【絶望先生】久米田康治エロパロ総合 Part8【改蔵】

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1名無しさん@ピンキー
久米田康治作品のSSスレです。
週刊少年マガジンに大好評絶賛連載中の「さよなら絶望先生」ほか
「かってに改蔵」「行け!南国アイスホッケー部」「育ってダーリン」など
以前の作品も歓迎。

前スレ
【絶望先生】久米田康治エロパロ総合 Part7【改蔵】
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1186778030/

過去スレ
【絶望先生】久米田康治エロパロ総合 Part6【改蔵】
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1167898222/

【絶望先生】久米田康治エロパロ総合 Partご【改蔵】
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1147536510/

【絶望先生】久米田康治エロパロ総合 Part4【改蔵】
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1123772506

【改蔵】久米田康司エロパロ総合 Part3【南国】
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1105319280

かってに改蔵 Part2 【久米田康治総合】
http://idol.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1083582503/

【かってに改蔵〜天才エロ小説〜】
http://pie.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1035829622/


これまでに投下されたSSの保管場所
2chエロパロ板SS保管庫
ttp://sslibrary.gozaru.jp/


あぷろだ(SS保管庫付属)
http://www.degitalscope.com/~mbspro/userfiles_res/sslibrary/index.html
2名無しさん@ピンキー:2007/09/10(月) 11:39:12 ID:VBYEaXNh
部長のうんこたべたい
3名無しさん@ピンキー:2007/09/10(月) 13:20:35 ID:CW6snFY3
>>1
乙!
さて、前スレを埋めてくるか・・・
4名無しさん@ピンキー:2007/09/10(月) 14:01:57 ID:Iy6tZWit
>>1
5名無しさん@ピンキー:2007/09/10(月) 15:23:00 ID:sn3vJvjD
>>1

さて新スレ投下一号がくるまで裸で待機するかな
6430:2007/09/11(火) 00:12:23 ID:DsFMB2SR
こんばんはです。
前々430とか面倒なので、もう、ただの430です。

えー、スレのしょっぱなから欝を投下するのもなんなので、
先に甘エロの方を投下させていただきます。
前スレ埋まってないのですが、ちょい長めなので、こっちのスレで失礼…。

修学旅行シーズンと言うことで、生八橋の回のお話で妄想しました。
先生×可符香で甘エロ……になってると、いいなぁ…。
7翠を拾う 1/10:2007/09/11(火) 00:13:38 ID:DsFMB2SR
古都、京都。
まだ紅葉には早いものの、風は既に秋の香りを孕み、空は高く澄んでいた。

しかし、そんな気持ちの良い秋晴れの日に、京都御苑をそぞろ歩く
2年へ組の生徒達は、皆、一様に浮かない顔をしていた。

望は、生徒達の顔を怪訝そうに眺めた。
「どうしたんですか、皆さん、ずい分と疲れた顔をして。」
生徒達は、げっそりと望を見返した。

「誰のせいだと思ってるんですか。」
「人が生八橋食べようとしたら邪魔したくせにぃ。」
「下見寺なんかじゃなくて、清水寺に行きたかったですよ。」
皆、口々に文句を言う。

そこに、横から、
「ほら、スケジュールから1分遅れてるわよ、皆、走って!!」
千里の鋭い声が飛んだ。

生徒達の雰囲気が、さらにどよんどと重くなる。
望の妨害に加えて、この粘着質にきっちりとしたスケジュールが、
着実に生徒達の生気を失わせているのであった。

―――ふむ。これは、いけませんね。

望は、ぐったりとした生徒達を見て、顎に手を当てた。
「木津さん。」
「はい?」
「一緒に、式場の下見に行きませんか?」
「ほ、本当ですか!?」
千里の表情がぱぁっと明るくなった。
「他の皆さんは、ここで少し休憩していてください。」

―――生徒達を、少し休ませてあげなければ…。

望は、千里を伴ってその場を後にした。
8翠を拾う 2/10:2007/09/11(火) 00:15:16 ID:DsFMB2SR
ひととおり千里と葬儀場や墓苑を巡り、墓石で殴り殺されかけた後、
望は生徒達が待つ京都御苑へと帰ってきた。

一応、出席簿を見ながら、生徒達が揃っているか確認する。
「…あれ?風浦さんはどこです?」
「知りませんよ。先生こそ、どこに行ってたんですか。」
望の質問に、不機嫌そうに答えたのは、久藤准。
可符香の保護者を勝手に自認している彼は、どうやら、
望が可符香を置いて千里と2人だけで出かけたのが気に食わないらしい。

「…先生、風浦さんを探してきますので、皆さんここにいてください。」
准の言葉を無視して、望がその場を離れると、准が追いかけてきた。
2人で、何となく連れ立って歩き始める。

「先生、もう少し杏ちゃんを気遣ってあげてくださいよ。」
「…余計なお世話ですよ。」
目で可符香の姿を探しながら、望は答えた。

准は、むっとした顔で望を見上げた。
「だいたい、先生、なんで本番の旅行に来ないんですか?」
「修学旅行シーズンの京都なんて、考えただけでもぞっとします。」
さらりと答える望に、准はため息をついた。
「ま、僕としては、別にいいんですけどね。
 先生がいない方が、コブなしで倫ちゃんとデートできますから。」

今度は、望が准を睨む。
「…最近、随分いい態度じゃないですか、久藤君。」
「気のせいですよ。それより、本当にいいんですか、先生?」
「何がですか!」
望がうるさそうに問い返した。
相変わらず、その目は可符香を探して泳いでいる。

准は、頭の後ろで腕を組んだ。
「修学旅行シーズンの京都は、全国の高校生が集まりますよ。」
「だからこそ、来たくないんじゃないですか。うっとうしい。」
「けっこう、生徒同士で出会いもあったりするんですよね、これが。」
「…。」
「杏ちゃんなんて、可愛いから、他校生から目を付けられそうですよね。」
9翠を拾う 3/10:2007/09/11(火) 00:16:43 ID:DsFMB2SR
望は、思わず立ち止まった。
そんな望を、准が楽しげに振り返る。
「本っ当に、今年、本番の旅行に来なくっていいんですか?先生。」
「…。」
何となく、見透かされているようで癇に障る。
「うるさいですね!男に二言はありません!行かないと言ったら行かないんです!」
望は、大声で叫ぶと、准を置いて足早に歩き始めた。
背後では、准のクスクス笑う声が聞こえていた。

―――まったく、可符香は、どこに行ったんでしょう!
   団体行動を乱さないよう、きつく叱っておかなければ…。

望は、この憤りはあくまでも教師としてのものだと自分に言い聞かせながら、
広い京都御苑の中を、可符香を探し求めて歩き回った。

随分と歩き回り、やっと目指す少女を見つけた。
「か…。」
呼びかけようとして、言葉が喉元で止まる。
可符香は、他校の生徒らしい少年達に囲まれていた。

「いいじゃん、抜け出しちゃいなよ、どうせ下見なんだろ?」
「俺達、ここら辺詳しいからさ、穴場スポット紹介してやるよ。」

いかにもチャラ気な男子生徒達が、かわるがわる可符香に話しかけている。
可符香は、こちらに背を向けているため表情は分からないが、
どうやら戸惑っている様子だ。

―――どうしたんですか…。いつもだったら、
   そんな奴らをあしらうのなんか、お手のものじゃないですか…!

いつにない可符香の態度に、望は苛立った。

ずかずかと彼らに歩み寄り、可符香の後ろに立つと、低い声で言い放った。
「…うちの生徒さんに、ちょっかいを出さないでいただきたいんですが。」
10翠を拾う 4/10:2007/09/11(火) 00:18:09 ID:DsFMB2SR
可符香が、驚いたように振り向いた。
「先生…。」

「わ、やべ、先公だってよ。」
少年達は、突然の大人の出現に、慌てたように散っていった。
望と可符香は、2人きりでその場に残された。

「…。」
可符香は、少し拗ねたように、望から目をそらせている。
望は、可符香の手をぐい、とつかむと、そのまま可符香を引っ張って歩き始めた。

「痛!ちょっと、先生、手、痛いです!」
望は、可符香の抗議にも耳を貸さなかった。
「いったい何をやってるんですか、あなたは!
 勝手な行動をして、挙句の果てに、あんなゴロツキどもにちょっかい出されて!」
望が怒ったように言うと、可符香は急に立ち止まった。
望は後ろに引っ張られ、たたらを踏んだ。
「な…。」
文句を言おうと振り向いた望は、可符香の顔を見て口をつぐんだ。

「…勝手な行動をしてるのは、どっちですか…。」
可符香は、望を睨み上げた。
「先生こそ!皆を放って、千里ちゃんとどっかに行っちゃって…!」
心なしか、可符香の目が潤んでいるようだ。

「あ…。」
―――もう少し杏ちゃんを気遣ってあげてくださいよ
准に言われた言葉が心に蘇る。

―――ああ…。そういう、ことでしたか…。

望は、やっと、先ほどの頼りなげな可符香の様子に合点がいった。

―――不安にさせてしまったんですね…。

やきもちを焼く可符香が愛しくて、望は、思わず可符香を抱きしめた。
11翠を拾う 5/10:2007/09/11(火) 00:19:14 ID:DsFMB2SR
「…っ、やめっ!」
可符香が駄々をこねるようにもがいたが、腕に力を込め、さらに強く抱きしめる。
「…気が回らなくて、すいませんでした…。」
心を込めて謝ると、可符香は大人しくなった。

望の腕の中で、可符香が、小さい声で何か呟いた。
「え?なんですって?」
頬を赤らめて、軽く下唇を噛んだ可符香が、望を上目遣いに見上げた。
「……もう…こんな心配、させないで下さい…って言ったんです。」
「―――!!」
望は、可符香を見下ろして、呟いた。
「どうしましょう…。」
「え…?」

既に日は暮れかかり、御苑の中の人通りも少なくなっていた。
2人は、池のほとりに建つ、公家風の造りの茶室の前に立っていたが、
「緑の草花を拾い集める、ですか…。」
望は、呟くと、可符香の手を引いて茶室の裏手に回りこんだ。

「先生…?」
「本当に、あなたときたら。
 それこそ、あなたの全てを拾い集めて、閉じ込めてしまいたいですよ…。」
望は、茶室の影で、そう言って可符香の頬をなでると、
いきなり可符香を抱き寄せ、噛み付くように口付けた。
「んっ!!ふ…っ!」
可符香が、驚いたように体を引いたが、望は可符香を抱く手を緩めなかった。

しばらくして、ようやく顔を離すと、
可符香は上気した顔でくたりと望にもたれかかった。
「なんで、こんな、いきなり…。」
小さい声で、可符香が弱々しく抗議する。
「我慢できなかったんですよ…あなたが、あんな可愛い顔をするから。」
望がそう耳元で囁くと、可符香は真っ赤になった。

「…え、と、みんなをずいぶん待たせちゃってますよね。」
くるりと向きを変えて歩き出そうとする可符香を、望は後ろから抱きとめた。
「!!先生!」
「我慢できない、と言ったでしょう…。」
12翠を拾う 6/10:2007/09/11(火) 00:20:09 ID:DsFMB2SR
2人の体が密着した部分から、可符香に望の欲望が伝わる。
可符香が耳まで赤くなった。

「ど、どうしろっていうんですか、こんなところで…。」
「さあ…。どうしてくれるんですか…。」
望は、後ろから可符香の耳たぶを軽く齧った。
「きゃっ。」
可符香が首をすくめる。

望は、可符香の腰にまわした手を、セーラー服の下に差し入れた。
「やだ、先生…!」
可符香の抗議を無視してわき腹をゆっくりなぞる。
「前から思ってたんですけど…あなたの上着、丈が短かすぎやしませんか?
 腕を上げたら、見えてしまうじゃないですか。」

可符香は、望の手の動きに体を震わせた。
「せ、先生…だめ、ですよ…誰かに見られたら…。」
「大丈夫ですよ…、こんな時間に、もう、誰も来ませんよ…。」
望は、そう言うと、指を可符香のブラの下に忍び込ませた。

「―――!!」
可符香の背が伸びる。
望は、そのまま、ブラを上に押し上げた。
「や…。」
「…何ですか?聞こえませんよ。」
知らん顔で、ゆっくりと指をうごめかせた。
可符香の息が荒くなる。
「ぅ、くぅっ。」
胸の頂を強くつまむと、可符香の膝がかくんと折れ、望は慌てて可符香を抱きとめた。
「だ、大丈夫ですか…?」

可符香は頷くと、近くにあった木の幹に体をもたせかけた。
そして、赤い顔をして息をつく。
それを見ていた望は、再び激しく可符香に口付けた。
「んんっ…。」
「まだ、終わってないですよ…。」
13翠を拾う 7/10:2007/09/11(火) 00:21:39 ID:DsFMB2SR
望は、今度は可符香のスカートに手を伸ばした。
可符香は身を引こうとしたが、背後を木に阻まれ、動けない。
「や…っ!ぅんっ。」
望の手が、可符香の下着の下に入り込んだ。

「…っ!」
可符香が、周囲を気にして声を忍んでいる様子がいじらしくて、
望の中に悪戯心がわきあがった。

可符香の耳元で
「ずいぶん、静かですね…。刺激が足りないですか?」
そう囁くと、指を、可符香の急所に強めにこすりつけた。
「ぁあっ!」
可符香が思わずというように大声を出し、慌てて両手で口を塞ぐ。
そして、肩で息をしながら、ふくれ面で望を睨んだ。

―――ああ、また、そんな顔をして…。
望は、指はそのままに、可符香の首筋に唇を寄せた。
「あなた、分かってて、煽ってます?」
そう言って、唇でセーラーの襟をずらすと、強く吸い上げた。
可符香がびくんと上を向いて吐息を漏らす。
望が唇を離した跡には、くっきりと紅い跡がついていた。
「おや、これは、残念ながら、今日は大浴場は自粛ですかね。」
私の部屋の内風呂に入りに来ます?と望は含み笑いをした。

可符香は、ほとんど涙目で望を見上げた。
「せ、んせい、ひどい…。」
「ひどいなんて…今ので、こんなになってるじゃないですか。」
ほら、とわざと水音を立てて可符香の中をかき回す。
「やぁっ…!」

可符香は、とうとう望にしがみついて懇願した。
「も、もう、先生…。お願いだから…。」
しかし、すっかり嗜虐心に火が点いた望は、容赦しなかった。
「お願いだから、…何ですか?」
14翠を拾う 8/10:2007/09/11(火) 00:22:36 ID:DsFMB2SR
「…。」
可符香が赤い顔をして黙り込む。
「言ってくれなきゃ、分からないですよ。」
望が、指の動きを早めた。
「…っ!」
可符香の、望にしがみついている腕に力が入る。
「ほら、言ってごらんなさい…。」

とうとう、可符香が、消え入りそうな声で呟いた。
「先生の、が…欲し、い、です…。」
「…よくできました。」
望は、にっこり笑うと、可符香の額に軽くキスを落とした。

そろそろと可符香の下着を下ろすと、望は可符香を木の幹につかまらせた。
そして、
「いきますよ…。」
後ろから一気に可符香を貫いた。
「はぁ、ぁあっ!」
戸外で、しかもいつ誰が来るとも知れない茶室の影、という異常な状況のせいか、
可符香の反応は常になく激しかった。

―――く、このままじゃ…。

すぐに果てそうになり、望は動きを止めると自身を可符香から引き抜いた。
「やぁ…。」
可符香が切なそうな声を上げる。

望は、そっと可符香の体を回し、自分の方に向けると口付けた。
「…やはり、あなたの顔を見ながらの方が、いい…。」
そう言うと、可符香の片足を持ち上げて、自分の肩にかけた。

そして、その体勢のまま、再びゆっくりと、可符香に体を沈めていった。

15翠を拾う 9/10:2007/09/11(火) 00:23:49 ID:DsFMB2SR
「あぁぁぁああっ!せ、先生…!」
可符香が体をのけぞらせる。
もはや、声を忍ぶとことさえ忘れているようだ。
「や、ぁあっ!」
望の動きに合わせて、可符香の嬌声が響く。

望は、さすがにまずいと思い、可符香の唇を自分のそれで塞いだ。
「むぐっ…!んっ!」
くぐもったうめき声が、可符香の口から漏れた。

「これ以上、皆さんをお待たせしてもいけませんね…。」
望は、唇の端でそう囁くと、可符香の腰を抱えた。
そして、再び、可符香の唇を塞ぐと、一気に動きを加速した。
「ん―――っ!」
可符香の頬は真っ赤に紅潮し、潤んだ目の淵も赤く染まっている。

―――可符香……!

望は、愛しい少女の顔を瞳いっぱいに焼き付け、そして、果てた。


全てが終わった後、2人は、しばらく荒い息で抱き合っていた。
遠くで、カラスが鳴いている声がする。
「ん…。」
可符香は腕時計を見て、次の瞬間、目を丸くした。
「わ、もうこんな時間!みんなに怒られちゃいますよぉ、急いで帰らなきゃ!」

慌てた様子で身づくろいをすると、可符香は先に立って歩き始めた。
「…まったく、余韻に浸る暇もないですね…。」
望は、ぶつぶつ言いながら、可符香の姿を後ろから眺めた。

―――と。
近くにたむろしていた男子学生達が、可符香に気付いて声をかけた。
「やあ、君、1人?」
「京都は初めて?僕らが案内してあげるよ!」

望の表情が、険しくなった。
「……どうやら、京都は、再考した方がいいようですね…。」





16翠を拾う 10/10:2007/09/11(火) 00:24:30 ID:DsFMB2SR
「えー、今年の修学旅行は沖縄になりました。」

後日。
ホームルームでにこやかに旅先の変更を告げる望に生徒達はいぶかった。

そんな中、准は頬杖をついて小声で呟いた。

「…分かってないなぁ、先生。
どう考えても、京都より、沖縄の方がよっぽど危険だと思うんだけど…。
ま、僕としては、倫ちゃんの水着姿が見られるからいいけどさ…。」

沖縄での望の心労を思いやり、准は、やれやれと首を振ったのだった。


17430:2007/09/11(火) 00:25:16 ID:DsFMB2SR
えーと…。
甘々のはずが、先生が、ただのエロオヤジになってしまったorz
いくらなんでも日のあるうちから戸外はまずいよ、先生!

というか、この2ヶ月の間に、自分の中のエロリミッターが
すごい勢いで壊れていっていることに絶望した!!
…いや、このスレ的にはまだまだなのかもしれないですが。

あと、よく考えたら、生八橋の回の時には、
まだ倫ちゃんは編入してきてなかったですが、
そこら辺はスルーライフでお願いします。

以下、おまけの小ネタです。
修学旅行本番in沖縄。
18おまけ小ネタ:2007/09/11(火) 00:26:05 ID:DsFMB2SR
「く、久藤君!可符香を見ませんでしたか!?」
「杏ちゃんなら、他の女の子達と万座ビーチに行くって言ってましたけど。」
「な ん で す っ て!!
 あそこは、日本全国から恋をしたい若者達が集まってくる場所じゃないですか!
 あんなところに女性だけ行くなんて、ナンパしてくれと言ってるようなもんです!!
 久藤君、なんで一緒に行ってくれなかったんですか!!!」
「……前は、僕が杏ちゃんに話しかけただけで不機嫌になってたくせに…。」
「絶望した!!沖縄の余りの出会いシチュの多さに絶望した!!!」
「お兄様。絶望している暇があったら、風浦さんを追いかけたほうがよいのではなくて?」
「は!!そのとおりです、倫!それでは、失礼しますよ!!!」
バタバタバタバタ…。

「…はぁ。お兄様ときたら、いつまで経っても成長しない人…。」
「あははは。ま、でも、先生が杏ちゃんでいっぱいいっぱいになってる方が、
 こちらに矛先が向かないから好都合だよ。」
「…それもそうだな。午後は、国際通りで買い物でもするか。」
「うん、そうだね、倫ちゃんvv」


…久藤君たら、すっかりノーマルになって…。良かった良かったw
19名無しさん@ピンキー:2007/09/11(火) 00:47:39 ID:DsFMB2SR
ごめんなさい、この容量だったら前スレでも大丈夫でしたね…。
このSSで12KBでした。覚えておこう…。
20名無しさん@ピンキー:2007/09/11(火) 01:28:39 ID:Pjt9zDWw
>>17
あえて言わせて貰います。
倫ちゃんの編入以前にその時期に先生は告白していません。
私、時期系列をきっちりしてくれないと嫌なんです。
21名無しさん@ピンキー:2007/09/11(火) 08:49:37 ID:Sm8qG9wU
>>20
むしろそこまで430氏のSSを読み込んでいるお前に感動した
これは良いツンデレだな
22名無しさん@ピンキー:2007/09/11(火) 10:26:53 ID:/fs1iaCe
430氏GJ! 朝からイイモノみさせていただきまつた。w ゴチですww

>>20
漏れは、SSは全部、並列世界でとらえてるw  

・・・・さて、前スレに戻るべ。
23名無しさん@ピンキー:2007/09/11(火) 12:54:00 ID:OAyUGNAj
430氏乙でした
可符香好きにはたまらんです
24名無しさん@ピンキー:2007/09/11(火) 17:05:10 ID:6XRaqgrQ
前スレのレス読んで、芽留で1本書いたんですが
書き上げてみたら、テキストファイルで25KBありまして
前スレが既に478KBだったので、こりゃマズいなということで
恐れ多くも新スレを使わせて頂きに参った次第です

ということで、望×芽留で1本
参ります
25文字と声 1/8:2007/09/11(火) 17:08:00 ID:6XRaqgrQ
『おいコラ ちょっと話がある 今から行くから待ってろ』

その、たった3行のメールが来たのが、つい数十分前のこと。
差出人は………今、ちゃぶ台を挟んで望の正面に座っている少女、音無芽留。
「それで………どうしました?」
熱い茶を注いだ湯飲みを差し出しながら、望が尋ねる。芽留はいつもの通り、一言も声を発しない
まま、おもむろに取り出した携帯電話のボタンを操作し始める。
慣れた手つきであっという間に文章を打ち終え、その小さなディスプレイを望の眼の前に掲げる。

『声が出ねぇ』

望が、きょとん、と首を傾げた。
「………声が、出ない………というのは、どういう………?」
ディスプレイが芽留の手元に引っ込んで、またすぐに望に突きつけられる。
『そのまんまの意味だよ アホかお前』
「………………はぁ。」
『お前が言ってたんだろうが ずっと喋ってないと そのうち声が出なくなるって』
望はそこでようやく、芽留の言葉の意味を理解した。
「なるほど………まぁ、そうですよねぇ。普段から、あれでは。」
『なに呑気なこと言ってやがる こっちは死活問題なんだよハゲ つーか「あれ」とか言うな』
「や、失礼しました。それで、ええと………いつ、気付いたんですか?」
普段、声を出す機会なんて、ほとんど無いでしょうに………と、喉まで出掛かったその言葉を呑み
込んで、望は芽留が自分の以上を知るに至った経緯を尋ねた。

気がついたのは、芽留が母親を連れて携帯電話の機種変更に行ったときのことだったらしい。
機種を選び、プランを設定し、古い携帯のデータを新しいものに移そうとしたときのこと。流石に、
重要な意思疎通ツールである携帯電話を片時も手放そうとしない芽留も、その行程ではどうしても
携帯電話を手放さざるを得なくなる。
近くに母親が居るので、店員とのやり取りに困ることはないが。その母親から、話し掛けられること
はあるわけで。芽留も、そうして必要に迫られたとき、かつ相手が肉親や本当によく見知った人間で
あるときは、最低限の会話くらいは出来る………はずだった。

だが。ほんの少しだけ意を決して、母親に答えようとしたそのとき。
芽留は………自分の喉から、声が出ないことに、気付いたのである。
もともと、決して聞き取りやすい声では無かったがそれどころの話ではない。
自分の声が、自分にすら、聞こえなかったのだ。

結局、その場は筆談でなんとかやり過ごすことが出来たものの。帰ってから母親にいろいろと心配
され、しかし自分でもどうしてよいのか解からず。医者に連れて行く、と言われたので、その前に
こうして望のもとへ相談に来た、という次第………なのだそうだ。
『病院なんか連れてかれて堪るか 嫌いなんだよ医者は』
「そうですか………しかし、それでどうして私に?」
『経験者なんだろ 医者よりよく解かってんだから どうにかしろよ』
相変わらずの口の悪さで、しかしかなり必死な瞳でそう訴える芽留を眼の前にして、望は、うーん、
と唸り声を上げた。どうやら相当の医者嫌いではあるらしいが、しかし、果たして自分に医者以上の
ことが出来るものだろうか。芽留の言う通り、経験者ではあるが。
「………命の病院なら、少しは気が楽じゃありませんか?」
『そういう問題じゃねぇんだよ』
「ふーむ………そうですか。しかし、困りましたねぇ………。」
『なんか方法あるだろ 自分のときどうやって治したのか 教えろ』
その言葉を見て、望は、遠い昔の記憶を手繰り始めた。
「そうですねぇ………思わず声を出してしまう状況を作るのが、1番ですかね。私も、それで。」
『は? もっと解かりやすく言えよ』
「ですからつまり………驚きや痛みなんかのショックで、無理矢理声を上げさせるんですよ。」
『驚き? 痛み?』
「ええ。私のときは、命に足のツボを押して貰いましたね。あれは、絶対に叫びますよ。」
顎に手を当てながら、思い出し思い出しそう語る望の言葉に、芽留はいささか表情を硬くした。
しばし、考え込むように携帯とにらめっこをした後………その指がまた、言葉を紡ぎ始める。
26文字と声 2/8:2007/09/11(火) 17:08:30 ID:6XRaqgrQ
『仕方無ぇ まずはそれでやってみる』
「そうですか。じゃ、命の所に………。」
『医者は嫌いだっつってんだろ あっという間に忘れてんじゃねぇよ この鳥頭』
「あ、いや失礼。しかし、それではどうやって………。」
ほんの一瞬迷った後、芽留がまた、首を傾げる望の眼の前に携帯を掲げた。
『お前がやれ』
望が再び、きょとん、とした表情を浮かべる。
「私………ですか?」
『足の裏押すくらい誰でも出来んだろ 早くしろ』
「………………。」
望はその画面を見つめた後、小さな溜息を漏らしてから、渋々その言葉に従った。



ちゃぶ台の上に芽留を座らせる。それでも、2人の座高は大して変わらない。
「………やっぱり、先に、驚かせる方試してみませんか?」
『「今から驚かせますよ」って言われて 驚く奴なんて居るわけねぇだろうが』
「う………い、いえ、それにこれも本当は、専門知識のある人間がやった方が………。」
『ガタガタ言ってねぇで早くやれよ 男がいつまでもうるせぇな』
「わ、解かりましたよ。けど………無理そうだったらすぐに行ってくださいね?」
どこか不安げな表情でそう呼びかけられ、芽留の身体が、一瞬だけ硬直した。すぐに、携帯に視線
を落とす。ディスプレイの青白い光が、その顔色を隠す。
『黙ってやれよ』
「はい、はい………では、失礼………。」
そう言いながら望は、靴下を脱がせた目留の薄い足の裏に、親指を当てる。そして、勘だけを頼りに
効果のありそうな場所を探り、出来るだけ短期決戦を目指し、最初から全力で芽留のツボを押し込み
に掛かった。
「………………ッッッ!!!」
その瞬間、芽留の細い足が、ぴん、と突っ張る。ツボとしての効果はともかく、その圧迫は芽留に
強烈な痛みを与えるには絶好のポイントだったらしい。
芽留の右手が、携帯と一緒にちゃぶ台の淵を掴み、全力で握り締める。左手の爪が、木目を引っ掻く。
自由になる方の足の膝が立ち、震える。程なく芽留は、携帯を持っていない左手でちゃぶ台を叩き、
ギブアップの合図を出した。
「っ、だ、大丈夫ですか!?」
望が、血相を変えて芽留の様子を伺う………が。
「音無さ………。」
その声は、視線がちゃぶ台の上に向いた瞬間に、フェードアウトして消えてしまった。
「………っ………っ………!」
痛みの余韻に耐えながら、しかし結局一言も声を発することは無く。芽留が、ほとんど仰向けで
ちゃぶ台の上に寝そべるようになっていた身体を、起こす。
目尻に涙を浮かべながら、汗の滲んだ右手で文章を打ち、それを望に突きつける。
『おいコラ痛ぇだろこの野郎 ちょっとは加減しろよハゲ』
そして。突きつけた先に居る望の視線が、それとは別の場所に注がれていることに気付く。
芽留は、何故か赤面している望の視線の先を、辿って………。
「………………〜〜〜ッッッ!!!」
一瞬で、茹で上がったように赤くなった。
ちゃぶ台の上に座って、片足を突き出して、もう片方の足の膝を立てて。そんな格好をしていれば、
当然、そのちゃぶ台の正面に座っている望からは………ひらりと捲れたスカートの中が、丸見えに
なっているわけだ。
芽留が、慌てて足を閉じ、両手でスカートの裾を掴む。その仕草でようやく我に返った望は、芽留に
負けず劣らず青白い顔を真っ赤に染めながら、慌てて視線を逸らした。
「す、すすすすすすいません!申し訳ございません!!生まれてきてごめんなさいッ!!!」
瞬時に土下座の体勢に移行しながら、望は思いつく限りの謝罪の言葉を述べた。
芽留が、震える指で携帯のボタンを押していく。痛みと、死にそうなほどの恥ずかしさが混ざった
涙を浮かべながら、顔を畳に擦り付ける望の肩を叩き、ディスプレイを突きつける。
27文字と声 3/8:2007/09/11(火) 17:09:14 ID:6XRaqgrQ
『見たな?』
「ひぃっ!!ごめんなさいごめんなさいごめんなさいッ!!」
『ごめんなさいじゃねぇんだよ 見たか見てねぇかって聞いてんだよ クソメガネ』
「い、いえ、あの………その………。」
『正直に言わねぇと学校中にお前のこと わいせつ教師って言いふらすからな』
「ご、ごめんなさい………ち………ちょっと、だけ………。」
『………ちょっと?』
「い、いえ!あの………か、かなり、その………ちゃんと………!」
自ら望の自白を誘導しながら、芽留は、赤い顔を更に紅く染めていった。
「ああぁ………絶望した………教え子の眼の前で、男の性に負けてしまう自分に絶望した………!」
まるでこの世の終わりが来たような声でそう言いながら、望は頭を抱え、ふらふらと部屋を横切って
いった。亡霊のような足取りで辿り着いた戸棚から、例の、旅立ちセット一式を取り出す。
「この恥を晒して、生きてはいけません………どうか命と引き換えに、このことはご内密………。」
と、そのとき。ロープで首を括りかけた望の携帯が、ピピピ、と電子音を発する。
メールの着信に設定したその着信音に、望が振り返る。芽留が、望の携帯を本人に差し出した。
『おうコラ 勝手に盛り上がってんじゃねぇよ このエロメガネが』
「………え、エロメガネ………。」
望が更なる絶望に打ちひしがれている隙に、芽留は次の文章を打ち終える。
『勝手に死んでんじゃねぇよ まだこっちが解決してねぇだろ』
「う、う………しかし、もはや私に教師としてあなたを助ける資格など………。」
『今死んだら学校と実家に あること無いこと吹き込んでやるからな』
「い、いえ!そればかりはご勘弁を!死ぬときくらい、綺麗なまま死なせてください!」
『じゃ手伝え』
「………いや、しかし………。」
『オレが手伝えっつってんだよ いいから次の作戦考えろ』
望はしばし唸り声を上げた後、また渋々と、旅立ちセットの片づけを始めた。



なんだかんだと、話し合った結果。
あれだけの痛みで声が出ないなら、もっと別のタイプの刺激を探した方が良いだろうという結論に
辿り着いた2人は、次は叫び声ではなく笑い声でどうにかしようと考え、打って出た。
望むがあぐらを掻き、その足の上に、芽留が腰を降ろす。この体勢で、背中や脇腹など、普通なら
くすぐられて黙っていられないような場所を刺激する作戦である。さきほどのようなことが無い
ように背後に回る、というのは望のたっての希望だが、この体勢は、芽留の提案だ。
「………あの、なにもこの体勢でなくても………その、ちょっと、いろいろと………。」
『離れてたらやりにくいだろうが』
「それに………本当に、良いんですか………さっきの、今で………。」
『オレが良いって言ってんだ とっととやれよバカ野郎』
「は、はい、では………し、失礼、します………。」
望はしばし躊躇した後、おずおずと、その細い指を芽留の背中に滑らせた。恐々とした手つきで、
制服越しに背筋をなぞられ、芽留の身体がぴくりと震える。
「へ、平気ですか?」
『いちいち聞くな 黙ってやってりゃいいんだよ』
思わず口を突いて出たその言葉も、あっさり切り捨てられて。望がまた、背筋に指を落とす。
「〜、っ………っ………!」
声にならない声が、漏れる。その様子に何か手応えのような物を感じたのか、望は、時折緩急を
付けながら、芽留の背中に刺激を送り続ける。
『おい』
やがてまた、芽留の震える指が文字を打つ。やっとの思いで打たれた2文字に、望の手が止まる。
『背中以外にもくすぐる所くらいあるだろ ちょっとは考えろ』
「せ、背中以外………と、いうと、しかしですね………。」
『だからオレが良いって言ってんだろ 何回言わす気だ』
まるでその言葉に脅迫されるかのように、望は恐る恐る、その手を芽留の脇腹に回す。細い指が
腰から脇の下に近い脇腹に掛けてを、這うように動く。その度に芽留はまた身体をひくひくと
震わせる。吐息が、徐々に熱を帯びていく。
28文字と声 4/8:2007/09/11(火) 17:09:45 ID:6XRaqgrQ
自分の手の動きに併せて、膝の上でその華奢な身体を震わせる芽留の姿を、目の当たりにして。
「(だ………駄目だ、何を考えているんですか、私は………。)」
望は………自分の中に湧き上がる、教師として許されざるその衝動と、葛藤していた。
眼の前の、小さく震える白いうなじに、視線が釘付けになる。自分の与える刺激に悶える姿に、
異様なほどの高揚感を覚える。芽留の幼い身体に対して、確実に男としての興奮を覚え始めて
いる自分に気付き………望は、これ以上無い程困惑していた。
「(こ、こんな小さな………じゃない!まさか、自分の教え子に、そんな………!)」
自分の中の天使が、早く止めろ、危険だと自覚している今ならまだ引き返せる、と、望の心を
説得しに掛かる。それに対して自分の中の悪魔は、そのまま行く所まで行ってしまえ、芽留の
為だと言えば多少の悪戯は許されるぞ、と、望の理性を切り崩しに掛かる。
「(ううぅ………どうして、ここまでさせるんですか音無さん………。)」
芽留が、そのうち自分の行為を拒絶し始めるのではないかということに、淡い期待と淡い不安
を覚えながら、望は機械的な動きで芽留の身体を刺激し続ける。
鼓動が早まる。顔と、頭の奥の方が、カーッと熱くなる。

やがて………望は、自らの中の葛藤に耐え切れなくなり。
その全てから逃れるべく、芽留に対する一切の行為を放棄し、その場から逃げ出そうとした。
………その時。

「………………ッ!!」
脇腹に回していた望の手が、きゅぅ、と、弱々しい力で握り締められる。
我に返った望が、自分の手を見下ろす。そこには、芽留の白い左手が、重ねられていた。
「………音無、さん?」
天使と悪魔の葛藤も、その場から逃げ出したい衝動も。全てが吹き飛ばされたように真っ白に
なった頭で、望が、芽留のその行為の意味を考え始める。

その眼の前で、芽留は、空いた右手で携帯を取る。背中に回った望からも見下ろせるその小さな
ディスプレイに、『オレの』『オレが』『お前』『手を』『そのまま』と、言葉の断片が映し
出されては消去されていく。
芽留は、少し息を荒げたまま、しばしの間そのディスプレイを見つめて………やがて。

『今からすること お前も男ならちゃんと察しろよ ハゲ』

指先を震わせながら、そんな言葉を、告げた。
望が、その言葉の意味を理解するよりも先に。芽留は、携帯電話を折り畳み………それをそっと、
ちゃぶ台の上に置いた。
「………音無さん………今のは………?」
「………………。」
望の問いには、答えず。芽留は空いた右手を、自分の左手の上に添える。そして、両手で包み
込むように望の手を握り、それを………。

「………ん、っ………!」
自らの………制服の、内側へと、誘った。

「………………は?」
望むの手が、するりと芽留の肌を撫で、制服の裾からその内部へと滑り込む。誘われるままに
辿り着いた、その先の柔らかさを感じた瞬間………望は、全身をガチガチに硬直させた。
「え、え………えええぇぇぇぇぇぇぇぇぇッッッ!!?」
思わず強張った指が、図らずも、芽留のほとんど膨らんでいない胸を刺激する。ほとんど起伏が
無いながらも、少女の柔らかさを備えたその胸は、望の指の動きに併せて微妙にその形を変える。
「………は、ぅッ………!?」
芽留の口から、熱い吐息と、切ない喘ぎが漏れる。しかし、芽留の声を取り戻すという当初の
目的など完全に意識の外に弾き出された望は、そんなことなど全く意に介せず、動くに動けない
状況のまま心と身体をこれ以上無い程緊張させた。
芽留の手が、望の掌を自分の胸に押し当て、それを上から覆う。掌と胸が密着し、柔らかさの先端
にアクセントのように存在する微妙な固さまでもが、掌から望の頭に伝わる。
29文字と声 5/8:2007/09/11(火) 17:10:36 ID:6XRaqgrQ
「お、音、無、さん………ちょ、何………何、何をっ!?」
思わずどもる望の顔を、芽留は、自分の肩越しに振り返る。
目尻に涙を浮かべ、切なげで真っ直ぐな瞳で見上げられて………望は、声を失った。
「………っ………!」

一瞬で、芽留の乱れた姿に魅入られる。
悪魔が、その支配領域を爆発的に拡大させていく。

「お………音無、さん………っ。」
望は、ほぼ無意識のうちに、自分の掌が芽留の柔らかな胸を撫で始めたのを感じた。少しだけ
固くなった先端が、掌の窪みの中で嬲られる。甲高い、まるで蚊の鳴くような悲鳴を上げる芽留の
首筋に、望の唇が近づく。
「ひ、あぁッ!?」
うなじに口付けられた瞬間、芽留は、それまでで1番大きな声を上げた。
首筋に紅い痕を残し、望の唇が離れ、続いて耳元に近づく。
「………声、出るようになりましたね。」
「や、ぁ………ん、あうぅッ!?」
「………可愛いですよ………。」
甘い声で甘い言葉を囁かれ、背筋をぞくぞくと震わせている芽留の耳たぶを、望の唇が挟み込む。
刺激で感度を増した耳をついばまれて、芽留がまた、嬌声を上げる。
脇腹から、背中から、首筋から、耳から。芽留の身体に、際限なく快楽の波を送り込んでいく。
そうしているうちに、望は………いつしか芽留が、その脚をもじもじと擦り合わせ始めていることに
気がついた。
「………っ………。」
即座にその意味を悟り、望の意識が、身体の動きを阻害する。そのまま、芽留の身体が求めている
であろう行為に及ぶことに………一抹の不安と、躊躇いが生じる。
「………………?」
自分を愛でる望の手が止まり、芽留がまた、肩越しに望の顔を見上げる。2人の視線が、かち合う。

『男ならちゃんと察しろよ』

「………………!」
芽留の瞳を見つめた、瞬間。望の脳裏に、さきほど見た文章がフラッシュバックする。
「(………そもそも、ここまで来たら、もう………完全に、アウトですか………。)」
この期に及んでまだ躊躇する自分に、苦笑しながら。望は、心の中で呟く。
そして………意を、決したように。
「………ぁ………っ!?」
胸を愛撫しているのとは、別の手で………もじもじと動く芽留の太腿を、撫でた。
初めは、表面を撫でるだけの動きで。それがだんだんと大きくなり、力強くなり………やがて、緊張
のせいでぴたりと閉じられた太腿の間に、望の指が割って入ろうとする。
「や、ぁ………………。」
芽留の頬が更に火照り、その吐息が浅く、速くなる。
「………怖いですか?」
優しくなだめるような声で言いながら、望が、一旦その手を引く。芽留の呼吸が、徐々に落ち着きを
取り戻し………しかし、その両眼は、どこか名残惜しそうに望の瞳に訴えかけてくる。
ぼぅ、と、微かな音を立てて………望の嗜虐心に、小さな火が灯る。
「………どう、して欲しいですか?」
ここへ来ての、芽留にとっては酷な質問に、円らな瞳が見開かれる。
「………ぁ、ぅ………っ………。」
自分が、どうして欲しいのか。自分の身体が、望の、どんな行為を要求しているのか。
芽留には、それがはっきりと解かっていたが………はっきりと解かっているが故に、その行為を自ら
要求することなど、出来はしなかった。
「………たまには、ちゃんと、自分の気持ちを言葉にしなくては。声、もう出るんでしょう?」
優しく語り掛けるようで、しかし、やはり芽留にはどうしようもなく酷な言葉。
一瞬戸惑うような瞳で望を見上げ、しかし、結局はいやいやと頭を振る芽留の姿に………望は軽い
罪悪感を覚えると共に、ほんの少しの、征服感を感じていた。
30文字と声 6/8:2007/09/11(火) 17:11:12 ID:6XRaqgrQ
しかし、そのまま芽留の言葉を要求し続けるのは、流石に忍びない。望が、言葉を変える。
「………そうですね、言葉にしなさい、というのは少し言い過ぎましたか………すいません。」
「………………。」
「けれど、やはり先生は………あなたから、聞きたいんです。あなたの、意思を。」
「っ!」
「言葉でなくとも、構いませんから………。」
今度は本当に、優しく、なだめすかすように囁く。
芽留は、その言葉にしばし自分の中で葛藤した、その後。
「………ん………っ。」
望の言葉に従い、自ら………ぴたりと閉じていた両脚の力を、緩めた。
再び、望の指が芽留の太腿に着陸する。さきほどと同じ様に、優しい手付きで滑らかな肌を撫で、
そして………今度は迷い無く、躊躇い無く、その内股をさかのぼっていく。
「………ふ、ぁ………。」
滑るように、徐々に自らの最も大切な場所へ接近するその動きに併せて、芽留の身体は震え、同時
に高まっていく。その、最奥………白い下着に、望の指がぶつかった瞬間。望は、膝の上の芽留の
身体が、急激に強張っていくのを感じた。
「ひ、ッ………!」
「………大丈夫です。そんなに、乱暴なことはしませんから。」
なるべく驚かせないよう慎重に、その様子を探る。徐々に指に掛かる圧力を増していくと、押し
付けられた布地が、微妙に湿り気を帯びているのが感じられた。
「………ひゃ、ん………っ………。」
一旦力を抜き、また力を込める。それを数回繰り返し、芽留の最も敏感なその場所に、自分の到達
を知らせる。同時に胸を愛で、首筋や耳に唇の愛撫を加えてやると、芽留の身体も徐々に解れて
いくようだった。
望は頃合を見て、前後に圧迫するだけだった動きに、徐々に、上下に擦る動きを加えていく。
「………あ、ぅ………ぅっ………。」
指先が、いまやしとどに濡れた布地の向こう側の、芽留の形を感じる。脚の付け根の間に走る、
スリット。未だ何者の侵入も許していないであろう、芽留の、秘部。
望の愛撫に応える様に、温かな液体を滲ませながら。そこは確実に、望の愛を受け入れる体勢に
入りつつあった。
「ん、あ………ひんッ、ん、やぁ………ッ!」
上下に擦る速度を、上げる。芽留の声の艶が、増して行く。
芽留の入り口が十分に濡れ、解れ、自分の指を受け入れる準備が整ったことを確かめてから。
望は遂に………脚の付け根から、下着の内側へと、侵入を開始した。
「〜〜〜ッッッ!!!」
芽留の愛液に濡れた望の指が、直に、芽留の秘部に触れる。その瞬間、芽留の背筋から全身へ
向けて、痺れるような強烈な感覚が放たれた。
体中の熱が増して、それが一気に頭の中に流れ込む。脳髄が痺れて、何も考えられなくなる。
「………大丈夫。怖くありません………大丈夫。」
生まれて初めての、あまりに強烈な感覚に飛びかけた意識を、望の抱擁がつなぎとめる。
「ちょっとだけ、我慢してください………少し、馴染ませますから………。」
望は芽留の耳元でそう囁いてから、芽留の秘部に指で軽い愛撫を加え始めた。指が上下に動く
のに併せて、芽留の身体が痙攣し、愛らしい声が上がる。
「あ、ひ、ぁッ………あ、あうぅ………!?」
直に触れたその感触が、芽留の準備が既に整っていることを知らせる。望は、ほんの少しだけ
躊躇した、後………その躊躇いを振り切るかのように、芽留の首筋に口付けを落とし、そして。
「………失礼、します………っ。」
「………は、ぁ………あ、あ、あぁぁぁッッッ!!?」
芽留の内部へと、侵入した。
常人より細いその指が、芽留の幼い入り口を押し開き、侵攻を開始する。緩んだ入り口は存外
すんなりと望の指を受け入れたが、しかし、灼熱のその内壁は、異物であるそれを排除しよう
としているのか、痙攣を繰り返しながら望の指を容赦なく締め付けてくる。
「は、はッ、っ、あ、ぁ………あ、ひぁッ、んぅぅ………!?」
生まれて初めて感じる他者の異物感と、圧迫感と、それを覆い尽くすような快楽の波。それらが
混ざり合った渦の中に、芽留の心が溺れていく。
普段の彼女なら有り得ない声量で、芽留は絶え間なく喘ぎ声を上げ続ける。
31文字と声 7/8:2007/09/11(火) 17:11:45 ID:6XRaqgrQ
「(………い、1本入れただけで、これでは………大丈夫なんでしょうか………。)」
一抹の不安を感じながらも、望は、挿し込んだ指を恐る恐る前後に動かし始める。呑み込まれた
指が芽留から引き抜かれてゆき、それがまた新たな感覚の波を生み出す。
そうして抜き差しを繰り返し、芽留の身体を、行為の終点に向けて徐々に高めていく。
少しずつ、指の動きにバリエーションを持たせていく。指を曲げ、伸ばし、内壁を優しく擦る。
「や………ぁ………ッ!?」
やがて。芽留自身の身体が、自らの臨界点を感じ始める。
今まで、自分で自分を慰めたことが無いわけではないが………しかしこうして、他人の手で絶頂
へと誘われるのは、もちろん初めての経験だ。良い意味でも悪い意味でも、自制など効くはずも
なく、与えられる衝撃はかつてない強烈なものとなる。
それまで経験したことのない大きな波が迫るにつれ、芽留の心に、ぽつり、ぽつりと恐怖にも
似た感覚が浮かび始める。ぼうっと中空を見つめていた眼がきつく閉じられ、緩んでいた口が
歯を食い縛る。ぞくぞくと背筋を走る快感に、寒気のようなものが入り混じってくる。
「ひ、ッ………………!!」

しかし。
様々な感情、感覚がない交ぜになったその想いを、口にすることもままならず………ただ、
すぐそこまで迫り来る『その時』を感じ、震える芽留の小さな身体が。
不意に、暖かな物に包まれる。

「ぁ………っ………?」
制服が捲くれ上がった背中全体から、じんわりと伝わる体温。
望は、芽留への愛撫を続けながら………その全身で芽留の身体をすっぽりと包み込むように、
彼女に寄り添った。
芽留の身体が………愛しいその人を感じる面積が、広がる。それにつれて、快感の中に混ざり
込んでいた恐怖の濃度が、薄まっていく。そしてその代わりに………充足感というか、幸福感
というか、とにかく芽留にとって幸せな暖かさが、心に流れ込んでくる。
「………大丈夫です。心配しないでください。私は………ここに、居ますから。」
耳元で、酷く優しい声がそう囁く。
その声と、柔らかな幸福感と、じんわりとした体温に包まれながら。

芽留は………生まれて初めて、愛する異性から与えられた絶頂を迎えた。


32文字と声 8/8:2007/09/11(火) 17:12:36 ID:6XRaqgrQ
///////////////////////////////////////////



「………面目次第も御座いません………。」
望が、心底申し訳なさそうな声で謝罪する。今度は土下座ではなく、行為を終えた姿勢のまま、
膝の上の芽留に向かって、である。
『んなこたどうでもいいんだよ』
「いえ、しかし………まさか、腰を抜かしてしまうとは思わなくてですね………。」
『どうでもいいっつってんだろ それ以上言ったら悲鳴上げるぞ』
「………はい………。」
そもそも芽留に悲鳴を上げるなんて芸当が可能なのか………という疑問に思い至る余裕も無く、
望はやはり申し訳なさそうにうな垂れた。
そうして落とした視線の先に、また、ディスプレイが現れる。
『それよりも』
「………な、なんでしょう………?」
芽留は、望に寄り掛かったまま………しかし、望の視線を避けるように携帯を身体に引き寄せて、
次の文章を打った。
そして、続く言葉を読んで………望が、ぎくりとする。
『お前 そのままでいいのかよ』
「………え………あ、いや………。」
嫌な汗が、首筋を流れ落ちる。
『バレバレなんだよさっきから ずっと当ててんだろうが』
「いやその………これはですね、なんと言うか………。」
『オレの身体弄くって そんなんなってんだろ 違うか?』
反論など出来るはずもなく、望は頬を赤らめながら肩を縮ませた。

望の意識が集中すると………望の分身は、余計に、膨張してくるような気がした。
行為の間中、芽留の身体に押し付けられ続け、絶棒は既に完璧な臨戦態勢を整えていたのだ。

『このロリコン野郎が そんなんなってたら 最後まで相手しねぇと気分悪いだろうが』
芽留が、少し遠回しな提案をする。望は、一瞬だけその先の行為を想像し、また余計に絶棒を
反応させたが………すぐに、疲れきったような微笑を浮かべて、それを断った。
「お気持ちは、嬉しいですが………それでは、音無さんの身体が持たないでしょう。」
『あ? チビだと思ってナメてんのか』
「無理はいけませんよ、大切な身体なんですから。それに………。」
『………なんだよ』
「その………音無さんさえよろしければ、いつでもお相手しますから。」
文字を打つ指が、止まる。
「………そんなに、焦らずとも………時間はありますから………。」
望は、声でも携帯の画面でも沈黙した芽留の髪を、そっと、撫でた。
『………おいコラ』
ディスプレイに、短い文章が映し出される。
「はい?」
『こういうときは苗字じゃなくて 名前で呼ぶのが礼儀ってもんだろ』
「あ………す、すいません………。」
『マジKYだなお前 すいませんじゃねぇだろ いいから呼べ』
望が、苦笑する。
「………はい、はい。」
『早く』
「………愛してますよ………芽留さん。」
芽留の体温が、また、上がった。
33文字と声:2007/09/11(火) 17:19:13 ID:6XRaqgrQ

………以上でした、お粗末様でした
芽留は、メール弁慶のあの性格こそが実は照れ隠しなんだと勝手に確信しております
本当は、ちょっと素直になれないだけの純な女の子、それがウチの芽留です

そして、遅ればせながら430氏へ
漫画とは一味違う、女の子らしいカフカに毎度毎度萌え狂わせて頂いております
やきもち可愛いよやきもち、最中のデレデレでとろんとろんな感じもツボ突かれまくりです
あと久藤くんと倫のカップルも非常〜に素敵です
34文字と声 おまけ分:2007/09/11(火) 17:20:19 ID:6XRaqgrQ
(作中に入れたかったけどどうも上手く組み込めなかったんでおまけ化)

「ところで………今まで、声が出なくなったこととかって、あるんですか?」
『いや 無ぇよ』
「そうですか………どうしてでしょうねぇ。昔は、少しは喋ってたんですか?」
『お前が来る前の担任は 少しでも喋らせようとして 必死だったみてぇだからな』
「………まぁ、更正させようと思うのが、普通の教師ってことですか………。」
『お前全然そういうのツッコまねぇからな 喋る機会なんてどんどん減ってったぜ』
「そうですか。いやはや………そうなると、少し考えた方が良いかも知れませんねぇ。」
『何がだ?』
「いえ………声が出なくなったのも、私が指摘しなかった所為なのではないか、と………。」
『別に 今まで通りで構わねぇよ』
「うーん………しかしそれでは、またこんなことになってしまうかも知れませんし………。」
『構わねぇっつってんだろ 何回言わすんだボケ マジ空気読めよ』
「は………空気………?」
『いつでも相手するっつったのお前だろ どんだけ鳥頭なんだクズ野郎』
「あ………………。」
『ここまで言わす前に気付けボケ 鈍感 ロリコンメガネ』
「………解かりました。そのときは………また、お手伝いしますよ。」
『解かりゃいいんだ 全く世話の焼ける担任だぜ』
「………面目次第もございません。」
35名無しさん@ピンキー:2007/09/11(火) 17:24:54 ID:5e1Ympu+
リアルタイム乙!!
一体このスレに何が起こっているんだ…。
全てにおいてクオリティが高すぎる…。
36名無しさん@ピンキー:2007/09/11(火) 17:48:30 ID:hNpfzuHR
か、神の所業だ・・・・いわゆるGod Job!

しかし芽留、最近職人様方に愛されてるな。
読む専の俺には良い傾向だっぜ。
37名無しさん@ピンキー:2007/09/11(火) 18:21:08 ID:umFFRC80
うおおー!
芽留神の降臨だ!!
最近のスレの流れはマジすごすぎる

ところで430氏の題名は、もしやあの茶室か。
この間行ったばっかだから臨場感あってすげぇ萌えたw
38名無しさん@ピンキー:2007/09/11(火) 18:27:00 ID:JFkUi13S
GJです。
39名無しさん@ピンキー:2007/09/11(火) 20:52:24 ID:mI3ASEQZ
芽留もの読みたいよ芽留ものとか思ってたら神が!
40名無しさん@ピンキー:2007/09/12(水) 04:45:35 ID:9fgkUtwQ
ネ申降臨
GJすぎて息子が着席してくれないぜ
あなたさえ良ければ本番も書いて下さいませ
41前スレ851:2007/09/12(水) 05:19:07 ID:NwxuJj9G
ハルチリを考えていたらまったく違うものができてしまいやがりました。
エロなしです。すまん。興味の無い人は読み飛ばしてください。
恥ずかしいけど、明け方ハイの状態の内に書き込んじゃいます。
42カウンセリング:2007/09/12(水) 05:19:50 ID:NwxuJj9G
 「珍しいわね」
 いつものように登校し、カウンセリング室の受付箱を調べて新井智恵は思わずそう呟
いた。箱の中には相談受付カードが1枚だけ入っており、氏名の欄には木津千里、相談
内容の欄には「ご相談したいことがあるのでお願いできますか。」とだけ几帳面な字で
書いてある。
 そもそも二年へ組の生徒から相談の申し込みがあったことが今まで一度もなかった。
担任である糸色先生だけはしょっちゅうカウンセリング室に現れては相談とも愚痴とも
つかぬ話をして帰るのが日課のようになってしまっているのだが。
 普通なら担任を通じてカウンセリングの日時を生徒に伝えるのが手順だが、何かそう
しない方がいいのではないか、という勘が働いて直接会って伝えることにした。
43カウンセリング:2007/09/12(水) 05:20:50 ID:NwxuJj9G
 放課後に教室から出てくるところを捕まえるつもりで、6限目が終わる少し前にへ組
の教室に向かった。水曜日の6限はホームルームで、想像していたとおり、教室の中は
蜂の巣をつついたように大騒ぎである。またいつものように糸色先生の無茶な授業で大
混乱といったところなのだろう。教室の近くまで来るとちょうど木津が司会となって何
かを話しあっているところのようだった。
 「マ太郎、授業中中に走り回らない! 赤木さん、本当にその出し物でいいんですか
?!」木津が声を張り上げているのが聞こえる。戸の小窓から覗くと、糸色先生は壁に
頭をこすり付けてなにやらぶつぶつ呟いている。
 「どっちが先生だかわからないわね」思わず笑みがこぼれた。
 ちょうど授業終了を告げる鐘が鳴り、間髪を置かずに生徒達がどかどかと出てくる。
木津も出てくると、すぐに新井に気づき、ちょっと緊張した様子で近づいてきた。
 「木津さん 明日の放課後でいいかしら」
 「はい、大丈夫です。」
 「そう じゃあ明日お話しましょう」
 どんな相談内容であるのか少し訊いておいたほうがいいのかとも思ったが、他の生徒
達もいる手前、短くそう言うと教室を離れた。
44名無しさん@ピンキー:2007/09/12(水) 05:21:23 ID:NwxuJj9G
 その日は特に忙しいこともなく、カウンセリング室でちょっとした書類仕事をしてか
ら家に帰った。もともと都内でもかなり上位の進学校であり、深刻な問題などほとんど
起きたことがないし、はっきり言えば暇な仕事であった。
 新井は非常勤の教師である。給料もそんなに良いわけではない。学校の近くに安いア
パートを借りて住んでいるが、そこの家賃でさえ払ってしまうと、それほどお金が余る
わけでもない。まあ暇があるのはありがたいし、その時間を使って正規の講師の職でも
得られればと資格の勉強などもできる状態ではあったが、なんとなく不満を感じている
のは確かだった。
 「糸色先生の家は、資産家だそうですよ」少し前の飲み会で甚六先生に言われた言葉
を思い出した。もちろん彼も冗談で言っているのだが、糸色先生がしょっちゅうカウン
セリング室に新井と話をしに来ていることも知っている。
 「甚六先生、糸色先生は単に冗談を言いに来ているだけですよ 面白がっているんだ
と思います それにそういう話題は職場ハラスメントにあたるんじゃないですか」
 「いやいや先生 ほんとに冗談ですから 真面目に受け取らないでくださいよ」
 話はそれで終わってしまった。確かに冗談なのだろう。
45カウンセリング:2007/09/12(水) 05:22:20 ID:NwxuJj9G
 家に帰ると、食事の支度をし、特別に何かすることもなく時間は過ぎていき、横にな
った。目をつぶってからも木津の相談のことが気になっていた。普通なら相談票には進
学のについてであるとか、健康上の問題であるとか書くようになっており、話を聞いた
うえで、適切な先生や外部の医師に取り次いだりするのだが、あの内容ではどんな相談
なのか想像がつかない。
 「まあなんにしても話を聞いてから考えればいいことね」そう考えているうちに眠っ
てしまった。

 * * *
46カウンセリング:2007/09/12(水) 05:22:51 ID:NwxuJj9G
 次の日、放課後すぐに木津千里がカウンセリング室に現れた。
 「いらっしゃい そこに腰掛けて お茶でいいかしら?」
 「はい、いただきます」
 二人分のお茶をいれ、新井も席に付いた。
 「木津さんは進学希望よね 志望校とか希望学部とか決まっているの?」
 木津の成績についての詳細は、手続きをした上で担任から聞かなければわからないが
、彼女の成績がずいぶん良いことは噂で聞いて知っていた。
 「はい、文学部がいいと思っているんです。でも数学も得意だし理系もいいかなって
。まるで正反対なんですけど。」ちょっと笑って緊張も解けたようだった。

 「それで今日はどういう相談がしたいのかな?」
 「はい、実は・・・。」さっきまでの態度とは違い、急に緊張してしまった様子で、次の
言葉がでてこない。
 「別にそんなに緊張しなくても、話しやすいところから喋ってもらえればいいのよ」
 何か言いかけては言いよどみを繰り返し、感情が高ぶってしまったのか少し涙を浮か
べて、ようやく口を開いた。
 「実は、糸色先生のことなんです。」
 それを聞いて、新井は特に驚かなかった。むしろそうであることは最初からわかって
いたような気がした。
 「そう」
 「こんなこと学校で相談するのが変なんだと思いますけど・・・私先生のことが・・・いえ
、私先生に嫌われていると思うんです。」
 「どうしてそう考えるのかしら 木津さんは成績もいいし とても良い評価をされて
いると聞いていますよ」
 「そうかもしれませんが、私は心配しているのは、実は・・・。」
 また言葉がでてこなくなった。
 「先生のことが好きなのかな?」新井がそういうと、木津はこくりとうなずいた。

           * * *
47カウンセリング:2007/09/12(水) 05:23:25 ID:NwxuJj9G
 「先生のことが好きな子は、クラスには他にもいます。でも私は特別だと思ってい
たんです。」
 また少しずつ言葉が続き、木津は保健室であったこと、修学旅行の下見であったこと
、いろいろなことを話した。
 普通ならずいぶん思い込みが激しい子であると思うのが当然だろうが、新井は木津千
里という生徒の気持ちが良くわかったし、見た目よりもずっと幼い感じの部分の中にあ
る、ひたむきさ、純真さに好感を持った。
 「私、やっぱり変ですよね?
 「そんなことないわ。ちっとも変だとは思いませんよ」
 修学旅行の話では「それは 糸色先生もひどいわね」と言い、一緒に笑った。

 一時間ほど話ただろうか、木津もすっかりリラックスしていた。
 「先生の立場としては こういう問題は・・・」
 「いえ、いいんです。なんか話をすることで、私、すごく・・・」
 木津は落ち着いた様子ではあったが、わずかに不安げな声で続けた。
 「先生、今日話したことなんですが・・・。」
 「大丈夫ですよ。誰にも話さないのは当たり前だし、記録にも残しません。まあ相談
に来たのは事実だから進路相談だったということにしておきましょう そろそろ理系か
文系かくらいは決めておかなきゃならないしね」
 「はい。」
 「またいらっしゃい」
48カウンセリング:2007/09/12(水) 05:25:24 ID:NwxuJj9G
 木津を送り出し。新井は新しいお茶を飲みながら、窓の外を眺めた。
 「糸色先生については、きっとほかにも相談を受けなきゃならない生徒がたくさんい
るんでしょうね」
 私の相談は誰が聞いてくれるのだろう、そう考えて少し笑った。
 
 完
49名無しさん@ピンキー:2007/09/12(水) 05:41:23 ID:XGnQSj8j
描写でのキャラの表記が苗字なのに少し違和感があったけど良かったと思います。
あえて言わせて貰うと、千里は原作でも可符香の事を「可符香」と呼ぶって事くらい。
50名無しさん@ピンキー:2007/09/12(水) 08:18:03 ID:hyq5gyPL
851さん、GJ!
この何気ない日常感がいいな
51名無しさん@ピンキー:2007/09/12(水) 15:12:01 ID:TnV+WshU
のどかな感じだなぁ
千里は可愛いわ、智恵先生は優しいわ………オレはどっちに惚れればいいんですか
52名無しさん@ピンキー:2007/09/12(水) 19:06:27 ID:lYxfMB06
>>851

さすがは日常描写の神851。

ハルチリも気体
53名無しさん@ピンキー:2007/09/12(水) 21:13:52 ID:HAt4O9j0
>>51
そんなあなたに、「両手に花」といふ言葉をw


お疲れ様です。奈美燃えwですww
奈美の一人称で書いてみました。
エロ、恋愛無しの上、長いですので、趣向に合わないと思った方、読み飛ばしを推奨です。

えっと、前スレの、どこかのスレからのコピペリクエスト? から湧きました。
でも、リク内容とは大分かけ離れてるかとww
投下・・・・・・いいでしょうか?
54名無しさん@ピンキー:2007/09/12(水) 21:17:48 ID:TX3MvDwT
いいよって言ってほしいの?
55名無しさん@ピンキー:2007/09/12(水) 21:18:49 ID:HAt4O9j0
・・・・・・・・・・・はいww
56名無しさん@ピンキー:2007/09/12(水) 21:37:45 ID:W70taVCa
もう・・・・・・・・・解かったわよ、いいよって言えばいいんでしょ?

べ、別に私が読みたいわけじゃないんだからね!
あんたどうしてもって顔してるし、もしかしたら需要あるかも知れないし・・・・・・・・・それだけよ!?
57奈美:普通に一番長い日   1/8:2007/09/12(水) 21:38:23 ID:HAt4O9j0
私は不登校少女だった。
だけど、いろいろあって、今ではすっかり登校少女になった毎日を送っている。
でも、今、私は
もう一度、不登校少女になりたい気持ちに包まれていたんです。


今日は8月31日。
部屋の窓から見える夕焼けは、悲しいくらい綺麗だった。
そして、部屋の床に散らばるテキストの山から、私の目をそらさせてくれました。
優先順位を間違えてる私も悪いけど、先生もこんな時に外に連れ出さなくても、と思う。
いや、火事があったのは大変なんだけど。
何とか終わったのは、絵や感想文、あと日記。
そして、一応は得意科目と言える現国のテキスト。
私は、古文のテキストを広げながら、残っている課題を考える。
残りは、世界史・日本史・数学・物理。・・・を明日の朝までに。
「むりだよぉ・・・・・」
私は半べそをかきながら、それでも健気にテキストを進める。
後に残るものほど苦手科目なのだ。・・・・・・間に合わない自信はある。
こうなったら恥を忍んで誰かに助けを!
・・・そう、思ったのは、古文を半分ほど進めた時だった。
時計を見る。  『19:45』
今ならまだ間に合う。
そう思った私は、すばやく携帯を掴みメールを打った。
『ゴメン! 何も言わずに しゅくだい写させてー!』
・・・・・・何だか少し、気が楽になった。
やる気が湧いた私は、再びテキストに目を落とす。
・・・ぴろりぱらりら〜
速攻で、メールを開く。
『普通に人に頼んな! こっちもそれどころじゃねー! バカ!』
・・・・・ああ、こんな時も「普通」と付け忘れないんだ。
ちょっと逃避気味に、変な所に感心してると、
・・・ぴろりぱらりら〜
『日本史貸してやる 代わりに 現国か古文写させろ』
・・・・感謝します。
『じゃ、今からファミレスでいい?』
『よし オゴられてやるぜ 感謝しろ』
はうぅ・・・・・。
とりあえず、財布と残りのテキストを抱えて、私はファミレスへと駆けて行ったのだった。
58奈美:普通に一番長い日   2/8:2007/09/12(水) 21:40:01 ID:HAt4O9j0


ああ・・・・・蒸し暑い日のファミレス店内は、ホント天国。
芽留ちゃんよりも先に着いた私は、本人が来る前に注文をしておく。
・・・財布の中身も、冷房ききすぎだし。
とりあえず、テキストを広げて進めていると、芽留ちゃんが来て、静かに正面の席に座った。
彼女が、カバンをごそごそしている所で注文が運ばれてくる。
『・・・オイ! コラ! ブス!』
予想通り、携帯の画面が私の前に差し出された。
私に運ばれて来たのはアイスコーヒー。
彼女は・・・・・・プリン。
私は芽留ちゃんに手を合わせる。
「ゴメンね! もう今月サイフの中が厳しくって・・・・」
『無駄使い しすぎなだけだろ  バカ』
・・・じつは、半分ウソ。
ここでうっかり、「芽留ちゃん、プリン食べる姿がすごく似合うの。癒されたくてさ。」などと言ったら、
顔真っ赤にした彼女から毒舌メールの嵐が吹き荒れるだろう。
黙秘、黙秘・・・・っと。
とりあえず、芽留ちゃんとテキストを交換して、やりかけの古文は二人であれこれ言いながら埋める事ができた。
・・・こっそり、プリンを口に運ぶ芽留ちゃんに癒されたのは内緒。
そういえば・・・・・・
「ねえ、芽留ちゃん。他の教科ってもう終わったの?」
ちょっと期待して聞く私。
芽留ちゃんは小首を傾げて、携帯の画面を出す。
『終わったぜ まだやってないバカに 貸した』
ええ!?
淡い期待を打ち砕かれ、よろめく私。
『いい稼ぎになったぜ』
「有料なんだ!?」
芽留ちゃんは、小さく首をすくめた。
『オレも サイフの中身 サムかったからな』
事も無げに言う彼女に、しばし放心してしまう。
芽留ちゃんによると、あとは絵や日記などを仕上げるだけなので、もう気が楽だとか。
『で、オマエ 間に合うのか ん?』
うっ・・・・・・・・
「正直ムリ・・・・・。誰かのを写すなら何とかなるけど、自力で解いていたんじゃ明日一杯かかるよぉ・・・・・」
『マ  死ぬ気でヤレ』
いよいよベソをかきだした私に、芽留ちゃんは、
『ほかに写させてくれそーなヤツ いんだろ 考えろ』
「他っていっても・・・・・・晴美ちゃんは、なぜか連絡つかないし・・・・」
ズイ。と、携帯が差し出される。
『しっぽ女  真ん中分け 辺りなら もう終わってんだろーよ』
あ・・・・・そうだ。確かに、あびるちゃんは成績が上位だし、千里ちゃんはキッチリ終わらせてるハズ!
さっそく二人に連絡。
・・・でも千里ちゃんは、中々出ない。メールにしておこう。
「・・・じゃ、あびるちゃん居るかな・・・」
・・・・・・・・・・・繋がった!
「・・・もしもし? あびるちゃん? 急にゴメンね! じつはその・・・・・・」
オッケー! 
『しっぽ女か』
「うん! でも、彼女もいろんな人に貸しちゃっていたから、ダブってない教科、世界史だけなんだって・・・。
でも助かる! ゴメン! 私、行くね!」
そういって席を立つと、芽留ちゃんも席を立った。
「じゃ、また明日ね!」
『骨は拾ってやらねーぞ』
・・・・・・縁起でもない事。

59奈美:普通に一番長い日   3/8:2007/09/12(水) 21:41:30 ID:HAt4O9j0
芽留ちゃんと別れて、あびるちゃんの家に着いた時は、すでに9時を回っていた。
でも、あびるちゃんは、こんな遅くでもすんなり玄関を通してくれて、私は現在、彼女の家の居間でテキストを丸
写しさせてもらっていた。
・・・・・静かなのはありがたいけど、家の人はいないのかな?
「遠慮いらないわ。父さん、今日は遅いみたいだから。」
私の様子でわかったのか、あびるちゃんはそう説明してくれる。
お礼を言って、私はテキストを進めていたけど、
「あれ・・・・そういえば、あびるちゃんの部屋ってここなの?」
「私の部屋、今、散らかってるから。」
そうなんだ。
結構、部屋を片付けないタイプなのかな・・・・・・・
「・・・臭いもきついし。」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
今・・・・・・・何て?   ・・・ニオイ?  臭うほど散らかしてるの・・・・・?
ビビーッ!!
私の頭の中で疑問が湧き上がった時、玄関のブザーの音がした。
「ああ、届いたみたいね。」
そう言って、彼女は玄関の方へと行ってしまう。
・・・まあ、私も、片付けは得意じゃないし、そんな事もあるかな。
そう考えていると、ダンボールに入った荷物を抱えたあびるちゃんが居間に入って来た。
彼女も通販とかするんだ。
そんな事を思いながら、居間を横切っていく彼女を見ていると、
『・・・キィーィ! イーィ! キキィー!』
「ひっ!!」
私は思わず声を上げてしまう。
その怪しい動物のような鳴き声は、確かにあびるちゃんが抱えているダンボールから聞こえる・・・!
「な、な、何!?」
「・・・・・・・気にしないで。」
いえ、気にするなって言われても・・・・・・
「すぐ止めるから。」
・・・・・へ? 止める? 
・・・・・・目覚ましのアラームか何かなの?
硬直している私を尻目に、彼女は奥へと去っていく。
また、その、泣き声? のような物が聞こえはじ・・・・・
『グゲァ!!』
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
静かになった。
目覚ましにしてはヘンなアラームだったけど・・・・・・・まあいい。とりあえず、テキストをすすめよう!
カリカリとペンを走らせる音が響く。
「・・・・・・ただいまー。」
あれ、あびるちゃんのお父さんかな?
「・・・おや、友達来てるのかい?」
「おかえり。うん、ともだち来てるわ。悪いけど部屋に行ってて。」
「いや、あいさつくら・・・・・・」

グワンッ!!

「・・・なに、どしたの?」
夕食の準備でもしていたのか、フライパンを片手にあびるちゃんが居間に入ってくる。
「いつものあいさつよ。気にしないで。」
そうなんだ。
「・・・・あいさつがわりって言うのかな?」
・・・・・・何が?
彼女の呟きに、口を開こうとした私だったけれど、すでにあびるちゃんは廊下に消えていた。

60奈美:普通に一番長い日   4/8:2007/09/12(水) 21:43:47 ID:HAt4O9j0
「できたー! ありがと、あびるちゃん!」
万歳をして私はあびるちゃんにお礼を言った。
「でも、まだ残ってるんでしょ?」
・・・・・・クールなご意見です。
「うん・・・・千里ちゃんにも連絡してみたんだけど・・・・・」
そういって携帯を取り出して、新着メールがある事に気がついた。
すぐに開くと・・・・・・千里ちゃん! 
「・・・・・・・千里ちゃんOKだって! うわー助かるー!」
「よかったじゃない。」
あくまでクールなあびるちゃんに何度もお礼を言って、私は彼女の家を出たのだった。


「ゴメンね! ゴメンね! こんな遅く。」
千里ちゃんが私を玄関で出迎えてくれたのは、11時を回ろうとした時刻だった。
はっきり言って非常識な時間帯だ。
そんな私を、普段と同じように出迎えてくれた千里ちゃんに「ごめんね」を何度も繰り返し、私は玄関を通された。
「お母さん達はもう寝ちゃったから、そっと付いてきて。」
・・・・・・・迷惑かけます。
心の中で、何度もつぶやきながら、私はそっと彼女について暗い廊下を歩く。
ちょっと暗くて歩きにくいけど・・・・・
ぺと
「・・・あひぇ」
我ながら間抜けな声とは思ったけど、無意識に声を抑えようとしてこうなったんだろう。
・・・って・・・・・いま、壁に手をつけたら、何かついたー!
「あ、そこの壁。まだ、塗りたてなのよ。触っちゃった?」
千里ちゃんはそう言って、ティッシュを渡してくれた。
・・・あ、ホントだ。ここだけ色が違う。
私は、もらったティッシュで手を拭く。
「・・・修理中なの?」
「ちょっとね。まあ、壁が厚いから、きっちり埋まって良かったけど。」
埋める・・・・?  穴でも開いちゃったのかな?
そんな事を考えながら壁を見ていると、
「こっちよ。私の部屋二階だから。」
そっと階段を上がって、千里ちゃんの部屋に通された。


初めて来たけど、予想通りキッチリ整えられた部屋だった。
・・・フローリングの、木目の向きまで揃ってるとは思わなかったけど。
「他の教科は貸しちゃっていて、数学だけ、今あるの。悪いわね。」
全然、悪くないです。・・・むしろ、拝みたいくらいです。
「・・・ホントありがとー。速攻でパパッと写すからね。」
「駄目よ、そんなの。」
はい・・・・?
テキストを開きかけた私に、彼女はピシャリと言う。
「正確に写さなきゃ駄目でしょ。誤字・脱字も無い様に。計算式も綺麗に写す事。」
・・・・・じ、時間かかりそう。
「数字って、人によって形がまちまちだと思わない? そういうのイライラするのよ。」
「・・・そ、そうかもだけど。」
考えただけでちょっとストレスが・・・・・・
「じゃ、あとで見にくるから。しっかりね。」
添削付きですか!?  ってことは、やり直しもあり?
一人、汗してる私に気付かず、千里ちゃんは部屋を出ていってしまう。
・・・選択の余地は・・・・・・無いみたいだ。
ちょっと開き直り気味にそう思って、私は緊張したままペンを走らせるのでした。

61奈美:普通に一番長い日   5/8:2007/09/12(水) 21:47:42 ID:HAt4O9j0
緊張して何度シャーペンの芯を折った事か。
ふと、時計を見ると、とっくに0時を回り・・・・・・・1時の方が近いや。
自分で解くよりは確かに早いけど・・・・・・・ああ、もう、考えるのヤメ!
とにかく進め!
・・・・・と、思ったら、シャーペンの芯が切れた。
予備は・・・・・・無い。
悪いけど、千里ちゃんに分けてもらおう。

・・・・そっとドアを開けて廊下に出る。
暗くてよく判らないけど、階段と反対の廊下は、出てすぐに折れ曲がってた。
千里ちゃんが居るとしたら、あっちかな?
私は足音を忍ばせて、曲がり角から先を覗いてみると、
「・・・・・・あ・・・・・千里・・・ちゃん?」
ちょうど奥へ行く千里ちゃんの後ろ姿が見えて、ためらいがちに声をかけた。
・・・・・ん・・・・・あれ?
「・・・千里ちゃん? 何、持ってるの?」
彼女は大きな・・・・・袋? 麻袋かな? を引きずっていた。
・・・・・なんか、黒い染みが所々についてるように見えるけど、暗くてよく見えない。
私に気がついたのか、一瞬、振り返った・・・・・・ように見えたけど、そのまま袋を引きずって、奥のドアに入って
いってしまった。
・・・・・・・・・・・??
「どうしたの?」
「ひっ!?」
突然、後ろから聞こえた声に振り向くと、そこには小さなトレーにフタ付きの耐熱皿を乗せた千里ちゃんが立って
いた。
・・・・あ・・・・  チーズのいい香りが・・・・・グラタンかな?
「・・・・いや、その。いまそこに千里ちゃんが居たと思ったんだけど・・・・・あれー?」
彼女は一瞬、眉を寄せたが、
「・・・ああ。お姉ちゃんが帰ってきたのね。」
「千里ちゃんの・・・お姉さん?」
「ええ。驚かせちゃったわね。・・・あ、奈美ちゃん。これ、夜食にどうぞ。」
そういって、トレーを渡してくれた。
「・・・・・・ありがとう、千里ちゃん。」
ちょっと、ジーンとして目頭が熱く・・・・・・・・
宿題の事しか頭になかったけど、お腹がすいていた事に気がついた。
シャーペンの芯の場所を教えてもらい、彼女はお姉さんを手伝うと言って奥の部屋へ。
・・・・・・何の手伝いだろ? まあいいか。
千里ちゃんの優しさに、感動を覚え、部屋に戻った私は、テキストの残りを写し終えたのでした。

夜食のグラタンは涙が出るほど・・・・・・・・・・アレな・・・・・味付けでした・・・・・・


二回ほど千里ちゃんの添削を受け、私が彼女の家を出たのは、もう、いわゆる「丑三つ時」だった。
私は、なるべく明るい道を選んで、小走りで進みながら思案に暮れている。
残るは、超がつくほど苦手な「物理」。
自力でやってたんじゃ、絶対に間に合わない。・・・・・・かといって、さすがに、こんな時間に連絡とれるような相手
はいない。
・・・・・・もう、適当に書いて出しちゃおうかな・・・・・・・・・
でも、そんなことしたら先生、落胆するかな・・・・・・・・・
・・・いや、間に合わないほうが先生の負担になったり・・・・・・・・
つい先生の顔を浮かべて溜め息をついてしまう。
ああ・・・・・なんだか涙が出てきた。
「・・・・・駄目だ・・・・・どうしよ・・・・・」

ドシン!

「あたっ!」
そんな事を呟いてると、誰かにぶつかって、尻餅をついてしまった。
62奈美:普通に一番長い日   6/8:2007/09/12(水) 21:55:01 ID:HAt4O9j0
「ごめんなさい! よく見てなくて・・・・・」
あわてて謝る。
相手はスッと立ち上がって、私のほうに手を差し伸べてくれ・・・・・・・・あ・・・あれ?
「ダメじゃないですよ。」
聞き覚えのある声に、私は相手の顔を見上げた。
一番先に目に飛び込んできたのは、銀色に光る髪止め。
少し小柄な姿・・・・・・
「・・・カフカちゃん!? 何でこんな所に?」
「大丈夫です。間に合いますよ。」
私の問いを遮るように、彼女は片手を私に差し伸べた。
「私が、お手伝いしちゃいます。」
そう言ってニッコリと微笑んだ。
・・・ポロッと涙がこぼれた。
「カフカちゃ―ん!!」
思わず彼女の手を両手で握りしめた。
・・・・・・地獄に仏ってこんな気分の時使うのかな?
カフカちゃんは私の手を引いて、起き上がらせてくれた。
思わず、ベソベソと泣いてしまった私の顔を覗き込んで微笑む。
「ラストスパートですよ! 奈美ちゃん。」
「・・・・うん・・・ありがと・・・・」
涙を拭って、私も何とか微笑み返す。
・・・・・カフカちゃんに感謝の気持ちで一杯だった。


「・・・えっと、どうすればいいの? カフカちゃんのを写させてくれるとか?」
彼女に先導されて、私たちは急ぎ足で夜中の商店街を進んでいた。
「ズルはいけませんよ。・・・先生が悲しみます。」
・・・・ううっ・・・・
良心がチクチクする・・・・・・・・じつは、もう、ズルしちゃったんですが・・・・・
そんな私の葛藤を知ってか知らずか、
「方法は一つです。」
「・・・うん。」
彼女は立ち止まり、振り向いた。
「缶詰めになればいいんです!」
・・・・・うんうん・・・・・・・・・・って、・・・・・はい?
「缶詰め。それは古来より伝わる、由緒正しき、能率向上方法なのです!」
・・・・・そうなの?
私が口を挟む間もなく、
「作家・漫画家の著名人に始まり、神様と呼ばれるあの方も、この方法を愛用なさっていました。そして皆、物理
的には不可能と言われた締め切り間際でさえ、缶詰めの起こす奇跡により乗り切っていったのです。」
・・・なんか、そう言われると凄い事のように・・・・
「・・・・・私がその方法を伝授し、全力でサポートします! 奈美ちゃんは、安心して自らの力でこの苦境を乗り切
って下さい!」
・・・・・・・・・・!
「・・・うん! やるわ! 私!」
彼女の言葉に私は、力強くうなずく。
ちょっとノセられてる気がしないでもないけど、カフカちゃんが本気で言ってくれてる事は伝わってくる!
63奈美:普通に一番長い日   7/8:2007/09/12(水) 21:57:44 ID:HAt4O9j0

「こっちです。」
路地裏に入りしばらくゆくと、重そうな鉄扉が見えた。
私達はそこに入り、ほとんど真っ暗な建物の中を進み、
「ここを使って下さい。」
カフカちゃんが開けてくれたドアから、その部屋に入る。
その部屋は、中央に事務机が一つだけあって、左右にドアが一つずつあるだけの殺風景な所。
「・・・何だか取り調べ室みたい。」
ぽつりといった私には構わず、カフカちゃんは説明を始めた。
「ここに、筆記具や、電卓。電子辞書。その他、便利な道具が入ってます。トイレは左のドアですよ。」
机の引き出しを開けながら。明るく説明をしてゆくカフカちゃん・・・・・・・・
・・・・・この明るさはどこから来るんだろ?
「眠気が一番の敵ですよ。この、カフェインドリンクを、栄養剤といっしょにどうぞ。眠気に負けないでくださいね。」
小首を傾げて微笑まれ、私は、少し眠気が湧いてきていることに気が付いた。
ダメダメ! あともう少しなんだ! カフカちゃんがこんなに応援してくれてるんだから・・・!
「・・・うん! ありがと、カフカちゃん! ガンバル・・・・・!」
「はい! 私は隣の部屋にいますね。何か困ったら呼んでください!」
そう告げて、軽く手を振り、彼女は右のドアへと消えた。
それきり、部屋の中は静まりかえり物音一つしない。
・・・そういや、来る途中も人の気配なんか無かったなぁ・・・・・・
そんな事を考え、私は何気に携帯を机の上に置いて・・・・・
ディスプレイの『4:29』が目に入る。
やばい! 
すぐさま座ってテキストを広げ、カフカちゃんにもらったドリンクと栄養剤を飲み干し・・・・・・・
「にがっ!!」
・・・ううう、苦くて当たり前! 眠気覚ましなんだから・・・・
・・・・・・・そういや、何て商品なんだろ?  『安眠打破』・・・・聞いた事ない・・・・・
「・・・・・・・・ん・・んん?」
不意に、頭の中を爽やかな風が吹き抜けるのを感じた。
・・・・・広い・・・・・・とてつもなく広大な空間を感じる・・・・・・
なんだろう?  清浄な場所に私はいる・・・・・・・・
自然と、ペンが動きテキストに文字を走らせる。
いつもなら、紙の上に乾いた音を立てるだけ・・・・・
だが、今のその音は・・・・・いや、音色は美しい旋律を奏で、私の背筋に電気が走った。
シャーペンをノックする。
軽やかな鈴の音が私の耳を打つ。
走るペンの音。紙の擦れる音。
全てが組み合わせられ、様々な音階を作り上げ、楽曲を奏でてゆく。
今、私は、まさに指揮者だった。
私の作り上げた旋律は、この広大な空間を駆け抜け、響き渡る。
それは重厚な交響曲のようだった。
様々な音色を私は作り上げ、自身の耳を駆け抜けさせていた・・・・・・・・


・・・・・・・・!
ふと、音が途切れた私の目の前には、テキストの最後のページがあった。
・・・・全部書き込まれている。もちろん自分の文字だった。
「とうとう、やり遂げたんですね。奈美ちゃん。」
いつの間にか目の前にはカフカちゃん。
胸の前で祈るように手を組み、私を見つめている。
・・・・・そうか、私、終わったんだ!
「・・・ありがとう。カフカちゃんのおかげだよぉ・・・・・」
彼女の手に自分の両手を添え、私は涙ぐむ。
・・・・・・私、結構、涙もろかったんだなあ・・・・
「奈美ちゃんの実力ですよ! お疲れ様で・・・た。・・・ご協・・・に感・・・・・・ます。」
何だか最後の方が聞き取れなかったけど、カフカちゃんも喜んでくれていたみたいだ。
64奈美:普通に一番長い日   8/8:2007/09/12(水) 22:02:54 ID:HAt4O9j0


「おっはよう! 芽留ちゃん!」
私は小走りで登校中、あくびをしながら歩いている芽留ちゃんを見つけ足を止めた。
あんまり寝てないのかな? 眠そうな目をしてる。
『間に合ったのか?』
携帯の画面を私に見せる。
「バッチリ! まあ、徹夜だったけどねー」
『・・・チッ・・・・』
「チッ、ってあなた・・・・」
私は苦笑を浮かべ、昨夜の一連の出来事を話してゆく。
あびるちゃん家の話をした時、彼女は小さく呻き、千里ちゃんの家の話で、ロコツに眉をしかめた。
『節穴か!?  オマエの目!?』
「・・・え?」
私は首をかしげた。
「・・・・・・そういや、少しヘンだった気がしないでも・・・・」
『鈍いっつーの!!』
私は苦笑を浮かべ、
「でも、あの時は宿題の事で、頭が一杯だったし・・・・・・・。最後にカフカちゃんに助けてもらったから良かったけ
ど。・・・じゃなきゃ終わらなかったよ。」
芽留ちゃんの手から携帯がポロッと落ちた。
慌てて拾い、青ざめながら文字を打って、
『何で そこで 電波女が出てくるんだ!?』
「・・・え? 偶然会ったんだけど・・・・・」
『そんな キモい偶然 あるかっつーの!』
・・・・・・・言われてみると、まあ・・・・・・・。
「・・・・・うん。まあ。宿題はできたし。」
『・・・・・・・・オマエ・・・・・』
がっくり肩を落として沈黙してしまった芽留ちゃんの手を引いて、私たちは校舎へと入って行ったのだった。


・・・・・・ひょっとして・・・優先順位・・・・・間違っちゃったのかな?


『(¬_¬)・・・普通にナ。』
「普通って言うなぁ!」



<芽留の追記>
『その後、三日三晩、謎の高熱に見舞われた普通女が居た事は・・・・・・まあ、書いておいてやるか。・・・ヤレヤレ』
65名無しさん@ピンキー:2007/09/12(水) 22:11:25 ID:HAt4O9j0
>>56
ツンデレサンクスですw  ・・・そろそろ自立しますね。


・・・奈美はあの後、宿題をどうやって片付けたのだろうと気になってました。
ちょっと話のまとまりがとれてないかな・・・・・

お粗末様でした。(礼)
66名無しさん@ピンキー:2007/09/13(木) 01:12:31 ID:KvX42bdl
スレ汚し失礼します。

望×芽留を書いてみました。29レスほど消費予定です。
もともと埋め予定で書いていたのですが、長くなったのでこちらで失礼します。
すでに投下されてる方が、メチャクチャうまいのでカナリどよんどしてますが、自分のような駄文人間も存在するということで。

非常に毒電波SSです。
ゴミ箱行きにしようかとも思ったのですが、前スレで予告的な事してたので無視は失礼かなと。
心が弱い大人なので、以下予防線を貼らせて貰います。スルーライフ大好きです。

・かなり長いです。<終わり>の文字が出るまで続きます。
・どこかの安いエロ小説のノリです。感動?ナニソレうまいの?(いやごめんなさい、最初は感動目指してたんですorg。)
・18禁
・コウノトリの生態に関する描写あり。ウザッって方はスルーを。
・細かい点はスルーパワーでなんとかお願いします。どうかどうかお願いしますm(__)m。
・ちょいロリ風味? 
・単行本の芽留の全身絵を見ながらハァハァして書いたせいか、かなりネチネチした文章になってます。
(いや、芽留たん可愛くてネチネチ苛めたくなry)

最後に、この作品を前スレ815さん、827さん、それと質問に答えてくださった874さんに捧げます。
67プロローグ:2007/09/13(木) 01:13:42 ID:KvX42bdl
11月初め。

窓から降り注ぐ小春日和特有の暖かな日差しの中。
1人の少女がトレードマークのツインテールを振り振りさせながら、廊下を歩いていた。
てくてくてくてく。
とにかく小柄な彼女は、歩幅も同じ年代の少女の半分以下しかない。
だから、歩くのも一生懸命。
てくてくてくてくてくてくてくてく。

懸命に歩く彼女の前に、彼女より少し早く登校した少女が見えた。
「あら。お早う、芽留ちゃん。いい天気ね。」
小柄な少女、音無芽留はポケットから携帯を取り出すと、素早くメールを打った。
”めるめる ぴろりぱらぽり〜♪”

同級生の少女が自分の携帯を取り出し、新着メールを開く。
『おはよう真ん中分け 今日もひた
いが光ってるな まぶしっ』
音無芽留は言葉を交わさない。その代わりにメールで会話をする。
ところがやっかいなことに、芽留のメールはいつも毒に満ちている。

それを見た真ん中分けこと、木津千里は、ムッとした顔で芽留の顔を覗き込んだ。
「あなた、きっちり改行しなさいといつも言ってるでしょう!」
めるめる
『朝から細かいこと気
にする
とハゲルぞ その真ん中か
ら1本づ
つな』
変な改行のメールを送ってあげると、千里はプチ魚の目になってガミガミと説教を垂れる。
予想どおりの反応に無性に嬉しくなる芽留。

芽留は2のへ組が嫌いじゃなかった。
いや、むしろ大好きなのだ。
超個性派だらけのクラスのせいか、芽留の悪癖はすんなり(?)受入れられた。
今ではすっかりクラスに馴染んでいる。
681章@:2007/09/13(木) 01:14:40 ID:KvX42bdl
(あ、早くいかないと)
芽留はカバンを教室に置くと、すぐにある場所に向かった。

とたとたとたとたとたとたとたとたとた。
裏庭に出て、校庭の隅っこまで一生懸命に走る。
と、そこには少し時代がかった服装の青年が枯れ木に水を上げていた。
彼は足音に気付いて振り向くと、にっこり笑った。
「音無さん、おはようございます。先にやってますよ。」
芽留の小さな胸が少し鼓動を早くする。
慌てて芽留はメールを打った。めるめる……。
『お早うさん、ハゲ男 まあイロイロ早いんだろうな 気にしろよ、少しはな。』
「ははは………。」
青年、糸色望は額に縦線を走らせる。
「あ、そうだ。頼まれていた石灰の肥料、買っておきましたよ。」

◆◆◆◆
この枯れ木に会ったのは、芽留がこの学校に入学してきたときだ。
大きく花咲く桜に新入生達が集まる中、誰にも見向きもされずひっそりと花をつけていた。
芽留は何だかこの木が気になってしまい、休み時間になるといつもこの木の下にやって来た。
1年生の時、彼女には友達が一人もいなかったが、唯一の友達がこの木だった。

そして、不思議な事に(?)この木の下ではいつも携帯のアンテナが3本立つのだ。
雨だろうと雷だろうと。
芽留は、木が自分の気持ちに答えてくれたようで嬉しかった。
2年になって友人が出来るようになると、日参はしなくなったが、時々様子を見に来ていた。

そんなある日、夏の大台風が襲来した。
もともと、弱い木だったのだろう。木はすっかり葉が落ち、枝が折れ、丸裸になってしまった。
どんどん弱って、すっかり枯れたようになってしまったのだ。
芽留は何とかしようと、水をやったり、木に向かって励まし毒メールを打ったりしたが効果は全くなかった。

そんな時、担任の教師が枯れ木に無駄な努力をしている彼女に近づいて言ったのだ。
『枯れ木に花を咲かせましょうっていう昔話、知ってます?灰って植物を元気にするのにいいらしいですよ。』
言っている意味は不明だが、それ以来彼は木の世話を手伝ってくれた。

望は彼なりの理由でこの木に興味をもっていた。『首吊るのに手ごろではないか?』
園芸の本を買ってきたり、肥料を撒いてみたり、接木をしたり。こだわる性格の糸色は本格的だった。
芽留はすっかりこの作業に夢中になっていた。

同時に彼女の中で、望の存在がどんどん大きくなっていた。
◆◆◆◆
691章A無言:2007/09/13(木) 01:15:31 ID:KvX42bdl
12月中旬。

いつものように芽留が木の下にやってくると、望は挨拶も抜きでいきなり切り出した。
「この木、抜く事が決まりそうです。」
大きな黒い目をまん丸にして、芽留が望を見上げる。
めるめる『お前何言ってんの? もうボケたか』
「前々からここにはもっと立派な桜を植える計画があったそうです。」
「そこで、この際だから抜こうって校長が……って聞いてます??」

芽留は無言で持ってきた肥料を上げていた。
「私は反対してみるつもりですが……何分先生方はほとんど賛成でしてね。」
ちょっと肩をすくめてから、望は聞いてみた。
「……反対運動でもしてみますか?」
芽留はゆっくりと首を振ると、また黙々と木の世話をしはじめた。
望は自分の携帯を確かめたが、そこには何のメールも入っていなかった。

結局、木は抜かれる事が決定した。
望は職員会議で、この木がどれほど首吊りに適しているか力説したが、賛同者はいなかった。
(まあ、しょうがないですね。)
あれ以来、望は木の世話をやめたが、芽留は続けているようだった。
望は彼女が何をしたいのか分からなかった。
701章B夜の校庭:2007/09/13(木) 01:17:46 ID:KvX42bdl
12月も押し迫ったある日。

「さぶっ。今日はやたら冷えますねぇ。」
交と銭湯に行った帰り、たまたま道で会ったあびるが交を速攻で拉致したため、望は一人だった。
(宿直室に早く戻ろう)。
望はワクワクしていた。
その手にはビデオ屋で借りたエロビデオが握られている。

交と同室のせいで、禁オナがすでに67日目に達していた。
(これからは小節さんをうまく使う事にしましょう。)
体は冷えていたが、心は熱くなっていた。あそこも期待で既に熱い。

通用口から校庭に入る。ふと、黒い人影が見えた。
(幽……いや、まさか。不審人物ですか?ああ……私の楽しみを邪魔する連中に絶望したぁっ!)
頭を抱えつつ近づくと、そこには芽留がいた。
「音無さん?こんな時間に何してるんですか?」
見ると、芽留は例の木に何かをいくつも巻いている。
冬に木が寒さにやられないようにするための防寒皮のようだ。
「音無さん………その木はもう抜くんですよ?」
芽留は黙ってツインテールを振り、作業を続ける。

コートもマフラーも着ずに、制服姿で黙々と作業をしている彼女を見ていると望は急に怒りを覚えた。
ぐいっと腕をねじ上げて、無理やり自分の方を向かせる。
「あなたが何をしても、無駄なんですよ。ぬ・く・ん・で・す!」
久々にメールが来る。
『離せ、痛いだろうハゲ コロスぞ リアルで終わらせてやるぞ、変てこファッション。』
彼女は泣いていた。
望は急に強い罪悪感を感じ、手を離すとぶっきら棒に言う。
「どうやら、いつもの調子が出てきたようですね。
まあ、ここではなんですから、宿直室へ行きましょう。」
711章C宿直室:2007/09/13(木) 01:18:44 ID:KvX42bdl
宿直室に入ると、望はミルクを温めて飲ませてあげた。
コーヒーを入れるか聞いたところ、
『あんなクソ苦い液体、オレが飲めるわけねーだろ。常識ねーのか、このゆとりが。』と送信してきた。

校長に木の存続を嘆願してみるか聞くと、芽留はあっさり頷いた。
「初めからそうすればいいのに。」
めるめる『うるせーんだよ。昔のこと何時までもグダグダ言ってるからハゲるんだ。』
苦笑いをすると、望は宿直室付属の台所に向かった。

芽留には分かっていた。
自分は逃げているのだ。
元来消極的な彼女は、人と話さないというだけではなく、何事にも引っ込み思案だった。
何もせず、ただあるがままに流されて、結果に”どよんど”する。
それが自分には相応しいように思えた。
今回の件で、少しは自分を変えられると思ったが、無駄だった。

「いや〜しかし先生、音無さんがあそこまで一生懸命に物事を取り組むのを始めて見ましたよ。」
(え?)
台所で皿を選別しながら声を掛ける望を、芽留は意外そうに見た。
(そうなの……かな?)
芽留は急に胸がドキドキして苦しくなった。
めるめる『てめー何偉そうにいってんだよ。このナマハゲが。』
メールを打った後も何だか恥ずかしくなって、そっぽを向く。と、そこに一本のビデオが見えた。
芽留の胸が大きく波打つ。
【超乳爆裂娘。オパーイWカップ決勝】
ちらりと望を見る。彼は何やらお菓子を皿に盛り付けているようだ。
(先生も……こういうの見るんだ。)
男がこういった物に興味を示す事があるのは、芽留も知っていた。
パッケージのお姉さんは、およそ芽留とはかけ離れたナイスバディの持ち主だった。
パッケージのお姉さんへの敵愾心がメラメラと燃えてきた。
と、同時に強い衝動が彼女を包み込む。
芽留の心臓は早鐘のように打っていた。
721章C気持ち:2007/09/13(木) 01:20:54 ID:KvX42bdl
◆◆
芽留はとっくに気付いていた。
自分が、先生に恋というものをしている事を。
これまで芽留は恋沙汰にまったく興味がなかった。
ところが、最近、芽留は先生のことばかり考えていた。
すると、胸がどんどん苦しくなる。でも、考える事をやめられなかった。

実のところ、木が抜かれると聞いてまっさきに思い浮かんだこと……。
それは先生とのつながりが消えるというショックだった。
自分の身勝手さに嫌悪したが、糸色望は完全に芽留の心に居座ってしまいどうしようもなかった。
◆◆

ふいに、今が2人きりの状況であることに気付く。
一気に胸が苦しくなる。芽留はなんだか、酸欠になった気分だった。
「どうぞ。これを食べたら、送っていきますよ。」
びくりと顔を上げると、芽留の好きな卵ボーロが皿に盛られていた。
その隣には好きな人の笑顔。
ドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキ。
(どうしよう、どうしよう、どうしよう)

ちらと、パッケージのお姉さんを見ると、芽留は一気にどんよりした。
(ムリだ。どうせあたしじゃ……。やっぱ、やめよう……。)
と、急にメールが入る。
「?」見慣れない番号。
『無理な事なんてあるわけないじゃないですか』
「???????????????」
どうやら間違いメールらしい。
だが、それは芽留の背中を押した。
731章E卵ボーロ:2007/09/13(木) 01:22:02 ID:KvX42bdl
芽留は携帯を光速で連打した。
めるめる『お前、あんなエロビデオに見てんのか? きょにゅーってか??』
ゲッとのけぞる望。
自分の迂闊さを呪いつつ、素早くエロビデオを隠す。
めるめる『あ〜オワタ 悲惨杉 まじきんもーっ★ 童貞はこれだから クラス中に晒すか』
「わーー!!や……やめてくださいよ!」
連続して繰り出される毒舌メールに、一気に絶望する。
と、またメールが。
「ま……またですか!?着信拒否ってどうすれ……ん??」

じっと自分の携帯を見た望は、静かに立ち上がった。
芽留の隣に座る。
芽留はまるで小さなプチトマトのように顔を真っ赤にして、俯いている。
「私も消極的に一生懸命頑張る音無さんが好きですよ。」
そういうと、望はそっと芽留の額にキスをした。
「さあ、今日はもう遅いです。そろ……。」

立ち上がろうとする望の腕を、芽留は掴んだ。
芽留は顔を上げていた。
その目は、明らかに強い意思表示を行っていた。

小さな体と毒舌メールの影に隠れた、繊細で優しい芽留の感情が伝わってきた。
風浦可符香の言っていた事は確かに本当だった。

急に、望は目の前の少女が愛おしくなった。

涙に濡れた黒い大きな瞳。未完成ながらも小ぶりで整った顔立ち。
艶やかな黒髪。小さくつややかな桃色の唇。
頬は、透明なキャンバスに一筆描いたかのようにピンク色に染まっている。
純粋に彼女は美しかった。

磁石が引き合うように二人の顔は近づいていき、唇が合わさった。
………芽留にとってのファーストキスは、卵ボーロの味がした。
………
742章@Aカップ:2007/09/13(木) 01:23:41 ID:KvX42bdl
芽留は、小刻みに震えていた。
望はそっと頭をなでてやり、もう一度軽くキスする。
「後悔しませんか?」
めるめる『レディにいちいち聞くな 予防線か 弱いヤローだ』
毒メールを吐き出しつつ、こくんと頷く芽留。

ゆっくりと制服のボタンに手をかけると
芽留は顔を真っ赤にして恥ずかしそうに目を逸らす。
ボタンが外れると、白い清楚なブラジャーが露になる。
安心したことに、今日は携帯の電池は装備してないようだ。
ブラジャーに手をかけようとすると、芽留の手がやめてくれというように望の手をつかんだ。
めるめる『ハゲ うぜーよ Wカップのアホ女と比べるんじゃねーよ 』

「大丈夫ですよ。私は大きさなど気にしません。」
やさしく芽留の手を外すとブラジャーに再び手をかける。
ホックを外す。と、何ががポトリと2つ落ちてきた。
「ん?」
パットだった。
(えええええええええ?Aカップのブラにパットですか???)
驚くようにして、芽留の胸を見る。
白い透明感すら感じる裸体。そこには小さなピンクの蕾が2つ。
その胸はほぼ完全なまでに”ぺったんこ”だった。
目をこらせば何とか膨らみかけな気もしないではない。
いや、気のせいだ。
やっぱり”ぺったんこ”だ。

めるめる『ハゲハゲハガハゲガハゲハゲアゲハゲハゲハゲハゲハゲガハゲ』
望はメールを見てギョっとする。
(・・相当、動揺しているようですね。)

唇を噛んで目を逸らす芽留。
頬は屈辱と羞恥で真っ赤になっている。
芽留にとって、胸は相当のコンプレックスだったのだろう。
望は何もいわず、顎をつかんだ。
優しくキスの雨を降らす。
めるめる『ごまかすなクソが 言っとくが オレは全く気にしてねーぞ 勘違い厨』
752章Aエロ妖怪:2007/09/13(木) 01:24:39 ID:KvX42bdl
芽留がうっとりとしたのを見た望は、芽留の平らな平面をゆっくりと揉み始める。
壊れ物を扱うかのような優しい優しい愛撫。
膨らみかけの肉がクニクニと変形し、熱を帯びてくる。
「…っ…ぅ…」
芽留は声ならぬ声を上げてむずがった。
めるめる『エロエロ妖怪 くすぐったいというか 変な気分というか 何だよコレ!』
(一応性感はあるようですね)

望が芽留の胸に顔を寄せると、ふんわりとしたミルクの匂いがする。
小さなピンク乳首を口に含む。
「………っ……ん……」
舌で小さな乳首をコロコロところがしてやると、意外なほど敏感に芽留は喘いだ。
「……っ…!……んっ………っ……!!」
片方の乳首を指で挟んでクリクリと揉みしだくと、みるみる乳首が硬く尖ってきた。
めるめる『変だ 変だ 変だ お前何したんだよ 変になるだろ サイテーやろう』
望は、芽留のメールが混乱気味なのを見て可笑しくなってきた。
(感度は良好ってことですね。こちらはどうでしょうか。)

乳首を責めながら、望の手が芽留のスカートの中にのび、ショーツに触れる。
「………!」
めるめる『なにすんだよスケベ! エロ大妖怪 サワンナよ 優しくしろよ 』
芽留は下半身への愛撫を怖がったのか、体を固くする。
ショーツをずらし触れると、そこはすべすべした感覚とともに、しっとりと濡れていた。
762章B携帯オワタ:2007/09/13(木) 01:26:07 ID:KvX42bdl
望は妙に嬉しくなり、芽留をリラックスさせようと優しく抱きしめた。
そして、胸から鎖骨、鎖骨から首筋と舌を這わせていく。
「……んぁ……っ…!」
首筋を舐めると、芽留は切なげに身をよじりつつ、熱いため息を漏らす。
「ん……。」
舌が唇に達すると、芽留はうっとりと睫を伏せて答えた。

と、望の舌が芽留の唇を割って口の中に入っていく。
「んっ!?ん…ん…?!」
ディープキスを知らないのか、目を白黒している芽留。
あたふたする芽留を尻目に、望の舌は芽留の口の中をまさぐる。
「……んん!……じゅる……ん……ぶちゅ……。」

芽留が舌をおずおずと伸ばすと、望の舌がすかさずねっとりと絡ませた。
じゅぷるぷぷ……じゅるるる……。
溢れた唾液が喉を伝って胸元まで垂れていく。
やっと望の唇が芽留の唇から離れると、唾液の橋が2人の間をつなぎ……消えていく。
「…ぅん……………。」
芽留の綺麗にそろった前髪は汗で額にべっとりと張り付き、瞳はピンク色に煙っていた。

すでに芽留はメールどころではなくなっていた。
彼女の携帯は近くに落ちていたが、それを拾おうともしなかった。

ねっとりとした濃厚なキスのおかげで、芽留の体はすっかりほぐれていた。
震えもすっかり止まり、完全に力を抜いてぐったりと望に寄りかかっている。
芽留の上半身を優しく横たえると、望は素早くショーツを脱がせる。
いや正確に言うと、片足分だけ脱がしショーツ自体はもう一方の足の膝に丸めておく。
芽留がスカートを脱ごうとすると、望はさりげなくそれを止めた。
着衣マンセーなのである。
77名無しさん@ピンキー:2007/09/13(木) 01:26:19 ID:Jzf+abZ2
服を着る暇がないな
芽留支援
782章C何このエロ小説:2007/09/13(木) 01:27:26 ID:KvX42bdl
望が芽留の白い小さな足を開くと、少女の秘密の泉が白い電気の下に晒された。
土手の部分はすべすべしており、小さな産毛がキラキラしているだけで、陰毛は全く生えていなかった。
その下の割れ目はスッと筋が入っただけで、何の翳りも変色もない。

望がそっと割れ目を開くと、両側の肉はかなり弾力性を持ちぱっくりと中が開いた。
ちょっと下つきのようだ。
バックで愛し合うのにピッタリのアソコである。
上部には、敏感そうな突起物も見えた。
外から見ると幼女のようでありながら、性交に必要な機能はすでに備えている。
望はとんでもない宝物を手に入れたことを知り、ウキウキしていた。

割れ目を優しくマッサージしてやるだけで、芽留はたちまち感じ始めた。
「…んっ…んっ…く…ぅ…」
充分にほぐすと、いよいよ芽留の内側へと指を伸ばす。
まるで骨董品を扱うかのように穏やかで優しい愛撫。
「ぁ…んっ…んんっ…」
愛液がゆっくりと垂れてくる。
ぎゅっと目を閉じ、頬を羞恥のピンク色に染めて、芽留はその快感にじっと耐える。

段々と、望の愛撫が変化を帯びてきた。
時に穏やかに、時に激しく……。
「ハァ…ハァ…んっ…ぁ…」
まるで10本の指が別々の生き物かのように蠢き、芽留のアソコを嬲る。
「んっ…んぁっ…んんっ…んぁん…っ…んっ……」
芽留がイヤイヤをするように首を振ると、ツインテールの黒髪がフリフリとはねた。

そっと芽留の股間に顔を近づけ、なだらかな丘をペロペロと舐めてあげる。
「・・ふ・・ふぁ」
くすぐったそうに身を捩じらせる少女。
芽留の股間は女特有のむせるような匂いが一切なく、ちょっとオシッコの匂いがするだけだった。
792章D指テクニック:2007/09/13(木) 01:28:09 ID:KvX42bdl
と突然、芽留がまるで冗談かのようにその小柄な体をガクガクさせた。
芽留のツインテールがぶんぶんと揺れる。
大きな黒目がまん丸に見開かれ、まるで大地震かのように体を揺らし、華奢な四肢をピンと突っぱねる。
芽留の喉から、聞いたこともない高い声が突発的に響いた。
「………んっ……んんっ……うぅ…っ……っ…いぃ…い………が$l………$3Ы\浬濬 畚 秉 綵 臀ヲ x x …!」
ぐっ。
芽留が吹き飛びそうになる寸前、望は彼女の腰にあるツボを突いた。
未体験の快楽から、芽留が一気に引き戻される。
イク寸前にこのツボを突くと、快楽をそのままに引き戻されてしまうのだ。

「はぁ……はぁ……はぁ……!」
芽留は酸欠になったかのように苦しそうに呼吸をする。
何が起こったのか分からず、ただ呆然としている。

心配そうに芽留を覗き込む望。
芽留の口元からだらだらと涎が溢れ出し、目の焦点がふらついている。

(今のところは、これ以上快楽を与えない方がよさそうですね。)
望は体を起こす。
驚いた事に彼は汗すらかいていなかった。
スーパーフィンガーテク取得者の望にとって、芽留のような小娘をメロメロにすることなど容易い事なのである。
802章E糸色は正体をry:2007/09/13(木) 01:29:25 ID:KvX42bdl
「ではそろそろいきますね。」
そういうと、望はまるで女性のように恥ずかしそうに袴を解いた。

下半身が露出される。
「っ……!」

性知識の乏しい芽留にも、それが分かった。

彼は包茎だった。
それも、真性の。
明らかに短小な絶棒をすっぽり皮がかぶっている。

「あなたがいつもメールで指摘してくださっている通りです。」
望は自虐的に言った。
「軽蔑したでしょう?」
芽留はぶんばぶんばとツインテールを振った。

彼にとってこのコンプレックスは大きなものであっただろう。
自分の何気ないメールが、望を苦しめていたことを知り芽留は悲しくなった。

望は少し哀しく笑うと、なにやら財布をゴソゴソし始める。
「むぅ……最近さっぱりご無沙汰のせいで、ゴムがありません。」
どうやら、コンドームがないようだ。
芽留が近くにあった携帯をつかみ、光速で文字を叩く。
ずいっと差し出す。
「まだ生理が来てなかったのですか。それなら100%安全ですね。」
813章@小さな2人:2007/09/13(木) 01:30:33 ID:KvX42bdl
「………はっきり言って、私は早いです。しかも、禁オナ67日目ですからヤバイです。」
望は何やら呟くと芽留に体を重ねていく。
ドキドキドキドキ。
芽留の心臓は大きく高鳴っていた。
黒目がちな大きな瞳は涙に濡れて艶を帯び、そこには男に対する絶対の信頼と敬愛の情が浮かんでいる。

絶棒を芽留の小さな縦筋にあてがう。
芽留の処女膜はその奥で、期待と破滅の予感にひくひくと息づいていた。
芽留の小さな肩に手をかけ、糸は縦筋に押し当てた棒を一気に進めた。
「…っ!」
芽留は苦痛に顔をしかめる。
「もう少しですよ。う…くぅ…こ…これは…。」
絶棒は徐々に侵食の度合を深め、穴内の壁は初めて侵入してきた異物に対してこれを締めつけ抵抗する。
芽留の縦筋から血の筋が何本も垂れる。
「んぅ…ぅ…つっ…んぁ…ぁ…」
苦しげに芽留が呻く。

望は腰を利用して力強い反動を生み出すと、柔肌を蹴散らし遂に子宮の奥まで到達した。
「はぁ…はぁ……。」
熱い穴壁が絶棒をきつく包み込み、ツブツブの突起が優しく蠢いて、信じられない具合のよさだった。

一方、芽留も強烈な充実感を感じていた。
自分のアソコの小ささを知っている彼女は、もっととてつもない激痛を覚悟していた。
最初は激痛が走ったものの、その後の痛みはそれほど辛いものではなかった。

短小包茎であったことが逆に幸いし、芽留の泉にそれほど負荷はかからなかったのだ。

性的に劣等した2つの器官はよりそうようにしっかり密着して息づいていた。
短小包茎の絶棒と年齢不相応の幼い蜜壷。
2つは赤い糸に引かれたかのように、出会ってしまった。
823章A休息:2007/09/13(木) 01:32:22 ID:KvX42bdl
しばらくジッとしていた後、望は芽留の耳元で囁いた。
「良く頑張りましたね。」
大きな黒い瞳に涙を一杯にためて、芽留はうれしそうに微笑む。
そしてコクリと頷いた。

いくら望の絶棒が小さいとはいえ、芽留の泉は余りに幼い器官である。
望の絶棒はギチギチにきつく締め上げられていた。
2つの器官の隙間は一切なく、みっちりと詰まっている。
とても動かすどころの騒ぎではない。
ジッとしているだけでも、望はキツイ圧迫感に苦痛を感じていた。

動くのは無理だと判断した望は、ゆっくりと絶棒を抜いた。
「・・ん・・っ。」
軽い苦痛に芽留が眉をひそめる。

完全に抜かれた後、芽留は少し悲しそうな目で望を見た。
望は優しく微笑んで、芽留の小さな頭を撫でる。

「いきなり無理する必要はないんですよ。時間はこれからもあるのですから。」
コクリと小さく頷く芽留。

ここで行為を終わらせて帰らそうと考えていた望に、突然メールが届く。

「ん・・・?」知らない番号だ。
『サクランボ色の可愛いお口は どうですか(ハート)』
「な・・なんですか、この間違いメールは!あー絶望した!!間違いだらけの人生に絶望した!!」

ひとしきり悶えた後、望は芽留に向き直っていた。
「・・・その代わりといっては何ですが、コレ、舐めていただけませんか。」
833章Bサクランボ色の唇:2007/09/13(木) 01:33:50 ID:KvX42bdl
(舐める・・?)
一瞬何を言われているのか分からずキョトンとする芽留。

「音無さんのお口で、舐めて欲しいですよ。・・ダメですか?」
望も実はドキドキしていた。
彼は風俗以外でフェラをしてもらったことがなかった。
真性包茎のアレを見ると、女性達は汚らわしそうに触る事すら嫌がったから。
だが、幼い芽留ならしてくれるかもしれない。
彼は少女の無知を利用していることを恥じたが、欲求を止められなかった。

芽留は可愛らしく小首を傾げたが、すぐにコクリと頷いた。

望は体を起こして、改めて畳の上に胡坐をかいた。
そして、どうすればいいのか分からない様子の芽留を招き、4つんばにさせて顔を股間に導いた。
ミルクの匂いと淫靡な匂いが交じる。

あどけない顔に汚らしい腐肉が突きつけられた。

芽留は黒目がちの大きな目をまん丸にして、絶棒を見詰めた。
どうやら、好奇心が恥ずかしさに勝ったようだ。
(本当にゾウさんみたい・・。)
なんだか、芽留には絶棒が可愛く見えた。包茎だから余計そう見えるのだろう。

ジロジロ見られていると、なんだか屈辱を感じ、望は声をかけた。
「して・・いただけませんか。舌で少し舐めてくれるだけでいいんです。」
(生徒にこんなお願いするなんて。私は本当に最低です。)

芽留は、排泄器官を口にすることに少し抵抗があったが、結局好奇心と愛がそれに勝った。
顔を近づけ、サクランボ色の唇を異臭を放つ排泄器官に寄せる。
小さな舌でそっと舐めた。
そのままチョンチョンと舌でつつく。
どうもやり方が良く分からないようだ。

「・・ソフトクリームを舐めるような感じで・・。」
ベタベタな指導をすると、芽留はコクリと頷いてペロペロ舐め始めた。
いかにも稚拙な動きだが、幼い顔立ちの美少女が自分の絶棒に口を寄せているのを見るのは刺激的だ。
843章C新たなる男へ:2007/09/13(木) 01:35:48 ID:KvX42bdl
やがて慣れてきたのか、芽留は舌以外にも唇も使って絶棒のイロイロな部分にキスをしていった。
芽留が顔を動かすたびにツインテールがフルフルと揺られ、望の太ももをくすぐる。

と、芽留の動きが変わった。
包皮と亀頭の間に舌をいれ、小さな手を棒に添えて皮を引っ張っている。
どうやら剥こうとしているようだ。

(無駄ですよ。)
芽留の献身ぶりに驚きつつも、望は絶望の吐息を吐いた。
望はいくつもの外科を回っていたが、結果はいつも散々だった。
性感帯の関係で無理に切ることができず、更に包皮と亀頭の癒着が強いので一生治らないというのだ。

少女に感謝の念だけでも伝えようと、下を見たときありえない光景が広がっていた。
少しづつ剥けて来ていた。
芽留が繊細な動きで舌をチュッチュと皮と亀頭の間に差し入れ、少しづつ皮を下げていく。
すると、望自身も見たことのないキレイなピンクの表面が現れていく。

(こんなことがあるものなのですか!)
と、望の携帯にメールが突然入る。
股間の刺激に耐えながら見ると、また知らない番号だ。
『記念撮影 乙』
(何を言っているんですか、こういう記念撮影がイタイんですよ!親のHシーンの写真とか絶望的じゃないですか!)

望はカメラ機能の付いていない自分の携帯をポイと投げ捨てる。
近くに落ちていた芽留の携帯を掴み、カメラモードにする。
言う事とやる事がズレていても全く気にしない男。それが、糸色望である。

そして、絶棒とそれを口にしている少女にピントを合わせるとシャッターを切った。

携帯が向けられていることに気付いた芽留は、ちょっと驚いた様子だったが、すぐに剥く作業を再開した。
携帯に見せ付けるかのように芽留は絶棒に舌を這わせ、剥いていく。
まるで、『この人を男にするのは私です』と言っているかのようだった。

ある程度まで剥けた頃、芽留が皮を引っ張るとズルリと一気にすべての皮が剥けた。
「・・ん・・・あぅうう!」
望はその瞬間、まるで女性のように悶えてしまった。
おそるおそる自分の股間を見ると、(彼にとっては)感動的なオブジェがそこに存在した。
望の絶棒は、今やすっかり剥けてピンクの亀頭を露にしていた。
853章D恋人達:2007/09/13(木) 01:37:28 ID:KvX42bdl
何故か膨張率・硬度・太さも数倍になり、あのションボリな象さんが凶悪なマグナムとして生まれ変わっていた。
芽留は、その変身ぶりに驚いてマジマジとマグナムを見ている。

望は、感動して芽留の頭に手を置いて撫でた。
「音無さん、いや、芽留。ありがとう。私の絶望を一つ除いてくれてありがとう。」
望は男のくせに、喜びと感動と・・・彼女に対する愛しさで泣いていた。

うれしそうに芽留はにっこりした。
自分でも好きな人のために何かができた。
芽留はそのことが単純に嬉しかった。

望は、目の前の少女を本気で愛してしまっていた。

健気で、疑う事を知らない純粋な魂は、どこまでも透明で美しかった。
毒舌メールに隠された、弱くて儚い心を、むしょうに愛おしく感じた。
反則的なまでに、少女はキラキラと輝いていた。

少女を想うと、マグナムは痛いくらいに勃起し、ビクビクと脈打った。
「芽留、やっぱりコレをあなたの中に入れさせてもらっていいですか?」
ちょっと遠慮がちに望は言った。
芽留は少し驚いたように望を見たが、すぐにツインテールの頭を揺らして頷いた。
863章E愛の儀式:2007/09/13(木) 01:39:07 ID:KvX42bdl
望が芽留に覆いかぶさり、なだらかな縦筋にマグナムとなった絶棒を押し当てる。
望が腰を進めて割れ目の奥に絶棒を突き入れる。
「ーーーーっ!!!」
強烈な痛みが芽留を襲った。体がバラバラに吹き飛ぶほどの痛み。
歯をギリギリと食いしばる。
望はゆっくりゆっくりと侵入し、膣肉を分け入っていく。
すでに一度貫通したはずのそこが、まるで別物かのように異物の侵入を拒んでいた。

皮肉な事に、健気な献身のせいで絶棒は少女を苛み苦痛を与える醜悪な怪物へと変化していた。

絶棒が4分の1ほど入った所で、望はこれ以上は無理だと判断し腰を止めた。
芽留は歯を食いしばりすぎて、口元から血を流していた。
体も苦痛で痙攣している。
芽留は大きな黒目で続けてくれと哀願したが、望は首を振った。
「芽留、焦る必要はないと言ったでしょう。私達は恋人なのだから。」
―恋人
甘美な響きに、芽留は自分の恋が実ったのを知った。
痛みも忘れ、嬉しそうに首をコクコクする。

望は結合部に手を伸ばした。
小さな割れ目は一杯に広げられ、無残に充血している。

望は優しく割れ目の丘陵を撫でてやる。
そして、指を縦筋に入れ、クリトリスを優しく弾いた。
「…あ…あぁあ…あぁああああ…ぁ…」
すると、芽留はたちまち甘い声で悶え始める。
愛液がトロリと噴きだしてきた。

ふと思いつき、望は芽留の携帯を再び拾い、カメラモードになっていることを確かめる。
片手で携帯を構えながら、もう片手で芽留の幼い秘裂を愛撫していく。
ハメ撮りしちゃおうというのである。
873章Fの@カメラ:2007/09/13(木) 01:40:33 ID:KvX42bdl
幼い秘裂を優しく撫でてから、突起物を刺激する。

「あっ…ああっ…うっ…んっ…んくっ…」 カシャリ
芽留が体を震わせて喘ぐと、望はその姿態を携帯に収めた。
男が携帯を構えているのを見ると、少女は恥らったが止めてという仕草はしなかった。
望はさらに執拗に少女の股間をまさぐり、次々と快感を与えていく。

「あ…あうぅ…んっ…んんっ…」 カシャリ カシャリ
芽留は何度も敏感に反応してシャッターチャンスを提供する。
自分のHな姿が大好きな携帯に残されているのだと思うと、芽留は妙に興奮してきた。
上気したあどけない顔を携帯に向ける。
「笑ってみて。」
芽留が自分のカメラワークに協力してくれるの察し、望は言う。
芽留はにこっと笑う。カシャ
嵌められたままニッコリとするツインテールの幼女が画像に残った。

と、望は芽留の携帯にビデオモードが付いているのを発見した。
芽留の最新式携帯は、5分くらいなら高画質&音声付でビデオを回せるのだ。
「芽留、ビデオモードで行きますよ。」
流出したら大変な事になるというのに、恋に酔っている2人は周りが見えなくなっていた。
「スタートです。」
883章FのAビデオモード:2007/09/13(木) 01:41:34 ID:KvX42bdl
《録画中》
小学校低学年ほどのツインテールの少女が真ん中に写る。
前髪がキレイに揃えられ、あどけない顔立ちながら、なかなかの美少女。
黒目がちの大きな目とキレイに分けられたツインテールが特徴的だ。

学校の制服を半脱ぎにされ、小柄で華奢な白い裸体の股間には、すでに凶悪な肉棒が突き刺さっている。

嵌めている男が小さな乳首に手を伸ばし、摘んでコリコリとしてやる。
画面の少女は感じ始めたようで、頬を上気させ小さく喘ぐ。

男の手は下に伸びて行き、秘裂へと到達した。
縦の筋は、無毛でいかにも幼い器官だ。
男が少女の股間を愛撫すると、少女は声を発して欲情しはじめた。
『あっ…あぁ…はぁはぁ…』
どこか舌足らずな声で、甘く切なげに囁く。
893章Gビデオモード2:2007/09/13(木) 01:42:40 ID:KvX42bdl
突然股間の結合部がアップになる。
男の指が、ぷっくりとした縦筋に侵入し、中をかき混ぜる。
すると、結合部のアップと少女の痴態が交互に映される。
『んあっ…あっ…んくっ…ひっ…ああぁ…』
幼い少女は、年齢不相応に敏感のようで、快感に悶え喘いでいる。
割れ目から透明な液体が滲み出てくるのが分かる。

と、男の指が画面から少しだけ確認できる美しいピンク色の突起に指を伸ばした。
『んくっ…んっ…うっ…あっ』

映像が再び、少女のなまめかしい姿態を映す。
少女は自分の乳首を摘み、痛いほどにこね回している。
さらに、画面外の男が小刻みに動き出したようだ。
少女の小さな体がゆらゆら揺れ始めた。
小刻みに動きつつ、男の指が突起物に愛液を塗りたくる。
『あっ…あぁ…ああぁ…んっ…んんんっ…んくぅ…』
少女は、たちまち身も世もないほどに切なげに悶え始めた。

少女は、まるで見せ付けるかのように画面に向かって喘いでみせる。
大きな黒い瞳は激しい快楽へのために美しく潤んでいた。
小さなピンクの唇はだらしなく半開きになり、口の端からボタボタと透明な液体が泡交じりに落ちる。
少女の細すぎる腰は、大胆に蠢き振られている。

彼女が本気で感じているのが分かる。
突然、少女のあどけなくも恍惚とした表情が切羽詰まった顔になる。
『あ…はぁん……ぅ…うぁ…はぁん……あぁあぁああぅあはぁああんっっっ!!!』
ひときわ大きな声を上げると、少女のアクメ顔がバッチリと映像に残された。
イッた後特有の、物憂げな表情で少女はこちらを見る。
画面が突然暗転
《録画終了》
903章H変化:2007/09/13(木) 01:43:54 ID:KvX42bdl
「芽留っ。」
芽留の痴態にもはや我慢できなくなった望は、携帯を投げ捨て、彼女に覆いかぶさった。
芽留の幼ない顔を自分の方に向けると、少女の可憐な唇に自分のそれを捺し、強く吸う。
「んっ…」
ちょっと驚いた芽留だったが、華奢な腕を上げて男の首に回しからめた。
望の長く赤い舌と芽留の小さなピンクの舌は、すぐに求め合う。
2人の唇の間から漏れた唾液が糸を引いて流れていく。

何時の間にか、絶棒は芽留の小さな蜜壷に半分以上収められていた。
すでに少女の最深部に到達しており、これ以上入れるのは無理である。

ピロリロリ〜♪望にメールである。
怒りに震えつつも、律儀に携帯を拾う。知らない番号。
『ロープ!バッーク!ロープ!バッーク!』
メールを見たとたん、”ぐゎんば”と望の目が見開かれる。
四肢に力がグングンと満ち、鼻息は荒く、絶棒はすさまじいほどの硬さ・反り返り・膨張を見せる。

携帯を投げ捨てる。
望は切羽詰まった状態で、教え子に迫った。
「芽留・・!お・・犯したい・・!犯させてください!」
はぁはぁと荒い息を付き、男はナニヤラ危険な状態になっていた。
「????」
芽留には、犯すのと愛し合うのと何処が違うのか分からなかった。
が、余りに必死な恋人の姿に思わず小さく頷いていた。
913章I終わりの始まり:2007/09/13(木) 01:46:15 ID:KvX42bdl
芽留がコクンと頷くのを見た望は、カカッと魚の目になった。
「きしゃぁああああああ!!!!」
不気味な雄叫びを上げる望。

突然、芽留をひっくり返してうつぶせにさせた。
一瞬キョトンとした芽留は、想い人の姿を求めて上半身を起こそうとする。

が、望は芽留を上から押さえつけ、細い両手を掴み、強引に背中に回した。
その辺にいくつもある首吊り用の縄のうち、手ごろなのを1つ取る。
華奢な細い腕がきつく巻き上げられ、前にロープが回っていく。
膨らみがほとんどない乳房にロープを食い込ませ、半脱ぎの制服ごとしっかりと縛った。

早業のような望の動きに、芽留は相変わらずキョトンとしていた。
「????」
後手にされ、手を動かせない芽留は、何が起こったのか分からないというように小さな裸体をくねらせた。
緊縛された体ではうまく動けず、首だけ後ろに回して不安げに望を見る。

と、彼は芽留の首根っこを掴んで畳に押し付け、芽留の小さすぎるお尻を軽々と抱えた。
芽留は後手を縛られたまま、うつぶせになり、お尻を上げた状態になる。
恥ずかしい気分になり、お尻を下ろそうとしたが、望はがっちりお尻を掴んで許さない。

少女の後から覆いかぶさると、小さな割れ目をこじ開けてバックからずぶずぶと貫いた。
「うぅ…あっ…あぁああ…いい…いいぁああ」
芽留は華奢な体を震わせて、喘いだ。一気に深く貫かれる。
924章@犯されるということ:2007/09/13(木) 01:47:28 ID:KvX42bdl
芽留の腰をぐっと掴み、力強くじゅぶじゅぶと音を立てて、穴の中を乱暴に蹂躙し始めた。
「あっ、あっ、あひっ…ひゃ…ぁああっっ…あぁあああっっ!!」
突然の力強い動きに、芽留は翻弄されて喘ぐ。

一見乱暴ではあるが、その動作は良く見ると繊細な動きを見せていた。
突く角度・深度・強さすべてに変化をつけて、肉穴を自由に蹂躙していた。
「…あっ…あうっ…うっ…ぅ…ぁ…あぁぁ…ぁっ…んんっっ…っ!」
そしてなにより芽留を狂乱させていたのは、絶棒が突かれた瞬間であった。
絶棒は、芽留の肉穴にある最も危険な性感ポイントを探り出し、そこをグリグリと突くのである。
ポイントを突かれる度、芽留は全身を駆け巡る凄まじい快感に翻弄された。
「やっ…いやあっ…あっ…ああっ…ああぁああっ…やあっ…あっ…あっ…あっ…あっ…あぁあああああああっっ」
芽留は、幼い肢体をくねらせ、ひぃひぃと悶え狂った。
「あっ、あっ、あっ……、あぁん……きゅぅん……あぁん」

望は激しく少女を陵辱しながら、彼女を縛っているロープの端を取った。
そして、ギリギリと締め上げる。
縄が少女の柔肌に食い込み、すさまじい苦痛を与える。
「ぐあああ…………ああああ…ああ!!!!!!!」
腕が折れるかのような激痛が全身を襲い、芽留は悶えた。
大きなまん丸の瞳がこれ以上ないほど見開かれ、ツインテールがぶんばぶんばと激しく振られる。
しかし、悶えれば悶えるほど縄はギリギリと肌に食い入り少女を責めるのだ。

と、望はロープの締め上げをやめ、ロープの端をポイと投げる。
男にしては白い手を伸ばして、振り乱される黒い綺麗なツインテールを両手で片方づつ掴んだ。
乱暴に思いっきりツインテールを引っ張る。
「ーーーーっ!!!!!!」
ぶちぶちという音とともに、綺麗な髪が数本抜け落ちた。
細く白い喉は反らされ、口は酸素を求めて空しくパクパクと喘ぐ。
大きな黒い瞳は焦点がぶれたように朦朧としていた。
暴力の嵐が幼い少女を襲い、『犯される』という意味を体に刻み込む。
934章A女としての音無芽留:2007/09/13(木) 01:49:12 ID:KvX42bdl
だが。
彼女を薙ぎ倒したのは、苦痛ではなかった。
燃えるほどの熱い快感と、あまりに危険であまりに甘美な屈服感。
それが、麻薬のように芽留の小さな体を廻っていった。
愛する人によって屈服させられ思うがままに蹂躙されるという倒錯的な悦びに震える。
有無を言わさず辱められ、徹底的に嬲りものにされて穢されるという背徳行為に芽留は完全に陶酔していた。

彼女の中で封印されていた『女』が一気に爆発した。
とたんに芽留はお腹の奥に強烈な光のイメージを感じた。
子宮の奥の奥にある器官が燃え上がり、強烈な光とともに、何かを排出したのを感じる。
(……卵……??)彼女の脳裏に丸い卵のイメージが浮かぶ。

イメージが頭に浮かんだのはほんの一瞬。
続けざまに襲う快楽と苦痛と悦びに少女は真っ向から答え、変化していった。
「んっ…むはっ…うっ…はあっ…あんっ…あぁんっ…くっ…ん……ああっ…ぁああぁん…。」
男の残酷な暴力に合わせ、芽留は淫らに激しく華奢な腰を振りまくった。

小学生の様に幼くあどけない顔立ち。
淫欲に甘くゆるみ、頬は被虐の悦びに染まっていた。

ぱっちりと黒く大きな瞳。
透明な快楽の涙に濡れ、色めいた艶を帯びている。

小ぶりなサクランボ色の唇。
だらしなく半開きになって、舌を突き出して物欲しそうに喘ぎ、口の端からダラダラと淫靡なヨダレを噴き出す。

可愛らしく揃えられた前髪。
淫らな運動による汗でべっとり額に張り付いている。

ガラスの様に儚く小柄で細い肉体。
快楽によってピンク色に上気し、男に貫かれる度に淫らに震え、よがり狂っていた。

音無芽留の全てが、糸色望の色によって絶望的な淫欲に染まっていた。

突然、望が叫ぶ。
「くっ!!……絶望した!もう出そうです!」
944章B愛と性:2007/09/13(木) 01:50:41 ID:KvX42bdl
望は急いで絶棒を引きぬいた。
そして、芽留のお尻に顔を埋め、愛液を一杯に湛えている割れ目にむしゃぶりつく。
一息つくと同時に、愛する少女の蜜壷を徹底的にほぐそうというのだ。
10本の指と舌を使い、持てるテクニックすべてを駆使して中を掻き混ぜ、吸いたてる。
「うぅ…あっ…あぁああ…ひぃ…あっ、あっ、あぁっっ!!」
純粋な快楽が渦となって、小さな体を巻き上げる。
何度も何度もアクメに達せられる。

「……じゅぶ……じゅるるぅ……芽留、先生思いっきり中に出しますからね。」
その時芽留はふいに気付いた。さっきのイメージが、自分の初めての排卵の瞬間だと。
(中はダメって、い・・言わなきゃ!!)
芽留は後を向いてパクパク口を動かすが、望は全く気付かない。
(声を出さなきゃ…)

が………。
彼女は、自分のイメージに出てきた卵に強烈な『母性』を感じていた。
今受精しなければ、卵は初潮として排出されるだけ。
彼女は卵を守りたかった。
「あんんっ…んっ…あっ…はぁーっん……んんんっっ!」
望の巧みなテクニックによって、強烈な快楽を与えられると芽留の淫靡で危険な『真意』が暴かれる。
拘束され、バックから貫かれて大量の子種を強制的に植え付けられたい。
欲望と暴力による一方的な汚辱によって、獣の種を受精させられ、絶望の証を孕まされたい。
「あっ…ああっ…っ…はっ…ぁふぅっ……ん…」
禁忌な絶望願望に淫らに悶えつつ、そっと自分の小さなお腹に手をあてる。
(お母さんが、必ず孵してあげる。)
その目は、今までの消極的なもじもじ少女のものではなかった。
愛と性によって成長した、大人の女の目だった。
954章C体で伝える事:2007/09/13(木) 01:52:03 ID:KvX42bdl
たっぷりの愛撫で、芽留の蜜壷は物凄い大洪水となっていた。
幼い割れ目から、ぼたぼたと床に愛液の雫が冗談のように大量に零れる。

望は最後の決戦の時が来た事を知った。
(・・・まさかあの奥義を使える日が私にも来るとは。)

芽留のお尻を高く上げてがっちりと掴む。
バックから絶好の角度で絶棒をピタリと小さな割れ目に当てた。
「望家奥義、つぶし糸掛け!!!」
意味不明な奥義名を絶叫すると、芽留の蜜壷をつぶすように、望は力強く貫いた。
「…ひゃぁっ…あぁ…あぁあ!!」
今までにない角度で突き入れられ、芽留の白い首筋が跳ねた。
肉襞をゴリゴリと擦り上げ、内部にあるあらゆる性感ポイントを的確に連続して突いて行く。
同時に、少女のピンクの突起物がブルブルと激しく弾かれ刺激される。
「あ!あっ…ひっ…ぃい…い! あっ、あぁああっ…!」
あらゆる快楽が少女を昇天へ導こうと集まってくる。
望むは、強烈な快感を破裂させながら何度も幼い縦筋を力強く貫いていく。

望の絶棒がグッと膨張する。
望は端整な顔立ちを苦しそうにゆがめた。
歯を食いしばり、助走をつけるかのように、一気に入り口まで戻す。

芽留は、本能的に次が最後の突きとなることを悟った。
彼女は、全ての仮面を投げ捨て、自分の想いを結実しようと動いた。
深い深い陵辱をねだって、芽留は小さなお尻を男に向かって高々と突き上げる
細い足を一杯に開いて、割れ目を精一杯に広げる。
ほっそりとした腰を淫らに蠢かせ、小さな白いお尻を小刻みに揺らして男に媚びる。

言葉だけが気持ちを伝える手段ではない、体でも気持ちを伝える事ができる。
芽留は、体全身を使って淫らな求愛のダンスを踊り、狂おしいほどの想いを伝えようとした。

愛おしい少女の求愛の感情が望にビンビンと伝わる。
淫靡な光景に望の欲望が強く刺激される。
964章D絶望できない絶望先生:2007/09/13(木) 01:53:17 ID:KvX42bdl
「この状況じゃ絶望できませーーーーーーーーーーーん!!!!!!」
大きく吠えると、望は全体重と、全魂をかけて思いっきり突き込んだ。
「あぁああああああああああああああああっっっ!!!!」
信じられないほど深々と絶棒が芽留の小さな蜜壷に突き入れられた。
ずぶずぶずぶずぶずぶ……。
「ああぁあ…ひあぁ…い…いいぃぃぃいいいい!!!」
2つの性器が凄まじい摩擦を生じ、快楽の嵐が吹き荒れ、芽留は悶え狂った。
愛液がぴゅぴゅびゅと凄まじい勢いで乱れ飛ぶ。
「あひっ…やっ…あぁあああっ…い…いっ…すっ……ご…ああっ。」
芽留が夢中で男に向かってお尻を精一杯に突き上げると、さらにズボズボズボズボと絶棒が深く侵入する。

深い陵辱に反応して、芽留の穴壁の突起物が細かく蠢めき、きゅきゅきゅと絶棒を締め上げた。
絶棒の先端と、芽留の子宮口がぴったりフィットすると、
2人の間に圧倒的なまでのまでの一体感と快楽の嵐が吹き荒れた。
「気持ち良過ぎですよ、コレ!出しますよ!!といいますか、もう出ます!」

凄まじいまでのスパークが弾け、芽留は舌足らずな幼稚園児のような声で『言葉』を紡ぎ、絶叫した。
「あっ…あぁああっ……せっ…んせ…あっ…あひっ…やっ…あぁあああ愛…ちてっ…まっっ…すぅぅぅぅぅ!!!!!!
あぁ、せっっ…んせ……の…ひぁ……ぁ赤ちゃやゃ……んっっ、ちょっ…ちょぅぅうだぁあぁぁああああいぃい!!!!!
うあぁあああああああああああああああああああっっ!
974章Eコウノトリ:2007/09/13(木) 01:54:52 ID:KvX42bdl
信じられないような絶頂が芽留を襲った。
頭が真っ白になり、体が完全に宙に飛ばされたような感覚。
それと同時に望の絶棒がびくびくと激しく痙攣し、
禁オナ67日目の成果が芽留の小さな蜜壷に恐ろしい勢いで発射された。

少女の肉壁は最後の一滴まで愛する人の迸りを得ようとぎゅうぎゅうと絶棒を絞り上げる。
おびただしい熱い迸りが芽留の子宮の中に注がれ、それは卵管に向かってたっぷりと満ちていく。

芽留の脳裏に、赤ちゃんを運んでくるコウノトリの映像が浮かんだ。
吹き飛ぶ意識の中、彼女は絶のつく熟語を携帯で調べなければと考えていた。










・・夜の校庭の枯れ木の傍に、前髪にX型の髪飾りを付けた少女が携帯をじっと見ていた。
画面には、望が撮った芽留のハメ撮り画像が一杯に映っている。
「仲のいい事です。」
その少女は、クスリと微笑むと携帯の蓋を閉じ・・立ち去った。
98エピソード:2007/09/13(木) 01:58:21 ID:KvX42bdl
(後日談)
4月。春、それは始まりの季節。恋が生まれ、夢が生まれ、喜びが生まれる。

芽留は学校に来ていた。
そのお腹はぷっくりと膨らんでいる。
小柄な彼女だから、お腹も目立つ。
赤ちゃんに悪影響になるといけないので、芽留は携帯を持ち歩くのを止めた。
小さな子宮で、赤ちゃんはスクスクと順調に育っていた。

芽留は停学になったが、問題はない。
2のへ組、全員が留年しているのだから。
2のへ組のみんなと今は校庭にいる。
風浦可符香が芽留の手を引き、転ばないように注意していた。
望の周りには、千里とまとい……それに小森も来て何やらガミガミと言っている。

例の枯れ木は、抜かれなかった。
2のへ組全員で陳情したところ、あっさり決定は覆った。
実のところ、千里が一睨みしただけで校長は震え上がったのだが。
その後、2のへ組全員で世話をしている。

「あっ……。」
芽留の目に、例の木が新芽を吹き、一輪の花をつけているのが見えた。
望が照れくさそうにしながらも、にっこりした。
糸色芽留は、満面の笑顔で笑った。

<終わり>
99名無しさん@ピンキー:2007/09/13(木) 01:59:15 ID:KvX42bdl
<あとがき>
読んでくださった方、スルーしてくださった方、すべてに感謝いたします。
番号付け間違いありますねorg。絶望した!
ああ、公共に毒電波流してごめんなさい!アホエロな自分に絶望した!

・・・昨日徹夜でコレ書いてたので、即寝ますw。(仕事あるのに何やってんだorg)

不思議な毒電波の話。

@望×芽留純愛書こう→A何故か犬調教・スパンキング・言葉攻めを書いている自分→B書き直しorg

@最後は芽留が必死に『中はダメ』と声を出し、言葉を取り戻す話にしよう→A赤ちゃん大好き♪

ホント、毒電波は恐ろしい。
100名無しさん@ピンキー:2007/09/13(木) 02:00:27 ID:CcnMIDje
勃起した!
毒電波で描かれたSSで勃起した!!
101名無しさん@ピンキー:2007/09/13(木) 02:14:35 ID:AB1uLosz
GJ!なんという長編……いや、超編……芽留分が補給されすぎて溢れ始めた。
もはや芽留という文字を見るだけで妄想が迸る。由々しき自体だ、絶望した!


しかし、前スレから異常に流れが早いな。
一ヶ月で消費し切った前スレの勢いに乗じて、このスレも既に1/10消費済みとは……
神々の豊作リッチ、恐るべし!
102名無しさん@ピンキー:2007/09/13(木) 02:24:21 ID:/atNIgac
可符香wwww
103名無しさん@ピンキー:2007/09/13(木) 03:19:38 ID:MaMwdsbi
なんですか、今月は芽留強化月間ですか
素晴らしくGJですよ皆様
104名無しさん@ピンキー:2007/09/13(木) 17:50:44 ID:ENxFu9Jl
三珠さんスレが立った&アニメで「ベタ・セクスアリス」やるらしい記念に、
マヨ目線の短いポエム(?)を書きました。
恥ずかしいけど灯火します。真夜ラーが増えたらいいなあとか思いつつ・・・
逆に減るような気もしつつ・・・。
105名無しさん@ピンキー:2007/09/13(木) 17:53:06 ID:ENxFu9Jl
私、よく人から誤解されるんです。
私、好きな人にいたずらしちゃうんです。
わかってる、おかしいことだって、いけないことだってわかってる。

でも、しょうがないじゃない。

私はずっとそうやって愛されてきたんだから。
私はずっとそれが愛だと思ってたんだから。

でも、どんなにニブい人だって、高校生にもなれば、おかしいことだって気づく。
普通じゃないってわかってる。駄目なことだってわかってる。

でも、ダメなの、止められないの。
これが私の愛なんだもの。

受け取って欲しい、私の思い。

銀色の羽根を受け取って。
真っ赤な情熱があなたを包むわ。
あ・な・た・を・ホームラン。。。

誤解しないで。
私はあなたが好きなの。
私はあなたが好きなだけ。
私はあなたが好きなんだから。
106名無しさん@ピンキー:2007/09/13(木) 17:53:50 ID:ENxFu9Jl
空清め無くて吸いません。でも、真夜ラーはいるんです。
ですから、キャラスレ等でたまに見かける、マヨを悪く言うのはやめてくださいね。
そんなつもりじゃなかったのなら完全な被害妄想です。すいません
最後まで空気読めなくてすいません。
107名無しさん@ピンキー:2007/09/13(木) 19:59:58 ID:zJ1S1woO
>>105
どことなく羽美ちゃんを感じた
108名無しさん@ピンキー:2007/09/13(木) 22:05:25 ID:zcIpxlyG
>>106
最近あまり話しに絡んでこないので忘れがちでしたが
あなたのポエムで一気に真夜ラー化しました



ところで
「カエレ分が足りねぇ」という神のお告げを受信したので
前回の投下の後、カタカタと1本書いてみました
ということで、自分も、空気も流れも読まずにスパーンと投下させて頂きます
109第二の女 1/11:2007/09/13(木) 22:06:36 ID:zcIpxlyG
正直な話、顔に関しては余裕で合格点だ。ときどき、私も負けているんじゃないか、と思うくらいに、
あの色白の顔が綺麗に見えることがある。
ファッションに関しても、まぁ及第点。地元での軽い格好も、最初は少し驚いたがそれなりにセンス
は認められた。その上で和服も着こなせるとなるというのも、ポイントは高い。
良い家の出だから、財力も礼儀作法も、特に問題なし。曲がりなりにも教師だから、頭も良い。
そこまでは、ほとんど理想像と言ってもいいくらいの成績だ。
………けれど、ただ1つの、重大な欠点は。
「そこまで揃ってて、なんであんな性格してんのよ!!」
そう。あの、腰の引けた情けない性格だけは、どうしても許せない。それこそ、こうして思わず声に
出して叫んでしまうほどに。
「(日本は亭主関白の国じゃないの!?『黙ってオレについて来い』でしょ、普通!?)」
私は普段から、ああして周りにつんけんして見せているけれど。それも、ちゃんと理由があってのこと
なのだ。あの私の強気な姿を見て、それでもなお「いいから黙ってついて来い」と胸を張って言って
くれるような男性………私は、それを求めているのだ。欲しいのは、あんな腰の低い態度や情けない
謝罪の言葉なんかじゃ、決して、ない。
「(あー!あーーーーッ、もう!!)」
本当なら、無理矢理にでも先生と一緒になって、それからあの性格を矯正していきたいくらいの気持ち
だけれど、なかなかそうもいかない。私にも、女としてのプライドがある。今の情けないままの先生に
簡単になびいてしまっては、なんだか………何かに、負けてしまう気がするのだ。
「(たまには男らしい所見せなさいよ!きっかけも何もありゃしないッ!!)」
抱き枕に爪を立てながら、ベッドの上でばたばたと両脚を振り回す。最近どうも、こうして苛々する
ことが多くなった気がする。それもこれも全て、先生の所為だ。絶対にそうだ。

すると。

『………今日も荒れてますわね、カエレちゃん?』
「っ!」

頭の中で、声がする。
一瞬ビクリと身体を震わせてから………しかし、それ以上は特に驚くことも無く。他の人間には決して
聞こえないその声に向かって、私は、同じく他の人間には聞こえない声で話し掛ける。
「(………うるっさいわね。何しに来たのよ、楓。)」
頭の中に住む、もう1人の私………楓は、クスクス、と微かな笑い声を上げた。

楓は、私が日本での生活の中で、文化の違いに押し潰されそうになったときに生まれた、第二の私だ。
つまるところが、二重人格。正確には、私の中には他の国で生まれたもっと沢山の人格が住んでいて、
ほとんど1つの世界を形成しているようなものだから、多重人格、という言葉が正しいけれど………
楓以外の人格が積極的に自己主張をしてくることはほとんど無いから、二重、と言っても問題無い。
楓が生まれたばかりの頃は、私も意識を乗っ取られるのが怖くて、無理に彼女を意識の闇の底へ押し
込めておこうとした。二重人格の人間など、一般的な社会では、そうそう受け入れられるものではない
からだ。その反動か、その頃は、私の身体の中で私と楓が主導権の奪い合いをし続けているような有様
だった。
だが。あのクラスに入ってからは、事情が変わった。
私の二重人格を知っても、あのクラスでは誰一人として、私を避けたり、特別扱いするようなことは
無かった。クラスメイトも………先生も、含めて。
それも、私がこうして先生を想い苛立つようになった原因の1つだ。二重人格のことを知っても、
結局次の日には何事も無かったかのように接してくれた身投げを止められる、なんて大事件の後で、
少し顔を合わせづらかったのに、そんなことはまるで無かったとでもいうように接してくれた。
そのことで、私は不覚にも心をときめかせてしまったのだ。
………まぁ、そのことはともかくとして。
そうして、無理矢理押し込める必要が無くなった楓と、私は徐々に、意図的なコミュニケーションが
取れるようになってきた。今は、なんというか、生意気な妹が出来たような感覚だ。傍から見れば、
頭の中の人格と会話をする危ない人間、と思われるのかも知れないが………正直あのクラスに居ると、
そんなことはどうでもよくなってくる。アクの強過ぎるクラスメイトの存在は、私にとっては、幸い
なことだった。
110第二の女 2/11:2007/09/13(木) 22:07:10 ID:zcIpxlyG
『最近ずっと、先生のことで苛々なさってますわね。』
「(………放っといてよ。)」
こうして、会話をするようになってから………楓の正確も、かなり変わった気がする。なんというか、
私の性格の一部が乗り移ったような。私にも、楓の持っていた、男性に対して一歩引いてしまう部分
が伝染ってしまったような気がする。
『久々に、カエレちゃんのお眼鏡にも適いましたかしら?』
「(だから苛々してるんでしょ。少し黙ってなさいよ、もう!)」
『相談くらいしてくれて宜しいのではなくて?私だって………先生を、お慕い申しておりますのに。』
お慕い申しておりますのに、の部分だけは、心底真面目な声になる。楓も、他のたくさんの私達も、
結局は元の私、「木村カエレ」から枝分かれした人格だ。性格も言葉遣いも大きく違うけれど、根幹の
部分は、全員が共有している。
つまり、人間の根底にあるもの………食欲、睡眠欲、そして余り考えたくはないけれど、性欲………に
根差している嗜好は、ほぼ共通しているのだ。全員、糸色先生に好意を持っているのは、間違いない。
『ねぇ………もっと、素直におなりなさいな。』
「(それが出来ないから、苛々してんのよ………あんたも私なんだから、解かるでしょ。)」
『もう。いつものカエレちゃんみたいに、思うことは包み隠さず打ち明けたら宜しいのに。』
「(………あんた、ちょっと前まで『女は3歩引いて〜』とか言ってたじゃないのよ。)」
『それは、それですわ。お慕い申し上げる殿方にひたすら一途、というのも、大和撫子の姿でしてよ?』
「(………あーもう、うるさい!ちょっと寝てなさいよ!!)」
はぁ、と、頭の中で楓が溜息を吐くのが聞こえた。………いや、それとも今のは、私自身の溜息だった
ろうか。もう、頭がぐちゃぐちゃで、何がなんだか解からない。

『………そうですわ。』
やがて頭の中で、楓が、何かを閃いたような明るい声を上げた。
「(………何よ………?)」
『カエレちゃん、糸色先生が男らしくなさってくれないから、踏み出せずに居るのよね?』
「(………いちいち聞かなくても解かるでしょ。)」
そして。
『ということは………男らしい糸色先生の姿を見たら、少しはお気持ちも変わりますかしら?』
その声のトーンが、すぐさま………何かをたくらんでるかのように、低く、落ちる。
『そうなのよね?それなら………ひとつ、考えがありますわ。』
「(………ちょっと………何、考えてんのよ、楓………?)」
私の返答を待たずに結論を出した楓は、また、クスクスと笑いながら………。
『じゃぁ………申し訳ないけれど、少しだけ………。』
「(え………っ………!?)」
突然、私の意識を、乗っ取りに掛かってきた。
「(ちょ、っと………か、楓!?あんた、何の………ッ!!?)」
『大丈夫………悪いようには、致しませんわ………。』
頭が割れるような、締め付けられるような。久々の、吐き気を催すような嫌な感覚。
「(そ、そんな、の………信じ………ッ!?)」
『………ごめんね、けれど………これも、全部………。』
楓が、どこか申し訳なさそうな声で呟いたその言葉を、聞き終わるよりも先に。

私の意識は、身体から締め出され、真相意識の深い闇に沈みながら………ぷつり、と途切れた。


111第二の女 3/11:2007/09/13(木) 22:07:45 ID:zcIpxlyG
/////////////////////////////////////////////////////



その日も望は、宿直室で独りの夜を過ごしていた。
いや………おそらく、望の気付かないうちに、部屋のどこかでまといが常に望を観察しているはずだが。
視界の外にいると、ついつい、その存在を忘れがちになる。慣れとは怖ろしいものだ。
毎日の密かな楽しみ兼日課である読書の時間を、終える。栞の紐をページに挟み、本を机の上に無造作に
投げ出す。今日も1日、2のへ組での激務をこなし、体力も限界だ。
「(まだこんな時間ですが………たまには、少し早く休みますか。)」
あくびをしながら頭の隅でそんなことを考えて、望は、押入れから簡素な寝具一式を取り出し、畳の上
に広げた。適当に皺を伸ばし、形を整えて、眼鏡を外して電灯から垂れた紐に手を掛けた………。
そのとき。

コン、コン

「おや………………?」
ドアをノックする音が響き、望は、電灯を消し掛けたその手を止めた。
「(………こんな時間に?)」
眼鏡を掛け直し、時計に眼をやる。時刻は9時、寝るには少し早い時間だが、外出するには遅い時間。
こんな時間に自分を訪ねてくるとすれば、誰だろうか。まといがうっかり宿直室から締め出されたか、
霧が心細くなって理科準備室からこちらへ渡って来たか、あるいは可符香か千里辺りがとんでもない
厄介事でも持ち込んできたか。
「はい、はい、今開けます………っ………。」
そして。そんな気構えで、ドアを開いた望は。
その先に立っていた、心底意外なその少女の姿を眼にして、思わず固まった。
「あ、れ………き、木村………さん?」
「………夜分遅くに申し訳ございません、糸色先生………。」
そのしおらしい態度に、望はまた言葉を失ったが………眼の前に居るのがいつもクラスに居るカエレ
ではないということにだけは、すぐに気付いた。
「あ、え、っと………もしかして、楓さん、ですか………?」
「はい………ご無沙汰しております………。」
呆気に取られながらも、望はひとまず挨拶を交わし、立ち話もなんですから、と言って楓を宿直室に
招き入れようとする。
しかし………楓は、その場を動こうとはしない。
「………あの………どうか、なさいましたか………?」
恐る恐る、望がそう尋ねる。楓は黙ったまま、ほんの少しの間だけ視線を落として………その後。
頬を上気させながら、熱の篭った視線で、望の瞳を見つめた。
「………へ………?」
ドキリ、と望の心臓が高鳴り、同時にその口から上擦った情けない声が漏れる。
事情を理解できていない望に、楓が、一歩、また一歩と歩み寄る。靴が無造作に脱ぎ捨てられ、2人の
距離が見る見るうちに縮んでいく。
「先生………あの、私………ッ………。」
自ら歩み寄りながら、しかし、どこか恥ずかしげな表情を浮かべる楓。その姿に、望の体温は上がり、
その鼓動が早まっていく。
望むが1歩後ずさる毎に、楓がそれ以上の距離を詰めて。遂に、2人の距離が、ゼロになる。
楓は、身体の正面を望むの薄い胸板に密着させ、自分よりもほんの少し高い位置にある望の瞳をまるで
熱に浮かされたような表情で見上げながら………熱い吐息と共に、一言、呟いた。

「ずっと、先生を………先生を、お慕い申し上げておりました………っ………!」

少しだけ時間を掛けて、その古風な言葉の意味を租借して。
「………………は、い?」
望の思考回路が、停止した。


112第二の女 4/11:2007/09/13(木) 22:08:30 ID:zcIpxlyG
/////////////////////////////////////////////////////



眼が、覚める。
暗く、冷たい深海に浮かんでいるような感覚。久々に叩き落とされた、意識の闇の底。
『………ちょっと………どういうつもりよ、楓………。』
「(あら、やっと………っ、お目覚めに、なりまして………?)」
どこか人を小馬鹿にしたような声で、楓が答える。意識が途絶える前とは、完全に立場が逆転して
しまっているらしい。自分の身体の感覚も無ければ、自分が見ているはずの景色すら見えない。
『………説明しなさいよ。』
「(もう少し、休んでらしても、っ、宜しかったのに………。)」
『いいからとっとと説明しなさい。あんた、今、どこで何してるの?』
楓の声が、何故か所々途切れがちになっているのを訝りながら、私は強い態度で楓を問い詰める。
また、あの微かな笑い声が聞こえた。
「(………本当に、知りたいんですの、ね?)」
その声の調子に、一抹の不安を覚えながらも………私は無言で、楓に圧力を掛け続ける。
それを感じ取り、楓が、答える。

「(それじゃぁ………身体は、お返しできないけれど。)」
『………………。』
「(貴方の、眼だけは、っ………少しだけ、覗かせて、差し上げますわ………っ!)」

楓の言葉の、直後。視界の中に、白い光が差し込み………楓が見ているであろう景色が、現れる。

そして。
眼の前で展開される、その光景を眼にして………その意味を、理解した瞬間。
『………なッ………〜〜〜ッッッ!!?』
私は、意識だけの身体で、頬を真っ赤に上気させた。

始めは、眼の前にある赤黒いものが何なのか、近過ぎて解からなかったけれど。
前後に動く視界と、引いた視点からの映像と………時折、低い視点から見上げる、糸色先生の顔、
そこに浮かぶ表情を眼にして。私は、自分が、自分の身体が何をしているのかを、悟った。
「先、生………ん、気持ひ、良い、ですか………っ?」
楓が実際に口にした声が、私の耳にも届く。私は、まるで自分自身が望んで『その行為』に及んで
いるような錯覚に陥りながら………糸色先生の分身を、自らの口を使って慰めている楓と、視覚を
共有していた。
「き、木村、さん………そこはッ………!?」
「先生ったら………もうこんなに、腫れ上がってらっしゃいますわ………ん、ちゅ………。」
「や、やめて下さい、もう………ホントに、もう………う、あ………!!」
「もう、こんなに先走って………ん、ぅ………美味しゅうございますわ、先生………。」
楓は私と同じ声で淫らな台詞を吐きながら、びくびくと震える先生の分身を一心不乱に咥え込む。
『な………何やってんのよアンタ!!?こんな、こんなの………止めなさいよ!!今すぐッ!!』
「(………カエレちゃんが、悪いんですのよ?いつまでも、素直になってくださらないから。)」
『勝手なことしないでよッ!!っていうか、こんな………なんで………!!』
「(いいじゃ、ありませんの………っ、恋なんて所詮、早い者勝ちですわ………ッ!)」
『何が大和撫子よ!!何が和をもって良しよッ!!この、淫乱女!!』
「(日本には、『当たって砕けろ』という………素敵な、言葉もありましてよ?)」
『砕けるのなんて、どうせ私じゃないのよ!!止めて、こんな………こんなのって………!!』
どうしようもない喪失感と後悔の念に駆られる私の言葉を、遂に無視して。楓は、糸色先生への行為
を加速させる。先生の分身に細い指を絡め、それを上下にしごきながら、舌で唾液を塗りつけるよう
に膨らんだ分身全体を愛撫していく。
「う、あ、ぁぁ………ッ………!!」
やがて先生が、苦しそうな呻き声を上げ………その、直後。
「あ、ぐッ………………!!」
「………あ、ん………ッv」
最大限に膨張した、分身の先端から。私の顔目掛けて、白く粘度のある液体が、一気に吐き出された。
113第二の女 5/11:2007/09/13(木) 22:09:51 ID:zcIpxlyG
「は………あ、ん………。」
楓が、蕩けそうなほどうっとりとした声を上げながら、指に絡んだ先生の精を弄ぶ。息を荒げる先生
の脚の間で、楓は、その指を自分の口へ運んだ。くちゅくちゅと、舌が自分の指を嘗め回す音が響く。
「は、ぁ………っ、は………。」
「これが………先生の………ちゅ、ぷ………v」
「き………木村、さん………ッ………。」
先生が、切なげな声で私の苗字を口にする。おそらくそれは、「木村カエレ」ではなく「木村楓」を
呼ぶ声なのだということを想い、私はもはや、声を上げる気力すら失っていった。
「先生………先、生ぇ………ッ………v」
私の身体が、先生に迫る。首の後ろに手を回し、そのまま先生の身体を引き倒すように、仰向けで
宿直室の畳の上へと寝転んでいく。2人の身体が、上下に重なる。
「………いらして………糸色、先生………ッ!」
楓が、先生の理性に止めを刺す、甘ったるい誘惑の声を上げる。
その瞬間、先生の中で何かが切れるのが、眼の前に居ないはずの私にも、はっきりと感じられた。
「………木村、さんッ………!!」
楓の視界に映る先生の瞳には、普段ならば絶対に見られない………どこか、獣染みた光が宿っていた。

ああ、先生は、こんなに荒々しくて男らしい顔も出来るんじゃないか。どうして、私の前ではその顔を
1度も見せてくれなかったのか。楓には、そのぎらぎらと光る瞳でこうして襲い掛かっているくせに。
それとも、それもこれも全部、私が悪いのか。なんだかんだと愚痴を溢しながら、結局は先生に何一つ
アプローチをしなかった私の所為なのか。
今こうして先生と愛し合おうとしているのは、私の身体であって「木村カエレ」ではない。なんだろう。
何が悪かったのだろう。どうして私は、楓なんかに出し抜かれてしまったんだろう。今更そんなことを
考えたところで、何もかもが、遅すぎるけれど………。

「(………本当に、宜しくって?)」
『………………ッ!』
不意に。楓が、私に語りかける。
視界の中の時が、止まる。
「(このままでは、私………本当に、全部奪ってしまいますわよ?)」
諫めるような、咎めるような。どちらにしろ、今まで、私さえ聞いたことがなかったような強い声。
「(本当に、それで宜しいんですの?そのまま、何もせずにいらっしゃるつもり?)」
『………そんな………だって、私………そんなの………!』
最後のチャンスを与えられていると、感付きながら。それでも最後の1歩を踏み出しかねている私
に向かって………楓は、まるで母親が小さな子供を叱り付けるような声で、叫んだ。

「(カエレちゃんが、先生を慕うお気持ちは………その、程度なの!?)」
『ッ!!』

ぱちん。私の中で、何かが、音を立てて弾ける。
『………や、だ………。』
「(もっと、ハッキリ言いなさい。カエレちゃんは、先生と、どうしたいの!?)」
気付けば………涙など流せるはずのない私の声は、いつの間にか、涙声になっていた。
『私………私、先生と………一緒に、なりたい。』
「(好きなんでしょう?)」
『………私、先生が………糸色先生が、好き………!』
114第二の女 6/11:2007/09/13(木) 22:10:25 ID:zcIpxlyG
想いを告げた後の、しばしの、沈黙。
そして。
「(………もう、やっと素直になってくれましたわね。)」
楓の声が、急に、凪ぐように穏やかになる。
『………かえ、で………?』
「(全く、世話の焼けるお姉様ですこと。最初から、そう言えば宜しいんですのよ。)」
『………楓、あんた………?』
クスクス、と、また笑い声が聞こえる。
「(仕方ありませんわ。先生との、初めては………カエレちゃんに、お譲りしますわ。)」
『………え………?』
「(けれど、少しだけ覚悟なさいね。初めての交わりは、とっても、痛いそうですから。)」
『え、ちょっ………待って、ここまでしといてそんな急に………!?』
「(お気持ちは、おありなんでしょう?女たるもの、時には、大胆さも必要でしてよ?)」
さきほどまでの厳しい態度はどこへやら。まるで、この状況を心底面白がっているような口調で
言いながら………楓の声は、徐々に、私の意識から遠ざかっていった。
「(大丈夫ですわよ。先生は………ちゃんと、あなたの望む男らしさを持った、殿方ですから。)」
楓の声が………意識の闇の底、私とは別の場所へと、還って行く。
そして、それは同時に………それに置き換わるべき私の意識が徐々に表層に浮かび上がりつつある
ことを、示していた。

そして。
「(御武運を、お祈り致しますわ。カ・エ・レ・ちゃん………v)」
『楓!!ちょっと、待っ………………!!』
その声が途切れた、瞬間。



/////////////////////////////////////////////////////



視界が、再び動き出す。しかし今、私の意識の中にあるのは、眼に見えるものだけではない。
背中に感じる畳の感触、高まった自分の体温、乱れた衣服の居心地の悪さ………そして、眼の前に覆い
被さった、糸色先生の荒い息遣い。さっきまで楓の物だったはずの全ての感覚をそっくりそのまま身体
にのこして、その意識だけが、私に置き換わる。
「(え………え………ッ!?)」
頭の中で声を上げても、楓の返事は聞こえない。きっと、意識の底で高見の見物を決め込んでいるのだ。
「………木村さん………!」
「ひゃッッ!!」
突然、先生がのしかかってくる。私が、驚いて身をすくませるよりも先に………先生が、唇を重ねて
きた。思わず、全身が引き攣るように硬直する。
ガチガチになった唇を解し、こじ開けるようにして、先生の舌はなんとか私の中に侵入しようと蠢いて
いる。少しの間、恐怖にも似た感覚に身体を硬くしていた私も、やがて先生とキスをしているという
事実に惚けてしまったかのように緩み、先生の舌を受け入れてしまった。
「ふ………ん、ぅう………!!」
舌と舌が絡み合う、まるで映画の中のように濃厚な口付け。眼の前で様々な色の光が明滅し、頭の奥が
痺れてくるような錯覚に陥る。
「………ふ、は………ッ………。」
やがて離れた2人の舌を、透明な糸が繋ぐ。もはや、それがどちらの唾液なのかなど解かりはしない。
次に、先生の掌が、私の胸に伸びた。細い指が這うようにして制服の裾から腹の上に潜り込み、その
まま肌をなぞりながら、胸元に達する。下着が押し上げられて、制服の下で、私の両胸が露になる。
「ん………っ………。」
下着と制服で胸の先端を擦られて、私は、思わずぴくりと身体を震わせた。そこが、ピン、と隆起して
いるのが、自分でもよく解かった。性感帯に触れられずとも、先生と触れ合っている部分が、じんわり
と暖かくなってくる。身体全体が、驚くほどに敏感になっている。
115第二の女 7/11:2007/09/13(木) 22:12:39 ID:zcIpxlyG
「ひゃ、ん………ッ!?」
先生は、まるで私の胸の輪郭を確かめるように掌を一回り滑らせてから、徐々に、私の胸に刺激を送り
始める。始めは、掌全体で持ち上げたり、軽く指で形を変える程度に。やがて、指に込められる力が
強まり、掌全体の動きも大きくなり、胸全体が揉みしだかれて大きく形を変えるようになる。
「………ちょっと、失礼しますよ………っ………。」
先生はそう言って、少しずつ、私の制服の裾を捲り上げ始める。腰が、おへそが、徐々に先生の眼の前
に曝け出されていく。水着を着ているときにはたくさんの男達に見られてもなんともなかったのに、
今は、こうして先生に身体を凝視されるのが恥ずかしくて仕方が無い。
「や………嫌だっ、先生………っ………!」
弱々しい抗議も虚しく、程なくして、私の胸は完全に覆い隠すものを失った。
先生は、ほとんど馬乗りになるようにして、両手で私の胸を捏ね回し始める。掌の真ん中で先端が押し
潰され、擦り付けられて、じんじんと痺れるような快感が背筋を駆け巡る。
「はっ、ぁ………ん、せ、先生………嫌っ、そんな、激し………!」
「………胸が大きいと、感度が悪いと言いますが………どうやら、嘘みたいですね。んっ………。」
「ふ、あぁッ!?」
突然、先生が私の胸に顔を埋めてくる。そのまま、谷間や乳房に舌を這わせ………やがて、その舌が
先端に達する。ちろちろと、舌先がひくひくとわななく先端を虐める。
揉みくちゃにして、舌で愛撫して………更に、先端に吸い付いて、甘噛みして。存分に私の胸を愛し
終えて、先生は1度、私に覆いかぶさっていた上体を起こした。先生が離れてもなお、私の身体は、
快楽の余韻に小さな痙攣を繰り返す。
「………いいですか、木村さん………?」
ぼう、と惚けた頭で、次に放たれたその言葉を理解するには、少しだけ時間が必要だった。
そして、先生が求めているであろうことに思い至った、瞬間。太股に、先生の指が、触れる。
「う、あ、ぁッ………!?」
つい、と内腿を指でなぞられて、私は思わず、仰向けのまま背中を仰け反らせた。今は、先生との
全ての接触が快楽に直結してしまう。
先生の欲望と、そしてそれを待ち望んで震える自分の身体に、抗う術などあろうはずもなく。私は
さしたる抵抗も無いままに、ゆるゆると脚を開き、先生にその身体を差し出した。
「先生………先生、せん、せいっ………。」
うわ言のような声が、漏れる。先生は1度私に身を寄せて、頬に軽いキスを落とした後………その指
を、私の下着に絡めた。指が触れた瞬間、くちゃり、と微かな水音が響く。
胸への愛撫があったにしても、少し準備が整い過ぎている気がする。もしかしたら、楓の奴が、先生
に奉仕しながら自分の身体も慰めていたのかも知れない………などということは、もちろん考えて
いる余裕も無く。
湿った下着が、するすると太股を滑り降りていく。私はほとんど無意識のうちに片方の膝を立てて、
下着から片脚を引き抜いた。下着自体は、もう片方の足の膝下辺りに残されて、胸に続いて完全に
無防備になった下半身に、先生の身体が割り込む。
先生に向かって、両脚を開き、下着も身に着けていない所を曝け出して居る………そう考えると、
本当に死にそうなほど恥ずかしかったが、それと同時に身体の疼きはますますその激しさを増して
いく。
「………よく、解しておかなければいけませんね。」
先生はそう言いながら………あろうことか、身を屈めて、その顔を私の脚の間に埋めてしまった。
捲れたスカートの影に先生の姿が消えて、直後………全身が痙攣するような甘い痺れが、下腹部
から脳天までを一気に突き抜けた。
「ひ、あ、あ、あぁぁぁぁ………〜〜〜ッッッ!!?」
まるで、私の内部を掻き分けるように蠢く何本もの細い指と………もう、1つ。もっと柔らかくて、
暖かくて、そして厭らしい動きをする………先生の舌が、私の中を、蹂躙していく。
「や、嫌ぁ………駄目、先生、そこッ………そん、そんな、所、ぉ………!?」
「………こちらも、可愛いですよ。本当に………。」
「や、駄目ッ、そんなの………言っちゃ駄目、ッ………!!」
喋るたびに、先生の吐息と舌のランダムな動きが、私の身体を高めていく。十分に私の入り口を
解した後、先生は………遂に、最後の行為に向けて、準備を始める。
「木村さん、私も………そろそろ、我慢の、限界です………っ。」
先生が、私の両脚を抱え込むようにして、私に覆いかぶさる。見ると、さきほど白濁を吐き出して
萎れたはずの先生の分身は、再び膨張してあの大きさを取り戻していた。
116第二の女 8/11:2007/09/13(木) 22:13:24 ID:zcIpxlyG
一瞬だけ、背筋が寒くなる。あんな物を………果たして、私の身体は、受け入れられるのか?
「………何かあったら………すぐに、言ってくださいね。」
私の不安もどこ吹く風、とでもいうように。先生は自分の分身を手にとって、それを、私の入り口
にぴたりと宛がう。私は思わず両眼をきつく閉じて、眼の前の先生を更に近くへ抱き寄せるように、
その背中に腕を回した。
そして。運命の時が、やって来る。

「………失礼、します………!!」
「………あ、ッ………〜〜〜ッッッ!!!???」

先生の腰が、私に近づいて。入り口が、ほんの少しだけ、押し広げられた直後。
私は、それまでに味わったことのない程の痛みを感じ、思わず声を失った。
「ぁ………く、ぅ、ッ………ッッ………!!?」
悲鳴を上げることすらままならない程の、激痛。快感も恥ずかしさも全て消し飛んで、身体が硬直
し、脂汗が浮いてくるような、地獄の苦しみ。
覚悟していたものを遥かに超えるその衝撃に、気付けば私は、ぽろぽろと涙を零していた。
「い………い、たい、痛いッ………先生っ………!!!」
「………もう、少しです。もう少しで………全部………ッ!!」
私の搾り出すような訴えにも、先生は決して行為を中断しようとはしない。ズキズキと痛む私の
内部に、なおも分身を沈め続ける。しかし、ともすれば乱暴とも思える先生の姿を見て………私は
何故か、安心感のようなものを感じていた。先生から与えられるその痛みは本物だったが、しかし、
それ以上に………私を抱き締めて、私と1つになろうとしてくれている先生が、これ以上無いほど
力強く、男らしく見えて。その腕の中に居ることが、なんだか、この上なく幸福なことに思えた。
「………は………入り、ましたッ………!」
やがて、先生が呻くようにそう呟いて、分身の進行が止まる。肉を引き裂かれるような鋭い痛みは
止んで、ただ、ズキズキと腹の底に響くような、鈍い痛みだけが残される。気がつけば私は先生の
白い肌を掻き抱いて、その背中に爪を立て、浅い引っ掻き傷をいくつも作ってしまっていた。
繋がった部分が、焼けるように熱い。先生に抱きついたままでは、そこがどうなっているのかは
見えないけれど………多分、血が出ているんだろう。初めてのときは、そうなるものだと聞いた。
「は………はッ………は、ぁ………。」
浅く短くなっていた呼吸を、徐々に整えていく。その間も先生は、崩れ落ちそうになる私の身体を、
力強く支え続けてくれた。
「ごめんなさい、痛かったですか………けど、ちゃんと全部入りましたよ、木村さん………。」
先生が、小さな子供をなだめるような声で、囁く。その言葉に包まれて、言い様の無い幸福感を
感じながら………しかし、その中に1つだけどうしても言いなおして欲しい場所を見つけた私は、
まだ喘ぎ続けている喉で、必死で、言葉を紡いだ。
「………カ、エ………って………。」
「………はい………?」
呼吸と鼓動が、なかなか治まってくれない。
それでも私は、必死で声を振り絞って………どうしても伝えたかった、その言葉を、呟いた。

「………カ………レ、って………カエレって………っ。」
「………え………?」
「カエレ、って、呼んで………糸、色、先生………ッ………。」
「………………………………ッッッ!!?」

先生の身体が、硬直する。
無理も無い話だろう。先生は今の今まで、ずっと………私が、楓のままだと思っていたんだから。
事情が呑み込めない様子で、先生は、自分と繋がったままの私の姿を見つめる。
「………木む………い、いえ、カエレさん………どうして………?」
「あ………せ、んせ………私………っ………。」
どうして、と尋ねられれば、答えなければいけないことは山ほどあるような気がした。けれど、
それを言い表す言葉なんて、先生と結ばれたままで冷静に考えられるはずもない。私はただただ
言葉にならない声の破片を漏らしながら、また、ぽろぽろと涙を零し始めてしまった。
先生は、しばし、驚いた表情でその様子を見守っていたが………やがて、全てを悟ったような、
意を決したような表情に変わり………また、私の身体を抱き締めてくれた。
117第二の女 9/11:2007/09/13(木) 22:14:04 ID:zcIpxlyG
「………すいません。どうやら………私は、とんでもなく、酷いことを………。」
「………先生、私………わた、し………ッ………。」
「………何も、言わなくていいですから。あとは………先生に、任せてくれませんか?」
ぽん、ぽんと私の背中を叩きながら、先生は、揺るぎ無い声でそう言った。
私も、結局まともな言葉は1つも伝えられないまま………それでも、先生の言葉だけは受け入れる。
こくり、と小さく頷くと、先生は小さな声で、何事かを呟いた。荒い呼吸としゃくり上げる声の
所為で、先生が何と言ったのかは、よく解からなかった。

そして。先生の腰の動きが、再開される。
「行きますよ………カエレさん。」
「あ、ぐ………ぅ………!!」
ギチ、と、また痛みが走る。さっきよりは少しはマシになったが、それでも、激痛であることに
変わりは無い。私の腕はまた、先生の身体にすがるように爪を立てる。
「………今度は………これで、少しは楽になると、いいんですが………っ、く………。」
もしかすると、先生も痛みを感じているんだろうか。快感を我慢しているのとは少し違う、単純に
苦しそうな呻き声を上げながら………先生は、両手で支えていた私の身体を、片腕のに持ち変える。
離れた腕が………先生に絡みつく私の片腕を、取る。
「本当なら、私の仕事なんですが………申し訳ありません、この体勢ではなんとも………。」
申し訳無さそうにそう言いながら、先生は一旦動きを中断させて………私の手を、そっと、結合部
へと導いていった。
そして。
「ひ、んぅッッッ!!」
「………解かり、ますね?」
先生の指が………胸よりも唇よりも、どこよりも敏感な突起に、触れる。
瞬間、腰から生まれた快楽の波が、全身へと波紋のように伝わっていく。
「これで、少しは楽になるはずです………。」
「あ、あッ………ひ………や、やぁ………ッ!!」
「後ろからなら、私が慰めてあげられるのですが………無理に体位を変えるのも………。」
くにくにと、結合部の上部を指の腹で捏ね回される。先生の言う通り、全身を駆け巡るようなその
快感は、まるで麻酔のように結合の痛みを和らげていった。
私はほんの少しの不安を抱きながらも………自分の、1番敏感な場所に、指を這わせていく。
どんな風に触れれば、どれだけの快楽が生まれるのか。自分の身体のことは、自分が1番よく解かる。
だからこそ………何か、一旦スイッチが入ってしまったら、歯止めが効かなくなりそうで。それが、
少しだけ怖かった。
そして。そんな、私の不安を読み取ってくれたのだろうか。
「………何も、考えなくていいですよ。何があっても………私は、ここに居ます。受け止めますから。」
そう言って、微笑んでくれた。
頬が上気する。不安が、取り除かれ………思考が曖昧になっていく。
私は、先生に促されるがままに………自分の指で、自分の身体を慰め始めた。
「ん、ふッ………く、ぅん………ッ!!」
その行為を確認してから。先生も改めて自分の動きを再開する。
痛みと快楽が、混ざり合ったその状態の中。完全に優勢だった痛みが徐々にその影を潜め、快楽が、
その度合いを増していく。不安も恐怖も、負の感情は全て払拭されて、ただ、愛する人と結ばれる
幸せだけで頭が一杯になる。
「せん、せ………先生、先生ッ、先生ぇッ………!!」
「カ、っ………カエレ、さん………!!」
無我夢中で腰を叩きつけられ、無我夢中でその感触に酔いしれて。
やがて………私の身体が、ピークを迎える。
「や、ぁ………せん、せ………なに、何かっ………!?」
「………ええ、私もです………もう………!!」
どうやら、限界が近いのは先生も同じらしい。
「はぁ、んッ!!く、来るッ、来ちゃう、ぅッ!?」
「カエ、レ、さん………ッ………!!」
無意識のうちに、私の脚が、先生の腰を捕える。
118第二の女 10/11:2007/09/13(木) 22:14:39 ID:zcIpxlyG
どうやら腰を引こうとしていたらしい先生は、一瞬、私の脚にその動きを封じられて………次の瞬間。

「う、ッ………………!?」
「はッ………あ、ぁッ………v」

耐え切れない、熱い迸りを………余すことなく、私の中に、注ぎ込んだ。
身体の奥底に叩きつけられる熱を感じながら。私の身体も、同時に、絶頂を迎える。

落雷のように全身を襲った、緊張が………時と共に、徐々に、弛緩へと転じていく。



/////////////////////////////////////////////////////



「………膣内射精なんて、告訴どころじゃ済みませんよ、本当なら。」
事後の手厚い介抱を、終えて。
「いえ、その………それは、カエレさんが………。」
「何か言いました?」
「………なんでもありません………。」
先生はまた、いつもの気弱な先生に戻ってしまった。
私の強い言葉に、相変わらずビクビクしっ放しで。ひとつになっていたときのあの逞しさは、一体
どこに消えてしまったというんだろう。
「(………ひとつに………。)」
自分で考えながら、また、行為の最中のことを思い出してしまう。顔が、熱くなる。
「………ともかく。こうなってしまった以上、何かあったら、責任取って貰いますから。」
「………また、あなたまで木津さんみたいなことを………。」
「何か!?」
「なんでもありません!」

………全く。これから先が、思いやられる。

「今日は、帰りますけど………また後日、ゆっくりお話しましょう。」
「………はい………。」
照れ隠しついでに、ちょっと釘を刺して。私は、席を立つ………が。
「………っ………。」
初体験の、余韻だろうか。腹の底の疼くような痛みに、私は思わず、よろめいた。
すると。すかさず、先生の手が私を支える。
「だ………大丈夫、ですか………?」
「………誰の所為だと思ってるんですか。」
そうだ。本当に、先生は解かっているのか。そもそも、この一連の出来事が全部………先生が、私の
心を乱してくれた所為なんだということを。
先生はまた申し訳無さそうに頭を下げて、宿直室の出入り口まで付き添ってくる。
「大丈夫ですか?夜道は危ないですし、よければ家まで………。」
「平気ですよ、すぐそこですから………それより。」
「………は、はい………?」
「………これでもし、裏切ったりしたら………告訴も裁判も抜きで、私が、処刑しますからね。」
一瞥と共に放ったその言葉に、先生は、白い顔を更に青冷めさせた。
「………肝に銘じておきます………。」
「それじゃ。また明日、学校で。」
最後にそれだけ言って、私は、宿直室を後にした。


119第二の女 11/11:2007/09/13(木) 22:15:43 ID:zcIpxlyG
/////////////////////////////////////////////////////



独り、夜道を歩く。月が、明るい。
『………どうでした?初めての、殿方との交わりは?』
事の最中はずっとだんまりを決め込んでいた楓が、不意に、その姿を現した。
「(………あんなに痛いなんて、聞いてないわよ。全く………。)」
『けれど、凄く、幸せだったんじゃなくて?』
はぐらかす為に言った言葉もあっさり見破られて。私は、二の句を継ぐことができなかった。
「(………全く………余計なこと、するんじゃないわよ。)」
『なんならあのまま、私が先生の全てを奪って差し上げても宜しかったんですのよ?』
「(………〜〜〜ッ!)」
『あらあら………冗談に、決まってるじゃありませんの。』
「(………ホントに冗談なんでしょうね。)」
『当然ですわよ。私だって………カエレちゃんが嫌いで、虐めてるんじゃありませんもの。』
頭の中で会話しながら、顔がカーッと熱くなってくる。楓の笑い声が、聞こえた。

『………ともかく。おめでとうございます。』
「(………………うん。)」
空を、見上げる。雲ひとつ無い、満点の星空が、私を見下ろしている。まるで、私を祝福してくれて
いるみたいだ………なんて、メルヘンチックなことを言うつもりは無いけれど。
『これで、先生も………やっと………。』
楓は、感慨深げな、ゆっくりとした口調でそう言って。
………その、後。

『「私達」、みんなのものですわね?』
「(………………は?)」

心の奥で感じていた、じんわりとした暖かさが、急に、冷める。
「(………ちょっと、皆って………?)」
『言ったじゃありませんの。私も………それに他の皆さんも、先生のこと、大好きなんですからね?』
『そうよ、ねぇ?』『私だって大好きよ!』『そうですよ』『そーだぜ』『ソウダナ』『………』
頭の中で聞こえる声が、突然、その数を増す。

「(え………?ちょっと………あんた達、なんで急に………!?)」
『あら嫌だ。急に、だなんて………長いお付き合いじゃありませんの。ね?』
「(………〜〜〜ッ!!)」

どうやら………先生の心を射止めても、私にはまだ、大勢のライバルが居るらしい。
この先のことを思いやり、私は、軽い眩暈を覚えた。
120名無しさん@ピンキー:2007/09/13(木) 22:20:46 ID:zcIpxlyG
(END......?)


はい、というわけで
勝手にカエレ分補給させて頂きました
お粗末さまでございました

カエレみたいにすぐ「訴えるよ!」なんて言ってるキャラが、ツンデレじゃないハズがないんです
逆に楓みたいな大和撫子キャラが居たら、今時、腹の底まで本当に大和撫子なハズがないんです
………という色眼鏡に基づいて書いたので、肌に合わなかったらごめんなさい

最後までお付き合い頂いた方いらっしゃいましたら誠に、誠に有難うございました
礼 多謝 土下座
121名無しさん@ピンキー:2007/09/13(木) 22:26:12 ID:wd09g1BI
なんという神の大攻勢……
>>99氏の芽留小説、>>106氏の三珠ポエム、
そして>>120氏のカエレSS……。
お三方、ともにGJとしか言い様がないんだぜ。乙!
122名無しさん@ピンキー:2007/09/13(木) 22:26:17 ID:kXr0OMJe
ちょww3日で160KB消費とかwwねーよwww

>>106GJだ!!
カエレは珍しいからキタよ

メルメルの長編といい最近濃厚なエロが続いて
うれしいかぎりだぜい
123名無しさん@ピンキー:2007/09/13(木) 22:29:40 ID:kXr0OMJe
すまん、カエレ話は>>108だったorz
もちろん、>>106の真夜ラーポエムもGJなんだぜ!
・・・吊ってくるか・・・
124名無しさん@ピンキー:2007/09/13(木) 22:31:09 ID:SiiLjDhl
もうGJ!!としか・・・・・

真夜ちゃんや、カエレまで・・・・・・・
すごすぎます・・・・! 乙です! GJっす!
125名無しさん@ピンキー:2007/09/13(木) 22:37:03 ID:emC26hE5
神だ…このスレは神の領域に入った!!
この神ラッシュの裏で430氏が地味に小ネタを連投してる件ww
126名無しさん@ピンキー:2007/09/13(木) 22:58:38 ID:13E3drcp
前スレのうめ職人の方々、おつかれさまでした。
127前スレ851:2007/09/13(木) 23:02:40 ID:NqR9L6DH
木津のカウンセリング編、読んでくださったかたありがとうございます。

あと前スレでカフカについての暗い小品を書いた622も実は犯人は私です。
夜中に勢いでスレ埋め草として書いたのですが、タイトルもなし、最初三人称で書いて、後から
一人称に直したところ、見直しがいい加減で文章が相当おかしくなっていました。
どうも気に入らないので、直したのを再度書き込みます。以後気をつけますので、ご勘弁ください。

タイトルはアナザーエンディング、です。
所謂一つの別世界での物語ととってください。エロなし、世界観破壊しまくりなので、そういうのが
嫌いな方はスルーでお願いします。
128アナザー・エンディング1/3:2007/09/13(木) 23:03:30 ID:NqR9L6DH
「じゃあ今日の分のプリントは置いていくね。」
今日学校であったこと、授業のこと、そしていつものように私が見た夢の話などの
雑談をして、千里ちゃんは病室からでていった。

「みんないいお友達ね」看護婦さんの言葉を聞いて、本当にそのとおりだと私は思う。
私が意識を取り戻したときからずっと、クラスのみんなが毎日交代でプリントを届け
てくれたり、学校の様子を話しに来てくれているのだ。

「後遺症が残らなかったのは本当に奇跡だね」私を担当してくれている先生はそう言っ
ていた。確かにそうなのだろう。あんなところから飛び降りたのだから、後遺症がな
かったどころか、命があったことだけでも信じられない不思議といえる。
病院のベッドで最初に目を覚ましたあとは、今みたいに素直に考えることはできなかっ
た。でも今は神様に心から感謝している。
129アナザー・エンディング2/3:2007/09/13(木) 23:04:26 ID:NqR9L6DH
私の意識が戻らなかったのは一ヶ月ほどだったという。

眠り続けているあいだ、私はたくさんの夢をみた。不思議なことに夢の中では何年も
時間が経ち、春夏秋冬、いろいろな出来事があった。
とてもリアルで、今でもそれがすべて夢だったとは信じられない。

「夢の中でね、千里ちゃんや奈美ちゃんもでてきたんだよ」
私が夢の中でみた節分や七夕、修学旅行や文化祭の話をすると、みんな面白がって聞
いてくれる。
「杏ちゃんは昔から空想好きだったもんねえ」奈美ちゃんが笑う。

そういえば夢の中で、私はなぜか風浦可符香の名前で呼ばれていた。私が中学のとき
漫画を書くときに使っていたペンネームだ。どうしてかわからないけれど、現実の私
を忘れたがっていたせいなのかもしれない。

夢の中にでてくるのはすべて私のクラスの人たちだ。
でも一人だけ違う。一番お見舞いに来て欲しいあの人だけが。
130アナザー・エンディング3/3:2007/09/13(木) 23:06:06 ID:NqR9L6DH
糸色先生が、完全に私の想像力が作り出した存在だったということだけは、なかなか
信じることができなかった。

お父さんとお母さんが私を置いて行ってしまったとき、私も死を選ぼうとしたのだ。
家に帰って見た光景、そのとき私が心に受けた傷は一生忘れることはできないだろう。
カウンセラーの先生は、そんな私の心が辛さを忘れるために絶望先生を作り出したのだ
ろうという。

もうあと少しで退院できる。きっと学校に戻ってからも、みんな私を助けてくれる
だろう。でもそこに絶望先生はいないのだ。

「でも、認めなくちゃ」私は思う。
「なんてポジティブなんでしょう、この子は」夢の中の絶望先生の言葉を思い出し
て私は笑う。
「そう。私はポジティブ少女なんだから。先生の言うとおり」
「これからは上手くいきますよ」私は先生に語りかける。
きっとそれは叶うはずだ。
131名無しさん@ピンキー:2007/09/13(木) 23:19:19 ID:NqR9L6DH
>>57
日塔奈美の夏休みカレンダーっていろいろ想像させられるんですよね。
書き込んである予定が。

しかし、これが普通なのかもしれないが、徹底してぎりぎりまで宿題をしないというのは、ちょっと
問題生徒ですね。

話が進むにつれて、頼りにしていく友人の変人度? がだんだん上がっていくエスカレートする
感覚が面白かったです。やはりカフカがトップなんでしょうか?
最後に体調が悪くなっちゃったのは、木津の料理のせいじゃなくて、カフカの謎の人体実験?の
せいなんですよね。
132名無しさん@ピンキー:2007/09/14(金) 02:13:59 ID:l98UXxLt
GJ!

今にもパソコンの寿命がつきそうだから最後の力を振り絞って言う。

フラグが立って以降の先生とあびるのエロSSがない。全年齢はあったけど。
あびる分が不足している事を、最期に伝えたかった・・・。
133名無しさん@ピンキー:2007/09/14(金) 02:22:22 ID:WdmHRA/m
>>132
10人切りの神SSを忘れるな><
134名無しさん@ピンキー:2007/09/14(金) 02:25:58 ID:8jpySBD+
>>133
凄いな。お前さんの投稿時間。
135名無しさん@ピンキー:2007/09/14(金) 02:31:55 ID:WdmHRA/m
ちなみに2月22日生まれです
136名無しさん@ピンキー:2007/09/14(金) 02:50:23 ID:l98UXxLt
>>133
贅沢だけど十把一絡げじゃダメなんです><
あびる単独で萌えさせてください><


あああ・・・パソコンから変な音が・・・。
Windowsも起動前に変な画面出たし。消える!
137名無しさん@ピンキー:2007/09/14(金) 02:55:06 ID:v0/+8+nA
芽留、カエレの話を書いてくれた人乙

エロパロでは他のキャラクターよりやや出番が少ない2人の話だったのが嬉しい。
138名無しさん@ピンキー:2007/09/14(金) 02:59:06 ID:HCXr0hiU
>>132
あるじゃん・・・と思ったら、あれは先生じゃなくて影武者かww
139名無しさん@ピンキー:2007/09/14(金) 13:14:51 ID:l98UXxLt
修理に出して別の代替機借りてきたぜ。

せっかくフラグが立って以降、
・あびるは花火を見、先生は花びらを見る。
・逃げ出した先生をあびるが性的お仕置き。
・拘束されたまといの前であびると先生がH。
・デート帰りは先生の尻尾を・・・。

思いつくだけでこんなにもシチュエーションがあるというのに!
140名無しさん@ピンキー:2007/09/14(金) 14:15:36 ID:kOlMqOiV
>>139
you書いちゃいなよ
141名無しさん@ピンキー:2007/09/14(金) 23:17:32 ID:gaqa8vAf
この数日間で、またもや何という神作連発・・・目が潤みっぱなしだぜ。
しかし、どの作品でも、後先のことなんかどうでもよくなって、心行くままに欲望を
解放する先生が何度見ても笑える。人間って弱いもんだよなぁw
142名無しさん@ピンキー:2007/09/14(金) 23:22:19 ID:nt8vb7do
どの子とヤっても常にまといが見てるんだよな
片想いというか寝盗られというかまとい切ないよまとい
143名無しさん@ピンキー:2007/09/14(金) 23:33:55 ID:33U78R6Q
「………御疲れ様です、先生。」
「うわぁ!!つ、つつつ常月さん、いらっしゃったんですか!?」
「はい、ずっと。いつでもどこでも、私は先生のすぐ傍に居ますよ。」
「い、いつでも、どこでも………って、ことは………。」
「ええ。もちろん、先生と○○さんがお楽しみの間も、ずっと見てましたけど。何か?」
「何かって、その………なんというか………。」
「………ああ。どういう気分で見てたのか、ってことですか?」
「ええ、まぁ………そんなような、ことを………。」
「別に、先生は何もお気になさらなくて結構ですよ。私、解かってますから。」
「は………解かってる、と言いますと………?」
「子供じゃないんですから。先生の気持ちが、まだ、私に向いていないことくらい解かってます。」
「………………。」
「けど、退く気はありませんよ。先生を振り向かせるのも、私の恋の試練のうちです。」
「………は、はぁ………。」
「負けたつもりも諦めたつもりもありませんから。それに………。」
「それに?」
「好いた男性が、女性に人気がおありなのは………女として、決して悪い気はしませんからね。」
「………そう、ですか………それは、どうも………。」

「(顔と言葉は余裕ぶってますけど、眼が笑ってませんよ常月さん………あ、愛が重い………ッ!)」



どうにかまといの切なさを緩和しようとしたら、こんな感じの小ネタが出来た
144名無しさん@ピンキー:2007/09/14(金) 23:42:15 ID:BeIrq+7H
>>127
スマン、922だよね? いや、間違い探ししてるわけじゃねいよw
しかし、ホントにこんなエンドだったら寂しすぎるかも・・・・
940のちょい暗いカフカも、851氏の作?
145名無しさん@ピンキー:2007/09/14(金) 23:52:06 ID:nt8vb7do
>>143
おぉ!小ネタ投下乙!愛が重いw
146名無しさん@ピンキー:2007/09/15(土) 00:06:08 ID:wSBalYzr
>>143
まとい・・さみしす(T^T)。乙です!

>>127
ホントありそうなエンドでかなり気になる・・。
127さんが許していただけるなら、その話ちょい膨らましてエロ&チョイ欝SS書いてみたいですw。
147名無しさん@ピンキー:2007/09/15(土) 00:21:48 ID:Pf3W6rTm
430氏の欝エロ投下を毎日裸で待機してるわけだが新たな投下宣言きたこれ
127氏の返答次第だな
148名無しさん@ピンキー:2007/09/15(土) 00:25:15 ID:Pri4Cln6
>>147
風邪ひきますよww  もう夏も終わりですしw
149名無しさん@ピンキー:2007/09/15(土) 00:30:18 ID:Pf3W6rTm
風邪をひこうと投下までは全裸と決めてんだよ馬鹿野郎!
150名無しさん@ピンキー:2007/09/15(土) 00:38:05 ID:Pri4Cln6
漢だ・・・・・・・!  

って、
なんで、ちょっと感動してんだ私はww
151名無しさん@ピンキー:2007/09/15(土) 00:53:37 ID:JBLrAxqn
>>149
優先順位間違ってますよ
152前スレ851:2007/09/15(土) 01:10:02 ID:/6jpEBv/
>>144
> スマン、922だよね? いや、間違い探ししてるわけじゃねいよw
そうです。すみません。レス番間違えました。

> しかし、ホントにこんなエンドだったら寂しすぎるかも・・・・
> 940のちょい暗いカフカも、851氏の作?
940の方のは、私ではありません。

>>146
断っていただく必要なんてもちろんなく、まったくオッケーです。
楽しみにしてます。
153前スレ851:2007/09/15(土) 01:14:06 ID:/6jpEBv/
うっかり上げちゃった。
ついでではないですが、今日も発作的作品を載せます。
私にとって一番内面が想像できるキャラと、想像できないキャラを組み合わせたら、と考えて
みました。
154心のスキマ1:2007/09/15(土) 01:15:08 ID:/6jpEBv/
「はい、では今度の課題は二人一組になってやってもらいますね。組み合わせはくじで
決めさせてもらいます」
絶望先生がそういうと、「えー」と不満そうな声が教室中からあがる。
「静かにしてください。好きな子同士だとまた前と同じになってしまいます。普段とは
違う組み合わせにするから新しいアイデアも生まれるんです!」
 ・・・先生にしてはまともなこと言ってる。どうしちゃったんだろ。このまま変な思いつ
きを生徒に押し付けるアイデア先生になっちゃったりしなければいいんだけど。
「では、みなさんくじを一枚ずつ引いてください。同じ番号を引いた人どうし、組にな
るように席を移動してくださいね」
 私がくじを引くと、15の数、黒板に書かれた15番に当たる席へノートと筆記用具を持っ
て異動した。すぐにとなりにやはり15と書かれた紙片を持った相手が座った。

それは・・・なんと風浦さんだった。

・・・実のところ、ちょっと心が重くなった。私はちょっと苦手にしてるんだ、彼女のこ
と。誰にも言ったことはないけれど。
 彼女はクラスの中では唯一幼稚園の時に一緒だった生徒だ。悪い人じゃないし、性
格も明るくてポジティブだ。でもちょっと良くわからない不思議な部分がある。正直
に言うとちょっと不気味なところとでも言うのか? 先生や木津さんはいつも彼女に
からかわれている感じだし。まあ本人達には自覚はなさそうなんだけど、はたから見
ている私には良くわかるのだ。
 何しろ私が「普通」って言われることにこれほどコンプレックスを抱くきっかけに
なったのが幼稚園の時の彼女の一言にあったんだから。
155心のスキマ2:2007/09/15(土) 01:16:21 ID:/6jpEBv/
「あ、可符香ちゃんだ。良かった」私はつい心にはないことを言ってしまう。
 いつも教室の中では一緒のグループになっておしゃべりもするし、一緒に遊びに出か
けたりするんだけど、そういうときはいつも他に誰かいて、二人だけで話すことはほと
んどない。良く知ってはいるが、二人で話すのはどこか緊張してしまう。そういう距離
なんだよね、友達として。

「よかったあ、奈美ちゃんで。やっぱり良く知ってる人の方がいいよね」
「でも風浦さんなら、クラスの中の誰とでも大丈夫だと思うよ。ほら、私これで結構人
見知りが激しいから、不安だったんだ」誰とでも物怖じせずに付き合える彼女がちょっ
とうらやましいのは本当だ。
「そんなことないよ」

「・・・そういう小節さんは、しっぽフェチなんじゃないですか? 絶望した! 本質と
は違うところに萌えるフェティシズム社会に絶望した!」
 ちゃんと聞いていないうちに、また先生の話がおかしな方向に向かっていたみたいだ。
「先生、今まで言いませんでしたけど、ご自分の着物や袴への執着についてはどう説明
するんですか?」細かいところは良くわからないけど、千里ちゃんも突っ込んでいる。
いつものように、ますます混乱して収拾が付かなくなるのは火を見るよりも明らかだ。
「わかります。僕も脚から・・・」臼井君まで・・・ああ、もういい!
156心のスキマ3:2007/09/15(土) 01:17:03 ID:/6jpEBv/
「これじゃとても今日中に終わりそうにないね。放課後に一緒にやろうか?」私は言っ
た。
「それなら私の家でどう?」
「うん、でもいいの?」そういえば風浦さんの家にいったことはいままで一度もない。
クラスの誰かが行ったという話も聞いたことがなかった。考えてみると小学校のときか
らそうだ。
 ・・・風浦さん家ってどんな感じなんだろ? これはちょっと興味深いというか面白そ
うというか、行って確かめてみたい。
急に好奇心が高まってきた。

* * *

住所録に書かれた彼女の住所から、ネットを使って地図を打ち出した。
徒歩でいけるほどの距離ではあるが、ほとんど行ったことがない町なので地図が必要
だ。30分ほど歩くと、迷うことも無く、あっさり到着した。ごくごく普通のそんな
に大きくもない一軒家だ。
「思ったより普通ね」心の中で考えて「普通っていうなー」と突っ込みも入れてみた。

 呼び鈴を押すを母親らしき人がでていた。「可符香ちゃん、お友達がお見えになった
わよ」
・・・家でも可符香って呼ばれているだ。お母さんはごく普通の人に見える。
「いらっしゃい。あがってあがって」
 2階の彼女の部屋は6畳くらいのフローリング、学習机にベッドとこれも普通な感じ。

157心のスキマ4:2007/09/15(土) 01:17:48 ID:/6jpEBv/
 学校の課題の方はすぐに片付いてしまった。出されたお茶を飲み、お菓子を食べながら
学校のこととかを話す。
「奈美ちゃんは4月の初めは学校に来なかったんだよね」しばらくして、彼女が言った。
「え、・・・ま、まあ」そりゃあ今は毎日楽しく学校に来ていると言えるのだろうけど、
あの頃はそれなりに悩んでいた時期だったのだ。
 学校でもこの話題はみんな触れないでいたので、ちょっとどぎまぎした。でも彼女の
屈託のない表情、言い方には悪気はなさそうで、言われたから不愉快になるわけでもな
かった。
「学校が嫌だったのね、ちょっと。親譲りの学校嫌いで、ってやつかなあ」糸色先生の
国語の授業で習った作品のフレーズを使ってみる。良くわかんないけど。
「でも奈美ちゃんは自分から登校してきたんだよね。それからは毎日来るようになっ
たし」
「まあ、ね。そういえば最初に学校に来たとき、先生や可符香ちゃんには驚いちゃっ
た」考えてみるとあれがショック療法みたいなものだったのかも、私の不登校への。
「今は楽しそうだよね、学校」
「でも悩みもあるんだよ」
「え、どんなどんな?」
「あたし、普通だからなあ。きっと周りのみんなはつまんないじゃないかと思って」
彼女のペースにはまってちょっと喋りすぎているのかな?
158心のスキマ5:2007/09/15(土) 01:18:30 ID:/6jpEBv/
「いやだなあ、奈美ちゃん。普通の人なんてまわりにいるわけないじゃない!」
「へ?」
「自分で普通と思っていても、人間一人一人が神様の前では特別な存在なんですよ」
「あ、ありがと」なんてポジティブな。
「でもやっぱり人並みで普通なんだよ。きっと」
「そうねえ」しばらく考えてから彼女は続けた。
「そうだ、普通ってきっと大切なことなんですよ。」
「え?」
「普通電車があるから、うつがや駅やいやだ橋駅でも降りられます。それに数学でも人
並みであることが役に立ってますよ」
「数学で・・・私苦手なんだけど・・・どうしてかな?」
「ほら、ルート3はひとなみにおごれやって覚えるでしょ。あれがなければ暗記にする
のにみんな大変ですよ」
「うん、まあ、そうかも」だんだんわけがわからなくなってくる。なんか手玉に取られ
ているのかも。
「先生も私が何か話すとすぐ『普通』っていうでしょ」
「あれはいい意味での『普通』なんですよ」
「えっ、えっ?」
「だって先生は・・・」
159心のスキマ6:2007/09/15(土) 01:19:25 ID:/6jpEBv/
 その後も彼女の話は何時間も続き、説得されたような、はぐらかされたような変な気
持ちで家に帰った。
「普通でもいいのかな?」そう呟いてみた。
 4月に初めて学校へ来たときの彼女の態度も、彼女なりに私に学校へ来やすくさせて
くれるための気遣いだったのかも。
今度先生から「普通」って言われても、「はい、私普通ですから」って答えてみよう・・・。

・・・いや、それはない。

そういえば風浦さんのことやっぱりわからないままだ。何も前進していない。
まあ、彼女の秘密を探るのはそんなに一筋縄ではいかないのだろう。
これからも調べる楽しさがあると考えればいいことだ。
ちょっとポジティブな考えがうつったのかな、私?

160名無しさん@ピンキー:2007/09/15(土) 01:23:08 ID:/6jpEBv/
しまった。また上げたり下げたり・・・。
わざとじゃないです。すみません。
しかしやはりオチが付け辛いというか、カフカは難しいです・・・。
161146:2007/09/15(土) 01:31:12 ID:wSBalYzr
>>160
乙かれさまです!
可符香と奈美って結構難しそうw。

アイディア、借用させていただきますm(__)m。
前書きで借用させてもらった旨は書かせてもらいますね。
この3連休でなんとか、上げたいw。




162名無しさん@ピンキー:2007/09/15(土) 01:37:10 ID:mt+JlZey
>>160
「難しい」キャラでこれだけ書ける貴方の実力が羨ましGJ
ついでみたいで妙な言い方だけど、思わず羨望するほどGJだった。

>>161
3連休・・・か。俺もできればあげたいな。
今週のマガジンと10巻に触発されたブツ、最終日までにあげると予告しておこうか。
163430:2007/09/15(土) 11:47:57 ID:AwejrfO/
裏で地味に小ネタを連投していた430ですww
その間に、こちらのスレはすごいことになってますね。
神々の降臨、皆様、まさにGodJobです…!

前スレも埋まって安心したところで、鬱SSを投下させていただきます。
鬱エロではないので、>>147さん服着てください、ごめんなさい。
鬱エロは、>>146さんにお任せいたします…!

以前書いた「30倍悲しい死に方」の続きで、命兄さんのお話です。
今さら古い話を何なんですが、続きが浮かんでしまったものですから
このさい、蛇足っちゃいませんか?…ということで(ココ、病院ジャナイデスヨネ?)。

前提として、絶望先生は既にお亡くなりになっていますので、
ご不快な方はスルーでお願いします。

えー、いろいろ前置きが長くなりましたが、語り手は名前も知らぬあの人。
164再生 1/14:2007/09/15(土) 11:49:46 ID:AwejrfO/
―――私のお墓の前で 泣かないでください

   そこに 私はいません

   死んでなんか いません―――






ここ数日で、季節はすっかり秋から冬に移ったようだ。
私は、コートの襟を立てると、白い息を吐きながら仕事場へと向かった。

「糸色医院」
そう書かれたすりガラスの扉の下には「当分の間休診します」との張り紙。
その張り紙は、風雨にさらされて黄色に変色していた。

私は、張り紙を見てため息をつくと、鍵を取り出して医院の扉を開けた。

糸色医院は、医師である糸色命先生と、看護師兼受付の私の2名しかいない、
とても小さな所帯の、いわゆる「町のお医者さん」だった。

それでも、糸色先生の人柄のせいか、開院当初はずいぶん患者が多かった。
子供達の泣き声とそれを叱咤する先生の声、それに混じるお年寄りの笑い声など、
本当にここは病院なのかと思うほど、いつも明るい声に満ち溢れていた。


―――しかし、この夏からずっと、この医院の扉は閉じられたままだった。

165再生 2/14:2007/09/15(土) 11:51:21 ID:AwejrfO/
私は、扉を開けて中に入ると、無人の医院の掃除を始めた。
それは、ここ数ヶ月の私の日課だった。

戸棚の埃払いからはじめ、受付のカウンターや先生の机を丁寧に雑巾掛けする。
診察台や診療器具はアルコールで消毒する。

いつ、先生が医院に帰ってきてもいいように―――。

仕上げに掃除機をかけると、やることがなくなった。
ほっと息をついて、何気なくカレンダーを見て気が付いた。


―――昨日が、四十九日だったんだ―――。


先生の弟さんに、生まれつき心臓に持病があるという話を聞いたのは、
この医院に就職して間もなくの頃だった。

先生の実家は裕福らしく、先生のご両親は、持てる限りの財力を注いで、
あちこちの高名なお医者様達に見立てをしてもらったらしい。

しかし、どの医師からも、弟さんの病に治癒の見込みはないとの回答を得たとき、
自ら医師になることを決意したのだと、先生は真剣な面持ちで言った。

その言葉通り、先生は心臓病の研究に非常に熱心だった。
この医院で患者さんたちの面倒を見ながらも、
大学の研究室に通っては、様々な治療法の開発を試みていた。
166再生 3/14:2007/09/15(土) 11:52:32 ID:AwejrfO/
私は、ぼんやりと診察室の先生の椅子に座って思い出していた。

弟さんの病気が進行するにつれ、先生の研究には熱が入っていった
そして、それにつれて、この医院の患者さんの数も減っていった。

―――いいかげんに休んで下さい!そんなんじゃ、先に先生の方が倒れちゃいますよ!
―――いや、もう少しで、この変異DNAの解析ができそうなんだ、そうすれば…。

寝不足で青白い顔をした先生と、何度そういう会話を交わしたことだろう。

そんな状態でも、先生は、弟さんの前では明るく快活な態度を崩さなかった。
楽しそうに笑い合う2人の会話を傍で聞いていると、この兄弟の間に
「不治の病」という重い事実が横たわっていることが信じられなかったくらいだ。

しかし、先生の努力にもかかわらず、弟さんの病状は確実に悪化していった。
そして、もはやどんな治療もかなわないということがはっきりしたとき、
先生は、迷うことなく、この医院を一時的に閉鎖することを決意した。

もちろん、残っていた数少ない患者さんには、丁寧に説明をした上で、
信頼できる病院を紹介し、充分な手当てを施した。

その上で、先生は、弟さんが入所したターミナルケア施設へと赴き、
彼の残り少ない人生を少しでも楽なものにすることに、全ての力を注いだのだった。

その弟さんが、先生や他のご家族に見守られ、眠るように息を引き取ってから49日。

そう、もう2ヶ月近く、経つのに―――。

私は、もう一度ため息をつくと立ち上がり、医院を後にして近所のスーパーに向かった。
―――これも、あのとき以来、私の日課となっていた。
167再生 4/14:2007/09/15(土) 11:53:35 ID:AwejrfO/
弟さんの葬儀が終わって1週間程経った頃のこと。
いつまでも医院に顔を出さない先生を心配して、私は先生の住むマンションを訪れた。

何度もチャイムを押した後、やっとドアを開けた先生の姿に、私は愕然とした。

いつもおしゃれで清潔好きだった先生が、ひげもそらず、
何日も着替えていないような薄汚れた格好で、うつろな目でこちらを見ていた。
無理やり上がり込んだ部屋の中は、カーテンを閉め切っており、乱雑に散らかっていた。

私が話しかけても、先生は、ああ、とか、うん、とか上の空の返事しかしない。

仕方なく、私は、子供の患者にするように、先生にまず風呂に入るように命じた。
そして、その間、押し付けがましいと思いつつも部屋を片付けた。

台所をのぞくと、そこに、食事をしたような跡は全く見られなかった。
先生の頬のこけた姿から判断するに、多分、弟さんの葬儀のあと、
まともな食事をしていなかったのだろう。
私は、手術後の患者さんに出すような薄めのおかゆを作ると、
風呂から上がって少しさっぱりした先生に食べるようすすめた。

風呂も、食事も、先生は、意外にも素直に私の言葉に従った。
…ただ、先生が私の言うことを本当に理解しているかは謎だった。

先生は、私がインタフォンの呼び出しを押せばドアを開けてくれるし、
食事を作れば、それを食べてくれる。
話しかければ、口の中で返事をする程度の反応はある。

でも、それだけだった。
先生は、私の行動に機械的に反応しているたけだった。
自分自身の意思、というものが全然見られない。
何もかも、どうでもよくなってしまっているかのようだった…。

168再生 5/14:2007/09/15(土) 11:54:35 ID:AwejrfO/
それでも、私は、先生のマンションに食事を作りに通うようになった。

だって、先生は、私の上司で雇い主で、早く医院に復帰してくれないと困るから。
先生が倒れたりしたら、私は、とたんに路頭に迷ってしまうから。

自分にそう言い聞かせては、
私は先生のマンションのエントランスの呼び出しを押すのだった。



―――今日は、寒いから鍋にしよう…。
スーパーで買い物を終え、木枯らしの中、先生のマンションへと続く道を
早足で歩いていると、後ろから、ぽんと肩を叩かれた。
振り向くと、何度か医院にも来たことがある、弟さんのクラスの生徒が立っていた。

「あなたは…。」
「風浦です。風浦可符香。」

少女は、にっこり笑うと、私が持つスーパーの袋に目をやった。
「命先生のお夕飯ですか?」
「え…?」
私は、慌てた。

彼女はくすりと笑うといった。
「倫ちゃんから聞いたんです。
 彼女、『うちの兄は、患者以上に世話をかけてる』って恐縮してましたよ。」

ああ、先生の妹さんから…私は、少しほっとした。
と、少女が表情を改めた。

「それで…最近の命先生のご様子は、いかがですか?」
169再生 6/14:2007/09/15(土) 11:55:32 ID:AwejrfO/
私は、彼女の質問に、とっさに答えることができなかった。
それで、彼女にも状況が分かったらしい、眉根を寄せてため息をついた。

私は、彼女のそのしぐさに、なぜだか先生が非難されているような気がして、
思わず反論口調で尋ねていた。
「あなた達の方こそ…クラスの方は、もう、大丈夫なの?」

私の質問に、少女は、ふ、と目を伏せた。
「大丈夫、と言えば嘘になるけど…。でも、先生は、いなくなったわけじゃないから。」
「え…?」
彼女の言葉の意味が分かりかねて私は尋ね返した。

「先生は、ただ、生きる姿を変えただけなんです。」
私の訝しげな表情を見て、彼女は続けた。

「先生の肉体は、失われてしまったかもしれないけれど…
でも、先生の魂は、私の…私たちの身の回りにいつもいてくれる。
それこそ、千の風になって、私たち全員を見守ってくれているんです。」
少女は微笑んだ。

「だから、うちのクラス、霧ちゃんも授業に出てくるようになったし、
 まといちゃんなんか、今までが嘘みたいにいろんな活動に参加するようになって。
 みんな、先生に、今の自分を見せようって頑張ってるんですよ。」
「…。」

私は、彼女の話を聞いているうちに、なんとなくイライラしてくるのを感じた。
魂が見守っている?そんなのは、単なるおとぎ話だ。

私は、少し意地悪な気持ちになって尋ねた。
「じゃあ、あなたたちは、糸色先生に会えなくても寂しくはないのね。」
170再生 7/14:2007/09/15(土) 11:56:56 ID:AwejrfO/
私の言葉を聞いて、少女の目が揺らいだ。

私は、はっとした。
私ったら、何を…こんな子供に八つ当たりするなんて…。

彼女は、震える声でゆっくりと、押し出すように言った。
「それは、いつだって……、もう一度、先生の姿を見たい、声を聞きたい…
 …って……、そう、思わないときなんか、ないけど…。」

私は、そう言ったときの彼女の表情に、思わずどきりとした。
この娘は、いつの間に、こんな大人びた表情をするようになったのだろう。

彼女が医院に出入りしていた頃は、ちょっと変わってはいたけど、
明るく物怖じしない、いかにも女子高生、といった感じの娘だった。
それが今では、こんな、憂いを含んだ大人の女の顔をするようになっている。

「………。」
少女は、唇を噛み締めると、何かを思い切るように頭を振った。
「でも、いつも先生は私のそばにいてくれてるって、分かるから。
 ―――だから、寂しくなんかありません。」

彼女がそう言い終わると同時に、今まで吹いていた木枯らしが突然やんだ。

そして、木枯らしとは明らかに違う、暖かい風が私たちの間をすり抜けると、
ふわりと、彼女の髪を優しく揺らした。

「あ…?」
私は、思わず目を見張った。



少女の後ろに、彼女に向かって微笑む
        書生服を着た青年の姿が、見えたような気がした―――。


171再生 8/14:2007/09/15(土) 11:57:55 ID:AwejrfO/
少女と別れてから、私は、ずっと考えていた。

大人になっていく少女。
自分達の新しい生活を築き上げている彼女のクラスメート達。

弟さんの教え子達は、さまざまな想いを抱えながらも、
着実に、未来に向かって歩み始めている。

―――なのに。

死者は、そこで歩みを止めてしまう。
生きている者が、ともに、とどまることは許されない。
それが、この世の定めであり、理だ。

―――なのに。

私は、さっきのイライラの原因に思い当たった。

―――なのに、先生だけは、いつまでも前に進もうとしない…。




永遠に、時間(とき)を止めてしまった先生の弟―――。

先生は、弟さんの止まってしまった時間に、
ともにとどまろうと、あがいているかのように見えた…。


172再生 9/14:2007/09/15(土) 11:58:53 ID:AwejrfO/
鬱々と考えているうちに、先生のマンションに着いた。

ドアを開ける先生に、いつものように、こんにちは、と声をかけるが返事はない。
そんな対応にも慣れてしまった。

私は、スーパーの袋の中から野菜を取り出しながら先生に話しかけた。
これも、私が先生のマンションに来たときの習慣だった。
「今日ね、道で弟さんの生徒さんに会ったんですよ…可符香ちゃん、覚えてます?」

いつもなら、先生は私が何を話しても特に反応はない。
必要があるときだけ、口の中で返事をする。

でも、そのときは、違った。

先生は、すごい勢いで私を振り向くと、私をにらみつけた。
私は、びっくりして手にしていた野菜を取り落としてしまった。

そして、気づいた。
私が、ここで、弟さんの話をしたのは、今日が初めてだったのだ…。

先生は、冷たい目をしたまま私に話しかけた。
先生の方から話しかけられるのも、ここに来るようになってから、初めてのこと。

「悪いが…その話は、それ以上聞きたくない。」

そういうと、先生は私から目をそらし、再びいつもの殻の中に帰っていった。
173再生 10/14:2007/09/15(土) 11:59:43 ID:AwejrfO/
―――どうして…?

私は、テーブルの上に散らばった野菜の前で、呆然と佇んでいた。

―――どうして、先生は、前に進んでくれないんですか…?

頑なな先生の背中を見ながら、私は、さっき会った少女との会話を思い出していた。

―――先生は、いつまで、そこに、とどまっているつもりなんですか…?

胸の中でいろいろな感情が渦巻いて、私は、思わず、テーブルの上の野菜を
手でなぎ払った。

野菜が床に散らばり、さすがに、先生がこちらを振り向いた。

私は、その先生に向かって大声で叫んだ。
「―――どうしてなんですか!?」

先生が、驚いた顔で私を見た。
「皆、辛くても、それぞれの人生を歩き始めてるんです!
 どうして先生だけが、いつまでも立ち止まったままなんですか!」

先生の顔色が変わった。
「君に、そんなことを言われる筋合いは…。」
「先生のいるところに、弟さんは、いやしません!」
私は、先生の言葉を遮った。

「!?」
先生が、訳が判らないという顔をして私を見返した。
174再生 11/14:2007/09/15(土) 12:00:46 ID:AwejrfO/
涙が出てきて、声が詰まった。

「…可符香、ちゃんは、言ってました。
 弟さんは、千の風になって、皆を、見守っているんだって。
 なのに、先生は、一人きりで、自分の殻に閉じこもって…。
 そんなんじゃ、弟さんだって、先生に会いにいけないじゃないですか!」

次から次へと、言いたいことが喉元にこみ上げてくる。
涙が止まらない。

―――どうして、先生は、後ろを振り向いてばかりいるんですか。
―――どうして、「今」を見ようとしてくれないんですか。

―――先生の周りの人は皆、先生を待っているのに。
―――私が、先生のことを、こんなにも、想っているのに…!

私は、悔しい気持ちが溢れて止まらなくなって、先生に近づくと、
先生の胸倉をつかんで、思い切り口付けた。
先生の目が大きく見開かれる。

しばらくして、私が唇を離したときには、
先生の顔も、私の涙でぐしょぐしょになっていた。

私は、もう一度先生を睨みつけると、息を切らしながら叫んだ。
「そんな先生なんて―――大嫌いです!」

そして、マンションを飛び出した。



175再生 12/14:2007/09/15(土) 12:01:38 ID:AwejrfO/
翌朝、私は重い気持ちで医院に向かった。

ああ、本当になんてことをしてしまったんだろう…。
もう、先生のマンションに行くことなんてできない…。

のろのろと鍵を開けようとして、はっとした。

―――鍵が、開いてる!?

扉をあけると、靴を脱ぐのももどかしく診察室に向かい、そのドアを開けた。



「…やあ、おはよう。」

朝日が一杯に差し込む診察室の中、いつもの椅子に先生が座っていた。

「せん、せ、い…。」
つぶやく私に、先生が、照れくさそうに下を向いた。
「本当に…世話をかけてしまったね…申し訳ない。」

いいえ、私の方こそ、と言いたかったが、涙が出そうで言葉にならない。

先生は、そんな私を見て、再び照れくさそうに小さく笑った。
「昨日のあれは、すごいショック療法だったよ。一気に目が覚めた。」
私は、思わず赤くなった。

「次のときは、もう少しお手柔らかに、お願いしたいもんだね…。」
「…!!」
176再生 13/14:2007/09/15(土) 12:02:24 ID:AwejrfO/
と、先生が、立ち上がり、窓を見上げた。
「昨日君が言っていた、可符香君の話…。」

先生の言葉に、私も顔を上げた。

朝日の眩しさに目を細めながら、先生は呟いた。
「…望は、私のそばにも、いてくれているんだろうか…。」

私は、咳き込むように返事をした。
「あ、当たり前じゃないですか!あんなに大好きだったお兄さんのそばから、
 弟さんが離れるわけがありませんよ!」

先生が、私を見て小さく微笑んだ、そのとき。

窓も開けていないのに、カーテンがふわりとゆれた。

そして、昨日と同じ暖かな風が、そっと優しく私たちを包むと、
柔らかく頬をなで、通り過ぎて行った。

「―――!!」
先生は、風が通っていった空間を見上げ、目を見開いた。

その瞳から、ゆっくりと、一筋の涙が伝い落ちる。
「の、ぞ、…む?」
177再生 14/14:2007/09/15(土) 12:03:46 ID:AwejrfO/
私は、思わず両手で口を押さえた。

―――ああ。

もう、大丈夫だ。
もう、この人は大丈夫。

朝の光の中、涙を流す先生を見ながら、私は何度も胸のうちで繰り返した。

…先生は、もう、二度と立ち止まりはしない…。


―――やがて、この医院にも、以前のような活気が戻ってくるだろう。
―――子供の泣き声やお年寄りの笑い声が響く、明るく楽しい場所になるだろう。


そして、そこには、いつも優しい風が、先生とともにあるだろう―――。






―――私のお墓の前で泣かないでください

    そこに私はいません

    死んでなんかいません


    千の風に 千の風になって

    あの大きな空を吹きわたっています―――


178430:2007/09/15(土) 12:05:13 ID:AwejrfO/
こんな良い天気の休日の昼間っから鬱を失礼いたしました。

文頭及び文末のモノローグは、
新井満「千の風になって」から引用させていただきました。

あと、どうでもよいことですが、
この連作は、一応、先生×可符香の裏設定ではあるものの、
自分の中では、赤木杏のシリーズ(?)とは別モノ扱いになってます。
……だって、赤木杏シリーズの先生は、えらく元気で死にそうにないんだもの…。
179名無しさん@ピンキー:2007/09/15(土) 12:14:23 ID:wQhwvnK5
>430氏GGGGGJJJJJ!!!!!
私も鬱なの他作品で書いてますが、こうは書けません。
いい物見せてもらいました。
180名無しさん@ピンキー:2007/09/15(土) 14:36:24 ID:EAHSby0m
えっちな話が読みたくてこのスレに来たのに、
なんで泣かされなきゃいけないんだよっ…!

GJだ! くそっ!あんたGJだよ!!。・;+゜・(ノД`):・゜+:・。
181名無しさん@ピンキー:2007/09/15(土) 15:09:17 ID:Pf3W6rTm
泣きながら一気に読みました、全裸で。
くそっ、俺もいい加減服を着るかな…
182名無しさん@ピンキー:2007/09/15(土) 17:10:31 ID:/wy0GBOF
「では、授業を始めます。 うっ!?」
「先生! 今日の授業は何でしょうか!」
「可符香さぁんっ、ちょっとまってくだ、……あっ……さい。」

望は力なく教卓の下にへたり込む。

(常月さん、何をして……うっ、くっ。)
(へんへえがよろこふと思って……。)

まといは望の袴に切れ込みを入れ、舌や唇で陰茎を弄んでいたのだった。
その甘美な刺激に、望は嬌声を上げそうになった。

「先生、具合が悪いのですか?」
「可符香さん、だだだ大丈夫です! 教科書の 53 項から読んでいてくださいッ!」
「先生、そこは昨日読みました。」
「す、すみません!つづきかっら読んでください……。」
「先生! 私先生の事を見直しました! 体調が悪いのに……教師の鑑です!」

望は力を振り絞り、教卓の上に身を預けた。

「う、っくく……はぁうっ!」
「先生!顔が真っ赤ですよ。」
「奈美さん、気にしないで……ください。」

続かない
183名無しさん@ピンキー:2007/09/15(土) 17:49:12 ID:Hm3P4frk
「もっと媚びろよ!」

>>178
JA●RACの方から(ry
冗談はさておき、GJ! 鬱作品にまた泣かされるとは……。゚(゚´Д`゚)゜。ウワァァァン
あなたはリアル久藤君ですかっ!

>>181
セカチューかよw
てかまだ着てなかったのかww
184名無しさん@ピンキー:2007/09/15(土) 21:08:54 ID:4f635d/s
>>181
逆に考えるんだ
服を着る暇も無いなら裸族になればいいじゃない、と考えるんだ
185名無しさん@ピンキー:2007/09/15(土) 21:30:59 ID:Pf3W6rTm
俺……、最高のエロがきたら服を着るんだ
186名無しさん@ピンキー:2007/09/15(土) 21:46:53 ID:CEZNFsFQ
なんなんだよこのスレは


今まで芽留には全く興味がなかったのに、今はとても愛おしい

そして430氏、ただ冷やかしで来ただけ俺を泣かしたニクい奴め


保管庫行ってくる
187名無しさん@ピンキー:2007/09/15(土) 21:54:04 ID:WyENXpPo
>>186
気をつけろよ
前作はこの話以上の破壊力だからな
目がヤバイことになっても知らないぞ
188名無しさん@ピンキー:2007/09/15(土) 22:59:53 ID:Pri4Cln6
>>178
・・・・・残業して帰ってきて、しばらくPCの前で突っ伏してましたw
泣いてからも、ちょっと考えさせられる作品でした、GJ!

そして、430さん、この短期間でこれだけの物が書けるなんて・・・・・・


>>186
読んだあともずっと残ります。
・・・あの話、体調が良いときしか読めないっす。
189名無しさん@ピンキー:2007/09/15(土) 23:11:15 ID:2I0AZU/U
絶望先生のラストとか本当にそうなりそうで怖い…
改蔵やポカポカのラストを考えると…

何であの人の作品はほぼ全て最後が泣ける終わり方で…
190前スレ851:2007/09/15(土) 23:17:02 ID:/6jpEBv/
>>161
> 可符香と奈美って結構難しそうw。
ほんとうはハルチリをやろうと思っていたのですが、どんどん方向性がずれてます。
でも当人勝手は面白がってます。また何か考えよう・・・。
もともとこの種の文章書いたことがなかったのに、なんかはまっている自分がいる・・・。

128のアナザーエンディングはまたもうちょっと付け足したいことがでてきて、ちゃんと
推敲してから書き込みすればよかったなあ、とちょっと後悔しています。
191名無しさん@ピンキー:2007/09/16(日) 00:21:47 ID:K7ql8bXB
後発組(三珠、加賀、大草)のSSがほしいぜ
192名無しさん@ピンキー:2007/09/16(日) 00:33:26 ID:SCrn15j/
>>191
三珠は芽留以上の無言だし、奥様は人妻という縛りがある。

だからこそ愛を!愛をください!
193名無しさん@ピンキー:2007/09/16(日) 00:34:35 ID:SMrOW173
ことのんも後発組に入れてあげてくださいw
194186:2007/09/16(日) 01:06:37 ID:k/5fZ/2p
>>187>>188
読んできた

時間は十分においた
その間、エロSSを読んでいた
今回の話で展開はわかっていた


そこまでしたにも関わらず、それでも涙は否応無しに溢れる
195名無しさん@ピンキー:2007/09/16(日) 01:21:00 ID:hmCdV/er
>>193
ことのんは修正前うpでネットレイプしか想像できない・・・
あとは個人情報流出系か
196名無しさん@ピンキー:2007/09/16(日) 01:33:57 ID:UnKHu9M5
>>193
てか、ことのんは後発じゃなくね?
連載初期からちょこちょこ出てたような気がするが。
197名無しさん@ピンキー:2007/09/16(日) 01:35:40 ID:+bNnMIDI
ことのんはチャットエッチがあるじゃない
198名無しさん@ピンキー:2007/09/16(日) 01:41:48 ID:yIh4EQKO
今日のアニメは430氏っぽかったなww
智恵先生喪服着てたしww

199名無しさん@ピンキー:2007/09/16(日) 02:46:50 ID:SMrOW173
>>198
430氏、中の人じゃね?w
しかし、まさかの急展開だったな。
200名無しさん@ピンキー:2007/09/16(日) 15:15:15 ID:KjsLw2eK
(霧+まとい)×絶望マダー?
201名無しさん@ピンキー:2007/09/16(日) 16:06:11 ID:+bNnMIDI
>198,199
来週でなかったことになります
202名無しさん@ピンキー:2007/09/16(日) 16:36:07 ID:30+0L9ep
お疲れ様です。
三珠真夜ちゃんのssを書いてみました。
モノローグから思い付き、日記調で書いてみましたが・・・・
真夜ラーの方、キャラが違っちゃってたらゴメン。
203真夜:先生を綴る手記  1/2:2007/09/16(日) 16:40:48 ID:30+0L9ep
×月○日
今日、とても気になる人が現われました。
クラスの先生です。とても弱々しい人です。
何だか見てると、腕がウズウズしてきます。
なぜでしょうか。


△月×日
やっぱり私の思った通りの人でした。
目が離せません。とってもドキドキしてしまいます。
明日、帰りにバットを買いに行こうと思います。
金属製にするか、木製がいいか悩みそうです。
先生はどっちが好みですか。


◇月△日
帰り道で、偶然、先生と会いました。
目の前でピンポンダッシュしてみました。
先生は追いかけて来ると思ってたのに、見ていただけです。
だけど、捕まりそうになった私をかばってくれました。とても、うれしかったです。
でも、そのあと、甥子さんや、先生を殴ったときは、私から目をそらしてました。
少し悲しいです。


@月◇日
おろしたてのチャ火マンと、灯油のポリタンクを用意して準備万端です。
そわそわしながら、チャ火マンに名前を書きました。
明日の夜、先生の家を訪ねようと思います。
こっそり灯油をまいて、火をつけるんです。
きっとビックリしてくれます。


@月□日
火をつける瞬間はとてもドキドキします。
もし、気が付いてくれなかったら寂しいです。
玄関の前で、両手にチャ火マンと、灯油のタンクを持って立ってました。
先生は私を見つけてくれました。
でも「証拠過多です」って叫んで、取り合ってくれません。
私がやったのに。

204真夜:先生を綴る手記  2/2:2007/09/16(日) 16:45:06 ID:30+0L9ep

☆月@日
先を越されてしまいました。
私より先に、先生を刺した人がいました。
私が最初に刺したかったのに。
あれじゃ気が付いてもらえません。
包丁に、名前も書き忘れてしまいました。


▲月☆日
選ばれませんでした、私。
シードに落ちてしまいました。
つい涙目になってしまいます。
気が付きました。私は真剣に先生の事を想ってます。
いつか、先生に使いたいバットが、また増えました。
必ず想いを遂げる事を決意しました。


◎月▲日
最近、宿直室に入りにくいです。
こっそり行こうとすると必ず邪魔されます。
今日もダメでした。
その上、バットを落として来てしまいました。
先生はすぐそこにいたのに。
悔しくて泣いてしまいました。


#月◎日
先生に、なかなか会えません。
でもあきらめたくはないです。
いつかわかって下さい。そして、誤解しないで下さい。
私、あなたにいじわるしたいんです。
困った顔で、私を見てください。
でも、先生は私を怒ったりしないんです。
優しすぎます。先生は。


●月#日
今夜、また行きます。
私、いけない子なのはわかってます。
でも、どうしても止められません。
あなたの事しか考えられません。
おニューのバットに名前を書きました。
いつか先生に、私の名前を書かせて下さい。
205名無しさん@ピンキー:2007/09/16(日) 16:59:43 ID:30+0L9ep
お粗末でした。
真夜ちゃんの日記ssでした。
キャラが壊れてなければいいですが。

ホントは、三人称でストーリーを作っていたのですが、作ってみると

 ・様々な武器を持ち、敵(ライバル)を排除して、先生のもとに辿り着く話。
    ・・・・・・ターミ○ーターみたい。 没。

 ・恋敵達と先生を巡って死闘を繰り広げ、ボロボロになった真夜は先生の腕に抱かれ、
    ・・・・・・格闘物なら王道かもだけど。  没。

 ・夜の校舎内を、徘徊する猟奇千里や、あびる達の目をかいくぐり、宿直室を目指す。
    ・・・・・・それなんてサ○レン?   没。

ちよっと目指す方向と違うものばかりで、モノローグの口調をまねて、日記にしてみました。
読んで下さった方いたらありがとうです。 ノシ
206名無しさん@ピンキー:2007/09/16(日) 18:04:52 ID:JZHt5R4u
>>200
常月まといと小森霧を二身合体すると「常月 霧(常に付きっ切り)」となるんだよな!
207名無しさん@ピンキー:2007/09/16(日) 18:12:18 ID:fBzFv6R7
>>205さんGJです!!
携帯から失礼するのは以前真夜SSを書いたものですが、
マヨは妄想を文書にすると難しい(と思ってた)のに…
完全にもってかれましたwww
個人的には没になさった展開もおもしろ荘ですwww
ナニハトモアレGJ!!
208名無しさん@ピンキー:2007/09/16(日) 21:06:44 ID:iMXcPCDM
真夜の波に乗ってちょっとだけ
オチがやりたかっただけのモノを
209名無しさん@ピンキー:2007/09/16(日) 21:06:51 ID:0jCV5hQy
>>203

うまい
しゃべらないキャラなのに、すごい真夜だって分かる
没案も是非SSにして欲しいと思うが義務感を感じさせてるわけでは!!

そして、遅ればせながら430氏、またしても泣かされた・・・畜生!
210名無しさん@ピンキー:2007/09/16(日) 21:07:36 ID:iMXcPCDM
チュンチュンとすずめが鳴く声で、望は目を覚ました。
身を包む布団が妙にふかふかする。はて、自分は薄っぺら委せんべい布団で寝ていたはずだが。
身体を起こすと掛け布団も妙に膨れていることに気付く。
というか自分が寝ているのがいつもの布団じゃなくベッドだということに気付く。
「…んなっ、こ、これは一体……!?」
望は慌てて周りをババッと見回した。
異様に広い丸いベッド、全体的にピンクで整えられた部屋、辺りに散らばる衣服、
放り投げられている丸められたティッシュ、外ではまだすずめがチュンチュンと鳴いて、ついでに自分は全裸。
「………!!??」
言葉をなくしている望に追い討ちをかけるように、望の横で何かがもぞりと動いた。
もぞもぞと小さく動く何かに、望はカタカタと震えながらも視線を落とす。
「……」
きつい目が、何も言わずただ望を見ていた。
首から下は望と同じく何も身に着けていないのが伺えて、掛け布団からはみ出た肩と首筋には小さな赤い痕が点々と。
ぐあばっ!と目を見開く望を見て、真夜はにいと嬉しそうに笑うと、ちょっとだけ頬を赤らめた。

「証拠過多ですぅーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!」


おしまい
211とある夜1/2:2007/09/16(日) 22:21:27 ID:iNLsUV/9
私は誰よりも近い所で先生を見つめていた。
その人がどこへ行こうと着いて行き、先生が首を吊れば私も首を吊った。
その日も私は一番近い場所で先生を見上げていた。授業を続ける背の高い先生を、いつまでも。

いつものこと

そう、いつも私はその眼を、背中を、素肌を見つめていた。こうやって寝顔を見つめることが出来るのも私だけ、ちょっと優越感に浸りながらつい小さな声がもれる。
「・・・先生」
そっと手に触れる、20代の若い異性に触れているという事実に少し興奮を覚えつつ触れている手の位置が腕、肩と高くなっていく。
いつのまにか添い寝のようなカタチで腕に抱き着いていた。ふと自分の体制に気付いて離れようとしたその時。
「んぅ」
寝返りをうった望の腕がまといの肩を抱くような位置にきた。ビクッとしながら息が少し乱れる。
「先生?」
小声で尋ねたが返事はなかった、起きてはいないようだ。
212とある夜1/2:2007/09/16(日) 22:23:26 ID:iNLsUV/9
しかしどうしたものだろう、私が動けば起きてしまうかもしれない。もしそうなったら・・・どうなるのだろう・・・。
「・・・はぁっ」
ますます激しくなる鼓動に大きな息がもれる。
先生は私を受け入れてくれるだろうか?
・・・わからない、むしろ可能性は低い・・・気がする、望の閉じた目を見つめながら考える。
今目を開けられたら・・・
考えれば考えるほど呼吸は大きくなり、胸が苦しくなる。
「・・・常月さん?」
寝ぼけたように望が問い掛ける。起きてしまった、どうしよう。
事に気付いた望は慌てて起きて眼鏡をかけ、まといに問い掛ける。
「何をしてるんですかぁっ」
「あ、あの・・・」
震える声、と同時に涙があふれてくる。少したじろぎながら望。
「・・・常月さん?どうしたんです?」
「先生ぇ」
望の華奢な体に抱き着く、涙の訳はわからない。好きなのに、こんなに近くにいるのに・・・。
自分の胸で泣いている少女をどうしていいかわからずに望が言う。
「常月さん、あの、その」
「もう少しこうさせて下さい、今はこれでいいですから」
言葉のでない望にまといが答える。
困った様子の望に、あぁ、いつもの先生だと安心しながらまといは幸せを感じていた。
「今はって・・・まぁいいでしょう」
胸で寝息をたてる少女の頭をやさしく撫でる望の姿がそこにあった。
213名無しさん@ピンキー:2007/09/16(日) 22:27:58 ID:iNLsUV/9
無予告投稿申し訳ありません
グダグダですが呼んで頂ければ幸いです
ネタはまといですが普通ですいません
214名無しさん@ピンキー:2007/09/16(日) 22:48:51 ID:96Kk+RYD
>>210
なるほどそれが三珠さんのやり方か。コワww。
「証拠過多ですぅ」っていうのは先生の台詞ってことでいいのかな?

>>213
なんか、最近まとい切ないね。org

お二人とも乙です。
215名無しさん@ピンキー:2007/09/16(日) 23:38:49 ID:fBzFv6R7
>>210さんGJです
オチがいいwww
>>213せつないまといも好きなんだぜ
216名無しさん@ピンキー:2007/09/17(月) 01:05:00 ID:I0GOYb+A
>>214
orgじゃなくてorz
無理して2ch語使わない方が良いぞ
217名無しさん@ピンキー:2007/09/17(月) 10:37:20 ID:IrQvtg1K
いやだなぁ、無理なんてするわけないじゃないですかぁ。
218名無しさん@ピンキー:2007/09/17(月) 13:16:50 ID:rcExaGlv
>>203
GJ! そうか、マヨが名前を書くのは、好きな物を独占したいからなのね。
タイトルから察するに、奈美萌さん?  ・・・かな?
「ボロボロになった真夜は先生の腕に抱かれ」って、見てみたいナー・・・・  
いや、もちろんあなたの気が向いたらって事でつ・・・・・!


>>210
なんて羨ましいシチュw  
タマラン(ry  証拠過多いいじゃマイカw
219名無しさん@ピンキー:2007/09/17(月) 13:25:24 ID:D7bvjZTK
っていうかorzは2ch用語じゃないのでは
220名無しさん@ピンキー:2007/09/17(月) 15:21:40 ID:axle/AyF
>>218
実際俺三珠さんでマジに書いてるんだが…
ホント動かしづらいというか、あまりしゃべらないという設定がここまで枷になるとは思わなかった。
ただ、芽留と違って必要最低限のことはしゃべる時があるんで、それでなんとか進めている。
221名無しさん@ピンキー:2007/09/17(月) 15:44:32 ID:cFOIlsce
漫画だと可符香が通訳してるな>三珠
222名無しさん@ピンキー:2007/09/17(月) 17:53:27 ID:rcExaGlv
>>220
蚊取り線香焚いて、裸待機!
223名無しさん@ピンキー:2007/09/17(月) 18:04:22 ID:+orgN85A
三珠は初登場のときモノローグから始まったから、内面があるキャラクターとして構想された
と思うんだけど、どっかで変わったと思うんだ。
224名無しさん@ピンキー:2007/09/17(月) 18:21:15 ID:sDAxThXg
>>220
おお!数少ない三珠さんが来ようとしてるのか、今から期待してます!!
225146:2007/09/17(月) 18:47:57 ID:yvxTUL6+
>>220
三珠さん、激しく期待ですね。
146、161で予告したSSをこっそり投下します。
4回に分けて投下。可符香、欝?系。
127さんのアナザーエンディングのアイディアを借用しております。
(161で許可もらい済。ありがとうございます(。 。 )ペコッ)

本編とは別世界での物語&世界観は完全破壊ですので、
その辺許せない方はスルーを。

以下注意点。気になった方はスルー推奨。

・【特に注意】オリジナルキャラが2名。主要人物として登場。
(可符香の叔父と従兄弟。名前付けるのが嫌だったので、
3人称視点なのに『叔父』とか呼称してます。)
その他も、脇役としてオリキャラが数名出てきます。
・完全に別世界Verですので、
独立した読み物の気分で読んだほうがいいと思われます。
・可符香の性格は、基本的に初期の性格にしています。
・欝あり。一応エロ重視なつもり。
・細かい点はスルーパワーでお願いします。
・第一章は11レス予定
2261章@:2007/09/17(月) 18:49:05 ID:yvxTUL6+
1章
これは、私がカウンセラーをしていた少女の話である。
話が話なので、少女の名前は仮名―風浦可符香―を使わせていただく。
これは、彼女が夢の中で使っていたペンネームである。

======

「おはよう。」
ヘアピンをX字にして前髪を止めている少女が教室に入ってくると、
クラスの皆がしんと静かになった。
席に着いたところで、髪を真ん中分けにした少女ー木津千里が近づ
いてきた。
「体はきっちり治ったの?」
「はぁい。バッチリです。」
ニッコリ笑って彼女ー風浦可符香ーは、腕をぶんぶん振って見せた。

「お食事とかは……大丈夫なの?今日から…一人でしょう。」
千里が、少しいいずらそうに言う。
「大丈夫ですよ。病院の人が親戚に連絡してくれたって言ってましたし。」
「そう……。何かあったら、いつでも私の家に来なさいよ?」
「ふふ。ありがとう、千里ちゃん。」

「先生、来たぞ〜。」男子の声が響くと、生徒達が慌てて席に着く。

先生が入ってくる。可符香は少しだけ期待した。
(もしかしたら、時代遅れの和服装の先生かもしれない。)

しかし、入ってきたのはジャージ姿の男だった。HRが終わり、
1時間目は国語の授業。国語の先生は、スーツ姿の堅そうな人。

「………ふぅ。」
失望のため息。
先生が『左』という漢字を書いたとき、斜め前に座る千里の眉がピクリ
と動いたが、何も言わない。

『先生、書き順くらいキッチリしてください!』
『え〜いいじゃないですか、『左』のノとーをどっちから書いても。』
『それでも、国語の先生ですかっ!うなぁああああああああ!!』
『ぐはぁ!……ああ、順番社会に絶望した!年功序列に絶望したぁ!』

(いけない、また空想の世界に入ってしまった。)
2271章A:2007/09/17(月) 18:49:56 ID:yvxTUL6+
〜モノローグ1〜〜〜〜〜

2ヶ月前。
私が学校から帰ると、お父さんとお母さんが背を伸ばしていました。

お父さんは天国に下見に行ったまま帰ってきません。
お母さんは天国の下見から帰ってきた後、病院にしばらく住むとの
ことです。

私はお父さんを連れ戻すために、マンションからダイビングの練習を
してみました。残念ながら、天国には行けませんでした。

皆は、これを自殺などと言っています。
しかし、私は死ぬ気は全くないのです。お父さんを迎えにいっただけなのです。

医者の話によると、私は、長い間意識が戻らなかったとのことです。

その間、私は夢を見ていました。
変わった服装の先生『絶望先生』と、私と学校のみんな。
毎年毎年、季節が巡り、刺激的で楽しい学校生活。

目を覚まして『絶望先生』が私の夢の中だけの存在であることを知ったとき、
この現実のほうが夢なのではないかと思ってしまいました。

でもこれからは、父も先生もいない世界で頑張るしかありません。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
2281章B:2007/09/17(月) 18:50:47 ID:yvxTUL6+
「あれ?」学校から帰ると、家の電気が付いている。
(親戚の誰かがいらしたのかしら。)
合鍵を回し、家に入る。「ただいまー?」

すると、ドスドスと音を立て、奥から男がやってきた。
「おぅ、可符香ちゃん帰ったか。」
大柄の体格にパンチパーマの頭。
趣味の悪いアロハシャツに短パンという服装。
目は鋭く、堅気の人間にはない威圧感をただよわせていた。
―ここでは便宜上『叔父』という名称で通させていただく。

「叔父様?」
「なんだ、不思議そうな顔して。病院から連絡を受けてわざわざこう
して来たんじゃねぇか。」
「そうなんですか。それは面倒をお掛けしましたっ」
可符香は、ペコリと頭を下げる。

「ふぅ〜ん。可符香ちゃん、ますます可愛くなったねえ。」
舌なめずりをしながら、叔父は可符香を見た。

黒い艶々したとした髪は短くまとまめられ、綺麗な髪留めが前髪に彩り
を添えている。
可愛い睫をつけた黒目がちの目はパッチリとしており、少し幼ない
雰囲気を漂わすが、色は白く顔立ちは綺麗に整っている。
胸は少し小振りだが、スラリとした華奢な体つき。
2291章C:2007/09/17(月) 18:55:04 ID:yvxTUL6+
「私、着替えて。お父さんにお線香上げてきますね。」
なめるように自分の体に視線を這わせる叔父に気付かないのか、
にっこり笑う可符香。

着替えをして4畳半の部屋にいくと、仏壇のローソクに灯が点っていた。
昨日、家に帰ってきたばかりでお供え物はまだ買ってなかったのだが、
仏壇にはメロンが乗っていた。

「アニキはメロンが好きだったからな。」
叔父は少し照れくさそうに言った。
「わあ、ありがとう。叔父様。やっぱり親戚の方は頼りになります。」

壇の上には父の遺影が置いてある。
線香を取り、ローソクから火を移す。とたんに、線香特有の匂いが
辺りにゆったりと漂った。両手を合わせる。

可符香が父に心で問いかけていると、いきなり後から何かが覆いか
ぶさって来た。
「へへへ…アニキに挨拶は終わったかい?」
タバコと男のきつい体臭が、香の匂いに交じる。

「ど………どうしたんですか……叔父様……」
可符香はもがくが、体格のいい男に敵うわけがなく、がっちりと
抱きしめられてしまう。

荒い息を吐いて、叔父は少女に迫る。
「…言っておきますが柔道とか興味ないですよ私!!
ヤワラちゃんとか微笑ましくて、目を背けてますからっ!」
可符香は必死で身をよじって抵抗するが、男の力は圧倒的だ。
あっという間に両手をねじ上げられ、押し倒される。
2301章D:2007/09/17(月) 18:56:55 ID:yvxTUL6+
「おとなしくしろ、このガキ!!」
叔父の上からのパンチが、可符香のミゾオチに炸裂した。
「あぅぐ……!!!」
一瞬息が出来なくなり、体をくの字にまげ悶え苦しむ可符香。
お昼に食べた胃の中のものが逆流し、手足がビクビクと痙攣する。

「……ぐ……ぼ、暴力を振るう人は心が弱い人ですよ!
中学生時代にお母さんを殴ってしまったトラウマを思い出してしま
いますよ!」
咳き込みつつもキッとして言う可符香。
「ほぉ。そういう簡単に屈しないトコ、そそるぜぇ。」

可符香の抵抗が弱まらないのを見た叔父は、ワンピースを思いっきり
引き裂いた。
クラスメートの日塔奈美がチョイスしてくれた水色の清楚なワンピが
無残な姿になる。

上品な白いブラジャーが現れると、叔父はそれも一気に引き千切る。
ちょっと控えめだが、張りのある形のいい乳房がぷるんと露にされた。
美しく弧を描く稜線の頂には、ピンクの綺麗な乳首がプルプルと震えている。

「やだ……っ!!」
可符香は真っ青になった。
男は一気にのし掛かろうと、体重を掛けて来る。
深い絶望感に囚われ、覆い被さってくる男を、か細い手で押し戻そうと
無駄な努力をする可符香。
2311章E:2007/09/17(月) 18:57:31 ID:yvxTUL6+
「ん……!?」
と……可符香は少女とは思えないような力で男を押しのけようとしていた。
「な……何ぃ?」
可符香は自分では気付いていないようだったが、ギリギリと叔父の体
を押し戻し始めていた。
(な……なんだ、これは……!!女の力じゃねえぞ!)

しかし、叔父は所属する暴力団の中でも体格が良く腕力で知られている男、
そうそうの力では屈しない。
2人の力は拮抗していた。


「なにしてるんだ父さん!!」
突然大声が響き渡る。
見ると、20台前半のスラリとした青年が立っていた。

「……お兄さん……?」
彼は、今可符香の上に圧し掛かっている男の息子であり、可符香の
従兄弟にあたる。
―ここでは、便宜上『従兄弟』で通させていただく。

「なんだ、お前。帰ったんじゃないのか。」
さすがに気まずそうにして、身を起こす叔父。
「気になって帰ってきたんだよ。父さんの女好きは有名だからね。」

チッと舌打ちすると、叔父は帰り支度を始めた。
従兄弟は、近くになったタオルを可符香にかける。
「可符香ちゃん、大丈夫かい?すまない、父が。」
「……平気です。」

幼いころから、可符香はこの従兄弟を「お兄さん」と呼んで慕っていた。
親戚中から鼻つまみにされている自分を、下心なく接してくれるのは彼
だけだった。
―もっとも、恋愛感情はなかったが。

「本当にごめんよ。可符香ちゃん。」
「いえ、気にしないで下さい。お兄さんが来てくれて嬉しかったです。」
従兄弟はすこし顔をほころばせると叔父を連れて帰っていった。
2321章F:2007/09/17(月) 18:58:48 ID:yvxTUL6+
―が、2時間後叔父は再び戻ってきた。


2人は、居間で対面していた。
「あの餓鬼も甘いぜ。俺がホテルに泊まって行くっていったら
すぐ信じやがった。」
「叔父様は、私を抱きたいのですか?」
可符香は、冷静に問うた。

「お母さんを救いたくないのか?入院費払えねえんだろ?」
「………。」
何度似た様な台詞を親戚達から聞いてきただろう。
冷たい目で見返し、ピシャリと言ってやる。
「残念ですけど、叔父様には関係がないですね!」

すると、意外にも男はニヤリとした。
「お前に選択権はないんだよ。俺は親父からお前の面倒を見る
ことを命じられてるんだ。」

「お爺様から?」
「嘘じゃねえ、ほらよ。」
そういうと、懐から可符香の名義の銀行通帳を出した。
可符香の心が、チクリと痛んだ。

◆◆
可符香の最初の相手は、父の姉の夫だった。
散々幼い体を辱めたあと、可符香をあっけなく捨てた。
その後も、親戚を転々とする度に犯され、性の捌け口にされた。

可符香が自分の祖父に犯されたのは中学校3年生の時であった。
父の会社が倒産し、実家に借金を肩代わりすることを頼みに
行ったときのことである。
祖父は、可符香を犯すかわりに借金全てを返済した。

その後、祖父は可符香を囲った。
その代わり、可符香名義の通帳に莫大な小遣いを入れてくれた。

父がお坊ちゃん特有の甘さで何度も事業に失敗する度に、
可符香は小遣いを借金の返却にあてていた。
◆◆
2331章G:2007/09/17(月) 18:59:36 ID:yvxTUL6+
可符香の母親は自殺未遂の影響で、重い障害を抱えていた。
父親が借金苦で自殺するような家庭に、莫大な入院費が払えるわけがない。
父の保険金もほとんど、借金の清算に消えていた。
小遣いはまだ残っていたが、援助が尽きれば直ぐに枯渇する。

「可符香ちゃんさえ良ければ、叔父さん払って上げてもいいんだけどねぇ。」

少し間をおいて、可符香はぽつりと呟いた。
「………これは、ボディランゲージ……なんですよ。」
「………ボディランゲージ?」

あらゆる万の神達は、セッ●スをしている。
セッ●スは、人と人、時には神と人すら分かり合うことができる最高の
ボディーランゲージである。
祖父に犯されたとき、彼女はこの定義を導き出していた。

「そうですよ!愛の無いセッ●スなんてあるわけないじゃないですか!
これは、ボディーランゲージです。叔父様、私とボティーランゲージ
しましょう!お互いを知り合う事は大切なことですよ?」
(そう、全然絶望するようなことじゃないんです。)

叔父はニヤリとした。
「素晴らしいボディーランゲージを見せてやるよ。
あのアホ息子が戻ってくる可能性もあるし、ホテル行こうか。」
2341章H:2007/09/17(月) 19:01:59 ID:yvxTUL6+
鏡張りのラブホテルの一室で、風浦可符香は、叔父に組み敷かれ
執拗な愛撫を受けていた。

「……んうぅぅ……ふぅン……」
男の大きな手が、綺麗に生え揃った黒い茂みと、少女の秘密の秘裂で
蠢いている。
胸を執拗に嬲られ、今また蜜壷を責められて、可符香は喘ぎまくっていた。
「おぅおぅ。どうやら溜まっていたみたいだな。」
「……っ!」
叔父が侮蔑するようにニヤニヤして言うと、可符香は真っ赤になった。
「や…やだなぁ。あン…溜まってるなんてことないですよぉ。
これは、言葉を分かりやすく伝える感嘆詞のようなものですから!」

可符香は昔から性を叩き込まれていたため、すっかり性欲が強くなっていた。
性交も自慰も出来ない2ヶ月の入院は、可符香をすっかり欲求不満にしていた。

ひだの裏側をなぞり、花弁の中で指を時に荒々しく、時にゆっくり
ねぶるように動かす。
さらにその太い指を総動員して、変幻自在に花弁の中を掻き回し、
牝肉をこね回す。

熱い蜜液がぽとぽと滴り、畳を濡らす。
「……あぁ…はぁーん……うまいですねぇ…。」
男が指をグネグネ動かすたびに、可符香は身を捩って悶えた。
(こいつは上玉だぜ。こんな可愛い顔して、スケベなモノをもってやがる。
指が吸い付くように離れねえ。)

「どうだ?オレに触られて、ただの気持ちいいじゃねえだろ。最高の気分だろう。」
「……あぁン…はい…。」
少し恥らって可符香は頷く。
2351章I:2007/09/17(月) 19:03:05 ID:yvxTUL6+
満足そうな顔で叔父は身を起こすと、素早く服を脱ぎ捨てた。
隆々と屹立としたソレは、赤黒く日本人離れして長大であった。

叔父は、可符香の上に覆いかぶさってきた。
「お母さんの入院費は……払ってくれると、約束してくれます?」
気丈にも、可符香は最後の確認を取る。
「任せておけ。俺はこう見ても身入りがいいんだ。その代わり、
お前は俺に従うんだ。いいな?」
「………はい。」
唇を噛んで、可符香は答える。
(何も変わらない。私は、何が変わると思っていたのだろう。)

叔父は自らの棒を可符香の濡れそぼった蜜壷に押し当てる。
くちゅくちゅと筋をなぞって亀頭に愛液を十分絡ませる。
「ほら、お願いしてみな。」
「あっンっ、やんっ。」
小首を傾げ、甘える様な視線ですがるようにお願いする。
「お願いです。可符香の熱い部分を叔父様の逞しいもので埋めてくださいませ。」
(男性ってほんと変わっています。こんなお決まりの文句言わせて
何が楽しいのですかねぇ。保守主義ってやつですか?)

ニヤリとしてから、ぐっと叔父が腰を進めると、ズプズプと愛液の泡を立てて
強大な肉棒が可符香の中に飲み込まれていく。

「あっああっ!」
ゴリゴリと乱暴に可符香の肉壁を広げていき、一気に奥まで肉棒を差し込まれてしまった。

「うおぉお!コイツは具合がいいぜぇ!」
男は荒々しくピストンを始めた。
じゅぶじゅぶと音がするほど力強く可符香の奥深くまでズッポリと押し込んでから、
肉壁を引っ掻くように入り口付近まで引き抜き、また叩きつけるように貫く。

「あっ…やっ…んっ…ああっ…だめっ…あんっ…あぁあっ…」
可符香は、その力強いストロークの前に激しく喘ぎ始めた。

「へへへ……こんなデカイのは初めてだろう。」
「ああ……はぃい……あン……す……ごぃ…あぁ…。」
じゅぴゅ……じゅぷ……
淫靡な水音が、ホテルの一室に幾度となく響き渡る。
2361章J:2007/09/17(月) 19:04:51 ID:yvxTUL6+
おう……そろそろ……いくぜぇ!!」
叔父は、収縮した膣のひだひだに亀頭を擦りつけて一番奥まで突っ込んだ。
「あぁん!!……そ……外にぃ…ああぁああ………!!」
叔父は、寸前のところで引き抜くと、可符香の白いお腹に欲望の証を放った。
……

叔父は常人の性欲ではなかった。
可符香のような美少女が、お腹の精液をティッシュで拭っているのを
見て興奮したのか、再び襲い掛かった。

「あぁン。まだするのですか?相手のことを知りすぎるのも善し悪しですよぉ?」
男が可符香の唇を塞ぐ。
可符香もそれに答えて自分の唇を押し付けると、すぐに2人の舌が絡み合う。
男の背中に回された少女の拳は何かをこらえる様にギュっと握られていた。

ホテルのベッドはその夜、一晩中ギシギシと揺れていた。
ベットが揺れる度に、彼女の髪飾りが哀しげに光っていた。







その夜、可符香は夢を見た。
『絶望先生』が出てきた。
(可符香さん、あなた変わりましたよ。1巻からキャラ付け。絶対変わった。
もう、元のキャラに戻るの無理なんですよ?
…ああ、絶望したっ!最初主人公のライバル的な存在だったのに、何故か
やられ役になっているヤム●ャに絶望した!!)
<1章終わり>
237146:2007/09/17(月) 19:07:27 ID:yvxTUL6+
読んでくれた方、スルーして下さった方、ありがとうございました。

どうも展開が・・特に従兄弟が出てくる所とか唐突すぎて微妙。
准君を当てたかったんだけど、それをするとこの後の展開が・・。

2章と3章はほぼ出来ているので、反応を見つつ投下します。
遅くとも一週間後くらいまでには投下。
238名無しさん@ピンキー:2007/09/17(月) 19:35:23 ID:6ScECdHJ
>>146
1週間後なんていわずに今すぐ投下して欲しいくらいGJだ!!
タイトルからするとメル長編職人さんか?
カフカ不憫すぎるぜカフカ
このあと絶望先生に支えられたカフカの反撃が始まるのか!?
239名無しさん@ピンキー:2007/09/17(月) 19:57:00 ID:sOofm9iL
どうしてこうも可符香には悲劇が似合うのか……
>>146氏、乙でした。可符香かわいそうだよ可符香
240名無しさん@ピンキー:2007/09/17(月) 20:56:20 ID:cFOIlsce
現実に絶望した
241名無しさん@ピンキー:2007/09/17(月) 21:49:43 ID:m7AZbH7x
>>218
失礼、名乗ってませんでしたorz  奈美萌えです。
なんか、最近この呼び名が恥ずくなってきましたwww
・・・・いまさらですが、前スレ305、とかは変かな?


>>220
私も、また作ってます。確かに、上手く表現できないです。
でも、こういった、素直に言わない(と思える)キャラ「奈美・可符香・真夜」は好きなので、
作る気が湧いてくるっす。  ・・・乙女な(ry 真夜ちゃんを何とか出来ないかなと赤面厨w
242名無しさん@ピンキー:2007/09/18(火) 01:39:20 ID:bQj9duF4
たまにはとも思うけど、ちと重いかな?
今後の展開に期待
243名無しさん@ピンキー:2007/09/18(火) 03:08:25 ID:iIdtrZbI
前スレの十人抜きの続きっていうか同じ人のが読んでみたい
充電期間中だと希望
244名無しさん@ピンキー:2007/09/18(火) 03:11:38 ID:RSHY3CbZ
>>244
そんな、誰もが思っていながら口に出さないことを・・・!
245名無しさん@ピンキー:2007/09/18(火) 03:16:30 ID:RSHY3CbZ
あ、アンカー間違えたorz
>>243
173氏、スレ読んでるのかな
246名無しさん@ピンキー:2007/09/18(火) 03:57:53 ID:VsoOnKRv
十集買った
カレーにしようかハンバーグにしようか迷う大草さんに惚れた

くそう、このスレに大草職人はおらんのか!?
247名無しさん@ピンキー:2007/09/18(火) 08:57:11 ID:IcusHAUj
大草さんはNTR?
248名無しさん@ピンキー:2007/09/18(火) 09:00:42 ID:uGsu1pqB
一瞬NaToRiだと思った俺はいろいろと末期症状だな。

旦那が遊び歩いてるもんだから、大草さんは欲求不満と見た。
先生を上手く煽って誘い受けする図を妄想してみる。
249名無しさん@ピンキー:2007/09/18(火) 10:33:58 ID:gj4K6SIb
>>241
別に呼び名だし、いんじゃね?  自分で混乱するなよw
250名無しさん@ピンキー:2007/09/18(火) 12:59:31 ID:5hXWzaGM
大草さん可愛いな
251名無しさん@ピンキー:2007/09/18(火) 17:36:50 ID:9f8s2F4t
>>245
読んでるよー^^
252名無しさん@ピンキー:2007/09/18(火) 18:38:31 ID:2b2ATFS7
わ、本物!?
古い友人に会えたかのようなうれしさだ
253名無しさん@ピンキー:2007/09/18(火) 21:26:00 ID:9f8s2F4t
>>252
うっそーん^^
254名無しさん@ピンキー:2007/09/18(火) 21:41:56 ID:o7F1UXR+
しかし大草さんの旦那って現役女子高生を嫁にしたり
借金して大草さんに内職させ
おまけに浮気までしてるとか鬼畜だな
255名無しさん@ピンキー:2007/09/18(火) 22:29:41 ID:DwgS3vkr
OPの先生みたいだな
256名無しさん@ピンキー:2007/09/19(水) 00:13:31 ID:MsSLLJEA
俺の中で大草さんの旦那はペリーだと思っている
257名無しさん@ピンキー:2007/09/19(水) 00:24:53 ID:cqjsxa2g
>>251-253
これはひどい
258名無しさん@ピンキー:2007/09/19(水) 01:27:03 ID:m7KYEcAd
>>256そういえばペリーの店は潰れてたし
大草さんは可符香と同じく母性強いし
コマのスミとかでペリーが出るのは心配で見に来てるのかもしれないし
なんか納得
259名無しさん@ピンキー:2007/09/19(水) 01:39:18 ID:0647toZ3
>「そうですよ!愛の無いセッ●スなんてあるわけないじゃないですか!
これは、ボディーランゲージです。叔父様、私とボティーランゲージ
しましょう!お互いを知り合う事は大切なことですよ?」
(そう、全然絶望するようなことじゃないんです。)
劇的に全俺が泣いた
238に言われたような展開だったら感動で泣く
違っても泣く
260名無しさん@ピンキー:2007/09/19(水) 03:16:39 ID:Xoh/cDLn
>>246
待て、それよりアニメ11話のマリア×交フラグをどうするかが問題だ
261名無しさん@ピンキー:2007/09/19(水) 10:40:56 ID:ay0aUFLH
430さんとても面白かったです

是非、同じシチュエーションで交編も読んでみたいです
262名無しさん@ピンキー:2007/09/19(水) 12:06:21 ID:QgLTz34p
ああ、多分それ前にあったから。保管庫いって探しとけ。
263名無しさん@ピンキー:2007/09/19(水) 12:16:54 ID:sqIfF9x0
>>254
俺の予想では沢城止の親近者
264名無しさん@ピンキー:2007/09/19(水) 12:19:39 ID:sqIfF9x0
沢越だった…
うろ覚えで書き込むのはよくないな
265名無しさん@ピンキー:2007/09/19(水) 13:45:03 ID:nKQu3/Te
「30倍悲しい死に方」の交バージョン?
そんなの保管庫にあったか?
266名無しさん@ピンキー:2007/09/19(水) 17:34:22 ID:4sT4AVgR
>>261
正直二番煎じほどつまらないものはない
267名無しさん@ピンキー:2007/09/19(水) 18:12:05 ID:v+7T1SBV
ツンデレ加賀愛SSマダー?
268名無しさん@ピンキー:2007/09/19(水) 19:37:44 ID:7urNqzAD
あのう、自分、今、望×智恵を書いてるんですけど・・・・
なんか、みなさんのリクエストから離れすぎてて戸惑ってしまいました。
正直あんまり文才ないんですが書けたら投下してよろしいでしょうか?
269名無しさん@ピンキー:2007/09/19(水) 19:48:07 ID:Tak90Zap
そんなの聞くまでも無い・・・、良いに決まっているじゃないか!
270430:2007/09/19(水) 20:25:00 ID:Sc8W47hD
>>261さん
「30倍悲しい死に方」の交バージョンて、

皆が交には望が入院していることを隠していて、
望叔父さんは何処に行っちゃったんだろうと無邪気に訝る交
とか、
望の亡骸の前で、望が作ってあげると約束していた未完成のオルゴールを手に、
「望叔父さんのうそつき!」と叫ぶ交
とか、
葬儀の後、宿直室の窓ガラスを全部叩き割って、
「もう一度前みたいに怒ってよ。」と、ぐしぐし泣いている交
とか、
結局景兄さんの手で完成したオルゴールの蓋を、交が開けたら、
望が生前好きだった曲が流れてきて、それを背景にTHE END 
とか、
そんな感じでしょうかっ!?

>>266さん
いや、これを文章にすることはいたしませんが…。
…このシリーズはそもそも板違いですし、さすがに、もう(^_^.)
二番煎じどころか三番煎じ(!?)、失礼しました…!

今週のマガジンの「めっ」がめちゃくちゃ可愛くてツボにきました。


>>268さん
望智恵は思い浮かばなかったwktk
271名無しさん@ピンキー:2007/09/19(水) 20:43:08 ID:hy/3WQt/
智恵×望じゃないのか、とか野暮な事は言わずに全裸待機するぜ!
272名無しさん@ピンキー:2007/09/19(水) 20:46:42 ID:44hZ4d6l
ここの神々の作品って、長編でもどのくらいが一番長かったんかな。
今書いてるう○こSSが、短編のつもりだったのにダラダラと長ったらしく。
エロなんぞ1Pで終わりそうだというのに、そこまで行くのに無駄に長い。
どのくらいの量なら、スレに迷惑が掛からないんですかね。
そもそも書き終わるかすらわからんのですが。
273名無しさん@ピンキー:2007/09/19(水) 21:12:25 ID:IQ8AJzSQ
迷惑なSSなんてない!と言い切ってやるからさっさと投下しろ!いやしてください
274名無しさん@ピンキー:2007/09/19(水) 21:15:41 ID:7urNqzAD
ありがとうございます。では、出来次第すぐに投下させていただきたいと
思います!まだ、出来てませんが・・・
>>272 さん
ご安心ください。こっちが書いてるのも無駄に長い上にエロが少ないの
で・・・期待してます!
275名無しさん@ピンキー:2007/09/19(水) 21:29:43 ID:E/yHMCzk
>>270
ああああああああ
その話だけで泣けてきます・・・・・・
見たいけど見たくないような。


>>268 >>272
見たいです。見たいです。
正直、エロが書ける方はすごいと思う・・・・
迷惑ではないと思いますよー。
276名無しさん@ピンキー:2007/09/19(水) 21:40:43 ID:nKQu3/Te
だいぶ投下予告がたまってきたな
>>146さんの可符香SS
>>268さんの望×智恵
>>272さんの長編
あと、奈美萌えさん(前305さん)の真夜SSもあるしな
今週末は神ラッシュ再びか!?
277名無しさん@ピンキー:2007/09/19(水) 21:42:17 ID:4sT4AVgR
>>270
こちらの言った二番煎じと言うのは
「同じシチュエーション」というところ
同じ話の流れだったらつまらないと言っただけで違うなら問題ありません。
278272:2007/09/19(水) 21:50:18 ID:QP5s9tih
レスしてくれた神々よ…おおお、ありがとう。
最後まで書けるかわからないけど、出来たら投下させていただきやす。
モチベーションがだだ上がったよ、ありがとう。
他の方の作品も心よりお待ちしている所存でございますー。
279名無しさん@ピンキー:2007/09/19(水) 21:51:20 ID:IQ8AJzSQ
>>270
住人がまた涙に暮れるのでその辺で勘弁してください><
そんでもって、本職の可符香SSに戻ってください。俺に可符香を!可符香を!
280名無しさん@ピンキー:2007/09/19(水) 23:50:20 ID:spX3BDpP
>>276
俺も、大草さんで1本書かせて頂いてます
とさらっと便乗してみる
281名無しさん@ピンキー:2007/09/20(木) 00:18:46 ID:kJTtaGvD
マリアの後編待ってたり
282名無しさん@ピンキー:2007/09/20(木) 00:27:39 ID:IL2EeRPz
ええい!あびるはまだか!
283名無しさん@ピンキー:2007/09/20(木) 00:28:24 ID:5zG1XT8X
>>282
よし、俺が引き受けた
284名無しさん@ピンキー:2007/09/20(木) 00:51:29 ID:Z634LOH4
じゃあ俺は准×倫を書くとするか
このスレ見てたらなんかはまってしまったよ
285名無しさん@ピンキー:2007/09/20(木) 01:05:57 ID:mpcfPnh9
じゃあ俺は兄妹愛ものを
286名無しさん@ピンキー:2007/09/20(木) 01:34:48 ID:pE+zv3t/
携帯からこんにちは(こんばんは?)
神職人が物凄いたまってるんだがww
もうwktkが止まらない。誰か止め………いや止めなくていい
287名無しさん@ピンキー:2007/09/20(木) 02:15:58 ID:lHnj3Lac
>>281
ちょ、ごめっ………た、たぶん忘れた頃に………
288名無しさん@ピンキー:2007/09/20(木) 06:51:18 ID:pCkYQCtk
予告まとめ追加
>>280さんの大草さんSS
>>283さんのあびるSS
>>284さんの准×倫
>>285さんの兄妹愛
>>287さんのマリアSS続き(忘れたころ)
いったいなんですかこの豊作貧乏の予感ww
289261:2007/09/20(木) 09:13:55 ID:b4wklD0V
>>430さんの書きたいので全然構いません
290名無しさん@ピンキー:2007/09/20(木) 12:45:22 ID:rkFNiDh7
カフカがいないぞ!!
291名無しさん@ピンキー:2007/09/20(木) 14:18:35 ID:oY+8evzy
全部一気に来たら死ねる自信がある
292名無しさん@ピンキー:2007/09/20(木) 16:01:53 ID:YhDUmtia
>>291
・・・すでに容量が半分近いこのスレもひょっとして?ww
293146:2007/09/20(木) 17:38:07 ID:0IgDgJkj
神ラッシュに激しく期待しつつ、投下。
>>225の続きになります。注意点も225参照。
今回は2章・3章。
4回に分けてといいましたが後1回で終わります。
欝展開なので、要注意。
全部で12レスほど消費させていただきます。
2942章@:2007/09/20(木) 17:39:23 ID:0IgDgJkj
第2章
「……ん……んん……。」
1人の少女と3人の男が、ラブホテルのベッドの上で睦みあっていた。

1人の小太りな中年の男は、少女の後ろに回り、ねっとりと深いキスを
交している。男が唾液をたっぷりと口に垂らすと、少女はコクコクと
飲み干した。
別の男は、少女の手を股間の肉棒に添えさせ、激しく上下に扱かせ
ている。
もう1人のチンピラ風の男が、制服のセーラー服を捲り上げ、
小振りな胸を露にすると、少女の形のいい胸を気持ち良さそうに揉み
始めた。

後に回った男がスカートを捲り上げると、いきり立った肉棒を少女の
秘唇にネジ込む。
「あ…あぁンっ。」
「これは素晴らしい物をお持ちだ。非常に具合がいいですよお、ぐふふ。」

「あ……んぅ……はぁ……ん!んんー!!」
胸を揉んでいた男が小さな口をこじ開け、喉につまるほど奥まで肉棒を
ねじ込んでいく。
少女は、巧みに肉棒に舌を絡め、そのピンク色の唇でしごく。
「うおぉ…すげえ。こんな可愛い顔して……ああ、気持ちいいぞ。」
白い柔らかな手は相変わらず怒張を握らされ、手コキを強要されている。

肉と肉のぶつかる音とぐちゅぐちゅという淫らな水の音が響き渡る。

「くう……出しますよ!!」
「お……俺も……くっ。」
激しい運動の末、小太りな男は寸前で引き抜き白く華奢な体に欲望の塊
をブチまちまけ、口淫していた男は喉の奥に欲望を注ぎ込んでいく。

「はぁはぁ………あうぅ!」
休む間もなく、手コキをさせていた男が、少女の秘唇に肉棒を突きたて、
獣のように激しく犯す。
「はぁぁ、あ……う……少し………休ませ……んぐぅ!」
少女の哀願を聞くこともなく、小太りの男が早くも復活した肉棒を
咥えさせた。
別の男が後の小さな窄まりに狙いを定めると、容赦なく肉棒を突き入れる。
「あぐ……!あんん……。」
「ほう、こっちもすっかり開発済みか。こいつはいい。」
2952章A:2007/09/20(木) 17:40:51 ID:0IgDgJkj
前後の穴を貫く男の荒々しい動きに合わせて、少女は口に咥えた肉棒を、
白い喉を上下して奉仕する。

「うぅん・・じゅる・・ちゅっ・・、じゅるる」
「おお!!すごい吸いつきです。しかし、あの人も贅沢な人だ。
山本のママ以外にもこんな素敵な情婦をお持ちとは!」
あらゆる穴を貫かれ激しく突き上げられ、やがて少女の裸体に
白濁の雨が降り注ぐ。

「おい、4つんばいになれ。」
少女は素直に体を起こし、ベットの上で4つんばになって白いお尻
を突き出した。

もう何発も出したというのに、男達の肉棒は依然屹立している。
少女の熱いぬかるみに真珠を埋め込んだ肉棒を打ち込む。
太い牡の器官が、女の肉を開きゴリゴリと奥まで入り込むと、
すぐに激しい挿入が始まった。
「あッ……あはぁん、んあ……ぁあ……ぁあん……!」
男の動きに合わせて、少女はくねくねと腰を振り気持ち良さそうに喘ぐ。

別の男の肉棒が少女の顔の前に突き出されると、彼女は自分から
肉棒にしゃぶり付き、口一杯に頬張る。
「ん・・じゅるる・・ちゅぅぅ・・。」
「うほぉ。こいつ相当の好き者だぜ。たまんねぇ!」
別の男は、ショートカットの髪の毛を肉棒に巻きつけ、しごきはじめる。
「ぐほほ、なかなか綺麗な髪をしていますよ。汚しがいがありますねぇ。」

「こちらも、変わらず締りがいい。これは極上品だ。
プライベートでお付き合いしたいほどだぜ。」
「ははは、やめときな。あの人は、自分の物に手を出されると火が付
いたように抑えられなくなる。」
2962章B:2007/09/20(木) 17:41:39 ID:0IgDgJkj
バックから激しい獣の動きで貫かれ、前からも頭をしっかりと押さ
えつけられて喉奥を突かれる。
「あん……ちゅるちぅ…あぅ じゅっ…あはぁーん…じゅるる……」
「うおぉ、最高ですよ!もう出ます!」
男は寸前で抜くと、少女の白い背中に獣欲の白い迸りをたっぷり
塗りこんだ。
同時に少女の喉奥にも異臭のする白濁の塊が注ぎ込まれ、そのあど
けない顔もドロドロに汚される。
髪の中にもたっぷりと射精されてしまう。

白濁の海に沈みそうになる少女を支え、更に男達は彼女の瑞々しい
体を蹂躙していった。
………

数時間後、すっかり獣欲を満たした男達は、少女を残して帰っていった。

ホテルのドアが開き、男が入ってくる。

「ご苦労さん。あいつら絶賛してたぜ、お前の体。
たっぷりチップを弾んでくれたから、義姉さんの手術費も賄えるな。」

「………くぅ……かは………。」
少女―風浦可符香は咳込むと、喉に絡みつく白濁液をドロリと吐き出し、
身を起こす。
「輪姦ってのも悪くないだろ?」
「………輪姦なんて、あるわけないですよ。
あれは、伝言ゲームです。皆でかわりばんこでお肌で会話するんです。」

「がははは。相変わらず面白い奴だ。とりあえず、シャワーでも浴びて来いや。」
疲れ気った体を引きずってシャワー室へ向かう可符香の背中に叔父の
声が投げられる。

「さっきのビデオ撮っといたからな。ビデオが売れたら、兄貴の墓石
でも買ってやる。顔修正なしで売れば、相当儲けでるぞ。」

シャワー室に入ったころで足がよろけ、可符香は思いっきり頭をぶつけてしまう。
(どうしたのでしょうか。痛くないですよ?鉄の頭になったのかしら。)
不思議そうな顔で彼女は、何度も何度も頭をシャワー室の壁に打ち付けていた。
2972章C:2007/09/20(木) 17:42:49 ID:0IgDgJkj
〜モノローグ2〜〜〜〜〜
あれから3ヶ月ほど経ちました。

私は、毎日のように叔父様と肌を合わせています。

叔父様の命で、最近は叔父様以外の方とも語り合っています。
色々な人と知り合うことはいいことですよ。


叔父様はちゃんと、お母さんの入院費を入れてくれました。
お母さんは、少しづつですが回復しています。
最近、お話もできるようになりました。


時々、従兄弟のお兄さんが訪ねてきてくれます。
お兄さんが来ると、叔父様も肌で語り合うことはしません。

お兄さんとデートするのは楽しいですよ。
お兄さんがいると心が休まってホッとします。

お兄さんは私の事が好きだといいます。
私もお兄さんの事が好きです。
でも、私はお兄さんの愛を受入れる事が出来ないのです。

理由を言ったら笑うでしょうか?
私には、夢で出てきた青年が忘れられないのです。
空想と分かっていても、彼が心に住み着いて離れないのです。


この前、親戚の人に会ったら、「相変わらず不幸だね。」
なんて笑うのです。
失礼ですよね、私はちっとも不幸じゃありません。
私はいつも幸せです。そのはずなんです。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
2982章D:2007/09/20(木) 17:43:57 ID:0IgDgJkj
風浦可符香は叔父の情婦となっていた。
彼女をかろうじて支えているのは、母と従兄弟だろう。

従兄弟の青年は、可符香を度々デートに誘い、彼女の心を休ませ
ていった。彼女も、その優しさにほだされていた。

だが、夜景の見える海辺で彼の告白を聞いたとき、少女の返事は
「もう少し待ってくれ」だった。


もう一つ、可符香の母親の容態が好転していた。
手術が成功に終わって、会話もできるようになり、退院も間近いと
言われた。

1月の終わり。
遂に可符香が入院費を気にする必要がなくなる日が来た。



















可符香の母親が急死したのだ。
299名無しさん@ピンキー:2007/09/20(木) 17:45:14 ID:VopYhzJJ
リアルタイムktkr!!!






可符香(´・ω・`)
3003章@:2007/09/20(木) 17:45:58 ID:0IgDgJkj
3章
葬式の祭壇は家の6畳の居間に設けられた。、
葬儀が終わり、弔問客は全員帰りこの家には可符香しかいなくなっていた。

「お母さん……。」
祭壇の前で、可符香は呆然としていた。
可符香の母は病気で死んだのではなかった。
リハビリの散歩中に轢き逃げされて死亡したのだった。
(お母さんは、お父さんを迎えに行ったの?車で行くと早いから??)

「可符香ちゃん………。」
見ると、従兄弟の従兄弟が立っていた。
彼は、可符香の隣に座ると、ぐっと彼女を抱きしめた。

「可符香ちゃん、これからは僕が君を守りたい。
僕は卑怯だ。父の横暴を知りながら、何も出来なかった。
でも、今は違う。僕は君を守る!!」
可符香の弱った心に従兄弟の優しさが染み渡る。
「……お兄さん……。」

「可符香ちゃん、僕を受入れてくれないか。
君が僕の物になれば、金銭面では不自由はさせない。
父さんも君に手を出す事は出来なくなる。」

孤児となってしまった可符香にとって、それは願ったりの申し出だったろう。
しかし、可符香にはこの純朴な従兄弟に嘘をつく事が出来なかった。

『先生』の存在は、依然として彼女の心を支配していた。
重度の妄想癖と呼ばれようと、それを隠して付き合うことは
とてつもなく卑怯なことに思えた。

「私もお兄さんのこと、好きですよ?
でも、男性として愛しているとは言えないんです。」

「山本さんの事気にしてるのかい?彼女はただの行きつけのバーのママだよ。」
「……?山本さんって??」
「あ、いや。知らなければいいんだ。」
従兄弟は気まずそうに咳払いをした。
3013章A:2007/09/20(木) 17:46:44 ID:0IgDgJkj
と、従兄弟の右手が、可符香のお尻に伸びた。
「……お兄さん?」
びっくりして顔を上げる。今まで、従兄弟がHを迫ってきたことは
なかったからだ。
「可符香。君を抱きたい。」
「え!?お姫様抱っこなんて恥ずかしいです!」
「そうじゃなくて。君と子作りがしたいんだよ。」
何故かそんな表現をする。

「コウノトリの養殖ですね。いい事です!天然記念物ですからね。」
あくまで話を逸らそうとする可符香の手をしっかり握って、
従兄弟は彼女の目の奥を覗き込んだ。
「僕はどれだけ君を愛しているか見て欲しいんだ。ダメかい?」
「…………。」
「それに……もし、今この場所で子を成せば、お母さんの魂が君のお腹に
宿るような気がしてならないんだ。」

可符香は可笑しくなって笑った。
「私が、転生とか前世とか好きなのを知って言っているのでしょう?」
「僕は真剣なんだけどな。」
従兄弟は憮然とした表情である。
「転生の儀式を行うと、本当に降臨してしまいますよ?」
「そのときは僕が責任を持って、君達を幸せにする!」

可符香は、自分が従兄弟を愛しているとはどうしても思えなかった。
だが、従兄弟の誠実さには全面の信頼を置いていた。
それと、母が転生して、自分のお腹に宿るという考えは、
可符香にはとてつもなく素晴らしいことに思えた。

最後に可符香は素直に心情を吐露した。
「私がお兄さんに抱かれるとしたら、それは打算以外の何者でもない
ですよ?打算なんてないですね……『理性の選択』です!!
HなSSを書くために帰宅などといった事はせず、キチンと残業
するようなものです。それでも、いいのですか?」

「構わないよ。僕は、君を振り向かせる自信があるからね。」
3023章B:2007/09/20(木) 17:47:20 ID:0IgDgJkj
可符香が抵抗をしなくなったのを感じ、従兄弟は可符香に優しく
口付けをした。
「んっんっ……」
男の手が喪服の背中のチャックにかかる。
ジジジジ
チャックを開け、器用に可符香の上半身を脱がす。
白いフリルつきの清楚なブラジャーが現れると、従兄弟はゆっくり
とそれも外した。
形のいい白い乳房がぷるんと現れた。
「きれいだ……。死んだ僕のお母さんみたいだ。」
「……お母様……。」
(マザコ……いえいえそんなわけないです。母親好きの親孝行な青年です。)

従兄弟は大きな手を可符香の形のいい胸に添えると、むにむにと
揉み始めた柔らかい乳肉を掬うように何度も優しく揉みしだく。
「ん……ううん……んぅん……ッ」

さらに、可符香の喪服のスカートを腰までたくし上げると、パンティ
を脱がせて指を股間の割れ目に差し込んでいく。
すっかり生え揃った叢の下に、赤い柔肉が振るえ、淫臭を漂わせている。
ふっくらと充血した土手をなぞり、中にうごめくヒダを何度も指で
ねぶっていく。
「あっあン……ああぁ……い…い…です……あはぁん。」

男は、少女の可符香もきめの細かい柔らかな手を取り、自分の股間に導いた。
洋服の上からでも、そこが一杯に硬くなっているのが分かる。
可符香は優しく擦ってあげる。
「あぁ……うまい……よ。可符香ちゃん……。」

右手で乳首をもみしだくように刺激しつつ、股間の熱い牝肉を掻き回す。
敏感に震える真珠をかるく潰しすようにコリコリと指の背で転がすと、
可符香は激しく悶えた。
「あぁん……あはぁーン…あぁあン…あん……あん……あぁん!」

指を使って必死にお互いを奉仕していくと、2人は一気に限界ま
で高まった。
3033章C:2007/09/20(木) 17:48:19 ID:0IgDgJkj
従兄弟は、カチャカチャとベルトを外すと、隆々とした肉棒がそび
えていた。
さすが、巨根の父親を持つだけあり、彼の逸物も立派なモノだった。
「どうだい?父さんのより大きいだろう?」
従兄弟は自信たっぷりに言うと、正常位の体勢で向き合った。
肉棒をドロドロの蜜壷の中心にピタリとあて、「行くよ」と言うと
同時に腰を進める。
肉棒はずぶりと可符香の中に侵入する。
「ああぁん!!」
秘肉を太い肉棒がグイグイと掻き分けていくと、一気に一番奥まで貫いた。
男の棒はミッチリと可符香の肉穴に埋め込まれていた。
その逞しさに、可符香はうっとりし、媚肉は蕩けるように蠢いて
肉経を刺激する。

「可符香、愛してるよ。」
「……お兄さん……。」
従兄弟は情熱的に可符香の唇を吸う。
従兄弟の腰が激しく動き始めた。
出し惜しみなどせず、最初から全力でガンガンに貫いていく。
「はぁあっ……ああっ………ああああっっ」
可符香は体をガクガク揺らせながら、激しく喘ぐ。
じゅぶじゅぶと愛液が飛び、2人はどんどんと高みに登っていく。
可符香も男の律動に合わせ、白い細腰をゆする。

「ああ………もう出そうだ!」
従兄弟が可符香を逞しい腕でしっかりと抱きしめると、可符香は男
の背に腕を絡めてしがみついた。
「くぁ…な…中で……出すよ!!!」
「あぁ…は……はい……下さい。中に下さい!」
(お父さん、お母さんっ、私のお腹に転生して!)
可符香は、この瞬間に本当に両親が転生してくるような気がして、
中で出される事を懇願していた。

2つの肉体がしっかりと絡み合う。
3043章D:2007/09/20(木) 17:49:49 ID:0IgDgJkj
と、突然襖が開いた。
「おうおう、派手に盛ってるな。」
「お……叔父様!?」
慌てて、体を起こそうとしたが、従兄弟がそれを押さえつけた。
「すっかり出来上がってるな。もう仕込んだのか?」
「今、ちょうどいい所さ。」
驚いた事に、従兄弟は平然と答え、腰を振るのをやめようとしない。
「……お、お兄さん?」
「あの事は?」
「まだ言ってないよ。」
「なんだ、それを教えてから仕込むのがいいんじゃねえか。よし、俺が言ってやる。」







「よく聞け。
お前の親父と母親はな、俺達が殺したんだ。」

―え?
「正確には、初めに2人に睡眠薬飲ませて吊るしたのが父さんで、可符香の母親を
車で跳ねたのが僕だけどね。」
「まあな。あの2人はな、多額の保険金を掛けてたんだ。死んでもらわなきゃいかん。
母親のほうが残っちまったのは想定外だったがな。」
可符香は、母がお昼食べてから首を吊るまでの記憶がないと言ってのを
思い出す。
記憶障害だと診断されていたが、睡眠薬で眠らされたのだとしたら……。

「感謝するんだね。本当は君も吊るすつもりだったのを僕が止めたんだから。」
「実はな、母親の入院費用もほとんど入院保険で間に合っていたんだ。
お前は、何の意味もなく俺に仕えていたってことだ。」
心底楽しそうに笑う2人。
「聞いてよ父さん、この馬鹿女、母親を転生させるとか言ったらコロリと騙されやがった。
こんなお目出度い奴、見たことないよ!」
「転生〜?がははは、そりゃ傑作だ。」
2人の声が遠くに響く。
305名無しさん@ピンキー:2007/09/20(木) 17:50:34 ID:VfJjqFlB
えええええええええ支援
3063章E:2007/09/20(木) 17:51:44 ID:0IgDgJkj
―じゃあ、私は……。
お父さんを殺した男に、媚びて体を開いて………

お母さんの入院費にもならないのに、知らない人に体を売って………

お母さんを殺した男を信用して、中出しまでねだったの………??

可符香の黒い大きな瞳の瞳孔がみるみるうちに開き、頭がグルグルと回転する。


やだなぁ、そんなはずないじゃないですか、それは……それは………
やだなぁ、そんなはずないじゃないですか、それは……それは………
やだなぁ、そんなはずないじゃないですか、それは……それは………
やだなぁ、そんなはずないじゃないですか、それは……それは………
やだなぁ、そんなはずないじゃないですか、それは……それは………
やだなぁ、そんなはずないじゃないですか、それは……それは………
やだなぁ、そんなはずないじゃないですか、それは……それは………
やだなぁ、そんなはずないじゃないですか、それは……それは………
やだなぁ、そんなはずないじゃないですか、それは……それは………



「B浬$3…B?Gユ=02」テlyR☆CヲJD8 曾 hI&#箪…/xoQg$□$^$l$!!!!!!!!」

遂に、可符香のポジティブシンキングが容量を超えて崩壊した。
絶望と後悔の余り体が痙攣を始め、酸欠にでも合った様に口をパクパクさせる。

「やった!!やったよ!!この、絶望の表情!!これが僕は見たか
ったんだ!!
子どもの時、僕に対して『世の中に絶望なんてないですよ』なんて
偉そうにほざきやがった。
さぁ、今はどうだい!?言って見ろよ!!絶望なんてないって!!」

千里も真っ青の粘着ぶりを発揮して、従兄弟は更に激しく腰を振る。
3073章F:2007/09/20(木) 17:52:52 ID:0IgDgJkj
さすがにショックだったようだな。オイ、いつものポジティブ
なんたらはどうしたんだ?」
笑いながら叔父が、半狂乱で暴れまわる可符香の手足をガッチリ
押さえつけてしまう。

「%d%d%dxヲ鱗熙ヌ兇い$&$%"%"、ケ瓦!!!!!!!!!!!!!!!」

「なんだこの奇妙な声は。うるさい奴だ。」
叔父は、びちょびちょになっている可符香のパンティを取ると、
彼女の口にねじ込んだ。
「ん!!んーー!!んんーー!」
自分の愛液の味が口一杯に広がる。

「うぉ、もうイキそうだ。さあ、君は自分の父親と母親を殺した男の
種で孕むんだ!」
「―!?んん!!んー!んー!」
ハッとする。
―それだけは!それだけはダメ!ダメ!ダメ!ダメ!ダメ!ダメ!!

必死で逃れようとするが、大の男2人にしっかりと押さえつけられ、
身動きすらとれない。
可符香は、なぜ直ぐに舌を噛まなかったのか激しく後悔した。

―ごめんなさい。もう『世の中に絶望はない』なんて言いません。

―ごめんなさい。もう『自ら命を絶つ人なんていない』なんて言いません。

―だから、だから、もう死なせてください。

かつての超ポジティブ少女を、圧倒的な絶望感が襲った。
まるで虚無の中にいるかのような黒い闇。

狂ったように髪飾りを付けた前髪を振る可符香に構わず、
従兄弟は、腰をしっかりと引き付け、少女の一番奥まで深々と貫いた。
本能的に、膣壁がきゅっと肉棒を締め上げた。
「うっ、出る!!!」
柔らかな刺激に反応して肉棒がぐっと膨張し、射精される瞬間が
はっきりと分かる。
男の鈴口がぱっくり開いた。


………そして。
<3章終わり>
308名無しさん@ピンキー:2007/09/20(木) 17:54:57 ID:VopYhzJJ
ちょっと待て!ここで終わりって……すごく……生殺しです……
お預けを食れた146氏に絶望した!


(つД`) 可符香かわいそうだよ可符香……
309名無しさん@ピンキー:2007/09/20(木) 17:56:55 ID:rK8bZCfD
これは・・・さすがに、し、しんどい・・・
310147:2007/09/20(木) 17:58:16 ID:0IgDgJkj
読んでくださった方、スルーして下さった方、ありがとうございます。
これを読んでくれた方が、書き手に怒りを感じるくらいに、
可符香に同情してくれればこのSSは成功してます。

しかし、可符香は難しいですね。うまく書けてる方々はホントすごいです。
4章は、ほぼ出来てますが、皆様の神ラッシュを邪魔しないように、
ひっそりと投下します。
4章はちょっと幻想的に逝きたいなと・・。(ムリか・・?)
311146:2007/09/20(木) 17:59:48 ID:0IgDgJkj
>>310
すいません、146でした・・。ああ、絶望した!!
312名無しさん@ピンキー:2007/09/20(木) 18:02:07 ID:PHMl4NgK
GJ!!
まじ泣きそう(ノ_・。)

313名無しさん@ピンキー:2007/09/20(木) 18:03:52 ID:8gUZJFDL
ほぼ完成しているのに投下しない146に絶望した!
最終章はせめて救いある終りにしてやってくれ…
314名無しさん@ピンキー:2007/09/20(木) 19:21:27 ID:RQxMIrr/
絶望した!いや何ていうかもう…絶望した!俺の可符香が…。
だが同時に興奮してたりする節操なしな自分に絶望した…!
最終章が怖くもあり楽しみでもあります、頑張ってくだされ>>147
315名無しさん@ピンキー:2007/09/20(木) 19:37:07 ID:9VeFKagF
>>314
一言だけ。
別にお前のじゃないから。
316名無しさん@ピンキー:2007/09/20(木) 19:46:27 ID:VopYhzJJ
>>315
そうだよな。だって俺のだもんな。
317名無しさん@ピンキー:2007/09/20(木) 19:57:12 ID:rkFNiDh7
>314>315>316
俺のカフカですが何か?
318名無しさん@ピンキー:2007/09/20(木) 20:04:53 ID:g/u0uelJ
>>147
これは、ききます・・・・・  残業続きで弱ったところに、トドメを刺されそうに。
・・・301の小ネタって・・・・・173氏? 本人じゃないですよねw
最終章は明日か明後日の夜でしょうか・・・・・  いまから心の準備を・・・・

しかし、描写が上手いです・・・・・・

余談ですが、読んでて、悪役二人の生い立ちや人生がどんどん浮かんでくるのって、
やはり私がズレてるからですかね・・・・・・・w 失礼。
319名無しさん@ピンキー:2007/09/20(木) 20:38:25 ID:ODih/T2o
可符香SSもアニメ11話も鬱で絶望した!

どっちも救いのある最後をキボンヌ!!
320名無しさん@ピンキー:2007/09/20(木) 21:32:47 ID:9VeFKagF
>>316-317
板違いだと言ってるんだ。
キャラ萌えでやれ。
ココでいうな。
キモいんだよ。
321名無しさん@ピンキー:2007/09/20(木) 21:33:01 ID:Sm6o5BY4

ええと、望×智恵完成しましたんで手直しが終わったら投下します。
ですが、その前に注意をいくつかさせてもらいます!
1、最初に言ったように私に文才はありませんなので。、いたらない部分はスルーしてください!!
2、智恵のキャラが壊れ、勝手な過去や、家がちょっとした金持ちなどという。オリジナル設定てんこもり
  です!そんなの俺の智恵先生じゃねえ!って方はスルーライフで
3 智恵だけじゃなく、他のキャラもぶっ壊れてます。ご注意を
4、勝手なオリジナルキャラも登場します。話にあまり関わりませんがご注意を
5、このスレにあるカウンセリングって作品と最初が酷似してますが、すぐにちがう展開に
  なるんで、ご容赦を・・・(まあ、あんな神作品と比べる人は皆無でしょうが)
6、自分エロ書くのはこれが始めてです。濃厚なのを期待する方は飛ばしてやってください!
7、かなり長いです。ご容赦を・・・・
8、途中で直すところを見つけて、投下が途切れることもあります。お許しを

ええ、色々言いましたが、最後に一番大切なことを!
期待すんなよ!!なんにも期待すんなよ!!
以上!!
322恋の物語1:2007/09/20(木) 21:38:25 ID:Sm6o5BY4

新井智恵の日課はカウンセリング室の受付箱を見ることから始まる。
とは言っても、いつも押しかけてくるのは決まっていて、その本人は担任その人なので、
カードなど出しはしない。生徒は生徒で悩みが少ないのか、あまりカウンセリングを頼み
には来ない、しかも来るにしてもカードを出さないことも多いだから箱はだいたい空っぽ。
従って、見ることに意味はほとんどないが、職業柄か、つい、いつも覗いてしまう。
「まあ、今日も何もあるわけないか・・・・」
そう、つぶやきながら中を見ると、一枚だけ珍しくカードが置いてある。
「へえ・・・・誰かしらね」
そういいカードの名前を見てみると、小節あびると氏名欄にあり、用件のほうは、
「そちらでお話します」と書かれ、時間の方は放課後と書かれている。
「あの子が?」
多少変わった趣味を除けば、成績優秀で性格のほうも悪くない彼女に一体なんの悩みが
あるのかさっぱり検討がつかない・・・そう思いかけたところでふと恐ろしい考えに行き着く、
(まさか・・・つい父親を・・・?)
彼女はいつも全身を怪我している、それは同居している父親からのDVによるものではないか、
そう考え、前に一度調査をした結果、本人の趣味、動物の尻尾を引っ張ることによって受ける
反撃だったと判明した。だが、彼女を調査していた時にもうひとつの恐ろしいことがわかった。
なんと、彼女自身が父親に暴行を加えていたのだ。
別にそれは父親が憎いからとかではなく体が勝手に動いてしまうそうだ。
(ひょっとしたら・・・それに耐え切れなくなって)
これは大事になるかもしれない。そんな考えを抱きながら、智恵は放課後を待った。

323恋の物語2:2007/09/20(木) 21:39:19 ID:Sm6o5BY4

放課後のチャイムが鳴り終わって数分後に、扉をノックする音が聞こえた。
「どうぞ」
なかば緊張気味にそう声をかけると、扉が開かれ、おさげを揺らし松葉杖をつきながらあびる
が部屋へと入ってきた。
「よく来たわね。さ、座って」
黙ってコクリとあたまを下げると、あびるは黙って、椅子に腰掛ける。確かに彼女は口が少なく
無表情なほうだが、今回は少し異常だ。今は無表情というより、引き締まって緊張している。
これはいよいよ大変だ。と心の中で思ったが、顔にはまったく出さず勤めてにこやかにたずねる。
「で、なにかしら?話したいことって・・・」
そう問い掛けられ、あびるは口を開こうか思案するような素振りをみせたが、意を決したかのように
ゆっくりと声をだす。
「実は・・・」
「実は?」
あびるのあまりの緊張に思わず声を硬くしてしまいながらも、繰り返したずねる。
「私・・・」
「私?」
もう覚悟はできた。昏睡にしたか、どこか骨折でもさせたか、はたまた
「好きな人が出来たんです!」
「は!?」
考えていたのとまったく違う答えに思わず間の抜けた声をだしてしまう。
「そ、そんな顔しないでください!」
あびるは彼女らしくなく声を荒げ抗議する。
「ごめん・・・・ちょっと予想してない答えだったんで、ついね・・・・でも、よかったわね」
謝りながらも智恵は微笑ましい気持ちになるのを感じた。
こんな彼女でも、ちゃんと人並みに恋が出来たのだ。これなら、父親にかんするDVもおさまるかも
しれない。
「それで、私・・・人を好きになるのとか始めてだから・・・ちょっと相談にのってもらいたくて」
「ええ、私でよければなんなりと」
せっかく彼女が人並みになりかけているのだから、しっかりと手助けしてやらねばならない。
どこぞの教師の自殺を引き止めるより、よほどカウンセリングらしい仕事に思わず声が弾む。
そんな智恵の調子に戸惑いながらもあびるは話を続ける。
「実はその人、他の人にもよくモテるんです」
「へえ・・・・」
なるほど、それなりに容姿はいい人間のようだ。だとすれば、ライバルも多いのだろう。
「それじゃ、積極的にアピールしなくちゃね」
「はい、そうなんですけど、他の人たちの方がすごくて、しかも私より前からその人を狙ってたらしい
 んです」
ここまで聞いて、ふと、智恵は一人の男の姿を想像し、急いでかき消す。いくらなんでもありえない。
が、
「その人たちのアピールがすごいんです。一人はその人のあと四六時中ついてまわってるし、一人は
 同じ場所に同居みたいに住んでるんです」
ここまで言われれば、該当する人間なんてもう一人しかいない

324恋の物語3:2007/09/20(木) 21:40:33 ID:Sm6o5BY4

「ひょっとして、もう一人はもの凄くきっちりしてて、近寄りがたいような子?」
やはり図星だったのか、あびるの表情が固まる。
「なんで・・・わかったんですか?」
認めたくない、認めたくないが、これでもう誰かは確定した。それでも最後のあがきのような形で
確認する。
「ねえ、それってもしかして、あなたの担任の先生?」
その言葉を聞いた瞬間、あびるの顔がほんのり紅く染まる。
間違いない、糸色望だ。
「どうして・・・どうしてわかるんですか?」
蚊の鳴くような声で聞いてくるあびるに、智恵は苦笑するしかなく、とりあえず聞き返す。
「ええと、先生をどうして好きになったの?」
そう聞かれた途端、あびるはさらに顔を紅くして、首を振る。
「い、言えません!」
「そう・・・」
別段、追求する気はなかった。どうせ、おおかた、また何かの手違いだろう。今までの事例だって
みんなそうだ。
(それにしても、それでなんでこんなに生徒にもてるのかしら)
積極的に生徒を口説くわけでもないのに、何故かよく生徒にモテる。
確かに容姿はいい、いつも着ている和服姿も様になっている。なにより高校の教師だけあって、頭も
いい。だが、それらを差し引いてなお余りあるのが性格である。とにかく超のつくネガティブ思考
の持ち主で、ことあるごとに死にたがる。だが、よくよく観察してれば、それら全ては未遂に終わって
いて、死ぬ気があるとは到底思えない、そういう意味のないことを繰り返す。まあ、簡単な話が
変人の部類に入る。それが糸色望、通称「絶望先生」だ
だが、それでも生徒にモテているのが現実だ。(本人はまったく喜んでいないが)
中には結婚前提で付き合っているなどと、シャレにならない者までいる。
(でも・・・・あの小節さんが、ここまでになるなんて・・・一体何したのかしら・・・まさか!)
「あの・・・先生?」
いやな想像をしていたところで急に声をかけられ、慌てて現実に戻る。まさか面と向かって
そんなことを聞くわけにはいかないので、とにかく今は望の常識を信じることにした。
「あ、ああ・・・・ごめんね、そうか・・・そうよね・・・他の人のアピール激しいもんね」
あれは最早激しいなどというレベルを超え犯罪の域に達している気もするが、
「そうなんです、だから、私じゃついていけない気がして」
正直ついていってもらったら困る。超怒級の曲者揃いのあのクラスの数少ないまともな人間を
減らしたくない。が、一応恋はしているのだ。相手が誰であれ、一応初恋の手助けはしてやり
たい。
「そうね・・・だったら、あなたは逆をいったらどう?」
「逆?」
「ええ、そこまで存在を誇示するんじゃなくてさりげなく近寄るの、そうね、食事に誘うとか・・・」
智恵はとにかくあびるまで過剰なアピールに走らないようにそれなりの助言をしてみると、
あびるは嬉しそうに微笑み何か、ごそごそ口の中でつぶやき始めた。
「そっかぁ・・・じゃあ、あの店に一緒に食事に・・・」
そうひとしきりつぶやいた、さっぱりした。もとに無表情な顔に戻って、ぺこりと頭を下げ、
「ありがとうございました」
と短く言った。
「いえいえ、どういたしまして、頑張って!」
頑張りすぎられてもこまるけどね、と小さく付け足したが、どうやら聞こえなかったらしく。そのまま
部屋から出て行きかけ、ふと思い出したように、立ち止まると振り返り言った。
「きっと、先生と先生の彼氏って仲いいんでしょうね、先生恋するのうまそうだし」
「え・・・ま、まあね」
「一回会ってみたいですね。それじゃ」
最後に一礼するとあびるはドアを閉めて出て行った。
「恋するのが、うまそうか・・・」
自分しかいなくなった部屋であびるに最後に言われた言葉を繰り返し口に出して言うと、
自虐的に微笑み、
「そうでもないのよね・・・」
と小さくため息混じりにもらした

325恋の物語4:2007/09/20(木) 21:45:03 ID:Sm6o5BY4

「智恵・・・智恵!ついたわよ!起きなさいよ」
「うん・・・あびるちゃん・・・大事なのはさりげなさよ・・・」
「なに寝ぼけてんの、起きなさい!」
思いっきり頭をひっぱたかれて、やっと目が覚める。
「夢・・・か」
つい数日前の出来事を夢でみていたのだと、気づき、そして、今の状況を確認する。
確かハンドベル仲間の友人達に飲みに誘われたのだった。車に乗せられ揺られているうちに眠って
しまったらしい。
「まったく、夢でも仕事してたの、口が仕事口調だったわよ・・・仕事しすぎるとはやく老けちゃ
 うわよ」
「大きなお世話よ!」
そう言い合いながら、店に入ると、
「おっそーい!」
「遅刻よ、遅刻!」
などと、先についていた仲間たちの出迎えが待っていた。




そのまま、宴会へと流れ込み、騒ぎがつづいたが、急に一人が時計を眺め慌てたように
「いっけない!そろそろ帰らないと、彼が帰ってきちゃう!」
「ええ、いくらなんでも早いでしょ!?ねえ、みんな!」
思わず智恵はそう叫び、周囲に同意を求めるが、他もそれぞれ、帰る準備を始めている。
「ごめん!私も彼が帰ってくるから、今日は一緒に過ごしたいの」
「私も・・・」
「そ、そう・・・」
そういわれてはどうしようもないので、仕方なく、宴会は思ったより早くお開きとなった。
326恋の物語5:2007/09/20(木) 21:45:44 ID:Sm6o5BY4


「ねえ、智恵・・・・」
「ん?」
なにか一抹の寂しさを抱えながら、助手席で、きだるげに座っていた智恵は突然の呼びかけに
驚いたように、首をおこした。そんな彼女をみながら、友人は言った。
「あんたさぁ・・・いつまで、そうやって色気ない生活続けるの?」
「何よ・・・突然」
不意の質問に驚いたかのように首をかしげ、とぼけようとしたが、友人はそれを許さずさらに続ける。
「あんた、わかってる?みんな大体、彼氏作って、なかには来年には結婚するような子だって
 いんのよ?」
「へ、へえ!?誰、言ってくれたらよかったのに!」
追求を逃れるのは無理そうなのでせめて話をそらそうとするが、それでも友人はごまかされずに
続ける。
「智恵、あんた、顔とかスタイルとか悪くない・・・ううん、すっごくいいんだから、せめて、彼氏
 作んなさいよ」
友人は決してうわべだけでなく、心の底から心配してくれている。
それはわかっている。が、それとこれとは別問題だ。
それに少し、誤解があった。智恵とて、異性と付き合ったことはある。
もちろん体を重ねたことも何度かあった。だが、続かないのだ。
あのころの智恵はとにかく、勉強一筋だった。夢であった教師になるため、必要だったこととはいえ、
勉強に打ち込めば、必然的に異性との交流は少なくなる。
そうなれば、当然相手は面白くなくなり、はじめはよかった仲もしだいに悪くなってくる。
なかには夢と自分とどっちが大事なんだ。などとわけのわからないことを言ってくる者もいた。
そうなると当然喧嘩になり、そのまま別れてしまうばかりだった。
だが、相手は何も悪くない、両立できなかった自分が悪いのだ。そうわかっていても、同じこと
を繰り返してしまう。そうやっているうちに、ここまで来てしまった。
皮肉なことに目指し、たどり着いた先は空虚なものだった。最近では、時間を持て余すことが多く、
あのころはなんだったのか、と真剣に悩むことすらある。今ならうまく恋も出来そうなものだが、
幾度もの出会いと別れを繰り返すうち、異性と付き合うことそのものが恐怖となっていた。
(恋がうまいだなんて、ありえないわ・・・)
数日前のあびるの言葉を思い出し、自虐的にそう考えていたところに友人が再び声をかけてきた。
「ちょっと、聞いてる?」
「聞いてるって・・・」
「あんた・・・まじめに考えといたほうがいいわよ・・・あんまりしぶってたら、本格的に行き
 送れて、天涯孤独とかそういうことにもなりかねないわよ」
「天涯孤独・・・ねえ・・・」
それも仕方ないと思った。ここまでうまく異性と付き合ってこなかったのだから、今ごろまた恋が
したいなどと思っても失敗することを恐れ、またうまくいかないに決まってる。

327恋の物語6:2007/09/20(木) 21:46:31 ID:Sm6o5BY4

「そうだ!!」
「ど、どうしたのよ!?」
突然の大声に驚く智恵にかまわず友人は顔を輝かせ言った。
「いるじゃない!あんたの身近に手ごろな人!」
「え?」
いきなり、そんなことを言われても誰のことやらさっぱりわからない。
「ほら、こないだ演奏会にあんたが演奏会に誘った。あんたと同じ学校の教師!」
「ええ!?糸色先生!?」
「そうそう!その人よ!」
「何をいきなり・・・」
確かに、前の演奏会で一人でも多く客を招けと言われ、何気なく望に招待券を渡した。
あのとき、もの凄く恐縮しながら、和服でたずねてきたときにはどうしようかと思ったが、
なかなか評判がよく友人達からもてはやされていたのを覚えている。
「あの人すごくかっこよかったじゃない!みんなからの人気も高かったし、和服を着てるのも
 最初はどうかなって思ってたけど、しばらくしたら妙になじんで見えて・・・うんうん、
 かっこよかった!あと年下ってのもポイント高いわよね!」
それは、あなたが、あの人の内面を知らないからよ。と言ってやろうかと思ったが、別に彼女が
この先の人生で彼にかかわることはまずないだろうから、あえて黙っておいた。
「知ってる。あの後、あの人にメルアド教えてって子結構いたのよ!」
それは初耳だった。なるほど、あのあとしばらく望の姿が見えなかったと思ったら、そんな事情
があったのか。
「それでね、彼はどうしたと思う?」
「どうしたの?」
「全部、断わってたのよ!」
さすがにこれには驚いた。あの人のことだから、全員に教えているだろうと思っていたのだが、
まさか、自分のメルアドを忘れたなんてことがあるはずはないだろうし。
「それでね、ここからは私の推測なんだけど、彼、あなたに気があるんじゃないかな」
「ちょっと、ちょっと!なんでそうなんのよ」
あまりに突拍子もない話の飛び方に思わず素っ頓狂な声をあげてしまう。
「だって、普通アドレスぐらい教えたっていいはずでしょ、それを教えないってことは、私の
 推測だけど、あなたに知られたくなかったんじゃない?」
いくらなんでもそれは推測を通り越して妄想だ。あきれてどういったものかと迷っていると、
友人は興味深そうに、
「それで、あんたはどう思ってんの?」
と、聞いてきた。
「え・・・・」
「一緒の職場で働いてんだし、なんかの感情くらいあるのかしら?」
「それは・・・・」
予想もしない質問に口ごもってしまう。と、そのとき目前に智恵の住んでいるアパートが見えてきた
ため、ちょうどいい口実を見つけたとばかりに、
「ここでいいわ、あとは歩いて帰れるから、ありがとう」
と車を止め、ドアから外へと出る。
「え?ここでいいの?」
「うん、ちょっと、歩きたいから・・・・」
本当は今の会話から逃げるためだが、まさか正直にも言えない。友人は胡散臭そうな顔をしながらも、
うなずくと、最後に
「今の話、よく覚えておいてね」
そう言い残し、エンジン音と共に走り去っていった。
一人取り残された智恵は、ぐったりと疲れた気分になりながら、目の前のアパートに向かって歩き
出した。

328名無しさん@ピンキー:2007/09/20(木) 21:47:22 ID:rK8bZCfD
んと、sageた方がいいかもしんない
329恋の物語7:2007/09/20(木) 21:48:03 ID:Sm6o5BY4

(なにかの感情?そんなものあるわけない)
次の日、智恵は一人カウンセリング室でモヤモヤした気分に囚われながら、本日で何度目かの
自問自答を繰り返していた。
(大体、糸色先生も私にそんな気を持ってるはずがないじゃない・・・)
そう考えるたびに、昨日の友人の言葉が木霊する。
(あの人、アドレスを教えなかったのよ・・・ひょっとして、あなたに知られたくなかったん
 じゃない?)
妄想に決まっている、だが、どこか説得力のあるその言葉が頭から離れない。
(でも・・・もし、もし、本当だとしたら?)
そこまで考えては、ありえないと打消し、また考え、とその繰り返しから抜け出せない。
思えば、異性に関してこんなに悩んだのはいつ以来だろう。
と、その時、コンコンと扉をノックする音がした。
慌てて時計を見ると、いつのまにか放課後になっている。
(いやだわ・・・今日一日なにやってたのかしら)
おそらく、上の空でボーっとしながら過ごしていたのだろう。
(こんなことじゃいけないわね!)
と、無理に気持ちを切り替えると、事務的な口調で
「どうぞ」
と短くいい、入ってきた人物の顔を見た途端、再び、気持ちを切り替えさせられてしまった。
「申し訳ありません・・・・予約もなしに・・・」
入ってきた人物、糸色望本人はいつもどおりの和服をまといよろめくようにカウンセリング室に
入ってきた。

330名無しさん@ピンキー:2007/09/20(木) 21:52:42 ID:g/u0uelJ
望×智恵 支援!
331恋の物語8:2007/09/20(木) 21:53:31 ID:Sm6o5BY4

(なんで、よりにもよってこんなときに・・・)
思わず、心の中でそう思ってしまったが、別にいつものことなので、望を攻めるのは間違いと
言うものだろう。
(まあ、いつもどおりにやれば問題ないわ・・・)
そう考えとりあえず椅子をすすめ、適当に机の上にお茶を並べる。
「すいません、いつもいつも・・・」
そう言いつつ望はくずれるように椅子に座った。
「それで、なんで今日は死にたくなったんですか?」
「実は・・・」
いつものように、どうでもいい、いきさつを語る望の言葉を聞きながら。智恵は再び昨日の友人
の言葉を思い返した。
(あんたはどう思ってんの?なんか感情とかないの?)
(どう、思ってるって・・・)
智恵は自分の目の前に座っている糸色の姿をまじまじと見つめる。
まず、肌は抜けるように白い、日焼けなど体験したことが無いような肌。
そして、華奢な体まさにぽっきりと折れてしまいそうにも見える。
そして、最後に顔はまさに端整と言うのをそのまま具現化したような顔をしている。
まさに完璧と言っていいだろう。が、
(けど・・・・性格がねえ・・・)
今言っている、泣き言と情けない表情がそれら全てを台無しにしてしまっている。
(けど、じゃあ、なんで私はこんなに真剣に話を聞いてあげてるんだろう)
仕事だからと、言えばそれまでだが、なぜか、彼の話は親身になって聞いてしまう。
「・・・と、いうわけなんですよ!・・・智恵先生?」
「は、はい!それは大変ですね!」
呆けていて、よく話を聞いていなかった智恵は突然現実に引き戻され、適当に相槌をうち、
慌てて、湯飲み茶碗に手を伸ばす。
が、あせって伸ばしたては勢いづいて思わず茶碗を弾き飛ばしてしまい、そのまま机の下に
落下してしまう。
幸い結構丈夫な茶碗であったようで、茶碗自体は割れなかったが、中に入っていた茶は床に
広がってしまった。
「ああ、私ったら!!」
「大丈夫ですか?お茶かかってませんか?」
「ええ、なんとか・・・・きゃああああああ!!」
智恵は、心配そうに身を乗り出してきていた望を思わず突き飛ばしていた。
「うわぁあ!!」
と、なんとも情けない声をあげ、望は後ろへと弾き飛ばされる。
「な、なにを・・・?」
思いっきり打ち付けたらしい腰をさすりながら、望は涙声で訴えてきた。
「え、あ、ご、ごめんなさい!つ、つい・・・」
取り成そうとするが、気が動転して、うまくしゃべれない。
「あ、あの掃除しなくちゃならないんで、その話はまた明日に!!」
「ええっ!!」
話についていけず困惑した声を上げる望の背を押すように外に追い出すと、そのまま、
扉を閉めてしまった。
閉め出され、廊下に放り出された望は何がなんだかわからないままにとりあえず。
「絶望した!ぜんぜんわからない話の流れに絶望した!!」
と叫ぶと、目に涙を溢れさせながら走り去っていった。

332恋の物語9:2007/09/20(木) 21:54:32 ID:Sm6o5BY4

(私ったら・・・・何やってるのかしら)
とぼとぼと家路につきながら、智恵はため息をついた。
動転した気を鎮めてから、謝ろうと廊下を覗くとすでに望は姿を消していた。
(わたしも、あんな言葉をいつまでも気にするなんて・・・)
これで望からは奇人という印象をうけるかもしれない、そう考えると何故かずっしりと気が
重くなった。
(明日はちゃんと謝らなきゃ・・・)
そう考えながら、アパートの自分の部屋にたどり着くと、中に入り何をするでもなく、
床に倒れこみ、そのまま眠ってしまった。


それからしばらくして、電話の鳴る音に目が覚めた。
時計を見ると、結構眠ってしまったようで、夜も大分遅い。
(誰かしら・・・こんな夜に・・・)
不信に思いつつも智恵は電話をとった。

333恋の物語10:2007/09/20(木) 21:55:50 ID:Sm6o5BY4
「ああ・・・ついに、智恵先生にまで嫌われてしまいました。私は一体どうすれば・・・」
望は暗い夜道をとぼとぼと歩きながら、途方に暮れたように呟いた。
自殺願望を持っている(本人の思い込み)望にとって、智恵は唯一自分の悩みを解決してくれる。
いわば、心のより所だった。
だが、今日、その人からも冷たくあしらわれてしまった。(あくまで本人の思い込み)
「ふ・・・どうやら神様はそろそろ私に死ねと言うようですね・・・」
神が聞いたら絶対に違うと言うようなことを勝手に並べ、覚悟を決めたように、今自分の渡って
いる橋の欄干に足をかけた。
「思えば、儚くつまらない人生でしたね・・・」
と、わりかし、マジっぽい言葉を呟く姿は様になっているが、肝心の足をかけている橋が小さく
しかもすぐ下に流れている水路も浅く小さいもので、これどうやったら死ねるの?的な場所でそ
んなことをやってもはたから見れば、ただの変な人にしか見えない。
そんな場所でも、この男根っからのチキンなので、足をかけた姿勢のまま、ちらりと後ろを振り
かえるが、こんな時間帯に出歩くような人はいない、唯一、尻の穴に棒を突き刺された犬が
胡散臭そうな表情を陰気な顔に浮かべこっちを見ている。
「う・・・」
唯一、いつも自分を止めてくれる、ストーカー少女まといも実家に帰るとかで今はいない。
あのような言葉を吐いて、そのまま何もせずに立ち去ったのでは、自分の中の何かが崩れ去り
そうな気がする。
「むむ・・・」
足を橋の欄干にかけたまま考え込む姿は最早無気味さすら漂ってくる。
おそらく人がいたとしても、これを見たら決して止めはしないだろう。
そうすること数分、突然、
「そうだ!」
といきなり叫び声を上げる。
ここまで来るともはや奇人である。もしおまわりさんが通りかかったら間違いなくお世話に
なっていただろう。
「智恵先生が私を嫌ったということは、それなりに何か私が迷惑をかけてしまったに違いあり
 ません!それなのに死んで逃げようなどとは考えが甘すぎます!」
はるか昔に、天動説を覆す発言をコペルニクスもびっくりの逆転の発想を咄嗟に導きだすと、晴れ晴れ
とした顔で欄干から足を下ろす。
「いやぁ、よかった、よかった。危うく死んで逃げるなどという安易な考えに走ってしまうところ
 でした。ちゃんと、智恵先生に謝らなくては・・・」
自分の間違いに気づいたというより、今の状況から逃れられたことを喜んでいるようにしか
見えない。
と、その時、望は自分が空腹だったということに気づく。
思えば、晩御飯を食べていない。
「せっかく、間違いに気付けたんです。豪勢な物でも食べますか」
態度を一転させて歩き去っていく望の後ろ姿を犬はあほらしそうに眺めていた。
334名無しさん@ピンキー:2007/09/20(木) 21:58:24 ID:Sm6o5BY4
ええと、ここまでで自信がなくなってきたので、一時投下を停止します。
一応手直しもしたいんで・・・ここまでで我慢しておいてください。
手直しが終わったら残り投下しにきます。(みなさんがよろしければですが)
335名無しさん@ピンキー:2007/09/20(木) 22:01:19 ID:t1wQRs2V
GJだがsageを薦めておく
336名無しさん@ピンキー:2007/09/20(木) 22:02:00 ID:9VeFKagF
人の話を聞け。
まずはsageからだ。
337名無しさん@ピンキー:2007/09/20(木) 22:03:49 ID:g/u0uelJ
今日は生殺し記念日ですか?ww
338名無しさん@ピンキー:2007/09/20(木) 22:05:01 ID:DikqolDq
>この男根っからのチキンなので、
あらぬ読み方をしてしまった。本筋以外を気にする自分に絶望した!
本筋的には続きに期待。
339名無しさん@ピンキー:2007/09/20(木) 22:05:19 ID:pCkYQCtk
なんだ最近このスレでは焦らしプレイが流行っとるんか
340名無しさん@ピンキー:2007/09/20(木) 22:15:54 ID:t1wQRs2V
なんか対極ってほどじゃないけど方向性の違う二本で面白かった・・・
いや、まだ完結してないから「かった」は間違いか
こういうの見ると自分も書きたくなるが気後れしてしまってなかなか書けないw
何はともあれお二方ともお疲れ&乙
341名無しさん@ピンキー:2007/09/20(木) 22:24:36 ID:n7lRF80y
>>272で投下宣言やらかした者ですが、半分ほど書けたので
自分もボチボチと投下させていただきます。お二人の作品の後で恐縮ですが。

やたらダラダラしてるだけで長編って程じゃないです多分。
望×可符香で、捏造設定の嵐。
キャラ同士の呼び方とかわっかんねぇ。
12レスほど消費させてもらいますが、全然エロに到達する気配なし。
SS投下は初めてなので読み難いでしょうが、ご指摘下されば出来る範囲で
直していきたいので、よろしくです。
342真昼が雪 1:2007/09/20(木) 22:26:10 ID:n7lRF80y

 この恋が始まるには、ほんの少しの希望が必要です。

 春――四月。
 桃色の花弁が舞い散る並木道を、軽やかな足取りで進む。
 朝日を受けて白く輝く花弁は、まるで真昼に降る雪のようだ。
 眩しそうに目を細めながら空を仰ぐ少女は、朗らかな笑みを浮かべていた。
 何という事のない朝の風景を、この上ない幸せと感じているように。
 確かに少女は今、この上なく幸せだった。
 彼女のトレードマークである髪留めが、日差しを受けて輝いている。
 同様に、彼女の大きく丸い瞳も。
「あ―――」
 一際強く春風が通り過ぎ、少し短めのスカートを翻らせる。
 首筋を撫ぜる風と花弁の感触に、少女は擽ったそうに首を竦ませた。
 思わず目を閉じる。
「ふふ」
 止めていた歩を進めようと、両目を開き、顔を上げた。
 その目に―――宙に浮かぶ男が映る。
「…え?」
 宙に浮いているように見えたのは一瞬の事。
 桃色ガブリエル。
 彼女がいつかそう名付けた桜の木の下に、その男は吊り下がっていた。
 男と木の枝を繋ぐ縄が、ギシギシと音を立てる。
 その姿に。

「―――――い」
 嫌、と。
 声は出ず、ただ唇がその呟きをかたどった。
 笑顔が、凍りつく。
 
 ぶら下がる男。縄の軋む音。
 いつか見た映像が重なって、彼女の立つ現実が崩れる音がする。

 見上げるしかなかった、幼子の自分。引き攣る頬。剥がれない笑顔。

 ―――いや、それはもう実際にあってしまった事だから、
 思い出す事自体は問題ではないのだ。
 問題なのは、彼女はその記憶を僅かでも「悪いモノ」として思い出した。
 一瞬でも湧き上がったネガティブな感情。
 それを認めてはいけない。認めては、彼女の全てが駄目になる。
343真昼が雪 2:2007/09/20(木) 22:28:15 ID:n7lRF80y

「―――いけません!!」
 男に対して、そして何より自分に対して叫びながら、地面を蹴る。

 ―――そう。あれは不幸な事などではなかったのだ。
 内心で呟く。泣き叫ぶ幼子の自分に、言い聞かせるように。

 思い切り男の足に飛び掛ると、頭上から奇妙な呻きが降ってくる。
「命を粗末にしてはいけません!」
「○×△◇∀♀%※!!」
 無我夢中でしがみ付く。ギシリと、男と木を繋ぐ縄が悲鳴を上げた。
 やがて縄は二人分の体重に耐え切れず引き千切れ、
 二人はそのまま地面に転がった。
 慌てて起き上がり顔を上げると、男は意識が戻ったのか、
 激しく咽込んでいる。
 喘息のように荒く息を付きながら勢い良く上げた顔は、
 控えめに言っても美しい部類に入るであろう。
 つり上がった目には涙が浮かんでおり、
 本人は睨んでいるつもりでも迫力がない。
 男は狭まった気管から、無理矢理掠れた声を張り上げた。
「死んだらどーする!!」
「え?」
 まさかの抗議に、きょとんと目を丸くする。
 さっきまで間違いなく首を吊っていた人間には、
 あまりに似つかわしくない台詞である。
「あ」
 すぐにその事に気付いたのか、男は気まずげに少女から視線を外した。
 かと思えば、妙に芝居がかった口調で「また死ねなかった」と呟き、
 その責任を彼女に押し付けるかのような発言をする。
(あ、そっか…この人)
「死ぬ気、なかったんですよね?」
「死ぬ気まんまんで―――」
「ですよね!」
 まだ何か言おうとする男の言葉を遮って、彼女はすっくと立ち上がった。

 そうしてこの世界の輝かしさを、身振り手振りも交えつつ語りながら、
 彼女は胸の奥に痞える、妙な感情を感じていた。
 それは、彼女が認めたくない類の感情。

 ―――何でこんなくだらない人に、驚かされなくちゃいけないんだろ―――

 物事をネガティブにしかとれない男。
 物事を何でもポジティブにとらなければ『ならない』少女。
 
 出会ってはいけない二人が出会ったのは、今から少し前の話。
344真昼が雪 3:2007/09/20(木) 22:30:27 ID:n7lRF80y

 秋――神無月。
 可符香はいつもの登校路を、軽い足取りで歩いていた。
 色とりどりに染まった葉が舞う並木道は、美しく彼女の視界を彩る。
「小さい秋♪小さい秋♪小さい秋、見つけ―――」
 調子外れな鼻歌を口ずさみながら歩いていた可符香だったが、
 不意にその足を止めた。鼻歌と一緒に、落ち葉を踏みしめる音も止まる。
 残念ながら、彼女が見つけたのは小さい秋ではなかったようである。
「小さ…くないけど、糸色先生みーつけたー♪」
「歌ってないで、少しは心配して下さい…」
 敷き詰められた落ち葉の上にうつ伏せに倒れた望は、
 能天気な歌声に弱弱しく訴えた。
 小走りに駆け寄り、望の顔を覗き込むように、
 膝を抱えてしゃがみ込む可符香。
「今日も身長伸ばしてたんですか?熱心ですね」
「二重に違います」
 答えながら、伏せていた顔を上げようとする望だったが、
 ふと戸惑ったように硬直した。
「ん?」
「あの…風浦さん。その姿勢で目の前に居られると困るのですが…」
 言いながら、すぐに顔を伏せる望。
 その指摘にようやく、彼の目前にスカートから覗く自分の下着が
 晒されている事に気付いた。それでもあっけらかんとしたもので、
 彼女は微笑みを絶やす事なく言ってのける。
「やだなぁ、気にする事ないですよ。これは所謂、見せパンですから」
「見せられるほうの身にもなってください!」
「嫌なんですか?」
「嫌じゃな――――いや、嫌です!」
 うっかり本音を口走りそうになるも、
 すんでの所で問題発言と気付き、自粛する事に成功。
 可符香曰く見せパンをなるたけ見ないよう注意しつつ、
 台詞の勢いに合わせるように身体を起こそうとした。
 だが、今度は腹部に走る鋭い痛みに硬直し、
 腕で半身を支えるような姿勢で居るのが精一杯だった。
 眉間に皺を寄せ、腫れ物に触れるようにそっと下腹部を撫でる望。
345真昼が雪 4:2007/09/20(木) 22:33:37 ID:n7lRF80y
「んん?先生、もしかして体調が悪いんですか?」
「もしかしなくても体調不良です…。
 わかったならこれ以上疲れさせないで下さい」
 グッタリとした様子で項垂れる望の顔は、いつもよりも更に青白い。
 額には薄っすらと汗が滲み、髪がペッタリと顔に張り付いていた。
 本当に辛そうなその様子に、さすがにこれ以上からかうのはやめにして、
 そっと肩に手を掛ける可符香。
「立てますか?無理そうなら、学校まで行って人を呼んで来ますけど」
「いえ…もう、どうにか動けそうです」
 可符香に肩を貸してもらいつつ、危なげながら立ち上がる。
 それだけの動作で随分と疲れたのか、
 大きく息を付く望の顔を仰ぎ見る可符香。
「貧血か何かですか」
「さぁ…何でしょうかね。最近ちょっと不摂生な生活だったもので」
「駄目ですよ、交君も居るのに」
「私ではなく交の心配ですか」
「ちゃんとしたご飯を食べさせないのも、十分虐待になるんですよ?」
「うっ…!ぜ、絶望した…。
 ちょっとした放任すらネガレクト扱いする世間に絶望したッ!」
「わかったら、ちゃんと食べて下さいね。
 ほら、隣の女子大生に夕飯を分けてもらうとか」
「あ、いいですね。それを機に距離を…、
 って何で貴方がそんな事まで知っているんですか」
 話しているうちに少しずつ体調も戻り、
 礼を言いつつゆっくりと可符香から身体を離す望。
「ありがとうございます。もう大丈夫です」
「授業、できそうですか?」
「この分なら大丈夫でしょう。ですが、些か遅刻してしまいましたね」
 懐中時計を懐から取り出して時間を確認すると、
 もうとっくにHRは始まってしまっていた。
「すみません、遅刻させてしまって」
「大丈夫です。先生が出席簿に丸を付けてくれればいいんですから」
 人差し指と親指で丸の形を作りながら、悪戯っぽく笑う教え子に苦笑する。
 小さな共犯関係に、
 何とも言えないくすぐったさを感じながら、二人はゆっくりと歩き出した。

 二人が出会った並木道は、すっかりその表情を秋の色彩に変えて、
 歩み去る二人を見守るように見つめていた。
346真昼が雪 5:2007/09/20(木) 22:35:53 ID:n7lRF80y

「おはようございます」
「先生!いい加減きっちり時間――――」
 2のへの教室に足を踏み入れた瞬間、予想通り千里の罵声が飛んでくる。
 が、威勢よく発した声は、何故か徐々に尻すぼみになっていった。
「はい?」
 とうとう黙ってしまった千里の視線を辿ると、
 そこには望の後から教室に入ってきた可符香の姿。
 見つめられている本人は、いつもの笑顔で小首を傾げたりしている。
「あぁ…!」
 別方向から、愕然としたかのような声。
 声の主は、教卓に立つであろう愛しき教師を待っていた、まといであった。
 まるで大事な物を奪われたかのように悲痛な顔で、
 教卓から顔を覗かせている。
「ど、どうしました?お二人とも。
 私が遅刻してくるなんて珍しい事じゃ無いんですし、
 今更そんなに驚かなくても」
「やっぱり自覚あるんだ」
 やる気なさそうに呟くあびる。相変わらず盛大に包帯だらけである。
「…どうして可符香さんと先生が一緒に登校して来るんです…?」
「それも、遅刻までして」
 何やら目つきが怪しくなっている千里。彼女に続いて呟くまといも、
 明らかに目が座っている。説明を求められる事は意外でも何でもない。
 だが、この様子はいったいどういう事だろう。
 内心で首を傾げつつも、求められたならば答えようと口を開く望。
「あ、あぁ…それはですね」

「やだなぁ。身体を寄せ合ったり、私が先生に下着を見られたりしただけで、
 特に何もなかったから大丈夫よ」
347真昼が雪 6:2007/09/20(木) 22:37:53 ID:n7lRF80y
 望の言葉を遮るように。
 人差し指を立てて、悪意など欠片も滲ませない声で可符香は言った。
 その表情は満面の笑みである。
 望は二の句が告げず、顔色を青ざめさせながら可符香に振り返る。
「あ、あ、あ…貴方はまたそういう事を…!」
「でも、本当の事ですし」
「拾うポイントが悪すぎるんです!
 だいたい下着は私が故意に見たわけじゃありません!」
「別に無理矢理だなんて言ってないですよ。結果的には合意の上ですよね」
「当たり前です、人聞きの悪い!」
 口を開けば開くほど事態が悪化している事に気付かない哀れな教師に、
 他のクラスメイト達は内心で同情するしかなかった。
「先生」「先生」
 静かなのに妙に凄みの効いた声が教室に響く。
 吐息が耳朶に触れる程の距離で囁かれ、望はビクリと身を強張らせた。
 右側に千里。左側にはまといが。
 一人の声でも恐ろしいのに、ステレオで聞かせられては硬直するしかない。
(というか、いつ近寄って来たんですか、二人とも…)
 椅子の引く音や、教卓の動く音くらいしそうなものだが、
 二人は今の今まで望にその気配を気取らせずに接近してきていた。
 もちろん可符香に弁解するのに必死になっていたのもあるが。
 さっきまで同情の目を向けていたクラスメイト達は、
 いつの間にか教室外に非難している。
 あろう事か、直前まで会話していたはずの可符香すら、
 一瞬目を放した隙に消えていた。
「あ、あ…あ」
 理不尽だ。
 そう訴えようと口を開くも、喉の奥で声が凍り付いて、言葉にならない。
 
 その後の描写はとてもオンエアに耐えうるものではなかったので、
 割愛させていただく。
348真昼が雪 7:2007/09/20(木) 22:44:26 ID:n7lRF80y

「貴方は私に、何か恨みでもあるんですか?」
 あびるよろしく包帯だらけになった望は、放課後の保健室で憮然と呟いた。
 もはや『赤い』としか言い表せない物体に成り果てた彼は、
保健室に担ぎ込まれ手当てを受けた。
 それからずっと眠り続け、目覚めた時には既に、
 開いたカーテンから夕日が射し込み、室内を照らしている時分だった。
 随分と長い事眠ってしまったらしい。
 目を覚まして開口一発の恨み言に、
 様子を見に来ていた可符香は笑顔で答える。
「やだなぁ。可愛さ余ってなんとやら、ですよ」
「やっぱり憎いんじゃないですか!」
「冗談です。私に嫌いなものなんて、あるわけないじゃないですかぁ」
 無邪気に言って、
 何食わぬ顔でベッド脇までパイプ椅子を引っ張ってくる可符香。
 その発言に妙に納得してしまって、思わず口を噤む望。
 確かに彼女が何かを嫌悪する様子は想像出来ない。
 キモい試しの時ですら、いつもの笑顔を崩さずに、
 あろう事か倫をからかって遊んでいた。
 キモい!と泣きながら走り去る可符香を想像しようとしたのだが、
 あまりに想像し難く、つい難しい顔になる。
「はい、先生」
 ふいに、頬に硬く熱い何かが押し当てられた。
「あっつ!」
「はい、これでも飲んで機嫌直してください」
 反射的に頬を押さえながら身を引く望に、改めて差し出されたのは、
 缶入りのお汁粉だった。
「…わざわざ、外で買って来たのですか?」
「はい。もう結構寒いから、喜んでもらえると思って」
 笑顔で差し出されるお汁粉をおずおずと受け取りながら、
 すっかり毒気を抜かれたように礼を言ってしまう望。
 可符香は笑顔で頷いて、自分用であろうホットのお茶を鞄から取り出し、
 一口啜った。それに釣られる様に望も、プルタブを開けてお汁粉を口に
 含もうとする…のだが、
349真昼が雪 8:2007/09/20(木) 22:45:48 ID:n7lRF80y
「糖類(砂糖、トレハ糖)、小豆、食塩、増粘剤(キサンタンガム)、
 乳化剤、環状オリゴ糖、pH調整剤、安定剤(セルロース、カラギンナン)
 …色々入ってるんですねー」
 唐突に読み上げられる、何かの原材料名。
「げ、原材料名を読み上げないでください!非通知で、非通知でお願いします!」
 もちろんそれは、今しがた望の飲もうとしたお汁粉のそれである。
 いつかプリンの材料表記に絶望させられた事を否が応にも思い出し、
 堪らず悲鳴を上げた。
「だったら貴女の飲んでるそれは…!」
 負けじと望も可符香の飲んでいるお茶を引ったくり、原材料を読み上げる。が、
「…玄米、緑茶、発芽玄米、はと麦、ビタミンC…」
「特に聞き覚えのないものは入ってないですね」
「ワザとでしょう、絶対ワザとでしょう!」
「やだなぁ、偶然ですよぉ」
 良いようにおちょくられ、悔しさのあまりお汁粉を突っ返し、
 わぁわぁと咽び泣く糸色教師、2○歳。
「やっぱり貴女、絶対私に恨みがあるんでしょう、そうなんでしょう…!」
 その様子が可笑しいのか、可符香はニンマリと笑みを深めた。
「だからありませんよ。
 ほら、好きな子ほど意地悪したくなるって言うじゃないですか」
「嫌がらせって自覚はあるんですね、やっぱり」
「意地悪、ですよ」
「教師を弄んで楽しいですか…!」
「愛あればこそ、です。嫌われるよりいいじゃないですか」
 教師どころか大人としての面子も立たない。
 グズグズと鼻を啜りつつ、眼鏡を外して目元を拭っていると、


「うん。嫌いなんて、そんな事思わない」
 不意に呟いた可符香の声は、驚くほど低く、静かだった。
 今まで聞いた事もないような声色に驚いて、思わず顔を上げる。

350真昼が雪 9:2007/09/20(木) 22:47:19 ID:n7lRF80y


「そうです。これは恋とか、そういったものなんです」
 彼女の表情を窺おうとするも、眼鏡を掛けていない事に気付きハッとなる。
 その上ついさっきまで泣いていた所為で、余計に視界が不明瞭だ。

「だから私、先生の事がきっと、大好きなんですよ」
 不自然な程に落ち着いた声音。
 いつも明朗に喋る普段の彼女と、あまりにかけ離れている、低い声。
 彼女はいったいどんな顔で、その言葉を紡いでいるのか。
 望は何故だかまた泣き出しそうになって、ぐっと息を詰まらせた。


 慌てて眼鏡を掛けなおし、可符香の顔を見つめるも、
 そこにはさっきまでの様子が嘘のように、いつもの笑顔があるだけだった。
「先生はモテモテですよねー」
 無邪気に笑う可符香にどう反応していいものか迷い、曖昧に笑って誤魔化す
 事しか出来ない。先ほどの事を問い質しては、いけないような気がした。
 僅かに迷った末、ふざけた調子で言う可符香のノリに合わせる事にする。
「あ、貴女までそんな冗談はやめて下さいよ」
 ただでさえ今日は、恋愛絡み…と言えるのかどうかわからないが、
 とにかく女性関係でああいう目にあったのだ。
 その衝撃といったら、思い出すだけで発狂ものだ。
「ディープラブはもううんざりです。というか、アレが愛とは思えません」
「えー?愛ですよ。海より深い愛です」
「深すぎます。むしろ、深々と刺さってます。いろんなものが」
 服の下の包帯を擦りながら、痛みを思い出して身震いする。
 その様子を可笑しそうに笑って、可符香は椅子から立ち上がった。
351真昼が雪 10:2007/09/20(木) 22:49:44 ID:n7lRF80y

「それじゃあ、私はそろそろ御暇しますね」
「ああ、そうですね。最近は日が落ちるのも早いですから。
 …っと、何なら送って行きましょうか」
 今まさに扉に手を掛けて退室しようとしていた可符香は、
 珍しく苦笑しながら振り返る。
「怒ってたんじゃないんですか?」
「これでも先生ですからね、生徒の安否くらいは気にかかるんですよ。
 それに、クラスから失踪者が出た日には、私が迷惑するんですから」
「でも、今の先生じゃ不審者が出ても成す術ないと思いますよ?」
「大丈夫です、声量には自信がありますから」
「悲鳴要員ですか」
 クスクスと可笑しそうに笑って、それでも彼女は首を左右に振った。
「先生は大人しく寝てて下さい」
「ですが…」
「じゃあ、僕が送っていきますよ」
 尚も食い下がる望の台詞を遮るように、扉の外から男子生徒の声が響く。
 一瞬どこからの声かわからず、キョトンとする望。
 可符香が平然と扉を開くと、
 そこにはいつものように本を片手に携えて佇む、久藤の姿があった。
「久藤君…来ていたのですか?」
 目を丸くしながら問いかける。彼はいつもの薄い笑顔で望を一瞥して、
「ついさっき通りかかって。そうしたら、何だか揉めているようだったから」
 そう言うと可符香に向き直り、自分でいいかと問いかける。
 笑顔で頷く可符香。
「良かった、久藤君なら安心です。お願い出来ますか?」
「はい、大丈夫です。僕も声量には自信がありますから」
 冗談っぽく言ってお辞儀をし、踵を返す久藤。
 その後に続いて保健室を出る可符香は、
 最後に小さく「さよーなら」と言い残し、扉を閉めた。

 二人分の軽い足音のが遠ざかるのを聞きながら、
 しばらく望は、ぼんやりと扉の方を見つめていた。
「好き…ねぇ…」
 無意識に呟いて、ゆっくりと布団に身を沈める。

 その夜は、彼女の夢を見た。
352真昼が雪 11:2007/09/20(木) 22:51:45 ID:n7lRF80y

 ◇ ◆ ◇ ◆

「可符香ちゃんは、先生の事が好きなんだね」
 緋色に染まっていた世界は、徐々に黒に侵食されつつあった。
「聞いてたの?」
「うん、ごめん」
 チカリ、と街灯が灯る。
 民家からは夕食の香りが漂い、一日の終わりを感じさせる。
 闇に溶けつつある住宅地を、
 僅かな光で照らそうとする灯が、何だか滑稽に見えた。
「謝る事ないよ。
 うん、私先生の事、好きだよ」
 軽やかな足取りで少しだけ前を行く少女の様子を、
 笑顔の中に複雑な感情を湛えて見つめる久藤。
「この胸の中に痞える感情は、恋に違いないから」
 胸に手を当てて、まさに恋する乙女を体現するようなジェスチャーで語る可符香。
 夢見るように瞼を閉じるその様子は、
 ときめきに胸を焦がしているようにしか見えない。
「いつから好きなの?」
「出会った時から」
 自信満々に断言する、その瞳に迷いはない。
「へぇ…もし良かったら、聞いてみたいな。二人の出会い話」
「童話にでもしてくれるの?」
 クスクスと笑った後、いいよ、と頷いて。
 四月の二人の出会いを身振り手振りを加えつつ、実に大仰に話し始める。
「―――こうして二人は運命的な出会いを果たしました。
 私はそれから、胸に疼くこの不思議な感情に心を焦がすようになったのです。
 そう、人はそれを恋と呼びます」
 神妙に聞き入っていた久藤は、ピクリと瞼を震わせた。
「さっきも言ってたけど…疼きって?」
「だから、恋だよ」
 答える可符香の表情は、背を向けているため窺い知れない。
 久藤は二人の出会いのシーンを、なるたけ詳しく想像してみる。
353真昼が雪 12:2007/09/20(木) 22:53:29 ID:n7lRF80y

 新学期。桜の花弁が降る爽やかな朝。
 その清々しい景色を、確実に壊したであろう、首を吊る男。
 もしかしてそれは、彼女にとって完全な不意打ちだったのではないか。
 彼女は滅多な事では心乱さない―――そういう評価を人から受けている。
 だが正しくは違う。心乱される事が嫌いだから、
 必死に全てを掌握しようと動くのだ。
 何があっても驚かないように、怖くないように、予防線を張ろうとする。
 最近では知ることを楽しんでいる節もあるが、
 彼女の「全てを知りたい」という願望の始まりは、ある種の恐怖からだった。
 もはや殆どのシチュエーションには耐えうるであろう彼女だったが、
 望はあまりにピンポイントに、彼女の不意を突いたのではないか。

 今ではすっかり、彼の首吊りは恒例である。
 けれど初めてそれに遭遇した彼女は、いったい何を思い出したのだろう。
 恐ろしいと思っただろうか。それとも。

「―――怒った、のかな…」
「え?」
 無意識の呟きに、きょとんとした顔で振り返る可符香。
 その笑顔に曇りなど見受けられない。
「何でもないよ」
「変なの」
 カサリカサリと、彼女が枯葉を踏む音がリズムを刻む。

(…杏ちゃん、それは)

『恋だよ』
 望と出会った瞬間、胸に痞えた感情を、彼女はそう表現した。
(それはきっとまだ、恋とは呼べないよ)
 心に浮かんだネガティブな感情。彼女が全力で否定しなければならないもの。


 やだなぁ、この気持ちはきっと恋ですよ。
 ―――決して、苛立ちなんかじゃありません。

354名無しさん@ピンキー:2007/09/20(木) 22:53:38 ID:rkFNiDh7
初めてリアで読んだ!!
GJ!!ワクテカしてます!!
355341:2007/09/20(木) 23:02:01 ID:n7lRF80y
盛り上がりもなくここで一区切りさせていただきます。予想外のスレ消費に吃驚。
改行がよくわからず読み辛い事に…申し訳ない…。
もしご迷惑でなければ後日続きを投下させていただきたくー。
今後の展開は糞ツマラナイですよ!と、予防線を張ってみる。
356名無しさん@ピンキー:2007/09/20(木) 23:02:52 ID:jEe74NwT
>>355
GJです!
早く続き読みたいな
357名無しさん@ピンキー:2007/09/20(木) 23:05:00 ID:otKRNYTh
>>355
最近投下されたものの中で一番、文章に厚みがあって読み応えがあった。
とにかくすごい面白かった。続き期待してます。
358名無しさん@ピンキー:2007/09/20(木) 23:37:09 ID:rK8bZCfD
真昼が雪って・・・真昼が雪って・・・まさかニコの・・・あれじゃないよね?
だったら泣くぞ!泣くぞ!!絶対泣くからな!!!<(T◇T)>わぁああああ!
359名無しさん@ピンキー:2007/09/20(木) 23:43:46 ID:pCkYQCtk
杏ちゃん?
360名無しさん@ピンキー:2007/09/20(木) 23:47:32 ID:8gUZJFDL
>>355
なんという神作品…!いいもん読んだよ、ありがとう
361名無しさん@ピンキー:2007/09/21(金) 00:00:47 ID:nYbEN0gt
どうも、sageの意味がわからなかった愚か者です。もうしわけありませんでした。
一応意味を調べたので、あってるか送ってみます。                   
362恋の物語11:2007/09/21(金) 00:04:15 ID:nYbEN0gt


「とは言ったものの・・・・」
手持ちの所持金は四千円ちょっと、豪華なものを食べられるはずもない。
「絶望した!!寒い自分の財布の中に絶望した!!」
とりあえず叫んでもお金が増えるはずもなく、空腹と虚しさがつのるばかり。
「仕方がない・・・・ここにしますか・・・」
と、ふらりと立ち寄った場所、それは、ちょくちょくお世話になっている居酒屋だった。
何度か死のうと思った時、ここに寄ると何故か心が落ち着くのだった。
まあ、本人に死ぬ気がないのだから、あんまり特別な意味はないのだが。
「まあ、豪勢とは行かないまでも・・・お金の心配はないでしょう・・・」
などといいながら、中に入ると、やはり、いつもどおりすいている。
いらっしゃいという声に適当に返し。座る席を探していると。焼酎のとっくりが並べられている
席が目に入った。
(おや、これは・・・)
望は何度かここに来てわかっていた、こういう客は大体がなにか嫌なことから逃げるために
酒をあおってるのだ。
普段ならこの人も大変なんだなと、適当に流すのだが、今日は何故か妙に親近感が沸く。
(私も同じだからでしょうかね・・・)
どんな人か見てみようと、前に回りこんで、思わず息を呑んでしまった。
「ち、智恵先生!?」



363恋の物語12:2007/09/21(金) 00:05:39 ID:nYbEN0gt

「あらぁ!糸色センセじゃありませんかぁ、奇遇れすねえ!」
普段からは想像もつかないようなろれつの回らない喋り方に思わず面食らいながらもとりあえず、
目の前の席に座ると、とりあえず聞く。
「あのどうしたんですか?智恵先生がこんな所にいるなんて・・・」
「あらしが、こんな所にいちゃらめなんれすかぁ!!」
「いえ、そうじゃ、ありませんけど・・・」
あまりの剣幕に思わずたじろく、酒には慣れてないのか、相当な酔い方だ。
一体何があったのか悩む望を智恵は尻目にケラケラと笑い声を上げ、さらに続ける。
「今日は糸色センセの言葉がよ〜くわかりましたよぉ!本当に世の中絶望的なことばーっかり
 れすねぇ!それなのにあらしったら偉そうに説教なんてしちゃってぇ!ああ、おかしい!」
これはひどい、何があったか知らないが、これはやめさせなければならない、下手にやけに
なって慣れない酒を飲み続けていると下手をすれば命にかかわる。
自分の自殺方法として考えていたのだから、その恐ろしさはよくわかっている。
だが、智恵は再びとっくりを掴み中身を注ごうとする。慌てて望はその手を掴み止める。
「何すんれすかぁ!楽しみを邪魔しないでくらさいよ!!」
そういって手を振り解こうと暴れたその瞬間
「智恵先生!!」
と、思わぬ大きな声が望の口から発せられ智恵の手がビクッと震え力が弱まる。
それを確認すると、望は声を和らげると言葉を続ける。
「酒に逃げるなんて、あなたらしくないですよ・・・それは私のような人間のやることです。
 智恵先生はそれを止めてくれるのが仕事じゃないですか」
そう諭すように言う望の顔をぼんやり眺めていた智恵は突如
「ヒック・・・う、ウッ!ウッ!私だって・・・私だって!!」
としゃくりあげ、そのまま、目から涙を溢れ出させはじめ、そのまま、テーブルに突っ伏す。
「え、えええ!?」
望は驚いたかのように慌てて智恵の背中をさする。
いきなり泣き出されてはそれも当然の反応だ。
どうしたものかと、悩んだ末、一応謝ることにした。
「ごめんなさい、私としたことがデリカシーのないことを、本当にすいません」
が、反応がない、怒っているわけではなさそうだ。
「智恵先生?」
声をかけても無反応、そこで耳を近づけてみると、かすかに寝息が聞こえてくる。
「眠ってしまわれましたか・・・」
とりあえず自棄酒を止められれたことに安堵したその時、もっと重大なことに気付く。
「お勘定・・・どうすればいいんですか?」

364名無しさん@ピンキー:2007/09/21(金) 00:06:13 ID:ZJdtfucO
まさかの投下再開ktkr
365恋の物語13:2007/09/21(金) 00:07:08 ID:nYbEN0gt

これは夢だ。
自分でわかるのは奇妙なことだが、なぜかはっきりそうわかる。自分は薄ぼんやりとしたもやの
中に立っている。
と、突如、声が聞こえてくる。
「もう、智恵とはやってけないよ!」
忘れもしない、初恋の人の声。
「お前はそうやって、勉強ばっかり、ちょっとは俺のこともかんがえろよ!!」
そんなことわかっている。それでもがむしゃらに夢を追うことしか自分にはできなかった。
「はじめはそんなことなかったじゃないか!なんで付き合いはじめて急に!!」
付き合い始めたからこそ、はやく夢をかなえてほめてもらいたかった。ただそれだけ
「いいよ!どうせ、お前はそっちが大事なんだろ!俺がいちゃ邪魔なんだ!!」
そんなことない、私にはあなたが必要なんだ!そう叫びたいが声が出ない。
「じゃあな!せいぜい、いい先生になれよ!!」
走り去る音が響く、引き止めたいが体が動かない、そのまま急に周りが暗く染まり、自分を
覆っていく。
その時
「智恵先生!!智恵先生!!」
暖かい声が頭に響き、
366恋の物語14:2007/09/21(金) 00:10:12 ID:nYbEN0gt

「気がつかれましたか?うなされてましたが」
気付けば心配そうに振り返ってこちらを見ている、望の顔が目に入った。
(振り返ってる?)
そこで初めて智恵は自分の状況に気付く、智恵は望におぶわれていた。
「え?え?ええええ!!」
驚いて思わず、体を揺り動かしてしまう。
「うわっと!動かないでください!こけたらどうするんですか?」
「あ、ああ、すいません・・・」
思わず謝ってしまい、そこで改めて記憶の糸を手繰り寄せ、居酒屋に入りとっくりを二本目を
飲んだ後からの記憶がプッツリと途切れている。
「ひょっとして・・・私、酔っ払ってたんですか?」
「そんなことありません!あれはちょっと飲みすぎてただけです!」
否定の仕方からどれだけ、自分が酔っ払っていたかが、伺い知れる。
そういえば、勘定はどうしたんだろうか。払った記憶はないが、
「あの、勘定は・・・」
「ああ、安心してください!私が払っておきましたから、なに、私お金は困ってないですから!」
望は胸を張って言うがお金に困ってない人間ならあんな場所に来ないだろう。
申し訳なさでいっぱいになりながら、顔を伏せた智恵に慌てたように望は話をそらす。
「ああ、そういえば、智恵先生のアパートってこっちですよね。送っていきますよ」
そこまで言って、心配そうに続ける。
「それとも・・・私じゃ、迷惑ですか・・・」
「いえ・・・ありがたいですけど・・・私、重くないですか?」
「そんな!とんでもありません!これでも力があるんですよ!」
どうみても無理が見え見えだ。だが、降ろされた所で、歩けず迷惑をかけるのが関の山だ。
ならば、今は好意に甘えるとしよう。

367名無しさん@ピンキー:2007/09/21(金) 00:12:18 ID:nYbEN0gt
ええと、今日はここまでにします。申し訳ありません。
後は明日全部投下しますんで、お許しを、それからsage忘れてすいませんでした。   
368名無しさん@ピンキー:2007/09/21(金) 00:17:02 ID:ZJdtfucO
>>367
間違いが発覚したので正解ですよ!
乙!wktkしながら待ってるんだぜ!
369名無しさん@ピンキー:2007/09/21(金) 01:02:39 ID:goYl6MsV
予告していた准×倫

前置き
・某職人さんの設定を借りています(望×可符香及び准×倫は既に確定しています)
・エロは滅多に書かないので苦手です。期待している人はごめんなさい
・呼び方等変な場所がありましたら笑いつつ指摘してください
・原作を七巻までしか読んだことがないので変な場所があるかもしれません。笑いつつ指摘してください

はじまりはじまり
370名無しさん@ピンキー:2007/09/21(金) 01:03:17 ID:goYl6MsV

「先生、来ないね」
「倫ちゃんも居ないよ」

〜誓い〜

一時間目の授業が始まった。いや、始まるはずの時間だ。
今日は糸色兄妹が来ていない。
来ていないならまだしも代わりの先生すら来ない、というより先生が休みだとかそういうことすら伝えられていない。
つまり、先生が学校に来ているかすら皆分からないのである。
先生が居なければ授業も出来ないわけで、今このクラスは何をするわけでもなく皆でぼーっとしていた。

「何で先生は来ないのよ!!」

委員長が叫んでいる(本当は委員長ではないですけど)
一時間目がはじまる予定の時刻からたっぷり十分が過ぎてからの一言だった。

「………そういえば、去年はこの時期に見合いがあったよね」

奈美の一言に教室、特に女子たちの周りの空気が凍った。
371名無しさん@ピンキー:2007/09/21(金) 01:04:14 ID:goYl6MsV

お見合い……糸色家のお見合いについては杏ちゃんから聞いていた。
変な方法だし、領地の人まで強制参加というなんとも迷惑な行事なんだろう。
そういえば皆はまだ先生と杏ちゃんの関係を知らないんだっけ。
杏ちゃんは……こんなときでも笑っているなぁ。でも周りの空気がいつもより重い。
女子たち………絶望少女たちがあわただしく教室を出て行く、もし今日見合いが有るとしたら今から行けば間に合うだろう。
自分は当然行くつもりは無い、先生のお見合いに興味は無いからだ。
………領地の人まで強制参加?
それってもしかして………
気がついたら教室を飛び出していた。

「倫ちゃん……」

なぜ気がつかなかったのだろうか、糸色倫もその対象の中に含まれていたことに。

372名無しさん@ピンキー:2007/09/21(金) 01:05:14 ID:goYl6MsV

なんとか皆に追いついて先生の故郷まで来ることが出来た。
電車の中は暗い空気で満ちていたのだがこれをチャンスだと思ったらしく途中から木津さんの闘志で溢れていた。
ほんらいライバルであるはずの常月さんが居ないからよけいやる気が出ているらしい、
………先生が居ないところに常月さんが居るわけが無いのだが。
というより既に杏ちゃんに負けているのを知らないのが本人にとって幸福なことだろう。

駅から出るとリムジンが用意されていた、皆は経験済みなのでためらいも無く乗り込んでいく。
最後に乗り込んだ僕は柔らかい座席に腰を下ろした。
車が動き出し糸色家へと向かう、振動が少ないあたりが流石高級車だ。
車内は静かだったがどこかピリピリとした空気なので心が落ち着かない。
これからの修羅場を思い浮かべると胃が痛くなってきた。
373名無しさん@ピンキー:2007/09/21(金) 01:06:16 ID:goYl6MsV

糸色家につくとチャラチャラした格好の先生が庭で本を読んでいた。
大きな木下で本を読んでいた先生はこちらの姿を確認するなり青ざめた顔でどこかへ逃げようとした、
しかし木津さんと小節さんにまわりこまれてしまい逃げ場を失った。

「な、なんで貴方たちが居るんですか!?」

「先生今日こそきっちりとしてもらいますからね!!」

木津さんが叫ぶと周りの女子も口々に叫びだした。
ふと、杏ちゃんを見るとまだ笑っていた……口元だけが。
やはり……修羅場となるのだろうか。

374名無しさん@ピンキー:2007/09/21(金) 01:07:25 ID:goYl6MsV

女子は大きな部屋に男子は………と言っても僕だけだったが小さな部屋に通された。
小さいと言っても女子の部屋と比べたらの話であって、思わず叫びたくなるほどの広さはある。
畳にねっころがり先ほどの執事の言葉を思い出した。
『倫お嬢様は誰とも会いたくないとおっしゃっています』
会えないわけではなく会いたくない、心の距離がとても遠く感じてしまった。



ガラッとふすまが音を立てて開いた、顔を横に向けると横向きの先生の顔……自分が横向きなのだが。

「いやぁやっと開放されましたよ」

と言いつつ先生は隣にねっころがった。チャラチャラした格好なので実にこの部屋と合っていない。
375名無しさん@ピンキー:2007/09/21(金) 01:08:05 ID:goYl6MsV
「少し君と話がしたくてここへきたんですよ」

僕と話す事………二つしか思いつかない。

「杏ちゃんと倫ちゃん……どっちですか?」

「倫の方です」

やはり、僕がここへ来た理由も分かっているのだろう。
僕は倫を他の男に渡すつもりは無い。

「倫はこの時期になるといつも部屋に篭るんですよ、そしてボディーガードを部屋の周りに配置して誰も近づけないようにするのですよ」

それを聞いたときにからだを二つの感情が駆け巡った。
一つは倫を他の男に絶対に取られないという安堵感、もう一つは………悔しさだった。
他の男をに取られない代わりに倫を僕のものに出来ないと言う悔しさ。
376名無しさん@ピンキー:2007/09/21(金) 01:08:56 ID:goYl6MsV

「……………」

何も言葉が出ない。
今口を開くと泣き出してしまう気がした、自分と倫との距離がとても遠くて、その距離を思うと泣き出してしまいそうだった。
実際の距離ではなく心の距離がとても遠くて………

「久藤くんはこんな話を聞いたことがありますか?」

最後の言葉から五分ほど立ってから先生が口を開いた。

「とある人が自分の好きな人とその人の兄さんが町を歩いているのを見かけたんです。
でもその人は兄さんの存在を知らなくて、あまりに仲がよいものだから恋人なんだと思ってしまうのですよ。」

先生が起き上がって蚊取り線香に手を伸ばした、気づくと耳元を蚊が飛んでいる。
377名無しさん@ピンキー:2007/09/21(金) 01:09:33 ID:goYl6MsV

「で、そのあとその人は自分が好きだったスポーツ……野球を止めるんですよ、
元々はその好きな人がマネージャーをやっていたからはじめたんですけどね。
その人に恋人が居るならやってても意味が無い、と思ったわけですよ。
で帰り道にってその人は好きな人に合い流れで好きな人の家に行くんですよ、そして兄さんだったってことを知る。」

蚊取り線香にライターで火をつけると煙が出てきた。
それを台にセットすると先生はこちらを向いて胡坐をかいた。

「そのことをその兄さんに話すとこう言われるんですよ『お前は野球をなめている』ってね、
そして更にこう言われるんですよ『男なら欲しいものは障害があっても絶対に取る』とね」

先生はそこまで言うと立ち上がって廊下に向かった。

「あとは貴方しだいですよ」

そう言うと先生は襖を閉めてどこかへ行ってしまった。
378名無しさん@ピンキー:2007/09/21(金) 01:11:05 ID:goYl6MsV

「そんな事言ったって、いったいどうすればいいんだよ」

そう呟いて体を起こすと視界に紙切れが写った。
糸色家の地図………しかもなぜか天井裏の地図だった。

「先生………ありがとう」

時間を確認すると。あと3時間ほどで見合いは始まるようだ、
それまで、来るときにあわてて詰め込んだバッグの中を整理することにした。
と、言ってもスクールバッグなのでそんなに入っているわけではない。
中のものを取り出していくと、底に小さな箱が有る事にに気がついた。

379名無しさん@ピンキー:2007/09/21(金) 01:12:06 ID:goYl6MsV

天井裏に上がると真っ暗だったが、小型のペンライトを持っていたので問題は無かった。
地図で自分の居る場所を確認し、ゆっくりと進んでいく。
時間は有る、迷わなければ大丈夫だ。
………十分ほど進み、とある部屋の上で動きを止めた。
地図に赤丸がして有るのでここに間違いは無い。
一枚だけ動く板が合ったのでそれをどかして下に降りた。
どさっと音がしたがボディーガードは部屋から離れた位置にいるらしくてばれてはいないようだ。

大きな屏風が合り部屋を二つに区切っていた。
自分は入り口側に居る、とすれば当然倫は反対側に居る。
380名無しさん@ピンキー:2007/09/21(金) 01:12:51 ID:goYl6MsV

「倫ちゃん」

「なぜ、ここに居る」

向こう側から聞こえる声は重かった。
怒っては無いようだが相手を威圧する迫力があった。

「倫ちゃんに会いに来ただけだよ」

「………今が見合いの時間だと言うことを知っての上でか?」

「うん、倫ちゃんを僕のものにしたかったからね」

部屋を沈黙が支配した。
小さなため息を吐いて屏風の反対側へと向かう、そこにはきつく目を閉じて正座をしている倫ちゃんが居た。
381名無しさん@ピンキー:2007/09/21(金) 01:13:26 ID:goYl6MsV

「………僕じゃ嫌なの?」

たっぷり一呼吸置いてから倫は口を開いた。

「……怖いのだ………捨てられるのが」

捨てる?僕が……倫ちゃんを?

「お兄様がよく言っておる『男なんて獣ばかりです、遊んだら捨てるような酷いやつもいるんですよ』と、
……だからこれ以上深入りするのが怖いのだ」

捨てられるのが怖い……たしかにそういう奴は居る、でも僕は………

倫に駆け寄ると口づけをしてそのまま舌を入れた。

「!!!」

倫ちゃんは酷くびっくりしたようだったがめだけは閉じたままだ。

「愛してるよ……倫」
382名無しさん@ピンキー:2007/09/21(金) 01:14:28 ID:goYl6MsV

耳元で呟くと倫の体がビクッとはねた。
着物の隙間から手を入れて双丘の先を触ると既に固くなっていた。

「かわいいよ、倫」

そう言い口づけをすると倫の体の力が抜けていった。
力の抜けた倫から服を脱がすことは簡単だった。
帯をはずし邪魔な布も全部剥ぎ取ると白い体が姿を表した。

「最初の頃より大分大きくなったね」

胸に舌を這わせながら言った。
目をつぶって必死に耐えている少女をみると背筋がぞくぞくした。
左手で胸を弄りつつ右手を股間へと持っていく。
少女の秘部に指を這わせるとしっとりと濡れていた。
そして二本の指を入れて動かしだすと、声を上げないようにしていた倫も声を上げてしまう。
383名無しさん@ピンキー:2007/09/21(金) 01:15:15 ID:goYl6MsV

「きゃぁっ!!」

それでもしっかりと目は閉じられている。
しかし、指を動かしていると声も段々大きくなってきた。
最後に強く中を引っかくと今まで出一番大きな声を上げて倫が大きく跳ねた。

「あああっっっっっ!!」

その時、しっかりと閉じられていた目を倫は開けてしまった、僕は倫の顔をずっと見ていたので目が合った。

「これで、僕のものだね」

そう言ってズボンのジッパーを下げて自分のものを出した、そして倫の入り口にあてがうと一気に挿入した。

「んぁぁああぁぁぁっっっ!!!!」

倫は目を見開いて叫んだ、口づけをしつつ腰を動かすと、ストロークのたびに倫の体は大きく跳ねた。
最近してなかったからか自分も倫もすごい感じている。
倫の締め付けはいつもよりすごかった。
384名無しさん@ピンキー:2007/09/21(金) 01:15:56 ID:goYl6MsV

「倫……もう出そうだけど……どうしたい?」

倫は僕の顔を見ると笑いながら言った。

「わ…たしは……んっ……お前の…ものに……あっ……なったのだぞ……」

それを聞いた僕は思いっきり突き上げた。

「んぁぁぁっっっっっ!!」

倫が大きくのけぞった、それと同時にすごい締め付けが自分の分身を襲った。
その締め付けに耐えられず倫の中に全てを解き放った。
385名無しさん@ピンキー:2007/09/21(金) 01:16:54 ID:goYl6MsV


朝、目が覚めると体が動かなかった。
隣を見ると愛しき少女の顔があり、自分が抱きしめられているということに気がついた。
額にキスをしてそっと抱きしめた、このぬくもりを幸せというのだろう。
抱きしめているともぞもぞと倫が動き出した。

「おはよう」

そう言うと眠たそうな声で返事が返ってきた。
時計を見ると十二時前だった、そういえばおなかがすいている。

「とりあえずご飯食べよう」

そう言って起き上がると少女も続いて起き上がった。
服を着るとポケットに何か入っている、取り出してみるとバッグの底にあった箱だった。
386名無しさん@ピンキー:2007/09/21(金) 01:18:23 ID:goYl6MsV

「倫ちゃんこれあげる」

そういって箱を差し出すと倫はうれしそうに受け取った。
倫が開けると小さなサファイアのついた指輪が入っていた。

「学生だからそんなものしか買えなかったけど、とりあえず受け取ってね。
稼げるようになったらちゃんとしたの買ってあげるから。」

なんとなく恥ずかしくなって部屋から出ようと廊下へ向かおうとした時に後ろから抱きつかれた。

「ありがとう」

このぬくもりを幸せというのだろう。


終わり
387名無しさん@ピンキー:2007/09/21(金) 01:19:01 ID:goYl6MsV

准君は最中だけ呼び捨てになればいいと思います
さて次は独自十年後設定話です。
エロなしですよ、つーかオマケかな
388名無しさん@ピンキー:2007/09/21(金) 01:19:13 ID:u1PyB6ur
人のフンドシ借りた作品だから60点。

指摘する点

倫はお見合いの回の2年後に学校に編入して来たので
「去年の時期」と言う部分は無理がある。
389名無しさん@ピンキー:2007/09/21(金) 01:19:41 ID:goYl6MsV
十年後

ピンポーン
「「倫おばさん!!」」

チャイムと同時に元気な声が聞こえて台所に居た倫は玄関へと向かった。

「おはよう好(よし)、叫(さけぶ)。可符香は来てないのか?」

「おかあさん?僕たち走ってきたから、後から来るよ」

兄である叫が答える。それは自分の兄の幼い頃とそっくりだった。

「あっ俊!!」

妹の好が元気な声で言った。それは元クラスメイトとそっくりだった。
後ろを見ると自分の息子が本を持って立っていた。
390名無しさん@ピンキー:2007/09/21(金) 01:20:17 ID:goYl6MsV

「好!!叫!!久しぶりだな」

息子が近づいてきた。

「遊びに行こうよ!!」

「お母さん遊びに行って来て良い?」

「ええ、いいわよ」

そう言って微笑むと3人は元気に笑いながら駆けていった。

「「「行って来ます!!!」」」

見えなくなるまで見届け、台所へ戻ろうとすると新たな人影が見えた。
391名無しさん@ピンキー:2007/09/21(金) 01:20:58 ID:goYl6MsV

見えなくなるまで見届け、台所へ戻ろうとすると新たな人影が見えた。

「おはよう倫ちゃん!!」

「おはよう義姉さん」

玄関に立っていた可符香はいつもと変わらず元気だった。

終わり




叫→絶叫

好→絶好

俊→准の濁点を取った

名前考えるのめんどかったよ

以上です。
392前スレ851:2007/09/21(金) 02:07:00 ID:lZuVScEz
予告していた、ハル×チリです。ただ、ソフトエロ? な内容です。
文句は受け付けません(嘘)。
こういうのってこういう内容でいいのでしょうか? 仕事があるのにこんなこと
やっていていいのでしょうか? 我ながら絶望的です。

知らんよ、もう。

題して、「パジャマパーティ」です。
393パジャマパーティー(1/8):2007/09/21(金) 02:07:37 ID:lZuVScEz
 晴美の家についたのは、ちょうど8時くらいだった。この辺りは昔からの住宅地で、
晴美の家もかなり古い木造住宅だ。駅からも歩いて数分と便利なところにある。
 今日は文化祭の展示物を作る、というのは口実で、半分は晴海とおしゃべりをするた
めにやってきたのだ。
 玄関でインターフォンのボタンを押すと、がたがた2階から降りてくる音が聞こえ、
インターフォンで応答することもなしに晴美が扉を開けた。ちょうど彼女の部屋から
ここが見えるのだろう。
 「晴美、ケーキ買って来たよ。」
 「ふーん そうなんだ」
 「もう、お礼ぐらい言いなさいよ。」
 晴美はいつもこんなふうだ。私も彼女も末っ子で妹だが、彼女の方は三人の兄の後に
続いて生まれた女の子のせいか、おっとりした性格だ。私がお姉さんタイプと言われる
のとは大違いである。

394パジャマパーティー(2/8):2007/09/21(金) 02:08:27 ID:lZuVScEz
 「あがって、今日誰もいないから」
 両親は旅行で、まだ家を出ていない兄の一人も今日はどこかへ出かけているらしい。
別に大騒ぎをするわけじゃないけど、気楽でいい。
 晴美が入れた紅茶を飲みながら、買ってきたケーキを食べた。私はチーズケーキで晴
美に買ってきてあげたのはタルトだ。中学生の頃からの友達だから、彼女が何が好きな
のかは良く知っている。
 ただ、今日とは逆に彼女が買ってくるときには私の好みを忘れて自分の好きなタルト
を二つ買ってきたりする。私がそういうきちんと切れない、形が崩れてしまうものが嫌
いだというのをちっとも覚えてくれないのだ。
 ま、悪気はないんだろうけど。
395パジャマパーティー(3/8):2007/09/21(金) 02:09:13 ID:lZuVScEz
 文化祭の展示物は私が文章を考え、晴美がイラストを書くというものだ。私達の班が
担当したものは世界史に関するものだ。私の好みで「文化大革命と四人組」というもの
になった。本当は「ポルポト大虐殺の真相」にしたかったのだが、それは文化的過ぎる
ということで却下されてしまった。
「もうちょっと面白いものやればいいのに。毎年糸色先生のクラスの出し物ってつまら
ないことで有名らしいよ」晴美が言う。
「なんか先生のこだわりがあるみたいだから、しょうがないよ。」

 0時を過ぎるころには、予定していた作業もあらかた終わり、晴海がイラスト描いて
いる横で、私は彼女の本棚にぎっしり詰まっている同人誌を手にとってぱらぱらめくっ
てみた。
 「よくこんなくだらないもの読むわねえ」我ながらひどいことを言う。
 「そんなこと言わなくてもいいじゃない!」
 晴美が漫画好きだったのは昔からだが、最近の彼女の創作物は、私にはさっぱり理解
できない。私も知らないことはない漫画の登場人物が、もともとのストーリーや性格を
無視してあれこれ組み合わされて、みたいな内容だ。
 「無理やりよね、これ」もともとはギャグ漫画なのに、その登場人物を使ってエロパ
ロディにしているものをみてそういった。
 「そういうの流行っているらしいよ」流行っている、というのがどこでの話なのか私
にはさっぱりわからない。
396パジャマパーティー(4/8):2007/09/21(金) 02:10:02 ID:lZuVScEz
 さらに2時間ほどが過ぎ、さすがにおしゃべりにも疲れてきて、今日は寝ることにした。晴美が押入
れから布団を出して敷き、私は部屋の隅に用意してあった来客用の布団を自分で敷いた。
 私は寝巻きとして使うためのトレーナーにパンツに着替えていた。彼女はジャージの
上下という格好だ。
 「いつもその格好で寝てるの?」私は聞いてみた。
 「そうだね、夜はほら、遅くまで原稿書くこと多いから、この格好のまま寝ちゃうこ
とが多いよ」
 「パジャマくらい着なさいよ」
 「んー、なんか面倒なのよね」
 学校でもそうだが、どうもファッションとか格好にはあまりこだわりがなさそうだ。
髪の毛だってぼさぼさ気味の時があるくらいなのだ。ただ、こんな格好でもスタイルがいいのは良くわかる。
 もうちょっと気を使えばずっと綺麗になるのに、私はいつもそう思っていた。
 運動神経はいいし、顔もスタイルも女の子としてのポテンシャルはとても高いと思う
のだ。特に私は体つきについてはコンプレックスを抱いてさえいた。自分で認めるのは
悔しいけれど、この歳になると、どうしようもなく差をつけられていることが良くわかる。
397パジャマパーティー(5/8):2007/09/21(金) 02:11:04 ID:lZuVScEz
 洗面を済ませ、布団に入る。もちろん急に寝られるわけもなく、おしゃべりが続いた。
ようやく話題も途切れかけたころ、晴美が唐突にいった。
 「千里ってさあ、本当に先生のことが好きなの?」
 「えっ」
 急にそんなことを言われても答えようがない。
 「先生もさ、あれでいろいろ行動しているっていうか、隅に置けない性格だよね」
 まあそれについては私もわかっている。教室で先生を狙っているのが一人二人じゃない
ことはみんなが知っていることだ。私が出遅れているというか、先生にとってはどちらかと
いえばやっかいな存在であることにも気づいていないわけじゃない。
398パジャマパーティー(6/8):2007/09/21(金) 02:11:40 ID:lZuVScEz
 「そういう晴美はどうなのよ? 誰か好きな人いるの?」正直なところ、親友の割に
はこういう話題について触れることはほとんどなかった。
 「私? 私は・・・そういうのないね。だって・・・」そこで言葉が切れた。
 「まあ、少なくとも先生は好みじゃないみたいね」
 「うん、千里には悪いけど、そうね」
 
 並んで横になりながら、しばらく沈黙が続いた。
 
 ふと横を見ると、晴美は肘を付き、頭を支えた状態でこっちをみていた。薄暗い中でも私の顔をじっと見つめているのが良くわかる。
 「千里ってさあ・・・こんなことされたら、嫌かな・・・?」
 晴美の顔が近づくのを感じ、何をしようとしているのかわかった時には、もうどうし
ようもなかった。
 彼女の唇が私の唇に押し当てられ、私はあまりの驚きに声を出すことすらできずにい
た。全身がこわばるほど緊張しながら、抵抗することできず、その状態を受けて入れて
しまっていた。
 しばらくその状態は続き、私もそれを望んでいることがわかった。
 「千里が嫌じゃなかったら、私欲しい」
 私は何もいわず、それが拒絶のサインでないことはすぐに伝わったようだった。晴美
はもう一度唇を重ねてきた。さっきよりもずっと激しく、長く。私もさっきとは違って
ぎこちなく唇や舌を動かしていた。
399パジャマパーティー(7/8):2007/09/21(金) 02:12:11 ID:lZuVScEz
 「こんなことしたら・・・駄目だよ晴美」
 「私、言えなかったけど、千里のことね、ずっと・・・」
 いつもののんびりした晴美とは違っていた。私はすっかり晴美にリードされ、される
がままになっていた。
 私は形ばかり少し拒絶しようとした。でも結局は裸にされ、彼女も服を脱いで抱き合った。素肌が触れる感触は、私が想像していたものよりずっとずっと気持ちが良かった。
 「晴美って綺麗な体してる」私はそういって、晴美の豊かな胸に手を触れてみる。こ
れに比べると私の体はとても貧弱だ。そう考えると恥ずかしくなった。
 「あたしって、この歳にしては・・・」
 「そんなことないよ、千里だってスタイルいいよ」
 晴美の手が私の体をまさぐり、私はその気持ちよさに目を閉じてしまう。全身が熱を持
ったみたいに感じられる。
 さらに晴美の手や唇で愛撫され、じっくりと上り詰めるような快感に身を任せた。
 晴美に促され、私も晴美に同じことをしてあげる。

 * * *
 

400パジャマパーティー(8/8):2007/09/21(金) 02:12:52 ID:lZuVScEz
 「綺麗な髪だよね」ことが終わり、晴美が私のすぐ横にくっつくように横になり、指
で私の髪の毛をくるくる巻いて遊んでいる。少しけだるく、しかし満足感があった。
 「そんなに触っちゃだめだよ」私の髪は不安定なのだ。「明日の朝ひどいことになっちゃうから」
 「それは面白そうだ」晴美が笑い、私もつられて笑った。
 「また・・・いいかな?」晴美が聞いた。
 「だめだよ、こんなこと」私は答えたが、その声に説得力がないことは自分でも良くわかっていた。

おしまい
401名無しさん@ピンキー:2007/09/21(金) 03:48:01 ID:0Db793sY
>393ー400
GJ!! 何気なく、それでいてエロいよ!
藤吉さん百合属性ktkr
402名無しさん@ピンキー:2007/09/21(金) 07:03:15 ID:bLvDhS2p
智恵先生は原作でも糸色先生の本命なだけに楽しみ
403名無しさん@ピンキー:2007/09/21(金) 07:53:07 ID:XJaNMyOY
智恵先生は恋愛というよりもアイドルとして見られてる気がする
404名無しさん@ピンキー:2007/09/21(金) 08:04:23 ID:zSQ/5PEY
そろそろ「愛しの先生が振り向かない」と言うのがでてきてもおかしくない
405名無しさん@ピンキー:2007/09/21(金) 08:15:28 ID:7GycaItc
何だこれええええええええええええええ!!!
出掛けにちょっと読んで行こうって量じゃNEEEEEEE!!!
なんだよそう言うときに限って今日は飲み会で遅くなるよ
お母さん僕はエロパロのために飲み会を断るべきでしょうか

>>404
まといSSなんかはけっこうそんな感じだけどな
406名無しさん@ピンキー:2007/09/21(金) 13:39:37 ID:n8xQJmh7
神ラッシュキタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!!!

みんなGJ!!
407名無しさん@ピンキー:2007/09/21(金) 13:46:33 ID:crNY9Ylb
これだけのラッシュで、まだ前半くらいだよね?
嬉しい事にww
408名無しさん@ピンキー:2007/09/21(金) 14:12:57 ID:HQeFNLoB
思わせぶりな焦らしプレイは好きじゃない
173氏のようにそれが一つの作品の形として昇華されているならともかく
409名無しさん@ピンキー:2007/09/21(金) 14:48:29 ID:9KGmxuNU
ハルチリエロいよハルチリ
410名無しさん@ピンキー:2007/09/21(金) 15:44:40 ID:95iLAHtT
こりゃ今夜も祭り期待しちゃっていいのかな
411名無しさん@ピンキー:2007/09/21(金) 16:41:32 ID:uXkvlu/E
過疎ってる他ジャンル出身の人間としては
こちらの盛況振りが嬉しくもあり羨ましくもあり…
412名無しさん@ピンキー:2007/09/21(金) 16:55:50 ID:nYbEN0gt
どうも、すいませんでした。昨日投下しきれなかった分投下します。
へんに投下遅らせてすいませんでした。
413恋の物語15:2007/09/21(金) 16:57:18 ID:nYbEN0gt

しばし、お互い無言のまま、時間がすぎ、望の下駄がアスファルトを打つ音だけが響く。
言わなければならないことを言うタイミングをつかめず、智恵は黙ったままだったが、
いいかげんに言わなければならないと口を開く
「「あの」」
驚いたことに望も同時に口を開く、はもった気まずさに、再び沈黙が場を支配するが、
どうせ、黙っていたらこのまま時間ばかりが過ぎてしまう。
そう考えた智恵は先に言葉を続ける。
「昼間はすいませんでした・・・あのときはちょっと違うことを考えていたので、
 いきなり先生がそばに来たのにびっくりしてしまって」
「え!?そ、そうだったんですか!?」
驚いたように望は素っ頓狂な声を上げ、そのあと安堵したようにため息をついた。
「いや、そうだったんですか、てっきり、私が何か智恵先生の怒りに触れるようなこと
 をしでかしたのかと心配してたんですよ」
いかにも、望らしい考えの飛躍に思わず智恵は苦笑してしまう。
「そんなわけないじゃないですか、そこまで私は急に態度を変えたりしませんよ」
「そうですよね、ハハハハ・・・」
言いたいことを言ってしまうと、また沈黙が戻ってくる。
何か話題を振らないと気まずい。
だが、どんな話をふればいいかわからない。
学校のこと、生徒のこと、どれもありきたりすぎる気がする。
と、不意に口から勝手に言葉が出てくる。
「糸色先生・・・あなたは恋をしたことがありますか?」
「え?」
(な、何聞いてるのかしら、私は?)
そう思っても、口に出してしまったからには、もう遅い、なぜそんなことを聞くのかなんて言わ
れたらどうしよう。が、望は考え込むような顔をしたあと、少し照れくさそうに言った。
「ええ・・・・まあ、それなりに」
「へえ・・・・」
普通に答えてくれたのに安心した反面、なぜかモヤッとした感情が胸に残った。そんな
智恵を知ってか知らずか望は続ける。
414恋の物語16:2007/09/21(金) 16:58:04 ID:nYbEN0gt

「今私が教えてる生徒ぐらいの時でしたか、まあ、なんていうか、よくもてましてね、
 こっちも若気の至りってやつか、色々ありましたよ・・・長くは続かなかったですけど」
「そうなんですか?」
「ええ、なんていうか、昔っから性格にも色々問題がありましたから」
懐かしそうに語る望に智恵は何故か自分を重ねていた。
(私とおんなじか・・・)
そう考え、そして、そう考えたときつい聞いてしまった。
「もし、付き合っていた女の人が自分に構ってくれないで、自分の将来のためだけに勉強
 ばかりに集中してたら、どう思いましたか?」
(ああ、やっぱり、まだ酔っ払ってるわ、なんでこんなこと・・・)
「それはちょっと、つらいですね・・・」
「え・・・そ、そうですよね!」
自分で何気なく振った話題のはずが、答えを聞いた途端急に胸が重くなる。
こんなことなら聞くんじゃなかった。と後悔の念に囚われる。
「でも・・・」
不意に望は振り返り、にっこりと微笑む。
「きっとその人は、尊敬できると思います」
「な、なぜ?」
「だって、恋人なんて大切な人が出来てもそれを差し置いて夢を追い続けるなんて、
 それって素晴らしいことなんじゃないですかね」
思わず、思わず、その時の顔に見惚れてしまった。
弱弱しい、それでも包み込まれるような暖かさを持つその顔に、それを
「あ・・・アパートが見えてきましたよ」
という声で正気にかえらされた。
いつの間にか、自分のアパートが見えていた。
「ここから、歩けますか?」
「え、ああ、はい、もう大丈夫」
それを聞き、望はゆっくりと智恵を背中から降ろす。
少しふらついたが、それでももうしっかり立てる。
「それじゃ、私はここで・・・」
望は智恵に背を向けると、ゆっくりと去ってゆく、その背を智恵は引き止めたいと願った。
何故か、まだこの人と離れたくないと、心がそう言っている。
が、引き止める理由など何も無い。
仕方なく、後ろ髪をひかれる思いで智恵も望に背を向けようとしたその時、
不意に望がよろめき倒れる。
「ど、どうしました?」
慌てて智恵が駆け寄ると、望はよろよろと立ち上がり言った。
「なんでもありません。ちょっと、めまいがしただけです」
そう言った途端、望の腹が音を立てて鳴った。
「ひょっとして、お腹すいてるんですか?」
「ええ・・・まあ・・・」
恥ずかしそうに望はボソリと呟いた。
415恋の物語17:2007/09/21(金) 16:59:12 ID:nYbEN0gt

(ええと・・・・なんでこんなことになったんでしょう)
望は智恵の部屋の一室に正座しながら、今の状況を整理する。
あのあと、ここまで運んでくれたお礼に何かごちそうすると言われた。
ただ、それだけのことだ。ちょうど、財布の中身は尽きていたし、ありがたい申し出ではある。
だが、問題なのは、
(ひょっとして・・・この部屋、私と智恵先生の・・・・二人っきり!?)
驚愕の事実が頭をよぎり、さらに考えが巡る。
(てことは、あんなことや、こんなことも!?)
ひそかに想いを寄せていた智恵の部屋に入ってしまったことで、ついそんな妄想が浮かんで
しまった。そのとき、
『いけません!あなたは、やさしい智恵先生の申し出をそんな形で裏切るというのですか?』
と、望の脳内に小さな望に天使の羽がはえたような男が話し掛けてくる。
(そ、そうだ!?私はなんてことを!)
そう思い直しかけた瞬間
『いいじゃねえか、犯っちまえよ!今ならうやむやで流れるかも知れねぇぜ!!ケケケ』
と、なんかの連載漫画を書いてる作者に触覚が生えたような男が逆に語りかけてくる。
(た、確かに今なら!)
『馬鹿なことを!惑わされてはいけません!!』
『うるせえんだよ!!』
と、二人の男は取っ組み合いをはじめ、ジャ○プなら一週は引っ張れるであろう死闘のすえ、
『絶望ヘブン!!』
なんて、安い三流漫画家でも書かないであろう必殺技で天使の勝利に終わった。
(あ、危ないところでした・・・危うく理性を失うところでした・・・」
などと考え、また自分の意志が守られたことを実感した。


(私は何をやってるのかしら・・・)
ありあわせの物を炒めながら、智恵はため息をついた。
らしくない、それはわかっている。
が、望が自分と同じ部屋にいる。そう考えると、妙に心が弾む。
(やっぱり、私は・・・)
自分の中でひとつの結論が出かけている。
それを考えると動機が激しくなる。が
突如、ついさっきの電話の内容を思い出してしまい、一気に気が重くなる。
(そうだ・・・・私は)
悲しさに思わず涙が出た。
しかし、今ごろ泣いても遅い、望に見られたら余計な気を使わせてしまう。
急いで涙を拭うと、炒め物を皿によそうと、望の待つ部屋へと向かった。
416恋の物語18:2007/09/21(金) 17:00:19 ID:nYbEN0gt


「ごちそうさまでした。いやあ、智恵先生以外と料理できたんですね!」
「それはどうも・・・」
使っている材料はありあわせだったが、褒められれば悪い気はしない。
なにより、望に言われると、何倍も嬉しく感じる。
「では、そろそろ、おいとまします」
そういい、立ち上がろうとする望を智恵は反射的に止めてしまっていた。
「待って!」
「え?」
不思議そうな顔でこちらを見る望の視線に、しまったと思いつつも何とか理由を作る。
「ほ、ほら、食後すぐに動くと体に悪いっていうじゃないですか!だからちょっと休んで
 いったほうが・・・」
智恵の言葉は望の視線に圧され、尻すぼみになって消えていった。
そんな智恵を見ながら、望は短く、しかしはっきりと言う。
「どうか、したんですか?」
「え?」
「今日の智恵先生は変です。なんていうか、いつもの大人っぽさが無い、なにか、
 何か、あせっている気がするんです」
的確に言われ、言葉を失う智恵を正面から見据え、望はゆっくりと言った。
「話してみてくれませんか?力にはなれないかもしれませんが、話すことで楽になれる
 かもしれません」
正直、話したいかどうかはわからなかった。だが、望の顔を見てると言葉が勝手に出てくる。
「実は、私の両親は、それなりに古い家柄なんです。糸色先生に比べれば全然無名なんです 
 けどね」
「それは、初に聞きます・・・・」
「それで今日両親から電話があったんです」
智恵はそこで顔を曇らせた。
「両親は家を続けさせることを第一に考える人たちです。それが、一人娘の私がいつまで
 結婚もしないものだから、今日電話で見合いの話を持ち出されたんです」
「そうだったんですか・・・・でもそれは、それで、ひょっとしたら、会ってみたらいい人
 かもしれませんし」
「ええ、きっと、父や母が見定めたんだからいい人なんでしょう・・・けど、もし結婚したら
 そちらの家にいって・・・・教師をやめろというんです」
突然のことに望は言葉を失う。
「父も母も私のことを考えてくれてました。私の教師になる夢だって、あの二人が支えてくれ
 てたんです。だから・・・だから・・・二人をガッカリさせたくなくてどうしていいか・・・」
最後のほうは涙で言葉が詰まって言い切れない。みっともないとわかっていても涙は止まって
くれない。そんな智恵をみながら望むはポツリと呟く。
「智恵先生、今の仕事はお好きですか?」
「え?」
「好きなんですか?」
「もちろんです・・・」
確かに、本職の教師ではない、時間も有り余る。
だが、今が恐らく一番楽しい、生徒たちの悩みを聞くこと、一緒に悩むこと、
それはとてもすばらしいことだ。
それに・・・いい人とも出会える。
「だったら・・・・それをご両親に伝えてください。もし、本当に智恵先生のことを考えて
 くれる人たちなら、家なんかより、あなたの幸せをかんがえてくれるはずです」
「糸色先生・・・・」
「もし、信じてもらえなかったら、私たちに言ってください。クラスみんなでも言いに
 行きますよ。智恵先生は最高の先生だって!」
そういうと、ゆっくりと言葉を繰り出す。
「忘れないでください。生徒たちも、そして私も、智恵先生あなたが大好きですから」
「あ・・・ありがとうござま・・・」
最後のほうは言葉にならず、ただ、涙を目に溜めたまま、望の胸に飛び込んでいた。

417恋の物語19:2007/09/21(金) 17:02:05 ID:nYbEN0gt

しばらく、そうした姿勢でいると、そのうち望はあることに気付く。
(む、む、むね・・・むねが!)
智恵の豊満な胸が望の胸板にあたり、その柔らかさと暖かさが伝わってくる。
すると当然、望の男としての部分が反応してしまう。
(な、なんたることですか!絶望した!正直すぎる自分の体に絶望した!!) 
心のなかでそう叫ぶがどうしようもない。さっきまでは空腹のため何もなら
なかったが満たされた体はとどまることを知らない。
「あら?」
智恵が驚いたかのような顔で、体を離し、望の下半身に目をやる。
「ち、違います!こ、これは・・・食欲が満たされたショックです!」
無理がありすぎる言い訳をしながら、このすぐ後にアパートを追い出される自分を
想像していた。
(ああ・・・終わりましたね・・・)
まあ、仕方が無い、しばらく夢のような時間を味わえただけでよしとしよう。
そう考えた望は、次の智恵の言葉を待った。
「糸色先生・・・」
(ああ、さよなら幸せな時間・・・)
「私で・・・いいんですか・・・」
「へ?」
思わぬ言葉に思わず間の抜けた声を出してしまう。
「私みたいな女で先生は満足していただけますか?」
「あ、あの・・・」
わけがわからず、呆然としたまましどろもどろに言葉を詰まらせる望に智恵は真っ赤に
なりながら続ける。
「やっぱり、だめですよね・・・わ、私は・・・糸色先生の教えている生徒さんたちみたい
 に若くありませんし・・・それに行き遅れているような女なんです・・・・」
「そ、そんなことありません!」
思わず望は大声をあげてしまう。
「ち、智恵先生は、まだまだお若いし充分魅力的です。私が保証します!」
「それだったら・・・」
智恵はゆっくりと目を閉じる。
「糸色先生のお好きなようになさってください・・・」

(こ、これは思いもしない状況です!ど、どうしましょう?)
慌てふためく望の脳内に再び良心が登場。
『だめです!今きっと智恵先生は酔っ払ってらっしゃるに違いありません!』
(そ、そうです!?私でいいはずが・・・)
『ケッケッケ!何いってやがる!酔っ払ってようがなんだろうが向こうがいいって言ってん
 じゃねえか!犯っちまえ!!』
と反対側から悪心の声が響いてくる。
『またあなたですか!性懲りもなく!』
『今度はさっきのようにいかねえぞ!!』
もうこれジャ○プだったらあきられるんじゃね?と言う戦いが再び繰り広げられる。
が、もともと悪心というより、性欲に近い物なんで、望の空腹が満たされた今では、
さっきとは桁が違った。
『喰らえ!ゴォ・トゥ・絶望!!』
もう突っ込むことすらめんどくさい必殺を受け、望の良心もとい、理性は消し飛んだ。

418恋の物語20:2007/09/21(金) 17:05:17 ID:nYbEN0gt

「ち、智恵先生!!」
息も荒く、望は智恵を畳の上に押し倒す。
が、それでも、最後の最後に確認のような形で聞く。
「ほ、本当にいいんですか?」
智恵はコクリと無言で頷くと、付け足すように小さな声で言う。
「でも・・・出来たら優しく・・・お願いします・・・」
「わかりました・・・・」
経験はあるであろう智恵が恥らう姿に望は愛しさを感じ、ゆっくりと顔を近づけ、唇を重ねる。
柔らかい感触を口に感じながらも、舌を入れるとそれに応えるかのように智恵も恐る恐る舌を
出してくる。
お互いの舌が絡まり、気付けば濃厚な口付けを交わしていた。
「うんんっ・・・!むぐ、ぅぅ!」 、
智恵が苦しそうに喘ぎだしたので、口を離すと、唾液が糸を引くように残る。
智恵は息を切らせながら、トロンとした目で望を見つめ
「お上手・・・なんですね・・・」
と途切れ途切れに言うその様子がさらに望の欲情を掻き立てる。
が、この男それなりに経験が多いので、一度行為に突入すれば勝手に体はスムーズに次の
行動に移る。
手馴れた手つきで智恵のスーツのボタンを外していく、その様子を抵抗するでもなく見ていた
智恵はか細い声で
「灯りは消していただけませんか?」
「どうして・・・ですか?」
「だって、見えて・・・」
「見たいんです」
智恵に最後まで言わせず望がさえぎる。
「智恵先生の体を、この目でしっかり・・・駄目ですか?」
望の真剣な目で射すくめられ、智恵は観念したかのように、再び目をつむる。
「わかりました・・・どうか、先生のお好きに・・・」
「ありがとうございます・・・」
そう礼を言うと、再びボタンを外していく。
そして、最後のボタンを外し、スーツを左右に開いたとき
望は思わず息を呑んだ。
(な、なんて大きさなんですか!)
黒いブラで押さえられているというのにそれは圧倒的な質量と威圧感を持ってそこにあった。
(あの方たちにも引けはとってませんよ・・・)
この間見たおっぱいW杯の女性達に勝るとも劣らないそれに、望は思わず我を忘れてしまう。
「そ、そんなにジッと見ないで・・・」
智恵の懇願するような声で我に帰ると素直に賞賛の言葉を述べる。
「すごいです・・・智恵先生・・・」
「そ、そんな・・・大きすぎて気持ち悪いでしょう」
「いえ、そんなことありません・・・」
改めてみてもすごいものである。だが、それをさらにいやらしく見せているのが、やはり下着
だろう。智恵の白い素肌に黒い下着は驚くほどあっている。
(取ってしまうのがもったいないですね・・)
だが、取らなければ、さきに進めない。望はブラを取るべく、智恵の背中に手をまわす。
すると、智恵も望の和服のボタンを外し、肌を露出させる。
「何を?」
「先生も脱いでください・・・私だけなんて不公平です」
智恵らしくもない子供っぽい発言に思わず胸が熱くなる。
419恋の物語21:2007/09/21(金) 17:06:00 ID:nYbEN0gt

「わかりました・・・」
そう言うと荒らしく和服を脱ぎ捨てる。
「へえ・・・先生って結構しっかりした体なんですね・・・」
決して筋肉質ではない、だが、しっかりとした体を智恵は驚いたかのように見つめる。
「まあ・・・それなりには・・・」
そう口数少なく言うと、今度こそ智恵の背中に手を回す。
それを手伝うかのように智恵は体をそえびぞりにして手を回しやすいように手伝う。
すると、体が密着し、衣服ごしにはわからなかったお互いの体温が伝わってくる。
(糸色先生の体・・・・温かい)
いつまでも、そうしていたかったが、背中でホックが外れる感覚がしたと同時に再び、
体が崩れてしまう。
「外したら、やっぱりすごいですね・・」
押さえつけられていた乳房ははじけるように広がり、なおかつ弾力性があるのを見せ付ける。
もはや押さえがきかず、手にしていた下着を投げ捨て、その胸にむしゃぶりつく。
「あ・・・」
智恵が驚いたような声をあげるが、構わず望はそのまま乳房を吸い上げ、舌で乳首を刺激
し、さらに空いた手でもう片方の乳房を揉みしだく。
「あっ、あぁんっ、あく・・・あっ、そ、そんなに激しく・・・あっ、や、やんっ・・・あうっ
 うくっ、んっ、んんんンっ・・・!」
巧みな望の攻めに声を押さえようも無い。それでもはしたない声を出すことに羞恥を
感じる。それを見透かしたように望は
「智恵先生あなたの声を聞きたいんです。遠慮しないでください」
と一言いうと、ゆっくりと口を下へと下げていく。そして、時には強く吸い上げ、時には
舌の先だけで撫でるように、智恵の体を愛撫していく。
その緩急のつけ方に智恵は休む間もなく快感にさらされ続ける。
「だめっ、だめぇっ・・・あっ、ああぁっ、や、やぁっ・・・ああぁんっ!」
と、達する寸前、急に望は愛撫を止める。
420恋の物語22:2007/09/21(金) 17:07:00 ID:nYbEN0gt

「あ、あぁ・・・どうしてぇ・・・」
戸惑ったような智恵の声を無視すると、望はそのまま、スカートへと手をかけると一気に引き
下ろし、投げ捨てる。
「そろそろ・・・こっちもいい頃かと思いましてね・・・やっぱり・・・」
下腹部の下着は黒い布地越しにもわかるほど、そこは濡れていた。
「智恵先生・・・こんなに感じてくれてたんですね・・・」
「いやぁ!見ないでぇ・・・見ないでください・・・」
身をよじって悶えようとした途端、望は下着越しに舌を這わせる。
新たな快感に智恵はなすすべもなく、再び嬌声を上げさせられる。
(す、すごい・・・反応ですね・・・直接やったらどんなことになるんでしょう)
好奇心に耐え切れなくなり、望は下着に手をかけ、脱がしにかかる。
それを反射的に感じたか、智恵も足を曲げ手伝い、ついに望の眼前に智恵の秘部がさらされる。
(ああ・・・先生に見られてる・・・)
そう意識しただけで、さらに多くの愛液が溢れ出す。
(下着越しでもあんなに良かったのに・・・直接されたら・・・)
が、次に望がとった行動はそれをはるかに上回るものだった。
望は智恵の腰を掴むと、舌をとがらせ割れ目へと差し込みそのまま舌を動かす。
「そ、そんな・・そんなこと、だめっ、だめぇっ・・あっ、ああぁっ、や、やぁっ・・やだ・・
 私・・・もう、もうっ・・・ああぁんっ!」
グチュグチュとさっきとは比べ物にならないほどの卑猥な音と快感が襲ってくる。
(だ、だめ・・・これ以上されたら・・・)
頭はすでにまともに働かない、体だけが快楽でふるえ反り返り。
次の瞬間、視界に白い光が明滅し、絶頂の時が訪れる。

(やりすぎましたか・・・・)
望は智恵の様子を見ながら、口を秘部から離す。
ふと、智恵の顔を見ると、目はうるみ、口からはよだれが零れ落ちている。
そのあられもない様子に、最早、望の絶棒も限界だった。
(つらいとは思いますが・・・我慢してください。智恵先生・・・)
そう心で謝ると、袴を脱ぎ、絶棒を取り出し、智恵の太ももを掴むと一気に秘部を貫く。
「あ・・・あぁ・いやぁあ・・・!!」
達したばかりで感度がさらに敏感になったところに、肥大した望の絶棒で貫かれ、
智恵は悲鳴を上げ、頭を振る。
(ちょっと・・・気持ちよすぎますよ・・・)
智恵の中は思ってた異常に締め付けが強く、肉壁が絶妙な刺激を与えてくる。
長くは持ちそうにもない。
もはや、望はテクニックも何も関係なくひたすらに腰を叩きつける。
だが、今の智恵にはそれだけで充分な快楽だった。
「智恵・・・先生・・・すごく・・・いいですよ・・・くッ!」
「お願い・・・智恵って・・・智恵って・・・呼んでくださいッ!あああぁ!!」
突如の申し立てに返事をする代わりにさらに腰を激しく振る。
「イッて・・・イッて下さい智恵!!私も・・・私も、もう!」
「の、望さん・・・私・・・あなたが・・・好きで・・・ああぁああ!」
言葉は最後まで言えず、嬌声に変わってしまう。
「はぁ、はぁ・・・あ、あぁん、あふっ、あはぁっ・・・もう、らめぇ!!また、また
 イっちゃうゥううう!!あああぁ!!」
そう叫び、智恵は最後に離れようとしていた望の腰に足を巻きつけていた。
つぎの瞬間、智恵は自分の中に熱い何かが迸るのを感じていた。
421恋の物語23:2007/09/21(金) 17:08:00 ID:nYbEN0gt

「すいません!すいません!私としたことが、中に出してしまうなんて!」
再び服を来た望は頭をこすりつけるようにしてそう繰り返す。
「別に私がやったことなんですから・・・」
「いえ、しかし、私がやってしまったことなんです。こうなったら死んで責任を・・・」
どこから取り出したのか首吊り縄を持って外に飛び出していこうとする。
まったくさっきまでとは別人である。
「糸色先生!!」
声をきつめて、そう一喝すると、望はビクリと立ち止まると、恐る恐るこちらを振り返る。
「安心してください。私は今日は安全な日です」
「し、しかし私はそれを確認しなかったんですよ。これは許されることではない・・・」
あくまで、ネガティブに物事を考える望に、智恵はため息をついた。
「いいですか・・・よく考えてください。私とあなたはあんなことをしたんですよ?
 それなのに、その関係を今さら捨てて逃げるおつもりですか?」
「そ、それは・・・」
詰まる望にさらに智恵は畳み掛ける。
「そういうことのほうがよっぽど許されないことじゃないんですか?糸色先生」
「はい・・・おっしゃり通りです」
立場、いつもと全く同じに戻っている。その空気に懐かしさを覚えつつも顔にはそれを
微塵も出さず厳しい顔で望に命じる。
「いいですか、とりあえず今から帰る途中決して死にたいなんて思わないで、まっすぐ帰って
 ください。もし、自殺なんてしかけたら許しませんよ」
「はい・・・」
望は気圧されたように、ドアに手をかけ、そして思い出したかのように振り返ると
「やっと、元の智恵先生に戻ってくれましたね。私、弱い智恵先生も好きですが、
 やっぱり、その顔が一番好きですよ」
「え?」
言葉の意味が瞬時には咄嗟に理解できず、一瞬考えこんだ隙に望は姿を玄関から出て行っていた。
それと同時に智恵は顔が真っ赤になるのを感じた。
422恋の物語24:2007/09/21(金) 17:09:56 ID:nYbEN0gt

次の日・・・
「先生!どういうことことかキッチリ説明してください。
「そうです、先生、私実家に帰ってる間何があったんですか?」
ものすごい剣幕のストーカー少女常月まといとキッチリ娘の木津千里に詰め寄られながら、
望は悲鳴に近い声を上げる。
「だから、何もしてませんって!」
「嘘ついても駄目です!霧ちゃんから聞いてますよ、昨日、先生夜遅くに帰ってきたそう
 じゃないですか!!霧ちゃんが気になって、先生の様子見に言ったら香水のにおいが
 したって」
「彼女勝手に部屋に進入したんですか!?」
千里の言葉に驚愕したような声をあげ、話を反らそうとするが相手が悪すぎる。
「さあ、説明を!きっちりと!」
「先生、全てを打ち明けてください!!」
万事休す、絶対絶命、を体現したような状況に望は脳内に語りかける。
(こういうときこそあなた達の出番です!)

『いやあ・・・たまにはああいうのも必要ですね!』
『いやいや、お前がいてくれなきゃ、暴走してたよ!ありがとな!!』
(ちょっと、あんたら何勝手雪解けしてんですか?)
もはや、頼れる者は誰もいない、とその時。
「やだな、先生はそんな事をするわけないじゃないですか!」
(この声は!?)
振り向いた先にx字がたの髪留めをした少女がにこにこ笑いながら立っていた。
「先生は、立派なお方です。女性とそんなふしだらなことするわけ無いじゃないですか!」
ポジティブ少女こと風浦可符香は力強くそう断言する。
(あ、ありがたい!さすが、風浦さん!!)
いつも遠慮したい彼女のポジティブ精神だが、今回ばかりはありがたいことこの上ない。
「じゃ、じゃあ、先生は何してたって言うのよ!」
あまりの明るさにひるみながらも千里は食い下がる。
「それは決まってるじゃないですか!先生はいつも激務でお疲れです。きっと羽を伸ばして
 たんですよ!!」
(す、すごいです!私ではいえないことをスラスラと!!)
あまりの流暢な喋り方に望は知らず知らずに引き込まれていき・・・
「そして、その途中で、傷ついた女性を発見し、体を使って慰めてあげてあげたんです!
 すなわちボディカウンセリングですよ!!」
「そうそう!!あれだけ傷ついてらっしゃったら、そうするしかなかったんですよ」
つい返事してしまった。
(あッ!!)
気付いた時にはもう遅い、千里の目がゆっくりと殺意を帯びていき、どこからともなく
スコップがあらわれる。
「先生・・・じゃあ私はスプラッターカウンセリングやってみます」
「か、カウンセリングつけりゃいいってもんじゃありません!!」
「先生、もう・・・私達が結ばれるには心中するしか・・・」
「あ、あなたもどっからそんな包丁を!!」
二つの巨大な殺気に望は最後の頼みのように脳内に叫ぶ。
(どうすりゃいいんですか!!)
『もう、逃げるしかないですね』
『そうだな』
「ちくしょおお!!」
ありがたいお告げを受け望は一言叫ぶと脱兎のごとく走った。
「待てええ!!」
二人も即座に対応し、飛び出していく。そして、一人取り残された可符香は底冷えした目でニ
ヤリと笑った。

423恋の物語25:2007/09/21(金) 17:12:11 ID:nYbEN0gt

(大切なのはさりげなさ・・・さりげなさ・・・)
おまじないのように唱え、緊張のあまり手に持ってるテールスープの店のチケットを握り締め
ながら、あびるは意中の人の姿を探していた。
(みんなには負けられない・・・ちゃんと誘うんだ・・・)
その様子を頭の中で想像しながらうっとりしていると、
「うわぁあああ!!」
と叫びながら、探し求めていた人物が正面から走ってくる。
(やった!なんて好都合!!)
心の中でそう叫ぶと緊張で振るえながらも、チケットを差し出しいう。
「せ、先生・・・・今度私と一緒に・・・」
最後まで言い終わる前に望は横を猛スピードで走り抜けていった。
「え・・・・」
あっけに取られていた次の瞬間、
「うなぁああああああ!!」
まるで般若の如き形相の千里と
「先生、私と結ばれましょう!!」
などと、わけのわからないことを叫ぶまといが望を追って走り去っていった。
その後ろ姿を見ながら、
「やっぱりアピールがすごいな・・・」
と気圧されたように呟き、顔を伏せる。が、
「でも、私も負けない!」
とあびるは力強く顔を上げると、望の後を追った。
「先生、待って〜!!」
424恋の物語26:2007/09/21(金) 17:13:11 ID:nYbEN0gt


(まさか・・・あんなことを言われるなんて・・・)
昨日の望の言葉を思い返しながら、智恵は今もまだ、顔が火照ってしまう。
が、それと同時に後ろめたい気持ちもあった。
(あびるちゃんを裏切る形になっちゃったな・・・)
彼女とて、望に恋している。それも自分より前から、それがやはり後ろめたい。
(でも・・・言おう)
今度彼女が来たら、全部話そう。智恵はそう決意していた。そして、不思議なことに
それを話しても、彼女はあきらめない気がした。根拠は何も無い。けれど、女の
直感的に、なぜか、自分に向かって宣戦布告してくるあびる、そして千里やまとい、霧の
姿も想像できる。そしてそれは確実な気もしていた。
(負ける気はないけどね・・・)
けれど、うかうかもしてられない。彼女たちだって、立派な美しさを持ってる。
いつ望が心奪われてもおかしくない。
(今度、食事にでも誘ってみようかな・・)
そう、考え、ふと昔に戻った気がしておかしくなる。
(でも、今度はちゃんとやる・・・もう昔とは違う)
あの時を繰り返しはしない。今度はちゃんと道を歩いていこう。彼と。
そう決意を固めたとき、ドアをノックする音がした。
(おっと、けど、仕事もしなくちゃね・・・!)
望がすばらしいことと言ってくれた自分の持ち続けた夢、それをないがしろにする気も
なかった。
「はい、どうぞ」
そう言うと、手早く椅子の準備をはじめた。

これは、恋の物語。そして、それはまだ・・・始まったばかり・・・


        終わり


「絶望した!!きれいにまとめようとして私のことを無理やり押し出した作者に絶望した!!
 ・・・って、ちょっと待って、は、話せばわかります!!・・・ぎゃああああ・・・!!」
425名無しさん@ピンキー:2007/09/21(金) 17:19:42 ID:nYbEN0gt
ええと、ながらくお待たせしてしまいました。
これにて、終わりです。まずはすいませんでした。
しかし、ここまで停滞させたのは別に焦らしプレイとかじゃなく、(ってか待って
る人いたんだろうか?)
実際に時間が許さなかったんです。すいませんでした。
ええと、駄文な上、文章の間違いが多いと思われますが、
はよ投下しろとおしかりを受けたため、急いだので、お許しください。
ええと、このあとも多くの神作品が投下されるでしょうから、どうかそれで
目を回復させてください。そして、もし、最後までしっかりと読んでくれた
方がいたら、ありがとうございました!!
426名無しさん@ピンキー:2007/09/21(金) 17:21:58 ID:VIwwIGO8

糸色望 再起不能
To be continued...

427名無しさん@ピンキー:2007/09/21(金) 17:44:18 ID:crNY9Ylb
リアルタイムでゴチになりました!
428名無しさん@ピンキー:2007/09/21(金) 17:53:42 ID:uXkvlu/E
すごく良かった…GJです!
大人同士ってところで、先生×生徒とはまた違った余韻が。
最後のバタバタ感も原作っぽくて好きです。

いろいろな人がいて、いろいろなご意見もあるでしょうが、
余り気になさらずに、是非また次作をお待ちしております!
429前スレ851:2007/09/21(金) 18:53:10 ID:lZuVScEz
ハルチリ読んでくれた人ありがとうございます。

また発作的に小品を書いたので投下します。
「アナザーエンディング」に続いて、エロなし、世界観破壊な内容なので興味ない
方はスルーしてください。
せつない木津をイメージして考えてみました。
430木津千里 27歳(1):2007/09/21(金) 18:54:42 ID:lZuVScEz
 その日も残業のせいで帰宅がすっかり遅くなった。
 一人暮らしを始めてからもう2年になる。いつまでも親元にいるのはどうかと思った
のと、いつも帰宅が遅く、少しでも通勤時間を減らすためにこのアパートを借りたのだ
が、結局遅く会社を出ても間に合うということで、さらに残業が増えただけの結果に終
わってしまっていた。
 今日もまた、課長の終業間際の変な思いつきに振り回されて、書類作りに追われ、な
んとか逃げ出してきたのだ。

 駅からアパートまでの道を早足で戻り、いつもの習慣どおりポストを覗いたとき、そ
れを見つけた。最近同級生からしょっちゅう来る「結婚しました」という報告のはがき
だ。もらうたびに、私だってと考え、また日常の忙しさにかまけて忘れてしまうことの
繰り返しだった。
431木津千里 27歳(2):2007/09/21(金) 18:55:35 ID:lZuVScEz
 だが今回のものにはちょっとした衝撃があった。ここしばらく感じたことの無い衝撃
が。

 はがきには「結婚しました。糸色 望・杏(旧姓赤木)」と書いてあった。上半分に
は、神前結婚式での着物姿の先生と風浦さんの写真が載っていた。
 「結婚したんだ・・・。」
 風浦さんと先生が付き合っているという話は卒業してしばらくしてから噂で聞いてい
た。それから考えるとむしろ時間が掛かったといえるのだろう。
 
 部屋に入り、着替えてからテーブルの前に座り、はがきの中の二人の姿をじっと見つ
めた。嫉妬の感情なんて無いはずなんだけど・・・。私は笑った。

 やっぱりそうだったんだ・・・。

 もうあの時からずいぶん時間が経っている。
 私は式には呼んでくれなかったんだな、そう思うと少しさびしかった。でもそれは仕
方のないことだ。最後に会ったのがあんな状態では、気を使って呼ばないのが自然とい
えた。

 卒業後、最後に先生のいる宿直室に行ったときの事は今でもはっきり覚えている。い
つも見回りと称して遊びに行っていたが、結局それが最後になってしまった。
 その日は交君も常月さんや小森さんも部屋にはいなくて、先生は一人だった。私はそ
こで先生にこれからも交際してください、と真剣に頼んだのだ。
 先生はいつものようにすぐにごまかしたり、逃げ出したりせずに、辛抱強く私にあき
らめなければならないことを説得してくれた。
432木津千里 27歳(3):2007/09/21(金) 18:56:51 ID:lZuVScEz
 結構な時間そこにいたと思う。それも泣きながらだ。先生は嫌がることもなく、私が
納得するまであきらめるように話してくれた。
 最後になっても私は「絶対あきらめません。きちんと責任とってもらいます」と言っ
て家に帰り、大泣きした。もう終わったんだ、あきらめなくちゃいけないんだ、という
ことは良くわかってた。

 考えてみると、ほとんど全てが私の思い込みに過ぎなかった。それは良くわかってい
たし、そんなおかしな私を馬鹿にせず、先生も良く付き合ってくれたものだと思う。

 大学に進み、生活の大部分がそちらで占められるようになると、あっという間に高校
時代のことは忘れていってしまっていった。
 そのころの友人とも疎遠になり、現在でも仲が良いのは晴美一人だけだ。晴美は公務
員になって、今でも漫画の持込みを続けている。最初は半分は馬鹿にしていたんだけど、
今ではそういう夢がある彼女がうらやましかった。

 私は何をしているのだろう?
433木津千里 27歳(4):2007/09/21(金) 18:57:28 ID:lZuVScEz
 写真の中の先生は、高校時代には見たことがないような幸せそうな笑顔をしている。
風浦さんは昔のままだ。あのすべてに対して絶望していた先生も、ようやく希望を見
つけることができたのだろう。
 はがきには先生の手書き文字で「一度気が向いたらでいいので遊びに来てください
ね。これは社交辞令ではありませんよ。」と書かれている。その横には風浦さんの字
で「本当に本当に会いたいです!」とあり、見慣れた狐の尻尾みたいな飾り文字で結
ばれている。

 そうなんだ。一度晴美を誘って会いに行ってみよう、私は思った。

 自分では気が付かなかったが、涙ぐんでいた。ただ、それは悔しかったとかいう気持
ちからのものではない。あの毎日がお祭りみたいだった高校時代、その懐かしさで感情
が高ぶってしまったのだろう。そうか、あれからもう10年近くが経ったのか。

私もこんな幸せなそうな笑顔の写真を送るからね、そう思った。
私ならきっとできるはずだから。

おしまい
434341:2007/09/21(金) 18:58:54 ID:cpTwa3je
「真昼が雪」投下中の者です。昨夜に引き続き9レス程消費させていただきます。
相変わらずエロスまで全然到達する気配なっすぃんぐ。ダラダラ長くて申し訳ない。
435真昼が雪 13:2007/09/21(金) 18:59:50 ID:cpTwa3je

 千里とまといの暴行による傷もすっかり癒えた頃。
 望はゆっくりとした足取りで、図書室に向かっていた。以前借りた本を返す為だ。
 下校時間が迫っている時分なので、てっきり鍵が掛かっているだろうと思っていた。
 だが、先ほど見てきたが職員室に図書室の鍵は返されていない。
 という事は、まだ生徒が残っているという事なのだろう。誰かはだいたい想像できるのだが。
「失礼しますよ」
 一声掛けてから戸を開く。
 予想通り、一人の男子生徒が居残って本を読んでいた。
 夕日の射し込む窓際の席に座り、本を読むその姿は、まるで一枚の絵のように完成されている。
 つい、と顔を上げて望の姿を見止めると、親しげに微笑みを向けて、
「いらっしゃい、先生」
「すっかり図書室の主ですね、久藤君。もうすぐ下校時間ですよ?」
「あ、すみません。つい夢中になっちゃって」
「まぁ気持ちはわかりますけど」
 図書委員の使うカウンターから勝手にカードを取り出して、判を押す。
 元あった棚へ本を返すと、望は鞄に本を納めている久藤に振り返った。
「この間はありがとうございました」
「可符香ちゃんの事ですか?」
 可符香ちゃん。その予想外に親しげな呼び方に意表を突かれつつ、頷く。
「え、ええ…。もしかして、お二人は仲が良いんですか?」
「仲良しかどうかはわかりませんけど、幼稚園の頃からの付き合いだから」
 以外な事実に目を丸くする。久藤は「言ってませんでしたっけ」と素知らぬ顔だ。
「存じ上げませんでした。…どうりで、風浦さんも貴方に親しげだったわけだ」
「彼女は…誰に対してもああでしょう?」
 珍しく瞳を驚きに揺らして、聞き返す久藤。
436真昼が雪 14:2007/09/21(金) 19:02:00 ID:cpTwa3je
「うーん、何といいますか。
 何となく貴方には、他の人より心を許しているように見えたんです」
 保健室での二人の姿を思い出す。
 久藤の後を追う可符香の姿は、なんだか安心しているように見えたのだ。
「――――………そう、ですか」
 久藤は何か考え込むように目を伏せた。
「久藤君からも言ってくれませんか?私をからかうのも程ほどにして欲しいと」
 苦笑交じりに言う望の言葉など聞いていないように、少し考え込む久藤。
「…久藤君?下校時間過ぎちゃいますよ」

「先生」

 久藤は伏せていた顔を上げて、真っ直ぐに望の目を見る。
 本心の見えない仮面じみたその表情は、望の良く知る少女を彷彿とさせた。
 だが、脳裏に過ぎる彼女の絶えぬ笑顔より、幾分か人間味があるように感じられる。
 不思議と目を逸らす事が出来ず、緊張に身体が強張る望。
「先生は可符香ちゃんの事、どう思ってます?」
「…どう、とは?」
「何でもいいです。何か、彼女に対して思う所はありますか?」
 言われて考え込む。糸色望にとって、風浦可符香という少女はどういう存在なのか。
「そう、ですね…」
 ほんの少し、間を置いてから、

「――油断ならない子だと思います。
 気を抜くとすぐ人を絆そうとしますからね、彼女は」

 その答が、久藤の望むものだったのかはわからない。
 だがとりあえずの回答を得て、久藤は視線による束縛から望を開放した。
 視線を窓の外へ移し、背を向ける事で表情を隠す久藤。
 窓から見えるグラウンドは、沈み逝く夕日に染められて、
 赤く燃え上がっているようにも見える。
437真昼が雪 15:2007/09/21(金) 19:04:15 ID:cpTwa3je
 その景色を眼下に見下ろす久藤の表情が、何故だか無性に気になった。
「…ふぅん」
「な、何ですか。その意味あり気なリアクションは」
「何でもないです。ほら、下校時間ギリギリですよ。
 鍵は僕が閉めますから、先生は先に出て下さい」
 振り返る久藤の表情は、またいつもの薄い笑顔。
 だが、退室を促す彼の様子は、どこか素っ気無かった。
「はぁ…わかりました」
 望は少し戸惑いつつも、言われた通りに扉へ向かう。
 戸を開けた瞬間、背後から声が掛かる。

「でも、可符香ちゃんは先生の事、好きですよ」

「え?」
 肩越しに振り返る。
 いつの間にか手が届く距離まで近づいて来ていた久藤は、
 それ以上何も言わず、望の背を軽く押した。
「わ、と」
 僅かに前につんのめり、廊下へ押し出される。
「さよなら、先生」
 最後にそれだけを言い残し、ピシャリと扉を閉める久藤。

 閉まる扉の隙間から、僅かに垣間見た久藤の顔は、
 まるで望を責めるかのように不満気だった。

「…さよなら、って…」
 もう下校時間ですよ、と。
 教師としてはそう忠告して、一緒に部屋を出るべきだったはずなのに。
 望はそれが出来ず、何故だか妙な罪悪感を抱えて、図書室を後にした。
438真昼が雪 16:2007/09/21(金) 19:05:51 ID:cpTwa3je

 あれから数日。

『可符香ちゃんは、先生の事が好きですよ』

 去り際にそう言い放った、可符香の幼馴染である少年の言葉が、耳から離れない。
 その言葉を、どこか不満気に言い放った彼の本意がわからない。
 人をからかうのが生甲斐のような少女が、一定の対象に特別な好意を寄せるとは思えなかった。
 望に対する態度も、他の人間に対する態度も、そう変らないように思える。
 スルリと心に滑り込み、散々掻き回して、気が付けば忽然と居なくなる。
 そういう残酷な少女でしかない。そしてその残酷さは、差別なく平等に発揮される。
 そんな様子から、どこをどう取れば自分への特別な好意が感じられるというのか。
 そしてそんな彼女に対して、間違っても特別な好意など抱けようはずもない。

 ―――望は気付いていない。
 彼女の残酷さに気付く事こそが、既に特別な事であるという事に。
 元々、彼は人の心の動きには過敏な方である。
 巧みに心の隙間に滑り込んでくる可符香の気配にも、敏感に気付いてしまうのだ。
 ―――まぁ、その気配に気付かずに絆されて、何かと酷い目に合う事も多々あるのだが。
 何はともあれその過敏さが、望に彼女の本質を垣間見せる事となった。
 そしてあの一件以来、彼の可符香に対する意識が少しだけ変化する。
 いつもの性質の悪い冗談に、少し注意深く耳を傾けてみたり、
 僅かな表情の変化を気に止めてみたりと、自然に彼女の姿を目で追うようになっていく。
 少し注意を払うだけで、今まで見えてこなかった少女の新たな一面。
 僅かに覗くのみだった彼女の本意が、少しずつ自分の中で浮き彫りになっていく。
 その事が嬉しい。だが、同時に見えてくる彼女の本質が、悲しい。
 彼女に対して芽生えてくる、ある種の情愛を、望は自覚せざるえなかった。

 そうして、望が薄々可符香の「病」の正体に気付き始めた頃。
439真昼が雪 17:2007/09/21(金) 19:07:27 ID:cpTwa3je

 ◇ ◆ ◇ ◆

「…風浦さん、それは」
 
 カンカンカンカン―――

 踏み切りの音が、望の呆然とした声音を掻き消した。
 電車が、轟音を立てて通り過ぎる。
 その間際、踏み切りを挟んだ向こう側で、何か赤いものを抱えている少女の姿を見た。

 カンカンカンカン―――

 電車が、轟音を立てて通り過ぎた。
 見間違いと思いたかったが、電車が過ぎ去った後も、
 少女は変らずに赤いものを抱えている。
 自らの腕の中にあるものを眺めていた彼女は、
 望に気付くと顔を上げて、笑顔で走り寄ってくる。
 今日は休日で、学校は休みである。
 この間の、千里とまといの猛攻によってボロボロになった着物の代わりを買い求める予定だった。
 彼女は薄い桃色のカーディガンを羽織り、真っ白いスカートを翻して駆けてくる。
「先生、おはようございます」
 変らぬ声音。変らぬ笑顔。
「風浦さん、それは…」
 おそらく彼女に届かなかったであろう台詞を繰り返す。
「あぁ、この子ですか?」
 そう言って事も無げに言いながら、自らの腕の中にある「この子」に視線を落とす可符香。
 おそらくは小型の犬だったであろうソレは、今は辛うじて原型を留めているにすぎない。
 薄い色彩が美しい可符香の私服は、胸元だけをどす黒く赤に染めていた。
 無論、血塗れの犬を抱いているからである。
 望は痛ましげに表情を曇らせる。
「―――…どこで見つけたんですか?」
「ついさっき、そこでです」
「そうですか…車にでも、轢かれたんでしょうかね」
 その犬を撥ねたであろう運転手に、
 悪意があろうとなかろうと、あまり良い感情は抱けない。
 よしんば撥ねてしまっても、そのまま放置するのはあまりにも酷いと思った。
「やだなぁ。轢き逃げなんてあるわけないじゃないですか」
 不愉快を露にする望に、相変わらずの笑顔で言って、赤黒い人差し指をピっと立てる可符香。
440真昼が雪 18:2007/09/21(金) 19:10:02 ID:cpTwa3je
「これはただの――」
「いいです。いいですから、早くどこかで休ませてあげましょう」
 後に続く言葉を聞くのが何となく怖くて、望は台詞を遮るように早口に捲くし立てた。
 最後まで言えなかったのが不満なのか、可符香は少し唇を尖らせつつも、反論せずに頷き返す。

 結局犬は可符香の提案で、ここから近いという事もあり、
 あの並木道にある、桃色ガブリエルの根元に埋める事となった。
 いつもの如く望を尾行していたまといも、流石に見て見ぬフリをするのは心苦しかったらしく、
 自ら手伝いを申し出てきた。そんな彼女の申し出に素直に甘える事にして、
 まといに学校からスコップを借りて来てもらい、望が穴を掘る事になる。
 スコップと一緒に持ってきてもらったタオルで、犬の亡骸を包んだ。
 優しく穴の底に横たわらせ、そっと柔らかな土をかけていく。
「ばいばい」
 その様子をじっと見つめながら、可符香は小さな声で犬に別れを告げた。

 そうして少々手間取ったものの、無事犬を埋葬し終えた頃には、昼を少しまわっていた。
 名も知らぬ――あるいは名も無かったであろう犬に、三人は黙祷を捧げる。
「手向けの花は、必要なさそうですね」
 額の汗を拭いつつ、聳える立派な桜の木を仰ぎ見る望。
 釣られるように、まといと可符香も桃色ガブリエルを見上げた。
 今はまだ開花の準備期間中らしく、美しい桃色の花を見る事は出来ない。
 だが暖かな春を迎えれば、いつかのようにまた、
 視界いっぱいに広がる花吹雪を降らすだろう。

「ところで…」
 木から視線を、おずおずと可符香の胸元――赤黒く染まった汚れに移すまとい。
 可符香は自分の服を見下ろしながら、何故か得意げに、
「大丈夫、模様と思えば違和感ゼロだから!」
「違和感ありまくりです」
 胸を張って断言する可符香に、即座に突っ込みを入れる望。
 服のデザインによっては通用したかもしれないが、生憎真っ白いのワンピースに、
 生々しい赤色は浮きすぎである。下手をすれば警察を呼ばれかねない。
 結局学校でジャージに着替える事となり、三人は休日だというのに学校を訪れた。
 もっとも望は学校が自宅のようなものであるし、
 まといも彼の観察に休日を費やす事などざらなのだが。
441真昼が雪 19:2007/09/21(金) 19:11:19 ID:cpTwa3je

 一人の「ただいま」の声に、二人の「お邪魔します」が続く。
 返ってくる「おかえり」の声は、二人分のものだった。
 三人でぞろぞろと宿直室に上がり込むと、交を膝に抱えた小森が振り返る。 
 二人の手にはコントローラーが握られていた。
 どうやらTVゲームに興じていたようだ。
 小森は少し驚いたように目を丸くして、三人の顔を順番にそれぞれ見つめた。
 イベント事のある日などは、生徒が望の所に集まる事も多々ある。
 だがそういう時は、不法侵入と言っていいほど強引に生徒たちが上がり込み、妙な騒ぎに発展する事が殆どだ。
 小森自身も、今でこそ望の許可を得て居るものの、最初の頃は勝手に上がり込んで家事をやっていた。
 こうして正面から、普通の客人として2のへの女子が招かれるとは珍しい。
「お帰りなさい。あと、いらっしゃいませ」
 ぺこりと可符香に頭を下げつつも、望の背後に寄り添うまといに対して、牽制するかのように眼つきを鋭くする。
 だがまといはそれには取り合わず、疲れたように視線を逸らした。
 その様子に肩透かしを食らい、キョトンとする小森。
「お邪魔しまーす」
 そんな彼女らの様子に気付いているのかいないのか、
 可符香はマイペースにヒラヒラと手を振って答え、誰に断るでもなくコタツに潜り込んだ。
 既に着替えは済ませており、今は上下共に小森愛用のジャージと同じものを着ている。
 コタツに入る際、脇に置いた一見手土産にも見える紙袋の中身は、残念ながら血で汚れた私服である。
「ただいま。やれやれ…些か疲れましたねぇ」
「あ。私、お茶淹れてくるね」
「すみません。お願いします」
 交を降ろし、パタパタと台所へ向う小森の姿に頭を下げて、望は礼を言った。
 小森の膝から降ろされた交は、やれやれと呟きながらこたつに潜り込む叔父を一瞥する。
 ゲーム機の本体を消しながら、憮然とした口調で言い放った。
442真昼が雪 20:2007/09/21(金) 19:15:09 ID:cpTwa3je
「着物を買いに行ってたんじゃないのか。何で手ぶらなんだよ」
「そういえば、そうでした。何ででしょうね」
 外出の目的をすっかり忘れていた。
 ただ着物を買いに出ただけなのに、何故自分はスコップで穴など掘って帰って来たのだろう。
「少しね、色々あったの」
 いつの間にやら望と同じようにこたつに入っていたまといが、説明を始める。
 その顔色は優れない。いくら彼女でも、やはり気分の良い光景ではなかったようだ。
 交は話を聞き終わると、関心するどころか呆れたように溜息を付き、一言。
「何やってんだ、お前」
「本当に何やってんでしょうね」
 お盆に人数分の湯呑を載せた小森が、台所から戻ってくる。
「お疲れ様」
 台所までまといの声は届いていたらしく、心から労いの言葉を掛けながら、お茶を並べていく小森。
 さすがにそんな事の後では、いつも妙に挑発的なまといもげんなりしようというものだ。
 今日くらいは、勘弁しておいてやろう。そんな思いを込めてまといを一瞥する。
 二人は目が合うと、どちらともなく気まずげに目を逸らした。

 その後、皆で少し遅い昼食をとる事となり、今度は女性陣全員が台所に立つ事となった。
 三人の中で一番料理が得意なのは小森だ。必然的に彼女を中心に調理が行われる。
 いつもならここで負けじと自己主張するであろうまといも、気分が滅入っているのか大人しく小森の指示に従った。
 そうして出来上がったのはメニューは、食欲がなくとも食べられるもので、メニューを考えた小森の気遣いが感じ取れる。
 食事中は自然と犬の話を避け、他愛無い話に花を咲かせる四人。
 いつもと変らぬ様子で食べ進める可符香。
 他人の作った食事を残す事に抵抗があるのか、少しだけ無理をしつつ、どうにか完食するまとい。
 小森は食欲が無さそうなまといと望の様子を気にしている。
 交は我関せずと、にの一番に食べ終えた。やや早食いではあるが、これでも彼なりにちゃんと味わって食べている。

 そんな中で、望だけはどうしても食が進まず、半分どころか三分の一も胃に収められなかった。
443真昼が雪 21:2007/09/21(金) 19:20:34 ID:cpTwa3je
「先生は…仕方ないですよ。気にしないで下さい」
 望は犬に直接触れていた時間が一番長い。気分が優れないのも仕方ない。
 せっかくの食事を残す事をすまなそうに詫びる望に、まといはそっとフォローを入れた。
 今回ばかりは皆同意して、誰も彼を責めるような事はしなかった。

 しばらくして、小森が席を立つ。
 最近は千恵の所でカウンセリングを受けていて、
 定時にはカウンセリング室に赴かなければならないらしい。
 小森が宿直室を出ると、それを切欠に、可符香も帰宅すると言い出した。
「なら私も、そろそろ本当に着物の代えを買いに行きますか」
 名残惜しそうにこたつを出て、望もその後に続く。
 一言二言交わしながら、宿直室を出て行く二人。

 まといはというと、望と一緒に部屋を出る事はせず、
 望の背に「いってらっしゃい」と声を掛けるのみで、追う事はしなかった。
 時間差で追いかけるのかと思いきや、その気配もない。
「一緒に出ないのか?」
 問う交に、深々と溜息を付くまとい。
「いいの。ちょっと、疲れちゃって」
 どうやらまだ気分が悪いらしく、その顔色は青白い。
「キツかったんなら、無理して手伝わなくてもよかっただろ」
「そうも行かないでしょ」
 交はまといに良心が在った事に驚きを隠せなかった。
 何せ彼がまといに持つ印象は、望の背後霊…というより、望にとり憑いた悪霊といった風だったからだ。
 そんな交の様子を意に介さず、グッタリとこたつに突っ伏すまとい。
 ―――望と女性徒が二人きりである事への危機感がないわけではない。
「…大丈夫よ。あの子なら、特に心配する事もないもの」
 一緒に居るのが千里や小森ならば、体調不良をおしてでも望に付いていっただろう。
 だがまといは、可符香に対してあまり敵愾心を抱いてはいなかった。
 というより、可符香が誰かに敵愾心を抱かれる行動をしないのだ。
 望争奪戦にも、他の女子からすれば参加していないように見える。
 先日の教室での一件は、後々ちゃんと誤解は解かれたのでノーカウント。

 保健室での可符香の台詞は明確な好意を表していたが、
 可符香はあの時、まといが居ない事を確認した上でその発言をしたのだ。ぬかりは無い。

 そんな事など知りもしないまといは、すっかりふ抜けたように目を閉じた。
「ふぅん」
 何が大丈夫なのか交には理解出来なかったが、とりあえず気の無い返事を返しておく。

(気分悪いなら、保健室か医者に行けよ…)
 毒づいた言葉は、胸の内だけに留めておいた。
444名無しさん@ピンキー:2007/09/21(金) 19:27:52 ID:cpTwa3je
また盛り上がりもなく一区切り。いつエロまで行くんだこれ。
「流石にこれは無駄に長すぎるだろ」と注意してくれれば、
いつでも自重しますんで遠慮なく言ってくださいませ。

>>358
まさかエロパロスレで知ってる人が居るとは思いませんでしたい。
元ネタは確かにそれですが…何といいますか、元ネタからして自作なんで
一応パクりって事にはなってないと思う、多分。
ニコ厨氏ねと言われそうなのでこのへんで〜…。
445名無しさん@ピンキー:2007/09/21(金) 19:30:04 ID:IuI6Uew1
GJ!!
続きが気になる!!
446名無しさん@ピンキー:2007/09/21(金) 19:40:05 ID:u1PyB6ur
そろそろ◆n6w50rPfKwさんの新作を見てみたいんだがな。
447名無しさん@ピンキー:2007/09/21(金) 20:49:49 ID:AV+BIc/E
>>444GJです。
引き込まれるような文章。うまいなー
448前305:2007/09/21(金) 21:35:16 ID:QF+AeAOh
お疲れ様です。
すごい長編ラッシュ・・・・しかも、みなさん文章が・・・・・上手いです。

えーと、真夜ssが書き終わったので、投下させて下さい。
ちょうど、いいかんじに日陰ssになりそうなタイミングなのでw

短編ssになります。
・・・・・・可愛く書けてればイイナと思いつつ投下。
449真夜:私と好きなもの   1/4:2007/09/21(金) 21:36:44 ID:QF+AeAOh
「・・・ふう。ここも、異常は無いようですね。」
先生は化学実験教室の扉を閉めてつぶやいた。
手に持ったノートの表紙には、手書きで「死に るるぶ」と表されている。
先生はページをめくり、付箋をつけてあるページを出す。
「・・・・・学校の中では・・・・あとは、音楽室で終わりですね。うん。今日も、私の厳選したスポットは異常ないようですね。」
独り言をつぶやき、そろそろ夕暮れのせまった廊下を歩いてゆく。
特別教室の多いこちらの校舎は、人の気配は無く、静まりかえっている。
「・・・おや?」
視線の先に、音楽室のドアを目にした先生は、歩みを止めた。
そこでは、女生徒が一人、周りの様子を伺うようにキョロキョロと首を動かしていた。
先生は、とっさに、そばにあった消火栓の影に身を隠す。
(・・・あれは、うちのクラスの・・・三珠さん・・・ですよね・・・・・)
見つからないように、様子を伺っていると、彼女は袖口から短めのバールのようなものを取り出して、ドアの隙間に差し込む。
(・・・・え・・・・・? ・・・・まさか?)
もともと古い作りのドアは、隙間から数回こじっただけであっさりと鍵が外れ、ドアが開いた。
(・・・不法侵入!? しかも、そこは私が目をつけているスポットですよ!)
驚いている間に、真夜はすばやく音楽室に入るとドアを閉めた。
先生は消火栓の影から出て、ドアのそばまで行く。
(・・・・いや、まてよ・・・。単に忘れ物をしただけかもしれない。・・・・無口な子みたいですし、鍵を貸してくれと言い出せなかった
のかも知れませんね・・・・・)
先生はハッと気が付いたようにそう考えた。
(・・・・・決め付けるのは良くありません。とりあえず様子を・・・・・)
そう決めると、先生はそっとドアを開けて、教室へと入っていった。

450真夜:私と好きなもの   2/4:2007/09/21(金) 21:40:47 ID:QF+AeAOh
音楽室の中は、防音のため2重扉になっている。
物音を立てないように外扉を閉めると、先生は内扉の引き戸を少し開けて、隙間から中を覗く。
少し離れた所にあるピアノの下に真夜がいた。
(手に持っているのは・・・・・ハサミですかね?)
真夜はピアノの下で膝をついて、その裏側をハサミで擦るような仕草を繰り返している。
木を引っ掻くようなガリガリといった音が微かに聞こえた。
やがて、真夜は満足げに口元に笑みを浮かべて、ピアノの下から出てくる。
(イタズラ・・・・・・ですか?)
先生が首をひねっているうちに、真夜はピアノのカバーを外し、椅子に座って鍵盤を開いた。
音を確かめるように、いくつかの鍵盤を爪弾き、真夜は嬉しそうに微笑んだ。
きつい目付きは相変わらずだったが、喜んでいるのは分かった。
(なにやら楽しげな感じで・・・・・)
やがて真夜は、少し呼吸を整えてから、鍵盤の上に指を走らせ出した。
「・・・・・ほお・・・・」
先生は思わず溜め息をもらす。
実際、真夜の演奏は見事なもので、彼女の指が鍵盤の上で踊ると共に、心地よい旋律が紡ぎ出されてゆく。
(・・・・・・なるほど、こっそりとピアノを弾きたかったという訳ですか。しおらしい子じゃないですか。)
先生は少し笑みを浮かべると、もう少しよく見ようと身をよじる。
バササッ!
抱えていたノートが落ちる音がした。
真夜の演奏がピタッと止む。
(あちゃー・・・・・・)
引き戸の隙間に先生の姿を見つけた真夜と目があってしまい、先生は焦ってノートを拾う。
「・・・・・・や・・・いやー・・・・上手に演奏されますね・・・」
先生は頭などを掻きながら、戸を開け教室に足を踏み入れた。
愛想笑いと苦笑いの中間くらいの笑みを浮かべ、真夜の近くまで行く。
真夜は先生に視線を向けたまま、指は演奏中の状態で硬直していた。
「・・・・すみません。驚かせるつもりはなかったんですが・・・・・・・。」
真夜はじっと先生を見る。
先生は気まずそうに視線をそらした。
「ええっと・・・実は先生も、子供のころピアノやってまして。・・・・まあ、習わされたというか、たしなみ程度でしたがね・・・」
そう言って、少し苦笑を浮かべた。
「・・・三珠さんは、ピアノがお好きなんですねぇ。かなり練習されたのでしょう? いや、お世辞抜きで、とってもよかったですよ!」
先生の言葉に、表情は変えないまま、真夜の頬が少し赤くなったように見えた。
突然、ガタン! と椅子を蹴って真夜は立ち上がる。
「・・・・どうしました?」
真夜は椅子の横に移動して、無言のままピアノを手で指し示す。
「・・・・・もしや・・・・・、私にも弾いてみてくれと・・・言う事ですか?」
真夜はじっと先生を見つめている。
静かな音楽室に、時計の音だけが聞こえている。
「・・・・・えー・・・・まあ・・・・少しだけなら、まだ弾けるかもしれませんが・・・・・・・上手くはないですよ?」
無言のまま真夜にうなずかれ、先生は頭を掻いて椅子に座った。
「じゃあ・・・・・・先ほど三珠さんが弾かれていた曲を私も弾いてみましょうか。」
先生の言葉に真夜はピクッと体を震わせた。
「・・・・・・失敗しても怒らないでくださいよ? 先生、下手ですからね。」
何度も念を押して、先生もピアノを弾き始める。
451真夜:私と好きなもの   3/4:2007/09/21(金) 21:42:07 ID:QF+AeAOh
少したどたどしいメロディで、同じ曲が爪弾かれてゆく。
真夜は、じっと、先生の指先と横顔を見つめている。
少し指先が震えているようにみえた。
「・・・・ああ・・・やはり・・・・三珠さんの様にはいきませんねえ・・・・・」
ピアノを弾きながら先生がぽつりとつぶやくと、真夜は目を見開いた。
しゅるっ・・・・と、袖の中からバールが手の中に滑り落ち、力強く握り締めた。

ガツッ!!  バジャャァァァァアアアンンッッ!!!

力いっぱい振り回したバールは先生の後頭部を打ち据え、先生は顔面から鍵盤に突っ込み派手な音が響く。
真夜は上気した顔で、先生の後頭部に膨らんだタンコブを見ている。
「・・・・・な・・・・! 何が起きたのですかぁ!?」
先生は頭を振りながら上体を起こし、真夜を見た。
真夜はバールを握ったまま、微笑を浮かべて先生を見ている。
「・・・・三珠・・・さん?」
先生は、ぽつりとつぶやいた。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「犯人な訳がない! あまりにも、証拠が揃いすぎています!」
天井を仰ぎ、こぶしを握り締めてそう叫ぶ。
「そうです! ここは旧校舎の音楽室・・・・・きっと怪奇現象の類いですね!」
そう結論付けると、真夜の方を振り向く。
「あなたは無事のようですね。しかし、ここは危険な予感がします! 退散しましょう!」
先生は立ち上がって宣言した。
「さあ! っと、そんな物を持っているのは危ないですよ!?」
言うが早いか、真夜の手からバールを取る。
真夜は一瞬、ぽかんとしたが、慌てて先生のバールを持った手を掴んだ。
「・・・三珠さん? 護身用なのは分かりますが、危ないです!」
そう言って、手を高く上げるが真夜は離さなかった。
背伸びをした状態で、その手首を掴んでいる。
「『転ばぬ先の杖が刺さる』と、言いましてね。 予防しすぎるのも考え物で・・・・・・・」
真夜は答えず、空いている方の手を伸ばそうとするが、それに気がついた先生がその手も押さえた。
力比べでもしているような、妙な格好になり、真夜はバランスを崩し、後ろに押される形になってしまう。
先生もそれに釣られて、真夜を押してしまう。
ガタッ!
真夜の背中が窓に当たって止まった。
「・・・・あっと・・・!」
先生は思わず真夜にぶつかってしまった。
真夜はビクッ!と目を閉じて少しうつむいた。
(・・・・・・・あ・・・・・・・・・・)
先生は思わず真夜の顔を見つめる。
窓から差し込む夕日が無ければ、その頬が赤く染まっていた事が分かっただろう。
閉じた切れ長の瞳。
そのまぶたからは、夕日に照らされ、長いまつげが頬に影を落としている。
普段の鋭い視線からは想像しなかったその姿を間近で見つめ、先生は思わず見とれていた。
真夜が薄目を開けて自分を見ている事に気がつき、先生は慌てた。
「・・・・・・・い・・・・いや・・・・その。綺麗なまつげをしていますよ、三珠さん。」
うっかりそんな言葉が口から飛び出した。
その言葉を聞き、真夜は慌てて目を閉じ顔をそむけた。
夕日に染まった教室でも判るほど、真夜の横顔は朱色に染まっている。
452真夜:私と好きなもの   4/4:2007/09/21(金) 21:44:54 ID:QF+AeAOh
「・・・・あっ!? す、すみませ・・・・・・・・」

ガララッ!!

「何をしているんですか? 先生?」
引き戸の開くく音と共に現われたのは、智恵先生だった。
入り口に立ったまま、こちらに冷ややかな視線を送ってくる。
先生はその場に凍りつき、自分の状況を確認する。

 ・薄暗い音楽室に、担当クラスの女生徒と二人きり。
 ・女生徒の両手を押さえ、しかも窓際に迫っている。
 ・その手に持つ物はバール(凶器)
 ・女生徒は顔をそむけ、嫌がっている(ように見える)

「・・・・し、証拠過多ですからぁぁぁぁっ!!」
絶叫する先生を無視して、智恵先生はツカツカと歩み寄ってくる。
「物音がしたから来てみたら・・・・・糸色先生が、自分の生徒に手を出すなんて。」
「ち、ちがいます、コレは・・・・」
抗議しようとした先生の手に、いつの間にか智恵先生が手錠をかけていた。
「言い訳は反省室で聞きます。」
「ちょ!? 智恵先生なぜ手錠を持ちあるいて!? じゃなくて! 反省室って・・・・・・!」
その声には答えず、智恵先生は、引きずるようにして先生を連行してゆく。
「・・・いやだぁぁぁ!! セクハラ教師で告訴されるのはいやだぁぁぁぁ!! 皆で私を白い目で・・・・・・・」
先生の叫び声は小さくなってゆき、やがて聞こえなくなった。
真夜は無言で先生を見送っていたが、やがて先生が落としていったバールを拾い上げる。
バールを両手でそっと抱きかかえ、真夜は微笑んだ。


やがて、余韻に浸るようにしばらく抱えていたバールを袖口にしまうと、真夜はスタスタと音楽室を出ようとした。
しかし出口をくぐろうとした所で足を止め、何事か考えている。
と、サッときびすを返し、すばやくピアノの下に潜り込んだ。
ポケットからハサミを取り出して、嬉しそうな表情を浮かべると、再びピアノの裏側をガリガリと引っ掻く。
しばらくして、手を止め、その場所を見て満足そうに笑う。
真夜の頬が、ぽぉっ と赤くなった。

 まよ
    と
   せんせい

少し丸みのある文字で、掘り込まれていた。
真夜は笑みを浮かべたままで、ささっと音楽室を飛び出す。
ぱたぱたと機嫌のよさそうな足音が遠ざかっていった。





「世間に叩かれるぅぅぅ!!!」
暗くなった校内には、どこかの反省室から聞こえてくる、先生の叫び声だけがこだましていた。
453前305:2007/09/21(金) 22:10:46 ID:QF+AeAOh
お粗末でした。

投下おわってから規制が・・・・・ww

読んでくれた人いましたら、ありがとうです。
454名無しさん@ピンキー:2007/09/21(金) 22:17:36 ID:DXxU3uKk
ハサミでそんなかわいい事を掘っていたのか!
三珠に初めて萌えた
455名無しさん@ピンキー:2007/09/21(金) 22:22:55 ID:e5V27Hki
>>448さんGJです!!
最近神が多過ぎで全て見れないのですが、マヨと聞いて飛んで来ました。
可愛すぎます!!SSにするには正直難しいキャラと思うので、尊敬します!!(*´д`*)
456名無しさん@ピンキー:2007/09/21(金) 22:48:07 ID:v19bXw+o
>前305氏
最近本格的にマヨラーデビューした者ですが、畜生、GJとしか言いようがない
バールまで使って忍び込んで、そんな可愛らしいことを………これが惚れずにいられましょうか
457名無しさん@ピンキー:2007/09/21(金) 23:15:17 ID:pM3lI+wS
>>430-433
GJ! 死にたくなりましたw

>前305氏
萌え死にました
458前スレ851:2007/09/22(土) 00:01:02 ID:mgzufCY+
>>457
どうも。私も読み返してみて、死にたくなりました。
発想暗いですね・・・でも、こういうの好きみたいです、自分としては。

パロ小説を始めて何本か書いてみたけど、自分で考えている以上にストーリー
とかの引き出しや発想が少ないし、表現もすぐステレオタイプな繰り返しにな
ちゃいますね。書いてみて初めて分かった・・・。才能ないわ・・・。

みなさん凄いです。

430はお分かりと思いますが、年忘れのエピに影響されて思いついたのですが、
今調べてみると千里の肌年齢は28歳なんですね。なんで27歳と思い込んでい
たのだろう。28歳ならちょうど10年、と出来たのに・・・まあ、いいや。
459名無しさん@ピンキー:2007/09/22(土) 07:50:19 ID:pJdrHQ6/
>>444

ちょ、ま、うP主さんでしたか!
マイりストに入れて1日1回は見てます。
修正版も見てます。

ああ、これは期待せざるを得ない…けど、やっぱり泣けってことですかぁぁぁぁあ!
460名無しさん@ピンキー:2007/09/22(土) 09:10:46 ID:G6hXZY3S
>>458
漏れも27歳だと勘違いして憶えてたw  切ねーよぉ・・・


>>448
もみ合ってるくだりで、「このまま濡れ場に突入できんじゃん!?」
と思ってしまった漏れは、イロイロ終わってるorz
まさかマヨに萌えるなんて(*´д`)
確かにまつげがカワええ。<目を閉じたら美少女>って属性とは気がつかんかった!GJ!
461名無しさん@ピンキー:2007/09/22(土) 10:46:03 ID:fm6Jg5LU
よ、よんひゃくきろばいとを超え・・・る・・・?
462名無しさん@ピンキー:2007/09/22(土) 10:49:34 ID:Dr+sONz/
>>1がスレ立ててからまだ二週間たってないんだぜ
463名無しさん@ピンキー:2007/09/22(土) 11:47:50 ID:G1fS1FqB
ええい、鬱カフカの続きはまだか!!
464名無しさん@ピンキー:2007/09/22(土) 12:50:20 ID:VEEhwa7B
>>341氏=うぷ主と知った時点でもうすでに「真昼が雪」は涙なしには読めなくなった
465名無しさん@ピンキー:2007/09/22(土) 13:20:43 ID:G6hXZY3S
あと予告にあったのは、

>>146さんの可符香SS 終章
>>272さんの長編SS 続き
>>220さんの三珠SS
>>280さんの大草さんSS
>>283さんのあびるSS
>>285さんの兄妹愛SS
>>287さんのマリアSS続き(忘れたころ)

だったかね? すげー量だw wktk

スレの容量が残り103kくらいとして、全角1文字=2バイトだったけ? だと、残り、ザッと51000文字分か?
146さんの可符香中編が14kくらいで、272さんの前回の投下が16kくらい。
平均15kくらいとすれば、マリアss以外が一度に投下されてもへいきかな? 
ということで、全裸待機の準備ww
466名無しさん@ピンキー:2007/09/22(土) 13:21:06 ID:zAwuGhKy
マジであのうp主なのか
あれはもう毎日観てるくらい大好きなんだぜ
467名無しさん@ピンキー:2007/09/22(土) 14:22:33 ID:JQtuU8qh
これもアニメのおかげか
468名無しさん@ピンキー:2007/09/22(土) 17:38:17 ID:AeTL+wLp
なんかもう毎日wktkが止まらないんですけど
469430:2007/09/22(土) 17:53:02 ID:2UJwpGCd
な、なんか、スレがすごいことになってるので、ラッシュに紛れてみる。

先生×可符香+久藤君×倫ちゃんで、元ネタは、人格ポータビリティです。
困ったときに使うと人気が取れるラブコメ的手法…のはずなのに
全然ラブコメになっていないという…orz
470交換 1/8:2007/09/22(土) 17:53:39 ID:2UJwpGCd
「…いったい全体、どうしてくれるんですか。」

街角にある急な階段の下。
望は、この上なく不機嫌な顔でクラスの女生徒を睨みつけていた。
その女生徒は、望が心から愛しているはずの少女、風浦可符香。
一方、可符香はふてくされたようにそっぽをむいていた。

何故か、可符香の横には倫がそっと寄り添っていた。
そして、望の隣ではこれまた何故か、
久藤准が困った顔をして、望を見上げていた。

望は、再び押し殺した声で、可符香に向かっていった。
「聞いているんですか、久藤君。」
「聞こえてますよ、何度も言わなくたって。」
久藤君、と呼ばれた少女はうんざりした顔で望を振り返った。


ことの起こりは本日の放課後。

可符香と望がのんびりと街を散歩していたところに、
倫とデートをしていた准が、階段で足を踏み外し、転がり落ちてきた。
そして、見事に可符香とぶつかって、その中身が入れ替わってしまったというわけだ。

「ここでは、私も以前、木村さんと入れ替わった(というより追い出された)ことが
 ありますし、何かの磁力が働いているとしか思えませんね…。」
望が階段を見上げてため息をついた。

准の姿の可符香が、うーん、と腕を組んだ。
「この前に先生が入れ替わっちゃった後、みんなでいろいろ試したんですよ。
 結局、2人で抱き合って飛び降りるのが、一番、成功率が高かったかなぁ。」

望の顔色が変わる。
「抱きあ……許しませんよ、そんなの!!」
「だって、じゃあ、どうするんですか!!」
471交換 2/8:2007/09/22(土) 17:54:36 ID:2UJwpGCd
言い争う可符香(in准)と望を見て、倫は頭を振った。
「ああ、もう、お兄様ったら…。」

准(in可符香)は、少し不服そうに口を尖らせた。
「…倫ちゃんは、僕と杏ちゃんが抱き合っても平気なの?」
「馬鹿なことを。心のこもっていない抱擁など、何の痛痒も感じん。
 …私は、そんなこと、心配する必要などないのだろ?」
にっこりと問い返されて、准は可符香の顔で赤くなった。

なにやらほのぼのした雰囲気の2人に、望の鋭い声が飛ぶ。
「そこ!ラブコメしてるんじゃありませんよ!」
「…ラブコメしてたのは、お兄様の方じゃありませんか…。」
倫は小さい声で呟いた。

「で、どうするんですか、先生。僕と杏ちゃんが抱き合うのが駄目って
 言うんだったら、ずっと僕らこのままですか?」
准の言葉に、望がぐっと言葉に詰まる。
「それに…僕、さっきからトイレに行きたいんですけど…。」

―――間。

「ちょっと、准君、それって……やだ!」
「そんなことしてご覧なさい、あなた、明日から出席名簿に載ってないですよ!」
「だったら、どうするんですか、ここで漏らしちゃってもいいんですか!?」

かなりレベルの低い言い争いが続いた後、望が悲壮な顔で決断を下した。
「…分かりました。久藤君、あなた、目隠しをしなさい。そして、倫。
 あなたが久藤君について行って、彼が可符香の体に触らないよう、
 用を足すのを手伝ってあげてください。」
「なっ…!」
倫は絶句した。

しかし、准を見ると、どうやら事態はかなり切羽詰っているようだ。
「分かりましたわ…お兄様、この貸しは大きいですわよ。」
倫は、しぶしぶと、目隠しをした准を、近くの公衆トイレに連れて行った。
472交換 3/8:2007/09/22(土) 17:55:26 ID:2UJwpGCd
しばらく後、ぐったりとした倫が准を連れて戻ってきた。
「こんな心身ともに疲れることは、二度とごめんですわ…。」
そう言うと、その場にしゃがみこんでしまった。

「先生。やっぱり、私と准君で一回飛び降りるしかないですよ。」
「そうですよ、僕、この先、風呂にも入れないとか、嫌ですからね。」

「…風呂ですって…!?」
望の声が裏返る。
ちらりと倫を見たが、倫にこれ以上の協力を頼むのは無理そうだった。
望はしばらく腕を組んで考え込んでいたが、やがて、顔を上げた。

「分かりました。それじゃあ、こうしましょう。
 まず、久藤君に可符香の体の中から出て行ってもらって、
 私が可符香の中に入ります。」
「「「…は?」」」

「ですから、まずはじめに、私と、可符香の姿の久藤君が一緒に落ちます。
 その後、私の姿の久藤君と可符香に、一緒に落ちてもらいます。
 それで、久藤君はもとの姿に戻るでしょう。
 あとは、私と可符香が入れ替わればいいんです。」

滔々と説明する望に、可符香と准は、うんざりとした顔を見合わせた。
「…なんで、わざわざそんな面倒臭いことを…。」
「よっぽど、僕と杏ちゃんが抱き合うのが嫌なんだろうね、先生…。」
「図書室でのことが、トラウマになってるのかも…。」

「はい、決まったら善は急げですよ!
またトイレに行きたくなる前に、片付けてしまいましょう。」

望と准は、階段を上ると、お互いに向き合った。

「可符香と抱き合うといっても、中身があなただと思うと非常に不愉快ですね。」
「…先生なんか、少なくとも僕の外身は杏ちゃんなんだからいいじゃないですか。
 僕なんか、相手は中身も外身も先生なのに抱き合わなきゃいけないんですよ。」
「……。いつかあなたとは本気でケリをつけたいと思いますよ。」
473交換 4/8:2007/09/22(土) 17:56:14 ID:2UJwpGCd
階段の上で睨み合っている2人に、可符香が下から声をかけた。
「先生!准君!何やってるんですか!
 今度は、私がトイレに行きたくなっちゃいますよ!」

望と准は、もう一度不機嫌な顔を見合わせると、しぶしぶ、双方の体に腕を回した。

「いいですか、久藤君。」
「とっとと降りましょう、先生。」

そう言うと、2人は階段の上から飛び降りた。

望は、飛び降りる瞬間、可符香の体を自分の体で包み込んだ。
中身は生意気な小僧であっても、体自体は大切な恋人のものである。
決して、怪我などさせてはならない。

―――どすっ!

望は、体にものすごい衝撃を感じ、次の瞬間目の前が暗くなった。


「…せい、先生!?」
ハスキーな少年の声が、自分に呼びかけている。
「…っ。」
望は、起き上がろうとして、自分がセーラー服を着ていることに気が付いた。
―――どうやら、成功したようですね。
顔を上げると、心配そうな顔をした准の顔が目の前にあった。

「…。」
その中身が、自分の恋人だと認識するまでにしばらくの時間がかかった。
「あー、と。大丈夫、あなたの体は、傷1つありませんよ。」
複雑な笑顔で可符香(in准)に向かって微笑んでみせる。

と、隣を見ると、青い顔をした自分が倒れていた。
「准、准、しっかりしろ!」
倫が涙声で自分の体を揺さぶっている。
どうやら、先ほどの衝撃からすると、自分の体はもろに地面に叩きつけられたらしい。
474交換 5/8:2007/09/22(土) 17:57:03 ID:2UJwpGCd
「…ん。」
准(in望)がうっすらと目を開けた。
「准!」

准はのろのろと起き上がると頭をさすった。
「いてて…。先生、受身くらい取ってくださいよ…。」
ぶつぶつと文句を言う。
「うるさいですね。自分の体をどう扱おうと私の勝手ですよ。」
「怪我をするのは勝手ですけど、当面、その痛みを感じるのは僕なんですからね。」
そういいながら、准(in望)は、体のあちこちをなでさする。

「准…良かった…。」
倫が、震える声で、准に寄り添った。
准は、倫の目の端に涙が滲んでいるのを見てはっとした顔をした。
「倫ちゃん…そんなに、心配してくれたの?」
「…。」
倫が赤くなって横を向いた。
「倫ちゃん…ああ、もう、君って何て可愛いんだ!」
准は、いきなり倫を抱きしめると、熱烈に口付けた。

「ちょ…っ!」
望が血相を変えて、2人を引き離そうと体を乗り出す。
と、背後から、息を飲む声が聞こえてきた。

振り向くと、そこには奈美、あびる、千里の3人が立っていた。

「なんで、あなた方がここに…。」
望の呟きをかき消すかのように、奈美が大声をあげた。
「先生…!?兄妹でいったい何やってるんですか!?」

望は青ざめた。
確かに、傍目からは、望が倫を抱きしめ口付けているとしか見えない。

「…先生、不潔。」
呟くあびるの横で、千里が無言でバットを振りかざした。
475交換 6/8:2007/09/22(土) 17:57:52 ID:2UJwpGCd
結局、千里が暴れたために誤解を解く間もなく3人が立ち去った後、
望は准に詰め寄った。

「…なんて事をしてくれたんですか!?久藤君!!」
「せ、先生、それよりも、僕、本当に死にそうなんですけど…。」
准は、千里にぼこぼこに殴られて頭から血をだらだら流していた。
倫が、その横で、必死でハンカチで血をぬぐっている。

「情けないですね。それくらいのこと、日常茶飯事ですよ。我慢しなさい。」
「…先生って、実は思ったよりもハードな人生を生きてるんですね…。」
妙なところで感心している准の前に、望はスカートを翻して仁王立ちになった。

「さあ、今度は、久藤君に私の体の中から出て行ってもらいましょうかね。」
「…出て行けって…自分が、交換を申し出たくせに…。」
「今度は、その体に可符香が入るんですから、きちんと体を庇って落ちてくださいね。」
「それって、怪我する体も痛い思いをするのも、僕になるってことですよね。」
「当たり前じゃないですか。それが何か?」
「…なんでもありません。」

「准、余り無理しなくていいぞ…。」
倫は望に聞こえないよう、小さい声で囁いた。

階段の坂の上。
可符香(in准)は、准(in望)の腕の中で、ぎこちなさそうに身じろぎした。
慣れ親しんだ恋人の腕とは言え、中身は幼馴染、しかも自分はその彼の体、
という状況に、どうも違和感があるらしい。

望は望で、これ以上ないくらいのしかめ面で2人を見上げていた。
「さ、てきぱきと事務的にやっちゃってください。」
いくら体は自分のものであっても、准と可符香が抱き合うのは気に入らない。
倫も望の隣で、多少複雑な顔をしていた。

と、そこに、再び後ろから息を飲む声がした。
「せ、先生!?久藤君!!??」

振り向くと、そこには、藤吉晴美が立っていた。
476交換 7/8:2007/09/22(土) 17:58:35 ID:2UJwpGCd
望は頭を抱えた。
―――なんで、よりによって一番まずい子に目撃されるんですかね…。

「やっぱり…やっぱり、久藤君と先生はリアルBLなんですね!!」
坂の上で抱き合う2人を見て、嬉しそうに目を輝かせる晴美に、
その場にいる全員が声を合わせて叫んだ。

「「「「ちがーーーーう!!!」」」」

しかし、晴美には、その叫びが全く聞こえていないようで、
「新刊、冬の祭典に間に合うかなあ…。」
と独りごとを言いながら、スキップでその場を立ち去った。

望は、引きつった笑顔で准を振り仰いだ。
「…近親相姦の次は、生徒とリアルBL、ですか…。
私、いったい、学校にいられるんですかね…。」
「と、とりあえず、僕だけでも早く元に戻りましょう…!」


准と可符香の入れ替わりは、その後、スムーズに行なわれた。

倫が、
「准!これで、全部お前に戻ったんだな!」
と嬉しそうに准に飛びつく。

その横では望(in可符香)が可符香(in望)を抱き起こしていた。
「大丈夫ですか?どこも痛くないですか?」
「千里ちゃんに殴られた跡がずきずきしますけど…あとは大丈夫ですよ、先生。」
可符香は起き上がると、逆に望を抱きしめ返した。

「あ…。」
今まで体験したことのない感覚に、望は小さく声を上げた。
小さなこの体が、すっぽりと「自分」に包み込まれる感じが、とても心地よい。

―――可符香は、いつも、こんな風に感じてくれてるんでしょうか…。

見上げると、可符香(in望)も、赤くなっていた。
「な、なんか、変な感じ…。自分の体なのに、こうやってぎゅってすると、
 愛しい気持ちが溢れてくるみたいで…自分相手に、ヘンですね。」
477交換 8/8:2007/09/22(土) 17:59:26 ID:2UJwpGCd
望は、緑がかった自分の目を覗き込んだ。
「お互い、相手の自分に対する愛情を、身をもって確認できるって言うのは、
 なかなかいいですね…。」

そういうと、にやりと笑った。
「どうです?このままの姿で、より深い愛情を確認するって言うのは。」
「え…。」
可符香が一瞬きょとんとした顔をして、次の瞬間真っ赤になった。

「や、やですよ、そんなアブノーマルなの!!」
「めったにできない体験だと思いますよ?」

顎に手を当てて、にやついている望(in可符香)と、
赤く頬を染めて体をよじらせる可符香(in望)。

―――端から見ると、かなり奇怪な光景であった。

と、そこに、携帯を持った音無芽留が通りかかった。
芽留は、赤い顔で身をよじり恥らっている「望」の姿を見て、
恐ろしいものを見たかのように固まった。

次の瞬間、芽留は、「望」の姿を携帯で激写すると、
稲妻のようにメールを打ちながら、その場から立ち去った。

准と倫は、その一部始終を端から見ていたが、准がぽつりと呟いた。
「…僕、だいたい、あのメールの内容、想像できるんだけど…。」
「…私もだ。想像するな。頭が痛い。」

芽留に全く気が付かずにいちゃこらしている2人を見ながら、倫と准は、
「…さて、我々は帰るとするか…。」
「そうだね、…何だか、今日は疲れたよ……。」
ため息をつきつつ、その場を後にしたのだった。



望の明日は、神のみぞ知る…。



478430:2007/09/22(土) 18:01:36 ID:2UJwpGCd
お付き合いいただき、どうもありがとうございました。

で、この後の先生(in可符香)×可符香(in先生)のエロも一応書いたのですが、
結局、お互いが相手の体を使って自分の体と…ということになるわけで、
出来上がりを読んで、自分が微妙に引いてしまったので、本編(?)と分けました。
そんなん落とすな!と言われるかもしれませんが、まあ、スレの流れも速いし…。

という訳で、以下は、心にデッドスペースのある方だけ、お読み下さい…。
479交換の後 1/6:2007/09/22(土) 18:03:35 ID:2UJwpGCd
結局、階段坂の下での攻防は、望が勝利したらしい。
可符香と望は、お互いの体を交換したままの姿で、部屋で向かい合っていた。

可符香が、望の体を、もじ、とよじらせる。
「なんか…どうすればいいか、分からないですよ、先生…。」

それは望も同じだった。
「いつもは、私は、どうやって始めてましたかね…。」
「…先生は、いつも、キスしてくれますよ。」

「…。」
望は黙り込んだ。
自分の顔にキスされるのは、余り楽しくない。

「キスの次は?」
「…そんなの…。いつも夢中で、覚えてないです…。」
再び、2人の間に沈黙が落ちる。

―――これは、可符香を先に点火してしまった方が早そうですね。
「とりあえず、服を脱ぎましょうか。」
「え…。」

お互い、慣れない仕組みにもたもたしながら服を脱ぐ。
可符香は、一糸まとわぬ自分の姿を見て顔を赤らめると目をそらせた。

「さて…。」
望は、可符香のものである細い指を望自身に向かって伸ばした。
「まず、あなたにその気になってもらわないと…いいですか?」

勝手知ったる自分の分身。
どこをどうやれば良いのかは知り尽くしている。
果たして、望が動かす可符香の指に、あっという間にそれは固く立ち上がった。

ふと見上げると、紅潮し、息を荒げた自分の顔がある。
「せ、先生…。」
低い声は、興奮のためかかすれていた。
480交換の後 2/6:2007/09/22(土) 18:04:24 ID:2UJwpGCd
しかし、望は、逆にどんどん気持ちが萎えていくのを感じた。
―――あまり、見たくない光景ですね…。

それはそうだろう。
あくまでもノーマルな男として、頬を染め、自身を昂ぶらせた自分の姿など
見ていて決して楽しいものではない。
―――やめますか…。

と、
「先生…どうしよう…私、これ、我慢できない…!」
可符香が、震えながら、望に抱きついてきた。

―――どうやら可符香も、男の生理の切なさを分かってくれたようですね。

と冷静に分析する自分がいる傍ら、
可符香が耳元で漏らす喘ぎ声に、体の芯が潤んできていることに気が付いた。

―――これは…なぜ…。
自分の声だというのに、こんな反応が起きるのは、その中身が可符香だからか。
それとも、この体が、自然と自分の声に反応するようになってしまっているのか。

―――後の方だと嬉しいんですが…。

体の奥に感じ始めた疼きに、望は心を決めた。
体に回された「自分」の手を取ると、それをそっと今の自分の白い胸の上に導いた。
「そのまま突き進まれては、あなたの体が壊れてしまいますから…。
 私を受け入れられるよう、この体に潤いを与えてやってください。」

可符香が望のものである頬をさらに赤く染めた。
「え、って、ど、どうすれば…。」
「あなたが、私にしてもらって気持ち良いと思うことをすればいいんですよ。」

望がそう言って微笑むと、可符香は、少し考えていたようだったが、
やがて、そっと望に…自分の体に、手を差し伸べた。
481交換の後 3/6:2007/09/22(土) 18:05:07 ID:2UJwpGCd
狭い部屋に、2人の息遣いが響く。

「…くっ…ぁあ!」
可符香の…自分の手の動きに、望は翻弄された。

いつも、自分が男として感じる快感とは、まったく別の感覚。

明快で分かりやすい前者と異なり、女性として与えられる快感は不安定で、
体の奥深くから湧き上がるような快感に、上り詰めそうになっては、
次の瞬間、それはふっと遠のき、もどかしい思いが募る。

―――こんなんで、長時間責められたら、体が持ちません…!

普段の、自分の可符香に対する行為に、多少自省の念が浮かんだが、
そのうちに、可符香の指先に体中の感覚が集中し始め、次の瞬間、
全ての思考が吹き飛ぶような快感が、つま先から頭の先へと通り抜けていった。

「―――っ!!」
望は、歯を食いしばった。

余りの刺激の強さに、いまだに足の付け根の辺りがしびれているようだった。
息が切れ、体を動かす気にもなれない。
しかし、同時に、体の芯では以前にもまして疼きが高まっており、
体は、その疼きを治める収めるための、自分を埋め尽くす何かを欲していた。

ふと、自分に覆いかぶさる影に、顔を上げる。
そこには、泣きそうな表情の、自分の顔があった。
「先生、先生、もう、私、我慢できません…!」

―――私の体って、そんなに我慢がきかなかったですかね…。

ちょっと傷つきながら、望は可符香を黙って見上げた。
482交換の後 4/6:2007/09/22(土) 18:05:52 ID:2UJwpGCd
「先生、いい…?」
目の縁を赤く染めた「自分」が尋ねてくる。
いつもは、自分が可符香に対して発する言葉。

望は、返答に詰まった。
可符香の体は、交わることを強く欲してはいるものの、
今さらながら、どこかで及び腰になっている自分がいるようだ。

―――やっぱり、さすがに、ちょっと…。

しかし、体を起こそうとした望に対し、
「ああ、もう、だめ……先生!!」
そのためらいを吹き飛ばすかのように、可符香が望を押し倒した。
「…ぅあっ!」
望は、あまりの衝撃に声を上げた。

体の中が、自分以外のものでいっぱいになる感覚。
それを待ち望んでいた可符香の体は、その異物を締め付けることで応えた。
同時に、いまだかつて感じたことのない快感が、望の背を走る。
「くぅ…っ!」

―――こんな…可符香は、毎回、こんな状態なのか…!

先ほど上り詰めたばかりで敏感になっているところを、激しく突かれ、
そのたびに、可符香の白い体は跳ね上がる。
「あ、ぅっ、ぁあ!」
恥ずかしいと思いながらも、どうしても声が漏れる。
せめてもの救いは、その声が愛しい少女のものであるということだ。

一方、可符香の方も完全に余裕がないようだった。
「先生…先生…先生…!」
うわごとのように繰り返しながら、体を打ち付けてくる。

与えられる刺激の強さに、気が遠くなりそうになり、
望は、必死で意識を保とうと努力した。

そこに、可符香が、よりいっそう強く深く、自身を埋め込んできた。
「あああああああああ!」
全ての意識が、そこに集中し、痙攣する。
望は、頭の中が真っ白になり、次の瞬間、意識を失った。
483交換の後 5/6:2007/09/22(土) 18:06:30 ID:2UJwpGCd
目を覚ますと、相変わらず、自分の顔が覗き込んでいた。
その表情は、いくぶん、心配そうだ。

「可符香…。」
「先生、大丈夫でしたか…?私、途中から夢中になっちゃって…。」

望は体を起こした。
体の奥に、鈍痛を感じる。
「大丈夫です…あなたの方は?」

可符香は、望の首を振った。
「私は、全然…何ともないです。…でも。」
その顔がふいに赤くなる。
「何か…すごかった…。」
「ん?」
「男の人って…あんな風に、気持ちよくなっちゃうんですね。
 先生の気持ちが、よく分かりました。」

望は、可符香の正直な感想に思わず笑い出した。
「分かってくれましたか…普段、私がいかに努力して自分を抑えてるか。」
「ん…。」
可符香は頷くと、顔を上げて、望の顔で口を尖らせた。
「でも、先生だって、分かってくれたでしょ。私が、どんなに大変か…。」

「…。」
望は、思わず言葉に詰まった。
可符香の言うことは、事実だった。
可符香のこの細い体が、望と交わるたびにどれだけ翻弄されているのか
まさに身をもって体験したのだから。

望は吐息をついた。
「ええ、確かに…今回の体験は色んな意味で貴重でしたね。…でも。」
可符香を見る。
「私は、やはり自分の体であなたを抱くほうがいいですね。」
可符香も、望の頬を赤く染めて頷いた。
「私も…先生に抱かれる方が、すき。」
484交換の後 6/6:2007/09/22(土) 18:07:13 ID:2UJwpGCd
2人は、連れ立って階段坂まで赴くと、スムーズに入れ替えを果たした。

「ああ、やっぱり自分の体が一番落ち着きますね。」
満足げに自分の腕をなでる可符香に、望が頷いた。
「そうですね…では、早速。」
望は、にやりと笑った。
「今回は、あなたの体のどこが感じるのか、身をもって学習しましたから、
 その学習効果を試させていただきましょうか。」

可符香の顔が赤くなった。

「もう、大変だって言ったのに、全然学習してないじゃないですか―――!!」
「男の生理は切ないものなんですよ!あなたこそ、学習したんじゃなかったんですか?」

楽しげに言い争う2人を、塀の上の猫があくびをしながら眺めていた。


485430:2007/09/22(土) 18:10:06 ID:2UJwpGCd
ごめんなさい、石を投げないで下さい…。
次は、正統(?)なエロを書くよう頑張ります…!


ああ、アニメが今日で終わっちゃうんですね…。悲しい。
486名無しさん@ピンキー:2007/09/22(土) 18:16:23 ID:xPZbs1qg
>>485
>>471
>准(in可符香)は、少し不服そうに口を尖らせた

コノ辺りなんか変じゃないの?
487名無しさん@ピンキー:2007/09/22(土) 18:41:28 ID:esXwgHo6
>>485
凄い勇者を見た気分だ…GJ、自分は凄く面白かったです。

真昼が雪を投下してしまってる者ですが、量が想像以上になってきとります
下手すりゃ次スレにまで迷惑かけそうなんですけど…エロシーン一回だけなのに
今回も物凄く容量食います。11レス、約16KB?くらいです。まだエロにとどかねぇ…!
488真昼が雪 22:2007/09/22(土) 18:43:00 ID:esXwgHo6
昼食の後、ダラダラとお喋りをしていた為、あれから結構な時間が経ってしまっていた。
取り出した懐中時計は、午後3時半を告げている。
それでも、街に出て着物を買って帰るのに遅すぎる時間ではない。
望は可符香を一瞥する。彼女は望の前を、いつものように軽い足取りで歩いている。
見慣れた並木道。ついさっき犬を埋葬した場所に差し掛かる。
可符香は土の盛り上がった木の根元――犬の眠るその場所を、チラリと横目に見た。

それだけだ。

思わず足を止める望を置いて、さっさと先へ行こうとする。
「お祈りはしないのですか?」
予想外の態度に驚いて、立ち止まったまま可符香を呼び止めようとする。
「さっき皆で、十分お祈りしたじゃないですか」
「ですが…」
「置いてっちゃいますよー、先生」
望の声に立ち止まる事すらせず、言葉通りズンズン先へ進んでいく可符香。
慌てて追い付こうと、小走りで駆け寄り、隣へ並んだ。
可符香は相変わらずの笑顔で、ただ前だけを見つめている。望の方を見ようともしない。
「どうしたんですか、風浦さん」
「何がですか?」
問い掛けにようやく、こちらに視線を向ける可符香。
つい条件反射で目を逸らしそうになるが、ぐっと堪えて言葉を続ける。
「何がって…普通ここは、お祈りの一つもする所でしょう。不自然です」
「じゃあ先生はお祈りしてればいいじゃないですか」
答える可符香の声は、いつものそれよりやや固く響いた。
489真昼が雪 23:2007/09/22(土) 18:43:58 ID:esXwgHo6
妙に突き放した物言いに、怒りよりも戸惑いが生まれる。
「変ですよ、風浦さん」
「変じゃないですよ」
笑顔で答えて、可符香は歩を速めた。
最初と同じように、望の前を歩く形になる。これでまた、表情が見えなくなった。
つれない態度に思わずムっとして、望も歩を早める。
並ぶ二人。するとまた、可符香が歩を早めて望を追い越す。
追う望。追い越す可符香。それをまた追って、再び追い越される。

―――――明らかに、何かから逃げている。
望から…というより、これ以上言及される事を避けるように。

最近の可符香は、少し様子がおかしかった。
よく注意しないとわからない程度にだが、稀に、望から逃げるような態度を取るのだ。
もちろん、いつもはここまで露骨ではない。
彼女の態度がおかしくなり始めたのは、丁度、望が久藤と図書室で話をしてからしばらくしての事だ。

―――正しくは、可符香は態度を変えたりしていない。今まで通り望に接している。
違うのは、望の彼女を見る視点だった。
可符香が稀に何かから逃げるような態度を取っている事に、最近になって望が気付き始めたのだ。
今までは、僅かな違和感でしかなかった。
だがこうして露骨な態度を取られて、ようやく望は、彼女が逃げの姿勢を取る時に見せる、感情の色を理解した。

「何を怖がっているんですか」

その言葉に反応して、
望を追い越そうとした可符香の足が、止まる。
490真昼が雪 24:2007/09/22(土) 18:44:58 ID:esXwgHo6

今度は望が彼女の数歩先を行ってしまい、思わず踏鞴を踏んで立ち止まった。
振り返り、その表情を窺う。
相変わらず完璧な可符香の笑顔。
その中で、瞳だけが僅かに揺らめいていた。
「先生こそ、最近変ですよ」
質問に答えるつもりはないらしい。
話題を逸らすような言葉に、あえて乗る事にする。
「私がですか?」
「何だか最近、常月さんみたいです」
「…私が、ですか?」
それはつまり、どういう事だろう。
戸惑って言葉を失う望に、可符香はやや強い口調で続ける。
「私、先生に好かれるような事しちゃいました?
 最近なんだか、よく気にかけてくれますよね」

「――――……」

気付かれていた事に恥ずかしさを覚えて、熱くなる顔を隠すように、手の平で覆う。
「そ、そんな事はございませんよ」
答える声は、自分でも悲しくなるほど裏返っていた。
「安心して下さい先生。私、ちゃんと知ってますから」
だが彼女はそんな彼の様子など気に掛けず、空に視線を投げた。

「准君に言われたんですよね」

「!」
まさかの名前に驚愕を隠しきれず、望は息を詰まらせた。
「く…久藤君と、何を話したんです?」
まるで瞼の裏に久藤の姿があるように、瞳を閉じる可符香。
「私と先生との仲を、取り持とうとしてくれたんですよね、彼」
そうして、語り始める。
491真昼が雪 25:2007/09/22(土) 18:46:06 ID:esXwgHo6
 
◇ ◆ ◇ ◆

―――ある日を境に、可符香は望に対して違和感を抱いていた。
本人は隠していたつもりでも、彼が確実に自分を意識し始めている事が、日頃の態度で知れた。
例えばそれが、可符香が望んで彼の心の隙間に入り込み、その心を盗んだ結果というのならば、いい。
だが可符香は意図的に望の心を盗むような真似はしていない。
確かに保健室で思わせぶりな態度を取って見せたが、それだけだ。
望の性格からして、ああいうアプローチを受けたなら、逆に身を退くようになるだろう。
だというのに、彼は突然可符香を意識し始めた。
何か、他者による介入があったのだと、可符香は判断した。
そしてすぐに、その原因となった人物に思い当たる。
というより、自分が望に明確な好意を持っている事を知る人間が、彼しかいない。

保健室の扉越しに、二人の会話を聞いていた人物。
やんわりと問い詰めると、彼――久藤は、特に隠すつもりもないようで全てを話してくれた。
「二人の恋を、応援したくって」
幼馴染の恋の行く末を思っての事だったと、微笑みながら久藤は言った。
彼が可符香の身を按じているのは、本当の事である。可符香もその事は知っていた。
「ありがとう。でも大丈夫よ」
他人からの支援で実る恋は、フェアじゃない。恋というのは、自らの力で掴み取るものだ。
そう言って微笑む可符香に、久藤は頷いて見せた。
「余計な事をしたね」
詫びる彼に、可符香は笑顔で頭を下げた。

◇ ◆ ◇ ◆


「そう、ですか」
全て筒抜け、という事らしい。
何だか久藤と可符香に良い様に踊らされている気がして、冷や汗が頬を流れた。
「だから先生は気にしないで、今まで通りにしていればいいんです」
すぅ、と瞳を開く可符香。だが、視線は降ろさず空を見上げたままである。
瞳に蒼を宿した彼女は、しかし空など見ていない風に、遠く遠くを眺めている。
492真昼が雪 26:2007/09/22(土) 18:56:49 ID:6tTyhO1F
彼女の見ている世界は、きっと自分の見ているそれとは違うものなのだろうと、改めて思う。
――私にも見せて欲しい。貴女の目に映る世界を。
思わずそんな恥ずかしい台詞を考えてしまって、慌てて頭を左右に振る望。
(ああああ…これでは本当に、思春期の中学生じゃないですか)
唐突に頭を振り乱した望に、可符香はキョトンと視線を向けた。
「何やってんですか?」
「何でも!――それと、風浦さん」
「はい」
気を取り直すように、コホンと一つ咳払いして、
「えぇと、ですね…。私が貴女を気にしているのは、正しくは久藤君の言葉が切欠ではありませんよ」
「それは先生がそう思い込んでるだけですよ。ホラ、恋は盲目って言いますし」
「いいからお聞きなさい」
少しだけ強い口調で、ピシャリと言い放つ。
その言い方が妙に教師らしくて、思わず口を噤む可符香。腐っても学生である。

「多分切欠は、もう少し以前―――そうですね…。保健室で貴女に愛の告白をされた時です」
愛の告白、の所だけ、思わず棒読みになる。
それが照れからくるものか、それともあの言葉を告白と真正直に受け止められていないからか、望は自分でもよくわからなかった。
「一応女性にそういう事を言われた訳ですし、気にしないわけないでしょう?
 ホラ、何も問題はありません。誰に強要された訳でもなく、他でもない貴女が、私に目を向けさせたのですから」
言っている間、何故かどんどん熱くなる頬。
おそらく赤くなっているだろう自分の顔を凝視される事に耐え切れず、望は着物の裾で口元を隠した。
本当は顔全て覆ってしまいたいくらいだったが、それでは可符香の表情すら見えなくなる。

「あと、最後に訂正させていただきます。
 ――先生、確かに貴女を意識していますが、
 まだ恋とかそういった部類の感情ではありませんのでそこのところあしからずッ」

どうにか、言い切った。
思わず思い切り顔を背けてしまいたくなるが、どうにか気合で可符香の真っ直ぐな視線に耐える。
さっきまでは、むしろ積極的に自分から視線を逸らそうとしていたというのに、
何故かこういう恥ずかしい台詞を言う時に限って、可符香はじっとこちらの目を見つめてくる。
ちなみに可符香は、別にプレッシャーを与える為などではなく、
むしろ告白でも何でもない台詞を言うのに、やたら恥じらいまくる望が不思議でならなかった。
493真昼が雪 27:2007/09/22(土) 18:58:05 ID:6tTyhO1F
 
ちなみに要約すると、最後の一文はこうである。

『先生、まだ貴女の事、好きになった訳じゃないんだからね!』

(…ツ、ツンデレだ。)
その発想が自分で可笑しくなって、可符香は耐え切れず破顔した。声が、漏れる。
「―――ッく、あはは!先生、加賀さんの真似ですか?人気取りですか?」
「わ、笑わないで下さい!何の事ですか、人が結構真剣に話しているというのに!」
「っ、ふふふふ…だって。あはははは!」
妙なツボに入ってしまったようだ。
引き攣る腹筋を押さえて爆笑する可符香を、心外だと言わんばかりに不満気な顔で見下ろしていた望だったが、次第にその表情は優しいものに変っていった。
さっきまでの、妙にギスギスした雰囲気が嘘のように晴れていく。
それがたとえ自分を馬鹿にしているものとしても、さっきまで浮かべていた完璧過ぎる笑顔より、望には断然魅力的に思えた。
ひとしきり笑い転げて疲れたのか、弾む呼吸を抑えるように胸を押さえている可符香に、望は改めて怒ったような表情を作って見せる。
といっても、その目は優しく微笑んでしまっているのだが、本人は気付いていない。
「失礼ですね…何がそんなに可笑しいんですか?」
「ふふ…、何でもないですよぉ。あぁ可笑しかった」
「言ってる事が矛盾してます」
目尻に溜まった涙を拭ってこちらを見上げる可符香の頬は、熱を帯びたように上気している。
そんな彼女の表情が、素直に可愛いと思った。
「―――何だか、初めて貴女が笑うのを見た気がします」

「…は?」

リスを思わせる動作で小首を傾げる可符香。
望の台詞が本当に意外だったようで、キョトンと大きな丸い瞳を見開いている。
「何をお惚け言っちゃってるんですか、もー。私はいつだって笑ってるじゃないですか」
見せ付けるように、彼女は孤を描く自らの口元を指す。
望は少しばかりの罪悪感を覚えた。
せっかく和やかな雰囲気になったのに、これからまた、それを崩さなくてはならない。
それでも言わなければならない事がある。
望は意を決して言葉を続けた。
494真昼が雪 28:2007/09/22(土) 19:00:07 ID:6tTyhO1F

「そうですね――いつもの貴女の笑顔は…酷く痛々しい、です」

すぅ…と。
潮が引くように、彼女の柔らかな笑みが消えていく。 
それでも、笑顔である事に変わりはない。
ただその笑みの持つ性質が、ハッキリと変っていた。
能面のように、ある種完璧な笑みをその顔に貼り付けた可符香は、少しばかり固い声で答える。
「先生の言ってる事が、よくわからないです」
可符香は目を逸らさない。
どうやら、彼女に妙な対抗心が芽生えたようである。

さっきからやたらと突っかかってくるこの男を、いつもの如く、完膚なきまでに言い包めてやろう。

そういう意思が、その瞳から僅かに見え隠れしている気がした。
臨むところだと、その視線を真っ向から見返す望。

「貴女はいつも、何を恐れているのですか」
「そこに話が戻るんですね」
「はぐらかしたのは貴女の方です」
少しだけ強くなった風が、二人の髪を揺らす。望の着物の裾が翻り、バサリと音を立てた。
「今日の先生はいつにも増してお惚けさんですね。私に怖いものなんてあると思うんですか?
 あ、神様の事は確かに畏怖していますけど」
あくまでそれは尊敬の念ですよ。そう言って笑みを深める。
彼女はもう、完全に自分の心情を伝えないつもりなのか、笑顔の鉄火面を強くする。
以前の望なら、その変化にすら気付かなかっただろう。
だが今の彼は、そんな彼女の、どこか必死な様子を感じ取れる。
「以前の私なら、頷いていたんでしょうね。
 でも今なら―――もう少し、貴女の事を理解できる気がするんです」
「うふふ、そんなに想ってもらって嬉しいです。私ったらハート泥棒ですね。
 とっつぁ〜んさんに追いかけられちゃいますよ」
両の手首を合わせて、手錠のジェスチャーをする可符香。
何が何でもはぐらかそうとするその態度に取り合わず、話を続けようと口を開く。
「貴女は、もしかして」
495真昼が雪 29:2007/09/22(土) 19:01:16 ID:6tTyhO1F

「先生」

核心に触れようとした、その時。
遮るように、断ち切るように発せられた一言は、望の言葉を詰まらせるのに十分な力を持っていた。
可符香の笑みが、ほんの少しだけ崩れている。
眦が少しだけ釣り上がり、口元が僅かに引き攣る。
本当に注意しないとわからない程の、僅かな変化。
そこに浮かぶのは、純粋な怒りの感情だった。
「私はお買物に出ていたんです。
 そろそろ行かないと、タイムサービスが始まってしまいます」
「まだタイムサービスまで時間はあると思いますよ」
「私の行き付けのお店は、普通のお店よりも早くに始まるんですよ」
少しだけ早口に言って、可符香はそのまま駆け出そうと足を撓ませた。
「逃げるつもりですか」
その動きを止めるのに、望の一言は十分な力を持っていたようだ。

逃げる。
彼女にとっては聞き逃せない言葉だ。
とても後ろ向きな…ネガティブな言葉だ。

「さっきから喧しいですね、本当に」
声色こそいつもの調子とはいえ、もう完全にその台詞は、こちらに怒りを伝えてきている。
それでも笑みは、剥がれない。
「私は日々の糧を、より効率的に得ようとしてるだけです。
 それがどうして逃げるなんて事になるんですか?」
可符香は自分が劣勢である事を、否が応にも自覚していた。
いけない流れだ、これは。
それが判っているのに、今日の望は妙に強気で、中々言い負かされてくれない。
「貴女は」
望の唇の動きを凝視してしまう。
紡ぐな。もうこれ以上言葉を紡ぐな。そんな思いを込めて。

「貴女は怖がりだ。人よりもずっと、怖がりだ。
 だからそんなに必死になって、ネガティブな事を否定するんじゃないですか。
 そうでもしないと―――耐えられないから」

可符香は、唇を噛み締めた。
一瞬。ほんの一瞬。
彼女の顔から笑顔が消えた。
496真昼が雪 30:2007/09/22(土) 19:04:13 ID:6tTyhO1F

あぁやはり、嫌な予感はしていたのだ。
出会った時から、この男は自分の何か大切なものを、壊していってしまうんじゃないかと。

初めて彼を見た時、彼女は自らの記憶を悪いものとして思い出した。
もはや心乱される事などないと思っていた所に、この不意打ち。
けれどその原因となった男は、自殺など口ばかりのくだらない男。
何故この程度の男に、心乱されなくてはならないのだろう?
そうして次に生まれたのは、怒りの感情だった。

いっその事本当に絶望させて、居なくなってもらおうとも考えた。
けれど何があっても、どんなに絶望しても、男は「死」という選択だけは選ばない。
消せないというならば、男の全てを掌握してしまえばいい。
弱みを握って、心の隙間に滑り込んで、彼の全てを掌握してしまおう。
そうしていれば何の心配もない。こんなくだらない人間に、恐れる要素なんて何一つない。

そう思っていたのに。
  
否定するんだ。今すぐに。
まだ間に合う。今否定すればまだ、間に合う。

(だってそんなわけないじゃないですかいったい私の何を見てそんな事を言っているんです
 どの口が、どの口がそんな突拍子もない事を言うんですおかしいじゃないですか先生は何
 も知らないでいいんですよだって先生のキャラじゃないじゃないですか何をいきなりカウ
 ンセラーみたいな事を言い出しているんです貴方は毎日「絶望した!!」と叫んで可哀相
 ぶっていればいいんですよそうして私がそれを好意的な解釈でもって訂正してあげるんで
 すホラいつもそうしてきたじゃないですかどうして今更そんな私の存在全否定するような
 事言うんです先生は意地悪な人だなぁ先生の癖に、先生の癖に―――!)
497真昼が雪 31:2007/09/22(土) 19:07:38 ID:6tTyhO1F

後から後から、言葉が溢れ出てくる。
だがその量が膨大過ぎて、喉を通ってくれなかった。
外に出る事を許されなかった言葉達は、彼女の思考力を容赦なく奪っていく。
彼女は、混乱していた。
その僅かな隙に、畳み掛けるように望は言った。
「貴方のポジティブは、ネガティブに対する逃げなんじゃないですか。
 犬のお墓参りを避けたのだって、もうこれ以上悲しくなるのが嫌だったからじゃないんですか」
「…やだなぁ先生。あのワンちゃんの死は悲しい事なんかじゃないですよ。
 だってワンちゃんは神様の所へ行っただけ。来世で新しい命を授かって幸せになるんです。
 だから今更私たちがあの子の死を悼む必要がないってだけの話ですよぉ」
どうにか思考を整理して、今度はちゃんとポジティブな意見を返す事が出来た。
それでも望は食い下がる。
「なら、どうして…――」
(どうしてあの時、あんな顔をしていたのですか?)
そう言おうとして、今度は望が言葉に詰まる。
犬を抱えて立ちすくむ、彼女の姿が蘇る。
踏み切り越しに見た彼女の笑み。
――――それは今にも、泣き出しそうな笑顔だった。

◇ ◆ ◇ ◆

目前で犬が跳ねられた。
痛ましい姿を、可符香は悲しいと思った。
けれどその悲しみを直視できない。そういう風にしか、彼女は出来ていない。
真っ赤な犬を抱えて、ポジティブという言い訳を考えながら、迷子のように彷徨う可符香。

やだなぁ轢き逃げなんかあるわけないじゃないですか。
目の前でワンちゃんが弾き飛ばされたけど、轢き逃げじゃないんです。
これは、轢き逃げじゃなくて―――なんだろう?
あれ。
おかしいな、今日に限って、良い解釈が思いつかない―――

望に出会って、何事か聞かれた時も、彼女は何も思いついていなかった。
あの時望が台詞を遮ってくれなければ、どうしようかと思っていたくらいだ。
そうして今も、あの轢き逃げに対する言い訳を思いつけないでいる。
彼女の中であの光景はまだ、ネガティブな事として記憶されてしまっている。

だから犬の墓参りも、自然と避けてしまった。
このまま無かった事にしてしまいたかったのだ。

◇ ◆ ◇ ◆
498真昼が雪 32:2007/09/22(土) 19:09:34 ID:6tTyhO1F

「…何も問題ないって、言ってるじゃないですか」
けれど認めない。彼女はそんな自分の思考を認めない。
それらは全て無意識に行われる事だ。意識したらもう、彼女はそれに耐えられない。
意識してはいけない、気が付いてはいけない。
だからそれ以上言ってくれるな。もうその口を閉ざしてしまえ。
そんな思いを込めて、今日に限ってやたら饒舌な教師の顔を見つめた。
そこでふと、望の異変に気付く。

彼の顔色が、随分と青白いのは気の所為だろうか。

「――――先生?」
さっきまでの勢いはどこへやら、突然押し黙ってしまった望の顔を覗き込む。
近くで見ると、一層顔色が悪く見える。
さっきまでのやり取りはとりあえず思考の隅に追いやって、様子を窺うように声を掛ける。
「せんせ…」
「―――」
何か答えようとしたのだろう。
けれどそれは叶わず、望は突然身体をくの字に折り曲げて、地に膝を付いた。
可符香は思わず驚いて身を引くが、すぐに自分も膝を折って、俯く彼の顔を覗き込む。
「先生…、糸色先生ッ」
「…っひ、は―――」
呼吸がおかしい。
苦悶の表情で腹部を押さえて、パクパクと鯉のように口を開いたり閉じたりしている。
肩に手を回と、返ってくる感触で、以前よりも彼が随分痩せている事に気が付いた。
「す…っ、すぐに、救急車呼びますから…ッ」
動揺を隠し切れず、震える声で言いながら、慌てて鞄から携帯電話を取り出す。
コールしている最中も、少しでもその苦痛が和らげばと、背中を擦り続ける可符香。
「――…ぐ…、っ…ぇッ…!」
望の身体が僅かにはねる。


望が吐いた吐瀉物には、コーヒー色の血が混じっていた。

499名無しさん@ピンキー:2007/09/22(土) 19:21:34 ID:xPZbs1qg
 
500名無しさん@ピンキー:2007/09/22(土) 19:21:44 ID:6tTyhO1F
ああ…書き溜めてた分がほとんど無くなってもうた。
次の投下はもうちと先になるやもしれません…というかこれからも投下して大丈夫ですかコレ?

元ネタ知ってる人が多くて唖然。
そんでもって、誰も「嘘つけ」と言い出さないスレの優しさに泣いた。
き、期待すんな!期待すんなよ!色眼鏡かけんなよ!
ウジ虫の脳味噌程も文才ない奴に期待なんかすんなよ!
501名無しさん@ピンキー:2007/09/22(土) 19:25:11 ID:AeTL+wLp
これはなんという可符香ラッシュ
430氏、真昼氏、どちらも乙です

>>真昼氏
元ネタのような欝展開になるんですね…
毎日PC前で全裸正座で待機してます
502名無しさん@ピンキー:2007/09/22(土) 20:46:19 ID:Mqg2UbU5
>>all
映画化決定(AA自重
503146:2007/09/22(土) 21:41:46 ID:QK20MM+m
神々の投稿、凄いことになってますね。皆様乙です!
>>前305さん、素晴らしいです。あの三珠さんをここまで萌えにできるとは。
>>430さん ごめん、笑った。 チェンジとか、その発想なかったw。
>>真昼氏 文章うますぎ。 投下大歓迎!すまないが、期待してしまうっ!
>>502 映画化まじですか?w

今更ながら、会話以外の行初めを1段落とすと読みやすいことに気付いた。
うん、小学校で習ったよ。

前置きはこのくらいにして、最終章(+後日談)を投下します。
>>225、293の続きになります。
注意点は>>225ご参照。

3章の終わり方には、批判も強かったようで。
いろいろ悩んだ末での決断なので言い訳はしません。
反省は少ししているかも。

全18レスほど消費予定。急展開なのでご注意。
5044章@:2007/09/22(土) 21:43:17 ID:QK20MM+m
4章
 射精される寸前、今まで決して泣こうとしなかった、可符香の目から、
つーっと絶望の涙が零れた――と、その瞬間。

 真っ黒な絶望の奥から、ムクリと何かが起き上がって……


突然激しい衝撃が可符香を犯していた男を襲い、腹に強烈な
蹴りを受けたように、後方に吹っ飛ばされる。
 襖にのめり込むように倒れこむと、刺激を受けたのか、ボタボタと
だらしなく射精し始めた。

「な……ぼ…僕の貴重な子種が!!!」
「お前、何やってるんだ?……おい、逃がさないぞ!」
 叔父は、可符香が口のパンティを吐き出し、這って逃げようとするのを、
見つけると再び押さえ込もうとする。
 だが、少女は意外なほど強い力で猛然と抵抗した。
「う…これは、前も感じた……。オイ、何やってる。お前も手伝え!」
 一瞬呆然としていた従兄弟は、目に怒りを宿して立ち上がった。
「このアマ。許さないぞ!!種付けのために溜めておいたのに!!」
 激しく両者は攻防を繰り広げたが、さすがに大の男―それも特に屈強な2人
の前に、序々に可符香は不利になっていった。

―風浦さん!

 突然、可符香の脳裏に『絶望先生』の姿が浮かぶ。

―風浦さん、あなたの力を見せてください!!
「私の…?私には何の力もありません!!」

―あるじゃないですか!12話くらいから片鱗を見せ始めた力が!
 あなたは1話から成長したはずです。
 あなたの成長した力を見せてください!

 何を言っているのか分からなかったが、可符香は『絶望先生』が傍にいることで
強くなる自分を感じていた。
 可符香の脳内が今までの2人の行動を素早く精査していく。
 ふと気付く。
 自分の足を押さえ込もうと躍起になっている従兄弟に、鋭く叫んだ。

「……お兄さん、相変わらず叔父様の後追いなのですね。」
 可符香は、従兄弟の数々の行動に叔父への劣等感があることを感じていた。
 何かと自分と父親を比べる、肉棒の大きさすらも。
「なに!?」
 ムカッとしたように、従兄弟が顔をしかめた。
5054章A:2007/09/22(土) 21:44:37 ID:QK20MM+m
「無駄ですよ?私はもう叔父様の子を孕んでいますから。
お兄さんは叔父様の子どもを出産した後になさったらいかが?後に!」
「な……なんだって!!」2人が同時に声を上げた。
 キッと従兄弟は自分の父親の方に目を向けた。
「父さん、可符香とヤルときはコンドームを必ずつける約束だったよね!?」
「う……、でも俺は外に出してたぞ。」
「外だしは避妊にならないんだよ!貴様はいつもそうだ!!」
「お前、誰に向かって口聞いてんだ!」
 むろん、叔父の子を孕んでいるというのは嘘である。可符香は
叔父が求めてくるときはピルを飲んでいたし、最近学校で身体検査が
あったばかりだ。
 だが、従兄弟の言動には何故か自分の種ということに拘りが
あるように見えた。
 険悪な表情をする従兄弟に、すまなそうに謝る。

「ごめんなさい、でもしょうがないですよ。私は叔父様の物ですから。
そうそう、叔父様の行きつけのバーの山本さん。
お兄さん、あの人と仲良くやってるじゃないですか。それで我慢なさって。」
 ギクリと、従兄弟が可符香を見る。
 叔父の顔がみるみるドス赤くなった。
「なんだと……お前。俺の物に手ぇ出しやがったな。」
 所有欲の激しい叔父は怒りに燃えて、従兄弟に詰め寄る。
「チッ。だからなんだって言うんだ!何でも自分の所有物だと思うなよ。」 

「叔父様は、お兄さんの死んだお母様のことを思い出したくないのですよ。
悲しい過去ですもの、仕方がありません。」
 その一言は、従兄弟を完全に切れさせた。
「そうだ!母さんは、貴様のせいで……!!!」
 重みのあるパンチが、叔父に炸裂し吹っ飛ぶ。
 その後は、大乱闘である。
 2人は、可符香には目もくれずに殴りあいを始めた。

 可符香は、急いで居間から逃げ出し、家を飛び出した。



 可符香は、真っ直ぐにある場所に向かった。
―自分が始めに身を投げた場所。そこにいけば『先生』に会える気
がしていた。
 すっかり夜の帳に包まれた町をさながら夜の蝶のように駆け抜け、
目的のビルに到着する。すぐに屋上に上った。
 自殺未遂者が出たというのに、そのビルの屋上は変わらず鍵が
掛かっていなかった。
506名無しさん@ピンキー:2007/09/22(土) 21:45:05 ID:PnXA2rH0
>>485
430氏、あなたは一体何物・・・・・?
とうとう修羅の道に踏み込んだ姿を見るようでw
一気に読んで、突っ伏しましたw GJっす!!


>>500
ニコ見れないので、ようつべで見つけて観ました・・・・・・
あの映像に真綾さんの歌声は泣く・・・・

そして勝手に、430氏の「30倍悲しい・・・」には、helloがあうかな、
と、うっかり考えて・・・・・・・・・沈没いたしました。


皆さんのss見てるとホント自分も作りたくなる。
私も、また何か書いたら投下します。礼。
5074章B:2007/09/22(土) 21:45:15 ID:QK20MM+m

はぁはぁと息を整えながら、屋上の手すりに向かう。
鈍く鉄の色を放っている手すりに手をかけ、仰ぐように空を見上げた。
冬の寒空に広がる天球は、群青と灰色に包まれていた。

「うわぁ、満天の星空ですね。」
「そ…そうですか?私には灰色のスモッグにしか見えませんが。」
隣から少し高みのある声が聞こえた。
そちらを見ると、なにか淡い乳白色色の霧がチカチカと点滅しながら
漂っている。
目を凝らすと、その霧が少しづつ濃くなっていき、やがて人の像を結ぶ。
瞬間的に突風が吹いた――と、そこには和服姿の丸眼鏡をした
書生風の青年が立っていた。

「……先生!」
可符香は、懐かしさに胸をいっぱいにしながら、抱きついた。
彼の名は糸色望。『絶望先生』と呼ばれていた男である。
可符香が彼の胸に顔を埋めると、その体はまるで冷蔵庫の氷のように
冷たく、冷え切っていた。
思わず、身を引く。
「冷たいっ。せ……先生!これでは熱い抱擁にならないではないですか。」
可符香は小さな子どもがちょっとした抗議をするような表情で、
彼を見た。
 望は真っ白な顔でかすかに微笑むと、可符香の肩にそっと手を置いた。

「私は常世の者ではないのです。もう、死んでいる身なのですよ。」
 驚くべきことを淡々と述べる青年。
 だが、可符香はその異様な告白を聞いても余り驚いていなかった。
 何とはなくそのような予感がしていたのだ。

 望は、懐かしむような目で眼下の車道を見詰めた。
 この時間帯は車の通りも少なく、ポツポツと置かれた路灯が寂しげに光っている。
「かつてここは、桜の並木道だったのです。
大正の御世に、そこの1つの桜で首を吊って……まあ、早い話が自殺をしたのです。」
「どうして…。」
「私が自殺したわけなんて下らないですよ。
ただ、何となく絶望してしまったのです。
当然のように成仏できず、本を読んだり、TVを見たり、昼寝をしたり、
適当に絶望しながらこの世を彷徨っていました。」
5084章C:2007/09/22(土) 21:46:56 ID:QK20MM+m

「そこへあなたが来ました。
あなたを見たとき…。私はすぐにあなたの心の隙間が見えました。
そこは埋めてくれるものを待つかのように、ポッカリと開いていた
のです。」
 可符香は驚いたように自分の胸を見詰めた。
 自分に心の隙間があるという事を考えたことがなかったのだ。
「私の…心の隙間?」
「そうです。私は風浦さんの心の隙間にいつの間にか吸い込まれてい
ました。
あなたが深く寝ている間、私とあなたの意識は共有していて……。
後はご存知でしょう?」
 可符香は小さく頷いた。
「終わらない高校時代を巡っていたのですね。」

 望は少し唇をほころばせると、続けた。
「そうです。私は共有する意識の中で教師としてあなたを導こうと
しました。
人の心とこの世の現実を見せようとしました。
あなたも序々に人の心にある隙間―これは心の闇の部分です―に
気付き始めました。
しかし、私はやはり未熟でしたよ。
現実に戻ると、あなたはすっかり元のポジティブ少女に戻っていました。
私はあなたの傍で無力感を感じるしかなかったのです。」

「じゃあ、先生はずっと私の傍にいてくれていたのですか?」
びっくりした表情で可符香は顔を上げた。
「それならもっと早く助けてくれてもいいのに。」
ちょっと拗ねるような感じで呟く。
望は小さく首を振る。
白い首に痛々しい縄の跡がクッキリと付いているのが目に入った。

「あなたの心の隙間とは絶望ですよ
――――そして私はあなたの絶望の中空に吸い込まれたのです。

いつもは何かしたくても出来ないのです。
涙を流して、歯噛みしているしかないのです。
風浦さんが絶望を感じるときだけ、私はこの世に現出し、あなたを
助けることができるのです。」

 可符香は軽く衝撃を受けたように、一歩後退した。
 そして、空を仰ぎ、曇り空に鈍く光る半月を見詰め嘆息した。
「それって、酷い話ですよね。
絶望しないように、前向きにって頑張ってきたのに…。」
5094章D:2007/09/22(土) 21:47:31 ID:QK20MM+m
 しばらく、2人は黙ったまま見詰めあった。
 大地を駆ける微かな風が、少女の短い髪をそよそよと揺らす。
 闇の中で2人の目が、月の光を反射してチカリチカリと煌いていた。

 しばらくの沈黙の後、自嘲するように望は呟いた。
「まあ、私は幽霊ですので、できることにも限りがあるのですよ。」
 しばらく望の死人のような、いや死人そのものの白い顔をじっと
見詰めていた可符香はぽつりと言った。
「やだなぁ…先生…先生は、幽霊なんかじゃないですよ……。」
「え…?」
 可符香は突然、びしっと望の顔に人差し指を突きつけた。
「悪霊ですよ!!悪霊!人に取り付いて祟りをなすあの恐ろしい悪霊!!」
「え……えええええ???」
「あぁああ、絶望しました!私が苛められるのを見て、悦んでいたので
すね!絶望しました!!」
「い…いや、確かに欝勃起してましたけど……ってそうじゃなくて!」

 突然の展開に頭を抱える望に対して、さらに追撃が入る。
「先生のその和服姿!それなんですか!?」
「いや、大正の御世はこれが標準だった……」
「違うでしょう!!」
 ピシリと可符香は望の言葉を遮る。
「スーツだと、改●と見分けがつかなくなるからでしょう!
ただの小道具です!!ああ……絶望しました!
あだ●充作品の主人公が全員同じ顔に見える現実に絶望しましたっ!!」
「ひ……ひどい!!」

「あ。見てください!あそこ!」
 あうあうと涙に暮れる望をよそに、望の顔に突きつけていた指を
ぐるりと半回転して夜の帳の下りている町の方へ向ける。
 指の先には、ここからそう遠くない場所にある居酒屋があった。
 どうやら、まだ飲んでいる客がいるらしく、光の中に差し向かい
で酒を飲んでいる人の影が2つ、シルエットを形成している。

「まだ、酒飲んでるんですね。まぁ、酒を飲みながら語り合うの
は乙なものです。」
「何を言っているんですか。
あれは、絡み好きの上司と酒に弱い部下ですよ。
聞こえませんか、部下の慟哭が!魂の叫びが!嘆きの声が!
パワハラ(パワーハラスメント)です。
巷にはびこっているパワハラそのものです!」
「うわぁ……すごい嫌な情景ですね。」
 縦線を額に走らせてどんよりする望の周りを、可符香は楽しそうにスキップを
してみせた。
5104章E:2007/09/22(土) 21:48:43 ID:QK20MM+m
 望の目の前で不意に止まると、くるりと体を回転させて振り返った。
「決めました。私、もう前向きに頑張りませんから。」
「え…。」
「いつでも絶望しちゃいます。常にネガティブです。
絶望と悲しみによって目覚めた戦士、超(スーパー)ネガティブ少女、
風浦可符香です!!」
 可符香が胸を張って大きく宣言する。
 ズガビーンと望は仰け反った。
「な……なんですか、それ!!そういえば、髪も微妙に逆立っています!」
「これは妖怪アンテナですけどね。先生が近くにいるので反応している
ようです。」
 アハハとあっけからんに笑うその表情は、とても絶望戦士には見えない。

 可符香はふと真面目な顔に帰ると、そっと望の手を取った。
「私は、これからずっと絶望していることにしました。
そうすれば…そうすれば、ずっと先生と会っていられるから……。」
「風浦さん…。」
 まるで自らの体温を分け与えるかのように何度も望の冷たい手を
可符香は擦っている。


 望は、冬の寒空を見上げ、スモッグの中でも懸命に光っている1等星を
見詰めた。
 シリウスと呼ばれるその1等星は、青白くしかしはっきりと、数千光
年前の光を地球に届けている。

「風浦さん。絶望に留まるなんて悲しいこと言わないで下さい。」

 すっと望は東の方でポツンと明かりの点いている窓を指差した。
「あの家、何故明かりが点いているか分かりますか?」
「変態さんが夜遅くまでHなSS書いてるから?」
「違いますよ。あれは、さっきの酒の付き合いをしている部下の家です。
彼の妻が、夜食を作って待っているんですよ。」
「あ………。」

 目を細めて、その窓の光に語りかけるように話し始める。
「私はね、人に絶望していたんですよ。
相手を妬み…争いあい…非難し合う……絶望した私はせめてもの抵抗として、
自分という『人』を殺したのです。
でも、あなたの内面に触れたとき、私は人に絶望できなくなっていました。」
5114章F:2007/09/22(土) 21:50:43 ID:QK20MM+m

 そっと、自分の手を擦っている可符香の手の上に、もう片方の手を重ねる。

「絶望と希望は両輪のようなものです。
人は希望だけでは生きられない。絶望という現実は避けてはいけないんです。
でもね、絶望だけでも人は生きられませんよ。
もう一度希望を持ってください。」

 可符香はとたんに苦しそうな顔をした。
 いつもの楽観的な顔が急激に歪められる。
 唇はかさかさに乾き、堪えるように強く結ばれ、小さな手をぐっ
と握りしめた。
 彼女は必死に自分の中の何かと戦っているようだった。

 突然、望の着物の襟を掴んで握り締める。
 手が真っ白になるくらい襟が強く握られると、可符香は子どもがイヤイヤを
するようにショートカットの髪を振った。
「………さ……い……。」
 喘ぐように可符香は声を絞り出した。
「え?」
「先生……私とボディランゲージして下さい………。」
「そ……それは!ちょっとしたハグで『こんにちは』とか、人を指差す
とアメリカでは喧嘩上等とかそのボディランゲージではないですよね!?」
 可符香は必死さを目に湛えて、望を見上げる。
「先生と生徒は意思の疎通を図るべきです!!」
「い…いや、それは…その……。」
「私は先生が好きです!
最初からなんて、もう嘘はつきません。
最初は何だろうこの拗ねきった子どもは、と思いました。
次は、被害者気取りの上、段々ネタがなくなってきましたね、と思い
ました。」
 どよーんと、望の額に縦線が増えていった。
「でも、いつの間にか先生が私の心から離れなくなっていました。
本当のことですよ?
こんな私でも、恋というものを知ったんです。
希望を、私でも人を愛してもいいという証が欲しいんです。」
 一息にそう言うと、激しい鼓動を押さえるかのように、苦しそうに
胸に手を置いた。
 その顔はいつもの冷静な笑顔ではなく、生々しい感情を表に出した、
笑顔とも泣き顔とも判別できないような複雑な表情をしていた。

 と、不意に何かを思い出したように、可符香はぐったりとうな垂れる。
「……それとも……私……汚れて……います…か……?」
5124章G:2007/09/22(土) 21:51:49 ID:QK20MM+m
 望には分かっていた。
 自分がここに存在している事。
 それ自体が彼女の深い絶望を示していることを。

 可符香は必死で絶望と戦ってみたのだ。
 自分を押しつぶそうとする過去…経験と。
 しかし、彼女を襲った闇はあまりにも強く、圧倒的だった。
 彼女は一歩踏み出す力を欲している。

――望は自分が、目の前で苦しんでいる少女を愛していることを知っていた。
  最初は、自分にはないキラキラした明るさ…希望に目を奪われた。
  しかし、その下に隠れた繊細でガラスのような魂が見えた時、
  初めて人を愛するということ―それはたしかに希望に満ちている―
  を知ったのだ。

  下らない矜持に拘っている場合なのか?
  自分は人に希望を与えられるような人間ではない?――関係あるか。
  
  目の前に愛しい人が苦しんでいる。――――――その人を救いたい。
  単純な事だ。

  人に心を見詰めよと言うならば、まず自らの心に素直になることだ。
  
 時折、冷たい風が2人の間を駆け抜けていく。

 望は意を決したように、可符香の両肩に手を置いた。
「私があなたと交わるということは、もう私達は教師と教え子ではなくなります。
あなたは、私を卒業することになりますが、それでもいいですか?」
 少女の顔に一瞬逡巡するような色が走った。
 が、何かを決意するように小さく、しかしはっきりと頷いた。
 望はすっと腰を傾けると、優しく少女の唇に自分のそれを捺した。
「ん……。」
 可符香は瞼を伏せて、静かにそれに答える。

「でも先生、ボディランゲージはしませんよ。」
「え……。」
 弾かれたように望を見詰める少女に、優しく微笑む。
「あなたの定義ではボディランゲージというのは、愛のないセッ●ス
を言うのでしょう?
私達のは違うはずです。」

 それを聞くと、可符香の頬はみるみる内にピンク色に染まっていった。
 まるでウブな小娘のように頬を染め、コクコクと何度も頷いた。
5134章H:2007/09/22(土) 21:53:09 ID:QK20MM+m


 しばらく見詰め合った後、望は気まずそうに告白した。
「ただ、先生。実は童貞で死んだのですよ。」
 一瞬、可符香は石像のように固まった。
「あ、今微妙にジト目になりましたね!!20代なのにという表情
しましたね!!」
 可符香は慌てたように口を開く。
「やだなぁ、童貞なんかじゃ……。」
「言わなくていいです!!天使とか妖精とか!魔法使いとか!言わ
なくていいですから!!」
 ぐりぐりと手すりの棒の部分に頭を押し付ける望。
「そんな……腐らないで下さい。死人だからって。」
「うまいこといったつもりかあああああ!!!」
「先生、言葉使いが。」

 可符香は笑いながら、ひょいと望の顔を覗き込んだ。
「私が先生を導いてあげます。先生も卒業式ですね。」
「う……何か釈然としませんが、お任せするしかないようですね。」


 2人の唇がゆっくり近づいていき、出会う。
 触れるだけの、軽いキス。
 静かに2人は屋上の赤錆の目立つ手すり部分に座った。
 望は喪服の背中に手を回し、ファスナーを開け、上半身を脱がせた。
 夜の闇に白く光るような裸体と、神秘的な曲線を持った膨らみが露になる。
 黒々とした闇と煌く白い肌がまるで、芸術作品のようなコントラスト
を描いていた。
 望は一瞬、その美しさに見惚れた。

「綺麗です。汚れているなんてとんでもない。
あなたの体も魂も、手を触れる事すらためらうほどに美しいですよ。」

 可符香は、望の手を取り自らの胸元に導いた。
「先生…うれしいです…。」
 まるで骨董品のような乳房はしっとりとした肌触りで、
柔らかく手に押し返すような弾力がある。

 望は、震える手でゆっくりと胸を揉み始めた
 優しく2…3度ふくらみを揉み、チラチラと目を向けると、恥ずか
しそうに目を伏せる可符香の顔が見える。
5144章I:2007/09/22(土) 21:53:55 ID:QK20MM+m

「あぁ……なにか、不思議な感覚ですよぉ……。」
 うっとりとした安心しきった表情を見せる。
 望は少し緊張した表情で、胸に顔を寄せ、優しげな曲線の頂にある
小さな蕾を口に含んだ。
「ひゃう!」
 突然素っ頓狂な声を上げて、可符香が跳ねた。
「ど……どうしました……??」
 何か、間違ったことをしてしまったのかと焦る望。
「なんだか……むずがゆいような……電気が走るような。これは…
…うーんと、なんでしょうか?」
「そ…そんなに感じました?」
「感じ…る?」
 可符香は、不思議そうにくいっと首を傾げてから、ああ!という
顔をした。
「『感じる』!これが、『感じる』という事だったんですね!
やはりボティランゲージとは一味ちがいますねぇ。」

 望は思わず間抜けな顔で呆けた様になってしまう。
 乳房を愛撫する手を止め、桃色に上気する少女の顔をまじまじと見詰めた。
「風浦さん、あなた……だって、1章〜3章で『……あぁ…はぁーん』
とか言ってたじゃないですか?」
「あぁ…。あれ、言ってるだけですから。」
「言ってるだけ…??まさか………。」
「そういうふうに言うと、男の人って喜ぶじゃないですか。」
 しれっとうそぶく可符香嬢。
「え…演技ですか!!ああ……絶望した!!
1章〜3章のHシーンでハァハァした奇特な方がいたかもしれないのに、
絶望した!!」
 頭を抱えながらも、望には分かっていた。
それは、可符香の防衛本能だったのだろう。
幼い頃から陵辱を受けていた彼女は、性行為における自己の感覚を
シャットダウンしていたのだ。

「あはは、やだなぁ、演技なんて。ホワイトライですよ。
ね、それより続きしてください。
なんだか、下も熱くなってきましたよぉ?」
(ああ……やはり、この娘は凄いです。)
 望は暗然としながら、それでいてどこか嬉しい気分で、少女の喪服
の裾に手を入れた。
 慌てて逃げ出してきたせいで、パンツは穿いていない。

叢の下に息づく花びらは、すでにしっとりと露に濡れていた。
5154章J:2007/09/22(土) 21:54:53 ID:QK20MM+m
 そっと、赤く揺れる花弁に触れ、愛でるように撫でていく。
「ん…、あぁ……あ…ん、…ん。」
 けして大仰ではないが、甘い甘い吐息が少女の瑞々しい唇からもれる。
 愛する少女に初めての快楽を与えることができる喜びに望は酔い
しれながら、必死で蜜を滴らせる果実を掻き回していく。
 そして、敏感な神経を隠しもつ真珠を探り当てると、カリカリと
刺激してやる。
「んくっ」
ひくりと体が跳ね、押し殺すような声が漏れる。

「い……痛いですか?」
「ううん、気持ち……いいです……ぅ。」
 あえぐように甘く囁かれて、望の頭がカッとなったように一気に沸騰した。
 可愛い――!少女に対する愛おしい感情がどっと溢れ出し、望は行為を
加速させる。
 既に硬く尖っているピンクの突起物を優しく甘噛みして舌で転がす。
熱を帯びた秘密の花びらの中を円を描くように細く白い指で掻き回し
ていく。
 震える真珠を指の間で愛おしそうにさすってあげると、可符香は
激しく反応して華奢な裸体をくねらせた。
「………あぁン……すごいで……す…あぁ…はぁん…。」
 心は快楽に慣れないながらも、その体はすっかり開発されきっており、
強烈な快感を少女に与えていく。
 激しい官能の渦に、可符香は息絶え絶えになっていた。
 我慢できないというように切なげに身をよじると、艶のある瞳を
向けて懇願した。
「はぁ……先生っ……もう……。」
 望のモノも既にはち切れんばかりに膨張していた。

「じゃ……じゃ……あ……行きますよ。」
 急に極度の緊張が、彼を見舞う。
 舌が顎に張り付いてうまく喋れない。
 もし、心臓が鼓動していれば物凄い勢いで早鐘を打っていただろう。
 望は、瘧にでもかかった様に体を痙攣させながら袴を解いた。
 けして大きくないアソコは、ほんのり白く、それでも何かを主張する
ように反り返っていた。

 2人は正常位の姿勢で向き合う。
 望が自分の絶望を濡れた花弁に充てると、腰を進めようとするが、
うまく入らず、何度も滑ってしまう。
 望の顔は異様に引きつり、眼鏡がカタカタと揺れていた。
5164章K:2007/09/22(土) 21:58:29 ID:QK20MM+m
(私が導いて上げるって言いましたよね。)
 可符香は白雪のように透き通った細腕を伸ばして、そっと望の頬を
撫でる。
 子どもをあやすように、優しく2度、3度と撫でると、望の顔は
どんどん安らかな落ち着いたものになっていった。

 そして、もう片方の手でそっと望の絶棒を取り、銀色の水滴に
輝く自分の泉に導いた。
 お互いの目をしっかりと合わせ、見詰め合う。
 可符香は、今までしたことがないような表情で頬を上気させ、
はにかみながら小さく頷いた。


 望が腰を前に進めると、何かに誘われたかのようにスルリと絶望が
蜜壷に入る。
粘膜と粘膜を擦りつけあう甘美な快感が2人を包んで、奥まで絶棒が
入り込み、寄り添うようにお互いが密着した。
 どちらからともなく唇を重ね、熱いベーゼを交すと、2人はもう
教師と教え子ではなかった。
 愛し合うつがいとして、何度も何度も唇を吸いあう。

 望は静かに腰を動かし始めた――最初はおずおずと、だが次第に早く
なっていく。
「はぁ…あぁ…はぁ…。」
 お互いの2人の息遣いが深くなり、ピンクの霧が立ち込めるように
甘い香りが辺りに漂っていく。

 前後に揺られ、耐えるように吐息を吐いていた可符香が恥じらい
ながらも、望に囁いた。
「先生……声…出してもいいですか……?」
「はい…。可符香の感情…見せてください……。」
 望は、自ら範を示すかのように激しく動き始めた。
 一度の突きもおろそかにせず、感情を込めて強く貫く。
 望の気持ちが自分に流れ込んでくるのを感じると同時に、想像もでき
ないほどの官能の炎が可符香の脳裏を、全身を灼いていった。
5174章L:2007/09/22(土) 22:00:10 ID:QK20MM+m
「あンっ…ああっ…!いぃっ…あんっ…あぁああっ…!!」
 全てを解き放ったように可符香は大きく喘ぎだし、腕を望の背中に
回してしがみ付くと、白い細腰を男の動きに合わせて艶かしく振る。

 可符香は、自分に広がる感情と官能にすべてを委ねて、なり振り
構わず男を受け止め、男を求めた――。強がりや演技といった呪縛
から解き放たれた、生の『風浦可符香』がそこにはいた。

 望の亀頭が赤い柔肉の奥を突くと、可符香は白い裸体をくねらせて
泣き叫び、絶棒を包み込む襞が震え、望に強い満足感を与えた。
「ハァ…んっ…あぁあ!…ぁ…あン…ん!」
(先生…!先生…!)
 貪るように唇を重ね、全ての感情をぶつけ合いながら何度も何度も
求め合い、絡み合う。

 可符香の前髪を止めた銀の髪飾りが、まるで月の妖精のように踊り、
淫らなそれでいながらどこか神秘的な水音が響き渡ると、2人の汗と
涙がきらきらと星の光に反射し弾けていく。

「あっ…あん!あぁぁあ!あぁ!!」
望の一回一回の突き込みに反応して感情を発露していくうちに、
可符香の中の悲しみが雪のように静かに溶けて消えて行き、
代わりに暖かな光のような喜びが生まれていった。

  乱舞する蛍のように次々に光が集まっていき―――
  それが1つの大きな輝きへと昇華していく。

「……可符香!!もう……!」
「先生っ!……来てっ!!」
 望が可符香のくびれた細腰を引き寄せ体重を掛けると、可符香は望の腰に
白い足をクロスして強く絡めた。
 感極まったように2人がしっかりと互いの体を抱くと、お互いの陰毛が
1本1本絡まり合うほどに密着し、可符香は深く深く貫かれる。

「……っ!!」
これ以上のない一体感の中、望は少女の一番深い部分でたっぷりと
白い命の源を放った。
「あああああああああぁぁぁあああああぁぁ…!!!」
 熱く迸しる想いが体の中に注がれるのを感じると、大きな輝きが一気に
押し寄せ、可符香は天の高みへと昇っていった。
……
5184章M:2007/09/22(土) 22:02:00 ID:QK20MM+m

 すっかり満たされ2人は、寄り添うように並んで横になった。
 可符香が望の胸に頬を寄せると、そのつややかなショートカット
の髪を何度も梳いてあげる。
「中に出してしまって…すいませんでした。」
「大丈夫ですよ。今日は排卵日ですから。安全日です。」
 ギクリと望は可符香を見て言った。
「そ…それって、危険日っていいませんか?」
「やだなぁ。大好きな人の赤ちゃんを授かる日ですよぉ?危険なわけ
ないです。安全です。大安全です。」
(大安全ねぇ…まぁ、幽霊の精子で孕む事もないでしょう。)
 望がふと目を向けると、可符香は、愛おしそうにゆっくりとお腹を
さすっていた。
「ふふふ、あれだけ精子さんが生贄に捧げられたんです。先生が
転生しちゃいますねぇ。」
「あなた…まったく懲りてませんね。」
すっかり元の調子を取り戻した可符香に、望は苦笑するように笑って
天空に目を移す。
「先生ぇ……しばらくこうしていても、いいですか?」
「もちろん……。」
 スモッグに包まれた灰色の闇天に、いくつもの星が瞬いているの
が見えた。







 可符香はいつしか、まどろみの中に落ちていった。
 目を覚ますと、いつの間にか望は消えていた。
 自分の体を確かめると、喪服に乱れはなく、あの事はまるで夢の中の
できごとかのように思えた。

ゆっくり立ち上がったとき……冷たいものが落ちてくるのに気付いた。
5194章N:2007/09/22(土) 22:02:50 ID:QK20MM+m
静かに静かに





小さな白い雪が灰色の空から舞い降りてきていた。






『教師として何が一番の喜びか、分かりますか?』

『こうやって、女生徒と愛し合うことですか?』

『ち…違いますよ。あーー私は……!』

『あはは、冗談ですよ。続けてください。』

『教師はね、生徒達が学び舎を卒業し、自分を超えて行ってくれることが
一番嬉しいんですよ。』

『可符香。あなたは私を超えて行って下さい。
これからも様々な絶望があなたを襲うでしょう。
ですが、それを正面から見据え、乗り越えて行って欲しいのです。』


『―――あなたは、私の一番の愛する人であり、自慢の卒業生なのですから。』




彼女の髪飾りに、白い雪が舞い降り吸い込まれるように消えていく。

可符香は、目から熱い涙が零れ落ちるのを拭こうともしなかった。
ただただ、雪が舞い降りる空を見つめた。



そして………
卒業式で卒業証書をもらうときのように
ゆっくりと礼をした。
520後日談@:2007/09/22(土) 22:04:21 ID:QK20MM+m
(後日談)
=================
以上が私のカウンセリグ室で彼女が語った全てである。

彼女を襲った2人についてだが、
その後の通報で警察が駆けつけたときには、2人とも頭部に極めて
強い衝撃を受けており、今では廃人同然の暮らしをしているという。

その後、風浦可符香は妊娠が発覚して高校を退学し、私のカウンセ
リングは終わった。
それからも、度々手紙のやり取りをしていたが、
なんでも男児を出産後、大検を取得し、大学に進学したとのことだった。

数年後、たまたま成長した彼女に会う機会があった。

=================

満開の桜並木とピンク色の花びらの舞散る中を、
私は彼女―風浦可符香―と彼女の息子と一緒に歩いていた。

 すでに桜は開花時期を過ぎ、その多くが散り始めていた。

 彼女の息子は5歳位になっただろうか。
 桜の木の下を「あれは、桃色ドラゴン、あれは、桃色新幹線、
あれは、桃色しっぽ」と名づけながら駆け回っている。


「・・そう、今は高等学校の国語の教員をしているの。」
「はい。まだ2年目ですから駆け出しですけど。」
 彼女はすっかり大人びていたが、トレードマークの髪飾りを
いまだ付けていた。

「夢の中で『先生』は教科書に書いてある事を教えてくれたん
じゃないんです。
世の中にある現実やそれを見た時の人の心の変動。
そういった生の声や経験を教えてくれていたんだと思うんです。」

「生の声や経験・・・。」
私は噛み締めるように繰り返してみた。
521後日談A:2007/09/22(土) 22:05:13 ID:QK20MM+m

「悲しさとか、苦しさとか、絶望に思えることって世の中に一杯ある。
残念ですけれど、それは確かに存在しているんです。
その事に正面から向き合って、乗り越えていくことを学ぶのもきっと
大事な事なんですよ。
私はまだ未熟だけど、そういう事も含めて教えていける先生になり
たいんです。」


 彼女は変わっていた。
 彼女の目線は真っ直ぐに前を向いて。
 あらゆる現実と戦い、そして乗り越えていく強い意志を持っていた。

 いろいろ聞きたいことはある。

 あの子の父親は誰なのか。
 糸色望という人物は、戸籍に残っているのか。
 あれから絶望先生には会ったのか・・・・etc

 でも、そのような事はほんの小さな事柄に今は思える。

(敵わないな・・。)
 かつての自分は、彼女を救うことが出来なかった。
 カウンセラーとして相談を受けていたのに。
 私は彼女の前向きさをそのまま信じ込んでいただけだった。

 だが、確かに彼女は乗り越えたのだ。


 圧倒的な絶望を――。




「私も『絶望先生』みたいになれるかしら。」
 ふと、呟くと、彼女は少し驚いたように私を見た。
 そして、にっこり笑う。
「なれますよ。智恵先生は、人の弱さが分かる素晴らしい人ですから。」
522後日談B:2007/09/22(土) 22:05:51 ID:QK20MM+m

 その時、強い風が吹き、さぁーーーーーーと桜が舞い散った。
 桜吹雪が一斉にあたりを覆う。

「あぁーーー。桃色うすい君の花びらが散っちゃたーーー!!」
 泣きべそをかいて、男の子が私達の方へ駆け戻ってきた。
「おかあさまーー。桃色うすい君がはげになっちゃうよーー。
ぜつぼうしたーー。」

彼女はちらりと私を見て、軽く微笑んだ。
「いつの間にか、あんな言葉覚えているんです。不思議でしょう?」

 彼女はそっと前かがみになると、息子の涙を指で拭いてやり、優しく
語りかけた。
「望、桜の花びらが散ってしまうのは悲しいことよ。
でも桜は花びらを散らした後、また新しい芽吹きのためにしっかりと
準備して生きていくの。そしてまた、美しい花を咲かすのです。」

「そっか!!また、会えるんだね!!」
 その時、彼は微かにしかしはっきりと母親の隣を見て頷いた。

 彼女の隣には、和服姿の男性の姿が寄り添うように微笑んで立っていた。


 慌てて目を凝らす――と、もう彼女の隣には誰もいなかった。

 




 
――季節がめぐり時が移ろう中で、人も変わり、成長していく。
  一方で、変わらぬものも確かに存在するのだ。
それは、人の教えであったり、想いであったりするのだろう。

 桜の舞う季節の中…、私はむしょうに嬉しくなって涙を流していた。


<終わり>
523146:2007/09/22(土) 22:08:26 ID:QK20MM+m
<あとがき>
読んでくださった方、スルーしてくださった方、皆様に感謝いたします。

幽霊とか・・・妄想全開だ。
可符香だと、どうしても最後は桜のシーンになってしまう上に、使い古・・
いやいや弁解はすまい。
更なる欝展開を期待していた方には申し訳ない。
救いなく堕ちて嬲られるポジティブ少女・・・うーん、何だかドキドキしてきた。
誰か、書いて?w

まあ、色々突っ込みどころはあると思いますが、
「やだなぁ、霊界の神秘ですよぉ」でお願いしたいです。

>>238さんの言うとおり、>>99で望×芽留を書いた者と同一人物です。
後から読み直すと闇鍋で釣れそうなほど、恥ですなあ(奥義ってなんだよ;)。
今回は長くならないように!と思ってたのに、結果は・・ああ、絶望した!!
今後は自重します・・。

一応題名を付けてみたり。
『可符香+絶望:その心は?』
ひねりもオチもないんだ、許して欲しい。
524名無しさん@ピンキー:2007/09/22(土) 22:08:27 ID:zAwuGhKy
やべえ
リアルタイムで追っててうるうるしっぱなしだった
こんな素敵な話を読ませてくれて、ありがとう
525名無しさん@ピンキー:2007/09/22(土) 22:10:32 ID:TZcdWCIl
初めてリアルタイムで読んだ。
最後のシーンに鳥肌たったよ。GJ!
526名無しさん@ピンキー:2007/09/22(土) 22:13:17 ID:PnXA2rH0
ごめんなさいぃぃぃ!
カキコかぶった! 日陰者やってしまいました!
こんないい話に横槍して申し訳ない。orz

あらためて乙です! GJ!
527名無しさん@ピンキー:2007/09/22(土) 22:14:12 ID:7tKUie6n
カフカ3連発だな。
ギャグ、シリアス、感動系と全部違った味わいでよかった!
みんなGJ!
そろそろ新スレ立てないとヤバイんだが、自分は規制でたてられない。
誰か頼む。
528名無しさん@ピンキー:2007/09/22(土) 22:22:44 ID:Cj+7R/qZ
倫×望とか望総受け読みたいです。。。
それか、あびる×望ですね
529名無しさん@ピンキー:2007/09/22(土) 22:23:27 ID:AeTL+wLp
可符香好きの俺にはたまらん夜だ
救いのあるラストにしてくれてありがとう
530名無しさん@ピンキー:2007/09/22(土) 22:24:26 ID:V/a2xR1f
感動した!文化レベル高すぎます!!この板でこんなクォリティの高い作品に出会えるなんて!真昼が雪の方といい430氏といい…ええい!このスレは化け物か!?
531名無しさん@ピンキー:2007/09/22(土) 22:30:08 ID:rJOOZHPc
乙、GJ!
大正時代にTVはなかったなんて無粋なつっこみする気も引っ込むほど
いい作品読ませてもらいましたw
532名無しさん@ピンキー:2007/09/22(土) 22:36:44 ID:xPZbs1qg
>>531
同感だな。
>>498
>肩に手を回と、返ってくる感触で、以前よりも彼が随分痩せている事に気が付いた。
の「回す」の部分に脱字があることや
>>520の後日談の部分で
「カウンセリング室」じゃなく「カウンセリグ室」になってることなんか
全く気にならないほどいい作品だった
533名無しさん@ピンキー:2007/09/22(土) 22:37:25 ID:E355r+oL
桃色うすいがハゲになるてwwwwwwwww
534名無しさん@ピンキー:2007/09/23(日) 00:29:35 ID:FRKZdo26
>>523(146)
絶望的なエンディングも覚悟して読んでいただけに、可符香が救われたときの感動がハンパじゃなかったです
冗談抜きに眼の奥がじんわり来てます………ラストから後日談にかけて、本当に素敵でした
本当にありがとうございました
535名無しさん@ピンキー:2007/09/23(日) 01:04:14 ID:byx08FFx
感動もエロもギャグもネタも充実してて、凄のね。
536名無しさん@ピンキー:2007/09/23(日) 01:15:20 ID:l5Olmzew
うお、皆すげーぜ!
謹んでGJを進呈します!

そして気が付けば容量が瀬戸際であるw
537名無しさん@ピンキー:2007/09/23(日) 01:48:20 ID:UfIxzbYB
皆がよく使っていたが自分で使う事には躊躇いがあった表現がある
可符香SS三連発を読んで今こそ言おう



神だ
538名無しさん@ピンキー:2007/09/23(日) 01:51:55 ID:bO9qWXmd
絶望ガールズが真夜にアナル拡張されるSSはまだですか?
539名無しさん@ピンキー:2007/09/23(日) 01:55:38 ID:UfIxzbYB
良かった、
圧倒的な絶望を乗り越えられて本当に良かった
540名無しさん@ピンキー:2007/09/23(日) 02:00:05 ID:lpBHRHiP
>>538
百合スレいってリクしろよ
541名無しさん@ピンキー:2007/09/23(日) 02:18:53 ID:YWGqIsKn
>>538
アニメも終わっちゃったし、君も自分で書いて投下してみてはどう?
僕も書くから君も書け。
542名無しさん@ピンキー:2007/09/23(日) 02:36:53 ID:G+kkmW40
泣かないぞと思ってたのに涙が溢れて戸惑った…
しかし桃色うすい君で盛大に吹いて鼓膜吹っ飛ぶかと思った
絶望した!個人の感情までも多忙にさせる作者に絶望した!
543名無しさん@ピンキー:2007/09/23(日) 06:09:12 ID:z3W4j4hR
望があびるの家に誘われて尻尾料理をご馳走になると同時にあびるもご馳走になるという話を思い浮かんだが、書けない。



自分で書けといわれて書いてスルーされたのがトラウマ。
544名無しさん@ピンキー:2007/09/23(日) 06:49:48 ID:JhhEPFDK
スレ、1ヶ月持たなかったね・・・
アニメが終わっても、この勢いが続くことを祈る・・・!
545名無しさん@ピンキー:2007/09/23(日) 07:19:31 ID:V9KhkUUs
こうして並ぶと色んな可符香観が見れて面白い
546名無しさん@ピンキー:2007/09/23(日) 09:40:49 ID:l1dU++wT
>>146氏のSSに萌と絶望を同時に叩きつけられたんだぜ…二重の意味で。
えー、真昼を書いてる奴です。
>>146氏と微妙に、いやむしろ思い切りかぶっとる所がごぜぇます。
書き溜めている段階ですでにそうなってたんでパクりじゃないと言い張りたい…!
あえてどこが、とは書きませんが、今後投下する分で>>146氏のパクり部分らしき所を見つけても、
可哀相な奴を見る目で視姦するか、スルーするかしてくだされ…。

というか、この分だと本当に次レスまで駄文ポータビリティしてしまいそう。
こんなもんにもホワイトライをくれる皆様に励まされつつ、執筆中でございます。
547名無しさん@ピンキー:2007/09/23(日) 10:19:01 ID:lpBHRHiP
元ネタが元ネタだから被るのは仕方ないって。
その辺りは全員わかってくれると思う。
548名無しさん@ピンキー:2007/09/23(日) 10:30:46 ID:VTGSkIYH
次スレはまだか〜
549名無しさん@ピンキー:2007/09/23(日) 10:49:54 ID:7siGGXge
次スレ
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1190512046/
おっきした。空気嫁ずに勃ててごめん。
550前スレ851:2007/09/23(日) 10:53:43 ID:P2jpoyHF
146さんの読みましたが、どう転がっていくのか予想できない強烈なドライブ感とか
笑いの小ネタとかいいですね。面白かったです。
あと先生が何故和服なのか、説明がついているのがいいなあ。
551名無しさん@ピンキー:2007/09/23(日) 12:49:21 ID:PESxYJ8+
今このスレが、エロパロで一番熱い!
552名無しさん@ピンキー:2007/09/23(日) 15:11:03 ID:Tx+2iKhX
10巻の投稿イラストで
真夜が「満月の夜にまた会おうか」ってセリフがあるけど

これやっぱり元ネタはKOFのバイスかな?
553名無しさん@ピンキー:2007/09/23(日) 15:27:44 ID:0RKpmk06
てか、まさかアニメ最終話に「赤木」が居るとは・・・・・・
554名無しさん@ピンキー:2007/09/23(日) 16:07:03 ID:bekHLYFk
それは本当の赤木じゃないかwww
555名無しさん@ピンキー:2007/09/23(日) 16:28:37 ID:gIijnZn8
っでも、他の3人の組み合わせのネタを考えれば赤城だけど、
実際は名簿にも載ってる赤木だから紛らわしいな。
556名無しさん@ピンキー:2007/09/23(日) 20:35:51 ID:bBpbx1zq
単純なスタッフのミスだろう
557名無しさん@ピンキー:2007/09/23(日) 21:18:18 ID:lpBHRHiP
あそこのアニメでそこまで単純なミスは起こさないだろ。
558名無しさん@ピンキー:2007/09/23(日) 21:43:35 ID:V9KhkUUs
アニメは可符香のキャラが既に間違いだらけだろ
559名無しさん@ピンキー:2007/09/23(日) 21:46:53 ID:O+jT0Ygy
アニメの可符香はただの電波ちゃんに終わっちゃった気がしないでもない。
てか、自分で言っておいてアレだけど、そろそろスレ違いじゃね?
560名無しさん@ピンキー:2007/09/23(日) 21:56:16 ID:rnD+STlY
い、いやだなぁ、最終回だなんて。
来週も再来週も、深夜のお茶の間にぶれぶれコールに決まってるじゃないですかぁ…。
561名無しさん@ピンキー:2007/09/23(日) 21:58:37 ID:rnD+STlY
sage忘れ謝罪
562名無しさん@ピンキー:2007/09/23(日) 22:08:38 ID:R2NiOH/7
残念ながら、すべての物語には最終回があるのです。
そして今回、さよなら絶望先生はその最終回を迎えたのです。
563名無しさん@ピンキー:2007/09/23(日) 22:15:08 ID:rnD+STlY
「アヌメの」な。
564名無しさん@ピンキー:2007/09/24(月) 00:02:35 ID:2DolnYFx
>>549
565名無しさん@ピンキー:2007/09/24(月) 00:03:02 ID:PESxYJ8+
あと17kb……
次の作品が事実上ラストかな。wktk
566名無しさん@ピンキー:2007/09/24(月) 01:06:54 ID:RkfyS4ZB
100話を読んでから霧に目覚めた俺に霧SSを!
567名無しさん@ピンキー:2007/09/24(月) 01:39:01 ID:0SfJ8eoV
>>566
速 さ が 足 り な い
568名無しさん@ピンキー:2007/09/24(月) 02:22:04 ID:MreX8Duk
今旬なのはあびるだろ
569名無しさん@ピンキー:2007/09/24(月) 02:49:38 ID:Pj/QKRBm
>>567
クー○ーの兄貴乙
570名無しさん@ピンキー:2007/09/24(月) 03:01:30 ID:WWfty1WW
正直あびるが一番かわいい
571名無しさん@ピンキー:2007/09/24(月) 03:02:23 ID:WWfty1WW
俺のID草生えすぎだな
572名無しさん@ピンキー:2007/09/24(月) 03:28:30 ID:O4zhkeMm
>>570-571
なんかきっちり半笑いできそうだな
573名無しさん@ピンキー:2007/09/24(月) 04:28:22 ID:eQlTHVhO
最高の作品だった
可符香好きの俺には嬉しいところ
気づいたんだ、俺は可符香が好きなんだがこの一キャラだけじゃなく
絶望先生とセットなのが好きなんだと
単体でも好きだけどさ。だから霊の絶望先生が出てきたときには感動で
画面が見えない状況だぜ
574430:2007/09/24(月) 12:06:01 ID:GH3wLlpc
新スレが立ったと聞いてノコノコやってきました、
自称埋め職人の430です。
まさか、1ヶ月経たずに埋め作業が再び巡ってくるとは思いませんでした。
すごすぎる。
というわけで、とりあえず、埋め用小ネタを1本。

この名曲を聴いていて、こんな妄想話が浮かぶあたり、
自分の頭も、だいぶ末期の状態のようです。

基本、先生と倫ちゃんしか出てきません。
赤木杏のシリーズとは違う世界のお話です。
575主よ、人の望みよ喜びよ 1/4:2007/09/24(月) 12:07:26 ID:GH3wLlpc
―――子供の頃、兄に教会に連れて行ってもらったことがある。

色とりどりのステンドグラスを通る、柔らかい光に包まれた空間に、
パイプオルガンの音色が響いていた。

美しい曲だ、と思った。
兄に曲名を尋ねると、「主よ、人の望みよ喜びよ」と言う曲だと教えてくれた。

―――題名に兄の名が入ったこの曲は
         そのときから、私の、一番のお気に入りになった―――


* * * * * * * *


コンコンとノックの音がする。
「倫、入りますよ。」
ドアを開けて、小さな控え室に望が入ってきた。

「あら、お兄様。ここは、夫となられる方以外の殿方は立ち入り禁止ですわよ。」
「兄妹で固いこと言いっこなしですよ。」

望は部屋を見回した。
「…花嫁が一人きりですか?手伝いの者は?お母様は?」
「……皆、用事で、ちょっと出ています。」
「なんですか、それは。まったく、なんてことですかね。」
ぶつぶつ言いながら、望は妹の姿の晴れ姿を眺めると、眩しそうに目を細めた。

「………きれいですね、倫。」
「ありがとう、お兄様。お兄様も、洋装姿、お似合いですわよ。」
「さすがに、教会に紋付袴は似合わないですからね。」

倫が首をすくめて笑った。
「それにしても、お兄様が素直に褒めてくださるなんて。
 雨が降らなければいいのですけど。」
576主よ、人の望みよ喜びよ 2/4:2007/09/24(月) 12:08:08 ID:GH3wLlpc
望は、ムッと頬を膨らませた。
「私だってTPOは心得てます。こんな日に絶望的なことなんかいいませんよ。」
そう言いつつ、望は、真面目な顔になった。
「それに……。花嫁姿のあなたは、本当に、美しいですよ。」

倫は、望の言葉に一瞬目を見開くと、無言で目を伏せた。

2人の間に沈黙が落ちる。
化粧台の上のCDデッキから流れる曲が、一際大きく感じられた。

望がふと微笑んだ。
「倫は、この曲が本当に好きなんですね。」
「…ええ…とても…。」
「意外でしたけどね…お前が賛美歌なんて。」

望はしばらくその美しい旋律に耳を傾けていた。
倫は、そんな望を眺めていたが、そっと望に語りかけた。

「お兄様。」
「はい?」
「覚えてますか?子供の頃、2人で教会に行ったときのことを。」
「ええ、覚えてますよ。帰りに迷子になって、えらく叱られましたっけ。」
「…あのときに、初めて、私はこの曲を聴いたのですわ。」
「……。」
「お兄様が、曲名を教えてくださいました。」
「………そう、でしたかね………。」

2人の間に、再び沈黙が落ちた。

望が、コホンと咳払いをした。
「そろそろ、時間ですね、私はお暇しなければ…。」
「お兄様!」

帰ろうと背を向けた望を、倫が呼び止めた。
倫に向けられた望の背中がこわばった。
577主よ、人の望みよ喜びよ 3/4:2007/09/24(月) 12:08:52 ID:GH3wLlpc
倫は、望の背中に向けて、はっきりとした声で告げた。
「お兄様…。私、お兄様が、好きでした。」
「……。」
「子供の頃から、誰よりも、一番、お兄様のことが、大好きでした。」

望は、振り返らない。
倫の声がひび割れた。
「分かっています。今さらそんなことを言っても、詮無いことだと。
 でも…私が嫁ぐ前に…他人の者になる前に、言っておきたかったのです。」

遠くの方から、人の声が聞こえてきた。

望が、前を向いたまま呟いた。
「…皆が、帰ってきたようですね。…いったい何をしていたんだか…。」
「………皆には、私が用事をいいつけたのです。
 お兄様が……いらしてくれるような、気がして………。」

「―――!」
望が、倫を振り向いた。

望と倫の目が合う。
2人は、そのまましばらく無言で見つめ合っていた。

バッハの対位法を生かした旋律が、2人の間に満ちて行く。

倫は、望の目を食い入るようにして見つめていたが、やがて、
ほっと息をついた。
そして―――天使のような笑みを浮かべた。

望は、ただ倫の笑顔を呆けたように見つめているだけだった。

大勢の足音が近づいてきている。

望は、声を絞り出すようにして尋ねた。
「倫、あなたは、幸せになるのですよね…?」
578主よ、人の望みよ喜びよ 4/4:2007/09/24(月) 12:09:31 ID:GH3wLlpc
倫は、望に晴れ晴れとした笑顔を向けた。
「―――ええ、お兄様、心配なさらず。
 私、ちゃんとあの人を愛しております。」
「……。」

そのとき、控え室のドアが開き、大勢の人間がどやどやと入ってきた。
「んまー、倫ちゃんきれいだこと!花婿さんは果報者だわぁ〜!」
「あら、望さん、どちらにいたかと思えばこんなところに。」
「倫、そろそろですよ、お父様がお待ちです。準備はできてますか?」
部屋の中は一気に賑やかになった。

倫は立ち上がると、あでやかに微笑んだ。
「はい、お母様。」

母親に伴われて倫は控え室を後にする。

「それでは、ごきげんよう、お兄様…。」
倫は、望の顔を見ずにその横を通り過ぎると、式場へと向かった。

「望さん、あなたも親族なんだから早くいらっしゃいね!」
親戚の叔母が望に声をかけたが、望はあいまいに頷いただけだった。





望は、皆が出て行った控え室に、1人ぽつんと残っていた。
ふと、デッキの上のCDケースに目が行き、望はそれを取り上げた。

倫は、このCDを、随分と聴き込んだのであろう、
古びたケースは傷だらけになっていた。

望は、CDケースを胸に握り締めると、呟いた。
「倫…。どうか、幸せに……。」

遠くで、祝福を告げる鐘の音が鳴り響く中、
神に捧げる賛美歌の流れる部屋で、望は、いつまでも立ち尽くしていた。
579430:2007/09/24(月) 12:10:52 ID:GH3wLlpc
花嫁を見送る父とか兄とか、いいなぁ、と思います。

微妙に、173氏の「理不尽な神様」倫編の影響を受けているやも。
あの話、ど真ん中直球にツボだったんですよね…。

それと、遅ればせながら真昼氏!
私もマイリストに入れてます!大好きです!
この先の展開を考えると、既に胸がつぶれそうです。
MADに文章に、多才なあなたに脱帽…。

>>146
…感動しました。素晴らしいです。GJです。
芽留SSとはまた違った雰囲気で、同じ人と知ってびっくり。
引き出し多いなぁ…。
580名無しさん@ピンキー:2007/09/24(月) 20:34:28 ID:y1wqRhRm
>>430
何と美しい話…GJですぜ。
こんなレベルの方に褒められるともう悶絶するしかなくなる真昼の者です。
というかMADのおかげで妙な過大評価を受けている気がしないでもない今日この頃。
自分も他の方みたく、文章の力で誰かの涙や感動を誘う作品を書いてみたいものです。
では、次スレでも心より>>430氏の作品をお待ちしておりますー。
581名無しさん@ピンキー:2007/09/24(月) 21:46:19 ID:I12pJkvp
そして俺は真昼氏の作品もお待ちしているであります
582名無しさん@ピンキー:2007/09/25(火) 00:27:50 ID:1E/fG1kr
埋め職人さん乙!
そして自分も埋め
583名無しさん@ピンキー:2007/09/25(火) 00:54:23 ID:Q88ORIU2
面白い。自作も期待。
584名無しさん@ピンキー:2007/09/25(火) 01:02:05 ID:CJxodO5Q
書きたいと思いつつ投下する勇気が無い自分に絶望しながら埋め
585名無しさん@ピンキー:2007/09/25(火) 01:09:54 ID:3hTiD5oB
Part6 7ヶ月
Part7 1ヶ月
Part8 2週間

アニメ化で職人様が増えることを期待してはいたが、これほど目に見えてスレの速度が上がるとは思わなんだ。
一体このスレに何が起きているのか考えつつ、そして迸る430氏の文才に圧倒されつつ……

埋め
586名無しさん@ピンキー:2007/09/25(火) 01:13:53 ID:2OjyKm1m
>>430
埋めSSのLVではない透明感。凄すぎ。GJ。
久米田康治先生の作品が大昔から読んできたが、
アニメのOPでいきなりエロが目覚めた・・。

埋め
587名無しさん@ピンキー:2007/09/25(火) 05:46:26 ID:ksCYO78S
埋め加勢
>>584
投下せよ
588名無しさん@ピンキー:2007/09/25(火) 06:25:17 ID:UleW5BKA
タバコを横咥えにした智恵先生は萌えるなあと思いつつ埋め
589名無しさん@ピンキー:2007/09/25(火) 17:00:55 ID:7oYV2taG
アニメ同様、三珠さんSSで終われたら真夜ラーとして恐悦至極ですが・・・。
前にスレを汚して精神的にケガした>>105です。空気読まずに埋め灯火。


私はいつも、彼を痛めつけることを考えている。
それが私の愛。でも・・・。

教室はまだHR中だというのに大変賑やかであった。
ガヤガヤと騒がしいのは、高校生の中でも、彼らは‘幼い’ということか。
委員長、もとい委員長というあだ名さえ持つ木津千里が、うるさいクラスをまとめ上げる。
「みんな静かに!こんなんじゃいつまでもHR出来ないじゃない!!」
クラスメイトの面々も、彼女の一声で静まりかえる。
「ありがとうございます、木津さん」
(しかし、本当の委員長はどこいったんでしょうねえ)
何時までたっても教師らしくなれない男が生徒に礼をすませると、早々に連絡事項をあげる。
「・・・ですから、明日は・・・。」

この男、糸色望を見つめる視線は幾つもあった。
この男、ぷれいぼーいにつき、っというわけではないのだが、女生徒からの人気は異常なほどで、
生徒にストーカーされたり、求婚されたりしているのである。

そんな中、彼に熱い視線を落とす女性に、三珠真夜がいた。
しかし彼女は求婚を迫ったりするワケではない。ただ純粋に好きなだけなのだ。
しかしだからといって問題がないわけではない。ただ・・・。

HRも終わって、放課後になり、早々に帰る生徒、教室に残る生徒、格々色々である。
教台には糸色望が、女生徒たちに囲まれて、帰るに帰れない状況である。
「・・・・・・・・・・・・」
「先生、バルバル星との交信に成功したチームが、
今日ガルボア共和国から来日するんですって!だから・・・」むぎゅうっと
「先生、今日こそきっちり印鑑をいただきます!だから・・・」むぎゅうっ
「先生、この後お食事行きませんか?というのも・・・」むぎゅっ
「先生も一緒にさ、みんなでカラオケいこ〜よ〜。」
「奈美ちゃんってば、相変わらず・・・」
『発想が普通なんだよ!』
「普通って言うなあ!!」
本来ならば、男として女性に挟まれるというのは、苦々しくも嬉しい状況なのだが、
彼には疲れの表情が浮かんでいた。
「まあまあみなさん、もっと仲良く行きましょう、仲良く。」
「やだなあ先生、みんな仲良しですよ。ねえ?」
「う?うん」
「そうそう」
「仲良しだよ、ね?」
『オレにはそうはみ』
「ほおら先生、みんな仲良しぃ!」
「・・・・・・・・・・・・・」

そんな様子を、少し離れて見る目があった。
いかにも悪そうなその目つきの持ち主も、糸色望争奪戦に加わりたかったが、
彼女は基本シャイなのか、人の騒がしいトコロは好きではなかった。
真夜は焦っている。ただ、愛しい彼に、どうやって自分の愛を伝えるかを考えていた。
競争率の激しい彼に、自分をいかにアピールするか。
激しいアピール合戦を繰り広げた際に、学校に火をつけた真夜だったが、
そのせいで新しい校舎にはスプリンクラーが設置されてしまった。(なんと!)
590名無しさん@ピンキー:2007/09/25(火) 17:02:25 ID:7oYV2taG
その間にも愛しき望に対して、女生徒たちのアピールはどんどん加熱している。
もうこうなったら、自分も参加せざるを得ない。しかし、どうやって・・・?
真夜に残される手は、バットや刃物での凶器攻撃だが、ここ数日オンエアされないバトルにて、
ライバルたちの強さは身に染みている。出来れば戦いたくはない。なら、どうやって・・・?
(ああ、火をつけたい、火を、火、火、火・・・・・・)
「そうだわ!!」

何か思いついたらしい彼女は、教卓の前まで詰め寄る。
「あら、三珠ちゃん。」
彼女は何か、緊張した面持ちで、じっと先生を見ている。
そんなことはお構いなしに、この男はこのシチュから抜け出すイイチャンスだと思い、
髪の長い二人の女生徒に両腕を引きつけられたまま、顔をグイと突き出す。
「どうしました?三珠さん?」
こんな状態ながら、無理して優しく生徒に微笑む彼は、やはり教師なのだと思った。
その笑顔に、真夜も微笑み返す。こちらは無理のない、望の状況を面白がったような、無垢な子供の笑い方。
その表情に、望は呆気にとられて、見入ってしまう。思わず、動けなくなる。
真夜はその顔を自らの小さな手で挟んで、昼寝の際枕を見つけた猫のように、
嬉しそうに、ゆっくりと、永い接吻をした。

顎の感触や男の温もりはいつまでも味わっていたいものだったが、そうもいかなかった。
クラスは大騒ぎーーーーーーーーーーより早く、望の背後から、刃物が飛んできた。
真夜はその小さな体を俊敏に動かし、ソレは男の顔をかすめて流れ星のように光って消えた。
「ヒイイイ!!!」
「よくも、よくも私の先生ををおおお!」
真夜に襲いかかる影は一つではなかった。刃物も釘も包帯も、何でも飛んでくる。
しかし鋭い目で見切って、ヒョイヒョイとかわしていき、廊下に出て、走っていった。
「待てーーーーーー!!」

教室に残された人間たちも、大騒ぎである。
「オイ、見たか今の?」
「ああ、センセイはちげーなぁ(笑)」
「・・・あたしだってまだだったのに・・・」
『聞こえてるぞ、ブス』
「先生!今のは何なんですか!?きっちり説明してください!!!!!!」
「えっ、えええええーーーーーーーーー!!!!?」
「場合によっては、訴えるよ!!」
「先生を殺して、私も死ぬ!!!」
!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

走り去る女生徒の表情は笑顔で、紅潮していた。
彼女は「火をつける」ことに成功したようだが、この喜びはまた別のトコロから来ているんだろう。
心臓の鼓動は早くなる一方だが、必死で走っているからと言うことだけではないだろう。
「火をつけ」たことでこれからはより一層厳しい戦いになるだろう。
しかし頑張れ真夜!負けるな真夜!その愛証明してみせるまで!!
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー糸冬ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
何とか入って安心した!!またアイマショウ!!
591名無しさん@ピンキー:2007/09/25(火) 17:20:55 ID:xlyWB+Cb
>>589-590 GJでした。ところで、

>髪の長い二人の女生徒
と、ありますが、一人は千里として、もう一人は誰ですか?
592名無しさん@ピンキー:2007/09/25(火) 18:51:26 ID:AoWgV7+N
期待梅
593430:2007/09/25(火) 19:51:36 ID:QB316Zob
おお、本日も地味に埋め作業〜と思って来たら埋め同志が!!

真夜、かわええですね〜。
前305さんの真夜といい、彼女の可愛さを再認識するこのごろです。
そして、このカオス感が原作っぽくてよい感じ。

あと3KB、アニメと同様に真夜で終われそう…かな?
594名無しさん@ピンキー:2007/09/25(火) 21:42:49 ID:1E/fG1kr
430氏の埋め小ネタ投下を待っていたのだがこれは投下しないということなのか?

なら埋め
595名無しさん@ピンキー:2007/09/25(火) 22:20:42 ID:lt/O6vx2
>>591
あびるじゃね?
596名無しさん@ピンキー:2007/09/25(火) 22:27:58 ID:vhjcTW2M
きっちりと埋めましょうか
梅梅梅梅梅まくって〜

そういえばあびるだんだん髪が短くなってるよね
597名無しさん@ピンキー:2007/09/25(火) 22:29:56 ID:xlyWB+Cb
>>595 あー、なるほど。確かに髪長いわ。
598430:2007/09/25(火) 23:22:52 ID:QB316Zob
>>594
分かりにくい書き方で失礼しました。
SSの容量が残スレ容量をオーバーしたので、
新スレの埋めの際にでも投下させていただきます。
新スレも、すぐに埋まりそうな勢いだし…!
599名無しさん@ピンキー:2007/09/26(水) 00:05:41 ID:GTx/Y/sT
キッチリ埋め
600名無しさん@ピンキー:2007/09/26(水) 00:09:29 ID:RjxP+AVu
きつちり埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め
601名無しさん@ピンキー:2007/09/26(水) 04:03:06 ID:FBXq3ZrO
さよなら埋め先生
602名無しさん@ピンキー:2007/09/26(水) 09:02:09 ID:PnNy6ga5
>>598
埋めの際とか言わずに今すぐ新スレに落してくれていいのに
603名無しさん@ピンキー:2007/09/26(水) 14:40:42 ID:KxfxOWXl
梅ないでよ
604名無しさん@ピンキー:2007/09/26(水) 21:13:18 ID:40FLGLde
いや、埋めるね!
605名無しさん@ピンキー:2007/09/27(木) 00:47:43 ID:y4e8H/v+
しあわせ、
と一〇〇書いてください
だれでも簡単に
しあわせになれるものです
            寺山修司
            「寺山修司少女詩集」より
606名無しさん@ピンキー
しあわせ しあわせ しあわせ しあわせ しあわせ
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