1 :
246:
魔法少女、続いてます。
ここは、 魔法少女リリカルなのはシリーズ のエロパロスレです。
『ローカル ルール』
1.リリカルあぷろだ等、他所でのネタを持ち込まないようにしましょう。
2.エロは無くても大丈夫です。
3.特殊な嗜好の作品(18禁を含む)は投稿前に必ず確認又は注意書きをお願いします。
あと可能な限り、カップリングについても投稿前に注意書きをお願いします。
【補記】
1.また、以下の事柄を含む作品の場合も、注意書きまたは事前の相談をしたほうが無難です。
・オリキャラ
・原作の設定の改変
2.以下の事柄を含む作品の場合は、特に注意書きを絶対忘れないようにお願いします。
・凌辱あるいは鬱エンド(過去に殺人予告があったそうです)
『マナー』
【書き手】
1.割込み等を予防するためにも投稿前のリロードをオススメします。
投稿前に注意書きも兼ねて、これから投下する旨を予告すると安全です。
2.スレッドに書き込みを行いながらSSを執筆するのはやめましょう。
SSはワードやメモ帳などできちんと書きあげてから投下してください。
3.名前欄にタイトルまたはハンドルネームを入れましょう。
4.投下終了時に「続く」「ここまでです」などの一言を入れたり、あとがきを入れるか、
「1/10」「2/10」…「10/10」といった風に全体の投下レス数がわかるような配慮をお願いします。
【読み手 & 全員】
1.書き手側には創作する自由・書きこむ自由があるのと同様に、
読み手側には読む自由・読まない自由があります。
読みたくないと感じた場合は、迷わず「読まない自由」を選ぶことが出来ます。
書き手側・読み手側は双方の意思を尊重するよう心がけてください。
2.粗暴あるいは慇懃無礼な文体のレス、感情的・挑発的なレスは慎みましょう。
3.カプ・シチュ等の希望を出すのは構いませんが、度をわきまえましょう。
頻度や書き方によっては「乞食」として嫌われます。
4.書き手が作品投下途中に、読み手が割り込んでコメントすることが多発しています。
読み手もコメントする前に必ずリロードして確認しましょう。
リンクは
>>2
2 :
246:2007/09/03(月) 22:31:56 ID:NT91f7e+
3 :
246:2007/09/03(月) 22:32:43 ID:NT91f7e+
マジゴメンナサイ……orz
容量見てなかった……orz
5 :
246:2007/09/03(月) 22:39:55 ID:NT91f7e+
>4
どうもです……スレ立てるの初めてだし、500超えて投下できないし……
続きマジwktk
期待して皿洗いしてくる
>>1 乙w
まあ、良いじゃないか
投下はあれで終わり?
やっぱり、一番の犠牲になるのは子供なんだな…
ヴィヴィオがかわいそ過ぎる……orz
8 :
246:2007/09/03(月) 22:48:29 ID:NT91f7e+
あ、テンパって忘れてた。
投下は前スレの最後で終了です。
ちょっと、聖王ヴィヴィオに吹き飛ばされてきます 。
ゆりかご λ...........
>>8 GJ!
相変わらず気持ちいいほどの鬱を有難う!!
聖王ヴィヴィオに惚れた俺は多分異端。というわけで…一人にはさせない。
ゆりかご λ...........λ...........
>>8 GJ!特に壊なのはに対するはやての描写が秀逸。良い感じに鬱ってきたw
でも容量考えてなかったのは……少し……頭冷やしてらっしゃい…。
新スレ乙
>>8GJ
チンク姉と運命を共にする
ゆりかご λ...........λ...........λ
>>8 なるほどそうだったか…GJ!!
ええい!このルルーシュ・ランページが命令する!聖王よりあの三人を守れ!
>>GJ、&スレ立て乙であります
えっと次投下していいでしょうか?
新スレ乙。
>>8 GJ!
しかし冒頭を思い出せば、ここまでこじれたのがある程度まで、というか普通に幸せに見えるところまでは持ち直す、ってことなんだよな……
結局のラストが鬱のまま、ってのは分かってるし、ラストが何となく予想ついてきたけど、せめて一時の幸せを願わずにはいられない。
続きを全力全開で待つぜ!
では投下させて頂きます
エリオの受難 アリシアの場合 導入パート
・エロ無し、全体は微エロ
・オリキャラが出ます、エリティアの未来ですが今回最初本当にオリキャラです
…次では本編キャラが入りますのでご勘弁を
・以上がダメな人はスルーよろです〜
エリオの受難 アリシアの場合 1 妹―
わらわらと園児の群れが重厚な煉瓦作りの門から続々と溢れ出てくる
私立『ヴォルケンリッター・はなとゆめ』園
みんなのお迎えの時間帯、あちこちに駆け出す子供達
「こっちよー!」
「ママー」
がやがや、ざわざわ
座り込む子、キョロキョロと親を探して回りを見渡す子
2、3人組み、友達と一緒に笑いながら帰って行く子
毎日の事とはいえ、それでもパニックになりそうなほどの混雑だ
そんな中に軽快な感じでピョコンとオレンジレッドの目立つ髪が跳ねた
「ホラぁ、ナカジマぁー!ぐずぐずしないの!さっさと来る!」
後ろを向いて不満げに口を尖らせる
「そ、そんな事言ったってぇ…この人ごみだし…ボクは、その、フェイトちゃんのカバンも持ってるんだから…」
弱弱しく応える青髪の園児、せいせいと息を吐き、あえぐ顔が本当に少女のようで可愛い
「何その言い方!? あたしの荷物持たせてあげてるのに、何か文句でもあるって言うの?」
「…いや…その…ないけど…」
「なら、黙って運ぶ!あたしの、このフェイト様の一の家来にしてあげてるんだから感謝しなさい
今から貢献度を上げておけばね…あたしは将来、時空管理局の…
…えーと、て、提督…と、とにかく一番偉い人になるんだから!」
(入園式の時の、あの人ぐらいに!)
フェイトは初めて真剣勝負で彼女を負かした(両親姉を除く)あの白いロングスカートの人の事を思い出していた
とにかくママよりパパより更にずっと偉い人らしかった
せんこーとうしよ!せんこーとうし!
あたしが提督で、アンタが次なら…えぇと…アンタは副提督よ!偉いのよ!感謝しなさい!
夕焼け色の髪の少女はビシっとバッグを担いで前かがみになった少年を指差し
己の完璧な三段論法に満足気にうんうんと頷いている
不確定な将来の地位を保証された少年の方は、情けない表情で
『…まぁ…このくらいの荷物ならボクの力でも平気だし…距離も短いから……まぁ…いいか…』
などととフェイトのいつもの未来計画は聞き流しつつ、現在の自分の待遇をやや後ろ向きに慰めていた
「フェイト」
その時道路の端に停めた車の窓からから声が掛かった
「あ」
そちらに目を向けたフェイトの瞳が輝いて、そちらを確認するとダッシュで小走りに駆け出した
「アリシアお姉ちゃん!」
運転席の窓を開けて声をかけた繊細な赤毛を背中まで流した姉はニッコリと微笑んで応えた
横を通りかかった園児の保護者の一方が思わずそちらを見て
その、うら若い美女に目を留め、気が付いた奥さんに睨まれて身を縮めた
無理も無いかなぁ…リクオーはその気の毒なおじさんを眺めた
アリシアさんの見た目は、美貌とあの赤い髪もあり、かなり人目を引く
――――
「…すいません、ボクまで毎日…その迎えに乗せてもらって…」
「いいの、私も仕事の帰りだし、まだ訓練ばっかりなの、いつもフェイトが迷惑かけてるでしょ、ごめんね」
アリシアは屈託無く笑い、その後、車のルームミラーごしに少しすまなさそうに声をかけた
「い、いえ、そんな事…エヘヘ…」
後部座席に乗った少年―園児が恐縮した
ナカジマ家の教育のたまものか彼の言葉使いは年齢不相応に大人びて
苦労性が身に付いているようだ、身を縮めて頬を掻く
その彼の損な性格形成の理由の大半を占めているであろう
助手席の少女ー園児が一瞬、不満そうな顔をした
「…なによアンタ…?さっきからずっー…と、あたしのお姉ちゃんの首筋ジロジロ見てるのよ…このスケベ、子供のくせに…」
「えええ!何で!? ボ、ボクは別にそんなつもりじゃ…」
正確には彼がポーっと見とれていたのは
サラサラの綺麗に流れる燃えるような赤い髪と対照的に眩しいほど白い首筋そして秀麗なアリシアの横顔全部であった
アリシアがチラリとその二人の様子を見て可笑しそうに微笑んだ
「仲がいいのね、リクオーくんフェイトを守ってあげてね、この子こう見えても腕力は普通の女子だから」
少年は赤面して再び下を向いた、その様子を面白くなさそうに見るフェイト、しかし憧れの姉の横では
これ以上の暴言を吐くわけにいかず、遺憾ながら沈黙している
(これは…フェイト…後がまたうるさいんだろうなぁ…)
その様子をチラリと見て後の展開を思い浮かべた
初対面の時が思い出される、両親にお互い紹介されて、おずおずと頭を下げて
「じゃあ二人で仲良く遊ぶのよ」
と二人きりになって、ママ達の姿が垣根の向こうに見えなくなった頃
この子可愛いなぁ…なんてノンキにいささかデレっとして初見のフェイトを見詰めていたボク
(あの日まではボクの人生は平穏そのものだった…)
確かにフェイトはハっとするほどの美少女なのである、特大の※マークで注意欄に、『ただし』が付くが
彼― リクオー・ナカジマが振り向いた彼女―フェイトに最初に掛けられた言葉がこれである
「ちょっとアンタ、…リクオーなんて偉そうな名前なんてアンタみたいなひ弱そうなのには100年早いわ!
そうね…今日からあたしは、アンタの事、ナカジマって呼ぶから呼ばれたら、すぐハイって応えるのよ、解った!?」
などと一つ年下の見た目可憐な少女に言いわたされ
愕然として持ってたオモチャを取り落とし、その場に立ち尽くしてから、はや一年である…
どちらにしてもこの時期、幼きナカジマ家の長男がアリシアに憧れの気持ちを抱いていたのは事実であった
それは恋以前の淡い想いではあったが…
「ところでフェイト…その首にかけてあるものなんだけど…」
アリシアが前を見たまま呟いた
「あ、これ?パパの書斎の奥にあったの、デバイスみたいなんだけど…起動キー(名)がわかんないの…」
フェイトが無念そうに、うーんと唸っている
(バルデッィシュ見つけたのか…これは…後でさりげなく取り上げておかないと…)
アリシアは平静を装ってハンドルを持った手で考えていた、彼女自身はほとんど魔力は平均値だった為
血の続がっていない妹のケタ外れの魔力には
よそに迷惑のかからないように普段から注意するようエリオ達から言われていたし
本人もそれが自分の務めだと理解していたのだ
妹2―更に少しだけ昔の事
「ホラ、いいから出て行けよジャマなんだよお前…」
その園児らしからぬ下卑た太った顔に砂混じりのピンクの園児靴の裏がめり込んだ
「ぷぎゃ!」
「ケ、ケンちゃん!?」
「て、てめ…この…」
「何?何か文句でもあるって言うの?」
フフンと腕組したフェイトが勝ち誇っていた
その横でカバンを持ったリクオーがおろおろと成り行きを見詰めていた
鼻を押えた短い髪の少年を中心に3人の園児は
ちくしょー覚えてろ〜!と捨てセリフを残し
「少しはひねりなさいよね」
と言うフェイトの言葉を背にやがて3人組は砂場から逃げ出した
フェイトは「あっはっはw」と勝利の高笑いを囲に響かせた
成り行きをハラハラして見詰めていた周りの園児が、…特に女の子の一団からわっと歓声が上がり
「「フェイトちゃんすごーい!」」などとキャッキャと口々にはしゃいでいる
周囲に褒められて、フェイトもますますご機嫌だ
辺りの他の男子はと言うと複雑な表情で遠巻きにそんな騒ぐ女子達の様子を眺めている
保育園―幼稚園―時代
この年代だと一般にも女の子の方が体が大きかったり、力が強かったりする事が『まま』あったりするが
それにしてもフェイトの強さはその小柄な体とはうらはらに
そのケタ外れの魔力と行動力により、入園以来数ヶ月―
ヴォルケン園内を席巻していた
時には年長組みの各クラスにまで遠征して『女の子にイジワル=成敗』を繰り返していたので
我侭さかりの男の子にとってはあまり面白い状況では無かったかもしれない
ちなみに先生方は、じっと腕組みして様子を眺めているピンクの髪の烈火の将―ジーパンにひよこのエプロン
に代表されるように基本的に行き過ぎが無い限りは見守るのが基本方針だった
なお、それについて回った(本人いわく、止む無く強制的付き合わされた、である)
リクオーは『フェイトのオマケ』として悲しくも同年代の男の子の園児仲間から爪弾きにされていた
一緒に遊んでもらえなかったのでその代わり女の子には仲良くしてもらったが…
(ついでに言うとシグナム先生やリイン&アギト先生などにも)
それが為より一層クラスの男子などには嫌われ、お遊戯などではさびしく孤独になりがちだった
またリクオーが女の子にチヤホヤされてるのを見ると、とたんにフェイトが不機嫌になるので
そちらへの気配りもにもかなりリクオーは神経を使っていた
幼い園児には、なかなか酷な環境だったと言える
この状態は幼、少年期を通じてリクオーがフェイトとしばらく別れる
(別れの時にはフェイトに、真面目に勉強だけしてるように、間違って夜遊び歩いたりしないように―さもなけば殺、
…と散々キツク色々言い含められた)
―訓練生時代まで続いた
この時代はリクオーの数少ない平和な時でもある、もっとも自分の過去の昔話をうっかり同期の子に話などすると
まわりの同期からはやっかまれたり、羨ましがられたり、「死ね」とか涙目で言われたりしていたが…
それもこれも少し離れた敷地で訓練している訓練生の女子の中に
―完璧な美少女…おしとやかでそのくせスタイル抜群な…完璧なお嬢様の猫を被ったフェイトの姿―
があったからなのだが
尚、このリクオーにとっての比較的平穏な時期は
訓練生時代の卒業と同時にまたしても終わりを告げ
校門の前に腕組して立つフェイトと再会してから何の問題も無く当然のように元に戻ったのであった
そして後は彼の人生の終わりまで続いた
後に卒業式の酒の席でこの青年の愚痴を顔の赤い酔っ払った当人から聞いた保護者参加で来ていたエリオは
彼の一見羨ましい―その実本人は辛い…がとてもとても他人事とは思えず、大層同情して
この年の離れた同志の肩を抱くと、力を込めてぎゅっと強く抱きしめた
「…解る、解るよリクオー君…辛かったんだよね…ボクも…解るよその気持ち、君ならうちの娘をやってもいいかも…」
などとこちらも酔った顔に涙ぐんで放言したものだった
もっとも
「…え?…あの…エリオさん…それはその…どっちの…娘さん…でしょうか?」
などと突然のお許しにホロ酔い気分を吹き飛ばされて、真顔になったリクオーにそう聞き返されて
エリオの方も「う」
と、思わず目を泳がせて言葉に詰まったが…
この時は聞いた方もどっちの娘と言われた方が良かったのか嬉しかったのか
それにどう応えたら良かったのかも不分明だったと言う
以上短いですが導入パート終わりです
次回はゲンヤパパとギンガさん、エリオ登場の予定です
ではでは〜
>>20 GJでした!ナカジマ家長男に幸あれ……
>>1 スレ立て乙。
もしかして新スレ移行に気付いている人あまりいないのかな?
だろうね。
てか一週間もたずに500kb越えとか凄いな最近。
>>20 GJ!
リクオー君カワイソス(´・ω・`)
さてwktkしながら裸で待つか
>>21 容量オーバーは1000見たいな表示でないからな…
>>20 幼少からいきなり尻に敷かれてワロタw
人生予約済みとかもうw
ひとまず、アリシアさんを僕にくださいっ
25 :
名無しさん@ピンキー:2007/09/04(火) 01:30:33 ID:IP6HCy5x
>>前話スレ602
マジKOEEE!!
でもGJ!!
はやてやスバルが哀れだ…ヴィヴィオ可哀想だよ…フェイトも自業自得と言えばそこまでだけど…
こっからプロローグに続いてどんな終焉が待ってるのか、身震いしながら待つとします。
>>20 GJ
ああ、エリオとティアナの夜の夫婦生活SSを希望したいなあ。
あ、子フェイトとリクオーの関係はまんまアスシンだな。
LASという懐かしい響きを思い出した。
前スレでSSみたあとGJカキコミなかったんでアレ?と思ったら要領がいっぱいになってたんですね。GJしようとして気付いたw
246氏
スレ立て乙&GJです!はやて哀れすぎる…
>>1乙です。
20スレ辺りでエリキャロを書いた者ですが、変な電波を受信したので投下します。
<注意書き>
・殆どがオリキャラのお話です
・設定の捏造などお手のものです
・それでも一応なのはのSSです
これだけ見るとものすごくU-1っぽいですが、最後はなのはさんが締めてくれるので大丈夫かな……?(ぉ
『もう一度、あの空へ』
* * *
――幼い頃から、空が好きだった。
果てしなく広がるあの青空を、どこまでも自由に飛びまわりたい。そんな、誰もが一度は見る夢。
彼女もまた、その一人だった。
空に憧れた彼女は成長し魔道師となり、空を駆けた。
優秀な魔道師と評された彼女は、人々に尊敬される人物になった。
彼女もそんな人々の想いに応える事を望み、戦いの最前線の中、仲間達と共にこの世界の平和を守り続けてきた――
「前方より敵兵器、数二十――来ます!」
「行くよ皆、私に合わせて!」
「「「はいっ!!」」」
隊長である彼女の指示の元、的確な迎撃が展開される。爆音が空に響き、破壊された敵兵器の残骸が宙に舞う。
「続いて、第二波――くっ、大きい……!?」
先ほどの何倍はあろうかという兵器が飛来する。が、彼女はそれに全く臆する事無く進み出た。
「私がやるよ! 皆、フォローお願いね!」
後方の部隊にそう告げると、彼女は巨大な魔法陣を展開――砲撃を放つ。真っ赤な魔力光が巨大な敵兵器を易々と貫き、虚空へ消えた。
「流石ですね、隊長……」
感嘆の言葉を漏らす部下に微笑みを返すと、彼女は再び表情を引き締めると、次々飛来してくる敵兵器へと向き直る。
「まだまだこれからだよ……気を引き締めて!」
隊全体に指示を飛ばしながら、彼女は撃墜数を重ねてゆく。
そこには、誰にも負けない勇気で果敢に敵に立ち向かう、皆が憧れてやまない歴戦のエースの姿があった。
数十分に及ぶ攻防の末、敵の攻撃が終息を見せる。ひとまず防衛は成功したようだった。
「お疲れ様です、隊長」
「うん、お疲れ。でもまだ気を抜かないでね。またいつ襲ってくるか分からないから――」
彼女がそう言った瞬間。足元から高速で接近する影が現れた。その速度は、今までの敵機の比ではない。
しかし、それでも彼女ならば充分対応出来る相手。
「任せて!」
誰より早く躍り出て、敵の前に立ち塞がる。自分の部下を、誰一人として傷付けたくない。そんな彼女の強い意志に、皆が守られてきた。
「――っ――……!?」
しかし、異変はそこで起きた。
日々の厳しい訓練、隊長としての激務、日毎に勢いを増す敵の侵攻――彼女の体に、塵のように積もっていた疲労や負担、無意識のストレス。
それが今、最高に最悪のタイミングで、彼女の意識と動きを鈍らせた。
――爆発に呑み込まれた彼女が最後に見たものは、自分の魔力光よりも深く紅い、血の色をした空だった――
* * *
気がつけば、目の前には白い天井が広がっていた。何故自分がこんな所に居るのか、朦朧とする頭で考え――彼女は自分が撃墜された事を思い出した。
「――――!」
一瞬で、意識が覚醒する。隊の皆はどうなったのか、戦況は――そんな考えが次々に頭を巡り、彼女の心を逸らせる。
ならば、いつまでもこんな所で寝ていられない。焦る心を抑えつつ、彼女は体を起こそうとして――自分の体が全く動かない事に気がついた。
……否、動かないどころではない。自分の体の感覚が全く無い。体を動かそうとしても、首しか動かない。
そこで彼女が見たものは、自分の体に繋がれている無数の管と、ベッドの周りに何台も並ぶ、精密な医療機器。
「……良かった。目を覚ましたのね」
と、不意に聞き覚えのある声で念話が届いた。必死に首を動かして見ると、傍らに技術者である彼女の親友が立っていた。
「…………」
言葉を返そうと彼女は口を動かす。……が、声すら出ない。ここに至って、彼女は自分の体がどれだけ酷い状況になっているのかを、悟った。
「……正直、もう目を覚まさないかと思ったわ。本当に、良かった……」
そう言って、涙を零す親友。しかし、彼女にはその涙を拭う力すら無い。
(私……どう、なったの?)
こんな事、目覚めて最初に言う言葉ではない。心配かけてごめんね、とか、私は大丈夫だよ、とかもっと他に言う事があるだろう。
そう思っても、聞かずにはいられなかった。
「…………」
押し黙る友人。それが逆に全てを物語っている。が、それでも言葉にして欲しかった。
(……教えて)
念話での会話すら、億劫に感じる。以前は漲るようだった自分の魔力が、酷く弱々しい。
「……体が原型を留めていて、意識が戻っただけでも奇跡だった」
ぽつり、と友人が呟く。声を詰まらせながら、続ける。
「でも、もう中身はズタズタ。今の医療技術でも治療は不可能。それに、リンカーコアももう……」
(うん……分かった)
そこまで聞けば、充分だった。自分は、あの青空を飛べない。もう、二度と――
(――ああ、失敗しちゃったなぁ……)
しかし、不思議と彼女の心に悲しみや後悔の念は湧いてこなかった。
何よりも先に、どうすればまた空を飛べるようになるのか――それだけが、彼女の頭を駆け巡っていた。
その心こそが、彼女の強さだった。何が起ころうとも、決して俯かずに前を見続ける力。友人には『何とかとナントカは紙一重ね』などと揶揄された事もある彼女の心。
それは、再起不能になって尚、彼女を目覚めさせた力の源であると言えた。
(……それで、方法は無いの?)
だから、もう一度友人に空を飛びたいと告げた時には、思い切り呆然とされた後、もの凄く呆れられた。
「何だか泣いてた自分が馬鹿らしくなってきたわ」
友人は溜息を吐きながら、それでも微笑んだ。しかしすぐに真面目な顔に戻る。
「……でも、やっぱり無理よ。今のあなたは、この部屋に居るから生きていられるのよ? そもそも、こうやって会話出来てる事自体が奇跡だっていうのに……」
(何でもいいの。もう一度、青空を見たい。飛びたい。例え死んでも、それだけは――)
「…………」
自分でも無茶を言っている事は分かっている。しかし、全てを失った彼女には、もうその望みしか残っていなかった。
「…………――――ひとつだけ」
沈黙を続けていた友人が、口を開いた。
「本当に、何でも良いんだったら……一つだけ、試してみる方法があるわ」
* * *
(……インテリジェント、デバイス?)
聞きなれない単語を、彼女は頭の中で反芻した。
「そう。今ウチの技術班が開発している新型デバイス。今まで皆が使っているデバイスと違って、人工知能を組み込んでいるの」
友人の説明によると、人工知能を搭載する事によって、魔道師との意思疎通を可能とし、学習、相性により、結果、実用性を超えた高いパフォーマンスを期待出来るというデバイス――というものだった。
「現段階では、試作機が幾つか製作されているわ。それで、ウチの技術班としては、そろそろ実用機の製作に入りたいところなんだけれど」
一旦言葉を切る友人。彼女は真っ直ぐに友人を見つめる。
「その実用機の人工知能に、あなたの人格をプログラミングする」
「……!」
友人の言葉に、彼女は胸が高鳴った。
「――でも、分かっていると思うけど、あなたの人格、性格、言動、全てを完璧にプログラミングして人工知能に搭載するなんて、実際不可能な事。例えそれが可能だったとしても、結局の所、実際にあなたが空を飛べる訳じゃないのよ」
友人の言葉は、至極当然のものだった。そんなものは、深く考えずとも分かる事。
――しかし、それでも彼女は胸の高鳴りを抑える事は出来なかった。
(……それでも、やってみたい。私、今とてもドキドキしてるの。どんな形になっても、また空を飛べるんだって思えてきちゃって――)
彼女の脳裏に浮かぶのは、果てしなく広がる青空。動けぬ体になってからも、夢で何度も見た光景――
「……本当に、あなたは羨ましいくらいの馬鹿ね……まあ、そこが私は好きなんだけど」
顔を赤くして照れながらも、友人は微笑んだ。
「分かったわ。主任に頼んでみる。……本当は、こんな怪我人にはさせられない事だけど、主任もあなた程のエースをこのまま失うのは非常に残念だ、って言ってたし」
何よそれ、と軽い憎まれ口を叩きながら、彼女は笑った。
* * *
それから、そのデバイスの開発が開始された。とは言うものの、彼女自身が特に何かをするような事は無く、彼女のデータを取る為に色々な器具を頭や体に取り付けられたりするくらいだった。
もっとも、元より動けない彼女にとっては、眠っている間にも進んでゆく作業をただ待つ事しか出来なかったのだが。
(…………)
目覚めて、彼女は思う。一体『あの日』からどれ程の時間が流れたのだろう。この白い部屋の中では、時間の流れが希薄に感じる。それに最近、起きていられる時間が短くなっているように感じる。
――命の時間に限界が訪れようとしているのか。その事を考えると、堪らなく悔しくなる。もっと空を飛びたい。風を感じたい。強靭な彼女の心にも陰りが見え始める。
「……起きてる?」
そんなある日。気付けば友人が居た。霞む目で、その姿を捉える。
(……うん。今、起きた)
久しぶりに会った友人の顔には、疲労の色が見えた。きっと、仕事で根を詰めていたのだろう。
「良かった。一番最初にあなたに見て欲しくて、急いで来た甲斐があったわ」
そう言うと、友人はポケットから何かを取り出して見せた。
それは、小さな紅い宝石。かつてこの世界の空を美しく彩った、とある魔道師の魔法の色――
(これ、は……)
久しく感じる事の無かった胸の高鳴り。それは、彼女が待ち望んでいた空への道。
「やっと出来たの。これが、私達の創ったインテリジェントデバイスの一号機よ」
(とっても綺麗……名前は、何ていうの?)
「まだ、決めていないわ。起動呪文もよ。……私は、あなたに決めて欲しいと思っているんだけど」
(……いいの?)
「良いも悪いも無いわ。あなたが居なければ、このデバイスは完成しなかった」
そう言いながら、友人はそのデバイスを照明にかざす。その光の反射を受けて、デバイスが輝いた。
「……勿論、始めにも言ったけど、これを使えばもう一度飛べるなんて訳じゃない。あなたの人格、性格、言動、魔道師としてのデータ――出来得る限り組み込んではいるけれど、やっぱりそれは所詮プログラムであって、あなた自身とは到底呼べない代物で――」
(うん、分かってる)
友人の言葉に、彼女は心の中で静かに頷いた。
「…………」
(それでもね、何だかとても嬉しいの。――私の体はもう動かない。でも、私の心を受け継いだその子が、誰かと一緒に飛んでくれるなら、私は――)
本当はもう、飛ぶ事を諦めていた。けれど、誰かに自分の想いを受け継いで欲しかった。そうすれは、自分は心置きなく――
「馬鹿言わないで。ほら、早くこの子に名前をあげてよ。念話でも通じるようになってるから」
友人が急かすようにデバイスを彼女の手に乗せる。渡されたという感覚も無かったが、確かにそこにあるように感じられた。
『起動呪文と名称を設定して下さい』
デバイスの声が聞こえてくる。まるで自分の子供に名前を付けるような気分だった。
そして彼女は、その言葉を紡ぎ――
刹那、爆音が彼女の意識を闇に落とした。
* * *
――誰かの声。自分を呼ぶ、叫び。それに導かれるように、彼女は重い瞼を開いた。
「しっかりして……! ねえ、大丈夫……!?」
ぼんやりと瞳に映る、友人の泣き顔。そんな顔なんて見たくないから、笑ってみせた。
(……大、丈夫……私なら、平気……それよりも、何が……)
「敵の……敵の攻撃が、ここまで……」
(敵……?)
眩しい、と感じて光の方を見る。
(……――あ――)
言葉を失った。
崩れた壁。そこから見える――彼女がずっと、戻りたいと願った場所。曇り無い青空。
そして、そこで行われている、戦闘。
(綺麗――)
しかし、彼女の目には、戦闘は映らない。ただ視界に入るのは、どこまでも続く綺麗な空。この光景を、ずっと見ていたいとさえ思う。
「あっ……!」
が、それを遮るものが飛んできた。この空を侵す無法者。命無き殺戮兵器。
あの日、彼女を堕とした機影――
「きゃあぁぁあぁっっ――――!!」
友人の悲鳴。迫る死。
そんなものは嫌だ。守りたい。その為の魔法だ。でも今の自分には、そんな力はもう――
『――――Protection』
――確かに聞こえたその声。
二人の前に浮かんだ紅い宝石の展開した障壁は、その凶弾の悉くから二人を守っていた。
(……これ、って……)
「嘘……まだ、起動呪文も設定してないのに……」
呆然としてデバイスを見つめる。しかし、当のデバイス本人は何でもない、といったふうに言葉を続けた。
『緊急事態につき、強制的に起動させました。改めて、起動呪文と名称を設定して下さい』
言葉も無い二人。デバイスは、そんな二人の言葉を待っていた。
「……やっぱり、この子はあなたにそっくり。無茶ばっかりして、でも、いつも皆を守ってくれて……」
友人は泣いていた。でも、笑っていた。
(……私に子供が居たら、こんな感じかな?)
「かもね……」
知らぬ間に、彼女自身も涙を流していた。日の光を受けて輝くそのデバイスが眩しくて、嬉しくて――もう、思い残す事は何も無かった。
(……起動呪文と名前を設定します。しっかりと、聞いて)
『了解しました』
(……『我、使命を受けし者なり。契約のもと、その力を解き放て。風は空に、星は天に、そして――不屈の心はこの胸に』)
『我、使命を受けし者なり。契約のもと、その力を解き放て。風は空に、星は天に、そして不屈の心はこの胸に』
(其の名は、『レイジングハート』――――)
『All right. My name is 「Raising Heart」――――』
きらり、とレイジングハートが輝く。この名前は気に入ってくれただろうか。
――急に、ひどく眠くなってきた。でも、このまま眠るのは勿体無いな。折角レイジングハートの面倒も見たいのに。
友人の声も聞こえない。体を揺さぶってくれてるけど、ちょっともう眠気を我慢出来そうにない。
少しだけ、休ませてくれないかな。綺麗な空の下で眠るのが、大好きだから。
――――ああ、きれいなあおぞら。とても、とてもあたたかい――――
* * *
「……グハート? レイジングハート?」
機動六課デバイスルーム。各デバイスの調整を終えたシャーリーは、起動に際して若干のブランクが発生したレイジングハートに呼びかけた。
『はい。何でしょうか』
「もしかして、どこか調子悪かった? 起動時の反応が鈍ったんだけど」
シャーリーには皆の大切なデバイスを預かる身として、不備や異変は見過ごせないものがあった。
『……古いデータを読み込んでいたようです。データでは、最初期の起動時のもののようでした』
「それって、必要なもの?」
『いいえ。現在では全く使用する必要はないでしょう』
幾度もレイジングハートの調整をしてきたシャーリーにも、そんな古いデータが残っているとは思わなかった。
「必要ないなら、消去しておこうか? いざという時に支障が出たら困るだろうし……」
『――――いいえ。申し訳ありませんが、遠慮しておきます』
「え、どうして?」
『理由は不明です。しかし、このデータだけは残しておきたいのです』
「……んん、よく分からないけど、レイジングハートがそう言うなら消さないでおくわね」
『ありがとうございます』
ビィーッ……ビィーッ……
室内に、アラート音が鳴り響く。ややあって、なのはがデバイスルームは訪れた。
「ごめん、シャーリー! 調整中かもしれないけど、緊急出動!」
「分かりました!」
「レイジングハート、いける?」
『もちろんです』
力強いレイジングハートの応えに、なのはは頷く。
「それじゃあ……行くよ!」
『All right, my master』
果てしなく広がるあの青空を、どこまでも自由に飛びまわりたい。そんな、誰もが一度は見る夢。
一度は堕ちた。それでも、再び舞い上がった。
受け継がれたものは、不屈の心と空への想い。
その魂を乗せて、紅の宝玉は今日も空を翔けてゆく――――
了
(後書き)
以上、捏造のデバイス史でした(ぉ 全力でサーセン
最初はレイジングハート×なのは(無印)のSSを書いていたのに、変な電波を拾ってしまってこっち
の方を先に書いてしまいました。
一応の時代設定ですが、
・管理局が出来る前、質量兵器から魔法へと時代が切り替わる頃のお話
・インテリジェントデバイスがまだ完成していないという設定
・『彼女』はとある次元世界のストライカー級魔道師(まだそんな言葉は出来ていない時代ですが)
・『彼女』の住む魔法世界は、未だに質量兵器を使用している世界と戦争をしていた
こんな感じです。
三人称で話を進めるのは大変です><
それではスレ汚し失礼しました。
とりあえずキモイ
>>20 それとてつもなく羨ましいけど絶対に代わりたくないなw
しかも人生の終わりまでって事は……結k(ry
>>36 GJ!
レイハが最初のインテリジェントですか……。
でもレイハって確かスクライア一族が発掘した物だからそれでもおかしくはないかも。
……個人的な事ですが、しばらくの間連載投下をお休みします。
ちょっと利き手の人差し指の爪剥がしましてorz
今逆手で打ってるのですが、果てしなく辛いorz
完治したらすぐに連載再開するので、いつも感想投下していただいた方々は本当にすいません。
>>1 諸君、私は空鍋が好きだ!
諸君、私は空鍋が好きだ!
諸君、私は空鍋が大好きだ!!
<< 空鍋!空鍋!空鍋! >>
よろしい、ならば空鍋だ!!
>>20 ほのぼのしてGJ!
>>27 たしかにアスシンだw
職人氏には是非ともリクオーとフェイトの『初めての夜』を希望したいッッ!!
>>36 OK!!これはなかなかいいですね!!
>>38 >爪
アアア(((((( ;゚Д゚)))))ガクガクブルブル
しっかり養成してください!!
アスシンなんて聞いて一瞬、種ガンダムのアスランとシンかと思ってしまった俺orz
LASだったら分かったが……
俺も種死が浮かんじまったよ。
お陰で画面の前で暫く頭を捻ってたもんだ。
フェイエリ来ないかな…
俺はスバエリがいいな…
どっちにしろエリオ君は受けなのな。
だってエリオ君だもん
エリオだしね
エリオだからな…
エリオやもんなあ
エリオ……だから……
エリオ君だもん
エリオじゃしょうがないな
エリオなんだぜ。当たり前だろ
エリオ君・・・
エリオですからね
お前等本当にエリオ好きだな。
たまにはユーノくんのことも思い出してあげてください
ユーノはけっこう前スレで出番あったからな。
実は前スレでエリオで本番のあるエロSSは一本もない。
新スレ移行したのに今気づいた俺が来ましたよ
とりあえず
>>8GJ。凄かった。いやぁ、心が洗われるようだ
まともな少年漫画だったら、同い年のパートナーや、同僚のおねーさんたちやら、
保護者のおねーさんとその友人である隊長達に見守られて成長する主人公キャラ
で十分いけるキャラだしなぁw<エリオ
………スバエリこないかな、スバエリ。
個人的にはユースバも見たいんだが……あんまり無いんだよなぁ。
LASが解んなくてぐぐって吹いたw
いろんな世界があるもんだ
あれだ、無意識に年上誘引フェロモンを振り撒くエリオが六課のお姉さん達に次々誘惑されるんだ
>>60 それを和月先生が書いたんだよな!→少年誌エリオ
>>64 それだとヒロインがフェイトかシャマルさん?
>>63 それだと、六課のお姉さん方に死亡フラグが(Vガン的な意味で
>>36 GJ!
ちょっとウルッときたぜ。フランダースの犬でも泣かなかったこの俺が!
68 :
名無しさん@ピンキー:2007/09/04(火) 19:50:30 ID:ZxO4vQsJ
>>61 同意見デアリマス。
でも書けないから暫くは誰か書いてくれるのを待ちながら、
復帰したコンさんとこの投稿にあったユースバ見て妄想する
>>36 GJ!!
なんか初めて小説でガチ泣きしたわ・・・俺きめぇ
10:30くらいから一本行きます
72 :
CRR:2007/09/04(火) 22:31:26 ID:YvalU92L
では宣言通りいきます
前スレの「スバル02式」の都築、もとい続きです
確認
・ネタ作品
・スバル×エリオ、ただし今回はエリオは出てきません
・今回からは「解説付き」のみです
・エロシーンは無いですがエロい単語はあり
・戦闘機人という設定でかなりふざけて遊んでいます
不快になったらスルーで
ではドゾー
73 :
スバル02式:2007/09/04(火) 22:33:59 ID:YvalU92L
――――――スバルが危うくエリオの専属ダッチワイフになろうとしていた1時間前。
ティアナとキャロははやての元へと向かっていた。
「……絶対、スバルさんはイカれてますよっ!何でフラグも何も無いのにエリオ君に近づきやがってあのビッチが……」
「(キャロってこんなキャラだったっけ……?)まぁ、上司の八神課長なら私達の知らない情報、持ってるかもしれないわ」
もはやキャラが崩壊しかかかっているキャロはともかく、ティアナは最近のスバルの事が心配だった。
どことなく俯いた表情に、自分の出生を気にしているような、そんな雰囲気を感じ取っていた。
(……スバルが早く元気になってくれないとね……困るもの)
コンコン。
「「失礼しまーす……」」
はやてはプライベートルームに居ると聞いたので、その部屋をノックした後、二人はゆっくりとドアを開けた。
するとそこには、
『あっ!!あん!あかんっ!!あかんよぉっ!!ゲンヤさぁんっ!!』
展開されたモニターからは喘ぎ声。そして、
「あっ!あかんっ!!ちょう二人とも私に1分だけ時間寄こしてーなっ!!」
目の前には慌ててティッシュやらモニターやらを片付ける上司の姿が映っていた。
スバル02式
第二話 02対01
―――――――――――――――――
「……八神、せっかくだからお前に一つ言っておかなきゃならねぇ事がある……スバルの体の事だ」
ある日、不意にゲンヤははやてに切り出した。
「……何ですか?スバルやギンガが普通の人間やない、って言うんは重々承知ですけど……」
「そんな事はかなり前にお前や他の幹部クラスには話しただろ……これはもっと突っ込んだ秘密だ」
元々きりっとした顔を更に引き締め、
「スバルとギンガ……あいつらは……ダ ッ チ ワ イ フ なんだ」
とても真面目な人間とは思えない台詞を吐いた。
「………ゲンヤさん、お茶目が過ぎるといくら何でもしばき倒すでぇ?」
「お前がそう思うのも無理はねぇ……だがな、これはマジなんだ」
【スバル02式・ギンガ01式マニュアル スバル02式・ギンガ01式についての情報は時空管理局の最高機密なの!】
スバルとギンガが戦闘機人だってことは前にも話したな。
まぁ、そんな特殊な生まれなもんだから、管理局の研究施設で最初に徹底的に検査したわけよ。
そしたら、とんでもねぇデータが返ってきやがった。
見た目は保育園かそこらのガキンチョが、もう男のチ○コを受け入れる体としては完成体だってんだからな。
【スバル02式・ギンガ01式マニュアル スバル02式・ギンガ01式は起動後の面倒な設定・調整は一切必要ないの!】
74 :
スバル02式:2007/09/04(火) 22:36:27 ID:YvalU92L
その後もすげぇデータがバンバン出てくる。
行動パターン、刺激に対する反応、どれをとっても……そう、正に性の道具だったわけだ。
【スバル02式・ギンガ01式マニュアル スバル02式・ギンガ01式はダッチワイフなの!】
なんでそんな機能を持っているのか、相当な議論がされたさ。
結果としては……ぶっちゃけちまえば、研究機関やらなんやらに『枕営業』するため。そんな結論になった。
高度に発達した戦闘機人システムを世間に広めるために、技術者連中も躍起になってたようだな。
【スバル02式・ギンガ01式マニュアル スバル02式・ギンガ01式の法人向け受注のめどは未定なの!】
……何よりやっかいだったのは「インプリンティング」だった。
使用者の生体情報を体に記憶して、人間の部分の記憶までオールリセットしない限り所有者の書き換えが出来なくなっちまう。
正直、俺は迷った。望まねぇ相手とそんな事になっちまったら……
【スバル02式・ギンガ01式マニュアル スバル02式・ギンガ01式は最初に挿入されたペ○スをインプリンティングし その男の一生の性の奴隷となるの!】
なら生殖器を取っ払っちまったらそんな悲劇も起こらなくて済む、なんてことも考えた。
だが、それは嫁……クイントに止められちまった。
「女が、好きな相手に体を捧げられない……それは悲しい事だから。チャンスを潰さないであげて……」ってな。
俺ら夫婦は子供が出来なかったし、SEXがどれだけ男女関係にとって大切かどうかは十分以上に分かっていたさ。
確かに、スバルとギンガが「人間として」成長すれば、いつかは当然そんな事も起こるわけだ。考えたくねぇがな。
とりあえずそれ関係のマインドプログラムにフタをして、様子を見ることにした。
それで何も無ければよかったんだが……一回、暴走した時があった。
クイントが死んで1週間位したときだったかな。
疲れてベッドに潜り込んだんだが、どうも下半身がくすぐってぇ。
そう思って布団を跳ね除けると……
スバルとギンガが俺のモノをしゃぶってやがった。
【スバル02式・ギンガ01式マニュアル スバル02式のバキュームフェラは吸引力30000mcc ギンガ01式のバキュームフェラは吸引力50000mccなの!】
【スバル02式・ギンガ01式マニュアル 最高級ダッチワイフであるスバル02式・ギンガ01式をぜひ寂しい夜のお供にご愛用下さいなの!】
どうやら母親が死んだショックで、フタしたプログラムが戻っちまったようでな。
そりゃぁビックリしたさ。もうそん時ゃ親子として完全に形が出来てたんだぜ?気まずいったらありゃしねぇ。
その後はまたプログラムを弄って、スバルとギンガには徹底的に男を避けるような性教育をして……
【スバル02式・ギンガ01式マニュアル スバル02式・ギンガ01式をぜひ貴方好みのダッチワイフに仕上げて欲しいの!】
「ああ、せやからあの歳になってもあの姉妹、浮いた話の一つも無かったんやな」
「まぁな。俺の目論みは一応成功してたわけだ……つい最近まではな」
最近は、人間らしく成長させてきたが故の弊害が出てきちまった。
学校ではまともな性教育もするし、仕事でも同僚やらと猥談もする。
そのうち、プログラムのフタの歯止めがまた利かなくなって来ちまった。最近は成長したせいか、弄ってもすぐ蒸し返しちまってたしな。
【ギンガ01式マニュアル ギンガ01式は高度な学習機能を搭載 どんなプレイも追加プログラム可能なの!】
ウチの部隊でも、ギンガの奴、カルタスやら周りの男に相当やらかしてたしな……まだ未使用なのが奇跡みてぇなもんよ。
だから、ギンガにはもう出生の秘密は全部バラしてある。その方が行動の制御がしやすそうだったしな。
スバルにもじきに言わなきゃならねぇだろう……
75 :
スバル02式:2007/09/04(火) 22:40:07 ID:YvalU92L
―――――――――――――――――
「……と、これがまぁゲンy……ナカジマ三佐から私が聞いた事の全てや」
かぽーん、と獅子脅しの音がする。
かつてリンディが使っていた名残のあるこの部屋で、はやてはティアナとキャロに全てを話した。
「……では、戦闘機人は、その……全てダッチワイフとしての機能を内蔵しているということでしょうか?」
「うーん……なんとも言えんけど、今まで見つかった戦闘機人はすべて女性タイプやったらしいから、
すべての戦闘機人がそういうことのために作られていると考えてもあながち間違ってへんと思うわ」
ティアナの疑問に答えると、はやては茶碗の中のお茶を少し口に含んだ。
「ティアナがさっき言ったスバルの不調が、ホンマにシステム的な問題なら……スバルにもいよいよ話さなあかんっちゅう事か……」
「そうですね………」
二人が深刻そうな顔をし、お茶に手を伸ばす。その時、今まで黙っていたキャロが口を開いた。
「……あの、何で相手がエリオ君なのか、とかは分かりませんよね……?」
必死に搾り出した質問は、自らのパートナーについてだった。
「……正直、何でスバルがエリオに対してそないに猛アタックをかけてるんかまでは分からん。
もしかしたら……スバルはエリオの事が元々好「そんなはずありません!!!」」
はやての推論をキャロの叫びが遮る。
「そんな……そんなはず……ん?」
キャロのケリュケイオンが何かに反応して光っている。
よく見るとティアナのポケットの中でクロスミラージュもパカパカと点滅していた。
「ティアナさん……何でしょうか、これ」
「うーん……ただ発信源はストラーダみたいよ、この信号」
それを聞いた瞬間、キャロの脳内で一瞬にして最悪のシナリオが描かれた。
「まさか……SOS!?だとしたら、原因は……スバルさんだっ!!!!!」
「え!?ちょっとキャロ、それはあまりにも短絡t」
何かを言いかけたティアナがキャロのほうを向くと、すでにキャロは居なかった。
「あっ……!?ったく、あの子ったら!すみません、これで失礼させていただきます!キャロー!待ちなさーい!!!」
ティアナがキャロを追いかけていった事により、はやての部屋はまたはやて一人になった。
「はぁ、二人とも難儀やねぇ……それにしても……」
人が居ないことを確認して、はやてはさっき急いで閉じた空間モニターをまた展開する。
モニターには、初老の男性に性的な意味で弄ばれる少女の姿が映っていた。
「危なかったわ……まさか私が、この前のゲンヤさんとのハメ撮りビデオで一人エッチしとったなんて見つかったら……」
(……ビデオか……今度ヴァイスさんと試してみようかな)
はやての失態はきっちりバレていた。
76 :
スバル02式:2007/09/04(火) 22:43:08 ID:YvalU92L
―――――――そして、一時間後。
「……そっか、私……戦闘機人、ってだけじゃないんだね……」
「そうね。でも、分かってるのと分かってないのでは対策の立て方も違うでしょ?」
やはり動揺を隠せないスバル。
自分が性処理の道具だと言われては、いた仕方が無い事ではあるが。
「まぁ……今更アンタの正体が何だって、付き合い方が変わるような人なんて六課には……」
……一人、ピンク色の髪の少女が浮かんだが、スルーすることにした。
「……居ないから。別に普通に振舞ってればいいわよ」
「ティア……ありがとう」
「ふん、別に私はお礼言われるようなことなんてしてないわよ」
「うん……でも何となく、言いたくなったんだ」
どちらとも無く見つめあい、微笑を交わすスバルとティアナ。
そんな、なんでもないようなやり取りを、アースラ内に響き渡る警報がかき消した。
――――――『聖王のゆりかご』が起動し、機動六課フォワード陣は首都防衛ラインへと配置された。
「これは……無理、かな……」
ナンバーズ3機と対峙し、ティアナの口からつい弱気な台詞が出る。
瓦礫を背にして膝を抱え座り、ふと頭に浮かんだのは、
『あっ!!あん!あかんっ!!あかんよぉっ!!ゲンヤさぁんっ!!』
先ほどモニターで見たばかりの、はやてとゲンヤが繰り広げる痴態だった。
(…………何でよっ!!!!!)
ついつい一人突っ込みを繰り広げるティアナ。
余計な考えを巡らせている間にも、ノーヴェ、ウェンディ、ディードはじりじりとティアナに近づいてくる。
【ジェイルシリーズマニュアル ジェイル09式・11式・12式は狙ったペ○スは逃がさない高度なセンサーを多数内蔵しているのだよ!】
「………畜生っ!こんなふざけた走馬灯で人生終わるなんて冗談じゃないわっ!!!」
ある意味、生きる希望が湧いてきたティアナは、頭の中で生き残りをかけた戦闘シミュレーションを開始した。
77 :
スバル02式:2007/09/04(火) 22:46:31 ID:YvalU92L
二色のウイングロードが空に伸びてゆく。
スバルとギンガ……もとい、スバル02式とギンガ01式改・「ジェイル13式」が肉体言語で語り合っていた。
しかし、圧倒的にギンガにペースを握られ、スバルはかなりあせっていた。
「リボルバー……」
ギンガの左手がスバルへと伸び、とっさにスバルは防御する。
スバルのディフェンサーを、じりじりとギンガの拳が削っていく。
と、ギンガの手先が「何か」に変形した。
「……ギムレット」
それは回転運動を伴いスバルの防御に穴を開け、ディフェンサーが弾けた反動でスバルは大きく吹っ飛ばされた。
「ぐあぁぁあぁぁあっ!?!?!?」
とどめに蹴りを一発食らった結果、スバルはコンクリートに打ち付けられた。
あちこちがズキズキ痛む体を起こし、ギンガを見上げる。
ギュンギュンと回転音を伴って回っていた「何か」が目でしっかり確認できる。
「ギン……姉……?」
それは、一見棒のように見えて、よく確認すると複雑な形状をしていた。
先端から2〜3センチほどの、引っ掛かりのあるような部分が最も太い。その引っ掛かりのあとは一定の太さを保っていた。
色はやや赤味がかかった黒。常に潤滑が必要なのか、液体系の光沢を放っていた。
【ジェイル13式マニュアル ジェイル13式の左手はベ○ビーエン○ーテ○ンメ○トも真っ青のマシンバイブモードを備えているのだよ!】
【ジェイル13式マニュアル ジェイル13式のマシンバイブは潤滑が滞らないように常にローションが滲み出る安心設計なのだよ!】
「ギン姉……ギンねぇ……」
変わり果てた姿になってしまった姉を見て、スバルは空に向かって吼えた。
「……センス悪いよ――――――――――っ!!!!!!!!」
【ジェイルシリーズマニュアル ジェイルシリーズはデザインをやや度外視し 性能を飛躍的に向上させた戦闘機人兼ラブドールなのだよ!】
第二話 02対01
おわり。
78 :
CRR:2007/09/04(火) 22:49:37 ID:YvalU92L
以上、第二話でした。俺は関西人でないので、はやて弁はかなり怪しいです。
今回は「スバル02式」を頭に浮かべた時にすぐに浮かんだ、「戦闘機人兼ダッチワイフ」の簡単な裏話の説明でした。
……細かいオリ設定作れる人って羨ましい。
あ、解説の中の人ですが、スバギンはなのはさん、ナンバーズはスカ博士のつもりです。
まだ続きます。ただ第三話は本編23話のネタバレを若干含むのでちょっと後になります。では!
スカの解説セリフのクオリティが高すぎる件
俺、今度の給料でジェイル01式と06式買うよ!!
なんという台無し感(誉め言葉)。
ジェイル型は戦闘なしでも大人気になるんジャマイカ。
元に戻ったときのギン姉が哀れだww
>>79 じゃあ俺は05式と10式を買うよ
なんと言う本編台無しSS、
だ が そ れ が い い ! !
ところで、ジェイル05式は何処で売ってますか?
私も一人購ny……もとい、保護したいので。
ところで、ナンバーズのスカへの忠誠心はそーゆーことヤったから、とか、
ってことはギン姉もスカの毒牙に……とか考えると意外と怖い話にもなるな、コレ
>82
スカは開発機人っぽいからヒトの生体情報として認識されないんでは?
故にギン姉とヤッてもインプリティングが完全ではない、とか(ナンバーズは設計者補正でどうにか)。
キャロの言葉づかいが酷いです
>>85 キャロさんは既にエリオからのインプリンティングを受けていると考えるんだ!!
ジェイル12式は俺の嫁ーーー。
>>79,81,82,87
おまえらそこに並べ…
胸の中の機人への想いはたった一部のみの購入で満たされるような浅いものなのか!!
数の子たちはぜーんぶ俺のものー!
誰にも渡さなぁぁぁぁぁーーーーーいっ!
>>88 んー、そーねー。
外見ディードでー、性格セイン。夜はウーノ。
そんな機人。
>>91 シャマル先生なにやってんですか、早く帰りますよ
全く台所に立たせるとろくな事がない…
>>90 そんな奴いるかー!
パーフェクトジオング張りの珍妙な生命体がこの世にいるか!!!
いるんだよ!!
二次元だけどね……。
エロノ・淫さま・CHI☆RA☆CHI☆RA・レジィ「居るトコにはいるんだよ!!!!」
エリオ「どこにですか!!」
エロノ・淫さま・CHI☆RA☆CHI☆RA・レジィ「スカリエッティのラボだよ!!!!」
エイミィ・なのは・ティアナ・ゼスト『少し頭冷やそうか?』
前もこんな書き込みした気がする
96 :
暗愚丸:2007/09/05(水) 00:52:56 ID:QH4610Ap
あー、どえらい久しぶりです。
そろそろ忘れられた様な気もする暗愚丸です。
ふたフェイ、エロシーン一歩手前で進まなくなったので、妙なネタに走りました。
今回は、非エロ・シリアスです。
半オリキャラが出ます。
原作ネタが少々混じってますが、あくまでネタって事で。
時間軸は三期ですが、三期キャラは一人も出ないと言う怪作です。
そんなのいらねぇと言う方は、NG指定お願いします。
では、『桃子さん訪問記』はじめます。
ややこしい入国監査を終えた桃子は、やっと空港から外に出た。
初めて訪れる、愛娘の働く世界。
見た目はごく普通の日本の都市部と変わらないけれど、かなり空気や水がきれいな部類
に入る海鳴よりもなお、空は明るく澄んでいた。
この世界でも機械が使われているとは聞いているけれど、その影響は日本よりもかなり
少ないのだと理解できて……
「ももこちゃん、ももこちゃん。ここになのはおねえちゃんいるの?」
感慨深げに周囲を見渡していた桃子は、足下から聞こえた声に視線を下に向けた。
ベージュ色の長袖シャツの上にブラウンのオーバーオールスカートを着ている幼い少女
が、じっと見上げていた。
初めて会った頃の美由希と同じ年の少女。恭也と忍の長女である雫に桃子は話しかける。
「ええ、そうよ。雫もなのはと会うのは久しぶりだし、楽しみよね?」
「うんっ! なのはおねえちゃんきれいだから、あえるのうれしい!」
恭也似の黒い髪に忍似の優しい顔立ちとアメジストの瞳をもつ雫が、後頭部だけ伸ばし
て項あたりで尻尾状に纏めた髪を振りながら、にこにこと笑っている。
そんな初孫の様子に相好を崩す桃子。
「そうね。とりあえず、ホテルに行って荷物を置いてから観光しよっか?」
「はーい!」
雫の伸ばしてきた手を掴んで、桃子は歩き出した。
「かあさん。久しぶり」
「お義母さん、久しぶりです」
「ももこちゃん、こんにちわ!」
「ももこちゃん、こんにちわです」
それは昨日の昼のこと。
ドイツで色々と騒がしい日々を送っていた恭也と忍が、孫三人を連れて翠屋に来たのだ。
「あらあら、みんな揃ってなんて久しぶりね〜! あなた、恭也が帰ってきたわよ〜!」
普段とは逆に厨房に籠もっている士郎に声をかけて、桃子は忍の胸の中ですやすやと眠
る赤ん坊を見詰めてほほえむ。
「あら、真也ちゃんは寝ちゃってるの? 折角初めましての挨拶出来るかなって思ったん
だけど」
「しんちゃん、いつもねてるんだよ! でもねでもね、おきてるときはあたしみてすごく
わらってくれるの!」
口を開いた忍を押しのける勢いで雫が声を上げる。
それと同時に忍似の紫水晶の長い髪を後ろに流した大人しげな顔立ちの少女。
白いワンピースを着ている次女の栞が、にこにこと笑いながら口を開く。
「そうなんです。しんくん、しずくねえさまだいすきみたいなんです」
時々届くビデオメールそのままの、大人しい落ち着いた言葉遣いに苦笑を浮かべた。
「そうなの? でも真也ちゃんはきっと栞ちゃんのことも好きなんだろうね」
「えと」「うんっ! しんちゃん、しおりをみるといつもだきつきたがるの!」
「……二人とも、もう少し静かにな。他のお客さんの迷惑だ」
子供の甲高い声は店内に響き渡っていて、そのことに気づいた恭也が苦笑を浮かべて雫
と栞に声をかける。
「は〜い」「ごめんなさい」
かたや不満そうに頬を膨らませて、かたや申し訳なさそうに肩を落として返事する二人。
そんな様子に優しい笑顔を浮かべる恭也をみて、桃子も微笑んでいた。
初めて会ったころの恭也は、いつも一歩引いた所にいたがる少年だった。
笑顔どころか、喜怒哀楽すら滅多に見せることがなかったくらいで。
それはきっと、士郎以外の親族を全て一度に失ったことや、その縁で引き取った美由希
の面倒をずっと見ていたことが原因だろうと思っていた。
だけど、自分のことをかあさんと呼んでくれて、忍と知り合うようになって、こうして
忍と一緒になった恭也が優しい笑顔を浮かべてくれる事が、桃子には何よりも嬉しかった。
「とりあえず、奥のBOXが空いてるからそっちに行きなさい。あ、雫と栞は特製パフェを
出してあげるね」
「わーいっ!」「えと、ありがとうございます」
嬉しげに両手を上げて万歳する雫と、はにかみながら小さく頭を下げる栞に笑顔を向け
てから、忍と恭也に視線を向ける。
少しだけ困ったような表情を浮かべて見詰めてくる二人に、何となく頼み事が在るんだ
なと理解した。
「えへへ、おいしいね」「うん、おいしいです」
にこにこと笑い合う雫と栞。その仲睦まじい様子に、桃子の口元には自然と笑みが浮か
んでいた。
本当ならまだ仕事が忙しい時間帯。
けれど、厨房を受け持ってくれている士郎と、チーフウェイトレスとしててきぱきと働
く美由希、それに最近パートとして入ってきた島上晶と言うウェイター――もとい、ウェ
イトレスのおかげで、少しくらいなら時間を割いても問題はない。
「それで、どうしてこっちに戻ってきたの? しかも何の連絡も無しで」
「本当なら帰ってくるつもりは無かったんだが、忍の方の事情でちょっと」
「その……、アタシの一族は大きいだけに古くさいしきたりが沢山あるんです」
月村重工業――遠祖をたどれば幕末期の絡繰師に端を発すると言う名門だけに、そう言
うこともあるのかなと、そんなことを思いながら桃子は二人の言葉の続きを待つ。
雫と栞がお互いのパフェの味見をしているのを微笑ましく見詰める桃子に、忍が困った
ように笑いながら語を繋いだ。
「その中で、一族の主立った人間が年に一度集まるんですけど、ここ数年サボってたから
両親に是非とも顔を出せと言われて」
「それで、雫を預かって欲しいんだ」
「……雫ちゃんだけ? 栞ちゃんや真也君はいいのかしら?」
浮かんだ素朴な疑問を投げかけながら、桃子は恭也と忍の表情を見詰める。
「はい。その、集会自体に出るのは在る程度の年齢以上に限られるんですけど、その年に
生まれた子はお披露目の意味も兼ねて、連れて行かないといけないんです」
「雫の時はまだこちらにいたから顔を出したが、栞と真也は向こうで生まれたからいい加
減顔を出すようにと、お義父さん達にどうしても言われているんだ」
苦笑を浮かべる忍と、普段通りの無表情で語る恭也に、何となくその集会とやらに出る
のがイヤだという事だけは理解できた。
月村の家はかなり親族が多く、またその中でも忍の家は本家に当たるため、ごく普通の
一般人だった恭也と本家のお嬢様である忍との結婚には反対する人間も多かったらしい。
それを考えると、いきたがらないのもしかたがないかなと桃子は思う。
「まぁ、恭士郎もいることだし、それは構わないけど」
美由希の息子の名前を挙げながら頷く。
二世帯で住んでいる高町家は間取りの面で十分の余裕があるから、それ自体は構わない。
そこまで考えて、ふと思いついた。
「ねぇ、恭也、忍。二人とも……っていうか、家族揃ってしばらくこっちに滞在するんで
しょ? それならしばらく雫を借りても良いかな?」
にこにこと笑いながら問いかける桃子に、二人が小首をかしげる。
「この前から、なのはに一度遊びに来てって誘われてたのよ。今の翠屋の体制なら、一人
だけなら二日は抜けても大丈夫だけど、一人で行くのはどうかと思ってたのよねー」
「なのはおねえちゃんにあいにいけるの!?」「しずくねえさま、いいなぁ」
それまで大人の話に興味がないとパフェを食べていた雫と栞が同時に顔を上げた。
「ええ、そうよ。なのははとっても忙しいから、なかなかこっちにこれないもの。久しぶ
りにきたんだし、会いにいくのもいいよね」
「うんっっ! いきたいっ! ……あ、でも」
思い切り頭をぶんぶんと上下させていた雫がぴたりと動きを止めた。
その顔を隣の栞に向ける。
「でも、でもでも、しおりもいっしょがいい。あたしだけあうのはなんかずっこい」
「ふむ。別に構わないだろう。雫もたまにはなのはに会ってくると良い。栞にはまた次の
機会があるからな」
恭也の言葉に申し訳なさそうな表情を浮かべる雫を見ながら、桃子は忍と共に優しい笑
顔を浮かべていた。
まだ幼くても、周りの人を慮る雫の優しさが嬉しかったから。
「しずくねえさま、わたしとしんくんのぶんまで、いっぱいなのはおねえちゃんとおはな
ししてきてね?」
「うんっ! ごめんね、しおり」
そんな子供達のやりとりに温かい気持ちをおぼえながら、桃子は軽く立ち上がる。
「さて、話しも決まったことだし、なのはに連絡を取らないとね。じゃ、雫ちゃんしばら
くかりちゃうね?」
「ええ、お義母さんよろしくお願いします。雫、迷惑かけちゃダメよ」
「は〜い!」
現代日本と殆ど変わらない町並みを歩きながら、桃子は小さく溜息を吐いた。
「どうしたの、ももこちゃん?」
「ううん、なんでもないわよー」
うにうにと雫の頭をなでながら、周囲を見渡す。
流石に異世界。
看板や交通標識は見たこともない文字で書かれ、其の下に、日本語や英語、ドイツ語―
―によく似た文字――がつづられていた。
言葉も最初に話しかけた瞬間は一瞬戸惑われるのだが、すぐに同じ言葉で返してくる。
ソレもなのはの言う魔法のたまものなのかなと思いながら、それでも流石に疲れを覚え
てしまうのだ。
「じゃ、いこっか? 桃子さんもお腹すいたし、雫もなにか食べたいよね?」
「うんっっ!」
思いきり元気よく頷く雫に思わず苦笑して、歩道に沿って歩き出そうとして。
不意に鳴ったクラクションに何となく振り返ってしまう。
黒いスポーツカーが、背後の車道に止まっていた。
そのドアが開いて、桃子は安堵の息を吐き出す。
「よかったぁ、やっと見つけたよ〜」
「あ、なのはおねえちゃんっ!」
かっちりとした制服に身を包むなのはが、嬉しそうに笑っていた。
ソレをみた雫が真っ先に飛び出して、なのはに飛びついていく。
「わっ!? あ、雫ちゃんっ! うわぁー、久しぶりだねー!」
「うん、ひさしぶりだねー! なのはおねえちゃんこんにちわーーーっっ!!」
ひょいっと雫を抱き上げて、嬉しそうに笑うなのはの姿に、その幼い頃から変わってい
ない優しい笑顔に、内心でほっと胸をなで下ろす。
「桃子さん、お久し振りです」
「あ、フェイトちゃん……って年でもないわね。フェイトさん久し振りね。いつもなのは
がお世話になってます」
和気藹々としたなのはと雫に笑っていた桃子は、フェイトがすぐ隣に来て声をかけてく
るまで気づかなかった。
どうやら、先ほどの車はフェイトが運転していたらしいと言うことに。
「いえ、こちらこそ、なのはのお世話になりっぱなしですから」
僅かに頬を赤らめて苦笑する様に、何となく同じ苦笑を浮かべつつなのは達に視線を向
ける。
とても嬉しそうななのは。
その様子に、少しだけ違和感を感じた。
「なのはは、元気でやってたかしら? たまに帰ってきても、あまり仕事の話題は口にし
たがらないのよ」
はぁっと溜息を吐きながら隣のフェイトに語りかける。
なのはにとって一番の親友だった少女。
今では殆ど同じ高さの目線の少女を見ながら、桃子は言葉を紡ぐ。
「気持ちは解らないでもないんだけど、母親としてはやっぱり心配だものね」
「母さんもよく似たようなことを言ってます。やっぱり親にとって子供はいつまで経って
も子供なんですね」
苦笑しながら返してくるフェイト。
なのはが中学を卒業するまでは殆ど毎日の様に翠屋に来ていたリンディの事を思い出す。
「ええ、そういうこと。フェイトさんも子供が出来たら解るでしょうね」
「はい……、そうですね」
実感のこもったフェイトの声に、思わず首をかしげる桃子。
だが、その理由を問いかけるよりも早く、
「お母さん、久しぶりだね」
含羞(はにか)みながら、なのはが声をかけてきた。
地面に下ろした雫としっかり手を握り合うなのはに、笑顔を返す。
「久しぶりね、なのは。元気してた?」
「うん、私はいつでも全力全開、元気一杯だよ」
その言葉に小さな違和感を覚えて、けれど今はソレを口にすることが出来なくて。
桃子はなのはから雫に視線を移した。
後で、しっかりと話しをしないといけない、それだけは実感した。
「雫、ご飯何が食べたい?」
「カレーライスっっっっ!!!!」
「んー、カレーかぁ……、こっちに来てるカレーって超本格か海の家式なんだよねぇ」
「そうだね。デパートに行けば材料は在るから自分で作ることは出来るけど……」
インド式の本格カレーも、海の家で出される、マズいもう一杯、なカレーも雫には食べ
させたくないなぁと思ってしまう。
同時に、雫があっと驚いた表情を浮かべて、フェイトを見詰めた。
「へ、へひ、ふぇいとおねえちゃん、こんにちわっっ! なのはおねえちゃんばっかりで
ごめんなさい!」
フェイトに向かってぺこんっと頭を下げる雫に、桃子はフェイトとなのはと視線を交わ
し合って笑う。
恭也と忍の躾がしっかりしていることの嬉しさと、まだ子供の雫がそんな風に振る舞う
姿が微笑ましい。
「そう言えば、この間はやてが行った居酒屋にかなり日本の料理があったって言ってたし、
もしかしたら、カレーライスもあるかも」
「カレーあるのっっっ!?」
なぜか異様に意気込む雫に、思わず三人で苦笑を浮かべあう。
「そう言えば、忍さんもカレー大好きだったね」
「親子だから好きな物が似るっていうのは……、たまたまだと思いたいね」
なぜか困った様に笑うフェイトに小首をかしげる桃子。
そんなこちらの様子を気にもせず、なのはが雫に笑いかける。
「じゃ、其の店に行ってみよっか」
「うんっっ!」
「フェイトちゃんも一緒にどう?」
全力で首を上げ下げする雫の頭をぽんっと撫でてから、なのはがフェイトに笑いかける。
ただ、隣に立っているフェイトの雰囲気で、その答えが分かってしまう。
「うぅん。なのはがいない分、私が頑張らないといけないから。親子水入らずでゆっくり
してて」
「あ、ごめんね、フェイトちゃん」
申し訳なさそうに頭を下げるなのはにぱたぱたと手を振って、フェイトが車に向かって歩き出す。
「フェイトさん、ありがとね。また暇が会ったら翠屋にも顔を出してね? リンディさん
と一緒に」
「はい、いつかまた」
「へっ、ふぇいとおねえちゃん! さようなら!」
「うん、さようなら。雫」
そんな言葉を残して去っていくフェイト。
その颯爽とした姿に小気味良さを覚えて、何となくなのはに目を向ける。
「ん、何?」
どこかのほほんとした様子に、僅かに苦笑を浮かべる。
「そんなことより、カレーライスっっっ!」
「あーうん、そうだね。じゃ、いこっか雫」
「うんっ!」
「お母さんも、早く行こ」
「ええ、そうね」
一本芯が通っていても普段はのほほんとしている方がなのはらしいとそう思えた。
周囲を森に囲まれた閑静な環境のホテル。
寝室とリビングが分かれているかなり上等な部屋に、桃子達はいた。
窓から見える空は既に夜に染まっていて、それでも僅かに明るいのは月が煌々と照って
いるから。
豪奢ではないが、作りの良い椅子に腰掛けて、桃子はなのはと差し向かいで座っていた。
さっきまでは、桃子の隣でなのはの話しに驚いたり昂奮したりしていた雫がやけに静か
なことに気づいて、桃子は視線を隣に向ける。
その瞬間、
「ふわぁぁぁ〜〜〜〜」
雫が大きな口を開けて欠伸をする。
「ほら、雫。眠いんだったらベッドに行こうね?」
瞼をごしごししながら椅子から立ち上がった雫が、なのはと桃子の方を向いてくる。
「ふぁい、なのはおねえちゃん、ももこちゃん、おやすみなさ〜い」
『お休み、雫』
なのはといられるのがよっぽど嬉しかったのか、全力ではしゃぎまくっていた雫。
その疲れが出るのはあっという間だったのだろう。
隣の寝室に歩いていった雫が、そのまま空いているベッドに飛び込んだ。
その後に付いていた桃子は、あっという間に寝息を立てる雫を優しく見詰める。
そして、さっきと同じ椅子に腰を下ろすと同時。
なのはが少しうつむき加減で口を開いた。
「雫は可愛いね」
「ええ、そうね」
そのなのはの言葉に、妙な影を感じた。
それはなのはらしくないと思えたから。
「お母さん、……私がこうしてるのって、やっぱり心配かな」
「そんなの、当たり前でしょうが。親にとって子供はいつまでも心配の種なのよ?」
わざと冗談めかして、桃子は明るく言う。
けれど、その言葉に込めた想いには一切嘘がない。
「私ね、今はフェイトちゃんとはやてちゃんと一緒に、後輩の育成をしながら前線に出て
るの。私は大丈夫だよ。たまたま強い力とソレを使う技に恵まれたから。でもね、みんな
がみんな、私みたいじゃないって気づいたの。才能って、不公平だよね」
一句一句、区切るように言葉を紡ぐなのはを、ただ黙って見詰めていた。
「ヴィータちゃんが助けてくれてるし、二人も訓練を重ねてどんどん強くなってるけど、
……それでも不安なの。みんなが怪我するかも知れない……じゃうかも知れない。ソレを
思ったら心配でたまらなくて」
そこまでで言葉を切ったなのはが、じっとこちらを見詰めてくる。
それだけで、なのはが何を思っているのか簡単に理解できた。
親子なのだ。分からないわけがない。
「それと同じ気持ちをあたしに感じさせてるのが、そんなに恥ずかしいのかしら?」
その言葉は本当に他意のない問いかけで、なのに、なのはがびくっと肩を震わせて見詰
めてきた。
「ホントの事を言うとね」
だから桃子は、今まで押さえてきた想いを口にする。
今日はそのことを話し合うのに丁度いい機会だと思えたから。
「なのはには危険なことなんてして欲しくないわ、母さんはね」
じっとなのはの目を見詰める。
真剣な表情で見詰め返してくるなのはに、桃子はゆっくりと想いを口に上らせた。
「なのはも、少しは覚えてるわよね。お父さんが、瀕死の重傷でずっと入院してた事」
あのころのなのははまだずっと小さくて、だけど士郎が入院していたのはとても長期間
だったから、微かにでも覚えてるかも知れない。
そう思っての言葉に、なのはがこくんっと頷く。
何も言おうとしないのは、こちらの言葉を待っているから。
だから、これ以上言葉を止める訳にはいかなかった。
「アルバートさんを庇って死にそうになったって聞いたときは、目の前が真っ暗になった
わ。結婚してまだ数年で大切な家族を失うかも知れないって聞かされて泣きたくなったわ。
でもね、お父さんは命が助かるって分かって、だけど二度とボディーガードの仕事に就け
ないだろうって言われたときにね、母さんがどう思ったかわかる?」
こちらの問いかけに、ただ何も言わずに首を横に振るなのはに、自嘲の笑みを浮かべな
がら桃子は続きを口にする。
「嬉しかったのよ」
なのはが驚きを浮かべてじっと見詰めてくる。
「お父さんがね、剣に命をかけてるのは分かってたわ。それにアルバートさんのガードを
していたから、私はお父さんと出会えて愛し合うようになったわ。
だから、お父さんの仕事がどれだけ危険でも、母さんはいつも笑顔で見送っていたわ。お
父さんは強いから、きっといつも帰ってきてくれる。そう思ってたけど。
でも、そうじゃなかった。もう少しで、もし歯車が一つでも狂っていたら、お父さんは死
んでいた筈だったから。だから、剣を捨てざるを得ないって言う、お父さんの苦悩を知っていたのに、母さんはそのことを喜んでたの。最低よね」
「そんなこと、ない」
なのはが自分に向けてくる視線はいつもと変わらず真っ直ぐで、それが桃子にはすこし
辛くて。
小さく溜息を吐いてから、言葉を繋げる。
「あれから、お父さんが剣を捨てて、喫茶店のマスターとしての生涯を受け入れてくれた
事はとても嬉しかった。言葉じゃ言い表せないくらい嬉しかったわ。だけど、恭也と美由
希の事を思うと、その嬉しさも中途半端に消えてしまったわ。
恭也は、そして美由希はお父さんの剣を継ぐって、決意してたから。危険を呼び込む力を
望んでいたから。止めさせたいって思ったことは、数え切れないくらいだものね」
「……お母さん」
「確かに、ね。恭也も美由希もお父さんの連れ子で、血は繋がっていないわ。でもね」
その言葉はずっと前からなのはにも告げたかった。
けれどその機会が無くて、今まで伝えることが出来なかった。
それが、すこし、悔やまれる。
「恭也も美由希も、私にとって自慢の息子であり娘なの。だから幸せになって欲しかった。
その妨げになるかも知れない剣の道になんて進んで欲しくなかったけど、二人の決意はと
ても固かったし、お父さんも自分の剣を伝えたがっていたから、結局止めることは出来な
かったわべ」
その思いは、今まで表に出したことは一度もない。
士郎は気付いているかも知れないけれど、その事を話題にしたことは一度もなかった。
「だからね、なのはが剣の道に入らなかったことが、母さんは嬉しかった。恭也も美由希
も――確かに自分の意志で選んだことだけど――いつもボロボロになるまで頑張って頑張
ってたから、すごく心配だった。けれど、なのははそうじゃない。きっと優しくて穏やか
な日々を過ごして、とても優しい旦那様と一緒になって、翠屋の二代目になってくれる、
そんな夢を見ていたわ。だって、なのはも私の自慢の娘なんだもの」
「お母さん……、ごめんなさい」
ぽろりと正面に座っているなのはの目から涙が零れる。
ソレに合わせるように、自分の目にも涙が浮かんだことを自覚して、嗚咽を抑えるために言葉を止めた。
「でもね、私には力があったの。その力で止めたいって思ったの。悲しい思いを少しでも
無くしたいって。フェイトちゃんと私が出会った時の話し、お母さんにもしたよね」
目尻の涙を拭いながら、桃子はただ小さく頷く。
こちらをじっと見詰めているなのはが、だけど自分を見ていないことを桃子は悟る。
「あの時ね、私、無表情だけどきっと心の中で泣いてるフェイトちゃんを助けたかった。
そのための力を私は持ってたから。それで、フェイトちゃんを助けることが出来て、思っ
たの。フェイトちゃんみたいに、辛い気持ちを持ってる人を助けたいって。優しい想いと
哀しい気持ちに翻弄される人を救いたいって」
その言葉に、あぁと納得した。納得してしまった。
「やっぱり、なのははお父さんの子供ね」
思わず呟いた言葉に、なのはが不思議そうな表情で見詰めてくる。
「お父さんも、恭也に剣を教えてるときに言ってたのよ。優しい人が優しく生きる道を邪
魔する人間を、押しのけるのが自分の剣の道だってね。言い方は違うけど、今のなのはと
同じ思いよね」
そこまで言って、桃子はそっと椅子から立ち上がった。
「お母さん?」
なのはの言葉に応えることなく、その隣に立った桃子はなのはを静かに抱きしめた。
「でもね。母さんは、なのはにはやっぱり幸せで平凡な生活を送って欲しいの。親にとっ
てはね、子供は誰よりも、自分よりも幸せになる権利を持ってるものなの」
こうして、なのはを抱きしめるのは何年ぶりになるだろう。
そんな想いが脳裏の片隅を過ぎった。
「なのは、お願い。危険な仕事を辞めろと強制することは出来ないけど、でも、でもね。
幸せな生活を捨てたりしないでちょうだい。誰かを救うために、自分がどうなっても良い
とかそんなことは思わないで。自分が幸せじゃないのに、誰かを救ったり、誰かを幸せに
するなんて、出来るわけがないのよ」
胸の中で、なのはが居心地悪そうに身じろぎする。
「一人の人間が本当に救えるのなんて、せいぜい一人くらいでしかないのよ。何でも自分
のせいにして、目の前にある幸せから目をそらさないで。母さんが誇れるほどに、お父さ
んが喜ぶくらいに、恭也や美由希が祝福するくらいに、幸せになって。貴方にはその権利
があるんだから」
「……お母さん」
ぎゅっと、なのはがしがみついてくる。
「なのはには幸せになる権利があるんだからね」
「…………うん」
こくんっと胸の中でなのはが頷くのが感じられた。
同時。
「んにゅぅ、しずくも、なのはおねえちゃん、ぎゅっとする〜〜」
よたよたと寝室から出てきた雫が、桃子達の側に来て、ぎゅっとなのはにしがみついた。
「なのは、おねえちゃんぅ〜〜……すぅ……すぅすぅ」
「あらあら」
「あ、あははは」
なのはにしがみついた所でかくんっと頭をずらして、雫が眠りに落ちる。
「それじゃ、そろそろ寝るとしましょうか。なのはも今日はこっちに泊まるのよね?」
「うん、一応代金は払ってるから」
親子とは言え、ここまで真剣に想いをぶつけ合ったのは初めてで、互いに少し照れ臭く
感じてしまって。
そっとなのはから離れる桃子。
雫を抱き上げたなのはを見詰めながら、桃子はゆっくりとその言葉を口にする。
「なのは、これからも頑張ってね」
一瞬、惚けたようになのはがこちらを見詰めてきた。
そして、満面の笑みを浮かべる。
「うんっ!」
強く頷きながら笑うなのは。
今はその笑顔を信じることにした。
きっとなのはの事だから、幸せについての桃子の言葉は理解していても納得はしてない
だろう。
けれど、自分の言葉が種になってくれれば、それがいつか芽吹いてくれればいいと願っ
て、桃子は優しく微笑んだ。
104 :
暗愚丸:2007/09/05(水) 01:05:34 ID:QH4610Ap
ってことで。
最近の流れの右斜め八十三度七分を突っ走ってしまいました。
いやまぁ、自分でも分かっていても止められないわけで(ぉ
前回レス下さった方々、誠にありがとうございました。
ふたフェイ、すずか編はこのスレか、遅くても次スレにはとうかしたいなぁと思ってたりします。
それでは、お付き合い下さった方、ありがとうございました。
あじゅじゅしたー
ジェイル04式、在庫不良に付き特価『バナナ一本』でお取り扱い中、限定789645676体迄。
>>104 これはよいSSですね。GJ。
この後にユーノが私の婚約者だと召喚されるも人妻の魅力に我を失ったエロフェレットが
親子丼に舌なめずりする展開が待ち受けていますね。待ってます。
>>104 啼いた!
俺は今、泣き虫サクラのように何十年分の涙を心の中で流している!!
アニメ本編で語られるべきセリフを読んだ!
職人は今、原作を超えたッッ!!
>>104 789645676人の嫁を(σ゚д゚)σ ゲッツ!!
>>36 GJ!
ところでレイジングハート×なのはって何だw
>>104 GJ過ぎて全俺が泣いた
>>109 保管庫には一応無くはないw >なのレイハ
>>104 GJ!
一瞬、ヴィヴィオが攫われた後だと、どういう会話になるか考えてしまったw
ターンA氏GJ!
俺もエリティアの夜の夫婦生活見てみたいです
・・・何か夜は圧倒的にエリオが主導権握ってそうだ
>>108 789645676人のクアットロを…アンタ、勇者だな!
何故かエリオが所有者になるフェイト00式とスバル02式という図が…
なにを言っている?
なのはさん以外の六課の女性陣はエリオの所有物だぞ?
そしてエリオは俺たち男性組を導くリーダーなんだよ!!!
なにを言っている?
ルシエさん以外の六課の女性陣はユーノの所有物だぞ?
そしてユーノは俺たち男性組を導くリーダーなんだよ!!!
エリオが じゃないのか?
あれ?ルシエさんもモンディアルさんもユーノくんの女じゃ?
120 :
名無しさん@ピンキー:2007/09/05(水) 19:24:05 ID:FDvTKTTs
なんか、ユーノに初めて紹介された時を妄想したら、
「ゆーの…ユーノパパ?」と言ってユーノ×なのはorフェイトを驚かせるヴィヴィオに萌えてしまった
えーと、ユーノ×エリオでおk?
女装したユーノをストラーダるエリオか
自慢のフェレットでエリオを蹂躙するユーノか。
おまいらどっちが見たい?
>>122 それだったらいっそストラーダ×エリオで。
そういえばトランス物ってあるっけ?
127 :
246:2007/09/05(水) 21:33:24 ID:sa7u7J8n
前回の投下、不注意でスイマセンでした。
後、前のスレなのに感想レスありがとうございます。
続き書けたので投下します。
注意
鬱展開鬱エンドです。
誰も死にませんが誰も救われません。
では、なのはさんの頑張り物語どうぞです。
転送装置が淡い光りを放つと同時、ユーノがその地にたどり着いた。
最初に沸いたのは決して小さくない驚き。まるで見慣れた風景までもを数日前に置き
去りにしたかのように、ここクラナガンに人というものの姿は無かった。
「みんな避難したんだ。もういるのは局員くらいだよ」
不意の掠れた声。まるで、何日も泣き叫んでいた事が分かる声で、彼女がユーノに言
葉を投げていた。
それは、彼女のものとは思えないほど変わっているけれど、間違いなく彼女の声。
「久しぶりフェイト……って言ってもまだ少ししか経ってないんだけどね」
フェイトは動かない。ボロボロの、艶を失った髪が風に舞い、隠れていた表情を露に
する。
血色の悪い、一目で睡眠をとっていな事が分かる目の下の隈と、頬骨の浮いた頬。そ
して、乾いてカサカサになっている顔を潤す溢れた涙。
ユーノが目を見開いた事でようやく気づいたのか、フェイトが恥ずかしそうに笑い目
尻を拭った。
「ごめん、誰かに名前呼んでもらうの久しぶりで……話しかけてもらうの、あっ、く、
ひ、久しぶりで……と、止まらない……ごめん……」
言ったそばから涙が溢れては、地面に零れ消えていく。
なのはが起動六課を去り、ユーノが彼女を守るかのように無限書庫をやめてもう数日
が経っている。それは、フェイトにとって孤独の数日間。
親友は目を逸らし続け、事務的な言葉しか投げてはくれない。守らなければいけない
子供たちも、片方は同じように目を逸らし、もう一人は軽蔑とともに断絶した。他の仲
間も全て同じ。誰一人、フェイトに歩み寄るものはいなかった。
そんな中の、久しぶりに自分を見てくれた存在。それは、最愛の人を奪ったユーノで
あっても嬉しさは薄れない。ただ子供のように泣きじゃくり、顔を覆い続けていた。
だから、なのだろうか。
それとも、それが無くても求めているのだろうか。
――――なのはに、会わせてください……お願いします……。
そんな、助けを求めるような呟きが聞こえたのは昨日の事。それを思い出し、ユーノ
は目を細めて彼女を見る。
「スカリエッティがっ、地上本部をねっ、襲撃して……ひっく……起動六課もっ……同
じで……ヴィヴィオが連れて行かれて……ギンガもっ、で……」
泣きながら今の現状をフェイトが語りだした。それは、知って欲しいからではなく、
ただ彼女に会いたいが為。
なのはの保護児童がさらわれた。それが意味するのは、古代ベルカの破壊兵器の復
活。事の重大さに声を失い、ユーノはただフェイトの言葉を聞くだけだった。
「戦わなくていいからっ、会ってくれるだけで……声だけで……写真だけでもいいか
らっ、なのはにっ、なのはに会わせてくださいっ……会わせてくれたら何でもしますか
らぁっ!!」
「ふぇ、いと……」
なのはだけじゃない。フェイトも、限界をとっくに超えている。
フェイトの懇願にユーノが小さく頷いて、それにフェイトが表情を一変させて喜ん
だ。
「ほ、ほんとっ? なのはに会わせてくれるっ? あっ、どうしよっ、どうしよっ、い
つ!? いつなのはに会えるの!? 何もしなくても会わせてくれるのっ!?」
子供のようにはしゃいで、飛び跳ねて、壊れていた。本当になのはに会えるならどん
な事でもしそうなほど、その紅い瞳は曇っている。
泣きたいのを堪えてユーノが俯き、言葉を紡ぐ。
きっと残酷で、けれどもユーノの心からの言葉。
「まだ、分からないけど……いつか、会わせたいんだ……なのはを君に……」
あと少し。
もう少し。
みんなが彼女を支えてくれるから。
魔法少女リリカルなのはStrikerS
―Nameless―
(12)
「う、わ……」
エイミィ・ハラオウンは困り果てていた。
突然帰省し、一緒に住むと言い放ったユーノにも眉を下げるものだったし、高町夫
妻に頼まれ、元駐屯所兼自宅の一室を貸し与えたのも同じ。それはいいにしても、ハラ
オウン家の使う一室から一番離れた所というのが心苦しい。
そして、突然出かけると家を飛び出したユーノに頼まれ、”少し元気が無い”なのは
の様子を見に来てそれが限界に達していた。
「ゆーの、くん……」
可愛らしい寝言と共になのはが寝返りをうち、それに合わせて剥き出しの乳房がぷる
ん、と揺れた。同時に布団がベッドから滑り落ち、一子纏わぬ裸体が現れる。
昨日は激しかったのだろうか。まるでそのまま寝てしまった様にではなく、本当にそ
のまま寝てしまったらしいなのはは、太ももを白いもので汚し尽くしたあられもない
姿。
それには頭痛さえ起きそうで、こんな所で高町夫妻に頼まれた理由を理解して、
「少し元気が無いじゃないよ。こんな状態のなのはちゃん放っておいて……」
それ以上に痛い胸を押さえた。
起こさぬよう慎重に、震える指でなのはの手首に触れる。
白くて細い手首に走る痛々しい傷跡。そして、ユーノから聞いたその経緯。その話も
信じたくなかったが、それにフェイトが深く関わっているとアルフから聞いた時は、怒
りや悲しみなどより先に、申し訳なさで死にたくなった。
何も言えず、触れていた指を戻し溜息を吐く。何をするでもなく、なのはの寝顔を見
続け、不意に耳に届いたインターフォンに腰をあげた。
「美由紀ちゃん、休憩?」
「うん、なのはは……どうかな?」
翠屋の休憩を使い、ケーキを持参で現れた美由紀がエイミィに促され眉を下げた。
「ごめんね、エイミィの所にまで迷惑掛けて……ほんと、情けないなぁ……」
一日で限界は訪れた。虚ろな目をユーノにしか向けないなのはにも、その夜響いた嬌
声にも。愛し合うものではなく、ただ貪るだけのそれは、もう二度と見たくない変わっ
てしまった妹の姿を見せ付けられたようだった。
「いいのいいの。うちのクロノ君はそういうの全然だから羨ましいなぁ……美由紀ちゃ
んも早く彼氏見つけないと……ヤバイよ?」
エイミィ自身、見え見えとから元気だとしか思えない言葉だった。それに、美由紀も
空元気で笑顔を作り、ケーキの箱を掲げた。
「材料の残りで作ったんだ。エイミィ食べるでしょ?」
「うん食べる。なのはちゃんは……起こしちゃ駄目なんだよね」
「あんな親不孝な子は放っておけばいいの……ったく、いきなり帰ってきて……」
限界までケーキを頬張り、力いっぱいに租借していた美由紀が、横目でなのはを見
る。
何があったかはエイミィから聞いたし、それについてはもう終わった事。だったら、
これからをどうするかを考えるしかない。
ケーキは見る見るうちに二人の胃に納まっていく。最後の一口をエイミィが食べ終わ
り、外を見れば日が沈み夜が訪れる事を告げていた。
それと同時に、なのはは目を覚ます。
ユーノと二人きりの夜を迎えるために、再びユーノを貪る為に。
「ユーノ君……?」
ただ、今日はいつも近くにいて、自分を見てくれている筈のユーノの姿が見つからな
い。寝室を出て、リビングに行けばそこにいるのはユーノ以外の人。
「な、なのは起きちゃったの? ごめんねっお姉ちゃん達すぐ帰るから……えっと、お
風呂入りなさい? 入らないとユーノ君に嫌われちゃうよ?」
テーブルに置いた皿もそのままに、自分がいない時はなのはに会わない事、と苦い表
情で言った言葉を守り二人が慌てて靴を履いた。
ただ、その時にはもう遅すぎた。
「きらわ、れる……ユーノ君に? なんで……?」
そんな言葉は信じない。何故ならユーノが自分の事を好きなのは揺るがない事。だか
ら、そんな事が起きるのはスバルの時のように自分からユーノを取る誰かが現れたとき
だけ。
だから、なのはは目の前の二人が取ったのだと理解した。
「なんで? なんでなんで? なんで? なんでユーノ君の私から持っていくの?」
首を傾げたままなのはが二人に歩み寄る。エイミィは玄関の扉に背を預け、美由紀は
エイミィとなのはの間に立って。
「な、なのはちゃんへんな事言わないでよっ! ほら私クロノ君と結婚してるんだ
よ!? それに美由紀ちゃんだってなのはちゃんのお姉さんでしょ?」
「あぁ、そうやって言い訳するんだ……」
やっぱり何処に行っても変わらない。ユーノに頼まれ仕方なく帰っても変わらない。
何処にいても、ユーノを奪う奴らは現れる。
なら、全部消さなければいけない。
冷え切った頭では、そんな事しか浮かんでは来なかった。ユーノ以外は、もう邪魔な
ものとしか映らない。
いっその事、この世界全ての人を殺して、ユーノと二人きりになろうかと真剣に考
え、何故もっと早く気づかなかったのかと自嘲した。
「二人がいけないんだよ? ユーノ君取るから」
とりあえず、最初に二人を消す事になのはが決めた。
指先に魔力を込め、放てばそれで終わり。簡単なこと。
ただ、すぐにでもできるそれをしなかったのは、彼がいたから。
「なのはっ、何やってるんだよっ!?」
タイミングよく帰ってきたユーノが、扉を開け怒声を上げた。扉に背を預けていたエ
イミィを支え美由紀共々追い出し、なのはを睨み二人きりになる。
「ユーノ君、おかえり……何処行ってたのかな? 言ったよね、私とずっと一緒にいる
って……一緒にご飯食べて、エッチして、一緒にお風呂はいって一緒に寝るの……約束
だよね……なんで破るの?」
「それは、ごめん……なのはを一人にしたかった訳じゃないんだ」
なのはに、そんな不安を感じて欲しくなくて海鳴に引っ越して。家族やクロノと結ば
れたエイミィなら大丈夫だろうと楽観して。
その浅はかさに唇を噛んで、なのはを抱きしめた。
「なのは、僕はずっと君といるから。絶対心は離れないから」
「身体もだよ? ユーノ君は全部私のものなんだよ?」
「うん、頑張るから。頑張るから……許して欲しいな」
抱きしめて、耳元で囁いてキスをする。それが、一番なのはが落ち着く方法だと知っ
たから。
それを教えてくれた桃子に感謝しきれない心の中で礼を言って、なのはを抱きしめ続
けた。
「ユーノ君が誰とも会わないならいいよ? 私以外と話しちゃ駄目。私以外を見ちゃ駄
目……」
「それは駄目だよ。僕ね、なのはにプレゼントがあるんだ。あげたい物があるんだよ……分かる?」
ユーノの言葉を頭の中で反芻し、なのはが小さく頷いた。ユーノが自分のために何か
をしたくて、それが他の人と会わないと駄目なら少しだけ。そんな思いの頷きだった。
じゃあ、と最初にする事はなのはの身体を洗う事。二人で一緒にバスルームに入り、
互いの身体を泡立てる。
「な、なのは触らないでっ、今は駄目だって!」
「ユーノ君のビクンビクンってしてる……」
執拗にユーノの肉棒を擦り上げ、咥えようとするなのはをどうにか制してバスルーム
から這い出たユーノが、なのはの服を探して凍りついた。
今更だけれど忘れていたから。
「なのは、ずっと僕のワイシャツだったんだよね?」
「うん、ユーノ君に包まれてるみたいだから」
海鳴に来てから、なのはがワイシャツ以外のものを見につけた記憶が無い。それどこ
ろか、下着を着けていたかすら危うかった。
なのはの服は全てミッドチルダで燃えている。ここに来た時は、管理局の制服。だが
それも、必要ないと捨てている。
困り果て、頭を抱えたユーノに首を傾げ、なのはが後ろから抱きしめた。耳を舐め、
肩を震わせたユーノにクスリ、と笑う。
「私ユーノ君以外何も要らないから。困らなくてもいいよ。ユーノ君が誰かに会うなん
て嫌だし……会ったらその人殺したくなっちゃうから」
囁かれた言葉に、再びゾクリ、と身体を震わせた。満面の笑みでそう言うなのはは、
嘘など吐いていない。本当に、そう思っているから。
頭ではいけない事と理解していても、ユーノに比べればなんて事ない些細な事。そ
う、なのはの価値観が訴えた。
どうしよう、とユーノが考え続ける。最悪、ワイシャツ一枚とパンティがあれば高町
家はすぐそこだ。途中誰かに会うことなど殆ど無い。
それでいこう、と立ち上がりなのはの手を取った。
それと同時、
「あんた何物騒なこと言ってるのよ」
「そうだよ? あんまりそう言う事言うとユーノ君に怒られるよ。なのはちゃん」
頭を抱えて溜息を吐くアリサとその隣、普段の笑顔を何倍増しにもしたすずがが
両手に抱えた荷物を下ろし、互いの疲労を労った。
その声になのはが微かに震え、表情を消していく。
「邪魔しに来たの?」
爆弾はが、再び火をつけその導火線を短くしていく。エイミィと美由紀で短くなった
導火線は、既に火薬の一歩手前。
ユーノが慌ててなのはを抑えようとする中、それは強引に手でもみ消される。
バチン、そんな顔をしかめる音が部屋に響いた。
「なのはちゃん、本当にそんな事言うと怒るよ?」
頬を赤く腫らしたなのはを見下ろし、同じように赤くなった手の平を擦りながら、す
ずかが言った。
もう、その怒りは限界を超えている。怒りで荒くなった息をすずかが強引に落ち着か
せ、なのはを睨んでいた。
それは、ユーノにとって意外なものだったけれど、アリサにとってはやっぱりやって
しまったと頭を抱える行動だ。
ここ一番、本気で怒って行動するのは、いつもアリサではなくすずかの方。怒りを全
く隠さないすずかが、なのはを様子を伺う事すらなく踵を返す。
「服、桃子さんに言われて持ってきたから。それ着てとっとと来る事。ユーノ、あんた
もっとしっかりしなさいよ」
それで用件は済んだのか、何かに急ぐかのように背を向けたアリサから視線を外し、
ユーノがなのはの頬に触れた。
なのはは反応を返さない。ただ、ユーノの手に自分の手を重ね、痛みの引かない頬を
擦る。
こんな痛み大したことは無い。
それでも、痛いと感じたのは何故なのか。
そう、首を傾げたなのはにユーノは笑顔でなのはを促した。
「なのは、アリサ達が服持って着てくれたんだって。着てみようよ」
「……うん。ユーノ君が見たいなら」
爆発さえしなければ大丈夫。爆発する前ならみんなで抑えられる。ひとりでは情けな
いくらいに不安だけど、今のでその不安も和らいでいた。
ユーノがなのはから離れ、包みを開く。なのはは、黙ってそれを見続けた。
「ん……僕のもある。一着ずつみたいだね」
包みだけでも分かるのは、それが普通の服ではないということ。。
「嘘……はは、ははは……」
想像以上のものに、ユーノの瞳がそれを映して見開かれ、口からは乾いた笑い。
――――これはいい。ホントは、ただみんなの前で渡すだけのままごとだった筈なの
に。
「なのは、こっちおいで。着せてあげるから。お化粧は……お母さんに頼もうか」
これなら、きっとなのはも喜んでくれる。
* * *
パン、と気持ちのいい音と共に火薬の匂いと色とりどりの紙テープが、なのはとユーノに降り注いでいく。
視界に映る横断幕には、本日のパーティの主賓の名前が二つ。
「うわ……」
呆然とようやくそれだけを呟いたユーノに、既に頬を紅く染めている士郎が一歩
進みグラスを掲げた。
「まだ言ってなかったからね。お帰り……なのは、ユーノ君」
それに合わせ、高町家の面々、アリサとすずか、ハラオウン家、更には月村家のファ
リンとノエルまでもが、一斉に二人を迎えいれた。
ユーノはただ驚くばかり、なのはは不安そうにユーノの手を握ったまま。
「ねぇなのは。凄いでしょ? みんなで作ったのよ」
背の高いケーキが、皆に囲まれ存在感を露にしている。大人数が入るには狭すぎるリ
ビングは、それでもこれ以上無いくらいに立派な式場だった。
「凄いねなのは。ほら、みんなが作ったんだって」
「……うん、綺麗だね」
多分、みんながいなければ泣いていた。いや、みんながいたからこそ泣きそうになっ
ているのか。
なのはが紡いだ些細な言葉。ありふれた、感情の言葉で表した何気ない言葉。
だから、何気ない言葉であったから嬉しかった。呪いと、自分へ向ける感情以外で久
しぶりになのはの口から出た言葉だったから。
皆に促され、なのはの手を引いてそこへ進む。なのはの右手には白い包帯。そして、
それ以上に純白な衣装を身にまとって。
「大変だったのよ? 急な話ですぐ取り寄せられるものしか駄目だったんだから」
それでも、必用なものは揃っている。桃子とノエル達が用意した料理は、それ以上の
ものなど無いと断言できるもの。
部屋を彩る装飾の全てはケーキと料理に費やされていたけれど、それでも十分過ぎる
ほどだ。
「あ、ありがとう、ございます……僕のせいで……みんなに迷惑掛けて……」
高町家に帰ってきたとき、士郎達は何を思っていたのか。その話を聞いて、アリサ達
はどうだったのか。
堪えきれない涙がユーノの頬を伝った。それを、なのはが拭い微笑んだ。
「これ……私とユーノ君の……?」
「う、うん……そうだよ」
なのはの無表情が、笑ってくれた気がした。声が少し、暖かかった気がした。
「私……ユーノ君のお嫁さん?」
微かに、なのはの瞳が狂気以外を宿していた。
「そうだよ。これは……僕達の結婚式だ」
二人を飾るのは、親友二人が取り寄せたウエディングドレスとタキシード。目の前に
あるのは、士郎と美由紀が手がけた小さなウエディングケーキ。
そして、唇を重ねたのは永遠に隣にいると誓い合った二人。
「やっと……なのはにこれを渡せる」
「あ……それ」
全てが壊れたあの日、なのはの目に焼きついて離れなかったもの。
スバルが掲げ、目を輝かせて見つめていたもの。
なのはに別れを告げて、それでもユーノが女々しく持ち続けていたもの。
「何で……?」
「僕がなのはの為に買ったんだ。なのは以外になんか渡さない」
ユーノが握り続けた婚約指輪。それが、ゆっくりとなのはの薬指にはめられた。
「なのは、僕はずっと君の傍にいる。ずっと君を守り続ける。ずっと君の名前を呼び続
ける……だから――――」
――――もう一度、今度は二人で一緒に頑張ろう。もう二度と、失敗しないように。
「……」
それは、なのはには何でもない言葉。
そんな当たり前のことを今更言われても、何も感じない。
変わらずユーノと自分の中を邪魔する者がいるなら、笑顔でその全てを消し去れる。
失敗が何だかも分からない。ただ、臆病だった自分がいなくなっただけ。それ以外、
何も変わらない。
――――けれど。
何も変わらない、だからこそ。
「う、ん……」
溢れた涙が止まらなかった。
「う、ん……うん……」
沸き起こる理解できない感情に戸惑っていた。
「私……頑張る……」
訳もわからず紡いだ言葉に、確かに感情が宿っていた。
「私、ユーノ君のお嫁さん……だから」
そして、忘れてしまった気持ちを思い出していた。
「ユーノ君が……ずっとずっと、好きだったから……」
形は変わってしまったけれど。
彼への想いは、この気持ちから始まる筈だったんだ。
以上です。ありがとうございました。
書いてみてびっくり。久しぶりの暗くない終わり方w
でも予定より長くなりそう……もうちょっと、付き合ってくれると嬉しいです。
ツンデレっぽくなのはさんデレ期突入。ちょっと唐突かもですが、笑顔で包丁
振り回すお嫁さんにマジカルチェンジ。
後、ミッドチルダでフェイトさんは頑張っています。応援してあげてください。
ミッド側は本編どおりだと今頃崩壊してるかもなので、多少強引になります。
ではでは。
GJです!続きが怖いのに読んでしまう魔力w
フェイトがいろいろ可哀想すぎて・・・・・・・ガンガレ!
またフェイトが立ち直りフラグブレイカーをかますのか!?
これはwktk
>>135 うひゃあこれはいいヤンデレ……!
GJとしか言えない病み具合。ありがとうございました
>>135 なんという病み具合。このssを読んで確信した。
246氏は間違いなく神。
なのはの病み具合も凄いがフェイトの病み具合もすげぇ・・・・・・。
というかこのなのはさんのヤンデレっぷりは半端ねぇ・・・・・・。
GJです。途中、このまま終わっちゃうかと思ったけど
やっぱまだまだ続くんですね。ガクガクブルブル
間違いなく一番のとばっちりはエイミィ。旦那さん、早く帰ってきてw
GJ。このなのはさんすごいよ。さすがユーノくんのお嫁さんだ。
けど描写してる状況が飛び飛びだからどうなったのかわかりづらかった
ペティーン
REINFORCE U
パラメディック「スネーク、リインフォースUを手に入れたのね!」
スネーク「ああ……」
パラメディック「リインフォースUはユニゾンデバイスと呼ばれるデバイスよ。この種のデバイスは所有者と――」
スネーク「で、味は?」
パラメディック「……なんですって?」
スネーク「だから、味を――」
パラメディック「スネーク、あなた正気?」
スネーク「なんだって?」
シギント「スネーク! デバイスを食べるなんて悪食にもほどがあるぞ!
全く、ダンボールといいカモフラージュといい、どうしてスネークは……」
ゼロ少佐「スネーク、さっさと任務を終わらせてそいつを連れ帰ってきてくれ。
絶対に食べたりするんじゃないぞ。いいな!」
スネーク「……わかった」
145 :
名無しさん@ピンキー:2007/09/05(水) 23:41:51 ID:FDvTKTTs
>>135 最初の暗さから一変、教会も鐘の音もないけど、間違いなく本来の幸せのカタチの筈…。
超GJ!! でもやっぱりヤンデレ状態には違いないのね…。
笑顔で包丁振り回すお嫁さん=狂妻ナノハサン誕生秘話、って
でも誰も救われないと言う事は…(不安)
最初ユーノが連れてきたなのはに対する高町家の皆さんの反応がどんなだったのだろうと
考えながら続き待ってます。
>>139 激しく同意!! G−WINGさんがユーなのの神なら246氏は病みの神だ!!(ぉ
これを機に、なのはさんが快方に
…向かわないんだろうな……
そろそろちょっとだけフェイトが可哀想になってきた
しかしそのフェイトがまたなにかやらかしそうだから
同情する気に全くなれない
>>147 三歩進んで二歩下がるを繰り返して頑張るんじゃね?
しかし病んだキャラっていいなあ。
前回の話でも、沢山の「GJ!」をいただけました、ありがとうございます
拙作ばかりを書き散らす身ではありますが、楽しんでいただけることは無上の幸い
さて、前置きはこのくらいにして
エ☆ロ☆い☆話☆で☆も☆し☆よ☆う☆ze!
投下予告、使用レス数19レス
メインはシャッハの話、ヴェロッサが嫌いな人はNG推奨
エロ有り、ただし今回は薄味だと思う
タイトル:シャッハさんは大変な香水を貰ってしまいました
すっかりヤンデレブームwwwwww
「ところでセイン。貴女は聖王教会のシスターシャッハにプレゼントを贈ったそうね」
「そっすよー。むふふふ、引っ掛かったかなー?あの暴力シスター」
「・・・はぁ、見事に引っ掛かったそうよ。シスターはカンカンに怒ってたそうだけど・・・」
「げげっ、やりすぎた!?」
「とても素敵な香水をくれたから帳消しにしてあげるって」
「はぁ良かった〜」
「ねぇ、セイン、ここからが本題なんだけど・・・」
「?そんな真剣な顔して、どしたの?ドゥーエ姉」
「その、貴女が贈った香水って言うのは、もしかして、私がこっちに戻ってきてから貴女にあげた香水?」
「そだよ。ドゥーエ姉に貰った香水。あたしは香水なんて使わないからさ。シスターなら使うかもって思って」
○シャッハさんは大変な香水を貰ってしまいました
「ん、んーっ!!むーっ!!」
やめなさい、離しなさい。力の限り叫んでいるつもりなのだが口から出てくるのはくぐもった悲鳴だけだ
何故、こんなことになっているのだろう。シャッハは混乱の極みにある頭の中でそんなことを考える
いつも通り、今日も、いつも通りの一日が始まって、あの子に貰った香水を少し使ってみて、その上品な香りに良い気分だったというのに
「・・・」
ガラス玉のように瞳を濁らせた男が三人
騎士でも無い、訓練を積んだ経験など一切無い、屈強とさえ言えないただの一般人の修道士である
いかにシャッハがAAAランクの陸戦騎士と言えど、不意打ち気味に三人の男から襲い掛かられては抗う術を持たなかった
廊下を歩いていて、挨拶と共に擦れ違い、後ろから呼び止められた瞬間には、いきなり三人掛かりで寄ってたかって押さえ込まれ、近くの物置に引きずり込まれ、
現在に至っているのである
この期に及んで尚、教会の関係者を傷つけたくないという思いが、シャッハに実力行使による逃走を選ばせないでいた
ケープは既にはぎ取られており、尼僧服の上から胸をまさぐられている
異性から、しかも強引に。自分で触ることさえ風呂場で身体を洗うときくらいしかないというのに
後ろから抱きしめるようにして動きを封じ、片手で口を押さえている男が首筋に舌を這わせてきた
いくつもの痣を残し、熱い吐息を吐きかけながら、涎まみれの舌先はうなじから首の付け根、首筋を上って下顎のラインをなぞられる
最後の一人はあろう事か尼僧服のスカートに潜り込んで太腿に撫でさすりながら股間を舐めようと躍起になっている
脚をバタつかせて抵抗しようとしたが、その拍子に一度股間を舐められて、その瞬間走った、初めての快感に意識が飛びかけたシャッハは今は何もできずにいる
ただぴったりと脚を閉じて、侵入を拒むのが精一杯だった
びりり、という音に混濁した意識を取り戻すと、尼僧服の胸元がはだけられていた。ボタンも外さず強引にはぎ取ったのだろう。布地が少し破れている
飾り気など欠片もないブラジャーが覗いている。これもあっさりと剥ぎ取られた
裸の胸が見られている。恋人でも無い男に。埃っぽい物置の中で、三人掛かりで押さえ付けられて
零れ落ちた涙さえ、天上の美味でも味わうかのように舐り取られた。頬に残る粘っこい涎の感触が気持ち悪い
プロポーションに関してはあまり自信がないシャッハだが、厳しい鍛錬により引き締まった肢体は健康美に満ちている
ボディラインのメリハリに関しては、常々こっそりとカリムやはやてを羨ましく思っていたくらいで、特に胸に関しては10代後半の頃からずっと慎ましさを保っている
6課の隊員達の胸が豊かなのは、はやてが揉んでいるからだと耳に挟んだときには、こっそり頼んでみようかと思ったくらいで
だが現実に自分の胸を触っているのは、汗と脂にべたべたする男の手だ
ぎゅう、と胸の芯を握りつぶされる痛みに思わず身を屈ませてしまう。だが、ほんの僅かに走った甘い電流に動悸が速くなりつつあった
熱い舌が乳房に押しつけられた瞬間、背筋に走ったのは全身が産毛が逆立つような悪寒だったのだろうか。それとも、快感だったのだろうか
ぷっくりと勃ち上がった乳首は指先に弄ばれる度、舐り上げられる度に身体に震えが走る
貞淑な修道女の顔が、恐怖と羞恥と、ほんの少し快楽に歪み始めている
「んー!ん、ふぁぅっ!!んむーっ!!!」
塞がれた口から漏れ聞こえる嗚咽も、少しだけ熱を帯びつつある
聖職者として、騎士として、長らく己を戒めてきたシャッハは、殆ど未知の体験である『快楽』には酷く脆かった
スカートに潜り込んで太腿にしがみついていた男が、いきなりショーツの上から湿り始めていた膣に強引に指を突き込んだ
自分の指でも滅多に触れぬ秘部に薄布越しに責め立てられ、シャッハは咄嗟に腰を捩って逃げようとするが、
その拍子にショーツの布地でクリトリスが擦られ、そこから走った快楽の電流に彼女は小水を垂れ流しながら絶頂を迎えた
カリムの執務室のドアをノックして、ひょぃと顔を覗かせたのはヴェロッサだった
「おはよう、義姉さん。それにシャッ・・・あれ、今日はシャッハはお休みかい?」
「あら、ロッサ。おはよう。シャッハはまだ来ていないのよ。朝食の時間にも食堂に出て来なかったそうだから、少し体調を崩しているのかもね。
最近、ようやく事後処理が一段落してきたところだったから、シャッハも疲れが出たのかも」
「ふぅん・・・でもその様子だと、何の連絡も無いみたいだけど・・・?」
「そうね、ロッサと違って遅刻も無断欠勤もしたことが無いし・・・少し心配ね」
「・・・僕と違って、って言うのは余計だけど・・・まぁ、その通りだね」
少しだけ鋭い顔になって、ロッサはカリムに尋ねた
「・・・それじゃあ、朝の礼拝の時には?」
「その時はいたわよ。いつも通りだったけど・・・ロッサ?」
「あぁ、ごめん義姉さん。ちょっとシャッハの部屋に行って様子を見てくるよ。体調が悪いようなら休みを取って貰うってことで良いんだよね?」
「え、えぇ、それで良いわ。シャッハの部屋は判るの?」
「何度も連れ込まれてお説教されたからね。僕にってはシャッハの部屋と言うよりも、あそこはお説教部屋だよ。じゃぁ、少し行ってくる」
言うが早いか、ヴェロッサは執務室を後にしていった
カリムは普段に似合わぬ素早い義弟の姿を、呆然と見送った
執務室を出てすぐにヴェロッサは走り出していた
一月前の“ゆりかご事件”。その事後処理が一段落付きつつある。それは良い事だ。勿論良いことだ。ヴェロッサとしても仕事が片付くというのはとても喜ばしい
だが、こういう時期というのは何かと良からぬ事を目論む馬鹿が湧いてくる
視察に赴いていた要人が誘拐されたり、人手が駆り出されて警備が手薄になった管理局保有の施設が襲われたり、
現在、クラナガンの警備は主に機動6課が受け持っているが、それが首都圏ではない僻地となると話は違ってくる。そして聖王教会は管理局とも強い繋がりがある
(警告に来たつもりが間に合わなかったか・・・クソ、最悪だ・・・!!)
勘違いであればいい。あのシャッハがそうそう拉致などされるものか。部屋に行ったら、きっと風邪でも引いて伏せっている筈だ
そう、自分に言い聞かせながら、ヴェロッサは走る
「シャッハ、シャッハ!居るかい?」
ドアを叩くが返事はない。ついでに鍵が掛かっている。シャッハに限って、爆睡してて気付かないと言うことは無い。絶対にありえない
あの武闘派シスターの日常は日の出と共に始まるのだ。それが、既に日も高い、そろそろ午前のお茶にしても良いような時間にまで寝入っているという事はありえない
起き上がれない程の病状である。その可能性も無くはないが、早朝の礼拝には出てきていたというのだから、その線は限りなく薄い
では、やはり・・・
最悪の予想に奥歯を噛み締めながら、ヴェロッサは猟犬を放った
猟犬、と言っても勿論本物の犬ではない、ヴェロッサだけが使える稀少技能:無限の猟犬である
魔力の続く限り、無限に放つことのできる彼の猟犬は、視覚・聴覚の共有能力などを持ち、不可視化も可能という優れた斥候だ
また、本物の猟犬同様の嗅覚も備えており、臭跡探知もお手の物である
手始めに30頭
聖王教会の建物は、正面こそ城壁のような高い石積みの壁と堅牢な門扉を備えているが、残る3方は木々の茂る山に囲まれている
逃げるならば山の方だろう。そうアタリを付けてヴェロッサは三方に10頭ずつの猟犬を放った
あとは、カリムに頼んで正門では検問を行ってもらうよう、連絡を取る・・・取ろうとした時だった
ふと、妙な匂いが鼻についた
不快な匂いではない。良い香りだ。だが、この教会という建物の中では少々不自然な香りだ
「・・・香水・・・かな?」
神父と香水、何とも退廃的な組み合わせを想像してげんなりとするヴェロッサであった
外部の人間が香水を吹きかけていた可能性も無くはない。だが、既にここは教会でも奥の方である。そうそう部外者は立ち入ってこないだろう
もし、侵入してくる部外者がいるとすれば・・・実行犯はそいつ、という事になるのだろうか
部外者である自分の事は棚に上げて、ヴェロッサはそう結論付け・・・物は試しと香水の残り香を猟犬に追わせてみることにした
「香水なんてつけて教会に侵入するような馬鹿なんて、居るはずは無いんだろうけどね・・・マダムキラーな神父でも居たのかな?」
颯爽と走り出した猟犬は、すぐに立ち止った
そこは、シャッハの自室からさほど離れてもいないところに、ひっそりと立つ薄暗い物置である
「・・・ぅぅ・・・ぃゃだ・・・やめ・・て・・・」
震える声帯を駆使してそう懇願するが、男達の返答は丸めたショーツを口に突っ込むという行為であった
床に組み伏せられ、股を開かされ、男の一人がベルトを緩めてズボンを降ろし、
シャッハが初めて見る成人男性の性器は、実にグロテスクに隆起していた
蹴り付けようと繰り出した脚は逆に掴まれて逃げられなくなってしまった
こんな、こんな所で無理矢理に犯されるなど、できることなら舌を噛み切って死にたいくらいだ
だが、それもできない
熱く潤った秘部に、何かが当たる感触を感じる。くちゅり、という小さな音の意味を認めたくなかった
もう駄目だ
だが、どうせ駄目ならば、狂ったように泣き叫んでやろう。それで破瓜の傷みが紛れるとはとても思えないが
最後の抵抗のつもりで、シャッハは鼻から大きく息を吸い込んだ
そして、
「げうっ!!?」
「がぁっ!!!?」
「くえっ!」
三様の呻きを残して、突如男達が倒れ伏した
衣服の肩の辺りが激しく破れている。まるで、獣にでも襲われたかのように
「シャッハ!シャッハ!!!」
「・・・ろっ・・・さ・・・?」
その後のことは、シャッハは良く覚えていないようだ
ヴェロッサは取りあえず、シャッハの裸身を自分のジャケットと脱ぎ捨てられている強姦魔達の衣服で隠し、やむなくカリムの執務室へ駆け込んだ
仰天するカリムだが、シャッハの只ならぬ様子に慌てて人を走らせた
一つ、件の物置で昏倒している修道士三名を拘束すること
二つ、シャッハに着せる衣服を用意すること
本当は風呂にでも入れてやりたいが、今のこんな状態の彼女をあまり人目に晒したくない
ヴェロッサが気を利かせて湯を張った桶を持ってきたため、温かいタオルで身体を拭いてやることにする
酷い有様ね、とカリムはそう呟いた
・・・まだマシな方だよ、とヴェロッサは応えた
強姦は未遂だった。殴り付けられたような痕跡も無い。だが、首から胸元にかけては、刻印のような黒い痣が幾つも残っている
「ロッサ、ごめんなさい。話し合うことは色々あるのだけれど・・・」
「わかってる、これはもう仕事どころじゃないよ。義姉さんは、シャッハに付いていて欲しい」
「・・・ごめんなさい。私がしっかりしていたら、こんな、シャッハがこんな目に遭うことなんて・・・」
「・・・当面、警備を厳重にして欲しいんだ。最近、ミッドのあちこちで管理局に恨みを持ってる連中が暴れてる。そうした連中の差し金かもしれない」
「わかった。あなたから見れば万全の警備なんて言えないかもしれないけど・・・全力を尽くす」
そんな事件から一週間
ミッドチルダの各地では、今日もはぐれガジェットが出ただの、テロリストが出ただのと事件が一日に一回は起こる
聖王教会での、現職の修道士が修道女を強姦未遂という事件は水面下で処理され、人々の口には上っていない。ただ、武闘派シスターの不在に首を傾げる者は若干名居るようだ
だけど、今のところは、表面上はいつも通りの、穏やかな平穏を保っている
「義姉さん、ロッサです」
「どうぞ、入って頂戴」
「お邪魔します、と・・・さて、とりあえず、コレがあの三人の尋問の最終報告。
信じ難いことだけど、あの三人は何も憶えてない。最初は演技なんじゃないかと疑っていたけど、どうやら本当に憶えていないようだ。
三人揃って礼拝堂に向かっていたら、急に立ちくらみがして・・・っていうのが共通している最後の認識だね」
「何故、シャッハを狙ったのかは?」
「わからない。気が付いたら拘束されていて、訳が判らなかった。ってね。外部から何者かに操られていた可能性もない。
かといって、本人達の意志だった訳でも無いみたいだ。本局の心理分析官が断定したそうだから・・・そうなんだろうね」
「・・・つまり?」
言いにくそうに顔を歪めて、ロッサは呟くように言った
「シャッハの方に、原因があったのかもしれない。捜査担当はそういう見解を示している」
その言葉にカリムは息を呑み、その言葉に含まれる下卑た意味に、憤りを露わにして執務机に両手を叩きつけた
そんなことがあってたまるかと、その瞳は語っている。勿論ロッサも同じ気持ちではある
「ともかく、この一件はもうこれで決着という事にするしかない。問題はこれからだよ」
「・・・そうね、シャッハはどうしてる?」
「何も変わらないよ。毎日大人しくしてる。セーフハウスからは一歩も出ようとしないし、僕が仕事をさぼって見舞いに行っても怒りもしない。
僕としても、見るに耐えないよ。カウンセラーの真似事はしてみているけど・・・いつも反応は薄いね、何とか会話にはなるけど」
「カウンセラーの真似事って、ロッサ。あなたが?」
「似合わないのは承知してるよ。だけど、放っておけないから・・・」
「そうじゃないわ、話をしてくれるのね。“あなたになら”」
「え?」
「実は、私の方からカウンセリングの手配はしていたの。女性のカウンセラーに行ってもらったのだけど、報告では長丁場になりそうだって言ってたわ。
ロッサ、お願いできないかしら」
「ちょ、ちょっと待って義姉さん。その、専門家よりも僕の方がうまく行くなんて、そんなことあるわけないって!」
「でも、あなたの方が専門家よりも良い感触みたいだし、お願い、シャッハには一刻も早く笑顔を取り戻して欲しいの。
秘書官としてとか、そんなのじゃなくて、私達とシャッハは家族のようなものでしょう?」
カリムの懇願に、ロッサは諦めの混じった溜息を一つ吐いて、両手を上げた
降参、という意思表示である
「わかったよ・・・シャッハとは、毎日何時間か話してみる。それで状況が好転するなら安いものだしね」
「ロッサ!ありがとう!!」
そうして、ロッサはクラナガンにあるセーフハウスに毎日脚を運ぶことになった
あまり区画整備のされていない、雑多な住宅街の中にある極平凡な一軒家である
「シャッハ、ロッサです。入るよ」
「・・・ロッサ」
3日目くらいから少しだけ、シャッハは笑顔を見せてくれるようになった
だが、そんな笑顔もヴェロッサの目には酷く寂しく映る。彼にとって、シャッハ・ヌエラという女性は、気が強くて口うるさく、おまけに手が早い、困った姉のような存在だった
そんな彼女が、静かに落ち込んでいる姿など、見たくはなかった
「今日は、ケーキを焼いてきたんだ。新作だから、是非忌憚の無い感想を聞かせて欲しいな。お茶淹れてくるね」
そう言い残して、ヴェロッサは台所に立った
こうして日に1・2時間。シャッハと他愛のない時間を過ごすようになってそろそろ一週間になる。未だに、ヴェロッサはシャッハに復帰を促すような言葉を掛けてはいない
本当に、他愛のない話しかしていない。新しいケーキのレシピについてとか、クロノの最近の親バカ振りについてとか、時には一緒にクラシックを聴いただけという時間もあった
だけど、そんな時間を重ねることで、シャッハは彼女の“日常”を少しずつ取り戻していけるんじゃないか
何冊もの参考書と格闘して泥縄な知識を詰め込んだヴェロッサとしては、取りあえず焦らないことだけは決めている
書類の塔に囲まれつつあるカリムには申し訳ないと思うが
「はい。どうぞ。食べてみて」
「えぇ・・・うん、とても美味しいわ」
「そう?良かった・・・」
シャッハの負った心の傷は深い。だけど明るい材料が無いわけでも無かった
食は細いが自発的な食欲があること、会話が何とか成立すること(ヴェロッサ相手に限るが)、PTSDによる自傷行為等が見られないこと
日常に戻ってこれる日はそう遠くないだろう、そう思う
だけど、聖王教会に戻るのかどうかはヴェロッサにもわからない。むしろ、戻らない可能性の方が高いと思っている
「ロッサは・・・とても器用ね」
珍しく、シャッハの方から会話を切り出してきた
「良くそう言われるよ。だけど世の中には器用貧乏って言葉もあってね。あんまり役に立つ事は無いものさ」
「貴方が、最初にケーキを焼いたのは・・・13歳くらいの頃だったかしら。騎士カリムと、私と、御祖父様や御祖母様。みんなに振る舞って、自分は食べられなかった」
「・・・そうだったね、余ったクリームだけ舐めたんだっけ」
「それでも・・・とても嬉しそうだった」
「みんなが喜んでくれたからね。もし僕の身にレアスキルが宿っていなかったら・・・菓子職人なんてのも悪くなかったかもしれないね」
その言葉に、シャッハはいつもより少しだけ明るい笑顔を見せた
何かを懐かしむかのように、少しずつケーキを口に入れてゆく
「私の手は・・・」
「ん?」
「私の手は、騎士の手・・・硬くて、がさがさした。優しくない手・・・」
ぽたり、と大粒の涙がこぼれ落ちた
「ロッサ・・・私は、貴方に私の事を話した事がありましたか・・・?」
「シャッハの事?シャッハの事は大体知っているつもりだけど、出会う前の事までは、知らないかな・・・?」
「じゃあ、少し、聞いてください。私は・・・私も、ロッサと同じく孤児としてグラシア家に引き取られてきたんです。
生家であるヌエラ家は代々ベルカの誇りを受け継いできた、聖王教会とも縁のある尚武の家系・・・
しかし、ヌエラ家にとっては不幸な事に、当主であった両親は女児を一人授かっただけでした・・・つまり、私の事です」
ヴェロッサは、黙って彼女の言葉に耳を傾ける
シャッハは、紅茶の入ったカップを、そこに映る自分の顔を見つめながら、訥々と語った
「武家の家系として、騎士の誇りを受け継ぐ血筋として、私は幼い頃から武術の鍛錬に、軍学の勉強に励んできました。
厳格だった祖父からすれば、男児を授かれなかったことが悔しかったのでしょうね。私は、12歳になるまでに女の子らしい遊びや、服を着たことなど一度もありませんでした」
「・・・お祖父さんが、憎かった?」
「・・・少しだけ・・・でも、祖父が天寿を全うし、両親が相次いで病に倒れ、ついには帰らぬ人となり・・・私は、あっという間に天涯孤独になったんです」
「・・・」
シャッハは、静かに泣いていた
声音を震わせることもなく、ただぽろぽろと、涙だけが流れ落ちていた
「グラシア家に引き取られてきて、貴方の良く知るシャッハ・ヌエラとなってからは・・・最初はただ、ただ怯えていたんです。
誇りや血筋に縛られない、自由な生き方がどうしてもできず、ひたすら鍛錬に明け暮れていました。そうしている間だけは、祖父の影に怯えずに済んだから・・・」
カップを取り落とし、シャッハは両手で顔を覆い俯いた
「私の手は・・・女の手とは思えないほどに堅くて、優しさなんて一つも持ち合わせていなくて・・・
騎士としても身を立てることができず、女としても私は結局中途半端で、私は騎士の血筋を疎みながらも、その血筋に縋っていたんです・・・浅ましいほどに・・・」
嗚咽を聞きながら、ヴェロッサは心の中で溜息を吐いた
両親がどうだったのかは判らないが、厳格だった祖父としてはシャッハには家系に恥じぬ騎士となって欲しかったのだろう
シャッハ自身も、その期待には応えたかったのだろうが、その前にヌエラ家そのものが無くなってしまった
拠り所を失った彼女の不幸は察して余りある。騎士として生きることしか教えられなかった少女にとっては、生きる意味そのものが失われた様なものなのだから
そして、今回の事件で、彼女は自分が“女”であることを、強姦という最悪な形で強引に意識させられた
幼少の頃から“女”であることを捨てるようにして生きてきた彼女にとって、今まで何とかバランスを保ってきた自分の心を崩壊させるほどの出来事だったのだ
救わなくてはならない。かつては、自分をそうしてくれたように
「・・・僕は、シャッハには何度も怒られて、その度叩かれて・・・
でも、憶えていないかもしれないけど、最初にケーキを焼いたとき、一番に褒めてくれたのはシャッハだったんだよ。優しく、頭を撫でてくれたよね。あの時は本当に嬉しかった」
「・・・ロッサ・・・」
ヴェロッサは、シャッハの手を包むように、そっと両手で握り締めた。彼女がくれた温もりを、今度は自分が彼女に伝えるために
「シャッハの手、僕は好きだよ。そりゃ何度も叩かれたけどね。だけどそれだけじゃない。優しさや温もりを教えてくれた。
それに、大切な人を護るために、シャッハはここまで頑張ってきたんだろう?誇り高い生き方をずっと貫いてきたんだ・・・僕や義姉さんは知ってるよ」
「でも、私は・・・」
「おまけに、僕みたいな軟弱者をここまで導いてくれたんだ。シャッハが居てくれて本当に良かったって思ってる」
ヴェロッサは、椅子に座っているシャッハの前に跪いて彼女の身体を抱きしめ、震える身体に染みこませるように、そっと言葉を紡ぎ出した
「お願いだから、もうお祖父さんの影には怯えないで・・・シャッハは、シャッハのままで良いんだ。騎士として生きることがシャッハの人生の全てじゃない」
「・・・ロッサ・・・でも、私は・・・!!」
「誓うよ。もしも、シャッハをシャッハでなくそうとする奴が現れたら・・・その時は、僕が絶対に守ってみせる。だから・・・」
そっと抱擁を解き、跪いた格好のまま、ヴェロッサは涙顔を見上げた
「だから、もうシャッハも自分を押し殺さないで、自分で自分を傷つけないでくれ・・・シャッハの本当の気持ちを知ったから、もう、シャッハのそんな姿を見たくないから・・・
「ロッサ・・・ロッサぁ・・・う、う、うああぁぁぁぁぁ―――――
初めての慟哭だった
初めて聞く慟哭だった
ヴェロッサに縋り付いて、心の澱を全て涙と共に押し流すように、シャッハは泣き続けた
“人は皆、泣きながら生まれてくる”。シャッハ・ヌエラは今日この日に、ようやく生まれることができたのかもしれない
「・・・ぐすっ・・・ごめんなさい。ロッサ・・・その、困らせてしまって」
「全然構わないよ。シャッハの泣き顔なんてレアな物を堪能させてもらったしね」
「あ、あなたという子は!全く・・・今日だけは、許してあげますけどね。今度そんなこと言ったらぐーで行きますよぐーで!」
「それは勘弁・・・でも、やっぱりシャッハはそうで無いとね」
あはは、と笑うヴェロッサに、シャッハは顔を赤くして俯いてしまった
泣き顔を見られたり、乗せられてしまったり、今日はもう散々だ
「それじゃあ、シャッハ。義姉さんにはなんて伝えようか?もう2・3日休んでも良いんじゃないかと僕は思うけど」
「な、何を言いますかっ!2週間も休みを貰っておいて更にズル休みをするなんて許される事じゃありませんっ!」
いつものガミガミとした口調に戻ってくれたのは嬉しいが、ヴェロッサとしては少々不安も残る
「・・・でも、本当に大丈夫なのかい?」
「大丈夫、本当に大丈夫です・・・もう逃げるのはやめるって決めましたから。騎士カリムにも申し訳ないですし・・・それに!」
だん、とテーブルを叩いて、シャッハはヴェロッサを睨め付けながら言った
「私がいつまでもここに居ると、貴方が全然仕事をしてないんじゃないかって心配になりますからね・・・!!」
「失礼だなぁ、僕だってちゃんと仕事をした上でここに通っていたのに」
わざとらしく拗ねた顔を作りながら、ヴェロッサは心の中でだけ、(ここ2・3日は)と付け加えていた
いつもならば、そろそろ拳骨と共にお説教が飛んでくるところなのだが、常に無いことにシャッハは顔を赤くして俯いていた
「そうですよね・・・ロッサ、本当はちゃんとしていますものね・・・」
「え?あ、あー。うん、そうそう。勿論そうだよ!」
「・・・本当でしょうね」
「ほ、本当だよ!本当に本当!」
「・・・まぁ、信じてあげましょうか」
「意地悪だなぁ・・・でも、今日、もう一晩はここでゆっくり過ごすんだよ。僕は先に戻って、義姉さんに報告しに行くから」
「えっ!?ロッサ、も、もう行くんですかっ!?」
立ち上がり掛けたところで、がっちりジャケットの裾を掴まれていた
その素早さはまさに烈風一陣と言うべきか
「あ、あの、シャッハ?義姉さんだって心配してたんだよ?早く安心させてあげたいし。まさか泊まっていけなんて言うつもりじゃな ―――
涙顔が、そこにはあった
ただごとでは無いくらいに、孤独を怖れる顔がそこにはあった
「・・・怖い、夢を見るんです・・・あの日、物置であった事・・・」
「!!」
「だから、その、今日だけ・・・一緒に、いて欲しいです・・・明日から、いつもの私に戻れるように・・・」
「・・・わかったよ」
気を揉んでいるであろうカリムには申し訳ないが、今日だけはシャッハの罪の無い我が儘に付き合おう
「それじゃ、夕食の支度でもしようか」
「あ、それは私が!ロッサはのんびりしててください。腕によりを掛けて準備しますから!」
そう言って、シャッハはいそいそと台所に向かった
ヴェロッサはそんな、新妻のような後ろ姿を見送りながら、少しだけ引き攣った笑みを浮かべていた
シャッハの得意料理は、聖王教会風煮込み料理・・・またの名をブチ込み鍋・・・だけである
時には、限りなく闇鍋に近いものが食卓に並んだこともあるのだが・・・
「あれ、ここにはあまり変わり映えのしない食材ばかりですね・・・残念」
というシャッハの独り言に、ヴェロッサはこっそりと聖王に感謝の祈りを捧げた
真っ当な夕食にもありつき、シャワーも済ませると、早々に寝ようとシャッハが言い始めた。曰く
「明日からは、またいつも通りの私に戻るんです。早起きは三文の徳なんです!」
「幾ら何でも日の出前に起きるのは早すぎると思うんだけどね・・・」
口答えには聞く耳を持たない
シャッハはヴェロッサを寝台に寝かせると、有無を言わせずその隣に居座って同じ毛布をひっ被り、問答無用で電気を消した
「それじゃ、おやすみなさい。ロッサ」
「あ。うん。おやすみ、シャッハ」
電気が消えて、部屋中に静寂が満ちて、どれくらいの時間が経っただろうか
言うまでもなく、ヴェロッサは寝付けないでいた。隣にシャッハが眠っている。仄かに漂う甘い香りは石鹸か、それとも彼女の香りなのか
そんなことを考え出したら寝付けるはずもなく、まるで遠足前の小学生のように、ギンギンに意識は冴えていた
「・・・・・ロッサ、もう眠りましたか?」
不意に、シャッハが静寂を破って問い掛けてきた
一瞬、寝たふりを決めこもうかと思ったが、
「・・・・・いや、起きているよ。シャッハこそ、寝てなかったのかい?」
「はい・・・何だか寝付けなくて・・・ねぇ、ロッサ」
むくり、と隣に横になっていたシャッハが半身を起こしたようだ
部屋が真っ暗なせいで細部はわからないが、何やら、ぷち、ぷち、という音が小さく聞こえてくる
不意に、カーテンの隙間から差し込んだ月明かりに、ヴェロッサは言葉を無くした
シャッハが、パジャマの上着を脱いで、素肌を晒してそこに居る
月光に照らし出されたその裸身はどこまでも白く、胸元に付けられた黒い痣が酷く醜い物に見えた
「シャッハ・・・?」
「・・・ロッサ。お願いです・・・私を、抱いてもらえませんか・・・?」
涙の気配が微かに混じるその懇願に、ヴェロッサは思わず硬直した
「怖いんです・・・あの日から、私は、自分の身体が不意に熱くなるのが、怖くて・・・」
「でも、シャッハ。それは・・・」
「お願い、ロッサ。私の最後の我が儘です・・・あなたが、好きだから・・・」
覚悟を決めるか。ヴェロッサ・アコース
少し投げやりっぽく自分の心に言い聞かせて、彼はその腕にシャッハの身体を抱き締める。毎日の鍛錬の為に、女性らしい丸みや膨らみには少々乏しい身体
だけど、最初に女性としての憧れを抱いたのは、彼女だったっけ。そんなことを考えながら、そっと震える唇を重ね合わせた
触れ合わせるだけの、互いの存在を確かめ合うような接吻はしばらく続いた
ヴェロッサはゆっくりと唇を離して、シャッハの目を覗き込む。互いの顔を見つめ合いながら、小さく尋ねた
「シャッハ。本当に・・・僕で良いんだね」
「ロッサだから良いんです。ロッサでなきゃ・・・嫌です。ん、むっ」
唇を重ねる。今度は深く、情熱的に。唇に吸い付きながら舌を滑り込ませ、シャッハの舌に挨拶をするようにそっとつついた
驚いたのであろう。すぐ目の前にある彼女の目が少し見開かれ、ぎゅっと抱擁をきつくした
怖ず怖ずと舌を絡ませてきたシャッハの反応を嬉しく思い、ヴェロッサも舌使いを激しくする
数分間に渡る接吻が終わり、名残を惜しむように互いの唇は唾液で繋がっていた。上気したシャッハの顔に、性行為に対する恐怖の色が浮かんでいないことに安堵を覚えながら、
ヴェロッサは掌で包み込むようにシャッハの乳房に触れた
その瞬間、シャッハが少しだけ怒ったような表情を浮かべた様に思ったのは・・・気のせいでは無いだろう
自分のプロポーションに少しコンプレックスがあるのかな・・・そんな風に思いながら、ヴェロッサは一言、シャッハに告げた
「綺麗だよ。シャッハ」
たった一言でコンプレックスを撃砕し、胸元を指先で掬い上げるように撫で上げながら、張り詰めた乳首を転がすように触る
「んっ・・はぁ・・・っ!!」
少しだけ嬌声が漏れた。その事が嬉しかったヴェロッサと、その事が恥ずかしかったシャッハの目が合い、シャッハは真っ赤になって顔を俯けた
掌全体を押し当て、少し遠慮がちに乳房を揉み込む。ぴくり、と肩が跳ねたのは快感のためだろうか
掌を背中に回し、シャッハの身体を抱きしめながら彼女の肌に顔を寄せてゆくと
「や、やだっ!ロッサ、それは、いやっ!」
明らかに質の違う抵抗に見舞われた。抱きしめた身体は離さないまま動きを止めると、合点がいった
シャッハの胸元に、刻印のように残る黒い痣。無理矢理に付けられた行為の証
彼女としては全てを忘れたくても、この痣が残るために忘れられない。薄くなりつつあるとは言え、そんな痣がまだ幾つも残っているのだ
自分が望んだ相手だからこそ、見られくない。触られたくない。そんな気持ちはヴェロッサも理解できる
だからこそ、ヴェロッサはシャッハの胸元に口付け、きつく吸い上げた。痣を残すほどに
「ロッサ!やだっ、やめて!お願いだから!」
「・・・シャッハ、よく見て。この痣は、僕が付けた痣だ。シャッハを傷付けようとした男達が付けた物じゃない」
彼女の胸元に残された幾つもの痣。白い肌を汚す黒い刻印。ヴェロッサは同じ場所一つ一つに唇を押し当ててゆく
「・・・ごめん、でももう終わったよ。もう、シャッハの身体には、あいつらが触った跡なんて残ってない。僕が、全部塗り替えたから・・・」
「・・・ロッサ・・・」
抵抗を止めて、こちらを見上げる涙顔にそっと笑いかけ、涙を流す目元にキスを落とす
塩気のきつい味を感じながら、ヴェロッサは愛撫を再開した
「んっ、うあ、あっ?!・・・く、ふぁぅぅ、ひゃんっ!」
愛撫の度に嬌声を上げるシャッハの身体を楽器を様にも思いながら、ヴェロッサはその喘ぎ声に聞き惚れた
張り詰めた乳房を揉みしだき、乳首を指先で摘んで弄ぶ。その度に鈴を振るような喘ぎを漏らすシャッハが、たまらなく愛おしい
パジャマのズボンに指を掛けると、シャッハの手がそれを押し止めた
「待って・・・ロッサ。自分で、脱ぐから・・・」
息も絶え絶えのままシャッハそう言うと、寝そべったまま、腰を浮かせてズボンとショーツを一緒に下ろした
湯気を上げそうなほどに熱く汗ばんだ身体を抱いて、シャッハは潤んだ瞳をロッサに向けた
「・・・シャッハ、触るよ」
「う、ん・・・ッ!?」
指先が、熱く潤った秘部を撫でた瞬間、シャッハの身体が跳ね上がった
「ご、ごめんなさい・・・びっくりしました。急に頭が真っ白になって、身体が勝手に・・・」
荒い息を吐くシャッハの額をヴェロッサはそっと撫で、少し心配そうな表情を作った
>>135 GJ!
フェイトには頑張ってほしいな。
フェイトとの家族の絆を失ったエリキャロの未来も心配だ。家族の絆、なんとか取り戻してほしいなあ・・・。
「シャッハ・・・本当に大丈夫なのかい?」
「だ、大丈夫です・・・最後までちゃんとしてくれなかったら・・・多分、一生後悔するから・・・」
「わかったよ・・・じゃぁ、シャッハ。少し手を・・・」
ヴェロッサはシャッハの手を取り、彼女自身の手を、彼女の秘部へと導いた
シャッハの指先が、そっと割れ目をなぞった
「・・・な、何これ、私の身体、こんなに熱く・・・?」
「熱いだけじゃない、すごく敏感だよ。僕に触られるのは怖いかもしれないけど、自分の指なら怖くない・・・かな?どうだろう?」
「は、はい・・・自分でなら、少しは・・・んっ・・・ふ、あ、あぁっ!?」
入り口を往復するばかりだった彼女の指先だったが、快感を求める膣は指先を呑み込んだ
指先が埋まり込んだくらいの浅い挿入ではあるが、それでも自慰の経験さえほとんど無いシャッハにとっては強い刺激だった
「や、やだっ、指、腰も、止まらな、い・・・ッふあぁぁぁっ!!!」
蜜を溢れさせる秘部に指を埋め、少しでも快感を得ようとガクガクと腰を揺すりながら、彼女は2度目の絶頂へと押し上げられた
背筋を反らせて快楽の波に翻弄されるシャッハの姿に、ヴェロッサはいよいよ辛抱をしきれなくなり、絶頂の余韻に小さく震える彼女の身体にゆっくりと覆い被さってゆく
「・・・ロッサ・・・?」
「ごめん、シャッハ・・・僕ももう、我慢ができない・・・」
「・・・良いですよ。来てください・・・」
「・・・その、初めて、だよね。すごく痛いかもしれないから、もし痛かったら、すぐやめるから」
「わかりました・・・じゃぁ、絶対に痛いとは言いません」
「え?」
ヴェロッサに組み伏せた身体の下で、彼の呆気に取られたような顔が面白いのか、頬を染めて少し照れたように笑うシャッハである
「言ったでしょう。最後までしてくれなかったら、私は多分一生後悔するって・・・だから、絶対に途中でやめて欲しくないから・・・だから、ロッサ」
「・・・うん、わかった・・・じゃぁ行くよ」
ちゅくり、という粘液を掻き混ぜたような水音が小さく聞こえた。熱く潤った秘部に、ヴェロッサはゆっくりと男性器を埋め込んでゆく
「シャッハ・・・ごめん、少しだけ我慢して・・・」
「はい・・私は、大丈夫だから・・・」
こくり、と頷く彼女の額に接吻を落とし、ヴェロッサは一気に腰を押し進めた
何かが切れるような感触と共に走った痛みは、文字通り身体を引き裂くような痛みだったが、シャッハは歯を食いしばり、ヴェロッサに首筋に抱きついて悲鳴だけは上げなかった
破瓜の証である赤い雫が愛液と共に溢れ出してきた。二人は繋がったまましばらく抱きしめ合っていた
「・・・シャッハ。大丈夫?」
「だい、じょうぶ・・・こんなの、全然、平気ですよ・・・ロッサ」
ちっとも大丈夫ではなさそうな顔でそんな健気な台詞を吐かれても困る
その気持ちに応えたくて、ヴェロッサはゆっくりと腰を動かし始めた。シャッハの膣の中は、性器が細いゴムをぐるぐる巻きにされたかのように強烈な締め付けを感じさせてくれる
「んっ・・・ふっ・・・・はんっ・・・」
シャッハも、段々慣れてきたのか。苦痛に顰められた眉はそのままだが、ほんの少しずつだけど喘ぎ声が唇を割って聞こえてくるようになった
ヴェロッサは、自分の胸板とシャッハの身体がくっつく程に彼女の身体をきつく抱き締め、徐々に腰のスピードを上げてゆく
「ふあっ、んぅっ、ロッサ・・・ロッサ、ロッサぁっ!!!」
「シャッハ、ごめん、僕は、もう・・・っくぅ、ぁ・・・っ!!」
お互いに限界だった。シャッハの絶叫と共に膣は精液を吸い上げるように収縮し、ヴェロッサは抜くことさえ忘れてシャッハの膣を白く汚した
くたり、と汗まみれの身体から力が抜ける。お互いに荒い息を吐きながらもう一度唇を重ね合わせて、二人の意識は眠りの淵へと落ちていった
がば、とヴェロッサは目を覚ました。カーテンの向こうはまだ暗いが、地平線の向こうは微かに紫色に染まりつつある
隣に眠る愛しい女性は、まるで子供のようにあどけない寝顔で寝息を立てていた。お互いに全裸。少なくとも夢では無かったらしい
ヴェロッサはベッドから下りて、取りあえず着替えを片手に風呂場に向かった
手早く汗を流して、朝食の支度を済ませて、シャッハを起こすのはそれからで良いか
日常が戻ってくる
朝焼けに包まれて眠るシャッハの穏やかな寝顔にそんな確信を抱きながら、ヴェロッサは寝室を後にした
幸せになるのも楽じゃない
だけど、不幸を望んでたんじゃあ、幸せにはなれない
幸せを拒否していたんじゃあ、幸せにはなれない
取り戻す、なんて悠長な言葉じゃ間に合わない。奪い返しにゆこう。貴女に得る権利があった、貴女の為の幸せを
君と、僕の、二人で
「しかし、あなたにあげたあの薬が、まさか他人の手に渡るなんて・・・しかも修道女に・・・」
「ねぇ、ドゥーエ姉。あの香水、何かあったの?」
「あー、えっと、その、あの香水はね。私が10年前のちょっとした、大事な任務の時に使ってた香水だったから、
折角セインに上げたのに、セインから人に贈られちゃうのはちょっと悲しい、かな、ってね」
「う、ごめんなさい。ドゥーエ姉」
「あー良いの良いの、そのシスターシャッハも、貴女からの贈り物だったから喜んでくれるんでしょう?“元々は姉に貰った物”なんてこと、絶対言っちゃ駄目よ」
「うん、わかった」
以上です
需要?キコエナーイ
それでは失礼します。スレ汚し失礼しました
投下中に割り込みレス申し訳ない・・・確認してなかった・・・・・。
>>172 オンタイムでキタ─ヽ(゚∀゚)メ(゚∀゚)メ(゚∀゚)ノ─!!!
本編の出来は最高。ロッサシャッハはマニアックなカップリングだなあ。
幼馴染のしっかり者のお姉さん属性には嬉しいSSです。
ところでドゥーエはセインにこんな香水渡して何を見たかったんだろう・・・
>>172 いやいやいいよいいよーww
堅物だけどしおらしくなっちゃうシスターはいいものだ。
それにしてもドゥーエ姉、なんてもの妹にあげてんだww
>>172 シャッハさんやっとキタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!!!
ロッサのエロも何気にあまり見た事無いから二度美味しかった
>>172 超GJ!!
、 ∩
( ゚∀゚)彡 シャッハ!シャッハ!
⊂彡
>>135 超GJ!
こんなハイペースでこんな良作を上げ続ける貴方が神か?
主要キャラ達が病みながらも、一応上辺だけはほのぼの幸せな状況が
出来上がってきてるけど、これからこの状況がどう崩れていくのかに目が離せません。
他のメンツはともかく、ここまでやらかしてくれた、
この話のなのはさん&フェイトちゃんにハッピーエンドはあり得ないしw
ベルカの男子をたぶらかす香水か…なんて物を渡すんだよw
バレたときどうなるか想像するのが怖いw
ちょっと思ったんだけど、クアットロてさ…実は、人から蔑まれたり怒られたりすることに快感を覚えるある意味ドMなんじゃないかと
>179
貴様! なんて事を!
怯えるクアットロを壁に押し付けて非道な言葉を投げかけながら
ニヤリと笑うディエちーを妄想してしまったジャマイカ。
>>172 ロッサ×シャッハ キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!!!
GJ!
きっちりと予防線をはってる次女に吹いた。
事態に気付いた暴力シスターが烈風で乗り込んでくるまで5、4……。
グッジョブです、ロッサ×シャッハはいいよね。
>>172 ロッサ×シャッハか、GJ!
散々マッガーレとか言われてたロッサにここまで人気がでるとはw
幼馴染系お姉さんキャラとの組み合わせでロッサにも可愛いとこあるじゃんと
思わせたのが勝因か。
何はともあれGJ!
>>172 超GJ!さぁラブもエロも満たされた、後は香水の真実がバレてからのセインの
受難を書くだけだ!ww
>>20 GJ!!
とりあえず赤フェイトは俺が貰っていきます
リクオーにはやれん!
本気でアリシア×エリオの妄想が止まらねえeeeeee
「父さん、一度だけでいいから、私に・・ぬくもりを、ください・・・お願い・・します」
みたいな
いいじゃないか!血が繋がってなきゃこんな展開を妄想しても(ry
さてクロスフェイアでもくらってくるか・・・
今まで見えなかったシャッハのキャラが一気に深くなった。
超GJ!
魔法少女リリカルなのはWD(ホワイトデビル)
第94話「雨音」
ヴィータは雨を好むようになった―
「大変だぁぁぁぁ !! シグナムぅ !!
はやてが… はやてが おかしくなっちまったよぉぉぉ !!!
電気で動いてる こんなに太い棒を…
ま…まんこに ずっと出し入れしてるんだ !!!
こんなに太いやつ !!(両手でサイズを示しながら)
ヨダレまで垂れ流してるし…
はやてのやつ どうしちまったんだよぉ ?!!!」
シグナムは目を伏せたまま、「知っている」とだけ応えた。
「治る見込みは…無いわね。残念だけど…」
カルテを引き出しにしまいながらシャマルは溜息をつく。
ザフィーラは片目だけ開けてヴィータを見ると
また静かに目を閉じた。
―
もう八神はやては性欲のみで出来ていた。
回遊魚が死ぬまで泳ぎ続けるように、
ただひたすらマスターベーションをするだけの生き物になっていた。
・・・・・・・・・・・・
ヴィータは雨を好むようになった―
雨の日だけは
雨音が はやてのあえぎ声を掻き消してくれるから。
その日もヴィータは
ガラス越しに曇り空を見続けた。
いつまでも…
一体、はやての身に何が…
男は見舞いに行けないな…
エリオとか襲われちゃいそう
>>187へのレスが全部単発なんだが何が面白いのか分からなくて戸惑ってる俺ガイル
どっかで聞いたことあるんだけど元ネタ何だっけ・・・
空いてるようなので投下させて頂きます
前回の続きです
エリオの受難 アリシアの場合
・エロ有り?…微妙
・オリキャラ、オリ設定あり、駄目な人スルーでよろです
・おわび、嘘予告してしまいました
ゲンヤ、ギン姉まで辿りつけませんでした、相変わらずまとめる能力がうっうー…orz
思い出と傷跡―リクオー
「リクオーは優しい子だもんね」
にっこりとかがみ込んだスバルママによくそう言われた
柔らかな髪を優しく撫でられる…思い出
そんな時リクオーは決まって
むず痒そうに、照れくさそうに大好きなママを見上げていた
ママは誰よりも綺麗で柔らかで…暖かくて…そして強かった
スバルママの言うところによると自分…の格闘の素質
それは並外れたものがあるんだと言う、本当だろうか?
無論我が子に対する期待とお世辞があるのは当然としても
食卓で自分よりもずっと上なんだと興奮気味にママがパパに話しているのを
リクオーは何度も傍らで聞いた事がある
「この子はね、きっとね、すごい強い戦…男の子になると思うの!」
「…うーんボクとしては、できればベルカ魔法の方で頑張って欲しいけど…」
そんな時、
輝くエメラルドグリーンの髪を腰まで伸ばしたボクより5つ年上の姉は
二人の会話を興味無さそうに聞きながら、その小さな歯で小さく焼けたパンを齧っていたものだ
優雅に細い指先に止まらせた魔力で形成された白い鳥に細い指先を沿わせながら
『アンリミテッド・ホワイトフェザー(無限の翼)』
姉の持つレアスキル
純白の羽に鋭い嘴をもったそれはパパから受け継がれた古代ベルカの貴重で…純粋で特別な遺産なのだと言う
朝の光の中、周囲に白い輝く鳥達を舞わせる姉の姿は一枚の天使の絵のようで
見るものに神々しささえ感じさせた
(…実はボクはこの姉に組手で、未だに一度として勝った事が無い、それが自分の力ににいまいち自信の持てない理由の一つだった)
また姉は幼い頃から頻繁に教会へ招待されていた
聖王教会の若い騎士達ににかしづかれて、彼女達の腰までしかない本人はそれを平然と受けとめていた、ボクには到底マネできない事だ
子供の頃から貴族然としたそんな姉の仕草はそういった周囲のせいもあったのだろう
綺麗な女の騎士達に丁寧に扱われ、高級そうな送り迎えの車に乗り込む姉の姿
ボクはそんな姉の事が遠くに見えて少し羨ましかった
ボクにはまだレアスキル、ベルカの遺産の発現の予兆は無い、いや一生何も無い可能性が高い
なんとは無しにポーチから出かける姉の姿を見詰めるボクを見つけて歩み寄り
「…そのうちリクオーにもスゴイのが出るさ」
パパはそう請け負って、笑ってボクの頭に手を置いたりしていた
その足元の『無限の猟犬』が首をのばしてボクを見詰めた
姉は幼い時から聖王教会から特別なインテリジェントデバイスを授かっており
簡単にウイングロードも発動できた、が、本人はあまりこれを気に入った様子が無く、一度使ってそれきりだ
ママにはそれが少し残念なようだ
元々姉には飛行能力の素質があったから当然なのかもしれないが
「うーん…これも色々使えると思うんだけどねー…」
3人で見上げた天空に伸びる輝くグリーンのライン、それが眩い姉の才能を表しているようで羨ましかった
ボクは未だに簡易デバイスも手にしてないと言うのに
少し話したが姉は格闘センスも抜群だった
小さい頃からボクは何度やってもそれこそ姉の体にカスリもしなかった…
向かい合ったと思ったら、いつも地面に押さえ込まれてもがいていたのが常だった
(…ボクに格闘の才能があるのなら、そのボクが触れる事もできないこの姉は何なんだろう…)
ボクは細い膝なのにビクともしない、押し付けられた地面の感触を感じながらそう思ったものだ
「うーん…相性の問題だから気にしなくていいのよ?
あの子のは捌きと受け…投げと関節…打撃主体のリクオーとは種類の違う才能なんだから」
ジャンケンみたいなもん、リクはグーなのよ、パーに負けてもしょうがないじゃない
ママは笑ってそう言ってくれたが
天才―と言うものなんだろうかアレは?
―でも―
時折「リク」と姉がボクを探して呼ぶその声は優しく
そんな時はどこから貰ってくるのか、必ず美味しいお菓子と紅茶を用意していてくれたものだ
姉は教会で教わっただろう色々な難しい事を話してくれたけれど、残念ながら大半は理解できず忘れてしまっている
なんだか、たまにしか話会わない弟に、どんな表情をして接しようかと、決めかねているような姉の様子を思い出すと
きっと姉も何らかの形でボクの事を愛してくれようとしたのだと思う
才能のある人にも悩みはあるんだな
ボクは姉の綺麗な髪と横顔を見ていただけだったが
昔―フェイトと出会う半年ほど前
一度だけ我を忘れて『キレた』事がある、以降トラウマになっていた
それが為に子供ながらに必要以上に『優しい子』を演じているのだ、それは幼い時からの行動指針となっていた
時折、リクオーはフェイトのいない時に拳を見詰める事がある
彼女だけには本当の自分を見られたく無かった
たまたま親が迎えにこれなかったリクオーを含む園児5人が
近くの空き地で遊んでいた時の事
「ひっ…」
誰かが恐怖の悲鳴を漏らした
全員が遊ぶ手を止めてそちらを見る、と、どこから現れたのか
一匹の黒犬が5人の前に、のそりとすぐ至近まで歩み寄って来ていた
グルルルル…
低い唸り声を上げ、目に危険な色を湛えたそいつは、明らかに「やる」気だった
リクオーも足がガクガクと震えていた、でも目を逸らせばもっとヤバイ事になるのが解っていた
彼は幼い時期からすでにスバルにより少し年の離れた姉と一緒に格闘技の基礎を習っていたから
スバル曰く
『いい、リクオー?戦う相手と対峙したらね、…絶対に目を逸らしちゃ駄目だよ、
…その瞬間に力関係が決まっちゃうの、だから怖くても目は逸らさない、睨み返す、いいね?』
リクオーは唾を飲み込んで小さく呟いた
「目を…逸らさない…」
(誰か…このまま…大人の人が通りかかってくれるまでこの状態を保てたら…)
犬の戦闘力は通常の人間を遥かに上回る、大の大人でも
何の訓練も装備も無しでは彼らには、牙と爪と言う武器を持つ獣には到底かなわない
自分達では現状どうしようも無い事は明らかだった
空き地に面した道路をチラリと見た、この時間帯は車も通っていない
誰か…助けを…
「う…ひっ…く…せ、せん…せ…ぇ…シグナム……せんせえー!…」
対峙の恐怖に耐えかねた女の子の園児の一人が50Mほど向こうの園の方に向かって走りだした
同じように泣きながら駆け出す女の子
「ばっ…」
誰かが声を漏らした、本能的にリクオーと同じように犬と睨みあっていた男の子だろうか
リクオーの表情から血の気が引いた
それが契機になった
グガアッ!
跳躍した黒い影が瞬時に女の子の前に回り込み
体当たりをくらわせると女子の子が地面にゴロゴロ転がされた
キャアぁ、悲鳴が響く
瞬時に犬がその子の上に馬乗りになった
ハッハッ…獰猛な牙から涎とたらした犬が大きく口を開けた
「…イヤ…イヤァ…キャッ…キャァアアアア!!やめてぇ!来ないでぇええッ!!」
転んだ弾みに頭から血を流したその女の子がその小さな手で泣きながら
必死で両手を犬の首に当て押し返そうとする
無論、非力な園児の力など何ほどのの役にも立たない、涎を垂らして牙が迫る
「キャァア!」
その子の恐怖に引き攣る表情を見た時リクオーの中で何かが弾けた
ドクドクと熱かった血が急に極低温になり、体中で高速で駆けめぐり、妙な高揚感に体が包まれた
視界が急速に狭まる
ボクの様子に気がついた隣の子の声が遠くに小さく聞こえた
足の震えがピタリと止まっていた、次の瞬間リクオーは両の拳を握り締めていた
わずかに土煙が舞い上がり、弾けるように突進していた
正に女子の子の首筋に噛み付こうとしているその犬に
「その子を放せぇえええ!!!!!!」
その眼が金色に輝いていた
ゴッ…ぐちゃ…ごき…ぐちゅ…
機械的にボクは両手を交互に繰り出す
みぎ、ひだり…またみぎ…
痛っ
あれ?…何だ?…指の骨…何本かいかれたか?くそ…なんだ
まぁ…うん…
…いいさ
笑みがこぼれる
目的を達する為だ
…仕方無い…そうさ
…何の為に?決まっているじゃないか…
やるべき事のために
…敵を倒す
そう…ボクの命を守り、相手の命を奪う…大事なものを、仲間を守る…この拳で
それだけじゃないか…単純な事だ…
だが何よりも…大切な事だ…正しい事だ
そうだ…コイツを…二度と動けないようにすれば、より完全だ…安心だ…
殺すんだ…
ごりっ…
「…ぃ…おい!リクオー!しっかりしろ!、止まるんだ、もう終わってる!止めろ!」
ハッ…
靄がかかった目が焦点を結び、世界が急速に鮮やかさを取り戻した
次に意識が戻った時リクオーは自分が後ろから強い力で羽交い絞めにされているのに気がついた
パンッ
ふいに強く頬を張られた
「シグ…ナム…せんせい…」
呆然と後ろを見上げ、のろのろと自分の両手を見た、肉がところどころ弾け白いものが見えていた
それはは犬と自分の血で真っ赤に染まっていた
シグナム先生は正気に戻った様子の僕をじっと見詰めると、ふいにその胸に強く抱きしめた
「…あ…」
「あぁ…無事で良かった…もしもの事があったら…私は…スバルに何と言えば…」
ボクはその強さに息が詰まりそうになり、そして傍らを見て少し息を呑んだ
小さな血溜まりの中に
ピクピクとまだ痙攣する砕かれた黒い犬の頭、陥没して白い頭蓋骨が見えていた
あふれ出る血、どろりと漏れ出す薄いピンクの脳漿…
シグナム先生の両手がボクの頬を挟んでそれを見ていたのを強引に自分に向けさせた
「すまん…気がつくのが遅れてしまった…私達の責任だ…お前は…良く闘った
何も…悪くない…お前は悪く無いんだ…」
しゃがみこんでボクの首を抱き寄せ、後ろ頭を優しく撫でてくれた
ボクはこんな時なのに憧れのシグナム先生に抱きしめられてドキドキしていた
しゃがみこんだTシャツ姿のヴィータ先生が
「…駄目だこりゃ、おいシグナム、こっちはアタシとザフィーラで処理しとくからリクオー連れて
園に帰っててくれ、あとシャマルに見せて…家とかに連絡頼む…」
「ああ、…心得た」
どっから来たんだコイツ…?、おいリイン!、オロオロしてねーでこっちに…
みんなの声が遠ざかり、シグナム先生の腕の中でボクは再び気を失った、何か言われた気がするが
後の事は良く覚えていない
その後の事は
ボク以外の4人の園児は無事だった、犬は狂犬病で近くの施設に搬送される途中だったらしい
車から移す一瞬の隙を突いて係の者を振り切って逃走して来たのだそうだ
事件の事は先生達から園児に登下校の諸注意として、親共々プリントで配布されたが
『誰が、どうした』のか名前は伏せられていた、幸い重大な怪我を負った子は居なかったし
…指の骨が2本折れて骨が見えていたボクが一番重傷だった
襲われた女の子は心理的外傷…とかで、他所へ移って行ったのだそうだ、もう一人もいつの間にか園から消えていた
後の二人はしばらくして、どうにかショックから回復し、また園に通うようになっていた
…でも
ボクにお礼を言いに来た友達の二人の表情は明らかに怯えていた
ああ、でも二人は約束をちゃんと守ってくれた
その後、園内でボクが他の人にその事件について聞かれた事は無い
約束どおり二人は誰にも話してくれてなかったのだ
でもその代わり、ボクはその二人からは卒園まで
ただの一度も声をかけてくれなかったが
でもボクはその事は特に気にしていない
彼らはあの年で期待できる最善の行動を取ってくれたのだから
仕方ないさ…
でもそれ以降―彼女に出会ってから特に
絶対にフェイトだけには知られたくないボクの秘密ができた
…凶悪なものが住まうボクの本性
…もし知られたらきっと…太陽のように明るい彼女も…ボクから離れて行くだろう
…それだけは嫌だった…それなら弱いナカジマ君のままで良い…そう思われてもそばに居れるなら…
自分の力に恐怖していた
この秘密…そしてそれを知ってる人は現在、極限られている、ママとパパ…先生達、ああ、そうだ
リクオーは道路の継ぎ目に僅かに揺れる車内で、前を見て鼻歌を歌う、ご機嫌なフェイトと
その横で運転している特機、訓練生の制服の人を見ていた
とルームミラーごしにその人と目が合った
くすっと笑った眩しいその笑顔にボクは大慌てで
首ごと窓の外へ視線を逸らした
思い出と傷跡―アリシア
アリシアは恥ずかしそうに目を逸らすリクオーに苦笑していた
道路の前方に視線を戻す
(…そんな真っ直ぐな目で見詰めないで欲しいな―私はそんな…キミの憧れに、値するような
…女では、人ですら…無いの、だから―)
アリシアがそこに通りかかったのはたまたまだった
ナカジマ家から帰宅途中、車を止め自動販売機の前に立って何を買おうか思案して指を巡らしていたその時
通りを挟んだそこに、妹が、フェイトがいた、隣にはあの子、リクオー君
どう見ても友達には見えない二人の大きな男に囲まれている
あの制服…たしかあたしの通ってた陸士学校の…
「…ちょっとアンタ!何考えてんのよ!?、ヒ、ヒキョーよ!ヒキョーじゃない!何で園児のケンカに
ハイスクールの奴が出てくんのよ!?飛び越え過ぎじゃない、普通はロースクールからでしょ!」
フェイトがルール違反に怒りの抗議を上げている
二人の男の前にはフェイトの一つ上のリクオーと同年齢の園児が勝ち誇った顔をしていた
その鼻の上にガーゼと保護テープが貼ってある
その後ろでつまらなそうに白い制服の二人の男が
片方はメガネで冷たそうな目の痩せ型、もう片方は太めの下卑た笑いを浮かべている
周りの通行人が関り会いにならないように通りすぎるのを見てニヤニヤしている
フェイトとリクオーは二人の影に隠れそうなほどの身長差に見下ろされていた
「へっへっへ、…こいつだぜ兄ちゃん、…ザマー見ろ、女の癖に調子に乗ってるからこーなんだよ!」
そう言うとささっと兄二人の後ろに隠れた
フェイトがその鼻を蹴飛ばそうとしたのが解ったのだ
「く…」
フェイトは仕草を収めて舌打ちした
「ふーん、こいつが噂のフェイトちゃん…ですか…」
「…なかなかカワイイんじゃね?、おいおい…ちょっとキミ…
お兄ちゃんにスカート上げて中、…見せてくんないかなぁ…?」
太りじしの方がむふーと息を吐いた
後ろ手にナカジマを庇ったフェイトが、「な…!?」と絶句している
「な…っ!?何よ!?アンタ達ロリコンなの!?ロ、ロリコンは犯罪よ!馬鹿!変態!死んじゃ…」
パシン!
音高くフェイトの頬が鳴り、小さな体が軽々と吹き飛ばされていた
冷たそうな目つきの痩せの方の手が振り抜かれていた
「年上への口のききかた、先生は教えてくれなかったんですかねぇ…」
「フェイトちゃん!」
青ざめたリクオーが慌てて駆け寄るのが見えた
持ってた紙パックを放り出して、アリシアの足が駆け出していた
「…う…く…ぅ…ぐ…うぐ…」
地面に這わされて、めったにリクオーが聞けない泣き出す寸前の声をフェイトは漏らしていた
しかし体を起したフェイトは気丈に手に持った棒をぶるぶると震える手で握りしめ、男達に向けた
「く、クロスファイアー…」
それはヴォルケンのお遊戯で今日作ったプラスチックと軽金属製の…簡易とも言えないような簡単な魔力発動杖だった
無論殺傷能力など無い、通称ビックリ棒、園では園児同士で戦争ごっこなどで使われていた
周囲の魔力がぼんやりと僅かに収束されてフェイトの眼前で形になっていく
「…収束魔法だと…?」
男達がギョッとした、が、彼らもまた魔法習い始めの初心者とは言え、素人では無かった
「しゅーと!」
フェイトの掛け声と共に魔力弾が撃ち出された
思い出と傷跡―アリシア
アリシアは恥ずかしそうに目を逸らすリクオーに苦笑していた
道路の前方に視線を戻す
(…そんな真っ直ぐな目で見詰めないで欲しいな―私はそんな…キミの憧れに、値するような
…女では、人ですら…無いの、だから―)
アリシアがそこに通りかかったのはたまたまだった
ナカジマ家から帰宅途中、車を止め自動販売機の前に立って何を買おうか思案して指を巡らしていたその時
通りを挟んだそこに、妹が、フェイトがいた、隣にはあの子、リクオー君
どう見ても友達には見えない二人の大きな男に囲まれている
あの制服…たしかあたしの通ってた陸士学校の…
「…ちょっとアンタ!何考えてんのよ!?、ヒ、ヒキョーよ!ヒキョーじゃない!何で園児のケンカに
ハイスクールの奴が出てくんのよ!?飛び越え過ぎじゃない、普通はロースクールからでしょ!」
フェイトがルール違反に怒りの抗議を上げている
二人の男の前にはフェイトの一つ上のリクオーと同年齢の園児が勝ち誇った顔をしていた
その鼻の上にガーゼと保護テープが貼ってある
その後ろでつまらなそうに白い制服の二人の男が
片方はメガネで冷たそうな目の痩せ型、もう片方は太めの下卑た笑いを浮かべている
周りの通行人が関り会いにならないように通りすぎるのを見てニヤニヤしている
フェイトとリクオーは二人の影に隠れそうなほどの身長差に見下ろされていた
「へっへっへ、…こいつだぜ兄ちゃん、…ザマー見ろ、女の癖に調子に乗ってるからこーなんだよ!」
そう言うとささっと兄二人の後ろに隠れた
フェイトがその鼻を蹴飛ばそうとしたのが解ったのだ
「く…」
フェイトは仕草を収めて舌打ちした
「ふーん、こいつが噂のフェイトちゃん…ですか…」
「…なかなかカワイイんじゃね?、おいおい…ちょっとキミ…
お兄ちゃんにスカート上げて中、…見せてくんないかなぁ…?」
太りじしの方がむふーと息を吐いた
後ろ手にナカジマを庇ったフェイトが、「な…!?」と絶句している
「な…っ!?何よ!?アンタ達ロリコンなの!?ロ、ロリコンは犯罪よ!馬鹿!変態!死んじゃ…」
パシン!
音高くフェイトの頬が鳴り、小さな体が軽々と吹き飛ばされていた
冷たそうな目つきの痩せの方の手が振り抜かれていた
「年上への口のききかた、先生は教えてくれなかったんですかねぇ…」
「フェイトちゃん!」
青ざめたリクオーが慌てて駆け寄るのが見えた
持ってた紙パックを放り出して、アリシアの足が駆け出していた
「…う…く…ぅ…ぐ…うぐ…」
地面に這わされて、めったにリクオーが聞けない泣き出す寸前の声をフェイトは漏らしていた
しかし体を起したフェイトは気丈に手に持った棒をぶるぶると震える手で握りしめ、男達に向けた
「く、クロスファイアー…」
それはヴォルケンのお遊戯で今日作ったプラスチックと軽金属製の…簡易とも言えないような簡単な魔力発動杖だった
無論殺傷能力など無い、通称ビックリ棒、園では園児同士で戦争ごっこなどで使われていた
周囲の魔力がぼんやりと僅かに収束されてフェイトの眼前で形になっていく
「…収束魔法だと…?」
男達がギョッとした、が、彼らもまた魔法習い始めの初心者とは言え、素人では無かった
「しゅーと!」
フェイトの掛け声と共に魔力弾が撃ち出された
気を取り直した太い男の顔が二ッと嘲笑うと、その手がボウと魔力光に包まれ、翻った
パシン
と言う音と共にそれは呆気なく消し去られてしまった
「…あ」
それを見てフェイトの顔に愕然とした表情が広がった
フェイトは自分の魔力に絶対の自信を持っていた、園内ではこれで十分通じたのだ
軽いショックと、脅かすだけが目的のビックリ棒、フェイトの並外れた魔力でようやくこの威力だった
「び…びっくりしちゃいましたね、まさかこんな小さな子があんな高等技術を…」
「お、おどかしやがって…糞生意気な…調子に乗ってんじゃねぇぞ、このガキ…おいビデオで撮影会にしようぜ
、場所変えよーぜ…幼女ビデオでデビューさせてやるよ…へへ何か道具持ってくるか?」
「え、…ちょ…兄ちゃん何もそこまで…」
後ろでオロオロしていた太目の子が、この後の展開に恐れをなして上ずった声を漏らした
「なんだまだ居たのかお前?いいよ帰れお前…」
じりじりと歩みよる二人の下で
事の成り行き中、リクオーは倒れて泣きそうな声を飲み込んでいるフェイトを庇ってしゃがみ込んでいた
泥で汚れたフェイトの小さなその肩を抱いた腕が震えていた、覗き込んで初めて見た彼女の泣きそうな顔を
その顔が上がった
「なん…だおまえ…その顔は…」
怒りと滲んだ涙に満ちたその眼が金色に成りかかっていた
「…お?」
一瞬リクオーの様子に驚きかけた二人、しかしすぐに顔が嘲笑った
こんな小さな園児に何ができるというのだと
リクオーの両のコブシがギシギシと掌の柔肉に血が出る程に握り締められていた
「お前…らぁッ!…」
リクオーが激発し立ち上がりそうになった時、その前に赤い髪がふわりと舞った
「え…?」
リクオーは思わず立ち上がりかけたまま繰り出しそうになっていたこぶしをピタリと止めた
「なんですかキミ…ぎゃッ」
ゴシャッ
そう言いかけた痩せた方の男の頭が綺麗に半回転して地面に激突した
幸いそこは路面近くの街路樹付近で下は土だった
その片手をアリシアの細い手が握っていた
柔術…リクオーは息を呑んだ、捻ると同時にアリシアの超速の足払いが入っていたのが彼には見えた
倒れた男はすでに、ぐにゃりと腕から力が抜けていた
その男の手をポイと放しもう一人に向き直ると、アリシアはすいと何の迷いも男に無く歩みよった
「て、てめ…」
ズバン!
三歩目につま先まで伸びた綺麗な右のハイキックが男の頬にめり込んでいた
「ぶっ……」
トン
アリシアは軽くつま先まで伸びた足を降ろした、顔を上げて、あれ?と男が倒れてないのを意外そうな目で見た
それでもヨロヨロとアリシアの肩に手を伸ばそうとした男の太い手をパシンと無頓着に横に払い
半歩前に踏み込んだアリシアの肘がその腹にめり込んでいた
ミシ…
「か…」
男は唾を吐き、声も漏らさずその場に膝から崩れ落ちた
その顔がアスファルトに落ちて路面にキスした、見下ろしたアリシアは一瞬考える素振りをして
「えい」
と止めの踵をその延髄に入れた
男はピクリとも動かなくなった
すでにフェイトの同級生らしい子は逃げ去っていた
「フェイト」
そこで初めてアリシアは振り向いて叫んだ
「お姉ぇちゃぁん!」
姉の登場に安心したのかボロボロと大粒の涙を流しながらフェイトが駆け寄って
その胸に飛びついた、その背をアリシアが優しく撫でている
「ごめんね、ごめん…お姉ちゃん、一歩出るのが遅れちゃった…ごめんね…」
その胸に顔をつけたフェイトがぶんぶんと頭をふっている
一連のその動きを見ていたリクオーは―握った手の感触も忘れて驚嘆していた
姉以外の人間で初めて見た、なんて鮮やかな手並みだ…一切の無駄の無い事に
激する事も無く、最短距離を最速で―
瞳の危険な光はいつの間にか消えていた
その代わりに彼の瞳には写っていた
ほっそりした体で事もなげに二人の男をKOした、美しい赤い髪の女性の姿が
アリシアは呆然と自分を見詰める少年をちょっと困った顔で見ていた
(やっちゃったなぁ…)
しかし二人に駆け寄る時、アリシアは見ていたのだ
この子から尋常ならざる危険な殺気がほとばしるのを、久々に戦慄した
こんな小さな子に、自分の肌がピリピリと震えるほどに
思わず先にそちらの子を押えようかと思ったほどだ、アリシアはそう思った
この子に背中を見せたのは賭けだったが、正解だったようだ、正直あの瞬間が一番怖かった
後ろをチラリと見たのをこの子は気がついただろうか?
今自分を見つめるその目は少し戸惑ってはいるが純粋で澄んだただの少年の目だ
「キミも…えぇっと…確か…」
「ぐす…ナカジマよ!…こらぁ!ナカジマ!、何してたのよアンタわ!?ご…ご主人様の大ピンチに!」
「ちょ、ちょっと、もうフェイトったら…ご、ごめんね、リクオー君も怖かった?」
多分それは無いと思いながらもアリシアはぎこちなく微笑んだ
妹の様子を確認する
ゴシゴシと目を拭くフェイト、顔も目もまだ赤かった
彼女が強がっているのがアリシアにも見てとれた
慌ててフェイトに何か言おうとするリクオー君を見てアリシアは少し安心した
良かったこれなら二人とも大丈夫そうと…
あれが最初の出会いだったんだよね…
あれから仕事の帰りは私の車に二人を乗せて帰るのが日課になった
車内―
再びアリシアは現在に思考を戻した
(…リクオー君も…どこか普通の子じゃないんだよね…スバルさんからあらかたの事情は聞いたけど…
あの人から見てもリクオーのキレ型は自分とはまた違うって言ってたし…
この3人の中で―まともな人間は…案外…フェイトだけかもね)
その考えに苦笑した、傍から見たらこの子が一番トラブルメーカーだもの
ハンドルを切って角を曲がりスピードを緩めた、住宅街に来ていた
「…っと、ハイついたよーリクオー君、お待ちどうさま」
「あ、ハイ、どうも、ありがとうございました」
「じゃあまたね」
ペコリと礼儀正しく頭を下げる園児に窓を降ろした姉妹がさよならの声をかける
一方が指を立てて
「ね、ナカジマ、明日もちゃんとここで待ってるのよ?」
一瞬困った後、笑顔で応えるリクオー
玄関のレターボックスを開いて確認するそんな少年の姿を視界の端に見送りながら
アリシアは車を帰路につかせた
辺りは暗くなってきていた
いつしか助手席でフェイトも、うとうとしている
そろそろ、いいかな…とは思うんだけど…
アリシアは何を思っているのか、信号待ちの間じっと自分の胸を見降ろしていた
制服の上からでもその形の良い胸、やや小ぶりだが十分に魅力的であるはずだ
歩く男の半数が振り返るような魅力が彼女にはあった
しかしアリシアは少し不満そうな顔だった
足りない…かなぁ…もう少し…
ふにふに…少しだけ胸を掌で軽く揉んでみる
ん…微かに頬が赤くなる
「そう…私は…普通じゃないんだよ…こんな…」
アリシアは呟いた
「え、お姉ちゃん何か言った?」
うつらうつらしていたフェイトが寝ぼけ眼で起き上がって言った
「きゃぁ!…え…!?あ、…ええとフェイト…その、なん、何でもないの!」
いつから起きてたの…!?
少し赤くなってアリシアは車をスタートさせた
乱暴な発進にキャっとフェイトが声を上げた
「…お姉ちゃ〜ん」
「ご、ごめんなさい…」
(本当に私は…全然…普通じゃないの…ごめんねフェイト…それに)
まっすぐな瞳で自分を見詰めていた少年の顔を思い出して、また赤くなって下を見る思いだった
近い将来自分がやろうとしている計画を手…二人はどう思うだろう
(ごめんなさい…!)
アリシアは血のつながっていない妹とリクオーに心の中で手を合わせた
アリシア10歳―
アリシアは消灯した暗い独房に独りだった
膝を抱え込んで疲れた体で辛い記憶に浸っていた
「これで終わりなのかな…」
俯いて膝に頭をつけた
下水溝をどこをどう走ったのか、明るい地上に出た時アリシアはこれで自由なんだと思った
しかし外の現実はアリシアの思っていたほど甘い世界では無かった
2、3日はただうろうろしてた、どうしていいのか解らなかったし、教えてくれる人も居なかった
ただお腹がすいていた、でも行き交う人たちは皆忙しそうで
物欲しそうに人ごみの中に立ち尽くし、見詰める少女の傍らを何故か急ぎ足で通り過ぎて行った
汚れたボディスーツに寒さをしのぐためボロを纏ったアリシアは
どうして皆が自分を無視して行くのか解らなかった
時折好色そうな男が近づいてきたがアリシアは本能的な嫌悪感を感じ、取られた腕を払ってそのたびに逃げた
「お腹がすいた…」
それでも体力は減っていく、仕方なく通り過ぎる誰かの袖をつかんだ
怖い顔をされて乱暴に払われた、しりもちをついた
面倒臭そうな舌打ちの音が聞こえ、座りこんだ目の前に音を立てて小銭が投げられた
アリシアにはその頃、それが何か解らなかった
それがアリシアの外での生活の始まりだった
食事は基本的に盗んだ、何度か捕まった、逃がしてもらう換わりに犯された事もある
野良猫以下の生活だった
だがその時からアリシアは自分の体が男にとって価値がある事を知った
アリシアはJ型―
それは捜査の基準で一般の捜査員で何とかなる範囲の機人を指すのだと後に教えられた
筋力は最大で同年齢の子の1.5〜3倍程度、アリシアの場合足の方が少しだけ強かった
だが、どちらにしても戦闘機人としては最低ランクのスペックだ、それも最大値を出す事はめったに無かった
自分の体に自信が無く、限界近くまで酷使するのが怖かったのだ
寒い日の朝などはアリシアは手足の末端が反応しなくなるのをしばしば感じていた、自分の体が動かなくなる…
それは何も知らないアリシアには恐怖だった、それは調整不足と使われた神経回路や潤滑液粗悪だったのだが
それからアリシアの目的はお金を貯める事となった
いつ活動停止になるか解らない恐怖から逃れたかった、欲しかった、新しいパーツが
安心して眠りにつけるように、朝起きて動かない体に震えないで済むように
一番簡単な方法は体を売る事だった、しかし見た目幼いアリシアを買うような者はどちらにせよ危ない人種だった
何度か乱暴に扱われて逃げ出し、アリシアはその方法を控えるようになっていた
そしてまた盗みに走った、そして終に今日最後の日を迎えた
暗い独房
(これからどうなるんだろう…)
暗闇を見詰めた
どこかの研究所に送られるんだろうか…
バラバラにされてただの『部品』にされるんだろうか…
それとも男達の慰みものにされるんだろうか…
それでも良かった、アリシアは生きたかった
慰みモノでもいい…毎日食べものがもらえるかもしれないじゃない…今までよりいい…
ガシャン、カチャ…
コツコツと二つの足音が近づいてきて牢の前で止まった
闇に慣れた目にライトの光が眩しかった
ピッ
電子ロックが外される音がして扉が開いた
「出ろ、こちらの方がお前を引き取ってくれるそうだ」
アリシアは眩しさに目を細めながら顔を上げた
逆光に暗い影がかがみこんで同じ目線になった、そこだけが綺麗な瞳
アリシアにはそう見えた
「お前は…」
ようやく目が慣れてアリシアは呟いた
昼間の男、自分と同じ髪の色の…
それがエリオ父さんとの新しい生活の始まりだった
アリシア10歳―の2
新しい生活は驚きの連続だった
まず何もしないでも食事がもらえたのは研究所以来だった
しかも味は比較にならないほど美味で
アリシアは出されるものを夢中で頬張った、見詰めるエリオ夫妻が呆れるほどに
「そんだけ喜んで食べてもらえるなら、料理したあたしも光栄だわw」
そう言って母さんは笑っていたものだ
この頃は私の話し方は無茶苦茶で、父さんの事も「お前」「エリオ」「パパ」「父さん」
と短期間に激しく変遷していた、エリオ父さんはそのたびに一々「うん」とか「何?」と
返事をしてくれていたが、挨拶も変だったに違いない
しばらくはそれでも、いつ追い出されるのか不安で研究所を出て以来のボディスーツはずっと着ていた
どうやら大丈夫そうだと感じて、ティアナ母さんが用意してくれた洋服を手に取ったのは2週間目くらいだった
随分スースーする感覚に戸惑った
3週間目
今までの自分の根幹的な不安、体の不調―はエリオ父さんに連れられて行った施設で取り払われた
その時―私は最初かなり抵抗した、そこの入り口が研究所に雰囲気が似ていたからだ―やっぱり連れ戻されるんだ
必死で暴れた、押えるエリオ父さんが「大丈夫だから、ボクがついてるから」こちらも必死でそう言った
それでー
大人しく従った、これでお別れでも仕方無いと思った、いい思い出をくれた、この人に迷惑をかけたくなかった
でも―
出てきた時には嘘のように軽い手足でふわふわと雲の上を歩くような感覚に驚いていた
トントンとステップを踏んで思わずその場でくるくると回った
世界が輝いていた
目の視神経から自律神経系まで細かく調整してくれた博士は
「うん、なかなか上手く行ったと思うよ、これならJ型じゃなくてR型でも十分通用しちゃうかもよエリオ君」
「ちょ、ちょっとシャーリーさん、何を言って…そんな事まで頼んでませんよ!」
「もぅ…冗談よ、冗談wでも動きは全然違うでしょ?…えっと…アリシアちゃん」
振り向いてコクコクと頷いた
二人が可笑しそうに笑っていた、アリシアも嬉しかったが同時に不安でもあった
何もしてないのに、どうしてこの人達はこんな事してくれるんだろう?と
それからアリシアは毎日そわそわしていた
ここから離れたくない、柔らかなベッドも、美味しい食事も
朝の目覚めと共に伸びをして朝日を迎えられる事も…失いたくない
それに…特に―優しく頭を撫でてくれる、父さん―エリオから離れたくなかった
アリシアにとってエリオは優しくしてくれる世界の中心だった
彼に会った日から全てが変わったのだ、明るく輝ける世界に彼はアリシアの新しい全てだった
手伝える事は目につくもの何でもした、でも通常の生活を送ってこなかったアリシアには
全ては挑戦の連続だった、皿は割る、アイロンは焦がす、洗濯物を伸ばそうとして破ってしまう
見よう見まねで料理をしようとしたら、危うくボヤを起す騒ぎまで起した
しょんぼりして夕食の進まないアリシアをエリオもティアナも慰めてくれたが
アリシアは不安になる一方だった、特にエリオにどう思われているのか不安だった
家には幼いフェイトも居るのだ、自分がもし変な事をして彼女を傷つけるような事があったら…
流石に今は寛大な二人もアリシアをそのままにはしておかないだろう
エリオはティアナに対する責任も感じるに違い無い…
このままでは…やっぱり…いつか追い出されるんじゃないだろうか
その不安がアリシアを苦しめていた
「父さん…」
ん?
深夜―浴室
エリオはシャンプーの泡をわしわししていた手を止めて、その声の主に返事をした
遅くまでの出動で帰りが遅くなってしまった、皆を起さないようにコッソリと
入浴したつもりだったのだが…
「あれ?アリシアかい?」
「…うん」
「どうしたの?」
「あの…エリオの…父さんの背中流したいんだけど…疲れたんでしょ?」
「起きててくれたんだ」
ガラス越しにアリシアが立っているのが解った
エリオは一瞬アリシアの年齢を考えた、が、10歳と言うのはギリギリセーフな年齢の気がした
と言うより他所の話などあまり聞いた事が無かったので、(まぁいいかな)エリオは
軽く考えて
「いいよ、どうぞ」
そう言って
また、わしわしと手を動かした、泡がエリオの赤い髪をつたってぽそぽそ落ちていく、んーシャワーの口は…
うろうろと手を伸ばした、背後にアリシアが立つ気配がした
「あ、アリシア悪いけどシャワーの…取ってくれないかな…」
そう言いかけたエリオの逞しく日焼けした背中に出し抜けにピッタリと張り付いた肌の感触がした
え”?とエリオが思うより前に
それは一旦離れて、何やらボディソープをチューチュー出す音が聞こえた
くちゅくちゅと泡を立てる音がする
「あ、あのアリシア…何してるの?」
「父さんの…先に背中洗うから」
そう言うなり、ひしと背中にアリシアが裸でくっついたのを感じてエリオは飛び上がりそうになった
「駄目…エリオ…父さん…動かないで…」
暴れそうになるエリオをアリシアは細い腕で、懸命に抱きしめた
「で、でも…」
言うなりアリシアは上下に体を擦り付け始めた
ちゅっ…くっちゅ…くっちゅ…
「んっ…んっ…」
アリシアとエリオの間のソープが泡を立て、背中を上下するアリシアの感触にエリオは慌てた
「おわわっ…わっ、ち、ちが、アリシア…それ違うよ、洗い方違う…」
「気持ち良くない?」
「い、いいけど…いや、そうじゃなくて…」
「…あ」
アリシアが何かに気がついて泡で滑る手をエリオの股間にするりと伸ばした
エリオの背中がビクンとした
そこは逞しく勃起して、アリシアの細い指に握られていた
「…父さん…気持ちいいんだね…良かった」
そう言うなりヌルヌルした手でエリオのものを上下にしごき始めた
「うわぁ…っあっ…アリ…アリシア…ちょっと…止めて…うぁっっ!!」
エリオは慌てて立とうとしたが、目にシャンプーの泡が入り足が滑った
「うわ!」
「きゃっ…」
「いっ…たた…うーん…」
頭を振った、目が痛い、シャンプーが取れない、そして
『裸の自分に跨ったアリシアの姿がボンヤリ見えた』
「………っっxx!!!!!!」
エリオは声にならない悲鳴を上げた、お腹にアリシアの太ももとその付け根のぷにぷにした感触がある
「父さん…」
「あ、アリ…アリ…」
アリシアは悩ましい声でそう言うとピッタリとエリオに抱きついて体全体を上下させ始めた
僅かな柔らかな胸と大きく開かれた股をエリオの引き締まった肉体にこすり付けてくる
細い指が伸びてエリオのペニスを握り亀頭のカリの部分を親指で刺激してきた
「うぁ…あっ…くっ…あ、アリシア…そんなッ…」
エリオはあまりの気持ち良さに呻いた、このところ仕事続きで十分にティアナと夜の生活を営めていなかったのも
ペニスの強張りに拍車をかけていた、そのまま発射してしまいそうだった
(こ、この子、どこでこんなテクニックを…)
「…もう、入れるね、父さん…アリシアので気持ちよくなって…」
「だ、だめだよアリシア…」
慌ててエリオは上体を起そうとしてアリシアの細い腰とお尻の間辺りにに手をかけた
アリシアはその手に自分の手を重ねた
「……!!」
「ね、父さん…全部アリシアの中に出していいから…エリオ父さんならいいから…乱暴にしてもいいから…」
「だ、だから…」
エリオはようやく手を伸ばして湯を救い目をこすった
「だから…捨てないで…」
アリシアは泣いていた
お願い…か細い声が後に続いた
「ア、アリシア…」
エリオは声を詰まらせた、アリシアがこんなに思いつめていたなんて…知らなかった…で、でも…何で?
「いく…ね…」
「わぁあああ!!!でも駄目えええええええ!!!!!!!」
にゅぷぷ…エリオの先端がアリシアの狭い肉壁を押し開いて埋没しようとしていた
(き、気持ちいい…けど、だめっ…だめだああ!!)
「あぁっ…あっ…父さんの…太い…おっきい…」
その時カラカラと横の戸が開いた
「…なによもう〜…うっさいわねぇ…エリオ、アンタも夜遅いんだから静かに入浴…」
ふわわ…と欠伸しながら薄いピンクのパジャマの我が妻と目が会った、エリオの目と口が「О」になった
「…………………………ティ…ア…あ…の……こ…」
「はぁ…っ… …あん…?」
霞がかったトロンとした目ではぁはぁと息をつくアリシアが不思議そうにエリオの凍結したような顔を見ている
にゅぷん…とエリオのペニスがアリシアの股の間から抜かれた、ビンと息子がおへそに反り返った
「……………………………」
カラララ、軽い音で素早く、ガラスの戸が再び閉じた
カチャン…ジャキン…パシッ、たったった
…な、何の音…かな…
再び戸が開き、そこに立っていたティアナは仁王立ちで荒い息を吐き、両手にクロス・ミラージュを構えていた
「あ、アンタって人は〜……」
「ち、違…」
パクパクとしているのは後に続く言葉が見つからないのだろう、涙目にすらなっている
エリオも泣きそうだった
「この最低エロオーー!!もうもぅ……し、死ンじゃえええええええええーーーーーーーーーーーーー!!!!!」
ぎゃああ…
閑静な住宅街の夜を切り裂き、悲鳴と眩い閃光が幾筋も上がった
続く
おわび1、めっさ長くなったのに終わりませんでした、ゲンヤさんギン姉でねぇええ
おわび2、2重やってしまいました、すいませんです〜
お付き合いして下さっている方々に感謝を!
次でこの話は終わります、その後に全員が出る話をするつもりです
ではではぁ〜
>>212 ほほう、ティアナ→エリオ←アリシアの三角関係ですか
この上なくGJ
なんとエロい親子w
だがそれがいいw
リクオーの話は別にいらんとオモタ
>>212 エロオww
クッソオ!!!!!!
このいきり立った俺のマグナムをどうしてくれるwww
GJですw
つうか10歳の義娘に逆レイプされてどうする!?
10歳のロリマンにぱっくり咥えられちゃうほどエリオのは粗末なのか?
>>217 いや、アリシアがエリオに保護されるまでに……
後は言わなくてもわかるな?
>>212 クソッ、エロオめ…ティアという嫁がいるのになんという…
という事でアリシアたんは貰って行きますね
エリオはどこまで受け体質なのかw
やりとりはクスリと笑えるんだけど、重いなー
>>217 あれだよ…それだけの相手をして、やっと生きながらえたと
中には無理矢理……
エリオはやはり受けが似合う…
フェイエリとかね
エリオもユーノも受けが似合う、けれども一度攻めに回るとさあ大変。
というのがいいねえ。
223 :
名無しさん@ピンキー:2007/09/07(金) 02:22:19 ID:yvEsW7Wh
>>135 なんだかエリオ×キャロメインの続編が出ても違和感ないな…スクイズに匹敵する素晴らしき鬱話…。
アリサとすずか久しぶりに見た気が…
ちなみにユーなの以外で今見たいカプ
ユーノ×スバル ユーノ×フェイト ユーノ×アリサorすずか エリオ×キャロ
…やっぱ俺、ユーノってヤツが好きだわ。
>>38で休載宣言した癖にもう復帰宣言する俺が通りますよ。
……うん、痛みは引いたから打てる。なら打つのが俺のジャスティスなんだ。
では、舞い踊る、恋歌4th session、投下します。
4th session〜一日の想い、十年の想い〜
「……はあ……」
宴会が終わり、累々と横たわる機動六課構成員達。
無事なのは途中で一度抜け出して説教をされていたエリオとしていたフェイト。
はやての魂胆に気付いて一口で飲むのを止めたフィレスと、フィレスに頼まれて飲む量を押さえていたヴァイス。
そして、
「な、なのは〜……」
「……♪」
途中ではやてに資料を届けに来て、そのままなのはに捕まったユーノの5人だけ。
「……はあ……」
フィレスはもう一度大きな溜息を吐くと、スバルに歩み寄り、抱き上げた。
「スバルさんは僕が連れて行きますから、ヴァイスさんはティアナさんをお願いします……」
「あ、ああ」
戸惑ったように、まるで壊れ物を扱うかのようにティアナを抱き上げるヴァイス。
それを見届けて、フィレスはユーノとエリオに声をかけた。
「スクライア司書長、なのは隊長の事、お願いしますね。
……エリオ君は、キャロちゃんを連れて行ってくれる?」
「うえ!?」
「は、はい!」
驚愕と了解と言うまるで違う反応をするユーノとエリオに微笑を残して、フィレスはヴァイスと一緒に広間を出て行った。
取り残されて、おろおろとなのはと周りを交互に見るユーノとは逆に、エリオはキャロを抱えようとする。
と、そんなエリオに、フェイトが声をかけた。
「エリオ。もう一度言っておくけど、『そういうこと』は相手の同意が無いと駄目だよ?」
「わ、わかってます、フェイトさん」
「……もし、またやったら今度は口だけじゃ済まないからね?」
「は、はい!」
そう答えると、エリオはキャロを抱えたまま慌てて部屋から逃げ出した。
「よい……しょっ……」
キャロを部屋のベッドに寝かせて、エリオはほっと溜息を吐く。
そのまま自分のベッドに潜り込もうとエリオは振り向こうとして、
……きゅっと自分の服を掴むキャロの手に気付き、飛び上がった。
「キャ、キャロ!?」
「……うん……」
すーすーと寝息を立てるキャロの寝顔に、思わずエリオは見とれる。
「……か、可愛い……、って、何を言ってるんだ僕は!」
思わず口にしてしまった言葉に、真っ赤になって首をぶんぶん振るエリオ。
と、突然ひくひくと鼻を動かし始め、呟いた。
「……何だろう……この匂い……」
もっと嗅いでいたくなるような、頭がくらくらするような甘い匂い。
その匂いの源をエリオは探して、その匂いがキャロから匂って来る事に、気付いた。
思わずキャロの近くに顔を寄せて、その香りを胸一杯に吸い込む。
もっと嗅いでいたい。もっと、もっと……。
「ひゃう!?」
そうエリオが思っていると、キャロの首筋に擦り付いてしまい、擦り付かれたキャロは悲鳴を上げて目を覚ます。
「あ……え? エリオ……くん……?」
寝ぼけ眼のとろん、とした目で見上げられ、エリオは真っ赤になって……、
何かが切れた。
「ひゃ!?」
「キャロ、キャロ……」
押し倒され、目をぱちくりとさせるキャロに、エリオは覆い被さって行く。
……だから、見えなかった。その瞬間、キャロが恥ずかしそうに、嬉しそうに微笑んだ事に……。
一方。
「うにゃ〜……、ユーノく〜ん……」
「な、なのは〜……」
ふにゃふにゃと締まりない表情でくっ付いてくるなのはに、ユーノは情けない表情になる。
顔を真っ赤にして固まるユーノに、違う理由で顔を真っ赤にしたなのはがしがみ付いていて。
「えへへ〜、すりすり〜」
完全に酔っ払っているなのはに擦り付かれ、ユーノは慌てふためく。
身体に当たる柔らかい感触に、ユーノの理性がぐらついた。
「ちょっ! なのは、放して……」
「や〜♪」
何を言っても、いや、何か言うたびにぎゅっと抱き締めて来るなのは。
ガリガリと音を立てて理性が削られて行くのを感じ、ユーノはぎゅっとなのはを抱き締め返した。
「にゃ!?」
一瞬驚いたのか、目を見開くなのはだったが、すぐに嬉しそうに抱き返す。
と、真面目な顔をしたユーノが口を開いた。
「……なのは、そろそろやめないと、僕も限界だからね?」
「ふにゃ〜……」
全くユーノの話を聞かず、親猫にじゃれつく子猫のようにユーノにじゃれつくなのは。
そんななのはに、ユーノは一瞬よろけて……、……なのはを押し倒した。
「はにゃあ!?」
まだ猫が抜けないなのはに、ユーノは囁いた。
「……もう、本当に無理だから。……止められないから」
そう言って、ユーノはなのはに唇を重ねた。
「んむうっ!?」
いきなり唇を奪われ、なのはは目を白黒させる。
なのはが混乱しているのを良い事に、ユーノは舌を暴れさせた。
「んん! んむうん! ……んんん……んはっ……んふんっ……」
舌を暴れさせている内に、なのはが大人しくなる。
と、なのはの声が舌の動きと合っていない事に気付き、ユーノは舌を止める。と
すると、なのはの声は、何となく頬を撫でていた手の動きとシンクロしていた。
「っ! はっ、ひゃう、ユーノ、く、あぅっ……」
ユーノが唇を離すと、一気に酔いが覚めたのか、なのはが混乱しながら睨み付けてくる。
しかし、手の動きに合わせて甘い息を吐いていたのでは怖くも何とも無くて。
「ユーノ、くふっ! なんで、こんな……」
なのはが少し涙ぐみながら聞くと、ユーノは呆れ果てたように溜息を吐いた。
「……なのはがずっとくっ付いて来てたんでしょ?
……僕だって男なんだから、そんな事されて、何もせずにいられる訳が無いよ」
「……ぁぅ……」
ユーノの突っ込みに、一転してなのはは真っ赤になった。
そんななのはを、ユーノはもう一度にっこり笑って見下ろして、
……途端に身体中を撫でるユーノの手に、なのはは翻弄された。
「ふあう!? ユノ、くっ、ああう! や、んっ!」
「へ〜……なのはって、ここも弱いんだね。……じゃあ……ここは?」
「ひああああ! み、耳らめえっ!」
はむっ、と耳を軽く甘噛みするだけで強烈な反応をしたなのは。
そんななのはに、ユーノは意地悪く微笑み、なのはの耳への刺激を続けた。
「くううんっ! ひあっ! ふああ!」
ふるふると快感に震えるなのはに、ユーノはにっこり笑うと、なのはの服を剥ぎにかかる。
服をはだけさせ、胸を露出させても、なのはは快感に翻弄されて抵抗も出来なかった。
露わになった胸の先端。
そこに、自己主張する二つの小さな物を見付け、ユーノは耳を刺激しながらそれを口に含み、吸い上げた。
「い、あ、あああああ!!!」
と、急になのははびくんと激しく震え、しばらくがくがくと震えた後、脱力して崩れ落ちた。
「……なのは……、ひょっとして……イッちゃった?」
そうユーノが聞くとなのはは一気に真っ赤になる。
そんななのはに、ユーノは楽しいような心配そうなような表情を浮かべて、言った。
「耳と胸だけでこんなになっちゃって、こっちは耐えられるの?」
「……え? ……きゃあっ!?」
ころんと体勢を変えられ、ちょうどでんぐり返しの途中のような状態にさせられる。
秘所が丸見えになってしまい、なのはは真っ赤になって悲鳴を上げた。
「やああっ! 見ないでっ! ユーノ君……見ないでようっ!」
涙目になってなのははじたばた暴れるが、簡単にユーノに押さえ込まれる。
そしてそのままじっくりとユーノに見られ、なのははついに泣き出した。
「……や……だぁ……、もうやだぁ……。こんな怖いの……ユーノ君じゃないよう……」
そう言って涙をぽろぽろ零すなのはに、ユーノは正気に返り、慌ててなのはから離れた。
「ご、ごめん、なのは、その……」
「出てって!」
「……僕が悪いって事は、僕自身が一番良く判ってる。でも、僕はなのはじゃないと」
「いいから出てって! ……今は、ユーノ君の声聞け無いの! 今度会った時に、落ち付いた時に、聞くから……」
そう言ってまだ泣き続けるなのはに、ユーノはこれ以上声をかける事も出来ず。
……乱れていた自身の服装を軽く整えると、ユーノは部屋から出て行った。
その背中に、はっきりと自己嫌悪を表しながら……。
これで終わりです。
……出会ったその日に一体何やってるんだこのエロオw
本当はユノなのは本番まで行く予定だったんですけれど……、一捻り入れてアグスタで決着付けた方が面白いなと。
それとみなさんにお願いがあります。
俺のオリキャラ、「フィレス・ホーマルハウト」にインテリジェントデバイスを支給する予定なんですが、何かいい名前はありませんか?
俺のネーミングセンスじゃいいのが思い付かなくてorz
出来ればライトニングの方のデバイス名と繋がりがある名前を希望します。
そうは言うがな大佐
ライトニングのデバの元ネタって実在武器、北欧神話、ギリシャ神話、カーナビ
見事にバラバラだぞ
>>231 ようし。イタリーのパソコンメーカーより「オリベッティ」でどうだ。
>>230 また蛇の生殺しのような展開をッッ!!
どうやらココ最近のSSは俺を殺したいようだorz
>何かいい名前はありませんか?
・スパンドレル ・グレイル ・ガスキン ・ゴーファー
・ジアツィント ・グヴォージカ ・アカーツィア ・オブイェクト
さあ!どうぞ!!
ちなみに私のオヌヌメは戦神の代名詞であるオブ(ry
>出来ればライトニングの方のデバイス名と繋がりがある名前
出来る限り『それっぽい』名前を選んでみましたそ。
職人氏はいまなお指の痛みが癒されないと思いますが、
エリキャロとユーなのをラストまで詳細にキッチリ描写してくれるのを切に願います!
ついでにヴァイティアも!!
それではおやすみなさい
ああ、それにしてもネガティブフェイトの続きはもう読めんのだろうか?
>・ジアツィント ・グヴォージカ ・アカーツィア ・オブイェクト
戦場の神自重汁(w
オブイェクトwwwとかwww
パンジャンドラムかハボクックだろ常識的に考えて・・・・・・
しまった後半抜けた
大体オブイェクトに並べるならピオンかテュルパンにしろケチ臭いぞ
自分ならどうせオリキャラのデバイス名なんか誰も見てないだろうから
好き勝手なもの付けるだろうなぁ
ぺペロンチーノとかシャイニングウイザードとかアシジュポーンとか
239 :
名無しさん@ピンキー:2007/09/07(金) 07:26:32 ID:h9ttGSmb
>>230 名前かー。
それっぽいのはファルシオンぐらいしか思い付かんな・・・
>>233 まさか神戦車T-72の信徒がこのスレにいるとは・・・
これもT-72神の履帯のお導きですね。
オブイェークト
良いじゃないか和風でも
和風……チハ?
チハタン∩(・ω・)∩ばんじゃーい
>>230 ラスト・バタリオン、デクス・ウキス・マキーネ、ハインケル・ウーフー、
バイヨネット、アレクサンド・アンデルセンとかでどうだ!
個人的にはペペロンチーノを支持するが
一つ言ってみる
イクシオン
こう微妙にかすってるっぽい名前なんてどうよ
ヲリハルコンとか
アマテラス 日本の神だけど、横文字でも違和感ない
グーングニル 武器の名ならいいかと
ソルプレッサ そんな車があったような…
サンライトハーry レイハと名前が似てる
フリーダム・ガンボーry 言わずもがな
もう男は全部ストラーダでいいでしょ
パバロッティはどうだ?
いやファンだったもので。
今朝の朝刊を見て泣いた。
カロッツェリアとか
キャンターとか
日本語でデンゲキとか
雷と対の風でブリーズとか
ネタに走ってフィレスぶりぶりずんどこパンチとか
>>212 GJ!!
待ちわびていました!
エリオはさすがだとしか言いようがない。
アリシアが可愛すぎる四
苗字が「ホーマルハウト」なんだし、クトゥルー繋がりで『クトゥグァ(Cthugha)』を
推してみる。
257 :
名無しさん@ピンキー:2007/09/07(金) 11:37:00 ID:KbM12aPv
>>230 ユーなの、エリキャロの『本番』早く見てぇー!!
つーわけで早く書き上がる事を祈り提案。
ホーマルハウト=フォマルハウトって読めるなら、クトゥグァとかどすか?
家に伝わってるとか
中東系のネーミングはどうでっしゃろ
シャイターン、サマルカンド、ゾロアスター……
フォーマルハウトか……某種SSで、イザークの上官がその名前になっていたのを思い出した。
という事で、デバイス名はアインシュタインとか。
そういえばなのはとフェイトの二人でユーノと結婚したり恋人同士になるssはあっても
ラブラブで3pをするssはみたことないなぁ……
DDD第2巻を読破したばかりのオレはフォーマルハウトと聞くと
なんか苦笑いしてしまう。
>>262 同人なら、なのは×(ユーノ+フェイト)的なのを見かけたことがあるな。
>230
クーゲルブリッツとかヴィルベルヴィントとかシュトゥルムフォーゲルとか>デバイス名
266 :
名無しさん@ピンキー:2007/09/07(金) 15:43:58 ID:HIkhgB6Q
シグナムの炎とフェイトの雷でエンライハ・・・
ごめん言ってみただけ
ageすまん
>>264 恋愛漫画家の奴かな?新作のエリキャロ(エリフェイ付き)ものも素晴らしい出来だったな……
>>268 いや、恋愛漫画家はふあんと共に地雷認定してるから、それはない。
HDD漁ってみたら、SHININGの「Magical Fate A's」だった。
>>269 ふあんはともかく恋愛漫画家は地雷じゃないと思う自分がいる
久し振りにまた書きます。
・フェイト×なのは(未遂)
・エロあり
・フェイト受難
・やはりフェイト好きな人にはスマソと言わざるを得ない。
それでは
ある晩、フェイトは夢を見た。
なのはとユーノが結婚し、子供も出来ていると言う夢だ。
普通なら何と言う事は無いむしろ微笑ましい夢なのだが…フェイトにとっては悪夢だった。
何故ならフェイトはなのはにとっての一番は自分でなければならないと信じていたからだ。
次の日の晩、フェイトはなのはの部屋まで訪れるなりいきなりなのはをベッドに押し倒した。
「きゃ! フェイトちゃん何するの!?」
「なのは…好きだよ…私はなのはを愛してる…あんなフェレット男には渡さない…。」
「え!? いきなり何を言うの!? ワケが分からな…んん!」
フェイトは有無も言わせずになのはの唇を奪った。
「んん! んんんんん!!」
いきなり同性に無理矢理に唇を奪われたなのはの目には涙が浮かび、必死に引き離そうと
もがくがフェイトはなのはを放さず、むしろより強く唇を密着させて行った。
「ん…ん…ん…。」
さらにフェイトは強引になのはの口の中に己の舌を付き込み、なのはの舌と絡め合わせた。
「んあぁ! ダメェ! どうしたの!? どうしてこんな事するの!?」
ようやく唇同士が離れた時、なのはの目からは既に涙がボロボロと流れていた。
「それは私がなのはを愛しているからだよ。そしてなのはにとっての一番も私じゃないとダメ。
あんなフェレット男なんかになのはは渡さないんだから…。」
「え!? 何を言うの!? どうしたのフェイトちゃん…って嫌ぁ!」
フェイトはなのはの服を掴み、強引に脱がし始めだした。
「ダメ! ダメだよ! ダメダメ! フェイトちゃんやめて!」
なのはも抵抗するが、フェイトの手付きは妙に素早く、どんどん服が脱がされて行く…
「フフフ…なのはのハダカ…綺麗だね…。」
「フェイトちゃんやめて! こんなのやめて!」
フェイトは全裸にさせたなのはの素肌に手を当て、撫で這わせた。
フェイトにとってなのはの肌は何者にも勝る滑らかさと柔らかさ…そして美しさを誇っていた。
「こんな美しいなのはの身体が…フェレット男の物にされてしまうなんて…私は耐えられない!」
「フェイトちゃんやめて! 女の子同士でこんな事しちゃいけないよ!」
なのはは目から涙を流しながらフェイトから離れようとするが、フェイトは離さなかった。
「どうして? 私はなのはをこんなにも愛していると言うのに…なのはは私が嫌いなの?」
「そ…そうじゃないよ…フェイトちゃん大好きだよ…でもこれは違うの! こんなの違うよ!
女の子同士でこんな事しちゃうなんてやっぱり変だよ!」
なのはは首を左右に振り、目から涙が飛び散る。
「でも…これでもそんな事が言える?」
「!?」
なのはは恐ろしい物を見た。フェイトの股間に本来男が持つべきモノがぶら下げられていたのである。
「え? フェイトちゃん…え? それ…ええ!?」
「フフフ…なのはの為に魔力を駆使してフタナリになったんだよ…。
これで…今からなのはの初めてを奪ってあげる…。」
フェイトはなのはの両脚の太股を掴み、大きくM字に押し広げた。そしてなのはの
身体に覆い被さり、なのはのアレにモノを押し付けたのである。
「嫌ぁ! フェイトちゃん嫌ぁ! 嫌嫌嫌ぁぁぁ!!」
なのはは首を左右に振り、身体全体を揺さぶりながら抵抗した。
だがフェイトは何故なのはがこんなにも抵抗するのか信じられなかった。
「どうして? どうしてそんなに嫌がるの? 私が嫌いなの?」
「嫌嫌嫌ぁぁぁ!! 私の初めての相手はユーノ君!! ユーノ君以外は絶対に嫌ぁぁ!!」
その時…フェイトの表情が油断だ。
「やっぱり…私よりあのフェレット男が好きなんだね!? 見損なった!!
こうなったら何が何でも挿れさせてもらうよ!!」
フェイトはなのはがユーノに浮気したと間違った認識を持ち、怒った。
だからこそ強引になのはのアレにモノを押し込もうとしていたのだが…
突然動きが止まった。何者かにバインドを仕掛けられたのである。
「!!」
「フェイト…なのはになんて事をするんだい?」
突然現れたのはユーノだった。
「ユーノ君ありがとう!」
なのはは泣きながらユーノの方へ駆け寄り、抱き付いた。それには思わずユーノも
顔が赤くなるが、直ぐに真剣な顔になってフェイトの顔を睨み付けた。
「フェイト…どうしてだい? どうしてなのはにそんな事するんだい?」
「そっちこそどうして邪魔をする!? 私はこんなにもなのはを愛していると言うのに…。」
ユーノはフェイトが哀れで仕方が無いと言った顔になった。そしてこう言うのである。
「残念だけど…君がやっている事は愛とは言えない…ただのレイプだ。」
「違う! そんなんじゃない! 私はなのはを愛して…。」
「じゃあどうしてなのはは嫌がってたんだい? 例え君がなのはを愛していたとしても…
嫌がるなのはを無理矢理押し倒してやるんじゃ…レイプ以外の何者でも無いよ。」
「ユーノ君の言う通りだよ…。いきなりあんな事されちゃったら相手がフェイトちゃんでも…
私は嫌だよ。フェイトちゃんにとって私って一体何なの…? もしかして私はフェイトちゃんの
思い通りに動くお人形さんなの? お人形さんだと思ってるから私にあんな事したの…?
酷い…酷いよフェイトちゃん…フェイトちゃんが私の事そんなだと思ってたなんて…。」
なのははまたも泣き出してしまう。だが、これがフェイトには
ユーノがなのはを泣かしたのだと勘違いしていた。
「許さないぞフェレット男ぉ! なのは誰にも渡さない! んぐ!!」
フェイトはバインドをされながらもユーノに襲い掛かろうとしていたが、
その時にはバインドの一つがフェイトの首を軽く締め、気を失っていた。
「大丈夫。ちょっと気絶させただけだから。命に別状は無い。」
「でも…目が覚めたらまた私…フェイトちゃんに…。」
なのはは恐怖に打ち震えた目でユーノを抱きしめていた。あんなに仲の良かったフェイトが
こんな事をするなどなのはは信じられなかった。そして親しいからこそこの様な事に及んだ
フェイトが怖かった。例え今は何とか出来ても、目が冷めればまたなのはを犯そうとするかもしれない。
「なら…フェイトに満足させるしかないね。」
「え?」
「つまり一度なのはをやらせるんだよ。ただし…夢幻のなのはとね…。」
「ああそういう事! 夢幻なら私も構わないよ! はやてちゃんならきっと
こう言うよ。『それはただの夢や』って。」
こうしてフェイトになのはとやる夢を見せる事に決まり、ユーノが気を失っている
フェイトに魔法をかけていた。
「あ! あっ! なのは! なのはぁぁぁ!」
「フェイトちゃん! フェイトちゃん!」
ユーノの思惑通り、フェイトはなのはとエッチする夢を見ていた。
その時のフェイトは実に幸せそうだった。真に愛する者と交わえたのだから。
だが…ここからが違っていた。
「中々上手かったですね。俺も新しい『アッー!』の世界に目覚めてしまいそうですよ。」
「え!?」
突然なのはの声が男の声に変わった。しかもそれは聞き覚えのある声。
だが声だけじゃない。何と目の前で抱いていたなのはがいつの間にかに
なのはのコスプレをしたヴァイスへと姿が変わっていたのである。
「ヴァイス――――――――――――――――――!?」
フェイトは戸惑った。しかもなのはのアレに挿れていたはずのモノが
ヴァイスの尻へ掘り込まれていたのである。
「アッー!」
「うわぁぁぁ!! 気色悪い!! 何で!? 何でこんな事に!」
気色の悪い喘ぎ声を上げるヴァイスからフェイトは逃げようとした。が、今度は逆に
ヴァイスから掴まれてしまった。
「やり逃げなんてダメっすよ…。」
「わっ! 離せ! 嫌ぁぁ!」
フェイトはもがくが、その時には既にヴァイスのモノがフェイトの尻にねじ込まれていた。
「アッー!」
「おっと、それじゃあ前はワシにやらせてもらおうかのう。」
「レジアス―――――――――――!?」
なんと今度はフェイトの正面からレジアス中将が現れたでは無いか。しかもなのはのコスプレした。
そしていつの間にかフタナリが消滅して元に戻ったフェイトのアレにモノをねじ込むのである。
「アッー! 嫌ッー!」
男二人にサンドイッチにされてしまったフェイトは喘ぐしか無かった。
レジアスの方は身体のゴツさからは想像も出来ない程モノが短小だったが、
初めてであるフェイトにとってはそれでもかなりの物である事は想像に難くなかった。
一方、現実世界ではユーノの魔法によってフェイトがどんな夢を見ているのかを
モニターに通してなのはとユーノの二人が見ていた。
「夢とは言え…ちょっと酷い事しちゃったかな?」
「そんな事無いよ。フェイトちゃんには良い薬。いくらフェイトちゃんでも
やって良い事と悪い事があるんだから! 私はフェイトちゃんのお人形さんじゃないの!
私は私! 一人の人間なんだよ!」
どうやらなのはもフェイトへのお仕置きに肯定している様子であったが…
「ってきゃぁ! 良く考えたら私素っ裸じゃない! ユーノ君のH!!」
「んべ!!」
今更全裸だった事を思い出したなのははユーノに平手打ちをしていた。
「ユーノ君今から服着るから今直ぐ部屋から出て行ってよ!! 私はユーノ君大好きだけど
ユーノ君でも私を無理矢理にやろうとしたら許さないんだからね! そういうのは
きちんと結婚して、私の合意も無いとダメだからね!」
「うん…分かったよ。」
こうしてユーノは腫れた頬を撫でながら部屋を出て行った。
おわり
私の作る話っていつもフェイトが不遇で
フェイト好きな人にはスマソと言わざるを得ないorz
>>275 まあがんばれ、数こなせばそのうちなんとかなる。
>>275 まあ何だ。ヴァイスを掘るふたフェイトを書いたのは貴方が始めてだろう。
その発想力を活かせば大きくなれる。とりあえずたくさん投稿してくれい。
俺は個人的にあなたにかなーり期待している。
>>223 遅いですが、ユーノ×フェイトが読みたいなら「蒼穹の青空へ」
に行くといいですよ
たくさんの意見サンクスです。
俺の中では
>>233氏の「アカーツィア」もしくは
>>249氏の「アマテラス」で行こうと思います。
……うん、言って無かったけど、デバイス音声+性格は女で行こうと思ってるんだorz
>>269 恋愛漫画家さん(個人的にフーガの人と呼んでるがw)は絵普通に上手いと思う。
まあ家の場所的にコミケに行けなくて「はやてがんばる」と「ヴィータがんばる(もっと含む)」しか見た事無い俺が言うのも何だが。
……ふあんって人が誰だかは判らないが、一度読んでみたいのはI'mの人かな。
絵が上手いだけなら掃いて捨てるほど居るだろ。
>>275 俺、二穴責め好きなんだ…想像を掻き立てられた
というわけで自分でも考えてはいるが、女2×男1は浮かぶが男2×女1でうまいCPが思い付かん
フェイトが汚れ役をやるのはあまりないから、作者には頑張って欲しかったり。
>>280 ふぁん…STUDIOふぁんの「来鈍」かな?
あの人の同人は「オリキャラ注意」タイプだな。
>>282 クロノとロッサがユーノをやるんでいいんでね?
あれ。何か違う気がする・・・・・・。
>>ターンA氏
やべぇ、リクオーめちゃツボす2世物大好きw
てか、なんかタイラー(原作版)を思い出すんだw
未経験のフェイトの相手としてクロノを呼び出し拘束、そのままエッチさせるなのはとユーノ、って感じの話なら同人で見た。
>>287 俺もなのユーを仲良くさせる為に目の前でヤってる所見せ付けるクロフェ、って話なら見た事ある。
289 :
名無しさん@ピンキー:2007/09/07(金) 21:32:22 ID:KbM12aPv
>>279 あ、ご丁寧にどうも。早速逝ってみよう。
>>288 どっかで見た事ある。ただ前話スレのはやてネタが出て来て
な「大丈夫だよユーノ君まだ来てないから」
の所が
は「大丈夫やユーノ君コレあるから」
と言って婚姻届出してる場面に切り替わったのは何故だ
「[七海綾音(魂MAX)] なのっ!」だな
あれはいい感じだったが続編がなぁ…
ってか、いい加減スレ違いかね
メガマガの付録のキャラ&ストーリーブックのザフィーラが犬でしか載っていない件について。
ザフィーラって喋れたの!?
中の人がいるからな
中の人など(ry
投下しますよ
ザフィーラ×シャマル
時期はAsからStsの中間辺り
なのは達が中学か高校の辺りの話だと思って下さい
深夜、時計の短針が1と2の中間を示す頃、八神家の玄関に音が響いた。家の主である
少女は当然寝ている時間だ。音の主はその少女を起こしてしまわないよう、鍵を差し込み
静かに回すと、やはり音をたてないようにドアを開く。
「ただいま」
誰も聞くものは居ないと分かっている、それでも先程の音の主、シャマルは帰宅を示す
言葉を吐いた。ここ最近で得たもの、これまで生きてきた長い時間では手に入れるどころ
か思いもしなかったものだが、今では言うことの方が当然となっていた。この言葉を言う
ということは、居るべき場所、帰るべき場所があるということだ。それを改めて思い返し、
シャマルは柔和な笑みをこの家の主であり、自分の主でもある少女の寝室の方向に向けた。
「さて、はやてちゃんは何を作ってくれたかしら?」
夕食は管理局の食堂で済ませてきたので腹は減っていないが、愛する主が自分の為にと
作ってくれる夜食は遅番勤務のときの唯一の楽しみだ。それがあるから仕事でヘトヘトに
疲れて帰ってきても、また次の日に頑張る気になる。腹立たしいことにヴィータが太ると
意地の悪いことを言ってくるが、簡単に止めれるものではない。
浮かれながらリビングに入って明かりを点け、そしてシャマルは息を飲む。しかし別に
悪い意味ではない、目の前の光景に、正確に言えば視界の中央、ソファに座っていた人影
を見て驚いただけだ。
「思ってたより遅かったな」
こちらに首の動きだけで視線を向けて言うザフィーラに、書類整理が長引いたのよ、と
いつも通りの笑みを返す。寡黙な彼らしい言い方で、そうか、とシンプルに返ってきたの
を聞きながら冷蔵庫を開けば、入っていたのはメッセージカード付きのサンドイッチ。
「『遅くまでお疲れ様やね』、か。気を遣わせてばかりね」
牛乳をコップに注ぎ、リビングに戻れば姿勢が全く変わっていないザフィーラが居る。
ずっと待っていてくれたのだろう、と思う。生真面目と言うよりも堅物とさえ思える性格
のザフィーラのことだ、本当に不動のまま、自分の帰宅を待っていたのだろう。その姿が
容易に思い浮かび、気を遣わせているのははやてだけじゃないと溜息を吐く。
だからと言う訳でもないが、なんとなくシャマルは隣に腰を降ろした。狭くはないが、
他にも幾つかソファは置いてある。それでも敢えてザフィーラの隣を選んだのは、それが
今の状況にふさわしいと思ったからだ。
「貴方も食べる?」
「いや、それは主がシャマルの為に作ったもの。俺が食うのは筋違いだろう」
そうかもね、と背もたれに体重を預け、まずは一口。丁寧にラップをかけていたことも
あるのだろうが、これ自体作ってから時間があまり経っていないのだろう。しっとりした
パンと、爽やかな歯応えのレタスの食感が快い。
「はやてちゃん、いつまで起きてたの?」
「一時間程前までだな。まだ待つと言っていたが、学校が控えているので先に寝て貰った」
それくらいならば急いで仕事を終えれば良かった、と溜息を吐く。今となっては遅い話
だが、もっと早く仕事を切り上げて転送魔法でも使っていたならば、一緒に話をするのは
無理だとしても就寝の挨拶くらいは出来たかもしれない。無理に今日中に終わらせる仕事
でもなかったし、何ともタイミングが悪いと本日二度目の溜息。気分が盛り下がると睡魔
も急に襲ってきて、シャマルはつい欠伸を漏らす。
もうサンドイッチの皿も空になっているし、後は寝るだけだ。明日は早い時間にシフト
が入っていた筈なので、これ以上は睡眠時間を削るのは不味い。シャマルは立ち上がり、
「おやすみザフィーラ、私もそろそろ寝るわ」
「ああ。明日は休みだ、ゆっくり休むと良い」
しかしザフィーラのその言葉に足を止め、首を傾げて振り返った。
「休みって?」
「不覚、これは言ってはいけないことだったな」
「それは良いから。休みとか、急に言われても困るわよ。どういうこと?」
尋ねるとザフィーラは説明をした。最近、シャマルは休日を碌に貰っていない。それは
シャマル自身一番分かっていることだが、罪滅ぼしという大義や、また仕送りの額が大分
少なくなった八神家の家計を支えるという意識もあり、あまり気にしていなかった。だが
はやては働き詰めのシャマルを見て、黙っていられなかった。それで思い付いたものが、
ザフィーラが先程言った突然の休暇だった。
最近は平和だったから大丈夫だろうという見込みもあったし、また話を聞いたフェイト
も義母であるリンディに掛け合って貰うように頼み込んだ結果、それは意外にもすんなり
と出来たのだった。後は仕事だと出勤してきたところに休みを言い渡し、「ビックリした、
でも嬉しい」となる予定だったのだが、ザフィーラがうっかり口を滑らせてしまった、と
いう訳である。ザフィーラは性格故、自分から言ってしまった、と馬鹿正直に言うだろう。
サプライズを失敗させた男として暫く苦労する姿が目に見えて、シャマルは小く笑う。
「それにしても、わざわざ待ってなくても良かったのに」
そうしたら自ら墓穴を掘ることもしなかった。
「主が待っていてほしい、と言った」
それに、とザフィーラは真剣な表情をするとシャマルに視線を合わせ、
「これは明日、主が学校に行っている間にでも言うつもりだったのだがな」
そう前置きをして、長く息を吐いた。
「お前は、何だ?」
概念的、観念的な質問だ、とシャマルは思う。
「照れてあたり口には出そうとしないがな、ヴィータはなのはと遊ぶことを楽しんでいる。
シグナムもフェイトと一緒に訓練をすることを大事にしている、友だからだ。あくまでも
ヴォルケンリッターとしてではなく、ヴィータ、シグナム個人としてだ。しかし俺が見る
限り、お前は『湖の騎士』として続けているのではないか?」
「そんなこと無いわよ」
珍しいザフィーラの長い言葉を聞き、そう答える。それに、そのような言葉を言うなら、
ザフィーラの方がよほど変わっていない。生真面目なのはプログラムの時点で設定された
ものだから変えようがないかもしれないが、『守護獣』としてはやてに使えている姿勢も
『夜天の書』が消滅した今でも昔と同じように見える。そう反論しようとしたが、それは
ザフィーラが持つ、揺るぎない視線によって遮られた。
「俺の役目が主を守ることであるように、人を癒すのが『湖の騎士』の役目であり本命だ。
適材適所という言葉もある、今のお前の仕事に口を出すつもりなど毛頭ない」
しかし、と一旦言葉を区切り、
「傷付いた体を治し、枯れ果てた心を潤す『湖の騎士』。そのお前が自らをないがしろに
していたら、どうにもならないだろう。自分で自分を癒すことは出来るかもしれないが、
自分で自分を満たすことなど出来ないのだからな。……長く言ってしまったが、要は自分
を大事にしろということだ。主が望み、そして作ってくれた『シャマル』をだ」
それで言いたいことは全て言い終えたのか、ザフィーラは視線を正面に向けた。コップ
を掴むと半端に残っていた牛乳を喉に流し込み、サンドイッチの皿を取るとキッチンへと
歩いてゆく。シャマルはその後ろ姿を見つめた後、
「ありがとう」
小さく呟いた。
◇ ◇ ◇
「ザフィーラ格好良いなぁ」
「主、茶化しては駄目です」
「何も茶化してへんって。やっぱザフィーラに任せて正解やったな」
「あたしは楽しく遊んでねぇ!!」
リビングの扉の僅かな隙間、そこから野次馬根性を丸出しにしてリビング内を覗き込む
三人分の瞳がある。言うまでもなくシグナム、ヴィータ、はやての三人だ。はやては最初
から、ヴィータは不意の尿意に目が覚めて、シグナムはシャマルが帰ってきた際の物音で
目が覚めてという違いはあるものの、目に浮かぶ光は同じものだ。最初は渋り、はやてに
注意していたシグナムでさえも、視線は二人にしっかりと向いていた。しかも防音の結界
を張った途端に雑談を始めたのも、他ならないシグナムだった。
「しっかし、ザフィーラも罪作りやなぁ」
「ありゃ間違いなく恋する瞳だな、今度アルフに言ってやろーぜ」
「こら、止めろ」
それも面白い、とはやては笑みを浮かべたが、見た感じでは残念な事にこれ以上の進展
はありそうもない。明日も学校があるし、今日はここで終わろう。そう欠伸を噛み殺して
背を向けようとした瞬間、ヴィータが息を飲む音が聞こえた。
はやては視線を戻し、
「……これは!!」
動画に撮るべく、リインフォースに最近付けてもらった撮影機能をオンにした。
◇ ◇ ◇
シンクに皿を置き、寝床であるクッションに向かったザフィーラの裾をシャマルは軽く
摘んだ。指先で押さえただけの行為なので力は弱いものだが、ザフィーラは歩みは止まる。
振り向き、視線を下ろすザフィーラの手首を今度はしっかりと握ると、シャマルは笑みを
浮かべた。今度は先程までのものとは違い頬を赤く染めたもの、熱を持ったものだ。
それがどのような意味を持つのかは理解しているのだろう、先程と同じようにシャマル
の隣に腰を降ろした。しかし視線は合わせず、つい数十秒前の姿が嘘であったかのように
黙り込む。それは普段の態度なだが、表情はいつもの冷静なものとは違っていた。あまり
接することのない者ならば気付かいだろう、厳つい作りの顔に浮かんだ無表情だが、その
中に確かな焦りの色が浮かんでいた。
「俺にはアルフが居るのだが」
「自分で自分を満たすことなんて出来ない。そう言ったのは、ザフィーラよ」
「……浮気はいかん」
「今まで何万回もしたじゃない。……でも、浮気が嫌ならお礼だと思って?」
それでも構わない、と目を細くすると、シャマルはおもむろにザフィーラの股間へと手
を伸ばしてゆく。そして手慣れた様子でジッパーを下げ、奥にある肉の竿を取り出した。
大柄な体格に似合う巨大なサイズだ。まだ立っていないにも関わらず、シャマルの手指を
絡めても尚、表面の半分以上が露出している。久し振りの行為であるだけでなく、それが
好いた男のものだという期待。今までに何度も体験している相手だが、その相手だからと
いうものもある。シャマルは潤んだ瞳でザフィーラのそれを見つめる、
「今、大きくしてあげるわね」
は、と息を吐きながら先端を持ち上げ、表面に舌を滑らせてゆく。
「どう?」
根元から丹念に唇で噛み、まぶした唾液を潤滑油として頭をゆっくりとグラインドする。
何度かの往復によって固さを持ち始めた竿の先端にキスをすると、大きく唇を開いて亀頭
をくわえ込む。そのまま深く喉まで飲むのではなく、雁首を刺激するように小さな感覚で
頭を上下させると、肉棒は本格的に固くなり始めた。膨張した竿は剛直と言える大きさと
なり、口内を圧迫されてむせたシャマルは一旦引き抜いてザフィーラの顔を見上げた。
◇ ◇ ◇
「すげー、ザフィーラの。あんなになるんだ」
「私もかなり長い付き合いだが、ザフィーラのレヴァンテインがあれ程とは知らなかった」
顔を耳まで赤く染めて呟くヴィータやシグナムとは対照的に、はやては冷静にカメラ、
正しく言えばリインフォースの動画機能を回していた。先程からリインフォースの抗議の
声が聞こえてくるものの、結界は防音仕様のものなので構わない。記録に他の音が混ざる
のは多少面倒だが、技術開発部に頼んでトリミングをして貰えば良いだけだ。
それよりも、
「何でレヴァンテインなんや?」
「は、恥ずかしいではないですか!! そんな、露骨に言うなんて」
沈黙。
数秒黙った後、はやては頷き、
「そうやね。ザフィーラのレヴァンテインおっきいなぁ」
「だよな。レヴァンテイン、でっかいなぁ」
「うん、立派なレヴァンテインや」
比喩として最初に使ったのは確かにシグナムなのだが、笑顔で自分のデヴァイスの名前
を連呼されるのは相当キツいものがあったらしい。涙目になりながらヴィータとはやてに
抗議の視線を向けたが、二人の反応は変わらず、しまいにはレヴァンテインという言葉を
多用してのシグナムの武勇伝を語り始めた。
「……そこで、チンコを握ったシグナムがやな」
「ちょっと待って下さい、はやて。今露骨に言ったでしょう」
「レヴァンテインって言ったぜ? 変なシグナム」
絶対嘘だ、とシグナムは呟くが、二人の表情はいつもと変わりないものだ。妙なことは
言っていない、とでも言うように、シグナムに疑問の視線を投げ掛けている。
「いや、まさか。そうか、はは、すまないテスタロッサ。私は汚れてしまったようだ」
ブツブツ呟いた後、とうとうシグナムは膝を着いた。
歴戦の友であるレヴァンテインを下品な比喩に使われてパニックになっていたせいで、
シグナムは気付けなかったのだろう。はやてが念話を使っていたことにも、そして正に今、
唇の端を吊り上げた悪どい笑みを浮かべていたことにも。
◇ ◇ ◇
上目使いでザフィーラを見上げながら、シャマルは胸元のボタンを外してゆく。焦らす
ような速度で襟に指をかけて左右に広げると、普段の彼女らしいあまり飾り気のない清楚
な白色のブラが露になった。続く動きでフロントホック式のブラを外せば弾力に押され、
カップの部分が開いてゆく。現れるのはシグナム程ではないにせよ、それでも十分に豊か
と言えるサイズの二つの丘だ。
それを両手で持ち上げ寄せると剛直を挟み込むが巨大なもの全てを覆うことは出来ず、
身を深く沈めれば谷間から先端が飛び出してくる。熱い、と思いながら鈴口から溢れ出た
透明なしずくを舌で掬い、乾いてきたものを濡らすように唾液を垂らすと動きを開始する。
敏感な先端部分を舌と唇、ときには強い刺激を与える為に弱く歯を立てて責め、強弱を
付けながら弄ぶ。それの少し下、竿の部分は唾液を補充しながらの胸でのストロークだ。
柔らかな弾力で圧迫しながら擦り上げ、また自分も高める為に揉みしだく。力を込めると
柔らかな肉に手指が簡単に沈み、手の動きに合わせて乳房の形が変化する。興奮して固く
なった登頂の突起を指先で挟み、転がす度にシャマルは甘い声を漏らし、それにより痙攣
した唇や舌がザフィーラのものを複雑に刺激した。ときたま脈打つのは自分の愛撫で充分
に感じている証拠だ、そう思いながら胸を擦り合わせる。
「気持ち良い?」
聞くまでもないことだが、敢えて尋ねると返ってくるのは肯定の頷き。嬉しい、と呟き
シャマルは胸の圧迫を強くした。痛みはないが手指の跡が赤く付く微妙な力加減、これが
一番の好みであることをシャマルは知っている。密度が高くなり、より伝わる陰茎の熱を
感じながら胸を動かせば、先程までのものよりやや大きな、粘りを持った水の音が響く。
唾液と我慢汁の混じった潤滑油は独特の匂いを持っているが、それは悪いものではない。
自分のものとザフィーラのものが混じっている、そう考えると、言葉では言い表すことの
出来ない不思議な感情が沸き上がってくるのだ。
甘露、と言えば奇妙な表現になるのだが、意外とこのようなものを指すのかもしれない、
とも思う。試しに舐めてみれば何度も味わってきたものと変わらない。殆んど無味に近い
中に、唾液で薄められた我慢汁の微かな塩の味。しかしザフィーラへの想いがそうさせる
のだろうか、新たな刺激を与えていると気付いてはいなかったが、シャマルは味わうよう、
何度もそこを舐めていた。勿論愛撫は止めていないので、際限というものは無い。母乳を
求める赤ん坊のように、ひたすらに求めてゆく。
そして気分をハイにしながら続けていると、変化が起こり始めたことに気が付いた。
数えきれない程に肌を重ねた経験で培った、ツボを知り尽した動きに、限界が近付いて
きたのだろう。胸で挟んでいるものは強く早いリズムで脈打ちをしているし、ザフィーラ
は、く、と押し殺した声を出してシャマルの頭を押さえ込む。クリーム色の柔らかな髪が
ザフィーラの手の動き、シャマルの愛撫のタイミングに合わせ揺れるが、シャマルはそれ
を不快だと思わない。寧ろ頭を撫でられているようだと、そう快く感じて目を閉じると、
一層丁寧に、より激しく愛撫を重ねていく。
「すまん、そろそろ出そうだ」
「そう……クラールヴィント」
呼んだ名前に応えるように指輪から伸びた二つの振り子がザフィーラの肉棒に絡み付き、
そして根元を締め付ける。それにより出る筈だったものが止まり、ザフィーラはうめき声
を漏らした。滅多に浮かべない苦悶の表情を浮かべるが、それが狙いだ。普段のシャマル
ならば出させていたのだろうが、今回のことには理由があった。射精しようかという瞬間、
ザフィーラが短く「アルフ」と言ったのを聞いたのだ。それを聞いて、強く思った。
今だけは、自分をもっと見てほしいと。
もっと自分を求めてほしいと。
強い我慢や何度も重ねた寸止めの先、ザフィーラは獣の本能を強くして激しく荒々しく
求めてくることをシャマルは過去の経験で知っている。だからシャマルはそれを行った、
もっとザフィーラを求める為に。自分から行うだけでなく、相手にも求めてもらう為に。
悪い方法だ、とは分かっているが、理性だけでは止められなかった。
止める方法すら、分からなかった。
人を好きになるなど長い人生で初のことだったから想いは加速するばかりだし、それに
加えて相手のことを知り尽している。意識を自分に向けさせる方法も理解していたから、
加速の上に加速を重ねてしまう。それを行おうという気持ちが肥大する速度は時が流れる
よりも早く、出したいと願う意識がこちらを向いたと理解すれば、上限なども容易く破壊
されてしまう。端的に言えば、あまりにも静かだが、暴走状態だった。
縛り続けながらもシャマルは愛撫を続け、射精の欲求を高めさせてゆく。ザフィーラの
息は荒くなり、目付きは獣のそれへと変わってきた。
「ザフィーラ、出したい?」
言葉はないが、答えはある。獲物を狩ろうとする鋭い目に、焼け付くような灼熱の吐息。
不規則なリズムで喉を鳴らしながら悶えているが、それは負けている者の声ではなかった。
気を抜けば喰らい尽されてしまいそうだ、と思えるくらいの、飢えた獣の空気だ。
我慢もそろそろ限界だろうし、こちらも入れてもらいたい。そして壊れてしまうくらい、
めちゃめちゃに突いてほしい。奥までえぐり、全てを汚し、満たしてほしい。
唇を重ねると仰向けになり、
「出すなら、こっちの中で、ね?」
そう言いながら、シャマルは下着を下ろしてゆく。
◇ ◇ ◇
「うわ、えげつないなぁ。ザフィーラのグラーフアイゼン、めっちゃ苦しそう」
「何であたしのまで言うんだよ!!」
先程までシグナムに対し同じようなことを言っていた癖に、自分が言われるのは我慢が
ならないらしい。怒りの言葉を吐くが、はやては笑みを返した。何か問題でもあるのかと、
表情が物語っている。
「諦めろ。それにな、ヴィータ、形状的にはグラーフアイゼンの方が近いのではないか?
巨大化もするし、しかも玉を打ったりするというホモ仕様だ」
先程のレヴァンテイン連呼で堕ちてしまったのだろう。瞳には普段の凛々しさや強靭な
意思の光は灯っておらず、同胞を闇の底へと引きずり込もうとする暗い色が浮かんでいた。
ヴィータもヴォルケンリッターの一角であり、常人とは一線を引く存在だが、基本は幼女。
そのあまりにも強い暗黒の光には恐怖を覚えたらしい。ひ、と弱い声を漏らし、勝ち気な
目の端に涙を浮かべ、聞きたくないと耳を塞ぐ。
「違う、グラーフアイゼンは、そんなんじゃない!!」
「なら今度、聞いてみると良い。どうなるか分からんがな」
二人目が堕ちてゆくのを微笑まし気に眺めた後、はやては再びリビングに視線を向ける。
「お、いよいよ本番やな」
そこではシャマルとザフィーラが、繋がろうとしていた。
今回はこれで終わりです
レヴァンティンwww
八神家いいなあw続き期待してます。
>>305 うわあああああああああ!
また生殺しキタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!!!
でもアルフに後ろめたさを感じるザフィーラとか面白いんでGJですw!
八神家自重wwwwwww
>>306 なんという寸止め!
wktkが止まらないZeww
へんなテレパシー、
詳しく言うと12個の目とコウモリ以上の聴覚を20人分処理できる相手らのテレパシー受けたせいで変なの書いた。
ユーノメイン、エロ無
もしかしたら不憫?
それでは
314 :
ユーノの戦場:2007/09/08(土) 04:20:15 ID:W7tsFmYs
ユーノの戦場
ユーノは司書長室の端末に送られてきたデータ……詳しく言うと今期の人員配置表を見て天を仰ぐ。
そこには心を癒してくれる空などなく、暗鬱な気持ちを更に重くさせる天井があるだけ。
しばらくそうして、何かに耐えるようにしていたユーノだったが、意を決したように端末に向きなおり、手元にある受話器を取る。
まずは秘書を呼び出し、そこから目的の部署へ連絡頼む。相手もこの時期は忙しい、いかな10年来の付き合いといえど……いや、10年来の付き合いだからこそ正式な手順を踏まずに接触する事は出来ない。
一回目の呼び出し音が鳴り終わらない内に出た秘書に対し、ユーノは疲れ切った口調で告げる。
「レティ提督に連絡を頼む」
「解りました」と返事を返す秘書の声を聞きながらユーノはぼんやりと「多分、無駄なんだろうけど」と考えていた。
315 :
ユーノの戦場:2007/09/08(土) 04:21:08 ID:W7tsFmYs
時空管理局の花形と言えば何か。
合格率15%と言う狭き門を潜り、様々な事件に立ち向かう執務官か?
それとも、管理局内でも総数が3ケタに届かないまさに選ばれた者だけが所属する事を許される教導隊か?
はたまた防衛・捜査・戦闘の要である武装隊か?
まぁ、どの部署にしろここに至ることが出来るのはホンの僅かでありそれ故に与えられる任務の過酷さとそれを達成したときの栄誉は計り知れない。
多分、時空管理局にやってくる人々は多かれ少なかれ明日の英雄を目指してやってくる者ばかりだろう。
では逆を問おう。
時空管理局で最も人気の無い部門とは何処であろうか?
恐らく誰もが口をそろえてこういうであろう。
「それは無限書庫だ」と。
何せ彼ら司書は表だって事件を解決するような事は無い。
執務官や武装隊が管理局の華々しい活躍をしている傍らで資料の検索と作成を受け持つ彼らは正に縁の下の力持ち。悪く言ってしまえば日蔭者である。
世間一般のイメージは「悪と戦う法の番人達」であり、何億という書籍の中から必要なデータを発掘する事ではないのだ。
理由は他にもあり、無限書庫が本格的に稼働したのがここ数年で知名度が非常に低いことだろう。
何せ本局の人間ですら、無限書庫でどういう仕事がなされているのか理解している者が少ないぐらいだ、管理局以外で「無限書庫」という単語を出しても誰も知らない。
そういった部門であるから、ここを目指そうとして入局してくる者は皆無であり、現在働いている司書の大半は人事異動で仕方なくやってきた……その中でも更に忍耐と寛容性に富んだ稀有な人々である。
なにせここに配属された大半の人間はわずか3か月で転属希望を出す。中には配属された次の日に転属希望を出した奴もいた。
本人の希望通り転属されれば幸い、そうでない人間は仕事に耐えきれず辞めていく。
そうなると単純に人手が足りなくなり、仕事は更に厳しくなってまた辞めようとする人間が出てくる。まさに悪循環だ。
口さがない連中からは、「無現書庫は本局が不要な人材を自分から辞めるよう仕向ける為に創設した」とまで言われる有様である。
そうした陰口にも耐え、働く司書達は司書長であるユーノにとってどんな宝石よりも貴重で大切な部下達だ、彼らのためにも待遇を改善したいと切に願う。
だがそうするにはやはり人員の補充はなによりも重要で、ユーノはその事で幾度となくレティに頭を下げる事となった。
316 :
ユーノの戦場:2007/09/08(土) 04:22:03 ID:W7tsFmYs
『……ごめんなさい、ユーノ君』
「どうしても、ダメですか?」
『こちらとしても、新人達の配属希望を無視するわけにはいかないの。他の部署もギリギリの人員でまわしているし』
何度、このやり取りをしただろうか?
今期やってくる新人5人。これだけでも多分、レティは大変な努力をしたのだろう。
しかし全然足りない。無限書庫は稼働したと言ってもまだ未整理の区画が多すぎる、そこを整理しつつ業務をこなすにはたったこれっぽっちは全く足りない。
いかな能力があろうと、言い方は可笑しいかもしれないが一騎当千の強者が10人いても相手が五十万では簡単に飲み込まれてしまう。質が量を打ち負かすなどあり得ないのだから。
「解りました。無理を言って申し訳ありません」
『本当に、ごめんなさい』
心底申し訳なさそうなレティの顔も、ウィンドウが閉じれば消えてしまう。
それは向こうも同じことであるから、ユーノはおもっいきり息を吐いて椅子に身を預ける。
5人、たったの5人。一体彼らの内何人が使い物になるだろう? そして一体どこまで持ちこたえられるだろう。
魔法学院に足を延ばして、見込みのある生徒をスカウトしようとするが、それとて無限書庫の実態を知ったら逃げてしまう。
講演会などを利用して、知名度を上げようとしても中々浸透しない。
だが、まだ10年、無限書庫が本格稼働してからは数年たったばかりなのだ、まだこれから伸びそして成長する部門だとユーノは信じている。
信じているのだがこの苦情の山はいくらなんでもどうにからないものか。
やれ不十分な情報だっただの、要求していたのと違うだの期限ぎりぎりすぎるからもっと早くによこせだの。
その殆どが現場からの苦情、そして一部事務からのものである。
本局の中には、未だに無限書庫の価値を疑問視する声もある。なにせ無限書庫がほぼ無機能状態にあっても、時空管理局はそれまで運営されていたのだから。わざわざ必要なのかという意見も根強いのだ。
そしてそれは……多分、正しい。
無限書庫の現在の立ち位置は、機械の動きが悪いから注した油程度だ。
ユーノ達の働きが無くても、管理局はそれなりの成果を挙げられるだろう。現場と書庫の連携が上手くいっていないはそうした理由も大きい。
自身や部下達の働きを無に帰すような苦情を、それでもユーノは一つ一つしっかりと読んでいく。
自分達が悪くない、などとは口が裂けても言えない。人である以上、過ちは犯す。
今必要なのは、自分達の必要性と能力を主張する事では無く証明する事。司書長という責任ある立場なら、この部署や部下達を他の重圧から護らなければならない。
だからと言って、ストレスが無くなるわけでもなく、ここ数年は胃痛に悩まされっぱなしである。
ユーノは全ての苦情を読み終わると常備している胃薬を取り出し、その錠剤を2,3粒取り出すと水を使う事もなく噛み砕いて飲み込む。
そうすると、痛みが僅かに紛れるのだ。
……尤も、この薬も最初は痛みを完全に和らげてくれていたのに今は紛らわす程度になってしまい、また新しい薬が必要なのかもしれないと考えていたりするのだが。
317 :
ユーノの戦場:2007/09/08(土) 04:24:09 ID:W7tsFmYs
じっと、薬が効くのを待っていたユーノの耳許に響くアラーム。
受話器を手にすると、聞こえてきたのは秘書の声だった。
「司書長、八神二等陸佐からご連絡が入っています」
「……繋いで」
多分、彼女たち機動六課が現在追っている事件に関する資料の要求だろう。
曲がりなりにも一部門の長であるユーノの元に高々一部隊の隊長にしかすぎないはやてが直接依頼するというのは越権行為も良い所であるが、ユーノはそれを咎めたりしない。
彼女たちも同じだ、自分の夢の為に努力している。
ユーノが、無限書庫に自分の全てを賭けているように、幼馴染達も何処かに居る誰かを救うための道を歩んでいる。
そんな彼女たちにユーノは共感を持てざるを得ない。
だがそれは公私混同だ、間違っても彼女たちの依頼だけを最優先には出来ないし、その事で部下に負担もかけられない。
だからこそ、六課の案件はすべて自分が処理している。
負担が大きくなるが、何大したことはない。
なぜなら、此処はユーノの戦場だ。
高町なのはでも、フェイト・T・ハラオウンでも、八神はやてでもない。ユーノ・スクライアの戦場。
この身と心は、全て戦場に捧げた。ならば、この程度の敵に負けてどうする。
たったの十年なのだ、諦めるも逃げるのもまだ早い。
もしかしたら、自分は自分の理想を観ることなく朽ちてゆくのかもしれない。
だとしても後悔は無い、既に種は撒かれた。いつかはこの無限書庫が、全ての人々に叡智を授け誰かの明日を照らす存在になれると信じている。
だから、戦おう。
栄光も称賛も勲章も何もない場所だけれども。
この胸に、己が勤めに対する誇りがある限り。
はやてからの依頼を受けたユーノはしっかりとした足取りで立ち上がり、無限書庫への扉を開く。
そこに、紛れもない「男」の姿がある事を知る者は未だに居ない。
以上
管理局が何年続いた組織かは解らないけど、無限書庫はたった10年しか動いてないわけで
そうした部門はすっごい苦労があるんじゃないかと思って書いてみた。
反省はしてる。正直すまんかった。
>>314 お見事でした。
書庫戦記新人司書A子とかギャグを書いてみようか時々考えていたこともありましたが、
足下にも及びません。よくまとまってると思います。
>>306 レヴァンティンとグラーフアイゼン卑猥語に参戦
>>314 個人的にこういう淡々とした内容ごっつう好きです
静かなユーノの魅力が出ててすごく良いとおもふ
ユーノ×フェとかゲリラ兵だけど投げていい?w
沈黙は肯定と受け取ったっ(待て)
[ユーノ×フェ][シリアス・エロ・ちょい鬱・3期後半]、かな
…まあそう読めるといいなってとこで
初ゲリラですがよしなに
管理局本局無限書庫。
薄暗い書庫に揺蕩う本の只中で無限書庫司書長、ユーノ・スクライヤは
目を閉じて数多の本を検索していたが、思うようにいかなかったのか、小さく首をひねった。
「う〜ん」
そこへ通信の画面が開き、画面の向こうから長い金髪で瞳の大きい端麗な海軍の
――つまり管理局本局制服の若い女性が問いかけてきた。
「どう、ユーノ?」
「だめだね。このジェイル・スカリエッティという人物、過去の業績、大規模犯罪、違法研究……
そのどれもが常識知らずでずば抜けて傑出しているにも関わらず、彼自身に関しては全くといっていいほど情報がないんだ」
「そっか。性格をプロファイリングに使うのは難しそうだね」
「過剰演出が好きなのだけは確かだけどね…なのはと一緒で」
大きいため息に、色白の彼女――フェイトはくすくすと笑うしかない。
「根を詰めてもらうのも悪いし、一息入れよう。もうお昼だよ」
「そうだね」
捜査やくだらない話で昼食はあっという間に過ぎ、並んで書庫までの通路を歩いていく。
「なのはは今日も訓練?」
「なのはは昨日も今日も明日もずーっとフォワード達の訓練だよ?」
「あはは…頑張りすぎなきゃいいんだけど」
「ユーノも心配性だね」
「うん、なんだかんだいってなのはをこの道に連れてきてしまったのは僕なんだし。ちゃんと見届けないと」
「大丈夫だよ、なのはは」
「うん、そうだけど。…それにフェイトもね」
「んー、私はー」
くるっと手を後ろに回しながら、かかとから足をつけて2歩歩く。
「お兄ちゃん、お母さん、お義姉さん。それにエリオにキャロもいるし。十分幸せかな」
あとなのはも、ととても嬉しそうに返す言葉を消し去ってしまうほどに微笑んだ。
「それよりも、ユーノは?」
「えっ?」
「だめだぞー、ちゃんと答えてあげないとー」
ちょっぴり前かがみで非難するフェイトの胸の谷間の内側に、黒い下着が見えた。
「う、うん」
「あ」
目線が自分の胸元に届いていたのに気づくと、軽く微笑む。
「見た?」
「え、いや、見た、というか見えた…」
しどろもどろになるユーノに恥ずかしがることもなく、追い討ちをかける。
「だめだよーユーノ。そんなたじたじしてちゃ」
「う、うん」
「もー、あ、そうだ」
「?」
「キスの練習しなくて平気?」
「れ、練習って」
「意外と簡単だよ。ほら」
「え」
ふっと差し出される桜色の綺麗な唇と閉じられた瞼。
それはごく自然にユーノの思考を奪い、ふわりと口付けあった。
「んっ…」
軽く触れ合うだけだったキスが、思いのほか気持ちよかったのか、彼女の腕が背を抱きこみ、その腕に力が篭る。
それにあわせて、含まれた唇がさらに深く溶け合った。
「んむ」
たどたどしい動きに余計愛おしさを膨らませながら、何度も何度もお互いの温もりをなぞりあう。
「ふあ」
息が続かなくなって離れたが、貪欲にまたお互いに近づいていく。
「ユーノ、ちょっとだけ舌、欲しいな」
「ん」
促されるままに、ほんの少しだけ舌先を彼女の唇に含ませる。
「んー、んー」
最初はされるがままだったフェイトも、少しずつ自分の舌先を絡ませて深く繋がっていく。
「んー♪」
ひとしりき感じあった後、金髪の髪が彼の肩に落ち、小さく呟いた。
「ね…あとでユーノの部屋遊びにいってもいい?」
「い、いいけど」
「ん、じゃあまた後でね」
「あ、うん」
ぱっと笑顔で離れると、たったった、と走っていってしまった。
見送る側はといえば、展開と事態に頭がついていかず、呆けているだけだった。
夕食を終えて、ユーノは白いベッドの上でいまだ先程の不思議体験の余波が抜けず、ぼーっとしていた。
(いったいなんであんなことに…)
何をどう考えても理由がでてこない。
自分はなのはと幼馴染。
フェイトとも幼馴染。
なのはとフェイトは親友。
恋愛?
恋人?
(自分は…誰が好きなんだろう?)
考えても考えても答えが出ないうちに、すっと空気の音を立てて扉が開いた。
いつも通りの制服姿で、腰の下まである金髪には先端のちょっと手前に黒いリボンが結ばれていた。
「こんばんわ」
「あ、いらっしゃいフェイト」
片手でちょいっとロックをかけると、なんの忌憚もなくユーノの隣にとん、と座った。
「迷惑じゃなかったかな」
「いやそれは平気だけど」
「ん?」
何の企みも持たず自然に微笑む彼女の頬に、手が触れる。
(あれ、また自分はなにをして…)
それに浸るようにしっとりと閉じられる瞼。
「ユーノ」
「うん?」
そっと近づけられる顔。
さっきと一緒でいとも簡単に唇が重なり合う。
2、3度口付けを交わすと、ふと沸いた疑問が口をつく。
「なにを、してるのかな僕たちは…」
「ね…」
「間違ってるような、間違ってないような。僕にとってなのはは大事だし、フェイトも大事だし、どっちも幼馴染だし」
「うん」
「だけど、なんていうのかな。なのはは」
「友達?」
「いや、うーん、戦友、っていうか」
「私は?」
「フェイトは、なんていうか、どこか危なっかしくて、でも一緒にいて楽しいし、そんなに気を遣わなくていいっていうか、
けど素直に可愛いっていうか」
「うん」
「なんていうのかな、うーん、よくわからないよ」
「いいと思うよ」
「そうなのかな…」
「うん、キスしよ」
何も考えずに再び抱き合って口付けあって、そのまま自然にベッドに倒れこむ。
フェイトの手はしっかりと首に回され、お互いを貪り合う。
「んっ、んっ、んっ」
制服の裾から忍び込んだユーノの手が、太ももの外側からお尻へと回りこんだ。
「えっちー」
その台詞は無言で鼻で笑い返されたが、行為自体を拒まれることはなかった。
「とりあえず脱いじゃうね」
「あ、うん」
制服が窮屈だったのか、するり衣服は脇に捨てられ、あっという間に下着だけになった。
少しだけ恥ずかしげに横に重ねた足の上に手も重ねた。
「どうかな」
「うん。肌白いし、綺麗だよ」
「ありがとう」
ユーノの腰に回される腕に促されるように、彼の胸に体を預けて見上げた瞳は期待に満ちて潤んでいた。
口付けと同時に胸への愛撫が始まると、自然とフェイトの手も彼の下半身へと伸びる。
黒い邪魔なブラはするりとはがされ、直接たわわな乳房が両の手で鷲づかみにされ、形をグネグネと変えていく。
「あふ」
勃起した下半身に伸びる白い手が服の上からなのがまどろっこしく、ずるりとズボンを脱ぎ捨てると、
そのままその膨れ上がったモノをフェイトの唇に乱暴に押し込んだ。
「んー!んー!」
突然の行為に驚きながらも、ぐちゅぐちゅぐちゅ、っと激しい音をたてながら繰り返される出入りを受け入れる。
「んー、んー」
「くっ」
桜色の唇にてらてらと光る肉の棒の出入りが続く。
頭に添えられた手と、未知の繋がりの感覚に酔いしれたままフェイトは動かない。
粘液の快感が走る度、綺麗な金髪に添えられた手に力が篭るのですら、繋がる喜びに変わっていく。
ぐちゅ、ぐちゅ
結構な長い時間、その交わりが続いたあと、す、と引き抜くと焦点の合っていない瞳が見上げる。
「ん、もういい?」
「うん…ありがと。今度は僕の番」
そういって押し倒すと、すっとショーツを下ろした。
「あ」
ついに全裸にされて、頬を染めたままそっぽを向く。
「ちょっと膝立てて、足広げて」
「えっ、それは必要?」
「うん」
「う、うん、ユーノがそういうなら…」
騙されているのか騙されていないかもわからず、素直にふっくらとした肉付きの足を開き、彼の前にさらけ出した。
「恥ずかしい…」
ひくひくと動くピンク色の花びらを直視されて、ますます頬を赤らめていく。
ユーノの指先がその花びらに触れると、びくっ、と体が仰け反った。
そして中の濡れた部分にそっと2、3本の指が浅く出入りするととろける様な吐息が漏れた。
「あふ」
優しく指が出入りするたびに、溢れる液体の量が増していく。
「ユーノ…寂しいよ」
ハグのおねだりに、ちゃんと覆いかぶさると、全裸で静かに抱き合う。
当然濡れた部分が触れ合って、そのまま繋がるのに無理はなかった。
「いれちゃっていいよ」
「いい、のかな」
「うん」
「じゃあ、するね……」
「うん」
ゆっくりと、入り口を探り当てられた後、痛みを構わずに奥まで貫くのにさほど時間はかからなかった。
機動六課のなのはとフェイトの相部屋に――通称愛の巣、とか言っていた某陸曹殿は凍てつくような視線で
本気で背筋が凍えかけたとかかけないとか、とそれはさておいて何時も通りに、フェイトは帰ってきたつもりだった。
「ただいまー」
「フェイトちゃんおかえりー」
すでに寝具に着替えたなのはが、旦那様をお出迎えである。
「よし、じゃちょっとシャワーいってくるね」
「うん…あれ?」
「ん?」
(この匂い…ユーノ君の匂い?)
「なにかあった?」
「ううん?特に何も」
「そ、そっか」
「?」
?を浮かべたまま、フェイトは浴室に消えたが、なのはの疑問は消えなかった。
(なんで…嘘つくのかな…)
それは寝る直前の明かりを消す前にもまた繰り返された。
いつも通り下着姿のフェイトが布団にもぐりこもうとすると、肩口に小さく赤くなっている部分があった。
「あの、フェイトちゃん…」
「うん?」
「ううん、おやすみなさい」
「うん、おやすみー」
そういって明かりを消したが、やはり疑問は消えるどころか、むしろ確信に変わっていた。
(あの形、間違いなくユーノ君の歯型だよ…どうして素直にいってくれないのかな…)
そして翌日の朝練後、6課隊舎の廊下でそれは起こった。
いつも通りに何気ない会話をして歩いていた、フェイトの隣のなのはが、不意に立ち止まって俯いた。
「なのは…?」
「ね、フェイトちゃん」
「うん?」
「正直に言って欲しいんだ」
「え?あっ」
服の上からでもじっと昨夜の肩口を見つめられ、さすがのフェイトも言わんとすることに気づいた。
「そっか。気づいてたんだ」
「うん…あのね、フェイトちゃん、嘘付かれる方がよっぽど嫌。正直に話して」
「うん、その…ごめんね」
「ううん、仕方ないよそういうのは…えと、どこまでしたのかな」
「その、最後まで」
「えっ」
さすがに想定の範囲内とはいえ、事実の衝撃に思わずたじろぐ。
「あ、でもね、あのね、なのはが嫌だっていうなら、止めるし、
私は…なのはが消えて欲しいっていうならどこにだって消えるよ」
相変わらず自身を保持しようとしない親友に、なのはは目を閉じながら仕方ないなと肩を落とす。
「だーめ」
「え…」
「あのねフェイトちゃん、ずーっと前から一緒に居て、私もね、誰よりもフェイトちゃんには幸せになってもらいたいんだ」
「なのは…」
「だから、いいよ。その、悲しいけど、フェイトちゃんもいっぱい悲しい想いしてきたんだから、絶対幸せになってほしい。
本当はちょっと心配してたんだ。小さい子の面倒ばかりみて、フェイトちゃん、自分の幸せ考えてないんだもん」
「あ、えと、それは、でも」
「それに、こればっかりはどうしようもないしね。ユーノ君の気持ちだし」
「あ、あのそれが、その」
「いわないで、お願い…」
「あ、うん、ごめん…」
「うん、じゃあ、またあとでね」
「うん」
手を上げて走り去っていった親友の笑顔が明らかに無理をしていて、嫌な予感がしてならなかった。
予感は当たり、翌日フェイトが目覚めた時には隣に「ごめんね」とだけ書かれた紙が置かれてあり、
彼女は必死に探したが、幼馴染の親友は見つからなかった。
〜
雨。
冷たい雨。
森の中で降りしきる雨を見上げながら、白いバリアジャケットのまま呆然と意思を失った瞳で暗雲を見つめ続ける女性が一人。
高町なのは――元管理局の一等空尉で空のエースオブエースとまで呼ばれたその人であったが、現在は失踪中の扱いである。
「ねえ、レイジングハート、どうしたらいいのかな、私」
「don't mind...my master」
「うん、ありがと…でもね、なんかどうでもよくなっちゃったんだ」
雨はひたすら降り続ける。
(どこか遠くの世界に行こうかな。転送魔法は使えないけれど。
帰る?そんなの嫌だ、まだなにもしてないよ、私。
どうしてこんなことになったのかな。
裏切られたから…?違う。裏切ったのは私の方。フェイトちゃんを許せない私自身が許せない)
延々と雨に身を晒しながら思考を巡らせるが、答えは出てこなかった。
ガサッ
誰かが落ち葉を踏む音がして染み付いた習性がゆえにとっさに身構える。
「誰!?」
雷鳴と共に浮かび上がったのは、片膝をついた眼帯をした小柄な少女と
腕組みをしたスバル・ナカジマとほぼ同系のデバイスを装着した割と背の高い少女だった。
首にはそれぞれ、Xと\の刻印が入ったプレートが見える。
「…何の用かな」
眼帯をした銀髪の少女が、全く抑揚なく声を放つ。
「ドクターから、ラボにいらっしゃいませんか、との言伝を頂いて参りました」
「ドクターって、ジェイル・スカリエッティのこと?」
「そうです」
「…理由を教えてもらっていいかな?」
「貴方に興味がある、だそうです。それ以上のことは何も」
「そう、わかった。いいよ」
レイジングハートが哀しく光って待機状態に戻った。
「では、こちらへ」
雨の暗闇の中へ促すように消えていく2人のあとをゆっくりと歩き、そしてその白い後姿もあっさりと闇に掻き消えた。
あっれなのはさんダークサイド堕ちちゃった…ま、いっか(待て
GJ!
やっぱユノフェといえば、なのはさんが恨んだり嫉妬したりしないとな!
何故か、後の魔王である。とかしか出てこないw
普通にやっても数の子をあっさり押し切ったのにドクターに改造なんぞされた日には・・・・・・。
それはともかく、ヤミなのはさんが見られるかと思うと楽しみでならないっすw
っと、肝心なのを書き忘れ。
GJです。ユノフェも大好物だし、ヤミなのは様も大好物です。
朝からええもん見せてもらいました。超GJ!
魔法少女リリカルなのはWD(ホワイトデビル)
第122話「首輪T」
「え…?」
ナカジマは立ち止まると、聞き間違いである事を願いながら
ゆっくりと振り返った。
「あれ? 聞こえなかったかなぁ?」
そこには爽やかに微笑むタカマチ先生がいた。
「なのは…さん… ダッチワイフ…って…
それ… あたしのことですか…?」
「あ、ごめんごめん☆
いくら何でもダッチワイフは失礼だよね。」
「超最先端ダッチワイフ だもんね ! すごいすごい☆」
中庭にタカマチ先生の拍手と笑い声がこだまする。
ナカジマの顔は怒りと恥ずかしさでみるみる紅潮していった。
「いくら なのはさんでも… そんな侮辱は…」
震えが止まらない。
「それじゃ、フェイトちゃん、出ておいで☆」
いつからそこにいたのだろうか。
合図と共に、樹の陰から音も無くハラウオンが現れる。
「さ、チンポ出して !」
「あの… そんな… こんなところで…」
生気の無い瞳でハラウオンが呟く。
「もぉ〜だめだなぁ〜フェイトちゃん… もう1回だけ言うよ?
チ・ン・ポ 出して☆」
「はい。」
「なぁ…?!!!」
ナカジマは我が目を疑った。
眼前にはビンビンに勃起したチンポを露出させたハラウオン先生。
さっきまでの「怒り」は一瞬で吹き飛ばされ、「驚き」で塗り潰された。
「ダッチワイフはダッチワイフらしく
性欲処理の道具として使われたほうがいいよね?」
「だ・か・ら☆ 今日は、
フェイトちゃんのオモチャになってあげてほしいんだ☆」
「そ…そんな… !!! あたし…イヤです… !!!!
それに…フェイト… さん…?
なんで…チンポなんか…???」
ナカジマは頭の中が真っ白になった。
目の前には白い悪魔がいた。
・・・・・・・・・・・・・
悪魔は片手を振りかざし、半笑いでこう言った。
「Take off !」
wwwwwwwwwwwww
タカマチ先生ヒドスwwwwwww
見返したらちょっとやりすぎかなwwwwwww
ファンの人すいませんでした(^_^;)
まぁ、とりあえず投下前に一言あるべきだったかな?
あ、ごめん(T_T)
純粋なファンの人にはオススメしないけど
よかったら読んでね
今酷い自演を(ry
まあ、ワラタからいいや。
>>329 ――後の魔王である。
GJ!GJ!GJなの!
なのはが敵側にまわるって展開…凄くwktkしてきた
なのは×ユーノのラブラブものも好きなんだけど
なのは病みものも何か面白いわ。
ターンA氏
あああああアリシアがかわいすぎるよアリシア
エリオ・・・カワイソス
でも娘の気持ち察してやれなかったのである意味自業自得
てかチンクの時といい彼の女運とタイミングの悪さは天才的過ぎる
「カット」
「お疲れさまでした〜」
高町なのはとフェイトを演じ終えた私たちは町へ繰り出した。
居酒屋にでもいこうという話になった。
「はぁ、オタクってきもいよね〜」
「そうだよね。見た目ださいし、頭の中が萌えとかおかしくない?異常だよ」
「でもまあ商売だから仕方ないよね」
「本当は女優になりたかったんだけど、こっちでしか生き残れなかったし」
「だよね。そっちに行きたかった」
「本当は彼氏いるんだけど、オタクの人は処女じゃないとだめなんだって」
「えー、今時処女なんていないよねー」
「こっちはもう中学生のときヤってるっての」
「そうそう。中学生のときモテないやつがアニメとか見てたし」
居酒屋にぞろそろと入ってきた
「おっ、なのはちゃんにフェイトちゃん、ここで何してるの?」
「あっプロデューサーと監督と社長ぅ!お疲れ様です〜(あー、気を使っておこうっと)」
「ねえ、次回作があるんだけど、出てみない?」
「えっいいんですかぁ〜 うれしいですぅ! てへっ(なんて言ってられるかっての)」
「でもただでは出演させてあげられないなー。最近の若手も結構いいし」
「どうすればいいんですかぁ?」
「まあまあ、とりあえずホテルにでも」
ホテルについた。
「じゃあ一発やらせてもらうか?」
「はーい!(まあ、納得いかないけど仕事のため仕事のため・・・)」
私たちはシャワーに入り体をきれいにした。この後オタク社長とオタク監督とオタクプロデューサーに犯されるために。
これも仕事か・・・そうじゃないと仕事がもらえないし。純粋に演技の上手さで評価してもらえると思っていたが
世間ではそうでもないらしい。そうじゃないと仕事がもらえないのだから仕方がない。娼婦の役を演じることにする。
わたしたちはさんざん嬲られ者にされた後に開放された。次回作の仕事はもらえたが、こんな生活を続けるべきなのだろうか。
「あーあ、エロゲかアダルトアニメにも出ようかしら。」
「そうねえ。ギャラがいいなら出てもいいかな?」
そうして自宅に帰り疲れた体を休めるのであった。 完
お
>>339 いや別に自演したかったわけじゃないんだけど…
でもたしかに言われてみるとwwwwww
続き書いてもいいかな?
だめかな…
問題ない、書け。
>>345 Your style of writing is not my cup of tea, but I will defend to the death your right to write it.
アンタの作風は俺の好みじゃねぇ。だがオマイがSSを書く権利は命を賭けて守るぜ
何をためらう。行け。恐れるな。
www
よかった〜(^_^;)
一人くらい俺みたいに変なSS書くやつがいてもいいよね?
でも謝らなきゃいけないことがあります…
実はA'sまでしか観ていないwwwwwwwwwwww
ちゃららら ちゃら〜ら〜 ちゃらら ちゃちゃん !(アイキャッチ)
SSは書いた方が良いけど、口数は減らした方が良いな
真面目な話、SS書きはSS以外のことで調子に乗って余計な事書かないほうがいいんだぜ?
某所で同じようなこと言ってが叩き出された例もあったような
354 :
名無しさん@ピンキー:2007/09/08(土) 14:33:28 ID:+wZIjPc5
>>329 ユノフェGJ!!
敵側に行ったケドなのはって無意識に「自分よりユーノの近くにいる女はいない」と思ってそうだから
自覚してなきゃ大抵病みそ…。後編どうなるのかな
フェイトに誘われて3Pとか
ユーノが誠化したらとんでもないことになりそうだがw
ユーノ「ごめん、なのは。他に好きな人ができたんだ」
なのは「……レイジングハート…。鋸モード…」
こうですか!分かりません!><
理性ではフェイトとユーノを祝福するも
本能では・・・って話だなあ。
黒なのは「フェイトちゃん・・・許さない・・・」
こうなったら全部ユーノが飲み込むしかないな
どっかで見た食的な意味でユーノを喰っちまうなのはさんを思い出したw
そう、そのまま飲み込んで・・・僕のデュランダル
>>329 GJ!
だがスカのとこいくより、はらいせにエリキャロ汚しまくる鬼畜ななのはさんが見たいと思った俺はオワットルw
>>359 むしろユーノを調理してフェイトに食わすなのはさん
なのは「にゃはは。今日の夕食はハンバーグ!私が作ったんだよ」
フェイト「えっ、なのはが?」
なのは「ささ、食べて食べて♪フェイトちゃん美味しい?」
フェイト「う、うん。でもこのハンバーグ何だか変わった風味だね」
なのは「……フェレットの挽肉で作ったからね。そう…ユーノ君、美味しかったんだ?ニヤリ」
そうか、ユーノは伯邑考だったのか。
男前な訳だぜ。
>>360 とりあえず提督自重w
>>362 フェレット肉か・・・・・・。ハクビシンは犬と良くあうという話を聞いてフェレットも
そうだとすれば、アルフとの合いびき肉が(ry
グロサーセン(´・ω・`)
悪いが俺には新婚ラブラブなのはさんが
ユーノに今夜は私を食べて♪と言っているようにしか見えなかったぜ!!
逆にフェイトが病む展開…は結構あるか(?)
俺はユーノが病むのは見たことねーだぎゃ
このスレに絶賛投稿中のNamelessといい、最近なのはさんを始めとする
キャラクター達が病んでるSSを結構よく見かけるような気がする。
時代はツン→ヤンになってるのだろうか・・・
ナームルスを筆頭として少なくともこのスレでは静かなブームが起こってるのだよ
つい最近まで、ヤンデレのヤンをヤンキーのヤンだと思ってた俺がいってみる
>前スレ111氏
今更なんですが、シャッハさんの出自や育ち方を見てると・・・・
シャーリー御前の別の姿、何処かの三課の少尉殿?
兎に角GJでした
373 :
名無しさん@ピンキー:2007/09/08(土) 17:55:28 ID:BWjhj6eR
ユーノを喰っちゃうのはコンさんとこで見かけた気がします。
>>372氏
それってかぼちゃでしたっけ?
>>374 「キシャシャシャシャー!(全力全開!)」
こうですか、わかりまs(ry
>>366 犬はともかく狼は食っておいしいんだろうか?
以外に差がデカい気がする、味的に、もちろん狼のが食えなさそう
>>377 犬は身が赤いのが旨いとはだしのゲンで言ってたな
雑食や肉食の動物は肉は美味しくない傾向にある。
ただ人間は美味らしい。ただしその人間が食べてきた
食物によって味や匂いは変化する
>>377 そもそも犬からして旨く無いらしい。
戦後の食料難時の話しなので、それなりに信憑性はあると思われる。
肉ばっかり食っている生物は美味くないとギャングの一人が言っていた
>>380 だったらベジタリアンは旨いのかと小一時間程問い詰め(rya
犬肉は美味だぞ。中国じゃ警察犬と軍用犬以外は食用とか言われるぐらい。
いい香りがするから香肉と書くらしい。
それにしたって社長の犬をバラすこたぁねえだろ
なの「これが私の…フェレット料理なの!」
ヴィ「なんかもう一種類肉が入ってるぞ」
フェ「おいしければなんでもいいじゃない…ガリッ…これは…アルフの首輪!?」
なの「キシャシャシャーー!!」
元ネタわかんない人スマ
>>370 出来れば知ってるSS教えて頂けませんか?
ヤンデレものって探してもなかなか見つからなくて。
>>385 何その最近チャンピオンで復活した料理漫画
>>387 本当か?
角川でデビル17を出して以来じゃねえのか?
>>382 フルーツをよく食べる人は美味しいらし…ここは肉を語るスレですか?
>>386 370じゃないし、お前さんの趣味に合うかわからんが、みるく症候群、でぐぐるとヤンデレなのはさんが二本ほど。
肉を語っている間にヤンでるなのはさんの続きを投下してもよかですか?w
前後編の予定が終わらなかったんで途中までですが…
よかよー
あり〜では…
長すぎるんでinterlude(間奏)になってしまいますたごめんなしあ
属性は[スカリ×なの][シリアス・微エロ・3期後半]
しかし今見直したら管理局制服でブラは絶対見えんな超ショックorzちょっと樹海に(ry
堕ちっぱなしでなのはが帰ってこないんです。どうしたらいいですか?(フェイト談)
>>386 「なのは ヤンデレ」でググると
>>390のも含めて色々出てくるよ。
あと、とある魂の奥底から叫ぶサイトの投稿小説とか。
コポコポと緑色の液体が満ちたいくつもの大きな培養管が通路の両側に延々と並んでいる。
その薄暗い緑の明かりを頼りに進んでいく、白い魔導師と2人の戦闘機人。
「悪趣味ね…」
ぽつりと呟いたなのはの一言に反応も示さず、無言で進んでいく。
しばらくすると、巨大なスクリーンとそれに見合うコンソールを正面に、
白衣を着た男と冷酷だが有能そうな長身の女性が作業をしていた。
「ドクター、お連れしました」
「ああ」
振り返った薄紫色の長髪と鋭い金色の瞳。
スーツを着こんでいはいたが、それはむしろ彼の容姿の危険さを助長する働きしかしていなかった。
「初めまして、ジェイル・スカリエッティと申します。
突然部隊を飛び出されたと伺いましてね。この子達を使って探させて頂いたのですよ」
「…いいの?確かにAMFは重いけど、このぐらい私が本気になればすぐにでも」
発言の内容に、近接デバイス・ブレイクライナーの所持者、ノーヴェの視線が鋭くなり、
銀髪眼帯の少女、チンクのコートの下でダガーが2本ほど握られる。
「ふふっ、人間の瞳の色というものは案外正直でね」
こつこつこつ、となのはの近くまで歩み寄る。
「なんにせよ、とりあえずジャケットぐらいは解除して頂きたいですね」
「……」
ふっ、っと肩の力を抜くと教導隊制服に姿を戻した。
「ありがとうございます。それでは、好きなだけごゆっくりと、お過ごし下さい」
ぽん、と肩に手を乗せられたが嫌がることも好むこともなく、冷たい瞳を返しただけだった。
「ウーノ、随分濡れておられるようだから、部屋にお連れして温まってもらうように」
「かしこまりました」
ウーノに連れられて、該当の人がいなくなると、ノーヴェが露骨に不信を口にした。
「ほんとに大丈夫なのかな、チンク姉」
「さあ、ドクターが大丈夫だというのなら大丈夫だと思うが」
お湯に身を晒して温もりを得た後、白いガウンに身を包み浴室からでてきたなのはは髪を拭いながら、
ふうとため息をついた。
(何もない部屋…)
ベッドの脇に小さい花瓶とそれを置く棚しかなく、窓もない。
真っ白いシーツに腰掛けながら、天井を見上げてみるが思考と同じで何もなかった。
コンコン
扉を叩く音がする。
「…どうぞ」
軽い空気の音をたて、長身の白衣が現れた。
「おじゃまして構わないかな?」
「……」
無言を肯定と取ったのか、部屋の中央まで歩くと腰のポケットに両の手を入れながら視線を該当の人に向けた。
無機質な音と共に扉が閉まる。
「さて、これでも一応、ドクターと呼ばれる身だ。質問にはお答えしよう」
「…私をどうする気?」
「どう、とは?これでも一応客人の扱いをしているつもりだがね」
改めて腕の力を抜くと、病んだ瞳で睨み返す。
「…好きにすればいいよ、改造でもなんでも」
「おやおや、これはまた随分自虐的な発言だ」
ふっ、と鼻で睨みを一笑に伏す。
「とりあえず訂正しておきたいのだがね、私には無闇に既存の生命体を冒涜したり、殺害したりする趣味はない」
「…研究の目的以外であれば、でしょ」
「くくくっ、否定はしないよ。だが私から見ても君は既に完成の域に近いのでね。
完成された絵画を壊すのはあまり好みではないな」
「完成…?この傷だらけの体が?」
「傷?ああ」
おもむろに近づくとガウンの前を遠慮なくがばりと開いた。
ただし裸体を見られても、当の本人は無気力で全く抵抗もしない。
均整の取れた、美しいボディラインであったが乳房の下から腹部にかけて、大きな傷跡が残っていた。
「実はだね、あのアンノウンは私がクライアントから委託されて派遣したのだよ」
「え?」
「まあ正直、力の在る素体に対して不意打ちなど趣味ではなかったのだが。そこは許してもらいたいね」
「…クライアントって?」
「名は明かせないが、簡単にいうと、そうだな……とにかく嫉妬深い女でね。私もほとほと困り果てているのだよ」
「そう…」
(嫉妬…嫉妬?)
「しかしこの程度の傷、消してしまえばいいものを」
まるで本当の医者のように傷跡を検証するように優しく指先で触れた。
「これは…戒め、だったから。それに私が生まれた国では消すのは難しいの」
「ふむ、なるほど。確かにそれは美徳とも言うべき心がけだが」
「…あなたは」
「ん?」
ふとあがったスカリエッティの瞳の奥に、何か見覚えのあるものを見た。
(あ…)
そしてそのまま、彼女は唇を傲慢な唇に押し付けていた。
「んむ…?」
突拍子もない行動に、行動予測を超えていたがドクターらしく大人の対応で軽く受け入れた。
何事もなかったかのように離れると、お互いをじっと観察する。
「ふむ、君はなかなか面白いね」
そして片手で乳房をふわりと包んだ後、そのまま腹部に降り、そのままさらに下の閉じられた足の間に滑り込んだ。
「やっ…」
思わず指の背を唇にあて、頬を赤らめるなのは。
指先がちゅく、という音をたてて動き始めるとだんだんと呼吸が大きくなってしまう。
そのままベッドに押し倒され、さらに指の本数を増やされる。
「あっ、あっ、あ」
「久しぶりにこういう非近代的な合成も悪くないかもしれんな。
前は、いつだったか。そうプレシア・テスタロッサだったかな」
「…え?フェイトちゃんのお母さん?」
「ああ、当時の彼女はそれは美しかった。しかし」
まじまじと目の前に投げ出されている綺麗な裸体を観察して続いた言葉は
「それよりも、君は客観的に見て美しいと褒めておこうか」
全く照れようもないような味気ない鑑賞結果だけであった。
「…好きにすればいいよ」
「ああ、そうさせてもらうよ」
その後結構な長い時間の間、女の甘い声と淫靡な音が部屋中に響き続けた。
ガタン、と何かが激しく落ちるような音が聞こえて、首にVのプレートをつけた長身の戦闘機人
――トーレは何事かと音源の方へ向かった
すると、作成途中のガジェットドローンT型を上着のない教導隊制服姿のなのはが、
くすんだ瞳で寄りかかって倒していた。
「ん、なのは殿。どうなされました」
そう問いかけたトーレの視線の先に見えたのは、白い手に握られた小さな瓶のボトル。
その中に入った茶色い液体をそのまま口につけて、一部分はだらしなくこぼし、虚ろな瞳のまま呟く。
「薄い……全然味がしない」
確か40度はあるはずだが、とトーレはラベルをみて眉をひそめたがこのまま放置するわけにも行かず、
軽々と抱えあげた。
「もうお部屋でお休みになられた方がいいですね。運びます」
「ん…V番…トーレちゃんか」
焦点の怪しい瞳にも辛うじて容姿とVのプレートが見えたらしい。
「ほんと、みんないい子達ばっかりだよね。貴方達」
「そうでしょうか?」
「うん、…あ、クアットロ以外ね」
泥酔者にまで嫌われ者として認識される妹にさすがのトーレもわずかな苦笑を禁じえない。
「あれはあの性格が長所ですから」
「ほんとに、あのドクターが作ったなんて思えない」
「ドクターは優しい方ですよ」
「うん、そうだよね…。でも優秀過ぎて壊れちゃったんだね。ふふ、私と一緒……」
そういって再び酒を含む腕の中の人に、流石につける薬はないなと、トーレですら思うしかない。
「ね、どうしても戦わなきゃいけないのかな…」
「私達はドクターの指示に従うだけです。それに、戦いがなければ我等の存在に意味はありませんから」
「そうだね、悲しいね…ほんとにみんな良い子達なのに、なんでなのかな…
いつまでも何回も悲しみを繰り返して、それでも力を追い求める。私は、もう嫌だよ…」
「そうですね…生まれ変わったら考えてみるのも面白いかもしれません」
「うん、…そうだね」
なのはを抱えて通り過ぎていくトーレの様子を見て、ディエチはデバイス調整をしていたクワットロに問いかけた。
「なあクワ姉」
「なぁーに?ディエチちゃん」
「あの人ってすっげー優秀な魔導師なんだよね?私らが束になっても敵わないぐらいの」
「それはそうかもしれないけどぉ、でも悲しいかな普通の人間なのよね〜」
「どういうこと?」
「結局どれだけ魔力が強くてどれだけトレーニングを積み重ねたとしてもぉ、精神的に向上心のないものはばかだ、ってことよ」
「んー?クワ姉の例えは難しすぎてわからないよ…」
「まあこっそり教えてあげるけど、恋人と親友を、いっぺんになくしちゃったみたいなのよね〜」
「ふーん…」
「智に働けば角が立つ。情に棹させば流される。意地を通せば窮屈だ。兎角に人の世は住みにくい、ってね」
「どっちにしてもよくわからないよ…」
クワットロはぴっ、と調子よく最後のデバイス調整を終えて完了のキーを押すと、これでよし、と得意げに手をはたいた。
訓練を終えて皆での昼食。
なのはが居なくなった当初こそ暗い雰囲気だったが、最近は徐々に癒されてきたのかほとんど話題にも上らなくなっていた。
「エリオも、キャロも、本当にしっかりしてきたね」
今朝の模擬戦の感想を素直に笑顔で述べるフェイト。
「ありがとうございます!」
「ありがとうございます!」
「うん、でもこの間薬使った時は本当にひどかったけどね」
「あ、あれは…」
キャロが恥ずかしそうに口ごもる。
「あれは、仕方ないですよ」
フェイトが提示した薬とは、最近開発された新薬で一時的に使用者の魔力を増幅させる、一種の薬品カートリッジである。
ただしその代償として、使用後に激しく使用者の精神を蝕む副作用がある為、
一番使う可能性の高いキャロが1錠だけ先日試行をした。
効果は抜群で攻撃、防御、召還全てにおいて優れたパフォーマンスを残したのだが、
薬が切れた直後からフェイトに抱っこを求め、やっと落ち着いてきて歩けそうになったと思ったら、
その後もずっとエリオに手を繋いでもらっていたという、なんともいじりがいのある結果だったのである。
そして、ことあるごとにあの時は〜、と最近の話題として提供されていた。
「どっちにしてもあの薬はよほどの事がない限り使わない方がいいよね」
真面目にフェイトに諭されて、キャロもうなづく。
「本当は、ちょっと嬉しいですけど…恥ずかしすぎますからね」
あはは、と笑ったエリオも少しだけ照れていた。
そんな2人にいつも通り、フェイトは優しく微笑む。
「――次のニュースです。先日提出された婚姻届けの中に問題性のある人物が居たとして、議論を呼んでいます。
提出者は凶悪犯罪で広域指名手配されている、ドクター・ジェイル・スカリエッティと」
「え?」
全員の視線が食堂の画面に釘付けになる。
「元時空管理局本局教導隊所属の高町なのは元一等空尉の2人です」
カランカラン…
フェイトの持っていたスプーンがテーブルに落ちて乾いた音をたてた。
「指名手配犯と失踪していた空戦魔導師との関係性も含め、慎重に検討されている状況ですが、
法律的には問題がない為、両日中には受理せざるを得ないと判断が下った模様です。この件に関して時空管理局は――
「ふぇ、フェイトさん?」
「…ごめん、ちょっと先に部屋に戻ってるね」
「は、はい…」
それこそ六課全員の視線を背中に集めて、ふらふらと食堂を出ていく彼女の後姿にはさすがのシグナムも不安を覚えた。
「主はやて…」
「うん、厄介なことになってもうたなぁ…」
自分の部屋に戻ってベッドに倒れこんだフェイトは、小さくも叫ばずにいられなかった。
「どうして…どうしてだよ、なのは…!」
続きは…明日、できるといいな…w
やぱり数の子たちわかりにくいよぅ・゚・(ノ∀`)・゚・。
乙!
なのは(ノ∀`)
>>400 スカリ×なのだとぉ・・・・ケコーンだとぉ・・・これは・・・これは・・・・。・
∧∧ ∧∧
キタ━━━━ (*゚∀゚) (∀゚*)━━━━━━!!!!!!!!!!!!
彡 ⊂ つ⊂ つ ミ
(( ⊂、 / \ 〜つ ))
ミ ∪ ≡ U′ 彡
これは面白い。酒に溺れてアルコール分40度以上を平気で煽るなのはがやけにはまってる。
>なのはが居なくなった当初こそ暗い雰囲気だったが、
>最近は徐々に癒されてきたのかほとんど話題にも上らなくなっていた。
しかし、フォワード陣のなかでもスバルはめちゃショックだったんじゃないかねぇ
>>400 ちょw スカ×なのはとか斬新すぐるwwww
でもGJ!
アニメのなのはは精神的に隙が無さ過ぎるからこっちの壊れたなのはの方がよっぽど親しみが持てると思ってる俺異端?
>>400 GJ。
なのユ派の俺としては微妙に複雑な気分ではあるが・・・・・・
なんというなのはさん。
なぜかこの板のなのはさんは壊れやすいなw
>400
GJ!何気にスカリエッティとクアットロがいい味&ドクターの発想すごすぎ。
>404
安心しろ。少なくとも同意するものがここに。なのはは無印時代が一番丁度いい。
あー…そっかなのユ好きな人にはお勧めできないね…次は書きます
さて、ロックでも飲むか…最近薄く感じてしょうがねえやばいやばいww
>>400 >精神的に向上心のないものはばかだ
夏目漱石自重wwwwwww
そういや「智に働けば角が(ry」も夏目漱石の小説の一節だな
文学少女してるクアットロ想像して吹いたw
すごく珍しいカポーだ!
スカ博士はベッドの上では冥王を御してしまうのか・・・。
夏目漱石の「こころ」は、「先生」をフェイトと重ねると伏線になってたりしてなwww
ケケケ
>>411 むしろ搾取されて抗う元気もないのでは?w
なのはの誘いに乗ってナンバーズも参戦してたりしてなw
病んでると評される珈琲みるくの奴見てみた
なのはさん、単なる戦闘狂のド変態じゃないかw
究極のドSフイタwww
>>413 ⌒*(#゚Д゚)*⌒
「単なる戦闘狂のド変態、でいいよ…。
単なる戦闘狂のド変態らしいやり方で話を聞いて貰うから!」
スカよりもナンバーズが結婚にいたるまでにどんな目にあったのかが気になる
クアットロは絶対一回は頭を冷やしてる
417 :
名無しさん@ピンキー:2007/09/08(土) 23:07:37 ID:+wZIjPc5
俺もなのユ派なんで複雑だが、まさかこうなるとは…。
ユーノとフェイトを忘れたいのか、自分を嬲ってるように見える…
酒に溺れるまでになってるんじゃ、
スカだけじゃなくガジェットのアームで触手拘束プレイまでヤリソ(ォ
>>370>>371 確かに最近ココらヤンデレブームで俺もNameless続き見たいが、純愛Hだって大歓迎だぞ。
38 ◆KHEtQ2j5Nc氏のとかな
>>412 最後には自分を慕っているエリキャロにでも遺書を残して失踪するのか?w
>>416 でもクア姉は一番祭り好きだからノリノリで結婚式の準備をしそうだ。
A'sとStrikerSの間に、成長して髭とか生え始めたユーノとクロノにショックを受けた
三人娘とかその他諸々の連中に、大筋をまとめると
「美少年にひげとか駄目!」
という意見を押し切られてロストロギアで永久脱毛されて枕を濡らす司書長と提督
という夢を見た……orz
なんなんだいったい……
>>420 ヒゲ・・・・・・それを聞いて何故か
『ユーノ君のお髭がくすぐったいよぉ』と、朝チュンベッドの上で
ユーノの顔に頬ずりするなのはさんを妄想したじゃないか
>>420 なんかその二人を慰めてるザフィーラを見た
>>416 一瞬スカトロとか読んでしまったオレは頭冷やしてくる
・・・スカットロ?
スカ博士とクアットロがフュージョンしたらこんな名前になりそう。
>>421 保管庫にそのシチュあったな、相手はクロノだったが
俺なのは×ユーノ派だけどこれはこれで面白いと思ってる。
>>400マジGJ
やっぱ病みなのはネタは面白い。不謹慎でスマソが
スバル02式の続きマダー?
スバエリはいいものなのだよ!でも何故か人気ないんだよな・・・
早朝投下
多分続かない
「く…う…」
エリオには、分かっていた。
もう自分に戦えるほど力が無いことを。
視線を右に送ると、ぐったりとして動かない2人。
もはや、見た感じでは息をしているかどうかも分からないフェイトとキャロ。
―\もう…ダメだ…
限界の足音はもうすぐ傍に来ていた。
エリオ少年の憂鬱
だが、気を失うことを下半身の感覚が許そうとしない。
弾力と柔らかさを兼ね備えた2つの乳房が、エリオの息子を挟み、自由自在に形を変え、刺激する。
「無理だと言っていた割には、硬くて元気だな」
その乳の持ち主、烈火の将シグナムは不敵に笑った。
どうしてこんなことになったのか…
まだ、今よりも幼い頃、まだ、フェイトと一緒に住んでいた頃。
浴室でフェイトに唐突に奪われた彼の童貞。
それが何を意味するかなど全く分からず、ただただ気持ち良かった。
そして、月日は流れ、機動六課へと加入し、その夜、フェイトに呼び出されたエリオが体験したのは
正に誰もが羨む3人の隊長との夢の世界だった。
若くして高い地位と美しさを誇る3人との夜は、今まで生きてきた中で最も素晴らしい夜であった。
幼い彼だったが、3人の期待に答える為、限界を超えて頑張った。
最高だ。
自分は、間違い無く最高の人生を送っていると、信じた。
だが、翌日から歪みが発生する。
430 :
憂鬱:2007/09/09(日) 06:32:18 ID:DrjgL5VP
昨日の夜と初の訓練の疲れでドサっとベッドに倒れ込んだエリオの耳に、扉が開く音が飛び込んだ。
誰だ?とそちらを見ると、はやての守護騎士、ヴォルケンリッターの3人、シグナム、ヴィータ、シャマルがいた。
そして、彼女たちの着ている衣類は明らかに薄く、下着と呼んでも差し支えのないようなもの。
彼女の熱を帯びた視線が自分に何を期待し、何を求めているのか分かってしまった。
再び、最高の夜を体験することになるのだが、昨夜と疲労が全く違った。
それでも、自分の快楽の為、3人の期待に答える為、エリオは頑張ったのだった。
3日目の夜、歪みがより確実に感じられ、エリオは自分が抜け出せない穴に
落ちてしまったのではないかと疑問を抱いた。
今日こそは、とベッドに倒れ込んだエリオに再び、扉の開く音が飛び込んだ。
今回現れたのは、戦場を共にする3人の同僚、スバル、ティアナ、キャロ。
勘弁してくれ、と思ったが、一昨日、昨日と同じことが行われるとは限らない。
きっとお互いを知り、馴染む為に話をするのだと信じることにした。
信じる者は救われる。
今は、信じるしかない。
だが、信じる者にしか救わない了見の狭い神様は、スパッと、裏切ってくれた。
高速の勢いで、スバルに拘束され、ティアナに全裸にされてしまった。
それからは言うまでもなく、他人から見れば最高の、エリオからすれば天国と地獄を
一片に味わう夜へと突入した。
それからというもの毎夜毎夜誰かが訪ねて来て、体を交えることとなった。
最低でも2人は来る。
9人全員が来て、襲いかかるかの如く求めてきた時は、エリオは死を覚悟したりもした。
教導では、肌のツヤがなまめかしい上司と同僚、ゲッソリとした自分というわけの分からない自体に陥っている。
このままでは本当に倒れてしまう。
それが出撃時であれば、悲惨な結果を招きかねない。それを危惧したエリオは、3P→2P→4P→休みのローテーションをはやてに提案した。
渋ったはやてであったが、必死なエリオに仕方なく了承した。
431 :
憂鬱:2007/09/09(日) 06:35:33 ID:DrjgL5VP
これで少しは休めると思ったエリオであったが、僅か3週目にして「少な過ぎるの!」と言って
入浴中に突入してきたなのはによって、ローテーションは崩壊させられてしまった。
その様子を影で見ていたはやてが、夜神はやて?と思われてしまうような顔で
「計画通り」と呟いたことをエリオは知る由も無かった。
「あ…あぁ!」
エリオの弱々しい甲高い声と共に腰が浮き上がり、ビュッとシグナムの顔を汚す。
シグナムは、顔にかかったものを指で取り舐めるとニヤリと笑う。
「まだまだ濃いじゃないか…もう6回目だろ?…それに…」
シグナムの視線がエリオに向かう。
―お前、…ふざけるな…
エリオ自身は疲労困憊だというのに、息子はまるで別の生物のように元気に張り詰めている。
いっそ切り落としてしまいたい、と思った。
「まだまだ大丈夫ということだな」
そう告げると、シグナムは股を広げ、エリオの上に跨がる。
先端がシグナムへとめり込んでいく。
この自分と他の女性が1つになる様子がエリオは堪らなく好きだった。
体が勝手に興奮してしまうのである。
その様子を凝視していたエリオの視界が急に暗闇に包まれる。
何かが顔に密着しており、温かな湿り気を口元が感じた。
「ほらほら、こっちは開いてるでしょ?」
その声は、教導の模擬戦中、そして、実戦の中でも新人達を纏めるべく張り上げられる声。
ティアナの声。
「きちんと…舐めてよ…」
催促するように腰を揺らして、エリオの顔に秘部をなすりつける。
舌を出し、撫でるように這わせた瞬間、下半身に刺激を受ける。
自分が完全にシグナムに包まれたのだと感じ取った。
「あ…ぁ、んぅ…」
見えはしないが、シグナムのいやらしい声が耳に届いた。
「相変わらずの…くふ…大きさだな…」
受け入れてシグナムはエリオのサイズを改めて感じる。
通常時は、年齢相応の可愛らしいそれだが、血が通えばとてつもない膨張率を発揮し、
常人を遥かに越えるサイズへと変貌する。
―シグナムさんは騎乗位で、擦り合わせるように動くのが好き。
ティアナさんは、クリトリスが弱い。
432 :
憂鬱:2007/09/09(日) 06:38:27 ID:DrjgL5VP
ティアナから溢れ出てくる液を丁寧に舐めながら、無意識の内にこれまでの中で得た知識を確認する。
力の入らない腕をなんとか持ち上げ、ティアナの秘部へ向ける。
シグナムは、回転するように腰を捻り、快感を求めて始める。
指先で皮をめくり、クリトリスを擦るように刺激すると、「ひゃはっ!」と聞こえ
ティアナの体が一瞬、快感に硬直した。
「くぅ…ぁあ…はん!」
シグナムが声と共にペースを上げていくことを、快感と共にダイレクトに感じながら、ティアナを舐め続けた。
―あぁ…ダメだ…ダメなのに…気持ちいい…
次第にエリオの腰もシグナムを昇り上がらせる為に動き始める。
その気持ち良さに舌と指先も活気づく。
エリオの舌によって熱が高まったティアナは、背を反らしながら、エリオに押し付けた。
「え…りお…あぁん」
自分で自分の胸を弄り、もう少し上り詰める頂上へと足早に進んだ。
一方、鼻と口を殆ど塞がれ、息苦しさを覚えたエリオは、舌の先でクリトリスを見つけ出し
前歯で優しく、だが、力強く噛んだ。
「…くっ…あぁぁ!!」
ティアナの絶叫とともに先程まで、エリオが舌で掬っていた液とはまた違う液が、噴き出る。
頂上に達したティアナは、ピンと背を伸ばして少し固まり、そして、力無く崩れた。
肺が酸素を求め、口と鼻が荒々しく空気を吸う。
倒れ込んだティアナをシグナムが器用に退かし、横にする。
「こちらに集中してもらうぞ」
そう言うと、息を整えたばかりのエリオの唇に自分の唇を重ねた。
シグナムの豊満な胸がエリオの薄い胸板押し付けられる。
シグナムはすぐに、舌を捩込み、口内を蹂躙する。
歯茎、歯列を余すところなくなぞり舌を搦め捕る。
エリオは再び息苦しくなり、酸素を求め、僅かな隙間から空気を吸う。
シグナムは、そんなことを気に止める様子など全く無く、舌を絡めながら、自分の唾液をエリオに注ぐ。
勿論、その間も、シグナムの腰の動きは止まること知らない。
「あぁん!」
突如、押し上げられた腰の響き、口を離し声を上げるシグナム。
エリオは、その間に酸素を取り込み、腰を強く上下させシグナムを追い詰める。
聞こえてくるシグナムが快感に揺らされる声の中でエリオは、考えた。
433 :
憂鬱:2007/09/09(日) 06:41:39 ID:DrjgL5VP
―さっきまで絶対に無理だと思ってたのに…
先程までの倦怠感が嘘のように腰が激しく動く。
ティアナから噴き出された液のせいなのか、シグナムから送られた唾液のせいなのか…
「ま、んくぅ…ぁあ…また…大きく…」
エリオは更に膨張し、シグナムを内から張り詰めさせる。
肉と肉と弾ける音が響く。
踊るように上下に揺れるシグナムの胸を、握るように揉みしだく。
「もぅ…くあぁ…イ…クッ…」
そう言ったシグナムの口からは舌が力無く垂れており、顎をよだれが伝っていく。
「あぁぁぁぁ!」
雄叫びのようにシグナムが叫び、エリオに倒れ込んだ。
しかし、エリオは腰の動きを止めなかった。
「あ…が…くぁ…」
シグナムは、ピクピクと痙攣しながら、声にならない声を漏らしている。
唾液が否応なしにながれ、エリオの胸を汚す。
「く…うっ!!」
エリオが最後にグッとシグナムに押し込み、7度目の射精を行う。
シグナムは、「あ…ぐぁ」と漏らして少し白目を剥いた後、気を失った。
全て注ぎ込み、少し経つと、力が抜けたように小さくなったエリオは自然とシグナムから抜けた。
エリオに再び、あの怠さが戻ってきた。
それでもやらないといけないことがある…と、体を起こし周りを見る。
行為の後、皆、そのままエリオの部屋で眠る為、普通より多くしまってある布団やタオルケットを取り出す。
それを持ったまま、重い足取りで、シグナムと同じように自分が気絶させたフェイトとキャロに近付く。
もっと早くかけてあげるべきだったと思いながら、2人の上に布団を優しく広げた。
シグナムにも同じようにかけた後、ティアナにも、とそちらを見ると目を見開いているティアナと目があった。
まさか…と内心焦ったエリオの機微を察したのかティアナが口を開いた。
「私は、もう満足よ…エリオも早く寝なさいよ」
そう言いながら毛布を催促するように手を伸ばす。
なんだかんだ言って、ティアナが六課フォワード陣の中で1番常識人かもしれないと、思いながらエリオは手渡した。
「あの…」
「何?」
エリオは、聞こえないなら聞こえないでいい、というほどの小さな声を口に出したが、
どうやらティアナには聞こたらしい。
434 :
憂鬱:2007/09/09(日) 06:44:07 ID:DrjgL5VP
「なんで…その僕…なんですか?グリフィスさんやヴァイスさんもいるじゃないですか…
他にも名無しの男の人もいると思いますし…」
どうして自分ばかりが求められるのだろうか。
ティアナは、答えてくれた。
「なのはさんの話じゃグリフィスさんは、かなり早濡…噂じゃ2突きイッらしいわよ…」
「ふ、2突き…」
それは早濡というレベルを逸脱してるのではないのか。
エリオは、呆然とする。
「で、ヴァイスさんは短小包茎、…要するに粗チンってやつね…
八神部隊長は見ただけで萎えたらしいわよ…。
で、エリオのは太い、硬い、長いの3点張りに持久力抜群のハイスペックだから、求められるわけ!」
ティアナの説明にエリオは自分のを見る。
今はすっかり萎んでいるそれは、先程まで激戦を演じていたとは思えず、苦笑してしまう。
これは男としては誇るべきなのか?とティアナに聞こうとしたが、
ティアナが既に寝息を立てているのに気付きやめた。
エリオは1度欠伸をして、時計を確認すると、自分も眠ろうと横になった。
横になると、もう動くなと言わんばかりに体が固まった。
明日も大変だ、と思いながらエリオは目を閉じた。
だが、扉が開く音がエリオが夢の世界に旅立つのを妨げた。
―ま、まさか…
嫌な汗を垂らしながらそちらを向くと、廊下の光に当てられた2つの影。
顔は見えないが、そのサイドポニーとショートカットにも見覚えがあった。
「夜はまだまだこれからだよ」
なのはが前に出る。
「ローション持ってきたんや、お風呂場でせぇへん?」
はやてが容器を持ち上げる。
―死にたい
本気でそう思った。
終わりです…
エロって難しいね…ダメだこりゃ…
>>435 GJ
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:::::::::::::::::::::::::::::::::。::::::...... ... --─- :::::::::::::::::::: ..::::: . ..::::::::
:::::::::::::::::...... ....:::::::゜::::::::::.. (___ )(___ ) ::::。::::::::::::::::: ゜.::::::::::::
:. .:::::。:::........ . .::::::::::::::::: _ i/ = =ヽi :::::::::::::。::::::::::: . . . ..::::
:::: :::::::::.....:☆彡:::: //[|| 」 ||] >エリオ::゜:::::::::: ...:: :::::
:::::::::::::::::: . . . ..: :::: / ヘ | | ____,ヽ | | :::::::::::.... .... .. .::::::::::::::
::::::...゜ . .::::::::: /ヽ ノ ヽ__/ ....... . .::::::::::::........ ..::::
:.... .... .. . く / 三三三∠⌒>:.... .... .. .:.... .... ..
:.... .... ..:.... .... ..... .... .. .:.... .... .. ..... .... .. ..... ............. .. . ........ ......
:.... . ∧∧ ∧∧ ∧∧ ∧∧ .... .... .. .:.... .... ..... .... .. .
... ..:( )ゝ ( )ゝ( )ゝ( )ゝ無茶しやがって… ..........
.... i⌒ / i⌒ / i⌒ / i⌒ / .. ..... ................... .. . ...
.. 三 | 三 | 三 | 三 | ... ............. ........... . .....
... ∪ ∪ ∪ ∪ ∪ ∪ ∪ ∪ ............. ............. .. ........ ...
三三 三三 三三 三三
三三 三三 三三 三三
>>435 羨ましいのに代わりたくならないのが不思議だw
ノ∀`)タハーエロオ乙
こんな時こそ盾の守護獣だ
>>435 GJ!
エリオSS好きだからまた暇があれば続編頼む。
にしても10Pはすげぇw
441 :
名無しさん@ピンキー:2007/09/09(日) 07:58:09 ID:h3wiAfTP
>>435 GJ!エリオの死因が腹上死か腎虚以外ありえないな……。
そろそろ皆ユーノの部族名をしっかりと記憶するべきだと思うんだ
「スクライヤ」ではなく「スクライ『ア』」
モロヘイヤみたいな響きは悲しくなるんじゃよ…
>>435 朝起きてのぞいてみたら早速エリオが汚されてるー(ガビーン
でも…うんGJ
444 :
386:2007/09/09(日) 09:21:01 ID:Z/CcM8qc
>>435 なんてこったい!
隊長達3人との夜を見てみたい俺である
さっきから何故かユーノ・モロヘイヤというフレーズが脳内から離れない。
ネバネバしたユーノくんか
粉末にされて青汁の材料にされるユーノを想像しちまった俺はどうすればwww
>>435 エリオが壊されるのかと思ったら逆転勝利する様に思わせて
それでいてまたたたきとおされる展開に吹いた
マジGJ
思ったんだけどエリオ×キャロのパターンが無い事は無いけど
思ったより少ない様に思えるのは自分だけ?
どっちかってーと色んな意味でキャロが主導権握ってるパターンが多いような
エリオって職人さんによっていろいろキャラ違うから面白いな
鬼畜王エリオとか
がははっ!グッドだ!
>>435 GJすぎだよw
グリフィス、ヴァイス、その他名無しの男
マジ哀れorz
夜神はやて、オソロシスwwww
>>453 本当はグリフィスもヴァイスもいいモノを持ってそうだけどなw
司書長や提督のはどうなんだろうか?
こんにちは、誰も居ませんね?
アリシアの話が終わりまで書けたので投下します
・エロ無し
エリオの受難 アリシアの場合
ギンガせんせい(師匠)―
翌朝
ミッドチルダ西部、エルセア
ナカジマ邸(本家)
かぽーん…
鹿落としの澄んだ音が広い日本庭園に広がっていく
近く引退して現役を退く予定のゲンヤさん、それと未だ独身のギンガさんの住むナカジマ邸(本家)
にボクとティアナは来ていた
ボクの赤い頭の髪はところどころ焦げていたが、他は二人ともきっちりと正装だ
「は、話は解りました…けど…その…」
向かって左側
それっきり、正座したまま、思いっきり顔を赤らめたギンガさん
「…………まぁ、困った話だよなぁ」
げしげしと欠伸しながらタバコを灰皿に押し付けているのは、半ば畳に寝そべったゲンヤさん
十分な恩給に悠々自適の生活も近い、初老と言うに相応しい風貌、好々爺となるのも遠い日では無いだろう
全然困った風でなさそうに、暢気な表情で庭を眺めている
「おっ!?、おいぃ!リク坊、あんま縁の方に近寄るんじゃねえぞ!」
ふいにゲンヤさんがガバリと体を起し、声を上げて庭石の上にかがみ込んでアリの列を眺めているいる初孫…男子に呼びかける
このおじいちゃん、先ほどから、そちらの方が気になって仕方が無かったのだ
呼ばれた、ただ今現在のゲンヤの宝、リクオーがテクテクと移動した後、ちょんと頭を上げてこちらを見てまた視線を落とした
それでゲンヤも「ふ〜」と息をついた、リクオーは池の鯉を見ている
「…やれやれ、なぁおいエリオ知ってるか?、リクオーの名前はな、オレが考えたんだぜ」
よっこらしょとゲンヤは体を戻し、二カリと笑ってエリオ笑いかけた
「はぁ……はい…そうですか…」
別に聞いてませんけど、今それどころじゃないんです…
頭に包帯を巻いて、引っかき傷だらけのボクは気の無さそうに呟いた
「…ちょっとお父さん」
ギンガさんがゲンヤさんを引っ張る
げしげし
屋久杉の切り株を使ったローテーブルの下で、ボクも正座してる足をティアナに突付かれた
前を向いたままの顔を怒ったように赤くしている
夫婦の恥をぶちまけた羞恥心だか、足が痺れてるのに困っているのかどちらかは不明だが
とにかくせっつかれているのは確かだ、早く本題に入れと言う事らしい
ボクは顔を上げて向き直った
ゲンヤさんがボソリとつぶやいた
「…まぁしょうが無いんじゃねぇかな?エリオも男だ、聞けば今回の…そりゃもう事故みたいなもんだろう?
昔からな…据え膳くわぬわ男の恥ってな、なーに今回のはモノが穴だけにホールインワンならぬニアピンなんてな……」
ギラリ
ぬはは、と、耳を掻いた小指を息で飛ばしながら、笑いけたゲンヤさん
ザクリ
殺気混じりのティアナの視線が固形物と化して突き刺さる、げっ…と言う感じでティアを見て青くなるゲンヤさん
慌てて迂闊な父にギンガさんがフォローを入れつつ腰を浮かせた
傍から見たら、娘さんを下さい!そういった感じに見えるだろう、今回のお願いは当然違うのだが
少々当惑した顔で頬に指を当てて思案顔のギンガさん
「で、どうよ?」とゲンヤさん
「う〜ん、でもね…本当に私でいいのかしら…?やっぱりこういうのは、家族…の方がいいんじゃ…ティアナさん?」
視線を受けてティアナがゆっくりと頭を振った、いささか無念そうだ
「…一般常識と家事ぐらいならあたしで何となりますけど、アリシアの場合…体の構造からしてあたしと違うし…
あたしじゃ…性とかそういうの全部はちょっと自信無くて…アリシアぐらいの年齢が一番大変な時期なんです…
それにこう言うのは複数から教わると子供は混乱しますし…
初めは誰か一人に教わった方が良いと思うんです…」
勝手な事言う上、ご迷惑かけて本当に申し訳無いんですけど…
ティアナはそう続けた
「スバルからギンガさんがお母さん代わりだったって聞いてたもので…」
「…それは…確かにあの子はは私が教育したようなものだけど…」
ギンガは呟いた
「他に頼れる人が居ないんです…どうか…お願いします」
「…お願いします」
正座したティアナと土下座したボクは揃って頭を下げた
ぽりぽりと頭を掻くゲンヤと顔を見合わせてギンガさんは一瞬困った顔をして若い夫婦を見た
二人とも疲れ果てた表情だ
しばらくして、はちゃ〜という表情で苦笑しながら言った
「…解ったわ、そこまで言われたら仕方無いわ、、私でよければ力になるわティアナさん
…考えて見ればフェイトちゃんの事だけでも大変だもんね、それに…」
同じ身の上の子の力にならなきゃ
笑顔でそう言って微笑んだギンガさん、流石に機人、6課の昔会った時と変わらない時間が止まったような若さと美しさだ
ボクとティアナはパッと顔を輝かせ次いで、見合わせて喜んだ
「あ、ありがとうございます!」
「ありがとうございますギンガさん」
あの後何とか修羅場が収まって…
(泣きじゃくるティアナとワケの解らないと言う風で裸のままボクに抱きついているアリシアの間で
…それは口で言うほど簡単では無かったが…)
ボクはティアナと朝まで協議した結果ここナカジマ低に来ることにしたのだ
夜勤明けでボクが休みだったのとティアナが育児休暇中だったのも幸いした…
ボクは一人の人間を、それも普通の生い立ちでは無い機人の子を預かるという事
その事を甘く考え過ぎていたのを痛感した
あの子を預かってから3ヶ月、割合なんとかなりそうなので油断していたと言えばそうだが
アリシアは文字どうり普通では無かった、普通の人間なら当然知ってる一般常識をまるで知らなかったのだ
及びその世の中に対する認識と考え方が同年代の娘達とかけ離れていた
今回の件にしてもティアナに対する第一声が
「…あ、ティアナ…お母さん…お母さんも一緒にするの?嬉しいな…、一緒にお父さんと気持ちよくなろう…」
である
両手にクロスミラージュ
「どいてアリシア、そいつ殺せな…!!」と叫びかけた涙目のティアナが
「…ぇ?」と唖然とした顔で止まっていた
チャンス!と、直後にボクは間髪入れず事情を説明したが…一歩タイミングを間違えれば今回どうなっていた事やら…
アリシアは親子という関係すら完全に理解して居なかったのだ
「お父さん」「お母さん」と呼ばれていて安心しきっていた、全然その事に気がつかなかったは迂闊だった
アリシアは、それは僕達の名前の一部だと理解していたようだ
・
・
・
「…こんにちは、よろしくね、アリシアちゃん」
トントンとつま先を鳴らしてブリッツキャリバーの感触を確かめギンガは言った
庭先に竹藪が見える、シンとした静寂が稽古場を満たしている
仕事以外でBJを着込むのは久しぶりだ、ずっと昔スバルに稽古をつけてたのを思い出す
ポツンと板張りの稽古場に残されていたアリシア、前に手つかずのお茶とお菓子が置かれている
自分の名を呼ばれ、キョロキョロしていた顔をそちらに向ける
そこに予定外の顔を見つけ、繊細な眉をひそめた、怪訝な表情を見せる
?という顔つきのアリシアが尚もキョロキョロとエリオ達の姿を探し求めた
しかし該当する人が見つからないので仕方なく再び、知らない女の方に目を戻した、いささか表情に焦れがある
「あの…父さんは?……」
警戒の目つきのアリシア
BJ姿のギンガを
出るところは出て引っ込むべきところは引っ込んでいる成熟した女性を見る
アリシアはこの時、未だエリオ一家以外の人間に対しては警戒心丸出しの猫そのものだった
そもそも3ヶ月研究所を覗けば家からほとんど出た事が無かった
あ、と気がついたようにポンとギンガは手を合わせた
「今日から…ごめんなさい、紹介がまだだったわね、…私はギンガ、ギンガ・ナカジマって言うの
貴方のせんせい(師匠)になるって…エリオ君と約束したの、公私ともに私の言う事を良く聞いてね?
いい?アリシアちゃん?」
せんせいって読んでね、腰に手をあてて言うとギンガは指を一本立てた
「ぇ…?」
一呼吸間が空いてアリシアは声を漏らした
何を言ってるのだこの女は?
「えっと…そうね、とりあえず…私は休暇を3日取れたから…これから3日間はみっちり朝から晩まで、お勉強ができるわ、それと…」
アリシアはむなしく口を開閉させた
「…ふ、ふざけるな!あたしは帰る、…いや、エリオ父さんは…ティアナ母さんはどこだ!?どこに隠した!」
辺りをぐるぐると見回して、半ばパニックになる
「…ハイ、女の子がそんな言葉使っちゃ駄目よアリシア、『どこですか?』ハイもう一度、最初から言い直し」
ぴっと二本目の指を立てるギンガ
「…っこのふざけるな!」
カッとなったアリシアは立ち上がり、その右足が風を巻いて勢いを付けて舞い上がった、しかし
ギッ…ギシ…
その蹴りがギンガの左ガードでしっかりと防がれていた
「な…くっ…」
「…スピードとパワーはまぁまぁ…でも、エリオ君から聞いてたままの攻撃だね、駄目だよいつも同じ攻撃方法ばっかりじゃ…」
片目を閉じてウインクするギンガ
「……ッ」
トンと上げた足を下ろすとアリシアは前に出た、路上生活していた以前と違って今は体の限界を気にする事も無い
遠慮無く常人の数倍の威力を秘めた機人の筋力を発揮するべく全身の神経経路に命令を下した
疾風のように四肢を繰り出す
ギンガは一見ただの棒立ちのように見えた
右、右、左、ステップバックして後ろ蹴り、火を吹くように次々とアリシアが繰り出す攻撃が全て空を切る
すいすいと首を倒し、屈み、回避する、スウェーバック、ひょいとお腹をひっこる、ただそれだけの動作していないギンガ
いつしかアリシアの目に不安が浮かんでいた
(…ッ…こいつ、お父さんと同等…?…さっきのブロッキングと言い……まさかこいつ、あたしとおなじ機人?)
「…なら!これなら…!」
エリシアは急激に体を沈めてギンガの膝の関節を狙った、やや斜め横から、逆関節蹴り
決まれば容易く膝が破壊される、エリオの時には使わなかった危険な技だ
ガシッ
だがこれも膝を上げたギンガのブロックに容易く阻まれた
「くっ…」
「………」
ギンガはにこやかな表情を変えて無かったが内心は少し違っていた
(……ビックリしたな、…ふぅん、…これはスバルとはちょっと違うわね…
真っ直ぐだけの子じゃないみたい…流石…路上で鍛えられてる…、攻撃に容赦が無いし)
再び距離を取ってアリシアの回し蹴りをしゃがんで避けていた
ギンガはふっと息をついた、終わらせる事にした
「…だから駄目だよ、今までそれで通用してきたのはただ相手が弱かっただけ…」
パシ
アリシアのバックブロー気味に繰り出した手首が取られた
「だからこう」
「うゎッ!…」
そのままスパンと足を払われ、アリシアの体は綺麗に宙を一回していた
バンッ
板張りの床に大の字に伸ばされていた
「…………!!!」
自分の手を握る先を、呆然と見上げたギンガが微笑している
今までに体験した事の無い防御パターンに遭遇してアリシアは愕然としていた、路上にはこんな奴居なかった
まるで自分の攻撃が通用しない、いや吸い込まれるような…
あたしと同じ機人にしても…こんな…
こんな馬鹿な…エリオ父さん以外に…こんな奴が…
呆然と天井を見上げるアリシアにギンガが声をかけた
「これから3日間は帰れないからね覚悟してね、その後は通い、エリオ君とティアナさんが仕事の間はずっと
…こっちに居ると思ってね」
あ、それとこれ、スバルが使ってたお古なんだけど…マッハキャリバーのストレージ版の…
アリシアの手を放すと、ごそごそと棚から『それ』を取り出すギンガ
その後ろ姿をアリシアは見ていた
上半身を起して、その隙だらけに見える後頭部に攻撃を入れようかと一瞬迷ったが、何故かその時は入る気がしなかった
事実、その後アリシアはギンガの後ろから攻撃を仕掛けてそのつど返り打ちにあう事になる
「ハイ…これ、これ付けてないと訓練で大怪我しちゃうから…」
そう言って掌に置かれた鈍く輝くペンダント型デバイス、アリシアはそこから目を上げ、笑顔のギンガを見上げた
「これからはギンガせんせい(師匠)って呼ぶんだよアリシア」
これがアリシアとギンガの師弟、この後何年も続く関係の
初めての出会いだった
サァアアア…
熱いシャワーを浴びる
15歳、しなやかな中にも女性らしい柔らかな曲線を湯が流れ落ちる
長くしっとりとした真紅の髪
今思い出すと恥ずかしいなぁ…
ギンガさんはアリシアにとってもう一人のお母さんのようでもあり
姉のようでもあった
言葉使いから始まり、お料理から、格闘技、機人が人間世界で暮らして行く上での注意点まで
たくさんの事を彼女から教わった、アリシアの心に人間らしい淡い暖かな思い出をくれた
また尊敬する人
それから…
アリシアは胸に掌を当てた
(形は…そう…悪く無いと思うんだけど…)
ツンと上を向いた乳房に両手を添えてみた、水を珠のように弾く瑞々しい肌、だがアリシアは不安そうに
窓に写る自分の姿に見入っていた
「できればギンガさんくらいにならないかなぁ…エリオ父さんも…ギンガさんみたいな方が…いいだろうし……」
アリシアの大事な事―
「行くぞ3番隊、突入準備…ぐずぐずするな…IS・ランブルデトネイター…」
特機第三部隊隊長チンクはそう言うと容疑車両の大型トレーラーのロック部分のチェーンに軽く触れた
パチン
チンクが軽く指を鳴らした
少し退がるとエネルギーを貸与され爆発物と貸したチェーンは一瞬輝き、バン!と音と立てて爆破された
シェルコートを翻してチンクは命令を下した爆風と飛び散る破片がバリアの表面に弾き返される
「突入!…、アリシアは私の後ろに付け…」
「は、ハイ!」
カンカンカン、次々に内部に次々に突入していく先輩隊員達
本来はフォワードのアリシアだが、今はまだ見習いだ、現場では一番の下っ端、見て覚えろがチンクの教え方だった
ドキドキしながらチンクの後ろに続いてトレーラーに突入した
・
・
積荷は改造前の素体とガードマシンが3機だった
無事事件解決後、アリシアは夜のハイウェイの縁石にポツンと座りこんでいた
自分ではもっと動けると思っていたのだが…
「ハァ…」
軽くため息をついた
実際はチンク隊長の命令に従って走り回るのが精一杯だった
何をしていいのか見当もつかず右往左往していた
かと思っていたら物影から出てきたガードに襲いかかられて慌てた、しりもちつかなかったのは良かったが
チンク隊長が難なく処理してしまい、これでは役割が逆だ…
(…情けないなぁ…フェイトやリクオー君達にはとても見せられない…)
やっぱりエリオ父さんもティアナ母さんもスゴイ人だったんだ…
普段からそばに居る人達と自分との間の差を思い、アリシアはしょんぼりと肩を落とした
エリオもティアナも現役ですでにトップレベルの人間だった
学校では自分の過酷な生い立ちもあって、とかくアリシアには周りの同級生はみな子供に見えたものだったけれども
(ここでは子供は自分一人だ…)
コン、こめかみに冷たい缶が当てられた
「…チンク隊長」
「飲め、アルコールでは無いがな、そんな顔をするな、初めての現場にしてはまぁまぁだった…慌てて転ばなかった分だけマシさ」
くっく、そう言ってチンクは独眼を可笑しそうに笑った
解ってたんだやっぱり…
「隊長、酷いですよぉ…」
「フフ…冗談だ、まぁ次からは先輩のフォワードの後ろに付くんだな、今回は見学みたいなもんだ…次からは甘くないぞ」
少し真面目な顔でそう言った
アリシアは少し息を呑んでこっくり頷いた
夜風が二人の髪をなびかせた
「いい風だな…」
チンクがプルトップに口をつけた
アリシアはつられて夜空を見上げた、チンク隊長を見る、かっこいいな…自然にそう思う
見かけはこんな小さな子のようなのに
この余裕はどうだろう、大人の女性とでも言うのだろうか…
本当に私はまだまだ未熟だ、隊員としてフォワードとして、そして…一人の女性としても
「本当…早く…成長しなくっちゃ…」
「ん?」
「っあ!?…いえ!…その、なんでも無いです!」
「…そうか、では今日は現地解散だ、そこらの奴に記録のやり方を教えてもらっておけ
…それが終わったら帰っていいぞ」
チンクはそう言うとポイと缶を放り投げた
高架の下に落ちていく缶が小さくなり、暗闇の中一瞬輝いて消滅した
「…チンク隊長、公務員が空き缶のポイ捨ては駄目ですよぉ…」
アリシアは少し苦笑した
チンクは後ろも見ずにひらひらと手を振ってアリシアから離れて行った、現場状況を記録していた
部下から次々に渡される書類に目を通している
アリシアはそれをじっと見ていた
早く一人前になりたいな…一人立ちして、家からも出て、自分の家を持って…それから、それには
たくさん頑張って、出世してお金稼いで…
アリシアが『精子バンク』と『人工授精』の事を知ったのはギンガさんとの訓練中に通っていた時だった
読んだ時、雷に打たれたように感じた、これだ!…と思った
その時決めた、だから選んだ、自分のこれからを、学校を出て社会で女性が一番早く自立できる道を選んだ
それがここ、特機
「どうにかして、エリオ父さんの精子が…手に入れば…」
精子…今は流石にこの言葉を口にするとアリシアは赤面してしまう、ギンガによる教育を受けた現在アリシアの羞恥心も人並みだ
アリシアは過去の自分の行為を恥じていた、が、だからと言ってエリオの事を完全に諦めていたわけでは無かった
いや一度は諦めかけた、アリシアはティアナも大事な人だったから、大好きだったからだ、あの人を悲しませたくない…
だが
(家を出て、私と…あと一人くらいを養える経済力が持てれば…そうすれば…)
アリシアはどこか遠くでエリオの子を産むつもりだった、幸いアリシアの髪の色はエリオと同じ赤だ
人工授精は何とか言い訳は立つだろう、いつになるか、細かいことまではアリシアは考えていなかった
(名前は…エリック…女の子ならエリシアがいいかな……)
そんな事まで夢想していた
ふいに自分の名を呼ばれて現実に引き戻された
夢見る目つきで呟いていたアリシアは慌てて立ち上がった、先輩達の方に小走りに向かう
3つ年上の男の先輩が「お、アリシアこっちだ、こっちにに来いよ」
そう言って手招きしている、青い髪に緑の瞳、なかなかのハンサム、純朴そうな瞳が好印象だ
ニッコリと愛想良くアリシアは小走りにそちらへ向かった
先輩の指示に頷きながら書類の書き方を教わる、この人はアリシアに興味があるようだった、アリシアにもその事が解っていた
そうでなくても学生時代からアリシアに言い寄る男は多かった
彼女の清楚さとそれにつつみ隠された、悲しい過去と苛烈な気性が男を引き付けるのだろうか
赤毛にスマートな高級な猫のような彼女は妙な色気があった、ただしその実山猫だったが
でもアリシアにとって
好きな男性とは今も昔もエリオただ一人だった
「あの…さ、アリシアは…その彼氏とか居るのか?」
何の気無しに、ペンを走らせながらやや上ずった声で先輩が尋ねた、すこし顔が赤い
キョトンとしたアリシアは、ややあって
「ハイ…居ます…けど」
そう応えた
「そ、そうか、ああ…そうなんだ…そうか…それならいいんだが…」
先輩は明らかにガックリとしているようだ、ペンの字がぐにゃりと歪んだのが見えた
アリシアは微笑して心の中ではゴメンナサイ先輩と頭を下げた
「…でもね、先輩、その人、私の事一度も受け入れてくれないんです…私…まだこんな心も…体も…子供ですから…」
アリシアは少し寂しげに、残念そうに言って自分の胸にそっと手を当てた
「な、何!?そんなもったい…いや!馬鹿な奴が居るのか?、そ、そんな事ないぞ、アリシアは今でも十分魅力的で…」
お?まだ脈アリか?勢い込んだ先輩が咳き込んでアリシアに迫った
「おい、だらだらやるな!、さっさと片付けて帰るぞ」
チンク隊長の声が響いて、先輩は、げっと言う顔でアリシアを見ると苦笑しているアリシアに苦笑を返して名残惜しそうに別れを告げた
慌てて声の方へ走って行く
アリシアは可笑しそうに微笑みそれを見送ると、書きかけの書類を胸に
もう一度瞬く星空を眺めた
「だから、私が一人前の女性になったら…もっと食べごろになったら…一度だけでいい…
アリシアを…食べて下さいねエリオ…お父さん」
その時父さんのぇぇと…精液もらっちゃうから!
アリシアは赤面した中にも心の底から楽しそうに微笑んだ
同、深夜、特機指令本部
「ぶえっくしょ!!!!」
「あれ?エリオ隊長カゼですか?」
水色の髪の部下の少女がティッシュの箱ごともってきて、ちょこんとエリオの前に立った
エリオは怪訝な表情だ
「…い、いや…おかしい…変だな…最近睡眠もちゃんと取ってるんだが…なんか今一瞬、悪寒が…」
すまん、ありがと、とズビィーと鼻をかむエリオ
それをじーっと見詰める少女
「早く終わらせて帰りましょうよ〜たいちょー…美人の奥さん居るのにあんまり仕事にかまけて
放っておくと…将来、きーっと後悔しちゃいますよ?」
「い、いやあのね…君…」
「娘さん達とのスキンシップも疎かにしてると大変ですよ?」
「………」
はぁ…何でボクの人生は女性にこういう事ばかり言われるのだろうか努力はしているさ…
暗い窓の外を見た、多分…他の男と比べても…ボクは…多分
確かにまたティアとは最近ご無沙汰だけど…しかし
潔癖なのに…、多少悲しげにエリオは女運の良いのか悪いのかよく解らない我が人生を思った
振り向いてエリオはニッコリと笑顔の部下に言った、それにしてもこの子元気だな…
「…解ったよ、頑張って終わらせよう、帰りに妻と娘達にプレゼントでも買って帰るとするよ」
「そうです!、家族は大事にしなくちゃです」
エリオは苦笑した
「そうだね」
「ハイ!」
本当に大事な家族なんだから
エリオの受難 アリシアの場合―end
乙!
終わりました、なんか書く前にちょい話とか言ってた覚えが…
気が付くとアリシアだけで60k…orz
さて後は来週終わり頃にまた、このシリーズの終わりの話やろうと思います
今のとこ大筋のプロットは出来てるけど最後のシーンが成長したリクオーとフェイトの場面だから
上手くつながるかどうか見てのお楽しみ、なのはさんの直属部隊とか考えたりいろいろ…
本編見てて、どうにか強くなったティアナも描きたいと思うのでそれも…
こんどは短くまとめれるといいなぁ、まぁ予定ですよ、予定、書けんかもですが(汗
あとは リクオー×フェイト、エリオ×リクオー×チンクなど考えていますが
両方とも半ばネタ臭いです(そもそも前の二人は両方ともオリキャラだしいいのだろうか…と思ったり
あとエリオ×ティアナが書けたらいいんですが、いい考え浮かばないないなぁ
…だって夫婦だしヤルの当たり前、うーん…ではではまた
>>y=ー( ゚д゚)・∵. ターンA氏GJ!
ギンガさん独身なのか・・・・・・。いっそ俺の嫁に(ry
>>465 GJ!
ゲンヤさん爺馬鹿だな…
それにギンガさん、精子バンクは登録制って教えなかったのか?
それともエリオは既に登録z(ry
リクオー×フェイトはいいと思いますよ。
っていうか、初登場時から期待していましたが。
GJ
Hシーンが無いのになんだかすごくエロいです…
アリシア…恐ろしい子
当たり前なんだがフェイトそんとエリオの関係のオマージュっぽいなあと思いました。
エリオとフェイトそんがTSしたらエリオがアリシアと同じ事考えてもおかしくな(ry
まったく…エリオの受けに近いSSばかりで僕のデュランダルがオーバーヒートしてしまったよ
責任をとってエリオの尻で冷やしてもらおうか
>>469 酷いよ、僕のことを裏切ったんだね。やっぱり若い子のほうがいいんだね!
ユーノはむしろあれだ、実際彼女とかに「もう別れましょう」とか言われたら
「辛い思いさせてたね、ごめんね」とか言って無理に笑うタイプな気がする。エリオもそうか。
ヴァイスあたりはもうちょい受け流す術を知ってそうだが。
クロノは自分では受け流してるつもりだけど実は深くダメージを負うタイプだな。
いや俺の妄想なんだけどさ
ザッフィーは圧倒的な包容力があるから分かれるような付き合い方はしないな。
>>476 フェイトさんもその一途な想いにキュンとしてしまってですね…
エリオを受け入れてしまうんですよ
エリオ×フェイトは数あれどユーノ×フェイトはなかなかない謎。
需要ないんか?
ユーノとフェイトがくっつくとなのはさんの身の置き所が無くなるから書きにくいんじゃね?
>>478 つネガティブ・フェイト
あと、一般サイトであったね。蒼穹?
482 :
246:2007/09/09(日) 21:11:28 ID:J3Syn3W1
>465
え、エロいw アリシアエロい子! GJです!
続き書いたんですけど、流れ見ずに投下して大丈夫でしょうか?
フェイトの場合、中の人も含めて「フェイトはなのはの嫁(婿)」て考えるのが多いからな。
それに普通の男女カップリングの場合、エリオが相手の方がネタとしてウケるし。
そんな俺は大好物だがな、ユノフェイ。
だから昨今の某界隈でのユノフェイ増殖傾向は、実に嬉しい。
484 :
246:2007/09/09(日) 21:18:24 ID:J3Syn3W1
大丈夫かなぁ……。とりあえず、投下してみます。
注意
鬱展開鬱エンドです。
誰も死にませんが誰も救われません。
ではでは、どうぞです。
「陣形を崩すなっ! 突入部隊は指示を待て!」
クラウディアのブリッジに、クロノの声が響き渡る。
クロノが見据える先、巨大なモニターに映るのは圧倒的な力。古代ベルカの破壊兵器。
内部へ侵入するのは容易ではなく、進入できたとしてもその内部には、行く手を阻む障害が数え切れないだ
ろう。その現実をただ受け止め、クロノが歯をかみ締めるのを堪えて、指示を出し続けた。
「……」
だが、勝てる気がしない。
『だ、駄目です! ガジェット・ドローン多数出現!』
『みんなもうちょっとやからっ! 何とか頑張って!』
武装隊員の一人が叫ぶ中、それを振り払うように杖を天に掲げ、はやてがの激が飛ぶ。
夢を叶える為の地位も消えた。この先、待っているのは自分に降りかかる責任だ。
そんな悔しさを魔力に込め、はやてはただゆりかごを睨み砲撃を放っていた。起動六課の部隊長として、果
たすべきだった責務を少しでも果たす為。
「君は、あれを見てどう思うんだ?」
クロノが、静かに後ろで俯くフェイトに言葉を紡ぐ。
何も反応を返さないフェイトは、ただひたすらにそれを繰り返す。
「なのは、会いたい。なのはに、なのはを……話したい……なのはを見たい……話しかけてほしい……」
なのはは、今頃海鳴で笑っている筈なのに。
何故、自分はこんな所で立っているのか。
「なのはに……なのは……いっぱい……話して……それから……それから……」
ユーノは確かに頷いた。今フェイトを支えているのはその一言。それがなければ、本当に人形のように朽ち
るだけだろう。
それが分かっていながら何もしないクロノは、ただ冷静に戦況を分析するだけ。考え、何か事態を打開でき
るものは無いかと思案した末、そこに思い当たった。
残酷な、兄とは思えない考えだった。
「フェイト、なのはに会いたいか?」
けれど、それで彼女が動けるなら。
ただ、冷酷な指揮官として指し示すだけ。
「フェイト・テスタロッサ・ハラオウン執務官」
フェイトは答えず、クロノが示すモニターに虚ろな視線を向け言葉を待った。
「あれを停めたらなのはに会わせてやる。できるか?」
ざわつくクルーを視線だけで押し留め、それ以上何も言わずフェイトの反応を待つ。
「なのはに……会える……?」
期待通りの反応。
期待通りの言葉が返った。
「なら、うん……なのは……すぐ行くから……」
その刹那、雷光が全てを覆い尽くした。
狂気の具現。だが、そこにあるのはそれとは別のもの。
絶対に会って言わなければならない、その一言のために。
魔法少女リリカルなのはStrikerS
―Nameless―
(13)
「ユーノ君美味しい?」
「う、うん……美味しいよ」
言葉に少しの嘘を込め、ユーノが咥えていたフォークから口を離す。それになのはがはにかんだ笑みを見せ
再びフォークを差し出した。抵抗などできるはずもなく、ユーノが咀嚼し喉を鳴らして諦めきった表情を見せ
肩を落とす。
何度続いたのかもう数えるのも面倒だった。全身の脱力感をどうにか堪えながら、差し出されたフォークを
咥えて喉を鳴らし、おいしいよ、となのはに微笑む。それになのはが満足そうに笑みを返すという、いつ終わ
るか分からない無限回廊。
「あらあら、すっかり新婚さんになっちゃって」
楽しげな団欒の中の夕食だった。ただ、なのはとユーノが少し離れて食べているものが違うだけ。それで
も、そこにいるだけで息が出来なかった日よりは幾分も心が軽く、桃子たちの笑みもうなづける。
だがユーノにとってはそうはいかず、永遠に繰り返されるのではないかというあーん地獄に限界が来てい
た。主に、精神面と体を拘束されている窮屈さに。
「も、桃子さんそんな事――――っ……!?」
耐えかね、思わず桃子に助けを呼ぼうとした瞬間小さく呻いた。ユーノの反応に桃子と美由紀が声をあげ、
それを見た。
「誰と話してるの?」
なのはの笑みは変わらない。寒気がするほど冷たく、ユーノへの愛で溢れている。ユーノの腕に突き刺さっ
たフォークが力んで震え、血を滴らせている。ぽた、となのはの服に紅が滲んだ。
「ねぇ、今ユーノ君は私と楽しい夕食の時間だよね? 何で私以外とお話しするの?」
痛みに涙を堪えながら、ここがキッチンじゃなくて良かったと、そんな場違いな事を考えた。さっきは、桃
子の手伝いをしようとして、なのはに包丁で刺されそうになったから。
なのはに気づかれないよう視線を泳がせば、申し訳なさそうに肩を落としている桃子と、ユーノの腕を見つ
め、痛そうに顔をしかめた美由紀。士郎は、不甲斐ない婿養子に溜息を吐いていた。
「な、なのはっ今度は僕が食べさせてあげるからさっ! それで許して……ね?」
「それなら、いいよ? ちゃんと食べさせてね?」
「う、うん……」
表情を一変させたなのはがユーノからフォークを抜き、傷のついたユーノの腕を舐める。まるで、できた傷
を癒しているかのような表情と、舐められている感触に対するむず痒さ。しばらくそれに耐えていると、なの
はがユーノを拘束していたバインドを解き、若干頬を染めユーノに催促をし始めた。
「ユーノ君、あーん」
見れば、極限に困り果てた様子で、美由紀は真っ赤になって視線を外している。士郎は喉をごくりと鳴ら
し、桃子はその士郎の耳を引っ張って微笑んでいた。
娘と、本当の家族になった彼に見せ付けるように。
「いいから、なのはのお願い聞いてあげて。ユーノ君から言ったんだから」
「で、でも……」
あまりにも急かすものだから、きっと本当は見たくないんじゃないか。そんな言葉を無理やり押し込み、な
のはが作った料理にフォークを刺した。
変わらずなのはは催促を繰り返している。多分、いつも通りならそろそろなのはが怒り出す。意を決したユ
ーノが目を瞑り、料理をなのはの口にではなく自分の口に押し込んだ。
その瞬間、なのはがユーノの唇を奪い取る。
「んんっ……」
なのはが、ドロドロになった料理をゆっくりと飲み込んでいく。ユーノ以外を見ようとしないなのはは平然
と、ユーノが咀嚼したものを味わい、熱くなった息をユーノの耳に吹きかけた。
「ユーノ君の、味がする」
二人がささやかな結婚式を上げ、初めて夫婦の営みとして抱き合い、始まった日常は、結婚式をやって良か
ったと思うには十分すぎるくらいだった。たとえ、食事の間のみ、殆ど見ようとしない事に目を瞑ってもなの
はが家族に会うようになったから。
けれど、思ってしまう。誰かを傷つけるなのはではなく、自分に甘えるなのはを見てユーノは思うのをやめ
られない。
「ねぇユーノ君、もっと頂戴」
なのはは、本当に元に戻るのか。ちゃんと、前のように笑ってくれるのか。
不安は否応なしにユーノの体を巡り、更に深いものになっていく。それを振り切るように頭を振り、視界に
入ってきたものに目を見開いた。
「ユーノ君」
頭なんて、振るんじゃなかったと後悔した。
その涙が出るくらいの暖かさの中に、そんな気持ちがない筈がない。なぜ気づかなかったのかと苛立ち、気
づいたところで何もできない事に唇を噛む。
「ユーノ君」
そっと、ユーノは視線を外す。家族の方ではなく、なのはの方に視線を向ける。ただ、網膜にこびり付いた
それは拭えない。子供のころ、家族として食卓を共にしていただけになおさらだ。
俯き、表情を消していた家族たちの為気づかないふりをした。
「ユーノ君」
「ん、ごめんねなのは」
再びユーノの咀嚼したものを飲み込むなのはは、満面の笑みだ。ユーノが咀嚼したものを飲み込んで糧にす
る。それは、ユーノがいなければ生きてはいけないみたいで嬉しかった。
嬉しくて、暗い気持ちが薄れていく。だからきっと、邪魔でもユーノ以外の人と夕食を共にしているのかも
しれない。
「うん、お腹一杯。ユーノ君で……お腹一杯……」
だが、気づかぬ間に感じたものは、ここでフェレットだったユーノと共に食事をしていた時の懐かしさ。な
のはは気づかないが、それは確かになのはの笑顔の一部だった。
「ご馳走様でした」
そう手を合わせたなのはが、食器を片しキッチンで運んでいく。桃子が食器を洗っている隣に立ち、そのま
ま自分とユーノの食器をスポンジで擦り始めていた。
「なのは、ちょっと良くなってるんじゃない?」
「……全然、そんな感じに見えないですけど」
美由紀がその後姿を見て呟く中、同じようにそれを見ていたユーノが暗い表情で言葉を返した。
全然違う。
こんなもの、過去の風景の中ではありえないものだった筈だから。
「まぁ、そうだけど……でも、無理すれば熱すぎる新婚さんに見えるよ。はぁ、まさか妹に先越されるなんて
思わなかったよ」
「だ、大丈夫ですよ。美由紀さんも綺麗じゃないですか」
「ありがとーユーノォ、でも、エイミィも恭ちゃんも結婚して……なのはまで結婚して……」
なのはが食器を洗い終わり、パタパタとユーノの元へ走り寄る。それに合わせてがっくりと肩を落とした美
由紀が離れ、それにユーノが苦笑い。
気付かなかったなのはは、身支度を整えると一人先に玄関へと消えていく。玄関から、ユーノを急かすなの
はの声が聞こえた。
「もう、帰るのかい? ゆっくりしていっても構わないよ」
「……すいません」
見送りは、唯一ユーノと話してもなのはが起こらない士郎の役目。頭を下げたユーノが身支度を整え、なの
はの元にいこうとする。
それを士郎の真剣な声が制止した。
「ユーノ君、今は大変かもしれないけど。なのはを支えてくれるかい?」
「それは、昨日誓いました……嘘じゃないです」
その眼差しに頷きを返し、持っていたものをユーノに握らせた。へ、と目を丸くするユーノに真剣な顔を寄
せ言い放つ。
「早く、孫の顔を見せてくれ」
ユーノの背中を押し、士郎が冗談のような笑顔でそう言った。真っ赤な顔で慌てるユーノに、なのはの所へ
早くいってくれ、と促し美由紀が首をかしげる中、満足そうな笑みでうなづいた。
「ユーノ君早く帰ろうよ? あれ……何、それ?」
「えっ、こ、これっ? だ、駄目っ見なくていいから!」
やっと自分の元へ来るや否や、何かを隠したユーノになのはが微かに苛立った。
自分が知らないもの。自分に見せたくないもの。ユーノが持っているもの。それが、誰かに貰ったものなら
早く捨てないといけないから。
「見せて」
ユーノの腕を強引に捻り、それを手にとって先ほどのユーノの様に目を丸くする。赤くならなかったの
は、やはりそこまで回復していないからか。
ユーノが取り返そうとする中、それを凝視していたなのはが不意につぶやいた。
「ユーノ君、誰に貰ったの?」
「お、お父さんだよっ、士郎さん! な、何考えてるのかなっ、ははは……」
お父さん、その言葉になのはが思考を巡らせる。あの人は男の人だから、多分ユーノに何かするとは思えな
い。だから、きっとこれは自分のための物の筈、と。
「孫を見せてなんてまだ早いよね……恭也さんだけじゃ足りないのかな」
なのはは自分の事だけで精一杯なのに、そんな中で子供なんて作れない。笑顔とは裏腹にそう気持ちを沈ま
せたユーノに、なのはが不思議そうに彼を見た。
「孫……赤ちゃん?」
「う、うんそうだよ。お父さんが見たいんだって。でも……まだ早いと思うんだ」
生まれた子が、もし女の子だったらどうするか。そんな事を考えた。
なのはは愛してくれるのか。笑顔を向けてくれるのか。その子に、暗い嫉妬を持たないのか。
そんなことないと言い切れず、ただ暗い考えがめぐるだけ。
「赤ちゃん……ユーノ君と、私の……子供……」
「なのは、どうしたの?」
声には応えない。ただまるで沸くように現れたそれに注視し、自分ですら気付かないほどの小さな笑みを浮
かべた。
それに応えたのは隣に彼ではなく、眼前に現れた幻。
彼自身と、彼との間に生まれた一つの命。
それは、今は遠いかもしれない、けれど届かない事はないと思わせる幸福の塊。
「……赤ちゃん……欲しいな……」
「えっ……な、なのは? 言ってることちゃんと分かってる?」
「うん分かるよ……赤ちゃん、だよね。私達の……子供……だよね」
恐る恐るコクン、とユーノが頷いて。
「な、なのはっ! それ駄目だよ! 女の子の飲むものじゃ!」
「ぷはぁ、にゃはは、ちょっとくらくらする」
這ってあるラベルは毒々しい色をしていて、飲み物なのかと疑うほど。精力増強。そんな、何を考えている
のか疑いそうなものを飲んでなのはが言った。
「作ろう。赤ちゃん。ユーノ君の赤ちゃん。私の赤ちゃん。二人の子供だよ」
絶句したユーノが、様子を探るようになのはが見た。
変わらない笑み。変わらぬ、自分にしか向けられないと錯覚してしまう笑み。
ただそれが錯覚だと分かったのは、向けられた笑みが、向けられた視線が暖かかったから。
「うん、そうしようか」
そっとなのはの手を握る。それになのはがおずおずと握り返した。
理由の分からない羞恥が、ユーノの頬を熱くしている。
おそらく、なのはも。
「帰ろう」
ただ一言それだけを言ったユーノが、なのはの手を引き歩き出す。
胸にあるのは、微かな不安と淡い希望。
今は本当に儚くて、もしかしたら消えてしまいそうなものだけど。それはきっと、二度と断ち切れることの
無い絆になる筈だから。
――――それからしばらくして。
「けほっけほっ……んぐっ!?」
堪えきれない吐き気に涙を溜め、なのはが洗面台に身を預けていた。それをユーノがなのはの背中を擦り、
少しでも楽になってくれるようと手を握る。
「なのは大丈夫?」
「う、うん……けほっ……」
一ヶ月。それは、瞬く間に過ぎていた。連絡が途絶えたフェイト達の事を頭の隅で思い出しながら、遂に来
る事無く終わった女性の毎月の事に、やっぱりと感慨にふける。
「なのは、病院行こうよ。多分、そうだと思うんだ」
「怖いよ……誰にも会いたくないよ……」
なのはは何も言わない。答えないのではなく、答えられない。
その不安そうな表情は、最近になって見せ始めたもの。
目の前に人がいて、それがユーノの隣だったなら。きっと、躊躇いなくその隣を奪うはずだから。
それは、ユーノに嫌われる一番駄目な事と気づいたから。
「たくさん……人がいて……みんなユーノ君を取ろうとするの……」
先週は、ユーノと会話をしていた桃子。
その前は、ユーノを引っかいた猫とすずか。
その前は、いつの間にかいなくなっていたユーノ自身。
「私、ユーノ君と結婚したのに……みんな、そんな事関係ないの……みんな、ユーノ君を取ろうとする……」
結婚してそれを実感できるようになって。
待っていたのは、何をしてでもそれを守ろうとする気持ちと、変わらないユーノへの愛情表現。
「こんなんじゃ……ママになれないね……」
なのはが自身の腹に手を当て、ポツリとそう漏らしていた。
そもそも、自分にそんな資格がある筈がない。母と慕ってくれた少女に、何をしたのかと唇を噛む。溢れる
苦しさは、あの少女にしたことからではなく、別にどうでもいいことと思ってしまったから。
ユーノへの愛情とわが子への愛情と、それに匹敵する程の黒い感情。
抗う手段はなく、愛情を深めれば、癒されれば癒されるほど際限なく増えていく。
「やっぱり……みんないなくなれば……そうしたら、ユーノ君とこの子と……ずっと幸せだよ?」
「なのは、それは駄目だよ。そんな事したら絶対駄目」
「何で……?」
愛しい人に否定され不安定な心は、たやすく傾き変わってしまう。
ユーノが落ち着ける間も与えず、なのはがユーノを押し倒し涙を浮かべた。
「ねぇ私……そんなに駄目な事言ってるのかな? ユーノ君と、この子の為に言ってるんだよ? みんないな
くなれば、もう怖くないよ? みんな死んじゃえば、ずっと一緒だよ? ユーノ君は、それじゃあ嫌なの?」
やっと叶った夢。それがなのはの心を癒してくれない。
邪魔する誰かは許せない。
邪魔するなら、何でもできる。
「ねぇほら……私、こんなにユーノ君のこと好きなのに……ユーノ君は何で分かってくれないの?」
「なの、はっ……」
夢を壊さない為に。家族を失わない為に、ひたすらに考えた。
三人で幸せになる方法。三人以外を消すのでは遅すぎる。もう、自分の心が保てないと無意識に理解した。
なら。
「ユーノ君、三人でずっといようよ」
なら、どうするか。
「ずっと、三人だけで幸せになろうよ……うん、そうだよ。そうしようよ」
答えは決まった。
やることも決まった。
「がはっ、はぁはぁっ、な、なのは……!?」
ユーノの首を開放する。バインドで拘束する。
キッチンに置いてあった、馴染みの包丁とを手に取った。そして、我を失った虚ろな声で呟き続ける。
「誰かが取らないように。誰かが壊さないように……」
手が動かない。
手が届かない。
なのはを抱きしめて落ち着かせてあげられない。
そのまま、腹が灼熱で焼かれた錯覚を感じて叫びをあげた。
* * *
「今まで何やってたのっ!?」
「え、エイミィとりあえずもうやめてあげようよぉ……カレンとディエラが怖がってるからさぁ……」
リビングにエイミィの怒声が轟いた。カレンとディエラが怯えて抱き合い、そんな二人をアルフがどこかへ
連れて行く。
怒りと共にそれを見ていたエイミィが視線を戻し、目の前に浮かぶモニターに映るフェイトに、溜まりに溜
まった怒りをぶつけ、荒くなった息を整えず睨み付ける。
『なのはに……会いに行くの……クロノが……許してくれたの……』
英雄。そう、ミッドチルダで称されるようになったフェイトが、それに似合わな包帯を巻いた格好のまま呟
いた。
ゆりかごを一人で沈め、ヴィヴィオを助け出し、スカリエッティの陰謀を阻止したとして与えられたのは提
督の地位。そして、動けないほどの傷。
『フェイトさんっ、早く行かないとみんな待ってますよ!』
遠くからはエリオの声。そして聞いたことのある声達のざわめきだ。
任務成功の成功報酬。それが、今日からの長期休暇。その休暇の内の一ヶ月を病院で過ごした元起動六課の
面々が、海鳴市へ行くために転送ポートで列を成していた。
その一ヶ月は、傷ついた心を癒すには足りないが、壊れた絆を戻すことはできた様。今までの分を取り返す
ように手を繋いでいるキャロが恥ずかしそうに笑顔を見せていた。
『フェイトさん、大丈夫ですよ? すぐなのはさんの所にいけますから』
『うん、なのはに会ったらどうしようかなっ、いっぱい話したいことあるんだ』
エイミィの目の前に映ったフェイトの笑顔。それは、なのはに会えることが決まったからか、前とは違い落
ち着いたもの。
なのはに会える、と嬉しさを隠さない子供のような笑顔だった。
「とにかく、帰ってきたらこっち来ること……なのはちゃんの事で話があるから」
そんな笑みをするフェイトに、何を言っても無駄だとため息をついたエイミィが通信をきり、不意に耳に届
いたインターフォンの音に立ち上がる。
「はいはい今行きますよ……んー誰かなぁ……郵便か何かかなぁ……」
すっかり慣れきってしまった新聞勧誘にも、日本の郵便にももう慌てることはない。慣れた様子で玄関に赴
き、扉を開けて腰を抜かしそうになってそれを堪えた。
「エイミィさんっユーノ君がっユーノ君がぁぁぁぁ!!!」
「な、なのはちゃん落ち着いてどうしたの!?」
泣き叫ぶなのはがただひたすらに、血だらけのユーノを抱きしめ続け、言葉を何度も噛みながらエイミィの
問い答えようと躍起になった。
「わ、私っ、またやっちゃってっ! ユーノ君に酷いことしてっ……!」
我に返ったのは、ユーノが痛みに叫ばなくなり、様子を伺う為にバインドを外し、咄嗟にユーノが意識を失
う前の最後の力でなのはを抱きしめてから。
「だ、大丈夫だからっ……え、と……そうだアルフ! 救急車! 救急車呼んで!」
エイミィが慌てて駆けていく中、なのははただひたすらに自分を呪った。
「なんで……私、こんなこと……やってるんだろ……」
後悔と苦しさと、それから逃げるようになのはが自分の中で眠る命に手で触れる。
まだ腹が大きくならない、そもそも妊娠しているかも定かではない筈の腹から、とくん、とそんな鼓動が聞
こえたような気がして唇を噛んだ。
気付いてしまった。
小さな命に、教えられてしまった。
「元に……戻りたいよぉ……」
家族の幸せを壊してるのは、誰かじゃなくて自分なんだと分かってしまった――――。
以上です。ありがとうございました。
フェイトさんの愛の力は偉大です。ということで、ゆりかごは気にしないでください。
駄文が更に駄文に……病ませるのは好きですが、癒すのは苦手です。
後、ここ最近の GJ な投下達……自分のせいかなぁと……自意識過剰ですね。自重します。
では、次回久しぶりにスバル登場。
ではでは。
>>493 おお・・・読みすすめるのが怖いのに、結局読んでしまった
でも何か最後のなにょはさんにはちょっとほっとしたわ。自覚はあるのね
GJ
>>493 微妙に救いがある展開になってるようなきもするが
ここからさらに突き落としそうなあなたに乾杯
GJ
>>493 なんというなのはさん・・・・・・・
狂気と正気の狭間の苦悩が実にいい味を出してる。
GJっす。
>>493 鬱展開とわかっているのに読んでしまうのは…俺の弱い心からだ…
GJ!なのはさん…戻れそうな感じも少しは見せたりするんだけど、やっぱり無理なのね…
超兵器フェイト
あまりの威力にプロジェクトF再開したら面白いなw
>>493 GJ!
名無しさんキター!
クロノ黒いよクロノ。あとなのはとフェイトが
再会したときにいったい何が起こるのか?
他にも色々気になる事多すぎで、最新レスのチェックが怠れませんw
>>493 このまま救いのあるエンドに迎えるのか
と、思ったけど最初の注意書きに「欝エンド」orz
とりあえずなのは頑張れ。ユーノ頑張れ
そしてフェイトさんすげぇ
>493
GJ。胃にきりきり来るなあ……。
スバルはティアとの関係が怖い。
最終兵器フェイトという単語が頭をよぎった俺はどうすれば
00:00から投下してもよろしいでしょうか?
もちよ
どんと来い
>>493 GJ!
貴方の降臨をお待ちしておりました。
前回ですこし回復したかと思わせておいて今回のこの落し方!
そんな貴方の文章力と構成の手段に感服いたしました!
それにしてもフェイトすげえ!提督かよ!
次回は久々に機動6課の面子が登場ですか…これは鮮血の結末が見える…。
つらいなぁ…身ごもったなのはを見たフェイトの反応も怖いな…
なのははユーノくんのことが大好きでちょっとどいてそいつ殺せない
お腹の赤ちゃんが実は想像妊娠なんてオチじゃありませんように……
そして幸せになりますように
幸せになってほしいような、もっと突き落として欲しいような。
フェイトがエリオたちと仲直りしたのが救いだ。
493氏はヤンデレと鬱の神ですね。
510 :
一階の名無し:2007/09/09(日) 23:49:59 ID:h3wiAfTP
うぐぅ、本気で眠いんで予告より10分フライングして投下。
公共電波を受け取る前に受信した毒電波を放出して
スッキリさせときたいので書いてみました。
絶望した!本スレでアンケートとっても
誰一人認めてくれない「キャロの『ルーちゃん』」に絶望した!
というワケでお送りしますのは
「ぼくのかんがえたリリカルなのはsts」第二弾!
ジャンルは本編準拠エロ無し!
理想妄想全部詰め込んで
皆に届けゆんゆんテレパシー!
オリ設定ありですし本編レイプに改悪してます。
あとすんげぇなげぇです。
それでもいいと言って頂ける方はどうかお付き合いお願い致します!
ではでは。
クラナガン郊外の第七廃棄都市群。
今は誰も住んでいないビルなどが立ち並ぶその光景は圧巻であるが寂しさを感じさせる。
本来なら静寂にのみ包まれている筈の場所に、しかし今響くのはヘリのプロペラの音だ。
ビルの合間を突き抜けるヘリ。
そしてそれを追いかける影が3つ。U型ガジェットドローンの編隊だ。
ヘリの後部ハッチがいきなり開く。
ハッチが開かれるにつれて見えてきた人物は
「ありがとアルト!これなら・・・・・・」
クロスミラージュを構えたティアナだ。放たれる三発の光弾。
そしてビルの谷間にひろがる爆音は3つ。
四散したガジェットの破片を置き去りにしてヘリはまた空へと舞い上がる。
「すごっ!!!すごいよティア〜〜!!」
高速で飛ぶU型を確実に仕留めたティアナも凄いが、
U型の軌道を制限する為にこの速度でビルの谷間へと侵入したアルトも充分に化け物だ。
「気を抜かない!もうそろそろ降下ポイントなんだから!」
指揮官であるティアナの言葉に、表情を一層引き締めるエリオとキャロ。
U型が哨戒している事から解るようにここはもう最前線だ。
『皆!降下ポイントに到達したよっ!』
アルトの言葉に、スバルもようやく表情を変える。
そして四人は空へと飛び立った。
ティアナとスバルは廃棄された道路上に着地、エリオとキャロはフリードの背の上だ。
ふとキャロが正面に視線を送ると、そこにひとつの影が見えた。
「ティアさん、あれっ!」
そこに見えるのはU型ガジェットを駆るいつか見た召喚士の少女。
ロングアーチの分析によればガジェットの強化・指揮も可能なあの少女は
特にこのような集団戦で脅威となり得る。
「まずいわね・・・・・・あの子の危険度も高いし・・・
・・・・・・くっ!キャロ、エリオ!アンタらは先行してあの子を足止め!
四人で確実に潰すわよ!」
本来なら戦力の逐次投入など下策ではあるが、そもそも追いつけなければ意味が無い。
『はいっ!』
一気に速度を増すフリード。スバルとティアナも追いかけるがその差はぐんぐん離されていく。
戦線が伸びるという事は相手につけいる隙を与えるという事だ。
それを証明するかのように緑の光がスバルとティアナに降り注いだ。
「―――っ!!!」
後方で起こった爆発に振り返るキャロとエリオ。キャロが念話を飛ばす。
『ティアさんっ!スバルさんっ!』
しかし反応は無い。
続けて起こる爆発、
二人を助けに向かう為にキャロがフリードを旋回させようとし、
『各自、状況を説明っ!』
ティアナからの念話が届く。
瓦礫の中から立ち上がりながら、ティアナは冷静に状況を分析した。
少なくともここに立ち止まるのはマズい。
スバルと合流しようとして――――目の前が結界で封じられた。
『僕達はもう少しであの子に追いつけますっ!』
まずこの結界を維持しているのがひとり、次の追撃でふたり、
少なくとも二人の戦闘機人がこの場にいる。
しばらく移動してから、身を隠した。
敵側の主戦力はやはりギンガを含む五人の戦闘機人だ。
『スバルっ!アンタの方は?』
『っ・・・・・・ギン姐を発見。ティア・・・・・・あの』
これで戦闘機人が3人だ。
『解ってる。アンタは何が何でもギンガさんの目を覚まさせなさい。
ギンガさんがこっちに復帰する可能性があるんなら、やる価値はあるわ』
というのは建前。本当は何よりスバルの気持ちを考えての事だ。
脳裏に浮かぶのは、優しかった兄の姿。
(家族を失うなんて・・・・・・それも自分の手でなんて言えるワケないじゃないっ!)
それに、今回は防衛戦だ。しかも本局の援軍が望めるのである。
手持ちの戦力で敵を倒すのが目的ではなく、あくまで戦線の維持だけでいい。
それを考えれば、敵側の主戦力が自分達に集中している事は充分なメリットだ。
『エリオ、キャロ、聞こえてる?私達の方は大丈夫』
勿論嘘だ。しかし二人の相手はS級の召喚士である。
ただでさえ危ないのにさらにプレッシャーをかける事など出来ない。
『アンタ等は目の前の目標を確実に撃破。その後こっちに合流しなさい』
白銀の守護竜は更に翼を振るい、速度を上げる。
もう少しであの少女に追いつく、そう思えた時、先行する紫の髪の少女の上に黒い穴が開いた。
そこから飛び出してくるのは彼女の守護を司る黒の召喚虫だ。
一直線に突撃してきた。
「ケリュケイオン!ホイールプロテクションっ!」
キャロの手から放たれるのは螺旋を描く魔力の波動。
その渦はわずかであるが突撃の軌道をずらした。
すれ違う。
突撃をそらされたそれは体勢を立て直して再度襲い掛かろうとし――しかしエリオがそこに突っ込む。
爪剣と槍が一度激突し、お互いを弾いた。
エリオはビルの壁面に着地する事で、召喚虫はそのまま空中で体勢を立て直す。
「―――止まってっ!」
空に響くのは停止を訴えるキャロの声だ。
しかし勿論彼女はそれに応じない。返答の代わりに用意されたのは紫の刃の雨。
「っ!フリードっ!」
主の声に答えて竜が身を翻した。
刃がフリードの腹を掠めるが、それだけだ。フリードは更に加速する。
追いついた。
攻撃してきたという事はあちらは交戦しか考えてないという事だ。
反撃の魔法を唱え、
「シューティングっ」
『・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・』
(―――えっ?)
いきなり心に沸いてきた感情に集中力を乱され、魔法がかき消える。
「キャロっ!!!」
耳に届いたエリオの声で、また紫の刃が出現した事に気付かされた。
「っ!プロテクションッ!」
慌てて防壁を張り、何とか全弾受け止めた。衝撃にフリードの軌道が大きくそらされる。
「何で・・・・・・何でこんな事するのっ!?」
つい口から出た叫びに返って来るのは
『・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・』
ひとつの感情と
「うるさい」
刃の雨だ。
「シューティングレイッ!」
翳したケリュケイオンから桃色の光の翼がはえ、そして翼は光の矢に変わる。
フリードとU型の間で連続する爆発音。
爆炎を抜け、さらにフリードが距離を詰める。
先程から胸に沸き起こる感情に、キャロは覚えがあった。
それは
(……寂しさと、……怯えてるの?)
最初は戦場に立っている事への恐怖かと思ったが違う。
それでは前者の感情が説明出来ないし、
(これは、押しつぶされるみたいな恐怖じゃなくて、もっと、胸を締め上げられるみたいな……)
また距離が十数メートルとなった。航空戦では肉薄と言える距離だ。
交わされる矢と刃の雨。打ち負けたキャロはさらに防壁を張る事で何とか凌いだ。
『私は……不幸……だから』
決定的だった。
胸に沸いてくるこの感情はキャロのものではない。不意に、涙がこぼれ落ちた。
この感情はキャロのものではないが、キャロの記憶にもある感情だ。
思い返す事も随分減った、ひとつの記憶。
「――――ャロっ!」
近くで放たれた叫びにキャロが正面を向くと、そこで二連続の金属音が響く。
そして目の前に広がるのは白い外套に包まれたエリオの背中だ。
「危ないよっ!何でボーっとしてるのっ!?」
「ご、ごめんなさい」
指で涙を拭きながら、謝る。ハッキリした視界の先にはU型の上にいる少女と、その守護虫。
「エリオ君、あのね?ひとつお願いがあるんだけど……」
「何?」
「私、あの子を説得したいの」
「―――キャロっ!?無理だよそんなのっ!ただでさえ僕達の方が押されてるんだよ!」
無茶だ。ただでさえ相手はSランク魔導師であり、まともに戦ってもかなり分が悪いというのに。
そんな事はキャロも解っている。
だが
「お願い」
キャロは止まらない。
そこでようやく振り返ったエリオは、キャロの瞳を見た。
キャロの瞳は、エリオがよく知っているある人物と似た光を放っている。
そんな目をした人物はどんな事をしても止まらない事も彼は熟知していた。
「…………解ったよ。キャロがしたいなら僕は全力でそれを助ける」
「っ!ありがとう!」
ルーテシアは先程から困惑していた。
目の前の少女と近づく度に、彼女の胸に訪れるものがあるのだ。
それは、何かを守ろうとする一生懸命な気持ちだった。
更に、あの桃色の少女の言葉を聞きたくないと思うのに、ルーテシアの意思を無視して
少女の言葉はルーテシアの胸の奥まで入りこんできた。
はっきり言って酷く気分が悪い。
誰も踏み込ませなかった領域に、土足で踏み込まれたのだ。ルーテシアの苛立ちはつのる。
「ガリュー……お願い」
口をついて出た彼女の呟きに、ガリューが返すのはいつも肯定の頷きである。
そして3人と二匹がひとつの場所へと収束する。
まず飛び出たのはガリューである。
爪剣を構え、一直線にキャロ目掛けて突撃を行う。応えるのは勿論エリオの役目だ。
「ストラーダ!フォルムツヴァイっ!」
『Dusen form!』
エリオは己の槍に掴まり、空へと飛び立つ。突撃同士の正面衝突。
の瞬間。
いきなりストラーダに変化が生まれた。穂先は上向きの炎が、石突には下向きの炎が灯ったのだ。
ふたつの炎によって生まれるのは縦回転のベクトル、そしてわずかな軌道の変化だ。
ガリューの爪はエリオの背をかすめ、そして一回転して振り下ろされるストラーダの刃は
「――おああぁっ!!」
ガリューを上から叩き伏せた。落下する。
エリオはさらに追撃しようとし、
「っ!」
ガリューが放った光に直撃。ビルの合間に爆炎が巻き起こる。
「エリオく――――」
背中を駆ける悪寒に、エリオへの呼びかけすら中断して盾を翳す。
連続する衝撃。フリードの羽を掠めた刃もあったがフリードはそれを意に介さず羽ばたき続ける。
視線を上げた先では紫の少女が傲然とこちらを見下ろしていた。
「お願い!教えてっ!あなたの目的は一体何っ!?」
『教えてっ!あなたの目的をっ!』
『……幸せに……なる事』
それはひとつの小さな奇跡。
同じ『使役』というレアスキルを持ち、さらにその『使役』が単なる支配ではなく
己の気持ちと相手の気持ちを繋げあう二人だからこそ起きた、小さな奇跡。
それはキャロとルーテシアの戦力差を埋めるものでは無かったが
それよりもずっとずっと大事な事。
「うるさい」
ルーテシアはとにかく不快だった。
先程から心の中に響く声も、目の前の少女の言葉も、
そして彼女と常にともにいる少年の事も、何もかもが彼女の心に影を落としていく。
「うるさい」
目の前の少女はしつこく喰らいついてくる。
何度拒絶しても、まるでそれらが無かったかの様に無遠慮に距離を詰めてくる。
「うるさい」
あまりの苛立ちに、集中出来ずに魔法の発動にも手間取った。
それが一層彼女の苛立ちを際立たせる。
「うるさい!うるさい!うるさい!」
全てが気にいらない。
「ガリュー!」
主の声に答え、ガリューは一瞬でキャロとの距離を詰める。
振りかぶられた爪剣。これを振り下ろせば終わりだ。
「キャロの」
装填。
「邪魔は」
点火。
「―――――させないっ!!!」
加速。
ガリューとキャロの間に割って入ったエリオはその身をもってキャロの盾とした。
右肩に振り下ろされる爪剣。噴きあがる鮮血。
だが、耐えた。
カウンターに、石突をガリューの胸の中央に叩き込む。
確かな手応えと共に、装甲が砕ける音が宙に響いた。
弾き飛ばされたガリューと、フリードの背に降り立ったエリオの間に距離があく。
ガジェットの上にはルーテシアただひとり。
だがフリードの上にはキャロとエリオのふたりだ。
身を寄せ合うエリオとキャロを見て、ルーテシアの表情が歪む。
『寂しい』
「あなたたち……嫌い」
本気を出そう。もう目の前の二人には一分一秒も耐えられない。
切り札のひとつであるインゼクトを召喚する。
彼らは全ての個体がひとつの意識を共有している為、
一体一体が失われても死ぬわけではない。だが、それでも痛みくらいは感じるのだ。
故に使いたくなかった手段のひとつ、インゼクトの特攻を行う。
弾丸へと変わった彼らは誘導の精度や一発の威力がルーテシアの魔法よりも上だ。
己を弾丸へと変化させて、インゼクト達がキャロに襲い掛かる。
「ウイングシューターっ!」
ケリュケイオンから生えた翼が直線の弾丸と化す。
紫と桃色の光弾は激突する事無くお互いの目標へと向かった。
お互いが盾をかざす事で防ぐ。広がる紫と桜色の爆炎。
爆破の余波で、ルーテシアの乗っているU型が機能停止した。
しょうがないので彼女は浮遊で手近なビルの上へと着地する。
ルーテシアの目の前に降り立つのはキャロだ。
「あなたは幸せになりたいんだよねっ!?でもこんな事して何になるっていうのっ!」
「うるさい。何も知らないくせに」
「何でスカリエッティに協力してるのっ!?あの人は犯罪者なんだよっ!」
「うるさい」
インゼクトを召喚し、放った。紫の魔弾は桃色の少女を容赦無く追い詰める。
キャロの翳した桃色の盾が砕かれた。爆炎が噴き上がる。
(やっと……終わった)
代わりのU型をオットーに頼もうとしたその時、一迅の風が吹いた。
ビルの屋上に蔓延していた煙が吹き飛ばされる。
そしてそこには
「お願い……何がしたいのか教えて?あなたの欲しい幸せって一体何なの?」
変わらず少女が立っていた。防護服はあちこち燻っていてボロボロだ。
もう一撃いれたら倒せそうだとも思う。
だが、彼女は決して倒れないんじゃないかとも思えた。
『聞かせて』
構わずインゼクトを召喚する。この子達の威力は彼女ももう充分わかっている筈だ。
しかし彼女は全くひるまない。
『聞かせて』
光弾へと変換し、構える。これで後は彼女の命令ひとつで目の前の少女は吹き飛ばされる。
『話を――――聞かせて!!!』
「………………あなたは」
ルーテシアが初めて、自分からキャロに声を掛けた。それは小さいけれど大事な一歩。
「キャロ!キャロ・ル・ルシエ!アルザスの竜召喚士」
「…………キャロ、あなたは何がしたいの?」
「あなたの目的を聞かせて欲しいの。あなたが何をしたいかわからないと何も出来ないから」
ルーテシアの心に響く声も全く同じ言葉だった。つまりキャロはそれしか考えていない。
光弾に変えたインゼクトを油断無く構え、ルーテシアは更に尋ねる。
「何でそんなことしたいの?」
「泣いてる子の涙を止めてあげたいって思うのは変な事かな?」
「私は泣いてない」
「ううん、泣いてるよ。悲しくて、寂しくて、不安で、泣いてる。
解るよ!それくらい!だって私がそうだったんだから!」
ルーテシアが黙った。キャロは、ひとつの意思をもって彼女の瞳を正面から捉え続ける。
「お願い。話を聞かせてくれないかな?」
「…………」
さらに数秒の沈黙。キャロの横にエリオとフリードが、ルーテシアの横にガリューが降り立った。
「…………レリックの11番」
「っ!!!聞かせてくれるのっ!?」
「それがあれば、私に心がうまれて幸せになれる。……これが終わったら
ドクター達が探すのを手伝ってくれるって言ってくれてるから私はドクターの手伝いをしてる」
と、そこでキャロはひとつの矛盾に気付く。
「――――それっておかしいよ」
自分の言葉を馬鹿にされたと思い、ルーテシアの眉が跳ね上がった。
主人の敵意にガリューが、それに応えてエリオが構える。
「おかしいって何」
「だって、あなたには心があるじゃないっ!
不幸になるのが嫌だとか、幸せになりたいとか!悲しいとか、寂しいとか、不安とか!
それを感じてるのが証拠だよっ!」
また訪れる沈黙。だが今度の静寂は先程のものとは大分意味が異なっていた。
ルーテシアの顔に浮かぶのは困惑だ。
『あらら〜ルーお嬢様。こんな時に何で敵の言う事なんて真に受けてるんですか〜?』
その時、三人と二匹が見渡せる位置にひとつのウィンドウが表示された。
そこに浮かぶのは怖気を感じさせる笑顔を浮かべているクアットロだ。
「クアットロ……」
『駄目ですよぉルーお嬢様。アイツ等は純粋なお嬢様の動揺を誘おうとしてるだけなんですから』
「…………」
『ほら、ちゃっちゃとブっ潰してしまいましょう!まだまだお仕事たくさん残ってるんですから!』
「でも」
逡巡するルーテシアを見て、眼鏡の奥の瞳が残酷な光を放った。
溜息をひとつ、わざとらしくついてからある操作を始める。
『しょうがないですねぇ……なら、お嬢様が戦えるように!このクアットロが無敵のハートをプレゼントぉっ!』
ルーテシアの足元に、緑の円が広がる。戦闘機人のISで構成される回路によく似たものだ。
突如、ルーテシアの瞳孔が完全に開いた。電流を流されたかのように彼女の体が跳ね上がる。
「…ぁ…ぁぁ……」
ルーテシアの口から息が漏れ、瞳からは涙が滝のように流れ落ち始めた。
『使役』の共有で思考が繋がっているキャロも頭を抑えてうずくまる。
流れ込んでくるのは先程と比較にならない量の孤独感と悲哀、そして殺意だ。
『はい!これでお嬢様はもう殺す事しか考えられませんから……
安心して目の前のヤツ等をぷちっと踏み潰してやりましょうねぇ?』
「…ぁ…ぁ………………ぁぁあああ」
ルーテシアの目の前に六つの召喚魔法陣が展開された。
紫色の魔力で編まれたそれに呼応して周囲のビルの屋上に六つの巨大な魔法陣が展開される。
地響きが六回起こった。原因は周囲のビルの屋上に召喚された巨大な黒い甲虫、地雷王だ。
フラリとルーテシアの上半身が揺れて、止まった。
「インゼクト……地雷王……ガリュー……」
「殺してええええええええええええええっ!!!!!」
いきなり、両の肩に物凄い重圧が来た。エリオとキャロ、フリードが床に叩きつけられる。
立ち上がろうとエリオはもがくが六匹もの地雷王の能力からは簡単に逃れられない。
キャロは何とか顔を動かし、前を見た。そこには瞳を殺意に濁らせたルーテシアが立っている。
思う。
―――――声を届けなきゃ
思う。
―――――あの子は声を届けてくれた
思う。
―――――今度は私の番
思う。
―――――話を聞いてもらうためには
呼びかけて、自分に注意を向かせる事が必要だ。だが自分は相手の少女について名前すら知らない。
先程戦闘機人が『ルーお嬢様』と呼んでいたからには
(ルーってつくんだろうけど…………)
違う。そうじゃない。呼び方なんてどうでもいい。今、一番大事な事は
―――――言葉と、想いを届けることだからっ!!!
『「――――――――ルーちゃんっ!!!!!」』
叫んだ。
「ルーちゃんっ!!!話を聞いてっ!!!」
「うるさいっ!幸せなあなたにはわからないっ!わたしは不幸なのっ!
心があったら幸せになれるんだから邪魔をしないでっ!」
「ちがうっ!そんなのちがうよっ!心があるから幸せも不幸も感じられるんだよっ!?
ルーちゃんが『自分が不幸』って思ってるのだって!心があるから出来る事なんだからっ!」
「うるさい!うるさい!うるさい!ガリューっ!」
ルーテシアの言葉に応え、ガリューが背中から触手を生やし、キャロへと振りおろす。
だがキャロは全くひるまなかった。理由は簡単だ。
「―――だからっ!邪魔はさせないって言ったよっ!」
エリオが守ってくれると信じていたからだ。
キャロの前に立ちふさがったエリオは足を床に埋めながらも決して倒れない。
二本の触手をストラーダで受け止める。
「聞いてっルーちゃんっ!ルーちゃんは今泣いてるよねっ!それが、悲しいって証拠だよっ!
心があるからつらいって、悲しいって、苦しいって思えるんだよっ!?」
「じゃ、じゃあわたしはどうしたら幸せになれるのっ!?
心があるのに不幸なら何をしたって幸せになれないのっ!?」
『大丈夫だよ、ルーテシア。わたしがちゃんと幸せにしてあげよう』
もうひとつ、宙にウィンドウが表示された。そこに写るジェイル・スカリエッティと
「「フェイトさんっ!」」
拘束されたフェイトの姿を認め、エリオとキャロが悲鳴を上げる。
『Fの遺産と、竜召喚士の……キャロと言ったかな?
困るなぁ……ルーテシアをそんな言葉で惑わしてもらっては。
いいかいルーテシア?レリックの11番さえあれば、ずっと一緒にいてくれるママが造れるんだよ?
ママさえいれば、君はひとりになる事は無い。ずっとずっと幸せのま』
「そんなの……違うよ」
エリオは立ち上がって戦ってすらいるのだ。自分だけ地面に倒れ伏しているわけには行かない。
「ずっと一緒なんて無理だよ」
地面に手をついた。床を、体から引き剥がす。
「誰とだっていつかはお別れしなくちゃいけない」
右足を立てた。体重が両の足のみにかかる。くじけそうになるが、更に力を込めた。
「エリオ君とだって……フェイトさんとだって、フリードとだって!」
立ち
―――――――上がる。
「でもっ!それが不幸ってワケじゃないっ!」
首元に手を触れる。そこにはあの日のマフラーはもう無い。
頬にふれてくれた指先も、囁いてくれた優しい声も、何も無い。
だが、思い出せる。
ひとりになって、沢山泣いて、そして泣く事すら忘れてしまったあの日の自分に。
あの人がくれた優しさは、幸せは、キャロの中でずっと輝き続けている。
「思い出は……幸せはっ!そんなに簡単に壊れたりしないんだからっ!!!」
「ルーちゃんはどうなのっ!?あの赤い髪の女の子はっ!?ガリューはっ!?
一緒にいてくれた事は!ルーちゃんにとって幸せじゃなかったのっ!?」
ルーテシアの様子が変わった。
キャロの脳裏に、ある暖かい光景が流れ込んでくる。
無愛想な男の人が解りづらいやり方で気遣ってくれたり、
赤い賑やかな女の子が自分の身だしなみに口を出して髪を梳いてくれたり、
そしてどんな時も傍にガリューがいてくれた。
これはルーテシアの記憶だ。
そして、胸にこみあげてくるのはささやかだがルーテシアが感じる確かな幸せだった。
「解るっ!?今、ルーちゃんが感じてるそれが幸せなんだよっ!
あなたは……絶対に不幸なんかじゃないっ!」
「……でも、みんないなくなる……わたしは、不幸になる……」
先程までの激昂した様子はどこに消えたのか、ルーテシアはかぼそい声で嘆いた。
不意におかしくなったキャロは笑った。
(やっぱり……私と、おんなじだ……)
「ねぇ、聞いて?ルーちゃん」
キャロの囁きに、ルーテシアが顔を上げる。
「私はね……フェイトさんに保護されてとっても幸せなんだ」
ルーテシアの表情がまた、変わる。憎悪と嫉妬、絶望が混ざった表情だ。
「フェイトさんと一緒にいられた時間なんてほとんどないのにね」
今度は困惑に変化した。
キャロの言葉が届くから、ルーテシアの表情は万華鏡のようにくるくる変わる。
「何でそう思えるか、解る?」
「…………なんで?」
思い出すのは、仕事の合間に送ってくれたメールやプレゼント。
そんなものよりも本当はただ会いたかったけれど、
でもそれは叶わなくて、せめて、って思ってたし思ってくれていた。
この機動六課を希望したのだってあの人と一緒にいられる時間を少しでも増やしたかったからだ。
結局それはあまり叶わなかったけれど、近くで見て、解った事もある。
自分が思ってたよりもあの人はずっとずっと忙しくて、
それでも頑張って時間を作ってくれていた事。
機動六課に所属しなければ気付けなかった事、気付かなかった事。
そして何より――
「フェイトさんが、ちゃんと私の事を思ってくれてるって解ったから。
一緒にいなくても、離れてても、私の事を考えてくれてるって知ってるから。
ルーちゃんの友達はどうなの?ルーちゃんがそばにいないからって
あっさり忘れてしまうような人なの?」
「っ!違――――」
『駄目ですよぉ……ルーお嬢様。そこの雑魚はルーお嬢様の敵なんですよ?』
最悪のタイミングで最悪の声が乱入してくる。
『殺しましょう!潰しましょう!目の前の敵は踏み潰す為に存在してるのですからっ!』
恍惚とした表情で高らかに謳うクアットロ。
「……いや」
だがルーテシアは、拒否した。
頭の中に際限無く流れ込んでくる悪意や殺意、絶望全てを否定し、拒否した。
何故なら彼女はもう知っている。揺るがない幸せが自分にもあった事に気付けたからだ。
『そうですか……ならもういいですよね、ドクター?」
『あぁ。勿体無いが、しょうがないな。また造るとしよう』
『はぁ〜いっ!その言葉をお待ちしておりましたぁ〜!
じゃ、………………壊しちゃいましょうね♪』
本当に楽しそうな声で呟いたクアットロが画面の中で何かを操作している。
『これでお別れだと思うとクアットロは残念で仕方がありません……
本当はもっと被害の出る場所でやるつもりだったんですけど……』
「…………?」
『でも、仕方無いですよね?お人形はいつかゴミ箱行き……コレが運命ですから♪』
ルーテシアの足元にまた緑の円状回路が広がった。
しかし先程のものとは大きさも放つ光の強さも全く違う。
リボンが弾け、艶やかな紫の髪がバラける。それと同時に彼女の体が何度も大きく跳ねた。
「ルーちゃんっ!?」
キャロが呼びかけるが、しかし先程までは聞こえていた胸に響く声さえ全く聞こえなかった。
まるで急にふたりの間に壁が出来たように。
「あ。あ。あ。あ。あ」
明らかにおかしい様子に、ガリューや地雷王さえも動きを止めルーテシアの方向へと振り向く。
「あ・ああ・ああああ・こ」
目が、ぐるりと反転し白目を剥いた。そのあまりの様子にキャロが息を呑む。
『残念だよルーテシア、ここでお別れとはね。次はもっと私に優しく造ってあげるからね?』
溜息をひとつついてからスカリエッティとフェイトの映っていたウィンドウが閉じた。
ついで、クアットロが映っていたウィンドウも宙へと消える。
「あああ・あ・あ・こあああ・ろ」
彼女の背後に、巨大な紫の召喚魔法陣が展開された。
周囲が全く見えなくなるほどの眩い光を放ち、ある存在をこの場へと召喚する。
それは、白く輝く蟲の王。
王とは威厳だけで、存在だけて周囲をひれ伏させる存在だ。エリオもキャロも足が勝手に後ろへと引いていた。
「あああこ・ろ・あああああああ・す・あ・ああ」
キャロはこの状態を知っている。主が追い詰められた時におこる召喚獣の自律召喚と暴走だ。
しかも目の前の召喚獣は竜で例えるならば真龍クラスの能力を持つ。
そのレベルの召喚獣の暴走など、廃棄区画のひとつやふたつで済むわけがない。
下手をするとクラナガン壊滅などという事もあり得る。
(落ち着いて……あれを止める事だって……私なら出来るはずっ!)
少女には力がある。その力の為に故郷を追われ、畏怖され、孤独になった。
そんな力なんて関係無いと言ってくれた傍に来てくれたおかげで孤独ではなくなったが
ずっと、ずっと疑問だったのだ。
自分なんかがこんな力を持っていていいのかと。力を正しく使えるのだろうかと。
(でも……今ならちゃんと、この力があって良かったって思える!)
この力で守れるかもしれないものが目の前にあるのだから。
意識を集中する。自分の明確な意思で召喚するのは、実は初めてだ。
胸にたぎる感情を理性で完全に制御し、超大規模召喚魔法陣を展開する。
桃色の魔力で編まれたそれは、一個のビルの屋上を遥かに凌駕する大きさだった。
「龍騎」
それだけの魔力を一気に放出した事で胸のリンカーコアが悲鳴を上げる。
また、制御能力の限界を迎え、ケリュケイオンから警告が伝えられる。
「召喚」
処理能力が底をついた事で意識が一瞬消えた。ふらりと、倒れそうになる。
だが、左足を踏ん張った。右足を踏みしめた。両の足でしっかりと立つ。
まるで自身こそが龍であるように、少女は天に向かってその名を吼えた。
「――――ヴォルテエエェェェルッッ!!!」
黒の真龍が一度吼えたけり、白の蟲王へと向かった。
両者の激突は衝撃波を生み、キャロを吹き飛ばそうとするがエリオが盾になりかばう。
視線の先には天を見上げ痙攣しているルーテシアと、それを庇うガリューがいる。
ふたつの巨大な力の激突は、最初拮抗していた。だが、それがいきなり傾く。
周囲に召喚された六匹の地雷王がその能力でヴォルテールを縛り始めたからだ。
地雷王を拘束する為に鎖を召喚しようと思ったが
ヴォルテールの完全制御だけですらキャロの能力を遥かにオーバーしているのだ。
他の魔法の並列展開などまず無理だった。
それに、今はそれよりも大きな問題があるのだ。
「エリオ君!ルーちゃんを止めてっ!このままじゃ壊れちゃうよぉっ!」
「でもっ!どうしたらっ!?」
「ルーちゃんの心に壁……違う、檻が出来てるの。
だから私の言葉も届かないしルーちゃんの言葉も聞こえない。
だから……それを何とかすればっ!」
「精神系のプログラムとかなら、もしかしたら魔力ダメージでなら――――」
もし効果がなくても、気絶させればこの状態がきっとおさまる筈だ。
ならばもう迷う理由など無い。
エリオは駆け出した。
だが走る槍騎士の前に当然立ちはだかるものがいる。ガリューだ。
ストラーダを振り上げ、袈裟に振り下ろした。だがそれを爪剣で受け止めれられた。
しゅるりと、ストラーダの穂先にガリューの背から伸びた触手が撒きつく。
「っ!」
慌てて離れようとするが、柄を握られた。さらに石突のほうにも触手が撒きつく。
エリオの武器は完全に封じられた。だがガリューは両手が空いている。
「しまっ―――」
肩をつかまれ、引き寄せられた。
そして胸に突き刺さる、砲弾のような膝。
「――――ごぼぉっ!?」
両足が浮いた。肋骨から嫌な音が響く。
二発目が来る。
膝と胸の間に無理矢理ストラーダの柄をすべり込ませた。だがそんなものなど関係なく衝撃が体を突き抜ける。
口の中に戻ってきた胃液を噛み締めた。
「…………ガリューって、言ったっけ」
(ストラーダ、準備はいい?)
『yawhol』
「ひとつだけ聞くよ」
ルーテシアとの距離は6メートル強。エリオの足ならば数瞬の距離だ。
だが、その前に立ちはだかる壁がある。しかもとてもとても強固で大きな壁だ。
「君が守りたいのはあの子の言葉なの?
それとも――――――あの子の心なのっ!?」
ガリューが、ほんの僅かな間硬直する。それは一秒にも満たない隙と呼ぶにはあまりに儚いものだったが
エリオには充分だった。
「ストラーダぁっ!」
ストラーダを待機モードに戻す。腕時計へと戻ったストラーダがエリオの右手に撒きつき、ガリューの触手は空を切る。
待機モードの処理能力で防護服は維持出来ず、管理局の制服へと戻った。
だが、これでエリオもストラーダも自由の身だ。
身を低く小さくし、ガリューの股下を抜ける。
越えられない壁ならばすり抜ければいい。
あと4メートル。
だがガリューはもう振り向いているはずだ。
あと3メートル。
ならば次の行動は何だろうか?
考える余裕も無く上へと跳んだ。
自分の足元を通過するガリューの爪剣と触手。それらを踏みつける事で今度は前へと跳躍。
2メートル。
『Thunder』
1メートル。
『Rage』
零。
ルーテシアの額にそっと右の手のひらを押し当てた。
『Gauntlet sift!』
雷撃が、少女の頭を打ち抜いた。
目の前でウィンドウが閉じられた。あたりの暗闇が一層濃さを増す。
フェイトはこのケージを何とかしようと先程から何度ももがいたがビクともしない。
(キャロ達はあんなに頑張っているっていうのにっ!)
自分の迂闊さを呪う。力があるのにそれを使う前に捕縛されたなんて笑い話にもならない。
先程のキャロの言葉は本当に嬉しかった。
自分があの二人を不幸にしているのではなかったかとずっと心配していた彼女だ。
仕事の合間を縫って時間を作ってもすれ違い、
ようやく時間がつくれたと思ったら臨時捜査会議に召集されて。
いつか、三人でゆっくりしようと言ったのに、これさえ終わればそれが出来るのに!
自分は何も出来ずに捕縛されて檻の中だ。
「ウーノ、フェイトの輸送用の特殊ケージをこちらによこしてくれ。
いつまでも廊下にいるワケにもいかないしね」
『わかりました、ドクター』
輸送用のケージとなると今自身を拘束しているものよりも強固なものに違い無い。
そんなものにいれられてしまったらただでさえほとんど無い勝機が全く無くなってしまう。
何とか逃れようと、魔力を溜めて
「無駄な事はおやめ下さいフェイトお嬢様。
このケージは完成すればSSランクまでの魔導師は楽に拘束出来るのですから。
加えて、周囲の高濃度のAMFのおかげで魔法もほとんど使えない筈です。
この狭い空間でザンパーを使っていたのも、
それ以外では有効な打撃にはならないと解っていたからなのでしょう?」
トーレに見透かされて、奥歯を噛み締める。
自分を笑いながら見下ろしているスカリエッティへの怒りを覚えた。
「ジェイル・スカリエッティ!」
「おやおや、穏やかではないねぇ……それに、私はプロジェクトFの開発チームの一人でもあるんだよ?
なんなら、ジェイルパパと呼んでくれても構わないさ」
「っ!ふざけるなっ!」
激昂するフェイトの様子を見て、スカリエッティは本当に不思議そうな表情をつくる。
まるで、自分の何がおかしかったのか解らなかったように。
ここで怒っても相手を調子に乗らせるだけだと解りつつも、フェイトは尋ねずにはいられなかった。
「何でこんな事をっ!」
「何でって……私の研究のひとつ、死者の蘇生を認めてもらう為さ」
「そんなものが認められるわけがないっ!」
「理由も無しに否定しないでおくれよ。少し傷ついたじゃないか。
それに……ホントにそうだといえるかな?」
スカリエッティは、フェイトの顔を覗きこみ、にんまりと笑った。
「今、私の作品達が市街地を攻撃している。当然死者も沢山出るだろう。
では……その死者の家族や友人、恋人のうち何人が死者の蘇生を望むのかな?」
「っ……」
ここでの沈黙は相手の意見の肯定にしか成り得ない。
フェイトの沈黙に気を良くしたのか、ケージの周りをゆっくりと回りながら、
スカリエッティは高らかに語り始めた。
「生き返らせられると聞いて、その内何人がその誘惑を断ち切れるのかな?」
「でも!与えられるから奪うなんてそんなやり方で認められるワケが無い!」
「最初は認められないだろうね。でも切っ掛けにはなるだろう。
それに、君の反論の根拠は所詮倫理観や感情論でしか無いだろう?」
その指摘に、フェイトは返す言葉を持たない。
スカリエッティはますます勢いづき、フェイトひとりを観客に演説を始めた。
「知っているかいぃ?どんな次元世界でも、貨幣経済の黎明期には
『金を稼ぐ事は悪』という考え方が発生しているのだよ!
新しい技術や価値観は最初は受け入れられないという事と、
所詮、倫理など絶対の法則には成り得ないという事の良い証明だねぇ!」
腕を左右に広げ、天井に向かって謳う言葉は、理性よりも狂気を感じさせるものだった。
突如、すごい勢いでスカリエッティの指がフェイトへと向かう。
ケージの寸前で止まった指は、フェイトの顔の中央を差している。
「そぉれぇにぃ!君には生き返らせたい人がいるだろうっ!?あのプレシア・テスタロッサが。
それとも、一度もそんな事は望んだ事が無いとでもっ!?」
最悪の指摘だった。フェイトの顔が一気に青ざめる。
「――――違うっ!そんな事無いっ!」
恐怖を顔にはりつかせながら必死に否定するフェイトに、
スカリエッティの表情はどんどん愉悦に染まっていく。とうとう、大声で笑い始めた。
「っは!嘘などつかなくてもいいさ!必死に考えないようにしていたんだろぅっ!?
それにね……大抵、こうゆう禁忌感というのは不可能だから生まれるのさ!
どうせ出来ないのだから考える事すらいけないとねっ!
だがっ!!!私なら!ゆりかごならそれが出来―――」
「フェイトさんから離れろぉっ!!!」
通路の闇の奥から叫ぶ声が届く。
その声は頂点に到達していたスカリエッティですら現実に引き戻す程の迫力があった。
闇の奥から、金属製の靴が立てる固い音が響いてくる。
トーレとセッテが、その新たな乱入者に対して身構えた。
そして、薄暗い光に照らされて現れたのはエリオ・モンディアルただひとりである。
「おや……君は」
「時空管理局古代遺物管理部機動六課所属、エリオ・モンディアルです。
フェイト・T・ハラオウン執務官を返して貰いに来ました」
発言の内容に虚を突かれたスカリエッティは、一瞬キョトンとし、それから盛大に噴き出した。
ひとしきり笑ってからエリオに視線を送る。
「っははっ!私を逮捕しに来たのではないのかねっ!?
それに、返してくれと言われて『はいそうですか』と行くわけがないだろうっ!?」
「なら……」
エリオは、ストラーダを構える。右肩はガリューの一撃で裂かれていて、
槍を握る手を通じて血が伝い、穂先から一滴垂れ落ちた。
「フェイトさんを奪いに来ました。これでいいですか?」
「エリオっ!?何でっ!?どうしてここにいるのっ!?」
この場で困惑の叫びをあげるのはフェイトだ。ケージにしがみついて必死に声を出す。
「えっと……あの後和解したルーテシアに転送魔法でここまで送って貰いました」
「方法なんて聞いてないっ!」
「あ、任務の方ですか?何か、ティアナさん達の方もひと段落着いた後だったみたいで、
後で厳罰受ける覚悟があるんなら好きにしなさいって言ってくれました。
……任務放棄してしまってすみません」
「そうじゃなくって!何で一人で来たのっ!?」
本気で怒っているフェイトに、先程の気迫はどこにいったのかエリオは縮こまった。
その姿はささいな失敗を母親に怒られる年相応の少年でしかなく、
この戦場には全然相応しくない。
「いえ、あの……ルーテシアからアジトにはAMFが張られてあるってのは聞きましたし、
それならキャロやルーテシアは魔法を使えないただの女の子ですか――」
「それならっ!エリオだって魔法を使えないただの男の子でしょっ!?何でこんな無茶するのっ!?」
「あの……その……ごめんなさい……」
どんどん背中が小さくなる少年と、それを叱るフェイト。先程まで張り詰めていた空気は既に面影が無い。
「でも……その、僕ひとりならまだ戦えますし……」
その言葉を聞きとがめたのはトーレだ。
「エリオお坊ちゃまが私達と戦える……と?」
少し不機嫌を感じさせる声音で反論した。
自分達が無視されたという事もあるだろうが、何よりも気に食わなかったのは
エリオごときが自分達と戦えるつもりだという事だろう。
10年以上、最前線で戦い続けてきた彼女は自身の能力にそれなりの矜持もある。
「ドクター」
「トーレ、優しくしてやってくれよ?彼も私の貴重な研究サンプルのひとつだからね」
「わかりました」
一歩、前に進み出てトーレは自身の固有武装であるインパルスブレードを構えた。
手足に四対八枚の翼が生える。
「ISライドインパルス」
エリオのソニックムーブを遥かに越える速度の高速移動は
その機動を一筋の閃光としてしか捉えられない。
(すみませんが、少し怪我をして頂きますよ)
武器を取り上げればそれで勝負は決する。
ストラーダを落とさせようとエリオの手首に伸びた刃は―――
ストラーダの柄に弾かれた。
エリオがその衝撃によろめくが、本当の意味で衝撃をくらったのはこの少年ではない。
「!?」
トーレの表情が驚愕に染まる。だが偶然かも知れない。
もう一度、今度は先程よりも複雑で高速な機動で距離を詰めた。
が、響く金属音。
先程と同じようにストラーダの柄がインパルスブレードを受け止めていた。
エリオが後方に吹き飛ばされ、たたらを踏む。
「ISスローターアームズ」
セッテが二対のブーメランブレードを投擲し、それを制御して四方向からの同時攻撃を行った。
だが、エリオはその間をただの二歩ですり抜ける。
空間に、緊張が走る。
『魔法無しの模擬戦、ですか?』
『そうだ。騎士の戦法とはつまるところクロスレンジでの格闘戦に集約される。
特に高位の騎士となると繰り出す攻撃の全てで障壁を貫いてくるのだ。
では、そんな攻撃をどうやって防ぐ?』
『……プロテクションが通じないなら……魔力付加させて威力を高めたデヴァイスで、ですか?』
『そうだ。高位の騎士同士であればある程、戦いが原始的な殴り合いになる。
絡め手の入る余地も無くなるしな。では、早速始めようか』
(やってて良かったっ!)
何度も何度もしこたま殴られた甲斐があったというものだ。
シグナムやヴィータにひたすらのめされて転がされたあの経験のおかげだ。
魔法無しでどうやって戦うか、その経験は充分にエリオに蓄積されている。
敵の攻撃を察知するのは純粋な見切り、
回避や防御も全く魔法に頼らない純粋な体術によるものだ。
これらはAMFでは奪えない、確固たるエリオの力。
回避や防御に専念すれば、ナンバーズ相手でも何とか反応出来た。
「―――――――エリオっ」
フェイトが感極まって声を漏らす。
しかし隣に立つスカリエッティの表情は対照的に呆れきったものだ。
「やれやれ……トーレ、セッテ。プログラムを汎用のものに戻しなさい」
その言葉に二人の戦闘機人は何かに気付き、そして目を閉じる。
数秒後、目が開かれた。
今まで使用していた戦闘プログラムは対フェイト専用に組まれたものだった。
フェイトの動作を予測するなどフェイト戦に特化されたそれは他の相手に対して使うと齟齬も生じる。
これが、エリオが何とか対応できたふたつ目の理由だ。
来る。そう感じたエリオは身構えた。
「ISスローターアームズ」
一対のブーメランブレードが左右から挟むように襲い掛かる。
エリオは地を這うように身を伏せる事で回避。
そこにトーレの下段回し蹴りがきた。
ストラーダを翳して受け止めるが、当然のごとく弾き飛ばされる。
何とか両足で着地するが4メートル程すべり続けてようやく止まった。
背を駆け抜ける悪寒。
次の行動など全く考えず、前に倒れこんだ。切断された何本かの髪の毛が、宙を舞う。
続いて来る振り下ろしは横に転がる事でやりすごした。
衝撃。
最初は何が起こったか解らなかったが体が吹き飛ばされてからようやく胴を蹴られた事に気付く。
壁に叩きつけられる事で一度、蹴られた場所が痛んで二度、そしてガリューに砕かれた肋骨が痛んで三度。
これがエリオが壁に叩きつけられて床にすべり落ちるまでに呻いた回数だ。
崩れ落ちる。
(……あれ?)
見たことも無い場所。まどろむ意識。眠ってしまえと誰かが囁いた。
体の感覚が無い。歪む景色。やはりきっとここは夢の中だ。
眠ってしま―――――――
「―――――――エリオっ!!!」
誰かの泣きじゃくる声が聞こえる。でも、この声の人はいつも優しく笑ってくれてて……
だから泣き声なんてありえない。だからこれはやはり夢だ。
(そう?)
疑問が浮かぶ。あの人は本当に泣いた事がなかったか?
(違うよね?)
あの人だって泣くよ。きっと悲しいとき、つらい時は涙を流す。
(それを……止める為に!支える為に!僕は強くなろうと思ったんだから!)
目を開いた。そこに広がるのはやはり見慣れない光景だが、つい先程までの記憶が戻ってきた。
「エリオっ!もういいよ!私なんかどうでもいいから逃げてぇっ!」
(あぁ、泣かせてる……すみません、フェイトさん)
右手が、ピクリと動く。
その手に握られているストラーダは魔力の付与もなく二度の強烈な衝撃にさらされて
二箇所にひびが入っていた。
(ごめん……痛かったよね、ストラーダ)
片手で、振り上げた。裂かれた右肩が痛みを発しているはずだが今のエリオにはよく解らない。
床に突き立てる。
両手でストラーダを握り、力を込めた。右肩から血が流れ落ちる。
右膝を突く。左足を立てる。力を込めた。立ち上がるという動作だけで体のあちこちが痛む。
立ち上がった。
「エリオっ!?聞こえてるのっ!?もういいから!もう充分だから早く逃げ―――」
「フェイトさん……覚えてますか?」
口から、かすれた声が漏れた。幸い、この空間には音を立てるものが他に無く
微かな声でもフェイトの耳にも届いた。
「……初めて、会った時の……事です。あれ、痛かったですよね?」
初めてあった時、自分は自分が誰かのコピーであった事に絶望していた。
両親だと、そう呼び慕った人達は簡単に自分を手放した。
「ごめんなさい」
「今はそんな事話してる場合じゃないよっ!ねぇ!聞こえてるのエリオっ!?」
結局、両親にとって自分は『エリオ・モンディアルのコピー』でしかなかった。
研究者にとっては『人造生命体の貴重な成功サンプル』でしかなかった。
「あと、……ありがとうございました」
だが、
(フェイトさんだけは……僕を、『エリオ・モンディアルのコピー』でもない、
『人造生命体』でもない、ただの僕を)
「抱きしめてくれて…………愛して、くれて……本当に、嬉しかったです」
「いいよ今はそんな事っ!」
ケージの中で叫ぶフェイトは、まるであの時の自分みたいに叫んでいた。
少し、笑えた。
「だから、今度は、僕が、フェイトさんを…………助けに行きます」
「成程……君はフェイトが欲しいだけなんだね?」
ジェイル・スカリエッティが何かを思いついたように呟いた。
「エリオ、だったかな?君には後日フェイトを造ってプレゼントしよう!
だから大人しく投降してくれないかな?」
先程よりももっと笑えた。エリオは痛む体を震わせて、笑う。
「そんなの、意味ないですよ……」
その言葉に、スカリエッティが眉を顰めた。
「何故、意味が無いのかな?」
「決まってるじゃないですか。フェイトさんと同じ顔でも同じ記憶でも、
それはもうフェイトさんじゃないからですよ」
「はっ!コピーである君がコピーを否定するのかねっ!?」
「コピーとして生まれた僕だからわかるんですよ。
いくら遺伝子が同じでも、記憶を引き継いでいても!
僕と『エリオ・モンディアル』は別の人間で!一緒にはなれなかったんだから!」
意思とともに力が湧いてきた。ようやく、思考がクリアになる。
意識が明確になった事で今まで認識せずに済んでいた体の痛みが戻ってくる。
(そうだ、僕はフェイトさんを助ける為にここにいるんだっ!!!)
「例え僕の前にフェイトさんと同じ顔で同じ記憶の人が現れても!
その人はフェイトさんのコピーとかそんなんじゃなくて!
フェイトさんが僕にしてくれたように一人の人として認めたうえで!
僕はフェイトさんを求めますっ!だから!あなたのやり方じゃ意味がないんだっ!」
529 :
名無しさん@ピンキー:2007/09/10(月) 00:22:23 ID:0mmO9MVW
>>493 のぁ!! 前回ので少し回復したと思ったら、ある意味さらに悪化していたとは…。
相変わらずGJでした!!
なのは妊娠…まぁアレだけシテできないのもどーかだし…。でもユーノとの子は少しでも幸せになってほしいな。
>>506 フェ「なのは!久しぶ…」
な「死んじゃえ」フェ「え?」ザシュッ!! な「はは…あははは…アハハハハハハ…!!」
ってなモノ想像させないで! 録画したスクイズでみんなのユーノだとどーなんのか妄想してたのに…
エリオの言葉に、スカリエッティは笑った。大声で笑った。高らかに笑った。
とにかく笑い続け、ひとしきり笑った後にまた大声で笑った。暫く彼の笑い声だけが空間を支配する。
「は…ははは……トーレ、セッテ……ひとつお願いがあるんだが聞いてくれるかい?」
「「はい、ドクター」」
「あの子を、手にいれてくれ。今まではFの遺産としてしか見てなかったが……興味が湧いた。
私は!今!猛烈にあの子が欲しい!」
その言葉にナンバーズのふたりが動き出す。
エリオは今、ようやく立てている状態だ。肩を押せばそれだけで簡単に崩れ落ちる。
そんな彼にこれ以上の回避が出来るわけが無い。
わけが無かった。
『sonic move!』
魔法が発動する。トーレとセッテを背後に置き去りにしたエリオは一瞬でスカリエッティの前に到達、
槍を振り下ろしたが瞬時に出現した赤い糸で編まれた壁に阻まれる。
エリオが弾かれた事で彼とスカリエッティの間に距離が生まれた。
「魔法っ!?何故……」
驚愕するトーレだが、瞬時に我に返り大きく跳躍した。
一瞬前まで彼女がいた場所を焼き尽くす紫の光弾。
「エリオ君っ!大丈夫だったっ!?」
「うん、何とか……」
桃色の少女と紫の少女、そして彼女らの守護獣が通路の奥から現れた。
「ゴメンね?中枢を制御してたナンバーズの人が手強くて……」
「大丈夫、間に合ったんだから」
そういって微笑みあうキャロとエリオ。
トーレとセッテ、そしてスカリエッティと対峙するのはルーテシアとガリューだ。
「ルーお嬢様……何故……」
「ごめんね、トーレ。今までいっぱいお世話になったからホントは今も迷ってる。
でも、わたしにだって……ゆるせない事くらいある。
それに……ともだちを助けてあげたい……」
「成程、ルーテシアのインゼクトでAMFの制御装置を乗っ取ったというわけか。
そこの少年は、その為の時間稼ぎをここでしていたというワケかな?」
「正解だよ、ドクター。……わたしが何で怒ってるかもわかってるよね?」
「くくっ……あぁ、解ってるよ優しいぃルーテシア」
「キャロ……お願いがあるんだ」
「うん、エリオ君がしたい事なら私は全力でそれを応援するよ!」
「……ありがとう!」
そしてエリオが構えた。キャロもエリオが望む事は既に解っている。
目標は……スカリエッティだ。
先程の攻防でスカリエッティの前に出現した壁はフェイトのケージと同じ赤い糸で出来ていた。
壁を出現させる時にあの金属製の爪を動かした事からあれが恐らく制御ユニットだろう。
ならば……あれを壊せば!
「我が乞うは貫徹の槍……若き槍騎士に、力を与える祈りの光を!」
右手のケリュケイオンに光が宿る。
「猛きその身に、更なる力を与える光を!」
左手のケリュケイオンにも同じ種類の光が宿った。
「ストラーダ・カートリッジロード!」
ありったけのカートリッジを全てつぎ込む。
ただでさえ傷でガタが来ているところへの過剰駆動だ。
ストラーダから悲鳴のように火花が飛び散った。
「デュアルブースト!ストライク&ストライク!」
キャロの両手から放たれた光がストラーダに宿る。
いつかの時よりも貫く事に特化した刃は貫く為に細く、丸く、鋭くなる。
それはまるで古代の騎士が用いた馬上槍のような姿だった。
膨大な魔力をその身に受け、ストラーダから飛び散る火花が一層激しくなった。
(ゴメンね、ストラーダ。君にはいつも無理させてばっかりだ)
『Drei』
(僕は、まだ弱くて、君にも他の人にも一杯迷惑かけてる)
『Zwei』
(だけど……強くなるから!君と一緒に……強くなるからっ!)
『Eine』
「―――――だからっ!今はもう一度だけ!応えてくれストラーダっ!!!!!」
『Anfang!!!』
ストラーダの穂から膨大な量の炎が噴出された。
加速は距離を一瞬で零にする。
トーレとセッテがそれぞれの方法で止めようとしたがガリューとルーテシアに阻まれた。
エリオの突撃を阻むものはもうスカリエッティが翳す赤い壁しかない。
貫いた。
一枚、二枚、三枚。
一枚破る毎にスカリエッティとの距離は縮むが勢いも衰えていく。
ストラーダを握る右手の肩から血が噴き出た。
九枚、十二枚、十八枚。
だが、そこまでだ。
スカリエッティまであと十一枚というところで、とうとう止まった。
足を踏ん張り、前へと向かう力を生むがそれが果たされる事は無い。
エリオを絡めとろうと壁が広がり覆いかぶさって来る。
「――――デュアルブースト!ストライク&ストライク!」
背中を押す力。優しい想い。そして彼の槍に再び宿る桃色の刃。
立て続けに二重ブーストを行ったキャロは、そこで力尽きて座りこむ。
「お願い」
もう彼女に魔力は無い。だから何も出来る事は無い、その筈だ。
「お願い!!!」
でも諦めずに彼女は祈った。この祈りが、想いが、彼の背中を少しでも押してくれる事を願って。
「一閃」
一度左足を前に踏み出した。そして右足に体重をかけて思い切り半身に構える。
「必」
ストラーダの穂から噴きあがる炎の色が、黄色から更に輝く金色へと変わる。
右足に思い切り力を込めた。体が、意思が、前進を望む。
突き込む。
「中ぅっ!!!」
『Explosion!!!』
貫いた。
槍は今度こそ留まることなく前へと進み――――
スカリエッティの爪を粉々に打ち砕いた。
フェイトを捉えていたケージが粉々に砕け散る。
エリオは、勢いあまってそのまま突き進み、つまずいて宙で二回転してから床に叩きつけられた。
フェイトは、今すぐ駆け出して二人を抱きしめたい衝動にかられたが
今はそれの前に終わらせなければいけない事がある。
鋭くした瞳で睨みつけるのはトーレとセッテだ。
スカリエッティはあの装備が破壊された以上、彼女の敵足り得ない。
「……フェイトお嬢様」
「私は、フェイト・テスタロッサ・ハラオウン執務官です。
あなた達に『お嬢様』呼ばわりされる所以はありません」
「……では、フェイト。ひとつ提案します。ここで退いていただけませんか?」
「そんな意見が通るとでも?」
「通りますよ。あなたの背後にはぼろぼろの子供達が3人もいるんですよ?
その全員を庇いながら私達ふたりと戦えるとでもお思いですか?」
確かに、エリオとキャロはもう戦える状態だとは思えない。
ルーテシアも一度エリオに撃墜されており、かなり消耗した状態だ。
もう限界だろう。
唯一動けそうなのはガリューだが……
「大丈夫ですよ、ハラオウン執務官。私がついています」
声がした。そして次の瞬間、床を突き破って現れる人物は
「シスターシャッハっ!?」
「すみません、遅くなりまして。実はあの後もう一人戦闘機人と遭遇しまして……」
「僕を忘れてもらっちゃ困るなぁ……」
通路の奥の闇から歩み出たのはヴェロッサ・アコース査察官だ。
「このアジトにあるガジェットの生産機と待機中のガジェットは全部破壊したよ。
いやぁ、流石に骨が折れたね。これが終わったら特別休暇を申請して
優雅にバカンスでも楽しまなくちゃ割に合わない」
「私達二人がついています」
「だから君は目の前の重要参考人を確保する事に集中してくれ」
「ありがとう……みんな、みんな本当にありがとう!
―――――――――バルディッシュ!」
『Yes sir.Set up Riot form』
応援に来た聖王教会騎士団が事後処理をしている中をヴェロッサとシャッハは歩いていく。
「ロッサ……本当にこれでいいんですか?
私達がこの子達を運ぶのは別にいいのですが……」
ヴェロッサの腕の中ではキャロが、シャッハの腕の中ではルーテシアが
穏やかな眠りについている。
「うん?あれかい?」
振り向いた先には、実は一番ズタボロになっているエリオが
フェイトを抱えて運んでいた。俗に言うお姫様だっこというヤツだ。
ライオットフォームで二人の戦闘機人を行動不能にした後、
彼女は魔力を使い果たして立つ事さえ出来なくなったのだ。
そこで、彼女を誰が運ぶかという問題が生まれたのだが……
ヴェロッサの振り分けでこのような構図になってしまった。
「私達の中で一番の重傷である彼に一番重いフェイトを運ばせるというのは
拷問に近いものがあると思うのですが……」
「それに、彼女にとっても拷問だと?」
周囲には先述の通り、教会騎士団の面々が点在している。
その中をお姫様だっこで運ばれているフェイトは顔を真っ赤に染め上げていた。
本来なら魔力を使い果たした反動で眠気が襲ってくる筈なのに
あまりの羞恥心に全く眠たくなさそうだ。
「君は、解っていない。全く解っていないよ!」
「何がですか」
「一人の騎士が己の命をかけて囚われのお姫様を救い出したんだよ?
これで、凱旋の際にお姫様を運べなかったらその騎士の苦労は一体どうなるんだい?」
「……あなたは、あいかわらず変なところで盛り上がりますねぇ……」
医療ヘリまでフェイトを無事に運んだエリオが彼女をベッドに乗せたと同時にぶっ倒れて
フェイトが悲鳴をあげる事になるかどうかは…………
語るべくも無い事だ。
535 :
一階の名無し:2007/09/10(月) 00:29:21 ID:v4yeT+/H
本当に!
本当にここまでお付き合い頂き有り難う御座いました!
実際のところ、何人が読んでくれるんでしょうか、こんな長いの……。
尺的に本編ではエリキャロでひとまとめにされそうだから
それぞれの言葉をフェイトさんに送れるような話考えたら
長くなっちゃった。テヘ♪
本編見ちゃうと二度と書けない気がしたので急ぎましたが……どうなんですかね、コレ。
厨臭いのは解ってます。
重ねがけとかガントレットシフトとか。でもいーじゃん好きなんだから!
あとエロパロのまとめの方。
結末の話の順番訂正とか、小ネタまで保存していただくとか
色々とありがとう御座いました!
今度こそエロでお会い出来たらな……。
>>535 乙です!
いやぁ、いいですねぇ…
この後二人は……
とか妄想してしまいましたよ
>>535 素晴らしい!こうだ!!こうでなくてはならぬ!!!
君は私の願望を満たしてくれた。心からお礼を言いたい。
そして次作にも期待している。
>>535 G!
しかし動きのある戦闘シーンが書けるのは凄いなあ。
翌朝、シグナムから「昨夜はお楽しみでしたね」と言われるわけですね><
>493
まさか,病んでれの真骨頂「死ねば永遠に私の物」が登場するとは
ユーノくん死なないでと切に願う.
ここまでくるとむしろはやてさんが心配になる.
>535
最高でした.読み終えてやっと一息付けた.盛り上がりの限界突破ぶりに目が離せなくなり
お姫様だっこに吹いた締めまで.
一階の名無し先生の次回作にご期待ください.
流石に、エリオにフェイトを抱えさせるのは無理があると思う。体格的に。
変身魔法で・・・大人なエリオに・・・・
駄目か
>>540 >>541 シグナム先生の執拗なまでの折檻がエリオきゅんのフィジカル強化に一役かったと妄想すればおk。
>>535 GJ!!
最高でしたッ!!!
エリオはまさに真のHEROでしたね。
戦闘シーンも迫力があり、眠気も吹っ飛んでテンションMAXになりました。
次回の作品も期待しています。
重心はどうにもならない気がするわけだが。
後ろに反るか。
うん、様にならんな。
>>541 逆に考えるんだ
ライオットフォームの副作用でフェイトが子供になったと考えるんだ
ナンバーズ物を・・・・・
ところでギンエリって結構よくね?
面倒見が良いギン姉・・・ふくらむ2
誰もさ書かないからあえていおう!
スバル×ゲンヤ、ギンガ×ゲンヤもよくね?
てか二人とも奥さんの遺伝子を元に作られたんだからゲンヤさんに二人が父親以上の感情を抱いてもなんら不思議なことは(ry
ちょいとなのはさんに頭冷やされてくるぜ!
六課| λ=3
ギンガ×フェイト
ギンガ×スバル
ギンガ×ティアナ
エリオ×ギンガ
はやて×ギンガ
24話見てきた
ドクターマジ自重しろwwwwwwwwww
ナンバーズ全員妊婦(w
ノーヴェやチンクが母親!?
551 :
246:2007/09/10(月) 03:09:44 ID:diz55NR2
本編見ながら、続き書いちゃいました。
さっき投下したばっかりだからどうかなと思うんですけど、投下して大丈夫でしょうか?
本編は予想のはるか斜め上をかっとんでるなw二次創作の燃料投下してるとしか思えないwww
>>550 ウーノやクワットロが下腹撫でている姿にはグッときました。
>>535 質問です!
この展開だとフェイエリになりますよね?
556 :
246:2007/09/10(月) 03:40:05 ID:diz55NR2
うん、やっぱり連続はいけないかな。
今夜、投下できそうだったら投下してみます。
最後ですいません、遅れましたが一階の名無し氏GJです。
色々戦闘の描写で、そのシーンが浮かぶようでした。
次回、浮かび上がるようなエロに期待です。
正直オットーは男の子だと思ってたが、本編での
>>550を考えると・・・
後ろでドクターを孕んでいるということか。
ナンバーズが全員女性型な理由はあれだったか。
……あんまり考えたくないが、タイプゼロも同じ設計思想じゃねえだろうな。
>>556 246氏なら連続でも何でも大歓迎だZE!
……今更言っても遅いかも知れないがorz
>>553 ウーノやクァットロはある意味すげぇ納得なんだけど、ノーヴェやチンクは驚きですだよ。
もっとも、彼女達の子育てSSはとても読んでみたいけど。
>>558 すでにゲンヤの子供が胎内に……
しかしもう400KB超えか。すさまじいスピードで投下されてるな。
前スレみたいな羽目にならないといいが。
次スレは既に立ってるからいいんじゃないかな
てかさ
エロパロ板で重複スレが再利用できるあたり、恐ろしいペースだよなぁ
スレに寄ったら一月二月放置は当たり前だってのに
>>465 GJ!!
アリシアがエロすぐる!
エリオがうらやましくて仕方がねええええええ
オリキャラだとアリシアが一番好きだ!かわいいし、いい子だし言うことなし!
>>535 24話見て絶望していた私にとって復活のエネルギーが沸きました
エリオはこのくらい活躍すべきなんです!
エリオかっけえええええ!!!!
>>535 GJ!
535見てから24話見た俺はきっと負け組み
>>563 まだ見れてない奴だっているんだぜ?w
まぁうちの県放送圏外だがなwwww
クアットロが誰かに惚れたらすんごいデレだと思うんだ
性格あのままだからベッドではエロイと思う
管理局に捕まったナンバーズ達は堕胎手術を受ける事になるんかね。
予想だにしないところに鬱展開が……。
ライオットやソニックでエリオと交わるフェイトさんというのを妄想して抜いた俺
スカリエッティ「既にナンバーズの体内には私の子供がいるんだよ!」
(突然何の脈絡も無くユーノが転移してくる)
ユーノ「それがどうした!既になのはのお腹の中には僕の子供がいるんだ!」
フェイト「ちょwwwwwいつの間にwwwww殺すwwwwwww」
と言う展開キボン
スカ×数の子の13P・・・
待てよ、こういう事は有り得ないかな?
スカと同等の頭脳を持ちながらスカの様な野心を持たない善人が
奇跡的に生まれてくるという展開。スカにとっては失敗作だろうけど
管理局的には都合が良いだろうから、管理局側の英才教育を受けて
管理局側技術者として大活躍とか
571 :
sage:2007/09/10(月) 12:10:52 ID:tmVMBzRK
スカとクアットロだといろんな意味でとても酷い子供が生まれそうだなwwww
>>572 逆にワル同士で中和されて善人が生まれてくるなんて事は?
悪魔合体じゃないんだから…w
つか、フェイトにあれだけ「失敗作m9(^Д^)プギャー」とか言ってたんだから
自分でやる場合は成功、つまり完全な自分のコピーを生み出させる自信があるんじゃね?
そういえばスカっていくつなんだろうな
フェイトより年上なのは確実だけど
このアニメは外見年齢を参考に出来ないから年表とか見ないと分からんな
各種後日談SSでまだ中途のやつはどう対応するんであろうかw
別スレ用のネタでスカがフェイトにザンバー滅多切りされるの考えてたら
そのものズバリな展開に噴いた
馬鹿言うな、スカさんは滅多切りなんてされてないぞ。
ホームランされたんだw
いや、みんなホームランというがあれはホームランじゃない。サードゴロだ
>>580 うちのサードは粗いさんなので結局ホームランです
だからあんなに若いのかも
そのうちルパン三世のマモーみたいな結果が待ってそうだな・・・
遺伝情報の伝達は100%ではなかった
クローニングを重ねれば重ねるほど実像からぼやけていくと言う
もしかして、綺麗なジャイアンみたいに綺麗なスカが生まれる!?
>>535 いやほんと、補完ありがとう。
やっとすっとしたよ!!
スカはもともと綺麗じゃないか、ただ真っ黒なだけなんだ!!
ナンバーズスレテラ阿鼻叫喚wwww
アリシアがもしスカ製作だったらお腹の中に……
遅レス失礼します。Nameless最っ高です!!
フェイトさん超強いwww
作戦も説得もなく超高速で暴れまわったに違いない。
スカ戦勝利後の六課メンバーの対応が変わる過程を見てみたいかも。
はやての責任の件もフェイト絡みだからって、英雄補正でうやむやになってたりして。
脇道の話ばかりですみません。本編も大好きです。
ユーノくん生きてくれ。頑張ってくれ。ユーなの最高。病んでても最高。
何かアクメツを思い出したの俺だけかな?
アクメツも確か悪人クローン作るはずだったのに
綺麗なクローンが出来てしまい…って話だったし。
>585
スカの出番は一挙に増えたなあのスレ。
スカjrが生まれたらという想定で各人のIS使ってみたり
今ではエイリアン化しとる。
>>580 ザンバーの面の方が思いっきしはたかれてたよなw
死んだかもしれんw
所でギンガの方は大丈夫なのかな?
チンク姉が12人のうちに入ってなかったらアウト
入ってたらセーフ
いや、二番のほうだろう問題は。
いつから仕込んでいるかだな。
実はスバルにもまだ研究所にいた頃に既にそういう
プログラムがされていたとかの展開は無いだろうな
ドクターのクローンか……どうやって産まれてくるのやら。
どっかのグランドマスターみたいに腹を突き破って引き裂いて出てきたらグロ路線まっしぐらだわなw
かといってノーマル出産じゃ効率悪いだろうしなぁ……妄想のしがいはあるがw
ユーノも淫獣の名にかけて
なのは・フェイト・はやて・アリサ・すずか・シグナム・シャマル
ヴィータ・スバル・ギンガ・ティアナ・シャーリー辺りに仕込んでおくべき
バレた時絶対殺されるけど
「ふふふ・・・僕は憎めてもお腹の子供は憎めまい!」と鬼畜全開で
もはやエロオも続くべきw
601 :
名無しさん@ピンキー:2007/09/10(月) 17:27:43 ID:8BlSCQHz
キャロの子かユーノの子かで責任を押し付けあうわけですな?
ちょっと前に女性は子供を産む機械発言して叩かれた政治家がいたが、
まさかスカリエッティがそれを見事に実践してしまうとは
お釈迦様でも想像できなかった事態でしょうよ。
つーかギャグのはずだったダッチワイフ話に真実味が(笑
しかしゼストの副官?は人妻2人か
飲み会とかで旦那の愚痴とか聞かされてたのかな
夜のこととかも含めて
スカリエッティ、変態にもほどがあるよなw
てか、どうやって仕込んだ?
人工授精か、13Pかw
スカリエッティが俺の中の、最高博士を上回ったのがショックだった…
nitroが産んだ基地外博士だがwww
スカ自身の記憶込みコピー(プロジェクトFの成果)だから
試験管ベビーとでも言うべきなんかね。
母体の戦闘機人としてのスペックをいきなり捨てるわけにもいかないだろうから
本編の時点では胎児にもなってない段階だと思われ。
>606
諸井霧江と西博士のどっちだw
ルーテシアに父親はおらんかったのか?
でもスカ博士の記憶を継承した子供ってことは
赤ん坊が生まれてきてその赤ちゃんがいきなり顔芸するっていう―――
こわー
なぜかチクショオオオオ!
と叫ぶクロノの映像が浮かんだ
12Pかよ、すごいなスカエッチ
>>609 マスターテリオンのように母体引き裂いて出てくる光景しか想像できない俺だ
なのスカの後編が恐ろしく書きにくい件wwww
どないしよノ∀`)
重複しとったのか
最後まで書いてくれなきゃいやよ?
真・女神転生Uの救世主計画みたいに一旦胎内に受精卵をおさめた後
取り出して高速成長させるんじゃないかと予想。
なんだろう、母体と言うよりは単純にスカリエッティを護る意志ある鎧みたいな役割とか。
全員孕ませ済みとかw
戦闘に行く前にスカの相手かw
スバル「スカリエッティはナンバーズに自分のコピーを仕込んでたんだよ。
ギン姉は大丈夫だった?」
俯いたままの姉に声をかけるスバル。
ギンガ?「……スカリエッティ?………ソレは、……こんな顔だったかな!?」
>>613 つ代理母出産
舞い踊るまだ序盤で助かったw
だがこれのお陰で上手くハッピーエンドに持って行けそうだ。(数の子は孕める→プロトタイプであるスバルも行けるはず)
そして孕めると言う事をスバルが知らなければ……うはw夢がひろがりんぐw
少し某ステーション参加用の小説を1週間以内に上げなければいけないので、下書き終わってる5話今日中に書き上げて投下します。
>>619 某ステーション用のって、まさか640氏のなのユーステーションのことじゃないだろうな?
あんた、640氏の作品の盗作疑惑がかかってるってこと忘れたのか?
その相手の企画に参加しようってのか?
悪いことはいわんからやめとけ、図太い神経のあんたは屁とも思わないだろうが、640氏はどう思ってるか・・・
少しは相手のことを気遣うってことも考えろよ
>616
女性体であるナンバーズに仕込んでるんだから
最悪の事態(自陣営が負けて逃走中・急速成長の設備なし)
を想定してあるんだろう。
自然分娩さえできれば時間はかかるが記憶込みの復活が可能で、
出産してから成長するまでの間は戦闘型である母体のスペックを活用できるし。
投下予告します
使用レス数22レス
メインはシグナムの話。なのはさんとガチで死合ったという戦技披露会でのくだりです
本編中のタイムテーブルは15話直後くらいのつもりです
では行きます
>>621 まあモチツケ。38の作品読んでないんで真偽のほどは分からんが、
盗作云々に関しては当事者同士でケリつけさせればいいさ。
とりあえず今429kbか<スレ容量
>>621 640氏のメールによると、疑惑の作品ではなくて、完全新作ならば歓迎します、との事でしたが?
それ用に特別に1週間時間貰った訳ですし、それで今止めたら逆に失礼ではないかと。
それはともかく、出来あがったので投下します。
……フィレスのデバイスは、
>>429氏の「アマテラス」をメインに、ハッキングや魔力の効率化を目的としたストレージ「アルテミス」をサブに据えます。
急にアルテミスというのが浮かんで来たんだが、折角の募集を無駄にする訳にも行かなかったので、苦肉の策ですw
アマテラスならデバイス名に整合性が取れますし(アマテラスは太陽の女神で、アルテミスは月の女神)。
では、次から投下します。
5th session〜惑う星、恋する雷〜
「……み、みんな良く走りますねー……」
何故か冷汗を流しながらシャーリーが言う。……無理も無い。
「……うん……そうだね……」
その横にいるなのはがやたら暗いのだから。
「で、でも凄いですねフィレス君! 空士学校卒なのに、陸士主席のスバルやティアナにしっかり付いて行ってますよ!」
「……そうだね……」
どんな話題を振っても同じような反応しか返さないなのはにシャーリーは泣きそうになって。
……いきなりなのはの頭に軽くグラーフアイゼンが振り下ろされた。
「〜っ!?」
ごん、と痛そうな音がして、さすがに頭を抱えて悶絶するなのはに、溜息を吐いてヴィータが声をかけた。
「……今日はもう上がれよ、なのは。ヒヨッコ達ならあたしが面倒見てやるから」
「……でも……」
「あたしだって教官資格は持ってんだ。
それに、今日はガジェットの顔見せぐらいだろ? あたしでもやれるよ、それくれー」
だからなのはは休め、とヴィータが言うと、なのはは頷いた。
「ごめんね……、じゃあ今日はお願いするよ……」
「ああ……明日は出て来いよ? フィレスがAAだからな……他の4人と一緒に模擬戦やるのには無理があるし」
AAA+ランクのヴィータでは、AAランクのフィレスを相手するには、それなりに気を入れてやる必要がある。
しかし、その他の新人はBランク周辺なのだ。フィレスを相手するままの力で他の相手をすると、新人の訓練にならない。
「あたしも明日手伝ってやるからさ、とりあえず今日は休んでろ」
「にゃ、にゃはは……」
そう心配しているのか突き放しているのか判断に困る口調でヴィータにそう言われて。
なのはは苦笑しながらその場を歩き去った。
なのはが去った途端、気が抜けたように崩れ落ちるシャーリー。
そんなシャーリーを見て、ヴィータは苦笑し、言った。
「……そんなにいたたまれない空気だったか、やっぱ」
「……だって、なのはさん、私が何言っても『そうだね……』しか言わないんですよ!?」
半泣きになりながらシャーリーがヴィータに詰め寄ると、ヴィータは困ったように視線を逸らし……、
ある事に気付き、表情を険しくした。
「……おい、あいつ、おかしくねーか?」
「……え?」
「ほら! 横に龍が飛んでる、ピンクの髪の……」
「キャロ、ですか?」
「ああ。何だか走り方、おかしくねーか?」
そう言われ、シャーリーがモニターを見ると、確かにキャロの走り方はおかしかった。
それは、
「腰周りの何処か……、痛めてるのかな?」
「……あいつ、この周終わったら休ませといた方がいいだろーな」
「了解です!」
そう言ってシャーリーは何かの操作をして、感心したようにヴィータを振り向く。
「凄いですね、一目で気付いちゃうなんて!」
「……なのはの事があったからな。あたし達はみんな、こういう兆候には注意してんだよ」
そうヴィータが俯いて言うと、シャーリーはあっと口を押さえた。
「……そっか、なのはさんは、昔……」
そう落ち込んだようにシャーリーは言い……、そんなシャーリーの頭にこつんとグラーフアイゼンが当たった。
「痛っ!」
「そんな顔してんじゃねーよ。……あたし達はもう誰も失いたくない、ただそれだけだ。
失った時の辛さ、失うかもしれないって時の辛さ。……一度ずつでたくさんだ」
「ヴィータ、さん……」
「あたしが……、あたし達が、最後にようやく得られた幸せ。絶対に、壊したくねーんだよ」
面の皮が司書長のラウンドシールド並の人がいるスレはここですか?
一方。
「……凄いねフィレス! 確か空士って陸士よりは走り込まないんでしょ?」
「……いくら走り込まないって言ったって、女の子に負ける訳には行かないよ」
何故かフィレスにくっついてきゃいきゃいはしゃぐスバルに、苦笑しながらフィレスが答える。
と、一人しゃがみ込んで軽く汗を拭っていたティアナが、二人に新しいタオルを投げ付けた。
「……ほら、汗ぐらい拭きなさい、二人とも」
「あ、ありがとう、ティアナさん」
「サンキュ、ティア!」
タオルを受けとって、スバルとフィレスが汗を拭いていると、
「大丈夫? キャロ」
「……エリオ君のせいなのに」
エリオとキャロが戻ってきて、いきなり口論を始める。
きょとん、とするスバルとティアナを尻目に、フィレスは訳が判らないながらも二人を止めに入ろうとし、
「ご、ごめんってキャロ!」
「……エリオ君が悪いんだもん。腰が痛くなるまで……その……するから……」
「……え……ぁぅ……」
……崩れ落ちた。
互いに真っ赤になってピンク色の空間を作るエリオとキャロに、何とかフィレスは気を取り直して口を開く。
「……こら、エリオ君。……そういうのはもっと大きくなってから、やるべきだろ?」
「えう!?」
何処かピントのずれたフィレ巣の注意に、エリオは奇声を上げてさらに真っ赤になる。
そんなエリオを無視して、フィレスはキャロに向き直り、
「……キャロちゃん。……エリオ君にされて、嫌だった?」
「え!? あの……その……」
「……嫌じゃ、無かったんだね?」
「……」
そうフィレスが聞くと、キャロは湯気を噴きそうな程真っ赤になって俯く・
そんなキャロを見て、フィレスはにっこりと微笑んだ。
「……だったら僕は何も言わない。そういうのは自分の意思でやるべき事だからね。
……ただ……フェイト隊長には自分で言ってね? エリオ君」
そう言ったフィレスに、エリオは以前言われた事を思い出し、真っ青になった。
「に、しても凄いよな……これ」
フライヤーウイングでスバルたちの頭上に浮かびながらフィレスが呟く。
「海上にでっかい訓練場作るとか……」
どれだけお金かかったんだろう、とフィレスがいささか下世話な事を考えていると、
『おーい、用意はいいか?』
ヴィータから声がかかり、フィレスは慌てて考えを頭の中から振り払う。
そんなフィレスには気付かずに、ヴィータは話を続けた。
『これから、お前達は……こいつら、『ガジェット』って言われる奴らと戦って行く事になる。
とりあえず陸戦型15機、空戦型20機出すから、こいつらが逃げる前に撃破しろ。いいな?』
「「「「「り、了解!」」」」」
やたら少ないヴィータの説明に、5人は多少戸惑いながら了解する。
と、急にガジェットが動き出し、5人は一瞬硬直した。
「っ! フィレス! 空戦型、任せたわよ!」
「OK、やれるだけやってみるよ」
ティアナの言葉を聞き、フィレスは高度を上げた。
ストレージデバイスを構えて、ガジェット群に狙いを定める。
「……逃がさない!」
『フェザーショット・スナイパー』
狙撃気味に撃ち出された魔力弾は、ガジェットが張ったフィールドに一瞬だけ阻まれ、
……何事も無かったかのようにガジェットを打ち抜いた。
「次!」
『カートリッジロード……ウインドフェアリー』
すかさず4発の魔力弾をガジェット群に打ち込んだフィレスの映像を見ながら、ヴィータは呟く。
「成る程な……確かに、対ガジェットには都合がいい付加能力だな、アレ」
これで終わりです。
何となく今後の予定を。
次回はなのはの決意を書いて、その次の回でフィレスVSヴィータやろうと思ってます。
そこからデバイス支給→ファースト・アラートへ繋げて、アルテミス支給はクロスミラージュ強化と同時に。
支給が遅れる理由は考えてますし、なんとかなるかな? と。
では、次スレでまた。(埋まるまでに次書けるとはさすがに思えないw)
634 :
26-111:2007/09/10(月) 21:41:41 ID:ThlHCbW1
623の時点でのスレ容量を479kbと見間違えていました・・・orz
早漏サーセン・・・ちょっと頭冷やしてくる・・・
一人で行かせてくれ・・・
>>634 いまさら何カッコつけてんだよw
オレたちはチームだろ?
付き合うぜ……
ちょっと頭冷やそうか
それならオレはギンガと一緒になのはとユーノのデートみてくるわ
検査台と横になった少女達をを見下ろしたままでそれを告げられた。
「間違いなく、あなたと同じ遺伝子が基盤になっています。どこかで遺伝子情報が流出して使われたのでしょう」
確かにあの娘達が他人に思えなかった・・とはいえあそこにいるのは自分でない自分・・
ショックではあったが改めて養子に迎える決心がついた。良人にもそれとなく伝えて了解を取ってある。
だとすればこういった話題も笑い話になるよう努力すべきだろう。
「ん〜私の戦闘能力と美貌が狙いだったのね、きっと」
「そういった割り切りのいい単純なところでしょうね」
その夜のナカジマ邸
スバルと名づけられた少女は尿意を感じて目覚めた。これからは姉だと告げられた少女が横で眠っていたので、起こさないようにそっと部屋を出る。
マダ慣れない家の中を明かりもつけずにトイレに向かう。
・・・・なにか日常では聞いたことのない異音と人の声らしき物がする。
音の発生源である部屋をそっと覗いたスバルがみたものは・・・
「誰が単純な頭の構造じゃ!」(ドスドス)
「作りやすい構造で悪かったな!(ボスッ サラサラ)
サンドバックを素手で貫く「母」そしてこちらを向いたその顔は「鬼」
声にもならない悲鳴を上げて少女は部屋に逃げ帰った。
その夜から1週間スバル・ナカジマはおねしょに悩まされ続け、シューティング・アーツをはじめとした格闘技を毛嫌いするようになる・・
試作1号無法投下。適当に作った物ゆえ出来の悪いところは大目に見られたし。
埋めネタ
くだらないネタですが一時のお楽しみになれば幸いです
ヤンデレ嫌いの人はスルーして下さい
私は、おはようのキスがしたくて――その欲求が抑えきれずに――彼の口枷を外そうと手を伸ばした。
彼だってもう、私がどんな風に彼のことを思っているか理解してくれたはず。無闇に声を上げたりはしないと思う。
口枷に手が掛かる。なぜか彼の顔は怯えているように見えた。そんなわけないのに。
口枷が外れて、
「ユーノ――」
「この変態女っ! 近寄るな、触るな!縄をほどいて僕を家に帰せよっ!」
ユーノは絶叫した。
「変態?」
無意識に、私は殴っていた。無意識なのだから、加減なんかできるはずもない。
パンッ、という甲高い音が四、五回もしただろうか。気が付くと、両の頬を真っ赤に腫らしたユーノが倒れていた。
酷いことをしてしまったと思う。今の彼はあの女の影響を受けているから、私を受け入れてくれるに時間がかかるのはしかたがないのに。
私は謝ろうと口を開いて、
「ごめん――」
けれどそれは、ユーノのさっき以上の大音量の叫び声にかき消されてしまう。
「助けて! 助けてくれっ! なのは!」
一瞬、目の前が白くなったような気がした。
顔面を蹴った。
なんで、私の気持ちを分かってくれないんだろう。こんなに大切に思っているのに。
馬乗りになって、拳を無茶苦茶に叩き付けた。
どうして、あの女の名前なんて呼ぶんだろう。よりによって、あの女の名前を。
叩くのをやめると、両手を拘束してあるせいで顔を庇うこともできないユーノは、
ぼろぼろになって鼻からは血を流していた。
「やめて……やめて……」
弱々しく呻く彼にまた口枷をはめて、手足の拘束を確認してからクローゼットに押し込める。
一緒に朝食を摂ろうと思ったのに――。
まあいい。私が仕事にいってる間、ひとりでいれば頭を冷やしてくれるだろう。
そうすれば、誰が本当にユーノをかけがえなく思っているか理解してくれるはず。
642 :
名無しさん@ピンキー:2007/09/10(月) 23:48:35 ID:cNxReh1K
」
643 :
埋め投下:2007/09/10(月) 23:52:42 ID:ThlHCbW1
本局のとある一室。手術室の様な雰囲気のその部屋に、二人の女性がいた一人は技術士官マリエル・アテンザ。もう一人は、ナンバーズのウーノである
ゆりかご事件の折りに全員逮捕されたスカリエッティ一味だが、ナンバーズ12人姉妹に関しては“処置”をされるという話を聞いていた
ウーノとしては、ISの発動封印処理か何かだろう。そう思っていた
「くっ、やめなさい。こんな・・・こんな真似を!」
「じっとしていてくれないと困りますよ。暴れたって痛いだけなんですから」
現実は予想と大きく違っていた。ウーノは体を雁字搦めに拘束されて、分娩台のような椅子に座らされて、その美脚を強制的に、大きく開かせられている
マリエルは何やら機材をいじりながら、いつもの彼女と何も変わらない暢気な口調で暴れるウーノに声を掛けた
「さて、自分がこれからどんな処置を受けるか。わかっていますよね?」
「慰み者にでもしようと言うのか?あの人の理想を阻んだ管理局員らしい、下らない発想だな!」
「違いますよ。そんな酷いことはしません・・・貴女は妊婦さんなんですから・・・お腹に居るんでしょう?スカリエッティの、分身が」
その言葉に、ウーノは息を呑んだ。まさか、いや、そんなことは幾ら何でも ――――
しかし、彼女の予想は的中した。椅子から立ち上がり、マリエルが振り返る。顔に掛けた大きな眼鏡は蛍光灯の光を照り返し、その表情を不気味に隠していた
「ごめんなさいね。貴女に大した罪が無い事は知っているんですが、第2のジェイル・スカリエッティを世に残すわけにはいかないんです」
マリエルの手には、細長い棒が握られていた、その先には、“く”の字に曲がったワイヤーが3本。そこに何かを挟んで保持する事ができる器具のようだ
口調こそ、申し訳なさそうな雰囲気を纏っているが、光る眼鏡の下、唯一感情を露出している口元は、三日月の様に吊り上がっていた
自分の身に何が起こるのか。ウーノの明晰な頭脳は一瞬でそれを理解した。最も受け入れたくない未来を目の前に突き付けられた
「や・・・やめて、それだけは・・・奪わないで・・・ッ!!!」
股間を覆う下着をハサミで切り取られた。その向こうには、白い恥丘と、むっちりとした臀部。髪の毛と同じ色の薄い陰毛。その奥には人間の女性が備えている物と同じ性器がある
マリエルはウーノの涙ながらの懇願には一切耳を貸さず、“器具”にローションを垂らし、まな板に置かれた大根を輪切りにするような気楽さで秘部に“器具”を突っ込んだ
「うあぁぁぁぁっ!!や、やめ、痛いっ!!痛ぁぁっ!!!やぁぁぁっ!!!」
644 :
埋め投下:2007/09/10(月) 23:53:24 ID:ThlHCbW1
髪の毛を振り乱して暴れるウーノを、新手の研究対象を見るような眼差しで興味深そうに眺めるマリエルである
「へぇ、スバル達姉妹も相当だけど・・・貴方達も負けず劣らず精巧にできているんですね。初めて、じゃぁ無かったんですか?それともそこまでは再現されていないんですか?」
マリエルの気楽さとは対照的に、ウーノは涙と涎でべたべたになった顔のまま、声の限りに絶叫している
拘束されている体がガクガクと震えているのは苦痛の為か、それとも快感として受け入れようという防衛本能か
「まぁ、それはどっちでも良いですか・・・さて、もう少し入ってくれない、と・・・!」
「ああああああぁぁぁぁぁっ!!!!!!」
ウーノが全身を反り返らせて絶叫した。マリエルが強引な手付きで“器具”を膣の奥深くに届くように突き込んだからだ
「ほら、深呼吸深呼吸。体を楽にすると痛くないですよ」
「はーっ!!はーっ!!はーっ!・・・っくぅぅ・・・いやぁ・・・」
ウーノは羞恥と苦悶に身を捩るが、マリエルは委細構わず“器具”の尻に付けられているボタンに手を伸ばした。
その瞬間、ウーノは膣内から何かが自分の子宮の中に侵入してくる激痛とおぞましい感覚に再度絶叫を上げた
「う、あぁぁぁっっ!!!な、何!?何が、い、いやぁぁっ!!!!」
ぴーっ、という色気の無い電子音がすると、マリエルはウーノの膣から“器具”を抜き出した。ずるり、と粘液に塗れた器具が取り出され、その様子を見てマリエルは一つ頷く
「うん、出てきましたね。成功です」
「・・・はぁっ・・・はぁっ・・・ま、まさか・・・っ!!?」
ウーノは、それを見た。自分の膣の中、正確には子宮の中から引きずり出されてきた、小さな保護カプセルを。正しくは、その中に収められている受精卵を
「か、返せぇっ!!!お願いだから、それを、返してぇっ!!!!!」
「・・・ごめんなさいね。でも、こんな存在を残すわけにはいかないんですよ・・・!!」
光る眼鏡の下で三日月のように裂けた笑みを浮かべ、マリエルは粘液で光るカプセルを床に落とし、無慈悲に踏み潰した ――― 心が引き裂かれる様な悲痛な絶叫が上がった
なんという鬼畜
だがそれが(ry
>>644 マリーさん恐ろしす…
しかしまだまだ埋めが足りぬ
647 :
246:2007/09/11(火) 00:06:54 ID:BdD/URXC
>644
ヤンデレ嫌い? そんな事は無いw GJです。
しばらくしたら、続き投下しちゃおうかな……?
なんだかスカの子がいるのは12人みたいだけど、ギン姉は大丈夫なんだよな?
スカなのが気になって仕方がない……
>>647 さぁ早く投下するんだ!続きが気になって眠れねぇぇえ
>>648 どうだっけ?たぶんナンバーズだけだと思うけど…
うーん色々いじくられたついでに、ってことも無きにしもあらず…?
652 :
26-111:2007/09/11(火) 00:22:15 ID:EFFn5cs6
>>246氏
thx
移転の流れを作ってしまった以上、責任取って埋めたいが弾(電波)が足りない。orz
あと、どこでバレたのか自分ではわからないけど、病んだ話は苦手。白状すると鬱や陵辱も苦手
今回は電波に任せて書いてみたけど・・・何だかこう、スッキリしない。もやもやしてる
寝不足に悩まされない程度にけじめは付けたい。では失礼
653 :
246:2007/09/11(火) 00:38:02 ID:BdD/URXC
>>26-111氏
苦手な人には、凄く申し訳ない……orz
他の苦手な方にもここでお詫びを。
投下しようとしてるの含めて後3話……NGとスルーで勘弁してください。
とりあえず、続き1時くらいに投下します。
ばっちこーい!
なんでもこいやー.
と煽っておく.
656 :
26-111:2007/09/11(火) 00:48:21 ID:EFFn5cs6
>>246氏
お気を遣わせてしまった。申し訳ないです
そちらの書く物語を止めることは誰にもできない。苦手なジャンルだからと言って敬遠せず、勉強させていただきますぜ
本当は、ヤンデレ、というのがどういうものなのかいまいち理解できていないだけだったりします・・・投下、お待ちしていますぜーぃ
ああ、246ってnamelessの人か
一生懸命
>>246のレス見て?になってた俺バカスw
ヤンデレでも鬼神でも悪魔でもどんとこいやー
658 :
246:2007/09/11(火) 01:00:50 ID:BdD/URXC
じゃあ、そろそろ投下します。
注意
鬱展開鬱エンドです。
誰も死にませんが誰も救われません。
では。
「色々ご迷惑をおかけしまして。ありがとうございました」
「い、いえいえっ! 全然そんなことないですよ! ユーノ君も無事だったんだからいいじゃないですかっ!」
頭を下げ続ける桃子に、同じように眉を下げたエイミィが病室を後にした。俯けていた視線を上げれば、海
鳴市に来た元機動六課の面々が、肩を落として黙り込んでいた。
エイミィからのユーノの容態に一度は暗い雰囲気が払拭されたものの、すぐさまその空気は戻り誰もが目を
背けて拳を握る。
「なのは大丈夫だよ! それよりさっ、私ねなのはに話したいことがあるの! だから、一緒に行こうよ!」
麻酔が効いて眠るユーノの傍ら、なのはが彼の手を握り締め涙を流していた。ユーノが治療を受ける間にし
らされた妊娠の事実すら、なのはの涙に拍車をかける。
そして、それすら理解できていないフェイトの笑顔。隣に座り笑顔を振りまく様子に、なのはの震えは止ま
らない。
「お願いだから……どっか行って……」
「そ、そんな事いわないでよ! ねぇなのはぁ、何でもいいからさぁ……」
「やめて……やめて、やめて、やめて!」
叫び、激しく頭を振り始めたなのはにさすがのフェイトもたじろいだ。乾いた音をたて椅子が転がり、フェ
イトが上目遣いでなのはを見た。
なのはが憎悪と言ってもいい感情に顔を歪め、フェイトを睨み震えていた。
「フェイトちゃんが……あんな事するからっ、私が……辛いのに……あんな事するからぁっ!!」
「ぁ……」
なのはが言ってるのは、フェイトが最初に無理やりなのはを襲ったこと。他の事は未だなのはは知らないま
ま。
思い出し、肩で息をするなのはにフェイトが手を伸ばして小さく呟いた。
「謝りに来たんだ……会って、話して……謝りたかった……」
だから会いたかった。おかしくなるくらいに会いたかった。ただそれだけを願い続けた。いくら、それ以外
に望むものがあろうとも、その言葉以外を考えなかった。
「許してくれないかも知れないけど……許してくれなくてもいいから……会いたかった……」
フェイトがなのはの手を握り、落ち着かせて抱きしめる。
「離してよ……抱きしめないでよっ、触らないでよっ!」
明確な拒絶の言葉。それでも、なのはの心は解けていく。
十年。それは、ユーノへの思いを募らせた時間。
そして、それと同時。
「フェイトちゃんは、酷いよ……ずっと……信じてたのに……」
「うん、ごめんね……」
十年間、フェイトに支えられ続けた日時間だった。
だからいくら拒もうとしても、拒めなかった。
「なのは……もしかしたら、また傷つけちゃうかも知れないけど……聞いてほしいんだ……」
今から言う言葉は、その十年を粉々に壊す言葉。
彼女の信頼を、もう一度裏切る言葉。
「私……そんなんじゃないんだ……なのはの事……応援してなんかいなかった……」
けれど、それ以外に壊れたもの。
それは全て直るから。
「ユーノの事、誰も取ったりしないよ。スバルも違うんだ。だからもう怖がらなくていいんだ」
もう、ユーノがいなくなるなんて怖い思いはしなくていいんだ。
魔法少女リリカルなのはStrikerS
―Nameless―
(14)
病室の赤いランプを見ている間、ただひたすら唇を噛んでいた。
結局何もしなかったこと。
なのはに教えられた勇気を、戦いの場で奮わなかったこと。
誰かを傷つけるのが怖い。そう、感じた幼い日々が再びスバルの中に蘇っていた。
「スバル大丈夫よ。ユーノ先生、嫌なことになったりしないわよ」
「うん……」
小さく頷いたスバルに、車椅子のティアナが笑顔を作る。彼女も戦いには参加できなかった。動かない足と
左腕がそれを許してくれなかった。
それ故に、スバルを励まし続けた。夢を壊したと嘆き続けるスバルに笑顔をつくり、全てを彼女の一番隣に
いた自分の責とした。
事実それだけではないけれど、それがあればスバルを慰めることが出来たから。
「ほらっ、いつまでもそんな顔しないの! なのはさんに結婚おめでとうって言うんじゃなかったの?」
「会えない……怖くて……なのはさんが、怖い……」
会ったら、また何かをされそうだから。
また、苦しくなりそうだから。
また、なのはの変わった姿を見てしまうから。
そう考え、その場を動かないスバルに苛立ったティアナがスバルの頭を小突き、にやりと笑った。
「じゃあ、こう考えなさい。いいスバル? なのはさんが結婚できたのは全部スバルのおかげ。なのはさんが
事を起こしたのは全部スバルのせい。なら、結婚できたのだってあんたのおかげよ。分かったわね? 分かっ
たらとっとと行きなさい」
どうせ悔いるのを止めない。どうせ、自分を責め続ける。それならそこに少しだけ足せばいい。
そうティアナに背中を押されたスバルが、それでも納得できないと立ち止まる。それと同時、ランプが消え
ユーノが眠った状態で現れた。
それを追って駆けていくなのは。その、目に溜まった涙に胸を抉られたような錯覚を感じた。
なのはをフェイトが追いかける後ろにつき、病室に入るのを確認してもそれ以上は進めない。
そのままティアナの元へ戻ろうと踵を返し、
「あらスバルちゃん。久しぶりね」
「あ……桃子、さん……お久しぶりです……」
病室に入ろうとした桃子に、逃げることも出来ず凍りついた。
どうしたの、と首を傾げる桃子に息を呑む。
その笑顔は、最初に出会ったときのものと変わらない。包容力に満ち溢れた、なのはの母だと納得してしま
う暖かい笑み。
多分、だからかもしれない。
「ひくっ、す、すいません……うっ、くぅ……」
「スバルちゃんどうしたのっ? ユーノ君なら大丈夫だし、なのはもね、最近ほんとに調子よかったのよ?
今日は少し失敗しちゃったけど、なのはなら大丈夫だから泣いちゃ駄目」
一度、なのはに似てると思った後は止まらなかった。桃子に抱きつき、皆が見てるのも構わず泣き続ける。
それを桃子が受けながら、落ち着かせようと頭を撫でる。涙の溢れるスバルの瞳を覗き込み、笑みを浮かべ
た。
スバルがようやく落ち着いたのを確認してから離れた桃子が、スバルの手を引き近くの椅子に座らせて手を
握る。
それから、話を聞いたのだ。
なのはの事。ユーノの事。スバル自身の事。
黙ってそれを聞いていた桃子が、笑みのままスバルを抱きしめ何を置いても最初にと、それを言った。
「ありがとうスバルちゃん。なのはの事、心配してくれたのよね? ありがとう」
別に見返りなんて求めてなかった。しいて言えば、その後のなのはの笑みが見たかった。
そう願って二人の仲を強引に近づけようと奔走して、そして失敗して。
だから、桃子から出てきた言葉が、自分に向けられたものなのだと理解した瞬間、抵抗よりも拒絶よりも先
に、零れた涙に俯いた。
「なのははね、小さい時からだったんだけど、誰かに迷惑かけたり困らせたり出来ない子だったの。だから、
みんな何も出来なくて、いつの間にかなのはの性格って、受け入れちゃってたの」
それが、なのはがユーノに何も言えなかった原因。幼いころの、自分達がしてしまった過ち。
なのはを理解すればする程、想えば想うほど突きつけられてしまう見えない壁。壁は、絶対に崩れないほど
強固なもの。
その壁の硬さは、なのはがその人を強く想っていることに他ならないから。
「だけどね、今のなのはは違うでしょ? 誰に迷惑をかけても誰を傷つけてでもユーノ君と、お腹の赤ちゃん
を守ってるの。ちょっとやり過ぎかもしれないけどね……でも、迷惑かけてくれるのは嬉しいわ。ちょっと、
不謹慎だけどね」
迷惑をかけるならかければいい。
心配も同じ。
優しくするだけじゃ、守るだけじゃ意味がない。
心配をかけられなければ、それを支えてあげなければ家族なんて何の意味もないものだから。
「一人じゃ今日みたいになっちゃうけど、皆がいれば大丈夫。スバルちゃんはね、なのはの壁を壊してくれた
の。誰も治せなかった頑固者を治してくれたんだから、そんな顔しちゃ駄目よ」
断言し、桃子が立ち上がった。スバルに行こう、と声をかけ促して。
それに、スバルがゆっくり首を横に振って立ち上がる。
「スバルちゃん?」
「今日はやっぱりやめておきます。ちょっと、やりたい事があるので」
見ればスバルは元気な笑顔。先ほどの辛そうなそぶりはない。
そう、と頷いた桃子がスバルに背を向ける。
「よし、あと少しじゃない。全力全快で」
意気込み、スバルが勢い良く踵を返した。
先ほどまでいた場所に戻り、車椅子に座ったままぼんやりとするティアナと共に、病院を後にする。
「ちょ、ちょっとスバル! 戻りなさいよっなのはさんに会ってないでしょっ!?」
「いいのっ! 付き合ってティア!」
病院を抜け、スバルが記憶を頼りにそこへ向かう。
「確か、この辺にあった気がするんだけどなぁ……」
この辺へ来たのは、出張任務の時以来。色々なことがあり過ぎて薄れそうな記憶の中、目当ての場所を見つ
けたスバルがティアナと共にそこへ向かう。
無言のままティアナが店内を見渡し、なるほど、と笑みを浮かべた。
やっぱり、この相棒はこういうのが良く似合う。
「ティアナ、悪いんだけどさ……」
「はいはい。こういうのってどこの世界も一緒ねよね……新婚さんの赤ちゃんだし。スバルは向こう探し
なさいよ」
「うん、えへへ……ありがとティア」
若干熱くなった頬を無視し、ティアナが一人車椅子を動かし辺りを探す。以前の記憶では、ここ一帯では最
大の規模を持つところ。
丁度資金も有り余っている。遠慮なく使ってやろうとした矢先、店内に甲高い呼び声が響き真っ赤になった。
「スバルうっさい! そんな大声出さなくても聞こえるわよ!」
「ご、ごめん……あ、そんなことよりあったよ! でも沢山あって分からないんだ……ティアも選んで」
「どれどれ……ほんと一杯ね。私だって経験ないんだから分からないし……全部買っちゃえば?」
財布を見て中身を確認。結果から機動六課の任務達成という事実は、フォワード陣の財布までもを膨らませ
ている。日本円に換えたのは微々たる物とはいえ、それでも遊ぶのを投げうれば十分買えるだろう。
そう頭の中で計算していたスバルが、ふと同じように財布を見ているティアナに笑みを浮かべた。
「あんたの為じゃないわよ。お世話になったなのはさんの為。勘違いしないこと」
「うん分かってるよティア」
「半分かしなさい。持ってあげる」
うん、と頷いたスバルが三分の一だけをティアナに渡し、レジへ赴く。目を見開く店員が、目の前に積み重
ねられたそれに苦笑い。
袋詰めにされたそれは、スバルの腕にくっきりと跡をつけていた。
その帰り、なのはの自宅へ向かった二人が疲れきったエイミィに出会い首を傾げた。
「お帰り。もうみんな帰ってきてるよ」
元駐屯所兼ハラオウン家別宅兼新婚二人の自宅と貸したマンションは、加えて軌道六課のホテル代わりと化
している。
ユーノの所からなのはをどうにか連れ戻した六課陣が、疲れた様子で帰るのを見届ければその疲労も頷ける
もの。
その場にいなかったことに俯いた二人に、エイミィが重たそうな袋に今度は逆に首を傾げた。
「なのはさんへです。こういうのだったら、あっても困らないと思うので」
「そうだね、なのはちゃん今日は疲れて眠ってるから。明日にしなよ?」
頷いたスバルがティアナと共に去り、息を一つ吐いたエイミィが空を見上げた。
「明日は晴れそうだね……お洗濯日和だ」
そんな、すっかり主婦になってしまった自分に苦笑し、なのはを想った。
「なのはちゃんとも、こんな会話しちゃうのかなぁ」
多分それは遠くない。今は少し離れているけれど、恐らくきっと。
皆が支えているのだから。
――――次の日。エイミィの予想通り空は晴れ、青空がどこまでも続いていた。
「ほら、今更やめようとしてどうするのよ。ここで止めるならお金返しなさいよ」
「分かってるからっ、押さないでよティア!」
高町夫妻宅の扉の前。スバルとティアナの声が、ざわめきを作っていた。
「なんやもう……近所迷惑やから静かにしよな? なのはちゃんに話あるんやろ?」
「あっ、はやてさん! この馬鹿どうにかしてください。今頃になってやっぱりやめようなんて」
ティアナがスバルを急かす中、はやてのため息が小さく零れた。
頭が痛かった。全部終わったと帰ろうとするフェイトも、それをとめるエリオもキャロの事も。
「スバルも、ちゃんとやりたい事やり遂げて。まだ、スバルは何もしてないんやから」
フェイトは全てを話した。なのはが許したかは知らないが、それは最初の一歩だろう。だからスバルも。そ
う、促されたスバルが恐る恐るインターフォンに指を伸ばす。
「な、なのはさーんおはよーございます。スバルです!」
扉の向こう。スバルの声には反応はない。ただ、なのはがそこにいる気配だけは伝わった。
頭が軽く白くなりながら、なのはの反応を待つスバルの耳にそれが届く。
「ごめんなさい……ごめん、なさい……」
合わせる顔がない。そう、なのはは泣き続けた。
頭を擦り付け、扉の向こうにいるであろうスバルに誤り続けた。
「わたしも……勝手なことして……なのはさんの気持ちも考えないで……」
違う、と扉越しになのはから。
顔を合わせない会話。それじゃあ、駄目だとはやてが扉を開け苦笑した。
「二人とも、ゆっくりでええから。ちゃんと互いの顔見て。お話はそれからや」
うん、と小さく頷いたなのはにはやてが笑顔で頷きを返し、スバルの荷物を見た。
「これ……赤ちゃんの育て方とか……妊娠中とか、困ると思って……」
スバルがなのはの目の前にそれを置く。大量の本の山。それが、昨日スバルとティアナが買ったもの。
「スバルが……買って来てくれたの……?」
玄関で崩れたままのなのはがスバルを見上げ、涙をこぼす。それに、くすぐったそうに頬を掻くスバルが
本を一冊取り、なのはに手渡した。
「やっぱり、わたしはこういうおせっかいなことしか浮かばなくて……みんなに迷惑かけて……突っ走るしか
出来なくて……迷惑でしょうか?」
そんな事はない。ただ、嬉しくて言葉が出ない。
こういう所が彼女らしいと好きだったはずだから。自分には出来なかった事を平然とやってのけるスバルに、
羨ましさすら感じていたから。
だから。
今なら、心から言える。
「スバル……ごめんね……それと……ありがとう……これ、大事に読むから」
「はい。でも、ボロボロになるくらい読んじゃってください」
そう冗談のように言ったスバルに、なのはがクスリ、と微笑んだ。
ユーノが退院する間、じっくり読んで考えよう。
どうやったら、笑顔ので溢れた家族になれるかを。
* * *
秋が終わり、冬が来る。年が開け、新しい始まりが訪れる。そんな、瞬く間の数ヶ月。
「もう、帰るの?」
「うん、これからはそれぞれ新しい任務が待ってるんや。いつまでもゆっくりできへんし、久しぶりになのは
ちゃんと二人きりもええやろ?」
長期休暇は終わり、元軌道六課の面々が海鳴市を離れる時。
見送りに来たユーノが名残惜しげにする中、一番離れたところ。一人俯いているフェイトに歩み寄った。
「フェイト久しぶり。全然会えなくてごめん」
その数ヶ月、フェイトはただ部屋に閉じこもり続けただけ。心配するエリオともキャロとも話さず、ただ心
の準備をしていただけ。
「迷惑かけて……ごめん。もう、こっちには帰ってこないから……なのはとも会わないから」
その心の準備ももう終わった。これからは、なのはの幸せを願うことだけをしていこう。そう心に決め、一
人足早にミッドチルダへ帰る為の準備を始めた。その決意は固く、ユーノも他の皆も何も言えない。
「なのはの所に戻ってあげて。お腹、もう大きくなってきたんだから」
なのはの様子も今は落ち着いている。最後に暴れたのは、ユーノが退院する間際。寂しさに耐えかねた時く
らい。それも、駆けつけたエリオとキャロが宥めてくれていた。
不安は残る。なのはは、まだ怖がっているから。大切な家族を守ろうと、奔走しているから。
「フェイト、いままで僕もごめん……もっと僕がしっかりしてれば……良かったのに」
そんな事ない、と首を振ったフェイトがユーノの手を握り最後の望みを口にした。
「幸せにして。なのはの事……私がしてあげたかった分も……守りたかった分も……支えて、あげたかった分
も……」
「本当になのはに会わないつもりなの? なのははもう、君の事怒ってない。ちゃんと、話だって出来る。そ
んな事いう必要ない」
心の準備と、硬く決めた想いを更に強固にするための数ヶ月。それ故にフェイトはユーノの言葉を拒絶し、
一歩踏み出した。
もう、なのはに会う資格はない。そう、心を凍らせた。
だがそれでも、零れたものが止まらない。
「いいのっ、もう、会っちゃいけないのっ……なのはは、やっとユーノの傍にいられるの……私は……そこに
いられない。見る資格なんかない」
涙が止まらずフェイトの頬を伝っていく。何度拭おうとも意味はなく、耐えかねたフェイトが逃げるように
転送用の魔方陣の中に消えた。
それを、とめられる者は誰もいない。
「待ってっ! 待ってフェイトちゃん! お願いだからっ!」
大きくなった腹を抱え、それでも懸命に走り寄るなのは以外はとめられない。
「な、なのは走っちゃ駄目! 動かなくていいからっ、今行くからっ!」
涙を忘れ、誰よりも早くなのはの元へ駆け寄ったフェイトが、バランスを崩しそうになったなのはを支え、
表情を厳しいものに変えていた。
反射的になのはの頬を叩き、抱きしめる。
「何に考えてるのっ! なのははもう自分だけの体じゃないんだから! こんな時まで無茶しないで!!」
「うん……そうだね……でも、フェイトちゃんに会いたかったから……ずっと、会いたかったから……」
汗の浮いた顔を辛そうに歪めたまま笑うなのはに、我に返ったフェイトが慌てて飛びのいた。そのまま、今
度こそはと背を向け、逃げようとするフェイトの腕を掴みなのはが振り向かせる。
暖かい、なのはの唇の感触がフェイトの目を見開かせた。
「ごめんね……これくらいしか、出来ないから……」
「なの、は……?」
呆然とするフェイトの手をなのはが握り、胸元に抱きしめて目を閉じた。
そしてそのまま、ありがとう、と呟いた。
「フェイトちゃんが、どう思ってたかなんて関係ない……私はそれで支えられてたから……フェイトちゃんが
いてくれたから……ユーノ君を諦めないでいられたの」
なのはの、その笑顔が好きだった。
暖かくて、強くて、寂しさを忘れさせてくれる笑顔が好きだった。
ただそこにはいつもユーノがいて。
嫉妬して、気付かないうちに忘れていた。
「なの、は……なのは、なのは、なのは……!!!」
自分が好きだったのは。
本当に愛していたのは。
彼の隣で、幸せそうに笑うなのはだったのに。
「ごめんね……ごめんね……まだ、色々怖いけど……いつか……いつか絶対フェイトちゃんの所に会いに行く
から。この子が生まれたら、一番最初にフェイトちゃんに会いに行くから……フェイトちゃんは、私の一番だ
から……ユーノ君と……同じくらい好きだからっ……」
まだ謝りきれていない。フェイトの全てを否定した罪が拭えない。
ただ、ずっとフェイトを抱きしめていたなのはが、小さな少女を視界に認めた。フェイトが笑顔でなのはを
促した。
そう、まだ足りない。
「なのは、ままぁ」
まだ、謝りきれていない。
「ヴィヴィオ……」
抱き合う二人の間に入るように足に抱きついたヴィヴィオが、涙を流し久しぶりに母の暖かさに涙を流した。
「ごめんねっ、助けてあげられなくて……なのはママ……なんて、もう言わなくていいんだよっ?」
「違うよ! なのはママはなのはママだよ!? ヴィヴィオの、ママだよ……ママで……いて……」
全てが癒えていくような気がした。
涙を流し、抱きついた我が子を手を取り自分の腹にそっと触れさせた。
「なのはママ?」
「妹かな弟かな」
ゆっくりとヴィヴィオの手を動かし、くすぐったそうに目を細めたなのはがヴィヴィオの顔を手で挟み、
額を合わせた。
何、と涙声で呟くヴィヴィオに、はにかむように笑い言葉をつむぐ。
「ヴィヴィオはね、お姉ちゃんになるの。お姉ちゃんになってくれるかな?」
ヴィヴィオがゆっくりと視線を動かす。なのはと、自分の妹か弟かと、その子の父。最後に、もう一人の
母に。
「みんな家族?」
それは、予想していなかった言葉。
ただ、自分の子供ならそうなのだろと思っただけ。
ただそれでも、夢を見た。
自分とユーノとその間の子と、フェイトとヴィヴィオ。そしてみんなが笑っている姿を。
「うん、家族だね。みんな家族だ」
何もかもが癒えていく。
壊れたものは直らないけれど、新しい何かが生まれようとしている。
皆と別れ、なのはとユーノが手を繋ぎ歩いていく。
そして、その後。
ある日の、二人の約束――――。
「――――もう結構大きくなってきたね。もう動いてるんでしょ?」
「う、うん……あのね凄いんだ……ドンドン、ドンドンって私のお腹沢山蹴るんだよ?」
その言葉に興味がそそられたのか、ユーノががなのはの腹に耳をあて目を瞑り、我が子の生の鼓動を感じ取
るようにする。
確かに感じるのは、音ではなくなのはの腹の中に一つの命があること。愛し合い、なのはを守りながら手に
した生涯の宝物。
ユーノの普段の優しそうな表情が何倍にもなり、彼の頭を撫でていたなのはも目を細めて微笑んだ。
膨らんだ腹に耳を当てられている羞恥心も、ユーノがが自分の中にある命を愛でていることに比べれば些細
なこと。
「もうすぐ……だよね? もうすぐ、私達の赤ちゃん生まれてきてくれるんだよね?」
視線を巡らせれば、部屋を埋め尽くしているのは新しい家族への贈り物。
その、他の者が見れば苦笑するほどの量は、二人がどれ程までに愛情を込め、この腕で抱きしめられる日を
心待ちにしているのかが、手に取るように分かるようだった。
「なのはも、体の方は大丈夫だよね? もしもなんて、僕いやだよ?」
「大丈夫……私、この子の為だったら頑張るから」
ユーノがが心配しているのは、体ではなく心のほう。それを分かっているなのはが申し訳なさそうに眉を下
げ、今できる精一杯の笑顔を浮かべた。
愛情が込められた子供へのプレゼントは、同時になのはががどれ程までに今の状態まで立て直したかと比例
した。
もうそのことは考えない。これから、なのはは更によくなっていくはずなのだから。
「うん、今のなのはの姿……みんなにも見せてあげたいなぁ……」
「あ、そろそろこの子のお名前考えてあげなきゃ駄目だよ」
「そ、そうだね……うーん、何がいいのかなぁ……僕こういうの得意じゃないかも……もう何か考えてる?」
困り顔のユーノに苦笑して、なのはが小さく頷いた。
その表情は、今のなのはには珍しい、自身に満ち溢れた綺麗な笑顔だった。
「へぇ、どんなのかな? 教えてよ」
「じゃあ、耳貸して」
何も考えずなのはに耳を向け、言葉を待った。耳に微かに感じる吐息。ユーノが、焦れたようになのはに視
線を向け目を瞑る。
「ん……」
気持ちよさに頬を染め、なのはが余韻を感じながらユーノから唇を離して瞳を見つめた。
「秘密だよ」
「えっ、なんでなのさ、別に秘密にしなくてもいいんじゃないの?」
「あのね、私が考えた名前……きっと気に入ってくれるから……きっと、同じこと思ってくれるから」
「え……?」
ユーノを手を握り、自分の瞳にユーノを映す。同じようにユーノの瞳に映るのは、なのはのユーノを信
じきった微笑みと輝いている瞳だけ。
まだ前のようには戻らないけれど、それでも十分に綺麗だと感じることが出来た。
「真剣に考えて。この子の名前、誰よりも幸せに、誰よりも優しく……そんな名前。私と同じなら嬉しいな
ぁ……」
「そっか……」
自分となのはが確かに繋がっているならば、きっと同じ未来が待っている。
自分達の子をこう呼びたい。そう願う未来はきっと同じの筈だから。
「分かった。なのはが考えたのと同じ名前、僕もきっと考えてみせる……だから、待ってて
ね」
「うん……待ってる。信じてるから……」
なのはの笑顔に、ユーノも頷いて笑みを返した。
そんな、満ち溢れた幸せがここにあった――――。
668 :
246:2007/09/11(火) 01:14:35 ID:BdD/URXC
以上です。ありがとうございました。
後残り二話。この鬱話もそれで終わりです。
次回から、多分相当鬱です。スイマセンorz
ではでは。
>>668 リアルタイムで読みましたがGJ!!
ここで終わればhappy endなのに後2話が欝って…
まあwktkしながら待ってますw
670 :
名無しさん@ピンキー:2007/09/11(火) 01:17:36 ID:k2jUps1t
どこが鬱なのかさっぱりわからない。
とても心が温かくなった。
これだけは言わせてくれ。
GJ
ここから地獄の底に突き落とされるのか
オオオオオオオ恐ろしい!
>668
この後、信じられないような展開がっ!?
何が起きると……
GJ!
ここからどう落ちていくのか今からいろんな意味でドキドキもんですよ。
怖いもの見たさが止まらねぇっす。
最後までついていきます。
おつかれさまーそしてGJ
今回の話読んで思い出してしまいましたよ
そして思い当ってしまいましたよ
その……もしかして、その子は……
いえ、やめておきましょう。完結を心待ちにしております
GJ。GJであります。
しかし……うぉぉ……次も心待ちにしております
676 :
名無しさん@ピンキー:2007/09/11(火) 01:21:55 ID:k2jUps1t
>>674 うん、お前の言いたいことはわかる。
だけど、俺達は無力だ・・
見守ることしか、できないんだよ。
ひょっとして、その子って流(ry
678 :
名無しさん@ピンキー:2007/09/11(火) 01:32:37 ID:k2jUps1t
>>677 もう少し思案を巡らせろ。
そして、大人になれ。
いやいや、ユーノ君以外になのはと・・・・おおっとこれ以上言えないな
もしかしてこの話って伏線とかものすごくうまい?
681 :
26-111:2007/09/11(火) 01:37:15 ID:EFFn5cs6
>>246氏
何なんでしょう、このドキドキは・・・こ、怖いっ
しかし、夜中に怪談話をするのがやめられないようにッ、何故か続きがめっちゃ気になるッ
これが・・・ヤンデレ・・・
GJでした
上げて落とすと申すか!
お、恐ろしい、246氏が恐ろしすぎるぜ。
だが俺も最後まで見届けよう。
683 :
26-111:2007/09/11(火) 02:01:45 ID:EFFn5cs6
埋め投下行きます。7レス使用
○舞台背景は26スレに上げた「初任給の使い途は?その2」に準拠。同話の後日談
聖王教会に小さな波紋を生んだ事件から一週間。季節は進み、徐々に春の息吹を感じる頃のことである
機動6課の隊舎。ナンバーズ12人姉妹の為にあてがわれている大部屋の扉の脇に張り紙があった
その張り紙の前を通り過ぎた者は例外なく一度足を止め、
或る者は冷笑と共に通り過ぎ、
或る者は頬を真っ赤に染めながら逃げるように走り去り、
或る者はその大部屋の扉をノックしたという
よく晴れた、“新年度の始まりの一日”としては申し分のない晴天に恵まれた日の出来事である
張り紙曰く、
○「惚れ薬 はじめました ドゥーエ」
鼻歌を歌いながら、ドゥーエは来訪者を待つ
机の上にはなにやら怪しげな色合いの薬品(?)が満たされた試験管。必要も無いのにシャマルに頼み込んで白衣を借り受けたドゥーエはノリノリであった
その顔にはナンバーズの次女としての威厳などどこにも無い。完全に悪戯っ子の顔である
「さて、早く誰か来ないかしらねぇ・・・〜♪」
コンコン、と扉がノックされた
ドゥーエは顔を輝かせて、しかし次の瞬間には怜悧な顔を作り、扉の向こうにいる人物に入室を促した
#ヴァイス・グランセニックの場合
「たのもうっ!」
時代錯誤な掛け声と共に入ってきたのはヴァイスである。やはり男の方が食いついてくるか、とドゥーエは内心で思う
「はいいらっしゃい。貴方は、ええっと・・・確か、ヘリの専属パイロットを務めている方でしたっけ?」
「ヴァイス・グランセニック陸曹であります!」
「私はナンバーズの次女:ドゥーエ。お見知りおきを、ヴァイス陸曹。それで、ご用件は何?」
「・・・そ、その、表の張り紙に・・・」
「あぁ、惚れ薬ね。分けて欲しいのね?」
「そ、そうですっ!」
薬に頼ろうとする姿勢は問題だが、よく見ればなかなか顔立ちの整った、良い男である。少々軟派な雰囲気を漂わせている当たりも、ドゥーエとしては嫌いじゃあない
今日が4月1日であることにかこつけて、罪の無い同僚達をからかいながら、本気の若者の為に少しだけ協力しようと思ったのはただの気紛れである
決して、仕事の為に作成したヤバイ薬をただ処分するだけでは面白くないからとか考えたわけではない
ドゥーエは小瓶に少しだけ薬品を落とし、希釈液で薄めた。薬品の正体はセインがシャッハに贈った香水のような物である。但しこちらは女性に作用するタイプ
効果は随分と薄くなったが、雰囲気作りに一役買えるくらいの効き目はあるだろう。作業を終えて振り返ろうとしたところ
ヴァイスがとんでもなく頬を弛ませて、独り言を呟いたのを聞き逃さなかった
「・・・ぃよっしゃぁ、これでシグナム姐さんに男をみせることもできる、ツンデレカワイイティアナの奴も落とせる。アルトだって俺の物になるしラグナだって行けるぜヒャッホウ!」
聞き捨てならなかった
ドゥーエは新しい小瓶で“惚れ薬”を調合する。ノニジュースをベースに、まずはタバスコ。次に青汁、無水カフェイン、どぎつい色の着色料、黒酢、トドメに大量のガムシロップ
「じゃぁ、コレ。一口飲めばどんな娘でもイチコロよ」
「うおお!スンマセンドゥーエさん!このお礼は必ず・・・!」
走り去るヴァイスの背中を刺し殺すような視線で見送るドゥーエである。ナンバーズたる者、女の敵には容赦をしてはならない
#キャロ・ル・ルシエの場合
「ごめんくださーい」
「あら、キャロちゃん?いらっしゃい」
意外な来客に、ドゥーエは目を丸くした
先客があの軽薄なヘリパイロットだっただけに、これは意外だった
「あの、惚れ薬っていうの、私もいただけませんか?」
「え、えぇっ?」
何の躊躇いもなくそう言ってくるキャロに、正直言ってドゥーエはぶったまげた
何というませた子供だろうか。最近の子供というのはみんなこうなのか!?意外にモラリストなドゥーエである
「さっき、ヴァイス陸曹に教えて貰ったんです。その、惚れ薬っていうのがあればどんな人とでも仲良くなれるって」
「ま、まぁ、そりゃそうだけど・・・」
「ルーちゃん、まだ6課の人達とはあんまり馴染めて無いし、私とエリオ君は少し仲良しになったけど、でももっと仲良くなりたいって思ったんです」
「・・・そっか・・・そういうことなら一肌脱いであげたいところですが・・・でも、これはもう少し大人になってから使う物なのよ」
「えっ・・・そうなんですか・・・」
「でも、ほら。そんなに気を落とさないで。代わりにコレあげる。甘くて美味しいわよ」
落胆した様子のキャロに、ドゥーエが差し出したのは、薄い板状のお菓子である
「チョコレート、ですか?」
「そ、ちょっと“大人の味”がする。ね。三人で夜遅くまで話し込むこととかあるでしょ?こっそりみんなで食べて。その代わり、虫歯になっちゃ駄目よ」
「・・・はい。ごめんなさい、ドゥーエさん。変なお願いをしてしまって・・・」
「良いの良いの。ルーテシアお嬢様のこと、よろしくお願いね」
「はいっ!失礼します!」
元気に駆け出してゆくキャロの背中を、ドゥーエは笑顔で手を振って見送った。ナンバーズたる者、子供には優しくなくてはならない
“大人の味”の正体?ただの洋酒入りチョコレートデスヨ?
#ティアナ・ランスターの場合
「し、しつれいしまーす」
「はい、いらっしゃい・・・あら、あなたはティアナさん、で良かったかしら?」
「えぇ、そうです。ティアナ・ランスター二等陸士と申します」
「私はナンバーズの次女:ドゥーエ。よろしくね・・・それで、ご用件は?」
「あ、あの、その・・・ほ、ほ、ほれっ、ほれぐすりを、分けて、いただけませんかっ!?」
頬を真っ赤に染めて、ティアナはつっかえながらも叫ぶように言い切った。その様子にドゥーエはにっこりと、しかし少しだけ邪悪に笑い
「えぇ、良いわよ・・・でも、貴方は一体誰に使うの?」
「えっ!?そ、そんなの、誰でも良いじゃないですかっ」
「でも気になるわ。あなたみたいな可愛い女の子の意中の相手が誰か、こっそり教えて。ね」
「・・・ル、ルームメイトの、人です」
ちなみに、はやての秘書業も務めるドゥーエは、ティアナのルームメイトがスバル・ナカジマ二等陸士(女性)であることは知っている
「そう、それじゃあ肝心の惚れ薬なんだけど・・・どれが良い?」
「どれが良い、ってそんなにたくさん種類がある物なんですか?」
「色々あるわよ。こっちの瓶は少しだけ効くタイプ。香水みたいに使うだけで雰囲気作りができるくらいの効果ね」「・・・ゴクリ」
「こっちのは即効性。飲ませるタイプだからちょっと面倒。段々、お酒に酔ったみたいに体が熱くなってくる感じよ」「・・・グビリ」
「こっちのは凄いわよー。もうね、犬に犯されても喜ぶくらい発情するわ。もうあなたの言いなりになっちゃうわね」「・・・ハァハァ」
「これは・・・一番キツイわね、ここまでくるとオススメできないわ。使ったとしたら・・・そうね、丸3日間は体が疼きっぱなしで濡れっぱなし。人格崩壊の恐れがあるわね。
さ、どれが良いかしら?」
「・・・え、えぇっと、あの、その・・・2番目ので・・・」
「はい、毎度ありー。じゃぁ頑張ってねー」
「し、失礼します」
カチコチの足取りで退室するティアナを、ドゥーエは邪悪な笑みで見送った。ナンバーズたる者、妹分で遊ぶのは許されているのだ
「あ、あれ・・・?説明してたときのあの口ぶりだと・・・あの人、スバルの事知ってて聞いてたんじゃ・・・!!」
#エリオ・モンディアルの場合
「し、しつつれいします!」
「あら、エリオ君。やっぱりエリオ君も男の子ねぇ」
「ち、違いますよっ!」
「じゃあ女の子なの?」
「そ、そう言う意味でも無いです!」
「それだったら、どういう訳なのかしらん?」
思わぬ切り返しに、エリオは真っ赤になって俯いてしまった
いかんいかん、からかい過ぎた。とドゥーエは内心で反省し、話を戻すことにした
「それで、エリオ君も惚れ薬ですか?」
「そ、その、ふぇ、フェイトさんに、頼まれたんです・・・本当です」
嘘だ。一目でわかる
しばらく黙っていると、エリオは5秒で白状した
「・・・ごめんなさい。嘘をつきました・・・」
「エリオ君、嘘は感心しないわね。しかも保護者のフェイトさんの名前を騙るなんて」
「・・・ぅっ。ごめんなさい・・・
「はぁ、フェイトさんには秘密にしておいてあげるから」
「・・・でも、それだとドゥーエさんまでうそつきになっちゃいますよ」
「お姉さんは良いのよ。嘘の百や二百は平気で並べ立てて生きてきたから・・・あー、今の無し。オフレコでお願いね。これでおあいこ」
「は、はい・それじゃ・・・失礼します」
肩を落として立ち去ろうとするエリオに、ドゥーエは言葉を投げ掛けた
「こんな物なくても、君ならきっと大丈夫よ。エリオ君」
肩越しに振り返り、疑問符を浮かべているエリオにひらひらを手を振って送り出した。ナンバーズたる者、子供には優しく。鉄の掟である
#オットーとディードの場合
「「あの、ドゥーエ姉様」」
「あんたらには要らんでしょうが」
ナンバーズたる者、姉には妹を律する義務があるのだ
#はやての場合
「なぁ、ドゥーエ。私の生まれた世界には、こんなことを言うた人がおるんよ・・・曰く、“不倫は文化”と!ほなぁー!!」
「一体誰に使う気ですか部隊長!部隊ちょー!!!!」
ナンバーズたる者、不倫はやはりいけないことだと思うのである
#シャーリーとルキノの場合
「あら、シャーリーさん」
「あら、ルキノ・・・どうしたの?まさか」
「ち、違いますよ。私は単に、ドゥーエさんに書いて貰う書類があるだけで。シャーリーさんこそ・・・ふ、不潔です」
「な、な、何を言うのよ、私もドゥーエさんに用事があるのよ」
「こら、シャーリー。ルキノ。廊下で何を騒いでいるんだ?」
「あ、グリフィス」
「グ、グリフィスさん」
「ん・・・惚れ薬はじめました?馬鹿馬鹿しい・・・そんな物が存在するわけがないだろう?」
「わ、わからないわよ!」
「そ、そうです!嘘だと思うなら、試してみましょうよっ!」
「構わないよ。効く筈が無いだろうけどね」(ルキノ、GJ!)(二人でいただいちゃいますか・・・ホイホイ話に乗るのが悪いんだからっ!)
翌朝の事である
まず、ヴァイスが隊舎の外に倒れていた。全身火傷、頭はアフロ、背中にはでっかい創痍があったという
どうやら、シグナムに飲ませに行ったようだ
キャロとルーテシアとエリオは、同じ部屋でぐっすりと眠っている。少しだけ乱れた着衣で、三人とも寄り添うように眠り込んでいた
寝たままルーテシアに抱きつかれているエリオは、少し寝苦しそうだ
ティアナは、何故か隣で眠るスバルに腕枕をしている
すっぽり毛布を被って眠るルームメイトの寝姿をを、真っ赤な顔のまま硬直して見守るティアナであった
オットーとディードが同衾して眠るのは毎度のことである
はやてが乱入した先は知らない。家庭崩壊の危機が迫っていないことを今は祈りたい
グリフィスは、自分の裸の胸に頬を寄せて眠り込む二人の女性の姿に、自分の頬をつねり上げていた
何故、シャーリーとルキノが、しかし、いやこれは、だが弁解の余地は無い
男子たる者、責任は取らねばなるまい
691 :
26-111:2007/09/11(火) 02:07:30 ID:EFFn5cs6
以上です・・・それでは、おやすみなさい・・・
ドゥーエ、生きてるのかな・・・生きてないよなぁ・・・チクショウ・・・
ドゥーエのISが分からん以上まだ出番があると淡い期待を持つ俺
693 :
名無しさん@ピンキー:2007/09/11(火) 02:14:59 ID:LM2jhkyQ
26-111氏!GJ!
グリフィス!君は一体どうするつもりだ!責任ってw!
何というお茶目さん。
そして10歳弱の次女に手玉に取られまくっとる六課メンツがイイ
ところで、肝心な方を2人忘れちゃいませんか…?
あぁ、別になくてもラブラブだから良いのか。
ドゥーエのIS?
変装(変身)能力なんじゃない?
>>668 泣けた!
GJ!!!
っと思ったら!
>次回から、多分相当鬱です。スイマセンorz
ヒイイ (((((( ;゚Д゚)))))ガクガクブルブル
楽しみにしてますw
>>695 プレイを盛り上げようともらってこようとするユーノと
これ以上激しくされたら冗談ヌキで死ぬなのはさんが必死で止める光景が浮かんだ
>>668 GJ
そして次が予想できてしまった自分に乾杯。
まさかこのレベルの作品がまさかこんな泡沫の場でみられるとは。
246氏
このHappy Endからさらに落としますか!
どんだけジェットコースターなんですか!
キリのいいここで、読むのを止めるか、止めないかで悩んでしまうじゃないですか!
嘘です、絶対次も読みます。
GJ!
26-111氏GJ!
ドゥーエは世の中の酸いも甘いも、知り尽くした感じですね。
そしてグリフィス君は、どっちと責任を…
>>435 GJ!
これはおっきした
24話見た後、読んだ身としてはスカリを超えるエリオを見せて欲しい・・・
実力(セクロス)のみで9人とも孕ませるエリオとか。続きを大きく希望
>>465 GJ!!!
アリシアがかわいすぎる件が大いに気になる
彼女はもう本当に幸せになって欲しいです。アリシア×エリオの本番も候補に(ry
エリオは・・・まあティアナに殺されんようガンバレ
26-111氏GJ!正直面白かったwww
グリフィスいつの間にwww
ヴァイスノ∀`)
どう責任とるのかさっぱり分からないグリフィスも気になるが、兄貴! ラグナはダメだろ兄貴!
>>435 あんた最高だよ、ここまで書けるやつはそうはいないさね
>>691 GJ!!
百合好きな自分としては、ティアナの腕枕で眠るスバルに萌えた!!
あー、スバルくそかわいいww(ほめ言葉)
>>698 確かに逆だ。
ユーノに「頑張れオトコノコ」と言いながら餞別の栄養ドリンク渡すドゥーエが浮かんだ。
スカリエッティのコピーはナンバーズとの遺伝子の賭け合わせで
その後記憶とか転写とかの方が興奮するな。
健在のスカリエッティより優秀な遺伝子をもたせることもできそうな
気もするしありえなくはないと思う。
ナンバーズが複数産んで、同じ遺伝子の子供がいすぎると逆に不便な気もする。
709 :
名無しさん@ピンキー:2007/09/11(火) 14:18:19 ID:qjVfBSA0
健在じゃなくで現在
現在のスカをバックアップするためのシステムであって
次世代にスカ因子を拡散させるのが目的でないことに注意。
思い切りアクメツだなこりゃ
713 :
名無しさん@ピンキー:2007/09/11(火) 18:29:42 ID://5MJF4W
>>668 ここまで来て鬱話!!?
うぅん怖いけどやっぱり読ませてほしいです仮令ひぐらしが鳴いたり鮮血の結末が待っていても…。
現在491kbにつき
埋めいっきまーす
スレを埋めてもら\ 白い悪魔の名は伊達じゃない… / ` ヽ{/ <二¨ 簀巻きにして
えるかな ? \ || ,'. .. ./i. .i .| ,ヘ. . . .l. . . lヾゝ| / \ヽ 埋めたげようか?
\ \ \l」 |: . : .!フニ!ミi;/ !ァ;ニ_}. . . |: ::| l / . ,. i ト、}
>=-、\ __ \ |. . : <ト' !` 'ト' .!〉. . |:.i:|ノ/ ::.. .....::/イ:| | | リ
フ>'´ `ヽ/./\ l. . . .lゝ- ' , `-'j , , レ /..:|i::::::::::::::::::::::::/イ,イ:レレ―-く^ ヽ、
/ イ / 、ハ)、\ . . lu" r‐ァ "イ/// . ::::| \:::ヽ:::::::::/ |::∧ ヽ. } ゴメンナサイ
∠V/ / // { ヽ\ Vl'、 \ト、>、 __ ,イ/../| ::::| Y^ ー ' , レ'::::! ヽ. ! | ゴメンナサイ
/ { { {{ トk从|\j斗l ',!ハ\j \∧∧∧∧/ | ::::| / ̄ ` 、i_ノ| ::::|::::::::::::i:::::::|:: | ゴメンナサイ
/ V llハY冽 f冽リ j ∨ .< な > . | / ::::|┴――‐< ̄ ̄ /^ヽ/ `Y.|::.| _r 、
. / / ヽ从小¨´ '_ `¨/l∨ ∨ < お の .>. | / ::::|::::::::::::::::::::::::::::::::::/::::::rヘ<二ユ,|:::}┴、 `!
../ / |.lゝ, _ イ/ ∨< は > |/: :::::|::::::::::::::::::::::::::::::,.ム::::::::V.人. i ∨ `V
──────────────<. 話 さ .>───────────────────
なのは!今夜も いじめて(ry < ん > l { ヽ ヽ. lヽ,〉'´}. l ! .! ! }
/l -| 十! /- イ / | | ,' ,.< !!! の >. l. |、 ヽ \ ゝ ヾ〉';;:j '| j ,' j | ,'
l | W|_l_/| / |l ,' / メ/|: / /∨∨∨∨\ _」」__、_|_`_,j_ゝ_、,)、 {゚ソノ/ jノ / ,' j! /
:/こ| レ行ifヾ八{ /xく/ |/ 少し頭冷やそうか <´O:.:;;:i''l^`ヾ、 ヽ.jゝ‐' | , / / } /
{{^ | |!込,,ソ イf巧トV /〃:.:.:./.:.:.:.,:.:.:.:.:.:.:.:.:: \ヽヽ=ニソ _」 、 /| ! j /!/ j/
| ヽ.| | ` 込,ソ// /:i: :.: i: :/:.:i:.:.|:.:l:.:.:.:.:.:.::.Y\ヽー-‐'´ _, , ' !/| / ,/j' |
l | | , ア/ . レl:!:.:./l::|:.:/レl:j、:j、::|::l:|:|:.:|:./l\ ´´ / j ノ // l
| l | r- _ / 'ヘ/:.:l::l:.:l'莎 ヘト忝レ::l::ム/ 'v l..\__ / // / | |
l ._/| |\ `ー / .|:.: :⊥ヽl ¨ , ゙ー' |/イ/ \|:.:\  ̄ /ノ j !
.斗{ | l ヽ、_. ,/ .l/ `l\ ‐ イ l/`llY  ̄\ :.:.:\ていうか、さんを付けろよ!
: : :.∨| |\_|/ / / lノ l¬≠ i lj.! ∧:.:.:.:'\ 錦江湾に埋めるぜ!?
ヽ、
, :<´ ̄ ̄> 、}}ノ
ー=≠": : : : : : : : : : : : :\
/: : : :/: {: : ヽ: ヽ : : ヽ:ハ
i.: ::{ 斗-ハ: : :}十ト:i :}: :}: :}
| { :|:W示h: :j示Y j: :|: :l
v|八:代り ソ辷リ }/: :i /
Y:ヘ _ } : /′ なのはーなのはー
Yヽ. ヽノ /: /ヘ ねえ、こっちを向いて
ヽi{`>- イ´/W}< ハニー・・・・・・
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こ二二二二二二二二二二二二二二二二二二}> 、} : : : : : {
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!/,ィ´ / ムLl,,,_ヽ!\,,L|弋ト、 .l ヽヽ|、 肉体言語中身メカの同僚
_レ'l ,イ /リ.z==ミ .` レ'==ュ .〉 | .ト、リ:::\ ハンマー振り回す上司
.,.-'"::::;j ./ | .,!゙ト、_ _,',_ ./..〉ト、 l \::::::\ 悪魔じみた砲撃ぶっ放す戦技教官
_,/:::::::r'"..リ .人| | .l-‐-i ‐'"l ./i:i リ !\:::::::\
..ィ'"v::::::::;;ノ .y'/i .`i..ヽ ! . ,! /./"|:|ヽ ヘ..\::::x:::`i
.,!:::::^;;;;ィ' ./ .i:::| \!\_  ̄ .,/レ'. .|:| \ \.`ー、:::::}
` ̄ / / .L;! ,イ`'''L.__ー__'"l`フヽ . レ' ヽヽ `!.  ̄
.// ./ __,/ . |i ノ. l ̄l'"!、|| .L_ ヘ.iヽ . |、 一体どこが魔法少女なのよ!
.,!l,! ./ .,ィ"∠-‐‐Y |_,_.| /`ヽ,ゝ.`ァ.、 .リ .ヘ..|リ
.||.| ,! j' .\,ィ .,ィ'〉 (__,) 〈、 v / ヽ リ
.リ l .l メ、 / /./ | | ! ! iニユ ._ゝ
.リ く__ \/ / / .| | ! ヽ !、,.-'" _,ゝ
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. |:/!.:.:.: 从.:.{. V;;リ V;;リ 'j.:.,' |.:l.:.:.:.:.:.:.:.: |
. j:ハ.:.:..Wト :.ゝ ' /.:/レ|.:l.:.:.:.:.:.:.:.: |
\:{ヽ|:小 V 7 彡'.:.|│l.:.:.:.:.:.:.:.:.| 私は一応魔法使いの
` Y:| ヽ、 ´ ,.イ! .:./ |.:l.:.:.:.:.:.:.:. | つもりなんだけどなー
ヾ:ゝ ト≧≦ュ| リ/ |.:l.:.:.:.:.:.:.:.:|
____, /| >tく |ヽ、____|_l.:.:.:.:.:.:l.:.|
/ヽ::::::::::::::::/ |/ l只lヘ| l:::::::::::::::: ̄ヽ.:l.:|
|:::: ヘ ̄ ̄ {____|{{<ハ>}}_j ̄ ̄`メ:::::::::|.:l:|
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/ll::::}\ ∨ \ ,VCV ∠ _∨ |::::/ハ :l|
{ }}:::::ン  ̄}__/ ̄`^<_/ /,弖 l ::{{ }:|
V__/ / / /:/`\r'〃ニフ }::V/ :|
{´ /了 ̄|l /:/  ̄ ̄`ヽ ヽ:/:.: |
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V',:.: /:.:.:.|:.:.l:.:.:.|<圷示 ∨|ー-|:./」_:|:.:.|:.:./:.:.:/ :| | |:.:.:.:.:.:.:',
!:∨:.:.:.:.:|:.:.|、.:|l ゞ=' ヘ| 'イ圷示/|: /:/'^レ ∨ |:.:.:.:.:.:.:.:', 私の言ってる事、
|:.:.:.:.:.:.:. |ヽ| ヽ| , ゞ=' ′|/:/|r;/ \. |:.:.:.:.:.:.:.:.:',
|:.:.: / ̄ ̄\ヘ. ′ /イ:.:.|/、 ___ヽ|:.:.:.:.:.:.:.:.:.:', そんなに間違ってる…?
|:/ /|:.:\ ` ` / |:.:/ 「|Y´ \:.:.:.:.:.:.:.:.:.',
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./ /〈. Vリ | \_>'′ l |:| | ∧:.:.:.:.:.:.:.:.',
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このスレは私、高町なのはがとどめを刺すの。みんな次スレで会おうね。
ちなみに、次スレはここ。前回重複してスレを立てた人がいるらしいので再利用するよ?
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1188863992/l50