【MH】モンスターハンターでエロパロ 10匹目【モンハン】

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1名無しさん@ピンキー
よく来たな。ココはついに2ケタの大台に乗ったモンハンのエロパロだ!
ぬ!? 「なぜ教官がいるんですか?」だと? 気にするな、考えたら負けだ!
ではさっそく、我輩がココでの掟を手取り足取りやさしく教えてやるぞ!!

1.人X人・擬人化・竜姦なんでもこい! だが、特殊な内容を伴う場合、事前に断りを入れておけ!
2.基本的にココはsage進行だ。レスを書き込む前にメル欄の"sage"をよく確認するんだぞ?
3.480KB、または950レスまで来たらもう一人前のスレだ。アトはお前達が教官となって後進を導くのだ!

そして最後に、

すばらしい作品に巡り合えた時には最大級の賛辞を!
我輩は貴様達がココで立派に活躍することを楽しみにしているぞ! 以上!!

=全ての始祖・初代スレ=
MHでエロパロ!
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1141488219/

★前スレ★
【MH】モンスターハンターでエロパロ 9匹目【モンハン】
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1194105107/l50

エロパロSS保管庫(07/06/17より更新途絶…)
モンスターハンターSS保管庫
http://ss.ares-ac.com/mh/

☆新たなる保管庫☆
モンスターハンターでエロパロスレ保管庫
http://wiki.livedoor.jp/mheroparo/d/FrontPage
〜Wiki形式だから皆で協力して更新していこう!〜

【前スレのコピペだけど初代スレから7代目(途中)までのテキスト】
http://uproda11.2ch-library.com/
mame:1137967.lzh comment:お狩りします {DLKey}:mh_ero
2名無しさん@ピンキー:2007/12/01(土) 02:57:40 ID:awbcwFJS
例によってコピコピなんだがスマン。

空気珠を空きスロットに入れてスキル発動させとけよ!

さあ、SSを!一心不乱の大SSを!
3名無しさん@ピンキー:2007/12/01(土) 03:11:41 ID:AXkvjap7
>>1

GJ!!
4名無しさん@ピンキー:2007/12/01(土) 06:54:09 ID:6927jm+X
「ふうん、貴様らが>>1乙を口にするかね? 第13課局長」
「ああそうだ、お前たちはまともじゃない」
「有難いことに私の>>1乙は君たちの神が保証してくれるというわけだ よろしい
ならば私も問おう 君らの>>1乙は一体どこの誰が保証してくれるのだね?
一体どこの誰に話しかけているのか判っているのかね?
私が物欲センサー退散Tシャツを来ていれば良かったかな? 我々はモンスターハンターエロパロスレ住民だぞ?
一体何人萌え殺されたと思っているのかね? 妄想とGJを呼吸するかのように行うダメ人間の集団にかね?
>>1乙? 何を今更!! 半世紀ほど言うのが遅いぞ!!
ならば我々を止めてみろ自称健常者諸君!!
しかし残念ながら私の敵はなどではないね少し黙っていてくれよ13課
私の敵は擬人化飛竜!! キリン装備の女ハンター!! いや!! モニターの前でハァハァしながらたたずんでいる男だ」
5名無しさん@ピンキー:2007/12/01(土) 09:50:56 ID:Qtc2zC0e
>>1
よくやった
6名無しさん@ピンキー:2007/12/01(土) 10:58:56 ID:Z0ou0X4F
>>1
やっと荒らし地獄から開放されたな。
そして2桁突破おめ
7名無しさん@ピンキー:2007/12/01(土) 11:33:50 ID:iYkU9P0G
ナイスバディな女ハンターに犯されるショタガンナーを投下する予定です。


御楽しみに。
8名無しさん@ピンキー:2007/12/01(土) 11:59:57 ID:6927jm+X
じゃあ俺は緑色の服を来たショタエルフが片手剣使って任○堂にレイプされる作者のSS書いてくゆー

お楽しみに
9名無しさん@ピンキー:2007/12/01(土) 12:26:41 ID:950FKqgE
それじゃあ俺は竜を擬人化した話を書いてくゆ

昨日はお楽しみでしたね?
10名無しさん@ピンキー:2007/12/01(土) 14:10:29 ID:lgdqfsTD
押しかけ黒龍、更新無いの…?
ハンターにグラビから助けてもらって家に来るナナの話とか
11名無しさん@ピンキー:2007/12/01(土) 15:40:05 ID:AuDVj/EW
まあ前スレはあれこれありましたが
やっぱり今スレも作者様方の活躍を楽しみにしているでありますよ
12名無しさん@ピンキー:2007/12/01(土) 16:08:37 ID:EOde+2Z2
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13名無しさん@ピンキー:2007/12/01(土) 16:09:06 ID:EIC/GVlG
じゃあ俺はいままで見向きもされなかったであろうチャチャブーっ娘書くぜ

性格はヤンデレでよろしいか?
14名無しさん@ピンキー:2007/12/01(土) 17:26:42 ID:6927jm+X
>>13
サイ娘で鉈か斧持って「嘘だ!!」とか言ってくれるなら有難い


ただ火種撒くわけじゃないがレ○ってヤンデレとは微妙に違うんだよな
15名無しさん@ピンキー:2007/12/01(土) 18:43:55 ID:NShtjbCu
>>14
巣に帰れ
16名無しさん@ピンキー:2007/12/01(土) 19:10:28 ID:ypTwacZp
>>1

>>13
じやあ、チャチャブーっ娘を束ねる長ってのは…クィーンチャ(ry
なんにしてもwktk。
17名無しさん@ピンキー:2007/12/01(土) 20:17:10 ID:YS1IkG8j
つまりチャチャブっ娘は瀕死に陥ると
死んだふりをして着脱式生首を置いていくのですね?

ヘッドレスヒロイン?
18名無しさん@ピンキー:2007/12/01(土) 20:38:50 ID:Z0ou0X4F
チャチャブっ娘になったら途端にキノコに化けるって何か卑猥になる件
19名無しさん@ピンキー:2007/12/01(土) 21:32:22 ID:EIC/GVlG
書いてきた。

初だからかなり拙いが、そこは脳内変換するなりしてカバーしてくれると助かる
20名無しさん@ピンキー:2007/12/01(土) 21:33:14 ID:EIC/GVlG
チャチャブーって知ってるか?チャチャブー。

あのでかい鉈持って奇声発しながら突っ込んでくるちっこいやつらな。

ちっこいからってなめちゃいけねぇ、やつらの一撃は下手すりゃ飛竜に匹敵する。

おまけに爆弾を埋めやがるし何よりタフ。

上位なりたてのぼっちゃんにはオススメできん。


そんなチャチャブーが大量発生したと聞いて俺はそのクエスト受注したわけよ。

場所は森丘。

やつらが寝床にしているのはなんとびっくり飛竜の巣。

資料によると20匹ほどが群れでやってきて巣の主を追っぱらっちまったらしい。

で、近くの農村もたびたび襲われてるし、危険だから殺っちめえ♪ってか

まったく迷惑な話だねこりゃ。


うんせこらせと山登り。

やっとついたな、ってこりゃあまた、すげえな

ひぃ、ふぅ・・・20匹どころか30はいるんじゃねえか?

ちゃちゃっと終わらせようと思って太刀背負ってきたが、散弾のほうがよかったかね。

・・・・考えてもは仕方ないか。

レッツ、キリングタァ〜イム。はぁ〜じまぁ〜るよ♪っと。
21名無しさん@ピンキー:2007/12/01(土) 21:34:00 ID:EIC/GVlG
20分後

ゼェ・・・ハッ、フゥ〜〜〜。

終わったか。

眼前まさに死屍累々。

うん、がんばった俺。


さてここでハンターのお楽しみ、はぎとりタイム突入。

だぁが、剥ごうとしたものの、そのちっさい体ゆえにはぎとれる場所が無かったんだなこれが。

仕方なく遺産とか呼ばれるガラクタを拾ってたんだが、視界の隅で何かが動いた。

見ると、まだ息のあるチャチャブーが転がってたわけよ。

たぶんうまい具合にミネ打ちっぽく当たったんだろうな、目ぇ回して気絶してたよ。

あ〜まだ生きてたか、めんどくせ〜けどトドメさすか。

そう思って刀抜いた瞬間だった。


グギャアアアアアアアアア


聞き覚えのある雄叫び。

同時に影が光をさえぎった。

オイオイオイオイ・・・嘘だろぃ。

雄叫びの主、もとい恐らくこの巣の主、リオレウスさん降臨。



そのあとちょっとした死闘があったのはまた別のお話。
22名無しさん@ピンキー:2007/12/01(土) 21:35:00 ID:EIC/GVlG
息も絶え絶え、なんとかリオレウスを狩った俺はその場にぶっ倒れてしばらく動けなかった。

起き上がって一息つくとなんだか後ろに気配。

振り向くと気絶してたチャチャブーがいたのよ。

ビビっちゃって「あqwせdrftgyふじこlp;@!!!???」とかチャチャブー張りの奇声出しちゃったのは内緒だ。

あわてて刀掴もうとしたら、そのチャチャブー、なんかお辞儀みたいのしてるんだよ。

何度も何度もペコペコって頭下げてんの。

それをしばらく見てて、倒したレウスと見比べてピーンときた。

ああこいつもしかして俺が助けたと勘違いしてるのかな?って。

鉈も持ってねえし敵意はないみたいだな。

傷だらけの俺に近づいてきて心配そうにキィキィ言ってる。

か、可愛いいい!!めっさ飼いてえええ!!

とか思ったが、そこは野生モンスター、つれ帰るわけにはいかないだろ常識的に。

自制心フル稼働、なんとか落ちつける。

とりあえず頭撫でる程度で我慢してクエスト終了することにした。

受注書にゃチャチャブー20匹討伐って書いてるし、一匹ぐらいみのがしてもバチあたらんだろ。

おもむろに立ち上がり、じゃあな、と立ち去ろうとした。したんだが・・・・・。

キィ?キィ!?キィィー! コケッ(転んだ キィィー!

正直、我慢の限界です。

自制心崩壊。

気付いた時、俺はそのチャチャブーをアイテム袋につっこんでいた。
23名無しさん@ピンキー:2007/12/01(土) 21:37:15 ID:EIC/GVlG
家に帰って、さあどうしようと悩んだ悩んだ。

ハンターにとって出会いたくないモンスタートップ10に入るチャチャブー。

それをあろうことか村に連れてきちまったし。

ていうかこれって密猟か!?

俺犯罪者!?


しばらくうんうん悩んでいたが、傍らをみると心配そうにこちらを見てるチャチャブー。

まあ明日考えりゃいっかぁ♪

あるハンターは俺をバカと呼ぶ。おk、最高のほめ言葉だ。


とりあえず飯にすっかとアイテムボックスを開いた。

あれ、そういやチャチャブーって何食うんだ?

とりあえず食えそうなものを漁る。

すると鼻をつんざくような刺激臭。

うげ、とっときの古の秘薬が腐ってやがる・・・賞味期限が2週間も過ぎてるなぁ・・・。


食えそうなもんがない・・・そういえば昨日作ったつまみがあったような。

そう思って台所に向かった。

幸か不幸か、ここから話が大きくこじれる。
24名無しさん@ピンキー:2007/12/01(土) 21:37:59 ID:EIC/GVlG
結局何もみつからず、居間にもどるとチャチャブーの姿がない。

ん、どこいったあいつ。

部屋を見回すとベッドの脇からうっすら煙が。

慌てて近寄ってみると、なんとチャチャブ―がさっきの腐れ古の秘薬を一気飲みしてたんだよ。

うわお前それ腐ってばっちぃから離しなさいていうか吐き出せくぁwせdrftぎゅhじ!!

パニクりながら瓶をひっ掴もうとした瞬間。


ブッシュウウウウウウウウ


視界を覆う濃い白煙。

瞬く間に居間を飲み込み窓からも溢れ出す。

ゲホゲホ咳きこみながら状況をなんとか確認しようとするが、パニクり過ぎて何がなんやらわからない。


うっすら煙が晴れてくる。

そうだ、チャチャブー無事か!?

はたと思い出し、ベッド脇に近ずいて、フリーズ。

なぜかって?

そこにはチャチャブの代わりにくすんだ橙の髪をした女の子がいたからさ。

しかも全裸で。


こうして俺の生活は一変することになる。
25名無しさん@ピンキー:2007/12/01(土) 21:40:11 ID:EIC/GVlG
以上です。

ノリで書いた。想像以上に長くなった。
正直申し訳ない。
もう叩こうが蹴ろうが抵抗しないんで好きにしてください。

多分続かない
26名無しさん@ピンキー:2007/12/01(土) 21:41:41 ID:XiS0P7m4
>>25
過去ログ嫁
27名無しさん@ピンキー:2007/12/01(土) 22:06:52 ID:4lzndqiC
>>25
なんら問題ない。いやむしろ続けていただきたい。

ところで俺脳内チャチャ擬人化娘がカボチャパンツの幼女なんだが、電波発信元はここでよろしいのか?
28名無しさん@ピンキー:2007/12/01(土) 22:33:39 ID:vX1g5Dez
>>27
自分で発信して自分で受信したんだろ

まぁ、中継ポイントはきっとここだが
29名無しさん@ピンキー:2007/12/02(日) 01:51:17 ID:/VywDYd+
>>25
腐った古の秘薬とは新しい
古なのに新しいとはこれ如(ry

つか、秘薬って腐るのか?
30名無しさん@ピンキー:2007/12/02(日) 03:13:39 ID:w1MIZHH6
前スレがまだ埋まってないのに…と思ったら荒らしで容量が切れたのか?
VIPってのは本当にもうなんだかもうあの許してくださいアッーーーーー!
31名無しさん@ピンキー:2007/12/02(日) 04:47:25 ID:ebGCzghA
>>25
やり過ぎの謙遜は萎える
書いたなら書いたでドーンと構えてろ
 
 
 
続き希望
32名無しさん@ピンキー:2007/12/02(日) 05:10:15 ID:OGe33BCC
生殺しか……?
鬼畜ー。
33名無しさん@ピンキー:2007/12/02(日) 05:11:20 ID:OGe33BCC
前スレのあれはvipperじゃなくて
それを装ったテロじゃろ
34名無しさん@ピンキー:2007/12/02(日) 06:09:55 ID:gcTMhMsT
>>29
新しく調合しても「古の」なんだし、技術や精製方法が古いんだろ。
35名無しさん@ピンキー:2007/12/02(日) 10:26:28 ID:u7aumUa3
秘薬腐るのかwwwww

のりがよくてサクッと読める、GJだよ
36名無しさん@ピンキー:2007/12/02(日) 12:27:02 ID:2+niv/q+
>>25
頼む、もうちょっと小説読むなりして、勉強してくれないか
そういう書き方もありと言えばありだが……正直、ちょっとなぁ……という感じ

内容がけっこういいのが惜しいよ
37名無しさん@ピンキー:2007/12/02(日) 14:52:28 ID:aYnqkGej
前スレ荒らしで埋まってて吹いたw
38名無しさん@ピンキー:2007/12/02(日) 14:54:02 ID:YL2IKwyv
>>36
書き手に求めすぎるのは良くない。
でもおまいさんは優しいな。
>>25
とりあえず乙。できれば前スレ読み返して見てくれ。
それからこのスレであんたの書いた後書き読んでくれないか。
その後書きは余計なノイズでしかない。
どうしても何か卑下したければ、チラシの裏に書くとかしとけばいいんでね?
SS内容は可もなく不可もなくってくらいだ。
39sage忘れの人:2007/12/02(日) 17:06:28 ID:z1GrenND
チャチャブーの人GJ。俺も昔の後書きはそんな感じだったよ。
これから直していけばいいさ。続きも楽しみにしてる。ガンバ!
では、自分も書き上がったんで投下する。
===========================

「へえ、そんでアンタはこっちに住みだしたってワケかい?」
昼時をしばらく過ぎた頃、集会所でアズラが酒を飲みながら会話している相手はガネット。
彼とだけまだ話していなかったアズラはガネットが人間になって、ここに住むようになったたいきさつを聞いていた。
お互いに元リオレウスなせいか(関係ないかもしれないが)、会話も弾んでいた。
「ああ。…今こうやって生活してるのもあいつのおかげだ」
「そりゃまた随分信頼されてるなアイツ。…んで、どうよ人間としての生活は?」
「自分なりに楽しんでいるつもりだ。…ただ、何故かよく人間の女が話しかけてくるのが対応しづらいな…」
アズラは少しカチン、ときた。どうにもこの村では自分はモテずに他の男がやたらとモテる。
というのも、ガネットの場合そこそこ美形で、大人のワイルドな渋い魅力をかもし出しているせいもあるのだが。
考えてみると、自分は元モンスターながらに人間になり切りすぎているのかもしれない。
自分ももう少しワイルドさを前面に……
「…ま、どうでもいいかンなことは」
「何がだ?」
「いや、何でも。そうだ、何か面白いクエストの情報とか聞いてないか?」
「面白いクエスト? ……そうだな…。……一つだけ、興味を引かれるものがあったな」
「へぇ、どんなのだよ?」
「少し待ってろ」
今の時間帯は集会所にも比較的人が少ない。そのため、ガネットにも飲みに来たハンターと
会話をしたり、クエストを紹介する余裕もあった。
ガネットはクエストボードから紙を1枚取ると、それをアズラのところへ持って行った。
「…こいつだ」
「なになに…。……密林で何かによるモンスターが次々と惨殺、その原因の調査?」
「…何でも、最近森丘でも同じことが起きたらしい。近隣の者の話では翼の生えた人間のような生物が飛んでいたと聞くが…」
「そいつぁ興味深いな…。…詳しく聞かせてもらえるか?」
40sage忘れたorz:2007/12/02(日) 17:07:10 ID:z1GrenND
その日のジュリオの一日は、飼いブタのヒレカツが彼の顔に乗ってきたことから始まった。
頭に重苦しい何かを感じて目を覚ますと、目の前には文字通りブタのケツがあった。
「……ヒレカツ、ちょっとどいてくれないかい?」
ジュリオに言われてヒレカツがさっさとベッドから降りる。
ブタなりにしつけはしてある。子ブタながらになかなか賢く、物覚えがいいのでジュリオからも気に入られている。
…ベッドから降りようとして、ジュリオは自分の横に何かがいることに気づいた。
大きさは自分よりほんの少し小さいぐらいだ。
「………うわああああぁぁぁぁ!?」
物凄い叫び声とともにジュリオが大きく後ずさり、後ろの壁に激突した。
「っつつ…。…な、何でルヴィさんがここに!?」
寝ていたのは赤毛の少女、ア…じゃなくてルヴィ。
ジュリオは覚えもないのに自分の隣で寝ていることにも驚いたが、それ以上に
彼女がほぼ下着だけの状態で寝ていることに驚かされた。
「ん……あ、ダーリンおはよ!」
「な…何でこんなところに!?」
「あ〜、実はなダーリンとの既成事実を作っとこうと思って…」
寝ぼけ顔で起き上がりながら、ルヴィが言う。同時に、はっとした顔をする。
「しまった! そのことをダーリンに言ったら意味ないやないか! あ〜もうウチのバカタレーーーー!!」
………まあ、いつになく過激ではあるがいつもどおりだ。
自分にそんなことを言い聞かせて無理矢理納得させると、ジュリオはベッドから降りていった。
ベッドから降りると、ルヴィが目も当てられないような格好をしているために背中を向けながら一言。
「…とりあえず服着てください」
41sage忘れの人:2007/12/02(日) 17:08:36 ID:z1GrenND
ルヴィは最近、ジュリオの家で食事を取ることが多い。
というのも、元々が生きたケルビなどを丸呑みにするという食事方法だったため、
少しずつ人間の食事に慣れなければいけないからだ。
ジュリオはもちろんだが、アイルー達も「作り甲斐がある」と喜んで彼女にも食事を提供している。
…もっとも、ルヴィがここで食事を取る一番の理由は「ジュリオにべたべたしたいから」なのだが。
「ほらダーリン、あ〜ん」
「や、やめてくださいよルヴィさん…」
「照れんでええって照れんでも♪」
「ルヴィさんは食べなくていいんですか?」
「ん、そうやな。ウチも食べますか!」
しかし、まだ人間の食事に慣れていない彼女の食事方法は傍から見ればなかなかに微笑ましいものだった。
大きめの肉を必死に丸呑みしようとするが、飲み込めない。
そのため、仕方なくジュリオが小さく切って彼女に食べさせてやっている。
「こうしてると何かカップルみたいやな♪」
「…あ、口元が汚れてますよ、もう……」

「……カップルっていうより、親子みたいニャ」
「だニャ…」

「あ〜、食べた食べた!」
「ご馳走様。それじゃあ、後片付けをお願いできるかな?」
「御主人、そんな律儀にいちいち言わんでもそれが僕らの仕事だニャ。気を使うことないニャ」
「そう…かな?」
「御主人は控えめすぎだニャ!」
「ははは…」
使用人…もとい、使用ネコに説教される雇い主というのも珍しいだろう。
悪いことをしての説教ではないから、良いことではあるが。
「そーそー、もっと控えめさを無くしてウチにアタックを……」
「おーい、ジュリオ! 居るかー?」
家の入り口の方から声が聞こえる。
アズラの声だ。
「お客様だニャ!」
「いや、僕が行くよ。僕のハンター仲間だ」
「そうかニャ?」
ジュリオが厨房を去っていく背中を見ながら、ルヴィは呟いた。

「空気の読めない青毛が……」
「ニャ!? ボ、ボク何か悪いことしたかニャ!?」
「…イヤ、アンタのことやあらへん。確かに青毛やけど…」
42sage忘れの人:2007/12/02(日) 17:10:26 ID:z1GrenND
「面白いクエスト…ですか?」
「おう。こいつを見てくれ」
「…………!! これは……」
「ん、どうしたよ?」
「……アズラさん、是非とも同行させてください」
「……何かワケありみたいだな…。ま、いいぜ。元々そのために来たんだからな」
「ほな、ダーリンたちも早速準備せな!」
いきなり後ろから現れるルヴィ。
既に狩りの装備をしている。なんという早さ、なんという行動力。
「……そうですね…」
もはや突っ込む気力すら失せていたジュリオだった。
「…ん? あの写真は……お前の両親かい?」
アズラがジュリオの部屋の入り口近く、アイテムボックスのすぐ横に置いてある額に気づき、言う。
額にはジュリオとおぼしき少年と、その親らしき男女の肖像画が描かれていた。
「ええ、そうですよ。二人ともハンターだったんです。特に母は変わり者だったんですけどね…」
「……ああ、そうだろうな…」
「?」
「いんや、何でもねぇ。……親御さん……死んじまったのか?」
「…ええ、5年ほど前に」
「そう…か…」
アズラがうつむく。
顔は見えないが、どうやら悲しんでいるように見える。
「……どうしたんですか?」
「…いんや…何でもない。ほいじゃ、行くか!」
「はい!」


「そういやエメラちゃんはいいのか?」
「いえ、一応聞いておこうかと思ったんですが何処にもいなくて…」
「ふ〜ん…」
しかし、3人が集会所に入るとすぐにそこで狩りの準備万端な翠の髪の女と
出会ったのだった。
「行くぞ」
「…………そうですね……」
43sage忘れの人:2007/12/02(日) 17:11:13 ID:z1GrenND
クエストの目的地、密林に到着したのは深夜だった。
さすがにこの時間帯では相手を探すのは難しい。
何せ、十中八九少年の姿(人間、とはいいがたいが)を持ったものがターゲットだ。人間の体になると自然と生活もそれに適応してくる。
こんな時間だと、寝てるとみていいだろう。無論、例外ということも有り得るが何よりジュリオ達自身が眠い。
ベースキャンプの用意をして、早々に寝ることとなった。
そして、男女に分かれてジュリオとアズラが寝袋に潜った後のこと。
「…アズラさん」
「ん〜?」
「今日、クエストに出かける前…僕の両親の肖像画を見て、母を知ってるような素振りを見せましたよね?」
「あ〜…そうだな」
「…一体、何故アズラさんが僕の母を?」
ジュリオの問いに、アズラが困ったように顔を掻く。
「…こんな早くにバレたかなかったんだが…まあ、オレの口が原因だが。
…実はだな……オレがポッケ村を訪れたのは、その人…お前の母親が目的だったんだ」
「僕の…母が?」
「あァ…話すと長くなるんだが…オレがまたこんなに小さいリオレウスだった頃によ、初めて巣の外に出て…大怪我をしたんだ。
しかも親とはぐれちまって…さすがに死を覚悟したよ。…んで、そんな時にとあるどえらい変わり者の女ハンターと出会ったんだよ」
「…母、ですか?」
「おうともよ。…お前母親が変わり者っつってたろ? オレのあの人への『変わり者』って感想がお前と同じ理由から来たもんなら、
オレとその人が出会って、どうなったかはわかるよな?」
「…母さんが、アズラさんを…育てたんですか?」
「ビンゴ!」
少し笑いを浮かべながら、アズラが親指を立てながら人差し指をジュリオに向ける。
相も変らぬ能天気な表情でのその仕草をしたアズラの声は、いつも程明るくはなかった。
その理由はこの時点でも十分に察すことが出来た。
44sage忘れの人:2007/12/02(日) 17:12:17 ID:z1GrenND
「あの人はオレに良くしてくれたよ…。一般人からしたら信じられだろうぜ…。だってあのリオレウスの亜種…その子供を、
自分の家に連れ帰ってこっそり育ててるんだぜ? 子供のモンスターながらにぶったまげたよ」
「でしょうね…」
「それにあの人はよくオレに語りかけてくれた…。自分のこと、狩りの事、以前にもモンスターを拾ってきて育てたことがあること…」
「僕が生まれてからも、イャンクックの子供なんかをこっそり育ててましたよ…。知ってたのは僕と父だけでした。
そのおかげか、僕も幼い頃から随分とモンスター慣れしていたものです…」
アズラはまた、ジュリオが元モンスターの扱いにあまり困らない理由を一つ知った。
「…んで、話を戻すと…その後、お前の母親のお陰でオレの傷は全快した。傷も治ったし、そろそろ自然に戻ろうと思ってな。
これ以上、世話かけるワケにもいかんからオレから去ってったんだ」
「それで?」
「元気になったお陰で自然界で生きるのはそう困難じゃなくなったよ。でも…すぐにまたあの人が恋しくなった。…そいつが、オレが人間となった理由さ」
「へえ……」
「…な〜んか相槌うってばっかだなァ、お前…」
「す、すみません…」
「まァ、それもお前らしさかもな」
ゆっくりと首を上に向け、夜空を見上げるとアズラは懐かしそうな顔をしながら語りだした。
「でも、人間になってから色々と苦労したよ。まず、動きに慣れなくてなぁ…。転んでばっかだった。
それに、モンスターにも襲われた。幾度と無く命の危機に陥ったよ。それでも、あの人に会いたい一心でな…。
あの人と過ごした場所に行くと、そこにはもう居なかった。何でもとある旅のハンターに嫁いだんだと」
「僕の父ですか…」
「多分、な。あの人の足取りを追ってるうちにオレもモンスターとの戦いに慣れてな…気がついたらハンターになってた。
んで、ず〜〜〜っと探し続けてきて彼女がポッケ村の出身だと知ったんだ」
「それでポッケ村に来たわけですか?」
「そーゆーこと。村の人達からあの人が死んだって聞かされた時はショックだったなぁ…。嘘だとは思いたかったが…。
息子であるお前ん家から死んだって聞いて、確信しちまったよ」
「……ごめんなさい…」
ジュリオが申し訳なさそうな声を出す。
が、アズラはにぃっ、と笑うとこう続けた。
「お前が謝ることじゃねーさ。それに今、オレは猛烈に楽しいぜ? 狩りのコツも覚えて、このハンター生活に充実感を感じてる。
あの人は死んだけど、あの人のお陰でこんな楽しい生活が送れてるんだ。あの人が死んだとて…またこの楽しい生活が続くだけさ」
…とはいえ、まだちょいとショックなのに変わりはないがな」
「………」
「そんなにしょげるなって! オレぁ立ち直りは早いほうなんだよ。だから気にすんな。さ、もう寝ようぜ」
45抱負:今年中に完結させる:2007/12/02(日) 17:14:30 ID:z1GrenND
翌朝。
いきなり呼吸が出来なくなり、ジュリオは目を覚ました。
…目の前に、ルヴィの顔がある。そして、自分の口が塞がれている。
「―――ッ!!」
しかもそれだけでなく、口内に舌が侵入してくる。
呆気に取られていたジュリオは成すすべもなく口内を歯茎の裏まで嘗め回される。
10秒ほどして、ようやく唇が離れる。
「ぷはーっ! おはよ、ダーリン! どや、ウチの目覚めの口づけ(DEEP IMPACT)は!?」
「え…えぇっ!?」
「やれやれ、朝っぱらからお熱いこって」
起床した途端、いきなりのサプライズだ。
この間のショウグンギザミの一件以来、ルヴィがやけに積極的になっている。
「この調子だと、いずれは寝込みを襲われてあんなことやこんなことをされるかも…」
「変な文を入れようとしないでください、アズラさん」
「いーじゃんよ、別に。とりあえずさっさと朝メシ食おうぜ。起きてないのお前だけだったんだから」
周囲を見てみると、既に全員が起きている。
まだジュリオの横でにやにやしているルヴィ、朝食の用意をしているアズラ、
そして放心状態のエメラ。
「……エメラさん、どうしたんですか?」
「………………うわーーーーーーーーーー!!!!!」
「あ、エメラちゃんが走り去っていく!」
「ちょ、ちょっと! そっちはもう狩場ですよ!?」
しかしそんなジュリオの言葉も届かず走り去っていくエメラ。
気のせいか、涙を撒き散らしているような気もした。そういえばこの間もこんなことがあった。
その時はベースキャンプへと走って行っていたが。
「しゃーない…追うぞ! 朝メシは後だ!」
「はい!」


===================
今回はここまで。伏線も何もあったもんじゃないね。
かなり間が空いたけど、年末で忙しい上最近モンハンやる暇ないからネタがなかなか思い浮かばないのよ。
天地創造おもすれーー!!
あと3,4回ぐらいで自分も読み手側に回ることができそうだ。
46名無しさん@ピンキー:2007/12/02(日) 17:31:42 ID:vmgrkc42
47名無しさん@ピンキー:2007/12/02(日) 18:04:37 ID:E2CWPF1p
>>45
前より自分語りが酷くなってるんですが、わざとやってるんですか?わざとですよね?
48名無しさん@ピンキー:2007/12/02(日) 19:38:20 ID:wujsJ8fV
>>47
ログも空気も読めない奴に何言っても無駄
49名無しさん@ピンキー:2007/12/02(日) 19:45:04 ID:z1GrenND
別に書き手もただ投下するだけの機械じゃないんだしこんぐらいはよくないか?
50名無しさん@ピンキー:2007/12/02(日) 19:48:40 ID:z1GrenND
すまんまた途中で投下した。
一応俺も適当なボケ書いて突っ込まれたりとかそんなこともしてみたいんだ。
それが迷惑ならしばらく投稿自粛する。本当に申し訳ない
51名無しさん@ピンキー:2007/12/02(日) 20:04:49 ID:ZsA4SNMn
自粛オススメ
52名無しさん@ピンキー:2007/12/02(日) 20:14:50 ID:u7aumUa3
自分もこれくらいは全然許容範囲だと思うけどな
つか、書き手が寡黙だと読み手は感想付けづらいんだよね
53名無しさん@ピンキー:2007/12/02(日) 21:28:09 ID:2+niv/q+
まぁ待てお前ら、もうちょっとマッタリといこうじゃないか
祖龍が雷降らしてる時に、真っ裸で範囲ど真ん中で踊るくらいの余裕を持つんだ
語りが嫌ならそこだけ読まずにスルー、
出来ないなら、NG登録だ、コテ付けてけれてるんだし。





>>45
GJ!
さぁ早く逆レイプを(ry
54名無しさん@ピンキー:2007/12/02(日) 21:34:38 ID:wujsJ8fV
>>53
お前みたいに甘やかす野郎が一番いらないんだが
55名無しさん@ピンキー:2007/12/02(日) 21:38:44 ID:d2BVdhtq
とりあえずアイルーをモフモフしつつマッタリしようじゃないか
56名無しさん@ピンキー:2007/12/02(日) 21:55:49 ID:ZsA4SNMn
まったり待つのは構わないんだが、忙しいなら無理にやらくてもいいよってこと。



>>45が言い訳がましくてあざといというのもある。
57名無しさん@ピンキー:2007/12/02(日) 22:13:24 ID:f+uVELtC
久々に来たけど、いる人でも変わった?
前はこんなに喧嘩っぽかったっけ?
58名無しさん@ピンキー:2007/12/02(日) 22:14:20 ID:vLqtkZDz
>>50
自己語りに関して過敏になってるからな。許容しすぎたからあれだけ荒れた訳だし。
どうしても一言二言言いたいなら過疎るかマターリするまで自粛した方がいいよ。
投下だけで去れるなら多分投下しても問題ない。
59名無しさん@ピンキー:2007/12/02(日) 22:24:01 ID:QlYa0L1D
投下しますおー。
前スレ94-100の続きにて14レスほど拝借。
まだエロなし。資料不足につき、ところどころ捏造設定を混ぜてます。以上がダメな人はスルーしてくだしあ。
60竜になりたい 1:2007/12/02(日) 22:25:34 ID:QlYa0L1D

 暴力的なまでに降り注ぐ砂漠の陽光も、風化しかけた岩に遮られてその凶暴さをいくらか失い、
 一切の遮蔽物が存在しない砂漠地帯よりはいくらか快適な温度となった空気が流れていた。
 柔らかい風がひとつ、俺の顔を撫でていった。流れてきた異臭が鼻をつく。
 セクメーアという名のこの砂漠にいくつか点在する岩場のうち、公式の地図には区域九と記されている場所。
 そこに立つ俺達の目の前に広がるのは、凄惨な光景。

「もう少しかかるかなと思ったんだけどな……」

 砂地の上に、その黒き巨体を朱で彩ったディアブロス亜種の亡骸が転がっていた。
 巨大な黒翼にはいくつもの風穴が開き、両足を覆う甲殻は殆どが砕け散り、焦げた内部の肉を晒している。
 頭部の雄々しい襟飾りには何本もの矢が刺さったままで、
 そこから生えているべき二本角に至っては両方が僅かに根元を残して消失していた。
 数多の傷口から流出する血液がまるで大河のように複雑な軌跡を刻みつつ流れ、
 そして重力によって極小の滝となって地に降り注ぎ、僅かながらの潤いとして砂地に吸い込まれてゆく。
 二流吟遊詩人ならばこんな感じで表現しそうな状況に、俺たちはいた。

「思ったより早く倒せたね」

 呟きつつ展開していた弓を畳んで背に戻すスピカに倣い、俺も太刀を背の鞘に収める。
 緩やかに衝突した金属同士が奏でた、場違いなほどに澄んだ音を背中で聞く。
 ついでに兜も外し、腰の掛け金に固定しておく。今度はスピカが俺に倣った。
 戦いは終わった。
 砂漠地帯でのしばしの攻防の後、俺が奴の双角をまとめて切断した時点でもう勝負はついていたのかもしれない。
 自らの誇りそのものである双角を破壊された黒角竜はかつての凶暴さとプライドを失い、
 残ったのは生存本能に基いた敗走という選択肢のみ。
 敵を目の前にしながら惨めに逃走するという正常時には考えられぬ行動に出た黒ディアブロスを、
 しかし俺たちは追跡し、ついには殺した。
 クエストの達成条件は、ディアブロスの「一時的排除」ではなく「狩猟」だったからだ。
 仮に見逃がしたとしても、角が元通りに再生するまでの数ヶ月間はひとまず安全が確保できる。
 だが、人への憎悪を抱いた竜は、遅かれ早かれ再び人と衝突する可能性が非常に高い。
 プライドの高いディアブロスなら尚更のことだ。 
 後に余計な犠牲を出さない為にも、こちら側の傲慢に近い情けにもならない情けをかけるわけにはいかなかった。

 つまり何が言いたいかというと、別に俺達は、特に俺は殺生を楽しむ猟奇的殺竜犯ではないということだ。念のため。
 俺が楽しんでいるのは戦いそのものだ。相手の死はそれに付いて回る結果に過ぎない。
 それすらも楽しめるようになってしまった奴を何人か知っているが、今では漏れなく全員が墓場か監獄の住人だ。
 どちらに居ようと、末に辿り着くのは地獄という終点だろう。自ら進んでそこに行きたいとは、当然思えない。
 それは紛れもなく百パーセント混じりっけなしの純粋な本心なのだが、
 それでもどこか言い訳染みていると感じてしまうのは俺が生真面目すぎるせいなのだろうか?
 考えながら立ち尽くしていると、右肩に軽い衝撃。
 顔を向けると、そこには汗ばんだ嬉しげな顔。その身を包む蒼い鎧と同じ色を宿した瞳。
61竜になりたい 2:2007/12/02(日) 22:26:36 ID:QlYa0L1D

「なーに辛気臭い顔してるのよ。さっさと剥ぎ取り済ませて帰るわよ」
「え?」

 言い捨て、スピカは俺の返事を待たずに竜の亡骸へと駆け寄っていく。
 はて。確かにあまり景気のいい思考はしていなかったが、それを顔に出した覚えはないのだが。
 なんとなく腰から剥ぎ取りナイフを抜き放ち、顔の前に翳してみる。
 陽光を受けて銀色に輝く刃に映る自分の顔を確認。
 少々の間の後、結論。

「別にいつもと変わらないだろ」

 ナイフから目を逸らすと、同型のナイフを片手に早くも剥ぎ取りを開始していたスピカの手が止まっていた。
 死して間もない竜の体から噴出したであろう血で顔と鎧の一部を赤く染め、
 しかしその面には未だに嬉々とした笑みが張り付いている今のこいつは、何も知らぬ奴から見ればとびきりの異常者だろう。
 目的の素材を手にすることができる剥ぎ取りという行為は、
 ハンターにとって心躍る瞬間だというのも理解できるので特に何も言わないが。

「あー、そういえばそうかもね。君っていつも辛気臭い顔してた気がする」

 無垢な笑顔で素晴らしく酷いことを言ってくれましたよこの人

「失礼な。誠実かつ慎み深く見えると評判らしい俺の顔のどこが辛気臭いってんだ」
「なによそれ」

 苦笑しながらスピカは続けた。

「それ、どこの誰が言ったのか知らないけど、ただのお世辞だと思う。
 誠実で慎み深いって、裏を返せばそうとしか言えないパッとしない人って意味じゃないの?」

 奴の口から発射された言葉という名の実体を持たぬLv3貫通弾が俺の耳を通って心を貫いて掻き回し、
 そして反対側の耳から突き抜けていった。ような気がした。
 いや、実のところ言葉の裏には気付いてはいた。気付いていたつもりだったのだ。
 だが、実際に容赦なくそれを指摘されて何の感慨も沸かないわけがない。

「スピカ、そういう意味が込められていたとしても、気付かないフリをしておくのが会話を円滑に進める上で必要な配慮だとは思わないか?」
「まぁ、そうだけど。、相手にもよるでしょ。君とは今更円滑な会話云々ってことに気を遣う間柄でもないし」
「それはいい意味なのか悪い意味なのかどっちなんだ」

 苦笑と共に零れた俺の言葉に、スピカは右手の人差し指を口の前にもってきて答えた。

「それは秘密です」
62竜になりたい 3:2007/12/02(日) 22:27:40 ID:QlYa0L1D

 うわぁ、子供なら素直に可愛い思える行動も、二十台半ばの女がやると凄まじい破壊力。勿論マイナス的な意味で。
 俺の内心など知る由もないスピカの言葉は続く。

「そうね。常日頃から眉間に皺を寄せる癖をなくして、少しは人を笑わせられるような冗談も言う。
 それでもって単純軟弱石頭な煩悩魔人っぽい性格も変えるか隠すかして、ついでにその冴えない顔も整形する。
 短くて飾りっけなしの髪もちょっと伸ばして整えて、ついでに黒じゃなくてもっと明るい色に染めればもっといい評判をもらえるんじゃない?」
「……酷い言われようなのは置いとくとして、だ。その通りにしたとして、今の俺の要素は殆ど残らない気がするんだが?」
「ほらね、そういう反応からしてつまらないんだって。
 折角こっちが冗談めいたこと言ってるんだから、冗談で返さなくてどうするのよ。……まぁ確かに殆ど本心だったりもするけど」

 まるで教師にでもなったかのような言い方だ。
 お咎めを食らった生徒としては、腹が立つが教えを請うべきか。

「じゃあどういう風に返せばよかったんだ」
「うーん、そうねぇ」

 右手で口を押さえて考え込むこと、約三秒。

「『絶望した!さりげなくと見せかけてあからさまに俺を全否定する仲間に絶望した!』……とかどう?」

 どこかで聞いたような気がするそのセリフに、俺は絶句した。
 感動したわけでもつまらなかったわけでもない。
 ただ、指先に付着していたらしい血で、スピカの顔が更にグロテスクなことになっていたからだ。
 教えてやろうかと思ったが、思いとどまることにした。
 汚れを落とせるようなものはキャンプに置いてきてしまったし、馬鹿にされたことへのささやかな復讐にもなる。くけけけ。
 そういう性格から変えたほうがいいんじゃないかという心中からの声は、やはり無視した。
 
「ちょっと、何か反応してよ」
「……いや、なんというか。どう反応していいやら分からなくてだな」
「そんな時はとりあえず笑う!愛想笑いでもいいから笑えばいいと思うよ。それが会話を成立させる上で必要な配慮でしょ」
「さっきそういうのを気にする間柄じゃないって言ったのはどこの誰だ?」

 俺の指摘にスピカの血塗れ笑顔が凍りつき、そのまま黙り込む。
 どうやら再び俺の勝ちのようである。やっぱり嬉しくもなんともないが。
 いい年こいた男女がするにしてはアホらしすぎる会話は、さっさと終わらせるに限る。
 結論。
 
「俺は角を回収してくる。その間に剥ぎ取りは済ませといてくれ」
63竜になりたい 4:2007/12/02(日) 22:28:31 ID:QlYa0L1D

 走り出した黄色と青のストライプ。
 えらく高性能なのは知ってるけれど、あの防具はどうにも見た目が好きになれない。 
 自分の命を守るものに実用性以外を求めるのはズレた考えなのかもしれないけど、
 どうせなら実用性と鑑賞性を兼ね備えていたほうがいいに決まっている。
 そういう理由から、このリオソウルUシリーズは結構気に入っていたり。
 華美でも醜悪でもないすっきりとしたデザインと、落ちついた蒼い色をした甲殻の装甲。
 防音性においても非常に優れているこの防具は、けたたましく咆哮する飛竜との戦いではとても重宝するのだ。
 とか考えているうちに、ハヤテは既に視界から消えていた。
 
 途端に表情筋が動いた。見ることは出来ないけれど、きっと私は仏頂面をしてるんだろう。
 無意識に溜息をひとつ吐く。
 やはりあの人のぶっきらぼうな性格は不治の病なのだろうか。
 こちらが明るく振舞えば、それに感化されてそのうちいい方向に向かうんじゃないかなと思っていたのだけれど。
 あの人は余計に捻くれてしまったような気がする。つつくと頭を引っ込めて、放っておくと動き出す亀のようだ。
 これじゃ私がアホみたいに思われるだけじゃないか。まったく。
 肉に突き立てていたナイフが更に深く食い込み、飛び出た血が霧となって宙を舞った。
 いくらかが私の顔を汚したが、拭わない。これから更に汚れるだろうし、終わった後にまとめて拭えばいい。
 さてさて急がないと。必要最低限の剥ぎ取りとはいえ、これだけ巨大な竜だ。甲殻ひとつ引き剥がすだけでも苦労する。
 腕に力を込め、ナイフを滑らせた。
 この砂漠に居るモンスターはこいつだけではない。血の匂いに釣られ、いつ他のものどもがやってくるかもわからない。
 今回のクエストを受注して、ハヤテを誘ったのはこの私だ。怠慢はさすがにまずいだろう。
 走るナイフが筋繊維を冷たく断ち切り、一抱えほどの黒甲殻がまるでパズルのピースのように外れた。
 下から現れたのは赤黒い柔肉。じわじわと染み出す血に塗れ、生々しく輝くそれを前にしても特に抱く感情はなく、腕は機械的に動く。
 どこをどう弄ればいいのかは考えずとも体が覚えていた。自然と頭が手持ち無沙汰になり、思考が勝手に再開される。

 人の性格なんてものはまさに千差万別だ。
 少なくとも私が過ごしてきた二十四年と少しの時の中で出会ってきた人々の中に、思考や嗜好、性格が完全に一致する人などいない。
 人それぞれに個性があるこそ、そこに面白みや楽しさ、そして時には厄介事も生まれる。それはとても尊重すべきこと。
 そんなのは年端も行かない子供でも知っている当たり前のことだ。
 けれど。
 つるむようになって長く、時にはこうして共に狩りをする人が毎日をとてもつまらなそうに過ごしていたら、なんとかしてあげたくなってしまう。
 あれ、これって恋ですか?とか考えたときもあったけれど、どうやら違うらしい。
 暫くあれこれと考えてみて、私はこれは恋愛感情ではなく単なる心配なのだという結論に至った。
 そんなわけで以前からいろいろと試したり喋ったりしているのだけれど、どれもこうかはいまひとつのようだった。
 こちらとしては良心でやっていることなんだけど、あっちが迷惑あるいは余計なお世話だと感じているかも、と考えると少し悲しい。
 けれど諦めたくはなかった。
 先程のように、竜と戦っている間だけ水を得た魚のように溌剌としていて、
 それが終わるとまるで恋人とでも別れたかのように寂しげで物足りなさそうな表情をしているハヤテを見ていると、時々妙に怖くなるのだ。
 人であるはずのハヤテが、内面では人にあらざるものに変化していっているような気がして。
 彼の内心を知ることはできない以上、ただの杞憂だという可能性もあるし、
 相手の内心を探り、改変したいと思ってしまった時点でそれは友情や心配などではなく、操作や調教に近いものなのかも知れない。
 けれど心配になってしまう。
 行動を共にすることが多いんだから、その時間を楽しく過ごせるに越したことはないし、同様に楽しんでもらいたい。
 だから彼を変えてあげたくなる。けれど上手くいかない。不安と不満は消えない。以下繰り返しがエンドレス。
 まったく、上手くいかないものだ。
64竜になりたい 5:2007/12/02(日) 22:30:51 ID:QlYa0L1D

 たまに、たかが一人の友人兼狩り仲間くらいどうなろうと構わないじゃないかと諦めたくなることもある。
 けれど、決して短くない時間をかけて築いた協力関係や、学んだ戦闘技術と呼吸の合わせ方のことを考えると、やはり失うのは惜しい。
 自らの仕事、そして生活を成立させていく上で、
 結構なアドバンテージとなる要素を一時の気の迷いで切れるほど、私は恵まれた環境にはいない。
 もっと馬の合う別のパーティを探して、そこで今と同等以上の技術を身につけるまでにかかるであろう時間と手間と、
 十分満足できる現状にある少々の不安を取り除く、
 あるいは気にならなくなるまでにかかる時間を心中の天秤にかけてみると、やはり傾くのは後者のほうだ。
 とかそんな感じで冷たく現実的な思考をすることで、諦めずに今日までやってきていたりする。
 こんなことを思うたびに、人との関わりってやっぱり面倒くさいなぁと感じずにはいられない。
 けれど、だからといって避けるわけにはいかないのだ。人は一人で生きるにあらず、また長くは生きていけない。
 そんなことは分かっている。だったらどうしよう。
 そうだ。どうせなら楽しく笑いながらやっていこう。
 本質が面倒くさかろうとなかろうと、楽しめればこちらものだ。
 内心で退屈で面倒な現実を理解していても、それを一時のものでもいい、楽しさで塗りつぶしてしまえ。
 黒い感情を白く塗りつぶそう。塗りつぶしたことは忘れてしまえ。
 そして、どうせなら周りの人も同じように楽しみ、笑えるようにしよう。そのための努力は惜しまない。
 
 私がいつも通りの結論に達したと同時に、必要最低限の剥ぎ取りは終わっていた。
 何事もそうだけれど、考え事をしながら作業をすると、体感経過時間が実際の経過時間より少なかったり、
 普通にやった時よりも疲労感が少ない気がする。なんとなく得をしたようで嬉しい。無駄思考もしてみるものだね。
 一息ついて、一部を失った黒角竜の背甲に背を預ける。視界一面に広がるのは、いつも通りに青い血に染まった晴天。
 あとはのんびりハヤテを待とうか。

「こりゃまた随分な大物を仕留めたのぅ。大した腕じゃ」
「うひゃあっ!?」

 いきなり間近から聞こえてきた声に、口から心臓が飛び出るかと思った。
 思わず間抜けな悲鳴をあげてしまい、それでも声の聞こえた方向に急いで向き直る。
 切り替わった視界に映し出されたのは、小さな体に乗った赤っぽい禿頭。伸びに伸びた眉と髭が生えた顔は、皺にまみれていた。
 体格の割には大きな背嚢には溢れんばかりの内容物が詰め込まれていて、収まりきらぬ一部が今にも零れそうだ。

「なん、だ。山菜じいさんか……びっくりした」
「なんだとはなんじゃ。こちとら苦労して竜の体を登ってきたというのに」
「あ、スイマセン」

 別に呼んだ覚えはないんだけど、という素直な意見は心中にとどめておくことにした。
 この小さなじいさんに会ったのははじめてではない。
 何回か狩場に出て、あちこちを探索したことのあるハンターなら誰でも知っているであろう、
 山菜ジジイの名で知られているこの竜人族は、ハンターとは割といい関係にある人だ。
 その名にある通り、背負った背嚢に溢れんばかりに詰め込まれた山菜をはじめとする様々な収集物を、
 気まぐれでこちらの持ち物と交換してくれたり、時にはタダでくれたりする。
 そうして貰える物の種類はまさに千変万化。会った場所や爺さんの機嫌、こちらが渡すものなどにより様々に変化する。
 こちらからすればほぼ無価値のものを「おぉ!そいつをよこさんか!」と言って貴重品と交換してくれたり、
 時にはその逆、貴重品を渡したにもかかわらず帰ってきたものが石ころだった、なんてこともあるとかないとか。
 そういったある意味でギャンブルに近い物々交換で儲けるべく、様々な素材をしこたま持ち込んで彼に会いに行くハンターも居るらしい。
 普通にモンスターを狩った方が確実に儲かる気もするけれど、まぁ個人の判断にケチはつけないでおこう。
 そうして彼に渡ったものが、ある日別のハンターの思わぬ幸運を呼ぶこともあるだろうし。いや、ないかも?
 
「まぁよい。挨拶もなしにいきなり話しかけたワシにも非はある」

 素直に謝ったおかげか、ご老体の機嫌は損なわれなかったようだ。
 なんだか随分と上からの言い方だけれど、どことなく愛嬌のある見た目と飄々とした雰囲気のおかげか特に何も感じない。
65竜になりたい 6:2007/12/02(日) 22:31:56 ID:QlYa0L1D
 
「しかしまぁ、特に気配を殺しとったわけでもないのに気付かなかったお前さんもお前さんじゃがな」
「………」

 前言撤回。今のはちょっとムカッときたかも。
 だが、よく考えなくても彼の言う通りだった。
 狩場で他者の接近を感じ取れぬ程に思考に没頭するのは賢明な態度とは言えないだろう。指摘されても反論できない。

「……ところで、いつもはそこの先にいるあなたがどうしてここに?生憎と物々交換をしにきたわけじゃないんだけど」

 話題転換の為に口にしたのは疑問。
 山菜ジジイといえば、他のモンスターがこない場所、
 砂漠地帯で言えばここ区域九から狭い抜け穴をくぐった先にある区域八にいるのが常のはずだ。
 ハンターがそこに会いに行くことはあっても、彼のほうから危険を冒してまでこちらに接触してきたという話は聞いたことがない。
 だからこそ驚いたというところもあったのだけれど。

「んなことはわかっとるわい。単なる確認のためじゃよ。
 お前さんと竜が戦っていたのは物音で分かっとったんで、静かになったからどちらが勝ったのか確かめておこうとな。
 ワシとていつまでもあそこにいるわけでもなし、周囲の状況は常に把握しておくに越したことはなかろう?」

 なるほど。考えてみれば当然のことだった。
 ありとあらゆるものを拾い集めているこのじいさんのことだ、常日頃はフラフラとあちこちを歩き回っているのだろう。
 しかしハンターが来ている、即ちその標的たるモンスターが周囲にいる時は、
 身の安全を優先して危害が及ばぬ場所にいる、ということか。
 
「しかし、繰り言になるがお前さんはいい腕をしとるようじゃな。繁殖期で気が立っている雌の角竜を一人で倒すとは」
「え?あぁいや、これは」
「いやいや謙遜するな若人よ。お前さんは誇れるだけの技量を持っておる。この竜の亡骸がなによりの証拠じゃ」

 尻に敷いた竜の亡骸をぺちぺちと叩くじいさんは、私に訂正の暇を与えてくれなかった。
 ふと見ると、皺に埋もれかけているタレ気味の目から注がれる視線に出会う。三角形の奇妙な耳が揺れていた。
 私は言葉を失い、奇妙な沈黙が舞い降りる。
 結論から言うと、このじーさん、絶対に下心を持っている。好々爺っぽい見た目で騙しているつもりかもしれないが、
 その双眸の奥から沸いてきた意地汚い光は隠せていなかった。自分が思っているほどに嘘が上手くないことに気付いていないらしい。
 今この場にいるのは、物集めが好きなじいさん、黒角竜の死骸、そしてそれを狩ったハンターである私。
 これらの要素から導き出される答えはひとつだ。

「……で、あなたはどの素材が欲しいわけ?」
「おや、やはり気付かれたか。話が早くて助かるわい」

 カカカと笑う山菜じいさん。ちっとも悪びれた様子はない。
 ……あ、ひょっとしてあれだろうか。このじいさん、自分から包み隠さず「欲しい」というのは気が引けるから、
 こちらからその話を出すように話の方向を誘導したのだろうか。
 話の裏をついたつもりが、そうするように仕組まれていたのだとしたら油断ならないじいさんだ。
 真意を探ろうにも、皺にまみれたの顔は既に好々爺の笑みで装甲されていた。
66竜になりたい 7:2007/12/02(日) 22:33:05 ID:QlYa0L1D

「なに、お前さんが命懸けで狩った竜じゃ。ワシはこの余り物さえもらえればそれでいい」

 お前さんにはなんの損もないじゃろう?とでも言いたそうなじいさんに、しかし私は説明してさしあげる。

「あのね、お爺さん。残念だけど、この竜の死体はこの後来るギルドの人たちがほぼ全部バラバラにしちゃうんだ。
 それで手に入った素材は狩ったハンターに一部が渡されて、そのまま受け取るか換金するか選べるようになってるんだけど」

 いったん言葉を切ってじいさんの顔を見てみる。
 すると、意外なことに先程からの笑顔は崩れていなかった。言葉の意味を悟り、癇癪でも起こすかと思っていたのだけど。

「ふむ。それで?」 
「え?あぁつまり、剥ぎ取った後の余り物を持っていかれちゃうと、こっちの収入が減るってこと。
 それはちょっと勘弁してほしいなぁってね」
「なーにをケチ臭いことを」
「あはは、確かに。けどこっちはこれで食べてる身なのよ。分かってもらえると嬉しいんだけど?」
「うぅむ」

 じいさんは赤子と同程度の大きさの手を顎にあてて考え込む。はてさて、どのような謀略を仕掛けてくることやら。
 泣き落としとかされたら嫌だなぁ、この手の人に乱暴はしたくないし。
 そうなったらまぁ、竜骨の一本くらいで手を打ってもらおうかな?
 
「そうかそうか、なら仕方ないのぅ」

 内心の諦めが染み出た言葉に外していた視線を戻すと、相変わらずの笑みが出迎えてくれた。
 おぉよかった、分かってくれたんだ。
 そう思って綻びかけた口元が、正体不明の悪寒に瞬時に凍りつく。
 悪寒の発生源は、微笑む老人。どこか愛嬌のある風貌に変わりはない。
 しかし、その内から隠し切れぬ不吉な何かが染み出してきていた。
 けれど老人はやはり暖かく微笑んでいる。その笑みを構成する顔の中で唯一、冷たさを孕んだ小さな目が私を見ていた。

「こちらとしても生活に関わるところがあるのでな。悪いが強行手段といかせてもらうぞ」

 この言葉が合図だったらしい。
 突如として周囲に湧き上がる気配。その正体は無数の小さな影。こいつら、竜の亡骸を隠れ蓑にしていた!
 この近距離、しかも複数を相手にするのは弓では無理と判断。よって使うは剥ぎ取りナイフ。握った右手を振るい、こびりついた血肉を飛ばす。
 気休め程度にしかならないだろうが、腰の矢筒からも一本の矢を抜いて左手で構え、即席の双剣とする。威力は察するしかないけど。
 
「ほほぅ、抗うか。しかしいつまで持つかのぅ?」

 じじいはいつの間にか竜の亡骸から飛び降りていた。既に意地の悪い笑みを隠そうともしていないのに腹が立つ。
 だが、老人の隣にいた襲撃者の一員を目にした瞬間、その怒りが急速に萎んでいくのが手に取るようにわかった。
 あぁ、ちょっとこれはやばい。やばいって。
 腕に込めた力が抜けていく。

 ある意味で最強の敵がそこにいた。
67竜になりたい 8:2007/12/02(日) 22:34:07 ID:QlYa0L1D

「なにやってんだ、あいつ」

 目的を果たして戻ると、奇妙な光景が広がっていた。
 地に伏す黒角竜の亡骸と、それに乗る相棒。そこまではさっきと変わらない。
 しかしその周囲にはいくつもの小さな白と茶と黒、すなわちアイルーとメラルーがいた。
 猫たちはスピカを完璧に包囲し、どう見ても襲撃までの秒読み体勢に入っている。
 スピカの手にはナイフと矢が握られてはいたが、その腕は力なく下げられていた。
 それらの要素をまとめて導き出されたのは、嫌な結論。そしてそれに対抗する術。ただしちょっとアホらしい。
 表情が無意識に変わっていく感覚。きっと俺はまた「辛気臭い顔」とやらをしているんだろう。
 しかしまぁ、やらぬわけにはいくまい。放置すればこちらにも損害が出ると考えて間違いはないだろう。
 仕方なく、両脇に抱えていた二本の角を手近な岩陰に隠す。ついでに砂をかけて完璧にカムフラージュ。
 短く溜息をつきながら、フリーになった両手でバックパックを探り、掴んだのは最強の兵器。ただし効果がある相手は極一部だが。
 右手で掴めるだけ掴み、駆け出す。これさえあれば太刀を使う必要はない。

 最初に俺に気付いたのは茶毛のアイルー。
 硝子球のような目玉を見開き、次の瞬間にはニャアと叫んでいた。その声で周囲の視線と警戒が俺に集中するが、遅い。
 疾走の慣性をそのまま右腕に伝達。脚を思い切り踏み込み、大きく振りかぶって掴んでいたものを投擲する。
 俺の指の戒めから離れ、飛翔する散弾と化した礫がネコに、竜の亡骸に、そしてスピカにまで無差別に命中し、そして地面に散らばる。
 全員が呆気にとられる中、しかし幸運にも礫に当たらなかったらしいメラルーが一匹だけ俺に突進してきた。
 直線、と見せかけて左右にステップし、俺との間合いをつめてくる猫。
 最後に一段と高くジャンプし、メラルーツールを振りかぶる。
 うにゃーと鳴いて迫り来る猫を、俺は右手でもふっと掴んだ。殺しきれなかった慣性で、猫がぶらぶらと揺れる。
 首の後ろを掴んで止めたため、宙吊りになったメラルーと俺の視線が等高度で絡むこととなった。
 あぁ、やはりこいつらは可愛い顔をしている。
 これならスピカが攻撃を躊躇するのも仕方ないと思えた。ただし、盗みさえ働かなければの話だが。
 そんな俺の思いを知ってか知らずか、ギャーギャーもといニャーニャー叫ぶもふもふした毛の塊。
 その口を覆う布を払い、現れた愛くるしい口元にバックパックから取り出した余りの礫を素早く押し込む。
 すると激しい抵抗が見る間に沈静化。敵意を満載していた両目がとろーんとしたのを確認したところで、手を離す。
 ぽふっと着地したメラルーからは、先程までの威勢が消えていた。代わりに溢れているのは陶酔感。
 口から出した木の実、実名マタタビを愛おしそうに眺めていた。
 見渡すと、他の全ての猫がマタタビを前にして同様の反応をとっていた。
 血生臭い竜の亡骸の傍で、愛くるしい猫たちがゴロゴロニャーニャーと鳴きながら寝そべるという、なんともシュールな光景が広がっていた。
 その真ん中、竜の亡骸の上で未だにナイフと矢を握って呆けていたスピカに俺は繰り返す。
 
「なにやってんだ、お前」
68竜になりたい 9:2007/12/02(日) 22:35:14 ID:QlYa0L1D

「え、あぁ、えーと……」

 俺の声で我に返った相棒の視線は宙を彷徨っていた。

「その、なんというか色々あって、ね。あははは……」
「………」

 苦笑するスピカの言う「色々」に、大体の見当がついてしまうのがなんともアレだ。
 
「なんと、仲間がおったとは……」

 聞こえてきたのは老人の掠れ声。
 竜の亡骸、切断面を晒す尾の影から現れた声の主は、予想通りの人物。

「お前さん、嘘をつきおったな!協力者がいるなんて聞いとらんかったぞ!」
「え。いやいや、言おうとしたわよ。けど言わせてくれなかったのはそっちでしょ」
「うぬぅ、万が一に備えて用心棒を潜ませていたとは、近頃は女もやるようになったものじゃ。不覚!」
「だーから違うってば」

 人の話を全く聞かない老人だった。  
 
「やっぱりアンタか、山菜じいさん」
「あれ、知り合いなの?」
「まぁ一応は。お前もどうせ素材を恵んでくれとか言われて、断ったからネコに襲われたんだろ?」
「なんで分かっ……」

 途中で俺の言ったことの意味を掴んだのか、スピカの言葉が途切れた。
 続く言葉の音量が上がる。

「もしかして途中まで黙って見てたの!?」
「……なんでそうなるんだ」

 俺はそこまで無意味に嫌な性格だと思われていたのか?
 あとで不当評価の是正を要求しよう。

「俺も前に同じことをやられたことがあるんだよ。しかもよりによってこの場所で」
「え、本当?」
「ああ」

 思い出すのも忌々しい。二・三年前の出来事だったか。
 俺は単身で挑むことが通例となっている一角竜モノブロスを狩猟すべく、このセクメーア砂漠を訪れていた。
 俺とは違い、ここはあの頃からちっとも変わっていない。
 あの時と異なることといえば、決着が付いたのが夜だったということくらいか。

「なんとかモノブロスを倒して、剥ぎ取りを済ませたまではよかったんだけどな。
 その時にこのじーさんがひょっこり現れて、「余り物でいい、少し分けてはくれぬか?」とか言ってきたんだ」

 俺が選んだ答えは勿論ノーだった。
 俺は悪魔でもないし、血も涙も情けも人並みにはあると自負している。だから竜骨の一本くらい恵んでやろうかと迷った。
 しかし逡巡したのは数秒。
 自分は終始安全な場所に隠れて戦いを傍観し、事が済んだ後に漁夫の利をあさろうとするような連中にくれてやるものなどない。
 そう思った時期が私にもありました。いや、今もそう思っているが。

「……それで、その後は?」
「たぶん、お前が考えてる通りだ」
69竜になりたい 10:2007/12/02(日) 22:36:50 ID:QlYa0L1D

 その、なんというか、あれはもう酷かったとしかいえない。
 老人と会話し、気が緩んでいた俺目掛けてまっしぐらに襲い掛かってきたのは、猫、ネコ、ねこ。
 モンスターとしては恐るに足らぬ存在であった。ただしそれは数が数匹だったらの話。
 今にして思えば、あれは恐らく三十匹はいたと思う。そんな数の猫を、どうやったのかあのじいさんは味方につけていた。
 即座に太刀を抜刀し、反転させた刃の峰打ちで前方から迫ってきた数匹を弾き飛ばしたまではよかったが、
 次の瞬間には後ろからどつかれて転倒し、横から引っ張られて地面を転がり、肉球のついた柔らかい足で激しく頭を踏まれていた。
 そしてそのまま、俺は文字通りの猫の海に溺れたのだった。
 視界一面を埋め尽くす色とりどりの猫毛は、ある意味で壮観だったなとか思い出したり。
 見物料として持ち物と素材を殆ど持っていかれたが。

「忘れたとは言わせないぞ、じーさん。あんたまだ懲りずに同じ事やってたのか!」

 ずびし!という擬音が聞こえてきそうな勢いで俺は爺さんを指差した。礼儀なんか知るか。
 それほどに酷い体験だったのだ。本気で。
 一時期は無関係のキッチンアイルーにさえ恐怖と憎悪を抱いてしまい、家で料理を食べることすらままならなかったほどだ。
 あれ以来、アイルーとメラルーが出現する可能性が一%でもある場所に赴く時には必ずマタタビを持てるだけ持っていく癖が付いた。
 そのおかげで今回は助かったのもまた事実だが、腹が立つのはとめられない。
 そんな俺の憎悪の視線を真正面から受け止めた山菜ジジイは、しかし何の反応もせずにただ佇んでいた。

「はて」

 老人の頭上に浮かんでいたのは疑問符。左手を顎にあて、真剣に考え込んでいた。

「……お前さん、誰だったかの?すまぬが記憶にないのじゃが」
「はぁ!?」

 この野郎、あれだけの所業を覚えていないだと!?

「俺だよ、俺オレおれ。あんたのせいでモノブロスまるまる一匹持って行かれたハヤテだよ」
「ハヤテ……すまぬ、知らぬ名じゃ」
「そりゃないだ……」

 あ、よく考えたらあの時は名乗らず仕舞いだったっけ。
 しかし怒りを燃料にした俺の饒舌は止まらない。

「あんだけ酷いことやってくれといて覚えてないってのか!」
「いやぁ、あの手口はたまによく使うもんでな」
「どっちだよ」
「あ、うむ。まぁそれなりというところか。
 もっとも、お前さんみたいにマタタビを持っとるハンターが多いから成功率は低いが。まぁ、軽い挨拶みたいなもんじゃ」
「ほぉう。それじゃ俺は珍しい成功例だったってわけだ。なら覚えてるはずだろう。忘れているのなら思い出せっ!」

 小さい老人にまくしたてる、いい年こいた男。
 そんな光景を目の前にしたせいか、スピカの哀れみとか嘲りとかその他諸々を含んだ視線が、物理的な力を持って俺の頬に突き刺さってきた。
 頼むからそんな目で俺を見ないでくれ。被害者は俺なんだ。これは正義の告発なんだ。

「……あのな、ハヤテとかいったか」

 山菜ジジイの口から言葉が紡がれる。親が聞き分けのない子供を諭すような口調だった。 

「それをやったのは恐らく同族じゃよ。ワシはこの砂漠には四・五年ぶりに訪れたばかりじゃ」
「……え?」

 な、なんだってー!
70竜になりたい 11:2007/12/02(日) 22:38:15 ID:QlYa0L1D

 山菜ジジイと呼ばれる竜人が複数存在するのは当然知っていた。そうでもないと、遠く離れた複数の地域に同時期に存在できるはずがないからだ。
 だが、まさか自ら地域を移動している場合もあったとは。
 どいつもこいつもそっくりな見た目をしているから、地域ごとに住みついているジジイは固定されているとばかり思っていた!
 その地域では入手不可能な素材を持っているのは、他のハンターが渡したからなのだと。
 しかし実際には、この爺さんは短い脚で長い時間をかけて放浪し、自ら物品を収集していたのだ。随分な根性だと認めざるを得ない。

「ぷ、ははっ」

 滑稽すぎる展開に耐えかねてか、スピカが噴き出した。

「……笑うなよ」
「あははは、ふ、ご、ごめん。ここまでアホらしいハヤテは久々に見たもんだから、つい。うはははっ」

 否定することもできない俺は、憮然とした表情を浮かべるしかない。

「あー、ところで、やっぱり素材は恵んでもらえんかのぅ?」
「だが断るッ!!」

 全力否定する俺の姿に、スピカの笑声が一段と大きくなった。
 あぁもう、なんつーか。なけるぜまったく。

「くそ、もういい。笑いたければわら――」

 諦めの言葉は最後まで紡げなかった。
 原因は笑顔を強張らせ、首から一筋の血を流しながら砂地に倒れたスピカ。
 その向こうにあった、黄色い爬虫類の視線だった。

 途端に背筋に大氷塊を押し当てられたような感覚が奔った。
 あぁ、畜生。
 俺達は忘れてはならないことを忘れていた。ここは自然の狩場。数多の狩猟者たちが闊歩する場所だということを。
 そして、ハンターにとっては素材の塊である竜の亡骸は、そいつらにとっては血臭を放つ巨大な餌でしかないということも。
 スピカを侵した麻痺毒を秘めた牙がズラリと並ぶ口を裂き、失態を嘲るような甲高い咆哮をあげたのはゲネポスだった。

「んの野郎!」

 即座に抜刀した太刀は、軽々と後方へ跳んだゲネポスを捉えきれずに空気を裂いた。
 だがそれでも構わない。スピカを下がらせる隙さえ稼げればいい。
 横向きに倒れたまま身動きひとつしない相棒に手を伸ばす。
 だが、その身を包む蒼い鎧を掴む寸前に背中に衝撃が加わり、俺は前のめりに転倒。
 それでも殺しきれなかった慣性が俺の体を転がす。
 痛みに脳が掻き回され、それでも即座に立ち上がる。再び岩場を見渡した俺は、絶句するしかなかった。
 砂漠の砂の色に溶け込む迷彩の如き皮膚と鱗で半身を覆うゲネポス。その群れが、いつの間にかこの場に集結していた。
 その数は優に二十を超えている。
 たかが小型の鳥竜と侮ることなどできない。
 一度でもその爪牙が皮膚に食い込めば、一瞬で麻痺毒に体の自由を奪われ、
 そのまま刻まれた肉片となって奴らの胃袋に直行し、愉快な竜の体内観光ツアーへと出発することになる。その先は考えたくない。
71竜になりたい 12:2007/12/02(日) 22:39:27 ID:QlYa0L1D

 俺の目は更に絶望的な状況を映し出した。
 碧い群れのなかに、一匹だけ突出して大きな奴が居た。
 周囲のゲネポスより一回りほど巨大な体に、その口に収まりきらぬ先端部分の牙。その長さは通常固体の二倍を超えていた。
 その存在を誇張する巨大なトサカは、長の証であると同時に強者の証。
 群れを統べるもの、ドスゲネポスだった。
 統制者はしばし俺を見据えていたが、唐突に重低音の咆哮を響かせた思うと、その足元に倒れていたスピカを軽々とその顎で銜えた。
 野郎、お楽しみはお持ち帰りする気か!
 最悪のテイクアウトを阻止すべく走り出した俺の脚は、しかし突如として飛び掛ってきたゲネポスの前に強制停止させられた。
 顔をめがけて迫ってきた爪を、鬼神斬破刀の刃で弾く。
 衝撃で迸った電撃が竜を弾き飛ばすが、斬撃を伴わない瞬間的な接触だったためか絶命させるには至らなかった。
 倒れた竜は即座に起き上がり、憎悪の視線が俺を射抜く。
 その短い攻防の隙に、ドスゲネポスは既に走り出していた。そこへ至る道をゲネポスたちが瞬時に塞ぐ。
 ふと、にじり寄るゲネポスたちの奥にひそかに動く物体があることに気付いた。
 構えを解かず、眼球だけを動かして凝視すると、その正体は小さなものども。山菜ジジイとネコたちだった。
 あいつら、俺たちが標的にされてる隙に安全地帯に!?

「ちょ、おま、じいさん!逃げるなよ!」

 叫びは虚しく散り、彼らは消えた。結果的に俺だけが取り残される。
 マタタビを釣り餌に協力を仰ごうかと考えていたのだが、僅かな望みは断たれてしまった。
 そしてついにドスゲネポスが、スピカが岩場から消えた。
 早急に助けなければマズいことになる。しかし、既に完成したゲネポスの包囲網がそれを許してくれない。
 眼を素早く動かし、抜け穴を探るも、皆無。やはり数に物を言わせてくる連中は厄介すぎる!
 このまま接近されてしまえば勝ち目はない。負傷覚悟で突破するにも、走ることに特化した骨格を持つ奴らを撒くことなど不可能だ。
 生き残るためには、全滅させるしかない。しかしできるのか?
 レックスSシリーズの防具が首から下を完全に装甲してくれているが、俺は今ヘルムをつけていない。
 腰にぶら下がるそれをかぶる余裕は、既になかった。頭部を露わにしたまま、一撃も食らうことなくこの場の竜をすべて殺せるのか?
 失敗すれば死ぬ。
 生きながらにして体中の肉を食いちぎられるという人生最後にして最悪の経験の後、死ぬ。
 奴らの毒は筋肉の動きを阻害だけのもので、意識と五感はそのまま残るのだ。
 そう考えた途端、俺は落雷に打たれたかのような衝撃を覚えた。
 唐突に気付いてしまったのだ。今まで目を背けていたことに。気付くべきではなかったことに。
 空気が読めなさ過ぎる自分自身の脳味噌にうんざりしてきた。
 だが、今は考えるべき時ではない。戦いの最中に考えていいのは、戦いのことだけ。
 いかに相手の攻撃を躱し、こちらの攻撃を当てるか。いかに相手の動きを読み、こちらの挙動を悟らせないか。
 それだけに拘るべきなのだ。それ以外はすべて焼き尽くせ。頭を抱えて悩むのは暇なときでいい。
 と、考えられる程度の理性が残っていたことには感謝しよう。
 そして今はまだ諦めるときでもないのだ。諦めたらそこで試合終了ですよとどこかの偉い人が言っていた、気がする。
 光明はまだどこかにある。あるはずなのだ。だから探せ。どんなに小さくても良いから光明を。
 そこまで考えたところで、俺はようやく気付いた。
 この修羅場を切り抜けられる、とてつもなく簡単な方法に。
 あぁ、畜生。俺は馬鹿か。出来すぎた物語のような展開に、笑いさえこみ上げてくる。
 渇望した「光明」は、俺自身が持っていた。
72竜になりたい 13:2007/12/02(日) 22:41:23 ID:QlYa0L1D

 岩山の亀裂が生んだ天然性の通路には、砂漠地帯の一角とは思えぬほどに涼しかった。むしろ寒いかもしれない。
 砂漠の暑さというのは陽光によってもたらされる。
 ただでさえ強力な砂漠の日差しによって、まず熱しやすい性質を持つ砂が熱される。
 そしてその熱は、同じく熱しやすい乾燥した空気をも暖める。
 砂漠には比熱が大きい水が殆ど存在しないため、気温はかなり高くなる。こうして灼熱の砂漠ができあがるのだ。
 反面、砂と乾燥した空気は冷めやすいという性質も持ち合わせているので、太陽という熱の源が消える夜には気温はぐんぐん下がる。
 砂漠地帯において昼夜に異常な温度差が生じるのは、以上のような理由からだ。
 とかそんな感じの文章を、何かの本で読んだ覚えがある。
 とすれば、公式地図には区域四と記されているこの場所の気温が昼夜を通してあまり変化しないのは、
 天を覆う岩が振り注ぐ日光の殆どを遮っているからなんだろう。
 そんな場違いなことを考えて気を紛らわそうとしてみたけど、やはり無理があった。

 金属が砕ける音が洞窟に響く。
 唯一自由が利く首を動かすと、リオソウルUコートを銜えたドスゲネポスと目が合った。
 赤い目の中で、細長い瞳孔が異様なくらいに目立っていた。
 そこに宿っているのは残忍な光。捕えた餌を貪ろうとする狩猟者の瞳。
 瞼が細められる。まるで無力な私を嘲笑っているかのようだ。
 ドスゲネポスは無造作に頭を振り、銜えていた腰当てを放る。
 放物線を描いて落下する蒼い防具は、同色の物体に衝突して鈍い音を立てた。
 それは正確に止め具だけを食い破られたリオソウルUレジスト。仰向けに転がる私には、もう腕と脚にしか防具は残されていない。
 このドスゲネポスは以前にもハンターを食ったことがあるのだろう。でないとここまで防具を剥がす手際がいいことの説明が付かない。
 今この瞬間に腹を食い破られても何もおかしくない状況だというのに、私の脳はおかしいくらいに冷静に現状を考察していた。
 いや違う。常識的に考えて、人間が死に際で冷静に居られるはずもない。となればこれは一種の思考の麻痺なのだろうか。
 平和すぎる状況から修羅場へと、あまりに劇的過ぎる状況の変化に頭が追いついていないのかも知れない。あるいは単なる現実逃避か。
 正直どうでもよかった。じきに私という存在はこの世から消えるのだろう。
 ところでさっきから私の体が無意識に震えているのは、地底湖に繋がる入り口から吹いてくる冷たい風だけのせいなのだろうか?
  
「っあ、う!」

 突然の痛みで思考が途切れる。灼熱にも似たそれの発生源は右肩。剥き出しの肩に何本もの牙が刺さっていた。
 次の瞬間に生じるであろう激痛を想像し、傷口から流れ出た血の暖かさを感じながら目を閉じ、歯を食いしばる。
 しかし、それは訪れなかった。代わりに奇妙な感覚が傷口から全身に広がる。
 体は動いていないはずなのに、地面から浮き上がったかのように錯覚してしまう。
 もしそれが実在すると仮定するならば、「魂が抜ける」時はこんな感じがするのかもしれない。
 牙が肉から離れていく痛みが走る。
 恐る恐る瞼を開けると、何故かさっきよりぼやけた視界でもはっきりと分かるほど近くにドスゲネポスの頭があった。
 その血に塗れた牙の先端から、透明な液体が零れていた。
 あぁ、そうか。
 万全を期して私を食らうために、更に麻痺毒を注入したのか。
 知る由もないはずの私の思考を肯定するかのように、ドスゲネポスは瞼を細め、長い舌をべろりと垂らした。
 これからが本当の地獄だと言わんばかりに。
 恐怖は唐突に腹の底から染み出し、背骨を通って脳にまで感染した。
 私はここで死ぬのだろうか?本当に?何も抵抗できぬまま、無残に全身を食いちぎられて?
 恐れが喉を締め付ける。悲鳴さえも出せぬほどに。
 竜の顔が更に近づいてきた。頭から貪ってくれるのだとしたらそれは幸運?
 生きながらにして臓腑を引きずり出されるよりはマシと言えるのだろうか?結局死ぬのに?
 嫌だ。どちらも嫌。嫌だ嫌だ嫌だ。まだ死にたくな――

 頬に暖かくざらりとしたものを感じた。
73竜になりたい 14:2007/12/02(日) 22:42:57 ID:QlYa0L1D
 予想外の出来事に頭の中が一瞬真っ白になる。次に感じるのは痛みだとばかり思っていた。
 再び同じ感覚が、今度は顎に発生した。私の目は信じられぬものを見ていた。

 ドスゲネポスが、私の顔を舐めている。二度、三度と。
 一体何がなんだか分からなくなった。
 ひょっとして私はもう食べられてしまっていて、これは幻覚だとか?いや、死んだなら幻覚すら見えなくなるのでは?
 浮かんでは消える疑問。その間もドスゲネポスは私の顔を嘗め回していた。
 その舌が首筋へと移る。くすぐったい。今度こそ食いちぎられるかと思ったけれど、それはなかった。
 一体これは何なんだろう。
 ドスゲネポスに、麻痺させた上に危害が及ばぬ別の場所に運んだ餌を舐めまわす習性があるなんて聞いたことがない。
 ドスゲネポスをはじめとする肉食竜の脳に存在するのは食欲だけで、
 あとは群れを構成する上で最低限必要となる社会性くらいしか持ち合わせていない筈なのに、何故こんな奇行に走るのか。
 その答えを、私はすぐに理解した。
 止まることなく動くドスゲネポスの舌が、インナーに包まれた私の胸に到達した瞬間に。
 布越しに伝わる生暖かい肉の感触に、全身に怖気が走る。
 さっきまではあまりに近すぎたため、全体を見ることができなかった竜の頭部が、その赤い双眸が見えた。
 そこに現れていたのは禍々しい光。獲物を嬲り尽くし、その上で殺そうと画策する悪魔の笑みだった。
 私の頭が勝手に記憶を引き出す。

 気候が安定し、心地よい日々が続く繁殖期というのは、その名の通り殆どの生物にとって子孫を残すのに最も適した季節だ。
 生物は、自らの遺伝子を後世に残すことを生まれながらにして宿命付けられているらしい。
 過酷な自然に生きるモンスター達は、迷うことなくそれに従って生きている。
 必然的に、繁殖期の彼らは自らの種を残すのに躍起になる。
 ある竜は元から派手な羽飾りを更に奇抜な色に変化させて同族の気を引き、
 またある竜の雌は、隠密性よりも自らの脅威を主張することを優先し、茶色い甲殻を黒く染める。
 そして、飛竜という強大な存在が数多く存在する中、個々にはそれに及ぶ力がない鳥竜種・走竜下目の竜たちは、
 それらに立ち向かう唯一の方法である数を揃えるため、身に秘めた性欲を最大限に発揮するそうだ。
 強きものが種を残せば、当然後々生まれてくる子孫もそれを受け継ぎ、強く生き残る可能性が上がる。
 よって、群れの中で最も強き者である統制者は、その季節の間、文字通り性欲の塊となる。
 人伝に聞いたところによると、その勢いは止まるところを知らず、固体によっては群れの雌だけでは飽き足らなくなることもあるらしい。
 するとその者はどうするのか?彼らが持て余す性欲を発散させる術は、ひとつしかない。
 自分より弱き者、つまり普段から餌としている他の生物を犯すのだ。
 子孫を残すことには繋がらないことを承知で。ただ性欲の捌け口とする為だけに。
 彼らは欲望に正直だ。その為の相手は選り好みしない。たとえそれが自らを害する存在だったとしても。
 具体的に言えば、人だったとしても。
 聞いたときは笑い飛ばして信じなかった話が、今目の前で実現しようとしている。

 あぁ、神様。
 人生最悪の経験を、人生最後の瞬間にもってきたのは何故ですか?
 あなたはひょっとしたら良心からそうしたのかも知れないけど、生憎私にとってそれはありがた迷惑。
 どうせなら、短くとも笑って死ねる人生を用意してくださいと願うのは贅沢ですか。もう手遅れみたいですけど。
 私は誰に語りかけているのだろう。神様の存在なんて、普段はロクに信じてもいないのに。
 都合のいいときだけ自らにすがるような人間に、神様とやらが慈悲をかけてくれるはずもないのに。
 布が破れる音がした。胸と下腹部に外気の冷たさを感じる。
 毒が更に回ってきたためか、擦硝子をはさんだのかのようにぼやけた視界の中に、
 ひらひら揺れる薄っぺらいなにかを銜えたドスゲネポスがいた。
 そしてその両足の間に、先程まで存在しなかった長細く赤黒いものが見えるような気がするのは私の思い違い、ではないようだ。

 これはさすがに、ちょっと笑えないよ。
 心の中で呟いた直後、視界が白く染まった。


以上、投下終了。普段ヘラヘラしているお気楽な奴が、実は隠れ煩悩魔人だったら萌えるよねというお話。
執筆速度は早くはないけれど、一度始めたものを途中で放り投げるのはアレなのでもう暫く付き合っていただければ光栄のキワミ。
それではまた。
74名無しさん@ピンキー:2007/12/02(日) 22:47:05 ID:UpOq8kXg
Gj!!
続きwktk
75名無しさん@ピンキー:2007/12/02(日) 22:55:29 ID:T+OSFlgV
エロ方面に走ると予想してなかったため(良い意味で)予想を裏切られた。
ゆっくり納得いくように書いてほしい。
76名無しさん@ピンキー:2007/12/03(月) 01:59:48 ID:13Vf1yQ2
どの方向に向かおうとしてるんだ?そしてタイトルの意味は?続きが楽しみだ。
77名無しさん@ピンキー:2007/12/03(月) 14:01:31 ID:i+SL+UDa
原型萌えな俺にとってはまさに神
まぁここから擬人化の流れな可能性もあるが期待してます
78名無しさん@ピンキー:2007/12/03(月) 18:15:37 ID:anDNOixD
お疲れでした

ただ、文の間隔をだな・・・・
79名無しさん@ピンキー:2007/12/03(月) 18:29:13 ID:loiY8JRT
GJ
文章が上手いし詠みやすい。
このスレで衰退してきた原型というのも興味を引かれるな。
続きも頑張ってくれ
80名無しさん@ピンキー:2007/12/03(月) 19:56:27 ID:Ht6RNiXp
獣ッ姦ッ!獣ッ姦ッ!!

作者さんは「自分に都合の悪い事は見ないんだからっ!」スキルを付けるといいと思うんだ、良い意味で。
書き手が居なければこのスレの意味が無いし、読み手が居なければ物語は唯の独り言に成り下がるし
読みたく無い部分は読み手がスルーすればいいだけの話で、なにも作者に強要する必要は無いと思うんだ。
下手な批評をするだけならROM専してNG登録、もしくは脳内変換してればOK
つまり私が言いたいのはたった一言。  ぐっじょぶ!
81名無しさん@ピンキー:2007/12/03(月) 22:22:55 ID:loiY8JRT
とりあえず今のスレの雰囲気に馴染んで溶け込むことがベストかもね。
それができるようになるためにも、俺も一から出直してみるのもいいかもしれん
82名無しさん@ピンキー:2007/12/04(火) 00:28:54 ID:elzBGd/P
そういや獣カンはフルフルとドドブラと…

他になにかあったっけ?
83名無しさん@ピンキー:2007/12/04(火) 07:00:14 ID:QFPNhY1x
>>83
たしかババコンガとドスランポスものを前に見たような気がするぞ
84名無しさん@ピンキー:2007/12/04(火) 12:00:54 ID:CQuBRPRx
>>83
なんで自分に言い聞かせてるんだよw
85名無しさん@ピンキー:2007/12/04(火) 14:14:03 ID:ocU4tOpR
>>84
86名無しさん@ピンキー:2007/12/04(火) 14:27:21 ID:v1UjcaQ1
>>83志村〜レス番レス番〜!
87名無しさん@ピンキー:2007/12/04(火) 18:13:25 ID:UwWRpcDp
>>83の人気に嫉妬
88名無しさん@ピンキー:2007/12/04(火) 20:21:31 ID:QodXb7v6
牙獣狩り(性的な意味で)の女ハンターとドスランレイパーか……

なんやかんやで覚えてるな、俺。
89名無しさん@ピンキー:2007/12/05(水) 00:31:57 ID:tpyFVXab
結構前だがレウスも無かったか?ぴーちゃんとは別のやつでザッラザラの舌で女ハンターベロベロしてたような
90名無しさん@ピンキー:2007/12/05(水) 00:33:57 ID:ktY25FdG
獣姦ではないが、かなり昔に
ガノスがレイアを強姦なんてのもあったな
メインはメラルー×レイアだったが

ていうかちょって待て、
最近このスレ変な路線に走ってないか?
91名無しさん@ピンキー:2007/12/05(水) 00:58:51 ID:cTCEwdBx
変な路線と言うと?
擬人化なら最近じゃなくてかなり前からあるが
92名無しさん@ピンキー:2007/12/05(水) 02:18:37 ID:g3LMEpo0
>>90はなにが普通だと?
93名無しさん@ピンキー:2007/12/05(水) 03:13:29 ID:ZOXe+YXY
ヤマツカミのタコヤキが食べたい
94名無しさん@ピンキー:2007/12/05(水) 06:07:38 ID:EqVDilmg
>>93
じゃあおれはシェンの蟹シャブが食いた(ry
95名無しさん@ピンキー:2007/12/05(水) 18:12:25 ID:hBOkjdFZ
じゃあ俺はヒプノックが食べたい




性的な意味で
96名無しさん@ピンキー:2007/12/05(水) 22:19:26 ID:S3hyLLOl
そろそろザザミソが美味しくなる季節
97名無しさん@ピンキー:2007/12/06(木) 02:40:52 ID:kVh36Wv8
おれは呼ばれてもいないのにやってきてザザミソを食っちまう人間なんだぜ?
98名無しさん@ピンキー:2007/12/06(木) 05:16:25 ID:O96eO5r3
ザザミソテクニック自重www
99名無しさん@ピンキー:2007/12/06(木) 13:22:31 ID:hiZKrfLg
ぴーちゃん、ホスト規制中
気長に待ってみます
100名無しさん@ピンキー:2007/12/06(木) 19:39:49 ID:m55fCDzp
そういえばそうだね
101名無しさん@ピンキー:2007/12/08(土) 01:33:25 ID:7wF3CJ17
たまにはファンゴ、ドスファンゴのエロがみたいよ
102名無しさん@ピンキー:2007/12/08(土) 02:43:50 ID:VMnh52RB
ファンゴは擬人化しようがしまいが
女であろうが男であろうがバリバリの攻め型っぽいな
103名無しさん@ピンキー:2007/12/08(土) 07:56:43 ID:69N1cFOq
104名無しさん@ピンキー:2007/12/08(土) 11:00:24 ID:P3BW4Wef
ドスファンゴ「やらないか」
ハンター「 おれは呼ばれてもいないのにやってきてドスファンゴを食っちまう人間なんだぜ?」

こうですか?わかりませn><
105名無しさん@ピンキー:2007/12/08(土) 16:24:41 ID:5qOad1C2
もうそういうのいいよ
106名無しさん@ピンキー:2007/12/08(土) 16:39:54 ID:9+JLsLrC
初期:
面白い人が面白いことを書く
中期:
面白くない人が面白いものを見に来る
終末期:
面白くない人が面白くないものを書き始める


今は終末期か
107名無しさん@ピンキー:2007/12/08(土) 16:46:33 ID:+Pg14fp2
>>102
要するに、猪突猛進ドスファン娘

猪突猛進ドスファン漢
のどちらかという訳か

後者は教官っぽいな
108名無しさん@ピンキー:2007/12/08(土) 16:47:38 ID:+Pg14fp2
ごめんな…
くだらないこと書いた上にsage忘れ、吊ってくるorz
109名無しさん@ピンキー:2007/12/08(土) 19:07:34 ID:Ln1Z41kB
ネタの解説の例えとして
カエルの解剖したらそのカエルは死んじゃうよねってのがあったな。

したり顔で分析する奴が余計に状況を悪化させてるよな。
110名無しさん@ピンキー:2007/12/08(土) 19:22:55 ID:eu+Ahu1C
つまりこのスレは未だに粘着の攻撃対象になってるってことですよ
職人さんも近寄らなくなったし、スレが廃虚になって消え失せれば
荒らし側からみれば勝利、万々歳ってとこじゃね?
111名無しさん@ピンキー:2007/12/08(土) 21:03:13 ID:9+JLsLrC
コピペ元をググる事も出来ないのか
112名無しさん@ピンキー:2007/12/08(土) 22:10:03 ID:J3Tl0qGq
ひろゆきの発言だろうが、どうでもいい
ただ過疎という事実がここにあるだけだ
113名無しさん@ピンキー:2007/12/08(土) 22:41:28 ID:ToxHntqj
そしてその事実を変える事は最早叶わんて…
儂等は終わりの時を待つだけの存在なのじゃよ…
114名無しさん@ピンキー:2007/12/08(土) 23:34:13 ID:jU5dz7xP
怪我したモンスターの人間化話書いてるんだけど需要ってあるかな?
ちなみにあんま長くならないように書きだめしてから投稿する
115名無しさん@ピンキー:2007/12/08(土) 23:57:50 ID:aaJCD0/Z
>>114
スレ違いでもない限り需要は常にある
116名無しさん@ピンキー:2007/12/09(日) 00:04:49 ID:PFfztiAL
>>114

俺達はそれを歓迎する
117名無しさん@ピンキー:2007/12/09(日) 03:13:48 ID:J9NWzJW1
誘い受けやめてー
118名無しさん@ピンキー:2007/12/09(日) 04:44:47 ID:mbQ5rz9y
モンスターハンター総合イラストSSスレが昔のこのスレみたくキモいんだが
やっぱり過大評価してくれる人がいなくなって逃げた奴がああしたのかね?
119名無しさん@ピンキー:2007/12/09(日) 08:35:04 ID:qKmUWDCk
>>118
そんなこと言われても扱いに困る
120名無しさん@ピンキー:2007/12/09(日) 11:11:48 ID:zXotu5UT
>>118
とりあえずアレだな、お前何か作品書け。
121名無しさん@ピンキー:2007/12/10(月) 01:57:37 ID:dTtmI1Kg
1匹目から8匹目までテキストで追いかけてきたんだが
9匹目誰かうpれない?
>>1が7匹途中までらしいし1〜9にまとめてろだにうpるよ
122名無しさん@ピンキー:2007/12/11(火) 03:18:58 ID:lUWaeMnH
123名無しさん@ピンキー:2007/12/11(火) 04:10:21 ID:yopwU3CW
なぜかこんな時間に起きてしまったんで久し振りにこのスレ覗いてみたが随分過疎ってるな
誘い受けがどうのこうの騒ぎだす連中が出てからこうなったよな
あんなの作者からしてみたら単なる反省分、もしくは つまんなかったら見んじゃねぇ ってメッセージのようなものなのに…
124名無しさん@ピンキー:2007/12/11(火) 07:45:47 ID:8jKgphoH
じゃぱにぃずぷりぃず
125名無しさん@ピンキー:2007/12/11(火) 11:48:37 ID:0tWG8z2d
>>123
過疎?そうでもない。
なんか極端なスレだとは思う
126名無しさん@ピンキー:2007/12/11(火) 15:09:38 ID:5jRa5dRX
過疎が進んで自然消滅しそうなスレだが、粘着して思い出したようにageる奴がいる
荒らし目的にageてるんだろうけど、廃虚には炎上させる燃料すらないってのが実情だよな
こんな状況じゃ誰も投下してくれまい。寂しいのう
127名無しさん@ピンキー:2007/12/11(火) 16:32:37 ID:+sBQ162W
誘い受けうんぬん言ってる奴は小学校の英語の時間に

先生「ここは…そうだな、A!訳してみろ!」
A「えっと…『これはトムです』…あれぇー?」

誘い受けB《ぷぷぷwwwAの奴ばっかでーwww》

先生「…?微妙に違う気が…まぁいい。次、誘い受けB!訳してみろ!」
誘い受けB「えっあのえっとその、あー…分かりません」

とかなったに違いない。
128名無しさん@ピンキー:2007/12/11(火) 16:39:52 ID:awwoL/ol
スレから離れたんやないんや……!
ただ規制が酷い
129名無しさん@ピンキー:2007/12/11(火) 18:06:44 ID:Yg3uFaww
小学校の英語の時間、っつー辺りにゆとり臭が。
…それ以前に日本語がアレ過ぎて何が言いたいか分からんことが問題だけどな。
130名無しさん@ピンキー:2007/12/11(火) 18:37:04 ID:wsgwW1LA
スレから離れてはいないけどgdgdと投稿続けたくないから全部書き上げてから
投下しようと思ってるんだ
131名無しさん@ピンキー:2007/12/11(火) 19:01:37 ID:Rv3/1brR
>>121
日本語でおk
132名無しさん@ピンキー:2007/12/11(火) 19:08:27 ID:0tWG8z2d
>>127
日本語でおk過ぎるわ。
133名無しさん@ピンキー:2007/12/11(火) 20:46:01 ID:Rv3/1brR
>>127だったは
134名無しさん@ピンキー:2007/12/11(火) 21:02:02 ID:wms2J2XM
まあ、確かに気持ちわるい書き手がいたのも確かだと思うけどな
135名無しさん@ピンキー:2007/12/11(火) 21:31:51 ID:5jRa5dRX
書き手読み手で分別するのは無意味だ
確かに「いろいろな意味で気持ち悪い住人」は存在する
……と、こうして雑談議論ばかりで職人がますます敬遠していく
かつての活気はどこへ
136名無しさん@ピンキー:2007/12/11(火) 21:45:13 ID:EByQuIAD
ハニーの続きが読みたい・・・・
137名無しさん@ピンキー:2007/12/12(水) 01:05:18 ID:JzueM/+3
クイーンの人とかあと1回で完結だったのに…
138名無しさん@ピンキー:2007/12/12(水) 02:18:03 ID:hHPieuhe
個人的な愚痴はチラシの裏にでも書いてくだしあ
139名無しさん@ピンキー:2007/12/12(水) 09:11:30 ID:7dIzVwct
前スレの最後の方でsage忘れ氏が『我は此処に在り』と言っていたが…
140名無しさん@ピンキー:2007/12/12(水) 13:46:07 ID:2ZofvbqV
141名無しさん@ピンキー:2007/12/12(水) 18:15:52 ID:JzueM/+3
>>139
そんな格好いい言い方をした覚えはないぞw
142名無しさん@ピンキー:2007/12/12(水) 22:57:43 ID:FKa69Vd5
つーかさ、wikiの作品メニューってところの「キャラ別」とか
「作者別」とかのリンク先にウイルスがあるんだけど、
だれがあんな事やったん?;
編集の仕方ワカンネorz

とりあえずありがとうMcAfeeと言っておこうか。
143名無しさん@ピンキー:2007/12/12(水) 22:58:30 ID:FKa69Vd5
スマン、ageちまった;
144名無しさん@ピンキー:2007/12/12(水) 23:38:36 ID:0SjDNH/e
かつての活気を取り戻したいならば何か書けばいいじゃないか

てなわけでキリン擬人化ネタ

でもエロイのあんまり書けない




さて、なぜこのような状況になったのだろうか、たしか俺はドドブランゴと戦っていたはずだ。
それでやっとのことで倒したのだがホットドリンクが切れたんだったな。
意識が朦朧としているときになにか別のモンスターが出たんだ………えーっと、名前が出てこないなぁ。
………そう、キリンだ。たしかにキリンだった。
でもそのキリンも大分弱っていたんだ、怪我も負っていたし角もひびが入っていたし。
それで俺の前で倒れたんだっけ、それで………そうだ、あったかそうだから思わず抱きついたんだ。
そこで意識が途切れて………今に至るわけか。
………本当になんでこんな状況になっているんだ?
なんで女の子の膝の上で俺は寝ているんだ?

「………なぁ」

と、その女の子に呼びかけるとビクッと肩を動かし別のほうを向いていた顔をこちらへと向けた。
顔はとても綺麗で、白い髪の毛もさらさらだった。

「ここは何処?あと君は誰?」

むくりと起き上がり、少女に向かって胡坐をかく。
どこかの洞窟みたいなところのようだが、光源がないはずなのに中は明るかった。

「私はリン、ここは私の中よ」

「そうか、俺の名はゼルって言うんだ………って、ちょっとまて。私の中ってどうゆう意味だ?」

「貴方の精神だけが私の中に入ってきているの、ここは現実世界ではなくて本来は存在しない架空の世界」

…………?何を言っているんだこの子は。
145名無しさん@ピンキー:2007/12/12(水) 23:40:12 ID:0SjDNH/e
精神だけがとか、架空の世界とか何を言いたいんだいったい。
しかし俺はその時に気づいてしまった、自分の体のケガが全て消えていたことに。
それだけではなく、いつもより体が軽かった。
それは、まるで『体がなくなってしまった』かのような感じだった。

「………信じるしかないようだな。それで、どうすればここから出れるんだ?」

そう聞くとその女の子は顔を歪めてこうつぶやいた。

「あなたがここに入ってしまったのは………私の未練だと思う」

「未練?」

「私、多分もうすぐ死ぬわ」

「え?」

女の子は立ち上がり着ていた服を脱いだ。
普通そんなことがおこったら、嫌でも下半身が反応してしまうだろう。
でも、体中についていた傷跡がそうさせなかった。
俺もハンター歴は長いから分かる、その傷跡は太刀やボウガンで付けられた跡だ。

「………君はもしかして……」

「そう、私は貴方の前で倒れたキリン。ちなみに私たちの本体はまだ極寒の雪山に有るわ」

ああ、キリンからキをとってリンか。
ってか本体は雪山に有るのか………それってすごくまずくないか?
もしそれで本体が死んだら多分ここに居る俺も消えるだろう。

「………それで死ぬ前に何かしたいってことか?」

「ええ、貴方が欲しいの」

「俺が欲しい?」

「………私は小さい頃からずっと一人だったの。でも、さっき貴方に抱かれた時にとても温かいと思ったの。
体だけでなく心までがね。その時にふとどこかで聴いた言葉を思い出したの『一緒に居てどきどきする人(龍)が居たらその人に恋をしている』って。
だから多分これは恋だと思うの、さっきすごくどきどきしたわ。死にかけなのにね」

なるほど、いきなりの急展開だがそういうことか。
しかし龍が人に恋をするなんてありえるのか?

「まぁ、そうしないと俺がここから出られないというのなら俺は構わないぞ」

「そう、じゃあ…………初めてだけどお願いね」

「ん、俺もだ」
146名無しさん@ピンキー:2007/12/12(水) 23:42:53 ID:0SjDNH/e

そう言って俺の膝の上に座ったリンに唇を合わせた。
そのやわらかい感触にどきどきしつつ舌を入れると、拒むかのように下を引っ込められる。それを無視して舌を絡めた。
唇をはなす頃にはもう頬がピンク色だった。

「しかしひどい傷だな」

そうつぶやいて胸の突起に舌を這わせた。

「んっ……こんな体じゃ嫌?」

「いや、十分綺麗だ」

舌を這わせるたびにビクッと反応する体を楽しみつつ、手をリンの秘所へと移動させた、
そして服を取り払うと綺麗なピンク色の花びらが現れた。
そこに指を入れると既にぐちゃぐちゃだ。

「ひゃんっ……だめぇっ」

体に力が入らないようで全身を俺に預けている。
二本も入れると既にぎゅうぎゅうで俺のは入らないのではないかと思うほどきつかった。

「これ以上は無理だな」

そう言って指の動きを早める、既に追い詰められていたリンは背を弓なりにして大きくあえいだ。

「!!…んっ…あぁぁぁ!!」

その後ぐったりとしたリンにキスをして耳元でつぶやく。

「愛してるよ、リン」

………自分もこの子に恋をしてしまったようだ。
もう、元の世界に戻れなくてもよかった。
この隣で寝ている少女と一緒に居られるのならば。
たとえ本体が死んでもきっと一緒に逝けるだろう、それならばなにも悲しいことは無い。

「おやすみ」

そう言って横になる、もしかしたら最後になるかもしれない目を開けるという行為を俺は止めた。


終わり

多分続く
147名無しさん@ピンキー:2007/12/12(水) 23:46:00 ID:Bip1Q1ls
末期だな
148名無しさん@ピンキー:2007/12/13(木) 00:18:27 ID:kGs8OSkE
GJ!なんとなく活気が出る以前のSSに雰囲気が似てるw
149名無しさん@ピンキー:2007/12/13(木) 00:26:13 ID:goJoBtyB
内容もGJな上に今このスレで書いた心意気にもGJを贈りたい。
150名無しさん@ピンキー:2007/12/13(木) 11:43:15 ID:rkgKY+dw
GJ!
151黒グラビ君:2007/12/13(木) 16:08:49 ID:F0CrqN0A
GJ!といわざるをえない、ではボクも降下しま〜す。
・モンハンネタあり
・人間化あり
・エロネタはまだ無いよ
・主人公は女の子
ではスタート。
152グラビモス人間化パート1:2007/12/13(木) 16:37:19 ID:F0CrqN0A
「・・・強すぎる、さすがは飛竜最強クラス。」 
注意(沼地上位クエです。)
私はいまグラビモスと戦闘中です、
武器はハンマーの「イカリクラッシャー」です。
私の名前はパール、装備は皆さんご存知キリン装備。
「あっ足引きずってる。捕獲チャンス。」
私はすかさず武器をしまい、シビレ罠を設置した。
「よし、掛った。」
見事に罠に掛ってくれたグラビモス、私はすかさず麻酔玉を二回投げた。
「捕獲成功、ドンドルマの町にもどろっと。」
ーーで一時間後ーー
「酒場に到着、おっと報告をうけよっと。」
「こちらがその報酬です。」メインターゲットの達成 一万三千ゼニー。
サブターゲットAの達成 四千ゼニー
サブターゲットBの達成 千ゼニー 合計一万八千ゼニー
「わあ、こんなにもらえた、ありがとう。」
「またきてください。」
報酬を受け取った私は家に帰って手に入れた素材すぐ納品した。
「やあ、パールさん。」 「あっ、ダイヤ。」
彼の名前はダイヤ、パールの後輩のハンターである。
「パールさん強いね、グラビも捕獲しちゃうなんて、しかもソロで。」
「うん、そりゃあ私もつねに武器を考えて使ってるもん。」
さて腹が減っては狩は出来ぬと言うことで食事ターイム。
153グラビモス人間化パート2:2007/12/13(木) 17:13:32 ID:F0CrqN0A
「いつもながら美味しいですね、パールさんの料理。」
「おかわりあるからじゃんじゃん食べて〜。」
ーーで十分後ーー
「ごちそうさまでした、またきますので。」
「うんまたね。」
ふと私は気づく、誰かに見られているということに。
(気のせいかな、私の家に誰かがいる。)
私はそーと自分の家に入った、どうやらなにも起こってはいなかった
「ふあー、なんだか眠くなってきた、でもそんなの関係ねえ!。」
私はベットの下になにか寝てる声が聞こえた。
「すー、かー、すー、かー。」
(やっぱりだれかいる、ベットの下ね。)
そういってベットの下にあるものを投げた、それはこんがり肉Gである
「あっ、美味しそうな肉、いたたぎま〜す。」
食べる音をたよりにそのベットの下を見た、すると大きなダンボールがあった。
「?なんでこんな所にダンボール?しかもどこかでみたことがある。」
このダンボールの形は収穫上手・技の書で、あった。
「よしここは思い切って、よういっしょ。」
「わあ。」
声がたしかに聞こえてた、どうやらまだ子供のようだ、しかも男の子。
「けっこう重いなーこれ、あれ反応がない。」
突いてみる つん 「ふあ。」 声が可愛いのでこんどは声をかけて見る。
「もしもし?。」返事が返ってこないので音量を上げてもう一回。
「もしもーし。」返事が無い空気の読めないダンボールである。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「よういっしょ。」「のわっ。」 ダンボールとったら男の子がいた。
「「・・・・・・・・・・・・・」」その男の子は何かを着ていた、
というか装備を着ていた、装備は「グラビドシリーズ」である。
「「アーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!」」
「き、きみは一体どうやって!?。」
「ああああ、どうしようみつかちゃったよこのボク、早くかくれなきゃ。」
「えっ?。」そういうとまたダンボールに入ったグラビド一式を着た彼。


154名無しさん@ピンキー:2007/12/13(木) 18:30:52 ID:8EBr+Zqv
>>151
目欄にsageと入力するんだ
あと、書き貯めてから投下しよう!!

155名無しさん@ピンキー:2007/12/13(木) 18:35:21 ID:254UjY0c
邪神降臨ktkr
156名無しさん@ピンキー:2007/12/13(木) 18:55:41 ID:DjQWuXCf
このスレは小説版ってどうなの?
157名無しさん@ピンキー:2007/12/13(木) 22:38:25 ID:6LXziKng
>>156
私個人としてはおkだが

他の住人のかたは如何なりや?
158名無しさん@ピンキー:2007/12/13(木) 22:49:56 ID:Hxxns/Z+
知らないけど、NGではないな。
初代のスレあたりだと、小説版のキャラの話あったよ。
159名無しさん@ピンキー:2007/12/13(木) 23:47:45 ID:GOgIzBpR
ぶっちゃけ小説とSSとの違いが分からんが餌くれるなら何でも食うぜ!
160名無しさん@ピンキー:2007/12/14(金) 03:08:48 ID:w4APRt7e
初代では擬人化と同じくらいの需要だった気がする
161名無しさん@ピンキー:2007/12/14(金) 07:46:22 ID:PG9sjxON
モンハンであるならば皆雑食
162名無しさん@ピンキー:2007/12/14(金) 13:16:50 ID:Bj+Q9s6O
>>161
皆同じにされても困るのだが
163名無しさん@ピンキー:2007/12/14(金) 13:59:12 ID:kKZrvdi3
>>162
そりゃ個人の嗜好は違うだろうが、スレそのものは大概許容するだろ。
164名無しさん@ピンキー:2007/12/14(金) 18:24:13 ID:hIH1cdHJ
投下致します。これで完結となります。
165名無しさん@ピンキー:2007/12/14(金) 18:25:14 ID:hIH1cdHJ
forest and the hill2

the hill-後編


他の面子が微妙なテーブルを囲んでいる頃
ヨークは一人宿舎の部屋で頭を抱えていた

朝、コッティが試合に行こうと部屋に来たが、頭が痛いとウソをついてドアを開けなかった
ルーにあわせる顔がない
なんてことしちまったんだろう......
ルーの泣き顔が瞼にこびりついて離れない
あんなことするつもりじゃなかったんだ
泣かすつもりじゃなかったんだ

しかしやってしまったことはもう消えない
せめて謝りたいとも思うが、昨日の今日で恐ろしくて顔も見れず
後からこそこそと闘技場へむかった

試合はひどいものだった
狂ったように火炎をふりまき、暴れ続けるリオレウス
何回かリオレウス討伐に成功しているタライ しかしその知識があだとなる
タライ、ディアブロス、そしてイアさえも敵とみなし暴れるリオレウスに
培ったパターンなど通用しなかった

『すっげぇ、野生の王国だな、こりゃ』
何気ない観客の言葉に舌打ちする
違う!これは捻じ曲げられた本能なのだ

今朝方早く、一睡もしていないヨークの部屋にイアが尋ねてきた
正直会いたくなかったが、昨夜の慰謝料を取りに来たと言われ、しぶしぶドアを開けた

つかつかと部屋に入ると備え付けの道具箱から競走G、鬼人薬G、怪力の種、丸薬などを
根こそぎ自分のポーチにしまっている
何に使うのかと聞いたが、イアは応えず、フフンと鼻で笑っていただけだ
楽しそうに荷造りを終えると、ふわりとオレの胸に手を当て、そのまま下へ這いおりる
無防備だった股間をむぎゅっとにぎるとにっこりと見上げた
『意気地なしを返上したい?リベンジなら受けてたつわよ』
相変わらず魅惑的な笑みを残し、部屋を後にした
じんじんする股間をいたわりながら、コワイ女を敵に回したと実感した
166forest and the hill2:2007/12/14(金) 18:27:08 ID:hIH1cdHJ

あれがこんなふうに使われるとは......!!
何も考えずに渡してしまった迂闊さに歯軋りをする
試合終了の合図に闘技場に目を戻すと、捕獲玉を投げようとしたタライの腹に
回転したレウスの尻尾が尖った先端を向ける
すぐさま飛び降り間に割って入った
愛用の大剣はしっかりと役目を果たしてくれたが、ガード性能も無い普段着だったので
タライとともに壁に吹っ飛ばされた

集まってくる人々の隙間から、観覧席にいたルーと目が合った
心配そうにこちらを見ていたが、視線が合うと一瞬非難の色を見せ、目をそらした
くっそぅ、こたえるなぁ......
そして、ゆっくりと向き直るとなにか物言いたげな表情で見つめている
何か言えば良かっただろうか
いたたまれなさに目を背け、タライを担ぎ医務室へ向かう
背中にルーの視線が痛かった

何か言いたい事があるのだろうか
そりゃ、文句の一つも言いたいだろうな...あんなことしたんだし

[ごめんなさい!他に好きな人がいるの]
[ヨークなんて最低!だいっきらい!]
[2度と私の前に現れないでよね!]
[幼馴染だからって調子乗らないでよ!]
[この、レイプ魔!!!]

頭の中のルーは次々と罵詈雑言を撒き散らす
ベッドで治療を受けるタライの横に座りがっくりと肩を落とした

「おい、そんなに心配すんなよ。もらった秘薬でそんなにひどいことにはなってねーよ」
いつも通りの笑顔を見せる親友に心の奥で謝った
すまん......少し忘れてた...
167forest and the hill2:2007/12/14(金) 18:28:43 ID:hIH1cdHJ
後味の悪い試合のあともオレは部屋に閉じこもっていた
5人で食卓を囲んでメシを食う気になんてなれない
針のムシロだ
それでも狭い室内に息が詰り、外へ出て夜の町をぶらつくことにした
日が落ちても、ドンドルマはにぎやかだ
ハンター家業に夜昼はない
夜行性のモンスターも居るし、場合によっては彼らの寝込みを襲うこともある
全ては安全かつ的確にモンスターを狩るため、自分の時間など言ってられないのだ
血気盛んなハンターたちのを横目に、ヨークはうなだれ目的地もなく街をさまよう
思考はどうしてもルーのことへ向かう
ルーは明日村へ戻るのだろうか
一緒に帰っていいのかな?
狭い馬車の中に2人‥‥‥耐えられるか?
タライたちとチャーターに乗るか?
でも、あからさまに避けていると思われないだろうか
愛想を尽かし、村を出て行くことなどないだろうか‥‥‥
自分の考えにひやりとする
出口も無い思考の渦に飲み込まれていると、暗闇を走る見慣れた人影があった
ルー?
常に頭の中を占拠している人を見間違うはずは無い

よし!謝ってしまおう!
許してくれるとは思わないが、土下座でもしてとにかく謝ってしまいたかった
もう2度と泣かすようなことはしない
ルーを失うことだけは避けたい
こっちを向いてくれなくても、常に傍に在りたい

暗闇を走り抜ける白い影を追った
あれ?こっちじゃなかったか?
アリーナの裏手まできて不意に姿が見えなくなった
木々の隙間をのぞき、愛しい影を探す
ごそごそと垣根を掻き分けていると、ふと手がとまる
本当にルーだったか?てか、食堂へ行ったほうが確実じゃないか?
ため息が出る。オレは馬鹿じゃなかろうか
血の上りきった頭を冷やす為、一回りしてから食堂へ向かうことにした

さっきより増して人通りの無い暗い行舎の脇を進んでいくとオレンジ色の明かりがもれるその下に
まさに探していた人がごそごそと動いている
やっぱりルーだ!
こんな所で何をしてるんだ?

「ルー」

思わず声をかける
その瞬間、激しい爆風が頬を撫でルーの体が宙に舞ったのを見た

168forest and the hill2:2007/12/14(金) 18:30:12 ID:hIH1cdHJ

血に塗れ、ところどころ焦げ付いている服
くったりと横たわる体を抱きしめた

「大丈夫か!!!しっかりしろよ!!」

ケガ人をぶんぶん揺さぶると、かすかにルーの唇が震えた
「‥‥‥ぴ‥‥ヨーク‥?」
とにかく生きていることに安堵し涙が吹き出る
「しっかりしろよ、今 人が来るから!」
「だ‥め‥‥‥ここから‥はなれ‥‥なきゃ」
言葉を受け取り、ヨークは瀕死のルーを抱えひとまず宿舎へ走った

最初はルーの血かと思った
ベッドにおろした後、べっとりと手に付いた血に肝が冷えた
しかし、それはルーのものではないらしい
ざわざわとしたものを感じながら、医者へ説明の続きを促した

「重度のやけどと打撲です。
 少し後は残るでしょうが、次第に薄くなります。
 日常生活は問題ないと思いますが、激しい動きは難しいでしょう」

ハンター用の宿舎であることから、ルーの職業を察したのだろう
気の毒気に苦しそうな寝顔を見やる

「女性でヤケドの痕はショックなことでしょう、支えてあげて下さいね」
「も、もちろんです!!!」

間髪いれず返したオレの肩を優しい笑顔でポンとたたいた
夜中に往診してくれた医者に感謝を述べ、見送る
震える指先で、布に包まれた頬をそっと撫でた
「んっ‥‥」
やば、痛かったか
「ヨーク‥?」
「うん、大丈夫か?」静かにうなずく
色々聞きたいことはあるし、言わなくてはならない事もある‥‥けど
よかった、生きててくれて本当に良かった
ヤケドの痕くらい全く問題ない!腕や足の一本だってかまやしない
零れ落ちる涙を見られまいと、後ろを向いて拭うとできる限り優しい声を掛けた
「ゆっくり寝てろ。まだ夜だ」
薬が効いているのだろう
夢見心地のさまよう視線を窓の外へ向けた
169forest and the hill2:2007/12/14(金) 18:31:51 ID:hIH1cdHJ
とたんに寝台から飛び起きた
しかし実際は気持だけで小さな身動きに痛みが走る
たまらず身を抱えベッドにうずくまった
「いったっ‥‥」
「おいっまだ動くな!結構ひどかったんだから」
肩を支え、再び横にさせようとする
体中に巻かれた包帯からじわじわと血が滲んでくる
急に動いたせいで出血したのだ
「医者呼んでくるから!じっとしてろ」
半時ほど前に部屋を後にした医師を追いかけようと立ち上がる
焦るオレを冷たい指が引き止めた
「お‥ねがい、泉へ連れてって‥‥‥」
なに言ってるんだ、死にそうだったんだぞ!?
真摯な目がヨークを見つめる

ああ、そうか‥‥‥
今夜の行動が誰の為のモノなのか
誰の為にこんな無茶をしたのか

「‥‥‥わかった。でも連れてはいけない 俺が行ってきてやる」
しばらく黙って考えていたルーの唇が動いた
「夜明け前に泉に一人の男の人がくるから、ネコ馬車にのせて村のほうに帰してあげて‥‥‥」
わかったとうなずく
「ケガしてるって言わないで‥‥あとで行くからっ‥て‥‥」

再び意識の途切れたルーを毛布でくるむ
頬を伝う涙が次々しみこまれ、大きな影を広げていた

「ぴー‥ちゃ‥‥ごめ‥ね」
170forest and the hill2:2007/12/14(金) 18:33:07 ID:hIH1cdHJ

ルーのつぶやきを聞きながら後ろ手でドアを閉めた
夜道をひた走りながら、心の中で悪態をつく
ちっくしょー!なんでオレが駆け落ちの手伝いをしなきゃなんだよ
だいたい ぴーちゃんってなんだよ!名前かよ、それ!
ルーのヤツ偽名使われてたんじゃないだろうな!
てか、レウスに名前なんてあんのかよ!!

支離滅裂な心とは裏腹に、体は必死に使命を果たす為走り続ける
2度とルーを泣かせないって誓ったしな
朝日がのぼりかけ、足元におぼろげな影が浮かぶ

邪念を振り払う為の全力疾走はけっこうこたえた
息を整えながら笑う膝を押さえ、たどり着いた泉に歩み寄る
中央の石の隙間から零れ落ちている滴の音が、静寂の中にやけに大きく響いていた 
辺りを見回すが、誰もいない
待ちくたびれて行ってしまったのか、まだ来ていないのか
行舎のほうを見ながら、ヨークは泉の脇の石に腰を下ろした
そして、くるであろう恋敵に平静に対峙できるよう目をふせ、時を待った


どれくらい経ったであろうか
ふと背後の気配に気づく
彼もハンターだ そうしたモノには人一倍聡い
やっときやがったな、本当は2度と会いたくなかったけどよ
ゆっくりと目を開け宿敵を振り返る

そこには来た時と変わらない穏やかな泉があった
あれ?
2匹の小鳥がむつまじく水浴びに精を出す
気のせいか‥‥‥?
確かにそこに気配はあった しかし誰もいない
振り向く前にどこかへ隠れたのか そんな時間があったとは思えないし、なにより意味が無い
ため息をつき再度座ろうとすると、すっかり上った太陽の光を強く反射し目を刺すものがある
静かに近づき足元のキラリと光る欠片を拾い上げた


171forest and the hill2:2007/12/14(金) 18:34:31 ID:hIH1cdHJ
強烈なのどの渇きに目を覚ました
見慣れない天井が視界に映る
水を飲む為立ち上がろうと、ベッドの端に手をつく
「うわっいっ‥‥」
全身を走る痛みに思わず声が出た
「起きたのか!ルー!?」
馴染みのある顔が、慌てて大きな手で支えてくれた
「まだ、動いちゃダメだ」
乾ききりささくれた唇を見て、悟ってくれたらしい「水飲めるか‥‥?」
うなずくと、2日も寝てちゃ喉もかわくよなと笑いながら流しへ向かっていった


‥‥‥2日‥?
次第に頭がはっきりしてくる
「ヨーク!!!ぴーちゃんは?森へ帰れたの?」
けが人とは思えない大声に、ヨークは見たことの無い静かな笑みを浮かべた
ベッドの隣に腰掛け、コップを渡す
こぼさないように自分の手を添え、静かに言った

「ああ、村の方面のネコ馬車に乗せたよ」

ホントに!?
「大丈夫だった?一人で乗れてた?」
「なに心配してんだよ、アイツだって大人だろ?」
ルーの頭を撫でながら、笑うヨークに釈然としないものを感じた
あんなにひどい怪我をしていたのに、ヨークが気づかないはずはない
ヨークは会えなかったのだろうか‥‥‥

「ルーちゃん!気が付いたの??!!」
勢いよくドアを開け、コッティとタライが入ってきた
心配顔のコッティに恐る恐る尋ねる
「闘技大会‥‥‥イアは優勝したの?」
「‥‥イアのモンスターは前日の晩に逃げ出したらしいの
 朝になったら、檻の中はもぬけの殻だったって、彼女怒り狂ってたわ」
「しっかし、どうやって外にでたんだろうなー
 鍵はしっかり閉まってたらしいし、格子が2本外れてただけだって‥‥みんな不思議がってたなー」
「バチがあたったのよ、調べたらあの子、レウスの依頼なんて受けたことなかったんだから」
「ま、そうだけど、あれほど強いレウスもったいねぇよなぁ」
「何のんきな事言ってんの、あれだけボコボコにされたくせに」
172forest and the hill2:2007/12/14(金) 18:35:55 ID:hIH1cdHJ
にぎやかに話し続けるタライとコッティ、二人を押しのけヨークがベッドに歩み寄った
混乱し言葉にならないルーの手からコップを受け取ると、変わりにポケットから出したものを握らせる
「とにかく、体を直せ
 大丈夫、あんだけ生意気なヤツだ。殺しても死にやしねえよ」
彼を知っているかのような口ぶりに、自然に笑みが湧いてくる
握り締めた手のひらをゆっくりと開いてゆく
ヨークのぬくもりがそのまま残っていた

ユニオン鉱石ーーー‥‥

戻ってくるのは何度目だろうか
しげしげと見つめていると、ヨークが小声で続けた
「ヤツから預かったものだ」
綺麗に光りを放つ石にぽたぽたと滴が落ちる

私が街に来なければ‥‥森に会いに行かなければ‥‥石さえ渡さなければ‥‥
『彼らに必要以上に踏み込んではいけない』
何度も繰り返された父の言葉がいまさらになって思い出される
どれだけのものを彼から奪ったのだろう、渡せたのはほんの僅かな気持だけだったというのに

逃げれたのだと思いたい

あんな狭い檻と闘技場は彼には窮屈すぎるだろう
さえぎる物も無い大空と豊かに茂る森‥‥そこがふさわしい場所
173forest and the hill2:2007/12/14(金) 18:36:58 ID:hIH1cdHJ

-----5年後

「パパー、おかえりなさーい」
討伐を終えたハンターに小さい女の子が走り寄った
「ただいま、レイ。良い子にしてたか」
おみやげ、おみやげーとまとわり付く子供をふわりと抱き上げ、酒場の扉を押し開けた
それほど長期間留守にしていたわけではないが、温かい子供の抱き心地に、頬が緩む
「ねー、ねー、どんなモンスターだったの?」
肩の上からあどけない声がかかる
「そうだなぁ、今回のヤツは変わったやつだったぞー
 まず、姿が見えないんだ!ながーい舌を持ってて、ビョって飛ばして来るんだぞ」
こわーいと叫びながら、頭にしがみつく
反応が面白くて、さらに続ける「それでなぁ‥‥‥」

「こら!レイ、おうちで待ってなさいって言ったでしょ」
カウンターの奥から聞こえた、母親の声に肩の上の暖かなモノはプルっと震えた
母親は、今は酒場で働いている
小柄な彼女には、ギルドの制服の方がハンター用の装備よりも似合っていると思う
「そ・れ・に、パパじゃないでしょ!ちゃんと名前で呼びなさいって言ってるでしょ!」
続いた小言にぷぅっと頬が膨む
「いいんだもん!パパって呼んでもいいって言ったんだもん!」
「モンスターよりママの方が、こわーい!」
肩の上から降りると、捨て台詞を吐いてちてちてと走ってゆく
わざとらしく肩をすくめ、バツが悪そうにそっぽを向いている男に声を掛けた
「ごめんなさいね、あなたに父親みたいなことさせて」
「何言ってるんだ!お前の子供ならオレの子供みたいなもんだ!
 それに、身に覚えがないわけでもないし‥‥」
そりゃ、最後までではないけど、途中までは‥‥‥余計な事まで言い始めたので軽く睨む
「いや、その、約束を忘れたわけではないから‥‥」
174forest and the hill2:2007/12/14(金) 18:38:17 ID:hIH1cdHJ

村に帰り、乳飲み子を抱えた彼女に一緒に暮らそうと言い出したのはオレのほうだった
これ以上迷惑はかけられないと、かたくなに断られたが
オレの母親の説得もあり何とか頷かせた
『子供の父親のことは聞かないで欲しい』
『レイアとレウスは狩らないで欲しい』
『一生忘れない人がいる』

「ひどい女だね‥‥‥」
自嘲気味に呟く彼女の肩に手を乗せる
「そんなことはないさ、オレがスキでやってるんだ」
5年間でさらに大きくなった隣の幼馴染をまぶしそうに見上げた
「あんたはいい男になったね」

思いもかけない賛辞に、瞬時に顔が赤くなる
笑っちゃうくらい素直な反応はおかしかったが、いとおしいとも感じた
こういう状況に免疫の少ない彼はあたふたと必死に話題を探している
「そ、そういえば、もう直ぐレイの誕生日だろ?」
その言葉にふんわりと笑顔を浮かべると、レイの走り去った川の方に目を向ける
「あのコね、ほしい物があるんだってさ」
「おう、何でも言ってみろ!街にでも買いにいくか?」
すぐにも出発しかねない彼の手を捕まえると、そっぽを向きながら言った

「おとうとが欲しいんだってさ‥‥‥」

ついでいる手の温度が一気あがる
ちらりと振り向くとさっきより増して、赤くなってしまった
もう赤いというよりは紫に近い、息止めてるな?

温かい風がやさしく頬を撫でる
森と丘の麓にある小さな村はあれから何度目かの温暖季を迎えようとしている



----fin----
175forest and the hill2:2007/12/14(金) 18:39:45 ID:hIH1cdHJ
以上、終了です。
しばらく間が空いたり、規制されたり、長々駄文失礼しました。
読んでくれた方、ありがとうございます。

次の蛇足はエロパロということもあり(単に書きたかっただけか)付け加えた部分です。
ヨーク×ルー初夜?の話です。邪魔だと思われたらスルーして下さい。
176the hill(蛇足):2007/12/14(金) 18:42:04 ID:hIH1cdHJ
「レイは眠った?」
「ああ、多少ぐずってたけどな」
「ごめんね、すっかりヨークに懐いちゃったわ」
「そんなこと言うなって、オレがスキでやってるって言ったろ」
一緒に暮らしながらも、寝室は別々に取っていた二人だったが、
今夜ルーはヨークの部屋にいる

ベッドの端にちょこんと座る姿に、否が応でもテンションが上がる
大またで歩み寄ると、ルーの肩に手を乗せた
一瞬びくっと震え、上目づかいでオレを見上げる、心なしか潤んでいるように見えた
「いやか?」
無理強いするつもりはない、ここまで待ったのだから今更焦ることもないさ
とはいいつつも、下半身はがっつりその気になっているのが我ながら悲しい
ルーに悟られないように、少し距離をとり、後ろを向いた
「無理はするなよ、オレは別に焦ってなんかいないから」
傍にいられるだけで十分だ‥‥‥格好つけて言いかけた瞬間、背中にふにゃりとやらかいモノが押し付けられた

「ヨーク‥‥‥」

薄い布地一枚にへだれられた胸は、そのやわらかな感触を余す所無く背中に伝えてくる
そりゃ、反則だよ‥‥
「あの、ルー?そこまでひっつかれると、オレとしても‥‥‥」
粋がる半身に褐を入れつつ、何とか伝える
しかし、背中の感触は離れることなく、更に圧力を増し柔らかくつぶれている
微動だにできないヨークにルーが先にシビレを切らした

「だから、いいんだってば‥‥」

すぐさまひるがえり、真正面から小さな体を抱きしめた
ぬくもりを失った背中がすこし寒かった
少し見つめあってから静かに唇を落とす
久しぶりの唇は、甘く、温かく、ゆっくりとオレの舌を招き入れてくれた

口内を味わいながら、ルーをベッドに座らせる
次第に速さを増して動き回る舌にお互い呼吸も早くなった

「んっんっ‥‥‥」
ようやく開放すると、荒い呼吸をする唇が赤く濡れ、それだけで理性を吹き飛ばす
「きゃ‥‥んっ!」
乱暴に押し倒し、服の上からやわらかなふくらみに手を乗せる
手のひらに硬い頂を感じ、指でそっと撫でた
「あっ‥」
更に硬さをました蕾に口付ける
服の上から甘く噛んで舐りまわす ルーの息がはずむ
「あっ‥あっ‥ん、ふぁっ‥‥」
唾液にまみれたその部分は、うっすらと下の色を透かし
たまらず、めくり上げ、直接口に含む
空いている手で白い太ももの内側をまさぐり、上へ向かう
「ふぁっんっ‥‥‥ああっ‥‥そこ‥だめぇ」
かわらず舌で硬くなった頂を刺激しながら、指は下着の隙間を抜け少しだけ潤ってきている入り口を
丹念に刺激する
あふれ出てくる潤滑油をまとい、下の小さな蕾をやさしくなぞる
「あああっっっっんっ!」
しびれるような感覚に、白い腹が跳ねる
しがみついてくる背中を支えながら、指は細かく動き続ける
「ああっあっ‥‥んーっ‥も、だめ‥‥っっ!!」
弓なりに離れていく体をしっかり受け止め、再び唇を落とした
177the hill(蛇足):2007/12/14(金) 18:43:35 ID:hIH1cdHJ
しっとりと張り付いた布を性急に脱がしてゆく
胸の上までまくり上げたところで、ルーの手がそっと制した
「このへん、けっこうまだ痕がひどいの‥‥‥気持ち悪いから‥‥」
抑える手をそっとにぎり、上に持ち上げるとさらりと残った布地を肩から外した
白くなだらかな肩から二の腕にかけて、引き攣れた痕が痛々しく残っている
5年経ってなお、時折痛むらしいその傷跡をそっと撫でる
口付けをし、舌でゆっくりとなぞった
「あっ、だめだって‥‥んっっ」

もう限界まで膨れ上がったモノを、溶けた隙間にあてがう
一気に突き入れたい衝動に駆られたが、おそるおそるルーの表情を伺った
うつろに彷徨う視線がオレに定まりふわりと笑顔を浮かべる
白い手を伸ばし、汗ばむオレの髪をゆっくりと梳く
その動きにあわせゆっくりと差し入れた
中は熱く痛いくらいに締め付ける
うごめくようにオレを窮地に追い込んだ

やべ、はやそー‥‥‥

「んっ‥‥あぁっ‥‥ふぁぐっ」
奥までたどり着くとルーは小さく悲鳴を上げた
幸せをかみ締める余裕もなく、タガの外れた腰が必要にルーを責めたてる
「あっあっあっあぁん、んんぅ‥ぃぁ」
「んっん、もう‥‥スキだ‥‥」
淫靡な水音もルーの嬌声も消えていき、すぐさま思いのたけを吐き出してしまった

‥‥‥いくら久しぶりだからといってこれは‥‥早すぎだろう
自分の不甲斐なさに泣きそうになる
それでもルーは笑って、小さく頬に口付けを落としてくれた
ルーの裸の背中を撫でながら心の中で一人反省会を催していると、ドアの隙間から寝ぼけた声が聞こえた

「ママー、お水ぅ‥‥」

まったりとした甘い時を味わうこともなく、固まる二人
いや、べつに悪い事をしているわけではないんだけど、やっぱり子供の前では憚られる
あわてて、服を引っ掛けてドアに向かうと後ろから慌てたルーが小声でさけんだ

「ま、まって、わたしの服は‥‥どこ!」
ベッドの端に丸まっていた布切れを差し出す
「パンツなんていいから、上着ぃーー」
落ちていたオレの大きな上着をすばやく羽織ると急いで扉を開け、抱き上げた

カップに水を渡し、小さな頭を撫でるルーの後姿を見ていた
あの下、はいてねーよな‥‥‥
再び臨戦態勢に入りそうになってしまい、あわてて足を組んでごまかす

「ねー、プレゼントねぇ、おとうとっていったけど、やめてもい?」
半分夢見心地のあどけない声が笑みを誘う
「ん?なんだ?他に欲しいもの見つけたか?」
「んーんと、竜のおとーと!背中に乗っけてもらうのー」
そんな夢でも見てたのだろうか?
無邪気な空想も、ヨークには眠気も余韻も吹っ飛ぶ最大のクリティカルとなる

「だ、だめだーーーーー!!!」

この夜ヨークは目に入れても痛くない最愛の娘(?)を初めて泣かした

以上 終了
178名無しさん@ピンキー:2007/12/14(金) 19:44:15 ID:mxl3nhq3
結論、レイは男泣かせ

乙でした。
179名無しさん@ピンキー:2007/12/14(金) 21:35:47 ID:NT3cch+O
携帯から失礼します。
森丘お疲れ様でした。
180名無しさん@ピンキー:2007/12/14(金) 22:11:09 ID:Q87a26Q1
>>175
完結お疲れさまでした。
ああ、こういう締め方になったのかぁと、今一度過去ログ引っ張り出して
読み直しながら余韻に浸ってます。読み易かったし、面白かったです。

なにはともあれGJ!

>>156
問題ナシ。初期のほうで良作はけっこうあった気がする。
181名無しさん@ピンキー:2007/12/14(金) 22:52:55 ID:XA17sUu8
完結したのか! まだ読んでないけど先に言っておこう。GJ!
ようやく仕事場から帰宅できるんで、後でゆっくり読ませてもらうよ!
182名無しさん@ピンキー:2007/12/15(土) 16:16:02 ID:2ELayEEt
それぞれが帰るべき場所に帰ったというわけですか……
ちょっと物悲しい気もするけれど、自然な流れという気もする。読後の後味も悪くなくていいね。
なんにせよ楽しませてもらった。祝完結。GJ!
183名無しさん@ピンキー:2007/12/16(日) 07:57:45 ID:Rd+br2jD
184名無しさん@ピンキー:2007/12/16(日) 10:28:09 ID:5gFsSFp4
竜姦物が、ほすぃー。
185名無しさん@ピンキー:2007/12/16(日) 23:49:38 ID:posAUkOd
言い出しっぺがry
186名無しさん@ピンキー:2007/12/17(月) 00:38:13 ID:1ugpkY5F
>>185
お前それしか言わないな
竜姦嫌いなのはわかったから黙ってなよ
187名無しさん@ピンキー:2007/12/17(月) 00:50:17 ID:+oyNm7Nm
>186
そんな喧嘩腰にならんでも。
需要がある人にこそ、供給に足るものが書けるんでないかな…
実際、竜姦興味ない人には書くの難しいだろうし
188名無しさん@ピンキー:2007/12/17(月) 00:54:36 ID:s99GTXBC
>>186
横槍だが「言いだしっぺが実行」までは言わないとしても、例を挙げるくらいは礼儀だし常識だと思うが
だからこそ「言いだしっぺの法則」とか言われる訳だし
189名無しさん@ピンキー:2007/12/17(月) 01:20:14 ID:b//E2WYS
>>186
書き手にすりゃ好きでもない竜姦モノ無理に書いて
「お前はツボがわかってない」だの何だのと文句言われたら嫌じゃん?

やっぱり好きなものは好きな人が書くのが一番なんだよ。
190名無しさん@ピンキー:2007/12/17(月) 01:58:14 ID:FcX2J3AB
礼儀とか常識とか言う割に一般教養が欠けてるのはいかがなものかと思いますが
191名無しさん@ピンキー:2007/12/17(月) 02:53:55 ID:IfmbAJk9
192名無しさん@ピンキー:2007/12/17(月) 07:29:49 ID:Pvuadfkp
こうしてクソスレになっていくのね
193名無しさん@ピンキー:2007/12/17(月) 07:31:00 ID:aUDAONeU
>>190=>>186
基地外臭がする
194名無しさん@ピンキー:2007/12/17(月) 10:18:33 ID:3o4nN+yq
そのうち竜×竜落とすから少し黙ってろ>>184
195名無しさん@ピンキー:2007/12/17(月) 15:57:25 ID:yB3H3xdL
>>189
何で無理に書かなきゃいけないの?何で無理に書かなきゃいけないの?
作者が脳内で受信した電波を綴って、それが俺達の好みの合ってたらめっちゃらっきーーーーでいいじゃん。
196名無しさん@ピンキー:2007/12/17(月) 16:44:23 ID:Ap2PAzyn
一人だよ
197『クイーン』の人:2007/12/17(月) 20:56:57 ID:w5i67dP1
お久しぶりです。なかなか難産でしたが、例のシリーズの完結編の1、投下します。
擬人化のうえ、わりと好き放題に設定いじってるので、そういうのが嫌いな方はスルーを。
198『クイーンに首ったけ』完結編(その1)-1:2007/12/17(月) 20:58:24 ID:w5i67dP1
『クイーンに首ったけ』完結編(その1)

 カッポーーーーン……

 と言う効果音を聞けばおおよその察しはつくであろうが、ここは風呂場。ただし、俺とランの愛の巣(テレテレ)たる我が家に設けられた、少し広めの家庭風呂ではない。

 「わーーここのお風呂、お屋敷の大浴室より広いですぅ!」

 「これ、カンティ。風呂場で走ると転びますぞえ」

 「そうですわ。淑女(?)として、いたずらに騒いではいけませんわよ」

 「姉君様、ママ、ごめんなさい」

 「(ブクブクブク)」 ←無言のまま湯船で潜水している

 楽しそうな声が"壁"の向こうから聞こえてくるのを尻目に、溜め息をつく俺達。

 「……なぁ」

「あんだよ、カシム?」

 「野郎ふたりで温泉につかるのって、微妙に虚しくね?」

「わざわざ再確認させんな!」

 いや、まぁ、混浴でもない限り、そういう展開だろうと覚悟はしていたが。
 ……そう言えば、身体的性別だけで言えばカンティもこっちのはずなんだが。
 まぁ、あの子の場合、まだ女湯でもギリギリセーフな年齢だろうし、下手に男湯(こっち)に来るほうが、むしろ貞操の危機かもしれんが。

 キャッキャと騒ぐ女湯の喧騒をBGMに、俺とカシムは苦笑しながら、湯船の縁に置いた盆上のパニーズ酒に口をつけた。

 *  *  *
199『クイーンに首ったけ』完結編(その1)-2:2007/12/17(月) 20:59:06 ID:w5i67dP1
 事の発端は、1週間ほど前に遡る。

 先日、俺達の師匠に諭されて以来、ランもいろいろ思うところがあったらしく、このところハンターとしての自分のスタイルを見直しているようだった。
 本来ならズブの素人が受けるべきギルド主催の武器講習会に参加したり、狩猟笛用の楽譜を買って、どの組み合わせがベストがいろいろ模索したりしている。

 今回も、ランが最近作ったナナホシ天砲を試してみたいと言い出したので、ヘビィボウガンの先生としてキダフ(とそのオマケのカシム)に来てもらい、リオレイア狩りで実地訓練に臨んでみた。
 キダフによれば、ほぼ始めてヘビィボウガンを使ったにしては、ランの筋は悪くないと言うことだったが……。

 「うーむ、いまひとつしっくりこぬのぅ」

 ラン本人は、どうやら納得がいかない様子。
 一応シールドを付けておいたんだが、どうもランも俺と同様、敵の攻撃を"ガードして受け止める"より、"回避してかわす"やり方を好むみたいだしな。

「じゃあ、今度は弓でも試してみるか?」

 「ふむ、軽弩同様軽快に動き回れると言うのは中々魅力的ではありますな」

 ウンウンと頷くランに、カシム夫妻も助言する。

 「それに、矢の弾道はクロスボウの弾と違って弧を描くから、複数で狩りをしている時は便利だぜ」

 「―矢に属性がつくのも利点」

 本人を含めて全員の賛同が得られたことだし、とりあえず次回はパワーハンターボウでも試してもらうとするか。

 そんなことを話し合ったのち、俺達は酒場を出たんだが……

 トンテンカン! トンテンカン!

「なんだ、ありゃあ?」

 酒場の裏手で何やら工事をしていることに気がついた。

 「ああ、何でも村おこしの一貫で、あそこにリゾート施設を作るらしいぜ」

 りぞーとしせつぅ? こんな片田舎でか?

 「一応ここも王都の手前に位置する村だからな。ある意味宿場町だし、人通りもそれなりにはあるぞ?」

 ふーん、そんなモンかねぇ。ま、俺達には関係ねーか……と、その時はスルーしたのだが。

 *  *  *

 それから数日。ランが徐々に弓の使用に慣れ、クエストの内容に応じてライトボウガンとの使い分けができるようになったころ。
200『クイーンに首ったけ』完結編(その1)-3:2007/12/17(月) 20:59:41 ID:w5i67dP1
 「お姉様、お兄様、酒場の前でこんなものを戴いたのですが……」

 例によって遊びに来た――今日は珍しくカンティも一緒だ――ヒルダが、家に入るや否や一枚の紙切れを俺達に差し出したのだ。

「なになに、『ロロパエ・トロピカル・センター オープン!!』……なんじゃ、こりゃ?」

 「ふむ。察するに、以前、カシム殿が言っておられた"りぞーと施設"とやらでしょう」

 ランに言われて、そう言えばそんなこともあったっけなぁ……と思い出す。

 「このチケットで4名まで半額に割引されるみたいですわね」

 なるほど。チラチラと俺達のほうを見て来るのは、「一緒に行きませんか?」とのお誘いなわけね。まぁ、元々貴族の箱入りお嬢(最近はそうとも言い切れないが)である我が妹君としては、こういうバッタモンくさい方が、むしろ気になるのだろう。

 入場料は……大人ひとり200ゼニー(子供は半額)か。別にこれくらいなら、まとめて俺が出してやってもいいか。
 ちなみに、我が家の家計簿はランがつけているのだが、ぶっちゃけ俺は出費に関して文句を言われたことはない。まぁ、大きな出費は大概が仕事がらみの武器や防具関連だし、贅沢品には俺もランもあまり興味ないしなぁ。
 ハッキリ計算したことはないが、王都でそこそこ大きな一軒家を即金で買えるくらいの貯えなら、十分あるはずだ。

 そういうわけで、たかだか3人(いや、カンティも入れて4人か?)分のリゾート施設費くらい出すことなんぞ屁でもないんだが……。

「しかし、ここ、何するところなんだ?」

 せっかくの休養日でもあることだし、善は急げとばかりに4人で酒場の裏手まで来たはいいが、「ロロパエ・トロピカル・センターへようこそ!!」と妙にカラフルな原色の文字で書かれた看板を見ると、一気に脱力してくる。

 リゾート施設――ロロパエ・トロピカル・センターとやらは、少なくとも規模だけはなかなか大層なものだった。目の前の建物に関して言えば、この村で一番大きな村長の家を軽く凌駕し、ちょっとした劇場なみの広さはある。
 しかし、リゾートと言っても具体的に何をするんだろう?

 「えーと……この小冊子には、わくわく冒険ゾーン、うきうきグルメゾーン、ほかほか温泉ゾーン、それと、スペシャルディナーショウがある……と書いてありますわ」

 「もっとも、"でぃなーしょう"とやらは予約制みたいじゃから、今からでは無理やもしれませぬが」

 もうチェック済み!? お前ら行動早いなぁ。
 ランのヤツもそんなに乗り気ではなかったみたいなのに、ここへ来て俄然好奇心もあらわにキョロキョロしてるし。冷静そうに見えて、実は旅のしおりとか作るタイプと見た!
 まぁ、そういうことならいいか。

「大人3名と子供1名、頼む」

 「ありがとうございまーす」

 ギルドの女性制服と少し似てるがピンクの色彩とフリルの面積が大幅に増量された制服を着た受付嬢に料金を支払うと、営業スマイルとともに紐のついたタグのようなもの差し出された。

 「そちらが入場証になります。本日1日有効ですので無くさないようにお願いします」

 *  *  *
201『クイーンに首ったけ』完結編(その1)-4:2007/12/17(月) 21:01:45 ID:w5i67dP1
「で、まずは"冒険ゾーン"とやらに来てみたわけだが……何でいるんだ、お前ら?」

 「それはこっちのセリフだって」

 建物の裏手に通された俺達は、そこでカシム&キダフ夫妻とバッタリ出くわしたわけだ。

 「――この施設は今日から開幕で半額サービス中。さらに狩りの休養日が同じである以上、同じ日にここへ来ることを思い立っても不思議ではない」

 キダフさん、冷静なツッコミありがとさん。まぁ、情報屋で珍しもん好きのカシムが、ここ来るのは、ある意味自然な流れか。むしろ……。

 「どうした、マック? 突然家族サービスに目覚めたのか?」

 ちっ、嫌な笑い方するなって。確かに、どっちかと言うとものぐさな俺がこういう場所にいる方がヘンではあるが。

「まぁ、そんなところかね。ところで、冒険ゾーンって何するんだ?」

 「よくぞ聞いてくれましたッ!」

 ピョコンと俺達の足の間から一匹のアイルーが顔を出す。
 黄色く塗ったレザーヘルムのようなものをかぶり、レザーベルトらしき帯をしめたそいつは、俺達の注目を浴びてエッヘンと胸をそらせる。

 「挨拶が遅れましたニャ。私、トレジャーハンター見習いのリチャードと申します。以後、お見知りおきを」

 気取った仕草で―アイルーのクセに―優雅にお辞儀をするリチャード。

「トレジャーハンターって……」

 「確かポッケ村で始めた新たなハンターの形態だな。モンスターを倒すことより、希少な素材を持ち帰ることの方に重点を置くんだ」

 ああ、そう言えば聞いたことはあるな。竜石だとか秘玉だといった珍しいものを納品することで、金が手に入るんだっけ。

 「そのとおりですニャ。この冒険ゾーンでは、そのトレジャーハンター気分を満喫していだくための設備ニャのです」

 なんでも、村の裏山に手を入れて、密林を模したフィールドを作ってあるらしい。無論、広さは段違いだが、いくつかの小型モンスターも放してあるのだとか。

 「お客様は、ふたりひと組みで出発して、時間内にできるだけたくさんフィールドに隠された"トレジャー"を持ち帰ってもらいます」

 ポイントが一定値を越えると賞品も出るらしい。
 コースは初級、中級、上級の3つあって、初級ならモスやケルビ、アプトノスくらいしか出ない(ただし、洞窟内に1匹だけランポスが放してあるとのこと)が、中級はランポスが、上級ではさらにブルファンゴまで出るらしい。

 「おいおい、そりゃちょっと危険じゃねーか?」

 「素人にはオススメできない」

 カシムやキダフの言うとおりだ。俺達ハンターなら、それくらい楽勝だが、素人相手の娯楽としては危険過ぎるだろう。

 「ご心配なく。ハンターライセンスを持たニャい方は、初級から始めていただきます。初級、中級で一定の成績を出した方のみ、上級コースにチャレンジしていただける仕組みニャのです」

 リチャードによると、当然武器や防具も貸し出しており、キチンと説明を聞いてそれらを使えば問題ないとのこと。
 防具のほうはごくふつうのレザーライト系だったが、問題は貸してくれると言う武器のほうだ。
202『クイーンに首ったけ』完結編(その1)-5:2007/12/17(月) 21:03:38 ID:w5i67dP1
「こりゃあ……」

 「ふむ。この片手剣は、噂に聞く”ねこ?ぱんち”とやらですかな、我が君」

 「このハンマーはクマさんのぬいぐるみがついてますよー!?」

 そのとおりだ、ラン。あとカンティが楽しそうに持ち上げているのは、"おやすみベア"だな。

 「こっちのランスはシープソングスピアか。なるほど……」

 カシムが何かに気づいたようだ。

 「アイルーラグドールもある。ただし、弾は麻痺弾と睡眠弾のみ」

 キダフの言葉を聞いて、俺にもわかった。

「ここにある武器は麻痺と睡眠に特化してるんだな?」

 「ご名答ですニャ!」

 リチャードいわく、ここのモンスターたちは特殊な餌を与えてあるので、モスなら1回、ランポスでも3回ほど攻撃を当てれば睡眠状態になり、そのまましばらく眠ったままになるらしい。
 麻痺も同様で捕獲用麻酔弾を打ち込んだときのように深い眠りにつくのだとか。
 ちなみに、実は武器もオリジナルから改造してあり、攻撃力が激減している代わりに、状態異常度を倍加してあるらしい。

 「なるほど。これなら素人でも安全にハンターの真似ごとが楽しめる、と言うわけですわね」

 剥ぎ取りに関しては、モンスターの身体にいろんな"トレジャー"がくくりつけてあるので、それを外して持ってくればいいらしい。
 本職の俺達からすれば茶番だが、お遊びと割り切るならそれもアリだろう。

「ま、物は試しだ。いっぺんやってみるか」

 ふたりずつとのことなので、相談した結果、俺とカンティ、ランとヒルダ、そしてカシム夫妻と言う組み合わせと順序で始めることとなった。

 とりあえず、ズブの素人かつお子様であるカンティのことを考慮して、初級コースを選ぶ。武器に扱いやすい片手剣"ねこ?ぱんち"を選んだのはいいとして……。

 「兄君様ぁー、似合います?」

 レザーライトシリーズに着替えたカンティがうれしそうに見せびらかしにくる。

「や、やっぱり……」

 ――案の定と言うべきか、女物を着せられていた。まぁ、本人に支障はなさそうなので、あえて口にするのは差し控える。
 ……と言うか、よくこんな小さい子用のがあったな、オイ。

 はしゃいでいるカンティを連れてフィールドに足を踏み入れると……。
203『クイーンに首ったけ』完結編(その1)-6:2007/12/17(月) 21:04:09 ID:w5i67dP1
「ほう……」 「わぁ……」

 スケールは本物の5分の1程度だが、思ったより本物の密林に近い雰囲気が再現されているようだ。
 とはいえ、そこは初級コース。とくに突っかかってくるモンスターもいないみたいなので、いくつかの採取ポイントを探ってそれらしい"トレジャー"を探し出すのは簡単だった。

「くっ、このメロン、果物のくせして重過ぎるぞ」

 「兄君様、がんばって!」

「いや、俺のほうはいいから。カンティ、そこの草むらを捜してみな」

 なるほど、運搬の要素もあるわけか。まぁ、攻撃してくる相手はいないから、さほど問題はないんだがね。

 密林で言うところの10や3に当たるエリアを中心に探索し、あっと言う間に制限時間の10分は過ぎていく。

 「わわわ、かかった! ど、どうしましょう!?」

「慌てるな、カンティ。じっくり竿を持ち上げるんだ」 

 ベースキャンプの釣り堀でカンティが虫あみ活魚を釣り上げたところで、ちょうど制限時間となった。

 「15000ポイント。おみごとですニャ! 1等のハーブセットを差し上げます」

 どうやら初級コースとしては破格の点数だったらしい。薬草と太陽草、落陽草と解毒草、眠り草の5点セットという、意外に実用的な賞品がもらえた。
 (ちなみに2等は元気ドリンコ1本で、3等は携帯食料らしい)

 「いかがでした、我が君?」

「うん、それなりにおもしろいかもな」

 1度も戦うことはなかったが、ハンターになりたてでキノコ狩りばかりしていたころを思い出して、ちょっと懐かしかったしな。

 「それは楽しみですのぅ」

 「では、お兄様、行って参りますわ」

 ランとヒルダの仲良し義姉妹ペアは、それぞれ"おやすみベア"と"アイルーラグドール"を得物に選んだようだ。

 本来は素人であるヒルダがいるので初級コースから始めるべきなのだが、かつてランと"勝負"したときに臨時に作らせたハンターライセンスを盾に、ごり押しで中級コースに出かけるらしい。

 まあ、あいつも砂漠で一度"実戦"は体験しているわけだし、ランもついてることだし、大丈夫だとは思うが……。

 「ママ、姉君様、がんばって〜」

 脳天気にヒルダたちに手を振っているカンティを横目で眺めながら、俺はふたりがゲートから出発するのを見送った。

〜その2につづく〜
204『クイーンに首ったけ』完結編(その1)end:2007/12/17(月) 21:04:51 ID:w5i67dP1
以上、完結編その1です。その3までの予定ですが、まだ途中なので何とも……。

<オマケ>

 マックたちが出かけたロビーにて。

 「ところで"トレジャーハンター"見習いって何だよ?」

 「トレじぃ様の弟子ですから、そうニャのったのですが……」

 「……それってトレニャーじゃないのか?」

 「――もしくはトレニャー見習い」

 「あ!」

 このアイルーが一人前になれるのはまだまだ先みたいである。
205名無しさん@ピンキー:2007/12/17(月) 21:53:41 ID:YSvQg0+g
GJ!
感想一番乗り!
エロもいいけどこういうほのぼのしたのもいいねぇ。やっぱり尊敬するぜ。
どんな終わり方をするのか気になるところ。
次も頑張ってくだせぇ
206名無しさん@ピンキー:2007/12/18(火) 00:41:28 ID:woIFtwvQ
GJ
207名無しさん@ピンキー:2007/12/18(火) 13:00:12 ID:QMG3okoO
GJGJGJ!
208『クイーン』の人:2007/12/19(水) 01:35:11 ID:rU73swr5
お三方のGJに勇気を得て、僭越ながら続きを投下させていただきます。
209『クイーンに首ったけ』完結編その2-1:2007/12/19(水) 01:36:59 ID:rU73swr5
『クイーンに首ったけ』完結編その2

<ヒルダ視点>

 お兄様とカンティ、それにカシムさん&キダフさんに見送られて、わたくしたちは、冒険ゾーンのフィールドに足を踏み入れました。

 「ところでヒルダ、その軽弩の使い方はわかりますかえ?」

「ご心配には及びませんわ、お姉様。あれからわたくしも色々と勉強しましたの」

 「あれ」というのは、もちろんお姉様と"対決"した砂漠での一件を指します。
 不思議ですわね……あの時は、あれほど「憎い」と思っていた女性をこれほど好きに――へ、変ヘンな意味じゃありませんわよ?――なるなんて。
 いえ、あの時、すでに"憎い"とは思っていなかったのかもしれません。ただ、大好きなお兄様を"取られた"ことに対する子供っぽい嫉妬を自分でももてあましていただけなのかも。
 だからこそ、あんな風にわたくしを優しく受け止めてくださったお姉様のことを、あのあと素直に受け入れられたのでしょう。

 「それは重畳。ただ、弓と違って弾数に限りがあることは、ゆめゆめ忘れるでないぞえ」

「ええ、とくに今回は少ないようですし……」

 今回携行しているのは、麻痺弾のレベル1と2、睡眠弾のレベル1と2がそれぞれ10発ずつです。リチャードの話によれば、これだけでフィールド内にいるモンスターのおよそ半数を行動不能にできると言うことですけど……本当かしら?

 「そうさな、妾がこの巫山戯たハンマーをまず一発当てよう。そこに、睡眠弾を撃ち込めば消耗を最小限に抑えることができるじゃろう。麻痺弾を使うのはそのあとじゃな」

 さすがわずか半年でハンターランク3にまで上りつめたお姉様。ガンナーが本職だけあって頼りになりますわ。でも……。

「その……失礼ながら、お姉様の方は大丈夫ですの?」

 たしか近接武器を扱った経験はあまりおありではなかったのでは?

 「ん? ああ、妾の方は気にせずともよいぞえ。これでもハンマーと取り回しの近い狩猟笛は何度となく扱っておるでな。先日も青怪鳥をほぼ単独で狩ったばかりじゃて」
 (もっとも、このハンマーと言うヤツは間合いが狭いのが難じゃがのぅ)

 何やら小声で呟いておられるのが気にかかるのですが……。
 とはいえ、ここでこうしていてもラチはあきません。思い切って出発することにしました。

 ガスッ!

 「ヒルダ、いまじゃ!」「はいっ!」

 お姉様が"おやすみベア"を横薙ぎにしてランポスをひるませたのに合せて、わたくしも手にした"アイルーラグドール"の銃爪を引きます。

 ズォゥン……。

 弓とは異なる重い手ごたえと反動とともに弾が発射され、ランポスのこめかみにつきささりました。

 Kyuuu……。

 催眠成分が体にまわったのか、すぐにランポスは崩れ落ちました。

 「ヒルダ、残りの弾数は、どれくらいかの?」

「睡眠弾は今ので打ち止めです。麻痺弾はレベル2が全部、レベル1が3発残っていますわ」
210『クイーンに首ったけ』完結編その2-2:2007/12/19(水) 01:37:44 ID:rU73swr5
 事前の懸念に反して、わたくしたちは順調にモンスターを倒していました。
 倒した(と言っても寝ているか意識を失っているだけですが)モンスターたちの体から、竜石や竜茸といったトレジャーが取れましたが、お兄様たちのときに比べて少々量的に劣る気がします。   

 「ふむ……戦略を間違えたやもしれぬのぅ」

「どういうことですか?」

 「妾はモンスターを倒した方が実入りが大きいと踏んだのじゃが、むしろ採集に徹したほうが効率はよかったのかもしれぬ」

 そう言えば、お兄様たちは1度も戦わずに1等になったのでしたわね。
 もっとも、わたくしとしては、たとえザコ相手とは言え、お姉様と共闘できるのは少なからず嬉しい気がするのですが……。

 「そう、なのかえ? では、このままお主の弾が尽きるまで続けるとしようぞ」

「よろしいのですか?」

 「なに、ここは"りぞーと"施設なのであろ? なれば、賞品を気にするより、楽しんだ者の勝ち、と言うことじゃ」

 ニヤッと人の悪い笑みを浮かべて、お姉様は私を先導されます。

 「ホレ、こちらじゃ、ヒルダ。ここが密林を模しておるなら、この洞窟内にはランポスどもが群れておるじゃろうからの! 頼りにしておりまするぞ、相棒?」

「ハイッ、お任せくださいっ!!」

 わたくしの胸も、まるで子供のころお兄様方に連れられてこっそり下町に"冒険"に出かけたときのように高鳴っていました。

 *  *  *

 「我が君、ただ今戻りました」

 「お待たせしましたわ、お兄様」

 素人同然のヒルダとハンマーをほとんど使ったことのないランの組み合わせに、内心ヤキモキしていたんだが、ふたりとも無事な姿を見せてくれたので、まずはひと安心だ。

 「心外ですニャ〜。ここは楽しいレジャー施設ですから、命の危険ニャんてあるわけニャいです!」

 リチャードが憤慨しているが、まぁ、気持ちの問題だ、許せ。
211『クイーンに首ったけ』完結編その2-3:2007/12/19(水) 01:38:20 ID:rU73swr5
 「えーと、おふたりの合計ポイントは……9800ポイント。惜しいですニャ〜。あとちょっとで1等を狙えましたのに」

 ってことは、どうやら10000ポイント以上が1等か。

 「中級コース2等の賞品は"こんがり肉食べ放題チケット"です。このセンターのグルメゾーンで使用できますニャ」

 初級コースとエラく賞品のグレードが違わねえか、おい?

 「ちなみに、3等は"こんがり肉グレート1人前"。1等は水光原珠を使ったペアのネックレスですニャ」

 「な、なんですってーーーーー!!」

 ! な、何をそんなに興奮してるんだ、ヒルダ。お前さんなら、水光原珠どころか瑠璃原珠を使ったアクセサリーだって簡単に買えるだろうに。

 「そう言う問題じゃありませんわ! 初めてのお姉様とのお揃いの記念品を手に入れる絶好のチャンスでしたのに……」

 ――ああ、なるほど。

 「ふーむ、そんなに悔しがるとは申し訳ないことをしたのぅ。やはり、あそこで粘ってネコ王冠を完成させればよかったか」

 「い、いえ、お気になさらないでください。わたくしが、鯛公望を釣り逃さなければ問題なかったのですから……」

 とか何とかひと騒動があった結果。
 俺が、センターのロビーで売ってる土産物の黒真珠のプローチを3人分買う、ということでケリがついた。

「……なんだか、微妙に納得がいかねぇ」

 「あ、あのぅ、兄君様、私の分まで買っていただかなくとも……」

 いや、そういうワケにもいかんだろ。こういう時、女の子をひとりだけハブにするのは後味が悪いし……って、お前さん、本当は男の子だっけか。まぁ、いいや。

 いささか投げ遣り気味に3つのブローチを購入して、ウチの女性陣3人(?)に手渡す。

 しかし、よく考えてみると、ヒルダやカンティはまだしも、俺が嫁さんに実用品以外のアクセサリー買ってやるのって、結婚指輪を除くとこれが初めてじゃねえか、オイ。
 ……ヤバい。自分が途轍もない甲斐性なしに思えてきた。
 赤貧洗うがごとしの喰うや食わずの生活ならまだしも、家を即金で買えるほどの貯えを持つ旦那としては、いささか情けないかも。
 そう考えると、もうちっとイイもん買ってやるべきだったかなぁ。

 「いやいや、我が君、お気になさる必要はありませぬ。妾はこれで十分満足しておりまする。それに、初めて"家族"で遊びに来たよい記念になるではありませぬか」

 そう言ってもらえると助かるが、逆にランがよくできた嫁だけに心苦しい気もするな。

 「その通りだぜ、マック」

 「糟糠の妻。偕老同穴。内助の功。マックには過ぎた女性」

「うぅ、やっぱりそう思うか? ……って、お前ら、上級コースに行ったんじゃあ?」

 合いの手を入れて来たのは当然ながらカシムとキダフだった。
212『クイーンに首ったけ』完結編その2-4:2007/12/19(水) 01:39:03 ID:rU73swr5
 「もうとっくに終わったよ」

 「ぶい!」

 いや、キダフさん、無表情なままVサインされても対応に困りますって。

 「こちらのお客様方のポイントは素晴らしいです! 20000ポイントを越えてますニャ!!」

 リチャードがエラく興奮してるが、そんなに凄かったのか?

 「ま、運もあるがね。ブルファンゴを倒したら、連続して竜岩が出てな」

 「運も実力」

 キダフの言う通り、ハンターにとっては剥ぎ取りや報酬の当たり外れも重要な要素だしな。ここは素直に脱帽しとくか。

 ……と、思ったのだが。

 「20000ポイントを越えたお二方には、特賞としてポッケ村温泉2泊3日の招待券を差し上げますニャ!」

 何だか、とっても、チックショウ!

 *  *  *

 ともあれ、6人揃っていい汗?かいたので、とりあえずひとっ風呂浴びようと言う話になって、前回の冒頭のような騒ぎになったわけだ。

 「それにしても、お姉様、相変わらず抜群のプロポーションですわね。とくに、この胸!」

 ムニッ!

 「こ、これ、よさぬか、ヒルダ」 

 HAHAHA、そりゃ俺が、毎晩丹精込めて揉みしだいているからなぁ。

 「いいなぁ、姉君様……」

 「――貧乳はステータス。希少価値がある。問題ない」

 なんとなくキダフの言葉に隠しきれない悔しさが滲んでいるように感じられるのだが、その辺り、どーよ、旦那さん?

 「……ノーコメントだ」

 ビクッ!

 「あら、どうかしまして、キダフさん?」

 「……何となくバカにされたよーな気がした」

 !

 (すげぇ勘だな、おい)

 (バカヤロー、あとでお仕置きされんのオレなんだぞ?)
213『クイーンに首ったけ』完結編その2-5:2007/12/19(水) 01:40:02 ID:rU73swr5
 「うぅ、でも、やっぱりオッパイおっきくなりたいですよ〜」

 「心配ありませんわ、カンティ。女の子は年ごろになれば相応に……」

 あ、言葉に詰まったな、ヒルダ。あいつも思春期のころは、ペチャパイに悩んで、涙ぐましい努力を続けてたからなぁ。
 あの頃の辛く哀しい思い出が走馬灯のように脳裏を駆け巡っているのだろう。いと哀れ。
 ……と言うか、ここらへんで誰か根本的な問題に突っ込めよ女風呂。
 カンティは、一応、男の子だろーが! ――俺も時々忘れてるけど。

 「本当ですか、ママ?」

 しかしながら、あくまで素直なカンティは、敬愛する養母(ママ)の激励に、目を輝かせている……みたいだ。たぶん、想像だけど。

 「え、ええ……」

 「姉君様は?」

 「ん? 妾は成人した姿で人化したからのぅ。しかし、近所の奥様方の話を聞く限りでは、バランスのとれた食事と適度な運動が、ないすばでぃには肝要とのことじゃぞ?」

 「そうなんだー」

 「乳製品がいいと言うのは迷信ですわ。むしろザクロや大豆などのほうが効果はありますわね。……い、いえ、あくまで人から聞いた話ですけど」

 ププッ! そ、それであの頃、伯爵家(ウチ)の食卓にはやたらとザクロのデザートだの大豆食品だのが並んだワケか。

 「わかりました! 私、がんばります!!」

 まぁ、無駄な努力だとは思うが、乙女(精神的には)の夢を壊すのもナンなので、あえて追求するのは避けよう。盗み聞きしてたのがバレるのも恐いし。
 ……と、その時は思ったワケだが。
(後年、お年頃になったカンティの胸が明らかに膨らみ始めて、最終的にBカップぐらいにまで成長したのには驚いた。思い込みの力ってスゲ〜!)

「ぅおーーーい、そろそろ茹だってきたんだが、上がらねーか?」

 女湯の会話が一段落したのを見計らって、壁越しに声をかけてみる。

 「ああ、申し訳ありませぬ、我が君。ですが……」

 「お兄様、レディのお風呂は、時間がかかるものですのよ?」

 「すみません、まだ髪の毛を洗っていないので……」

 ちっ、まぁ予測の範囲内の反応だが。
 しゃあねぇ、先に上がって待ってるか……ん? 何やってんだ、カシム?

 「シッ! バカ野郎。大きな声出すんじゃねえ」

 女湯との境の壁をよじ登って……って、まさか覗く気か!?

 「男と生まれたからには、イイ女が女風呂に入ってるのを覗かないわけにはいかんだろう、同士マクドゥガル?」

 あー、その意見には同調してやってもいいがな。生憎隣りにいるのは、嫁さん含む俺の身内ばっかなんだわ。ドゥー、ユー、アンダースタン?

 「え、えーと……わ、わかった。共に行こう。キダフの裸見るのも許すから」
214『クイーンに首ったけ』完結編その2-6:2007/12/19(水) 01:40:43 ID:rU73swr5
 それはそれで魅力的な提案だが、多分本人は納得しないと思うぞー。

 「え?」

 チョイチョイとカシムの背後の方を指差す。
 恐る恐る奴が振り向いたその先には……。

 「――憎悪の空より来たりて、正しき怒りを胸に、我は邪(よこしま)を絶つ盥(たらい)を執る!」

 今にも鬼神を召喚せぬばかりに憤られた、女夜叉が壁の向こうから顔を出されていました。

 「無限の投げ桶(アンリローデッド・ペイル)!」

 「いたいイタイ痛い……や、やめてくれ、キダフ。オレが悪かったから!」

 俺はさっさと逃げたからよく知らんが、カシムが次から次へ投げつけられる桶から逃げ惑う様は、女湯側の湯桶が無くなるまで続いたらしい。合掌。

 〜その3につづく〜 
215『クイーンに首ったけ』完結編その2end:2007/12/19(水) 01:41:17 ID:rU73swr5
以上。まったり話が続きますが、現状のペースだと、その3+エピローグで終結しそうです。

<オマケ>

「しかし……改めて考えてみると、ポッケ村温泉旅行って微妙だな」

 「オレたちハンターにとってはポッケ村って言うと、雪山の麓にある仕事場ってイメージが強いからなぁ」

 「――問題ない。センターにかけあって、別の場所へのツアーと換えてもらった」

「へぇ、そんなこともできるのか」

 「で、どこに行くんだ、キダフ?」

 「―ジャンボ村食い倒れツアー」

「そ、それも微妙……」

 「―ココット村英雄記念館見物と言うのもあった」

 「……素直に換金してこようゼ、キダフ」
216名無しさん@ピンキー:2007/12/19(水) 02:30:21 ID:d6HdfaH7
>>215
GJ!!
217名無しさん@ピンキー:2007/12/19(水) 10:01:24 ID:ve7m4qa8
相変わらずいい仕事するな、クイーンの人GJ!
218名無しさん@ピンキー:2007/12/19(水) 14:05:44 ID:9jJSrFrS
楽しんでます
219『クイーン』の人:2007/12/19(水) 19:21:12 ID:9MRwcfch
ご声援ありがとうございます。
ラストまであと少しですので、さらに突っ走らせていただきます。
220『クイーンに首ったけ』完結編その3-1:2007/12/19(水) 19:21:55 ID:rU73swr5
『クイーンに首ったけ』完結編その3

 「――たべちゃうぞーたべちゃうぞー♪」

 いや、キダフさん。それギリギリだから勘弁。

 「♪ご〜はんだ、ごはん〜だ〜」

 ああ、カンティくらいの子が歌うのは微笑ましいやね。

 「♪おべんとおべんと(←小声で)……な、何でもありませんわ!」

 ……もはや、何も言うまい。
 年少組3人(含む成人1名)の浮かれっぷりを、(生)暖かい目で見つめる、我々年長者3人。
 改めて説明する必要もないかもしれないが、ひと風呂浴びて(カシムが湯桶によるKOから回復して)落ち着いたところで、いよいよ残りの"うきうきグルメゾーン"に揃って来ているのだ。
 グルメゾーンは、ギルド直営酒場に匹敵するその床面積の大半がバイキングコーナーになっていた。
 入り口でひとり50ゼニー払うだけで、何をどれだけ食べてもOKと言う、育ち盛りや食いしん坊には夢のような空間だろう。制限時間は2時間だが、それだけあれば酒飲みながら話に花を咲かせててもお釣りが来る。
 バイキングという形態上、立食が基本のようだが、一応申し訳程度にテーブルと椅子もあるので、その一画を俺達で占拠することにする。

 しかし、カンティやキダフはともかく、貴族の令嬢としてそれなりの美食に慣れ親しんでいるはずのヒルダが浮かれているのはどうかとも思うが……まぁ、わからんでもない。
 10を越える円卓に並べられた山海の珍味の数々!
 ザッと目についたものだけでも……

 ・紅蓮鯛尾頭つきの岩塩焼き
 ・ローストギガントミートの東方風ソース
 ・キングトリュフ&千年蟹&ピンクキャビアの3大珍味のテリーヌ
 ・7種類の野菜(シモフリトマト、オニマツタケ、五香セロリ、レアオニオン、砲丸レタス、銀シャリ草、激辛ニンジン)のサラダwithシュレイド風ドレッシング
 ・たてがみマグロとカジキマグロの大トロの握り
 ・フライド龍頭&龍足の串焼き
 ・ココット米と古代豆のリゾット 幻獣チーズ味
 ・エメラルドリアンのソルベ

 ……などなど。正直、素材を聞いただけで、「これ、絶対予算オーバーしてるだろ!?」と言いたくなるような名産品のオンパレード。伯爵と言う地位の割に質実剛健な暮しを営むウチの実家では、年に何回もお目にかかれないご馳走だ。
 垣間見えるキッチンで働いているのは、アイルーコック4匹に司厨長らしき人間のシェフ1名という豪華スタッフだ。まぁ、さすがにオープン記念のサービスだろうとは思うが……。

 年少組は歓声混じりに円卓に突貫しているものの、ここまでご馳走を目の前に積み上げられると、俺としては正直胸膨れがしてくる。
 仕方がないので、俺やカシムは適当な2、3品をツマミ用に皿に盛って、氷結晶のクーラーで冷やされたポッケ村特産地ビールを煽ることにした。
221『クイーンに首ったけ』完結編その3-2:2007/12/19(水) 19:22:42 ID:rU73swr5
 「おや、お召し上がりにならないのですか、我が君?」

「うーん、腹が減ってないはずはないんだが、ここまで大量に出されると、見ただけでお腹がいっぱいと言うか……。」

 「いるか?」とビールの瓶を掲げて見せたが、ランは微笑って辞退した。

 「妾もいまひとつ食欲が湧きませぬでな。少々湯冷めしたのやもしれませぬ」

「そりゃいかん。待ってろ。何か羽織るもの借りてくる!」

 後ろでランが何か言いかけていたが、俺は気にせず入り口にいる係員の方へと走り出していた。

 *  *  *

<カシム視点>

 マックのバカが席を離れた瞬間、目の前のランさんはテーブルに肘をつき、そっと溜め息を漏らす。

「奥さん、もしかして、かなり体調悪いんじゃねーか?」

 グラスを置いたオレが問いかけると、彼女はオレの存在に初めて気づいたように、驚いた表情を見せる。

 「……カシム殿。いつから?」

 いや、普段あれほど凛として気を張っているこの女性が、プライベートな空間でもないのに、崩れた様子を見せていると言うだけで、その調子の悪さは推し量れる。気配に聡いはずなのに、オレのことに気づいてなかったみたいだしなー。

 「――痛いのはお腹?」

 唐突にオレの背後から聞き慣れた声が問いかけたが、オレとて付き合いは長いから、今更驚かん(いや、ホントはちょっと驚いたけど)。

 「やれやれ、お二方には敵いませぬなぁ……」

 ほんの少しだけ倦怠の色を瞳ににじませて、ランさんが苦笑する。

 「たいしたことはありませぬ。ただちょっと下腹が痛く、頭が重くて、体中がダルいだけであります故」

 いやいや、それって十分たいしたことだと思うぞ!? 聞いた限りでは、風邪の初期症状かとも思えるが……。
222『クイーンに首ったけ』完結編その3-3:2007/12/19(水) 19:23:15 ID:rU73swr5
 「――ひとつ不躾なことを聞く。前の生理はいつ?」

 ちょ……キダフ、親しき仲にも礼儀ありと言ってだな。……いや、女同士ならこういう会話もごく普通のことなのかもしれんが。

 ところが、ランさんは彼女には似合わぬキョトンとした顔でキダフの顔を見つめている。

 「生理……ああ、月経のことですかえ? いえ、妾はまだ知りませぬので……」

 ヲイヲイ、ウソだろう!? 20代半ばで、しかもキダフのような幼児体型(ギロリ)……コホン、少女のような体型の持ち主ならいざ知らず(と言うか、キダフにだって毎月、しっかり"ある"し)、こんな成熟した肢体の持ち主に、"来てない"なんてことが……。
 と、そこまで考えて、この女性が普通の人生を歩んで来てはいないことを、オレは思い出した。

 「―下腹はシクシク痛む感じ?」

 「うむ、言われてみればそんな感じですのぅ」

 つぎつぎ問いかけるキダフへのランさんの回答を聞いていると、ますますその疑いは強まった。

「おい、キダフ、もしかしてこれって……」

 「―おめでとう、ラン。今日から貴方は"女の子"」

 「は? へ? えーと……え? え?」

 やがて、キダフの言いたいことを理解したのか、ランの顔がみるみる真っ赤に染まっていく。

 「エエエエーーーーーーーーーッ!?」

 *  *  *

 ランの(滅多に……と言うか一度も聞いたことがない)絶叫を聞きつけて、俺が席に戻ったとき、俺は一瞬己れの目を疑ったね。
 あれだけ常日ごろから、凛と気高く、落ち着いた、あの師匠との試練の時でさえも最後まで取り乱すことのなかったウチの嫁さんが、まるで年若い(い、いや、ランさんは今でも十分お若いですヨ?)、年端もいかない女の子のように顔を赤らめて目を回していたのだ。

 「おいっ、カシム、こりゃいったどうなって……」
 「おめでとうございます、お姉様! この部分に関してなら、わたくしにも色々とご忠告してさしあげることができますわ!!」
 「私も同じ。頼りにしてくれてよい」

 あのぅ、状況が見えないんですけど、ボク。
 いろんな意味で興奮している4人に聞くのはあきらめて、俺はニコニコしているカンティの方に目をやった。

 「あー、何か知ってるか、カンティ?」

 「えーと、何でも、姉君様が"女の子"になられたんだとか。変ですよね? 姉君様はもうリッパな大人の方で、女の子と言うより大人の女性って感じなのに」
 ……
 …………
 …………………
 …………………………
 「なにーーーーっ!?」

 カンティの答えの意味を俺が理解するまで30秒ほどの空白が生じたのだった。

 *  *  *
223『クイーンに首ったけ』完結編その3-4:2007/12/19(水) 19:23:51 ID:rU73swr5
 結局、ロロパエ・トロピカル・センターでの晩餐は、あのあと、「ヒルダさん、お赤飯おめでとう!」の乾杯とともにお開きとなり、俺達は余韻もそこそこにセンターをあとにした。
 キダフはわざわざ家にまで来て、ランにいろいろ言い含めてくれた。
 ヒルダ達も本来は我が家に泊まるはずが、気を使ったのか酒場の2階に宿をとったみたいだ。

 部屋着に着替えて居間に戻り、ひと心地ついたところで、ふとランの顔を見つめる。

 「……ああ、申し訳ありませぬ。気が利きませんでしたな。いまお茶を淹れます故」

「あ〜、違う違う。いいからそのまま楽にしてろって」

 「されど……」

「いいから! 妻の体調が悪いときくらい、旦那に気を使わせてくれよ」

 強引に肩に手をかけて引き戻したところで、俺はランの体が小刻みに震えていることに気がついた。

「! どうした、ラン? もしかして寒いのか!? 悪寒がするとか、痛くてたまらないとかか??」

 「いいえ、違います、我が君。妾は……」

 ランはいったん口ごもると、躊躇いがちに言葉を続けた。

 「妾は……恐いのです」

「何がだ? その…生理が来たことがか? いや、しかし、男の俺が言うのもナンだが、大人の女性なら誰でも毎月経験しているって……」
 「違います」

 気がつけばランの体の震えは止まっていた。

 「生理そのものが恐いのではありませぬ。我が君の子を受胎可能になったと言う事実が恐ろしいのです。妾は……このまま我が君に抱かれていてもよいのでしょうか?」

「は? 何を馬鹿なことを。そんなのいいに決まって……」

 「妾は人間ではありませぬ!!」

 あえて笑い飛ばそうとした俺の言葉を、思いがけぬほど強い口調で遮る。

 「少なくとも、たかだか1年ほど前までは、密林に舞う一匹の羽虫でしかありませぬ。20と5年も生き、そのままならほどなく天寿を全うしていたであろう歳経たランゴスタ。……それが妾でした」

 今まで見たこともないような昏い目をして、自らの下腹部を見つめる。

 「羽虫時代に出産経験もあります……"卵を産むこと"をそう呼べるのならば、ですが。
 妾は恐ろしい……もし、我が君との間に子を成したとして、それがかつてのような卵でないと断言できるでしょうか?」

 真剣なランの表情に、俺は即答できなかった。

「い、いや、その……お向かいのラミさんとこ。あそこはふつうに可愛い娘さんが生まれてるじゃねぇか」

 古龍から人になった女性とハンターの男性との夫婦を例に反論する。

 「ええ、確かに、人の子が生まれるかもしれませぬ。いえ、むしろその可能性の方が高いのでしょうな。しかし……仮に"人"の範疇に入るとしても、体の何処かに異相を帯びていたら、如何致すおつもりですかえ?」
224『クイーンに首ったけ』完結編その3-5:2007/12/19(水) 19:24:22 ID:rU73swr5
 ……また、ランの奴も痛いところを突いてくる。
 あれから俺も色々調べてみたのだが、人以外の生き物が人化するケースは、調べた限りでも年に数件はあるみたいなのだ。
 その場合、多くはウチのランと同様、人と何ら変わらぬ姿形、体生理機能や精神性を持つようになるが、ごく一部には元の生物としての形を留めて"異相"を持つ者もいるらしい。
 たとえばヒレのような耳、たとえば額の角、あるいは猿のような尾などなど。
 アイルーや竜人などとも共存している関係上、大概の場合、多少の異相もこの地の人々は受け入れるが、全ての人がまったく偏見を持たないか、と言えばそうではないだろう。

(では、俺はどうなんだ?)

 心の中で自問する。

 ――蜂の複眼を持った子、あるいは4枚の羽を、毒針を持った子が生まれたとして、我が子として愛せるのか……。
 ――その子が周囲の好奇や偏見の目にさらされたとして、全力で守ってやれるのか?
 ――そのような苦労を強いる子や、その母親であるランに、変わらぬ愛情を注げるのか?

 答えは……YESだ!

 精気に欠けるランの体をきつく抱きしめる。

 「! 我が君…離してたもれ……」

「バカなことを言うな! お前が俺のことを"我が君"―夫だと認識しているように、俺にとってもランが唯一無二の妻なんだ。その俺達のあいだに生まれる子供を祝福できないなんてことがあるもんか!!」 

 拙い言葉だったが、そこに込められた俺の本気さ加減は伝わったのか、ランの体からこわばりが抜け……やがて、おずおずと俺に身を任せてきた。

 「我が君……いえ、旦那様……妾は、妾は……」

「いいんだ。何も言わなくても。わかってくれたのなら、それで」

 「う……うわーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっっっっ!!!」

 抱きしめる俺の腕の中で、童女のように泣き叫ぶラン。その姿は、いつもの優雅で上品な"理想の奥様"像とはかけ離れていたかもしれないが……それでも、その心の奥底を全部さらけだしてくれたようで、俺は嬉しかった。
 いつしか、俺の両目からも熱いものがこぼれ落ち始め……俺達は、涙でグシャグシャになった顔のまま口づけを交わし、互いの体をしっかり抱きしめ合ったまま、眠りについた。

 〜エピローグへ〜 
225『クイーンに首ったけ』完結編その3end:2007/12/19(水) 19:25:00 ID:rU73swr5
 その3、終了。あとはエピローグを残すのみですが、その他にちょっとしたエッチシーンも構想してます。エピローグのあとで番外的オマケとして書くか、あるいはエピローグ前に書きあがるかわかりませぬが、エロス方面を期待されているかたはしばしお待ちください。
226名無しさん@ピンキー:2007/12/19(水) 19:30:16 ID:NDwaekH0
これは…なんという…。
G…いや、俺からのGJの嵐は完結までとっておくとしよう。
そんなわけで…続き楽しみにしてますぜ!
わっふるわっふる!
227ズッチーの人:2007/12/19(水) 22:57:35 ID:roYERvEo
本編の続きを書いていたら間に短編を挟まないと不自然になることが発覚。
もし楽しみにしておられる方がいるならばもう少し時間を頂きたく。
そんな生存報告。

クィーンの人の続きを正座してお待ちください。
228名無しさん@ピンキー:2007/12/19(水) 23:05:11 ID:BPCIg+no
>>227
楽しみにしてる
229『クイーンに首ったけ』〜エピローグ〜1:2007/12/19(水) 23:20:15 ID:9MRwcfch
『クイーンに首ったけ』〜エピローグ〜

 ……ガタ、ゴト、ガタ……ゴトン!

 王都と辺境のココット村を繋ぐ定期便馬車は、その途中の宿場町のひとつで車輪を止めた。

 「……ふぇっ!? もう着いたの?」

 寝惚けたような声とともに、馬車からひとりの女性が降り立つ。

 背中くらいにまで伸びた星空のような鮮やかなネイビーブルーの髪が目を引く、15、6歳くらいの少女だ。それも、きめ細かく色白な肌と、派手ではないが小作りで整った顔だちを持った、とびきりの美少女と言ってもよいだろう。
 かなり上質な―たぶんフルフル亜種の柔皮でできた―赤いコートを羽織っており、立ち居振る舞いにも、こんな田舎町(正確には村だが)には不似合いな品の良さを見てとれる。反面、そのわりにどこか頼りない呑気な表情のおかげで、あまり近寄り難さは感じさせない。
 いまも、どうやら馬車の中で居眠りでもしていたのか、トロンと眠そうな目つきをしている。
 もっとも、長距離馬車というヤツは速度と頑丈さがウリなので、良家の子女が簡単に中でくつろげるような、ヤワな乗り心地をしてないはずなのだが……。
 この少女、見かけに反してズブとい神経の持ち主なのか、よほど馬車に乗り慣れているのか……あるいは、ただの天然か。

 「あぅ〜、失敗失敗。久しぶりなので、ウトウトしてしまいましたぁ」

 ……どうやら、3番目の理由が有力だろう。

 2、3回、目をしばたかせていたかと思うと、赤いコートの少女は小さなトランクを抱え直し、存外キビキビした足取りで歩き出した。
 目的の場所はわかっているのか、その足取りには迷いは見受けられない。
 すれ違う人からの好奇の視線をのほほほんと受け流し、あるいは知己らしき人には挨拶しつつ、目的地――とある家へと向かう。
 やがて彼女の足は、やや大きめの東方風の作りをした一軒家の前で止まった。
 とくに呼び鈴などはないようなので、さてどうするか……と考えるまでもなく、中からひとりの女性が姿を現わした。

 「なんじゃ、訪ね人の気配がすると思ぅたら、お主かえ。よぅ来たの」

 「あ……お久しぶりです、姉君様!」

 ペコリと頭を下げる少女―カンティの仕草を好ましげに見やりながら、20代後半とおぼしき女性―ランは、彼女を自宅へと招き入れた。
 そのまま、真新しいタタミの匂いのする居間へカンティは通された。この家が改築されてから訪れるのは初めてなので、少し興味深げに辺りを見回す。

 「ほんに久しぶりじゃのぅ。この前、お主が来たのは、確か温暖期の終わりの祭りのころであったか」

 カンティが脱いだコートを受け取りハンガーにかけながら、ランが呟く。

 「そうですねぇ。今年も光蟲がいっぱい見れて綺麗でした〜」

 淡いスミレ色のワンピース姿となったカンティは、コタツの前に品良く正座している。
 初めてこの家の座敷に入ったときオタオタしていたのが嘘のような、見事な礼儀作法だった。
230『クイーンに首ったけ』〜エピローグ〜2:2007/12/19(水) 23:20:54 ID:9MRwcfch
 「義父上(ちちうえ)、義母上(ははうえ)方はご健勝かえ?」

 「ええ、それはもぅ……」

 何か思い出したのか、カンティはクスクス笑い始める。

 「んん?」

 「いえ、父君様も母君様も、事あるごとに、兄君様や姉君様にお会いしたいと申されておりますよ」

 そう聞いて、ランは始めて夫の実家に挨拶に行ったときのことを思い出す。
 義妹のヒルダからおおよその話は聞いていたのか、義母の伯爵夫人は思いのほか好意的だった。実娘のヒルダ、長男の嫁に続き、次男の嫁と言う形で"娘"が増えたことをむしろ大いに喜んでいるようで、ランとしても気のおけない嫁姑関係を築くことが出来た。
 さすがに王国の重鎮たるフィーン伯爵その人は、気軽に打ち解けてはくれなかったが、それでも、王都滞在の1週間で自分を"義娘"として認めてくれるようにはなった。
 もっとも……それには、持参した"手土産"の功績も大きかったのだろうが。

 「義母上はともかく、義父上は孫に会いたいだけではないのかえ?」

 腕の中で眠る満1歳になる娘を抱え直し、苦笑しながら問い返すと、カンティも愉快げな表情で答える。

 「まぁ、父君様はホーネットくんとヴェスパちゃんがことのほかお気に入りですし……」

 あの厳格な将軍が孫達の前では、単なる好々爺と化してしまうと言うのは、フィーン伯爵家に関わる者にとっては公然の秘密である。
 マックの兄である長男ケインの方にも孫(5歳の男の子)はいるのだが、普段会えないうえ孫娘は初めてなので、なおさら可愛いく感じるのだろう。

 「ところで、今日はヒルダは一緒ではないのかえ? もっとも……」

 言葉を溜めて、ほんの少し悪戯っぽい光を瞳に浮かべる。

 「流石に許嫁が出来たとあっては、あのじゃじゃ馬娘も遊びほうけているわけにはいくまいが」

 「あ、それなんですけれど……」

 軽い微笑を浮かべていたカンティも、ほんの少しだけ居住まいを正す。

 「ヒルデガルドお嬢様から、マクドゥガル夫妻への招待状です。お納め下さい」

 カバンから取り出した金箔押しの招待状を恭しく差し出す。
 一体何の招待状かは告げなかったものの、元より二人には周知の内容だ。

 「ほほぅ、どうやらあの娘も年貢の納め時ということか」
231『クイーンに首ったけ』〜エピローグ〜3:2007/12/19(水) 23:21:37 ID:9MRwcfch
 一応礼儀として目を通すと、案の定、それはおよそひと月後に迫った、ヒルデガルドと許嫁の結婚式への招待状であった。  

 「我が君は、いまお仕事に出かけておられるが、この事についてなら相談するまでもないわ。喜んで出席させていただくと、伝えてたもれ」

 「ありがとうございます。お嬢様もきっと喜ばれると思います」

 ちなみに、ヒルダの結婚相手は、長兄ケインとも次兄のマクドゥガルとも異なる線の細い文人タイプの青年である。
 敢えて言うならケインの方が近いだろうが、やり手の若手参謀として頭角を現わしているケインとは異なり、虫も殺せそうにない優しげなその青年を、並み居る婚約者候補の中からヒルダが選んだとき、大半の人々が驚いたものだ。
 もっとも、彼女の母と義姉―伯爵夫人とランだけは、「さもありなん」と深く頷いたのだが。

 「ふむ。ところで……お主は未だにヒルダのことを"お嬢様"と呼んでおるのかえ? それを言うなら、お主自身も"伯爵家のお嬢様"であろうに」

 ヒルダの側仕え兼被保護者として伯爵家で過ごしていたカンティは、伯爵夫人達に気に入られて、1年ほどまえに改めて"養女"として迎えられていた。
 もっとも、これは唯一の娘が嫁に行くことが決まったため、家の中の華やかさが減ることを夫人が嫌った……という裏事情もあるのだが。
 とは言え、元々カンティは、ただのメイドとは少し異なり、平時の日中にヒルダの側で働く傍ら、彼女の肝煎りで淑女としての教育も受けていたので、それが公認のものになっただけ、とも言える。
 そして、かつてカンティが"ママ"と呼び、人前で"お嬢様"と呼んでいたヒルデガルドは、今度は"お姉ちゃん"となったわけだ。ふたりの年齢差を考慮すれば、むしろその方が自然だろう。

 「いえ、そのぉ……どうもまだ慣れなくて……」

 エヘヘと頭をかきながら、チロッと舌を出す。

 「――ははうぇ〜、どこォ?」

 と、その時、隣室から眠たげに目をこすりながら3歳くらいの少年が姿を現す。
 マックとヒルダの息子のホーネットだ。どうやらお昼寝から目覚めて、傍らに母がいないことに不安になったのだろう。

 「おお、ここにいますぞえ、ホーネット」

 「あ、ははうえだぁ」

 ニパァと顔がほころぶ様は、とても愛らしい。目にした女性の99パーセントが母性本能をくすぐられまくるだろう。
 無論、カンティもその99パーセントに含まれていた。

 「か、可愛い! ……ねぇねぇ、ホーネットくん、お姉ちゃんのこと、覚えてるかな?」

 「んーと……あ、おまつりのとき、あめだまくれたおねーちゃん!」

 残念、まだ名前を覚えるには至ってなかった様子。
 それでも、多少なりとも覚えられていたのがうれしいのか、カンティはホーネットの頭を撫で撫でしている。

 「これ、カンティ。あまりその子を甘やかすでないぞ。どうも我が君に似て、女の子にはイイ顔する傾向があるようじゃしのぅ」

 確かに、金と黒のストライプになった髪の色を除くと、ホーネットの顔だちは幼い頃のマックにそっくり(いや、想像図だが)だった。 

 「そんなことないよねぇ、ホーネットくん?」

 「ねー」

 訂正。こんな幼いころから周囲の女性を虜にするなんて、ホーネット……恐ろしい子。
232『クイーンに首ったけ』〜エピローグ〜4:2007/12/19(水) 23:22:27 ID:rU73swr5
 「うぃーす、ただいま〜……って、ありゃ、誰かお客さんか?」

 玄関の方から、マックの声が聞こえて来る。おそらく土間に揃えられたカンティの女物のブーツを見つけたのだろう。

 「ちわ〜、奥さんいるー? お呼ばれに来たぜー」ペシン!「アテッ!」
 「――カシム。厚かましい」

 どうやらカシム達も、引き連れて来たようだ。
 元より彼らにも招待状を渡すつもりだったので、カンティとしてはちょうどよい。

 「ふむ、先客がおるようだが、儂らがお邪魔してよかったのか?」

 この錆びた声は、彼らの師匠、狩魂王クルガだろうか?

 「おやおや、一気に賑やかになりましたの……さぁさ、皆様方、上がってくつろいでたもれ」

 「あ、姉君様。私もお台所のお手伝いします」

 「うむ、助かりまする。では妾はヴェスパを寝かしつけてくるとするかの。シズカ、子守りを頼みましたぞえ」

 「あい、わかりました。お任せください、奥様」

  *  *  *
233『クイーンに首ったけ』〜エピローグ〜5:2007/12/19(水) 23:22:58 ID:rU73swr5
 子供部屋で乳母代わりのアイルーが見守る中、まだ幼いがどことなく母の美貌の片鱗を感じさせるその赤子は、居間の喧騒をBGMに軽やかに寝息を立てていた。
 軽く握られたその手の指先にある小さな爪は、べっこう飴の如き黄褐色の色合と質感を有している。それこそが、彼女の母が元は人外の存在――ランゴスタであったことの証。

 でもそれがどうしたと言うのだろう?
 彼女の父と母は、互いを心から愛し合い、支え合い、慈しみ合っている。
 その愛情は、彼女にも、彼女の兄にも惜しげなく注がれている。
 彼らには信頼すべき友がいて、尊敬すべき師がいる。
 遠く離れた地とはいえ、彼らのことを心から案じてくれる係累もいる。
 誇るべき仕事を持ち、毎日を精一杯に生きている。
 ――それで十分だろう。

 願わくば、この子達の未来に幸多からんことを

  ―東シュレイド、紫モスの森の出身のアイルー、シズカの日記より― 

 <完>

以上。これにて『クイーンに首ったけ』、及びその派生作品完結でございます。
テキストファイルにして250KB以上の長丁場にお付き合いくださった皆様、ありがとうございます。
「これ、どこがモンハン?」「弾幕(エロ)薄いよ、何やってんの!」と言われつつもここまで続けられたのは、皆様のご支援のお蔭です。重ね重ね御礼を申し上げます。
234『クイーンに首ったけ』蛇足:2007/12/19(水) 23:24:43 ID:rU73swr5
蛇足
なお、前回約束したエロネタとしては3案ありまして……。
 1.後顧の憂いのなくなったランさんに思い切り中田氏、のちにホーネットくん誕生の素となった一夜
 2.マイティーハートなヒルダ様主導で、気弱な美形許嫁に女装させての倒錯の愛の営み
 3.女装ショタからフタナリっ娘に驚異のクラスチェンジを果たしたカンティの、おませな日常
以上のいずれかで、書いてみようと思いまする。エロ文苦手なので、少々時間はかかるかもしれませんが。
よろしければ期待せずお待ちください……あいかわらず、「モンハン」である必然性薄いのはご勘弁。
235名無しさん@ピンキー:2007/12/19(水) 23:27:31 ID:roYERvEo
後半描写が多くて好みでした。

え……? 全部じゃないの……?
236名無しさん@ピンキー:2007/12/20(木) 00:24:36 ID:WNX+MZtI
>>234
お疲れ様でしたー
いやはや、これほどモンハンじゃないのにモンハンなSSが書けるとは……羨ましい限り

個人的に1か3が見てみたいと言ってみたり
237名無しさん@ピンキー:2007/12/20(木) 01:02:53 ID:kEedGkK0
GJGJGJGJGJGJGJGJ!!!!!!!!
いいラストでしたよ、ホント。
長く待ち望んだ甲斐があったってモンでさァ。
自分もいつまでもウジウジせずにちゃんと書こうという気になりやした!
新作、短編などもお待ちしてやす!
238名無しさん@ピンキー:2007/12/20(木) 02:00:34 ID:iPr9A3T5
ウホッ、3日ほどヌルーしてたらクイーンの人キテタ----(゚∀゚)----!!

GJ!否、むしろGod Job!!



あ、出来れば1でおながいします
239名無しさん@ピンキー:2007/12/20(木) 04:31:31 ID:gPIh36s7
クイーンの人GJです。
奥様シリーズすきだったので、新作が読めなくなるのはすごく残念です。
240名無しさん@ピンキー:2007/12/20(木) 07:09:13 ID:fmTPhWKR
クイーンの人、完結おめでとうございます。
このスレに常駐するきっかけとなった作品が終わってしまうのは寂しくもありますが、楽しかったです。GJ!
241名無しさん@ピンキー:2007/12/20(木) 14:52:23 ID:QgMqJ3bW
完結乙です
242名無しさん@ピンキー:2007/12/20(木) 18:25:38 ID:Mvzryw1n
ちくしょう、クイーンの人のせいでらんご☆すたが殺せなくなったじゃねぇか。
あ゛?ばっか泣いてなんかねーよ。これは漢の汗だよばーか
243名無しさん@ピンキー:2007/12/20(木) 23:36:51 ID:884WNtuW
『クイーンの人』完結お疲れさまでした。
総容量250KB超…書こうとしてもなかなか書ける量じゃありませんねw
はじまりがあれば終わりがある…その逆もまた然り…。

ココでまた新しい作品が読めるよう気長に心待ちしております。
244名無しさん@ピンキー:2007/12/20(木) 23:56:07 ID:pXEo5LoD
wiki編集してきた。編集した次の日に荒らされてるとかもうねorz
245名無しさん@ピンキー:2007/12/21(金) 02:30:28 ID:fLRyd37d
ランゴスタの子供=巨大なスズメバチの幼虫を連想したのは俺だけではあるまい・・・
擬人化モンスターの妊娠とかって、つきつめるとかなり怖いものがあるよな
246名無しさん@ピンキー:2007/12/21(金) 11:36:22 ID:abReyzqL
とっぺんぱらりのぷぅに笑い、マックの漢気に泣いた

いい作品をありがとう、クイーンの人!
247『クイーン』の人:2007/12/21(金) 20:45:59 ID:RBvnmjpw
好意的なご感想や労いのお言葉、改めてありがとうございます。自分なりに整理してみても……。

[奥様と旦那様・略年表]*物語開始時点を基準に表記
25年前:奥様(ラン)、とある養蜂農家の片隅で生を受ける
22年前:奥様、東方出身のアイルー、トモエと友誼を結ぶ
19年前:奥様の養父バレット氏、肺炎が悪化して死去。奥様放浪の旅に
10年前:奥様、密林を終の住処と思い定め、定住
 (以上、『奥様はランゴスタ』1話より)
5年前:旦那様(マック)、王都にある実家を出奔、ハンターとなる
    旦那様、師匠(クルガ)に師事。また同年末、情報屋(カシム)と出会う
 (『ランゴスタ奥様劇場』その7より)
3年前:情報屋、昔のしがらみで一時ハンターを休業、西国へ。キダフと出会う
2年半前:情報屋、ハンターに復帰。キダフ、ハンターに。両者、結婚
 (未収録エピソード)
1年前:奥様、旦那様のことを知る  (『奥様はランゴスタ』1話より)
半年前:情報屋、狩り中の事故にて片目を失い、引退。情報屋を始める
 (『ランゴスタ奥様劇場』その13など)
2日前:旦那様、情報屋と酒場で会って、色々と話を聞く
[当日]:旦那様、奥様と出会う!  (『クイーンに首ったけ』1話)
翌日:旦那様、奥様を村に連れ帰り、結婚 (『奥様はランゴスタ』0.5話)
10日後:旦那様、情報屋相手に惚気る (『クイーンに首ったけ』2話)
11日後:奥様、昔を回想 (『奥様はランゴスタ』1話)
1月後:奥様、ハンターになる (『クイーンに首ったけ』3話)
3月後:トモエの孫、シズカ来訪。その1週間後、妹君(ヒルダ)襲来
 (『ランゴスタ奥様劇場』その11及び『奥様はランゴスタ』2話)
3月半後以降:妹君、頻繁に村に遊びに来るようになる (『ランゴスタ奥様劇場』その1)
4月後:奥様、妹君とスール(姉妹)の契りを交わす (『ランゴスタ奥様劇場』その2〜4)
4月半後:妹君、カンティを拾い、お持ち帰り (『ランゴスタ奥様劇場』その5)
5月後:奥様、キダフとともにフリフリを着る。ファンクラブ結成される (『ランゴスタ奥様劇場』その6)
半年後:妹君、新たな侍女(カンティ)を披露
 (『ランゴスタ奥様劇場』その8〜10) (『ランゴスタ奥様劇場IF』?)
7月後:"特狩野郎Aチーム"発足
    奥様、師匠と初顔合わせ。翌日、奥様"初めてのひとり狩り"
 (『ランゴスタ奥様劇場』その13〜15)
7月後以降:奥様、さまざまな武器をお試し中
8月後:奥様、初めてのお赤飯。号泣の後、旦那様に甘える  (『クイーンに首ったけ』完結編)
1年半後:奥様と旦那様の間に、待望の赤子が生誕。"ホーネット"と命名
4年後:第二子誕生。"ヴェスパ"と命名
    妹君の婚約決定。カンティは伯爵家の養女に
5年後:妹君の挙式決まる。カンティ、村へ来訪
 (以上、『クイーンに首ったけ』エピローグより)

……我ながら色々書いたなとしみじみ思ったり。
そしてとりあえず、お約束のエロ番外編のひとつを投入。モンハンらしさは極薄ですので「そんモン読みとぅない」と言う方はスルーを。
248『ランゴスタ奥様劇場』IF2-1:2007/12/21(金) 20:46:58 ID:RBvnmjpw
『御令嬢(おとめ)は許嫁(ボク)を愛してる?』 〜『ランゴスタ奥様劇場』IF2〜

 ベリル子爵家の末っ子であるディアが、初めてその"女神"を見たのは、20歳を迎えたばかりの春の、とあるお茶会でのことだった。
 およそ社交的ではないディアだが、その日は両親に厳命されて仕方なく晴れ着に着替え、あまり親しいとは言えないフィーン伯爵家主催するアフターヌーンティーパーティーに顔を出したのだ。

 武をもって王国に仕える家柄だけにその邸宅は華美とは程遠かったが、同時に建国以来の貴族の家柄らしい落ち着いた品格に満ちていた。また、パーティーに集められたのは貴族の若手子女が中心で、本格的な夜会と異なりあまり肩肘の張らない雰囲気ではあった。
 しかしながら、やや口下手なうえ、うら若い令嬢が好む流行事やゴシップにも、青年貴族が興じる闘技や賭博事にも疎いディアは、幾人かの顔見知りに会釈をする程度で、基本的には半ば進んで"壁の花"役を買って出ていた。

 (もっとも、自分なんかが"花"を自称するのもおこがましいのでしょうけれど……)

 やや自嘲気味に貧相な己れの体を見下ろすディア。
 と、その時、人々のざわめきが一段と大きくなったため、何事かとパーティー開場の入り口の方に目をやった所、頭の中が真っ白になるほどの衝撃が、ディアを襲った。

 その女性は、まさに大輪の白い薔薇だった。
 まず目を引くのは、満月の光を結晶されたかのような見事なプラチナプロンド。腰までの長さのその髪は、シンプルな銀の髪飾りを除いて無造作に流されていたが、それだけでいかなる宝冠よりも美しく、彼女を彩っている。
 「雪花石膏(アラバスター)のような」とは、女性の肌の白さを誉めそやす定形文だが、その修辞に偽りのない実例を、ディアは初めて自身が目にしていた。
 非のうちどころなく整った、意志の強さを感じさせる顔だち。
 中でも、その翡翠色の瞳は、深い海を覗き込んだときのような神秘を感じさせる。
 やや砕けたこの宴の場にふさわしく、彼女が着ているのはふくらはぎまでの丈の白いカクテルドレスだったが、それでもその優雅さ優美さは些かなりとも損なわれていない。

 「―皆様、本日は我がフィーン伯爵家の催しますお茶会にお越し戴き、誠にありがとうございます……」

 澄んだよく通る声には、ただの貴族のお嬢様にはない凛とした気概が感じられる。

 白状するとディアは、この女性――おそらくは、このフィーン家のご息女、ヒルデガルド嬢に、ただのひと目で心を奪われてしまったのだ。

 だから、その後の一連の事実―知己と言える青年エルサイスの紹介で彼女に引き合わされたときも、彼女に試すような目で見つめられたときも、親しげな口調で話しかけられたときも、ほとんど夢見心地だった。
 ……そしてあろうことか、翌日、彼女から個人的に内輪のお茶会への招待状が届いたとき、ディア――ディアーノン・ルリシア・ベリル青年は、これが何らかの陰謀か悪戯ではないかと勘繰ったものだ。
 まして、そのまま彼女と親しくなり(と言うより彼女に一方的に気に入られて)、"おつき合い"が始まり、あれよあれよと言ううちに内々で婚約まで決まってしまうとは……。

 ディアとしては"ナズチに化かされた"という表現がピッタリの心境だ。"恋人"となった当初も、いっい自分のどこが、2歳年上のヒルデガルド嬢のお気にめしたのかサッパリわからなかった。
 彼女の父のように武技に優れ、国の政治にも貢献しているわけではない。
 彼女の長兄のように気さくで、そのクセ非常に頭が切れるわけではないし、噂に聞く彼女の次兄のように一流ハンターとして名を馳せているわけでも、自由闊達な気概を誇っているわけでもない。
 強いて言うなら、それなりに整った顔だちはしていると言えるかもしれないが、ディア自身は母親譲りのこの容貌があまり好きではなかった。大抵の人からは「女の子みたい」と言われるが、成人男性にとって、それは決して誉め言葉ではないだろう。
 体つきも、小柄な両親からの遺伝か成人男子の平均身長はおろか女子のそれに届くかどうかといったところ。決して大柄とは言えないヒルデガルド嬢と殆ど同じくらいの背丈で、向こうがヒールの高い靴を履けば見下ろされるくらいだ。

 もっとも、"恋人"から"愛人"(まさにそう表現するのがピッタリだった)へと昇格?したあと、自分が選ばれた理由に遅まきながら気づくことになるのだが……。

   *   *   *
249『ランゴスタ奥様劇場』IF2-2:2007/12/21(金) 20:48:16 ID:RBvnmjpw
 今日も、伯爵家を訪問したところ、彼女とその両親から歓待を受けたのち、夕食をご馳走になったあと、そのまま屋敷に"お泊り"することになった。
 内々とはいえ婚約を取り交わしたせいか、彼がこんな夜中に彼女の部屋を訪れることにも(正確には彼女に"呼び出された"のだが)、家人もことさらに目くじらを立てない。
 ……もっとも、伯爵夫人が元々サバけた人なので、反対しそうなのは伯爵御大くらいだろうが、その彼も行き遅れの年齢に近付きつつある娘の恋人にはさすがに対応は甘い。

 「さぁさ、早く部屋に入ってください、ルリシア」

 ヒルデガルド……ヒルダは、彼をファーストネームの"ディアーノン"でも、愛称の"ディア"でもなく、母方に由来するミドルネームで呼ぶことを好む。
 「その方が貴方には似合っていますわ」と言うのが理由だったが、今夜ようやく、彼女の思惑をディア――いや、ルリシアも正確に理解することとなった。

 「うーん、相変わらずお肌すべすべで羨ましいですわね〜」

 「え、えーっと……」

 「さっ、こちらへどうぞ」

 ロクに口を開く前に―否、口出しさせないようにしているのだろう―テキパキと鏡台の前に座らされてしまう。

 「ウフフ。可愛いですわぁ。肌は真っ白ですし、お目めもぱっちり。さ、早速、華麗に変身しちゃいましょう」

 「えと……」

 ヒルダの有無言わさぬ独特のテンポに巻き込まれ、ほとんど抵抗できないまま、上着を脱がされてしまう。代りにと手渡された衣類を見てルリシアは固まった。

 「あのぅ……これって女物、ですよね?」

 「アラ、見ればおわかりでしょう? ほら、これも、これもですわよ。全部でひと揃えですから」

 ショーツ、ブラジャー、ガードル、スリップといった下着から、レモンイエローのワンピース、さらにアクセサリーからハイヒールまで、戸惑うルリシアをよそに、次々と押しつけられる。

 「あ、あのヒルダさん。ボクはちょっとお話に来ただけで……」

 「そう遠慮なさらないでくださいな。さ、着替えましょ」

 「いや、遠慮じゃなくて、ちょっと…あの、あっ……」

 瞬く間に上半身裸に剥かれてしまう。

 (ウソぉ!? これでも一応、ボクは男で、力では負けないはずじゃ……)

 魔法でも見ているような気分だが、つぎに気がついたときには、あっさりとボトムスのベルトまでも外されていた。

 「ウフフフフ」

 (い、いつの間に……)

 「あ、や、やめ……」

 何とか死守しようと気張るルリシアの努力も、ヒルダの手が触れた瞬間、敗北した。

 「はい。脱げましたわ」

 ヒルダはにっこり微笑みながら、ルリシアのスラックスとパンツをポイッと背後に放り捨てた。
許婚者の女性の前でスッポンポンでいる恥ずかしさに、ついルリシアは内股で前かがみになる。
250『ランゴスタ奥様劇場』IF2-3:2007/12/21(金) 20:49:16 ID:RBvnmjpw
 「さ、背筋を伸ばしてくださいな」

 ルリシアの背後に廻ったヒルダは、床に落ちた下着を拾い上げる。

 「ん〜本当は補正用の器具もつけたほうがいいんですけど……今日はかわいい下着だけにしておきましょう」

 「ええっ? いや…あの……」

 「さ……腕を通してくださいな」

 「は、はぁ……」

 ヒルダの勢いに負けたルリシアは、渋々女物の下着を着始める。全裸のままでいるよりは、多少なりともマシだと思ったからだ。
 慣れないことなのでもたついていると、ヒルダが手際よく手伝ってくれ、瞬く間に下着とドレスの着付けが進む。

 「ここのリボンは前結びですわ。ある程度膨らみを持たせて結んでください。えぇと、コルセットはもっとキツく締めた方がいいかしら。それからお化粧も……」

 あきらめたルリシアは、為されるがままでいた。

 「ふぅ、できましたわ。さ……ご覧になって」

 ヒルダが、姿見の方にルリシアを向かせた。

 そこには……見たこともないような、可憐な少女が立っていた。

 「こ、これが…ボク……?」

 ついお約束な台詞まで漏らしてしまう。

 「かわいいですわ!! うんうん、やはりわたくしの目に狂いはなかったのですね。
貴方と出会った時から、わたくし、ひと目でピン!と来ましたの。綺麗な白い肌、きゃしゃな体つき、ぱっちりした目、長いまつ毛、どこをとっても素敵な女の子ですから」

 ヒルダが楽しげに話し続けているが、ルリシアの耳にはほとんど入っていない。

 (ほ、ホントにボクなの?)

 元々、体毛が薄く、体つきも貧弱で、それがルリシアのコンプレックスになっていたのだが、まさかその体型がこんなふうに化けるとは、夢にも思っていなかった。
 無意識のうちに、そっと右手を頬に添えて、女らしいポーズを取っている。
 確かに、ドレスを着てうら若い少女の格好をしたルリシアの姿は、女としてかなり…いや滅多に見られないほど可愛らしい部類に入るものだった。

 「たしかに、かわいい……かも」

 変声期を迎えても、ほとんど子供時代とピッチの変わらなかった声は、そのままでもアルト気味な女声に聞こえる。

 「うふ。このわたくしの見立てですもの。当然ですわ。さ……」

 しなやかなヒルダの手が伸び、ルリシアの肩を掴んだ。
 そのまま、すっぽりと彼女の両腕に抱きしめられ、口づけされる。

 「!」

 決して、激しくも荒々しくもないのに、その行為でルリシアは"唇を奪われた"と感じる。
 彼女との初めてのキスは、知らず知らずのうちに、ルリシアの中に受け身でいることの快感を刻みつけていった。
251『ランゴスタ奥様劇場』IF2-4:2007/12/21(金) 20:49:58 ID:RBvnmjpw
 「ひ、ヒルダさん……」

 「あら、いけませんわ。ここでは……そうですね、"お姉さま"と呼んで下さいな」

 倒錯的な台詞回しを強要されても、ぼんやりと霞かかかったような頭は拒否することを思いつかない。言われるがままに"妹"として彼女の指示に従い、その行為を受け入れていく。
 強く抱きしめられ、肩や背中を優しく愛撫され、唇や耳、首筋などにキスされて喘ぐ。
 全身の肌がふだんの何十倍も敏感になっているようだ。

 「んんんんっ…!!」

 とどめとばかりに、ヒルダの舌がルリシアの口腔内を蹂躙し、その舌にからみつき、甘い唾液を注ぎ込む。同時に、体中を這い回る彼女の手に、絶妙に快楽のツボを刺激され、ルリシアは、ビクンビクンと全身をこわばらせてのけぞった。
 ルシリアの局部はピンと固くなってはいたが射精はしていない。それどころかそこに手さえ触れられていないのに、キスと体への愛撫だけで、女のように軽く"イッて"しまったのだ。

 くたっ、とルリシアの体から力が抜けたのを確認すると、ヒルダは優しくその頬を撫でる。そしてもう一方の手は……スカートの中へ。
 ただし、前にではない。

 「―ひゃっ!」

 ヒルダの手は、ルリシアのお尻に伸びて、ショーツ越しにそのお尻を優しく撫で回していた。

 「あぁん……」

 演技を続けていたのかあるいは無意識なのか、ルリシアの口から、とても男とは思えぬ艶めいた嬌声が漏れる。

 「ルリのお尻、いいキュッと引き締まったいい形をしてますわ。それに――とっても熱いですし……」

 ヒルダの手が優しくルリシアの肌を撫で回す。先程までの興奮の余熱で身体が汗ばんでいるため、その細い指とルリシアのお尻はピッタリと密着してしまう。
 ほどなく、お尻の肉を愛撫していた指が、するするとショーツの中に伸びて来て、ふたつの山の中心部にたどりついた。

 「ちょ、ちょっと待ってください。"お姉さま"そこは……っ…。」

 ちゅっ。

 首筋に軽く甘噛みしながら、キスをするヒルダ。

 「…そこは、なあに?」

 「や、やめて……お姉さま!」

 「あら、イヤなの?」

 「えっ、そ、それは……はい」

 「…うふ、ウソツキ。ルリ、オンナノコなのに……ココを、こんなに……おっきくさせてたら、説得力はありませんわよ?」

 くすり、と妖艶な笑みを浮かべるヒルダ。その笑みに、ルリシアは魅入られ、動けなくなってしまう。
 いったん手を話したヒルダは、優しげな笑みを浮かべながら、残酷な命令を下した。
252『ランゴスタ奥様劇場』IF2-5:2007/12/21(金) 20:50:28 ID:RBvnmjpw
 「さ、わたくしが、ショーツを脱がせてせて差し上げますから……ルリ、スカートの裾を持ち上げなさい」

 「…え……は、はい……」

 足首近くまであるドレスの裾を、ルリシアは恐る恐る摘み上げる。

 「…握ってるだけじゃ駄目ですわよ。キチンちゃんと持ち上げないと」

 「………(真っ赤)」

 まるで初心な少女のように(いや、見かけはまさにそのものだが)、首筋まで紅潮させながら、ルリシアはスルスルとスカートの裾をまくりあげた。

 「こ、これぐらいですか…?」

 完全にショーツが見えるくらいまでに、スカートの裾をめくる。

 「ええ、良く出来ました。偉いですわ……ルリ。」

 ちゅっ。ちゅっ。

 「ああぅっ…。」

 真っ赤になったルリシアの頬に、愛しげにキスをくり返すヒルダ。
 それだけで、ルリシアのモノは反応してしまう。

 「あらあら、キスする度に、ピクンと動いて……大きくなってしまいましたわね。
鏡に映ってるのは………可愛いオンナノコですのに、ね?」

 「……っ!」

 反射的に鏡を見ると、其処には…スカートをめくって快楽に耐える少女が、成熟した美しい女性に抱かれながら、うっとりとした目つきで見返していた。

 「あ……」

 その光景のもたらす興奮が、熱を持ってルリシアの脳内を埋め尽くし……ほどなく、"彼女"は、完全に"淫らな女神"の手中に堕ちてしまったのだった。

   *   *   *

 「く…あン、や、やん……」

 服装を乱したまま、ベッドに横たわるふたり。
253『ランゴスタ奥様劇場』IF2-6:2007/12/21(金) 20:51:25 ID:RBvnmjpw
 ヒルダの人差し指が、ルリシアの菊門全体をほぐすように、くいくいと押してくる。指先が、お尻のすぼまりに触れるたび、鼻にかかったような甘い呻きが漏れる。

 「あら、意外ですわ。最初から感じてくれているのですね」

 これならば、とヒルダはそのままルリシアの菊門を揉みほぐし、指先を押し込んでくる。

 「ウフフ…感じるでしょう? 女の子にも、こちらの穴のほうが好きな人もいるそうですわよ。
 ――あら、失礼。ルリはリッパな女の子でしたわね」

 微笑いながら、ヒルダの手が、はだけたドレスの隙間から、ルリシアの胸元に滑り込み、ブラジャーの中へと伸びてくる。軽く乳首をいじられただけで、薄いショーツの中で尖っているモノが、みるみる硬度を増していく。

 (う、ウソ……ボク、男の子なのに…オッパイで感じてる……?)

 その自覚は、ルリシアの"男"としての意識にヒビを入れるのに十分なだけの衝撃を持っていた。
 ふと鏡を見れば、そこには顔を真っ赤に染め、スカートを持ち上げたまま身体を震わせるオンナノコの姿が。

 「……凄くエッチな顔、してますわね?」

 「っ!?

 「ホラ、瞳を潤ませて、口を開けて舌を突き出して……欲情してる、エッチな女の子の顔」

 「はぅぅぅっ……」

 ――顔を隠したい/ずっと見つめていたい。
 ――手を離して欲しい/もっと続けて欲しい。
 ――もうこんなことはやめて欲しい/ずっと朝まで抱いていて欲しい。

 一瞬、相反する思いがルリシアの中で交錯し、すぐに後者の感情が勝利を納める。

 「フフフ。女の子になる準備は……もう十分整ったようですわね」

 「あっ……」

 ふぅーっと耳に吐息を吹き掛けられた途端、ルリシアの全身から力が抜ける。その機を逃さず、ヒルダの指が"彼女"の体内へとズブズブと侵入してきた。

 「……無理はしないで。ゆっくり息を吐いてみなさい」

 「…は、はい。ああああぁぁぁーーっ!!」

 ルリシアは堪えきれずに再び声をあげた。
 すでに身体も心も、ヒルダの指先に支配されているような気がした。
 白魚のような指が"彼女"の中を掻き回すように動き回る。掻き回されるほど、その指の感触に溺れ、お尻をくねらせつつ、懸命に声を抑える。

 「ふふふ、もっと、感じていいんですのよ?」

 ルリシアのわずかな抵抗を見越したかのように、ヒルダは耳元で熱く囁いた。 
 その指先がルリシアの"中"のある"スイッチ"に触れる。同時に、"彼女"の理性のタガが弾け飛んだ。

「あああぁぁぁぁーーーーーーーーーーーーーーーーッ!」

 激しい快感に襲われたルリシアは我を忘れ、尻を高くあげ、くねらせつつ、切なげに身悶える。

 「ここが気持ちいいんですわね?」

 ヒルダは身悶えするルリシアの反応を確かめつつ、右手でその部分を攻める。
 いつの間にかショーツは完全に脱がされ、脱いだショーツが前のモノにかぶせられて、その上からヒルダの左手がやさしく包み込んでいた。
 体内に打ち込まれた細いクサビの熱さと、自らの分身を包むもの柔らかい暖かさに、ルリシアの頭の中が真っ白になっていく。
 発情した少女そのものの喘ぎ声をあげながら、お尻を自分からくねらせる。
 頭の中は快楽でいっぱいになっていった。
254『ランゴスタ奥様劇場』IF2-7:2007/12/21(金) 20:52:08 ID:BfAacXTM
 「だめ、もうイく、イっちゃう!」

 「いいわ、イっておしまいなさい!!」

 ヒルダがその指先に力を込め、奥まで突いた。
 反射的にルリシアの菊門は、ヒルダの指を食いちぎらんとばかりに締め上げる。

 「ああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーーっっっっ!!」

 その瞬間、脳裏で何かが弾けた。
 無我夢中で、初めてルリシアの方からヒルダの唇を奪う。
 驚く彼女の様子にも構わず、その口内に舌をねじ込み、ヒルダの舌にからませる。

ドックン!

 全身が震える。そして、次の瞬間。

どくっ、どくん、どくっ!
びゅっ、びゅくっ、びゅくっ!

 "お姉さま"とキスを交わしながら、ルリシアは絶頂を迎える。倒錯した悦楽を極めつつ、柔らかな絹布に包まれた先端からは大量の白濁液が噴きこぼれているのだった。

   *   *   *

 「どうも、わたくしの嗜好はいささか特殊みたいですの」

 初めての情事のあと、軽く汗を拭いて着替えたのち(ちなみに、案の定、ここでルリシアに貸し与えられたのは、シルクのネグリジェだった)、ふたりは並んでヒルダのベッドに横たわり、改めて話をしていた。

 ヒルデガルド曰く、別に男嫌いとか男性恐怖症と言うわけではないのだが、彼女には百合の気があるようで、普通の男性を伴侶とすることに、どうもピンと来なかったらしい。

 「それで……ボク、ですか?」

 「ええ、ひと目見たときから、貴方なら、と思いましたの」

 普通なら、これほどの美女に言われて嬉しいはずの台詞だが、この状況下では素直に喜べない。

 「お嫌……でしたかしら? もしどうしても、と言うのなら、婚約解消も……」

 「あ、いえ、全然。そんなことないです!」

 多少特殊な嗜好を持っていたからと言って、彼女がルリシア……もといディアにとっての"女神様"であることに変わりはない。
 女顔だからこそ彼女のハートを射止められたというのなら、この顔に生まれた幸運を素直に喜ぼう……と、可能な限りポジティブシンキングする。

 「では……以後、末長くお願いしますわね」

 至近距離からニッコリ微笑まれてボウッとなりつつ、慌ててカクカクと首を振るディア。

 「は、はい。こちらこそ」

 故に彼は気づかなかった。

 (よーし、これで大義名分は立ちましたわ。これから、この子で色々着せ替えが楽しめますわね〜。次はキモノがいいかしら? わたくしと色違いでお揃いのドレスもいいですし……。あ、女ハンターのキリンシリーズみたいな露出が高い服も捨て難いですわね)

 目の前で薄く微笑む女性が"女神"なんかじゃなく、腐女子的思考に侵された"女悪魔"にほかならないことに。
255『ランゴスタ奥様劇場』IF2-8 END:2007/12/21(金) 20:52:39 ID:BfAacXTM
 1ヶ月後。
 "義理の兄夫婦にご挨拶に行く"という名目でロロパエ村まで連れ出され、途中でフィーン家正式のメイド服を着替えさせられて、"新入りメイドのルリ"としてマックたちに紹介されると言う経験を経て、ようやくディアは、自分の選択に疑問を抱いたと言う。

追記.ディアが、本当の意味で童貞喪失したのは、なんと結婚1年後。それも「そろそろ娘の子の顔が……」と伯爵がせっついたことにより、ようやく妻=お姉さまからお許しが出たからだそうな。
ちなみに"処女"の方は、結婚後の初夜にて彼自身のモノから象った張り型を装着したヒルダに散らされている。嗚呼、いと哀れ。
<終わり>

以上。誰からも要望のなかった2案から書く私は意地悪っ子。
一応、1や3も書き始めてますので、そちらを希望される方も、ご心配なく。
256名無しさん@ピンキー:2007/12/21(金) 22:08:38 ID:MC97a8cH
乙です
257名無しさん@ピンキー:2007/12/21(金) 23:01:00 ID:s4lKsDMz
年表とか出されても困る
258名無しさん@ピンキー:2007/12/21(金) 23:34:12 ID:BfAacXTM
>257さん
申し訳ない。徹夜あけに加えてエロSS書き上げ、ハイテンションの余勢のあまり粗相しました。
ひと眠りして見返すとあまりのDQNさに赤面、と言うより蒼白。
虫のよい言い草ですが「あの年表はなかったもの」としてスルーして戴けると幸いです。
259名無しさん@ピンキー:2007/12/22(土) 00:00:42 ID:cCVAq0Fq
もう居るかわからんが、ここまで一人の作者に集中すると他の職人が投下しづらいと思うんだ
要するにクイーン自重
260名無しさん@ピンキー:2007/12/22(土) 00:09:12 ID:txWdyhtI
自意識過剰だったとか、自虐とか誘い受けは確かにしなかったが、だから良いと言う物でもないよな

お疲れでした。まさか次回作は書いてくれるよな?
261名無しさん@ピンキー:2007/12/22(土) 00:51:09 ID:8DWLGqsx
厳しすぎワロタww
投下したい奴は一人の作者に集中してるとか気にしないだろw
まぁ、ぶっちゃけ年表の意味は無(ry

とにかく、ランゴ人乙
262名無しさん@ピンキー:2007/12/22(土) 03:10:58 ID:vlpo0E2Y
こんなシビアな要求されるスレに職人は近寄らないって。
今居る書き手さんらの投下が終わったらそれで終わり。
過疎が進んで廃墟化確定コースだと思うぜ。
263名無しさん@ピンキー:2007/12/22(土) 08:55:49 ID:op/XlqQE
自分で作りもしないクセに、善意で奢ってもらった料理に難癖つけているような糞ニートが住んでいるのは此処ですか?
264名無しさん@ピンキー:2007/12/22(土) 08:58:13 ID:qC/nGce3
NEETってよりもガキだろ
265名無しさん@ピンキー:2007/12/22(土) 09:54:40 ID:WYUI6beo
要望ない時点で自重するべきネタだった気がする
クイーンの人には1で名誉挽回を期待
266名無しさん@ピンキー:2007/12/22(土) 17:47:20 ID:CUwpv3Ei
なんという職人バリアー!
酷評派と擁護派の熾烈な戦いが、神と厨の別なしに職人をますます遠ざける!
267名無しさん@ピンキー:2007/12/22(土) 18:37:28 ID:txWdyhtI
そして、単発IDでの煽りが大好きなお子様達が常駐する、とw

冬だなぁ
268名無しさん@ピンキー:2007/12/22(土) 18:52:31 ID:CUwpv3Ei
そういえば、学生はもう冬休みなのか……
正月明けまでの間はスレから離れているべきなのかなぁ……
269名無しさん@ピンキー:2007/12/22(土) 19:35:10 ID:8DWLGqsx
要望が無いと書いてはいけないのかなぁ……
誉められたいとか注目されたいって考えが一番にあるなら仕方が無いけどさ……
270名無しさん@ピンキー:2007/12/22(土) 20:06:09 ID:h2xgstoK
本当に必要なくなったなこのスレ
271名無しさん@ピンキー:2007/12/22(土) 22:56:09 ID:cUeLuFir
人×人の小説書いてるんだが、
もしかしてもう需要無い?
決め付けるのも良く無いけど、全盛期の過ぎ去った
今はもう意味無いのかな…。

>>270 の言った通り必要無いのかもな、此処。
神職人達は今何処へ…。
272名無しさん@ピンキー:2007/12/22(土) 23:14:57 ID:WRSYragk
いや書いてはいるんだが忙しくて筆が進まん
273名無しさん@ピンキー:2007/12/22(土) 23:18:12 ID:1sSqyoRU
>>271
書いているのならぜひ投下を。
人×人も大好物ですので。
274名無しさん@ピンキー:2007/12/22(土) 23:20:52 ID:ro/VkzJk
書いてる人の方がそういう事を言ってどうするんだよ。
だいいち、今まだ連載途中の作品を放棄せずにいる職人さんに対して
激しく失礼な言い種だとは思わないのか?
そのスレが全盛期なのかそうでないのかとかいう要因で、
投下するかどうか決めるのか?


「そうだよ」と言うなら好きにすればと思うけどさ。
まあ少なくとも自分は投下があれば読むし、今だってこのスレは楽しみにしてるよ。
275名無しさん@ピンキー ◆ccqXAQxUxI :2007/12/23(日) 00:14:25 ID:gYyIccq9
右に同じ
276名無しさん@ピンキー:2007/12/23(日) 00:15:01 ID:U/s5Zgn0
誘い受けヤメロ→要望ないもの投下すんな

職人なぞ要らんと言っているようにしか見えんな。
それとも何か、ここの書き手になるにはテレパシー能力が必須条件なのか
277名無しさん@ピンキー:2007/12/23(日) 00:18:25 ID:kODjlAnS
ワシの夢

マスター GP03

インレ
キハールU

ディープストライカー
ハミングバード

ビグ・ラング
オッゴ

の部隊を作ること
278名無しさん@ピンキー:2007/12/23(日) 00:19:06 ID:kODjlAnS
ごめんなさい
279名無しさん@ピンキー:2007/12/23(日) 00:33:13 ID:gYyIccq9
職人がどうこうでなく>>266でいう酷評派が増えたのがこの原因じゃないのか
280名無しさん@ピンキー:2007/12/23(日) 01:03:42 ID:2WUHPCXu
批判の批判は楽しいですかー
281名無しさん@ピンキー:2007/12/23(日) 02:18:32 ID:o6fhXoVO
言い争いばっかしてるのも不毛なので、職人さんのSSが投下されるまで
何か実りある雑談でもしようぜ。

ここの住人に聞きたいんだが、投下されるSSのタイプでどんなのが好みよ?
人×人、人×擬人モンス、人×モンス、モンス×モンス、いろいろあるが。
ハートフルな物語と鬼畜陵辱モノのどちらがいいとかは?

あと、キャラ同士の会話と地の文のどちらが多いSSが好きかとか、
一字明け改行がデフォのものと、行がびっしり詰めてあるものとではどちらが、とか。

ちなみにオレは、人×人か人×擬似モンスが好き。
エロのタイプ、地の文とキャラ会話の比率は作品の雰囲気次第で何でもよい。
改行は読みやすければどんな形でも文句はない。びっしり詰めてある方が
読み応えはあるけどね。

みんなはどうよ?
282名無しさん@ピンキー:2007/12/23(日) 03:01:13 ID:fVZ2mgLZ
人×モンス かなー
強姦系じゃないと燃えないんだよな・・・
283名無しさん@ピンキー:2007/12/23(日) 03:11:23 ID:AHTa0nmX
人×人は嫌いじゃないけど昔あった女ハンター×ドドブラは神だと思った
284名無しさん@ピンキー:2007/12/23(日) 03:32:07 ID:2WUHPCXu
人×人ってのはMHでやる理由がよくわかんないんだよね
モンスターハンターの世界のオリキャラ同士の絡みってのがなんとも想像しにくい
285女ハンター×ババコンガ:2007/12/23(日) 15:15:38 ID:UfEs9OKy
「コンガが密林に大量発生したらしいのニャ。ちょっと狩ってきてニャ。」
「えぇ〜?コンガなんてつまんないの。」
「新米ハンターがわがまま言うんじゃないニャ」
「はいはい。わかりました・・・。」
女は密林に着いた。
(めんどくさいなぁ・・・いっぱい狩って今度こそ難しい依頼を達成するんだから)
奥の方に進んで行くがコンガどころかモンスターがほとんどいない
「あれ?全然いないじゃん。全く・・・どうなってんのよ」
その時どこからか大量の足跡が聞こえてくる。
見渡すとコンガが10匹ぐらいが女に向かって走ってくる
「こんなに?まぁ、コンガだから何とか・・・」
と言いつつ片手剣を取り出した
女は一匹のコンガに斬りかかるが、他のコンガの突進を喰らう。
「キャアッ!何なのよもう!」
そうすると一匹のコンガが飛び掛ってきた
「痛ッ!お・・・重い。どきなさいよ!」
女は片手剣で倒そうとするも腕を押さえられているので
逆に武器を奪われてしまった
(やばい・・・どうにかしてこいつをどかさないと・・・)
286女ハンター×ババコンガ:2007/12/23(日) 15:27:34 ID:UfEs9OKy
その時、コンガは女の防具を剥ぎ取り始めた。
「キャアッ!何すんのよ!」
抵抗するがコンガの力の前では無意味だった。
あっという間に生まれた時の姿にされてしまった。
コンガを女の胸を揉み始める。
「いやっ!やめてぇぇ!」
そして、それと同時に他のコンガが股間と肛門を舐め始めた。
女はこのような経験はないので冷静ではいられなかった。
「キャアッ!アァッ!こんな事してタダで済むと思ってんの!?」
口ではそういうがもはや体は抵抗できなかった。
もう股間はビッショリ濡れていた。
すると、コンガ達が女から離れた。
一匹のコンガが大きく吠えると、
コンガ達は女から離れた
(うぅ・・・やっと終わった・・・絶対に今度仕返ししてやる・・・)
そう思った瞬間
他のエリアからババコンガが飛んできた。
ババコンガは女に近づいたきた
そして人間の倍以上はあろう肉棒をぶら下げている・・・
287女ハンター×ババコンガ:2007/12/23(日) 15:43:26 ID:UfEs9OKy
(えっ!?あんなの入れられたら・・・)
ババコンガは女の股間に肉棒をぶち込んだ。
女には激痛が走る。
「痛ッ!アァッ!」
ババコンガを容赦せずに腰を激しく振る。
「痛いッ!あぁッ!や・・・やめ・・・」
早くここから抜け出したかったが
ババコンガの射精は20分に及んだ。
(こんな・・・モンスターに・・・)
満足したババコンガ達は他のエリアに去っていった。
その後女は気絶してしまい、全裸の状態で他のハンターに発見された。

(ん・・・あれ?ここはどこ?確かコンガに・・・)
起き上がるとメラルーがいた
「あれ?わたし一体・・・」
「密林で気絶していたんだニャ。油断しているからこうなるんだニャ。」
「あたし・・・気を失っちゃったんだ」
「そうだニャ。全く・・・全裸で密林で寝るなんてニャ。」
「次こどは・・・あいつらを倒してやる・・・」
288名無しさん@ピンキー:2007/12/23(日) 17:50:00 ID:HJlEDxXn
どうも「○○って需要ある?」と聞く奴が
とりあえず言い争いを回避するために書いてもいないネタを投下してるように見える

おまえらそれでいいんかと
289名無しさん@ピンキー:2007/12/23(日) 18:40:32 ID:tVVjq92e
>>285->>287

これは酷い
290黒グラビ君:2007/12/23(日) 19:50:54 ID:MJ06mcOr
まさかクイーンの人が完結するとは、敬礼(^−^)>ビシッ。
だいぶ遅れてすいません、グラビモス少年化代2段、降下しま〜す。
[注意] ・カオス参上。 ・ダンボールに入ってるのは恥ずかしいから。
・エロネタはまだです。 ・モンハンネタあり。
ではスタート。
291グラビモス人間化パート3:2007/12/23(日) 20:18:49 ID:MJ06mcOr
「もしもーし、返事してー。」 返事が返ってきません、
どうやらわけありのようです。
「う〜ん、あっ思いついた。」するとパールは歌いだした。
もっと高めて果てなく心の奥まで あなただけが使えるテクニックで
とかちつくちて×5 いきます!!!
もっと高めて果てなく心の奥まで あなただけが使えるテクニックで
とかちつくちて 本能うつ巻く最中に落ちていくトキメキ
こよいだけの夢 踊るわ激しく
ある晴れた日の事 魔法以上のユカイが 限りなく 降り注ぐ 
不可能じゃないわ 明日また会う時 笑いながらハミング
嬉しいさを集めよう 簡単なんだよこんなの
追いかけてね(追いかけてね) 捕まえてみて
大きな夢 夢 スキでしょ 
こんぶだしきいてるよ カツオと昆布の合わせ技
こんぶだしきいてるよ カツオと昆布だよ
あーあー、どうしよう高く振り上げたこの腕(えーりん!えーりん!)
私のお月様 逆さまのお月様(助けてえーりん!)
と次の瞬間「もうやめて・・・。その曲長いよ・・・。」
「うん、分かったよ。」歌一時停止
「じゃあ質問に答えてね♪。」 「はい・・・。」
「ダンボールに隠れているのは何故?。」 「・・・恥ずかしいからです・・・。」
「ようするに恥ずかしがり屋さん?。」 「は、はい・・・。」
「ふむ、じゃあ次いくね。」 「はい・・・。」
「君、もしかして私が今日捕獲した鎧竜[グラビモス]なの?。」
「はい、そうです。滅茶苦茶痛かったです。」
やはりそうだ。
292『ランゴスタ奥様劇場』IF3:2007/12/23(日) 20:29:30 ID:vRM5U4xL
グラビモスの人、続きいいのかな?
10分待ってもつづきがないので、投下します。今回のHは主人公ズ。
293『ランゴスタ奥様劇場』IF3-1:2007/12/23(日) 20:30:31 ID:vRM5U4xL
『Shooting Star 見つけた幸せの場所』
 〜『ランゴスタ奥様劇場』IF3〜


――遠くに光るあの星 二人見上げて 君に出会った運命を思う


 宵の口、日が沈みきるむまでまだもう少しだけ間がある時刻。
 とある一軒家の寝室で、ふたりの男女が向き合っていた。

 「本当にいいのか、ラン? まだ痛むんじゃあ……」

 「構いませぬ。今は、我が君に抱き締めていただきたいのです。それに……」

 ランは、そっと下腹部を撫でた。昨日夫と会話する前とはうって変わって優しげな表情だった。

 「いま抱いていただければ、きっと嬰児(ややこ)を授かる……そんな気がしまする」

 「! そうか……」

 妻の意志が堅いと知ったマックは、自らも腹をくくり、最愛の女性を寝具の上にそっと押し倒した。
 結婚して半年ちょっと。新婚さんらしくほぼ毎晩のように繰り返して着た夫婦の営みだが、昨晩、ちょっとしたアクシデントを経たためか、意外なほど自分が慎重になっていることを自覚する。
 そのことは目の前の妻にも伝わったのだろう。クスリと笑うと、彼女の方から両腕を伸ばし、彼の身体に抱きついてきた。


――何気ないふりで てのひら触れてみるけど 君は優しく微笑むだけで


 「もう大丈夫です、我が君。いつもどおりに遠慮なく妾を貪ってたもれ」

 慈愛に満ちたその瞳に見つめられて、夫の方もようやく平素のノリを取り戻したようだ。

 「おいおい、その言い方じゃあ、俺がいつもは途轍もなく鬼畜な性欲魔人に聞こえるんだが?」

 「――さぁ、のーこめんと、と言うことにしてくだされ……んんっ!」

 普段と変わらぬ言葉のじゃれあい。
 それが、愛しくて、嬉しくて。
 思わず目頭が熱くなってくるのを、夫は妻の唇を奪うことで誤魔化した。

  *  *  *
294『ランゴスタ奥様劇場』IF3-2:2007/12/23(日) 20:32:54 ID:vRM5U4xL
 クチュ……ピチャ……チュル……

 寝室には絶え間なく粘液質の音が響いている。そりに混じって聞こえるのは、ふたりの男女の吐息と、衣擦れの音だ。

 「ふぁ……ん……はぁん……我が、君……」

 夫の首に両腕で絡みついたまま、ランは甘い声を上げた。
 マックは、妻の細い腰を強く抱きしめつつ、さらさらした髪と張りのある胸の感触を楽しみながら、よりいっそうその唇を貪る。
 ランの側も負けじといっそう強く腕を絡め、全身をすり寄せ、艶美にくねらせる。 

 「……くぅ…ん……。これ、旦那様、あまり胸にばかりいらうでくださりますな……」

 顔をほんのりと上気させて、ランは夫の耳元でささやく。

 「いや、わざとじゃねぇんだがな、あんまり見事なもんで、ついて手が伸びちまうんだ」

 冗談とも真剣とも取れないのほほんとした口調で、マックは愛妻の乳房に手を這わせる。同時に、ランの唇に吸いついて反論を封じる。

 「……っ……ぅ……」

 舌をねじ込ませ、歯ぐきを舐め上げつつ、巧みに妻の舌を誘い出す。
 ひとしきり舌をからめたのち、抱き合ったままの体勢で、器用に互いに服を脱がせあうのは、これまで何度となく身体を重ねてきたがゆえの熟達か。
 すぐにマックは一糸まとわぬ裸となるが、ランの方は足袋と首飾りだけ残しているのが、何気にエロい。

 「んーーー、相変わらず、ランのオッパイはサイコーやなぁ」

 単に巨乳と言う形容では物足りない、美乳にして魅乳とも言うべき妻の乳房を掌全体で味わうように、揉み上げながら、マックは感嘆の言葉を漏らす。

 「あぁ……はぁ……っ。フフ……妾の体に、ご満足していだけますかえ、旦那様?」

 くぐもった呻きを漏らしながら、満足げにランが夫を見つめる。情事の最中とも思えない、慈愛に満ちた表情だったが、つと彼女が目を閉じ、再び開いた時には、今度は隠そうともしない欲情の色にけぶっていた。


――気持ちが強くなると不安の数も増えてゆくから 1度抱きしめた心はどんな時も離さないで


 「……そのもし叶うことなら……睦言なぞ、言ぅてはいただけませぬか?」

 「ん?」

 妻に乞われて一瞬考え込んだマックだが、すぐにピンときた。

 「ああ、いいぜ。……ラン、お前が好きだ。愛してる」

 「ひぁっ!」

 耳元で夫に一言囁かれただだけで、ランの胎内がたちまち熱く潤い、下肢のあいだがしとどに濡れ始める。

 急速にできあがりつつある妻の体をまさぐりながら、マックはしみじみと想いを馳せる。
295『ランゴスタ奥様劇場』IF3-3:2007/12/23(日) 20:33:47 ID:vRM5U4xL
 (ひと眠りする前、ランをなだめる際に、「俺の妻はお前だけ」と言う趣旨のことを言ったが……。感情的な面だけじゃなく肉体的な面でも、俺は、もうこいつ以外じゃ満足できねぇかもな)

 何百回と互いに肉欲の限界まで貪り合うことで、相手の弱点や感じるツボ、高めかたのコツに至るまで、すべて知りつくした今となっては、セックスパートナーとしてもお互い以上に納得できる組み合わせはないだろう。

 しかしそれ以上に、ランはマックの、マックはランの、"存在"そのものに溺れ、依存し、酔いしれていた。もはや、弊害のない麻薬にも似た中毒性でふたりの心身は繋ぎ止め合っているとも言える。
(もっとも、その結果、人目をはばからずイチャイチャする"バカップル"化が進行しているのだから、無害とは言えないかもしれないが)

 ほんの一瞬、マックがそんな感慨にふけって手を休めているあいだに、その妻は反撃の狼煙を上げていた。
 しなやかな指先がマックのゴリッパな分身を繊細に擦りあげる。ローションを付けているわけでもないのに、滑らかなその肌と絶妙な力加減のおかけで、まるでビロードの手袋でもしているかのような感触に、マックは呻いた。
 アタマ、カリ、サオ……と順に指が這っていくにつれ、肉棒は逞しさを増し、女を求めて先端より雫を漏らし始める。

 「ホホホ、もう先走りが垂れ始めておりますぞえ?」

 淫蕩にチロリと舌先で唇を舐めながら、誰にともなくつぶやく妻の様子に、マックは我慢が効かなくなってきた。

 「……ラン……!」

 真っ直ぐその目を見つめ、妻の名を呼んだかと思うと再び乱暴に唇を奪う。
 抱き締め絡まり合う体の熱を、いに強く感じる。股間にすり寄ってくる太ももがぴくぴくと細かく震え、唇を離すとランの目は先程以上にとろけきり、半開きになった唇から熱い吐息が漏れた。
 耳たぶ、うなじ、鎖骨、乳首――妻の"弱点"にキスの雨を降らせながら、マックは堅く強ばった分身を手探りでランの秘裂にあてがうと、一気に刺し貫いた。

 ――ズニュリッ……!

 「……くっ…あぁあっ!!」

 半年余りの毎夜の営みで、すっかり開発されているランの肉襞を、熱い欲棒が掻き分け、突き刺さってゆく。

 「ああぁ……だ……だんな、さまぁああン!!!」

 一瞬声を抑えかけたランだが、次の瞬間には堪えきれずに、あられもない嬌声を上げていた。
 ランの体の動きに応じて、ソコがマックの欲棒を締め上げる。
 きつきつの狭さながら、淫裂からは絶え間なく秘蜜が垂れ流されているため、マックの分身は、ゆっくり、しかし確実にランの胎内を蹂躙していく。
 そして彼の先端が彼女の奥底――子宮腔に当たり、そこを力強く衝き上げたその瞬間。

 「ひっ……ひぃあぁぁああああっっ!!」

 凄まじい絶叫とともに、その整った美貌を愉悦に歪ませ、ランは一瞬で達していた。ヒクヒクと手足や肉壺が痙攣している。
296『ランゴスタ奥様劇場』IF3-4:2007/12/23(日) 20:34:26 ID:vRM5U4xL
 しかし、それはほんの序の口だった。
 マックは、イッた直後の妻に口づけしながら、なおも腰を突き上げる。
 その動きに敏感に反応し、爪を夫の背中に食い込ませてながら、ランは懸命に悦楽を貪り続けていた。
 形良く引き締まった長い脚を夫の腰に絡みつかせ、自分から豊かな乳房を揺すりたてて愛撫を誘う。
 普段は曇ることのない理知的な瞳もこのときばかりは快楽に蕩け、涼やかな智弁を語る唇も、今はただ喘ぎと睦言を垂れ流すだけの器官と化している。
 だらしなく開いた口腔内で紅い舌が扇情的に蠢く。
 夫の欲棒で衝き上げられ、かき回されて歓びにむせぶ蜜壺は、同時に果てしない快楽のるつぼとして、マックの分身のみならず、すべてを飲み込まんと、吸いつき、絡みつき、締め上げる。

 しっとりと汗ばんだ妻の柔肌をかき抱きながら、その最高の抱き心地に、徐々にマックの方にも余裕が失われていく。
 それを自覚して、マックの動きが一気にトップスピードに跳ね上がった。

 「あっ……はぁぁあん!! ああっ……っく、ま、また……い……っくぅ……!」

 ランがビクンビクンと体を波打たせ、白い乳房が淫らに揺れる。

 「くっ……いくぞ、ラン、俺の想いのたけを……受け取ってくれ!!!」

 快楽の予兆に打ち震える妻の胎内に、白く濁った熱い液体をドクドクと注ぎ込む。
 互いをしっかりと抱き寄せ、これ以上ないほどに深く繋がりながら放ったマックの精液は、子宮口を通してランの子宮の内へと流し込まれた。

 「ああぁぁ、旦那様……お願い……もっ……とじゃ、もっと……いっぱいくだされ! ふあっ、か、確実に……嬰児を授かるように……もっと、たっぷり注いでくだされ! 妾の子宮を……旦那様の子種で、いっぱいに満たしてたもれ!」

 返事の代わりに舌が絡み、腰の動きが加速する。
 一度達したあとも、マックは止まらずに動き続け、ランもまたそれに応えた。
 自らの胎内から、精液が立てるたぷたぷという音を聞きつつ、ランは白い肌を欲情の色に染め上げたまま、さらなる交わりを望み、夫の子種をねだる。
 無論、マックにも異論はない。
 月が天高く昇るころまで、何度も何度もふたりの営みは続けられた。

  *  *  *

 「ふぃーーーーーー……」

 マックは力の抜けた様な……いや、実際に抜けているのだが――声で、溜め息をつくと、妻の体から離れてゴロンと寝具の上に横たわった。
297『ランゴスタ奥様劇場』IF3-5:2007/12/23(日) 20:35:12 ID:vRM5U4xL
 「ふふ……旦那様、お疲れ様でした」

 一方対照的に、ランの方は、満足げな吐息を漏らしつつ、仰向けになった夫の胸に頬を擦りつける。
 普段は気丈で貞淑な振る舞いを崩さない妻の、寝室でしか見せない甘えた仕草に、マックも頬を緩めた。

 「おいおい、さすがにもう出ねぇぞ、いますぐには」

 照れ隠しに悪態とも言えないような悪態をついてみせるが、妻の表情は変わらない。

 「ホホホ、わかっておりまする。よくぞあれだけ頑張ってくださりました……」

 「『べ、べつにアンタのために頑張ったんじゃないんだからね! 勘違いしないでよね!!』とか、言うべき場面かね、ここは」

 「なれば、妾は『な、何よ! 人がせっかくシテあげたのに!!』と、答えるべきですかのぅ」

 微笑ってそう返したのち、ランは裸のまま身を起こして、寝具の上に正座する。

 「旦那様、この度は、妾のわがままを聞いていただき、誠に有り難うございまする」

 そのまま深々と頭を下げる妻に、マックは慌てた。

 「ば、馬鹿、何言ってやがる。夫が妻を抱いたからって礼を言われる夫婦がどこにあるってんだ」

 「されど、お薬もないのに、随分とご無理をさせてしまったようで……」

 (あちゃ〜、ランの奴、強走薬のこと、気づいてたのか)

 考えてみれば、彼女がハンターとなって以来、道具箱は共用で使っているのだ。中身の増減にしっかり者のランが気づかないわけはなかった。とは言え、枯れるには早い若い"男"としては、少々恥ずかしいのも事実だ。

 「み、み、みくびるなよ、ラン。強走薬のひとつやふたつなくても、相手がお前なら、何十回だって勃たせてみせる!」

 バツの悪さを誤魔化すために口から何とも頭の悪い言葉がこぼれ落ちたが、ランは真剣に受け止めたようだ。

 「左様ですか。それでは、ひと息入れましたら、改めて……」
 「ごめん。やっぱ無理です」

 即座に土下座するマック。……弱っ!

 「フフフ、冗談です」

 優しく微笑みながら、下腹部にそっと手を当てるラン。マックの視線も自然にそちらに引きつけられる。

 「子供、できたかなぁ?」

 「ええ、きっと……」

 どちらからともなく抱き締め合い、そのまま横になって、夜があけるまでの僅かな時間、しばしの間眠りに就く。
 腕の中の人が、自分にとってかけがえのない存在なのだと、改めて再認識しながら。

 およそ1ヵ月後、この夜の彼女の勘の正しさが明らかになり、その妹や友人、隣人連中から盛大な祝福を受けることになるのだが……それは、また別の話である。


 ――遠い国から辿り着いた君は あの光る星Shooting Star
 ――絶えまなく そう瞬くよに未来も君も抱きしめると この夜空に誓う

<fin>

以上です。濡れ場はやっぱヘタですね〜、我ながら。次回は美少女に成長したカンティのエッチな話……にするつもりでしたが、需要が低そうなので本編で描かなかったもうひと組みの夫婦、カシム&キダフの出会いと結ばれる様子でも書いてみますかね。
298グラビモス人間化パート4:2007/12/23(日) 20:58:33 ID:MJ06mcOr
「ハンマーで足叩いてごめんね。ゴロゴロ転がるのが可愛かったから。」
「まだ痛みます・・・。とくに足首が・・・。」
ドアが開く 「こんばんわ。パール君。」
「あっカオスさん、こんばんわ。」 「あれ?ダンボール何か有ったけ?。」
「じつは、ゴニョゴニョゴニョゴニョです。」
ザ・ワールド!!!
時は止まった
そして時は動き出す。
「な、なんだってええええええええええええええ!!!???。」
びくっと驚くダンボールにはいってる元グラビモスの男の子。
「つ、つまり、このダンボールにいるのは捕獲したグラビモスなのかい。」
「ええ、そのとおりですけど何か。」 「ボクは自宅に戻るよ、また今度。」
「はい。」そう言うとカオスさんは自宅にかえっていった。
「じゃあもうダンボールをとっていいですよね。」
「うん、いいよ。」 スポッ いままで隠れていた子が姿を出した。
「ど、どうですか、この装備。」 「うんばっちりだよ。」
武器は大剣「封龍剣『絶一門』」 防具は頭「ミズハ『鳥帽子』」
胴「レイアSメイル」 腕「レイアSアーム」
腰「レイアSフォールド」 脚「ミズハ『具足』」
発動スキルは間違いなく高級耳栓。
「レアな装備しているね、
ってあれ?たしかミズハはナッちゃんから剥ぎ取りしなきゃでないじゃん。」
「じ、じつは。」 「じつは?。」 「素材が沼地にあったんです。」
(:−:)
「こっちみないでください、本当にあったんですよあちらこちらに。」
「ごめん泣いて良い。」 「いいですよ。」
すると彼に抱きついてきて泣いた彼女。「うっ、うっ、うわあああああああん。」
「眠れ〜眠れ〜良い子よ眠れ〜、眠れ〜眠れ〜良い子よね〜む〜れ〜。」
すると彼女はすやすやと抱きついたまま眠った。
「すー、すー、すー、すー・・・。」 「あら、眠ってしまったよこの人。」
ベッドに移動して一緒に眠った「お休みなさい、ゆっくり休んでください。」
ひとまずエンド。

299名無しさん@ピンキー:2007/12/23(日) 21:02:14 ID:sFL3BRCO
「10分待ったから投下」とか最低すぎる
しかも誘い受け復活してるし
300グラビモス人間化パート4:2007/12/23(日) 21:07:02 ID:MJ06mcOr
今回はここまで、クイーンの人コメありがとうございます。
途中でジョジョの奇妙な冒険がでたのはきにしないでね。
次回作は元グラビモスの子に名前を付けるその次の日、
目覚めた時はなんと町中クリスマスイヴをやっていた。
さすがに彼女はクリスマスイヴとクリスマスはお休みのため一緒に遊ぶことに。
では良いクリスマスイヴを。
301名無しさん@ピンキー:2007/12/23(日) 21:10:44 ID:iAFVikFD
やっぱマックとランはいいなぁ
クイーンの人GJですよ

もしかしてグラビの人、直書きしてる?
メモ帳にある程度まとめてから投下するといいと思うよ
302名無しさん@ピンキー:2007/12/23(日) 22:57:03 ID:f5Tyfnq0
投下する時間帯が重なってしまうことはよくあること
303名無しさん@ピンキー:2007/12/24(月) 00:52:24 ID:3VlTyIiI
専属の叩き屋がつくようになったらSS書きとして一流だな
304名無しさん@ピンキー:2007/12/24(月) 01:13:30 ID:lfoelcy5
クイーンの人お疲れ様です、相変わらずGJでした。
グラビの人もクイーンの人も頑張ってください。
305名無しさん@ピンキー:2007/12/24(月) 02:16:10 ID:yn0DZj/z
専属の叩き屋……なんだかすごい響きw
まぁアンチの存在も人気の証とは言うしな
306名無しさん@ピンキー:2007/12/24(月) 03:15:11 ID:3ScCXtZD
遅ればせながら、グラビの人、クイーンの人、GJです。
307名無しさん@ピンキー:2007/12/24(月) 11:03:13 ID:OvEA6avq
アンチ云々以前に割り込み投下は正直どうかと思う
偶然ならまだしも分かってて投下ってのは何だかな
もうちょっと待てなかったのかと
308名無しさん@ピンキー:2007/12/24(月) 11:05:15 ID:SX2lwTnk
クイーンの人GJ!
なぜそんなに上手くエロが書けるんだ?
自分には全く無い才能だぜ。羨ましい…。
グラビの人も引き続き頑張ってくれ
309名無しさん@ピンキー:2007/12/24(月) 12:23:26 ID:aQYni1lh
クイーンの人GJ!

カンティネタ見たいと思ってるのは俺だけじゃないはずだぜ?
310名無しさん@ピンキー:2007/12/24(月) 13:22:04 ID:WR/FA9FX
>>307
有頂天な作者と、GJしか言えない奴らに何言っても無駄
311名無しさん@ピンキー:2007/12/24(月) 16:56:32 ID:SX2lwTnk
>>310
40分も投下されなかったら終わったのかな?とか思ってもおかしくないだろう。
10分ぐらいならまだしも、40分だぞ?
それで有頂天とかどうの言うのは如何なものかと
312名無しさん@ピンキー:2007/12/24(月) 17:17:52 ID:tV4nYv8R
グラビの人は、ずっと前クックやザザミのを書いて袋叩きにあった人だよな。
直書きsage無しな時点で擁護する気にはならんが、クイーンの人はその日しか投下できないって訳でもないだろうし、一日くらい投下見送っても良かったんじゃ?
毎日落とすくらいなら一回の分量増やして頻度減らした方がいいと思うぜ。
313名無しさん@ピンキー:2007/12/24(月) 17:29:12 ID:OvEA6avq
>>311
10分なんだが

というかそれ以前に、重ねて投下されたせいで「〜の人も」と完全なおまけ扱いにされてるだろ
「前に叩かれてる奴だから別にいいや」もしくは「他の人は投下直後に重ねられても構わないよね」としか捉えられない
普通なら他人の投下に、それも一日に何本も投下されてるスレでもなしにわざと重ねる事自体が有り得ない
それを「このスレは何でもあり」と誤魔化して正当化するから問題な訳であって
当たり前のことを指摘されて「要求がきつい」とか「書き手がいなくなる」とか
その原因を自分たちでつくってるのにいい加減気付けよ…
314名無しさん@ピンキー:2007/12/24(月) 17:47:56 ID:5MVZHmgY
特定の嫌いな書き手を追い出す為だけに、わざわざケータイ小説にも劣る
ダミーSSを投下してまで叩き煽りとは……乙としか言いようがない!
そして半ば意地になって毎日投下を続ける職人も乙!

どっちもナイス嫌がらせ! いいぞ、もっとやれ!
もっともっと罵り合って職人全てを追い出し、寄り付けなくしてやろうぜ!
315名無しさん@ピンキー:2007/12/24(月) 18:26:43 ID:g0fR4xvk
あら、あらし、ょうがないわね?
316名無しさん@ピンキー:2007/12/24(月) 18:29:43 ID:TC5lSAPz
>>315
やっぱり、冬は寒いな……
317飛竜が減らない本当の理由:2007/12/24(月) 18:51:05 ID:foZ6oOyq

ガチ竜×竜だがエロ比率1割
基本鬱展開
時系列はP→2→P2ときてP2Gへの過渡期
設定はかなりいい加減

以上、注意事項



目を覚ますと、いやに小型のリオレウスが私の顔を覗き込んでいた。

私の名前はトゥーイ。ドンドルマ出身、二十歳。
雪深い山間の辺鄙な村で、ハンター稼業を営む駆け出しの狩猟笛使いだ。
村のハンターは、共にランク7の上位夫婦と、三ヶ月前にやって来た私の三人だけ。
本当はもう一人、奥さんをジャンボ村に残して来た単身赴任の若い新米さんがいた
らしいが、私がここに来る少し前に森丘にいったっきり帰ってこないのだという。
「やっぱり辺鄙すぎて厭になったのかしらねぇ」、と、村についたその日、
買い出しの時に知り合った村人は寂しそうにため息をついていた。
三軒隣の上位夫婦には困ったときはいつでも助太刀するよ、と言われたが、
まさかミラやアカム、ラージャンを狩るような手練に「ドスファンゴが倒せません」
などと泣き付くわけには行かない。
変なところで気位の高い私は、一人コツコツと集会所に通い、先日やっと
ハンターランクが2にあがった。そろそろ、採取や釣り、雑魚掃除よりも、
飛竜と呼ばれる大型モンスターの狩猟がメインになってくる。
そのため、初心者重宝スキル【自動マーキング】を発動させる装飾品、
千里珠の材料に必要なイヤンクックの耳を手に入れるため、村長から
クエストを受けて通称森と丘と呼ばれる狩場にやってきたのだ。
318飛竜が減らない本当の理由:2007/12/24(月) 18:53:59 ID:foZ6oOyq
ベースキャンプを出て、アプトノスのいる水辺の少し先に開けた草原で
跳びはねるランポスを片付けた後、飛来したイヤンクックを岩肌と樹木の間の
ハメポイントに誘導して、散々頭を殴り付けた。
誤解のないように言うと、私とてイヤンクックごときハメ無しでも倒せる。
確実に部位破壊を狙うためハメただけだ。
火球を何度か喰らい、応急薬を使い切ってしまったものの、グレートバグパイプで
殴って殴って殴りまくっているうちに、発狂したように暴れていたイヤンクックが、
扇のように開いていたボロボロの耳をたたみ、更に足を引きずりその場を離れた。
しめた、この場でとどめを……!
ここで馴れたハンターなら音爆弾を使い、鳥竜を硬直させるのだろうが、
熱くなっていた私は、事もあろうか、愛笛グレートバグパイプを構えたまま、
獲物に駆け寄ってしまったのだ。
承知のとおり、狩猟笛は重い。
戦闘の際には重量軽減の旋律効果をかけるのが基本だ。
ハメ&部位破壊に重きを置いて基本中の基本すら忘れた代償は大きかった。
顔中から血を流した赤い影がフィールドの真ん中にそびえる山の中腹に消える。
ちっ、思わず舌打ちした。
飛竜や翼を持つ鳥竜、牙獣は巣で睡眠をとることで体力の回復をはかるのだ。
まあいいさ、狩猟期限の夕刻には充分余裕がある。ギルド支給の携帯食料を
一本口にして、飛竜の巣と呼ばれる洞窟に向かう……はずだった。
319飛竜が減らない本当の理由:2007/12/24(月) 18:57:49 ID:foZ6oOyq
携帯食料を嚥下した途端いきなり寒気と吐き気がして突っ伏した。
なに、これ……っ
体がバラバラになりそうな痛みが全身に走る。食あたりとは違うような気が
するが、思い当たる持病もなにもない。大体ハンターは肉体資本、健康第一が絶対条件。
となると、答えは一つ。森丘担当管理人め……管理人というのは、
支給品やネコタクの手配なんかをするギルドの下っ端役人だ。
怪我などの理由で稼業を続けられなくなった上位ハンターや、
ドスファンゴあるいはイヤンクックが壁になって脱落した者が大半だ。
森丘の管理人は後者で、なにかにつけては「女だてらに」と厭味をくれる
陰湿な野郎だった。
先日、流石にキレて「ならタマをとればドスファンゴ位は狩れるんじゃないか?」と
やり返してやったのだが、その時の腹いせに、賞味期限切れの携帯食料を
入れて寄越したな?帰ったら即訴えてやる……。
そこで意識が途切れ、冒頭のシーンと相成ったわけだが……。
なんでイヤンクックを狩りに来たはずなのにリオレウスがいる……?
しかも、このリオレウス……小型も小型、半端な小ささではない。まるで
ランポス並に小さい。
さては半殺しにしたイヤンクックに巣をたたき出された幼生か?
しては随分ごつ過ぎるような……。
『よぅ、おめざめ?』

喋った。

リオレウスが人間語を喋った。

「わあああぁぁああぁああ!?」
気持ちわるっ!
思わず飛びのいた。
さっきの苦しさは嘘のように治まっていて、身体はまるで空を飛ぶように、
軽やかに極小リオレウスとの間に距離をつくる。
320飛竜が減らない本当の理由:2007/12/24(月) 19:02:07 ID:foZ6oOyq
そこにまだ狩猟対象として認定を受けていない雄火竜がいることを除けば、
見慣れた光景の筈なのに奇妙な違和感を覚えた。
このフィールド、こんなに狭かったか?
『よかったなぁ、おまえさんツイてるよ。クックやゲリョスだったら瞬殺されてるところだぜ』
わけのわからない事を言いながら極小リオレウスがゆっくり歩み寄ってくる。
攻撃を繰り出す?火球か突進かバックブレスか?それとも空中キックか?
いくら私がなけなしのゼニーと鎧玉をはたいて強化したクック装備を
着ているからといっても、そんなのを喰らったらひとたまりもない。
だから、この時リオレウスの発した言葉に奇妙な齟齬が生じていることに
まるで気がついていなかった。
武器、武器……グレートバグパイプはどこに行った!?
愛笛は少し焦げたイヤンクックの甲殻が散らばっている木の根元に転がっていた。
私が確実に生き残るには……リオレウスの攻撃を交わして得物を掴む。
そのまま隣のエリアにダッシュで逃げる。
その先、メラルーがたむろするトンネルを抜けてベースキャンプまでひた走る。
出来るか。
リオレウスが翼を広げ、空に舞い上がる。
もうクエストの成否なんか構っていられない。やるしかない。
321飛竜が減らない本当の理由:2007/12/24(月) 19:07:13 ID:foZ6oOyq
「うおおおぉぉぉおおお!!」
私は、ちょっと人には聞かせられないような、ものすごい声をあげて
ダッシュを開始した。これが本当の火事場の馬鹿力というものなのか、
私の脚は信じられないほど力強く土を蹴り、凄まじい速さで、滞空する
リオレウスの足元を抜ける。
やった!後は得物を掴んで逃げるだけ!
私は走りながらいやに小さく見えるグレートバグパイプに手を伸ばす。
「?!」
突然身体がバランスを崩して、グラリと傾いた。
足が縺れ、顔から地面にスライディングする。
起き上がろうともがこうとしたが腕がうまく動かない。
なに……?いやだ、折れた!?腕折れた!
嬲り殺しにされる恐怖に青ざめ泣き叫び醜態を晒す私の首根っこに、
腰に、雄火竜の爪が食い込む。
「ひぎゃあああああ!!!!!!」
次の瞬間、私の身体は宙に浮き上がっていた。
リオレウスに捕らえられ、連れ去られる。……想像するだに恐ろしい末路。
「いやだぁ食わないで食べないでなんでもするから死ぬのは嫌だ死にたくないイィ!!!」
パニック状態で地に手を伸ばす私の視線の先、本来、空をきってもがく
手があるはずの場所に有り得ないものがあった。
鋭い爪がいくつも生えた、鮮やかな豹紋の入った深緑の皮膜。
……陸の女王、リオレイアの翼。
『食ったりしないよ、てか同族の雄ならともかく雌を食うわけないだろ』
リオレウスの同族…緑色の翼…雌……まさか、あの携帯食料…焦げた
イヤンクックの一部は私の装備……私……リオレイアに変身した……。

今度こそ私は意識を保つことを放棄した。
322飛竜が減らない本当の理由:2007/12/24(月) 19:12:04 ID:foZ6oOyq
雄火竜はスーレイと名乗った。
巣に連れ込んだ私が意識を取り戻すまで、ずっと傍についていたらしい。
『人間と違って身体を温める毛布も何もないからな』
そういって、翼を畳み、身体を離す。
自分がリオレイアだ、という認識で改めて見ると、スーレイは
かなり大きかった。もしかしたら金冠クラスかも知れない。
いつかこんなのを狩ってみたいな……。
そんな夢を心に思い描きながら我が身に降り懸かった現実に
歯噛みする。まさか一定時間が過ぎれば人間に戻るんだろうな?
森丘管理人の奴、村に帰ったら絶対スタンプで頭カチ割ってやる。
ギリギリと牙を鳴らす私にスーレイが問いかけてきた。
『ところでおまえさん、変わった武器を持っていたなあ、ありゃなんだ?』
「狩猟笛だ、種類ごとに旋律が決まっていて、同じエリアにいる仲間も
同じ効果が得られる。私が使っていたグレートバグパイプは攻撃力防御力アップに
加えて体力回復に解毒もできる優れモノだ、打撃で使うと気絶値も高い。
あれさえあればお前なんか瞬殺だ」
怒りに任せて喚いた後でこめかみの辺りに酸っぱいものが走った。
……馬鹿っ、相手はリオレウスだぞ、敵に自慢なんかしてどうするんだ!
地団駄をふんで悔しがる私をよそにスーレイはハンマーの派生かな?などと感心している。
『また変わった武器を作ったもんだねぇ…まぁ、あいつらの仕事は
新しい武器に新しい防具の開発、そして【獲物を枯らさないようにすること】……だしな』
少し間を置いてそういやおまえさん、と、スーレイが再び私を呼んだ。
「私はオマエサンじゃない、トゥーイというれっきとした名前がある」
『じゃあトゥーイ、ここに連れてくる時になんでもする、って言ったよな』
スーレイの声がほんの少し低い。
「記憶にない」
『いんや、言った』
口の端から小さな炎が漏れている。
何故か理不尽な恐怖を感じた。
「何故怒っている」
『これは怒りじゃない…リオレウスはな、雌を犯すときも炎を吐くんだよ!』
323飛竜が減らない本当の理由:2007/12/24(月) 19:14:43 ID:foZ6oOyq
スーレイが吠えて宙に舞い上がった。
私も後退り叫ぶ。
「そんなの知らない!」
知るわけがない。飛竜リオレウスについて知られている生態なんてごく僅か。
繁殖期に番いになった雌を、卵を守るために、空からの奇襲に長けている。
そのくらいだ。
子供の図鑑からハンター必須の生態大全まで、どの書簡も剥ぎ取れる素材、
狩猟攻略が貢の殆どを埋めている。
それに、今の姿はリオレイアであるものの、私は人間だ。
こんなの獣姦以外の何ものでもない。
はいそうですか、と受け入れられるはずがない。
『なら、飛竜の生殖行為を実体験できるいい機会だと思えばいいさ』
狭い洞窟を逃げ惑う私の背にスーレイがのしかかる。少しまえのめりに
なって尻を突き出すような姿勢にされて悟った。リオレイアの強靭な脚は、
外敵を追って地を駆けるのが本来の機能ではない。こうしてリオレウスを
背にしたときに過重で潰れないようにするためのものなのだ。
剥き出しになった脚の間に熱を持った生きのよい塊の先端が触れて、
そこを刺激してくる。
それだけで身体の芯が解けたように緩み、ジュクリと蜜を噴いた。
なんで!?なんで濡れるの!私処女なのに!
スーレイに、というよりも自分に言い聞かせるように叫んだ。
「違うからぁ!」
感じちゃダメだったら私の身体あぁ!!
『俺もずいぶん女日照りでさ、痛かったらゴメンな』
ツ……と、濡れたとば口にそれが押し当てられる。
「嫌だっ嫌だああぁ」
一瞬の抵抗の後、滑るように内襞を掻き分け侵入してくる熱い肉塊。
「あ……ぁ…あ……」
愛撫も甘い囁きも何もない、ただ貫かれ孕むために吐き出されるだけの凄惨な処女喪失。
それでも結合部が肉茎を受け入れヌチャヌチャと卑猥な音を立てる様に涙が溢れてきた。
324飛竜が減らない本当の理由:2007/12/24(月) 19:17:45 ID:foZ6oOyq
こんな……初めての相手が生リオレウスなんて…。
それでも痛いだけなら、苦しいだけなら、怖いだけならまだ救われる。
初めてなのに、初めてなのに、私の女の部分は艶めいた痺れを感じて。
あんまりだ。こんなの出来の悪い昼メロよりも質が悪い、悪すぎる…!
この変態リオレウスに泣き顔を見られたくなくて、泣き声を聞かれたくなくて、
俯いて鳴咽を堪えた。そんな私の顔をわざわざ覗き込む馬鹿レウス。
『目が濡れてるよ、トゥーイ』
「私の名前を気安く呼ぶなあぁっ」
いいじゃないか、そううそぶいて目尻を舐めてくる。
なんて屈辱。人間に戻ったら、人間に戻ったら。
「お前なんか殺してやる、殺してやるうぅっ!!」
『はは、威勢のいい、お前さんいい素質持ってるぜ』
からかうように笑って更に突いてくる。
「がっ……は…ぅぐっ……っ…」
心臓が高鳴る。耳がツンとする。擦れる肉が更なる微熱を生み、
感じまい、流されまいと本能に抗う意志を熔かし蝕んでいく。
息を荒げる私の耳元に雄火竜が囁いた。
『いいんだぜ、トゥーイ、いけよ』
その言葉に理性の足元を崩された。
いく……?私イキかけてる…?
「だあっ…誰があっ…あ…ぃ…いっ…いっい、い、いっやああぁ……っっ!!」
一際激しく心臓が脈打って、目の前で白い閃光が弾けた。
脈々と蠢く異物を肉襞がキチッと締め付ける。
私の口が意味を成さない敗北宣言をあげる中、身体の奥を
自分の愛液とは違うぬめりが満たすのを感じた。





前半ここまで。
後半は後日。
325名無しさん@ピンキー:2007/12/24(月) 21:05:51 ID:SX2lwTnk
人間がモンスターに…逆の発想か。
ありそうで全くなかったな。なんつーかその、アレだ。



わっふるわっふる!
326名無しさん@ピンキー:2007/12/25(火) 00:58:10 ID:74NJWunG
需要少なそうだなー
俺は大好きだが
327名無しさん@ピンキー:2007/12/25(火) 01:54:57 ID:UNGedYGD
GJ!
濡れ場の描写がエロくてイイ!
ただ個人的にはもう一歩読み物としての世界観を掘り下げていけばより面白くなると思う

竜姦は書き手こそ少ないがいつもある程度の需要があるものさ!
俺含めてな!
328名無しさん@ピンキー:2007/12/25(火) 03:21:26 ID:Msdi/l8p
329名無しさん@ピンキー:2007/12/25(火) 08:21:20 ID:GlanQeAA
はいはいすごいすごい

個人的にはイラネ
330名無しさん@ピンキー:2007/12/25(火) 08:27:01 ID:T8kxbBs7
異種姦が大好物の私には良いクリスマスプレゼントでした
331名無しさん@ピンキー:2007/12/25(火) 10:19:46 ID:/RWHO4wO
発想の目先が面白い、だけでなく中身もよかった。
竜姦好きの自覚はなかったのに、さりげにかなり萌えたぞw
やっぱり原型飛竜は、擬人とはまた別の良さがあるねえ

続きも楽しみにしてる!
332名無しさん@ピンキー:2007/12/25(火) 10:36:27 ID:Zau0eMJ8
俺も一つ書いてるんだが、途中でエロが全然書けないことに気づいた。
何かコツというか、ポイントとかあったら教えてもらえるとありがたい
333名無しさん@ピンキー:2007/12/25(火) 10:47:41 ID:BUP9Jvax
具体的にどういうとこで困ってるのか、とかここで語るのも野暮だし
SS書きの控え室スレとかで聞いてみるといいんじゃないかな
334名無しさん@ピンキー:2007/12/25(火) 11:35:32 ID:yGN1ihp1
まず第一に、当スレは会員制となっております。
ごく一部の自称批評家の方々に認められた方のみに席が与えられるという非常に狭き門でして、
一般の職人様であられるのなら他のスレに住まわれることを強くお勧め致します。
これまで当スレに住まわれていた職人様も、多くが移住してしまわれました。
当スレでSSを投下し続けるのに必要なものは、技術はもとより誹謗中傷を笑って受け流せる寛容さと、
荒らしを完全にスルーできる大人の対応力、それでいて空気を読める敏感さと謙虚さ、
と大変難しいものとなっております。
これらを備えていらっしゃらない職人様のSSは投下直後、自称批評家の方々によって容赦なく
叩かれ、煽られますので御注意願います。この時、住人の意見の中に荒らしも混じることがあり、
理不尽な要求を突き付けられたり、いわれのない侮辱を受けることも多々ございましょう。
しかし、それに反論することはまかりなりません。
どのように理性的かつ適格な正論であろうとも、当スレでは反論そのものが荒らしとみなされ、
職人様の意見の一切は無視され、荒らしの元とみなされます。
このことを念頭に置かれまして、それでも敢えて当スレに住まわれたいとおっしゃるのであれば……
その時はお止め致しません。どうぞSSを投下して下さいませ。
335名無しさん@ピンキー:2007/12/25(火) 12:23:42 ID:S82Pq2g2
>『飛竜が減らない本当の理由』の人
まずはその発想と文章に敬服。
ただし、個人的にはハッピーエンドか、このスレの前半にあるレウス×人のように「哀しいけど、これはこれで収まるべきところに収まったのかな」と思えるトゥルーエンド系の話が好きなので、まだGJと手放しに賞賛する気にはなれないかも。
吉岡平の「エクウス」(馬キチの主人公♀はラストで本人納得のうえで馬になり、異世界で愛馬と寄り添って生きていく)みたいな展開ならまだしも、どう転んでもダークな結末しか浮かばないので……。
とはいえ、結末次第でもありますので、後半部を待たせていただきます。
336名無しさん@ピンキー:2007/12/25(火) 12:46:16 ID:RDXMPS4W
>>329
流石にこんな奴まで居たら移住する職人も出てくるだろうね。
誰もお前の好き嫌いなんて聞いてねえよ、馬鹿。
投下してくれる職人に文句しか言えない奴って何なの?
どこがどう悪いかも書かないで文句の一言だけ残したら、
どんなに我慢強い職人だったとしてもキレるっつーの。
337名無しさん@ピンキー:2007/12/25(火) 13:28:17 ID:FTG0g1j8
今現在キレてるのは職人ではなく>>336
勝手に他人の気持ちを代弁してキレないように
338名無しさん@ピンキー:2007/12/25(火) 15:16:13 ID:RDXMPS4W
>>337
サーセンwwwww
339名無しさん@ピンキー:2007/12/25(火) 15:27:20 ID:jUDAHmSe
>>336
流石にこんな奴まで居たら移住する住人も出てくるだろうね。
誰もお前の意見なんて聞いてねえよ、馬鹿。
投下する奴にGJしかいえない奴ってなんなの?
どこがどう悪いかも書かないでGJの一言だけ残したら、
どんな職人だったとしても付け上がるっつーの。
340黒グラビ君:2007/12/25(火) 16:01:53 ID:k7UHTZw0
≫336
荒らしはこっから去った方がいいですよ、まじで。
では続き降下しま〜す、ちなみに今回はクリスマスヴァージョンです。
[注意] ・元グラビモスに名前を付ける。 ・モンハンネタ有り。
・エロはまだです・・・。 
ではスタート。
341名無しさん@ピンキー:2007/12/25(火) 16:53:12 ID:Xe4Rfhqj
ちょwww始wwめwwwwろwwww

あと下げれ
342名無しさん@ピンキー:2007/12/25(火) 17:12:47 ID:BA9cQnUe
時間の感覚がおかしすぎるだろwww



もうどれが荒らしで、どれがそうでないのか分からなくなってきた……
343名無しさん@ピンキー:2007/12/25(火) 18:40:53 ID:VVjLEZ1g
なんだその、俺は黒グラビの人は嵐じゃないかと思い始めてるぜ。
あと、ただGJつける人とか。
むやみにかみつく俺みたいな奴とか
344名無しさん@ピンキー:2007/12/25(火) 21:07:20 ID:Mj9OrAI2
つまり何も書き込まないでくれ
って事だな
345名無しさん@ピンキー:2007/12/25(火) 21:14:23 ID:mbQXlOEW
だれかーネタを……!
職人が発起するようなネタを振るんだ……!

クルガナルガとか!
MHFの装備とか!
346名無しさん@ピンキー:2007/12/25(火) 22:04:15 ID:yznIzyOm
>>341で不覚にもうけた
347珍味のひと:2007/12/26(水) 01:26:39 ID:bEIid6Bj
振るネタはない。
しかし使ったネタが腐りそうなので、また書き上げてないのに投下する。
投下自体に12レスほど拝借。
※諸注意
・人化水竜(野郎)の話
・長い&湿っぽいのに濡れ場無し
・続き物。登場人物について説明不足の気あり
・タイトル通りの展開等、色々食う
・舞台はMHP2。捏造設定多数。公式と反する所があったらすまん
以上許せる方はご覧あれ。
ダメならスルーお願いします。
348むしばむ者ども 1:2007/12/26(水) 01:28:31 ID:bEIid6Bj
 
 とても有難い事に、私にとっては日常的なことなのだ。何がって、飯が美味い事が。
 態度はともかく、うちのアイルー達は美味い飯を作る。いつかハンターを辞めても、食事係のアイルーは雇いたいと思わせる程に。
 ハンターを辞めてしまえばそんな贅沢は難しかろうか。
 将来の猫雇用の思案はさておき、始めに手を付けてみたのは、鶏肉のトマト似だった。
 説明には「堅鶏肉トマト煮ニャ」とあったが、切ってみれば確かにゴリゴリする。
 噛むと肉の歯ごたえは硬い。脂っ気が少なく、トマトのほのかな甘みと強めの酸味がさっぱりとしていて、見た目を裏切る爽やかな味付けだ。
 あんまり良い肉じゃないんだろうけれど、これはこれで美味い。
 食卓には他の肉も並んでいる。これがこってりしていたら重たいのかもしれない。
 ノトスがシチュー皿の内を匙でかき回す音を耳にしながら、そんな事を考えた。
 ヤツはようやくシチューを一すくいし、息を吹きかけてみて、慎重に匙を口元に運ぶ。
 とろみのついた汁っ気の物は、火傷しやすいと学習しているらしい。猫舌も大変だな。
 
 次に手を付けたのは、こんがり魚Gと言いたくなる紅蓮鯛の丸焼き。その淡白な身は塩味一つで何故こんなにも旨味を増すのだろうか。
 外側の紅と、熱の通った身の白さのコントラストが美しいとすら思えるこの魚は、骨が硬いが良いダシもとれるとか、葉っぱに書いてあった。
 頬肉、目の上、胸ヒレの付け根も余さずこそがねばな。
 なんとなしに鯛の口を開けてみたら、のっぺりした大きめのダンゴムシみたいなものが入っていて驚いた。
「さすがにコレは、食べろとは言わないだろう……」
 横目でノトスに同意を求めると、ヤツはシチューをすくった匙片手にヒレをハタハタ震わせる。
 ちょうど何も口に含んでいなかった彼は答えてくれた。
「コイツは、硬くてあんまり味がなかったよーな気がすんぜ。どっちかっちゃ、不味い」
 既に食した事があるらしいのに、驚くべきか否か。
 彼が美味い物と認識していたのなら、尋ねた時点でひょいぱくりとなっていたかもしれない。
 見なかった事にと、こじ開けた鯛の口を閉めておいた。
 
 やや深い皿の中、湯気も立たなくなってしまったシチューを、無意味にかき混ぜ一すくい。
 とろめく白の内に、オレンジ、緑、黄や白や黒と、様々な色の野菜とキノコがたゆたう。
 説明によれば、鶏のダシが使われていて具として肉は入ってないんだそうだ。
 あと、鍋を空けたら頑固パンでルーを拭い食えとかびっしり書いてあった気もする。
 調理器具の片付けの範囲でないのか、鍋をどうこうというのは。その辺が、うちの猫達らしいと言えばそうなんだが。
 すくったそれを口に流し込み、ゆっくりと味わう。
 やや薄めだが、よくまとまった野菜の風味がやさしい。
 小さな具が多いが、大きな具もなくはない。こういう煮物を作る時は、具の大きさをなるべく揃えるのが定石だったような。
 大食漢が来ると急に言われ、シチューを作り足すなどし、その際野菜の火の通りを早くするために具を小さくしたんだろうか。
 猫コックが帰って来たら、尋ねてみてもいい。
 夕飯兼夜食だとか言っていたから、温め直した時に焦げ付き難そうな濃さも計算の内だったりするのだろうか。
 考え込んだまま、シチューをもう一すくい口に流し入れると、とろりと一筋口の端からこぼしてしまった。
 顎へ滴り落ちようとするそれを親指で拭って舌で舐め取り、ふと気付く。
 いつの間にやら、ノトスが匙持つ手を止め、こちらを食い入るように見詰めていた。暑っ苦しいその目はなんだ。
 その変な迫力に、背中に汗がにじみ出る。妙に焦り始めた頭を必死に働かせ、ヤツが何を言わんとするのか、一つの答えに行き着いた。
 具もろくに噛まずにシチューを飲み込み、私は余裕ぶったすまし顔を取り繕い言う。
「行儀が悪いのを指摘したいんだろう? ズバッと言ってくれると有難い」
 ノトスは一瞬きょとんとした表情になり、それと同時におかしな雰囲気も消え失せた。
 次いで表情も失せ、ヒレだけがハタハタと動く。なんとも言い難い間があって、ヤツのヒレがビリッと震え、ノトスは少し目を見開いた。
 何か驚くような事があったのだろうか。正直、全然読めない。
349むしばむ者ども 2:2007/12/26(水) 01:30:03 ID:bEIid6Bj
 気まずげに顔をそらしたノトスは、こちらを窺いつつ、大きくゆっくり息を吐いた。ほんの少し顔が赤い。
 よくわからないノトス観察はそこそこに、私はぬるくなったシチューを注ぎ足しに席を立つ。
 
 ノトスという生き物の生態観察の権威、リグレガによれば、ヤツはたまに難しい事を考えてみたり、凶暴な闘争心に酔ってみたりもするらしい。
 が、基本的に喰うことしか考えていない。
 義兄からそう告げられた日には、どう反応するかと困ったものだ。
 今日はたぶん難しいこと考えている日なんだろう、という事にしておく。
 ヤツの内面を見切れる自信は、私にはまだ持てやしない。それは下手すれば決めつけという盲目になりかねん。
 
 注ぎ足そうとすくったレードルの底から一滴、シチューが皿の縁にぽてりと垂れた。
 とろみがある汁はこれだから。落ちた先が床でなかったのをマシと思おう。
 再び湯気立てるシチュー皿をテーブルに置いて、席に着き、シチューの滴痕を指で拭いかけ、すんでで手を止めた。
 またノトスに悪い見本を見せてしまうところだった。
 こっそりヤツの顔色を窺えば、ノトスはツチハチノコの素揚げを食みながら、こちらを注視していたようだ。
 バツが悪い。ガッツリと視線をかち合わせたまま、私もツチハチノコを一つ摘む。
 その食感はプリッと。
 ツチハチノコは変わった匂いはするものの、味は奇天烈でもなく普通に美味い。
 しいて例えるなら、エビに似ている。節ある体に多くの脚を持つ見た目も結構似ているかもしれない。
 味わう事へと逃避中の私にノトスが声をかけてきた。
「飯くらい好きに食え。よそならともかく、ここはテメェん家だろ」
 訳が解らずまばたきを返すだけの私の様子に、ノトスの眉間に軽くシワが生まれる。
 パセリをむさぼり食って、ヤツは言葉を続けた。
「ここの主はテメェだ。くつろげ。だいたいお行儀よくとか気にするタマかよ」
 微妙に気に障る言葉選びだが、この場に堅苦しいテーブルマナーは要らんと言いたいのだろうか。
 それはもっともだ。しかしヤツに示しがつかなくなるのは、どうかと思う。
 こちらも眉間にシワを寄せながら、プリプリの素揚げをもう一つ。また一つ。やめられないとまらない。
 ノトスは私の口へと消え行く素揚げを目で追いながら、言葉を接いだ。
 ヤツが言うには。
 自分だって飯の食らい方の時と場所と場合を読む事は、可能である。お前の行儀の悪さなど真似するものか。
 そもそも、クエスト中にこんがり肉の丸かじりを惜し気もなく披露しているようなお前が、今更お上品ぶっても無駄だ。
 ……との事だ。
 こう、こいつの口が悪いのも、一つの愛情表現だと思った方が、幸せなのかもしれない。
 指に付いた揚げ物の油を舐め取る様を、ヤツに凝視されながら私はそう考えた。
 考え込んでないで、冷めないうちにシチューを食べてしまおう。
 
 やたらと大きさに差のある器二つに詰められたガブ重の、小さい方を手元に寄せる。
 ガブ重という名の意味は知らない。義兄か某『ちっこいの』嬢、もしくは猫コックがいたならいわれを教えてくれたろうな。
 よくよく見れば茶色い色の染みた肉や飯の上、淡い緑色の細い茎と葉で文字が書いてある。
「ふぁいといっぱつにゃ?」
 覗き込んできたノトスが、ご丁寧に音読してくれた。
 何だか知らないが、一発で済んだら世話ない。
 それにしても、猫の書いた物をノトスが音読すると、当然だがもれなく語尾に「ニャ」が付く。
 目尻も眉尻も吊り上がった、顔に刀傷のある人相悪い男が、低い声で「ニャ」と言うのだ。
 ヤツには悪いが地味に、恐い。
 
 ノトスの前に大きな器のガブ重を寄せつつ、そちらにも何か書いて有るのかと覗き込む。
 私の方と同じように、細い茎と縁のギザつく葉が文字を描いていた。
 植物の茎で書いたにしては、意外に綺麗な文字を口に出して読んでみる。
「にじゅーよじかん、たたかえますかにゃ……」
 誰のセンスだか知らないが、無駄に凝った事してることに、呆れるべきか、ここは。
 ガブラス肉はやや魚に似ているが、食べると精が付くといわれている。
 精が付いたからといって、長時間の戦闘はご勘弁願いたい。
 そこを深く考えて飯が旨くなるワケでなし、私はガブ重に箸を付けた。
350むしばむ者ども 3:2007/12/26(水) 01:33:02 ID:bEIid6Bj
 
 香ばしくも甘辛いタレが、ややくさみを持つガブラス肉と飯とに染み、噛み締める度に旨みが口の中に……。
 いや、平たく言えば、幸せなくらいに美味い。災厄の先触れと呼ばれる飛竜だなんてどうでもいいくらいに美味い。
 ガブラス肉は、この微妙なくさみが癖になるかならないかで好みの別れるところだろう。
 文字を形作っていた茎も葉も、みずみずしい歯触りと香味を添えてくれ、ただの飾りではないと感心することしきり。
 飯が米を主にしつつ、麦やら雑穀混じりというのは、コストダウンのためだろうか。
 美味いから細かい事はどうでもいいや。
 
 食む事に集中するなら、口数が減るのは至極当然の事で。
 かなり長い間、二人で黙々と夕飯を味わっていた。
 私が腹七分となった頃、ノトスはガブ重の隅のご飯粒に苦戦していた。
 ガブ重の角張った器は、匙で食べるにはあまり適していないようだ。
 私だけ先に甘いものに取り掛かるのも何だから、しばらくノトスの食いっぷりを観察する事にした。
 彼は大食らいだが、普段は早食いではない。平然と黙々と、異様な量を喰らうのだ。
 かといって、食べた量の割に腹が膨れたようにも見えず、ましてや贅肉が付いた様子もない。それは魔法のようですらある。
 世界に不思議は満ちているけれど、こんなにも近くに生きた不思議の塊がいるというのも、また不思議。
 その『不思議』が、私の視線に気付いたらしく、ヤツはこめかみあたりに飯粒引っ付けたまま、不審げにこちらを窺う。
「……飯なら分けてやらんこともねぇぞ」
 変な方向で下手に出られた。物欲しげに見えたか。
 やや有難迷惑な申し出を断わろうと口を開きかけ、ふと思い付き、私は応えた。
「ありがとう。少しだけ、その厚意に甘えさせてもらおうか」
 ノトスが「ほれ」と差し出すガブ重の器に手を伸ばし、それを押し退けた。
 そのまま、ヤツのこめかみに引っ付く飯粒を摘み取る。
 私の手を避ける事も忘れ、呆気にとられた顔をしているノトスの前、私は飯粒を美味しくいただいた。
 ヒレ掴まれるかもだとか、そういう警戒は頭にもう無いんだろうか。
 ヤツはしばらく首を傾げていたが、角度を戻すと共にガブ重も引っ込めて、食事を再開した。
 『顔に付いてるご飯粒を取ってあげる』のセオリーは、正気では成し得ないようなこっぱずかしいアレだろうが、下手な事するとノトスが真似するから危険だ。いろいろと。
 それにしても、どうやればこめかみに飯粒が付くんだろう。
 いまだ食事を続けるノトスの観察だけでは、そろそろ手持ち無沙汰に思えてきた。
 食事中は大人しいノトスだが、今日はいつにも増して、静かだ。味の感想すらない。
 そう言えば二つ三つの仕事をこなして来たはずだが、それらの話題なんか、ちらっとも出なかった。
 農場にて大好物のカエルを食べた時でさえ、嬉しげでなかったっけか。
 今日はヤツが難しい事を考えている日なんだろうと思うことにしたものの、そうだとするならば、相当難しい事を考えているのかもしれない。
 案外「安い肉出してやがんな」とか考えているだけだったりしたら、それはそれで平和で結構なこった。
 
「なぁ」
「なぁに」
 鯛の皮まで食っていたノトスは、舌に貼り付いた鱗を幾つか取って、話し始めた。鱗剥がしてから食えば良いものを。
「やたらに暇そーだな」
 うんと頷いて見せると、ヤツは小さく歯を擦り合わせる音を立てる。
 茶をいれるために湯でも沸かそうかと考え始めた頃、ギリッと歯ぎしりが止まった。
「暇なら、なんか語ってくれ」
 どうせ暇だから、それも良いだろう。私はその要求に応じる事にした。
 ノトスは、ヒトとして生き始めてまだ二年ばかりしか経っていない。
 ヒトが育つにつれ自然と身に付ける知識を備えていない部分も多い。
 だからこそ、義兄がノトスに常日頃言うのだ。知識に対して貪欲であれと。
 話すという事が巧い人、下手な人がいるが、私はどちらかと言えば後者にあたると思う。
 役立つ話ではないけれどと断りを入れながら、私は語り始めた。
 話題は今日の食材にちなんで、ミツバチについてだ。
「ハンター生活の中でもハチミツの重要性は、あなたも知るところだろう。疲れた時、小腹が空いた時に嬉しい甘味であるほか、調合材料としてその使い道は多岐にわたる」
 ……なんだか興が乗ってきた。
 私は長々と語ったが、雑学にすぎない内容は割愛する。
351むしばむ者ども 4:2007/12/26(水) 01:34:27 ID:bEIid6Bj
 
「……で、この話をして何が言いたいかというとだね。『食事は大事ですよ』これにつきる。贅沢しろとは言わないけれど、やはり食は生活の基本だろうな」
 本当はオスのミツバチの不遇っぷりやらも語ってみたかったが、ノトスが食事を終えようとしていたので、話を切り上げた。
 どうせなら、『美味しいハチノコ料理』辺りでも語った方が役立つ知識だったかもしれないが、暇は潰せたから良い。
 空いた食器を下げて、タルトを出すとしようか。
 
 タルトの具の部分が詰まった(リンゴを縦に四切りしたものが、ぎっちりと立ててある)鍋を少し温め、皿へと移す。
 熱を加える事で、リンゴの香りが強く漂った。鍋の底から、リンゴの上にへばり付いてきた香り付けの樹皮を取り除いておく。
 茶は何故だか麦茶が沸かしてあったので、有り難くそれをいただくことにした。
 例によって、葉っぱに文字が書き付けた物が置いてあったが、その内容は。
 『麦茶にミルク入れると香ばしくもまろやかでウマーニャ。旦那さんも試して欲しいニャ。でもシチューでミルクは使い切ってしまったのニャ。残念ニャー』
 料理の道とは味の探究の道、なのかもしれないが。うちの猫達も挑戦根性強過ぎだと思う。
 
 ノトスに茶を出して、皿に乗せたタルトに目をやる。煮えたリンゴの下に、申し訳程度に敷かれたかのようなタルト。
 リンゴのタルトっていえば、やや深皿に似た生地に柔らかに煮えたリンゴの薄切りが乗っている物を想像したんだが。
 リンゴがデカいわ立っているわで、だいぶ想像と違った。
 切り分けも難しげなので、二人でつつき食うことにする。
 半透明に煮えたリンゴは、とろみを帯び金色に輝くようで。噛めばサクリとした歯触りだった。
 味は香りと同じように爽やかかつ甘酸っぱい。
 タルトと言うより、リンゴの甘煮を食べている気分だけれど、ちゃんと美味しい。
 麦茶との相性は、あえて言うべきこともない。
 
 深い息を吐いた後に、ノトスはゴチソウサマデシタと言った。私もそれにならう。
 後片付けを簡潔に済ませると、ノトスが首をひねりながら「こんなんでいいのか?」と言う。
 そのあまりの簡潔っぷりに対する疑問か。
「キッチンはコックの城だから、あまり私には触らせたくないらしくてね」
 だから、こんな簡単にで良いんだと説明するとヤツは感心したように呟いた。
「うちと全然違うんだな」
「各ご家庭のあり方は結構違うものだ。地域によったり職種によったり、様々に」
 ノトスの居候先の家長は、相当な料理好きだから、私のように炊事をアイルーに任せっきりではないはずだ。
「それはもう、ハンターがどんな武器を好んで、どう戦うかというのが目じゃないくらい、千差万別だろうね」
 人との共通点を見出すと嬉しさを覚える事もあるけれど、違う事が悪い事かといえばそうでもなかろう。
 ノトスは曖昧な表情で頷いた。興味ない話題だったか。
 
 居間兼寝室の炉端で濡れた衣服を吊してしまえば、もう寝る準備は整ったようなものだった。
 さすがに食べてすぐ寝る訳でもないけれど、暖をとるための薪だって明かりの蝋燭だって、浪費はよろしくない。
 炉端に腰を下ろして、濡れた衣服に熱を奪われた手を火にかざし、暖まるようにと擦り合わす。
「なぁ」
「なーに」
 背後からかかった声に、私は振り返らずに応えた。
 囲炉裏の火の側に、濡れた靴置いておいたら臭うかもしれない。どうするべきかな。
「濡れたもん乾かすんなら、アレ使った方が早ぇんでねぇのか?」
 背後のノトスは寝台周りの敷き物の上で胡座をかいていた。
 彼が持参した荷物の覆いを解いているらしく、ごそごそと物音を響かせている。荷物は、不確定名『大剣?』。
 重ねて言うが、ここは居間兼寝室だ。そこで得物を解き放つとは、物騒な意味合いでない事を祈るばかり。
「アレじゃわからんよ」
 ノトスと一緒に生活している義兄ならば『アレ』で通じるだろうが、こちらはそうはいかない。
 何にせよ、冬場の洗濯物の乾きの悪さは相当なこの地。アレが何がを知るのは有益そうだ。
 二呼吸ほどの間を置いて、ノトスは答えた。
「アレってのは、アレだ。えとな……クリムゾンゴート」
 炎の大剣何に使ってんですか、お前の保護者は。でも、いいかも……。
352むしばむ者ども 5:2007/12/26(水) 01:36:46 ID:bEIid6Bj
「つっても、テメェはもう大剣使ってねぇな」
 私が黙り込んだのは、クリムゾンゴートを所持してないためと踏んだのか、ノトスの声は後悔を感じさせる。
 確かにノトスと共に狩猟依頼を請ける時には、大剣はかつがなくなったが、まだ使っている事もないではない。
 やや口ごもってしまいながら、私は言った。
 うちのクリムゾンゴートは、キッチンの片隅で暖房器具と化していると。今はヒヨコ箱の保温に大活躍らしい。
 儀式用大剣のはずが、両者のうちでろくな扱いうけてないのは、切れ味に物足りなさを覚える性能の故に、だろうな。
 衣服を一晩干して乾かなかったら、クリムゾンゴートを試してみようか。
 
 またノトスが「なぁ」と声をかけてきた。
 今度は振り返りながら「なに」と応える。
 視界にほの白く浮かんで見えた透き通る碧、いや、青。
 ノトスが露にした大剣は、手にしたのにそれと気付けなかったのがおかしいくらい、特徴的な外見を持つ物だった。
 優美に弧を描く片刃の剣。これでもかと刺々しく、そのトゲの間を繋ぐように薄青い膜が張っている。
 切れそうにない見た目に反する鋭い切れ味を持ち、それは加工技術の賜物だとかなんだとか。
「コレに見覚えねぇか」
 ノトスはその大剣を指して私にきく。
「蒼刃剣ガノトトス、かな」
 水竜ガノトトスの宝石のようなヒレや鱗をふんだんに使って造られた剣は、まるで装飾品のようにも見える。
 そのトゲから、昏睡状態に陥らせる毒は抜けてしまっているが、代わりにガノトトスの水ブレスのような威力を誇る……らしい。
 ノトスは苦い表情でヒレをピリッと震わせた。
「そーなんだが、ききたいトコはそれじゃねぇ」
 剣に使い込んだ様子もないし、たぶんは造られてからそう長くもなさそうだ。
 じっくり観察しても、何かを思い当たる箇所は見当たらない。
 囲炉裏の炎の赤みがかった光を受け、煌めくヒレがとても綺麗で、うっかり見とれてしまいかけた。
 身振りで否と表し、私は答える。
「見覚えも何も、この剣の実物を見たのは初めて。やっぱりガノトトスのヒレは綺麗だなと思うくらいで……」
「そこだ」
 ノトスが素早く切り返してきた。どこだ。
 
 もっとよく見ろと言うかのように、ノトスは大剣を差し出した。
 まるで棒きれでも扱うみたいな手付きが、剣の重さをあまり感じさせない。
 私と大して変わらない筋肉の付き具合に見えて、発揮される力が段違いなのは、性差だけとは言い切れない。
 何気ない動作にも、こいつの特異性がにじんで見えた。
「このヒレ、見覚えは?」
 繰り返しになるが、見覚えも何も。
 辛うじて水竜のヒレだと判断できるものの、胸ビレだか尾ビレだか背ビレだかも判りはしない。
 にじり寄り、無意識に眉間にシワを寄せながら、矯めつすがめつ見れば見るほど、心当たりはない。
 質問の意図も読めず、わからないと言うしかなかった。
 かすれた低い声が私の名前を呼ぶ。まだ彼の声で発されるには耳慣れないその音が、私を落ち着かなくさせる。
 あちらの内心も似たようなものらしく、無表情に見つめてくる面の両脇で、ヤツのヒレはせわしなくはばたく。
 逡巡をみせた後、ノトスはボソリと言った。
「前の、俺のに恐ろしく似てんだ」
「ガノトトスだった頃の、あなたのヒレと似てるって事かい」
 言葉足らずなノトスの発言を、明確に把握するため聞き返す。私の問いに彼ははっきり頷いた。
 
 ヤツが竜だった頃の姿など、二年程前に一度見たきりだ。それも捕獲依頼の標的として。
 正直なところ、釣りカエルに食らい付く前に、ヒコヒコと揺れた頭部のヒレくらいしか憶えてない。
 努めて記憶を掘り起こせば、だいぶ弱ってしょんぼりと倒れた背ビレや、落とし穴のネットに引っかかった翼のようなヒレが思い出されるが。
 似てる似てない以前に、竜の個体差なんて見分けもつかない。
 ついでにあの巨体を支える割には細長い脚に、蹴飛ばされたり踏み付けられたりした記憶も蘇ったが、人間って結構丈夫なものだと我ながら感心する。
353むしばむ者ども 6:2007/12/26(水) 01:38:50 ID:bEIid6Bj
 捕獲に失敗した苦い思い出を反芻しつつ、その仕事には同行者がいたことに思い至る。
 後のノトスの保護者、私の義兄がサポートに着いてくれていた。彼もノトスのガノトトス時代の姿を目にしたはず。
「私には竜の個体差は、色と大きさくらいしか判別できないな。リグレガはどう言ってたの?」
 私に話すよりも先に、打てば響くような同居人に何でも話していそうなものだ。義兄にだって、水竜のヒレの見分けがついたとは思い難いが。
 ノトスのヒレが一瞬動きを止め、今度はゆるやかに揺れる。
「リグには喋ってねぇ」
 妙にきっぱりとした口調でそう言った彼は、大剣へと視線を移した。
 リグレガへ先に話が行ってないのは、かなり珍しいんじゃないか。
 蒼刃剣ガノトトスのトゲにそえられた指の動きを、目で追っているとノトスはまた話し始めた。
「たぶんな」
 半ば反射的に、うんと相槌を打つ。次の言葉がなかなか続かないのは、何かためらっているのか、言葉を選んでいるのか。
 彼の吸った息がしばらく止まり、ようやく続きが聞かされた。
「このヒレ生やしてたのは、俺の親か兄弟ってヤツだ」
 思わず、息を飲む。
 顔を上げると、今日何度目になろうか、また視線が合った。
 黒目がちのヤツの目が、光を受けて得体のしれない輝きを帯びる。
 怖いくらいに真剣なその目にある色は、不安とためらいに見えた。
 
 ガノトトスに家族は無い、らしい。
 母親は一匹の子を、ある程度まで腹の中で育てるが、産み落とせば親子はそれぞれ独りで生きていくことになるんだそうだ。
 巨体の故か、群れをつくるでもなく繁殖期以外は他の個体とあまり接触も持たない。
 ヒレなどによる肉体言語を用いて、意思の疎通をはかることが可能だが、それに必要性を感じることもまずない。
 ノトスや義兄から聞かされた話を併せると、ガノトトスの生態はそんな感じだとか。
 血縁関係のある個体と面識がないのは極普通のようだ。
 水竜の一生の内の出産回数がどんなものかは知らないが、一回きりということはないだろう。
 
 ノトスの物言いたげな目から視線を逸らせないまま、私の思考が加速し始める。
 今日は難しい事を考えている日なんだろうと思ってたら、本当にややこしい事を抱えていやがった。この野郎。
 ヒレが剣に植わっているということは、ヒレの持ち主は捕獲されたか討伐されたか。どっち道生きてはいまい。
 つまりノトスは今、肉親殺しに関わったことを打ち明けた。
 だが親族だと確信するに至った判断基準はなんだ。まさかヒレの見た目だけか。
 仮に、あのヒレの持ち主が本当にノトスの血縁だとしても、出逢ってしまえば今のノトスの立場上、殺す以外の選択はあるのか。
 なんにせよ、不安げな目をしたままのこの男に、言葉をかけるべきだろう。
 可能なら抱きしめ落ち着かせたいところだが、残念ながら、二人の間の大剣が危険で邪魔過ぎる。
 まずは私自身が落ち着かなくては。
 何を言えば良いのか迷い、私は疑問に思った点を尋ねてみることにした。
「どうして、このヒレがあなたの……その、肉親の物だとわかった?」
 これで『匂い』とか『勘』とか返ったら、気のせいだと言いくるめる事も可能かもしれない。
 ノトスは目を逸らし、外した視線を再び剣へと落とす。脇の方へとその刺々しい大剣を押しやり、ヤツは呟いた。
「テメェだって、テメェの手の形とか憶えてるもんだろ」
 ぽつりぽつりと、切れ切れに続く返答の全容が見えるまでしばらく待つことになった。
 生き物としては当然かもしれないが、同種の目からは、ガノトトスのヒレも個体差があるものだそうだ。
 その形にはヒトの髪色髪質髪型くらいに、違いが見てとれると。
 トゲが折れるだの、膜に穴があくだの破れるだので、外見的特徴が増える場合もある。
 一応、美醜の感覚もあるらしく(個体独自の趣向の可能性もある)、ノトスは自分のヒレがそれはもう、大好きだ。
 過去形でなく、現在も自分のヒレ好きっぷりは衰えていない。
 そんな男が自分のヒレと酷似したヒレを、見間違うはずもない、とノトスは力説した。
 他にも鱗の艶がどうの、生え方の癖がどうの、脚の形がどうのとあったらしいが、水竜ならぬ身では理解出来そうにない。
354むしばむ者ども 7:2007/12/26(水) 01:40:50 ID:bEIid6Bj
 曖昧に相槌を打つしかできない私の様子を横目で窺いながら、ノトスは掠れた声で吐き捨てるようにうめく。
「あんなに自分に似たヤツなんざ、こうなる前だって見たことねぇ。……胸クソ悪ぃ」
 手を下しておいて『胸クソ悪い』とは、酷い事を言う。
 言葉はいつもに増して悪いが、彼の内心が平静でないのは声色に表れている。
 
 口を開きかけては閉じを何度か繰り返し、それでも出てこない言葉に思わず唇を噛んだ。
 家族の概念が無かったといえ、かつての自分に似たものと殺し合うのは、さすがに思うところもあるだろう。
 ヒトの、いや、私がそうと信じる倫理観で言えば、血の繋がりの有るものを殺す行為は、悪だ。
 だが、コイツは元々ヒトでない。肉親とおぼしき相手もヒトでない。
 ヒトでないから殺していいという問題でなく、ヒトでないからヒトの倫理観でははかれない、というだけの話だ。
 ややこしいのは、ヒトとして生きようとしている元竜なんて生い立ちだが。
 ヒトとして生きるために、ハンターの仕事を果たした。それは罪かと問われるなら、どうだろう。
 つまるところ、ノトスが赤の他竜同然の肉親を殺したからといって、行為自体普段の仕事と同じだ。
 私はそれを何とも思わない。ただ、動揺しているようなノトスが哀れに思えるだけだ。
 生きるためでもなく、ただの八つ当たりで目につく竜を片っ端から殺していた時期のある私が、殺生をどうこう言える立場でもないがな。
 ようやく言葉が頭の中でまとまり、私は唇を開く。
 
「私は、あなたが非道なことをしたとは思わない。考えてみれば、あなたがヒトの姿になった時から、起こり得た事だ」
 顔も声も努めて冷静なものに。……出来たろうか。 弾かれたようにノトスの顔が上がり、悲哀に満ちた目が私を捉えた。
 世界が終りそうな顔してやがる。ほんの少し、身に覚えのある罪悪感に胸が痛む。
「生きるためにとった手段なら、あなたが気に病むべき事じゃない」
 陳腐な言い回しかもしれないが、好きな相手を悲しい顔になんてさせたくはない。
 慰める言葉がちっとも思いつかず、だから私は肉体言語とやらに頼ろうとした。
 ノトスに手を伸ばしかけた時、突如として両肩を強く掴まれた。
 勢いで後ろに倒れそうになり、慌てて手を付き体を支える。
 驚いてノトスの顔を見れば、無表情に目が死にかけていた。先程とは違った酷さだ。
「違う」
 凪いだ声とでも言おうか。静かなのに、不穏さが潜んでいると思わせるそれで、ヤツは呟く。
 強く掴まれた肩は痛む程ではないが、つっかえ棒のような腕に、つかず離れずのこの距離を強制される。
「気にしてなんぞ、いるわきゃねぇ。気になんのは、自分と似たヤツ殺して剥いで、薄気味悪ぃってコトぐらいだ」
 そっけない物言いは強がりではなさそうだ。それなら、コイツは何に不安を持ったのか。
 じわりと、肩を掴む指の力が増した。
「俺は身内が死んでも何とも思っちゃいない。……リグやテメェはそうじゃなかったろ」
 ノトスは憶えていたらしい。私が、竜を見たらブチ殺したくて堪らないなどという衝動を抱えたきっかけを。
 
 
 昔話を簡潔に話すなら、私の故郷は竜の襲撃を受け、家族が食われた。養親でもあった義父母、二歳になる前の娘。ご近所さんも根こそぎだ。
 用事で丁度村を空けていた夫が、それから間もなくして帰って来たのだが。
 彼は村への帰路で竜に卵を産み付けられており、余命僅かだということが知れた。
 竜の幼体の糧になるのも癪だ、こんな危険な生き物を嫁の側に放てるかとばかり、夫は彼の実兄リグレガに頼み込んで何処か遠くで自殺した……と聞かされている。
 こんな事をつい最近、たまには贅沢に珍味を堪能しようと出掛けた砂漠の素材採取ツアー中、成り行きで連れて行ったノトスに喋った。嗚咽混じりに。
 その日の私は、幻覚作用のあるサボテンを食べてしまったらしく、自覚が有りながらも感情の起伏が激し過ぎ、全くに正気でなかった。
 そのおかげで色々あって、元水竜男に手を出されたというか出したというか。今のような関係になったわけだが。
355むしばむ者ども 8:2007/12/26(水) 01:42:37 ID:bEIid6Bj
 
 
 話を元に戻そう。
 ノトスは私や義兄が家族を失って悲しんだ事を知っている。
 片や彼は自分の身内をそうと確信しながら殺し、その事自体に何の感慨もないという。
「何も、思えないのが嫌?」
 私の言葉に、ノトスは小さく否定を示す。
 ノトスの本心はまだ読めない。肩が掴まれたままで、お互いの距離を詰めることすら出来ない。
「何も思わねぇって言ったら、リグやテメェがどう思うかって考えた」
 そういう事を考えるようになっていたのか。
 普段の言いたい放題からは、あんまり想像の付かない進歩じゃないか。
「どう思うって、想像したのさ」
 少し声を上擦らせてしまいながら、そう尋ねた。
 まだ内面が幼い彼には、成長が見てとれる時が少なくない。それは私にとって微笑ましくも愛しいものだ。
 どうすればヤツとの距離を詰められるのか、私は考え始めた。
 ノトスはといえば、酷い表情のまま、黙ってヒレをはためかせている。沈黙の後、私の口調がそっくりそのまま、ノトスの低い声で再生された。
「自分と考え方が違いすぎて理解できないから、コイツとはもう関わらない」
 私の言いそうなことだ。実際、一時期はノトスに対してその態度で接していた。
 向こうから散々喧嘩を吹っ掛けられて、関わりを断つことは失敗に終わったが。私も我慢が足りない未熟者だな。
「そう。私という人間の傾向をよく判っているね」
 同意したように言ってみたが、大前提が抜けているから、その想像は正しくはない。
 ノトスは顔色まで酷くなり始めていた。あまりにらしくなくて、変な物でも食べさせたかと疑いそうだ。
 私の右肩を掴むノトスの手へと無理矢理に頬を擦り付け、驚いて肩から離れたヤツの左手を捕まえた。その手は少しひんやり感を取り戻しつつある。
「あんまり言うと失礼かもしれないが、君って人はアホだな」
 前々から知ってはいたが、今再認識した。私の言動にノトスは目を丸くしている。
 私の右肩から、ノトスの手がずるりと落ちる。自分の右の掌にヤツの左掌を重ねさせ、指の間に私の指を割り込ませた。
 
 このアホ正直者に、どう伝えたらいいか。
「私やリグレガが、君に愛想尽かすと思ったのかい」
 小さくノトスはそうだと言う。
 わざわざ話さなければ、肉親を殺した事も、それを何とも思わなかった事も、私にリグレガに知れる事はないのに。
 私達と違うヒトらしくない内面を感付かれやしないかと、気になり出してしまったようだ。この元竜でもそんな湿っぽいことを考えるとは、驚かせてくれる。
「今日ぼんやりしてたのは、それが原因なの?」
 合間合間に、妙に甘えられたような記憶もあるんだが。
 ノトスはこれも是と答えた。言うか言うまいか、この男には珍しく数日がかりで悩んだそうだ。
 悩んでいた割に、農場でのはしゃぎっぷりは……ずっと暗い顔されるよりマシか。
 指を解いてノトスの両手を私の掌に受ける形でやんわりと支え持つ。
「ねぇノトス」
 神妙な面持ちの両脇で、ハタとヒレが揺れた。
「ヒトにも、肉親が敵でしかないって場合もあるそうだよ。血の繋がりが絶対の絆ではないさ」
 例は思いつかないが、肉親だろうと共食いを起こす生き物だってごまんと存在するはずだ。生き物は、生き残る事に成り振りかまわない。
 
 コイツはヒトになる前から、自分が水竜らしからぬところを持っていたのに、気付いているのだろうか。
「例えば、私とリグレガは実の兄妹じゃない。今はもう一緒に暮らしてもいない。でもお互いに間違いなく家族だと思ってる」
 私は幼い頃に両親を亡くし、リグレガの家族に引き取られた。一応遠縁であったらしい。
 養子に入る前から、親が同業のため家族ぐるみの交流があり、物心付く頃には義兄は既に実の兄同然の存在だった。
 育ての親と夫と子とを亡くして、死んだようになっていた私を保護し、再び生かしてくれたのも義兄だ。
 彼に受けた恩を返すため、私はハンター稼業を始めたようなものだ。
「例えば、リグレガがあなたとずっと一緒に暮らしてるのは、『変な竜の生態観察』目的だけじゃないのはわかるでしょう」
 ノトスが応と呟いた。
356むしばむ者ども 9:2007/12/26(水) 01:44:35 ID:bEIid6Bj
 ガノトトスがはまっているはずの落とし穴の中、素っ裸で意識の無い、血塗れずぶ濡れかつヒレが生えた男を見つけたのはリグレガだ。
 好奇心も手伝って連れ帰り、男の年頃が亡くした弟と同じくらいに見えたため、情が湧いて保護したんだそうだ。
 正体が元水竜と判明した男にノトスと名付けた頃、リグレガの保護者意識はもう芽生えていたのだろう。
 どんなやり取りを重ねて、義兄がノトスを手懐けたのかは知らない。
 私がノトスの存在を知った時には既に、二人の間に信頼関係のようなものがあった。
「明言することは無いかもしれないけれど、あの人はあなたを愛している」
 たぶん、私がノトスを想う以上に義兄の愛は強い。あれは、ヒトしてのノトスの兄であり親であり師なのだろう。
 私に手を取られるまま、ノトスは大人しく話を聞いていた。顔色の悪さは心持ちマシになったようだ。
 ヒレは呼吸するように、浅く緩やかに動いていた。
「君とリグレガも、お互いに家族だって思ってる。違わないだろう」
 念を押すと、ノトスは頷いた。
 依存関係になりそうで怖いくらいだと、冗談混じりに愚痴を漏らした義兄の顔を思い出すと、やはり少し妬ましい。
 お門違いの感情を抱いても、ぶつける事を自制するくらいの理性はある。
 妬みの中には、兄を取られたような気持ちも混じるのだから、いい歳しておとなげないったら。
「私に、あなたの一生をくれると言ったことを憶えているかな。あなたのモノになれって言ったことも」
「さすがに、ンなコト忘れてねぇよ……」
 あに言ってんだと、気まずげにノトスはうめく。ヤツなりの『好き』を初めてまともに伝えられた時に聞いた言葉だ。
 嬉しいもののはずが、聞かされた時点の私は酷く動転していて、咄嗟に『お断りだ』なんて返した。
 すぐに訂正して、その交換条件みたいなものを承諾したが。
「今更聞き返すのもなんだけど、あれは私と家族になりたいって解釈で良いかい」
 ノトスは真面目な顔で応と即答した。食い付きいいな、おい。
 
 この男は、自分の考えていることを冷静に見つめればいいと思う。
 元水竜のくせに、他人に執着するのはとても人間くさい思考だと、何故気付けないのだろう。
 また彼の名を呼び、その両手を胸の前まで引き寄せる。
「あなたが恐れたのは、好きな人から疎まれ家族を失うこと。それはヒトっぽくない訳がないって、思えないか」
 あ、と。小さく声がもれたのが耳に入った。知っていたけれど、アホめが。
 普段好意をあまり明確に伝えてやらない私のことはともかく、義兄のことくらい、もっと信じてやって欲しい。
 義兄と二人して色々と脅したのが不信に繋がったのだろうか。そうなら身から出た錆とも言えるが。
 信頼というものは、日々培われるものだと心に刻んでおこう。
 
 ヤツの同族殺しについてどう思うか、まだ伝えていなかったと思い出す。
 思うままに伝えてしまえば私の神経こそ疑われかねないが、その時はその時だ。誠実に応えるべく、私はまた口を開いた。
「私はあなたが好きだよ」
 ……なんで目を丸くしてるんだ、コイツは。地味に腹立つ反応だな。
 微妙に素直さを削られながら、言葉を続けた。
「でも正直に言うと、ガノトトス自体に特別な思い入れは微塵もないね。仮にあなたの身内がいたとしても、だ」
 水竜の見た目は綺麗だとか、仕草に愛嬌を感じたりだとかはあるが、だからって討伐をためらったりすることもない。
 何やらノトスが小さく歯ぎしりする音が聞こえるが、ソレやってて他人の話が聴こえるのか?
「だから、あなたがガノトトスを狩ろうと剥ごうと、それであなたをどうこう思うことはない」
 肉親の情なんてものを元々持たないという種に、無理に罪悪感を覚えさせたって、意味があると思えないしな。
 ノトスは歯ぎしりを止め、ほっとしたように深く息を吐いた。ヒコヒコとヒレがはためくのが見えるが、アレはどういう反応だか未だに判らない。
 自分なりに言葉は尽したつもりだ。私はノトスの両手を捧げ持ち、左手のひやりとした甲へ口付ける。
357むしばむ者ども 10:2007/12/26(水) 01:46:42 ID:bEIid6Bj
 
 私が顔を上げると同時、ノトスは私の右手首を掴み返す。
 人のことは言えないが、やることが妙に急だ。何をするのか、されるがままになってみると、ヤツは私の掌に口付けた。
 押し付けられる唇がひやっこい。吐く息がかかってくすぐったい。何が楽しいかは知らないが、掌の肉をやんわり食まれる。
 安堵して人恋しくなったろうか、それにしても掌を舐めるのは嫌がらせにしか思えない。
 手をバタつかせ無言の抵抗をしてみるものの、ヤツの力がゆるむこともなく、私の手は捕らえられたまま、舌が掌に走る筋をなぞる。
 恥ずかしいより冷たいより、冗談抜きでくすぐったくて堪らない。
「即刻止めろや」
 うっかりドスを効かせた声が出た。舌打ち一つ響かせた後、ノトスは素直に私の手を解放した。
 さっきまでこの世の終わりみたいな顔してたくせに、早速やらしげな事をしかけるとは、なんという変わり身の速さ。全く油断ならん。
 さっき言った砂漠素材採取ツアーの時といい、コイツの中では真面目な湿っぽい話をした後は、やらしいことやらかすのがお約束なのか?
 文句の一つも言ってやろうと、ノトスを軽く睨み付けたが、ニタリと凶悪な笑顔を返された。
 同時にノトスの喉の奥から聞こえる笑い声が、酷く嫌な予感を煽る。どうしてコイツの嬉しげな様子ってものは、一々恐いんだ。
「なぁ」
「なんだい」
 ノトスにずいと距離を詰められながら、今日何度目かのやり取りを交わす。
 当たり前のように私を抱き寄せたヤツは、耳元で熱っぽく囁いた。
「交合しようぜ」
 表現と話の流れ的に大却下だ。
 
 無意味と知りながら、ノトスをひっぺがそうとその胸を押すが、案の定びくともしない。
「そんな言い方でその要求を通す訳にはいかないな」
 私の抵抗もどこ吹く風、ノトスは顎を私の肩に乗せた。ギリと耳元で歯ぎしりが響く。
 一言放せと発せば私は解放されるだろうが、正直、嫌じゃないんだ。
「んじゃ交接するか」
「たいして変わってない! というか、尚更あからさまだろ」
 言い方が遠回しならいいってものでもないが。
 む、とノトスが唸る。ヒレがペチペチと頬に当たった。考えるのは良いが、トゲ付きのヒレの動きに気をつけてくれないか。
「だいたいね、身内を殺したっていう真面目な話をした後からたいして間を置かず、何故そっちに方向転換出来るんだい。大剣もモロ出しのままでさ……」
 大剣に植わったヒレの持ち主は、エロいことする前の話のダシにされた形になっている。それはさすがに不謹慎というか、哀れというか。
 私はノトスのヒレ耳で更に頬をペチられながら、続けた。
「あなたと睦み合うのにやぶさかではないが、心情的に『今日はそこまでっ』て訳にはいくまいか」
「イクマイヨー」
 即答かよ。呆れる私を置き去りに、ノトスはヒレを私の首に擦り付ける。
 かと思えば、急に身を放して私へ背を向け、蒼刃剣ガノトトスに手を伸ばした。
「片付けたら和合しようぜってワケにゃいかねぇか」
 嫌でないという本心だけはきっちり伝わっているようだが、何でそんなにエロノトス。変な意味での語彙力豊富になりやがって。
 
 その時、私の脳裏に流星の如く一つの記憶が蘇った。
 意味ありげな笑みを浮かべたリグレガが言うのだ。
「ノトスは基本的に喰うことしか考えていない」
 もしかして、その『喰うこと』は性的な意味も含むのか。含むんだろうな。
 今の今まで、人の悪いあの笑みの意味に気付けなかった自分が情けない。
 
 我知らず立ち上がり、拳を震わせていた。そうだ、リグレガはたまに酷い人なんだ。ここに居ない人の事をどうこう言うのもなんだが。
 初めてノトスがうちまで御使いに来た時、土産に持たされていたのが避妊具の山だった。
 それだけでも嫌がらせかってものだが、使い方の説明は私に丸投げときた。
 あの時ほど、今からアニキをこれからアニキを殴りに行こうかと思った事はない。
 いやまぁ、物は役に立ってるけど。
358むしばむ者ども 11:2007/12/26(水) 01:49:19 ID:bEIid6Bj
 
 基本的に喰うことしか考えてない男は、空腹が満たされ悩みも去った今、残った欲に忠実になったようだ。
 その欲を覚えさせたのは自分なだけに、ノトスに文句も言い難い。砂漠の素材採取ツアーに行った日の私の馬鹿め。
 握った拳を開いて、掌にかいた汗を服で拭ってから気付いた。
 ノトスに舐められた方の手だから、唾を服に擦り付けてしまったじゃないか。
 どうでもいい気分になりかけた時、ヤツが背後から遠慮がちに肘をつつき、ひそひそ囁いた。
「不都合なら、もう寝るってんでも構わんぜ」
 何か勘違いされて、気遣われているようだ。肘をつついた手が降りて、後ろ腰をおずおずとさすった。
 義兄よ、教えた憶えのない行動ですが、これはお前が吹き込んだ知識ですか。
 どうしてコイツは微妙にいい子なんだろう。あれこれしかけてくる癖に、最終的な選択権は大抵私にある。
 まどろっこしい自分の性格にうんざりしながら、私はノトスの横に身を割り込ませ、ヤツの腰を抱き寄せた。
 ノトスは驚きながらも腰をさする手を止めない。器用なこった。
「気遣ってくれてるところ申し訳ないけれど、別にそういう日でないよ」
 ほう、と呟きノトスは腰をさする手を止めた。その手を伸ばし私の腰を抱く。
 脇腹引っ付け合ってみたが、もっと引っ付きたいのが本音だ。二人横並びで突っ立って、何をしているのやら。
「共寝とか同衾とか、そんなようなことをやらかしたいって気になってきたんだけど、ノトスはまだその気はあるかい」
「おうよ」
 誘いにもなってない誘いに、素直に乗ってくれるのが有り難い。嬉しげに頷いたノトスは、私を再度抱き寄せた。
 正面から抱き合い、お互いの首の側面を擦り寄せる。皮膚の薄いその箇所は確かに敏感だが、触れて楽しいかというとあんまり。
 だがノトスという男は違う。コイツがうなじを如何わしい目で見てくることは既に言った通りだが、うなじ近辺も十分守備範囲なんだそうだ。
 間近から「きひゅーい」と聞き覚えのある音がする。
 ノトスの機嫌のいい時の音だろうが、他でも耳にしたことがある音だ。思い出そうとしたが、少し障りがあった。
「ねえノトス」
「あんだよ」
 耳と体の両方で聞こえる低い声からは、ヤツが陶然としているのが丸わかりだ。
 だが一寸待って欲しい。
「腹に当たってる」
「当ててんだよ」
 開き直るない。ソレの擦り付けに目覚めんのは止してくれ。
 
 立ったままする気も、床の上でする気も更々ないので、とりあえず寝台へと、ノトスに囁いた。
 彼は応と頷いた、と思ったら私の目線が高く浮き上がる。
 抱え上げられたと気付いた時には、ノトスが歩み始めていた。
 体格が似たような者に軽々と持ち上げられる違和感は、騙し絵じみて落ち着かない。
 ほんの数歩もない距離を運ばれた意味は何だったのか。考えに浸る間もなく、私は寝台の前に下ろされる。
 妙に満足げなノトスに腕を解かれ、釈然としないまま寝台に腰掛けた。
 いそいそと寝台へ上がり、早速押し倒しにかかるノトスに、疑問をぶつけてみることにする。
「今私を運搬したのは、どういうつもりなんだか、きいてもいいかい」
 いつかに草食竜の卵を運んでいた時より、足運びが軽やかだったのが救いだが。
「あぁ?」
 それについて尋ねられるとは、微塵も思っていなかったようで。数回まばたきを繰り返した後、ノトスは答えた。曰く。
 先日ガブラス討伐依頼に同行した『ちっこいの』嬢が言った。
「抱き付き、抱き上げ、振り回しのコンボって劇とかでは見かけるけど、実際やってるのって見たことないよね」
 彼女はうっとりと、されてみたいなーと呟いていた、らしい。
 そんなことを耳にしたノトスは、私相手にそれが出来るものだろうかと考えた。試してみて出来そうだと確信し、達成感を得たようだ。
 見た目も態度も恐いノトスに臆する事なく接してくれるのは良いんだが、彼女も変な願望お持ちだな……。誠に勝手ながら、聞かなきゃ良かったと思う。
359むしばむ者ども 12:2007/12/26(水) 01:53:36 ID:bEIid6Bj
 
 嬉しげに、焦れったげに、私の衣服を脱がしにかかるノトスがふと手を止めた。
 「なぁ」「なにさ」という前置きの後、ノトスの問いが降り来る。
「今日も着けなきゃいかんのか」
 何がって、避妊具を。
 村の駐在をやっている今、仕事がしにくい体になるのもどうかと思うので、孕むのは困る。
 重ね重ね、砂漠の素材採取ツアーに行った日の私の馬鹿め。初めてこそが習慣付けに肝心なのに、生で美味しく頂きやがって。
 それはさておき、私は頭の中で日を数える。今日は、まあいいか……。
「いや、無しでいい」
「……そうか」
 喜色溢るる声が返る。生で食らうの好きだものな、コイツは。
 
 少しばかり関係無いことを言うと、私の故郷には避妊という概念は無かった。
 田舎の方では無いのが普通かもしれない。何せ、産んでも育つとは限らないから。
 弱い生き物ほど沢山産むように出来ているものだという説を知って、深く納得したものだ。
 避妊の概念が無かったといえば、元水竜のノトスもそうだろう。
 あちら様の繁殖期は、快楽が有るには有ったが、どちらかというと強迫観念じみたものだったそうだ。
 ガノトトスは捕食者側だから、そんなにせっせと子作りせずに済む種なのだろう。
 彼らは交尾の際にオスがメスの首を噛むのだが、勢い余って噛み殺してしまうことがあるというのは、繁殖行動としてどうなんだろうか。個体数を減らしてどうする。
 メスの方もちょっとやそっとで噛み殺されないように、後ろ首の鱗や皮がオスの三倍厚いとかいう話もある。
 水竜のメスは頑丈な方が魅力的なんだそうだ。
 
 頑丈なおねえさんは好きですか。
 そんな文句を思い付いてしまい、つい口がひん曲がった。
 私の腕から上着を抜いていたノトスが怪訝な顔をするので、何でもないとヤツの頬を撫でた。
 ノトスの唇の端がきりきり吊り上がる。ギザつく歯を覗かせるのは「貴様の喉笛食い破る」と言わんばかりに見えるが、これでヤツなりの笑顔だ。
 その凶悪な面が近付いて来たので私は目を閉じた。ちう、と妙に可愛らしげな音を立てる口付けをノトスはくれた。
 
 
 
 
投下終了。
あと一回で終わり。投下回数増えてごめん。
話としては『eat tha meat』直後、『喰気よめ』の前にあたる。
ガノトトスの生態は、数代前のスレの頭にあったのをうろ覚えで使わせてもらった。
この本文中の語り手は知らないけど、ガノトトスは母親の腹の中で兄弟共食い勝ち抜き戦があると書かれていたような。
ホホジロザメがモデルらしいので、その辺に設定寄せてみてるが、捏造し過ぎんのもどうか。
あくまでモデルだから、同一視しちゃいかんだろうし。難しいな。
360名無しさん@ピンキー:2007/12/26(水) 02:43:21 ID:zZZOhphn
GJ!
ノトスの人のは読んでて話の中に引きこまれるような
魅力があって大好きだ!

何か変だな…
とにかくGJ!!
361名無しさん@ピンキー:2007/12/26(水) 02:44:16 ID:6z3CRqKX
投下お疲れ様です。GJでした。
久し振りに珍味の人のSS見ましたw
何かと住民内の中でいざこざがあったりしますが
気にせず投稿してください。

このスレって、職人に一つお疲れ様でしたって
言うのにこんなに気を使わないといけないのか。
それとも俺が敏感になりすぎてるだけかなぁ…。
362名無しさん@ピンキー:2007/12/26(水) 03:12:16 ID:9seLRYXL
アァァlw派合え名@否(笑3らtがtm@mじゃwた@おあphGJGJGJGJGJG
読んでニヤニヤしてくるけど俺は正常です。珍味の人お疲れ様でした、次回作を期待しながら裸で待ってます
363名無しさん@ピンキー:2007/12/26(水) 04:47:21 ID:mOF6kIeG
今から超エロくて感動の物語を書いてやるが需要有る?
一年くらいまっててくれ
364名無しさん@ピンキー:2007/12/26(水) 04:50:49 ID:TOQUGQ5e
>>363
頼んだぜ希望のホープ!
365名無しさん@ピンキー:2007/12/26(水) 06:52:02 ID:UlLcpPTM
珍味の人、GJ!!!
相変わらず食べごたえがあるなぁ。
おかわり出来たら、また楽しく頂きますよー。
366名無しさん@ピンキー:2007/12/26(水) 19:12:27 ID:bEIid6Bj
投下したその日になんだけど、保守しよう。
スレの危機どころかPINKBBSの危機か…
367名無しさん@ピンキー:2007/12/26(水) 20:23:56 ID:lCK+PoeD
保守
368飛竜が減らない本当の理由:2007/12/26(水) 20:56:21 ID:qnX00Oze
24時間ルールに反するけど背に腹はかえられない。後半戦投下。


序盤うっすらとエロあり
やっぱり設定はいい加減&基本鬱展開
前半投下分で「流感イラネ」「趣味じゃねぇ」と思った方は回れ右でよろしく

以上注意事項



『食わないとしんじまうぜ?』
変態レウスが仕留めて来たアプトノスを私の鼻先に押し付ける。
「ほうって置いてくれと何度言えばわかる」
血の滴る新鮮な肉から顔をそむけ、目を閉じる。
あれから三日。私は獣骨の散乱した洞窟で、ずっとうずくまっていた。
人間に戻る兆候は一向に見られない。
それどころか……膣が、あのみっちりと押し広げられた時の、滑るように
擦られる感覚を求めて馬鹿みたいに疼いている。
人として、ハンターとしてあるまじき劣情。最大級の屈辱。
この身体では濡れた秘裂を指でなぞって紛らわすこともかなわない。
本能の部分から直に沸き上がる獣欲を、スーレイへの怒りと憎しみを
掻き立てることで辛うじて押さえ付けていた。
そんな私の首筋に鼻先を擦り寄せる馬鹿レウス。
『ほうっておけるか、伴侶に先立たれちゃたまらん』
誰が伴侶だ。狩りそこねたイヤンクックなんか後回しだ、ギルドの
狩猟許可なんか知ったこっちゃない。人間に戻ったら、真っ先に森丘に
取って返して閃光玉漬けにして殺してやる。
そう決意を新たにする意志に反して、触れられた部分が、ズクリと疼く。
「触るな、変態野郎」
思わず漏れそうになる喘ぎ声を堪えて威嚇する。なのに馬鹿レウスは
お構いなしに首筋を柔らかく噛み始めて。
369飛竜が減らない本当の理由:2007/12/26(水) 20:58:41 ID:qnX00Oze
「やっ、やめ、やめっ…っんっ…んっやぁ…」
私の口から、啜り泣くような声があがる。
振りほどこうとして身をよじると雄火竜がすかさず交尾の態勢をとった。
「いやっ、嫌だったら、離れろ」
『こっちの口は嫌がってないみたいだけど?』
しれっと言い返してゆっくり自身を沈めてくる。
「やっ、それっ、いや、要らな…あ…あああ……っ」
激しく突き上げられるでもなく、ただ繋がっているだけの状態なのに
私は呆気なく昇り詰めてしまった。
脱力して、ぐったりと突っ伏す私の頬の辺りに、なにかをくわえた
助平野郎が鼻面を寄せる。
『口を開けて』
朦朧とした意識の中、言われるままに口を開くと、まるで果実のように
柔らかく、芳しい物が口に押し込まれた。
二度三度咀嚼し、ゆっくり嚥下する。
美味しい……。
次から次へと差し出されるそれを夢中で胃の腑におさめる。
『美味いだろ?』
「……うん」
極度の空腹のせいかも知れない。でも、アイルーキッチンでもこんなに
美味しいモノを食べた覚えはなかった。
何度かそれを繰り返した後、私はゆっくり首をもたげ、それ……
アプトノスの肉に食らいついた。
不本意ではあるけれど、灼け付くような微熱をたぎるモノで鎮められた
おかげで、冷静な思考が戻り始めていた。
そうだ、つまらない意地を張ってどうする。今死んでは元も子もない。
いつか人間に戻る時が来るまで生き延びなければ。
獲物を貪る私を満足気に見つめる雄火竜に心の中でそっと呟いた。
……ありがとう、スーレイ。



翌朝、すっかり体力が回復した私は彼に飛び方を教えてくれるよう頼んだ。
腹も身体も満足し、眠りにつく直前、あることを思い出したのだ。
370飛竜が減らない本当の理由:2007/12/26(水) 21:03:23 ID:qnX00Oze
幼い頃に聞いた昔話。モドリ玉の煙をすって人間と化した飛竜の伝承。
私のアイテムポーチには狩りの最中なにかあっても大丈夫なように
モドリ玉を常備していること。

ここを出てアイテムポーチのモドリ玉を使えば人間に戻れる……!

私の申し出をスーレイは心底喜んだ。
『飛竜として生きる第一歩だな』
騙しているような気がして心が少し痛んだ。
でも仕方がないではないか。

私は人間で、彼は……飛竜だ。

『本能のままに、なんて言われてもハンターは空なんか飛べないから、
感覚としては翼を力強く振り下ろして脚が地を離れれば上出来だ、
後は水の中を泳ぐような気持ちで飛べばいい……そう、そんな感じだ、
いいぞ、上手いじゃないか、トゥーイ』
最初は脚で跳びはねるだけだったのが、徐々に滞空時間が延び、
スーレイが手放しで喜べば喜ぶほど私の中で気まずさが増していく。
いたたまれなくなった私は、「少し外の空気を吸いたくなった」と窟を後にした。

スーレイの顔を見るのが辛い。このまま消えよう。

何度か地に脚を着いたものの、どうにか私がリオレイアに変化した
草原にたどり着いた。よくランポスが飛び降りてくる崖上の茂みに
着地して様子を窺う。
「?」
ランポス達がいない。
その替わり、ここにはいないはずの獣人種、アイルーが数匹、
木の根元を漁っていた。
フィールドで出会う者達と違って、簡易ではあるけれど防具のような
物を纏っている。
ギルドで働いているアイルー達か?
371飛竜が減らない本当の理由:2007/12/26(水) 21:06:21 ID:qnX00Oze
でもなんでこんなところに……。
【あったニャ】
【トゥーイのアイテムポーチニャ】
【旦那様、見つけたニャ】
旦那様?
二足歩行の猫が高台のほうを振り返る。
釣られたように視線を向けて……
身体が総毛だった。
そこには私のグレートバグパイプを地面に突き立て、杖がわりに
寄り掛かる陰気な男……森丘管理人がいた。
愛笛のあまりの扱いに、目の奥が熱くなって息が詰まった。
なんて酷い……私を飛竜に変化させただけで飽き足らず……。
それを作るのにどれだけ苦労したと思ってるんだ!
「私の笛に触るなあぁっ!!」
叫んでフィールドに降りたった。
突然の飛竜の襲来に、逃げつ惑いつ狂ったようにねこじゃねこじゃを踊るアイルー達。
【ニャニャニャーッ!?ニャんでリオレイアがいるニャ!】
【さてはおまえトゥーイだニャ!?】
「うるさいっ黙れ!」
私の怒りが火球となって迸しり、焦げたアイルーが三匹、くるくるまわって
地面に潜った。
残った一匹が蔦をよじ登り、管理人の元に駆け寄る。
後を追い、怒鳴りつけた。
「卑怯だぞセバスチャン!降りてこい!」
管理人を呼び捨てにしたけど知ったことじゃない。管理人とアイルーを
殺してモドリ玉を取り返す。
アイルーが耳を塞いで硬直するなか、管理人が何か喚いて笑った。
【……!……!…!…!!…………!】

ぞっとした。
管理人が何を言っているのかわからない……人間の言葉が理解できなくなっている。

いやだ…いやだ!早く人間に戻らなきゃ!
恐怖で半狂乱状態のまま高台に向かって火球を吐いた。
【トゥーイのやつ泣いてるニャ】
【……】
【はあはあ、ニャるほどそれは楽しいですニャ】
アイルーが、大袈裟な身振りで私のアイテムポーチから、掌に
すっぽりおさまるサイズの緑色の玉を取り出した。
372飛竜が減らない本当の理由:2007/12/26(水) 21:12:54 ID:qnX00Oze
【ニャニャーン、モドリ玉】
見せびらかすように掌で弄び、高らかに宣言する。
【今からこれを使うニャ、さぁてトゥーイは高台に乗れるかニャ?】
「やめてえええぇぇえっっっ!!!!!!」
その時だった。
風を切る羽音とともに、茜色の塊が高台目掛けて急降下してきた。
顔が腫れ上がり、耳がボロボロになったイヤンクック。私が狩りそこねた奴だ。
何だってこんな時に縄張りを主張しにきたのか、この馬鹿鳥竜は。
アイルーの掌から地に落ち、風に舞う緑の煙という最悪の未来予想図が
脳内で繰り広げられる中、イヤンクックが予想だにしない言葉を吐いた。
『モドリダマヲヨコセエェッ!オレハジャンボムラニカエルンダア!』
ジャンボ村に帰るんだ……?
なんでイヤンクックの叫びに聞き覚えのある単語が含まれている…。
今は遠い、辺鄙な村での会話がフラッシュバックする。
私が村にやってくる直前に森丘で失踪したハンター。
ジャンボ村に妻を置いて。

まさかこのイヤンクック……私が狩ろうとしていたのは……村の仲間?

気が狂いそうだった。
……ハンターが飛竜に変えられた人間を狩る……一体このフィールドの
生態系はどうなっているんだ!
「ハンターを竜に変えて狩猟させていることをギルドは知っているのか!」
こんな悪魔のような所業、許される事じゃない。
【知りたきゃスーレイに聞けニャ】
意外な名前に心臓をわしづかみにされたようなショックを覚えた。
なんでアイルーの口からスーレイの名前が。
【っと、コイツがほしいならくれてやるニャ】
イヤンクックの急襲を受けたアイルーが、モドリ玉を遠くに放る。
草むらに転げ落ち、煙を噴き出す緑の玉。
『アッアッアアアアアーーーーーーッッ』
イヤンクックがひょこひょこと煙の中に飛び込んでいく。
後を追う私。そうだ、早く!早く煙を!煙を吸わなきゃ……!
373飛竜が減らない本当の理由:2007/12/26(水) 21:16:22 ID:qnX00Oze
イヤンクックの脇に並んで、出来るだけ密度の濃いところに鼻先を
突っ込み深く肺の奥深くまで染み渡るよう煙を吸い込んだ。

目を閉じて…3、2、1!

手を目の前にかざして瞼を開く。
……何も変わっていない。そこには深緑の、豹紋の入った翼。
戻れなかった…人間に戻れなかった……。
涙で滲む視界の端で、高台の上で緑色の煙が立ち上るのが見えた。
【………!】
【ではさらばニャ〜】
『イッアアアアァァァァァァアアアアア』
私の隣でイヤンクックが奇声をあげて息絶えた。
巨大な嘴からずたずたに裂けた内臓を吐き散らして。



どのくらい時間が経ったのだろう。
『……モドリ玉で人間になるなんて、ただの言い伝えだ』
背後でスーレイの声がした。
振り返れなかった。
あまりにも哀しい声だったから。
「アンタ知ってたのか……」
モドリ玉に効果なんかない事を。
そして気付く。

何故スーレイがそんな事を知っている?
飛竜がハンターのアイテム等知る由がないのに。
妙に人間に精通した言動。
先刻のアイルーの言葉。
イヤンクックの姿で息絶えた村の仲間。
答えはただ一つ。

……スーレイもただのリオレウスではない。

聞きたくなかった。
聞いたらどうにかなりそうで。
なのに私は彼を問い詰め、スーレイは聞きたくない、そして
語りたくないであろう話を語り始めた。
黙ってて済まない、許してほしい、と前置きして。
『セバスチャンとオレは、共にギルドで働く仲間だった……』



まだ狩人の拠点がココット村だけだった頃から生態学的見地における
厄介な問題が既に持ち上がっていた。
「あの頃から、実は深刻な問題になっていたんだ。飛竜の数が
少なくなっている事は。たけどギルドは山の奥地や無人島まで
出向いて飛竜を捕獲したり、卵を孵化させて飼育した物を放すなど
してなんとか凌いでいた」
しかしそれだって限度がある。そうこうしている間にジャンボ村を
拠点に新しい狩場を作る計画が持ち上がった。
374飛竜が減らない本当の理由:2007/12/26(水) 21:18:51 ID:qnX00Oze
「あの近辺には古龍と呼ばれる不思議な生命体がいる、という話でね、
狩りの新しい目玉になる、とギルドは乗り気だった。当然オレは
調査員として反対した、安定した飛竜の供給だって覚束ないのに、
この上古龍まで育成しろ、なんて言われたら文字通りお手上げだ。
そんならお前何かいい案を出せ、と上に言われて……禁断の秘術に手を出した」
「それが…あの携帯食料か」
「元々はファンゴやランポスに与えるつもりだった。あいつらは
繁殖力旺盛だから、多少間引いて飛竜に変化させても問題はないからね」
問題はギルド内にあった。
試作品ができたその夜、森丘管理人セバスチャンが「いっそハンターに
服用させてしまえ」とスーレイを唆しにきたのだ。
自分がイヤンクックでくじけた恨みつらみを、前途あるハンター
全てにぶちまけたくて。
「ハンターは減る、飛竜は増える、いい事尽くしじゃないか、スーレイ」
「馬鹿をいうな、ハンターにだって家族がいる」
「天涯孤独のものを選べばいいではないか」
「勝手に人の未来を摘み取っていいわけないだろう、目を覚ませ、セバスチャン」
話にならない、帰ってくれ、そう言い放つスーレイを殴り倒すと、
セバスチャンは試作品の携帯食料を手にとった……。
375飛竜が減らない本当の理由:2007/12/26(水) 21:28:06 ID:qnX00Oze
「後は推して知るべし、だ。薬草とキノコを一気食いしたり、
ハンターからモドリ玉を強奪したり、人間に戻れる可能性がありそうな
事はなんでもやった」
そうこうしている間に、クックが、ゲリョスが、フルフルが、
ガノトトスがモノ、ディアがバサル、グラビがフィールドに戻って来た。
「愕然とした。みんな、飛竜に変えられたハンターだったんだ」
どう言いくるめたのかは想像の域を出ないが、とにかくギルドは
セバスチャンの意見を採用し、需要と供給の帳尻を合わせることに成功した。
モドリ玉を求めてハンターを襲う元ハンターの地獄絵図。
「ギルドの手の及ばない未開の地で、野性の飛竜が繁殖していれば……
そう思ってほうぼう探し回った……でも誰もいなかった」
戦いをやめるよう説得しようにも、いつハンターの手にかかって
命を落とすか分からない恐怖に錯乱した元ハンターが、リオレウスの
言葉に耳を傾けるはずもなく、まして「人に戻る方法はない」などと
言えるはずもなく。
「この厄災を招いたのはオレだ、いっそ死んでしまいたくて、
死に場所をもとめてさまよって……トゥーイに出会った」
その先は言わなくてもわかった気がした。
自分が、雌と交配して飛竜が増えればこの狂気の連鎖も止まる。

酷い男だ……殺させるために子を成せ、とは。
アンタも充分狂ってるよ、スーレイ。
レウスレイアだけが増えても問題の解決にはならないだろうに。
でも……私もこの狂気に既に片足突っ込んでいるのかも知れない。
狩るものから狩られるものに変貌した原由。
自分勝手な理屈で人を犯した獣。
断る理由ならいくらでもあるのに、理性を押しのけ、疼く本能に
任せて申し出を受けようとしているのだから。
「許してくれるか…?トゥーイ」
「許すわけないだろう、一生傍にいて責任とらせてやる」
そうっと、紅蓮の首筋に鼻面を擦り寄せた。



376黒グラビ君:2007/12/26(水) 21:40:48 ID:kLsSi8Lz
涙が止まりません。飛竜が減らない本当の理由の人GJ!。
だいぶ遅れましたこんどこそクリスマスヴァージョンです。
これより作戦に移る。
ではスタート。
377名無しさん@ピンキー:2007/12/26(水) 22:02:48 ID:dIzpCkeQ
続けてご馳走が並んで、マジでおなか一杯だぜ
378黒グラビ君:2007/12/26(水) 22:07:59 ID:kLsSi8Lz
ボクは何故人間になったのだろう?、寝ている間中ずっとそれを考えていた。
ボクはもう気づいていた、
目を開けて体を起こしてカーテンを開いたらすでに町中祭り?みたいに集まっている。
「う〜、あれもう起きたの?随分早起きだね。」彼女が起きたどうやら寝坊したようだ。
「あの、今日は何月何日ですか?。」すると彼女は優しくこういった。
「今日は12月24日、クリスマスイヴだよ。」ボクは幼い頃12月24日に人間達が何をするか分かんなかった。
「えっ!、そうなんですか!?ボクは何をするか分かりませんでしたよ。」
「あれ、元モンスターにはわからなかったの?残念。」なんでそのコメントですか、分かりません。
「え〜と、簡単にいえばプレゼントが届く日なんだよ。」ボクあ然した。
「あっ、自己紹介まだだったね、私はパール、パール・ジャッジだよ君の名前は?。」
「名前?。」ボクに名前は無い簡単に言えば名無しだ。
「う〜ん、名前が無いのかじゃあつけてあ・げ・る♪。」なんかキモい。
「ラビ・サイフォスってのはどう、あっついでに私の事は姫様って呼んでね。」何で?。
「はいはい分かりました、姫様!。」逆らわない方が身のためだ。
「よく出来ました♪、ちょっとまっててね♪。」そういうと姫様は買い物に行くからねっといって町にいった。
(はあ、先が思いやられる・・・。)
379名無しさん@ピンキー:2007/12/26(水) 22:45:41 ID:NWS+tTM7
いつの間にやら大漁投下が

ノトス可愛いよノトス。
無闇に竜を狩れなくなったぜ……
とりあえずsageよ。
380黒グラビ君インクリスマスヴァージョン:2007/12/26(水) 22:49:24 ID:kLsSi8Lz
ー1時間後ー「ただいま、服買って来たよ。」何の服ですか?。
「ジャジャーン、サンタクロースの服〜♪。」サンタクロース?。
「覗いちゃダメだよ、ラビ君。」覗きませんよ、バカじゃありませんし。
ー十分後ー 「ジャーン、どうこのカッコ〜♪。」姫様可愛い!。
「に、似合ってますよ、ええ本当に。」マジがいなく可愛い〜。
「じゃ、キスするね♪。」えええええええええええええ!!!???。
チュッ「ふふっ、顔赤くなっちゃって可愛い〜♪。」恥ずかしさ度100%。
「姫様・・・恥ずかしいですよ・・・。」恥ずかしさ度140%。
「ってああああああああああああああああ!!??しまったああああ、ツリーに飾る物付けなきゃ!!!。」
「クリスマスツリーの事ですか?。」流石に長い間沼地に暮らしているとあるものもすぐ分かる。
「そそっ、それを飾るの手伝って!ここにあるから。」はいはい分かりました。
ー1時間後ー「あっー、疲れた〜。」姫様ダウンするの早っ!。
「さ、流石にお腹減ってきましたよ。」あの空腹何回やっても避けれない、ランナーのスキルもやって見たけど全然避けれない、スタミナマックスにして行くけど時間がたっちゃ意味が無い、だから次は絶対避けるためボクはシェフのスペシャルコースは最後までとっておくぅ〜。
「ふふっ、じゃあ作るから待っててね♪。」音符付けすぎ・・・。
ー1時間後ー「ジャーン出来たよ〜、パール様のオーロラカレー♪。」美味しそうな名前きたああああああああ!!!。
「いただきまーす。」パクッ「美味しいです〜姫様〜。」めちゃ美味しい〜思わず口の中がパラダイスだあ♪。
「じゃんじゃん食べてね、おかわりあるからね〜。」まじですか!?。
ー20分後ー「ご馳走様でした。」めちゃくちゃ美味しかったアリガトウございます。
「あっもうこの時間だ。」何の時間ですか?「テレビアニメハンターマスターダレンが始まる時間だ♪。」タイトルださっ!。
381名無しさん@ピンキー:2007/12/27(木) 00:33:02 ID:iEJgVe9P
>飛竜が減らない〜の人
このスレでガチ竜姦書くって宣言してた人か?
強引な設定だが面白かった。
竜の個体数が減ったら減ったで、別な商売考えろよと思うがw
24時間ルールは、非常事態だから仕方ないだろ…
GJ!
382名無しさん@ピンキー:2007/12/27(木) 02:14:10 ID:A3xRONbi
珍味の人、GJ! 相変わらずノトスくんのお話は癒されまする。

飛竜が減らない〜の人も乙彼です。予想どおり哀しい狂気に満ちた結末でしたが、一抹の救いも感じられたので、改めてGJを贈らせていただきます。

おふたりに触発されてSS投下! と言っても未だ前編部分でエロなしですが……。
本編その他と多少雰囲気違いますし、相変わらず独自解釈ですが、それでもOKな方はご覧ください。
383『ランゴスタ奥様劇場』IF4 (前篇):2007/12/27(木) 02:18:36 ID:A3xRONbi
『君は天使じゃない -I say, I love you forever-』
 〜『ランゴスタ奥様劇場』IF4〜 (前篇)


――階段から降りて来る 君は天使じゃないさ……


 ディアブロス2頭狩りの依頼で、ちょっとしたミスから片目を失ったカシムは、多少思うところがあって、ハンター稼業を引退することを決めた。
 もっとも、20代半ばの若い身空で無為徒食の身となる気はない。まがりなりにも上位に手をかけたハンターのはしくれとして、節約すれば10年は夫婦ふたりで食べていけるだけの貯えはあったが……ニートになるには、彼はあまりに活動的過ぎた。
 幸い、彼の妻キダフも腕利きのハンターであったため、金銭的に困ることはそうそうなかろう。今後の展望としては半ばボランティアに近い新米ハンター専門の"実地ガイド"でもやってみるか……と気楽に考えていたのだが。
 そのキダフまでが引退を宣言したため、蜂蜜菓子よりも甘いカシムの見通しはいきなり狂うことになった。予定していた"ガイド"を、より金のとれそうな"情報屋"に転向することにしたのだ。
 その情報屋稼業がどうなったかについては……ここでは言及すまい。興味がある方は、『ランゴスタ奥様劇場』その13あたりを読み返して頂きたい。
 収入、世間的評価、その他諸々の理由から、肩身が狭くなった(実は、これは彼の誤解。キダフは別段、夫のことを厄介者だとか穀潰しだとかは思ってはいない……はず)カシムは、せめてもと思って家事―主に力作業関連を積極的に手伝うようになった。

 「うぉーい、もういいのか、キダフ?」

 「いい」

 今日も、市場での食料品その他の買い出しに付き合って荷物持ちを勤めている。
 初めてこの夫婦を見た者は、ほぼ例外なく、好奇心を刺激されてまじまじと見比べてしまうことだろう。
 片や、2メートル近い長身と、ボサボサの赤毛、さらに海賊まがいの眼帯が目立つ強面の男。彼が夜盗の親分だと名乗っても、10人に7人くらいはアッサリ信じるだろう。
 そして、片や20歳前……見ようによっては10代半ばくらいにも見える小柄な美少女。褐色の肌はこの辺りでは珍しいが、彼女に白い肌とはまた違った健康的な野生美を与えている。反面、彼女の印象自体は「物静かで内気な文学少女」といった風体でもある。
(実際、彼女は無口であり、かつ濫読に近いほどの本好きでもあったから、あながち誤った見解でもないが)
 もっとも、ふたりの夫婦仲は極めて良好だ。彼らの友人である夫妻が、夫が行動指針を決めて妻が全力でサポートする、夫唱婦随の古風なスタイルのカップルであるのに比べると、このふたりの場合はむしろ夫婦漫才の相方同士という方がピッタリかもしれないが。
 友人どうしである夫達ふたりがバカをやっても、ランは全力でフォローし、キダフは全力でツッコみ、場合によっては折檻する……と言えばわかりやすいだろうか?

 と、そんな物思いにフケっていたカシムは、傍らから消えた妻がとある店先―行商人の露店らしきところで立ち止まっていることに気づいた。

 「どーした、キダフ。何か欲しいモノでも……」

 「……」

 大急ぎで歩み寄った夫の言葉にも気づかない風でキダフが見つめているものは、古ぼけた小さな人形だった。

 「これは……」

 妻の視線の先を辿り、彼女の興味の対象を認識した時、カシムの口からも言葉が途切れる。
 そう、彼もまた、その人形について見知っていたからだ。

 *  *  *
384『ランゴスタ奥様劇場』IF4 (前篇)2:2007/12/27(木) 02:31:56 ID:A3xRONbi
――初めて会った時のことを憶えているかい? まるで君は迷い込んだ雨の日のパピヨン


 大空に龍や竜が舞い、大地を大小さまざまなモンスターたちが我が物顔に闊歩するこの世界において、まず人々が思い浮かべる花形職業と言えば"ハンター"だ。
 小はモスやケルビから、大はラオシャンロンあるいはシェンガオレンまで、様々なモンスターたちの体から取れる多彩な素材は、人々の生活を支える重要な基盤であったし、人里近くに棲む飛竜などは、人々の身を危険に晒すことも多かったからだ。
 また、"ハンター"が(ギルドに所属してはいるものの)あくまで民間有志による狩人であるのに対し、国が組織した"軍隊"、そしてその中で上位に位置する"騎士"や"将軍"と言うのも、相応のステータスを有している。
 身軽に動けないため、軍隊はモンスター相手には遅れを取ることも多かったが、それとは別に他国との国境を守ると言う役目も担う。この世界で大きな戦乱が絶えて久しいが、人間(竜人や獣人も含めて)が築く社会である以上、完全に争いが無いわけでもない。
 国境際でのちょっとした小競り合い、あるいは山賊の討伐など、対人集団戦闘のスペシャリストとしての意味合いも、軍隊は有しているのだ。

 ……そして、これら言わば"表"の組織や団体とは別に、隠然とした勢力を有している集団も存在していた。スカして言うならば情報部あるいは諜報部と呼ばれる機関を、規模の差こそあれ各国とも秘密裏に有している。
 軽薄な呼び方を用いるならば"スパイと暗殺者の巣窟"とも言えるこれらは、その職務内容上、しばしば人道や倫理を無視した活動を行っている。
 また、その職務上、必然的に軍の上層部とは太いパイプを持ち、厄介なことにハンターズギルドや古龍観測所の研究機関とも、ある程度のつながりを持っているのだ。

 のっけから重苦しい話になって申し訳ない。
 オレことカシム・ボグウェルが、いま、こんな場所で苦労を強いられている理由をつらつら思い返していたところで、どうやら脱線してしまったらしい。
 昔の上司の限りなく脅迫に近い呼び出しに応じて、現在居住している村から、砂漠ひとつ挟んだ隣国(じつはオレの故郷)にまでえっちらおっちら来てみれば、ロクに説明もなしにこんな吹雪の山の中に行けと命じられたのだから、愚痴のひとつも出て来ようと言うものだ。
 その上司(昔部下だったときよりさらに2階級ほど出世していた)によれば、今回オレが押しつけられた"仕事"の依頼主と相棒が、この先にいるらしいが……待ち合わせ場所くらいは、もう少し考えて欲しいところだ。

 などと愚痴を言ってる間に、何やら建物が見えて来たぞ。
 外観はハンターの狩り場のひとつである"古塔"をふた回りほど小さくしたような作りだが、壁面の風化具合から見て、それほど古いものでもない。と言って新しくもないが……せいぜいここ100年くらいのあいだに建てられた代物だろうか。
 入り口の石扉は閉まっていたが、その前にサンドベージュのフード付き外套をまとった小柄な人影が待機していた。

「よぅ、ここがピクニックの集合場所でいいのかい?」

 「――ボグウェル准尉か?」

 オレが、ふと返答に詰まったのは、自分でもほとんど忘れていた軍での階級で呼ばれたからじゃない。フードの陰からオレを見上げる顔と誰何する声が、思いがけないほど若い(と言うよりほとんど幼い)少女のものだったからだ。

 「准尉ではないのか? ならば、ここは私有地だ。立ち去れ」

「……"元"准尉だ。それにオレはとっくに軍籍を離れている」

 「貴殿がカシム・ボグウェル本人なら問題はない。こちらへ」

 何か仕掛けでもあったのか、女の細腕で大きな石壁でできた扉はスルスルと開き、女自身はさっさと中へ入って行った。

 (やれやれ、可愛い顔して愛想のないこった……)

 溜め息をつきながら、オレは彼女のあとに続いた。

 やはり古塔の中を思わせる建物内部の構造に気を取られながら進んだ先には、初老(といっても竜人の年齢は判別しにくいのだが)とおぼしき、痩身の竜人男性が待ちうけていた。おそらくは彼が依頼者なのだろう。
 男は、この"第七十二研究所"の所長だと名乗り、予想通りの無理難題をオレにフッかけてきやがった。学者らしく、やたらと説明や蘊蓄がクドかったが、話を要約するとこうだ。
385『ランゴスタ奥様劇場』IF4 (前篇)3:2007/12/27(木) 02:35:10 ID:A3xRONbi
 この研究所は、軍とギルドの共通出資で建設された施設であり、飛竜たちの力の利用について、いろいろな角度から研究を進めていたらしい。
 「これは極秘事項なのだが」と前置きした上で所長が語ったところによると、そのひとつとして、モンスターの体組織の一部を人が取り込むことで、爆発的な力を得るという手法が考え出されたようだ。
 無論、一朝一夕で実現するほど簡単な研究でもないが、この研究所が設立されて1世紀近く経ち、ようやくその目処が立ちつつあるのだそうな。
 ところが、その実験体(イヤな言葉だ)のうちの1体が逃げ出したため、それを捕まえ、どうしても無理なら殺害して欲しい……と言うのが、依頼の内容らしい。
 国家と言うものの暗部のキタナさについては軍を辞めた時に痛感しているので、いまさら幻滅する気はない。こまで事情を明かしたのも「断われば消すぞ」と言う脅しの意味もあるのだろう。
 ケッタクソの悪い仕事だが、その逃げた実験体とやらは人間を恨んでいるらしく、人里に降りれば被害が出る可能性もある、と言われては断わりづらい。

 (なるほど。それで、元軍人で、ハンターとしても一定の腕前を持つオレが呼ばれたわけか……)

 対人・対竜両方のエキスパートで、口が固く、少なからずお人好し。その割に、秘密に目をつぶる程度の融通は利く……といった条件で、適材を絞り込んだのだろう。

「いいだろう。それで、その実験体とやらは、どんな力を持ってるんだ?」

 オレはとりあえず人としての良心は一時棚上げし、"周辺に害をもたらすモンスター"の退治だと割り切ることにした。
 所長の話によれば、逃げた実験体の名称は"エセル"。古龍の中でもいささか特殊な存在であるキリンの角を移植された女性らしい。キリンの能力である放電落雷現象を操れるほか、敏捷性や跳躍力、耐久力といった面でも驚異的な身体能力を有するとか。
 「人型をしたキリンと思ってもらって間違いない」と告げる所長は、どこか誇らしげだった。
 大方、自分の生み出した"作品"の優秀さに酔っているのだろう。正直、吐き気がしたが、何とか無言で耐えた。

「で、知性や知識に関しては?」

 念のため口にした質問への答えはサイアクだった。
 いわく、知能や知識は普通の人間と同等程度にある。言葉も話せる。さらに、研究所から脱走する際、キリン素材の防具と片手剣を持ち出しているらしい。
 帯電した人間が、雷属性の武器を手にした時、どれだけの威力を発揮するのだろうか。
 正直、このまま尻尾を巻いて国外逃亡したい気分でいっぱいだったが、ここで逃げても行き先を知られている以上、何らかの制裁があるだろう。
 できる限りの準備を整えてから、そいつを追おうとしたところで、所長から奇妙な提案をされた。

 「道案内には、この子を連れて行くといい。こう見えてこの子も数少ない実験体の成功例だから、足手まといにはならないはずだ」

 無論、"この子"とは、研究所の前で出会った少女のことだ。
 そう言われ、改めて見直してみて初めて、オレは少女の下半身に人にはありうべからざるモノが備わっていることに気づいた。
 黒褐色に近い毛皮に覆われた細い尻尾が、臀部から垂れ下がっていたのだ。

 「この子にはラージャンの尾を移植してある。見かけに反して、屈強な成人男性を遥かに上回るパワーとスタミナを持っているぞ。いくつかの武器の扱い方も教えてあるから、戦いになっても役立つだろう」

 ラージャン……って、確か"金獅子"とも呼ばれる牙獣種の王だぞ!? HR3のオレも、いまだお目にかかったことのない強敵中の強敵だ。
 その力が、こんな小さなコに宿っているって言うのか……?

 「――何?」

 オレの探るような視線があまりにあからさまだったのだろう。少女は無機質な目でオレを見返してきた。

「あ、いや、スマン。名前を聞いてもいいか?」

 「――"キダフ"と呼ばれている」

<後編につづく>
以上で前編終了。Hシーンは後編ラスト付近になると思います。
後編を投下させて頂いたら、当分(少なくとも1カ月)はSS書き込みは停止させていただきますので、私がお嫌いな方もあと1回ばかりスルーしてやってください。
386名無しさん@ピンキー:2007/12/27(木) 04:13:52 ID:GZVhVuU5
モンハンのエロ絵描いてるので有名な人がいるはず
だれだっけ
387名無しさん@ピンキー:2007/12/27(木) 12:10:25 ID:/E/jbnLt
絵板とか行って見れば分かるんだが・・・・
388名無しさん@ピンキー:2007/12/27(木) 15:22:48 ID:SxRT6hVG
>>368 「飛竜が減らない理由」の人
確かにやや強引設定ではあるけどw
「もうモンスターが一匹もいないモンハン世界」というのがなんとも黙示録的というか、
薄ら寒い感じ(褒め言葉)で非常にインパクトあった。
実際、「そのうちモンスター絶滅するんじゃないのか?」てのは
プレイしてて少なからぬ人が自然に考える事だと思うんだよな

惜しむらくは、もっと長編でじっくり読みたかったと思うくらい
竜状態の二人の関係に萌えた。こういうのもすごくいいもんだな。
何はともあれGJ!
389黒グラビ君インクリスマスヴァージョン:2007/12/27(木) 15:23:08 ID:qvFjuDY4
クイーンの人GJ!、ってちょっとまってえええええええええええい!!。
ボクの方にはコメント無しかい!(:−:)メッチャ悲しいよ。
ノトスの人GJ!癒されます!。
おまいCОNGA おまいCОNGA おまいCОNGA
おまいCОNGA おまいCОNGA おまいCОNGA すいません、コイツ何きくの?。
次回はハンターマスターダレンの回なので明日か明後日に降下します。
では、バイバーイ。
390名無しさん@ピンキー:2007/12/27(木) 16:02:52 ID:o53lnVAd
>>389
SS投稿スレとはそういうものだ。
コメントがあるかないかは自身の腕と運次第。コメントがなかったなら次に頑張ればいい。

というかコメント催促するのはマイナスの印象になるぞ?
スレに投稿するSS書きの基本的なタブーは

・コメントを書けと催促する(もしくはそういう風な発言をする)
・挿絵(もしくはキャラのイメージイラスト)を欲しがる(自身のSSに限るが)
・誘い受け(定義がわからないので説明は控える)

などなど。多分他にもあると思う。
391名無しさん@ピンキー:2007/12/27(木) 16:23:51 ID:/E/jbnLt
>>389
冬休みの宿題は終わったかい?
392名無しさん@ピンキー:2007/12/27(木) 16:27:07 ID:ZWiCsk+z
>>389
おまえ寒いよ。もう来んな。
393名無しさん@ピンキー:2007/12/27(木) 16:37:35 ID:0i/sd4dW
初めてここ来たが、結構殺伐としてるんだな。
俺はSS投稿してくれるだけでありがたいと思うんだけどなあ。否ならスルーすれば良いだけだし。
とりあえず過去ログ読んでくるか・・・
394黒グラビ君インクリスマスヴァージョン:2007/12/27(木) 18:50:44 ID:qvFjuDY4
≫392 貴様っー!、何勘違いしているんDA!、まだ俺のバトルフェイズは
終了していないZE!。速攻魔法発動!バーサーカーグラビーム!。
≫390 ご親切にありがとうございます!。
またきたらめっちゃ頑張ります。
ただいま合唱中。
ではまたこんど、御免!。
395名無しさん@ピンキー:2007/12/27(木) 19:17:44 ID:f6XHwdag
>>394
むしろ俺のケツの中でションベンしろ
396名無しさん@ピンキー:2007/12/27(木) 19:33:02 ID:8WFrhbmg
最近俺が思うこと
このスレもう潰れたほうがいいんじゃね?
397名無しさん@ピンキー:2007/12/27(木) 20:16:22 ID:/E/jbnLt
>>394
何でそんなに空気読めないの?わざとやってんだよね?絶対君中学生だよね?
お前の作品は文が乱雑で汚いから読みにくいことこの上ないし、しかも内容も貧弱。
それなのになんで「コメントが付いて当然」みたいな思い違い起こしてる訳?しかも作者コメントも意味不明なノリ。
他の作者の文見て文の勉強して、スレの空気読んだ発言を心がけてくれない?
398名無しさん@ピンキー:2007/12/27(木) 20:20:32 ID:Zz6Qw9Fh
数ヶ月ぶりに来てみたら以前より酷くなってるなw
399名無しさん@ピンキー:2007/12/27(木) 20:28:45 ID:LV4njtoN
>>394
巣に帰れ。
【イラスト】モンスターハンター総合2【SS】
http://game13.2ch.net/test/read.cgi/pokechara/1198083425/
400名無しさん@ピンキー:2007/12/27(木) 21:14:01 ID:2x++lY86
>>394
見てて恥ずかしい
氏ね
401名無しさん@ピンキー:2007/12/27(木) 22:49:20 ID:t/8bD4iE
珍味の人、Gjでした
あと少しで終わってしまうのが残念です

理由の人、私、竜×竜はだめなのですが、
エロ要素を除いても、非常に面白いSSでした
402『クイーン』の人:2007/12/28(金) 02:28:01 ID:zMbI4YAa
後編部分書き上げたので、最後の投下します。素直に3分割しとけばいい長さ。
エロも薄めですが、気にならない方のみ、ご賞味ください。

『君は天使じゃない -I say, I love you forever-』
 〜『ランゴスタ奥様劇場』IF4〜 (後編)


 元より厄介な仕事であることはわかっていた。だが……。

「どういうことなんだ、これは!?」

 吹雪によってほんの数歩先も見えない白銀の世界の中で、オレは、冷たくなっていく少女の身体を前に絶叫することしかできなかった。

 *  *  *
403ランゴスタ奥様劇場』IF4〜 (後編)2:2007/12/28(金) 02:28:47 ID:zMbI4YAa
 所長に言われたとおり、確かにキダフと名乗った少女は常人離れした運動能力を持っていた。
 ランスやガンランス、あるいは大剣といった最重量級の武器を日ごろから振り回しているオレが、試しにしかけた腕相撲で10戦して10回とも勝てず(しかもほぼ瞬殺だった)、素手での簡単な模擬戦―互いの頭に巻いた鉢巻を奪う―も、3勝5敗といったていたらく。
 最初に会った時、大きな石扉を開けたのも、別に仕掛けがあったわけじゃない。彼女が力任せに押し動かしただけなのだ。
 唯一武器―双剣を操る技術は教科書どおりでやや拙い面もあるが、それでもそれなりにはこなれている。第一、これだけの速さと腕力があれば、それだけで大概の人やモンスターには通用するだろう。
 その一方、残念ながらラージャンが持つ光のブレスは使えないらしい。バインドボイスの方は、やや範囲が狭いながら使えないこともないらしいが、今回の相手には通用しないだろうとのこと。

 半日ほどの訓練で、ひととおり相手の技量その他が飲み込めたので、回復薬類やホットドリンク、シビレ罠や捕獲用麻酔玉といったアイテムを整えたうえで、いよいよそのエセルとやらの"討伐"に出かけることにする。

「ん? 何だ、そりゃ、キダフ?」

 これから出発する旨を、キダフの部屋(といっても簡素なベッドと、同じくらいの広さの床しかない、お粗末極まりないものだが)に知らせに行くと、彼女はベッドの上に女の子座りして、1体の人形らしきものをいじっていた。

 「――人形」

 ……訂正する。「らしき」ではなく、人形そのものだったらしい。

「いや、それは大体わかるんだが……」

 「――とても、大切なもの」

 そう告げた彼女の顔は、一瞬だけいつもの無表情ではなく、やさしい翳りを浮かべていたように感じられた。
 丁寧な手つきでベッド下に付属したチェストボックスに、掌にややあまるほどの大きさの人形を納めるキダフ。よくはわからなかったが、銀に近い白い髪であることを除くと、どことなくキダフ自身を彷彿とさせる形状のように見えた。

 「―出発か?」

「あ、ああ。吹雪が小康状態になったからな。打って出るなら今だ」

 本来なら完全に止んでからほうが望ましいが、生憎この仕事は期限が短い。それに、相手が相応に知恵が回る存在である以上、晴れてからだと向こうも警戒を強めている公算が高い。

 「――そう」

 頷くと、いきなり簡素なワンピース(と言うより貫頭衣)を脱ぎ出した。健康的な褐色のほのかな膨らみが目に入ったため、慌ててオレは背中を向けた。

「ば、バカ。着替えるならそう言えって」

 「? なぜ? 仕事に出かける以上、着替えは当然だ」

「いや、そりゃそーだが……一応、オレも健全な男なんでな」

 「?? 健全な男は、こんな未成熟な肢体に発情しない」

 アウチッ! 一本取られました、キダフさん。先程から胸を高鳴らせつつ、その未成熟な少女の着替えをチラ見してるオレは、健全じゃないってことですね。
 ……フッ、そーさ。どーせオレはロリコン気味さ!
 ただ、言わせてもらえば、ロリコン"気味"であって真性ではない……と思う。
 目の前の"少女"に女を感じているのだって、12、3歳にしか見えない少女が実は18歳だと知ってからだし……。

 そんな悶々としたオレの心情をよそに、手早くキダフは準備を終える。
 防具はゲリョスSの剣士装備で、得物はガノカットラス改か。雷への耐性が高いうえに、ランナーのスキルを発動できるから、双剣使いとしては悪くない判断だな。
 オレの方は、武器に愛用のクリムゾンブロスを使い、防具の方は用意してもらったフルフルSを拝借することにする。そのうえで、珠を使って気絶倍加のマイナススキルを消し、広域化も発動させておいた。

 「エセルは、この地図で言うところの7番か8番の領域に潜伏していると思われる。何とか捕まえてやってくれ」

 所長自らの見送りと激励を受けて、オレ達は七十二番研究所をあとにした。
 どことなく物言いたげな所長の表情が、なぜかオレの記憶に残る。その直感を信じておくべきだったと気づいたのは、手遅れになってからのことだった。

 *  *  *
404ランゴスタ奥様劇場』IF4〜 (後編)3:2007/12/28(金) 02:30:19 ID:zMbI4YAa
 研究所の裏手に広がる荒野の所長が指示したエリアで、拍子抜けするほど呆気なく、エセルの姿は見つかった。
 白を基調としたキリン装備を身にまとい、紫電改を手に断崖に立ち尽くす、年端もいかない有角の少女。

「あ、あれがエセル……か?」

 髪がキリンを彷彿とさせる白銀色で、肌もその髪に負けぬほど白いと言う点を除けば、その容貌は、オレの傍らにいるキダフとそっくりだった。

 「……そうよ。わたしはエセル。キダフのひとつ上の姉」

 この距離からでも、オレの呟きが聞こえたと言うのか、キダフと似た白銀の少女は艶やかな微笑みを見せた。

 「やっぱり、あなたが来たのね、キダフ」

 少女の瞳には、歓喜と興奮と……そしてよくわからない感情が浮かんでいる。強いて言うとしたら、"憐れみ"か?

 「―エセル。研究所に戻って。お願い!」

 驚いたことに、キダフの言葉にもまぎれもなく確かな感情が感じられた。恐れ、哀しみ、怒り……そして懇願。

 「イヤよ。わたしは、この時をもうずっと前から待ちわびていたんですもの」

 だが、キダフの必死の言葉はエセルには届かない。

「待っていたとは……何をやらかすつもりなのかな、お嬢さん?」

 意図的に軽口を叩くような口ぶりで、オレは彼女に聞いてみた。

 「……あなたは?」

「カシム・ボグウェル。軍人崩れのしがないハンターさ。今回、お嬢さんを連れ戻す依頼を受けている。フェミニストなオレとしては、レディに手を上げるのは本意じゃないんで、大人しくしてもらえると助かるんだが」

 「そう……あなたが…………」

 何やら隔意ありげに微笑んだのち、エセルはサッと右手を上げた。

 「生憎だけど、わたしにはやらなければいけないことがあるの。連れ戻したければ……殺す気で来なさい!」

 言葉が終わるとともに、数条の稲妻が雷鳴とともにオレたちの"いた"辺りを襲う。
 もっとも、どことなくイヤな予感がしていたオレは、キダフを抱えてからくもその場所を逃げ出していたので、実害はなかったのだが。
 そのまま、隣りのエリアまでいったん撤退する。

 「マズったな。ヘタに声かけるんじゃなかった」

 物言わぬ獣を狩ることは―技術面はともかく―心理的にはたやすい。
 あるいは、相手が人であっても、無言のまま、あるいは意味のない怒声や罵声しか投げて来ないのなら割り切って戦うことも、兵士だったオレにはできる。
 しかし、ある程度親しげに会話を交わし、一端とは言えその"心"に触れてしまった相手と"殺す"つもりで戦うと言うのは、なかなか心理的にキツい。
 実の姉妹とやり合うことになったキダフも同じだろう……と傍らを見れば、彼女は黙々と片手剣を抜き放ち、腰のポーチから鬼人薬とおぼしき薬を取り出して口にしている。

「お、オイ、いいのかよ? 姉さんと戦うことになっても……」

 「――それが命令。第一指令である"言葉による説得"が無意味だった以上、ほかに手はない」

 キダフは、初めて正面からオレの目を覗き込んできた。
405ランゴスタ奥様劇場』IF4〜 (後編)4:2007/12/28(金) 02:32:03 ID:zMbI4YAa
 「貴殿は軍人としてもハンターとしても優秀だと聞き及んでいる。どうか、エセル捕獲に全力を尽くして欲しい」

 そうか……見た目ほど、こいつだって平気なわけじゃないんだ。たとえ傷つけてでも、捕獲とできれば、次善の結果とは言えるだろう。そう悟ったオレも、腹をくくることにした。
 実のところ、オレが得意とするランス&ガンランスは、キリンのようなす速い相手にあまり向いているとは言い難い。エセルの動きがキリンに準じるものだとすれば、正直不利なのは否めないだろう。

 (ハンマーか片手剣、あるいはライトボウガンあたりが適任なんだがな〜)

 ともあれ、無いものねだりをしても仕方がない。幸いこちらには同様に驚異的な身体能力を持つキダフもいることだし、適度に痛めつけてから罠にかけて麻酔玉で眠らせればいいだろう。
 しかしながら、その直後、オレは自分の見通しの甘さを教えられることになった。

 "二大怪獣大決戦"
 キダフとエセルの戦いは、そう形容したくなるようなレベルの違う代物だった。
 天地に雷鳴が轟き、咆哮と怒号が飛び交い、目にも止まらぬ速度で剣と剣が交差する。

 こう見えて、オレもランス一本(いや、複数持ってるけど)で、数多の強敵――古強者の騎士や飛竜、古龍に打ち勝ってきた自信はあったのだが……。この"命懸けの姉妹ゲンカ"を前にしては、クシャルダオラの息吹に飛ばされるアイルーより無力だった。

 しかしながら、やはり歳の功故か、人外の能力を操ることに一日の長があったのか、エセルのほうが優勢になっていく。何とか援護をしたいところだが、あのスピードにオレの武器では到底ついていけないのだ。

 (ん? 待てよ……)

 オレは腰のポーチを探り、"それ"を持って来ていることを確かめる。

 (……よし。焦るな。勝機を待つんだ……)

 一瞬たりとも隙を見逃すまいと、オレは武器をしまったままふたりの戦いを見守った。

 *  *  *

 「よくぞ、ここまで食い下がったわね、キダフ。でも、もうおしまい」

 「――まだ、イケる」

 誰から見ても、キダフのその言葉は虚勢としか見えなかったであろう。
 雷に強いラージャンの特性を受け継ぎ、さらにゲリョス装備を着込んだキダフだったが、落雷ではなくエセル自らが振るう紫電改に切り裂かれては、それも無意味だ。
 体に10以上ついた切り傷は、いずれも致命傷でこそなかったが、出血と痛みから彼女の動きを鈍らせ、さらなる傷を増やすだけだ。
 それでも、彼女はまだあきらめていなかった。
 
 「グ……ghaaaaaaaaa!

 裂帛の気合い、いや咆吼とともにキダフの体が黄金色の光に包まれる。
 ラージャンの怒りモードに特有の現象だった。この状態では、筋力も速度も大幅にアップするのだ。その脅威には、歴戦のハンターでさえ裸足で逃げ出す。
 しかし――

 「あなたがそうするのを待っていたわ」

 冷静に呟いたエセルの左手の剣が一閃し、キダフの尻尾を切り落とす。

 AAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA………………………………

 先刻以上の絶叫とともに、キダフが意識を失い、雪原の上に崩れ落ちる。

 「これでよし。あとは……」

 ホッとひと息ついて、戦いのさなかほとんど無視していたオレの方へ向き直るエセル。
 
406ランゴスタ奥様劇場』IF4〜 (後編)5:2007/12/28(金) 02:34:45 ID:zMbI4YAa
 そのほんの一瞬の気の緩みを、オレは的確に突いた。

 トス、トス、トスッ……。
「油断大敵っ、てね!」

 注意深く彼女の死角の方から眠り投げナイフを投じたのだ。

 「くっ……そんな……」

 急速に睡魔がエセルの意識を奪って行く。

「妹さんを囮にした形になっちまったが、オレたちの勝ちだな。アンタも随分と消耗してるみたいだし、あとはシビレ罠と麻酔玉でやさしく捕獲してやるよ」

 「ムダよ……」

 ネムリ草の成分で朦朧としながら、薄く笑うエセル。

 「わたしは……キリンの特性を受け継いでいるの……よ。シビレ罠なんて……利くと思う? それに古龍を"捕獲"できたかしら?」

「! よせっ!!」

 「フンッ!!」

 のろのろとした動作ながら、エセルは紫電改を持ち上げ、自らの太ももに突きたてた。その瞳から急速に眠気が去っていくのがわかる。

 「さぁ、第二ラウンドといきましょうか」

 先程までの神速には及ばぬまでも、それでも十分す速い動きで突進してくるエセル。咄嗟にオレはランスを構えて迎え撃った。ガードを固める間もない、ほとんどハンターに染みついた本能のようなものだ。
 一瞬の交錯。そして……。

 「「……………………」」

 次の瞬間、雪上に倒れているのは、エセルの方だった。
 その心臓部分を正確にオレのクリムゾンブロスが貫いたのだ。

 「バカな! なぜ避けなかった?」

 エセルを抱き起こしながら、不条理な言い草だとは思うが、オレはそう叫ばずにはいられなかった。

 「あの子のためよ……」

 口の端から血を溢れさせながら、エセルが語ったところによると、最初からこれは所長と彼女が計画した茶番だったらしい。
 エセルが脱走騒ぎを起こし、その討伐にかこつけてキダフを研究所から逃がす。
 それなら、姉妹ふたりで脱走すればよさそうなものだが、研究員や警備兵などの目があるし、仮に逃げられてもそのままだといつまでも国に追われることとなる。そのために自分が捨て石となり、相打ちすなわち"死んだ"という形を偽装することにしたらしい。
 また、その際、人とは異なる異相の部分を切り落として目立たなくする。そのうえで信頼できる外部の協力者に、彼女を預けたかったのだと言う。

 「オレが、その"信頼に値する人物"だと?」

 「ええ、半分は直感だけど、残りの半分は、最初に会ったときの会話から得た確信」

 ……参った。どーも、オレはまた貧乏くじを引かされちまったようだ。

 「お父様は、本当の娘同然にわたしたちを可愛がってくれたけど……それでも、国からの要請には逆らえなかった」

 なんでも、彼女たちは所長の古い友人の娘で、身寄りがなくなったところを彼に引き取られたらしい。その後、脅迫同然の形で、彼女たちの身柄を実験に供出させられたようだ。
407ランゴスタ奥様劇場』IF4〜 (後編)6:2007/12/28(金) 02:35:25 ID:zMbI4YAa
 (そうか……だから)

 研究所での所長のキダフを見る目が気になっていたのだ。エセルのことを"実験体"と呼ぶわりに、同じ身分であるはずのキダフに対しては、言葉の端々から労りが感じ取れた。

 「そして……悪いことに、この子はとても優秀だった。異相の力を持つ者として……何より暗殺者として」

 ! そういうことか。
 手合わせしたとき、妙にこなれた動きに思えたのも道理。キダフはすでに何度か"実戦"を経験していたのだ。それも、モンスターではなく、人を相手に。

 「"任務"から帰ってくるたび、この子の心が悲鳴をあげていることがわたしにはわかったわ。だから……」

 ケフッ、と喉につまった血を吐き出しつつ、エセルが体を起こし、オレの手を掴む。

 「お願い。あの子をここから連れ出して!」

 ――あなたの元上司さんも、今回の件に一枚噛んでるわ。だから、簡単な偽装で真相はバレないはずよ……。

 そう言い残すと、最期の力を使い果たしたのかエセルはオレの腕の中で動かなくなった。
 ふと見れば、懐から黒い髪の毛をした人形がこぼれ落ちている。おそらく、キダフの姿を象ったものなのだろう。今にして思えば、キダフの部屋にあったのは、エセルの姿を模したものに違いない。

 (畜生! 死人の頼みは断われねーじゃねーか!)

 オレは、人形をエセルの懐に戻して、遺体をそっと雪上に横たえた。
 そして、まだ意識を失っているキダフの体を抱き上げる。いくら所長たちがグルだとはいえ、証拠湮滅は早いにこしたことはない。キダフの尻尾を谷底に放り込み、双剣はその場に残したまま、オレは急いでこの場所を離れた。

 *  *  *

 結局、キダフが意識を取り戻したのは、逃げるように国境を越え、オレのいまの家があるロロパエ村まで、あと数日という位置にある里まで来た時だった。
408ランゴスタ奥様劇場』IF4〜 (後編)7:2007/12/28(金) 02:36:01 ID:zMbI4YAa
 安宿で借りた狭い部屋のベッドで目を覚ましたキダフに、オレは事の次第を説明した。
 意外なほど静かに(いや、元々落ち着いた子だとは知っていたが)オレの説明を聞き、俯いたまま考え込んでいたキダフは、ついと顔を上げると、物問いたげにオレの顔を見つめた。

「ん? 何だ?」

 「――貴殿がこの企みに乗って得られたものは? 察するに軍からの報酬も受け取っていないはず。そればかりか逆に目をつけられるハメになったのでは?」

「さてなぁ……ただ、オレは昔から美人と死人との約束だけは裏切らないと決めてるんだ」

 「しかも、このまま共にいれば、私は貴殿に生活面での負担もかける」

「お子様はそんなこと気にしなくていーの。ま、もしその気があるなら、大きくなった時に恩返しでもしてくれりゃあいい」

 嗚呼、この時のオレは何たる迂闊な発言をしたものか。言い訳させてもらうと、オレはこの時、まだ初潮も迎えてない年頃に見えるチビッコの実年齢が18歳だと言うことを完全に忘れていたのだ。

 *  *  *

 まだ体調の優れないキダフを無理矢理ベッドに寝かせ、オレ自身は宿から借りた毛布にくるまって、傍らの床でゴロ寝をしていたはずだった。
 ……なのに、何で夜中に目を覚ますと、ベッドの上にいるのだろう?
 さらに、上半身裸で、体の上に全裸のおにゃのこが乗っているのに、今の今まで気づかないとは……。

 「それだけ貴殿も疲弊していたと言うこと」

 キダフか? キダフなのか? 何でこんなことを。

 「支払い」

 ……は?

 「ハンターもしくは傭兵としての貴方の働きに報いるための正当な報酬。されど、私はいまこの身しか持ち合わせがない」

 えーと……意訳すると、「金がないから体で払います」ってこと?

 「そう」

 ――ヤバい。これは、どうにもヤバい。
 単に目が覚めきってないからだと言うばかりじゃなく、キダフの体温とほのかな匂いに当てられて、体の自由が利かなくなってきた。

「ば、バカ! 子供がマセたこと言うんじゃない」

 それでも理性を振り絞って叱りつけたオレの言葉は、あっさりカウンターをくらう。

 「私は18歳。すでに法定結婚可能年齢に達している」

「そ、それはそうかもしれんが、こういうことは本当に好きな人とだな」

 「現在、私の心理的距離においてもっとも中心に近いのは義父。しかし、義理とはいえ父に対して恋愛感情を抱くのはインモモラル。その点、貴方はそれに次ぐ場所に位置する。それに……」

 と、そこまで一気に言いおえたキダフがなぜか口ごもる。

 「――責任を取ってほしい」

「責任って何―――んむっ!?」

 最後まで言わせず、キダフはオレの唇をふさいでいた。
 唇を重ね合わせるだけの幼いキス。
 だが、ささくれだったオレの神経を蕩かすには十分なだけの熱と魅力は籠っていた。
409ランゴスタ奥様劇場』IF4〜 (後編)8:2007/12/28(金) 02:37:40 ID:zMbI4YAa
「……後悔しても、しんねーぞ?」

 「しない。」

 そう断言したキダフの体から力が抜け、ふわり、とオレの胸によりかかってくる。

 「ふつつかものですが、よろしくおねがいします」

 台詞は棒読みだが、ほのかに赤らんだ少女の頬を見た瞬間、プッツーーンとオレの中で何かがキレた。
 体を入れ換え、華奢なその体を組み敷くと、今度はこちらから口付ける。舌をからめあい、互いの唾液を交換するような濃厚なキス。

 「んん、ふぁ、あああ……」

 いつもの無表情とはうって変わった恍惚とした表情で身をよじるキダフの胸に手を伸ばす。いまだ未成熟な身体だが、その乳房は形が変わるほどまでに十分柔らかく、オレの興奮を否が応にも煽った。

「オッパイ、柔らかいな、キダフ……」

 「! あ、あぅ……やぁ……言わないで……」

 無意識に逃げようとするその身体をしっかりと抱き寄せ、抗議する口を再び舌先で犯す。ようやく観念したのかキダフの小さな両手もオレの背中に回され、そのまま強く抱きしめてきた。
 密着した体勢のため少々愛撫がしづらいが、互いの鼓動さえ感じられるこの状態も、決して悪くない。なので、文句は言わず、そのまま尖った乳首を親指と人差し指で挟み、強めに摘み上げてみた。

 「きゃふぅぅぅっ!」

 未熟な性感への刺激は痛覚となって現われる。しかしその痛みすら快楽となる電流が脳天へと走り、キダフの身体が軽く跳ねた。

「感じやすいんだな、キダフ。可愛いぜ」

 「…………(プイッ)」

 スネたように顔を背ける彼女の頬に唇を這わせ、快楽で丸め込む。
 上気した頬にキスしながら、耳まで辿り着き、耳たぶを唇で挟みながら、キダフの滑らかな腹の辺りに手を這わせる。

 「ん・・・・・」

 耳朶を唇で甘噛みされた途端、キダフの体がピクッと震えた。
 その反応を見逃さず、耳朶を唇で挟んだまま舌で転がし、耳の裏に舌を這わせたりして、執拗に耳を愛撫する。

 「ぅ・・・う、んんっ・・・ぅっ・・・」

 キダフは耳たぶを弄ばれる度に、ピクンピクンと律儀に反応してくれる。
 その初々しい反応に煽られたオレは、今度はしなやかな首筋から鎖骨へと、キスと舌の愛撫を織り交ぜながら愛撫をくり返す。

 乳房を覆っていた手を秘部へと移す。あくまで触れる程度だが、いまはそれだけで充分だ。愛液がトロトロ溢れ出しているのがわかる。

 「ちょっ……と、まっ……て。いきが……」

 息苦しさの理由はわかっている。じっくりとしたキスと愛撫で焦らしているが故の興奮で呼吸自体が乱れているのだろう。

「ほぅ、こんなに濡れてるぞ。……気持ちいいか?」

 「そ、それは……」

「キダフ。……とても綺麗だぞ」

 びくっ、と彼女の身体に快感とは異なる震えが走ったのがわかる。
410ランゴスタ奥様劇場』IF4〜 (後編)9:2007/12/28(金) 02:41:25 ID:zMbI4YAa
 「――嘘。私は……バケモノ。綺麗なんかじゃない」

 !
 なんてこった。 たぶん、研究所なり、"任務"で外に出たときなりに、今はなきその尻尾を見られたのか、あるいはその常識離れした力に恐れられたのか。
 歳に似合わぬ超然とした空気をまとった彼女に似つかわしくなく、その声は沈んでいた。

 (ああ……)

 そうじゃない。そうじゃないんだ。彼女は、歳より大人びていたわけではない。周囲の心ない中傷から身を心を守るために、そう振る舞わざるを得なかったんだ。
 ならば……オレが言うべきことはひとつだ。

「嘘じゃない。オマエは、オレが知ってるどんな女より可愛いし美しい」

 オレの言葉の響きにウソがないことを感じ取ったのか、キダフはまだちょっと震えながらも、ぎこちない笑顔を見せた。

 「――惚れた?」

「ああ、間違いなくメロメロだ」

 この言葉にもウソはなかった。初めて間近で見る、この少女のはかない月影のような微笑みに、オレはオーバーでなく心を鷲づかみにされるような感覚を感じていたのだから。
 できるだけ爽やかに笑いながらキダフの瞳を見つめ返すと、両手で控えめな双丘を掴み、指の間から先端の突起を唇で覆い隠し、舌で突起の周りを丁寧になぞった。

 「―あっ!」

 両方の胸を撫でるように揉まれ、左の乳首を刺激されてキダフ霞は思わず声を漏らし、慌てて口を噤んだ。固くなったその乳首を唇で擦り、舌先で転がし、吸い上げてやると、必死で声を殺しているのがわかる。

 「んんんっっっっ!!」

 こっそり揉むのを止めていた左手を、キダフの太股の間、あえかな茂みの奥で僅かに頭を見せ始めていた突起へと伸ばす。

 「そっ、そこはっ……ひゃぅんっ!」

 キダフが止めようとオレの手を掴むが、ロクに力が入っていないため、ほとんど妨害になっていない。

 「はぅん……や、やめっ……そこ、はっっ…………感じ、過ぎる、から……」

 微かな痛みとそれを大きく凌駕する快感の狭間で、ろくな抵抗もできずにいるキダフ。
 しばらくしてオレが指を離した時には、秘裂から溢れた蜜液ですっかり茂みも潤いきっていた。

「キダフ……お前が、欲しい」

 ほんの僅かな躊躇いの後、闇の中でぎこちなく恥ずかしげに頷く気配がする。
 抱き合った体を離し、改めてその瑞々しい朱唇にキスをする。唇を離して垣間見た彼女の目尻に浮かぶ涙が、悲しみに満たされたものでもないと確認してから、オレは下着からブツを取り出した。

「痛かったら言えよ?」

 「大丈夫……お願い…………」

 視線を逸らして薄桃色に頬を染める少女に優しく微笑みかけ、その秘部に己の分身をあてがう。

 「んっ……」

「じゃあ、挿れるぞ」

 痛みを感じさせないよう極力ゆっくりと腰を動かすが、彼女の小柄な体にには、やはり完全に痛まないよう挿入するには無理がある。
 冷静さを保っていたつもりだが、その裏でかなり興奮していたのか、分身の方もはすっかり張り詰めてしまっているから余計だろう。
411ランゴスタ奥様劇場』IF4〜 (後編)10:2007/12/28(金) 02:42:19 ID:zMbI4YAa
 「あはぁっ……うぅん…………」

 ギチギチに張り詰めた秘裂の痛みを少しでも和らげようと、その上にある突起を愛撫してみる。未知なる感覚の奔流に、もはやキダフはロクに言葉も発せないようだ。
 頃合いを見て、さらなる深部へと分身を突き入れる。

 「ひああぁっ……!」

 胎内を侵してくる異物に対してあげられた悲鳴に、いったん動きを止める。

 「んっ……はうんっ…………っ!」

 しかし、オレが動きを止めた途端、キダフはオレの身体にしがみついて、自分から分身を深く迎え入れた。

 「んっっっ!」

 プツッと何かが切れるような感触とともに、キダフが声にならない悲鳴を上げる。

「くっ………大丈夫なのか、オイ?」

 「だい、じょうぶ……だから……うごい、て…………」

 途切れ途切れに言われて、彼女の口から漏れ出す吐息は確かに痛みを帯びてはいるが、同時に酔いしれるような甘さも伴っていることに気づく。
 いま、ちょうど痛みと快楽がせめぎあっているところなのだろう。
 ならば、オレの役目は、その天秤を大きく歓喜の方に傾けてやることだろう。
 キツい締め付けの中、ゆっくりと腰を前後に動かす。

 「くぅっ……はぁぁっ!」

 華奢な背中を反らし、艶のある黒髪が狂ったように振り乱されている。
 それでも徐々に慣れてきたのかキダフの両腕がオレの首にまわされてきた。

 「ふっ、はっ、くっ……もっと、大きく、動いて、いいっ……!」

 そうまで催促されては、オレも抑えるわけにはいかない。より一層腰の動きを強くした。

 「かしむ、わたし……もうだめ……いく……いくぅ!」

「! お、オレも……もう……」

 何より、初めて自分の名前を呼んでくれたキダフの声の甘さに脳味噌がとろけそうなくらいの歓喜を覚える。

 「いっしょ! いっしょに……! っあ、あ、あぁぁぁぁぁん!!」

「くぅっ!」

 互いの絶頂が近づき、腰をさらに強く、さらに速く、さらに大きく動かす。

 「「――――――――――――――――!!!」」

 身体が絶頂を迎えるとともに意識も弾け、ふたりとも糸が切れたかのようにベッドへと崩れ落ちた。

 *  *  *
412ランゴスタ奥様劇場』IF4〜 (後編)11:2007/12/28(金) 02:42:51 ID:zMbI4YAa
――今ではコートの下にその羽を休めて 古いシャンソン口ずさんで僕の隣りを行く


 「なぁ、キダフ、あの人形って……」

 追憶からさめてカシムは傍らの妻の方を見やるが、すでにそこに彼女の姿はなかった。

 「!? お、おい、キダフ!」

 慌てて辺りを見渡せば、すでに妻は自宅へと続く道へと歩きだしていた。

 「―カシム、早く帰らないと、魚が腐る」

 「ちょ、ちょっと待った〜!」

 カシムも腕の中の荷物をひと揺すりしてバランスを整え、急ぎ足に彼女のあとを追う。

 「……いいのか? あれ、買わなくても」

 「―――別に、いい。アレはただの人形。それに、アレが売られているということは、父はもう……」

 研究所に残されたはずのあの人形が、こんな僻地に来る行商人の手に渡ったと言うことは、彼女たちの養父である所長が亡くなったか、消されたか、少なくとも失脚くらいはしたと言うことなのだろうから。

 「! そうか。スマン、考えなしだった」

 だが、それでも幸せ……ではなかったかもしれないが、数少ない少女時代の思い出の品として、手元に置いておくべきではないかとも思うのだが……。

 「構わない。私は過去を捨てた女」

 フッとハードボイルドな目をしてそんなことを呟くキダフだが、両手に下げた買い物袋が死ぬほどミスマッチだ。
 あるいは、暗い雰囲気を嫌って、あえて道化ているのかもしれない。カシムはそれに乗ることにした。

 「プッ……バーカ。お前、何、いっちょまえにカッコつけてンだよ!」

 「――心外。私はりっぱな一人前の大人。"いっちょまえ"とは半人前な相手に使うべき形容」

 「いちにんまえ、ねぇ……」

 わざとらしく、その限りなく平野に近い胸のあたりを眺める。
 あのあと、移植された尾によって成長が阻害されていたのか、カシムの身体は順調に成長を続けた。
 異能の源たるラージャンの尾を切られたせいか、いまのカシムにはあんな人間離れした力はない。せいぜいが見かけによらず頑丈で、ちょっと力持ちといった程度だ。
 とは言え、そのため、ハンターを始めた当初は武器を扱う感覚に慣れず、失敗続きだった。もっとも、カシムのアイデアで力の差がそれほど関与しないガンナーに転向することで、その問題はクリアーされたので、結果オーライだ。
 反面、スタートが遅かったせいか、満21歳になる現在でも、16、7歳にしか見えないのが悩みの種ではあるが……。

 「その視線は失礼。昨晩だって、カシムは私の自分のピーをピーさせて、さらにピーな……」
 「わーわーわー、そんな事、天下の往来で大声で口にするなぁ〜!」

 大騒ぎしながら仲良く家路をたどるふたつの人影を、目深に笠をかぶった初老の竜人の露天商は、微笑ましげに見送っていた。
413ランゴスタ奥様劇場』IF4〜 (後編)12end:2007/12/28(金) 02:43:44 ID:zMbI4YAa
 「――カシム」

 「ん? 何だ、キダフ」

 「――ずっと、いっしょ?」

 「! ああ、ずっと一緒だ」


――「愛しているよ」と言うだけじゃ意味がないんだ 「永遠に」と一言言わなければ

 ”I say, I love you forever”

<終わり>

以上です。無理矢理まとめたため、描写不足が目立ちますが、ご勘弁願います。
これにて、本当にこの板での『クイーン』シリーズは外伝含めて終了しました。
GJをくれた方は元より、文句言いながらでも目を通してくださった諸氏に改めて感謝の意を捧げます。
414名無しさん@ピンキー:2007/12/28(金) 05:45:54 ID:mRpkKECf
あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ

お疲れ様です
415名無しさん@ピンキー:2007/12/28(金) 06:07:23 ID:T7VWoHVt
>>414
好きな作家の作品が完結して寂しい気持ちは分からんでもないが落ち着け。
アンチから「やっぱり信者も腐ってるな」なんて不愉快なレス返されたくはないだろう?
416名無しさん@ピンキー:2007/12/28(金) 06:29:50 ID:mRpkKECf
>>415
我ながら実に無様な姿だな、すまなかった
どうも物語に人一倍感情移入しやすい性質なんだろうな…
アイザック・アシモフが描く1万年の時間軸の繋がりを望見した時とか
JRR・トールキンの世代を超えた旅の終点を眼前にした時とか泣けてくるぜ
417名無しさん@ピンキー:2007/12/28(金) 09:17:49 ID:yEZ/N5k8
あーあー、業務連絡業務連絡。
まとめwikiに初代スレの分まとめといた。
過去ログ持ってて「これが足りねぇ」とか「これおかしいだろ」って部分
分かる人いたら順次修正してくれると助かりま。
418黒グラビ君インハンターマスターダレン編:2007/12/28(金) 11:54:03 ID:iDYKTIbQ
クイーンの人お疲れです、敬礼(:−:)>ビシッ。
お待たせしていない人もお待たせした人もボクの事応援して嬉しいです。
ダレン編開始です、カオスで面白予報です。
[注意]・何故かポ(ry。 ・遊戯王が何故か出てくる。
・地球崩壊フラグ。 ・ミラバルカン登場で終了。
以上です、これより攻撃を開始する。
419名無しさん@ピンキー:2007/12/28(金) 12:06:56 ID:cyEIIYf2
>>418
や め て く れ

ここモンハンのスレだよ?
420名無しさん@ピンキー:2007/12/28(金) 12:33:51 ID:FztrNyfT
ああもうほっとけ
421名無しさん@ピンキー:2007/12/28(金) 12:35:18 ID:E+M+lqsb
>>418
だからそういうノリが嫌われてると何度言えばわかるんだ
422黒グラビ君インハンターマスターダレン編:2007/12/28(金) 12:56:11 ID:iDYKTIbQ
「生肉二個の納品」?「俺に似合うクエストなのか?村長さん。」
村長「いまのお主はまだまだ未熟者じゃ、だからこの生肉二個を納品してくるんじゃぞ。」
?「はいはい、分かったよ(ふっふっふ、バカめが、俺のこの装備を見ても気づかないとは哀れだな村長さんよ。)」
村長「何かいったか、お主?。」 ?「いいえ、なんでも有りませんよ。」
俺の名前はダレン、HR61の狩人だ、なぜ高HRの俺がココット村にいるのかと言うとモノブロスはこっちにしか来ないと聞いたから火事場力+2の俺通称「馬鹿力のダレン」がそのモノブロスに会うためわざわざ村に来たのだ。
俺の武器は大剣「炎剣リオレウス」装備は「ラージャン」シリーズで発動スキルは火事場力+2だ、通称火事場力は自分の体力を100の場合は70ぐらい削らなきゃいけない、150の場合は120削らなきゃ意味が無い。
まあそんな俺が向かった場所は森丘というフィールドだ、森丘は非常に広い、おまけに飛竜達の巣だ、一歩間違えれば死ぬ「死のエリア」「9」はかなり狭いガンナーならそこは高台ハメだがな、剣士にとっちゃ「死のエリア」だ。
「おっ、アプトノスじゃん、肉遣せー!。」と次の瞬間俺は聞き覚えある叫び聞いた、雄火竜「リオレウス」の叫び声が聞こえた。
「何でレウスがいんだよ!、くそっこうなったら戦うしかねえ!。」
戦闘開始
「戦う」「逃げる」「特殊」「アイテム」「よし逃げるぞ。」だが。「逃げられない」「うそっ!。」「尻尾回転撃」ダレンに300ダメージ「ぐはっ!。」
「よし、挑発だ。」「ダレンは挑発をした」「レウスはそっぽ向いてる」「ダレンの攻撃力上がった、防御力が下がった」「えっ!?。」
「切り下げだ!」「切れ下げ」レウスに1000ダメージ「突進」ダレンに150のダメージ「ぐあっ、引かれた!。」
「やべっ、回復薬グレートを使おう!。」ダレンは回復薬グレートを飲んだ体力が450回復した「火炎弾」前方回転で回避した「アブネッー!。」
「レウスは空を飛んだ」「地面に罠設置した」「罠設置完了!。」「レウスの空を飛ぶ攻撃」「効果は抜群だ!」ダレンに540のダメージ「いでっ!。」
「レウスの空中火炎弾」「青春映画で回避した」「ダイビングッ!。」ダレン「速攻魔法発動!バーサーカー閃光玉!」レウスは空から落ちた「レウスはピヨってしまって動けない」
「ずっと俺のターン」ザキン、ドカン、グサッ、バキッ、ガアン。レウスに2000ダメージ「何勘違いしているんDA・・・まだ俺の閃光玉は終了していないZE!。」
「いまだ俺のターン」ザキン、ガギン、グサッ、バキッ、ガアン、グサッ、バキン、バキン、バキン。レウスに1500のダメージ。
「バーサク」「なっ!。」「体がすくんで動けない」「尾撃」ダレンに420のダメージ「がはっ!。」
「ガードの体制に入った」「一旦防御体制だ!。」「すてみタックル」「三点バースト」「ダレンはじっと耐えている」「飛び膝蹴り」ダレンに合計600ダメージ「ぐっ、いかんこのままでは!。」
「噛み付き」「ピヨってしまって動けない」「目がっ!目が〜〜!。」「滅びのバーストストリーム」ダレンに490ダメージ
「リバースドール」「万事復活!。」「一刀両断剣」「止めだ!。」
「罠発動」「レウスは麻痺して動けない」「この一撃に全てをかける。」
「くらえっ!。」ザキン、どかあああああああああああああああん!、「終わったか、あちぃ〜!。」
「火竜の紅玉×2」「インテル」「ぴゅうた」「ポン酒」
「村に帰ろう。」と次の瞬間聞き覚えの無い声が、紅龍「ミラバルカン」だ。
完。 続かない。
423黒グラビ君:2007/12/28(金) 13:02:42 ID:iDYKTIbQ
とりあえずエンド、自分でも全然気づきませんでした。(:−:)。
もうこうなったら新SSレスにいきます[MH]モンスターハンターでエロパロスレ十匹目[モンハン]
これでお別れです、またどこかで、さらば!。
黒グラビ君より。
424名無しさん@ピンキー:2007/12/28(金) 13:13:07 ID:f2LuhEFV
なんか保管庫が荒れてる件について
425名無しさん@ピンキー:2007/12/28(金) 13:34:13 ID:cyEIIYf2
>>424
保管庫から適当なとこ行こうとするとメガテンの攻略ブログに行き着く&ウィルスが仕込まれててカオスな事になってんな
426米虫:2007/12/28(金) 13:46:55 ID:ctka+9yu
米虫といわれる虫がいる。
 それは白く艶やかで、ほのかに甘味のある虫だ。
 その癖のない味が好きで主食にしている人もいる。
 だがやはり虫は虫だ。よく見ると体節やら脚やらが気持ち悪く、触るのすら嫌がる人もいる。
実は俺もその一人だ。
 だからなるべく密林の温暖期などのクエストは避けている。

 まぁ俺が米虫嫌いなのは味が嫌いだったからではないのだが。
 ある日を境に、事あるごとに米虫が鼻に詰まるようになってしまったからなのだ。

 寝ている時も気が抜けない。起きぬけにクシャミをすれば、左右の穴から米虫'Sが噴出することなんか、ざらにある。
 奴らはタイミングを見計らって嫌がらせをしているとしか思えない。
 飛竜に一撃いれようとした瞬間、泳いでいて息継ぎをする瞬間、ペイントボールを投げた直後……思い出せばいくらでもある。
しかしまぁ、これらには何とか目をつむることができた。

俺が徹底的に米虫嫌いになったのは、この事が原因だった。

 俺には、前から気になっている女性がいた。あちらも時々俺の顔をじっと見ている時がある。そして、意を決して食事に誘ってみた。
すると、その女性は顔を背け
「っ!…ご、ごめんなさい……と、とても…クッ 言いにプッ…くいんだけど、貴方…たまに鼻の穴から、米虫が…覗いクッ…実は、今も…クッ」
必死に笑いを堪えていた。
時々俺を見ていた理由がわかった。
俺はその場に崩れ落ちた。
そして俺の鼻から落ちた米虫は、酒場の床を這って、何処かへ去っていった…
。、、、OTL

糸冬
427名無しさん@ピンキー:2007/12/28(金) 14:43:21 ID:LKZUXlVg
米虫キターーーー
428名無しさん@ピンキー:2007/12/28(金) 14:53:52 ID:K4N9Rrv3
最後のこれ→ 。、、、OTL がさりげなく米虫を表現してるのに吹いた
429名無しさん@ピンキー:2007/12/28(金) 20:02:33 ID:cyEIIYf2
>>426
久しぶりだな米虫w
430名無しさん@ピンキー:2007/12/28(金) 21:27:17 ID:l/8+oSVk
米虫ktkrwww
431名無しさん@ピンキー:2007/12/28(金) 21:36:23 ID:VHBHPcr5
米虫自重…しなくていいwwwもっとやれwww
432名無しさん@ピンキー:2007/12/28(金) 21:47:28 ID:qi7NmVDx
米虫大人気だなw
なんというか・・・一種の清涼剤みたいな感じ?
433名無しさん@ピンキー:2007/12/28(金) 22:19:18 ID:8HQtUrOi
どちらかというと起爆剤w
434名無しさん@ピンキー:2007/12/28(金) 23:29:07 ID:ddnKu2Sa
そろそろドス米虫の存在が発見されてもいいと思うんだ
435名無しさん@ピンキー:2007/12/28(金) 23:44:54 ID:Z/Lv3vhM
米虫〜コシヒカリ〜
米虫〜ササニシキ〜
436名無しさん@ピンキー:2007/12/28(金) 23:58:33 ID:8e/lrgmS
まず、米虫の人すみません。

米虫を水虫って読み違えて脳内で酷い事になったwwwww
437名無しさん@ピンキー:2007/12/29(土) 00:06:27 ID:cyEIIYf2
>>436
リアルで食ってた乾燥芋噴出したwwwwwwwwwwwww喉いてぇwwwwwwww
ここ二ヶ月近くで一番の大ヒットだわwwwwwwwwwwwww
438水虫:2007/12/29(土) 00:22:49 ID:Tp02dQuI
水虫と言われるものがある。
 虫とはいえど、小さくて見えるものではない。
本当は虫なのかどうかも疑わしい。
しかし痒い。そう、とても痒いのだ。
長年ゲリョスシリーズを身につけていたせいだろうか。
ムレるのだ、あれは。
こまめに干せば良かった。

恥ずかしいので隠していた。
が、酒場で酔ったせいかボソッと漏らしてしまったらしい。
翌日、何故かみんな妙に優しかった。
隣の家の奴が抗菌石の粉末をくれた。
優しさが、痛かった
…orz∫プーン
439名無しさん@ピンキー:2007/12/29(土) 00:25:16 ID:llmQAqwV
>>424

左上「履歴」から荒れてない頃の状態をコピー

左上「編集」でペースト

で復旧できるんで気づいたら編集よろ

出来ないとか言うなよ?
440名無しさん@ピンキー:2007/12/29(土) 00:57:23 ID:8XgrbmJv
どうでもいいけどさ、このスレって何で読み手の立場が書き手より上なの?
「お前の文は読みにくい」「そんなの読みたくない」「面白くない 帰れ」
なら自分でみんなが納得する作品が書けることを証明してみろよと

しかし寂れちまったなぁ
馬鹿みたいに態度でかい勘違い野郎が増えたのも一つの原因か
441名無しさん@ピンキー:2007/12/29(土) 00:58:59 ID:8XgrbmJv
>>438
ワロタw

誰か過去スレ再うp頼む
442名無しさん@ピンキー:2007/12/29(土) 03:56:00 ID:NHVUUKH9
443名無しさん@ピンキー:2007/12/29(土) 04:49:03 ID:vvD8AHpB
待て はやまるな これは 孔明の わなだ
444名無しさん@ピンキー:2007/12/29(土) 11:36:57 ID:Xb6z3Wjz
445名無しさん@ピンキー:2007/12/29(土) 13:27:26 ID:8XgrbmJv
他人を叩くことしか出来ないゴミばっかりかよ
どうせ>>440の書き方が上から目線だと言いたいんだろ?
446名無しさん@ピンキー:2007/12/29(土) 17:19:23 ID:xtrbfRUy
よくわかっておいでだ
447名無しさん@ピンキー:2007/12/29(土) 18:39:09 ID:PgPpHOmh
内容は同意する
ただもっと丁寧に柔らかく書くんだ
448名無しさん@ピンキー:2007/12/29(土) 18:44:49 ID:Xb6z3Wjz
>>440
逆に聞いていい?
書き手の立場が読み手より上なのが望ましいのか?
449名無しさん@ピンキー:2007/12/29(土) 19:28:51 ID:lsWBTl6I
批判するなら自分で書けっていう奴よく居るよね
450名無しさん@ピンキー:2007/12/29(土) 23:12:48 ID:1AtsTwlD
いいぞもっとやれ!
無意味な議論でスレを費やして職人を寄せ付けるな!
451名無しさん@ピンキー:2007/12/29(土) 23:23:10 ID:ZZxPuI+7
昔、部活で親にプレーの駄目出しされて苛々した思い出は無いか?
「何も知らないくせに」
と。同じようなもんなんじゃないかな。

ただ、親の言ってることもたまには正しい。自分に有用な意見まで弾くのは勿体ない。
だから「正しいかどうか」は他の人のレスから判断する。
変な事言ってたら叩かれてるだろうし、正しいことを言ってたら賛同が多いから。他は毒にも薬にもならん物。
「批判する奴は書け」ってのは、書き手側の体験を踏まえることができて間違った批判が減るからだな。

うーむ…すごい当たり前の事を今更って感じだな。スマン。
452名無しさん@ピンキー:2007/12/29(土) 23:25:17 ID:q9Pcj5jQ
もうちょっとまっててね
453名無しさん@ピンキー:2007/12/30(日) 01:08:29 ID:zCvF5SrM
意見が自分に有用かそうでないかは自分で判断するべきだろ……常考……
ってなるんですけどね
454名無しさん@ピンキー:2007/12/30(日) 01:26:40 ID:aXaFWHDt
もううるさいよおまえら
ゴタゴタ騒ぐな
455名無しさん@ピンキー:2007/12/30(日) 02:32:27 ID:4ovITUkr
>>448
読み手が上よりよっぽど良いだろ

そんな俺文才0
456名無しさん@ピンキー:2007/12/30(日) 06:56:23 ID:VTXxhPSJ
>>423死ねよゴミ障害児。お前が生きてる事自体不快だから死ね
457名無しさん@ピンキー:2007/12/30(日) 07:59:53 ID:5cFyBjKI
おはようございます。10レスほどお借りします。

・MHP設定。のつもり。
・モンハン色はやや弱め。
・エロは中盤あたりから。
・誹謗中傷は真摯に受け止めます。

では、はじめ。
458赤服1:2007/12/30(日) 08:00:54 ID:5cFyBjKI
集会所のクエスト受付カウンターには「赤服の女」と「青服の女」がいる。
G級ハンター以外とはろくに口も利かない青服に対して、赤服はひよっ子ハンターにも優しい。

愛想の良い赤服はハンター達に大人気だ。
その微笑みは、もれなく「俺に気がある」と思わせる力を持つ。
集会所を訪れるハンターなら、一度ならず恋に落ちる。
デートに誘おうものなら、集会所にいる全ての男を敵に回すことになる。
クエスト報酬をプレゼントする輩もいるらしいが、そんな事をしようものならまるで賄賂を
使ったような言われ様だ。
赤服に付きまとった後、行方不明になったハンターは一人二人どころの話ではないと聞く。
誰であれ、抜け駆けは許されない。

しかし、赤服に「選ばれる」となれば話は別だ。
先代の赤服は先月、寿退職している。
花婿となったハンターには、黒龍を仕留めたかのような賛辞が贈られたものだ。
ハンターは己の腕を磨くため、そして赤服に「選ばれる」ため、今日も必死にクエストを受注する。

今、受付にいる赤服は歴代赤服に負けず劣らずの容姿をしている。
ほっそりとした手足、露出が控えめな制服からも窺える柔らかな曲線。
肩までの金髪は両耳の上でまとめられ、切りそろえられた前髪とともに愛らしい顔を縁取る。
澄んだ碧い瞳で見つめられると、体がぼうっと熱くなる。
春風を思わせる優しい声は、呼び掛けられたものにときめきを与える。
クエストを受注するハンターは誰しも、赤服の前ではしどろもどろになるのだ。

赤服は「赤服」になって間もないにもかかわらず、飲み込みが早く、テキパキと仕事をこなす。
時としてハンターから繰り出される下品な冗談も、難無く躱す。
採用係は一体どこからこんな娘を探し出してくるんだろうか?
459赤服2:2007/12/30(日) 08:02:06 ID:5cFyBjKI
G級に昇進したは良いがクエスト難易度が上がるにつれて、俺は武器の見直しを余儀なくされた。
うまく立ち回る腕さえあれば十分と高を括って、武器をほとんど強化せずここまできた。
しかしG級では属性も含めて、武器の選択を誤ればダメージを与える事すらままならない。
そこでG級クエはさておき、手当り次第武器を生産・強化して試す事にしたのだ。

実のところ、G級は堅くて、痛くて、辛くて。早い話がくじけそうなのだ。
ハンター稼業を続けていく上で、気分転換が必要な時期なのだ、きっと。いや多分。

いざ武器作りを初めてみると、思った以上に時間が掛り、物凄い勢いで懐が軽くなる。
今日も「どのクエなら効率良く素材と金が稼げるか」、クエストメニューとにらめっこする。
異様に悩みながらH級メニューを見つめるG級ハンターを不思議に思ったのか、赤服が声をかける。

「あのー。どうかなさいましたか?」

心配そうに小首をかしげて覗き込む赤服。
俺が事の顛末を話すと、満面の笑みを浮かべて赤服は言う。

「それは現実逃避ですね!そうですよね!G級はつらいですよね!」

悪気がないだけにたちが悪い。図星なだけに酷く落ち込む。
楽しそうに話す赤服の姿を見た他のハンター達が、俺の背中に殺意のこもった視線を向ける。
赤服から声をかけられている手前、かろうじて実力は行使されない。

敵は狩り場だけにいるとは限らないのだ。背後に。そして眼前に。
460赤服3:2007/12/30(日) 08:03:36 ID:5cFyBjKI
「お時間に余裕があるなら、私をH級クエストに同行させてもらえないでしょうか?」

赤服の突然の申し出に、俺は驚いて理由を聞いた。
何でもN級クエなら一人で行ったが、さすがにH級は一人では心細いのだと言う。
クエストを案内する以上、ある程度の知識を持っていたいのだと。
勉強熱心だとは聞いていたが、そこまでする赤服はこの娘ぐらいではなかろうか?

「ダメ、ですか?」

眉根を寄せて、上目遣いに俺の顔を窺う赤服は本当に愛らしい。
そんな顔をされて断れる男がいるとしたら、俺はそいつを尊敬する。
俺は「朝一の採集クエなら」という条件付きでH級クエへの同行を許可した。

-----------------------------------

午前中にクエストを受注するハンターは少ない。
なぜならクエスト達成後、酒を飲むのがハンターの数少ない楽しみの一つであり、
また飲み過ぎてしまうのが常だからだ。

星4「森と丘の採集クエ」を赤服本人から受注し、出発用出口で赤服の着替えを待った。
案の定、ハンターは誰一人いない。いつもなら騒がしい集会所とは別の場所にいるようだ。
赤服の仕事にさし支えないように朝一、しかも比較的安全な「森と丘」を指定したのだが。
非常に眠い。あくびが止まらない。もう帰りたい。

「お待たせしました!」

現れた赤服は「メイドさん」になっていた。全身プライベートシリーズ。
俺はあくび途中のまま固まった。似合い過ぎだろ?これ。

「先日、とあるハンターさんからいただいたんです。僕は着ないから、って。」

当たり前だ。露骨なまでの下心みえみえっぷりに驚いたが、眠気が覚めたのでよしとする。
むしろ、某ハンターのグッドチョイスに拍手を送りたい。
涎が垂れそうになる口元を引き締めながら、俺は「黒服」となった赤服とともに狩り場へ向った。
461赤服4:2007/12/30(日) 08:06:04 ID:5cFyBjKI
森と丘に到着すると、赤服をキャンプに残し狩り場を一周する。
ゲリョスへのペイントと、雑魚の一掃が目的だ。
いくら採集クエストとはいえ、ここはH級森丘。
「おやすみベアを背負ったメイドさん」にとって危険な場所である事は変わりない。

ある程度雑魚を掃除した段階で、N級との違いを示しながら、各エリアを細かく見てまわる。
赤服は俺にいくつか質問し、持参したノートにメモする。
途中、比較安全なエリア3に赤服を残して、ゲリョスのリペイントに向った。
アプトノスなら赤服が怒らせない限り大丈夫だろう。
しかし、ヤツは好奇心と知的欲求の固まりだ。心配になって急いでペイントを済ませるとエリア3に駆け込む。

驚いた事に、赤服はアプトノス相手に楽し気にはしゃいでいるではないか。
アプトノスは草食獣だが間近に見ると威圧感があり、一般人なら腰を抜かしてしまう。
それがどうだろう。まるで馬と遊んでいるかのように清々しい。
さすが、伊達にN級クエを歩き回っただけの事はある。
赤服、恐ろしい子。

50分、フルに使ってクエストを終了した。
これまでソロで活動してきたG級の俺が、たかがH級採集クエでこれほどまで疲れ果てるとは。
くたくたの俺を後目に、赤服は目をキラキラさせ、押し倒したくなる程の愛らしい微笑みでこう言い放った。
「次は、密林の採集クエストに連れていってくださいね!」

どうせその次は密林、砂漠、沼地そして火山と続くんだ。
赤服、本当に恐ろしい子。

-----------------------------------

案の定、森と丘から火山までの採集フルコースに何度となく付き合わされるはめになった俺は、
思いがけず赤服と仲良くなった。
相変わらずハンター達の目は厳しいので、こちらからは声をかけないようにしている。
俺はまだ死にたくない。

いい加減採集クエに飽きてきた頃、「ベッドの上でもこんなに貪欲なの?」と意地悪く聞いてみた。
すると意外なことに、赤服は顔を赤らめながら俯いてしまった。
オヤジハンターのセクハラ発言を笑ってやり過ごすツワモノが、こんな事で恥ずかしがるなんて。
恥ずかしがる赤服は、いつにも増して愛らしい。

もっと恥ずかしがらせてみたいという欲求が、俺の中に生まれた。
462赤服5:2007/12/30(日) 08:06:44 ID:5cFyBjKI
腕がなまらないように、俺は久しぶりにG級クエを受注しようと青服の前にいた。
G級クエの狩り場は村から遠く、この時間から出発すれば帰りは夜になっているはずだ。
そんな事を考えながらクエストメニューを適当に見ていると、横から赤服が声をかける。

「お取込み中すみません。クエストが終わった後、お時間頂けませんか?」

教えて欲しい事があるらしいのだ。
しかし、今日の集会所はなぜか非常に混合っている。
集会所に場所が確保できそうにないので、赤服の家に来て欲しいとのこと。

「分かった」と返事をして、俺は今日の狩り場となるG級沼地に向けて出発した。

-----------------------------------

フルフルはチンコに擬態しているのか、チンコがフルフルに擬態しているのか。
そして擬態することでどんな利益を得られるのか、どんな損害を被るのか。

そんなくだらないことを考えながら、俺は村に戻ってきた。
何度かヤバい場面はあったものの、高級耳栓が功を奏して無事にクエストを終えた。
集会所に入ると、酔っ払いハンター達を適当に相手にしながら赤服が待っていた。
俺は他のハンターを刺激しないように一人で集会所を出ると、少しして赤服が出てきた。

「お呼びだてしてすみません。」

赤服は集会所の裏手に俺を案内した。
そこは集会所に勤めるものが住まいを構える一角で、赤服はその一棟に入った。
扉を開けると、ココット様式と呼ばれる寝室とキッチンの2部屋からなる一般的な構造。
寝室にはベッドと、その向かいに大きなソファと小さなテーブルが置かれている。
俺の家にはソファの変わりに道具箱が鎮座している。

「久しぶりのG級クエはいかがでしたか?お茶でもいれますね。」

赤服はキッチンに消え、カチャカチャと食器の音がする。
俺は装備品を脱ぎ捨てる。こんなのを着たまま寛げる人間は、少しおかしいと思う。
ソファに座り、赤服の帰りを待つ。

「おまたせしました。」

お茶を運んできた赤服は、アンダーウェア一丁な俺を見てその場に立ち尽くした。
赤服は顔を赤らめ、俺から視線をはずしながらテーブルにお茶を置く。
食器がカチャカチャと耳障りな音をたてる。赤服、震えているのか?
463赤服6:2007/12/30(日) 08:07:32 ID:5cFyBjKI
赤服の恥ずかしがる顔を見て、俺のエロスイッチが入る。
お茶を置いて俺から離れようとする赤服の腕をつかんで、引き止める。

「やめてください。」

小さな声で赤服は言った。
俺はグイッと腕を引っ張り、ソファに座ったまま赤服を抱きすくめる。
赤服は軽く震えながら大人しくされるがままだ。そっと俺の右太ももに腰掛けさせる。
目線がほぼ同じ高さになったので、俺は赤服の碧い瞳を覗き込む。

「どうして、こんなこと?」

赤服は俺から目をそらせながら呟く。
俺は赤服の頬を優しく撫でながら「こうして欲しかったんでしょ?」と、意地悪く言ってみる。
赤服は少し目を伏せたが、何かを決心したように俺の目をまっすぐに見つめる。
俺はそれを合図に赤服を抱き寄せ、キスをする。

最初は唇をあわせるだけ。軽く触れるように唇を押し付ける。
次に閉じられた赤服の唇を舌で蹂躙する。右から左、左から右へ。
舌で唇を軽くノックしてみると、唇が薄く開かれると同時に舌をねじ込む。
赤服の舌を探して、俺の舌がのたうち回る。
それまで力なく垂れていた赤服の腕が持ち上がり、手のひらが俺の両頬に添えられる。
と、同時に赤服の舌が俺の舌に絡み付く。
今度は赤服の舌が俺の口へ侵入を試みる。が、俺は赤服から離れる。

「??」

赤服はかすかに頬を上気させながら不思議そうな表情を見せる。

俺は笑いながら、再び赤服に唇を押し付ける。今度は容赦なく舌をねじ込む。
赤服の舌を探して激しくのたうち回る。赤服は控えめに舌を俺に預ける。
赤服の舌を責め立てる。
また赤服の舌が俺の口に侵入しようとしたので、俺は顔を離す。
赤服は切な気な顔をして俺を見つめる。

「もっと・・・」

赤服の瞳が潤みはじめる。
俺は赤服の唇に軽くキスを一つ落として、次に首へと対象を移す。
わざと音を立てて何度も何度もキスをする。
舌で鎖骨辺りから顎まで舐めあげる。赤服は吐息をもらす。
464赤服7:2007/12/30(日) 08:09:07 ID:5cFyBjKI
ここへきて、少し違和感を感じた。
俺の太ももは、下着越しの湿り気を感じているにも関わらず、赤服は一度も声を発していない。
普通の女なら「あぁ」だの「うぅん」だの、何らかの喘ぎ声をあげるはずなのに。
聞こえるのは吐息だけ。
俺は、どこまで赤服が声をあげずに耐えられるのか、試したくなった。

俺は唐突に首への愛撫を打ち切ると、より一層潤んだ瞳を見つめた後、赤服の肩をつかんでグイッと体をひねった。
丁度、俺の太ももを跨ぐような形で、赤服の背中をこちらに向けさせる。
バランスを崩した赤服は、俺の膝に両手をついて少し前屈みになった。
俺は赤服が赤服と呼ばれる由縁となった、赤いワンピースのファスナーを一気に引き下げた。

赤い服の割れ目から白い肌が見える。
ワンピースを肩まで脱がせ、ブラのホックを外す。
遮るものがなくなった背中に口づけると、赤服は深いため息のような吐息を洩した。
背中の至る所に口づけ、舌を這わせる。
俺の太ももを跨ぐように座り直したせいで、赤服の湿り気をよりダイレクトに感じる。
どんどん濡れてくる様子が手に取るようだ。
それでも赤服は声をあげない。

個人的な趣味だが、着衣のまま、女を感じさせる事に喜びを覚える。
裸は「裏の顔」。俺は「表の顔」の女を淫らに汚したいのだ。
ワンピースの割れ目から両手を差し込み、脇腹を通じて乳房に触れる。
決して乳首には触れないように注意しながら、乳房を優しく揉みしだく。
赤服の胸は、他のハンターと比べても大きい俺の手のひらで丁度収まる程度。
大きすぎず、小さすぎない。俺好みな大きさ。
胸を愛撫されても赤服はまだ声をあげず、息だけを荒げる。

俺はしつこく、しつこく乳房だけを揉む。
赤服は少し焦れったく感じたのか、服の上から自分の胸に手を当てる。
服を隔てて俺の手を感じながら、自らの人さし指で乳首をゆっくりと愛撫しはじめる。
「いやらしい女だな。」自愛する赤服を低い声で非難する。
「お前が声をあげれば、いくらでも愛してあげるのに。」そういわれて、赤服は動きをとめる。

「どういう、意味、ですか?」

息を弾ませながら、赤服は肩ごしに俺の目を見つめる。
どうしても俺に乳首を弄ってもらいたいらしい。
465赤服8:2007/12/30(日) 08:10:25 ID:5cFyBjKI
「普通は声、だすでしょ?」俺は相変わらず乳房だけを弄ぶ。
赤服は息を弾ませながら、快感の隙間を縫って考えをまとめる。

「でも、今まで一人しか知らないから・・。よくわかりませ ん?? んっーーー!!!。」

「一人しか知らないという」赤服の言葉を聞いて、俺は作戦を変更した。
赤服が話し終えるか、終えないかの瞬間に乳首を軽く摘む。
恐らく赤服には「快感=喘ぐ」の等式がないのだ。
俺は「声に出して感じていることをアピールする」術を教えてやらなければならない。
なぜなら俺は女の声を聞いて、女が感じているのを実感することではじめて硬くなるタイプだからだ。
赤服が喘いでくれない限り、俺は使い物にならない。
会話の途中に快感を与えて、無理やり声を出させるようにする。

「俺に触ってみ。」赤服は、左手で俺の顔に触れる。「違う。もっと下。」
赤服は逡巡して、今度はダイレクトに俺のモノに触れる。「ずっと触ってろよ?」
赤服はまだ柔らかさを残すモノに触れて、軽く動揺したようだ。優しく左手を上下させる。
「随分、積極的だな。誰がこんな事を教えたの?」俺は責めるような口調で言った。

「ぁ勝手に、手がぁぁあ、動いたっだけ・で・・すぅぅ・!!!」

赤服が話はじめると同時に、リズミカルに乳首を弄る。案の定、自然と声に変換される。
俺は少しずつ硬さを増す。勘の良い赤服は、自分の声との相関関係を理解したようだ。
今度は乳首の先に触れるか触れないかの状態で、指先を上下左右に動かす。
「俺のために啼いてみて。感じてることを俺に伝えて。」優しく囁く。

「・・・はい。」

「・・はぁぁあ、・・・・・・んん・・」

徐々に吐息が声に変わる。
俺の太ももは、赤服がもうドロドロになってしまっていることを感知している。
俺は人さし指と中指で乳首を挟み、激しく揉みあげながら「腰を動かして。」と呟く。
はじめはぎこちない動きだったが、蜜が潤滑剤となってスムーズに動き始める。
赤服は少し前傾して、クリトリスを刺激する体勢で腰を振る。それでも左手は俺のモノを摩り続ける。

「ふぅぅん・・・んぁぁ・・・」

自分が感じるところをうまく刺激し続ける赤服は、とぎれとぎれだが淫らな声をあげ続ける。
「一人で勝手にイッちゃダメだよ?」俺が釘をさすと、赤服は軽く頷く。
466赤服9:2007/12/30(日) 08:11:36 ID:5cFyBjKI
俺の硬さが十分になってきたので、ソファから場所を移動する。
服に突っ込んでいた手を抜き取ると赤服の脇に手を差し込み、俺が立ち上がるのと同時に立ち上がらせる。
そして半ば強引に、赤服にしがみついたままのワンピースをブラとともにずり下げる。
ついでに下も脱がせる。が、白いタイツとガーターはそのままにした。
裸にガーターと白タイツ。すてき。俺もアンダーウェアを脱ぎ捨てる。

今や「赤服」でなくなった赤服を抱き上げ、ベッドに横たえる。
やや久しぶりに見る赤服の顔は、とんでもなくいやらしい。
泣く寸前と見紛うばかりに潤んだ瞳、半開きの唇、上気した頬。
軽く唇にキスしながら「いやらしい顔。」と言い放つ。

赤服の両膝を持ち上げ、少し尻が浮く状態にする。
クリトリスに触れると、ドクドクと音がするように蜜が沸く。
指先に蜜を付け、クリトリスを執拗に擦りあげる。少し尖り出した先端を撫で上げる。
密の湧き出る泉に指の先を軽く沈める。「今どんな状態か、教えて?」耳元で囁く。

「もぅ、我慢の限界、なんです。・・・・お願い。」

その切な気な声に、俺はキレた。
「我慢できないのはこっちだっての!!」俺は叫んで、躊躇なく泉を一気に突き上げる。
キツイ。

「きゃっ!!!」

赤服は悲鳴ともとれる声をあげた。余りの締め付けに俺も悲鳴をあげそうだ。
俺は激しいキスで赤服の口の中を汚した後、その顔を見ながらゆっくりと動き始める。
ぐじゅう。くちゅう。と水気を帯びたいやらしい音がリズミカルに繰り返される。
「もっといやらしい声を聞かせてくれよ。」と言って、少しずつスピードをあげる。

「はあっ!!!・・ああっ!・・・あぁぁ!!」

ぐっ。ちゃ。ぐちゅ。赤服の声と俺の動きが同調する。
どんなタイミングで動いても、声といやらしい音は同じリズムを刻む。
467赤服10:2007/12/30(日) 08:15:15 ID:5cFyBjKI
面白くなってきた俺は、突然動きを止めた。
そしてカリを引っ掻けるようにしながら、ゆっくりと引き抜いていく。

「ぃぃゃぁぁぁぁぁぁっっ!」

カリが縁に引っ掛かった瞬間、赤服は喘いだ。
俺はまた突き上げると、ゆっくりと引き抜きながら「良いの?嫌なの?どっち?」と問いかける。
赤服は必死に俺の二の腕につかまりながら頷き、消え入りそうな声でいった。

「・・いい!すごくいいの!」


「・・・・・あぁあぁぁ!」

二度目にカリが引っ掛かった瞬間、赤服は軽くイッたようだ。
十二分に声で表現できるようになった赤服には、もう少し頑張ってもらおうか。

-----------------------------------

「初めての人って、やっぱりあのプライベートシリーズをプレゼントした奴なの?」
俺は快感を与え過ぎないように、ゆっくりと動きながら赤服に問いかける。
焦点が定まらない視線を俺に向けながら、首を横に振る。
「おやすみベアの奴?」さらに問いかける。

「んんん・・・そんな、物で釣ろうとする人は・・・嫌い・・ですっ、んんっ!!」

俺は少しだけスピードをあげて「じゃあ、俺みたいにクエストに同行すればすぐに寝るの?」と責める。

「ちがぁ・・・違・います。・・あなたは・・・・特別ぅぅんっっ!!」

よがりながら、俺から目をそらして赤服は言った。
恥ずかし気な素振りを見せる赤服は、とてつもない破壊力だ。もう駄目だ。
俺はスピードをあげる。「これからどうして欲しいんだ?」

「お、お願いっっ、下さい!!!!っっ、全部っっっ!!!!!!」

俺は一旦動くのをやめ、赤服にキスをすると耳もとでこう囁いた。「俺がイクまで我慢できる?」
赤服は俺の首の後ろで両手を組んで、はにかみながら微笑み、首を縦に振る。
愛らしい。愛くるしい。めっちゃくちゃにしてやりたい。
いまだに締め付けがきつい赤服の中を、俺は全身全霊を込めて往復する。何度も。何度も。
赤服は快感に身を委ねつつ、なんとか正気を保っている。ギリギリ崖っぷちのようだが。
「いくぞ?」俺はころ合いを見計らって、赤服に告げる。

「はぁはぁ、はぁ・・・・、はいぃ!・・・・・・・んぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁああああ!!!」

深く深く突き刺した瞬間、赤服は歓喜の声をあげ、俺はその声を聞いて全てを吐き出した。
468名無しさん@ピンキー:2007/12/30(日) 10:26:32 ID:Jf4LGrG6
仕事帰りにまさか良作に出会えようとは、今日はツイてるぜ!
GJ、朝っぱらからお疲れ様でした。
良くそんな短い文章の中に、こんな濃いエロいれられますね。
文才0の俺には30あってもエロは小シーンしかorz

続きがあれば是非書いてやってください。
469名無しさん@ピンキー:2007/12/30(日) 11:35:46 ID:RZiA6/Su
これは今後に期待だな
470名無しさん@ピンキー:2007/12/30(日) 13:27:39 ID:IFxUegZr
( ・∀・)<エロいな
471名無しさん@ピンキー:2007/12/30(日) 13:43:00 ID:4ovITUkr
こんな状況のスレに書いてくれる人がまだいたとは
GJ!
472名無しさん@ピンキー:2007/12/30(日) 15:28:33 ID:aXaFWHDt
>>467
うぜぇよ

とっとと首吊って死ね
473名無しさん@ピンキー:2007/12/30(日) 15:30:57 ID:4ovITUkr
>>472
スレアンチ乙
474名無しさん@ピンキー:2007/12/30(日) 15:50:36 ID:aXaFWHDt
>>473
死ね
475名無しさん@ピンキー:2007/12/30(日) 15:58:13 ID:8SXRRk4j
これはGJ!赤服かわいいよ赤服
476名無しさん@ピンキー:2007/12/30(日) 16:06:21 ID:4ovITUkr
>>474
必至なスレアンチ乙です^^^^^^
477名無しさん@ピンキー:2007/12/30(日) 17:17:47 ID:XkbhOvqS
集会所受付嬢のエロってどうして今まで無いんだろうとずっと思ってた。
これはいいものを見た。なんか感情面での妙な生々しさがあるのも面白いw
GJ!
478名無しさん@ピンキー:2007/12/30(日) 18:41:36 ID:7CL73B5d
>>474
過剰反応すんなよ・・・今は冬休み真っ最中だぞ?

>>477
2の頃の村の受付嬢とかならまだしも、普通の受付はキャラが薄かったしな。
479名無しさん@ピンキー:2007/12/31(月) 00:20:28 ID:iTQ6PTAH
赤服の受付嬢かわいいな…えろいよGJ
でも『俺』はなんかきもい。言動かなりきめぇ。
人んちにお呼ばれしてんのに、いきなり脱ぐなよwww
480名無しさん@ピンキー:2007/12/31(月) 03:37:55 ID:lm41zblW
馬鹿言え。
紳士たるもの正装は裸に蝶ネクタイとソックスと相場が決まっておろう?
481名無しさん@ピンキー:2007/12/31(月) 05:36:18 ID:lKfR0Gtr
おはようございます。10レスほどお借りします。

・MHP設定。のつもり。
・モンハン色は弱め。その割にクドめ。
・エロは中盤あたりから。
・シリーズ2作目は1作目に劣る法則、絶賛発動中。
・誹謗中傷は真摯に受け止めます。

では、はじめ。
482青服1:2007/12/31(月) 05:37:12 ID:lKfR0Gtr
集会所のクエスト受付カウンターには「赤服の女」と「青服の女」がいる。
誰にでも優しく応対する赤服にに対して、青服はG級ハンター以外とはろくに口も利かない。

-----------------------------------

飛竜は発見され次第、討伐対象となる。
人の目に触れることの多い、村近郊では飛竜は成長する前に大抵討伐される。
そのため村から近い順にN級、H級の狩り場が設定されている。
N級では幼体とも思える、小さい飛竜が討伐対象となることも珍しくない。

俗に言う「G級」とは、ココット村から遠く離れた狩り場を指す。
遠く離れた狩り場への調査団派遣は不定期で、飛竜の発見は遅れがちである。
そのため、G級の飛竜は皮膚が硬質化し、攻撃力が並外れた「成体」へと成長を遂げてしまう。
G級の飛竜にキングサイズが多いのは無理からぬ事なのだ。

成体飛竜は飛翔力にも長けており、その気になればココット村なんて一瞬にして潰されかねない。
そこでハンター投入となる訳だが、「完全体」とも言える成体飛竜を相手にできる熟練ハンターは少ない。村の財産とも言える。

飛竜襲撃は「天災」と認識し、討伐を諦め、天命を待つのか。
「村の財産」を消費する結果となろうとも、未然に飛竜襲撃を阻止すべきなのか。
G級飛竜への対応は、集会所上層部でも意見が別れるようだ。
苦肉の策として、厳しい基準を設けた上でハンターを派遣するという現状に至った。

-----------------------------------

G級は、下手に突っ込めば簡単に死ねる恐ろしいクエストばかりだ。
ハンターの技量を見極めて、適切なクエストを案内しなければ、ハンターと村の両方に多大な損失を与えてしまう。
クールでつっけんどんな青服だが、その的確な案内には定評がある。

半年前、ハンターが自分の力を過信し、青服の紹介したクエストに納得できず、勝手に別のクエストに出かけたことがあった。
そのハンターが出発した直後、青服が腕の確かなハンターに彼の回収を依頼したことで、彼は重傷を負ったものの、無事に生還できたのだった。
483青服2:2007/12/31(月) 05:37:46 ID:lKfR0Gtr
受付カウンターは中心から左右に別世界が展開されている。
左は「動」。ほぼ全てのハンターを対象とするため、短時間で多くの応対を手掛ける赤服。
右は「静」。指折りの熟練ハンターのみを対象とし、時間をかけて応対する青服。

一見すると青服はあまり仕事をしていない。一日に5件前後の応対。
しかし青服の仕事はクエストの案内だけではない。見えない部分がその大半を占める。
例えば、青服はココット村に滞在する全てのハンターを把握している。
容姿・性格はもとより、HR、受注クエスト、飛竜討伐時間、得物、帰還した際の装備品の破損状況。
ココット村では、ハンター登録をした者全てが青服の監視下に置かれる。

集会所にいるハンター全ての情報を収集するため、青服は黙々と監視を続ける。
個人情報も含まれるため、青服は意図的に書面を残さない。
その膨大なデータを頭の中だけで、正確に処理している。喋っている暇などないのだ。

-----------------------------------

青服は「青服」を着ている。G級受付嬢の制服だ。
金髪はきっちりと二つに結わえている。
瞳は灰水晶のような透明感のある灰色。見つめられると心の奥底まで見透かされてしまいそう気がする。
赤服より少し背が高く、全体的にスラッとしている。
その印象は、水のように透明でありながらまるで揺らぐ事のない鉱石、ピュアクリスタルを思わせる。
下手に覗き込めば自分の醜さが写し出されるような気がして、青服に手を出せる男はいない。

-----------------------------------

俺はまだ武器収集を続けている。
剥ぎ取り素材を収集する場合、G級専用でもない限りH級で体力の低い飛竜を相手にする方が、より多くのクエストが廻せるため効率が良い。
G級とH級を日替わりでこなしているため後ろめたさは少ない。若干。
今日は逆鱗を求めてリオレウス連続討伐を目標にした。
赤服のいるカウンターに向う。

「こんにちは!」

いつもと変わらない愛らしい笑顔で俺を迎えてくれる。
最近、女っぷりがめっきり上がったように見えるのはなぜだろう?
瞳の端に見えかくれする色気がたまらない。
484青服3:2007/12/31(月) 05:38:28 ID:lKfR0Gtr
トントンと人さし指でリズムを取りながらH級クエストメニューを眺め、リオレウスの名を探す。
ふと、赤服がその人さし指を優しく包み込むように、軽く掴んだ。
何かを連想させるように、ゆっくりと指を扱きはじめる。
目をあげると赤服は、恥ずかし気にこちらを見返す。
赤服のしたいように任せながら、「どうした?」と俺は問いかける。

「来月、結婚します。」

周りに聞こえないように、小さな声で赤服は答える。
俺は少し驚いたが、満面の笑みを浮かべ「良かったな、おめでとう。」と祝福の気持ちを伝えた。
「声に出してるか?相手はおまえを愛してくれてるか?」俺は赤服の現状を確認する。
女の声が起爆剤になるのは、俺だけじゃないはずなんだ。
赤服の声は核爆弾に匹敵する。それを使わない手はないんだよ。君。

「はい。ちゃんと伝えています。彼は私を愛してくれます。」

頬を上気させるな。押し倒したくなる。
その後、少し寂し気な顔をした赤服に「何だ?」と問う。

「村を出ます。」

何でもお相手はドンドルマの豪商の御曹子だそうな。「そうか。」俺は赤服の可愛い啼き声がきけなくなることを惜しんだ。
「寂しくなったら戻っておいで。いつでも愛してやる。」拘束されていない、もう一方の手で赤服の頬に触れる。
赤服は顔を少し横に向け、唇の近くに位置している俺の親指に口付ける。

「・・・・ありがとう。」

赤服は一筋の涙をこぼした。
俺はその涙を拭ってやる。「そろそろ指を解放してくれないと、レウスじゃなくてお前を討伐するよ?」
485青服4:2007/12/31(月) 05:38:58 ID:lKfR0Gtr
赤服にレウス討伐の手続きをしてもらっている間、集会所を見回す。
どうやら今のやり取りを見ていたものはいないようだ。安堵する。

隣のカウンターを見ると、全身ガレオスUシリーズをまとったハンターが青服に何か渡している。
どうやらノヴァクリスタルのようだ。あの大きさなら、恐らくゲリョスの頭部破壊報酬だろう。
二人ともかなり低い声で話しているため、内容は分からない。
青服が人からプレゼントを貰う光景は初めて見る。
まるで中世の騎士を思わせるガレオスヘルムのせいでハンターの顔は見えない。
立ち居振る舞いはスマートで、良い男オーラを発している。
しかし、シリーズ一式を装備するハンターを久しぶりに見た。
初心者でない限り、攻守スタイルに合わせたスキル調整のため、色々とカスタマイズするものだ。
もちろん熟練ハンターには、一式装備にこだわる頑固ジイサンだっていない訳じゃないが。
書類に書き込みをしている赤服に「あのガレオス装備のハンターは誰だ?」と小声で聞く。

「あの方は砂漠専門のハンターです。ただ、不定期にゲリョス討伐を受注されます。」

ドスガレ/ディアブロとゲリョス。その相関関係について考えながら「青服の男か?」と赤服に聞く。
赤服が俺を睨む。受付嬢に関するプライバシーの詮索はご法度だ。
俺は赤服の耳もとに口を寄せると「嫉妬するなよ。俺は青服よりお前が好きだよ?」と囁いた。
何かいいたげな赤服から出発に必要な書類を引ったくって、俺は出発用出入口に向った。
気が付くと青服のカウンターにガレオスハンターの姿がない。
青服はチラリとこちらを見やると、すぐに情報収集(監視)作業に戻った。

-----------------------------------

レウス10頭を連続討伐し、逆鱗2枚。通常の確率からするとかなり幸運だったようだ。
しかし10頭目、疲れていた俺はレウスの突進を避けきれず、真正面から受けてしまった。
G級装備で固めていたおかげで骨は折れていないようだ。が、腹が痛い。

集会所に戻ると人っ子一人いない。そうかドンドルマで祭りがあるんだったか。
何の娯楽もないココット村の住人は、祭りと聞けばどこでもすっ飛んで行く。

カウンターの前を通り過ぎる。誰もいない。はずだった。
そこには青服がいた。
486青服5:2007/12/31(月) 05:39:35 ID:lKfR0Gtr
「あなたの帰還証明がなければ、帰れない。」

青服は無表情に言った。
帰還証明はハンターがクエストから戻り次第、提出する事が義務付けられている書類だ。
提出がなければハンターは遭難したものとみなされ、捜索隊が結成される。
しかし帰還証明は、飛竜討伐で浮かれたハンターには忘れられ、提出されないことが多い。
青服はその豊富な情報量から本当に遭難したのか、未提出なだけなのか判断する。
G級になってから、俺は帰還証明を求められなくなっていた。
それは必ず生きて帰ってくる、一流ハンターとして認められたからだと思っていた。
「おい、俺はH級クエを受注したがG級ハンターだ。なぜ帰還証明を要求する?俺が戻らないと判断した根拠は何だ?」疲れているせいか、俺はまくしたてる。

「H級レウス討伐の連続受注。負傷。そして酷い疲れ。命の危険がなかったとは言い切れないはずだ。」

ぐうの音もでなかった。その通りだ。レウスの突進を避けきれずに負傷なんて初心者並だ。
疲れていることも、負傷したことも悟られている。「取り乱してすまない。」
俺は素直に謝ると帰還証明を提出した。医者に見てもらってから自宅へ戻ろう。

「待て。今日は医者も祭りにでかけている。傷は私が診る。」

何で分かっちゃいますか。「あんた、診れるのか?」馬鹿にした調子で聞く。

「私にできないことはない、と思ってくれて構わない。家に来い。」

青服は不敵な笑みを浮かべて、俺の前を歩き出した。

-----------------------------------

青服の住まいは赤服の隣だ。知らなかった。

「あの子は彼氏のところ。」

俺の気配を感じてか、青服は呟く。本当に何でもお見通しだ。もしかして心が読めるのだろうか?
俺は目を閉じて、青服を素っ裸にして犯しまくる場面を想像した。

「何してる。早く入れ。」

どうやら心までは読めないようだ。俺はほっとする。
487青服6:2007/12/31(月) 05:40:04 ID:lKfR0Gtr
青服の家にはとてつもなく大きなベッドがだけがあった。ソファもテーブルも、棚すらない。

「上半身の装備を外して。」

青服はキッチン入ると、医者が持っているような医療品ボックスを引っさげて戻ってきた。
救急箱じゃないのか。「あんた、何者?」そんなもの普通は常備しないだろう。
俺は装備品を外しながら真顔で聞く。

「昔、医者だった。」

こんなことを言われたら一笑に付すところだが、青服が言うからには本当なんだろう。
ソファがないので、ベッドに腰掛ける。「ところでこのベッド、大きすぎやしないか?」

「私は頭脳労働者だ。良質な睡眠が確保できなければ、脳に支障を来す。」

ごもっともだ。膨大なデータの詰まった脳を、休みなく動かし続ければパンクしてしまうな。
俺たちハンターが回復役を手放せないのと同じ位、青服にはこのベッドが必要なのだろう。

俺は装備品を外して、痛む腹をみた。少し皮膚が変色している。
青服は静かに俺の隣に腰をおろすと、患部をに触れる。俺は顔を歪める。

「折れてはいないようだ。酷い打ち身というところか。」

青服は湿布を打ち身に貼付け、胴にぐるぐると包帯をまいた。
鋏や残った包帯を丁寧に片付けると、青服はキッチンへ医療品ボックスを戻しにいった。
俺はその後ろ姿を目で追いながら、唐突に襲ってきた眠気に抗えず、ベッドに横になった。

-----------------------------------

俺は目を覚ました。家ではない風景に驚いて、キョロキョロ辺りを見回す。
そうだ、青服の家だ。どのくらい時間が経ったんだろう。
足下でガチャガチャと音がする。目をやると、青服が俺のグリーヴを外している最中だった。

「お目覚めか。眠っていたのは30分程度だ。」

そうか。でも青服はなぜ俺の装備品を外している?「で、あんたは何やってんだ?」
俺の質問に、青服は刺すような視線を向ける。
488青服7:2007/12/31(月) 05:40:36 ID:lKfR0Gtr
「言っただろう?私には睡眠が不可欠だ。隣で寝ている人間がこんなとげとげしいものを着けていたら眠れない。」

俺は驚いた。「ここにいて良いのか?」普通は、目が覚めたら帰れと言うだろう。

「別に構わない。眠れるなら、誰が居ようと構わない。」

やっと脱がせ終わったグリーヴを他の装備品とまとめて部屋の隅に置く。
ふうっと息を吐いて青服が髪をほどく。サラサラの髪が流れる。
俺に背を向けると、ワンピースのファスナーを後ろ手に下ろす。
「おい、何やってんだ?」今日は驚きの連続だ。

「私は眠るときに何も着けない。」

青服はそういうとワンピースを脱ぎ捨て、ブラを外す。
俺は三度、驚かされた。
振り向いた青服の胸は、その体には少し不釣り合いに思える程度に大きかったのだ。
恐らく俺の手から少しこぼれてしまうだろうが、その見事に整った形に思わず見とれる。
服の上からはまるで分からなかった。少なくともG級ハンターでこの事実を知るものは皆無だろう。
青服はガーターに手をかけ、白いタイツを脱ごうとする。
俺は青服の手を掴んだ。「ちょっと待て。悪いが眠らせるつもりはない。」

「何だと?」

青服は理解できないと言うように腕を組み、こちらをにらみ付ける。
まるでガラスの破片が突き刺さるような気分だ。「俺はあんたを抱く。だから眠らせない。ちなみに白タイツは俺の好物なので、脱がないでもらいたい。」
理解してもらえただろうか?俺は頭の良い青服を丸め込むために何を言うべきなのか、必死に考える。

「分かった。」

俺は四度目の驚きを経験する。
なんて物わかりのいい女なんだ!すばらしい!
489青服8:2007/12/31(月) 05:59:05 ID:lKfR0Gtr
だが、ちょっと待て。この物わかりの良さの裏側に何かある?何もない訳がない。
「えらく物わかりが良いな?裏があるのか?」
青服は俺のアンダーウェアを脱がせ終えると、隣で横になる。

「裏はない。単刀直入なあなたの発言が気に入っただけだ。」

青服の少し冷たい両が俺の頬を挟み込み、灰水晶の瞳が俺の目を覗き込む。

「怪我が悪化しては問題だ。気をつけろ。いいな?」

俺が頷くと、青服は優しく微笑んだ。
快感でこの微笑みを歪ませたい。俺はそう思った。

-----------------------------------

青服は俺の体を跨いで四つん這いになり、上に覆いかぶさる。高みから俺を見下ろす。
視線を下げれば、美しい胸がある。青服は微笑んだまま俺を見つめ続ける。

順番にこだわりがある俺は、キスからはじめたいところだが。
今日はイレギュラーに事を進めたい。青服の胸に触れる。青服はされるがままだ。
ゆっくりと乳房をほぐす。優しく。手のひら全体で。
そのうち乳首が勃ってくる。俺は人さし指と親指で優しくつまみコロコロと転がす。
息が荒くなりはじめるが、まだ青服は微笑んだまま俺を見つめ続ける。

今度は少し力を入れて乳房を揉む。快感と痛みの中間に置かれた青服は、声をあげはじめる。
土台はできた。
俺は青服の顔を食い入るように見つめ、どこが一番感じるのか探る。

乳房を揉む。緩急、強弱様々に力を加えて揉みしだく。
「ん・・・・んん・・・・」

乳首を摘む。二本の指で、五本の指で。転がす、捻る、まわす。
「あん・・はぁはぁぁ・ああ・・・・・」

乳首がお好みのようだ。切な気な顔をしている。
このまま乳首の愛撫を続ける。
490青服9:2007/12/31(月) 05:59:45 ID:lKfR0Gtr
俺の頭の横についた腕がわずかに震えはじめる。快感を感じると、肘がカクンと下がる。

「はぁああぁんん!!」

しつこく乳首を愛撫し続けると、青服は快感に抗えず、俺の肩に顔を押し付ける。

「ねぇ、教えて・・・。あ、あの子に、何をしたの・・・?」

あの子。恐らく赤服のことだろう。俺が赤服の相手をしたこと、青服なら知っていても不思議はないが。「いんや、何も。」俺はとぼける。

「うそ。あの子があんなにも声をあげて感じているの、聞いたことない。」

少し正気を取り戻して、青服は俺に詰め寄る。視線が痛い。
聞こえていたのか。気恥ずかしいな。「で、あんたはその声を聞きながら自慰したのか?」
俺は最後に残された下着の上から、蜜壷の辺りに指を当てる。「こうしたのか?」
そのまま指を上下させ、クリトリスから蜜壷まで往復させる。
「それとも、こう?」クリトリスにあたりで小さな円を描き続ける。
水っぽい音がするところをみると、随分濡れているようだ。

「ああああぁっっ!違うっ!!ただぁあなたを試してみたかったのぉぉぉっっ!!」

青服の低めの声で喘がれると、たまらない。俺は準備OKだ。
「じゃぁ、試してみれば良い。」

青服は自分で服を脱いでしまった。最後の砦は残しておきたい。
俺は着衣のまま感じさせたかったのに!今はこの一枚が全てだ!絶対に脱がさない!

肩で息をしながら、青服は俺を迎え入れるため座り直す。
俺は股部分を脇に寄せてやり、通り道をつくる。「いれて。」
青服は頷くと、少し腰をあげ静かに沈みこんだ。

「うぅん。」

青服はそのまま動かない。俺を馴染ませているようだ。
狭くて窮屈なのに、暖かくて、柔らかくて、気持ちが良い。
青服はゆっくりと動き始めた。
491青服10:2007/12/31(月) 06:00:19 ID:lKfR0Gtr
青服は素敵な声で喘ぎながら、自ら腰を振る。
その動きはゆっくりだ。青服が自制心を保てるギリギリのラインなのだろう。

「我慢はよくないな。」俺は青服の腕を取り、自分の肩に手を置かせる。「俺はあんたが快感に顔を歪めるところを見てみたい。」これで動きやすくなったはずだ。

「バカがつく程の正直者だな。あなたは。」

青服は淫らな笑みを浮かべると、動きを徐々に早めていった。
「うぉお!?」ふいに締め付けられて、俺は声をあげてしまった。
グチュグチュと水音が響く中、青服は動くことをやめない。どんどんスピードが上がる。
心地よい快感が続いたかと思えば、キュッときつい締め付けがくる。何だこれ?

「うぅん・・・はぁはぁ・・はぁ・・・・・くぅ・・」

快感に溺れる青服は自制がきかなくなってきたのか、カクカクとぎこちない動きに変わっている。
スピードもどんどん落ちている。ゆっくりと引き抜くと、俺に叩き付けるように腰を深く落とす。
きつい締め付けがくる間隔はだんだん短くなってきた。
そろそろ潮時かも?「いこうか?」俺が囁くと、青服は小さく頷く。
灰色の瞳は潤み、もやが掛ったようだ。頬は上気し、薄く開かれた唇の端から涎が垂れる。

俺は青服を引き寄せて体を密着させる。
これまでキスできなかった分を取りかえすかのように、青服の口を犯す。舌で蹂躙する。
締め付けは断続的に続く。ラストスパートだな。
俺は自分の上に重なった青服を抱き締める。身動きができないほどにしっかりと。
「顔を見せて。」青服が顔をあげた瞬間、俺は下から突き上げはじめる。
青服は快感から逃げようともがくが、俺にホールドされて動けない。

「ぃやぁぁ!!はなしてぇっ!!・・・おねがっ!!!・・・はぁ!」

俺は青服の目を見つめながら「嫌だ。」と言い放つと、さらに突き上げる。
青服は涙を浮かべて、視線は宙を舞う。「試してみて、どうだった?」俺は問いかける。

「・・・んんんん!・・・・ぃぃいいぃいいぃいいいいっ!!!!」
淫らに顔を歪めて青服は叫ぶ。と、同時に青服の中が軽くけいれんし、キュウっと締まる。
その締め付けは、俺の最後の一滴まで搾り取った。
492名無しさん@ピンキー:2007/12/31(月) 11:51:35 ID:r3RE9bmg
GJ、もしまだ続きがあるのなら自分は見たいです
GJ
493名無しさん@ピンキー:2007/12/31(月) 13:40:03 ID:H3SGDbdF
GJ!
願わくばこのスレが昔のように栄えますように
494名無しさん@ピンキー:2007/12/31(月) 17:39:20 ID:roNSUZwf
>>491


ああ……次はアイテム売りの赤服だ……
495名無しさん@ピンキー:2007/12/31(月) 17:57:36 ID:Oh9vrL8k
GJです

昔といえば初代あたりの『降りてこないリオレイア』や上の>>317が好きな俺なんだが
来年あたりから書いてみたいと思ったんだけど需要ある?
496名無しさん@ピンキー:2007/12/31(月) 17:58:59 ID:H3SGDbdF
そんな俺はいまだに「押しかけ黒龍」の更新を待っている
絶望的だが
497名無しさん@ピンキー:2007/12/31(月) 18:03:25 ID:Q9/VDhVp
俺は全裸ハンターとレイアの話を待っている。
498名無しさん@ピンキー:2007/12/31(月) 18:05:39 ID:H3SGDbdF
子持ちの金火竜の話、ログ無くした…orz
確か金火竜の名前はルナだったはずだけど、誰か持ってない?
499名無しさん@ピンキー:2007/12/31(月) 21:03:29 ID:MCWZZ1+T
MHP2の集会所のライバルハンターとかいかにもなキャラだけどここで見たことないな
500名無しさん@ピンキー:2007/12/31(月) 21:12:25 ID:XvQerHeH
>>498
何スレ目くらいの作品よ

いざログ持ってても量が多すぎて
なかなかwikiにまとめる気にならんから困る
501名無しさん@ピンキー:2007/12/31(月) 22:03:08 ID:MCWZZ1+T
ある程度書きだめもできたので投下をしてみる。
注意点として

・例によって擬人化
・エロはまだなし
・文章力はあまりない

上記のことが気に障る人は読み飛ばした方がいいかも
502名無しさん@ピンキー:2007/12/31(月) 22:04:00 ID:MCWZZ1+T
現在火山にて大剣を振るってショウグンギザミと激戦を繰り広げている俺の名はドズ。
ハンターやってて4年ぐらいになる。
特に名が知れているわけでもなければ、そうなりたいわけでもない。
淡々と狩りを続けている。ここ2年ぐらいはそんな感じだ。
ハンター間に一角竜を倒せるまでに成長してみんなから褒め称えられてやる。
そしてゆくゆくは英雄とまでは行かなくともそこそこ名の知れたハンターにはなってやる!
…とかな。
しかし現実は厳しいもんで、一人で一角竜と渡り合えるようになったのはほんの1年ちょっと前だ。
それにその頃にゃとっくに情熱も尽きていた。
一体何度自分の金髪を黒く焦がされたろう。
ハンターとしての生活はなかなかどうして厳しいし、いつも死と隣り合わせ。
余裕なんざ抱いてられやしない。気を抜いたら、死。そういう世界だ。
ハンターになってすぐ、イャンクックに殺されかけた。
一緒に狩りに行ったやつらには狩りに行く前に散々自分の武勇伝を語り、期待させておきながら
そいつらにも迷惑をかける結果となった。当然、嘲笑されたさ。
以後、同じ奴と何回も狩りをするようなことはしていない。
俺が悪かったことなんだが、その一件で軽い人間不信に陥っちまったのさ。
バカみたいだろう? そう、俺はバカだ。
こんな意味の無い生活を延々と続けてるだけのな…。
どうにか汚名挽回しようと頑張ってもちまちまとやっていくしかない。
結局は、他のハンター達に埋もれて行ってただの凡ハンターだ。
笑えるだろう? 笑うがいいさ。別に俺は気にしない。
そして今じゃこのハンターライフに意味すら感じられない。
モンスターを狩り、武具を作り、整え、食事を取り、寝る。
この無機質な行動の繰り返しだ。自分が空想の物語に出てくるからくりなんじゃないかと思うこともある。
でも、これでも一応人間だ。もっとも、モンスターより生物じみてない人生を送っているがな。
今日のこの狩りにも意味があるのかは不明だ。案外、ここで死ねたら楽かもな。
もし俺がここで死んだらこのダイミョウザザミはどうなるんだろうな?
…既に殻は徹底的に叩き割ってやった。まあ、これは簡単に新しいのを見つけられるだろう。
だが、鋏はどうだろう。既に右の鋏から腕にかけての部分がが最初に遭遇したときの半分以下の大きさになっている。
大剣を振り回しながら戦ってたらこうなった。哀れなもんだな。
俺が投げた投げナイフにより、左目も潰れている。これも一生見えないんだとしたら、やっぱり哀れなもんだ。
体の他の部分も傷だらけ。俺がこいつに負けたとて、こいつに待ち受けているのは死だけかもな。
…なんて思ってたらこいつはもう瀕死だ。口から体液と同じ色の泡を吐き出している。
これがこいつらの瀕死のサイン。いつの間にか誰からも教えられずにそう知っていた。
このクエストの目的はこのショウグンギザミの「捕獲」。うっかり殺さないようにしないとな。
別にクエストに失敗してもいいんだがここまでやったからには成功させておきたい。
痺れ罠にかける為に少しおとなしくしていてもらう。俺は大剣を思いっきり振り下ろし、脳天(多分)に直撃させた。
相手が大きく怯み、倒れこんだ隙に罠を仕掛ける。
捕獲クエストは何度もやったことがあるし、仕掛けるのには慣れている。
この仕掛ける動作までもが機械的だということに気づくともう笑うしかないな。
罠を仕掛け終われば、後は相手がこっちに来るのを待つだけだ。
どんなに一所懸命に生きてきたんだとしても所詮あいつは低脳なモンスター。
ひたすら真っ直ぐにこっちに向かってきやがる。
504名無しさん@ピンキー:2007/12/31(月) 22:06:23 ID:MCWZZ1+T
…それ来た。
あと4歩ぐらいか?
………お、かかった。
さて、必死にもがいているところ悪いが、この捕獲用麻酔玉を投げてさっさと終わりにさせてもらおう。
1発…
2発…
3発…
3発目で眠った。
これにてクエスト終了、だ。
後はギルドに任せておけば眠ってるこいつを勝手に回収してくれるだろう。
さて、帰ったら何を食うかな…。
相変わらずどうでもいいことを考えながら、モドリ玉を取り出す。
コイツはどういう原理かは不明だがドキドキノコという謎多きキノコの効果でベースキャンプまで一瞬で戻れるという、
摩訶不思議にしてインチキくさい代物だ。世の中には説明できないことが多いという学者がいたが、確かにそれもうなずける。
…その時だった。
俺はうっかり手を滑らせ、モドリ玉を落としてしまった。
「うわ、しまった…」
モドリ玉は叩きつけられた衝撃でその効果を発揮するアイテム。
落下の衝撃でもそれは例外ではなかった。
モドリ玉はすぐそばのダイミョウザザミの影に落ち、緑色の煙を噴出した。
「あ〜あ…。…仕方無い、徒歩で戻るか…」
が、異変に気づくのにそう時間はかからなかった。
モドリ玉から出た煙がショウグンギザミを覆っていくと、眠っていたヤツの姿は見えなくなった。
その様子を見守っていると、やがて煙は晴れていった。
……だがしかし、ショウグンギザミの姿が無い。
「…!?」
慌てて駆け寄ってみるが、やはりあの巨体が跡形も無く消えている。
…ふと、痺れ罠の仕掛けている場所で何かやわらかいものをふんづけた。
下を向いてみると、そこには驚くべきことに…
紺色の髪の、少女が居た。
年齢は17〜18ぐらいだろうか。すやすやと寝息を立てている。
異常なのは、衣服を身に着けていないこと、こんな火山で、しかも自分が狩ったモンスターの居たところで寝てること
そして……


右腕と左目が無く、体のあちこちが傷だらけなことだ。
505名無しさん@ピンキー:2007/12/31(月) 22:07:14 ID:MCWZZ1+T
少女をベースキャンプに連れ帰った俺はまだこの状況を完全に理解できずに居た。
別にあのまま放っておいても良かったのだが、それだと間違いなくこの少女は死に、俺自身も人を見殺しにしたことになる。
一応、手近にあった布で即席の服を作って彼女に着せてやったが、熱い岩盤の上で寝そべっていたために背中を焼けどしている。
傷薬を塗り、傷のついているところや腕の無い部分に包帯を巻いてやるなどの応急処置はした。
今はベースキャンプのベッドで眠っている。
それだけ体をいじられたのに目を覚まさない。これは、体に麻酔作用がはたらいているとみていいだろう。
…さて、あこの少女は何者なのか?
おおよその目処はつくが、やはり信じられない。
以前にギルドで雑談しているハンター達の口から、こんな話を耳に入れたことがある。

『モドリ玉の煙を浴びたモンスターは、ドキドキノコの作用で人間になる』

という話だ。
ドキドキノコの何の作用だ、と心の中で軽くツッコミを入れて流した程度の話を今更思い出すとは、
我ながら意外だ。
残念ながら…いや残念なのかは不明だが、この少女が元ショウグンギザミでないとするには証拠が少なすぎる。
逆にそうだとすると、これでもかというぐらいに証拠がある。
一番有力なものとして、体の欠損部分があのダイミョウザザミと全く同じだ。
傷だらけというのも同じ。少なくとも俺が記憶していた場所と同じ部分には傷がある。
次に、ダイミョウザザミが消えた場所にこの少女が居たということ。これも大きな証拠だ。
この少女がダイミョウザザミと考えるなら、殻を破壊していたから衣服がないのも合点がいく。
最後に、あまり関係ないかもしれないが髪の色がショウグンギザミの体色と同じ。
………もう確定と言っていいだろう。
じゃあ、何故こうなったのだろう? そう思ったとき、再び俺の頭にさっきの言葉が浮かんだ。


…世の中には説明できないことが多いという学者がいたが、確かにそれもうなずける。
506名無しさん@ピンキー:2007/12/31(月) 22:08:09 ID:MCWZZ1+T
少女が目を覚ましたのは次の日だった。
クエストの残り時間にかなり余裕があるうちにダイミョウザザミを捕獲したため、
これでもまだ迎えが来るまでに半日弱はある。
「…う……ん………」
ゆっくりと起き上がる少女。…しかし、片手だけであるせいか、起き上がるのも辛そうだ。
やっとのことで体を起こすと、彼女はまず一番身近に居た生物、すなわち俺に話しかけてきた。
「あの……ここは……?」
「火山だ。何だ、わからないのか?」
「はい…。あの、それと……」
「何だ?」
「…私は、誰ですか?」
「………はぁ?」

二重に驚かされてしまった。
この少女、どうやら記憶喪失らしい。
つまり、自分が何者なのかもなぜ体が欠損しており、傷だらけなのかも理解できない。
一体何故こんなことに? 記憶喪失っつったってそうなるようなことをしたか?
身に覚えがない。ひょっとして、モンスターから人間になるとみんな記憶を……
……いや……
あった、身に覚えが。
俺はダイミョウザザミの脳天とおぼしき部分に思いっきり攻撃をした。
これなら…記憶喪失になるのも無理はない……かもしれない。
当然のごとく、俺は質問攻めにあった。
自分は何者なのか、なんで体の一部がないのか、俺は誰なのか、なぜ自分は俺と一緒にいるのか…
…多分、モンスターが人間になったなんて馬鹿らしい話は信じちゃあくれないだろう。
記憶喪失だからこそ信じるって見解もあるが仮に信じたとして今度は体の話になる。
その時俺は嘘を通す自信はない。本当のことを言ったらそれがきっかけで記憶が戻り、手近な凶器か何かで俺を殺しにかかるだろう。
ここは火山だ。凶器になるようなものはそこらにゴロゴロ転がっている。
もしこの少女が襲い掛かってきたら、俺は人(少なくともその形をしたもの)を殺さなければいけなくなるわけだ。
だから、俺は初っ端から嘘をついた。
彼女のプロフィールはこうなった。

名前:不明
年齢:18歳ぐらい
性別:女
身長:俺より頭一つ分ほど小さい
モンスターに襲われて気絶していたところを俺が発見する。
俺が何とかモンスターを追い払ったが、既に体の一部は持っていかれて傷だらけだった。
その場に置き去りにしたら間違いなく死んでいたので、俺によってここまで運ばれ、今に至る。
507名無しさん@ピンキー:2007/12/31(月) 22:08:52 ID:MCWZZ1+T
「そうだったんですか…。ありがとうございます」
「いや、礼はいいが…」
「……それで……私、これからどうすればいいんでしょうか?」
至極真っ当な意見だ。記憶喪失で火山に放り出されて五体不満足となれば誰もが同じ疑問を持つだろう。
…どうすればいいだろうか。
俺自身、そう問われて困っている。こんなご時世だし、この少女をはいわかりましたと引き取ってくれるようなお人よしは
そうそう居ない。それどころか、多くの人間は彼女を気味悪がって近づかないだろう。
向こうもまた、困った顔でしょげている。
……一瞬、俺の頭に馬鹿らしい考えが浮かぶ。
最初はバカな、と自分の中で一蹴してみたが…おそらくその方法を取らねばこの少女は路頭に迷うこととなるだろう。
そんなんで死なれたりしては胸糞が悪い。元は死ぬはずのモンスターがこんなことになったのも自分の責任だ。
…腹を、くくるしかなさそうだ。
「…俺と一緒に来るか?」
「え?」
「だから、その…記憶が戻るまで、俺と一緒に暮らすか?」
「でもそんなご迷惑…」
「いいんだよ。乗りかかった船だ。俺がお前の面倒を見てやる」
「でもでも…」
そりゃまあ、こうはなるだろうと予想していた。
いきなり知らない野郎に一緒に暮らさいかと言われて戸惑わないわけがない。
「その体じゃ、まともな生活は無理だろう? 記憶が戻らなくてもいい、引き取ってくれる誰かが見つかるまで俺のところにおいといてやるよ」
しばらくの間少女は考え込んでいた。

1分ほどして、顔を上げてから俺の目を真っ直ぐに見つめてくる。
…顔にも少し傷がある上片目には眼帯をつけてるが、こうして見るとこの少女はかなり可愛い部類に入る顔立ちをしている。
今まで生きてきてそんな女に真っ直ぐ顔を見られたことなどなかったため、一瞬どきりとした。
「あの……あなたさえ迷惑でないなら……その……」
「…よし、じゃあ決まりだ。しばらくしたら迎えの馬車が来る。俺が適当に言いくるめてお前を一緒に乗せてやるよ」
「はい、ありがとうございます…。…それで、あの…お名前は?」
「…俺の名前か? ……」
名前を聞かれたのなんか随分と久しぶりのことに感じる。
人と関わるのを避けてた所為だろうな。
「……俺はドズだ。お前は………そうか、覚えてないんだったな…」
「はい…。ですから、ドズ…さんの好きなようにお呼びください」
「…わかった。そうだな……」
少女の呼び名を考えるにあたって、まず彼女がショウグンギザミであることが思い浮かんだ。
しかし、ここから明らか過ぎる呼び名を与えたならそれがきっかけで記憶が戻るかもしれない。
…ギザミのギを2回でギギ、なんてのはどうだろう。
これならショウグンギザミと関連付けるのは難しいし、何より覚えやすい。…よし、決めた。
「…じゃあ、お前はギギだ」
「ギギ、ですか?」
「ああ」
「ギギ…。……いい名前ですね!」
どうやら想像以上に気に入ってくれたようだ。
お陰で俺も助かった。正直、一度ギギという名前が浮かんでから他の名前が考えられなくなった。
最初に思いついたものの印象ってのは大きいんだろうな。
「…ふつつかものですが、よろしくお願いします!」
ふつつか者…。元モンスターなのになんでそんな言葉まで覚えているんだか…。
「……ああ、よろしく」

こうして、俺と元モンスターな傷だらけの少女の共同生活が始まった。
508名無しさん@ピンキー:2007/12/31(月) 22:10:41 ID:MCWZZ1+T
今回はここまで。
前の作品は最後までエロ入れられそうになかったんで途中で打ち止めという形に。
感想やアドバイス・誤字指定などもらえるとありがたい
509名無しさん@ピンキー:2007/12/31(月) 22:12:16 ID:MZ33xC/y
ショウグンなのかダイミョウなのかどっちだよw
510名無しさん@ピンキー:2007/12/31(月) 22:36:45 ID:MCWZZ1+T
うはwwww派手に間違えたwwww
ショウグンですマジごめんなさい腹切って来ます
511名無しさん@ピンキー:2007/12/31(月) 22:37:03 ID:rsmpFzlH
多分少女の名前と、大名&将軍の比率的にギザミだろうな
512名無しさん@ピンキー:2007/12/31(月) 23:14:58 ID:roNSUZwf
将軍と大名の交錯っぷりにワロタww

513名無しさん@ピンキー:2007/12/31(月) 23:42:19 ID:MCWZZ1+T
まあここはひとつ主人公がアホだったということで
あけましておめでとう
515名無しさん@ピンキー:2008/01/01(火) 00:59:35 ID:8tzwtUxx
明けましてオムライス( ^ω^)ノ
516名無しさん@ピンキー:2008/01/01(火) 01:04:07 ID:xOOrVcbb
あけましておめでとう
今年も米虫に負けずに頑張ろう!
517名無しさん@ピンキー:2008/01/01(火) 01:16:41 ID:PENHUcWV
>>508
誤字かネタかもしれんが汚名挽回はねえよww
518名無しさん@ピンキー:2008/01/01(火) 02:10:15 ID:7yqytrqz
年明けてから見たら妙に伸びてたんで、また荒れだしたかと思ったら……
なんかいい雰囲気になってるー? めでたいぜ!
というわけでオマイラ、あけましておめでとう。
少しずつ良い方向に進んでってほしいぜ。

さて、初クックか初レイアでも狩ってくるかな。
519名無しさん@ピンキー:2008/01/01(火) 02:57:09 ID:+K+VJgKE
>>518
ここはお約束の姫始めとしてレイアに一票
520名無しさん@ピンキー:2008/01/01(火) 04:12:52 ID:FrRqheXL
>>498
金色の飛竜じゃないかな?
http://uproda.2ch-library.com/
lib004045.zip お狩りします DLキーは一番上のと同じ
5匹目と6匹目のログ 間違ったらすまん。

ところで、9スレ目を全部をうpってくれる人いませんかね?
521名無しさん@ピンキー:2008/01/01(火) 21:53:32 ID:sMitaU0P
>>520
ギコナビにログ残っているけど、全部メモにコピーしてロダにあげればいいのか?
522520:2008/01/01(火) 22:11:40 ID:FrRqheXL
>>521
txtでいいのでうpお願いできますか
523名無しさん@ピンキー:2008/01/01(火) 23:59:35 ID:qL1qqzfS
>>522
lib004107.zip パスなし
最後のブラックテンペストも混じっているがそのまま詰めてみた
524名無しさん@ピンキー:2008/01/02(水) 04:37:01 ID:Eepw7Dz6
>>520
dクス!
525名無しさん@ピンキー:2008/01/02(水) 07:15:18 ID:wszZa0lv
526名無しさん@ピンキー:2008/01/02(水) 15:03:23 ID:LW+eLiv1
>>523
サンクス
9スレ目落ちた理由がやっとわかったよ
527名無しさん@ピンキー:2008/01/03(木) 07:07:53 ID:aYLU170K
ナルガクルガとエスピナスに犯されたい
528名無しさん@ピンキー:2008/01/03(木) 19:13:15 ID:4yCXk/Lx
>>527
ナルガクルガの発達した尻尾が尻に刺さってアッー!
エスピナスの鋭いトゲが尻に刺さってアッー!
529名無しさん@ピンキー:2008/01/04(金) 03:10:13 ID:B6Nk/ZKt
こんばんは。4レスほどお借りします。

・MHP設定。のつもり。
・モンハン色は弱め。
・赤服青服の続編ですが、エロには特に影響しません。
・3代目が会社を潰す法則、絶賛発動中。
・誹謗中傷は真摯に受け止めます。

では、はじめ。
530赤髪1:2008/01/04(金) 03:11:40 ID:B6Nk/ZKt
武器収集という名の現実逃避を終えた俺はここ数ヶ月、G級街道まっしぐらの生活をしている。
様々な武器を扱ううちに、どうやら俺には自らの腕の延長として直感的に扱える大剣や片手剣が合っていることが分かった。
打点が自分から遠く離れるランスや、攻撃を溜めるハンマー、飛び道具でダメージを与えるボウガンは、筋肉脳の俺には扱いが難しすぎる。無理。
それでも苦手意識を克服するため訓練所に通ってみたり、日々の努力は欠かさない。

翠ガノトトス討伐から戻った俺は、G級受付嬢である「青服」に無事に帰還したことを報告する書類、帰還証明を提出するため順番待ちをしていた。
俺の前ではガレオスUシリーズ一式をまとったハンターが青服と相対している。
ガレオスハンターは「堅牢なねじれた角」を取り出すと青服に手渡し、軽く会釈をしてカウンターを離れる。
特に会話はない。
順番がまわってきた俺は帰還証明を青服に手渡す。「プレゼント攻勢か?あんたも隅におけないな。」憎まれ口をたたく。

「嫉妬ですか?正直なあなたには珍しく回りくどい言い方ですね。」

青服は微笑んでそう言うと、ガレオスハンターから受け取ったプレゼントを雑用係に手渡す。
今日の集会所は混合っている。二言三言会話を交わすと、俺はカウンターを後にした。
詳しくは今晩、ベッドの上で問いただせばいいこと。

集会所出口を見るとガレオスハンターの背中が見えた。
砂竜から稀に剥ぎ取れる紫鱗と桃ヒレから成るガレオスU装備は美しく、気高い印象を与える。
それは「紫」が現在の染色技術では作成が難しく、王族をはじめとする上流階級にのみ使用が認められる特別な色だからだろう。
このハンターもどこぞの貴族の端くれなのかもしれない。

ガレオスハンターに興味を掻き立てられた俺は一杯誘ってみようと考えて、後を追うように集会所出口に向った。
だがそこで、回復薬がきれていることをふと思い出す。明日のクエストのためにも今日揃えておかなければ。
ガレオスハンターの件は見送る。次会ったときにでも誘うとしよう。
俺は踵を返して集会所内の道具屋に向った。
531赤髪2:2008/01/04(金) 03:12:53 ID:B6Nk/ZKt
集会所にはクエスト受付カウンターとは別に、クエスト出発直前でも買物ができるよう道具屋が設置されている。
そこにもひとり女がいる。
制服は赤服と同じ赤いワンピースだが、赤服のようにハキハキしていない。
いつも気怠げにしており、ともすればうたた寝をしている。
集会所のハンターは道具の効用や使用法を熟知しているため、商品説明すらしてくれない。
オーダーした商品を無言で棚から取り出し、無言で金を受け取る。
ただ商品と金を交換するだけの仕事と思っているようだ。

赤い髪を二つに結わえている「赤髪」は、容姿でいうなら赤服や青服に負けていない。
誘う気満々でカウンターに向かい、肩を落として帰ってくるハンターは数えきれないほどだ。
茶色の瞳は目の前にハンターがいようが/いまいがいつも同じ、虚空を見つめている。

赤服や青服を選んだ採用係が選んだ人選だ。優秀さは折り紙付きなのだろうが、実感することは難しい。
ただ、良く見れば商品が並ぶ棚には埃一つ見当たらないし、品切れは皆無だ。
一つ間違えば暴発してしまうボウガンの弾丸の取り扱いもうまい。
赤髪から弾丸を受け取ったガンナーが、荷袋に収納しようとして誤って暴発させてしまうなんてこともあるのだ。
接客内容を除けば、間違いなく赤服・青服と並び称される人材であることは間違いない。

俺はそんな赤髪を嫌いではない。
どんなハンターにも分け隔てなく応対する点は評価されるべきではなかろうか。
例えそれが無視と紙一重の対応だとしても、だ。

俺が回復薬を10本オーダーすると、赤髪は無言で背後の棚から回復薬を取り出してカウンターに置く。
俺がカウンターに代金を置くと、赤髪は無言で金を受け取る。
赤髪に手を振って、背を向け歩きはじめるとカタンと音がした。
俺は何気なく振り向くと、カウンターの上には鍵が置かれていた。
赤髪の家の鍵だ。
俺の何が気に入ったのかは分からないが、鍵を渡されるのは3度目だ。
赤髪の顔を覗き込むと、相変わらず瞳は虚空を見つめている。
俺は鍵を受け取ると、今度は本当にカウンターを後にした。
532赤髪3:2008/01/04(金) 03:14:05 ID:B6Nk/ZKt
集会所の裏手にある赤髪の自宅に到着する。赤服/赤髪の家から少し離れたところだ。
俺は赤髪から預かった鍵を使って中に入る。

武器と装備品を外すと部屋の片隅に立て掛け、ベッドに横たわる。
今日はさほど難しいクエストだった訳ではないが、少し眠くなってきた。
まどろんでいると扉ががちゃりと開く。赤髪が帰ってきたようだ。

赤髪は何もいわずにベッドに歩み寄ると、俺にかぶさって激しいキスの雨を降らせる。
決して無駄口をたたこくことのない赤髪は、本当に何を考えているのか分からない。

無言のまま一頻りの愛撫を終え、俺は壁にもたれ掛かるようにしてベッドに腰掛ける。
赤髪は裸に白タイツのみという恰好で俺を跨ぎ、俺のモノに手を添えて角度をつけると静かに腰を下ろす。
赤髪は深いため息を洩すと、ゆっくりと腰を動かしはじめた。
俺はバランスを保つように腰を支えるが、その動きは赤髪に任せる。
俺の肩に手をかけ、じっと俺の顔を見つめたまま赤髪は動き続ける。
次第に早くなる腰の動きに赤髪は顔を歪めながら、淫らな喘ぎ声をあげる。
赤髪の声に反応してさらに太くなる俺を、赤髪がキュっと締め付ける。

少しすると赤髪の動きは失速しはじめ、肩に置かれた手に力がなくなる。
それを合図に赤髪の背中に手を移し、静かにその身をベッドに横たえると、今度は俺が上になる。
汗ばんだ赤髪の顔に張り付いている一房の髪をどけてやると、柔らかな唇にキスをして、俺は腰を動かしはじめる。
俺は赤服の口を離さない。酸素を求めて俺から逃げようとする赤髪の口を俺の舌が蹂躙する。
俺は攻撃の手を緩めない。激しすぎる快感から逃げようとする赤髪の腰を俺の手が固定する。
俺は突き上げるのと同時に赤髪の腰を強く引き寄せる。何度も、何度も。
口を塞がれた赤髪は、声にならないくぐもった声をあげる。

「んっっ!・・・・・・んんんんんーーーーーーっ!!?!」

搾り取られるような締め付けを感じて、俺は熱い液体を赤髪に注ぎ込み、唇を離した。
赤髪は苦しかったのか、目の端に涙を浮かべて荒い呼吸を繰り返す。
暫くその姿を楽しんだ後、俺は微笑みを浮かべて「苦しかったの?」と問いかけるながら、赤髪からゆっくりと引き抜きはじめた。

「・・・・・はぁっ!」

俺が完全に抜け出る瞬間、赤髪は軽く声をあげた。その反応に満足して、赤髪に優しく口づける。

「いじわる。」

赤髪は虚空を見つめながら、かすれた声でそう言った。
533赤髪4:2008/01/04(金) 03:15:02 ID:B6Nk/ZKt
交歓の疲労が引き金となったのか、赤髪を猛烈な眠気が襲った。今にもまぶたが閉じられそうだ。
赤髪はいつも眠い。カウンターでもうたた寝してしまうくらいなのだ。睡眠は欠かせない。

俺は赤髪の頬に口付ける。「眠っちゃ駄目、汗を流さないと。」赤髪を抱き上げて浴室へ向った。
フラフラする赤髪を浴室に立たせると、手桶で汲んだ暖かい湯を肩から流す。
張りのある白い肌の上で湯が玉のように弾かれ、曲線を流れて行く。
「じっとしてろ。」俺は石鹸を泡立たせて赤髪の体を撫でるように洗い上げる。
泡のついた俺の手が隅から隅まで体を撫で上げると、赤髪は満足そうな表情を見せる。
赤髪の後ろに周り、背中から尻にかけて手を往復させる。
軽く足を開かせると、尻の方から赤髪のいまだ敏感な部分を洗いはじめる。

「う・・。」

赤髪は壁に手をついて体を支える。
「刺激するなよ?」耳もとで囁くと、声に反応して勃起する俺の体質を知る赤髪は軽く頷き、声を出さないように軽く唇をかむ。
いじわるしてみたくなった俺は、蜜と白い液体が混ざったままの部分を撫でるように洗う。
赤髪は眉根を寄せて目を閉じ、快感に抗う。
さらに悪のりした俺は、赤髪のクリトリスを優しく剥いて洗ってやる。

「はぁんっ!・・・これ、以上・・・・・いじめるな・・・。」

第2ラウンドに突入することを、俺は望んでも赤髪は望まない。一秒でも長く眠りたいのだ。
名残惜しげにクリトリスを一撫ですると「悪かったな。」と謝り、俺は手を離した。
再び湯をかけてやり、泡を洗い流す。
思いがけず与えられた刺激にクタクタになった赤髪は、足取りがおぼつかない。
俺はタオルを渡し体を拭くように言うと、部屋に戻りベッドのシーツを取り買える。
急いで浴室に戻り、気怠げに体を拭く赤髪を抱き上げてベッドに横たえると、体に残った水気を拭き取ってやる。
寝巻きを着せたいが、これ以上起こしておくことは無理だ。
俺は上掛けを肩口まで引き上げると、もう目を開けていられない赤髪に軽く口付ける。「じゃまた明日、な。」
完全に目を閉じ、唇だけで微笑んだ赤髪はすぐに寝息を立てはじめた。

俺は静かに部屋を出ると扉に鍵をかけ、扉と床の間の隙間から鍵を滑り込ませた。
満天の星空を見ながら帰路につく。

途中、今夜は青服にガレオスハンターとの関係を問いただすつもりだったことを思い出し、足を止めた。
これから青服の家に行くのは、さすがの俺でも躊躇する。今夜は遠慮しておこう。
次回はどうやって青服を(性的に)問いつめようか考えながら、俺は再び歩きはじめた。
534名無しさん@ピンキー:2008/01/05(土) 04:04:03 ID:hPVfcmeS
535名無しさん@ピンキー:2008/01/05(土) 13:58:40 ID:xaKvFwsW
GJ!!
536名無しさん@ピンキー:2008/01/05(土) 18:09:55 ID:xlRkGnH9
赤服の人GJ。
4レスという短めの文章の間に、しっかりとした濡れ場を入れられる文章構成力が素直に羨ましいですよ。

そして自分も作品投下。ちなみに季節物。
正月ところか三箇日さえ過ぎ去ってしまったけれど、
これ以上間を空けると丸一年間封印して腐らせてしまいそうなので。

・恐らく15レスほど使用。
・舞台設定はMHP2
・資料不足につき捏造設定がちらほら。
・男×擬人化女
・ヒロインはツンデレ。但し作者補正により果たしてその定義に入っているかは不明。

以上がダメな方はスルー推奨。
構わない方はどうぞ。
537暴君のしつけ方 1:2008/01/05(土) 18:11:55 ID:xlRkGnH9

 窓から差し込む月明かりに照らされた時計。その全ての針が『12』の数字を刺した。

「あけましておめでとう」

 そのタイミングを見計らって俺が呟いたのは、祝福の意を込めた言葉。
 にもかかわらず、目の前の女は眉間に不機嫌な皺を発生させた。
 それを隠そうともしない女の鮮血色の唇が開き、現れた舌が踊る。
 
「それはどういう意味の言葉だ?」

 紡がれたのは、何故か怒気を含んだ質問。
 俺好みな感じにすっきりと整った顔の持ち主が、
 気の弱い子供か老人くらいならそれだけで殺せそうなくらいの険のある視線と言葉が発していく光景は、
 まるで夢の中の出来事のように感じられた。当然悪い方の。

「東方の国で使われてる新年の挨拶らしい。
 こないだ組んだ連中にそっちの出身の奴が居てな。その時に教えてもらったんだ」

 俺の素直な回答に、女は『そうか』と短く答えて、瞼を閉じた。
 まるで何かの時間を稼ぐかのように。
 長い睫毛が頬に落とした影を数秒見ていると、青い瞳が再び現れた。
 御伽噺の美姫のように美しく、それでいて育ち盛りの少年のようにどこか溌剌とした見た目から、
 今の俺を含む九割方の男が反射的に抱くであろうプラス方向の感情は、
 しかし瞼と連動して開いた口から放たれる言葉の奔流の前に、脆くも砕け散る。

「ところで、私はお前にその言葉を使った理由までは聞いていないのだが?
 そして何故お前は自分の故郷の言葉ではなく、人伝に聞いただけの異郷の言葉を使った?」
「……そこまで説明しなきゃダメか?」
「応」
「………」

 女の切れ長の双眸からの視線が、「早く説明しろこの薄鈍馬鹿人間」と無言で怒鳴っていた。
 沈黙時間に比例して女の怒気が膨れ上がっていくのを感じる。
 早めに答えたほうがいいみたいだ。

「別に理由なんてない。なんとなくだ」
「嘘をつけ」

 一秒以下で返された。

「生物の行動には必ず理由が存在する。何らかの得があると思った時しか行動は発生しないというではないか。
 だからお前の言動にも絶対に理由がある」

 それ、俺が何年か前に買って一度読んで、駄作と判断し放り投げていた本の受け売りだろう。
 反射的に出掛かった意見を、俺は何とか飲み込んだ。
 そんなことを言ったらこいつは確実に機嫌を損ね、
 その口から覗く真珠色の牙、ではなく歯で俺の喉笛を噛むだろう。噛み千切られる可能性もある。
 まさかと思うだろうが、それくらい普通にやってしまうのがこいつだ。ちなみに経験談。
 本人曰く、『私は手より先に口が出る性分らしい。物理的な意味で』だそうな。どんだけだよ。

「私は優しいから、もう一度説明の機会を与えてやろう。喜べそして喋れ、レオン」

 理不尽で我侭な命令を、女はどこぞの第三王女のような堂々とした口調で俺に言いつけてきた。
 何様のつもりだ、とは言えないので、俺は仕方なく言いたくもない言葉を紡ぐことにした。
538暴君のしつけ方 2:2008/01/05(土) 18:13:31 ID:xlRkGnH9

「理由を説明したのは、どうせ後々聞かれると思ったから。
 故郷の言葉を使わなかったのは、折角教わったんだから忘れないうちに使っておかないと悪い気がしたから、かな。たぶん」
「それ見たことか。なんとなくではなく、ちゃんと理由が存在するではないか。この法螺吹きめ」
「………」
「どうせ後々聞かれると思った、だと?試してもいないのに何故そう思えたのだ?
 私のことを全て知っているわけでもないのに、予測で喋るな。不愉快だし腹が立つ」

 善意で付け加えたつもりの説明だったのだが、見事に逆効果だったようだ。
 一体どういう風に言えば、こいつの機嫌を損なわずにいられるのか。
 知り合ってから長いというのに、未だに全く分からない。分かれる気がしない。

「じゃあ聞くが、もし説明をしなかったとして、お前はそれを聞かなかったと言い切れるのか?
 毎度毎度、俺の言葉と行動の意味を根掘り葉掘り追求してくるお前が?」
「分からない。分からないし、その問いの答えを知る機会はお前のせいで失われた。永遠にな。なので答えられない。
 適当にそれらしいことを言うことはできるが、私はその類の言葉が大嫌いだ。だから言わない」

 こいつの言葉はランスによく似ていると思う。
 いつでも真っ直ぐで、その鋭さでもって俺を串刺しにしてくる。
 先端に宿っているのは、理性のフィルターを通さない直線の感情という名の猛毒。とでも言おうか。
 その言動は、十八〜二十歳辺りとしか思えない容姿とのギャップがありすぎて困る。
 『見た目は大人、頭脳は子供。その名は迷人間スレィ!』なんて笑えないぞ。バーロー。

「……何か変なこと考えてないか?」
「いや、別に」

 単純脳味噌の持ち主にもかかわらず、何故か勘は鋭い。
 女の勘なのか、野生の勘なのか、あるいは両方なのか。どれであろうと、どうでもいいのだが。
 それよりも、俺の適当な返事がスレィの顔に更なる不機嫌成分を発生させ始めたことに気付いたので、
 それらが化学反応を起こして更なる言葉を発生させる前に、こちらの言葉で遮っておくことにした。

「行動には必ず理由が存在する、ね……。
 確かにそうかもしれない、というか実際そうなんだろう。けど、これだけは言える」
「何だ」
「俺は新年の挨拶をした時もその説明をした時も、特に何も考えてなかった」
「はぁ?」

 スレィは頭上に特大の疑問符を浮かべ、そして再びその内心をそのまま叩きつけてくる。

「理由が存在すると認めておいて、その言い草はなんなんだ」
「だからさ、全部後付けなんだよ」
「後付け?」
「そう。後付け」
「どういうことだ。分からん。分からんから説明しろ。私が理解できるようにキッチリとだ」
「了解しました。駄々っ子姫うごはおぁっ!?」

 餓鬼のような言動を前に我慢できず、思わずふざけてしまった瞬間、目の前からスレィの顔が消失。
 刹那の遅滞すらおかずに、剥き出しの首筋に灼熱が発生した。

「ひゃかふなはが。はっはこへふえいひご。ほひへおはぎここをあんどもいはふなはが。はあがかく」

 『茶化すな馬鹿。さっさと説明しろ。そして同じことを何度も言わすな馬鹿。腹が立つ』という台詞は、
 皮膚を食い破りそうなほどに強く俺の首筋を噛みながら喋ったために理解不能言語と化していた。

「わかっ、分かったから噛むな!噛まないで!噛まないでください!実力行使反対!」
「言いたいことが伝わったようで何よりだ」
539暴君のしつけ方 3:2008/01/05(土) 18:15:12 ID:xlRkGnH9

 離れていくスレィの顔。噛まれた場所を手で摩ると、生温い感触。
 指先を見ると、付着していた透明な筈の唾液が少しだけ赤みを帯びていた。
 更に視線を移動させると、艶かしく光る舌で唇についた俺の血を舐めているスレィと目が合う。
 心なしか喜悦を含んだ表情をしているような気がするのは気のせい、じゃないな。
 これと似た顔を見たことがある。あれはそう、殺した獲物を咀嚼している時の竜の顔だ。
 現状からすると、比喩ではなくそのままの表現と言っても差し支えないことに気付いてしまい、なんとも言えない気分になる。
 俺は餌じゃないぞ。畜生め。ついでにカニバリズムには目覚めないでくれよ?
 とか考えてるうちに、痛みがだいぶ引いてきた。

「つまり、だ。確かに行動には理由が存在する。
 けど、それをいちいち確認・把握しながらやってたんじゃキリがないし面倒だ。なにより行動が遅れる。
 だからそういうのは深層意識に任せておいて、それほど重要じゃないその場その場の行動くらいは『なんとなく』で済ませとけばいい、ってことだ。
 理由なんてのは所詮思考遊びだ。必要になったときに確認する程度でいいんだよ。
 極端な話、『呼吸をしなきゃ体内に酸素を取り込めないし二酸化炭素を排出できない。それはいけない死にたくない。だから呼吸しよう呼吸した呼吸し続けよう』
 なんて考えながら呼吸してる奴がいるわけないし、お前だってそんなこと考えてないだろう?つまりはそういうことだ」

 俺は何でこんな馬鹿馬鹿しいことを喋っているんだろう、と考えようとしてやめた。
 どうせ出るのは嫌な結論だけだ。考えたら負けだレオン。クールになれ。
 『レオン、大事なのは『空』ぢゃ!心を無にすれば、悟りだか何だかその辺りだかがてきとーに啓けるのぢゃ!うお、楽しいっ!』
 とか叫ぶ赤毛眼鏡のインチキ老師の姿が脳内で見え隠れしていたり。
 そんな俺をよそに、スレィは『むぅ』と唸って再び黙り込む。
 肢体と反比例するかのように未発達の脳では、言葉を紡ぐにも時間がかかるらしい。
 だからこそ、こいつは執拗なまでに『理由』や『原因』を追究したくなるのかもしれない。
 時間をかけて紡いだ自らの思考と言葉に対して、相手にも相応と思える対応をしてもらわないと気がすまないのだろうか。
 もっとテキトーに振舞った方が気楽でいいと思うんだが。
 こいつは物事に対して手加減するということを知らない。いつでもフルパワー。全力投球だ。
 もっとも、そうでもないと生き残れない環境で育ってきたのだから仕方のないことなのかもな、
 と悟ってしまう程度にお人好しな自分が少し憎い。

「深層意識、か……。人というのは皆が皆二つの意識を持っているというのか。全く面倒な生き物だな」
「まぁ、二つの意識というと語弊があるかもわからんし、皆が皆とは言い切れないけどな。現に俺の目の前に例外の存在証明が――」

 しまった、またふざけてしまった。
 咄嗟に身構えたが、予想された痛みも衝撃もなかった。

「……例外、か」

 女の顔から、先程までの凶暴さと横暴さが消えていた。代わりに現れていたのは寂寥感。
 予想外の光景が、一瞬だけ俺に呼吸を忘れさせた。

「元に戻る術が見当たらない以上、さっさと身も心も人になってしまおうと思って行動してきたつもりだったのだがな……。
 そうか、お前からすれば私はまだ例外、人にあらざるものなのか。……まったく面倒だな。腹が立つ」

 言葉とは裏腹に、スレィの表情は今にも崩れそうだ。
 その睫毛で揺れている水晶の粒は、人の涙か、それとも竜のナミダか。
 ……参った。どうやら踏んではならない何かを踏んでしまったようだ。

 傍から見れば謎だらけであろうこいつの言動には、しっかりとした理由が存在する。
 身も蓋もなく言うと、スレィは一年弱ほど前までは人ではなかった。

 ◇
540暴君のしつけ方 4:2008/01/05(土) 18:16:46 ID:xlRkGnH9

 ポッケ村から程近い場所にそびえるフラヒヤ山脈に、近年その姿が見られるようになった『轟竜』ことティガレックス。
 暴君の如き凶暴さと旺盛な食欲をもっていた彼らによってもたらされた被害は様々だが、
 最も早く、そして最も多くの害を被ったのは、
 ポッケ村を中心とする近隣の集落で飼われ、物資輸送の足としても欠かせぬ存在だったポポたちだった。
 決して恵まれた環境にあるとはいえぬ寒村の住人たちにとって、物資搬入の途絶は相当の痛手となる。
 モンスターハンター達にティガレックスの狩猟が大量かつ迅速に依頼されたのは、そういった点から必然だったと言えるだろう。

 村の人々にとって不幸中の幸いだったのは、ティガレックスという飛竜の目撃情報が今まで皆無だったということ。
 『新種発見』というニュースの持つ魅力は、好奇心旺盛なハンター達を惹きつけるには十分すぎた。
 未知のモンスターと戦いたい。見てみたい。習性を知りたい。勝ちたい。素材を手に入れたい。それらを使って武具を作りたい。そしてまた戦いたい。
 それぞれの思惑と欲望を胸に秘めたハンター達で、周囲の村はごった返すこととなった。
 そして俺も、その喧騒を作り出す要素の一部となっていたわけだ。
 幸いなことに、俺はポッケ村の出身で村長との面識があり、
 加えてミナガルデやドンドルマでの数年にわたる出稼ぎで培った経験と実力の証明があった。
 そのためか、ハンターズギルド運営の集会場の入り口から聞こえてくる大騒ぎを尻目に、
 程なくして村長直々の依頼を受注することができた。持つべきものは人脈だねと痛感したのを今でもよく覚えている。

 結論から言うと、クエストはなんとか成功した。
 重量武器である大剣ジークムントのガードを軽々と跳ね除ける程に強力な突進には手を焼いたが、
 逸る心を押さえつけ、あくまで大剣の基本である一撃離脱を中心とした戦闘を心がけたのが功を奏した。
 もっとも、重武装した俺を軽々と弾き飛ばすほどの音量、
 否、最早威力と呼ぶべき咆哮からの突進攻撃で崖から弾き飛ばされてネコタクのお世話になったり、
 大事をとって討伐ではなく捕獲での早期狩猟達成を狙ったりもしたが。
 まぁ、対ティガレックス初陣にしてはマシな方の結果だったと言えるだろう。
 騒動が一段落する頃には相当数のティガレックスがハンター達によって狩猟されていたが、
 逆に『狩られた』ハンターの数も、決して少なくはなかったのだから。
 
 奇妙な話はここから徐々に始まる。
 支給品に含まれていた携帯シビレ罠と捕獲用麻酔球を使用してティガレックスを眠らせた俺は、
 ベースキャンプに戻ってクエストの完遂を知らせる狼煙を上げるべく、竜に背を向けた。
 決着がついた場所は、公式地図には区域三と記されている狭い洞窟の中。
 そのため、俺は先程まで獰猛な唸り声と咆哮をあげていた竜の口腔から響いてくる音とはとても思えぬ、
 『ふごー』『ふぃーゅ』『ひゅごー』といった感じの愛嬌に溢れた寝息が洞窟内で反響するのを聞きながら、
 外への近道である岩壁を登ることとなった。
 だが、岩壁を登りきり、あと数歩で洞窟の出口に辿り着くというところで、断続的に聞こえていた寝息がいきなり途絶。
 それは即ち、竜が眠りから目覚めたことを意味していた。
 弱々しく足を引き摺り、敵前逃亡するほどに体力を削った筈なのに、まだそれだけの余力が残っていたのか!?
 そう思って即座に振り向き、下方に広がる洞窟を再確認した俺の目は、ありえない光景を映し出した。

 竜が、消えていた。

 黄土色の砂漠地帯ならいざ知らず、白雪のなかでは欠片ほどの隠密性も発揮しないであろう黄色と青の縞模様を描く鱗と甲殻。
 それらで身体を装甲していた、全長二千センチメートル強以上はあろうかという巨体が、だ。
 俺は愕然とした。
 仕事柄、ハンターの五感は一般人のそれより鋭く研ぎ澄まされていくものだ。
 いくら俺とて平均以上の感覚を持っている自信があった。
 それを掻い潜り、なおかつ一切の痕跡すら残さずに、この狭い洞窟から瀕死の竜が消えられるわけがない。
 わけがないのだが、俺の五感は竜の不在を訴え続けていた。
 アイテムポーチを探り、モンスター探索の必需品たる千里眼の薬を使ってみたりもしたが、結果は同じ。

 竜は、消えていた。
541暴君のしつけ方 5:2008/01/05(土) 18:17:45 ID:xlRkGnH9

 心地よい疲労感と達成感に包まれていた心に、大穴が開いたような気がした。
 せっかく新種の飛竜を狩ったというのに、その証が消えてしまうとは。
 ティガレックスとの戦闘があったことは、俺自身が負った傷の痛みが証明してくれていた。それを疑う余地はない。
 だが、それは竜を仕留めた証にはならない。
 本人の証言と傷、そして持ち帰った尻尾だけで対象の捕獲を認めてくれるほど、村長は甘くない。
 それはつまり、俺がティガレックスを狩ったという事実が公に認められぬということを意味していた。
 素材は勿論のこと、報酬も貰えぬ上に狩猟経歴に追加することすらかなわない。
 命懸けの努力で勝ち取った勝利。その九分九厘が水泡に帰すであろう未来を、認めたくなかった。
 俺は苛立っていた。戸惑っていた。
 だから、それに気付くまでに時間がかかったのだろう。
 千里眼の薬の効果が消える寸前、強化された聴覚が音を拾った。
 それはとても微弱な、しかし聞き覚えのある音。
 源を探り、下方の洞窟を再び覗き込んだ俺の目は、再びありえない光景を映し出した。

 眠れる美女が、そこにいた。

 そこからの記憶は少し曖昧だ。
 たぶん、短い時間の中で奇想天外な出来事に遭遇しすぎたせいだろう。
 それまで感じていた苛立ちも戸惑いも、全て吹っ飛んでいた気がする。
 気付いた時には俺はもうポッケ村に帰ってきていて、目の前には焚き火。
 それに当たって暖を取りながら、俺に奇異の視線を向けている村長の姿があった。
 そして俺は村長に促されるがままに、今回のクエストの顛末をそっくりそのまま話してしまった。
 当時の俺は何を考えていたのだろうと、今更ながらに思う。
 いや、まぁ多分、気が動転していて何も考えられてなかったんだろうな。
 『竜を捕獲したと思ったら消えていて、そこで女が寝ていました』なんて、二十歳を過ぎた男が言っていい台詞ではなかったのに。
 にも関わらず、村長は俺を信じてくれた。
 それどころか、証拠不十分で不払いになるだろうと覚悟していたクエスト報酬さえ払ってくれたのには驚いた。
 何故か?俺が知るか。
 ただ、一縷の望みをかけて保護した女の世話を頼んでみたのだが、
 それは『私の家は迷子預かり所でも孤児院でもないよ!』という言い分の元に却下された。
 ごもっともだが、あのお人好しな村長がすぐ断るとは意外だった。
 何故なのか?俺が知るわけがない。
 何やらその後に『いやはや、あの話は本当……捕獲用麻酔薬にド……これでこやつも……』
 とかボソボソ呟いていたような気がするが、よく聞き取れなかった。
 ただ、話が終わり、家路についた俺に村長が投げかけてきた言葉だけはしっかりと覚えている。
 
「これから色々苦労するだろうけど、頑張るんだよ」

 その時の俺は、予想外の報酬を手に入れたことで軽い放心状態にあったので曖昧な返事しかしなかった。
 苦労するって、何に対してだ?まぁいい。
 金はともかく素材は尻尾しか手に入らなかったから、養生して傷を癒した後にまたティガレックスに挑んでみようか。
 そんなことを考えながら自宅のドアを開けた俺は、何度目かもわからぬ衝撃に脳天を殴打された。
 扉の向こうに広がっていたのは、何の変哲もない一人暮らしの男の部屋、ではなかった。
 数十分前までは整然と並んでいた家具は、一つの例外もなくひっくり返されており、内容物が床に散乱。
 文字通り足の踏み場もない室内を構成する一要素となっていた。
 鼠色の壁は、家具でも叩きつけられたのか所々が崩れて無残にも内部の断熱材を晒し、
 吹き抜ける風を感じて視線を移動させると、破砕され、与えられた役割を果たせなくなった窓が目に飛び込んできた。
 そう、そこに広がっていたのは『部屋』などではなく、荒れ果てた『魔窟』と呼ぶに相応しい光景。
 そしてその奥にあったものを目にした瞬間、俺は口から魂が抜けていくのを確かに感じた。
542暴君のしつけ方 6:2008/01/05(土) 18:18:54 ID:xlRkGnH9

 雇いネコたちがいるアイルーキッチンに続く場所。
 そこを塞いでいたのは、破壊された机、鍋、椅子、本、その他諸々の集合体。急ごしらえのバリケードらしきものだった。
 そして、それを無理矢理に突破しようと暴れているのは――雪山で保護し、以来ずっと眠り続けていたはずの女。
 その身を包んでいたはずの俺の予備インナーと毛布は、何故か一寸刻みの惨殺死体となって床に散乱しており、
 本人はというと、その、なんというか、素晴らしくネイキッドな格好でバリケードにタックルをかましていた。
 どうすればそうなるのか問いただしたいくらいにボサボサに乱れた水色の短髪と、
 所々が赤くなり、場所によっては出血さえしている白い肌が、この惨状を作り上げたのが誰であるかを雄弁に語っていた。
 そしてよくよく耳を済ませてみれば、バリケードの奥から

「ここを突破されたら終わりニャ!」
「最終防衛ラインニャー!旦那さんが帰ってくるまで死守するのギニャァオゥ!?」
「あぁ!ハンク料理長!しっかりするニャ!」
「ぐ……ボ、ボクの心配をしてる暇があったらバリケードを支えるニャ……」
「ハンク料理長ー!?そんな、ボク達を置いていかないでくださいニャ!」
「ここは戦場だ……運命は自ら切り開け……」
「何を言ってるのニャ料理長ー!!死んじゃダメニャー!!」
「大丈夫ニャ……死神は死な……あぅん」
「「「「料理長――ッ!?」」」」

 とかなんとか聞こえてきたり。
 ……どうやら俺が不在の間、ネコたちは荒れ狂う破壊神からキッチンを死守していたらしい。
 リーダーであるハンクが倒れたせいか、猛威を振るう女の前に、バリケードが少しずつではあるが確実に崩壊の兆しを見せ始めていた。
 
「……とりあえず、止めなきゃいけない、よな?」

 正直何が何だか分かったものではないが、それだけは確かだ。
 荷物を置き、俺は全裸で暴れる女に手を伸ばす。その肩を掴もうとして――次の瞬間には天井を見ていた。

「え?」

 衝撃で宙を待った雑貨達が。俺の身体にドサドサと降り注ぐ。
 遅れて発生した胸と背中の痛みの挟撃を感じたところで、俺は自分が転倒したことを自覚した。
 慌てて身を起こすと、女が裏拳を放った姿勢のままこちらを睨んでいた。
 その瞳の色は、青。と思いきや、女の瞬きと共に鮮血を思わせる真紅に染まった。
 それを見た瞬間、俺の頭の中で散らばっていた思考のピースが急速に連結。カチリと嵌まる音が聞こえた気がした。
 真紅に染まる青い瞳。鮮血。雪山。竜。ティガレックス。捕獲。謎の消失。女。眠り。
 ひょっとして。いやまさか。ありえない。だが――

「お前、まさか――っ!」

 俺の言葉は、前触れなしの跳躍から放たれた女の踵により中断を余儀なくされる。
 横に転がってその一撃をなんとか躱し、全身をバネにして飛び起きた俺は、
 既に現時点の最優先事項が事実確認ではないことを理解していた。

「延長戦開始、ってか?……なけるぜ」

 その後の戦果は以下の通り。

 俺が常人では到底考えられぬ力を発揮する女を制圧し、ネコ達が戦争の終結を悟るまでに要した時間……約一時間。
 荒れ果てた室内を片付けるのにかかった時間……約半日
 損壊した家、家具の修理・新調費……当日の収入とほぼ同額。
 言葉さえ理解できぬ元飛竜に俺を信用してもらうのにかかった時間……約一ヶ月。
 人間の言葉、常識、その他諸々を教え、理解させるまでにかかった時間……約十ヶ月 ※一部未完につき現在も進行中。
 すり減らしてきた俺の神経……計測不能。

 ◇
543暴君のしつけ方 7:2008/01/05(土) 18:20:14 ID:xlRkGnH9

 そして、現在。 
 どういう理由かは今でも分かっていないが、ティガレックスから人となった女――スレィ(命名したのは俺だ)は、
 傍から見ればちょっとばかりおかしい女、というくらいまでには人らしくなってきていた。
 一年足らずという短期間で完全な白紙からここまで学習・理解させた俺は、正直褒められてもいいと思う。
 ひょっとしたら、ハンターより幼児教育の方面に向いているのかもしれない。
 引退後はそっち方面で生計を立てていくのもアリかな、とか考えるのは後にしよう。
 まぁ実際のところ、短期間の成長を可能にしたのは、俺の補助ではなく本人によるところが大きかったりもするのだが。

 多大な手間と時間をかけ、俺や他の人間が敵ではなく、
 また自分自身が人となったことを認めさせてからというもの、スレィは知識の吸収に貪欲になった。
 竜であった頃の食欲を思わせるほどに。
 言葉を教えれば、正しく使いこなせるようになるまで喋り続け、挙句の果てに喉を潰した。
 文字の読み方を教えれば、寝る間も惜しんで家にあった本を読みふけり、あっという間に全て読破。新しい本を買えとせがんできた。
 文字の書き方を教えれば、正しく書けるようになるまで家にある紙という紙に文字を書き殴って資源を浪費し、本の収集が趣味な俺は泣いた。
 その貪欲さはとどまるところを知らず、最近は人の心理や行動にまで興味を示すようになっていた。
 興味の対象になるのはもっぱら俺なのだが、こればっかりはすぐに理解できないようだ。
 まぁ、当然といえば当然だ。人の心の完全な理解など、人類誕生以来、未だに成功例がない。
 だが、スレィは諦めなかった。
 今まで学ぼうとしてきた知識は全て身につけることに成功しているので、ムキになってるんだろうなと思っていた。
 だがそれは違っていた。真相はたった今本人が語った通りだ。

「阿呆面」
「……え?」
「阿呆面、と言ったんだ。何度も言わすな馬鹿。って何度も言わすな馬鹿。余計に腹が立つ」
「いや、その、なんというか」
「何だ。言いたいことがあるなら遠慮しないで言え」

 スレィが不意に見せた弱気な態度のおかげで、俺はすっかり心を乱されていた。
 今の今まで、こいつは強気で居いることしかできない奴なのだと思っていたのに。
 外見が人でも、中身は未だに竜で、本人もそれを望んでいるとばかり思っていたのに。
 いつの間にか、一丁前に落ち込むなんてことができるようになっていたとは。
 本心から人になりたいと望み、その為に努力していたとは。
 あぁ、全く嫌になる。
 何がって、スレィのことを『人間になって一年少々の、単純明快で分かりやすすぎる元飛竜の馬鹿女』だと思い込んで疑わず、
 偉そうに教師面してきた俺自身が、だ。畜生め。
 二十三年という月日を最初から人として過ごしてきたにも関わらず、
 俺はスレィが今まで幾度となく繰り返してきた通り、未だに度し難い馬鹿のままなのかもしれない。
 だが、別にそれでもよかった。馬鹿は馬鹿なりに出来ることをやるまでだ。

「俺はお前に謝りたい」
「はぁ?」

 スレィの頭上に、特大疑問符が再浮上。
544暴君のしつけ方 8:2008/01/05(土) 18:21:39 ID:xlRkGnH9

「謝るって、何故だ。確かにお前は馬鹿で薄鈍でふざけすぎな男だが、謝る必要がどこにも見当たらない。見当たらないぞ!
 だから謝るな馬鹿……馬鹿。そうか、あまりに馬鹿になりすぎて、意味もなく喋るようになってしまったのか。そういうことか!」

 一人で勝手に慌てて、勝手に納得し始めたスレィに、思わず笑いがこみ上げてきた。
 そんな俺を見たスレィは、『何が可笑しい!説明しろ馬鹿っ、腹が立つ!』と予想通りの怒りの台詞をぶつけてくる。
 そんなスレィにまた笑いがこみ上げてくる。スレィが怒る。
 笑いが止まらない。怒る。
 爆笑。激怒。
 間抜けすぎるいたちごっこは、スレィが再び俺に齧りついたことで終わりを告げた。

「あいたたたた……。まぁとにかく俺は謝りたいんだ。お前に。というわけで謝らせてくれ」
「だから何故だ!」

 スレィの顔に先程までの不機嫌さが戻ってきているのが確認できたので、俺は質問に答えてやる。本心からの言葉で。

「別に理由なんてない。なんとなくだ」
「……お前という男は、本当に嫌な奴だな」
「心外だな。お前の為に謝ろうとしてるのに」
「どういうことだ」
「気になるのは分かるが、にしてもそうやってすぐに聞くのはどうかと思うぞ。少しは自分で人の気持ちってもんを考えてみな」
「嫌だ。考えた結果が間違っていたら嫌だし失礼だろう。それを防ぐには、本人から本心を聞くしかない」
「別にそうでもない。少なくとも俺は。それにもし失礼に当たったとしても、その時は謝って許してもらえばいいだけの話だろ」
「…………あ」
「もしかして、間違うのが怖いのか?」
「まさか!……ただ、そういう発想がなかっただけだ」
「だろ?だったら試してみることだ。
 いいか、言葉を信じるな。言葉の持つ意味を信じるんだ」
「……むぅ」

 女が黙り込んだのを見計らい、俺は喉元で燻っていた言の葉たちを解放する。

「すまなかったな」

 反射的に毒を吐こうとしたであろうスレィの口は、しかし何も喋らぬままに閉じられる。
 怪訝な視線が俺を射抜く。
 だが、それはやがて向こうから逸れていき、たっぷり数秒の間を挟んでから戻ってきた時には、
 何か別の感情が宿っているように思えた。
 その時のスレィは、そう。変な言い方だが、とても人らしい顔をしていた、気がする。

「なんとなく許してやってもいい、ような気がする。だから私はお前を許そう」
「そうか。ありがとう」
「どう、いたしまして」

 妙なところで律儀な奴だな、こいつは。
545暴君のしつけ方 9:2008/01/05(土) 18:22:51 ID:xlRkGnH9

「お前が謝った理由は未だに分からないのだが……私なりに考えてみることにする。
 ……これでいいのか?」
「最後の一言さえなければ満点だったが、まぁ十分だ。よくできました」

 素直な賞賛にスレィの顔がほころぶ。
 火竜族の逆鱗並みに貴重で美しい表情は、しかし瞬時に我に返った本人によって公開を打ち切られてしまう。
 けれど残念。今の表情は、その熱で俺の網膜にしっかり焼き付いていた。厳重に保存し、脳内で保管しておこう。

「結論が出たらすぐに確認するからな。その時は答えてくれるよな?いやむしろ答えろ。答えさせる。答えなかったら食い殺す」
「……カニバリズムだけは勘弁してくれ」

 先の会話の中にヒントどころか答えに近いものを混ぜていたのだが、気付かなかったようだ。
 こいつにはまだ難しかったか。まぁいい。

「全く、人間というのは本当に複雑で面倒な生き物だな。
 こんなにまどっろっこしくて弱い連中が数多の竜と龍を屠ってきたとは、とても信じられん」

 自分がその『複雑で面倒でまどろっこしくて弱い生き物』に狩られたという過去を棚に上げたまま、スレィがぼやく。
 言葉の後に吐いた溜息が俺の頬を撫で、前髪を少しだけ揺らした。

「ま、それが人間の最大の武器で、一番面白いところだったりもするんだけどな」

 台詞の途中で余計な感情が発生したことに、気付いたときにはもう遅かった。

「それが理解できたら、お主も一人前ぢゃ。もうワシが教えることは何もない……おそらく。たぶん。きっと。もしかして。
 うぅむ、これぞ感動のエンディングぢゃ!」

 言い終えてから正確に一秒後、耳を噛まれた俺の悲痛な絶叫が、狭い室内に響き渡った。

「ところでレオン」
「……うぐおぉぉ……」
「人の話を聞け!」
「……はひ?」
「人の行動には理由が存在する。だが、それを常に意識しているわけではない。
 それを踏まえた上で、一つ聞きたいことがある」

 いつも通りに堂々とした、それでいてどこか奇妙な感じがする口調だった。
 ふと見ると、冗談抜きで耳を丸ごと齧り取られるかと思うほどの激痛に耐え抜いた俺を眺めるスレィがいた。
 まるで、フィールド上に落ちているモンスターのフンを見るような目で。
 明かりが落とされ、月明かりのみが差し込む暗い室内ではよく分からないが、
 心なしかその頬が赤みを帯びているような。
 俺は半ば無理矢理痛みから立ち直った、ことにして無言で続きを促す。

「今現在お前の指がしでかしている行為は、なんとなくか?それとも確固とした意思があるのか?」

 全身が硬直。
 かろうじて呼吸だけは続けられたが、ものすごぉく気まずい空気が部屋を満たした。
 何故か?察してくれ。
 戸締りを完璧に済ませ、天窓以外の全ての窓にカーテンがかけられた家。
 耳が痛くなるほどの静謐の中で、やけにはっきりと聞こえる囲炉裏で燻る炭の音。
 時間帯は深夜。
 寝台に横たわるスレィ。そして覆いかぶさる俺。
 これらの条件の下でやることといえば、アレでナニなことしかないだろうがっ!
546暴君のしつけ方 10:2008/01/05(土) 18:24:06 ID:xlRkGnH9

 はじまりが何だったかは、今でもはっきりと思い出せる。
 あれはそう、俺がスレィに文字の読み方を教えはじめて暫く経ってからのことだ。
 スレィに対する様々な不安要素から、長い間家を空けるのが事実困難だった当時、
 俺は雪山でのドスギアノスやドスファンゴの狩猟といった、遅くとも半日ほどで終わる軽いクエストをこまめにこなす事でなんとか糊口を凌いでいた。
 その日も煌剣リオレウス振り回してドスギアノスをサクッと一頭仕留めた俺は、
 減額なしのクエスト報酬と全素材売却額を足しても、大型飛竜のそれの足元にも及ばない収入を軽く嘆きながら帰宅した。
 『ただいま』と呟いてドアをくぐり、スレィのどこかぎこちない『おかえり』を聞きながらマフモフS一式の防具を脱ぎ、
 楽なフードつきの普段着に袖を通したところで、スレィが後ろから近寄ってきて『おいレオン、この本について聞きたいんだが』と言ってきた。
 もう何度聞いたかも分からぬ程に繰り返されてきた質問に振り向いた次の瞬間、俺は凍りついた。
 大昔にギアノスの氷液を食らって、雪達磨の中の人になった時よりも堅く。硬く。固く。
 スレィが片手で掲げていた本は、一見しただけでは普通の文庫となんら変わりはなかった。
 だがそこに書かれていたのは、その、なんというか、強いて言うならば、『男性専用精神保養兼邪欲求発散用文章』。
 ちなみにタイトルは、『怪物狩人淫行記』。
 内容の詳細は……最早言うまい。
 本棚の奥底に精巧に隠していた(つもりだった)俺の愛読書を、スレィはどうやったのか発見し――

「一通り目を通してみたところ、私と同じ境遇の人のことが沢山書かれていたんだが。これは事実に基づいた本なのか?」

 ――読破していやがった!
 ショックによる氷結が未だ解除されない俺の無言を肯定と受け取ったのか、スレィは喋り続けた。
 
「事実だとするなら、文中にやたらと出てくる○○○を×××したり△△△しながら□□□したりすることはとても気持ちよくて楽しいということだよな。
 しかもその後には大抵いい結末が待っているときた。というわけで実践してみたい。
 付き合ってくれるよな?いやむしろ付き合え。付き合わせる。付き合わなかったら噛む!」
「おわぁっ!?」

 浮遊感。そして柔らかな衝撃。
 俺の襟首を掴み、凄まじい膂力で思い切り寝台に放り投げたスレィは、間髪を居れず俺にのしかかってきた。

「ちょ、おま、待てっ!お前にはまだ早い!早すぎるから!」
「早い?何故だ。納得できる理由を説明しろ馬鹿。五秒以内にだよんさんにぃいち、時間切れだ。残念だったな!」
「理不尽にも程があるッ!?」

 硬直からようやく解き放たれた俺の抗議も虚しく、スレィは着たばかりの俺の服を脱がしに、否、破りにかかる。
 独特のいびつな音を響かせ、服の繊維が引き千切られていく。

「安心しろ。本によれば、男のほうもこの上ない快楽を味わうことが出来るそうだ。
 私もお前も大満足できるというのに、やらないなんて馬鹿な話があるか!」
「そういうのは時と場合に寄るんだよ!」
「おや、そうなのか?女が無理矢理男を押し倒して▽▽▽したり◇◇◇する話も多かったのだが」
「俺にそういう趣味はないっ!」
547暴君のしつけ方 11:2008/01/05(土) 18:25:58 ID:xlRkGnH9

 反射的な反発でそう言ってはみたものの、布越しに伝わるスレィの柔らかすぎる尻の感触に、俺自身は愚直に反応。
 うなだれていた鎌首をもたげ始めていた。
 どんだけだよ俺!?今の今まで自覚していなかったが、俺ってそっちの気があったのか!?
 とか考えていたら、突然スレィの腕が動きを止めた。

「そうか。それは悪かった。ならばお前が理想とする状況設定を教えてくれ」
「へ?……そう、だな。やっぱなんつーか、こう、互いに互いが好きで……つまり相思相愛な、そう、所謂和姦が――はっ」

 馬鹿馬鹿俺の馬鹿!不意を衝かれたとはいえ、質問に正直に答えるなんて!
 そう思った時にはもう手遅れで、目の前の女は『そうかそうか』と呟きながら満面の笑みを浮かべていた。
 それは竜の笑み。己の間合いに迷い込んだ哀れな獲物に向ける、絶対強者の表情だった。

「分かった。それでは私はお前を愛そう。このままずっと。だからお前も私を愛せ。それで全てが解決する」

 表情を一切崩さぬまま紡がれたのは、一方的過ぎる告白。愛を与え、愛を欲する言葉だった。
 凡人が言えば真っ先に脳の心配をされるであろうそれも、
 妙に生き生きとした美貌の持ち主が紡ぐことによって、あたかも物語の見せ場を飾る名台詞のような響きでもって俺の耳に飛び込んできた。

「どうだ、できないか?難しいか?」

 こいつはそういう奴なのだ。
 ひとたび目的ができると、それしか頭になくなり、達成する為の努力も手間も惜しまず、手段も選ばなくなる。
 今回もそうに違いないと、分かっているはずなのに。分かりきっている筈なのに。
 畜生。本能って厄介すぎる。
 間違ってはいけない選択をする時に限って、意思とは関係なく肥大化し、冷静な思考を塗りつぶしてくる。
 それはこの時とて例外ではなくて。
 客観的に見ればあまりに馬鹿馬鹿しすぎる勢いだけの愛の言葉を前に、しかし俺の思考は掻き乱されて原形を失い、
 心臓は運動と驚愕と、それ以外の何かによって五月蝿いくらいに猛り狂っていた。
 駄目だ。それを言っては駄目だ。言ったが最後、複数の意味で貪り食われることになる!
 理性が紡いだ最終警告は、耳元で高鳴った鼓動に掻き消された。
 そして、返事はいつの間にか俺の口から滑り落ちていた。最悪で最高の選択の結果が。

「いいだろう。俺もお前を愛してやる。このまま、ずっと」

 交錯する視線。眼前の青い宝玉の瞳が、紅蓮の炎に染まる。
 そこに映る俺のにやけ顔が、そしてスレィ自身の満面の笑みが見えた。
 狭い部屋の中を、耳障りな音を立てて完全に破れた俺の服が舞った。
548暴君のしつけ方 12:2008/01/05(土) 18:27:06 ID:xlRkGnH9

 そして再び現在。
 異常な状況だったとはいえ、思考猶予時間と最終決定権があった状況で交わしてしまった言葉を覆すこともできず、させてもらえず。
 俺とスレィは、保護者と被保護者から恋人同士へと関係を変化させることとなってしまった。
 言いだしっぺに自覚があったかは謎だが、例の本を教科書代わりにしたスレィに幾度となく食われ、極稀に食い返したりしてるうち、
 俺自身も『ま、遅かれ早かれいつかはこうなっただろうし、教育課程が早まったってことで(笑)』と思うようになっていた。
 ……いや、まぁ嘘だが。
 しょうがないだろうがっ。
 二十代前半の健全な成人男性が、肉体関係を求めてくる絶世美人の誘いを断れる要素が見当たらない。この星の何処にもだ。
 もし断る奴がいるとすれば、そいつは男にあらざる者か、頭の中に女という生物が存在しない奴のどちらかだ。
 そして今日も、『年の瀬だし、記念ということで』というスレィの謎提案にちゃっかり乗り、
 実は先程からずっと口先と平行して指先を動かし、俺なりに心を込めた様々な愛撫をしていたのだが。
 スレィはその理由を問いただしてきた。絶対に分かっているはずなのに、だ。
 こういう行為の理由を、しかも行為中に口に出すことほど無粋なことはないと俺は思う。
 となれば、必然的に答えは決まってくる。

「いや、まぁ、そういう流れだったし。本能の赴くがままに、なんとなく」
「ほう」

 スレィの目が細められる。
 あ、これはヤバいと思った時には、俺の耳はスレィの言葉の穂先に貫かれていた。

「つまりあれか、普段から『こういうのは互いのことを愛しく思いながらやるのが一番いいんだ』と言っていたのは全て嘘ということか。
 それどころか、以前交わした互いを愛し続けるという約定も忘れていたと。
 私はお前のことを心から愛していたのに、当のお前はそんなの関係ねぇとばかりに本能に身を任せ、なんとなくヤっていたと。
 そういうことなのか」
「すまん。嘘だ。許してくれ。お前のことが愛しくてたまらなくて、愛情表現を我慢できなかったんだ」
「なら最初からそう言え。この嘘吐きめ」

 言葉とは裏腹に、今のこいつはこの上なく楽しそうだ。
 ははは、こいつが言葉攻めに目覚めたのはいつ頃だったっけかなぁ、と考えかけて、やはりやめた。どう考えても現実逃避だし。
 ただ、いつだったか本人が
 『身体と言葉で同時に相手を組み伏せると、なんだかすごく気持ちいいし興奮するぞ!』と言っていた、とだけ言っておく。
 しかしまぁ、この執拗過ぎる言い方からして、我慢して意思説明をしたところで
 『ほう。人間の男というのは、そんな下卑たことを考えながら女の身体を触っているのか。全く度し難いな』とでも言われたに違いない。
 二重陥穽を仕掛けてくるとは、こいつも随分とやるようになったものだ。
 教師面してられる時間も、もう残り少ないのかもしれない。
 それは即ちスレィがまとも(果たしてそうなのか?)な人間になるということで、
 それこそが目的なのだから喜ぶべきなのに、妙な寂しさを感じるのは何故だろうね。
 とか考えてる俺をよそに、とっても頑張り屋さんな俺の指先は不屈の闘志の下に勝手に活動を再開。
 スレィの両足の付け根にある茂みを突破し、
 肉の花弁に到達したところで、指先がいつの間にかあふれ出していた蜜で濡れた。
 スレィの持つ数多くのおかしな点のうちの一つだ。
 愛撫すればしっかり濡れる程度に感じているのに、口からは喘ぎ声の一つも出てこない。最初の頃はそうでもなかったのだが。
 かといって、ずっと喘がないかと言えばそうでもない。
 下の口で俺自身を捕縛し、自らの動きで蹂躙している時は普通に喘ぐ。
 女の喘ぎ声に対して人並みに執着がある俺は、当然そのことについて尋ねた。
 対するこいつの返答は、『お前の攻めで喘ぐなぞ、なんだか負けたみたいで悔しいし気持ち悪い。だから耐えている』だった。
 負けず嫌いにも程がある。まぁ、こいつらしいといえばらしいが。
549暴君のしつけ方 13:2008/01/05(土) 18:28:31 ID:xlRkGnH9

「ご苦労」
 
 寝台の軋む音。奥を目指そうと動いていた指先は、離れていく割れ目を捉えきれない。
 身を起こしたスレィに肩を掴まれ、世界がぐるりと回転。間髪入れずに布団に叩きつけられた。
 先程までとは体勢が逆転。スレィが俺を組み伏せる形となる。
 暗い部屋の中でも、まるで炎龍の宝玉のような赤みを帯びたスレィの瞳がよく見えた。
 こいつの瞳の色が変わるのは、感情の高揚の証。人となった今でも消えずに残る竜の名残のひとつ。
 見るものに感嘆と畏怖を等分に抱かせる双眸が、俺を睨んでいた。

「なぁ、もう少し弄らせてくれてもいいんじゃないか」
「断る。ここが濡れた時点でお前の役目は終わりだ。あとは黙ってされるがままになるがいい」
「手厳しいこった」
「今に始まったことでもないだろうが。今更文句を言うな馬鹿。腹が立つ……っ」

 スレィの手に導かれ、俺自身が熱く柔らかな粘膜に包まれていく。
 その感触に、先の妙な会話でややうなだれ気味だった俺自身が瞬時に臨戦態勢に突入。
 正直すぎる反応に、俺は苦いほうの笑みを浮かべるしかない。
 徐々に落とされる腰と、動かずに待つ腰とがついに接触。
 ミラボレアスよろしく全身を硬化させた俺自身が、完全に飲み込まれた。
 熱い吐息の二重奏。全身の力が抜けそうになるほどに甘美な感覚が腰から全身に伝播してきた。
 それはスレィも同じだったらしく、瞼を閉じて快感を噛み締めているようだった。
 隙だらけなのをいいことに、俺は腕を伸ばしてスレィを抱き寄せる。
 急接近する鮮血色の唇に、強引に己のそれを重ねた。
 見開かれる瞼。俺は逆に目を閉じた。
 言われたとおりにこのままヤられてしまってもよかったのだが、
 年のはじめくらいはフェアプレイをしたいなと思ったのだ。

 鼠に噛まれた猫、いや、虎は今どんな表情をしているのやら。見てみたいが、今はやめておく。
 触覚だけを頼りに相手の唇を数回啄ばみ、浅く口に含む。あれ?何の抵抗もないぞ?
 目を開けてみると、そこには不在。
 二つの赤い宝玉は、瞼の裏へとその姿を消していた。
 先程までの言葉とはまるで逆の、男の攻めを待つ女の顔がそこにはあった。
 これは好機か、それとも罠か。
 その一瞬の逡巡が命取りだった。
 俺の口が止めていた呼吸を再開した途端、スレィの目が見開かれ、赤い残像を残して急接近。
 スレィの上下の唇が、俺の口を襲撃した。
 それは甘さとは遠く隔絶した口付け、というより最早噛み付きと言うべきだろこれはっ!?
 怯む俺の唇を、スレィの舌は容易に突破。
 勢いのままに俺の口内を隅々まで蹂躙し、挙句に舌同士を絡ませてきやがった。
 自分がやってやろうとしたことをそっくりそのままやられてしまったという屈辱さえも、
 流れて混ざった唾液の甘さと舌先で感じる湿った柔肉の感触を前に霞み、どうでもよくなった。
 スレィの舌という名の奇襲部隊は、一頻りの破壊活動を済ませた後、悠々と撤退していった。
 憎たらしくも美しいい覇者の笑みを浮かべるスレィ。
 その舌先で糸を引いていた唾液が太腿に零れ、月明かりを受けて煌く。
 俺はそれを目の前にしながら、口を手で押さえて絶句することしかできなかった。
 ふと気付いてしまった。
 ……こういうのって、本来女がすべき反応だよな?
 未だにそう考えられる程度に残っている理性が憎い。
 早いところ消え失せて、暫く帰ってくるな。畜生め。
550暴君のしつけ方 14:2008/01/05(土) 18:31:09 ID:xlRkGnH9

 年初めからこんな調子では、フェアプレイなんぞ当分望めない気がしてきた。
 それどころか二度とできないかも知れない。こいつの気が変わる可能性は……なさそうだし。経験的に考えて。
 脳内で誰かが『希望を捨てるな若人!この世に完全など存在しないのぢゃ!必ず最後に愛は勝つ!うお、感動的っ!』
 と叫んでいたが、俺の脳は腰を動かし始めたスレィの感触を貪るのに御執心だったため、その言葉の羅列が理解されることはなかった。
 結局のところ、いつも通りに『ま、気持ち良いからいいか』という適当すぎる結論に縋るしかなさそうだ。
 別にそれで構わない。男女が馴れ合う理由なんて所詮は……やめよう。今はこんな阿呆なことを考えてる場合ではないだろうに。
 再び近づいてきたスレィの唇を受け止め、猛攻撃を仕掛けてくる舌を申し訳程度に迎撃しながら、俺は願う。
 あの時の約束がなるべく長く続くようにと。
 人の性格や感性なんてのは、誰であろうとどこかしらおかしいのだ。
 法や常識という、大昔に誰かが決めた標準ピッタリの性格の持ち主なんていない。
 もし仮にいたとしても、そいつは凡人ではなく正常すぎる異常者だ。
 真実が捉え方次第でいくらでもその姿を変える以上、あらゆる点において万人の手本になる人間なんて存在し得ない。
 そんなことは誰でも知っている。
 つまるところ、こいつは今のままでも十分に人らしいのだ。
 本人がそれを悟るのは、恐らくそう遠い未来ではないだろう。
 そしてその瞬間、俺はこいつを保護する理由を失う。傍に居る理由も。
 正直な話、それはちょっと嫌だ。あぁ認めるとも。嫌だよ。
 だから、保護以外に唯一俺の傍にこいつを繋ぎとめておくことのできる、愛情の交換を誓ったあの約束を、俺は手放したくない。
 つーわけで、こいつと交わる時くらいは好きにさせてやろう。
 それでスレィが満足できるなら、安いものだ。ナニをやられたところで、こっちは苦痛どころか気持ちいいんだし。
 なにより、純粋なお楽しみもしっかり存在する。
 それは情事を終え、こいつが眠ってしまった後に訪れる。
 本人は知らないだろうし教えないが、色の変わる瞳以外に、もう一つだけ竜であった頃から不変のものがある。
 それは寝息。薄く開かれた就寝中のスレィの口から、普段そこから紡がれる言葉からは想像もできぬ、
 『ふごー』『ふぃーゅ』『ひゅごー』といった感じの愛嬌に溢れた音声が響いてくるのだ。
 その時のスレィの可愛さときたら。もうたまったものではない。
 愛しさのあまり、眠ることを忘れて見入ってしまうことがあったり。
 その感情を本人は知り得ないし伝えられないのだが。
 
「な、あっ」
「どした?」
「お前も、好きに動いて、いいんだ、ぞ?」

 自身の動きによって不自然に途切れた言葉。その意味に、俺は瞬き数回分の間呆けてしまう。。
 ええと、この人、さっき確かに俺の役目は終わりって言いましたよね?
 どういう風の吹き回しだと考えて、すぐにピンときた。
 ひょっとしてアレか、手持ち無沙汰で不満っぽく見えた俺の気持ちを察してくれたとか?
 随分と唐突な心変わりだこと。まったくなけるぜ。いい意味で。
 スレィの本心は分からないが、問いただすなんて無粋な真似もしたくないし、すべきでもないだろう。
 結論。そういうことにしてしまえ!
551暴君のしつけ方 15:2008/01/05(土) 18:32:58 ID:xlRkGnH9

「じゃ、お言葉に甘えて」
「応」

 密林に降り注ぐスコールよろしく突然訪れた幸運を堪能すべく、俺はスレィの動きに合わせて腰を突き上げる。
 更なる深層へと侵入していく俺自身に、スレィは正直に反応。口の端から嬌声が零れた。
 本音を言うと、こいつの腰を掴んででももっと深く突きたい。だが俺はそうしない。
 俺の役目はスレィ自身が貪る快楽を引き立ててやることだからだ。
 こいつの行動を妨げてはいけない。実に女らしいこいつの反応を眺めているだけで、十分満足できる。
 許可されたとはいえ、調子に乗っちゃマズかろう。
 と、いつまで考えていられるかな。正直なところ、かなーり自信がない。
 現に今も頭の隅っこで『けどアレじゃね?もっと激しく攻めた方があっちも気持ちいいんじゃね?』とか思ってるし。
 マズいマズい。そりゃマズいって。自重しろレオン。
 数日前のクリスマスに仕事が入っていて、性なる夜にナニが出来なくて悔しい思いをしたからって、限りある体力を消耗するな。
 これが終わった後、眠りこけるこいつを眺めて楽しむ任務がまだ残ってる。残ってるんだから!
 前言は撤回する。だから去るな理性。
 動くな腕。手。指。止まれって。止まれ止まれとまれとまレとマ――――


 そこから先の記憶はおぼろげで、しかも断片的にしか残っていない。
 まるで全てが夢であったかのように。
 つまりアレだ。あんまり覚えてないや。
 それを自覚してしまい、深く肩を落とす俺と、反比例するかのように元気かつ爽やかな表情を浮かべながら眠るスレィ。
 それぞれの抱く感情など知る由もなく、水平線が太陽とキスしながら一日の始まりを告げる。
 時計が動き始めたときから一切変わらぬペースで時を刻む。
 新しい年が始まった。



以上、投下終了。
MHの世界にクリスマスやら正月やらの季節イベントは存在するのか、ってのはかなり疑問だけれど、気にしたら負けということでひとつ。
フロンティアには両方でイベントがあったようだから、そういう概念はある、のかな。謎。
ハンター大全でもモンスターのサイズ表記はセンチメートルだし、何故か重量は書いてないしで謎の多い世界だなと再確認。
蛇足になるけれど、ヒロイン名「スレィ」が別の作者さんが書かれた作品の登場人物名とかぶり気味なのは、
故意にやったわけではなくて単なる偶然なのですよ。「ティガレックス」を逆読みして、余計だと思った文字を間引いた結果です。一応。
それではまた本編の続きで。
552名無しさん@ピンキー:2008/01/05(土) 18:56:41 ID:tuRSQZBa
情事といえば確かに情事だが
行為の真っ最中に余計な事ばっかり考えてるなこの男。

人らしいだの寝顔が可愛いだのは入れる前に済ませといた方がいい。
描写されない部分はないのと同じだから、行為の途中に違う描写入れちゃうと
その間はまぐわってないのと同じ事になる。

実際行為の最中に違う事考えるのって相手にも嫌がられることがあるし
エロパロとしての実用性(?)にも問題が出てくる。
553名無しさん@ピンキー:2008/01/05(土) 22:49:09 ID:NOshHIAE
>>552
そうか?俺はこれはこれで好きだけどねーw
まぁ人それぞれ好みがあるってことでおk




そしてガユ○師匠にこんな所であえると思ってなかったわww
思わず吹いたwww
554名無しさん@ピンキー:2008/01/05(土) 23:04:58 ID:/8TTdfPn
何かニ作品も投下されてた〜。
お二方お疲れ様でした。
どちらも個性がはっきり出ていてとても面白かったです、GJ!

人×人のSSがどんどん溜まってきたんでそろそろ放出しようかなぁとか。
555名無しさん@ピンキー:2008/01/06(日) 18:13:14 ID:ZoEYCQxq
久々に来てみたら殺伐しすぎワラタ
小ネタとか投下できるふいんき(ryじゃないっすねサーセン
556名無しさん@ピンキー:2008/01/06(日) 18:27:12 ID:AEwZexC3
そういえばまとめサイトの方はもう大丈夫なのだろうか
557名無しさん@ピンキー:2008/01/06(日) 21:50:50 ID:Ib6P5Rxy
>>555
さつ…ばつ?
558ヽ(`Д´)ノ ウワァァァン:2008/01/07(月) 00:44:52 ID:1q0J8KgF
大分持ち直したよ
さーわしも書かねば
559雪見:2008/01/07(月) 10:12:29 ID:r90IV246
忘れた頃にやってきましたよ。
塗り直してみた。
ttp://www.dotup.org/
0651.zip コメント欄「狩ります」
パス mhero
期待せずにどうぞ。
次はキリン娘+バルカンさんの足コキ予定。


560名無しさん@ピンキー:2008/01/07(月) 11:08:32 ID:ZvABJeBW
ひでえなこりゃ
561名無しさん@ピンキー:2008/01/07(月) 16:18:40 ID:0UiLfTH9
グロ貼るなボケ
562名無しさん@ピンキー:2008/01/07(月) 23:03:08 ID:ddfhS1rF
しばらく見ないうちに300も進んでたか
563名無しさん@ピンキー:2008/01/09(水) 00:14:38 ID:UI4gedUt
こんばんは。12レスほどお借りします。

・MHP設定。 のつもり。
・モンハン色は弱め、読みづらさはG級。
・「集会所三人娘」と繋がる部分はありますがスルーで。
・最近、淫らな言葉が一発変換されるようになりました。
・誹謗中傷は真摯に受け止めます。

では、はじめ。
564霧の女王1:2008/01/09(水) 00:16:19 ID:UI4gedUt
ある日、俺はボウガンだけでG級まで上り詰めたハンターから滅龍弾の話を聞いた。
何でも龍属性をを持つ唯一の弾丸であるにも拘らず反動が大きく、装填数も少ないことから、ほとんど使われることのない可哀想な子なのだという。
最大で6ヒットし、弱点が龍属性である飛竜の弱点に打ち込めば、あのラオシャンロンにも有効なのだとか。
一時期、武器収集家として名を馳せていた(?)俺はそれなりにボウガンを所有しているが、残念ながら滅龍弾の打てるものはない。
使える/使えないは別にして、比較的簡単に作成できる虫系ボウガンのうち、レア度が高いハニーコーマーを作ってみることにした。手持ち素材を調べると、作成には「女王虫の尻尾」が足りない。
俺は虫討伐系のクエストを受注することに決めた。

クエスト受付カウンターを前にして、俺は困ってしまった。
「女王虫の尻尾」が手に入るの虫クエは星4と星6の2つ。道楽ともいえる武器作成でわざわざG級クエを選ぶ必要はない。
しかし、N級・H級カウンターに「可愛い声で啼く赤服」はもう居ない。3か月前に寿退職している。
新赤服は歴代赤服同様に可愛いが、如何せん行動が幼ない。
仕事は十分すぎる程にできるのだが、子犬のように人懐っこい性格は俺を困惑させる。
マシンガントークを展開する赤服の姿を想像して、軽いため息をつく。
N級・H級カウンターを見ると、案の定一人のハンターが餌食となっていた。御愁傷様。

もう一方のG級カウンターを見ると、全身ガレオスUシリーズのハンターがゲリョス討伐クエストを受注している。
青服がクエスト受注のための書類を作成し始めると、ガレオスハンターはクエストボードへ足を向けた。
俺は青服に近付くと「あいつ、ゲリョスのクエストを受注するのか?」と小声で聞いた。

「お一人で紫ゲリョスの討伐を受注されます。」

声の主が俺だと気付くと、青服は顔も上げずに小声で答えた。
「そうか。」俺ははじめて見たときから、あのガレオスハンターが気になって仕方がない。
ガレオスハンターの後ろに立ち、声をかける。
「あんた、紫ゲリョスを討伐するんだろ?俺はこれから星8ランゴスタ討伐戦に出かけるんだが合流しないか?あんたはゲリョス、俺は虫。ゲリョス討伐が終われば勝手に帰ってくれて構わない。どうだ?」一気にまくしたてる。
ガレオスハンターは振り返ると少し考えるように俯いたが、頷いて俺の申し出を受けた。

どんな顔をしているんだろうか?ガレオスヘルムでは顔が見えない。
目元のスリットから見えるはずの瞳すら、集会所の薄暗い照明の下では確認できなかった。
565霧の女王2:2008/01/09(水) 00:18:53 ID:UI4gedUt
狩り場に到着した俺たちは、違うエリアに配置されてクエストをスタートした。
俺は自動マーキングスキルを活用し、ゲリョスのいるエリアへ向う。
ゲリョス討伐に慣れたガレオスハンターとはいえ、手伝いが必要にならないとも限らない。
なにせ、ここはG級の狩り場なのだから。

ゲリョスのいるエリアに到着すると既にガレオスハンターはいた。そして俺はその動きの良さに驚いた。
得物は焔剣リオレウス。ゲリョスの弱点である頭と尻尾だけを狙い、華麗に舞い、確実な一撃を叩き込む。
まるで俺の入る余地はなかった。あっという間にゲリョスを討伐する。
賞賛する間もなく、俺はそのエリアを離れランゴスタを探しに出かる。
無事ランゴスタを50匹狩り終える。
キャンプに戻り成功報酬で運良く「女王虫の尻尾」を受け取った俺は、ガレオスハンターを探す。
しかしガレオスハンターは既にいなかった。俺の申し出に従って、本当に帰ってしまったようだ。

俺は集会所へ戻る途中、出発前に交換したガレオスハンターのギルドカードを取り出す。
そこにハンターの名前はなく、装備と飛竜の討伐数だけが記されていた。
装備は言うまでもなくガレオスUシリーズ。
討伐数は全体的に少なかったが、ドスガレオス・モノブロス・ディアブロスは群を抜いていた。
青服が言っていた通り、ガレオスハンターは砂漠専門のハンターのようだ。
砂漠の飛竜には劣るもの、ゲリョスの討伐数も多いことが気にかかる。
ハンターに飛竜の得手/不得手があるのは当然で、各飛竜の討伐数には偏りがあるものだ。
しかし、砂漠専門のハンターがゲリョス討伐も得意だとは考えづらい。
俺はガレオスハンターの背後にあるものを想像しながら、集会所に戻った。

昼過ぎの集会所は混雑しており、青服は監視のまっただ中にいる。
俺は青服に帰還証明を提出すると、特に話し掛けることもなくカウンターを後にした。
集会所を見回したが、そこにガレオスハンターの姿はない。

-----------------------------------

俺は青服のカウンターでクエストを選んでいた。
未だ手を着けていないゲリョス2頭クエ「猛毒の包囲網」を受注するかどうか、考えていたのだ。
疲れることを知らないゲリョスを、G級しかも2頭同時に相手するなんてげんなりする。

ふと集会所に光が差し込む。誰かが集会所に入ってきたようだ。そこにはガレオスハンターがいた。
俺を覚えているか不安はあったものの、ガレオスハンターに向って手を振ってみた。

ガレオスハンターは俺に目を止めて会釈した。どうやら俺を覚えていたようだ。
566霧の女王3:2008/01/09(水) 00:21:18 ID:UI4gedUt
俺はガレオスハンターを手招きして呼び寄せる。
ガレオスハンターの得物は焔剣リオレウス。
砂漠の飛竜を討伐する際には鬼斬破か蒼刃剣ガノトトスを持って行くらしいので、今日はゲリョスを討伐するつもりなのだろう。
俺は事のいきさつを話して、猛毒の包囲網への誘いをかけてみた。
案の定ガレオスハンターは無言で頷き、一緒にクエストへ出かけることとなった。

開始エリアに着いて早々、俺の目の前にはゲリョスがいた。
ガレオスハンターの華麗な剣捌きを思い出して、同じように攻撃を繰り出す。
頭部と尻尾を狙いながら炎剣リオレウスを繰り出すがうまくいかない。
何とか頭部は破壊したが、あとはいつものように攻撃し、討伐する。

ゲリョスの発光器官はピュアクリスタル・ノヴァクリスタル・ドラグライト鉱石等から成り、体液である狂走エキスが循環することであの光が生まれる。
周囲一面を晦ませる程の光を発生させるそのエネルギーは測り知れない。エネルギーは熱に変換され、触れない程熱くなる。
剥ぎ取りしたくても、討伐直後はそのあまりの熱さに取り出すこともままならない。
報酬としてドラグライト鉱石を受け取る確率が最も高い理由は、クリスタルの類に比べて小さいため冷えるのが早いことによる。

幸運にも2匹が合流することなく討伐を完了した。
自動マーキングを駆使すると、ガレオスハンターは別エリアで既にゲリョス討伐を完了しているようだ。
剥ぎ取りをしているのか、ゲリョスのそばにいる。
俺はガレオスハンターのいるエリアに向った。
沼地は昼夜を問わず霧が発生しており、視界は良くない。それでも今日は晴れているため、ぼんやりと明るい。

ガレオスハンターがいるはずのエリア2に到着すると、霧の中に大きな固まりが浮かび上がった。恐らくゲリョスの死体だ。
だがガレオスハンターが見当たらない。まさかまた一人で帰ったのか?
ゲリョスの倒れている辺りから物音がする。よくよく目を凝らすと、ゲリョスの上にほの明るく光る物体が動いている。
ここは沼地、もしかしてフルフルか?俺は炎剣リオレウスを構えて歩み寄る。

近付くにつれ、光る物体が人であることが分かった。
裸の女だ。しかも俺はその女を知っている。

集会所最難関クエの1つに数えられる「四本の角」の依頼人、「美しい第一王女」、その人だった。
567霧の女王4:2008/01/09(水) 00:22:20 ID:UI4gedUt
俺はゲリョスがはっきり見える距離まで近付いて、ようやく全てを理解した。
女王は倒したゲリョスにまたがり、自慰行為に耽っていたのだ。

周囲の霧が女王の象牙のように白いその肌を反射し、体をぼうっと光らせる。
長い髪は銀色。軽くウェーブがかかりっており、まるでそれ自体が霧のように女王の周りに漂う。
一糸まとわぬその姿は、大理石の彫像のようだ。
俺が名付けてもいいなら、その彫像の名は「霧の女王」。

「ん・・・はぁあ・・・・・・んん・・」

長いまつげに囲まれた瞳は紫水晶のように輝いているが、なぜか焦点が定まらない。
桃色の唇は薄く開かれ、艶めいた声が洩れる。
死んだゲリョスが発するわずかな毒気に侵されたらしく、俺が近付いていることにも気が付かない。
ゴム質の肌の上、かすかな水音を立てながら女王は腰を前後させる。
自らの蜜で滑りを良くなったゲリョスの皮膚にクリトリスを擦り付ける。

どう考えてもあり得ない状況だ。
頭脳明晰で類い稀なる美しさを持つ女王が、俺の前で痴態を晒している。
俺は神聖なものを見ていると同時に、見てはいけないものを見ているような気がして増々頭を抱える。

腰の動きだけでは物足りないのか、女王は両手を自らの胸に運ぶ。桃色の乳首は既に勃っているというのに、毒気のせいで力が入らない。
眉根を寄せ、苦しげな表情を浮かべる。
暫く逡巡した女王は上半身を倒してゲリョスに乳首を当てると、再び前後運動を始めた。腰の動きで乳首が刺激される。
クリトリスだけでなく乳首さえもゲリョスに捧げる。
声は増々艶を帯びる。俺はいても立っても居られなくなった。

俺は女王に近付くと跪き、女王の手をとって甲に口付けた。女王に謁見する際のエチケットだ。
美しい紫の瞳に、俺の手助けが必要か問いかける。
女王は動きを止める。俺を見下し目を細める。どうやら許可は下りたようだ。
俺は立ち上がると装備品の全てを脱ぎ捨てアンダーウェアだけになると、女王の後ろに腰掛けた。
女王の二の腕を掴みその体を起こすと、俺の胸にその背中を密着させる。
女王は、なされるがまま俺の胸に体を預けた。
568霧の女王5:2008/01/09(水) 00:24:00 ID:UI4gedUt
女王の手を取り、刺激を求めている胸にその手をあてがう。
女王の手に俺の手を重ね、指の間から顔をのぞかせる乳首に人さし指をかける。
俺は女王の手のひら越しにゆっくりと力を込め、胸を揉む。人さし指で乳首を刺激する。
女王は少し仰け反り、俺の肩に頭を押し付ける。
瞳は軽く閉じられ、長いまつげを震わせる。

裸の女王を見た瞬間に軽く勃起してしまった俺は、間近にある女王の首筋に唇を近付ける。
しかし俺の意志で女王を穢すことは許されないような気がした。俺の使命は女王を感じさせることだ。
ゲリョスの毒が俺にもまわったのだろうか?普段は己の体に従順な俺がどうしたことか。
女王に快感を与えるためなら、俺の性欲なんてむしろどうでも良いと思った。

しかし、体は正直である。
女王の尻に密着したモノは硬さを増し、痛みさえ感じられるようになっていた。
耐えきれず、まるで挿入しているかのように腰を動かす。
ヌルヌルになったゲリョスの皮膚の上、女王は前に押し出される。
敏感な部分を刺激され、増々潤滑油は供給される。

俺が腰を動かせば、ゲリョスが女王を犯す。
間接的に女王を穢しているいることに罪悪感を感じながらも、俺は動きを止められない。このくらいは許して欲しい。
ゲリョスの上を女王がスライドするたび、淫らな水音が響き渡った。
女王の指間からこぼれる乳首を、人さし指だけでなく親指もつかって摘まみ上げる。
俺はもう腰の動きを止められなかった。
徐々に早まる動きに、女王は体を仰け反らせて息を荒げる。
俺のためじゃなく、女王のためだけに腰を動かした。より早く、より強く。

「あぁっ!」

女王は全身を震わせると身震いし、完全に力を失った。
俺の胸に崩れ落ちる。どうやら失神したようだ。
俺は腕の中にいる美しい女王を、骨が折れる程抱き締め、泣叫ぶ程に突き上げたい衝動に駆られた。

邪悪な考えを追い払うように頭を振ると、ガラス細工を扱うようにそっと女王を抱き上げ、キャンプまで静かに運んだ。
569霧の女王6:2008/01/09(水) 00:24:57 ID:UI4gedUt
女王をベッドに横たえると、タオルをキャンプ裏の湖にひたした。
この湖は水質が大変良いことで知られる。透明度が高く、少し冷たいその水は非常にうまい。
霧が立ち込める中、飛竜だけでなくブルファンゴも多く生息するこの地を訪れるのはハンターだけ。
汚染原因である人があまり立ち寄らないため、変わらぬ美しさが保たれているのだ。
俺はタオルをしぼってベッドに戻ると、汗と土ぼこりにまみれた女王の顔を拭う。
先ほどの艶かしさが嘘のように、高潔で美しい顔がそこにあった。毒気は抜けたようだ。
俺は安堵のため息をついて、女王の体が冷えないようにシーツをかけた。

俺は頭を整理した。
女王が目覚めるまでにしなければならないことはたくさんある。
まずは女王と俺の武器/装備品の回収。
そして女王が目覚めたときの言い訳。これは厄介だ。
とりあえず、覚えていないといえば嘘をついて適当に取り繕う。覚えていても深く詮索しない。
ゲリョスの毒気に冒された上での行為を1から10まで説明する必要はないはずだ。
そして最大の問題は、これ以上にない位張り詰めた俺のブツの収拾である。
収まりそうな気配を見せても、女王の淫らな姿態を思い出す度にブツは硬さを取り戻す。
俺はまたため息をつくと、とりあえず装備品の回収に向った。

女王をキャンプに運び込んから15分ほど経っただろうか。
そろそろ起きてもらわなければ時間切れでクエスト失敗だ。俺はベッドに近付くと女王を見つめた。
この「美しい第一王女」が、なぜ死んだ飛竜で自分を慰めなければならないのか。
忘れたくても忘れられないあの光景がよぎる。またしても股間が張り詰める。帰ろうにも装備が着けられない。どうしたものか。
ブツブツと独り言を呟いていると、女王の目がゆっくりと開かれた。

美しい紫の瞳は聡明さを取り戻している。周りを見回すと、ゆっくり起き上がった。
「女王、何があったか覚えておいでですか?」ベッドのそばに跪き、顔を伏せる。これもエチケット。
答えもなく空白の時間が過ぎる。俺は恐る恐る女王の顔を窺った。

「覚えています。」

「そうですか。」次の言葉が浮かばず、今度は俺が空白の時間をつくり出す。

「望んでしたこと。そう言えば・・・軽蔑しますか?」

顔をあげ、俺は言葉を失った。ちょっとアンタ何いってんの?
570霧の女王7:2008/01/09(水) 00:25:57 ID:UI4gedUt
女王の瞳には一点の曇りもない。「望んで」とはどういうことなのか?
見つめる女王の目から光が消える。その姿は本物の彫像のようだった。
「砂漠専門のハンターであるあなたが、なぜゲリョス討伐を?」飛竜相手の自慰行為に至った理由を遠回しに問いただす。
聞き流すべきところなのに、反射的に言葉が出てしまった。生来のいじめっ子体質が憎らしい。
女王はシーツを軽く握ると、苦しみに顔を歪めて話はじめた。

「砂漠の民を守るために、私は強くなりたかったのです。」

・・・・・・・・・・

なんとかH級まで辿り着いた。身分を隠すため男性用の装備を身に付け、女王はたった一人でここまできた。
砂漠の飛竜の中で最強といわれる黒いディアブロスを討伐するため、一日も早くG級に昇格しなければない。
しかしH級で思わぬ障壁が立ちはだかる。砂漠と違い視野の狭いジャングルでのゲリョス戦で繰り返し失敗していたのだ。
立ち振る舞いを見直すため、ゲリョス討伐を得意とするハンターに同行する。
黒い瞳のそのハンターは無口だったが、少年のような純粋さと父親のような優しさを併せ持つ男だった。
女王が一人でゲリョス討伐ができるようになるまで、ハンターはまるで影のように付き添った。

抗いがたい運命だった。女王はハンターに恋をする。
ハンターもまた同行者が女であることを知り恋に落ちる。
二人はゲリョス討伐クエストを受注することで逢瀬を重ねた。身分を公にできない女王はそうする他なかったのだ。
相手が何を求めているのか、瞬時に分かってしまう二人に言葉はなく、お互いの名前すら知らない。
早々にゲリョスを討伐すると、クエスト終了の最後の1秒まで相手を求めて体を合わせた。

だがある日、飛竜調査員としても有能だったそのハンターは、ギルドから灰ラオシャンロンの調査を命ぜられる。
すぐに戻るといったハンターは、帰ってこなかった。それは抗いがたい運命だった。

・・・・・・・・・・

「もう一人では生きて行けないのです。でも砂漠の民達を思えば、死ぬことも許されない。
 気が付けばいつもゲリョス討伐を受注し、あの人が残した焔剣リオレウスで戦っていました。
 あの人が与えてくれた悦びと死ぬための猛毒をゲリョスに求めました。歪んだ愛、とでもいいましょうか。」

女王は自嘲的な微笑みを浮かべた。
だが、すぐにその顔から表情が失われる。

「いっそあの人を忘れられたら、こんなつらい思いをせずにすむのに。」

女王は一滴の涙も流すことなく、かすれた声でそう言った。
571霧の女王8:2008/01/09(水) 00:27:32 ID:UI4gedUt
俺はベッドに近付くと女王の髪を撫でた。「歪んだ愛があなたを救うとは、俺には思えないね。つらいならなおさら。」
女王の肩に手を置く。「それに、あいつを忘れるなんて無理でしょ?」女王は体を強ばらせた。
「なら忘れなければいい。あなたに刻み付けられたあいつを忘れなければいい。」女王は顔をあげる。
女王は泣きそうな子供の顔で俺を見る。「今のあなたを見たらあいつだって悲しいだろうさ。」
女王は少し俯く。「あなたもそれを分かっているはずだ。だから俺に止めてもらいたかったんでしょ?」俺は続ける。「歪んだ愛は今日でおしまい。」女王は助けを求めるように俺を見た。

「一体、どうすれば・・・。」

俺は女王の側に腰掛けた。「心が寂しければ、あいつの笑顔を思い出せばいい。」
俺は女王の頬に触れた。「体が寂しければ、俺がいるじゃないか!」戯けた口調で言い放つ。
女王は目を見開いたが、ゆっくりと微笑んだ。良かった、冗談は通じたみたいだ。
俺は昔を思い出した。「泣きたければいつでも泣けばいい。無駄に思えても、一頻り泣けば落ち着くもんだ。」

「私は・・・あの人の名前を知らない。あの人の名を呼ぶことすらできな・・・」

女王の言葉が終わらぬうちに、重ねるように俺は言った。「グレン。俺の親友だった男さ。」

「グレン・・・。グレン・・・・・。」

女王はその名を何度も繰り返すと、大粒の涙をポロポロと流した。頬の曲線を光の筋が流れる。
これまで誰にも言えず、一人で抱え込んでいたんだろう。女王はやっと解放されたのだ。

俺は女王の背中を優しくさすりながら、グレンの事を話した。
とても優秀なハンターだったこと。人一倍勉強熱心で飛竜の弱点を研究していたこと。無口だけれど意見を求められれば言葉少なに的確な答えをくれたこと。その微笑みは女だけでなく男までも魅了したこと。あいつの周りには自然と人の輪ができていたこと。
俺が話終わる頃、女王はまだ少し泣いているようだったが、その瞳には光りが差し、口元には微笑みが浮かんでいた。
女王の涙を拭い、「さぁ戻りましょうか。女王陛下。」俺はベッドから立ち上がった。

女王は頷いてこちらを見ると、驚いたように手で口元を覆った。
丁度女王の目線の先には、立ち上がったことで勃ち上がったもう一人の俺があった。

やべ、忘れてた。
572名無しさん@ピンキー:2008/01/09(水) 00:28:01 ID:R0W2QZuO
投下紫煙
573霧の女王9:2008/01/09(水) 00:29:12 ID:UI4gedUt
「私がゲリョスで・・・、私のせいで、こんな・・・、ごめんなさい!」

女王は困惑している。そりゃそうだ。自分を立ち直らせた男がこんな状態って。そりゃ酷い。
だがちょっと待って欲しい。あんなイイモノ、じゃなくて凄いもの見せられて勃たないほうがおかしい。こんなに気まずい思いをしても勃っている自分を誇りに思うよ?
とりあえず素直に謝る。「すみません。あまりにも強烈だったので、つい。・・・・って、あぁ?!」
俺は目を疑った。張り詰めたアンダーウェアを女王が人さし指でなぞっている。上から下、下から上へ。
唖然とする俺を後目に、女王はアンダーウェアをずり下げると、天を向くモノをそっと掴んだ。

「あなたは私を慰めてくれました。今度は私が慰める番です。」

清らかに微笑むと女王はそういった。ちょっと待って!慰めるの意味が前後で変わってるって!
女王はヌメリを纏う先端部分に親指をあて、ゆっくりと円を描いた。「ちょっと待ってください!あなたはそんなことする必要ない!ほら!汚れるからその手を離して!」
ハンターとは思えない細く美しい指で俺のモノを扱きながら、女王は飛竜の上で腰を振っていたときと同じ顔で俺を見る。
それはとても淫らな笑顔だった。俺は震える。やめて欲しくない。
女王の手は一体何度往復したのだろうか?俺は堪えきれず射精した。

白い液体は女王の手だけでなく、その美しい顔をも汚した。

-----------------------------------

「そんな夢をみて、だ。今朝は夢精してたんだ。」俺は情けない話をしていた。
ピロートークにしては長過ぎる俺の話を、ところどころ吹き出しながら聞いていた青服は、ついに堪えきれず大笑いする。
5分程笑い転げていただろうか。「そんなに笑わなくても良いだろう?」俺は少しむくれる。

「ごめんなさい。間違いだらけの妄想だったから。ふふっ、まず一つ目。ガレオスハンターは男。」

俺は驚いた。「そうなのか??見目麗しき高貴な女じゃないのか?!」その問いに青服は頷いた。

「女と見まがうばかりに端正で美しい顔だち、だけど男。そして砂漠の国の王族関係者で民を守るためにハンターをしている。この部分は当たらずとも遠からず。ゲリョス討伐はただの気分転換。」

なんて事だ。俺は男にここまで執着していたというのか。青服はさらに追い討ちをかける。

「二つ目。本物の『美しき第一王女』は50歳。とても美しい人だけれど50歳。」

俺はもう立ち直れそうにない。
574霧の女王10:2008/01/09(水) 00:33:33 ID:UI4gedUt
「三つ目、あなたの親友『グレン』は生きてる。」

そうともグレンは生きてる。俺のくだらない話を、いつも笑いながら黙って聞いてくれる。
グレンは本当に良い男。夢の中で女王に話したことは全部本当だ。
しかし1点だけ違うところがある。グレンは女を愛さないのだ。いや男が好きということじゃない。
『ハンター稼業は死と隣り合わせ、そんな道を選んだ俺に女を愛する資格はない』んだそうだ。
冷静な奴のこと、いくら女王のように美しい人が現れても衝動的になることはない。だろう。多分。
だが俺は、グレンが女王のような一途に愛せる女と一緒になることを望んでいる。奴にはその価値がある。

一方で、俺はこう思う。グレンの言う通り、ハンター稼業は死と隣り合わせの過酷な世界だ。だからこそ、愛する人と共に生きていたいと。
ククっと笑う青服の声で、現実に引き戻される。

「四つ目、夢精で目が覚めるところ。昨日は村の道具屋さんに手を出しているはずなのに。」

迂闊だった。青服の監視は集会所だけのものと勝手に解釈していた。魔の手は村の隅々にまで及んでいたようだ。気をつけねば。落ち込む俺の頭を青服が撫でる。
ふと思い出したように、俺は質問を投げかける。「俺が死んだら、あんたは霧の女王のように苦しむか?」

「・・・多分、苦しまない。ハンターのあなたが死んだとしても、それは想定内のことだから、」

G級受付嬢は知っている。ハンター稼業がいかに厳しい職業なのかを。
冗談を言いながら手を振って狩り場に向ったハンター達が、もの言わぬ姿になって帰ってくることを。
その悲しみを。その絶望を。

ニヤついていたはずの青服が真剣な顔になる。悲しげな瞳がが俺の目を捉える。

「でも、あなたは死なない。」

俺は死なない?不思議そうな顔をしている俺に、青服は微笑む。

「ココット村に女がいる限り、女を抱くために必ずあなたは帰ってくるから。」

青服はどこまで俺のことを知り尽くしているというのか。「ごもっとも。」俺は青服を抱きしめ、その頬にキスをした。「素晴らしい回答だ。褒美とらせる。」青服の耳に囁く。

青服は少しうんざりした顔を向けたが、諦めたように苦笑した。
575霧の女王11:2008/01/09(水) 00:35:11 ID:UI4gedUt
夢の話には意図的に省略した部分がある。それは女王とグレンが快楽を貪る部分。
さすがにそこまで話せば、青服はドン引きしてしまうだろう。お前の頭にはエロしかないのか、と。
俺はグレンの真似してみることに決めた。「ご褒美はちょっと短め。でも濃厚。」青服に前置きする。
青服は何をされるのか分からず、怪訝な顔を向ける。
俺は不敵な笑みを浮かべて青服をうつ伏せにすると、腰を引き上げた。
その素晴らしい眺めを存分に楽しんだ後、先端を尖らせてその存在を主張している部分に触れる。

「はぁん!」

青服は悩ましげな声をあげる。その声だけで十分だった。
腰を掴み素早く青服にモノを差し込むと、上体を倒して青服の背中に押し付ける。背中や首筋にキスの嵐を浴びせ、柔らかい胸を揉む。
いつもよりハイスピードな腰の動きに青服は艶めいたため息を洩す。
俺は青服の背中に唇を這わせて吸い付き、その白い肌に赤い印を付けていく。
読めない展開に青服は溺れ、俺のモノを締め付ける。でも、まだいかせない。
俺は青服の肩に噛み付く。

「痛っ!!」

鋭い痛みに声をあげ、青服は快楽の波から引き上げられる。「まだいっちゃだめ。」俺は意地悪く告げる。
夢の中の親友は、こうして何度も女王を焦らしてやがった。鬼畜な奴だ。
俺は青服の乳首を転がすように摘みながら、腰を突き上げ続ける。背中や首筋に赤い印がどんどん増える。

「ぁぁぁぁ・・・・・もう、いいでしょう・・・??いかせて・・・!」

再び青服の中が俺を締め付ける。俺はまた青服の肩に噛み付く。「まだ、だめ。」
俺は同じことを何度も繰り返した。悦びを与えておきながら、最後の楽しみはお預けにする。
グレンが本当にこんなことをするのかどうかは怪しいところだ。俺の願望が夢に現れただけかもしれない。俺はキチク。

「・・・お、おねがい。もう・・・だめ・・・なの。」

何度目かのお預けを食わせたとき、青服は涙を浮かべて懇願した。これ以上続ければ、出入り禁止になりそうだ。「じゃ、一緒にいこう?」
力なく頷いたのを確認すると、俺は力を強めて胸を揉みしだき、腰を叩き付けるように深く突き刺した。

「・・・・・・・・!!!!」

青服が声にならない声をあげる。俺は痛いほどの締め付けに耐えながら、青服の耳元に口を寄せた。
「愛してる。」
今まで誰にもいったことのない言葉を口にする。
その言葉の持つあまりに甘美な響きに全身の力が一気に抜け、俺は青服を満たした。
576霧の女王12:2008/01/09(水) 00:39:20 ID:UI4gedUt
「ごめん。ご褒美、凄すぎた。」軽く息を弾ませながら、俺は謝った。
青服は何も言わずにベッドの上を転がり、俺に背を向ける。こりゃ本当に出入り禁止だな。
俺は体を起こすと恐る恐る青服の顔を窺った。青服は、震えながら静かに泣いていた。

「私を霧の女王のようにしたくないなら・・・死なないで。」

いつもはクールな青服の涙に驚く。俺が死んでも「苦しまない」と言ったのは強がりだったのか。
「わかった。」俺は背中から青服を抱き締め、泣き止むのを待った。

「知ってるか?」震えが止まった青服の後頭部を見つめながら俺は言った。
「この村の女のためなら、例え這ってでも俺は帰ってくるんだぜ?」
青服がゆっくり振り向く。涙はもうない。いつものような冷たい視線で俺をみた。口元には微笑み。
「それに、あんたを他の男に抱かせるなんて、まっぴら御免だ。」俺がつけた噛み跡に口付ける。

「私は男に抱かれるわ。あなたの生死に関わらず。」

そうだな。俺の死が青服を縛ることになっては困る。優しい男はゴマンといるのだから。青服には幸せになって欲しい。
顔をあげると青服と目が合った。何、その淫らな微笑みは。俺は青服の言葉を咀嚼する。
ちょっと待て。「俺の生死に関わらず」ってどういうことだ?俺以外に青服をヒーヒーいわせるヤツが、今もいるということか!?

「明かりを消して。」

スタンした俺に声をかける。そろそろ青服の寝る時間だ。時間制限付きクエストで鍛えられた俺の体内時計が判断する。
俺は燭台のろうそくを一気に吹き消すと、青服の隣で横になる。俺の首に腕をまわすと青服は静かに目を閉じた。
俺の頭の中で村中のハンターの顔がグルグルまわる。青服を抱く男は誰なのか?あいつか?それともヤツか?
柄にもなく思いつめ、闇を見つめて歯ぎしりする俺の隣で、かみ殺した笑いが聞こえた。

-----------------------------------

G級受付嬢は知っている。どんなに危険だと分かっていてもハンターを引き止める術のないことを。
己の力を試すため、愛する人を守るため、一財産築くため、珍しい武器をつくるため。様々な想いを胸に秘めて狩り場へ向うハンター達。
死をも恐れず、意気揚々と出発するその姿は生命感に溢れ、光り輝く。
そんなハンターを受付嬢達は最高の笑顔で送りだす。生還することを願って。

『ご武運を!』
577「俺」の父:2008/01/09(水) 00:45:20 ID:UI4gedUt
以上です。
「赤髪」の後、スレストッパーになってました。すみません。
うpし過ぎたので、これで打ち切ります。

初めて書いたのですが、エロよりもそこに至る過程にこれほど苦労するとは思いませんでした。
「清楚な女性がゲリョスの死体で擦り付けオナ二ー、なんてネクロマンティック!」
とか考えて書きはじめたのですが、おかしなことに「集会所三人娘」が先にできてました。
GJを下さった皆様、本当にありがとう!モチベーションあがりました!

このスレは1代目からずっと見てます。
「フルフルと一緒」で泣きそうになったり、「ドドブラ(後編で人になる)x女ハンター」で切なくなったり。
書き手のみなさんの表現力や豊富な語彙には驚かされます。ただのズリネタ(?)に留まらぬ良作ばかりで。
特に「珍味の人」。もうあなたの作品を何度読み返したか知れません。
次回作お待ちしています。ああ催促ではありませんよ。願望です。

>>480 その設定いただきます。構想はできあがりました。暫くお待ち下さい。
>>552 「エロパロとしての実用性」なんか凄い説得力。勉強になります。

長くなりました。それではROMに戻ります。

【引き続き、モンハンのエロパロスレをお楽しみ下さい。】
578名無しさん@ピンキー:2008/01/09(水) 03:26:36 ID:0MjTZuRQ
>577
GJ!そうか・・・・しばらくROMに戻るのか。
いつでも待ってるぜ。
ところでみんなはボス系モンスターが擬人化した時のイメージってどんなん?
579名無しさん@ピンキー:2008/01/09(水) 03:27:39 ID:0MjTZuRQ
ところでそろそろ次スレ立てたほうがいいんじゃないのか?
もう496KBにまで達してるぞ。
580名無しさん@ピンキー:2008/01/09(水) 03:37:30 ID:zEzs0Z92
>>577
この一言に尽きる、GJ!!
いやむしろグッドジョブ!!

自分も1代目からずっと見てます。
「フルフルと一緒」シリーズは本当に感動しました。
実は少し目から汗が出たのは秘密ですが。

これからも良作を待っております。
581名無しさん@ピンキー:2008/01/09(水) 08:11:43 ID:FCkII949
>>577
GJ!
お疲れ様でした
582名無しさん@ピンキー:2008/01/09(水) 12:54:19 ID:iT1T9r3w
>>577
しばらく遠ざかっていたら、なかなかどうして素敵なSSが
受付嬢をそういう目で見た事なかったから新鮮だった。
つきましては番外でいい、是非ポッケ村のツンデレハンターを食っちゃう話を書いてくれw
583名無しさん@ピンキー:2008/01/09(水) 19:40:24 ID:FtNyklJp
ネタ出しじゃなくリクエストなんてする奴ひさしぶりに見た
584名無しさん@ピンキー:2008/01/09(水) 20:49:58 ID:q+wrE+QI
いいもの読ませて貰ったぜ……!
585教官:2008/01/09(水) 22:51:50 ID:9UNLgtSy
>>577
淡々とした文章なのに、何故か読んでいくうちに惹き込まれます。
お疲れさまでした&GJ!

ついでに次スレ立てました。
【MH】モンスターハンターでエロパロ 11匹目【モンハン】
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1199886287/l50
586名無しさん@ピンキー:2008/01/12(土) 12:53:43 ID:lDVU48UE
うめうめ
587名無しさん@ピンキー:2008/01/12(土) 13:48:43 ID:K3oDu8Ee
うめうめ
588名無しさん@ピンキー:2008/01/12(土) 16:20:12 ID:2baIXjaw
         _,.‐'  ̄ ̄` ゙` '‐.、  
       / ... / ̄ ̄ ヽ  \
      /   /        ',..  ゙!
      i'   ..{0}  /¨`ヽ {0}   ゙! 
     i'  .  l   ヽ._.ノ   i    ゙!
     |   . |.   `ー'′  |   |     ひゃあああんッ!!!
      i,.    i,        ,i'   /
      〉、   \ _ 山 __,/   ,r'、
    __//\      ̄     /\ ヽ,
   彡へu  ゙T' ‐.、____ ,.‐ イ" ⊂、 〈
         ヽ、       /.    リリ
        r"´>、.____ ,.‐'\
        `~´      `) )
                //
 -=iil||||||||||||||||||||||||〈_ノ
589名無しさん@ピンキー:2008/01/12(土) 16:21:10 ID:2baIXjaw
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             / ::::l.iii
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               | lIIIIl| __
              /==バハ|::;;;;;::|
               ('(゚∀゚|::::;;:::| http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1199886287/l50
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                 ヽヽ_)
590名無しさん@ピンキー:2008/01/12(土) 16:21:57 ID:2baIXjaw
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  ヽ     ヽノ、◎ _/ ̄    ノ 私がイャンクックです
   (    ヽノ `_ノ       /
    ヽ_ ノ |/      _  /  
      \__|_ ̄ヽ__\ ヽ  、
       ∠ 人_    \`´/ |
     ∠_/   人     ̄ _ノ
    ∠ __ノノ   ヽ、_ /   


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591名無しさん@ピンキー
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  //´ __=-~´  /´ ゙ミ  /~ヾ丿ヽ、` ̄_./ ゙、   《`ヽ
∠∠,,=-~´     /巛|_/ヽノ ,/ /  _ ゝ-~´    ヽへノ`゙゙`
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