これはwktkせざるを得ない
442 :
380-42:2008/03/24(月) 00:56:53 ID:B/YJtT8C
フィールは寝台の上でぼんやりしていた。
いつでも眠れるよう燭台の灯りも消して暗くて見えない天井を見上げている。
時々はあ、とため息をついては寝がえりをうった。
もう十日ほども経つがあれ以来ジュジュと会っていない。
晴れの日が続いたせいか彼女がこの家に来ることはなかったし、フィールもどんな顔をして
会えばいいのか、何と謝ればいいのか考えつかなかった。
もちろんすぐに謝らなきゃとは思った。だが会いに行っても出て来てくれないかもしれない。
きっと自分の顔を見るのも嫌だろう。そう思うと勇気を出せず、そのうち日が経ってますます
会いにくくなった。
だが会わなければ忘れられるかと言えばそんなはずもなく、日中はがむしゃらに仕事をして、
それでもやはり夜寝る前にはこうして必ず思い出してしまうのだった。
大事に大事にして来たのにあんな風に怯えさせて。震えて泣いていた。
そんなつもりはなかったのだと言っても信じてはくれないだろう。
何も言わないで帰ってしまったのも当たり前だ。
朝、きちんと謝って送って行きたかったけど――。
ガルムに自分の気持ちを押しつけては駄目だと言われたばかりだったのに。
調子に乗っていたわけではないと思う。
「だってあんなこと言うから……」
言い訳がましい言葉が口をついて出てきた。
壁の方にごろんと寝がえりをうつ。
いいなあ、なんて。
どっちが?ガルムが?ドロシーが?それとも二人の関係が?
人を羨むなんて自分では物足りないということなのだろうか。
あんな風に互いのことを理解し合って――心も身体も――それがうらやましいのだとしたら、
それは自分の責任ではない。
だからあの時、彼女が歩み寄るべきじゃないかと、彼女のせいだと思った。我慢を強いられて
いるのはこちらなのだから。皆も言っていたではないか。よく耐えられるなと。
そんな気持ちが頭をよぎり苛立ちからくる冷たい怒りが心に満ちた。
それでも少しは理性が残っていたと思った。彼女に気付かれないように、苛々を押さえようと
したのに、出来なかった。
無理やり口付けて、首へ、うなじへ、それに……普段服の下に隠された部分へも。
あんなに嫌がっていたのに彼女の意思を無視して強引に服を脱がせた。
綺麗でなめらかな肌、薄い体。
肩から背中、胸から腰をゆるやかに結ぶ曲線がとても扇情的だった。
抵抗する姿さえ色っぽかった。
自分を振りほどこうとする力はあまりに弱く、これで敵うと思ってるのだろうかと笑いさえ
こみ上げてきた。
自分を好きだと言っておきながらなお拒もうとする彼女のすべてを征服したくなった。
あんなに嫌がっていたのに。彼女は本気で掴む腕を振りほどこうとしていた。
「――っ!」
問題の場面を思い出し、体が反応しそうになるのを感じて枕に頭を押し付けた。
無理に意識を逸らさなければ無意識に手を下半身へのばしてしまう。忘れたいはずの自分の
行為を、彼女の姿を慰めに使ってしまう。
しかし良心の呵責がそれを許さなかった。
「駄目だなぁ……」
意気地のない自分が嫌になって独り言ちる。
彼女がどんな態度をとっても自分がしなければならないことは一つだけ、誠意を尽くして謝る
しかない。許してくれるまで何度でも、何と罵られても。
やるべきことが分かっているのに行動に移せない自分に腹が立った。
443 :
380-43:2008/03/24(月) 00:57:37 ID:B/YJtT8C
こんな風に毎日自分の心に問いかけては、謝りに行けない己に絶望し、消せるわけがない
出来事に悶々としていた。
ため息をついては寝がえりをうつ。それを繰り返しているだけだが頭の中は忙しかった。
だからその時も音がしたことに最初は気付かなかった。
もう一度こん、となる
フィールは今度こそそれに気付くと物音に体を緊張させて辺りに目を向けた。発信源が家の
中か外からかと耳をそばだてると今度はこんこん、と二度なった。
窓だ。
外に誰かがいる。
フィールははっとして寝台に体を起こした。
盗賊だったらと見えない室内を見回してもとりあえずの武器になるものは置いていなかった。
いざとなったら大声でトトを呼べば何とかなるだろうか。
そんなことを考えながら静かに寝台を降り窓際へ近づいた。
窓には薄手の布と厚手の布とを、目隠し用につけてある。朝日が昇ったら目覚めるようにと
厚手の布は窓の脇にくくってある。
外から見えないようにそうっと目をやると、途端目の前に手が浮かび上がった。
その手は今度はかなり強く窓を叩いた。硝子が揺れ、音が辺りに響く。続いて聞こえた声に
彼は驚きより先にめまいを覚えた。
「ねえ、フィール。フィールってば!……いないの?」
彼女にとってはささやくような声でも夜の静謐の中では窓越しにもはっきり聞きとれる。
フィールは慌てて窓を開けると声を抑えるのも忘れて彼女を叱りつけた。
「ジュジュ!君……こんな夜中に――まさか一人で来たんじゃないよね!?」
「え……もちろん一人だけど?誰と来いってのよ」
言外に見りゃわかるでしょと言っている。
悪びれるところのない少女にフィールは目を怒らせた。
「ばかっ!危ないじゃないか!」
「あー!」
掌をぽんと叩く。やっと意味が分かったとそんな顔だ。
「そっか。ごめんね。心配……した?」
あっけらかんと言って頭をかくと気まずそうにフィールの表情をうかがった。
フィールは窓枠に手をかけ身を乗り出した。
窓の下にいる少女に厳しく言い聞かせる。
「あれほど!何度も!言ったのに……!以前、夜の森は一人歩きしないって約束しただろう。
君って人は……」
「なによ、もう。そんなに怒らなくても」
せっかく会いに来たのにいきなり怒られたものだから少女は頬を膨らませた。
「怒ってるんじゃないよ。まったく、一瞬で僕がどんなに冷や汗かいたか教えてあげたいよ」
顔を押さえて嘆く様子はジュジュには大袈裟にしか思えなかったが、彼の言葉は訪問の理由を
考えるといいきっかけでもあった。
少し俯いて呟く。別に彼に聞こえなくても良かった。
「……教えてもらおうかな」
「え?なに」
「ううん、なんでもない。ちょっとそこどいて」
室内のフィールに持っていた手燭を押し付けほらほらと手を振る。
彼が黙って言う通りにすると窓枠を乗り越え部屋に入り込んだ。
「お邪魔しまーす」
テーブルに預かった灯りを置いて振り返る。
「ジ、ジュジュそんな、げん……」
ジュジュの格好に気付いたフィールがそんなところからじゃなく玄関へ、と言いかけたが
言い終わる前にはもう彼女は室内にいた。
裾がまくれるのにも構わず(多少は気を使ったようだが)脚を上げる姿は見ている方が隠せと
言いたくなるようなものだった。
444 :
380-44:2008/03/24(月) 00:58:20 ID:B/YJtT8C
ジュジュは部屋の真ん中に立つと小さな炎が暖かく照らす室内を見回して、それから彼に
注文を出した。
「こっち来て」
窓の傍から離れない男に手招きする。
「……うん」
そっと窓を閉め自分の正面に来るとさらに後ろを向くように言った。
フィールが言うとおり自分に背中を向けるとジュジュはぎゅう、と後ろから彼を抱きしめた。
「ジュジュ?」
「この間はごめんね」
「――!」
彼は一瞬硬直した。
まさか、少女に謝られるとは思っていなかったのだ。
慌てて首を振る。
あんなことになったのは誰が考えたって彼女のせいではない。
責めるように気持ちをぶつけたのも、嫌がる相手に対し力ずくで無理やり行為に及ぼうと
したのも自分だ。
「違うよ。あれは……あれは僕が駄目だったんだ。ごめんよ……謝って済むことじゃないけど。
君が嫌がっているの分かってて、力じゃ君は僕に敵うわけないって分かってたのに、僕は――」
腰にまわされた小さな手に自分の大きな手を重ねた。
「ううん」
否定の言葉と共に背中に当たるジュジュの頭が横に振られるのが分かった。
「真面目な話するから、聞いてて」
「え……」
改まった言い方に後ろを振り返る。すると間髪入れずに下から声が上がった。
「こっち見ないで!……そう、そのままで。見つめ合ってたらこんな話出来ないんだから」
すう、と大きく息をして、頭と呼吸を落ちつけてから彼女は話し始めた。
「あのね。最初に謝るね。四年も付き合ってきたのにずっと、その……しなくて。嫌がってて
ごめんなさい」
「別にそんなの謝ること――」
「黙って聞いててってば!」
謝罪の続きをしようとする彼を遮って口を閉ざすよう強要した。
「あ、うん……」
「あんたのことはちゃんと好き。これは本当。初めて会った時のこと憶えてる?あたし随分
ひどいこと言ったけど、あの時からずっとあんたのこと気になってた。それで……色々あって
あんたと付き合うことになって。あたし舞い上がっちゃうくらい嬉しかった」
その時のことを今でも良く憶えているのだろう。彼女はとても幸せそうに微笑んだ。
「あんたはぽーっとしてるし鈍いけど、一緒にいると他に何にも要らなくなるの。一緒に
散歩したり、ご飯食べたり。そんな些細なことが楽しかった。あたしらしくないなって自分
でも思うけど、穏やかな毎日を重ねていけるのが嬉しかった。それだけで満足しちゃうくらい。
あえて深い関係にならなくても、いいかなって……」
「ジュジュ?」
だんだん小さくなる声にフィールは前を向いたまま呼びかけた。
少女の息をつくのが聞こえる。気持ちが高ぶってきたのか吸って吐くその音は震えていた。
「あたしの性格知ってるでしょ?欲張りなのよ。自分が好きなもので手が届くものはなん
だって自分の物にしたい――でもあんただけは駄目だった。好きだから」
「……」
フィールは唇を噛んだ。
彼女がこんなに赤裸々に自分の心情を告げるのはこれが初めてだった。
恋人の性格を理解したつもりでいたが、そうではなかったのだと思い知らされた。
「あんたのこと本当に、馬鹿みたいに好きだから、これ以上近寄ったらあんたなしじゃいられ
なくなっちゃうって。でも、だから……最後までするの、怖くて……」
言いたいことを上手く言葉に出来ないのか途切れ途切れになった。
「だ、だめ……や、やっぱり上手く言えな……」
体も小さく震えているのが伝わってくる。
心細いのかさらに彼女の腕は強くフィールを抱き締めた。
445 :
380-45:2008/03/24(月) 00:58:54 ID:B/YJtT8C
「僕も好きだよ」
フィールはそこまで聞くと彼女の言いつけを破って振り返り少女を引き寄せた。
ジュジュは思わず顔を上げる。彼の真摯な瞳にぶつかってすぐに目を逸らした。
「怖かったの?ずっと」
「……っ」
少女は彼の問いにただ頷く。
『好きだよ』
今まで何度言われたか知れない台詞にジュジュは目頭が熱くなった。
彼に悟られないようさりげなく下を向く。
今日は普段どんなことを考えてどんな風に感じているのかみんな正直に言うつもりだったのに、
やはりちゃんと言えなかった。
彼を思うだけで心が春のような暖かさに満たされること。
気持はとても真剣なものなのに心にずしりと重くなるようなものではなく、ふわふわと脚が
地についていないような心地になること。
こんな性格の自分が彼のためになるなら、喜んでくれるなら何をおいてもしてあげたいと思う
こと。それに。
フィールの気持に感謝し――逃げ出したくなることを。
時々叫びたくなる。怖い、恐ろしいと。
彼のいなくなる瞬間が。
この気持ちに終りが来る時が。
そしていっそのことと思ってしまう。この不安を早く手放してしまいたいと。
だがそれと同じくらい強い気持ちで思うのだ。最後まで離れたくないと。
ドロシーがガルムに言ったように、彼に終わりの来る時傍らにいるのは自分でありたいかった。
相反する二つの気持に心が押しつぶされそうで、出会った時より広さを増した胸にしがみつき、
そこに顔を押しつけて目をぎゅっとつぶる。
瞼の裏に浮かんでくるのは片思いというものを自覚した時のこと。あの時はただ浮かれて
いた――と思う。
告げたい、愛されたい、でも断られたら。
人々が普通に経験する感情に、それだけで頭が一杯になっていた。
一時は常に傍にいるドロシーにさえ嫉妬した。考えられないことにアルミラに相談したりも
した。
それがどうだろう。
こうして想いが通じたら片思いの時より臆病になってしまった気がする。
何年も触れ合うのは唇のみで一線を越えられずにいる。
踏み切れないのは自分。
フィールは待ってくれている。健康な男子だもの、いつまでも拒否していたら振られるかも
知れない。その位は分かる。
それでも――それでもだ。
そこを超えたときの自分に自信がなかった。
ガルムが言っていたとおり。
一度は手に入れたもの。失うのが怖いから、いっそのこと手に入らなければ良かったのにと
彼を恨んだこともあった。
彼を殺してしまうかもしれない。
それは直感だった。
いつだっただろう、付き合い始めたばかりの頃だ。やはり手をつないで談笑しながら歩いて
いた時にふと心に差した影。
顔はフィールとの会話に笑っていたが、心臓はそれまでにないほど早鐘を打っていた。
446 :
380-46:2008/03/24(月) 00:59:21 ID:B/YJtT8C
彼を完全に手に入れてしまったら、自分が完全に彼のものになってしまったら、それなしで
生きてゆくことは出来ないだろう。
人間とカテナがどれだけ違うかと言えば、自分がようやく大人の女になる頃、かれは寿命を
迎える。その時を恐れながら、日々の小さな出来事に感謝して生きてゆくのかと、それが
自分に出来るのかと問えば答えは否だ。
彼がいなくなった後どうやって何百年も生きてゆくのか。
遠い未来に来る別れをただ待つのが恐ろしく、いっそのことと自分の手で彼の命を断ち切って
しまいたくなる。
だから、こんな風に自分を怯えさせる存在はいなくなってしまえばいい。そう思って衝動的に
やってしまうかもしれない。もともと我慢のきかない性格ということは自覚しているのだ。
自分のすべてを受け入れて欲しいし、相手のすべてを手に入れたい。
それは誰だって持っている欲求だ。
ただ、身も心も愛し合った後、その時どうなるのか。
より深い愛に気付くのか。
絶望を知るのか。
その状況になってみなければ分からないことに、いくら無謀な彼女でも賭けられるわけがない。
常に正と負にぶれる自分の本心をもう何年も、ジュジュにしてはこれ以上ないほどの自制心を
発揮して抑え込んでいたのだった。
「あた……あたし、も……好き」
こみあげてくる嗚咽を必死に抑えながら少年の言葉に答えた。
フィールの手がジュジュの髪をさらさらと梳いた。
こういう時はいつも黙って抱きしめていてくれる。それが彼女には嬉しく、申し訳なかった。
そしてそんな彼が好きなんだとしみじみ感じて口が開いた。
「フィール……あたし、あんたを殺しちゃうかもしれない」
顔を押しつけてる部分が上下し大きく息を吸ったのが分かった。
潤んだ瞳で見上げれば、驚きに目を見開いた彼と目が合う。
「ジュジュ?それってどういう……」
「お願い……あたしがあんたのことをその位好きってこと、知ってて」
小さな手でフィールの頬を両側から包み込む。引き寄せれば素直に腰をかがめてきたので額に
ちゅっと口付けた。
涙の粒が重みに耐えきれず目の端からこぼれる。
彼は何も言わず少女の濡れた頬を拭った。
「あんたのことを考えてるとそれだけで頭がいっぱいになっちゃうの。でもあたしはそれが
怖い。あんた無しで生きていけなくなっちゃったら、そうなるのが怖いの。だから」
「だから……?」
ジュジュは彼の胸にしがみついた。
ありのまま話ているとやはり自分は異常なのだと思う。
逃げないでほしかった。彼に縋りたかった。
「そう。分かんない。分かんないけど……あんたのこと殺そうとするかも知れないって。
あたしも本当は、あんたの全部が欲しいし、あたしの全部をあげたいの。でも、そしたらどう
なっちゃうか分かんないから。本当はあたしだって」
ひっく、としゃくりあげる。
「あ、あたしだって……ガルムやドロシーみたいに……なりたい、のに……」
「ジュ――」
フィールの口を塞いでちゅ、と吸った後、顎の先端へも唇を落とす。
彼はほんの少年だった数年前よりも大分がっしりと線が太く男らしくなっていた。
それに比べてちっとも変化のない少女は少年――もう青年と言うのが相応しいだろう――の
手を己の胸へ導いた。
かつて彼の手が伸び、拒否した場所へ。
やわらかい感触の下からジュジュの鼓動が伝わってくる。そこは壊れてしまわないか心配に
なる程の速さで脈打っていた。
447 :
380-47:2008/03/24(月) 00:59:47 ID:B/YJtT8C
少女の顎をつたってフィールの手の甲に滴が落ちた。
「本当は求められるたびに嬉しかった。あんたはいつも真剣で、その気持ちを疑うことなんて
一度もなかったもの。でもね、それでもやっぱり怖かった。あの二人みたいに乗り越えられ
なかった……臆病なんだわ。だから自分の気持ちばっかり大事にして、あんたの気持ちを
思いやることが出来なかったの」
そして彼女はもう一度ごめんなさい、と言った。
「本当はどうして受け入れられないのか分かってほしくて、でも……知られたくなくて。
これじゃ振られちゃうとも思ったわ。そんなことになるなら全部打ち明けてしまえばいいとも」
フィールは少女から手を取り戻し頬に手を添える。俯く顔をそっと自分の方へ向けた。
ジュジュは逆らわなかった。
「今まで、ずっと――?」
目に涙をたたえたまま自嘲気味の笑顔を浮かべる。
「――こんなことを何年もぐずぐず考えてたの。何も言わないで相手に我慢を強いて……
今さらながらあんたに酷いことをしたと思う――こんなののどこがいいのかまったく理解に
苦しむわ。それとも……もう、やめちゃおっか……」
付き合いを続けるのを、だ。
こんなのというのがジュジュ自身を指していることに、フィールはとんでもないと首を振った。
「どこがなんてそんな……そんな所も含めてきみのことを大事に思ってるんだ。うまく言え
ないけど……きみの笑顔が好きだよ」
ジュジュは下を向いてしまった。
泣いていたのとは別の理由で頬がさらに赤くなる。
彼女の変化に気付かぬままフィールは正面の空間を見つめ、彼女に対して思うままを言葉に
した。
こういう時の彼は照れるということをしない。聞いている方が恥ずかしくなることがしばしば
だった。
「いつも元気がいいし、でも落ち込むときも半端じゃないけどね。そこも好きだ。時々口を
とがらせて拗ねた表情をするけど、それだって僕には愛おしい」
「ばかなことばっかり言って……」
フィールの言葉にそれこそ照れた少女が脇腹をつねった。
「いたた……僕は本気だよ」
自分はジュジュが好きなのだと、自分を否定することはないのだと言いたかった。
「……ん」
フィールの真面目な声に頷いて、やっぱり悪かったとつねった所を撫でた。
彼女にも分かっていた。フィールは上っ面の褒め言葉なんか口にしない。真実感じたこと
だけを言う。
馬鹿正直ねとよく言ったものだ。
「きみの我儘も僕にとっては可愛いものでしかないんだ……時々度を超す時もあるけど。年々
少なくなってるし」
「なにそれ、褒めてるの?」
正直すぎる言葉に重苦しい雰囲気から一転、思わず吹き出してジュジュは彼を見上げた。
「もちろんさ」
心外そうに答え、フィールはさらに続けた。
「だから……自分のことをそんな風に言わないで。今度のことだって、打ち明けてくれたじゃ
ないか。僕には言えないことだってあるだろうけど、悩んでいることがあったら相談して
欲しい。だから……これからも」
「これから……?」
「うん。やめちゃうなんて言わないでよろしく――してくれる?」
「〜〜〜っ!」
にっこり微笑むフィールにジュジュは顔をくしゃくしゃにした。
あんな異常とさえいえるような気持ちを告白したのに、彼は応えてくれた。受け止めてくれた。
そう言ってくれたらいいと願っていたその通りに。
小さく口を開けて、ぱくぱくと動かした後また閉じる。
感極まって声が出なかった。
448 :
380-48:2008/03/24(月) 01:00:19 ID:B/YJtT8C
「ねえ」
ますます自分を強く抱き締めるジュジュに返事を催促する。
「……する……して。あたしの方こそ……これから、もお願い、します」
「うん……良かった」
フィールは彼女が自分に向けてくれる気持ちを同じだけ、いや、それ以上返すように強く強く
抱き締めた。
少しして腕の中の少女が身じろぎした。
フィールは腕の力を緩めて解放してやる。
ジュジュは両手を自分の頬にあてて深呼吸をした。大分落着きを取り戻したようだ。
「やっぱりなあ」
「ん?」
「泣いちゃった。この間から泣いてばっかり……もう、いつもはこんなじゃないのに」
泣いてばかりいる自分が弱々しい女の子のようで本意ではないらしい。
目元をこすっている。
「たまにはいいさ。いつも強気なくらいだもの」
「なによ、もうっ!」
手を振り上げる彼女にフィールは笑いながら身をかわした。
二人を包む空気がすっかり柔らかくなった。
「ねえ、ジュジュ……」
「なぁに?」
「このためにわざわざ来てくれたの……嬉しいけど本当に心配なんだよ。もうレクスだって
ないんだ。何かあったらさ。……さっき窓の外に声を聞いた時は心臓が止まるかと思った」
「うん……ごめんね?」
素直に謝るあたり本気でジュジュのおとないに焦ったのが伝わったとわかる。
「いくらあたしだって本当ならこんな時間に訪ねてきたりしないわ。面倒くさい。ただ今回
はね、あんたに話そうって決めたらいてもたってもいられなくなっちゃってさ。時間を置くと
やっぱり話すの止そうかなって迷うだろうし。それに、ね」
「うん?」
フィールはひとまず安心した。真夜中の訪問は彼女自身もあまり好きではないらしいことに。
それならあまりくどくど言わなくても進んで無茶をしたりしないだろう。
「夜の方がいいと思って……ついでだし……ううん、ついでって言うんでもないけど……
だから……」
はっきり言わない彼女の説明をフィールはじっと待った。
それに気付きジュジュは困ったように笑うと彼の胸元をつかんで自分の方に引き寄せた。
耳元でなにやら囁く。
微かな音がフィールの耳に届いた。
「え……?」
「もう一回言ってくれる?」
思わず頼むとすでに一歩離れていた少女がぷいと横を向いた。
「き、聞き返さないでよっ。二回も言えないわ!」
怒ったように言う。いつもの彼女だ。
「え……でも、だって……」
ジュジュはそっぽを向いたままぎゅっと自分の腕を抱きしめている。頬が赤い。
「だって……そんな」
聞き返すなと言われてはっきり口に出来ずフィールは顔じゅうに疑問符を浮かべている。
いきなりあんなことを言われたら確認したくもなるというものだ。
『この間の続き、しよ。もう嫌がんないから』
フィールは彼女の誘いを手放しで喜んだりしなかった。かえって胸が痛んだ。
きっとこの間のことを自分が我慢させていたせいだと気にしているのだろう。
449 :
380-49:2008/03/24(月) 01:00:53 ID:B/YJtT8C
彼は少女の申し出に頭を振った。
「ジュジュ……いいんだよ、そんな無理しなくても。理由を話してくれただろう?僕は――」
まだ待てるよとそう言いかけて、だがその言葉は遮られた。
ぴしゃんと頬を叩くように両手で挟まれる。
少し下にある彼女の顔は少し怒っているようだった。
「あんたさ、あたしが冗談で言ってると思ってる?」
「う、ううん」
顔を挟まれ不自由ながらゆるゆると首を振る。
「じゃあ、この間のこと、気にして言ってると思ってるの?」
「……うん」
いたたまれなさに目を伏せる。
途端に頬にある手がそこの肉をぎゅうと掴んだ。
「ひ、ひたひよ……!」
不自由な口で抗議の声を上げる。
実力で引き剥がさないのは彼女の言った通り、この間自分がしたことに罪悪感をもっている
からだ。
およそ容赦と言うものがない力の入れようだった。
だがジュジュには手加減する理由がない。
こんな場面であんな台詞を言った女に念を押す、それがなんとも無粋で腹立たしかった。
最後に思い切り強く左右に引っ張って手を離した。
「あんたって本当に鈍いわね!ちゃんと人の話聞いてたの?」
「ってて……聞いてたけど……?」
顔を解放されて痛みを和らげようと撫でながらジュジュを見た。
「あれは本当に無理やりだったわ、それは確かにあんたが悪い。でもね、そんなことになる
原因を作ったのはあたしだし、言ったでしょ?――ぜ、全部あげたかっ……って」
途中までは確かに怒っていた目が恥ずかしげに視線をずらす。
「――!やだ、もう、ばかっ!!こんなこと何度も言わせないでよ!」
またも自分らしくない態度に照れてジュジュは拳を振り上げた。
咄嗟に目を閉じたがいつまでたっても手は降ってこない。
そっと相手をうかがうと、ジュジュは数歩離れたテーブルの側に立っていて、そこには彼女の
持ってきた手燭が置いてあった。
寝るつもりだったから部屋の燭台はすでに消してあって、今はそれだけが室内を照らしている。
「ジュジュ……」
少女はそれを持つとちらとフィールに目をやった。怒ったように照れたように頬を染めたまま。
彼女が手燭のかさを持ち上げてふう、と火を吹き消すとあたりは闇に落ちた。
いきなりのことに目が慣れず彼女がどこにいるのか見えない。
「ジュジュ?」
まだそこにいるのかと思いそれでも深夜のこと、小さな声で名前を呼ぶ。見えるわけでもない
周囲に視線を泳がせると、そっと手を握ってくる温かいものがあった。
それを握り返し引き寄せる。
力のままにとん、と彼女の体が腕の中におさまった。
フィールはしばらくそのままでいたが、いつまで経っても胸の動悸は治まりそうになかった。
それどころか早くなる一方だ。
手を引かれるまま、自分の胸に顔を埋めた少女もそうなのだろうか。
どんなに緊張してるのか、心臓の音が彼女にすっかり伝わっているだろう。
「あの……本当に……?」
この状況で何といっていいか分からず、叱られたにもかかわらず彼は問いを重ねた。
「ん……」
ジュジュは広い胸に抱かれながら、結局自分は誰かに背中を押して欲しかったのだと気が
付いた。
堂々めぐりの思考を断ち切って、出来ることはやってみろと誰かに言われたかったのだ。
450 :
380-50:2008/03/24(月) 01:02:07 ID:B/YJtT8C
『どうしたって後悔するに決まっている』
ガルムの言葉は彼女にとって青天の霹靂だった。
同じことを考えていたというのに、だからこそ行動するのだと彼は言い、ジュジュはだから
何もしたくないのだと思っていた。
思い悩む彼女にとって彼の話は天啓と言っても過言ではなかった。
ジュジュの最も欲しい言葉を言ってくれたのが、彼女が最も苦手にする相手だったというのは
不思議なものだ。
小さな小川の前で足踏みしてしまうような心もとなさ。
渡った後に見える風景を見てみたくて、でも長い間、そのたった一歩が踏み出せなかった。
フィールと一緒に季節を歩んで行きたかった。
一歩。
たった一歩踏み出せば景色も変わり、季節も夏に変わるだろう。
ゆったり移ろいゆく季節を――緑の眩しい夏も、実り豊かな秋も。そして、厳しく悲しい色を
した冬も――共に眺めると、心に決めたのだ。
衝動に流されそうになっても来た道を振り返れば今までの思い出が見えるはず。
フィールは彼女の耳元に顔をよせ、さらに言葉を継いだ。
「こんな……途中で止めてって言われても、聞けないよ?――それでも?」
少女はただこくんと頷いた。
フィールの手が動く。
互いが見えないから、囁く声、触れる感覚だけが相手を知る手がかりだった。
指先が少女の頬に触れ、顎の輪郭を下へと辿ってゆく。顔を上向けるとそこに唇を落とした。
そっと触れ、離れる。何度も何度も、角度を変えてはただ触れるだけのひそやかな口付け。
体を離すとフィールはため息とともに呟いた。
「キスするだけでこんなにどきどきするなんて……」
「うん……緊張、する」
心臓が壊れそうなほどの鼓動はまるで初めて手をつないだ時のような。
もう一度かたく抱き合う。
はあ、とフィールが息をつくのがやけに大きく聞こえた。
〜つづく〜
ではまた。
GJ!
続きにも超期待!
GJ、ジュジュの純情っぷりがたまらねええええええええええええええええええええ
ジュジュかわゆす。。。
続き期待して待ってます!!
ジュジュ可愛すぎだ…
そしてフィールが超いい男すぎてたまらん
描写が丁寧ですごい。wktkが止まらない
457 :
380-51:2008/03/27(木) 08:21:35 ID:JgIqyBWa
そっとジュジュの上着に手をかける。
今日はそんなに寒くないせいか、こんな夜中に出歩いていたというのに薄手のシャツをさっと
羽織っただけの姿だった。
前も止めないでいたから左右の合わせの部分を持って後ろへと脱がせ足元に落とした。
腰に手を回しぐいと抱きよせて首の後ろに手を添える。
噛みつくように唇を重ねると彼の舌は先程とは別人のように激しく彼女の口腔を蹂躙した。
ジュジュもフィールの首に腕を絡める。
唇も身体も接していて、なお近づきたいという気持ちがそうさせるのかもしれない。
彼の指が一つ一つ背中の釦を外していくのが分かったが、自分で言ったとおり抵抗する気は
なかった。
今度は前へと袖を抜かれるのに従っい素直に腕を下ろす。
ひとつながりの服がわずかな衣擦れの音とともにジュジュの体から落ちた。
ひらりと手に触れるのは柔らかな布地。
下着姿になったのを知るとフィールはジュジュの手を引いた。数歩も離れていない寝台に
隣どうしに腰掛ける。
だが座ったと思う間もなく彼の手が少女を寝台に押し倒した。
「……!」
いきなりすぎる恋人の動作にジュジュの肩が緊張で硬くなる。
顔中に口付けをされてもどういう反応をすればいいのか分からずなすがままだ。
空いている自分の両手のやり場にも困った。彼の背に回していいのかどうか。服を脱ぐなら
邪魔になるだろうと余計な気をまわし、結局体の脇に投げ出している。
下着を残すのみの格好でも予め灯りを消していたおかげでそれほど恥ずかしくはなかった。
ただ薄い布一枚隔てただけで体を触られるのにはさすがに無心ではいられない。くすぐったい
ような、気持ちいいような。
眉をひそめながら笑みをこらえる自分に、初めての行為とはもっとおごそかで神聖なものでは
なかったかしらと内心首を傾げた。
そんな気持ちになるのも彼女の照れの表れだろう。
体ごと壁の方に移動させられて慌ててジュジュは声を上げた。
「待って……靴……」
脱がなきゃと続く彼女の台詞を聞くより早くフィールが少女の脚をとった。靴を脱がせると
これも寝台の下に落とす。
顔はジュジュに向けたまま、彼は脚にある手を滑らせた。肌の感触を楽しむように往復させる。
自分の方に持ってくると足の甲にそっと口付けた。
「可愛い」
「や……ばか……見えないくせに」
脚を持ち上げられてつい内股になる。
「褒めれば何でも喜ぶと思ってるんでしょ。あたしだってそんなに単純じゃないんだからね」
「どうして?可愛いのに。夏に靴を履いてなかったことがあったよね?」
「ああ……」
言われて少女は思い出した。
ドロシーが草履の編み方習ったんですよ、と皆に編んであげていたのを。
端切れを使って作るのだが、彼女から桃色系で統一した女の子らしいのを一足もらったのだ。
とても気に入ってこの夏はしょっちゅうそれを履いていた。
「あの時から可愛い甲だなあって思ってたんだよね」
「ほ、ほんとに?」
可愛い足の甲なんて表現を聞いたのは初めてだったから思わず聞き返した。
「うん。ずっとキスしたいなって思ってた」
「な……!」
「白くて、小さくて……爪だって花が咲いてるみたいだもの。自分じゃ分からないのかも
知れないけど、凄く色っぽいよ」
ジュジュは返事が出来なかった。
女を主張しつつも自分は色気方面にはどうも強くないと思っていた。だが彼にはそれでも
感じるものがあるらしい。
458 :
380-52:2008/03/27(木) 08:22:16 ID:JgIqyBWa
改めて自分が好きな男を不思議に思った。
一体どんな顔でそんな台詞を言うのだろう。
フィールに褒められるのは慣れているが、こんな色めいたことを言われたことはなかったので
少しだけ灯りを消したことを後悔した。
彼は押し黙った少女の足元に再び顔を落とした。
食むような口付けに交じって時々舌が肌を撫でる。その度に脚がぴくんと動いてジュジュの
体から力が抜けていった。
ほとんど裸の肩を、指先でかすかになぞりながら下着を脱がせてゆく。胸には触らず背中の
方から引きずる様に臀部を通って足元に抜いた。返す手で腰のあたりを撫でつつ最後の一枚に
指をかける。それも彼女が反応を返す前に奪ってしまった。
ジュジュの体に手を伸ばせばもう感じるのはきめ細かい素肌しかない。自分と彼女とを隔てる
ものが何もなくなるとフィールは改めて少女の首筋に顔をよせた。
「いい匂いがする……」
肩口に顔をうずめて気持ち良さそうに言う。
腰から脇の線を暗闇に描きそのまま胸へ手をすべらせる。やわらかく盛り上がっている方へ
動かすと少女が肩を縮こまらせ、声を出すのをこらえるためか唇を噛んだ。
中心へ向かって何度もやさしく揉み上げる。
少女の口元は彼の手の動きにだんだんと開いていったが、硬くなった部分を舌で愛撫されるに
至ってはついに嬌声をもらした。
「あ……っん、あぁ……やぁっ……」
嫌と言われてもこんな気持ちのいいところをそうやすやすと解放するわけもなく、ジュジュの
反応に手応えを感じながらフィールは周囲にも舌を這わせていった。
晩秋というより初冬という表現の方がぴったりくるこの時期、暖房のない部屋で裸同然の姿を
晒すのはさすがに無理があったようだ。
ジュジュはフィールから与えられるむずむずした感触と空気の冷たさに身震いした。
「フィール、ねえ……寒い」
頭の上の声にやっと彼は室内の温度に思いをいたした。彼自身は寒さに気付いていなかった
らしい。
上体を起こして上に着ていたものを脱ぐと自分ごと彼女を掛け布で包み込んだ。
ジュジュの腕を取って自分の首へ絡ませる。
「これならちょっとは暖かいかな?」
「うん」
フィールの体温が心地よくて少女はほっと返事をした。
ジュジュは上にいる男の首を引き寄せ唇を押しつけた。今度は積極的に彼女の舌がフィールの
唇を割って入ってゆく。
彼はジュジュの舌が動くに任せ、自身は手を下の方へと伸ばした。
細い腿を撫で外側から内側へ、そして徐々にきわどい部分へと近づいてゆく。
「ぁ……」
それを察してかジュジュが唇を離した。
ふわと顎に髪が触れ、少女の顔が俯いた。
往復する掌は冷えた脚を温めるようにやさしく大きくて確実な力があった。無意識に閉じよう
とするのをそれと分からぬさり気なさで押しとどめている。
秘裂に指を忍ばせるとまずさわさわと手に触れるものがあった。手を少し動かせばそれ自体
うっすらと湿りを帯びているのが分かる。そこをさらに分け入ってまだ誰も迎えたことのない
部分へ指を沈める。
「……」
閉じた処は周囲のそれより大分潤んでいたが、女性の反応としてこれで十分なのかフィール
には見当もつかなかった。
少女の脚が折れたのが分かった。そこを深く深くと撫でるたびに彼女の呼吸がだんだんと荒く、
早くなってゆく。
「痛い……?」
「ん……ううん……大丈、夫」
手を止め問いかけるが少女はさらに続けるように言ってフィールの背をとんと叩いた。
459 :
380-53:2008/03/27(木) 08:23:22 ID:JgIqyBWa
なんとか痛みから彼女の気を逸らそうと、胸に顔をよせ尖った部分を柔らかく噛んだ。
甘やかな感覚が背を走りジュジュは腰をくねらせる。
フィールは空いている手で細い腰をしっかり掴まえると、頂を唇でやわやわと挟み刺激した。
「っ……あぁっ……やだ、やだ……」
つんと上を向いたところを舌で弾いては辺りの白いふくらみにもそっと歯を立てる。
ちゅ、と吸いついてあたりにも赤く跡を残した。
ジュジュが自分の愛撫に敏感に反応しているのを感じると、局部にやっていた手を今度はつ、
と上の方にずらした。
襞の始まりの部分にある小さな芽を指の腹でくすぐる。
「……!」
途端に小さな手が彼の頭にすがりついた。他に力の持って行き場がないのかフィールの指が
突起を内側からそっと押し上げ、捏ねるたびにジュジュは切れ切れの声を唇からもらし銀糸の
髪を細い指に絡ませた。
「あっ、ぁ……あ……やぁっ……ん」
フィールの息もだんだんあがってきている。
やはり昂っているのだろう。
すでに彼女を欲しがっている自身に落ち着けと言い聞かせながら、フィールは秘密の場所に
再び手を這わせた。
差し込んだ指先には先程よりも蜜が溢れて来ているのが分かる。だが焦れる思いをぶつける
にはまだ痛むだろう。
さらにじりじりと中をほぐすように分け入っていった。
「ひゃぁ……っ」
受け流そうという無意識の動きで少女の腰がぐんと逸れる。大腿が彼の腰を締め付けた。
「あ、ぁあ……っ……待って、待って……」
胸を差し出すような姿勢に先端を強く吸うと、彼女は頭を振ってフィールの行為に手加減を
求めた。
なんとか指が奥まで入るとさらにやさしくかき回す。ぬるぬるしたものが指に纏わりつくのに
心強さを覚え、そっと指を増やした。
見えなくて幸いだったかもしれない。
闇の中に少女の裸身を思い描いただけでこんなにも体の中心が熱を持つ。
フィールは手早く下ばきを脱いだ。
吐息が聞こえ、力を抜いたような様子にフィールは問いかけた。
「痛む……?」
「う、ん……でも……さっきよりは、平気だから……や、うんっ……」
少年の手が中で動くのにぴくんと体が反応する。
襞を広げられ羞恥と秘所を弄られる感覚に自然と脚を閉じたくなる。
それをようやく我慢していると指よりも熱く大きなものがそこに押しあてられるのを感じた。
「いい、かな」
「うん……」
緊張で胸がさっきよりも大きく上下する。
「怖い?」
「ん……」
フィールの手がジュジュの頬を撫でた。
少女はそれに自分の手を重ねるといとおしむように頬ずりする。
「でも、大丈夫……きて」
相手を力づけるような彼女の言葉に胸が熱くなった。
唇をそっとついばむ。
「好きだよ」
ジュジュはその言葉にただ微笑んだだけだったがそれは確かにフィールに伝わっていた。
しっとりと濡れそぼった場所。先端が触れただけでもその先に待っているのが楽園だと分かる。
何より彼女が受け入れてくれたのを全身で感じたくて、フィールは彼女の腰をしっかり抱える
と硬くなったものを出来る限りの慎重さで進めていった。
「――っ!」
痛みのせいか少女の脚に力が入る。
彼が身動きするたびに腰をぎゅうと締め付けてくるのだ。初めて男を迎え入れるというのは
ガルムが言っていたように余程辛いものらしい。
460 :
380-54:2008/03/27(木) 08:24:47 ID:JgIqyBWa
だがそれはフィールにとっても同じだった。
同じく経験のない彼はこれほど女性の部分がきついとは思っていなかったのだ。
彼の愛撫に反応してはいても、他者の侵入をなお拒む頑なな合わせ目。指でほぐし探った時は
これほど狭いとは感じなかった。ただまだ閉じた部分だからと思っただけだ。
力を抜いてくれれば少しは楽になるかといったん動きを止めて少女の体をやさしく撫でてやる。
「ひゃ……!」
背中に指を這わせるとびくんと大袈裟なまでにジュジュの上体が横を向いた。
「や、ぁん……そこ、くすぐった……やだ……」
彼女は半ば笑いをこらえるような声でフィールを制止しようとしたが彼の手は止まらない。
目の前にきた肩に、腕に今度は舌を這わせながら胸を揉み上げた。
横になった柔肉を上へ持ち上げるように、こりこりと先端を指で扱きながら揉みしだく。
耐えられないのか再び寝台に仰向けになったのにもう一度自身を推し進めた。
途端に返ってきていた反応がなくなり、再び闇に聞こえるのは互いのつく息だけになった。
腰をジュジュのそれに近づける度に細い腰に、脚に、そして呼吸にまで力が入っているのを
感じる。
「う、んん……」
「ジュジュ……」
自身はもっと先へ、先へと行きたがっている。女の奥を求めている。
そろりともう一度少女の腰を引き寄せるようにする。
「……っ!」
ふと少女の唇に舌を這わせると硬く引き結んでやはり力が入っている。
だがそれは声を上げるのを我慢するためではないのだ。
フィールは動くのをやめ下にいる少女の髪を撫でた。
唇を噛んで痛みをこらえる少女の姿に、フィールはもう自分がそんなに急いでいないことに
気付いた。
汗の浮かぶ額に口付けるとそっと繋がりを解く。
「フィール……?んっ、なに……?」
離れた彼を不審に思ったジュジュが目をうっすらと開くと、閉ざすようにと彼は瞼にも唇を
押しつけた。
やさしい声が響く。
「止そう」
意味が分からなかった。
「え……なにそれ……どういう意味?」
「少しずつ慣れていければそのうち何とかなると思うから」
「止めるの……?あたしが痛がるから?べ、別にそんなの少しくらい平気――」
あくまで強がりを言う口を直接自分のそれで塞ぐとフィールは満足そうに微笑んだ。
ぎゅっと抱きしめどこか不安がっている様子の彼女に囁きかける。
「ごめんね。無理言って」
「違うわ。あんたは悪くない。だって……!」
続く声には元気がなかった。
相当責任を感じているのだろうか。だが彼女には初めてのしかも体内を裂かれるような痛み、
我慢するのもあれが精いっぱいだった。
「ずっと待たせてたのはあたしだもの……」
「それを言ったら許してくれるまで待ってたのは僕自身の判断だよ。――なんて、強引なこと
した時もあったからあんまり偉そうなことは言えないけど」
「遠慮しなくてもいいって言ってるじゃない」
「遠慮じゃないんだ。ただ、きみが僕を受け入れるつもりがあるって分かったら、なんだか
安心しちゃって。気が済んだっていうか、それならゆっくりでもいいなって思ったんだ。自分
勝手だろう?」
「途中で止めないよっていったくせに……」
フィールの自分を思うやさしさを知りながらつい責めてしまう。
彼は意気地なし、ともとれる少女の台詞を気にすることなく笑って答えた。
「ごめんね、嘘付いて」
「……あと四年かかってもいいの?」
ジュジュは痛みに耐える気満々だったのか、途中で彼が止めたのに拗ねたらしくこんなことを
言う。
461 :
380-55:2008/03/27(木) 08:25:31 ID:JgIqyBWa
さすがにフィールもうっと詰まった。まさかこの上四年も待てるわけがない。
「そ、それはちょっと……でも、痛がるのを無理やりするのもね」
「本当に?ちょっとずつでもいいの?」
「うん、ちょっとずつ。いつかちゃんと出来たらいいね」
今度はジュジュの方から彼の背に腕を回してきた。
厚い胸に顔を押しつけるように強く、強く抱きしめる。
「フィール……」
「なに?」
「好き」
少女の唇からフィールの胸に直接甘い響きが沁み込んできた。
たった二文字の言葉がどんなに彼を喜ばせるのか、この少女は知らないのだ。
ジュジュの頭を抱える手に力が入る。
誰よりも純粋な少女。
可愛い彼女。
四年をかけてついに不安の何もかもを打ち明けてくれた。
嬉しさと切なさがないまぜになったこの気持ちをそのまま解放したら、きっと泣いてしまう
だろう。
それに気付かれたくなくて彼は少女が上を向かないように、顔を見られないようにといよいよ
抱きよせた。
「フィール」
しばらくして下から声が上がった。
「うん?」
「ね、ちょっと離して」
彼の腕をぽんぽんと叩く。
「――ああ。ごめんよ」
寝台の上、フィールが上から退いて隣どうしになるとジュジュはすぐそこにある手を取った。
両手で握り締めて自分の顔へ持ってゆくと大きな手の甲に頬ずりをする。昔より硬く大きく
なった手に男らしさを感じた。
「フィール。あのね、お願いがあるんだけど……」
「なんだい?」
「いいよって言って?」
「えっ?」
彼は眉を上げた。
「先にいいよって言って」
「でも話を聞かないことには……」
無茶な内容だっら困ると思ったのだが暗闇の中で待っていても説明はなく、彼女の予想どおり
フィールはすぐに降参した。
「分かった。いいよ――でお願いって?」
「あのね、あたし本当に悪かったと思ってるのよ。ずっと、その……あんたを待たせてたこと。
やっと、ってなっても痛がってこの通りだし。だからね」
そこでわずかに言い淀む。
「あの……だから……」
「うん」
「だから……その……」
「うん」
「き、キスしてもいい?」
今さら尋ねることでもないだろう。
フィールも首を傾げたがただうん、とだけ返事をした。
彼の手を離すとしっかり筋肉の付いた肩に手をまわす。そこを支えにして自分の体を彼の上に
持っていった。脚で彼の腰を挟むように中腰の体勢を維持する。
「んしょ……ね、黙っててね?」
「分かった」
462 :
380-56:2008/03/27(木) 08:25:59 ID:JgIqyBWa
「嫌がらないでね?」
「……?うん」
口付けを嫌がるわけがない。
フィールには彼女の言うことがやはりよく理解出来なかった。ただ、黙っていること、嫌がら
ないこと。それだけをとにかく守ればいいかと判断し、意味が分からないながらも再度頷く。
ジュジュはそっと彼に唇を落とした。
小さな舌が入口を舐めて、入ってくる。
舌を絡ませるのはもちろん初めてではない。だが何故かぎこちない動きにフィールの方が
緊張した。
彼女の頬に手をやれば恥ずかしがっているのか、見えないながらもその熱さでそこが真っ赤に
なっていることが容易に想像できた。
ジュジュの手は肩から下へと移動しすべすべと引き締まった体を撫でた。
時々微妙な力加減で引っ掻くようにされるのがとてもくすぐったく、我慢しても肩が震えて
しまう。
さっきの彼女もそうだったのだろうかとフィールは眉をひそめながら少女の口付けを受けて
いた。
すると少女の指先が下半身に及んだ。
股関節を回り込んで下から男の証をそっと撫で上げる。
「ジュ……ッ」
黙っているようにとの約束にも、彼女の行動に驚いて思わず名を呼びそうになった。だが
それすら飲み込まれ、さっきよりも貪欲に求めるような口付けをされる。
ややあって顔を離すと彼女はフィールを責めるように言った。
「黙っててって……言ったでしょ……?」
「でも……!」
「駄目」
ちゅっともう一度触れるだけの口付けをして再度フィールの口を塞ぐ。
小さな舌が生き物のように口腔を撫でまわし、歯の付け根をそろそろとなぞって行くのは
たまらなかった。うっとりと目をつぶる。
ジュジュの手は変わらず彼の下半身に添えてある。
嫌がるなと言われ発言は駄目と言われ、どうしていいか分からないままフィールは少女の肩に
腕を回した。
時間がたって落ち着いてきていた部分は彼女の手によってすぐに硬さを取り戻していた。
ほんの少し撫でただけで立ち上がったものに彼女はため息をもらす。
「なんか……こんなにすぐ硬くなるんだ」
「き、君が触るからだよ」
フィールにはジュジュが、ジュジュにはフィールが緊張しているのが分かった。
「ジュジュ?」
「黙っててってば!」
上にいる少女が後ずさるのを感じてフィールは声をかけた。が、途端にまた怒られて手で口を
覆う。
「なんだろ、これ……不思議ね……」
小声で感想をもらしながらジュジュの手が彼のものを撫でさすってくる。上を向いた先端を
指先が挟むように刺激した。
「――!」
「上の方、の感触とか……」
フィールは赤面した。
暗闇で良かったとしみじみ思った。
こんなことを言われて俯いて顔を両手で覆っている姿なんて、とても見せられない。
下半身の状態を口にされるのがこんなに恥ずかしいものだとは思わなかった。
ジュジュは珍しいのか(それはそうだろう)そんな風にしばらくそれを撫でたりつついたり
いじっていたが、両手で竿の部分を持つと小声で何か言った。
彼の耳にはどきどきする、と言ったように聞こえた。
鼓動が彼女に聞こえないのにほっとしながら心の中でそれは僕の台詞だよと返した。
463 :
380-57:2008/03/27(木) 08:26:26 ID:JgIqyBWa
ちゅっと先端に少女の唇を感じて、そんなところにまでとくすぐったい気持ちになる。
さらに繰り返し触れるだけの口付けを受け、フィールは硬くなった部分がじわじわ熱を持つ
のを感じた。
さすがにこのままではまずいと、少女にもういいよと口を開きかけた瞬間、自身が熱い粘膜に
覆われるのを感じて予定とは違う声が出た。
「――っ!ジュジュッ!?」
フィールは息をのんだ。
あまりの快楽に一瞬頭を茫漠とさせたが少女の予想外の行為にそれは瞬く間に吹っ飛んだ。
肩を掴み反射的に彼女の体を引き剥がした。
「ぷぁ……しいっ!お、大声出さないでよ!聞こえちゃうじゃない」
きょろきょろと暗くて見えもしないのに周囲に目を向ける。
「だ、だって何、何す、ジュジュ……君……!」
狼狽する恋人にジュジュは顔を寄せ責めるように囁いた。
「黙っててって言ったでしょ?」
フィールは耳元で聞こえる密やかな声に息をのむ。
「でも、何……」
「この状況でいちいち口に出さなきゃ分かんない?」
「や、分かるけど、だから――」
「分かってるんなら黙ってて。あんた今までずっと待っててくれてたでしょ?……だから、
っていうんじゃないけど、その……お礼っていうか、お詫びっていうか……と、とにかく
じっとしてて!」
言い返す彼にジュジュは畳みかけるように言った。だがやはり最後の方はしどろもどろだ。
「でも……」
「大体あんたばっかり頑張るのっておかしいでしょ?不公平っていうか……あたしだって少し
くらいあんたにしてあげたいの」
「でも……」
「でも、でも、ってうるさいのよ!」
「ご、ごめ、んっ!」
小声で怒鳴るとフィールの脇から枕を取り上げ顔に投げつけた。
腕を取られるのもものともせず、両手でぐいぐいと枕ごとフィールの上体を寝台に押し倒す。
「そんなに気にされるとこっちが恥ずかしいのよ!それに……さ、最初に言っとくけど、
あたしだって初めてだし、上手に出来なくても……っていうか出来ないかも……っていうか
だから、あの……気持ち良くしてあげられなかったら、その……ごめんね?」
何しろ初めてなのだ。こんなに前置きが長くてあまり期待されても困る。
ジュジュとしてはやはり彼が気持ち良くなるまで――いわゆる射精する状態まで持っていきた
かったが経験も無ければ知識もほとんどない。
なにもかも恋人の反応を見ながら手探りでするしかないのだ。
しつこいくらいに念を押した。
「うん……分かった。それじゃ……」
枕の下で寝そべったままフィールが了承するのを聞いて、ジュジュは再びさっきの位置まで
体を戻した。
相変わらず上を向いたままのものに手を添えると、彼が喉を鳴らすのが聞こえた。だがそれも
もう薄布の向こうのように曖昧だ。
ジュジュは意識を手の中のものに集中させた。
改めていきり立ったものにちゅ、と唇を落としながら彼女は脳裏にアルミラとの会話を思い
出した。
何故か二人で食事の片づけをするはめになった時のことだ。
あの時のアルミラはいつもより干渉的というか確かにいつもと違っていた。
だがそのおかげでフィールに少しはしてやれることが出来たのだと思うと、あの時片付けを
手伝っていて良かったとも思う。
「く、口で!?」
アルミラの台詞に二の句が告げなかった。混乱する頭で何故こんな話になったのだろうかと
考えたが思い出せない。
当のアルミラはジュジュの驚愕も意に介さず平然と頷いた。
464 :
380-58:2008/03/27(木) 08:26:53 ID:JgIqyBWa
「体を重ねるほどの面倒もないし後始末も楽だ」
「なんでそこまでしてやんなきゃなんないわけ?そんなの我慢させればいいじゃない」
つい責める口調になるのは仕方がないだろう。
今までが今までのせいか彼女には性欲というものにあまり理解があるとは言えなかった。
もともと潔癖なところのある少女だ。レオンの言動からは男の自分勝手さ、いやらしさしか
感じ取れず不快にしか思われないらしい。
アルミラはそれに気付かないふりをして話を続けた。異性と体を重ねたことの無い相手にその
幸福感を説いても無駄なのだ。性交とは互いの体温を与えあう愛情表現であり、同時に体を
貫くような快感を得る行為でもある。だがまだそれをしたことのない少女にはどこか不潔な
行為と捉えられているのだろう。
知っていれば、レオンがアルミラを求めるのにも納得するはずだ。
「それもそうなんだが……あんまり断るのもな。俺のこと好きじゃないのかなんて言われたり
するし」
躊躇するアルミラにジュジュはため息をついた。
いい歳をしてなにを子供のようなことを気にしているのかと思ったらしい。
「そうだって言っときゃいいじゃない」
ジュジュの断じるような言い方にアルミラは片眉をあげ、片眉をさげるという微妙な表情に
なった。
「お前の言うことはどうも極端だな。そりゃああんまりしつこいと殴ったりはするが……」
「でしょ?」
ほらね、と横目でアルミラを見る。
「まあな、鬱陶しいのは嫌いだ。だが相手がこっちの気持ちに不安を感じてるなら取り除いて
やるべきだとは思わないか?」
「でも……だってそんなこと、いちいち言わなくても分かるでしょ?昨日今日の付き合いじゃ
ないんだから」
「そうは言っても、お前だって時々は行動で示してもらわなきゃ不安になるだろう。これだけ
好きなんだから口に出さなくても伝わってるはずだと思うのは、相手に対する甘えだぞ」
「えー……」
確かに自分でもそう思うかも知れない。
もっともだとは思いつつ、素直でない彼女は言い聞かせるようなアルミラの言い方に不平
たらたらという顔になった。
「そして時には愛の言葉を百万言連ねられるよりもただ手を握られただけで愛されていると
実感したりする」
「ふぅん……?」
話が飛んだ気がしてジュジュは洗い物をする手を止めた。
頭の中で会話の流れを思いだす。が、やはり話の展開が不自然でアルミラの言うことがよく
分からない。
少女は顔をしかめてはっきり言うよう要請した。
「周りくどい言い方するわね。つまり何が言いたいわけ?」
「言葉で表すのは容易いということさ。何とでも言えるからな。真実気持ちを伝わるかは
態度で示してこそだと思う。それに……そうだな。なんでいちいち相手をするのかというと
多分……私はその時のレオンの顔が好きなんだと思う」
「どういうこと?」
アルミラは悪戯っぽい顔になった。目を細めて口の端を上げる。
嬉しそうともとれる表情にジュジュは驚きを隠せなかった。アルミラの女らしい(気がする)
笑顔を見たのは初めてだったからだろう。
「凄く気持ち良さそうな顔になるんだ。普段馬鹿ばっかりいってるのとは違って息を詰めて、
切なそうに眉をひそめる。女の子みたいに頬を染めるのもいい」
うっとりと語るアルミラにジュジュはうへえと舌を出した。
「ほ、頬を染める!?なにそれ。それって聞いてて気持ち悪いんだけど……」
「他人が聞いたらそうだろうが、自分の恋人だったらどうだ。よくしてやりたいと思うだろう?」
「……」
「沈黙は肯定と受け止めるぞ?」
「そ、いうわけじゃ……」
慌てて弁解しようとする少女にアルミラが笑いかけた。
口腔性交の何がいいのか。
分からないだろうことをほんの少しだけ具体的に、興味を持つように話して聞かせた。
465 :
380-59:2008/03/27(木) 08:29:57 ID:JgIqyBWa
「ふふっ。まあ聞け。口でしてやってるとな、相手の顔を見ながら口や舌の動きを加減出来て
それがいい。先端を強く吸ったり、舐めたり――普通女は抱かれるというが、そうしている
時は自分がレオンを抱いてると実感する。あいつの快感を支配するのはこっちだとな。焦らす
のも追い詰めるのもこちらの思うがままなんだ。楽しいとは思わないか?」
「……全然……」
あまりにあけすけな話に頬を染めて否定した。
だがジュジュも年頃、多少は興味あるのか声には言い切る強さがない。
アルミラは内心にやりと笑みを浮かべ、それでも表面上は思い出すレオンの様子にうっとりと
話しを続けた。
「焦れったそうな顔でもったいぶるなと急かされるのが好きだ。抱き合う時は大抵あいつの
好きなようにされるからな、たまに仕返しの意味も込めて口でしてやることにしてる」
「でもあんなの口にするの気持ち悪くない?」
「そういう意見が多いのも分かってる。だからこそ男は恋人にされると嬉しいものだし……ま、
お前の場合はフィールと喧嘩した時にでもしてやるんだな。好きな女が口で奉仕してくれたら
どれだけお前が悪くても怒りを忘れて陶然とするぞ」
「しないわよ!」
「しないのか?」
少女が勢い込んで否定するのに対し、アルミラが意外そうに眉を上げた。
「ち、違う!喧嘩をしないって言いたかったの。あたし達、仲が良いって言ったでしょ?」
喧嘩をしたわけではないが結局アルミラの言った通りの展開になってしまったと、ジュジュは
少し自己嫌悪に陥った。
だがそれならそれであとは自分が頑張るのみ。
顔を傾け張った部分から下へちろちろと舌を移動させながら、絶対に気持ち良くしてやるん
だからと乙女のものとは言い難い決意で手の中の見えないものに視線を集中させた。
柔らかいと言えば柔らかいし、硬いと言えば硬い。そんな不思議なものに少女は懸命に舌で
愛撫を施した。
本人はこれでいいのだろうかと半信半疑、聞きかじった程度の知識で唇を使っている。
それでも付け根の方から舐め上げたり、唇をすぼめ先端を唾液を絡ませて扱くようにすると
彼の体が動き、頭の上から息をつくのが聞こえてきて自分の行為に感じるものがあるんだと
窺わせた。
不思議と言えばこれも不思議なものだが、アルミラの話を聞いた時に思ったよりも、気持ち
悪いとかそういう感想はなかった。それどころか自分の動きに敏く反応するフィールを感じて
可愛いものとさえ思えた。
だからだろうか、一度下まで口をすべらせた時、そこにあるものの扱いに迷い、判断を下す
までもあっという間だった。
屹立したものの両脇にあるもの、中心に立ちあがったものに比べてやわらかいそれも構って
やるべきかなのかとジュジュは一瞬躊躇した。
だが変に前向きな少女はそれを口で愛撫するのに大分抵抗が無くなっていたのも手伝って、
しておけば問題ないかとそこへも舌を這わせた。
そしてその感触に一瞬目を見開いた。
手で触れたのよりも舌には硬く感じる。
唇でそっと圧力をかけると堪らないのかフィールの口からため息がもれた。
手で口で慰めながらそこを覆う繊毛を煩わしく感じたが、気持ち良さそうな反応が返って
くるとそれも些細なことに思われた。
左右両方に同じようにやさしくしながら彼女の口は再び中心のものへ移動した。
頂点から脇から舌を絡ませては唇全体を使って包むように上下させる。その度塗り広げられる
唾液が潤滑を助けフィールの受ける悦びを増幅させた。
唇をすぼめたり形に添って舌をなぞらせるとフィールはその都度ぴく、と脚を揺らす。
反射的な動きはジュジュの愛撫に我慢が出来ないからだろうが、アルミラの言っていた通り
灯りが点いていたら、きっと彼の気持ち良さそうな表情が見えただろう。
真っ暗にしたのをほんの少し後悔しながら掌は両脇のものをそっと撫でさすり、舌はますます
懸命に彼の剛直に絡ませた。
すでに唾液でとろとろになったそれは、ジュジュが頭を上下に動かすたびに力強さを増した。
時折声をもらすだけだったフィールが少女の肩を掴む。
466 :
380-60:2008/03/27(木) 08:30:53 ID:JgIqyBWa
いつの間に上体を起こしていたのか、彼は快感の淵に沈みそうになりながら声を絞り出した。
「ジュジュ……もう……も、いい……っ!」
「……?」
もういいと言われても口中に感じるものはまだまだ硬くなりそうな気配がして、見えない彼に
目線を向けてもジュジュは動きを止めずに次の台詞を待った。
だが続く言葉はなく、ただフィールの少女の肩を掴む手に力が入った。
引き離そうとしたのか、それとも。
口に含んでいた怒張が一気に硬さを増し、ジュジュは突然の変化に目を見開き固まった。
「――っ!」
フィールが息を詰めたのが分かった。
ジュジュはアルミラが言ってたのってこれかあ、などと半ば麻痺した頭でぼんやりと思い出す。
そして次の瞬間、口中に熱いものが迸った。
途端に正気に返り、どくどくと脈打つように自分の中を満たされて少女は思わずぎゅっと目を
つぶる。
「ン……んんっ……」
フィールから少し顔を離すと少女は胸元に手をあてて彼の欲望を飲み下した。
感想を言いようのない味だと眉をしかめながら、もう一度彼のものに口付ける。
すこし柔らかくなった先端に唇を押しあて残りまでさらうようにちゅっとそこを吸った。
それからジュジュはようやく顔を上げた。ふう、と息をはいて寝台の上に座り込む。
「ね、どうだった?……気持ち良く、出来た……?」
首を傾げ見えない相手を直視した。暗くなければこれほど大胆ではいられないだろう。
力強い腕が回ってジュジュを抱きしめた。
「頭……真っ白になったよ。僕のために頑張ってるのが伝わって来たし、だから余計に気持ち
良かった。こんなの感覚初めて……ごめんね」
「……?何が?」
「その……出したの飲んでくれたから。無理しなくても良かったのに」
申し訳なさそうな声にもジュジュはあっけらかんと答えた。
「そんなの、あたし言ったじゃない。『全部が』欲しいって。だから、いいの」
欲張りだって言ったでしょ、と微笑んでフィールの頬に口付けると彼の体に寄りかかった。
ふあぁと欠伸をするのが聞こえてフィールは横を向いた。
「ジュジュ?」
ジュジュは彼の隣に横になった。もそもそと掛布を引き上げもぐり込む。
「何だか疲れちゃった……あたし寝るね。ね、このままここで寝てもいいんでしょ?」
「もちろん」
「朝、起こしてね。多分あんたの方が早起きだから」
「分かったよ」
「ドロシーが起きるより先に帰るからよろしくね」
「そんなに早くかい?」
フィールは眉を上げた。
彼女は普段から朝が遅い方だったから無理だと思ったのかもしれない。自分で寝起きが悪い
とも言っていたはずだ。
「だっていきなりあたしが泊ってたらびっくりするでしょ?それにやっぱり……どうしてとか
思われたら恥ずかしいし……」
その気持ちは分かる。
「ああ……わかったよ。じゃ早く寝て、早く起きよう」
「なんだかすごく疲れちゃったわ。慣れないことしたからかしら。ふあぁっ……もーだめ。
あたし寝るね。おやすみ」
「うん、おやすみ」
言うだけ言って目を閉じた少女にフィールはそっと微笑む。
間もなくやわらかな寝息が聞こえてきた。
すうすうと眠る少女の手は掛布の下で彼の手を握っていた。
〜おしまい〜
これ寸止めだよなあって後から気付きました。ごめんなさい。これは最初に書くべきでした。
後日、その後話(無事挿入編)を持ってきます。
ではまた。
もうジュジュのフェラだけで全俺が興奮していますGJ(*´Д`)ハァハァ
GJ!!!!
ジュジュもいいが、アルミラ姐さんのフェラも想像したら大興奮したwww
>>467 /j^i
./ ;!
/ /__,,..
/ `(_t_,__〕
/ '(_t_,__〕 Good Job!!
/ {_i_,__〕
/ ノ {_i__〉
/ _,..-'"
/
>>457-467 フェラキタ━━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━━!!
超GJ、挿入本番編にも期待しているぜ
_ ∩
( ゚∀゚)彡 ジュジュ!! ジュジュ!!
( ⊂彡
| |
し ⌒J
ジュジュは俺の嫁
475 :
475-1:2008/04/05(土) 15:57:42 ID:OFPJUoSx
――いつかちゃんと出来たらいいね。
初めてちゃんと向き合って体を重ねた時にフィールの言った台詞だった。
そしてその『いつか』は案外すぐに来た。
白い体を小さな灯に照らされ、それだけではない理由で少女の体は桃色に染まっていた。
細い脚を折り曲げて恋人の背中にしがみつく。
男の方はというとやはり下に敷いている彼女の腰を抱え、急く自分を抑えながら彼女の奥へ
たどり着いた。
フィールは最奥であると確認するようにさらにぐっと腰を押しつける。
そうなってしまえばもうとりでの役目は終わりだ。
蜜で充分潤った場所は彼を心地よい温もりでもって圧迫してきて、つい自身をさらなる高み
へと押し上げたくなる。だが未だ痛みに眉をひそめているジュジュを見ると強引に動こうと
いう気にならなかった。
「ジュジュ」
「なに……いった……!」
破瓜の痛みに、目尻に涙を滲ませながら応える。
フィールは塩気のある水を吸い取ると気を紛らわせるように少女の顔中に唇を落とした。
「は、ぁ……」
肩で息をつくジュジュにフィールは囁いた。
「分かる?奥まで……入ったの」
***
大きなテーブルを囲んでの食事風景はもうお馴染みのものだ。
レオンとガルムの喧嘩のような言い合いやそれに口を挟むヴィティス。
アルミラはドロシーとお菓子の話をしている。
そして彼は隣に座っている少女と料理についての感想を言いあっていた。
「あたしもう少し辛めがいいなあ」
「ジュジュは辛いのが好きだから……でもこのくらいで丁度いいと思うよ。君の好みに合わせ
たら、きっと皆食べられない」
「そう?それほどでもないと思うけど……それじゃ今度から香辛料別に用意してもらおっかな」
「それは止めた方が……」
なんでも辛くすればいいというものではない。
折角味付けの細かい所まで気を配って作られた料理なのに、やたらと香辛料をかけて食べたら
きっと作った方も気分が悪いだろう。
そう思ってフィールはやんわりとジュジュの希望をおしとどめた。
互いになんでもない風を装って話してはいるが、内心は緊張していた。
この間フィールの家であったこと、その続きを今日することになると知っているからだ。
しかし少女は何も言わないし、彼もまだジュジュに家に来るよう誘ってもいない。それでも
そうなるんだろうな、そうするんだと二人は今晩二度目の機会を得るだろうことに、何の
疑問も持たなかった。
帰りはやはりこの間のようにガルムと一緒に皆を見送るドロシー。
フィールとジュジュも前回と同じようにガルム達に礼を言うと手を振って別れた。
途中分かれ道に差しかかったがフィールは何を言うでもなく、まっすぐ前を向いたまま繋いだ
手をぎゅっと握り締めた。
頬がわずかに上気している。
彼の意思表示に微笑むと、ジュジュはお返しと言わんばかりに彼の腕に自分の腕を絡ませ、
迷いなくフィールの家への道を進んだ。
476 :
475-2:2008/04/05(土) 15:58:32 ID:OFPJUoSx
居間で外套を脱ぐとフィールは少女を振り返った。彼女の外套もついでに掛けてやる。季節は
すっかり冬になっており、上着もこの間来ていたものより厚く重たかった。
「え……っと……ちょっと待ってて、お茶入れるね」
「うん、ありがと」
暖炉に火を入れてからのいつものやりとり。
いつもと違うのはこの後の台詞だった。
台所に向かいながら顔だけを彼女に向ける。
「それと……お風呂、使うよね……?」
さりげなくと思っているのだろうが意識しているのが丸見えだ。表情を隠すのはあまり得意
ではないらしい。
「あ……うん」
ジュジュは長椅子に腰かけながら答えた。
彼女もフィールと同じ心境のようで、髪を撫でつけながら染まった頬を隠している。
「熱いから気をつけて」
「ん、ありがと」
お茶を受け取り並んで座っても、雨の夜を思い出して彼を怖いと思うことはなかった。
ジュジュを押し倒した時の彼は嫌がる彼女の言葉が耳には入っても、頭にまで入っていない
感じでそれが知らない男のようで恐ろしかった。
だがもうそんなことはないのだ。
互いが何を求め、何を拒否していたのか知っているから彼も少女を怯えさせるようなことは
しないし、彼女ももう心細く思うこともなかった。
「ふふっ」
「……?なんだい?」
「なんでもないわ」
ただ目があっただけで笑顔になれることの素晴らしさ。
不思議そうな顔をする彼にジュジュは内緒、と片目をつぶって見せた。
「ジュジュ?」
汗を流し居間に戻ると少女の姿はなかった。
室内を動くのは暖炉の火が揺れて作る影だけで、辺りを見回してもやはり気配はない。
となれば彼女のいる場所は一つだ。見れば部屋の入口に置いてある個室用の燭台が一つ消えて
いる。
フィールは火の始末をすると自室へと足を向けた。
ぱらぱらと頁をめくる手が止まった。
「懐かしいなあ」
フィールの部屋には小さなテーブルと椅子が置いてある。
本棚の前で一冊を選ぶとジュジュはそこに腰かけもう一度頁を送り始めた。
懐かしい本だと少女は微笑みを浮かべながらその時のことを思い出していた。大分前に一度
借りたことがあった。
いつものように山で木を切っている彼のもとに行くと、フィールが居るはずの場所に斧だけが
立て掛けてあって肝心の本人の姿がなかった。呼ばわってみると藪の中から草を山盛り抱えて
出てきたのだが、驚いて尋ねると山菜だと言った。
そう、季節は春だった。
沢山採れたから今日は家で晩ご飯食べて行きなよ、なんてあんまり嬉しそうに言うから自分も
一緒に探したいと伝えたら数日後。何と鈍いことか山菜についての本を貸してくれたのだ。
もちろんその時は礼を言って受け取ったが字を見て種類を覚えられるはずもなく、元々それ
自体に興味があったわけでもないので結局読んだふりをして返したのだった。
もう少し素直だったらあの場で『フィールに教えてほしい』と言えただろう。
自分のいざという時の勇気のなさに笑いがこみ上げてくる。
くすくすと笑っていると、突然テーブルに置いた手に大きな手が重なった。
驚いて振り返る。
「フィール!」
477 :
475-3:2008/04/05(土) 15:59:14 ID:OFPJUoSx
「向こうにいないからびっくりしたよ……何読んでるの?」
上から覆いかぶさるように覗き込んでくる。
「これ」
ぱたんと閉じて表紙を見せてやると彼はああ、と頷いた。
「……?面白いかい?それ」
肩の揺れで笑っていたのが分かったのだろう。不思議そうな顔をしている。
「前に貸してくれたでしょ?懐かしくって。ね、春になったら皆で山菜摘みに行かない?」
「いいね。ドロシーが喜ぶよ」
「でしょ?いつもみたいに二人に料理してもらってさー」
本で口を隠すようにして笑う。
「その時また読ませて。今見たら書いてあることあんまり覚えてなかったから」
ジュジュは立ち上がると本棚に本を戻した。
全体を眺めてしみじみともらす。
「ここにある本も一通り読んじゃったなあ。途中までしか読んでないのもあるけど」
「そうだね」
それだけこの家に通ったということだろう。
棚にかけた手をフィールが後ろからさらった。
指先に、甲に唇を落とす。
くすぐったい感触に笑みをこぼすとジュジュは彼へ向き直った。自分の目線よりまだ上にある
フィールの首へ手を伸ばす。自分の方へ引き寄せて頬にちゅっと口付けると照れくさそうに
目を伏せた。
「ジュジュ、お願いがあるんだけど」
「なぁに?」
「灯り、点けててもいいかな」
「えっ……」
「駄目、かな」
フィールの困るのはこういうところだ。こう控え目に伺いを立てられると、断固として拒否、
というのがし辛くなる。
現にジュジュはえー、とかでも……と彼の意見をすぐに却下出来ず迷いを見せている。
女心として痛みに顔をゆがめる所なんて見せたくはない。
だがじっと見つめられ、ついには了承してしまうのだった。
「でも……あたし、多分しかめっ面してるわよ?そんなの見たくないでしょ……?」
言い訳がましく一言添える。
それじゃ止めようという気になってくれればありがたかったが、やはりそうはならなかった。
「僕はその……君の表情を見ていたいんだ」
フィールがはは、と頬を赤く染め恥ずかしそうに頭をかくに至っては、願いを無視することは
出来ないと諦めた。
「……いいけど……あんまり見ないでね」
気乗り薄だと分かる承諾の言葉。
彼女の頭には恥ずかしいから嫌だなという気持ちしかない。
だがフィールはそれに気付かない振りをしたのかにっこりと笑って頷いた。
「分かったよ」
うそつき。
ジュジュは心の中で呟いた。
寝台の上で二人は見つめあう。
「うー……やっぱり緊張する」
「僕だって」
服に手をかけられ丁寧に脱がされながらジュジュは小声でもらした。それにフィールも同意
する。
風呂を上がったばかりの彼の指先は温かかった。すでに時間が経って冷め始めている少女には
それがとても心地良い。
478 :
475-4:2008/04/05(土) 15:59:51 ID:OFPJUoSx
すっかり脱がせてしまうと彼の視線が胸元を隠すジュジュの体の上をなぞる。
「本当にきれいな体……」
「やだ、そういうこと言わないで。恥ずかしくっていらんないわ」
裸のまま抱きあうのにも少しは慣れた。だが相手にすべてが見えてしまうというのはやはり
落ち着かない。
アルミラ達に比べて凹凸のない体に臆面なく褒め言葉を口にされるのも面映ゆかった。
照れをごまかして怒る少女に彼は口元をゆるめる。
そっと腰のあたりに触れると少し冷たいのが分かった。
「お風呂出るの遅かったかな。ごめんよ。体、大分冷えちゃったみたいだ」
「平気。その分あんたが温かくて気持ちいいもの」
ジュジュの言葉に裸の体をぎゅっと抱きしめた。
「温かい?」
「あったかいあったかい。すごーく、気持ち良いわ」
少女は彼の胸元に顔をよせ、薄い布地越しに伝わってくる温もりに喜色を表した。
「僕は自分がまだ火照ってるせいか逆に君の冷たさが気持ち良いよ」
「そう?でも……」
「うん?」
「あたし、きっとすぐ熱くなっちゃうわ」
今の気持ちを表す正直な言葉にフィールは指の背で彼女の頬を撫でた。
確かに、熱い。
少女の頬に手を添えて上を向かせる。
視線を肩のあたりに向けると胸を隠す腕の隙間から可愛らしいふくらみが見え、ただでさえ
いつもより早くなっている鼓動はいっそうせわしなくなった。
ジュジュの体をそっと向こうに押し倒す。
唇を重ねながらフィールは自身も身に着けているものを脱ぎ、すっかり裸になった。
後で脱ぐのが煩わしかったのかもしれない。
この間のように掛け布を引っ張り互いの腰まで見えないようにする。
少女への思いやりであり自分のあからさまな部分を見えないようにしたかった。
脇から手を忍ばせると彼女はあっさりと胸から腕をよけた。
耳にやさしく噛みついては唇で揉む。舌が中を舐めると少女が笑い声を上げた。
「……っ、ふふっ……そんなとこ、や、くすぐった……」
同時に両手で胸を揉まれ、もじもじと腰をくねらせた。
「やだ、やだ、や……」
つんと上を向いた部分を避けて周囲を丹念にほぐしてゆく。
フィールは首筋を伝って徐々に顔を手の方へと持っていった。
小さな灯りに照らされた体に少しずつ跡をつけてゆく。首筋から肩へ、硬い鎖骨の上へも。
彼はふわりと鼻腔をくすぐる甘い香りにうっとりしながら胸元へとたどり着いた。
舌でもそこを揉むように、口付けを繰り返しながら頂上へ向かう。
「あっ……」
先端を啄ばむと、極めてささやかな動きだったにもかかわらず彼女の体が小さく跳ねた。
そっとそこを口に含み舌先で捏ね、唾液を絡ませては唇でやさしく扱いた。
もう片方は指先で摘まんだり弾いたり。
すると鼻を抜けるような吐息が聞こえるようになって、フィールはそれが徐々に大きなものへ
変わるまで左右の胸を愛撫した。
「……っ……ね、……フィール」
「うん……?」
真っ白な肌へしるしをつける合間に返事をする。
「何か話して……?」
無言で少女の体を愛撫しつづける彼に吐息交じりの声が言った。
「何かって?」
ようやく顔をあげてジュジュの目を見る。
「なんでもいい……黙っていられると、どうしたらいいのか分からなくなるから」
緊張で何も分からなかった前回とは違う。しんとしているとほんの少しの余裕から自分の
様子にも敏くなっていて、それが彼女に身の置き所のなさを味わわせていた。
479 :
475-5:2008/04/05(土) 16:00:26 ID:OFPJUoSx
彼の唇に、手の動きに、自分が女として反応しているのが分かる。
指先に口付けられるだけで体の奥がきゅんと熱くなってくる。
それをごまかしたいのだ。
意識的に理解していなくても百と何十年も生きてきて未だ初めての感覚が存在するのだと、
そしてそれが自分の中から溢れて来るものだというのが彼女は怖かった。
フィールにそこまで分かるはずがない。
少女の台詞にも内心首を傾げたが、ぐいと前にくると一瞬躊躇いの表情を見せてから少女に
耳打ちした。
「全身で君を感じていたいんだ。ほんのちょっとの動きも、小さな声にも気付きたい」
フィールの告白にジュジュは目を見開いた。
彼は頬を赤くして目を伏せているが少女もつられて顔を真っ赤に染める。
そんな風に言われては強制も出来ないのだろう。黙りこんでしまった。
大腿を抱えて膝を立てられると少女は顎を引いて目を閉じた。
彼の掌が腰から真っ白な丘陵へ、そして腿から下へやさしく刺激しながら下りて行った。
やはり少し冷たい脚に体温を与えながら下半身を這う。
その間もあかずジュジュの体に口付けの跡を残した。
両手が再び上にきて柔肉を揉み上げると、腰が浮くほどの力に、抱えられた少女の脚が掛布の
下で宙を彷徨った。
伸びてしまった脚のため、体の均衡を取るのに彼女はフィールの頭を抱えるように腕を回した。
彼は引き寄せられるまま少女の頬を舐め、甘噛みする。
「やだ……ふふ……――ッ!」
くすぐったそうな笑い声にまぎれて彼の手が脚の付け根へ及んだ。
途端に息を止めるのは自分でもあまり触れないところを弄られる、慣れない感覚のせいだろう。
だがすぐにふう、と息をはいて体から力を抜くよう努めた。
無意識に入る力は抜こうと思って抜けるものでもないのだが、それはフィールに伝わった
らしい。
「辛かったら言ってね」
「大丈夫……この間よりは……」
相変わらず不安もあるだろうに気丈に笑ってみせる。
ぎこちなく口元をほころばせる少女があまりにけなげで、フィールはすぐにでも彼女を自分の
ものにしたくなった。
気の強い彼女の、いつもに比べて可憐な表情が彼の本能を刺激した。
一度静かに息をするともどかしさを抑えて改めて彼女の花弁へと指先をしのばせた。
「ぁ……」
繊毛の間を通って中を目指すと少女の唇から小さく声がもれた。
触れた感触もそれに伴う彼女の反応も、先日に比べるとやわらかくなっているようだ。
奥へと進み指を増やすたびに少女は切なげに眉をひそめる。内壁に触れ蠢くものの存在に
慣れないのだろう。
頬を上気させ汗をにじませる彼女の表情はこれ以上ないほど女だった。
そっと指を抜いて代わりのものをあてがう。
それはぐっと上を向いてあるべき場所を求めていた。
すでに蜜で満たされやわらかな部分に少年の一部がゆっくりと沈んでゆく。
この場所をほぐすのは二度目だがじっくり慣らした筈のそこは、それでもやはり完全に開く
というところまではいかなかったらしい。
「ん……」
フィールの肩に置かれた手、その指先が少しずつ食い込んでゆく。
「大丈夫、かい?」
ぬるりと先端に感じるもの。それは彼にとっては蕩けるように気持ちのいい感触だが、自分の
欲望に流されるということはなく、ジュジュが辛くないようにひたすら気を遣っていた。
「大丈夫……多分、だけど。頑張れると思う……」
痛みに顔をしかめながらも笑いかけてくる少女に、フィールはさらに彼女の奥を目指した。
480 :
475-6:2008/04/05(土) 16:00:58 ID:OFPJUoSx
***
少女を抱きしめると全身しっとりと汗をかいている。
「奥まで?うん、分かる……だってフィールの顔がこんなに近いんだもん」
「そうだね……ジュジュの中、すごく温かいよ」
「そう……?」
嬉しそうに目を細める恋人に、ジュジュは恥ずかしくなって目を逸らした。
「君は?まだ大分痛む?」
「う……ん、動かなければ大丈夫みたい。それよりもなんかね」
「うん?」
「なんか……中にいる!って感じがする……」
「え?……あ……」
少女の言葉に彼は赤面した。
自分の発言に気付いたジュジュが焦って問いかける。
「あ、はは……なに言ってんだろ、あたし……。ごめんね、フィールは?どんな感じ?」
「すごく気持ちいいよ。こうしてるだけでね、堪らなくなる。でもこれって好きな子とする
からなんだろうなあ」
しみじみと呟く。後半は独り言のようだ。
無意識の告白にジュジュは耳まで真っ赤になった。
そのまましばらくして、フィールが遠慮がちに言った。
「えっと……もう、動いてもいいかな?」
「あ……ん……うん。でもゆっくり、ね?」
挿入時の痛みに対する恐怖のためかフィールの乞いに彼女はぎこちなく頷いた。
ジュジュの気持ちを察して少年はそっと体を引いた。そしてまた腰を寄せる。
何度かそれを繰り返し、もう一度恋人に問いかけた。
「痛む?」
彼の問いに少女は目をぱちくりさせた。拍子抜けしたような表情で首を振る。
「ううん、全然……なんか最初だけだったみたい。なんでだろ……今は全然平気。だから……
あの、もっと動いてもいいよ」
辛いようならここまでにしようと思っていたが、ジュジュは無理をしている様ではなかった。
再び抽迭を開始する。
蜜で満たされた内部は初めて故のきつさか、より彼のものを締め付けた。だがそれは快感に
導く為のものでしかなく、徐々に彼は生き物の本能に従う一匹の雄になっていった。
「……ぁあ……っ……」
痛みはなくても体内を出入りする感覚に緊張するのか、フィールが腰を打ちつけるたびに細い
体がしなった。ジュジュの手が彼の首の後ろへと回り二人の体はますます密着した。
そのせいで身動きするたびに少女の胸が彼の体をかすめた。
「ん……やぁっ……」
つんと尖った所がこすれてジュジュは顔を赤らめる。
フィールと違って挿入にまだ違和感しかない彼女には、何度も愛撫されてきた胸への刺激の
方が余程気持ち良く、敏感になっていた。
「――っ、ごめん、ジュジュ……!」
切羽詰まったような声と共に少年が体を引いた。昂りを抑えきれなくなったのだろう。
だが少女は首を振るとフィールの動きに逆らって彼を引き寄せようとした。
「駄目だ……」
「大丈夫……大丈夫だから、そのまま……しても」
「え――で、でも」
「あたしは駄目だったらそう言うわ。だから」
息を弾ませての囁きに彼は迷いを捨て、もう一度奥まで彼女を貫く。
両脇にある細い脚に力が入るのが分かった。
「……ッ!」
突き上げる先端からジュジュの中へ熱の塊を注ぎ込んだ。
481 :
475-7:2008/04/05(土) 16:01:29 ID:OFPJUoSx
フィールは少女の肩口に顔を埋め体全体で息をしていた。とんとんと叩かれ横を向くと恋人が
嬉しそうに微笑んでいる。
フィールも照れくさそうに笑い返した。
桃色の頬にちゅっと唇を押しつける。
「ジュジュ、この間も言ったけど……すごく……気持ち良かった」
「……やっと、あたし……」
弱く頭を振る少女。残りは言葉にならなかった。
少年を受け入れられたのが余程嬉しかったのだろうが、それは彼にとっても同じ気持ちだった。
数年越しの思いが叶ったのだから。
体の繋がりが全てではないと頭では理解していても、やはり性欲は生き物の本能、その根源に
あるものだ。特定の相手がいるのに我慢するのは辛いし、我慢させるのは相手に対して申し訳
ないことだった。
「うぅー……」
少女がごしごしと手の甲で涙を拭う。
その手を除けるとフィールの舌がぺろ、と目尻を舐めた。
「ジュジュ」
「ん、んぅ……ちゅっ……」
舌を絡め合い上も下も繋がって、二人は今までにない一体感を得た。
体だけではなく、心だけでもない。両方が同じだけ満たされている。
感慨深げにフィールが口を開いた。
「ジュジュの中にいると本当に気持ちいい」
「あんただって。中にいるのが良く分かるわ。でも、なんか変な感じがする」
「変?嫌?」
心配そうな顔になる。
「ばかね!あんたってすぐそっちに考えるんだから――って……そっか。それ、あたしに気を
遣ってるからだよね」
呟いて少年の頬にそっと口付けると、両手でフィールの顔を包み込んだ。
額と額をくっつけて至近距離にいる相手を見つめる。
「……ごめんね」
「その話はもうお終いだってば、この状況でいまさらどうこう言う気はないよ。それより」
「なに?」
「もう一度動いても……平気?」
あくまで伺いを立てることをやめない。
気を使ってくれるのは嬉しいが、もう少し勝手を言ってもいいのにとジュジュはおかしく
なった。
「いいよ」
不安そうな顔で自分を見るフィールに改めて少女は頷いた。
「痛くないって言ったでしょ?それは本当だから。フィールの好きにしていいから……」
「でも変な感じがするんでしょ?」
「それは仕方ないわ。だって、はっ、はじめて、したんだから……って何言わせるのよ!
あんたのペースにはまると変なこと口走っちゃうから嫌なのよ!」
大体さ、と困り顔の恋人をやさしく睨む。
「いいわよね、男って。痛くないんでしょ?」
口をもごもごさせ何と答えれば良いのか分からない彼にジュジュは片目をつぶって見せた。
「でもね。こうして抱きあってるだけですっごく気持ちいいんだから。だからあたしはそれで
いいの」
ジュジュにとっては彼が自分で気持ち良くなってくれたと、それだけで十分幸せだった。
「あたしが動こうか?」
痛みがなければ恐れるものはないらしい。
一方的にされても相手が気持いいと確認済みだったジュジュの提案に、だがフィールは頷かな
かった。
曰くまだ慣れてないし、自分でしてみたい。
「……っ、ん、……あ」
喉のあたりにそっと噛みつきながら胸を揉みしだく。
掌でさまざまにもてあそべるというほど大きくはないのに、そこはフィールを魅了して止まな
かった。
482 :
475-8:2008/04/05(土) 16:02:13 ID:OFPJUoSx
さっきと同じように正面から抱きあったままほっそりした体に手を這わせる。
それに敏に反応し喘ぐ少女に彼は囁いた。
「なんで……そんなに色っぽいの……?」
口が胸に吸いつくと手は背中に回る。
「――!ばかっ、なに変な、こと……やぁっ、ふ……ぁあん」
背筋をまっすぐ辿ればそのぞくぞくと上ってくる感触にジュジュは切なげに啼いた。
そこからすっと下へ続く割れ目へ指の先を伸ばす。
「ん、……そこ、そ……な」
菊門の上を通るとたまらず少女の腰が浮いた。
遠慮のない手が一度は繋がった場所へ再び侵入する。その上の肉芽を中と一緒に刺激すると
入口が小さく震えた。
弱々しく指を締め付けるのに高揚し、それでも少しの間その感触を楽しんでから彼は硬く
滾ったものを彼女の秘所に押しあてた。
「……っ……!」
ジュジュはやはり小さく声を上げたものの、今度はすんなりと奥まで入った。
痛みもだんだんなくなっている様子に安堵しながら、フィールは今度こそ断りを入れずに腰を
動かした。
「ん……フィー、ル……ッ!」
快感に頭を支配されそうになる。
頬を染めた少女が眉をひそめるのを下の景色に見ながら、これはたしかに皆に同情されるわけ
だなあ、などとぼんやり考えた。
まるで脳が働いていないようだが、それほど気持ちが良かったのだ。
「――!」
ほどなく彼は二度目の絶頂を迎えた。
「ふぅ……」
「大丈夫?」
額に汗を滲ませ大きく息をつく彼にジュジュが声を掛けた。
「ああ……うん。ありがとう。全然大丈夫だよ。ただ、気持ちがいいんだ。気持ち良すぎて
疲れるっていうか……はは」
乾いた笑いは性欲を解放させた自分への照れから来るものだろう。
息を切らしながらも彼は少女の頬に触れた。
それは愛おしそうに何度も頬を撫でるとふっくりとした唇に及んだ。
「……?フィール?」
紅く濡れて艶やかな、普段は色気のいの字も出てこないような場所だ。それが今はこんなにも
自分を誘惑してやまない。
不思議に思って輪郭をなぞると中から舌が伸びてきた。
ジュジュとしては口元をうろうろしているのでつい舐めてしまったのだろう。ついでという
ように噛みついてくる。
人差し指の根元まで咥えて始めは舌先でちろちろと、次いで舌全体を使って彼を包み込む
ように動かした。
「ん……んんっ……」
唾液を絡ませ唇と舌を使って押し出してはまた引き込んで、器用にしゃぶっている。
奥の方にあたって苦しいのか、もらした吐息が濡れた指にあたってくすぐったかった。
「……」
フィールは指を抜くと今度は中指を差し出した。舐めて欲しいわけではなく、単純に彼女が
どうするのかが見たかった。
すると苦しそうにしていたにも関わらず再び目の前の指を口に入れる。
薬指、小指と最後まで、指の股まで愛撫してから少女ははあ、と体を起こした。
唇を尖らせて彼を見やる。
何故かご機嫌が悪くなったようだ。
上目づかいにフィールを睨みつける。
「どうして?」
「え?」
483 :
475-9:2008/04/05(土) 16:02:43 ID:OFPJUoSx
彼は意味が分からず聞き返した。
「指……」
どうやら好きで舐めたわけではなかったらしい。
フィールが舐めてと言わんばかりに出すからしたのだとそう言いたかったのだろう。
確かに苦しげにしていたが、彼の目には今の行為がそれほど嫌そうには映らなかった。
それよりなにより。
大きな手が彼女の頭を撫でた。さらさらと髪を梳く。
「ごめん。舐めてるジュジュがあんまり色っぽかったからつい……」
だからどうしてこういうことをさらっと言うのだろう。
ジュジュは口を尖らせて言い返した。
「あたしに言わせればあんたの方がよっぽど色っぽいわ。何よ、ほっぺたバラ色にしちゃって
さ!」
「そんなことないと思うけど……」
首を傾げながら口元は弧を描いている。
フィールは自分の付けた口付けの跡を嬉しそうに指先でなぞった。
「こんなにいっぱいキスしたのに、まだ足りないよ」
耳の下あたりに手が行くと少女が眉を寄せた。
「そんなとこにも?えー……見えちゃうかなぁ」
「ごめん……」
隠せるかと心配する少女にフィールは申し訳なさそうな顔になった。ジュジュが指先でなぞる
のに彼も手を添える。
「ずっとこんな風に、自分ものみたいにしたかったんだ」
「――!」
「あんまり嬉しくって……配慮が足りなかったよ。ごめんね」
「ばか!」
険しい顔になった少女に思わず目をつぶる。
やっぱり怒られた。
そう思ったが彼女の言いたいことはフィールの予想とは違っていた。
「そんなこと言われたら怒れるわけないでしょ?」
ぷいと横を向いてそれから視線だけを彼に送る。
「いいのよ、別に。……だってあたし、あんたのものだもの。少しくらい目印つけたって……」
「ジュジュ……」
およそ自分は自分、という考え方の恋人がそんな風に言ってくれるとは思わず、フィールは
感動で名を口にすることしか出来なかった。
それだけ自分を好いてくれているというのが分かったからだ。
「僕、君の――」
「止めて!余計なこと言わないで!あんたいちいち大袈裟なのよ。その代り、あんただって
あたしのものなんだからね。それはちゃんと覚えておいてよ?忘れたら許さないんだから!」
大層な剣幕にフィールはたじたじとなった。
こんな風に言われては出かかっていた言葉も飲み込むしかない。
代わりに違うことを言ってみた。
「ジュジュ」
「ん……?」
二回もしてさすがに疲れただろうと思っているとはたして、フィールの言葉は少女を驚かせた。
「もう一回、してもいい?」
「あ……えっ?……ええっと」
今度はジュジュの方がたじろいだ。
痛くないからとは言ったものの、彼女が一瞬悩んだのは彼の台詞が愛から来るものか、治まり
のつかぬ性欲からくるものか判断が付きかねたからだった。
〜おしまい〜
最近書き込みがなかったのは、皆さん容量を気にして下さってのことでしょうか。
申し訳ない&お気遣いありがとうございました。
指チュパとは実にけしからんなGJ!!
えっろおおぉおぉぉおおおお
フィール元気だなww
GJ!2人がもっと好きになった
神キテタ━━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━━!!
そろそろ容量越えだったのか
「皆、いつも俺達OZレンジャーを応援してくれてサンキューな」
「君たちに感謝して、スレを埋めつつも私たちOZレンジャーが何でも君たちの質問に答えるわ!」
「な、なんでも、聞いてね……」
「フィール、声が小さいぞ」
「ト、トト……。うん……、ごめん……」
「じゃ、最初のお葉書から行くぜ。
>>317さんからのお便りだ。えーっと、なになに?
『アルミラさんに少年って呼ばれたい』だってよ」
「………………」
「却下」
「ちょ、アルミラ。せっかくのハガキ投げ捨てるなよ、失礼だろうが!」
「大体なんだ?これは。質問にもなっていないではないか。次だ。レオン、次を読め」
「お前、素が出てるぞ。気ぃつけろよ」
「ほらフィール!こういう時はお前がフォローしないといかんだろうが!チームワークが
悪いぞ」
「あぁ……うん、ごめん。これ読めばいいの?」
「先に名前を言えよ?」
「分かったよ。えぇと、ペンネーム
>>213さんからです。ドロシーは……え!?……ド、ドロシー!?
なになに――ドロシーは『ドロシーの大冒険』でのトトの衣装の時、中に何を着ているんですか?」
「なんだぁ?こいつ変態だな」
「それは言い過ぎじゃない?彼女が中に着てるのはごく普通の下着だと思うけど……フィール、
あなた知ってる?」
「フィール?どうした、様子がおかしいぞ?」
「そう言えば以前……変な人が木の蔭から覗いてるってすごく不安がってた時があったんだ。
一度なんて泣きながら家に帰ってきてさ、中に何着てるの?って目の前にやって来たって……」
「まあ……物騒ね。ストーカーってやつかしら。それでドロシーは大丈夫だったの?」
「うん、反射的に籠で殴っちゃって、それ以来姿を見せないって言ってたけど、こいつかも
しれない」
「おいおい……そんなことがあったなら一言言えよな。村の子供達の未来を守るのが俺達OZ
レンジャーの使命なんだ。今度そいつが現れたらコテンパンにのしてやるよ」
「そうよ、まかせておいて!」
「ありがとう二人共!」
「大変よ二人とも。思ったより容量が残ってなかったみたい。もう最後の挨拶をしなきゃ」
「おっと、そりゃまいったな。皆の疑問、少しは解けたかな?」
「……(二人分じゃ解けるも何も……)」
「フィール、今余計なことを考えただろう」
「う、ううん、考えてないよ?」
「次のスレ埋め質問コーナーでは、なんと秘密結社テオロギアの面々が質問に答えてくれるぞ」
「それまでに聞きたいことのある皆、ハガキに書いてこちら(
>>489)の宛先までどしどし応募してね!
「それじゃー皆、これからも俺達の活躍、応援してくれよな!」