1 :
ンあぁ:
〜シルフィードでも分かる保管庫更新講座〜
○新規に保管する場合
1.ゼロの保管庫を開く。
2.上のメニューバーの『新規』をクリック。
3.ページ新規作成メニューが出るので、欄の中にSSの通し番号を入力し、『編集』をクリック。
(通し番号は、スレ番―レス番という形式。
たとえば1スレ目の141番から投下されたSSの場合は1-141と入力すればよい)
4.新規ページ編集画面が出るので、フォームに本スレからSSの本文をコピペする。
5.コピペ後、フォーム下の『ページの更新』をクリック。
ちゃんと出来ているか不安なら、まず『プレビュー』クリックし、実際にどのように表示されるか確認すること。
6.対象SSの作者のページを開く。
(たとえば261氏のSSを保管したい場合は261氏のページを開く)
7.ページ上のメニューバーの『編集』をクリック。
8.対象作者ページの編集フォームが開くので、SSのリストの中に、新規に追加するSSの通し番号とタイトルを入力。
出来れば通し番号順に並べた方が見やすいと思われる。
また、この際、通し番号を[[]]で囲むと、確実にリンクされるはず。
(上の例で言えば、[[1-141]]ゼロの使い魔(タイトル) という風に入力する)
9.入力後、フォーム下の『ページの更新』をクリック。
10.更新終了。余裕があればキャラ別orジャンル別も同じように更新すべし。
○既出のSSの修正or続きを追加する場合
1.ゼロの保管庫を開く。
2.対象SSのページを開く。
3.上のメニューバーの『編集』をクリック。
4.編集フォームとその中に記入されたSSの本文が現れるので、必要な部分を追加or修正する。
5.フォーム下の『ページの更新』をクリック。
6.更新終了。
>>1乙。
せんたいさんがリク取るともの凄い勢いでスレ消費されるから困る。
でも感じちゃうッ!
見上げた女子寮の窓際にいた人影は、わたしの姿に気付くとすぐに頭を引っ込めた。
けれど、立派なおでこがバッチリ見えた。言い逃れなんてできない。
「隠れても無駄よ! 出てきなさーい!」
わたしの怒鳴り声を聞いてそろそろと再び顔を見せ、その部屋の主、
香水のモンモランシーは蒼白な顔をこちらへ向けた。
なんで水なんて撒いたのか問い詰めようと思ったけど、どうもその表情がただ事じゃない。
眉根をひそめて、わたしではなくわたしの後ろにいるサイトのことを見ている。
なんとなく嫌な予感がして、サイトの方を振り向こうとしたとき、
不意にわたしの体の前に手が回された。
「え?」
「ルイズ」
耳元すぐ近くでサイトの声が聞こえて、一瞬、何をされたのか混乱した。
サイトがわたしを後ろから抱きしめてきたのだ。吐息があたった頬がかあっと熱くなる。
「な、なに? ちょっと、やめてよ、こんなとこで……」
いや、こんなとこじゃなかったら良いってわけでもないんだけど。
慌てて文句を言い、振り払おうとしたところで、何だか覚えのある匂いが鼻腔を突いた。
「あっ」
サイトの髪と顔を湿らせている液体。たった今、モンモランシーが窓から撒いたもの。
わたしの心臓がどきんと跳ね上がった。すぐさま身を屈めてサイトの腕から身体を逃がすと、
距離をとってから恐る恐る振り向いてその顔を見る。
サイトは、逃げるみたいなことをしたわたしのことを、不安そうな目で見ていた。
わたしの方へ近寄ろうとして、自分でその足を止める。
その雰囲気。まるで、わたしに拒まれるのを怖がっているような、心許ない態度。
「ご、ごめん。急に抱きついたりして……。悪気があったわけじゃないんだ」
「あ……、うん。わかってる」
何かを我慢しているような、辛そうな顔でそう言われて、怒る気も削がれてしまった。
同時に、その態度にピンと来る。わたしはサイトの手を引っ掴むと、
出てきたばかりの女子寮にとって返した。
「解毒薬が作れないですって!?」
「ちょ、ちょっと怒鳴らないでよ、落ち着いて」
「これが落ち着いてられるわけないでしょ!」
詰め寄って睨み付けると、モンモランシーに誤魔化し笑いを向けられた。
ここはモンモランシーの部屋。サイトを連れて押しかけて、部屋で観念したように
待ちかまえていた彼女を問いただしたところ、サイトが被ってしまったのはやはり
モンモランシーが作った惚れ薬の残りだったらしいことがわかった。
ところが、だったら解毒薬を早くよこしなさいと言ったわたしに帰ってきた言葉は
「簡単には用意できない」。そりゃあ怒りたくもなる。
「『水の精霊の涙』、全部使っちゃったの!?」
「ううん、それはまだあるんだけど、それ以外にも色々材料は必要なのよ。
そっちが足りてなくて、街に行って調達してこないと解毒剤は調合できないわ」
「なによそれぇ……」
頭を抱える。トリスタニアまで行って、薬屋を回って帰ってきたら半日はかかるじゃないの。
「何だかんだ言って随分なトラブルメーカーだねキミは。モンモランシー」
「あなたに言われるともの凄いショックだわ……。否定はできないけど……」
モンモランシーを迎えに来たとかでいつのまにか話を聞いていたギーシュが、
やれやれと肩をすくめる。モンモランシーは渋い顔をした。
「それで、どうするんだい? 今から買い出しかな?」
「まぁ、仕方ないわね。またサボりになっちゃうけど」
「だったら僕も付き合うよ」「サボる口実が欲しいだけじゃないの?」などと
言い合っている二人を尻目に、わたしは戸口で待たせていたサイトに目を向ける。
サイトは一瞬目を見開いた後、その瞳をとろんと潤ませた。
胸が締め付けられる。今のサイトが惚れ薬のせいでわたしの事しか考えられなくなって
いるのなら、どんな気持ちになっているのか、わたしは痛いほどに思い知っているから。
わたしはサイトの傍まで近寄ると、その手をとった。
「えっと、その……、今日中に、治してあげるから。あ、安心してなさい」
サイトは小さく頷いて、やっぱりわたしをじっと見つめる。
その視線に耐えられなくなって、わたしは目を逸らしてしまった。
そう、わたしは知ってる。今のサイトの立場に、つい一週間くらい前になったから。
”好き”になってしまった人と離れていると、どれだけ苦しいか。
切なくて、寂しくて、不安な気持ちがどんどん膨らんで、どうしようもなくなって、
自分の溢れた感情に押し潰されそうになってしまうことを、サイトに対して持ったから。
薬のせいだからとか、自分本来の気持ちじゃないとか、そんな理屈で抑えられるものじゃない。
例えとしては良くないけど、何も考えられないくらい眠たい状態にベッドを目の前にした時とか、
お腹が空いて倒れそうな状態で料理のテーブルについた時とか、そんなのに近いと思う。
理屈では抑えつけようがないくらい、サイトが欲しくてたまらなくなった。
恋の病なんていう言葉があるけど、それこそ病気みたいに自分ではどうにもできなくて……、
その苦しさを和らげてくれるのは、”好き”になった相手だけだってことを、知ってる。
「サイト」
それだけじゃない。サイトの胸に手を当てて、呼びかける。
”好き”になってしまった人に傍にいてもらって、触れてもらうとどれだけ嬉しいか。
名前を呼んでもらって、見つめてもらうだけで、そんなに満たされるか。
それも知ってる。それが、この世界にそれ以上の幸せなんて存在しないと思えるくらい
気持ちの良いことだっていうことも……、サイトが、教えてくれた。
だから、あの時のわたしを助けてくれたサイトのことを、
今度はわたしが助けてあげないといけない。サイトの気持ちを知っているわたしが。
「ルイズ」
サイトの熱い手のひらが、わたしの手を包み込む。胸に当てたその手に、サイトの鼓動が
伝わってくる。わたしの胸も高鳴ってくる。今、サイトが、あの時のわたしみたいな
幸せな気持ちになってくれてるんだと思うと……、こっちも、嬉しくなる。
サイトが、わたしの手をきゅっと握りしめる。空いた手でわたしの顎に手を当てる。
びくんと身体が跳ねた。何をしようとしてるのか、すぐにわかった。
『キス……、すると、ちょっとだけとれる』
他でもない、わたしがサイトにそう教えたんだ。気持ちの悪いモヤモヤが吹き飛んで、
気持ちの良いモヤモヤにひっくり返ること。惚れ薬を飲む前から、何度もしてたことまで
ばらしてしまって……。
サイトが顔を傾けて、瞳を閉じた。
拒めない。だって、あの時わたしは、サイトの気持ちも考えないで、勝手に……、
自分がしたいから、サイトにキスしたのだから。拒めないよ。それに、もしここで拒んだり
したら、どんなにつらい気持ちになるか、それも想像できちゃうから。
わたしも、小さく息をついて、瞼を落として――。
「えー、コホン。あのだね、そういうことは他人の部屋では避けた方がいいのではないかな」
「ふぎゃあ!?」「おぐっ!?」
ギーシュの気まずそうな声が飛んできて、わたしは反射的にサイトの顎を押し上げた。
なんか、サイトの首の後ろからゴキッっていう音が聞こえてきたけど。
「……はっ! あ、そ、そうよ! ここでするのはやめなさい!!」
「モンモランシー。ひょっとして見とれてたのかい?」
振り向くと、顔を真っ赤にして我に返るモンモランシーと、ツッコミを入れるギーシュ。
「なっ、なななな何よ! はは、早く解毒剤の材料買いに行きなさいよね!」
「わ、わかってるわよ」
モンモランシーは頬を染めてちらちらこちらを見ながら、思い出したように支度を始める。
わたしがドキドキ鳴っている胸を抑えて深呼吸していると、不意に窓の外に人影が現れた。
「話は聞かせてもらった」
「ひゃっ!」「何だね!?」
今度は、窓の近くにいたモンモランシーとギーシュが突然の背後からの声に
飛び上がった。突然そこに現れたのは、フライで飛んでいるらしい雪風のタバサ。
窓枠に片手をついてこちらの様子を観察している。
「タ、タバサか。どうしたんだね、こんな所に」
「四人揃って遅刻しているから、気になった」
タバサはギーシュの質問に簡潔に答えると、
「トリスタニアまで行くなら、わたしが風竜で送る。その方が早い」と続けた。
「そうしてくれるなら、助かるけど……。なんであなたが?」
「彼には、借りがあるから」
タバサは、サイトの方へ一瞬だけちらりと目を向けてからそう答えた。
なんとなく、その視線に引っかかるものを感じたけど、それが何なのかわかる前に
彼女はいつもの無表情に戻ってしまう。
「行くなら、早く」
「わ、わかったから急かさないでってば」
慌ただしい準備を終えて、タバサとモンモランシーと、一応ということでギーシュも乗せた
タバサの風竜は、それこそ風のようにトリスタニアへ向け飛び去ってしまった。
タバサ達を見送った後、授業どころじゃないと思い、サイトと共に部屋に戻った。
ドアの閉まる音がやけに大きく耳に響く。振り向いて自室の中に顔を向けると、
先に中に入っていたサイトが、棒立ちになったまま顔を伏せていた。
「……サイト?」
一歩踏み出して声をかけると、その肩が小さく震えた。さっきまでとは少し違う様子。
わたしは……、やっぱり、サイトの気持ちがわかる気がして、ゆっくり口を開いた。
「あの……、あの、その、ね? サイト」
わたしは努めて明るい声で呼びかける。
「えっと……、わたしは、わかるから。
今のサイトがどんな気分なのか、自分で体験して知ってるから……」
どう言ったらいいのか模索しながら、サイトに語りかける。
今のサイトの気持ちを推し量って、どうするのが一番なのか、深く深く考える。
「だから、その」
また、サイトの手をとろうとしたら、サイトは一歩後じさってわたしを避けた。
ぞくっ、と背筋に冷たい物が走る。”今のサイト”が自らそれをするのが、どれだけ
苦しいことか知ってるから。それに、どうしてそんなことをしたのかも、わかったから。
わたしは駆け寄って、サイトの両腕を掴んだ。
「……怖がらないで」
サイトの顔を見上げる。サイトは不安に揺れる瞳をわたしに向けていた。
「ちゃんと、覚えてるから。わたしが今のサイトと同じ気持ちになったとき、
サイトがわたしにしてくれたこと、忘れてないから。その時のことを……、感謝してるから」
今のサイトは、きっと、わたしに嫌わることを怖がってる。
惚れ薬のせいでわたし無しにはいられなくなっているのに、
だからこそ不用意に何かしてわたしから嫌われやしないかって不安になってる。
わたしも、同じような気持ちになった。サイトの傍にずっといたい。
サイトに自分だけ見て欲しい。そんな気分になった。
そして同時に、それを強要して嫌われたらという不安にも襲われた。
結局、前者の気持ちの方が勝って、わたしはサイトにベタベひっついて甘えてしまった。
それは、サイトは優しいって。わたしのことを受け入れて、甘えさせてくれる人だって、
わかってたからだ。だから、嫌われる心配を抑え込んでしまった。
けど、今のサイトが、その時のわたしみたいにベタベタしてこないのは、きっと……、
わたしがいつもサイトに対してとってる態度のせい。犬扱いして、ちょっとしたことで怒って、
殴ったり蹴ったり鞭で打ったり魔法で吹き飛ばしたりしてるせい。
わたしにとってのサイトは、甘えられて身を任せられて、みっともない所も恥ずかしいところも
受け止めてもらえる人だった。少なくとも、あの時のわたしにとってはそうだった。
けど、サイトにとってのわたしは、そんな相手とは程遠い。
だから、きっと身が張り裂けそうなくらいつらいんだろうに、わたしと距離をとろうとする。
ヘンなことをしたら、わたしに嫌われてしまうって思って。
胸が痛かった。苦しかった。今のサイトにそれよりもつらい思いをさせているのは、
わたしの普段からの行いのせいだと思うと、涙が出そうだった。
「……わ、わたし、そんなに酷いご主人さまじゃないわよ」
そう言って、サイトの背中に手を回す。おっきくて逞しい。
いつもわたしを守ってくれる、サイトの身体。
「サイトが苦しいのがわかってて、それをどうにかするためにわたしに何かして……、
そのことで怒ったり嫌ったりするような、きょ、狭量な人間じゃないわ」
あーあ、でも、何でこんな物言いになっちゃうのかしら。
「見くびらないでよね!」
わたしはサイトの胸に顔を押しつけて、言葉をぶつけるようにそう言った。
と、その直後、サイトも両手をわたしの背中に回して抱き留める。
両脚の先が宙に浮いてしまって、びっくりしてじたばたしているうちに、
サイトはわたしの身体を抱いたまま部屋の中を移動して、わたしをベッドの上に降ろした。
「あっ……」
途端に脳裏に浮かび上がるのは、わたしが惚れ薬を飲んでしまった時の、
ベッドの上でのサイトとの行為。もう、思い出すだけで羞恥で死んでしまいそうになる
数々の醜態。一気に全身が火照り、頭が沸騰してくる。
待って、待って、ちょっと待って。よく考えて。
勢いでサイトに色々言ってしまったけど、要するにわたしが言ったことって、
あの時サイトがわたしにしてくれた、『気持ち悪いモヤモヤの解消』を、
今度はわたしがサイトにしてあげるってことよね。
それとも、わたしが何かするより、サイトに好きにさせてあげた方がいいのかな?
どっちがどっちなのか、わかんなくなっちゃったじゃない。
「ルイズ……」
サイトがわたしに覆い被さる。わたしを射抜くみたいな目。
”わたしのことを好きな”サイトが、わたしを見つめてる。
惚れ薬のせいだってわかってるのに、胸がどきんどきん高鳴って、たまらなくなる。
今のサイトの気持ちをありありと想像できてしまったから。
わたしは惚れ薬の効果を消してもらった後、サイトに質問した。
薬のせいで無防備になってベタベタして、サイトに対して自分に何でも好きなことを
していいとまで言ったわたしに、どうして”好きなこと”をしなかったのか、って。
『だって、あれはお前じゃないだろ。お前じゃないお前に、そんなことはできない。
欲望にまかせて、大事な人を汚すなんて事は俺にはできない』
サイトはそう答えてくれた。嬉しかった。恥ずかしさで何も考えられないくらいだったのに、
その言葉で心がふっと柔らかく、温かくなった気さえした。
けれども、サイトの言葉が正確じゃないことも自覚していた。
『お前じゃないお前』。サイトはそう言った。確かにその言葉通り、あの時のわたしは
普段からは考えられない事をしたり言ったりしてしまっていたけれど……、
でも、完全に『わたしじゃないわたし』だったわけじゃない。
もちろん100%それまでと同じわけじゃないけど、0%でもない。
わたしの中には、そりゃ、サイトのことを大事に思ってるとか、感謝してるとか、
そういう気持ちくらいある。あいつのしてくれてることに、お礼を返してあげたいって
気持ちだってもちろんある。そういう感情が一片も無いほど恩知らずじゃないし。
けど、いつも他のごちゃごちゃした気持ちが邪魔をして、素直になれなくて、
そういう気持ちを表に出せないでいる。それが『わたし』だった。
あの惚れ薬を飲んでしまったわたしは、そんな、サイトへの好意を形にすることを
邪魔する気持ちが綺麗さっぱり失せてしまった。
それだけであんな態度とか言動になるとは思わない。きっと、サイトへの好意も
もっと大げさになって、膨らんでしまったいた。それが、あの時の『わたし』。
でも、その時の記憶を今のわたしは持っている。そして、その時の気持ちも
思い出すことが出来る。あの時のわたしが、何か外からの別の力によって、
心にも無いことを言わされてさせられているとは思わない。
わたしはあの瞬間の自分の気持ちを、そのまま形にしてサイトにぶつけていた。
今だって言える。少なくとも、あの時の『わたし』にとって、あれは本当の気持ちだった。
そして、あの時のわたしを作り出したのは、今のわたしの中にもある感情。
無から作られたわけじゃない。確かに、わたしの中から生まれた『わたし』。
だから、サイトの言葉を訂正するなら、あれは『わたしじゃないけどわたし』。
わたしの上にいる、サイトの顔を見つめる。いつものサイトとは違った色をした
今のサイトの瞳。あの時のわたしに当てはまるなら、今のサイトにも言えるはず。
ここにいるのは、サイトじゃないけど、サイト。わたしを大事な人だって言ってくれた、
わたしをいつも助けてくれる、わたしの使い魔。
『お前じゃないお前に、そんなことはできない』
じゃあ、もしもそのままのわたしだったら? ”そんなこと”しちゃうってこと?
「サ、サイト。あの」
「?」
サイトは小さく首を傾げた。
「わ、わたしのこと……、大事?」
「当たり前だろ」
サイトはすぐに答えた。まぎれもない、サイトの声で。
「ど、どうして大事なの?」
前にもした質問。けど、今もう一度聞いたら、違う答えが聞ける気がした。
「好きだから」
サイトは真っ直ぐわたしを見つめたまま、そう言った。
一瞬、頭の中が空っぽになる。次いで、一気に熱で満たされた。
な、ななな、何言ってんのよ! 聞きたいのは、そゆことじゃなくて……、ああもう!
「〜〜〜〜っ! ほ、惚れ薬飲んじゃったんだから、好きになるに決まってるでしょ!
あんたはわたしの時と違って、惚れ薬を飲んだわたしの様子を見てるんだから、
今の自分が普通じゃないってわかるはずでしょ!?
わたしが聞きたいのは、わたしのことが大事で、そ、その……好、き……、な理由よ!」
一気に文句を連ねると、サイトはわたしのすぐ前まで顔を寄せて、
「守りたいから」
頬を撫でて、そう言った。
全身から力が抜ける。とろんと視界がゆらぐ。何よそれ。それも答えになってないじゃない。
これで『何で守りたいの?』って聞いたら、大事だからとか好きだからとかに戻るんじゃないの?
心の隅ではそう思うのに、文句が言葉として出ない。出す気にもならない。
「ルイズが困ってたり、つらそうにしてたりするのを見ると、俺も嫌な気分になる。
ルイズを助けられたり、二人で何かやり遂げたりできると、俺も嬉しくなる。
ルイズは危なっかしいからほっとけなくて、気になって、傍にいてやりたくなる。
……それじゃ駄目か?」
サイトは、寝乱れたわたしの髪を直しながら、そう続けた。
「……だめじゃ、ない……」
考える前に、かすれた声が喉から漏れ出た。惚れ薬を飲んでいても、全くの嘘はつかない。
だから、今の言葉はサイトのもの。サイトが普段から考えていてくれてること。
「わ、わわわ、わたしのこと……、ほんとに、大事?」
また聞くと、サイトは頷いた。
「ほんとに、好き?」
頷きながら、頬を撫でてくる。
「……これからも、守っててくれる?」
「そう、したい」
最後の質問には、サイトは言葉で答えた。
頭の中がぐらぐらしてくる。やだ、どうしよう。嬉しい。薬のせいで大げさになってるって
ことはわかってるのに、それでも嬉しい。胸がいっぱいになる。
今は、わたしの方は惚れ薬なんか飲んでないのに……、もっと、サイトの声が聞きたいって、
近くで触れて欲しいって、そんな風に思えてくる。おかしい。おかしいわよ、こんなの。
「ちょ、あの、その、えっと、待って。ちょっと待って」
わたしに何かしようとしてたわけじゃないのに、サイトに制止の声をかけてしまう。
サイトは首を傾げた。わたしは胸に手を当てて、深呼吸する。
もう、頭がゆだって何がしたいのか、何をするべきなのかわかんなくなっちゃったじゃない。
「あー、うー、ええと……、そう! じょ、状況を整理しましょう。
あ、あんたは不可抗力で惚れ薬を飲んでしまった。それで、モンモランシーが薬の材料を
買ってくるまで、その状態で待ってないといけない。だけど……」
サイトはわたしを見つめながら、わたしの話を黙って聞いている。
「だけど、わたしは、惚れ薬を飲んじゃった状態で、ただ”待ってる”のがどれだけつらいのか
自分で体験して知ってる。そ、それに、あんたはわたしが飲んだ時に、よの、良くしてくれたし」
その先を言うのが恥ずかしくなって、目を逸らしてしまった。
「そ、それに、あの時の……、サイトに、お礼とか、お返ししたいとか、言ったわよね?
それも、まるっきりの嘘じゃなくて、普段から少しは考えてたことだから、だから……」
自分でも、顔が真っ赤になってるのがわかる。言葉がどんどん弱くなっていく。
薬を飲んだ時は簡単に言えたのに。今は、回りくどい理屈をつけた上で、羞恥を必死で
抑えつけないと言葉にならない。
そこで、言葉を切って、逸らしていた顔を再びサイトに向ける。
わたしの心の奥まで見通してくるみたいな、わたしだけしか目に入らない視線と目が合って、
また慌てて逸らす。顔を見てたら、絶対に言えない。
「……サイトは、何が……したいの?」
蚊の鳴くような声って、こういうのを指すのかしら。やっと、それだけ絞り出した。
い、今のは、違うから。あの時みたいに、『好きなことしていい』って意味じゃないんだから。
あんたが恐れ多くもこのご主人さまに対してしたがっていることを正直に申告して、
それがヘンな物じゃなかったら、まぁ、ちょっとだけ許してあげようかななんていう、
そういう意味で……。
「ルイズ」
その後に続ける言葉を考えていたら、サイトはわたしの顎に手を当てて、自分の方へ向かせた。
どきんと心臓が一際大きく跳ねる。ま、待ちなさいってば。まだ説明終わってないんだから。
「キス、したい」
サイトはわたしに顔を寄せて、そう言った。開きかけた口から力が抜ける。
あの時、わたしが最初にしたくなったのと同じこと。同じ気持ち。
頭で考える前に、こくんと頷いて返してしまった。
ほとんど間を置かず、サイトの唇がわたしに重なる。それまでに感じていたよりも
ずっと近いサイトの温かさが、身体に流れ込んでくる。やっぱり、気持ちいい。
サイトがわたしに覆い被さるような恰好になってるから、こんな恰好でキスされたの
初めてだから、ものすごく……、サイトに包まれてるって感じがする。
サイトに繋ぎ止められて、囚われて、サイトに思うままにされてしまう気がしてくる。
いつもより、ずっと長いキス。サイトの唇が開かれて、吐息が口元に当たる。
終わっちゃうのかな、と思ったら、サイトの唇がわたしの唇にキスとは違う風に当たって、
「んっ……?」
柔らかく、唇で唇を挟んできた。やだ、サイトに食べられる、なんていう変な想像が
一瞬頭をよぎった後、サイトはわたしの唇の形を確かめるように、
唇を噛みながらそこに舌を這わせてくる。
「あっ……、ん、ひゃ……!」
くすぐったい。恥ずかしい。やだ、犬みたい。わたしの唇で遊ばないでよ。
抗議しようにも口を弄ばれてて、みっともなく涎が口元から垂れちゃったのを感じたとき、
「んむっ……!?」
口の中に、何か入ってきた。今までに一度も経験がない感触。何これ、と思う前に、
それがわたしの舌を”舐めて”きて……。
ぞくぞくっ、と背筋が震えた。サイトの舌だ。サイトの舌が、わたしの中に入ってきた。
「はっ……、ぁ、んふっ……、ちゅ……」
そのまま、サイトの舌がわたしの舌に絡みついて、吸い付いてくる。わたしの口の中に、
自分のものだけじゃない唾液が落ちてくる。身体から力が抜けて、頭がぼーっとしてくる。
ぐちゅ、ぐちゅって、はしたない水音が顔の内側から耳まで響く。こういうキスもあるって、
どこかで聞いたことはあったけど、でも、こんなの許してない。許して……。
わたしがついサイトの肩を押して拒むような力を入れたのを感じたのか、サイトは顔を離し、
わたしの中から舌を引き抜いた。途端に、とても大事な物が逃げてしまったような
酷い喪失感に襲われる。掴んだままの肩を今度は小さく引くと、サイトはまた唇を重ねてきた。
あっという間に、満たされた気分が体中に広がる。胸の奥が締め付けられて、
気持ちの良いモヤモヤが膨らんでいく。しているのはキスなはずなのに、
マッサージされたときと同じか、それ以上の強い刺激が身体に走る。
腰のあたりがきゅうっと縮こまった。キスなのに、キスだけなのに、一番気持ちいい時のに
近付いていってる。もっと欲しいって、わたしの方からも舌を差し出してしまう。
「ぐちゅ、ちゅぷ、ちゅ……、んぅっ…!」
サイトはわたしの口の中を掻き回すのを止めないまま、腰の辺りに手を這わせてきた。
その手がわたしの身体を撫でながら、上がってくる。そんな、このキスと一緒に
マッサージなんてされたら、すぐにヘンになっちゃうよ。もっと、このキス、してたいのに。
そんな風に思って身構えたら、サイトの手はわたしの襟元で止まって、タイに指をかけた。
びくんと身体が跳ねる。サイトが次に”何がしたい”のか、わかってしまったから。
サイトの顔が離れる。わたしの中からサイトがいなくなる。サイトはわたしを見下ろしながら、
わたしの制服のタイを、少しだけ引っ張った。少しだけれど確実に、わたしの襟元が緩む。
サイト、脱がしたいんだ。わたしの服を脱がして、わたしの身体を見て、それで……、それで?
口の中に溜まった、わたしとサイトの唾液が半々のものを喉を震わせて飲み込む。
だめ。それはだめ。絶対だめ。わかるのに、わかってるのに。サイトがそれを望んでるんだと
思ったら、わたしに”したい”ことなんだって思ったら、拒否する言葉が出てこない。
今、思い出してしまった。惚れ薬を飲んで、サイトに『好きなことしていいよ』って言ったのに、
『好きなこと』をサイトがしなかった時の失望。
知ってる? あの時のわたしは、”好きなことをしていい”んじゃなく……、
”好きなことをして欲しい”って思ってたのよ?
それじゃあ、今は? 今のわたしは? ”していい”の? ”して欲しい”の?
していいし、して欲しいけど、でも、しちゃだめなの?
わたしは震える手で、胸元にあるサイトの袖を掴んだ。
「……これは、サイトが……、本当に、望んでること?」
わたしの質問の意味を図りかねたのか、サイトは黙ってわたしを見ている。
「サイトが、いつも、望んでることなら……、本当の気持ちだったら……」
わたしの目の前にいるのが、”サイトじゃないけれどサイト”なのだったら。
「……目をつむって、知らないフリ、しててあげるわ」
サイトの顔を見るのが怖くなって、本当にぎゅっと目を閉じて、そう言った。
前にも、同じ事をサイトに言った。その時とは、まるで違う気持ちで。
……ううん、同じなのかもしれない。前に言ったときも、わたしはこの台詞を、
サイトに全部を任せて、押しつけるつもりで言った。自分からはっきり許すのが怖いから。
自分の責任になるのが怖いから。だから、”サイトからすることなんだから仕方ない”って
形にして、自分の気持ちから逃げた。ずるくて汚い考え。
「ルイズ」
サイトがわたしの名前を呼んで、耳元に顔を寄せた。そして、
「好きだよ」
吐息と共に今のわたしと同じくらいずるい言葉を吹きかけて、しゅるりとタイを解いた。
だめ、今、越えちゃいけない何かを越えちゃった。でも、止められない。
サイトの指がブラウスの前のボタンにかかって、自分でも無理なくらい手際よく外していく。
すぐに前が開いて、薄い肌着だけの胸とお腹がサイトの前に晒される。
やだ、やだやだ、恥ずかしいよ。ずっと前は平気でサイトの前で着替えしてたし、
最近もブラウス越しなら触られちゃってたのに。今この時に肌を見られるのは、
信じられないくらい恥ずかしい。
見られたくない。貧相な身体も、惨めなくらいぺったんこな胸も、サイトに見られたくない。
ううん、恥ずかしい一番の理由は、見られたくないからじゃない。
サイトが、見たいからだ。サイトがわたしの身体を見たくて脱がしたから、恥ずかしいんだ。
ブラウスを脱がせきらないままで、サイトの指が肌着を持ち上げる。言われてもいないのに、
わたし、自分で背中を持ち上げてサイトがやりやすいようにしてる。
ごめんね、あんたが見たいわたしの身体、自分でも情けなくなるくらいの代物なのよ。
こんなのが見たいあんたって、よっぽどの物好きだわ。
肌着が持ち上がりきって、胸まで何も隠すものが無くなった時、サイトの深い息が聞こえた。
「……綺麗だよ、ルイズ」
お世辞なら止めてよね。わたしってば、そんな言葉で幸せになっちゃう頭してるんだから。
サイトの指が首筋に触れる。胸元に触れる。そこから脇に移動して、お腹を撫でて、
ゆっくり降りてくる。今までと同じ、わたしのコンプレックスを帳消しにしてくれるような、
わたしを大事にしてくれてるのが伝わる優しい手。けど、そこから生まれる刺激は
洋服越しの時とは全然違う。サイトの気持ちが、直接流れ込んでくるみたい。
その指が、名残惜しそうにわたしの肌から離れて……、スカートのホックに触れた。
思わず腰を引いてしまう。太股がぎゅっと閉じる。
わかってたけど、わかってるつもりだったけど、それは、その先は。
「……サイト」
目をつむってるという約束を破って、サイトを見上げる。
「えっと、あの……、赤ちゃん、作りたいの?」
意を決して、聞くなら今しかないと思って、そう質問する。これも前にも聞いたっけ。
サイトはきょとんとした顔になった後、苦笑を浮かべた。
「な、何よ。サイトが、あの時教えてくれなかったから……!」
以前にサイトに呆れられた時の事も含めて、羞恥が湧き上がってくる。
わたしだって、具体的にどんなことをするかを母さまが教えてくれなかっただけで、
大体は知ってるわよ。服を脱いで、床に入って、その……、いやらしいことをする。
いや、逆ね。赤ちゃんを作るのは、限られたただ一人の相手とでないと駄目だからこそ、
”そういうこと”が容易には許されないこと、いやらしいこととして禁忌になってるのよ。
だから、わたしは知らなかった。ただ一人の愛する殿方にしか許さない事なんだから、
わたしが知ってる必要はないと思ったから。きっと、母さまもそのつもりでわたしに
教えなかったんだわ。
とにかく、愛してる相手の全部を知って、触れていたいって思うのは、その相手と
伴侶になって子供を作りたいって気持ちからなわけで……、今のサイトは、そう思ってるはず。
けど、困る。赤ちゃんができちゃったら困るわよ。まだそんなの駄目に決まってるでしょ。
いや、まだとかそういう問題じゃなくて……、ああもう、とにかくそれだけは駄目なの!
「ルイズが望まないなら、子供ができるようなことはしないから」
わたしの考えを察したのか、サイトは苦笑を微笑みに変えて、そう言った。
「そ、そう……」
その言葉を聞いて、ほっとした。でも、なんか少し残念な気も……、してない! ないわよ!
「でも、なんていうか……、子供を作る事の、真似を、ルイズとしたい」
「真似? 真似でいいの?」
「子供を作るわけにはいけない恋人同士は、真似で気持ちを確かめ合うんだよ」
サイトは言葉を選ぶようにして、そう教えてくれた。恋人同士って言葉に頭がかあっと熱くなる。
でも、その説明でちょっと合点がいった。恋人と最後までしちゃったっていう同級生の話が
端からも結構聞こえてたけど、子供ができちゃったらどうするつもりなのか不思議だった。
なるほど、真似だったのね。納得。
「ルイズが困るようなことは、絶対しない」
サイトはわたしを見つめながら、きっぱりそう言った。視界がとろんとしてくる。
そっか、それならまぁ、いいかな……。良くない気もするけど、いいかも。
「わ、わわ、わたしのことが、好きだから、したいのよね?」
頷くサイト。それなら、それなら……。わたしはまた目をつむって、”知らないふり”する。
サイトの顔が近付く気配がして、またキスされた。今度は唇を合わせるだけのキス。
顎を持ち上げて、より深くサイトと重なれるようにした時、
「えっ?」
背中に手が回されて、ぐいっと引き上げられる。わたしがベッドの上に座りこむ
恰好になると、サイトはわたしの後ろに回って、わたしの腰を足の間に納めるように座った。
後ろから腰に手が当てられて、ぷちんと音を立ててスカートのホックが外される。
サイトはわたしの太股を持って腰を浮かせると、すぐにスカートを膝まで抜き取ってしまった。
流れるような作業で、反応してる暇も無かった。なんでこんなに手際がいいのよ、もう!
「触るぞ? ルイズ」
「ひゃうっ! ちょ、待って、そこ……!」
耳の後ろに息を吹きかけられて力が抜けている間に、サイトの手が太股に当たって、
付け根の方に登ってくる。ホントに待って、そこだめ、今はだめっ!
びくん!と顎が持ち上がる。背中にいるサイトのおかげで倒れずに済んだ。
サイトに触られて、どこよりも強くて、怖いくらいの刺激があったところ。
一番大事なところに、サイトの指が当てられた。
次いで、じわっという湿った感触が伝わってくる。今までもわかってたけど、
また、濡れてしまっていることがはっきりわかる。
サイトに触られた。サイトの指を汚しちゃった。爆発するみたいに羞恥が頭の中を染める。
「ルイズ、わかる?」
「ふ、ぁあ……、な、に?」
探るような手つきでサイトの指がわたしの下着をなぞって、一点で止まった。
「ここで、ルイズの大事なところで、俺と繋がる。そうしたら子供ができる」
あ、前に聞いた、子供の作り方、教えてくれてるんだ。
でも、”俺と”って何よう。まるでわたしが赤ちゃんを作る相手は
あんたしか有り得ないって決めつけてるみたいじゃない。
「ここ、って? ……っあ、あっ!!」
聞くと、サイトの指が下着越しに、僅かに沈んだ。
じゅわっ、と下着にさらに染みが広がるのがわかる。あぁ、わかった。月のものがあるところ。
「ルイズのここが、何でこんなに濡れてるかわかるか?」
「は、ぁ……なん……で?」
頭が回らない、サイトの胸に完全に背中を預けてしまいながら、聞き返す。
「……好きな相手を、傷付かずに受け入れるために濡れてるんだよ」
内緒話するみたいに囁かれて、絶句した。
背筋が震えるのと同時に、今まで疑問だったことが一本に繋がったみたいな感覚になる。
そういえば、サイトにマッサージされた時とか、サイトのことを考えた時とか、
そんな時にしか、こういう風に”濡れた”ことってなかった。それって、それって。
「うそ、そんなの……」
サイトに触られるのとか、サイトに気持ちよくしてもらうのは好きだけど、
サイトの赤ちゃんが欲しいなんて考えたことはない。絶対無い。
「嘘じゃないよ。ほら、俺だって」
サイトはだだっ子をあやすみたいに優しい声で言うと、わたしの腰を引き寄せた。
サイトの腰に、わたしのお尻がぴったり当たる。それだけでもどきっとしたけど、
でも、それでは済まなくて。
「あ……、えっ……?」
サイトのズボンの前に、何だか固い感触。一瞬、中に何か入れてるのかと思った。
「ルイズに触れてるから、こんなになってる」
その固いのが、ぴくん、って震えた気がした。それで、やっとわかった。
これ、女性には無くて、男性にだけついてる。信じられないほど固くて大きいけど、それは、
「ルイズと同じ。大事な相手と繋がりたいから、こうなるんだ」
「………っ!!」
ガツン、とトドメを刺された。サイトはわたしと赤ちゃんが作りたいからこんなになってて、
わたしの身体も、サイトとの赤ちゃんが、ほ、欲しい……、から、こんなになってて……。
今のサイトは惚れ薬を飲んで普通じゃなくなってる。けど、わたしは?
わかんない。わかんないよ。自分の気持ちがわかんない。怖い。
「でも、でもでも、だめ、それは、だめだからっ!」
「わかってるよ。ルイズが困ることはしないって、言ったろ?」
子供みたいにいやいやをすると、サイトはわたしの頭を撫でてそう言った。
その言葉だけで、混乱してた頭が安心しかけてしまう。
「真似、させて欲しい」
サイトはそう言ってから、わたしの太股を持って持ち上げ、自らの太股の上に座らせた。
サイトの足にそこを擦りつけてしまった時のことを思い出したけど、あの時とは向きが逆。
金属の擦れる音が聞こえたので視線を降ろすと、サイトがズボンの前を開けていた。
「あっ……」
思わず声が漏れた。驚きだったのか、感心だったのか、よくわからない。
赤黒くて、何とも形容しがたい形で、こんなのがサイトの身体についてるなんて、
全く考えもしなかったような物が、サイトの下着の切れ目から上を向いて生えてる。
すごい。何これ。信じられない。それに、こんなに大きかったら、
「つ、繋がるって、無理よ、こんなの」
「だから、それはしないってば」
思わず口をついて出た正直な感想に、サイトは苦笑する。
でも、それだとサイトとわたしでは子供が作れないって言われたみたいで、何だか嫌な気分。
「じっとしてて」
サイトは続けてそう言うと、またわたしの身体を持ち上げた。今度はサイト、上体を後ろに
逸らして、お腹の下あたりにわたしのお尻が来るようにして、そこから降ろして……、
「え……、あ、わ……!」
ずるずるとサイトのシャツの上を滑って、わたしの腰は、あろうことかサイトの”それ”に
引っかかるような場所で止まった。サイトの”それ”がわたしの下着に当たって
太股の間から飛び出して、まるで、その……、わたしに、”それ”がついたみたいに見える。
「ま、待ってよ、真似だけだって言ったでしょ!」
「ああ、真似だけ。……だから、ルイズ」
「え?」
「俺のそれ、手で触ってくれるか?」
”お願い”されたことの内容に、頭の中に火がつく。
「な、なななな……!」
「手で押さえてる限り、真似にしかならないよ。それに、触れてもらえたら、すごく嬉しい」
それを言われると弱い。わたしが胸とかをマッサージされるのと同じくらい嬉しいのかしら。
サイトの大事なところなんだから、きっとそういうことなんだろうけど……。
「だめ、か?」
「だ、だめじゃないわよ、もう……」
悲しそうな声で言わないでよ。わたしは恐る恐る手を足の間に下ろすと、
ほんとにわたしにくっついたみたいに足の間から飛び出した”それ”に、そっと指を絡めた。
「くっ……!」
「あ……、あ、熱い」
触れた瞬間、サイトは喉から息を漏らして、身体を震わせた。それと同時に、”それ”が
びくんと脈動する。次いで、意外なほどの熱さが指に伝わってきた。
すぐに、直感的に、わかってしまった。これ、サイトの一部だって。
確かに、サイトに繋がってるものなんだって。それを認識してしまうのと同時に、
”それ”と薄い下着越しに触れ合っているわたしの部分が、きゅうっと縮み上がる気がした。
繋がれる。今、例えば下着をずらして、腰を少し持ち上げて、”それ”の上に降ろしたら……、
本当にこんなのがわたしの中に入るのか疑わしいけど、それをしてしまったら、、
わたしとサイトの赤ちゃん、できちゃう。
また、身体の中から染み出してくる感覚。サイトのが、わたしの中から滲んだもので濡れる。
サイトの”わたしと赤ちゃんを作りたい証拠”が、わたしの”サイトと赤ちゃんを作りたい証拠”で、
ぬるぬるに汚されていく。いやらしい。本当にいやらしいことって、こういうのを指すんだ。
「は、ぁ……、サイト……」
指をからめたそれを、より強く握る。また、一層固くなった気がする。
わたしは、その中に熱くて切ないモヤモヤがこれ以上無いほど膨らんでしまっている腰を
僅かに持ち上げると、ゆっくり上下させて、サイトに、擦りつけた。
「ふぁっ……! あ、あっ、あ……!!」
体中に痺れが走り抜ける。抑えようもない声が漏れて、足が痙攣する。
サイトの足に擦りつけたときより、サイトにタオルで拭かれたときより、ずっと凄い。
何も考えられなくなる。頭の中も身体の中も、サイトのことだけで満たされる。
「ルイズ、ルイズっ……!」
わたしの太股を掴んだままだったサイトが、わたしに合わせて腰を揺らす。
ぬちゅぬちゅってはしたない音を立てながら、わたしのそこと手の中をサイトのそれが
擦って、戻って、その度にわたしをおかしくする。
必死で、一生懸命で、切なそうな気持ちよさそうなサイトの声。
わたしがそこを擦られて気持ちいいみたいに、サイトもそこを擦られると気持ちいいんだ。
それがわかったら、わたしはサイトにもっともっと身体を押しつけて、指を絡めて、
それで……、二人で、気持ちよくなる。
二人で。そう思ったら、涙が零れた。わたし、お返しできてる?
今までの、形にできなかった気持ち、伝えられてる? ね、サイト?
そんなに、時間はかからなかったと思う。我慢する余裕も抑えつける余裕もとても無いまま、
サイトのことを全身で感じながら、気持ちいいのが膨らんで、弾けた。
どんな声を上げちゃったのか、そんなのも覚えてない。頭が真っ白になって、
ぐったりとサイトの身体に背中を預けて、そのまま眠ってしまいたくなって……、
でも、わたしの手の中に溢れた感触に、わたしは意識を引き留めた。
熱いものが手のひらに当たって、指の間を溢れて、ぼたぼたとわたしのお腹にまで垂れ落ちた。
サイトの”それ”から吐き出されたものだって気付くのに、しばらく時間がかかった。
火傷するんじゃないかってくらい熱く思えたそれが、空気に当たって冷やされて、
どろりと肌を落ちる。真っ白で、ゼリーかヨーグルトみたい。
「あの、サイト、これ……」
「これを、ルイズが受け止めたら、子供ができるんだよ」
ちゃんと聞く前に、サイトは察して答えてくれた。
それはすぐに熱を失って、わたしの手やお腹の上で、冷たく感じるくらいになってしまった。
なんとなく、凄く申し訳ないような事をしてしまった気分が襲ってきて、
今したのが、赤ちゃんを作る”真似”に過ぎないんだって気持ちが、沸々と湧いて出る。
「ルイズ」
そんなわたしの気持ちがわかったのかそうでないのか、サイトはわたしの身体を抱きしめて、
「ありがとう」
これ以上無いほど幸せそうな声で、囁いてくれた。
わたしは答えずに、わたしを抱くサイトの腕を、そっと掴んだ。
∞ ∞ ∞
「うー……、何か、入るのが怖いわね……」
記録的な速度でトリスタニアまでひとっ飛びし、解毒薬の材料を買い求めてとんぼ返り、
ルイズたちの様子を確認する前に薬を調合したのはいいけど、わたしはルイズの部屋の前で
中を確認するのを躊躇してしまっていた。
少し前にノックをしたけれど返事が無いのだ。何だか嫌な予感がする。
「手遅れなら今さらどうしようもない。早く」
「て、手遅れって、貴女ね」
往復の手伝いをしてくれただけでなく、ここまでついてきてくれたタバサが淡々と言う。
こんな子供みたいな外見なのに、随分と達観した子ね、ホント。
彼女ってば、寄った店で材料が品切れなのを確認するやいなや、最短コースで別の薬剤屋を
示して、フライまで使って案内してくれた。非合法っぽい店まで知ってたし、何者なのかしら。
「まぁ、彼女の言うとおりさ。早く届けるのが一番の気遣いだよ。コホン、ではお邪魔するよ」
「あっ、ギーシュ!」
止める間もなく、ギーシュが堂々とルイズの部屋のドアを開け放つ。
後に続いてタバサも部屋に踏み入る。わたしも解毒薬のビンを握って最後に入った。
「ど、どう? ギーシュ」
恐る恐る聞くと、タバサが振り向いて口元に人差し指を立てる。
ギーシュは踵を返して苦笑すると、やれやれとでも言いたげに出口に向かう。
わたしも部屋を見回して、ベッドの上に目をとめると、ため息が漏れた。
解毒薬のビンはテーブルの上に置いて、わたしたちは部屋から出た。
安心したけど、なんか妙に疲れたわ。
「あれ、セーフだと思う?」
「どうだろうねぇ、ちょっと判断に困るよ」
わたしの質問に、ギーシュは顎に手を当てる。タバサは何も答えない。
「ま、でもあの様子なら何かあったとしても文句は言われないだろうさ」
「そうね」
珍しくギーシュの意見に同意して、わたしは頷き返した。
だって、あの二人ってば、しっかり寝間着に着替えて、ベッドで熟睡してたんだから。
あの幸せそうな寝顔を見たら、惚れ薬っていうのも使いようかな、なんて思えちゃったわ。
つづく
原作4巻と5巻の間の時期の話でした。
次からは5巻編に入ります。
次回、ゼロの飼い犬『真夏の雪風』。続きます。
待ってました!
って、エロいし、甘いし、もうたまらんッ!!
かじっただけとはいえ、性知識を身に付けたルイズの今後が楽しみです。
タバサの逆襲も恐いけど…
>>17のギーシュが扉を開けたら・・・・・
で、色々妄想ネタがわいてしまうw
21 :
ツンデレ王子:2007/11/20(火) 04:26:01 ID:P/EER20u
サイトの帰る方法が見つかった。
そう聞かされたカリーヌは、あまりの突然の報告に戸惑っていた。
知らせが来たのは今朝の事。伝書梟が持ってきたルイズからの手紙には『サイトを帰す方法が見つかりまし
た』とだけ書かれていた。
(サイトちゃん、帰っちゃうのかしら…そうよね、あっちにはご家族だって待ってるんだし)
頭では解ってはいるものの、しかし心が悲鳴をあげる。
だが、どちらを選ぶにせよ、ソレは彼が決める事であって、自分が口を挟める事ではない。
(そうね、最後になるかもしれないんだし…)
カリーヌは決心すると、亡くなった夫が使っていた書斎に足を運んでいった。
ルイズは一人部屋にこもり、悶々と頭を悩ませていた。
(サイトってば帰る方法が見つかったっていうのに、全然嬉しそうじゃなかったわね)
地球に帰る方法が見つかって以来、なにやら落ち込んだ様子のサイト。
騎士隊の訓練も上の空らしく、いつも体中に痣を作って戻ってくる。
私はどうしたいんだろう。ルイズが思わず声に出して呟いた時、部屋のドアが開かれた。
「ミス・ヴァリエール、どうしたんですか?」
今では仲の良い友人で、尚且つライバルでもあるシエスタだった。
(そういえばシエスタには未だ伝えて無かったんだっけ…)
「ねえ、シエスタ。驚かないで聞いてね」
彼女を自分の隣に座らせ、正面を見据えたまま語りかけるルイズ。その声の重さに何やら予感を感じた
シエスタは、ごくりと唾を飲み込み、姿勢を正す。
「この間ね、サイトを帰す方法が見つかったの」
恐る恐る振り向くと、そこにはルイズが予想していたよりも晴れやかな表情が成されていた。
おめでとうございます、そう嬉しそうに言う彼女に違和感を感じてしまう。
「…何でそう嬉しそうなの?わかってる?サイトが自分の世界に帰っちゃうかもしれないのよ?二度と会えな
くなるかも知れないのよ?」
そう言ってもまだ、シエスタの表情は明るいままだ。
「そうかもしれませんけど、決めるのはサイトさんですもの。それに、どっちを選んだとしてもサイトさんが幸せに
なれるなら、私はそれでいいんです。サイトさんの幸せ、それが私の望みですから」
絶えず笑顔で語るシエスタであったが、その内心は穏やかでは無かった。
愛する人と離れてしまう。しかも二度と会えないかもしれない。そんな状況で穏やかで居られる人間が居る
だろうか、いや、居まい。
(そっか、見つかっちゃったんだ…こうなったら…)
シエスタが何かを決断したその時、窓をコツコツと叩く音が聞こえた。
そこに居たのは伝書梟だった。
「…母さまからだわ」
ルイズが手紙を受け取ると、そこには母カリーヌからこう記されていた。
『ルイズへ
明日、サイト殿を連れてヴァリエール邸へ戻りなさい。
2・3日はこちらで滞在してもらいます。学院にはその旨伝えております』
「お帰りなさい、ルイズ」
ラ・ヴァリエールの門を潜ると、カリーヌを始めエレオノール、カトレアと使用人たちが一斉に出迎えてくれた。
「お帰りなさい、サイトちゃん」
次いで言うと、カリーヌはまたしてもサイトを抱きしめた。
2回目ともあって慣れたのか、皆も暖かい目で見守っている。
「えっと…ただいま、カリーヌさん」
サイト自身も前回ほど取り乱さず、そう呟く。
食事の用意が出来たと奥から使用人の一人が声を掛けたのをきっかけに、サイトたちはカリーヌに連れられ
て食堂へと移動していった。サイトの帰郷方法が見つかった事に対して、カリーヌが宴を催してくれたのだった。
3時間後、酔いつぶれたルイズとそれを介抱するカトレアは部屋へと引き上げ、十分に宴を堪能したサイト
は以前に自分用と誂えられた部屋で今後の事を思案していた。
(はぁ…どうするんだろ、俺。帰る方法が見つかったのはいいけど、このままルイズと別れるのもなぁ)
戦争が終わり、これから先ルイズが狙われる事は無いだろう。
そういう意味ではガンダールヴの存在は必要無くなったのだ。
しかし、彼はガンダールヴとして、使い魔としてだけで今まで彼女を援けてきたのではない。我侭で自分勝手
でプライドが高くて…言い出したらキリが無いが、しかしそれでも桃髪のご主人様を一人の女性として見、好き
になったからこそ命を懸けて守ろうとしてきたのだった。
確かに地球に残してきた家族、父や母は心配しているだろう。だからと言って彼女と離れてしまうのは躊躇わ
れた。地球に帰ると、またハルケギニアに来れるとは限らないのだ。
そんな考えに翻弄されていると、ドアがノックされた。
「サイトさま、ご入浴の準備が整いました。どうぞ」
使用人が声を掛け、サイトを案内する。
そこはサイトが学院に作った大釜の風呂と同じく、彼に故郷を思い出させた。というのもそこは公衆浴場
―いわゆる銭湯―の様な作りになっていたからだった。とはいっても、ハルケギニアの銭湯は地球で言うところ
のサウナなので、これはこの世界では初めて作られた施設といえるだろう。サイトが異世界から来たと知ったと
き、カリーヌが無理を言って作らせたものだった。
ちなみに、彼の存在を知ったカリーヌは貴族・平民の生活環境の差を無くすべく、せめて自分の領地に住ま
う者にだけでもとこういった施設の普及に積極的に取り組んでいたのだった。これによりラ・ヴァリエールの評価は
他の公伯爵のものより格段と上がっていた。
「へー、ハルケギニアにもあっちの銭湯みたいなのが有ったんだ」
呟くと、先ずは体を洗おうと手近に有った椅子を取り、洗い場に腰掛ける。
と、突然浴場の扉が開いた。
(……?)
湯気のお陰で良くは見えないが、シルエットからして女性の様だ。
(…ルイズ?)
しかし、彼のご主人さまは先ほど酔い潰れてしまい、カトレアに運ばれて行ったはずだ。
そう考えて視線を凝らしてみると、女性がこちらに近づくにつれ、十分過ぎるほどに膨らみを持ったバストと、
キュッと括れたウェストが確認できた。やはり湯気の所為で顔ははっきりとは見えなかったのだが。
思わず鼻を押さえてしまうサイト。自分ひとりだと思っていたので隠していない息子が徐徐に首をもたげてお
り、慌ててタオルを被せる。視線を逸らそうと正面を向き直るが、そこには鏡が備え付けられていた。ついつい
鏡越しに見てしまい、彼のそこは誇らしげに自己主張をしてしまっていた。
サイトは今、とてつもなく緊張していた。女性に体を洗ってもらうというのは、彼にしてみれば幼少のころに
母親にしてもらったくらいなのだ。
普段はアップに纏め上げている髪をおろし熱気の所為かほんのりと朱を帯びた表情からは、ルイズやシエス
タ、アンリエッタ、ティファニアにタバサといった彼の近くに居る少女達からは窺い知ることの出来ない色気が放
たれていた。
「…すごい傷」
泡を洗い流し露になった背中を見てそっと呟くと、その傷の一つ一つを指でなぞり、まるで自分がその場に
居たかの様に思いを馳せ、溜息を吐く。その指が腰の辺りまで降りてきたとき、ふと前方にある傷に気が付く。
太ももの辺りから足の付け根辺りへと伸びている傷。躊躇いがちに手を伸ばし、その傷に触れる。
「あああああの……」
彼女が密着してきた為に背中に押し付けられる2つの膨らみを感じ、サイトは慌ててしまう。
そんな様子の彼にはお構い無しにそこに指を這わすと、沈んだ声音で『ごめんなさいね』と謝る。
「これ…あの時の傷よね?」
あの時…それを聞いてサイトはタバサを救出した時を思い出す。詳しくは救出した後の帰り道で起きた
出来事。無断で国境を超えたルイズに罰を与える為、彼女の母が起こした竜巻―カッター・トルネード―に
呑み込まれたのだ。怪我と共に失った体力はアンリエッタの水魔法のお陰で持ち直したが、受けた傷全ては
修復出来なかったらしく、幾つかは残ってしまっていた。
「ええええと、そそその…」
しかしながら、その問いかけに答えは返ってこなかった。
(あのそのあああたってるんですけどその…)
もしこれがあのメイドなら『当ててるんです』と笑っていうのであろうが、彼女はそんな事をする人ではない。
……はずである。
うろたえた彼に気付く事無く、その女性の指は傷に沿って段々と中心部へと近づき、しまいには彼の膝の間
に渡されたタオルが捲られ上げられてしまう。
そのときになって彼女はようやくタオルの中心部を突き上げるモノに気が付いたのか、『あ…』と悩ましげに声
を漏らすと、そのまま身体を密着させたままでずり上がると、彼の耳元に口をやり、耳朶を尼噛みする。
「ぁん…」
少女の様な声を上げてしまい慌てて口を閉ざす。が、その嬌声は既に彼女の耳に入っていた。
「うふ、可愛い声…もっと聞かせて…」
声と同時に吹きかけられる彼女の熱い吐息に、サイトは全身にゾクゾクとしたむず痒い感覚を覚えた。
振り向き目線を彼女に合わせ何かを言おうとしたその時、彼女の傷を張っていた指が離れ、股間にいきり
立つモノを軽く弾く。
空いている手はサイトの胸元へとやられ、その辺りを弄りだした。
彼の胸を優しく愛撫する彼女の手。サイトの中ではソレは女性に対しての行為であり、男である自分がさ
れても喜びを受けるとは思っていなかったため、その胸からの刺激に対して戸惑っていた。明らかに快感と呼
べるモノがそこから送られており、ますます彼のムスコは力を得て反り返り、今ではタオルを押しやりその顔を誇
らしげに覗かせていたからだ。
絡ませていた視線を移して彼の大事な部分を確認した彼女は、その部分を優しく包み込むように握ると
同時にまたしても彼の耳元に口をやり、なんと今度は舌を差し込んできたのだった。
「ちょ、ちょっと……カ…ぁう!」
耳の穴に舌を差し込まれた事により、まるで脳そのものが彼女の口の中で嘗め回されているかのような錯覚
に陥ってしまう。しかも同時に彼女の手がそそり立つモノをゆっくりとした動作でこすり上げるので、その何ともい
えない緩やかな快感にサイトはおかしくなってしまいそうだった。
サイトはそのもどかしい感覚に目をとろんとさせ、口を半開きにして呻き声を上げるしかなかった。
「…ああ……ぅう……ぁあああ」
いつの間にか離れて彼の表情を見つめていた彼女。強い刺激を求め視線を合わせると、彼女はサイトの唇
に自分のそれを合わせてきた。
もともと半開きになっていた彼の口内に舌を伸ばし、サイトのそれを絡め取る。
暫くサイトの口内でお互い絡み合う舌と舌。彼女の肉厚なそれは、彼の歯を一本一本丁寧に舐め、歯茎の
表裏をくすぐり、さらに長さを活かして彼の舌の付け根辺りまで這わす。自分自身のそれでは決して触れる事の
出来ない舌と下顎の付け根を蹂躙される快感に、サイトは彼女の口の中で喘ぎ声を漏らす。
うっすらと目を開き、そんな彼の声と表情に満足したのか、そっと口を離す。そこには唾液の橋が架かっており、
口腔内でのダンスの激しさを物語っていた。
「…強くして欲しいの?」
とろんとした目で訴えるサイトに、淫靡な微笑を湛えて問う。
――コクコク
サイトは言葉を発するのも億劫なのか、ただ首を振るのみだった。
(ふふ、可愛いわ)
そんな彼の仕種に、えも言われぬ愛情を感じてしまう。今までやんわりと動かしていた手に少し力を籠め、彼の
それを激しく擦りだすと、再度彼の口腔内を蹂躙する。
「……ん!んんー」
口が塞がれている為言葉にはならかったが、彼のその切羽詰った口調から、まもなくイキそうなのが伝わってくる。
と同時に、彼のモノが一際大きく誇張する。
「ん!んんー!!」
とっさに胸を愛撫していた手を股間にやり、彼の吐き出す白濁した液体を片方のの手で受け取ると、更に搾り
出すかの様に一物をしごき上げる。
ビクンと身体を震わせる彼を見届けると、口を離して微笑む。
「続きは後で…ね」
何も考えられないのか、耳元で囁かれる彼女の声にサイトはただ頷くのみであった。
彼の返事を見た彼女は、その手に受けた彼の欲望を口元に持っていくと、それを啜る。
「……!」
ゴクリと音を立てて飲み込み『…美味しい』と感想を漏らす。それから石鹸を泡立てて彼のそこを丁寧に洗いだ
した。その刺激で、またサイトの牡は自身を誇張してしまうが、ソレを軽く指で弾き耳元で囁いた。
「後で貴方の部屋に行くわ」
そう言い残して出て行こうとする彼女の後姿に、声を掛けるサイト。
「あ、あの…カリーヌ…さん」
戸惑いがちに自身を呼ぶ声に、彼女―カリーヌ―は振り返り、
「あの娘たちには内緒よ」
とウインクをして出て行ってしまった。
(はぁ……どういうつもりなんだろ、カリーヌさん)
浴槽に浸かりながら考えてみるが、答えは見つからない。
――戦争で公爵が無くなったから、淋しかったのかな…
そんな思いがわき上がって来たが、真相はそうでは無い。
彼女の想いを、サイトは間もなく知る事になるのだった。
続く
27 :
ツンデレ王子:2007/11/20(火) 04:36:46 ID:P/EER20u
すいません。
>>22 (1/5)と入れるの忘れてしまいました。
続きはまた暫く間が空いてしまうと思います。
書くの遅くてスイマセン。
こんな内容で楽しみにしてくれる方、いらっしゃるのでしょうか(^^;)
ところで…皆様に質問させて頂きたいのですが…
行間に空白1行入れたほうがいいのでしょうか?
なんというマニアックな…いやGJなんだが
空行は、地の文と台詞の間と、あとは意味段落の切れ目にいれるといいんでないか
ルイズ父、故人かよ!ヒデエw
それにしても、身体がうずく(?)未亡人モノとは業が深い…
>>27 GJ!ですっ
空行、もちろん入れたほうが見やすい
せんたいさんクラスになると、それで読むほうのリズムまでコントロールするんだ
ルイズが結婚する前にヴァリエール公爵が死ぬとは。
溺愛してたから無念だろうなー
未亡人モノは良いんだが「ちゃん」付けは違和感あるな(-ω-)
>>27 GJ!!
そういえばここって触手物や異種姦って
ほとんど無いよな。ファンタジーと言えばこれだが
まぁ俺は嫌いだがなっ!
エルフや竜をを異種と呼ぶかどうかが問題だなw
亜人でトロールとかいたぞ。
土魔法でゴーレムに巨大なデルフリンガーを構築してだな・・・
つか、ルイズとサイト自体が異種・・・
と思ったがシエスタが居るってことは交配可能なんだよなあ。
ファンタジーって便利。
一つ気になったんですけど…
ルイズたちが通う魔法学院って何年制?
使い魔召喚の儀式って2年生に進級する際に行う儀式って事は、今ルイズたち
って2年生ですよね?そこから降臨祭があった訳だから…もうじき2年生も
終わりでは?そうなると卒業?3年生?
原作に載ってなかった様な…
さて、それでは投票結果のとおり1位のルイズ嬢から行きます。
そしてまた御礼を。
205氏、ナイスな投票フォームさんくすです。次回より使わせていただきます。
…つってもまだ投票タイプのSS思いついてないんだケド。
じりりりりーっ。
けたたましい目覚ましのなる音が、まどろみを中断させる。
じりりりりりーっ…ばちゅん。
布団の中から伸びた細い手が振り下ろされ、ベルを叩いて音を鳴らすレトロな目覚まし時計の息の根を止めた。
膨らんだ布団がもそもそと動き、細い手に引き続いてピンク色の髪が現れる。
「んにゅー…」
続いて現れた寝ぼけ眼がひっくりかえった時計をさかさまに認識し、そして、冬の気温にぶるっ、と震える。
「なんじぃー?…」
そのまま布団の中に時計を引っ張り込み。
がばっ!と布団を跳ね上げると、黄色い布地にいちごのプリントの入ったパジャマが露になる。
「やっばー!」
跳ね起きたピンク色の長い髪が乱暴に踊り、あっという間にパジャマを脱ぎ去る。
真っ白なブラウスを羽織って赤いリボンを適当に引っ掛け、深い緑色の膝上のプリーツスカートをはきこみ、同じ色のブレザーをひっかぶる。
そして黒いニーハイソックスをあっという間に履いた。
その瞬間、枕元の携帯が鳴った。
わんわんわん!わんわんわん!
この犬の鳴き声の着メロは。
「バカ犬っ!モーニングコール遅いわよっ!」
相手によって変えている着信音で、電話の相手は特定できていた。
携帯に電話をしてきたのは平賀才人。
彼女の同級生で、クラスメイトで、今年の頭から付き合っている、彼氏。
才人は、遅刻の多い彼女のために、毎朝モーニングコールをしているのだった。
その彼氏は、電話の向こうで呑気に言った。
『で、今日は何月何日何曜日だっけ?』
言われて卓上カレンダーを見る。
十二月、二十四日、月曜日。
学校は、先週の金曜から冬休みである。
「さ、先に言いなさいよバカ犬ぅーっ!」
真っ赤になって、携帯にそう吼えたルイズであった。
改めて私服に着替えなおし、ルイズは居間に向かう。
私服はとっくりのセーターにジーンズ。まだ外出する時間ではないから、ラフな格好だ。
居間のテーブルの上には、いつもどおり、朝食が準備されていた。
「あら、早いのねルイズ」
ひよこのエプロンを身にまとい、台所で休日なのに早く起きてきた妹を、二番目の姉が出迎えた。
ルイズと同じ、しかしウェーブとボリュームは少し上な髪の、胸のボリュームは遥かに上の、コロコロと笑う二番目の姉の名前は、カトレア。
近所でも評判の美人三姉妹の家事を切り盛りする、ペットショップの看板娘である。
「冬休みなの忘れてて、早起きしちゃった」
言いながらルイズは席につく。
今朝のメニューはハムエッグにコンソメ野菜スープに、たぶんトースト。
予想通りカトレアはトースターから焼けた食パンを二枚取り出し、ルイズの前に置かれた空の皿に一枚載せた。
もう一枚は、その隣に置かれた皿の上に載せて。
そしてカトレアは、そのさらに上に、ハムエッグを載せた。
「…もしかして」
「そう、そのもしかして」
呆れたように言ったルイズに、カトレアがそう続けた瞬間。
「ちょっとぉ!なんで起こしてくんないのよカトレアーっ!」
居間の入り口から、駆け込んでくる長い金髪の、眼鏡の女性。
三姉妹の長女、エレオノールである。
少し、いやかなり性格のきつい、製薬会社勤務の、三姉妹の稼ぎ頭である。
ちなみに三姉妹の両親は現在、二人そろって海外で働いており、今この家には彼女達三人しか住んではいない。
エレオノールは着込んだだけのベージュのスーツに、少しよれた髪のまま、カトレアの作ったハムエッグの載ったトーストをぐしゃ!と二つ折りにすると、そのまま手にとって玄関に駆けていく。
「ああっ、また電車座れないっ!寝れないっ!」
悲痛なエレオノールの叫びに、カトレアは困った顔で言った。
「ちゃんと、時間に起こしに行ったのに、起きない姉さんが悪いと思うの」
「起きなきゃ起こしたって言わないじゃないのっ!んじゃいってきますっ!」
そのままトーストを咥えて玄関に駆けていくエレオノールを、二人の視線が見送った。
「…なんで自分で起きないのかなあ」
「あら。毎朝彼氏に起こしてもらってる人の台詞じゃないわね」
なんとなく呟いたルイズに、カトレアの容赦ない突っ込みが入った。
真っ赤になってルイズは否定する。
「そそそそそそんなんじゃないってば!あ、あんなのかれ、かか彼氏じゃないってば!」
「嘘おっしゃい。ルイズの定期入れの内側とか、携帯のバッテリーの裏とか、全部彼のプリクラじゃない」
「ななななななななななんで知ってんのよぉ!」
「あら。図星だった?」
ぐう、と唸ってルイズは真っ赤なままトーストをかじりながら俯く。
この姉には勝てない。いろんな意味でそう思うルイズだった。
真っ赤になりながら朝食を食べるルイズを、笑顔で見ながら、カトレアは不意にぽん、と手を打って言った。
「あ、そうそう。お姉ちゃん今日から三日間、町内会の旅行で留守にするから。
家事はルイズがよろしくね」
「え」
エプロンを脱ぎながらそう言うカトレアに、ルイズは目を点にする。
そんな話、聞いてない。
「冬休みだからいいでしょ?花嫁修業だと思って」
「そ、そんな急に!無理よ!」
「だって急に自治会長さんに誘われたんだもの。それに、姉さんもいるし大丈夫でしょ?」
「姉さん家事できないじゃない!私もそんな自信ないし!」
「だから、は・な・よ・め・しゅ・ぎょ・う♪才人くんところにいつお嫁に行ってもいいようにね」
「だだだだだだだああああかああああらあああああああ!!」
真っ赤になって否定するルイズの鼻の頭を、カトレアは人差し指でちょん、と押した。
「大丈夫。私がいつもやってるみたいにすればいいわ。
ルイズは出来る子だもの。私の自慢の妹だもの」
言ってカトレアはそのまま、ルイズをぎゅっ、と抱き締める。
「お姉ちゃん…」
抱き返そうとしたルイズの手をするりと抜けて、カトレアはいつの間にか準備してあったボストンバッグを抱えて、そして笑顔で言った。
「じゃ、あとはお願いねルイズ♪伊豆のお土産、期待しててね♪」
固まるルイズを尻目に、カトレアはあっという間に玄関を開けて出て行った。
「あーもうっ!」
怒ったようにルイズは席についた。
その瞬間。
ちりりりりーん!
軽快な音を立てて携帯が鳴る。
この音は。
先ほど出て行った、一番上の姉のエレオノールの着信音。
「はいはい。何?姉さん」
携帯の相手は、即座に答えた。
『ルイズ!言うの忘れてたけど今日明日私新薬の製作レポートで泊まりだから!
カトレアにも言っといて!んじゃ!』
がちゃ。つー、つー。
一方的に言い放ち、携帯は切れた。
ルイズは誰も居なくなった居間で、固まる。
あのー。コレは一体どーゆーことでしょー。
つまり、今日と明日、家には自分しかいない。
そしてルイズは今一度、今日の日付を確認してみる。
十二月二十四日。冬休み。
今日はクリスマス・イヴ。
そしてそれを見計らったかのように、携帯が鳴った。
わんわんわん!わんわんわん!
この音は。そう、この犬の鳴き声は。
ルイズは一度携帯の画面を確認して、そして、軽く深呼吸をして。
「…な、なにか用?犬?」
やば。少し噛んだ。
そして予想通り、その用件は才人からのクリスマス・イヴのデートの誘い。
そしてルイズは、二人のクリスマス・イヴを完璧なものにするため、犬の出してきたプランに悉くケチをつけ。
そして、彼を家に呼びつけることに成功したのである。
さて、ここで続くなのです、すまんねえ
続きはまた明日。
んじゃねーノシ
くうっいいところで引くじゃねーか、せんたいさん!
ルイズがどんな活躍を魅せてくれるのか、期待してるよ。
日本を疑似体験という話だったのに、
名前と性格だけ借りたオリジナル小説が始まるとは思わなかった
>>45 物語冒頭でそこまで断定するエスパーぶりに惚れた。
とか冗談はともかく、予想を裏切るのは必要なスキルだと思うな。
やりすぎると逆効果だけど。
なんだろう…楽しい話だのになんか……欝になってきた
クリスマスかぁ…仕事以外で誰かと会話したいなあ
>>45 だなあ。異世界にびっくり仰天するルイズシエスタコルベールが読みたかったのになあ。
>>47 だよな。なんで音声認識付きのエロゲってないんだろうな。
>>48 まぁそこは夢だし、起きた時を期待しようぜ?
>>45 いいじゃん別に。
原作の登場人物、原作の世界観のどちらかが出てくるだけでも、立派にパロだと思うが。
というかもう書いてくれるだけでありがたいんだ
面白ければさらに感謝の極み
GJ
おれも彼女欲しいよ....
サイト羨ましい。
さて、Bパート投下いきますよー
>>39の続きでっす
ルイズの家に呼ばれた才人がまずしたことは、映画の券が無駄になったことを愚痴る事。
それはルイズのお気に入りの映画の続編で、封切りとほぼ同時に才人は前売り券をゲットしていたのだった。
「ウチで前のDVD見ればいいじゃない。私人ごみキライだし」
しゃーねえなあ、と才人は映画を諦めた。
次に、才人はおいしいケーキの店教えてもらったんだけど、とルイズを誘い出そうとしたが。
「…そこのケーキだったら、昨日お姉ちゃんが買ってきたわ」
言ってルイズは冷蔵庫を指差す。
それにイヴのケーキ屋さんなんかクリスマスケーキの予約だけで、お茶なんてできないわよ、というルイズの突っ込みに、才人はこの事項もしょうがねえな、と諦めた。
じゃあ、と才人は、他の条件を探そうとした。
なんとしてでもルイズを連れ出し、ほんでもってめくるめくクリスマスの夜を、なんて思っていたが。
「…あ、あああああのね!」
急にルイズがどもりながら叫んだもので、才人は言葉を呑んでしまった。
なんだよ、とルイズを促すと、ルイズは顔を背けて言った。
「きょ、きょきょきょ今日は、か、家事を手伝いなさい!」
はぁ?という顔をした才人に、ルイズは真っ赤になって、それでも顔は才人の方は向けずに、言った。
「ま、まずは掃除!それから夕ゴハンの準備!わかった!?」
言い放ってそのまま立ち上がり、自分は洗濯機のある風呂場に向かう。
「わ、わわわ私は洗濯してくるから!ちゃんと掃除しときなさいよ!わかった?」
才人ははぁ、と気の抜けた返事をするしかなかった。
とりあえず、ルイズが洗濯物を干して、夕食の準備を終えて、気を落ち着ける頃には、才人の掃除も終わっていた。
まずはDVDを見よう、という事になって、居間のデッキでDVDを再生する。
居間のソファに並んで腰掛け、二人は並んで映画を見る。
才人は時折入る間抜けなギャグにわはは、と笑いを上げている。
ルイズはそんな才人に気付かれぬよう、じわじわと距離を詰めていく。
ぴた。
ルイズの肩が、才人に触れた。
そこまでいって、初めて才人はルイズの方を見た。
じっと見つめる才人に、ルイズは慌てて言った。
「な、何よ、文句でもあんの!?」
才人は一瞬驚いた顔をしたが。
なんでもねえよ、とルイズの肩を抱いた。
ちょ、ばかいぬ、何調子にのってんのよ、と言いそうになったルイズは慌てて言葉を引っ込めて。
不機嫌な顔を装いながら。
「こ、このまま一緒に見ましょ…」
才人に身体を預けたのだった。
DVDはそれから二時間半後に全てのプログラムを終えて、メニュー画面に戻った。
既に日は傾き始めており、外の景色は橙色に染まっていた。
才人は、これからどーする?とルイズに尋ねた。
ルイズは、真っ赤になりながら、それでも才人の方を向いたまま、意を決して応えた。
「あ、あのね。
今日と明日、この家私だけなの」
そして才人を見上げる。
その瞳はあまりに真剣で、才人は視線を逸らす事ができなくなった。
「だ、だからね、そのね。
こ、今夜はずっと一緒にいて…」
言ってルイズは、ぎゅっ、と才人に抱きついた。
才人はそんなルイズを抱き締め返す。
ルイズは温かい才人の腕の中、そっと彼を見上げる。
二人は視線を絡ませ、どちらともなく瞳を閉じて。
そして、唇を重ねたのだった。
「ご、ごめんね。
胸、ぜんぜんなくて…」
ルイズの部屋。
真っ白な壁紙に、少し高そうな調度品が並び、それにいくつかのぬいぐるみが彩りを添えている。
その一角を占拠する、ルイズだけが寝るには少し大きいセミダブルのベッドの上で、ルイズは全裸で才人に押し倒されていた。
月明かりだけが差し込む部屋で、ルイズの真っ白な肌が青白く輝く。
才人はそんなのどうでもいいよ、と言ってもう一度その裸体を目に焼き付ける。
「や、やだ…そんなに見ちゃいや…」
真っ赤になって顔を逸らし、言うルイズだったが。
こんなにキレイなのに、見るなって言う方が無理だよ、と言って、才人はルイズの唇を奪った。
ルイズは溢れそうな歓喜の渦の中、才人の唇を貪る。
才人はそのまま、右手でルイズの身体をまさぐる。
まず、平坦な胸の上で自己主張している肉の突起を、指先で転がす。
「ふ…んっ…」
唇の隙間から甘い吐息が漏れ、ルイズが感じている事を才人に伝える。
才人はそのまま、無防備な下半身に手を伸ばす。
くちゅ…。
湿った音を立て、ルイズの股間は才人の指を受け入れる。
「んふっ!ふぅーっ!」
しかし、唇は必死に抵抗しようと、押さえつけられる唇の下から抗議の声を漏らす。
だが、そんなもので才人の陵辱が終わるはずもなく。
くちゅ、くちゅ、くちゅ…。
才人は執拗に濡れた肉の割れ目をこね回し、硬くなった肉芽を押しつぶし、ルイズを陵辱する。
「…っは、あっ…やぁ、あっあっあっ!」
唇を開放されたものの、ルイズは股間から襲ってくる快感に、喘ぐしかできないでいた。
やがて、ルイズが最初の限界に達する。
「っひ!ふぁっ───────!」
かくかくと腰が震え、自慰などよりも激しい刺激に、くたん、と力が抜ける。
そして。
完全に開かれたルイズの肉の門に、才人の剛直が押し当てられる。
痺れたルイズの身体は動かない。
そしてそのまま。
ルイズの身体に、あっさりと才人が侵入していった────────。
目を醒ますと。
隣で、笑顔でサイトが顔を覗きこんでた。
私は真っ赤になって顔を逸らす。
「あ、あのねえ!なんて夢見させんのよっ!」
あーもう!恥ずかしいったらありゃしない!
なによあの設定!いくら夢の中だからってあんなの!
「あれ?でも夢ん中でもルイズノリノリだったじゃん」
サイトが後ろでそんな素っ頓狂な事を言ってくる。
そう、さっきまでのアレは夢。
サイトがコルベール先生から借りてきた、『夢見の水晶球』とかいう、マジック・アイテムで、私に見せていた夢。
サイトの故郷を見せてくれるって言うから、私は好奇心をそそられてサイトの提案に乗っちゃったけど。
「の、ノリノリって!しょうがないじゃない、あんな設定にされたら誰だって!」
…よ、よりにもよって同じ学校に通ってる、恋人同士とかって!
しかも、なんかサイトの故郷に会う様に他も色々変わってたし。
…でも。
あの、『くりすます』ってイベントは、なかなか面白いカンジだった。
…えっと確か、恋人同士で一緒に過ごすのよね?
…あれ?あれれ?
私は、ある異変に気付いていた。
「で、ルイズ、どうだった?日本の様子は?」
「…よく覚えてない…」
「へ?」
そうなのだ。
なんか、すっごく楽しくて嬉しかったカンジは覚えてるんだけど。
サイトと恋人同士だったってのも覚えてるんだけど。
…そのほかの事がよく思い出せない。
…『ニホン』の部屋って、どんなんだったっけ?服とかこっちとどう違ったっけ?文化ってどんな感じだったっけ?
その辺の記憶が、全部霧がかかったみたいにぼやけている。
まるで。
そう、夢から覚めた時、みたいな…。
そーいや、俺もかなりぼやけてんなあ…夢ん中のルイズ、どんな格好してたっけ…?」
言って才人はなんだか残念そうにしてる。
…ごめんねサイト。私に自分の故郷を、見せてくれようとしたのに…。
でも。
私はもう一つの事に気付いた。
私は残念そうにしているサイトに、いきなり抱きついた。
「え?何?」
「なんでもいいでしょ。せっかくベッドの上で一緒にいるんだから!ね?」
そして、慌てる彼の唇を乱暴に奪った。
そう。夢の中でも、現実でも。
私がサイトをだいすきなことに、代わりはないから。
だから。
「夢の中であんだけしたのに!」
「そ−ゆー余計な事はよっく覚えてんのね?犬?」
そして、私は笑顔で。
「夢の中でさんざんいじられちゃったから…ほら」
私はサイトの手を取って、自分の、女の子の大事な所、サイトしか入った事のない場所に、押し当てる。
そこはもう、大洪水になっていた。
「こんなになってんのよ。
もう、責任、とんなさいよね………バカ犬♪」
言って私は夢の中と同じ呼び方で使い魔を呼んで。
もう一回、サイトの唇を奪った。
今夜は、寝かさないんだから♪〜fin
はい夢オチでしたー。
というわけで、今回は「ぜってえ日本に驚くルイズ」は書かねえぞという意気込みでやってみましたら。
なんだか絶・不評!のようで…。
あいかわらずオチもgdgdだし!
しかも禁忌の夢オチも使ったし<最低
…今度はもうちょっとマトモに進行してみましゅ。
じゃあテファの構想練ってきまーすノシ
GJ!
一番槍で感想w
面白かったです。
ただ、私の中のルイズって、もっと素直じゃなキャラだから、素直な部分に
びっくりしました
素直じゃないの『い』が抜けた><
GJ!!!!!
とても良かったよ
ちょっとルイズ寝取ってくる
前スレの埋まり方ひでぇ…せめてゼロ使系のAAで埋めて欲しかったんだぜぃ
ってか元々あのSSを張ろうとする気すら無かったようだな
gj
今回は投票無しか・・・・・・
>66
あのSSを張って欲しかったら10kbあるから待てと言われ、帰宅したら…orz
SSはうっかり前スレデリったので消失してたのだ…orz
どうしたら…
あの埋めSSは約2650Bytesだから、残り3〜4kの時に投下できると丁度良いんだよな
>>60 ああん。なんと天邪鬼な性格なんだろう・・・
それはともかくGJえす。
流石は夢、素直になれないルイズもデレデレだぜっ!
うーふーふー
と怪しげな笑みを浮かべてる俺がいる。
もう二編も期待してるよ。
>60
相変わらずせんたいさんはエローーー
このルイズは素直で可愛いな
テファとシエシエ編も期待してまつ
保管庫の投票テストが無駄に充実してきた件w
まず前菜(ルイズ)。そして副菜(テファ)で最後はメインデッシュ(シエスタ)か。
大いに結構
なあコレって
PS2版の新作のネタバレだったりしねえか?
コレからエロ抜いたのがシナリオでありそうな気がしてならない
ねーよ
ねぇよ
あんま痛い事言うなや
>>76 前菜:一口サイズ
副菜:キングサイズバスケット山盛り二つ分
メインデッシュ:カップ2杯
ルイズ:プチトマト
テファ:白菜
シエスタ:トマト
他
キュルケ:カボチャ
タバサ:グリンピース
アンアン・グレープフルーツ
モンモンレモンジュース
そして決め手は汁フ…いや、何でもない。
一汁三菜という言葉があってな、
つまりシルフィを満足させるにはサイトが三人必要という
だれ
うま
誰が美味いこと言えとry
サイトが遍在の魔法を使う事ができれば
何人いても大丈夫
「ユビキタス・汁・ウィンデ……。 風韻竜も偏在するのね、きゅいきゅい!」
>>90
そのサイトの中には、
青年サイト・ロマンスグレーサイト・ショタサイト・女の子サイトなどなど
が混ざってるんだな
ターゲット・インサイト
なんというモッサム…
パラサイト
>>92 女の子サイトに惚れられるオリジナルサイト
自分姦スかw
あ、新しい…のか?
女の子サイトで
巨乳・虚乳・爆乳・縛乳・貧乳・微乳・美乳・レヴォ乳
の8人がでてくるのだな?
で、オリジナルサイトを巡って争う女性人と、女の子サイトを取り合う男性人。
そこを漁夫の利でかっさらうマリコルヌ。
なるほど… 阿鼻叫喚だな
巨乳・ジェシカ
虚乳・タバサ
爆乳・キュルケ
縛乳・アン様
貧乳・ルイズ
微乳・モンモン
美乳・シエスタ
レヴォ乳・テファ
ジェシカは巨乳ではないと思う。自分的造語だが、“豊乳(ほうにゅう)”
一方、シエスタは慣れ親しむ乳と書いて“慣乳(れんにゅう)”
モンモンこそ美しき乳と書いて“美乳”がふさわしい。
と、思うんだが?どうだろうレイナール、マリコルヌ。
冷乳:タバサ
がんばりましょう:ルイズ
>>102 なあギムリ、「慣乳」の読み方おかしくないか?
哀れ乳なんて呼ばれてるラノベヒロインもいるくらいだからまだ大丈夫だ
偽乳特戦隊・・・
見た目的にキャラ被るよな。3で切ったけど。
>>107 裏切り者ぉーっ! 一生異性に縁がなくなる呪いをかけてやるぅーっ!
>>107 それが4から面白くなるんだ。
で、5に至っては もう熱かった!
お前ら楽しそうですね。
自分で作っといてなんだが、縛乳ってさ、包帯かなにかでコルセットのように縛っててさ、
見た目ペタンに近いのに、解くとどばーん!って言う乳でさ。
たまたま保健室っぽい部屋で休憩して解いてたらマリコルヌが入ってきて あはん な展開に…
・・・なんか変な電波きた。
テファがそのまま街にでると大騒ぎに(その乳で)なるので、
きっつきつに胸縛って辛うじてキュルケ並になったくらいで街に繰り出すSS。
酸欠になってサイトと休憩所にはいってあはんうふんとか妄想が。
縛乳・・・なんかこう、興奮してきたな
>>100 書いといてなんだが
やっぱアン様は、ボルボ氏のラブエロハード調教物とかが最高にマッチしてるだろw
ボンデージとか似合いそうだぜ
ボルボ氏、次はボンデージ物で頼むハァハァ
・・・オレ変態だなorz
縛乳って、(執念とか妄想とかで)男を縛って放そうとしないから『縛乳』かと思ってた。
>>104 ああ、読むとしたら「かんにゅう」だよな…「姦乳」?
>>113 その定義にならえば、虚乳だろうが微乳だろうが世の乳はすべからく「縛乳」なのだよ。
亀甲縛りが最高に似合う乳だろ>縛乳
どういうわけか縛りのスキルも身に着けてしまったガンダールヴのサイト
縄を手にしたとたんルーンが輝きだし
アン様をあんなふうにギチギチに縛ってしまったわけで
117 :
ツンデレ王子:2007/11/24(土) 14:06:53 ID:JFJHn5km
>>22-26 の続き、下ろします
2スレと短いですが…
あ、それと
>>23 「学院にはその旨伝えております」の部分、皆さんの脳内で削除してて
頂けますでしょうか?
部屋に戻ってきたサイトは、ベッドに腰掛けテーブルの上に有ったワインに手を伸ばした。
グラスに半分くらい注ぎ、一気にそれを飲み干す。
「……ふぅ」
思わず溜息が漏れてしまう。
(にしても、さっきのカリーヌさん。何か変だったような…)
先ほどの風呂場での痴態を思い出し、先ほど放出したばかりだというのに節操も無く鎌首をもたげようとする
我がムスコに苦笑いが出てきたが、それを無視して思い起こす。
まだ数回しか直接には会ってはいないが、彼女の様子は最初のときに比べると、明らかに柔らかくなってきて
いた。柔らかくというよりは暖かくといった方がいいかもしれない。
一番最初に会ったのは…アルビオンへの侵攻の際、戦争にルイズが参加する許しを得るため(というより、反
対する家族を説得するため?)に来たときだった。あの時、ルイズを迎えに来たエレオノールからはルイズの何倍
も、いや何百倍もの高圧的なオーラに圧迫されたが、カリーヌはそれを更に一回りも二回りも上回っていたのだ。
まるで自分が神であるかの如く、自分以外を簡単には認めようとしないそんな素振りに飲み込まれてしまったの
を思い出す。
(この時、ルイズにキスしてるとこ見られたんだっけ)
必死の説得も空しく参戦の許可がもらえなかったルイズ。虚無の担い手である事は家族にも告げれない重
要事項であった為、目覚めた系統を“火”だと嘘を吐いてまで行った説得に対し、父であるヴァリエール公爵は
もとより母カリーヌや姉エレオノールからも認めて貰えず、沈んだ気持ちを抱えて幼い頃の様に中庭にある池の
小舟に隠れて泣いていたのだった。それをカトレアから教えてもらったサイトは、自身を見失いかけているルイズ
を慰め、励ました。その際に勢い余って告白してしまったのだ。
その後、彼女から『ご褒美』と称されキスしたサイトは勢い止まらず、そのままルイズを襲ってしまいそうになった。
だから、実際に見られたのはキスではなく、ルイズに乗りかかり今にも致してしまう、そんな場面だったのだが。
二度目はガリアの古城からタバサとその母の二人を助け出した帰りだった。
初めは、人助けなのだからアンリエッタも許してくれるだろうと思っていた。ガリアへの通行手形を発行してくれ、
あわよくば国境沿いまで護衛を付けてくれるだろう、と。しかし期待は裏切られた。それどころか、牢にまで入れ
られてしまったのだ。幸いにも先に帰したレイナールたちがキュルケやコルベールに報せてくれたお陰で、脱獄し国
境を越えてガリアへと向かえたのだ。だが、それは…
(お咎めは無かったけど、無許可っちゃー無許可だったしなぁ)
脱獄してまで向かったという事は、アンリエッタに許可を得ずに行動したという事。つまりは国法を破ったという事
に他ならない。それを耳にしたカリーヌが、陛下がルイズに罰を下す前に自らが…とサイトたちが乗る馬車を襲撃
したのだった。
(そういやそん時に知ったんだっけ。
カリーヌさんが先代マンティコア隊隊長で“烈風”カリンと呼ばれてるって知ったの)
三度目。それは二度目からそう日は立っていない。
二度目の時、カリーヌの仕置きから身を挺してルイズを守った後、今度はヴァリエール公爵から稽古と称して仕
置きを受けたサイト。その後彼は部屋に戻る際にタバサとその母、またルイズとカリーヌや公爵とのやり取りを思い
出し、両親の記憶を蘇らせてしまい不覚にも涙を溢してしまったのだが、偶然にもそれを目撃したルイズの二番目
の姉カトレアは彼を自分の部屋へと連れて行き、治療を施すと同時に生来の勘の鋭さを活かしてサイトの涙の訳
をおおまかに察したのだ。そして異世界から来た事、またアルビオン軍を足止めするために七万の兵に突っ込んだ事
などをサイト自身の口から聞いたのだが、それが彼女たちの母カリーヌの耳に入ってしまった。
それは、アンリエッタとルイズが風魔法―フライ―を使って窓からカトレアの部屋へと乱入した事と、彼女たちが遅く
まで騒いでいた事を見咎めた執事からの報告によりカリーヌがカトレアに問い質した為であるのだが、当のルイズは
その経緯を知らされては居なかった。
その為に三度目の訪問の際、母のサイトに対する態度の変わり様に驚いていたのだった。
(あの時はびっくりしたよなー。あのカリーヌさんが俺のこと『ちゃん』付けで呼ぶんだもんな。
しかも抱きしめられた時は力が強すぎて、一瞬だったけど花畑が見えたっけ)
空になったグラスに先ほどと同じくワインを半分ほど注ぎ口を付けようとしたが、思いとどまる。この後カリーヌが部
屋へ来ると言っていたのを思い出したからだ。宴の際にも結構な量を飲んでいたので、これ以上飲めば酔っ払って
しまう恐れがある。
(って何期待してんだ俺。相手はルイズの母親だぞ)
自分に言い聞かせるが、やはり淡い期待を消す事は出来なかった。
気分を変えるために水でも飲もうかと部屋を出て厨房へ向かう。使用人に水差しと新しいグラスを貰い部屋に戻
ろうと廊下を歩いていると、一室から灯りが漏れていた。中を覗いてみると、ルイズと、それに添い寝するようにカトレ
アがすやすやと規則正しい寝息を立てていた。中に入りはだけた布団をかけ直そうとしたとき、カトレアの寝巻きから
覗く胸の谷間に目を奪われそうになったが、それを振り払うと、寝ているルイズの髪をそっと撫でてやる。
ルイズの安らかな寝顔を見たサイトは部屋の明かりを消し、音を立てないようにそっと部屋を出た。
自分の部屋に戻ると、そこには既にカリーヌが待っていた。戻ってきたサイトに気付き振り向くその目には、何かに
怯えるかの様な色が見えたが、すぐさま安堵の色にとって変わる。
「どうしたんですか?もしかして俺以外の人が入ってきたと思ったんですか?」
サイトの問いかけに対し、かぶりを振る。『ちがうの…』と呟く彼女の雰囲気はまるで少女の様であり、3人もの娘
を育て上げた女性とは思えないくらい頼りなげに見えた。ましてや過去に見た気位の高い彼女からは想像も出来な
い仕種であった。
「後で部屋に行くって言ったのに…居なかったから…」
言葉と同時に涙が溢れてくる。
「さっきお風呂場で、はしたない事したから…呆れられたんじゃないかって、嫌われたんじゃないかって…」
しゃくり上げるカリーヌは、やはりルイズの母親である。涙を拭う仕種や彼を見上げる表情など、どれをとってもルイ
ズに良く似ていた。いや、その表現は正しくない。彼女がルイズに似ているのではなく、ルイズが彼女に似ているのだ。
しかも、カリーヌにはルイズには無い色気があった。それは歳月を重ねた女性にしか持つ事の許されないモノである。
「だ、だから待っててくれなかったのかと思って…」
カリーヌが言い終わる前にサイトは彼女を抱きしめていた。
「そんな事無いですよ」
上目遣いに見上げる彼女の目を見つめサイトは答えた。
目尻に貯まった雫を拭ってやり続ける。
「ただ、緊張しちゃって…水でも飲もうかと厨房に行ってたんです。俺もその…カリーヌさんが着てくれるって言ってく
れたの嬉しかったですから…」
言ってサイトは軽くカリーヌの唇に自分のソレを触れさせる。
「サイト…」
嬉しそうに微笑むと、ゆっくりと瞼と閉じていった。
120 :
ツンデレ王子:2007/11/24(土) 14:13:14 ID:JFJHn5km
はい、今日はここまでです。
行間空けやってみましたが、上手い事出来なかった。
まずノートパッドで一区切り一気に書いて、その後行間空けをやってるので
どうも上手くいかない…
次はいよいよ…です
また間が空くとは思いますが、ご期待下さい
121 :
ツンデレ王子:2007/11/24(土) 14:26:02 ID:JFJHn5km
あ…字間違えてる
着てくれる→来てくれる ですね
失礼しました
サイトの種馬っぷりは異常www
ツンデレ王子さん、投下乙です。
でも、以前の更新でヴァリエール公爵(伯爵と誤字ってた?)が死んでるような描写があったのは何なんでしょうか?
ちょっと人間関係がよく分からなくなってきたので、お訊きしたいです。
124 :
名無しさん@ピンキー:2007/11/24(土) 21:53:30 ID:otj5MStT
むしろヴァリエール公爵は死んだ方向で
さて、皆さんお待ちかね
ティファニア編でございます
ちっちちっち、チチをもげ〜♪<違う
「でさ。テファは見てみたい?」
名前を呼ばれて初めて。
ティファニアは、才人の前にいる事を思い出した。
二人は今、中庭のテーブルに腰掛け、対面している。
中庭でくつろいでいたティファニアを才人が見つけ、話しかけたのである。
「えっ?あのっ!ごめんなさいっ、聞いてなくってっ!」
真っ赤になって、ティファニアは両手をぶんぶん振る。
ゼロ戦の格納庫での一件以来、まともに才人の顔を見られないティファニアだった。
というか今も見れていない。
先ほども、件の一件を思い出し、ちょっとぽーっとしていたのである。
何か用事があるから、という事で才人が中庭で話しかけてきたのだが。
その話の途中から、ティファニアの頭の中には魔法学院に来てからの、才人とのあれやこれやが再生され、意識が飛んでいたのだ。
「いやだからさ。そのマジック・アイテムで、俺の故郷見たくないかな、って」
才人の故郷。それは、こことは違う世界。
見てみたい。純粋な好奇心がティファニアの中で膨れ上がる。
しかし。
「で、でも…同じ部屋で、その、寝るのよね…?」
「そうだけど?」
それがどうかした?と言わんばかりの顔で、才人は応える。
毎晩ご主人様やメイドと同衾している才人にはそんなこと、程度で済むことだったが。
ティファニアにとっては一大事である。
しかも、それが好いた相手ともなればなおさらである。
というより、今まで奇跡的に未遂で済んでいるが、もし今度そういう状況になったら。
たぶん、自分のほうがガマンできない。きっと、一気に気持ちを吐き出して、才人に身を委ねてしまうだろう。
でも、才人の故郷は見てみたい。
っていうかむしろ、サイトのこともっと知りた…。
「で、どうするテファ?」
顔を背けて考えていたティファニアを、才人が突然覗き込んだので。
「あ、ああああのっ!ちょ、ちょっと考えさせてっっ!」
ティファニアは、真っ赤になって逃げ出す羽目になってしまった。
どこをどう走ったのかよく覚えていない。
気付くと、寮の部屋に戻っていた。
そして、さっきの行動を思い出す。
…どどどどどどーしよー!ぜ、ぜったい変な子だって思われた!
私は頭を抱えてベッドに転がって悶えた。
「…ていうかさ。あそこまであからさまに誘われて逃げるとかない話よね?」
へ?
いきなり聞こえた声は。
「ななななななな」
「『なんでここにいるのタニア』?
洗濯物もってきたのよ。乾いたから」
入り口で洗濯籠を抱えたまま、タニアは呆れたように肩をすくめた。
「ぜーんぶ見てたけど。なんであの場面で逃げるかな?」
タニアのその言葉に。
私は真っ赤になって、反論する。
「だだだだだだって!恥ずかしいんだもん!」
「何が?」
淡々と洗濯物をクローゼットにしまいこむタニアに、私はこた…えられない。
…だだだだだって、こないだサイトにあんなことされたなんて、恥ずかしい事…!
「もしかしてこないだからお兄ちゃん避けてんのもソレ?
ひょっとして未遂で終わっちゃって、恥ずかしくてお兄ちゃんの顔見られないとか」
「なんで知ってるのっ!?」
あ。
思わず叫んじゃった。
タニアがこっちを向く。
にこにこ笑顔で。
「で?具体的に聞きましょうか?どこをどういうふうにどうされてどうなったのか?」
「あうあうあうあうあうあうあうあう」
「はーいごまかさなーい。今宵はとことん吐いてもらいますゼ旦那」
にじりにじりとタニアが手をわきわきさせながら寄ってくる。笑顔で。
…なんかコワイ。
「無事ですかお姉さまーっ!」
ごちぃん!
そのタニアの後頭部を。
突然乱入してきたベアトリスの拳骨が殴り倒した。
…どうやら、さっきの声が部屋の外にも聞こえてたらしい。
ていうか、この子いっつもどこから出てくるのかしら…?
「ちょっとなにすんのよベアちゃん!」
「だーれーが!ベアちゃんですか!ミス・クンデンホルフとお呼びなさい平民!」
「ベアちゃんはベアちゃんじゃん。女王陛下を女王陛下と呼ぶのと同じことっしょ」
「だぁぁ!どこかで聞いたような理屈を!私を愛称で呼んでいいのは家族とお姉さまだけですっ!」
…なんかモメてる。
この隙に…。
「はいそこちょっと止まってー」
てっきりベアトリスと口喧嘩するのに一生懸命になってると思ってたタニアの手がするりと伸びて、私の襟を捕まえた。
「あっこら!話の途中ですわよ平民!ていうかお姉さまを放しなさい!」
「まあまあ落ち着いて落ち着いて。
ベアちゃんにいーいこと教えたげる」
あ、あ、ちょっと待ってタニア!アレヴィヴィにばらしたら…!
「だれがベアちゃんですか!」
「あのね、お姉ちゃんこないだサイトお兄ちゃんといいとこまで行ったらしいのよねー。
でもさあ、お姉ちゃん口堅くて具体的にどこまで行ったか教えてくんないのよー」
タニアの言葉を聞いた瞬間。
ベアトリスが満面の笑みになった。
…あのー。
「お姉さまっ!なんて水臭いっ!私に言っていただければあんなへっぽこ騎士などカンタンに虜にできましてよ!
で、具体的な方策を授けるに当たってどこまで進捗があったのか知る必要があります。ですから…」
ベアトリスの長台詞を、笑顔のタニアが遮った。
「いーからキリキリ吐け。お姉ちゃん」
うわー、もうダメだぁ!
…結局、私は、この間の出来事を、全部二人に聞かれる羽目になった…。
ぅうう、恥ずかしいよぉ…。
ティファニアの話を聞いた二人は。
なぜか見合って、こくん、と頷きあった。
心の底で何か通うものがあったらしい。
「ちょっとここでお待ちくださいねお姉さま?」
言ってベアトリスはベッドに腰掛けたティファニアの両肩をぽん、と叩く。
「ほえ?」
羞恥で半分放心状態だったティファニアは、その言葉に半ば反射でそう応える。
二人はそそくさと部屋を後にする。
「…お姉さまは私がここで足止めしておきます」
「了解。私はお兄ちゃん引っ張ってくればいいわけね?」
扉の影でそう申し合わせると。
「さてお姉さま、今後の方針についてなんですけれども!」
ベアトリスは笑顔で部屋の中に舞い戻り。
そしてタニアは、学院内のどこかにいる才人を捜しに、駆け出したのだった。
「はいお兄ちゃん一名ごあんな〜いっ!」
「どわぁっ!?」
後ろから押され、才人は転がり込むようにティファニアの部屋に入る。
それと入れ替わりに。
「それでは、あとはよしなに〜♪」
するりと脇をすり抜けて、ベアトリスが部屋を出る。
そして。
ばたん!
勢いよく扉が閉じ、二人を部屋に閉じ込める。
「お、おい?」
慌てて才人はドアノブを回して扉を押すが、反対側で何かがつっかえになっているらしく、開く事はできなかった。
つっかえの役目を担っていたのは、ベアトリスの指示を受けた空中装甲騎士団団長の剣である。
「あ、あの」
扉をがちゃがちゃやっていると、不意に背後から声を掛けられた。
この部屋にいるもう一人。
ティファニアである。
ティファニアは恥ずかしそうに顔を伏せながら、言った。
「あの、ごめんなさい、二人に悪気はないの…」
まだ、まともに才人の顔は見られない。その長い耳の先まで真っ赤になりながら、ティファニアは続ける。
「あ、あのね。それでね。私ね。
サイトの、故郷、見せて欲しい、なぁ、って…」
息を継ぎ継ぎ、なんとか言い切った。
才人はそんなティファニアを見下ろし。
「…なんだ、そんなら言ってくれればいいのに」
言って、腰に下げた袋から、『夢見の水晶球』を取り出した。
『なくしたりしたらコトだからね。この袋に入れて肌身離さず持っていたまえ』とコルベールに言われていたからだ。
そして、赤いほうをティファニアに手渡す。
「じゃあ早速」
言って才人はベッドを指差す。
「寝よっか?」
ティファニアは俯いたまま才人の言葉にビクン!と震えた。
目が醒める。
そこは見慣れた、事務所の天井。
つきっぱなしの蛍光灯と弱弱しい冬の朝日が、無機質な白い天井を黄色く染めている。
…あそっか、昨日私、仕事で遅くなって、それで…。
そこまで思い出して。
「やだっ!今日、何日っ!?」
ケイタイを見る。
『2007.12-24.Sat.0932』
え…………!?
「嘘っ!?」
私は慌ててケイタイを掴んで、サングラスをかけて大きなベレー帽を被ると、事務所から駆け出した。
タクシーを拾い、向かった先は孤児院。
そこは、私の育った場所。
そう、私はこの孤児院の子供達に、クリスマスプレゼントを届けなきゃいけない。
私は急いでくれたタクシーの運転手さんに指定された料金よりもほんのちょっと多いお金を渡すと、タクシーを降りた。
ここからは歩きだ。
この車一台分しかない袋小路の奥に、私の育った孤児院はある。
手に持った白いプレゼントの袋が重い。私は一度袋を担ぎなおすと、袋小路に入っていこうとした。
「ちょっと待ちなさい、そこの不審者」
え?不審者?
ひょっとして私っ?
た、たしかに!サングラスとかしてるし無意味に大きな袋とか持ってるし!
「あわわ、わ、私不審者じゃありませんっ!」
慌てて振り返ると。
「あははははははは!ひっかかったひっかかった!」
…笑われた。
…いきなり人を不審者呼ばわりしたこの子はタニア。
私より年下で、この孤児院で一番上の年代の子。
他の小さな子供達のお姉さんをやっている、しっかり者だ。
…でも、こういういたずら好きなところが玉に瑕なのよね。
なんて私が呆れていると。
「…で、イヴのお昼に、恋人の所にも行かずにナニやってるのかなお姉ちゃんは?」
「え、あの、その、恋人って」
私はタニアの指摘に真っ赤になる。
タニアの言っているのは…。
私がデビュー当初から付き合っている、オトコノコのコト。
名前は、平賀才人。
…私に芸能界に入るきっかけをくれた、大切な…ヒト。
でも、今日は。
「だ、だって今日は、みんなにプレゼント渡さなきゃ…」
言って私は、サンタさんみたいに肩に担いだ大きな袋を担ぎなおす。
この中には、孤児院のみんなに買ってきた、プレゼントがいっぱい入っている。
才人のコトも大事だけど、私にはここの子供たちも同じくらい大事で。
とか思ってると。
ぐいっ!
「えっ?」
いきなり後ろから袋を引っ張られ、袋がすっぽ抜けてしまう。
「お姉さま、孤児院の慰問は私におまかせくださいな」
後ろからそう言って話しかけてきたのは。
同じ事務所の、ベアトリス。
子役でデビューした二世芸能人で、一度遅刻を叱ったら、それ以来何故か私に懐いている。
なんか、『本気で叱られたのなんて初めてですわ』なんて言ってたケド。
…じゃなくて。
「ちょっと、ヴィヴィ、それってどういう…」
ベアトリスは私の横を抜けてタニアに並ぶと、道の入り口をびっ!と指差して言った。
「いいからお姉さまはあのうだつの上がらない一般ピープルのところへお行きなさい。
ハイヤーをこの道の入り口に待たせてあります。さあ!今すぐ!ライナウ!」
それに続けてタニアも言った。
「まあこっちはベアちゃんと一緒になんとかやっとくからさ。
たまにはお姉ちゃんも人並のクリスマスしておいでよ」
「あーもう!ベアちゃんと呼ぶなと何度言えばこの一般ピープルは!」
「ベアちゃんはベアちゃんじゃーん」
そんなふうにじゃれあう二人を見て。
私の奥から、温かいものがこみ上げてくる。
そして、私は二人を一緒に抱き締める。
「ありがと…二人とも。最高のクリスマスプレゼントだよ…」
そして私は二人に孤児院のクリスマスを任せて。
才人のところへ、愛しいあの人の所へ、向かったのだった。
突然の来訪に、才人は驚いていた。
今日会う予定はなかったし、売れっ子のグラビアアイドルであるティファニアのクリスマスの予定がないなどとは思ってもいなかったからだ。
ティファニアは驚く才人を見て、迷惑だったかな、などと思ってしまったが。
才人はすぐに準備を整え、二人は冬の町に繰り出したのである。
まず二人が向かったのは、近所のファミリーレストラン。
二人で食べたのは、クリスマスディナー、ケーキつき、消費税込み2500円也。
ずいぶんと安っぽい味のディナーであったが、二人には味は関係なかった。
すこしティファニアがはしゃぎすぎて、近くで食事をしている高校生の団体に正体がばれそうになったが。
その後向かったのは、比較的遅くまでやっている、雑貨屋。
二人でプレゼントを買い求め、交換しよう、ということになったのである。
二人は別々に売り場を回る。交換のときまで中身はヒミツ、ということにしたからだ。
そして二人は雑貨屋を出て、プレゼントを交換する。
開けた箱の中身は。
才人の中身は青い涙滴型のガラスのペンダント、ティファニアは赤い立方体のガラスがあしらわれた、チョーカーだった。
二人はなんだかお揃いみたいだね、と特に似てもいない意匠のそれを、お互いに付け合った。
そして。
日も暮れ、夜の帳が街を覆う頃。
二人は、レンガの壁に囲われた、一件のラブホテルへ、こっそりと入っていったのだった。
「…今日はどうしたんだよ、テファからこんなとこ誘うなんて」
バスローブの才人は、シャワーを浴び終えたティファニアを、ベッドに腰掛けて待っていた。
「今日は、特別だから」
言ってにっこり笑い、タオルで髪の水分を拭き取ったティファニアは、バスローブをはだけながら、才人にキスをして、そのまま押し倒す。
ティファニアの規格外の胸が、彼女の体重でぐにゃりと潰れる。
「…何が特別なの?」
才人の疑問に、ティファニアは応える。
「クリスマスだから。いい子にしてたんだから、いっぱい、プレゼントちょうだい?サンタさん…」
ティファニアの目は熱に浮かされたようにとろんとなっている。
「そうよ。私はずっと好きで。好きで。こうしたいって思ってて…」
酔った様な口調でそう呟くティファニアを、才人は抱き上げる。
「そっか、ずいぶん溜まってたんだな。もう一月以上ご無沙汰だしな」
言って才人はそのまま、ティファニアの股間に手を伸ばす。
ぐちゅう!
ティファニアのそこは信じられないほどぬかるんでいた。
まるで長時間前戯を続けたような、そんな濡れ方だった。
「抱いて、サイト、お願い」
潤んだ瞳でそう言って、ティファニアは才人の首に手を回す。
才人はそのまま、ティファニアを抱き上げ。
ぐぷぷぷぷ…。
「あっあっあっあっ!お、く、までぇ…!」
一気に、最奥まで貫く。
しかし、ティファニアのそこは胸とは反対に酷く狭く、才人の茎は余ってしまう。
「ふう、はぁ、はぁ…!」
腕の中で苦しげに息を吐くティファニアを。
才人は抱き上げ、そしてベッド脇に立ち上がる。
ティファニアの身体が完全に宙に浮き、腰に体重がかかる。
「ひっ…くぅっ…!」
ぐにっ!
ティファニアの膣道が引き伸ばされ、才人が全てティファニアの中に埋まる。
その強烈な感覚にティファニアの意識が揺れる。
「ふか…いよぉ…!」
苦しげに喘ぐティファニアを抱え、才人は通りに面した窓の傍まで寄っていく。
「ひぃ!おく、おくがぁ!」
歩くたびに揺さぶられる快感に、ティファニアの喉が踊る。
そして。
ティファニアを、さらなる官能の波が襲うこととなる。
シャッ!
才人は、外から見えぬようかけられている、厚手のカーテンを開け放った。
そこからは、通りがよく見える。
ということは。
外から、部屋の中が見える、ということだ。
才人は、ティファニアから一度己を引き抜き、窓に密着させると、今度は後ろから貫いた。
ティファニアの規格外の胸が、ひんやりとしたガラス窓と才人の間で押しつぶされる。
「やっ!やぁ!みられぅ!みられちゃう!」
必死にそう抗議するティファニアだったが、才人は止まらなかった。
腰を激しく打ちつけ、ティファニアの耳元で囁く。
「売れっ子のグラビアアイドルが、こんなラブホで男に犯されてるなんて、誰も思わないよ」
「やぁ!そうじゃ、そうじゃないのぉ!」
「それに、見られるわけないだろ?今、ここには俺とテファしかいないんだから…」
才人の言葉どおり。
前の大通りには人っ子一人いない。
しかし、ティファニアの羞恥心は限界まで引き絞られ。
背徳を添えられた快感が一気にティファニアの身体を駆け抜けて。
「あ、ひ、いく、いくぅぅぅぅぅーっ!」
彼女の意識を、真っ白に染め上げた。
目を醒ますと。
テファが怒っていた。
「…ひどい。夢の中だからってあんなことするなんて」
…あれ?俺何したっけ…?
よく覚えてない。
ていうか、俺たしか夢の中の日本でテファとデートしてて…。
雑貨屋でなんか買ったトコまでは覚えてんだけど、その先が…。
まあ、夢ってアイマイなもんだしなあ。
ま、言っても仕方ない事だし、謝っとくか。
「ごめん、テ」
言えたのはそこまでだった。
いきなり、テファが抱きついてきて、俺の唇を奪ったからだ。
…なんだなんだ?
俺が驚いてると、テファは唇を離して、続けた。
「…もう、ガマンきかないんだから。責任、とってもらうんだから」
言って、いきなりももりんごをがばぁっ!とさらけ出した。
うわちょっと待!?
「な、なんの責任で?」
俺の質問に、テファは。
「こ、こんなに、好きにさせちゃった責任!
きょ、今日こそはちゃんと抱いてもらうんだからっ!」
言って、俺のズボンのジッパーを下ろしてしまう。
俺の息子は、すでに臨戦態勢だった。
テファはそんな俺の息子に一瞬驚いた顔をしたけど。
すぐに、スカートの中に手を突っ込んで、下着を脱ぎ差って、ベッドの下に放り投げる。
べちゃ。
…ゑ?今なんかすごい音しましたよ?
「…さんざん夢の中でされちゃったから、こんなになってるんだよ…」
言って俺を跨いだテファのあそこからは。
まるでヨダレを垂らすみたいに、テファのおつゆが零れていた。
俺は、何を言っていいのかわからず、ただテファを見上げるしかできない。
そんな俺に、テファは。
「いいの、サイトはお友達だから。
いちばんだいすきなお友達だから。私の初めて、あげるの」
熱に浮かされたみたいにそう言って。
一気に、奥まで、俺を咥え込んだ。
「き…ひぃっ…!」
「だ、大丈夫?テファ?」
涙を流すテファに、俺は下からそう尋ねる。
…なんか間抜けだけど。
痛いだろうな。今、テファの股間からは、真っ赤な血が流れてる。
しかも、俺は全部入ってなくて、少し隙間が空いている。
「いいの…サイトは気にしなくて…いいの…。
私が、勝手に、してるっ…ことだから…。私が欲しくて、してるんだか…らっ…!」
言いながら、必死に泣き顔で腰を動かすテファ。凶悪なももりんごが、その動きと一緒にぶるんぶるん揺れる。
俺は、そんなテファにたまらない愛しさを感じて…。
そして、すぐに限界を迎える。
「だ、ダメだテファ、抜いてっ、出ちゃうよ!」
さ、さすがにナカダシはまずかろう!
しかし、テファは。
「だめ、全部ちょうだい、なかに…ちょうだいっ!」
言って腰をより奥深くまで進めて。
俺の精子を、残らず中で受け止めたのだった。
「…だいすき」
ティファニアは、彼の腕枕の上で才人にそう告げる。
才人は照れたようにぽりぽりと頭を掻く。
心の中では、まずったなあ、ルイズとかシエスタにばれたら間違いなく俺死刑だよなあ、などと思っていた。
「大丈夫!このことはぜんぶまるっとメイド連中にバラすから!」
そんな事したらシエスタに!
「ってタニア!?」
「きゃぁっ!タニアいつの間に?」
ベッドの脇に、いつの間にかタニアが立っていた。
タニアは、ベッドの脇に落ちている愛液でべちょべちょのショーツを拾い上げて言った。
「そりゃもう、目が醒める前あたりから?
じっくり見させていただきましたともええ」
タニアは二人にばれないよう、部屋の隅で一部始終を見守っていたのだ。
そして。
「そうですわねえ、学生には私から広めておきましょう。
お姉さまに悪い虫がつかなくなりますから」
ベアトリスも一緒だった。
「ってお前もかー!」
才人の突っ込みを完全に無視して、二人は仲良く部屋の外へと出て行く。
「しっかし、お姉ちゃんあそこまでダイタンだとはねえ」
「ええ。官能小説もびっくりの乱れっぷりでしたわ」
慌てて二人を追おうとする才人。
しかしそれはできなかった。
がし。
ティファニアが、才人の手を掴んだからだ。
「行っちゃダメ…」
泣きそうな顔で、才人を見上げる。
その下では、丸裸のももりんごが、扇情的にぷるぷると震えていた。
才人の喉が、ごくりと鳴る。
「もうちょっと、一緒に居て…。
あれが、夢じゃないって、思えるまで…」
言って、ティファニアは才人に抱きつく。
凶悪なももりんごが、才人の肌に歪みながら張り付き、カタチを歪ませる。
ぷっつん。
才人の中で何かが切れた。
「あーもうわかったよこうなりゃもうヤケだーっ!」
「やんっ、サイト乱暴しないでぇ♪」
そして才人は、何故か嬉しそうなティファニアを乱暴に押し倒したのだった。
次の日からしばらく。
学院から、一人の男の消息が途絶えたという。〜fin
以上!
途中、夢の中っぽさを出すために少し表記にゆらぎを加えてみましたが。
なんか寝ぼけたみたいな文章になってしまいorz
うまくいかないもんよねー。
んじゃ次はシエシエですね。
じゃあ寝ますのでノシ
おおおおおおおお!!!!GJ!
テファはアイドルっすか〜いいねいいね
>>140 GJさすがへんたいさん
テファはグラドルですかw
乳革命!!ってタイトルの写真集が思い浮かんだんだぜw
投票してえなあ・・・・・・
シャ、シャルロットはああああぁぁぁぁぁぁ!!!??!?!?!?!?!
orz
>140
せんたいさんGJ!
テファのエロエロバディがグラビアアイドルですか
たまらんですな!
シエシエ編を今から楽しみに待ってます!
>144
お前が書けばいいじゃん!
>>144 いや、せんたいさんならタバサ編もアン様編もきっと書いてくれるさ!
クリスマスプレゼントとして!!
>>146 (´-`).。oO(マリコルヌ、秋葉原へ行くがry)
148 :
ツンデレ王子:2007/11/25(日) 02:47:16 ID:mYJmSOxt
>>123 一応、私の中の設定では戦争でヴァリエール公爵が亡くなったという
事にしてます。
アイドルテファGJ!!!!!
流石だ。
アン様マダー?
アン様分が枯渇してきてもう駄目だぁぁぁぁぁぁ
早く、超濃厚エロをぉっぉぉぉぉぉぉぉxっうぇうぇ
151 :
かくてる:2007/11/25(日) 13:48:23 ID:iQIPJs1P
クリスマス特集に小生、参加させていただきます。ってことで投下開始。
「サンタの約束」
「何ぼんやりしてんのよ」
窓の外をぼんやりと眺めているサイトにルイズは声をかけた。サイトは
うん、と珍しく大人しく返事を返してまた外をぼんやりと眺める。
シエスタは雪が本格的に積もる前の準備に、実家で葡萄の冬囲いの手伝
いに出かけているおかげで久々の二人きりなのだ。
(まさか、あの巨乳メイドのこと!)
ルイズはサイトの肩に乱暴に手をかけた。
「ちょっと!聞いて……る」
無理やり振り向かせてから、さすがのルイズもしまったと思う。目の前
にあるサイトの表情はルイズに痛みを思い出させた。
忘れるはずがない。ティファニアがサイトの心から使い魔としての不自
然な制約を消したあの日。怒っていたサイトに混じっていた哀しげな目。
チキュウに返してあげなきゃ、と改めて決心させた目をしている。
「サイト、何かあったの?」
ん、とサイトは生返事を返して窓の桟に積もった雪を振り払う。双月の
光を反射しながら雪が舞い落ちていく。
「もうすぐクリスマスだな、と思って」
「くりすます?」
やっとサイトは窓の脇から戻るとベッドに腰かけて話し始めた。
「俺の世界の、始祖ブリミルみたいなキリストって人の誕生日でさ。俺の
国は宗教とかいい加減な国なんだけど、お祭り騒ぎはやるんだよな」
ふうん、とルイズは居住まいを正して話を続けるように促した。
「ま、デートする奴多くてモテないとつらいんだよな」
「どんな子と歩いてたのよあんた!」
サイトは苦笑して返した。
「俺なんてモテなかったよ。ガンダールヴでも何でもないんだから」
「じゃあ今の方がいいんじゃない」
まあな、とサイトは苦笑する。ただ、その苦笑にいつもと違う翳をルイ
ズは感じ取ってしまう。シエスタも誰も近くにいないせいだろうか、サイ
トの痛みが逆に鋭くわかってしまうのだ。
「サンタクロースってお爺さんが子供が寝てる間にプレゼントをくれる、
って伝説があって。実際にゃ両親が寝てる間に置いてくんだけど」
「相棒の世界も魔法がないくせに案外伝説とか好きなんだな?」
デルフリンガーの言葉に、サイトはまあな、と言って笑った。
「サンタクロース、ね」
ルイズはサイトとデルフリンガーを交互に眺めた。
サイトの話を総合すると、サンタクロースは赤いコートを着た白ひげの
お爺さんらしい。ルイズはこっそりとキュルケの部屋に向かった。
「赤いコートであんたが着れるもの……ねえ」
キュルケは衣装箪笥をしばらく探り、一枚のコートを取り出した。胸元
に大きなリボンをあしらっている。
「私が十歳ぐらいで着てたんだけど」
「何よ、私が十歳ぐらいだと言いたいわけ?」
ルイズの反発に、キュルケは余裕の声で返す。
「私の実家に、私が十歳の頃の肖像画があるけど見てみたい?」
ルイズは大人しく黙り込む。この余裕なら、本当に十歳のキュルケに負
けているのかもしれない。キュルケは笑ってルイズにコートを着せる。
「あら、かわいいじゃない!」
ルイズを鏡の前でくるりと一回転させる。さすがはキュルケのコートら
しく、スリットが入っておりふくらはぎだけがちらりと覗く。ふわふわと
白い襟の部分は白鳥の綿毛で鮮やかな白さだ。健康な赤みを射した、きめ
細やかなルイズの頬を優しく包み込む。
キュルケは意地悪に笑みを浮かべると言った。
「で、私にもサンタクロースが来るのよね」
「悪い子には来ないそうよ?」
「コートを好敵手に貸しちゃうような良い子だけど?」
うっ、ルイズが唸る。キュルケは小さく笑って言った。
「別にいいわよ。後でダーリンのお手伝いにサイトを貸してくれれば」
キュルケに貸すのはお断りだが、コルベールなら仕方ないかとルイズは
溜息をついた。
次いで訪問したのはモンモランシーの部屋だ。ルイズが事情を話すとモ
ンモランシーは快く薬瓶を三つルイズに売ってくれた。ルイズは白い木綿
の袋に放り込むと夜を待った。
「クリスマスの話までしたのにさ」
サイトは落ち込んでいた。クリスマスの話までしたなら、少なくとも今
夜は少しは優しくしてくれるかと期待していたのだ。それがまさか、より
もよってルイズが急用で不在ときた。
ギーシュとでも飲もうかと思ったが、モンモランシーがギーシュを捕ま
えているらしい。冬になったせいでいつもの格納庫は寒いので、夜の集合
は自然に休会となっている。
「まあ嬢ちゃんらしいわな」
デルフリンガーがげたげたと笑う。サイトは一人で赤ワインをグラス二
つに注ぐと、一方をデルフリンガーの前に置いて愚痴を言う。デルフリン
ガーに茶化されつつ、夜の冷気が部屋に侵入してくるのを感じ取る。
遂にサイトはほろ酔いでベッドにもぐりこんだ。ルイズの代わりにルイ
ズの枕を抱いて丸くなる。ほんのりとルイズの匂いが鼻腔をくすぐり、そ
れがむしろ寂しさを強く感じさせる。
しんしんと冷える部屋。冷光を放つ双月がこの世界の遠さを改めて実感
させる。もう帰れないかもしれない。そして帰れない自分の気持ちを誰が
わかってくれるだろうか。ギーシュやマリコルヌと騒ぐのは楽しい。キュ
ルケは艶っぽいしシエスタはいい娘だ。アンリエッタ様は配慮してくれる
し、コルベール先生はサイトの話を聞いてくれる。
だが、それだけだ。そう、いつも一緒にいるルイズさえも。異世界から
来た寂しさなんてわかってはくれない。
余計に体が冷える。サイトはさらに体を丸めた。だがそれでも冷気が頬
を叩く。冷気?窓は閉めたはずなのに。
と、サイトの頬を暖かい空気が撫でる。
「メリー・クリスマス」
声に目を開ける。赤いコートと帽子。分厚い編み上げ靴を履いたルイズ
がサイトの顔を覗き込んでいた。
「ルイ……」
名前を呼ぶ途中で、サイトの口がルイズの唇で塞がれる。優しくルイズ
の手がサイトの頭を撫でる。ルイズは一度口を離すとサンタの袋から薬瓶
を取り出して口に含み、口移しでほんのりと甘い何かを注ぎ込む。
サイトはふわりと体が軽くなり、次いで全身の力が抜けてしまう。
「けけけっこう疲れてるみたいだし!プレゼントにマッサージしてあげよ
うと思って」
「ありがと……で、何だか体が動かないんですがご主人様」
「あんたすぐ悪い子になるから!動けないようにちょっと薬を。規定量飲
まないと効かない薬モンモンに準備してもらったの」
「なっ!」
さっきの甘いのは痺れ薬らしい。酷い奴だと言おうとした矢先、ルイズ
はサイトの服を上から脱がしにかかる。上半身が終わると下。パンツ一丁
になったサイトをうつぶせにすると上から跨いで背中を押し始める。
「あ、これはこれで」
サイトがやっと気持ちよくなってきた辺りでサイトを仰向けにする。ル
イズもコートに手をかけた。
「ママママッサージって、暑くなるじゃない?」
ルイズがばさりとコートを脱ぐ。中は以前にサイトが作ったせーらー服
姿で、いつの間にかルイズはポニーテールに変えていた。
「せめて、あんたの世界に近いかな、とか」
スカートから洗濯で見慣れたはずの白いパンツが見えてサイトは唾を飲
む。だが痺れ薬のおかげで首を動かすことも叶わない。
「むしろ天国……」
サイトは呟く。ルイズはお尻に当たる違和感を知らんぷりして、とんと
んとサイトの下半身の上で軽くお尻を跳ねさせる。次いでサイトの体に倒
れ込むと再びサイトの頭を撫でながらキスを繰り返す。
サイトの股を割ったルイズの太股が痛みのない程度の蹴りを入れる。切
ない呻き声を上げるサイトの耳元でルイズは囁く。
「使い魔も普通は好きにつがい探すの、ご主人様を困らせない範囲でね」
ルイズは再びサイトに再び唇を重ね、下唇を甘噛みする。
「でもサイトのこれ、クリスマスプレゼントにもらっていい?一生私だけ
のもの。いい?」
「……いい」
サイトの言葉にルイズは遂にサイトの棒をゆったりと握りしめた。
「勝手に使っちゃダメだからね。自分だけでも使っちゃ駄目」
ルイズの手がぎごちなく動く。一本自由に動かせず、せーらー服姿のル
イズに凝視され続けるサイトは限界に達した。ルイズは汚れた手をハンカ
チで拭き取りながら、再び薬瓶を袋から取り出して口に含む。
「これで明日の朝には動けるようになるから」
言って再び口移しでサイトに薬を飲ませると、サイトの頭を優しく抱い
てルイズは眠りに落ちていった。サイトもルイズの体重を感じたまま、深
い眠りについた。
「俺にもサンタが来たのか!いやー嬢ちゃん豪勢じゃねえか!……あ?相
棒は約束しただろうって?ああしたした!この薬と同じようなの飲まされ
ながらはっきり言ってやがった!」
翌日。ルイズサンタにモンモランシー謹製の剣磨き液をクリスマスプレ
ゼントとして塗られながら、デルフリンガーは夜にサイトがルイズにした
約束の証言者としてへらへらと笑った。
156 :
かくてる:2007/11/25(日) 13:53:12 ID:iQIPJs1P
投下終了
乙
ケータイで書いたのかね?
なんかよくわからん改行だな・・・
まーなんにせよ乙
いいねえサンタルイズ
GJだったんだせ!
うむ。素晴らしい
甘いルイズは大好きだ
GJ!
アニメ派の俺
なんでキュルケSSがあんまし少ないのか疑問だったけど
原作読んで理解しました。
・・・・・・・・・・無しだろアレは・・・普通のハーレム物を期待したのに・・・・
健康的だよなあ
163 :
かくてる:2007/11/25(日) 22:59:52 ID:sGlLo6gr
皆さん、ありがとうございます。
私は甘めのルイズor7巻末〜8巻のルイズが最も好きなので……。
>>158 秀丸エディタ執筆→手動で整形→Jane Doe Style(2chブラウザ)で投下。
ぶら下がり禁則で書いたりしてるので、どっかで整形を間違ったのかも。
修行しますです。
ところで、カクテルの「マルガリータ」にチェリーブランデーを1〜2ダッシュ
ほど加えたアレンジレシピにするとほんのり桃色のカクテルになります。
普通のマルガリータより飲み易くなりお勧めです。
見た目と飲み口から受ける最初の印象と比べて実際にはきつい桃色のカ
クテルになるので、私の中ではルイズなカクテルです。雑談スマン。
トマトジュースにタバスコ数滴にビールを注いだレッドアイ(というカクテルということになっているが
実質ビールのトマトジュース割)は俺の中ではキュルケ味
ほんのり辛くて微熱味
サイトはおそるおそるタバサの正面で正座になった。
タバサはじぃーっと彼を凝視していた。彼が自分の目の前に正座すると
タバサはそのままの形でぱたんと横に倒れこんだ。
そして、サイトに毛布をかけて、とお願いするのだった。
いきなりタバサが横倒しになった。
大丈夫か?と声をかけようとするのと同時に
「毛布をかけて」
と彼女が言ってきたのだ。
俺は彼女に毛布をかけてあげる。
すると、今度は
「眼鏡とって」という声がする。
タバサがすっと碧い瞳を閉じた。
両手をそーっと彼女のこめかみまでもっていって眼鏡のつるを摘む。
そして、耳につるの端っこがひっかからないようにちょっと上げ、ゆっくりと眼鏡を持ち上げた。
はずした眼鏡のつるを重ねて彼女の枕元に置いた。
眼鏡が取り払われた彼女の裸眼は新鮮な印象だ。
彼女の双眸がまたゆっくりと開かれた。
レンズ越しではない透き通るような碧眼がサイトの目の前にあった。
彼はその碧色に吸い込まれるように魅入っていると、その瞳の持ち主に手をつかまれたのだった。
「サイト、どうしてじっと私をみているの」
俺は我に返ってタバサの顔を改めて見た。
「い、いや、タバサの目を直にみたの初めてだったから――なんてかさ、『きれーだな』って」
感じたままを口に出した。すると、タバサは俺から少し目線をずらし、うっすらと笑みをたたえながら
「そう」
とだけつぶやいた。そして、再び俺と視線を合わせると
「早く横になって」
と催促されてしまった。
サイトは横になったが、タバサは不満顔であった。
「いっしょに毛布に入る」
彼は、彼女がくるまっている毛布には入ってなかったのである。
「で、でも・・・それはまずいんじゃ・・・」
サイトはやんわりと拒む。
彼女はそんな彼に眉間に少ししわを寄せた顔をずいと近づいて、
鼻と鼻がくっつくくらいまで接近してきた。
「ごほうび」
そう一言こぼすと彼女は毛布を彼に向かってがばっと開けた。
トリスティンの王宮内。
サイト、ルイズ、そしてタバサはラグドリアン湖での戦いのあと、
アンリエッタ女王の伝令フクロウにここに呼び出されたのだ。
「ルイズ。報告を感謝します。そして、お二方。今回のガリアの急襲をよく阻止してくれましたね。」
アンリエッタはルイズ、タバサ、サイトをそれぞれ視線を合わせて丁寧に感謝の気持ちを伝えた。
「今夜は、みなさんお疲れでしょうからごゆっくりお休みください。でも明日またこちらに来て頂きます。」
彼女は最後にそう付け加えたのだった。
部屋に戻る途中、ルイズは二人に問い質した。
「ねぇ、サイト。なんであんなとこにガリアの虚無の使い魔がいたの」
「俺に聞かれてもな。偵察かなんかだろ。でも彼女にかなりの深手を負わせちゃったから・・・生きて・・・ないかもな」
サイトの顔が苦悶にゆがんだ。
「大丈夫。あれは本体じゃない。おそらく、スキルニル。」
横からタバサが口を挟んだ。
「でもよ。どっちにしろ傷つけちまったんだ。」
ルイズはため息を一つ漏らして彼を言葉をかける。
「あのままだったら、きっとあんたたちのどっちかが、命を落としていたわ。
そっちよりか全然ましだわ――勝手なことしないでよ。また私をひとりにするつもりだったの?
そんなのやなんだから」
そう言うと、ルイズは彼の背中にそっと手を添えるのだった。
「じゃ。また明日」
タバサが自分の部屋へと戻っていった。
二人も部屋へと入ると、そのまま崩れるようにベットへ倒れこんだ。
「着替えないのかよ」
「いいわよ。もう面倒、疲れたわ」
「そか」
「サイト――」
ルイズはそう一言零すとサイトの胸の中にもぐりこんできた。
彼は黙って彼女の肩と腰に手を添え、きゅっと抱きすくめてあげた。
「心配したんだからね」
彼女は胸に顔を埋めたままそう言った。彼女の耳は真っ赤になっている。
サイトは肩に添えていた手を離して、小さくしゃくりあげる彼女の頭をなでた。
「ごめん」
その言葉にルイズはこくりと頷き、小さな手を彼の背中に回してぎゅっと抱きしめた。
その晩、サイトは彼女のすすり泣きが寝息に変わるまで、頭をなで続けたのだった。
>>163 >私は甘めのルイズor7巻末〜8巻のルイズが最も好きなので……。
うむ、素晴らしい。おまいさんとは友達になれそうだ
>ところで、カクテルの「マルガリータ」にチェリーブランデーを1〜2ダッシュ
(ry
おれは酒が飲めないんだよぉぉぉ
おまいさんなんか大嫌いだ・・・orz
……、うそ。またこんなルイズ書いてくれたら許す…
以上です。
はぁ。短すぎてほんっとすんませんでした。
それさておき、
ルイズ色、キュルケ色のカクテルいいですねー。
タバサ色といえば、ブルーハワイあたりでしょーか。
では、そろそろ12月、クリスマス盛り上げて生きましょー ノシ
>>169 GJ!
相変わらずおまいさんのルイズ(タバサも)はかわええな
続き待ってる
そして、割り込みすまん
リロードを忘れるなんて…orz
>>カクテルの「マルガリータ」にチェリーブランデーを1〜2ダッシュ
1ドットすら理解できねぇwwwなんだよマルガリータってチーズ?ダッシュって何よ走んの?wwww
とにかくクリスマスSS Gj……もうすぐ憂鬱な時期なんだよな…ゥァァァァァァァァァァァ
| |
|_|
|.し|___
|.っ|, | \
|.と|└L, | jJヽ
|団|\ しlv┘/|!
|に|__> l / ノ|
|注|〜イl、`ー ´(|
|意| ,' `¨⌒/
| ̄| ,' ∠-―- 、
| |__,/__, <__ >ー
| | /  ̄` /
>>171 新刊は25日発売だぞ?
こんなに待ち遠しいクリスマスがかつて有っただろうか
俺はここのSSで後1ヶ月耐える
13巻の紹介見て
……ビッチ姫がまた余計なことをしようとしてるwwwwwwwww
あっー!もうやめてー!姫様やめてー!
ロマリアをぶっ壊す By.才人&才人の手下タバサ
これで頼む。
トリステインはもう諦めた。 by トリステイン民主党
たしかな種馬が必要です。 by 日本強サイト
>>161 やあ俺。俺もアニメから知って原作読んで落ち込んだクチだ・・・・・。
一番キュルケがエロいのになー。褐色肌ってのもポイント高かったのに。
ゲームでその分楽しもうや相棒。最新作も週末発だ。
>>163 毎回お疲れ様です。かくてるさんのはパロディの部分が毎回面白いです。
これからも頑張って下さい。
私も甘い猫ルイズが好きです。が、条件反射とは恐ろしい。怒ったルイズ様を見れないと落ち着かないw
マルガリータは何度も呑みましたが、昔「赤い彗星」なんてオリジナル名のモノを呑んだ事があります。
あれ、今で思えば桃色だったしチェリーブランデーで染めたヤツだったのかな。
ブラッディマリーもいいですが、今はトマーテ(Asahi&KAGOME)なんてヤツも売ってますな
トマトジュースサワー程度の味でしたがorz
180 :
かくてる:2007/11/26(月) 23:18:10 ID:Ul81b+xr
>>179 どもです。元々リアルでも雰囲気重視な人間なものでこういう書き方なってます。
赤い彗星ですか。3倍速く酔いそうな……。トマーテはジュースサワー程度ですか。
キュルケはほんと、姉貴分というか方向性が変わっちゃいましたね……。
ギーシュとキュルケはいいヤツになった、という好意的な解釈をしてるけど。
酒話はスレチ以前にちょっと痛いからやめてくれ…
ssはGJなのに……
キュルケとコッパゲのガチエロSS書けばいいじゃん
サイトはすでにルイズとシエシエとテファとアン様とタバサによって分割統治されてるのでもういっぱいいっぱいです
キュルケ×タバサの・・・みなまで言うまい
分割統治って、大戦後のベルリンかよ。
そのうちサイトの心の中にベルリンの壁が建設されて、サイトが他の女に心を動かして壁を
越えようとすると、射殺されるようになる。
つまりルイズにとどまらず、トリステインの全ての民に〜世界の車窓から〜を奮い、しまいにゃ竜にも手を出す…と。
ダメだ、アン様がこないから、ボンデージ調教物の成コミでヌイてしまった・・・
はやくアン様きてくれー
自給自足という言葉を知っているかね?
>>187 つまり、サイトがマジックアイテムでテファの体になってしまって、狂喜乱舞したサイトが自分(テファ)の体で妄想を爆はt(ry
すまんかった
しかも感覚がテファにも伝わる逸品
↑↑↑↑↑
三次元画像
192 :
かくてる:2007/11/27(火) 23:28:20 ID:kig/nlPb
アンリエッタ+アニエス投下します。
「マッサージの極意」
「お呼びでしょうか」
アニエスはアンリエッタの私室を訪れた。アンリエッタはいつもの柔らかな笑顔で
彼女を迎える。
「多忙だというのにあなたは即座に駆けつけてくれる。感謝していますよ」
「もったいないお言葉」
アニエスは折り目正しく敬礼する。アンリエッタは声を低めて話を続けた。
「アニエス、そんなあなたにお願いなのですが、秘密は守れますか?」
「もちろん」
アニエスは迷うことなく答える。何の仕事だろうか。他国への密偵か、それとも謀
反の惧れのある者を調べろと言うのだろうか。緊張した面持ちで言葉を待つと、ア
ンリエッタは一冊の本を差し出した。
「先ほどルイズたちが来ていたのですが、二人の付き人として来ていたメイドがこ
の本を忘れていったのです」
あの黒髪の小娘か、とアニエスは思い浮かべる。善良そうではあるが、特別どう
ということもないメイドだったと思う。
「本を届けるのですか?何かのついでに行って参りましょう」
アニエスの言葉に、だがアンリエッタは奇妙な表情で首を振った。何かこの書物
に危険なことでも書いてあるのだろうか。
「まさか、あの小娘がレコン・キスタ……」
するとアンリエッタは吹き出してから慌てて手を振った。
「そんな話ではないのです。恥ずかしいことに私、勝手に本を覗いてしまったので
すが、中身に興味を持ってしまって」
言ってアンリエッタは本を差し出した。表紙には「新時代マッサージ極意」とある。
アンリエッタは頁を開いて冒頭の注意書きを指差した。
「失礼致しまして……『このマッサージは、される者とする者との信頼が最も重要
ですから、なるべく最も信用の出来る者にしてもらうこと』と」
アンリエッタは少し頬を赤くして言った。
「私も激務で体の節々が痛くて……。最も信頼出来る人と言えばルイズ、あなた。
あとはマザリーニぐらいですので、あなたにお願いしようと」
「そんなことであれば、当然勤めさせていただきますよ、陛下」
アニエスはむしろ誇らしい気分で依頼を受ける。アンリエッタは喜んで本をアニ
エスに渡した。アニエスは軽い気持ちで本を読みつつ準備を始めた。
「動きやすく、体温が伝わりやすいように、か」
さすが極意と言うだけある本であった。マッサージ師は体に密着する服1枚が理
想だという。アニエスはサイトから以前もらった、海戦の訓練に便利な紺色の水着
をまとった。訓練中の危険な際を考慮して、胸に白い布で名前を書いておくという
発想は非常にアニエスが気に入った実用的な水着なのだ。
次いで街で購入した香を幾つか混ぜて焚く。よくわからないが、肉体を活性化す
る作用があるとのことだ。鹿から採った成分が多いとのことで香水屋がずいぶん
と嬉しそうにしていたが、在庫が余っていたのだろうか。
陛下には恐れ多いことだが全裸になっていただき、柔らかい木綿のシーツで体
を覆ってうつぶせになっている。
「このところ、乗馬をする暇もなく体が緩んでしまって……」
「そのようなことはございません、陛下。むしろ美しいですよ」
アニエスは自分の筋肉質の体と見比べる。鍛えた自分の肉体に誇りは感じてい
るが、アンリエッタの高貴な白い肌には女性として憧れを抱くのは当然だ。だが、ア
ンリエッタが見込んだアニエスだけあって、それは嫉妬よりもむしろ守らなければ
という気持ちへと昇華してしまうのだ。
アニエスは本にある通り、アンリエッタの腰に跨ると首筋を揉み始める。首から肩
へ、次いで背中を外側から背骨に向かって揉んでいく。途中、指先で背骨を刺激し
たり耳たぶを刺激する点が極意なのだ。アンリエッタは寝息を立てたと思うと刺激
で体を震わせる。普通は睡眠を邪魔するなど具の骨頂だと思うのだが、この本に
よればそれもまた極意なのだという。
アニエスは真面目にマッサージを続けてふくらはぎ、内股へと進む。
「あ、あふ」
アンリエッタは奇妙な声を上げるが、アニエスは真面目にマッサージを続けた。
やっと背中側が終わったので仰向けになってもらう。これは体温を伝えながらなの
で布を外して行う。
「あ……ぁん」
「肩こりに効くそうですよ」
言ってアニエスはアンリエッタの胸を握った。肩こりは胸の大きいほど酷いそうだ。
たしかに自分は肩こりはしないしルイズもしたことがないと言っていた。おそらく、あ
のメイドも肩こりに悩んでこの本を買ったのだろう。
「アニ…エス……ちょっ……あぁ、もっと」
「よろしいですか?」
アニエスは冷静に乳首を摘まんで弾く。これは東方のツボという理論体系による
ものらしい。左胸を揉みながら右手でへそを刺激する。
「ふにゃ……は……あ」
さらにアンリエッタは変な声を発し始めた。
「大丈夫ですよ」
アンリエッタは本の通り、耳元で囁いてアンリエッタのよだれを拭く。アンリエ
ッタは潤んだ瞳でアニエスを見つめる。遂にアニエスは最終頁にあった極意を頭
の中で復唱した。
「陛下、失礼いたします」
人差し指をアンリエッタの唇にあてる。なるほど、本の通りアンリエッタが指に
吸いついてくる。アニエスはもう片方の空いた手を茂みの奥へと差し入れていく。
つぷり、とぬかるんだ音が聞こえる。
「陛下、ここから先は……」
これはまずいな、とやっとアニエスも気づいた。だがアンリエッタは潤んだ目で
アニエスの指を前歯で甘噛みしながら告げた。
「アニエスのこと、信用していますわ。大事な、一の忠臣のアニエス。私のこと、
もっともっと……して」
「陛下!」
アニエスの脳が焼き切れた。アンリエッタの胸に舌を這わせる。アンリエッタは
怒るどころかアニエスの頭を抱きしめる。アニエスの手はアンリエッタの体の奥を
かき回した。ぴちゃり、指先を滴が這い流れる。アニエスは滴を掻き出してはさら
に奥を揉みほぐしていく。
「アニエス、アニエス!私、私もう!」
そのままアンリエッタは痙攣して脱力した。
「……陛下、この本は」
「素晴らしい本ですわ!アニエスもお疲れ様でした」
叱られるどころか褒められてしまい、アニエスは次第に不安になる。無礼とか
そういう次元ではなく、陛下の考えていることは。
案の定、アンリエッタは裸体を白布で隠しただけの格好でアニエスの肩にしな
だれかかりながら囁くように言った。
「このマッサージについて、私以外の誰にもしてはなりません。あと、してもらう
のも禁止します」
「……はあ」
「あと……アニエス、今はあなたも恋人はおりませんね?」
アンリエッタはひきつった笑みでうなずくアニエスの首に手を回した。
「使い魔とメイジのカップルがあるのですから……女同士もありですよね?」
アニエスのファーストキスはこうして奪われたのだった。
196 :
かくてる:2007/11/27(火) 23:34:29 ID:kig/nlPb
投下終了。アン様は初でした。
GJ
俺のRPGが暴発してしまったではないか!!
GJ
姫様はどんだけ惚れやすいのやらw
ところでタバサの冒険2読んでてて思ったんだが火竜×シルフィってアウトorセーフ?
>>196 イイヨーイイヨーアン様GJだよー
サイトにマッサージさせると何が起こるか分からんからなw
>>198 アウト:セーフ=51:49
くらい
>>196 GJです!思わず涎が…w
>>198 本気で火がつきそうw
>>199 サイト&アンリエッタ VS ルイズ or シエスタ の構図で
対決になりそうw
201 :
ボルボX:2007/11/28(水) 01:34:35 ID:8Um2yxCF
かくてる氏GJ!
久々にシリアスシリーズ投下します。
すみません……オリジナルキャラ出まくりのこのシリーズ、これまで人物の固有名はどうにか避けようと姑息な手を尽くしてきたけど、限界っぽいので開き直りました。
調教録ではエロ書いてますが、こっちのシリーズではアン様と才人ヤってさえいませんのでご注意をば。
夕日が山の端に最後の片鱗をのぞかせている。落日の瞬間だった。
早春の冷たい夜露がおりはじめた、アルビオンの緑豊かな森の中。数十メイル四方にわたってひらけた空き地。
銃口から立ちのぼった硝煙の臭いと、いまも絶叫とともにまき散らされている血の臭いが、森の清冽な空気にまじっていく。
空き地の中にそびえる白い塔の番人は、爪と歯をもって、みずからの守護地を侵そうとした人間の体を破壊していた。
空堀をわたり、塔へとつづく橋の上。そこで捕らえられて、腹を裂かれているメイジの断末魔の声。
それはおぞましいことにまだ続いている。
「アニエス……」
怯えからくるおののきを隠せないルイズの声に、アニエスは短く答えた。
「けっして他の者から離れるなよ。あいつは速いし、飛ぶぞ」
それはルイズとおなじく戦慄している、自分と他全員の近衛隊士にも向けた言葉だった。
ルイズを背にかばったまま、アニエスは後ずさりした。眼前で近衛兵の一人を引き裂いている怪物に剣を向けながら。
その魔法人形(ガーゴイル)の姿は、人の頭に双の乳房、ライオンの体にワシの羽。
「幻獣スフィンクスの人形か、人食いの魔獣を模した人形が番人とは悪趣味きわまる……
何をしている、次弾装填!」
マンティコア隊などのメイジ近衛兵とともに、蒼白になって酸鼻な光景を見ているだけの銃士隊員にむけ、アニエスが怒声を飛ばした。
その腕をルイズがつかむ。
「一度もどって、態勢を立て直したほうがいいわよ!
さっきの一斉射撃でもほとんど外れたし、当たっても効かなかったじゃない!」
魔法もかわされた。何発かは命中したはずだが、銃弾のときと同じで動きが鈍りもしなかった。
「わかっている、だがあれが夢中になっている今なら――」
唐突に悲鳴が絶えた。
絶息した犠牲者の腹から、血まみれの顔をそのスフィンクスが上げる。
アニエスはわれ知らず固唾を呑んだ。その獣の鋭い爪は、もともと古い血で茶色く染まっていたが、いまは新鮮な血で赤く塗されている。
髪がなくのっぺりとした頭部。血でよごれてわかりにくいが、おそらく女の顔。その目に瞳はなく、魚の腹のような白目があるだけ。
ちくしょうと呻き、アニエスはルイズに背中を向けたまま言った。
「……逃げてすぐに館に戻るぞ、陛下が危ないかもしれん」
その言葉に衝撃を受けたのか、ルイズの声が高くなる。
「どういうこと!?」
「あの森林監督官、『王の森』にこんな怪物がいることを黙っていた時点で、底意があるとしか思えない。
その意味にかぎり、サイトを館に残してきたのは正解だった。あいつの本領は護衛だからな」
背後でルイズがあいまいな表情でうなずく。
それを見てはいないが、アニエスは続けて激した言葉を吐いた。
「ウォルター・クリザリングを締めあげてやる! 隠していたことを今度こそすべて吐かせてやるぞ」
スフィンクスの四肢が動いた。
静かに悠然と、犠牲者をまたいで橋の上を歩いてくる。威嚇するようにその翼が大きく広げられた。
夕闇は青から藍にかわりつつある。それが黒に塗りつぶされても、おそらくこの魔法人形は人間たちとちがって意に介するまい、とアニエスは再度舌打ちした。
こいつは死なない。銃弾を命中させても魔法で焼いても平然と動きつづけた。ルイズの『ディスペル』を浴びれば倒れるはずだが、素早すぎて命中させられないのだ。
聞いた伝説のとおりなら、こいつを動かす『永久薬(エリクシル)』はまさに塔のなかにある。
その塔のなかに入れないのだ。扉は、何かの力でかたく閉ざされていた。ルイズのディスペルをかけたところ力は薄れるのだが、不思議と盛り返すのだ。
……が、このとき異変が起きた。
ルイズがあっと声を上げ、歩み寄るスフィンクスのことも忘れたか、アニエスの隣にならんで怪物の後ろを指さした。アニエスももちろん見えている。
あれだけ押し引きしてもびくともしなかった塔の鉄の扉が、おそらくは落日の瞬間に合わせ、きしみながら開きはじめていた。ルイズが手をたたいた。
「あれなら入れ――」
その声が途中で止まったのは、開く扉の向こうで蠢くものたちを見たからだろう。アニエスの顔もひきつった。
ミノタウロス、首のない巨人、大サソリ、大きな毒牙のある蜘蛛、目のない大蛇、亜人や幻獣や神代の昔の奇怪な動物たち。おそらくすべて魔法人形ではあろうが。
塔の番人たちは、開いた扉の向こうから、なだれ落ちるようにこぼれ出でて、スフィンクスの後を追うように橋をわたってやってきた。
わずかでも食い止められるとは思えない。
「射撃用意やめ、総員退却。みんな走れ」
アニエスはどうにかそれだけつぶやき、身をひるがえすとルイズの手をつかみ、その小柄な体を引きずるようにして逃げはじめた。
話はさかのぼる。
その日の午前のうちに。
アンリエッタは船室の窓から、眼下の森を見おろした。
宝石をはめこんだ王冠。冬から春先用のラムズウールの白ドレスに、紫のマントを身につけている。いつもの女王の衣装だった。
早春の正午前、浮遊大陸アルビオンの澄んだ冷たい空気。
晴れた空の中、森の上をゆく中型のフネ、その最上級の船室。
背後のマザリーニの話を聞きながら、ガラスのはめられた窓に椅子を寄せて、物憂げなまなざしを下界にそそぐ。
下の広大な森にはシラカバ、ブナやオークの木々がうっそうとどこまでも茂っている。
ここはかつてのアルビオン王家の猟場であり、直轄領であった「王の森」の一つだった。
広大な森の一画に、ぽつんと小さな尖塔が立っている。アンリエッタはつい、それが何であるのか目をこらして見極めようとした。
が、緋毛氈の敷かれた船室の中央に立っているマザリーニが、女王の背後から言葉を続けたので、注意を引き戻されざるをえなかった。
「この規模のフネは商船には最適ですな。このようなフネを十数隻所有しているそうです、ウォルター・クリザリング卿は。
やはり彼の力を借りようというラ・トゥール卿の申し出は、吟味にたるものです。王家の財政にとっても良き話のようですし。
今回のアルビオン行の出費にせよ、ラ・トゥールの懐に負うものが大きいのですからな。話を真剣に聞くくらいの礼儀は必要でしょう」
「最近は、お金の話ばかりですわね」
アンリエッタに嫌味のつもりはなかったが、不用意につぶやいたのがまずかった。
黒衣の痩せた宰相は表情を変えもしなかったが、気分をいたく害したのがはっきり伝わってきた。
「陛下、王家の台所は、先年のレコン・キスタとの戦争のこともあってまだまだ火の車なのですぞ。
本来トリステインは小国なれど豊かな国です。が、国土の収入と王政府の収入は同じではありません。
ましてやこの冬、あなたが強引に着手した平民軍の創設は、多くの貴族どもの反感を買ったわりに金がひどくかかっているのですよ」
さすがに先ほどの発言は不注意だったので、くどくどと続くお説教を黙って聞くしかできない。
アンリエッタはこっそり円形の窓に向かってため息をついた。
言われることはいちいちもっともなのだった。
問題になっているのは、彼女が新設した志願兵による平民の常備軍である。
数ヶ月前の秋の事件では、敵も味方もメイジではなく平民が中心になって戦闘を行ったのだ。
そこで王都にもどったアンリエッタは、ながらくメイジ中心であった王軍の改革に着手したのだった。
財源が問題だったが、それは一つの策でどうにかなった。しかし、その策もまた責められるもとになっている。
マザリーニが咳払いした。
「それと陛下、貴族たちをこれ以上怒らせることは避けなければなりません。平民にあまり肩入れしすぎ、貴族に厳しすぎると、陛下は思われはじめているのです。
……『武器税』は、さすがにやりすぎでしたな」
「枢機卿、あなたも巡幸の直後、言ったでしょうに。
いつか諸侯たちの力をそぐ必要があると。いまのトリステインは、諸侯の力が強まりすぎていると。
武器税によって王軍は、諸侯の力の一部を自分のものと出来たではありませんか」
女王は顔をあげて、枢機卿に強い視線を向ける。
そこには彼女なりの正義感と、政治的な思慮が介在している。
先の巡幸で、みずからの領民を虐げていた貴族を彼女は見たのである。一部の暴悪な貴族から、民を守る必要があると少女は思ったのだった。
王権を強化すること、諸侯の過ぎた力をそぐこと、平民の権利を拡大すること。
それは同一の線上にあるのではないか。そうアンリエッタは漠然と思いはじめていた。
「私が申しあげたのは、気づかれないようにじわじわと、ということでしたぞ。
あなたが発案し、強引な手続きをへてとつぜんに施行した武器税によって、武器を一定以上保持していた中規模以上の貴族は、王家に対しあらたな税を納めなければならなくなりました」
いまの枢機卿は政治家の顔をしていたが、内実は弟子にたいして辛抱づよく指導する教師なのだった。
「税を払いたくない貴族は、あせって武器を売る。すると世に流通する武器が多くなり、値段が大きく下がる。
それを王家が安く買いあげ、新設軍の軍備にまわす……はは、どちらに転んでも王家にはうまい手でしたな。
――あなたはときに利口な手を思いつきますが、他者を出し抜く道はかならずしも賢明な道ではありませんよ」
諸侯から買った恨みは、この先どう不利に働くかわかりません。
マザリーニの陰気な表情は、アンリエッタをそう叱咤していた。
女王はごく薄くルージュをひいてある唇をかみしめた。
(大貴族たちは多くの免税特権を持っているわ。度をこした贅沢をしたり、投資に失敗さえしなければ平民よりはるかに豊かなのに、国庫にむくいる比率はより少ないのよ)
もともと、潔癖なところのあるアンリエッタである【9巻】。
思いさだめた後は、行動が拙速といえるほど果敢になることがしばしばあった。
「マザリーニ。わたくしはトリステインの女王ではないの? 諸侯の主君ではないの?
それなのにいちいち彼らの機嫌をうかがわねば、民のために何事もしてはならないのですか?」
「……あなたの祖父、偉大なるフィリップ三世が玉座にゆるぎなく君臨した古き良き時代には、王は名実ともに諸侯の『主』でした【2巻】。
ですがいまの世では、貴族たちの『長』の地位と思ったほうがよいでしょうな。このことをよく考えてください」
マザリーニは最後にそれをのみ言うと、口をつぐんだ。
…………………………
………………
……
ほどなくフネは『桟橋』の木【2巻】に停泊した。
まず部下たちが降り、アンリエッタとマザリーニは最後にタラップを降りた。
彼女を待つ数十名の中、並んだ桃色の髪と黒い髪が視界にはいった。
どきりとして、女王はルイズと才人から目をそらした。彼らとも久方ぶりに顔をあわせることになる。
降り立ったそこは、すぐ館の庭である。
煉瓦のように切石を積みあげてつくった外壁が立派な、館というより城というべきそれの前に、衆に取り巻かれてひときわ目をひく二人の貴族が立っていた。
その二人の男が片ひざをついて、女王の来臨を丁重にむかえた。
トリステインの河川都市トライェクトゥムの領主にして市の参事会員、アルマン・ド・ラ・トゥール伯爵は四十七歳。
尖った口ひげ、たくましい体にぴったりしたダブレットおよびズボン。マントは藍色。
野心家とのうわさに外見も合わせているかのようなこのトリステイン貴族が、今回の女王のアルビオン来訪を希求し、費用の多くを負担したのである。
その横。
この館の主、アルビオンの『王の森』の森林監督官、ウォルター・クリザリング卿のほうは、ゆるやかなあずき色の服と狐の毛皮のコートを身に着けている。
年齢は三十代後半とのこと。やや繊弱ながら美男といっていい顔立ちだが、どこか暗鬱な雰囲気をただよわせている。アルビオンの王立アカデミーに論文を寄稿し、学士号をとった秀才でもある。
二人とアンリエッタが形どおりの挨拶をかわした後、ラ・トゥール伯が発言の許しを得て言上した。
「陛下、このようなあわただしい日程になって申しわけありませぬ」
「まさか。マルシヤック公爵に引き止められるまま、ロンディニウムに予定より一日多く滞在してしまったのはこちらの都合です。わたくしが謝らなければなりません」
今回は、形としてはトリステイン出身の代王マルシヤック公爵【8巻】と会い、彼によるアルビオンの統治の詳細な現況について、直接の報告を受けるのが主目的ということになっていた。
クリザリングの館に寄るのは、そのついでということになる。しかし、ある意味ではこちらが旅の目的だったのだ。
「では陛下、昼食会をかねて本題に入ってもよろしゅうございますか。中庭に用意はととのっております。
旅の疲れも癒えぬうちに急な話、お許しください」
ラ・トゥールは礼儀正しくはあったが、まるで自分の館のように傲然として悪びれない態度。良くも悪くも、貴族的な尊大さがにおう男であった。
館の主、クリザリング卿はそれを気にするふうもなく、アンリエッタ一人を見ていた。
…………………………
………………
……
サクラソウの咲きほこる中庭には樫のテーブルがしつらえられ、料理の大皿が運び込まれていた。
アンリエッタはそれを一瞥した。
白ワインで蒸したらしきヒラメ。シャッドという魚を胡椒をつけて焼いたもの。ムール貝のバター焼き……鮭にマスにシタビラメ、カレイやボラや、珍しいものでは鯨まで。
(魚介類?)
クリザリング卿が召使たちに指示を飛ばしている間、ラ・トゥール伯爵が少しのあいだ消えていたが、その姿がふたたび見えたとき彼はワイン瓶の大樽をひとつ、同行した秘書官に抱えさせていた。
あっけにとられているうちに、横向きにした樽の栓がぬかれ、グラスに注がれたワインが女王の一行それぞれに配られていく。
飲んでみるようにすすめられ、わけがわからないながらもアンリエッタは飲み干した。
フルーティーな味。甘いさわやかな、新物の白ワインだった。
「……なるほど」
ふいに横で、マザリーニがつぶやいた。理解の光がその目にある。
「空路の交易拡大、というわけか。
王家にもとめるのは、投資ですかな?」
ラ・トゥール伯爵が、満面の笑みを浮かべた。
「さすがに明晰でいらっしゃる。そのとおり。
ここにそろえた新鮮な海の魚介類、質がよい新しいワイン――いずれもトリステインではありふれたもの、しかしアルビオンでは安く手に入るものではありませぬ。
この空の国に海はなく、塩漬けのニシンやタラを下界と交易して手に入れるのが関の山ですからな。
またアルビオン人はワインを飲む習慣があまりなく【7巻】、市場開拓の余地はじゅうぶんすぎるほどにあると思われます。
これもまた、原産地であるガリアやロマリアと通じる大規模な流通経路が確保されていないため国内のワインの量が少なく、高価になって庶民が手をだしにくいためでしょう」
よって、とラ・トゥールは続けた。列席者の大半は、何を言わんとするかすでに理解していた。
「空路交易により、これらの新鮮な商品を安くアルビオンの民に提供するのです。ごらんください、この領地にはフネが停泊できる立派な港があります。また、商船に転用できる立派な船団がすでにあります。
この私、トライェクトゥムのアルマン・ド・ラ・トゥールは、河川都市連合商会の代表者として、空路開拓の道すじをつけるためにここに来ました。
クリザリング卿の船団と港を借り、株式会社という形で空路の交易事業を起こします。
その株主として王家も参画しませんか。数年で、元手の数倍に達する利益をあげてみせましょう」
王家に対し、対等の呼びかけという形。アンリエッタは媚びへつらわぬその態度にかえってすがすがしい印象をいだき、微笑未満の表情をうかべて質問した。
「王家が援助しない場合には?」
「やむをえませぬ。大貴族やほかの都市におもな株主となっていただくでしょう」
ここでマザリーニが受けた。
「資金のことだけではない。いまのアルビオンのような各国の利害がからみあう地において、そのうち一国の政府の後ろだてすらない民間事業がうまくいくと?
現アルビオン当局の認可が下りるかどうかさえ疑わしい」
「ええ、その場合は、トリステイン王家以外でどうにかしてくれるところを探すでしょうな」
援助してくれなければ他国にこの話を持ちこむ。そう言ったも同然で、危険なせりふだった。それを、ラ・トゥール卿はさらっと吐いた。あるいは平然をよそおっている。
アンリエッタはマザリーニと顔を見合わせてわずかに首をかしげ、考えこむそぶりを見せた。
実のところ、これは試してみる価値のある話に聞こえた。すでに王家が提案を受けることは七割がた決まり、互いの利権のラインをさだめる駆け引きに移っていることを双方が承知している。
ラ・トゥールが強気に出ているのも、最初から弱気に出ると王家に利益をむさぼられかねないと警戒しているのだろう。
クリザリング卿が、話がどうでもよいかのような表情を浮かべ、奇妙な沈黙を保っていることに気づき、アンリエッタは彼に水を向けてみた。
「クリザリング卿はどうなのでしょうか? この話において、船団と港を提供する彼の同意は得られているのですか。
たしか、わたくしたちがトリステインを出る前には、クリザリング卿のところにこの話は持ちこまれていなかったと聞きますが」
答えたのはラ・トゥールだった。
「むろんです。急な話ではありましたが、数日前に合意はすでに得ています。彼は彼ですでに空輸事業を手がけていたそうですが、革命騒ぎの間はそれもままならず、戦争が終わってからはなにかと……
ええと、アルビオン人ということで肩身が狭くてですな。彼は静けさを好む人間でして、アルビオン現当局とこれまでうまく人脈をつくれなかったようです。
われわれと組めば事業を拡大さえもできるというわけです。トリステインでの買い付けとなれば、河川都市がそれに協力できますからな、ほかより得な条件で」
クリザリング卿が不遇という話に、アンリエッタは気まずいものを覚えた。
女王はじめトリステイン政府がアルビオン人を差別し、抑圧しようとしたわけではない。だが、やはり占領は占領で、さらにガリアやゲルマニアの役人、兵士たちも代王政府にはいるのだ。
生粋のアルビオン人が階級を問わず、さまざまなところで忍従を強いられているのは想像に難くない。
結構です、とアンリエッタはうなずいた。
「では、王政府としてはこの話を真剣に考えさせていただき――」
「お待ちいただきたい、商談とは別に、手前には申しあぐるべきことがあります」
女王をさえぎったのは、クリザリング卿だった。本来はそれだけでも無礼であったが、くわえてその男は驚くべき行動に出た。
大きな眼球でアンリエッタに粘つくような視線を送っていたその男は、薄く笑うと、先ほどのように片ひざをついて女王の足元にひざまずき、次の言葉で場に雷電をはしらせた。
「天地も人も照覧あれかし。火と水と土と風と虚無にかけて、始祖ブリミルの御名にかけて。
手前ウォルター・クリザリングは、あなたに求婚します、トリステインの女王アンリエッタ陛下」
中庭の誰もが絶句した。
アンリエッタは呆然と、目の前にひざまずいたその『王の森』の森林監督官、かつてのアルビオン王の代官を見る。
ひざまずく彼の背後ではラ・トゥールが目をむき、殴りつけられたような表情をしていた。
この男にとっても明らかに、これは想定外だったようである。
ところ狭しと食卓に並べられた魚料理は、誰にも手をつけられないまま湯気を立ちのぼらせていた。
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「ただいま戻りました、陛下」
波乱の昼食会の後、数刻ばかり。
石の鈍色の壁、館の一室。
集っているのはアンリエッタとアニエス、それにルイズと才人の主従。木の机をはさみ、アニエス以外はそろって机とおなじ桜材の椅子に腰を下ろしている。
アニエスは革の手袋を脱ぎ、アンリエッタの机の横に直立して、開口一番にそう言った。
彼女はアンリエッタの船が到着する一足先、早朝にこの領地にやって来て周辺を調べていたのだった。
アンリエッタは調査から帰ってきた部下に、ほっとした顔を見せたものの、すぐ謹厳な表情に戻ってうなずいた。
「ご苦労さまでした。やはり、なにか変わったことがありましたか?」
「はい。周辺地域でのうわさ話のとおり、ここはおかしなところのある土地です。
われわれ銃士隊は朝から数時間『王の森』を歩きました。地形や途中の小屋の位置は、クリザリング卿の説明とほぼ合致しました」
その名が出たとき、女王がやや動揺した様子を見せた。ルイズと才人も似たような表情で沈黙している。
アニエスが「陛下?」と不審そうに眉をよせる。
「いえ……気にしないで。報告を続けてください」
「では陛下、申し上げます。ラ・ヴァリエール殿の『虚無』の協力をあおぐ必要があるかと。
われわれは空の上から見た塔をさぐりました。
塔の扉は堅固に閉ざされていますが、錠らしきものが見当たらず、またどれだけゆすぶってもきしみさえしないのです。まるで一枚の壁です」
あの塔だわ、とアンリエッタは一人ごちた。空の上から見た、森の中の奇妙な尖塔。
ルイズと才人も見ていたようで、のみこめた顔である。
その二人のうち主人のほうが、発言した。
「わたしの虚無で、その塔の扉をどうにかしようというわけ?」
「しかり。貴殿ならどうにかできるかもしれん」
「待って、アニエス。その前に、なぜそんなことをする必要があるのか、聞かせてもらえないかしら?
姫さ……陛下の思し召しであれば、むろん従うけれども」
アンリエッタとアニエスは顔を見合わせた。
「話していなかったの、アニエス?」
「……失念していました。忙しくて顔を合わせる機会がそうはなく、たまに会ったらアホなことばかりで……サイトが」
アニエスにぎろりとにらまれ、横からのルイズの視線もちょっと冷ややかなものになり、才人は居心地わるそうにそわそわした。
前回の事件の余波で、傭兵隊長相手に彼とギーシュの作った借金は王家が立てかえた。
大手柄を立てておきながら大ひんしゅくを買った彼らは、この数月フルに活動してどうにか借金を十分の一ほど返したところである。
その冒険譚については……思い出したくもない。
(数ヶ月であれを一割返せたって、かなり奇跡的な話だと思うんだけどな……自分のために使ってたら一生食える額だぞ)
才人の内心のぼやきをよそに、女性陣は目を見交わしあって何やらうなずいている。
「秋の事件にかかわる話なのです。あなたたちも当事者ですから、すべての情報を知る権利がありますわね。
アニエス、彼らにあらためて説明してください」
御意、と女王に頭を下げ、銃士隊長は二人に向きなおった。
「これまで事後経過を明かさなかったことは詫びよう。
先日、陛下を襲撃した者たちは死んでいるのだ。首謀格の八人。〈山羊〉と呼ばれていた首領および〈ねずみ〉ほか七人の、雇われたメイジ共が。
王都に護送する途中で、囚人用の竜車の中で奇怪な死をとげている」
淡々と語るアニエスに、わずかに息を呑んだルイズがまた質問した。
「奇怪な死、とは?」
「互いに首を絞めて殺しあった。または自死した。
最後に死んだらしき〈山羊〉だが、こいつは舌を噛み切り、それを半ば呑みこんでのどにつまらせ窒息死している。
ちなみに竜車には、頭も通らない明かり窓、それも鉄格子のはまったものしかなかった。自死に見せかけた他殺の線はない、と報告された」
この異様な話をはじめて聞かされた二人の表情はこわばった。
すでに報告は受けていたアンリエッタも、うそ寒い様子で机の上に置いていた手をにぎりこんでいる。
内輪の四人のみ集ったこの部屋の内部が、急に薄暗さを増したようでさえある。
「だが、私は納得できん。あの襲撃に関する多くの情報が、やつらと共に失われたのは間違いない。口封じだと思う、どのような手段かは知らないが。
あれから数ヶ月だが、銃士隊は今なお調査にかかっている。しかし少々行き詰まり気味でな。
武器の出所や敵兵の陳述内容、資金の流れを調べても、決定的な手がかりは見つけられなかった。ゲルマニア当局とも渡りをつけて調べてもらっているが、そちらも望み薄だ。
この際、関係がありそうなところを片端から探ることにした」
ルイズが話にうなずく。
上質の黒テン毛皮のマフを巻いた以外、いつもの魔法学院の制服であったが、今回のアルビオン行きでは、継承権を持つ王家の重要人物として同行している。
こちらもいつものパーカーの上に、防寒のため冬用の騎士のマントをしっかりはおってきた才人が手をあげた。
「怪しげなところって、ここアルビオンだけど。なにか目星がついたんですか」
「目星といえるほどはっきりしたものではない。ぶっちゃけると勘だ。
各国の利害がからみあう地とはいえ、アルビオンはトリステイン政府の権力がおよぶ範囲なので、なにか怪しいことがあれば伝えるよう指示することができた。
いくつか明らかになったことがある。まずここ『王の森』の治安は、はなはだ悪い。マーク・レンデルという男に統率されたならず者集団が、王の森で跋扈しているという」
「アニエス、それが? 盗賊みたいなあぶれ者って、わりとどこにでもいるわよ」
「いや、話としてはここからが本命だ。
――〈永久薬(エリクシール)〉があるという、この森には。荒唐無稽なうわさ話としか思えんのだがな。
その薬は『永遠』と『富』を生むという。周辺地域でまことしやかに語られていた伝説を、大体まとめた調書があるから読んでみろ」
耳慣れない〈永久薬〉という単語に、とまどう様子のルイズのひざにアニエスが一冊の冊子をぽんと投げた。
才人が横からのぞきこむ。読んであげるから顔をひっこめなさい、とルイズは手をふって朗読しはじめた。
「王の森の〈永久薬〉。千年前に、有能な錬金術士ゆえアルビオン王家の賓客となり、森に住むことを許されていた『塔のメイジ』が作り出した」
「〈永久薬〉の効果は、これを投与された物質を変質させ、効果や力をなかば永続させる」
「最後に〈永久薬〉をみずからに使った『塔のメイジ』は、今もなお魔の塔の頂上で生きているという」
ここまで読みあげて、ルイズはなにか言いたげに顔を上げた。が、アニエスに無言でその先をうながされ、朗読を続行する。
「〈永久薬〉の作り方は塔の秘奥であり、千年間、さまざまな者が塔に入ってそれを作ろうとした。数人は成功したが、始祖に呪われたこの術は、ついに幸福をもたらさなかった。
ある者は無限に金をうみだそうと考え、杖に錬金の魔法をかけて、それに完成した〈永久薬〉を使った。
その杖は触れるものを際限なく金に変え、持ち主をまず金塊にした。部屋一つが金になったところで、弟子たちが魔法を飛ばして杖を壊した……
……アニエス。これらのヨタ話が、先の事件と関係あるの?」
「怪しいことは何でも調べておきたい。
とにかく、先年の事件では大量の資金が動いたのだ。武器をあつめ、傭兵をやとい、国境を越えさせ、証拠をもみ消しているのだぞ。
それにもかかわらず、トリステインやゲルマニア内部で資金の流れを大きくつかめないのは、金の直接の出所がさらに他国からだからではあるまいか。
潜在敵国であるガリアの陰謀と考えられなくもないが、もっとも怪しいのは占領下にあるアルビオンだ。さまざまな勢力や思惑が入り乱れ、いまは水面下での金の動きも大きい土地なのだ」
半眼になったルイズに、至極まじめに答えるアニエスだった。
「この領地に、ほかに妙なことがないではないのだ。
現アルビオン政府によると、この館の主は『王の森の警備』のために、政府に風石(フネの動力)を大量に要求しつづけている」
「それはさっき話に出たマーク・レンデルというならず者のためじゃないの?
船団をつかって盗賊を追いつめるなら、監督官としての公務ともいえなくはないもの」
「平民の盗賊団だ。それにフネまでを使い、長い期間をへても根絶できないというのは妙だな。よほど相手が巧妙か、本気で根絶する気がないかだと思うが。
……クリザリング卿はフネの一部を交易に使っている。
政府から支給された風石を横領して動力費を浮かせているのではないか、とも思ったのだが、徴税請負人の調査によると、その分の風石はちゃんと買い入れているらしい。
それでも、どこか妙な気がする」
「……わかったわよ。とにかく一緒に行きましょう」
そうアニエスに告げたルイズは、ふとアンリエッタを見た。
ルイズとアニエスが話していた間、女王と才人はほとんど発言していない。
久しぶりに会った二人はたがいに軽く横を向き、卓をはさんで向かいあっていながら不自然に目をそらしあっている。
ルイズの目がすっと細まった。
そういえばこちらの問題もあったのである。再戦うんぬん。
まあこの二人なに意識しちゃってんのかしらふふふ、と全く表情を変えずにのどの奥で怖い笑いをもらし、すみやかに退室せねばと思いさだめる。
とりあえず気晴らしに卓の下で才人の足をぐりっと踏み、小さな悲鳴をあげさせてからアニエスに確認をもとめる。
「アニエス、それでいつ行くの?」
「今から」
「ちょ、ちょっと待って! 急すぎない!? 夜になっちゃうわよ!」
「陛下を筆頭に、王宮の者はだれもかれも忙しいんだ。時間を無駄にしたくない。日が暮れたら途中の小屋で寝泊りする。
銃士隊が同行するから安心しろ」
ここで、アンリエッタが反応した。
「メイジも付けましょう。近衛隊を裂いて連れて行きなさい、森の盗賊たちが寄り付けないように。こちらにはラ・トゥール伯爵が同行した警備兵たちがいますから。
それと少し席をはずしてくれないかしら。ルイズと少し話したいの。……サイト殿、あなたもできれば」
メイジがあまり好きではないアニエスは嬉しそうではなかったが、淡々と「御意」と述べた。同じ近衛隊なら「陛下の命令」ということで一応は団結できる。
才人もこれまた軽くうなずいて席を立つ。
アンリエッタに二人だけの話をもちかけられ、淡々どころではないのはルイズだったが、緊張をおさえて彼女は腰をおちつけた。
…………………………
………………
……
「クリザリング卿の求婚をどう思いますか、ルイズ?」
二人が去った後、アンリエッタは開口一番、謹厳な声でそう問うた。
アホ使い魔の話が飛び出すかもしれない、とルイズは戦々恐々としていたが、存外に真剣な意見をもとめられて少々恥ずかしさを覚えた。
それを隠すように自分自身も姿勢をただし、誠実な臣下の顔にきりかわって主君に答える。
「問題外ですわ。たかが一代官の身分で、あのような場での求婚。無礼のきわみとさえいえましょう」
アンリエッタはうなずいた。こちらも政治家をこころがけようとする顔になっている。
二人は、なにもクリザリング卿が、女王にくらべて低い身分であるため蔑視しているわけではない。
ただ、求婚という時点で、ことは「公」に属するものに切り替わっているのである。
身分。公式的に相手を選ぶとすれば、アンリエッタの身分には釣りあう者などほとんどいない。
王族の結婚とは、相手の身分と家格が高いことを最低限の基準におき、なにより政略にそった熟慮の末になされるべきものであって、それは要するに究極の政治的結合なのだった。
「実はさきに枢機卿やラ・トゥール卿とも話したのよ。クリザリング卿の申し出は断る以外にないわ。
あの船団や、税があまりかからない個人所有の港が手に入ること、さらにアカデミーの英才であったクリザリング卿本人の頭脳までを考慮に入れても、結婚という貴重なカードを切るには王家にとってあまりに利益が少なすぎます」
はっきりした声でアンリエッタはそう言った。
椅子から立ち上がり、窓辺によって山の稜線を見つめる。その後姿をルイズは注視した。
政治的な思考にほとほと疲れているのか、アンリエッタの背には愁いがただよっている。それでも、彼女は悩まざるをえないようだった。
「それがクリザリング卿にわかっていないはずはないのに……
なぜ彼は、あのような行動をとったのかしら」
なにを目的とするか。どんな利益があるのか。
むろん彼女と結婚した場合、相手にはいくらでも利益がある。第一に、即座に国王とならずともトリステインの共同統治者となるのはほぼ間違いがない。
である以上、アンリエッタと結婚できるものならば、国内国外を問わずたいていの貴族は一も二もなく飛びつくだろう。
……が、この場合はそこが焦点ではない。
ルイズに言ったとおり、即答せず返事を保留しているといっても、最初から断ることは決まっているし、クリザリング卿とてそれはわかっているはずなのだ。
この話がもれれば、彼は世人から常識知らずとして失笑を買わずにはすまないだろう。
「クリザリング卿が明言したわけではないけれど、求婚を断っておいて彼の船団や港の提供を受けるのは期待できないわね。
でもラ・トゥール伯爵は、見ているこちらが気の毒になるほど恐縮しているけれども、船団と港を簡単にあきらめたくはないようです。
クリザリング卿との提携が失敗しても、王家としてはラ・トゥール伯爵を援助する方針でいこうと思うのだけれど、一からフネをそろえるとなると投資も大規模にならざるを得ないわ。
マザリーニの言うとおり、今は王家もまだ苦しいですし……」
遠くを見ながらつぶやいているアンリエッタを、ルイズはどこか哀しそうな目で見ている。
どうしても、この人は政治的な呪縛から逃れられないだろう。大貴族に生まれた自分も、ある程度はそうだけれども。
「……あの、姫さま、わたしに話って、それだけなのですか?」
ルイズの気遣うような声に、アンリエッタは穏やかにふりむいた。
幼なじみを見る目に、どう切り出したらいいものか悩む色がある。
ルイズは身を硬くした。まさか。
「ルイズ、サイト殿のことだけれど」
来た。
ルイズの目に警戒が浮かぶのを見て、アンリエッタは落ち着きをやや失ったように手をふった。
「いえ、あの、誤解しないでね。
わたくし、あなたたちの間に今さら入ろうとは思っていないのよ」
「……え? でも、先の事件のときにおっしゃったことは」
「あれはあれで、本心だと思うの。たしかに……あの事件のときサイト殿を意識しました。
彼にあんなことまでしておいて今さらだけど、ごめんなさい。
けれど、その、『再戦』は、何といえばいいのか、わたくしは……」
アンリエッタはもじもじと、前で組み合わせた手の指先を動かしながら、言葉を必死で探している。
なぜかルイズには、説明されずとも彼女の心情がわかった。
不意にこみあげたのは、同情の念だった。臣下が王に示すのは許されない感情に、あわてて顔を伏せ、ルイズは言葉を発した。
「姫さま、わかりました。申し訳ありません。軽々しくあのようなことを言ったわたしが粗忽でした」
結婚さえ政治的に決めることを求められるアンリエッタが、恋愛において今さらまともな「勝負」など簡単にできるわけもないのだった。暇さえろくにない。
それでも才人が誰のものかはっきり定まっていなかったなら、情熱のおもむくまま行動できたかもしれないが、今ではルイズと才人は周囲も公認の恋人である。
土俵に上がることをしりごみしたアンリエッタと、これ以上この問題で自分が謝るのもなにかが違うと感じるため、言葉を続けられなくなったルイズ。
両者ともに悄然と肩を落として沈黙をつづけていた。
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「塔の探索隊はこんなものか。これだけ見える人数がいれば、盗賊というのは最初から襲うのを遠慮するものだ。
陛下の護衛はラ・トゥールの同行した警備兵に任せることになるが、問題はなかろう。野心的な貴族だが陛下にとって危険となる兆候はないし、河川都市の自衛兵はよく訓練されている。
だが念のため、陛下のおそばには護衛としてサイトを置いていこうと思う。あいつには屋敷内の見取り図を覚えさせておいた」
アニエスに説明されながら、ルイズは館の廊下を歩く。
才人をアンリエッタの護衛に残すという点でやや眉をうごかしたものの、なにも言うことはなく押し黙った。
「出かける前に、クリザリング卿に念のため通告しておこう。森林監督官だからな」
館の主の部屋の前でたちどまり、アニエスはノックして返事をもらい入室した。
その青年は、昼時にみずからが起こした騒ぎなど忘れたように窓ぎわの肘掛け椅子に身をしずめ、さしこむ午後の物憂い陽光を浴びていた。
まぶたを閉じたまま、その唇のみが動いて言葉をつむぐ。
「用は」
「ああ、これから森中の塔に行く。あの塔を開くつもりだが、かまわないな?」
「好きにするがいいさ」
どうでもよさそうな声。アニエスは眉をひそめて問いかけた。
「あの塔のなかに何があるのか、訊いてよいか?」
「狂気と、歳月そのものが」
「……思わせぶりなことを聞きたいのではない。具体的にはなにがあるのだ?」
「〈永久薬〉を作るための施設だから、そのための設備があるに決まっている。あとはガラクタが」
恬淡とした態度でいきなり直球を投げられて、精神的にたたらを踏んだアニエスが言葉につまっている間に、クリザリング卿は投げやりな調子で先手を打った。
「言っておくが、〈永久薬〉のことを話してやる気にはまったくならん。自分で勝手に見ればよかろう」
「……ああ! そうさせてもらおう」
わけのわからない対応をされ、アニエスが険悪な声を出す。ルイズはその腕をなだめるようにたたき、かわって前に出る。
「クリザリング卿、わたしもいいかしら。なんで陛下に求婚したの? あなたは陛下に……その、本気で?」
彼女も直球を投げた。
森林監督官はかすかに目をあけてルイズを見、薄ぼんやりと口をあけて何かを思い出すような表情をした。
そのまま語りだす。
「ウォルター・クリザリングの父親が死に、アカデミーからこの館に戻り家督をついで間もないころ、まだ二十代の青年であった数年前。
アルビオン王家のプリンス・ウェールズに随従した多くの臣下の一人として、ラグドリアン湖畔でひらかれた大園遊会に出席した」
クリザリングの独白を聞いてルイズは、違和感と驚きを感じている。
違和感は、自分のことを第三者のように語ったこと。
驚きは、その園遊会は彼女らの主君にも深く関係があったからである。
トリステイン王家主催の大園遊会で、十四歳のアンリエッタはウェールズと出会ったのだった。
(姫さまはお綺麗だもの、ウェールズさまの他にもあの方に懸想した者が、いてもおかしくないとは思っていたけれど……)
「クリザリングはそこでトリステインの姫君を見た。
真昼の月かと思うほど、真珠のように白かった。歩みさえ踊るかと見える少女だった。
クリザリングはこの領地に戻ると、アカデミーに寄稿するつもりの論文を投げ捨て、筆をとって彼女の絵を描いた。彼女の美しさを称えようと下手な詩を作った」
内容はまぎれもなく愛を語っているはずだったが、それは異様なほど淡白な口ぶり。なぜかルイズたちは寒気を覚えた。部屋のどこかから、かすかに鼻をつく臭気がある。
それきり口をつぐんだクリザリングに、ややあってアニエスが咳払いして背を向けた。
「行くぞ」とルイズにうながしながら、最後に一つとばかりに背後に質問をなげる。
「マーク・レンデルなる無法者を、なぜ長くのさばらせておくのだ? フネまで森の警備に使っておきながら片づけられないとは信じがたいな」
「あれは以前はわが配下で、森番の筆頭だった。よく森を知っている、追いつめるのは容易ではない」
目をまたつぶったクリザリング卿は、今度はまぶたを持ち上げもせず答えた。それきり黙る。
もうしゃべる気はないと見て取った二人は、彼を静寂とともにのこして退室した。
…………………………
………………
……
「おまえか」
ウォルター・クリザリングと周囲に呼ばれている青年は、目をあけて窓に視線を投げた。
一羽の緑色の小鳥が、窓辺でrot! rot! と鳴いている。
辟易したように彼はつぶやいた。
「遊びまわるのも大概にするがいい。正直、アルビオンに腰を落ち着けてほしくもないが……金はじゅうぶんにくれてやっただろう?
おまえが下界で起こした、去年の愚かな騒ぎを許容する気はない」
小鳥が沈黙して首をひねる。青年はその黒い目の奥を見る。
小鳥の目をとおしてこちらを見ているはずの者の、悪意と嘲笑をそこに見て、青年は肩をすくめた。
「あの求婚を見ていたのか? あれこそ狂気と笑うのか? あれにはそれなりの理由がつく。クリザリングが望んだことだからな。『自分』の願い、命より優先した願いは重要だろう。
おまえの言うとおり、〈永久薬〉の名など幻想だ。どのみち地獄の季節は来て、汚穢と腐肉が満ち満ちる。いかにも、正直を言えばこの身がそうなろうと、たいした感興が湧くでもない。
人生とやらには倦じ果てた。ラ・トゥール、あの商人貴族の貪欲さがここを嗅ぎつけ、女王がここに来た以上、いずれは全てが暴かれて、この身のもろもろは終わるだろうさ」
息をついで、彼は言う。
「だから思い残しのないように、すべてのことを片づけようとしただけだ……クリザリング家がこれで絶えようと、あの塔は誰も入れぬまま、高く揺らがず存在する。
さきほど向かったあの女たちにしろ、無駄骨に終わるのみだ。おまえが心配するような問題はない。
知ってのとおりアルビオン王が消えた今、クリザリング家の血を引く者か、それに同行した者しか塔には絶対に入れないのだから……おい、やめろ」
その小鳥が、首をかしげていた。その目が小さなブドウほどに大きく見開かれている。
舌打ちをして、青年は目をあわせてやった。
吐き気をともなう感覚の衝撃が来る。ガラスの微細な破片が網膜につきささって、脳の奥でステンドガラスの絵になるかのような。
直接脳に投影される映像を、見る。
さきほども見た桃色の髪があった。
そのまま、相手の見せたいものを見せられ続ける。
青年は、いつのまにか椅子から立ち上がっていた。
血相が変わっている。
「……虚無の魔法だというのか? ああ、そんなものもこの世にあったな……かびの生えた文献にしか出ないと思っていたよ。
その映像、たしかに本物だろうな? おまえがよくやるように、つぎはぎの視認記憶を見せられたのではあるまいな。
本物だとしたら、たしかに不安だな。万が一にも塔が暴かれるのはごめんだな、アルビオン王家との盟約によって、クリザリング家は最後まで『塔のメイジ』を幽閉し続けるのだから。
では、狂いの境地を楽しむのも終わりにしよう。念に念を入れて、今生で最後の仕事を行おう」
飛び立つ小鳥に目もくれず、青年は部屋の隅に歩き、巨大な衣装だんすを開け放った。
なかからうなり声と腐った血の臭いとともに出てきたそれは、人面獅子身にワシの羽。
「ウォルター・クリザリング」は無造作に命令した。
「塔に行く者たちを襲え。館からじゅうぶんに離れてから仕留めていけ。
この部屋に先ほど来た少女、この部屋に満ちるにおいの持ち主は、かならず殺すのだぞ」
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数刻後。冒頭のルイズたちの苦難と同時刻、館。
晩餐。
アンリエッタは食卓の上座で、ラ・トゥールの秘書官に注がれるワインを傾けた。甘ったるいが後をひかない味、確かに値のわりには逸品である。
料理には合っていないが。
クリザリング卿はテーブルの向かい側でつつましやかに、マッシュルームのピュレを添えた赤やまうずらの翼肉を切りわけている。
昼時の、彼の常識を超えた求婚によって、このアルビオン貴族は館の主人でありながら独特の孤立を得ていた。
つまり周囲は、この何を考えているかわからない男を、とりあえずそっとしておくことにしたのである。
アンリエッタにしてもラ・トゥールにしても、いずれ彼とはこみいった話をせねばならないだろうが。
ラ・トゥールはアンリエッタの右手側の席に座り、ワイングラスを手に一席ぶっていた。彼と相対している左手側のマザリーニが、ときおり相づちをうって意見を返している。
ワインの給仕役をつとめる秘書官は、アンリエッタが小さめのグラスを空けるとすぐに満たしてくる。
あまり食欲はなかった。
いささかワインのまわった頭で、アンリエッタは広間の隅で警護の任についている少年を見やる。
才人は赤茶けた煉瓦の壁の前で、手を後ろにくんで佇立していた。一応じっとしてはいるが、何かに思いをはせているのか、心なしか表情が落ちつきなく見える。
アンリエッタはグラスを手に、その姿をぼうっと見つめた。ルイズが彼を残してアニエスに同行し、館を出ていってから時が経過している。
(ルイズのことを心配しているのかしら)
たぶんそうだろう。多くの近衛兵がついており問題はないはずだが、それでも彼は気になるようだった。
ワインをあおりながらなんとなく少年を見るアンリエッタの両横で、向かい合った枢機卿とラ・トゥールが熱心に話している。
「……いまとなっては河川都市のいずれも、私がみずからの裁量で事を決することを支持してくれています。
数月前、わが都市トライェクトゥムの参事会が、正当な都市領主でもある私に実権をゆだねることを決意したのは、私こそが新しい発展の道をしめせると認めたからなのです。
トライェクトゥムは河川都市の盟主のようなものですから、必然的に私は彼ら全体に暗に責任を負うわけです。彼らを富ませてやらねばなりません」
「ほう、トライェクトゥムにとっても河川都市全体にとっても、貴君のような聡明な方を上にいただいたのは幸運でしょうな。
しかし並々ならぬご苦労もされておいでと思いますが。交易を空路重視に転換するという斬新な案をすすめようとされるならとくに」
「ええ、もちろん中には、少数ですが不満な者がおります。かれらは旧来の特権にしがみつこうとしているのですよ。水路を利用した、川と海の貿易にこだわっているのです。
ですが、それを打破して新たな貿易路線を開拓することは、結果としてかれらをも潤すことになるはずです。
……いや、失礼、熱が入ってしまいました。晩餐でなんとも野暮な話でしたな」
「いやいや、実に興味ぶかい。陛下にとっても多くを学べるいい機会……陛下?」
「ええ、はい、興味ぶかいお話でした」
うわの空で返事するアンリエッタを、マザリーニが呆れた目で見た。
それにも反応せず、少女はグラスをちびりとかたむけてから、卓の上に酒でやや濁った視線を落とす。
(心配ないわよ、ルイズ。
サイト殿は、あなたのことだけが大事なのだから。
少し離れても心配するほど、本当にあなたが大事なのだから)
…………………………
………………
……
晩餐のあと。アンリエッタにあてがわれた寝室。
まだ日没からそう間もなく、早い時刻だったが、故国を離れた遠出でここ数日間仕事づくめだったため、疲労を覚えている。
彼女はすぐに休むつもりだった。
召使の女が入ってきて、寝室の暖炉の火をかき消した。
残った熾火のみが、暗い室内に赤い光をもたらしている。退出間際の侍女にドレスを脱ぐのを手伝ってもらう。
腰帯がついた、裾がレースになった薄絹の肌着のみの姿で、柔らかいベッドに横たわる。
アルコールの余韻にたゆたいながら、アンリエッタはもう一度考えた。
(クリザリング卿はどうして、わたくしに求婚したのかしら。
そもそも、あれは本気なのかしら)
クリザリング卿が自分を見たときの顔を思い浮かべる。
わからない。ただ勘ながら、あれはまるきりの冗談ではないと思う。
かといって、身分違いも気にしないという真摯な想いを寄せられているのかというと、そこが微妙なのだった。
布のうえでしどけなく寝返りをうつ。
人目を考えず自由に恋愛する権利など、王族に生まれたときからない。それは、彼女も身にしみていた。
互いに想い、身分と家格がつりあってさえ結ばれなかった。
彼女がはじめて想いを寄せた相手は、このアルビオンの皇太子で、従姉妹の自分とおなじく王家の出だった。それでさえ、秘めた恋にするしかなかったのだ。
夜の影のなか、熾火がくすぶる暖炉。寝台のうえで、少女は体を丸めて想いに沈む。
指にはめた風のルビーは、今夜はいまだ外していない。
この空の上の白の国、彼女のかつての想い人がいたアルビオンで、寝台に横たわったアンリエッタは彼の形見のルビーをそっと撫でる。
(あなたはここの王になるはずでした、そしてわたくしはゲルマニアに嫁ぐはずだったわ)
運命は烈風となって、その未来は羽毛のように吹き散らされ、ウェールズ・テューダーは皇太子のまま死に、そして自分はトリステインの女王になった。
「国のために嫁ぐ」ことを当然と育てられ、実際にゲルマニアに嫁げと言われて諾々と従ったあとでも、アンリエッタは想いが叶うことをどこかで夢見ていた。
子供の盲目的な恋だったかもしれない。それでも子供なりに純粋に、三年間想いつづけたのだった。
自由を奪われていく姫としての暮らしの中、それだけを夢見て生きていたほどに。【四巻】
つくろっていた愚かさをさらけ出すほどに。
ウェールズの亡霊が現れたとき、彼が死者だとわかっていながら何もかも捨てかけたほどに。殺した彼の死体さえも利用した敵を、深く憎悪して戦火を燃えあがらせたほどに。
夢は砕けた。当たり前のように叶わず、無残な形で終わった。
アンリエッタはぼんやりと爪を噛む。
(焦がれて狂って、残ったものは……みじめさと悔恨と、罪だけだった)
まもなく嫁ぐはずだったアンリエッタが、危険をおかして亡命をすすめてもウェールズは断った。
そして最後の瞬間に、彼は愛を誓ってくれなかった。彼女に、他の者を愛することを誓わせて死んでいった。
それらはたぶん、彼の優しさというべきなのだろうけれども。
それでも、アンリエッタの抱いた愁傷は、その瞬間を思い返すたびに虚しさをつのらせる。
せめて心が添えていたなら、夜毎に自分はこうも寂しさを覚えなかったのだろうか。
わからない。ただ、冷えて乾いた暗黒が胸にあるのは確かだった。
後になって、それを埋めてくれる相手がいるかもしれない、と思えたことがあった。
自分を叱咤して止めてくれた『使い魔さん』のことを考えて、少しだけ胸の暗黒を忘れることができた時に。
一度あきらめたはずだったけれど、先の秋にまた心を燃えたたせてしまったのだった。
(サイト殿のことはもう考えてはだめ、忘れなくては)
どのみち、それも叶うことはないのだから。これが恋であるか完全な自信はないが、たぶんそうだとしても、幸福に終わることなど決してないだろう。
彼女なりに、この冬のあいだ考えていたことだった。
どうせ終わるのなら、傷が浅いうちに、いま自分の意思ではっきり終わらせるべきだと。
だから今日ルイズにちゃんと言ったのだった、張り合うつもりはないと。
ただ救いとしては、しばらく続いたルイズとの気まずさもこれで解決するはずだ。クリザリング卿の唐突な求婚は、自分の立場を思い出させてくれるという意味で役に立った。
それなのに、ゆっくり冷えていく部屋の夜気の中、少しずつ想いはつのるばかりだった。
彼は今夜、すぐ近くにいるのだ。
思い浮かべてしまう。黒い髪の毛、黒い瞳。
ぶっきらぼうな優しさ。
時折ルイズに向ける深い愛情のまなざし。
彼はいま、この部屋と廊下をはさんで反対側の部屋に寝ている。護衛の慣例として、何が起こっても即座に駆けつけられるように。
彼はどんな夢を見るのだろう。それともルイズのことを気にかけて、自分がこうしているようにまだ起きて、ひっそりと想いに沈んでいるのだろうか。
想像するぶんだけ、独り寝の寂しさがますますつのり、まどろんで半ば夢のなかにたゆたいながら、瞳がうるんで艶をおびていく。
(……なにか、おかしくないかしら?)
妙だった。アンリエッタはベッドから身を起こした。
どこかに違和感がある。あの少年のことが、頭からまったく離れなくなっている。それどころか、少しずつその存在がふくらんでいく。
首をふってまぶたを押さえようとしたとき、どくりと胸が強く脈打った。
気がつくとふらふらと立ち上がり、部屋を出て心の命じるところに行こうとドアノブに手をかけていた。
われに返り、女王ははっと顔色をかえてその手をはなす。
まさか、と思った瞬間に、胸の中で予兆のあったなにかがはっきりと首をもたげた。
呼吸が荒くせわしなくなり、体温が熱くなっていく。
よろめいて心臓をおさえるように胸元をつかんでから、アンリエッタは飛びつくように部屋の隅の手荷物をさぐった。
大して多くもなく、侍従が念のために携帯させるそれには、応急用のさまざまな医薬品、調合した薬類が入っていた。
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夢うつつに、起きてサイト殿、と呼びかけられたような気がした。
「……んにゃ?」
体をゆすぶられ、寝ぼけまなこで才人はベッドから上体を起こした。
暗い部屋の中。ベッドの上、起き上がった彼の目の前に、やや荒い息づかいをもらす何者かがいた。
おもわず声をあげようとして、才人は口を温かい手のひらでふさがれた。
どこか重苦しい声で、その人影はささやいた。
「わたくしです、静かに」
「ひ、姫さま?」
何だってまた。才人はそう問おうとして気づいた。アンリエッタの呼吸は苦しげなものだった。
彼女はベッドから離れ、ベランダに出るガラス窓のそばに立って、リンネルのカーテンを開けた。
月光の中で振り向きながら、肌着にガウンをまとったのみの格好で、声を震わせて才人に告げる。
「毒の類を盛られました。おそらく晩餐のときに」
一瞬で目が覚め、才人ははね起きた。血相を変えた彼の様子を見て、あわてたようにアンリエッタが補足する。
「だいじょうぶ、解毒薬は服用しました。さいわいにも即効性ではなかったのです。
いまはまだ正直、気分がすぐれませんが、じきに良くなるでしょう。のんだ万能解毒薬は、多くの毒に対応できる分、すこし効き目が遅いともいいますから。
それに、正確には毒というわけではなかったので……いえ、とにかく命に別状があるようなものではありません」
よくわからず、才人はとまどった声でたずねた。
「毒ではない?」
「ええ、ですが善意の産物とはとても言えません。
聞いてください、サイト殿。ルイズやアニエスたちを即刻呼び戻します。マザリーニと他の護衛たちもすぐこの部屋に集めて――」
アンリエッタの言葉が終わらぬうちに、突然の轟音が夜を裂いて響きわたり、露のおりた窓ガラスを震わせた。
息をのんだ二人が一呼吸置く間もなく、窓の外から銃声と、大勢がぶつかり合うときの吶喊がつづく。魔法の攻撃もさかんに発されているらしく、雷閃のような光がガラスから次々にさしこむ。
アンリエッタがよろめくように後じさって窓から離れた。
廊下のほうからも何者かの叫びが聞こえた。
才人はとっさにベッドから降り、靴をはくのもそこそこにドアに走り、ちょうつがいをかけた。
何故そうしたのか、自分でも明確な説明はできなかったが、ただわけもわからぬ不安に突き動かされたのだった。
才人がドアから離れないうちに、廊下を走ってくる音が聞こえた。
すぐに音をたててノブが回され、つづいてドアが外から激しく乱打された。
才人はドアから距離をとる。入ってこようとしている外の誰かに「だれだ? 何があった?」と呼びかけた。
返事はなく、唐突にドアが体当たりをされたように激しく揺れて軋んだ。
堅い樫のドアが内側にややゆがんだのを見て、(魔法をぶつけたな)と才人は判断した。
愕然と立ち尽くしているアンリエッタを振り向き、才人は「逃げましょう!」と意見を述べた。
アンリエッタが信じられないとばかりに首をふる。
「このような……こんな大胆な真似をするなんて。以前とは違う、軍はすぐ近くにいるのに」
領主は平民の共和主義者と違い、多くは領地から離れられないという点では、反乱を起こせば根絶するのはより容易だ。
「これがラ・トゥール伯爵、クリザリング卿のいずれが起こしたものにしろ、こんな軽々しく反乱のような真似をして、三日と無事ですむはずがないのに」
今この館では、アンリエッタ以外ではその二人しか、まともに動かせる兵力を持っていないはずなのだ。
女王の護衛の多くが出はらっている今、外の戦闘はおそらく、彼らが戦っているものだった。一方が女王に毒を盛り、こうして牙を剥いてもう一方に攻めかかっているのだろうか。
才人は深く考えることは避け、早口でせっついた。
「そこは俺にだってわかりませんよ。相手が誰でもいまはとにかく逃げなきゃ」
館を出て、速やかにアニエスたちのあとを追い、合流する。それしか今は思いつかない。
才人は身をひるがえしてベッド枕元のデルフリンガーをつかみ、それを抜く。
ガラス窓をあけベランダに出て、アンリエッタに「魔法で飛んで庭に下りて」とうながしかけた時だった。
ベランダの白木の桟、すこし離れた箇所に飛来した炎の玉がぶつかって、その箇所を瞬時に消し炭に変えた。
同時に背後で、くりかえし魔法をぶつけられていた部屋のドアがついに金具がこわれて吹っ飛んでいる。
やべえ猶予がねえ、と青くなった才人は、とっさにアンリエッタの腕をつかんで引き寄せ、抱きあげた。
ほっそりした柔らかい体が腕のなかで驚きにこわばるのも、考慮している暇はない。
ガンダールヴの身体能力を発揮して、さっさと下に飛び降りる。花壇のゼラニウムを踏みつぶし、少女を横抱きにしたまま走り出した。
昼のようにあかるい月光に照らされた館の庭では、どちらがどちらとも知れぬ二陣営の戦闘が行われている。
開始から数分もたたないというのに、炎と矢と叫喚が溢れはじめていた。
それをまわりこんで避け、ひたすら離れるように、才人は森めがけて走った。
ガンダールヴの力を出すため、アンリエッタを両腕でかかえながらも逆手持ちで器用に剣を持ったままではあるが、むろん戦えるはずもない。
館をとりまくブナの森に逃げこむことには成功した。
ほんの少しでも怒号ひびく戦場から遠ざかるべく、暗い森のなかを枯れ枝と落ち葉を踏みながら走り続ける。
「お、おろしてくださいまし」と腕の中から妙にかぼそい声が聞こえたが、才人は「もう少し離れてから!」と無我夢中のまま突っぱねた。
居心地悪そうに才人の胸でちぢまっているアンリエッタが、自らの異変に気づいたようなうろたえた表情になった。
それが少しずつ熱っぽく朦朧とした顔になっていくが、闇の森中で転ぶまいと注意をはらって走っている才人に気づく余裕はない。
…………………………
………………
……
長くガンダールヴの力を使うわけにもいかず、けっきょく才人は途中からアンリエッタの手をひいて走っていた。
うなだれたブナの枝がときおり顔に当たり、夜露でぬれる。
青寂びた月光が木の葉のあいだから洩れている。それが夜風とともに揺れている中を、二人は小走りで走りつづけた。
「サイト殿、待って、待って、わたくし……!」
アンリエッタがその声とともに、よろめくように極端に遅くなってきたのを感じ、才人はやむをえず足をゆるめた。
少々ばてるのが早いなと思うが、疲れるのは無理もない。とりあえずここまでくれば大丈夫か、と思いもした。
足を止めたのは、木々のひらけた森中の空き地だった。月と星の光が冷たくふりそそぐその場所で、才人ははじめてアンリエッタを振り向いた。
「姫さま、失礼しました。でも、やっぱり今は急がなきゃ。
それで、ルイズたちの向かった場所ですけど」
デルフリンガーをおさめ、葉の露と汗でぬれた額を服の袖でぬぐいつつ言おうとして、才人はその手をとめた。
アンリエッタの様子が妙である。
走っていたときからであろうが、寒さとは別の種類の震えが女王におとずれていた。
「……姫さま?」
大きく胸を上下させ、白い呼気が荒いのは走ったためとしても、それだけでは説明できないほど妙に足元からふらついている。
月明のなか、わずかに伏せられた少女の瞳がうるんでいるのも見てとれた。
そのあえぐように薄く開いている唇が震え、「もうだめ」と幽かな音をつむいだ。
「姫さま? どうし――」
才人の声は途中で封じられた。問いを発しかけた口ごとふさがれた。
倒れこむように少年の胸にすがりついたアンリエッタが、のびあがって首に手をまわし、歯がぶつかりそうな勢いで唇を重ねたのだった。
才人が目を白黒させている間に、唇が一度離される。
「ちょ、何、」
才人がテンパった声を出せたのはつかの間、すぐまた湿った唇を重ねられる。
アンリエッタの体、唇と吐息。すべてが熱く柔らかく激しい。
露にしめった栗色の髪からただよう良い匂い。
華奢な身体でもぐいぐいと押しつけられると、才人までよろめいて後ろに下がってしまう。
ななめにかしいだ大きな倒木にぶつかり、背をあずける。そのまま二人してその場にずるずるへたりこむ。
冷たい地面に尻をつけて座りこんだ才人に、抱きついたままのアンリエッタが降らせる口づけの雨が止まない。
「ちょっと――ちょっと待った! なんなんです一体……むぐ」
パニックになりかけたところでひときわ深く唇を重ねられる。
かえって閃くものがあった。唐突な錯乱、盛られたという毒に近い何か。以前にも、才人は似たような状況を見たことがある。
ま、まさか、とアンリエッタの肩をつかんで離しながら問いかける。
「盛られたのって……『惚れ薬』のたぐい?」
その問いに、アンリエッタはうるんだ目を伏せて荒い息をつきながら、こくりとうなずいた。
マジかよおい、と才人はうめいた。
たいがいろくでもない結果しか生まないあの薬の仲間に、またもお目にかかるとは思わなかった。しかも、こんな状況下で。
「待ってください、解毒薬をのんだのでは?」
「のみました! のんだ、のに……おかしいのです、どんどんぶりかえして」
ほとんど唇がふれあう距離で、ささやきを交わす。
苦しげな熱っぽい声。月光でさえわかるほど、アンリエッタの顔は赤らみ、目尻の下がったまなざしは甘く濡れていた。
原因がわかっても、対処法がわからない。
才人がアンリエッタの肩をつかんだまま固まっているうちに、彼女は「薬、薬……」とうめいて、せわしなく自分の肌着の胸元に手をかけ、前あわせの紐をほどきはじめた。
「ちょっ、待て姫さま待ったストップ、しっかり気を持って!」
「ち、違います、服の下に解毒薬が!
ああもう、背中側にまわって……!」
万が一のために、とっさに万能解毒薬をアンリエッタは懐に入れてきたのだった。が、横抱きにされたり走ったりで、気がつくと自分では手を入れられない背中のほうに薬の瓶がある。
その肌着はサッシュベルトで腰のあたりを締める様式なので、下のほうから取り出すこともできないのだった。
どのみち胸元の紐か腰の帯かをほどかねばならないのである。
「サ、サイト殿、取り出してください」
至近距離でそう言われ、才人は絶句した。
つまりなにか。えり元から背中に手を突っこんで解毒薬を取りだせということか。
あ、う、とうめいて逡巡する才人に、とうとうアンリエッタがせっぱつまった声で叫んだ。
「はやくして、わたくしに意思があるうちに早くして!」
やむをえず、才人はアンリエッタの暗紫色の絹ガウンを取りのけ、背中側に手をまわして、うなじの方から肌着の中に手を差しいれた。
すがるように才人のマントの前をつかみ、かぼそく震えていたアンリエッタが、背中に手を入れられてかすれた声をもらした。
その声と、汗で蒸れた素肌の温かくすべやかな感触に、才人まで顔が赤くなる。
「え、えっと、あれ? あ、腰帯のあたりまで落ちてるのか……」
肌着に腕までを突っこむと、少女の身体がびくんとはねた。
「あっ、くっ、くすぐらないで!」
くすぐってねえよ妙な声を出すなよ、と才人はますます動揺した。
頭をうつむけて、もぞもぞと背中で動く才人の手に耐えているアンリエッタが、恥じらいと熱のこもった呼吸の歌をつむいでいる。
「……あ……ぁ…………」
聞くな俺聞くな、と少年は腕を深くまで進めてまさぐりながら意志を総動員している。
「……やっぱり、……だめ……」
ふと、アンリエッタの顔が上げられた。
才人はぞくりとした。自分を見つめる少女の目の奥、異様な光がある。理性が先ほどよりあきらかに磨耗した様子。
何を言うひまもなく、また首に腕をまわされて唇を奪われる。今度は、熱い小さな舌が入ってきた。
待ておい何だこの状況、と才人はその舌を自分の舌で必死で拒みながら、思考をつなぎとめる。
湿った微風と木漏れる月光が混ざった森の中。冷たい泥の上にへたりこみ、自分は女王の肌着(背中側だが)の下に手をつっこんで、アンリエッタからは熱烈な口づけを受けている。
この状況下で混乱しかけていた才人が気づかなかったのは、無理もないかもしれない。
夜風を切って矢が飛んだ。それは二人の近くの木に突き立ち、矢羽を震わせた。
はっとして顔を起こした才人に、「動くなよ」と今度は真上の木のこずえから声がかかった。
「獣の待ち伏せに、妙なものがかかったな。数人がおまえたちに狙いをつけている、樹上と木の幹の間から。
といっても、どうやらおまえたちは我々の敵ではないと思えるがね」
「誰だよ、あんたら?」
才人は剣を抜きかけた手をそのままに、そうたずねた。
頭上から身をおどらせた人影が、地面に降り立った。
中肉中背の、小太りの農夫のような風貌をしたその男は、あっさりと名乗った。
「どうも。マーク・レンデルだ」
228 :
ボルボX:2007/11/28(水) 01:58:11 ID:8Um2yxCF
原作が二回もやってんのに今更ほれ薬かよw と自分でも思った。
オリキャラやらオリアイテムやら登場しすぎだけど見逃して。中心は原作キャラだから(当たり前だけど)
このシリーズの最後まで視野にいれてネタ練ってたので、やたら時間かかりました。
次は続編かクリスマス企画のエロにします。ボンデージ面白そうなので、取り入れてやってみましょう。
GJといわざるをえない
シリーズの最後まで既に構想があるというのも楽しみだ
>228
うおっ
ボルボの師匠が来てるぜッ
媚薬ネタか!今後のエロ展開に期待せざるを得ない・・・
>>228 GJという言葉すら恐れ多い。凄い!凄すぎる!!
あなたの作品を読んだら、自分の文章の稚拙さに頭を抱えてしまいそうになります。
ひとつ気になった事が有るんですけど…
>>211 >ぶっちゃけると勘だ
「ぶっちゃける」とは
〔「ぶちあける」の転〕「ぶちあける」のくだけた言い方。〕
と調べると乗ってましたが、アニエスはそんな砕けた言い方するような人間では
無いような…生粋の軍人ですから。
「正直に言うと…」とか
「簡単に言うと…」とかのがイメージとしてはしっくりとくるような…
すいません。私ごときが恐れ多くも指摘などしてしまって…
>>231 書き忘れた
アンリエッタに萌えた!
是非アンリエッタに幸せを!
と願う私はアンリエッタ派ですw
>>228 GJ!
続きが気になって仕方ない。全裸で待ってます。
これはGJ
そしてオレのリクしたボンデージが採用されるのかよヒャッホーイ
今後の展開はおそらく・・・
アン様「変なことをしないように拘束してください」(ボンデージ着用)
↓
解毒の為に全身に薬用ローションを塗る
↓
汗をださせて、毒の排出をする為に、全身マッサージ
↓
色々セックル
解毒の為といえば、あらゆるプレイが許容範囲に入るなw
こんなこと書いて、オレは変態だなorz
235 :
ボルボX:2007/11/28(水) 14:20:04 ID:8Um2yxCF
>>231 指摘どうもありがとうございます。保管庫で直します。
>>234 すまん、そっちはこの話とはつながらないですw
エロは別のシリーズで書くつもり。
>>235 いや単にオレの変態妄想なだけだw
プロット邪魔してスマヌ
GJ!!
続きを楽しみに待ってます。
しかし、一ヶ所気になったところがあります。
211の
千年前に、有能な錬金術士ゆえアルビオン王家の賓客となり・・・・・
という文の”錬金術士”は”錬金術師”が正しいのでは?
どっちでもいいじゃん
ザールブルグ出身なんじゃね
あんまり変わらんな。ただ、スキルレベルのニュアンスが違う程度のもんだろう。
>>228 続きが待ち遠しい!GJ!
>>228 GJ
ボルボさんのこのシリーズをよむとつくづくボルボさんはなぜ世にでて本を書いてないのか不思議になります
あなたは天才だ!!
>>241に同感だ
他者の物語のサイドストーリを作るより
あなた自身のオリジナルを作る事をお勧めしたい・・・が!
ここに常駐して欲しい!と言うのが本音だ。
ボルボ氏 GJ! 続きをお待ちしています。
ずっと常駐してて欲しいよ!
だってこんなにエロいアン様を書けるのはボルボ大兄くらいなもんだぜ!
244 :
名無しさん@ピンキー:2007/11/29(木) 01:49:21 ID:/yg/sbNS
もう出版しても良いくらいのレベルじゃね?
というわけでGJです!
後編には、オリジナル登場人物の簡単な説明があればうれしいなぁ。
誰が誰かわかんなくなりそう。
245 :
名無しさん@ピンキー:2007/11/29(木) 02:20:30 ID:rd9DzanZ
このスレレベル高い書き手多すぎだろ。
恵まれまくってるな。ボルボ氏期待して待ってますぜ。
sageろ
>245
遮那スレの285前後みてみろよ…
なんかこっち恨まれてるぞ…
職人が少なかったり減っていくと魔のスパイラルに突入するんだよな…
別に恨まれちゃいないだろ。
羨まれているだけで。
変に煽るなよ。
>>248 現実世界の国や都市の栄枯盛衰を見ているようだ。
>>247 シャナはアニメ自体が出来の悪いSSのような・・・
ゼロ魔の場合はここのSSがアニメを凌駕してるから
どっちの作者がより重病であるかの違いとか
どっちの住人の食欲が凄いか…だろうな。
ルイズ×才人の純愛がもっと読みたい俺でしたよっと
翌朝。ルイズ、タバサ、サイトの三人は、アンリエッタのところへ向かった。
女王の執務室には、彼女のほかにマザリーニ枢機卿も居た。
三人が入るなり、枢機卿が口を開いた。
「先般のガリアの急襲においては、お二人のシュヴァリエが居合わせなければ、
ここも危うかったことだった。お見事でしたな。」
枢機卿の言葉を受け、アンリエッタが言葉を繋いだ。
「いささか、急な話かもしれませんが、お二方を新たな位に叙任したいのです。」
まず、彼女はタバサを見た。そして手にした書類を読み上げた。
「タバサ殿――あなたにはトリスティンのシュヴァリエを授与します。」
「え・・・」
意外なことにタバサが戸惑っている。隣に居たサイトを見て聞く。
「どうしたらいいの」
そんな困惑した彼女を前にサイトが言う。
「母親もここにいるんだし、もう向こうに義理立てすることもないんじゃないのか?
こっちのシュヴァリエになっちまえば、いくらか動きやすいと思うぞ」
「そう」
そうつぶやくとサイトから視線をはなし、女王に向きなおって、跪いた。
アンリエッタの杖がタバサの肩にそっと添えられる。
「我、トリスティンの女王、アンリエッタ。このものに祝福と騎士たる資格を与えん。
―――――始祖と我と祖国に、変わらぬ忠誠を誓うか?」
「誓う」
「――――――汝の魂の在り処、その魂が欲するところに忠誠を誓いますか?」
「誓う」
2回目の首肯を受け、アンリエッタは、一旦杖を彼女から離し、高々と掲げた。
「よろしい。始祖ブリミルの御名において、汝をシュヴァリエに叙する。」
女王の杖が彼女の左右の肩を二回ずつ叩いた。
そして、タバサに百合の紋と五芒星の付いたシュヴァリエのマントが渡された。
255 :
サイトが魔法を使えたら【ガリア編】(2/6):2007/11/29(木) 23:30:52 ID:v/QMcuLR
次にサイトの方を向いて、同じく書類を読み上げる。
彼には女王の目が少しばかり潤んでいるような気がした。
「―――サイトどの。受け取ってください。あなたには男爵の爵位を与えます。」
「え・・・姫さま!?シュ、シュヴァリエどころか男爵って、そんなの――」
ルイズがいつのまにかサイトの隣に来て、彼の袖の端っこをつまんでいた。
「ルイズ。いいのです。彼にはそれだけの資格があるのです。
サイトさん。受けて戴けますね。」
女王の瞳はしっかりとサイトを見つめていた。
彼は彼女の言葉の裏に何かひっかかるものを感じたが、ここはあえて受けることにした。
「分かりました。でも、それだけじゃなさそうですね。俺に何をお望みなんですか?」
彼の確信を突く問いに一瞬、女王と枢機卿が目を合わせる。
「それは、これをお渡ししてからお話します。」
そうアンリエッタは答えると、サイトの胸にきらびやかな勲章を付けたのだった。
そして、今度はマザリーニがサイトとタバサに向かって言った。
「御両名には、明日にもガリアへ潜入して頂きたい。」
ルイズが何か言おうとしたのを遮るようにアンリエッタが彼女の近くに寄って、手をとりあげて言った。
「聞いて頂戴。ルイズ・フランソワーズ。今回の任からは虚無の担い手であるあなたをあえて外します。
もしもガリアにその身が捕らえられたら、今回の任務の意味がなくなってしまうのです。」
ルイズは黙って俯き、唇をかみ締めた。
女王は二人に目を移して、告げるのだった。
「今回の目的は、始祖のオルゴールの奪還です。始祖の御加護がありますように。」
サイトとタバサは明日の朝に学院を出立することになった。
ルイズは王宮から帰ってきてから、ずっと黙ってしまって彼と目も合わせようともしない。
サイトはどうしたもんかな。どう声をかけていいやら分からないまま、夜になってしまった。
「なぁルイズ」
沈黙に耐え切れなくなったサイトが口を開いた。
「・・・」
しかし、桃髪のご主人さまは、こちらをちらりと見ただけで、なにも返してくれない。
「なぁって」
彼がもういちど声をかけた。
「・・・」
彼女は、すーっとサイトのそばまでやってきて、彼のパーカーの袖口をキュッとつまんだ。
しかし、やっぱり黙ったままだ。
「明日からしばらく俺居なくなんだぞ。――しばらく会えないんだからよ、こ、声くらい聞かせてくれよ」
サイトはすこし照れながらも彼女にさらに言葉をかけた。
彼のしばらく会えなくなるという言葉に彼の袖口をつまんだ彼女の手に力が入った。
そしてようやく、ルイズの口から言葉がもれた。
「――だったら。だったらなんで行っちゃうのよ」
彼女の鳶色の瞳は上目遣いに彼へ向けられていた。
仕方ないじゃないか。サイトの言葉にかぶさるように彼女は言葉を続ける。
「しばらく離れ離れになっちゃうのが分かってんのに・・・なんで行っちゃうの・・・よ」
彼女のとても悲壮にくれた表情に、サイトは言葉を飲み込んでしまった。
かわりに、彼はそっと彼女の肩に手を伸ばした。
彼の手がルイズの肩に触れた瞬間、彼女の瞳から真珠の粒がこぼれだした。
「ガリアなんかに行っちゃったら。もしかしたら二度と・・・会えなくなっちゃう・・・かもなのに」
彼女は滂沱として流れる涙をぬぐいもせず、そのぬれ続ける瞳でサイトを責めるように見つめる。
「そんなのや。でも。でも。あの子と一緒なのもっとやなんだもん」
そこまでいうと、ルイズはサイトの胸に飛び込んだ。
「やだやだやだ。なんでタバサとなのよ。せめてなんでキュルケとかじゃないのよ」
「おおい。キュルケもまずいだろ。ふつうに」
彼は彼女にぽすぽすと胸を叩かれながら今の物言いにつっこんだ。
「きゅ、キュルケは大丈夫なんだもん。センセイがいるんだから」
コルベール先生って。日本だったら十分まずいぞ。それも。今度は心の中でつっこむ。
泣きじゃくるご主人さまにサイトは言った。
「俺もおまえの見えるものが見える。聞こえたものも聞こえる。湖の戦いでそうなっただろ。ルイズも」
彼はルイズの背中をさすって、言葉を繋ぐ。
「―――俺とおまえは見えない絆で繋がってるんだ。距離なんて関係ないよ」
そしてサイトは彼女の背中に両手を回していつもより少し強めに抱きしめた。
「いつも一緒だ。だから待ってろ」
まだしゃくり上げるルイズだったが、彼女の左右の手もサイトの腰に回してキュッと抱きつくのだった。
「タバサとなにかあったら許さないんだから」
「ないない。なんにもないから。指輪あげたろ?少しは信じてくれって」
その言葉に彼女は、自分の薬指にはめてもらった紺碧の石の指輪が温かく感じられた。
「わ、わかったわよ。今回だけは信じてあげることにするわ」
彼に見えないようにルイズは紅色に染まったほほを緩ませるのだった。
次の日の朝早く、ルイズの部屋を訪れる者がいた。
ルイズ自らが扉を開けた。目の前には青髪の少女。タバサがいた。
ルイズは黙ったままタバサの碧眼を睨みつけた。
「タバサ、あんたほんとに行くんだ。」
こくり。彼女が首を縦に振る。
ギリッ。ルイズは歯を噛みしめ、次の言葉を放つ。
「わたしのサイトと一緒に行くんだ。」
「そう」
グッ。ルイズは両拳を握り締め、腰にあてた。
「――サイトにもしものことがあったら、あんたを絶対許さないんだから!!」
吐き捨てるように言うと、フンッとそっぽを向いてつかつかサイトのそばに行ってしまった。
タバサは眉を寄せて、彼女の背中に向かって答えた。
「サイトは必ず守る。絶対に死なせはしない」
そんな二人をサイトはきょろきょろと落ち着きなく見ていたのだった。
「それじゃ、ルイズ行ってくる」
そう言う彼の胸元にぽすんとルイズはおでこをぶつけて、両手でぎゅっとパーカを握り締めた。
一秒でも早く、戻って来てよ。命令なんだからね。彼女が小さな声で彼につぶやいた。
ルイズは外まで二人を見送りはしなかった。部屋のドアの前で二人の背中を見送ったのだ。
だんだん小さくなる二人の背中をずっと追い続けるなんて、彼女には我慢できないのだった。
ルイズは閉められたドアをしばらく見つめていた。唇をかみしめて・・・
そして、思いつめたようにベットに突っ伏して。涙したのだった。
学院の建屋から外に出たサイトとタバサは、彼女の使い魔を呼び寄せた。
「きゅいきゅい。どーこーに゛っ・・・」
ゴスン。タバサの杖が振り下ろされた。
ぃたいのね。シルフィードは膨れっ面で、自分の主人を睨んだ。
黙る。低い声でシルフィをタバサが一喝する。
乗って。サイトにそう言うと、彼女は先にシルフィの背に乗っかり彼に向かって手を差し伸べた。
彼の手を握ると細身からは想像つかない力で彼を引っ張り込んだのだった。
ガリアへ。
彼女はシルフィにそう伝えた。
大きな翼が広がって空気を包み込むように二、三度羽ばたくとふわりと空へと舞い上がった。
みるみるルイズを残した学院が小さくなっていく。
サイトは残した想いを振り切るかのようにこれから向かう先へと目を向けた。
サイトはわたしが必ず守る。タバサは杖をぎゅっと抱きしめてひとりつぶやくのだった。
学院の火の塔に、真っ赤な髪で左の手に真っ赤な石のついた指輪をはめた女の子が、そんな二人を眺めていた。
「ふぅん。タバサもやるじゃない。あのルイズからサイトをもってっちゃうなんて・・・
今回ばかりはわたしの出番はなさそうねぇ。ちょっとつまんないけど。でもルイズはどうするのかしらね。」
ふふふ。キュルケはいたずらっぽい笑みを湛えるのだった。
その日のお昼ころ、シルフィに乗った二人は旧オルレアン公邸に着いた。
シャルロットお嬢さまではありませんか。屋敷から老執事がやってきた。
「ペルスラン。聞きたいことがあるの」
彼女はそう切り出した。
彼は彼女の問いに答えた。
「陛下はこの時期首都のリュティスにはおりません。
東のアーハンブラ城で休暇を楽しまれているはずでございます。」
アーハンブラ城。忘れもしない、かつて彼女が囚われの身となっていた場所なのだった。
彼女もサイトも身体に緊張が走る。
彼は、二人の雰囲気が変わったのに気がついた。
「これは大変失礼しました。あの城は・・・私も年ですな
・・・お嬢さまが連れ去られた城でございましたね。あぁ。なんてことを――」
老執事は汗を拭きながら平身低頭で二人に謝罪の言葉を並べていた。
「いい」
タバサは杖を握りなおし、シルフィに跨ろうとした。
そんな彼女をペルスランが慌てて引き止める。
「おおおお嬢さま。そんなに先を急がなくても・・・今夜はこちらで身体をお安めくださいませ」
そして、ようやく彼はサイトに声をかけたのだった。
「貴方様は・・・シュヴァリエ・サイト殿・・・おおお。男爵になられたのですね。まだお若いとお見受け致しますが・・・
いやいやめでたきことでございます」
サイトの胸の勲章を見て、深々と頭をさげた。
あまりに慇懃なその態度にサイトのほうが困ってしまった。
再び頭を上げたペルスランは、二人に熱心に屋敷に泊まるように勧めた。
彼の言葉になかば説き伏せられて、タバサとサイトは一泊することに決めたのだった。
・・・
・・・・・・
一方、ルイズはあれからずっとベットに突っ伏したままであった。
一頻り泣きはらした後、そのまま寝入っていたのだ。
コンコン。誰かが部屋に来たようである。
彼女はぶっきら棒に応対した。
「だれよ。こんなときに」
すると、ドアの外から意外な人の声がした。
「モンモランシー?どしたのよ」
ドアを開けるのはいつもサイトの役目だった。けれど今はいない。
そんなちょっとしたことにも、今のルイズの心はチクリと痛むのだった。
ドアを開けると、モンモランシーの代わりににゅっと薔薇の花が目の前に突き出された。
「えっ?!ギーシュもいるわけ?」
さらに意外な人物を前にして、ルイズは目を丸くした。
ギーシュは、前髪をふぁさっとかき上げると、開口一番こう言った。
「副隊長はいないのかい?」
その一言にルイズはカチンと来た。
「あによ。知ってんてしょ。あいつがいないことくらい!なにしにきたのよっ」
そんな彼女の言葉も気にすることもなく、ギーシュは続けた。
「キミをひとり残していったのかい?しかも恋敵(ライバル)と一緒とは・・・彼も隅に置けないなぁ」
パカンっ。ルイズの手が彼に届く前に、彼の後ろからモンモランシーが引っぱたいた。
「あんたばかね。ルイズは、カレが居なくなっちゃって凹んでるのに火に油注いでんじゃない!」
そんなつもりはなかったんだけどなぁ。後ろ頭をさすりながらギーシュがぶつぶつ言った。
「ねぇ、ルイズ。あんた彼がどこに行ったのか知ってるの?」
モンモランシーがルイズに聞いた。
「ガリアとしか姫様からは聞いてないわ」
ルイズは首を横に振って答える。
「サイトは一体誰に会いに行ったんだい」
今度はギーシュが割り込んだ。
「たぶん、ガリア王に会いに行ったんだと思うわ」
それを聞いたギーシュは首をひねって言った。
「たしか、この時期はガリア王は首都にはいないはずさ。東のアーハンブラ城に狩に出かけているよ」
アーハンブラ城。忘れがたい城の名前にルイズの表情が硬くなる。
そんな彼女にギーシュが言葉をかけた。
「恋人は常にそばにいるべきさ。彼の許に行こうじゃないか」
「わたしも一緒よ。みんなの怪我をなおしてあげなきゃね」
彼の背後からひょっこり顔を出してモンモランシーも言葉をかけたのだった。
「みんなって?」
ルイズは二人に問いかける。
ギーシュがなぜか胸を張って答えるのだった。
「ボクはオンディーヌの隊長だよ。ボクが声をかければ連中は付いて来てくれるのさ」
「は、ばっかじゃないの。そんな大勢で行っちゃったらバレバレもいーとこじゃない」
ルイズは目を見開いて声を荒げた。
「ルイズ。決まっているだろう。とびっきりの精鋭を選んであるんだ」
ギーシュはまた前髪をかき上げて、なぜかやっぱり得意そうに胸を張って、そう言い放ったのだった。
以上です。
すみません。途中でsage忘れちゃいましたorz
ギコナビってデフォでsage設定できないんだろうか・・・
ところで、土曜でついに12月ですね。
ついにクリスマスSS書き終えました。
あとは投下の時期を待つばかり。
盛り上げていきましょー ノシ
>260GJです!ギーシュの活躍が見ものだw
どんどん寒くなって来て朝起きるのつらい。
職人さん達も風邪を引かずに頑張って下さい
>>260 GJ!!
>「──―俺とお前は見えない絆で繋がってるんだ。距離なんて関係ないよ」
なぜか.hack//を思い出してニヤニヤしてしまったw
263 :
ツンデレ王子:2007/11/30(金) 01:44:22 ID:lAqJxK0H
こんばんわ
ちょいと投下します
全3スレ程
会話のみで作ってみましたが…以外に難しいですね^^;
264 :
透(1/3):2007/11/30(金) 01:45:53 ID:lAqJxK0H
「…姫さま、何をやってるんですか?」
「あら、ご覧になって分かりませんか?脱がせているんですわ、サイト殿を」
「ちょ、ま、待ってください。何でいきなり…」
「理由なんて、どうでもいいではありませんか」
「どうでもってね…お、おいルイズ、お前まで何してるんだよ」
「うるさいわね、アンタちょっと静かにしてなさい」
「うるさいってお前」
「そうですよ、陛下直々に脱がして下さってるんですから、サイトさんはじっとしててくださいね」
「シエスタまで…」
「陛下、準備が整いました」
「あら、アニエス。ご苦労さま」
「じゃあサイト、ちょっとコレしててね」
「え?テファ?お、おい、何のまねだよ、これ。目隠しなんかして…」
「アニエス、あなたも早く準備をしなさい」
「はっ」
「行くわよ。シエスタ、テファ、サイトを連れてきなさい」
「待って…」
「あら、タバサ。あんたどうしたのよ。まさかココまで来て怖気付いたんじゃないでしょうね」
「ちがう」
「あ、なるほど。魔法使ったほうが早いわよね」
「…そう」
「じゃあ皆さん、参りましょうか」
265 :
透(2/3):2007/11/30(金) 01:48:31 ID:lAqJxK0H
「ここですわ」
「ここですって言われても…見えないんですけど…」
「あら、そうでしたわね」
「ここって…風呂場…ですか?
って、ひひ、姫さま、ななな何て格好してるんすか」
「見ての通りですわ。素肌にワイシャツ?学院の制服を拝借しましたの。
あとコレ、パンティストッキングって言うんだそうですね?なんでも下着を着けずに直に穿くのが正しい
着用方法だと伺いました」
「って、そんな事誰に聞いたんですか、誰に」
「タバサ殿、そのままサイト殿を浮かせていてくださいね」
「…わかった」
「タバサ……ぶっ、お、おい、何でタバサが…スク水なんか着てるんだよ」
「…ひみつ」
「ルイズ、シエスタ殿、アニエス、ティファニアさん、着替えは済みましたか?」
「「「「はい」」」」
「え?何これ。ひとりひとり出てくるの?」
「……」
「タバサ、何とか行ってくれよって…な、何だよルイズその格好。
せ、セーラー服に、ご丁寧に髪をツインテールにまでして…
ええええええ
シエスタ…あの〜それってもしかして、肌襦袢ってやつ?
ぶほっ!ア、アニエスさん…体操服に水色ブルマ…
だ、ダメですよアニエスさん。体操服の裾はちゃんとブルマに入れなくちゃ…ってそうじゃなくってですねぇ
やべ、鼻血が…
最後はテファ…ぉおおおおおおおおお
テファが…な、なななナースぅ?
王道で白だよ、来たよこれ。し、しかも昨今廃止が叫ばれているナースキャップまで…」
266 :
透(3/3):2007/11/30(金) 01:49:31 ID:lAqJxK0H
「……」
「……」
「……」
「……」
「……」
「…………はっ、違う違う違う、そうじゃなくって、喜んでる場合じゃなくってですねぇ。
そもそもその衣装はどうしたんですかっ!
それになんで風呂場なんですかっ。
姫さまいったい何をするつもりなんですか」
「一つずつお答えしますわね。
先ず、衣装ですが。これは東方から来たという商人から買い付けたものです。
サイト殿に喜んでいただけるかと思ってつい…ちょっと国家予算にまで手を出してしまったんですけど…
コホン、な、何でもありません。
次にココがお風呂場である事についてなんですけど…
こういうことです。
はい、皆さん。入ってください」
「え?え?え?ちょ、ちょっと…
ミンナ、フク キタ ママ オフロ ニ ハイル ノ?」
「…どうしてカタコトなんですか、サイトさん」
「さ、サイト殿も入りましょう」
「え?ぅわ、ちょ…た、タバサ待ってくれ、まだ心の準備が…」
「うるさい」
「ぅわっぷ…な、なんだこれ…ヌルヌルして…」
「サイト、これは“ろ〜しよん風呂”っていうんだそうよ」
「テファ違うわ、ろ〜しよん じゃなくって ろ〜しょん よ」
「なんでも、東方では殿方の疲れを癒すのに使われているらしいんです。
ワカメ等の海草を煮詰めて作ったそうでして、結構手間の掛かるモノだとか…」
「ええ、ですから結構なお値段がしたのですが…
でも、サイト殿の為に思い切っちゃいました」
「……」
267 :
透(4/3):2007/11/30(金) 01:53:09 ID:lAqJxK0H
「ぅわ、耳に息吹きかけないで…あ、そんな…シエスタが右から、テファが左から…
おおう、そんな…耳舐められたら…あう、み、耳の穴に舌入れるなんて…
ちょ、アニエスさん…そんな、俺の膝にブルマこすり付けて…え、なに…
ゆ、ゆび、そんな舐められたら…
ルイズまで…お、おい、それは…タワシ洗いってやつ…
あ、まだタワシじゃないか……
み、みんな濡れて…服が透けて…おお…
あ、だめ、そんな…シエスタ、そんな胸クリクリしないで…
わ、テファ、そんなに押し付けられたら…桃りんごが当って…あうぅぅ
せ、背中に当るこの感覚は…テファ…先っちょが…
あう、ちょっと姫さま、何を…ルイズもアニエスさんも協力しなさいって…
え、な、何?俺の腰を浮かせて…ぉおう、こ、これは噂に聞く潜望鏡ってやつですか!
姫さまの口の中、温かくって…きゃふ、舌でそんな…
そ、それ刺激強すぎ…だ、だめですってば…
あ、あれ?タバサは…ぎゃふ…な、なんだ…尻に…
え?シルフィードの先住魔法でローションと一体化してって…あう…や、やめろ、おい
タバサ…ぅきゃう!し、尻の…穴に指…ああああああ、そんな、中で指グリグリしないで…
な、なんすか姫さま、その笑みは…な!なんで跨ぐんですか!そんな…跨ぐ瞬間に赤貝がぱっくりと…
え、ええもん見れたー…じゃなくて…
そう、そのまま腰を…って、下ろしたら入っちゃ…ぅううう、そんな締め付けないで…
あっだだだめだ!出る!」
「……はっ!ゆ、夢かぁ。
それにしても、何か股間の辺りが…スウスウするような…って、ええええええええ!」
「あら、おはよう御座います、サイト殿」
「……」
「……」
「……」
「……」
「あのー…」
冒頭(
>>264)へ戻る
268 :
ツンデレ王子:2007/11/30(金) 01:59:08 ID:lAqJxK0H
以上です
あう…すいません。スレ数間違えました。
”改行が多すぎて…”とか言われてしまった><
えっちぃ会話は苦手です。
おかしな部分とか、「ここはこうしたら?」的な部分ありましたら
指摘頂けると嬉しいです。
コレは保管庫には、今のところ置く予定はない物ですが…
あー、本編とその別ルートが全然進んでない><
楽しみにして頂いてる方、いらっしゃいましたら…気長に待ってください^^;
>>268 アンタアホだろwww
こういうのすげー好きw
重傷だな。もう手遅れだからずっとこのスレにいるといい。
素敵なアホがいるこのスレはとても素敵なスレですね。
とてもいい作品だ(^.^)b
>>268 保管庫に置いて下さい。
つか結婚して下さいw
実際の話でもおかしくなさそうな所が恐い
ぶっちゃけノベルも行きつく所こんな感じになりそうで
ところでまだ4レスしかついてないんだが
このノリのまま3スレいってくれると信じてる俺はどうしたらいい?
>>268 「指摘いただけると」とあるので、批評させてもらうと、
アホエロ系(失礼)で会話のみのショートショートとしては、
目立つ瑕疵はありません。そのあとは読む側の好みの問題になるでしょう。
きわめてエロパロ板らしい作品と思います。
要するにGJ.
GJしつつ。
前から思ってたんだけど、ツンデレ王子様はレスとスレをごっちゃにしてないか?
愛すべきアホとはこのことか
GJ
エンドレスできたか・・・
GJ!!!
釣られてみるが本の隅っこを見るとコラかどうか一目瞭然なんだよね
「ちょw これジャパニメーションのw」
朝刊を開いてから朝の紅茶をふくエゲレス人otakuが目に浮かんだ。
>>282 ドラゴンに乗っかってるのはヘンだよなあ。
フランス人だと知ったら大変なことに
4/3吹いたwwwww
GJw
GJ
ところでタバサと聞いてふと思ったんだがタバサの着けてるタイツって
何でできてるんだ?
向こうにナイロンはないぞ....
>>287 シルクじゃね?貴族だし
で、もちろんガーターベルトな
新AA誕生記念age
○________
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入ノ. ヽ く ヽ______7 ー―∠__ 〃 l :/ :l l \V
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>>282 日本の国旗に関羽を登場させるようなものじゃないか?
292 :
ツンデレ王子:2007/12/01(土) 02:45:18 ID:C2OIzFY8
>>277 すいません。もしかしたらそうかも…
実のところ、“スレ”と“レス”との意味がはっきり理解出来てない^^;
勉強しなおしてきます
>>292 スレ→スレッド。ゼロ魔のエロパロ「スレ」、ラノベ板にある「スレ」、など。
レス→レスポンス。書き込み。
>>1も
>>290もレス。
>>292 どんだけ初心者だよwwwVIPだったらフルボッコだぞwww
お、巣に戻らねばバイバーイ
(\
(\(\ /)
(\(\ /).
(\\\ ./)):
( ( ヾ ) ヾ)
:(/し /⌒ヽ ブーン
:(/し .( ^ω^)
:(/:(/⊂ U ))
(/:(((ノ(ノ \
☆
゚゚。・゚。☆゚ ∴+ *
*∴+∴*
+…∵:∵*
*∵::+ ∵ +
+∴ *∵ :
。… *
>>292 スレは「【ゼロの使い魔】ヤマグチノボル総合」とかのことで
レスはその中の書き込みのこと
あなたが今見ているものがスレです。
書き込もうとするものがレスです。
>>282 その画像のシルフィード、ちょっとデザインが怖いな。赤いし。
○________
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ト、 ,.  ̄ ̄Τ 弋tァ― `ー / 从 |メ|_l l_.l斗l |ヽ V |:| ̄ フ  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
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ヽ ∠____vvV____ヽ < ≧__/ ゝ、t‐┐ ノ .|┐ ./ /
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入ノ. ヽ く ヽ______7 ー―∠__ 〃 l :/ :l l \V
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すでに上にあるのに同じAAを貼り付けた
>>298は繁殖期の火竜に掘られるべき
修正してやったのにこの言われ様
糞AAはんな
AAなんかイラネ
VIPで死ね
エロネタならまだしもこういう無関係な話で盛り上がってる奴ってなんなの
>302
何でもかんでもVIPに持ち込むなクズ
>303
これくらい許容範囲内だろうが。ボケ
↑餓鬼はさっさと糞して寝ろ
空気を変えよう。うんそうしよう!
下品な話だが中世のトイレってどうしてたんだ?
原作じゃさすがに出てこないし、流し式なのかな?
アン様もウンコするんだよな
>>306 触れてはならないことを…
ヨーロッパの昔の貴族はそこらじゅうでうんこしてた。
おまるみたいなのを持たせといてそれにしたらしい。
昔の貴族のスカートがもっさりしてるのはそれを見えないようにするため。
ベルサイユ宮殿とかおしっこの匂いですごく臭かったそうだ…。
おまるが部屋の隅にあって、使用人がそれを捨てる、庭に。
使用人は外でする、庭とか。
ドロワーズ(だったかな?)のことをしらべればいいと思うよ
ごめん、リロード忘れてた
>>309 それに比べると江戸の日本の清潔さは異常。
ドラマCDではそれなりに整備されたトイレがあった。
個室の外にサイトを待たせざるを得ない状況で、
音を聞かせないために○○中はルイズ叫ぶというw
これが世に言うウンコク時代であった。
あっちは近世まで日本より不潔だったからな。
明治維新あたりで逆転されたけど、現在はまた日本圧倒的優位。
ゼロ魔の世界ではたぶん魔法でどうにかしてるんじゃねw
魔法学院の大浴場とか見ても、そのへん現実の中世ヨーロッパよりはご都合っぽく清潔的だと思う。
技術がないから魔法に頼る、というより、魔法万能すぎて技術なくてもいいやって世界だし。
そんな不衛生な環境で伝染病とか大丈夫だったのか?
中世ヨーロッパの衛生関連は、記すことさえはばかられる系だからなぁ。
あんまり臭いんで香水が発達したとか(モンモランシー!)
都市部は道が捨てられた汚物で汚れてたからハイヒールが生まれたとか。
お風呂に入ると病気になるって言われてて、一生に一度も風呂に入らない人が居たとか。
スカとか臭いフェチとかの人は、ひょっとしたらエロネタとして興奮できるのかもしれない……
ゼロ魔の世界はそんな事無いよね! メルヒェンやファンタジーなんだから!
>>317 もしそんなことあったら召喚されたいって言ってる奴激減しそうだなw
>>316 だから何度も伝染病が流行してる。
産業革命で綿製の肌着が大衆に安く買えるようになるまで、民衆は羊毛織物を
素肌につけたりしていた。できの悪い羊毛はチクチクするし、洗わないから虱の巣で肌がかゆくなる。
だから風呂にめったに入らない不潔な肌をボリボリ掻いたりして、その手を洗いもせず道具もつかわずモノを手づかみで食べる。
ペスト以外にも、伝染病がたびたび起こったのは当たり前でして。
321 :
名無しさん@ピンキー:2007/12/01(土) 23:59:43 ID:Ip/N6FDz
当たり前だろ!!
by ノボル
322 :
名無しさん@ピンキー:2007/12/02(日) 00:00:49 ID:UnHsE1tS
アン様のうんこの匂いでおっきした
キリスト教の影響もあったらしい。
清貧がモットーだったから、風呂に入ったりして身奇麗にするなど以ての外! てことで。
なにあれ、良い時代になったなぁ…
まあ、
>>315にあるとおり一介の学校でも常設の大浴場とかある時点でかなり現実中世とは違って綺麗好きっぽいし。
土、水魔法で上下水道の代わりとかなんとかできそうだし。火魔法で汚物焼却とか。
俺もノリノリで書いててなんだけど、そろそろやめようw
wikipadiaでみてみると下水処理ってスゲーな
消費税値上げする前に水道代と下水処理にカネ払いたいぜw
5パーセントぐらい一気に値上げしても文句ない
明治維新のときに日本が参考にしてたのがこの時代のヨーロッパだったら.....
OSOROSII
その辺のインフラ描写って大事よね、やっぱ。
ただまあ、本来ならエロパロ板で気にするようなことじゃないんだけどなw
エロパロだから気にするんじゃね?
そこから電波を…(ry
>>317 古代ローマの都市は、上下水道から公衆浴場までインフラが整ってたのにね。
文明を破壊したゲルマン人氏ね。
331 :
かくてる:2007/12/02(日) 01:29:40 ID:fePEgWgA
流れ断ち切っちゃいますが、新作投下。
「愛しい匂い」
草木も眠る刻。
大粒の雨が窓を叩く。
雷鳴が轟き、稲光が室内を照らす。
そんな状況にも関わらず、そこに居る3人は何やら興奮していた。
「で…出来た…」
「信じられん」
「……本当に効果有るんでしょうね」
少女は期待半分、不安半分といった感じで卓上の“それ”を見つめていた。
「大丈夫だって、絶対効果あるから」
自信たっぷりに言い、少年は卓上の“それ”を手に取った。
中央にあるスイッチに指を掛ける。
その両隣には【大】と【小】という文字が見て取れる。
少年はスイッチを【大】の方へとずらし、少女へと向ける。
「……やるぞ」
電源を入れた。
少年の手にある“それ”―地球で言うところの懐中電灯のようなもの――から発せられた光が少女の
身体全体を包み込む。
すると、少女の身体に変化が訪れた。
「全くあんた、最低ね」
モンモランシーはルイズの頼みに顔をしかめた。それでもルイズは必死
で頭を下げる。
「お願い!もうすぐサイトが帰ってきちゃうから!」
はあ、と溜息をついてモンモランシーは棚に並んだ香水瓶を何本か手に
とってテーブルに並べ始める。モンモランシーは目を輝かせたルイズに指
を立てて言い聞かせた。
「言っとくけど、臭いってのは普通消せないものなの。香水は嫌な臭いを
誤魔化すために良い香りを撒くわけ。でも強い匂いに香水を使うとますま
すひどいことになるわ」
う、とルイズはうめき声を上げる。モンモランシーは煤で汚れたルイズ
の顔をハンカチで拭って訊いた。
「で、部屋にぶちまけた失敗料理って何なの」
「最近サイトのこと働かせ過ぎたなとか、牛乳女に出来て私に出来ないはず
ないなとか思って、ちょっと特製ビーフシチューを作ろうって思ったの!」
モンモランシーが眉をひそめてさらに中身を問い詰めると、ルイズは急に
小声になってレシピを説明し始めた。
「ビーフシチューをアレンジしようと思ったのよ。牛のヒレ肉を赤ワインで
ことことゆっくり煮てちゃんとあく取りしてミルクを加えて」
「それで?」
「コリアンダーとミントとシナモンとニンニクとブルーチーズと紅茶と東方
から来たっていうマツタケとを加えて煮てたらゴキブリが出て、それで慌て
て魔法で退治しようと」
モンモランシーは調合を考えるメモ用紙を握りしめて言った。
「で、味も香りのバランスも考えないで手当たり次第ぶち込んだシチューも
どきを部屋中にぶちまけたと」
「手当たり次第なんかじゃないわよ!」
怒るルイズにモンモランシーは冷静に返す。
「何なら今すぐ厨房のコック長の……マルトーだっけ?訊いてみる?」
う、と再びルイズは黙り込む。モンモランシーははあ、と溜息をついて手
元の紙に何やら書いて計算を始めた。
「とにかくそんな変な部屋に普通に香水撒いたって全然駄目ね。トイレの消
臭材と水魔法と……どうせサイトだし。あれで誤魔化すか」
ぶつぶつとモンモランシーは呟いて何やら書きあげると、今度は部屋の小
鍋に幾つかの香水瓶の中身を入れる。何やら木屑のようなものや花びらも入
れてかき回し、ルイズの聞いたことのない水魔法の呪文を唱える。小鍋の中
身が青く発光し、うっすらと飴色の液体が鍋いっぱいに出来上がる。
「さ、撒きに行くわよ。これ持って」
手渡された円筒形の筒には、キュルケの流麗な文字で「ぴかぴか消臭クン
3号 ばい・ダーリン作」と書いてある。コルベールの発明品を誕生日にプ
レゼントされたと言っていたが、これのことだろうか。
蓋を開けて鍋の中身をこぽこぽと入れ、最後にいきなりルイズの髪の毛を
何本か引き抜いた。
「何すんの!」
「最後の仕上げよ」
淡々とした調子でモンモランシーはルイズの髪の毛を消臭クンに放り込み
しゃかしゃかと振り、消臭クンを担いでルイズの部屋に向かった。
「や、やった」
少女の身長は伸び、いまや先ほどより1.5倍(当社比)くらいの大きさになっていた。
少女は自分の胸元を覗き込む。
が、期待していたモノは見当たらない。
「ちょっと、どういう事よ!全然変わってないじゃない!
どういう事か説明してもらいましょうか、犬!!!!」
少女が怒鳴り、少年の胸ぐらを掴もうと手を伸ばした瞬間、更なる異変が訪れた。
少女の身体は大きくなるのを止めず、どんどんと脹らんでいったのだ。
「え…な、なに?ちょっとぉ…止めてよ」
「……壊れたみたい」
「……え゛」
コルベールの研究室を破壊しても、その現象は止まらない。
みるみるうちに少女の身体は元の何十倍、いや何百倍もの大きさになった。
「……サーーイーートーーー!」
大きくなりすぎた彼女の声は、まるで地響きかのように当たりにこだまする。
その声に、学院寮の全生徒が何事かと集まってくる。
「る、ルイズ、落ち着け、もう一回作るから。んで元に戻すから」
「…いつ出来るのよ」
「……さぁ」
「こ、こここ、こんのーバカ犬ぅぅぅぅぅぅ」
ルイズはいつもの様に虚無―エクスプロージョン―を唱え、杖を振り下ろした。
そして…
ハルケギニアは消え去ったのだった。
(合掌)
くんくん、とルイズは鼻をひくつかせる。たしかに変な臭いはしなくなっ
た。かすかに薔薇の香りが漂っているようだが、消せない分を誤魔化してい
るのだろう。モンモランシーはルイズから材料費と手間賃を受け取ると、そ
そくさと部屋から出て行った。
「ただいまー」
部屋のドアを開けたサイトは鼻をひくひくさせる。ルイズは冷や汗をかき
ながらサイトの発言を待った。
「薔薇?」
「そそそそうなの。モンモランシーが新しい香水をくれてそれで」
ふうん、とサイトは言い、なんか安っぽいな、と呟く。ルイズはどうせ試
作だしまだまだみたいねなどと出まかせを言う。
「でも何か、何だろ。ちょっと汗くさい?」
サイトはベッドに腰かけ、再び鼻をひくつかせると何故か顔を赤らめる。
「どどどどしたの?疲れた?」
「なんかこの部屋さ、その」
「ああああんたほんと、くんくんくんして犬みたいじゃない!」
「だってさあ」
言ってサイトはくんくんと鼻をひくつかせて次第にルイズへと近寄ってく
る。くんくん、とサイトの顔がルイズの首筋に寄ってくる。
「ルイズの、匂い」
サイトの手がいきなりルイズの体に回った。え、と反発する間もなくルイ
ズはそのまま押し倒される。サイトはさらにルイズの首筋に鼻を寄せてくん
くん、と匂いを嗅ぐ。
「わりい。何だか、我慢できねえ」
「あああああんた!」
だがサイトの手はいやらしい場所に伸びるわけでもなく、単にぎゅっと抱
きついてきた。何となくルイズはサイトの頭をそっと撫でてしまう。
「あー、何だか安心する」
「そ、そう?」
ルイズもぎゅっとしてやる。くんくん、というサイトの鼻息は本当に犬み
たいで、でもそれが妙に愛おしく思えてしまって、ルイズはサイトの額にキ
スしてしまった。
ちゅっ、ちゅっ、と音を立ててキスをするとサイトの体から力が抜けてい
く。腕の中で安心しきったサイトの頬を、ルイズはゆっくりと撫でてついば
んでみる。サイトは、私のもの。呟いて顔中にキスしてしまう。
そうっと頭を撫でてやって。ベッドに転がしてやって布団を二人で被る。
「サイト……」
小さく寝息を立て始めたサイトをじっくりと眺めて、まだ夜にならないの
にルイズはしっかりとサイトを抱きしめたまま眠りについてしまった。
「男はかなりの割合で好きな女の匂いフェチ、っと」
モンモランシーは使い魔の報告を聞い取りメモ帳に記入すると、先ほどル
イズの部屋に撒いた香水に似た処方の液に自分の髪の毛を放り込んで呟いた。
「今夜はギーシュ、暇だったわね」
336 :
かくてる:2007/12/02(日) 01:35:01 ID:fePEgWgA
投下終了。……なんか334氏と交差しちゃいましたね。
とにかく306-330でインスピレーション貰ったので感謝。
337 :
ツンデレ王子:2007/12/02(日) 01:40:24 ID:vnBQ0mxZ
カクテルさん、すいません><
リロードし忘れ&確認しわすれ で…
途中で割り込んでしまいまして、大変申し訳ありません。
>>293-296の方々、有難う御座います。
お礼を述べようと思ったんですけど、何か簡単でも作品投下しながらの方が
良いかなと思い…
338 :
ツンデレ王子:2007/12/02(日) 01:47:03 ID:vnBQ0mxZ
あ…
ミスってる><
かくてるさんは平仮名ですね
カタカナで書いてしまった…………
度々申し訳御座いません
それと、作品良かったです。
私自身がソレ気味なので…サイトの気持ちが分かるw
339 :
名無しさん@ピンキー:2007/12/02(日) 01:49:03 ID:58ZOoW0z
なんというバッティングw両氏ともGJ!
サイトの運命が対象的w
340 :
かくてる:2007/12/02(日) 02:06:12 ID:Iltifo7V
もうすぐ寝るので携帯からカキコ。
>>338 偶発事故ってことで。
ガチギャグ路線ですね>貴作品
たしかに
>>339氏のとおり対照的かも。コルベール発明絡んでますし。
>>336 ハ○ポタのポリジュース薬を思い出したw
匂いねぇ…分かるなぁ。GJっす
>>337 笑ったwwwというか、そのライト作ったらチキュウより文明発達してる気がしてならねぇw
GJっす
342 :
名無しさん@ピンキー:2007/12/02(日) 12:00:58 ID:XGJQzDKs
どうもです。
「サイトが魔法を使えたら【ガリア編】」を投下します。
>>254 からの続き。
・消費レス:3-4くらい
・・・
・・・・・・
サイトがガリア王と会っている。だけど、彼は王に向かって剣を構えている。
そばに誰かが倒れていた。
突然、彼の足元の床が消え失せた。
彼は魔法で宙に浮いて、氷の槍を放っている。
彼に向かって王が何かを言った。
彼の目の色が一変する。そして、王に剣先を突き立てんとするようにまっすぐ突っ込んでいく。
王の表情が狡猾な笑みに歪んだ。
王は小さく杖を振るう。
ドスッ!
サイトの背後から土砂でできた槍が襲い、彼の胸を貫いた。
彼は床に崩れ落ち、突進の勢いのまま何メイルか滑ってしまう。
どくどくどく。あっという間に彼の周りに血溜まりが広がっていく。
倒れた彼を王は嘲り笑っていた。
・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・
サイトっ!!!!!
ルイズは自分の発した大きな叫び声で目が覚めた。
全身べっとり汗にまみれてしまっていた。
夢ーーにしては、妙な胸騒ぎがするのだった。
彼女は汗を濡らしたタオルでぬぐい、それから出かける支度を始めた。
一番鳥が鳴く前に本塔前に集合すること。
それがオンディーヌの隊長との約束だ。
まだ外は煌々と二つの月が輝いている。
その月明かりが薄っすらとルイズの部屋に差し込んでいた。
今夜、一人で彼女はそこに眠っていた。
いつもそばにいるはずの彼は居ないのだった。
ひさびさに一人きりで眠るベットの上は、かなり心細かった。
ひざを抱えたりもしたが落ち着かなかった。
結局、彼の匂いのする枕を抱きしめて眠りの世界へいったのだが、
彼が死んでしまう夢を見るなんて。
さっきの夢を思い出してしまい、彼女は震える自分を自分で抱きしめる。
サイト。サイト。サイト・・・
窓からのぞく月たちを見上げ、ルイズは彼の名前をつぶやき続けた。
彼の居ない部屋にいるとますます気が滅入ってしまう。
夜明けまでには随分あったが、ギーシュたちと約束した場所に来た。
本塔前。
明かりといえば、双月の月明かりだけ。
その月影でもってさえも夜闇にはかなわない。
景色はすぐに闇に喰われてしまう。
入り口前の階段に腰掛けていたルイズは、ここが夢なのか、現実なのか
曖昧な気分になっていた。
闇が生みだす寂しげな雰囲気。
こんなとき、そばにサイトがいたら、絶対に蝕まれはしない感情。
恐怖。
膝に顔を埋め、身体の震えを押さえ込もうとした。
だめ。わたしってサイトがそばに居てくれないとだめだめなの。
そんな彼女の肩に誰かの手が触れた。
・・・
・・・・・・
モンモランシーは、自分を洪水と呼ばわる友人のことが気になっていた。
あの子、なんだかんだいったって、結局はあの彼のことが好きなのよ。
なぜか分からないけれど、その感情を無理やり押し込んでるんだわ。
昔のあの子は、プライドの塊だった。
だけど、彼がそのプライドの塊を壊してくれた。
使い魔と主人だからという理由にかこつけてほとんど一緒に行動している。
他の女の子にシッポを振ったら即おしおきなのは、たぶん自分のほうを見てくれていないと
不安で不安でたまらないからなんだ。
プライドの殻を取り去ったあの子は、脆く、か弱い普通の女の子。
だから、今の状況はかなり危険だわ。
あのバカギーシュに誘われたときには、乗り気じゃなかったけど、あの子の様子を見たら・・・
わたしがそばに居てあげないとだめなんだ。
どうせ今夜は彼が居ないベットで悶々として寝付けないだろうし、
きっと早めにあの場所にいるかもしれないし。
彼女はやおらベットから身を起こす。その姿はすでに旅支度が済んだ状態だった。
マントを羽織るとモンモランシーは目的の場所へと急いだ。
例の場所に着てみると、想像通り、あの子が膝を抱えて顔を埋めていたのだった。
・・・
・・・・・・
人肌のぬくもりを肩に感じてルイズは涙に濡らした顔を上げた。
「モンモランシー」
「つらそうね。ずいぶんひどい顔」
「わ。悪かったわね」
「悪い夢でも見ちゃった?」
図星。ルイズの顔がふにゃっと歪む。
「ごめんごめん。当たっちゃったか」
モンモランシーはルイズの背中をやさしくさすった。
「わたしたちがついてる。大丈夫よ」
「それにしても、男の子って、勝手よね。わたしたちの気持ちなんか置いてきぼりで
あっちいったりこっちいったり・・・やんなっちゃうわ」
モンモランシーは闇の向こうに目をやって言った。
そんな彼女をルイズは意外そうに見た。
「ギーシュのことやっぱり気になるのね」
頬を朱に染めたモンモランシーはルイズの顔をちら見して口を尖らせる。
「そっそりゃ・・・あれだけ言い寄られれば、女の子としてう、嬉しいわよ。
――その言葉が本物かどうか不安になっちゃうときあるのよ」
わたしだけじゃないんだ。ルイズはぼそりと零すと、顎を膝に埋め夜闇の先を見た。
「「はぁ〜」」
彼女たちは同時にため息をついた。二人は顔を見合わせるとくすりと笑った。
それから、肩を寄せ合うようにぴったりとくっついて、
その悩みの種がやってくるのを待つのだった。
「二人とも、早いんだねぇ」
2時間後、モンモランシーの悩みの種が現れた。
うつらうつらしているルイズを身体で支えながら、彼女は彼を睨む。
「女の子より遅く来るなんて、非常識よ」
「これでも予定よりも半刻くらい早く来たつもりなんだけどなぁ
ぼくのモンモランシー。一体君たちはいつからここにいるんだい」
「いっ、いつからって・・・ついさっきにきまってるじゃない!」
彼女はそういうと、ツンとそっぽを向いた。
んんん〜?!寝ぼけ顔のルイズが二人を見渡した。
「おはよ。」
モンモランシーが声をかける。
「んー」
「早速だけど、行こうかルイズ」
学院の正門には、レイナールとマコリーヌが馬を引いて待機していた。
「ごくろうだね。諸君」
ひらひらと手を振ってオンディーヌの隊長が声をかけた。
「モンモランシーも行くのか」
レイナールが彼女に聞く。
「そうよ。みんなが怪我したら治してあげるわ」
「隊長殿は、こんなときにもオンナ連れか、いいよなー」
マコリーヌが口を尖らせて言った。
「べ、べつにわたしはこいつと付き合ってるわけじゃないんだから!
関係ないのっ」
モンモランシーが大きな声で反論するのだった。
「ひどいじゃないか。ぼくのモンモン」
「モンモンじゃないっ!」
彼女は彼の尻をつねり上げた。
「・・・痴話げんかはちがうとこでやってくれ。早く行こう」
レイナールが二人をたしなめた。
ルイズとモンモランシー。そしてオンディーヌの精鋭3名は馬に乗り、ガリアへと駆け出すのだった。
・・・
・・・・・・
そんな5人の様子をキュルケは自室で眺めていた。
「ギーシュ?!ルイズはどーしようもないとして、ギーシュたちは止めないとさすがにまずいわね」
そうつぶやくと、急いで部屋から出て行った。
以上です。
>>261-262 ありがとです。
昨日、忘年会での徹夜帰り、モノレールから見た多摩川からもやみたいな煙が立ってた。
寒いんですね。
いよいよ今年も今月を残すのみですね。
忙しいと思いますが、がんばっていきましょー。
では ノシ
>>348 GJですっ!!
いやはやキュルケの動きが気になりますね
それにルイズが見た夢…………もしや使い魔と通じちゃった映像が夢だったりするんでしょうか!?
続きが気になりますね
最後にもう一度、GJ!!
GJ。GJだがっ
マコリーヌ⇒マリコルヌ だよぅ。
名前間違いなんて自分もよくやるし、人のこと言えないが…
>>351 スレ違いだバカ! ……と罵るためにちょっと覗いてみたら大爆笑してしまった。
……なんか負けた気分だorz
ヽ(゚∀゚)メ(゚∀゚)メ(゚∀゚)ノ
(゚∀゚)メ(゚∀゚)メ(゚∀゚)メ(゚∀゚)メ(゚∀゚)メ(゚∀゚)ノ
そういえば、意外とワルド×ルイズのぶんないね。
NTRRが好きな人が居て?
意外と好きです(´∀`)
>358
変態!変態!変態!(AA略)
ルイズやタバサをギーシュが寝取るよりも、マリコルヌが寝取る方がより楽しめるよね(´∀`)
そういや忘れたが、もうPS2の新作でたんだよなぁ・・・
現代編がここのSSと被ってなきゃいいんだが・・・
やあみんな。
クリスマス選択肢、あと一本あったの覚えてる?
バッ○ーノ!全編2ループしてたら日曜潰れたんだZE!!!!!<阿呆
というわけで投下。エロ薄くなったけど投下。
「起きて下さい、サイトさん」
耳慣れた声に目を醒ます。
目を開くと、黒髪のメイドがベッドに腰掛け、自分に呼びかけていた。
「んあ?シエスタ…?」
寝ぼけ眼で身体を起こす。
すると。
シエスタはかぶり布団を才人から器用に剥ぎ取った。
「うわさぶっ!?シエスタ何すんだよっ?」
上半身裸の才人は、身体を抱えてシエスタに抗議する。
「はーい、今日はせっかくの冬の晴れ間ですからねー。
お布団干しちゃいますよー」
言って今度はベッドのシーツに手を掛ける。
外は確かに快晴で、絶好の物干し日和だった。
しかし。
「だから寒いって!」
快晴で室内とはいえ、冬の空気は半裸の才人にはキツかった。
シエスタはそんな才人に、指を突きつけながら言う。
「いつまでもそんな格好してるからです。
さ、早く服着てください」
さすがにこのまま凍えているわけにはいかないので、才人はシエスタに言われるまま服を着る。
その間にも、シエスタはてきぱきとシーツとかぶり布団をまとめ、抱え込む。
「シエスタって、なんだかお母さんみたいだな」
なんとなく呟いた才人の言葉に。
「…もう、何言ってるんですか。
ほら、早く朝ごはん食べてきてください。ミス・ヴァリエールが食堂でお待ちですよ」
そういえば、既に部屋にルイズの姿はなかった。
「やっべ、急がないとまた不機嫌になる!」
「いってらっしゃ〜い」
シエスタに見送られ、才人は寮の廊下を駆け抜ける。
そして、駆け抜けながら思うのだった。
シエスタみたいな子がお嫁さんだったら、最高なんだろうな、と。
夢を、見ていた。
どこか遠くで、こことは違う場所で、生活する夢。
それはとても楽しく刺激的で。
いつまでもそうして、まどろんでいたかった…。
「起きて下さい!才人さん!」
夢は唐突に終わる。
聞きなれた声が耳元で炸裂し、才人は思いっきり布団を跳ね上げて起き上がる。
「うわっ!?なんだなんだっ?」
慌てて辺りを見渡す。
目に入る、見慣れた部屋の光景。
白い壁紙。その壁に立てかけられたスチール製のラック。そのラックに雑多に積まれた書籍と、オーディオ機器。
そしてその前で、腰に手を当てて怒っている制服の少女が一人。
黒髪のその少女は、まだ寝ぼけ眼の才人に、顔をぐーっ、と近づけて言った。
「ほら、早く着替えて!また遅刻する気ですか?」
言いながら、手に持った橙色の折りたたみ式の携帯を開いてみせる。
可愛らしい猫の時計の壁紙が、十二月二十四日の午前八時前を指していた。
このままだと、二人は確実に二学期最後の始業時間に間に合わない。
「うわっ?もうこんな時間っ?」
慌ててベッドから飛び降りる才人。
その才人に、少女はてきぱきと着替えのブレザーとカバンを渡す。
「はい、着替え。ネクタイはあとで締めてあげますから、制服だけ着て。
今日の準備は全部しておきましたから。携帯もカバンの中」
手渡すとすぐに、ぐちゃぐちゃのベッドの掛け布団をばさっ、と開いて直す。
才人は慌てて制服に袖を通し、脱いだパジャマを放り投げる。
「あーもう!脱いだらきちんと畳んで!
時間ないんですから慌てずに急いで!」
「ムチャゆうなよ!全く、結婚前からこんなのって、先が思いやられるよ…シエスタ」
「…それはこっちの台詞です。いつまでもだらしのない許婚じゃ私が困るんです」
言いながら才人のネクタイを締める少女の名前はシエスタ。
才人の幼馴染であり、そして、両家の親が認めた許婚でもあった。
準備を整えた二人は玄関を飛び出していく。
「行って来ます!」
「それじゃ行って来ますね、おばさま」
パンを咥えた才人を、シエスタが押しながら駆けていく。
二人の背中を、才人の母親が手を振りながら見送った。
「ま、間に合ったぁ」
閉じた校門の内側で、才人は肩で息をする。
その隣では、シエスタが同じように肩で息をしていた。
「これで、無事冬休みが迎えられますね」
言ってにっこり笑うシエスタだったが。
「…残念ながら、そういうわけにもいかないんですよ」
言って二人に話しかけたのは、生徒指導部教諭、コルベール。
「え?それってどういう…」
そう尋ねる才人に、コルベールは手元のボードに挟まれたプリントを才人に見せる。
そのプリントには二学期の遅刻・欠席数がカウントされており、才人のそれはちょうど三十回に達していた。
「遅刻三十回。罰則規定により、終業式の後片付けをお願いします」
「え?ちょっと待って先生、俺まだ二十九回しか…」
才人の言うとおりだった。
二学期に入って、才人は二十九回しか遅刻していない。従って罰則発生しないはずであった。
「お忘れですか?夏休み中の登校日、才人君遅刻してきましたよね」
「え」
「夏休み中の登校は、二学期分にカウントされます」
「えええええええええええええーっ!?」
頭を抱える才人だったが、結果は覆らず。
結局、終業式の後片付けをする羽目になったのだった。
後片付けをまかされた才人の仕事は、主に体育館の隅に並べられた教員用のパイプ椅子を片付けることだった。
それ自体は、1時間もせずに終わるような内容の仕事だったのだが、いかんせん始めたのが最後のHRの後では、遅すぎた。
才人がヒイコラ言いながら椅子を片付け終わった頃には、外は真っ暗になっていた。
才人は慌てて玄関に向かう。
「うっわ、もうこんな時間かよ!」
「お疲れ様でした。三学期は遅刻は少なめにね、才人君」
コルベールは手を振って、会釈だけ返した才人を見送った。
才人が慌てて家に帰ると、ダイニングで冷め切ったクリスマスのご馳走が、『お母さんたちはちょっと氷川くんのクリスマスライヴに行ってくるからあとはよろしく♪』と言う手紙と、物凄く不機嫌な顔の、制服の上にエプロンを着たシエスタと一緒に待っていた。
「…オコッテル?」
恐る恐る、才人は尋ねてみる。
「…怒ってます」
言ってシエスタはぷい、と横を向く。
どうやら怒っているようだ。
「…今日、帰りにデートしてくれる約束でしたよね」
むすっとした顔で、シエスタは才人を責める。
彼女の言うとおり、今日のクリスマスイヴ、才人はシエスタとデートの約束をしていた。
というより、持ちかけたのは才人の方だ。
まず映画。そしてプレゼントを買い、家へ。夕食の後、以下省略。
という予定だったのだが。
今からではせいぜい夕食その後、くらいなものだ。
「あ、あのさ」
「…言い訳は聞きたくありません」
言ってシエスタは、テーブルの上のフライドチキンの皿を電子レンジに突っ込む。
レンジを淡々と操作するその背中には、妙な気迫がこもっているように見えた。
「え、えと、怒ってる?」
さっきと同じ質問を、才人は繰り返す。
「えーえ、怒ってます」
背中を向けたまま、シエスタは応える。
一切才人の方を向かないのがなんだか怖い。
才人はなんだか声を掛けづらくなって、ごにょごにょと下を向いてしまう。
「…全く。どこかの遅刻魔人のせいで、せっかくのクリスマスがダイナシです」
言って、温め終わったフライドチキンの皿をどすん、とテーブルの上に置く。
その音にびくん!と身体を震わせる才人。
顔を上げると。
息のかかりそうな距離に、シエスタの顔があった。
「あ、あの、シエスタ?」
「ダイナシにしたぶん、しっかり償っていただきます♪」
その満面の笑顔は、才人には何故か怒っているように見えた。
まずは、ダイニングで一回。
当然の事だ。裸エプロンで迫られて抵抗できるほど才人に根性はないのだから。
そしてお風呂で二回。
致し方のない事である。圧倒的な物量と、そしてシャンパンで紛れ込んだアルコールが才人の理性を場外までかっとばしたのだから。。
才人が疲れきって寝巻きで部屋に戻ったら。
「さーいーと、さん♪」
超ミニのサンタが、ベッドの上でおいでおいでしていた。
「あのー、シエスタさん…?」
疲れきった顔で、才人は部屋の入り口から黒髪のミニスカサンタを見つめる。
「まだ、なさるんで…?」
若いとはいえ、さすがに一夜で立て続けはこたえる。
しかし。
「何言ってるんですか。ここからが本番ですよ♪」
言って、それまで横で組んでいた足を才人の方に向け、膝を立てる。
そして。
膝を立てたまま足を開いて、膝の下から手を差し込む。
当然、シエスタは履いていなかった。
くぱぁ。
自らを両手で割り開き、真正面から才人に晒す。
粘液に滑る桜色の肉襞が、真っ赤に充血した肉の真珠が、才人の視線を釘付けにする。
ごくり、と才人の喉が鳴り、悲しいかな、男の本能が目覚める。
「ほぉらサイトさん♪」
立てられた膝の間で、シエスタはにっこり笑う。
それは、発情した雌の肉食獣に酷似していた。
「サイトさんの、クリスマスプレゼント…。
いーっぱい、くださいな♪」
才人は一瞬くぅ、と考え込んだが。
「ええいもう、明日っから冬休みだし!どーとでもなれー!」
叫んでパジャマを脱ぎ去り、シエスタに飛び掛ったのだった。
「サイトさん、お・き・て♪」
シエスタは才人の耳元でそう囁き、彼の耳朶に熱い吐息を吹きかける。
「うわっ!?もうカンベンっ!?」
意味不明な叫び声を上げ、才人はがばっ!と起き上がった。
「さぶっ!?」
そして慌てて布団の中に戻る。
何故か裸だったから、冬の外気は余計にこたえた。
「おはようございまぁす」
シエスタの声は布団の中から聞こえた。
才人が布団を捲り上げると。
才人の下半身に柔らかい胸を乗せて、朝立ちの真っ最中の、才人の一物の向こうで全裸のシエスタが微笑んでいた。
「ちょ、シエスタなにしてんだよっ!」
「んー。夢の続き、かなー。
サイトさんてばあんな夢見せるんだもの。欲しくなっちゃうじゃないですか♪」
言って、柔らかい二つの肉球で才人を包み込む。
「ほ、欲しくなるって何を?」
この状況で何を言ってるんだか、とシエスタは思ったが。
盛り上げるために、あえて応えることにした。
「『クリスマスプレゼント』ですよ♪いっぱい出してください、サンタさん♪」
「ってそれ違っ…!」
才人に反論する隙も与えず。
シエスタは、口と胸を巧みに使って才人を搾りにかかった。
結局、その日才人は夢の中とたいして変わらない回数、シエスタに搾り取られたのだった。〜fin
はい終わり。
今日はもうバッカー○!とこれ仕上げるので精気を使い果たしたZE
…でもこれ仕上げるの2時間かかってなかったような希ガス(何
では、あと1周バッ○ーノ!してきますノシ
ぅぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお
GJ!GJっす、せんたいさん!
シエスタ可愛えぇ!
ごっつ萌えた!
これが本当の“ホワイトクリスマス”ですか…w
372 :
ツンデレ王子:2007/12/03(月) 04:40:04 ID:xomfsbBU
せんたいさんの後に投下すると色あせるような気がしますが…
投下します
「○○が大きくなっちゃった(サイト編)」
全レス数 約4です
草木も眠る刻。
大粒の雨が窓を叩く。
雷鳴が轟き、稲光が室内を照らす。
そんな状況にも関わらず、そこに居る3人は何やら興奮していた。
「で…出来た…」
「信じられん」
「これで…この国の食糧事情も改善されますわね」
3人が3人とも、期待に満ちた目で卓上の“それ”を見つめている。
「ちょっと試してみましょうか」
少年は“それ”を手に取り、偶々そこにあったビーカーを照らす。
すると、ビーカーはみるみるうちに2倍の大きさに変わったのだった。
「やった、やりましたよ!姫さま、コルベール先生」
少年は喜びをあらわにしてコルベールと呼ばれた中年を振り返る。
その時、異変が起きた。
実験したビーカーから少し離れたところにあった鏡に反射し、少年は“それ”の光を自ら浴びてしまったのだ。
「ぅわぁぁぁぁ」
あっという間に少年は元の20倍ほど(当社比)の大きさになってしまった。
「さ、サイト殿、大丈夫ですか」
アンリエッタはフライの魔法で浮かび上がる。サイトの目の前に。
とその時、一陣の風が吹き、彼女のスカートが捲れ上がった。
「きゃっ!……見ました?」
とっさに押さえたものの、スカートの中身は彼の目に入っていたらしく、サイトはこくこくと頷いている。
「……えっち」
頬を赤らめ、ぷいっと顔を逸らす彼女を見て、サイトの股間は血をたぎらせてしまった。
「…サイト殿」
「あ、いや、その…違うんです。ただ、その…」
「何が違うのですか?わたくしの、その…スカートの中を見て、こんなにしてしまったのでは?」
サイトはうな垂れ、諦めたのか肯定する。
「でも、こうなってしまったら、その…出さないとおさまらないんですわよね?」
「……」
サイトが返答に困っていると、アンリエッタは彼の腹の上に着地し、魔法を使ってジッパーを下げ、一物を露出
させた。唖然としているサイトの腹の上でアンリエッタは着衣を全て脱ぎ捨てると、彼のモノに抱きついた。
「ちょ…」
慌ててサイトは彼女を止めようとするが、アンリエッタはお構い無しに彼のそれに口を寄せた。
アンリエッタは反対側へ回ると、自分の身長より少し高い全長を誇るソレに抱きつく。
「他ならぬサイト殿の為ですもの」
彼女は呟くと、口を付ける。自分の顔の前に“そこ”は、男なら誰しもが一番敏感であろうと言われているところ、
通称“ウラスジ”であった。元の大きさの時であれば、彼女の舌は“そこ”を一度で舐めきれり、更にはそのまま先
端まで舐め上がり、チロチロと先端をくすぐるのであろうが、今の状況ではそうはいかなかった。何度も下から上へと
舐め上げられる感覚に、サイトはくすぐったさと同時にえもいわれぬ快感がわき上がってくるのを感じていた。
(な、何これ。すっげー気持ちいい)
それもそのはず。
アンリエッタはそこを丁寧に舐めているうちに自身も興奮してきたのか、勃起した乳首を彼のモノの幹にこすり付
け、自身も少しでも快感を貪ろうとしていたのだ。ましてやそれだけではない。胸から送られてくる快感は次第に彼
女の大事な部分を潤し、うずき出したのだ。上からの刺激だけでは物足りなさを感じ始めた彼女は、ついにはソコ
すらも彼の竿にこすり付けだした。
口、胸と2箇所を使っての攻めなら通常の状態でも出来うる行為ではあるが、それに“あの部分”を合わせた
3箇所を同時に使っての“男性自身”への愛撫など、今の状況で無ければ体験する事など出来ないのだ。
(あ、だめだ…いく!)
サイトがそう感じた瞬間、彼のそこは一際大きく膨らむ。
それを身体で感じ取ったアンリエッタは、嬉しそうな表情を見せ、さらに自身の動きを早めた。
(あ…ぁああああああああ……)
絶頂を迎えたアンリエッタと同時に、彼のソコから勢い良く彼の欲望が射出され、それは遥か彼方へと飛んで
行った。
その時、突然彼に変化が訪れた。
彼の身体は急速に小さくなり、元の大きさに戻っていった。
瓦礫の中で荒い息を吐く2人。
「…姫さま」
「…サイトどの」
視線を絡ませ合う二人。
サイトが目を閉じると、アンリエッタはゆっくりとした動作で彼に唇を近付けた。
ところ変わって、ここはガリア王国の首都、リュティスのヴェルサルテイル宮殿。
その中の自室で眠るジョセフ。
と、そこに白い何か大きな塊が降ってきた。
そう、先ほどサイトが吐き出した己の欲望だった。
直撃を受け、たちまちヴェルサルテイル宮殿は瓦礫と化した。
その粘つく液体に囚われ、眠っていたジョセフも異変に気付く暇も無く窒息し、息絶える。
こうしてガリア王ジョセフの野望は打ち砕かれ、ハルケギニアに平和が訪れたのだった。
〜END〜
>>370 ああ、シエシエはエロイ子だ・・・GJ
>>376 ああ、湯煎されたチョコの中で茹で死ぬよりも嫌ですね。
>粘つく液体、で窒息死
378 :
ツンデレ王子:2007/12/03(月) 04:53:36 ID:xomfsbBU
しまった…
最後 4―3 じゃなく 4―4 に直すの忘れてた><
毎回どこかミスが有りますね、私。
今回もギャグのつもりですw
一応エロパロスレらしく、エロを入れてみました
つーか本当はこんなシチュが書きたかっただけだったりw
結構短時間(約2時間)で書いたので、文章的におかしい部分や量的に
少なかったりしますが、ご容赦下さい。
他にタバサ編、テファ編、シエスタ編と考案してはいますが…
いつになる事やら^^;
そうそう、途中でブンサにしてコルベールとの○モ系も思い付いたのですが…
時間も時間だし、明日も仕事だし…止めました
では、お休みなさいまし
ノシ
コルベール先生はどこで見てたの?w
ジョセフ涙目w
主人が死んだらミョズも力無くなるんだよな。
>>350 ご指摘ありがとう。
マリコルヌだったとは。マコリーヌだと思いこんでたorz
ツェルプストーをツェペルストーだと思いこんでた俺
マリコルヌとマリアンヌがこんがらがる
だって同一人物ですもの
じゃあ混ぜてマリアンコヌル
マリコンヌのほうが語呂いいだろ
373>こんな最期はいやだな...
時々出てくるレイナールってどんな奴だっけ?
顔を思い出そうとするとガンダムのレイ・ラ・バレルが出てくる...
>>387 レイ・ザ・バレルじゃなかったっけ?
「そしてあるべき正しき姿へ戻るんだ。人は!名前は!」
>>388 種死ならそれであってる
しかも前作ラスボスのクローンという……しかも前作ラスボスも仲間の父親のクローンっていう………
このクローンネタなんかにつかえないだろうか?
思ったんだが、
学院にいるメンバーで事業起せそうな希ガス
ギーシュが石油探して
モンモンが石油精製
先生が発電機を発明
ルイズは大株主
キュルケは小株主で自動車とかを先生に作ってもらい配当金を得る
タバサは事務
シリアスネタに使えんかな?w
>>389 オヤジ?!
才人か。見ないうちに逞しくなったな。
エルフの長=才人の父親。←え?失踪してたのってのは横においとこうかw
はい、なんとなく思いついたタバサ投下。
一応念のために言っておきますが
※軽スカトロ注意(ぁ
※お兄さんはへんたいではありません
※お兄さんはロリコンでは(ry
ではいきますぜ
じゃぁぁぁぁーっ。
水の流れる音が、共同トイレに響く。
自分の出したものが流れていく音を聞きながら、青い髪の少女は個室を後にする。
最近、タバサは才人と逢う前に習慣となっていることがあった。
それは。
トイレに行って、大の方を必ず済ませておくことから始まる。
それなりの量をひりだしたタバサは、手を洗い、今度は共同浴場へと向かう。
入浴のためではない。
タバサは、共同浴場の一角にある、湯の出る蛇口から、共用の壷に湯を満たす。
そしてその壷に木の桶で蓋をして両手で抱えて、自室へと向かう。
自室に入るとしっかり鍵をかけ、窓も念入りに施錠し、カーテンで外界と遮断する。念には念を入れ、部屋には『サイレンス』の魔法をかけておく。
湯を満たした壷を部屋の床に置き、その周囲にあらかじめ用意しておいた使い古しのシーツを敷く。
鍵の掛けられた箪笥の扉を開き、中から二本のガラス瓶と、箱を一つ取り出す。
それらをシーツの上に置いて、そして。
おもむろに、タバサは服を脱ぎだした。
まず、マントの留め具を外し、脱いだマントを手近なテーブルの上に畳んで置く。
ホックの留め金が外されると、スカートが音も立てずに彼女の足元に広がる。それもまた、畳んでテーブルの上へ。
今度は白いワイシャツのボタンに手を掛ける。上から一つずつ外していき、一番下まで外し終わると、躊躇なく脱ぎ去り、畳んでテーブルへ。
ショーツ一枚だけの姿となったタバサは、その最後の一枚も、即座に脱ぎ去る。勿論畳んでテーブルの上へ。
そして、裸になったタバサは、ぺたんとシーツの上に腰を下ろして、シーツの上に置かれた箱を開く。
その中身は、ガラスでできた大きめの注射器と、羊の腸でできた、耐水性の細いチューブ。片方の先端が三重に折り曲げられ、固められてこぶのようになっていた。
タバサは角ばった青いほうのガラス瓶を取ると、持ってきた壷の中の湯の中にその中身を注ぐ。
湯は瞬く間に青く染まり、柑橘系のような甘酸っぱい香りを放ち始める。
そして、青く染まったぬるま湯を、注射器で吸い上げる。
注射器が湯で満たされると、タバサはチューブを注射器の先端に取り付ける。
少し赤くなった顔で、タバサはそれを少しの間、見つめる。
しばらく見つめた後、タバサはおもむろにシーツの上で四つんばいになった。
高く上げられた臀部を割り開き、桜色の襞がひくつく肛門を外気に晒す。そして。
チューブの反対側、こぶになった部分を、そこへ押し込んでいく。
「────!」
タバサはその感覚に思わず声を上げたが、『サイレンス』によってその声はかき消される。
タバサは震える手でしっかりと注射器を両手で持つ。そして。
注射器の中身を、一気に押し出した。
「──────────────────!」
腸の中に、ぬるま湯が流れ込んでくる感覚に、タバサの脊髄を悪寒にも似た感覚が駆け抜ける。
ビクビクと震え、それでも注射器を押すのを止めない。
やがて、大きな注射器いっぱいに満たされた薬品いりのぬるま湯は、全てタバサの中に納まった。
タバサは少しの間、真っ赤な顔で余韻に浸っていたが、すぐに木の桶を手元に引き寄せる。
そしてすぐに、異物を認識した腸が蠕動運動を始める。
タバサは必死に下腹部を襲う焦燥感に堪えながら、木桶をまたぐ。
そして。
括約筋に手助けされてしっかりと肛門に咥え込まれている、チューブの先端を抜き取った。
「─────────────っ!」
タバサの下腹部が震え、そして肛門から、青い湯がひり出される。
それはタバサの腸内に残っていた宿便とともに、本来なら下品な音を立てて、今は全くの無音で、木桶に満たされる。
木の桶の上をまたぎながら、タバサは排泄の快感とともに、ある妄想にとり憑かれていた。
…もし、サイトにこんなの見られたら。
その考えに、恐ろしいまでの羞恥と、そしてほんの僅かな快感が、タバサの背筋を震わせる。
やがて、タバサの肛門は最後の一滴を吐き出す。
長時間の排泄に、タバサの肛門は充血し、ひくついていた。
しかし、これで終わりではない。
タバサはもう一本のガラス瓶を手にする。
丸く薄い緑に染まったそれの中身、粘り気のある粘液上の液体を、ほんの少し手に垂らす。
それをタバサは右手の人差し指と中指に塗りこむ。
そして、液体を塗りこんだ人差し指と中指を。
再び四つんばいになって高く上げられた肛門に、押し込む。
「─────!─────!」
口がぱくぱくと開き、よだれがだらしなく零れる。しかし上げた声は『サイレンス』で消されていた。
そのままタバサは入念に、己が排泄口に、丹念に、その液体を塗りこんでいく。
しっかりと、液体が肛門周辺の肉襞に塗りこまれると、タバサは指を抜く。
…これで、いい…。
これが、最近タバサが才人と逢う前に習慣にしていることだった。
タバサは書物で、後ろを使っての性行為に関しての情報を集めた。
何故なら、才人は自分とする際、けっこうな頻度で後ろを求めてくるからだ。
また、タバサ自身も、後ろでされるのが嫌いではない。
しかし。
後ろでの行為は、性病の発生の危険が非常に高いのだ。
そこで、タバサはあらかじめ、才人と逢う予定のある日には、わざと下剤を飲み腸をカラにし、さらに薬品を溶かし込んだぬるま湯で腸を洗浄し、その上で殺菌効果のある薬を肛門に塗りこんでおくのだ。
こうしておけば、お尻でシテも、前でするのと危険性は変わらなくなる。
…今日はサイト、お尻でしようって言うかな…?
タバサは、期待している自分に、自己嫌悪と、そして、自分にこんな事をさせる才人に、軽い怒りを感じる。
…サイトが、悪い。
おしりばっかりスルから。前だけじゃなくて、おしりもいっぱいいじるから。後ろでされてるのに、前も一緒にいじったりするから。
私は、エッチでスケベで淫乱な女の子になってしまった。
全部、サイトのせい。
そして、タバサは、ふとこんなことを考えてしまう。
…これ、サイトの前で、してみたら…どんなカンジなんだろう…。
薬品とタバサの腸液と宿便の混じったぬるま湯で満たされた、木桶と、チューブの付いた注射器を、タバサはじっと見つめる。
その脳裏に、才人の前で痴態を晒す自分の姿がありありと浮かぶ。
きゅんっ…。
その想像に、タバサの牝の器官が音を立てて啼く。
それと同時に、開発された肛門が、ひくひくと牡を求めて蠢く。
タバサはふるふると頭を振ってその考えを追い出す。
…サイトが待ってる。早く…行かなきゃ。
てきぱきと服を着こんで、シーツを片付け、器具を片付け、木桶の中身を壷に移す。
そしていつもの大きな杖を持ち、部屋にかけられた『サイレンス』を解く。
いそいそと部屋を出て、そして、愛しいあの人の下へ向かう。
…早く行って…シテもらわなきゃ。
タバサの股間から待ちきれないで溢れた愛液が、水色のショーツに小さな染みを作り始めていた…。〜fin
はいおしまい。
裏話みたいなの考えてたらコウナタダケヨ!
お兄さんスカ趣味ないね!健全ね!
へんたいさんでもないよ!
んじゃ寝ます!ノシ
↓というわけで以下よりせんたさんはどノーマルな世界が展開
>>395 なんか今回やたらと背徳的ですなww
まあ、そこが良いんだが
てか共用の壷に宿便だしてるのばれたらちょっとした問題になりそうですな
>>395 注意書きしてあったのにスカ系読んじゃった
( ゜ω゜) ( ゜ω:;.:... (´:;....::;.:. :::;.. .....
やっぱ耐性無いとダメだな。とにかくGJ!
>>395 も…萌えてしまった…orz
『愛する♂の為にそこまで準備をする少女』に感動した!
↑
こういう言い方すればマトモに聞こえるんだけどねぇw
(これは自分の事ですよw)
ともあれ、せんたいさん、お疲れ様でした&すばらしい萌えを有難う
>>395せんたいさんって始祖ノボール・ヤマグッティの生まれ変わりなんじゃないかと思います。
このへんたいっ!(褒め言葉だぜ)GJ!!
てか俺今までスカトロは全回避してきたのに、せんたいさん+シャルロットだから読んじまったよwwww
頼むから俺まで異常性癖に染めないでくれwwwwww
せんたいさん。
世の中にはな、アナリスクとか、キシリスクというのがあってだな…
ハルケギニアにはきっとハッカ飴みたいなのがあると思うんだ。
つまり、アレだ。 こんの へんたいさんっっっ!!!!
>>401 何かと思ってぐぐったら、思わず吹いたジャネーカwwwwwwwww
しかもアナリスクは痛いだけってwwwwどんだけwwwwwwwww
間違いなくキシリスクは神だなwwwww
以下ノーマルと申したか? w
へんたい(褒め言葉)さん乙!
徒然草によると、人前で基地外のふりを演じられてしまう人こそ、本当の基地外らしい。
変態じゃないと言いつつこういう投稿をできてしまう人こそ、本当の(ry
変態ロリコン野郎乙(ほめ言葉)
このスカトロぺド野郎め!乙だこの野郎!
褒め言葉の嵐だなww
ド変態め!GJだ!二度とこい!
>>409 日本語でおk
こんなへんたいのスカトロペド野郎は社会から隔離すべきだな
一生ここから出るんじゃねえぞ
まったく…こんな奴がいるから変態が増えるんだよ…
俺とか
『スカトロペド野郎』が、『スカ“トロンペ”野郎』に見えた。
スカロンぺド?
ちゃららーちゃららーらーららー(BGM:○rombe!
ハルケギニアに謎の食通が召喚されたようです
全てに割り込む究極のBGMかwwww
ワルキューレに負けているだろ
スパロボ嫌いのせんたいさんのSSからスパロボの雑談に派生するとはなんともw
どうしよう…何か俺がいっぱいいる…
へんたいさん。あなたのおかげで目覚めました!
タバタンかわいいよタバタン。
「てめぇ、俺以外の男見てるんじゃねーよ、この犬野郎」
サイトは足で散々ルイズを蹴り飛ばしている。ここは魔法学院の食堂。このご主人さまと使い魔の
お仕置き風景もいつもの光景。周りに気にする生徒はいない。
「そ、それは誤解で・・・い、痛いよぅ」
「いいから服持ってこい。ほんといつまでたっても使えねぇなお前は。早く着替えさせろ」
「着替えぐらい自分で・・・」
「んだと?今晩、飯やらねぇから。あ、こらモンモン。人の犬に餌やろうとしてんじゃねぇよ」
さてその夜中。ルイズはご飯を抜かれたあげく、洗濯物が遅いという理由で廊下に出されていた。
(ああ、今晩もご飯食べれなかったわ・・・。廊下は冷えるわね。ご主人さまの思し召しで
藁だけはもらえたけど・・・。うぅ、寒くて眠れないわ・・・故郷に帰りたい。グスっ)
そこへ湯気のあがるお盆を持ったメイドがやってきた。シエスタだ。
「ミス・ヴァリエール・・・。またお仕置きされてるんですか?本当に貴族の方といったら・・・。
女性相手でも遠慮しないんだから。さぁ、これを食べて下さいな。ヨシェナヴェという故郷のスープです」
「シエスタ。あ、ありがとう。・・・でもだめ、私に近付いちゃ。サイトが何をするかわからないわ」
「大丈夫ですミスヴァリエール。たぶんサイトさんはもう寝てますわ。静かに食べれば起きませんよ」
「・・・あ、ありがとう。お、おいしい。こんな美味しいもの初めて食べた。ここに来てやさしくして貰ったの
初めてで・・・・・・ありがとう、ありがとう・・・」
そこへ勢いよく部屋のドアが開く
「こらシエスタ!餌やるなつってんだろ!これだとお仕置きの意味ねぇじゃねぇか・・・。」
ドアを開けると同時にそう言い放つサイト。なぜか表の様子を知っていたようだ。シエスタは「し、失礼します」などと
言いながら小走りで廊下を去っていく。
「ちっまぁ良いか・・・。ま、反省したみたいだし入っていいぞルイズ」
「え・・・良いの?」
「な、何度も聞くなよ。良いって言ってんだろ。言っとくけど、一人でも多く部屋にいた方が部屋が暖まり易い
だけだからな。き、今日は冷えるし。調子にのんなよな」
頭をかきながら照れくさそうにサイトは言った
「う、うん・・・(やっぱり根は優しいのよね・・・) あっ」
部屋に入ろうとしたルイズだったが、入口の敷居に足を引っかけてしまい勢いよく転ぶ。とっさに何かをつかもうとした
手がサイトのズボンをつかみ・・・引き下ろした。
ドスーン!!!
「いたた・・・あっ」
見上げたルイズの顔が蒼白になる。そこにはズボンを下ろされ、わなわなと震えるサイトの姿があった。
「て、ててててて、てめぇ・・・・・」
「か、かわいい象さん・・・あっ、ご、ごごごごごごめんなさい!!!」
ルイズは顔を真っ赤にしながら必死に顔を振り、尻もちをついたまま後ずさる。
サイトは黙ってズボンを上げると戸棚の横のデルフリンガーに手をかけながら言った。
「か、かかか可愛い象さん。クケ」
「あ、あのあの、ご、御免なさい!痛いのはもう嫌なの!!!」
「痛いじゃすまないんだよ。さぁ選べ。足か、デルフか」
左手のルーンがあやしく光り、全身から不気味なオーラを噴き上げている。恐い。今のサイトなら伝説のエルフと
言えど敵わないだろう。
後ずさるルイズの背中にドアがぶつかる。もう逃げ道がない。
「あうう」
眼を見開いたルイズの眼前に凄まじい勢いで振り下ろされたデルフリンガーが迫る・・・
「きゃああああああああああああああああ!!!」
ルイズは跳ね起きた。
(こ、ここは?・・・ゆ、夢?)
隣を見るとサイトが涎を垂らしながらいびきを上げている。
まだ心臓がバクバク言っている。背中に流れる冷や汗を感じながら再び毛布に潜り込む。
(こ、恐かった・・・。このバカ犬、なんて夢見させるのよ。あ、明日起きたら酷いんだから)
(でもサイトはいつもこんな怖い思いをしてるのかしら。で、でででもこれは別の話よ!
ご主人さまと使い魔以前に女の子に暴力なんて最低だわ。そうよ。明日ご飯抜きなんだから!)
毛布を頭にかぶりながら、明日サイトに加える「非暴力的」なお仕置きをもんもんと考えるルイズであった
完です。ちょっと鬼畜なので嫌な人は読み飛ばしてください
前からずっと思っていた・・・
ルイズは可愛いからいいけど、実はサイトに対してかなり酷い事してるんじゃないか?
ってのを書いてみました。こういうの書くの初めてです。稚拙な文章すみません
あ、最初、食堂で着替えてるな。滅茶苦茶だotl
>>422 >完です。ちょっと鬼畜なので嫌な人は読み飛ばしてください
但し書きを後に書いてどうするw
全部読んじまったじゃねーか。
そんなことはさておき、GJ。
ランス?
>>424 ありがとー
>但し書きを後に書いてどうするw
本文書きこんでから気付いてしまって・・・。申し訳なしですotl
>>422 Gj。鬼畜はわりと好き。
どうでもいいがOTLを小文字otlで書かれると、
「さあ床に手をついてケツを上げな」と言われたときの体勢に見えますね(ぉ
>>427 >
>>422 > Gj。鬼畜はわりと好き。
>
> どうでもいいがOTLを小文字otlで書かれると、
> 「さあ床に手をついてケツを上げな」と言われたときの体勢に見えますね(ぉ
>>422 GJ
か、かわいい象さんにココア吹いたotl
どうも。
「サイトが魔法を使えたら【ガリア編】」
>>344のつづき
・消費スレ:6-8
あとおまけに
12月になったので、クリスマスSSの前フリの話を投下します。
朝がやってきた。
タバサとサイトは身支度を整えたあと、朝食をとった。
サイトは朝食をとりながら、朝の陽光差し込む窓から外をみた。
太陽が昇るその先には、目指す城が、そしてエルフたちが住む土地、サハラが広がっている。
そしてさらにその先には、東方の地、ロバ・アル・カリイエがあるという。
聖地はその真ん中あたりにあるのだろうか。
もし聖地の門が地球の世界とつながってたりしたら・・・彼は少し笑った。
マンガで読んだ、未来から来た猫型ロボットがポケットから出してきた
なんとかドアのようなモノを想像してしまったのだ。
ありえねーって。自分の妄想を打ち消すかのように目の前の残りの料理を一気に
平らげたのだった。
・・・
・・・・・・
二人は主亡き屋敷を守る老執事に礼を述べ、目的地へと飛び立った。
2時間くらい飛んだところで、サイトは、視線の先に竜の姿を捉えた。
その竜は、以前どこかで見かけたような気がした。
そしてなぜかムカッとしたのだった。
「なぁ、シルフィ。あの竜。見たことあるか」
「きゅい?うーん。結構イケテルみたいだけど、あたしの好みじゃないのね〜」
「そんなの関係ない。サイトの質問に答える」
言葉と同時に彼女のご主人さまの杖が飛んだ。
「おねーさま、ひどーいのね。いたいのね。しらないのね」
タバサはサイトを見て、少し首をかしげてみせた。
「知らない、みたい」
そっか。サイトは再び竜のほうを見たが、もうどこにも見つけることはできなかった。
・・・
・・・・・・
そのころ、キュルケは馬を飛ばしていた。
「馬って苦手なのよね。どーせなら、ジャンに空とぶ鳥くんでも作ってもらっとくんだったわ。
しっかし、あの子達結構馬乗りなれてるのかしら、全然追いつけないじゃないのよ」
度々鞍にお尻を強打されながら、彼女は鞭を振るうのだった。
一方のルイズ御一行さまはというと、ラグドリアンの湖で一息入れていたのだった。
ルイズは湖をなんとなしに見やっていると、ふと、忌まわしい記憶が蘇ってきた。
惚れ薬でサイトにあんなことやこんなことをやったり、言ったりしてしまった、
あの時のことを思い出して、顔が真っ赤に染め上がった。
隣に座っていたモンモランシーが、そんな彼女の表情を見逃さなかった。
「ナニ真っ赤になっちゃってるのかしら」
「え、な、あああああによ。べべっべつになんでもないんだからっ」
ルイズは手元に生えていた草をぶちぶちぶちぶち抜きながら言った。
「隠そうったって顔に書いてるわよ」
うううそ。モンモランシーの言葉にルイズはぺちぺち自分の顔をはたく。
彼女は見事にカマかけに引っかかる友人を見て、笑いながら言った。
「薬なしでも言っちゃえばいいのに」
「言わないもん、あれは事故、そう事故なの」
モンモランシーがにやりとしながら、言ってみた。
「知ってた?あの薬、飲んだ人のホントの気持ちが出ちゃうのよ」
「えっ――ああんなのホントじゃないもん。もとはといえば、あんたが悪いんだからっ」
そういうと、ルイズは、プイッと口を尖らしてそっぽ向いた。
言っちゃったほうが、彼も喜んでくれると思うんだけどなぁ。
モンモランシーは空を見上げてつぶやいた。
お互い気がついてないだけで、ふたりとも好き同士なんじゃない・・・
ちょっと桃髪の友人をうらやましく思うのだった。
・・・
・・・・・・
「――ですから、我らに陛下の秘宝をお貸し下さればよいのですよ」
「うむ。お前はどう思うのだ。エルフの代表として」
「好ましいことではないですね。神官殿。一ヶ所に秘宝が集まることは、
我々エルフが最も恐れることなのです」
神官は長髪のエルフを左右の色の違う瞳で見つめた。
「私どもは、エルフの地を一切汚すつもりはないのですよ。
我が地で扉を開く可能性を見つけたのですからね」
長髪のエルフは眉をひそめ、言葉を返す。
「扉が開けば、貴殿の地のみならず、我々の地、
いや、ハルケギニア全土に災いが起きるやもしれないのです」
「面白い。そろわなくとも扉は開くと。しかも聖地の外でか?
もし本当なら、このガリアをくれてやってもいいぞ」
「陛下、少しお言葉が・・・」
「貴様はまじめすぎるのよ。戯言だ。それともヤツの言葉を真に受けるのか―――」
(どうかしたかい。アズーロ。
―――そうか、やっぱり来たんだね。青と黒?桃色ではないんだね)
ロマリアの神官は、ガリア王のそばにかしづく女性に目で合図を送ると、
アーハンブラ城の空を見やるのだった。
アーハンブラ城が見えた。
シルフィは徐々に高度を下げていき、着陸態勢に入った。
「あ、あの竜だ。」
サイトがタバサにその方向を指で示そうとした。
ところが、彼女はこくりこくりと居眠りをしているのだった。
タバサ。おきてくれ。あの竜がいるんだよ。彼は彼女の肩を突っついて起こした。
「いやぁっ!!!」
突然の絶叫とともに彼女の目が開いた。
「うおわっ、ごごごめん。どこか痛くしたか」
「―――夢・・・?」
タバサは額に手を当てながらつぶやいた。
「な、なんだ。夢見てたのかよ・・・びっくりさせんなよ。
どんな夢見たらあんな絶叫するんだよ」
「わたしの叔父が、わたしの髪をつかんで・・・額に・・・裏切り者の焼印を押そうとした」
こわい。タバサはそういうと、震える身体をサイトに預けるように倒れ掛かった。
彼は、彼女の華奢な身体を抱きかかえて言った。
「俺がそんなことさせない。タバサを守る」
その一言には彼女の震えを止めさせるに充分な力強さがあった。
「竜ってどこ」
気を取り直した彼女は彼に尋ねた。
あっち。彼の指差す方に目を向けた。
かなり近くにいるので彼女にも竜の姿を捉えることができる。
あれは――。でもなぜ――。彼女は小声でひとりごちた。
ぶぉん。土煙を巻き上げて、シルフィが城内の中庭に降り立った。
・・・
・・・・・・
「今度はそっちからきたのか」
片側の口角を吊り上げた笑みを浮かべて女が言い放つ。
「ミョズニトニルン!!!」
タバサは杖を、サイトは右手に杖状のグングニール。そして、左手にデフルリンガーを握った。
「本物?」
タバサはミョズに問うた。
「なんだ。この前のはお見通しってこと?
さすがじゃない。北花壇騎士の7号。」
タバサがぶつぶつ言っている。攻撃魔法を編んでいるのだった。
しかし、サイトが自分の杖を彼女の目の前を遮った。
(まだだ。挑発に乗るな)
彼の目がいつになく真剣な光を放っていた。
(わかった)
タバサは詠唱を止めた。
「降りてこっちに来なさいな」
ミョズの誘いに二人は黙って従った。
城の中の広いロビーに誘い込まれる。
そのロビーには、ごってりと飾られた扉が2箇所あった。
ミョズはその内の一枚を開け放つ。二人はとっさに身構えた。
ミョズはくすりと笑う。
「何も出てきやしないわ。今はね」
彼女の言葉とほぼ同時に、もう一枚の扉が誰かの手で開かれた。
そこには、金色の長髪の男が立っていた。
「誰だ」
サイトが誰何する。
「”ネフテス”のビターシャル」
サイトは、彼の長髪からのぞいた尖った耳を見た。
「エルフ・・・」
「なんだ。余り驚かないようだな」
「まあな。妖精(エルフ)の友だちがいるんでね」
「そうか」
二人の間に沈黙という重い空気が流れ込んだ。
お互いに相手の出方を伺う。
(先住の使い手。気をつけて)
タバサが小声でサイトに話しかけた。
デルフを握る手に力がこもる。
ミョズが沈黙を破った。
「ここでにらみ合ってもしょうがないわ。使い魔どうし、仲良くしましょ」
ドォンっ。エルフの放った大きな空気の塊がサイトをミョズの方へ突き飛ばした。
しまった―――バランスを失って背中を下にして転がされてしまう。
い、ってー。ヤツは何をした?何も挙動が見えなかった。サイトに寒気が走る。
サイトが喰らった。タバサは、術の繰り手に一蹴りで鼻先に接近した。
―――。聞こえないくらいの小さな声でスペルを唱え、自分の杖に土系統の硬質化の魔法をかけた。
そして杖の頭の部分をビターシャルの鳩尾狙いに突き上げた。
さらに彼女は自分自身にウィンドブレイクを当て、回避のすきをなくす。
む。彼は、回避不能と判断すると、彼女の当身を受け流そうと扉の外側へと身体を後ろへとび下がった。
サイトには彼の動きの意味が分かった。
「戻れ。タバサっ」
彼の言葉に反応したタバサは、ビターシャルへ向けてエアハンマーをわざとぶちかました。
反射の魔法によって跳ね返された空気の塊は、彼女自身を扉の内側へとはじいた。
ビターシャルは激しい勢いで閉じられた扉によってすぐに見えなくなった。
アーハンブラ城の城門が見えた。
ルイズたちの手綱を握る手に汗がにじむ。
あれ・・・?ルイズは自分の右目を手で押さえた。
あの時と同じ。視界が霧がかかったように曇る。
その霧が晴れたとき。彼の視界と繋がるのだ。
彼女に見えたものは、青髪の少女が長髪の男性に弾き飛ばされる瞬間だった。
「ギーシュ。急いでっ。戦いが始まっちゃったわ」
ギーシュを乗せた馬が猛烈な速度で先頭を駆っていく。
ルイズの馬を追い抜きざまに彼女はギーシュの馬に飛び移った。
「しっかりつかまってるんだよ。ルイズ」
彼の腰に手を回し、ルイズはしがみついた。
ハイヤッ。掛け声とともに彼は馬に鞭を入れた。
サイトの視界は女を映し出していた。
ついこの前、湖で戦った、ミョズニトニルンだった。
サイト、倒れてる?見上げるような視界にルイズは不安になる。
と、そのとき乗っていた馬がいきなり止まったのだった。
彼女は鼻を思いっきりギーシュの腰にぶつけてしまう。
「いいいきなり、なにすんのよっ。鼻打っちゃったじゃない」
ギーシュの代わりに違う声が耳に入ってきたのだった。
「君たちはなぜ、ここに来てしまったんだい?」
ルイズはギーシュの横からひょいと顔だけだして声の主を見た。
「ジュリオ!? あ、あんたこそなんでこんなところに居るのよ。」
「君だけってことは、ガンダールヴのほうはこの中に居るってことになるんだね」
ジュリオは意味深な微笑みを見せ、ルイズを見た。
そして、視線を別の場所に移した。
「とにかく、ラヴァリエール嬢を残して、君たちは戻ったほうがいいとおもうよ。
君もそう思うだろう。ミス・ツェルプストー。」
彼の言葉にルイズたちは後ろを振り返った。
「そうね。今回ばかりはあなたと同意見だわ。ギーシュ隊長。帰還の命を下しなさい」
「でも、キュルケ・・・タバサがけがしたらどうするのよ」
「いいこと。モンモランシー――あなたたちがここに居ること自体、国際問題に発展しかねない位、
危ないことなの。ましてや、この城門をくぐろうもんなら、明らかに戦闘行為よ。
タバサは、自分の意志でサイトについて行った。あの子は命を省みず彼を助ける。
その行為に誰も割ってはいることはできない。私だって今回は遠慮するわ――――」
キュルケは、そこで言葉を切ると、ルイズをまっすぐ見つめた。
「――だけど、ルイズ。あんたはどうせ戻りなさいってたって聞くような性質じゃないわよね。
いいえ。あなたは、残らなければならないわ。だって。彼のことが心配でこんな危険なところまでやってきたんじゃなくって?」
「そ、そうよ。あいつはあんなんだけど、心配なんだもん。それに・・・」
「『タバサがカレのそばにいる』からでしょ〜」
「ちっ、ちがうわ。そんな・・・そんなんじゃ・・・」
「いいわよ。ルイズ。皆まで言わなくたって。顔に書いてるし――でも、あの子をお願いね。ミス・ヴァリエール。」
いつもの言葉遣いとは違うキュルケに、ルイズは調子がくるってしまった。
「わ、わかってるわよ」
ギーシュはその様子を見て、みんなに言うのだった。
「ここまでってことだね。さ、みんな戻ろう。」
「でも・・・」
モンモランシーの言葉の続きは、ギーシュの目で止められた。
レイナールとマリコルヌも何か言いたげだったが、隊長の命に従うほかないのだった。
ジュリオは、キュルケの左手にはめられた赤い石のついた指輪に気がついた。
まさか・・・探していたルビー?
一瞬彼の表情が強張る。しかし、秘めた笑みをたたえたいつもの表情になった。
真偽を確かめるべく、彼はキュルケに尋ねてみた。
「ところで、ミス・ツェルプストー。その美しい赤い宝石(いし)は?」
彼女は石を愛でながら言葉を返す。
「綺麗でしょ。ジャンからもらったの」
「――ぼくもそれと似たような石をとある方の命でずっとさがし求めているんだ。
しかし、なかなか見つからなくってね」
「――そう。早く見つかるといいわね」
「炎のルビーというのだけれど、君は聞いたことはないかい?」
「・・・さぁ、聞いたことないわ」
「・・・」
少しの沈黙のあと、ジュリオがこの話題を切り上げた。
「さて、ぼくの用は済んだよ。ではまた・・・」
そういい残して、彼は城の中へと消えていった。
そして入れ替わりに別の人物が現れた。
「あんた・・・」
キュルケの目に殺気が宿った。
「トリスティンの虚無か。ここで会うとは思いも寄らなかった。」
長髪の男はキュルケではなく、ルイズに言葉を投げかけた。
キュルケは沸き立つ感情を抑えて、杖を構えるギーシュたちを落ち着かせるように言った。
「みんな。だめ。ここはルイズに任せましょ。」
そして、長髪の男を睨みつけ、言い放った。
彼女の赤い髪は抑えきれない殺気のオーラで逆立つように揺らめいている。
「でもあんた、三人にもしものことがあってみなさい。ここにいる私たちが絶対に許さない。
とくにあなたには前の借りがあるの。今度は何も残らないくらいに焼き尽くしてやるから
――よく覚えときなさい」
「覚えておこう。炎髪のメイジよ。」
「『微熱』よ。微熱のキュルケ」
「・・・」
彼はルイズに視線を移した。
「トリスティンの虚無よ。こちらへ来られよ」
「虚無(ゼロ)じゃないわ。ルイズよ。」
二人は城の中へ入っていった。
「・・・いくわよ」
キュルケたちは、馬に跨ってその腹を蹴り、もと来た道を駆け出した。
・・・
・・・・・・
「サイトはどこ?」
「サイト?先ほど来た、黒髪の少年のことか」
「そうよ。どこにいるの。会わせて」
「・・・」
長髪の男は黙ってロビーに入る。
そして、二枚ある扉のうち、一方を指し示した。
「詳しい話は、こちらで聞こう」
「いやよ。サイトと会わせて」
彼は少し眉を寄せ、何かをつぶやいた。
ルイズの身体が見えないひも状のもので拘束された。
「なにすんのよっ!!!」
「貴女を捕らえよとの命を受けてはいるが、彼に会わせよとの命は受けていない。
虚無のルイズよ。我が名はビターシャル。わたしがここでの世話をすることになる。」
ぎりり。ルイズは歯を食いしばった。
何でことだ。自分のせいで女王の恐れていたことがおきてしまったではないか。
悔しくて、情けなくて。だけど、こんなときにこそ言わなければならない言葉があった。
「サイト!!!助けて!!!!!」
・・・
・・・・・・
城が見えなくなるところまでキュルケとギーシュたちは戻っていた。
誰も口を開かない。馬の駆ける足音だけがあたりに響く。
突然、一行の目の前に風竜が立ち塞がった。
「な、なんだよ。」
マリコルヌが杖を構える。
「ちょっと待て、攻撃の意志はないらしいぞ」
レイナールがマリコルヌを制した。
「ねぇギーシュ。あれなんだろう。」
モンモランシーがギーシュに指差して言った。
その風竜の口には何かが咥えられていた。
ギーシュは馬を降りて、風竜に近づく。
咥えていたものを取り出すとそれは一通の手紙であった。
表書きに何やら文字が書かれてあった。
「キュルケ。君あてらしい。」
ギーシュが彼女に手渡した。
彼女は、手紙を広げてさっと目を通す。
そしてその手紙を握りつぶすとこう言った。
「・・・あんたたちとは、ここでお別れみたい。
気をつけて戻るのよ」
「え?キュルケはどこいくのよ」
モンモランシーが聞く。
「また、あっちへ行く用事ができたの」
彼女は、自分たちが戻ってきた先を指したのだった。
以上です。
それでは、最後におまけSS投下
・消費レス:1
トリスティンの学院では、1年の最後の月であるウィンの月のティワズの週から、
最初の月のヤラの月のダエグの週まで休みになるのが慣わしだった。
いわゆる冬休みというやつである。
そして今日は、ハルケギニア最大の祭り、始祖の降臨祭の前日つまり、一年の最後の日。
♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪
ルイズとサイトは、彼女の実家、ラ・ヴァリエール公爵邸へ帰省している。
学院の寮では同じ部屋だったが、
この屋敷では、父親や母親の目が光っているため同室というわけにはいかない。
彼女はせめて自分の隣の部屋をサイトに使わせるようにお父様にお願いした。
無事その願いはかない、二人は隣どうしの部屋になっている。
一年最後の日とあって、屋敷の中も慌しい。
それは、ルイズの部屋の中でも同じことであった。
彼女は自分の大きなベットにちょこんと座らされていた。
ふんふんふーん♪
鼻歌交じりに妹の髪の毛を三つ編みにする姉カトレアの姿があった。
あーっ。じっとなさい!ちびルイズ。
小言交じりに妹の髪の毛を三つ編みにする一番上の姉エレオノールもいる。
♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪
「あねさまも、ちぃねえさまも、こんなことしなくってもいいのにぃ」
「おだまり。ちびルイズ。髪ボッサボサで行くつもり?」
「まぁまぁ、そんなこといっていいのかしら。ルイズ。これから特別な人と一緒に過ごすんでしょ?」
二人の姉は、それぞれ彼女に言い聞かせる。
その二人の言葉に、ルイズは少し頬を紅色に染めて口を尖らせるのだった。
「えー。でも、あいつとはいっつも一緒にいるんだし――あふ。いはいれふ。あねはま。」
彼女の言い訳は、エレオノールに赤くなった頬を軽く抓られて止められてしまった。
「あの黒髪の男の子。なんてったっけ?サイト?そう、サイト。はじめ会った時はそうでもなかったけど、
今回はなんか妙なオーラが漂っちゃってるじゃない。他の女の子にとられたら、やじゃないの?あんだ」
「あうあ。ひひゃれふ。」
彼女は抓っていた手を離し、頬をさする妹に顔を近づけた。
「だったら、いつもと変えないとダメなのよ。とくにこういう特別の日は。分かったか、おちび」
エレオノールの口に薄い微笑みが浮かんだ。彼女はピンっと妹のおでこを指ではじくと、
三つ編みの作業を再開した。
「まぁ、お姉さまも言うじゃないですか♪」
カトレアがニコニコしながら彼女に言う。
「い、いいじゃない。ちょっとは。」
エレオノールは、思いっきりカトレアからの目線から逃げるように作業に集中するのだった。
♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪
もちろん、サイトの反応は上々だった。
嬉しくなったルイズは、みんなが見てるというのに彼に腕を絡ませる。
サイトは、彼女の父親の殺気をびしびし浴びつつ、馬車に乗り込んだ。
目指すは、トリスティンの市街地。
公爵の領地からすこし離れているので、前日から出る必要がある。
二人だけを乗せた馬車が動き出した。
〜「聖なる夜に」につづく。
改行が多すぎっていわれたorz
あと、>430レスとスレ間違えた。OTL
ではノシ
>>442 GJ.
改行は気にしなくていいんじゃね? 見やすいほうがいいし。
いや、多分改行多すぎて1レスに収まりませんって言われたんじゃないのかね。
60行以上だと書き込めないのよ。だから投稿するとき上手くやらないと変な場所で区切ることになんのよね。
こういう制限なかったら、どんな長いSSでも1レスで投下できるんだけどなあ。
ともあれGJ。
クリスマスの夜にここに来ないような幸せな奴、このスレにいるんだろうか……
>>442 GJです。おまけもなかなかに
おもしろくて続き読みたいです。
>444
多分それ以前に仕事の上、原作発売日だから回避してるかもな。
>>422 忘れられがちだが、サイトだってけっこうヒドイよ。顔にラクガキしたりパンツ切ったり。
と、ゆーワケで二巻冒頭を逆転させてみた。
「眠れねぇのかい、嬢ちゃん?」
真夜中の男子寮の一室で、魔剣の声がした。
ルイズはその剣に向かって、口の前に人差し指を立てて見せる。
「黙ってろってかい。なんでだ?」
コクコクと首を縦に振ってから、ルイズは更に人差し指を立て、おしゃべりなインテリジェンスソードを睨みつけた。
そのまま更に匍匐前進でサイトの眠る豪華なベッドへ這い進む。
「そんなつれねぇ仕打ちは許せねぇ。寂しい思いはまっぴらだ。
嬢ちゃんがこんな夜中に起き出した理由を話してくれないのなら、俺は怒鳴るね。
ああ怒鳴るとも。寂しくて仕方ないからな」
「静かにしなさいって言ってんのよ、この錆び錆び魔剣!」
今にも本当に怒鳴りそうなデルフリンガーを引っ掴んで藁束に押し付けて、ルイズは小声で怒鳴るという器用な技を見せた。
「あのね、頭のめぐりが悪い―――って言うか頭が何処かも血が廻ってんのかも怪しいアンタに特別に教えてあげるけど、
アタシはこれから夜這いをする所なのよ」
「何で?」
「ホレてるから」
「誰が?」
「私のご主人様を気取ってる、あの横暴なサイトがよ」
「誰に?」
「使い魔であるこの私に、に決まってんでしょう」
「ははぁ。それで手込めにしちまおうって言うのか」
「ええ、そうよ―――所でテゴメって何?」
「『無理矢理』って意味。なんで相棒がオメーに惚れてるのに無理矢理手込めにするんだよ?」
「それはね、サイトが本当はとってもとってもテレ屋で、キモチを伝えられないオトコノコだからよ。
だから、新説でカワイイ私が、夜這いをかけてあげるの。わかった?」
「はぁ、てーしたもんだオデレータね。主人を襲っちまう使い魔なんざ、初めて見た」
「そーよ。私は大したモンなのよ! と、ゆーワケだから静かにしてんのよ!」
「おう判ったぜ。俺っち静かにしてる」
そんなわけでルイズの夜這いは決行された。
夢うつつで、なんだか股間がキモチ良い事に気が付いて、サイトは目を開ける。
暗闇に慣れてきた目で見たのは、自分の股間に顔を埋めるピンクの髪の使い魔の姿。
「おおおおおおお前こんな夜中に何を!?」
「ナニに決まってるじゃないの。もう、こんな恥ずかしい事言わせないでよね」
「ハズカシーならやんなよこの痴女っ!」
「なによー。そんなコト言って、ココはもうこんなになってるじゃないの。サイトのエッチ!」
そう。
ルイズがいましがたまで下で散々に弄って舐っていじり回していたサイトのせつない部分は、すっかりギンギンに逆立っている。
もし今やめられたら切なくてはちきれてしまうと言わんばかりに自己主張をしていた。
「んふふふふふ、さーて、それじゃあご主人様、私のバージン、しっかり貰ってよね」
「ルイズー! オマエ処女のクセになんでそんなに積極的にアッー!?」
「ふあぁぁぁぁ!! サイトのがズッポシ入いっちゃったよぉ……
うくっ……痛いぃぃ……痛いのに……なんでこんなに気持ち良いんだろぉ。
やっぱりサイトのだからかなぁ?
んっ……ふぅぁ……こえ……出ちゃうよぉ……こんな、男の人の上で跨って……
イヤラシイ動きで腰を振って感じちゃうなんて、私、処女だったのに、ヘンタイになっちゃったよぉ……
サイト、サイト……ねぇ、こんな娘は嫌い? エッチでヘンタイな使い魔なんか嫌?
でもいいの。サイトに嫌われても良いの。だってキモチイイんだもん。こんなにイイんだもん。
わかる? ねぇわかるサイト? サイトの先っぽが私の子宮口をコンコンってノックしてるよ。
それに、さっきより強くビクビクって……
射精しちゃいそうなんでしょう? 判るよ。だって私サイトの使い魔だもん。
ねぇ、ガマンしないで出してよ! サイトの牡臭い精液で私の新品の子宮を全部汚して!
お腹がいっぱいになって入りきらなくて溢れちゃうぐらいまで出して! ねぇ出して!
出してよサイ――ふあぁぁぁぁ!? 出てるぅ! いっぱい、いっぱいドクドク行ってるよぅ!
サイトぉ! キモチ、キモチイヒよおぉぉぉ! おなかがジンジンって……
すっすご……いっ、いっちゃう! 私もイっちゃうよぉサイトおぉぉぉぉぉぉ!!」
―――第二ラウンドに突入しました。しばらくお待ち下さい―――
「シクシクシクシク……汚されちゃった。もうお婿に行けない」
「うふふ、良かったわよサイトー♪」
ありゃりゃ?
逆転するとイマイチ酷いように見えなかったヨ?
>>447 おい仕事中だってのにヌいちまったじゃねーか
カリン様希望
>>447 二巻冒頭でそこまでやっちゃって後のストーリーどうすんだよw
ワの人は才人の婚約者な年上のお姉さんになるのか…?
453 :
422:2007/12/07(金) 15:00:33 ID:Ontz+hmB
感想くれた人ありがとう。やっぱり文章変なので精進します
>>447 笑って抜いたw
てかそれ、いつものルイズとたいして変わらない気がwww
>>452 きっとマチルダ(フーケ)とワルドが逆転してでてくるさ
457 :
442:2007/12/07(金) 23:31:59 ID:pV5O41V/
>>443 ありがとうです。
>>444 その通り。ギコナビに怒られた。
60行制約っていうのがあるのね。知らんかったよ。
>クリスマスの夜にここに来ないような幸せな奴、このスレにいるんだろうか……
じつは(ry
>>445 つづきは既に手元に。
時期を見計らって投下します。
できれば、次ぎスレが「25」なので、そのスレのときにクリスマスが来れば・・・
つまり学院長秘書のジャンの正体が、巷を騒がす盗賊「閃光のワルド」で、
サイトの婚約者で魔法衛視隊の隊長マチルダはレコンキスタの刺客。
サイトが幼馴染のトリステイン皇太子ウェールズに頼まれて、
アルビオン王女アンリエッタの所に手紙を貰いに行ったら女空賊に捕まったり、
留学生のジョゼフはガリア女王タバサに最愛の弟を殺されて娘を薬で狂わされていたり、
若い頃は汚れ仕事をしていたシュヴルーズ先生にピンチを救われたマリコルヌがホレたり、
モンモランシーはケティ達と共に水精霊騎士団を結成して、その副隊長がルイズで……
けっこう面白そうな気がしてきた。
>若い頃は汚れ仕事をしていたシュヴルーズ先生にピンチを救われたマリコルヌがホレたり、
なんというピザカプwwwww
アンリエッタのゾンビにホイホイ付いて行くダメ皇太子ウェールズを想像してしまったじゃないか
>>458 ちょっと待て
ジョゼフが凄い事になってるぞ
使い魔エルフかよ
>>458 >留学生のジョゼフはガリア女王タバサに最愛の弟を殺されて娘を薬で狂わされていたり、
ジョセフ何留してんのwwww
そして、明らかに周囲から浮いているイカツイ髭親父がスッチー姿が夢枕にご登場か。
◆以下劇物注意◆
「余が子供? 俺はもう○歳の中年だぞ? 第一、子どもはお前の方ではないか。
お前のような気の利かない小僧が二股なぞ、二十年早いわ」
「アッー!」 ビクビクッ
才人はビダーシャルの上にうずくまった。 ジョゼフに思いっきり股間を撫で上げられたのである。
ジョゼフは才人の顔の前に、でろんっ!とイチモツを放り出した。
「余のペットにする」
「ざっけんな!」
「何を言っている。 嬉しいのだろう。 こういうのが好きなんだろう。
俺のようなイカツイ髭親父に支配されたいのだろう。 顔に書いてあるぞ!」
「キスのしかた、おしえて……」
「お兄ちゃん♥」
俺なら死ねる。
ジョゼフはミョズニトニルンの使い魔なんだよ。
VS七万で死にかけたルイズを助けるのがビダーシャルで
拉致ったジョゼフ父娘をアーハンブラに監禁するのがティファニアになるんだ。
「わ、わたしは……(ハーフ)エルフのティファニア。
戦いはわたしの望むところではありません。速やかに御引き取りください」
「くそっ! 何なんだよ、あの反則なデカさの胸はッ!?
あれっぽっちの身振り手振りで、あ、ああ、あんなにぷるんぷるんされたら
集中できなくて虚無が唱えられねぇじゃん!」
「……あんたってば、ほんとに見境ないのね。相手はエルフなのよ?
この生きるか死ぬかっていう瀬戸際で、そんなとこにばっかり目が行くなんて……
呆れたのを通り越して、もう敬服しちゃうわ」
「相棒の主人は、確かに大器のようだが肝心の中身がすっからかんみてえだね」
464 :
名無しさん@ピンキー:2007/12/08(土) 08:01:33 ID:69N1cFOq
具体的に書くと主要メンバーの入れ代わりはこんなかんじか
サイト⇔ルイズ
ギーシュ⇔モンモン
タバサ⇔イザベラ(父親の関連も)
マチルダ⇔ワルド
ビダーシャル⇔テファ
アンリエッタ⇔ウェールズ
キュルケ⇔?
禿⇔?
マリコ⇔?
アニエス⇔?
ルイズとサイトは性格そのままで立場チェンジだと別作品のラノベに…
そろそろまたアン様分が減ってきた
ボルボ氏マダー?
>>465 こんなところでもアンリエッタ死亡フラグwww
シャナのところから、来たけど
ここ勢いあるね〜
萌え&燃えどころをわかってる作者さんが多いからな。
ここはハルケギニア随一の大国ガリアの王都リュティス、その東の端に位置するガリア王家が暮らす宮殿、ヴェルサルテイル。
その宮殿の豪華な一室で、ある青年がグースカピーと熟睡していた。
本来その寝室は王家の人間しか使用してはいけない部屋なのであるが、この黒髪の青年に至っては例外だ。
そう、この青年に限っては―――
「うにゃあ?」
間抜けな声を上げて青年が目を覚ました。
もっとも意識はまだ夢の中に片足を突っ込んだ状態なのだが、なにか違和感を感じて半ば無意識のまま手探る。
あれっ?なんだか体が動かしづらいぞ。
あー、毛布が体にまとわりついてんのか。ちょっと暑いから脱ごうっと。
ぷにっ
「んっ・・・・・」
ん?なかなか取れないな。
ってかこの毛布やけにむにむにしてるなー。持つ所によって感触もなんだか違うし。
むにむにむに
「はっ、あっ・・・お兄ちゃん」
お、上の方はサラサラしてんなー。いい匂いもするし結構いいかも。
毛布自体温かくてこれはこれで冬の寒い朝にはちょうどいいかな?
ぐにむにぐにむに
「んっ、あっ、んん、お兄ちゃん、そこは・・・」
おー、よく聞いてみると揉んでみる度に面白い音もするのか。
つーかむしろ声?えらい聞き覚えがあるんだけどこんな色っぽいこ・・・え?
そでようやく頭がハッキリした青年。
目をパチクリとさせてから、今彼が散々触って揉んでついでに抱きしめていたものの正体に気づいた。
気づいて、しまった。
腕の中にすっぽりと、青い髪の少女がいました。
右手は少女の頭を抱えて。
刺青に似たルーンが刻まれている左手は、薄くて滑らかなネグリジェの上から小さなお尻を揉みしだいている。
青年がようやく目を覚ました事に気づいた少女は、年齢に似合わないクールな美しさを感じさせる容貌を嬉しげな微笑の形にして体を起こした。
・・・その顔は何故か赤かったが、それは青年に密着していて体が火照ったという事にしておこう。
そういう事にしておいた方が、ある意味青年のためだ。きっと。
「・・・・・・おはよう、お兄ちゃん」
「しゃしゃしゃシャルロット!?な、何で俺のベッドに、てかどうして俺に乗っかってるんだ!」
「朝だから起こしに来た」
「そうか、なら仕方ない――わけないだろ!」
青年朝から絶叫。いい迷惑だ。
起き抜けから色々と興奮気味な青年に、シャルロットと呼ばれた少女は悲しげな表情になった。
「お兄ちゃんは、私に起こされるのは嫌なの?」
「そんなわけ無いだろ!問題はその起こし方だって!わざわざ一緒のベッドの中入る必要無いじゃん!」
「本には男の人を起こすにはこの方法が1番嬉しいって書いてあった」
「そんな本シャルロットはまだ読んじゃダメー!」
その本の出版元発禁処分にしちゃる!と誓いつつ、
でもその本の作者グッジョブ!などと矛盾しとらんかと言いたくなるような感想を浮かべる青年。
そんな時、寝室のドアが勢いよく開かれた。
「うるさいねえ!朝っぱらから何騒いでんだいこのば・・・か・・・」
「あ゛」
飛び込んできたのは、まさしく美少女と言いたくなるような、シャルロットと同じ色の瞳とロングの髪の少女。
幾らか年上なのだろうか、発展途上のそのスタイルは既に豊かに盛り上がって凹凸の大きな曲線を描いている。
その容貌もシャルロットとはまた違うベクトルで美しいのだが―――
目を三角にした今の彼女の雰囲気は、まさしく修羅!
そして更に間の悪い事に、もう1人の少女が寝室に飛び込んできたのに驚いて思わず、青年の体に力が入ってしまい。
シャルロットの小ぶりなお尻を未だに掴んでいた左手も例外では無く、ついでにその指はお尻の割れ目に食い込んで・・・
「んあっ」
「!!!」
「!!!」
甘い声が青年ともう1人の少女の耳に届いたその瞬間、黒髪の青年の運命は、決まった。
すなわち死刑(もしくは私刑)へ特急一直線。
ハルケギニアに鉄道は存在しないが、自分を乗せて超特急で死刑台へと向かう場面がありありと青年の脳裏に浮かんだ。
そしてその列車を運転するのは、目の前の鬼子母神と化した少女・・・!
「ちょっと待てイザベラこれは誤解!つーかお前ドットなのにどうしていきなりトライアングル級の魔法――――」
「うるさい!問答無用だよこんのバカサイトがああぁぁ!!」
絶叫。轟音。そして強烈な激流に掻き消される青年の悲鳴。
ちゃっかり青年のそばから避難したシャルロットは、なーむーと手を合わせた。
これが4年前――――異世界から召喚され、ガリア王ジョゼフの使い魔となった少年、平賀才人の最近である。
473 :
バレット:2007/12/08(土) 16:19:14 ID:JwJwhOv1
1度書いてみたかった、「もしサイトを召喚したのがジョゼフだったら」ネタ。
サイトが召喚された時の年齢は原作と変わらないけど、召喚されたタイミングは原作の5年前ぐらいだったり。
ついでにサイトのお陰でジョゼフが悪役キャラじゃなかったりサイトがガンダールヴのままだったりタバサ父母が無事だったりするから原作重視の人はスマン。
現時点だとサイト21歳、タバサ14歳、イザベラは公式で年齢出てないので16歳って事にしといて下さい。
・・・つーかぶっちゃけサイト×タバサ&イザベラをエロ付で書いてみたいだけなんだがな!
それから投下宣言忘れてました。ゴメンナサイ。
これ何て蒼の使い魔?
>>472 テラ吹いたwwww
いいよいいよおもしろそうだよ
そういえば保管庫でせんたいさんとこの続き物@将来編のきっとこんな未来の平民編と女王編入れ替わってないか?
そうなると、ルイズの召喚するのがミョズになるわけか……。
なかなか今後のお話が楽しみな設定ですね。
>>473 これは面白い。
あとは分かっているだろうがサイトとイザベラのry
無論、分かっているだろうが(血の涙
478 :
KK:2007/12/08(土) 19:59:17 ID:2djE1iCb
GJ!!!
社長と言うと某青目の白い龍を贔屓にしてる方か
クロスものは正直、ちょっと…
でもベイダー卿のは結構面白かったが。
サイトの存在抹消が許せない人にとっては全部同じ評価だな。
>>479 ギーシュが社長に打たれる所までしかみてないが………いまどこらへんなのか…
>>373 GJ!
おもしろかったです。続きに期待。
いまさら
>>472のイザベラとタバサが12歳と10歳のロリだというのに気づいた
ジョゼフと才人がキスしたんだよな…
じゃあジョゼフも女にしちゃうか
熟女と申したか!
ルイズママはまだか!
黒いアンリエッタってなかなか見ないよなぁ・・・
ルイズをメイドに落として、サイトを徹底的に調教して堕とすとか
他キャラに比べれば黒アンリエッタは黒シエスタと同じくらい多いと思うが・・
493 :
ベタ褒め才人:2007/12/09(日) 02:51:21 ID:lqF9gRds
「ちくしょう、いてえなあ……」
「なんだいサイト、またルイズにお仕置きされたのかい」
「おおギーシュ、聞いてくれよ。ひでえんだぜルイズの奴、俺がちょっとテファの胸に目を奪われただけで、殴る蹴るの暴行をだな」
「要するにいつもどおりなワケだね。あのねえ君、少しは学習したまえよ」
「学習って?」
「せめて適当にご機嫌を取るぐらいの知恵は身につけてほしいものさ」
「ご機嫌取りねえ……具体的には?」
「そうだね……まずは褒めることかな。彼女は大多数のトリステイン女性の例に漏れず、気位が高いからね。
褒めすぎなぐらい大袈裟に褒めたって、きっと気を悪くはしないと思うよ」
「気が進まねえなあ」
「喋るだけで殴られなくなるんだから、ありがたいと思いたまえよ。ああそうそう、出来れば他の女の子を引き合いに出した方がいいな」
「なんだ、つまりテファとかシエスタよりもルイズの方がいいよって褒めろってことか?」
「そういうことさ」
「うわー、ますます気が進まねえよそれ」
「他の女の子にはルイズより君の方がいいよって言っておけばいいのさ」
「バレたとき大変そうだなそれ……」
「その辺は君自身でなんとかしなよ。とにかく、ルイズを褒めてみること。話はそれからさ」
「そうかあ……じゃあ、やってみるかな。あーっと、今回は胸見てて怒られたワケだから……」
「ようルイズ」
「あによ」
「おいおい、そんなつんけんすんなよ。可愛い顔が台無しだぜ?」
「ブッ……きゅ、急に何言い出すのよあんた!?」
「いやいや、俺は本当のことを言っているだけだぜ! 俺は今までお前の魅力に気付かなかったんだ……バカだよな」
「そ、そう……? ま、まあ確かにバカよね。今頃になってそんな……まあ、気付いたんだから許してあげるけど」
「おう、ありがとよ。お前は魅力的だ。実にいいね。シエスタやテファなんか到底及びもつかないぐらいに素晴らしいよ」
「へ、へえ……えへへ……あ、あんたみたいなバカ犬にでも、言われてみると悪い気はしないもんね。
それで? あんた、具体的に、ご主人様のどこが素晴らしいと思ってるのかしら?」
「どこが? バカだなお前、決まってんじゃんか。そりゃもちろん」
(ドキドキ)
「胸だよ」
「……は?」
「いや、素晴らしいねその平坦極まりない胸! どこの大平原かって感じの、素晴らしい貧乳ぶりだよ!
テファやシエスタはもちろん、女王陛下だって及びもつかないぐらいのこれ以上ないぐらい最高の貧乳だ!」
「……」
「最高! 究極! 貧乳の神が宿ってると考えても過言ではないねこれは!
こんな最高に薄っぺらい胸の持ち主をご主人様に出来るなんて、俺は三国一の幸せ者だぜ!」
「……」
「あそれ、ひ・ん・にゅう! ひ・ん・にゅう! ひ・ん・にゅう! ひ・ん・にゅう!
ルイズは世界一の貧乳だ! 自信を持ってもいいぜ! 俺が保証してやるよ! 愛してるぜ、お前の……貧乳を!」
「……」
「やあ、目が覚めたかいサイト」
「……おかしいな。俺はルイズを褒めたつもりなのに、どうして全治三ヶ月ぐらいの重傷を負ってベッドに寝てるんだ」
「ふむ……とりあえず僕の見解を述べさせてもらってもいいかい、サイト」
「おう、なんだ」
「きみは じつに ばかだな」
>>473 イザベーラ!!イザベーラァ!!!!!!
うひょひょひょひょ!!!!
>>486 実際はタバサとイザベラって同い年でサイトの二つ下、だよな
15才か?
しかし、少年ジョゼフは16歳のときにサモンサーヴァントをしなかったのかね?
もししていて、使い魔召喚を成功させてれば、自分が虚無の使い手だとわかったかもしれないのに。
そうだったら、コンプレックスの塊にならず、後に続く悲劇も回避されただろう。
まあ、年齢的に考えると、少年ジョゼフが召喚したシェフィールドは幼女だろうが。
……うん!いいね。幼女シェフィールド。改変SSの具としても。
>>500 つ ルイズも何度も失敗した
プライドが許さずすぐ止めたとかで、ある程度成長してから戯れにやったら成功したとか・・・?
502 :
強い人:2007/12/09(日) 13:35:43 ID:28kh+CLD
腹の辺りに生温かい感触を感じて、才人は目を覚ました。
いつもの部屋の、ルイズのベッドの上。横たわった視界に見えているものは、小奇麗な天井と、才
人の腹に乗ってかすかな喘ぎを漏らしているルイズだけ。
「ルイズ」
「あ……ご、ごめんなさいサイト、起こしちゃった?」
ルイズが瞳を潤ませて、不安げに聞いてくる。才人は微笑を作りながら答えた。
「いいよ、別に」
「ありがとう。ねえサイト、気持ちいい……?」
ルイズが熱っぽい微笑を浮かべて、ゆっくりと体を上下させる。きつく締められた陰茎が刺激され、
才人はたまらず吐息を零す。
「ああ、凄く気持ちいいよ。温かくて、柔らかくて」
「本当? えへ、もっと気持ちよくしてあげるね」
囁くような声と共に、締め付けが強くなった。
大きく足を開いたルイズの股間に、才人の陰茎が深く沈みこんでいる。接合部から溢れ出した大量
の愛液が、月の光を照り返しててらてらと肌を光らせていた。
(また、か)
何度も覚えのある状況に、才人は内心ため息を吐いた。もちろん、ルイズにはそんな様子など少し
も見せない。
「どうした、ルイズ。寂しくなったのか?」
努めて優しい声で聞くと、ルイズは絶え間なく体を揺すりながら、呻き混じりに答えた。
「う……ん。怖い夢、見たの」
「どんな?」
「あのね」
ルイズの顔が歪み、瞳から大粒の涙がぽろぽろと零れ落ちた。
「サイトがね、わたしに愛想を尽かしてどこかに行っちゃう夢」
幾度も聞いた覚えのある答えだった。ルイズはほとんど毎晩、同じような夢を見る。
「それで目を覚まして、怖くなったの。本当にサイト、ここにいてくれてるのかなって」
「どこにも行きゃしないよ」
「本当?」
「当たり前だろ。ルイズを置いてどこかに行っちまうなんて、ありえないよ」
ルイズの口元に安堵の笑みが浮かんだ。
「ありがとう。大好きよ、サイト」
「俺もさ」
だからこういうことはしなくてもいいんだぞ、という言葉を、才人は寸でのところで飲み込んだ。
今のルイズにそんなことを言っても、ただ不安がらせるだけだろう。自分の体に魅力がないのでは
ないか、と。
「ねえサイト。わたしの体、気持ちいい?」
「ああ、最高だよ」
「本当? 他の女の子たちより?」
「ルイズ以外の女とこういうことしたことなんて、一度もないよ」
しようと思ったことすらない。だがルイズは眉をくもらせる。
「でも、これからするんでしょう」
「しないよ。どうしてそんなこと考えるんだ?」
「だって、サイトは素敵だもの。それにすごく優しいし。他の女の子たちもサイトのこと好きになって、
こういうことしたいって言うでしょう。そしたら優しいサイトはきっと断れないもの」
またルイズの瞳が潤み始める。
「そしたらサイトはわたしのことなんか忘れちゃう。きっと他の女の子に夢中になっちゃう」
「そんなことないよ」
「だから、ね」
腰の動きが激しくなった。ルイズは犬のようにだらしなく舌を垂らしながら、熱に浮かされたよう
な口調で虚ろに呟く。
503 :
強い人:2007/12/09(日) 13:36:38 ID:28kh+CLD
「こうやって、サイトにわたしの体を覚えててもらうの。そしたら、他の女の子のこと好きになって
も、またわたしのこと抱きしめてくれるもの」
紅潮した肌と上ずる声音が彼女の興奮を示しているにも関わらず、ルイズの瞳からはとめどなく涙
が零れ落ちている。
「ル、イズ」
鋭い胸の痛みを感じながら、才人は呻いた。
己を締め付ける器の心地よさと激しい上下運動とで、射精感が抑え切れないぐらいに高まっていた。
限界が近い。
「もう……」
「いいよ、サイト」
ルイズがとろけるような微笑を浮かべる。
「赤ちゃん、ちょうだい」
才人は奥歯を噛み締め、無理矢理上半身を起こした。両腕でルイズの腰をつかまえ、渾身の力で自
分の陰茎を引き抜く。
「あぁっ、だめぇッ!」
ルイズの悲鳴と同時に、才人は絶頂を迎えた。陰茎の先から宙に向かって白液が飛び、才人の腹に
ぼたぼたと落ちてくる。
(……っ! あ、危なかった……!)
外に出したから絶対に大丈夫だというわけではないが、とりあえず中には出さずに済んだ。
ほっと息を吐く才人の前で、ルイズは激しくしゃくり上げていた。
「ひどい……どうして? サイト、わたしの赤ちゃん、ほしくないの?」
「んなこたないさ」
才人は無理に微笑みながら、ルイズを抱き寄せた。そのまま後ろに倒れこみ、ルイズの小さな体を
胸の中に抱きしめる。
「たださ。そういうのは、やっぱりちゃんと一緒になってからの方がいいと思うんだよな」
「でも」
「大丈夫だよ。急ぐことないって。俺はずっとルイズのそばにいるからさ」
「本当? わたしを置いて、どこかに行っちゃったりしない?」
不安げに見上げてくるルイズの頭を、そっと撫でてやる。
「本当。約束だ。絶対、ルイズのそばから離れないし、他の女になんか目もくれねえさ」
ようやく、ルイズの頬が緩んだ。
「ありがとう、サイト。大好きよ」
「俺もだよ。さ、疲れただろ。もう寝ちまえよ」
「うん……」
目蓋がゆっくりと閉じられ、間もなくルイズは才人の胸の中でかすかな寝息を立て始める。
彼女を起こさないように注意してシーツを引っ張り上げ、二人の体を覆う。
ほんの少し視線を下げれば、子供のように安堵しきった、無垢な寝顔が見える。
(いつも、こんな表情でいてくれればいいんだけどな)
才人はため息を吐きながら、じっと天井を見上げた。
元は地球人である彼がこの世界に召喚されて、まだ一ヶ月ほどしか経っていない。
にも関わらず、ルイズはこれほどまでに狂おしく、才人の存在を求めてきていた。
普通に考えればかなり異常なことだったが、ルイズの事情を知れば、これも仕方のないことだと言
える。
504 :
強い人:2007/12/09(日) 13:37:28 ID:28kh+CLD
この異世界ハルケギニアには、魔法という超常的な力を扱える、貴族という人種が存在する。
ルイズもその中の一人だったが、彼女は何故か魔法が使えなかった。
そのせいでどれだけ努力しても頑張りを認められず、彼女は深く傷つきながら生きていた。
当初は訳も分からず突然異世界に連れてこられたことにただ憤っていた才人だったが、ルイズの心
情を知っていくにつれて、彼女への愛情がその全てを飲み込んでしまった。
以来、才人はルイズのために行動してきたつもりである。
彼女が魔法の練習をするのに付き合ってやったし、落ち込んでいるときは励ましてやり、勉強の手
助けになれるようにと自力で文字を覚えたりもした。
影の努力も知らずに彼女を笑う者に、喧嘩を吹っかけたこともある。
そういった行動全てが、ルイズのためになったとまではとても言えない。
だが、少なくとも彼女に才人の愛情が伝わったのは確かだった。
それが原因で、こんなことになっているのだから。
「よう、色男」
部屋の隅から声がする。見ると、立てかけられた剣が鞘から少し刀身を出して、笑うようにカタカ
タと揺れている。
デルフリンガーという名の、喋る剣である。才人は不機嫌に答えた。
「何が色男だ。そんな楽しい話じゃねえよ」
「何を気難しい顔してんだか。いいじゃねえの、楽しんじまえばよ」
「んな気楽になれるかよ」
才人はため息を吐き、ルイズの安らかな寝顔を見下ろした。
「やっぱ、こういうのはよくねえよ」
「何がよくねえっての。愛し合う二人が愛し合ってんだ、何の問題もあるめえ」
「そのやり方が健全じゃねえって言ってんだよ。こんなんじゃ、ルイズはダメになっちまう」
才人は手の平で顔を覆った。
「俺が悪かったのかな。こいつのためにって、頑張ってきたつもりだったんだけど」
「じゃ、後悔してるわけだ」
「……いや」
才人は首を横に振った。
「やっぱ、これ以外に出来ることはなかったな。あいつは長い間何の報いもなく頑張りすぎてきて、
疲れ果ててたんだ。今にも壊れそうだった。正直、見てて痛々しかったよ。誰かが、ちゃんとあいつ
のこと見てやらなきゃならなかったんだ」
「じゃあいいじゃん」
「そういうわけにはいかねえよ」
眠るルイズの髪に指を絡める。
「こいつ、俺のこと以外何にも見えなくなってやがる。このままじゃ、今まで頑張ってきたこと、全
部投げ捨てちまいそうだ」
「いいじゃんか、その代わりに相棒に愛してもらえるんだからよ」
「それじゃダメなんだ。なんつーか、ちゃんと対等な立場で付き合いたい、っていうのか……こいつ
には、今まで頑張った分ちゃんと報われて、自分に自信を持って生きていってほしいんだよ。この学
院にいる誰よりも、頑張ってきた奴なんだからさ」
そういう望みと今の状況が全くかけ離れていることに、才人はため息を隠すことが出来なかった。
「ま、相棒の気持ちは分からなくもないけどね」
デルフリンガーが諭すように言った。
「要するに、嬢ちゃんが自分に寄りかかりすぎてるのが不安なんだろ?」
「……まあ、そんなもんなのかもしれねえな」
「なら、強くなりゃいいじゃねえの。嬢ちゃんが寄りかかってきても、絶対に倒れないぐらいにさ」
「……そんなん、普通じゃねえよ」
「普通じゃなくてもいいじゃん。寄りかかられる方が倒れさえしなきゃ、案外上手くいくかもしれねえよ?」
才人は無言でルイズの寝顔を見つめた。
あれこれと手を尽くしてはみたものの、彼女が魔法の才覚に目覚める兆候は、今のところ全くない。
となれば、確かにデルフリンガーの言う解決策が、一番現実的なのかもしれなかった。
(……壊れちまうよりはマシ、なのかもしれねえな)
そう思いつつも、完全に納得することは出来ない。
才人は深い苦悩を抱えたまま、今日もまた眠れぬ夜を過ごすこととなった。
505 :
かくてる:2007/12/09(日) 14:19:36 ID:n6i2Th9U
>>503 GJ!狂いを含んだルイズ、いいっすね。
徹底的支える一方のサイトって、案外面白いつくりですね。
私も新作投下します。「ハニー・ダンス」
「全く余計なことしやがって!恨む!サイトのことは一生恨んでやる!」
怒鳴り込んできたマリコルヌにサイトは目を丸くする。さすがのルイズもあまりの剣幕に無
礼を問い詰める勢いが出ない。マリコルヌは二人を睨みつけて怒鳴った。
「いいかお前ら!僕のような学院一恵まれない男のことを考えないのは差別だ!」
マリコルヌの言葉にシエスタが冷たい視線を向ける。だがマリコルヌはその視線を正面から
受け止めて言った。
「そこのメイド!お前はわかってない。平民と貴族、世の中にはそれを超える格差があるんだ
……いやそれどころか、僕はその窓から覗いているカラスより貧しい!」
窓の外にはつがいらしきカラスが二羽、枝先にとまっていた。
「『紳士淑女の交流会・クリスマスパーティー 清い社交を深めましょう』だ?深める女性が
僕には、僕にはーっ!」
叫んでマリコルヌは握りしめたビラを破り捨てる。
ギーシュとサイトで「異国パーティ・クリスマス」と称した合コンを企画していたのだが、
ルイズにこんがりと焼き上げられたサイトと巨大な水玉を弄ぶモンモランシーを目の当たりに
したギーシュが「清い男女交際」を建前にしたパーティに切り替えたのだ。
「いいかお前ら。白雪の舞う季節に、赤々と燃える暖炉を囲んで楽しく団欒する男女。つがい
の鶴たちの求愛のダンス。寒がる子供をあやしながら夫と歩く母親。そして、吹雪の中、冷た
く冷え切った部屋で自分で暖炉を点し人々を眺める荒涼とした僕!」
シエスタはひっ、と声を上げてサイトの背中に隠れる。肉に埋まった細い視線がルイズとシ
エスタの肌を這い回り、二人はサイトの背中に隠れるように身を寄せ合った。
ふ、とマリコルヌは自嘲的に笑って告げた。
「まあ、世界には哀れな者がいるということを認識してもらえれば、君たちも少しは大人にな
るだろうな……会費はお前ら持ちで、夕食をいただきに参加するよ」
マリコルヌが部屋が出ていくと三人は溜息をつく。シエスタは呟いた。
「貴族にも不自由な人、おられるんですね」
「全くお前も余計な仕事を増やしおって」
アニエスの言葉にサイトは苦笑する。ギーシュの限界を超えた馬鹿さ加減は王宮に届いてし
まったのだ。その上アンリエッタ陛下から「清い男女交際を目指すという趣旨は乱れた世の中
に良い心がけです」といかにもとってつけたような手紙が届き、誘った覚えもないのにお忍び
でアニエスと陛下の参加届が同封されていたというわけだ。
「陛下が行くときかない上に宰相殿も何を血迷ったか『たまには息抜きも良い』なんぞと抜か
しおって。おかげで私は護衛で、おまけにお忍びだからとこんな服まで着せられた」
アニエスは浅葱色のドレスを摘まんで毒付く。貴族と娘たちと違う、鍛え上げられて引き締
まった肉体を生かした体のラインを強調するデザインのドレスなのだが、警備で来ているアニ
エスにとっては鎧の方がはるかにましらしい。彼女は健康な美しさの際立つ肩甲骨を魅せる、
大きく開いた背中を不安げにさすりながら口をとがらせた。
「宰相殿も本当に古狸だ。私にこんなひらひらした服を着せた上に、くるくる回って見せろと
か頬に人差し指を当てて首を斜めに傾けてみせろとか出鱈目を言いおって」
サイトはその姿を想像して笑いをこらえるのに必死で腿をつねった。何とか気づかれずに済
んだのか、アニエスはさらに脇の杖に似せた警棒を指でつついて言う。
「こんなもの気休めにしかならん。全く、無責任にもほどがある。その上貴族の子弟のくせに
なぜこんなに私を気にするのだ?」
溜息をつくとアニエスは紅茶を口にした。たとえ宴席でも仕事中は酒を全く口にしないアニ
エスの徹底ぶりにサイトは苦笑してしまう。それにしても紅茶を飲む仕草一つとってもアニエ
スは男性的なのだが、軍隊で鍛えられた姿勢の良さと浮かれた様子のなさは、むしろ生徒たち
にとって憧憬の対象になりえることにアニエスは気づかないようだ。
「あの、ダンスをご一緒願えませんか」
男たちが数人寄ってきた。アニエスは眉をひそめ、無愛想に答える。
「取り込み中だ。それに私は年上だぞ」
アニエスは視線でサイトに助けを求めるが、サイトは知らん振りをする。
「サイト君にはゼロのルイズがいますよ。それに美しく落ち着いた貴方と出来れば一曲」
少年たちの熱い視線に、アニエスも少しまんざらではない気分になって言った。
「私は剣の舞が専門なのだが……ダンスを教えてくれるか?」
少年は優雅な仕草でアニエスの意外に女性的な手を取った。
「あなた、意外に良い子ね。王宮でもメイドは募集していますよ。こちらよりお給金は良いで
すから、応募してみてはいかがですか?」
「私には難しいかと思います。それよりもサイトさんにお仕えしていたいですし」
「……何だか今、とても苛立った気分になったのはなぜかしら。私が許しますからそこにお座
りなさい。お仕事はあなた一人欠けても今日なら大丈夫ですよ。ほらグラスを持って」
「あの陛下、そんな恐れ多いことを!それに私、酔って乱れたら」
「私が許しますからほらお飲みなさい。それとも私のお酒は飲めませんか?」
慌てて離れようとするシエスタを無理矢理座らせると、アンリエッタはグラスに金色の液体
を自らなみなみと注いだ。
「ハネムーンという言葉は恋人たちの寄り添う姿を蜂蜜のように輝く双月に見立てたのが由来
なのですって。だから今日は蜂蜜酒なのだそうですよ。本当、このお酒は憎らしいだけ甘いお
酒ですわ」
二人の流れにタバサはそうっと忍び足で立ち上がろうとする。だがアンリエッタは魔物のよ
うな速さでタバサの腕を掴んだ。
「ルイズもサイトさんをあそこまで独占しなくても良いでしょうに。その寂しさ、折角ですか
ら一緒にお話しましょうというだけですよ?」
「酔っておられますね」
「シャ……いえタバサさん、そんなことはありませんわ。ほらメイドさん……シエスタで良か
ったかしら?もっとお飲みになって」
タバサはシルフィードの姿を探す。だがシルフィードは肉料理に取りついて声など聞こえな
い様子だ。キュルケに目を向ければコルベールの腕を引っ張っている最中だ。
会場の演台から、ギーシュが今日の蜂蜜酒について受け売りの講釈を話した。
「皆様、蜂蜜酒はそのまま飲むだけではありません。様々なハーブで香りづけをして楽しむ、
そしてより愛を深められる天上の酒なのです。……ああ僕のモンモランシー、素敵なことを教
えてくれてありがとう!」
モンモランシーが恥ずかしそうにうつむきながら、ミントの葉を浮かべた蜂蜜酒を高々と掲
げてギーシュと乾杯をして見せる。
がたり、とタバサの隣りの椅子が動いた。目の据わったシエスタが酔っ払いの癖に無駄に素
早い動きでジュースとハーブと、そしてどう見ても間違った量の蜂蜜酒の瓶をテーブルに並べ
ている最中だった。アンリエッタもおかしな笑い方でグラスに酒とハーブを加えている。
「助け……どこにもない」
龍の巣に突入する以上の苦難に巻き込まれたのかもしれない。水魔法でタバサの足をテーブ
ルに押さえ込んで杯を満たしていくアンリエッタを横目で眺めつつ、タバサは溜息をついた。
う、と口元を押さえながらタバサは会場を離れて外に逃げ出した。酔いと蜂蜜、そしてアン
リエッタが出鱈目に混ぜたハーブの香気で胸がむかむかする。自分のいたテーブルでは今、ア
ンリエッタとシエスタが運ばれているところだ。テーブルの上は「アニエス様ファンクラブ」
の鉢巻きをした男子生徒たちがアニエスの命令で片付けをしているはずだ。
だが、たしかにルイズもひどいと思う。たしかにルイズの使い魔だが、好きあっているのか
もしれないが。独占までしなくても良いではないか。
タバサはふと、玄関の黒い影に気付いた。熊かと一瞬思ったが、こんなところに熊がいるは
ずがない。改めて見ると、クラスメイトのマリコルヌがたそがれているようだ。
タバサはふらつきながら軒先に腰を下した。
「風邪ひくよ?」
「構わない。暑い」
飲みすぎか、お楽しみだな、とマリコルヌは呟いて手に握った鶏の唐揚げに食いつく。タバ
サは何だかおかしくなって小さく笑みを浮かべた。
「タバサも笑うんだね」
改めて言われたタバサは顔をそむける。マリコルヌは続けて言った。
「やっぱり人間見た目だよ。高貴だとか何とか以前に陛下はお美しいし」
再びマリコルヌは肉に食らいつく。その様子が何だかシルフィードに似ている気がして再び
笑みを浮かべる。
「何だよ。僕の食べ方、そんなにおかしい?」
不機嫌な声を発したマリコルヌにタバサは冷静な声で返した。
「私の使い魔に似ている」
「僕、使い魔並みってこと?」
タバサが首を傾げると、マリコルヌは自嘲的に笑って言った。
「そういやサイトも使い魔か。もう負けてるね、見た目も全部」
言ってまた肉にかぶりつく。と、いきなりタバサが食べかけの肉を奪い取った。
「何すんだよ!」
「食べるから太る」
言ってマリコルヌの噛んだ場所にタバサは食いついた。一口噛みとった跡はマリコルヌの一
口よりはるかに小さい。こくり、とタバサの細い喉を鶏肉が流れていく。マリコルヌがグラス
を差し出すと、タバサは一息に呷ってふらふらと座り込んだ。
「飲みすぎた」
言ってタバサは眼鏡を外した。童顔の、だが肌理の細かい肌にマリコルヌは思わず見とれて
しまう。ふと見上げた瞳と視線が重なってマリコルヌは息を飲んだ。ルイズやキュルケの情熱
とはほど遠い、だが不思議な静寂を宿したタバサの瞳はおそろしく魅惑的だった。この幼げな
同級生は、本当はどんな心根の持ち主なのだろうか。
と、突風が突き抜けた。タバサは目を開き氷の槍をマリコルヌの背に放つ。振り返ると男が
一人落下していくのが見えた。タバサは苦しそうに呻いて雪の上に吐瀉する。
先ほどの男が立ち上がる。タバサは杖を振るおうとして取り落してしまう。男は投げナイフ
を次々と放る。マリコルヌはその全てを風魔法で吹き飛ばす。
「坊ちゃん甘い」
男が短剣を握って突貫した。タバサは杖を握って呪文を唱える。だが間に合わない!
「大丈夫」
マリコルヌはタバサの小さな体を包み込むように抱きしめる。刃がマリコルヌの肩口を貫き
鮮血が流れ落ちていく。
タバサの呪文が完成した。遂に男は氷の槍で木々に打ち付けられた。どさり、とマリコルヌ
は雪の上に倒れこむ。白雪が赤く赤く溶けていく。タバサは珍しく慌てながら水魔法でマリル
ヌの傷を塞いだ。完全に傷が塞がると、マリコルヌを助け起して呟くように言った。
「巻き込んで悪かった」
マリコルヌは溜息をついて答える。
「相手なしの男女パーティで、その上巻き込まれ刺客なんて最悪の日だよな」
と、ダンスの伴奏が一際高く会場から漏れてきた。双月が雪の中に佇む二人を照らし出す。
タバサはマリコルヌの手を取ると、キュルケすら見たことのない表情で言った。
「相手なら、今からいる……あなたと、踊りたい」
茫然とするマリコルヌの腹をぽんぽんと叩くと、タバサは首にぶら下がるように背伸びをし
てマリコルヌの頬に口付けた。
509 :
かくてる:2007/12/09(日) 14:23:26 ID:n6i2Th9U
投下終了
タバサとマリコルヌかよw
お疲れ様です
途中までアニエスSSだと信じてたのに・・・
う、うわああぁぁぁぁ
>>509 GJ!
珍しい組み合わせwしかしなんかマリコルヌには
タバサ渡したくない気分だなぁ・・あっこれが親父的気持ちですね!
あ〜、寝取られ?
>>509 これは新しいw
まぁ本編でも最終的に才人とルイズがくっ付く以上、
タバサがフラれるor独り身なのは決定事項だからな…
タバサは恋人や伴侶でなくてもサイトを護れたらそれで良し、みたいに納得しそう。
ルイズサイト家の護衛兵やメイドでもなんでもおk、みたいな。でもたまに抱いてみたいな・・・
>>502 いいね、アナザールイズ。
ヤマグチノボルのことだ
最後はヒロイン志望の鬱エンドになってタバサが妻になると信じている
昔とある無責任男のご先祖(住職)は、双方納得ずくでロリサブキャラに子種を提供していたがね。
つまり、タバサ(新生ガリア女王)も、おんなじENDで。
>>513 わかるよ。マリコルヌ幸多からんことをと思いつつ
なんか残るような複雑な感じが
あ、
>>509 GJ!です
ああ、分かる分かる。
いわゆる、 残 尿 感 って奴だね?
尿かよ orz
残った分はテファなりアン様なりに吸い出してもらえばいいじゃない。
もしも吸い出されて「甘い!」なんて言われたらorz
糖尿だな
526 :
かくてる:2007/12/09(日) 21:19:58 ID:kvFGqp9R
>>511を見てちょっと書いたので投下。
「かわいい護衛」
527 :
かくてる:2007/12/09(日) 21:21:35 ID:kvFGqp9R
「似合ってる、かな」
ドレスのスカートを掴んで持ち上げると、アニエスは顔面神経痛のような歪んだ表情を作った。
「違う違う!」
ピシリ、とテーブルを鞭で叩く音が部屋に響く。マザリーニは鼻に皺を寄せて怒鳴った。
「良いかアニエス!年頃の娘の上目遣いと街のならず者のガン飛ばしとやらは全く別物だ!」
「私は……ならず者でしたか」
アニエスは腕組みをして唸る。途端、再びマザリーニの鞭がなった。
「アニエス!困ったときのポーズは?」
あ、と呻いてアニエスは頬に人差し指を当てて首を斜め30度に傾げ、「てへっ」と呟く。マザリーニは
溜息をつくと説教を始めた。
「良いかアニエス。パーティの護衛に軍人ではあまりに不粋。これから同様の場は増える。その際にこの
ざまではこっそり客に混ざって護衛しようなぞ無理だろうが」
アニエスは再び呻く。マザリーニは頷いてさらに続けた。
「だから淑女になるよう、言葉の訛りに至るまで私が自ら教えているのではないか」
はあ、とアニエスは溜息をつく。「ア」の発音がおかしいと何度も何度も変な採点機に向けての発声。
昨日はテーブルマナー、今日は「かわいい仕草」。1,000本打ち込みの方がはるかに楽だ。マザリーニは
再開の印に手を打つ。
アニエスは上目遣いでマザリーニを見つめてくるりとまわって見せる。ふわりとスカートが浮かび、再
び上目遣いで言った。
「んもう、マザリーニさまのエッチィ!ね、似・合・う?」
「ああ最高だアニエス」
「ア、アニエス嬉しい!」
羞かしげに口元に手を当てながら、指でマザリーニを突き飛ばす。
「馬鹿者ーっ!肩をつつくだけだ!拳法じゃない!」
「も、申し訳ない」
「謝罪の言葉が違う!」
「ごごめんなさーい!」
マザリーニは大きく溜息をつくと、自分の文箱の中身を想い嘆息した。
文箱の中で眠るアニエスお見合い計画書と人妻騎士採用法案が活躍するのはまだ当分先のようだ。
(投下終了)
早筆だなw
>527
ド級のアホ発見!
萌えつつワロタ
530 :
かくてる:2007/12/09(日) 21:41:47 ID:kvFGqp9R
アホですね読み返すと。
前作はたまーにマリコルヌにも幸せを、ということで季節物でした。
>>527 これぞGJ!
まさか光の速さでスピンオフが出ると思わなかった。
ラスト5行で吹いた wwwww
>>527 あ な た が 神 か !
アニエスは普通ぐらいで大して好きでもない俺でも萌えた!!
あとさっきのタバサが色んな意味で衝撃的だったせいもすこしあるorz
ちょwマザリーニwwwwwww
もうトリステイン終わったなGJ!!
トリステインオワタwwww
この調子でもっとアニエス分をw
マザリーニは名前からしてMの運命を背負ってる。
でもマルキ・ド・サドもMから始まるぜw
となると姓か
姓がMといえばモンモンだな
いつもハードM妄想で悶々とするモンモン
>537
どうでもいいことだけど、
実際のドナチアン=アルフォンス=フランソワ・ド・サドはMだぞ。
後、SとMは一枚の紙の裏表。
サド侯爵も簡単にイメージできる『女を鞭でたたく』といった行為はそれなりにしていた。
強気に振る舞っていても、内心自虐の塊だったルイズも(おそらく)目覚めてこそいなかっ
ただろうが、才人召喚しなければ、数年でハードMの完成だっただろう。
召喚しても才人が、底なしの馬鹿で無く、無難な性格をしていたら、
『自分は平民の使い魔にすら劣る、彼も内心ゼロ呼ばわりしてるに違いない』で>『強い人』
の展開一直線だったろうと思う。
どうでもいいことの割に長文になったなぁスマソ。
バレット氏の続きを待っている
夢魔プレイ終了・・・・
タバサルートは同人誌狙いとしか思えなかった
ゲーム版のSSってどっかに挙がってる?
ゲーム版のオリキャラはよかったなぁ
クリスはマヴラヴの冥夜みたいな感じだし
リシュはかなりのヤンデレだし…
ゲーム1作目は酷かったけど今回の方はかなり面白かった
買お・・・っかなぁ?
>>502 なんとなく「あなたの未来はどっちですか?」の未来サイトとルイズが頭に浮かんでしまった。
>>543 確かにゲームのオリキャラは良かった。
カピバラさん最高。
作者が多すぎて未完が把握しきれないという嬉しくも悲しい悲鳴。
ルイズが入ったアン様いつもと違ってよかった
講義受けてる時にヤンデレ化したアン様とタバサの事を想像してた俺はきっとド変態w
>>545 実際SS読んでるみたいな感じだったよ
ゼロの使い魔のSS好きにっとっては買っとくことをおすすめする
限定版買ってるけど全くヤル気が起きなかったが…
冥夜ときいてやる気が出てきた
冥夜、と言われて思いついた。
ゼロツカ ALTERNATIVE
燃えと萌えと鬱をほどよくブレンドした超大作。
ルイズが脳髄だけになってシリンダーに浮かんだり、アニエスさんが頭からぱっくんちょされてグロ画像になったりします。
age厨はどこでもウザいな
>>554 マブラヴってそんなグロいのか………ゼロ魔はそういう意味で普通でよかった;
絶対、取り返す。
敵は目前。機は熟しすぎるほど熟している。
柱の影から、一歩を踏み出す。
こちらに気付いた目標が、歩みを止め、こちらをじっと見つめる。
感情の読み取れない無表情な顔が、かえって余裕を感じさせる。
それが、却って彼女の闘志に火をつけた。
絶対、取り返す。
つかつかと間合いを詰め、そして、間合いに入る。
気の弱いものなら合わせるだけで目をそらしそうな殺気のこもった視線を、相手に投げかける。
しかし、標的は微動だにしない。
ただ、こちらの出方を伺うように、ただただ視線を返すだけだ。
絶対、取り返す。
そしてルイズは、目の前に立つ青い髪の少女に、言い放った。
「私の使い魔、返してもらいましょうか」
ルイズが自分の部屋から才人を追い出してから、一ヶ月近くが過ぎ去ろうとしていた。
その後、メイドがその後を追い、才人の下へ去ってしまう。
元々シエスタは才人のメイドなのだから、当然と言えば当然なのだが。
そして一人悶々とした日々を送っていたルイズは。
ついに今日、己が使い魔を取り戻すため、青い髪の魔女に挑む決心をしたのだった。
青い髪の魔女は淡々と応えた。
「私にその判断を下す権利はない」
つまりそれは、才人の行動を縛る権利は自分にはない、ということなのだが。
ルイズには、『サイトは誰にも渡さない』と言っているように聞こえた。
「…っ!何様のつもりなわけ…っ!」
激昂し、タバサを睨みつける。
しかしタバサは涼しい顔で応えた。
「私は彼の使い魔」
それ以上でも以下でもない。
その証とばかりに、前髪を漉き上げて使い魔の印である雪の結晶を見せ付ける。
そして続ける。
「私はサイトの命令ならなんだってできる。
身体を捧げる事も、命を捧げる事も厭わない。
もし彼が世界を望むのならこの世界を。
もし彼がアナタの命を望むのなら、その命を」
言って体に不釣合いな大きな杖を、ルイズののどぶえに突きつける。
その表情は瞬く間に雪風の二つ名の如く冷たく凍りつき、一瞬で膨れ上がった殺気はルイズの動きを止めた。
今までの人生で、こんな至近距離であからさまな殺意を向けられた経験はルイズにはない。
初めての恐怖に、身体がすくみ、声が止まる。
しかし、すぐにタバサの殺気は消えうせ、凍り付いていた彼女の表情も元に戻る。
のどぶえに突きつけられていた杖が、音もなく引かれると、ルイズはぺたん、とその場に腰を落とした。
言葉を発さないルイズに、タバサは淡々と言い放つ。
「でも、彼はそんなことは望んでいない。
もし、彼がアナタを必要とするのなら…私はそれに従うだけ」
言い終わるとタバサは踵を返し、帰路に着く。
彼女が全てを捧げた、主人の下へ。
後に残されたのは、茫然自失となったルイズだけだった。
…なるほど。面白いな。
「ええ。学院に放っていた間諜の報告によると、虚無の少女は嫉妬に駆られ、ガンダールヴを放逐した様子」
ふむ。ならばこちらから仕掛けるのも一興よな。上手くいけば二つの虚無が我が手に揃う。
「いかがいたしましょう?ジョゼフ様」
お前に任せる。…おおそうだ、この機会にアレを試そう。使えるかどうか、見てみたい。
「オルトロス…ですか」
うむ。具合によってはまた改良の余地があるかもしれん。頼むぞ、我がミューズ。
「御意」
ルイズは、人目のつかない中庭の隅で、声も上げずに泣いていた。
ただただ、悔しかった。
何も言い返せなかった自分が。
彼女の覚悟に気圧されていた自分が、許せなかった。
だから悔しくて、泣いた。
零れる涙をぬぐう事もせず、芝生に腰を下ろして、ただ嗚咽だけを押し殺して、泣いていた。
「あら、どうしたのかしら?おちびさん?」
そのルイズに、優しく語り掛ける声があった。
ルイズははっとして、顔を上げる。
そこにいたのは。
桃色の髪を優しく風にそよがせ、柔らかく笑うルイズの優しい姉…カトレアだった。
「ち、ちいねえさまっ?どうしてっ?」
驚き、慌てて涙を拭いて立ち上がったルイズを、カトレアは優しく抱き締めた。
「あなたが心配になってね。
風の噂によれば、使い魔さんと喧嘩したそうじゃない」
言われて、ルイズの身体がびくん!と震える。
しかし、ルイズの中に疑問が沸く。
「…ど、どうしてちいねえさまがそんな事…?」
腕の中のルイズに、カトレアはコロコロと笑って応えた。
「あら。あなたの事ならなんだって分かるわ。
だって大事な大事な妹ですもの」
そして、自分と同じルイズの髪を、優しく漉く。
カトレアは続けた。
「ねえ、ルイズ」
「なぁに?ちいねえさま」
「…辛いなら…。ラ・ヴァリエールに戻っていらっしゃいな」
カトレアの腕の中で、ルイズの身体がもう一度、震えた。
以上。続きは明日以降になりまーす。
んじゃねゆーノシ
(;゜∀゜)私待つわ
いつまでも
待つわ
アニエス分が不足している
〇∧〃 でもそんなの関係ねぇ
/ > そんなの関係ねぇ
< \
桃りんごに練乳かけたいんです
桃りんごって固い桃みたいなものかしらん。
桃のように柔らかいりんごだよ
さらに桃のようにジュ〜スィ〜
桃のように〜
甘く〜
豆とピーチ混ぜて食いたいんです。
余談ながらリンゴというのは、西洋においては神話の昔から愛欲の象徴である。
それと桃を足したノボル神の変態度に敬礼せざるを得ない。
正直ノボルより、ここの変態紳士作家のほうがLv高いと思うけどなw
初期のものかき氏とかボルボ氏とか最高だろ
へんたい氏はケータイ小説でライト向けだなw
そういや昔、種ガンスレで恐ろしいほど
クオリティ高い黒ラクス氏なんていたっけなぁ・・・
あの人のゼロ魔版読んでみたいぜ
保管庫開かないんだが・・・
あ、ほんとに開かない。
直ったみたいだからね
よっしゃ日付変わる前に終わったZE!
>>559の続きですが
>>558の注意書きをよくお読みの上、お楽しみください。
「おかえり」
タバサが部屋の扉を開けると、ちょうどバケツの上で雑巾を絞っていた才人と目が合った。
それを見たタバサは、感心するより呆れた。
「…なにやってるの」
思わず口に出してしまう。
「ははは。…なんか手持ち無沙汰でさ。シエスタもいないし」
シエスタはこの時間、厨房の手伝いに出ていた。そのため、手の空いた才人が部屋の掃除をしていたのだ。
タバサはつかつかと才人に歩み寄り、横から才人が手にした雑巾を奪い取る。
…サイトがこんな事しないで。
心の声でそう伝え、タバサは不機嫌な顔になる。
しかし、当の才人は。
「いいよ。俺がやりたいんだし」
そう言って、タバサから雑巾を奪い返す。
「ルイズんとこでもしょっちゅうしてたし…あ」
思わず口を突いて出た主人の名前に、才人は思わず口をつぐむ。
目の前の自分の使い魔を気遣っての事だったが、タバサは主人のその行動に何かを感じ取った。
「サイト。一つ質問していい?」
「何?」
取り返した雑巾で床を拭き始めた才人に、タバサは尋ねた。
「…ルイズと一緒にいたい?」
「ぶっ!」
その言葉が図星だったのか、才人は思わず吹きだす。
何もその言葉には根拠がないわけではない。
才人はルイズの部屋を追い出されて、怪我が全快してからというもの、頻繁にルイズの取っている授業に顔を出している。
それはもちろんルイズとコンタクトを取るためであるのだが、ルイズは話しかけようとする才人を悉く避けていた。
もちろん今も、才人はルイズとヨリを戻したいと思っている。
タバサと一緒に住んで、なおかつ使い魔とし、肉体関係まで持っておきながら、いまさらではあるが、才人の心の中にはいつもルイズが居た。
使い魔となって才人と心を通わせるようになったタバサは、既にその事に気付いていた。
だから、目の前でうろたえる主人に、こう言った。
「…ルイズと仲直りして」
「え」
「あなたはルイズと一緒にいるのが幸せだと思っている。
それなら、私はそれに従う」
「で、でも、シャルロットは…」
「私はあなたの使い魔。それ以上でも、以下でもない」
「だって…泣いてるじゃないか」
才人の言うとおり、タバサは泣いていた。
その白い頬を、涙が一筋、伝う。
心では整理しているつもりだった。でも。
女の本能が、欲望が、タバサに涙を流させていた。
彼は私のもの。私だけのひと。誰にも…渡さない。
押さえ込んでいたはずのその感情が、才人に理性によって纏められた言葉を伝えたとたん、溢れ出したのだった。
慌てて眼鏡を外し、涙をぬぐう。
「…っれは、ちがっ…」
うまく、言葉が紡げない。
そんなタバサを、才人は優しく抱き締める。
「ごめんな」
言って優しくタバサの青い髪を撫ぜる。
タバサは、才人を抱き締めて…そして泣いた。声を上げて泣いた。
ごめんなさい、ごめんなさい、ほんとは…私っ…!
嗚咽と共に、使い魔ではない、少女シャルロットの声が、才人の中に流れ込んでくる。
才人を独占したいという欲望が。ずっと一緒にいたいという願望が。ありのままの心の声となって、才人に流れ込んでくる。
それは、才人を知ることによってタバサの獲てしまった弱さ。
それを彼女は、汚いもの、唾棄すべきものだと思っていた。
…シャルロットは悪くない。悪いのは…全部、俺だよ…。
そして、才人は。
優しくタバサの唇を塞いだ。
ほんの少しのキスの後、才人は唇を放し、そしてタバサに言った。
「ちゃんと、責任は取る。俺なりのやり方で、だけど」
もう、タバサの涙は止まっていた。
今は、信じよう。彼を。
「それでいいかな?」
主人の言葉に、タバサはにっこりと笑って、応えた。
「私はあなたに従う。私はあなたの、使い魔だから」
そして二人は、ルイズを捜しに、部屋を出て行ったのだった。
「…あなた、誰…?」
カトレアの腕の中でルイズはそう呟いた。
そして、勢いよくカトレアを突き飛ばす。
突然のルイズの行動に踏鞴を踏み、カトレアは目の前の芝生に腰を落とす。
「きゃっ?…いきなりなにするの、ルイズ」
「あなたは…ちいねえさまじゃない」
本物のカトレアなら。
才人を諦めて、ラ・ヴァリエールに戻って来いなどとは言わないはずだ。
どんな手を使ってでも自分を励まし、才人とヨリを戻させようとするはず。
それが、ラ・ヴァリエールに戻って来い、などとは。
そして、その指摘を受けたカトレアは、本物のカトレアにはありえない、酷薄な笑みを浮かべた。
「…流石は、姉妹といったところかしら。
姿かたちは、完璧だったのにねえ」
言いながら身体についた土埃を払いながら立ち上がるカトレア。
その姿がみるみるうちに歪み、形を変えていく。
そこに立っていたのは、ミョズニトニルン…才人以外の、虚無の使い魔。
「あ、あなたは…!」
「お久しぶり。あなた、使い魔を放逐したそうね」
冷たい笑みを浮かべるミョズニトニルンに、ルイズは歯軋りして応える。
「な、なぜあなたがその事を!」
「ふふふ。我が主は全てお見通しなのよ。
さて、なるべくなら力ずくで、とかいう優雅じゃない方法は取りたくないんだけど…」
杖を構え、身構えるルイズを見て、ミョズニトニルンは呆れたように肩をすくめる。
「ふざけないでっ!誰があんたなんかとっ!」
「そういうわけにもいかなそうねえ。なら、優雅じゃない方法でいきましょうか」
言ってミョズニトニルンは腰に下げた革袋から小さな犬の人形を取り出す。
そしてそれを空中に放り投げる。ミョズニトニルンの額のルーンが輝き、それに応えるように空中の犬の人形も光を放つ。
掌に載る程度だった犬の人形は、みるみるうちに大きくなり、大人の背丈ほどの大きさの、毛足の長い黒い大型犬に姿を変える。
その大型犬は鋭い犬歯をむき出しにし、ルイズをねめつけてぐるぐると唸る。
「な、なによそれっ…!」
怯えたように後ずさるルイズに、ミョズニトニルンは優しくその犬の背中を撫でながら説明した。
「このコは、オルトロスって言ってね。
我が主の作り出した、最新の犬型ゴーレムよ。毛皮には刃を滑らせる液体が塗りこまれていて、毛の一本一本が魔法を減衰させる繊維でできているの。
どう?美しいでしょう?」
虹彩のないのっぺりとした青い瞳を持つその犬は、主人の命を待ち、獲物に飛び掛らんと身体を沈めている。
ルイズはじわじわと後ずさる。
彼女の本能が告げていた。この相手にこれ以上近い間合いを許しては危険だと。
「さて。トリステインの虚無は、どうやってこの危機を脱するのかしら?
言っておくけれど、命乞いは聞かないわよ。生きてさえいれば、どんな状態で持ち帰っても構わないと我が主のお達しだから」
「誰が…命乞いなんてっ…!」
しかし、この状況はあまりに絶望的だった。
じわじわと間合いを離してはいるものの、いまだオルトロスの間合いからルイズは抜け出せていない。
ルイズの脳裏に、才人の、愛しい使い魔の顔が思い浮かぶ。
しかしルイズの思考はすぐに停止する。
だめ。サイトはもう…私のものじゃない…。
ルイズは恐怖と絶望に押しつぶされそうになりながら、呪文を唱え始める。
『ディスペル・マジック』。これなら、ゴーレムであるオルトロスを、一撃で鎮められる。
だが、その詠唱が終わるまで、敵が待ってくれる保証はどこにもない。
そしてその予想通り。
オルトロスは呪文の詠唱を聞くや否や、ルイズに飛び掛った。
そして。
横から飛び掛ってきた新たな影によって、オルトロスは吹き飛ばされる。
ルイズは目を見開き、その影の名を呼ぶ。
「…サイト…!?」
「大丈夫かっ、ルイズっ!?」
抜き身のデルフリンガーを構え、左手のガンダールヴの印を輝かせながら、才人はオルトロスからルイズを守るように立つ。
そして、空いたミョズニトニルンとルイズの間に、もう一つの影が降り立つ。
「…あら。操り人形がどうしてここに?」
「…私はもうあなたたちの人形じゃない」
タバサは風を纏わせた杖を、ミョズニトニルンに向けて突き出し、改めて翻意を示した。
「なんで、どうしてっ?」
ミョズニトニルンよりも、ルイズの方がこの状況を信じられていなかった。
そんなルイズに、才人がはっきりと応える。
「お前は俺が守るって言ったろ!」
そして、それにタバサが続く。
「私は、彼に従うだけ」
そのタバサを、ミョズニトニルンは妙なものを見る目で見つめる。
「…あなた…。前と、何か、変わった…?」
「あなたに応える義務はない」
言ってタバサは、杖に纏わせた風を、ミョズニトニルンに叩き付ける。
ミョズニトニルンはそれを容易く避けると、腰に下げた革袋からもう一つの『オルトロス』を取り出し、放り投げる。
瞬く間にもう一体のオルトロスが現れ、三人を挟み込む。
ミョズニトニルンはそれを確認すると、不敵に笑って、言った。
「どうやら形勢は不利のようね。私は引かせて貰うわ。
我が主には、操り人形の変化を手土産にしましょう」
そして、高く口笛を吹く。
それと同時に、二体のオルトロスが三人に襲い掛かる。
才人は剣を振るい、タバサは風で結界を張って、オルトロスの攻撃に耐える。
その隙に、ミョズニトニルンは空から降りてきた羽を持った大きなガーゴイルに抱えられ、空に上がっていく。
「待て!逃げんな!」
才人はオルトロスの攻撃をかろうじてデルフリンガーで受けながら、ミョズニトニルンに叫ぶ。
しかし、ミョズニトニルンはそれを完全に無視して、ガーゴイルと共に飛び去ってしまった。
「くっそ!」
才人にそれを見送る余裕はなかった。
オルトロスは休むことなく攻撃を繰り出す。デルフリンガーでまともに受けたその一撃は尋常ではない重さで、才人の腕を軋ませる。
才人はなんとか隙を見て攻撃を繰り出すが、オルトロスの毛皮は異様に滑り、デルフリンガーの一撃をあっさりと逸らす。
しかも、オルトロスは隙あらばルイズにその牙を向ける。二体のオルトロスの繰り出す立体的な攻撃はあっさりと才人の防御を抜ける。そのたびに、ルイズは詠唱を中断させられていた。
タバサも似たような状況で、魔法の効かないオルトロスに、タバサは杖に結界を張って、攻撃を逸らす事しかできないでいた。
疲れを知らないオロトロスの猛攻に、三人の体力だけが削られていく。
「相棒、こりゃまずいぜ!」
珍しく焦った声のデルフリンガーが、三人の危機をより一層浮き上がらせる。
そんな中、不意に、三人の周囲を大きな竜巻が覆った。
タバサの魔法だった。
その呪文を唱え終わるや、タバサはがっくりと膝を着く。
どうやら精神力の限界のようだ。
「大丈夫か?」
慌てて才人はタバサに駆け寄る。
タバサはそんな才人を手を開いて押し留めると、ルイズに尋ねた。
「これならしばらくもつ…詠唱は、間に合う?」
ルイズは正直に応えた。
「わかんないけど…やってみる!」
そして詠唱に入るルイズ。
しかし。
その次の瞬間、竜巻の一部が裂け、そこから、オルトロスの顔が現れた。
即座に反応した才人が、デルフリンガーの腹でその頭を弾き飛ばす。
オルトロスは鳴き声も上げずに竜巻に吹き飛ばされる。
「くそ…!抜けてきやがるのか!」
才人は忌々しげに吐き捨てる。
今のでオルトロスも、この竜巻を抜けられることを学習しただろう。
周囲を回りながら、竜巻を破るチャンスを伺っている。
「くそ、どうしようもないってのか…!」
守るって、約束したのに。
才人の心が、悔しさに震える。ガンダールヴの印が、それに反応して光り輝く。
その瞬間。
才人の目に、タバサの額の印が目に入る。
才人の中の『ガンダールヴ』が才人の本能に訴えていた。
武器を取れ。武器を取れ。
汝は神の盾、ガンダールヴなり。
あらゆる武器は、汝が意のままに。
才人はデルフリンガーをその場に置いて、歩き出した。タバサに向かって。
「どうしたっ?相棒!」
デルフリンガーの呼びかけにしかし、才人は応えない。
ガンダールヴの印が眩いほどに光り輝き、才人は操られるようにタバサの額にかかった髪を漉き上げる。
「サイト…?」
タバサは才人の不意の行動にしかし、身体を包み込む倦怠感のせいで、身動きを取れないでいた。
そして。
才人は、タバサの額に刻まれた雪の刻印に、そっと口付けた。
その瞬間。
まるで操り糸が切れたように、才人の身体が崩れ落ち、そして。
タバサの体が白く輝きだし、その身体が弓なりに反る。そしてその手から大きな杖が落ちる。
「な、何…?」
呪文の詠唱も忘れ、ルイズはその光景に見入る。
タバサの髪が光と同じ白に染まり、その周囲に、白い霧のようなものが覆う。
ゆっくりと、白い霧に包まれた白髪のタバサは目を開ける。
「だ、大丈夫、タバサ…?」
ルイズの呼びかけに、タバサはルイズを見つめて、言った。
「もう、大丈夫だから」
そして、タバサが手を振ると、周囲を覆っていた竜巻が掻き消える。
「…な!」
ルイズが驚愕したその瞬間に、好機と見たオルトロスは、まず目標であるルイズに飛び掛った。
しかし。
「させない」
その瞬間、二体のオルトロスに向かって、タバサは両手を伸ばした。
タバサの腕の周囲を覆っていた霧が、まるで流れるようにオルトロスを覆う。
そして次の瞬間。
まるでガラス板を叩き割ったような音が周囲に響き渡った。
その音と同時に、二体のオルトロスは真っ白になり、地面に落ちる。
二体の白い彫像の足が地面に着いた瞬間、陶器を地面に叩きつけたような音を立て、粉々になった。
残った本体にも、大小のヒビが入っていた。
それを冷ややかにタバサは見下ろし、その頭部を容赦なく踏み潰す。
オルトロスの頭部はあっさりと砕け散った。
「…終わった」
白髪のタバサはそう言った瞬間。
まるで、操り人形の糸が切れたように、その場に崩れ落ちる。
崩れ落ちた瞬間に霧は消えうせ、タバサの髪も元の青い髪に戻っていた。
「ちょっと、大丈夫っ!?」
そのタバサを、ルイズが抱き上げた。
このときの出来事を、デルフリンガーはこう分析した。
才人の中の『ガンダールヴ』が、使い魔であるタバサ自身の『力』を、『武器』と認識した。
そして、それを最も効率よくコントロールするため、潜在能力を限界まで引き出すため、使い魔の回路を利用して、タバサに乗り移ったのだ。
しかしこれは、非常に危険な行為だ。
もし、乗り移っている間に才人の体が死んでしまったら。
行き場をなくした力が暴走し、二人は力の暴走に耐えられず死に至るだろう。
長時間のこの『融合』は非常に危険な行為だと、デルフリンガーは考えた。
そして。
この後、デルフリンガーも予想できないとんでもない『融合』の副作用が才人を襲うことになる。
才人が気付いたのは、タバサの部屋のベッドの上だった。
重い頭を振り振り、才人は起き上がる。
その隣では、タバサが寝息を立てていた。
才人はほっとして、そして、もう一人あの場所にいた人物の事を思い出す。
「…ようやく起きたわね」
不機嫌そうに、言い放ったのは、ベッド脇の椅子に掛ける、才人の主人。
ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール、その人だった。
「あの、その、ルイズ…」
何を言っていいのかよくわからない才人は、思わず口ごもる。
ルイズはそんな才人を見て、思う。
私は、才人とどうしたいんだろう。
ずっと一緒にいたい。この気持ちは変わらない。サイトは、私の一番だから。
そして、タバサの言葉を思い出す。
『私はサイトの命令ならなんだってできる。
身体を捧げる事も、命を捧げる事も厭わない』
…姫様も言っていた。
忠誠には、それなりの対価を持って報いろ、と。
命を賭けて私を守ってくれるサイトに、私が、できる事。
それは…。
ルイズはそれを、口にする。
「サイト。私もあなたの使い魔にして」
「い?」
才人はあまりにも信じられないその言葉に、口を『い』の形にして固まってしまう。
その顔がちょっと気に障ったので、ルイズは思わず言ってしまう。
「な、何よその顔!私が使い魔じゃ不満なわけ!?」
「い、いやそういうわけじゃ…」
「そこのチビっこにだってできたんだもの!私にできないわけないじゃない!
いーからさっさとしなさいっ!」
「は、はぁ」
ルイズの妙な理屈と剣幕に押され、才人は三度、使い魔の契約の儀式を行った。
そして。
「…いや、ほんっとーに前代未聞だな、相棒はよぉ」
青い髪と桃色の髪の二人の少女に抱きつかれたまま眠る才人を、壁に立てかけられた伝説の剣はそう評した。
「主人を逆に使い魔にしちまうなんざ、たぶんハルケギニアで最初で最後なんじゃねーかな」
うーん、と唸って寝返りを打ったルイズのうなじが露になる。
そこには、羽ばたく桃色の羽が刻まれていた。
それこそが、ルイズの使い魔の印。
ルイズが、才人の使い魔となった証だった。
「…でもひょっとして、使い魔じゃないのかもしらんね。
まあ、めんどいから使い魔でいいのか」
言って伝説の剣はカタカタと震える。笑っているように。
「さぁて相棒。たっぷり見物させてもらうぜ。
六千年生きてきて、こんなドタバタは初めてさね。ああ、楽しみだ楽しみだ」
伝説を常に見守ってきた語り部は、これからやってくる新たなる伝説に、存在しない胸を躍らせたのだった。〜fin
はい、オシマイでございます。
あいかーらずのくっだらねーオリ設定ばりばり!しかもエロ抜き!ダメダメじゃん俺orz
ていうかもこれゼロ魔じゃな(ry
というわけで猛省しながら寝ますノシ
>>575 固い文章が書ける方が偉いとか思ってないか?
ほとんど矛盾なく設定練り上げて、しかもそれを何ヶ月、何年も書きつづけられるだけでも
プロの仕事だと思うよ、例えアマと比べて時間が割けるとはいえ
せんたい氏GJ!
>>590 アホは相手にしないほうがいいと思うよ
皆スルーしてるじゃん
ありゃ・・ルイズとは契約しないと思っていたんだけどね・・・
さて、どうなる?もしくはこれで終わり?
使い魔としてではなく「武器」として錬成したわけか
まあ武具使いの達人だから、現地にていかなる物も武器に出来るつうのはメタルギアぽくて良いな。
ルイズとも契約したか・・・
これからどうなるのか
このままハーレムになるのか、才人の一番にタバサがなれるのか
次回はアン様使い魔化ですねw wktk
契約のためにおちんちんとおまんまんでちゅっちゅです!><
ミス・ロングビルいつ転職したんですか
セールスレディで一番最初に思い浮かべるのはクレヨンしんちゃん。
もげ、もげ、乳をもげ〜
ぼいんぼいーん
最近原作とPS2のやってここ来たんだけど
量多すぎて読むの大変だお
>>603 おいでませ
ゼロの保管庫というまとめサイトもあるので、よろしかったらどうぞ
ルイズ邪魔www
アン様のエロ可愛さは異常
アン様のサカりっぷりは極上。
ちんこたってきたwwwwww
そろそろボルボ氏の登場ですか?wwwww
>>605 さすがアン様エロすぎる。
乳首とか頬とかヤバいw
おれもちんこたってきたww
おれもちんこ勃っt……。
よく考えたらおれちんこついてないやwww
コミケに行きたくなってきた
落ち着け、去勢されたのかもしれねぇ!
……どっちにしてもここにいるのは凄いな。
キュルケは、風竜の背に乗って城へと戻っていた。
”ぼくのアズーロが君の目前に立ちはだかった時、その赤い石を湛えた指輪は『本物』ということ。
君の選択肢は二つ。城に戻るか、それともアズーロと戦うか。賢明な君のことだから、後者は
選ばないとは思うけど。また会えることを願うよ。―ジュリオ・チェザーレ”
私は、ギーシュたちを安全に城から離そうと思っていた。戦闘は避ける。そこまであの神官は読んでいたのね。
軽く唇を噛んで彼女は風竜の目指す場所を見つめた。
・・・
・・・・・・
ギーシュは、呆気にとられた。
私の馬は預けたわ。あとはよろしく。キュルケはそういい残して、風竜の背に乗って飛び立っていった。
「隊長。これからどうするつもりだい」
レイナールは眼鏡を人差し指で上げながら言った。
「ほんとにトリスティンに戻るのか」
マリコルヌも言葉を重ねる。
「・・・」
ギーシュはあごに手を当てたまま、考えている。
「キュルケの馬はどうするの?ほったらかしにはできないわ」
このモンモランシーの言葉に彼が反応した。
「そうか・・・キュルケ、わざと・・・」
みんなに見つめられる中、彼は号令をかけた。
「全員反転っ。仲間の後方支援といこうじゃないか!」
・・・
・・・・・・
キュルケは、ジュリオと城内の一室にいた。
「ジュリオ、なんで私をここへ呼び戻したの?」
「それが目当てさ」
「この『炎のルビー』が?なに企んでんの、あんたたち(ロマリアの連中)は?」
「聞きたいかい?」
「どうせしゃべらないでしょ。あんた」
「・・・条件次第さ」
「食えないやつね」
キュルケはにやりと笑って、赤い髪をかき上げた。
「で、わたしにどうしてほしいの」
「ぼくとロマリアまで来て欲しい」
「どうしてかしら」
「4の4を一同に会するためさ」
「4の担い手、4の使い魔、4の秘宝、4の指輪?」
「その通り、ミス・ツェルプストーはその内2つを持っている」
ジュリオは白い歯を見せ笑う。
「は?何言ってんの?持ってるのは指輪だけよ」
眉をひそめて彼女はあきれたように言う。
「担い手なのさ。君は。匂がしたり音が聞こえたりしないかい?」
「あははは・・・に、担い手ですってぇ。ロマリアにいるんじゃないのよ。
匂い?そりゃあんたの香水の匂いだったらしてるわよ。趣味悪いわ、それ」
「・・・。残念ながら、ロマリアにはいないんだ。目覚めようにもきっかけとなる指輪がないからね」
「へぇ。それ本当かしら。タバサが言っていたけど、ジュリオ、あんたがヴィンダールヴじゃないの?」
「ヴィンダールヴの存在を知っている者がいるとはね―――」
彼は、右手にはめていた白い手袋をするっと外した。
右手の甲から二の腕あたりまで、焼け爛れた痛々しい傷があるだけだった。
「ぼくは使い魔じゃない。奇跡を扱えるのは、この指輪のおかげなのさ」
彼の右手の人差し指には、たくさんの文字が刻まれた指輪がはめられていた。
「人はこの指輪のことをソロモンの指輪というそうだよ」
「ふーん。便利な指輪じゃない。メイジじゃなくても使い魔がもてるわけ。
・・・ちょっと待って。虚無の担い手って人間じゃないの? 私にはもうフレイムがいるわ」
「ロマリアに来れば、なんとでもなるよ」
ジュリオは不敵に笑うのだった。
(香水つけるなんていう趣味はぼくにはないんだよ・・・)
・・・
・・・・・・
サイトとタバサは、ミョズニトニルンに王の間まで通されていた。
「ところで、あんたたちがここまで来たというのは、陛下に会いにきたということかい?」
「そう」
タバサが口を開いた。そして言葉を続ける。
「始祖のオルゴールを返してもらいに来た」
「はっはっはっ!!! オルゴール欲しさにわざわざ、こんなところまでノコノコ来たのか!?
シャルロットよ。お前も焼きが回ったもんだな」
ガリア王が弟の忘れ形見に向かって言い放つ。
「わしが、このわしが、すんなりと渡すと思っているのか?お前は??
浅薄すぎるぞ!」
王は血走った目で彼女を一瞥する。
「そんなに欲しければ、このわしから奪い取るがいい!!」
「シェフィールド」
「はいっ」
「遊んでやれ」
王はあごをしゃくってタバサとサイトを指すのだった。
ミョズがそばの一枚の扉を開け放つ。
沢山の鎧を纏った人形たちが部屋の中になだれ込んできた。
「さぁ、どうする。あの時のようにあんたのメイジはいないんだよ!」
迫り来る兵士人形を見据えた、その時。サイトの左目に金髪のエルフの姿が飛び込んできた。
「サイト!!!助けて!!!!!」
彼女の叫びが左の耳に響く。
「ルイズ!!」
サイトは叫び、自分たちが入ってきた扉へと駆け出す。
「逃げられないわ」
あざ笑うミョズが、人形たちで扉の前を塞いだ。
「じゃまだっ」
サイトは、デルフで横一閃に薙ぎ払う。剣圧だけで一瞬にして人形たちは吹き飛ばされた。
「待って」
彼の背後で人形たちと戦っていたタバサが彼を呼び止めた。
「ビターシャルは危険。わたしがいく」
トンっ。タバサは彼と背中合わせになると、グルッと180度彼ごと回転した。
「タバサ!!」
「・・・大丈夫。ここはあなたに任せる」
前後逆になったタバサは、目の前の扉に向けて、エアハンマーをぶちあてた。
激しい音を立てて扉と壁の一部が破壊され、大穴が開いた。
彼女は、穴の外へと飛び出していった。
・・・
・・・・・・
「虚無のルイズよ。叫んでも無駄だ。彼は、陛下の元にいる。一歩も動けはしまい」
金髪のエルフが表情を変えずに言い放つ。
「く、来るもん。あいつなら、きっと、絶対、来てくれるんだから!!!」
ドゴンッ。部屋の扉が破壊された。
「サイト!!」
ルイズの目が輝く。
しかし、煙の中から現れたのは、黒髪の少年ではなく、青髪の少女であった。
くっそ、うじゃうじゃ出やがって!
サイトは、鎧姿の人形たちに手こずっていた。
デルフもはじくヨルムンガントと同質の鎧のようなのだ。
「前と違って、人形たちのは隙間があるのよねぇ」
「ちっこいし、うじゃうじゃいるし、相棒でも隙を突くのは難しいやね」
槍と剣が交互に彼に向かってぶつぶつ言っている。
そんな時、彼の目に瓦礫の山が写った。
タバサがエアハンマーで・・・そうか!
サイトは、その瓦礫の山に杖を振るった。
”レビテーション”
ふわり、瓦礫の塊が浮揚する。
”エアハンマー”
浮かされた瓦礫が細かな石つぶてに砕け散る。
彼の周囲の空気が揺らめき、彼を中心にゆっくりと回転し始める。
杖を頭上に掲げ、くるりと杖の先で円を描いた。
”エアストーム”
どどぅどどどぅ。巨大な竜巻が瓦礫の石つぶてを巻き上げた。
サイトは、杖を人形の群れへと振り下ろした。
・・・
・・・・・・
「タバサ」
ルイズは目を見開いてつぶやいた。
タバサは、ルイズと一瞬視線を交差させ、長髪のエルフを睨みすえた。
「貴女には私を倒せない」
表情を崩さずにビターシャルが言う。
「あなたを倒そうとは思わない。ルイズを返してもらうだけ」
タバサは言い終わると同時に口笛を吹いた。
ガシャァーン。窓が割れる大きな音が部屋に響いた。
「おねーさまっ。助けるのね」
シルフィードの足がルイズの背中をかすめた。
その瞬間、ぎりぎりと締めつけられていた感覚がルイズから消えた。
―――。小さくつぶやくと、彼女はビターシャルに牽制のために魔法を放つ。
彼のそばに小さな光の球が出現し、瞬時に爆砕した。
彼は部屋の端まで吹き飛ばされた。
反射の魔法に身を包んでいたはずだった。
しかし、ルイズがディスペルとエクスプロージョンの2連撃をやってのけたのだ。
ルイズは、タバサのそばに駆け寄った。
「あ、ありがと」
「ん。サイトに頼まれた」
嘘。ルイズはサイトの耳を通して、二人の会話の一部始終が聞こえていた。
そして、サイトは今も戦っている最中なのだ。
「わたし、サイトのところへ―」
”だめだ。ルイズ。おまえはそっちでエルフを足止めしといてくれ。タバサもだ”
ルイズの言葉を遮るように、サイトの声がルイズの耳に響いた。
ズズン――
「始まったようだね・・・」
オッドアイの神官がつぶやいた。
隣にいた燃えるような赤い色の髪のメイジが腰をあげようとする――が、
神官の右手によって制された。
「キミが行こうが行くまいが、結果はもう決まっているのさ――」
二人の視線が絡む。彼は、ゆっくりと言葉をつないだ。
「多少の犠牲はあるだろうけどね・・・」
・・・
・・・・・・
「サイト!どうしてよっ。なんでそっちに行っちゃダメなのよっ」
彼女は、虚空に向かって叫んだ。
姿は見えないが、声だけ耳に飛び込んでくる。
”おまえはヤツとやりあうのは初めてで危ない。タバサは以前負けてる・・・どちらがだけだと危ない。
だから、二人で戦ったほうがいい”
「タバサと二人で・・・」
ガリッ。彼女は唇を噛みしめた。
ちら。二人のメイジの視線が交わった。
「やるしかないようね」
部屋の隅で、敵が起き上がろうとしていた。
・・・
・・・・・・
彼は、見えない彼女と言葉を交わした。
彼女はとりあえず無事のようだった。
無茶しやがって。なんでここに来ちまったんだよ・・・
「相棒。そんなに気になるのかい。あの娘っこが」
「聞くな」
「あらぁ、聞こえるような独り言喋る方がどーかしてるのよぉ」
「うっせ」
人形たちを巻き上げていた巨大な竜巻が治まった。
人形たちは鎧に守られて傷一つついてはいなかったが、隙間という隙間から入り込んだ瓦礫の砂ぼこりにまみれている。
彼は、その様子を確認すると、土系統の魔法を唱えた。
「イル・アース・デル。纏いし砂を油となせ―――"錬金"!!」
一瞬で人形たちが油まみれとなった。
そこに火・火・風のトライアングルスペルを重ねて放つ。
旋風に煽られた劫火が人形たちを火の海へと沈める。
鎧は焼けない。しかし、火炎の分身がその間隙にするりと侵入する。
そして、鎧の中の人形に容赦なく食らいついた。
「く、なんてこと。わたしの人形が・・・」
ミョズが苦虫をつぶしたような表情に歪む。
「おまえは、もう俺には勝てねーよ」
彼の双眸に劫火の色が映りこむ。
人形と同じように油にまみれた剣に火の粉が飛んで、炎が剣を包み込んだ。
彼は炎を纏った剣を中段に構え、地面を蹴った。
悔しさを灯した双眸で見据える相手に向かって切りかかっていく。
ところが。
その相手の瞳から突然生気が失せた。
そして、膝から崩れるように床に倒れ伏せたのだった。
「おい、どうしたんだよ。おいっ!!」
サイトは彼女を抱きかかえた。背中に回した手に生ぬるい液体が触れた。
血?いつのまに・・・
「・・・ご・・・ご主人さ・・・ま・・・」
朦朧とする意識の中、うわ言の様に彼女はつぶやいた。
「いいだろう。わしが直に相手をしてやるぞ」
声のするほうに彼は鋭い目を向けた。
「なんで斬った」
「使い魔に何をしようがおまえの知ったことか」
「あ゛?今何つった?」
「・・・貴様、その年で耳が遠いのか?わしの使い魔をわしがどうこうしようが、貴様には関係――」
ふざけるな・・・ふざけんな・・・。「サイトの周囲の空気が歪んだ。
ゴフッ。彼女の口から血が飛び散った。
「・・・ジョ・・・ゼ・・・フ・・・さま。お慕いしておりました・・・だ・・・か・・・ら・・・い・・・い・・・の」
彼女が彼の剣を持つ手を握った。
彼女の額と彼の左手のルーンが同時に柔らかい光を放ち始めた。
「だめだ。そんな。弱気になんじゃねーよ。おいっ。目を開けろっ」
シェフィールドは弱弱しく笑みを湛え、サイトと視線を絡ませた。
あ、り、が、と、う。彼女の唇がかすかにそう動いた。
額のルーンの輝きが蛍の光のように弱弱しくなって・・・消えた。
サイトは彼女をゆっくりと床に下ろした。
そして、ゆらりと立ち上がった。
「てめぇは腐れ外道だ。俺は男としておまえを許さねぇ!」
「勝てると思うか?使い魔の分際でわしに楯突こうとは、身の程知らずもはなはだしいわ」
「・・・」
「使い魔などいらぬ。我はこの身ひとつでおまえたちを奈落の底へと突き落とせるのだ」
「おまえはあぁあああああっ」
サイトはジョゼフへと駆け出した。
ジョゼフの顔が狂気の笑みに歪む。
サイトっ。突然、ルイズの声が耳に響いた。
その瞬間。
ドスゥッ。サイトを背後から土の槍が串刺しにした。
かはぁっ。口から鮮血を吐き出して床へ倒れこんだ。
駆け出した勢いのまま、数メイル床に血の尾を引いて止まった。
彼の周りに血の海が広がる。
「あひゃ、あは、あははははははは!!!」
部屋に無能王を狂気の笑い声が響き渡った。
以上です。
カウンタが・・・orz
いたたたたた
>>624 くぅ〜燃える、燃えるぜ!
ところで最後の行、『無能王を狂気の・・・』‘を,の部分は‘の,では?
627 :
名無しさん@ピンキー:2007/12/16(日) 10:07:04 ID:Rd+br2jD
>>626 ご指摘ありがとう。保管庫修正したよ。
「てにをは」よく間違えるんだよね・・・良く見直さないとorz
精進します。
読んでいて良かったので次回もがんがってくらさい
さて。
>>587と
>>588の間の話がデキマシタ。
いやぶっちゃけこれ入れると話の雰囲気折るかと思って入れなかったんですが、正直入れたほうがよかったですね。
ここエロパロだしーっ!
つうわけで投下いっくおー
…なんか変なカンジ。
ルイズは心の声でそう感想を漏らした。
まあ、正直俺も最初は変な感じだと思ったけど。
印を刻まれる痛みに堪えたルイズは、俺と心の声を交わした瞬間、そう返してきた。
あんまり驚いてない?
「…驚いてるわよ…十分」
言って、俺の腕の中にいることに気付いて顔を赤らめる。
「…ば、ばか、どさくさに紛れてなにしてんのよ…」
…あのーう?口で言ってる事と心で想ってる事ぜんぜん正反対なんすけど?
口ではそう言っているルイズから伝わってくるのは、嬉しくて嬉しくて浮かび上がりそうな感情。
ほんっきで素直じゃないのな、ルイズは。
「ちょ、何人の心勝手にっ…!」
あのさー、これって伝えようと想わないと伝わらないのよ?
そう心で伝えると、やっと気付いたのか、ルイズは俺の腕の中で更に真っ赤になった。
「ばばばばばばばば、ばかーーー!」
どん!
ルイズは思いっきり俺を突き飛ばして、部屋から逃げ出していった。
それっきり今まで筒抜けだったルイズの心は一切伝わってこなくなる。
いてててて…本気で突き飛ばすことないじゃんかよ…。
そう伝えてみるものの、返事はない。
あっちゃー、こりゃ本気で繋がり切ってるな。
この心の繋がりは、お互い任意に切る事ができる。
まだ無理やり繋ぐのはやったことないけど、基本的にシャルロットとシエスタとは、用事がない限り心の繋がりは切ってある。
だってお互いプライバシーとかあるしね。感情がだだもれだとゴタゴタも起き易くなるだろうし。
だから、強制的に繋ぐ事は…。
って…なんだこりゃ。
不意に俺の中に感情が流れ込んでくる。
それは、最近俺がよく感じているもの。
女の子に迫られた時の、あのガマンできない感じ。
具体的に言うと、シたくてたまりません、なカンジ。
俺は別にムラムラきてるわけではない…てことは。
…ま しゃ か。
振り向くと、ベッドの上で今まで寝ていたシャルロットが、上半身を起こしてこっちを向いていた。
真っ赤な顔で、思い切り潤んだ瞳で、こっちを見てる。
「…あ、あの?シャルロットさん…?」
俺は直接シャルロットに語りかけてみたけど、反応がない。
ていうか、目がやばいって目が。
完全にアレだ。
獲 物 を 見 る 目 ってやつです。
なんでこんなんなってんだ?俺シャルロットになんもしてないぞ?
なんて俺が疑問に思ってる隙に。
シャルロットはベッドの上でもぞもぞと何かしはじめた。
シーツの中に潜り込んで…?なにしてんだ…?
俺の心の疑問に応えたのは、シーツの中から飛び出してきた何か。どうやらシャルロットがシーツの中から放り投げてきたらしい。
べちょ。
俺の手の中で、その何かはそんな音を立てる。
…ましゃか。この手の中のぬちょぬちょした布きれは…。
指でつまんで広げてみると、それはやっぱり。
何かぬめぬめした液体でぐっしょり濡れた、白い小さなおぱんつでした。
「サイトぉ…」
俺がその白い布きれに意識を奪われていると。
不意に、ものすごく甘えたシャルロットの声が聞こえた。
俺はその声のほう、ベッドの方を向く。
そこにあったのは、M字に開かれた細い脚。
その間には、発情しきったシャルロットの真っ赤な顔と、はだけられた制服から覗く、薄い胸と、その上にのっかっている桜色のぽっち。
そして、シャルロットの細い指は、愛液でべちょべちょの小さなシャルロットの割れ目を、ぎりぎりまで開いていた。
俺の喉がごくりと鳴る。
「サイトぉ、たすけてぇ…。おちんちん、ほしいのぉ…」
いや、いきなりンな事言われましても。
正直、性欲を持て余す。
ていうか、さっきから送られて来るシャルロットの『ヤりたい電波』のせいで、俺の下半身は既にビンビンなわけで。
気づいた時には、俺はズボンを脱ぎ去って、シャルロットに覆いかぶさっていた。
「っひ────────────!」
既に愛液でぬるぬるに滑っているタバサのそこを、才人は前戯もなしに貫いた。
その一撃は内から沸きあがる欲望によって解されたタバサの肉の隙間をあっさりと貫通し、最奥まで届く。
既に高められていたタバサは、一瞬で絶頂に達する。
タバサの腕が才人の首に絡みつき、その華奢な柔らかい発情した身体を才人の身体に密着させる。
タバサの脚が無意識に才人の腰に絡みつき、才人の腰を咥え込む。
タバサの肉襞が絶頂の痙攣でぐにぐにと蠢き、まるで何十本もの指でしごくような動きで才人の竿に容赦なく絡みつく。
タバサの全身が与えられた快感に震え、才人の牡から精を搾り取ろうと動いていた。
最初の一撃を与えた才人は、タバサの逆襲に堪え、そして、才人を咥え込んで離さない小さな牝の器官から、乱暴に己を引き抜く。
「っふわぁぁ─────────────────────────っ!」
肉襞を肉槍の返しで暴力的に削られる快感が、虹色の刺激となってタバサの全神経を乱暴に跳ね回る。
脚の指先がぎゅうっ、っとすぼまり、才人の首に回された腕がさらにきつく絞められる。
タバサの牝はまるで唇のようにすぼまり、周りの肉を巻き込んで逃げ出そうとする才人の竿に絡みつく。
しかし、才人は逃げるために腰を引いたのではない。
さらに深くタバサを犯すため、さらに長くタバサを削るため、腰を引いたのだ。
そしてすぐに、牡の本能によるピストン運動が、理性を屈服させる徹底的な陵辱が始まる。
ぐちゅ!ぐちゅっ!ぐちゅっ!
卑猥に響く、牝の蜜の攪拌される音。
「ひぃ!?やあぁ────っ、あぁぁぁぁ──────────────っ!あ、ああぁっ────!」
長く響く、獣のようなタバサの啼き声。
ごっ!ごつっ!ごりゅっ!
そして、タバサの耳の奥にだけ響く、牝の城門を叩く、牡の破砕槌の音。
この上なく下品な和音が、タバサの中に響き渡る。
その和音はタバサの神経を灼き切り、意識を剥離させる。
…わたし…なにして…。
タバサの中の冷静な部分が、快楽に狂う獣と分離していた。
「いぁっ、いひっ、もっとぉ!もっといっぱいぃぃ、あぁぁぁ!あぁぁぁぁ─────っっ!」
「シャル、ロットっ、シャルロットぉっ!」
何度も吐き出される欲望によがり狂う自分を、タバサの冷めた部分が見つめる。
…これ…一体…?
その答えはしかし、自分自身によって、導き出される。
…サイトと…融合、して…。
その際使った力を、よく覚えている。
あの力は、あきらかに人間の出せる魔力の限界を超えている。
ならば、その力はどこから出るのか。
タバサにそんな力がない事は、本人が一番知っている。
だとすれば、あれは。
才人と融合する事により、無理やり力を引き出していたのだ。
そして、今のこの行為。
何度も才人が奥で弾けるたび、感じるこの充足感。
それは、いつもの行為で感じているそれとはあからさまに違っていた。
そう、これは魔力の補填だ。
才人との融合で疲弊した力を、才人から精を受けて、直接的に補充しているのだ。
そう、タバサの冷静な部分は結論付けた。
そして。
それ、なら…。
楽しまなきゃ…損…。
再び、獣欲に溺れていった。
…あーもう、つい本気で逃げちゃった。
…さ、サイトが悪いんだかんね、あんな恥ずかしいこと言うから…。
でもまさか、この心のつながり、自分で切る事ができるなんてね。
今まで使い魔の経験ないから知らなかったわ。…って当たり前か。
まあいいわ、任意に切れるなら普段は切っておいて、必要な時だけ使えばいいのよね。
廊下を、タバサの部屋に戻りながらそう結論付けた私は、さっきの謝罪も兼ねて、サイトに心の声で語りかけてみた。
サイト?さっきはごめんね?
しーん。
あら?
反応がない。寝てるのかしら?
私にほっていかれていじけてフテ寝でもしちゃったのかしら?
…かわいーとこあるじゃない。
も、もぉ、しょうがないわねえ、この世界一可愛い使い魔兼ご主人様が、なぐさめてあげますかあ!
なんて考えながら、私はタバサの部屋のドアを思い切りよく開けた。
「あぁぁぁぁーっ!」
…ご、ごゆっくりーっ!
ばたん!
じゃなくてっ!
「ちょ、ちょっとサイト!呼んでも反応ないと思ったらっ!
なにやってんのよこの破廉恥犬ぅーっ!」
ベッドの上ではサイトとタバサがコトの真っ最中で、半裸のタバサがのけぞっていっちゃうところだった。
私の突っ込みに、サイトはようやくこっちに気付いたのか、慌てて手を振って言い訳する。
「いやあのルイズ!これは!違って!」
…何が?一体?違うのかしら?
ていうかー!タバサから股間のモノを抜いてから言え────────っ!
そう心の声で叫んだ私の心に、サイトとは違う声が響いた。
…ルイズも…一緒に…しよ…。
その声は、タバサの声だった。
…って…なんて…イヤらしい…なにこれ…。
タバサの感情も一緒に流れてきて…
きゅんっ…。
私のアソコが、容赦なく疼く。
そ、そういえば一月近くゴブサタなのよね…。
私は後ろ手に扉を閉じると、念のため『アンロック』をかけて。
そして、制服のマントを脱いで、ブラウスのボタンを上から外しながら、ベッドに寄って行く。
ベッドによじ登る前に、すでに染みができているショーツを脱いで…。ベッドによじ登る。
動きを止めているサイトに、私は絡みつく。
そして。
「…ちゃんと、私も面倒みなさいよ…。私はアンタの、使い魔なんだからね…」
…あ、あのー…。これからなさるおつもりで?
サイトは心の声で反論してきた。
その心の声から察するに、結構しんどいみたい。でもね。
…だぁめ。一月ぶん、たっぷり搾り取っちゃうんだから…。
そう心の声で言ってサイトを押し倒す。すると。
ちゅぽんっ…。
「あっ…」
濡れた音をたてて、タバサからサイトが抜ける。その刺激で、タバサが可愛い声を出す。
…なによ、まだ、ビンビンじゃないの…。
私は押し倒したサイトのソレを、一月ぶりのサイトを、口に含んだ。
さて、覚悟なさいよサイト…。
その心の声に、サイトの戦慄にも似た諦めの感情が伝わってくる。
そして。
私も…もうちょっと、欲しい…。
タバサの声も一緒に流れてくる。
その声から、タバサもなんだかすっごくえっちな気分になってるのが伝わってくる。
…じゃあ。
同じことを考え、私たち二人は同時に、サイトに伝えた。
…今夜は、寝かさないんだから。
私は口の中のサイトの生臭い臭いに、たまらない愛おしさを感じながら、舌を動かし始めた…。
>>588へ続く
以上でございます。
まあエロパロだしエロ入れたほうがよかろうということで。
んじゃ寝ますーノシ
これを抜かしてたなんて頭おかしいんじゃないかと小一時間問いt(ry
そしてルイズは気が動転してアンロックをかけたせいでその後シエスタに見られて朝k(ry
ちょwww扉アンロックwwwテラ晒しプレイwww
ベッドの上、自分の両隣で健やかな寝息を立てている二人の少女を眺めながら、才人は口元のにやつきを隠せずにいた。
(異世界に来たってんで、最初はかなり混乱したけど……考えてみりゃ、いいことづくめだよな。
シエスタもルイズも、スッゲー可愛いし。こんなシチュエーション、地球じゃ絶対味わえないぜ)
才人のような人間にとって、今の状況はまさに天国と言っても過言ではない。
「なんだ、また今夜も似たようなことやってんだね、相棒」
ベッドの枠に立てかけられたデルフリンガーが、呆れた声を上げる。才人は苦笑した。
「仕方ねえだろー? こういうのは、自分の欲望に忠実でなけりゃ」
「へいへい。全く、相棒は正直な人間だよホント」
才人とデルフリンガーの会話から、およそ一時間ほど後。
ベッドの上、寝息を立てる才人の横で、激しく絡み合う二人の少女の姿があった。
「あ……ん……ああ、シエスタぁ……そ、そこ、いいのっ……ぉ……」
「うふ……ここですか、ミス・ヴァリエール……?」
シエスタのしなやな指先がルイズの腹をなぞり、瑞々しい唇が細い首筋をゆっくりと這う。
「あぁんっ、あ、ああ……んっ!」
頬を上気させたルイズが嬌声を漏らしながら身悶えすると、シエスタは妖しい微笑を浮かべた。
「ああ、本当にお可愛らしいですわ、ミス・ヴァリエール……! 一体、どなたがあなたの体を、こんなにいやらしくなさったのです?」
「うぅん……ち、ちいねえさま、がぁっ……! わたしがちっちゃいころから、なぐさめて、くださった、のぉっ……!」
「うふふ、さすがは貴族のお嬢様、いいご趣味をお持ちですわ……」
行為が終わった後、二人は再び才人を挟む定位置に戻り、ベッドに深く身を沈めた。
「ねえ、シエスタ?」
「なんですか?」
「いまさら、なんだけど……サイトに、ちょっと悪いわよね」
高慢なルイズと言えども、さすがに多少の罪悪感は感じるらしい。シエスタもまた、眉を曇らせた。
「そうですね。サイトさん、とってもいい方ですし……でも、わたしたちの気持ちも大切にしなくちゃ、ね?」
二人は才人の体越しに視線を絡み合わせ、互いに頬を染めて微笑み合う。
ルイズとシエスタが先のような行為に没頭するのは、もちろんこれが初めてではない。
落ち込むたびに姉であるカトレアに慰められていたルイズが、新たな相手としてシエスタを見出したのは、入学してすぐの頃だった。
元々世話好きで母性本能に溢れるシエスタだったから、ルイズの寂しい心にすぐに同情し、最初は戸惑いながらも彼女と肌を重ね合った。
そうしていく内に、二人はいつしか同性に対する友情など通り越した、深い深い愛情で結ばれるようになっていたのである。
無論、貴族と平民、しかも女同士だから、逢瀬の数は限られていたし、人目を忍ぶものだった。
そんな状況が好転したのは、才人が現れて以降だ。
あれこれと問題を解決していくうちに、才人は騎士になり、シエスタはそのお付きのメイドとなった。
なおかつ才人はルイズの使い魔だ。当然、シエスタはルイズの部屋に寝泊りすることとなる。
こうして、二人は極めて合法的に、夜の営みを楽しめるようになったのである。
「そうね。サイトには悪いけど、全然気付いてないみたいだし」
「ええ、このまま、隠れてこっそり、楽しませてもらうことにしましょう」
「わたしたちが二人とも、サイトのことが好きだっていうことにして、ね?」
「そうすれば、わたしたちもサイトさんも、幸せなままでいられますし」
二人は微笑み合い、幸福感に満ちた深い眠りの中に落ちていった。
「いやー、今夜も楽しませてもらったぜ」
両隣の二人が完全に寝てしまったことを確認してから、才人は目を開いて呟いた。
その顔には、大切な少女二人に裏切られていることに対する絶望感など、微塵もない。
むしろ、非常な満足感を示すように、唇は深い微笑を形作っていた。
「相棒もいい趣味だよねえ」
またも、デルフリンガーが呆れたような声を上げる。才人は笑った。
「言ったろ? 欲望に忠実にならなきゃってな」
「いやでも、珍しいよ。女の子同士の絡みにしか興味を示さない男、なんてさあ」
デルフリンガーの言うとおりだった。才人は、地球においても特殊な性癖の持ち主だった。
すなわち、女同士の絡み合い……レズプレイにしか性的興奮を感じない、という。
「ま、確かに変態かもしれねえがな。でもいいじゃねえか、三者三様、この状況に満足してんだからさ」
才人は両隣の少女たちを見て、機嫌よく笑う。才人はこの世界に来てすぐに、二人の気持ちを察していた。
彼女らの間に貴族と平民という身分の壁が立ちはだかっていることを知り、なんとかそれを解決してやろうと奮闘してきたのである。
そして今、努力の結果として、この状況がある。
毎夜のように肌を重ねあう二人の美少女を、気付かれずに間近から見つめられる幸せ。
(全く、最高だよな。こんなシチュエーション、地球じゃ絶対味わえないぜ)
才人のような人間にとって、今の状況はまさに天国と言っても過言ではないのである。
<了>
>>643 乙。
・・・うん、いろいろと再確認させられるSSだった。
一般解禁日が25日だってーと、始祖はそろそろ入稿を済ませた頃だらうか・・・・
次の巻まで書き終わってます
>>637 このあと「一週間」が始まるというのに、全弾打ち尽させるとは…
>>643 才人はアキバで百合系同人誌を漁る毎日だったろうから、極めて
違和感ナスw GJ!!
648 :
名無しさん@ピンキー:2007/12/17(月) 03:12:56 ID:IfmbAJk9
うはww保管庫また開けナスwwwwww
アンロックで紅茶吹いたwwwww
テラ羞恥プレイwwwwww
アンロックと聞いて
アン様がかける
プロレス技かと思った俺はどうすればいいですか?
まぁいろいろあるが、そうだな……
「七万の大軍に突っ込んでくれば」
と誰かさんは言うだろう。
申す事数あれど、
子、曰く「七万の大軍に突入せよ」と言いけり
くそみそ 技巧絵巻
うぅー 厠厠
予備校に通ふ ごくなのめなり男の子
しひて 違きところをあぐとせば
男に興味があるってとこかならむか
名は道下正樹
アン様のアンクルロック
アン様のバックブリーカー
アン様のトゥーホールド
アン様のカニばさみ
アン様の直下式DDT
アン様の筋肉ドライバー
柔道ならエロい香りがそこはかとなくするのに、プロレス技だとなぜかしないなw
アン様を恥ずかし固め
保管庫、いつのまにか直接投稿の欄も充実してきたな。
でも最近は時々開かないことがあるんだが原因は何だろう。
アン様「肉体言語にて御相手仕りますわ」
さて、君らがえんえんいじるからアン様ハラグロネタ電波が飛んできちゃったんだZE
しかしお兄さんいじめられて気ぃ悪くしたから素直にアン様ものにはしなかったんだZE
そんなわけでコッパゲものの選択肢モノ、投下いくじぇ!
準備はいいかおまいら!
さて、どこから話したもんかな。
しかしなんでまた、先生の話なんか聞きたがるかね。
…へえ?『ハルケギニアを変えた男』の過去に興味があるって?
まあねえ。当代随一の使い手だしな、一応。
夫婦揃ってクソ強いし。
ウチが喧嘩売りたくない貴族の一つだな間違いなく。
…悪ぃ、何度もした話かこれ。
さてと。じゃあ、どこから聞きたい?
…マテ。夫婦のなれ初めってお前。
よーするに、あのおっさんの色恋の話が聞きたいだけか!
なになに?本音は課題がめんどいから?弱点握ってなんとかしようって?
…まあなあ。あの人のその辺の話は確かに弱点になるし、もの凄く笑える話なんだが。
しかしお前もズル賢いな、そんな手で課題なんとかしようって。誰に似たんだか全く。
…ってーか、母さんに聞こうって思わんかったのか。色恋の話だろーに。
…いやまあたしかに、母さんそのへんの話に関しちゃ口堅いけどな。奥さんと仲いいし。
わかった。じゃあ、出会いの所から生還した所までの話はこないだ話したよな。
今日は、あのおっさんが、人生の墓場に到着した時の話をしてやろう。
いやもうこれが、笑える話でねえ…。
その日。
トリステイン魔法学院のある研究室で、その事件は起こった。
まず、その日の朝、王都からその研究室の主に、書簡が届いた。
王家の封蝋の施されたそれは、なんと近衛騎士団である銃士隊の隊長の手によって届けられた。
金髪の隊長は『なんで私が、あの男の所に書簡を届けなければいかんのだ』などとブツクサ文句を言っていたが、王命では致し方ない。
『ちゃんと本人に手渡してきてね。人に預けてはいけません。これは王からの勅命です』などと脅されては反論の余地はなかった。
実はそれはその勅命を下した女王の陰謀で、普段からまるで姉のように何かと小うるさい上に、自分の想い人をオモチャにしているその隊長を厄介払いするためのものであった。
隊長は不機嫌な顔で真っ直ぐ研究室に向かった。ぶっきらぼうに扉を開き、中の住人を大声で呼ぶ。ノックなど不要だ。
すると、そこにいたのはその部屋の住人ではなかった。
ゲルマニアからの留学生。真紅の髪に褐色の肌の、扇情的な体つきの女生徒。
その女生徒は『ああら、女王の腰巾着様。ウチのジャンに何か御用?』と挑発してきた。
その女生徒と隊長は以前、ここの部屋の主を殺すの殺さないのでもめた経緯もあり、ちょっとした敵対関係にあった。
しかし隊長はそんな挑発に乗るほど子供ではなかった。冷静に状況を判断する。
王からの勅命で王家からの書簡を直接ここの主に届けに来た、と女生徒に伝えると、ここで待たせてもらう、と手近な丸椅子に腰を下ろす。
自分の挑発に一切乗らない隊長に、女生徒は軽く苛立ちを覚える。
女生徒は隊長ほど齢を重ねていない。それゆえの若さが、隊長の態度を、自分への無礼として捉えさせた。
女生徒は隊長をねめつけ、『書簡なら私がジャンに渡しておきます。妻として当然の義務ですもの』などと言った。
当然部屋の主と女生徒は婚姻関係などにはない。女生徒の一方的な言いがかりだった。
しかし、何故かその発言に、隊長はカチンときた。きてしまった。
そして思わず応えてしまう。無視しておけばいいのに。
『あの男が結婚したなどとは初耳だな。お前まさかゲルマニアの間諜にでも成り下がったか?』と薄ら笑いで返してしまった。
微熱の二つ名を戴く女生徒の心に、その言葉はあっさりと火をつけた。
女生徒はひきつりながら『間諜とは失敬な。いずれは妻になる身、という意味で申し上げただけですわ』と返す。
隊長はその台詞がまた耳に障った。何故かは分からないが、無性に腹が立った。
思わず立ち上がり、『本人の意思がなければ婚姻には至らぬと、始祖は定めておられる。なるほど、ゲルマニアは未開の地らしく始祖の教えが根付いていないらしい』と挑発する。
書簡をひらひらさせながら。それが失敗だった。
女生徒はその隙を見逃さず、その書簡を奪い取ろうと手を伸ばす。一瞬で隊長の持つ反対側に手が届き、しっかりと握り締める。
戦闘訓練を積んだ隊長は一瞬でその事に気付き、書簡を手元へ引く。
それを察した女生徒も、慌てて書簡を引く。
そして悲劇は起こった。
書簡の大して頑丈でない封はあっさりと破れ、中身が床にぶちまけられる。
その中身は革でできた表紙の中に、二つ折りの紙を挟んだもの。
片方に女性の全身の肖像、片方にその女性の詳細なプロフィールが書かれたもの。
俗に言う、『お見合い』の紹介状であった。
そしてその上に、女王直筆の、少し大きめの字で書かれた便箋がひらりと舞い降りる。
そこにはこう書かれていた。『ミスタ・コルベールへ。そろそろ身を固めてはいかがでしょうか。あなたの好みの女性を、知り合いの貴族から紹介していただきました。よければ一度、会ってみてはいかがでしょうか』
二人はその場で固まる。
女王のセッティングしたお見合い。王家の紹介した結婚相手。つまり、その見合いに参加するということは、例え興味本位でも、互いに合意したものとみなされるだろう。
もし断れば王家のメンツを潰す事になる。貴族ならば痛いほどその意味が理解できていた。
女生徒と隊長は固まったまま、その女性のデータを無意識に脳裏に焼き付ける。
まずは肖像。
座っている椅子のサイズから考えて、身長はさほどでもない。顔立ちは美しいというより愛らしく、年齢の割りに幼い印象を受ける。
真っ直ぐに伸びたアッシュブロンドは手入れが行き届いており、同じ女性の目から見ても美しいと思える。
体つきは華奢だったが、女性としての丸みはしっかり有しており、扇情的とまではいかないものの、しっかり女性を感じさせた。
そしてプロフィール。
けっこうな大貴族の次女で、見た目の割りにけっこうとうが立っている。
今はアカデミーで研究顧問をしているらしい。属性は『土』。特に錬金の術が得意で、今は効率的に石炭を作り出す研究をしている。
趣味は他の研究のレポートを聞くことと、料理にガーデニング。
性格はおっとりとしたのんびりやで、少々抜けたところがあるらしい。
二人は焦った。
部屋の主の好みはわからないが、世の男性に問うたら、二人とこの肖像の女性なら、ほぼ間違いなくこの肖像の女性を選ぶだろう。
その時。悲劇が更に加速する事態が起こった。
部屋の主が帰ってきたのだ。
主は二人を確認すると教師らしく二人にきちんと挨拶し、そしてその足元に散らばった何かを確認する。
二人は慌てて、女生徒は便箋と書簡の残骸を、隊長は肖像を後ろ手に隠す。
なんですそれは、と尋ねる部屋の主に、二人は『な、なんでもないわジャン!なんでも!』『そ、そうだぞ、貴様の気にする事ではない!』と部屋の主に背中を見せないようにぎこちない動きで部屋から出て行く。
二人は揃ってそれじゃあ!また後で!と部屋の主に挨拶すると、女生徒は右側の扉を、隊長は左側の扉を乱暴に閉じて、部屋の前から逃げ出す。
部屋の主はなんだったんだろう、としばらく首を捻っていたが、すぐに研究のための書籍を部屋に探しに来た事を思い出し、検索作業に戻ったのだった。
二人はしばらく走った後、塔の陰に隠れて顔を見合わせた。そして。
な、なんでアンタが慌ててんのよ!き、貴公こそさきほどの余裕はどうした!などとなじりあい。
そして、大変な事に気づく。
二人がした行為は立派な叛逆罪である。王家の書簡を隠匿し、持ち去ったのだから。
しかし、この行為をなかったことにする方法が、一つだけあった。
そう。この見合いを、ハナから破談にしてしまえばよい。
つまり、ジャン・コルベールに、結婚を同意した意中の相手がいればいいのだ。
それに相応しいのは、この私、キュルケ・アウグスタ・フレデリカ・フォン・アンハルツ・ツェルプストーに他ならない。
…ヤツに償いをさせるのは、この私、アニエス・シュヴァリエ・ド・ミランだ。誰にも邪魔はさせん…!
二人はもう一度お互いに視線を交わすと、書簡の残骸と見合いの紹介状をその間に放り投げ、火を放つ。
小さな焚き火を挟んで、二人はコルベールの縁談を破談にするため、人生を賭けた博打に打って出る事にした。
キュルケを最近見ないからキュルケで
やっとocn解除されたぜ…
>>673 あ、悪い。しばらく離れてたから忘れてたorz
ちょっと投票してくる
せんたいさん、これはなかなか面白い選択ですね
早速投票させていただきました!
せんたいさん面白かったです。
速投票です!
投票で無駄にスレが伸びるのを懸念して投票所設置したのに、
「投票しました!」とか書いてレス消費してたら結局同じことになるな。
報告するなとは言わんけど、上の人たちみたいにちゃんと感想もつけて書き込んだ方が良さそうだ。
そんなわけでせんたいさんGJ。
18:50時点 キュルケ劣勢。
へんたいさんGJ。
でもさぁ…アニエスが妻になったりすると、いつか鉈で((( ;゚Д゚)))ガクガクブルブル
な妄想をしたのは俺だけでいい。
新刊発売まであと一週間か…
>>679 ん?俺には2期の作り直しとみえるぞ?そうかそうかJCは悔い改めて(ry
はい、時間になりましたので投票を締め切りました。
結果はアニエス57票、キュルケ53票でアニエスさんの勝ちでした
アニエスさんがいかにしてコッパゲの魔の手に落ちたのかは、明日以降のお楽しみ!
ではではノシ
せんたいさん
面白かった!前振りでこれほど笑ったのは久々だ!
投票間に合わなかったけど、明日にはできると言う事は・・・
何度も言ってるが両方出来てるんでしょ?
両方待ってるよん。
連レスですまん。
せんたいさん
魔の手の落ちたのはアニエスじゃなくてコッパゲの方では?
685 :
ボルボX:2007/12/19(水) 00:39:52 ID:IdV3bW49
せんたいさんGJ。アニエス編楽しみにしてますw
……さて投下。
「各地の『王の森』はその名のまま、王が狩りをするための猟場でな。
鹿やイノシシが外に出て民衆の畑を荒らさぬよう、かつてのアルビオン王家が魔法で固定化した柵で広く森をかこった。
その柵を利用されて俺たちはウォルター、おまえら言うところのクリザリング卿に封鎖されてるわけだ。とはいえ、出ていこうと思えば出来なくはないが。
ほどこされた封鎖強化はむしろ、外の者が入らないようにするためだな」
案内された木造の小屋、粗末な台所。
才人とアンリエッタは丸太の長椅子に隣りあって座っている。
マーク・レンデルは二人に湯気の立つカップを渡しながら語った。
「現に、多くの領民は耐えきれず他所に逃げていった。無理はないのさ、ウォルターはときおり怪物を森にはなっている。
見なかったか? 女の顔にライオンの体の怪物だ。殺されたものは多い」
「……なんであんたらは逃げてないんだ?」
刻んだショウガを放りこんだ湯をすすりながら、才人はたずねた。
「なんでだろうな……まあ、くだらん意地やあれこれさ」
マーク・レンデルは二人のまえに椅子をひいて座り、自分もショウガ湯をすすりはじめた。額にしわを刻んで、沈鬱な表情。
四十は越していると見えたこの男が、意外にまだ若いことに才人は気づいた。
森の過酷な生活が、実年齢以上に風貌を老けて見せているのだろう。
「俺は親父の後をついだ森番だった。森林監督官の下に森番がいる。俺たちの家は先祖代々主君と家臣のようなもので、ウォルターの馬鹿は俺には『若様』だった。
ここの森番は、平民ゆえ形としては公務員ではなく、王領の領民で森林監督官に『自発的に協力』する者らだ。給料は謝礼という名目で出ていた」
そこで一度言葉をきり、いまいましげに無法者は顔をゆがめた。
「あれは子供のころから頭がよく、同時に過敏で気の弱い男だった。いまの『あれ』は、かつてのウォルターとはもはや別物だ。
あれがおかしくなったのは数年前、あの塔に頻繁にこもるようになってからだ。
〈永久薬〉には狂気が宿る、という言い伝えはここらのだれでも知っていたのに。入ろうとしたとき、すでに変貌していたのかもしれんが」
「ちょっと待った」
うん? と首をかしげた男に、才人は問いただした。
「あの塔の中になにがあるのか知ってるんだな?」
「〈永久薬〉の処方箋があると聞く。『塔のメイジ』が書きのこしたやつが。
たぶん、ウォルターはそれ以前に塔に踏みこんだことのあるクリザリング家の先祖たちと同じく、永久薬を作ろうとしたのだろう。
そして作ることに成功したのだと思う。ウォルターが使い魔のように使役するあの魔法人形は、俺たちが矢を何本突きたてても倒れなかった。
伝説では、永久薬の効果は、『物質の属性、効力を無限に引きのばす』ことだという」
はおらされた才人のマントにくるまっているアンリエッタが、はっと何かに気づいた態で頭を起こした。
クリザリング邸の晩餐で、彼女はほれ薬の一種をのまされたようなのである。
解毒薬を館で一回、効き目が薄れたためさきほどもう一回服用したのだが、様子はいまなお熱っぽい。
あせった様子で、女王は森の無法者に確認した。
「無限に?」
「ああ、いろいろな言い伝えがあるな。
『あの塔を守っているのは、永久薬によって長い年月を動きつづけている魔法人形の一群』。
『錬金の魔法をこめた杖が、とどまることなく触れるものを金に変えた』話。
『塔の最上階で生きつづけているメイジ』。
『永久薬をつかった眠り薬をのまされた姫君が、起きられなくなった』話」
才人とアンリエッタは、一度顔を見合わせた。才人が食い下がる。
「最後の話を詳しく!」
「そういえばそこの娘さんの事情と関係ありそうな話だな。
いや、単に、恋敵に眠り薬をのまされた貴族の姫君が、ほうっておくと昏々と眠りつづけるようになったというだけの話だ。
解毒薬を口から流しこむと少しの間起きていたそうだがね。ひんぱんに解毒しないとすぐ眠くなるので、一日の四分の三を眠ったまま一生を終えたという。
その眠り薬が、この塔で作られた永久薬の効果をおよぼされていたということだ」
アンリエッタが薄赤くなっていた顔色を、怯えで白にもどしている。
「一生? 解毒薬が、効かない?」
「うむ……詳しいことは知らんが、解毒薬がまったく効かないわけじゃないだろう。この眠り姫の話にしても、短い時間ながら中和していることだし。
毒の効果が切れないので、時間がたてば解毒薬が負けてしまうのだろうさ」
素人考えだがね、と率直に述べるマーク・レンデルだったが、アンリエッタはカップを持ったまま呆然とつぶやいた。
「いえ、もしそれだとするとこの状況の説明がつきます……王宮の薬剤師が、調合を失敗するはずがないのです」
「ん? どこの薬剤師って?」
「あ、あー、ところで、それならやっぱり塔の中を調べる必要があると思うんだけど。
行ってみるわけにはいかねえかな」
注意をそらすべく、内心焦りながらも提案した才人に、マーク・レンデルはすげなく首をふった。
「やめとけ、塔に踏みこめるのはウォルターだけだ。クリザリング家の血を引くものしか入れない。
どんな原理か、先代やウォルターが手を塔の扉にかざすと開いた。それは俺も見ている。
伝え聞いた話によれば、アルビオン王にもそれが可能だと言われていたがね」
それを聞いて、才人はうなった。
「どのみち、やらなきゃならねえんだよ。このままはまずいんだ。だろ?」
「ええ。かならず解毒しなくては」
才人に同意をもとめられ、アンリエッタが即座に首肯する。
二人とも、今の状況がどれだけ深刻かよくわかっているのだった。余人ならぬ国のトップが、この先まともな思考もままならないというのは極めてまずい。
マーク・レンデルが、難しそうに腕をくんだ。
「……あえて試みるなら夜の間だな。日が落ちたあと、あの塔は怪物たちを吐きだす。扉もゆるんでいるかもしれない。
危険だからやめておけよ、と言っておくがね。どうしても行かなきゃならないなら、ウォルターを捕まえて塔を開かせたほうが安全だ。
ところで」
森の無法者は、好奇心のこもった目を二人に向けた。
「ウォルターの館で薬を盛られたってのは聞いたが。
お前らがどこのだれだかは、まだ聞いてないんだがね?」
「……やっぱ言わなきゃならねえか?」
「思い切りが悪いな、坊主。俺たちに害意があるなら森で射ていたぞ。お前らを保護したあげく『仲間と連絡をとりたい』という要求を聞いてやっただろ。
俺の弟分たちが今、塔に向かったという連中をさぐってる。やつらが接触したらすぐ判明することだろうが。
身がまえなくても俺たちは、たんなる農夫兼猟師の集まりのようなものだ。凶悪なことはやってないぞ」
「でも盗賊とだれかが言ったような」
「……大胆だな坊主。平民とはいえ自由民をつかまえて盗賊呼ばわりは無礼だぞ。
俺たちが盗賊? 封鎖されてる森の中で、誰から盗むんだよ。
王の森の獣は食ってるから、しいて罪状をいうなら密猟だな」
まあ密猟は森林法に照らせば死刑もあるくらい立派な重罪なんだがな、とこともなげに元森番は言った。
複雑な表情で黙りこんでいるのはアンリエッタである。
才人は一応、そこにも突っこんだ。
「その密猟は取り締まられなかったのか、クリザリング卿に?」
「放置されている。本来それがあいつの任務のはずなのにな。あいつはおそらく、塔のこと以外のほとんどが、もうどうでもよくなったのだ。俺たちの生死も。
ウォルターは、俺たちを追いつめようとはしていない。さもなくば、いつでも殺せたはずだ……先ほど農夫兼猟師といったとおり、俺たちは森中に畑をつくって耕作してる。そこから離れられないのだからな」
森の男はしばし言葉をきり、首をふった。
「森にのこった俺たちは、かつてのウォルターのもっとも忠実な臣下だった。俺たちは、あいつを元に戻したい。叶わぬのなら殺したい。だが、そんな力はない。
……もし手を組むことで双方に利があるなら、そうしない法はない。だから、お前たちが何者であるか聞いておきたいのだ」
らんと獣のように強烈に輝く目で、マーク・レンデルは二人を見つめた。
才人とアンリエッタはもう一度目を見交わし、困ったようにもじもじした。しばしして、女王が問いただす。
「あの……失礼ながら、森の外のことについてはあまり情報がないようですわね」
この男たちに森の外の情報が遮断されていないなら、目の前の少女がトリステイン女王であることに思い至らないとは考えにくい。
いかに公式には「軽く視察する」程度にしか知らせていないとはいえ、トリステイン女王がアルビオンを訪れたことを全く知らないはずがないのだから。
「ああ、正直言うとな。先の革命や大戦も森のなかで知ったくらいだ。
ウォルターの君臨は政変にまったく影響されていないように見える。
アルビオン王家にウォルターが援兵を出さなかったとはいえ、レコン・キスタに王の森の管理官の地位を奪われなかったのはつくづく不思議だね」
このアルビオンの「王の森」の名目上の主権者は、二回かわっている。
アルビオン王家からレコン・キスタに、今はトリステインはじめとする連合軍が置いた代王政府に。
その二回ともウォルター・クリザリングは旗幟を鮮明にせず兵を出さず、そして深く干渉されず、実質的な領主である今の地位をたもちつづけていることになる。
むろん政治的術策の結果として、それは不可能ではないが。
(でも、難しいと思うわ……どうやって? レコン・キスタは甘い目こぼしをする組織ではなかった。
「与えるものは受け取ることができる」と枢機卿に教えられたことがあるけれど、この場合はよほど与えるものがないかぎり……
賄賂にしても莫大な額になるわ。そんな富がクリザリング卿にあるようには見えないし)
アンリエッタは茫洋としながらもそれを考えようとした。
才人は才人で、アニエスやルイズと合流したあとのことに思いをめぐらせている。
マーク・レンデルは二人を交互に見てから、「まあ、今すぐに話せとは言わんさ」と鷹揚にかまえてみせた。
「とりあえず斥候に出した奴らから連絡がくるまで休んだほうがいいだろう。下手に出あるいて迷うより、地元の俺たちに任せとけって。
この集落には小屋がいくつかある。半分以上は捨てられたものだから、どれでも好きに入りこんで使っていいぞ」
「……そうだな、連絡つくまでは下手に動かないほうがいいか。お言葉に甘えさせてもらうよ」
才人はショウガ湯を一気にのみほし、渡された獣脂のランプを手に立ちあがりかけた。
すると、アンリエッタも立ちあがった。
少年は固まった。そういえばそうだった。この問題があった。
……けっきょく外に出ても、つつましい足音が才人のあとを追い、小屋の中までついてきた。
ほこりまみれの粗末な寝台しかない小屋に入ってから、冷汗をにじませて才人が振りかえると、女王は朽ちかけたドアを後ろ手に閉めていた。
姫さま? とややたじたじとなっている才人の前で、アンリエッタは白皙の面を染めて熱をたゆたわせながら、静かに口をひらいた。
「すこし、お話ししませんか……」
\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\
マザリーニはフネの船尾近くから下を見おろした。
夜、地表をおおう木々は空からは黒い海のように見える。
信じがたいことに、ウォルター・クリザリングが動かすこの中型船三隻の艦隊は、無灯火で闇のなかを航空していた。
眼下の黒冥に視線をさまよわせながら、彼は杖をとりだして握った。
この高さならレビテーションかフライを使えば、無事に着陸できるだろう。
「なにをされるつもりかな」
いつのまにやら甲板にあがってきたらしいクリザリングの声が、風にのって背後から聞こえた。
黒衣をひるがえらせながら、マザリーニはふり向いた。
森林管理官が立っていた。そばに数名の召使がひかえている。異様に物静かな男たちだった。
「わざわざお招きいただいたのに心苦しいが、夜空の遊覧にも飽きたのでな。
降ろしてもらおうかと思っておる」
「なるほど。では好きにされるがよい」
特に興味もなさそうなクリザリングの返答に、マザリーニはやや意外そうに目をほそめた。
「ずいぶんと豪気だな。捕虜が逃げようとしているのだぞ」
「どのみち適当なところで放逐するつもりだった。
猊下をここまで連れてきたのは、指導層を我々の出はらった館に残しておけば、ほかの捕虜を煽動して火でもつけかねんと思っただけだ。
もっとも残すべき価値のある物もないが」
クリザリングの言葉は、マザリーニを拘束もしていないことが裏付けていた。
だがマザリーニの背筋には悪寒が走った。厄介払いするつもりだった、というのはおそらく事実だろう。しかし逃がすよりもっと手っとりばやい道は、マザリーニを殺すことだった。
この男は、どちらでもよかったのだろう。根拠はないながら、クリザリングの鬱勃としてなお透明な雰囲気に接し、マザリーニはそう直感していた。
「なにを考えているのだ、クリザリング卿。
貴殿は私には理解できぬ。わかるのは、貴殿が気違いじみているということぐらいだ」
風に劣らぬほど温度の低い声を出しながら、マザリーニはクリザリングと向き合ったまま一歩下がり、船べりに尻を乗せた。
青年は怒りも笑いもせず、突然に興味がわいたような表情でまじめに問い返した。
「気違い? それはたとえばどのような行為を指して?」
「この日の最初から最後まで、あらゆる行為をだ。
今このときに限っても、無灯火で艦隊を夜間航空させるなど、ほかにどう言いようがある?
着陸難というだけでなく、うっかり間違えば三隻のみとはいえ互いに衝突するぞ」
急速に、クリザリングは一片の熱もない醒めた様子に戻った。
「艦隊運用について猊下に心配していただく必要はない。みずから言うとおり、そろそろ降りていただこう。
彼がこれ以上とどまるなら、背骨を折って放りだせ」
クリザリングの最後の一言は、そばの召使たちに向けての命令である。
マザリーニは顔をしかめると、ゆるやかに背を倒し、船べりから後ろむきに身を空中に投げだした。
…………………………
………………
……
「手前はほとんどの事物に、執着するほどの価値を見いだせないだけだ。
これも諸人にとっては狂気の一種なのだろうかね、猊下」
「ウォルター・クリザリング」は船べりに立ち、マザリーニの飛び降りたあたりを見やる。
逃げたところで運が悪ければ、あの老人はすぐ死ぬ。
森にはスフィンクスを放っているし、王軍のところに逃げたのなら、これから自分が始めるつもりの戦闘に巻きこまれるだろう。
「どうせこの世は無常の夢、万象はさだまらず転変するだけだ」
ぶつぶつとつぶやく。
彼にとって、他者の去就は生死をふくめ、とくに考慮するほどのことではない。自分自身の末路でさえ、さほど問題にはしていないのだから。
今なおわずかなりと気にかかるのは、せいぜい女王の安否くらいである。なんといっても、ウォルター・クリザリングにとっては重要な少女だったのだから。
もの言わぬ家臣たちを向き、あごをしゃくって追い払う。
離れていくその後ろ姿を見ながら、思考をめぐらせる。
館にのこっていた女王本人は、大胆にも少人数で森に逃げたようだった。
彼女を殺すつもりはないが、捕らえておけばその配下たちをおとなしくさせられたかもしれない。
枢機卿では無理だろうが、女王とであれば王軍の者もあの少女を差しだすことに同意したかもしれないのだ。
しかしクリザリングは喜ばない、と彼は感情のない声で独白する。
「いかな種類でも『アンリエッタ姫』に危害を加えることを、そうだ、ウォルター・クリザリングは肯んじないだろう……そうとも。
では、やはりそれ以外を直接狙うか」
ラ・トゥール伯爵とはすでに激突した。あの、都市トライェクトゥムの商人貴族は手勢を引きつれて敗走した。
女王が塔に派遣した兵は、スフィンクスの魔法人形がかく乱しているだろう。
この二つの軍勢は森で合流する可能性が高い。
一方、こちらの手駒は、塔に収容していた魔法人形たちが主となる。数は、近衛隊とトライェクトゥム兵の連合の半数にも達せず、五十体ほど。
ただし巨躯が多い。
〈永久薬〉によって半永久に動きつづけ、形を徹底して破壊されないかぎり戦えるこの兵たちは、夕刻より森を驀進して館に駆けつけ、ラ・トゥール伯爵の兵をうち破る主戦力となった。
彼はその魔法人形たちを、この三隻の運搬用フネに搭載していた。重量の問題で三隻に分散させているのである。
「さて、どこまで手を出したものだろうか」
本来手をかける必要があるのは虚無の少女だけだ、と彼は続ける。
「抹消されるべきは、塔が強引に暴かれる可能性だけだ」
あの少女を殺す。ほかの有象無象は、邪魔だてする者だけ排除すればよい。
そこで、いや、と考えをひるがえす。
「否、否、考えてみれば、『虚無』の人物が重要でないわけはなく、重要人物を王軍が威信にかけて守らないわけもない……では、最初から徹底しておくか」
鏖殺するつもりでちょうど良いくらいだろう。そう、彼は結論した。
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「火は効かないようだ。外の焚き火も、こちらの視界を確保するしか役に立っていない。
外では、いくつかの焚き火を背に円陣をしかせているが、あのスフィンクス、ときおり平然と姿をみせている」
塔と館をつなぐ、森に両側をはさまれた林道沿いにある小屋。
林道にはいくつもの焚き火がたかれ、兵たちが武器を手に緊張をはりつめさせている。
外の警備を副官とマンティコア隊の代表にまかせていったん離れ、小屋に入ったアニエスは仏頂面で報告した。
炉の前でマザリーニと向かいあっていたラ・トゥール伯爵が、いらいらと吐き捨てた。
「当たり前だ、魔法人形だからな。本物の獣と同じく火を恐れるはずがない。
クリザリングの奴はああいった奇怪なものを手駒として多くそろえているようだ、館の戦闘でも背後から魔法人形がわれわれに襲いかかってきた。
それさえなければ、トライェクトゥムの兵だけで圧倒してやれたのに」
小屋のなかではアニエス、逃げ出してきたばかりのマザリーニ、それにラ・トゥール伯爵が顔をつきあわせることになった。
帽子にクモの巣と木の葉がくっついたまま、椅子にすわって防寒用キルトにくるまっていたマザリーニがアニエスに向けて告げた。
「陛下のゆくえが知れない。館にはいなかったようだ、クリザリング卿に捕らえられてはいない。
てっきりラ・トゥール殿が連れて逃げてくれたものと思ったが、違うという。みずから行動して森に身を隠しておられるのかもしれん。
われわれは何よりも優先して、陛下の安全を確保するため動く必要がある」
つい数分前に、マザリーニは割合にかくしゃくとしながら森から林道に出てきたのである。
そのまま近衛隊によって保護されたのだった。彼は重要なさまざまの知らせをもたらした。
「それと、クリザリング卿は無灯火のフネに魔法人形をつめこんで航行している。
あの男の思考は読めぬ。十分に警戒せねばならん。
私は焚き火の明かりを見てここまで来れたのだが、間違いなく敵からも見えているぞ。なるべく早く腰をあげねば」
アンリエッタが行方不明と聞いて、アニエスは蒼白になっていたが、うろたえても益はないと合理的に判断することはできた。
(森をあてどなくさまようことになるが、ここは防戦にも向かんし、とどまるのはまずそうだ。
陛下も探さねば。なぐさめは、もし逃げたのならサイトがおそらく護衛として同道しているだろうことくらいか。
待てよ、森の無法者という連中がいたな。いっそ前の傭兵隊のように連中を味方につければ、森の地理を把握することができるのでは)
沈思するアニエスの前で、ラ・トゥール伯爵もまたなにかを考えていた。
彼は顔をあげて枢機卿にただした。
「マザリーニ様、さきほど聞いた話のなかで、フネの動力室も妙であったといわれましたな。詳しく聞くことをお許しいただけますか」
「……ああ、妙なことだけならほかにいくらでもあったのだがな。軟禁もされなかったので船内を歩きまわり、フネの動力室を見た。
違和感があった。風石の蓄えがなく、補充されたあともない。人の立ち入った気配さえほとんどなかった。動力源はすぐ消費されるのに」
「なるほど……」
下唇を指でつまんで考えこむラ・トゥール。
三人の横では、優先的に小屋に運びこまれた負傷兵たちが沈鬱に押し黙っている。
……この状況はいろいろな要因による。アニエスたちは塔に踏みこめず、かえって塔からあふれでた怪物たちに蹴散らされるようにして道をはずれ、森に逃げこんだ。
来た道とはべつの林道を見つけ、クリザリング邸に引きかえす途中で、館から敗走してきたラ・トゥール伯爵の一団と出くわしたのである。
それからほどなくしてマザリーニを迎え、館側の一部の事情があきらかになった。それでも、情報はまだ足りていない。
アニエスはラ・トゥールのほうに一歩ふみこんだ。
「ラ・トゥール殿の兵を背後から襲ったのは、たぶん塔の怪物たちだと思います。自分たち王軍も、その怪物たちから逃げてこの小屋に逃げこんだしだいです。やつらはそのまま館に行ったのでしょう。
現在、近衛隊を陛下からあずけられているのは私です、ラ・トゥール殿。
われわれ双方で徹底した情報交換が必要かと存じます。考えてみれば、あなたとクリザリング卿の戦闘の経緯さえも聞いておりません」
ラ・トゥール伯爵の目が、今夜はじめてアニエスをまともに見た。
うろんげな、わずかに戸惑いを見せる表情。こちらを見るその目の光に、アニエスは唐突に既視感をおぼえた。
このような眼光はよく見てきた。
銃士隊長にのぼりつめるまでに軍で、栄達してからは王宮や任務のためおもむいた場で。貴族と相対したときに、多くの者の目の奥に。
(これは、平民を侮蔑する者の目だ)
だがラ・トゥールの目の光は一瞬にして散じ、彼は愛想がよいとも言えるほどに気さくな声を出した。
さきほどアニエスが入ってきたときの不機嫌な応対とは、たいしたうって変わりようである。
「……ああ、たしか名はアニエス殿だったかな。失礼、勇壮な麗人であるという銃士隊長の名を、田舎者ゆえとっさに思い出すのに手間どりました。
戦闘の発端は、ウォルター・クリザリング、あの狂人」
その名をだしたとき、トライェクトゥム伯アルマン・ド・ラ・トゥールの四角い面に、憎悪の色がちらとかすめた。
「私は晩餐のあと奴と差し向かいで話しあい、昼間のことについて問いただすつもりでした。ですが交渉にさえ至りませんでした。
奴は召使にとりつがせた私の面会要求を、完全に無視してのけました。のみならず、そのまま私を拘束させようとしたのです。
幸いにも、わが兵が即座に反撃してくれました……そのあとの戦いはこちらに有利に進んでいたのですが、森からいきなり現れたおぞましい魔法人形の群れに背後をつかれたのです。
あとは知ってのとおり、館から撤退する途中であなたがたに出会い、こうして向かいあっているしだいです」
「なるほど、得心がいきました。
ところで、塔の〈永久薬〉について知っていますか?」
口をつぐんだラ・トゥール伯爵の顔色が数瞬のあいだに変わるのを、アニエスはやや皮肉っぽい気分でながめた。
その都市領主は、ややあって咳払いした。
「……そんなところまで、調べているのですか?」
(おや、これはなにか引っかかったな)
そう腹の中でつぶやき、アニエスは答えない。ただ、じっとラ・トゥールを見るだけである。
しばしして、腹をくくったような顔を見せ、ラ・トゥール伯爵は肩をすくめた。
「ええ、この際その薬のことをもクリザリング卿に問いただしてみようと思っておりました。あの話を最初に聞いたとき、私は一笑にふしたのですがね。
普通に考えれば与太話のたぐいです。実際にあれば喉から手がでるほど欲しいと思うことも否定しませんよ。ええ、もしそんなものがあれば、いくらでも活用できますから。
ですが、それがどうやら本当にあるようなのです。そしてクリザリングは、おそらくそれを実際に活用しています」
「それはいったいどういう……」
アニエスがつい引きこまれたとき、「アニエス!」と呼ぶ声がそれを中断させた。
やむなく場をはずす。
「……ちょっと失礼」
呼ばれたほうへ行く。
ずっと小屋の暗い隅のほうで、なにやらごそごそしていたルイズが怒り泣きするような顔でアニエスの前に立った。
「アニエス! 出ない! 出ないのよ!」
「心配するな、荒事のときは新兵によく見られる現象だ。
座ったらまず息を深く吸いこんで上を向き、口をぽかりと空けてゆっくり息を吐け。なにも考えずリラックスに徹しろ。
さすればおのずと膀胱はゆるむ」
「だ、だれがお粗相の話をしてんのよ!? 虚無よ虚無!」
地団駄をふんでルイズがわめいた。
「乱発しすぎて魔力が切れてるのよ!」
一拍おいてその言葉の意味を理解し、アニエスは慨嘆して天井をあおいだ。
そういえばルイズはあのスフィンクス相手に、半ばパニック気味でディスペルやエクスプロージョンを放っていた。
それらを全部、あの厄介な魔法人形は巧みにはずしてしまった。
空中までふくめた広い領域を、水中の魚のように迅く滑らかに駆けまわって、危ないと見れば森に逃げこんで姿をくらまし、やりすごしている。
ガンダールヴ状態の才人でも凌駕できるか怪しいほどのスピードもさることながら、不気味なのは生きた獣としか思えないその勘のよさだった。
ともかく結果、ルイズは無駄撃ちのしすぎで魔力のストックが切れたということらしい。
「魔力が回復するまでどのくらいかかる?」
「そ、それは……それがわかれば苦労しないわよ……」
「……やむをえまい。ラ・ヴァリエール殿は戦力からはずす。
私の後ろにいろ」
アニエスは落胆こそしていたが、とくに厳しい態度をとったつもりはなかった。だがやはり目に見えてルイズは沈んだ。
精神の成長いちじるしいとはいえこの少女はまだまだ、虚無が使えないと自身の価値はほとんどなくなるという強迫観念が、完全には消えないようなのだった。
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獣脂の明かりの揺れる小屋の中。
寝起きの役にしか立たなさそうな小屋は、入ってすぐ毛布もないむき出しの木のベッドがある。
その上で女王は、夜を徹して語る覚悟を決めたようだった。
「クリザリング卿が、いまのところ最大の容疑者です」
今夜自分に「ほれ薬」を盛り、兵を動かして反乱同然の真似をした人物が誰かについて、アンリエッタは断定した。
求婚の件があるだけではない。
マーク・レンデルから聞いた種々の情報は、ウォルター・クリザリングという男に対する疑惑を深めるようなものばかりだった。
「もし彼が今夜の騒動の立役者であるのなら、わたくしたちはレンデル氏の共闘の申し出を受けましょう。かれらは森の地理には通暁しているはずです。
でも、ほかの可能性はないのかしら……ラ・トゥール伯爵のほうがわたくしに弓をひいたというような」
ともすれば薬のため散らばる思考をかき集め、わざわざ口にだしてつぶやく。
一つ一つ、必死につむぎあげる憶測を足がかりにして、さらに思索をすすめる。
才人が妙に硬いささやき声で口をはさんだ。
「あの伯爵ですか。なにか心当たりでも?」
その声を聞いて、アンリエッタは赤みがかったまぶたを伏せて「ええ」と答える。
いまや思考すること自体が、むりにでも理性をたもつための方法なのだった。
「ラ・トゥール伯爵家は、もともと都市トライェクトゥムの領主として、大権をふるってトライェクトゥムに君臨していた名門でした。
でも、何百年も前にラ・トゥール家による暴政がつづいたとき、市民たちが時のトリステイン国王に直訴し、王の裁きが下されました。
王家がトライェクトゥムの市民と組んで、ラ・トゥール家から大幅に実権をとりあげたのです」
立て板に水のようにすらすらと、ただし情動はほとんどない口調。
たぶん、詰めこまれた教育で得た知識を、教科書どおりに口にしているのだろう。
今の彼女にとっては、とにかく何でもいいから思い浮かべる材料があればいいようだった。
「そのあとはトライェクトゥムは、事実上の国王直轄地として栄えました。
それさえも、王家が市の参事会にさまざまな特権を保証して、見返りに税を受けとったというだけで、実際は市民の自治都市だったのですが……
いっぽうのラ・トゥール家は伯爵家という肩書きだけはそのままに、中小規模の貴族に転落したとのこと……です」
「なるほど。だから恨みを王家に、という考えで?」
「いえ……待って、よく考えれば、それも微妙ですね……
その昔日のころであれば、ラ・トゥール伯爵家が叛意をいだくことも納得できたかもしれませんが、長年のうちにラ・トゥール家は地道にじわじわと実権を取り戻し……、
ええと、そう、王家には恭順的で、市の参事会にも平和的に食いこみ、いまのアルマン卿の代では、参事会代表にものぼりつめ、完全に返り咲いて、いるはずで……
順風満帆なら、反乱してなにも、得るものは、ないのですから……やはり、……違うのでしょう、か……」
アンリエッタの頭がふらふらしはじめた。
才人は血相をかえてその肩をゆする。
「姫さま、気をたしかに!」
ぼんやりと女王が、半分閉じかけていた目を見開く。
傍からみれば、睡魔との戦いに似ていなくもない。
この数刻何度あたらしい解毒薬をのんでも、ほれ薬と解毒薬のせめぎ合いは最終的にほれ薬の勝利に終わるのだった。
やはりほれ薬のほうは、マーク・レンデルにさきほど聞かされた話の薬のように「永続」の属性を得ていると思われた。
どうにか持ちなおしたアンリエッタは、なるべく長く正気をたもつべく話を続ける。
彼女が一方的に口を動かしているのは、才人の声があまり彼女の耳に入ると、情感の高まりをこらえきれなくなるためだった。
「実は貴族の反乱も、無理ないかもしれないと少しだけ思うのです……
最近のわたくしの施政そのものが、彼らの敵意を誘発するものであったかもしれませんから……」
女王は「武器税」のことを話す。
諸侯の力をおさえ、平民を引きあげる政策の一環であるそれを。
赤らんだ表情を眠たげにとろかせながらも、この話をするとき瞳の奥には意志が光った。彼女なりに、こだわりがあることだから。
それでも精神が揺れているのか、いつのまにか語ることに弱音が混じっている。
アンリエッタは芯をどうにか保ちながら、しかし沈鬱な声音で話をつづける。
先の巡幸の一連から、みずからの目ざす施政が、それまでより形を幾分か変え、鮮明になったと感じたことを。
できる限りそれを成しとげたい、という思いを。けれどもマザリーニの反対をはじめとしてつきまとう困難と、自分でもまた悩みを捨て切れないことを。
「改革はこの先も、多くの貴族の恨みを買うでしょうし……もしも大規模な反乱が起き、かえって国家の屋台骨をゆるがすようなことになれば、失政のそしりはまぬがれません。
……ほんとうは自分でも自信がないの。巡幸のときのことがなければ、わたくしは貴族の力を削ごうとは、この先もずっと考えていなかったかもしれない。
そしてこれはけっきょく自分の、自分の罪悪感をごまかそうとしているだけかも、と」
静かに震えながら、アンリエッタは思い返す。
罪を問うような青い目を。【拙作SS】
唇をかみしめ、知らず知らずのうちに、黙って聞いている少年に問いかけてしまう。
「善政を敷くため行動しようとしても、発端がしょせん偽善ではないかと思えば……その結果も、安定していた国を乱すだけで終わるというのなら……
やはり、これも感情に翻弄されて、いたずらに国政を左右しているだけなのでしょうか……?」
重い心情を吐露されて、才人は目をふせて考えこんだ。
アンリエッタは胸を上下させながらも、それを妨げないよう少年の近くで静かに待つ。
ほのめく薄明としめやかな息づかいの中、時間がすぎてゆく。長く深く考えこんだ後、ようやく才人は顔をあげた。
彼はまず断っておく。「姫さま自身にわからないことは、俺にはなおさらわかりませんよ。ルイズと違って政治のことはたいして助言もできないです」と。
「ただ、俺の使い魔の力もそうですが、人間がやることの原動力ってたいがい感情がからみますし、結果がよければ発端とかが何でも気にしなくていいと思いますけど。
『その結果が出るのか自信が持てない』というなら、自分のやることが正しいのか、つねに考えながら進んでいけば……たとえ間違っても間違ったところまで引きかえせると思います」
アンリエッタはその言葉を真摯に受けとめ、気をぬけば崩壊しそうな理性に喝をいれて、意味を噛みくだいた。
たしかに政治は、結果で評価が決まるのだろう。
そして常に、この選択でよいのか考え続ける。終わることなく。
内容的にはけっこう厳しいことを言われたのかもしれなかったが、にもかかわらずアンリエッタはつい嬉しくなった。内容よりもそれを話すときの、少年の表情や口調の繊細な雰囲気に。
真剣に考えて忌憚なく話し、その上でなおもこちらを気づかっていることがはっきり伝わったから。
貴種の生まれ育ちゆえにアンリエッタは、他者の心のありようを察する能力が高いとはいえない。そんな彼女でも容易にわかる、情の深さ。それをこの少年は持っていた。
彼はたぶん誇りのため、またはこうして他人のためにどこまでも真剣になれるのだろう。うっかり意識したとき胸が熱くなり、(あ、駄目)と思いつつもゆらゆらと思考が雲散していく。
ちゅ。
アンリエッタに何度目かにキスされ、才人は固まった。
少女の手で顔を両側からはさまれて上向かせられ、ゆっくり唇で口元や頬をついばまれる。
ゆっくりといっても、それはアンリエッタがぎりぎりで踏みとどまっているがゆえである。
「ひ、姫さま、こらえろよ……?」
「………………失礼いたしました……」
どうにかという感じで、少女が上気した顔を離す。髪や肌からは、先ほどのキスのように甘い香りがふわりと立ちのぼる。
才人はひそかに固唾をのんだ。
精神力を総動員して耐えているのは、実のところアンリエッタだけではなくなりつつある。
「というかあの、この体勢からして、ちょっと変えたほうがと愚見しますが」
才人が指摘した。彼は壁に体をつけてベッドに座りこんでいる。
そのひざの上にアンリエッタが腰かけ、才人の首を抱くようにもたれかかった姿勢で話しているのだった。
少女が首をふった。至近距離で栗色の髪が揺れる。熱情がしたたるようなささやき。
「だめです……いまではもう、わずかでも離れたらかえって自分を見失ってしまいそうで」
「だーもう、なんて厄介な薬だよ」
才人が苦悩のうめきをこぼした。
もともと「離れると心がひどく乱れて、自我を保つのもままならなくなる」とアンリエッタが同じ屋根の下をもとめたのだが、それでも最初は彼女もかなり耐えていた。
ベッドの端と端に距離をあけて座っていたのである。
それが時間が経過するうち、いつのまにか距離がちぢまり、気がつくとこんな姿勢になっている。
そのあとは才人が、何度か発作的にこらえられなくなったアンリエッタに、首から上を咬まれたり吸われたり。
愛の妖精でも赤面しそうな光景が現出しているのだった。
確かにいまの才人は一人きりの護衛である。
女王から離れるのはいろいろ問題あるのだが、これでは別の意味で二人とも危険だった。
うっかり過ちを犯したらシャレではすまない。
そんなわけで目下、才人は必死で心に城壁を積みあげている。
ルイズ達と連絡がとれるまでの辛抱だ耐えろ俺、と心中につぶやいてから、才人はふと思いだして、気になっていたことを訊いてみた。
「そういやなんで、薬の効果が発揮されたのが俺なんです?
晩の食卓で盛られたっていいますけど、あの薬は飲んで最初に見た者に効くと思ってたんですが」
アンリエッタはうろたえたように視線をさまよわせた。
晩餐では才人やルイズとのことをはじめとして、物思いにふけっていた。
結果として、思考にあわせて視線が、護衛として離れた位置に立っていた才人に向きっぱなしになっていたのである。
どう言えばいいのか思いなやむうちに朦朧として、気がつくとアンリエッタはまた少年に唇を重ねている。
ごまかす意図のキスではないが、結果としてそうなりそうだった。
「ちゅ、ん、む、あむ」
今度ははしたなく薄い舌まですべりこませている。
先ほどの発作からほとんど間もおかない口づけに、面食らった顔をしていた才人がようやく反応した。顔をひいて唇を離す。
「姫さま、まずい、まずいからこれ」とうろたえ、アンリエッタの肩をつかんで離そうとする。
それに逆らい、少年の頭をかかえこむようにして、アンリエッタはなおさら深く唇を重ねた。
胸を満たすまろやかな情愛の切なさに、少女の瞳がうるんでいる。
口内で舌に舌をからめられて才人の手が、指をぴくぴくと引きつらせながらアンリエッタの腰にまわされかけ、どうにか硬直してとどまった。
才人にとっても、予想以上にきついのだった。
彼とて自分の精神力、というか我慢強さに自信がないわけではなかった。ルイズのほれ薬騒動のときも凶悪な状況だったが耐えきったのである。
……が、彼とて木石ではなく、くわえて今のアンリエッタはある意味危険物そのものになっていた。
「は……ぁむ、ちゅぴ……かぷ」
「ひゃわわわわわ! そこやめろストップ止まれ!」
アンリエッタが少しずつ身じろぎし、その降らせる口づけが下に移動している。いつのまにかパーカーのチャックも胸まで引き下ろされていた。
キスが首筋を通って鎖骨まで達し、そこで鎖骨に甘く歯をたてられたあたりで才人はこらえかねて制止の叫びをあげた。
愛撫がこれより下に行くのを何としてもとどめるべく、とっさに腕を少女の背にまわして動きを拘束する。
優美な背をたわむほどに抱きしめられて苦しげに息をつきながら、それでもアンリエッタは才人の顔や首筋に口づけていくのだった。
見るものことごとくを魅せるような濃い色香が、花のように匂っている。
単なるほれ薬だけの投与のときとはまた違う。
内奥での薬と解毒薬の終わらないせめぎ合いが、抵抗する少女の苦悩と痴酔の入り乱れるさまとなって表面に出、言いようもない危うい美をもたらしていた。
昔、ほれ薬をのんだときのルイズも危険物と化していたが、今回の危機はあれに勝るとも劣らない。
なにしろ今のアンリエッタは朦朧としているぶん抑えがきかず、スキンシップ過多の傾向がある。
才人は上向かされる。
口づけが、黒髪に。
髪からまぶたの上。下に移動して唇に軽く。
唇から頬。頬から耳。
才人が無表情になっているのは、平静をたもつべく必死につとめているからである。
……裏がえせば、精神力をふりしぼっても本気でヤバい局面が来ていることを悟ったのだった。
アンリエッタの「発作」は、どんどん間隔がみじかくなっている。くわえて威力もはね上がりだしている。解毒薬の効果が薄れていくためだろう。
「おい小僧、毛布を差し入れてや………………失礼」
マーク・レンデルが毛布を手にして小屋にふみこみかけ、即座にくるりと回れ右して出てった。
開いたドアがもとどおり閉まる。
しかしこの一瞬、アンリエッタの注意がわずかにそれた隙をねらって、才人はどうにかあまり乱暴にならず彼女を引き離すことに成功している。
密着状態がちょっとだけゆるんだので、説得にかかる。
「落ちつけ姫さま、深呼吸して正気に戻れー……?」
「…………おちつ…………」
「そうそう、がんばって、踏みとどまってください!」
「……お、し……お慕い……して、おりま、すぅ……」
火照った態。ついに目を回しながら睦言まで口走りはじめた。
いいかげんに限界のようだった。
才人はふところから解毒薬の小ビンを取りだし、アンリエッタにのませるべく栓をぬく。
蒼白になりつつ、足りるかどうか目ではかったそれは、あと三回分もないのだった。本来なら節約するべきではあろうが。
「……朝までもつかな……」とのつぶやきには、彼自身の精神的耐久力のことも含んでいる。
私怨
703 :
ボルボX:2007/12/19(水) 00:56:01 ID:IdV3bW49
投下途中で容量に気づいた。マジすみませんんん(土下座
容量のため〈中〉も途中ですけど、きりよく見えるところで区切りました。
〈中〉の残りは次スレに載せさせていただきます。おやすみなさい。
>>703 ウヌヌ、お前さんのアンリエッタはエロ過ぎなんだやうw
せんたいさんの新作を読んで日本のキャリア官僚が国会議員屋上司
の娘のお見合い写真を見たら断れないという話を思い出した
ボルボさんは相変わらずエロいww
>>703 GJ!やたーエロアンきたーw
こういう状況大好きw
>>707 定期的な淫アン姫様の神作品が投下されるのは本当の意味のセレビッチ
が好きな俺にはタマンネっすww
てすてす
七万相手に戦って一回死んだ才人が記憶喪失になりテファに救われてルイズのことを完全に忘れてテファと結婚して子供が生まれ、それを才人を探しにきたルイズが影から見て身を引く
という電波を受信した
文章にできねえ・・・だれかできる人はいないか・・・orz
>>710 せんたいさんのテファものじゃ駄目かね
あれも一応テファ妊娠&結婚手前まで行ってるぞ
まあルイズが全く身を引いていないが
埋めがてらtst
地文とポップアップでツンデレ仕様なんだが…
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>>712 このAAが何処かしらのスレで犬夜叉って言われてた
>>716 通常のレス表示では無視される半角スペースの連続がポップアップ上では
反映されてしまう。それを利用したもの
■ ■
↑この四角と四角の間に大量に半角スペースを入れてみると・・・
>>717
>>716 つい最近まで俺の使ってるocnプロバイダが全域で書き込み規制されて(今はこの通り解除されてるけど)、
そん時解除要望スレに集まってきたやつが貼ってきたんだ。
作り方は分からんけど、感動したから貼ってみたまでさ。
…と書いてる間に
>>717解説d
余談だけどこんなのもあった。
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>>718
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「………ふう」
「なによ、サイト? 溜息なんかついちゃって」
「ん? いや、そろそろかなって」
「なにがよ?」
「お別れだよ」
「……………え?」
「もう大分世話になったしな。いつまでもここにはいられないよ」
「ま、待ちなさいよ!! 何でそんな急に…」
「限界なんだ」
「え………」
「だから、もう無理なんだよ。もうここには居られない」
「うそ…うそよ…」
「うそなんかじゃないさ。前からこうなることは決まってたんだ」
「何よそれ…なんで? …なんでいきなりそんなこと言うのよっ!!」
「言ったところで、ルイズには何も出来ないだろ?」
「そんなこと……分からないかもしれないじゃない……!」
「…わかるんだよ、これは…もう、仕方無いんだ」
「そんな……」
「さて、もう時間かな。行くぞデルフ」
「やれやれ、相棒もせっかちだねぇ。まだもう少し時間はあるってのに」
「そうは言ったってここに居たって何も出来ないだろ?」
「まあな」
「………………だ」
「え?」
「…やだぁ……」
「ルイズ?」
「いっちゃやだあ! 出てっちゃ、やだぁ! ……ひっく、えぐ…もう、鞭で叩いたりし
ないからぁ!…ひぐっ、犬って言わない、からぁ…一人に…うぐ、えぐ…しないでよぉ…
サイトぉ…」
「ルイズ……」
「もうやなのぉ!! サイトがそばに居ないのはぁっ! だから…だから…どこにも行か
ないでぇっ! そばに…ずっと…いてよぉ…」
「ルイズ……」
「ぐすっ、えぐっ、ひっく……」
「……なにいってんだおまえ? なんで離れる必要があんだよ?」
「……………ふぇ?」
「あのなぁ、俺だけ行ったってしょうがねぇだろ。ルイズも一緒に行くんだよ」
「…え? え? だって、もう限界だって……あたしのことじゃ…」
「アホか、確かにルイズのわがままには我慢ならんが、それで出てくんだったらとっくに
でてくっつの」
「じゃ…出てくって?」
「あぁ、今のスレはもう500KB越えちゃうからな、次スレに行かなきゃ。書き込めないだ
ろ?」
「…………………………」
「早く準備しろよ? 遅くなるぞ?」
「………か」
「え? なに?」
「こんの…ばかあぁあああああああああああ!! まぎらわし言い方するなぁっ!! 不
安になっちゃったじゃないのぉっ!!」
「うわぁぁぁああああああああああああ?!」
「もう、ほんと…ばか…ご主人様泣かせるなんて…」
「悪かったって。…でも、ルイズは俺が居ないとダメなんだな、やっぱ」
「な、なによ急に?!」
「だって『ひとりにしないでよぉ〜』って。可愛かったぞ?」
「―――――――――っ!! あ、あれはっ!」
「あれは?」
「〜〜〜〜〜〜〜っっ! ……もう…ばかっ」
「ははは…ほら、置いてくぞ? ルイズ」
「あ、待ちなさいよ! ご主人様を置いてく気!?」
次スレ 【ゼロの使い魔】ヤマグチノボル総合25
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1197993274/l50
微妙に余ったorz
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ト、 ,.  ̄ ̄Τ 弋tァ― `ー / 从 |メ|_l l_.l斗l |ヽ V |:| ̄ フ  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
ヽ \__∠ -――く __ .Z¨¨\ N ヒj V ヒソ l .l ヽ\| / /
ヽ ∠____vvV____ヽ < ≧__/ ゝ、t‐┐ ノ .|┐ ./ /
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\! | / 入_.V/| >-ヘ \:::∨::∧ / ∠ ____
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{ V /`7. /___./xXハ ( |:::::::::::::::::ハ >' ____二二二
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入ノ. ヽ く ヽ______7 ー―∠__ 〃 l :/ :l l \V
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