 ID:OrQzRIM2
「んっ!?」
ウェンディは視界の端に何か動くものを認識した。
細く奥まで続く廊下の端の曲がり角で、ほんの小さな影が奥へ消えていく。

「あっ!」
ウェンディはそう言葉を漏らすと、影の行く先を追いかける。

確かこの廊下の曲がった先は…
廊下を駆けながらウェンディは、再度確認するように心の中で呟く。
…もう一つ曲がり角があるが、両脇には部屋への入り口もない完全な行き止まり。
角を曲がったウェンディは、その先のもう一つの角を曲がろうとしている小さ
な後ろ姿を確認する。

「間違いないっス」
その後ろ姿は、先ほどウェンディが保護しようとしていた少年のものであるこ
とを確信する。
「あの角の先は…行き止まりっス」
これ以上逃げることのないことを確認したウェンディは、歩みを遅め少年を威
嚇しないように慎重に最後の角へ近づいていく。

−ギンガ姉。見つけたっス−
−わかったわ。私もそっちに向かう−
ISでの疑似念話通信でそうギンガに伝えたウェンディは、ギンガからの返事
を聞きながら一歩一歩廊下を進んでいった。
「ようし」
ウェンディは最後の角を曲がり少年に近づこうとした。


しかし。

「あっ、あれっ!?」
角を曲がったウェンディは、歩みを止めて立ち止まってしまった。

ウェンディの目の前に伸びる廊下、そしてその行き止まりの先には3m位の高
さにある50cm四方の四角い窓があるのみ。
先ほどまで確かに追っていた少年の姿は何処にもなかった。

「ど、何処に行ったっスか?」
確かめるように再度廊下の両脇を見回すが、廊下の両側には部屋や脇道も無く
唯一外界への出口になりそうなのは、行き止まりの高い窓しかない。

けれど、どう考えても少年のジャンプ力ではその高い窓に届くはずはない。
そして、ハシゴや他にその窓へ登るのに使えそうな物…台になりそうな箱や手
足を引っかけられそうな壁の出っ張り等も一切無い。

まさしく……『消す』ように少年は『消えてしまった』のだった。


「ウェンディ」
「!!」
背中からのギンガの声に、ウェンディはハッと我に返って後ろへ振り向いた。
「ギ、ギンガ姉。あ、あの子が」
驚きが収まらない状態のウェンディが、行き止まりの廊下の先を指しながらギ
ンガに少年が消えたことを伝えようとする。
「あの子が?」
「き、消えたっス」
ギンガの反芻に、ウェンディは信じられない表情でそう答えた。
302History repeats itself - Chapter-B : 06:2007/12/18(火) 23:45:10 ID:OrQzRIM2
「消えたって!?…ここから??」
何もない廊下の先を見渡しながら、ギンガもそう言った。
「信じられないっスけど…この角までは間違いなくいたんスが、あたしが角を
曲がったら消えてたんス」
ウェンディの説明に、ギンガも信じられない表情で行き止まりの廊下を再び見
回す。そして唯一の出口となりえそうな廊下の行き止まりの高い窓をじっと見
つめる。
「あの窓から……でも……」
「No trace around here.
(痕跡は見あたりません)」
「Even no thermal sign because of tempered surrounding air.
周囲の空気が攪拌されいるため体温の痕跡でも確認できません)」
ギンガの仮定の呟きに、ブリッツキャリバーとスピーダーが即座に否定の言葉
を上げる。

「信じてもらえないかもしれないっスが…」
ウェンディがそう言いかけた瞬間、ギンガの横に通信モニタが現れる。
『こちら、プレアデス2』
「ノーヴェ」
モニタに映った赤い髪の少女は、ギンガの声に続けるように報告を始める。
『第18区画捜索終了。要救助者発見できず。その代わりにアンノウンの破壊
体14体確認。このままスバルと一緒に隣の第17区画に入るよ、ギン姉』
「了解。ノーヴェとスバルはそのまま西の方の探索を続けて」
ギンガがそう指示した直後、もう一つ通信モニタが横に現れた。
…髪と瞳の色のみ違うといっていいほど同じ顔が並んでいた。

『ギン姉達の方はどうなの?』
スバルの問いかけに、ウェンディが何か言いかけた…が、すぐさまギンガがこ
う答える。
「さっきウェンディが迷子らしい4,5歳位の男の子を1名見つけたんだけど、
建物の中に隠れちゃって今捜索しているところなの」
『ふーん』
ギンガの説明に、ノーヴェは意地悪そうな口調で…もう一人の赤い髪の少女に
当てつけるように言った。
『ウェンディが脅かしたんじゃねーの』
「あっー、ヒドイっス! ノーヴェの方が目つきが悪いのにっ!」
『なんだとぉ!?』
売り言葉に買い言葉のように赤い髪の少女達の口調が悪くなっていきかけるが、
そこで青い髪と紫の髪の少女達の仲介が入る。
『やめようよ、ノーヴェ』
「ウェンディも、その辺で」

「『はぁい…』」
ギンガの言葉…スバルのは効かなかったようだが…に、2人は反省の色を見せる。
『よしっ……分かれば良しっと』
自分の言葉が効いていると思っているスバルが、自信を持ってモニタ上でそう
締めるように言った。



そして、遺跡の第18区画。
スバルとノーヴェの2人は、空中のモニタ上のギャラクシー1,2の2人に現
在の区画の捜索完了の報告をしている所であった。

『ところで、アンノウンのことだけど』
「なに? ギン姉」
スバルがモニタ上のギンガに聞き返す。
303History repeats itself - Chapter-B : 07:2007/12/18(火) 23:48:17 ID:OrQzRIM2
『破壊の状況はどう? そんなことをしたものの正体に繋がる手がかりになる
ような物はあった?』
「いや。今のところ目新しい物はないよ、ギン姉」
ギンガの問いかけにスバルが答える。
「相変わらず、なんかでっかい刃物みたいのできれいに切られてるか、手の平
大のきれいな丸い穴が真っ直ぐにくり貫かれているか……だけどそんなデカい
刃物とかを振り回してたようには見えないんだ」
付け加えるようにノーヴェがギンガにそう説明した。

「なんか…風で切ったような感じだよね」
続けるように言ったスバルのそんな感想の言葉に、モニタ上のウェンディが思
い出したようにこう言い出した。
『そっ、そうっス! 風のように消えたんスよ!』

「風っ?」
ノーヴェが訝しげにウェンディに聞き返した。
『そうっス。あたしがその男の子をこの建物の中で追っかけていたら、出口が
無いのに風のように消えたんスよ!!』

「はあ? 消えたぁ!?」
ウェンディの言葉に、ノーヴェは呆れたようにそう漏らす。
「ったく、何か小動物でも見間違えたんだろぅ?」
ノーヴェの否定的な言葉に、ウェンディは確信した顔で返答する。
『そんなことないっス。確かにあたしは見たっス、あの子を』

また2人の掛け合いになりそうな雰囲気に割り込むように、モニタ上のギンガ
が話し始める。
『まあ、こちらも捜索を続けてるから、そっちも何かあったら報告をお願いね』
「「了解っ」」


双子のように…まあ、実際髪と瞳の色以外は双子のようにそっくりなのだが…
声を合わせて答えるスバルとノーヴェ。
「それじゃ、次の区画に行くから」
スバルがそう言ってギンガの通信モニタを閉じる。
「それじゃ」
同じようにノーヴェもウェンディの通信モニタを閉じようとした。

が、ウェンディはまだ何か言い足りない口調で言葉を続ける。
『あっ! あたしの言うこと信じてないっスね! ノーヴェ』
「あー。もう五月蝿い五月蝿い」
もう結構といわんばかりに手を振るノーヴェ。
『なんなら証拠の映像でm』
プチィ。

ノーヴェは強制的にウェンディの通信モニタを閉じた。
「いいの? ノーヴェ」
「いいんだよ。どうせ大したこと無いから」
スバルの問いかけに、ノーヴェは素っ気ない口調でそう答えた。
304History repeats itself - Chapter-B : 08:2007/12/18(火) 23:50:07 ID:OrQzRIM2
そしてジェットキャリバーのつま先を前へ向けると、気を取り直すようにスバ
ルに言い放つ。
「それじゃあ、行くぞ! スバル!」
「うん。行こう、ノーヴェ!」
スバルもノーヴェの言葉に合わせてマッハキャリバーのつま先を前へ向ける。

「「Let's go!」」
二つのインテリデバイスがローラーを急回転させ、2人の少女は滑るように路
上を駆け抜けていった。





 『なんなら証拠の映像でm』
 「いいんだよ。どうせ大したこと無いから」



 −どうして−あの時−あの少年の映像を見ておかなかったんだ−



後に、自分が長い間そう悔やむ事になるとは、その時のノーヴェ自身は知る由
もなかったのだった。



 * * * * *



305History repeats itself - Chapter-B : あとがき:2007/12/18(火) 23:57:01 ID:OrQzRIM2
以上で、Chapter-Bは終了です。


SS04を先週末に買って聞いたのですが、新しく出てきた設定等は今回の
私のSSには影響が無いような内容でしたので、少し安心しました。
(ノーヴェの行き先とかがSS04で決まっていたら、どうしようかと思いました)

次回で完結&いよいよグロ表現の登場の予定ですが、どうかよろしくお願い
いたします。m(_ _)m
306フェイトさんとクロノくんで小話:2007/12/19(水) 00:13:10 ID:hg6NEln8
長編投下乙です。
直後に落とすのもなんだかなと思ったんですが、もう寝るんでサクッと投げ込んどきますね。

フェイト×クロノ?
エロなしですが関係はあるよ設定
どうにもフェイトさんがひどいです
たぶんstsの近辺
この二人しかいません
やおいです(やまなちおちなしいみなし的な意味で)

以上の注意事項を受け入れられる寛容な紳士淑女に捧ぐ。
307フェイトさんとクロノくんで小話(1/3):2007/12/19(水) 00:14:43 ID:hg6NEln8
ハラオウン家、夕食刻。
その日、フェイトはお休みだった。けれども友人達は皆仕事、一人遊びで一日を潰せるほど器用でもなく。
仕方なく、ひたすら惰眠を貪った。昼過ぎには目が覚めた。目が溶ける悪夢のせいだ。
その後は昼食を適当に。ついでに夕食もぱぱっと作って、後はレンジでチンするだけ、とここでまた暇になった。
寝過ぎのおかげで眠れないし、TVもつまらない。こんなのよりなのはの教導の方が、よっぽどリリカルでスペクタル。

「……ただいま」
――と。ここで我が家の提督その2がお帰りだ。丁重にお出迎えしてやろうじゃないか。
「お帰りなさい、クロノ」
にっこりと凄絶に。ハァトマァクなどを滲ませつつ、微笑みをくれてやる。だというのにこの朴念仁。不思議そうに首を捻っていやがる。

「なんだ、いたのか。フェイト」
実家にいて何が悪いと、この微笑みを爆弾に変えて、トライデントスマッシャーを乱れ撃ち。ああ、すっきり。もちろん脳内クロノにだが。
現実クロノでも大丈夫だろうけど、もうこの手のことで母に怒られるのは勘弁だ。

「今日はお休みだったんだよ」
「そうか」
「あ、ごはんどうする?一応作ってあるけど」
「食べる」
「はぁい。ちょっと待ってて」
返事に3文字しか使わない男、クロノ・ハラオウン。
少しは会話のキャッチボールを楽しめないのか。そのうち魔法のキャッチボールに付き合わせるか。

今日の夕食は肉じゃがに味噌汁、さんまの竜田揚げと白飯。それからビール。うん、日本的。やはり和とはいいものだと思う。
「はい、クロノ。どーぞ」
トクトク。ビールを酌してあげる。
「ん」
ああ、ついに1文字になった。なら穏便な爆弾でも投げつけてやるか。
308フェイトさんとクロノくんで小話(2/3):2007/12/19(水) 00:15:16 ID:hg6NEln8
ぐっとコップに口を付けるのを視認。そしてジャストタイミングの訪れに合わせ、言の葉を紡ぐ。
「ビールおいしい?お兄ちゃん」
「んンぐっ!?げほっ……ふぇ、フェイトッ」
会心の一撃にビールを吹きだした。だが、甘い。まだ私のバトルフェイズは終了してないのだ。
「やあだ、お兄ちゃんったらきったなーい」
さらなる追撃にげほげほと咽るクロノ。効果は抜群だ。

「フェイト……お兄ちゃんはやめなさい」
「どうしてー?」
「いや、その、なんだ。いつも呼んでないし」
「でもベッドの中でそう呼んだら喜ぶじゃない」
澄み切った笑顔。吐き出された言葉はとんでもないが。思わず絶句のクロノである。

「へぇ、気づかれてないと思ってた?クロノが意外に変態さんだって。だーいじょーぶ。なのはだってはやてのとこだって存外アレだよ」
ろくでもない保証だ。アレ、の具体的な内容は知りたくない。お互いのためにも、とクロノは思った。

さてさて、ここに来てようやく気付いた。彼が吹いたビール……の入っていた瓶の横に同じものが相当量転がっていることに。
それらは須らく空っぽで。つまり、目前の困ったハニーちゃんは。

「フェイト……飲んだな」
”Yes,That'right!”
にやにやしながら答える。手には待機モードのデュランダル。どうやらデバイスの物真似だったらしい。というか、いつスッた。
だがそんなツッコミが通用するなら、酔っ払いの介抱はもっと楽になるはずで。
……つまり、総スルー。クロノの心境などに興味なし。
というかこうなる前に大人しく全面降伏して甘えさせてくれたら良かったんだから、と責任転嫁までして。
そうしてクロノの腕の中に納まった。
309フェイトさんとクロノくんで小話(3/3):2007/12/19(水) 00:16:45 ID:hg6NEln8
「へへー、クーローノのー腕の中ー、あったかいねー」
擦り寄るフェイトの姿に、つい顔が緩みそうになる。
だって可愛いんだもん。それでも、男の子だから。ほいほい流されてたまるものかと、耐える。
「……酒臭いだろ」
辛うじての苦言。噴出しビールはクロノのワイシャツを湿らせていた。

「いいよ、そんなの。あー、舐めてあげよっか?」
好きだよね!と言ってくる。そりゃ好きか嫌いかと言われれば大好きだ。

「フェイト、それは誘ってるのか」
「さー、どっちでSHOW?」
しょう、の部分でまたデュランダルをひらひら。本当に好きにしろと言わんばかり。
でもクロノは知っている。今日は、だめなのだ。

「今日は危険日だろ」
「うん」
「……嫌がらせ、か」
「うん」
そしてまた。豊満なボディを擦り付ける。今日の嫌がらせはこっからが本番なのだ。

続きはあなたの心の中で……。
310フェイトさんとクロノくんで小話:2007/12/19(水) 00:24:21 ID:hg6NEln8
あたまのよわいふぇいとさんが書きたかった……それだけなんだ……。
兄妹と恋人の間をふらふらしてる二人が好きなんだ。
でも理想と現実の差はでかいんだ、しかし。
あと変なパロディが入っているので気に障ったら陳謝。
ではおやすみ。
311名無しさん@ピンキー:2007/12/19(水) 00:40:34 ID:vFa+L3/b
ああ…すばらしい作品達が立て続けに…
プレ・プレゼントにこんなにくれるとはフトコロが深い
312名無しさん@ピンキー:2007/12/19(水) 00:46:35 ID:SRQXTUSe
>なのはだってはやてのとこだって存外アレだよ
ちょw ここkwsk
313B・A:2007/12/19(水) 02:18:40 ID:QtywKZ2y
どうも、227-231「フェイトの戸惑い」の続編を投下します。今回で最終章です。

タイトル「フェイトの暴走」

・クロノ(20歳)×フェイト(15歳です)
・その裏で、レイジングハート×バルディッシュです。
・エロありです。
・フェイトが少し壊れます。
314フェイトの暴走@:2007/12/19(水) 02:20:50 ID:QtywKZ2y
「・・・はい、熱はないみたいなのですが、体調が優れないみたいでして・・・はい、念のため、今日は欠席させてください」
受話器の向こうで「大事にしてくださいね」と心配するフェイトの担任に、「大丈夫ですから」と言って電話を切る。
「先生、なんだって?」
後ろで電話する様子を見守っていたアルフが聞いてくる。
「季節の変わり目だから、無理せず安静にしてください、だそうだ」
「昨日まで元気だったのに、病気ってのはわからないものだね」
「AAAランクの魔導師といっても人の子だからな。ところで、時間の方は大丈夫か?」
「そろそろ出ないと間に合わないね。本当はフェイトに着いていてあげたいんだけど・・・」
アルフはこの後、無限書庫の手伝いをしに本局まで出向くことになっている。
なんでも、休暇中だった司書長がホテルで倒れてしまい、人手不足なのだそうだ。倒れた原因は過労のようで、
診察を行ったフィリス女史は「最低5日は不眠不休で働かないと、こうはならない。命に別状はないが、一両日中は目を覚ますことはないだろう」
と診断した。
ちなみに、その場に居合わせた高町なのは教導管は、後にその時のことをこう語ったという。
『まさか、大人の階段を踏み外すとは思わなかったの』
何故、2人がホテルなんかにいたのかは推して知るべし。
「それじゃ、フェイトのこと頼んだよ。手伝いが終わったらすぐに帰ってくるから」
「ああ、任せてくれ」
最後までフェイトのことを心配しながら、アルフはゲートへと消えていく。それを見送った後、
クロノは「さて・・・」と腕まくりをし、慣れない家事に取りかかった。
315フェイトの暴走A:2007/12/19(水) 02:22:45 ID:QtywKZ2y

自室のベッドに横たわりながら、フェイトは罪悪感を覚えていた。
体調が悪いというのは嘘だ。体はすこぶる健康、月一のあれもまだ先だ。本当なら、今頃は学校の教室でなのは達とお喋りをしているはずだった。
けれど、フェイトは学校に行くことができなかった。クロノの休暇は後1日しかない。明日になったら、またしばらく会えなくなってしまう。
だから、少しでも長く一緒にいようと、仮病を使ってまで学校を休んだのだ。
「ごめん、クロノ。私、クロノのことが好きみたい」
自覚したのは最近だが、5年前から意識はしていた。何となく視線の先が気になり、クロノが他の異性と話しているのを見ると何故だか落ち着かなかった。
服を選ぶ時もクロノが気に入ってくれるか気になったし、料理を作る時は無意識にクロノが好きな献立を考えていた。
「バルディツシュ、どうしたら良いと思う?」
『Sir、そういう悩みは先達の方々に相談した方がよくありませんか?』
「バルディツシュだって、最近レイジングハートとうまくやっているんでしょ?」
毎晩、隠れて通信しあっていることはとっくにバレている。実は、恋愛に関しては自分やなのはよりも先輩だったりするのだ。
『Sir、私とレイはそのような関係では・・・』
「バルデイッシュはレイジングハートのこと、「レイ」って呼んでいるんだ?」
『・・・・』
墓穴を掘ったことに気づき、バルデイッシュは黙り込む。さすが恩師リニスの特注品、反応がいちいち人間くさい。
316名無しさん@ピンキー:2007/12/19(水) 02:23:01 ID:Smp/9rT/
支援
317フェイトの暴走B:2007/12/19(水) 02:24:17 ID:QtywKZ2y
不意に、部屋の扉がノックされた。
「フェイト、起きているか?」
「ククククロノ? ちょっ、ちょっと待って・・・バルデイッシュ、私、どこかおかしくない? 寝癖とかついてないよね?」
『Yes,Sir。あなたはいつも聡明で美しい』
「世界で一番?」
『Ye・・・Yes,Sir』
一瞬、自身の主と最愛の彼女を比べてしまうバルデイッシュであった。
「クロノ・・・入って良いよ」
深呼吸で心を落ち着かせ、扉の向こうに呼びかける。大丈夫、いつものように。いつも接してしるように・・・。
「調子はどうだ? さっき話し声が聞こえたが、安静にしていないと駄目だぞ」
「うううん、あああありがとう」
できなかった。2人の死角では、バルデイッシュが哀れむように『Sir』と呟いた。
「あまり良くないみたいだな。熱は・・・」
熱を測ろうと、クロノはフェイトの額に手をあてる。途端に、フェイトの顔が真っ赤に染まった。
「少しあるな」
その原因が自分であることに、クロノは気づかない。バルデイッシュは心の中で『この朴念仁め』と彼を罵った。
「ほら、風邪薬を持ってきたから、飲んで休むと良い」
「う、うん」
促されるまま、フェイトは渡された錠剤を飲む。たったそれだけの動作も、今のフェイトには酷くぎこちない動きに思えた。
318名無しさん@ピンキー:2007/12/19(水) 02:26:29 ID:Smp/9rT/
支援
319フェイトの暴走C:2007/12/19(水) 02:26:31 ID:QtywKZ2y
「それじゃ、僕はこれで・・・」
空になったコップを受け取り、クロノは立ち上がる。
クロノが行ってしまう。立ち去ろうとする義兄の姿に、フェイトは強い不安を感じた。
「ま、待って・・・!」
慌ててベッドから飛び起き、クロノの腕を掴もうとする。
「きゃっ!?」
「フェイト!?」
勢い余って、フェイトはクロノを押し倒してしまった。
「クロノ、行っちゃヤダ、行っちゃヤダよぉ」
まるで幼子のようにフェイトはクロノの胸にすがりつく。クロノはクロノで、義妹の突然の豹変ぶりに混乱するばかりだ。
「お、落ち着くんだ。その、胸が・・・」
容赦なく押しつけられる柔らかな感触に、クロノの理性は危険信号が灯る。なまじ潔癖であるが故に、耐性はかなり低い。
もちろん、フェイトは義兄の葛藤になど気づかず、攻撃を続ける。
「ヤダぁ! 行っちゃやだ。エイミィに取られちゃう!」
「エイミィは関係な・・・」
フェイトの唇が、クロノの口を塞ぐ。半開きの口を舌で強引にこじ開け、無理やり舌を絡ませる。
「・・・ぷはっ! フェイト、何を・・・」
「好きなの!」
目に涙を浮かべ、困惑する義兄を見下ろしながら、フェイトは感情をぶつける。
320フェイトの暴走D:2007/12/19(水) 02:28:22 ID:QtywKZ2y
「好きなの、好きっ、大好き! 一緒にいたいの。ずっとずっと一緒にいたいの。クロノは私のものなの! 誰にも渡さないの!」
自分でも何を言っているのかわからないのだろう。泣きじゃくりながら、フェイトはただ「好き」という言葉を繰り返す。
それから何を思ったのか、おもむろに着ていたシャツを脱ぎ捨てた。
露になった義妹の白い肌は緊張からかほのかに赤みを帯びており、僅かに汗が浮かんでいた。瑞々しくもたわわな果実が揺れる様は、
それだけでも理性を破壊するには十分な威力を有している。
「ほら、クロノのためなら、こういうこともできるんだよ」
フェイトはクロノの手を取り、自分の胸へと誘導する。その柔らかい手触りに、クロノの意思に反して下半身の怒張は熱くなっていく。
だが、クロノ自身は返って落ち着きを取り戻しつつあった。
(震えている・・・・・・)
こうして触っていれば、改めてよくわかる。悟られぬように堪えてはいるが、フェイトの体はこわばり、ブルブルと震えている。
先ほどの言葉が虚勢であることは、容易に察することができた。
勢いで押し倒してしまい、後に引けなくなったのだろう。ここまで彼女を追い詰めたものがなんなのか、それはクロノにはわからない。
しかし、その中心にいるのは、認めたくないことだが、自分自身なのだ。ならば、覚悟を決める必要がある。
与えるか、奪うか。
始めるか、終わらせるか。
選択肢なんて――――――
「良いよ」
――――――最初から存在しなかった。
「君のことを好きになる。だから・・・・・・抱かせてくれないか?」
321フェイトの暴走E:2007/12/19(水) 02:30:30 ID:QtywKZ2y

生まれたままの姿となったフェイトをベッドに横たわらせ、自己主張を続けるたわわな果実を優しく舌で舐めしゃぶる。
反対側の胸は手でゆっくりと撫で、時折指で小さな乳首を刺激する。初めて体感する感覚に、フェイトは成す術もなく身悶え、
クロノのされるがままになっていた。
「は、はぁん・・・あ、あふ・・・だめ・・・クロノぉ・・・・・・」
「なに?」
「へ、へん・・・・・変になる・・・・・・」
「変って?」
「くすぐったくて、恥ずかしくって、怖くて・・・・・・・」
「それで?」
「・・・・・気持ちいい、です」
告白したのも、キスをしたのも、愛撫されるのも。何からなにまで初めてづくし。気持ちいいと気持ち悪いがない交ぜになって、
フェイトの頭の中は飽和寸前だった。
「あ、ああっ、はあうんっ!! くる、なにか・・・んぁん!」
あまりにも呆気なく、フェイトは達してしまう。快感の波に呑まれ、裸身をピクピクと震わせながら、初めての絶頂に達したのだ。
「はぁ・・・はぁ・・・クロノぉ」
「なんだい?」
「もっと・・・・・・もっとして。もっと、気持ちいいことしてぇ・・・・」
絶頂で理性が霞み、もっと感じていたいという欲望が露になる。いつもの大人しい彼女からは想像もできない甘えた声で、フェイトはクロノに懇願する。
「まったく、本当に初めてなのか?」
苦笑しながらも、クロノは愛撫する手を止めようとしない。クロノ自身も、フェイトをもっと感じさせたい、狂わせたい思っているのだ。だが、いい加減、理性の限界だった。
「ごめん・・・・もう、挿入れるぞ」
322名無しさん@ピンキー:2007/12/19(水) 02:32:33 ID:Smp/9rT/
支援
323フェイトの暴走F:2007/12/19(水) 02:32:53 ID:QtywKZ2y
「うん・・・良いよ。来て、犯してぇ・・・」
フェイトは自分から秘唇を広げ、クロノを誘う。ほとんど触れていないにも関わらず、フェイトのそこは愛液でべっとりと濡れており、
クロノの欲望で貫かれる瞬間を今か今かと待ち構えていた。
一度心を落ち着かせ、クロノはゆっくりと亀頭をフェイトの体内へと潜らせていく。
「んっ、うぅぅ」
肉の入口を圧迫され、フェイトは苦痛に顔を歪めながらも声を押し殺した。それでも、彼女の秘唇は初めて受け入れた異物を包み込み、
貪欲に貪り始める。
「ぐっ・・・きつ・・・」
柔らかな感触とは裏腹に、フェイトの中はとても窮屈で、クロノの肉棒は半ばあたりでその侵入を阻まれてしまう。無理に進めば、
フェイトが壊れてしまうのではないかという恐怖が、クロノの心をよぎる。
「だい・・・じょう・・ぶ・・・・」
痛みに耐えながら、フェイトは愛しい人の頬に手を触れる。途切れ途切れの声で、飛びそうになる意識を必死に繋ぎとめながら。
「大丈夫・・・だから・・・・動いて・・・・」
「フェイト・・・・」
「大好きだよ・・・クロノ・・・」
その言葉が、決定打となった。
肉棒が処女膜を突き破り、処女地を征服する。クロノはまるで獣のように肉棒を突き入れ、その度にフェイトは悲鳴を上げて美貌を歪ませる。
それでもフェイトは、必死でクロノを受け入れた。
「あ、ああっ、はあうんっ!!・・・クロノぉっ!」
「う、うおおぉっ!」
怒張を包みこむ秘肉の収縮に、クロノの限界が近づく。それに応えるように、フェイトはクロノの背中に腕を回し、足を腰に巻きつけて、
決して逃がすまいと分身を締め上げる。今や、2人は完全に一つとなっていた。
「フェイト・・・ぼ、ぼくも・・そろそろ・・・」
「うぅん・・・出して・・いっぱい・・・は、あぅん・・・ああああっ!!」
華奢な体を押さえつけ、クロノは渾身の力で分身を突き上げる。子宮の奥までめりこんだ肉棒がびくりと跳ね上がり、同時にフェイトの背も弓なりに反る。
「ひゃああああぁぁぁぁんっ!!」
熱い迸りを膣内に受け、フェイトの視界が絶頂で真っ白になる。
愛しい人に抱かれ、悦びに身を震わせながら、フェイトはぐったりと放心するのだった。
324名無しさん@ピンキー:2007/12/19(水) 02:34:28 ID:Smp/9rT/
sienn
325フェイトの暴走G:2007/12/19(水) 02:34:44 ID:QtywKZ2y

初体験の余韻に浸るフェイトに腕枕をしながら、クロノは艶やかな金髪を撫でる。僅かばかりの罪悪感も、
こうしているとどうでもよくなってくる。
「ごめんね・・・クロノ」
「なにが?」
謝るのは、むしろこっちではないだろうか?
「その・・・病気っていうのは、嘘なんだ。クロノと・・・一緒にいたくて」
「・・・・気にしてないよ。おかげで、フェイトとこういう関係になれたんだし」
「ちょっと・・・恥ずかしいかな」
頬を赤く染めながら、フェイトはクロノの頬に手を置く。
「けど、嬉しいな」
微笑む恋人の顔は、何故だか少し大人びて見えた。
「クロノ、大好き」
「ああ、僕もだ」
ごく自然に、2人は唇を重ねる。さっきと違って、触れるだけのキス。
今はそれだけで、十分だった。
326名無しさん@ピンキー:2007/12/19(水) 02:35:01 ID:Smp/9rT/
sienn
327フェイトの暴走H:2007/12/19(水) 02:36:26 ID:QtywKZ2y

「ただいま。フェイト、元気かい?」
不意に扉の向こうで、アルフの声がした。予想だにしなかった人物の登場に、2人は瞬間的なパニックに陥る。
「ア、アルフ? 本局に行ったんじゃなかったの?」
「そうだよ。けどフェイトが心配でね、早めに切り上げて帰ってきたんだ」
お土産買っていたから遅くなったけどね、とアルフは扉の向こうで笑う。一方、笑ってはいられないのはクロノとフェイトだ。
なにせ、どちらも生まれたままの姿で、シーツの上には赤い染み。弁解しようがない状況だった。
「どどどどうしよう?」
「どうしようって、とりあえず服!」
大慌てで脱ぎ散らかした服をかき集めるが、それを着るよりも早く、扉のノブがガチャリと回された。
「クロノ、あんたも看病ご苦労・・・さま・・・」
部屋の惨状を見て、アルフが硬直する。

フェイトを傷物にされたと怒り狂うアルフが、クロノと壮絶な鬼ごっこを展開したのは、また別のお話である。

                            fin
328フェイトの暴走I:2007/12/19(水) 02:37:57 ID:QtywKZ2y
おまけ

『・・・・・というわけだ』
昼間の顛末を語り終え、バルディッシュは相手の反応を待つ。通信先は高町家のレイジングハートである。
『あなたのマスターとそのお兄さんにも困ったものですね』
『ああ、見ていて歯痒いものだ』
誰から見たってバレバレなフェイトの気持ちと、誰に対してもフラグを立てまくるクロノ。確かに、見ていて気が気じゃない。
『とはいえ、これであなたの思惑通りというわけ?』
『もう少し時間をかけるつもりだったのだがな。我が主は、やはり母君に似て暴走癖がおありのようだ』
本来ならば月村忍あたりに相談を持ちかけさせるつもりだったのだが、まさかあのようなことになるとは。
まあ、予定を繰り上げることができたので結果オーライだが。
『お互い、苦労しますね。私のマスターも最近はユーノ・スクライアのことばかり考えているようで』
『では、今度は、そちらを後押しせねばならぬか』
『ええ・・・あ、マスターが起きてしまったようです。通信を切りますね』
『ああ、おやすみ。レイ』
『おやすみなさい、愛しいバルディッシュ』
互いに恋人に別れを告げ、通信が切れる。再び物言わぬ宝石へと戻ったデバイスが何を考えているのか、それは誰も知らない。
329B・A:2007/12/19(水) 02:38:56 ID:QtywKZ2y
以上です。

いや、難しいですね、エロって。先達の方々には脱帽です。
330名無しさん@ピンキー:2007/12/19(水) 02:40:57 ID:Smp/9rT/
これはなんという擬人化フラグ?
乙でした〜
331名無しさん@ピンキー:2007/12/19(水) 06:04:45 ID:pfW73NSQ
フェイトさんが男装してなのはさんとデート
いつもと違う恋人の姿に乙女回路全開なのはさん

しかしそこに現れたのは薔薇を携えた宝塚シグナム
だが狙いはフェイトさんではなくなのはさん!
そう、それは二人の仲を引き裂かんとする烈火の将の姦計だったのだ
か弱き乙女と化した魔王を取り合う、死神の黒い薔薇と烈火の赤い薔薇・・・
二人の茨の蔓が一人の乙女を取り合い絡み合う・・・

魔法少女オスカルなのは はじまりません



スゲーッ気分がいい夢を見たぜぇぇ・・・パンツを履き替えたばかりの正月元旦の朝のよーによおぉぉー・・・

まっ、おれSSかけねえから関係ないけどなッ・・・
332ゲリラ兵 ◆QCnUms2uBE :2007/12/19(水) 07:00:29 ID:TxVqQcJQ
薔薇は薔薇は〜気高く〜さーいてーったらっららー

(レスとか)
>270 あふん、規制でしたか…どうりで。ハートマン軍曹乙であります…!しかもY二佐スレ入ってるし!これはお返しせねば…… 謎
しかし、教導って見返してみたらリリカルちゃんねる通称リリちゃなんだねww

>305 スバルとノーヴェが仲良くてイイ!ノーヴェ意外といい子っぽいもんなー頭悪そうだけど……

>お馬鹿なフェイトさんとか 実はクロノは母親譲りの甘党だからいいと思うんです!違う意味で
あとレイとかいうと擬人化した上にふよふよいっぱい浮いてそうでですね!意味不明ですが

(注意書きとか)
今更ですが朝刊は連載です
多分エロパロに良くあるような空気のような非エロSSです
つまりシャマ……いやなんでもないなんでm今日も会話多目かも
[はやてとティアナ]

ほいでは朝刊〜w
333〜ソラノカケラ〜(32)(1/2):2007/12/19(水) 07:01:32 ID:TxVqQcJQ
そしてカウントが聞こえる中、禍々しさを備えた闇の魔法が完成する。
「遠き地にて、闇に沈め。デアボリック――」
海上にでる最後の空間も壁で塞がれていて、即座に地上へのマンホールを選択し駆け上がる逃走犯。
「3・2――1!」
「エミッション!」
そしてその蓋を開けて飛び出した彼が見たものは――眼前に広がる広大な闇の光球であった。
「ガッデエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエム!」
回避する術もなく深い闇に包まれていく。
そして闇の晴れた後には――目を回した彼が情けなく地面に転がっていた。
真っ先に追いついたシグナムが、拘束用のカードであっさりと光の輪を全身にかける。
「職務執行妨害及び歩行速度違反の現行犯で貴方を逮捕します――といっても聞こえていないか。主、無事確保しました」
「うん。お疲れさまやー」
画面の向こうにねぎらいをかけてから、ぱたりと夜天の魔導書を閉じる。
「うちはこのまま地上本部に行くけど……クライドはんはどないする?」
「ん……」
バスケットを片手に少し悩んでいたが、彼らしい答が続いた。
「ついでに少し買い物をして帰るかな」
「うん、わかったー。じゃあ、いってきます!」
「ああ」
彼の微笑みむ頬にキスのひとつでもしたかったが、そこまでの勇気は出ず微笑みだけを残して、くるっと身を返すと地上本部へと向かって飛ぶ。
それを見送ったクライドは何故か少しだけ寂しそうであった。

 地上本部の麓でティアナと合流した八神一家であったが、まともな指揮車すらないことをはやてが問うと案の定の返答であった。
「実は、私と護送担当以外は全部有志でして……」
「全部有志ぃ!?」
「は、はい……」
言われてみれば、周りに残っている局員を見渡せば階級も技量も明らかにティアナより高そうな自前のデバイス持ちの姿も見えた。
「え、じゃあ指揮系統はどうやって?」
「非常用の回線と、駐在所のサーチャーなんかを即興で組合せて、その……失礼かと思ったのですが何故か任されてしまって」
「ふお……ようやるわティアナ。ほんま凄いわ……」
「い、いえ。恐縮です」
本当に恥ずかしげに俯いてしまった彼女の会話が途切れると、遠くの方の行きずりの局員から声がかかる
「八神二佐ー!このひよこちゃんもらっていってもいいですかー!」
「ああ、ええよー!2、3日で消えるから処分の心配もあらへんでー」
「ありとうございますー!」
334〜ソラノカケラ〜(32)(2/2):2007/12/19(水) 07:03:10 ID:TxVqQcJQ
嬉しそうな声に続いて、数人の女性局員達がひよこを持って地上本部に向かって歩いていく。
気軽な返事を返してから、会話を続ける。
「指揮官研修も受けてるんやっけ?」
「はい、一応色々やってみようか?とフェイト執務官に仰って頂きまして」
「ほんま勿体無いわ……うちより指揮官適正高いんとちゃうか?そっち方面は目指さへんの?」
「実は、少し迷ってます。でもやっぱり夢もありますから……」
そう呟く彼女の顔にはこの年頃特有の悩みがはっきりと見て取れた。
「まあ悩ましいところやけど、どっちでも選べるっちゅーんも幸せな事やで。しっかり悩まんとな」
「はい。わかってます」
うん、と頷いて返すと、きりっとした彼女の表情は凛々しくて美しくて、なんとなく先輩達から指揮を任された理由が解る気がした。
しかしそれはあくまで当座の処置であり、本来であればとても歓迎すべきことではない。
当然、はやての次の問いはそのことに関してであった。
「まあそれはええとしても、なんで正規の地上部隊は動いてへんの?」
もっともな疑問である。大体本局所属の執務官補佐が地上本部の傍らで陣頭指揮をやっていること事態不自然なのだから。
「いえ、それが何度も要請したのですが、許可がないから担当に任せろの一点張りでして」
「そんなあふぉな。じゃナカジマ三佐のところもか?」
「はい。ナカジマ三佐はすぐにでも、と仰ってくださったのですが、正式に要請がないと動けないと」
「じゃ、じゃあこの方達は……?」
制服姿とはいえ腕に覚えのありそうな周囲にたむろって居る局員達の数は、一個大隊に匹敵しようかという数であった。
「出勤途中の方とか、すでに地上本部にいらっしゃっていた方達に協力して頂きました。本当に申し訳なかったのですが」
「なんてこっちゃ。一体全体どないなっとんねん。よしわかった。じゃあちと、地上本部に怒鳴り込んでくるわー。護送と報告書はよろしくな」
「は、はあ……」
「ヴィータ、リィン、いくでー!いつまでもそれで遊んとらんとー」
はやてが声をかけた先では、拘束された某高速ランナーがぐりぐりとグラーフアイゼンに小突かれたり、蒼天の魔導書でぽんぽん叩かれていた。
335ゲリラ兵 ◆QCnUms2uBE :2007/12/19(水) 07:05:26 ID:TxVqQcJQ
あ、非エロといっても当分は、ですが……まだ結構かかりそうだけどw
ほいではまたノシ
336名無しさん@ピンキー:2007/12/19(水) 08:37:32 ID:utWXXi9P
>>291
遅くなりましたが、GJです!!
フェイトの鬼畜&ヘタレさに泣けたwww
さりげなく前回の仕返しをされてるフェイトたんもえー
とりあえず、フェイトさん
危険日かだけは気にしてあげようよ、女性として・・・w

>>306
酒のんで誘いまくるフェイトはスバラしい!!
もうこの際危険日とかは気にしないでバンバンと(ry
言葉でも魔力でもなく体液のキャッチボールをする二人が(ry

>>319
クロフェの初めてモノ、お疲れ様です!!
離れたくなくて仮病を装うフェイトが初々しい・・・

何だか昨夜はクロフェ祭りだったなwww
あんまり投下されなかったカップリングだったからギガント嬉しかったわ
作者の皆さん、お疲れ様でした
これからも頑張って下さい


337名無しさん@ピンキー:2007/12/19(水) 09:44:34 ID:yix3V/mc
>>249
以前に投下した夢の話が採用されてて本気で吹いたw
確かにこれが原因だろうとは言ったけど!
あと、亀レスだがGJ。魔王から邪神へとさらなる進化を遂げそうななのはさん
に期待してる!
338名無しさん@ピンキー:2007/12/19(水) 09:51:22 ID:hg6NEln8
310です。おはようございました。
>>312
すごく・・・・・・淫獣です。
そしてはやては彼女だけでなく八神家全体での存外さなのではやて1人じゃどうってことないよ?
もみもみもみ。
>>336
クロフェ祭りでしたね。自分のはクロフェなのかはさておき。
>>314
フェイトもバルディッシュも可愛いよう。なんだあれは!
そしてエロス・・・・・・ご馳走様です。GJ!
339名無しさん@ピンキー:2007/12/19(水) 09:53:35 ID:E0bp5M2f
>>335
朝刊GJです!
エロも期待してます!
340名無しさん@ピンキー:2007/12/19(水) 11:28:57 ID:E0bp5M2f
今は誰もいないみたいなので一つ短いのを投下します

エロ無し
女もほとんど出ません

先に謝っときます、ごめんなさい。

341魔道中将ジェネラルレジアス:2007/12/19(水) 11:31:46 ID:E0bp5M2f
あの時レジアス中将が死んでいなかったら





「ぐ…」
「レジアス殿!」
「おまえは…あの小娘の…」
「喋らないで下さい!今止血します」
「無駄だ。私はもう…助からん」
「……」
「ゼストはっ!?」
「私が…殺しました…」
「そう…そうか…ならば小娘の騎士…一つ、頼みがある……私を…緊急用の転送機まで連れていってくれんか…」
「…何故です?」
「スカリエッティの馬鹿者が起こした化け物を…止めに行く」
「無理です!その傷では!…」
「だからこそ…だ。頼む、この私に…ゼストが守りたかった物を、奴が守ろうとしたこの空を…守らせてくれ………転送先はゆりかごの近くだ…そこに…旧式だが次元航空艦があるはずだ」
「しかしあれは廃棄待ちの艦ではないですか!」
「私のような老兵にはお似合いだよ…」
「わかりました…肩を貸しましょう……」
「感謝する」

     *        *         *

ゆりかご付近

「どうなってる!?」
「ゆりかごの駆動炉が停止していません!!まだ上昇を続けています!!」
「駆動炉はヴィータ三等空尉が破壊したんじゃなかったのか!?」
「予備エンジンがあったみたいだ」
「高町一等空尉は?」
「捕まっていた子を助けるので精一杯だったらしい、今は救護班が治療してる」

現場の人間は知らないが、聖王を失ったゆりかごはもはや暴走状態だった。

「ガジェットも増えてきたな…」
「こちらの被害も相当です」
「くそッ!万事休すかッ…」

―――ピーガガッ―― こちら次元航空艦ノア、そちらの状況を伝えろ

「ーーーッ!この声は!」



342魔道中将ジェネラルレジアス:2007/12/19(水) 11:38:05 ID:E0bp5M2f
     *        *         *
その錆びた外殻を震わせながら、旧式の次元航空艦“ノア”は空高く舞い上がる
まるでもう一度戦える事がうれしいかのように、荒々しく

「飛行型ガジェット68騎か…面白い」
その年期の入った艦長席に座るのは、胸から血を流しているレジアス・ゲイズ中将である。
「まさかこの私が次元航空艦に乗るときが来るとはな、運命とはつくづく皮肉なものだ……だが」
魔導士といっしょにさんざん目の敵にしてきたが、成る程確かにこれはなかなか気分がいいものかもしれない。
惜しむらくは命令を飛ばす部下がこの艦には誰もいないことか。
「見えてきたな、あれか…」
前方にあるのは“ゆりかご”因縁の相手、スカリエッティが動き出させた巨大戦艦だ。

―――いつからだろうか、理想の為、陸の安全を守る為と言い訳をして、進むべき道を違えてしまったのは…
戦闘機人、アインヘリアル、最初はどれも高き理想のためだった。
「…は、今更言い訳にもならんか」
果てにはスカリエッティを援助し、こんなものまで起こさせてしまった。だがそのスカリエッティも先程捕まったらしい。
「呆気ないものだったなあスカリエッティ。私も、おまえも」
不本意とはいえここまで生き残ってしまった。ならばやることは一つ。
「けじめを…つけなければいかんな…」
次の世代にこんなものを託すわけにはいかない。
レジアスは通信用のマイクに手を延ばす。
「こちら、次元航空艦ノア。そちらの状況を教えろ。繰り返す。こちら、次元航空艦ノア――」
通信によると、想像通りあまり状況は良くないようだ。
ふ……これだから空の連中には任せておけんのだ………いいか!よく聞け!これから航空艦による突撃を行う!周囲の魔導士は十分な距離をとっておけ!」
あちらの指揮官が何やら文句を言っているが無視する。
「いかんな…目が霞む……」
視界が明滅してきた。
艦がやけに揺れる。どうやらガジェットの攻撃が始まったらしい。いつのまにかそんな距離まで接近していたか。
だがまだ死ぬわけにはいかん
そう思い握り締めた手にはどこかの仲の良さそうな古い集合写真。
「なあ…ゼスト、俺はどうすればよかったと思う?」
艦内のライトが赤くなった。どうやらいよいよらしい。
「あの時の俺にもう少し力があったらよかったのか?」
引き出しからキーを取り出し、アルカンシェルの発射準備をする。
気付けばもう、ゆりかごは眼前に迫っていた
「本当に…世界はいつも…こんなはずじゃないことばかりだ…」

外壁が無残にはがれ、所々から煙りを出しているノアは

「だが……最後に仲間を守れるならば…この人生も捨てたものではない…」

それでも力強く進んでいく。

「だから……行くぞ!陸の男の意地を見せてやる!」

その砲身をゆりかごに突き立てるべく――

今までで最大の揺れが起きた時、ノアが砲身ごとゆりかごに衝突したていた。
レジアスは血まみれの体を起こし、艦長席にもたれ掛かる。
「アルカンシェル――――発射ッ!!!」
ノアは、ゆりかごとともにまばゆい光に包まれ
ブリッジの真上が剥がれ飛び一瞬の間そこには澄み渡るような青空が見えていた

「なんと……綺麗な空だ…」
やはり人生捨てたものではない。
そう思っているレジアスを、アルカンシェルの余波がブリッジごと消滅させた。
343名無しさん@ピンキー:2007/12/19(水) 11:41:26 ID:E0bp5M2f
以上です。
短すぎてごめんなさい
改行多くて読みづらくてごめんなさい
オリ設定若干あってごめんなさい

レジアスたんもあんまりかっこよくならなかったしorz

でも読んでくれた人ありがとう!
344名無しさん@ピンキー:2007/12/19(水) 11:46:31 ID:UjF56smm
うおおおおお、かっこいいぜレジアス!
GJGJ、Gooood、Jooob!
というかマジでこれくらいの見せ場が欲しかった……。
345名無しさん@ピンキー:2007/12/19(水) 11:51:34 ID:nZybyhqg
すげえ、よくレジアスで書こうと思ったな。普通考えつかんて
346名無しさん@ピンキー:2007/12/19(水) 11:58:42 ID:wfyLl5kG
GJ。これは男前な中将。

別ルートで、
なんとか一斉射だけ撃てるところまで復旧したアインヘリアルに転送されて、
発射と同時に崩壊するアインヘリアルの中で事切れる中将、
なんてものを幻視した。
347名無しさん@ピンキー:2007/12/19(水) 11:59:53 ID:IYqSzDh1
魔導関係Neeeeeeeewwwwww

運んでくれって言った時
そこに人造魔導士になれる装置が
あるのかとオモタwww
348名無しさん@ピンキー:2007/12/19(水) 12:39:53 ID:6W84qjMt
GJ!
中将かっこよすぎ

かくいう俺も中将主役の中編を書いていたが本編の扱いにモチベーション下がってお蔵入りしちゃったんだよなorz
349名無しさん@ピンキー:2007/12/19(水) 14:59:56 ID:6W84qjMt
ふと思ったが次元を超える戦艦で名前がノア
……いや、なんでもない――以上
350名無しさん@ピンキー:2007/12/19(水) 15:04:28 ID:ekYLPshB
ゆりかご(とガジェット達)も全竜並に絶望感を演出してくれればなあ……
その場合アインへリアルがバベルハンマーで、レジアスは至? ちょっと似合いすぎだろオイw
>>146
俺も続きみてええええ
352名無しさん@ピンキー:2007/12/19(水) 16:54:56 ID:C5YAUcXs
僕の中の中将は、肉圧でドゥーエの右手を粉砕するのだが。

【この後、生き延びたが男性恐怖症になった彼女がリリアンで何をしたかはクロススレで】
353名無しさん@ピンキー:2007/12/19(水) 18:19:31 ID:qhvFu63p
>>349
なぁにこのスレには過去に某子煩悩パパさんと知り合いのユーノ・スクライア司書長
が居たんだよ。別にどこかに全竜が世界創生せずに落っこちてて改修されてもなんら
不思議はないよ
354名無しさん@ピンキー:2007/12/19(水) 18:27:32 ID:1WrDyPmo
>>343
GJ!!

343と中将にささぐ。

(クラナガン郊外のアークライト国立墓地。紅葉の鮮やかな墓地を運ばれていく
 管理局の紋章が描かれた重厚な棺。その横に戦杖をもった7人の魔導師が礼曲にあわせて歩いてくる。)

「行進やめ! 構え・・・撃て!!」
(ターン・・・)
「撃て!!」
(ターン・・・)
「撃て!!」
(ターン・・・)

あの日と同じく、空はどこまでも綺麗で、21発の魔力砲は高らかに響き渡った。
355名無しさん@ピンキー:2007/12/19(水) 18:29:25 ID:011AHZyh
ロストロギア扱いになりそうだが、確かにあれなら
魔法資質のない中将が一人で操艦できてもおかしくないな。
356名無しさん@ピンキー:2007/12/19(水) 18:47:50 ID:uY6ZoY+8
……あれ、本体の性能もキチガ■じみてるけど、艦載機の数と質が絶望的なまでに高いしな。
三十万体弱いる自動人形とか。単体でも上級陸士より全然強いぞ多分。
……てか、何でこんなに川上ャー多いんだ俺含め。

>>353
kwsk
357名無しさん@ピンキー:2007/12/19(水) 19:26:39 ID:qhvFu63p
>>356
すまん 正確な作品名とスレ数は覚えてないのです
ただ、地球に言ったときに某パパさんと取れる人に娘動画素晴らしさを
説かれ、染まってヴィヴィオの動画を流しながらばか親やってるユーノと
それを延々見せられ突込みいれているヴィータのお話だったと思う
358名無しさん@ピンキー:2007/12/19(水) 20:41:46 ID:wfyLl5kG
>350
なんか引っかかると思ってたがそれかあああ。
対空もいけそうな大口径砲ということでバベルハンマーとぴったり合うわな。

>356
37スレの648-652、シナイダ氏の『幸せは愛だよ』 だな。
司書長のカメラはもちろんUCAT製。
359名無しさん@ピンキー:2007/12/19(水) 21:08:56 ID:8OwFFbUf
>>352
ステゴロ喧嘩屋?
360名無しさん@ピンキー:2007/12/19(水) 21:15:56 ID:C5YAUcXs
>359
むしろ鈴木地面に近い。
奴は脳の筋肉だったが、中将は普通に背筋と胸筋、心筋、横隔膜で自分の心臓諸とも彼女の右手を押し潰す。
361名無しさん@ピンキー:2007/12/19(水) 21:27:43 ID:E0bp5M2f
>>356
確か37スレ目、646〜
シナイダさんの『愛は幸せだよ』だと思います
362名無しさん@ピンキー:2007/12/19(水) 22:11:58 ID:Yl62BJoF
今夜はマターリだな
昨晩はなんかドドドと一気に職人が来襲したがw
363名無しさん@ピンキー:2007/12/19(水) 22:19:18 ID:wx1waqMQ
>>214
遅くなりましたが乙です
こう言うとあれですが、全力全開の不幸展開楽しみに待ってますw
364名無しさん@ピンキー:2007/12/19(水) 22:41:34 ID:Y3mFzWgc
>>348
何をしている
今すぐSSを発掘する作業に戻るんだ

オヤジスキーな俺としては中将が出てくるSSが少なくて悲しいかぎりだぜ
365246:2007/12/19(水) 23:52:36 ID:PX6IAdCG
前回感想レスありがとうでした。erananoで 19 歳ふたなりなのはさんでフェイト 9 歳を調教していた変
態です。
続きが書けたので投下します。
注意
エロあり(冒頭だけよ)
後に鬱展開があるかも
なのはさんが後に病むかもですが趣味です。
ではでは。
366君に届けたいただ一つの想い:2007/12/19(水) 23:53:21 ID:PX6IAdCG
 それは、抗うことが許されない、暴力に似た快楽だった。

「んんっ、んっ――――ぷはぁ……もっとぉ」
「んぐぅっ、んん……はぁっ――――んんっ!?」

 舌が蕩けそうなくらい、甘かった。
 呼吸も出来ず、押し倒され、満足に動くことも叶わない。

「ふぇいとちゃん、きもちいい?」
「うんっ、もっと欲しのっ、もっと飲ませて」

 それなのに、舌を突き出して。涎を垂らして。フェイトはなのはにされるがまま。
 唇を塞がれ、舌を絡め取られ、唾液を流し込まれて。
 それに応え、フェイトがなのはに舌に必死になって舌を絡めていた。一方的に送られる唾液を、喉を鳴らし
て飲み込みながら。

「フェイトちゃん、もっと気持ちよくしてあげるから」

 閉じていた瞼を上げれば、なのはの瞳がフェイトの瞳を真っ直ぐに捉えていた。
 普段の暖かいものも、優しい光もない、曇り空のような濁った色。そして、欲望に染まりきった瞳。
 それに魅入られ動けないフェイトをなのはが笑う。普段からは想像など出来ない笑顔には、だが晴れ晴れし
た何かが混じっていた。
 フェイトには分からないそれは、まるで我慢していた事をようやく出来たかのように満足げなもの。
 しばらくフェイトの唇を味わっていたなのはが最後にフェイトの唇を軽く舐め、体をフェイトの足のほうへ
と下げていく。
 先ほどからなのはの腹に当たっていたそれが彼女に見つめられ、脈打って悦んだ。

「フェイトちゃんの大きいの、凄いね。びくん、びくんって……ほら見えるでしょ?」
「う、うん……」

 自分の膨らんだ両の胸の間、この夢の世界で一際異質なそれを目にして、フェイトが思わず息を呑んだ。
 相変わらず、それに対する拒絶はない。あるのは、これから訪れるのであろう快楽に対する、張り裂けそう
な胸の高鳴りと、脈打つ肉棒にほお擦りを繰り返し、先走りで顔を汚しているなのはだけ。
 
「なのはぁ、早く気持ちよくしてよぉ……もう我慢できないのぉ」
「大丈夫だよフェイトちゃん。私の事以外……考えられなくなるくらい気持ちよくなってもらうから」

 なのはが肉棒に赤い舌を押し付ける。その姿は、まるで極上の料理を味わっているかのように幸せに満ち溢
れていた。
 時折大きく脈打ち、暴れる肉棒を頬張り、頬をへこませて。
 降り注ぐ白濁で、その桜色に染まった綺麗な肌を汚して。
 その精液で汚れた顔で、笑って――――。

 ――――暗く、星の光をカーテンで遮った部屋で、彼女はいつまでも泣き続けていた。
 傍らには、部屋に戻った後また戻ってきてくれたのであろう、パジャマ姿のなのはが、フェイトの手を強く
握っている。
 その安らかな寝顔は、とても幸せそうで。
 時折、寝言で繰り返してくれるのは、フェイトが一番聞きなれている名前。
 ――――それなのに。

「ごめん、なさい……ごめんなさい……」

 沸き起こるのは、激しい罪悪感と自己嫌悪。
 そのどちらも、彼女にはとても耐え切れるものではなかった。
 暗く、星の光が届かない部屋でいつまでも。
 いつまでもフェイトは、なのはに謝りながら泣いていた。
367君に届けたいただ一つの想い:2007/12/19(水) 23:54:10 ID:PX6IAdCG
魔法少女リリカルなのはStrikerS
―君に届けたいただ一つの想い―
(3)


 昼の休憩中。談笑と食器が鳴らす音を掻き消すほどの音と声をもって、テーブルが一つ揺れた。

「さっきから大丈夫大丈夫って! 全然そんな風に見えません!」

 テーブルを揺らし、三人分の料理と皿を床にばら撒いたのは、力いっぱいに叩きつけ普段の白さに赤みを加
えた小さな手。そして、周りの談笑を静めた声の持ち主も同様。

「何で何も言ってくれないんですかっ!? 心配かけるより、何も言わないほうがもっと酷いと思います!」

 声には怒りと悲しみ。そしてそれ以上に強い悔しさと寂しさ。
 思い出すのはあのときの事。彼女がスカリエッティに捕まって、追い詰められたときの言葉。あれは、嘘な
んかじゃないのに。そう、心が震え泣いていた。

「大丈夫? お皿で何処か切ったりしてない?」
「――――!」

 涙が堤防を決壊させた。
 唇の震えをどうにかしようと、かみ締めて。
 止まらない涙を、手で顔を覆うことで耐えようとして。

「待ってキャロ!」

 それでも耐え切れず、彼女――――キャロ・ル・ルシエはフェイトの前から駆け出した。

「……キャロ、朝からずっと心配してたんです」

 朝の訓練。フェイトが一日ぶりに訓練に参加する日。彼女が泣きはらした目で現れたときのキャロの様子を
思い出し、エリオが拳を握った。
 皿を拾う為に屈んでいるフェイトと、キャロが走り去った方向、その両方に交互に視線を動かしながら。

「キャロだって、無理やり聞こうとしてたわけじゃないです。辛いとき、少し頼ってくれるだけで良かったの
に――――」
「エリオ、キャロの所に行ってあげて」
「……フェイトさんだって、そんな辛そうで……」

 まだ、くっきりと涙の後が残っている。何度も目を擦ったのか、目の周りは痛いくらいに赤く腫れていた。
 そんな状態、誰だって心配する。それがキャロだったらなお更だろう。

「キャロの所に行って」

 だが返ってくるのは、そんな彼の想いを砕く一言。エリオが、きつく目を瞑った。何か言おうと口を開い
て。それでも結局何、返せる言葉が見つからなくて。
 その震える肩を、はやてが叩いた。

「とりあえず、スバル、ティアナ後片付けよろしくな。フェイトちゃんは私とちょっとお話や。エリオは……
分かってるならいっといで」
「片付けは私がやるからいいよ」

 ええから、とはやてがフェイトの腕を引く。フェイトがそれを振り払って。スバルとティアナは何も出来な
いまま。
 頑な。そんな表現が一番似合う態度で、フェイトは黙々と皿を片付けていく。そのフェイトの腕をはやてが
引き、フェイトが振り払っての繰り返し。
 やがて、そんな繰り返しに嫌気が差したのか、はやての口からため息が一つ零れた。
368君に届けたいただ一つの想い:2007/12/19(水) 23:54:56 ID:PX6IAdCG

「ええかげんにして。フェイトちゃん、みんなに迷惑かけてるの分かってるやろ? みんなに話すのがそんな
に嫌なん?」

 はやての立場があれば、フェイトに無理やり聞くことも可能。それが分かっていながらフェイトは何も言
わない。
 皿を拾う手は止まり、変わりに、小さく震えながら握り締められていた。

「ごめん、本当に話せないんだ。これだけは、駄目なんだ」

 執務官としての責任も、大切な人への想いも何もない。ただの自分勝手な我がまま。なのはに知られた
くないという一心。
 その為なら、どんな苦痛も痛みも何でも受け入れたから。

「はぁ……フェイトちゃん頑固すぎや。一緒にいすぎてうつったみたいやな」
「ごめん……」
「ええよ。でも、次はないよ?」

 そちらに何か守り通したいものがあるならば、こちらにもある。そう、はやてが真っ直ぐにフェイトを見
た。
 だがそんな事は分かっている。彼女は機動六課の部隊長。守らなければいけない責任があるから。

「……分かった」

 僅かに黙り込んだ後、フェイトがしっかりと頷いた。はやてがそれに何度目かのため息を返し、背を向け
る。どうしようと、うろたえるスバル達に声をかけて引き連れて。

「大丈夫。何とかなるよ」

 昼食の時間はとっくに終わっていた。一人残されたフェイトが黙々と割れた皿を片付ける。心の中で、何度
も何度も呟きながら。
 だが隠せない。指先の震えは、冷たい声となってフェイトの心を蝕んでいく。それはまるで、フェイトの大
丈夫という言葉に抵抗するように、鋭くはっきりとした声だった。
 ――――いつまでそうやって隠し通すつもりなのか。
 ――――いつまでそうやって嘘を吐くつもりなのか。

「そんなの、言われなくたって分かってるよ……でも――――」

 怖かった。今まで感じた恐怖の中で一番。
 もし嘘を吐くのをやめて、なのはに自分の気持ちを告白して。それから。

「――――っ!?」

 気付けば指から血が一筋流れていた。たいした痛みは無いが、涙が出てきた。
 考えてしまったから、それからの事を。
 想像してしまったから、その時のなのはを。

「やっぱりこんなの言えないよ……怖いよ……」

 まるで、何か異質なものを見るような目で。
 まるで、理解できないようなものに遭遇してしまったように。
 自分を見るなのはの姿。

 ――――なんで、信じてあげないの。


* * *
369君に届けたいただ一つの想い:2007/12/19(水) 23:55:44 ID:PX6IAdCG


「キャロもう泣き止んでよ……お願いだからさ」
「うっく、エリオ、くん……」

 腕の中で震えながら、キャロがエリオの服を濡らしていた。
 勝手に開けるのはまずいと思いながらキャロの部屋の扉を開け、暗い部屋で膝を抱える小さな体を見つけて
エリオは安堵の息を吐いた。
 エリオの姿を見つけたキャロは、すがりつくようにエリオに抱きつき離してくれない。
 ただ嗚咽交じりにフェイトと、自分を守るように抱きしめてくれるエリオの名前を呼んでいた。

「キャロ……」

 何とかしてあげたいと思った。
 キャロの優しさを、何とかフェイトに届けてあげたかった。

「フェイトさん、きっと言いたくないんじゃなくて、本当に言えなくて困ってるんだよ」

 キャロにも言えない。キャロに言えないならきっと自分にも。そして、親友であるはやてにもいえない事。
 それは多分、フェイト一人では解決しないこと。

「心配かけたくないなら、フェイトさんは笑ってるよ。無理やりにでも。あんな辛そうな顔しない」
「知ってるよ! だから……!」

 だから助けたかった。少しでも笑って欲しかった。そう、キャロの嗚咽が激しくなる。エリオの服を掴む
力も。そして、エリオがそんなキャロ抱きしめる力も。
 
「僕がさ、何とかするから」
「エリオ君……?」
「僕知ってるから、さ」

 キャロより、少しだけどフェイトと長くいたから。
 そう、エリオが笑った。
 キャロの背中に回していた腕をゆっくりと降ろした。キャロはエリオにすがり付くことを止め、涙を溜めな
がら頷いて。

「待ってて、すぐだから」

 もう一度キャロに笑いかけて、部屋から飛び出した。

「はぁっ、はぁっ……!」

 キャロの部屋から駆け出し、エリオが全力で隊舎を走り回っていた。局員にぶつかりそうになり、転びそう
になりながらも。
 だがいない。いつもなら、怖いくらい存在感のあるあの人がどこを探し見ても見つからない。

「はぁ、どこいるんだよっ……!」

 苛立ちから、自然と口調が荒くなる。キャロにあんなことを言った手前、何が何でもフェイトをどうにか
しなくちゃいけない。そう、エリオが自分を叱咤した。
 結局隊舎内を走り回った挙句、最後に息を切らせてそこへ向かったのは少しした後。

「はっ、はっ……あれ?」

 不意に、通路で膝を抱えて座り込んでいるキャロ以上に小さな体に、エリオが早めていた足を遅くした。
思ったとおり、その姿を目の前にし、だが予想していなかったことに言葉を失った。

「……ヴィヴィオ、何やってるの?」
370君に届けたいただ一つの想い:2007/12/19(水) 23:56:37 ID:PX6IAdCG

 辛うじてそれだけを口にして、ヴィヴィオの様子を伺った。宿舎の通路の端。エリオが目にしたのが偶然と
いえるその場所で、ヴィヴィオは泣いていた。小さな体を震わせて、嗚咽を唇を噛んで堪えながら。

「ヴィヴィオ大丈夫?」

 ヴィヴィオが小さく頷いた。どちらに似たのか、その姿は誰から見ても大丈夫なようには見えはしない。無
理やり涙を抑えようと、ヴィヴィオは小さな手で目を擦り付けていた。
 もう目の周りは真っ赤に腫れてしまっている。駄目だよ、とエリオがその手を取って。それをヴィヴィオが
振り払い、また顔に当てて目を擦って。

「どうしたの? ママ心配しちゃうよ? こんなに泣いちゃって」
「泣いてないもん……ヴィヴィオ、強くなるんだもん……」
「分かったよ。ヴィヴィオは強くなるんだもんね。分かったから、ママの所いこ? 僕も探してるんだ」

 そう、なのはだったら、きっとフェイトをどうにかしてくれるに違いないから。
 その後すぐ、ヴィヴィオが迷うような仕草を一瞬見せた後、エリオの手をぎゅっと握って。

「ママ、お部屋にいるよ」
「やっぱりそうなんだ。じゃあ、いこっか」

 珍しい事もあるんだな、とエリオが笑いながらヴィヴィオの手を引いた。ヴィヴィオが持っていたカード
キーで部屋にお邪魔した。
 視界に飛び込むのは、ピンク色と黄色。そして、新しく増え始めた子供用のもの。
 エリオがそこから視線を動かさずとも、なのははすぐに見つかった。ソファに座り、どこか一点を見つめて
いる。
 ヴィヴィオが恐る恐る声をかけようと近づき、エリオもその後に続こうとして。

「……へ?」

 不意の違和感に、何も言えず立ち尽くした。

「……ママ、エリオお兄ちゃん来てるよ? ママに用事だって」
「あれ、ヴィヴィオ……いつからいたの?」
「さっきだよ。エリオお兄ちゃんもいるよ?」

 お邪魔します、とエリオが背筋を伸ばすが胸のつかえは取れていない。
 なのははいつもどおり。頬が若干赤くなってるいるのと、何処かぼんやりと脱力しているところ以外は。

「エリオ何か用事かな? もしかして練習で分からないところがあった?」

 なのはがエリオに微笑みかけ、ようやくエリオが言葉を紡ぐ。フェイトの事とキャロの事を話して、何と
か助けてもらうつもりで。
 なのはなら安心して任せられるから。なのはなら、フェイトもきっと言ってくれるだろうから。

「――――そうなんだ。フェイトちゃん、今どこにいるの?」
「あっ、すいません……僕さっきまでキャロと一緒にいたんで、フェイトさんがどこにいるかは……」
「そっか。じゃあちょっと探してくるね」

 なのはが任せといて、と胸を叩いた。制服に袖を通し、ワイシャツのボタンを閉めなおして。
 ヴィヴィオがいたからだろうか、なのはが退室した後残されたエリオが思い出したようにヴィヴィオの顔を
見る。
 キャロといいヴィヴィオといい、今日は泣いている女の子が多いな、と心を沈ませながら。

「ヴィヴィオもう元気でた?」
「大丈夫だよ。ヴィヴィオ強いから」 
371君に届けたいただ一つの想い:2007/12/19(水) 23:57:26 ID:PX6IAdCG

 ヴィヴィオの笑顔にエリオも満面の笑みで頷いて。キャロお姉ちゃんと一緒に遊ぼうと、部屋を後にした。
なのはがフェイトの元へ行くと言ってくれた。ならば、もう心配することなんかない。
 だから、だろう。疑問にも思えなかったことと、感じた違和感。その中で一つだけ言葉に出来たものがあっ
た。

「そういえばさ、ヴィヴィオ。何でさっきは泣いてたの?」


* * *


「駄目だよ、フェイトちゃん。キャロ泣かせたりしたら」
「ごめん、なさい……」
「謝るならキャロ。私じゃないよ」

 正座というものは、何故こうも苦痛を伴うものなのだろう。
 なのはがフェイトを見つけ、フェイトが目の前で正座を強要されたのは今からおよそ一時間前。それくらい
で足がしびれるような事は無いが、隊舎の固い床は思いのほかフェイトの心を苛んでいた。

「エリオがね、わざわざ部屋にお願いに来たんだよ? フェイトさんのところに言ってあげてって」
「ごめんなさい……」
「もう……さっきからフェイトちゃん謝ってばっかり」

 だが、正座とは別にフェイトの心に爪を立てているものがあったから気にならなかった。

「私が起きたときも泣いてたみたいだし……嫌なこと、あった?」

 俯いた顔を覗き込む、本当に心配そうななのはの表情が。
 じっと瞳を見つめ、その奥を見透かそうとするようななのはの瞳が。
 先ほどから、膝に添えられた手の暖かさが。
 もう、全て苦痛でしかなかった。

「大丈夫、何もないから」
「ほんと? フェイトちゃん、すぐ嘘吐くから」
「何もない……本当だから」

 今出来るのは耐えること。なのはの気が晴れるまで、じっと俯いてやり過ごすこと。そう、ただなのはから
逃げたい一心でフェイトは謝り続けた。
 逃げたいなんて思ってごめんなさい、と。

「はぁ、もういいよ。後でちゃんとキャロに謝るんだよ?」
「うん、ごめんね」

 元々、なのはは怒っている訳ではない。ただ心配なだけだったのだから嵐が過ぎるのも早かった。なのはに
了承を得て足を崩し、なのはに促され渋々ソファに腰をかけて。
 なのはが、じっと自分の指先を見ている事に気づいた。

「お皿拾っててやっちゃったんだ」
「もう、また怪我して……せっかく、綺麗な手なのに……」

 もう痛みは無いが、フェイトの右手を覆う包帯は未だしっかりと巻かれている。そしてそこから除く指には
絆創膏。
 なのはがため息を吐くには、手を撫でようとするには十分だった。

「痛くない?」
「う、うん……」
372君に届けたいただ一つの想い:2007/12/19(水) 23:59:10 ID:PX6IAdCG

 なのはの喉が、溢れそうな唾を飲み込んだ。フェイトは気付かない。先ほどから自分の手に触れるなのはの
手に集中しているから。
 普段の仕事からは想像もつかない綺麗な手。なのはらしい、可愛い手。
 ――――それで、あんなものを掴んでいたんだ。

「ん? フェイトちゃんどうしたの。顔真っ青」
「な、なんでもない! 何でもないからっ!」

 そう、となのはが再びフェイトの手に意識をむける。手の動きを止め、一瞬フェイトの様子を上目遣いで確
認して。
 えい、と指先の絆創膏を一気に剥がし取った。

「な、なのは……?」
「結構深い……ちゃんと消毒した?」
「してない……絆創膏貼っただけ」

 じゃあ、となのはがフェイトの手を持ち上げた。

「私が消毒してあげるから」

 そのまま、口を開けて。
 フェイトが慌てて腕を引こうとするのにも構わず。

「んんっ……」

 その舌を、フェイトの指を押し付け動かしていた。

「い、イヤッ……!」
「あっ」
373君に届けたいただ一つの想い:2007/12/19(水) 23:59:57 ID:PX6IAdCG

 フェイトが咄嗟になのはの手を振り払う。指先の湿り気に、心臓を張り裂けるくらいに高鳴らせたまま。
 嫌だった、となのはが小さな声でフェイトの様子を伺う。なのはのその泣きそうな声に、ぐっと何かを堪
えるように唇を噛んで。

「ご、ごめん……違うから……びっくりしただけ……」

 大丈夫。これは、なのはのスキンシップだ。そう、子供の頃よくやっていただろう。包丁で指を切って、な
のはが咄嗟に指を咥えたのと何も変わらない。おかしいのは、違うことを想像した自分なんだ。
 そう、無理やり心臓の鼓動を沈ませる。荒くなっていた息を整えて、いつもどおり。親友として彼女に接す
ればいい。こんな事、もう何年もやっているのだから簡単だ。

「大丈夫。嫌じゃないよ」
「じゃ、じゃあ……続き、するね?」

 フェイトが頷くのを確認し、なのはが頬を赤らめたままフェイトの指先に舌を伸ばす。くちゅり、と湿った
音にフェイトがうめき声を上げ、それになのはが更に頬を染めて。
 更に舌の動きを激しくした。

「はぁ、んっ……痛くない、フェイトちゃん……?」

 ――――まるで、夢の続きを見ているような気分だった。
 なのはが指に舌を押し付け、咥え、頬を窄めて。自分の指を味わっているように。
 それに意識をそがれ、なのはの声に反応が出来ない。ただなすがまま、なのはの舌の感触と、なのはが奏で
る湿った音に耳を傾け続けていた。

「つ、次……こっちね……」

 なのはの顎を涎が伝う。銀の糸を引いて、フェイトの膝に落ちた。
 きつく目を閉じ唇を噛んで、フェイトはその膝に爪を立てて堪えている。目の前のなのはに、夢の中、あの
醜いものを一心不乱に頬張るなのはの姿を思い出してしまっていたから。
 それは勘違いなんかじゃなくて。まるで――――。


374246:2007/12/20(木) 00:00:42 ID:wxMnFu4J
以上です。ありがとうございました。
このなのはさんは何処かの世界の執務官のように腹に黒いものは持っておりません。
嫉妬に狂うこともありません。
そして多分、自分の書いたなのはさんの中で一番弱弱しいかも。
あくまで、もしかしてですが。
ではでは。また次回。
375名無しさん@ピンキー:2007/12/20(木) 00:12:01 ID:VEwv9s5g
GJGJGJGJ!!!
つづきをまたじっくりと待たせてもらうぜ!
376名無しさん@ピンキー:2007/12/20(木) 00:22:55 ID:C+mW46sP
GJ!!!!!!!!!!
コレ始まってからずっと楽しみにしてました!!!
続きに激しくwktkwww
377( ゚Д゚):2007/12/20(木) 00:47:46 ID:RYrN/gGY
投下もうちょっと待ったほうが良い?
378名無しさん@ピンキー:2007/12/20(木) 00:56:25 ID:bTkJ7kYI
>>374
つ・づ・き! つ・づ・き!

>>377
今すぐ
379( ゚Д゚) ◆kd.2f.1cKc :2007/12/20(木) 01:00:29 ID:RYrN/gGY
んでは行きます。

注意事項
・捏造有り過ぎ
・レイジングハートの形状が(アニメ、リリちゃとも)違います。
・ついでに本編とレイジングハートの特性も違います。
・あぼーんキーワードは「リリカルバイオレンス」
380リリカルバイオレンス 3-1/8 ◆kd.2f.1cKc :2007/12/20(木) 01:01:23 ID:RYrN/gGY
「ここはあたしの親友の家なの! でもってこの子はその子の飼い猫! それに対していき
なり攻撃魔法ぶっ放すわ不法侵入するわ!」
 黒衣の、金髪の少女に向かって、アリサは怒鳴りつける。
「それは…………ごめんなさい」
 黒衣の少女は、一瞬視線を俯いたように下げる。しかし、すぐにまた上げてきて、アリ
サを見る。
「でも、それは譲れない」
「それって?」
 眉を吊り上げて睨みつけるアリサ。問い返すが、答えはほぼ解っている。
「……ロストロギア」
 失われた技術の遺産。ジュエルシードもそう総称される物のひとつ。しかし、同時に、
戦略級兵器規模の剣呑な代物が多い。そしてジュエルシードはその危険性を孕んだものの
ひとつでもあった。
「……ひとつ間違ったら原爆数発分でしょ?」
 アリサはそう言って、目元では険しいまま、唇の端を吊り上げた。
「そんなもん集めて、アンタは一体どうしようっての?」
 黒衣の少女が、一瞬だが、躊躇った様に動きを固くした。
「……そういう、あなただって」
「あたしは別に、使うのが目的じゃないの。あたしのツレがドジ踏んじゃってさ、そのま
まにしとけないのよねー。それだけ」
 そして、アリサはさらに挑発にかかる。
「それと、アンタには難しいかもしれないけれど、覚えとくのね。質問を質問で返すのは
話術として間違いだって」
 小学3年生の知識ではないが、両親が会社経営者ということもあってアリサは知りえて
いた。
 黒衣の少女は一度ゆっくり目を閉じたあと、手に持っていたロング・アックス状のデバ
イスを握り直した。
「バルディッシュ」
『Yes, sir』
 低い声で、インテリジェントデバイスが応答する。
「悪いけど、でも、譲れないから」
『Photon Lancer』
 バルディッシュと呼ばれたデバイスのコアが瞬く。黒衣の少女の周りに光る魔力弾が形
成されたかと思うと、弾丸のようになって、アリサに向かってくる。
『Protection』
 レイジングハートが言い、魔力弾の弾道上に、オレンジ色の光の盾が現れる。だが、1
発の魔力弾が命中しただけで、光の盾はガラスのように割れ、消滅した。
「わああぁあぁぁぁっ」
381リリカルバイオレンス 3-2/8 ◆kd.2f.1cKc :2007/12/20(木) 01:02:04 ID:RYrN/gGY
 魔力弾も対消滅するが、相殺し切れなかったエネルギーが運動エネルギーとなって、ア
リサを吹っ飛ばす。
 ぼすっ、
「みゃぁっ!?」
 かなりの勢いがついていたが、アリサの背中と後頭部は、何か柔らかい物に叩きつけら
れた。巨大化した子猫だ。
「口で負けたからっていきなり暴力って、サイッテー!」
 不機嫌そうな表情でそう言いつつも、アリサもレイジングハートを握りなおした。
「レイジングハート!」
『Divine Shooter』
 レイジングハートの先端から、オレンジ色の魔力光が放たれ、矢となって黒衣の少女に
向かっていく。
『Defenser』
 バルディッシュの先端部分に垂直の魔方陣が円を描き、金色の光の盾が現れる。
 オレンジの魔力の矢は、金色の盾にぶつかって霧散した。
『Photon Lancer』
 黒衣の少女の周りに、複数の魔力光が集まる。
『Multi Shot』
 それらが連続したタイミングで魔力弾となり、アリサに向かってくる。
「ちょ、ま……」
 ただでさえ1発1発が(アリサにとっては)“重い”上に、それが複数来てはたまらない。
『Protection』
 レイジングハートが張ったオレンジ色の光の盾も、易々と貫通される。
 迸る金色の魔力弾が、地面に着弾し、月村家の庭土を掘り返し、土煙を上げる。
「!」
『Defenser』
 土煙の中から、人影が飛び出してきた。
 黒衣の少女は、慌ててそちらにバルディッシュを向ける。金色の光の盾を張る。
「このーっ」
『Sprite Slash』
 レイジングハートの刀身が鋭く光を帯び、それが金色の光の盾に叩きつけられる。
 ガキィンッ
「くぅっ」
 形もなにもなく、ただ上段から打ち下ろされたレイジングハートは、金色の光の盾とぶ
つかり、反発して、アリサは仰け反りかける。
「バルディッシュ」
 黒衣の少女は、バルディッシュを両手で構えた。
『Scythe Form』
382リリカルバイオレンス 3-3/8 ◆kd.2f.1cKc :2007/12/20(木) 01:02:48 ID:RYrN/gGY
 バルディッシュの刀具部分が、カバーが開くように動き、金色の魔力光が、大鎌の刀身
となって現れる。
「こうかっ」
 その間に構えなおしかけたアリサも、“理解した”ばかりのそれを使う。
『Ray Lance』
 金色の少女のそれからすれば遥かに小さな魔力弾が、3つ、発生する。
『Tri』
「いっけぇ」
 バットでノックするように、アリサのスイングで魔力弾が打ち出された。
「!」
 黒衣の少女は、転がるようにしてそれを避ける。
「このっ」
『Sprite Slash』
 ガキィィンッ
 レイジングハートが帯びる魔力光と、バルディッシュの魔力光の刀身がぶつかり、激し
く火花を散らす。
 バチバチバチバチっ
「くっ」
「このっ」
 一瞬、拮抗したかのように見えたが……
「はっ」
 ブンッ
「うわあぁっ」
 黒衣の少女が軽くバルディッシュを突き出すと、アリサは簡単に姿勢を崩し、のけぞる
事になった。
『Photon Lancer』
 1発の速射だが、至近距離から魔力弾の一撃。
『Protection』
 レイジングハートが自動で盾を張る。だが、オレンジ色の光の盾はティッシュペーパー
のように易々と貫かれ、金色の魔力弾はアリサに襲い掛かる。
「あぁあぁぁぁぁっ!!」
「アリサ!」
 ユーノが叫ぶ。
 バリアジャケットが貫かれる事こそなかったが、アリサは大きく吹っ飛ばされ、背後に
ある樹の根元に、背中から落下した。
「ごめん……命に危険はないはずだから」
 力なくうなだれた状態のアリサに、黒衣の少女はそう言うと、猫のほうに視線を向ける。
『Device Form』
383リリカルバイオレンス 3-4/8 ◆kd.2f.1cKc :2007/12/20(木) 01:03:29 ID:RYrN/gGY
 バルディッシュの光の刀身が消え、カバーが閉じた。
「バルディッシュ」
『Yes, Sir. Thunder Smasher』
 黒衣の少女がバルディッシュを猫の方に向けると、バルディッシュから、いっそう強大
な魔力光が、稲妻を纏いながら放たれる。
『Protection, Dual Exercise』
「!?」
 黒衣の少女は顔色を変える。
 猫の直前に、オレンジ色の光の盾が現れる。たやすく貫かれる──だが、その後ろにも
う1枚、オレンジ色の光の盾。
 そのもう1枚も砕けたが、バルディッシュから放たれた魔力光も相殺されて霧散する。
 黒衣の少女は、慌てたようにアリサを振り返った。
「へへ……思い通りになんかさせてあげない」
 土に汚れながらも、まるで9歳の少女とは思えないギラつかせた瞳を見せて、荒い息を
しながら言う。
『finishing blow, Sir』
「え、でも……」
 バルディッシュは止めを刺せと言う。だが、黒衣の少女は躊躇した。
 その時。
「アリサちゃーん」
 びく、アリサと黒衣の少女、2人とも反応する。
「あのバカ……こんな時にっ……」
 アリサは呻くように言う。
「まさか……」
 だが、黒衣の少女は、そう言って戦いた様に声のする方を見ると、そのまま、空中に飛
び上がって、去って行った。
 ────逃げ、た……?
 アリサは大地に転がったまま、怪訝そうにその姿を見送った。
 やがて、アリサの視界に、2つに結わえた弾力のあるような髪を揺らした、よく知って
いる人物の姿が映る。だが、それと入れ替わるように、アリサの意識はフェードアウトし
た。
384リリカルバイオレンス 3-5/8 ◆kd.2f.1cKc :2007/12/20(木) 01:04:11 ID:RYrN/gGY

「はっ」
 次に気がついたとき、アリサは、馴染みのないベッドの中に寝かされていた。
「ここは……」
 馴染みはないが、見覚えはある。
「あ、アリサちゃん! よかったぁ〜 気がつきました!」
 メイドの……よく知っている友達感覚の彼女の姿を見て、ようやく思い出した。
「あ……そうか、すずかン家だ……」
 お茶会に呼ばれて、そう……
 そこまで記憶をたどったとき、アリサははっと思い出して、がばっ、と身を起こした。
『ユーノ、ユーノ』
『あ、アリサ、気がついたんだ。ってうわっ』
 ユーノは、一瞬アリサの方を向いて、すぐにまた首を別のほうに向けた。
 アリサはショーツ以外ほぼ裸だった。ただ、擦り傷や打撲を覆う包帯がかなりの面積を
覆っているが。
『ユーノ、ジュエルシードは!?』
『え、あ、うん……なんとか、僕の方で封印できたよ。アリサのおかげ』
『そう……』
 アリサの表情は晴れない。
「アリサちゃん」
「アリサちゃんっ」
 ファリンが呼んだのか、なのはとすずかが、心配そうな表情で入ってきた。
「アリサちゃん、大丈夫?」
「え、あ? うん……もう、全然、平気」
 アリサは咄嗟にそう言って、苦笑した。
「ごめんね、アインのせいでこんな事になって」
 すずかが、申し訳なさそうに言って来る。アインとは、あの巨大化していた子猫だ。当
然、今は、元に戻っているだろう。
「あ、ううん。大丈夫。ちょっと転がっちゃっただけだから」
 アリサはそう言って誤魔化すが、
「駄目だよ、アリサちゃん、1人で危ない事しちゃ」
 と、真剣に心配した表情で、なのはが言ってくる。
「…………なのは……」
 アリサは呟き、複雑そうに口を結ぶ。
「なのはちゃんが気付いてくれたから、良かったけど」
 すずかが、そう言った。
「あ、えっと……そうなんだ……ありがとう、なのは」
 アリサは、ニコリと微笑んで、なのはにそう言った。
385リリカルバイオレンス 3-6/8 ◆kd.2f.1cKc :2007/12/20(木) 01:04:56 ID:RYrN/gGY
「ごめん、すずか、私もう少し横にならせて貰って良いかな?」
 アリサは、視線をすずかに移し、そう言った。
「身体打ったから、疲れちゃってる状態なんですね」
 ファリンが言う。
「いいよ、私となのはちゃんは、もう少し遊んでるから」
「ごめん、アリガト」
 アリサは、苦笑気味の笑顔で、2人を見送った。
『ユーノ』
 念話で、ユーノに呼びかける。
『何、アリサ?』
『あたしを止めようとしたの、あの子があたしよりずっと強いってわかってた?』
 ユーノは、フェレットの顔ながら、気まずそうに目を細める。
『怒んないから、正直に答えて』
『うん……わかってた』
 しぶしぶという感じで、ユーノは答える。
『ユーノの世界では、アレくらいの魔導師が普通なの?』
『ううん。あの子の実力、魔法出力、どっちも飛び抜けてると思う。ただ……』
『ただ?』
『ジュエルシードに絡んでくるような魔導師なら、あれぐらいの実力でも、不思議じゃな
いと思う』
 ふぅ、と、アリサは軽くため息をついた。
『そっか』
『ごめん、アリサ』
 ユーノが申し訳なさそうに言う。すると、アリサはジロッ、と視線を流して、ユーノを
ヤブニラミした。
『アンタが謝る必要ないでしょ』
『でも』
『それよりさ』
 ユーノがさらに言い訳しようとするのを、アリサは強い調子でさえぎった。
『ユーノ、本当はあたしじゃなくて、他の2人のどっちかを期待してたんでしょ?』
 ビクッ。
 ユーノのフェレットの身体が、跳ね返るように硬直した。
『え、えぇとそれは……』
『わかってるのよ、だって、あたし……あの時、アンタの声が聞こえたわけじゃなかった
から』
386リリカルバイオレンス 3-7/8 ◆kd.2f.1cKc :2007/12/20(木) 01:06:03 ID:RYrN/gGY
『えっ……』
 ユーノは、軽く驚いた。
『アンタのことが──まぁ、あの時は完全にただのフェレットだって思ってたけど、まぁ、
心配になって、ちょっと寄らせただけだったのよね。だから、あたしがあの時あそこにい
たのは、ホントに、ただの偶然』
 アリサは言い、自嘲気味に苦笑した。
『どっちなの? なんとなく想像はついてるけど』
『うん……高町なのはって子。まだ潜在的だけど、相当の魔力の持ち主だよ。あの子と同
じか、それより上かも』
 ユーノは、少し戸惑ったようにしつつ、答える。
『やっぱり』
『でも、なんでわかったの?』
 そう言い、フェレットが小首を傾げる。
『あの子、アンタの結界の中に入ってきたでしょ』
『あ、やっぱり気付かれてたんだ』
『気づかいでか』
 再び、アリサの目が、ジロっとユーノを睨んだ。
『それに、あの子、なのはの姿見て逃げた。だから、ユーノの世界の人だと勘違いしたん
じゃないかって』
 一呼吸おいて、顔の険しさを取りつつ、アリサは言う。
『うん、多分、そうだと思う』
 ユーノも同意する。
 すると、アリサは、首の辺りを探り、それから、傍らの台に畳まれていた、自分の衣類
の上に乗っている、それを見つけて、手に掴んだ。
『ユーノ、返すわ』
『え!? でも……』
 ユーノは、驚いて目を白黒させた。
『あたしでもあれだけ出来たんだもの、なのはが持てばあの子にだって楽勝よね?』
『いきなりそういうわけには行かないと思うけど……勝てる可能性はあるよ』
 ユーノは言いつつ、しかし、困惑げにしたまま。
「ファリンさん」
「あれあれ? アリサちゃん、起きていらしたんですか?」
 声をかけると、何か片付け物をしていたファリンは、言いながら枕元にやってくる。
「悪いんですけど、なのは呼んでもらえますか? えっと、なのは、だけ」
 アリサが申し訳なさそうに言う。しかし、ファリンはにこっと笑って、応諾した。
「はい、わかりました。ちょっと待っててくださいね」
 そう言って、部屋を一旦出て行く。
「ごめんなさい、レイジングハート」
『No Problem』
 レイジングハートは答える。
『You were the considerably good master』
 言い、明滅するレイジングハートが、アリサからユーノの手に渡る。
387リリカルバイオレンス 3-8/8 ◆kd.2f.1cKc :2007/12/20(木) 01:06:37 ID:RYrN/gGY
『アリサ……でも』
 ユーノはまだ困惑げにしたままだ。
『あーっ、もーっ、わかってないわね!』
 アリサは、キレたように、念話で声を荒げた。
『あたしは、他人の為にこれ以上危ない目に遭うのはいやだって言ってるの! なのはだ
ったら、バカ正直ちゃんだし、正義ぶりっ子だから、絶対にアンタに頼まれたら断れない
から! そっちにしてって言ってるの!』
『うん……わかった』
 アリサがまくし立てると、ユーノはしぶしぶと、頷いた。
『ただ、あの子、無茶するから。それだけは注意して。ユーノもだけど、レイジングハー
ト、お願いね』
『Yes, Good-bye see you again, Ms. ALISA』
 レイジングハートは、そう告げる。
 その時、部屋の扉をノックする音が聞こえた。
 ファリンに連れられて、なのはが部屋に入ってきた。

 なのはは最初、酷く驚いていたが、話を聞くと、すぐに真摯な態度に変わった。
 自分の中に優れた魔力の資質があることには、謙遜するようにしていたが、一見すれば
酷く失礼なアリサの願いを、なのはは二言返事で快諾した。

 既に日は沈んだ海鳴の街。
 黒塗りのリムジンの中、アリサはぼぅ、と、窓の外を見つめていた。
 往路では、自分の方につかまっていたフェレットは、今はいない。そして、胸元にあっ
た良きサポート役も。
 2人は既に、高町家についた頃だろうか。あの家は家族が多いから、なのはも面倒だろ
う。だが、基本的に両親も兄姉(きょうだい)も人が良いので、断りはしないはず。
 その、高町兄のイメージが、脳裏をよぎる。続いて、ユーノと、レイジングハートも。
「わかってないのは、あたしの方かな……」
 嘘だった。咄嗟の演技だった。本当は放り出したくなどないし、黒衣の少女に敗北した
ままというのもプライドが許さない。譲る相手がなのはだというのも本音で言えば癪だ。
 だが、これは本来、アリサではなく、ユーノの問題である。自分の為に、解決が遅れる
事になっては、大きなお世話のほうになってしまう。目の前に、より適正のある人間がい
るのなら、舞台を下りるのが筋だ。
 ────そんな事考えられるのも、なのはのおかげだよね。
 ふぅ、とため息をついた。
 リムジンがバニングス家に到着したら、そう、そうしたらこの思考は断ち切ろう。自分
が辛いから。そうアリサは決めた。
 しかし、それまでには、その目尻から、いくつもの水滴が頬を伝った。
388リリカルバイオレンス 3-9/8 ◆kd.2f.1cKc :2007/12/20(木) 01:10:15 ID:RYrN/gGY
>>380-387
以上です。

バルディッシュが冷酷なように見えますが、彼がそう判断した理由はあります。
そもそも本編ではこのt(ry

しかしこの作品はどこまで行ってもエロくなる要素がない……とゆーか、
一応伏線張ったが、俺に9歳でエロリは無理です安西先生orz
続きの構想もあるけど、綺麗にここでフェードアウトしたほうが良いでしょうか?
389名無しさん@ピンキー:2007/12/20(木) 01:12:44 ID:4TaJqTUs
続いてくだされ。
面白いし。
390名無しさん@ピンキー:2007/12/20(木) 01:19:52 ID:NbpKJAfE
>>388
乙です。
フェードアウトするなんてとんでもない! このままいけるとこまで突っ走るのが正義ってもんですよ?
エロはまあ、無理しなくていいんでない?
391名無しさん@ピンキー:2007/12/20(木) 01:29:56 ID:vAd7ibga
?
392名無しさん@ピンキー:2007/12/20(木) 01:31:15 ID:cv792Tj9
GJ
終わるなんてとんでもない!面白くなってきたってのにやめるなんて他の作家さんや読者にも失礼ってモンですよ!

しかしユーノがヘタれてますなぁ。ツンデレ相手なら喧嘩するぐらいが調度いいのに
続き楽しみにしています
393名無しさん@ピンキー:2007/12/20(木) 02:03:19 ID:9VFDvuEH
>>392
調度が調教に読めてしまった俺は、そろそろ辱モノ末期かもしれない。
394ゲリラ兵 ◆QCnUms2uBE :2007/12/20(木) 06:17:09 ID:rAbnbKgj
343とレジアス・ゲイツ中将閣下に敬礼!

そして今日はレジアス亡き後の地上本部の状況を妄想
……このスレの住人は魔法使いか。書いたの日曜だぞ……そら恐ろしい

なのフェもアリサちゃんもGJですよっ!

ほいでは朝刊〜
[3期後の地上本部の状況を捏造とか]
395〜ソラノカケラ〜(33)(1/2):2007/12/20(木) 06:18:41 ID:rAbnbKgj
 護送を運営管理する部署にずらずらと騎士達を引き連れてはやてがやってくるとそれだけでざわつく担当部署の部屋。
部署の中で一番奥のでかい机に座っていたハゲで丸メガネのおっちゃんの机に先ほど確保した逃走犯の顔写真つきの書類をがん、と叩きつける
心当たりもあったのか、ひっ、とおっちゃんは仰け反った。
「これはどないなっとんのですかー?護送犯を取り逃がした挙句、放置とかー。ほんまありえへんのですけどー?」
「え、え、えとそれは、ですね……」

 数分後その部屋からでてきたはやては、騎士達に囲まれたまま大きくため息をついた。
「護送隊員への能力者であることの申し送りミス。挙句あっさりと逃げられてんのに、上は現状の確保諦めて逃走後改めて対策と部隊編成の検討予定とかー。
ほんまあんな愛嬌のある奴やったからよかったものの、凶悪犯やったらどないする気やったんやろうか……」
がっくりと肩を落とす主にシグナムも同意する。
「レジアス中将が亡くなれて以来、地上本部の動きは――特に治安に関する部分に関してはかなりひどいと聞いています。
中将に代わって任に就いた防衛長官はとにかく判断が遅くて何事にも及び腰なんだとか」
「せや。ひとつひとつの承認に関してもなかなか判断が降りてきぃへん……ギンガの話やとかなり現場も混乱してるようやしな」
「ええ……確かにやり方は強引であったとはいえ、レジアス殿は優秀な地上の守護者であったことには変わりありませんからね」
「せやな」
質量兵器や戦闘機人に拘ってやや自滅したとはいえ、かなり強引であったとはいえかの人の手腕は豪腕と評すべきであろう。
「私があのとき、ゼスト殿を止められていればこんなことには――申し訳ありません」
本気で謝るシグナムに、制服姿のアギトはそれを一生懸命否定する。
「ちがうって!あれはシグナムの旦那のせいじゃないって!あたいも邪魔しちまったしさ」
フォローするつもりであった花火魔まで一緒に落ち込んでしまうのを見て、はやても勿論責めはしなかった。
「せやで。シグナムもアギトも一所懸命やったんやし、しゃーない。それよりこれからのことや」
「はい」
「そうだけどさぁ……」
「ナンバーズ……あの子達が使えればなぁ。こないだ見た感じやともうすぐにでも働いてくれそうやったけど」
「それはそうですが。しかしいくらなんでもまだ研修も終わっていませんし、保護観察扱いでも厳しいかと思われます」
「そうなんよなあ……」
シグナムの当然の見解に、うーんと悩みつつ今はとにかく現状と戦うしかなかった。
396〜ソラノカケラ〜(33)(2/2):2007/12/20(木) 06:20:09 ID:rAbnbKgj
 それからひとしきり地上本部で文句を言って回って、通信で本局のフェイトを忘れないうちにしっかりとつついて、
あらかた今朝の一件が片付いた頃にはすっかり陽も暮れていた。
大人しく家路についていつも通りクライドと夕食を囲むが、自然話題は地上本部の現状の話になってしまう。
ただしはやての動悸は相変らずで、どちらかといえば真面目な話題に逃げて羞恥を誤魔化そうとしている意味合いが強かったのであるが。
「ナンバの子達にしろ、内勤の元武装局員にしろ、優秀な人材はいっぱいおるんやけどなぁ」
はやてはクライドの柔らかな微笑みにどきどきを全く抑えられずにいるが、台詞に頼ってなんとか体裁を保つ。
「そうですね……局員の高能力者の傾向として前に出たがらないところはありますね」
シグナムの指摘の対象となっているのは、自分達以外の高能力者やレアスキル持ちの局員達。
組織の常とはいえ、優秀な人材であればあるほど前線から身を引くのも早い為、どうしても現場を抑える人材が不足してしまうのは致し方ないことではあったが。
「せやろー。かといって確かに平局員は給料も安いし、危険度も高いし……」
「難しい所ですね。スバルのように身を粉にして――という子はなかなかいませんし」
「そうなんよなあ。まあそれでも人海戦術でなんとかなるうちはええんやけど、今朝みたいんなのにあたるとな」
「確かに。能力者相手となると生半可なスキルでは太刀打ちできませんし」
「む〜。それでも動きが早ければまだええんやけど……どうにかならへんのかいな」
そこまで静かに聞いていたクライドであったが、はやての悩みに一言だけ口を挟んだ。
「まあなんでもかんでも全て上手く行くわけでもないし、はやてのせいでもないと思うのだが」
「うん、せやけどなぁ……助けれる人はできるだけ助けたいやんか」
今日はまともに声の意味が聞き取れた事が嬉しくて即座に返す。少しだけ頬も赤い。
「気持ちはわからなくもないが……物事には順序と段取り、人には立場と役割というものがあるのだから」
「うん、わかってる……あ、せや。クライドはん、明日ちょっと付き合ってもらってもええ?」
「ん?構わんが……平気なのか」
「うん、昨日な、リンディさんが嘱託扱いにしてくれたんや。一応今は民間人ってことになってるよ」
「そうか。それなら随行致すとするか」
「うん、お願いや〜」
そのときえへへ、と笑ったはやての笑顔をクライドが少しだけ遠くに感じている事を、未だ彼女が知る由もない。
397ゲリラ兵 ◆QCnUms2uBE :2007/12/20(木) 06:20:32 ID:rAbnbKgj
ほいではまた〜ノシ
398名無しさん@ピンキー:2007/12/20(木) 07:12:23 ID:KxHdmUB6
>>374
GJ!
続きを楽しみに待ってます。
399名無しさん@ピンキー:2007/12/20(木) 10:14:21 ID:4flRqme5
>>364
再開してもいいんだけどいくつか問題があって……
・オリジナルストーリー
・レジアス、オーリス、ゲンヤ以外は殆どオリキャラ(名前は設定してなくて准陸尉、室長みたいに階級や役職の表記だけだけど)
・魔法少女?萌え?なにそれ、美味しいの?
・女性キャラはゲイズさん家の娘さんや数の子の次女くらいしかでないよ

そんなんでも良いなら書くけど
400名無しさん@ピンキー:2007/12/20(木) 11:02:15 ID:S/nM4ILy
>>400
むしろやってくれ。読みたい、絶対読む。
401400:2007/12/20(木) 11:02:54 ID:S/nM4ILy
間違えた……。
>>399 だった
402名無しさん@ピンキー:2007/12/20(木) 12:49:57 ID:QJGd4wQi
>>399
何を躊躇っている!
書け、今すぐ書け!
当然渋かっこいい中将や未知の敵にも勇敢に立ち向かう陸士や窮地を打開するアインヘリアルが出てくるんだろ?
つーか出せ、予定がなくても出せ

まあ、マジレスするなら上くらいの問題なら大丈夫だと思う
中将主役ならオリジナルストーリーやオリキャラはある程度は仕方ないし
どうしても不安ならリリカルあぷろだって手段もあるし
403名無しさん@ピンキー:2007/12/20(木) 14:42:52 ID:7cyOt71f
>399
中将主役に期待。蝶期待。
404名無しさん@ピンキー:2007/12/20(木) 17:29:43 ID:wrN5vSsI
>>399
まぁオリキャラと本編キャラをカップリングすると反発大きいけど
(まぁスバルなんかは余りにもフラグがないのでどうしようもない面はあるんだが…)
それぐらいなら問題ないんじゃね?

俺も読んでばかりもアレなので一度くらいSS書こうと思ったけど
カプがオリキャラ以上に反発食らいそうなやつだったので脳内に封印した。
405名無しさん@ピンキー:2007/12/20(木) 17:59:09 ID:JrCwo0Ym
唐突に管理局で自由を夢見るロストロギア娘というのが頭に浮かんだ
オリキャラも良いかも知れない
406名無しさん@ピンキー:2007/12/20(木) 18:08:56 ID:QxCSNUbT
……ロストロギア擬人化?
ジュエルシードは何つ子だ?
407名無しさん@ピンキー:2007/12/20(木) 18:10:49 ID:ePFBWMnL
>>406
21かな。
レリックなんか50超えるぞ。
408名無しさん@ピンキー:2007/12/20(木) 18:31:28 ID:wrN5vSsI
ただでさえ女性キャラ多くてあぶれてるのに…w
409名無しさん@ピンキー:2007/12/20(木) 18:48:18 ID:VSFhP1l2
逆に考えるんだ
沢山いるからよりどりみどり
410名無しさん@ピンキー:2007/12/20(木) 18:55:56 ID:QpwqC4CG
某12人の妹がかすんで見えるw
411名無しさん@ピンキー:2007/12/20(木) 18:57:04 ID:FVHzW3Ow
>>408>>409
それ以前に女の子と考えるからいけないんじゃね?
412399:2007/12/20(木) 18:57:27 ID:4flRqme5
やっべー
問題があるどころかむっちゃ期待されてるよ

覚悟を決めるしかないか
プロットは出来てるので近々投稿したいと思います
413名無しさん@ピンキー:2007/12/20(木) 19:00:22 ID:DyW8+y4u
>>ナンバの子

ルーがウメダの子で、ヴィヴィオがシンサイバシの子、シャーリーがニッポンバシの子といってみるテスト
414名無しさん@ピンキー:2007/12/20(木) 19:16:49 ID:In/kwK4V
アンサイクロペディアでこんなもの見つけたwテラエロ小説ww

あるところに、1組の若い姉妹が住んでいました。
ある日のこと、姉は妹に女としての色気自慢をしています。
「あたしはどんな男でも、そう、そいつがEDとかじゃない限り、誘惑することができるんだからね!あたしの露出テクを舐めるんじゃないわよ!」
すると妹は言いました。
「確かにお姉ちゃんはスタイルもいいし、胸もデカいよ。でも、学校でモテモテの私には敵わないんじゃないかな?」
妹に予想外の反応をされた姉は、家の外の道路を指差して、ある提案をしました。
「魅力比べをしようじゃないか。外を歩いている少年がいたら、そいつをあたし達の魅力で悩殺して、勃起させてやろうじゃないか。どっちが先に勃てられるか、勝負しよう。」
「何か、北風と太陽みたいだね。じゃ!勝負しよっか!」
こうして姉妹は勝負をすることになったのです・・・・・・
http://ja.uncyclopedia.info/wiki/UnBooks:%E5%8C%97%E9%A2%A8%E3%81%A8%E5%A4%AA%E9%99%BD%E3%81%A8%E9%9C%B2%E5%87%BA%E7%8B%82%E5%A5%B3%E3%81%A8%E5%A5%B3%E5%AD%90%E9%AB%98%E7%94%9F
415 ◆6BmcNJgox2 :2007/12/20(木) 19:19:03 ID:EOrvGa/6
話題の途中で済みませんが、書かせていただきます。

・リリカルなのはの世界はとらハと違って士郎がテロに遭っても何とか大怪我で済んで生存した
世界観だけど、そのしわ寄せが別の所に来てある人物が亡くなってしまい、
なのはが悲しみに暮れるお話。
・なのはとユーノが結婚した後と言う設定
・フェイトが馬鹿じゃない
・鬱的要素あるけど、「悲しい現実にも負けずに立ち向かう」がテーマって事で
・なのはが一瞬病みかけるけどギリギリで踏みとどまる。
・オリキャラ出るよ(過去の自分の作品にも登場したあのオリキャラ)
・非エロ
416悲しきしわ寄せ 1 ◆6BmcNJgox2 :2007/12/20(木) 19:19:56 ID:EOrvGa/6
高町士郎はかつてテロに遭い、瀕死の重傷を負った過去を持つ。彼は本来ならば
そこで亡くなるはずだったのかもしれない。しかし彼は現在も生きている。
その為に後に他の者にしわ寄せが来る事になろうとは……誰も夢にも思わないだろう…。

時は流れ、高町士郎の娘・高町なのはは立派に成長し、ユーノ=スクライアと言う男と結婚。
そしてなのは=T(高町)=スクライアと改姓した。それからさらに数ヶ月の時が経過した頃、
なのははユーノの子を妊娠し、お腹の膨らみが分かる程にまで子が成長するに至っており、
産休を取って家でゆっくりしていた。
「ユーノ君行ってらっしゃい。出張先でも気を付けてね。」
「うん。なのはもお腹の赤ちゃんの為にも無理しないでね。ヴィヴィオもママの事を頼んだよ。」
「うん! なのはママはヴィヴィオに任せて! ユーノパパもお仕事頑張ってね!」
「それじゃあ行ってらっしゃい。」
なのはの夫・ユーノは無限書庫司書長をする傍ら、各地の講演会に出席して講義を行う事も度々あった。
故に今日もまたユーノは遠くの地まで講演会に出席する為に出張する事になっていたのである。
そして玄関でなのはと、なのはの養女・ヴィヴィオに笑顔で見送られながらユーノは出かけて行った。

ユーノが出かけて一時間後、ヴィヴィオは自室で学校の宿題をし、なのはは
ユーノの子の詰まったお腹を優しく摩りながらTV番組を視聴していた。
「今頃ユーノ君も空港に付いてる頃かな?」
ミッドチルダの芸人が身体を張ったコントを披露する番組でなのはも
不覚にも笑ってしまう代物であったのだが…そこで突然画面が切り替わった。
『番組の途中ですが臨時ニュースです。つい先程ミッドチルダ○○空港にて自爆テロが発生した模様。』
「え? 自爆テロ?」
自爆テロが発生したと言うニュースになのはは思わず耳を傾けた。
「しかも○○空港って行ったらユーノ君が行った空港じゃない…大丈夫だよね…ユーノ君…。」
なのははユーノの事を思い出しながら臨時ニュースに注目していたのだが、
今度は現場の映像に切り替わった。
『ハイ! こちら○○空港です! 現場は酷い有様です!』
○○空港の現場ではかなり大きな煙が立ち上り、消防隊も多数出動して消火活動を行っていたりと
かなり凄惨な状況にある事は想像に難くなかった。他にも自爆テロの被害者が多数出ているらしく
沢山の怪我人がタンカで運ばれていた。
「ユーノ君…大丈夫だよね…ユーノ君…。」
なのはは心配で仕方が無かった。まさかユーノも自爆テロの被害で怪我したりしてはいないかと…。
しかし…そこで現場のレポーターがADっぽい男から何かを手渡されていたのである。
『あ! ただいま入りました新情報です! 自爆テロの犠牲者の中には何と
あの無限書庫の名物司書長ユーノ=スクライア氏の姿もあったとの事です!
無限書庫は彼の手によって何とか機能し、様々なロストロギア事件解決に貢献していたと
言う事もあり、これは時空管理局にとっても大きな打撃になると思われます!』
「え……………………。」
なのはは一体何が起こったのか理解が出来ず…暫し硬直していた。
「あの…嘘だよね…。ユーノ君がテロの犠牲になったなんて…ただの冗談だよね…。
マスコミお得意の捏造だよね…。そうだよね…。そうって言ってよ…。」
なのはは信じられなかった。どうせマスコミが言っている事は事件の混乱によるただの勘違いで、
画面の奥の人込みの中からひょっこり無傷のユーノが出て来るに違いないと考えていたのだから…。
417悲しきしわ寄せ 2 ◆6BmcNJgox2 :2007/12/20(木) 19:20:57 ID:EOrvGa/6
それから一時して突然フェイトがなのはの家までやって来た。
「なのは!」
「フェイトちゃんどうしたの?」
その時のフェイトの顔はまるで恐ろしい事を知ったかの様に真っ青になっていた。
「なのは…絶望しないで聞いて…。ユーノが先程○○空港で起こった自爆テロに遭って…それで…。」
「酷いな〜フェイトちゃんも。いくら私とユーノ君の結婚を良く思ってなかったからって
ユーノ君が死んだみたいな嘘付くなんていくらフェイトちゃんでも許せないよ〜。」
どうせフェイトも変な冗談を言っているだけなのだろうとなのはは考えていた。だが…
「冗談じゃない! そりゃ私だって冗談だって信じたいよ! けどね…けどね…
本当に…ユーノが………自爆テロで………。」
フェイトの目には涙が浮かんでおり、明らかに嘘を付いている顔では無かった。
「え…本当に? もしかして…本当にユーノ君が自爆テロで………。」
なのはは呆気に取られた顔になり、そのままへたり込む様にソファーに座り込んだ。
「ユーノ君…死んじゃったの……? マスコミお得意の捏造じゃないの……。」
「残念だけど…本当……ユーノは……。」
「………。」
フェイトが目に涙を浮かべながら頷き、なのはも唖然と黙り込んだ。が…それも束の間
突然なのはは立ち上がるなり、首に掛けていたレイジングハートを手に取った。
その後なのはがやろうとしている事を悟ったフェイトはとっさになのはに抱き付いて止めた。
「やめて! なのはやめて!」
「離して! フェイトちゃん離して!」
「ダメ! 離さない!」
なのはの事だ。今直ぐ飛び立ってユーノの仇討ちをなそうとするに違いない。
幼馴染であり、愛しの夫であるユーノを非情にも自爆テロで殺した何者かに対して…。
それなのに何故フェイトが邪魔をするかはなのはには理解出来なかった。
「あ…そっか…。フェイトちゃんが邪魔する理由が分かったよ。フェイトちゃん
ユーノ君の事嫌いだもんね。だからユーノ君の仇討ちの邪魔するんだもんね。酷いよ…。」
なのはは目に涙を浮かばせ、軽蔑する目でフェイトを見ていたが、フェイトの目は真剣だった。
「違う! そんなんじゃない! これはなのはの為! ユーノを殺した自爆テロを起こした
連中が何者なのかまだ特定されてないし…それに仇討ち出来たとしてもユーノが生き返る
ワケじゃ無いんだよ! これで無理したらなのはだけじゃない! なのはのお腹の中の
赤ちゃんまで危険に晒される! もしそうなったら…ユーノだって…。」
「あ…………。」
なのははユーノの死に気を動転させる余り、大切な事を忘れていた。
自分のお腹の中にユーノの子供がいた事を…。もしこれで無理をして
ユーノの子にまで危険に晒されたら…そんな事をユーノは悲しむに決まっている。
そう考えれば考える程…ユーノに対して申し訳なくなって来た。
「あ…ユーノ君…うあぁぁ…。」
なのはは両手で顔を覆いながらその場に座り込むしか無かったが…そこで騒ぎを
聞き付けたヴィヴィオまでやって来て…。
「ユーノパパ…死んじゃったの? 嘘だよね…。悪い冗談だよね…。」
「ヴィヴィオ…残念だけど…。」
「え………。」
なのはとフェイトが涙目になっていた故、ヴィヴィオにとっても冗談を言っている様には
聞こえなかった。そして唖然としながらTVのリモコンを操作すると、先程まで
なのはが見ていたチャンネル以外でも○○空港の自爆テロの報道が行われており、
やはりユーノが無限書庫司書長と言う肩書きをもっていた為に実名報道でその死が報じられていた。
「そんな…ヴィヴィオは信じないよ。最近のマスコミは嘘しか報道しないってヴィヴィオ知ってるもん。
こういうのはTVなんかよりもずっとインターネットの方が当てになるもん!」
ヴィヴィオは慌ててパソコンのスイッチを入れ、インターネットを起動させるが…
そこでもやはりユーノの死が報じられており、ヴィヴィオも開いた口が塞がらなかった。
418悲しきしわ寄せ 3 ◆6BmcNJgox2 :2007/12/20(木) 19:22:51 ID:EOrvGa/6
「嘘…ユーノパパ…本当に…死んじゃった……。」
今度こそユーノの死を認識したヴィヴィオの目からは大粒の涙が溢れ出ており、
直後になのはに強く抱きついて来たのだった。
「うわぁぁぁぁぁぁ!! ママァァァァァァ!!」
「ヴィヴィオォォォォ!!」
大声を張り上げて泣き出したヴィヴィオに釣られる様に、なのはもまた子供の様に大声で泣き出した。
なのはにとって大切な夫、そしてヴィヴィオの義父がこんな思いがけない形で命を奪われたのである。
泣き出さない方が可笑しい。そしてフェイトは自分の涙を拭きながらこう言ったのである。
「ユーノ…そして空港の沢山の人の命を奪った輩は時空管理局が全力を持って捕まえてみせる!
だから…なのはは…無理しないで。ユーノの仇討ちがしたいのは分かるけど…
その為に無理してお腹の赤ちゃんが危険に晒されたら本末転倒だから…。」

フェイトは一度なのはの家を後にしたが、一時してまたなのはの家を訪れた。
やはり心配だったのである。自分がいない間にまたなのはがユーノの仇討ちをしようと
無理をしたりしないか? と言う事を…。しかし、部屋では泣き疲れて眠っていた
ヴィヴィオを優しく抱いた状態でソファーに座るなのはの姿があった。
「良かった…。ずっとそこにいたんだね?」
「フェイトちゃん…ごめんなさい…。」
「え?」
突然謝り出したなのはにフェイトも首を傾げる。そしてなのはは何故突然フェイトに
謝ったかの理由を話し出したのである。
「実は…獄中のスカリエッティでも締め上げてユーノ君のクローン作らせようなんて
変な事考えちゃった…。そんな事してもユーノ君が生き返るワケじゃないのにね…。」
なのはは目から涙を流しながらも…必死に作り笑いしながらそう言っていた。
なのはもフェイトを心配させまいと無理に明るく振舞おうとしていたのだろう。
「けど…本当にダメだよね。結局出来るのはユーノ君と同じ遺伝子を持った別人。
そんなのユーノ君じゃない。例え体は一緒でも『魂』は別物だから…。」
「なのは………。」
半ば冗談っぽい言い回し(?)もなのはなりに明るく振舞おうとした結果なのだろうが…
そうすればする程フェイトにも伝わってくる。ユーノを失った悲しみを…。
「だから…ごめんなさい…。ちょっとでもユーノ君のクローンを作れば…
なんて不謹慎な事考えちゃったから…。天国にいる本物のユーノ君に失礼なだけなのに…。」
「なのはが謝る事は無いよ…。悪いのはユーノと…他の空港を利用してた沢山の人の
命を不当に奪った連中だから…なのはは悪くない!!」
フェイトは目から涙を流しながらなのはの身体を強く抱きしめた。
「でもなのは…だからって自暴自棄だけにはならないで…。既に何度も言ったけど…
それでなのはだけじゃなくて…お腹の中の赤ちゃんまで大変な事になったら…
そんな事になったらユーノは何て思う!? だからなのは…無理だけは絶対にしないで!
なのははユーノの分まで生きなきゃダメ! お腹の赤ちゃんの為にも…。
もしなのはまで死んじゃったら…もっと沢山の人が悲しむ事になるんだよ!」
フェイトは必死だった。ユーノのみならずなのはまで死ぬ様な事になったら…
そんな事は絶対に嫌だ。だからこそ必死になのはを落ち着かせようと抱きしめていた。
「フェイトちゃん…ありがとう…。」
フェイトの想いが通じたのか、なのははフェイトを優しく抱き返していた。
「ユーノ君が殺されたのは悔しいけど……私…ユーノ君の分も生きるよ。
生きて…この子を産んで…ユーノ君の分も立派に育てて見せるから…。」
なのはは目に涙を浮かばせながらも…お腹を優しく撫でた。
419悲しきしわ寄せ 4 ◆6BmcNJgox2 :2007/12/20(木) 19:23:32 ID:EOrvGa/6
数日後、『聖王寺』と言う寺でユーノの葬儀が行われた。
無限書庫の司書長であり、また要でもあったユーノの死は時空管理局全体を震撼させ、
無限書庫関係者のみならず管理局の他課の者達等、様々な人々が葬儀に参列していた。

「南無阿弥陀仏…南無阿弥陀仏…。」
ユーノの遺影を前に、坊主が木魚を叩きながらそうお経を唱える中、
意外にもクロノのすすり泣く声が葬儀場に響き渡る。普段なんだかんだで
ユーノと口喧嘩の絶えなかったクロノだからこそ…ユーノの突然の死はショックだったのだろう。
「畜生…何で死んじまったんだよ…これからは誰をおちょくって楽しめば良いんだよ…。」
なまじ葬儀場が静かなだけに、その様な彼の愚痴もまた坊主の念仏に混じって聞こえて来る。
しかし、不思議な事にユーノの妻であるなのはは思いの他静かであった。
愛する夫であるユーノが死んでしまったのだからこそ、大声を張り上げて泣き出すのは
仕方ないと誰もが考えていただけに…両目を閉じた状態で静かに祈っているなのはの姿は…
誰の目にも不思議にな物に映った。

葬儀が終了した後、棺桶の中のユーノの遺体との最後の別れの際にも…なのはは
静かなままだった。しかし、火葬場へ移動する際のバスの中でなのはは皆に対し口を開いた。
「あのね…私が子供の頃ね…お父さんも空港でテロの被害に遭った事があったんだって…。」
「なのは…さん?」
突然口を開いたなのはに誰もが驚くが、彼女の言葉は続いた。
「同じ空港でテロ被害に遭ったのに…お父さんは大怪我だけで済んで…ユーノ君は死んじゃった……。
そう考えたら本当に神様って意地悪だよね…。お父さんを生かしてユーノ君を殺すなんて…。
でもね…最近になってこうも思い始めたの…。お父さんが生きて帰ったからこそ…
逆にそのしわ寄せでユーノ君が死んじゃったんじゃないかって………。どっちにしても
凄く悔しいけどね……。出来る物なら神様の頭冷やしてやりたい位だよ…。」
その言い終えてからやっと…なのはの目に涙が浮かび…泣き出した。
「酷いよ…本当に酷いよ…。私とヴィヴィオを置いて一人遠い所に行っちゃうなんて!
って怒ったって…ユーノ君だって被害者なんだからユーノ君に悪いよね………。
私もせめて………ユーノ君の最期を看取ってあげたかった…………。」
「なのは…。」
なのはの隣の席に座っていたフェイトは泣きじゃくるなのはを優しく抱き、
他の者もまた悲しげな顔になっていた。
「どっちにしても…あの空港でテロを起こした連中は許せないよ。」
「実質無限書庫が無力化されたも同然だしね。管理局も全力を挙げて犯人逮捕に動き出したよ。」
皆はユーノの死を悲しむ傍らで、その死を無駄にしない為に犯人逮捕に全力を尽くす決意を固めていた。
420悲しきしわ寄せ 5 ◆6BmcNJgox2 :2007/12/20(木) 19:24:59 ID:EOrvGa/6
その日の晩、なのはは久し振りにヴィヴィオと二人一緒に同じベッドで眠った。
ヴィヴィオが学校に通うようになって以降はヴィヴィオがしっかりして来た証拠として
別々のベッドで眠る様になっていたのだが…今日は別だった。
ユーノがいなくなった寂しさを紛らわすかの様に…二人は一緒に眠っていたのである。

そしてなのはは夢を見た。自分が始めてユーノと出会ってから現在に至るまでを
振り返る夢を…。まるでアニメの総集編を見ているかの様な…その夢に…自分とユーノの
様々な付き合いを思い出し…自然となのはの目にも涙が浮かんでいた。

それから、フェイトやはやてを初めとする様々な人達がなのはを心配して
仕事の合間にちょくちょくと彼女の家を訪れていたのだが、なのはは落ち込んでおらず、
むしろ明るかった。しかし皆には分かっていた。それはなのはが皆を心配させまいと
必死に明るく振舞っているだけなのだと…。やはりユーノの死はなのはの心に
大きな傷を作ったのだとますます実感させ、表面的には見せずとも皆悲しかった。

なのはが本当に心から明るい顔を取り戻すのは…それからしばらく経った後の事だ。
なのはのお腹の中の子供も育ち、ついにはお産の時がやって来たのである。
かなりの難産にはなったが…それでも何とか無事に産んだ。
ユーノを思わせる翠色の目をした元気な男の子を…。
「ユーノ君…心配しないでね。この子は…私が立派に育てて見せるから…。」
その時のなのはは…苦しそうでありながらも…心の底から嬉しそうだった。

なのはが心の底から笑顔を取り戻した事は、後に見舞いに訪れたフェイト達も直ぐに気付いた。
「なのは、元気になって良かったよ。」
「え? 私は何時も通りだけど…。」
「いやいや、やっぱり今までとはどこか違うよ。本当になのはが嬉しそうなのが分かる位。」
「そうかな?」
なのは自身としては、そういう事がどうも自覚無かったのだが、その後でこう言った。
「ねぇ…これから私ちょっと変な事言っちゃうけど…笑わないで聞いてくれる?」
「何? なのは……。」
ベッドの上で静かに微笑むなのはにフェイトを初めとするお見舞いに集まった皆が耳を傾ける。
「何となく…こう感じる時があるの…。ユーノ君が直ぐ隣で見ててくれてるって…。
お産で苦しくて…もうダメだって思ってしまった時なんかも…まるでユーノ君が直ぐ隣で
頑張れって応援してくれてた様な感じがして……やっぱり変だよね…。ユーノ君もう死んじゃったのに…。」
なのははかすかに笑いながらそう言っていたが、誰もなのはを笑う者はいなかった。
それ所かフェイト等涙を流し始めていたでは無いか。
「フェイトちゃんどうしたの? そんないきなり泣き出して…。」
「違うよ。嬉しいんだよ。私は…。」
「え…?」
フェイトは嬉しかった。なのはが本当に笑顔を取り戻した事もそうだが、
なのはが先に言った言葉で…例えユーノが死別してしまおうとも…二人は繋がっていると悟ったのだから。
確かに少々百合の気のある彼女にとって…なのはをユーノに取られるのは悔しいが…
今となってはそんな事どうでも良くなる位に嬉しかったのである。
421悲しきしわ寄せ 6 ◆6BmcNJgox2 :2007/12/20(木) 19:25:54 ID:EOrvGa/6
「所で赤ちゃんの名前は何にしたん?」
次ははやてがさりげなくなのはにそう言っており、なのははそれにも笑顔で答えた。
「実は二つ候補に上げてたんだ。男の子なら『ナーノ』、女の子なら『ゆのは』って…。
生まれたのは男の子だったから…『ナーノ』かな。」
「どっちにしても安直な名前やな〜。ただ単に二人の名前くっ付け合わせただけやん。」
「アハハハハハハハ!」
「そうかな〜。でもナーノでも悪くないと思うんだけどな〜。」
はやての突っ込みに皆も笑い出し、なのはも余り嫌そうな感じはしなくとも少々不貞腐れていた。

皆が帰った後、病室にはベッドの上のなのはと、一人残ったヴィヴィオの姿があった。
「ねぇねぇなのはママ…。」
「どうしたのヴィヴィオ…。」
突然話しかけて来たヴィヴィオになのはも顔を向けるが、そこでヴィヴィオは言った。
「ヴィヴィオも頑張るからね。ヴィヴィオももっと強くなって、天国のユーノパパの代わりに
なのはママと…ナーノを守って見せるからね。」
「ありがとうヴィヴィオ…。でも…あんまり無理はしないでね…。じゃないと…
なのはママがヴィヴィオの頭冷やしちゃうかも…。」
「あ…あ…うん…。その辺りも良く考えに入れておくよママ…。」
せっかく格好良く決めたと言うのに、やっぱりママには勝てないなと言わんばかりに
気まずい顔になるヴィヴィオであったが、それでも二人の顔には笑顔があった。

ユーノは死んでしまったが、代わりに新たな命であるナーノをなのはは授かった。
しかし、後にこのナーノが亡き父の仇を討つ事になろうとは…
その時誰にも想像も出来はしなかった。

                  おしまい
422悲しきしわ寄せ おまけ ◆6BmcNJgox2 :2007/12/20(木) 19:27:40 ID:EOrvGa/6
ここから先は完璧チラシの裏。読み飛ばしても問題ありません。

          おまけ【ナーノ=スクライアの生い立ち】
外見のみならず、能力的にも父ユーノの血を色濃く受け継いでいた為、父親同様に
非攻撃魔法に関して類稀なる才能があった反面、母親の様な派手な攻撃魔法に
関する資質はゼロに等しかった。やはり世間的には派手な攻撃魔法使える魔導師の
方が持て囃される傾向にある故、周囲から派手な攻撃魔法の名手である母親と
良く比較されたりと辛い少年時代をすごす。母親は「天国のパパも攻撃魔法は
使えなかったのだから気にしないで。」と優しく励ますが、やはりナーノとしては
自分が生まれる前に亡くなった為に直接会った事の無い父親よりも、今生きて
教導官をやっている母親や、同じく高い資質を評価されてベルカ式戦闘魔導師への道を進んだ義姉に
憧れを抱くのは当然で、憧れれば憧れる程攻撃魔法の使えない自分に強く劣等感を抱いてしまう。

そこで凡人と呼ばれながらも努力で成り上がった某執務官を師と仰いで
何とか努力で攻撃魔法会得出来ないかと無駄なあがきを始めるのだけども
無茶しすぎて逆に頭冷やされてしまう。で、その後で某執務官から
自分もかつて良い所見せようと無茶をした為にナーノの母親から頭冷やされたと
言う話や、某執務官も昔聞かされた、昔話風のオブラートに包んだ
ナーノの母親に関しての話を聞かされて納得&和解。

頭冷やして反省したナーノは攻撃魔法を諦めて、自分の長所を伸ばす方向に切り替えて
自身の技を磨き始めるのだけど、その中で『得意な非攻撃魔法を何とか工夫して攻撃に転用』を思い付き、
『バインドで敵の頚動脈なんかを締めて落とす』
『超強固なプロテクションを直接ぶつけて敵を叩き潰す』
『バインドを極限まで細く絞り込む事で切れ味を作り出して対象を切断する』
『プロテクションで敵の攻撃を防ぐだけでなく、180度反射させて敵を攻撃する』
『プロテクションを一点に集中凝縮させる事で弾丸化させる』
『プロテクションを細く絞り込む事で刃物化させる』
などと言った独特のファイトスタイルを確立し、攻撃魔法が使えない為に
ランクそのものは低くとも実戦では実質S級の実力を見せ付けた事もあって
『攻撃魔法は使えないけど戦闘のこなせる魔導師』位には認められる。

さらには『医者は人の殺し方も知っている。』をヒントに『逆回復魔法』をも開発。
その名の通り通常の回復魔法とは逆に治癒能力を逆転させ、傷口を広げてダメージを
与える逆回復魔法は忽ち恐怖の的となり、『下手すりゃ母親よりえげつねぇよ。』
『母親とは違う意味で悪魔だなこりゃ。』とか呼ばれる事になる。

あんまり厨にならない程度になのは×ユーノの子供に相応しい設定にしようとしたけど
やっぱ厨になっちまいましたスマソセン
423 ◆6BmcNJgox2 :2007/12/20(木) 19:29:26 ID:EOrvGa/6
以前私は「マージネーター」と言う話で、なのはが死んでしまって、
残されたなのは似の子供をユーノが男で一つで育てたと言うIFの未来を描きましたが、
今回はその逆パターンって事でお願いしますorz
424名無しさん@ピンキー:2007/12/20(木) 19:53:18 ID:6tkxXa8d
あー、ゆのはだっけ?
懐かしいw

てか、ユーノの葬儀て仏教なん?w
425名無しさん@ピンキー:2007/12/20(木) 19:55:27 ID:oMaKYn0C BE:208116634-2BP(0)
ナーノの攻撃方法がえぐすぎるw
426名無しさん@ピンキー:2007/12/20(木) 19:57:37 ID:2itUDEKV
>>423
乙。着想はいつもながら面白いんだけどね…やはりオマイにはシリアスな内容はm(ry

>「なのは…絶望しないで聞いて…。
こういう言い方はねーよw何か芝居がかってるぞ。せめて「落ち着いて聞いて」とかだろう?
427B・A:2007/12/20(木) 19:58:23 ID:88TZ03nL
新作ができたので投下します。

タイトル「フェイトの入院」

・クロノ×フェイトです。
・2人の頭がかなり悪くなっています。
・最後の方にエロがあります。
428フェイトの入院@:2007/12/20(木) 20:00:33 ID:88TZ03nL
次元空間航行艦クラウディアのブリッジで、クロノ・ハラオウンはこれから向かう管理外世界の情報を確認していた。
今回の任務は一定の技術レベルに達し、次元航行技術を確立した世界へ友好使節団を送り届けることだ。艦長であるクロノは直接向こうの世界と接することはないが、
何が起こるかわからないのが管理外世界というものである。うっかり向こうの機嫌を損ねてしまい、次元間戦争なぞ起こってしまっても、笑い話では済まされない。
「なるほど、文明レベルはミッドチルダと同じだが、軍事力は遥かに劣るのか」
「主力が歩兵で、質量兵器もほとんど実用化されてないみたいだよ」
操舵席で艦のコントロールを行っていた女性が言う。彼女はエイミィ・リミエッタ。クラウディアの管制司令にして、アースラ時代からクロノが最も信頼する部下の一人だ。
「いざ戦争になったら、こちらの圧勝だな・・・ん? この民族衣装は・・」
向こうの民族衣装を身にまとった女性の写真を見て、クロノの表情がいっそう引き締まる。
「それがどうかしたの?」
エイミィは自分の席にもその写真を呼び出す。見たところ、何の変哲もない衣装に見えるが。まさか、この服はとんでもない力を持ったロストロギアなのだろうか?
「フェイトに似合いそうだ」
盛大にエイミィはずっこけた。ここに八神はやてがいたなら、「お見事、隙のない完璧なずっこけや」と賞賛したことだろう。
「この、万年発情近親相姦野郎・・・」
こいつ、フェイトと付き合いだしてから頭のネジが緩んだのではなかろうか、とエイミィは思った。前は間違っても任務中に冗談など言わなかったのに。
(・・違う。あれはマジだわ)
小声で、「残高いくらだったかな?」と呟きながら口座のチェックをしているあたり、本人は大真面目なのかもしれない。そうだとしたら余計に泣けてくるが。
429フェイトの入院A:2007/12/20(木) 20:02:30 ID:88TZ03nL
「艦長、本局から入電です」
エイミィの隣に座っている通信士が叫んだ。
「追加指令か?」
「いえ、送信者は高町なのは教導官です。文章のみですが、読み上げますか?」
「ああ、やってくれ」
すると、通信士は少し逡巡した後、咳払いを一つして、文章を読み上げた。
「えー、『クロノくん、フェイトちゃんがケガして入院したから、すぐに帰ってきて』だそうです」
読み上げて艦長席に目をやると、クロノの姿はなく、代わりにクロノくん人形(フェイト作)が鎮座していた。
「だぁぁっ、逃げやがった! クラウディア全スタッフに告げる。ハラオウン艦長が逃亡した。見つけしだいただちに確保せよ!」
艦内中に、エイミィの怒声が響き渡り、乗組員がすわ一大事とばかりに騒ぎ出す。
「そこをどけぇっ! 僕をフェイトのもとへ行かせろ!」
「落ち着いてください、艦はもう出航しているんですよ」
「艦長がいなくなったら、艦はどうなるんですか!」
「知ったことか、僕は行かなきゃならないんだ!邪魔をするなら・・・」
「止めて、クロノくん! こんなところでデバイスなんて抜かないで!」
エイミィの制止も聞かず、クロノは電光石火の速さで術式を構築、氷結の杖を振るう。
「凍てつけぇっ!」
『Eternal Coffin』
瞬間、全てを凍てつかせる波動がクラウディアを包み込んだ。
430フェイトの入院B:2007/12/20(木) 20:05:52 ID:88TZ03nL

真っ白な壁に囲まれた病室のベッドにフェイトは腰かけていた。傍らには、知らせを聞いて駆けつけた高町なのはが、
対面には八神はやてと彼女のデバイス、リィンフォースUが座っている。
「ごめんね、心配かけさせちゃって」
自分の身を案じてくれている親友達に、フェイトはすまなそうに言う。
その日、フェイトは武装隊を伴ってロストロギアの回収任務についていた。任務自体は問題なく終わったのだが、
帰る途中でロストロギアが封印されていた遺跡のトラップが発動し、多数の傀儡兵が出現。その内の一体が放った攻撃がフェイトに当たってしい、
運悪くソニックフォームを発動していたフェイトはもろにダメージを受けてしまったのだ。
「それにしても、骨折だけで済んで良かったね」
フェイトの右腕は、肘から先がギプスで固定されていた。それ以外は、特に外傷らしいものはない。
「ほんまや。フェイトちゃんが入院したって聞いたから」
「てっきり、なのはさんみたいに大ケガしたかと思ったんですよ」
「本当は、入院するまでもないんだけどね」
実際のところ、防御魔法が間に合ったおかげで、骨にヒビが入っただけで済んだのだが、武装隊のみんながケガしたことにテンパって、無理やり入院させてしまったのだ。
「けど、フェイトちゃんがもろに攻撃食らうなんて、その傀儡兵はフェイトちゃん以上に速かったん?」
フェイトのスピードは同ランクの魔導師の中でも群を抜いている。防御を捨ててまでスピードを強化したソニックフォームともなれば、ここにいる2人でもその動きを捉えることは容易ではない。
「うぅん。傀儡兵はそれほど強くはなかったんだけど、私がミスっちゃって」
サッサと片づけようとザンバーフォームを起動したところ、障害物の多い屋内では思うように振り回すことができず、その隙を点かれてしまったのだ。
前々から取り回しが難しいと思っていたので、これを機に新しい形態をバルディッシュに組み込んでみるのも良いかもしれない。そう、大剣じゃなくて刀にして、二刀流にしよう。
そうすれば二杖術を使うクロノとお揃いだ。ついでにソニックフォームも改良して、もっとクロノが喜んでくれそうなのにしよう。
「はは・・あはは・・」
妄想しながら不気味に笑う親友に、はやては「あかん、腕やのうて頭がイッてる」と嘆くのだった。
431フェイトの入院C:2007/12/20(木) 20:07:36 ID:88TZ03nL
不意に病室の扉が勢いよく開かれ、防護服のままのクロノが倒れるように駆け込んできた。
「クロノ!?」
「どないしたん、その格好!?」
クロノの防護服はボロボロで、ところどころ凍りついていた。髪には白い雪が積もっており、唇にいたっては紫色だ。
どう見たって、雪山から下山してきたようにしか見えない。
「や、やあ・・その、フェイトが入院したって聞いて」
「それで、心配になって戻って来たんやな」
はやては感心しているのか呆れているのか、よくわからないため息をつく。一方、リィンはというと、「はわわ」とか「あわわ」とかよくわからない言葉を口走っている。
「なのはちゃん」
「そうだね。フェイトちゃん、私達、ちょっと出てくるから」
「後は、お二人でごゆっくりぃ」
含みのある笑みを浮かべながら、2人はリィンを連れて病室を出ていった。
「気を利かせてしまったみたいだな」
言いながら、クロノは防護服を解除し、管理局支給の制服へと戻る。
「クロノ、確か今、出張中じゃ・・・」
「ああ。アクシデントが発生してね、艦の出航が遅れているんだ」
本当は、クロノの魔法でクラウディアが凍結してしまい、出航するにできない状態になってしまったのだが。
「ごめんね、クロノにまで心配かけて」
「気にするな。その・・・恋人だからな」
顔を真っ赤にしながら、クロノは言う。その仕種が堪らなく愛おしく感じ、フェイトは自由の利く左手で恋人を抱きしめた。
「ありがとう・・・・クロノ」
432フェイトの入院D:2007/12/20(木) 20:08:33 ID:88TZ03nL

「それにしても、フェイトちゃんがケガしたこと、誰がクロノくんに伝えたんだろうね?」
病院の廊下を歩きながら、なのはは疑問を口にした。
「あれ、なのはちゃんとちゃうの?」
「私は、知らせを聞いてすぐに飛んで来たから、そんな時間なかったよ。てっきりはやてちゃんが知らせたのかと思ってたんだけど」
「うちかて陸士隊から直接来たから、連絡している暇なんてなかったわ。リィンは何か、心当たりある?」
「えぇっ? り、リィンは、何にも知らないですよぉっ!」
明らかに挙動不審な態度で、リィンは否定する。だが、はやてもなのはもそれに気づくことなく、首を捻りながら食堂にでも行こうかと話し合うのだった。
433フェイトの入院E:2007/12/20(木) 20:10:30 ID:88TZ03nL

「ん・・・はぁ・・」
1分近く重ねていた唇を開放され、フェイトは息を乱しながら脱力する。
「クロノ・・・今じゃなきゃダメ?」
「ダメ、今欲しいんだ」
「でも、ここ病院だから・・・・」
「だから?」
「誰かが・・・きちゃう・・・・」
「フェイトとなら、見られても良いよ」
フェイトの白いうなじに舌を這わせながら、クロノは右手を背中から尻へと下ろしていく。さわさわとしたくすぐったさにフェイトは悶えるが、
ここが病院だということを思い出し、慌てて左手で口を塞ぐ。
「ダメ、手をどけて」
クロノはフェイトの手を払うと、再びその唇を自分の唇で塞ぎ、そのまま舌を強引にねじ込んだ。
「あんっ・・・・」
くぐもった声がフェイトの口から漏れる。完全に主導権を握られ、フェイトはクロノの大きな舌先を受け入れるしかなかった。
(クロノの・・・入ってくる・・・クロノの舌・・・舌が・・・)
まるで犯すように、クロノの舌がフェイトの舌に絡みつく。互いの唾液が混じりあい、フェイトは異様な陶酔感を感じていた。
段々と頭の中が真っ白になっていき、フェイトにはここがどこで、自分が何をしていたのかさえ曖昧になってくる。
434フェイトの入院F:2007/12/20(木) 20:12:26 ID:88TZ03nL
「ううん・・・・うぅっ・・・・」
そんなフェイトに、クロノは更なる交わりを求めるように、粘着いた唾液をフェイトの口内に流し込む。
無抵抗なフェイトはただただそれを受け入れ、喉を鳴らしながら飲み下すことしかできない。
(飲んでる・・・・わたし・・・クロノのよだれ・・・のんでるよぉ)
次々に送られてくる大量の唾液は、瞬く間にフェイトの唇をドロドロに汚す。それでもフェイトは嫌がる素振りを見せず、
クロノの唾液を従順に飲み干した。まるで口の中が性感帯になったように、フェイトはクロノの舌と唾液だけで、軽い絶頂に達する。
「クロノ・・ダメ・・・・わたし・・・・」
10分以上の濃厚なディープキスに、とうとうフェイトは根を上げる。唇に唾液の糸を引いたまま、頬を赤く染め、消え入りそうな声で、フェイトは哀願する。
「クロノの・・・ちょうだい・・・・」
「なにを?」
わかっていながら、クロノはあえて聞いた。麻痺した理性では正常な判断ができるわけもなく、フェイトはクロノが本当にわかっていないと思い込み、
必死で言葉を紡ぐ。
「クロノ・・・クロノの・・おっきくて、気持ちいいの・・・・」
「僕のなんだい? ちゃんと言葉にして?」
「クロノの・・・クロノの・・・・」
口をパクパクさせ、喉まで出かかった言葉を何度も口にしようとする。けれど、どうしても言えない。恥ずかしくて、死んでしまいそうになる。
「言ってくれないなら、今日はお預けかな」
自分から迫ってきながら、クロノはそんなことを言う。だが、「お預け」という言葉は、今のフェイトにはとても効果的な攻撃だった。
「やだ、言うから・・・ちゃんと言うから・・・」
目に涙を浮かべ、顔を真っ赤にしながら、フェイトは精一杯の勇気を振り絞る。
「クロノの・・・・クロノのおチン○ンを・・・フェイトの・・フェイトのおマ○コに・・・・くだ・・ください・・・・・」
嗚咽混じりで、途切れ途切れになりながら、フェイトは言う。
クロノはフェイトの頬を伝う涙を指で拭うと、耳元で優しく囁いた。
「良い子だ」
435フェイトの入院G:2007/12/20(木) 20:13:55 ID:88TZ03nL

『クロノ、あっ、んっ、そこ・・・いいっ!』
『こうか、ぐぅっ、締まる・・・・』
『だめぇ、来る、何か来る・・・・』
『ぼくも・・・・あぁぁっ』
扉の向こうから漏れる嬌声を聞きながら、はやてはため息交じりに漏らした。
「ほんま、仲が良くてなによりやね」
「にゃはは、そうだね」
つられて、なのはも苦笑する。
食堂から戻ってきた2人は、かれこれ1時間、ここで足止めを食らっていた。別にサッサと帰っても良かったのだが、
完全に2人の世界に入ってしまったフェイト達には、外に声が漏れているという考えはないようで、
さっきから周りをはばかることもなく交わりあっている。そのため、外に声が漏れないよう、2人は病室に結界を張っているのだ。
ちなみに、リィンは教育上良くないからという理由で耳を塞がれている。
「後、どれくらい続くんやろうね」
「さあ・・・あぁ、ユーノくんに会いたい」
「ええね、恋人がおる娘は」
何だか無性に虚しくなるはやてさんでした。

                        fin
436フェイトの入院H:2007/12/20(木) 20:14:59 ID:88TZ03nL

おまけ

『・・・ということをお願いしたい』
陸士隊ではやてとともに仕事を行っていたリィンは、バルディッシュから突然の連絡を受けた。
なんでも、任務中にフェイトがケガをして入院したのだそうだ。リィンがはやてと一緒にすぐに向かうと言うと、
バルディッシュは『その前に、君に折り入って頼みたいことがある』と切り出してきた。
「えっと、なのはさんの名前を使って、クラウディアにメールを送れば良いんですね」
『そうだ。文面は先ほど言った通りに』
「わかりました。けど、なんなんですか、これは?」
『悪いが、君に知る資格はない。だが、報酬はちゃんと払おう』
「はーい。クラナガンで一番おいしいアイス屋さんの、スペシャルジャンボパフェDXサイズですね」
『うむ。では、このことはくれぐれも他言無用でな』
知らぬはマスターばかりなり。
437B・A:2007/12/20(木) 20:16:26 ID:88TZ03nL
以上です。
段々、僕の頭の中でクロノはすごく鬼畜な奴になりつつあります。
438名無しさん@ピンキー:2007/12/20(木) 20:33:28 ID:wrN5vSsI
てか
>・フェイトが馬鹿じゃない
これ書かないといかんほどフェイトさんって壊れ系多いのかよw

ところで個人的に「壊れなのは」というと
『二人とも死ねなのー!』とか『フェイトちゃんが避けたら地球はry』
みたいなので壊れフェイトは
『なのはハァハァ』とか『エリオ可愛いよエリオ』
みたいなイメージなんだが、その違いはなんなんだろう。
439名無しさん@ピンキー:2007/12/20(木) 20:46:11 ID:giOxEONj
>>437
GJ!
>クロノはすごく鬼畜な奴になりつつあります
クロノはキャストオフでエロノ。ハイパーキャストオフで鬼畜ロノになれる逸材ですので無問題。

>>438
一時このスレでお馬鹿フェイトが大流行したからねぇ。
あとエリフェだとどうしても涎垂らしてるフェイトさんが想像されてまうし。
440( ゚Д゚):2007/12/20(木) 21:32:36 ID:RYrN/gGY
>>423
GJ! だが本編のなのはがアレすぎてその程度では厨と 認  め  ら  れ  ん  な  。


>>424
日本で葬儀したからじゃないの?
441( ゚Д゚):2007/12/20(木) 21:34:36 ID:RYrN/gGY
>>437 B・A氏もGJ。
しかしこのあとクロノはクラウディア氷結で何かお咎めはなかったんだろーか。

まぁ、俺の中ではクロノは概ね被害者です。
442名無しさん@ピンキー:2007/12/20(木) 22:32:20 ID:tfgEfITy
>>423
ってかもう、最初の「・フェイトが馬鹿じゃない」の時点で吹いたわwが、まあ確かにあなたの場合はこれを書く必要があるかもしれないという前科の多さー
そしてネーミングセンスは相変わらずなのねw
内容に関してはGJっした
443名無しさん@ピンキー:2007/12/20(木) 23:13:11 ID:ChwJ2jir
このリアル鬼ごっこみたいな文章なんとかならないの?
444名無しさん@ピンキー:2007/12/20(木) 23:17:42 ID:/7QONBzi
まず自分が書いてから言おうぜ、そういうことは。
445名無しさん@ピンキー:2007/12/20(木) 23:20:53 ID:ChwJ2jir
更新せずに脊髄レスしたら違う作品挟まったが>>416
446名無しさん@ピンキー:2007/12/21(金) 00:13:20 ID:GdukZ1wp
>>445
おなじこと。気に入らないと思ったら読まなければいいだけ
あといい訳するのもいいけど一言「すまん」ぐらいは入れよう
447名無しさん@ピンキー:2007/12/21(金) 00:17:56 ID:/35NM6bi
>412
超ガンガレ。期待している。

俺も本編であまりにも不遇なアインヘリアルたんがなぜか気に入ってしまって
主役張る馬鹿話書いてみてるが、文才が欲しい……。
448名無しさん@ピンキー:2007/12/21(金) 00:17:59 ID:L0fGbsRD
>>423
なんというか、南無阿弥陀仏で笑ってしまう俺はだめかもしれん。
それはさておきGJ!
449名無しさん@ピンキー:2007/12/21(金) 02:51:37 ID:t24BIVJh
>>206-213
遅レスだし今の話の流れと全然関係ないし
くだらない事だけど、これでなのはが振られたら
まさに某T.M.Rの「魔弾」だなとか、ふと思いました。
タイトルも別の意味でピッタシだしw
450ゲリラ兵 ◆QCnUms2uBE :2007/12/21(金) 06:27:56 ID:3/JB+53w
はふん、進みが遅いなぁ。この俺がスロウリィ!?
ちと兄貴のところで叩きなおされてくるか
仕事が忙しいよ……くう

[はやてとクライド]
今日までは下準備。次回は……くふふ

ほいでは朝刊〜w
451〜ソラノカケラ〜(34)(1/2):2007/12/21(金) 06:29:28 ID:3/JB+53w
 翌朝、騎士達と別れると相変らず黒一色のクライドを連れていつかの白いミニスカ姿のはやては普段とは違う方向へと歩き出す。
腕のひとつも組みたかったが、正直恥ずかしすぎてできなかった。
(あのときはうまくできたのになぁ……)
勿論彼の表情もいつも通り柔らかいのであるが、完全に微妙な距離としか表現のしようがない。
レールウェイをいくつか乗り継いで辿り付いた先は聖王教会の病院施設。
受付に入って、二言三言はやてが看護婦を会話をすると、待合室にクライドを置いてどこかへと連れられていった。
しばらく待っていると戻ってきたはやての服装は薄いピンク色のナース服、つまりどっからどうみても看護婦さんで、彼は驚かされる。
「どや?似合うかな?」
「ああ、確かに似合うが……それは一体?」
「えへへ、今日は一日看護婦さんなんやー」
「ん?はやてが治療するのか?」
「うん、せやでー」
はやてが治療、と考えて思い当たる節はひとつしかなかった。
「ああ……もしかして治療魔法か?」
「ぴんぽーん!正解や」
「ふむ。一体何を?」
「歩きながら説明するな。患者さん待ってはるし」
「ああ」

 はやての説明を簡単に要約すると以下の通りである。
彼女達が使っているような高性能デバイスを構成するには欠かせない素材を生成する為に、発生してしまう副産物があること。
その副産物はありとあらゆる物体を透過するが、リンカーコアにだけ悪影響を及ぼすこと。
そしてその治療魔法が彼女の中に眠っていた事――であった。
「本当はな、その粒子自体を無効化する魔法なんや。ずっと使い道わからへんやったんやけど、
つい最近マリーが気づいて、使こうてみたら中毒者にも効果あるからってたまにきてるんよ」
「なるほど……」
「かなり昔にな、発掘現場ででっかい事故があったらしくて、そのときその副産物を浴びてもうた人たちが今でも苦しんではる。
消費魔力もたいしたことないし、そんなんほっとけへんやんか」
「ああ、その事故なら記憶にあるな……暴発事故だったような記憶があるが」
「うんうん、それや〜。さすがクライドはん物知りやな」
「いやいや、偶然だよ」
「またまたー」
背中とか突きながらからかうはやてであったが、どっきんどっきんしていることは言うまでもない。
しかも、クライドはんこういう趣味とかないんかなーとか完全に間違った方向性の妄想にまで発展していちゃったりしたのであるが。

 病室のベッドの上、白い医療用のシャツを着た短い白髪の初老の男性の背中にそっと白い光を伴った手を当ててじっと集中しているはやて。
クライドも壁に寄りかかって見守っていたが、治療されている側の症状が軽減されていっているのは明らかであった。
効果が限界に達したのか、治療側がそっと手を離す。
「はい。今日はこのぐらいかな?」
「ありがとうございます、ありがとうございます」
まるで神様か何かのように手を合わせて拝まれて、いえ当然の事ですからーとさりげにかわしてはいたが、さすがにはやての微笑みは少し困っていた。
「じゃ次いきますね〜」
とん、とベッドから降りて次の患者のところへ向かう彼女に集まる視線は、クライドも含めてまるで天使を見守っているかのようであった。
452〜ソラノカケラ〜(34)(2/2):2007/12/21(金) 06:29:57 ID:3/JB+53w
 ナース服姿のまま楽しく彼と共に昼食を取った後もはやては治療を続け、病院をでて夕食用の食材を買い込んでようやく家路に着いた頃には
すっかり空も橙色に染まっていて、手を繋いでも腕を組んでも全く違和感もない雰囲気で、
実際かなり前からそう思い立っていた彼女ではあったのだが未だに逡巡していた。
(うう、なんでこんなことひとつできへんのやうちは……)
会話もなく無言で並んで歩く帰り道。
しかしさすがに、もうすぐ自宅という曲がり角二つ前ぐらいで、なんとか白いミニスカート姿のはやては切り出す。
突然立ち止まった彼女に合わせて、クライドも立ち止まって振り返った。
「どうした?」
顔を真っ赤にして俯いたまま、声も出せずに居るはやてに問いかける。
返って来た声はひどく小さかったが。
「手……繋いでも……いい?」
「……ああ」
そしとクライドがはやての手を取ると、それだけでびくっ、と彼女の体は震えたが、しっかりと握り返して再び歩き出す。
ゆっくりと手を引かれながら、彼女はありえない永遠を望まずにはいられなかった。
(ずっと、こんな時が続けばいいのに)
しかしそんな想いも空しく、一歩一歩終わりは近づいていく。
そして――さらにそんな願いを抱くはやてと手を繋いだ人の方は、自覚できるほどに違った想いを頭の中で巡らせていた。
恋人なのか、娘なのか、妹なのか――。
彼が、顔を真っ赤にして俯いているその横顔をいくら見つめてみても、答えは出てこなかった。
453ゲリラ兵 ◆QCnUms2uBE :2007/12/21(金) 06:36:28 ID:3/JB+53w
>339 大分かかりましたが……次回はえろえろです。ええ、誰がなんと言おうとえろえろですw
ほいではまた〜ノシ
454名無しさん@ピンキー:2007/12/21(金) 06:39:07 ID:vVTA+chm
リアルタイムGJです。
手を繋いだ瞬間ビクッとするはやて。
可愛いらしいというかなんというかほほ笑ましいが良すぎる
455名無しさん@ピンキー:2007/12/21(金) 11:08:04 ID:yp3uCrPo
>>453
GJ! これだ、このいちゃいちゃがみたかったんだ!

クライドがスクライドに見えたのはここだけの秘密なのです……
456名無しさん@ピンキー:2007/12/21(金) 13:22:12 ID:HSniUwB5
いやほうううぅぅぅぅぅぅぅ
>>453
GGJJJJJJJ
かわいすぐる!

>>455
俺も当初そう読んでた>スクライド
457名無しさん@ピンキー:2007/12/21(金) 14:04:53 ID:D9typJts
ところでさ、保管庫のことで前から気になってたんだが
何で「ティアナ」と「ティア」が別々に保管されてるんだ?
ややこしいんでどっちかに統一してもらえんだろうか。
458名無しさん@ピンキー:2007/12/21(金) 14:10:04 ID:6RGLtSO4
98 名無しさん@お腹いっぱい。 sage New! 2007/12/21(金) 13:37:32 ID:ydKZd9iQ
でもあそこあまりに非エロ多すぎる、ガキはくるなよ
触手とか鬼畜が読みたいのに雰囲気がそうさせてくれない

見に覚えのある奴いるだろ
459名無しさん@ピンキー:2007/12/21(金) 14:36:10 ID:CQdtp7U3
でもさ〜、明らかに反応はエロの時より、非エロの時の方が多いんだがw
しかもエロ描写に対する感想があったかと思えば「陵辱は苦手」とかなんとか…
ぶっちゃけ、読み手の需要は非エロ>エロじゃないの?って最近思う
460名無しさん@ピンキー:2007/12/21(金) 14:50:33 ID:HSniUwB5
>>459
実は俺は422さんの散ル明日が大好きだったりする…
461名無しさん@ピンキー:2007/12/21(金) 15:18:52 ID:w+p/lclZ
今でも二、三スレに一回は陵辱とかが投下されてるが
ものすごい反応薄いんだよな。
書き手にしてみれば、やっぱり良いなり悪いなりなんらかの感想がつかないと
もう一回同じ系統の話書こうという気が無くなるでしょ。
欲しい欲しいと言うだけでなく、最低でもGJの一言ぐらいは書いとけよという話。
462名無しさん@ピンキー:2007/12/21(金) 15:41:13 ID:3TQ8f9xF
>>458
わざわざ自分で自分のレスを紹介せんでも。
463名無しさん@ピンキー:2007/12/21(金) 15:58:14 ID:VobMCuSm
作品ならばいかなる内容でもどんどん気にせず投下しても問題ないでしょ
個人的にはアブノーマルなH物も読んでみたい、まぁ人によって嗜好に差が
あるのは当然だし、前もって要素を挙げとけば嫌いな人は読まなければ
良いわけで。

>>458
だから空気は読む物じゃなくて吸う物だって以前のスレで(ry
雰囲気は作るものだ、嫌なら変えるべく作品投下するのが効果的
雰囲気のせいにして叩きたいだけにしか見えない
464名無しさん@ピンキー:2007/12/21(金) 16:17:09 ID:oqsSMq7X
この手の話は荒れて作家さんが投下しづらくなるからやめましょう。
話が投下されなくて過疎るよりはいいと思いますよ。
465名無しさん@ピンキー:2007/12/21(金) 16:35:34 ID:B5j2bZ5I
そうですね


エロくてエロくてしかたがないSSをッ!
実用的SSを激しく希望したいですねッッ!!

主導権(ベッド上の)を握ろうと奮戦するも空しくヴァイスに陵辱されるティアナとか
陵辱の意味が何か違うような気がするがキニシナイ
466名無しさん@ピンキー:2007/12/21(金) 16:45:11 ID:ebP+lnXj
>>453
ありゃ、クライド側のそのへんの感情も描くのか>恋人なのか、娘なのか、妹なのか
読んでて若干気にはなってたけど、やっぱりまだフラグ不足か。
元々妻帯者だったし、はやてと会ってまだ日が浅いしなぁ。

>>457
俺も気になってた。

>>459
元々ガチエロは感想書きにくいからなぁ。触手・陵辱ともなればなおさらなんじゃないか。
これが萌えエロなら「キャロたんハァハァ」とか「3Pキター」とか「なんて――ツンデレ」とか、
いくらでもコメント出てくるからな。

まあでも、エロエロしければいくらでも需要はあると思うけど。
467名無しさん@ピンキー:2007/12/21(金) 16:45:26 ID:l+nWUT/3
流れを無視してスバエリか見たいと言ってみる
ハートフルな感じになっていいと思うんだけどな
468名無しさん@ピンキー:2007/12/21(金) 16:48:03 ID:BaC523cT
では3人娘とエリキャロ以外のエロを希望しておこう。
たまには変わったものも読みたいんだ。
469名無しさん@ピンキー:2007/12/21(金) 17:29:32 ID:LEPW44nw
違うんだ、非エロを書きたいけど行き場のない職人を受け入れる、リベラルなスレなんだよ。
470名無しさん@ピンキー:2007/12/21(金) 18:00:40 ID:fVhliS9j
非エロってのは、和菓子に入れる塩みたいなもんだと思うんだ
塩をひとつまみ入れると甘さが引き立つように、エロくない話の投下でエロい話のエロさが引き立つというか何というか、そんな、感じで・・・

スマン、日頃からこのスレに塩ばっかり入れてる馬鹿の台詞じゃねぇやな。吊ってくる
471名無しさん@ピンキー:2007/12/21(金) 18:16:07 ID:CQdtp7U3
>>470
俺も一緒に逝くよλ............
次回勇気を出してエロいの入れようかな…なぬはさんが益々鬼畜になっちゃうけど…
472名無しさん@ピンキー:2007/12/21(金) 18:24:12 ID:B5j2bZ5I
>>470-471
お前たちだけ逝かせるわけにはいかねえよλλ............

エロを書く!!
しかし、魔法少女たちがエロへ至る道筋“も”しっかり書かなくてはならないのが職人のツライ所だ。
473名無しさん@ピンキー:2007/12/21(金) 18:29:47 ID:S53wfYLK
>>472
だからこそ楽しいと言える職人は立派なんでしょうね……
時に糖度200%の作者はもう現れないのでしょうか……いや、あの人の作風とか大好きなんですけどね。
474名無しさん@ピンキー:2007/12/21(金) 18:34:10 ID:qKG+V4+9
>>473
176氏は自分のHPもってるからもうこっちには来ないかもなー
475名無しさん@ピンキー:2007/12/21(金) 18:37:56 ID:i3Oq5UhH
投下しても大丈夫ですか?
476名無しさん@ピンキー:2007/12/21(金) 18:37:59 ID:fVhliS9j
理由無きエロス、ってのはねぇ・・・偏見だとは思うが、エロパロってシチュに拘ってナンボ、っていうイメージがあるんだ
そうじゃなかったら、適当に擬音と喘ぎ声を並べて、台詞の「」の前に名前を書いときゃ何でも良い、ってことにもなっちまう。どんなものでもだけど・・・
勿論、極論中の極論じゃが

読む人間を選ばないくらいの話が描けるようになりたいもんですなぁ
ついでに言うと、時々名前を上げて貰えるくらいの職人に憧れますねぇ・・・精進精進

477名無しさん@ピンキー:2007/12/21(金) 18:38:45 ID:fVhliS9j
>>475

歓迎
478ておあー:2007/12/21(金) 18:41:56 ID:i3Oq5UhH
>>477
把握。でも流れを読まない非エロだよ? いや、最終的には入るけど・・・

前回レス下さった方、ありがとうございました。
ちょっとタイムリーなネタを投入しようと思って書き始めたら50kbを超えてなお終わりが見え
ないので急遽短期集中連載的投下に切り替え。朝刊ならぬ夕刊的な何かです。
でも鮮度的な理由で最高でも5日しか投函されません。


今回の注意

・舞台はJS事件終了後、本編でいう新暦75年の年の瀬です
・基本はギャグですが、根底にあるのは『ほぼ全員に見せ場を』という気持ちです
・一部を除いて全ての登場人物が等しく壊れています。フリーダムです
・そしてネタまみれなおバ会話を繰り広げてます
・エロは最後のほうにユー×なのでちょっと(なのはさん的な意味でなく)だけあります。今回じゃないです
・その他オリジナルのカップリングが幾つかあります
・割といろいろ妄想設定です

という事で今回注意が多いです、酔狂な方だけお付き合いください。
シリーズのタイトル兼シルバーカーテンの起動キーは『機動六課のクリスマス』です。

479『機動六課のクリスマス』:2007/12/21(金) 18:43:17 ID:i3Oq5UhH
0.

 それは暮れも差し迫ったある日のこと。
 なのはは愛娘がきょろきょろと辺りを見回す姿に気がつき声をかけた。

「むー……」
「あれえ、どうしたのーヴィヴィオ?」
「あ、ママー……ザフィーラがどこにもいないの」

 どうやらいつも自分と一緒に居てくれるペット兼ボディガード兼移動式モフモフ兼非常食の
姿が見当たらないので探し回っているらしい。
 なのはは記憶を探る。
 確か今日彼ははやての警護で朝早くから別次元に出張中のはずだ。

「ああ、ザフィーラなら、今日ははやてちゃんと一緒にお出かけしてるんだよ」
「お出かけー?」
「そうだよー、夕方には帰ってくると思うよ」
「そっかあ……」
 ヴィヴィオは納得したようだが、まだ少し不満そうな顔をしている。
「ヴィヴィオはホントにザフィーラのことが好きだね」
「うん! ザフィーラ、いつもヴィヴィオと一緒にいてくれるの! だからわたし、ママが忙
しくても全然寂しくないよ!!」
 
 ヴィヴィオのスティンガーブレイド、エクスキューションシフト(ざくっざくっ)!!
 こうかは ばつぐんだ!!

「ヴィヴィオ、おっきくなったらザフィーラのお嫁さんになるの!!」

 さらに追撃の罠カード発動。
 微妙に笑い話で済まされない可能性があるのでまた性質が悪い。
 きっとなのはの頭の中ではフェイトが歌っている声が聞こえているだろう。

「……orz」
「ママー、大丈夫?」
「大丈夫だよ、ヴィヴィオ……わたしはえがーおでいーますー、げんきでーすー」
「ママそれだめー(ジャス○ック的な意味で)!」
「ごめんツッコミはちょっとだけ待って、今『素数』を数えて落ち着くから……」

 2…3、5…7…そうだよね……わたしやフェイトちゃんはいつも忙しいもんね…… 
 11…一緒に居る時間は……13…ザフィーラが一番長いよね……
 もっとわたしが一緒に……17、居てあげられたらいいんだけど……19。よし。
  
「……ママー、ほんとにだいじょうぶー?」
「うん、もう大丈夫だよ……ヴィヴィオ、いつも寂しい想いさせてごめんね。でも、もうすぐ
ママもお休み取れるから、クリスマスやお正月はずっとヴィヴィオと一緒にいられるよ。サン
タさんにもプレゼントをお願いしないと……あれ、どうしたのヴィヴィオ?」
「ママー、『くりすます』ってなーにー?」


機動六課のクリスマス☆彡
480『機動六課のクリスマス』:2007/12/21(金) 18:43:57 ID:i3Oq5UhH
1.

「クリスマス……かあ」
「確かなのはさん達の世界にあるっていう伝統行事よね」

 なのはとヴィヴィオのそんな会話があった翌日。
 早朝訓練を終えた訓練場で『クリスマス』なるものについて話し合うフォワード陣の姿があ
った。

 基本的にミッドチルダにクリスマスを祝う習慣は無い。
 優秀な魔導師を多く輩出している事で、管理局内ではそれなりに認知されている第97管理
外世界―いわゆる地球だが、一般的なミッド人にとっては管理『外』世界の一つである。
 そこに住む人間がどのような生活形態や風習を持っているかを知る者は少なく、せいぜい地
球出身の者が内輪で集まってささやかな宴を催す程度だ。
 にも関わらずフォワード陣がこのような話をしているのは、先程まで行われていた訓練の最
後に、隊長陣から『12月24日は夜の訓練をお休みしてクリスマスパーティーをする』とい
う話があったからである。

「あんたは何か知らないの、スバル? 確か元を辿ればアンタのご先祖様もなのはさんと同じ
世界の人だったわよね」

 ティアナに聞かれ、スバルが記憶を漁る。

「んー……確か元々は何かの宗教的な行事で、神様が生まれた日? だったかな。詳しくはよ
くわかんないけどうちでもケーキ買ってお祝いするよ。五段重ねのウェディングケーキみたい
なやつ」
「うえ……」

 想像しただけで口の中が甘ったるくなるような話である。
 さすが戦闘機人仕様、人工臓器で糖尿病も怖くないといったところか。

「ま、まあこっちでいう聖王教の『聖誕祭』みたいなもんかしら」
「たぶんね」
 ミッドチルダを始め多くの次元世界に信者がいる聖王教にも聖王様が生まれた日を祝う『聖
誕祭』なる祝日がある。それと似たようなものだろうとティアナは判断した。

「僕、フェイトさんから聞いた事があります。クリスマスは『家族や大切な人が集まって過ご
す日』だって」
「私もエリオ君とおんなじ話を聞きました」

 エリオとキャロのちびっこカップルが口を開く。

「あと、"サンタサン"って人が子供達にプレゼントをくれる日だって話もしてました」
「"サンタサン"? なんだか悪魔みたいな名前ね」
「でも凄くいい人なんですよ。"サンタサンは"クリスマスの夜に世界中を飛び回って、子供達に
プレゼントを配って回るんだそうです」
「プレゼント?」
「はい、"サンタサン"が持っている白い大きな袋の中には玩具やお菓子がたくさん入っていてる
んだって」
「それに、"サンタサン"は何も聞かなくてもその子がどんなものを欲しがっているのか、ちゃん
とわかってるんです」
「すごーい! ね、すごいねティア!!」
「いや、ありえないでしょ」
481『機動六課のクリスマス』:2007/12/21(金) 18:44:51 ID:i3Oq5UhH

 "サンタサン"の話に大興奮するスバルに対し、ティアナの表情は冷めたままである。
「人の欲しいものを何も聞かずに当てられるって相手の心が読めるって事でしょ? 魔法使いじ
ゃあるまいしあり得ないわよ」

 ある意味自己否定に繋がりかねない発言だが、そんなちっぽけな言葉のナイフでちびっ子達は
怯まない。

「あ、でももしかしたら"サンタサン"は僕達と同じ魔導師かもしれないですよ。確かフェイトさ
んが『"サンタサン"は普通の人が着ないような、変わったデザインの真っ赤な服を着てる』って
言ってました」
「真っ赤な服?」
「はい、全身真っ赤な服を」
「あと、プレゼントを配る時はトナカイを連れていくって言ってました」
「紅いバリアジャケットに、トナカイの使い魔ねえ……? そういえば子供にプレゼントを配る
って、具体的にはどんな風にするの?」
「確か……家のみんなが寝静まった頃に煙突から家の中に入って」
「寝ている子供の枕元にプレゼントを置いていくって」
「……な、なんかそこだけ聞くとただの変質者みたいに聞こえるんだけど。それで煙突がない家
はどうするの?」
「さあ……?」
「たぶん、壁抜けとかしてるんじゃないでしょうか……」

 三人の脳裏に浮かぶのは、かつて烈火の将と共に模擬戦で自分達を叩きのめした武闘派シスタ
ーの姿である。

「で、でもそれにしたって一晩で世界中を回って全ての子供にプレゼントを配るなんて、たとえ
SSSランクの魔導師でも不可能よ……だいたい管理外の世界で魔法を使用してるんなら管理局
が黙ってないだろうし……」
「でも、地球はなのはさんや八神部隊長の出身地ですし……」
「地球には稀にものすごく高い魔力を持った人がいて、なのはさん達以外にも過去には地球出身
の人で艦隊指揮官や執務官長まで務めた方がいらっしゃるって……」

 それに加えて、目の前で頭にアホ花を咲かせている馬鹿みたいに恵まれた体力と魔力を持つ少
女の先祖がいた地でもある。
 ティアナはこれまでに出た情報を頭の中で整理してみる。

 一晩で世界中を回れるという事は高速移動魔法ではなく転移魔法を使えるのだろう。
 人の家にこっそり侵入し、眠っている子供の枕元にプレゼントを置ける理由もこれか壁抜けで
説明がつく。
 持っている袋には世界中の子供に配るプレゼントが入っているそうだが、量が多すぎて普通は
持てないはずだ。もしかすると袋の中に入っているのは一部で、別次元から召喚魔法で取り出し
ているのかもしれない。
 そして聞かなくても子供の欲しいものが分かるという事だが……魔法で心を読んでいる? そ
のような魔法が存在するのかわからないが、もし使えるとすればとてつもない大魔導師である。
482『機動六課のクリスマス』:2007/12/21(金) 18:45:37 ID:i3Oq5UhH
「いや、確かにもしそれだけの力がある魔導師なら、管理局がうかつに手を出せないのもわかる
けど……さすがにありえないでしょ……迷信よ」
「でも……地球に住んでた時、フェイトさんのところにも"サンタサン"は来たって……」
「自分が欲しかったかわいいリボンをもらったって言ってました……」

「……え"?」

「ねえエリオ、キャロ! "サンタサン"的には15歳ってまだ子供なのかなー?」

 第97管理外世界に確かに存在するという謎の人物"サンタサン"。

 その常識外れの能力に戦慄する三人と、そんな事はまったく気にしないマイペースな一人であ
った。


2.


「ほんなら頼んだで、ザフィーラ」 
「心得ました、我が主」

 数日後。
 隊舎の一室で人間形態に白衣姿のザフィーラが待機していた。
 今日の彼の任務は、フォワード陣が人間時の彼を知らない事を利用してカウンセラーに扮し、
彼らの望んでいる物をさりげなく聞き出す事である。もちろんここで聞き出した希望はクリスマ
スになのはサンタの手で叶えられる。
 なのは、フェイト、はやての三人も別室からカメラでその様子を見守っている。
 ちなみに過去にもこんな事があったような気がするがそれはこことはほんの少し捻れた時空の
話なので無害です。

(以下フォワード陣とザフィーラとの会話から抜粋) 

「望みかあ……あたし、お母さんが小さい頃に死んじゃってるんです。母さんが生きてた頃のあ
たしは今よりずっと泣き虫で、迷惑ばっかりかけて……だからもし叶うなら、母さんにもう一度
会って今のあたしを見せて安心させてあげたいです。『あたしはもう大丈夫だから』って……時
々はまだ泣いちゃう事もあるんですけどね」

「望み、ですか……? 執務官になりたいっていう希望はありますけど、それは自分の力で叶え
たいものですし……でも時々考えちゃいますね。もっとアタシに魔法の才能があったら、恵まれ
た魔力があったらって。もちろんそれで諦める事なんて絶対にしないですけど」

「そうですね……僕、ちょっと事情があって小さい時に両親と離れ離れになってるんです。今僕
の親代わりになってくれてる人はすごくよくしてくれてますし、この生活にも満足しています。
だけど、もしできるなら両親にもう一度会ってみたいですね。何を話せばいいのかとか、全然わ
からないんですが……」

「望み……私、こことは違う世界の少数民族の出身なんです。少し事情があってそこにはいられ
なくなっちゃったんですけど……もしできるなら、一度でいいからお父さんやお母さん、部族の
みんなに会って『私は元気でやっています』って伝えたいです」

483『機動六課のクリスマス』:2007/12/21(金) 18:46:28 ID:i3Oq5UhH


「……ちょ、重ッ!! 母親は殺され自分とお姉ちゃんはサイボーグ! 両親も親代わりのお兄
ちゃんも死んで天涯孤独! 息子を亡くした親に造られたクローンでそれが明るみに出たらあっ
さり捨てられる! 6歳で部族を追放されてその後もたらい回し! なんで一つの部隊にこんだ
け重たい過去を背負っとる人間が集まっとるねん!!」
「そ、それははやてちゃんがスカウトしたから……」
「あと私とフェイトちゃんの親も亡くなっとる! 都○か! これが黒○築か!!」
「はやて、落ち着いて……」
「フゥ〜フゥ〜……クワッ」
「でも確かに私達には難しい願いばかりだね……」
「そうだね……でもとりあえず明日からティアナの訓練メニューは倍に増やす事にするよ」

(……主はやて、取り込み中のところ申し訳ありませんが今ヴァイスとの面談が終わりました。
彼の望みは『妹の目がもう一度見えるようになってほしい』というものです)

「うがーっ!! 世界はこんなはずやあらへん事ばっかりやーっ!! フェイトちゃん、ガジェ
ット三型から回収したジュエルシード、まだ六課で保管しとるやんな!? ちょっとアルハザー
ドまで行って来るわ!!」
「はやてダメー!!」

(な、何というか申し訳ありません……私の聞き方が拙いばかりに……)
(にゃはは……とりあえずはやてちゃんはこっちで何とかするから、ザフィーラはこのまま引き
続き他のスタッフ達の悩みも聞いてあげてくれる?)
(はあ……)


(以下訪問者とザフィーラとの会話から抜粋) 

「未だにライトな視聴者からルキノさんと間違えられるんです……終盤はヘリでフォワードのみ
んなやリィン曹長を運んだり地味に活躍したのに……」
「未だにライトな視聴者からアルトと間違えられるんです……終盤はアースラのブリッジクルー
とかで地味に活躍したのに……」
「最近幼馴染が凄い勢いで睨んでくるんです……心当たりが全く無いんですが……」
「あの泥棒猫……私だって四六時中機械と戯れてるわけじゃないのにっ! 誰かがメカオタ眼鏡
とか変なニックネームをつけたせいでー!!」
「三期はメインキャラ以外はほとんど年齢が発表されてないのに、何故か私だけ33歳って明記
されてるんですが……」
484『機動六課のクリスマス』:2007/12/21(金) 18:47:00 ID:i3Oq5UhH

「きゅくる〜(最近エリオがガリューに夢中で相手してくれないんだ……)」
「結局スーパークロノタイムが来なかったんだが……」
「いつまで経っても教育を担当していた子のサボり癖が直らなくて……」
「もうホント、トンファーは勘弁してほしいところだよ……」
「この板内での出番が全く無くて……そもそも本編でも補佐に出番を取られましたし……」
「最近なのはちゃんからまたデバイスについて無茶な要求が来ててね……」
「いやあ、この前娘の職場を見学に行ったら、娘の教え子が俺の方をこうジーッと見てきてよお
……全くモテる男ってのは(ギュイイイイイン」
「この前スバルが両手リボルバーを試したんです……結局自分にはまだ早いって結論になったみ
たいなんですけど……あの子が両手リボルバーを使うようになったら私の武器が……」
「自分の存在意義がわからないんです……六課に出向してたはずなのに最終戦ではナカジマ三佐
と居ましたし……」
「最近、久しぶりにお兄ちゃんの方から話しかけてくれるんだけど……私とお話してくれなかっ
た間に色んなフラグが乱立してるのはなんでなのかな? かな?」
「……(ルーテシアの魔力が大幅封印されたせいで、元の世界に戻れなくなった……向こうに残
してきた卵も今頃は孵っているはずなのだ。早く妻と子供の顔が見たい……)」
「いやあ、なんかアンタが面白そうな事やってるって聞いたからさ。とりあえずお弁当作ってき
たから、一区切りついたら一緒に食わないかい?」
「やあ、ザフィーラ……あれ? いないのか……まあしょうがないよね。ボクは部外者だし……
無限書庫に戻ろう……」
「働きたくないでござる! 絶対に働きたくないでござる!!」
「なんかさ、二期でも三期でもアタシだけその……パンチラしてたんだけどよ……あれってスタ
ッフの趣味なのか?」
「新しい同人誌のネタが思いつかないのよねえ……」
「私もそろそろ、もうちょっと大人な体に作り直してほしいですよ……」
「えっと……アタシやっぱりシグナムと一緒に行こうと思うんだ。だからこれからはよろしくな」


「……いやあ、こらなんやツッコミどころ満載やな。関西出身の血が疼くで」
「こ、これは……はやてが大量のボケを前にして正気を取り戻した!?」
「やっぱり……ボケがあるとツッコまずにはいられない、関西人の性を利用したこの作戦……計
画通り! なの!!」
「そこ! 最後の『なの!!』はいらんやろ!」


「くうっ……」
「お医者さんのおにーさん、泣いてるの?」
「あ、ああごめんね。なんだか先生不意に凄く悲しくなってね……」
「じゃあ、ヴィヴィオがいい子ってしてあげるね! そしたら悲しいのはどこかへ行っちゃうよ!」
「……ありがとう」

 せめて自分が共に居る間だけは、敵からも味方からもこの子を護ってやりたいと改めて誓うザ
フィーラであった。
485ておあー:2007/12/21(金) 18:48:40 ID:i3Oq5UhH

本日投下分は以上です。お付き合いくださった方はありがとうございます。
ザフィーラとヴィヴィオは混沌としたこの話に残された最後の良心ですが、どうみても焼け石に
水です。本当に(ry
エロは難しいんですが……書かないと上手くなりませんよね。ということでがんばってみます

あと>>ゲリラ氏
天津飯、技を借りるぜぇ! ……じゃなくてちょっぴり形式をお借りします。
数日で終わるので生暖かい目でスルーしていただければ幸いです。
486名無しさん@ピンキー:2007/12/21(金) 18:52:20 ID:QJv+byut
もともと9歳児のエロってのがアブノーマル。
挙句、陵辱には>>1みたいな制約が付いちまってるからな・・・

そう言う意味では、stsのスバルとティアナなんて実にジョクり甲斐のある良いキャラだと思う。
生い立ちから性格にいたるまで実ににおい立つようなジョクられ臭がする。
隊長陣はどれもジョクり甲斐が薄そう(展開がどのキャラでも変わりそうに無い)だし、キャロは・・・ボクロリコンジャナインデ・・・
でも、某ユミエル作者のフェイトリョージョク本は嫌いではなかった
487名無しさん@ピンキー:2007/12/21(金) 19:09:47 ID:QJv+byut
>>478
うへぇ、リロードしないで書いたから投稿に気づかなかった。
前半のお子ちゃまたちのサンタいじめ(無自覚)と、ヴィヴィオのザフィーラへの絶対なる愛にいろんな意味で涙した。
一方の大人陣は・・・何この温度差。

普段ROMばかりで、感想ベタでごめんなすってぇ。
GJですた
488名無しさん@ピンキー:2007/12/21(金) 19:32:52 ID:yp3uCrPo
>>485
テラアホスwwwwww じーじぇ!
とりあえずティアナに合掌。

上から順にアルト・ルキノ・グリフィス・シャーリー・アイナ・フリード・クロノ
シャッハ・ロッサ・カルタス・マリー・ゲンヤ・ギンガ・マリー・ラグナ・ガリュー
アルフ・ユーノ・シグナム・ヴィータ・シャマル・リイン・アギト、かな。

マリーが被った所には誰が入るのか……うぅん。
489名無しさん@ピンキー:2007/12/21(金) 20:01:04 ID:D9typJts
つかシグナムww
もう奴の扱いはニート侍で決定なのか?w
490名無しさん@ピンキー:2007/12/21(金) 20:08:55 ID:fVhliS9j
>>485

GJ!
何気に「魔法忠犬リリカルザフィーラ」の続き(番外?)っぽい話なのですな
これは良いカウンセラー・・・そして良いヴィヴィオ・・・

GJ!でした。続きを楽しみにしてます
491名無しさん@ピンキー:2007/12/21(金) 20:50:05 ID:vaXpkIwc
>>485
GJなんだけどwwwwwwバロスwwwwww
なんと言うか非ユーなのの漏れでも楽しめるユーなの作品を書いてくれるあんたには感謝してるんだぜ

>>488
アルト・ルキノ・グリフィス・シャーリー・アイナ・フリード・クロノ

シャッハ・セイン・カリム・リンディ(?)・ゲンヤ・ギンガ・マリー・ラグナ・ガリュー

アルフ・ユーノ・シグナム・ヴィータ・シャマル・リイン・アギト
じゃね?
492( ゚Д゚) ◆kd.2f.1cKc :2007/12/21(金) 20:54:02 ID:qN/64fAp
GJ!
シグナムのニート侍もだけど、ザフィーラは苦労人のイメージがすっかり定着して……

自分も投下行きまーす。

注意事項
・捏造有り過ぎ
・レイジングハートの形状が(アニメ、リリちゃとも)違います。
・ついでに本編とレイジングハートの特性も違います。
・非エロですが、今回はお色気シーンがあり。微エロかも。
・なのは属性の方にはちょっと申し訳ない内容かも。
・あぼーんキーワードは「リリカルバイオレンス」
493リリカルバイオレンス 4-1/11 ◆kd.2f.1cKc :2007/12/21(金) 20:54:48 ID:qN/64fAp
 アリサ・バニングスは孤独だった。
 就学前から利発な子と言われ、大人達の評判こそ良かったものの、元々日本人ではない
という事もあって、同年代の子供の輪には馴染めず、孤立しがちだった。
 結局、両親は彼女を公立ではなく、私立の聖祥大附属小に入学させる事になる。だが、
ここでアリサの持ち前の積極さと、我の強さは悪い方向に吹き出してしまう。
 自らが排斥の対象とならない為に、周囲に対して攻撃対象を選んで行く。いじめられっ
子はいじめっ子になりやすいという論理である。
 その最たる標的となったのが、月村すずかだった。
 下手をすれば、今頃は女ジャ○アンとして、すずかと言うの○゙太を伴いつつ、聖祥大
附属小第3学年に君臨していただろう。
 ────でもそれって、結局1人だってことには変わらないのよね。
 夕暮れのバニングス家。アリサは自室に閉じこもり、膝を抱えて、思いにふけていた。
今日は塾も習い事もない曜日。……アリサの両親は立場上、ほとんど家にはいない。使用
人の中には親しい人間もいるが、アリサの暇つぶしに恒常的に付き合わせたのでは、彼ら
に迷惑である。
 ……閑話休題、悪ガキいじめっ子街道まっしぐらだったアリサに、その転機を与えたの
が、高町なのはである。
 それは同時に、アリサの孤独からの救出だった。
 ────なのはがいるから、今の私がある……
 殊更思い出さなくても、常に心のどこかで意識している気持ち。
 ────でも。
 アリサは時々思う。特に、レイジングハートをなのはに譲り渡してからしょっちゅう考
えるようになった。
 ────なのはは誰がいるから、今のなのはがある……?
 アリサとすずかは、なのはと出会ってから、それまでの自分ががらりと変わった。けれ
ど、なのは自身はどうだろう? 少なくとも、自分たちと出会う前から今のなのはだった
に違いない。
 ────かなわないなあ。
 自嘲気味に笑う。
 ────なのはなら、あの子だって……
 黒衣の少女。一般的にブロンドと呼ばれるアリサのそれより、さらに輝く金色の髪の持
ち主。赤い、澄んだ、けれど寂しそうな瞳。小学生が振るうには余りに強大な力を持って
いるのに、何も出来ないかのような顔。
 ────そっか。
 アリサはハッと思い出したように、目を見開いた。
 ────誰かに似てると思ったら、あれは、なのはと出会う前のあたしだ……
494リリカルバイオレンス 4-2/11 ◆kd.2f.1cKc :2007/12/21(金) 20:55:44 ID:qN/64fAp

「ねぇちょっと、なのは」
 月村家での出来事から、数日後。
 アリサは、登校直後から自分の机に突っ伏しているなのはに、心配そうに声をかけた。
「なんか、朝からずいぶん疲れてない?」
「なのはちゃん、大丈夫?」
 すずかも、アリサの傍らで、不安げな顔をしている。
「あー、うん、ちょっと夜更かししちゃって……」
 なのはは、顔を上げつつ、困惑げな、やや自嘲混じりの苦笑になる。
『ひょっとして、黒い服の女の子、出た?』
 すずかに聞こえないよう、アリサは念話でなのはに問いかける。
『ううん。あれからまだ、会ってないよ』
『ジュエルシード、いくつ見つかったの?』
 なのはが答えると、アリサはさらに問いかけた。
『2つ』
『そんなもんか……』
 アリサは視線を天井に向けた。
「?」
 2人のやり取りが聞こえていないすずかは、アリサが体勢を動かしたのを、小首を傾げ
るようにして見る。
『気になるの?』
『んー、まぁ、ちょっとは』
 少し照れたように頬を紅くしつつ、アリサは答える。
『心配なんだね、ユーノ君の事』
『バ・バ・バ、バカ言ってんじゃないわよ、どーしてあたしがあいつのことなんか!』
 慌てて言い返しつつも、ぼっ、と顔が紅くなる。
『そうかな、ユーノ君はアリサちゃんのこと、だいぶ気にしてたみたいだけど』
『わーっ、なのは、なんて事』
 2人の念話に、第三者が割り込んできた。
 もちろん、少なくともこの近辺でそんなことが出来るのは1人……いや、1匹しかいな
い。高町家にいるだろうユーノ・スクライアだ。
『えっと、アリサ?』
 おどおどしたような、ユーノの声が、念話として、頭の中に聞こえてくる。
『アンタはあたしの心配は良いから、はやくなのはと一緒にジュエルシード集めちゃいな
さい』
 無意識に、わざわざ突き離すような口調になってしまう。
『う、うん』
 ユーノはそれ以上言い返すこともなく、おずおずと返事をした。
495リリカルバイオレンス 4-3/11 ◆kd.2f.1cKc :2007/12/21(金) 20:56:05 ID:qN/64fAp
「アリサちゃんも大丈夫? 熱あるんじゃない? 顔、赤いけど……」
 事情を把握していないすずかにそう言われ、アリサはさらに顔を紅くする。
「そ・そ・そ、そんなことないわよ! あ、あたしはこれ以上ないってぐらい元気なんだ
から!」
 アリサは、慌てて取り繕うように言い、わざわざ腕をぶんぶんと回して見せる。
 その様子を見て、なのははクスクスと笑っていた。
『ええい、笑うなっ』
『あはは、ごめんごめん』
 アリサは荒い声を念話越しに伝えるが、なのはの笑いは止まらない。
『でも、魔法ってずいぶんイメージ違うね』
『え?』
 話題を切り替えようと、なのはがかけてきた言葉に、アリサは反応する。
『マンガやテレビだと、みんな簡単にホイホイってやっちゃう感じだけど、自分で使うの
は、凄く、疲れるよ』
『え、そ、そうかな?』
 アリサは腕組みをし、考え込んでしまう。
『あたし、そんなに疲れた覚えないけど』
 少しいぶかしげに思うアリサだったが、
「あ、ところでなのはちゃん、今度の連休の事なんだけど」
 間近に迫った連休の、小旅行の話題が、すずかから切り出される。その為、ここでそれ
までの話題は打ち切られた。
496リリカルバイオレンス 4-4/11 ◆kd.2f.1cKc :2007/12/21(金) 20:57:12 ID:qN/64fAp

 海鳴温泉は海鳴市内に存在する。とは言っても、市中心部からすると、それなりの距離
が開いている。
 また、海鳴市の主要部が海岸沿いの平野であるのに対し、この一体はやや起伏の激しい
地形になり、交通の便も良くはない。
 生活圏も、市街地とは異なる。
 拠って、ここを訪れる観光客の大半が自家用車によるものだった。
 という訳で、高町家・月村家+αの御一行様も、高町家所有のミニバンと、月村家のセ
ダンの2両を連ねて山道を行くところだった。
 ミニバンには高町夫妻と恭也、忍、ファリン。セダンにはノエル、美由希、それにアリ
サ、なのは、すずかの3人組。……に、高町家の扶養家族、ユーノが加わる。
「アリサちゃんはうちの車に乗ったほうが良かったんじゃないかな?」
 山道を走る中、なのはが唐突に切り出した。
「はぁ? 何でよ」
 素でわからないといった表情で、アリサはなのはに問い返す。
「だってアリサちゃん、うちのお」
「それ以上言ったら殺ス」
 電光石火の如く反応し、アリサのスリーパーホールドがなのはに決まる。
「うわぁアリサちゃん、落としちゃだめっ」
 声で事態に気付いた美由希が、フロントのシートの合間から後ろを覗き込み、慌てて声
をかけた。
 そんなやりとりをしつつ、一行は2泊3日を予定している旅館に着いた。
 海鳴温泉に温泉宿は少ないが、ここは例外中の例外で、旧くから続く純和風の温泉宿だ。
 なまじ海鳴市という地方自治体が、商業都市、あるいは都心のベッドタウンとして成立
してしまっている為、自治体の予算を割いてまで観光産業を積極的に切り拓こうという意
識がないのである。
 この日も、大型連休の真っ最中だというのに、旅館はほとんど彼女らご一行の貸切のよ
うな雰囲気さえ漂わせていた。
『あ、あのなのは、アリサ、僕やっぱり士郎さん達と一緒の方に……』
 なので、対外的にはどう見てもペットであるユーノを持ち込んでも、ほとんど旅館側か
らのお咎めは無しだったのだが、本人(?)がここへ来て妙に抵抗を続けている。
『だーめ、そう言って、ユーノ君、ホントはお風呂嫌いなんでしょ?』
 なのはが、より小さい子供を、めっ、と叱るように、言う。
『いや、別にそんなん、ブハッ!?』
 なのは達も既に全裸当然の姿だったが、問題はその後ろ。
 月村家長女の忍は、抜群のプロポーションの持ち主だし、そのメイド、ノエルも神の造
形の如きスタイルの持ち主である。
 翻って高町家、桃子はとても人妻、それも3児の母(正確には、実子はなのは1人なの
だが)とは思えない若さと美貌の持ち主であり、なのはの姉、美由希も平均以上と言って
差し支えない。
497リリカルバイオレンス 4-5/11 ◆kd.2f.1cKc :2007/12/21(金) 20:57:43 ID:qN/64fAp
 ファリンも、行動お子様の割りに出るべきところは無闇矢鱈に出ている。むしろ、無防
備な分たちが悪い。
 5対、10もの刺激的な膨らみに囲まれ、ユーノの意識は沸騰状態になる。これが松本零
士のマンガなら、彼の目はハート型がぐるぐる回転しているところだ。
 なのはもアリサも、後に『淫獣』などと、本人の意に反する二つ名を与えられる、彼の
正体をまだ知らない。
『ほーら、観念しなさい、今日は特別にあたしが洗ってあげるから』
 ぐったりとしてしまったユーノを、髪を挙げてタオルで包んだアリサが、脇に抱えて、
浴室内に“連行”していく。
『あ、あぅぅ……せ、せめてなのはか、すずかって子に』
『んぁ? あたしじゃ不満だっての?』
 そう言いつつ、いきなりユーノの全身に、洗面器でお湯をかけた。
『ぷはっ…………む、むしろ逆……』
『は?』
 すずかとなのははネィティブジャパニーズの9歳らしい体型、大してアリサはアングロ
サクスンらしく、2人に比べるとやや早熟。
 ついでに言うと、アリサは後が怖い、とはさすがに即時報復を恐れて言えない。
 床にべったりと、這いつくばる、と言うよりは敷物にされたようにのっぺりと広がった
ところを、石鹸でアリサの手ずから洗われていく。
「はぁ……言いお湯ですねぇ」
「はい……」
 きゃあきゃあ騒ぐ小学生3人+メイド1名+フェレット1匹に対し、歳の割に妙に落ち
着いた様子で、湯船に使っている桃子と忍。
「美由希さーん」
 すずかが美由希の背中に飛びつく。
「あんっ、すずかちゃん、どこ触ってるのっ」
 美由希が困惑したような声を上げる。
「なのはちゃん、待ってくださいー」
 ファリンの声が響く。
「はぅー!?」
 ファリンの悲鳴と共に、どこからともなく石鹸が飛んできて、ユーノの後頭部に直撃し
た。
「あ」
 アリサが驚いて短く声を上げるが、ユーノは最早悲鳴すら上げない。
498リリカルバイオレンス 4-6/11 ◆kd.2f.1cKc :2007/12/21(金) 20:58:33 ID:qN/64fAp

『弄ばれた……』
 廊下を歩くアリサの肩に担がれながら、ぐったりとしたユーノが漏らす。
『何、大げさなこと言ってるのよ』
『はは……』
 アリサが呆れたように言い、なのはが苦笑の声を出す。
「ん……?」
 3人の目前に、浴衣をやや着崩した、女性が歩いてくる。
 年の頃は美由希と同じぐらいか。グラマラスな体つき。
「ハァーイ、おチビちゃんたち」
 気さくに、と言うより、妙に馴れ馴れしく、女性は声をかけてきた。
「ふむふむ……」
 そして、値踏みするかのように3人を、高い位置からジロジロと見回す。
 やがて、なのはに視線を固定する。
「君かね、うちの子にアレしてくれちゃってるのは」
「!」
「!!」
 なのはと、アリサの表情がぴくん、と反応した。
「あんまし強そうにも、あんまし賢そうにも見えないけどね」
 しげしげとなのはを見ながら、女性は言う。
『なのは、こいつと会った事あるの?』
『ううん。アリサちゃんは?』
『あたしも無い』
 答えつつ、なのはからの答えを聞いたアリサは、ずっ、となのはと女性の間に割って入
る。
「この子、あなたを知らないそうですが!?」
 アリサの棘のある言葉に、女性はしかし、ニヤニヤと面白そうに笑いながら、訪ね返し
てくる。
「へぇ、何でわかるのかしら?」
 ────あ、しまった。
 はっと我に返るが、遅い。
 ジロっとアリサの顔を睨むように見てくる女性に、アリサはだらりと脂汗を流す。
 数十秒──アリサとなのはに取っては、数十分くらいに感じた──が経った後。
「あーっはっはっはっ」
 突然、女性は声を上げて笑いです。
「ごめんごめん、人違いだったかぁ、あたしの知ってる子によく似てたから」
 一転、あっけらかんとした態度に、なのはとアリサは呆気に取られて、軽く顔を見合わ
せる。
499リリカルバイオレンス 4-7/11 ◆kd.2f.1cKc :2007/12/21(金) 20:59:09 ID:qN/64fAp
 アリサはまだ怪訝そうにしていたが、なのはは警戒を解いて表情を崩す。
「あはは、かわいいフェレットだねぇ。よしよし、いい子いい子」
 女性は手を伸ばして、ユーノの頭を撫でた。
 アリサは、むーっと不機嫌そうな顔をしたまま。
 だから、見逃さなかった。
 女性の視線がギラっと光り、なのはの表情が驚いたようなものに変わる。
『ちょっと』
 アリサは、目の前の女性に、念話で呼びかけた。
『やっぱアンタも魔導師。でもま、三流、いや四流どころもいいところだねぇ』
『なっ!?』
 女性の言葉に、アリサは顔を真っ赤に紅潮させる。
『そう言うアンタは、この前の黒い奴のお仲間?』
 アリサが問い質すと、女性は得意そうな笑顔のまま、答える。
『へぇ、アンタも知ってるんだ?』
『当然よ、あの時あの子とやりあったのはあたしの方なんだから』
『は?』
 念話で、驚いたような声を出したかと思うと、
「あーっはっはっは、あはは、あはははははははははっ、あーっはっはっはっはっ、ひー
っひっひっひっひっ」
 実際に声を上げ、腹を抱えて悶絶する。
『ちょっ、それ、どういう意味よ!』
『そのままの意味に決まってるじゃない。そっちの子ならともかく、アンタみたいな四流
どころがフェイトの相手になるわけないじゃんか』
 感情のままに言い返しかけて、アリサは重箱の隅に気付く。
『ほー、あの子の名前、フェイトって言うんだ』
『うっ……』
 女性の顔色が変わる。
『でも、悪いけど事実。あの時そのフェイトって奴とやりあったのは、あたしの方』
『ふ、ふん、まぁ、どっちだって言いさね。あまりおいたがすぎるようなら……』
 女性は体裁を整えるようにしつつ、アリサを睨みつける。
『ガブッ、どころじゃすまなくなるからね』
 そう言うと、女性はわざとアリサとなのはの間を通り抜けて、アリサたちが来た方に歩
いて行った。
「さて、もうひとっ風呂浴びてくるか〜」
『なのは、あー言うのに負けたらあたしが承知しないんだからね』
『う、うん……』
 アリサは強い調子で言うが、なのはは戸惑いがちに言っただけだった。
500リリカルバイオレンス 4-8/11 ◆kd.2f.1cKc :2007/12/21(金) 21:00:10 ID:qN/64fAp

『こちらアルフ、フェイトどーぞ』
 女性は、大浴場の湯船につかりながら、自らの主人に呼びかける。
『アルフ?』
『ちょっと見てきたよ、例の白い奴』
『どうだった?』
 アルフ、は上機嫌な様子で、ニコニコと笑顔で答える。
『全然、フェイトの敵じゃないよ』
『そう』
 主人の答えを聞いてから、アルフは顔を、いくらか険しくする。
『ただ、妙なオマケがくっついててさ』
『オマケ?』
 怪訝そうに、主人は聞き返してくる。
『妙に態度ラージな奴がいてさ。フェイトから見れば吹けば飛ぶような奴だったけど、そ
れなのに以前邪魔してくれたのはあたしだ、とか言っててね。笑っちゃうの』
『……どっちが、どっち?』
 主人は急に、声を険しくする。
『多分、白い奴が、髪の毛茶色でちょっとちんちくりんの奴で、オマケってのが、フェイ
トよりちょっとくすんだ感じの髪の毛の、眼の碧い奴』
『……アルフ、その子の言った事、本当だ』
 主人の答えに、アルフは驚愕に目を見張る。
『冗談っ、あいつの出力、3人の中で一番小さかった……っ、どんなにがんばってもC-、
いやDがやっとって感じのやつだよ!?』
『うん、でも動きは凄く良かった、それに……私のマルチショット見て、いきなり真似し
てきた』
『…………信じられない』
 アルフは1人で、呆然とする。
『それで、バルディッシュが、“殺せ”って言ったぐらい……』
『バルディッシュが……ちっ、もうちょっと脅かしとけばよかったかね』
 アルフは、自らの失策にギリ、と奥歯を鳴らした。
501リリカルバイオレンス 4-9/11 ◆kd.2f.1cKc :2007/12/21(金) 21:00:59 ID:qN/64fAp

「それでは、お休みなさーい……」
 ファリンは、そう声を抑えて言いながら、後退りで部屋を出て、ふすまを閉める。
「子供達、寝ちゃった?」
「ええ」
 桃子と、ファリンの話し声が聞こえてくる。
「ふっ、相変わらず単純」
 寝たふりをしつつ、アリサは邪悪な笑みを浮かべる。
 しばらくすると、ごそごそと、自分の背後で、なのはが動いているのが解った。
 ユーノと念話で会話しているのか、その内容まで窺い知る事は出来ない。
 だが、しばらくすると、なのはが突き飛ばされたように飛び起きた。
「!」
 アリサはびくっと、肩を竦めかける。
 ごそごそと着替えたかと思うと、こっそりと部屋を抜け出していく。
 ────ジュエルシード、この近くにあるのかな。
 アリサは、寝返りを打つのを装って、なのはの布団を振り返る。
 当然、そこに彼女の姿はない。
 ────あの子ならうまくやるはず。
 アリサはそう、自分に言い聞かせるようにして、そっと眼を閉じる。
 しばらくして、アリサは睡眠に落ちかけたが……
 カッ!
 赤色と緑色、ピンク色と金色の閃光が、窓の外を一瞬満たし、そしていきなり消えた。
「今の……」
 見覚えのないのはなのはの魔力光か。しかし消えたと言う事は、誰かが結界を張ったか
な?
「何でだろ、イヤな予感がびんびんにするのよね」
 そう言って、アリサは身を起こす。
 ────見に行くだけならいいわよね、そう、邪魔しなければいいのよ。
 アリサは布団から手を伸ばして、自らの服を手繰り寄せると、コタツの様に布団を盛り
上げてゴソゴソとやった後、同じようにしてポシェットを掴み、布団から、そして部屋か
ら飛び出した。
 旅館のすぐ脇を流れる川を、遡上するように、アリサは駆けていく。
「何も見えない……何が起こってる……?」
 アリサは駆けながら、辺りを見回す。何も見えない────
「!」
 見覚えのある緑の魔力光が、紅い魔力光ともつれ合ってるのが見えた。
「あれは……」
 ビリビリビリビリっ……
502リリカルバイオレンス 4-10/11 ◆kd.2f.1cKc :2007/12/21(金) 21:01:45 ID:qN/64fAp
 閃光、大気の振動。アリサを揺さぶる。
「なのはっ!?」
 そこに、アリサはとんでもないものを見た。
『Devine Buster』
 聖祥大附属小の制服に似た白い服を着た少女が、錫杖状のデバイスから、とんでもない
出力の魔力弾を発射した。
「なのは!? 凄い……」
 一瞬、呆気に取られた。
 とすれば、あの杖がレイジングハート?
 ────確かに、あたしのときよりはそれっぽい形してるわよね。
 魔法のステッキ、と言うなら、などと思い、アリサは微妙に惨めになる。
「うわぁっ」
 ビリビリビリビリッ
 感傷に浸るのも僅か。なのはのピンク色の魔力光が、あたりを満たす。
「あたしとは桁違い……これなら……」
 手に汗握りつつ、アリサはなのはを見る。砲撃の魔力弾に限るなら、フェイトも凌いで
いる。
 だが。
「はっ」
 砲撃の閃光が視界から消えたとき、なのはの背後にフェイトの姿。
『Protection』
 レイジングハートがシールドを張る。火花が散り、バルディッシュの魔力光の刀身と凌
ぎあう。
『Axel Fin』
 なのはの靴から生えた、ピンクの光の翼が、いっそう輝きを増す。
 瞬間的なダッシュで間合いを取る。なのはが振り向き、レイジングハートを構えなおす。
『Devine Buster』
 強力な砲撃魔法。だが、放たれたときには、既にフェイトは照準から外れている。
「っ、あの子、自分の力に振り回されてるっ」
 離脱、接近、防御、離脱、接近、防御、また離脱……
 バラ撒かれる魔力の量はとんでもないが、明らかにフェイトがなのはを追い詰めている。
 そして、遂に────
『Photon Lancer』
「っあ!」
 フェイトの周囲に、無数の魔力弾が発生する。
『Multi Shot』
「なのは! シールド重ねて!」
 アリサは、思わず叫んでいた。
503リリカルバイオレンス 4-11/11 ◆kd.2f.1cKc
「ふぇっ!?」
 ピンク色の魔力光の盾は、それだけでフェイトの魔力弾を全て凌いだ。
「バカ! 貫(ぬ)かれるってば!」
 アリサが叫ぶが、遅い。
「ごめんなさい」
 魔力光の刀身が、光の盾を凪ぐ。
「あぁああぁぁぁぁぁっ……」
 バリアジャケットは辛うじてバルディッシュの魔力の刀身を凌ぐが、反発するエネルギ
ーが運動エネルギーに変わり、なのはは吹っ飛ばされる。
 あたりに茂る樹に叩きつけられ、なのはは、低層の茂みの中に落下する。
 その正面に、フェイトは降り立った。
「ごめんなさい、でも約束だから」
 フェイトは言い、なのはの落下した茂みに近付いてくる。
「そっちの持ってるジュエルシード、貰う」
 ────このバカ! なんて約束してんのよ!
 アリサは毒つきつつ、すばやく、脇からなのはの元に転がり込んだ。
「ごめん、なのは。レイジングハート、もう一度力を貸して」
『All right. Data is Loaded』
 アリサが錫杖のレイジングハートを握るがはやいか、その形はチップ状になって分解し、
西洋剣の形に再構成されていく。
『Standby, Set up』
 レイジングハートから漏れていた魔力光は、優しげなピンク色から、燃えるようなオレ
ンジ色に変わる。なのはのバリアジャケットが解除され、変わりにアリサの身をバリアジ
ャケットが包む。
「!」
 フェイトがその異変に気付くが早いか。
『Defencer』
『Ray Lance, Crasher, Tri』
 3発の魔力弾が、フェイトめがけて撃ち込まれる。
 金色の光の盾に、ヒビが入った。
「ごめん、ルール違反だってわかってる。そもそもあたしの身勝手でこんな事になっちゃ
ってる、でも」
 レイジングハートを構え、アリサは表情を険しくする。
「もともとあたしが引いた“Joker”だから────」
 アリサの声に、フェイトはバルディッシュを握りなおした。