2 :
205:2007/10/09(火) 01:52:00 ID:TKjJ33zv
>>1乙!
対応の早さに最大限の感謝をば。
で、次スレの続きッス。
3 :
205:2007/10/09(火) 01:53:03 ID:TKjJ33zv
次スレじゃなくて前スレだよorz
まあとにかく投下!
夜の静けさの中、才人と才蔵は近所にある24時間営業のスーパーにやって来た。
買い物籠を二つ乗せたカートを押しながら、才人はブツブツと文句を吐き出す。
「ったく、帰ってきたばっかだってのに人使いが荒いぜ母ちゃんは」
「いいじゃねえか、お前だって湿っぽいのは嫌だろ」
「そりゃそうだけどさ」
いまいち納得できないでいる才人の隣で、才蔵はキャベツ片手に首を傾げた。
「なあ才人。お前の友達はこっちの世界の食いもん食えるのか?」
「大丈夫だろ。俺だって、あっちの世界で普通に飯食って暮らしてたんだからよ」
「そか。でもやっぱ納豆とかは苦手だろうなあ」
「まあ、なんかそんな感じはするけど」
そんな取りとめもない会話を交わしていた才人は、ふと何気なく周囲に目をやった。
もう夜中ということもあってそれほど多くはないが、スーパーの店内はたくさんの買い物客で賑わっている。
明るい照明に軽快なBGM、棚に並んだたくさんの品々。
もうずいぶん見ていなかった光景である。
「ん、どうした?」
「いや」
才人はむず痒いような感覚を覚えながら首を振った。
「なんかさ、ホントに帰ってきたんだなあって思ってよ。
おかしいなあ、父ちゃんたちが変人だったって以上に、帰ってきたって方が信じられねえや」
「今度は変人呼ばわりか、オイ」
才蔵がトマトを買い物籠に放り込みながら苦笑する。
才人はふとあることを思い出して、父に問いかけた。
「なあ父ちゃん、さっき、母ちゃんは忍者じゃねえって言ってたけど」
「んー、まあ、そうだな」
才蔵は一応返事をしたが、二つの玉ねぎの内どちらが大きいかを見極める方に神経を注いでいるらしい。
構わず、才人はさらに問う。
「でも、やっぱりなんか漫画みてえな力持ってんだろ」
「まあな」
「どんなのよ?」
「そうさな」
才蔵はいやなことでも思い出すように、ゴボウを選びながらうんざりとため息を吐いた。
「少なくとも、俺は素手じゃ母ちゃんには勝てん」
「どういうこった?」
「ルイズさんとかよ、魔法使うんだろ?」
「そうだけど、なんでそんな……って、まさか!」
才人はごくりと唾を飲み干した。
「母ちゃんも、メイジなのか!?」
思わぬところでハルケギニアと地球との接点を見つけたかと思いきや、才蔵はあっさりと首を横に振った。
「いや、違う。魔法、ではねえんだがな」
「じゃあ何だよ」
「限りなくそれに近い能力だとは言っておくよ。少なくとも、俺よりはよっぽどファンタジーしてると思うぜ、母ちゃんは」
「よく分かんねえ」
「そうだな。何というか、オーガニック的な何か、とでも言っておこうか」
「いや、ますます分かんねえからそれ」
「そうだろうなあ」
才蔵は苦笑した。
「なに、その内嫌でも分かるさ」
そう言ってから、ふとどこか遠くを見るような眼差しで、才人を見つめた。
「本当は、お前には一生隠し通すつもりだったんだがな」
その瞳が深い哀しみを湛えているように見えて、才人は少しどきりとする。
「ま、今更言っても始まらねえけどよ」
だが、その表情は一瞬だけで、才蔵はすぐに意地悪そうな笑みを浮かべた。
「しっかし、お前も相変わらず抜けてるよなあ」
何のことか分からず、才人は困惑する。
「何がだよ」
「あのお喋り母ちゃんを、お前の可愛らしいご友人方と一緒にしたら、どうなるかなんて目に見えてるだろうに」
くくっとかみ殺すように笑いながら、才蔵は食料品が一杯に詰まった買い物籠をレジに載せる。
その言葉の意味を、才人は帰宅後に嫌というほど思い知ることになった。
食料品でパンパンになったスーパーのビニール袋を持って、才人と才蔵は帰宅した。
居間に入ると、異世界の友人達は天華を中心にテーブルを囲んでいるところであった。
ビニール袋を床に下ろしながら、才人は首を傾げる。
「何やってんの、皆」
声をかけた段になってようやく才人たちが帰ってきたことに気付いたらしく、友人達は一斉に顔を上げてこちらを見る。
そして、それぞれに楽しげな、あるいは意地悪げな笑みを浮かべた。
「なんだよお前ら、その顔は」
嫌な予感を覚える才人に、ルイズがニヤニヤしながら言った。
「サイト。あんた、七つになるまでおねしょが治らなかったんだって?」
「な」
続いてギーシュが肩を震わせながら言った。
「八つのときには探検に出かけて、沼で溺れかけたそうじゃないか」
「に」
「野良犬に追い掛け回されて、泣き喚きながら逃げ回ったとか」
「う」
「着ぐるみショー、とかいうので、作り物の怪物相手に本気でビビってた、とはね」
「ぐお」
「いやー、懐かしいねえ」
天華がケラケラ笑った。
情報の出所はこいつか、と才人は恥ずかしがりながら怒鳴った。
「母ちゃん、何俺の恥ずかしい秘密をばらしてんのよ!?」
「いいじゃないの、減るもんでもないし。ほら皆さん、これが遠足のときに勝手に道を外れて迷子になったときの写真でね」
天華は怒る才人の目の前で、これ見よがしにアルバムを捲っている。
何でそんな写真が残ってんだと、少々疑問に思わないでもない。
「止めろよぉぉぉぉっ!」
才人は叫びながら飛び掛ったが、天華は片手でアルバムをつかみ、余裕の動作でヒラヒラ避ける。
「なに恥ずかしがってんの。誰にだって子供の頃はあるじゃないの」
「そりゃそうだけど、そういう問題じゃねえんだよ! それよこせよ、ちくしょう!」
才人は必死に追いかけるが、どうしても天華に翻弄されてしまう。
だが天華のほうは息子の手を避けながら、どこか感心した様子である。
「おやおや、しばらく見ない内にずいぶん動きが良くなったみたいじゃないか」
「そりゃ俺だって多少の修羅場を潜りぬけ……って、んなことはどうでもいいから早くそれ渡せよ!」
「いいじゃないの、息子にさらに親しみを持ってもらおうという、母ちゃんの愛情が分かんないのかい、あんたは」
「一生分かりたくねえよ、そんな愛情!」
その追いかけっこは才人がバテるまで続いたが、結局アルバムを奪取することは出来なかった。
「ちくしょう、なんで捕まえられねえんだ」
「年季が違うよ、年季が」
ぜぇぜぇ言いながら床に横たわる才人に、天華がからかうような笑い声を降らせてくる。
「じゃ、後は皆さんで楽しんでちょうだいな」
天華はまたテーブルにアルバムをおくと、張り切った様子でエプロンの紐を結びなおした。
「さ、それじゃあ晩御飯の支度をしましょうかね」
「あ、わたしもお手伝いいたします」
「わたしも」
台所に向かう天華を、シエスタとティファニアが追いかける。
「あら、ごめんなさいね。それじゃお言葉に甘えちゃおうかしら」
「はい。あまりお役に立てないかもしれませんけど」
「泊めていただくのですし、これぐらいのことは」
台所から楽しげな声と共に、包丁で食材を刻む音などが聞こえてくる。
「クソッ、本当に母ちゃんも人外なんだなあ」
ぼやき、嘆息しつつソファに座り直す才人の後ろから、才蔵が顔を突き出した。
「オイ才人」
「なによ父ちゃん」
「今までよく見なかったから気がつかなかったけどよ……あの耳長い子、あり得ないぐらい乳でかくね?」
父が真剣な顔でそんなこと言うので、才人はますますうんざりした。
「息子にそういう生々しい面見せるのはやめてくれよ父ちゃん」
「いやいや、これは由々しき問題だぜ。でかすぎだよあれは。
なんつーの、革命? そう、革命という表現が相応しい乳だなあれは」
真面目くさった顔でうんうんと頷く才蔵の顔に、才人は自分との血の繋がりを感じて切なくなる。
そんな才人の肩を、誰かが横から叩いた。
「なんだよ……って、コルベール先生。どうしたんスか」
見ると、コルベールが興奮した面持ちでテーブルの上のアルバムを指差している。
「サイト君。あのシャシンというのは一体どういう原理になっているのかね。
それと、今君の母上が使っている、スイッチを捻るだけで火がつく装置はどんなマジックアイテムなのか?
それに我々の頭上で光り輝いているものも、ランプとは到底思えないほど明るいし」
好奇心に瞳を輝かせ、コルベールは矢継ぎ早に質問してくる。才人は苦笑した。
「マイペースッスね、先生……父ちゃん、悪いけど相手頼むわ」
「あいよ。ささ、先生。あっちの部屋で酒でも飲みながらお話しましょうや」
「ええ、是非ともお願いいたしますぞ」
「でしたら私がお酌いたしますわ」
艶っぽい微笑を浮かべて近づいてきたキュルケを見て、才蔵が口笛を吹いた。
「やあ、こりゃまたきれいなお嬢さんだな。こちらこそ、向こうでの才人の様子についてじっくり聞きたいところで」
そのとき台所の方から包丁が飛んできた。才蔵の鼻先をかすめ、軽い音と共に壁に突き刺さる。
青ざめた才蔵が台所の方を見ると、驚きの表情を浮かべたシエスタとティファニアの間で、天華がにっこりと微笑んでいた。
「父ちゃん? まさか、息子のお友達に不埒な真似しようってんじゃないよね?」
「はははは、まさかそんなこと。信用してくださいよマイハニー。さささ、先生、こちらにどうぞどうぞ」
才蔵はへこへこしながら慌てて居間の隣の部屋に向かう。
ミョズニトニルンを撃退したときとは打って変わった情けなさである。
(尻に敷かれてんなあ、父ちゃん)
才人はまたも変なところで父と自分の血のつながりを自覚して、少々切ない気分になる。
そんな才人の両肩を、またも二つの手が叩く。
「サイト!」
「君って奴は!」
『実にけしからん!』
声を揃えてそう言うのは、目を血走らせたギーシュとマリコルヌである。
才人は二人の勢いに少々引きながら聞いた。
「どうした、いきなり何言い出すんだよお前らは」
「どうしたもこうしたもあるか!」
「さっきのシャシンとやらを見たぞ!」
「君以外にも、たくさんの女の子達が写っているじゃあないか」
「なんてけしからん! 僕にも紹介してください!」
相変わらず正直な連中である。才人は苦笑して手を振った。
「紹介ったって、俺には特別仲のいい女の子なんていなかったよ」
「嘘だっ!」
「そんなこと言って、学院のとき同様モテモテなのに違いない!」
「いや、本当にいなかったって、そんなの」
これは本当のことである。
あまりに女の子と縁がなかったために、ネットの出会い系サイトに頼ろうとしていたぐらいなのだから。
だが、ギーシュとマリコルヌはぎらぎらした目を見合わせて、得物を追い詰めた狩人のように獰猛に笑った。
「ははは、白を切ろうったってそうはいかないよ、君」
「実際、君とずいぶん距離が近い子だっていたじゃないか」
「なに?」
そんな女の子のことなど記憶にないので、才人は困惑した。
「誰のこと言ってんだ、お前ら」
「とぼけるなよ」
「ほら、たとえばさ、君よりずいぶん小柄な黒髪の」
才人の脳裏に一人の少女の姿が浮かぶ。
これはひどい誤解だ、と才人は笑って手を振った。
「ああ、その子なら多分お隣の千夏」
そこまで言いかけたところで、才人は不意に背筋に悪寒を感じた。
恐る恐る振り返ってみると、世にも恐ろしい形相を浮かべたルイズが、アルバムを片手に立っていた。
「オイ犬」
ドスの利いた声。見た目どおり、怒り心頭らしい。
「はい、なんでございましょうご主人様」
才人は自然とソファの上で正座をしていた。ハルケギニアで培われた悲しい習性である。
ルイズは震える指を、一枚の写真に突きつけた。
「これについて、何か言い訳することはありますか」
どれだ、と思って見てみて、才人の顔から血の気が引いた。
それは、才人が高一のときの、体育祭の写真だった。
100m走でゴールした後、他の走者が全て走り終わるのをゴール地点で待っているところを写した写真である。
問題は、そこに写っている才人の顔が向いている方向だった。
「不思議ねえ。わたしには、この、横にいるビッチの余計な脂肪をあんたが凝視しているようにしか見えないんだけど」
ルイズの言うとおりである。
才人は、そのとき自分と同じように競技の終了を待っていた姫路さん(同級生。キュルケ並の爆乳)の胸を、
彼女が気付いていないのをいいことに、思う存分ガン視していたのであった。
無論気付いていなかったのは姫路さん本人だけで、写真の撮影者たる母や、クラスメイトの坂本にはバレバレだった。
当時は「やあおはよう視姦レイパー」だのと散々からかわれたものである。
(そんな過去が、まさか今この場で命の危機として立ちふさがろうとは……!)
才人の背筋を冷たい汗が滑り落ちる。
とにかくなんとか切り抜けねばと、才人は必死で弁解する。
「落ち着けルイズ。そもそもこれはお前と会うずっと前の話でだな」
「関係あるか!」
叫びながら、ルイズが懐から杖を取り出す。
「ふふ。あんた、そんなにあの部分につく余計な脂肪が好きなんだ。
あんなもん、邪魔になるだけで何の役にも立たないってのに」
「いや、そんなことは俺にもお前にもわからないはずじゃ」
「あぁ?」
「いえ何でもないです」
また余計なことを言ってしまったと、才人はなおさら青ざめる。
ルイズはこめかみをひくつかせながら、かなり無理矢理っぽく微笑んだ。
「分かったわ。あんたのこの悪癖は、どうやら生まれついてのものらしいわね。
とすれば、わたしは根本からそれを正す必要があると見た」
恐れおののく才人の前で、ルイズは杖を振り上げる。
「死にさらせこの」
「あら、ルイズさんったらずいぶん元気なのねえ」
背後からかかったのん気な声に、ルイズは慌てて杖を隠す。
「お、お母様!」
「おや、なんだか新鮮な響きねえ」
天華がうっとりと頬に片手を添える。
「さ、晩御飯の支度が出来ましたから、皆さんテーブルに座ってくださいな。
ほら才人、ボケッとしてないで家中から椅子をかき集めて来るんだよ」
「お、おう、分かった!」
天の助けとばかりに才人が駆け出そうとしたところ、天華がすれ違い様に囁いた。
「あんたもホント、変なとこばっかり父ちゃんに似るね」
「え」
「後でちゃんとフォローしとくんだよ」
どうやら、何もかもお見通しらしかった。
そうして、才人が懐かしい自分の部屋から椅子を持って出たら、廊下に小柄な人影が立っていた。
「タバサ。どうした、何かあったか」
聞くと、彼女はいつもの無表情のまま淡々と言った。
「胸部の脂肪は激しい運動を阻害する。客観的に見て、少ないほど生物的には有利であると思われる」
「なに?」
意味が分からず聞き返したが、タバサは黙って踵を返し、居間に下りてしまった。
そんなこんなで、その日は騒がしい夜となった。
予想通りシルフィードが食卓を席巻し、あらゆる料理を思う存分食いつくす。
才人の母に自分の存在を売り込もうと、ルイズとシエスタがいろんな場面で火花を散らし、結局いつもの口喧嘩に発展していた。
その横でタバサはさり気なくサイレントの魔法を張り、周辺に騒音が響かないよう配慮して地味にポイントを稼いでいた。
アンリエッタはその場の喧騒をどこか面白そうに見物しながら一人淑やかに料理を食し、
その隣ではアニエスが「女王の御前だというのに騒がしすぎやしないか」と言わんばかりに眉をひそめていたが、
当の女王本人が上機嫌な手前、何も言えずにもどかしそうな様子だった。
ギーシュとマリコルヌは「うまいうまい」と遠慮なく食事にがっつきつつテレビのアイドルに見惚れ、
隣のモンモランシーから「あんたたちは馴染みすぎなのよ!」と激しいツッコミを喰らう。
珍しく酒に酔ったコルベールが才蔵相手に熱弁を振るい、キュルケはここぞとばかりに無防備な彼にしなだれかかった。
才蔵はコルベールの話を聞きつつ赤ら顔で無闇にうんうん頷いていたが、
才人の見た感じでは果たして正気を保っていたかどうか怪しいところである。
そんな喧騒の中、天華はニコニコ笑いながら、ティファニアと共に台所と食卓を往復して、すぐになくなる料理を補充していた。
「いやあ、ずいぶん賑やかだねえ、相棒」
「むしろ賑やかすぎるぜ」
テーブルに立てかけられたデルフリンガーの声に答えつつ、才人は苦笑した。
「ま、とりあえず、父ちゃんと母ちゃんが皆を受け入れてくれてよかったよ」
「相棒のご両親らしく、些事にはこだわらねえ人たちみてえだからね」
「なんか褒められてる気がしねえな、それ」
そう言いつつも、とりあえず初日が平穏無事に済みそうな流れに、才人はほっと息を吐いたものである。
――終わり。
11 :
205:2007/10/09(火) 02:04:46 ID:TKjJ33zv
いじょ。前のも前ので完結してるし、今回のも今回ので一応完結です。
単に「ハルケギニアの人たちが現代日本にきたら」ってありがちな話を書きたかっただけなんですが、
一応どういう経緯で誰が来てるのか、ぐらいは書かんといかんよなあ、と思ったもので。
次回以降は多分短編連作みたいな形になるかと。
>>1べっ・・・別に新スレ建てたからって褒めてなんかあげないんだからね!このインポ不能短小早漏極細包茎不潔変態バカ犬!!
でも・・・ありがと・・・
>>11GJ!!!こういう家庭的な雰囲気大好きだ。
これで終わりと聞いてかなり凹んだが、短編で続くと聞いて7万の軍すら殺せそうな力が沸いてきた。
wktkして待ってる。
>>1乙
Mr.205 is so akihisaful !
いちもつ
>>1乙
205さんGJ!
>>16 巨乳で姫路ってだけでバカテス連想かよw いや俺もしたけど。
>>1ご苦労様。
>>11 文の構成力、内容ともに良かった。
まさかこっからエロに持っていくつもりかと思っていたが、エロはさすがに無かったなw
いや、激しくグッジョブ。
毎度205さんはエロが少ないがそんなのどうでもいいやって
クオリティがすげえ。GJ!
>>1 乙でしゅ
>>205氏
きゅいきゅい、GJなのね!w
たまーに205氏が、「気分転換のために投下してる原作者」に見えるという錯覚がw
205氏、GJ!
テファやシエスタは家事が出来る分お姑さんへの受けがよさそうだな〜。
そして、今回は未登場ですが、く路地裏でダンボールハウスに住むことになるだろうミョズに(*´д`*)ハァハァ
胸を病んだ少女に匿われるミョズ
橋の下で生活しながらたまにビニール袋をかぶったサイトに
コンビニ弁当を与えてもらっちゃうミョズ
なんというパロネタの宝庫wwwwwwwwww
>>1 乙
205氏GJです。
>>13 なぜか一色ボイスで再生された
散歩すると家から出たルイズがなかなか帰ってこないと思ったら
近くの交番で半泣きになって婦警さんにあやされていました
地面に猥褻な絵を描いてて捕まったのかw
次スレ乙です!
早速、サイトが魔法を使えたら 投下!
月光に映えるラグドリアン湖の水面(みなも)は、宝石のようにきらきらと光り輝いていた。
「きれいだな・・・」
サイトがつぶやいた。
シルフィは、徐々に高度を下げていき、湖畔の一角へと降り立った。
タバサとサイトの二人はシルフィの背中から降りると波打ち際まで並んで歩いた。
周りは音が夜の闇に吸い込まれてしまったかのように静かだ。
サイトはあの時のことを思い出していた。そう、ルイズの惚れ薬を解くため水の精霊に
会いに行ったときのことを---
「そういや、ここでおまえとやり合ったことあったな」
懐かしいよな。横にいるタバサに語りかけた。
タバサはこくりと頷き、あのときは痛くしてごめんなさい。と小声でつぶやいた。
「あやまんなくていい、タバサにも守るもんあったんだからさ。ケガはモンモンに治して
もらったし、気にすんな。」
サイトは真剣な表情だった。
ケガ---そういえばガリアで幽閉される前、サイトを抹殺しようと氷の槍(シャベリン)を突き立てた。
状況ではサイトがわたしに止めを刺せたはず。だのにわざとはずしてわたしの攻撃をもらってしまったのだ。
「お腹のケガ、大丈夫?」
心配になってサイトに聞いてしまう。
「腹のケガ?ああ、アレ?キズあとは残ってるけどへーき平気」
手を振りながらサイトは答えた。
あんなケガを負わせてしまったわたしをサイトは敵地(ガリア)へ乗り込んで助けてくれた。
わたしのイーヴァルディの勇者---光る左手をもち、剣と槍で戦う者。伝説の勇者が今のサイトと重なり合う。
サイトは伝説の使い魔、ガンダールヴ。この二つの伝説はもとはおなじ一人の人物のことだったのだろう。
わたしはどんなときにでもこの勇者のそばにいたい。助けられたあの瞬間からそう心に誓っていた。
タバサは真っ直ぐ水の中へと歩みを進めた。膝まで水につかるところまで来てからくるりとサイトの方に向き直った。
「この湖は、誓いの精霊が棲まう場所。今からあなたに誓いを立てる---」
サイトにそう告げた後、右手を胸にあて、碧眼の瞳を閉じた。
さらに一呼吸おいてから言葉を紡ぎだした。
「わが名は、シャルロット・エレーヌ・オルレアン。水の精霊よ、わが誓いの証人となれ--」
「わたしはこの先、死が二人を分かつまで、サイト・シュヴァリエ・ド・ヒラガにこの身とこの心を捧げんことを誓約す--」
気のせいだろうか、サイトには一瞬水面が震えたようにみえた。
誓いの言葉を言い終わったタバサは瞳を開き、サイトへ手を差し伸べた---
短いけど今日はここまでっす。 ノシ
乙
まるで昼ドラにでてきそうな三角関係を見てるみたいだww
34 :
雪風の誘い:2007/10/09(火) 23:50:01 ID:JvrfybVF
はああぁぁぁぁぁ〜……………………。
朝の魔法学院。その部屋の主であるタバサの口から、今日何度目かわからないため息が飛び出す。
考えているのは、昨日の大失態。サイトを癒していたところ、自分でもわからぬままにサイトに魔法で攻撃していた。
何であんなことしたんだろう……。
よ〜く考えてみた結果、原因は自分の欲だとわかった。自制しなきゃならなかったのに、欲が暴走した結果、あんなことになってしまった。
幸いサイトの怪我はたいしたことなくて、サイトの悲鳴を聞いて駆けつけたルイズにモンモランシーを呼んでもらって、事なきを得た。その後の言い訳は大変だったけど……。
言い訳の結果、サイトの悲鳴は私が起こした事故のせいということになった。モンモランシーは『タバサが失敗するなんて珍しいわね』と言ってた。個人的には、そっちのほうが助かる。欲が暴走したなんて、恥ずかしすぎて誰にも言えない。
サイトが怪我をしたのは、事故のせい。私たちの間では、そういうことになった。だったら、事故を起こした張本人である私が謝りにいっても、別に不思議なことじゃない。
そう考えたのは、三十秒前のこと。気がついたら、私は部屋から出てルイズの部屋に向かって歩いていた。
事故を起こした張本人の私が、被害者のサイトに謝りにいっても不思議じゃない。そして、謝罪の際にお詫びとして謝罪の品を買いに行くことを提案しても、不思議じゃない。
……謝罪の印であって、決してサイトと出かけたいっていうわけじゃない……はず……だけど……。
その場面を想像すると、どうにも口元が緩んでしまう。
いけないいけない。自制しなきゃ。また暴走したら大変。
考えているうちに、ルイズの部屋の前に到着。深呼吸を一つして、気持ちを落ち着かせた後に、ノックをする。
返事はない。
もう一度ノック。
やっぱり返事がない。扉に手をかけると、鍵はかかってなかった。
何処に行ったんだろう。とりあえず部屋の中を見回すけど、誰もいない。わかりきってることだけど。
部屋に入って窓から外を眺めても、ルイズとサイトの姿は見えない。いったい、何処にいるんだろう。
「ん? 何してんだ、タバサ?」
心臓が飛び出るかと思った。
私の背後――扉のほうから聞こえてきた彼の声。私が慕い、守ると誓った彼がそこにいた。手には、大量の洗濯物の入ったかごを抱えている。
洗濯してたんだ。だから、部屋にいなかったんだ。
「何か用か?」
「謝りに来た」
なるべくいつも通りに。淡々とした口調で。サイトに会えたのは嬉しいけど、それは隠して。怪しまれるから。
「謝りにって、あれは事故だったんだろ? その時に俺に謝ってくれたからいいよ」
「駄目。私が納得できない」
押して押す。サイトはこれに弱い。優しいから。あと、優柔不断だから。
「でもな……」
「だから、お詫びに何かあげたい」
サイトが困惑した表情を見せる。でも、気にしない。
「それでタバサが納得できるって言うなら……」
「そうしないと納得できない」
まだ悩んでいるみたいだけど、ここまできたらあと一押し。もう少しで私の勝ち。サイトとのらぶらぶでぇと……じゃなくて、お詫びのお買い物が待ってる。
でも、いつまで悩むつもりだろう。うんうんと唸るばかりで、サイトは返事をしてくれない。
35 :
雪風の誘い:2007/10/09(火) 23:51:18 ID:JvrfybVF
「……私と行くのが嫌なら、無理に来なくてもいい」
「あ、いや、行くよ!」
勝った。
「じゃあすぐに用意して」
心の中で勝利の雄叫びをあげる。でも、やっぱりそれは顔に出さないし、実行しない。いきなり雄叫びなんて上げたら、ただの変な人。
サイトはあ〜、とかう〜、とか唸ってたけど、観念したのか洗濯物の入ったかごを床に置いた。
「帰ってきたら何か言われるかもな」
ため息をついて、サイトは頭を掻いてる。
「これしまったら行くからさ、ちょっと待っててくれよ」
私は素直に頷いた。早く行きたいけど、サイトにもサイトの仕事があるから、ここは我慢。それにしても、サイトの手際は異常なほどいい。使い魔としての生活が長いからだと思うけど、下手なメイドよりも手際がいいと思う。
うん、やっぱり手際がいい。仕事の効率がいい。これだったら、どこの貴族の世話も出来ると思う。
『よっと……終わったぞ、タバサ。洗濯物しまうからな』
『……』
『しかしタバサも可愛い下着はいてるよな』
『余計なこと言わなくていい』
「終わったぞ、タバサ」
その声で、私は強制的に現実に引き戻された。
いけないいけない。サイトに変な子だって思われちゃう。サイトの仕事ぶりを見て、自分の世話をすることになったらなんてことを妄想するなんて、私はどうかしてる。
「ついてきて」
サイトの顔を見ないで、私は歩き出した。今サイトの顔を見たら、絶対に頬が緩む自信がある。そんなみっともない顔、サイトには見せたくない。
前を歩く私の後を、サイトは黙ってついてくる。黙ってるだけで、何も話しかけてこない。私が無口だからかな? だったら、もうちょっと話すようにしたほうがいいかな。サイトともっとお話したいから。
でも、そう思っても私は何も行動できない。というよりも、話題が思いつかない。
必死に考えても、思いつくのは本のことばかり。あまり人と話さないで、本ばかり読んできたから、こんなところで影響してくる。
「サイトは本を読まないの?」
とりあえず聞いてみるけれど、答えはわかってる。
「あっちだとあんまり興味なかったから読まなかったな。こっちの本は読んでみたいな。でも無理だ。文字読めねえもん」
やっぱり……。サイトはこっちの文字が読めないから、本を読めるはずがない。せめて、サイトが文字を読めたら私のお勧めの本も……。
……サイトが文字を読めたら?
「じゃあ、私が文字を教える」
「はい?」
「損はないはず。文字が読めないと、色々不便」
サイトが悩んでる。嫌なのかな? 私に文字を習うの、嫌なのかな? 私が嫌いだから、習いたくないのかな?
不安が生まれてくる。不安がどんどん増殖する。その不安に潰されてしまいそう。
どうしてだろう。サイトに拒否されるのを、私は凄く恐れてる。別にこんなことを断られても、たいしたことないのに。サイトと一緒にいたいからかな。だから、私はこんなに怖いのかな。サイトと、離れたくないから……。
「迷惑じゃないか?」
「迷惑じゃない」
「じゃあ、お願いしようかな」
その言葉で、私の不安は一気に消えた。その代わり、心の中は歓喜でいっぱいになる。
こんな単純なことで一喜一憂するなんて、私も結構単純……。でも、それも仕方ない。前から薄々思ってたけど、確信できた。私は、サイトを……。
塔から外に出て、シルフィードを呼ぶ。呼ぶとすぐに来てくれるあたり、なかなか便利。でも、結構うるさいのが玉に瑕。
私がシルフィードに乗った後、サイトも続く。その後に私が合図をして、王都に出発。
「でも、何を買うつもりなんだ?」
「サイトが望むものなら何でも」
「そう言われると決めにくいな」
「なら私が決める」
それだとただのプレゼントみたいになっちゃう。でも、お詫びの品ってそういうものかな。……そうだ、今度サイトに何かプレゼントしようかな。例えば、サイトが剣を持つときに滑らないような何かとか。……今度考えておこう。
「それじゃあ、そうしてくれよ。急には思いつかないからさ」
コクリと私は頷いた。
……お詫びの品物……何にしようかな?
そう考える私の心はとても弾んでいて……これ以上ないほど、楽しみな気分になっていた。
36 :
29Q:2007/10/09(火) 23:55:10 ID:JvrfybVF
前に投下したのと何故か続いた。
俺が書くとなんでタバサはこうなるのかさっぱりわかりません。
全国各地のタバサファンの方々に刺されないかと毎日不安に思いながら夜を過ごしています。
お詫びの品物とかはまったく思いついてません。
思いついたら書くかも。
とりあえず無い知恵絞って妄想しますー。
>>33 ルイズ・タバサ・サイトの「トライアングル」もいーかなぁ
と思いつつ妄想を描いとりますです。
>>36 Gj。タバサ可愛えー。ここは職人が己のたぎる妄想をぶつける場所だから気にするなw
サイト「やっぱ女は日本人に限るわ」
シエスタ「ですよねー」
シルフィードが案内してくれた場所は、険しい山の中腹にある、泉のほとりだった。
その泉は紅く色づいた白い幹の森に囲まれており、そのほとりから山を見上げると、視界一杯に緑と紅葉のモザイク模様が広がる。
「ふぇー…。すげえなー…」
周囲を取り囲む緑と赤と黄色の圧倒的なコントラストに、才人はおもわずため息を漏らす。
それは、隣で同じように景色を見上げるタバサも同じだった。
圧倒的な色彩に言葉を発する事すら忘れて、見入っていた。
…じゃ、おねえさま、がんばるのねー。お邪魔虫は退散なのね!
そのタバサの心に、シルフィードの声が届く。
それと同時に、二人を下ろしてから上空で旋回していたシルフィードが、どこかへ飛んでいってしまう。
あの間抜けな風韻竜にしては珍しく、気を利かせたらしい。
とりあえず、後でボコすのはナシにしておいてあげよう。
タバサはそう思いながら、隣で呆けたように景色を眺める才人に寄り添う。
才人が隣に気配を感じたときには、タバサは才人の腕を取り、軽く才人に体重をかけていた。
才人は一瞬口を開きかけたが、流石に二人きりのこの状況で何かを言うほど空気が読めないわけではない。
そして才人は、もたれかかるタバサの両肩を掴む。
タバサは批判を込めた視線を才人に向ける。しかし、すぐにその顔が笑顔に染まった。
才人が、そのまま自分の前にタバサの小さな身体を持ってきて、そっと後ろから抱き締めたからだ。
「…どうせなら、この方がいいだろ?」
才人の声が、上から降ってくる。
タバサは抱き締める才人の腕を下から優しく抱え、微笑むと、言った。
「…うん」
応えてタバサは、才人の体温を感じながら、さっきより精彩を増した景色に魅入る。
そのまま二人は、同じように秋の景色を楽しんだのだった。
「そろそろ、弁当食べるか」
才人がそう言ったのは、昼には少し遅い時間だった。
かなり長い間景色に見入っていたため、既に日は中天を過ぎていた。
開放されたタバサは少し名残惜しそうにしていたが、すぐに脇に置いてあったバスケットを取る。
この中には、サンドイッチが入っている、はず。
はずの理由は、タバサが準備したわけではないからだ。
タバサは、前回の二の轍を踏まぬよう、弁当のメニューを単純なサンドイッチにした。
具材は調理の必要のない、パンに、スライスしたハムに生野菜、ゆで卵。
しかし、タバサは具材の準備だけしかしていない。
『シルフィも手伝うのねー!』としつこい使い魔に、パンに具材を挟ませる作業をまかせたのである。
そしてシルフィードはサンドイッチの詰まったバスケットを、タバサに渡したのだ。
そして、タバサはバスケットを開ける。
固まる。
蓋を閉める。また開ける。
「…どしたのシャルロット?」
才人の言葉にしかし、バスケットの中身を凝視するタバサは応えない。応えられない。
そのバスケットの中には、信じられない物が詰まっていた。
まずバスケットの両端に、つぶれた大きなロールパンがいくつか押し込まれている。
その間に、スライスされたハムが重なり、野菜が押し込まれ、トドメに丸のままのゆで卵が3つ並ぶ。
…確かに、『パンに挟んでバスケットに入れておいて』とは頼んだが。
やっぱり後でボコす。
決意を新たにし、タバサは才人を振り返る。
「…ごめんなさい」
そして、才人に事情を説明する。
「…あいつのやりそうな事だな…はは」
言って才人は苦笑い。
「でもさ、食えないわけじゃないっしょ?
そのまま食べればいいじゃん」
確かに、才人の言うとおり。
バスケットの中は惨状だが、個々の食べ物自体は食べられないわけではない。
しかし、タバサは納得しない。
…サイトに、喜んで欲しかったのに。
そして、ちょっと考える。
情報検索開始。検索項目、『男性が喜ぶ食事』。
…該当あり。
『殿方を墜とす四十八のテクニック 第五章第三項・器こそ命』
タバサは例の本に載っていたそのテクニックの詳細を思い出し、少し考える。
でも、サイトだったら。
タバサは決心して、才人に向かって言った。
「ちゃんと形にしなおすから、その辺りを回ってきて」
才人はしょーがねえなあ、変なところで見栄っ張りなんだから、と思ったが。
「分かった。準備できたら呼んでくれよ」
言って、森の中へ歩き出した。
しかし、本当に綺麗な場所だな。
俺は泉の周囲の林を散歩しながら思った。
そこに生えている木は白樺のように白い幹で、紅い葉っぱがひらひらとその間を舞っている。
その色のコントラストがまたこれでもかってくらい綺麗で。
シルフィード、いっつもただフラフラしてるだけじゃねえんだな。
ちょっと見直した。
なんて俺が思っていると、どこからか声が聞こえた。
「…ィト…」
小さく聞こえるこの声はシャルロットだな。
準備できたみたいだなー。
俺は林を出て、泉の周囲に戻る。
対岸の岩の上に、腰掛けているシャルロットの背中が見える。
その脇には、あのバスケット。
俺は泉を迂回して、シャルロットの前に立つ。
「できたの?」
「…うん」
俺の質問に、シャルロットは首を縦に振って応える。
その手には、潰れたパンを伸して作った生地に、野菜とハムと半分になったゆで卵が巻かれたものがあった。
…ぱっと見、ケンタのツイスターみたいなカンジだな。
「はい」
シャルロットはそれを俺の方に突き出す。
俺はそれを受け取り、一口食べる。
…ま、調味料もないんじゃ、こんなもんだろうな。
俺はすごく薄味なソレを食べきる。
「ん。旨かったよ」
ま、まずくないしな。これくらいのお世辞は許容範囲っしょ。
しかし、俺は気付いた。
シャルロットのぶんは?
バスケットの中を見るが、蓋の開いたその中身は空だ。
ていうか、俺もまだ食べたりんのですけど。
俺はその疑問をシャルロットにぶつける。
「なあシャルロット。残りはどしたの?」
ひょっとすると食べちゃったとか?シャルロットけっこう大食いだしな
とか俺が考えてると、シャルロットは。
赤い顔をして、応えた。
「…ぜんぶ、たべてね…」
…ましゃか。
俺の妄想を含んだ予想は的中してしまった。
シャルロットは白いブラウスのボタンを一個一個外していく。
まず、見えたのは白いお腹に張り付いた緑の柔らかい菜っ葉。
その上の、ちょっと膨らんだ胸は、スライスされたハムで隠されている。
そして。
座っていた岩にころん、と寝転がって、広げた脚の間には。
細めに作られた、さっきのツイスターもどきが、シャルロットのアソコに挟んであった。
シャルロットは首を軽く曲げて、真っ赤な顔で俺の方を見つめる。
「…あ、あの、サイト…?」
シャルロットは今にも泣き出しそうな顔で、固まった俺の方を見ている。
…どーいう思考パターンをしてるのか、いっぺん心理テストにかけてみたいのう…。
などと思ったが。
まあ、ここには二人しかいないわけだし。
俺は、シャルロットの寝転がる平たい岩の上に乗り、シャルロットに覆いかぶさる。
「…このへんたいさんめ」
俺はそう言って、シャルロットのおでこをこつん、と右の人差し指でつついた。
「──────っ…!」
真っ赤な顔をして、シャルロットは視線を逸らす。やっぱ恥ずかしいらしい。
恥ずかしいならやんなきゃいいんだが、このチビっこは恥ずかしい方がキモチイイへんたいさんだしな。
「じゃあ、遠慮なくイタダキマスよ〜」
俺はそう言って、まずおなかの菜っ葉に目をつけた。
俺はシャルロットの真っ白な下腹部に舌を這わせ、そのまま舌で舐め上げて菜っ葉を絡め取る。
「ひゃぁっ!」
シャルロットの身体がびくん!と震え、可愛い声が漏れる。
俺はそのまま菜っ葉を口の中でもぐもぐする。
んー、ちょっとしょっぱいかな。シャルロットの肌の味?
…シャルロット味ドレッシング?
「んー美味美味。んじゃお次は…」
まあ当然、その上でぺったんこのおムネを隠しているハムに目がいくわけで。
俺はそのハムを両手でペロン、と持ち上げた。
「…あっ…」
何かを期待してたんだろう、そんな俺を見てシャルロットが残念そうな視線を向けてくる。
俺はそんなシャルロットを無視して、ハムを口の中に放り込み、もぐもぐごくん、と飲み込む。
シャルロットは俺の方を見ながら、諦めたように軽く息をつく。
…安心するのは早いデスヨ?
「おや、こんな所に可愛いお豆が」
「えっ…」
俺は、迷いなくシャルロットのぴんと立った左のちくびを歯で甘噛みした。
こりっ
「やんっ!」
シャルロットの身体が沿って、俺の頭を下から持ち上げる。
「あれ、もう一個あるなあ」
俺はもう一個余ったシャルロットの桃色の可愛いちくびを、ぷっくり膨らんだ乳輪ごと、きつく摘んだ。
「きひぃっ!」
シャルロットの喉から、痛みとも快感とも取れる声が漏れる。
…かーいいなあもー。
俺はそのまま左のちくびをこりこりと歯の間で転がし、右の乳首を指できゅうきゅう押し潰す。
「ひぃ!や、やめっ…。ちぎれっ…るぅっ…」
シャルロットは俺の頭を押して抵抗してくる。
…んー。やっぱちょっと痛かったかな?
「ごめんごめん。ちょっといじわるだったかな」
俺はシャルロットの胸を開放して、もう一度シャルロットの顔を覗き込む。
シャルロットは真っ赤な顔でガンを飛ばして、無言で抗議してきた。
「でも、ちょっとは気持ちよかったでしょ?」
俺の言葉に。
「…しらない」
真っ赤な顔でぷい、と横を向いてしまうシャルロット。
…くー、こういうところもかーいいなあ。
そして俺は。
いよいよメインディッシュに手を掛ける。
シャルロットのあそこに刺さった、ツイスターもどきに手を掛けた。
「ひ!」
ぬちゃ…。
うを!なんだ今の音!?
軽く持って動かしただけなのにすげ粘り気のある音がしたぞおい!
その音を聞いた俺は、シャルロットの真っ赤な顔を覗き込んで言った。
「…すごい音。やっぱキモチいいんじゃん」
「…ばかぁ…しらないっ…」
言ってシャルロットは、真っ赤な顔を両手で覆ってしまう。
俺は、そのままシャルロットのあそこからツイスターもどきを引き抜く。
目の前に持ってくると、そのツイスターもどきはシャルロットのおつゆで三分の一くらいべとべとになっていた。
「ほら見てみろよシャルロット、すごいべちょべちょ」
「………見ない」
更に真っ赤になって、必死に目を瞑って顔を逸らすシャルロット。
ソレを見て、俺の中のS魂が刺激される。
俺は、べとべとのツイスターもどきの、べとべとになってないほうを持って、おつゆでべとべとのソレをシャルロットの真っ赤に染まったほっぺたにくっつける。
べちょ…。
「や、やだっ!」
シャルロットは俺の下で暴れて抵抗する。
しかし、俺の責めはそんなんじゃ止まらない。
「シャルロットが自分でしたんだろ?」
「…で、でも」
薄目を開け、こっちを恥ずかしそうに見つめるシャルロット。
ま、このへんでカンベンしてやるかな。あとでへんたいさん呼ばわりされるのやだし。
俺は、そのツイスターもどきを。
ぱくん、と口に含んで、一気に食べきった。
…ちょっと、あまじょっぱい?シャルロットのおつゆの味だな、うん。
「…うん、おいしいよシャルロット」
「…サイトのへんたい」
真っ赤な顔で、ちょっと眉を吊り上げて、俺の下からシャルロットがそんな事を言ってくる。
え?ちょっと待?ここでそれっすか?
「いきなりこんなコトしだすシャルロットに言われたくないなぁー?」
もぉキレたもんねー。
言いながら、俺はシャルロットの両膝に手を回し、思い切り上に持ち上げる。
M字の形に、シャルロットの脚が開かれた。
ふんわり桜色に染まったおしりの間で、シャルロットがヨダレをこぼしてぱくぱく言ってる。
「や、やだっ!」
真っ赤な顔のまま、シャルロットは抵抗しようとする。
でも、もー遅いもんねー。
俺はジッパーを降ろして、もう既に限界突破な俺の息子を取り出した。
「じゃ、こっちもいただきまーす♪」
「や、まって!まだっ…!」
んー?こんだけぐっちょぐちょにしておいて今更なにをー。
俺はそのまま、一気にシャルロットを貫いた。
ぐに!
「ひぃ!」
…ん?なんだこりゃ?
俺は違和感を覚えた。
俺のナニは、シャルロットに半分も埋もれないうちに、何かにぶち当たった。
シャルロットの奥じゃない。シャルロットの奥は、こんなにつるつるしてない。
俺は一度、息子を引き抜いて、シャルロットのわれめを顔を近づけて観察してみる。
ひくひくと蠢くその割れ目から、何か白い物が見えている。
…マテヨ、卵ってたしか3個あったよな…。
「…シャルロット…」
「し、しらないっ!」
呆れたような俺の声に、シャルロットは真っ赤な顔でまた顔を逸らす。
…しょうがねえなあ、このチビっこめ。
俺はちょいとぷっくり膨らんだシャルロットの下腹部を、軽く押す。
「…あ、だめ、でちゃう・・・!」
ぬりゅ…。
シャルロットのアソコが苦しそうに、卵をひりだしてくる。
俺は、半分ばかり出てきたソレに、歯を立てる。
それはゆで卵独特の匂いと、あまじょっぱいシャルロットの味がした。
俺はそのまま、その卵を引っこ抜く。
ぬぽっ…ぽん。
「あひ!」
たくさんのねばねばのおつゆのおかげで、卵は簡単に抜けた。
俺はその卵を手にして、シャルロットに見せ付ける。
「こんなにべとべとにしちゃって…。どっちがへんたいさんなんだか」
「…サイトに…」
俺の言葉に、シャルロット真っ赤な顔のまま、応える。
「ん?ナニ?」
「さ、サイトに、美味しく食べて欲しいから…。
お弁当も、わ、私も…」
目の前の青い髪の少女は、真っ赤な顔で、俺を潤んだ瞳で見つめて、そんな事言ってくる。
くぁーっ!かーいいこといってくれんじゃないのっ!
俺は居ても立っても居られなくなって、もう一度シャルロットに覆いかぶさる。
そして、ちょっと思いついて、こんな事を言ってみる。
「美味しく食べるのは、シャルロットの方だと思うけど?」
シャルロットの目が見開かれ、動きが一瞬、止まる。
…やべ、オヤジすぎた?
しかし、シャルロットはすぐにふんわり笑うと、俺の首に手を回してきた。
「じゃあ」
そう言って、俺を見つめて、続けた。
「サイトをいっぱい、たべさせて…」
そりゃもう、喜んでッッッ!!
そしてその夜。
シルフィはおねえさまにボコられた。
なんでー!どーしてー!?
「…あのサンドイッチはナニ」
し、しらないのね!おねえさまは『パンで挟んでバスケットに入れて』って言ったのね!
だから言うとーりにしただけなのねー!
「サンドイッチは、こういうの」
言っておねえさまは、手近な紙にさらさらと、『サンドイッチ』の図を描いた。
なるほど。
一口大に切ったパンに、切った野菜とかハムとか挟むのね!
…って。
「『一口大に切って』っておねえさま言わなかったのねー!」
「そのくらいは常識」
ぼこ!
いったーーーい!またぶったぁ!
おばかになったらどーするのねー!もう!
もう怒ったのねー!
「どーせおねえさま、『私をた・べ・て♪』とかするつもりだったんでしょー!
お弁当のデキとかどーでもいいのねー!サイトとセクロスしたいだけなのねー!」
言ってやった!言ってやったぞ!なのね!
お、真っ赤になってふっるっえってるー♪
逆転満塁ホームランなのねー♪
とか思った瞬間。
どっかぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!
特大のエア・ハンマーで、シルフィは学院の外までふっとばされちゃいました。まる。
…なんで、こうな…るの…ね…。がくっ…。〜fin
以上!オシマイ!
くくく、どうだ!うまいこと読書の秋と食欲の秋を同居させてみたぜ!
…かなり無理のある展開ダケドネ…。
ちょっと修行しなおしてきましゅノシ
52 :
名無しさん@ピンキー:2007/10/10(水) 22:49:30 ID:RuW3c9Wi
このど変態がぁぁぁぁぁぁ!!!!!!
GJです!!!
もう何スレも前からの疑問がある。
俺がここに来ると、凄まじく高い確率でせんたいが書き込みを始める。
なんだこの因果はwww
>>50 リアルタイムGJ!
相変わらず良い仕事してますねえ。
むしろあんたを心理テストしてみたいわぁぁぁ!!
すごくよかったです
タバサSSが連投とな!
世のタバっ子は歓喜しているであろうな。
>>50 くっ
ルイズ派のこの俺が、せんたいさんのタバサにだけは心が揺るがされる・・・
GJ・・・!
もし出来るなら、次はルイズで書いてくれ
へんたいさんのシャル読んで20分が経ちましたが、どうやら顔面の筋肉がニヤニヤで固定されたみたいで戻らなくなった。
責任とってせんたいさんは俺の嫁。異論はry
GJ!!!とりあえず次回作はどんなせんたいさんの妄想力が発揮されるのか楽しみだ。
カリン様牝奴隷化ものが読みたいお
消えろ熟女好き
ここは無口めがね娘とツンデレ女とビッチとのインモラルとコメディチックがトゥギャザー
のみが支配する空間だ
ロングビルの、タバサ母の、烈風カリンの良さが解らんか!
熟れた果実こそが正義なのだ!!
>>50 GJ!
ただシルフィストの俺からすれば、せんたいさんにはもっと優しくして欲しい。w
「…と言うわけで、ここに、アホっ竜(こ)組合の設立を宣言するのねー!」(ナニ
すーまーた! すーまーた!
誤爆
>>64 マリアンヌ様をお忘れなく!
以前書き捨てた小ネタの姫騎士マリアンヌが保管庫にあって正直ビビッたw
マリアンヌ様の項目を見つけ、熟女スキーが他にもいるのかと光速で開いてみたら、自分の書いたものだった。
何を言っているか分からねーと思うが(ry
>>50 「…このへんたいさんめ」
スレ住人達ははそう言って、せんたいさんのおでこをこつん、と右の人差し指でつついた。
>>53 あなたが来るからせんたいさんが活動を始めるのではない……。
せんたいさんは年がら年中活動してる。
>>64 待て待て待て待て、マチルダさんは20代だぞ?熟女か?行き遅れとか言われるのは
中世的世界だから若年結婚が多いからだろ?
ミスサウスゴータが熟女ってのには俺も驚いた
オタってちょっと年行くとすぐ年増扱いするよな
ネタ扱いは除いても
ちょっと積極的だとビッチってのと似てるかも
フーケの立ち位置はきれいなおねえさんだろ・・・
常識的に考えて
でもフーケって、某スクエアクラスの誰かのせいでSSのネタにしにくいのがな。
誰か書い(ry
フーケってカトレアより若いんだけど
ぬ、マジか
じゃぁルイズとカトレアの年の差はいくつだ…?それなりに離れてることは確かだろうが…
離れてる、といえばエレオノールとルイズの年の差を考える方が
「カリン様頑張るなぁ」って思わせられるけどな
エレオノール(27)、カトレア(24)、ルイズ(16)だって。フーケが確か21.22だったか
23じゃね
カリン様きぼん
セクロスの際に女が感じた時に受精すると男、そうでないと女が生まれるらしいが
そう考えるとルイズパパがテク不足なのかそれともママが淫らうわなにをすやめ(ry
つまり夫が尻に敷かれてると娘が出来やすいとな
有名な話しだな。
トリステイン魔法学校は、パッと見女が多いような気がするんだが、あの世代の親たちはテク不足だったりするんだろうかw
フーケ、もといマチルダ姉さんは23だあよ?(2巻160頁)
俺の脳内では人態シルフィと同程度の巨きさで、おぱんちゅは白が好み。(ダマレ
意外に乙女なマチルダ(=フーケ)SSが読んでみたいお。w
テファ×マチルダの百合でよろ
ここはふたなりとかおk?
投下前に示しておけばいいんじゃないか?
苦手な人はスルーすればいいわけだし
そいやこの世界、処女税ってあんのかね?
あったら貴族はウハウハ・・・でもないか、不細工に体で払われてもいやだしw
お忍びで城下の様子を見て回っていたアンリエッタは、体の不自由な者に対する配慮があまり上等でないことに気がついた。
「すぐに改善するよう各所に通達しなさい」
「はっ、了解しました」
こうしてトリスタニアの各ギルドは、あれこれと工夫して、体の不自由な者に対する配慮を強化することとなった。
トリスタニアの街路を走る乗り合い馬車のギルドも、体の不自由な者がいつでも座れるように優先席を設けることとなった。
そして迎えたサービス初日。
まずやってきたのはワルドである。
「お客様、こちらのお席へどうぞ」
御者はワルドの義手を見ながら愛想よく言った。
次にやってきたのはメンヌヴィルである。
「お客様、こちらのお席へどうぞ」
御者はメンヌヴィルの目を見ながら愛想よく言った。
次にやってきたのはルイズである。
「お客様、こちらのお席へどうぞ」
御者はルイズの胸を見ながら愛想よく言った。
馬車は木っ端微塵になった。
>>89 ワルドとメンヌヴィルはともかくルイズは違うだろww
ルイズの場合は体の一部分がとても貧しいだけで機能の方は大丈夫だろww
ともかくGJ!
>>89 アメリカンな匂いがw
しかし、これは上手いな。
おもしろかった。
流行るかもしれんwww
>>89 馬鹿を言うな、ルイズの胸は完成形で完全体だっ!!
その通り!
完全にして完成!つまりはそれ以上一マイクロたりとも成長し……おや?背後から爆発魔法が…?
ある日、かっぽかっぽと馬で歩いていたギーシュは、向こうからふてくされた顔の才人がやってくるのに気がついた。
「やあサイト、辛気臭い顔をしてどうしたんだね」
「おうギーシュ、聞いてくれよ、ルイズの奴がよぉ」
聞くところによると、いつも通り洗濯を済ませて部屋に戻ったら、ちょうどルイズが着替え中だったのだとか。
悲しい男の本能、思わず凝視してしまったら、顔を真っ赤にしたルイズが鞭の雨を降らせてきた訳で。
「『あんたにはデリカシーってものがないの!? ノックぐらいしなさい、このバカ犬!』とか言いやがってよ」
「はははは、それは君、タイミングが悪かったというやつだね」
「最初の頃は俺の前で平気で着替えしてたくせに……」
「男として意識されている証拠じゃあないか。いいことだよ、いいこと」
「そうかね……っつーか、デリカシーがどうのって言うぐらいだったら、着替えのときぐらい鍵かけろっつーの」
「まあ、僕からすればどっちもどっちというところかなあ」
などと道端で雑談を始めたものだから、ギーシュが乗っている馬はこれ幸いとばかりにくつろぎ始めた。
草をはみはみ尻をフリフリ、挙句の果てには
「うわ、ギーシュ、この馬クソしてんぞ!?」
「ん、そうだね。ははは、これは臭い」
「笑ってる場合かよ、オイ。このクソどう始末すんだよ」
「別に、放っておけばいいんじゃないのかね。肥やしというやつだよ」
「こんなところで何を肥やすってんだ、ったく。俺は絶対こういうマナーの悪い真似はしねえぞ」
「ほう。具体的にはどうするんだね」
「今度から、馬とかに乗るときはいつも袋とシャベルを持ち歩くことにする。犬の散歩のようにな。絶対道端にクソは残さねえ」
「馬の糞は尋常な量じゃないが」
「それでもやる」
「変なところで真面目だね、君も」
で、数日後。
「あ、サイト、サイト!」
「おおシルフィード、今日も元気だなあ」
「うん、シルフィいつも元気なのよ。ねえねえサイト、今日もシルフィと一緒にお出かけするのね」
「おういいぞ、また遠くまで連れてってくれよ」
「わーい、お出かけお出かけ……? サイト、その手に持ってる袋とシャベルはなぁに?」
「ああこれか? これはな」
「で、どうしてまたボロボロになって飛んできたんだね君は」
「……『サイトのバカァッ! デリカシーなさすぎなのね!』って蹴り飛ばされた……」
「……本当に難儀な男だね、君も」
96 :
205:2007/10/12(金) 21:39:46 ID:i2TnILM6
>>92 多分シルフィードは頭、マリコルヌは股間を見られると思われます。
>>96 なんつー酷くて下品なSSだww
GJ!!
きゅいきゅいに男として意識されてるサイトに嫉妬。
あれ、この場合は雄か?
とにかくGJなんだぜwwwww
シルフィ可愛ええなぁ。
新機軸だなw
良いなこれ。
可愛いおにゃにょこはうん○なんてしない!!!
それはシルフィも同じだ!!!
はいはい幻想ですよ〜知ってた知ってたぁ〜
逆に考えるんだ。むしろすればいいんじゃない?って思うんだ。
103 :
名無しさん@ピンキー :2007/10/13(土) 09:18:14 ID:SWAHZrm4
<<89さんに追加シタス
「お客様、こちらのお席へどうぞ」
御者はコルベールの頭を見ながら愛想よく言った。
「お客様、こちらのお席へどうぞ」
御者はティファニアの桃りんごを見ながら愛想よく言った。
あれ?
>>106になんか投下があったような気がしたんだが……。
なんだっけ?
アメリカンが流行ってるん?w
>108
きっと蛇文字さんがハルケギニアでお店出したんだろ
トリステインの女はルーザー(負け犬)と申したか
次にやってきたのは才人である。
「お客様…こちらのお席へどうぞ」
御者は才人を見て気の毒そうに言った。
「スミマセン。テヲ、カシテ、クレマセンカ?」
ズタボロの才人は、御者の助けを借りて、やっとのことで席に這い上がった。
>>112 そしてサイトは王宮へと強制的に連れていかれた、というわけですなww
そして、姫様と…
鶏骨「残念、それは私のお稲荷さんだ」」
>80
全くギーシュパパを見習って欲しいもんだな
お前ら濃いなぁ
「お姉さまお姉さま!」
「うるさい」
「いきなりそれはひどいわ! シルフィ、今日はお姉さまにお説教しようと思ってるのよ」
「何が」
「お姉さまったら、サイトを誘惑する姿勢があまりにも弱すぎます!
このままじゃ、あの貧乳貴族や淫乱メイドにサイトを取られちゃうのよ」
「別にいい。彼に対する気持ちは、そういう次元のものじゃない」
「んまっ。女の子らしからぬお言葉ですこと」
「実際そうだから」
「今はそうでも、後々恋心に発展するかもしれないのね。
そのときになって、『あのころもっとたらしこんでればよかった!』と後悔しても遅いんですのよ」
「そんな風にはならない」
「いいえなります。そういう訳だから、今日はシルフィがサイトを誘惑するお手本を見せちゃうのね」
「彼に変なことしないで」
「変なことなんかしません。ちょっと一緒にお買い物して、服でも買ってもらえるように仕向けるだけよ」
「サイト、サイト」
「おおどうしたシルフィード、今日は人間の姿なんだな」
「えへへ、シルフィね、サイトと一緒に町へお出かけしようと思って、張り切ってきたのよ」
「そうなんか。ちょうどいいや、俺もお前に見せたいものがあったんだ」
「え、なに? なんなの?」
「お前にもいろいろと世話になってるからなあ。ずーっと前からさ、お前のために服作ってもらってたんだよ」
「服? シルフィのために?」
「そう。そろそろ出来る頃だから、一緒に見に行こうぜ。
……あー、迷惑だったら、別に断ってもらっても構わねえんだが」
「行く行く、行くのね! サイトと一緒にシルフィの服見に行くのね!」
「ははは、ちょっと張り切りすぎだよ。じゃ、行くか。いちいち竜に戻るのも面倒くせえだろうし、馬の後ろに乗れよ」
「うん、分かった」
(……という訳で、シルフィからお姉さまに通信を送るのね)
(……)
(あら、お姉さまったらなんだか不機嫌なのよ)
(そんなことない)
(うそうそ。お姉さま、シルフィに嫉妬してるのね!)
(あんまチョーシくれてっとひき肉にすんぞコラ)
(こわっ!? ごごご、ごめんなさい!)
(ちょっとした冗談)
(……と、とにかく、やっぱり普段の態度が重要なのよ。
サイトったら、いつものシルフィのセクシーさに参っちゃって、秘密で服なんか作ってくれちゃってたのね。
お姉さまも常日頃からサイトに対するセクシービームを忘れちゃいけないのよ。
具体的には地肌が透けて見える素材の服を、こう)
(それはただの変態)
(そう? とにかく、シルフィったら天然の毒婦!
ほとんど竜の姿でしか会ってないのにいつの間にかサイトを誘惑しちゃうなんて、とっても罪な女。
ああ、シルフィ、自分の美しさが恐ろしいのよ……)
(ミンチより酷いことになりたくなければ少し黙れ)
(はい)
「……フィード。おい、シルフィード」
「……え? あ、な、なぁに、サイト?」
「何ぼーっとしてんだ。そろそろ町につくぜ?」
「う、うん! それで、どこに行くの?」
「んーと、どこだったかな……そうそう、目抜き通りから少し外れた……あー、アンリ通り、だったかな」
(……ん? そんなところに服屋なんてあったかしら?)
「ほらついた。ここの店だよ」
「……サイト」
「ん? どうした?」
「……シルフィがどうしようもないアホで、今目の前にある景色が歪んで見えているのでなければ……
ここは、どこからどう見ても鍛冶屋さんとしか思えないのだけど……」
「おう、鍛冶屋だぜ。いやー、いい職人さん見つけてよー。さ、入ろうぜ」
「いらっしゃい。おや、シュヴァリエ・ド・ヒラガ。ようこそいらっしゃいました。例のもの、出来てますよ」
「やあおやっさん、ありがとよ。どこにあんの?」
「こちらですぜ」
「おお、見ろよシルフィ、見事なもんだと思わねーか?」
「……サイト」
「ん、どうした?」
「……シルフィが救いようもないほどのアホで、服という言葉の認識を間違えているのでなければ……
目の前の壁を占領しているのは、どう見ても布じゃなくて金属の塊にしか見えないのだけど……」
「金属の塊、なんていい方は失礼だぜ。これは鎧という名の芸術品なんだぜ?」
「いや、芸術品なんて言い方されっと耳がこぞばゆくなりまさぁ。
槌を振るうしか能がねえ男の、一世一代の大仕事ではありましたがね」
「いやいや、謙遜するこたねえよおやっさん。俺が思ってたよりもずっといい出来だ。
これなら矢玉も鉄砲もなんのそのだな!」
「しかしまあ、聞いたときはたまげましたよ。竜用の鎧を作ってくれ、だなんて」
「おう。知り合いの竜が、いつも荒事こなしてるらしくてよー。
なのにいつも裸だから、心配になったんだよな。とにかく、ありがとうよおやっさん。
これならこいつも喜んでくれるはずさ! なあシル」
「……で、どうして君は窓を突き破って僕の部屋に吹っ飛んできたんだね」
「……『サイトのバカァッ! これのどこが服なのねーっ!』って蹴り飛ばされた……」
「……よく分からんが、君もいちいち難儀だね……」
「……なるほど、服というのは比喩表現だったということ」
「ひどいのねひどいのね、サイトったらひどすぎるのね」
「悪気はないはず」
「だからこそなおさら傷ついたの! ブロークンハートなのよ!
アホなのね、サイトはアホに違いないのね!」
「……じゃ、その鎧、着ないの?」
「うー……折角だから、着てあげるのね……でもこんなの可愛くないし……その上重い!」
「飛ぶのに不都合はないから我慢しなさい」
「でもー……」
「そういう風に考えて作ってくれただけ、ありがたいと思う」
「それはそうかもしれないけどー……ホントに重たいし……」
「彼の愛情の重さだと思えばいい」
「こんな鉄臭い愛情はイヤーッ!」
とか言いつつその後ちゃんと鎧を着こんで行動するようになったりして。
>>119 サイトww 無神経もここに極まれりww
GJ!
GJ!
しっかし、205氏は若いお姉さんより竜萌えを極めんとする兵だな!!(褒め言葉w
あっ、あッ、す、すごぉい……ふ、ふっとい
>>117・・が…わ、わたしの中で暴れて…あんッ…
んっ…んぅ…あ、あっあっ…奥の方も掻き混ぜられてぇ……んッ!
あッ!な、中はダメェ!中はだめなのぉ!な、中で…んッ…い、今濃いのが出されたらぁ…
あ…な、な中でおおきくなってるぅ!
>>117のチンチンが膨らんでるのぉ!でちゃう!?だしちゃうのぉ!?
だ、ダメ犬の分際でご主人様に種付けしちゃうの!?
に、妊娠しちゃう!わ、わたし!馬鹿犬のチンポで妊娠しちゃうのぉおおおおおお!!!
チュンチュン
>>1、117ァ〜ッ!!き、昨日はよ、よくも…ば、馬鹿犬分際でヴァ、ヴァヴァヴァリエール家ぉのさ、三女である私をき、傷者にするなんてぇ!
あ、アンタにせ、せせせ責任と、とって貰うんだから!か、覚悟してなさいよ!
ハルケギニアからついに元の世界に戻ってきた才人。
しかし、彼には心残りになっていることがあった。
ハルケギニアの地を去る時、その場にルイズの姿がなかったのだ。
彼の地で苦楽を共にしてきたご主人さま。一緒に過ごしていくうちに
主人と使い魔という関係からお互い惹かれあった女の子と男の子が辿りつく関係になっていた。
トリスティンで近衛騎士という身分を与えられ、数々の戦いの中彼女と二人でお互いを護りあってきた。
彼女の実家。ラ・ヴァリエール家の当主からも一応二人の仲を認めてもらうに至っていた。
彼女には耐え切れないことだったのかもしれない。永遠の別れになってしまうかもしれないことだったのだから。
彼女は多分大泣きしたに違いない。でもそれが才人の決心を鈍らせる--ことにつながると慮った結果、
ルイズは自分の想いを抑え込んで立ち会わなかった。そう才人は感じていた。
∽ ∽ ∽ ∽ ∽
久々の自分の部屋--3年という月日を感じさせないくらい何も変わっていなかった。才人が不在の間も
彼の母親は毎日掃除をしてくれていたのだろう。綿ボコリひとつすら見当たらない。
懐かしむかのように才人は自分のベットに触れ、そしてゆっくりと横たわった。
瞳を閉じてみた。いつものベットの匂い。干したてのような太陽の匂いが才人の鼻をくすぐった。
帰って来れたんだ----安堵のため息と共に言葉が漏れた。
あいつ、どうしてるかな・・・異世界に置いてきてしまった恋人のことを思い遣る。
ルイズ----愛しいその名を紡ぎ出し・・・・才人は夢の世界へ旅立った。
∽ ∽ ∽ ∽ ∽
ハルケギニアの面々が出てくる夢から才人は引き戻された--母親が部屋に入ってきたのだった。
「才人!?」
突然の息子の帰還に驚きを隠せずに母はその場に立ち尽くした。
久しぶりの母子の対面に才人も照れを隠せず頭を垂れた。
「・・・た、だたいま。かあさん。」
息子の変わらない声に母は満面の笑みを浮かべて彼のそばに歩み寄った。
「良かったわ。元気そうね・・・本当に良かった・・・」
そういいながら、才人の頭を包み込むように抱き寄せた。
「心配かけて、ごめん。」
才人の頬を暖かいものが伝っていった。
母は才人の頭をくしゃくしゃと撫でて言った。
「あの子も首長くして待ってたのよ。早く顔見せてやんなさい。」
才人は首をかしげた。両親の他に俺を待っているヤツなんていたのか?
「あの子?ってダレだっけ??」
才人の問いかけに母は口を開けて驚いていた。
「何言ってんのよ、この子は・・・あなたの可愛い妹でしょう?」
「えええええええ!!?」
想定外の母の言葉に才人は絶叫した。
∽ ∽ ∽ ∽ ∽
「ルイズちゃん、お兄ちゃん戻ってきてるわよー」
「おかーさん。ほんとー!?」
パタパタパタ--元気良く階段を駆け上がってくる音が聞こえた。
「るるるルイズ?!」
才人は目の前に現れた桃色髪を後ろに束ねた少女に愕然とした。
今回は趣向を変えてみた。
続きは後日。ノシ
130 :
明日 (1):2007/10/14(日) 18:12:50 ID:rxDwfIgI
いつも通り家を出る俺に、お袋が声をかけた
「才人、今日は鍋だからね、早く帰ってきなさいよ」
お袋はいつも今日の献立を教えてくれる
最近は学校の連中と一緒に晩飯を食べることもあって、家で夕飯を食べる事は減ったが、それでも教えてくれる
俺はいつも通り「う、あ〜、・・・うん」と気の無い返事をする、きっと明日もそうなんだろう
親父は朝食を前に新聞を広げながら、「VAIOの修理、今日上がるんだってな」と言う
俺はいつも通り、「うん、たぶん」と曖昧な返事をする
親父は新聞を読みながら「請求書はウチに回しとけ、あれはワシも使う」
俺がパソコンを使うことに反対してた親父、こんなこと言うのは初めてだった、礼を言うべきか、明日言おうと思った
教室
クラスの悪友が話しかけてくる
「今日ヤマギワ行くんだって?じゃあminoriとぱれっととま〜まれぇどのパンフ貰ってきてくれ」
「エロゲは買わねーよ、俺は出会い系に登録するんだ、生身の女デビューだぜ」
この野郎とのいつものやりとり、明日もこんなバカ話をすると思うとうんざりした、うんざりして笑えてくる
今まであまり話したことのない女のクラスメイトが俺に近づいてきた
「平賀君、剣道部の入部、先生に問い合わせたんだって?、嬉しいよ・・・ぶ、部員が増えるのはいいことだし!
黒く短い髪、いい匂い、小学生の時から同じクラスのそのコは上目遣いで、目線を逸らしながら話しかける
「でも・・・剣道に興味あるなら、その、ウチの道場で習っても、お爺ちゃん喜ぶし・・・あ、あたしが教えてあげても・・・」
きまぐれで顧問の先生に聞いた剣道部の話がこんなことになるなんて、明日はこっちから話しかけようと思った
あれ?こいつらの名前、何だっけ?
131 :
明日 (2):2007/10/14(日) 18:14:05 ID:rxDwfIgI
その時はやってきた
空から何かが降ってきた
魔方陣
ピンク色の魔方陣が空から落ちてきて、俺のクラスメイトも両親も、何もかもを押しつぶしてしまった
俺は全部潰れてしまった人たちを見て、名前を思い出せなかった自分のせいだと思った
大切なことを明日に先送りした自分のせいだと思い、自分を責めた
俺には理解できない文字や図案が描かれた魔方陣はなにもかも奪われた俺をあざ笑い、俺の上にのしかかってきた
俺を潰そうとした
ピンク色の何かに押しつぶされながら、俺は自分にはもう明日が来ないことをぼんやりと思った
ピンク色は俺を押しつぶしながら耐えがたい嫌悪感を催す音を発する
「サイト!起きなさい!使い魔が主人をさし置いていつまで寝てるの?」
俺は夢から覚めた、見上げると寝巻きのネグリジェ姿のルイズの姿が像を結んでくる
俺の父と母、俺のクラスメイトの名前をもう一度思い出そうとしたが、俺はすぐに諦めた
「わかった、起きるよ、ルイズ」
132 :
明日 (3):2007/10/14(日) 18:15:01 ID:rxDwfIgI
藁束から体を起こした俺は、目の前に仁王立ちになって俺の頭を踏んでいたルイズの肩をちょっと突いた
ちっぽけな体がくるりと回って藁束の上に転がる、仰向けに倒れたルイズが俺を見上げた
鳶色の瞳に映るのは恐怖、怒り、俺はルイズの目が宿すほんのちょっとの性的な期待の色を見た時
俺の体で何かが燃えた、幼稚園の頃、玩具を取り上げた上級生に飛びかかって噛みついた時に感じた炎
ルイズが転がる藁束の隣には、立派な装丁の本が詰まった分厚い書棚があった、数百kgはありそうだ
俺は
本棚に
手をかけ
俺の明日は、ピンク色に押しつぶされた
(完)
>>130-132 GJ!!続きがあることを望む
>黒く短い髪、いい匂い、小学生の時から同じクラスのそのコ
kwsk
エロではないが、こういうありえそうな話し、世界観は物凄く好きだ。
おもしろかった。
ひさびさだな・・・・ルイズもの
136 :
fell:2007/10/15(月) 00:47:56 ID:E2OBLrRI
投下します
おまけに前のと雰囲気逆です・・・超あまいです
カモン!
甘いのは大好きだぜ!
な…なぜ投下しない…
もう30分なんだぜ…明日も早いのに寝ずに待ってるんだぜ…ちくしょおおおおおおおおおお
どうした、
>>136!?
俺はいつまで裸で待機すればいい――――ッ!!!!
書きながら投下するつもりなんじゃね?
>>136 書きながら投下しようとしてるならやめてくれぇぇぇぇ
全裸でいる俺らが風邪ひくし明日起きられねぇぇぇぇ
もうガマンできん!
シュッ
(;´Д`)
Σ⊂彡_,,..i'"':
|\`、: i'、
\\`_',..-i
\|_,..-┘
(;´ω`)ムシャムシャ
つi'"':
`、:_i'
( ゚ω゚ )
つi'"':
`、:_i'
こっちを見るんじゃぁない
規制に引っかかったか作品に不具合が見つかったんじゃね?
この作者さんは以前はきちんと投下してたし。
まもなく書き終わるんだが、これは投下していいのかな?
相変わらず絶えない投下ラッシュに感動。
書き手の方々、毎度GJ。
そして、桃色シスター『ズ』が気になって眠れない俺
>>145いいと思う。
予告して投下しなかったんだから、確実に投下できる人からするべきだし。
てなわけでカモーン
149 :
ボルボX:2007/10/15(月) 06:02:24 ID:dHx9vEdW
>>136 スミマセン、先に投下しますよ。
温泉を指すスパという万国語の発祥は、ベルギーのスパって温泉町。
トリステインがベネルクス三国をモデルにしてるならということで、温泉を題材にしてみようかと。けっきょく石を使った北欧風の蒸気サウナになりましたが。日本でも今やけっこうあるようです。
前スレでローションネタ提供してくれた人に感謝。……でも期待してくれたエロとは違うかと。
アンリエッタが、王都からそう遠くない土地の行事に、泊りがけで出席している。
内容は延々続く式典への出席と講演くらいだったが、このような仕事が以外に多いのだった。
才人はアニエスに命じられ、護衛として同行していた。
昔より王家とのしがらみが増えてしまっている身としては、断ることは難しかった。そもそもルイズも出席するのである、断る理由が無い。
なにより、アンリエッタを護衛すること自体はやぶさかではない。
ただちょっと不安材料があった。
(前回のやっぱ怒ってそうだよなあ)
この前に会ったときの話である。
猫耳つけさせて首輪をはめ、鎖でつないでにゃーにゃー鳴かせ、マジ泣きされた。そのあとで翌日起き上がれなくなるほどヤってしまった。
怒らないわけがないと思う。
そういうわけで式典の後、晩餐会も終わった夜、泊まっていた宿から女王に呼び出されたとき、正直言って「あ、ヤベエ」と直感した次第である。
ちなみに呼び出しを持ってきたのはルイズで、アンリエッタと何を話したのか、不吉な声でぼそりと「さっさと行けこの犬」と許可を出した。
「あっちは月に三、四回だもの……ふふふ、わたし耐えてみせるわこの程度……でもそういう取り決めとはいえ旅先でなんてちょっと節操ないというか
姫さまったらふふふふふ最近なんだか大胆というかはしたないというかご自分で思わないのかしらねおい犬そこらへん当事者としてはどう思うのよああん?
そうか嬉しいのかシッポふってんのか貴様そんなに高貴が好きか上等だわね犬畜生いやいや犬と女王ってソレ本来ありえないから調子に乗るとロマリアの私刑風に壁に塗りこむわよ」
危ない目でぶつぶつつぶやきだしたルイズ。使い魔をアンリエッタに「貸し出す」ときはいつもこんな調子である。
なんだか本気で命が危なくなりそうなので、こそこそと才人は出て行った。
夜。北の国トリステインの少し寒い季節。郊外にのどかな田園ひろがる田舎町。
アンリエッタの滞在にあてられたヴィラは、当然のように土地でもっとも豪華なものだった。
女王は、トリスタニアの自身の王宮では贅沢を遠ざける生活だが、他所へ招かれたときの心づくしのもてなしまでは退けていない。
ヴィラの周囲を固める銃士隊員を、一時的にさがらせて出迎えたアニエスに頭をさげる。
才人を見てアニエスがため息をついた。
「……まあ、陛下の望みだし、あのかたも年頃の少女だし、他人がこういうことに口を出すのは野暮の極みだし、人目につきさえしなければ、本来わたしとてとやかく言いたくは無いのだ。
が、貴様」
瞬間、マジモンの殺気がその両眼に宿った。
「明日の正午には王都に帰る。そのとき陛下がまた立てなかったりしたら今度こそ、剣で尻の穴をもう一つ増やしてやるぞ」
怖え。才人は「い、委細承知しております」と卑屈に頭を下げた。
その後で、(あれ? 姫さま自身は、怒ってるというわけじゃないのかな)と首をかしげる。
チェス盤模様の大理石の廊下をわたり、アニエスに指示されたように一階の奥の部屋をノックする。入室許可を得る。
才人は部屋に入り、蜀台に照らされた部屋を見回して首をひねった。
ヴィラの内部は、玄関から歩いてきた廊下にいたるまで、調度品や壁の飾りは品よく、それなりに金をかけていることがわかるものだった。
だがこの小さな部屋は、調度品のたぐいがほとんどない。一つずつ小さな椅子と卓があるくらいだ。あと部屋の隅に、藤で編まれたかごがある。
素朴というか、敷物さえない。廊下と同じ大理石の床が続いている。
部屋の奥にもうひとつ扉がある。
アンリエッタは部屋の中央、木で編まれた素朴な椅子に腰かけていたが、才人が入ってくると立ち上がった。
手にしているクリスタルのゴブレットの中身は酒ではないようだった。蜂蜜を溶かした薔薇水あたりだろうか、馥郁たる香りがただよってくる。
しかし一見したところ、アンリエッタはどうも微醺をおびているようだった。
頬をそめて、表情がぽうっとなっている。
「……姫さま、酒入ってる?」
「そうね……少し酔ったかもしれませんわ。サクランボのお酒を薦められたので」
サクランボを漬けた麦酒がこの地方の名産だ、と地元の名士が行事のパーティーで語っており、才人自身も同席した地元民からさんざん薦められたからたぶんそれだろう。
良質なワインが流通しているトリステインだが、麦酒の種類だって百以上もあるのだった。
才人はとりあえず、用件を聞く。
「姫さま、これ何の用」
その問いに、アンリエッタはすぐには答えなかった。どう言ったものかと考えるように、ゴブレットの薔薇水を揺らしてそれを見ている。
彼女の服は夜会用の白いドレス、シルクのサテン生地。
肩や胸元を露出させるデザイン。その素肌の肩には極薄の透けるショールをふわりとまとっている。
前立てにフリルをあしらったスカート。たっぷりした長い布地。
ドレスの上半身には、深いV字の切れ込みがあり、大きな胸の谷間を大胆に通って縦長のへそまで見せている。
その刺激的な切れ込みは、濃ピンクのレースで縁取られている。
二の腕から先をぴったり覆うのは、白いシルクの長手袋。首飾りには宝石をはめこんだ精緻な銀細工のネックレス、耳には真珠のイヤリング。
要するにレディの盛装だった。
才人は考え込んでいるアンリエッタの服装を、ついついじっくり観察してしまう。
気高くも艶やかという印象。気品と色気のここまでギリギリ絶妙なコラボも珍しい、そんなドレス姿である。
元からそうだけど今夜はとくに綺麗だよな、といやらしい視線抜きで才人が素直に感嘆できるくらいの麗人っぷりなのだった。
(いやらしい気持ちが入ってないとは申しませんがね)
内心でつぶやいてみる。ルイズやアニエスの態度や、夜に呼び出されたことからしてなんとなく想像がつく。たぶん恒例のアレだろう。
にへ、と顔をゆるませて期待しながら、アンリエッタの出方を待つ才人だった。
と、意を決したようにアンリエッタが顔をあげると、ゴブレットを小さな卓に置いた。
向き直って、ほほえみを浮かべる。才人は背筋がぞくりとした。なんだか今日はいつもと様子が違う。
酒のせいか美貌にうすく血の色をのぼらせ、とろりとした視線。
妖艶といえるほどの色気をただよわせながら、アンリエッタの笑みはどこか悪戯っぽいものだった。
「サイト殿、ここはどのような場所と思います?」
どのような、って……と大理石の室内を再度見わたす。
何もなさすぎて、ちょっと想像がつかない。
「……わかりません。どういうとこなんですか」
アンリエッタは横を向いて、どこか上機嫌な様子のまま手を後ろで組んだりしている。鼻歌でも唄いそうな調子で説明した。
「ここは浴室につながる部屋なのです。
この地方は薬効のある源泉が湧くのですわ。このヴィラはそれを利用しているそうです。サイト殿、お風呂は好きでしょうか?」
……それはつまり温泉? 温泉ですか? 嫌いなわけがありません。自分日本人ですから。
瞬時にこみあげたそんな思いをこめて、才人は深くうなずいた。
「それはよかった。では、その……よければ一緒に」
わずかに羞恥の入った、銀の鈴を転がすようなアンリエッタの声。才人はくっ、と感涙して上を向き、始祖ブリミルに感謝をささげた。
温泉、しかも女の子との入浴。なんかすげえ幸せが来た。
というわけで、すっかり幸福にひたっていた才人は、女王陛下の笑みがいつもの淑やかなものとは少し違うことに、あまり注意を払わなかった。
開けてみた扉の向こうは、古びた赤煉瓦でできた浴室だった。
赤い煉瓦は、時代を感じさせる落ちついた色合いだが、不思議と清潔感もある。わざわざ古い建物を解体して、その煉瓦を選り分けて使ったのかもしれない。
床にはめこまれた真四角の浴槽には、澄んだ湯がたたえられている。壁につき出たパイプからお湯が浴槽にそそぎこみ、あふれた湯は浴槽周りの溝に流れこんで部屋の隅から排出される構造。
部屋の上の隅にかかったクリスタル製のランタンが、揺れる淡い赤光を投げかけている。中の火は魔法の産物だろうか、消える様子はない。
「おお……本格的。あれ?」
気になることが二つあった。
ひとつは浴室の向こう側に、また別の扉があること。
もうひとつは、浴槽からたちのぼる湯気の量である。しゃがんで手をつっこみ、才人は顔をしかめた。
「これ、湯というにはぬるくありませんか?」
「源泉の温度自体は、そう高くないのです」
いくつかの水差しを持って入ってきたアンリエッタがあっさりうなずき、据え付けられていた大きな柄杓で浴槽の湯をくみ、水差しから何かの液体を注ぎ足した。
ハイヒールの靴を脱いで、柄杓を手にした彼女は「こちらへ」と言ってもうひとつの扉を開けた。
とたんに才人の顔に熱波がふきつけた。
その小さな、赤い光に満ちてどこか暗い部屋は、壁も床も木でできていた。丸太材である。
クリスタルのランタンは、そちらの部屋でも赤光を放っている。
さきほどまで火が燃えていたのか、いまだ音をたてている炉があり、その上にはじゅうぶんに熱されたらしき握りこぶしほどの石が、大量に大鍋に入って置かれていた。
アンリエッタが柄杓の水をその石の上にかけると、たちまちジュウジュウと音をたててすさまじい蒸気がたちのぼった。
風石を使った風魔法でもかけられているのか、その小さな室内の気流がめぐり、浴室まで熱い蒸気が流れこんでくる。
蒸気には甘い花のような濃密な香りがついている。かけた水に植物のエッセンスか何かが混ぜてあったのだろう。
石に水をかける手順を何度か繰り返すと、蒸気が流れ込んできて浴室内まで暖まってきた。
ここまでくるとさすがに才人の頭にも、理解がおよんでいる。
「蒸し風呂ですか」
「ええ。意外でしたか?」
たしかにちょっと意外である。才人はこの世界にきてから、蒸し風呂は主に庶民のものだと理解していたので。
が、よく見るとこの蒸し風呂は一味違う。
『小さな室内で蒸されて汗を流す』→『出てきて水を浴びる』という基本は同じようだが、こっちは全体的に作りが贅沢なのである。
丸太製の専用のサウナ室。煉瓦製の浴室にたたえられた汗を流す水は温泉。たちのぼる蒸気は芳香を放ち、それを発する石さえ特別なもののようだった。
「海底から取れた石でしょうね。熱を長く蓄えると聞きおよんでいます。
かけ水には主に花からとった精油を混ぜてあります」
才人の興味をこめた視線に気づいたか、アンリエッタが淡々と説明する。
それから、こほんと咳払いして問うた。
「ところで前回のときに、言ったことを覚えておりますね?」
「『にゃーん』?」
「あなたが言ったほうです、そちらは速やかに忘れてください!」
なに言ったっけ、と才人は腕組みして考えこみ、唐突に思い出した。
『一日好きにさせてくれるなら、この次は姫さまの言うこと何でも聞きます』と言ったような気がする。
やっぱそれ? とちょっと引きつり気味の笑みで、アンリエッタの様子をうかがう。
アルコールの入った女王陛下は、なんだか据わった目で笑みをうかべ、うなずいた。
…………………………
………………
……
「――どうですか? 一人だけ服を脱がされて、好きなようにされるのは恥ずかしいでしょう。
あなたはいつも、わたくしにこのようなことをさせているのですよ」
命じられるまま才人は服を脱ぎ、全裸で浴室の床に座りこんでいる。
白の夜会用ドレスを着たままのアンリエッタがその背中に抱きつくようにして、前に手を回し、才人のものを両手でゆるゆる弄んでいた。
うん。確かに自分だけ全裸で一方的にされる状況ってのは、かなりキますねとしみじみ実感しつつ、才人は言わずにいられない。
「ひ、姫さま、実はすごく酔ってるだろ」
「失礼な。サクランボのお酒を一杯だけですわ」
なら絶対、雰囲気で酔ってるにちがいない。いわゆるスイッチON状態か。
肘まである手袋をはめたままの、たおやかなほっそりした指が、男のものをゆるやかに愛撫している。
ひんやりとわずかに冷えていた手と、滑らかな絹の触感が、そそり立った肉棒にしっとり絡みついて優しくこすり上げてくる。
「熱い……それにこんなに、硬くして」
やわらかな熱い吐息が才人の耳をくすぐる。たしなめるようなからかうような、それにほのかに情欲が混じった声だった。
ほんとうにいやらしい方、と耳元でなおもかすかな息をふきこまれる。
はむ、と耳朶を甘噛みされた。
どーもこれは復讐のようなものらしい、と才人は気がついた。やっぱり前回のことだけでなく、いつも攻められるばかりなのを微妙に根に持ってたのだろうか。
(しかし……うん。これはこれで全然アリだよな)
全裸で才人は内心、親指を立てる。変態が状況に順応するのは早かった。
それにしても美少女に背後から抱きしめられる形で愛撫を受けているのである。ドレスに包まれた豊かな乳房が、背中にむにゅんと押し付けられて、少しずつ早くなっていく鼓動まで伝わってくる。
腰に手をまわされ、決して速くはない程度で自分のものをこすられながら、耳朶をぷっくりした唇でついばまれ、甘やかな情のこもった声で怨嗟や意地悪をささやかれる。
勃つなというほうが無理である。
「勝手に動いてはなりませんよ……ふふ、これもあなたがいつも言うことですわね」
もぞもぞと身をくねらせて、才人の背中にもっと密着するように体を押し付けながら、アンリエッタはなまめかしく濡れた声でささやき続ける。
「あなたがわたくしにした様々な辱めを覚えていますか?
その、……い、嫌というわけではありませんけれど……恥ずかしいし、少し悔しさだってあるのです。
ですからこの夜、わたくしのものである今宵は、いつもあなたがしていることをお返ししてあげます。そう簡単に許しませんからね。
あ、すごい、今手の中でびくんってはねて……」
やわやわと手のひらで包み込むように肉棒をさすりながら、アンリエッタが熱い呼気をもらした。
うん、かなり恥ずかしい。でもこれもいいもんだなあ……と実感しつつ、才人は要求を口にだしてみた。
ちょっと愛撫がゆっくりソフトすぎて、もどかしくなってきたのである。
「ひ、姫さま……おねがい、もうちょっと速く動かしてくれれば」
「だめ」
アンリエッタがどこか楽しそうな小悪魔然とした声で、却下する。おてんば娘だったころに戻ったのか、興味津々といった態で攻めるのを楽しんでいる風情さえある。
そうは口で言いながら、微妙に愛撫が変わっているが。
肉棒の根元を押し揉むように指で圧迫しつつ、才人の首筋に口付けしていく。
ちゅっ、ちゅっとついばみ、時折キスマークをつけようとするかのように激しく。
赤い明かりに赤い煉瓦が照らされて、幻想的な色彩の空間。
赤といっても落ち着く雰囲気をかもしだす古色。ほの暗ささえ美を演出している浴室だった。
開け放ったままのサウナ室から花の匂いの蒸気が流れこみ、全裸で座っている才人もすっかり寒さは感じなくなっている。
それに、背中に密着する少女の体が、ますます熱をおびていっていた。
下半身は焦らされるようにもどかしい快感を与えられながら、首筋や肩に情熱的な口づけを受けていく。
膨れ上がった亀頭に、滑らかなシルクに覆われた手のひらをかぶせられ、円をかくようにしゅりしゅりとこすられる。
桜色の唇に耳たぶをはさまれながら、肉棒を少しきつく握られてゆっくりと上下動させられる。
袋の部分をやわやわと揉まれながら、裏筋の部分を指であやされたとき、じーんと腰の奥から痺れた気がして、亀頭の先から先走り液がぶくりと噴いた。
ゆっくりした刺激しか与えられていないのに、急激な反応を呼び起こされたことにややうろたえ、才人は感嘆まじりに感想をもらした。
「なんかすごくうまくなってませんか……いててて」
耳朶に歯をたてられた。ちょっと恨みがましい声が返ってくる。
「あなたがいろいろとはしたないことを教えたではありませんか……
……気持ちよいのですね?」
才人の背中にむにむにと押しつけられる乳房から、とくとくと早鐘を打つ鼓動が伝わってくる。体温の高さが感じられる。
おそらく、ドレスから露出した素肌まで汗ばんでいるのだろう。
肌にぴったりした薄絹の手袋の中で、肉棒がびくんと凶悪に脈打ちだしたのを感じ、紅潮した艶麗な笑みをアンリエッタが浮かべる。
ドレスの少女は情欲に色づいたような声を、そっと裸の少年の耳にふきこんだ。
「では、そろそろ速くしてあげますわね」
少年の腰前に回した手を、一転してリズミカルに動かしていく。
気がつくとアンリエッタ自身も、彼の背中に押し付けて潰れさせた乳房を、わずかにこすりつけるようにもぞもぞと体をゆすっていた。
はしたないわ、と思いつつも桃色の霞が脳裏にかかったようで、この淫らな遊びを今さら止められない。
赤い古びた煉瓦の部屋。ほろほろ揺れるランタンの火。
煉瓦造りの浴槽には冷たく澄んだ水がたたえられ、いっそう暗いサウナ室からは熱い蒸気をのせた風が、濃厚な植物エッセンスの香とともに吹き込む。
純白のシルクに覆われた上品な細指が、淫らに男の肉にからみついて奉仕している。
才人が額に汗をにじませて告げた。
「あ、あの、出るんだけど」
かまいませぬ、と熱に浮かされた声でアンリエッタは許可を出した。
速くすべやかに、なめらかに少年のものをこすりあげていく。
「わたくしの手で、はしたなく気をやるところを見せてくださいましね……」
そのささやきが引き金になったように、才人がう、とうめきをもらした。
白絹手袋にくるまれて奉仕されている肉棒が蠢動し、びゅくびゅくと精を赤煉瓦の床にうち出していく。
少女は少年の肩越しに、精が床に飛び散るのを見て、放出している肉棒を包みこむようにその幹に手をそえ、女の淫肉の動きを再現するようにきゅ、きゅと優しくしぼる。
そうしながらアンリエッタは、自らも絶頂に達したように蕩けた表情で身をかすかにふるわせ、ほう、と吐息をもらした。
「すごい……こんなにいっぱい出して」
アンリエッタのドレスに包まれた肢体は、いまや発情の火にあぶられたようになっていた。内側から燃えるような感覚に、こらえきれなくなる。
体重を少年の背中にあずけ、目をほそめて射精の快楽にひたっている才人の耳元で、情欲を抑えかねた震える声を発した。
157 :
ボルボX:2007/10/15(月) 06:13:39 ID:dHx9vEdW
ちょw エラーで「連続投稿ですか? 八回」って出やがったw
リアルタイム投稿キター、ハァハァ
24時間ローションで超濃厚エロプレイマダー?
「ね、つぎは、わたくしにも……」
…………………………
………………
……
少し肌寒かった部屋は、流れ込む蒸気でほどよく暖まり、湿度を大幅に増している。
「…………ぁ、ふ……んぅ……」
煉瓦の壁に、切れ切れの甘やかな声が反響している。
アンリエッタは床にひざをついて、ドレスのスカートの奥をまさぐられていた。レースのパンツを脱いだあとの秘部に、前から才人の指が触れている。
少女はフリル付きのたっぷりしたスカートを自分で持ちあげており、その下では少年の指が、熱いぬかるみをくちゅくちゅ水音をたてて浅くかき回している。
「んんん……ん、ふ」
うつむいた顔は快感に赤く色づき、眉根を寄せて切なげな表情。嬌声をときたまこぼす薄く開いた唇は、唾液でつややかに光っていた。
ドレスから露出する雪のような素肌はぽうと熱を持ち、小さな汗の珠をいくつも浮かばせている。
「ん、そこは……!」
才人の指がさらに奥にぬぬっと入ってきたとき、びくん、とアンリエッタの腰がはねた。
前回に見つけられた弱いポイントの一つを、丹念に指の腹で掻かれると、声をもらしながら腰を引いてしまう。才人が注意した。
「腰、逃げたらだめですって……あ、すごい締め付けてる」
「だ、だって、いきなりそんな奥まで……今日は優しくしてといいましたのに」
「中指一本なんですけど。わかりましたよ、ゆっくりやりますから。
えっと、このくらい?」
「あ……んん、はい、それなら……」
アンリエッタの目がとろりと淫楽にうるむ。
腰をおずおず前に戻して、膝立ちで秘部を愛撫される快感にふたたび没頭しだした。
時間をかけて与えられる官能に、どんどん秘部の奥から愛液がこぼれてくる。
敏感なところをわざと避けるように、指が濡れた膣内をこすってくる。アンリエッタの反応が高まると、すぐに動きを止め、間を置いてから膣内の別の場所をさぐる。
もどかしくなってきたころ、指を二本に増やされて再度、奥までじゅっぷりと埋め込まれた。
「んんんっ」
恥ずかしいほどの水音がして、指を蜜壺で食い締めてしまった。
たぶん才人の指はとうに、アンリエッタの愛液でふやけるほど濡れている。
真っ赤な顔で目をつぶって、突然にふくれあがってきた最初の波をやりすごす。耐えた後で、やや荒い息をついた。
目の前で少女に奉仕している少年が、確認するように声をかけてくる。
「ここらで、もう少し強くしたほうがいい? 刺激」
もういいかも、とアンリエッタは溶けかけた理性でぼんやり考える。
というより、そろそろあの絶頂の感覚が恋しくなっていた。
先ほどはつい我慢してしまったが、まさぐられる腰の奥がうずいて、もっと気もちよくなりたい、と体に呼びかけてくる。
こっくりうなずく。と、才人の指がうごめきだした。避けていたいくつかのポイントに丁寧に触れて、押さえるように揉みこんでくる。
焦らされて昂ぶっていた少女の体が、あっさりと応えてしまう。
「ん、ふ、んん……ぁぁ……」
ゆるやかに絶頂に押し上げられて、アンリエッタは腰をわななかせた。
スカートの布地をにぎりしめる手が、ふるふると震えている。
丁寧に引き出された肉体の歓楽に、紅潮した顔をうっとりとゆるめ、われ知らず淫蕩な笑みを浮かべてしまう。
「サイト殿……」
「はい?」
「今のを、もっと……」
気がつけばアンリエッタの唇が勝手に開き、ごく自然におねだりを発していた。
才人がちょっと驚いた顔になって、「あ、はい」と素直に指での奉仕を続けてくる。
どろり、と粘性の濃い愛液がひときわ多く胎内から吐きだされ、少年の指にからんでから糸をひいて床に落ちていくのを感じた。
くちくちとソフトに指で秘肉をまさぐられる。
腰を中心におののくように体をかすかに震わせながら、アンリエッタは淫らな微笑をまた口の端に浮かべた。
「そうです、んん、ゆっくり……これ、ゆっくり楽しませて……」
「……なんか今夜、大胆ですね」
「ん、だって、わたくしの夜ですもの……ぅぁ、ぁふ、ふふ
自分でもまともな状態ではないと思うほど、貪欲に快楽を求めたくなっている。
体だけではなくて、頭もそれしか浮かばないくらいに茹だっていた。
「ねえ、口づけもくださいまし……」
脚の間で、淫悦の火がちろちろと燃えている。それに思考を灼かれながら、キスをねだった。
前から指でまさぐられたまま、才人に顔を寄せられて唇を重ねられる。
アンリエッタはそれに応えつつ、今なら他にもはしたないおねだりを進んで言えるかも、と朦朧としながら思う。
深く口づけされて舌を吸われながら、先ほどとは別の、膣内の快感ポイントを延々とこすられつづける。
快楽に目をいっそう潤ませ、汗を全身にしっとりと噴かせながら、アンリエッタはまた高まりだした官能に身をゆだねた。
…………………………
………………
……
ヴィラの夜が更けてゆく。
赤煉瓦の浴室には、少女の澄んだ鳴き声が甘やかに響きつづけている。
少年の指がたてるクチュクチュという水音は、初めのほうよりずっと大きなものになっていた。
才人は指での奉仕を言われるまま続けながら、アンリエッタのドレスから露出した肩に顔を寄せていた。
薄い透けるショールを取りさって、首筋から肩にかけての上気した素肌に口を付けている。銀の首飾りを避けるようにして、その下の肌を跡が残らない程度に吸う。
「あっ、あぁ、ふぁんっ」
口づけから解放されたアンリエッタの唇からは、つつしみを忘れた快楽の声がもれていた。
こらえかねたように首をふるたびに、栗色の髪と真珠のイヤリングが揺れる。
スカートの中では愛液があふれ、ぽたぽたと煉瓦の床に落ちている。
アンリエッタは膝立ちでスカートを持ち上げ、真っ赤な顔を淫靡にとろかせ続けたまま四度目の絶頂を告げた。
「あ、ああ……また、いきますぅ、ひぁ、んん……!」
才人はアンリエッタの華奢な鎖骨に舌をはわせながら苦笑する。
(姫さま、今夜の最初のほうではそれ言わないようにしてたってこと忘れてるよな)
先ほど三度目の絶頂を堪能したあたりで、才人の指で与えられる快感を貪ることに夢中になって、ささいな恨みとか意地とかがどうでもよくなったらしい。
朦朧として、躾けられてきたことが出ているのか、いつものように従順に絶頂を才人に教えてくる。
サウナ室の蒸気はとうに立ち上らなくなっている。
正直、気温がさがってきたらこっちは風邪ひきかねないよな、と才人は滑らかな白肌に唇を押し当てたまま考えた。
(そろそろ満足してもらわないと。俺、素っ裸だし)
べっとりと愛液に濡れた手首を動かす。
わなないてきつく締め付けてくる膣内の一箇所、クリトリスの裏のほうに指の腹をひっかける。
「ゃんんっ」
反応は大きかった。
アンリエッタが悲鳴をあげ、スカートを持ち上げていた手を離して、両手で布地の上から自分の恥丘のあたりを押さえる。
スカートの意外な重みが才人の腕にかかってくる。湿気を吸ったたっぷりした布だから当然といえば当然だった。
他とやや感触が違うその箇所を、才人の指がこすりだすと、はっきりとそれまでとは質のちがう、せっぱ詰まった声をアンリエッタがあげる。
前回、強制的に潮を噴かされたときの指づかいだった。
「そ、そこは」
「うん、前のときやったアレ。したらだめですか、これ?」
手の動きを止めた才人に耳元で問われ、アンリエッタは膝立ちで前をおさえたまま逡巡した。
前回のように直接、指で噴かされる。強引に快楽を引き出され、頭がおかしくなりそうな種類の絶頂を味わえる。
けれど、お漏らしみたいで恥ずかしい。
肉悦への期待と羞恥の間で揺れている少女を見やり、迷いを断ち切らせるように才人が指の動きを再開した。
待って、と言おうとした言葉をひくんと飲みこむ。それまでの軽い絶頂とは種類が違う、尿道がひくひく脈打つような予兆があった。
アンリエッタは膝立ちから、お尻をぺたんと煉瓦の床につけて座りこむ。
愛欲に負けて顔を完全にとろかせ、スカートの上から恥丘のあたりを手で押さえたまま、恐ろしいほどに高まっていく感覚に耐えるように眉を下げた。
少年に上気した首筋を、頸動脈の上あたりでやわやわ噛まれながら、いっそう早く指でこすられた時、一気に何かが決壊した。
「あああああああっ、うあああー……っ」
素直な鳴き声をあげて若い肉体が達する。スカートの下で潮を噴き、秘肉で才人の指をねっちり食い締める。
なおも指を動かされると、ぷしゃぷしゃと液体をひくつく尿道口から噴いて、白手袋で押さえているスカートの前をじんわり濡らしてしまう。
「ぁ……ぁふ、ぁぅぅ……いっておりますぅ……」
耳まで紅潮させ、呆けたようにアンリエッタは絶頂に浸った。
羞恥心さえどこかに消えてしまうほどの愉悦が、腰を甘くしびれさせていく。
半開きの唇から、舌がわずかにこぼれた。
「姫さま、……味しめただろ?」
才人の声に反論しようという気さえ起こらない。
潮が噴いてドレスのスカートを温かく濡らしていくのを手で押さえつつ、あえいで艶美に身を痙攣させる。
アンリエッタは熱い吐息をふるわせながら、前のときよりは穏やかな、けれどじゅうぶんに衝撃的な快楽を堪能した。
ぷるりとした美しい唇の端から、よだれが垂れている。
「はふ、ぁうぅぅ……すご……きもちいいぃ……」
丁寧に指で『奉仕』されていく。
噴くものが無くなってきても、才人の指はゆっくり速さを落としながらぬちゅぬちゅ愛撫してくる。
温かい潮液がひんやりした煉瓦の床に小さな水たまりとなって、床に座りこんだ尻を水びたしにしてしまっている。それほど大量に噴かされた。
絶頂をゆるやかに長く引き伸ばされながら、アンリエッタは涙をにじませてぱくぱくと口を開けた。
「あ……あ、サイトどのぉ……」
ん? と名を呼ばれた少年が顔を見つめてくる。
押さえたドレスのスカートの下で、煉瓦の床と彼の手を恥ずかしくびしょびしょにしながら、幼な子に戻ったように甘えきった声を出す。
「くちづけ、くちづけを……」
命令というより、もはや完全におねだりだった。
才人が唇を深く重ねてくる。
絶頂に震える舌を優しく吸われて、アンリエッタの瞳がうっとりと切なげに揺らめいた。
少年の指で嬲られている腰がひときわ大きくわななき、最後の潮をぷちゅ、と漏らした。
…………………………
………………
……
一休みの後。
サウナ室の炉には、また火が入れられて大鍋の石が熱されだし、赤煉瓦の浴室では淫靡な遊びが続いている。
「これ、蜂蜜?」
才人は瓶に入っていたどろりとした液体を横目に見る。手は休みなく動いて、アンリエッタの衣装をややぎこちなく脱がせていた。
指で奉仕した後に命じられたのは、アンリエッタのドレスを脱がせて、瓶の中のものを少女の肌に塗ること。
言われるまま、湿気を吸って重くなっている服を脱がせながら、愛撫も加えていく。
「はい、ん、そうです、……くふ、そこの隅に置いてありましたから……お肌にいいのですよ、うふふ」
才人に肘まである手袋をくるくると剥かれ、蒸れていた手の指の股に舌をはわされているアンリエッタが、くすぐったいのか忍びやかな笑いをもらした。
そのかすかな笑い声の中にも、愛撫に応える切なげな響きがある。
ドレスを脱がせるのを手伝い、白いガーターベルトとニーソックスをはぎとっていく。
イヤリングや首飾りといった装身具以外をのこし、アンリエッタが生まれたときの姿になる。
完璧なプロポーションの裸身を惜しげもなくさらしながら、少女は厚い生地のバスタオルの上に、しどけなくうつ伏せで横たわった。
バスタオルは蜂蜜と一緒に浴室のバスケットに入っていたので、煉瓦の床にしいたのである。
「それをわたくしに塗ってください」
「は、はい」
少女のリラックスした声に対し、才人の喉からはなぜか緊張した声が出る。瓶をかたむけ、琥珀色の蜂蜜を手のひらにどろりとこぼした。
それをアンリエッタの肌に塗っていく。
白い陶器のようになめらかな背中の上から、肩の方へ。首飾りを避けてうなじまで首にも塗ると、今度は下へさがって腰、ぷるりと魅惑的なお尻の丘を通り、すらりと長い脚のほうへ。
ひざ裏からふくらはぎをぬるぬるこすると、ああ、と心地よさそうな少女のため息が聞こえてきた。
「あのう、前にも」
快さにたゆたう声と表情で、アンリエッタがゆっくり仰向けになる。
才人は瓶から直接、その腹から胸にかけての上に蜂蜜を垂らしていく。
「や、冷た……」
蜂蜜が少しひんやりしているのだろう。悲鳴寸前の楽しげな声をあげ、アンリエッタが艶かしく裸身をくねらせた。
蜂蜜を塗りひろげようと少年の手のひらがその肌をぬるぬるこすりだすと、たちまち声が切なげに乱れる。
「あ、くふ、ぁん」
大きな乳房に蜂蜜をまぶされてぬりゅぬりゅとこねくられ、先端の乳首がいっそう尖る。
細い首を絞められるように男の両手をかけられて塗りこめられ、やや圧迫される形になってわずかに苦しげにあえぐ。
首筋から胸元にかけてふたたび紅潮させながら、アンリエッタは顔を横に倒し、才人の股間を見た。
少年の肉棒が興奮しきってそそり立っているのを確認し、どこかうれしげにくすりと笑って、手をのばして指先でそれをもてあそぶ。
つ、つつくなよ、と思いつつ、才人は決まり悪げに顔をあからめた。
指で奉仕していたときから、とっくに自分のものは上を向いて勃起した臨戦状態である。ずっと治まっていない。いろいろとツラいものがある。
からかうような、愛おしむような手つきで肉棒を撫でているアンリエッタの伸ばされた腕にも、たっぷりの蜂蜜を塗りこめていく。
柔らかいわき、きゃしゃな肩、細くくびれた腰、すべやかで適度に肉のついた太ももなども同様に、琥珀色の天然のローションでコーティングしていく。
「くふぅ」
右の太ももを両手でつかまれてぬるーっと蜂蜜を引き伸ばされ、甘く鼻を鳴らしながら、アンリエッタが腰をたまらなげによじった。
その光景にごくりと生唾をのみつつ、才人はおあずけを食らっている犬同様のこっけいな悲哀をかみしめる。
(正直この状況で余裕ないんですけど、俺いつまで耐えてりゃいいんだろう?)
幸いにも、それからすぐおあずけは解除された。
蜂蜜を全身にまぶされたアンリエッタが、まだ夢心地という表情で床から起き上がり、余韻にとろけた艶麗な微笑を浮かべた。
「あちらの部屋へ、参りましょうか……?」
…………………………
………………
……
サウナ室の中は、熱気に満ちつつあった。
浴室につながる扉は閉められ、ふたたび石に水がそそがれてもうもうと蒸気が立っている。
白木の床板の上にバスタオルがしかれ、その上に才人は腰をおろしてアンリエッタから口づけを受けていた。
赤いランタンの光で照らされてもやや薄暗い室内には、ほどこされた魔法による風がめぐり、香気を放つ蒸気をめぐらせている。
薔薇とジャスミンとカモミール、乳香やシナモンやそのほかの香料も混じった、濃密で少しスパイシーに甘い芳香。
あえかな交歓の夜を演出する甘ったるい香気の中、アンリエッタは座った才人にしなだれかかって体重をあずけ、首に手をまわして火照った体と、唇を押しつけている。
「あむ……ちゅ、はあ……」
深いキスの合間の、情欲にまみれたあえぎを聞きながら、才人も朦朧としつつ考える。
(女の子って、キス好きだよなあ)
才人の、熱気に汗を噴く胸板に押し付けられたアンリエッタの乳肉は、くんにゃりとつぶれている。
蜂蜜にまみれたそれをぬるぬると押し付けてこすりつぶすように、いやらしく少女の体がうごめく。
眉を下げ、目をとじて切なそうにあえぐ愛欲に支配されきった顔で、彼女がまたすぐ才人に唇を重ねてくる。
「ん……はふ」
何がやばいって、この部屋と美少女が発散する色香に満ちた空気に当てられ、まだ挿入してもいないのに才人のものは暴発しそうなのだった。
すっかり急角度にはねあがって、アンリエッタのお尻に後ろから当たっている。
さすがに入れる前から出してしまうという醜態をさらしたくないので、才人はどうにかほかのことを考えようとする。
(サウナとして考えたらあんま暑くねえな、ここ……長く入ってられそう)
アンリエッタの腰に手をまわしてキスに応えながら、思考を必死にそちらにふり向けた。
日本にいたころ才人が経験した、酷熱という感じの乾燥サウナとは違う。
あれより気温はだいぶ低いだろう。立ち上り、風で室内を循環する蒸気で、湿度が非常に高く、それで汗が流れるのだ。
日本の最も蒸し暑い真夏日程度の環境である。
(考えればこういう蒸し風呂って蒸気サウナか……のどや鼻に優しい感じだよな)
アンリエッタが唇を離し、才人に抱かれたまま、横に置いてある持ちこんだ水差しを取った。同じく持ちこんだゴブレットに液体をそそぐ。
ほとんど蒸気の香にまぎれていたが、冷えた水からただよった芳香が才人の鼻にとどいた。
薔薇水だった。
女王陛下はゴブレットを口につけて傾け、それをそっと床に置くと、またしても才人に唇を重ねてきた。
口うつしで、レモン果汁の清冽な酸味もかすかに混じった薔薇水を与えられる。
水分補給ってことかな、と思いつつ、おとなしく才人はそれを飲み下した。
唇が離れると、互いの呼気から薔薇の馥郁たる香りがした。
「ふふふ」
汗を紅潮した頬に流しつつ、艶やかな笑みを少女がもらす。
アンリエッタは今度は、横に置いてあったもののうちから蜂蜜の瓶を取る。
中身をさらにどろっと、自分と才人の体の前面、つまり密着しているところに上からかけた。
そのまま腕を才人の背中にまわしてしっかり抱きつき、体の前面を密着させて、蜂蜜に覆われた自分の柔らかな肌を淫艶にくねらせ、ヌチャヌチャと泡だてるようにこすりつけてくる。
べとべとした蜂蜜は、蒸気と肌で温められるにつれて、さらりと溶けていく。
しっとりと肌に染みこんでいくような感触。
つぶれて柔らかく押し付けられるアンリエッタの乳房の先が、胸板にこりこりと当たる。
自分からこすりつけながらひどく感じているらしく、熱い肌から速い心臓の鼓動が伝わってくる。
少女の太ももに挟みつけられるようにまたがられていた才人の腰が、気がつくと別の種類の蜜でも濡れそぼっていた。
「ん……ん……」
そうしながら何度めか、アンリエッタが才人に口づけをした。薔薇水の甘酸っぱい味が残るキス。
ただよう花の芳香と、ときおり唇を離して少女の奏でるあえぎ声。
火照る円く柔らかな乳房や腰をすりつけられ、蜜まみれにされていく。
五感のすべてを刺激される状況に、才人はくらくらした。
(というか俺、限界)
まさしく限界だった。これ以上は、本気で暴発しかねない。才人は情けない声で懇願した。
「あ、あのー、そろそろ入れさせて」
「ふふ……」
アンリエッタは才人の肩口に頬をもたせかけて体をゆすり、密着の快感に陶酔していたが、才人の懇願を聞いていっそうご機嫌そうに表情をゆるませた。
「そうね……ならサイト殿は横になって。わたくしがしますから」
肩をそっと押され、才人はとまどいながらも期待して床に背中を倒す。
少女がひざ立ちで腰を浮かせると、その紅潮した内股と才人の下腹部の間に、ねちゃぁと糸が何本も引かれた。二種類の蜜で。
アンリエッタが才人の限界まで膨張した肉棒を手で固定し、そこに慎重に腰を下ろしていく。
「勝手に動いてはだめですからね、あ……ふ、くぅん、……ふぁ……」
自分も熟れきっていた膣内を押し開かれ、声をあげながらようやく男性器をすべて胎内におさめ、騎乗位でぺたんと座り込む。
すっかり下がっていた子宮口を、亀頭にぐっと押し上げられ、甘鳴きして達しそうになる。
才人の胸に手をつき、瞬時に膨らんだ官能をどうにか抑えた。
挿入するだけで乱れた呼吸をととのえようとしたとき、深くまでくわえこんだ肉棒がいきなり脈動しはじめた。
「え? あ、うそ、待ってっ、いま動いたら、あ、んんんんんっ……!」
「ご、ごめん……出しちゃいました……」
「あああ……あぁ、いくぅ……ふぁぁ……」
全身愛撫で限界まで高まっていたのは、アンリエッタも同様だった。
そこへもって挿入した直後に、子宮口に密着した亀頭にびゅるびゅると精液を吐きかけられた。
彼の精を受ければ達するようになるまで、たっぷり躾られてきた子宮が、あっさり反応して天国を見せてくれる。
勝手にうごめく秘肉が、精液を噴く才人の肉棒をにゅぐにゅぐと食い締めた。
アンリエッタは舌をこぼして甘くすすり泣き、全身の毛穴からぷわんと淫気を汗とともに放散させた。
才人の肉棒が脈動を止めると、ようやく硬直がとけ、少年の上にくてりと上体を伏せてぴくぴく痙攣する。
「す、スンマセン……限界だったもので」
「ぅ……ぁぁぁ……ばかぁ……」
涙声で怨嗟をつぶやいてから、無理やり体を起こそうとする。仕切りなおしするつもりだった。
が、絶頂の直後で腕に力がうまく入らず、あきらめて体の力をぬいて、くっつけ合った胸から互いの鼓動を聞く。
これはこれで、気持ちいいのだった。それに、一度膣内で出してしまった才人のものは、徐々にしぼんでいる。回復を待ったほうがよさそうだった。
肌を重ねて絶頂の余韻にひたりながら、香る蒸気の中でおだやかに汗を流す。
体感温度とリラックス感に毛細血管が広がり、血流がとくとくと速まっている。
媚薬の素材に使われることもある花々の香に包まれているうち、すぐに情欲がもどってきて、アンリエッタは熱い息を吐いてもぞもぞと身をくねらせた。
温まった蜂蜜でほどよいとろみのついた肌が、ぬらぬらすべるのはやはり心地よい。
ふと、重ねた胸で、少年の乳首も硬くなっていることに気づき、なんとなくそれに指の腹で触れ、くりくり転がしてみる。
「うひゃ」
すっとんきょうな才人の声があがった。
目を丸くして彼の顔を至近で見てから、少女はそれをつまんでくいくい引っ張ってみる。
「や、やめろって、姫さま」
少年の反応を見て、面白そうにアンリエッタは頬をゆるめた。
「殿方も、ここは感じるのですね?」
力の戻ってきた上体を起こす。
自分の乳首と少年のそれを重ねて、むにりと乳房をつぶし、またぬるぬると胸同士をこすり合わせる。
「うわ、くっ……!」
視覚的な効果も大きく、少年は反応した。
「あふ……わたくしの中で、また大きく……」
嬉しそうな、濡れた声でアンリエッタがつぶやく。
才人はちょっと複雑な気分である。
(今夜はほんとに俺が遊ばれてるなあ……この人すげえ楽しそう。いや、いいんだけどさ)
肉棒が大きくなった以上、再開するつもりらしく上体を起こして、アンリエッタが腰を少しずつ動かしだした。
才人の胸板に手をつき、軽く前後に腰をゆすってくる。
見る間にその表情がとろけていった。
「あふぅぅ……」
少女は二種類の蜜で濡れそぼった互いの恥毛をからみ合わせるように、時おり前のめりに恥丘のあたりをこすりつけていた。
肉豆をそうやってくにゅくにゅ刺激しているらしく、かすかにコリコリしたものを才人は感じている。
そのたびに秘肉が淫らにうごめいて才人の肉棒に奉仕してくるので、気持ちいいといえば気持ちいいのだが、腰の動き自体は決して激しくない。
先に二度出していなければ、正直じれったいと思っただろう。
まあ約束だし、姫さまに任せとこう、と才人は床に伸びたままそう考える。
その目の前で、ふよふよと乳房が重たげに揺れている。蜂蜜と汗でてらてらと乳肉が淫猥にぬらつき、ランタンの赤い光を反射していた。
興奮にしこりきったその先端からつぅと一滴、蜂蜜が糸をひいて落ちた。
「………………」
湧き上がってきた衝動をこらえかね、才人は手をのばして、柔らかいその肉をむにっとつかんだ。
「ひぁん! だめ、動いたらだめと……」
「ごめん、これいじらせてもらっていい?」
「……もう」
そうは言いつつもまんざらでもなさそうに、アンリエッタが右手で乳房を持ち上げ、かがみこんで才人の顔にその先端を近づける。
少年が肘をついて上体をやや起こし、ピンク色の乳頭に舌を巻きつけてちゅっと吸いあげる。
「う、ぁく……」
栗色の髪を揺らし、アンリエッタがあえかに震える息をつく。
きゅっ、にゅる、と不規則に蜜壺が肉棒を締め付けた。
うつむいたまま薄赤く染まったまぶたを閉じてあえいでいるアンリエッタを見て、才人は(あれ、もしかして)と気がつく。
吸っていた乳首を、前歯でねっちり甘噛みした。
「あ、なんで、わたくし……いやぁ……」
狼狽した声とともに、少女の体にさざ波のように細かな震えが広がり、つながった部分がぶるッと揺すられた。
膣道がきゅう、にゅるりと肉棒にからみついて包みこむようにしごいてくる。
自分もまたあっさり高まりそうになるのをあわててこらえ、才人はアンリエッタに問いかけた。
「また軽くイキました?」
その問いに、濡れてうるんだ瞳を揺らめかせながら、アンリエッタが顔を伏せてかすかにうなずいた。
健やかに上気した肌が、ぽうと熱を放っているようだった。
(あー、もうすっかり体が興奮しちゃってるんだろうなあ……
俺は出してある程度おさまったけど、姫さま続けるほどどんどん気持ちよくなっちゃう人だし)
でも面白くなりそうなので見ておこう。
そんな結論に達して、才人は上体を床に戻した。
しっとりと白肌のきめ細かい、ぬるんと滑る乳肉を両手でゆっくり揉みたててやると、アンリエッタがたまらなそうに眉を寄せて、男にまたがった腰をふたたび動かしだす。
ぬちゅり、ぬちゅりと音をたてて、熱くとろけた秘肉をまたしも擦り付けだした。
先ほどよりは速い。
…………………………
………………
……
石から蒸気が立ちのぼるのは止んでいたが、サウナ室はまだまだじゅうぶんに温度が高く湿気ていた。
唇と唇の間から漏れる少女の息も、熱く湿っている。
「あむ、……あむ……」
つながったまま、薔薇色に染めた上体を伏せて才人の口をまた奪いながら、アンリエッタはときおり口を離して、とろとろの甘い声を床や壁の杉材に反響させる。
すっかり理性を失ったように、しなやかな体を少年の上でくねらせ、最初に比べてじゅうぶん激しいといえるほどに腰をふりたてている。
その動きがぴたりと止まって、直後にぶるぶると尻からうなじにかけての背が震えだす。
「んんんむ……!」
体の深奥から灼く官能の火を抑えようとするように、アンリエッタがどこか悲壮に才人の首にかじりついて深く口づけする。
何度目かの絶頂に達した少女を床から抱きとめながら、才人もそろそろ四発目が来そうだと考える。
三発目を、先ほど出してしまっていた。
動きを止めていたアンリエッタが、また何かに追い立てられるように、少年の上に伏せたまま腰をゆるゆる回しだした。
「ひ、姫さま、ちょっと落ち着いたほうが」
「あああ、おかしいっ、とまらないぃ……」
蜂蜜で滑るまいとするように才人に強くしがみつき、とろけきって夢中で腰を振りながら、アンリエッタは苦しげな声を出した。
「ひんんん、おかしいのですっ、何度気をやっても、腰の奥がぁ……」
情欲がまったく治まってくれない。何度も達しているのに、子宮がそのたびごとに前よりひどくうずいていくようだった。
原因はたぶん、浅い絶頂にしか達することができないからだった。感じすぎてくると、奥のほうを自分で刺激しようとしても、腰が勝手にびくんと上にはねて逃げるのだ。
そのくせ動きを止めようとしても、肉の歓楽に焦がれたように少女の腰は動きつづける。
「ああぅ、はやく満足してええ、わたくしのからだぁ……」
若々しい尻がふりたてられるたびに、どろどろになった秘肉が、雄の精をねだる牝そのものの動きで濃淫に肉棒に奉仕し、じゅぷじゅぷ卑猥な水音をたてている。
終わりの見えない官能の沼で溺れながら、アンリエッタは苦しい快楽に半ば泣きながら少年にしがみついて腰をうごめかし続けた。
耳元ですすり泣かれ、姫さま辛そうだなあ、と才人はぼんやり考える。
サウナ室の壁の丸太と床の板はともに杉。爽やかな匂い。
それを圧倒するのは、むせかえるほどに濃密な甘さをたたえた、官能的な夜を演出する蒸気の芳香。薔薇やジャスミンの香は媚薬の素材にも使われる。
赤いランタンの火に淫艶に光る、蜂蜜と汗でしっとりとろみを帯びた少女の裸身。
少女がそれだけ身につけている真珠のイヤリングと銀細工のネックレスも、ランタンの弱光にきらめいている。
熱くひたすら甘く、すべてが妖しい官能のために存在するような空間だった。
幻化の夜のまどろみに、淫魔のつむぐ夢のよう。
すべてが濃厚すぎて逆に朦朧とさえしてくる。
救いを求めるような必死さのある口づけを受け、薔薇水の香のするアンリエッタの口を吸いながら、才人は茹だった頭のまま、少女の腰に腕をまわした。
滑らないようにしっかり細腰をつかみ、肉棒の先が奥の子宮口をちゃんとくじるように下に引きおろす。
根元まで肉棒が秘部に埋まり、亀頭が子宮を押し上げると、アンリエッタが身を深くわななかせた。
「ぁ、……ぁぁ……うぁぁぁ、うう……」
勝手に動いて姫さま怒らないかな、と才人はぼーっと考えるが、アンリエッタはむしろ助けとばかりに、震えながらも自分で奥を刺激していく。
「お、押さえててくださいまし……そのまま」
そう言うと少女は腰を深く沈められたまま、前後にゆすってくる。
ただ、その動きは弱々しいものだった。少し動かすだけでびくびく尻がはねそうになっている。
くちくちと淫らな水音がひびき、ほどなくアンリエッタがぎゅーっと才人にしがみついて鳴く。
「ひあ、あく、う、イクぅ……イきますっ」
達した後、体の力を抜き、突っ伏すようにして完全に体重を少年にあずける。
唾液を唇からこぼしてあえぎ、早鐘を打つ鼓動を才人に伝えていた。
……が、すぐまたこらえかねたように腰がねっとりうごめきだす。
アンリエッタは子宮のうずきに耐えかねて泣きそうに顔をゆがめた。湯気のように全身から濃い色香というか淫気をたちのぼらせつつ、少年に哀願する。
「たすけてぇ……」
「たすけてって言われても、どうすれば……」
困惑している才人に、アンリエッタは震える声で告げた。
「動いて、いつものようにして」
ちょっと考えるように才人がぼんやり宙を見つめ、それから身を起こした。
一回抜いてから、ころんと体勢を入れ替え、アンリエッタを組み敷く。
そのまま問う。
「いいんですか?」
紅潮して情欲に濡れきった表情をわずかにおののかせ、アンリエッタはごく、と喉をならした。
戦慄とともに、なにか被虐的で淫らな期待があった。とくとくと子宮が脈打つ気がする。
内奥で燃える火に言わされるように、口をひらく。
「かまいませぬから、あなたが終わるまで、最後までして、
いつものように、狂わせて……」
どうにも気をのまれたように、それでも十分に情欲を刺激された声で、才人が受諾した。
「え、ええと……じゃ、たしかに命令されましたってことで」
正常位のかたちで、黒髪の少年が体をかさねてくる。
同時に脚を開かれ、淫らにほころびた陰唇を割って、一気にアンリエッタの奥まで肉棒が入ってきた。
熱くからみついて引き込むように締まる蜜壺をえぐるように、何度も抜き差しして奥をたたき、子宮を揺らす。
しょっぱなから乱暴な責めだったが、浅く達し続け、すっかり準備のととのっていた少女の体はさぁっと薔薇色に染まって反応した。
「ああああああううぅっ」
悲鳴か歓喜の声かわからない叫びをあげて、アンリエッタは才人に下からすがりついた。
重すぎる快楽に、体が勝手に逃げようとしても、男にしっかり組み敷かれている。
待ち望んでいた、自分ではどうしてもそこまで行けなかった境地にやすやす到達する。
「や、やああ、もうイきますぅ、んん、あああ、あああああっ」
すっかりいつもの『躾』に戻って、脳裏まで白く塗りつぶされながらアンリエッタは躾けられたことに忠実に、絶頂を申告する。
はっきりと確認できたのは、自分の体はこの強烈な快楽をすりこまれてしまっているということ。
与えられることでしか、完全には満足できない体になっていた。
子宮口を執拗に小突かれ、絶頂が終わらないうちに次の波が来た。
慈しむように亀頭で子宮口をこねまわされ、幸福感さえ伴うほど深く達してじんわりと脳裏をとろかされ、あえいで涙をこぼす。
休ませてもらえずグチュグチュと激しく抽送され、絶頂にはねる子宮を追いたてられ、ずっと高いところにつなぎとめられる責めを受ける。
喉を反らして切れ切れに鳴いていると、今度は才人の側から唇をふさいできた。
もう悲鳴を上げることもできず、アンリエッタは深く達し続けながら無意識に、自分の両脚まで才人の腰にからめて、慈悲をこうようにしっかりしがみついた。
だからといって容赦してもらえるわけでもなく、ひたすら犯してくる雄の動きを受け入れることしかできない。
むしろ、結合が深まって犯されるのに最適な格好になってしまう。
赤い弱光の下、熱い甘香の中で男に嬲られつづけ、全身の毛穴を開いて噴く汗とともに、べとべとからさらさらの感触に近くなった蜂蜜が流れていく。
短い時間のうちに何度も深く上りつめさせられ、濃厚な官能でグズグズに溶けていく。
少年が重ねた口の奥で小さくうめきをもらし、ぶるりと震えてからアンリエッタの奥で、四度目の精を放出した。
放出しながら、腰をそらすようにして奥に押しつけてくる。
少女の焦点が合わなくなっていた目が一瞬見開かれ、それからゆっくり快楽に濁っていく。
痙攣する子宮にこってりと精液を注がれ、子宮口を亀頭でくりゅくりゅぬるぬると撫で回されて、アンリエッタは口をふさがれたまま、淫蕩にとろけた瞳から涙をぽろぽろこぼした。
自分の名前さえ思い出せなくなるほどの深い絶頂に達していた。満たされきると、本能的に幸福感が極まり、涙が出てしまう。
女に生まれてきて本当に良かった、と思うほどの濃密な悦びだった。
才人にしがみついて精を注がれながら、唾液を口移しで与えられ、こくこく喉を鳴らして従順に飲みこむ。
上下の口で少年の体液を飲み下しながら、(もう、離れられない)とどこかでうつろに認識した。
…………………………
………………
……
サウナ室から出て、浴室に戻っていた。
湯を頭からかぶって、二人とも髪から濡れている。
「くちゅ、ん、はふ、ちゅ」
アンリエッタは壁によりかかっている才人の前にしどけなく横ずわりになり、桜色の唇と舌で丁寧に奉仕していた。
快楽の余韻で甘ったるく腰がしびれているため、お尻をぺたんと赤煉瓦の床につけている。
「あ、出る……!」
才人がこらえかねたように小さく叫び、アンリエッタがねぶっている肉棒がはねた。
うっとりした目で、少女はそれを吸い上げる。口内で、舌が波うつように妖しくうごめき、精液を放出しようと脈打ちだした肉棒を裏筋の側からぬりぬりとこする。
少年の精液を飲みながら、淫熱で薔薇色にそまった裸身をわずかにふるわせる。
「ご、五度目出ましたよ……」
才人が背中でもたれかかっていた壁から、ずりおちる感じでへたへたと座り込む。
アンリエッタがゆっくり追うように少年の脚の間に入って、ハート型の尻をかかげて獣のような格好になった。
男のものを、温まってふんわりした乳房の谷間に包み込む。
ぽうと熱を持った瞳をゆらめかせ、谷間から出るぬめった亀頭に、ぺちゃりと舌を這わせる。
「ちょ、姫さま!」
「だめですよ、サイト殿。この前は、六度も出したではありませんか。五回はわたくしの中で」
「い……いや、はは……あれは調子に乗りすぎたと思いマス。あの、許してくれませんか、そろそろ出すのはきつくなってきてまして……」
「いつもわたくしがどれだけ泣いても、許しを請うてもやめてくれなかったくせに……」
蜂蜜を塗った効果か最上級の絹のようなしっとり感が増した乳房で、肉棒をはさみこみながら、脚の間から恨みがましさをこめて才人を甘くにらんでくる。
「これからも、そうやって弄ぶつもりのくせに……」
睦言も同然の恨み節をつぶやきながら、胸ではさんだ小さくなりかけている男のものを揺すりたてて勃起させようとしてくる。
ちゅ、ちゅと亀頭にキスし、男の尿道口をすすり上げて舌の先でくりくりする。
(ひ、姫さま些細じゃなくてかなり恨んでたんだな……)
ヤベエ、と才人はサウナでさっきまで流していた汗とは別の汗が背筋をつたうのを感じた。
こともあろうに節操のない自分の息子が、アンリエッタの匂いたつような媚態に刺激されて復活してきている。
「あふ……良かった、大きくなったわ」
乳房ではさんだまま、アンリエッタが濡れて落ちかかった髪をかきあげて艶麗に微笑する。
牝獣のポーズで這いながら、座り込んだ才人のものをぴちゃぴちゃと音をたてて舐めだした。
甘美な復讐の夜は、どうもまだ終わりそうにないらしい。
もう完全に酒ではなく官能に酔っているらしきアンリエッタが、胸と舌で愛撫を加えながらささやいてくる。
「ぴちゃ、んちゅ、今宵はわたくしの夜だと言っておりましたでしょう。ですから、あなたがいつもわたくしにしてくれることを、少しでも味わってもらわないと。
だから、まだまだいっぱい気持ちよくなってくださいまし、ね……?」
…………………………
………………
……
次の日。出立の時間。
女王に自慢のヴィラをあてがったこの地方の名士が、割れ鐘のような声で大笑している。
見送りに来たところアンリエッタに、『素晴らしい邸宅でした』と褒めちぎられたのだった。
その男と談笑している女王を見つめながら、控えているルイズがつぶやいた。
「なんか姫さま、顔色がつやつやしてるわねー。すっごいご満悦の笑みだわ」
「そうだな……」
無表情で抑揚もなく指摘しているルイズの横で、顔色悪いというわけではないがどことなく元気が無い才人が適当に相槌をうった。
不機嫌そうに鼻をならすルイズを淡々と流す。危険回避の技術というよりは、単に体力と気力を失った結果である。
蜂蜜のせいかなんなのか、肌の調子だけはアンリエッタと同じく好調なのだが。
けっきょく昨晩、七発出したのだった。もう煙も出ない。
……あの人に主導権取られたら、搾りとられる感じになるんだな……と、しみじみ学んだ才人である。
注・酒気を帯びてのサウナは回避推奨です。激しい運動もお控えください。
176 :
ボルボX:2007/10/15(月) 06:46:47 ID:dHx9vEdW
>>157でエラー出たので、うろたえてレス挿入すんません。ageてるし・・・orz
アン様ロイヤルでビッチな属性、本領発揮ーな感じを狙ってお送りしました。まあビッチかはともかく、積極的なとこはある人だよね。
今回は甘エロ心がけてみますた。通常営業している低温サウナはたしか60〜80度前後くらいの気温ですが、SS中の蒸し風呂はもっと低い温度の設定。
余談ながらベネルクスやドイツ含む北欧諸国では、サウナは全裸で混浴が普通と申します。氏ねばいいのに(ぁ
>>176 激しくGJJJJJJ
オレもアン様に搾り取られたいお・・・
ったく…朝っぱらからEROすぎ!アンリエッタ専属職人は恐ろしか!
こんなにエロくてトリステインの明日や如何に
これから仕事行くのに見るんじゃなかったwww
やべぇ遅刻するwww
まぁいいや、しかし、GJである
エロいってかもうウハウハですよ!?
もう女の住人全員娼婦でいいよ
>176
やはり
ボルボの師匠は
エロイ
な
朝からすごいの見せられて枯れちゃうかと思ったよ
次はまた凌辱ネタでおながいしまつ
>>176 GJ!!です。朝からいったいなにごとかと w
仕返ししようとするアンリエッタかわいいよアンリエッタ
ただのMじゃなくて、「攻めようとするんだけど、やっぱり受け」なとこがイイ!!
そろそろ姫様孕みそうだなw
水魔法で避妊薬つくってるんじゃねw
バスタードかよwwww
相変わらずここの職人方のエロッ気ムンムンパワーはスカウターがぶち壊れるほどだぜ。
GJ!
姫様のフェロモン排出量はそろそろ国際条約で規制対象。
>>187 アン「規制を上回った分は他の国から買い取るので問題ありません」
上回った分も他国から買い取って倍率ドンか!
GJ!
>>182 縦に読んだらなをかあると思ったがそんなことなかった
>>64 なんか親子丼しまくってるNice Boat!の主人公を彷彿させるなぁ・・・。
ルイズ親子、アン親子、タバサ親子くらいか。シエスタって母親いるのか?
父親は出できてるが・・・。案外テファの母親も生きてたりしてな
>>184 せんたいさん正史じゃ既に孕んでるがなw最近の姫様はエロすぐるw
サイトがアン様孕ませたらその子はどうなるんだろうか
相手の身分が違いすぎるから過酷な運命が待ち受けていそうだな
二人の性欲が加算、いや乗算されて、最強の淫乱娘が生まれる。
父親に目一杯調教されて、各国の重要人物をベッドの中で垂らしこむ枕外交を連発。
こうしてトリステインはハルケギニア最強の国家になったのである。
……というSSを構想していた時期が、僕にもありました。
>>192 この三ヶ月、姫様のエロさが最高値を更新し続ける毎日です。
>>193 それでも、どこぞの王族とエルフのハーフよりはマシだと思われ
>>193 そうなったらもう結婚するんじゃね?
そしてアンを正室にしてルイズを第二妃に迎えて、平民でも実力次第で出世出来ることのアピールにシエスタを第三妃に。
さらにガリアとの国交維持のためにタバサを第四妃、同じくエルフとの関係改善のためテファを第五妃に…
>>199 なにこのハーレム計画wwww
本家でありそうで怖いなw
>>200 本家でやる前に、確実にここで投下されるぞ
多分複数
>>199 割と円く収まったなw
それで一節お願いしますwww
203 :
名無しさん@ピンキー:2007/10/15(月) 21:20:01 ID:VXFMCWAY
春の使い魔召還でティファニアがサイト
を召還するとか思いついたが文章にできない
>>196 せんたいさんの犬アン様もエロかった・・・。資源を枯渇させる気かw(色んな意味の)
>>199 それなんてランス・ゼロ?w
>>201 確かもうあった気がする。6Pの奴が。
>>199 >平民でも実力次第で出世出来ることのアピールにシエスタを第三妃に。
いったい何の実力だよ、何の!!
>>199 そしてシエスタが黒化、という
このスレではお約束の展開に www
>>148 感動した!!
お礼に絵をネタに書いてみた。乱文ですんまそん。
Pinkish bride
色とりどりのガラスが輝くステンドグラス。その色ガラスの輝きがくすんでしまうくらいに眩しい純白のドレス。
桃色のブロンドを包み込むレースのヴェール。そのブロンドには白く輝く宝石がちりばめられたティアラがちょこんとのっている。
小柄なその身体に持て余すくらいの黄、赤、ピンクの薔薇が束ねられたブーケをしっかりと持っていた。
あまりにも美しい姿に見とれていたのが気づかれたのだろうか。白い妖精となった彼女が振り返った。
ピンク色に頬を染めその鳶色の瞳には、今から始まる宴にすでに感動してしまっているかのように
うっすら涙を湛えている。そして満面の笑みでルイズが俺の名前を呼んだ。
「サイト----」
>>148 それ注文したのきっと俺だ
遅くなったけど、トントン
>>176 なんたる破壊力!すごすぎ。GJ
ロイヤルビッチってすげーんだな
>>211 考えてみればすごい造語だが、実はネット界隈ではすでにそこそこ広まってる言葉なんだな
Google検索
ロイヤルビッチ に一致する日本語のページ 約 2,340 件中 1 - 10 件目 (0.42 秒)
てか一番上に来るのがアンサイクロペディアかよw
213 :
名無しさん@ピンキー:2007/10/16(火) 08:13:36 ID:jnWNij4Z
>>209 GJ!!
と言いつつそのまま初夜まで書きやがれ!!
と全裸で土下座して頼んでみる
あげスマンorz
あれだ、七万の軍に素っ裸で突っ込んでくる
変態が状況に順応するのは早かった。wwww
>>176 あんたのは誤字も少ないし、読んでておもしろい。
そろそろアンリエッタに孕ませてほしいんだがwww
何はともあれ、ぐっじょぶ。
ボルボ氏のアン様は別格だよなぁ
文体も読みやすいし…アン様エロいし…
ひとつひとつがそれなりに長くて長編好きだから読みごたえあるし
何が言いたいって、つまりはGJ
これでボルボさんがアン様似のオニャノコだったら、
いやオニャノコに違いないw
アン好きの俺にとって神>ボルボ氏
またねっとり凌辱エロを書いてくださいよ
アン様孕ませENDの前に
サイトへのアン様授乳ロイヤルミルクプレイきぼん(w
>>219 逆じゃね?
神<<<<<<<ボルボ氏
ではないのか
矢印にしようと思ったんだよ!
ついだよ!わざとだよ!
>>222 矢印?
神→ボルボ氏
イミフだな
神=ボルボ氏
ならわかるが
ってか、わざとかよ
ロリコン∽へんたいさん
鬼畜≡ボルボ氏
->ってやろうとしたんだろ
ちょっと昔のプログラマくらいしか使ってるの見たことないが
レスアンカーのことだよ!もういいよ!俺が悪かったよ!
アン様のドレスの下はノーパンで魔法でくねり続けるバイブを押し込められた上に
皮製の貞操帯で封じられ外すことはできず
アンリエッタが絶頂に達しようとすると途端に停止してしまうそんな魔法のせいで
今朝からずっと快楽の極みに達しそうで達せずにいる
そんなアン様を妄想してるから許してくれ
そんな妄想されたら許すしかないじゃないか
>>219はあれだろ。
例の件はアレで良かったんですよね?>佐々木さん
の「>」
アン様凌辱エロにハアハアします。
してるのがサイトだったりしたらもっとハアハアします
>>226 しまったぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあ!!
レスアンカーって考えがなかったぁぁぁぁぁぁあ!!
スマン
>>226 お詫びにやっぱり真っ裸で七万の軍にツッコンでくる
ていうか一日で二回も裸で七万の大軍に突っ込む
>>230って……
猛者なのか、ただの変態なのか
一回目を生きて帰ってきたのなら、英雄という可能性もあるw
I am the bone of my anrietta
丸腰だから最強だ〜♪
一日で二回も裸の七万の女軍に突っ込む
>>230って……
ただの変態?
スカウターが…割れた…
保管庫更新されてるな。261氏乙。
>>241さん ……ごめんなさい、自分じゃないです。
あ、違いましたか。こりゃまた失礼。
なんかわからんが吹いた
テンポが昭和の会社員wwww
キャラCD聞いた奴いるか?
空はどこまでも青く晴れ渡り、高空を甲高い声を上げて名も知らぬ鳥が飛んでゆく。
それは昼食には少し早く、かといって朝食には遅すぎる時間の出来事。
トリステイン魔法学院の南門に、一台の馬車がやってきた。
それはしっかりしたつくりの黒塗りの四頭立てで、中に乗る人物がそこそこの身分の者であることがうかがい知れた。
馬車は昼の交代時間を直前にした門衛の前で止まると、その重厚な扉を開いた。
門衛はそこから出てきたものを見て、一瞬動きを止める。
まず、最初に現れたのは赤銅色のごつい手。指の一本がドアのノブくらいある。
次に、出てきたのは角ばった頭。申し訳程度に天辺に鳥の巣のような茶色い毛が生えている。これまたオーバーサイズで、かろうじて理性を感じられる引き絞られた口許がなければ、オーガと間違えられるだろう。
そして最後に、身体がでてきた。どうやってこの馬車の中に入っていたのか、頭頂部は頭一つほど馬車の屋根から飛び出ている。
門衛は頭の中で、即座にこの目の前の物体に対して名前を付けた。「メイジの格好をしたオーガ」。
そのオーガはなんと礼儀正しく御者に礼を告げると、馬車の後ろに積んであった荷物を手に取る。
荷物は木製のトランク一つだけだったが、そのオーガとの対比を見ると、そのトランクは、門衛自身がまるまる入るほどの大きさがある事が分かった。
オーガはトランクを手にしたまま、のしのしと門衛に近寄ってくる。
く、食われる…!
本能的にそう思ってしまい、思わず身をすくめる門衛。
しかしオーガはにっこりと笑顔を門衛に向けると、大きな声で言った。
「新任教師、ロナ・アルベルト・シモンズである!学院長どのはおられるか!」
その名は、確かに来客予定リストの中に入っていた。
ロナ・アルベルト・シモンズは、トリステイン王国辺境の、ギルフォード伯爵領にある『ギルフォード私設魔法学院』で教鞭を振るう、優秀なトライアングル・メイジである。
その授業はとてもわかりやすく、しかも人柄もよいので、ギルフォード領外にも、その名前は知れ渡っていた。
当然トリステイン魔法学院の学院長たるオールド・オスマンの耳にも、彼の名前は届いていた。
機会があれば、彼を呼び寄せ、一度この学院でも教鞭を振るってもらいたい、そう思っていた。
そのチャンスが、ついに訪れたのである。
ギルフォード伯爵が、先のアルビオン戦役に出兵するために、魔法学院を解体してしまったのである。
元々ギルフォード魔法学院は、軍部の幹部の一人であるギルフォード伯爵の私設軍に入れるためのメイジを育てる場所であった。
それが、先の戦役によって急な戦力の増強を迫られたため、教師・生徒を問わず、兵役に駆り出されたのである。
ついでに守銭奴としても名の通っているギルフォード伯は、学院の閉鎖を決定してしまったのだった。
それを知ったオールド・オスマンは、戦役が終わるやいなや、ロナにトリステイン魔法学院で教鞭を振るう気はないか、と打診した。
返事は二週間の時を経て、ロナがその気である事をオスマンに伝えた。
そして、いよいよオスマンはロナと顔を合わせたわけだが。
「いやあはっはっは!なんとも立派な塔ですな!」
目の前で大口を開けて笑いながらそう言う大男が、ロナであるとは未だに信じられない、いや信じたくないオスマンであった。
名前の響きとあまりにもギャップがありすぎる。門衛が、『メイジの格好をしたオーガ』と評したのもむべなるかな。
「えーと…それで、ミスタ・シモンズはギルフォード魔法学院ではどのような授業を…?」
不審の視線を隠そうともせず、オスマンはロナに尋ねた。
実物を目の前にした今のオスマンには、あの評判が急にマユツバに思えてきたのだ。
「ロナ先生、とお呼びください」
必要以上に白い歯を輝かせながら、満面の笑顔でロナはそう言った。
オスマンはうんざりしながら、
「…ではロナ先生」
と訂正した。
「お答えしましょうっ!」
意味もなくガッツポーズなどとりながら、ロナは応える。
「ぅわたしの授業は実践を大事にしておりましてな!理論よりもまず実践!論より証拠!案ずるより産むが易し!玉砕覚悟!
とりあえず生徒に一つでも多く魔法を使わせる!これです!失敗してもいい、逞しく育って欲しい!」
「…はぁ」
ロナの拳がどん!とオスマンの座る豪奢な学院長専用の机を叩く。
この机は魔法で強化されており、トライアングルクラスの魔法でないと傷もつかない。
しかしオスマンは、ロナの拳の勢いのよさに、この机が割られてしまうんじゃなかろうか、と錯覚してしまう。
「書を捨て町に出よ!そこにこそ真実はある!とそうわたしは教えております!
まず見て!感じて!放って!受け止めて!拳を交わして!己の拳を真っ赤に燃やして!そして真実をつかむのです!」
ぶぉん!と拳を奮って熱く語り続けるロナ。
拳圧で学院長室のカーテンとオスマンのヒゲががふわりと揺れる。
「書の中で得られる知識だけでは血肉にならぬ!己の肉体で感じる魔法こそ真の魔法!
鍛えよ肉体!震えろ魂!己の血潮を真っ赤に燃やせ!点せ平和の篝火を!始祖もこう言っています『手は手でなければ洗えない、得ようと思ったらまず与えよ』と!」
振り回された拳が今一度学院長の机に叩きつけられる。
並の火球の呪文ではびくともしないその机が、みし、という音を立てたのをオスマンは聞き逃さなかった。
まあ言っている事はおおむね間違いではない。
情熱が多少空回っている感はあるが、基本的にいい人のようだ。
オスマンはそう感じ、ロナに明日から授業をしてもらうよう話をしようとしたのだが。
「おお、あれは生徒たち!今行くぞ先生がその熱い情念を受け止めてやろう!」
窓から中庭を見て、生徒の集まっているのを見たロナは、学院長室から飛び出していったのだった。
オスマンはしばらく呆けていたが、気を取り直して移転の書類に判を押した。
どうやらロナを止める気はないようだった。
「はー、いい天気じゃのー」
ボケた老人の演技も忘れない。
屋外で授業の真っ最中であった生徒たちは、突然現れたモンスターに色めきたっていた。
「はっはっは。照れなくてもいいんだよ!生徒たち!」
大きく手を広げて何か唸っているが、よく意味が分からない。
とりあえず女生徒たちは男子生徒の後ろに下がり、安全を確保している。
「はっはっは!どうした!遠慮なくこの胸に飛び込んできたまえ!」
人語を話すという事は、それなりの知性を持っているという事だ。
ということは、会話による交渉が可能という事。
無謀にもこのモンスターに交渉を挑んだのは…当の授業担当者、コルベールであった。
「な、なんだね君は!」
「おお、すまんな紹介が遅れた!わたしの名はロナ・アルベルト・シモンズ!
オールド・オスマンに招かれた、新任教師であるっ!」
言って大きく胸を張るモンスター。
新任教師?どうやら人間だったようだ。
「そ、そうだったんですか。ええと…ミスタ・シモンズ」
「ロナ先生とお呼びください!」
王城の扉よりも分厚い胸板をどん、と叩いて、ロナは言った。
コルベールはあまりの弩迫力に、思わずその言葉に従ってしまう。
「じゃ、じゃあロナ先生?い、今は授業中でして…」
「おおそうでしたか!これは失敬!」
言ってロナはぎゅるん!とその場で半回転すると、生徒たちに背を向けた。
そして、顔だけ振り返って赤ん坊の腕くらいありそうな親指をびしぃっ!と立てて言った。
「それじゃあ生徒たち!わたしの授業を楽しみにしていたまえ!あーっはっはっはっは!」
そして満面の笑顔で、やってきた時と同じように砂埃をたてて嵐のように去っていった。
コルベール以下、生徒たち全員が、同じような表情をしていた。
今のはなんだったんだ、と。
しかし意外な事に。
ロナの授業は生徒たちに好評を得ていた。
確かに彼の見た目はどう見てもオーガで、声も馬鹿でかく、しかも暑っ苦しいしゃべり方をするので、最初のうちは生徒たちも鬱陶しがっていたが。
「いいかい君たち!人という言葉は、まだ人と言う概念のなかった大昔の『支えあう』という言葉から来ているのだよ!」
とか、
「はっはっは!いくらでもかかってきたまえ!先生は逃げも隠れもしないぞう!」
とか、
「そう、今、君の中を駆け巡っているその感情…それこそが『愛』だよ!」
暑っ苦しい顔から発せられる背筋を猫じゃらしで撫でられるようなむずがゆいセリフは、堅苦しい貴族の世界で生きてきた生徒たちには、えらく刺激的であったのだ。
「先生っ!俺、間違ってたっ!」
「私…私、もう一度頑張ってみる!両親を説得してみせる!」
「これはっ!トリステインのっ、人間のっ、いや、俺の魂だぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
生徒たちも感化されまくり、授業中に飛び交う無駄に熱いドラマとセリフ。
「…なんじゃこりゃ」
休み時間を告げる鐘の音が鳴っても、熱血青春ドラマは止まらない。ちょうど今、ちょっとワル気取りの生徒が『優しさってなんだろう?』と諭されているシーンだ。
それを才人は横目に見ながら、教室の反対側の隅で同じように退屈そうにしているルイズを見た。
ルイズとは、タバサの一件以来、話もしていない。ていうか、部屋にも入れてもらえない。
仕方ないので才人はここ数日、タバサの部屋にお世話になっている。
何度かルイズと接触を持とうとはしてみたものの、ルイズは徹底的に無視を決め込んでいた。
今回はどうやら本気で怒っているらしい。今日もルイズに接触するべく、ルイズの選択しているこの授業の終了を待って、教室に潜入したのだが、彼の主人は全く聞く耳を持たなかった。
そんなルイズと、偶然目が合う。
即座に視線を逸らされた。
…どーしたもんかねー。
そんな才人の後ろで、教室のドアが開く。
そこに顔を出したのは、タバサだった。
ちなみに彼女はロナの授業の科目を選択してないため、彼を見るのはこれが初めてであった。
タバサは教壇で繰り広げられる、『俺っ、俺っ、先生みたいな先生になるっ』『ソレは違うぞ!お前はお前だけの道を往け!』『せ、先生ィィィィーっ!』『何も言うな若人よっっ!』とかいう寸劇を、いつものような醒めた目で見ていた。
「お、そっちの授業終わった?」
教室に満ちる汗苦しい雰囲気と、ルイズの視線にいたたまれなくなった才人は、タバサを振り返る。
タバサは教壇で生徒をベアハッグにしている筋肉の塊を杖で指して、才人に尋ねた。
「…なに?アレ」
「…なんか新任の先生らしいぜ?妙にみんなのウケがいいみたいでさ」
才人は正直このノリについていけない。
才人は肩をすくめて、そう応えたのだった。
「…名前は?」
「聞いてどーすんだよ」
「…あんな暑苦しい雰囲気のひとにはあまり近寄りたくないから」
タバサもなるべくならあんなのの授業はごめん蒙りたい、と思っていた。
名前を聞いて、彼の授業をなるべく選択肢から外そう、そう思っていた。
「…たしか、ロナ・アルベルト・シモンズだったかな」
その名前を聞いた瞬間、タバサの表情が固まる。
いや、普通の人間が見ても分からない程度の緊張であったが、タバサと深い関係にある才人には、その変化は一目瞭然であった。
次の瞬間、才人の心にタバサの声が響く。
…黙って教室から出て。今すぐ。
才人はなんじゃらほい、と思ったが、タバサの心の声は真剣だった。
才人はタバサに続き、教室を出る。
そんな二人を、ルイズの刺すような視線が見つめていたのだった。
…どーしたんだ一体?
才人は心の声でタバサに尋ねる。
タバサの心の声からこれがただならぬ事態なのだと感じた才人は、声を出さずに彼女に従っていた。
教室からしばらく離れた渡り廊下で、タバサはようやく応えた。
あれは、ロナ・アルベルト・シモンズ本人じゃない。
その言葉に嘘偽りはない。
心を通じて伝えられる言葉は、常に真実だった。
才人は驚き、思わず軽く声を上げた。
しかし周囲に人は居ないため、誰にもその声は届かない。
なるほど、それでここまで何も言わなかったのか。
才人はタバサの機転に感心する。
じゃ、アレは誰なんだ?
才人は、タバサに従い、心の声で会話を続ける。
いかに人の居ない場所とはいえ、不意に人が現れるかもしれないのだ。
こういった重大な事を含む話は、なるべくなら外部に漏れない方がいい。
…わからない。けどロナ・アルベルト・シモンズでないことは確か。
どういうことだ?シャルロットは本人を知ってるのか?
才人の心の疑問符に、タバサは応える。
知ってはいない。でも、話に聞いた事はある。その話では、ロナ・アルベルト・シモンズは、女教師。
才人は再び、驚きの声を上げた。
つまり、彼はなにがしかの目的でロナを名乗り、魔法学院に教師として潜入してきた、ということである
一体、何が目的なんだ?
才人の再度の疑問に、タバサは応えた。
わからない。
でも、身分を詐称して潜入しているということは、トリステイン貴族の子息の誘拐か、もしくは学院の破壊か、もしくは、学院で管理するマジック・アイテムか。
いずれにせよ、真っ当な人間じゃないことは確か。
そして二人はいつの間にか、教師たちの集う職員棟の前にいた。
「どうする?知らせるか?」
才人は、今度は言葉で尋ねた。
具体的な単語を出さなければ、声に出してもいいだろう。
タバサは才人に則り、声で応える。
「…今はいい。もう少し様子を見る」
そして、タバサは心の声で続ける。
…ひょっとすると、単に教師をしたかっただけかもしれない。
才人は妙に納得してしまった。
あの妙なノリ、たしかに教師を夢見てでもいない限り、ありえないよな…。
しかし、その考えが甘かったと、二人は後に後悔することになるのだった。
はい、今日のところはここまでー。
たぶん後半もエロ抜きになるので期待しないほうが(ry
ではではノシ
三日ぶりに来てみれば、またせんたいがwww
とりあえずGJです。
二番手GJ変態!
暑苦しいキャラはムキムキマッチョの特権だな
タイトル見て不意に才人が手を合わせて闘う戦闘もののSSかとおもた
せんたいさんクジョーブ
せんたいさん、GJです!
ロナ先生、熱血マッチョなギャグキャラかと思いきや、何やらうさんくさいところがあるようで…
エロくなくても実に興味深い展開ですので、続きが気になりますね
イメージ的にはアームストロング少佐みたいな漢字かな?>ロナ先生
GJ! 貴族の生徒達が熱血に感化されるって展開は面白いな。
元々名誉と誇りに酔っ払ってるような連中だし、熱い言葉を直接叩きつけられれば簡単に燃え上がりそうだ。
ロナ先生割と気に入ったんで悪人じゃなければいいが……どうなるかなあ。
>>253 ひとまずGJ!!と言っておく。言っておくが…
トリステインの男子学生は応召して戦闘経験もあるのに
いまさら「入隊」してどーすんのかなぁ?というのがファーストインプレッション w
キレイなオチ、待ってますよ(ニヤリ
テラアームストロングwwwwwwwww
へんたいさん乙!!
「これはっ!トリステインのっ、人間のっ、いや、俺の魂だぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
グレンのキタンじゃねえか!!
乙です。
せんたいさんの事だ。またシルフィが不遇な目に遭うに違いない。(ノД`)
続きを期待しまくりんぐ。
さすが、せんたいさん。乙です。
そしてGJ!
このお話の続きと本物のロナ先生(♀)に期待。
サイトならどんな女性にもフラグを立てるはず!
いや、このムキムキ筋肉ダルマが本物のロナ先生(女教師)なのかも知れぬ……
いや、それはないか……
お前ら落ち着け!本人が美人とは限らないィィ!
>>265 スカロン「あら姉さん!ついに『手術』を受けたのね?」
うわぁぁぁぁぁぁ(AA略
タカさんという言葉が思い浮かびました。
>>214-
>>240 ……大丈夫、空気を読まないのが俺だ、やるんだ俺っ
「すげぇぜ……アレが七万の軍勢か。ハンパじゃねえな……!」
「へっ、まさかまた突っ込むことになるとはな。おい
>>230、ビビッてねぇだろうな?」
「誰に聞いてんだよサイト。おめぇこそ準備にぬかりはねえだろうな?」
「当然。…
>>230、おめぇは?」
「一ヶ月」
「はっ…十分だ」
眼下に広がる群れと評して差しさわりが無いほどの人―――その数七万。
確かにそれは軍勢であったが、普通の軍勢とはまるで違っていた。
一つに、その軍隊は全て女性で構成されている。
しかし、それだけならばよくある部類に入るだろう。
二つ目が、この軍隊を象徴するにふさわしい異様さだった―――全員が裸身である。
「みろよ…ルイズにシエスタにモンモランシー……おっとアンリエッタ陛下までいやがる、
大物ぞろいだぜ、サイト」
「はは、エース級ばかりってか……上等じゃねぇか」
「しかし今度こそ、平穏無事にってわけにゃいかねえな」
―――女淫軍。それがこの軍隊の俗称である。
津波のように村々を襲っては、種を絞りつくしていくという迷惑なんだかそうじゃない
んだか良く分からない軍隊だった。
そして、なぜ結成されたかも不明である。
だが、さすがにこれ以上暴れさせるわけには行かない、ということで天下に二匹の種馬
あり、といわれたサイトと
>>230が派遣されたのだった。
「さて…そろそろ動くか、
>>230」
「ああ…サイトお前は右からいけ、俺は左から回り込んでいく…ルイズはお前がやれ。他
の奴らは俺に任せろ」
「
>>230……よっしゃ」
二人が視線を交わし、いざ行かんとしたその時―――
「まちたまえ、二人ともっ!!」
「ギーシュ…」
「おまえ……」
「君達二人だけを犠牲には出来ない。死ぬときは一緒だ。…そうだろう?」
「へっ…馬鹿ヤローが」
「…ぼくもいるよ」
「マリコルヌッ?!」
「へ、へへ…へへ……お、おんなのこだぁあああああああああああああ!!」
血走った目をしてマリコルヌが暴走して軍勢に突っ込んでいった。
「だめだっマリコルヌっ……!!」
「そっちは………!!」
「「スカロン小隊が……!」」
野太い男の雄たけび。響き渡るうら若き少年の悲鳴。
「さて、それじゃあ…」
「行きますかっ」
三人は拳を打ち付けあい、それぞれの持ち場へと向かっていった。
「いくぞっ……突撃ぃぃぃいいいいいいいいいっっ!!」
そうして少年達は砂煙の中へと消えていった…。
「うぉぉぉおおおおっ!! どうだルイズっ…俺はまだ出るぞっ」
「…………」
「どおしたぁ…いきっぱなしで…こえもでないかぁ…」
「な、なななんて夢を見てんのよ…こんのエロ犬ぅぅぅうううううううううううう!!!」
「ふんぎゃぁぁああああああああああああああああああ!!??」
よし。逃げろ、俺
>>274 ちょwリアルタイムktkr
くそわろた。乙
しょーもなさすぎワロタwwwwwwwwwww
うん、破廉恥なネタを見事に消化しましたね(淡々と
いやGJだからねw
279 :
230:2007/10/18(木) 21:46:11 ID:tteN4vyQ
気付いたらネタ化されてる!?
そして
>>274GJ
さてと、さすがにきついが……三回目いってくるよ、全裸で七万の軍に
わたしね、230がいないと眠ることもできないのよ。
>>279 いや、次は俺が行こう
むしろ行かせてください
>>230の人気に嫉妬
それにしても新刊いつになるのかな?
外伝出したから結構先だろうなぁ
>>281 俺「ひろしを頼んだぜ…相棒。」
ビシッ!首筋を打たれた
>>281は、膝を着き気を失った。
俺「それと…奥さん、大切に……な。」
HAAAAAAAAAAAAAAAAAAN!!ワーオ
284 :
230:2007/10/18(木) 23:14:53 ID:tteN4vyQ
>>283 しかし、気絶した
>>281は俺が連れていく
もちろん全裸にして七万の軍に投げ込む
いい加減しつこいな俺
ちょっと零戦の機関砲に撃たれてくる
全裸で
>>284 ワルドさんだったんですか。こんなところで変態してないで本編に出てきてくださいよ
ワリオ!!
俺の筋肉にかなうヤツはいないゼっ!
ギザギザのヒゲと黄色い帽子がチャームポイントのオヤジさ!
ワルイージ!!
私の華奢な体躯から生み出されるスピードは雷のごとし、ですよ!
ギザギザのヒゲと紫の帽子がチャームポイントのオジサンです!
ワルド!!
ロリコン野郎?ペド野郎?そんなの関係ねぇ!!俺は俺のやりたい事をやるんだ!
ツルペタは神!パイパンは神!ルイズぅぅう!ルイズぅぅう!
あ、タバサも捨てがたい!フーケは実際必要ねぇ!
俺のストライクゾーンは妊娠4ヵ月目から17才までだ!
真っ白のヒゲと羽帽子がチャームポイントのオジちゃまだよ!
「「「オレたち!悪ヒゲ三銃士!!」」」
じゃあ俺はエルフに突っ込もうっと
全裸で
サイトがアニエスに居合いで一本取る話があるって聞いて、
かなり読んでみたいのですが、保管庫のどこにありますか?
(・∀・)つ「検索」
打ち込んだ単語で検索できたのね。
知らなかった。さんくーさんくー
わたしはこの先、死が二人を分かつまで、サイト・シュヴァリエ・ド・ヒラガにこの身とこの心を捧げんことを誓約す---
タバサは俺に誓いを立てた。前にも時と場合を選ばずに俺を助けると言ってたよな。
身も心もあなたに捧げるって言葉だけだったら、大胆すぎる告白になってるとこだ。
瞳を開いたタバサにじっと見つめられて思わず目そらししてしまった。でもなんで俺のことそんなにかまってくれるんだろ。鈍感なサイトは彼女の真意を測れずにいた。
タバサが俺に手を伸ばしてきた。こっちに来いってことなんだよな・・・
サイトは、なぜか高鳴る鼓動を抑えつつざぶざぶと湖に入っているタバサへと歩み寄る。
「ど、どしたタバサ」
おそるおそるサイトは尋ねた。
するとタバサは、おもむろにかけていた眼鏡をはずした。
タバサという呼び名は母にもらった大切な人形の名前だ。彼女にはシャルロットという名前があった。
彼女は思った--ここでは、いや、この瞬間だけでいい、サイトには自分の本当の名前で呼んで欲しいと・・・
「シャルロット、でいい」
「へっ!?」
いきなりの申し出にサイトは面食らった。
「タバサじゃ嫌。いまはシャルロットと呼んで・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・お願い」
彼女は眼鏡をはずしたまま、サイトを見つめる。
「タバ---いや---しゃ、シャシャシャルロット。」
動揺を隠しきれなかったが彼女に言われるがままに言葉を返す。
眼鏡をはずした少し潤んだ碧い瞳でじかに見つめられている。どきどきしっぱなしで正視できない。
シャルロットと呼んでくれた---心にジンと響くものを感じ、彼女はうっすらと頬を桃色に染めた。
すでに間近にいる彼を上目遣いで見つめ、ありがと。と消え入りそうな声で呟いた。
ここまでの至近距離。あのときの戦い以来だった。いまは誓いの精霊のいる場所に二人きりでいる。
精霊には大目にみてもらって、もうひとつの希望を言ってみた。
「・・・・・・もうひとつお願いがあるの・・・・・・・め、目を閉じて」
サイトは魔法にかかったように目を閉じる。いや本当に魔法にかかってしまったのかもしれない、と
サイトは思った。あの少し潤んだシャルロットの碧眼に。
「これでいいのか?し、シャルロット・・・」
サイトのどきどきは最高潮に達しようとしていた。
「うん」
そう短く彼女は言葉を発すると、右手でサイトの着ているパーカーの袖口を小さくつまんで引き寄せ--サイトの唇に彼女のそれを合わせた。
双月照らす湖畔で誓いを交わすシャルロット、そしてサイト--
この切なげな静寂が破られた。
「・・・睦まじいところ悪いな--北花壇騎士(シュヴァリエ・ド・ノールパルテル)」
声のした方に二人は視線を飛ばした。茂みの暗闇から人影が現れた。黒いフードを目深に被っているため人相は不明。
しかし、その声には彼女は聞き覚えがあった。
ミョズニトニルン。声の主の名前をつぶやく、タバサ。
「え?誰だって??」
サイトは舌を噛みそうなその名前を一度では聞き取れなかった。
「ミョズニトニルン。この前ミョルドガントでルイズを踏み潰そうとした張本人」
タバサは説明を加えた。
こいつが・・・!?サイトは唇をかみ締めた。タバサはサイトの周りの空気が一瞬変わったような気がした。
「虚無の使い魔よ。今日は虚無使いはどうした?まさか一人にしているのではあるまいな」
片側の口角を吊り上げ、不気味な表情を浮かべるミョズニトニルン。
「ま、まさかてめぇ--ルイズに何かしやがったのか!!!!」
サイトは身構え相手を見据えて言い放った。
この状況は危険。タバサはシルフィに口笛で合図を送る。すると上空で旋回していたシルフィは
ある方角目指して飛び去ってしまった。
「逃げるつもりはない--」
タバサも身構えた。ところが、左手でサイトが制した。
「タバサ。おまえはじっとしてるんだ。ここは俺がなんとかする」
サイトは相手を見据えたまま言った。
「---ほう。このわたしと一戦交える気か。ガンダールヴ。面白い。マジックアイテムで叩きのめしてくれる」
ミョズニトニルンは被っていたフードを取り去った。
挑発してんのか。やったろうじゃねぇか。サイトは背中のデルフを掴もうとした--が、しかしデルフが無い。
え?驚いて後ろを振り返ると、なぜかタバサの手にデルフが握られていた。
「た、タバサ?!」
しかし、タバサから返事は無い。何か目が虚ろだ。
「相棒、娘っこはあっちの虚無の使いに操られてるようだねぇ」
デルフは諦めたようにつぶやいた。
しまった!咄嗟の判断でサイトはタバサから飛んで離れ、ミョズニトニルンを脇目でみた。
「アンドバリの指輪!!?」
ミョズニトニルンはタバサに向け、深紫の指輪を向けていた。その指輪は妖しく輝き、そしてミョズドニトニルンの額も白く輝いている。
ミョズニトニルンの周りにはいつの間にか沢山の人形が集結していた。
同刻---トリスティン魔法学院。
シルフィはタバサに命じられた場所にたどり着いた。
そしてとある一室の窓を突き破った。
ガシャァーーーーーン!!!!
バカァ・・・そんなにがっついたってぇ・・・あげないんだもん・・・
何か妙な夢をみていたルイズの眠りがとんだ闖入者によって破られた。
「ぎゃぁぁ〜〜!!!!!なななななななになに!!?なんなの〜」
絶叫とともにルイズは目を覚ざめた。
「たいへんなのねーたいへんなのねー!!!おねーさまがたいへんなのね〜」
シルフィは寝起きのルイズに捲くし立てた。
「んーなんなのよー。タバサの使い魔じゃないよ。どしたのよ」
かすむ右目を擦りながらシルフィに聞きただした。
「たいへんたいへんたいへん」
翼をバタバタさせながらシルフィは騒いでいる。
「わかんないでしょー。何が大変なのよ」
困ったという表情でルイズは聞き返すのだった。
右目がまだぼやけていた。顔を洗ったほうがいいのかしら---
「おねーさまが、サイトが襲われてるのね〜きゅいきゅい」
はぁ?サイトがなんでよ。不安がルイズの小さな胸に過ぎった。
「はやく、乗るのねのね。急ぐのね〜」
シルフィに急かされるままルイズはその背に跨った。
まだ夜更けの冷たい風がルイズの頬をなでていた。
右目がようやく見えてきた。しかし、見えた景色はシルフィの背中でも二つの月でもなかった---
「ちっ、やばいな---デルフとられてんのによ。この数はきびしーかも」
サイトは額から流れる汗を無造作に拭い去った。
「だーりん。あ・た・しを忘れちゃやーよ(ハート)」
インテリジェンス・スピア グングニールが話しかけた。
そうか、コイツもいたんだ。杖状態に変化してから黙りこくっていたせいで
アウトオブ眼中になっていた。
「とりあえず、タバサとアルヴィーに挟まれちゃどうしようもねーよな。
後ろからバッサリいかれても辛いし---」
「だーりん。あたし一回元に戻るわ。でもあのデコ女に変身見られたくないわね--
そうね。だーりん、あたしを水ン中に落としてちょーだいな。」
サイトはグングニールを足元に落とした--グングニールは水中で黄金色に発光すると元の槍に戻った。
サイトは、水中のグングニールの柄の末端を左足で踏んづけて跳ね上げ、右手でそれをキャッチする。
「らんぼーなんだからぁ。まーよくってよ。この状態でもだーりん魔法使えるからねん。
でも詠唱は相手に覚られないようにね」
おっけ。サイトは短く応えた。前後に目を配りながら間合いを計っていく。
先に仕掛けたのは操られたタバサだった---杖を打ち捨てたと同時に水面を蹴上げ、一瞬でサイトとの間合いを詰めてきた。
ガキッ!剣と槍が交差する。かなりの強い力に後ずさるサイト。しかし槍のしなりを活かして剣ごとタバサを弾き飛ばす。
左手のルーンの輝きが増し、サイトは羽のように軽くなった体躯を駆って弾き飛ばされるタバサを追撃する。
「タバサ、悪い。少し痛いかも。」
ぐりんと槍を180度回転させ、柄の末端--石突の部分をタバサの腹部に叩き込んだ。
タバサの表情が一瞬苦悶の色を見せ体をくの字に曲げたまま倒れこんだ。
一瞬複雑な表情を見せたサイトだったが、槍をもう一度半回転させ、今度は背後の敵へと向き直る。許さねぇ---
「今度はおまえの番だっ!!!!!」
サイトは湖岸を目指し、湖面を蹴り出した。
「わたしのアルヴィーを倒せるかしら--」
不敵な笑みを絶やさずミョズニトニルンは近づいてくるサイトを挑発した。
”だーりん、そろそろ使っちゃいなさい”---小声でグングニールがサイトに話しかけた。サイトは無言で首を縦に振る。
槍の重心を中心に頭上で回転させた。そして、小声で風のマジックスペルを唱えた。
”エア・ハンマー”----詠唱完了と同時に槍を石突まで滑らせ岸のアルヴィーたちへと狙いを合わす---横一閃、薙ぎ払った。
槍の穂先のルーンが輝いて魔法は発動した。
ドンッバキバキバキッ!アルヴィーの先頭の一団が次々となぎ払われる。指揮官の顔色が一変する。
「!!!---ガンダールヴ。やるではないか。『風圧』でわがアイテムを吹き飛ばすとは・・・」
ヤツは俺が魔法を使っているとは気がついていない--サイトはニヤリと笑みを零した。
「まだまだぁ!!全部吹き飛ばしてやるっ!!!」
回転させながらグングニールの穂先をわざと湖水に浸す。
グングニールの回転と同じようなうねりがサイトの身体の中でも渦巻いている。
"ウィンディ・アイシクル"--独り言のようにスペルを紡ぐ。
こぉぉぉー無数の氷の矢が湖面ぎりぎりに発現した。このまま放っては相手に手の内を見せてしまう。
そこでサイトは別の魔法を氷の矢に向け繰り出した。
小さめの空気の塊に当てられ、氷の矢は粉々に砕ける。しかし、氷の欠片は湖面へと落ちていかない。
グングニールの回転速度を上げ、その風圧にさらに魔法を上乗せした。
"エア・ハンマー"
アルヴィーの先陣をなぎ払った強度で無数の欠片に打ち付けた---
アルヴィーたちに疾風と氷片が叩きつけられ、次々ズタボロになっていく。
ドクン。ドクン。右目の視界に鼓動が高まっていく。
な、なによこれ。湖?なんであんなにいっぱい人形(アルヴィー)がいるのよ。
まるで目の前に存在するかのような光景。
「ねぇ。シルフィ。あんたのご主人さまとあたしのサイトはどこいんのよ。」
ちらりとシルフィは横目でルイズを見ていった。
「おねーさまとサイトはラグドリアンの湖なのね」
もしかして---この視界。サイトのなの?
この人形たちを操ってるのはもしかして、ミョズニトニルン?! だとしたら、サイトが危ない。
ドックン。ドックン。鼓動がさらに速まる。
「ち、ちょっと、シルフィ。もっと速く飛びなさいよ。あいつが危ないの。お願いよ」
ルイズはぺしぺしとシルフィの首根っこあたりを叩いて急かす。
「痛い、痛いのね。わかってるのね。急ぐのね。きゅいきゅい」
シルフィは翼をより大きく羽ばたかせるのだった。
速度があがったせいかルイズの右の耳が激しい耳鳴りに襲われていく---
----私は----どうなってるの----朦朧とする意識の中タバサは身体を起こそうとする。
ズキン・・・お腹のあたりに鈍痛が走った。ったい。痛みに身体が一瞬強張る。
そうだ。シルフィはどうなっただろう---私何頼んだんだろう。そうだ。ルイズを来させようとしたのだ。
やはりまだ身体がいうことをきかないらしい。周りから魔法の鼓動が身体に伝わってくる。
サイト。大丈夫かな。せっかく誓ったのに何もしてやれない。くやしい---けどここまでの魔法を繰り出せている
サイト---タバサは弱弱しい笑みを浮かべた---私がいなくても----だいじょう---ぶ------
再びタバサの意識が暗転した。
おっし。もうすこしでカタがつく。サイトの心が奮えたった。
そのちょーしよ。だーりん。ぐるぐるとサイトに振り回されながらグングニールはサイトに声をかけた。
もういっちょ。かましとくか-----魔法を唱えようとした刹那、眩暈と強烈な耳鳴りに襲われた。
やべ。使いすぎたのか---額に手を当てサイトはよろめいた。
ひとまず魔法は温存してグングニールにしなりを利かせ襲い掛かってくる人形たちを弾きとばしていく。
耳鳴りは続いていたが、眩暈は治まり視界をとりもどせた。ところが左目の視界は別の場所を映し出していたのだった。
「サイトが魔法を使えたら」はここまで。
続いて、「桃色Sisters」です。
桃色かかったブロンド髪に鳶色の目。
とても長い間逢えなかったような。とても逢いたかった。その姿が今目の前に-----
おにーちゃん。お帰りなさいっ!!言葉と同時に才人に飛び込んで来た。
兄妹の再会を見届けた母はそっと部屋から出て行った。
彼女の柔らかでほのかに桜色ががった両腕が才人の首に絡められる。
ふわっとした髪の束が才人の頬をなでさすった。そして「彼女」の匂いが鼻をくすぐる。
彼女は才人が座っていたベットに折り重なるようにして倒れこんだ。
おにーちゃんって----この状況を才人はどう受け止めていいのか分からくなっている。
見た目はもう完全に彼女そのものなのに…
「な、なぁ。る、ルイズだよな?」
「・・・・・」
彼女は無言のまま肩を震わせるばかりだ。
どうしたもんかな。彼女に馬乗りになられ、抱きつかれる格好でベットに横たわっている状態に
焦りつつ、おそるおそるではあるが彼女の頭を左の手でやさしくなでる。
あれ?まだこれ消えてないや。左手に刻まれたルーンはなぜか残ったままなのに気がついた。
二人の絆は消えていなかった---心の中に温かい気持ちが広がっていくのだった。
「そのままでいいから。聞いててくれ。俺、今まで魔法の世界に行ってたんだ。
そこでこいつのためなら死んでもいいってくらい護りたいやつに出逢った。おまえと
同じ名前。ルイズってゆー女の子さ。おまえとおなじ年格好だったんだぜ----」
才人はいまだ抱きついたまま離れようとしない彼女に自分の身に起こった出来事を昔話のように
語った。可愛いことにところどころで彼女は才人の肩に顔を埋めたままだったが相槌を打ってくれた。
それが妙に嬉しくて何度も何度も才人は彼女の頭を愛しむようになでるのだった。
「そんなにわたしに似ていたの?」
黙って聞いていた彼女が埋めていた顔を上げ才人を見下ろして問いかけてきた。
その目は赤く、頬は涙で濡れ、その濡れた頬に乱れた髪が何本か引っ付いていた。
「うん。とても似てる。まるで生き写しみたいだよ」
すると彼女は薄く頬を桃色に染め、才人から目線を逸らす。そして言葉をつなげた。
「その子のこと。好き?」
「好き。大好きだ。」
「今でも?」
「ああ、いまでも」
「---逢いたい?」
その彼女の問いかけに叶わぬとは知りながら、しかしはっきりと才人は答えた。
「当然。今すぐにでも---逢いたいさ」
才人の瞳から想いが溢れ出す----
「ルイズ・・・ルイズ・・・」
「きっと逢えるわ。お兄ちゃん---」
愛おしい人を見るかのように彼女の瞳が才人を捉えていた。そして優しく才人から溢れ出した
切ない思いのかけらをその指で拭ってくれた。
「もう泣かないで。逢いたい人はここにいるんだから---」
才人は何も言えずに彼女を胸へと抱き寄せた。
以上でござる。続きは・・・・あるかなw
でわでわノシ
つい最近ゼロ魔アニメを見始めました。
ルイズも可愛いけどぶっっっっちゃけ、
他の女性キャラが巨乳で可愛いので
キュルケ、アンリエッタ、シエスタ、ルイズ姉etc・・・・、
そっちの方も楽しみで見てます。・・・、長門?まあボチボチ?
ここのSSも良作が多くてGJ!
魅惑の妖精亭の娘さん(ジェシカだっけ?)が出てくる話とかあれば教えてくだされ
>299
お待ちしてました〜
「サイトが魔法を使えたら」は何気に気になってた作品ですので
サイトは相変わらず鈍感だけど、今回は流石にタバサの想いに気づきはじめたかな?
いい雰囲気をぶち壊した闖入者との決着は…ってとこで次回?
がんばれサイト!(いろいろな意味でw
>>299 ヤバイヤバイ…続きが楽しみ過ぎる
GJです
「お茶が入りましたよー、サイトさん、ミス・ヴァリエール」
「お、ありがとう、シエスタ」
「ちょうど喉が渇いてたのよねえ」
「熱いから気をつけてくだ」
シエスタがティーカップを渡そうとしたところ、才人が受け取り損ねて落としてしまう。
「うおっ、熱っ……!」
「あ、だ、大丈夫ですか、サイトさ」
「サイトォォォォォォォォッ!」
シエスタを押しのけて、ルイズが泣きながら才人に縋りつく。
「だ、大丈夫、サイト!? 痛いでしょ、痛いわよね!? ああ、すぐに治さないと、サイトが死んじゃう……!」
「おいおい大袈裟だなあルイズ。この程度、なんともないって」
「でも、でも……」
「……お前って、本当に心配性だよな。でも、そんなところも最高に愛しいぜ……」
「サイト……」
「あのー……とりあえず、こぼれた紅茶拭きましょうか?」
「ほら、涙拭けよ。可愛い顔が台無しだぜ?」
「グスッ……だ、ダメ。これが原因でサイトが死んじゃったらって考えると、悲しくって悲しくって涙が止まんない……」
「ホント大袈裟だなあ。大丈夫だよ、七万の大軍に突撃しても死ななかった俺が、こんなもんで死ぬかよ」
「その話はしないで! あのときサイトがいなくなっちゃって、わたし、本当に……」
「……すまねえ。嫌なこと、思い出させちまったな」
「ううん、いいの。でも、もう二度と、わたしのこと一人にしないでね……」
「……ミス・モンモランシーから火傷の薬もらってきた方がいいですか? ねえ、二人とも」
「ああ、約束するよ。これからも、俺達二人はずっと一緒さ」
「本当? 嬉しいけど……不安だわ。サイト、わたしのためにってすぐ無理するから……」
「大丈夫、大丈夫だよ。そんなに心配するなよ」
「でも……サイト、すぐにわたしの前から消えてしまいそうで……」
「なら、こうやって抱きしめててやるよ。こうすりゃ、俺が確かにここにいるって実感できるだろ?」
「ああ、サイトの体……とっても温かい……」
「あ、そう言えば、そろそろお昼の時間ですね! 二人とも、お腹すいてませんか?」
「お前って、こんなにちっちゃかったんだな……こんなちっちゃいのに、今までよく一人で頑張ってきたよ」
「一人じゃなかったわ。だって、わたしのそばには、いつだってサイトがいてくれたもの」
「ルイズ……」
「サイト……」
「……」
「あのー、わたし、あの二人のお付きのメイド辞めたいんですけど」
「女王の勅命だから無理。それとも断頭台行ってみる?」
「タハー。どっちにしろ地獄ですかー?」
>>303 バカップルのルイズとサイトのお付きのシエスタに合掌ww
>>303 短いけどGJ!
本編で、サイトがちゃんとルイズをちゃんとイチャラブだったら
当然にこうなっちゃうよな、物語が進まないよな、という思いを
見事にカタチにしてくれました www
>>303 タイトル見て思ったんだが、ハルヒエロパロ板で新川さんネタを書いた人か?
…と、その前にGJ
タイトルの元ネタってドラクエ二次じゃなかったのか
>>303 GJ
シェスタ派としてはサイトはシェスタに対して放置プレイの実験中かー、と無理矢理こじ付けてみる
>>309 ライアンwww
確かvipの名スレだったかな。
なんか二ョズニトニルンの口調に違和感が…
どうでもいいけどトニルンってトルエンに似てるな。
ほんっとどうでもいい話だなwww
>>309 シエスタをシェスタと書くお前が本当にシエスタ派なのか怪しい
そんな俺はシャルル…シャル、シャロルラ……
本当おまえらどうでもいいなw
>314
ちょルイズもいいn
大佐、
>>314のせいで激しく性欲を持余す!!!どうすればいい?指示をくれ大佐ぁ!!!(*'A`)
>>320 装備は好いか---
君の唯一無二の武器を把持し、狙いを定め、その引き金に指をかけるのだ----
『撃て』
きめー
〜ん、フラッシュ!!
結局 サイトは元の世界に帰るのだろうか?
ギーシュエンドだろ
サイトがルイズにタバサと浮気してる事がばれてルイズに殺されてオッパッピー
いや、タバサがメインヒロインだから
タバサやシエスタ等は医者でルイズとサイトは患者
今までいた所は実は精神病院でした。
そんなエンド
ドラえもん最終回みたいだなw
元の世界を覗いたら、普通に生活してる自分がいて
自分がガンツ的なコピーって事がわかって
サイト絶望END
332 :
331:2007/10/22(月) 00:09:16 ID:2BNEgQfC
ってか
俺が望むBESTENDは
サイトはカミーユ並に精神がぶっ壊れて欲しい
本スレいこーよね
>>332 ここはダンバインENDだろ…物語の構造も似てるし。
イデオンエンド。全員死亡
ラノベじゃないぞそれ www (自主つっこみ
名家にうまれた娘が、異世界人と恋に落ちて
勝気な姉と一悶着あったあと、子供孕んだのが発覚し
すごくおっかないお父さんと最終戦争になったりする
サイト「何故ミス・ロングビルを巻き込んだ!彼女は戦争をする人ではなかったはずだ!」
的な最後で
ハゲ信者
自重
>>328 それなら
ルイズ→凶暴性の患者
アン姫→誇大妄想患者
ギーシュ→医者
シエスタ→看護婦
モンモランシー→薬剤師
サイト→カウンセラー
ってどうかね。
あと、7巻で飲まさせられた睡眠薬はタバサ母の飲んだのと同種で、8巻以降は遺品のデルフと部屋の中
でずーっと妄想語ってるだけとか。
本スレ池
カリン様きぼん
カリン塔でカリン様とカリンカリンしたいお
みんながコルベールを見て死亡
武士沢レシーブエンドでいいよもう
年表で強引に〆た後、
地球に還ったサイトが近所のコンビニでワルドと再開するんだな。
で、生卵を「あたためますか?」で…
流れ断ち切って悪いが
保管庫に新しく直接投稿されたSSの一つX00-09
でルイズの実家が伯爵になっている件について
公爵だよな たしか原作では
>>345 アニメでもそんな細かいとこ変更しないだろうから、普通に公爵であってると思う。
まぁ、俺もそういう階級とかに詳しいわけではないけど。
大公>公爵>侯爵>伯爵>子爵>男爵だっけ
どっか順番間違えてる気がする
349 :
205:2007/10/23(火) 01:10:21 ID:wgl8rEN/
投下しますがまずその前に。
>>16 誰がこの上なく愚かな人間だこの野郎w
という訳で、『平賀さん家へいらっしゃい』の続きです。
飲みすぎたためか緊張から解放されたためか、ハルケギニアの面々はそのほとんどが十二時前には
寝入ってしまっていた。
唯一アニエスだけは正気を保ち、すやすやと眠っているアンリエッタを、才人の両親の寝室に運び
込んだ。今夜は寝ずの番をするという。
コルベール、マリコルヌ、ギーシュは隣の部屋で雑魚寝、キュルケとシルフィードとティファニア
は空き部屋に布団を敷き、ルイズとシエスタとタバサは才人の部屋で休んでもらうことになっている。
「やっと終わったか」
ルイズたちを自分の部屋に運び終えた才人は、居間に戻ってきてほっと一息吐いた。
平賀親子は、今夜はこの部屋に布団を敷いて雑魚寝する予定になっている。
才人としては久々に自分の部屋のベッドで寝たいというのが本音だったが、さすがに親の手前、同
年代の女の子と同じ部屋で眠る訳にはいかないのだった。
「でも、びっくりしたよ母ちゃんは」
台所で洗い物をしながら、天華がおかしそうに笑う。
「あんた、女の子たちをひょいひょい運んじゃうんだもんね」
「皆が軽いんだよ」
「いやいや、それでも、前までのあんたならあそこまで軽々とは運べないはずだよ。
ホント、いろいろあったんだねえ」
母のしみじみとした言葉に少々照れくささを覚えながら、才人はテーブルに座った。
「よ、お疲れさん。まあ飲めよ」
向側に座った才蔵が、赤い顔で缶ビールを勧めてくる。幸せそうなその顔に、少々呆れてしまう。
「おい酔っ払い。俺は一応まだ高校生だぜ」
「何言ってやがる、異世界じゃ散々飲んだくれてたらしいじゃねえか」
「うわ、誰から聞いたんだそんなこと」
「あの色男……ギーシュ君だったか? 彼が、異世界でのお前の様子を嬉しそうに話してくれたのさ」
「あの野郎、明日の目覚ましはパワーボムにしてやる」
ブツブツとギーシュへの恨み言を呟きつつも、才人は缶ビールのプルタブを開ける。
才蔵が嬉しそうに自分の缶ビールを持ち上げた。
「よし。じゃ、我が家の馬鹿息子の帰還に乾杯だな!」
「おう。麗しき馬鹿親父殿との再会に乾杯だぜ」
軽く缶を合わせたあと、一口だけ飲む。
ハルケギニアでは基本的にワインばかり飲んでいたから、ビールの苦味はなかなか新鮮だった。
「しっかしまあ、ビックリしたなあ」
「何がだよ」
「父ちゃんたちだよ。まさか、俺がしらないところで、あんな漫画みたいなことやってるとはなあ……」
「ああ、そのことな」
父は顔の前で両手を合わせた。
「内緒にしてて、ホント、すまんかった! お前には平穏無事な人生を歩んでほしかったもんでなあ」
「いや、別にいいんだけどさ、ただ」
「ただ?」
不安だった。
目の前の父は、以前の無口な(振りだったらしいが)サラリーマンとは、かなりかけ離れている。
副業が忍者だったことといい、ひょっとしたら中身も自分の知っている父とは全く違うのではない
かと思うと、怖かった。
言葉が続けられなくなってしまったとき、才人の後ろから細い腕が伸びてきた。
「ほら、お飲みよサイト」
目の前に椀を一つ置いた天華が、にっこりと笑う。
椀から立ち上る懐かしい香りが、才人の鼻腔をくすぐった。自然と背筋が震えてくる。
「味噌汁、か」
呟く声も震えている。天華が才蔵の隣に座りながら苦笑した。
「あんた、ずいぶん母ちゃんの味噌汁飲みたがってたそうじゃないか。
女の子達が、すぐにでも作って食べさせてあげてって頼んできたぐらいさ」
「へえ。やっぱ、外に出りゃ家が恋しくなるんだな」
からかうような才蔵の台詞に、冗談を返す余裕もなかった。
才人は震える手をお椀に伸ばし、一口、口をつける。塩辛い味噌の風味が口いっぱいに広がった。
目に涙が浮かんでくる。
「おいおい、味噌汁飲んだだけで泣くなよな」
「だってよ、ずっと食ってなかったからさ」
才人は目元を乱暴に拭いながら照れ笑いを浮かべた。もう一口味噌汁を啜って、大きく息を吐く。
「やっぱ、母ちゃんの味噌汁はうめえや」
あまり長々と感想を言うと本格的に泣き出してしまいそうだったので、才人は何とかそれだけ言った。
その様子を見た天華と才蔵が、どこか安心したようにほっと息を吐いた。
「どうしたんだ?」
怪訝に思って聞くと、両親は顔を見合わせて決まり悪そうに微笑んだ。
「いや、なんだな」
「なんかね、安心したんだよ」
「安心って、何が?」
「ほら、お前、なんか異世界でいろいろ危ない目に遭ってたって言うからよ」
才蔵が頭を掻く。
「なんか、中身の方も殺伐とした感じに変わっちまってるんじゃねえかって、おっかなくてよ」
「だよね。でも安心したよ。あんたは相変わらず、間の抜けた平賀才人君みたいだね」
両親が揃って才人を見る。眼差しには深い優しさと労わりがあった。
「間の抜けた、って、ひでえなあ」
遠慮のない評価に少し笑ったとき、未だかすかに残っていた緊張が、体から完全に消え去るのを感じた。
(俺が、父ちゃんや母ちゃんが変わっちまったんじゃねえかって怖かったのと一緒で、
父ちゃんや母ちゃんも、俺が変わっちまったんじゃねえかって怖かったんだな)
だが、現実は優しかった。
自分は殺伐とした性格になどなっていないし、父や母も自分の知らなかった一面があるというだけで、
眼差しの暖かさは以前と全く変わっていない。
もっとも、以前は両親の眼差しの暖かさなどには全く気付いていなかったのだが。
(それに、何より)
才人はまた味噌汁を一口啜った。
(味噌汁の味、少しも変わってねえもんな。帰ってきたんだなあ)
しみじみと改めて実感する。
「あ」
と、才人は不意にあることに気がついた。
「やべえ、そういえば」
「なんだ」
「どうしたの」
両親が驚き、身を乗り出してくる。才人は椀を置き、顎に手を当てて思案し始めた。
「どうしようかな。やべえよなあ、これ」
「なんだってんだよ」
「なんか、危ないことなのかい?」
才人に合わせて、両親の声と表情もどんどん深刻なものになっていく。
「いや、あいつらのさ」
「おう」
「なんだい」
一言も聞き漏らすまいとするかのように顔を寄せる両親に、才人はゴクリと唾を飲み込み、言った。
「飯の話なんだけど」
一瞬の間の後、
「……は?」
「なんだって?」
両親が聞き返してきた。才人は繰り返す。
「だから、飯の話」
「飯だぁ?」
「どういうことさ」
「いや、俺もホームシックにかかって味噌汁飲みたくなったしさ。
あいつらも、ハルケギニアにいたときと同じようなもの食いたくなるんじゃないかなーって。
どう考えたって、日本食が口に合う訳ねえしなあ……いや、シエスタならあるいは……」
ブツブツと口に出しながら考える才人の前で、両親は顔を見合わせて呆れたように笑った。
「なんだ、そんなことかよ」
「そんなこと? 深刻な問題だろこれは」
「世の中には、そんなことよりもっと深刻な問題があるんだよ」
天華が言うと、才蔵が「そうそう」と頷いた。
「俺はてっきり、さっきのあの妙な姉ちゃんがまた襲ってくるとか、そういうのかと思ったんだぜ」
「妙な姉ちゃん? ああ、ミョズニトニルンね」
「ミョズ……なんだって?」
眉をひそめる才蔵に、才人はミョズニトニルンのことを簡単に説明してやった。
「ふーん。マジックアイテムを自由に使う残酷な女、ねえ。やっぱ危ねえ女だったんだな」
「っつっても、こっちの世界にはマジックアイテムなんかねえし、ほとんど無力なんじゃねえの?」
才人が言うと、才蔵は真面目な顔で首を横に振った。
「いや、そんなの関係ねえだろ。問題は、その女がこっちに殺意持ってるってことなんだからよ。
別に、マジックアイテムなんかなくたって、ナイフ一本ありゃ人は殺せるんだぜ?」
「……それもそうか」
才人は唸った。確かに、早計だったかもしれない。
あの無茶苦茶に強いゴーレムを倒したから、もうミョズニトニルンなど相手にならないなどと思い込んでいた。
(でも確かに、あんだけズルっこくて、ジョゼフに忠誠誓ってる女だもんな。
オマケに俺らに殺意持ってんだ。こっちの世界でも、何かえげつない手を使ってくるかもしれねえ)
飯のことなど考えている場合ではなかった、と反省する才人に、才蔵が苦笑した。
「なんだ、その辺全然気にしてなかったのかよお前」
「だってよ、いろいろありすぎたし」
「ま、無理もねえか。しかし、そうだなあ」
才蔵が顔をしかめながら、頭の後ろで腕を組む。
「そういう危険があるってんじゃ、やっぱこの家だといろいろ不便だよな」
「不便っつーと?」
「庭狭いから、仕掛けられるトラップにも限度があるだろ」
「トラップって」
聞きなれない単語である。
だが、父の正体を知ってしまった今となっては、驚くべきことだとも思わなかった。
「それに、俺ら三人だけならともかく、こんだけ人数が増えたんじゃ、全員には手が回らんかもしれんからな」
「そんなもんか?」
ヨルムンガンドを破壊したときの漫画じみた戦い方を思い出すと、たとえどんな敵が何人来ようが
平気で叩きのめそうな気がする。
そんな才人の期待じみた予想に反して、才蔵は困ったように頬を掻いた。
「いくら俺が鍛えてたって、一人でやれることには限界があるんだよ。
一人守ってる間にもう一人がやられました、じゃお話にならんからな」
「そうだよ。平賀家は、異世界の皆さんのことを預かる立場になった訳だからね。
責任持って、あの人たちの身の安全を確保しなけりゃならないよ」
「そうか。そうだな、その通りだ」
両親の言葉に同意はしたものの、才人には分からないことがあった。
「でもよ、具体的にはどうすんの? この家じゃ、皆を守るのは難しいんだろ?」
「一応、考えはあるさ」
「っていうと」
「親父の力を借りる」
「親父って、源じーちゃんか?」
言いながら、才人は遠くで暮らしている祖父の姿を思い浮かべる。
常に人懐っこい笑みを浮かべている皺だらけの顔。
年の割に子供っぽい老人で、遊びに行ったときはよく才人の相手をしてくれたものだ。
「ひょっとして、源じーちゃんも、実は凄い人だったりすんの?」
訊くと、才蔵はにやりと笑って頷いた。
「そうだ。本当は、かなりエキセントリックな爺さんなんだぜ」
「エキセントリック、ねえ。具体的には、どんなの?」
「源じーちゃんの名前を思い出せば、大体分かるだろ」
「やっぱそうか」
才人は半ば呆れ混じりに、感嘆のため息を吐いた。
祖父の名前は、平賀源内なのである。
それだけで、本当はどんな人物なのか多少想像がつくというものだった。
源内は今現在はアメリカのアーカムというところに行っていて、日本にいないらしい。
「なんか、知り合いのなんとかって博士に会ってくるとか言ってたっけかな。
ま、あの親父がこんな面白いこと放っておくはずねえし、呼べばすぐに飛んでくるだろうよ」
とにもかくにも、明日源内を呼んで相談してから決めることになった。
その日の平賀家家族会議はそれでお開きである。
才人は早々に居間に敷かれた布団の中に潜り込み、すぐにグースカと寝息を立て始めた。
「相変わらず、変に図太い奴だなあ」
呆れる才蔵の隣で、天華が穏やかに目を細める。
「いいじゃない。本当に、無事に帰ってきてくれてよかったよ」
「まあな。しかし、異世界か。俺やお袋の情報網でも探し出せなかったから、どこに行ってるのかと思いきや」
才蔵は憂鬱な気分になった。
「こいつには、平穏無事な人生を送ってもらうつもりだったんだがな。
結局変なことに巻き込まれちまったのは、やっぱり血筋なのかねえ」
「そうかもしれないね。これからも、たくさん危険な目に遭うかもしれないよ」
天華の眼差しに憂いの色が混じる。才蔵は努めて気楽に笑いながら、そっと妻の肩を抱いた。
「こいつなら大丈夫だよ。さすが俺達の息子だ。
何も教えてねえのに、向こうでも案外たくましくやってたみたいだしな」
「そうねえ。ルイズさんやシエスタさんも、そんな風に……ああ、そうそう」
天華が軽く手を打って、どことなく悪戯っぽい笑みを浮かべて問いかけた。
「ねえあんた。今日来た女の子たちのうち、誰がわたしらの義理の娘になってくれると思う?」
才蔵も茶目っ気たっぷりに応じた。
「そうだなあ。一番開けっぴろげに好意を示してるのは、やっぱあのシエスタって子だよな。
本職のメイドさんってだけあって家事万能みたいだし、嫁にする分には申し分ねえだろうな。
何より乳と尻もでかいし、あれはいい子を産むゲフッ」
「何馬鹿なこと言ってんだい、このセクハラ親父」
肘鉄をモロに脇腹に喰らってむせる才蔵の隣で、天華が頬に指を当てる。
「ルイズさんも、素直になれてないだけで、なかなかこの子のこと気に入ってくれてるみたいだよね。
才人の方もどうやら本命はこの子っぽいし。まあ、尻に敷かれるのは確実だろうけどさ」
「あのタバサってちびっ子も、終始無表情な割に視線がチラチラ才人の方見てた。
ありゃ、かなり気にしてるぜ。頭も良さそうだし、何より謙虚で控え目だ。きっと、献身的に尽くしてくれるだろうよ」
「女王様、って呼ばれてた子はどうかねえ」
「あー、あの子か。綺麗だが、なんかこう、苦労してそうな感じだったな。
どうかね。才人にあんな子が支えられるかどうか……」
「ティファニアさんも、彫刻かなんかみたいに綺麗な割に、凄く素朴で可愛い子だったね。
才人のことどう思う、って聞いたら、『優しくて勇敢な男の子だと思います』なんて言ってくれたっけ」
「ほう。そりゃ脈ありだな。……っつーかあの子、乳スゲェよな」
「このセクハラ親父……と言いたいとこだけど、確かにね。あれは最初見たときぶったまげたよ。
本人気にしてるっぽかったから、顔には出さなかったけど」
「才人にあんな乳が支えきれるかどうか……」
「意味分かんないこと言ってんじゃないよ、もう……
色黒な子と、いかにも貴族って感じのクルクル髪の子は、残念ながら他に相手がいるみたいだったね。」
「目が鋭い剣士の姉ちゃんも、年離れてるのもあって、才人と恋愛しそうな感じじゃなかったなあ。
ま、それでもこんだけ候補がいりゃ十分だろ」
「そうねえ。このモグラ息子には勿体無いぐらいだわ。あー、そう言えば」
天華が苦笑いを浮かべた。
「もう一人、いたよねえ」
「あー、いたな。青い髪の、大喰らいの子。あの子よ、本当は竜なんだぜ」
「竜、ってかい。たまげたねえ、こりゃ」
天華が感心と呆れが混じったため息を吐き出した。
「でも、それで合点がいったよ。いくらなんでもありゃ食べすぎだったからね」
「だよなあ。溜め込んだ小金が食費で吹っ飛びそうな勢いだったぜ、ありゃ」
「一応女の子ではあるけど、色気より食い気って感じかね、ありゃ」
「まあなあ」
二人はぎこちなく笑いあった。
「あの子は、とりあえず候補から外しといていいかねえ」
「だろ。さすがに、あれはねえだろうよ」
「よし、そうなると、お嫁さん候補は五人ってことだね」
天華が張り切った様子で腕をまくる。
「こりゃ、明日から気合を入れないとねえ」
「なんだ、なんかやるつもりなのかよ」
「そりゃもちろん。このモグラ息子に、こんなチャンスだ。
これを逃したら一生巡ってこないかもしれないんだからね。
あの手この手を使って、さり気なく売り込むつもりよ」
気合の入りまくっている様子の天華に才蔵が苦笑したとき、
不意に上の方から何やらドタバタ騒ぐ音が聞こえてきた。
「何だ」
「何かしら」
二人は揃って首を傾げ、忍び足で二階に上がっていった。
才人の腕に抱かれて彼の部屋に運んでもらったとき、実はルイズはまだ起きていた。
少々酔ってしまって眠気に襲われていたのも事実だったので、少しの間目を閉じて休んでいたら、
眠ったものと判断されたらしく勝手に運ばれてしまったのである。
(要するに、いい迷惑なのよ。別に嬉しくなんかないわ。
全くこの馬鹿犬、勝手にご主人様の体に触ってんじゃないわよ)
と、内心で文句を言いながら、ルイズはこっそりと薄目を開けてみる。
才人はルイズの体を両腕で抱えながら、特に苦もない顔で歩いていく。
そのくせ階段を上るときなどは足元にかなりの注意を払っていて、ご主人様を落とさないようにと
気を配っているのがよく分かった。
そういったところから、彼の力強さと自分への気遣いが十分すぎるほどに感じられ、口元がにやけ
そうになるのを抑えるのに苦労したほどである。
(ま、あんたにしては上出来な態度だから、ご主人様の体に勝手に触れたことは特別に許してあげてもいいわ)
幸せな葛藤に浸っていたとき、ちょうど才人が階段を上り終えた。
背後から、才人の母が声をかけてくる。
「あんたの部屋に運ぶんだろ?」
「ああ。タバサはもう運んであるし、ルイズとシエスタも俺の部屋で寝てもらうよ」
ちなみに、シエスタの方は才人の母に抱えられている。
(わたしはサイトに運んでもらって、シエスタはサイトのお母さん)
つまり、眠り込んだ自分とシエスタを見て、才人は自分の方を優先して選んでくれたということである。
ちょっとした優越感に、とうとう口元が緩むのを抑えられなくなる。
単純に、万一運んでいる途中で目覚められたとき、どちらを運んだ方が波風が立たないで済むかと
か、そういう判断基準だったのではないかという気もしたが、とりあえず今は無視しておくことにする。
蝶番が軋む音が聞こえてきて、才人がどこかの部屋の中に入ったのが分かった。会話の内容から察
するに、おそらく才人自身の部屋なのだろう。彼の部屋を今すぐこの目で見てみたいという衝動が湧
き上がってきたが、なんとか我慢する。
「で、誰をあんたのベッドに寝かせるの?」
「ルイズだな。こいつを床で寝かせたら、明日何言われるか分かったもんじゃねえや」
そんな会話が聞こえてくる。つまり、自分は才人のベッドで寝て、シエスタは床で寝る、というこ
とになったらしい。ルイズはさらに気をよくした。
(当然と言えば当然だけどね。こいつ、何だかんだ言ってもわたしにメロメロだしー)
得意の絶頂に上って鼻息を荒くしていたとき、ルイズの体がそっとベッドに横たえられた。
「おー、母ちゃん、俺の布団ちゃんと洗ってくれてたんだな」
「そうだよ。いつ、あんたが帰ってきてもいいようにね」
そんな会話が聞こえてくる。
目を瞑ったままなのでよく分からないが、体を包む柔らかい感触から察するに、どうやら才人が毛
布をかけてくれたらしい。
彼の腕の中から離れたことを実感して、少々名残惜しさを感じてしまう。
「ほら、寝顔見てたいのは分かるけど、早く下降りるよ。起こしちゃまずいだろ」
「分かってるよ」
小声で交わされる会話を聞いて、ルイズはある事実に気がついた。
(ああ、そっか。今日は、才人と一緒には寝られないんだ)
仕方がないことだ、とは思う。
この世界の倫理観がハルケギニアと同一なのかは知らないが、さすがに結婚前の男女が同じベッド
で寝ていい、ということはないらしい。
昨日までとは違う一人きりの夜を想像して少し寂しくなってしまったとき、ルイズの耳を吐息が
そっとくすぐった。
「お休み、ルイズ」
心臓が爆発するかと思った。
声が漏れそうになるのを必死にこらえ、息を止めたまま才人たちが出て行くのを待つ。
閉められた扉の向こうから階段を降りていく二つの足音が聞こえてくる段になって、ルイズはよう
やく呼吸を再開した。
ぜいぜい荒く息をしながら、そっと胸に手をやってみる。
全力で走ったときよりもずっと激しく、そして熱く、薄い胸の内側で心臓が暴れ狂っている。
(なにこれ。なにこれ)
顔と言わず腕と言わず、体全体が芯から燃え上がるように熱くなっている。
皮膚一枚隔てた向こう側を、熱い血潮が物凄い勢いで駆け巡っているのが分かった。
叫びたいほどの興奮と泣きたいほどの恥ずかしさと暴れ出したいほどの怒りと、そして何よりも、
今すぐ素っ裸で走り回りたくなるほどの、圧倒的な幸福感。それら全てがごちゃ混ぜになって、体が
内側から弾け飛んでしまいそうだ。
どうやっても収まらぬ高揚感を無理に抑えつけるように、ルイズは体を丸めて布団の中に潜り込む。
それでも、やはり爆発的な気分の昂ぶりが抑えきれないので、彼女は布団の中でジタバタともがき始めた。
(もう、反則。これ反則。何してくれちゃってんの、あいつったら)
限りない労わりと包み込むような優しさに満ちた、才人の囁きを思い出す。
耳に吐息を感じるほどの距離で囁かれた「おやすみ、ルイズ」という声は、背筋を震わせるほどに
甘美で、暖かかった。
(なんなの一体。いつもはもっと素っ気ないくせに。毎晩あんな風に囁かれたら、わたし、もう)
ルイズは目を瞑っていたことを後悔した。声音だけでこれほど心を奪われたのだ。一体、あの瞬間
の才人はどれだけ優しい笑みを浮かべていただろうか。
なんとかそれを再現しようと、再び目を閉じて、必死に彼の微笑を思い浮かべる。闇の中に幾つも
浮かび上がった才人の顔が、一つ残らずこちらに向かって微笑みながら、甘く優しく、穏やかに囁きかける。
『おやすみ、ルイズ』
体がとろけてしまいそうなほどの幸福感に包まれて、ルイズは思い切り顔をふやけさせた。
「えへ。えへへぇ……おやすみぃ、サイトぉ……」
締まりのない声が口から零れるのを、どうやっても止められない。
そうやって、ルイズはしばらくの間一人幸せを噛み締めながら布団の中で悶えていたのだが、ふと
視界の隅に映ったものに気がついて、一瞬で現実に戻ってきた。
それは、ベッドの端をつかんでいる誰かの手だった。
無言で布団をどけると、床からベッドに向かって手を伸ばしているシエスタがいた。
睨みつけてやると、彼女は不満げに唇を尖らせた。
「ずるいんじゃありませんか」
「何がよ」
「ミス・ヴァリエール、一人だけでサイトさんのベッドで眠るだなんて。わたしなんて床なのに」
ここぞとばかりに、ルイズは勝ち誇って笑った。
「あら、当然の構図じゃない。いやよねえ、サイトったら、命令してもいないのに自然とご主人様に
自分のベッドを提供してるんだもの。でも良かったじゃない、シエスタだって忘れずに寝床用意し
てもらってるんだし。まあ、わたしはベッドで、あんたは床だけど。あんたは床だけど。床だけど」
「しつこく繰り返さないでください! とにかく、わたしもそっち行きますからね!」
怒りながらシエスタがベッドに上ってこようとしたので、ルイズも負けじと彼女の体を押し返す。
「ちょっとあんた、誰の許しがあってこのベッドに上がろうとしてんの?
ここは貴族専用よ。貧乏臭いメイドは床で寝なさいよね」
「こんなときばっかり貴族風吹かさないでいただけますか。
大体、サイトさんの世界に来たからには、貴族がどうとかますます関係ありませんよねえ?」
「それでもわたしたちはハルケギニアの人間でしょうが」
「あら、わたし、この世界の人の血もいくらか混じってるんですけど?」
「あ、そう。それは良かったわね。でもあんたは床で寝なさい」
「何ですかそれ! さっき悶えてたの見てましたよ。どうせ、『いやーん、サイトの残り香ー』とか
言って興奮してたんでしょ!?」
「そんなことしないわよ、変態じゃあるまいし!」
すっかりいつもの調子で喚きあいながら、二人はベッドの端で取っ組み合いを始める。
そのとき、おもむろに彼女らの隣を通り過ぎようとする影があった。
「待ちなさい」
と、ルイズが手を伸ばしてつかまえたのは、寝惚け眼のタバサであった。
「あんた、なにさり気なくわたしのベッドに入り込もうとしてるの」
「勝手に自分のものにしないでくださいよ!」
シエスタの怒鳴り声など当然無視である。
ルイズがタバサの答えを待っていると、彼女はぼんやりしたまま小さく首を傾げた。
「眠いから」
「だったら床で寝なさいよ」
床にはシエスタだけでなく、タバサの布団も敷いてある。それを指差してやると、彼女は不満げに首を振った。
「寝心地が悪い」
「だからなによ」
「わたしもこっちがいい」
呟きながら、自分をつかむ手を器用に解いて、コロンとベッドに転がり込む。ルイズは叫び声を上げた。
「ちょっと、やめなさいよ! あんたの臭いがついちゃうでしょ!?」
「やっぱり臭いのこと気にしてたんじゃないですか!」
タバサを放り出そうとつかみかかりながら、後ろのシエスタには遠慮なく蹴りを浴びせる。
それが戦闘開始の合図になり、三人は才人のベッド占有権を巡って夜通し騒ぎとおすこととなった。
そんな三人娘のみっともない騒ぎを、才蔵と天華は部屋の外からこっそりと眺めていた。
「すげえなこれ」
「だねえ。思った以上に、皆才人に夢中みたいだね」
天華がニヤニヤ笑いながら言う。才蔵の方も、嬉しいながら少々納得いかずにブツブツと呟く。
「なんだかなー。俺の方がナイスミドルでいい男だと思うんだが、才人ばかりが何故モテる?」
「馬鹿なこと言ってないの。オジンに用はないってことだろ」
「ひでえな母ちゃん!」
「いいじゃないの」
天華は微笑みながら、才蔵の腕に自分の腕を絡ませた。
「あんたがいい男だっていうのは、わたしだけが分かってりゃいいんだからさ」
囁きながら、才蔵の肩に頬を寄せてくる。
結婚し、才人が生まれてから十数年は経つが、天華は今でもたまに、こういう悪戯っぽい仕草を見
せることがある。
そのたび何か上手いジョークで切り返してやろうと思うのだが、大抵頭が熱くなってしまって何も
言えずじまいになるのだ。
今回もその通りになり、才蔵は金魚のように口をぱくぱくさせることしか出来なくなった。
「なに赤くなってんの」
天華がからかうように笑いながら、楽しそうに才蔵の頬を指で突いてくる。
「うるせえな、別に何でもねえよ」
「父ちゃんったら照れちゃってもう。そういうとこ、昔っから全然変わんないよね」
「だーもう、うるせー! 布団の中で泣かすぞこら」
破れかぶれに下品な冗談で誤魔化そうとすると、天華は艶っぽい微笑を浮かべて、上目遣いに才蔵
の顔を見上げてきた。
「あら、あんたがいいなら、こっちはいつでも準備できてるよ?」
何となく気まずくなって、才蔵は目をそらす。
「……い、いや、今日はちょっと……ほら、才人も横で寝てる訳だし……」
「……なんで普段は下ネタ連発するくせに、いざ本番となると照れまくるのかねあんたは……」
「うるせー! いいから寝るぞ、ほら!」
「はいはい」
才人の部屋から漏れ聞こえる喧騒を背後に、平賀夫妻は楽しげに階段を下りていった。
360 :
205:2007/10/23(火) 01:24:50 ID:wgl8rEN/
今日はここまでで。
乙、待ってたよ
バカ夫婦、今からでも遅くない、サイトに弟か妹をプレゼントするんだ!
>ヌィーマリーゴ氏
うへぇ、なんつーGJ。にやけ顔が収まりませんwwwwwww
というか、源じい で、大工を想像して、
源内で ”ああっ?!” と度肝を抜かれ、(関係考えるの秀逸だ。おみそれしました)
アーカム で厨せって(ry(まて
ってか、とーちゃん アームズ系かと思ったらスプリガンかよっ!?
そのうち、ミョズなんとか vs マルチドライバー なんて構図がみられ(いっぺんしんどけ
>361
ひとりっこじゃなかったら、きっと「全寮制の女学校から一時帰宅した妹」が現れて、
ひと悶着ありそうだよね…{それなんてToLoveる?
>>360 超GGGGGGGGJJJJJJJJJJ!!!
この話の続きを楽しみにしていたので、たまに続きをうpしてくださることを
楽しみにしております!!!
http://wikiwiki.jp/zero/?Soft-M 前回「水兵服とメイドの不安」には前編とは書いていなかったのですが、
シエスタが書き足りなかったのでその続き(後編)を投稿しました。
その次の回の前編も投稿してあります。
変則的な投下なので直接投稿にしてあります。
よろしければ上のリンクから見てください。
では。
>>360超GJ!!いい夫婦ですなぁ。サイトのにおいを巡って戦う三人もかわいい。
それに争奪戦も誰が親に気に入られるか本当に気になる。wktkして待ってる。
でも・・・ミョズが可哀相すぐる。まさか野宿とか・・・飯も調達難しいし・・・ホームレス当然の生活になるんじゃないか?
・・・いかん涙が出てきた
>364
エローイイ!!!
お口でご奉仕、イイなあ。エロいなあ
GJ
>360
続きが超気になるんだぜ
ルイズもシエス子もタバっ子もかわいいなあ。かわいいなあ。
>364
シエスタつえーっ
と思ったらルイズもつえーっ、ドーピングだけど
あとお約束とは言え
モンモン
自重
>アーカム
じいちゃんの訪問先は、アーミティッジか シュリュズベリイか……
よもやウエストではあるまいなw
>>369 アーカムと聞くと、魔術的なナニかではなく、真っ先にAMスーツやら連想する俺。
誰か皆川タッチで漫画描いて、ね?
>>370 やるときゃやる男、コルベールは山本さんしか無いなw
後は・・・ティアが性格だけはタバサかなw?
>>364 シエスタエロ過ぎ
ルイズ甘過ぎ
なんというピンク色小説
ミョズは「どんな道具でも使いこなしてしまう」という能力があるから、
実は魔法の世界より科学全盛のこっちの世界のほうが、意外と相性いいかもよ?
むむむ、ミョズの就職活動ネタで電波を受信した!! www
エロというよりコメディだけど
むしろ才人ならどうなるんだろうか?
車とか重機とか
サイトは「武器以外ダメ」って設定あるよ
>>376 零戦は操縦出来たって事は、車だろうがバイクだろうが機関銃でもつけてやりゃ
某「お前に生命を吹き込んでやる!!」の人になれるわけだ
これより一本投下します
タイトルは「GIFT」
地球から遠く離れた異世界の大陸ハルケギニア
この世界の多くの事象が魔法によって動いているように、俺がかつて居た世界は科学に支配されていた
科学はその進化の過程で、当時の地球にはありえない物から影響を受けた痕跡を数多く残しているらしい
オーパーツとかオーバーテクノロジーとか言われているそれらはどこかの世界から一方的に送られた物で
それが後の地球にいい影響を及ぼしたのか、それともいずれ来る破滅を早めた物なのかはまだわからない
トリスティン魔法学院の静かな裏庭、分厚いが軽い多孔質の石で囲まれた半地下の部屋
日本の基準でいえば12畳ほど、ガラン洞の部屋の中、俺とルイズは手を握りながら魔方陣の中心に居た
ルイズが呪文を詠唱する
俺の体内を何か気味悪い物が通過する感触、手のルーンが熱い、頭が、脳のどこかがもっと熱かった
爆発
魔方陣の中心には俺とルイズ、そして煙を発する何かが三位一体の調和を描くようにそこにあった
未だ全貌の知れない虚無の使い手にして魔法学院の劣等生、ルイズは最近、新しい魔法を習得した
俺は手を離してしゃがみこみ、自分とルイズの前に現れたもの、俺と彼女が召喚したものを手に取った
いくつもの銀色の星が光る白い箱、それは中身が半分ほど無くなった煙草、セブンスターの箱だった
俺とルイズの協力によって発動する魔法は、異世界の物品、俺の世界にある物々を召喚する魔法だった
最初は偶然だった、明日の筆記試験に備え、部屋を歩き回りながら召喚の呪文を暗誦していたルイズが
例の如くすっ転びそうになり咄嗟に俺の手を掴んだ、突然、魔法が発動し、出てきたのはカマボコだった
その魔法をルイズが習得して以来数回目の召喚魔法実験、この世界で某かの役に立つ物は出てこなかった
ルイズの魔法に付き物の爆発に対応する為に、軽石に似た材質の石壁に衝撃吸収の魔法を施した部屋
どこかで似た物を見た記憶がある、俺が通ってた都立高の裏、ブロックで囲まれたプロパンの貯蔵所
プロパン部屋の中には数人の人間が居た、オールド・オスマンと、実験結果の記録を志願したコルベール
そしてルイズの担当教官シュヴルーズ、赤土のシュヴルーズの二つ名を持つ肝っ玉オバサンだった
家では8人の子供を育て上げ、故郷を離れて寄宿舎で暮らす学生からは「お母さん」と慕われる教師
「魔法は使い手の人生を語る」という古えの言葉を地で行くような、智仁勇兼ね備えたメイジだった
今日は土系統の魔法を詠唱に取り入れた実験をする為、学院きっての土のメイジに特に同席をお願いした
俺はセブンスターのソフトパックを摘み上げた、俺が生まれた世界に居た頃に触れたくもなかった物
煙草は俺にとって依存性につけこんだ合法毒物だった、俺の祖父と叔父は肺気腫と食道癌で早死にしている
「これは確かに俺の居た世界のものです、しかし何の役にもたたないものです、焼き捨ててください」
潔癖なコルベールも、コカに似た葉の水キセルを時々嗜むオールド・オスマンも、その紙巻煙草を眺め
匂いを嗅ぎ、合成香料と調味料のたっぷり入った日本製煙草の臭いに顔をしかめると、俺の言葉に頷いた
シュヴルーズ先生はセブンスターの箱を拾い、艶のある紙に印刷された幾つもの星に指で触れ、呟いた
「……これは…贈り物です……」
「贈り物?この世界をまた一つ汚くする贈り物ですか?それは俺の世界では百害あって一利ない物です」
落ちこぼれのルイズや優等生のタバサ、素行不良なキュルケを分け隔て無く育てる母の言葉には抗えない
「汚いもの、利のないもの、そんな物は決して存在し得ません、それを手にとる人間が道を誤らなければ」
煙草は嫌いだ
でも俺が子供の頃、ドライブに連れてってくれた叔父さんがプジョーを運転する前と後に必ず吸う煙草
その匂いは嫌いじゃなかった、フィルターの無いジダンの煙を幸せそうに吐く叔父さんが大好きだった
「……贈り物…そうかもしれないな、お中元だって美味いもんばかりじゃないし……」
それは贈り物の物語
ルイズはまたしても召喚魔法に失敗した
大仰な儀式の結果、またしても俺の世界からゴミクズをお取り寄せしてしまった
オールド・オスマンの話によると、この魔法はルイズの体調や、なぜか俺とルイズの精神の同調に
大いに関係しているらしく、数日に一回、この世界の二つの月が接する日に発動することがわかった
結果として月がその位置を取る日の昼休みは召喚魔法実験の日に当てられ、俺達は数回の実験を重ねた
何かこの世界の助けになる物を召喚する事を成功とするなら、ルイズの今までの召喚に成功例は無かった
召喚された物々について解説させられるのは俺の役目なんだが、俺の目から見ればどれも役立たずだった
この世界の魔法に似た、俺の世界の科学には、何の役にも立たない物を発明するトホホな発明家や
頭のネジの飛んだトンデモな科学者が多く居たが、ゴミ召喚のルイズもまた同類なのかもしれない
召喚将軍ルイズ様は出てきたガラクタについての俺の否定的な解説を聞いて、屈辱に肩を震わせている
方位磁石や鉛筆、何かの役に立ちそうな物も、俺は半ば強引にゴミ扱いした、そのほうがいいと思った
もしも俺の居た地球に異世界から何かが送られてくれば、たとえそれが焼き竜の食いカスであろうと
それなりに珍重され、オカルト番組を賑わせたり、しかるべき研究機関に所蔵されたりするんだろうが
地球の中世に似たこの世界は妙に保守的で、諍いの種にもなりうる異世界の物々に対しては慎重だった
結果、召喚した物の処遇には俺の裁量が認められていて、俺はほぼ全ての召喚物を「無かった事」にした
以前の魔法実習で出てきたのは、カップ焼きソバの空容器と日本たばこ産業謹製の食卓塩だった
同席してたシエスタは四角い容器の樹脂の臭いを嗅ぎ、塩化ナトリウムと漂白剤の味しかしない塩を舐め
「サイトさんはひどい世界に居たんですね」と、哀れむような目で見た、俺は何となく恥ずかしかった
本日ルイズが召喚したゴミはふたつ、紙束と鉄の塊だった、一冊のエロ雑誌と一丁の拳銃
俺は自分がかつて居た世界を思い起こす物を暫くいじくっていたが、結局それを学院のゴミ箱に捨てた
グラスファイバーの箱に納まった拳銃はオモチャではなく、30口径の弾丸がひと箱、同梱されていた
ゴーレムより強硬なコンクリートブロックを砕き、オークより強い熊を一撃で倒せる強力な軍用拳銃
脳裏にあのゼロ戦が浮かんだ、スロットルの握把を引いただけで落ちていく竜騎兵、後に俺を苛んだ感情
それは戦争の道具だった、俺の居た世界での戦を、無名兵士による大量殺人の場に変えた物のなれの果て
戦では個々の戦士が名乗りを挙げて互いの武を競い合うこの世界にあってはいけない物のような気がした
この手で命を奪う感触を忘れ、スイッチで人を殺すようになった俺の世界の恥部を持ち込みたくなかった
俺が生まれ育った世界の物が、俺の大切な人の生きる世界の血を流す姿なんてこれ以上見たくなかった
数日後
俺は随分昔に聞いた歌を口ずさみながら、自室のベットの下や本棚の裏、部屋のあちこちを探していた
ドアがバン!と開く、部屋主が現れた、何かを握りしめたルイズが怒りに震えながら仁王立ちしている
ルイズが持っていたのは一冊の雑誌、俺がさっきから井上陽水を歌いながら探していた失くし物
あの召喚魔法実験の後、拳銃とともに捨てたゴミ捨て場からこっそり部屋に持ち帰って藁束に隠していた
俺の居た便利で快適な世界からこの古臭い場所に召喚された、アメリカのヌードグラビア雑誌だった
「……サイト……サイトはこんなものを……こんなものを見て……わたしに内緒で何をしてたの?」
ルイズはスイカのようなバストを誇示したピンク・ブロンドの女性のグラビアを開き、俺に突きつける
その雑誌の中に居たのは、革命的バストのティファニアがローカルチャンプと思えるほどの世界ランカー達
「……女にこんなあられもない姿をさせて書物の中に閉じ込めるなんて、大した魔法だわね……」
ルイズの怒りの炎が見える、俺なりに彼女の怒りにはランクをつけてたが、今の状態はジッポの炎
この時代の本の多くは原始的な活版印刷で、ヴィジュアル的な楽しみは単色の粗末な挿絵だけだった
俺の居た世界では読み捨ての週刊誌にすらあるヌードグラビアは、この世界から見れば美女の牢獄だった
「しかもぉ!…なんでこんな…よりにもよってこんな!こんな!頭の悪そうな女ばっかりなのよぉ!」
雑誌をめくりながら、揃って巨乳美女のグラビアを突きつけるルイズは怒りのキャンプファイアを燃やす
その雑誌は創刊以来、豊満で肉感的なヌードを売りにしていて、俺達は「巨乳のバイブル」と呼んでいた
ヒステリックに泣きながら辺りにあるものを何でも俺に投げつけ、雑誌で殴りかかるルイズ
俺の胸を拳で殴っていたルイズは、突然自分の体を両腕で抱き、ひときわ大きな声で泣き始めた
「うっ…うわぁぁあん!だって仕方ないじゃない!無い物はしょうがないじゃないのぉ!うぇぇん…」
自分の胸を両手で掴みながら大声で泣くルイズ、俺には彼女が自分で燃やした焚火に飛び込む様が見えた
「誤解するな、俺がこれを持っていたのは文字が懐かしくなっただけだ、大体こういう女は好みじゃない」
その雑誌は日本語版も出てるが、ルイズが召還したのは原版で、ついでに言えば俺は英語は全く読めない
大味な巨乳白人が好きじゃないのは事実、その雑誌には年増が多いし、何度か使ってみた正直な感想だった
「慰めなんてやめて!どうせサイトはこんな胸なんて…わたし生まれなきゃよかった!こんな体なんて!」
泣きながら自分を傷つけるルイズの両肩を強く掴んだ、痛みに抗議の悲鳴を上げる彼女の感情が俺に向く
「好きだから…だよ!…好きなひとの胸が俺の好きな胸だ!俺はルイズの胸が世界一好きなんだ!」
その言葉を天地神明に誓う事は出来ないが、俺への怒りを自分自身に向け、自分を傷つけ始めたルイズに
何かをするのは、俺が使い魔として、あるいはそれ以前に俺が彼女にしなきゃいけない事のように思えた
「……本当…?…嘘だったら殺すわよ……嘘だったら…わたしも…もう生きていたくない……」
ルイズを睨み、悲観的な言葉を吐く彼女を諌めた、沈んでた瞳がもう一度俺に向けられる、複雑な感情
「サイトは嘘ばっかりつく…本当なら証明して、一生わたししか見ないって、わたしの為なら死ねるって」
俺の言葉を拡大解釈するルイズの悪い癖も今は気にならなかった、黒い感情は全部俺にぶつければいい
「……サイト……してよ!……これと同じこと、してよぉ!してくれるまで許さないんだから!」
ルイズが見もせずに無作為に開いて突きつけたページでは、筋骨逞しいアフロ・アメリカンの大男が
四つんばいの巨乳白人女を背後から貫き・・・俺には理解できない習慣だが・・・絶叫しながら射精していた
「俺に出来ることは全てしてやる、俺はお前の使い魔だから、お前が好きだから、出来ることなら」
俺は開いたままのページに映ったナスビ色の巨根をチラっと見て、自分のせつない部分を指で弾き
「出来ることなら、な」と呟いた
以上です
「今」より少し後の、少し大人になった才人とルイズのお話でした
続きは後日、投下します
こういう文章だと句点がないのはすごく気になる……
保管庫で
ゼロの飼い犬の13と14が更新されている件について
↑作者様が自ら更新の報告をしていたのにスレも読まずに
何をやっているんだ俺はorz
ミョズニトハウスはダンボール
いや、ふと思いついただけだが
>>S-M氏
シエスタエロ杉
ルイズ可愛杉
サイト惚れ薬は滅多に見ないネタだから純粋に気になりまつ
>>577 俺の考えだけどサイト、もしくはガンダールヴの印が武器だと認知できればいいと思うんだ。
例えば石とか木の棒でも武器にはなるからさ…
そこで訂正しちゃダメでしょw
「すげぇロングパスだな」ていうツッコミとか
>>577取りとかしたかったのに。( ・з・)
10や20ならまだしも…
200のロングパスは_だろう
何そのダメ出しwwww
ハルケギニアの友人達が、地球にやって来てから数日ほど。
分からなければいろいろ不便だろうと考え、才人は友人たちに日本語の読み書きを教えることにした。
「きゅいきゅい。シルフィはお利口さんだから、すぐに覚えちゃうのね!」
そう言っていたシルフィードには、小学生向けの読み書きドリルをプレゼントした。
彼女は二週間で日本語をマスターした。
「この世界で出来る限りたくさんの書物を読み、その知識をハルケギニアに持って帰りますぞ!」
そう意気込んでいたコルベールには、基本的なものから専門的なものまで、様々な技術書や教科書をプレゼントした。
彼は一週間で日本語をマスターした。
「……日本語が読めないと、こちらの世界での本が読めない」
困っていたタバサには、流行のものから古典的な文学作品まで、多種多様な物語をプレゼントした。
彼女は三日で日本語をマスターした。
「なによ。本ぐらい、あんたがわたしに読み聞かせればいいでしょ?」
不満げだったルイズには、豊胸に関する本を十冊ほどプレゼントした。
彼女は一日で日本語をマスターした。
「こっちに来てまで勉強したくなんかないなあ。ところでサイト、その女の子が描かれた箱はなんだい?」
やる気なさげだったマリコルヌには、魔界天使ジブリールと私立アキハバラ学園とグリーングリーンをプレゼントした。
彼は三十分で日本語をマスターした。
397 :
205:2007/10/23(火) 23:04:13 ID:fdMudweF
小ネタ思いついたので投下してみる。
真面目な話、エロゲは音声と文章が同時に流れるので、
日本語勉強の手法としてはそこそこ優れているような気がしなくも……いや、やっぱねーわw
205さんGJ.
鞠wwww
こいつら日本語マスターしすぎでしょーwww
GJ
恐ろしく優秀だなハルケギニア勢www
ふぅ…タバサの冒険2読み終わったぜ
ギーシュも同時に覚えてそうだなw
205さんGJ
隠語もすごいおぼえそうだなw
女の子が書かれた箱と聞いてモエコンを想像した俺ガイル
オレもこのスレで日本語の勉強したw
>>384 ジダン じゃなくて ジタン ね
吸ってるだけに気になったんで一応
407 :
fell:2007/10/24(水) 00:55:56 ID:ZrQKMkCm
投下
また非エロです、ご勘弁を
408 :
fell:2007/10/24(水) 01:00:15 ID:ZrQKMkCm
茜空
ぼんやりと紅に染まる空を眺めて思う故郷の事。
高いビルが並びそしてちっぽけだが確かに存在する俺がいた。
友がいて家族がいて嫌いな奴がいて・・・そんな世界。
今も同じ様に友もいて仲間がいて・・・恋人もいるこんな世界。
二つとも大事な仲間がいて・・・二つとも立派な俺の故郷。
帰る術は見つかった、手を伸ばせば直ぐに届く懐かしき始まりの故郷。
しかしそこには帰らない。
流されやすい俺が久しぶりに自分で決めた決断。
最後まで帰らない。帰る術などいらない。
それが今まで努力して来て手に入れたものなのだけど、
いろんな奴に迷惑をかけて手に入れたものなのだけど、
今の俺にはどんな物にも変えられない
そしてこの故郷にしかない者がいるから。
「・・・帰ろ、サイト」
涙で潤んだ瞳の少女を見て
「馬鹿、俺には家なんてないんだぞ?」
ちょっと意地悪を言ってみる。
「あんたくらい養ってあげるわよ、ヒラガサイト」
その一言にちょっと驚いたけどある意味では使い魔卒業なのだろうか?
それともクビ?
「・・・私とずっと一緒にいてくれる?・・・使い魔としてじゃなくて・・・?」
不安げな質問に俺は接吻で答えた。
409 :
fell:2007/10/24(水) 01:02:45 ID:ZrQKMkCm
どう書いてもエロが書けん・・・
楽しんでもらえれば光栄です
>384
『闇よ落ちるなかれ』が大好きな俺には違和感が
タバコ栽培もグラビア印刷もハルケギニアで始めちゃえばいいじゃんいいじゃん
紙巻き煙草から栽培できる訳ないし
印刷物があっても印刷技術を再現できる訳じゃない
まぁこのサイトは見事に歪んでるっぽいのでその辺はどうでも良いんだろうけど
412 :
名無しさん@ピンキー:2007/10/24(水) 03:28:26 ID:wE0sekKT
冒険2巻読んだが今回は最後がちょっと暗かったような・・・・鬱っぽい心理
状態に置かれてる
ただシルフィ人気は高まりそうな予感w
ところでアニエスの村がコルベール達の襲撃にあった時、
アニエスって何歳だったんだ?記述あったっけ?
原作六巻から引用。
ヴィットーリアさんが漂着した時
>二十年前のその日、アニエスはまだ三歳であった。
焼き討ちされたのは
>トリステイン軍の一部隊がやってきたのは、それから一ヶ月後のことであった。
417 :
415:2007/10/25(木) 00:05:35 ID:J89mGWuZ
>>416 丁寧な返答ありがとうございます。
なんかSS書いてて「もしや?」と思ってたんだわ。
さすがに三歳じゃ、俺の話は成り立たねぇなぁ……orz
>>418 ご期待にそえず、申し訳ない。
ただの非エロです。むしろエロなら襲撃の年じゃなくてもいいのですがね。
5〜7歳くらいだったら良かった。
明日(厳密には今日)18禁版アンソロジー本(出版:オークス)が
出るらしいけど、買う奴居る?
俺は一応楽しみなのだが。
422 :
雪風の作戦:2007/10/25(木) 00:53:12 ID:/51Lkj8Y
この二週間、この日にかけて準備をしてきた。
全ては今日のこの日、憧れの彼であり、守るべき彼であるサイトに喜んでもらうために。
タバサがその行動を起こすきっかけとなったのは、二週間前のある日のことだった。
タバサがサイトを求めて歩いていると、その会話が聞こえてきたのだった。
「うむむ……サイトよ。その萌えというのは奥が深いな」
「ああ、そうだ。たとえば、キュルケだ」
聞こえてきたのは火の塔の裏から。普段は誰もいないはずなのに、珍しく人の声がする。
サイトの声だ。
そう認識したのが最後だった。気がついたら、私は木の後ろの隠れてサイトとギーシュの様子を覗いていた。
「褐色の肌に素晴らしいプロポーション。挑発的な態度に自信たっぷりなあの余裕。娼婦のように艶やかなあの姿に萌えるやつだっているのさ。まあ、ほとんどの奴が欲情するだろうけどな」
「なるほど。となると、モンモランシーにも?」
「ああ、いるだろうぜ。浮気性な彼を持ちつつ、それをグッと我慢して健気に待つ姿。素晴らしいじゃないの」
「それを言われると頭が痛くなるよ」
萌えってなんだろう……。
私がそうやって悩んでいると、能天気な声が上から響いてきた。
「おねーさまー。何してるのかしらー?」
……タイミングが悪すぎる。どうして私の使い魔は、空気が読めないんだろう。少し殺意を感じながら、私は空を見上げた。
「うるさい」
「ひどいのね!」
まあ、こんなやりとりをしてると、あの二人にも気づかれるわけで。
「あれ? タバサじゃん」
「聞かれてたようだね」
ばれた。
「何を話してたの?」
内心では、何か文句を言われないかとドキドキしてたけど、そこはうまく隠して質問する。
でも、今の二人には私の質問は聞こえてなかったみたいで、また二人で話に夢中になる。
「タバサ……この彼女にも、萌えというものはあるのかい?」
「ああ、大有りだぜ。なんといってもまずは眼鏡だな」
私のことが話題になって、思わずビクッと体を震わせてしまった。
「眼鏡は重要な萌えポイントだ。眼鏡をかけているというだけで萌えるやつもいるんだぜ」
「なるほど、それほど重要なアイテムだったのか。……言われてみれば……う〜む、モンモランシーにも眼鏡をかけさせてみたい」
……だから萌えってなんなの? そう質問しようと思ったけど、今の二人には無駄みたい。とりあえず話が終わるまで待つことにしよう。
「あと外見的特徴は……スタイルだ。小柄な体に控えめな胸。お世辞にもスタイルがいいとは言えない! だが! 世の中にはそれに萌える男もいるのだ!」
なんだか随分と失礼なことを言われた気がする。小柄な体、控えめな胸……気にしてるのに……。サイト酷い!
「随分と熱弁するね。君もそうなのかい?」
「……否定はしないぜ」
否定はしない=嫌いではない=好き=好みのタイプ=私はサイトの好み=チャンスあり。
にへら。
思わず表情が緩んでしまった。この緩みを隠すために私は顔を下に向ける。小柄な私だから、サイトとギーシュからは表情が見えないはず。
423 :
雪風の作戦:2007/10/25(木) 00:54:15 ID:/51Lkj8Y
「ふむ、外見はわかった。だが、モンモランシーの例えを聞くに、内面的なものもあるようだね」
「ああ、そうだ。いい所に気がついたな」
「では、聞こうか」
「そうだな、わかりやすいところだと……この起伏の少ない表情だ。いつも同じ表情だからこそ、時折見せる笑顔や羞恥の表情に男は心を奮わせる」
「なるほど。となると、無口なところも?」
「わかってるじゃねえか、ギーシュ。そこもだ!」
「おお、なるほど! わかったよ!」
何かが通じ合ったのか、二人はきつく抱擁し始めた。男同士の友情ってものなのかな? よくわからないけど。
「ところでサイトよ。彼女はあんなにも小柄なのに、おねーさまと呼ばれている。この件についてはどう思うかな?」
「なるほどな、ギーシュ。お前の言いたいことはよくわかる」
後のことは鮮明に覚えてる。小さいのにお姉さまは萌えだろう、とか、考えると制服のスカートはなんていいものなのだろう、とか、そういった話。
結局私がわかったのは、萌えというものは奥が深いということだけ。でも、それだけで十分。
なぜなら、サイトを萌えさせるための必殺の作戦を思いついたから。
人から伝え聞いた話だと、サイトの世界には凄い服があるとか何とか。
そしてそれは、こっちにもあるとか。
……いける。
そしてそれから、二週間の月日が経ったわけで……。
今、私の目の前にはサイトをメロメロにする魔法の服が一着。私にはちょっと大きいけど、これも一つの萌えに違いないと思って、気にしないでおく。
……胸の辺りが結構余ってるのも、萌えのはずだもん……。
あとはこの服の下に制服のスカートをはいて、準備は万端。あとはこれをサイトに見せるだけ!
ちょっと恥ずかしいけど、がんばる。
でも、さすがにこれで外を出歩くのは恥ずかしすぎる。というよりも、サイト以外の人に見られるのが恥ずかしすぎる。どうしようかな……。
そこで私は、使い魔の存在を思い出した。空から飛んでいけば、人に見られずに済むはず。サイトを人の来ない場所に呼び出せば、サイト以外の人に見られる確率も少なくなるし、着替えもしやすくなる。
着替えていこうかとも思ったけど、それはさすがにやめておく。
思いついたら即実行。シルフィードを呼んで、すぐに乗る。目的地はサイトの胸の中。こんな風なことを思うほど、私の頭はお花畑。ちょっと危険な状態。
学院の上空を旋回して、サイトを探す。よくこんな風にして飛んでいるから、怪しまれることは無い。
黒い髪と目立つ服。それだけの特徴で十分。この広い学院にサイトと同じ服を着てる人はいないから。
数分旋回して探してると、サイトが塔から外に出てくるのが見えた。やっと見つけた。見つけるのと同時に急降下。サイトの目の前に降りて、用件を伝えようとする。
「うわっ!? なんだ、タバサか。ビックリした」
「……」
「で、何の用?」
「……ついてきて」
呼び出すよりも、案内したほうがいい。そう結論付けた私は、あらかじめ決めておいた人のいないポイントへと移動する。後ろをチラリと見ると、ちゃんとサイトもついてきてる。
「何処に行くの?」
「すぐ着く」
それもそのはず。場所はコルベール先生の研究小屋のすぐ近く、火の塔の裏。ここだったら目立たないし、人も来ない。コルベール先生が研究室に来るかもしれないという不安もあるけど、さすがに火の塔の裏まで来る事はないと思う。
「ここで待ってて」
サイトを塔の裏で待たせて、私はサイトから見えない位置――サイトのいる位置からさらに裏――に移動する。そして、着替えを始める。急がなきゃ。サイトが見に来ちゃうかもしれない。
「……遅いなー」
タバサに待てといわれて二分ほど。サイトは律儀に待っている。何か物を取りに行ったのかと思ったので、すぐに来ると予想していたが、少々遅い。
424 :
雪風の作戦:2007/10/25(木) 00:54:58 ID:/51Lkj8Y
様子を見に行こうか、それともまだ待ってみようかと悩んでいるうちに、タバサの頭が見えた。
少々顔を赤らめて、体を火の塔で隠して、サイトの様子を窺っている。
いったいなんなんだ?
その疑問を声に出すよりも早く、タバサが意を決して、サイトの前に飛び出してきた。
よほど緊張していたのか、タバサの顔は真っ赤である。いつも無表情のタバサの顔が、真っ赤である。なかなか見られるものではない。
しかし、それよりも珍しいものを、サイトの目はロックオンしていた。
その服は、元は水兵服として水兵に着られていた服であった。そこから派生して、日本の女学生の制服となったのは有名なことである。
そう、セーラー服である。
目の前には、セーラー服を着たタバサが、恥ずかしそうに俯いて立っているのである。
手を胸の前でもじもじといじりながら、チラチラと見つめてくるタバサ。その表情は何処か不安げで、まるで何かを怖がる子どものようだ。
クリティカルヒットだ。サイトのHPはもう黄色である。瀕死である。普段からは考えられない、タバサの様子に、サイトはもうダウン寸前だ。
そして、その後に、タバサはとんでもない一言を言ったのだった。
「……どう? お……お兄ちゃん……」
サイトのHPは赤くなった。
ダウンである。死亡確認である。サイトのライフはもうゼロである。
サイトはくらくらとする頭と倒れそうになる体を抑えるので必死になっていた。
……作戦成功。
恥ずかしさを我慢したかいがあった。サイトは鼻を押さえて、空を見上げてる。よくわからないけど、たぶんいい反応。
どうしよう、とりあえずもう一言、必要かな?
「……似合ってる?」
ここでちょっと小首を傾げてみる。
あ、サイトが仰け反った。そのまま膝をついて、鼻を押さえながら右手で親指を立ててる。あの指にどんな意味があるんだろう?
考えてもわからないから、私はサイトに追撃の言葉を送る。
「……お兄ちゃんに。喜んでもらえた?」
あ、サイトが凄い勢いで頷いてる。
よかった……。
つい、ホッとしてしまう。喜んでもらえなかったら、どうしようかと思った。
そう、私はホッとした。そして、あまりにも安堵しすぎて、私は自制することが出来なくなった。
「私……お兄ちゃんのためなら……」
あれ? 私なんでこんなことしてるんだろう?
「何でも……出来るよ?」
確かに、私はサイトに全てを捧げた。だから、サイトの言うことなら何でもするし、何でも出来る。
でも、今はそれを言うつもりはなかった。口が、勝手に言葉をつむぎだす。
そして、それで終わらせるつもりだったのに、私の体は意思に反して、勝手に動き出した。
サイトの右手を両手でぎゅっと握って、私の胸の前に持ってくる。やや上目遣いでサイトを見つめて、切なげにため息を漏らす。
全て、やろうと思ったことではなかった。自覚した頃には、私はもう自分を止めることが出来なかった。
「ねえ、お兄ちゃん……」
その言葉を言ったことを、私は後悔してる。後悔だけじゃないけど、やっぱり後悔してて……なんであんな事をしたんだろうと、何であんなことになったんだろうと、思い出すたびにため息をつく。
「しよ?」
また一つ、私はサイトに捧げた。
425 :
29Q:2007/10/25(木) 01:00:02 ID:/51Lkj8Y
またタバサ。またぶち壊し。むしろ壊す。
妄想駄々漏れです。止める気はないです。
妄想っていいですね。駄目人間が言うんですから間違いないです。
では妄想しながら寝るとします。
>425
待て!寝るな!おい!なにを!なにを捧げたんだ!?
いや捧げたのはわかる。どんな風に捧げたんだおい
そこの描写を!濃密な描写を!液体の音まで聞こえるような濃厚でねっちょりな描写はどこだあああああああああ
>>425 早く例のシーンを!!
寝るな!妄想を文にして脳内回線で回してくれぇぇぇぇぇぇぇ?!
おいいいいいいいいいいいい!!!
きまさっ、GJなんというこのGJ!!
だからきさまのGHOSTにジャックインさせてくれええええ!!
データの並列化をおおおお
429 :
261のひと:2007/10/25(木) 02:03:15 ID:CWgsQxO4
>>247の続き。
まだ終わってないってどういうことだ…。
431 :
1/7:2007/10/25(木) 02:03:59 ID:CWgsQxO4
学院の片隅、誰も居ないほの暗い闇の中にソレは有った。
「本当に……有ったんだ」
大きな釜。
大きな釜が有るから、そこで待っているようにシュヴァリエはそう言った。
釜茹でにした事を後悔して、釜茹でにされたいのならソコに行けば良いと。
どうしても死にたいのなら、どこで死んでも一緒だろうと、そう……言われた。
テファに嫌われたわたしは何にも興味が無かったけれど、
テファが来る。
その言葉がわたしの足をここに向けさせた。
――テファになら殺されてもいいから。
シュヴァリエが支度してくれているのだろう、釜の中にはお湯が張ってあって、
釜の下ではまだ薪が燃えていた。
(ここで死ぬんだ)
テファに謝った後なら、もう何も要らない。
そのまま死んじゃっていい。
そんな事を考えていると、夕闇の中から声が響いた。
「ベアトリス?」
「っ!」
……テファ……が……テファが……ベアトリスって呼んでくれた。
昼間の様に、『ミス・クルデンホルフ』って他人行儀に呼ばれると思ってたのに。
それだけで、良いや。
もう……何も……
「ベアトリス、ずるい」
「テ、テファ?」
わ、わたしまた何かしたのかな?
ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい……
繰り返し謝りながら、恐る恐るテファの方を見ると、すねた表情のテファが居た。
「仲直りの仲介をサイトに頼むなんて、ずるい」
「え……? ……ぇ?」
ナカナオリ?
「……あ……の……?」
「サイトが……ちゃんと仲直りした方がいいよって……わたし、サイトに怒られたわ」
……ぇと……
「仲直り……して……くれるの?」
「……だって、サイトが……もう……ベアトリスは仲直りしたくないの?」
突然訪れた幸せに何も考えられないまま、わたしはテファを抱きしめた。
432 :
2/7:2007/10/25(木) 02:04:32 ID:CWgsQxO4
「……ベアトリス泣きすぎ」
「ご、ごめんなさい……テファ」
わたしが泣き止んだ時にはテファの服が涙でベトベトに成っていた。
テファは水気を吸って肌に張り付く服を摘みながら、
「でも、丁度良いかな?」
妙な事を呟いた。
「丁度良い?」
「うん、サイトがね、仲直りに一緒にお風呂でも入ったら?
って、ほら、丁度沸いてるでしょ?」
――釜茹で用の釜じゃなかったんだ……
シュヴァリエにはすっかり騙されてしまったけど、こんな嘘なら許してあげてもいい。
「い、一緒に?」
皆で入るお風呂と違って、これは小さいけれど。
テファと二人きりなら十分な大きさだし、なにより二人きりなのが嬉しい。
特別なお友達、そう言ってもらえたみたいだ。
「うん、一緒に」
テファの言葉に導かれるように、わたしは服を脱ぎ始めて、
気づいた時にはテファと一緒に湯船の中だった。
433 :
3/7:2007/10/25(木) 02:05:05 ID:CWgsQxO4
「暖かいね」
「ん……あったかい」
お湯も、テファの側もすごく幸せで気持ち良い。
冷え切っていた心も体も温められて、さっきまでの恐怖が嘘みたい。
「どうしたの?」
「な、なんでもない」
ここにいられる事がうれしくて、テファを見ていると笑いかけてくれた。
そんな些細な事が楽しくて、じゃれ付くようにテファに触れ、二人で笑いあっていた。
このまま、時間が止まればいいのに。
テファをずっと独り占めしたい。
つい、そんなことを考えてしまったわたしを罰するように、遠くから声が響いた。
「テファー、仲直りした〜?」
「うん、サイトありがとう」
男の子の声に、慌てて首までお湯の中に隠れる。
……テファは平気そうだけど……
おっきいと、見られても平気なのかな?
「ん、じゃあ俺行くわ」
あぁ、シュヴァリエは優しいんだ。
仲直りの時に二人きりで会って、こじれたら大変だから。
フォローする為に、遠くで様子を窺っててくれたんだ。
「……ありがとう」
わたしの声は、多分小さくて聞こえなかっただろうけれど、
その言葉をどうしても口にしたかった。
次に会ったら、ちゃんと聞こえる声で……
わたしのそんな考えは、テファの言葉で遮られた。
「? どうして?」
? なにが『どうして』なんだろう?
「サイトは、お風呂入らないの?」
……はい?
「お友達だったら、仲良くお風呂でも入れってサイトが言ったのに、
お友達のサイトは、一緒にお風呂に入ってくれないの?」
……テファはどこかずれていると思う。
それから何日か経って。
生徒の三分の一が熱血化し、大半の一年生が進路希望欄に『属性:炎』と書く様になった頃。
その事件は起きた。
その朝、慌しく教師達が廊下を走り回っていた。
いまだタバサの部屋に間借りしている才人は何事か、と手近な教師を捕まえて尋ねた。
すると。
「いや、早朝学院の宝物庫に賊が入ってね。今捜索中なんだ」
その教師の話によれば、今朝方、宝物庫の中に仕掛けられた侵入警報の魔法が発動したという。
そしてすぐに見回りの夜警が駆けつけたのだが、入り口近くにあった宝物がひとつ、盗まれたという。
その盗まれた品を現在、宝物庫のリストと照らし合わせて確認中だという。
「盗まれた物くらいすぐわかるような気がするんだけどなあ」
慌しく去っていく教師の背中を見ながら、才人は呟く。
その傍らで、いつのまにやってきたのか、タバサが説明した。
「宝物庫は普段、厳重に封印されている」
なるほど、と才人は思った。
普段封印されていて中身を見る機会がなければ、盗まれた物をすぐに判断するのは難しいのも道理だ。
しかし。
「…そういやなんでシャルロットがその事知ってんだ?」
たしかにそれも道理だ。宝物庫に入ったことのないはずのタバサが、そのことを知っている事もおかしい。
タバサは一瞬むっとすると、心の声で答える。
…私の過去知ってて、そんないじわる、言うんだ。
その声には、あからさまな不満が混じっていた。
あ。しまった。
言われて初めて、才人は思い出す。
タバサはかつて、ガリア王の尖兵、私兵騎士団『北花壇警護騎士団』の一人であったのだ。
その彼女に、トリステイン魔法学院の宝物庫への侵入指令が下されても不思議はない。
才人は心の中で慌てて詫びる。
ご、ごめん、忘れてた!
しかし時すでに遅く。
…だめ。今更遅い。
心の中で言って、タバサは才人めがけて両手を広げた。
「ん」
…って、こんな朝っぱらから…?
抱っこしろ、という意味である。
…お昼までには、許してあげるから。
才人は仕方なくタバサを抱き上げ。
そのままタバサを抱っこして、部屋の中に入ったのだった。
435 :
4/7:2007/10/25(木) 02:05:36 ID:CWgsQxO4
「お、おじゃましまーす」
「サイトのお風呂じゃないの?」
そんな問題じゃなーい。
心の中で絶叫を上げるけど、テファは構わずシュヴァリエをお湯の中に導く。
「あの……テファ、ちょ〜っと、あっち向いてて欲しいんだけど」
「うん。 でもどうして?」
シュヴァリエが可哀想に成って、黙ってテファの頭をわたしの方に向けると、
ちょっと頭を下げたシュヴァリエが素早くお湯の中に滑り込んだ。
「ったい……ベアトリス? どうかしたの?」
「な、なんでもない」
テファの向こうで、シュヴァリエが申し訳なさそうに頭を下げているのに気付いて目で返事をしていると、テファが面白くなさそうに呟いた。
「二人だけで……楽しそうね」
「っ! そ、そんな事無い」
ほんの少しだけ声に混ざった冷気に、わたしの背筋はあっさりと凍りつく。
「そ、そうだぞ、テファ」
シュヴァリエの声が聞こえた瞬間、わたしを襲っていたプレッシャーは消えたけど、
ニコニコ笑っているテファの瞳は、一瞬もわたしからそらされることは無かった。
テファの誤解を少しでも解こうと、シュヴァリエの視線から隠れるようにテファの背後に回りこむ。
細くて胸以外に余分な肉なんてついていないのに、やわらかくて女らしい体。
……なんだかずるい。
シュヴァリエも見ないように気を使っているつもりだろうけれど、
後ろから見ているとテファの視線が外れるたびに、視線が胸に向かってた。
「どうかした?」
シュヴァリエの様子がおかしいのに気付いたテファが近寄ろうとするのを、慌てて後ろから止める。
裸なのに、男の子と女の子なのに、そんなに側に近寄るのは駄目。
「あ、赤ちゃんできちゃう」
必死になったわたしは、ついそんな恥ずかしい言葉を大声で叫んでしまった。
真っ赤になったシュヴァリエが、ぶくぶくとお湯の中に沈んでゆく。
……恥ずかしい。
「そーなの?」
え?
本気で不思議そうな顔をしたテファが、優雅に振り返って、
「赤ちゃんて、側によるとできるの?」
……えっと……
436 :
5/7:2007/10/25(木) 02:06:12 ID:CWgsQxO4
「ち、違うけど」
「? 知らないの? ベアトリス、知らないのに知ってるみたいに嘘を吐いたの?」
わたしを見ているテファの目がすっと細くなる。
整った綺麗な顔は、そんな些細な仕草だけで凄みを増した。
「ふーん、嘘……また吐いたの? ベアトリス」
「ちっ、ちがっ……ちがうのっ、テファ」
恐怖に震えながら、助けを求めてシュヴァリエの方を見るけれど、
女の子の『赤ちゃんできちゃう』発言によほど衝撃を受けたのか、
妙に幸せそうな表情で半分お湯に沈んでいた。
「後でゆっくりお話しましょうね? ミス・クルデンホルフ」
「っ……」
また捨てられる。
その恐怖は何よりも強くわたしの心を縛る。
「ま……って、まってテファ」
「なぁに?」
ちらりとシュヴァリエの方を見る。
まだこちらに方に注意が向いていないのを確認してから、テファに囁く。
「あの、あのねテファ、知ってるの。本当だから。後で説明するから」
だから捨てないで、側に居させて。
一生懸命お願いするけど、テファの目に熱はなかなか戻らない。
「んと……ね、ベアトリス、じゃあねぇ、今教えてくれるなら良いよ」
「い、今?」
「うん、今」
……男の子が居るのに?
でも……
「あの……あのね、テファ……男の子の…………をね……その……女の子の……」
お湯の熱さとは違う熱が、体の中からわたしを熱くする。
まだ聞こえてないみたいだけど、シュヴァリエに聞かれたらと思うと……
「……ねー、ベアトリス」
「……はっ……い……テファ……」
テファが話し掛けてくれているのに、熱くなった頭はゆっくりとしか反応しない。
羞恥で何も考えられない。
「説明の意味がよくわからないから、もっとちゃんと説明して」
不満そうなテファの目。
わたしがよくわからないことを言って、誤魔化そうとしてる。
そう……思われているんだ。
「あの……ね……テファ……ココに……ね……」
わたしはお湯の中から立ち上がっていた。
437 :
6/7:2007/10/25(木) 02:06:50 ID:CWgsQxO4
サイトは幸せな妄想にふけっていた。
女の子の『赤ちゃん出来ちゃう』発言はなんとゆーか、妙にニヤニヤしてしまう。
しかもちょっとした諍いが有ったとはいえ、テファが来るまで下級生の一番人気。
家柄補正はあったとはいえベアトリスも文句なしに美少女の部類だ。
見るからに幼い少女が唐突に
『赤ちゃん出来ちゃう』
……イロイロ考えていたサイトの妄想を覚ましたのは、お湯の音だった。
「あの……ね……テファ……ココに……ね……」
立ち上がったベアトリスが、俯いたままテファに自分の奥を見せようと、
慎重に閉じた蕾を両手で開いて見せようとしていた。
「男の子のね、オチンチンを……差し込んでもらって、男の子が気持ちよく成ってくれたら、赤ちゃんができるんで……す……」
ベアトリスの語尾は小さく消えてゆき、伏せられた瞳は小さく震える。
その瞳が何度か狂おしそうにサイトに向けられるが、サイトは目をそらすことができなかった。
「……本当? サイト」
「! っ、あっ……な、なにっ、ちょっと……聞いてなかったっ」
「赤ちゃんの作り方、今ベアトリスに聞いてたの」
マチルダねえさんは教えてくれなかったら、そんな言葉が小さく消えていったけれど。
サイトもベアトリスもそれ所ではなかった。
結局、ルイズにもシエスタにも一度も見せてもらったことの無いサイトは興味深々だったし、
ベアトリスに至っては、テファが納得してくれるまでお湯の中に戻れないのに、
目の前の男の子は、穴が開きそうなほど自分の大切なところを見つめていた。
「あ、サイト聞こえなかったんだよね? ベアトリス、もう一回」
「ひっ……う……あ……ぁ……」
ほとんどお湯の外に出ているのに、ベアトリスの身体がっくりと桜色に染まっていった。
助けを求めるように向けられる視線に、サイトは思わず立ちあがる。
「ちょっ、テファっ! やりすぎ」
立ち上がったサイトを見たテファは、一瞬止まった後ベアトリスを睨む。
「ベアトリス、もう一回」
「ひ……お、男の子にっ……わたしの中で、気持ちよくなってもらった……ら……」
ベアトリスはサイトの視線を浴びながら、もう一度恥ずかしい台詞を口にする。
その結果は……
「嘘つき」
テファの冷たい宣告だった。
がっふ、割り込んでしまったorz
あせり過ぎだ自分…orz
439 :
7/7:2007/10/25(木) 02:07:21 ID:CWgsQxO4
「う、嘘じゃないっ、嘘じゃないよぅっ」
ベアトリスの言葉を遮るように、テファの指が広げられていた入り口をなぞる。
「ひゃっ、テ、テファ? 何? 何で?」
テファの細い指先が、柔らかな入り口を一周する。
「こんなに小さい所に『あんなの』入るはず無い」
「「っ!」」
目の前で繰り広げられた痴態に、すっかり『あんなの』を大きくしていたサイトも、
テファの示す『あんなの』に目を向けたベアトリスも言葉を失った。
「だって、ベアトリスのここ、指だって押し込まないと入らないんだよ?」
「っ……まって、テファ……言わないで……お願……ぃ……」
「ほら、サイトも見てみて、こ〜んなに小さい所にそんなの入るはず無いよね?」
「……う……」
テファに導かれるまま、サイトは至近距離で少女の襞を観察した。
「ほら、開いてもこんなに狭いんだよ?」
「……や……め……てぇ……そんなの……駄目ぇ……」
お湯の中に逃げ込めば二人に観察されることも無くなるが、
追い詰められたベアトリスの頭の中にそんな選択肢は存在しなかった。
「ピ、ピンク……」
唯一テファを止められるサイトの頭の中は、いろんな意味で真ピンクだった。
すっかり意識の飛んでいる二人のサイズを、手で何度も測ったテファが最後の宣告をベアトリスに送った。
「ベアトリスは悪い子だね」
その一言で、羞恥一色だったベアトリスの頭の中は凍りついた。
「さようなら、ミス・クルデンホルフ」
「ま、待って……待ってテファっ」
お湯から上がったテファにすがりつきながら、ベアトリスは叫ぶ。
「い、今から、今から入れて見せるから、本当だから、嘘じゃないから、まってよぉぉぉぉっ」
昼を過ぎたころ。
食堂にやってきた才人とタバサの耳に、一足先に食堂で昼食を採っていた生徒たちの噂話が届く。
どうやら、犯人は学院関係者らしい。
盗まれた宝物はそれほど大したものではなかったらしい。
まだ、犯人は捕まってはおらず、教師たちは犯人捜しにあちこちで聞き込みや捜査をしいるらしい。
そんな憶測とも噂とも取れる話が、食堂のそこかしこから聞こえてくる。
関係者が犯人だから、内々に処理したいんだろうけど。
才人は捜査が遅遅として進まないことに少し不安を抱いていた。
…犯人がそのマジック・アイテムを使って何かをやらかしたらどうするんだ。
才人は遅めの食事を採りながら、そんなことを考えていた。
隣でもくもくとサラダを口に運ぶタバサは、そんな才人に心の声で言った。
大丈夫。もし、何かあったら、私たちでなんとかすればいい。
その言葉には、絶対的な自信が篭っていた。
さすがだな。本物の騎士ならではの自信ってやつ?
厭味でもなんでもなく、タバサの自信に才人は素直に感心していた。
しかし、才人のその言葉は感心を向けた相手によって否定される。
ううん、そうじゃない。
…サイトが一緒なら、私はなんだって、できると思えるから…。
そこまで心で伝えて、顔を伏せる。
いかに心の中でとはいえ、さすがに今の台詞は恥ずかしいらしい。
言って顔を伏せるタバサの耳は、その端まで赤く染まっていた。
かわええ。
才人がそんないじらしい使い魔に萌え死にそうになっていたその時。
突然、教師の一人が、慌てて食堂に駆け込んできた。
「大変だ!犯人が逃亡した!」
その教師に視線が集まり、一斉に質問の矢が飛ぶ。
どうして逃がしたんだ、誰が犯人なんだ、安全はどうなるんだ、などなど。
「大丈夫、君たちの安全は確保する!この食堂から動かないでくれたまえ!」
言って教師は逃げるように食堂を後にする。
それを見送ったタバサが、静かに席を立つ。
才人も黙って、その後に続く。
「そんじゃ、行くかぁ」
「ん」
二人の目的は同じ。言葉を交わす必要もなかった。
二人の騎士は、大騒ぎの食堂を抜け、犯人を見つけ出すべく、行動に出た。
結論から言うと。
宝物庫から宝物を盗んだのは。
あの、ロナ・アルベルト・シモンズだった。
宝物庫を見回っていた教師が、『逃げていくオーガ』を目撃しているから間違いない。
「けっこういい人っぽかったけどなあ」
ロナはすでに学院の外に逃げたというので、才人は馬の準備をしていた。
その傍らで、盗まれた宝物の目録のメモを読んでいたタバサがぽそりと漏らす。
「…でも、嘘をついていた」
そう、彼はロナ・アルベルト・シモンズ本人ではない。その時点で、既に疑うべき対象だったのだ。
タバサは既に才人の載った馬の上に、ひらりと飛び乗る。いつものように才人の前ではなく、鞍の後ろに。
抱えられた状態ではいざと言う時動き難いし、なにより、才人の影に隠れていれば詠唱を見られることもない。
才人はタバサが乗ったのを確認すると、即座に馬に鞭を入れる。
向かった方角は、北。
なぜなら、こちらに向かうのが、街道に出る一番の近道だから。
一応念のため、逆方向にシルフィードを飛ばしている。
『メイジの格好をしたオーガを見かけたら足止めしておけ』と言い含めてある。
そして。
馬を飛ばす才人の視界に、道を駆ける黒いマントが入る。
「見つけた」
才人は背後から、一気に間合いを詰めようとする。
その瞬間。
とりあえず、ここまで。
新刊の新出魔法が素敵過ぎます。
そのうち何か書こうと……とりあえず前書きかけてたのを終わらせに。
思いつくのが黒すぎるので、これ終わっても暫く新出魔法ネタは控えるかもしれませんがそのうちにー、ではまた
突然、目の前の地面が隆起した。
「うわっ!?」
突然の地形の変化に馬がついてこれず、馬上の二人はそのまま地面に放り出される。
才人はかろうじて、タバサを抱えて地面に転がる。
土ぼこりに塗れながら、才人は地面を転がり、そして止まる。
才人は腕の中のタバサに尋ねた。
「大丈夫かシャルロット?」
「…ありがと」
それより、サイトはっ!?
表の声とは裏腹に、心の声には軽い焦りが見えた。
「大丈夫、怪我はねえよ。
…でも、もう気付かれたのか?」
答えながら、才人はロナの方を見る。
才人に見えるロナはまだ小さな人影で、この距離で前を走っていて気付かれるはずがなかった。
才人が不審に思っていると、タバサがその理由を教えてくれた。
「盗まれた、マジック・アイテムのせい」
そしてタバサは、読み込んだ宝物の目録の内容を、心で才人に伝える。
盗まれた宝物。それは、『千里眼の布』という。
それは目隠しのための布に、たくさんの目が描かれた布だった。その力は、着用した者に、周囲360度の視界と、地平を見通す視力を与えると言う物だった。
「…大したことはないけど、確かに厄介だな」
戦闘経験を積んだ才人には、視界の大切さが身にしみて分かっていた。
その視界を360度展開でき、さらにその距離も長い、となると。
「…力押しかぁ」
正直気が進まなかったが、この場合の解はそれが最も効率的だろう。
近寄って、叩きのめす。
ガンダールヴの力を使えば、ロナとの彼我の距離は一気に縮まる。才人はデルフリンガーを抜き、構えた。
ガンダールヴの印が光り輝き、そして手にしたデルフリンガーが才人に言う。
「おー相棒、なんか今日はマジだね」
喋る剣の軽口に、才人は応える。
「…全方位見渡せる、視力のいい相手とやらなきゃなんないんだよ。
余裕なんてない」
それに対するデルフリンガーの答えは、意外なものだった。
「なんだい相棒、相手は千里眼でも使うのかい?
だったら気をつけな、敵さんの戦術によっちゃ、引いた方がいいかもしれんぜ」
「接近戦で俺が負けるとでも?」
「まーなー。相手さんの戦術次第って言ったろ?
ま、そこの嬢ちゃんもいることだし…ってあら?嬢ちゃんなんか雰囲気違くね?」
デルフリンガーの興味は、どうやら使い魔となったタバサに移ったようだ。
あとで説明しておこう、今はそんなヒマねえし。と思いながら、才人はさきほどのデルフリンガーの言葉が気にかかっていた。
『敵さんの戦術によっちゃ、引いた方がいいかもしれんぜ』
ま、やばくなったら引けばいいか。逃げ足には自信あるし。
情けない事を考えながら、才人はタバサを抱え、一気に地を駆けたのだった。
・・・・・うぁ、ごめんなさいっ、
久々に来てこれは申し訳なさ過ぎます。
取り急ぎ謝罪まで
風のように速いスピードで、ロナとの距離は一気に剣の間合いまで縮まった。
その間、ロナからの妨害は一切なかった。
そのかわり、妙な目の模様の入った布で目隠しをしたロナは腕を組み、才人を待ち構えていた。
「よく来たな、若人よ!」
暑苦しい言葉は相変わらずだ。
才人は油断なく剣を構え、その後ろでタバサがそっと詠唱に入る。『アイス・ストーム』の魔法である。
この魔法の範囲なら、確実にロナを捉えられる。
しかし、それを見たロナも、即座に詠唱に入った。
「させるかよっ!」
才人は大地を蹴り、剣を突き出して一気に踏み込む。
「甘いっ!」
ロナはその巨躯に見合わぬ俊敏な動きでその突きをかわすと、その側面から右の掌打を繰り出す。
才人は肩を打撃され、そのまま一気に吹き飛んでしまう。
「ぐわっ!?」
一回転半したところで姿勢制御に入り、そのまま勢いを利用して立ち上がり、剣を構える。
しかしその瞬間。
ロナの詠唱が完成する。
それはタバサの『アイス・ストーム』より遥かに短い詠唱だった。
その魔法は、あまりに基礎的で、簡単な魔法だった。
その魔法は。
『錬金』。そう、ただの『錬金』であった。
完成した術式を、ロナは杖に集める。
そしてそれを。
自らに向けて、放ったのだった。
「見よ!これが我が戦闘術、『武装錬筋』であるッ!」
>>261氏すまんかったっすー。
慌てすぎましたー
さて、前ロナ先生の元ネタをアームストロング少佐と言ってる人がいましたが。
実はモデルはバズ・ガイガンだったりします。
…誰も知らねえだろうなあ。
んじゃまた後日ノシ
447 :
261のひと:2007/10/25(木) 02:17:03 ID:CWgsQxO4
>>446 せんたいさんごめんなさい、しかも慌てて謝ったせいで、さらに邪魔してしまいましたし。
……うぅ、胃に穴が開くですよ
エロパロヌクモリティを感じた
なんかもう、みんなGJゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥッッッ!!!
>>442少し鬱気味なってきたが、とてもおもしろいな。GJ!!
どんな展開になるのか非常にwktkしてる
>>446バトルktkr!!
終末がどうなるか気になるのですよきゅいきゅい。GJ!!
そして事件が起きた後もいちゃいちゃしてる二人に吹いたwwまぁそれがいいんだがww
おめーら落ち着け
>>442 GJなのです。ベアトリスに激しく萌えたんだが、その分テファが怖かったわw
テファやべぇw ベア様カワイソスw
何この神々の饗宴
最近のへんたいさんが生き急いでいる気がしてならない…
大丈夫か?
テファが自分で悪と気付いていない
最もドス黒い悪にw
>>455 これは戦いなんだっ
せんたいさんの生が尽きるか、オレたちの精が尽きるかって
たたかいなんだ! www
最近ルイズものが少ない気がするけど
別に問題ないぜ
奇遇だな 俺も思ってたけど
別に問題ないぜ
>>442 テファ黒っ…だが…GJ
ベアトリスがものすごく可哀相でならないぜ…ガンバレ
もうルイズがいなくても良いんじゃないか?って感じだけど
別に問題ないぜ
遅レスだが
>>420のアンソロのタイトルって何?
>>465 dクス
これさすがにTUTAYAじゃ買えねーだろうなwwwwwwwwwww
よく知らないんだが、こういうのって本家に仁義切ってるの?
>>467 そんなこと言ったらエロゲとかあるじゃないか
良く見ればわかるが、「ゼロの使い魔」という書籍名は一切使っていない。
これ以外のパロっぽいエロアンソロも同様。
つまり似ているラノベとかアニメがあるけどそれとは別に普通のエロ漫画という事になる。
どうでもいい話なんだが、このルイズ微妙に頭でかくね?
>>470 人間が大きさを認識するのは眼
↓
『モノ』を大きいと認識する際に必要なのは『比較対象』
↓
このスレに来る変態紳士達は女の子の顔の大きさを無意識的におっぱいと比較している
↓
ルイズはおっぱいが小さい
↓
相対的に顔が大きく見える
上記を『変態相対性理論』として発表したらノーベル平和賞を貰えると思うんだ
(*・ω・)きゅいきゅい
>>471 ひとつ逝っておくがアインシュタインは相対性理論だはノーベル賞とってないからな?
>>471 でもそんなの発表したらルイズが虚無をぶっ放して戦乱が巻き起こるから……
平和賞はないなw
>>473 知ってる。だけど俺の研究は貧乳の女の子に夢を与え、貧乳萌えの男の子に希望を与える事に繋がるハズだと確信している。
こ う し て 世 界 は 平 和 に な っ た !
よっしゃ!歴史に名前を残すぜ!ルイズの為にな!
というか、ルイズが貧乳なのは、虚無の力によって高速で運動しているルイズの胸が、
ローレンツ短縮によって、静止している観測者からは縮んで見えるせいだと思っていたが。
>>476 虚無の力でルイズの胸が高速で動いているとすれば、だ。ルイズの体重は見た目以上の重さって事になるのか?
せ、青少年の夢を壊すなっ!
>>471-
>>477 なんだこいつらw
見に来たら相対性理論とか話題に上がって他のスレに来たと思った
もっと分かりやすく説明してくれ…
つまりタバサは俺のってことでいいんだよな?
>647 名前: 名無しさん@ピンキー [sage] 投稿日: 2006/11/01(水) 01:54:49 ID:+N9RxQOZ
>続きます……来年のハロウィンに……とか。
さてこれについてどう思うかね?
この2日後に完結したような気がしないでもないがそれは気のせいだと思うんだ
つまりみんなルイズものを読みたいってことだな?
よし、待ってろ!
寝れば誰かが書いといてくれるさ
>>479 タバサやシルフィードが青く見えるのは光のドップラー効果によるもので、彼女たちがあなたに向かって
高速で接近してきていることを意味しています。
ハルケギニアではどの程度まで研究が進んでるんだろうな。ネタになりそうだが。
とりあえず、エーテルすら知らないだろうな。
科学の大原則のひとつに「法則は揺るがない」ってのがあるからな。
キリスト教下では法則=神の法ってことで、それを発見し研究するのが信仰の一形態だった。
しかし魔法なんて保存則ぶっちぎりの技術がある以上、
「簡単に書き換えれる法則」なんかを見つけるという科学の目的が低く見られるだろうから
当然科学技術の発展も遅いだろうな。
また魔法なんて便利なものがある以上、創意工夫をひねる隙がない=技術発展は遅い。
特に建築の技術は壊滅だろうな。公共事業系は貴族が関わり、魔法でちょろっとやっちゃいそうだから。
さらにコルベール先生が飛行機いじってたシーンで
「同じものを作るという概念がない」
ってなことを言っていたことから、産業革命以前だってことは解る。
以上のことから、ハルケギニアの技術力は、
ローマ時代レベル−建築技術がいいところじゃね?
そんなことどうでもいいから
テファの胸を後ろからたぷたぷしたい
テファの乳首を落として、SFCのAボタンにしてやりたい(*´д`*)
ベッドに腰掛けたルイズ、瞳から伺える感情はやっぱり複雑、不安、卑しさ、欲望、でも瞳は死んでない
「なんでもしてやる、ルイズのためになんでも、してあげたい…どうしてほしい…?」
俺はルイズの隣に尻を落とす、体重で沈んだベッドでルイズの体が少し跳ね、俺の体にもたれかかる
「……サイトの…したいこと…したいことをわたしにして…サイトのしたいこと、わたしもしたい…」
ルイズの両眼が眠そうに緩む、瞳に宿るのは、黒い感情の空に浮かんだ桃色の月のような気持ち
もうひとつの月は、きっと俺の瞳の中にある、俺の黒い感情、ルイズへの欲望と、その中に浮かぶ蒼い月
「……俺のしたいことは……そーだな、キスしよっか!」
「…………うん……キスしよ…………」
ルイズが瞳を閉じる、何度か交わしたキス、彼女は両肩に手を添えようとする俺から逃げるように
仰向けにベッドに倒れこんだ、俺も追う、ルイズは閉じていた目を一度開き、俺の意思をたしかめる
ここからは今までのキスじゃない、この世界との深い繋がりは元の世界への帰路を閉ざすかもしれない
「……ん……んむ…んん…んちゅ……ちゅ…ちゅ……ちゅば…ちゅぱ…ちゅぱ……」
ルイズの上に覆い被さってキスをした、契約と同じ唇のキス、俺がルイズの唇にそっと舌で触れると
ルイズは口を少し開けて舌を受け入れた、唇の奥、歯茎、上顎、ルイズの舌と触れるまで舌を進入させる
きっと彼女は俺なんかよりずっと大きい物を捨てようとしている、俺が何かを失うのは当然だと思った
俺が奥まで伸ばした舌を一度ひっこめると、ルイズの舌がそれについてくるように俺の口に入ってくる
彼女の舌は長かった、俺の口の中で困惑して辺りを見回すように動くと、俺の舌に触れ、絡ませてきた
そのまま互いの口の中を舌で探りあう、ルイズの唾液を感じる、より深く、もっと深くと求めている内に
お互いが口を大きく開けて貪りあう、以前映画で見た時には少しグロいと思ったキスが自然に出来た
鼻は邪魔にならないのかな?と思ってたが、俺の鼻がルイズのそれに触れるたび、体が心地よく痺れた
舌をひっこめ、ルイズの唇をそっと離す、唇で追っかけてきたルイズも、舌を少し出したまま唇を離した
「……サイト………わたし……なんだか、バクハツしそう……なにもいらない……ぜんぶほしい……」
「……これから……どうする……?……」
お互いに黙ってしまった、自分を罵る、これじゃ童貞丸出しのヘタレ男だ、頑張れ俺!地球の代表!
「……ねぇ……どうしよ……サイト……どう、しよっか……?……」
ルイズは挑むような目で見る、求めてる事はお互いに分かってる、俺から言ってくれるのを待っている、
ルイズは、誘ってる
互いに照れ臭くなり、枕元に放り出された雑誌に視線が行く、何のためらいもなく体で愛し合う白人男女
ルイズの手を握る、キスの後で陶酔していたルイズの頬が赤みを増す、握り返された手は熱く湿っていた
不意に雑誌がめくれ、凄い体位で乱れる男女がルイズの目に入った、無修正の結合部は誰が見てもグロい
サイズだけは巨大な白人男根の挿入シーンを見せつけられたルイズの顔がもっと赤くなり、青くなる
「……ダ…ダメ……や、やっぱり今夜はキスしかダメ!…お願い…こんなのしたら死んじゃう!」
「死なないんじゃないかなぁ、でもルイズが望むなら、キスでいいよ…キスがいい…今夜は、ね」
「キスだけ、ね…どこでもいいよ…わたしもサイトにいっぱいキスしたい…ここにも……ここに、も……」
俺の唇に触れたルイズの指先が体に沿って下がっていく、ヘソの下あたりで指を離し、中空を指差す
「どこにキスしても…いい?…君の大切なメイジのマントにキスしても……君は許してくれるかな……」
ルイズの喉元を飾る五芒星を指で少し押すと、ルイズはその手を両手で掴み、マントの中に引き入れた
「……服の上からじゃイヤ…服じゃなくわたしにキスして…メイジのわたしじゃなくて、女のわたしに…」
ルイズは俺のパーカーを引き剥がしながら、俺の手をマントに導く、ふたつの衣が同時に投げ捨てられた
「…………サイト・……ハダカになろ…………」
乱れていたブラウスにそっと手をかけた、ヴァリエール家の紋章が刻まれたボタンをひとつひとつ外す
ルイズは下から脱がしてきた、ジーンズを力任せに破ろうとしたが諦め、リーヴァイスのボタンに挑む
裸のままキスを交わした、俺は腕を、ルイズは足を絡ませる、女の体ってこんなに熱いのか、と思った
唇を頬に伝わせ、ルイズの耳たぶに触れた、ルイズの体がピクっと跳ねる、首筋、鎖骨、胸、桜色の乳首
ルイズは火がついたように俺の唇を貪った、顔を執拗に舐めては噛み、俺の体を唇と舌と歯で確めている
「……サイト…使い魔じゃない…キスだけじゃない…とうとう…サイトをわたしのものにする時が……」
俺の肩を掴んで仰向けにさせたルイズが体の上を這い、爪先にキスした、腿に向けて唇を伝わせている
「…サイト…この足をちょうだい…わたしはこの足を大事にしまっとく、サイトがどこにも行かないように」
「いいよ」
ルイズは俺の指を音たててしゃぶり、そのまま舌で俺の二の腕のあちこちを執拗に舐め、肩口に噛み付く
「サイト…この腕をちょうだい…サイトがわたし以外の女に触れないように、この腕を肌身離さず持ち歩くわ」
「あげるよ」
ルイズは俺の頭の中に顔を突っ込み、髪の匂いを嗅ぐと、熱い息を俺の頭皮に浴びせ、髪を噛んで引っ張る
「…サイト…この髪をちょうだい…この髪を胸に飾って、サイトがわたしの恋人だって世界中に自慢するの」
「全部あげるよ、あの日に召還されて初めて会った時から、この体はすべてルイズのものだ」
ルイズは大きな口をあけて俺の胸を頬張る、肋骨に歯を立て胸筋を噛んだ、胸に走る痛みはルイズの証
「…サイト…この心臓をちょうだい……この心臓を食べてしまいたい……サイトとひとつになりたい……」
「あげるっつってんだろ」
俺の体中にルイズの噛み傷、その幾つかが血を滲ませている、俺の血で赤く染まった彼女の歯が綺麗だった
「優しいサイトにご褒美をあげる、わたしの命をあげる…わたしを殺して…死んじゃうようなこと…して…」
口から俺の血を滴らせたルイズは自分の腕に歯を立てた、ヤキトリのナンコツを齧るような音がする
ルイズは血を求める自分の顎と歯を満足させると、赤く滴る腕を俺の口に押し付ける、しょっぱかった
「俺は異世界の使い魔、君と一緒の体だって保証は無い、本当に死ぬかもしれない、殺すかもしれないよ」
ここの人間は何もかも俺と同じだった、でも、もしも俺がこの世界に無い肝炎や麻疹でも持ってたら…
「……サイト…わたしとあんた…きっと…別々の世界で生まれたのは…何かの間違いだから…」
鳶色の瞳が俺を吸い込む、ルイズの少し強めな独占欲は危ないと思ってたが、今はそれに心奪われつつある
「……今夜一緒に死んで…一緒に生まれよう…わたしは最初からそのつもりだよ……ずっと最初から……」
命を共にしてもいいと思った、相手を気遣うのが正しい愛の形なら、一緒に堕ちるのが俺のカタチ
シエスタに迫られた時やテファに求められた時は、傷つけたくないという気持ちが形になって現れた
あの胸に触れ、唇を重ねた時ははちきれんばかりに元気だったのに、いざって時に勃たなくなった
俺以後に地球から召喚される人間が性的能力への偏見を受けたなら、原因は俺だ、どうか許して欲しい
体中を噛み荒らされ、こんな時にまで主導権を奪われていた俺はルイズを少し手荒く仰向けにさせた
今度は唇へのキスを飛ばして胸に食いついた、まだ薄い胸の柔らかみを歯でできるだけ優しくつつく
「……バ…バカっ……なな何すんのよぉ!……ちょ…やめ……ひゃっ!……や……やぁん……」
間近で見るとそんなに薄くない胸の肉を唇と歯で揉み、頂点にある薄アズキ色の粒に吸い付く、強めに
「……やだぁ……サイトぉ……そんなことしても……わたし…おっぱいなんか……でないよぉ……」
ルイズは「……やめてぇ……そんな・……しないでぇ……」と言いながら、俺の頭を胸に押し付ける
その手に力がこもった、少しずつ下へ下へと押す力が加わる、俺はヘソのほうに誘導されそうな頭を上げ
上目遣いにルイズの顔を見た、ルイズは妙に無表情な、瞳にモヤがかかったような目で俺を見下ろしている
頭と上半身を少し持ち上げた隙を突かれ、そのまま俺の頭がルイズの手でうんと下まで引き下げられた
「……そこダメ…そこ全部ダメ…な、なめたりしちゃダメなんだからね……お願い……ダメなの……」
なんとなくルイズが言いたいことはわかったので、柔らかい腹の下、ごく薄い恥毛の中に舌を触れる
「……ダメぇ……サイト……そこ…おしっこ出るところ……キタナイから……ダメ……だめぇ……」
ルイズが熱湯風呂のフチに乗って「押すなよ!絶対押すなよ!」と言っている姿が見えたような気がした
どこまで舐めていいのか加減がわからず、ぷっくりしたミゾの周囲を輪を描くように舐め上げる
見上げるとルイズは両手足を縮めて声も出せぬ様子で硬直してる、彼女の嫌いなカエルによく似た姿だった
体を上にずらし、桃色のカエルの上にのしかかる、下半身がルイズの目に入んないように気を使ったが
目を固く閉じたり見開いて下を注視したりを繰り返していたルイズは、女のコに無い物を見てしまった
「……サイト……それ……挿れるの……?……イヤよ……はいんないよ……痛くて死んじゃう……」
「……今日は最後までは……やめとく……?……」
ルイズはまだカエルの格好をしていたが、その姿のままいつも通り俺を怒鳴る、顔面に唾が飛んできた
「……こ…このバカ犬!……バカぁ…い…一緒に死ぬって言ってくれたじゃない!もう忘れたの……?……」
声を張り上げて少し落ち着いたらしきルイズは、俺の肩越しに天井を見つめ、両手を組み合わせた
「……神様……始祖ブリミル、お母さまお姉さまお許しください、ルイズはこれから星になります……
……こ…今度こそ…今度こそ星になります…また途中でダメになったら…神様、恨みますからね…」
「ついでに俺の分も祈っといてくれ」
「あんたはあんたの神様に…わ、わたしに祈りなさい!これから全身全霊でわたしを、可愛がるって!」
ルイズは俺の頬を確めるように触れ、喉が少しつっかえたような声を出す、吐く息は妙に甘い匂いがした
「……ねぇサイト…わたしに祈って…わたしを優しく、痛くしないようにそっと、大事に、愛するって…
……で…でも……優しすぎるのもダメ…ちょっとぐらい痛いのはガマンするから…優しく、強く、ね…」
何言ってやがる、と思った俺はルイズの足首を掴み、そのまま足を肩をあたりまで持ち上げて開いた
一気にブチこもうとしたが、ルイズが本気で怯えた目で「……おねがい……おねがい……」と囁くので
俺のモノの先でルイズの女の部分、その中心を避けるようにつついた、縁に沿って撫で上げる
不躾だが、部屋の明るさに助けられ、ついその部分を見つめてしまった、既に透明な液が流れ出している
ルイズは俺が入り口に迷っているのかと勘違いた様子で、緊張で半開きだった口で無理やり言葉を吐く
「なな何よ!あ、あんたも初めてじゃないの!わ、わたしがリードしたげるから言う通りにしなさい!」
ルイズは俺のを指で摘み、しばらく硬さや先の感触を確めてたが、それを溝の中間点より少し下に当て
入り口は無修正物を見た時の想像よりかなり下のほうにあった、俺は二次エロを見過ぎたのかもしれない
「……こ……ここよ……わかる?……ここの中……うんと中のほうに……大丈夫……こわくないから……」
ルイズの歯がカチカチ鳴るのが聞こえる、彼女が感じてる恐怖を和らげようと思ったが、何か頭が働かない
溝に当てた俺のモノに力をこめる、きついトンネルの中で何かが引っかかるような感触、何だこれ?
列車が車輪の前の置石をひき潰すように乗り越えると、レールが敷かれたように一気に奥まで入った
「…………うっ……うぅっ……つぅ!……き……きぁぁぁあああああ!……いやぁぁぁぁぁ!!」
ルイズの悲鳴、この後で腰を動かすってのは知ってたが、そんな事したら俺の鼓膜が破れると思った
俺はといえばルイズの膜を破って痛い思いをさせてるんだが、気遣いとかそういうのは頭から飛んでった
中まで挿れた状態でしばらく固まる、ルイズはカエルのように縮めていた両手足を激しく暴れさせ始めた
「……つっ……い…いったぁい!……痛い!……痛いの……や…やだ!やめる!やっぱりやめる!」
俺はルイズの悲鳴を無視していたが、ルイズは足で俺の体を何度も蹴っ飛ばして引き剥がすと
横向きに体を丸め、前を押さえてしゃくり上げていた、横目で俺を睨む、悪いけど可愛いと思った
ルイズは下に指を伸ばし、血がついてるのを見て泣き出した、俺の顔をチラっと盗み見てまた泣いた
「…………あ……え〜と……ルイズ……さん?……ごめん……大丈夫?」
「……サイトのバカ…このバカ犬!…やさしくしてって言ったのに…痛いじゃないの!…死ぬほど痛い…」
何か彼女を笑わせるか怒らせる事でも言いたかったが緊張で頭が回らない、とりあえず建前を述べといた
「……今度は痛くしないようにするよ……」
「……じゃ……じゃあもう一度………ね………わたしもガマンするから……」
仰向けになって両手を胸の前で組み合わせるルイズの上に覆い被さる、彼女が自然に開いた腿の間に入った
もう一度、今度は焦らし無しで中心に当て、少しづつ、止めることなく奥まで挿れた、すんなり入った
ルイズの押し殺したような声が聞こえる、今度はためらい無く、一度引いた腰をルイズにこすりつけた
うつぶせオナニーの要領で、うつぶせオナニーの要領で、と念じながら腰を動かした、前後?上下?
さっきよりは続いたルイズの我慢もすぐに限界が来たらしい、やっぱり鼓膜が破れるような悲鳴
俺はそれでも腰を動かし続けた、俺の欲望をぶつけるのはルイズを愛する方法として正しいと思った
ルイズの悲鳴と呻き声、途中で気持ちよさそうな声が混じると思ったが、高い悲鳴は濁音の悲鳴に変わった
俺はオナニーの時と違う感覚が昇ってきた、腰あたりの痺れがモノラルからステレオになったような感じ
一人の時にはありえない匂い、果物のような、消毒液のような、臭いけど求めてしまうような匂い
AVやエロゲの声とは全然違う声、呼吸が体内を流れて声を発する感覚が皮膚を通して伝わってくる
結局、最後までルイズは痛みに泣き叫び、その声が一段高くなった後で「かはっ」と息を吐き気を失った
限界の寸前でルイズの体から俺のを引き抜き、そのハダカにたっぷりと液をブチ撒けた
中には出さない、いつかこの世界を去る俺がルイズと一線を超えた時に誓った数少ない楔だった
それは俺がこの先、幾度ルイズと肌を交えることになっても、命に替えてでも守るべきと決めたことだった
腹を中心に白い液で汚したルイズの隣に崩れ落ちる、ランニングの後のような深く早い息をする俺の隣で
ルイズは心臓麻痺でも起こしたような不規則な呼吸をしていた、ルイズの、俺の恋人の顔を見つめる
ルイズは白目を剥いていた、俺は顔を逸らし、何かティッシュの替わりになる物を探し始めた
終わったと思った、こんなもんかとも思った、童貞の頃の想像とは違った、違っててよかったと思った
俺はルイズの隣で天井を見つめながらぼんやりしていた、今後のことを考えようにも何だか頭が呆けてる
気を失っていたルイズが「はうっ!」と声を上げ、体を痙攣させながら意識を取り戻した、色気ねぇな
ルイズは焦点の合わない目で俺を見ていたが、柔らかい肉球のような手で俺に触れ、突然抱きすくめた
俺を横向きのまま胸の前に抱え込み、両手足でしがみつく、映画やアニメに出てくる恋愛シーンよりも
野生動物の生態を映した番組を思い出す、あのテレビの通りになるなら、俺はこの後で喰われる
ルイズは白い牙を剥き出し、俺の首筋に熱い息をかけながら両手足で締め上げる、耳の凄く近くで声がした
「……サイトはわたしの物……わたし以外にサイトの体に触れる女は……殺してやる……殺してやる……」
ルイズの情事の後の愛撫は、呪いの言葉と共に才人の背中に立てた爪だった、そのまま掌を俺の手に重ね
「この手をたぶらかすおっきなオッパイをちぎり取ってやる……もしその時は…この手も貰うからね…」
猫のように気分屋で猫のように高慢なルイズは、俺と一緒に眠る時には猫のように甘えん坊になる
そして猫は俺と激しく愛し合う時、獰猛で貪欲な虎になる、虎はその捕食と縄張りのために死ぬまで戦う
桃色の虎は巣に持ち帰った獲物を抱え込むように俺を包み、その牙と爪で俺をもてあそんでいた
さっきまでの愛の営みで火照っていた体が少しづつ平熱に戻っていくにしたがって、虎は再び猫になる
猫は俺の胸の前に納まる、俺が両腕をルイズの体に巻きつけると彼女は匂いを嗅ぎ、それから舌で舐めた
「にゃ〜ん」って声が聞こえてきそうな甘ったるい顔で、ルイズは俺の胸や顔に自分の顔を擦り付ている
「……サイト……なんかお話して…サイトのお話…わたしサイトのことを何もしらない…たくさん話して…」
俺に昔話をねだるルイズ、可愛い猫の手からは嘘吐きを引き裂く虎の爪が生え、俺の喉に食い込んでいた
ルイズを胸の前に抱えながら、色々な話をした
「で、その誕生日プレゼントをくれたコが俺の初恋の女のコだったんだ、冷やかされて恥ずかしかったよ」
「……その娘……どうなったの?」
「俺がプレゼントのお返しを持ってったら、家には誰も居なくてね…引っ越しちゃったんだ…それっきり」
「…サイト…わたし、サイトが子供だった時間に行ってみたい、サイトやその友達、その娘と会うの」
「会ってどうするんだ」
「言ってやるの、『わたしはこのひとの未来の恋人よ、よこしなさい』って……横取りをしに、行くの」
「盗らなくたって、俺はここに居るよ、あの頃の俺は違う俺なんだ、今の俺はここに居る、これからも…」
「だってくやしいんだもん、子供の頃のサイト…わたしの知らないサイトを知ってるなんてずるいんだもん」
俺が小学校に入ってすぐの二度目の恋の話をする頃、ルイズは俺の胸で安らかな寝息を立て始めた
翌朝
俺はその雑誌をもう一度ゴミ箱に捨てた、もう拾うまいと思い、なぜか手をパンパンと打って拝んだ
分厚く艶のある表紙で装丁された雑誌はルイズの八つ当たりとそれ以外の理由でボロボロになっていた
ゴミ箱にはあの時捨てた拳銃がまだ転がっていた、マメなゴミ集めをしていないルーズさに少し呆れたが
数日放っといただけでゴミ箱からゴミが溢れる世界が正しいかといえば、そうでもないような気もする
俺は夕べの痕が痛む体を捻りながら、表紙が破れホチキスが取れかけた雑誌を木箱の底に押し込んだ
いずれ燃えるゴミは風呂を沸かす焚き付けになり、鉄の機械は街の鍛冶屋が溶かして鎌にでもするだろう
後ろを通りがかったシュヴルーズ先生が、雑誌から飛んだホチキスを摘み上げる、赤土のメイジは
「これはわたしのひい孫みたいなものですね」と茶目っ気のある顔で笑うと、「まだ早いぞ」と言い
ホチキスの針をゴミ箱に放り込んだ、粘土から作られた金属、アルミニウムが俺の世界で生まれたのは
中世の末期で、実用的な普及は大規模な電気精錬が行われる20世紀まで待つ事になると漫画で読んだ
そしてアルミニウムは戦争の道具を多く生み出し、精製に必要な大量の電気は地球の資源を浪費した
拳銃と同様、労せずして女の裸を好きなだけ見られる物もまた、この時代にはそぐわないように思った
俺は夕べルイズにつけられた噛み跡と引っかき傷を撫で、それと引き換えに得た物を頭の中で妄想した
ルイズのまだ未成熟ながらしなやかな肢体と、桃色の髪を燃やしながら乱れる情熱的な姿、その感触
きっと俺がそれを望んだ時にそれはもう一度感じられるだろう、また体中に代償を刻まれるだろう
この世界のこの時代では大切なものは簡単には手に入らない、それはとても愛おしいものだから
(完)
以上
スレ拝借失礼しました
>>498 GJ!!!
今俺の後ろにママンがいるぜwww
>>420 買ってみた。 エロアンソロを買う事自体が久々なんだが、
9話中1話がシエスタ責め×ルイズ受け。 それ以外すべてサイト×ルイズ。
ボチボチな出来。
SSスレは最近見始めたのだが、このスレの職人さん達の表現力の素晴らしさに脱帽
楽しく読まさせてもらってます
wikiで最初から読みだしているんだがすべて読破するのも時間かかりそう。
http://wikiwiki.jp/zero/?3-647 が今のところ一番お気に入り。
シエスタ好きなんだが バックアップに回るジェシカも可愛い。
職人さんに多謝! 駄文スマソ
ところで13巻っていつだっけ
シルフィストの俺が、タバサの冒険2を読破。
205氏が熱望していた、竜態シルフィの挿絵は今回もナシ、か…。
ただ、使い魔同士の会話というシーンには、ある種の既視感を。
まさか…。www
>>502 お、おいらにも既視感あったんだな!
こいつはひょっとするとひょっとするかもしれねぇぜ…
つまり、君達は、このスレにノヴォル・ヤマグットィーニが入り込んでいる可能性がある…と言っているのか?
それよりなにより俺が気になったのは後書きなんだ
なんかもの足りないんだよ。
そう、カオスだ一心不乱のカオスが今回の後書きには足りてないんだ
つか作者の方も自分の作品は気になるだろうから、
2ch位は見ると思う、多分このスレも見た事は有るはず?
さすがにそれは言いすぎだろ
その理屈だとほとんどの漫画家・作家は2ch見てることになるぞ
まぁしかし見る人は少なくないだろうな
俺も使い魔達の会話に既視感があったw原作では未出だったよな?な?
>>500 >>シエスタ責め×ルイズ受け
節子・・・それ、シエスタやない、アンリエッタや!
俺も原作知らずにアニメ見てた頃はメイドにコスプレする趣味のある王女だと思っちまってたが。
MFのアンソロジー土魔法の章でも入れ替わりネタがあったくらいだし。
一応髪がストレートなのがシエスタで、髪に曲線があるのがアンリエッタ王女。
魔法世界の設定をもう少し上手く活かして欲しかったのと、
キュルケやタバサが空気になってたのが残念(モンモンなど1コマしか・・・)。
ほう、アン様だったのか。シエシエと一緒にされるのは悲しい。
いや嫌味じゃなくて、二人とも持ち味ちがうだろw コミックでアン様のエロか。濃いやつが読みたいね。
あれ?タバ2解禁だよね?全く話題になってない件についてw
長編がマンネリ化したときに書かれる短編は実に面白いの法則
色々使えそうな要素がちりばめられていたので、皆様の新作が楽しみだ
そういや本家のシルフィはタバサのことを頭かいぐりかいぐりしたり、自分が
姉みたいな物言いするときが結構あったね。
このスレで完全にアホの子扱いされてるのに馴染んじゃって、逆に違和感あったw
>>513 「おまえは…」「この小っこいの…」とかなww
本来は登場人物中最も年よりだしなぁ。
だが人間の歳に置き換えるとロリくらいだったよな?
頭は悪く
仕事はたまに任務でタバサを運ぶだけで
自分でとる以外、飯はコックとかタバサとかにたかり
古代種としてのプライドだけは妙に高い
これってなんてニート?
束「ごくつぶし」
汁「な、な、この古代種のシルフィをつかまえてごくつぶしってどういうことなのね! きゅいきゅい!」
束「ニート」
汁「シルフィはちゃんと働いてます! お姉さまを運んだり、戦ったり、囮になったり、きゅい! どこがニートなのね! 待遇の改善を求めるのね!」
束「バカ」
汁「ば、バカ! シルフィがバカ!? ありえない、ありえないのね! ホントはね、シルフィはお姉さまなんかよりずっと頭がいいんです。だから撤回するのね! このちんちくりんの似非あやn」
束「黙れ」
汁「はい」
酷い言われようだなwww
シルフィ意外と従順w
だが汁とみるとメイド服着た誰かを思い出してしまう。
シルフィはバカの子だというのが最近の学会での定説なのにヤマグチノボルは考証が足らないな
522 :
最高のお土産:2007/10/27(土) 17:02:07 ID:mNwz42Qi
「サイトの、いっちばん大切にしてるものをちょうだい」
ルイズはサイトを正面から見つめて言った。
明日はサイトが地球に帰る日。別れの、最後の思い出にというわけだ。例のボロパーカーはとっくにルイズにあげて
しまっている。デルフは小さく震えて言った。
「相棒、俺をお前に買ったのって嬢ちゃんだろが」
サイトはそっか、と言ってデルフに伸ばしかけた手を止める。改めて荷物を見回すと、こちらに来たときに持っていた
ノートパソコンが目に入った。初めて会った日、ルイズに異世界から来たと納得させた品。サイトは丁寧にパソコンを手
にとると、黙ってルイズに手渡した。ルイズはパソコンを抱きしめ、小さな声で「大事にする」と呟いて顔を背けた。
なぜか、その日ルイズはサイトに手も触れなかった。
「やっぱ、来ないのか」
異世界への扉の前。この世界に来たときの荷物にデルフリンガーのみを加えた格好でサイトは周りを見回す。シエスタ
はぐずぐずと泣きながら毒つく。
「意地っ張りも限度ってものがあるはずです!ミス・ヴァリエールは馬鹿です大馬鹿です!」
サイトはシエスタの剣幕におののきながらもう一度全員を見回した。と、後ろからタバサが大きな荷物をシルフィード
に背負わせて現れた。
「お土産」
サイトは、はあ、と呆けた返事を返す。タバサはがんじがらめに縛ったその荷物をサイトに預けて言った。
「ルイズが、別れのお返しって。ルイズは、包装できないから、私が荷造りした」
「あ……ありがとう」
タバサは普段より冷たい声でさらに言った。
「サイトが、一番喜ぶもの、これしかないから。悔しいけど」
「悔しい?」
聞き返すとタバサは少し頬を赤らめて毒つくように言う。
「着いたらすぐに開けて。腐ると危ないから」
何だかよくわからないが、サイトはうなずいて扉に向かった。虚無の力で作った門。そこを通れるのは異世界から来た
者と、それに伴うもののみだ。ルイズのいない見送りの声を背にサイトは扉をくぐった。
強烈な光から飛び出すと、そこは喧騒の中だった。店の装いや看板は変わったが、それでも見慣れた秋葉原の街並み。
「帰ってきたんだ……俺、地球に帰って来たんだ!」
思わず叫んでから慌てて首を引っ込める。幸いアキバだったおかげか、ちょっとイッたオタクと思われただけのようだ。
「よう相棒、荷物、ほどかなくていいのかい?」
言われてサイトは荷物を背負って店と店の小路に入り、どさりと荷物を落とした。何かごぎゅっ、と変な音がした気も
するが、タバサのことだ壊れやすいものを入れるような不注意はないだろう。
隣りの店では「すももももももフェア」の旗がはためいていた。旗に描かれた桃色の髪の少女を見て、サイトは涙ぐみ
そうになる。
「あの馬鹿意地っ張り……」
気を取り直してサイトはデルフで荷物の縄を解いて袋の口を開けて中を覗き込んだ。中には桃色のふわふわしたものが
入っている。お土産が動いた。涙を溜めた勝気な目が、黒いオーラを発しながら見上げて叫んだ。
「犬ーっ!早く開けなさいって言ったでしょーっ!お土産を投げ出すなんてどういう神経してんのよこの馬鹿犬!」
「ってか何でルイズお前っ!」
「サイトからいっちばん大切なものを貰ったんだから、私だってお返ししなきゃラ・ヴァリエールの名が泣くわ!だから
私の、その」
ルイズは言いよどんで目を逸らし、改めてきっ、と顔を上げた。そしてルイズが口を開いたと同時に「すもももももも
フェア」の店員が店頭のラジカセのボリュームを最大にあげた。
「私をサイトにあげる!」「♪子っ作っりしっまっしょっ♪」
サイトは一瞬呆けて、そして呟く。
「ルイズが、俺に全部くれて、子作り……」
「子作り違う!先に結婚式!だって私もう……」
ルイズは袋から這い出してサイトに飛びつく。それはいつも見慣れた魔法学院の制服でも普通のドレスでもなく、純白
のドレス。トリステイン式のウエディングドレス姿だった。
「サイトぉ、私この世界で一人ぼっちなんだから、早く……もらって」
サイトはルイズをぎゅっと抱きしめる。目を閉じたルイズにそっと口付ける。ルイズの舌がサイトの口内を侵す。
「でもやっぱり、サイトの赤ちゃん欲しいな」
ルイズは恥ずかしげにサイトの手を控えめな胸に導き、いつも蹴っていたサイトの股間をそっと優しく撫でた。
後にルイズが住人を指して、アキバを「マリコルヌ・シティ」と呼ぶようになったのは別の話。
523 :
522:2007/10/27(土) 17:10:30 ID:mNwz42Qi
先日、ラノベ板のヤマグチノボルスレに勢いでカキコしました。
その内容を膨らませてこっちにカキコしてみた。
1年前にローゼンメイデンスレに2本カキコして以来の初心者っス。
>>522 乙
1番下の行自重しろww
アキバ=デブの街かよwそれは間違ってる!アキバ≡デブだ!
>>514 あれって始め、イザベラの物真似してんのかと思ったw
526 :
名無しさん@ピンキー:2007/10/27(土) 17:48:48 ID:a9ulwUih
タバサがお土産を渡す場面で
『タバサは大きな荷物を背負うようにシルフィードを持って現れた』
『タバサはがんじがらめに縛ったシルフィードをあずけて』
に見えたオレはベア様万歳
寧ろ亀甲縛りにだな
>>524 外見がマリコルヌなのではない、
魂がマリコルヌなのだ
マリコルヌの塊
マリコルヌを転がしてビューティフルなマリコルヌに
……ビューティフルマリコル魂
_ _ .' , .. ∧_∧
∧ _ - ― = ̄  ̄`:, .∴ ' ( )
, -'' ̄ __――=', ・,‘ r⌒> _/ /
/ -―  ̄ ̄  ̄"'" . ’ | y'⌒ ⌒i
/ ノ | / ノ |
/ , イ ) , ー'
>>523/´ヾ_ノ
/ _, \ / , ノ
| / \ `、 / / /
j / ヽ | / / ,'
/ ノ { | / /| |
/ / | (_ !、_/ / 〉
`、_〉 ー‐‐` |_/
_ _ .' , .. ∧_∧
∧ _ - ― = ̄  ̄`:, .∴ ' ( )
, -'' ̄ __――=', ・,‘ r⌒> _/ /
/ -―  ̄ ̄  ̄"'" . ’ | y'⌒ ⌒i
/ ノ | / ノ |
/ , イ ) , ー'
>>301/´ヾ_ノ
/ _, \ / , ノ
| / \ `、 / / /
j / ヽ | / / ,'
/ ノ { | / /| |
/ / | (_ !、_/ / 〉
`、_〉 ー‐‐` |_/
行方不明になってた高校生が女連れて戻ってきたら大騒ぎになるwww
なんて的確な誤爆だ。
よりによって直近の投下報告のレスをスマッシュwww
誤爆報告がなければ301=523って何で分かったんだろうと悩むところだったwww
そういや何日か前に「ルイズの家の爵位が〜」という話があったけど
公爵>侯爵>伯爵>子爵>男爵
これはおおむね正しいんだけど「公爵」は他の爵位と違って「王家直系」
という意味合いがある。虚無の素養は「ブリミル(及びその弟子)直系」で
ないと発現しないのでヴァリエール家の爵位が公爵で無いと設定が破綻
しちゃうので注意が必要かも。
多分、爵位なんてどれも同じと思ってる人もいるんじゃないかな?
貴族社会なんて現代日本にはほぼ無縁だし、触れられるのはフィクションの世界に限られるし。
華族を研究した自分からすれば、爵位を間違えるなんて「ルイズのおっぱいは公爵級」、「タバサのおっぱいは侯爵級」、「テファのおっぱいは伯爵級」と言ってる様なもん。
もちろん大きさね。
テファのおっぱいは公爵と名乗るだけの格はある。いや、それどころか『王』にも『神』にも相当するだろう。
『乳神様』だ。
それに比べてルイズやタバサはへいm…
すまん、誰かきた
>>536 キュルケやベアトリスのゲルマニアは多分我々の世界のドイツと同じ
爵位制度なんだろうな 実際結構簡単に貴族になれたらしいしな
そういやテファの親父はアルビオン王弟で爵位は大公だっけ?
平日は忙殺されていたので書きだめができんかったorz
というわけで短いのだが、「サイトが魔法を使えたら」+「桃色Sisters」の2本立て、投下開始。
空。そして湖。それがサイトの左目に飛び込んできた景色だった。
ルイズ!?
いつの間にか左の耳から耳鳴りは消え失せている。その耳から聞こえるのは風切音。そして左目の視界の主、ルイズの声だった。
”サイト?私の声が聞こえるの・・・・?”
「ああ、聞こえる。ばっちり。」
湖。そして湖岸に群れるアルヴィーたち。そして右の耳からサイトの声がした。
”ルイズ!?”
サイトが見るものだけではなく聞いたものも分かった。まるで自分がそこにいるかのように。そんな自分に驚き、そして嬉しいルイズなのだった。
「サイト?私の声が聞こえるの・・・・?」
”ああ、聞こえる。ばっちり。”
サイトは言葉を続けた。
「おまえもつながったんだな・・・声で分かるぜ。っと。」
目の前に群がる敵を槍捌きとマジックスペルの合わせ技で弾き飛ばす。とはいっても倒しても倒してもキリがない。どこからともなくわらわらと溢れるアルヴィー。これまで歴戦を戦ってきた彼でも無傷というわけにはいかなかった。掌、二の腕、脇腹などに傷を負っていた。
「ルイズ、お願いだ。ここに降り立つまでに魔法唱えといてくれ・・・おれちょいやばめ」
”イサ・ナウシド・ウンジュー・----”
ルイズの心地のよい詠唱がサイトの左耳に入ってくる。
視線の先にいるミョズの背後に巨大な影が現れた。
ヨルムンガント・・・!!!サイトは青ざめた。
”だーりん。ねぇ。だーりんってば。”
グングニールが声をかけた。
なんだよ。どーすりゃいーんだよ。あれ。
”あたしをあれ目がけて投げてちょーだい”
んなことしたら俺お前拾いにいかないといけないんじゃ---俺丸腰だぜ?
”だいじょうぶよぉ。ちゃんと自分で戻ってこれるのよ〜。だから、な げ て”
巨大な人形がこちらに近づいてくる。
ままよ----意を決したサイトは、グングニールを上段に構え、走り出した。スピードが乗ったところで背中を反り、振りかぶる。グングニールの穂先とサイトの左手のルーンの輝きが同調するかのように光を増した。
いっけーーーーーーーーーー!!!!
ヨルムンガント目がけてグングニールを擲った。
”おまえもつながったんだな・・・声で分かるぜ。っと。”
私とサイトは今つながってるんだ。ルイズの心に温かい火が灯る。
”バキン!ドカッ!”
何かがぶつかる音がする。不安な気持ちが溢れだした。
”ルイズ、お願いだ。ここに降り立つまでに魔法唱えといてくれ・・・おれちょいやばめ”
サイトの声が届いた。ルイズは不安を吹き飛ばすかのようにシルフィの背中に立ち上がった。
イサ・ナウシド・ウンジュー・----
アルヴィーにかけられたスペルを解除する”ディスペル”を唱え始めた。
しかし詠唱開始から寸刻のたたないうちにルイズは右目に新たな敵を捉えた。
即座にスペルを”エクスプロージョン”に切り替える。
”ヨルムンガント!!!”サイトの叫びが飛び込んでくる。絶対に倒してやるんだから。
エオルー・スーヌ・フィル・ヤルンサクサ----
ルイズの中で魔法の力がうねりはじめた。
ここまで。短くてスマソ。続いて「桃色Sisiters」いきます。
しえーん
∽ ∽ ∽ ∽ ∽
抱き寄せた彼女の桃髪の匂いは紛れもなくルイズのものだった。
離れてしまわないように才人はしっかりと抱きしめた。
「----おにーちゃん。わたしのこと、その人と同じように『ルイズ』って呼んでいいんだよ」
才人に強く抱きしめられながら彼女はつぶやいた。彼女の言葉に才人の拍動が速まった。
「どきどき。聞こえるよ。すっごくドキドキしてるね----」
彼女は才人を見透かしたように言葉を継いだ。
俺、どうしたらいいんだろ。思い余って抱きしめたまではいいのだが、才人にはこれ以上どうしていいのか分からなくなっていた。
コン、コン。部屋のドアがノックされた。
「誰か来ちゃったね。私どいたほうがいいのかな?---それともこのままがいい?」
なんという二択を迫ってくるんだろうか。彼女は。緊張の余り才人は言葉に詰まった。
”ロック”
彼女はそうつぶやくと、ドアのノブがカチャリと音を立てた。
「ルイズ。魔法・・・・・・使えるのか」
まさか彼女に力があるなんで思ってなかった。そして思わず『ルイズ』と言ってしまった自分に少し照れてしまった。
「うふふっ、不思議な力でしょ。でもおにーちゃん、わたしのこと嫌いになっちゃやだよ」
彼女は才人の胸でもぞもぞと動いて顔を上げた。
∽ ∽ ∽ ∽ ∽
ノックの主の声が聞こえた。サイトはその声には聞き覚えがあった。
「サイト殿。ここを開けていただけませんか」
彼女は悪戯っぽ笑みを零しドアの方を振り返り、その声の主に声をかけた。
「あ、おねーちゃん。えへへ。今はそのドア開かないよー」
「まぁまぁ。ルイズったらおいたはだめでしょ」
ドアの向こうの声の主はそういうと続けてこう唱えたのだった。
”アンロック”
一瞬の間に彼女のかけた魔法が解かれ、ガチャリとドアが開けられた。
才人は首を上げてドアの開いたほうを見た。そこにはある部分を除いて彼女と同じ容姿の芳紀な女性が立っていた。
「か、カトレアさん?!」
才人は声を呑んだ。
カトレアは才人をみて天使のような微笑をたたえた。
「しばらくぶりです。サイト殿。」
カトレアは彼女に目を移した。
「まぁルイズったら、なんて格好してるんでしょう」
その言葉とは裏腹にカトレアはころころと笑っているのであった。
以上でした。ノシ
最近こじかを買ったせいか、「桃色」のルイズが影響を受けているかもしれん。
>>538 大公というのはどちらかといえば王の兄弟に対する敬称に近いかと。
公爵は…要するに江戸幕府における御三家見たいなもので王位継承者
のストックもかねているというか…現国王(女王)には子供がいないから
11巻の件が無かったとしてもルイズが玉座に座る可能性はあったんだよな。
当たり前のように投下作品と雑談が共存できているこのスレの良い方への異常さには、つくづく驚かされる。
ただ、作品投下直後に感想も無しに雑談に興じるのはちょっと良くないんじゃね?
雰囲気が独特で感想書きづらかったり、1レスの続き物では反応が難しいのも確かにあるかもしれんが。
KYでスマソ
>543
カトレアもかよ!いや、sistersだから一人じゃないのは当然だが。
って、もしかしてもしかしたらエレオノールさんもですかぁっ!?
>546
うん、そうだね。鏡を覗いたらいいと思うよ。
スルーできない俺もだけど。
どうもこの作品のアニメ絵は(ゲームだけど)
受け付けないなあ
ルイズって瞳の色ピンクなのか…
鳶色(茶褐色)のはずなんだがなぁ…
>>548 待て、あれは偽者だ。
あんなに胸があるのはおかs
あれ? 今日って花火大会だったっけ、妙に爆発音が
へっ、汚ぇ花火だぜ!!
またミス・ヴァリエールと
>>522君かぁ(^_^;)
>>548 すべてエロい!GJ!
パロディウスもどきも面白そうだし予約済
1作目の廉価版買ってくるわ
ところでゲームにテファは出てこないのか?
お久しぶりです。虹山です。
らき☆すたの22話を久しぶりに見て感動し涙が止まらなかったです。はい。
その温かな家庭がもしゼロの使い魔の世界だったら?
という電波を受けて書いてしまいました。
558 :
ぜろ☆すた:2007/10/28(日) 14:44:17 ID:BzQ7DAcB
ラ・ヴァリエール家のはずれにある日本風の墓。
ここに二人が手を合わせて合掌している。
一人は長身にスーツ、黒髪で黄色い肌と長い剣をを持った
ハルケギニアでも珍しい装いの青年。歳は二十歳前後だろうか。
もう一人は背が小さく痩せており、マントに魔法学院の制服を着た
桃色のウェーブのかかっていないロングヘアで、黒い瞳を持った少女。
「ねぇ、お父様」
「ん。なんだ?」
「お母さんってどんなひとでした?
ティファやデルフに聞いても教えてくれないんですもの。
お父様にお聞きになったら?としかいってくれないもの」
そうか、この娘は母親の顔を覚えていないんだな。
二人とも教えてやれば良いのに。
「そうだな……姿顔立ちはカトレアさんで性格はエレオノールさんにそっくりだったな」
「姿顔立ちはちぃ姉さまで性格はエレオノール伯母様ってことは……
ドSでツンデレで小さくて巨乳の女王様ってこと?」
何でこの娘はこんな用語を知っているんだ?俺はこんな教育をさせてしまったのか?
いや、してしまったんだろう。テファがそんな教育するはずないもんな。
ちなみにこの娘はテファって言うのが呼びにくいのかティファって呼んでる。
559 :
ぜろ☆すた:2007/10/28(日) 14:45:16 ID:BzQ7DAcB
「おっと、かなり良いところをついているが一つだけ違うぞ?お前のお母様の胸ランクは虚無だ!」
「えぇ!ティファが使ってるあの魔法ランク!?
あ、だけどティファったらあの胸は巨を超えて超ですよね。
よかった〜私は小くらいあって」
「静かに!これ以上言っちまうとルイズが化けて出てしまうぜ?」
「それだったらいいですね。わたしのお母様が見られるのですから!」
やめてくれ!そんなことしたら俺が犬の呪いをかけられてしまう!
夢に出てきて鞭に打たれたり、エクスプロージョンだけは勘弁だ!
普段からルイズパパに公爵家として書類のサイン書いたり貴族としてのあり方とかいろいろ学んでるから、
休憩する暇って言ったらこの毎朝の墓参りと寝る時しかないんだよ……。
「お父様がそんなお母様を選んで、私を溺愛ってことはお父様って貧乳好きってことですよね?」
「いやいやまてまて、それはちょっとちがうぞ!」
娘は俺の眼をみている。どっかの犬が言ってたな、「眼を見ればわかる」って。
人間そんな簡単にいかないんだよ。それだけでわかるのなら俺はそいつにシュヴァリエの称号を与えてやりたい。
560 :
ぜろ☆すた:2007/10/28(日) 14:46:14 ID:BzQ7DAcB
「貧乳も好きだし、美乳も好きだし、巨乳も好きだから……よーするに胸全般がだーい好きってことだ!」
俺は女湯をのぞくために命を捨てるのもかまわない男のように指を天に突きつけていった。
「どれにしてもダメ男って事には変わらないですね……」
ちょっとココロが傷ついた……。
「そしたらお父様が私にぺたぺたしてきますけど、私が男子だったら今と同じように接してきましたか?」
俺は悩んだね。あぁもちろん悩みまくった。
もし男だったらそりゃもうアニエスさんみたいにびしびし鍛えてるけど、
今は娘の前!同じように接したといってやらねばいかんな。
でも待てよ?それって俺ショタコンになるんじゃないのか?ついでにホモ?
…………えぇい、別に同じように接したで良いじゃないか!
……これを考えるのに0.1秒だったと思う。
561 :
ぜろ☆すた:2007/10/28(日) 14:47:58 ID:BzQ7DAcB
「……………当たり前じゃないか〜〜」
「はいはい〜よーく分かりましたよ。よかったですね私が女の子で」
しまった!判断はよかったが口が開くのに時間がかかってしまったようだ!
絶望した!口が思うように動かないことに絶望した!
心地よい風が流れてくる。空を見上げると今日は快晴だった。
確か理科では上を見上げた時に
雲の量が0〜2割くらいが快晴だったっけ?などと考えていた。
「ねぇ、お父様。お母様って小さいらしいし、
使い魔として召喚されたお父様のご主人様みたいですしツンデレで貧乳って、
なんかエロ小説を書いている人が作ったキャラみたいですよね」
「だろー!ルイズは俺のストライクゾーンど真ん中でなー!」
「でもお父様がお母様にベタ惚れなのは分かったけどなんでお母様はお父様と結婚したんだろう?」
562 :
ぜろ☆すた:2007/10/28(日) 14:50:42 ID:BzQ7DAcB
「あーそれはだな……
お前が振り向いてくんないから!俺はこんな巨乳好きの男になったんだ!
といったら割とすんなり」
「あなたは最低だ!」
「でもほんとの事だし……」
「それって脅迫じゃないんですか!
私はもっと『ルイズー!お前が好きだー!お前が欲しいー!!』みたいな回答を期待していたのに……」
「いやいやもちろんそれだけじゃないぞ本当に。
特にお前が生まれた時には、ルイズものすごく喜んでたしな」
563 :
ぜろ☆すた:2007/10/28(日) 14:54:03 ID:BzQ7DAcB
〜二十年前〜
「終わったな。ルイズ」
俺たちはこの戦いの全ての元凶であったレコン・キスタの残党やジョセフたちを倒した。
エルフから聖地を奪還するための力として「始祖の虚無」。
それを目覚めさせるために必要な、
四の秘宝、四の指輪、四の使い魔、四の担い手、いわゆる「四つの四」が集まってしまった。
しかしサイトたちの活躍がありを防ぐことができたのであった。
「始祖の虚無」
それは世界を作り直す究極の魔法だった。世界を破壊する。
または一からやり直すためのもので、どこかのカチューシャをつけた団長様のような力だった。
集まってしまい世界が赤い空で満たされ海もまた赤い海で何もかもが赤一色だった。
「始祖の虚無」は目覚めた。サイトは「始祖の虚無」をデルフリンガーで吸収しようとした。
しかし吸収しようとしてもそう簡単にいくものではない。「始祖の虚無」は世界を作り変える力。
デルフリンガーで吸収しきれる量の魔力は、はるかに超えている。
そのときルイズの虚無が発動し、サイトのガンダールヴとしての真の力
がでて左手の刻印から銀色の光が満ち溢れサイトの左腕を伝って
体全身に及び光の翼を出現させ「始祖の虚無」を吸収し、なくした。
ハルケギニアの世界の命は全て守られたのであった。
そして……サイトの帰るときがきた。
サイトのガンダールヴの刻印が左手の徐々に戻っていく。サイトは全てが終わったのだと実感した。
564 :
ぜろ☆すた:2007/10/28(日) 14:55:49 ID:BzQ7DAcB
「終わったな。ルイズ」
しかしルイズは首を横に振る。
「いいえ、まだ終わってないわ。あなたは自分の世界に戻らなくちゃいけないのよ、サイト」
サイトはハッとした。自分にはまだやるべきことが残っていることに。
「…………………わかった」
別れたくない。自分たちは愛し合っているのだから。
触れたい。抱きしめたい。壊れてしまうくらい抱きしめたい。
たくさんキスだってしたい。同じ太陽の下で暮らしたい。
笑いあいたい。二人で、みんなで。しかしそれは叶わない夢。叶えてはいけない願い。
二人はそのためにここに来たのだから。
565 :
ぜろ☆すた:2007/10/28(日) 14:57:47 ID:BzQ7DAcB
仲間たちがいる。もうお別れだ。
「ギーシュ、お前モンモンを大切にしろよ?次浮気なんかしたら殺されるぜ?」
「わかってるよ。僕には右手に一本のバラだけで良いのさ」
「けっ!最後までギザな奴だぜ……モンモランシー、こんな奴だけど支えてやれよ。」
「もちろん、貧乏くじだからって後悔しちゃいないわ。
それにしてもアンタやっと私のこと名前で呼んだわね」
「そうか?」
「そうよ」
「ギーシュ、お前この頼りになる水精霊騎士の副隊長がいなくなるんだから隊長としてしっかりやれよ?」
「あたりまえだ」
俺たちは握手をした。だがギーシュがかなり力を入れてきたので
ガンダールヴの力で思いっきり握り締めてやったら死にそうにな顔をして面白かったので放してやった。
「キュルケ、今までありがとう。コルベール先生と幸せにな。」
「えぇ。私たちでこの世界の機械文明はどんどん進歩していくと思うわ。
だけどこのひとったらあなたの世界に飛び込んじゃいそうで」
「やりかねないな、コルベール先生は」
「だって、私は君の世界を見てみたいんだ。君の飛行機よりももっと凄い飛行機を見てみたいし、
魔法のない世界がどれほどまでに凄いのかこの眼で見たいのだよ、サイト君」
「だめよ、ジャン!あなたがいてくれなきゃ私死んでしまうわ!」
キュルケがコルベールに抱きついている。まぁなんとゆうか……微笑ましい(?)のかな。
566 :
ぜろ☆すた:2007/10/28(日) 14:58:49 ID:BzQ7DAcB
「タバサ、ありがとう。お前がいてくれなきゃきっと俺はそこら辺の道端で死んでたと思う」
「いい、別に。私こそあなたにどれだけのお礼をしなきゃいけないのか分からない」
「だったら、おあいこだろ」
「そんなことない。私のお母様を治してくれたし、
私の復讐を手伝ってくれたし、何より私の心を開いてくれたのはあなた」
「……それは俺だけじゃなくてみんながやってくれたんだ。俺だけじゃないよ。だからさ、みんなを大切にな?」
「……うん」
タバサが泣きはじめて来たので俺は頭をなでてやった。
「シルフィードも元気でな。お前女の子なんだからもうちょっと身だしなみに気をつけろよ?」
「サイトに言われたくないのね!竜の状態で衣服を着ている竜なんていないのね」
「じゃあ、その元気をタバサにも分けてやれよ」
「まかせてなのね!」
シルフィードにも頭をなでてやった。
「……最後に一つお願いがある」
「なんだ?」
「…シャルロット、って呼んで」
「……今までありがとうな。シャルロット」
タバサ…いや、シャルロットが抱きついてきた。まぁルイズもいるけどこんな時ぐらい抱きしめてもいいかな。
「ジュリオ、お前にお願いがある」
「なんだい?まさかルイズを守ってくれ、じゃないよね?」
「ご名答だ、いいよな?」
「いいけど……それは僕がルイズをとっちゃってもいいってことだね?」
「ダメに決まってんだろ?それにもしお前がルイズに求愛しても一寸の愛もくれないぜ」
「それはひどいな……」
当たり前だ。ルイズは俺に惚れててめろめろなんだからな。
567 :
ぜろ☆すた:2007/10/28(日) 15:00:53 ID:BzQ7DAcB
「サイト様、本当にありがとうございました。
あなたがいてくれなければ、私たちの世界は滅んでいたことでしょう」
深々と頭を垂れるのは、アンリエッタ女王だった。
彼女の目尻にも悲しみの涙が溜まっているのを見た才人は、困ったような笑みを浮かべると
「いや、そんな……。俺は大した事はしてませんよ。
もしお礼を言うのならルイズに言ってやってください」
「わかりました。前はトリステインの英雄だったのに、今度は世界の英雄ですね」
「そういえばそうですね……全然考えていませんでした、
というか実感ありませんよ。英雄なんて」
「まぁ英雄とはそんなものではないのでしょうか」
「かもしれないっすね。……今までお世話になりました」
「いいえ、こちらこそありがとう」
「アニエスさん、女王様をしっかり守ってくださいよ。」
「なんだ?お前はいつから師匠を超えたのだ?」
「勝ってはいませんけど、俺、今、世界の英雄ですよ?」
「そうだな……だが、私を罵るなどとは10年早いわ!」
「す、すみませんでした!……アニエスさんもアンリエッタさんも幸せになってくださいよ!」
二人とも辛い過去がある。だから幸せになって欲しいんだ。
568 :
ぜろ☆すた:2007/10/28(日) 15:04:52 ID:BzQ7DAcB
「テファ、子供たちとベアトリスを大切にな」
「大丈夫。あなたは私の最初のお友達だもの。
あなたこそ私たちのこと忘れないでね」
「忘れるもんか」
その革命的な胸を見せられたら忘れようにも忘れることができません。
「シエスタ、君は俺がこのハルケギニアにきた時に一番最初にやさしくしてくれた人だ。ありがとう」
「サイトさん…今までありがとうございました……あちらのほうに行ってしまうんですね。」
「うん。……あのさ、また合えることがあったらあのヨシェナヴェだっけ?食べさせてくれよ」
「もちろんです!」
「それともう一つ……ゼロ戦を守ってくれないかな。それに、あれはもともと君の家のものだし」
「サイトさんが望むのなら構いませんわ」
少し時間を置いてから俺はシエスタを抱きしめた。キスはしない。それはこれが友好の証だからだ。
569 :
ぜろ☆すた:2007/10/28(日) 15:07:49 ID:BzQ7DAcB
「ルイズ……お別れだな。」
「早くいっちゃいなさいよ!
もうアンタが…アンタが……アンタなんかを召喚しちゃったから私の人生は狂いっぱなしじゃない!」
虚無魔法の使いすぎでかなり弱ってるはずなのに…コイツの元気は底なしなのかな?
「ルイズ……お前は俺とあえて幸せだったか?」
「…そんなの……幸せに決まってるじゃない……サイトのバカバカバカーー!!」
ルイズがぽかぽかと殴ってくる。俺はルイズをそのまま抱きしめた。
「いてーよルイズ。幸せだったよ、おれも。別れたくないし。できることなら一緒にいたい。
だけど俺はあっちの世界に……地球に戻らなきゃいけない。
それが俺たちの選んだ道だったろ?だから俺はやるべきことをするためにここにきた。
ルイズ……俺は君とあえて嬉しかった。愛してるよ」
「私も……愛してるわ」
俺たちは抱き合いキスをした。そういえば俺たちの出会いはキスから始まったんだよな。
だったら締めはキスで決めるべきなんだろうな。
「じゃあな」
俺は「始祖の虚無」の力がこめられたデルフをふってゲートを作った。
「サイト!」「サイトさん!」「サイト君!」
みんなが呼んでくれる。
振り向きたかった。だけど振り向かない、いや振り向けない。
振り返ったら、それだけで、足が、体が、心が止まってしまいそうだったから。
「大丈夫だ、相棒。俺がついてるからよ」
俺のすべてを察してくれたデルフが励ましの言葉をくれた。
「ありがとうな」
俺は大きく拳を握り締めて天に突き上げゲートの中へ入っていった。
とりあえずここまで。
後半につづきます。
誤字脱字、又は矛盾などありましたら教えてください。
後半まではまだなんとも評価できない。ただ1レスにもう少し詰められるかなぁとオモタ。
リアルタイムGJ!!!!
楽しみにしてます
>>557 GJ!!!
才人の許に娘(こなた)がどうやって来たのかなぁwktk
続き待ってるぜぃ。
すいません
虹山ですがだれか保管庫の編集おねがいします………
「見よ!これが我が戦闘術、『武装錬金』であるッ!」
ロナの宣言と同時に、タバサの詠唱が完成する。
ロナの周囲の水分が一瞬で細かな氷の刃と化し、風が渦巻いて、白い嵐となって襲い掛かる。
「やったか?」
普通の人間なら、この氷の刃の嵐の中では、数秒ともたずに息絶えるだろう。
よしんば初撃の氷の刃に耐え切っても、微細な刃は容赦なく肌を切り裂き、そして呼気とともに呼吸器を傷つける。
この術をまともに食らって、立っていられる人間などいない。
はずだった。
「…嘘」
タバサの目が、驚愕に見開かれる。
殺意を含んだ白い霧の晴れた後に。
腕を組んで、平然と。
鈍色に光る彫像が、そこに立っていた。
「噴!効かぬな!」
氷の刃によって裂けた服の隙間から覗くロナの肌は、鈍い銀色に染まっていた。
そう、彼は、『錬金』によって、己の身体を鋼へと変えていたのである。
「…アレをやらかすバカがいるとは思わなかったぜ…」
ロナのその身体を見て、デルフリンガーが呟く。
「…なんなんだアレは?」
間合いを取りながら、才人はデルフリンガーに尋ねる。
「…見てのとおりただの『錬金』さね。『錬金』で自分の肌を鋼にしてんだよ。
ただし、並みの力じゃ、鋼になった自分の重さで身動きも取れなくなる」
デルフリンガーの言葉のとおり、ロナの足元は、彼の重さで大地が沈んでいる。
しかしロナはそんな重さをものともしないで、右腕を勢いよく振り上げた。
「そう!鍛え抜かれた鋼の筋肉あればこそ!この戦闘術『武装錬筋』が成しえるのだ!
鋼と化した我が肉体の前に、刃は意味を成さぬ!まさに無敵無敵無敵ィィィィィ!」
「な、なんつー厄介な…」
今の才人に、鋼を両断できるほどの膂力も腕もない。
この状態のロナに対しては、完全に手詰まりであった。
「こういうとき、虚無の嬢ちゃんの『ディスペル・マジック』があればねえ」
デルフリンガーの指摘どおり、ルイズの『ディスペル・マジック』があれば、ロナの術を解き、なんとか勝つことも可能だっただろう。
しかし今ここにいない人間の話をしても意味はない。
「そしてぇっ!」
突如叫んだロナは、振り上げた拳をそのまま、才人めがけて振り下ろす。
「うわっ?」
才人は結構なスピードで振り下ろされるそれを横っとびに避ける。
ロナの拳は文字通り大地を割り、地面に突き刺さった。
ロナはそれを容易く引き抜き、そしてまた吼える。
「鋼の拳は岩をも砕く!まさに我が『武装錬筋』は無敵!素敵!快適!」
最後のはなんか違う気がするが、それを突っ込む暇は才人にはない。
次々と繰り出されるロナの拳を、避けるので手一杯になってしまったからだ。
右のストレートをサイドステップでかわし、上から振り下ろされる左の拳をバックステップでかわす。
「くそっ!」
ロナの拳は面積が大きく、まるで巨大な戦槌を休みなく次々繰り出されているようだ。
しかし、相手の獲物が大きいということは、その分死角も大きいという事。
「撃滅のっ、アイアンっ、ストレィィィィィトっ!」
大気を巻き込み唸りを上げる鋼鉄のストレートを紙一重でかわし、才人は即座に前方に踏み込む。
もらった!
才人はがらあきの背中めがけて、デルフリンガーを振りぬく。
いや、振りぬこうとした。
「甘いのである!」
ロナはまるで背後が見えているかのように、振り抜いた拳を無理やり引き抜き、裏拳を背後の才人めがけて振りぬく。
「うわっ!」
才人はかろうじてそれをデルフリンガーで受け止めることに成功した。
「お、折れる折れるっ!」
その衝撃に思わずデルフリンガーの悲鳴が上がる。
「忘れんな相棒!あのデカブツ、文字通り後ろにも目ぇついてんだぞ!」
「わかってるっ!」
『千里眼の布』によって360度の視界を得ているロナには、背後からの攻撃など意味はなかった。
それはすぐにもう一度、証明される事になる。
不意にロナは背後めがけて左手を突き出す。
すると、彼の左手に圧縮された空気の塊がぶち当たり、四散する。
タバサの『エア・ハンマー』だ。
タバサは才人の戦闘中に詠唱を終え、斬撃ではなく打撃によるダメージを与えられる、『エア・ハンマー』による攻撃を行ったのである。
「無駄無駄無駄!どのような攻撃だろうと私には通じぬ!
我が『武装錬筋』は無敵無敵無敵ィィィィィィ!」
吼えるロナを目の前に、才人は軽い絶望に打ちのめされていた。
何か、突破口はないのか?
そんな才人の前で、不意にロナが動きを止める。
まるで、痛みに堪える様に歯を食いしばり、微動だにしなくなる。
何かくるのか?そう警戒した才人に、ロナが語りかけてきた。
「…く…君は…学院の生徒かっ…!」
その声は、先ほどまでロナの発していた殺気に満ちた声ではなく、授業中に見せていた、あの熱血教師の声だった。
才人はすぐにある可能性を思いつく。
そしてそれは、ロナの言葉によって肯定される。
「…今の私は、私ではない…何者かが、私の中の衝動を開放したのだ…!
この数秒だけ、なんとか意識をとりもど…」
そう、彼は何者かに操られていたのだった。
ロナは苦痛に歪んだ表情でそこまで言ったが、そこまでだった。
すぐにロナは元に戻り、好戦的な笑みを浮かべる。
「おおっとあんまり攻撃が温いので居眠りしてしまったわ!
さあかかって来い!私の無敵で素敵で快適な拳が相手をしよう!」
才人はその言葉を聞いて、さらに絶望的な気分になった。
彼が操られていると分かったこの状況で、しかも並の攻撃が通用しない相手で、殺さない程度に加減して戦えと。
…ムチャな…。
しかし。
その絶望的状況を、彼の使い魔が救った。
私にまかせて。
心に響いたその声は、確かな自信に溢れていた。
才人はそのまま、流れてくるタバサの考えに耳を傾ける。
なるほど。これならいけそうだ。
しかし、この作戦、上手くいけばいいが、失敗すればタバサを大変な危険に晒す事になる。
だがその才人の心配は、タバサの心の声で打ち消される。
…サイト、信じてるから。
そう、この作戦が成功するか否かはすべて才人にかかっていた。
ならば。
まかせろ、俺は最強の盾、ガンダールヴだぜ!
心の声とともに、才人の身体に力が満ちてくる。
ガンダールヴの印が、眩しいほどに光り輝いていた。
「待たせたな!」
才人はタバサとの一瞬の心の会話の後、ロナ目掛けてデルフリンガーを構える。
「ようやく来る気になったか!
さて、見せてもらおうか、どうやって君が私に抗うのかを!」
ロナは大きく右の拳を振りかぶると、才人目掛けて振り下ろす。
才人はそれをサイドステップで大きくかわす。ロナの拳のリーチの外へ逃げる。
そのロナの視界の隅で、タバサが動いたのが見えた。
しかし、ロナはそれを無視した。
なぜなら、タバサは『フライ』を使い、急速に上昇を始めたからだ。
「なるほど!学院に援軍を要請する気かね!」
ロナは言いながら踏み込み、今度はショルダータックルで才人に迫る。
才人は軽トラックの突進にも見紛うその一撃を後方に跳躍して避け、再び間合いを取る。
もう既に、ロナの視界からはタバサは消えていた。『フライ』の速度は馬の駆ける速度より速い。
「しかし!それは意味を成さぬぞ!
なぜなら、援軍が来る前に君は私に倒されるからだ!」
間合いを取った才人めがけ、今度はロナの左拳が鋭いフックとなって襲い掛かる。
着地点を狙われた才人は、デルフリンガーでかろうじてそれを受け止める。
確かにロナの言うとおりだった。
たとえタバサがどれほどすぐれたメイジだとしても、全速の『フライ』で学院との道のりを往復するのは不可能だ。
さらに、学院にタバサと同等クラスの風使いはいない。
ロナの言うとおり、援軍は間に合いそうもない。
「それはどうかな!」
才人は言いながら、まっすぐ突きを繰り出す。
その突きにはガンダールヴの力全てがこめられていた。
この一撃なら、ロナの鋼の肌を突き破る事も可能だろう。
その鋭さを察したロナは、両の拳でデルフリンガーを挟み込み、その一撃を止める。
「これが君の全力全開かね?
だとすれば強がりも甚だしいぞ!我が力の半分にも及ばぬではないか!」
ロナは言いながら、そのままデルフリンガーを捻ろうとする。
しかし才人の手を緩まない。デルフリンガーを更に強い力で押し出し、ロナに突きを食らわせようとする。
ロナはさらに力を込め、才人を押し戻そうとする。
二人の力は一見拮抗しているように見えたが、そうではなかった。
じわじわと、才人が押されている。
二人の間で、デルフリンガーが悲鳴をあげる。
「あ、相棒、折れる、マジ折れるって!」
「堪えろデルフ!ここが踏ん張りどころだっ」
「ふふん、剣が折れるのが先か、君が力尽きるのが先か!根競べだな!」
そしてさらに、才人は押し込まれていった。
その頃。
彼らのはるか上空。
白い雲を引き裂き、青い髪の少女が現れた。
タバサである。
彼女は『フライ』の術を使い、この高度までやってきた。
そして、ある程度位置を修正すると、タバサは術を解く。
タバサを覆っていた浮力が途切れ、乱暴な加速が始まる。
タバサは頭を下に、一気に雲を突きぬけ、落下していく。
風がタバサの周囲で渦を巻き、音を立てる。
その落下の中、タバサは呪文を唱えていた。
その呪文は『エア・ハンマー』。
ロナに放った、風系統の打撃系呪文である。
彼女はその呪文を、極限まで範囲を絞り込み、そしてできるだけ距離を伸ばすように、詠唱していた。
タバサの心の中には、絶えずある情報が送られていた。
それは、才人の居場所。
彼女の主人が今どこにいるのか、使い魔である彼女には手に取るように分かる。
タバサはその情報を頼りに、落下位置を決めていた。
すぐに、彼女の視界に組み合う二人の男が写る。
才人は必死に、ロナの動きを止めていた。
そして。
タバサの狙い通り、ロナはタバサに気付いていない。
そして。
攻撃目標が射程距離に入る。
極限まで絞り込まれた『エア・ハンマー』が解き放たれる。
それは正確に、ロナの脳天を打ち抜き。
鋼で覆われた彼の頭蓋を揺らし、彼に脳震盪をおこさせたのだった。
これが、タバサの考えた作戦である。
『千里眼の布』は、360度見渡す事はできても、直上への視界はない。
そこで彼女は、ロナの真上からピンポイントで彼の頭を狙い打つ作戦を立てたのだ。
そしてこの作戦はここで終わりではない。
『エア・ハンマー』の有効射程ギリギリの高さだと、『レビテーション』も『フライ』の詠唱も間に合わないのである。
だから、この後の事も作戦には織り込み済みであった。
気絶して倒れるロナを土台に、才人はデルフリンガーを逆手に持って飛び上がる。
送られて来る情報を元に、正確に、彼の使い魔を受け止められる場所に。
才人は放物線の頂点で落下してくるタバサを捕まえると、そのまま着地する。
落下の衝撃で、才人の脚に痺れが走ったが、ガンダールヴの力がそれを抑え込んだ。
才人は腕の中のタバサに、にっこりと笑ってみせた。
「上手くいったな!」
「うん」
こうして、二人は勝利を収めたのである。
目を醒ましたロナは、元に戻っていた。
どうやら『エア・ハンマー』の衝撃で暗示が解けたようだ。
『千里眼の布』を返した彼を問いただすと、彼は事件のあらましを全て語ってくれた。
彼の本名は、アルフレド・ドナヒュー。教師になることを夢見ていた、ギルフォード魔法学院の職員の一人。
ロナ・アルベルト・シモンズと彼は同僚であったという。
しかし彼は二つの系統しか使えない『ライン』であったため、ロナとは違い授業の助手を務める程度であった。
そんな中、アルビオン戦役のため、ギルフォード魔法学院は解体され、アルフレドは出兵する。
彼は自分で開発した『武装錬筋』の術でもって戦役を生き延びた。
そして兵役から帰ってきた彼に、ある朗報が訪れるのである。
放浪の旅人と名乗る女性が、トリステイン魔法学院からの書簡を持ってきた。
そこには、ロナの名前が刻まれていたが。
その女性は言った。
『あなたは教師になりたいのでしょう?ロナ・アルベルト・シモンズになれば、あなたはすなわち教師になれますわ。
幸い、トリステイン魔法学院に、ロナ・アルベルト・シモンズを知る者はいない…。
さあ、行きなさい、ロナ・アルベルト・シモンズ』
そして、彼女のはめていた指輪が光り輝き…。
アルフレドは、トリステインにやってきた。
どうしてそんな事をしようと言う気になったのか、彼にはわからなかったという。
そして、その女性はもう一度姿を現す。
『千里眼の布』を持って、教師として充実の日々を送っていた彼の前へ────────。
ミョズニトニルン。
話を聞いたタバサは心の中でそう断定した。
間違いないだろう。
彼に暗示をかける際、なにがしかのマジック・アイテムを使ったのだ。
するってえと…ガリアが裏でまたなんかやってんのか…。
才人はうんざりする。
しかし、ガリアが関わっていると知っても、タバサは平然としている。
たいしたもんだな、とか才人が考えていると。
サイトと、一緒だから。
タバサの毅然とした心の声が、響いてくる。
私はもう、何も怖くない。
サイトがいるから、サイトと一緒だから。
そんな言葉に、才人の方が照れくさくなって、思わず視線を逸らして頬をぽりぽりと掻く。
タバサはそんな才人にそっと寄り添う。
そんな二人の前で、縄で後ろ手に手を縛られたロナが、いやアルフレドが、教師達に連れられていく。
そこへ。
生徒たちがやってくる。
「先生っ!」「せんせぇっ」「ロナ先生っ!」
縛られたロナを取り囲み、生徒たちは口々にロナを呼ぶ。
そんな生徒たちに、アルフレドは寂しそうに笑って、応えた。
「私はロナ・アルベルト・シモンズではないよ。
…君たちを、騙していたんだ」
そして、アルフレドは顔を伏せる。
生徒たちは一瞬、声を失ったが。
「名前なんてどうでもいい!」「先生は先生だよっ!」「先生っ!」
「お、おまえたちぃぃぃぃぃぃ!」
そして湧き上がる声。
『先生、必ず戻ってくるからなっ!』『俺、それまで待ってるよ!』『どんだけ留年する気だよお前』
などという言葉が交わされるのを、タバサは冷めた目で見ていた。
そして、彼女のご主人様は。
「…なんかいいなあ、アレ」
抱き合う生徒と教師を見て、なんかちょっといいなあ、なんて思ってしまう。
…サイト、趣味悪い。
そして容赦なく入る心の突っ込み。
え?チョットマッテ?なんかいいじゃんアレ?
…趣味悪い。
心は通い合っていても、まだまだ分かり合えない二人であった。
後日。
事の顛末を聞いたタバサの使い魔は。
「シルフィ呼べばよかったのねー!何もサイトがキャッチする必要なかったのねー!」
そう言ってタバサにえんえん文句を垂れ、杖でさんざん小突かれたという。〜fin
すいませんごめんなさいこんなgdgdな非エロえんえん続けてごめんなさいorz
ていうかね、最初は土のメイジで土の触手でタバサが(ry)な話を考えてたんだけどもさ。
お兄さん陵辱もの書いてると気分悪くなるから無理なの!(ぁ
商業には向いていませんね!ええ!
んじゃまた今度はエロで会いましょうノシ
>>583 いやぁ、爽快な物語ありがたう!
エロを書けやw
>>583 やっと終わったーー!乙で〜す
というワケで、最初から読んできます
こんな焦らし逃れしてる俺は一体なんなんだ…
ルイズ分が足りない!
つルイ酢
湯豆腐でも食うかな…
GJですぜ職人の皆様方w
つーか一気にきたな。さすが休日。
590 :
君の声と約束:2007/10/28(日) 21:55:57 ID:pp61YsGF
連続の非エロですが、投下します。
※拙作『離別』と設定上つながっていますが、読まないでも大丈夫ですw
591 :
君の声と約束:2007/10/28(日) 21:57:36 ID:pp61YsGF
これは自分が決めたこと。貴族だからとか、人に言われたからでもなく、自分で約束した。
だからやるって決めた。他の誰に止められようとも、やり遂げる。それが、この約束を交
わした大切な人への、私の精一杯の言葉になるから。
「こんなもんでいいかしらね」
「あぁ、いいんじゃねぇの?」
「ちょっとボロ剣、言い方が投げやりすぎるんじゃない?」
「んなこと言われてもよお」
今までに成功例のない作戦会議を終えて、私はその準備をしていた。私の使い魔、サイトが
明日、元の世界へと出発する。今頃サイトは皆の所へお別れの挨拶に行っているだろう。
「そこまでしなくてもいいと思うんだがねぇ」
「何言ってるのよ? それじゃ、私もサイトも納得しないわ」
「自分が納得しないだけじゃねぇのか?」
「何か言った? ボロ剣」
「〜♪」
デルフの言葉が、私の中で反響しているかのように残る。
『自分が納得しないだけじゃねぇのか?』
確かにそうかもしれない。この日が近づくにつれて、私の中の『帰ってほしくない』とい
う気持ちが強くなるのをしみじみと感じる。明日サイトは自身の世界と私、どちらかを選
ぶことになるだろう。さすがに私も勝てるなんて思ってはいない。いないけど、それでも
サイトは私を選んでくれるんじゃないかって、期待してしまう。
「とにかく、作戦通りお願いね」
「ヤダ」
「……」
「謹んでお受けいたします」
ボロ剣を残し、私は部屋を出る。
これが私のサヨナラの仕方。
592 :
君の声と約束:2007/10/28(日) 21:59:12 ID:pp61YsGF
〜〜〜『君の声と約束』〜〜〜
「『行ってらっしゃいませ』か……」
シエスタの部屋を出た俺は、先程の会話を思い出していた。大方の挨拶は終わり、ご主人
様であるルイズの部屋へと戻っている途中である。
「いざ帰ることができるとなると、不思議と帰らなくてもいいんじゃないかと思えるから不思議だよな」
実際、一度元の世界へと戻ったらこっちに帰れない可能性が高い。だから、ということも
あって挨拶に行っていた訳なのだが、やはり別れはつらい。皆が無理して喜ぼうとしてい
ることがさらに悲しくさせた。
「ん〜、どうすっかなぁ」
やっぱ俺って流されやすいのか? などと思いながら、俺はルイズの部屋のドアを開けた。
「ん? ルイズ?」
まったく、相談しようかと思ったら、あいつはどこに行ったんだよ。仕方がねぇ、デルフに聞くか。
「なぁデルフ、ルイズは……」
「お、相棒! 帰ったか、マズイことになっちまったぜ」
一瞬、時が止まったかと思った。
「何があった!?」
「と、とにかく机の上を見てくんな」
見てみると、一枚の手紙が置いてある。
『貴方の愛しのご主人様、才色兼備、クールでキュートな麗しのルイズ・ド・ラ・ヴァルリエール様はいただいた。
返して欲しくば、夜、学院の広場までやってこい。
来ないと許さないんだからね。
土くれ』
「………………ふっ」
正直コメントは控えさせていただきたいな、まじで。土くれのフーケの手紙とか見たこと
はないが、どう見てもこれは……
「相棒?」
「はぁ……」
脱力して床に座りこむ。慌てた自分が馬鹿のように思えた。
「なぁデルフ……」
「なんだい相棒」
先程とはうってかわって落ち着いた、いつものデルフの声、これが意味するのは一つだ。
「あのさ」
「みなまで言っちゃいけないぜ。相棒」
「そうだな。じゃあ、ルイズはどこに行ったんだ」
「金髪巻き毛のお嬢ちゃんとこじゃねぇかい」
「そりゃ、安心だな」
あまりの脱力に笑うことすらできなかった。そんな俺の内心をよそにデルフは話し続ける。
どうやら久しぶりに話せるのが嬉しいらしい。
「ところで相棒、俺の演技どうだった? なかなかだろ?」
「……ま、よかったんじゃね?」
「そうか」
「あぁ」
593 :
君の声と約束:2007/10/28(日) 22:00:54 ID:pp61YsGF
「相棒、女ってやつは何考えてるかわかったもんじゃねぇな」
「確かにな。ところでデルフって男なんだよな?」
「女だったらどうする?」
「いや、何もできねぇだろ」
「ま、そりゃそうだ」
「萎えるしな」
「ひでぇな、相棒」
「そうか?」
「そうだろ」
「そっか」
以下こんな会話をしつつ夜になった。
俺はデルフを片手に部屋を出て広場へと向かう。
「双子の月も、今日で見納めか」
「相棒の世界には一つしかなかったんだっけか?」
「あぁ」
また、広場に向かう途中、様々なものを見て、また思い出していた。
「風呂か……」
「相棒の自信作だぁね」
「別に、それほどのもんじゃねぇよ」
懐かしい雰囲気をもつ黒髪の少女が、ふと浮かぶ。涙ながらの別れになってしまったが、
彼女は強いからきっと俺がいなくてもうまくやっていけるはず。それにしてもシエスタの……、
いや、やめとこう。
「お、相棒。そういえばここら辺で酒をあおってなかったかい?」
「思い出したくねぇ話だな」
ご主人様に追い出され、他人の使い魔を集めて絡んでいたことを思い出す。
「さて」
そして広場、俺とルイズが初めて出会い、そして初めてのキスをした場所。
「来たぞ、ルイズ。いるんだろ?」
「……なんで?」
「あんな変な文章書くの、お前以外いねぇよ」
「っ……うるさいわね。でも丁度いいわ」
今のルイズの声に、少しだけ喜びがふくまれていた気がした。あくまでそんな気がしただけだが。
「ヒラガ・サイト、私と元の世界への帰還を賭けて、決闘しなさい!」
ルイズの表情は雲の陰に隠れて見えなかったが、その言葉には明らかに決意の色がみてとれた。
「相棒、お嬢ちゃんは本気だぜ」
「わかってる」
さすがにここでボケるほど空気読めないこじゃないつもりだぜ。
「次に月が出た時が開始の合図よ」
「わかった」
ルイズが何故突然決闘を申し込んできたのかはわからないが、この勝負は受けなきゃなら
ないだろう、ということはわかった。ルイズがあんな手紙まで書いてやろうとしたこと、
その真意が知りたい。
594 :
君の声と約束:2007/10/28(日) 22:02:27 ID:pp61YsGF
暫くの間、風の音と体勢をかえるときにする砂の音だけが占める穏やかな空間となった。
未だ月が出てくる気配はない。
ふとルイズの方を見る。相変わらず表情は伺えない。声が聞こえないので、おそらくは詠
唱もしていないのであろう。本当に貴族らしいやつだなと思わず苦笑してしまう。
「どうしたんだい、相棒」
「いや、なんでもない」
慌ててデルフを構えなおす。真剣勝負で呆けているなど男としてどうかと思うし、彼女も
また真剣たることを望んでいると思ったからだ。
やがてゆっくりと辺りが明るくなっていく。月が……見えた!
デルフを下手に構え走り出すのと、ルイズが詠唱を始めるのが同時。
「エオルー・スーヌ・フィル・ヤルンサクサ……」
「エクスプロージョンか……それでも」
既知の通り、虚無の威力は詠唱時間に比例する。この距離ならばエクスプロージョンの威
力は大したことないうちにルイズのもとへと到達する。俺はデルフを握りなおす。
だがルイズはすぐに魔法を地面へと解放した。
ボフッ
「くっ……」
辺り一面が砂ぼこりにまみれる。
「くそっ、目に砂が」
「相棒、距離をとれ! 的になる」
互いに視界を遮られた場合、攻撃範囲の広い方が有利である。この距離でエクスプロージ
ョンをくらうわけにはいかない。
素早く後方へと待避し、姿勢を低くする。砂ぼこりの中からは、またはっきりと詠唱が聞
こえてきた。
「ん?これは……」
「イリュージョン、だね」
「何をする気だ?」
通常、イリュージョンは存在を偽装することによって効果を発揮する。つまり、イリュー
ジョンの使用がバレた場合、その効果はほとんどない。ましてや使う前を見ているのだか
ら、使用前に無かったものが幻想なのである。これでは意味がないはずである。
とにかく目が見えなくては何もできない。俺は目をこすり、なんとか目をあけた。次第に
砂ぼこりも消え、視界が開けてくる。
「なっ……!」
「なるほどね」
595 :
君の声と約束:2007/10/28(日) 22:04:02 ID:pp61YsGF
現れたのは、五人のルイズ。おそらくは自身の姿を四人分投影したのであろう。
「最小限の詠唱でここまで、やるねぇお嬢ちゃん」
「関心してる場合か」
ほんとに俺を帰さない気かよ、と独りごちる。それと同時に嫌な記憶まで蘇ってきた。
「ちっ、なんか見覚えがあると思ったら」
「『風は偏在する』ってか」
某スクエアクラスのメイジが使ってた魔法にそっくりである。
「でも“偏在”とは違う」
“ルイズ達”の方を見ながら呟く。その違いとはただ“風”と“虚無”の差というわけで
はない。明確な差がそこにはあった。
「ルイズの攻撃も五分の四が偽物になるはずだ」
分身系統の魔法と違って幻想魔法は投影されたものに実体がない。
つまり、“詠唱のポーズ”や“攻撃自体”を映すことができても、こちらにダメージを与
えることができないのである。
「つまりお嬢ちゃんの狙いは」
「隙をついて、でかいの一発ってとこか」
そこまでわかれば十分だ、と俺は走り出す。先程のような不意打ちを警戒したのと、相手
がルイズということで全速力の八割も出ていなかったが、決闘においてはこれでも十分な
速さだった。狙いを定められないように多少ジグザグな動きをしながら距離をつめる。
「さらにもう一つ」
ルイズは決定的なミスを犯していた。
トリステインの貴族に多い、堂々とした詠唱。それが本物を教えてしまっている。俺は声
のする“ルイズ”に狙いを定めて一気に懐へと入り込む。
「みね打ちだ、勘弁しろよ!」
ドスッ
「きゃっ!」
ルイズの短い悲鳴とともにデルフの頭が実体を捉えた。かはっ、とルイズは息を漏らす。
これがイリュージョンによる幻想でないことは明らかだ。
「俺の……勝ちだ」
確かな手応えに俺は自分の勝利を確信した。デルフを握る力も弱めて、ルイズの様子を伺う。
「……ハ・ズ・レ!」
ポンッという音とともにルイズであったものは煙を発して人形になる。
「なっ…ア……アルヴィー?」
「相棒っ左だ!」
確信を崩されたという動揺から動きが遅れる。振り向いた時には、既にルイズは杖を振っていた。
「しまっ―――!」
「へぶ!」
手元が爆発し、デルフが吹き飛ぶ。
「うああぁぁぁぁぁあああああ!」
デルフの叫び声が夜の学院にこだまし、そのまま弧を描きつつ後へと突き刺さった。
「チェックメイトよ」
596 :
君の声と約束:2007/10/28(日) 22:06:03 ID:pp61YsGF
全身から力が抜ける。俺は地面へと倒れこんだ。
「負けた……のか」
口からでてきたのはそんな言葉。不思議と悲しくはなかった。帰れなくなったという実感
がないだけかもしれないが。夜の広場が一層静かに感じる。
あいつはどんな顔をしてんのかな、とルイズの方を見た。
「……なんでおまえが泣いてんだよ」
なぜかルイズは頬を濡らしていた。小刻みに震える肩。ルイズは俺の傍にやってくるとへ
たりと座りこんだ。
「うううっうるさいわねっ! これで、あんたも安心して帰れるでしょ」
「は?」
「あによ?」
「いや帰れるかを賭けた決闘じゃ」
「そうでも言わないと本気でやってくれないじゃない」
泣き顔を見せないようにうつ向くルイズ。もしかしたら決闘中も我慢していたのかもしれ
ないな、とそんな気がした。
「そっか」
不器用なやつ、と心の中で笑う。少々投げやりな返事をしつつ星空を見上げる。
「ありがとな」
二つの月が綺麗だった。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
数日後に俺は無事に元の世界へと帰還する。その後さらにゴタゴタがあったが、そんなことは些細なことに過ぎない。そして俺は、ルイズが内緒で書いた手紙をパーカーのポケットに見つけ、こう言うのだ。
「あれ? 読めねぇ。……なぁんだ、もう一度あっちの世界に行かなきゃならねぇのかよ」
〜Fin〜
投下終わりです。
実は何スレか前に、ネタバレされてしまったので消そうとしたら
『消しちゃらめぇぇ』とか言われたやつです。
どうでもいいですね。それではノシ
乙
>>597 ぐっ、GJ!!だなんて、言わないんだからねっ!! www
(まだシエスタが才人のお付になる前の話。)
すぅー…すぅー…
眠りに入る前の不定期な呼吸から定期的な呼吸へと変わる。
ルイズはその事を確認し、うっすらと目を開ける。
寝る時は気恥ずかしさからか、隣の使い魔に背を向けて寝ているが…
先に向こうが違う世界へ旅立った時は自分のやりたい様にさせてもらっている。
既に何回か肌を重ねたはずなのに、未だに気恥ずかしさが消えないからだ。
ここ最近、ルイズはお隣が寝静まった後に同じような事をしている。
そこから学んだ事は、この犬はちょっとやそっとの衝撃では起きる事が無いという事。
しかし、今日は運が良い。普段なら両者ともに背を向けあっているために
一度身体をルイズの方へ倒さないといけないのだが、その日の犬はすでに寝返りを打っていた。
ご、ご主人様より先に眠るなんてぇ〜っ!
と、頭で思っていても顔は全く逆の思考を考えているようで…
とりあえず、使い魔の腕を伸ばし自分の枕にする。最近のお気に入りだ。
女の自分とは全く肉付きが違う腕、ゴツゴツしていて枕になんてとても向いた物ではない。
しかし…その腕に桃色がかった頭を乗せてしまうとこの世のどの枕よりも寝心地が良い。
こんな事で悦に入る自分を最初は嘆いた。それも大いに嘆いた。
あた、あたしがこいつの腕で寝る必要なんて、まま全くないのよ!そ、そうよ!こいつがそうしたがってそうだからなのよ!
自分で身体の向きと腕の方向を変えておいてどの口がその台詞をしゃべるのか
その問題を解いた時、きっとその解答者と犬は消し炭になるだろう……
話はズレたが、桃色は数日前の自分の行いを全く忘れている。
いや、正確には忘れてはおらず今の行為に耽っているだけなのだが…
ただ、「耽っている」とは言えそんな邪な事をしている訳ではない。
伸ばした使い魔の腕に煩悩を抱え込んだ頭を乗せ、深呼吸をする。
たったそれだけ。
それだけの行為が、どうしようもなく止められないのだ。
一度深呼吸をすれば、石鹸の匂いと才人自身の匂い。その混合物が肺を覆う。
その混合物がまるで麻薬の一種でもあるかの様に、ルイズの頭に桃色の霞を広げていく。
うぅー…さいとのにおいぃ…もっとぉ…
顔はすっかり緩みきって普段の彼女ならば見せないようなアホ面…もといニヤケ面であった。
今の匂いに慣れてしまったのか、彼女の頭は更なる強い匂いを求めていた。
地球にいれば決してお目にかかる事が無いハルケギニアの双月は昨日と変わる事の無い柔らかな光を
地上へと降り注ぎ、人はその恩恵に預かる。
それはここ、トリステイン魔法学院も例外ではなく学生が寝泊りする寮にも注がれている。
もちろん、桃色能天気とその下僕が寝泊りする部屋にも…
その月明かりを頼りに、才人との距離を縮めていく。
二の腕あたりに居た桃色の髪の塊は徐々にその位置を肩の付け根と動いていった。
頭を動かす度に鼓動が早く大きくなった。
まるで、今この部屋に誰か居れば自分の鼓動が聞こえるんじゃないかと思うくらいの。
丁度、頭は肩の付け根より少し下あたりにやってきた。
目の前には胸板、前髪には才人の鼻息が少しかかっている。
自分と同じような構造の、それでいて作りが全く違う胸板にそっと触れてみる。
鼓動の速さ、硬さ、その他諸々正反対。
何回も触っているはずなのに、触る度に新しい発見がある気がする。
ピタピタと触っていると、急に使い魔が動き始めた。
ビクッと身体を強張らせて様子を伺ったが、なんて事は無い。少しの寝苦しさを感じただけだろう。
そう思ったのがルイズの間違いで、余った手がそのままルイズの背中へと回され自身は胸板へと押し込まれた。
普通の人なら苦しいと思うべきだろう。寝ているとはいえ、いや寝ているからこそ力加減は普段とは違う。
しかし、その中でルイズは一種の恍惚状態に陥っていた。
さいとが……ちかいぃぃ…んぅ……これ、いい……
にへらーと頭のネジが数本飛んでしまったような顔を浮かべ、嬉しいトラブルで悦に浸る桃色天然娘。
自分の手の居場所が無くなってしまったので、「仕方なく」才人の首に手を廻す。
あんたがねぇ…犬みたいにこうがっつくからなんだからね!まったくもう…
さながら不審者のようにニヤニヤしながら口ではブツブツと何か呟いている。
不意に、使い魔の口が動いた気がした。
口を噤み、犬の口に視線と注意を送る。
「ぅ…るいず……」
最初は何を言ってるか分からなかったが、分かった瞬間顔が噴火した。
な、ななな何を言ってるのかしらね!?この、っこの犬はっ!?
そんじょそこらのバカップルの様にくっつきながら悪態を付く桃色。
端から見たら滑稽以外の何者でもないが、ここでは双月以外見る輩なぞ無い。
比喩ではなく、真っ赤になった顔を鎮めるべく才人の胸板に顔を沈めた。
心臓が血液を送り出す音が心地良い。
…ね、寝ながらご主人様を呼ぶその心意気だけは…か、か感謝したげるわ!
こ、これはその、嬉しいからとかそんなんじゃないのよ!ご主人様なんだから報わなくちゃね!
いつも通りの訳の分からない持論を繰り広げた後、意を決し自分の名を呼ぶ唇を閉ざさせた。
もちろん、使ったのは自分の唇だ。
空気を通して感じる匂いと、粘膜を通して感じる匂いとでは訳が違う。
その匂いを認識すると、桃色の霞は急速にその範囲を広めゆっくりとルイズの意識を奪っていった……
朝、才人は信じられない光景を目にする。
自分がルイズを抱いている。
しかも、ルイズの手は自分の首へと伸びている。
「これさ…バレたら俺死ぬんじゃね?」
そう呟き終えた瞬間に、ルイズの目がゆっくりと開かれた。
「あ、あああのな、ルイズ。これはな、違うんだ。な?な?」
気だるそうに、その言葉を無視しルイズは開けた時とは比べ物にならないくらい早く目を閉じた。
今日は…虚無の曜日なのよ…バカ犬…
それで分かりなさいよ、といった語気が感じられる。
この後、二人はお楽しみだったとか、そうでないとか。 〜オワリ〜
どうも、お久しぶりです。と覚えてる方はいらっしゃらなそうですがw
ちょっと、身の回りがゴタゴタしてたり、普段書いてるノートパソコンに水ぶっかけて壊したり
最近ようやく、かける環境が整ったのでまた参戦させていただこうかと・・・
手始めに、
>>586氏がルイズ分を欲しがってたので思いついたネタでちゃちゃっと書き上げてみました。
一気に書き上げてしまったので、誤字脱字があるかもしれませんが
そこらへんは脳内補正でどうかお願いしますorz
鳥はこれであってたかな・・・
では、またお会いしましょう。
604 :
ぜろ☆すた:2007/10/28(日) 23:06:42 ID:BzQ7DAcB
〜地球〜
「なんだよこれ……」
俺がゲートを潜り抜けそこにあるのは確かに地球の日本の秋葉原だった。
ただ何かが違う。灰色の空、崩れ落ちてるビル、昼だというのに人一人いない。
地震でも起こったのだろうか。いや、それで人がいないのはおかしい。電気もついていない。
秋葉原に電気がついてないだなんておかしすぎる。それに雑音一つ無く、かえって耳が痛くなりそうだった。
小さい女の子ようの赤い靴が片方落ちていている。道路を見ると走行していたの車が瓦礫によって押しつぶされたようだ。
中の人はいるのか?近寄って確かめてみた。しかし運転席には誰もいない。脱出したのだろうか?
……違う。脱出したのならドアが開いているはずだ。だから脱出できるはずが無い。
なのに遺体がどこにも無いってどういうわけなんだ?
「おーい!誰かいませんかー!」
とりあえず俺は叫んだ。人がいるって信じたかった。返事が無い、まるで町自体がただの屍のようだ。
せめて高い場所から町が見たかった。東京の高層ビルは全て崩れ去っていた。
まずは家族を探すために近くのハーレーに乗った。キーがさしてある。考えたくないが乗ろうとした時に消えてしまったのだろう。
考えるだけで吐き気がしてきた。だから、無用心だな、と思って気を紛らわそうとした。いや、現実から眼をそむけようとした。
バイクをものすごいスピードで走り向ける。時速200キロは出してるだろう。
605 :
ぜろ☆すた:2007/10/28(日) 23:07:26 ID:BzQ7DAcB
自分の家の場所についてみると確かにある自分の家。鍵は開いていなかったので家族で決めている鍵の隠し場所である倉庫から鍵を取り出して玄関を開けた。
久しぶりに嗅いだ自分の家のにおい。それだけで眼が潤んできた。
そして二階の自分の部屋に行った。自分がハルケギニアに飛ばされた頃から変わらない自分の部屋だった。
本棚には自分のマンガ本や使ったのが一回しかない参考書、作文を書くときに使った辞典。
勉強なんて居間でやっていたからまったく使うことの無かった机。
タンスに入っているもう背が伸びてしまってきることが困難そうな服。自分が使い慣れてたベット。
だいぶ疲れていたのでデルフを壁に立てかけてベットの上に大の字になった。
自分の家族はもういない。父さん。親孝行できなくてごめんな。母さん。味噌汁のみたかったよ。
さっき居間の机においてある写真立てを見た瞬間から涙があふれ出てきた。
ルイズ、明日から俺はどうすればいい?カンダールブの刻印をなぞりながら答えを出す前に俺は眠りにつこうとした。
606 :
ぜろ☆すた:2007/10/28(日) 23:08:12 ID:BzQ7DAcB
一睡もできなかった。
次の日、向かっているのは新東京タワー。600mもあるのだから東京の町並みを見るよりいいのではないかと思ったからだ。
自分がハルケギニアにいた頃はまた建設されてもいなかったがもう自分も20代だ。もう建設完了してあるだろうと思っていた。
そして新東京タワーついたらその大きさに圧倒された。建設当初は600mって聞いてたけど、これ1000mはあるぞ?
きっと建設当初高さでは世界一にならないから意地張って作ったんだろうな。中に入りエレベーターのボタンを押してみると扉は開いた。
きっと非常用の電源は生きているのだろう。もし電源が無かったら1000メートルの高さを階段で上らなきゃならない。
どこかの高校ラグビー部の約三倍だ。カンダールヴの力なら無理ではないだろうが、さすがに上るのは疲れる。ほっとした感じがしてエレベーターの中に入った。
エレベーターはぐんぐんとものすごい勢いであがっていく。第三展望台までの直通のエレベーターだ。気圧の変化で耳が痛くなってきたのでつばを飲んだ。
第三展望台につくとサイトは言葉が出なかった。上から見下ろした東京は廃墟というよりも地獄だった。
バイクでも見てて分かったが、ほとんどのビルは破壊されていた。
まるで時間が止まっているかのような世界。ジョジョもびっくりな世界だ。
なんだこれ?これが東京?あのカップヌードルの世界でも人はいたぞ?だけど人は一人もいない。だから何も動かない、動いていない。
サイトはデルフリンガーを抜いた。
「一日ぶりだね、相棒」
「ああ、一日ぶりだな」
「おでれーた!これがお前さんの言ってた日本かい?」
「ああ、そうだよ。だけど何でこんなになったか分からない。ほとんどの建物は崩れてて人は一人もいない。死んだんじゃない、消えたんだ、突然に」
「…………きっと「始祖の虚無」のせいだろうな」
「………」
「予想だが「始祖の虚無」はハルケギニアだけじゃなくこの地球にも影響を及ぼした。
ハルケギニアの「始祖の虚無」は発動段階で防げたが地球の「始祖の虚無」は防ぐことができなかったんだ。
そして地球が造り変わる直前に俺たちがハルケギニアの「始祖の虚無」を防いじまった。だから人は消え、建物がこんな状態なのさ」
607 :
ぜろ☆すた:2007/10/28(日) 23:08:58 ID:BzQ7DAcB
「………じゃあもうこの地球に希望は無いのか?」
「……わからんさ。あくまでこれは予想だ、真実じゃない。「始祖の虚無」はあの時全てを飲み込んだわけじゃない。
ハルケギニアにはあの真っ赤な空だったが、サハラやロバ・アル・カリイエのほうにまであの空だったかはわからねぇ。
もし地球もあっちと同じように影響を受けたのなら、まだ無事なところもあるかもしれないぞ?
希望を捨てるにはまだ早いんじゃねーのか?」
「……だけど世界中を旅するなんて簡単なことじゃない。ましてや人がいないこの世界でだ」
「……うん」
「それでも俺はやらなきゃいけないのか」
「……ああ、そうだね。お前さんはやらなきゃならない責任がある。……大丈夫だ。オイラがついてる。そしてお前さんは、今や真のガンダールヴだ。」
「そうだけどそれがどうしたんだ?」
「お前さんは気づいて無くて当然だが……お前さんは覚醒したときにルイズの虚無を受けた。
それはガンダールヴ後からの扉の『鍵』をあけるものだよ。扉の開け閉めはお前さんだけでもできる。
それにブリミルが「始祖の虚無」を作った理由をお前さんは分かっているのかい?」
俺の頭の中では考えがつかなかった。
「ブリミルは聖地の奪還を目的としていた。だがエルフは強い。ハルケギニアの国が全て集まっても敵わないし虚無の担い手がたった4人では無理だ。
だからもし聖地を得ることができなかった時のために「始祖の虚無」を準備しておいたのさ」
「……全てが無かったことにできるように、か」
「そうだ。そしてその「始祖の虚無」の魔力はこのデルフリンガー様の体の中に入ってる。そして真のガンダールヴとなったお前さんは不老不死だ」
「は?なんで?」
「お前さんは世界を見届ける必要があるんだよ、サイト。ブリミルだって人間だ。人類が滅亡して欲しくないだろうさ。
「始祖の虚無」が発動したら何もかもが無かったことになる。「始祖の虚無」は最終手段だからな。世界が終わりそうになったらお前さんが防ぐんだよ。
そして人類が死滅しかけたら子供が作れるようにするためだ。だかさブリミルはお前さんを不老不死にしたんだよ。
じっさいに一睡もできなかったんだろ?寝つきが悪かったからじゃない。寝る必要がねーからだ」
「……なんだよ、それ。もう何いっていいかわかんないよ。フリーザさんも叶えられなかったことを俺がやってのけてしまうなんてさ。」
608 :
ぜろ☆すた:2007/10/28(日) 23:10:03 ID:BzQ7DAcB
俺はできる限りのものを持った。だけど食料や水は要らない。死なないから。
寝袋もいらない。寝ないから。だけどその代わり発電機と一眼レフのデジタルカメラとありったけのメモリーとGPS。
そして相棒のデルフリンガー。まるでジャーナリストみたいだな。
そしておれは数百年を旅した。さびしくは無かった。デルフがいたから。
ただ会いたかった。人に、生命があるものに。だけど木には会えたが虫も鳥にも人にも会えなかった。俺は写真をとり続けた。
「なぁデルフ」
「なんだ?相棒」
「ひといねーな!」
「そうだなー!」
「世界中旅したけど67億人中一人も見つけれなかった!」
「そーだなー!」
「今俺たち何歳だろ!」
「わからんねー!」
「どうしたらいいんだろー!」
「どうしたいんだー!」
「ルイズたちに会いたい!」
「会いたいなー!」
「でもその方法がわかんねー!」
「だったら俺様で空気を斬ってみろー!」
「わかったー!ゼァア!」
「ゲートが開いたぞー!よかったなー!相棒ー!」
「うん、よかった!ってええええええぇぇぇえぇぇぇ!!」
それは確かにハルケギニアから地球へくるために通ったゲート。
「な、なんでゲートがでるんだよ!……もしかして、デルフてめぇゲート作れるっとこと知ってやがったな!」
「いいじゃねーか。不老不死なんだし。一様世界見た後で作ったっていいだろう?」
「だからって教えてくれるくらいいいじゃねーか!」
「だって、相棒は聞いてこなかっただろ!?」
「おまえ、こんな世界見たらハルケギニアに帰りたいって思うだろ!なんで新東京タワーの時教えなかった!」
「だってオイラ剣だもん、人間の気持ちわかんないもん!」
「うるせー!俺の数百年の苦労返しやがれーー!」
俺はデルフを近くの岩に何度もたたきつけた。
「ごめ、ちょ、痛いって!」
「成敗成敗成敗!」
「お、いげ、とがき、え」
「あー!?なんだって?」
「だからゲートが消えかかってんだよ!俺が吸い込んだ「始祖の虚無」の魔力はもう無いからゲートが消えたら二度と……」
「うううぅぅぅおおおぉぉぉ!!」
俺はデルフの説明を聞く前にゲートに飛び込んだ。
609 :
ぜろ☆すた:2007/10/28(日) 23:12:05 ID:BzQ7DAcB
ども。虹山です。
やっぱ日曜日だけあってたくさんのssが投下されてますね。
すいません。後編どころか中編で終わってしまいました。ごめんなさい。
エロがかけるかな?それが問題……
>>603 久しぶりのルイズネタだ〜
ルイズカワエエな。GJです
>>609 こういう展開も好きだな〜
まぁ焦らずに、濃い続き書いてください。GJです
GJです。続き期待してます。
613 :
586:2007/10/28(日) 23:48:41 ID:jDYfqiRb
d
ルイズ分が補充された、これほど嬉しいことはない。
614 :
予定は決定:2007/10/29(月) 00:26:34 ID:Iqz7Ht9t
時が経つのは早いもので、あと半年でこの魔法学院を卒業することになる。
この書に書くのも、これが最後。内容は、簡単。
――旅立つ日、私はヒラガサイトと結ばれる――
この一行だけ。
もう、この書を開くことも無いと思う。最後に書くのはこれにしよう、と決めてたから。
もっとも、今開いてるのは最後のページ。これ以上書く事が出来ないから、開くことがなくなるのは、決めてても決めてなくても同じことだった。
私は、その書を閉じて、本棚の中にしまった。サイトに見られるかもしれない危険があるけど、サイトには『見たら駄目だからね』ときつく言ってあるから、たぶん大丈夫。
それに、始祖の祈祷書と同じで、虚無の系統の人間しか見ることが出来ないみたい。
半年の間に、やることはたくさんある。
今よりももっと綺麗にならなくちゃならないし、今よりももっと魔法を習得しなくちゃいけない。この胸も、出来れば今よりも大きく。
世界一の男の人に嫁ぐんだから、世界一の女にならなくちゃいけない。たぶん、この半年は今まで以上に忙しくなる。
絶対絶対、サイトが見惚れるくらいの女になってやるんだから!
始祖ブリミルは、偉大なメイジであったと同時に、偉大な予言者であったとも言われている。ブリミルの言うことに外れは無く、まるで全てが予定されてあったことのように。
そして、ブリミルは全ての予言を一冊の書に残しているという。
その書は、始祖の予言書と言われているが、本当に存在するかどうかはわかっていない。
私は、始祖の予言書を見ながら、ため息をついていた。
今まで、色々な事を書いて始祖の予言書を試してきた。
サイトが転ぶ。サイトが私を抱きしめる。サイトが私に愛の言葉をささやく。サイトが私といい雰囲気になって……。
全てが成功。始祖の予言書は、その通りの効果を示してくれた。
始祖の予言書の効果は簡単。
書いたことが、現実に起こること。
人の命を奪うとかは出来ないけれど、ある程度のことならば叶えてしまう。
明日は、特別な日になりますように……。
そう願いながら私が始祖の予言書を見てると、サイトが部屋にやってきた。
あ、サイト。え? 卒業おめでとう? まだ早いわよ。卒業式は明日。まあ、一応お礼は言っておくわ。え? 綺麗になったって? 何言ってるのよ、いきなり。見惚れるくらいですって? ……ありがと……。
あ、ちょうどいいわ。……ねぇ、サイト。私からも言いたいことがあるんだけど、聞いてくれる?
予言書に書いたことはただの予定。この予言だけは、私が叶えなくちゃいけない。
予言書の力を借りちゃ駄目。なぜなら、これは私にとって一番大切なことだから。
大切なことは、自分の力でやらなくちゃ。
あのね? 私、サイトと……。
615 :
29Q:2007/10/29(月) 00:30:03 ID:Iqz7Ht9t
思いついたのをそのまま書いただけだぜ。
そういえばまとめWikiで「雪風の〜」がfell氏の場所にあったんだぜ。
直そうにも使い方がよくわからないぜ。
うへ。
>>614 目からほんのり甘くてちょっぴりしょっぱい液体が出てきたよ…
>>614 貴殿のSSを読んだらウイングマンのドリームノートを思い出した
サイトを転ばしたり、抱きしめさせたり、どう思ってるのか言わせたり…
いたずら書きを言い訳にして、色々と頑張ったんだろうなぁ、ルイズ。
もっとやれ。
3032年にゼロ使第三期が始まるという夢を見た。
しかも内容が、サイトがスライムになって世界を覆い尽くすという訳分からん物だった。
目覚め最悪だから、もう一回寝てシャルロットとえちい事する夢見てくる。
>>617 ルイズが6本指になってしまうではないか。
夜空に浮かぶ二つ月がほんの少し欠けながら、俺とルイズの部屋を青と桃色の光で照らす夜
俺はルイズの上に乗り、激しく動いていた、彼女は抱擁の替わりに俺の肌に爪を立てながら声を上げている
「……あぁっ…サイト!サイトぉ!……あ……だめ!ぬいちゃだめ!…中に…なかにちょうだぁい!!」
最後はルイズの上って事が多かった、ゴム製の避妊具の無いこの世界、外に出すにはその方がいい
俺がルイズの白い肌にぶち撒けようとする瞬間、彼女は下で腰をバタつかせながら両足で俺の腰を掴んだ
突然のカニ挟みに未経験の刺激を受けた俺は、そのままルイズの中にたっぷりと放射してしまった
あーあ
しょうがねぇな、と思った、俺の手遅れやルイズの不意打ちで、既に何度かそうなってしまっていた
性教育にやたら熱心だった高校の保健体育の先生のお蔭で、妊娠しない日が大体はわかるようになったが
それはふたつの月に女の潮を支配された異世界の娘とのセーフセックスまでもを保証してはいなかった
この世界にもパンツのゴムはあるってのに、地球では紀元前から羊腸のコンドームがあったってのに
その役目を魔法が担っていた事を俺は最近知った、ルイズはそれに関してずっとすっとぼけてた
「無いったら無いの!あっても絶対使わないんだから!……いいじゃない別に…そう、なっちゃっても…」
何度目かの夜の秘密
その晩もいつも通りルイズはネグリジェ、俺はTシャツにパンツで広いベッドを分け合っていた
彼女が「主人と使い魔の聖なる配分」としていたベッドの7割近い面積を占め、悠然と目を閉じる横で
俺は残り3割の領地に横向きに寝転がりながら月を眺め、テレビもラジオも無い夜を紛らわせていた
俺の背中に感触があった、ルイズが背中に指で字を書く、この世界の文字にまだ疎い俺は黙っていた
ルイズの指に力が篭る、俺のTシャツを掴んでまくり上げると、素肌に爪を食い込ませ、文字を刻んだ
字面よりもその痛みで伝わってくる文面、もっと痛いことされたくなきゃ…わたしにも痛いことしなさい
俺は向き直りルイズの引っかきを中断させた、シャツがめくれた間抜けな姿でルイズの薄絹に手をかける
バンザイをして一枚だけの衣を俺に抜き取らせたルイズは俺の上に乗り、俺が自分で脱ぐのを待っている
「……サイト……いやだわ……わたしサイトにワガママ言いたい気分……言っても……キライにならない?」
「なるかもな」
「わたしもだいっきらい!だからあんたを一生閉じ込めてやるの……わたしの中に……入ってきて……」
境界は消滅し、俺は領土を取り上げられた、ルイズに征服されたベッドの上で俺は虜囚となってしまった
俺とルイズの夜が始まる、お互いに二度としないと決めた事は、しない夜よりする夜のほうが多かった
真夜中
ルイズは子宮の奥深くに受けた熱い刺激に半ば失神し、瞳孔の緩んだ目で天井を見つめていた
その後にいつも汚れきったルイズの体を拭いてやる使い魔の義務をサボり、俺は窓の外を眺めていた
背後でルイズが動く気配がする、彼女は俺と終わった後、爪や歯で俺に傷を刻むのが好きだった
その衝動がいつもより強い時は言葉での罵倒を好んでいた、そして俺もそれが嫌いじゃなかった
「……こっ…このバカ犬!このわたしの…中に出すなんて!もし平民のあんたと、アレになっちゃったら…」
ルイズの声が遠い、俺は窓の外、夜空に浮かぶ月を眺めていた、桃色の月と蒼い月、異世界の空
天候や風向きの気まぐれで片方の月を雲が隠すことがある、桃色との対比を失い、クリーム色を帯びた月
背後で罵るルイズの声よりも、自然の造作が見せる一つだけの月に目を奪われた、俺の世界と同じ空
「…………月……キレイだな…………」
手を伸ばす、指がベットに隣り合った窓に当たる、届かない、もう届かない俺の世界に泣きそうになった
「……月が一つ……大切なものは一つだけ……月はひとつのほうがいい……」
背中を向けたまま月を眺める俺の背後のルイズを感じる、彼女の声が途端に気弱で臆病なものになった
「…………サイト…………」
さっきまで爪を立てていた俺の背中に指を這わせるルイズ、俺を確めるように背中を撫で回している
「……帰り…たい……?……あんたが居たっていう異世界に……月がひとつしか無い世界に……」
俺の背に頬を触れるルイズに向き直った、ルイズが俺の体に手を伸ばす、彼女に触れる気になれなかった
月光を受けたルイズは不安げな顔をしていた、月の逆光を受けた俺の顔は怖そうに見えるのかもしれない
「…俺の親父とお袋は、きっと死体すら上がらぬ俺の葬式をしている…その事は片時も忘れたことは無いよ」
元居た世界の人達の顔が時と共に記憶の中で薄れつつある、月が一つの夜にはその人達と逢える気がした
「……サイト……わたしいつか必ず……あんたの世界に帰してあげる……サイトの家族や友達の所に……」
底知れぬ虚無の系統、ゴミの召喚、ルイズはその能力で異世界との繋がりを得るのに消極的な様に見えた
「……俺はここでルイズの使い魔をしているサイトだ、今帰る気は無いよ…でも…会いたいひとも…いる…」
ルイズの瞳を見つめた、俺が見たのは瞳を通して俺に伝えてきた震える心じゃなく、瞳に映るひとつの月
「……イヤ!やっぱりイヤ!サイトは一生わたしのそばに居るの!……どの世界でもいい…一緒に居て……」
声がまた遠くなる、桃色の月を隠していた雲が慌しく流れ、夜空を二つの月が照らそうとしていた
それが今の俺には、とても悲しくて寂しいことのように思えた
ルイズと俺の異世界物召喚実験は相変わらずだった
この世界に様々な役立たずを召喚し、俺の世界を悩ますゴミ問題の緩和にささやかな貢献を続けていた
石作りの小部屋に居たのは俺とルイズ、キュルケとタバサ、学院に嘱託勤務するエレオノールとカトレア
病に体を蝕まれていたカトレア、それに心を痛めていたルイズを見て、俺は自分に出来る事を考えた
「チーズ食べてください、カビ生えた臭っさいチーズを食ってください、ゲロ吐くほど食ってください」
律儀なカトレアは毎朝の食卓にブルーチーズを加え、俺にはとても食えない貴腐チーズを食べ続けた
しばらくの後、驚いたことに彼女の病は少しだけ好転し、国内での短い執務に就くことが可能になった
俺の居た世界で多くの不治の病を救った抗生物質ペニシリンは青カビから作られたと学校で習った
俺に出来る事なんてそれくらいのこと、武器を自在に使いこなす以外にも、俺に出来る事は少しある
最初は秘密裏に行われた召喚儀式、オールド・オスマン以下学院の教師が揃って実験を見学していたが
多分に俺自身の説明の効果で、召喚された物がことごとくこの世界の役に立たぬものであることを知ると
教師連中の興味は次第に薄くなり、それに変わってルイズの悪友達の興味を引き寄せた、いつもの面々が
数日に一度学院の小部屋を爆発させてはオモチャを召喚しているという噂を聞きつけ集まるようになった
俺が地球の高校に居た頃によく買って食べてたヤマザキのランチパックがいくつも召喚された事があった
シエスタが作ってくれるこっちの飯に馴染んだ俺は食指が動かず、苺クリームのパンが入ったパックを
ルイズとキュルケに薦めたところ、二人は安っぽいバタークリームとくどいイチゴジャムの味に感激し
「これは王族の、いえ神々の食卓から盗んできたものだわ!」「味の宗教革命だわぁ」と大喜びしてたが
1時間ほどで二人して盛大に吐き始めた、漂白剤や保存料、イースト発酵促進剤に免疫が無かったらしい
辛党のギーシュはといえば卵サンドを二つ平らげてご満悦の様子、多分こいつはどこででも生きていける
爆発の煙と共に現れたのは何か大きな物、動く物、ナマモノの召喚は俺自身の召喚以来初めてだった
遂にルイズは俺の世界から人間を召喚してしまった、人様への迷惑は俺だけに留めてほしかったのに
その人間は茶色の背広を着た男性で、化繊のネクタイを締め、すり切れた豚革の靴を履いた小柄な中年
匂いで思い出した、嫌いな臭い、子供の頃はこの臭いから離れたくなくて、いつも後ろをついて歩いた
「親父!」
ルイズの異世界物召喚術によって召喚されたのは、東京でサラリーマンをしている俺の父親だった
突然現れたオッサンに目を丸くして驚いていたルイズは俺の言葉を聞いて今度は口をポカンと開けている
俺はルイズをおしのけ、地下鉄で寝過ごしたような顔で周囲を見回す親父の肩を抱いて早口で説明した
信頼の置ける人間に自分が異世界から来た事を説明した事は何度かあって、説明は随分うまくなった
親父は俺とのやり取りを手を振って強引に終わらせる、親に反発してた中学の頃からこの仕草が嫌いだった
親父は俺の口から聞く魔法だの使い魔とかいう単語を、わかったようなわからなかったような顔をしたが
俺の顔を見て、俺の目を見つめ、「私にはよくわからないが、これからわかるだろう」とだけ言った
親父は部屋の面々を見渡し、怪しい宗教の類だと思った俺よりは少しだけ物分りのいい顔で軽く一礼した
「はじめまして、私は平賀才蔵という者です、息子の才人がこちらでお世話になっているようですね」
エレオノールが親父の前に立った、上背のある彼女は挑発的に親父を見下す、親父はオッパイを見ていた
「さすが平民の使い魔の父親ね、父子そろって貧相なナリしてるわ、この学院には場違いもいいとこよ」
呆然としていたルイズの顔が一瞬で真っ青になり「お、お姉さま何てことを!」と金切り声を出す
奇妙な格好の面々に挨拶をしながらも警戒心を窺わせていた親父は、その言葉を聞いて不躾に吹き出した
エレオノールの強がりな口調は、ルイズに負けず劣らず俺をイジメていた俺の妹とまるっきり同じだった
カトレアは親父に向かって深々と頭を下げた、親父もそれに応えてツムジを突き出すお辞儀をする
「サイトさんのお父上ですね、突然お呼び立てした非礼を深くお詫びします、私はラ・ヴァリエール家の…」
「ちぃ姉さまやめて!」
なぜかルイズはカトレアの丁寧な挨拶をさっきより厳しい口調で遮ると、突然膝を震えさせた
「……わ……わたわたっ……わたしのしししし仕事……なななんだからぁ!」
ルイズはそのまま姉達を押しのけ俺を蹴りどかすと、唾をゴクリと飲み、魔方陣の中心で親父の前に跪いた
「は、初めましてヒラガ様、わ、わたしは……ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールです
サイト…サイトさんを使い魔として召喚させて頂き、勝手ながら主人の契りを結ばせてもらいました
…ち…契りっていってもそんな…そのいかがわしいものじゃなくてその…でもキスして…あぁもう!
…え〜と…あれです……その……ふ…ふつつかものですが……よろしくお願いしますっ!」
そのまま親父の前の床に額をこすりつけるルイズ、どこで何を見たのか三つ指らしきものもついている
エレノオールは声を荒げ「何してるのルイズ!貴族のアナタが平民に頭を下げるなんて!」と怒鳴る
カトレアまでも「ダメよルイズ、今から下手に出ると、向こうのお家には一生頭が上がりませんわよ」
ルイズは震えながらも親父の前に伏し、頭を上げようとしない、親父は突っ立ったまま困惑していた
俺はルイズの肩を抱き、「もういいよ」と言ったが、ルイズは「サイト…さんは黙ってて!」
親父が土下座するルイズの前にしゃがみこんだ、頬に手を添えて上向かせる、二つの視線が交錯する
「まだ私にはよくわかりませんが、貴女と才人とは絆で結ばれているようですね、しかし才人は私の息子
幼い頃から風邪をひけば寝ずに看病し、誰かに傷つけられれば共に全力で闘い、大切に育てて参りました
然るに貴女は、マホウ、というのですか?学校でお勉強中の身、それも余りよい成績ではなさそうですね」
相手がその属する集団の中で占める位置を瞬時に嗅ぎ当てるのは、営業職の必須だと親父は言っていた
「ルイズさん、失礼ながら私には、貴女が才人を幸せにする力を得ているようには見えないのですが」
ルイズは床に正座したまま俯いた、膝に涙が落ちる、親父はしゃがんだままルイズが再び顔を上げるの待った
「……たしかに…わたしは学校でも姉妹の中でも落ちこぼれのルイズ、ゼロのルイズ…でも…でも…
サイトさんを想う気持ちなら誰にも負けません!わたしはサイトの幸せの為ならこの命だって惜しくない!」
立ち上がった親父は背広のポケットから出した楊枝を咥え「へぇ〜」とニヤつく、禁煙は続いてるらしい
「……ヒラガ様……お言葉ですがわたし達の関係…その…使い魔!、主人と使い魔としての関係を
ヒラガ様が認めてくださらないのでしたら…わたし…サイトと駆け落ちでも心中でもする覚悟です!」
ルイズが俺をサイトさんなんて呼ぶ、何とも変な気持ちで頭を掻いた、最後の話については…う〜、ん…
「……ほ…ほんとにサイト、連れてっちゃいますからね!…居なくなった後で泣いたって遅いんだからね!」
楊枝を投げ捨てた親父は小声で「もう一生分泣きました」と呟くと、もう一度ひょこっとしゃがみこんだ
「ルイズさん、あんた、何したい?」
「……わたしは……ゼロじゃない立派なメイジとして……姫様と祖国のお役に立つような……」
「いっこだけ」
ルイズはうつむき、拳を握りながら長いこと考え、姉達や同級生を見て、そして俺をちょっと見た
「…………わたし………………わたし……………サイトと一緒にいたいです……」
「居りゃいいじゃん」
俺を見たり背後に居る姉達を見たり、落ち着かないルイズの視線は自分の胸、五芒星のタイ留めに落ちる
「……で…でも・・・・・わたしには……貴族として出来ない事もあるんです……メイジが使い魔となんて……」
親父は背広の内ポケットを探った、爪楊枝は品切れらしい、禁煙中の親父は苛立たしげに背広の胸をはたく
「………サルだな…お前ぇ…メージとかキゾクとか言ってても、私には人以下の猿にしか見えないよ
欲しいものに手が届いた時、掴めるのが人間だろ、猿は何かわけわかんねぇ物を怖がって掴めないんだ」
握られていたルイズの手が動く、夕べ俺の体をまさぐった時に似た手つきで、俺のパーカーの端を摘んだ
「……猿は……イヤです……だって犬と仲悪くなっちゃうし……」
ルイズは俺をしっかりと捕まえ、頭を上げ、親父と視線を合わせる、揺るがない鳶色の瞳に少し見とれた
「ヒラガ・・・ヒラガサイゾー様・・・サイトはわたしが貰います・・・もう掴んじゃったから・・・絶対離しません」
親父はネクタイを締め直しながらルイズを見返した、俺が随分昔に聞いた柔らかく暖かい声が聞こえてくる
「ルイズさん、貴女の瞳はとても綺麗だ、瞳は心、あなたの瞳は青い空のはるか上の虚空、深淵の海の底
虚空は地を守り、深淵は命を育む、それが地球です、貴女の瞳はまるで私と才人の故郷のようです
何も持たぬ貴女にはその瞳がある、貴女がその瞳を曇らせない限り、才人も貴女も大丈夫でしょう」
ルイズの綺麗な瞳から涙が落ちる、ゼロのメイジである劣等感、虚無の使い手である重圧を洗い流す涙
「……ヒラガ様……お父さま……!」
ルイズは親父に抱きついて、声を上げて泣いた、きっと彼女が求めていたのは、ただ泣くこと
俺は彼女の涙を受け入れられなかった自分、気づいてやれなかった俺自身が恥ずかしくなった
今回も参加していたキュルケは部屋の端っこで黙ってやり取りを見物してたが、突然手を叩き声を上げた
「よくやったルイズ!よくやったぞ!ゼロのルイズがよくぞ女の一大事を乗り越えた!パチパチパチ」
落ちこぼれのルイズに一番厳しいキュルケ、彼女はルイズが何かをやりとげた時に真っ先に誉めてくれる
タバサは手にしていた書物よりも面白そうな見世物を眺めていた、彼女なりに興味をそそられてるらしい
「…これからが大変、お姑さんとの対面はこれの三倍ぐらい大変、とってもタイヘンでとっても楽しみ…」
彼女は何でも面白がる少し悪趣味な癖がある、しかし俺からしてみてもすっげぇオモシロそうなことだ
ルイズは赤い目をこすりながら姉妹の前に立つ、おチビのルイズの背が少し伸びたように見えた
「お姉さま、改めて紹介します、この方はヒラガサイゾー様、サイトと…わたしの大切なお父さま」
親父は突然出来た娘の胸を見て、それからカトレアとエレオノールの胸を見比べ「チッ」と舌打ちしたが
凄く大きくてたわわなオッパイが桃色の髪を揺らしながら自分に近づいてきたのを見てご機嫌な顔をする
カトレアが親父の前に立つ、どうやらこの場で一番偉い奴だろうと察したらしき親父は背広の皺を伸ばす
猿の群れの中からボス猿を探り当てるのも営業の特技だが、親父はどうみてもオッパイを基準にしていた
「ヒラガ様、我が王国のアカデミーは現在、総力を挙げて召喚者の送還魔法の研究をしております
早暁、私達が責任をもって貴殿を元居た世界にお送りいたします、それまで私の屋敷に是非ご滞在を…」
親父は手を振って強引に話を止めた、この仕草も長くみていないと、苛立ちより懐かしい気持ちになる
「いえいえ、折角ここまで来たんだから商売でもしていきますわ、帰る時はそういうのうまい人を雇うよ」
サラリーマンをしている親父、日本拳法の選手として大手商社に入り、その後のスポーツ事業の縮小で
お袋との結婚を控えて営業職に移った、畑違いの仕事に苦労した親父は、お袋の腹の中に居た俺に
生まれてくる俺には立派な営業マンとなった父を見せてやる、と誓いながら頑張ったらしい
と、いうのは本人談で、お袋によると当時バブルで景気のよかった商社で結構気楽にやってたとか
その後、ルイズは授業をサボり、エレノオールとカトレアも執務を中断し、午後のお茶会が催された
学院の先生達も招待しようと思ったが、主にルイズの希望でこの奇妙な召喚は報告しないことにした
賓客を招くために学院内に設けられているラウンジにはキュルケとタバサもちゃっかりついてくる
親父はお茶会でまで読書に耽るタバサに、背広の内ポケットから出したペンテルの赤サインペンを渡した
「思ったこと気づいたことを絶えず書き込みながら読むといい、本は君の本に、本は友達になってくれる」
実はタバサは本を読む時、重い本に反重力の魔法を発生させて腕の疲労なく読書をする術を用いていて
この世界に存在する羽根ペンでは書き込みができなかったが、サインペンは毛細管現象でインクを出す
タバサは宇宙空間でも使用可能なサインペンの書き味を確かめ、彼女には稀な驚きの表情を浮かべた
親父は出張には必ず持ってくロレンスの「知恵の七柱」を開き、真っ赤に書き込まれたページを見せた
タバサは「そう」「それで?」と生返事を繰り返すだけだったが、どこかから葡萄の粕取りブランデーを
くすねてきたキュルケに呼ばれて親父が席を立つと、黙って背広の端を掴み、ずっと離そうとしなかった
酒の入ったエレオノールは親父に、自分がアカデミーで研究を指揮してる送還魔法の自慢をしていた
「原理はもう出来てんの、あとは必要な予算と人員さえ回してもらえば、魔法の完成も時間の問題よ」
親父は「へー」と言いながら、刺身に似たラグドリアン鱒の燻製料理を自前の割箸でつつくのに夢中だった
ソバ屋の「今出たところです」と技術屋の「カネさえあれば出来る」は当てにしない事にしてるようだ
親父はルイズの髪をクシャクシャと撫でていた、ルイズはウチで飼っていた猫のように目を細めている
「ルイちゃん、息子を頼むよ、しかし一つだけ言っておく、私はまだお爺チャンと呼ばれるのはイヤだ」
ルイズは暫くその言葉の意味を理解できなかったようだが、少し遅れてから茹でたように真っ赤になる
「そ、そんな孫とか…そんな…お父さま誤解です!わたしとサイトは主人と使い魔の、その…清い関係で…」
俺もルイズの後ろで「そーだそーだ、まだそんなにやってねぇから安心しろ!」と調子を合わせる
親父は俺とルイズの言葉をさほど聞いていなかった、ただ、俺達が交し合った目配せを確かめると頷き
「いいから!この世界では、今のおまえらには、まだ早すぎるよ、お前らの為だ、わかったな?」
医学が魔法頼りのこの世界での出産は命がけで、世継ぎの関係で若くして出産する貴族は特にそうだった
俺が以前憂いていたように親父もまた、この世界では未知の病原菌の蔓延を恐れているのかもしれない
エイズを媒介したミドリザルの様に世界規模で悪役扱いされては親として尻の座りが悪くなるんだろう
茹でて蒸らしたように赤くなったルイズは親父の背広をつつき、俺と親父を交互に見ながら小声で言った
「…お…お父さまの意に沿うよう努力します…でも…がんばってもダメだった時は仕方ないかもぉ……」
親父は渋い顔で笑った、この顔を「ボガートに似ている」と言ったお袋はきっとどうかしてたんだろう
「ん、あ〜、そうだな、気ぃつけてても出来ちゃったらしょーがねえなァ、お前が産まれた時だって…」
全員の視線が俺達に向く、親父はそれに応えるように俺の話、俺の幼少期の話を嬉々としておっ始めた
俺の生き恥タイムが始まったらしい
親父は日が暮れ始めるまでのお茶と茶菓子と異世界の銘酒を楽しみ、一泊もせぬまま南へと旅立った
昼間っから一緒に酒を酌み交わし、すっかり親父に懐いたエレオノールは屋敷への宿泊を何度も勧めたが
親父はネクタイを締め直すと「日本のビジネスマンに昼夜はありません」とだけ言って申し出を固辞した
「……いつか……その「ファミレス」とかいう異世界の美食処に連れてって…二人でゆっくり話しましょう
アカデミーの主任研究員として、一人のトリスティン人として、話したいことはたくさんあったけど
今は二つだけで充分よ……とても素敵な世界から来たあなたと話したいの……人間のことと、未来のことを」
親父はエレオノールの眼鏡を指でヒョイっと取ると、化繊のネクタイでレンズを拭き、再びかけてあげた
トレシーの材料にもなった合成シルクで綺麗に汚れの落ちた眼鏡越しに親父を見つめたエレオノールは
「……明るい…わね…人間は未来を綺麗なものに出来るってワケ?…私は人間と未来を信じるわ、サイゾー」
「お国の未来を考えるなら、まず自分の眼鏡を綺麗に、あんたの幸せを大事にしな…またな、エルちゃん」
エレオノールはせっかく綺麗になった眼鏡を瞳から落ちる滴りで濡らしながら、親父と掌を打ち合わせた
俺は文系で営業畑の親父が技術職の人間と仲良くするのを初めて見た、あれほど理系を嫌ってたのに
カトレアは馬車を提供しようとしたが、親父が自分のくたびれた靴を誇らしげに叩くと微笑んで頷き
「またのお越しを心よりお待ちしています、その頃には私達と貴方の世界に橋が結ばれているでしょう」
いい年して赤面した親父はポケットを探り、緑マルボロの箱を出して一本くわえた、あーあ、と思った
「そうだなァ、…ここは酒はうまいしネーちゃんも綺麗だし、次はカミさん連れて遊びに来るかな?」
涙を浮かべて親父との別れを惜しんでいたルイズがそれを聞いて「ゲっ!」と声を上げて飛び上がった
「……いえ……その……お義母さまとはまだ…その…もうちょっと後で……デキちゃった後でも……」
背中のデルフリンガーが「まぁ孫が手元に居りゃ最強の手札だわな」と呟くと、姉二人が揃って頷いた
冷や汗を垂らし両手をバタバタ振りながら後ずさるルイズの両肩を後ろからガシっと掴んだキュルケは
「お任せくださいサイゾーさん、ルイズにはその時までに炊事洗濯、バッチリ叩き込んでおきますわ」
タバサは親父から貰ったサインペンを魔法の杖のよう胸に抱きながら親父を見つめ、横目で俺達を見ると
「オチャにオハナ、異世界の男はめんどくさい、ルイズに出来るかな?できなきゃ私が盗っちゃうかも」
ルイズは涙目で「ううううう〜〜〜〜」と唸った、俺が知らん顔をしてると足を思いっ切り踏んづけ
「……サイト……いざって時はわたしの味方してくれなきゃ…『ミノさん』にデンワしちゃうからね!」
俺は歩き去る背中を眺めながら、親父が放り投げて行った煙草の箱と火のついてない煙草を拾い上げた
これも焼き捨てなくてはならないだろう、まぁ俺だってそろそろ親父の健康を気遣ってもいい頃だし
夜
俺は四つん這いになったルイズに背後からのしかかり、ルイズの女の部分を浅く刺し、苛めていた
「……あぁ……この犬!もっと…深く…主人に奉仕しなさい・・・・・わたしの中に……いっぱい出しなさい!」
ルイズは俺に乞いながら尻を突き出した、俺を犬扱いする言葉を吐いた後で餌を欲しがる様にこちらを見る
おねだりされた俺はルイズの中に深く挿れ、腰を打ちつけた、ルイズは鳴き吠える、どっちが犬なんだか
「……ひぁ!……きゃっ……きゃん!…きゃん!…きゃいん!……あぁぁぁぉぁぁぁあんん!!」
桃色の犬は高い遠吠えを発して崩れ落ちた、口を開けハッハッと息を切らして舌を出し、涎を垂れている
俺の親父が召喚され、そして旅立った夜、ルイズはお茶の中にたっぷり落としたリンゴ酒の酔いもあって
寝床の上ではしゃいでいた、親父から聞いた異世界の話、俺からしてみれば聞き飽きた親父のヨタ話を
機嫌よく俺に話して聞かせていた、俺が就寝を促すと彼女は大人しく掛け布を被り、ランプを消し
その直後、暗闇の中で猟犬のように飛びかかってきた、ルイズは獲物の俺を離すまいとするかのように
両手足でしがみつき、歯まで使って俺を拘束した、俺を繋ぎとめようとする小さな体は震えていた
俺は何か囁こうとしたが、彼女は「う〜」とか「がるる…」と唸り、開こうとする俺の口に噛みついた
その後、俺がルイズをうつ伏せにさせて強引に腰を持ち上げ、後ろから貫くまで彼女の震えは止まらず
その手は絶えず俺の体のどこかを掴んでいた、俺とこの世界を繋ぐ手はとても小さくて、強かった
蹲っていたルイズが粗相の後の犬のような目で俺を見た、前足で俺の体を登り、首筋に鼻を沿わせる
俺の可愛い犬は鼻で俺の匂いを、舌で俺の味を確かめながら「く〜ん、くぅ〜ん」と甘えた声を出す
俺に耳の後ろや首筋を掻いて貰ってしっぽを振っていたルイズは、腿につっと滴った俺の跡にそっと触れ
人間の言葉を思い出すかのように喉をん、んっと鳴らすと、俺の機嫌を伺うような上目遣いで口を開いた
「……サイト……もし……もしも……わたし達の間に……赤ちゃん……出来ちゃったら……
……この子はどうなるの?……平民出のシュバリエで使い魔のサイトと貴族でメイジのわたしの子なら……」
視線を落として自分の腹を、居もしない腹の子を見つめながら話すルイズの顎を掴み、こちらを向かせた
「将来俺たちの間に産まれる子供は、貴族でも平民でもない『人間』だ!、俺はいつか生まれる子供に
約束しなきゃいけない、生まれてくる大切な場所が、誰もが等しく幸せになれる世界だってことを」
この世界に来て時が経ち、色々な人と知り合い、触れ合った俺が抱き始めた、未来へのささやかな夢
ハルケギニアの人間がこの星を統べるに相応しい偉大な種であるなら、必ず叶えられなくてはならない夢
「……サイト……わたしも約束する!その世界でわたし、サイトの子供をいっぱい、いっぱい産むって」
再び俺にのしかかってきたルイズの尻を触る、板のような胸とちがってこっちは結構ボリュームがある
案ずるより産むが易し、もしかしたらルイズは犬並に安産なのかもしれない、乳の出は少々不安だが
「……俺はいつかここを去る人間だよ…でも…嫁さんと子供を連れて、行ったり来たりも悪くないか、な…」
半分の月、そのひとつが雲に隠れ、夜空に一つだけの月が輝く、俺が居た大切な世界、今は遠くてもいい
日本を想ってイジイジしてた俺、もし親父が故郷を懐かしんだなら、自力で世界を作ってしまうだろう
「…………サイト…………あかちゃん……つくろ……」
親父の言葉などとうに忘れたルイズ、瞳は親父の言葉通りに澄んでいる、俺は少し欠けた月を指さした
「今日は、出来ない日、だろ?」
「…それでも作るの!…げ、元気な赤ちゃん産むためには……いっぱい練習してから作らなきゃ!」
俺はクリーム色の月を一瞥すると、ルイズの瞳を逸らすことなく見つめ、月の光の下でルイズと重なった
いずれ時が経てば雲は流れ、夜空には二つの月が現れるだろう、俺はルイズの裸体、髪、胸、腹を撫でた
一人の人間が胸に抱く大切なものは一つだけ、それは二つあるともっといいものになるのかもしれない
地球から遠く離れたこの世界、俺とルイズの生きる愛おしい世界の夜が静かに、そして熱く更けていく
寄り添って夜空を照らす二つの月の間から、一筋の流れ星が尾を曳き、夜空のどの星よりも強く輝いた
それはきっと、睦みあう二つの月から産まれた 贈りもの
(完)
以上
投下終了
失礼しました、(10)と(11)の間の話を投下漏れ
(10.5)話を投下します
それから少しして、ここからはるか南東の強豪国家アナトリア王国から面白いニュースが飛び込んできた
永らく王制と貴族制度を敷いていたその国で、何処からか流れてきた傭兵によるクーデターが起きたという
銀色の手を持つ傭兵は全権を掌握すると「総理大臣」という誰も聞いたことのない国家主席を自称し
貴族、平民、賎民の身分撤廃を宣言した、俺が結局捨てられず親父に託したトカレフで何したんだか
その傭兵は、以前より絶対王制に懐疑的で非統治の君主である事を望んでいた国王と結託したらしい
その国に深く侵食していた貴族制度を消滅させるのに、その傭兵はとてもシンプルな方法を用いた
国中の貴族を一人残らず、昨日まで王宮と呼ばれていた議事堂の前庭に集めた後、その総理大臣自身が
貴族一人一人に、その国で新しく定められた国家唯一の身分である「国民」になるかを面と向かって問い
あくまでも貴族であり続ける事を選んだ者は例外無く、銀色の手と称されたトカレフで頭を吹っ飛ばした
貴族の名誉を曲げて貰うには、それを貫いた者の脳漿を浴びさせるのが一番手っ取り早かったらしい
これはずっと後で親父に聞いた話だが、「思ったより少なかった、替え弾倉さえいらなかった」との事
共和制国家の誕生を恐れる隣国ロマリアの法王庁はアナトリア国に神の罰が下るであろうと宣言したが
総理大臣自身が「空の鉄斧」と呼ばれた竜を駆り「話し合い」に赴いた後ロマリアは即座に支持を表明した
報道写真の替わりに流通した新聞挿絵を見る限り、親父は対戦車ヘリでロマリア中枢部を空爆したらしい
どこぞのメイジと組んで物騒な代物を召喚したらしき手口は、発展途上国における商社の遣り口に似てる
親父が人類で唯一「おもしれー奴」と認めるT・Eロレンスのアラブにおける活動に似ていなくもない
家名だけでなく魔法が使えるか否かで貴族という階層の生まれたこの世界、貴族制度が消滅した後の国で
メイジ達は職人や技術者と呼ばれるような農家や商人と対等の地位となり、国家運営の中に組み込まれた
その国は国民の中から選出された代表者の議事と元商社マンの総理大臣によって運営されるようになり
学者肌の旧王は学力優秀であれば育ちを問わず国費で教育を受けられる公職者養成学院の学長となった
異端審問に関与した聖職者や平民を無礼討ちした貴族は遡及法で「殺人犯」として終身懲役に処された
日本の商社から遠い異世界にやってきた俺の親父は、とんでもない武器をこの世界に撃ちこんだらしい
民衆や家族の為でなく、いつか地球とこの世界が繋がった時、自社に有利な権益を得る事だけを目的に
ゼロ戦よりイージス艦より核よりも強い、俺の居た世界の最強の武器、民主主義をセールスしてしまった
そんな些細な事よりも、親父が遂に禁煙に成功した事のほうが俺にとってインパクトのある出来事だった
以上
今度こそ投下終了
ではまた
投下乙です。
最強の病魔「共産主義」を持ち込まれないだけよかったなハルケギニアw
ここはトリステインの王宮、つまり王族の住まう場である。
通常、ここへの来客は他国からの使者、一部の有力貴族などごく限られている。
そんな高貴な場所に不相応な者が一人、この国の王女と謁見している。
地球から召喚された使い魔、平賀才人であった。
「それで、大事な用っていったい何ですか?」
そう訊ねると、そばに控えていたアニエスが説明をしてくれた。
「実は先日、革命推進派の貴族どもを拿捕したのだが、その時に差し押さえた城内の金庫から妙なものが見つかったので、その
鑑定をお前に依頼するためにここに呼んだわけだ。」
「でも俺、鑑定なんてしたことないですよ。鑑定なら他の人に頼んだ方がいいんじゃないんですか?」
すると、少し申し訳なさそうにアンリエッタが説明をする。
「実はその妙な品というのは異世界から召喚されたものらしいのです。それで、それがどんなものなのかサイト殿に鑑定していただきたいのですが、」
「え、本当ですか?」
好奇心旺盛なサイトは早速興味津々といった様子でいる。だが、なによりも故郷から遠く離れた異界で自分の思いでのなかの品をまた見ることができるかもしれない
という期待がサイトを気もそぞろにしているのだろう。
「そうあわてるな。こちらとしても早く用を済ましてもらいたいのでその品をここに持ってきてある。」
そう言われて部屋の中を見渡すと部屋の隅に1メートル程の茶色い箱が10個積んであった。
「それではサイト殿、よろしくおねがいします。」
それは、鑑定するまでもなく、地球から召喚されたものだった。
「これは、ダンボールですね。」
すると、その聞きなれない響きにアンリエッタが反応した。
「なんですか、その だんぼうる というものは。」
「あ、ダンボールっていうのはこの箱のことです。紙でできてて結構丈夫なんですよ。」
そう答えながら封をしてあるガムテープを音をたててはがす。
『ふう、いよいよ御対面だな。まあ、使えるもんでも入っててくれると助かるんだけどな。』
そして、意を決してダンボールのふたを開ける
・・・・・・・。
おいっ!
気になるじゃないか!
すいません 最初に言い忘れました。サイトはタバサかルイズあたりから
文字の読み書きを教えてもらって一応ハルケギニア語が書けるっていう設定で
読んでください。
>641
現在投下中 すいません、書くのが遅いんで・・・
>>640 話の中身より荒っぽい寸止めでワロタ www
>>642 一応、書き溜めてからのほうが自分にも読み手にも優しいと思います。
書き終わってないのを投下しちゃうと、気が焦ってしまうような・・・
しかし、真昼間から元気なのは良いことだと思うw
まず、君は全角でsageと打ち込んだ罰として七万の軍に突っ込め
ははは、心配はいらない、1日に三回も突っ込んで帰ってきたやつがいるから
あまりに予想外な展開に数秒の間固まってしまった。
ダンボールの中身はそれくらい俺の予想を超えたものだった。
「おい、どうしたんだサイト?」
ガムテープをはがしていたときからずっと食い入るように注視していたアニエスが口を開いた。
「あ、いや、中身が結構以外なものだったのでびっくりして..。」
「いったいその中には何が入っているのですか?」
姫様も、中身がかなり気になるらしい。
あんまり焦らすとかわいそうなので、そろそろ答えを言う。
「中身は・・教科書です。」
そう、ダンボールの中には中学3年生用の教科書が全教科分入っていたのである。
「お前のいた世界での教科書か。いったいどんなことが書いてあるんだ?」
「たとえば、この理科の教科書だったら電気や化石、それに生物の体のつくりについて書いてあったりします。」
最初は落胆したが少し懐かしい匂いのする教科書を、二人に説明してから残りのダンボールに手をつけた。
「・・・・・」
残りのダンボールのうち7個は小学校、中学校、高校の教科書が詰めてあった。
残りの2個には理科で使う実験器具や教材が入っていた。
『そういえば昔、どっかの学校から教科書と教材だけ盗まれたってニュースでやってたような...。』
一通りの鑑定を終え、一休みしながらしばしの間会話を楽しむ。
「サイト殿のいたチキュウでは魔法以外のカガクが発展しているのですよね?」
「ええ、そうですよ。」
「では、先ほどの教科書に書いてあることを学べば、そのカガクを扱えるようになりますか?」
微妙な質問だ。高校までの授業を受ければ一応はそのしくみについて理解することはできる。
だが、それ以上レベルの高いことをするには大学へ行く必要がある。
つまり、この教科書だけでは限界がある。
「まあ、そのしくみを理解したり、あと簡単なことだったらできなくもないですけど、・・でもそんなこと訊いてどうするんですか?」
すると、アンリエッタは遠慮がちに自分の考えていることを伝える。
「その、サイト殿さえよろしければ、トリステイン魔法学院でチキュウの学問を教えてほしいのですが....。」
とんでもない珍回答にうろたえてしまう。
「は!? え、そ そんな急にいわれても...。」
するとそんなあわてる様子を否定を表していると勘違いしたアニエスも説得にはいる。
「トリステインに魔法以外の技術も発達させることは陛下の以前からの願いなんだ。」
「私からもお願いします。サイト殿!」
女性2人、それもうち片方は一国の王女に頭を下げられてしまってはさすがに断ることはできなかった。
「ふ、二人とも頭をあげてくださよ、わかりました。この平賀才人、魔法学院の講師を務めさせていただきます!」
すると二人とも、先ほどまでの様子と打って変わって、
「それでは、こちらの教科書は今日じゅうに魔法学院まで送っておきますから、早速明日からおねがいしますわ。」
「え、ちょ、明日からって」
「それじゃあサイト、明日からしっかりがんばれよ!」
「いや、だから、明日からって急すぎない?」
「「ぜんぜん」」
そんなこんなで狐につままれたようなサイトだった。
その帰り、
「女って恐ろしいな...」
続きはあとで。
リアルタイムで読めるって幸せだw
GJです。
とりあえず
sageを半角にしようぜ
書いてる内容はいいんだが…
sageは半角にしてほしいな
ダンボール…
スネェェェェェェェェェェェク
これで本当スネークがでてきたら、それはそれでおもしろい
うん、GJだ。
出来れば18歳以上になってから来てほしかった。
面白ければそんなの関係ねぇ
ところで保健体育の教科書は当然あるよな?
〜シルフィードでも分かる保管庫更新講座〜
○新規に保管する場合
1.ゼロの保管庫を開く。
2.上のメニューバーの『新規』をクリック。
3.ページ新規作成メニューが出るので、欄の中にSSの通し番号を入力し、『編集』をクリック。
(通し番号は、スレ番―レス番という形式。
たとえば1スレ目の141番から投下されたSSの場合は1-141と入力すればよい)
4.新規ページ編集画面が出るので、フォームに本スレからSSの本文をコピペする。
5.コピペ後、フォーム下の『ページの更新』をクリック。
ちゃんと出来ているか不安なら、まず『プレビュー』クリックし、実際にどのように表示されるか確認すること。
6.対象SSの作者のページを開く。
(たとえば261氏のSSを保管したい場合は261氏のページを開く)
7.ページ上のメニューバーの『編集』をクリック。
8.対象作者ページの編集フォームが開くので、SSのリストの中に、新規に追加するSSの通し番号とタイトルを入力。
出来れば通し番号順に並べた方が見やすいと思われる。
また、この際、通し番号を[[]]で囲むと、確実にリンクされるはず。
(上の例で言えば、[[1-141]]ゼロの使い魔(タイトル) という風に入力する)
9.入力後、フォーム下の『ページの更新』をクリック。
10.更新終了。余裕があればキャラ別orジャンル別も同じように更新すべし。
○既出のSSの修正or続きを追加する場合
1.ゼロの保管庫を開く。
2.対象SSのページを開く。
3.上のメニューバーの『編集』をクリック。
4.編集フォームとその中に記入されたSSの本文が現れるので、必要な部分を追加or修正する。
5.フォーム下の『ページの更新』をクリック。
6.更新終了。
シルフィードでも分かる、とか書いといて、あんまり分かりやすくないけど。暇な人修正ヨロ。
このように保管庫の更新は、文字通り誰でも出来るってぐらい簡単なので、
住人はSSが投下されたら先を争って保管するぐらいの勢いを持ってほしい。
作者の人も、自分で保管すれば間違いとかなくなるかもよ?
こうやって261氏の負担を減らして、もっとたくさん真っ黒いSSを書いてもらうんだよ!
あー…なるほど、こういうのテンプレに入れとけば、
「編集方法が分かりません><」
って言い訳ができなくなるのか。
>>656 乙。かなりわかりやすいと思うよ。
個人的にはキャラ別とかジャンル別もできるだけ編集してほしいけどね。
最近あまりキャラ別とか更新ないし。
661 :
522:2007/10/29(月) 23:49:30 ID:WAEDGKTm
ゼロの保管庫wiki直接投稿に1作書きました。
題:ソルティ・カクテル
・エロは少なめ
・中盤までは暗めの展開
・主役はモンモン
・他にサイト、ルイズ、デルフ
よろしくです。
>>657 説明Gjなんだぜ。
既存のSSのうち,「作者」ページには入ってるけど「キャラ」や「ジャンル」
のほうで編集が追いつかず、入ってないやつが結構あるよ。
作者の人が自分で入れちゃえば手間はぶけるよね。
>>570 コンセプトは悪くないが、文が携帯小説レベルだ。
保管庫へ行き、レベルUPを至急お願いしたい。
>>663 携帯小説を読んでからその台詞を言ってるんだとしたら
批評の仕方が小学生の感想文以下だぞ?
携帯小説は餓鬼の日記帳レベルだからなぁ・・・
>>663 お前は携帯小説の酷さを甘く見すぎ。
リアル鬼ごっこでググれ
とりあえず、落ち着こうぜ。
批評の批評をしなくても……。携帯小説だって悪いのだけじゃないでしょ。
>>663 そういった批評は保管庫にある“叩きスレ”とかに書きこんでくれると職人さん達が喜ぶかもよ?
はぁ
普通にしゃべります なんかやたら言われてるね…
どうせ信じないけど1回だけ言っときます…
俺そのクロスチャンネルてゲーム知りません
ちなみにDグレも読んでません
ひぐらしのなく頃に(字あってる?)は結構、意識してた
著作権に関わるようなら優秀賞も書籍かもなくしてくださいとは伝えてる!!
純粋に読んでくれた人はありがとうございます…
…ホントにありがとう
ホントは気になってるだろうけど応援してるや気にしないでがんばってと言ってくれました…。
自分のことのように喜んだり怒ったりしてくれる人もいましたあったかい人達が好きです…
恐い人達苦手です…
騒ぎに便乗してるやつは嫌いです…
※このニュースは消すかもしれません
あ、後俺小説一切いじれないよ?編集も削除も非公開も??
賞を貰った携帯小説家?のコメントwww
>>668 相変わらずある意味神レベルだなw
それはそうとGreat Teacher 平賀 GTH には期待してるんだが
教科書だけでは教えるの難しいと思うから
教師用の教科書という設定か参考書も入ってたって言う設定にすれば
いいんではなかろうか…?
>>668で引用された文のように、
下手に、叩かれた今の心境を書かれると余計に叩かれることになるよなぁ〜常考
書いた、という事は事実だし、賞も貰ったのなら
例え「駄作だ」の類のことを言われても我を張ってほしいところだな。
>>670 書いてねぇ、クロチャンのパクり魔だよw 賞も自・主・的に辞退したしなw
あんなコメントする奴が書ける訳無いだろw
>>671 そうなのか。すまん、何も知らんかったorz
670 671 の話題は痛いニュースで取り上げられていたな
674 :
261のひと:2007/10/30(火) 03:29:13 ID:dNJ8GqAX
675 :
1/9:2007/10/30(火) 03:30:21 ID:dNJ8GqAX
「お、落ち着けっ」
男の子の事情でお湯から上がれないサイトは、鍋の縁をベアトリスから逃げるようにぐるぐると逃げていく。
興味は確かに尽きないが、『子供の作り方』と言われて特攻するほどサイトはまだ人生を決めるつもりは無かった。
なにより、ベアトリスの見た目は幼い。
いくつか年下だということを差し引いても……
(こ、ここでヤッチャッタら、犯罪者だぁぁぁぁ)
美少女二人に囲まれていても手を出さない紳士、サイト。
別名 ヘタレ
「に、逃げない……で」
「無理、絶対無理ぃぃぃ」
ベアトリスに迫られて逃げ回るサイトを、しばしテファは不思議そうに眺めていたが、
一人お湯の中から手を伸ばし、ベアトリスの服から何かを取り出した。
「はい、ベアトリス」
「? ……あ」
――杖 メイジが魔法を使うのに必要なもの。
「げ」
サイトはあっさり吊り上げられ、何も無い空中に拘束された。
「ま、まて、お、女の子がナニをしようとしているんだ」
デルフリンガーの無いサイトでは魔法を無効化することもできないし、
空中に居ては自由に動くこともできない、昔ギーシュにされたように抵抗できないまま運ばれていく。
「ちょっ、二人ともどこ見てるっ」
ただし、今回は全裸。
観客は少女二人。
「……やっぱり、ベアトリス嘘吐いてるよね?」
「ほ、本当だから……今から入れるから……テファは見てて」
「入れるなっ、ってか見るなぁぁっぁ」
サイトの叫びは無視された。
676 :
2/9:2007/10/30(火) 03:31:04 ID:dNJ8GqAX
足場を与えて逃げられないように注意しながら、サイトは風呂の中心あたりで固定された。
大の字になって宙に浮くサイトに、ベアトリスが取り付きよじよじとその身体を上る。
一旦風呂の外に浮かべられ、少しだけ冷えた身体に密着するベアトリスの身体が心地よい。
「くっ……」
サイトの身体に馬乗りになっているベアトリスの一番柔らかい所の感触が、
今から起きる事に対する想像を掻き立てる。
普段ではありえないシュチュエーションに、テファとベアトリスの目の前でサイトの分身はビクビクと自己主張を強くする。
「……ほ、本当に、入るの?」
「う、う……ん、入る……筈……」
(俺は性教育の教材じゃねぇぇぇぇぇ)
お腹の上をベアトリスのお尻がもぞもぞ進んでいくし、
太腿の辺りには側まで来ているらしいテファの覚えのある感触が当たっていた。
「う、動いてるよ?」
「……うん」
(解説すんなぁぁぁぁっ)
お湯に浸かったまま見ているらしいテファの息が微かに当たる。
サイトを浮かべるので精一杯らしいベアトリスは、貴族らしい細い手で自分の身体を持ち上げ、
丁度良い――と、本人が思える位置まで腰を進めた。
「や、止めるんなら今のうち……」
サイトの最後の忠告も、あっさりとスルーされる。
「こ、ここ?」
熱い感触がサイトの先端を擦る。
「ベアトリス、入ってないよ?」
「う……も、もう一回」
話でしか知らないベアトリスと、話も知らないティファニア。
そうそう『事』が上手く進む筈も無く、お互いの粘膜をしつこく擦り続ける事になる。
「……ふ? ぁ……」
「ちょっ、まっ……止まれっ……」
サイトの荒い息に怪訝な顔をしながら、無心に動かすベアトリスの腰に少しづつ違和感が積もる。
どちらのものとも知れない液体でお互いの間が埋められ始めたころ、自分の中に芽生え始めた熱に浮かされて、
同じ表情を浮かべるサイトを見つめ、熱に押されるように、高貴な少女は初めて他人に『奉仕』始めた。
「はっ……あっ……と、ま……れって……やばい……」
荒くなり始めたサイトの息に、無性に相手の顔が見たくなったベアトリスは、
自分より一回り広いサイトの胸に倒れこみ、もどかしく腰を押し付けながら、
夢中で舌を絡める。
(きも……ち……いっ……よぉ……)
自分でするのとは別種の快感に、理性がゆっくりと崩壊を始める。
677 :
3/9:2007/10/30(火) 03:31:56 ID:dNJ8GqAX
「んー、入らないね」
「……う……ん……はいらな……い……」
「……ぐ……ぁ…………」
いつのまにかうつ伏せになったベアトリスが、サイトと自分の間にはさんだ硬直の上で暴れている。
両手でサイトに掴まりながら、ベアトリスは手当たり次第にサイトの身体を吸い上げる。
胸を、唇を、首筋を、甘い味でもするかのように啄ばんだ。
「「あっ」」
わずかに解れたベアトリスに、サイトがわずかにもぐりこんだ瞬間、二人の動きが止まった。
(このまま……)
くらくらと考えのまとまらない頭のまま、ベアトリスが自分の中に迎え入れようと、
サイトの身体に密着したまま、ずりずりと身体をずらす。
「あー、本当に入っていくね」
「っ」
テファの言葉に、サイトとベアトリスの理性が僅かに戻る。
「や、やっぱり、止めと……け、お、女の子だろ」
理性を振り絞ったサイトが、視線を彷徨わせながらベアトリスを制止する。
その一言を吐くのにサイトがどれだけ葛藤したのか、サイトのことをよく知らないベアトリスにも理解できそうな、
そんな一言だった。
優しい言葉に、ベアトリスが動きを止める。
「あ……の……」
彼女がサイトに何を言おうとしたのか、その言葉が綴られる前に。
「入るのって、やっぱり嘘なの?」
逃げ道は閉ざされる。
「見てて……ね、テファ」
「ん、ベアトリス、最後まで見せてね」
――ベアトリスは今から無理やり犯す、その相手を見下ろす。
――サイトは、泣き出しそうな瞳から目が離せなくなる。
鋭い痛みを感じながら、ベアトリスは一思いに自分を引き裂いた。
678 :
4/9:2007/10/30(火) 03:32:39 ID:dNJ8GqAX
「わぁ……本当に入るんだ、凄いね」
「うん……あの……ね、これ……で、男の子が気持ちよくなったら……」
痛みを感じながら、必死にテファに説明を続けようとするが、
快感に酔いながらも何とか維持していたサイトを浮かべていた魔法が、
千々に乱れた心を写し砕け散る。
風呂の内壁に叩き付けられ、その衝撃でベアトリスが自力で押し込んだ所よりもさらに奥へと、
限界まで大きくなったサイトを、初めてでは入るはずも無い奥の奥まで叩き込まれる。
「き……ぁ……ぁ……」
激痛に、悲鳴すら出なかった。
肺が酸素を求めて喘いだ、僅かづつ感じていた甘やかな快感は吹き散らされ、
残ったのは激痛のみ。
その痛みを誤魔化すために、ベアトリスは必死でサイトにしがみつく。
「ひっ、あ……う……い……たぃ……」
「んと、あとはサイトが気持ち良くなれば良いの?」
ベアトリスの豹変に驚きながらも、テファが話を進めた。
しっかりとサイトを固定したまま呼吸を整え、辛うじてテファにできる返事を、
がくがくと頷くベアトリスに、テファは質問をぶつけた。
「でも、サイトぜんぜん気持ちよさそうじゃないよ?」
(え?)
ベアトリスは身体の痛みとは別の痛みを感じながら、サイトの表情を確かめた。
――気持ち良くない訳は無かった。
自分より一回り小さな女の子の『初めて』を捧げられ、相手は夢中で自分に縋り付いてくる。
全身は温かいお湯に包まれ、腕の中にはもっと熱い肉が自分を締め上げる。
いつイってもおかしくない。と、言うよりも初めてのサイトは意志の力だけで踏みとどまっていた。
何時もなら、とっくに限界を超す状況でも。
『赤ちゃんの作り方』
『赤ちゃんの……』
そんな連呼をされた状態で、胎内に放てるほどの度胸は無い。
――全身に力を入れ、歯を食いしばり、眉間には皺。
気をそらすためだろうか、意味の無いことをひたすら呟くサイト。
……未経験の少女二人には、到底気持ちよさそうには見えなかった。
679 :
5/9:2007/10/30(火) 03:33:22 ID:dNJ8GqAX
「ベアトリス、サイトに酷い事をしてるの?」
「ち……がう……のぉ……」
痛みに掠れる思考で、ベアトリスはサイトのことをひたすら考える。
自分の身体がまだ子供なせいで、シュヴァリエが不快なのだろうか?
――目の前に居るテファの身体と自分を比べて、その有りうる可能性に泣きそうになる。
(でも、子供が好きな男の人も沢山居るって……)
痛みに耐えながら、ベアトリスはさらに思考を……
――痛み?
「シュ……ヴァリエ……初めて……で……すか?」
ひとつだけ思い当たったベアトリスが言葉を搾り出した。
サイトの返答は苦しげな表情のままの頷き。
――初めてのわたしがこんなに痛いんだから、きっと始めての男の人も……
そう考えれば、シュヴァリエの苦しげな表情にも納得がいった。
自分と同じ痛みを感じている。だからこんなに苦しそう。
「ベアトリス?」
「……まっ……て、テファ……ちょっとだけ……待って」
彼女はメイジで、杖はその手の中にある。
痛みを感じているものが居るのなら、出来る事は単純だった。
回復魔法
傷を治し、血を補い、肉を塞ぐ。
メイジのみが使う奇跡の技
それをサイトに向ける。
(あ……れ?)
サイトの表情は苦しそうなままで、何の変化も無かった。
(ど……して?)
何か間違えたのだろうか?
考えを纏め直そうとするベアトリスに、もう一度痛みが襲い掛かる。
とりあえず、自分の傷を癒してから、もう一度考えよう。
そう思ったベアトリスが自分に回復をかけた瞬間、二つのことが同時に起こった。
――ひとつは再度の激痛。
時間がたってからの回復ならそんなことは無いのだろうけれど、
未だ血を流しているベアトリスの処女は再生されたが、
『元通りにされた部分』には、異物が入ったままで……
結果、ベアトリスは人生二度目の破瓜の痛みを受けることと成った。
――もうひとつは……
「ぐあぁぁぁっ、だめだぁっ、それっ、気持ちよすぎっ……やめっ……」
ベアトリスと間逆のサイトの感想。
680 :
6/9:2007/10/30(火) 03:33:55 ID:dNJ8GqAX
じっとしているだけでも着実に近づいてくる限界を抑えながら、
サイトは腕の中のベアトリスを見つめた。
「……ち……った、です……か?」
蒼ざめた表情で、気持ちよかったのか聞く少女の顔には悲壮な決意が有った。
お互いにとって不幸なことに、快感に耐えることが精一杯なサイトはソレに気付けなかった。
「良すぎるからっ……駄目だ……」
離れてくれ、そう続けようとするサイトの唇が、ベアトリスのそれで塞がれる。
サイトの口の中でもごもごと呪文が紡がれる。
さっきの激しい締め付けの時と同じ呪文だと気付いたサイトは青くなる。
次は耐えられない。
さっきの魔法には未成熟なベアトリスの身体を貫いたサイトを、人の身体ではありえない強さで締め上げる。そんな効果が有った。
裂き開かれた肉が魔法によって復元される強さ、それがそのまま締め付けに成ったのだ。
(こ、子供……でき……る)
しかも、ルイズ以外の。
(そ、それは……ヤバい……)
子供も自分の非常に危険だ。
何とか耐え切ろうと、もう一度意識を集中するころ、
呪文を唱え終わったベアトリスが、サイトの視線を避けるようにしっかりと抱きついた。
背中で杖が小さく振られるのがわかった。
「がぁあああああっっっ」
サイトの喉が獣の様な咆哮を上げる。
かたかたと小さく震え始めるベアトリスの身体を、サイトは力いっぱい抱きしめた。
さっきは一瞬のみだった締め付けが、途切れることなく襲い掛かる。
「ちょっ……なん……だぁぁぁぁぁああっっ」
限界だった。
もう耐えられない。
サイトは……
「?! なっ……やばっ……」
強すぎる締め付けに、射精する事も封じられ。
逝く事が出来ないサイトは縮む事も無く、ひたすらベアトリスに締め上げられる。
681 :
7/9:2007/10/30(火) 03:34:32 ID:dNJ8GqAX
「……き……もち……い……ですか?」
「ひっ……ああああぁぁぁぁぁっ、良いっっっっ、も、限か……ぃぃぃぃ」
機械的な締め付けならば、サイトがここまで狂うことも無かった。
ただ強く締め付ける訳ではなく、サイトを圧迫しているのはあくまでも少女の身体で、
しかも再生するために、少女の中は蠢き続けている。
数瞬ごとに訪れる、ぷちぷちと何かを貫く感触はその度毎にサイトに不思議な征服感を与えた。
身体が繋がっているだけなのに、心までも犯しているような、
組み敷かれているはずなのに、組み敷いているかのような。
限界をはるかに超えるありえない快感に震えながら、サイトは自分を気持ちよくしてくれるベアトリスに、
痛みを耐えるかのように抱きついた。
それに気付いた、どこか蒼ざめた表情のベアトリスは優しく頭を抱き寄せ、背中を撫でる。
いつまでも減らない神酒を捧げられた神の如き万能感に酔いながら、
サイトはベアトリスを愛しく感じ始め……
「二人でずるぅい」
サイトの心が堕ちる寸前、テファが背後からサイトに抱きついた。
「うあぁぁぁぁっっ」
「テ……ファ……一緒……に……」
ベアトリスはサイトを間に挟んだまま、テファに触れようと手を伸ばした。
これ以上無いと思われていた、密着だったがテファが加わる事で更に別の局面を見せた。
(せ、背中が……おぱ……で、胸が……むねがぁぁぁ)
革命的なボリュームが背後から襲いかかり、
密着という面ではそれより優れるフラットなラインが前から迫る。
「イ、逝くって……い、逝けな……いぃぃぃぃっ」
男なら誰もが望みそうなサンドイッチにされた状態で、サイトは二人の腕の中で弄ばれる。
ベアトリスがテファを抱き寄せたため、テファはサイトにしっかりとしがみ付く形になり、
必然的にサイトの背中やお尻には……
(テ、テファのっ……テファのぉぉぉぉっ)
ベアトリスの内に差し込んだまま、テファの感触でサイトは更に狂い始めた。
682 :
8/9:2007/10/30(火) 03:40:00 ID:dNJ8GqAX
「な、中でっ……中でびくびくしてるっ……と、止めて……とめ……っ……はぅ……」
逝けないまでも、何度目かの限界を超えたサイトが暴れるのを感じたベアトリスが鳴いた。
あれほど強かった痛みが、徐々に治まってきていた。
(あ……れ……?)
何度も裂かれ、同じ回数癒されることで、ありえない短時間ですっかり馴染み始めていた。
すでにほとんど痛みはなく、それどころか時間を掛けて抉られた肉は、
甘くサイトを包んでいた。
それは回復魔法によりありえない締め付けの終了を意味し、つまり、
「……っあ……逝け……るっ……やっと……うあぁぁぁぁっ」
サイトの悲鳴と同時に、お腹の奥に何かが広がる感触がベアトリスを満たす。
(……キモチイイ……)
焦らしに焦らされたサイトは、ぐったりと脱力しながらも高度を失っていなかった。
「サイト、気持ちよくなったの?」
「ん……見る?」
少し悩んだテファが、こくりと頷くとベアトリスはもう一度杖を振るい、
サイトと繋がったまま風呂の縁に腰掛けた。
「こんなに深く繋がるんだね」
「……うん」
サイトの精をテファに示そうとするが、ベアトリスとサイトの結合は隙間無く、
白い液体が漏れ出て来る事は無かった。
「い、痛そうだったね」
「ん……」
サイトの背後から見ていたテファは、ベアトリスの表情をしっかりと観察していた。
(わたしは、当分……したくないなぁ……)
ベアトリスはとてつもなく痛そうだった。
683 :
9/9:2007/10/30(火) 03:42:27 ID:dNJ8GqAX
「あの……その…………が……出てると思うから……抜く……ね」
浮いたまま風呂の外に出たベアトリスは、テファに精液を見せるためにサイトとの結合を解こうと、立ち上が……ろうとした。
「ひゃっ? うっ……」
「うあぁぁぁぁぁっ」
ベアトリスが腰砕けに成るのと同時に、サイトが飛び起きた。
「や、休ませてくれぇぇぇぇ」
「ち、違っ、抜こうとっ……」
?
ティファニアが首を傾げる向こうで、ベアトリスとサイトは、お互いにはなれようと力を入れ、
同じタイミングで腰砕けになりもう一度奥まで繋がりなおした。
「楽しい?」
「いや……それは楽しいけど……って、違うっ」
「テ、テファ……助けて……あの……」
「「離れようとすると中から引っ張られるのぉっ」」
サイトのを差し込んだまま、何度も再生を掛けた結果ベアトリスのソコは、
すっかりサイトの形を覚えこんだ。
襞の一つまで、サイトに最適な形に並んだソコは最早サイトの為だけに存在した。
が、
「抜こうとすると、吸い上げられるんだぁっ」
離れようとするたびに、尿道に残った精を吸い上げられたサイトは快感で動けなくなるし、
同種の刺激を胎内で感じるベアトリスも、一人ではサイトから離れられなかった。
「お、お願い、テファ……」
そんな二人を不思議そうに見ていたテファが、ふと……言った。
「サイトから何か出るんだよね?」
「「う、うん」」
天使の微笑みと共に、サイトにとって悪魔のような宣告がなされた。
「それで、ベアトリスの中いっぱいにしたら、離れるんじゃないかな?」
「へ?」
硬直したサイトを、ベアトリスが口封じする。
「ベアトリスのお尻引っ張ったら、吸い出されるんだよね?」
「ちょっ、ま……」
「えいえいえいえいえいえいえいえいえいえいえいえいえいえいっ」
「うあぁぁぁぁぁぁ……」
この次の日、ベアトリスはここ最近の不調を吹き飛ばすようなハイテンションだったが……
――サイトは数日行動不能だった。
長いの久しぶりに書き終えたような……
黒い終わり方も考えてたけど、
(身体がサイトから、心がテファから離れられないベアトリスが、
二人の指示の元、各国に侵略初めて、英雄二人に殺されましたな×年後の回想エンドとか)
こっちのがいいかと……ではっ、またそのうちに
いやなんにしても黒いから!誰かこのおっぱいにキチンとした性教育と現状を教えてあげてー!
GJ!
やっべぇ…ベアトリスに惚れそうだ。まだドキドキしてるぜ。
形状記憶に激しくGJを送りたい
ベアトリスかわえぇ
なんつーかもう、やばいw
このシチュたまらんので終わらんで続けてくださいw
サイト専用になってしまったベア様…
サイトが入ってるのがデフォの状態と身体が認識してしまい
サイトと離れてるだけで耐えられなくなるベア様…
ハァハァハァハァ
A piece of good news for the enthusiast, the 8800GT comes with similar mounting holes as the the 7900GT/GTX as illustrated below!!! Enthusiast can recycle their Zalman VF700/900 and other similar coolers with their new 8800GT! woohoo!
俺歓喜wwwwwwwwwwwwwwwww
誤爆
ユリア100式ネタか!
ども。虹山です。
>>663 俺、ケータイ小説なんて読んだこと無いけどね。
ですが、意見ありがとうございます。でもそんなのかんけーねぇ!そんな気持ちでまだまだ書いていきます。
完結するまで、まだ時間かかりそう・・・
696 :
ぜろ☆すた:2007/10/30(火) 20:59:53 ID:Czg+Bz1H
ゲートを抜けた先にあったのは、とっても大きな水溜り。
飛び込む先にはきれいなすんだ水。そして、バッシャン、というド素人のような飛び込み音。
「冷た!」
とりあえず息をしようと口を水面まで持ってきた。
周りを見回すとどこかで見たことがあるような景色だった。
小鳥の鳴き声。木に囲まれた池?湖?近くには白い小さな船。
ルイズが「秘密の場所」と言っていた、ラ・ヴァリエール家の中庭の池だった。
「懐かしいな……此処は。俺が……最初にルイズに自分の思いを告げた所だしな……」
何百年も前のことだから思い出すのに少し時間がかかったが、思い返すとやっぱりはずかしくなってきた。
陸に上がると、デルフや自分の荷物が無い事に気づいた。
「おーい!デルフー!どこだー!」
「ここだよー!相棒ー!」
しかし声がするほうを見てもどこにもデルフはいなかった。
とりあえず声がするほうにいくと、あの白い小船にたどり着いた。
697 :
ぜろ☆すた:2007/10/30(火) 21:01:50 ID:Czg+Bz1H
中を覗くと布が被っていて膨らんでいる。
そういえば、カトレアさんにいわれてルイズを探した時、ここにいてこんな感じに布を被っていたよな。
俺はとりあえずそっと布を取っ払った。
そこにはデルフと自分の荷物が置いてあった。
「はぁー、よかった。荷物ぬれてなくて」
「何だよ、相棒はオイラの心配はしてくれないのかよ……」
「デジカメぬれたら大変だもんな。一様防水加工してあるけど、
データ吹っ飛んでたら俺の旅の苦労が全て水の泡だし」
「無視かよ……デルフ泣いちゃうぞ……」
ヤバイ。なんかデルフの声が少し震えている。
マジで泣かれるとコイツうるさいんだよなー。
「…ごめん」
「わかればいいーのさ」
「だけど、何でゲートを潜り抜けたらこんな所にいるんだ?」
「さー?」
まぁいいや。小船を見てわかったがあのときからあんまり小船が変わってない事から、
俺が旅立ってからあまり年月は経ってないことが推測できた。……固定化の魔法がかけられていたらわかんないけど。
服が乾いてから、俺はヴァリエール家の屋敷を目指した。
何百年も前のことだからかこの景色はほんと懐かしい。
ただひとつだけ、どう見ても変わっているものがあった。
698 :
ぜろ☆すた:2007/10/30(火) 21:02:32 ID:Czg+Bz1H
「……なんなんだ、この像?」
「どう見ても、相棒の像だね」
「じゃあ何でこんなところにおいてあるんだ?」
「知らんよ。そんなことは」
俺の姿をした、約高さ20メイルのでっかい像がそこにドン、と置いてある。
像は青銅で作られていて、俺が両手を腰にあて胸を張っている。よくできているが、どうにも周りの景色にあっていない。
作った奴のセンスは良いのか悪いのか、どうにも分からなかった。
像の台座を見るとプレートがはってある。
『 世界を救った大英雄 サイト・シュヴァリエ・ド・ヒラガ 』
世界を救ったと言われると、なんかよく分からない気持ちが心を満たしていった。だけど何か心に引っかかるものがあった。
「俺、こっちの世界は救えたかもしれないけど、あっちのほうは救えなかったんだけどな……」
「あれは相棒のせいじゃねーさ」
「……ありがとうな」
優しい声をかけてくれるデルフに礼を言った。
「しっかし、こんなにでっかい像を誰が作ったんだろうねー?」
デルフが疑問の声を上げている。俺は像を後ろから見てみようと反対側に回った。
そこには反対側にもプレートがはってあった。
『 作 ギーシュ・ド・グラモン マリコルヌ・ド・グランドプレ 』
……やっぱり。俺そういえば、マリコルヌに別れの言葉言ってなかったな。
あいつの事だから絶望して首吊り自殺してるんじゃないかと思ってた。……これを見る限り大丈夫そうだ。
ルイズに会いたかった。屋敷の方へ体を向け全速力で走り出した。
後編にいくどころかまだ中編終わってません・・・
それでは。
さあ書け!それ書け!やれ書け!
いやGJですよ?でも短くないかい?
虹山ですがこれからは自分で保管庫は編集しときます。
>>700 すいません。短いのは今日時間が無かったためで、これからいろいろやらなきゃいけないことがあるので・・・
じゃあ今日はこれでノシ
虹山ですが何で名乗るのでしょうか
首吊りしそうなマリコに何故か萌えたw
虹山さんは普通に名前欄に「虹山」って書いてもいいと思うぜ。
地球で数百年経ったならハルケギニアでも数百年経ってるはずだが……その辺は次回か。
>>704 いや、某ハラハラワールドと地球みたいな関係なら別におかしくないんじゃないか?
もっともアレは地球での20年が向こうだと2年とかそんな感じだったかと思ったが。
過去ログを見ていたら、1年前にもきゅいきゅい♪ブームがw
>>705 その理屈だと青年のはずの佐々木武雄さんはどう考えてもご存命ってことになるぞ
突然ハルケギニア付近に局地的ブラックホールが発生して時間が歪みますた
実はシエ祖父は日炉戦争からのたたき上げだったんだよ!
ちょwwwゼロ戦www
どんだけオーバーテクノロジーなんだよ日本。
原作での才人とシエスタの祖父さん辺りの描写見る限り、
地球とハルケギニアの時間の流れはほぼ一緒と考えて間違いないはずだが……
何故か「地球の方が速いor遅い」と主張する人が未だにいるのが不思議だな。
やっぱその方が妄想するのに都合いいからなんだろうか。
むしろSSスレで
そんな重箱の隅に置いてあるだけの設定を
わざわざつつくのが不思議だw
時間が相対的に等速とは限らないが…
平均すると「ほぼ等しい」んでないかとは思うな〜
零式艦上戦闘機/破壊の杖(M72?)/サイトの時点で相対時間はほぼ一致する
実はシエ祖父は元寇のときの防人だったんだよ!
>>711 まあ、いいんでない?
歴史的に考えると、祖父は恐らく当時20代だろうから時間的にはほぼ同じと考えてよいんじゃない?
ハルケギニアでは今100歳だから普通は死んでるだろうし。
てか、最近の戦闘機を吝嗇さんが出さなくて良かった。
核とかでたらハルケギニア滅亡しちまう・・・
>>711 ハルケギニアの1年は382日(か384日のどっちかだったと思う)と12巻にでてたよ
なので地球のほうが時間の流れは早い
>>711 高速で運動する物体上では時間が遅れる。
ゼロ戦で飛びっぱなしのシエスタの祖父さんは、その相対論的効果が出てるはずだが。
>>718 たかが零戦のスピードじゃその効果は出ねえよwww
光の速度に無茶苦茶近いぐらいの速度出さないと
デルフはあらゆるものは小さな粒から出来てるっていってたけど
波動性とかはどうなんだろう?
流れが激しくスレ違いな方向に進んでる気がするけど、
多分気にしたら負けなんだろうな
>>716 その理屈は1日の長さが明らかにならなきゃ実証できない。
自転周期がどうとか公転周期がどうとかは明確じゃないから解らんが、シエ祖父が60年前にハルケギニアに来ていることで地球の1年とハルケギニアの1年は同じだろう。
∴
地球
365日×24h=8760h
ハルケギニア
8760h÷384日=22.8…
ハルケギニアの1日=22.8h
そろそろ終わりにしようぜ、な?
>721
小さな粒=原子とか分子 では?
みんな本スレでやれ
ナルニア国物語(C.S.ルイス)、はてしない物語(M.エンデ)は換算不能だったな。
「…っ!」
唐突に目が醒める。
自分の寝ているのは天蓋つきの立派なベッド。ウエストウッドでその身を預けていた硬いベッドとは違う。
朝日が柔らかく差し込むその部屋は、簡素だがしっかりした作りの上等な家具が一式、揃っていた。
そう、ここはトリステイン魔法学院女子寮の、ティファニアに与えられた一室。
真っ赤な顔で、ティファニアは朝日の中、上半身を起こす。
唐突に目が醒めたのは夢のせい。
その夢の内容は。
時には、優しく微笑みかけてくるあの人。
時には、自分の手を取り、ダンスに誘ってくれるあの人。
時には、強く抱き締め、愛を囁くあの人。
決まって、夢の最後は。
熱く愛を語るあのひとは、自分を欲しいと言って、そして自分はそれを受け入れて…。
そしてそこで目が醒める。
「…はぁ…」
ため息をついて、ベッドから降りる。
夢の余韻からか、顔はまだ赤く火照っていた。
ティファニアは母の形見の夜着を脱ぐと、トリステイン魔法学院の制服に身を包む。
そして昨夜の内に桶に溜めておいた水で顔を洗い、髪を漉く。
「ふう」
顔を洗ったら少しは気が紛れた。
準備万端整ったティファニアは、扉を開けて食堂へ向かう。朝食を採る為に。
この学院での生活にあわせ、ティファニアの朝はずいぶん遅くなった。
ウエストウッドでは、随分早く起きて、朝餉の支度をしなければならなかったのだ。
…みんな、どうしてるかな…。
ティファニアは、トリスタニアの孤児院に引き取られたウエストウッドの子供達のことを思い出す。
おねぼうさんのエマ、食いしん坊のジム、そして。
しっかりもののタニア。
みんな元気でやってるかな。
自分は貴族としての身分を与えられ、こんな所で暮らす事になったけど。
みんなは、幸せなのかな。
そんな事を考えると、ティファニアは少し寂しくなる。
「…はぁ」
なんか、ここに来てから、ため息ばっかり増えた気がするなぁ…。
食堂の席に腰を下ろし、そんなことを考えていると。
「おはようございます、ティファニアお姉さまっ」
ため息の原因の一つがやってきた。
ため息の原因は、長いツインテールを揺らしながら元気に挨拶し、ティファニアの隣に腰掛ける。
彼女の名前はベアトリス。ベアトリス・イヴォンヌ・フォン・クルデンホルフ。
ティファニアを『お姉さま』と呼んで慕い、あれこれと世話を焼いてくれる大貴族の娘。
「おはよう、ヴィヴィ」
ヴィヴィとはベアトリスの愛称で、今のところこの学院でこの愛称を彼女に対して使うことを赦されているのは、ティファニア唯一人である。
ちなみにティファニアが『ヴィヴィ』以外の呼び方でベアトリスを呼ぶと、しょうもない議論が始まるので、ティファニアは仕方なく彼女を愛称で呼ぶことにしていた。
ベアトリスはティファニアの隣に並ぶと、早速ため息の原因を尋ねてくる。
「どうされましたお姉さま?朝からため息なんて」
月が2つとか、元より地球とは異なる天体なんだから
・公転周期が異なる
・自転周期が異なる
くらいは当然だと思うがな…
基本的に人のいいティファニアは、つい正直に今まで自分が面倒を見ていた子供達のことを、話してしまう。
ベアトリスはその話を一通り聞き終わると、何故か天を仰いでくぅ、と漏らすと。
「ティファニアお姉さまのキモチはわかりましたっ!」
ぐっ、と拳を胸の前にもってきて、そして手をぱんぱん、と叩く。
「お呼びでしょうか」
それに応えて、クンデンホルフ家直属騎士団、空中装甲騎士団の団長が、恭しく頭を下げてやってきた。
ティファニアの中にイヤな予感が駆け抜ける。
そして案の定。
「すぐお父様に使いを出して!
お姉さまの子供達を全てクンデンホルフで引き取って、最高の待遇を」
「ちょ、ちょっと待ってヴィヴィ!」
ティファニアは慌ててベアトリスの口を抑える。
いくら大貴族でも、それはやりすぎというものだ。
「な、なぜ止めるのです!お姉さまの子供達なら、私の妹達も同然ですわ!」
…いやなんでそーなるかなぁ…。
ティファニアは、ウエストウッドの子供達に、普通に幸せになって欲しいと願っていた。
だから、貴族の庇護の下で育てられるより、孤児院から世に出てくれた方がいいと思っていた。
「ふーん、なら私も引き取ってくんない?」
絡み合う二人の前に、料理を乗せた盆を持って、一人のブルネットのメイドがやってきた。
「はい、朝食おまたせー。あとつかえてんだから、さくさく食べてよね、テファお姉ちゃん」
そのブルネットのメイドを凝視しながら、ティファニアは固まる。
「な、あなた、平民の分際で無礼ですわよ!このお方をどなたと」
「テファお姉ちゃんでしょ?あんたもさっさと食べなさいよ、冷めちゃったらおいしくないわよ」
「な、な、な、あなた何様の」
しかし肩を震わせるベアトリスの怒声は、放たれることなく終わる。
ティファニアが、メイドの名前を、叫んだからだ。
「た、タニアっ!?」
「や。おひさしぶり、テファお姉ちゃん」
タニアの話によると。
一番年上でもう既に働ける年齢であったタニアは、孤児院には行かず、奉公先を探した。
タニアは結構なんでも出来て、なにをしてもよかったのだが。
調度都合よく、トリステイン魔法学院でメイドを募集していたのである。
タニアはトリステイン王家の紹介状もあって、トリステイン魔法学院でメイドとして働くことになったのである。
「そうなんだー」
ティファニアは、食後の紅茶を飲みながら、タニアと談笑をかわす。
「ジムもエマも元気でやってるよー。寮母さんになついちゃってねえ。『テファお姉ちゃんより優しい』ってさ」
「ひどいなあ。私、そんな厳しかった?」
「厳しい厳しい。寝坊したら朝食抜きとか」
「あ、あれはエマがあんまり寝坊ばっかりするからっ」
ウエストウッドの話に花を咲かせながら、二人は笑い合う。
すると、面白くないのは蚊帳の外のベアトリスなわけで。
「ちょ、ちょっとティファニアお姉さま!」
なんとか朝食を片付けたベアトリスは、ティファニアとタニアの間に割って入る。
「あ、ごめんなさいヴィヴィ。紹介が遅れたけど、この子タニア。
ウエストウッドで私が面倒見てた一番上の子」
ティファニアはそう言って笑顔でベアトリスにタニアを紹介する。
「あ、どーも。タニアって言います。よろしくねー」
タニアは言って、ベアトリスに手を差し出す。
ベアトリスは思わず、先ほどと同じように貴族風を吹かせようとしたが。
…マテヨ。
ベアトリスの中で、打算が働き始める。
ここで平民にも寛容な所を見せて、お姉さまに見直してもらわなければ…!
「よ、よろしく。ベアトリス・イヴォンヌ・フォン・クルデンホルフですわ」
言って、差し出されたタニアの手を握る。
それを見たティファニアが、優しく微笑む。
ああ、今ティファニアお姉さまは感心していらっしゃる…!平民にも寛容な私に…!
ベアトリスが悦びに身を震わせていると、タニアは即座にその手を放した。
な、貴族が平民の握手を受けてやったというのに!即座に放すとは一体…!
また思わず貴族風を吹かそうとしたベアトリスだったが。
それは今度は、タニアの言葉で止められた。
「で、テファお姉ちゃん。サイトお兄ちゃんとは上手くいってるワケ?」
「え、上手くいってるって、その、あの、どういう」
ティファニアの頬が一瞬で真っ赤に染まり、言葉がもつれ始める。
タニアはあー、やっぱりぃー、まだなんもしてないんだーとか言いながら、ティファニアを小突く。
そんな二人を見ていたベアトリスは。
「これから上手くいくのですわ!私にあのへっぽこ騎士を墜とす、とっておきの秘策があります、テファお姉さまっ」
負けじと声をあげ、ティファニアの右手をしっかと握る。
ついでにさりげなく、タニアに倣って呼び方を縮めてみたりする。
タニアは自分に向けられるベアトリスの敵意のこもった視線をしっかと受け止め。
…なーるほどー。なついちゃったかー。
納得した。
でも、やっぱりここは。
「へえ。奇遇ねえ。私もこないだ、メイド仲間から『男をメロメロにする方法』教えてもらったんだあ」
言って、空いた左手を握ってみたりする。
「え、あの、その」
視線で戦う二人に挟まれ、ティファニアは真っ赤な顔でしどろもどろのままだ。
そして、二人は同時に、ティファニアに尋ねた。
「私の秘策をお聞きください、テファお姉さまっ!」
「どーせなら『メロメロにする方法』よねえ、お姉ちゃん?」
「あうあうあうあうあうあうあうあうあうあうあうあう」
二人に挟まれ、ティファニアは困り果ててしまった。
さて、今回選んでもらうのは
『ティファニアがどっちの話を聞いたか』です。
・ベアトリス
・タニア
の二択でお願いします。NGワードは他の選択肢で。
先に10票集めた方で書き始めますんで。
では、レディ、ゴゥ!
ベアトリスに一票!!
タニア!
ベアトリスに一票。
せんたいさんのテファにはこれからも彼女がいてくれることを祈っています
タニアに一票!
ベアトリスだよな
タニアに3000点
ベアに一票!!
タニアがいいな
ベアトリスに横取り四十万
ベアトリス
ここはベアトリス
シエスタが偶然聞いていてルイズと組んで作戦を邪魔するに1票
NGワード?なにそれ食えるの?
今回はベアトリス。
きっとせんたいさんは両方書いてくれるさ。
タニアタニア♪
ベアトリスで
>>画像の件
すごく……ニヤニヤしてしまうw
買うの検討しようかな
>>719 どんな速度で運動しても時間遅延効果は出るし、空中を飛ぶということは地表に比べて
重力の影響がその分小さくなるので、さらに効果が出る。
現実に地球で行われた実験では、時速約1000Kmで10時間飛行すると、約5000万分の1秒の
遅れが観測されたらしい。
ハルケギニアの重力がどの程度かは不明だから、そのまま参考にはできないが。
だからさ・・・。せっかくせんたいさんが流れを変えてくれたと言うにまだ続けるか
タニア!タニア!
>>749なぁ・・・お前知能障害者か?それとも単なる段違いの馬鹿か?
そういう話はこのスレで敬遠されてるっていいかげん理解できないか?
お前邪魔だからこのスレに一生こないか死ぬかしてくれ。正直ウザいから死んどけ。
反省する気が万に一つあったとしたら、今後は荒れる様な行動はとるな。こういう事が荒れる原因になるって事は十二分に理解できたろ?
反省したとかそういうレスでの報告はしなくていい(むしろ荒れるからするなよ)から、おとなしくしとけよ。
>>せんたいさん
毎度毎度いいところで止めやがってwwwwwwwwww続きwktkするじゃまいかwww
逆転祈りタニアに一票!
それも言いすぎダヨー
とりあえず、752の手のひらの返しように脱帽
>>752 お前に物理の知識が足りないことは非常によくわかるよ。
>755
いいから、ゴミはスルーしろ。いちいち反応するな。
こんなことでいつまでも荒れ続けるのは馬鹿らしい。
ここは接戦にすべくタニアで!
最終選択権は
>>760君に決めた!
758 :
sage:2007/10/31(水) 05:04:34 ID:cuLsuSwl
タニア!
コルベール!
じゃあタニアで
ベアトリスで
クリトリス。じゃなかったベアトリス!
じゃあグリズリーで
764 :
名無しさん@ピンキー:2007/10/31(水) 10:56:57 ID:uuJqggmw
質問に質問で返します、貴方はどっちが書きたいんですか?
765 :
名無しさん@ピンキー:2007/10/31(水) 11:26:28 ID:z4bixwh1
質問に質問で返すry
ってかもう締め切っているわけだし
タニアと言いたいけど、オチキャラだからなぁ カワイソス
締め切ってる無念ッ! でもタニアで。
ところで今晩あたり、それなりにまとまった量を書き終わりそうなのだが、
だれか次スレたてていただけないだろうか? 容量きびしいし。
人任せで須磨ん。スレ立て能力がないもので。
ヴィヴィに決まってるだろ常考
そこは大穴、空中装甲騎士団の団長で!
オマイラw
せんたいさんの聞き方にも明確でない点があるからなぁ。
「どっちを先に読みたいですか」ってズバリ訊けばいいのにw
正直むやみにレスが進むだけだから投票とかウザい
前にもうやらないって言ったのに撤回してるし
ただレス欲しいだけなんじゃないの?
↑もう少し言葉を選んで言おう。荒れちゃうからね
そういえば昨日wikiでゼロ見たら「ダルタニャン物語」から
名前取ってたのか。これからはSS書くときここから名前取ろうかな?
よほどアレな内容のSS書くやつならそう思うけど
せんたいさんクラスのSS書きなら普通に書き込んでもレスつくだろ
ただのお祭り好きじゃねえの?へんたいさんだし
で、俺アニエスオーダーします
NGワード?なにそれry
投票とか正直どうでもいいから
テファの胸をたぷたぷしたい
人が増えたのか荒れやすくなったな
このスレは2ch暦長い奴こそしばらくROMっててほしいw
>>776 最近関係のない雑談が多くなったのは事実だよな。俺はROMってたけど。
関係のない雑談してレス伸ばすより俺はROMで待ってたほうが良いと思うね
雑談〜とか投票〜とかコテハン〜とかは荒れる前兆
ここから無駄な議論、妙なルールが出来る
そして職人が離れスレが廃れる
いくつのスレを見送った事か・・・
個人的にはAA荒らし以外何でも有りだな
>>772 嫌ならNGしよう、連鎖設定すれば投票してる人のレスも見えなくなる
みんなテファのお胸を枕にする妄想をして、頭に昇った血を下半身に返そうぜ
↓よりいつもの変態紳士の流れ
781 :
名無しさん@ピンキー:2007/10/31(水) 21:37:04 ID:uuJqggmw
基本一番うざいのは
自分でSS書かないくせに、妙につっかかってくるやつだよね
「感謝がたりねーんじゃね?」っと書かない俺が言ってみる
↓よりいつもの変態の流れ
1発目は起き抜けだった。
隣に寝ていたシエスタの胸を、誤って鷲づかみしてしまったのである。
「バカッ!」
強く握られたルイズの拳は、才人の腹にめり込んだ。
2発目は飯時だった。
隣に座っているルイズの話も上の空、ティファニアの胸をぼんやりと眺めてしまったのである。
「バカァッ!!」
硬く握られたルイズの拳は、才人の頬に突き刺さった。
3発目は夕暮れ時だった。
むすっとしているルイズに、「でも俺はルイズのが一番好きだ」と一生懸命囁いたのである。
「……バカっ」
軽く握られたルイズの拳は、才人の胸をぽかっと叩いた。
↓よりいつもの変態ジェントルメンの流れ
>>784 ちょっとおもしろかった!
まあみんな落ち着こうか。
>>784 その日本人〜に見えてしまった俺はシルフィードと戯れてくる
駄目だベアトリスっていうとすぐ電撃文庫思い出しちまう
シルフィなら俺の隣できゅいきゅい
もう480kb来たのか。いつのまに…
>>790GJっす!
「ラ・ヴァリエール家は断絶とします」
気の毒そうにアンリエッタは告げた。ルイズは貴族のマントをはぎ取られ杖を取り上げられる。それで
もルイズは唇を噛んだまま一切抵抗しなかった。
「あなたに罪はないわ。でも、貴族のけじめはわかりますね」
ルイズはうなずいて周りを見回す。オスマン院長は目を合わせずに言った。
「申し訳ないが、学籍は削除させてもらった」
ルイズとアンリエッタが進めた虚無の魔法理論に基づいた急進的な改革に対し、軍勢を起こして反乱し
た両親。伝統的な他国貴族とも通じていたらしい。だが結局はラ・ヴァリエール家といえどトリステイン
全軍の敵ではなかった。
「路銀は大切にしろ」
アニエスはルイズの手に数枚の金貨を握らせる。ルイズは会釈のみして城を後にした。
トリステインの国境に立ち、ツェルプストーの領地を睨み付ける。今回の反乱を焚き付けたのはツェル
プストー家だ。そのくせ、反乱を起こした途端にトリステイン王家に協力して軍勢を差し向けた。
「サイト……」
呟いて涙を落とす。親娘の戦いは駄目だと言ってルイズと公爵二人の魔法の間に入ったサイト。今はト
リステインの地下牢に幽閉されているはずだ。
「なんにも、なんにもなくなっちゃった」
ルイズはくずおれて金貨を地面に投げつけた。もう宿を探す気もない。野宿で凍死してもいい。
と、目の前に何かが降り立った。
「キュルケ……」
友達だと信頼した自分が馬鹿だったんだ。ルイズは力なく見上げた。
「ほんと、見事に失ったのね」
ルイズは鼻で笑って答える。
「全部あんたに奪われたわ。貴族として死ぬ名誉までね」
キュルケはくすりと笑った。
「私、友達からは一番大切にしているものは奪わない主義よ」
「私に何が残ってるの!虚無まで封じられたのよ!」
キュルケは縄で縛った足元の荷物をルイズに転がして馬に乗ると言った。
「これ、奪い返してきたから」
キュルケが去ったあと、ルイズは荷物をほどいた。「ルイ……ズ」
「サイト!?」
おそるおそる頬に手を当てる。次いで胸に顔を埋める。ひどく汗臭いが、間違いなくサイトの匂いだ。
サイトの首筋に付いた血の跡を舐める。サイトは首を縮めたが構わず首も胸も舐め回した。
「私の、私のサイト」
ルイズは囁き、たった一つ残った宝物を抱き締めた。
〃´ -゚-―‐゚―‐- 、0\
l ̄` / \ l
| (0/ `ヽ、
/ y′ ./ j{ :.:.ヽ:.:.:.:ヽ :.:.:.:l
,' :/ .:.| .:八 .:.}.:.jl.::.:.:.|:. .:.:.:.|
. | ,'.:.:.. .:./!.:./--\ :.jV-ハ.:.:.l.:.:.:j:. l
j.:l.:.:.:{.: .:':{ ヽ{ _ ヽ.:./ _ ∨.:.:/∨
/./\:.\::.:.l x==ミ ∨ ィ=、 ,':.;.小
. /:.,':.〃lヽ:.{\{ ′ イ.:.:.:.l::ヘ 埋めアン
/.:.:l :.:.: |.:.:.:.:ヘ ` } .:.:.:|.:.:.ヽ
. /.:.:.:.!.:.:.:.:l.:.:.:.:.:.:\ (ア /.:.:.:/l:.:lヽ:',
{.:.:.:.::|.:.:.:.:.lヽ.:.:.:.:.:.,:> 、 ,.イ:l.:.:.:.:/.:.|:.:! l:.:l
',.:.:.:.l..:.{:.:.:!:.:\.:.:.:.{(!_.≧く|>!| l :./.:./l:/ V
_/,'  ̄  ̄ 9{_
{゚>‐一 ¬ ̄ ̄`ヽ、 j. \
/ / { \ { ヽ
/ ヽ { ヽ、 \ l ヽ〉. i
/ ∧ l__\ 代ー 、ヽ | |
{ { X´l ヽ\} \_ヽ | l
ヽ \∨ ヽ __ | !
\小. ィ= ´ ̄ ` l ,′ シエスタ ぱよっぱよのおっぱい持ち
l } ' ,' /
|:八 ヽ _フ / /
l 个 、 ィ/ /
l / _>r 'チー/ / _
! !/ } │ / , <_ _, イ´/ ヽ
/\/ヽ { __ノ/⌒ヽ./ / /7'´ / l
>>793 今後の展開があるとしたら
二人っきりで各地を冒険
反逆のルイーズ
二人で地球に帰還
首だけかと思って「鬱end?!」とか思っちまった
801 :
793:2007/11/01(木) 04:52:38 ID:2va0n1Ex
埋みゅ
中日おめでた
「……最悪」
毎年恒例の魔法学院作詩大会の課題を前に、ルイズは大きな溜息をついた。この大会は学校の催しであ
るだけではなく、作詩学の定期試験も兼ねているから重要だ。だというのに。
「なんで恋歌なのよ!」
ただでさえ苦手なルイズにとって恋歌は鬼門だ。教師曰くポエジーがないらしい。
「ねえルイズ、授賞式何が似合うと思う?」
もうキュルケは優勝する気だ。だが今回ばかりはルイズも張り合う気にはなれない。男子たちに目を向
けると、いつも机上の科目では低空飛行のギーシュが生き生きと語っている。
改めて見回すとタバサがルイズを見つめていた。
「タバサも恋歌は苦手だよね?」
タバサはこくりとうなずき、だが冷静な声で答えた。
「今まで詩は満点。だから、大会を落としても問題ない」
ルイズはがっくりとうなだれて部屋に戻った。
「大好きで大好きで眠れない夜」
呟いてはがーっと叫ぶルイズに、遂にシエスタは声をかけた。
「お熱、あります?」
きっ、とルイズはシエスタを睨んで教科書を投げつけた。
「作詩よ作詩!課題が恋歌なの!あんたに詩なんてわかるわけないけど」
シエスタはむっとして投げ付けられた教科書をめくる。だが、次第にシエスタの顔が輝き始めた。
「月の夜は あなたの顔 夜の闇は あなたの髪 夜はあなたに包まれて」
「……何よその詩」
「サイトさんのことを思ったら自然に」
ぐっとルイズは言葉に詰まる。もうシエスタに負けてしまった。ルイズは用事を思い出したと言って慌
てて部屋を飛び出した。
「それで、教えて欲しいと」
頭を下げるルイズに、ギーシュは意外なほど真摯な態度で応えた。たぶん今まで他の教科で助けられた
恩でも感じているのだろう。ギーシュは薔薇をくわえながら言った。
「素直に気持ちを曝け出す。それこそポエジーだよ。まずサイトへの気持ちを見つめてだね……」
「なななんでサイトなのよ!」
いつものようにルイズは叫ぶ。だが今日のギーシュは珍しく一歩も退かず、薔薇をルイズの鼻先に突き
付けて断言する。
「その反発も感動だよ。ポエジーだよ。見つめ直さない限り、君は赤点だ」
ギーシュに赤点呼ばわりされるのはかなり悔しい。だが今回だけはルイズも言葉を飲み込んで自分の部
屋に戻った。
部屋を開けると、シエスタがサイトの隣に座って囁いているところだった。
「サイトさん、『おっぱいの詩』を書いてみませんか?」
「シエスタ!それから犬!この馬鹿犬ーっ!」
途端にシエスタは窓から逃げ出す。逃げ遅れたサイトは一瞬で虚無で吹き飛ぶ。さらにルイズは鞭でサ
イトを叩こうとして、さっきのギーシュの言葉を思い出した。
「そうよ!素直に書けばいいんだわ!」
そしてルイズは猛然とノートにペンを走らせ始めた。
大会の日。ルイズはとりあえず課題を書き上げた安心感で惚けていた。サイトがからかい半分に読ませ
ろと言ったが、最後まで隠し通した。課題をこなすもので、到底他人の前に曝せる作品ではないのだ。
遂に大会委員長の修辞学教師が最高作品の発表台へ登る。ギーシュとキュルケがわずかに胸を反らす。
「今年『恋歌』で全く斬新な詩が受賞となりました。それは恋が憎悪と独占欲に変わる瞬間を描いた作品
です。恋人を動物に例えるという発想も素晴らしい」 ルイズは嫌な予感を感じた。だが教師は続けた。
「優勝はラ・ヴァリエール!作品名は『犬』!」
「イヤーッ!辞退させてーっ!」
ルイズの叫びを無視して教師は読み上げた。
「餌付けしないで さからせないで
これは馬鹿犬 野良よりひどい 使い魔犬
剣を振るって 私を守る
はずが他の主人に 尻尾振る
馬鹿犬 馬鹿犬 私の犬
価値の最低馬鹿犬なのに
誰にも譲る気はなくて
女王が欲しがるなら 頬を打つ
始祖ブリミルが求めたら 虚無の業火で爆破する
貴族の女が求めるなら 家ごと見事取り潰す
馬鹿犬 馬鹿犬 私の犬よ
異世界に行っても
あなたは私だけの 犬」
この後一週間、サイトには雌のシルフィードすら畏れて声を掛けなかったという。
>>806-807 詩に虚無のこと書いちゃったけどいいんだろうか?と思ってしまったけど
面白かったからそんなことどうでもよくなった
GJ
ちとエロなしで悪戯してみました。
一時期本物の詩人に師事したことがあるんですが、リアルに「君、ポエジーがない」と言われましたorz
>809
「詩的誇張として虚無を選んだ表現力も素晴らしい
男を焦がす失敗魔法、己を苛む嫉妬の虚しさと、ダブルミーニングもよいアクセントです」
国語教師的にはこんな評価だと思われ。
812 :
809:2007/11/02(金) 00:28:59 ID:0lipF2sw
>>811 なるほどな、その発想には至らなかったわ
昔っから俺もポエジー無いんだぜorz
>>810 GJ!これは斬新だ
面白かった。是非また書いてくれ
GJ。詩だけでも十分面白いw
ただ、キュルケはともかく「語彙が少ないから美しいと連発するしかない」とか
酷評されてたギーシュが賞まで取ってるってのにはちょっと違和感あったかも。
新刊の情報がキタ━(゜∀゜)━!!
確認してないけど
12/25w
なんか作為的な物を感じるのは俺だけか?
>>819 そもそも毎月の発売日を25日に設定したMF文庫に陰謀を感じるなw
>>820 <(〇`ε´〇)>プンスカプー
くそっ!陰謀か!陰謀なのか?クリスマスにルイズと会えるなんて…
<(●`ε´●)>プンスカプー
俺12月22日に結婚するんだけど、25日は朝一でアキバのとらのあな行くぜ!
新婚? 新婦? でも、そんなの関係ねぇ!
823 :
埋めネタ:2007/11/04(日) 01:08:34 ID:CiuXZEdK
「ぐふ、ぐふふふふ……」
「気持ちわりぃよ」
「やぁ、サイト。まぁ、このこを見てくれよ」
「こいつぁ……」
「ふっ、なかなか上等なもんだろ? 両親が一人暮らしで寂しいだろうって、僕のところに寄越してくれたのさ。
どうだい、この肌触り。水を弾くほどピチピチじゃあないか! それにこの曲線美。実にいやらしい、卑猥なカーブだ。一日中触り続けても飽きることはないだろうね。
ふっ。こうやって昨日からずっと見つめ続けていたら、彼女はどうやら恥ずかしかったらしくてね。ほらこんなに赤くなってしまったよ。
かわいそうに親元を離れて一人寂しくこんなところまでやってきて、何をされるのかと思えばただこうやって一日中自分の痴態を見つめられる。
どんなに恥ずかしいことだろうね。だがその恥ずかしがる姿がまたなんともいえないよ。
そしてなんといっても重要なのは“なか”さ。むふっ。
この中にはもう数え切れないほどの子種が詰まっているんだよ!
誰がやったんだって? そんなこと聞くなよ。
純真な乙女であるはずだった少女の中はドロドロのものに充たされているのさ!
はぁはぁはぁはぁ……」
「さっさと食えよ、そのトマト」
エロいが…エロいけど、さあ…w
ハルケギニアにトマトはあったのだろうか?
イザベラがタバサにぶっけて遊ぶために作りました
で、トマトを投げ合う祭りを開催するってわけか…流石王族は考えることが違うな。
「………ふう」
「なによ、サイト? 溜息なんかついちゃって」
「ん? いや、そろそろかなって」
「なにがよ?」
「お別れだよ」
「……………え?」
「もう大分世話になったしな。いつまでもここにはいられないよ」
「ま、待ちなさいよ!! 何でそんな急に…」
「限界なんだ」
「え………」
「だから、もう無理なんだよ。もうここには居られない」
「うそ…うそよ…」
「うそなんかじゃないさ。前からこうなることは決まってたんだ」
「何よそれ…なんで? …なんでいきなりそんなこと言うのよっ!!」
「言ったところで、ルイズには何も出来ないだろ?」
「そんなこと……分からないかもしれないじゃない……!」
「…わかるんだよ、これは…もう、仕方無いんだ」
「そんな……」
「さて、もう時間かな。行くぞデルフ」
「やれやれ、相棒もせっかちだねぇ。まだもう少し時間はあるってのに」
「そうは言ったってここに居たって何も出来ないだろ?」
「まあな」
「………………だ」
「え?」
「…やだぁ……」
「ルイズ?」
「いっちゃやだあ! 出てっちゃ、やだぁ! ……ひっく、えぐ…もう、鞭で叩いたりし
ないからぁ!…ひぐっ、犬って言わない、からぁ…一人に…うぐ、えぐ…しないでよぉ…
サイトぉ…」
「ルイズ……」
「もうやなのぉ!! サイトがそばに居ないのはぁっ! だから…だから…どこにも行か
ないでぇっ! そばに…ずっと…いてよぉ…」
「ルイズ……」
「ぐすっ、えぐっ、ひっく……」
「……なにいってんだおまえ? なんで離れる必要があんだよ?」
「……………ふぇ?」
「あのなぁ、俺だけ行ったってしょうがねぇだろ。ルイズも一緒に行くんだよ」
「…え? え? だって、もう限界だって……あたしのことじゃ…」
「アホか、確かにルイズのわがままには我慢ならんが、それで出てくんだったらとっくに
でてくっつの」
「じゃ…出てくって?」
「あぁ、今のスレはもう500KB越えちゃうからな、次スレに行かなきゃ。書き込めないだ
ろ?」
「…………………………」
「早く準備しろよ? 遅くなるぞ?」
「………か」
「え? なに?」
「こんの…ばかあぁあああああああああああ!! まぎらわし言い方するなぁっ!! 不
安になっちゃったじゃないのぉっ!!」
「うわぁぁぁああああああああああああ?!」
「もう、ほんと…ばか…ご主人様泣かせるなんて…」
「悪かったって。…でも、ルイズは俺が居ないとダメなんだな、やっぱ」
「な、なによ急に?!」
「だって『ひとりにしないでよぉ〜』って。可愛かったぞ?」
「―――――――――っ!! あ、あれはっ!」
「あれは?」
「〜〜〜〜〜〜〜っっ! ……もう…ばかっ」
「ははは…ほら、置いてくぞ? ルイズ」
「あ、待ちなさいよ! ご主人様を置いてく気!?」
こんなのがあったな
まだ早い&URL張り忘れてね?
えーと、いまなにか盛大な誤植を目撃したよーな気が・・・
もうあとっておかしいよね ごみんなしゃい
うおおお、ほんとうだ
ぜんぜん気づかなかった
トリスティンの賑やかな街中でシルフィードはおつかいに来ていた。
トリスティンからひとっ飛びで来たのはいいのだが、このままの姿ではさすがにお買い物は難しいのだった。
「しかたないのね〜変身するのねぇ〜きゅいきゅい。”我をまといし風よ 我の姿を変えよ”なのね〜」
シルフィの周りに一陣の風が発生し風韻竜を包み込んだ。
風が静まったあと、彼女は一糸纏わぬグラマラスな姿へと変貌を遂げていた。
おっかいもの。おっかいもの♪
タバサに書いてもらったお買い物リストに目を通す。
「ニンジン・キューリ・レタス・トマト−−−−お肉♪るーるるるるーおっにっく〜」
彼女はお買い物リスト握り締め、人だかりのできたお肉屋さんの前に来た。
”タイムセール、タイムセールだよぉ!キロ100エキューだっブロック肉500キロ限定だよぉ〜残りあと10キロだよぉ”
お肉に目がないシルフィは何が何でも特売お肉をゲットすべく、ぐいぐいと人垣に割り込んでいく。
”ほい、ありがとねぇ。あと8キロだぁ、さぁ買った買ったぁ!!!”
ほ、ほしぃのね。ぜったいに手に入れるのね。がんばれシルフィあと少し。
”そこのお美しい奥様、いかがですか---お、ありがとうございます〜。残り2キロだ。売り切れちまうよ〜!”
「「残り全部下さい(のね)」」
誰かと同時に店のおっちゃんに声をかけてしまったらしい。おっちゃんは彼女を一目みてぎょっとすると、一瞬で目をそらしてしまった。そしてもう一人の声の主に残り全部のお肉を渡したのだった。
「ひ、ひどいのね。なんでしるふぃにお肉売ってくれないのね〜!!」
プンスカ怒る彼女にその2キロのお肉をゲットしたメイド服の女の子、シエスタが声をかけた。
「そ、そりゃそうですよ。貴女何も着けてないじゃないですかぁ〜」
その一言に彼女は愕然とした。
おそるおそる握り締めていたお買い物リストをひろげてみると下のほうに
”買い物するときには人型に変身すること。服を着ること。”
とちゃんと書いてあった。
きゅぃぃぃぃ〜〜〜〜〜〜
トリスティンの街中で切ない叫びが響き渡った。
〜おしまい〜
埋まったかな・・・
後1KB
?
| /| /| ./| ,イ ./ l /l ト,.|
|_≦三三≧x'| / :| / ! ./ ,∠二l |. || ■ ■ ■ ■ ■
|.,≧厂 `>〒寸k j / }/,z≦三≧ |. | リ ■ ■■■■ ■ ■ ■■■■ ■ ■
/ヘ { /{ 〉マム / ,≦シ、 }仄 .j. ./ ■ ■ ■ ■ ■ ■
. V八 {l \/ : :}八 / ,イ /: :} ノ :| /| / ■ ■ ■ ■ ■
V \ V: : : : : :リ \ ./ .トイ: :/ ノ/ .}/ ■ ■ ■ ■ ■
' ,  ̄ ̄ ̄ └‐┴' { ∧ ■ ■■■■■ ■ ■
V \ヽ\ヽ\ ヽ \ヽ\ | \. ■ ■ ■ ■ ■ ■
\ , イ▽` ‐- __ 人 \ ■■ ■■ ■ ■ ■ ■
:∧ ∨ ∨ / ハ
::::∧ ヘ, / , イハ |
::::::∧. ミ≧ 、 ,∠, イ: : : : :.', |
::::::::::} 了`>ァ-‐ ´ } : : : : : : : : ', |
:::::::/ | ∨/\ / : : : : : : : : : } |
:::::/ レ'7 ̄{`ヽ. V/ : : : : : : : : : / .|
::/ / / V∧/: : : : : : : : : : / /