☆魔法少女リリカルなのは総合エロ小説_第23話☆

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1名無しさん@ピンキー
魔法少女、続いてます。

 ここは、 魔法少女リリカルなのはシリーズ のエロパロスレです。


『ローカル ルール』
1.リリカルあぷろだ等、他所でのネタを持ち込まないようにしましょう。
2.エロは無くても大丈夫です。
3.特殊な嗜好の作品(18禁を含む)は投稿前に必ず確認又は注意書きをお願いします。
  あと可能な限り、カップリングについても投稿前に注意書きをお願いします。
【補記】
1.また、以下の事柄を含む作品の場合も、注意書きまたは事前の相談をしたほうが無難です。
  ・オリキャラ
  ・原作の設定の改変
2.以下の事柄を含む作品の場合は、特に注意書きを絶対忘れないようにお願いします。
  ・凌辱あるいは鬱エンド(過去に殺人予告があったそうです)

『マナー』
【書き手】
1.割込み等を予防するためにも投稿前のリロードをオススメします。
  投稿前に注意書きも兼ねて、これから投下する旨を予告すると安全です。
2.スレッドに書き込みを行いながらSSを執筆するのはやめましょう。
  SSはワードやメモ帳などできちんと書きあげてから投下してください。
3.名前欄にタイトルまたはハンドルネームを入れましょう。
4.投下終了時に「続く」「ここまでです」などの一言を入れたり、あとがきを入れるか、
   「1/10」「2/10」…「10/10」といった風に全体の投下レス数がわかるような配慮をお願いします。

【読み手 & 全員】
1.書き手側には創作する自由・書きこむ自由があるのと同様に、
  読み手側には読む自由・読まない自由があります。
  読みたくないと感じた場合は、迷わず「読まない自由」を選ぶことが出来ます。
  書き手側・読み手側は双方の意思を尊重するよう心がけてください。
2.粗暴あるいは慇懃無礼な文体のレス、感情的・挑発的なレスは慎みましょう。
3.カプ・シチュ等の希望を出すのは構いませんが、度をわきまえましょう。
  頻度や書き方によっては「乞食」として嫌われます。
4.書き手が作品投下途中に、読み手が割り込んでコメントすることが多発しています。
  読み手もコメントする前に必ずリロードして確認しましょう。


リンクは>>2

2名無しさん@ピンキー:2007/08/02(木) 19:28:22 ID:IaYqunOH
『リンク』

【前スレ】
☆魔法少女リリカルなのは総合エロ小説_第21話☆
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1184255330/

【クロスものはこちらに】
リリカルなのはクロスSSその9
http://anime2.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1185640072/l50


【書き手さん向け:マナー】
 読みやすいSSを書くために
 http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/5301/1126975768/

【参考資料】
・Nanoha Wiki
 http://nanoha.julynet.jp/
・アリサだもんっ!
 ttp://homepage3.nifty.com/damenahito2000/
(キャラの一人称・他人への呼び方がまとめられてます)

☆魔法少女リリカルなのはエロ小説☆スレの保管庫
 ttp://red.ribbon.to/~lyrical/nanoha/index.html  (旧)
 ttp://wiki.livedoor.jp/raisingheartexcelion/d/  (wiki)

3名無しさん@ピンキー:2007/08/02(木) 19:35:01 ID:E28GZwH4
4224  ◆Nw9Ad1NFAI :2007/08/02(木) 20:43:19 ID:AfxN0jed
>>1
「…少し乙冷やそうか」
5名無しさん@ピンキー:2007/08/02(木) 20:58:19 ID:OHR5CDAF
ゲンヤさん種無し疑惑
6名無しさん@ピンキー:2007/08/02(木) 21:06:35 ID:dZX1Bg94
>>1
乙。

>>5
 はやてを孕ませるって信仰している俺が通りますよ、と。
7名無しさん@ピンキー:2007/08/02(木) 21:34:29 ID:AvdgtBUr
>>5
ゲンヤさんよりクイントさんの方が怪しくね?
8名無しさん@ピンキー:2007/08/02(木) 21:56:48 ID:bymmhkgw
>>5
むしろスカリ
9名無しさん@ピンキー:2007/08/02(木) 22:05:24 ID:mRCfmmeQ
「彼女の足は動かない」
の続きマダー?
10名無しさん@ピンキー:2007/08/02(木) 22:17:33 ID:31cSpFg7
前スレ350でなのは×アリサ書くって言ってた奴だけど・・・・・
出来たから、投稿していい?
11名無しさん@ピンキー:2007/08/02(木) 22:19:31 ID:QQTYtJ9x
どぞ
12前スレ350:2007/08/02(木) 22:23:19 ID:AUtvR1EF
おk。 投下します。

注意書き

・CPはなのは×アリサ
・若干原作設定を改変しています(アリサが時空管理局入りどころか機動六課入りしてます)
・ぶっちゃけてエロ短いです
・全12レス・・・・の筈
13名無しさん@ピンキー:2007/08/02(木) 22:23:49 ID:nYwCM/d8
ごご
14前スレ350 『走り続けて』 1/12:2007/08/02(木) 22:24:07 ID:AUtvR1EF
 彼女が離れていくのが辛くて。
        ――――――だからその後を必死に追いかけた。




  あたし――――アリサ=バニングスが彼女――――高町なのはと出会ったのは今から12年前。小学一年生のころ。
 あのころのあたしは、親の権力に酔いしれていた典型的なわがままな子供だった。
 自信家で、わがままで、そしていじめっこで。今思い返すと自分でも嫌な奴だった。

  そんなある時、今でも大切な友人である月村すずかの大切なヘアバンドをあたしは面白半分で取り上げた。
 あの時のすずかは今よりも気が弱くて物静かで、多分当時のあたしにとっては格好のカモみたいな存在だったんだと思う。
 その中に入ってきたなのはは、あたしの頬を平手打ちして、こう言った。

  「痛い? でも大切なものをとられちゃった人の心は、もっともっと痛いんだよ」

  その後は取っ組み合いの喧嘩になって、当事者のすずかに止められる始末。
 …はっきり言って、第一印象としては最悪の部類だったかな。
 まぁ、それからあたし達は何故か仲良くなって、長い付き合いの友達になってるんだけど。
 
  時には喧嘩も何度かしたけれど、破綻することもなく。あたし達の関係は続いていた。
 三年になってそこにフェイトが入って来たけど直ぐに仲良くなったし、あたし達の距離は変わらない筈、そう思ってた。
 そこにあたし達の関係に影響を及ぼすこととなった重大な転機の一つが訪れた。
15前スレ350 『走り続けて』 2/12:2007/08/02(木) 22:24:49 ID:AUtvR1EF
 10年前の12月24日、クリスマスイブ。あたしはすずかと二人で歩いていた、何故かその時周りの人達が一斉に居なくなった。
 困惑してその場に立ち竦んでいたら、誰かが……こっちに来た。
 ――――見知らぬ格好をし、手に杖みたいな物を持ったなのはとフェイトだった。
 そりゃまぁ、親友が変な格好していきなり現れたら驚くわよ。だけど…次の瞬間更に驚かされる事になった。
  どこからか飛んできた淡い桃色の光の帯、それを杖をかざし、魔方陣みたいなのを出して防ぐ二人。
 『魔法』というものを初めて見た瞬間だった。
 問い詰めようと思ったけど、その時にはもうどこか別の場所に飛ばされてしまった。
  真実を知ったのは翌日、クリスマスパーティの時。そこで、あたしはなのは達が魔導師…という存在だということを知った。
 動揺もあったけど、なのは達がなのは達であることは変わりないんだし。
 
  四年になりあたし達のグループにはやてが加わり、一層賑やかになった。
 でも、この時あたりから変わりはじめたことがあった。それはなのは達の欠席が増えたこと。
 時空管理局という組織の嘱託魔導師であるなのは達には当然仕事というのがある。
 学生だから本分の勉強に影響しない程度には……って感じだったらしいけど。
 むを得ない時には学校を休んででも行かなきゃならなくて。だから欠席が増えた。
 その頃はまぁ、少しさびしかったけど仕事だし仕方ないかなって感じで思ってたんだけども。

 
 今から8年前、六年生のある日。信じられない事を伝えられた。

  なのはが任務中に瀕死の重傷を負ったと。

  ユーノに連れられて、すずかと一緒になのはの居るアースラの医療室に向かうとそこには
 体中を包帯でぐるぐる巻きにされ、いくつものコードを体につけられ、死んだように眠るなのはの姿があった。
 包帯は血で痛々しく染まり、寝息は今にも途切れそうな程かすかで。
 それを見て、何か出来るわけじゃなかったけど、何も出来ない自分を恨めしく思った。
 …この時、あたしの心の中である感情が芽生えた。

  なのはの怪我は治るのに半年もかかるほど酷いものだった。学校では交通事故で休学という扱いになっていた。
 学校に行ってもその席には誰も座っていない。……正直言うとあの元気な笑顔を見ることが出来ないのは寂しかった。
 出来ればなのはのいる病院にお見舞いに行きたかったけれども、あたしは魔法の存在を知っているとはいえただの一介の一般人。
 異世界であるミッドチルダにある病院にはフェイトやユーノ達の力を借りなければ行くことが出来ず、そう気軽には行けなかった。
16前スレ350 『走り続けて』 3/12:2007/08/02(木) 22:25:21 ID:AUtvR1EF
 怪我も治りなのはが復学し、あたし達が中学に入る辺りになると、仕事による欠席はさらに増えた。
 目指す夢に向かってまっしぐらに進むなのは達に対して、……あたしはその時、距離を感じ始めていた。
 なのはと離れたくなかったのだ。このままだと、確実に遠くに行ってしまうような気がして。
 ・・・・あたしの中の決意は徐々に大きくなっていった。


  その決意、それは。

  ―――――――出来る限りなのは達に近い道を歩むこと。
  ……いや、これはさらに建前。本当は近くにいたいのはなのはだけだから。

  陳腐な決意だけど、それがあたしの決めた道だった。
  笑いたければ笑えばいい。ただ……なのはの近くにいたかった。それだけのこと。
 


  以前ユーノやクロノについでで魔力を測定して貰ったけれども、精々あたしの魔導師ランクは最低レベルに近いE〜F。
 一般人より少し上といった所。これはなのはやフェイトの強大な魔力をほんの少しずつ受けながら出来た微かな魔力らしい。 
 普通の人より恵まれた環境に居たとはいえこの量じゃなのはと似たような道を進むには無謀にも程がある。
  それを聞いて少し諦めかけた時、ユーノがこう言った。
 
  魔力が無くても別の仕事がある、と。

 ……そうだ。別の仕事でも可能性は0じゃない。
 そしてそれがあたしの原動力となった。
17前スレ350 『走り続けて』 4/12:2007/08/02(木) 22:26:02 ID:AUtvR1EF
  
  今まで勉強なんか殆どしたこと無かったけど、それはもう必死に勉強した。すべてが0に近い状態から。
 学ぶことはたくさんあった。魔力や次元世界についての基礎的知識や管理局についての知識、そして言語や一般常識に近いものとか。
 魔力は殆ど無かったけど魔法だって少しだけ覚えた。幸い、ユーノやクロノと言った超優秀な先生はたくさんいたし。

 ――――でも、なのはにはこの事は教えなかった。
 
  多分、反対するだろうから。
  いくらあたしの目指す方面は内勤だといえ、危険だって無いわけじゃない。
 本来一般人の筈のあたしが巻き込まれることを望まないだろうし嫌うだろう。
 だから、言わなかった。……いや、言えなかった。
  はやてやフェイトにも言わなかったけど、多分彼女達は勘が鋭いから気が付いてたかもしれない。
 でも多分言わないでくれてたんだと思う。

  色々な試験を受け、様々な資格を得た。出来れば多く取った方が様々なルートから近づけると思ってたし。
 管理局の入局試験にも通り、晴れてあたしは時空管理局の職員となった。……最もかなり無理したんだけど。 
 


 ――――――――そして今、あたしはここにいる。
 なのは達のいる機動六課、そこに本局から出向してきた人員の一人、アリサ=バニングスとして。



 



 「―――改めまして、本局第七情報管理課から出向して来ました、アリサ=バニングス二等陸士です。
    こちらでは通信スタッフと後は経理事務をやらせて頂くことになってます。至らないところもあるでしょうが、これからよろしく御願いします」

  はやて――いやここでは八神部隊長か――に全体で紹介された後、軽く一人ずつ自己紹介を行う。
 あたしの仕事は通信スタッフと経理。それに後は細かな情報の管理・作業。
 概略だけは先輩に聞いて、すぐに各自の仕事に取り掛からないと。
  ――なのはもフェイトも鳩が豆鉄砲でも食らったような顔してたわね。そりゃそうね……全く言ってなかったし。
 あの調子だとはやてもわざと言って無かったんじゃないかしら。はやてだけは来るスタッフの情報ぐらい知ってたはずだし。
 ……おっと、初日から考え事してて失敗しましたなんてやっちゃダメよね。
18前スレ350 『走り続けて』 5/12:2007/08/02(木) 22:26:39 ID:AUtvR1EF
  
  お昼に入り、食事休憩に入る人がそこそこ出て来たので、あたしも休憩を取らせてもらった。
 仕事を早く覚えたほうがいいから、抜いて昼の間に覚えてもよかったんだけど、やっぱりしっかり食べないとね。
 適当に食堂で注文して受け取り、適当な席に座って食べ始めようかとした時、私の上に大きな影が差し掛かってきた。
 ――やっぱり、来た。

 「……聞きたいことは色々あるんだけど……ねぇ? アリサちゃん?」
 「……何の御用でしょう高町一等空尉」
  ここではなのはの方が上司なんだし、とりあえず丁寧に返しておいた。
 「今は休憩中だし、かしこまらなくてもいいよ……って、何でここにいるの!?」
 「本局から六課に出向してきたからだけど?」
 「いや、そういう事を聞きたいんじゃなくて、私が聞きたいのは何故アリサちゃんが時空管理局にいるのかって事なの!」
  ほーら、やっぱり聞くと思ったわよ。
 「入局試験に通ったからよ……で、それだけ?」
 「いや、だからねぇ……だってアリサちゃんがまさかこんな所にいるなんて思わなかったし……」
 「まぁとりあえず座ったら? なのはって有名人なんだから立ったままだと目立つわよ?」
  さっき下手になのはが声を張り上げたものだから周辺の席からこっちに視線が集まって少々怖い。
 なのでとりあえず座らせた・・・・あぁ、後で他の人に何聞かれるかな。

 「で、改めて聞くけどなんでアリサちゃんが時空管理局にいるの?」
  ……正直、すごくシンプルな質問なんだけど、答え辛い。
 いくらなんでもなのは達と離れたくなかったから追いかけてきたなんて言えないわよっ!
 「……えーと、そうね、興味を持ったからよ。魔法とかこっちの世界に」
  自分でも凄く苦しい答えだと、思う。
 「それなら何で言ってくれなかったの?言ってくれれば協力はしたのに」
  ……まただ。答え辛い。それに、なのはの言葉は多分半分嘘だろう。
 なのはの性格のことだ、応援したいけどこっちの危険が付きまとう世界には巻き込みたくないって所かな。
 「そりゃー……まぁ。なのは達忙しそうだったし、自分の我侭で巻き込む訳には行かないってね」
  また、苦しい答え。
 「……別に気にしなくても良かったのに……あ、私新人達の訓練があるからもう行くね、ばいばい、アリサちゃん」
  なのははそう言うなりあたしの返事を聞く前に足早と去って行ってしまった。
 ……なんか凄く不自然だったわね。これは・・・バレたかな。嘘って。
 どうでもいいけど、仕事の後自室に戻る際あたしに待っていたのは、なのはとの関係を聞きに来た人の山だった。
 ……目立つとは思ったけど、なのはの知名度ってすごいのね。
19前スレ350 『走り続けて』 6/12:2007/08/02(木) 22:27:30 ID:AUtvR1EF

「スターズ分隊とライトニング分隊の訓練補助……ですか?」
 「ええ、いつもは私が行っているんですけど……今日はちょっと他の仕事を優先しなくてはいけなくて……
  今唯一手が空いているのがアリサさん位でしたので…」   
  あの後しばらくの間はなのはとは面と向かって話す時間も無く、廊下で会っても会釈だけしてすれ違うだけが続いていた。
 最近は忙しそうだったし、元々あたしは内勤だからあまり会う機会無いんだけどね。
 で、今あたしと話しているのは通信主任のシャーリーさん。ま、簡単に言えばあたしの上司。
 「……別に構いませんけど、今から……ですか?」
 「ええ、訓練場までは急ぎですし転送で向かってください。話は通してありますので」
 「分かりました、十分後にあちらに向かいますね」
  なのは達の訓練か……話には聞いていたけど実際には見たこと無かったし、まぁ丁度いいかな。

 
  訓練場に転送されると、そこには既になのはやヴィータ達が来ていた。
 「本日はシャリオ通信主任が多忙との事ですので、代わりに訓練サポートを行いますアリサ=バニングス二等陸士です。よろしく御願いします」
 「「「「よろしく御願いしますっ!」」」」
 「アリサじゃねーか、久しぶりだな……っても一応ほぼ毎日顔だけは見てるけどよ」
 「あ、久しぶりねヴィータ……じゃなかったヴィータ副隊長」
 「んな、畏まらなくてもいーぜ」
 「一応上司と部下の立場だからね。公私混同はしたらダメじゃないかとあたしは思うんだけど……」
 「んなもんどーでもいいんだよ、ま、早速訓練始めることにしようぜ」
 「うん、そうだね。それじゃみんな、準備してっ訓練始めるよー」
  なのはの号令と共にみなバリアジャケットを羽織って準備を始めていった。
 あたしも、さっさと準備しないとね。まずは場所のセッティングと・・・・
20前スレ350 『走り続けて』 7/12:2007/08/02(木) 22:28:14 ID:AUtvR1EF
  
  しっかし、毎度思うけど本当に魔法って凄いわね。  
 今やってる訓練内容はフォワードの子達がなのはの砲撃を避けつつ、反撃を与えるといった極々単純なもの。 
 まぁ、あたしのやる事は既に殆ど終わっちゃったし、今はもう見てるだけみたいなものだけど。 
 というか、よくあれだけ沢山撃てるわね……やっぱり、桁が違うわ……
 何処と無くなのはも生き生きしてるし。やっぱり天職よ……

    
     「アリサちゃんっ!! 危ないっ!!」
  

  突然の掛け声に思考の渦から現実に引き戻されると、すぐ目の前にはコントロールミスからか数発の流れ弾が。
 咄嗟の事とはいえすぐに判断し、あたしでもなんとか扱える防御魔法を眼前に張った。
 バリアに着弾して、勢いは削げたもののあたしの魔力じゃ強度もそこまで無い。
 そもそもあたしとなのはじゃ基礎スペックが違いすぎるっ・・・・!
  
  バリアが音を立てて崩壊すると同時にあたしの体に魔力弾が直撃した。体中に流れる強い衝撃。
 薄れる意識の中……なのはの声がすぐ間近で聞こえたような気がして……そこであたしの思考は闇に落ちた。




 「うっ……うーん……」
  どこか心地良い……そんな感じの闇の世界から抜け出し、目を開けた。 
 ……あー、訓練中の手伝い中に流れ弾受けて気絶したんだっけ。
 目を覚ましたあたしにまず見えたものは見慣れた部屋。……自分の部屋か。
 でも……他に誰かいる気がする。まだボーっとする視界を凝らして見たものは……ベッドのすぐ傍でじっとあたしを見つめていた、なのは。
 「……あ、目が覚めたんだね、アリサちゃん。良かった。」
  起きたあたしに気が付いたのか、なのはが心配そうに声を掛けて来た。何処と無く、声も疲れているような感じがする。
 「……おはよう。もしかして……ずっと見ててくれたの? ……ありがと」
  素っ気無い返事を返しておく。
 感謝はしているのだ。これでも。ただ、本人目の前にすると何というか・・・・まぁ。恥ずかしいのよ。
 
  ……そして流れる無言の時間。何となく気まずい雰囲気が流れた所、不意になのはが口を開いた。
 「ねぇ……アリサちゃん」
 「……何よ」
 「…………アリサちゃんは普通の生活に戻ったほうがいいと思うの」
  あたしは自分自身の耳を疑った。
 なのはが今言ったことが確かならば、それはあたしに自分の思いを捨てて普通の生活に戻れという事。
 ただなのはの傍にいたくて、追いかけてきたのに。
  それを真っ向から、否定された。対象とする本人からの拒絶。あたしの心に、深い絶望が襲ってきた。
 「………何でよ」
  重い口から自然に出た言葉。
 「……何でなのよ、あたしに、自分の思いを捨てろっていう訳っ!? ただ、離れるのが辛いから、それだから必死に追いかけてきたのにっ!
 自分の好きな人を追いかけたくて、必死に頑張って、やっとここまで来たのにっ! なんでその本人から普通の生活に戻れなんて言われなきゃならないわけっ!?
 じゃあ、あたしが今までやってきた事は何だったわけ!? なんなのよ!? ……ねぇ、答えてよ……」
  溢れたダムのように、自分の思いを全て言葉の弾丸にして撃ちだした。
 途中から涙が出てきた。最後のほうにはもう言葉にならない嗚咽混じりになったけど、気にならなかった。
 なのはとは何度も喧嘩したけど、ここまで感情的になった事なんて、無かった。
21前スレ350 『走り続けて』 8/12:2007/08/02(木) 22:28:51 ID:AUtvR1EF
 
 「……アリサちゃん」
  なのはも突然の豹変に戸惑っている……のかと思ったけど、意外と聞こえてきた声は冷静だった。
 ……あたしの存在なんてそんなものだったのかもね。この反応も予測でもしてたのかな。
 そんなネガティブな思考に嵌りかけたあたしに、なのはは言葉を続けた。
 「……私は、大切な人が居てね。その人を守るために強くなろうと思った。
  その子は少々気が強くて、どことなく強引で。でも奥底では優しくて、友達思いの子だった」
 ……は?なんでいきなりここで自分語りなのよ。
 「その子は私の秘密を知っても、友達で居てくれて」
 ……え?
 「一度、理由を聞いてみたら『なのははなのはなんだし』とか言っちゃってね』
 ……待ちなさいよ、それって……
 「嬉しかった。だからその子と一緒にいたくて。でも、私は弱かったから」
 …………
 「強くなりたくて、今まで頑張ってきたの。離れてて寂しかったけど、目標があるから頑張れた。
  その子がこっちまで追いかけてきちゃったのはちょっと予想外だったけど」
 ……間違いない、その子って……
 「ごめんね、アリサちゃん」
 ……何で謝るのよ。
 「そんなつもりは無かったんだ……ただ、さっきみたいに、守れないのが怖くて。
 私のせいで、守れないのは嫌だから。私が守れないなら、安全な所にいて欲しかったの。……我侭だよね」
  ……涙が止まらない。今はずっと俯いているからなのはからは見えないだろうけど。
 さっきの言葉はあたしの事を思っての事だったんだ。
 「今なら……言えるかな、大好きだよ、アリサちゃん」
 「バカ……あたしもよ、なのは」
 苦笑一つでそう返した。そのままあたしは、なのはの唇に淡いキスをした。
 
 先に告白されちゃったからね、仕返しよ。
22前スレ350 『走り続けて』 9/12:2007/08/02(木) 22:29:31 ID:AUtvR1EF
  
  あたしは服を脱ぎ、生まれたままの姿になる。
 目の前には同じく生まれたままの姿のなのは。……あたしが言うのもなんだけど綺麗だ。
 なのはの指があたしの体に触れる。触れた所から伝わってくる感触がくすぐったい……けど悪くない。
 指は体の上をなぞり――あたしの胸に。
 その指は敏感な先端にまで届き……軽く摘まれた。
 「んっ・・・・・」
  思わず、声が出る。
 あたしの声には構わず、そのまま指はあたしの大事なところに。
 敏感な秘所に指をなぞられて、否応がなしにあたしの体は火照る。
 「アリサちゃん……気持ちいいんだね、ほら、濡れてきてる……」
  あたしの愛液を指に纏って、なのははあたしに見せつけてきた。
 さらに心臓の鼓動が早くなる。早く、もっと弄って欲しいと心の中で思う。
 その心境を察してか知らないけど、なのはの指があたしの秘所に、入ってきた。
 軽く動かされるだけで、体中に痺れるような電撃が流れる。
 「な・・・・なのはぁ・・・・・」
  動きが段々激しくなっていく。かき混ぜられるような動きが、果てしなく気持ちいい。
 なのはは指を動かす片手間にあたしの他の場所も触っていく。
 唇はあたしの胸を舐め、右手は体を縦横無尽になぞり、そして左手があたしの秘所をかき混ぜる。
 もう考える事さえ出来なくなってきていた。
 「……はぁっ! あああああぁぁぁぁぁあっ!!」
  そして幾度かの光悦の末……頭の中に閃光が走ると。あたしは、絶頂に達した。
 
 
 「……アリサちゃんばかり気持ちよくなってズルいよ、ねぇ……私にも……」
  あたしを絶頂させた事に満足したのか、手を止めるなのは。
 そして、私の目の前に、なのはのピンク色の秘所が見えた。
 「……アリサちゃん……ここ、舐めて?」
  言われるままに舌を伸ばし、そこを舐めはじめた。
 隅々までしっかりと・・・・・なのはを味わうのごとく舐め進める。
 次から次へと出てくる液を掬い取り、すべて飲み干した。
 「……そう・・・・・・いいよ……んんっ」
  …感じてる、あたしの舌でなのはが感じてるんだ・・・ 
 その声に上がったテンションと共に、さらに舌を這わせる。
 秘所だけでなく、その後ろに隠れた不浄の穴までも。
 汚いところなんて、ないから。もしあっても、全部あたしが綺麗にしてあげる。
  途端、なのはの体が軽く震えたと思うと、さらに小刻みに震えた。
 ……ああ、声を殺してるけど、イったんだ、なのはも。あたしの責め、で。
 それが少し嬉しくなって、なのはから見えないように少し微笑んだ。
23前スレ350 『走り続けて』 10/12:2007/08/02(木) 22:32:27 ID:AUtvR1EF
  あたしとなのはは今、お互いに間向かうような姿勢になっている。
 簡単に言えば仰向けなあたしの上に、なのはがうつ伏せな形になっている。
 「アリサちゃん・・・・・一緒に・・・・・」
 「うん・・・・・」
  お互いの秘所を合わせ、すり合わせる。
 小刻みに動くと、その度になのはのが私のに当たり痺れるような感覚が体中を駆け巡る。
 快感が体に走ると共に動きはどんどん早くなる。 
 「いっいいっ、アリサちゃんっ一緒にぃっ!」
 「な、なのはぁっ!!」
  あたしは両の腕でなのはを抱きしめ、しがみ付く。
 その刹那、あたしの頭が真っ白になって……そして体中の力が抜けた。
 目の前のなのはも、小刻みに震えていた。一緒に・・・・・イけたのかな。
 ……一瞬だけど、なのはと全てが一緒になれた気がした。
 
  あの後、あたし達は何度も体を重ねあった。
 今までのすれ違いを取り戻すかのごとく。
 体を触り、舐めあい、キスをしたり。
 互いの秘所をこすり合わせ、時には後ろも弄りながら。
 あたし達は体を合わせ続けた。何度も、何度も。



  
 
 「・・・・・・さすがに疲れたわ・・・・・・」
 「アリサちゃんばてるの早いよ・・・・・」
 「なのはが体力あるだけでしょ・・・・・・うわ、もう朝になってる」
 「え、そんなに!?」
  疲れて止めたころにはもう時計の針は朝方を指していて。
 あたしが気が付いたのはいつかは分からないけど、結構な時間体を重ね合わせていたことに違いない。
 正直疲れが抜けない。このままだと今日の仕事に差し支えが多いわね。きっと。
 でも・・・・・こんな疲れなら悪くない。
 だって、なのはと、一つになれたから。それを思うと疲れなんて吹き飛んでしまいそう。
24前スレ350 『走り続けて』 11/12:2007/08/02(木) 22:33:08 ID:AUtvR1EF
 

 「ねえ、なのは」
 「何、アリサちゃん」
 「――――――責任、取ってよね」
  自分じゃ何気なく言ったつもりだけど、ちょっと恥ずかしいわね。
 「――――あー、うん。善は急げっていうよね?」
 「え?」
 「結婚式、いつにしようか?」
  ――――へ?
 「やっぱり早いうちに決めたほうがいいかなーって、」
  いやちょっと何を言ってますかなのはさん。展開が早すぎるというか理論が飛びすぎです。
 「いやちょっと待ちなさい、凄く変な方向に勘違いしてない・・・・・?」
 「え?責任とってって事はすなわちお嫁さんにしてくださいって事じゃないの?」
  ……なんか、変なスイッチ入れちゃったみたいね。というか何よその論理の飛躍。
 「いや、そういう事じゃなくてね・・・・・」
 「……アリサちゃん、私の事……嫌い?」
  あー、そんな目で見ないで。嫌いなわけないじゃないの。
 「馬鹿……嫌いな訳ないじゃないの」
 「じゃ……証拠を見せて」
  なっ……言うようになったわね。
 「――――好きよ、なのは。一生大事にするから」
 「――――うん。私もアリサちゃんを一生守るから」
  返す言葉はもういらない。その返事には軽くキスで返した。
 昔からの思いが伝わった――ああ、今日は人生最高の日になりそうね。
 一生一緒にいてやるんだから、覚悟しなさいよ。なのは。 




25前スレ350 『走り続けて』 12/12(おまけ):2007/08/02(木) 22:34:11 ID:AUtvR1EF
  

  あの後はやてやフェイトには即バレたけど、素直に祝福された。
 前々からやっぱりあたし達の互いの気持ちは知ってたらしいけど、結局成り行きに任せてたらしい。まぁ結果オーライって奴?
 ちなみに機動六課出向メンバー選択時には、はやてが直々にあたしを名指ししたとか。感謝するわ。
  なのはと結ばれてからしばらくして、そんなこんなであたしはまだ機動六課にいる訳だけど。

 「――だーかーら、いくらなんでもこの予算じゃ無理があるわよ!?」
 「そんな事言わへんと、なんとかならんか? アリサちゃん」 
 「前のだって結構無理して通したのに、今回のはさらに酷いわよ!? なんで設備費が前回の2倍近くになってるわけ?」
 「まぁ、それは色々とあるんや・・・・・やっぱり無理か?」
 「無理。言わせて貰うけどはやて予算配分適当すぎ、なんでこう偏るのか分からないわ・・・・」
 「まーまー・・・・・」
  今あたしは、予算を巡ってはやてと口論中な訳で。
 ちなみに今旧知のメンバーしかいない上に、はやてが敬語を嫌うので今は昔同様タメ口で話し合っている。
 「まあ、とにかくもう一度考え直して」
 「仕方ない……最終兵器や。……おーい、なのはちゃんこっち来てや」
 「何、どうしたの?」
 「いやー かくかくしかじかでな、ちょっとアリサちゃんを説得してもらおうかと」
 「うん、わかったよ。……アリサちゃん、お願い……出来ないかな?」
  何でそう上目遣いでこっちを見るのよっ!……そんな目でみられたら断れないじゃない。
 「……分かったわよ」
 「さっすが、アリサちゃん話分かるなぁ、じゃ頼むわっ」
  うう……なのはをダシにするとは卑怯なりはやて。……って、引っかかるあたしもあたしか。
 これは流石に骨が折れそう・・・今日は徹夜かしら。
  それにしてもはやては今日何か機嫌いいわね。何かありそうね。
 
 「あ、言い忘れとったけど今日本局から追加人員来るからよろしゅうな」
  へぇ……新しく人来るんだ、と思ったあたしの脳裏に浮かんだ一つの影。
 ・・・・・・ま、まさかねぇ。幾らなんでもあたしと同じ理由な訳は……大体、本局なら既に会ってる可能性ありそうなもんだし
 な、無いよね……?
 「お、来たみたいや。今から紹介するから入ってもらおうか」
 はやての声と共に扉が開く、そこに居た人物とは―――

  
 「本局第四技術開発部から出向してまいりました、月村すずか二等陸士です。よろしく御願いします
                             ――――――久しぶりだね、みんな」


  ああ、だからはやてが機嫌よかったのね。
 そして、あたしがここに来たときのなのはとフェイトの気持ちが今凄く判った気がした。


                                        -fin-
26前スレ350:2007/08/02(木) 22:37:29 ID:AUtvR1EF
以上、投下完了です。ありがとうございました

一応 電波内での5人関係図は
 はやて→すずか→アリサ→←なのは←フェイト

って感じのつもりでした。なんというもつれ合い。

自分なのは小説書くの初めてだったんで疲れました・・・・・・
しかし自分の誕生日に何書いてるんだ俺は。
27名無しさん@ピンキー:2007/08/02(木) 22:42:12 ID:IYlYIpFK
>>26
乙'n'otom!
GJGGJJJ!!

OVAでもいいからアリすずを機動六課に出向させてほしいなあ。

-`).。oO(力いっぱい百合だなあ)
28名無しさん@ピンキー:2007/08/02(木) 22:45:04 ID:/SKAoMmr
GJです。一途なアリサいいなあ…
29名無しさん@ピンキー:2007/08/02(木) 22:52:42 ID:64MjZ+pP
>>26
GJ!!!
こんな起動六課も面白そうだ。

そしておめでとう。
30名無しさん@ピンキー:2007/08/02(木) 22:57:50 ID:qcQsLa2m
GJ!んで、ハッピーバースデー!

俺もゲンヤさんメインで最終回予想の作ったんだけど、
感想が収まるまで待ったほうがいいかな?
31名無しさん@ピンキー:2007/08/02(木) 22:57:56 ID:M351Yee6
>>26
お前誕生日って言えば祝ってもらえるとでも思ったの?
めでたい奴だなホント。考えが甘いんだよ。
でも世間一般の人はそんな考えに乗せられるほど甘くねえんだよ。
とっとと失せろよお前。自意識過剰なんだよ。
うざいったらありゃしねえ。
32名無しさん@ピンキー:2007/08/02(木) 23:02:24 ID:ETYSjQXP
GJ!!あまりみない組み合わせでおもしろかったです

そしておめでとうございます
33名無しさん@ピンキー:2007/08/02(木) 23:02:40 ID:+QqwWVjI
>>26
GJ!!
・・・ってちょっと待て。何だそのただれた関係図はwww
34名無しさん@ピンキー:2007/08/02(木) 23:05:25 ID:hJnd+8xH
夏だな……
35名無しさん@ピンキー:2007/08/02(木) 23:09:07 ID:GbOUnraW
ああ、夏だけに海でアオカンする
なのは×ユーノだな
36名無しさん@ピンキー:2007/08/02(木) 23:12:01 ID:+McxDZ+3
その二人で海だと、のんびりするユーノと、構ってよー、ななのはしか想像できないんだがw
てことはなのはさんがユーノを襲――
37名無しさん@ピンキー:2007/08/02(木) 23:14:48 ID:5AJbkjeS
>>31
なんというツンデレ
38名無しさん@ピンキー:2007/08/02(木) 23:39:01 ID:jmqFQFji
>>26
GJ!
そして、おめでとうございます。
39名無しさん@ピンキー:2007/08/03(金) 00:10:22 ID:8KwJV32N
>>26
なんだ!?何かエラいいい感じにGJ
レ…じゃなくて百合百合見たのも久しぶりな気がす
最近の職人さんはレベルたけえ
またお願い
40辻義理:2007/08/03(金) 00:13:26 ID:ShQ0H2Ec
すごく短いので大丈夫のはず。というわけで投下します。

分類:最終回予想
   エロなし、超短め

 ゲンヤ・ナカジマがメインということで
41辻義理『例えばこんな最終回』:2007/08/03(金) 00:14:36 ID:ShQ0H2Ec


 激化するナンバーズと機動六課の死闘。
 その中で、事態を好機と判断したレジアス・ゲイズ中将の命により、
地上殲滅兵器アインヘリアルによる掃討作戦が断行されようとしていた。

 前線で戦っている機動六課をも犠牲にして――――。



「……誰かがアレを止めなきゃなんねぇ。八神でも、高町の嬢ちゃんでも、テスタロッサのお嬢でもない……ここにいる、誰かが、だ」
「父さん……私、行くよ」
 応えるのは少女。ナンバーズの一人との死闘に勝利し、自身も負傷を負った自分の娘。
「スバル……。止めとけ、お前のマッハキャリバーはもう……」
「大丈夫。私には、まだリボルバーナックルがあるから。……ギン姉と母さんがついててくれるから」
 娘の両手に輝く鈍色の籠手。
 泣き虫だった末っ子は、いつの間にか自分の肩と頭を並べるまでに成長していた。
「……ったく」
「と、父さん……?」
 抱きしめる。
 幼い頃から変わらぬ温もり。思わず笑みがこぼれてしまう。
 ああ、そうだ。誰が何と言おうと、こいつは俺の自慢の娘だ――――。
「おおきくなったな、スバル」
「と、とうさ――――ァッ!?」
 娘が呆然と下を見る。腰を入れた拳は、娘の腹に深く食い込んでいた。
「油断大敵だ、スバル」
「な、ん……で?」
 崩れ落ちる娘の首筋に手刀を落とし、意識を刈り取る。
 思ったよりも重いその身体を支えながら、そっと地面に横たえた。
42辻義理『例えばこんな最終回』:2007/08/03(金) 00:15:20 ID:ShQ0H2Ec
「昔っから戦場であぶねえ役目を負うのは、老兵と相場が決まってらァ」
 ほんの少し涙に濡れた娘から、両腕の籠手を抜き取る。
「リボルバーナックル……少し借りとくぜ。それから―――」
 制服のポケットから取り出したのは、一つのペンダント。
今は蘇生作業を行われているであろう、もう一人の娘の相棒。
「お前もやられっぱなしってのは御免だろ?」
『Yes!』
「いくぜ、ブリッツキャリバー」
 両腕には籠手を、両足にはローラー付きの脚甲を備え、どこで情報を仕入れたのか、デバイスが身体に纏わせたのは、数年前の自分の鎧。

 ―――最後に娘の頭を一撫でして、腰を上げる。
 眺める先には管理局精鋭の陸士部隊。数こそ少ないが、前線から引いたOBが敵う相手ではないことは明らかだった。
 だが。
 それでも。
「ああ、負ける気がしねえ――――」
 スバル、ギンガ、そして自分が愛したただ一人の妻、クイント。この老いた両腕は、あいつらを背負っている。あいつらの魂が宿っている。
 なら、負けるはずがない。誰が何人束になってかかってこようが、『俺達』が負けるはずがない――――!

「――――俺達は老兵だ。ガキの成長を眺めるだけで、それだけで幸せな人間だ」
『Wing Road』
 眼前に展開される翼の道。
 きっと、これがゲンヤ・ナカジマの、生涯最後の空。
「俺達が出しゃばる必要なんかねえ。前線は若いもんに任せて、俺達は後ろでふんぞり返って、ただ……見守ってりゃいい」
 顔を上げる。見上げれば、アイツの好きだった空が、今も昔もそこにある。
「――――――ッ!」
 走る。
 握られた両の拳は、固く、堅く、硬く――――!

「老いぼれはお役御免だ。幕を引こうぜ、レジアス・ゲイズ――――!」



 すまねえなクイント――――。
 約束……守れないかもしれねえ。
 そっち行ったら、いくらでも殴られてやるから。
 だから。
 だからよ――――

 今だけは、俺に力を貸してくれ―――――――。



43名無しさん@ピンキー:2007/08/03(金) 00:15:27 ID:rBx1eH6L
>>26
GJ!!アリサ可愛いよアリサ
>>31のツンデレっぷりにちょっと萌えた
44辻義理:2007/08/03(金) 00:16:42 ID:ShQ0H2Ec
これだけなんです。
短くてすみません。1レスでまとめられなかっただけなので
45名無しさん@ピンキー:2007/08/03(金) 00:19:06 ID:QLLpbeL+
>>44
ゲンヤパパカッコイイ!GJ!
…だけどたしかゲンヤパパ魔力ゼロだったよね
46名無しさん@ピンキー:2007/08/03(金) 00:22:14 ID:yJYOLe9u
>>44 GJ。ゲンヤパパマジ格好いい。 
本当にありえそうだから困る

>>45 あれだ、そこは脳内補完で設定改変・・・・・・無理があるか。
47辻義理:2007/08/03(金) 01:17:15 ID:ShQ0H2Ec
すんません……ゲンヤのとっつぁんは魔力ゼロだったんすか。
知らなかったっす……アニメであったかな?観察不足か……
三佐だから、それなりに強いじゃないと思ったんだがなぁ。
まぁその辺りはカートリッジシステムで――――ってああああああ描写し忘れたああああ
48名無しさん@ピンキー:2007/08/03(金) 01:47:31 ID:7Z4i+2dq
ゲンヤのとっつあんでも魔法のマタンゴを食べれば、アースラですら一人で動かせるさ。
49名無しさん@ピンキー:2007/08/03(金) 01:49:31 ID:HbQYg93T
ハンドルつけるよりも作品投下するよりも
まずsageろ
50名無しさん@ピンキー:2007/08/03(金) 01:49:43 ID:nxDeD0u5
>>48
やめて
今は昔のバビロニアやめて
51名無しさん@ピンキー:2007/08/03(金) 02:04:34 ID:fe2oGIUk
>>26
GJです!
もつれた
はやて→すずか→アリサ→←なのは←フェイト
の話も読みたいです!余力があったらよろしくです
52名無しさん@ピンキー:2007/08/03(金) 02:10:07 ID:CRFwTNti
むしろ「アースラ」の艦橋に最後まで残ってアインへリアルに体当たりかます方がいいと思うぞ。
53名無しさん@ピンキー:2007/08/03(金) 02:17:48 ID:O4/BJOEt
>>26
終わり方がきりいいの分かってるけどそれでも続編期待しつつGJ!
54名無しさん@ピンキー:2007/08/03(金) 02:25:32 ID:6iyNtavi
スバル×エリオとか書く人いるのかな?
スバルってエリオとも普通に風呂やシャワーに入りそうな気がする。
そもそもスバルはエリオを異性としてみてない感じがするから裸同士で
何しても違和感ないと思う
55名無しさん@ピンキー:2007/08/03(金) 03:11:47 ID:fQ1Iskv/
スバル×エリオ×キャロの3Pならどうよ!?


スバルが戦闘機人だということが判明
   ↓
自分の身体を受け入れてくれるかわかんなくて恋愛が出来なかった
   ↓
キャロとエリオが同情して「なにかできませんか?」
   ↓
スバル「じゃあエリオとキャロの恋人になりたい」
56名無しさん@ピンキー:2007/08/03(金) 03:26:51 ID:eDVLembU
そこまで行ったらティアも混ぜてあげろよ・・・

四人で楽しく乱交中になのはさんが「話は聞かせてもらったの!」
ヴァイスはスコープでTI☆RA☆TI☆RAと
57名無しさん@ピンキー:2007/08/03(金) 05:41:38 ID:LLno8Q0b
スバル×エリオは需要あると思う
俺も激しくその一人だし
普段はスバルに引っ張られるエリオだけど、ベッドの上では逆にからかいまくりみたいな
58名無しさん@ピンキー:2007/08/03(金) 07:21:23 ID:njcPAnsb
ルーテシア×ガリューとか
ゼストの旦那×アギトが見てみたい私は異端者だよね
59名無しさん@ピンキー:2007/08/03(金) 07:55:53 ID:pOqHsPAU
(ルー子→エリオ←キャロ)←執務官


こんな妄想をだね(ry
60名無しさん@ピンキー:2007/08/03(金) 07:56:25 ID:x+payBj1
俺は、ルーテシア×エリオが見たいです。

しかしエリオは設定だけ見れば主役張れるのに
実はガリューがいなければ存在する意味無いんじゃorz

ルー子とのお友達になろうイベントもキャロ単独でやられたりして……
61名無しさん@ピンキー:2007/08/03(金) 08:00:07 ID:9hxZBTGx
>>58
下の2人なら頑張ってみようか?時間かかっていいなら。
62名無しさん@ピンキー:2007/08/03(金) 08:03:38 ID:njcPAnsb
>>61
よろしくお願いします
63名無しさん@ピンキー:2007/08/03(金) 12:58:56 ID:99cepiT0
「なのは! なのは! なのは〜!」
ある晩、一人隠れてユーノはなのはの写真を見つめながら自家発電に勤しんでいた。
「ふ…ふふ…誰にも渡さないよ…なのは…ふふ…。」
ユーノは薄ら笑いを浮かべながら何か呪文の様な物を詠唱する。
するとどうだろう。ユーノが握って前後に擦っていたソレの正面に魔法陣が出現する。
「なのは…い…行くよ…うっ!」
                どびゅっ
ユーノのソレから発射された白い物体は魔法陣に吸い込まれた。
ユーノが行ったそれは転送魔法。白い物体が転送された先はなのはの子宮内だった。
「ふ…ふふ…これで良い…これでなのはは…ふふふふ…。」
ユーノはただただ怪しい笑みを浮かべるだけだった。


>>26
無事にアリサがその仕事を続けられる様で安心した。
あと、アリサだけでなくすずかも来ると言う意外展開に噴いた。

>>41
ゲンヤナカジマ渋過ぎる…
64名無しさん@ピンキー:2007/08/03(金) 14:22:21 ID:JT8oZQUw
>>63
黒いよユーノ…
ユーノ黒いよ…

でもGJ!ダーク系も好きな私には続きを期待してます!
65名無しさん@ピンキー:2007/08/03(金) 14:24:14 ID:JVdkVTfJ
結界で避妊したり、転送で妊娠させたり、ユーノくんは忙しいやっちゃなぁ
66孤兎狸 ◆kotorixGkE :2007/08/03(金) 20:33:29 ID:WFUyKp1W
|・ω・)ほとぼりが冷めたころにまたひょっこりと……。

狐兎狸です。毎度。
ちょっとはマシな文章書けるようになって来たかも知れないので試しに投下させてください。
10kbあるので新スレにて失礼。


■注意事項
 ・軽い百合モノです。なのは×フェイト。
 ・えっちシーンはありません。
67孤兎狸 ◆kotorixGkE :2007/08/03(金) 20:34:18 ID:WFUyKp1W



 湯上りの髪をタオルで拭きながら、階段を上がる。
 先に上がった大切な友人にジュースとお菓子の土産を持って。
 ぱた、ぱたとスリッパの音を響かせ、自分の部屋へ向かう。
 明日は自分も友人もお仕事はお休み。
 お気に入りのパジャマを着て、ちょっと気合を入れる。
 久しぶりに夜を明かして、いっぱいお喋りしよう。

 この時間が、何よりも大切だから。



 なのはさん全開劇場 「うた」

    かいたひと:ことり




 階段を上がれば、部屋はそう遠くない。
 中には先にフェイトが待っているはずで。
 扉を開ければ、またいつもの笑顔で出迎えてくれるのだろう。
 自然にほころぶ顔を隠そうともせず、お湯でほてった頬を少し気にする。
 いや、へんな期待をしてるんじゃないよと、誰に言い訳をするでもなく。
 ぶんぶんと頭を振って、にやけた口元を一度締めなおす。
 また姉に見つかってからかわれるのはごめんだ。

 ドアの前に立って、ジュースとお菓子の乗ったお盆を抱えなおす。
 少し身をかがめてノブを引こうとすると、不意に聞こえてくるメロディに気づく。
 ただふんふんと、鼻歌ではあったけども、間違いなくそれは歌で。
 とても優しい、けれどどこか物悲しい響き。
 不自然な姿勢のまま、しばし聞き入る。
 歌っているのは間違いなく友人の声で、聞いたことのない調べに、夢の中のことなのかと錯覚する。
 と、不意に階下で起こる笑い声に、我に返る。
 こうしててもしょうがない。なんだかちょっと悪い子の気分になって、そっとドアノブに手をかけた。


68孤兎狸 ◆kotorixGkE :2007/08/03(金) 20:35:46 ID:WFUyKp1W

「あ、なのは、お帰り。早かったね。のんびり入っててもいいのに」
 花の咲くような笑顔。
 火照った頬がまた熱くなるのを覚えて、あわててお盆を机に運ぶ。
「にゃはははは、フェイトちゃん待ってるのに悪いよー。はい、ジュース」
 二本のうちの一本を渡す。
「ん、ありがと」
 お礼の言葉を聞きながら、にっこりと笑みを返す。
 自分の分のプルタブをぷしゅ、と捻って、高く掲げた。

『かんぱーい!』


 とりとめもなく、真夜中のおしゃべりは続く。
 学校のこと。友達のうわさ。先生の悪口。
 お仕事の辛さ。新しく見つけたお店。進路。
 楽しいときは本当に本当に、あっという間にすぎていって。
 「でね、みどりちゃん、そのときにねー」
 ベッドに腰掛けて、ころころと笑う声。
 ふと、部屋の前のことが脳裏に浮かぶ。
 自分の知らない友人の声。
 あのときには、いったいどんな顔をしていたのだろう。
 遠く聞こえる教会の鐘のように、虹の彼方から運ばれてくるような幻想的な音。
 気づくと会話の止まった私を覗き込むように、友人が怪訝な顔を向けていて。
 あわてて手を振り、ごめんごめんと苦笑いをする。
「変ななのは……私の顔、なにかついてる?」
 くすくすと笑われて、ぷーっとむくれる。
 ……でも、やっぱり気になる、かな。
「……ね、さっき歌ってた歌、ちゃんと聞かせてくれない?」
「え、さっき……って」
「私が部屋に入る前に、フェイトちゃんが歌ってた奴。なんだか、すっごく綺麗だったから、気になっちゃって」
 ふともらした何気ない言葉。
 それを聞いた瞬間に、みるみる赤くなっていく友人。
「え、いや、あのっ、あれは……わ、忘れて、忘れてっ!」
 ……あれ、なにか触れちゃいけないことだったのかな。
 そんなことを思っても、狼狽する姿があまりにも可愛くて、少しいじわるをしたくなった。
 カップをぽんと机に置いて、フェイトの隣に腰掛ける。
 もじもじしてる肩に手をかけて、真っ赤になって俯いた顔を下から覗き込んだ。
「やーだ。ね、ね、聞かせてー」
 う、と固まる表情。
 お願いを断りきれない友人を困らせてみる。
 にこにこと愛想を振りまいて、肩を揺らす。
 あうあうと呻きながら、しばらくの後、ようやく観念したように呟いた。
「ちょ……ちょっとだけ、だよ……?」
 か細い声で、耳まで赤くなりながら答えてくれる。
 にぱーっと笑って、肩から手を離し、座りなおす。
 うう、とほとんど泣きそうになりながら、フェイトは背筋を伸ばして、すうっと息を吸い込んでいった。

69孤兎狸 ◆kotorixGkE :2007/08/03(金) 20:36:37 ID:WFUyKp1W

 透き通る鈴の音。
 聞いたこともない異国の言葉。
 初めて聞くのになぜか懐かしい、胸に響く暖かい旋律。
 それよりもなによりも私をひきつけてやまない、親友の横顔。
 紅い澄んだ瞳を伏せ、胸に両手を当てて、フレーズの一つ一つをとても大切に抱きながら。
 薄く桜色の唇から篭れ出る、優しい歌声。頬をうっすらと赤くさえ染めて。
 この歌は誰に聞かせるものなのだろう。
 とても優しい、でも少し寂しげな旋律。
 何かを思い出させるような、涼やかに響き渡るメロディ。
 気づけば親友に習うように目を伏せて、浮かぶ情景に身を任せ、聴き入っていた。



 ふと。続いていたメロディが途切れる。
 夢の中から追い出されたように、不意に我に返って、顔をあげる。
 こぼれ落ちる金に隠れて、表情は見えないけれど、その肩はなんだか震えているように見えて。
「フェイト……ちゃん? どうし……」
 言いかけて。
 膝の上に置かれた手に、ぽつりぽつりと落ちる雫を見つける。
 ――泣いている。
 その事実に、胸が締め付けられる思いがして。
 慌てて謝罪の言葉を投げる。
 ごめんなさい、ごめんなさいと謝り続けて。
 何が悪いのかもわからぬままに、ただただ、無性に湧き上がってくる罪悪感に突き動かされる。 
 ふるふると首を振って、違う、なのはが悪いんじゃないんだという言葉だけが聞こえた。
 
 触れる事すらためらい、ただおろおろとする私の前で。
 しばらくの間、長く尾を引いて、嗚咽の声が部屋に留まっていた。



「この歌ね……小さいころ、母さんがよく歌ってくれてたんだ……」
 ひとしきり泣きはらして、ようやく落ち着いたころに、ぽつりぽつりと、フェイトが話し出す。
 二人ベッドに仰向けで寝転んで。
 天井を見上げる親友の顔は儚げで、手を伸ばせば消えてしまいそうに見えた。
「一緒にピクニックに行った時も……寝る前に、私がぐずっていた時も、夜中に目を覚まして怖くて泣き出した時も……
 いつも母さんは優しくて……私の頭を撫でてくれながら、この歌を私に聞かせてくれてた。
 この歌は……幸せだった母さんとの思い出なんだ」
 幸せの歌。ああ、そうだったんだ。だから、あんなに大切に歌えたんだ。
「……ごめんね。お母さん、思い出させちゃって……」
 ぼそ、と謝るなのはに、ううん、と首を振って、フェイト。
「違うんだよ……私、多分、この歌を聴いたことないから」
「……え?」
 話し続ける親友の顔は寂しげに微笑んだまま、天井を見据えて。
 誰に聞かせるでもなく、あくまでも独白のように。
 何もない宙へ向かって言葉を投げかける。
「……わかってるんだ。母さんは、私に歌を歌ってくれたことはない。
 この歌は……アリシアに向かって聴かせていた、ただの刷り込まれた記憶なんだって」
 つきん、と胸が痛む。
 母に愛される娘の姿。目を閉じれば鮮明に浮かんでくるそれが、ただの幻だと実感した時。
 それはいったい、どのような絶望なのだろうか。
 自分が、思い出させてしまった。
 古い古い、はがれかけていたかさぶたをえぐるように。
 いたたまれなくなって、思わず目をそらす。
「今でも時々……夢に見るんだ。アリシアじゃなく……私に微笑んで、この歌をやさしく歌って聞かせてくれる母さんの声……
 そんな事、ありえないってわかってるのに……馬鹿だよね、私」
70孤兎狸 ◆kotorixGkE :2007/08/03(金) 20:37:41 ID:WFUyKp1W

 きし、とベッドのスプリングがきしむ。
 寝転がったフェイトに、なのはの影が落ちて。
 そっと手を重ねる。
 触れることで何かを、切々と伝えるように。
「フェイトちゃん、その歌……教えてくれないかな?」
 虚を突かれたように目をまたたいて。
 静かな声で、けれど確かな重みを込めて、なのはが呟く。
「私が、歌ってあげる。フェイトちゃんに私から、幸せをあげる。
 欲しかった分、全部、全部あげるから……だから、教えて」
 きゅ、と重ねられた手に力がこもる。
 それはとても小さく、頼りなく、あまりに弱弱しかったけれど。
「いっぱい、いっぱい、幸せにしてあげるから……だから、そんな哀しい顔しないで」
 真っ直ぐに見つめてくる、なのはの瞳。
 それだけで、胸がいっぱいになって。
 どうしようもなく、奥底から溢れてくる気持ち。
 それは高く築かれた心の堤防をあっけなく打ち壊して。
 そっと差し出された指が頬を優しくなぞって、零れ落ちた涙をすくう。
「いつも、そばにいてあげるから……」

 覗き込むその目に、私が映る。
 瞳の中の自分は、ひどく滑稽に歪んだ顔で。
 情けなく涙ぐみ、汚くて、醜くて。
 なのにそんな姿を映し出すこの鏡は、なんと綺麗なのだろう。
 にじむ世界に一人残されて、押し込めていた感情があふれ出る。
 気づけばすがるように抱きついて、みっともなく声をあげ、子供のように泣きじゃくっていた。

「あ……あう、うっ……なのは……なのはぁっ……」
 優しく私を包み込んでくれる温かい腕。
 ふわ、と頭に降ろされた掌が撫でさすってくれる感触がなによりも今は嬉しくて、切なくて。
 一度堰を切って出た涙はあとからあとから、寂しかった時間を押し流すように、とめどもなく溢れてくる。
「夢なんかじゃなく、幸せな思い出、いっぱい作ろうよ。いつも、いつも一緒に。
 だからお願い。フェイトちゃん、笑って――泣かないで」

 それは、私が一番望んでいた言葉。
 虚像だった幸せ。
 そんなものは私にはないんだと思っていた。望んではいけないんだと決め付けていた。
 私は――幸せになっても、いいのだろうか。
 この温かい胸に抱かれているだけで、十分すぎるほどに幸福だというのに。
 私はまだ、『これから』を望んでも、いいのだろうか。
 ……ねぇ、なのは?
 
 そっと頬に伸ばされた手に、なのはの顔を見上げる。
 涙でぐしゃぐしゃになって、ひっきりなしにしゃくりあげる私にゆっくりと諭すように、声が届く。
「一緒に、幸せ、作ろう?」
 つ、と涙を拭われ、目を閉じた私に、かすかになのはの息が近くなってきて。
「……フェイトちゃん、大好き」



 ほんの少しの間、私の嗚咽は止んでいた――――



71孤兎狸 ◆kotorixGkE :2007/08/03(金) 20:38:20 ID:WFUyKp1W


 それから、何度か日が昇り、また落ちて。
 いくらかの日々が過ぎ去ったころ。
 小高い丘の上の花畑に、少し背丈を伸ばしたなのはの姿があった。
 かたわらに小さな少女を連れて。

 草の上に座る二人、向かい合って。
 お弁当を入れたバスケットケースがお行儀よく見守る中、なのはがせわしなく手を動かす。
 手の中には連なる花の色彩が所狭しと踊っていて。
「ね、とっても綺麗でしょ、ヴィヴィオ?」
 そういって、女の子に編みあがった花冠を見せる。
 出来上がる様子を一心に見ていた少女は、満面に微笑んで。
「ほらおいで、ヴィヴィオ」
 名前を呼ばれて、なのはのほうへ身を乗り出す。母親に甘えるように。
 そっと小さな頭に花冠を乗せて。どこまでも愛しげに、微笑みを投げかける。
「うん、とっても可愛いよ、ヴィヴィオ……」
 かけられた言葉に嬉しくなって、二人顔を見合わせ、笑いあう。
 まるで親子のように。

「ねえなのはママ。また、お歌歌って!」
 一面に咲く花よりも輝く笑顔で、娘が母親にお願いをする。
 いつもいつも優しい声で聞かせてくれる、あの歌を。
「ん、いいよ……この歌はね、フェイトママの大事な大事な人が教えてくれた、とっても大事な歌だから。
 ……この歌を聴いて育った子はね、みんなみんなフェイトママみたいに、優しくて、綺麗で、とっても素敵な人になれるんだよ」
 いつもなのはは、必ずそういってから歌を聞かせる。
 けしてそれは、夢や幻なんかではないのだと。
 紛れもなくそれは大事な娘に送られた、確かな愛の形なのだと。
 たとえそれは思い出の中だとしても。

 野辺に咲く花は枯れようともいつか実をつけ、やがて種となって大空へと舞うだろう。
 絶望の絶壁に辿り着くとも、力強く、大きく根を張って。
 そうしてまた、花は咲く。脈々と受け継がれる愛を胸に。

「だからヴィヴィオ、お願い。あなたが大きくなって、誰か大事な人ができたら。
 ――この歌を、教えてあげて。たくさんたくさん、一緒に歌ってあげて。
 一緒に……幸せになってあげて」


 小高い丘に風が吹く。
 精一杯に咲く花たちを輝かすように、優しく撫で行きながら。
 空高く響くコーラスを、はるか夢の彼方まで運んで。
 暖かい日差しの中で二人、在りしあの日の姿を映し、どこまでも聞こえるように、高らかに歌う。




 とてもたいせつな、しあわせのうたを。






              fin.
72名無しさん@ピンキー:2007/08/03(金) 20:41:56 ID:vl0fURjX
>>71
どっかで見たことあるな。まあそれはともかくGJ!
73孤兎狸 ◆kotorixGkE :2007/08/03(金) 20:42:45 ID:WFUyKp1W
以上です。
実は初百合なので拙い点はご容赦ください(−−;
お目汚し失礼しました。では今度こそ名無しに戻ります。
もし興味もってくださった方いらっしゃいましたら、
自HP作りましたのでそちらの方に来て頂けると嬉しいです。
「狐兎狸」で検索すればHITするかと思います。
ではでは。
74名無しさん@ピンキー:2007/08/03(金) 20:59:04 ID:H5avWphX
>>72
同じくだ、最後のヴィヴィオ部分以外は見た覚えがあるな。どこで見たのかはとんと思い出せんが
75名無しさん@ピンキー:2007/08/03(金) 21:37:51 ID:OvQx3zyr
>>73
気のせいじゃなく見たこと有るけど、GJ!
76名無しさん@ピンキー:2007/08/04(土) 09:01:07 ID:SPEi26p7
>>72
GJ!
でも、今はただ本編のヴィヴィオの無事と
幸せを祈るよ・・・・゚・(つД`)・゚・
77名無しさん@ピンキー:2007/08/04(土) 09:20:09 ID:/qzXjP0G
志村ー安価安価
7876:2007/08/04(土) 09:35:14 ID:SPEi26p7
うお、安価しくじったw
明日の放映で、何か展開あるかなぁ・・・。
79名無しさん@ピンキー:2007/08/04(土) 12:10:07 ID:+CKKcWlY
>>47

確かにゲンヤは魔力ゼロだが…手段は無くもない。

簡単に言えば【ジュエルシード】のようなアイテム自体に魔力が込められている
モノを用意すれば魔法を使えなくも無いよ…基本的に死亡フラグだけど。
80246:2007/08/04(土) 12:45:27 ID:hHx+s+ur
前回のおもらしなのはさん、読んでくださりありがとうございました 246 です。

前スレの感想レスに沢山合ったユーノ君ですが、ユーノ君が好きなのはツルツルの割れ
目であって、今のなのはさんの爛れた体ではありません。

今回は、新作ヤンデレなのはさん。

一応メインは、ユーノ×なのはです。
長編で、エロは話の最後のほうだけ。
今回はエロなしです。

注意

鬱展開鬱エンドです。
誰も救われません。
一応、最終話の1話前までに本編16、17話までの時系列のつもりです。

では、外道でも爛れてもおもらしでもないなのはさん、はじまります。
81Nameless:2007/08/04(土) 12:46:23 ID:hHx+s+ur
 そっと、彼が彼女の膨らんだ腹を撫でて笑みを浮かべていた。

「もう結構大きくなってきたね。もう動いてるんでしょ?」
「う、うん……あのね凄いんだ……ドンドン、ドンドンって私のお腹沢山蹴るんだよ?」
 その言葉に興味がそそられたのか、彼が彼女の腹に耳をあて目を瞑り、我が子の生の
鼓動を感じ取るようにする。
 確かに感じるのは、音ではなく彼女の腹の中に一つの命があること。愛し合い、彼女
を守りながら手にした生涯の宝物。
 彼の普段の優しそうな表情が何倍にもなり、彼の頭を撫でていた彼女も目を細めて微
笑んだ。
 膨らんだ腹に耳を当てられている羞恥心も、彼が自分の中にある命を愛でていること
に比べれば些細なこと。

「もうすぐ……だよね? もうすぐ、私達の赤ちゃん生まれてきてくれるんだよね?」

 視線を巡らせれば、部屋を埋め尽くしているのは新しい家族への贈り物。
 その、他の者が見れば苦笑するほどの量は、二人がどれ程までに愛情を込め、この腕
で抱きしめられる日を心待ちにしているのかが、手に取るように分かるようだった。

「君も、体の方は大丈夫だよね? もしもなんて、僕いやだよ?」
「大丈夫……私、この子の為だったら頑張るから」

 彼が心配しているのは、体ではなく心のほう。それを分かっている彼女が申し訳なさ
そうに眉を下げ、今できる精一杯の笑顔を浮かべた。
 愛情が込められた子供へのプレゼントは、同時に彼女がどれ程までに今の状態まで立
て直したかと比例した。
 もうそのことは考えない。これから、彼女は更によくなっていくはずなのだから。

「うん、今の君の姿……みんなにも見せてあげたいなぁ……」
「あ、そろそろこの子のお名前考えてあげなきゃ駄目だよ」
「そ、そうだね……うーん、何がいいのかなぁ……僕こういうの得意じゃないかも……
もう何か考えてる?」

 困り顔の彼に苦笑して、彼女が小さく頷いた。
 その表情は、今の彼女には珍しい、自身に満ち溢れた綺麗な笑顔だった。

「へぇ、どんなのかな? 教えてよ」
「じゃあ、耳貸して」

 何も考えず彼女に耳を向け、言葉を待った。耳に微かに感じる吐息。彼が、焦れたよ
うに彼女に視線を向け目を瞑る。

「ん……」

 気持ちよさに頬を染め、彼女が余韻を感じながら彼から唇を離して瞳を見つめた。

「秘密だよ」
「えっ、なんでなのさ、別に秘密にしなくてもいいんじゃないの?」
「あのね、私が考えた名前……きっと気に入ってくれるから……きっと、同じこと思ってくれるから」
「え……?」

 彼を手を握り、彼の瞳に自分を映す。同じように彼の瞳に映るのは、彼女の彼を信
じきった微笑みと輝いている瞳だけ。
 まだ前のようには戻らないけれど、それでも十分に綺麗だと感じることが出来た。

「真剣に考えて。この子の名前、誰よりも幸せに、誰よりも優しく……そんな名前。
私と同じなら嬉しいなぁ……」
「そっか……」
82Nameless:2007/08/04(土) 12:47:49 ID:hHx+s+ur
 自分と彼女が確かに繋がっているならば、きっと同じ未来が待っている。
 自分達の子をこう呼びたい。そう願う未来はきっと同じの筈だから。

「分かった。君が考えたのと同じ名前、僕もきっと考えてみせる……だから、待ってて
ね」
「うん……待ってる。信じてるから……」

 彼女の笑顔に、彼も頷いて笑みを返した。


 この日結ばれた約束は、永遠に――――


「い、や……いやっ、いやっ……いやぁぁぁぁぁぁ――――!!!!!」


魔法少女リリカルなのはStrikerS
―Nameless―
(1)


「ふへぇ……すごい……」

 見上げた先、大きな青の双眸をさらに大きくしてスバルが知らず呟いていた。それ
は、何度目か分からない感歎の声。今もなれない無重力状態もその一つだ。
 そんなスバルに苦笑し、彼女に背を向けていたなのはが同じように上を見上げる。

「うん、私も昔は驚いたなぁ……全然整理されてなくてね、みんなで片したんだ」
「こ、これを、ですか……」
「そう、まぁ私達は自分の仕事の合間だったよ。これを片付けたのは殆ど、ユーノく……ユーの先生だよ」

 時空管理局が誇るデータベース、無限書庫。その名前に恥じない本の山と、限りなく
重力が開放されたこの空間は、それだけでここが普段自分達のいる場所と違う、異質な
空間と錯覚させていた。

「ユーノ・スクライヤ先生……この無限書庫を当時10歳で機能させた方……」
「大げさだなぁ、ほらこれ渡すだけなんだから早くいこ」

 拳を握っていきこんだスバルの肩を叩き、なのはが持っていたデータをスバルに掲げ
た。
 先ほど、彼女が普段の呼び名ではなく、”先生”と呼んだのも同じ理由。起動六課が
警備に当たったオークション会場。起きた事件の概要と事後報告が今日のなのは達の訪
問理由だ。

「どんな方なんですか? まだ会ったことがあるわけじゃないんで……」
「うーん、私達の幼馴染だってのは話したよね? レイジングハートの前の持ち主で、私の魔法の先生で――――」
「え、とそれも聞きました」
「あれ、うーん……」

 司書長室に向かう途中、なのはが唸りながら首を傾げる。
 そもそも、新人であるスバルが六課の隊長であるなのはと一緒に無限書庫に向かった
理由は、先ほどのなのはの言葉にもあった”高町なのはの魔法の先生”に他ならない。
 名前を聞くだけで、鍛え上げられた武装局員が裸で逃げ出すという嘘のように囁かれ
ているなのはの魔法の基礎を作り上げた存在。なのはに憧れているスバルが、誘われて
首を縦に振らない理由はない。
83Nameless:2007/08/04(土) 12:48:47 ID:hHx+s+ur
「まぁ、会えば分かるんじゃないかな? すごくいい人だよ」
「はぁ……でも、何でわたしを誘ってくれたんですか? あっ、別にイヤだったとかそ
ういう訳じゃなくてですね――――」

 慌てて取り繕うスバルの頭を撫で、なのはが司書長室へと繋がる通路を見た。

「スバル、あそこからは歩いていけるからね」
「は、はい……って、なのはさんっ!」

 背中を見せて先行するなのはを、慌ててスバルが追いかけた。追いかけながら、会話
の途中ではぐらかされた答えを求めて、スバルがなのはに手を伸ばす。それに気づいた
なのはが振り返り、苦笑いを隠さないで口を開いた。

「さっきの質問、どうして私がスバルを誘ったか……」

 軽快なステップで床に足をつけ、なのはが大きなため息をついた。それを見届けなが
ら、スバルが同じようになのはの隣に立ち目を見張る。

「分かった?」
「な……」

 頷くこともできず、猛烈な脱力感に襲われながらスバルが視線を巡らせる。
 通路の一番奥にあるのは、本日の目的地である司書長室。そして、司書長室からあふ
れ出しているのは、主が置き去りにした本と書類の山だった。
 こちらへ近づくにつれて段々と少なく、逆を言えば司書長室に近づくにつれて段々と
多くなっていくそれに、スバルは閉口するばかり。

「はぁ、折角片付けてあげたのに、またこんなにして……ホントだらしないんだから」

 そして、なのはは言葉とは逆に、どこか嬉しそうに彼の性格にため息をついた。
 なのはを見上げていたスバルが、内心それに微かな違和感を覚えたが、それに対する
答えはすぐに見つかった。
 彼に会いたかったのだろう。この仕事は本来はフェイトの仕事だったはず。それを教
導官であるなのはがやる必要はない。それなのに、今もしかめっ面で雑多な通路を見て
いるなのはは、フェイトに頼んでそれを承ったのだ。
 その行動の理由も、今もどこか嬉しそうな表情も、仕事という枠を取り払った表情が
物語っている。

「うわ……こっちも凄い……」
「そう、ですね……ていうか、床が見えません」

 故に、スバルがただ絶句する本と書類、ゴミに埋め尽くされたこの空間にも、なのは
は隠し切れていない笑顔を見せていた。

「スバル、こっちだよ」

 その荒れた部屋の中を、なれた様子で縫うなのはの手招きに、スバルが焦りながら背
中を追った。
 ポンと急に立ち止まったなのはの背中にぶつかり、スバルが赤くなった鼻を擦りなが
ら、目的の人物、ユーノ・スクライヤを視界に納めた。

「折角選んであげたのに……もう、しわくちゃ……」

 着ている服は、あの時と同じ高級そうな緑色のスーツ。あの時と違うのは、そのスー
ツが皺だらけの悲惨な状態になっていることくらい。
 微かに残念そうななのはが彼の無精ひげだらけの顎をさすり、微かに動いた彼に目
を細めた。
 来客用のソファ、それにだらしなく腰をかけながらユーノは、疲れた体を癒すかのよう
に深い眠りについた。
84Nameless:2007/08/04(土) 12:49:36 ID:hHx+s+ur
「なのはさん、どうするんですか? 凄い、疲れてるみたいですけど」
「うん、こんな目の下に隈つくって……ユーノ君が起きるまで部屋片付けてるよ。スバ
ルも手伝ってよね」

 ユーノの頬を撫でたなのはが、スバルに顔を向けた微笑んだ。その表情は、スバルで
すら頬を染めるような、優しげな表情。彼がいるから見せるなのはの表情なのだと、そ
の笑顔だけで判断できた。
 
「はいっ、じゃあユーの先生が起きるまでに片付けちゃいましょう」
「うん、その意気。ほんとスバル連れてきて良かったよ、4人組の中じゃ、一番力強いもんね」
「それ……あんまり嬉しくないです」
「そう? まぁ、それだけ期待してるってことだから」

 スバルの苦笑と共に始まった片付け。それは、スバルの予想以上に疲労を感じるもの
だった。
 肉体的にではなく、精神的に。
 何しろ、片付けるものは子供の玩具の類などではなく、彼の努力の結晶である論文や
その資料。果ては、スバルの階級では触ることはおろか見ることすら叶わぬものなど、
触れるだけで心をすり減らすようなものだった。

「あ、スバルそれはこっち……うん、ありがとう」
「はぁっ、い、いえー全然大丈夫です」

 それをなのはは、笑顔を絶やさず、まるで楽しんでいるかのように、精力的に片付け
に集中していた。
 そのおかげか、何度もこうやって片付けていたのだろう、慣れた様子でスバルに指示
を出し、スバルが最後の一山を片付けたところで、疲労の割りに以外に短時間で片付け
は終了した。

「おわったぁぁぁ!!」
「ふぅ……お疲れ様。喉乾いたでしょ? これ私の家のコーヒーなんだ。飲む?」
「はいっ、頂きます……あれ、頂きますって、なのはさん勝手に淹れていいんで
すか?」
「いいよ。ユーノ君、どうせ飲むのは栄養ドリンクだもん」

 ユーノが眠るソファの対面にスバルが腰を下ろし、なのはが静かにカップを差し出
した。

「あ、美味しい……」
「よかったぁ、これね私がために帰って持ってくるんだ」

 満足げに微笑んだなのはに、慌ててスバルが体をずらした。だが、なのはは首を振る
と、そのままユーノの眠るソファに腰を落ち着かせる。
 小さくは無いソファ。だが、男性の身長ほど大きいわけでもなく、なのはがユーノの
眠るソファに腰を下ろしたということは、必然的に彼をどかさなければならない。

「ほんと、疲れてるんだね。もうちょっと眠らせてあげるから、はやく起きてよね」

 スバルの視線を感じ、やや恥ずかしげに頬を染めたなのはが、ユーノの頭を撫でなが
ら淹れたてのコーヒーを口に運んだ。
 ユーノは気持ちよさそうに眠っている。それもそのはず、硬いソファのひざ掛けでは
なく柔らかい、なのはの太ももが枕に変わっているのだから。

「スバル、どうする? 私はこのまま待ってるけど」
「わたしも待ちます。というか、片付けだけさせて帰らせるつもりなんじゃないで
すか?」
「ち、違うよっ! スバル何言ってるのっ!?」

 珍しく、というか殆どはじめて見るなのはの慌てた表情。首をかしげたスバルが何か
に思い当たり、内心で数えるのも憚られる、何回目かの感歎の息を吐いた。
85Nameless:2007/08/04(土) 12:50:36 ID:hHx+s+ur
「なのはさんと、ユーノ先生、もしかして付き合ってたりとかですか?」
「……違うよ。ユーノ君は私の幼馴染で親友で、家族だから」
「へ? そ、そうなんですか?」

 そうだよと、強く頷いたなのはの表情。その、殆ど分からないほどの影に、スバルは
気づいた。
 だが、何が言えるわけでもなく俯き黙り込んでいると、なのはの方から微かに聞こえ
たのはくぐもった声。

「おはよ、ユーノ君」
「ん……なのは、来てたんだ……ごめん、おはよ……」

 それはようやく、ユーノが目を覚ましたという報せだった。
 なのはが撫でていた手に、気持ちよさそうに目を細めハッと我に返って見たのは、顔
を赤くしたスバル。
 ユーノが慌てて飛び起き、ハハハと乾いた笑い声を出しながら苦笑した。

「ごめんっ、一人じゃなかったんだ」
「す、すいませんっ! え、とっスバル・ナカジマです! 今日はなのはさんの付き添
いで伺いましたっ!」
「そ、そうなんだっ、何か飲み物……は、もうあるね。んー、もしかして……二人でず
っと待ってた?」
「待ってたじゃないっ! ユーノ君っ! この部屋見てなんとも思わないのっ!」

 慌てたまま取り繕うユーノとスバル。それに対し、なのははまだ一言もコメントの無
い部屋を指しながら、頬を膨らませた。
 苦笑いが全く消えないユーノが、そのまま頭を下げてなのはに謝る。
 もう何度も繰り返したような、そんな自然さが気持ちよくて、スバルも自然に微笑ん
でいた

「オークション会場の事件の報告だよね、待ってたんだけどいつの間にか眠ってたみた
いで」
「いいよもう。ユーノ君、毎日大変だから……でもそれなのにゴミの中、カップ麺ばっ
かりだよ? そんなに忙しいの?」
「いや、お昼くらい取ろうと思えば取れるんだけど……食べに出るくらいならって思う
と中々ね」

 なのはがため息をついた後、不意に会話を止め表情を引き締めた。スバルが良く見
る、仕事の時のなのはの表情。それを見たスバルも背を伸ばして、微かに現れた緊張を
堪えた。

「ユーノ・スクライヤ先生、遅れましたが先日のオークション会場の事件の調査報告
です」
「はい確かに……でもさ、これ僕が見ても意味ないんだけどなぁ」
「はぁ、そんな事言わないの。ユーノ君だって、一応その場にいたんだから」
「えっ、もう終わりですかっ?」

 そのあまりの呆気なさに、思わずスバルが身を乗り出した。終わりだよと、なのはは
首を傾げるが、スバルの疑問は収まらない。

「もっとこう、何か面倒くさそうな手続きとかないんですか? 直接来たのに」
「まぁ、こんなの連絡して転送すれば済むようなものだしね。ここに来た本当の目的
は、ユーノ君の仕事場の片づけだよ」

 閉口したスバルに、なのはが目を細めて微笑んだ。つられたスバルもかわいた笑いで
返すが、視線に気づいて表情に緊張を走らせた。
86Nameless:2007/08/04(土) 12:51:33 ID:hHx+s+ur
「な、なんでしょう!? ユーノ先生!」
「そんなに緊張しなくていいよ、さっきみたいで。いや、聞いてた通りの子だなぁっ
て。よく、なのはが新人四人の事話してくれるからね。毎日頑張ってるとか、色々ほめ
てるよ」
「は、はぁ……そうなんですか? なのはさん?」
「頑張ってるよスバルは。でも、褒めたからって怠けない事。後、頑張りすぎもだめだ
からね?」

 教導官の顔でなのはが一言。それは、オークション会場での事件の後、スバルとパー
トナーのティアナの起こした一つの失敗。
 思い出し、表情を少し暗くしながらスバルが頷くと、なのはがスバルの頭を微笑ん
だ。先ほどと同じ、優しい笑みで。

「スバル、ユーノ君と話したかったんでしょ? もうお仕事の話じゃないんだから、全
然構わないんだよ?」
「ん? 僕に何か用だったのかな? えーと、あの時、スバルの姿だけは見たことある
んだけど……」

 これといって思いつかない。ユーノが答えの出ない考えに没頭していると、意を決し
たスバルが真っ直ぐにユーノを見つめて口を開いた。

「あのっ、私4年前の空港火災でなのはさんに助けられてっ、なのはさん見たいに強く
なりたいって、魔導師になったんです!」
「そっか、なのはに……」

 それは、特に珍しいことではない。雑誌の取材にも度々登場するなのはに憧れている
という存在は、数え切れないほどいるだろう。
 ただ、ユーノが見てきたそういう者達の中でも、スバルは本当になのはに憧れている
のが伝わるほどに強い目をしているような気がした。

「それで、私……ユーノ先生が、なのはさんに魔法を教えたって聞いて……」
「あ……そういう事……」
「にゃはは……ごめん、ユーノ君。餌にしちゃった」

 鼻息を荒くしたスバルの視線を真正面に受けながら、ユーノが盛大なため息を一つ吐
いた。
 きょとんとするスバルに、申し訳なさそうに眉を下げ、もう数えるのも面倒になった
言葉を口にした。

「ごめんねスバル、僕はなのはにレイジングハートをあげただけなんだ。なのはが強く
なったのは、なのはが頑張ったからだよ。僕の力じゃない」
「そう、なんですか……すいません」
「気にしないで。それに、僕なんかが教えるより、教導官のなのはが教えたほうがずっ
といい。なのはの教導だけじゃ、不安?」
「そんな事ありませんっ! なのはさんはちゃんとわたし達の教導やってくれていま
す!」

 テーブルを叩きつけて、スバルが感情のまま立ち上がった。そのまま我に返り、すい
ませんとまた勢い良くソファに座って体を丸めた。

「怒らせちゃったかな? ごめん、なのはがしっかりやってるのはスバルほどじゃない
けど分かってるつもりなんだ」
「いえ……すいません……」
「気にしないでよ。それより、やっぱりなのはが話すとおりの女の子だ」

 顔を真っ赤にしたスバルと、それを見ながら微笑んだユーノ。二人を眺めながら、ユ
ーノの隣で常に嬉しそうな表情だったなのは。
 三人の始めての語らいは、なのはのスケジュールの都合上これでお開き。
 手を振って見送るユーノに、なのはが同じように手を振り返し、スバルが勢い良くお
辞儀をして背を向けた――――。
87Nameless:2007/08/04(土) 12:52:30 ID:hHx+s+ur
「遅かったね……片付けお疲れ様」
「へ、フェイトさん……?」
「あ、いけない」

 ――――本局を出た後、ミッドチルダに戻ったなのはとスバルの目の前にいたのは、
黒塗りの高級車のハンドルを握りながら、時間を気にしていたフェイト。
 意外そうなスバルに、言ってなかったと慌てたなのはがあやまりつつ、迎えに来てく
れたフェイトによろしくと手を振った。

「じゃあ、私はこれから聖王病院に行って来るから」
「あ、あの子の所ですね。分かりました」
「じゃあ、スバル行くよ」

 なのはの見送りで勢い良く飛び出したフェイトの車。突然の加速に、スバルが歯を食
い縛りフェイトを見るが、フェイトは硬い表情をしたままだ。

「フェイトさん?」
「どうだった? ユーノの所」
「は、はいっ、ユーノ先生凄く優しそうで」
「……なのははどうだった?」

 ギュッとハンドルを強く握ったまま、フェイトを前を見据えてそう呟いた。速度を増
していく車は、まるでフェイトの今の感情のよう。
 普段の暖かい印象と違うフェイトに、スバルが違和感を覚えながら考える。

「楽しそうって言うか……嬉しそうでした。ユーの先生と一緒にいるのが嬉しいよう
な」
「そう……」
「あの、なのはさんとユーノ先生って、付き合ってるとかじゃないんですか?」
「違う」

 それは、なのはにも質問したことだった。思い出しても、ユーノとなのはは長い時間
連れ添った夫婦のように、自然に想いあっている気がしたから。
 だが、それを一蹴するかのようなフェイトの即答に閉口し、スバルが黙り込む。
 長い無言の時間が過ぎ、視線の先に帰るべき隊舎が見えた瞬間、車が勢い良く急停止
し、スバルが反動で前に体を倒して鼻を押さえた。

「イタタ……また鼻うっちゃった。フェイトさん、どうしたんですか?」
「怖いんだ、あんまり近くに居過ぎるとね……逆に怖くなるものなんだ」

 それは、先ほどのスバルの言葉へのフェイトなりの答えだろう。ハンドルを強く握っ
たまま、スバルとは視線を合わす事無くフェイトが続けた。

「今までの関係が幸せすぎて、一言言えばもっと幸せになるかもしれないのに……スバ
ルはあるかな? 自分の一言が、その今までの関係を滅茶苦茶にしちゃうかもしれな
いって思ってこと」

 青空を見て、そんなまるで自分の事のように言葉を紡ぐフェイトの横顔を見なが
ら、スバルは首を横に振ることしか出来なかった。
 ただそれが、あの時のなのはの一瞬の影の理由だと理解できただけ。

「もう十年……なんでだろうね。近くにいるはずなのに……誰よりも遠い気がするん
だ……。誰よりもそばにいたいのに……全部分かち合いたいのに、何も言えない。嘘し
か言えない」

 再び走り出した車。先程よりゆっくり、目を見据えたフェイトから視線を外し、同じ
ように隊舎を見た。その拳が、強く握られていた。
 そして――――。
88Nameless:2007/08/04(土) 12:53:34 ID:hHx+s+ur
「スバルッ、あんたどこいくのよっ!?」

 時間は、あれからまだ一日しか経っていないお昼の事。昼食のため、スバルと共に部
屋を出たティアナが、突然方向を変えた彼女に手を伸ばした。
 立ち止まり、ティアナに体を向けることすら勿体ないというように、スバルがティア
ナに背を見せたまま言葉を紡いだ。

「ごめんティア。お昼ごはん、エリオとキャロと食べててくれるかな。行くとこあるん
だ」

 それは、勿体ないのではなくそれしか目に入っていないから。
 走り出し、ティアナの声を背中に浴びながら、スバルはただそこを目指していた。

「すいません、管理局起動六課、スバル・ナカジマですっ!」
「今日は、どういったご用件でしょう? 予定には入っていないのですが……」

 怪訝な表情の秘書に、スバルが勢いのまま口を開く。

「ユーノ・スクライヤ先生に用があって伺いましたっ、大事な用なんです! お願いします!」

 今、隠され続けた十年間の想い達が、蒼い風に押されて動き始める――――。









以上です、ありがとうございました。

まだ話は序盤。鬱も何もないですが、ユーノ×なのは←フェイトがうまく書けてれば
いいなぁと。

物語を動かすのはスバルですが、なのはさんを動かすのはフェイトさんです。

では次回、なのはさんの中の人のヤンデレ曲を聞きまくりながら頑張ります。
89名無しさん@ピンキー:2007/08/04(土) 13:12:48 ID:/qzXjP0G
これがどう壊れていくのかwktk
GJ!
90名無しさん@ピンキー:2007/08/04(土) 13:28:03 ID:01Bc0s2c
ここから鬱にもっていくのかと思うと今からwktkがとまらないZE!
91名無しさん@ピンキー:2007/08/04(土) 14:02:47 ID:m27kO1Wb
>>80
ヤンデレだとぉ?鬱だとぉ?
8話思い出して、ちょっとwktkしてきたんだぜ?
作品のタイトルの「Nameless」ってのが意味深ぽくて気になるな。
Nameless:名のない、匿名の、無名の、世に知られていない、言語道断の…etc.
92名無しさん@ピンキー:2007/08/04(土) 14:16:47 ID:M3UxtyRV
俺も投下するべ、非エロですので…

フェイト執務官の憂鬱


「えへへ、実は〜」
目の前には、照れ臭そうに笑う自分の使い魔とどこか居心地の悪そうな親友である上司の守護獣。
「ほら、ザフィーラから言ってよ〜」
「お、俺からか!?テスタロッサはお前の主だろう」
「もぉ〜、ザフィーラはお父さんなんだから!」
「口を滑らせてるぞ、アルフ」
夫婦漫才とはこういうのを言うのだろうか。
目の前は幸せの光景。
「あ、あ〜。そうなんだよね〜。妊娠しちゃった〜」
幸せそうな笑顔のアルフ。
魔力によって繋がっているアルフの体内に新しい命が生まれたことは、自分にとっても幸せなことだ。
「そっか、幸せそうだね、アルフ」
直接の言葉に照れ隠しに頭をポリポリと掻くアルフ。
「はやてには言ったの?」
「いや、今から報告に行く…だが、主を守るという使命を持ちながら、行為に溺れ…」
「何?ザフィーラは嬉しくないの?」
自分の主に挨拶しにいくのに、妊娠させてしまった娘の父親に挨拶しにいくような態度の
ザフィーラの頬を引っ張りながら、アルフはこめかみをヒクヒクさせる。
「ふぃあわふぇです」
「よろしい、それじゃあ行くよ」
ザフィーラの手を引くアルフの後姿を見送ってフェイトは、溜息をついた。
確かに自分の出生は他人とは違う。
勿論、そのことは当の昔に克服して、今、ここにいる。
だが、この格差は一体なんなのか…

「あ、エリオ、キャロ」
午前の仕事が少し残っていたがもうすぐ12時なので、食事を取ることにしたフェイトは、
食事を始めようとしていた2人を発見し、頼んだ冷製スパを手に近付いた。
「一緒にいいかな?」
「あ、フェイトさん、はい」
「どうぞ」
2人は笑顔で快く了承する。
そこで、フェイトはあることに気付いた。
「あれ?キャロの分は?」
2人の前にあるのは2つサラダと山盛りの炒飯が1つ。
93名無しさん@ピンキー:2007/08/04(土) 14:20:07 ID:M3UxtyRV
炒飯は、小さい体に何故そんなに入るのかと思うほど食べるエリオのものだろう。
では、キャロはサラダだけなのだろうか。
食欲が無くても食べなければ午後に響く、と注意しようとしたが、エリオがすぐに疑問の答えを返した。
「これを一緒に食べるんです」
なるほどと思ったがまた新たな疑問が浮かぶ。
2人の前には、取り分け用の皿もスプーンも無いのだ。
その疑問には、キャロが行動で答えた。
「はい、エリオ君、あーん」
キャロがスプーンに炒飯を乗せ、エリオの前に運ぶ。
エリオは躊躇する様子も恥ずかしがる様子も無く口に含んだ。
「次はキャロの番だよ」
そう言ってエリオはスプーンを受け取ると、キャロに炒飯を運んだ。

―…
昔、自分が保護した2人の子供は互いに支え合う存在となったのだ。
こんなに嬉しいことはない、とフェイトは無理矢理自分に言い聞かせる。
暫く2人の世界を黙って見ていたフェイトだったが、やがて料理を持って立ち上がり、他の開いてる席を探し始めた。
しかし、エリオとキャロがそれに気付くことはなかった。

フェイトが次に見付けたのは、グリフィスとシャーリー。
先程と同じように近付こうしたフェイトは、2人の様子に再び硬直した。
「はい、あーん」
「は、恥ずかしいよ、シャーリー」
エリオとキャロのように―炒飯とパスタの違いはあるが―グリフィスに食べさせようとするシャーリーがフェイトの目に映ったのだ。
「はい、あーん」
「…んっ」
エリオとは違い、恥ずかしがるグリフィスだったがシャーリーに圧されて、口に含む。

フェイトは再び足を動かし始めると、開いている席を見付ける。
その端の席に腰を落ち着け、1人寂しく食事を始めたのだった。
94名無しさん@ピンキー:2007/08/04(土) 14:23:55 ID:M3UxtyRV
一体なんなんだろう…何がなんなんだろう…もう良く分からない…
フェイトは、食事を終え、落ち込みながら自室への道を歩いていた。

すると、自分の前を歩いている人物に気付く。
特徴的なオレンジの髪を両サイドで2つに分けた後姿。
「ティア」
名前を呼ばれたティアナは「はい?」と後ろを振り返った。
「どうしたの?」
振り返ったティアナの顔に何か憤りというか苛立ちみたいなものを感じたフェイト。
「あ、いえ」とか言っていたティアナだったが、溜息をつくと話し始めた。
「男って生き物は…」
この娘もか…と話を聞いても虚しくなるだけな気がしたので、気付かれないように
こっそりと逃げようとしフェイトだったが、ティアナの言葉に止めた。
「ホントッ、下らない生き物ですよね」
流石、執務官を目指すだけはある。
「うん、そうだよね」
「変なところでカッコつけたがるっていうか、主導権握りたがるっていうか」
実際のところ、男なんて良く理解していないフェイトだったが、頷き続けた。
「男の人なんて要らないよね」
そうだ、私は女として立派に生きていく。
この娘と同じ意志を持って!
勝手にティアナを独身の道に引き吊りこもうとしていたフェイトだったが、
ティアナにはそんな意志はないとティアナの言葉に気付かされた。

「え、いや、要らないなんて…でも、優しいところもあるんですよ、ヴァイスさ…ヴァイス陸曹。
この前だって、私がバイクのパーツを壊したのに笑って許してくれて…それで2人で…」
ティアナは喋り続けたが、そこにはもうフェイトの姿は無かった。

フェイトは、残っていた仕事もやらずにベット俯せになっていた。
もう嫌だ…
げんなりとした顔で時計を見ると、1時過ぎ。
仕事の期限は、2時までだった。
だが、仕事をする気にならない。
95名無しさん@ピンキー:2007/08/04(土) 14:27:07 ID:M3UxtyRV
今日、なのはは休暇で直接そうとは言わなかったが、恐らくユーノといるのだろう。
この六課隊舎では、同僚達のイチャイチャを見て、自室では、なのはの惚気話を聞くのだろう。
家に帰っても義兄夫婦のイチャイチャを見て、アルフの惚気話を聞くのだろう。
皆が翼を生やして光の中を楽しそうに飛んでいるのに、自分は地べたではいつくばっている気分だ。
体を左に傾けると、鏡が見えた。
―私ってそんなに魅力が無いんだろうか…
鏡の中の自分を見る。
自分で言うのもなんだが、悪い顔はしていないと思う。
この金色の髪にだって自信があるし、胸など体もなのは達に負けない自信がある。
なのに、何故…
考えるのが嫌になり、現実から逃げ、夢の世界に入ろうと目を閉じた。

そう長い時間寝たわけではないが、通信により睡眠は終了を告げた。
―はやてからだ。
内容はすぐに分かった。
アルフとザフィーラの来訪から全くやる気の起こらなくなった仕事のことだろう。
もう3時半だ。
今まで1度足りとも、仕事を遅らせたことのないフェイトに、はやては疑問を感じていた。
「ごめんね、はやて、急いでやるから」
ベットから起き上がりながら、フェイトははやての言葉を聞きもせずに返した。
「そんな急がんでもええで。なんかフェイトちゃん、疲れとるみたいやし。
今日中にやってもらえればそれでええから、無理せんといてな」
そう言うと、はやては通信を切った。
はやての気遣いが弱ったフェイトの心に染みる。
ならば、仕事を早く終わらせなければならない。
自分が遅れた皺寄せは、隊長である優しい親友に行くのだ。
雑念を振り払い、フェイトを仕事をようやく再開した。
「ごめんね、はやて。遅れちゃって」
現在4時。
差し出される仕事の成果のディスクを受け取りながらはやては、しまったと思っていた。
あんな言い方をすれば、この娘は余計頑張ってしまう。
分かっていたはずだったのに…
96名無しさん@ピンキー:2007/08/04(土) 14:30:37 ID:M3UxtyRV
未だ疲れた顔をしているフェイトを見る。
激務と呼ぶ程の仕事が最近あったわけではないが、1人で頑張り続ける質なので、
疲労が少しずつ溜まっていたのだろう。
「ちょっと、お茶でもしながら、お話せぇへん?」
気分転換にでもなれば、と考え誘ったのだが、これがフェイトを更に追い詰めることになるのを
はやては知るよしを無かった。

「それでな?やっぱりゲンヤさんも歳やん?硬さが足りん時もあるんよ。
体調に左右されるんと思うんやけど…でも、うちがこうやって舐めてやるとな…」
―誰か助けて…
お話しよう、と言ったはずなのに、やっていることははやての言葉をフェイトがひたすら聞いているだけであった。
他に比べ、直接的で下世話な話。
親友の実体験であるだけに生々しいものである。
「でも、歳の甲って言うだけあって、テクニックは凄いんやで。イカされ噴かされ…」
「噴かされ、って?」
噴く、とはなんなのか分からない。
まさか、笑ってしまうという意味ではあるまい。
「潮を噴くんや」
「塩?」
やっぱり意味が分からない。
フェイトの顔からそれを察知したはやての目に、管理局の乳揉み魔と呼ばれる時の輝きがあった。
「分からんなら…教えたるで…」
ゾンビよろしく両手を突き出し近付いてくるはやてに、危機感を感じたフェイトは、逃亡を開始する。

「待ちぃや、フェイトちゃーん」
「いやーーー」
しつこい。
いつもなら割とあっさり諦めるのに今日は、なんだかしつこい。
それは、先程はやてが飲んでいた黒みがかった赤いアルコールのせいなのだが
フェイトがそんなことをしるわけもなかった。

「ようやく…巻けた…」
自慢のマイカーでなんとか逃げ切ったフェイトは周りを見る。
97名無しさん@ピンキー:2007/08/04(土) 14:33:54 ID:M3UxtyRV
仲睦まじそうに手を繋いだり、腕を絡めたりしていてる男女の姿。
もう自分がいるべき世界は無いのか…
フェイトは溜息をついて、少し考えた後、車を駐車して外に出る。
何を考えたのか、暇そうにガードレールに腰を預けて始めた。

1時間後、フェイトは自分が女として駄目なのだろう、と真剣に落ち込んでいた。
着いていく気は全く無かったが、初めてやってみたナンパ待ちという行為。
しかし、誰もフェイトに話し掛けたりはしなかった。
彼女の容姿が悪いわけではない。
寧ろ、10人中10人が美人と答えるだろう。
だが、それは同時に並の男では届かない美しさであった。
しかも、19歳でSランクと執務官の地位を持つフェイト・T・ハラオウンを名前と顔だけでも知っている人は、
このミッドチルダならばそれなりにいるのだ。
そんな女性をナンパ出来る男はそうそういない。
フェイトは、がっくりとしながら車に戻り、貼られていた駐禁ステッカーを見て、再び、がっくりした。

違反キップを切られた後、フェイトは隊舎に帰り、食事を取ることにした。
食堂には、エリオもキャロもシャーリーもグリフィスもティアナもヴァイスもいた。
だが、ティアナは、自分と同じ雰囲気を持っていた2人の元へ向かった。
「ここ、いい?」
「はい、どうぞ」
ギンガとスバルのナカジマ姉妹。
この娘達も出生が普通とは呼べないが、整った顔立ちをしている。
そして、この3人のテーブルの雰囲気は明らかに暗かった。
周りからはピンク色の声が聞こえる。
「はい、エリオくん、あーん」
「あーんっ」
「ティアはあーんってしてくんねーのか?」
「っ!そんな恥ずかしくて出来るわけないじゃないですか!
…ヴァイスさんがして欲しいのなら、その、してもいいですけど」
「シャーリー、明日の休暇どうする?」
「うーん、どうしよっか」

「なんなんでしょうね、これ…」
「なんなんだろ、これ…」
「なんなんだろうね、これ…」
3人は暗いまま、黙々と食事を続けた。
98名無しさん@ピンキー:2007/08/04(土) 14:37:29 ID:M3UxtyRV
「ただいま〜」
「あ、おかえり、なのは」
シャワーも浴びずにボーっとしていたフェイトの元になのはが帰ってきた。
いつもなら楽しかったという気持ちと、その楽しかった時間が終わってしまった
残念さが混ざった複雑な表情なのだが、今日のなのはの顔には喜びが満ち溢れている。
「なにか嬉しそうだね?」
フェイトの問い掛けに、待ってましたと言わんばかりになのはは、左手を突き出した。
その左手の薬指には、燦然と輝いているものがあった。
結婚を約束されたものだけに許される指輪。
「プロポーズされたの!?」
「えへへ〜、されちゃいました〜」
眩しいほどの笑顔で輝くなのは。
それは、2人の差が更に開いた瞬間でもあった。
「ユーノ君、いつもと雰囲気が違うな〜って思っての。緊張してるっていうか気合いが入ってるっていうか」
聞きもしてないのに、話し始めるなのはと、うんざりした表情のフェイト。
「それでね、凄い高そうなホテルの最上階で食事してね。しかも個室なんだよ!夜景がすごく綺麗だったんだ」
フェイトの中の糸がミシミシと音を立てていた。


3時間後、なのはの惚気話はまだ続いていた。
プロポーズの話がいつの間にか、フェイトが耳に胼胝が出来るほど聞いた話になっていた。
「ユーノ君が怪我してたのを私が見付けてね…フェイトちゃん?」
話に夢中になっていたなのはは、下を向き小刻みに震えているフェイトに気付いた。
「ダマレ…」
フェイトの中でなんとか繋がっていた糸がついに限界を超え、切れる
「フェイトちゃん?」
「…うるせぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!」
この世のものとは思えない雄叫びを上げたフェイトは、ベットを腕の力だけで持ち上げてしまう。
「ふぇ、ふぇふぇ、フェイトちゃん!?」
同じ歳の親友が魔法を使わずにベットを持ち上げるという、信じられない光景に
ベットに乗ったままのなのはは、混乱する。
99名無しさん@ピンキー:2007/08/04(土) 14:40:25 ID:M3UxtyRV
「悪魔と淫獣の馴れ初めなんざ何百回と…聞いたわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
再びの絶叫と共になのはの乗ったベットを投げるフェイト。
「きゃ〜〜〜」
なのははベットから転げ落ち、尻餅をつく。
「バルディッシュ!!セットアップ!!」
鬼のような形相でBJを纏うフェイトをなのはは呆然と見ることしか出来ない。
「ザンバーーーモーーードォォォォォォォォォォォァァア!!!」
三度の叫びが、バルディッシュをザンバーモードへ変化させる。
ちなみにバルディッシュも「YES」やらなんやら言っているが、フェイトの声で聞こえやしない。
「どいつもこいつもいちゃいちゃしやがってぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!」

バルディッシュを一閃し壁を破壊して、外に飛び出ていったフェイト。
『なのはちゃん!一体どないしたん!?』
呆然としたままだったなのはは、親友からの念話に意識を取り戻す。
『はやてちゃん!私、ユーノ君にプロポーズされたの!』
『ほんまか?ユーノ君もついに決断したんやね、ってちゃうわ!!』
「きゃーーー」
「うぎゃーーー」
「滅びろ、バカップルどもぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」
なのはのズレた話とはやてのノリ突っ込みの間も、誰かの叫びは響いていた。
『フェイトちゃんのリミッターが外れとる!一体何が、きゃーーー』
「部下の親に手ぇ出してじゃねぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」
はやての元にやってきたフェイトによって、念話は途切れた。
「レインジングハート!」
なのはBJを装着すると、外に飛び出した。
そして、なのはが見たのは、鬼の形相で電撃を放ちながら、剣を振りかざす雷神様の姿だった。
100名無しさん@ピンキー:2007/08/04(土) 14:41:41 ID:M3UxtyRV
暴虐無人に暴れ狂うフェイト・T・ハラオウン(処女、彼氏いない歴=年齢)の雄叫びに賛同した
ギンガ・ナカジマ(処女、彼氏いない歴=年齢)、スバル・ナカジマ(処女、彼氏いない歴=年齢)も加わった、
後に『黒い雷神の暴走』と呼ばれ、機動六課隊舎に多大な被害を齎したこの惨劇は、
天空から舞い降りた星の光によって一応の終結を見た。
その後、六課一同は、フェイト、ギンガ、スバルの3人の為の合コン開催やお見合い相手探し、
恋愛に発展するように仕掛けたりするのに四苦八苦だったという。
101名無しさん@ピンキー:2007/08/04(土) 14:43:03 ID:M3UxtyRV
終わりです
…真面目にエロを書こうとすると、途中で話が進まなくなってしまう
その結果下らないSSに…
フェイト好きの方はすみません
102名無しさん@ピンキー:2007/08/04(土) 14:45:27 ID:/qzXjP0G
ギン姉にはフェイトさんが居るじゃないか!
スバルはしらんが。

そうだ、いっそのこと三人ともスカ側につけば(ry
103名無しさん@ピンキー:2007/08/04(土) 14:46:17 ID:O6H2FkXy
>>101
リアルタイムktkr

GJ!悪魔と淫獣〜と部下の親に〜で盛大に吹いたwwwww



ところで「いなければ作ればいいのよ!(ハルヒ風に)」とのたまい次々と皆の彼氏を奪っていく執務官を想像してしまった件w
104名無しさん@ピンキー:2007/08/04(土) 14:48:47 ID:ovraBr9x
GJ!

フェイトに暴走までの経緯が楽しかったww
105名無しさん@ピンキー:2007/08/04(土) 15:38:33 ID:SPEi26p7
最有力候補だった●●ノが、一番先にとっとと人生の墓場に
行ってしまったからなぁ・・・w
106名無しさん@ピンキー:2007/08/04(土) 15:45:06 ID:/qzXjP0G
一瞬ルキノかと思ったけど、あいつか。
107名無しさん@ピンキー:2007/08/04(土) 16:25:14 ID:kOYzN8aS
>>101
こういうの待ってた。GJ

>>105
そういや、あの二人はでき婚だったのかな?
108名無しさん@ピンキー:2007/08/04(土) 17:10:34 ID:SPEi26p7
すでにこのスレじゃ、ゲンヤは固くないというのが定説かwww
109名無しさん@ピンキー:2007/08/04(土) 17:24:50 ID:Z7/WU3/p
>>101
うひょー!GJ!
しかしフェイトそんはともかく、ナカジマ姉妹はどのSSを見ても、
なかなかなかいい男相手がいなくてカワイソス
110名無しさん@ピンキー:2007/08/04(土) 17:32:48 ID:70S7OG0+
>>101
 GJ!なんだけど、あれ…?おかしいなぁ、画面が歪んで見えるぜ…(涙)
三人とも、強く生きろ!つーか六課カップル率高すぎだろやっぱww
 あと、はやての相手がゲンヤならロッサがフリーになってないか?本編
見るに、良い奴だと思うんだが。…もしかして、カリムかシャッハとくっついてる?w
111名無しさん@ピンキー:2007/08/04(土) 17:33:15 ID:+DmbuOB1
>>101
GJ!腹抱えて笑ったわwこういうノリは大好きw
112名無しさん@ピンキー:2007/08/04(土) 17:33:38 ID:Z3nA/1r9
六課「なのは(ちゃん・さん)がキレた……」
 
 
なのは「じゃまだなのっ!!ガラクタどもっ!!退いてっ!!レイジングハート!!」
RH「AllRight mymaster. Star Right Breaker」
ナンバーズ「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」
 
六課「…………………(魔王だ)」
 
ルキノ「………えー、戦闘機人反応ありません」
はやて「あー、みんなごくろーさん。みんな上がってええで」
フェ・ヴィ「(ガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタ)」
はやて「フェイトちゃんにヴィータ、何してん?」

私の中に何かが舞い降りた
113名無しさん@ピンキー:2007/08/04(土) 17:37:31 ID:mYCSzLLW
>>109
逆に考えるんだ、4期で良い男相手ができるさ
114名無しさん@ピンキー:2007/08/04(土) 17:43:33 ID:8kJsH2t0
ていうか種無しなんじゃね?
115名無しさん@ピンキー:2007/08/04(土) 18:21:23 ID:+CKKcWlY
>>107

エイミィの「作らせ婚」に一票。

>>110

ロッサは実はリインに夢中です

116 ◆6BmcNJgox2 :2007/08/04(土) 18:23:34 ID:mOmrdPO6
今回からトリップ付けました。

話としては一応〜なのは×ユーノなんですけど…
801要素もあったりしますから注意してください…
117ご乱心ユーノを救え 1 ◆6BmcNJgox2 :2007/08/04(土) 18:25:15 ID:mOmrdPO6
う〜トイレトイレ…
今トイレを求めて全力疾走している僕は時空管理局に勤めるごくごく普通の魔導師。
少し違う所があるとするなら…次元航行艦の艦長って事かな? 名前はクロノ=ハラオウン。
そして僕は管理局内のトイレまでやって来たのだ。するとトイレ前のベンチに見知った男が座っていた。
「やあクロノ…。」
「ああユーノか…。」
そのベンチには僕の知り合いで、無限書庫司書長をしているユーノ=スクライアが座っていた。
ユーノと軽く挨拶を交わし、僕はトイレへ直行した。
「は〜…すっきり…。」
用を足してすっきりして間も無くそれは起こった。突然何者かが背後から抱き付いて来た。
さらにそいつは耳に息まで吹きかけてくる始末。
「誰だ!?」
僕は叫び、後ろを向いた。するとそこにいたのは何とユーノでは無いか。
しかもユーノのバインドで僕は身動きが取れなくされてしまった。
「こら! 何をする!?」
「フ〜。」
「ヒィィィ!」
またもクロノは耳に息を吹きかけられてしまい、身体の力が抜けてしまった。
そしてユーノはクロノのズボンを下ろしだしたでは無いか。
「わっ! こら! 脱がすな!」
「フフフ…やらないか…。」
「ヒィ!」
クロノは悪寒を感じ、真っ青になった。それどころかユーノの方を見ると、
大人しい顔に不相応な程の凶悪なモノが高々と聳えているでは無いか。
「男は度胸! 何でも試してみるのさ!」
「わぁ! やめろ! あ! こらぁ! 嫌ぁぁぁぁ! 助けてママー!!」
ユーノは必死にもがくがバインドは解けない。そしてユーノのモノがクロノの尻へねじ込まれ…
「アッー!」

ある日突然起こった管理局トイレの惨劇。全てはそこから始まった。

「ええ!? ユーノ君が!?」
突然のユーノのご乱心を何とかする任務が機動六課に下された。
しかし、その中でも高町なのははショックを受けていた。
「それは何かの間違いだよ! ユーノ君がそんな…。」
「でもこれは事実や。スクライア司書長はご乱心して…その…私の口ではとても言えない事をしてもうた…。」
「とにかく何とかしないと…。」
よりにもよって事件を起こしたのがユーノであると言う事にショックを受け、
取り乱すなのはの姿は、同じくその場にいたスバル&ティアナにとっても衝撃的だった。
「あのなのはさんがあんなに取り乱すなんて…。」
「スクライア司書長って一体何者なんだろう…。」
「と…とにかく機動六課出動!」
118ご乱心ユーノを救え 2 ◆6BmcNJgox2 :2007/08/04(土) 18:26:25 ID:mOmrdPO6
機動六課はユーノが立て篭もる管理局トイレまで来ていた。
「ユーノ君! ってキャァァ!!」
「何あれぇぇ!!」
女性が大半を占める機動六課が男子トイレに踏み込むのは確かに抵抗あったが、
その辺は緊急事態として目を瞑るとしても、その奥に展開されていた光景はとても無視出来無かった。
「アッー!」
なんとユーノは自分のモノでクロノの尻を掘っており、
トイレ中にクロノの何とも言えない喘ぎ声が響き渡っていた。
「アッー!」
「ユーノ君…一体何やってるの!?」
なのはは目から涙を流しながら叫んだ。しかしユーノは構わずに腰を動かし、クロノを掘っていた。
「アッー!」
「ユーノ君! 聞いてるの!?」
「なのはさん危ないですよ!」
「邪魔しないで!」
男子トイレの奥まで踏み込んでユーノに近付こうとするなのはを
スバルが止めようとしたが、なのはの指先から放たれた魔砲に逆に弾き飛ばされてしまった。
「アッー!」
「ユーノ君止めて! どうしてそんな事をするの!?」
そこでやっとユーノはなのはの方に気付いたのか、かるく目を向けていた。
「なんだなのはか…ここは男子トイレだよ。」
「そんな事より! どうしてこんな事するの!? ユーノ君! おかしいよ!」
「アッー!」
なのはや目から涙を流しながらユーノを説得しようとするが、ユーノが掘る度に
あげるクロノの喘ぎ声が全てを台無しにしていた。
「フッフフ…僕は目覚めたのさ…。」
「目覚めたって何に!?」
「アッー!」
ユーノは薄ら笑いを浮かべながらなのはの目を見た。
「僕はもう女性に興味を持てなくなったんだよ。もちろんなのは…君にも…。」
「え!? それってどういう…。」
「アッー!」
相変わらずクロノの喘ぎ声が緊張感をぶち壊していたが、ユーノは言った。
「一番悪いのはなのはなんだ!」
「え!? 何故私が悪いの!?」
「アッー!」
「そこっ! ”アッー!”は自重しなさい!」
「アッー!」
「ダメだこりゃ…。」
やっぱりクロノが変な喘ぎ声を出すもんだからどうも緊張感が半減してしまう。
しかし、いつまでもそれに拘ってはいられない。とにかくユーノの主張を聞く事とした。
「かつての僕はなのな…君が好きだった…。」
「ええ!?」
「アッー!」
ユーノのとんでもない爆弾発言になのはの顔は若干赤くなった。
119ご乱心ユーノを救え 3 ◆6BmcNJgox2 :2007/08/04(土) 18:27:25 ID:mOmrdPO6
「でも…今となってはそれも昔の話さ…。君が僕を無視するから…。」
「そんな! 無視なんてしてないよ!」
「アッー!」
なのははユーノの肩を掴んで揺するが、ユーノに振り払われてしまった。
「離せ! 今の僕はもう君に何の未練も無いんだ! 無限書庫の中にあったあの本が僕に教えてくれたんだ!」
「あの本?」
「アッー!」
ユーノが言ったあの本とは一体何なのか…そしてユーノは語り出した。
「僕が無限書庫の中で見付けた一冊の本…。【ウホッいい野郎達】と言うタイトルの本が
僕の運命を大きく変えた。様々ないい野郎達が様々なシチュエーションで絡む話が目白押し。
そして僕は思ったんだ。女はもう信用出来ない…ならもう男しか無いじゃないか!!」
「ユーノ君! そんな理由でホモに走るなんておかしいよ!」
「アッー!」
ついに明らかになったユーノがクロノを掘った理由。しかし、なのははそれに納得が出来なかった。
「もう帰ってくれ! 僕はもう君なんてどうでも良くなったんだ!」
「そんな…おかしいよユーノ君…ホモに走るなんて…おかしいよ…。」
「アッー!」
なのはは何とかしてユーノを救いたかった。ユーノはなのはが好きで、それでも
なのはが何もしなかったからこそユーノが失望して男に走ったと言うのなら…
今のユーノを何とか出来るのはなのはしかいない。しかし…なのははこの状況で
一体どうすれば良いのか分からなかった。
「ねぇ…ユーノ君…。私…どうすれば良いのかな? ねぇ…一体何をして欲しいの?」
「何を言ってるんだ?」
「アッー!」
なのはは目から涙を流しながらユーノに近付いた。それには思わずユーノも下がるが
なのははなおもユーノへ迫り、顔を近付けた。
「ねぇ…ユーノ君…。」
「こら! ちっ近付くな! 僕は君の事なんて何とも考えて無いんだ!」
「アッー!」
ユーノは焦っていた。そして顔も若干赤くなっている。そこでなのはも気付いた。
ユーノは完全にホモになったワケじゃない。心の奥底に本来の感情も残っているのだと…
その本来の感情を元に戻すのは自分にしか出来ないのだと…。
「ユーノ君! 私はユーノ君を…救ってあげる!」
「んん!?」
「アッー!」
なのははユーノを無理矢理押し倒し、唇を奪っていた。さらにその弾みで
クロノの尻を掘っていたユーノのモノも抜け落ちる。
「ユーノ君…今度は私が相手をしてあげる…。だから…だから…もう男の人にそんな事しないで…。」
「やめろ! やめろなのは! 僕はもう君には…んんんん!!」
「アッー!」
ユーノは必死に抵抗するが、なのはも必死でユーノを押さえ付け、再び唇を奪った。
だが…もう解放されたのにまだ変な喘ぎ声出してるクロノは何とかならんのか?
「んんんん!!」
なのははなおもユーノの唇に自らの唇を密着させた。しかもなのはは自分から
ユーノの舌に自らの舌を絡ませに行くと言う大胆な行動も取っていたのである。
「ぷわっ!」
「んあ…。」
なのはが唇を離した時…二人の間には唾液が糸の様に伸びて繋がっていた。
120名無しさん@ピンキー:2007/08/04(土) 18:27:39 ID:QkZQShOY
10代後半から子供の母・姉代わり、脇目も振らず仕事三昧、色恋沙汰未だ音沙汰無し…………か
このまま相手が出来なかったらフェイトさん、
末は冬〇の虎か戦〇無双の二択だな。
121ご乱心ユーノを救え 完 ◆6BmcNJgox2 :2007/08/04(土) 18:28:20 ID:mOmrdPO6
「どう? ユーノ君…これでもう男の人に変な事する気は無くなったでしょ?」
「うあああああああああああああ!!」
するとどうだろう。突然ユーノは物凄い声で叫び出したでは無いか。
「なぁぁぁぁぁぁのぉぉふぁぁぁぁぁぁぁ!!」
「ユーノ君!? ってキャァァ!!」
なんと言う事か、ユーノはまるで獣の様な叫び声をあげながら今度は逆になのはを押し倒したでは無いか。
そして、なのはの脚をM字に開きながら下着を剥ぎ取り、つい先程までクロノを
掘っていた巨大なモノをねじ込んだのである!
「い! いああああああ!!」
「なのふぁぁぁぁ!! にゃのはぁぁぁぁぁ!!」
有無を言わせずに処女を奪われたなのはは思わず目に溜まっていた涙を飛び散らせた。
しかし…なのははユーノを咎める事無く逆に強く抱きしめていたのである。
「ユーノ君…私…相手してあげるから…ユーノ君の…気の済むまで…相手してあげるから…。」
「なのふぁぁぁぁぁぁ!! にゃぁぁぁぁのはぁ!!」
「アッー!」
ったくせっかく良い所なのにまだ変な喘ぎ声出すクロノのせいで台無しだ。
しかし、そんな事さえ気にならない程なのはとユーノは親密に交わっていた。
「ごめんねユーノ君…だから…もう…あんな事はしないでね…。」
「うあああああああああ!! ごめんよぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」
「アッー!」
そして…目を覚ましたユーノとなのはは再び唇を合わせた。
「アッー!」
でもやっぱりクロノは…もはや何も言うまい…。

なのはの頑張りでユーノはホモを克服した。
そして、その時がきっかけでなのはも以前より遥かにユーノを意識する様になり
休日ともなれば二人で街まで遊びに行く様な事も珍しくなくなった。
フェイトは少しユーノに嫉妬していたが、フェイトだって大人だから
そこまで事を荒立てる事はせず、事件を起こしたユーノの処分に関しても
何か一々処分するのがメンドクセーとか管理局上層部が配慮(?)して不問にされた。
とにかくめでたしめでたし…とは行かない所もあった…

「やめてください! おねがいですやめてください!」
「男は度胸! 何でも試してみるのさ…。」
「アッー!」
ホモモードに入ったユーノに散々掘られた影響で、今度はクロノがホモ化していしまい、
それによってエリオが掘られてしまった。まあその辺はご愁傷様って事で。
「アッー!」
                HAPPY END
122 ◆6BmcNJgox2 :2007/08/04(土) 18:29:52 ID:mOmrdPO6
クロノとエリオ好きな人にはスマソと言わざるを得ないorz

>>71
話としては悲しげな感じがするけど、
それが逆に最終的に微笑ましい印象を与えさせてくれました。

>>88
まだそこまでの時点ではかなり幸せそうなんですけど…
ここからどう悲劇に変わっていくのか怖いと思いながらも気になります。

>>101
あああああああ!! フェイトが壊れちまったぜよ!!
何かしっとマスクならぬしっとフェイトかwww
おまけにナカジマ姉妹まで加わるのは吹きましたww
途中までの悲しげでシリアスな雰囲気が最後で一気に台無しになりましたね
あと、フェイトがなのはに暴言吐いた時点で二人の仲が険悪に…
なんて展開を予想して肝が冷えましたが、ギャグオチで安心しました。
とにかくGJです。

>>112
なのは怖すぎるwww
123名無しさん@ピンキー:2007/08/04(土) 18:31:44 ID:9oAc/F3q
>>110
命の危険があるからくっつきやすいのかもしれないな
ほら、つり橋効果とか。
124名無しさん@ピンキー:2007/08/04(土) 18:34:37 ID:l6zakXx+
オマエに何か凄まじいものを感じた・・・
滾る情熱とか勢いとかそんなレベルじゃない・・・もっと凄い何かを感じた・・・
そしてユー×なのよりユー×クロもアリかなと思った自分がいる
125名無しさん@ピンキー:2007/08/04(土) 18:34:49 ID:U//grtWF
>>101
ユー×なのじやなくてユー×フェイだと魔王様が同様の事象を更に悪化させるだろう
126名無しさん@ピンキー:2007/08/04(土) 18:35:09 ID:QkZQShOY
>>122
乱入スマンorz

だけど801は……801は……!
127名無しさん@ピンキー:2007/08/04(土) 18:40:53 ID:6ynBB+gI
>>126
801と考えちゃ駄目だ!
BLとして考えるんだ!
128名無しさん@ピンキー:2007/08/04(土) 18:43:56 ID:l6zakXx+
>>127
かわんねえYO、むしろ酷くなってる気がする・・・

貴様等の妄想はその程度か、歯を食いしばれ!
此処でのクロノはおとボクのお姉さま張りの美貌を持っていたと妄想するんだ!!
129名無しさん@ピンキー:2007/08/04(土) 18:44:59 ID:/qzXjP0G
普通に一期のユーノとクロノは可愛いと思うのだが。
あ、これ三期かorz
130名無しさん@ピンキー:2007/08/04(土) 18:49:05 ID:9oAc/F3q
BLは胸がなくてついてるものがついてる女の子に突っ込む話だってばっちゃが言ってた
131名無しさん@ピンキー:2007/08/04(土) 18:54:54 ID:+CKKcWlY
BLはストーリー重視。普通は行為だけの作品はBLと呼ばれない。
132名無しさん@ピンキー:2007/08/04(土) 20:23:24 ID:mYCSzLLW
BL、801つかウホッ!!ネタだな。
あほすぎるwwwww
133名無しさん@ピンキー:2007/08/04(土) 20:41:01 ID:O6H2FkXy
やおいというかTDNネタだろこれw

エリオきゅんは掘られてても萌えるということがわかった
13438 ◆KHEtQ2j5Nc :2007/08/04(土) 20:49:17 ID:opRy/cK7
ここで流れ読まずにターンA氏に許可貰ったのが終わったと言ってみる。
では投下します。
13538 ◆KHEtQ2j5Nc :2007/08/04(土) 20:50:43 ID:opRy/cK7
鬼畜王ユーノanother ep〜本当に望んだ人〜

ぷくっと膨れっ面をしたままで、なのはは仕事をしている。……ように見える。
しかし、良く見てみれば、いや、しばらく見ていれば分かるだろう。
手は確かに動いているが、同じ紙に同じ署名を延々と繰り返しているだけだと言う事に。

―ユーノ君のバカ。ヴィータちゃんに、リインに、キャロだなんて、ユーノ君ってそう言う趣味だったの?

同じ事を書いていた紙を握り潰し、その事にも気付かずになのはは考え続ける。

―ユーノ君がそう言う道に走るのは嫌。ユーノ君には私だけ見ていて欲しい。
 一番の友達として、一番近くにずっといて欲しい。

そこまで考えて、なのはははっと顔を上げる。
自分の中でその思い付きを名案だと思って、なのははうきうき気分で席を立ち、部屋を出る。
目的地は無限書庫。その目的は、ユーノに思い付きを実行するため。
しかし、その思い付きは、

―ユーノ君に大人の魅力、教えてあげればいいの。
 めろめろにしてあげて、私以外見えなくしてあげればいいの。

……明らかに間違っていた。



一方、突然立ちあがって出て行ったなのはを見送って、フェイトはきょとん、とはやてと顔を見合わせる。

「……何やる気なんかな? なのはちゃん」
「と、言うか……止めなくていいの?」

そうフェイトが言うと、はやては何故か恐い物を見たような視線をフェイトに送り、言った。

「……じゃあ、フェイトちゃんにはあの状態のなのはちゃん、止められるんか?」
「……ごめん、無理」

下手に止めようとしたら即SLBを叩き込まれるだろう。そんな顔を、なのははしていた。
13638 ◆KHEtQ2j5Nc :2007/08/04(土) 20:51:31 ID:opRy/cK7
「……えーっと……」

―済みません、誰か説明してください。

「な、なのはー?」

―何故僕はなのはに押し倒されているんでしょうか?

仕事中にいきなりなのはがやってきて、話をしたいと言うから司書長室に連れて行って……、いきなり押し倒された。
明らかに何かが吹っ飛んでいるなのはの行動に、ユーノは真っ赤になって……、
ごそごそと下の方で何かをされ、ユーノはさらに慌てた。

「な、なのは!? 何処触って……!」
「……ユーノ君を、元に戻さなきゃいけないの」
「な、何言って……うあっ!」

ズボンを下ろされ、現れたユーノ自身を口に含んだなのはに、ユーノは思わず呻き声を上げる。
押し倒される寸前に遮音結界を張っておいて良かったと心の底からユーノが思っていると、

「……ほれひゃあ、ふぃーひゃひゃんほふぇふぃふふぉふぇ。……じゃあ……えい♪」
「わっ!?」

口を離したかと思うと、何時の間に脱いだのか、裸の胸で自分自身を挟んだなのはに、ユーノは驚いた」

「口なら……ヴィータちゃん達にも出来るけど……、さすがにこれは、やられた事無いでしょ?」

そう言いながらユーノ自身を上下に擦り立てるなのはに、ユーノは顔を顰め、

「ひゃんっ!?」

……足先でなのはの秘所に触れた。

「ちょっ……ユーノ君! 私……がっ! ゆーのくんを気持ちよく、するんだから、あっ!
 ゆーのくんをめろめろにするんだからっ!」

苦し紛れのユーノの動きに、なのはは快感を感じながらそう叫び、思わずユーノは硬直した。
その隙を逃すまいと、なのはは赤くなりながらも動きを激しくし、ユーノは快感に取り込まれた。
13738 ◆KHEtQ2j5Nc :2007/08/04(土) 20:52:16 ID:opRy/cK7
「う……あ……!」
「ひゃう! あうん!」

なのはの胸が作り出す快感に震えながらも、ユーノが足先で秘所を刺激すると、なのはも声を上げる。
声を上げる度に、ユーノの足先が熱く湿って行く事に、ユーノは気付かずに。

「なのは……! 僕……もう……!」
「はうっ! ふにゃあっ! 出して……いいよ……!」
「くっ……なのは……っ!」
「きゃっ!」

吹き出したユーノの欲望の証を、なのははびっくりしながら顔で受け止めて。
慌ててユーノはなのはの顔に手をやろうとし、……その手がバインドに絡め取られた。

「……え?」
「……駄目だよ。ユーノ君に、気持ちよくなってもらうんだから」

そう言うとなのはは一糸纏わぬ姿になって、ユーノの腰を跨ぐ。
しっとりと濡れた秘所にユーノ自身を宛がうと、何故か一瞬躊躇い、……一気に腰を落とした。

「ひ……ぎ……っ! い……たぁ……」

腰を落とした次の瞬間、思わず悲鳴を上げたなのはに、ユーノは一気に真っ青になった。

「な、なのは!? まさか、はじめてだったの!?」
「……う……うん……。……でも……、ユーノ君だから、大丈夫……。一番の、お友達だから……」

―いや、お友達の枠ではこう言う事はしませんよ、なのはさん。

何故か敬語でユーノはそう思うが、声にも念話にもしていないのならば、なのはに伝わる訳も無く。
しばらくの間なのはは痛みを堪えるようにじっとしていたが、やがて、ゆっくりと動き出した。

「ん……ひゃう! ふあっ!」
「くう……っ!」

初めてにも関わらず、動く度に快感がスパークして、なのはは段々と動きを早めていく。
ヴィータともリインとも違う中の感触に、ユーノは今にも出してしまいそうになった。

「なのは……っ! もう少し、ゆっくり……!」
「ひゃああああん! も、止まらないの、止まらないようっ!」

がくがくと震えながら自分に与えられる快感を貪るなのは。きゅんきゅんと強く締め付けられ、ユーノはどんどん上り詰めていった。

「なのは……! 僕……もう……!」
「あ、あ、あああ! ゆ、の、くん、私……もっ……!」
「っくううっ!」
「ふあああああああ!!」
13838 ◆KHEtQ2j5Nc :2007/08/04(土) 20:52:49 ID:opRy/cK7
絶頂に達し、なのはは脱力してぐったりとユーノの上に寝転がる。
……絶頂に達した瞬間に、バインドが解けた事に気付かずに。

「……なのは」
「……はにゃ?」

突然視界が反転し、なのははきょとん、とする。
……そして、自分がユーンに押し倒された事に気付くと、一気に真っ赤になった。

「ゆゆゆ、ゆーのくん!? バ、バインドは!?」
「……なのはがイっちゃった時に解けたよ。気付かなかった?」

そう言うと、ユーノは優しくなのはの頬を撫でる。
とても優しいその手つきに、何故かなのはは果てしなく嫌な予感がし、身震いした。

「なのはが僕をめろめろにするんなら、僕もなのはをめろめろにしてあげるよ」

そう言ってにっこりと笑ったユーノに、なのはは青褪めた。

「ま、まひゃっ!? や、あ、あんっ! ら、らめ、らめぇぇ!」



……3時間後。

「……んー……、もう少ししたいけど、仕事もあるし……ここまで、かな」

そう言って立ち上がり、一つ伸びをするユーノを、行きも絶え絶えに見上げるなのは。
ひくひくとまだ痙攣し続ける秘所からは、ユーノの欲望の証が絶えず流れ出していて。

「あーあ、大丈夫?」

そう苦笑しながらユーノは言い、なのはの身体を拭いてやりながら、なのはの耳元で、囁いた。

「多分、今日は早く上がれるから、夜、部屋に来て。
 ……もっと凄い事、してあげるよ」

その言葉になのはは凍り付き……、
……しばらくして、真っ赤になって、確かに、頷いた。
13938 ◆KHEtQ2j5Nc :2007/08/04(土) 20:56:57 ID:opRy/cK7
これで終わりです。
ユーノがラストちょっと黒くなりましたけど、このぐらいしないと鬼畜には見えないよなあ、と思いまして。
そして誤字がorz
行きも絶え絶え→息も絶え絶えでお願いします。
もう一本、「もしもあの時怪我したのがなのはではなくユーノだったら」が下書き終わってるので、打ち込めたら明日投下します。
……明後日から丸1週間旅行なので、明日無理だったら1週間以上後になってしまいますが。
最後に、IFの執筆許可をいただいたターンAさん、本当にありがとうございました。
140名無しさん@ピンキー:2007/08/04(土) 21:42:57 ID:/qzXjP0G
乙ー
141名無しさん@ピンキー:2007/08/04(土) 22:59:22 ID:r/UQtpiD
いやっっほうううううううううううう!!!!!!!!!!!
ユーノ万歳!ああ、こんなSSを待っていたんです!
一週間どころか一ヶ月だって待ちますよ!!!
・・・できたら、濃厚なシーンを入れてくれたらもっとうれしい。
142名無しさん@ピンキー:2007/08/04(土) 23:36:14 ID:2lKtw7Pk
一番くっつきそうなのになんでユーノ×なのはって冷遇されてるのかな・・・・・・・・・
143名無しさん@ピンキー:2007/08/04(土) 23:40:04 ID:FasJD145
ほら、ユーノっていじられてる時が一番輝いてるじゃない
144名無しさん@ピンキー:2007/08/04(土) 23:44:43 ID:/qzXjP0G
男に限ればそうだ罠
145名無しさん@ピンキー:2007/08/04(土) 23:54:19 ID:OpR5bhLh
ほっといても本編でくっつきそうだから
妄想で保管する必要が無いとか。
146名無しさん@ピンキー:2007/08/04(土) 23:56:52 ID:NvzxkWKv
妄想補完しないとどうにもならない状況じゃねえか今w
そういう意味ではSSすら出ない犬が1番・・・
147名無しさん@ピンキー:2007/08/05(日) 00:03:35 ID:TAvl05JV
ザフィにはアルフがいるジャマイカ!
148名無しさん@ピンキー:2007/08/05(日) 00:14:30 ID:z8vNeFuK
>>一階の名無し
自演ウザいからもう来るな。しね。
149 ◆6BmcNJgox2 :2007/08/05(日) 00:15:26 ID:zFF0nBnf
>>139
なのは×ユーノかと思ったら最後にユーノ×なのはになってたのは意外でした。
最初はなのはが押していたのに最終的にユーノが押すというこのどんでん返しオチは最高だと思います。
もう一本の方も楽しみにしています。
150名無しさん@ピンキー:2007/08/05(日) 00:22:35 ID:8c+RzN4X
>>139
乙です!
 
「もしもあの時怪我したのが...」のSSも楽しみにお待ちしております!!
151名無しさん@ピンキー:2007/08/05(日) 00:34:52 ID:B5QwgiPF
>>145
っていうか、アニメ本編ではなのはとユーノのフラグなんか綺麗さっぱりと消滅してるし。
ユーノ自身の口からただの幼なじみ宣言してるし、実際お互い何年間も会ってなくても平気
みたいだった。

どう転んでも最早くっつきそうな雰囲気すらない。
152名無しさん@ピンキー:2007/08/05(日) 00:50:06 ID:kvgOhgzV
クロノとエイミィの例もあるし、わからんぞ。
「やっと決心したんだね」
「まぁな」
の会話が主客転倒した形でまた聞けるかもしれんよ。
153名無しさん@ピンキー:2007/08/05(日) 00:54:29 ID:KfitqKMG
フラグを消した理由はなのユーを消す為だな。こいつはなのはとユーノ両方考慮したのかなあと
なのフェ好きには勿論、クロノ結婚しちゃった現状だと年頃の男で旧メンバーとカップリング出来るほぼ唯一…
なのはとフェイトなんて男とカップリングやろうとしたら彼くらいしか…はやてはまあヴァロッサの目があるけど
154y=ー( ゚д゚)・∵. ターンA:2007/08/05(日) 00:54:56 ID:VV7nn2Jy
>>139
乙です〜IFものは大好きです
本人の性格がひねくれているので真っ直ぐな話、とりわけなのユーが書けないターンです
もう一本も期待してます

エリ×ティア半分くらい(多分)書けたので投下します
◎超重要
 主要キャラが一命亡くなっているIF話です、そう言うの駄目な方は超スルーお願いします
  
・エロく無いです
・戦闘も無いです
・とりとめもない話です
・オリキャラが出まくるかもですが寛大なお心で
・本編からズレた未来の9年後、エリオ19歳、ティアナ25歳です

エリオ 〜受け継がれたもの〜





155名無しさん@ピンキー:2007/08/05(日) 00:55:46 ID:VV7nn2Jy
序章



…ああまた…

脳裏に焼き付いた記憶が、舌の上に苦い記憶を思いださせる

思い出したくも無いその光景を

この先を

…ボクは…知って…いる




熱く焼けた空気が胸一杯に広がる
鼻を突く焦げた臭いその中を走る小さな影
「ハァ…ハァ…ハァ…」
紅蓮の炎が暗い空に真っ赤に写る
真新しかった建物が倒壊し、そこかしこから煙を巻き上げている
悲鳴が、炸裂音が、爆炎が
力無くうずくまる人々、抗う術も無く逃げ惑う人々、必死で抵抗する人達

ボクは走る、傍らにはキャロも一緒に
必死に走る

走る

もっと早く

もっとボクが速ければ

6課のあの日



そして―



「フェイトさん!フェイトさぁん!!」

「……エリオ…キャロ…良かった…二人共、無事…… だったんだ………」

「フェイトさんしっかりして………フェイトさんッ!……」
「フェイトさん!」

燃え盛る炎
床にうつ伏せで倒れている大事な人、夢中で駆け寄るボク達
ストラーダを床に投げ出して抱え起こす

綺麗な金髪を埃と血にまみれて
その近くに一人、壁際に一人
ナンバーズとその後呼ばれる事になる者達が活動を停止していた
後で知る事となったが階段にはあと一人…
ピクリとも動かない人形のような人達
その彼女達のガラスのような眼球は虚空を見つめたまま開いたまま動かず
関節からは血と火花が飛び散っていた
156名無しさん@ピンキー:2007/08/05(日) 00:56:24 ID:VV7nn2Jy
床に転がる漆黒のデバイス、あちこちが欠け
その戦闘の激しさを物語るように、傷だらけになっていた
僅かな明滅を繰り返し、その10年以上にも渡る黒の騎士の最後まで忠実な活動も停止しつつあった
消えそうな電子音が自己の機能停止の報告を主に伝えていた
「…バルディッシュ…」
フェイトさんの口元が僅かにほころんで
切れ切れに感謝の言葉をつぶやいた、人へ向けるものと代わらない慈しみの念を込めて
大きくむせて血を吐いた

キャロが泣きそうな顔で口元を押さえている
ボクは歯を食いしばってフェイトさんの手を握っていた、情けない、足が震えて止まらなかった

胸の中でフェイトさんが精一杯の力を込めてボクの手を握った
その胸からはドクドクと血が壊れた蛇口のように溢れ
ボクのフェイトさんとおそろいのライトニングの白いBJは血でぐっしょりと濡れて重くなっていた
「あ…あ…」
ボクは青ざめフェイトさんの細い手を握り締めて呻くしかできなかった
血は体を伝い、足元には血溜まりが出来ていた
こんな大量の血がフェイトさんの細い体に…それが流れ出していた
フェイトさんの小さな口が開き、最後の力を振り絞るように言葉を紡ぐ、精一杯の笑顔で



(…いやだ)

「エリオ…キャロ…ごめんね…    私… もう…駄目みたい…」

(…言わないで)

「…ごめんね…今まで…ありがとう  私…」

フェイトの目から初めて涙がこぼれて伝った


(聞きたく無いよ…やめて…!)


「エリオ…キャロ     …はやて…   シグナム…   
                      …なのは…私     みんな
                              みんなに…会え… て…」




(嘘だ!こんなの嘘だ!現実なわけない!)

「いやだぁあああああああ!!!!!!!!!」
157名無しさん@ピンキー:2007/08/05(日) 00:57:05 ID:VV7nn2Jy





「ハァッ………ハッ…ァ!…… ……」

エリオは目を見開いた、2、3度瞬きをする、いつもの天井、いつもの闇
胸を押さえる、早鐘のように打つ心臓の音
軽く息をついて半身を起こした、汗ばんだ胸を撫でる、次第にに心音が収まっていく
口を押さえてみた
声は…どうやら叫び声は出して無かった…か
でも、その気配で起こしてしまったようだ、傍らを見る

「…エリオどうしたの?、大丈夫…」
もそもそと体を起こし、眠そうに目を擦りながら、そっと体を近づけて来る
汗ばんだ背中を心配そうに優しく撫でる手
ゆるやかに伸びるオレンジの髪を掻き揚げてボクの顔を覗き込む空色の瞳

「…ああ、…うん…大丈夫だよ、ごめん、起こしちゃったね…」
「またあの時の夢?」
赤い髪を撫でる細い指
「……………」
時計の秒針の音だけが響いている


二人して視線を巡らせた
ダブルベッドの傍らの写真立てを見る、妻―ティアナとボクの姿

去年の結婚式の時の写真だ
純白のウェディング姿のティアナ、照れたようにそれを抱えた黒のスーツのボク
ナカジマ夫妻や八神家の人達、元ロングアーチの面々の皆の笑顔
なのはさんキャロ…でも、そこには一人足りない

大事な人が

隣の写真立ての中でキャロと小さな頃のボクを抱えてフェイトさんが笑っていた

あの災厄の日
管理局を、6課を襲った

急遽本部から帰還した彼女はそのまま単身で3名のナンバーズと遭遇
激烈な戦闘の末これを撃退した…

大きな代償を…自らの命を支払って…

駆けつけたボクとキャロの前で、その腕の中で
フェイトさんは…そのまま帰らぬ人となってしまった…

レリック事件はその後紆余曲折を経て一応の収束を見た
生前、彼女の追い求めていたスカリエッティ一味もなのはさん以下、僕達の手により
拘束され首謀者スカリエッティは死刑が確定

数年後に刑は実行され
それを見届けた後、6課も解散した

158名無しさん@ピンキー:2007/08/05(日) 00:57:22 ID:5rlaXOLM
 
159名無しさん@ピンキー:2007/08/05(日) 00:57:48 ID:VV7nn2Jy
もともと実験的な部隊ではあったが
フェイトさんの事に強い責任を感じていたのかはやて隊長の強い辞意があり
その席に…と教会から強く推されたなのはさんもこれを固辞
結局、6課は…ボク達の思い出の場所は
綺麗に…と言っては変だが、嘘のようにあっさりとその存在は消えて無くなってしまった
現在、メンバーは皆それぞれ新しい生活に散り、あるいは又元居た職場に帰って行った


そして今




「…あれからもう9年も…経つんだね…」
「…うん」
「アルフさんも…フェイトさんと同時に消えちゃったしエイミィさん達の家も
 …大変だったんだって…お子さんとかアルフさんにとっても懐いてたから…」
「………」
アルフさんはボクやキャロにとっても乳母のような存在だった
あの日から数日後、ボクは離れた場所にいるもう一人の大事な人が消えた事を後で知った
馬鹿な話だ、気が付かないなんて、いや気が着きたく無かったのか

ティアナを抱き寄せて額にキスした
「………もう寝よう、ごめん、ボクのせいで、ティアナはもっとちゃんと寝なくちゃ…お腹にも悪いよ
  …大事な体なんだから…」
「…うん、そうだね、ありがと…」

そう言うとティアナは臨月の近いお腹を撫でて横になった
「おやすみ」

横になりつぶやくティアアナの後ろ髪を撫でて
「おやすみ…」
ボクも再び眠りについた




160名無しさん@ピンキー:2007/08/05(日) 00:58:29 ID:VV7nn2Jy



「馬鹿ッ!エリオッ…アンタいい加減にしなさいよね!」

パン
音高く頬を張られてヨロヨロと後ずさり、壁に背をあずけて座り込んだ
しかし目だけは暗くギラギラと輝いて対象を睨んでいた

「こいつら…こいつらのせいで…フェイトさんは…」

そのエリオの姿を厳しい目で見下ろしてた
腰に手を当てた隊の若いリーダー、ポジション・センター・代行隊長
オレンジの髪の少女


スカリエッティ一味の本拠地を壊滅後
掃討戦をどうにか逃れ各地に潜伏したナンバーズ及び実験体の残党を各隊が追っていた
と言っても彼女ら機人は組織だった抵抗も無く、エネルギーの供給も、メンテナンスも失い
その実態は彷徨う敗残兵に等しく惨めなものだった

ボクはあの頃…復讐しか頭に無かった
かつて施設に拘束されていたあの頃に戻ったかのように
世を憎悪し、やり場の無い怒りをぶつける相手を探していた

苦しげに息をつく眼帯の少女―ナンバーズの生き残り一人
ボクが追い詰めていた、弱弱しく上げた手をナイフごと蹴り飛ばした、華奢な腕だった、折れそうなほどに
歯を食いしばり、その視線でボク達を射殺そうとするかのように無言で睨んでいた
と、ふいにその表情が崩れ意識を失ってその場に崩れ落ちた

「…見なさいよ、もうこの子には抵抗する力なんか無かったのよ…」
キャロがおどおどした表情で二人を見比べ
スバルと目配せすると倒れた少女の確保に踏み出した
ボクは座り込んだまま叫んだ

「こんな奴ら…全員殺してしまえばいいんだ!、確保の必要なんか…無い!…絶対改心なんかするはずないんだ!
  …やり直せないんだ、機械なんだよ!こいつ等できそこないの…」

ガッ
胸倉を掴まれて壁に押し付けられた

「…もういっぺん言ってみなさいよ…、あんた…私達の仕事が殺し屋か何かと思ってるわけ!?
   …許さないわよ…隊を預かるリーダーとして…そんな…みんなの士気を下げるような物言いは!…」

静かな怒りがその言葉に秘められていた
心配そうな目でキャロがこちらを見つめ
スバルさんは…確保した手を止め、向こうを向いたまま無言だった
そうだった彼女は…流石にバツが悪くなり下を向いて俯く、最悪だ…

「エリオ…、あんた今日はもう先に帰りなさい、…隊長命令」
ティアナが胸倉をつかんだ手を離し、立ち上がってクロスミラージュをホルスターに収めた
「解り…ました」
口元を拭いて立ち上がり小さく敬礼した

去り際にティアナさんが小さく呟いた

「エリオ…あんただってフェイトさんに救われたんでしょ…」

振り向いたその目に力強く歩き去る少女の後姿が遠ざかっていった
161名無しさん@ピンキー:2007/08/05(日) 00:59:14 ID:VV7nn2Jy
「…隊長、エリオ隊長ったら!」
「え?…あ、ああ…えっとゴメン…ちょっと考え事を…」
「…もうボーっとして、もうすぐ着きますよ」
後部座席でボクは居ずまいを正した

強襲特別機動隊、―小規模編成の特別突入チーム

第一から第八まであるこの部隊は6課解散の後数年後に新設された
かつての地上本部襲撃事件の連絡のまずさと、戦力集中の隙を突かれた反省から
陸と空から厳選されたメンバーで構成され、現在ミッドチルダ本部を中心に各都市に配置されていた
現在はその身軽さでかつての6課を小型にしたような形態により、地味だが年々順調に実績を重ねていた


今年19歳になるエリオはその経歴を買われ、第一部隊の隊長
実質的には全隊の総指揮を取る立場に居た
機動隊の規模は来年からまた大幅に増え、ほぼ倍の数になるらしいから
そうなるとエリオの地位も自動的に繰り上がり、
名実共に前線部隊の総指揮という立場になるともっぱらの噂だった

(…ボクが総指揮…か…実感無いな…)
車の後部座席で同隊のサポート支援担当の陸士、水色の髪のショートの女の子を眺める
年は確か今年15歳のはずだ、生真面目な性格で細かいところまでよく気の利く…ついでに言うとスタイルもいい
あの頃のボクよりも年上、そしてボクはあの頃のはやて司令官達と同年齢…

「どうしたんですか?」
「いや、何でも無いよ」

はやて部隊長、なのは隊長…そしてフェイトさん…
気が付くとあの頃遥かに年上で大人に見えた人達と同年齢になっていた
…今になって思うと
堂々として見えた彼女達も相当無理をしていたのが…今となっては実感できる

19歳…この年齢は社会的には小僧に過ぎないと言う事を最近はひしひしと肌に感じる
陸士の中にはボクより年上の人も多い、考えてみれば当然の事だ、それでも
毅然として命令を下さなくてはならない、弱いところ見せてはならない、他にも…こう見えて気苦労は絶えなかった

「ホントに凄い女性達だったんだよな…」
「え、何がですか?」
「いや、だから何でも無いよ」
「…そういえば隊長、お子様が生まれそうなんですよね?」
「ん?…ああ、ええと…まぁね」
ティアアナの妊娠の事は誰にも言ってないはずだ、身内以外は…
どっからそれを…と言いかける頭に部下の弾んだ声が被せられる
「おめでとうございます!あの…私達…隊のみんなで今度見に行ってもいいですか?赤ちゃん
 あ、もちろん静かにするよう皆には言い含めときますから〜」
「え、…あ〜、いや、でもまだ一ヶ月くらい先だから…予定では」
明らかに困った顔のエリオ
「楽しみだな〜私身近な人の赤ちゃん見るの初めてなんですよ〜、あ、皆も多分そうですよ、きっと
 あは、エリオ隊長カッコいいでしょ、それにデスクの奥さんの写真もすっごい美人だし、きっとすごい可愛い子ですよね〜
 もうみんなプレゼントとか何にしようかって最近そればっかで…」

(この子達は仕事と隊長のボクの事を何だと思ってるんだろう…)
どうも尊敬とか敬意とか言うものに多分に余計なものが付いているような気がする
おもちゃとか噂話の種とかそんなの、これでいいのかなぁ…
キャイキャイとはしゃぐ部下をまんじりと見つめるエリオだった
162名無しさん@ピンキー:2007/08/05(日) 01:01:09 ID:VV7nn2Jy
どういう訳か陸と空から集められた精鋭部隊のメンバーは全員女性だった
より正確には少女、しかも頭に極めつけの美が付く

別の隊の隊長連からはハーレム部隊とか天国に一番近い職場とか呼ばれているらしい
既婚のボクに何を期待してるんだろうあいつ等は
…まぁ6課の頃に戻ったと言えなくも無いけど
産休中のティアナはその辺の事情をよく知ってるから得に何も言わないけど
一度それと無くうちの隊の事話したら
「アンタが浮気なんかしたら態度ですぐバレるから安心なさい、すぐに頭に一発ぶち込んであげるからw」
…って信頼されてるって事なんだろうか?

今のところ隊の実績は文句無しで
隊員も全員優秀の一言なので今のところどこからも苦情が出てないのが救いだ






「このっ…離せよ!」
「…っと」

ボクと同じ赤い髪の少女は両手を後ろに拘束されたまま
それでも尚反抗心むき出しだった、報告では補足時点で10歳児相当…のはず
細身でどことなくアギトを大きくしたような活発な印象の子だ
ピッタリした青のボディスーツの上にボロの衣服を見に付けている

「あの隊長…私、本当に手伝わなくても…」
「うん、大丈夫だから、ちょっとこの子と二人にしてくれるかな」
「わかりました、では、何かありましたら、そこのを」
「了解」
「では隊長お気をつけて」

プシュ、シュ
ドアが閉じるとボクと少女が室内に残された
「さてと…じゃあ、とりあえず、えっと…座ろうか」
離れた位置にイスを向かい合わせて手を差し伸べてみたが、反抗心むき出しの少女は唸って歯を剥いている
ちょっと困った表情になるエリオ

「…じゃあ、これでどうかな、ハイっ」
ピっと手元のボタンを操作すると彼女の後ろでを拘束していたバインドが消えた
不意に両手の自由を得て驚いた少女が、腕をさすりながら用心深い目でこちらを窺っている
「座ってくれないかな?…駄目?…じゃあボクから座ろう」

よいしょとエリオが腰を降ろすとこめかみに向かって汚れた靴が舞い上がって来た、並みのスピードではない
「馬鹿めッ」
手ごたえと衝撃音に少女が会心の笑みを浮かべた、自分の一撃にかなりの自信を持っていたのだろう
実際、並みの男なら何が起こったのか解らないうちに昏倒していただろう見事な一撃だった
しかし直後にその目が驚愕に見開かれた

軽く目前にかざされたエリオの掌に少女の必殺の攻撃は押さえられていた
その両目は涼しげに少女を見つめたままだ
「くっ…」
「座ってくれないかな…本当に、ちょっとお話したいだけなんだ」
163名無しさん@ピンキー:2007/08/05(日) 01:01:50 ID:VV7nn2Jy
エリオは両手を広げて見せた
その顔に小さな拳が迫った、軽く首を傾けて避ける、赤毛が軽く風圧に舞った
「このっ!このぉー!」
(やっぱり同世代の子よりかなり鋭いな…筋力、瞬発力)
かわしながらエリオは考えた
(そして体力)
しばらく攻撃を捌いた、最後に少女は隙を見てドアに向かって走ったがロックされたドアはビクともしなかった
ドンドンとドアを叩きドアノブを引き千切れないかとばかりに捻る

「…くっそ…ちくしょう…ちくしょう」
しばらくドアを叩き続けた、その後無駄だと悟った少女は絶望的な表情でエリオを見ると
ゆっくりと膝をついて、ドアの前に仰向けに体を投げ出した
その細いうでが動き、のろのろとボロの上着を脱いでボディスーツの前を開けた、幼い胸が露になる
「…………」
「…好きにしろよ…抵抗はしない…から…でも痛いのだけは止めてくれ…」

抑揚の無い声でそう呟く少女、片腕を目の前にかざして表情はよく見えない
エリオは多少当惑した
「そんな事…しないよ、さ、服を着て…そっち側にに座ってくれるかな」
寝そべったまま、腕を挙げエリオをしばらくじっと見つめると、少女はのろのろと起き上がり、上着を羽織るとイスに力無く腰掛けた
「私が…何をしたって言うんだ…ただ生きるために盗って…売春って…戦ってきただけだ…」
床に向かってぶつぶつと呟く
その目からは先ほどまでの危険な程の精気が抜けて無機質なガラスの作り物のようだった
「…………」



廊下を歩くエリオとその後ろを付いて歩く水色の髪の部下
「隊長、どうでしたあの子?」
「うん…あの子やっぱり…本当に」
「ハイ、タイプJ型、戦闘機人です…」
164y=ー( ゚д゚)・∵. ターンA:2007/08/05(日) 01:05:28 ID:VV7nn2Jy
ぐわ、コテハンのチェック外れてたorz

とりあえず終了〜
後半(で終ればいいな)スバルママ登場〜あとはやて隊長達のその後
馬鹿話ばっかり書いてたから反動で書きたくなったんです…多分リクエストくれた人は
エロ期待してたんだろうなぁ…斜め上に受ける人←

ではでは
165名無しさん@ピンキー:2007/08/05(日) 01:26:36 ID:qBHF3Nth
>>164
まずはGJ!!
フェイト死んじゃったか南無
キャロじゃなくティアが嫁とは意外とびっくりする展開?
後編お待ちしています

しかしタイプJ型戦闘機人に「そんなこと」をして欲しかった俺ガイル……
166名無しさん@ピンキー:2007/08/05(日) 01:45:33 ID:XA9T4pG1
>>164
G!

エリオの外観は若かりしころのゲンヤさん、もしくは大人になった優さんで決定だね。
キャロは自然保護官かなあ、やっぱり。
後半待ってます。
167名無しさん@ピンキー:2007/08/05(日) 02:05:12 ID:ApWp/w1C
うわあ、結構来るものがあるなあ。
後編待ってます。
168名無しさん@ピンキー:2007/08/05(日) 02:18:55 ID:VL48dSrT
>>101
久しぶりに麦茶を吹かせてもらった!
こんな風に→(´゚ω゚):;*.':;ブッ
冒頭からアルフザフィでヽ(゚∀゚)ノ ワー
エロくないのにいちゃいちゃしすぎて却ってエロいと感じてしまって、本当に困るw
グリフィスとシャーリー、理想だぜGJ!

>>112
ヒイイ (((((( ;゚Д゚)))))ガクガクブルブル

>>122
公衆便所lλ=====3 ヒャッホーイ

>>139
おっしゃあ!GJ!!
かくして世界は広がるw

>>164
オッケエエエエ!!
戦闘機人が悲壮感漂わせていて、なんか泣けてきた……
ああ、畜生、ノーヴェ買ったヤツァ出てこい!
そして後半に期待!

それにしても公式にナンバーズが出ていてホント大助かりだw


>>166
>優さん
「スプリガン」という単語が浮かんでしまった俺って…orz
さて某を更新するか
169名無しさん@ピンキー:2007/08/05(日) 02:22:35 ID:gTUj46sz
>>164
GJです。やはり、一度技術が確立されると潰すのは難しいな>戦闘機人

戦闘機人ってのはマダラのCDドラマみたいに機械取り換えながら成長していくように見せかけるんだろうか

それはそうと、ターンA氏に要望があるのですが……、
せっかくユーノとヴィータのフラグ立ったんですし、なのはを押しのけて結婚、つか妊っ娠や出産イベントあると嬉しいかな……なんて。
170名無しさん@ピンキー:2007/08/05(日) 02:31:13 ID:yARaEqPD
なんとなく思ったがシャマルは隠れてBL本を読んでそうだな
171名無しさん@ピンキー:2007/08/05(日) 03:11:04 ID:6L0JJUDZ
シャマルが作った同人誌を知らず購入してハァハァしてるわけですね
172名無しさん@ピンキー:2007/08/05(日) 06:50:03 ID:c5a/l5Rh
>>164

GJ!
エリオの成長がいいです。
大人になったエリオ劇場楽しみにしてますね。
173名無したん(;´Д`)ハァハァ:2007/08/05(日) 11:20:36 ID:hug9lneP
>>122
小旅行から帰ってきてみたら、何かひどいもの(褒め言葉)が投下されてるwww
なんというかもう、クロノが哀れすぎるwwww
とりあえずアッー!自重wwwwww

なんかもういろいろGJだw
17438 ◆KHEtQ2j5Nc :2007/08/05(日) 12:11:51 ID:5QlGwqoS
>>141
……すまん。今打ってるのエロ無しなんだ。

>>142
都築は明らかに戦略間違えてると思うんだ。
百合やるためだけにユーノハブったような物だし。
……もし4期があるんなら、今度はエリオがハブられそうな予感がする。
都築はネットしないのかね? してればユノなの待ってる奴が多い事は簡単に分かると思うんだが。
だって、STSになってユノなのシーン1つしかないのになのフェイ並にSSあるんだぜ?
175名無しさん@ピンキー:2007/08/05(日) 12:17:26 ID:z5gfYI/Y
>>174
逆に考えるんだ・・・ユーノが出ない鬱憤が今の状態を生んだのだと
176sakura(っ´▽`)っ ・・・ :2007/08/05(日) 12:23:03 ID:THcLNJ5R
遠征から帰って来たら次スレ立ってた…かなりの亀レスですが>>1乙です。それから>>9に同じく投下を待ってます。1番気になる所で止まってるし…
最後に、皆さんいろいろと超GJです!
長文失礼しました。
177名無しさん@ピンキー:2007/08/05(日) 12:24:41 ID:p7VC02lR
>>174
都築は、百合をやりたいんじゃなくて、恋愛を描く気がない。
中の人を含め沢山の人が勘違いしているが、なのはとフェイトは都築的には友情だ。
SSの状況は>>175に同意。
178名無しさん@ピンキー:2007/08/05(日) 12:36:50 ID:F0ZpCw8/
ユーノが出てこないのは彼が明らかな「大人」だからではないだろうか?
179名無しさん@ピンキー:2007/08/05(日) 12:38:48 ID:k+3AfBWh
>>174
コテつきでそういう事言うなんて勇気あるな

なのはのお相手CPとしちゃ、年がら年中キャッキャウフフななのフェイ派、
「まだだ、まだ終わらんよ!」な怪気炎あげてるユノなの派、
そしてA’sラストで希望を打ち砕かれて、夢の中に逃げ込んだなのクロ派、
の三大グループがいると思うんだが、やっぱりCPを公式で明言してしまうと
あちらをたてればこちらがたたずになるので、玉虫色にしておいた方がよくね?

今のところユーノが出番ハブられてるのは、オマイの言うCP云々が理由というより
脚本上・舞台設定上の都合だと思うけどな。
180名無しさん@ピンキー:2007/08/05(日) 13:46:52 ID:o01eULMu
>>164
遅ればせながらGJです。ナンバーズではチンクが好きな自分としては、彼女が生き残ってることが嬉しかったり。
後半での活躍を期待しています!

公式を見てたらチンク×ノーヴェとかもありだなぁとか思ったり。
181名無しさん@ピンキー:2007/08/05(日) 14:15:44 ID:8nG5wSv4
>>164
 GJ!フェイトさんのことは悲しいが、ストーリーの流れは良い!後半に期待!

>>177
 そうなんだよな。他に、本編でかなりラブっぽいエリキャロもあくまで「兄妹」&フェイト含めて「家族」
らしいし。だけど、昔あったメガミ付録のサウンドステージでフェイトやはやてがユーなのの仲に関心を持ってたり、
公式HPでも「心通じる関係」と言われてみたり、やっぱりユーノが「公私が認める、なのはにとって特別な存在」
であるのも確かそうだし、エリキャロだって都築がインタビューで「恋人関係になるかもしれない」と認めている。
だから本編中はともかく、終了後にユーなの、エリキャロをくっつけるのも、或いは他の相手とよろしくさせるのも
問題ないと思う。もちろんEDの描写によって「やりやすさ」は変わると思うけどな。
182名無しさん@ピンキー:2007/08/05(日) 14:18:08 ID:2vNoc+M/
夏休みにユーノ誘おうとしたら、既にアリサ御嬢様に寝取られ、
バニングス家自家用機で常夏の島にユーノ連れてかれた後だったんで、ヴィヴィオのフェレットゆーのヌイグルミにSフレーム突き刺してるなのはさんだ。
183名無しさん@ピンキー:2007/08/05(日) 14:25:03 ID:yARaEqPD
>>177
19の女の子が男経験無くて、今も付き合ってなどいない、異性を意識する場面もない
そんな女の子2人が同じベットで寝てたら百合としか思えないわけで
本当に友情としか考えずに、友情としか見せる気が無いとしたら、ちょっとおかしいよ
184名無しさん@ピンキー:2007/08/05(日) 14:27:21 ID:k7AKVWoP
>>183
まぁ、それが都築だからなぁw
185名無しさん@ピンキー:2007/08/05(日) 14:37:36 ID:XOodGE0v
まあ何だ、富野が種に対して「ただ、殺せば良いってもんじゃない」評したような
イマイチ説得力の無い台詞というヤツかな?
186名無しさん@ピンキー:2007/08/05(日) 14:45:06 ID:ymwilftp
>>185
自虐を兼ねてる気がしないでもない>富野
187名無しさん@ピンキー:2007/08/05(日) 14:47:02 ID:3BuPckdp
>>183
恋愛を描く気はないがサービスシーンはやりたいんだろうな。

あと、付き合ってないかどうかはわからんのでは。本編で描写されていないだけで。
エピローグで結ばれてるとかは十分ありうると思う。
188名無しさん@ピンキー:2007/08/05(日) 14:52:20 ID:p7VC02lR
まあ、同時に、少なくとも無印は真っ当な魔法少女物として作った、とも言ってるから、説得力は(ry
189名無しさん@ピンキー:2007/08/05(日) 15:29:40 ID:ScjsRjvR
なのはとフェイトの描写が多いのは、それだけ無印からの結び付きが強いからだろ。それと、同じ場所にいるから、ってことで。
登場人物の居場所、性格的に、適当な相手がフェイトしかいなかっただけで、百合ってわけじゃなかろ。
逆にユーノあたりが六課に関わっていて近くにいたり、年長者として直接クロノが関わっていたりしたら、彼らを精神的支えとしてフェイトの位置に据えることはおかしくないし。

まあ、それが即、恋愛に繋がるわけでもないが。そのあたりは公式で明記されてるわけじゃなし。個人の妄想でいくらでも盛り上がれるさ。
190 ◆6BmcNJgox2 :2007/08/05(日) 15:38:58 ID:zFF0nBnf
前回暴走したユーノをなのはが止める話を書きましたが、
今回は逆になのはが暴走してユーノが止める話です。

あと、ヴィヴィオを助けられなかったら…と言う話でもありまして、
以前酔った勢いで押し倒した編で出したおでん屋台のオヤジも少し登場します。
191失った悲しみを埋められる者 1 ◆6BmcNJgox2 :2007/08/05(日) 15:41:08 ID:zFF0nBnf
「ごめんね…ごめんね…なのはままともう一緒にいられなくて…ごめんね…。」
「ヴィヴィオ!! 死んじゃだめぇぇ!!」
「ごめんね…ごめ……………………。」
「ヴィヴィオォォォォォォォォォ!!」

スカルエッティ率いるナンバーズと機動六課の戦いは機動六課の勝利に終わった…。
しかし…なのははヴィヴィオを救う事が出来ず、その勝利も後味の悪い物でしか無かった。
ヴィヴィオを救う事が出来なかった事が余程ショックだったのだろう。
その日を境になのはは火が消えてしまった様に暗くなった。当然訓練にも身が入らなくなり、
模擬戦でもスバルやティアナ相手にさえ遅れを取る毎日…。スカルエッティ軍団との
最終決戦で見せたあの鬼の様な強さからは想像も出来ない程…なのはは弱くなってしまった。
勿論リンカーコアに異常があるワケでは無い。身体的には健康的で何時も通りである。
異常があるとすれば…それはむしろ精神面の方。今のなのはにはやる気と言う者が
まるで感じられない。やはりヴィヴィオを失った事がなのはの心に大きな傷を与えていたのだろう。
それでも何時までもウジウジされたら皆が迷惑する。とにかく皆はなのはを励まそうとしたり、
何か別の事をさせてストレスを発散させようとしたり、魔砲を撃ち込んだり、頬を張るなど
渇を入れたりなど、様々な方法で何とかしようとしたが…それさえダメだった…。
皆はもうほとほと困り果ててしまった。

一方なのはの落ち込みはますますエスカレートし、ついには酒に溺れる様になってしまった。
「ヴィヴィオォォォォォ!! ぬぁんでぇ死んでしむぁったのぉぉぉぉぉ!!?」
「おいおい嬢ちゃん…その辺にしといた方が良いんじゃないか?」
「うるせぇよぉ!! これが飲まずにいられるかっとぇんどぁぁぁぁぁ!!」
まだ19歳だと言うのに大酒を飲み、それはおでん屋台のオヤジにさえ心配される程だった。

だが、本当に問題なのはここからだった。
何しろなのはは管理局内でも堂々と酒を飲むようになってしまったのである。
「なのはもうやめて! ここでお酒を飲むなんてやめて!」
「うるせぇ!! てめぇが私に指図すんなぁ!!」
「!!」
フェイトがなのはを注意した直後、なのはに暴言を吐かれた上に魔砲で吹っ飛ばされてしまった。
いくらなのはが酒に酔っているとは言え、あんなに仲が良かったフェイトに
暴言を吐くなど皆には信じられない事だった。
「あああああムシャクシャするぅぅぅ!! もうみんな死んでしまえぇぇぇぇ!!」
そしてついになのはは暴れだしてしまった。皆は必死になのはを止めようとするが
こういう状況に限ってなのはは滅茶苦茶に強い。スバル・ティアナ達は勿論の事、
はやてさえもまるで赤子扱いされるがごとく一蹴されてしまった。
もう終わりだ。この暴走する破壊神の手によって管理局は全滅…そう思われた時だった。

「なのは…君はそんな事をする人じゃなかったはずだ…やめるんだ…。」
なのはの前に突如姿を現したのは無限書庫司書長を勤めるユーノ=スクライアその人である。
「ユーノ駄目…今のなのはは…。」
フェイトはボロボロの身体を引きずりながらなのはに近付くユーノを止めようとするが
それよりも先になのはの魔砲がユーノへ向けられていた。
「ユーノ君なんかに私の気持ちが分かってたまるかぁぁぁぁ!!」
「なのはダメェェェェェェ!!」
フェイトの叫びも空しく、ユーノはなのはの魔砲に飲み込まれてしまった。
しかし…そこにはまるで何事も無かったかの様に立つユーノの姿があるのみだった。
192失った悲しみを埋められる者 2 ◆6BmcNJgox2 :2007/08/05(日) 15:43:30 ID:zFF0nBnf
「う…そ…。」
「なのは…もうやめようよ…。君が一体何故そんな行動を起こしたのかは分からないけど…
だからって全然関係の無い皆を傷付けるなんて間違ってるよ。」
「う…うるさぁぁぁい!!」
なのははユーノに魔砲を連射し、ユーノはそれに耐え続けながらも説得を続けた。
そして皆は呆然とその二人の戦いを見入る事にしか出来なかった。
既になのはの魔砲を何発も受けていると言うのに…ユーノの防御力は何と凄まじいのだろうと…。
しかし、いくら防御力の高いユーノと言えどもダメージを全く受けていないと言うワケでも無く、
少しずつダメージを蓄積させて行く。だが…それでもユーノはなのはへの説得を止めないのである。
そして…ついにユーノはなのはと目と鼻の先にまで肉薄し…なのはの頬を叩いた。
「!!」
それは特に何でもないただの平手打ち。鞭打の様な特殊性も無ければ、ユーノ自信に
そこまで力も無く、大した効き目の無い平手打ち。しかし、その一発は
なのはにどんな魔法攻撃よりも遥かに凄まじいダメージを与え、動きを止めていた。
「なのは…どうしてこんな事をするんだい…?」
ユーノの目からは大粒の涙が流れていた。なのはのこんな姿など見たくなかったから…
「だって…だってヴィヴィオが…ヴィヴィオがぁぁぁぁ!!」
「え…。」
なのはの口から出たヴィヴィオと言う言葉でユーノは以前聞いた事を思い出した。
機動六課が一人の女の子を保護し、なのはが母親代わりになったが…
スカルエッティの軍団との戦いの中で犠牲になってしまったと言う話である。
そしてなのはがここまで荒れてしまった原因はそこにあったのだとユーノは悟った。
「そのヴォヴィオって子はそんなに大切だったのかい?」
「…。」
なのはは目に涙を浮かばせながら軽く頷き、ユーノはなのはの肩に手を乗せた。
「でもさ…なのは…今のなのはの姿を天国のヴィヴィオが見たら…どう思うかな?」
「!」
「きっと悲しむと思うよ…。だからもうこんな事はやめようよ。それでもムシャクシャする
って言うなら…僕が代わりに受けてあげるから…。エクセリオンバスターでも
スターライトブレイカーでも…受けてあげるから…ね…。」
ニッコリとした微笑を向けるユーノになのはの目に大粒の涙が浮かんで来た。
「う…うわぁぁぁぁぁ!! ユーノ君!! ごめん!! ごめんなさぁぁぁぁぁぁい!!」
なのはは大声を出して泣き出し、ユーノに抱き付いた。そしてユーノに抱かれながら
なのはは涙が枯れるまで泣いて泣いて…泣き続けた。

「やっぱり…敵わないのかもね…悔しいけど…。」
ユーノに抱き付いて泣き続けるなのはを見つめてフェイトは悲しげな顔をしながらも
二人の仲を認めた。やっぱり真になのはのパートナーと呼べる存在はユーノなんだと…

それから…色々あってなのはとユーノはゴールインする事を決めた。
ヴィヴィオがいなくなった悲しみを抱えたなのはには支えられる人が必要であるし、
かつ、またなのはが暴走した時に止められる力を持った人も必要。
だからこそ二人のゴールインには誰も文句は無かった。

さらに時は流れ、二人の間に無事第一子誕生。しかし中々名前の方が思い浮かばず、
産婦人科の病室のベッドでなのはは自分の子供を抱きながら名前を考えていたのだが…その時だった。
「なのはままただいま。」
「!!」
突然の聞き覚えのある声になのはは硬直した。病室内にはなのはと自分の子供の二人しかいない。
しかもその声は死んだはずのヴィヴィオの声では無いか…。これは一体どういう事か…
「まさか…。」
なのはは自分の子供を見つめた。そして以前テレビで見たオカルト系の番組にあった
【前世の記憶】を持って生まれて来た人と言うのを思い出した。
「もしかして…。」
なのはは思った。きっとこの子はヴィヴィオの生まれ変わりなんだと。
ヴィヴィオが本当に自分の子供として生まれ変わってきたのだと…。

それから間も無くして夫であるユーノがやって来た時になのはは言った。
「あのね…この子の名前…ヴィヴィオって付けたいの。」
                     おわり
193 ◆6BmcNJgox2 :2007/08/05(日) 15:46:17 ID:zFF0nBnf
百合はネタでやるから面白いのであって、公式でやられるとちょっとアレかもねと思いました。
せめて友情パワーに抑えていてくれれば良いんだけど…なのはとフェイト

>>164
フェイトが亡くなった上にアルフまで…地味に衝撃的でした。
しかし、エリオが出会ったJ型の機人はどうなるのでしょうか?
194名無しさん@ピンキー:2007/08/05(日) 16:21:31 ID:l1Si4y14
>>164
GJ!
成長したエリオいいよエリオ
後半をすごく楽しみにしとる
195ておあー:2007/08/05(日) 16:51:26 ID:KgwF7Gav
初投稿です。本編で散々な扱いを受けている青いわんこに少しでもいい思い(?)をさせてやろうと試行錯誤していたはずが、非常にカオスな電波を受信してしまいました。世界はこんなはずじゃないことばっかりだから困る。

・エロなし、パロあり、かなり長い
・スバザフィ……?
・若干オリ設定あり
・その他オリジナルのカップリングあり

以上です。

それでは、魔法忠犬リリカルザフィーラ始まります。
196それは新たなるフラグなの?:2007/08/05(日) 16:53:38 ID:KgwF7Gav
 きっかけはささいな事だった。
 とある任務で久しぶりに人型形態をとり、そのまま六課の隊舎に戻って来た。いつもの紺の騎士服ではなく、スーツ姿だった。
 昼食をとろうと食堂に行く途中、出会ったフォワード陣から

「来客の方ですか? よろしければ御案内しましょうか?」

と聞かれた。
 そういえば、フォワード陣にはこの姿を見せたことはなかったか。そう思いながら口を開きかけた時、主から念話が入った。

魔法忠犬リリカルザフィーラ第0話『それは新たなるフラグなの?』

「という事で、今日はお客さんが来てくれてます」
 昼食後、六課のメンバーは部隊長である八神はやてに召集された。他の隊員達は全員整列しているが、いつもと違うのは人型形態のザフィーラがはやての隣に立っているという事だ。
 フォワード陣の背後ではなのはやフェイト、ヴォルケンリッターなどザフィーラの正体を知る者達が必死に笑いを噛み殺しているのだが、突然の召集に緊張気味の新人達の中に、いつもと違う上司達の姿に気がつく余裕がある者はいなかった。
「それでは先生、自己紹介をお願いします」
「……ゴホン。本局から来たアルフィーと言います。よろしくメカドッグ」

 沈黙。

(主!? このギャグは絶対に受けるはずでは!?)
(だ、だって見た目犬のザフィーラが『よろしくメカドック』て……ぶふっ……)
(主、我は一応犬ではなく狼です! それより、この空気をどう打開すれば……)
(ぷぷ……メカドッグて……ふふっ……)
 はやては一人で勝手にウケている。表面上は凛々しい部隊長の顔を保っているが、中身は完全にツボにはまっていて使い物になりそうにない。
(くうっ……どうすれば……)
 フォワード陣はおろか、先ほどまでニヤニヤ笑いを浮かべていた隊長達もまるで芸に失敗した動物を見るような目でザフィーラを見つめている。
(た、高町教導官!!)
(ええっ!? 私にふられても〜)
 いくらはやてと同じ日本出身といえども、19歳では『よろしくメカドッグ』を知っている人間の方が少ない。ちなみに作者も名前しか知らない。
197それは新たなるフラグなの?:2007/08/05(日) 16:54:23 ID:KgwF7Gav
「今日は主はや……八神部隊長の依頼で、皆さんのメンタルアドバイスを行うために来ました」
「あの、メンタルアドバイス……ってどういうものなんでしょうか?」
 頭に疑問符を浮かべるフォワード陣を代表してティアナが質問する。
「それは……」
「それは私から説明するわ」
 ここでようやく持ち直したらしいはやてがザフィーラの後を継ぐ。
「メンタルアドバイスてゆうても、難しく考える事はあらへん。まあいわゆるお悩み相談や。仕事でもプライベートでも、何か悩みがある人は、このアルフィー先生にどんどん相談してな。普段は忙しいのに今日はわざわざ本局の方から来てくれたんやで〜」
(いいのですか? そのような嘘を言ってしまって?)
(私は『本局の方から来た』と言うただけで、『本局に勤めてる』とは一言も言うてへんよ?)
(……)
 念話でそんな会話を交わしている間にも話は進む。
「悩み……ですか?」
「そうや〜。もちろん相談した内容は絶対外に漏らしたりせえへん。それは保障するわ」
 ズキン、とザフィーラの心の奥が痛んだ。きっと何か言葉のマジックがあるに違いない。でも我は何も聞いていない、アーアー聞こえナーイ(AA略
「とりあえずアルフィー先生は今日いっぱいここに居てくださるから、悩みがある人は仕事の合間を見つけて先生に声をかけるようにな。それじゃあひとまずは解散や」
 その一言で皆がそれぞれの持ち場に戻っていく。やがて部屋には隊長陣だけが残された。

「これから今日一日、しっかり頼むでアルフィー先生♪」
 はやてがザフィーラの肩をポンと叩く。それが合図になったのか、なのはやヴォルケンズが一斉に笑い出した。
「もう……急に念話ふらないでよー、ザフィーラwwwww」
「アルフィーって……いい名前だねwwwwアルフも喜ぶよwwwwww」
「その、何と言うか……名演技だったぞw」
「だよなーwww」
「ですーwww」
「そうそうw管理局を辞めて俳優でも稼げると思うわwww」
「くうっ……」
 なぜか視界がボヤけた。
198それは新たなるフラグなの?:2007/08/05(日) 16:55:27 ID:KgwF7Gav
 とにもかくにもザフィーラは『管理局の方から来たメンタルアドバイザー・アルフィー』として相談者が訪れるのを待つ事にした。
隊舎の空き部屋に机と椅子を運び込んで作られた即席の相談室には隠しカメラと盗聴器が仕掛けられ、隣の部屋ではなのは、フェイト、はやてが待機している。
もちろん隊長陣とザフィーラの間には念話のホットラインが開設されており、三人は相談内容に応じてザフィーラにアドバイスを送る手筈になっていた。
(しかし……本当によいのですか?)
(だって、恋愛関係の悩みとか相談されたらザフィーラには答えにくいやろ? 大丈夫だいじょうぶ、『三人寄れば文殊の知恵』や。ちゃあんと立派なアドバイスを送ったるからな)
(いえ、そういう事ではなく何と言うか……何も知らない彼女達を騙しているようで……)
(部下の弱み……やなくて悩みをきちんと把握しておくのも上司の大事な役目や。こういう事はしっかりチェックしておいて、何かある場合には早めに対策を立てんと、問題が表面に出てしもうてからでは手遅れやからね)
(そうですか……)
 もはや何を言っても無駄だろう。一瞬自分の名前を偽名の一部に使われた友人の顔が頭に浮かんだ。今の自分の姿を見たら彼女はどう思うのだろうか。
 そんな事をぼんやりと考えていると、部屋の扉がコンコンと二回ノックされた。
(キタ━━(゚∀゚)━━!! ザフィーラ、ボロ出さんように頼むで)
(フォワード陣は人型形態を見た事はありませんし、念のため声も声色を遣っています。口調を変えればおそらく正体が露見することはないでしょう)
(了解や。ほな頼むよ〜)
(……)
(どうしたの、なのは?)
(なんか、ザフィーラの声色って、私のお父さんの声にそっくりなのよね……偶然かな?)


「どうぞ」
「失礼しまーす」
 入ってきたのはスターズ分隊のフロントアタッカー。青髪の元気娘、スバル・ナカジマだった。
(へえー、まさか初っ端からスバルが来るとはなあ)
(そうだね。普段はあまり何かを悩んでいるところなんて見ないけど)
 はやて達が隣室でそんな会話を交わしている間に、スバルはザフィーラの勧めた椅子に腰掛ける。
「まず最初にお名前を聞かせてもらお……もらえますか」
「あ、はい! 時空管理局機動六課スターズ分隊・スバル・ナカジマ二等陸士です!!」
「元気で何よりです。ナカジマさん」
「あ、スバルでいいですよ〜。隊長さん達にもそう呼ばれてますし」
「そうですか……では、スバルさん。私に相談したい事とは?」
 こういう相談の場合、最初は軽く世間話でもして相談者の緊張をほぐしたりするのだが、実直な性格のザフィーラはいきなり本題に切り込む。そして、その一言が合図になったかのようにスバルの顔からも笑顔が消えた。
「はい。実は……私のお父さんの事なんですけど……」

(スバルのお父さん……て確か陸士103部隊長の)
(うん……ゲンヤ・ナカジマ三等陸佐)
(ゲンヤさんがどないしたんやろ?)
199それは新たなるフラグなの?:2007/08/05(日) 16:57:22 ID:KgwF7Gav
「スバルさんのお父上が何か?」
「お父さん……その……最近なんだか怪しいんです」
「怪しい? 具体的にはどのように?」
「何というか、その……ある人と……というかうちの八神部隊長なんですけど……普通じゃない関係になっているというか……強要しているというか」


(((ΩΩΩ <ナ、ナンダッテー!!!)))

「どどどどどどういうコトコトか、詳しく聞かせていただけだけますか」
 隣室で絶叫するなのは達と動揺しまくるザフィーラ。スバルはそんな3人+1匹の様子に気づく事なく話し続ける。

「八神部隊長……数年前にお父さんの元で研修を受けていた時期があったらしいんです。でも、お父さん、研修が終わってからも、ちょくちょく部隊長を呼び出してたらしくて……」
(主、主!! こここれはどういう事ですか!?)
(そうよはやてちゃん! kwskかSLB、今すぐどちらか選んでもらうの!)
(私達の間に隠し事はなしって約束したよね、はやて!?)
(ちょ、ちょう待ちみんな、そんなにいっぺんに言われても……)
「そのうち、二人が管理局以外の場所で一緒にいるのを見たっていう人が現れて……それで中にはその……二人がホテルに入って行くのを見たっていう人が……」
 スバルの目に涙が浮かぶ。
「お父さん、確かに声は渋いけど髪型はなんか変だし、顔もエラ張ってるっていうか全体的にすごく微妙で正直どうやったらあんな美人のお母さんと結婚できたるのかわかんないし、魔力資質ゼロだし、最近ちょっと加齢臭を気にしてるし……
そんなお父さんが美人でエリートで総合SSランクで親子ほど年が離れた八神部隊長とそういう関係になるなんて、どう考えてもおかしいです! それにアタシ、風の噂で聞いたんです。
八神部隊長、あの若さで自分の部隊を立ち上げるために、裏ではそうとう無茶な事もやったって……
もし、お父さんが「俺の言う事を聞けばお前の部隊立ち上げに協力してやる」とか言って、自分の権力を利用して八神部隊長に関係を強要してたら、あたし、あたし……」
(美人でエリートやなんて、照れるわ〜/// それにゲンヤさんの匂いは加齢臭やなくて人生の深みを感じさせる男の匂いやで。まだまだスバルはお子ちゃまやね)
(さらっとそんな事言ってる場合じゃないよ、はやてちゃん……)
(はやて、あなた……)
(主、何故言ってくださらなかったのですか……主の命あらば、ヴォルケンリッター一同は喜んで主の代わりにその身を差し出したはずです……)
(……ザフィーラはあんま需要なさそうやけどな、性的な意味で)

「うっく、えぐっ……」
 漏れる嗚咽に気づき、3人+1匹はいったん念話会議を中断した。恐る恐るスバルの様子を窺うと、堪え切れない涙がポタポタとスカートに落ち、その姿は見る者に破裂する寸前まで膨らんだ風船を想像させる。
今ほんの少しでもこの娘に刺激を与えれば、これまで誰にも相談できず溜め込んできたであろう感情が破裂し怒涛のように押し寄せるのは明らかだった。
(こらあかん! ザフィーラ、なんとかするんや!!)
(そうよ、何とかするの! とりあえずぶっ飛ばすの!!)
(何とかしないとアルフとの交際、今後一切認めないよ!!)
(な、なんとかと言われても……)
 三人娘に爆発物の処理を丸投げされ困惑するザフィーラ。だがそうこうしている内にも目の前の導火線は刻一刻と短くなっていく。頭の中では自分を責める女性陣の声がコーラスとなって反響する。
前門の勇者王(二代目)、後門の魔王&雷神&夜天の王。どちらも危険な道には違いないが、後門に配置されている戦力は格が違う。
(ええい、こうなったら―)

 追い詰められたザフィーラは―目の前の爆発物を、思い切り抱きしめた。
200それは新たなるフラグなの?:2007/08/05(日) 16:58:47 ID:KgwF7Gav
(((〜〜〜〜〜〜〜〜ッッ!!)))
「……え?」
「つらかったんですね。ずっと溜め込んで。誰にも言えなくて。もう我慢しなくていいですよ。今は思いきり泣くといい。私がこうしててあげますから……」
「……うっ、うう……うわあああああん!!」
 ザフィーラの一言が引き金になり、スバルが泣き出す。厚い胸板に顔を埋め、子供のように泣きじゃくる少女を守護獣は優しく抱き抱える。

(ザ、ザフィーラ……?)
(申し訳ありません主はやて。主の命を破って、彼女を泣かせてしまいました)
(いや……それはもうええとして……な ん ぞ そ の ア ク シ ョ ン ! ?)
(以前アルフの感情が昂った際、このようにすると落ち着いたので……)
(……ああ、さよか)
(……これは後でザフィーラにもkwskする必要がありそうなの)
(まあまあ……あの二人については割とポピュラーなカップリングだし)
(……ところで主。彼女が落ち着くまでにナカジマ陸佐との関係について話して頂けるとありがたいのですが)
(あぁ、そういえばそうやな)
 我に返ったはやてがゲンヤとの関係を話し始める。
(いやあ、実は私のほうがゲンヤさんに惚れてしもうてな。向こうは年齢の事もあって初めは断ってたんやけど、紆余曲折あって無事お付き合いする事になったんや。
ホンマはみんなにもすぐ報告したかったんやけど、二人で色々話をして、しばらくは秘密にしとこうっていう話になってな。もちろんみんなには、頃合をみてきちんと話をするはずやってんで?)
(そうだったんだ)
(でもでも、せめて私達には話してほしかったなー)
(ごめんなあ、なのはちゃん。でも『人の口に戸は立てられぬ』って言うし、誰かに話したらどないしても秘密は漏れてしまうもんやから……まあこないなったら秘密も何もないけどな。
という事でザフィーラ、スバルが心配するような事はなーんもあらへんから、そのへん上手い事伝えたげてくれる?)
(心得ました、我が主)

 ―しばらく泣いてから落ち着きを取り戻したスバルに、ザフィーラは簡単に真相を説明した。
 もちろん本人から直接聞いたと言うわけにもいかないので、その辺りは適当にぼかす。どのようにぼかせばいいのか作者の小さな脳味噌では思いつかないが、
闇の書と共に悠久の時を生き続け膨大な知識と経験をその身に得ている彼なら、きっと上手い事言えたに違いない。そんなこんなでザフィーラの話が終わると、スバルにもようやく笑顔が戻った。
「そうだったんですか……でも、そうなったら八神部隊長があたしのお母さんになっちゃうんですね。あたしと四つしか違わないのに……」
「まあ、某提督と執務官のように外見上はあまり年齢差を感じさせない親子もいるわけですし、その辺はなんとかなるでしょう。歳の近い親子というのもまた楽しいものですよ、きっと」
「そうなんでしょうか……あ〜、でももう部隊長の顔をまともに見れないよ〜」
「八神部隊長にはこちらから伝えておきます。今晩にでもゆっくり話すといいでしょう、『親子水入らず』でね」
「そうですね〜。ギン姉にも教えてあげなくっちゃ、どういう顔するだろ?」
 元気を取り戻したスバルの様子に、ザフィーラは内心で安堵する。世間には今の自分のように人々の悩みを聞き、アドバイスを与える職業があるという。
当然彼らは自分のような素人とは違うだろうが、それでも日々このような悩みの相談に応え続けるには相当の精神力が必要だろう。
(まだまだ修練が足りぬな……)
 そんな事を考えていると、ザフィーラはスバルが自分の顔をじっと見つめている事に気がついた。
「まだ何か?」
「あ、いえ! 何でもないんです」
 そう言ったきり、頬を赤らめて顔を逸らす。
(今の反応って……)
(まさかぁ、それはないでしょ)
(どうしたの二人とも?)

 ちなみに、親身になって話を聞いてくれるカウンセラーに対して、相談者が恋愛感情を抱いてしまうケースは時々あるらしい。
201それは新たなるフラグなの?:2007/08/05(日) 17:00:27 ID:KgwF7Gav
 外野の三人娘がなぜか騒がしくなってきたので、ザフィーラはいったん念話を切る事にした。
スバルの妙な態度は少し気になるが、相談そのものは既に終わっているし、何より念話と普通の会話を同時に行いながらさらに片方は口調を変えるという作業に頭がパンクしそうだったのだ。
スバルを帰して少し脳を休ませ、次の相談者が来たらまた念話を繋ぎなおせばいいだろう。
「それでは、これで相談は終了ですね」
「え、あ、いやあの……その……耳!!」
「耳?」
「そう、耳!! その耳って、本物の耳なんですか?」
「耳ってこれですか?」
 唐突な質問に妙だと思いつつ、守護獣形態の名残を残す耳を指差しながらピクピクと動かす。この技はかつて主はやてが闇の書が原因による足の麻痺を患っていた頃の主治医、石田医師の前でも披露したザフィーラ26の秘密の一つである。
 ちなみにこの技をユーノに見せたところ、ぜひ習得したいと言うので伝授したのだが、何を思って彼がこの技を学んだのかはザフィーラにはわからない。
だから、その動きにスバルが好物のアイスを前にした時のようなキラキラした視線を向けているのもザフィーラは気づいていない。
「本物ですよ。一応自分は守護獣なので」
「守護獣っていう事はベルカの流れを汲む方ですね。ベルカ式の魔法を使われるんですか? あたしとおんなじですねっ♪」
「スバルさんは近代ベルカ式では? 自分の場合は古代ベルカ式なので多少違うと思いますが」





「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・そうですね(超小声)」






(あっれぇえええええええええええええええええええええええええええええええええ!!!!???? 何故だ? 今、何か拙い事を言ったのか?)
 いきなりテンションがガタ落ちになるスバル。それを見てザフィーラは慌てる。せっかく無難にここまで来たのに、念話を切っている間に何かやらかしてしまったとなれば主に何と言われるか。今さらながらに独断で念話を切ってしまった己の浅はかさを呪う。
(状況を……状況を立て直さねば!!)
「え、あ、いやあの……その……耳!!」
「耳?」
「そう、耳!! よければ触ってみますか?」
 いつものザフィーラであれば普通に念話を繋ぎなおして指示を仰ぐところだが、動揺が冷静な判断力を鈍らせた。そして咄嗟に出た一言がこれだった。この一言をやがてザフィーラは後悔することになる。

「……え……いいんですか?」
 ドン底まで落ち込んだスバルのテンションが急カーブを描いて上昇していく。一応セリフは疑問形を取っているものの、既に体は触る気満々である。
先ほどまでの凹みぶりはどこへやら、両手をわしゃわしゃさせながら涎を垂らすその姿は、かつて自分達の将である現ライトニング隊副隊長を始め、多くの猛者を葬ってきた"夜"天の王の姿を彷彿とさせるものであった。
だが、このまま放っておけば樹海までウイングロードで直行しかねない目の前の少女に機嫌を直してもらう事に夢中のザフィーラはそんな事に構う余裕など無い。
「いいですとも!!」
 半ばヤケクソ気味に、臨戦態勢のスバルの前に己の顔を突き出す。しかしそれは飢えたライオンの前に生肉を持って現れる行為、教導官の立てた訓練プランに反発する行為にも似て。
正面からスバルと向き合う形になったその時―ザフィーラはこの年端も行かぬ少女の瞳に獲物を見つけた肉食獣の姿を見た。
202それは新たなるフラグなの?:2007/08/05(日) 17:01:31 ID:KgwF7Gav
「でわでわ〜、失礼して……うわー、もふもふしてるー♪」
「……そうですか」
「こちょこちょこちょこちょ」
「あ! ちょ……何を……」
「うりうりうりうりうりぃ」
「ぐうっ(悔しい……だが、感じてしまうっ)」
「WRYYYYYYYYYY!!!!!!!!!!」
「ぬおおおおおおおお……こ、この程度でどうにかなるほど、ヤワじゃ」
「ふぅー」
「ひぎいっ!!!!!」

 10分後。ディフェンスに定評のある盾の守護獣、生涯初といっていい完敗であった。
 これが本物のカウンセラーなら大問題だが、完全にセクハラモードに覚醒したスバルはまったく悪びれる事無く倒れ伏したザフィーラを見下ろす。

「あはは、耳弱いんですね〜。あ! 尻尾も守護獣形態のままですか?」
「しっ、尻尾はらめぇ……」
「よいではないか、よいではないかぁ〜」
「ておああああああアッーーーーーーーーーー!!!!!!!!!」


 悲鳴を聞いてゲンヤとの馴れ初め暴露大会を中断し、隣室から飛んできた隊長達が見たのは、意識を失って守護獣形態に戻ったザフィーラと、何が起こったのかわからずおろおろと回りを見渡すスバルの姿だった。

 これがミッドチルダ史上稀に見る複雑な関係を持った家族誕生のきっかけになる……かどうかはまだわからない。この話が続くかもわからない。


おまけ
「ゲンヤさ〜ん」
「また来やがったのか八神……いい加減あきらめろ」
「まあそんな邪険にせんとまあ聞いてくださいよ。私、今度自分の部隊を持つことになったんですよー! これで私もゲンヤさんと同じ、一国一城の主っちゅうやつです」
「知ってるよ。コインロッカーとかいうやつだろ?」
「……機動六課です。まあそれでその新部隊なんですけど、実はあの高町なのは一等空尉にも参加してもらう予定になってるんですよー。厳密には本局武装隊からの出向って形にはなるんですけどね」
「……なにが言いてえんだ、八神?」
「別になあんもありませんよ? ただゲンヤさんの下の娘さんて、高町一等空尉に憧れて管理局に入局したって話をちら〜っと思い出しただけです。
そうそう、ところで話は変わるんですけど私、近いうち新部隊のフォワードを任せられそうな有力な新人を数人、どこかから引き抜こうと思ってるんです。
具体的には……たとえば『陸上警備隊第386部隊』からとか。でも他にもフォワード候補は大勢おるんで、実際どうなるかはわからへんのですけどねえ……」
「チビダヌキめ……」
「チビダヌキで、ええよ(はぁと)」

(……なーんてやりとりがあったなんて言えんしなあ。どうやって説明しよ?)
まさに親の心子知らずなスバルだった(違)
203名無しさん@ピンキー:2007/08/05(日) 17:03:27 ID:6mtMS62a
>>193
うお、なんというEND!
GJ!!!
そして、
>鞭打の様な特殊性

ユーノ君をお姫様抱っこして逃げるなのはの姿が浮かんだw
204ておあー:2007/08/05(日) 17:03:32 ID:KgwF7Gav
 以上です。エロくなくてすみません。
 一応本編とNanoWikiを見ながら書きましたが設定等で明らかにティアナこのバカしてるところがあったらすみません。
 あと行が長すぎると何度も表示されたのでところどころ変な改行になっていると思います。これまたすみません。
 基本コンセプトは『ステエキ他にアドバイスするかっこいいザフィーラ(人型)』だったのですがスバルだけでクソ長くなったので割愛しました。
朴念仁と健康的キャラなのでこの二人のエロはすこぶる想像しにくいのですがコンビの相性は意外といいんではないかと思います。
最近本編で出番の少ないザフィと最近エロパロスレで出番の少ないスバルには頑張ってほしいところです。
 ちなみに本文中で『友人』と書いているように、ザフィ的にはアルフはただの友人(あるいは戦友)です。アルフに「私達……付き合ってるんだよね」と聞かれて
「(拳の話か?)まあそうだな」と応える、きっとそれがザフィーラクオリティ
205名無しさん@ピンキー:2007/08/05(日) 17:45:49 ID:6mtMS62a
>>204
うおおおおお!
こ、これはあッ!
萌えた!
そして突っ込みどころ満載だあw

>ザフィ的にはアルフはただの友人(あるいは戦友)です。
おいおい、泣きじゃくるアルフ(想像)を抱きしめて慰めておいてそれはないだろザフィーラさんw

次回はザフィーラを巡り、アルフとスバルが殴り合い宇宙をするんですね!?

バリアブレイク VS リボルバーキャノン 

これは 燃 え る !!



最後に
>『よろしくメカドック』
このネタがわかってしまった俺はいったい…orz
20638 ◆KHEtQ2j5Nc :2007/08/05(日) 17:51:06 ID:5QlGwqoS
>>179
成る程。

>>189
いや、それだとユノなので>>183の「同じベッドで〜」な都築クオリティ炸裂しかねない件w

>>193
GJ!
やっぱりユノなのいいよユノなの。

>>204
ラスト吹いたw
GJ!

……さて、残り半分ようつべでサウンドステージでも聞きながら書き上げるかorz
207名無しさん@ピンキー:2007/08/05(日) 18:06:52 ID:p7VC02lR
堂々と違法視聴を示唆するのはどうかと思うぞ。
208名無しさん@ピンキー:2007/08/05(日) 18:51:05 ID:2vNoc+M/
>>81 Nameless
遅れましたが、ス○ール○イズが遂に混迷に向かった今、フェイトをワールドの和名で呼ぶような事態を予感していいのか?
どちらにしろ継続応援したいが
209名無しさん@ピンキー:2007/08/05(日) 19:18:42 ID:JcqCaV+e
>>204
GJ! 久しぶりにザッフィー見たよ! 本編じゃ散々だけど!
他の隊員の相談とかも、よければ見てみたい!

>>206
それって3ぴ?w
同じベッドで〜ってのは、まぁ。あれでベッドが二人でギリギリくらいの大きさで、枕も一つだったり、抱き合って寝てる描写が頻繁にあればそう受けとられても仕方ないけどさ。
あれだけベッドでかいと、同じベッドでっていうより同じ部屋で雑魚寝、って感じだし。同性が同室で雑魚寝、だとほら、色気も何もなくなるさぁw
21038 ◆KHEtQ2j5Nc :2007/08/05(日) 19:55:15 ID:5QlGwqoS
>>207
すまん。その通りだorz

>>209
いや、フェイトの変わりにユーノって意味w
だがあれだけでかければシングル二つって選択肢も取れたようなw

書きあがったので投下します。
ユノなのエロ無し、題名『プラチナ』
21138 ◆KHEtQ2j5Nc :2007/08/05(日) 19:56:37 ID:5QlGwqoS
「なのは!」

その声が聞こえ、なのはが慌てて振り向くと、目の前にユーノの後ろ姿が映った。

「ユーノ君!?」
「なのは……あっち……」

離れた場所から慌てて飛んで来たためか息が荒いユーノが指差す先に、隠れていた傀儡兵が見えて。
ユーノにお礼を言いながら飛んで行ったなのはを見送って、……ユーノは地面に墜落した。

「お、おい! ユーノ!?」

慌てたように駆け寄ってくるヴィータの気配と、なのはを庇って受けた砲撃の傷跡から流れ続ける血を感じて。
……ユーノは意識を失った。



「アクセルっ!」

その声と同時に、10個以上の光弾が傀儡兵を蜂の巣にして、傀儡兵は成す術も無く崩れ落ちる。
それを見届けて、なのははほっと溜息を吐く。

「ふう……危なかったね」
『前マスターにお礼を言わなければいけませんね』
「にゃはは、そうだね」

なのはは苦笑すると、ゆっくりとフライヤーフィンをはためかせる。
と、レイジングハートが喋り出した。

『思いの外早く戻れますね』
「そうだね……」

何故か赤くなってそう答えるなのはに、レイジングハートは一言だけ、呟いた。

『……グッドラック、マイマスター』
「……うん!」

そうなのはは元気良く頷き……、
……ヴィータや他の武装局員がいる方が騒がしい事に気付いた。

「……まだ、いたの!?」
『いえ、魔力反応は感じられません。恐らくは誰かが負傷したのでは無いかと』
「……大変!」

慌ててなのははそちらに飛んで行き……、そして、それを見た。
21238 ◆KHEtQ2j5Nc :2007/08/05(日) 19:57:40 ID:5QlGwqoS
初めに目に入ったのは鮮やかな赤色。
白い雪のフィールドの中に忽然と現れた赤い染みの中に、誰かを抱えたヴィータがしゃがみ込んでいて。
……信じたくなかった、見ていたくなかった。
……ヴィータが抱えていたのは、一番のお友達で、それ以上になりたいと、想いを伝えようと決心した少年。

「ユーノ君―――っ!!!」



手術室の前で祈るように手を組んで座っているなのはに、駆けつけて来たはやてとフェイトは声も無く立ち竦む。
と、はやてが来たのに気付いたヴィータが、はやてに飛び付いた。

「はやて……、ユーノが……ユーノが……!」
「ヴィータ、落ち着き。今私達が騒いでも何にもならん」
「で、でもよ、リインを作ってくれた恩、まだ返してねえのに……!」
「ヴィータ! 今一番辛いのはヴィータやないんやで!」
「あ……」

はやての叫びに押され、ヴィータは目を見開く。
と、塞ぎ込んだままのなのはに、フェイトが声をかけた。

「なのは……その……」
「……だったのに」
「……え?」

フェイトが聞き返すと、なのはは顔を上げた。
そして、真っ赤に泣き腫らした瞳で、なのはは叫び出す。

「本当は私がこうなるはずだったのに! ユーノ君じゃなくて、私が!」
「な、なのは!?」
「……決めてたのに! これが終わったら言おうって、好きって伝えようって、決めてたのに!」
「っ! ……ごめん、なのは!」
「あ……」

なのはの言動に、少し落ち着かせた方がいいと判断したフェイトが当て身を入れると、なのはは気を失ってフェイトにもたれかかる。
そんななのはをイスに寝かせると、フェイトはほっと息を吐く。
と、どやどやと騒がしい気配が漂うと、6人が顔を出した。
21338 ◆KHEtQ2j5Nc :2007/08/05(日) 19:58:44 ID:5QlGwqoS
「兄さん、エイミィ、母さん……」
「スクライアの容態は!?」
「シグナム、ザフィーラ……リインまで!? 調整はどないしたんや!?」
「ユーノさんはマイスターのお友達で、リインのお父さんみたいな人です!
 そんな人が大怪我してるのに、調整なんかやれません!」

そう言ったリインフォースに、はやては言葉に詰まる。
と、クロノが気絶したままのなのはを指差して、フェイトに聞いた。

「ところで……なのははどうかしたのか?」
「……ちょっとヒステリー起こしかけてたから……、休ませた方がいいかなって思って、……当て身を少々……」
「……おい」
「あ、あはは……」

半眼でフェイトを睨み付けるクロノに、フェイトは冷汗を浮かべる。
と、いつものおちゃらけっぷりを時空の彼方に放り出し、真剣な表情でエイミィは呟いた。

「……でも……、なのはちゃんがヒステリー起こすって、よっぽどの事よ……?」

混乱はけっこうするけど、ヒステリー起こした所なんか見た事ないんだけど、とエイミィが言うと、ヴィータが呟いた。

「……なのは、言ってたんだよ。
 『この任務が終わったら、ユーノ君との関係に決着つける』って。
 ……多分、告白しようとしてたんだと思う」

そのヴィータの呟きに、その場の全員が凍り付き……、
ランプが消え、手術室のドアが、開いた。

「「「「「「「「!!」」」」」」」」
「なのは、なのは起きて!」
「にゃ……」

全員が緊張し、フェイトがなのはを起こすと、手術室の扉が開き、中から厳しい表情のシャマルが出てきた。

「ユーノ君は……ユーノ君はどうなったんですか!?」

寝起きにも関わらず物凄い勢いでシャマルに詰め寄るなのはに、クロノは慌ててなのはを止めに入る。

「なのは! 少し落ち着け!」
「で、でも、ユーノ君は……」
「……今夜が、峠ね」

そう沈んだ声でシャマルが言うと、なのはの身体から力が抜けた。
21438 ◆KHEtQ2j5Nc :2007/08/05(日) 19:59:34 ID:5QlGwqoS
……一週間後、海鳴。

「……まだ、ユーノ目覚めないの?」
「うん……。峠は越えたらしいから、いつ目覚めてもおかしくないんだけど……」

そう聞いたアリサに答えたフェイトに、変わってすずかが聞く。

「……なのはちゃんは、まだ?」
「……うん、ユーノに付きっきり」
「根詰めすぎたら倒れるでっていくら言うても聞かんねん……」

そう言ってはやてが溜息を吐くと、アリサが苛立ったように言う。

「に、しても……学校も休んでずっとユーノに付きっきりだなんて、
 なのはがユーノの事好きだってのは知ってたけど、ちょっと異常じゃない?」
「……しょうがないよ。なのは、その任務が終わったら、ユーノに告白する気だったんだから……」

そのフェイトの言葉に、アリサとすずかはめを剥いた。

「じ、じゃあ何!? 告白寸前に相手が死にかけたって事!?」
「……しかも……、なのはちゃんを庇って……?」

呆然とそう言ったアリサとすずかに、はやてとフェイトは頷いた。

「……最悪……ね……」
「私がなのはちゃんの立場だったら……おかしくなってたかも……」
「……そやね、私もそう思うわ」
「ずっと付きっきりで押さえられてる、なのはを誉めるべきだと思うよ、私」

そうフェイトが言うと、残りの三人は、深く頷いた。

「「「「……」」」」

記録映像はここで途切れ、スバル達4人は呆然と立ち尽くす。
もちろん内容にもショックを受けていたが、一番の理由は、

「……何、人の過去を勝手に話してるんですか?」
「ひ、ひひゃいひひゃい! ひゅ、ひゅーひょひゃん、ひょひぇんひゃひゃひ!」

額に青筋を浮かべ、金色の髪を長く伸ばして後ろで纏め、右手に杖を持った眼鏡をかけた青年にバインドで簀巻きにされ、
頬をぐにぐに引っ張られているシャーリーがいるからであった。
21538 ◆KHEtQ2j5Nc :2007/08/05(日) 20:00:57 ID:5QlGwqoS
「あ、ユーノ先生!?」
「お久し振りです!」

そう青年にキャロとエリオが叫び、スバルとティアナの二人は物凄い勢いで顔を見合わせた。

「……ユーノって……、怪我した人よね?」
「……もう起きてたんだー」

ひそひそと話し合う三人を尻目に、ユーノとキャロ、エリオの三人は知り合い同士のような話を続ける。

「これ、差し入れだよ。……アイスとかだから、冷蔵庫に入れておいた方がいいと思うよ?」
「あ、はい! 分かりました!」
「じゃあ、みんないないみたいだし……、僕、ちょっと用があるから……」
「はい、みなさんによろしく伝えておきますね!」
「……うん、お願いね」

そう言って右足を引き摺りながらユーノは歩き去って行った。

「ち、ちょっと〜……、これ外してくださいよ〜!」

……簀巻きのままのシャーリーを残して。



「え!? ユーノ君が来てたの!?」

簀巻きのシャーリーを見て、不思議そうにスバル達に何があったのかを聞いて、ユーノの事に話が及んだ瞬間、なのはは飛び上がった。
たちまち嬉しそうに表情を緩めるなのはに、にやにやとからかいの笑みを浮かべたはやてが声をかけた。

「……もう少し早く帰ってくるべきやったな……。ごめんな? なのはちゃん。だんなさんと会えなくて♪」
「にゃああああ!?」

飛び上がったなのは。その顔にはみるみるうちに血の色が上って行って。
反論する事すら出来ず、ただひたすら真っ赤になっていくなのはに、フェイトが追い討ちをかけた。

「違うとは言わせないよ? プロポーズしたのはなのはなんだし」

そう言うと、フェイトは聞きたい? とスバルに話を振る。
個人的になのはのファンでもあるスバルが拒否する訳も無く。
目をきらきらと輝かせてスバルが頷くと、フェイトはにっこりと笑って、話しはじめた。
21638 ◆KHEtQ2j5Nc :2007/08/05(日) 20:02:04 ID:5QlGwqoS
「……ユーノ君……今日ね、クロノ君が来たんだよ? ユーノ君が寝てるせいで無限書庫はてんてこ舞いなんだって。
 早く目を覚ませって……言ってたよ……?」

と、ぽとぽととユーノの頬に雫が落ち、なのははその雫を拭うが、いくら拭っても落ち続ける雫に、やがて気付く。
その雫が、なのは自身の涙だと言う事に……。

「ユーノ君……ユーノ君……っ!」

ぎゅうっとユーノを抱き締めて、なのははぼろぼろ涙を零す。

「大好きなの……! だいすきなの……っ! だから、早く起きてよう……!」

心の底から絞り出すように叫ぶなのは。
と、その頭に、ぽふと手が乗って。

「……え……?」

なのはが顔を上げると、……ユーノと目が合った。

「……え? え、え?」

混乱するなのはに、ユーノは、苦しいような、困ったような……、それでも、嬉しそうに、……微笑んだ。

「……う……うわああああああん!」
「……ごめんね、なのは。心配かけて」

たちまちなのはは号泣すると、ユーノの身体を無茶苦茶に叩き出す。

「いた、いたいいたい。なのは、ごめん、ごめんって」
「許さないもん!」

ぽかぽかユーノを叩き続けるなのはに、ユーノはしょうがないかな、と半分諦めたが、

「ぐはっ!?」
「……あ」

その内一発が見事に傷口に直撃し、ユーノは闇の世界に送り返された。
21738 ◆KHEtQ2j5Nc :2007/08/05(日) 20:03:05 ID:5QlGwqoS
「……いたた……」

痛みに顔を顰めながらシャマルの診察を受けるユーノと、

「……なのは……、いくら何でも一時は重体だった人間の傷殴るのはどうかと思うぞ……」
「兄さんの言う通りだよ……」
「つうか、怪我人を殴る事自体いかんと思うで?」
「何やってんだよなのは……」

駆けつけて来たクロノ、フェイト、はやて、ヴィータの4人にこってりと絞られて小さくなっているなのは。

「い、いいのかな……」
「被害者はユーノ君なんだし、放っておいてもいいと思うわよ?
 ……それに、私も医師として、なのはちゃんがやった事はちょっと許せないから・・・・・・」
「あ、あはは……」

何故か黒い笑みを浮かべるシャマルに、ユーノは引き攣った笑みを浮かべる。
と、シャマルがユーノの右足の爪を強く押して、言った。

「……どう?」
「……駄目です。何も感じません」

そうユーノが言うと、シャマルは表情を沈ませた。

「……そう……」

そのまま溜息を一つシャマルは吐き、表情を何とか取り繕うと、ユーノに言った。

「……いい? ユーノ君。残念だけど……あなたの右足は……もう……」
「……動かないんですか?」
「……ええ。左足は何とも無いし、お腹の傷は傷跡は多少残るでしょうけど、完治するわ。
 だから、杖を使えば歩けるようにはなると思うけど……」

そう言ったシャマルに、一つ溜息を吐いたユーノ。
そんなユーノに、なのははまた泣きそうになって詰め寄り、言った。
21838 ◆KHEtQ2j5Nc :2007/08/05(日) 20:04:19 ID:5QlGwqoS
「ごめ……、ごめんなさ……っ!?」
「大丈夫だよ、なのは」

そう言ってなのはの頭を撫でるユーノに、なのはは一気に真っ赤になる。
あうあうと口をむなしく開閉させるなのはの顔を覗き込み、ユーノは言った。

「なのは。僕はね、なのはを守れて本当に良かったと思ってるんだ。
 ……確かに、もう右足はまともに動かないと思うけれど、元々無重力の無限書庫なら何とかなるから。
 ……でも、教導隊ではそうは行かないでしょ? ……だから、良かった」

そう言って微笑んだユーノに、なのははまた泣きそうになって俯く。
しかし、しばらくして顔を上げたなのはの顔は決意に満ちていて。
……と、言うか、座っていて。

「な、なのは?」
「……なるから」
「……へ?」
「私が、ユーノ君の杖になるから! ……一生、ユーノ君を支えるから!」
「!!?」

その叫びに、ユーのは一瞬で真っ赤になり、自分が何を言ったかに気付いていないなのははきょとん、と首を傾げる。
と、にやにやと笑ったはやてとフェイトが、なのはに対して口を開いた。

「良かったなあ、ユーノくん。ええお婿さんにして貰えそうやないか」
「なのは、結婚式はいつなの?」
「にゃああ!?」

はやてとフェイトの言葉に、初めて自分が言った言葉がプロポーズに限り無く近い事に気付き、なのはは真っ赤になった。

「え、えっとね、違うのユーノ君! これは……、その……」

何とかユーノを誤魔化そうとするが、そう簡単には誤魔化す言葉が浮かんで来なくて。
そうこうしている内にだんだん声が小さくなって行き、なのはは最後には真っ赤になって俯いていた。
21938 ◆KHEtQ2j5Nc :2007/08/05(日) 20:05:40 ID:5QlGwqoS
「……まあ、そんな事があった訳」
「……うう……」

フェイトに全部ばらされ、なのははただ真っ赤になって俯く。
と、ぽかんと口を開けて聞いていたスバル達4人は、口々に言った。

「……確かに、プロポーズだね」
「そうね。どっからどう見てもプロポーズね」
「そうですよね……」
「プロポーズ、ですよね」

スバル、ティアナ、エリオ、キャロの順で口々にそう言われ、なのははさらに赤くなった。
と、くいくいと服を引っ張られ、なのはは慌てて振り返る。
すると、ヴィータから封筒を突き出され、なのははきょとん、と首を傾げた。

「……これは?」
「知らねーよ、差し入れの箱の中に入ってたんだ。『なのはへ』って書いてあったし、多分ユーノからの手紙じゃねーの?」

そうヴィータから言われ、なのはは封筒の口を破る。
と、なのはの手の上に何か小さいものと手紙が落ちた。

「〜っ!?」

手紙を読むなり、物凄い勢いで駆け出して行ったなのは。その表情は完全に真っ赤になっていて。
きょとん、と見送ったはやての手元に、ひらひらとなのはが落とした紙が落ち、それを読んで、はやては笑い出した。

「はやて?」
「ユーノくん……このタイミングは……」

そう言ってはやては手紙をフェイトに見せた。

「……えーっと……、『なのは、あの言葉はまだ有効かな? 今なのは達が大変なのは分かってる。
 ……でも、僕はなのはに支えて欲しいんだ。もしいいんなら、指輪を付けて外に来て欲しい。待ってるよ』
 ……うわぁ……」

手紙を読み終わり、感嘆の声を上げたフェイトに、はやては笑いながら言った。

「……予定変更やね。明日はお休みにして、なのはちゃんのお祝いやろか?」
「そうだね、はやて♪」
22038 ◆KHEtQ2j5Nc :2007/08/05(日) 20:10:37 ID:5QlGwqoS
これで終わりです。
……正直規制引っ掛かるかとびくびくしてた俺w
元々投下用に書いた奴じゃないからレスごとの切り方がおかしくなってるしorz
(投下用作品は40行前後で切れるように調整するのがマイルール)
これから1週間は旅行で書き込めませんが、その間は下書きを書き進めておきます。
……実は15歳ユノなのデート(エロ無し)書き始めてますしw
22138 ◆KHEtQ2j5Nc :2007/08/05(日) 20:12:35 ID:5QlGwqoS
忘れてたorz
題名は同じ魔法少女もののアニメ(魔法少女ものの先駆者かも)の主題歌から取りました。
前半書いてる時はそれをエンドレスで聞きながら書いてたりw
222名無しさん@ピンキー:2007/08/05(日) 20:39:58 ID:8Kc4668Y
17話のチンクの姉なら触れずに戦えるが
姉なら触れずにイカせれる

ってシャレにならない言葉を想像してしまった
223名無しさん@ピンキー:2007/08/05(日) 22:00:08 ID:+yDvC08c
>>222
つまり、爆発の威力を極小に調整して性感帯に刺した針を爆発させるんですね?
そして思いついてしまったので投下してみる。
多分1レスのみかと
224名無しさん@ピンキー:2007/08/05(日) 22:04:11 ID:+yDvC08c

「案ずるな、姉なら触れずにイかせられる」
撤退を前にチンクを気遣うノーヴェに対し、彼女はあくまで冷静に答えを返す。
「え?チンク姉?」
「行くっすよ、ノーヴェ!」

其の言葉の後半を訝るノーヴェに対し、聞こえていなかったのか、ウェンディは撤退をせかす。
チンクがスバルのほうに注意を向け、戦闘準備へと意識を集中しているのを見て
きっと「退かせられる」を聞き間違えたのだろう、と無理やり自分を納得させ、ノーヴェもあとを追う
そんなやり取りも、怒りに意識を支配され、壁を抜け出したばかりのスバルには聞こえていなかった
尤も聞こえていても意味を理解し得たとは思えないが。

ゆえに、彼女はチンクが獲物を其れまでの投げナイフから、鋭利な-其れも魔法防御貫通術式のこめられた-
長い針に交換していたことに気がつかなかった。
馬力に任せ突進するスバルのスピードに追いつかず、最初の一投は払いのけられ、あまつさえ
バリアを抜かれてゼロ距離砲撃を其の身に受けてしまったが、其のような危機すらも
足止めが主任務であり、中りさえすれば一度で行動不能にする自信がある
-何しろ姉妹中最強の姉トーレすら行動不能にした実績がある-チンクとしては、無防備に
突っ込んできてくれる現状の方がある意味有り難かった。
そしてスバルの全周を囲むように無数の針が出現し-マッハキャリバーが最後の力を振り絞って
発動したプロテクションによって大部分がはじかれたが-それらをおとりに時間差で放たれた
本命の針が彼女のバリアジャケットを貫通し、左右の乳房に其々三本-内一本は乳首に正面から貫入-
淫核に二本、陰唇に一本、臀部に三本命中した。

「っっっっ!!!」

思わぬ痛みに声を上げ足を止めるスバル。
そしてチンクは微笑を深くし、起爆命令を口にする。

「rumble detonator, indecent ver.(ランブルデトネイター、インディセントヴァージョン)」

スバルの体の敏感な部分のみを選んで突き刺さった針は主の命令を忠実に実行し



爆ぜた。



「ひぃぁぁぁっっっ!!」

其れは到底爆発と呼べるほどの威力はなく、通常の部位であればちょっとはじかれた程度
の痛みしか感じないであろう威力であったがったが、場所が場所だけに絶大な痛みと、
そして其れを上回る規模の刺激を齎し、そのような刺激と快感になれていない
スバルの意識を飛ばすことに成功した。

其の直後、ノーヴェからの通信で救出に来たセインの手によってチンクは無事撤退し、
なのはたちが遅れて到着したときには局所的にBJを破壊され、秘部と快感に悶える顔を
晒したまま失禁して気を失ったスバルだけが残されていた。




以上です。
たいしてエロくならんかったなぁ……
あと、英単語はgoo辞書参照しますた。
indecent:淫らな
あと、実際にこんなことしたらとてつもなく痛くて死ねるでしょうから
ハードなプレイがお好きな方でも実験しようとしないで下さい。m(__)m
225最早:2007/08/05(日) 22:38:15 ID:u5mVr+pr
イかされたスバルwwwww
226名無しさん@ピンキー:2007/08/05(日) 22:42:54 ID:TAvl05JV
>>220ってG-WINGさん?
227名無しさん@ピンキー:2007/08/05(日) 22:45:20 ID:plAPPYuG
>>220のSSって盗作じゃないよね?
あんまりこういうこと言いたくないんだけど。話や構成がそっくりなので気になった。
228名無しさん@ピンキー:2007/08/05(日) 23:12:23 ID:p7VC02lR
「G-WING」は38 ◆KHEtQ2j5Nc氏が前スレで晒した名義とは違うな。
229名無しさん@ピンキー:2007/08/05(日) 23:46:13 ID:conJOnht
別人、か……だったら、ちょっと、なぁ……
同じ題材で書いたら似てしまう、ってことは二次創作じゃよくあるけど……グレーだな。
230名無しさん@ピンキー:2007/08/05(日) 23:48:19 ID:I6nC+WFN
俺もすぐに、あれ、これ何て#3?って思った。

あー、でも、確かにあの怪我がユーノだったらというお題で
オチを婚約にするとみんなこうなっちゃうのかな、とは書き手として思う。

違うよね38さん。信じているが。
231名無したん(;´Д`)ハァハァ:2007/08/05(日) 23:57:31 ID:hug9lneP
それでも足が動かなくなるってのまでにてるのは流石に(汗
232名無しさん@ピンキー:2007/08/06(月) 00:00:40 ID:aaBGIsEo
>>224
なんということだ。こういう特殊機能が付いていたのか。けしからん
これは他のナンバーズにもエロ機能が付いているとみていいのかw
むしろ全員の性能についてkwsk wwwwwww
233名無しさん@ピンキー:2007/08/06(月) 00:10:23 ID:1pAMTB0z
>>231
実際、なのはは一時的にとは言え歩けなくなったからな。
能力差を考えて、ユーノの方がより重傷だった、と考えると、後遺症がずっと残る、という展開は思いつくわけだ。
両脚が、とならないのは、かつてのはやてとダブるし、後遺症としては重いから、か。まあ、ユーノの場合は飛べるからあまり影響なさそうだけど。
いちモノ書きとしての意見はそんなとこ。

俺はむしろ、怪我云々より最後の演出の方が気になったかな。
234名無しさん@ピンキー:2007/08/06(月) 00:10:28 ID:YIuLRHqT
・・・G-WING氏本人なら>>210
〉書きあがったので投下します。
なんて書き方はしないだろうな、#3はG-WING氏の最新作じゃないし・・・
235CRR:2007/08/06(月) 00:14:59 ID:wX7RSW+7
ども。やっと忙しくなくなったぞぉぉぉぉぉぉ!!!

18.5話的なものが出来たので19話最速放映の前に投下しちゃえ。

・非エロ
・ヴァイス×ティアナシリーズの幕間
・17話のお茶シーンを若干改変

ではドゾー
236名無しさん@ピンキー:2007/08/06(月) 00:16:21 ID:suzo+nNf
そういや38氏のサイトにある短編、やたら640氏の過去作と被ってないか?
237CRR:2007/08/06(月) 00:17:21 ID:wX7RSW+7
陳述会の警備任務の間をぬって、ティアナはヴァイスへ差し入れを持ってきた。

「警備部隊の方からお茶を頂いたので、差し入れに」
「お♪いいねぇ。ありがとよ」

ストームレイダーのボディに寄りかかり、二人でお茶を飲む。

「ふー、染みるぜ」
「はは、そう言ってもらえて良かったです」

束の間の、二人だけの時間が過ぎる。

「あ、そうだ。ヴァイスさん?」
「ん?何だよ」
「あの、前に言ってたツーリング、今回の任務が終わったら有給が取れそうなので……」

ティアナの言葉に、ヴァイスは目を輝かせる。

「おぉ!?やっとか。こちとら愛車を地金が出るまで磨いて待ってたぜ?」
「ぷっ……大げさですよ。で、行き先はどこか予定あります?」
「おう、ちょっと北に向かおうと思ってな。今なら観光にもぴったりかと思ってよ。ホテルも予約取って……」
「………ホテル……泊りがけ、ですか」

ホテルという単語に想像を膨らませ、顔をほんのり赤らめるティアナ。

「……お前、貪欲すぎねーか?」
「んぇえ!?なっ、何がですか?私は何にもやらしい事なんか考えてないですにょ!?」

ヴァイスに茶化され、思わずティアナは取り乱してしまう。
そんなティアナをヴァイスはニヤニヤと見つめていた。

「……あ!!もう時間だっ!!では!!失礼させていただきますっ!!」
「はは、任務中に気ぃ抜くなよ?」

赤くなった顔と、期待に緩んだ表情を隠すように、ティアナはすぐにヴァイスに背を向け、その場を去った。




……その日、ナンバーズの襲撃により地上本部と機動六課は壊滅的なダメージを受ける。
ヴァイスはルーテシアの攻撃を受け、意識不明の重体の状態で病院へ搬送された。






〜あなたが目を覚ますまで〜





238CRR:2007/08/06(月) 00:19:39 ID:wX7RSW+7
スバルやエリオ達の見舞いを一通り済ませたティアナは、最後に集中治療室の前に来た。
病棟と治療室を仕切る厚いガラス越しに、包帯が幾十に巻かれ、チューブが何本も繋がれたヴァイスの姿が目に入った。

聞いた話によると、とりあえず峠は越え、命に別状は無いとの事。
それを聞いた時はホッとしたが、いざ現状を目の当たりにすると信じられなくなってくる。
表情すら確認できない距離が、二人の間にあった。

「……………………」

ガラスに顔をつけ、じっとヴァイスの姿を見るティアナ。
その目には、うっすらと涙が浮かんでいた。

「………ティアナか?」

聞きなれた声に、ハッと顔を上げる。

「シグナム副隊長……」

少し離れた所に、何時間か前に別れたばかりのシグナムが立っていた。




「ほら、遠慮するな」
「はい……ありがとうございます」

集中治療室から一番近いベンチに二人は座り、ティアナはシグナムからジュースを奢って貰った。

「六課の現場検証は……終わった、という事でしょうか」
「ああ。後は詳しい解析作業を技術スタッフに任せるのみ、といった所だ」

しばらくの沈黙。不意に、シグナムが話題を切り出す。

「ティアナ……ヴァイスの容態が気になるか」

一瞬どう答えたらいいかティアナは迷ったが、少し考えた後、口を開く。

「………気になりますよ。ヴァイス陸曹の容態が六課メンバーで一番ひどいですし、それに……」
「……恋人、だからか?」

シグナムの発言に、ティアナは思わず吹いた。

「ぶっ!?ななななななななな、何でそうなるんですかっ!?」
「……お前、この前ストームレイダーの中であれほどの事やって、誰にも知られていないとでも思っていたのか?」
「!!!………ぅぅ……」
「六課でお前達の仲を知らない奴は……今はヴィヴィオくらいだ」
「うぅぅ………」

ティアナを茶化していたシグナムの表情が、きりっと硬いものになる。

「アイツの怪我は……正直かなり酷いものだ。医者の話によると、搬送された当時は死んでいてもおかしくない状況だったらしい」

死、という単語に、ティアナの顔が少し歪む。

「そこから一命を取り留めた。もともと武装局員で体を鍛えていたこともあるだろうが……って、おい?」

239CRR:2007/08/06(月) 00:21:49 ID:wX7RSW+7
「うっ……ううっ……ぐっう、うぅうぅ……」

歪んだ顔に、涙が伝う。
ティアナはすすり泣きながら、思いを吐き出す。

「怖かった……ヴァイスさんが重体だって聞いてから、ずっと怖かったんです……
 父も、母も、……兄も。みんな死んでしまって、もう私一人で、それで……好きな人まで失ったら、
 きっと私もう生きていけなかったかもしれないです……だから……だから……」

ティアナの制服のスカートが涙の粒で点々と黒くなっていく。
シグナムは、こんなティアナを間近で初めて見た。
なのはと衝突した時もあくまで毅然としていたティアナの見せた、心の奥の一番弱い部分。

「……六課も、仲間も、みんな大事です……でも、やっぱり私はヴァイスさんがっ……!!ヴァイスさんが無事じゃなきゃ……!!」

ぽん、とシグナムがティアナの頭に手をのせる。

「……え……?」

ティアナが顔を上げると、優しい表情のシグナムが口を開く。

「………誰かを守ろうとする意思のある人間は……強い。最近のお前の成長ぶりは、ヴァイスのおかげだったようだな。
 大丈夫だ。ヴァイスもいつまでもお前を心配させるような事はしないだろう」
「シグナム副隊長………」

シグナムはカップの中身を一気に飲み干し、ベンチから立ち上がる。

「アイツも、お前に助けられたようなものかもしれん。
 生きたい、生きてお前に会いたいという気持ちが、案外命を繋げているのかもしれないな」

制服のポケットからハンカチを取り出し、ティアナに手渡す。

「顔を拭け。ヴァイスは六課への襲撃に一矢報いた……今度はお前の番だ。
 悔しかったら、前へ進むんだ。お前はこれからもっと強くなる。鍛錬を怠るな」
「…………はいっ」

ティアナの目は赤かったが、同時に確固たる意思を秘めたものになっていた。




240名無しさん@ピンキー:2007/08/06(月) 00:23:56 ID:wX7RSW+7
「では、私はこれからシャマルとザフィーラのところへ顔を出すが……お前はこれからどうするんだ?」
「私は、帰ってとりあえずなのはさんと合流します」
「そうか。では後でな」

シグナムはティアナに背を向け、病棟へと歩き出した。

「あっ、あのっ!シグナム副隊長!」

振り向いたシグナムに、ティアナは精一杯の感謝を伝える。

「ありがとうございますっ!!私、絶対強くなります!!誰も無くさないように……!!」

それを聞いたシグナムは、微笑みを返し顔を背け、一般病棟のほうへ歩き出した。
シグナムが去った後、ティアナはもう一度ヴァイスの姿を見る。

「ヴァイスさん……早く目を覚ましてくださいね」

眠ったままのヴァイスに向かって微笑み、ティアナは集中治療室を後にした。





一般病棟へ向かう廊下を歩くシグナム。

「ヴァイス……ティアナは、本当にいい娘だな……私では……とても……敵わない……」

烈火の将の頬を、涙が伝う。
ヴォルケンリッターとしての役目を負ってから、片手で数えるほどしかない春が……終わりを告げた。


おわり。
241CRR:2007/08/06(月) 00:26:03 ID:wX7RSW+7
以上です。題名が超テキトーになっちまった。

よし!アルトといいシグナムといい、これで俺の脳内でヴァイ×ティアの仲を遮るフラグはすべてへし折ってやったぜ(マテ
しかし……本編が急展開なだけに迂闊に続きが書けんな…
これも元々はヴァイスがバイクでこけて病院へ、って話だったんです。

さて……浮かぶのはマイナーカップルの話ばかりだ!では今回はこれで!
242名無しさん@ピンキー:2007/08/06(月) 00:43:12 ID:xGeGMAG+
>>241 GJ。ヴァイス×ティアナって極めて真っ当なカップルのような気がする。
しかしマイナーカップル……ギャレット×ルキノ?
243224:2007/08/06(月) 00:44:37 ID:lmVp53Cl
>>232
んじゃ即興で思いついたのだけあげてみる
No.3トーレ:ライドインパルスの部分発動で高速ピストンの指戯
No.4クァットロ:対象の視覚に介入して街中っぽい映像見せることで秘密基地に居ながら擬似露出プレイが可能に
         あと、光学迷彩の応用で裸なのにちゃんと服着てるように見せるとか基本だよね
No.6セイン:壁抜けによる夜這いとか人体透過による内臓への直接刺激、子宮責めとか
       調整を間違うと自分と相手の体が混ざっちゃうので注意が必要w
No.7セッテ:ブーメランをバイブ代わりに遠隔操作でリモート調教っぽいものをw
       クァットロと組み合わせるとプレイの幅が広がります(マテ
       



他は余りにも戦闘特化だったり情報が少なかったりで妄想しにくいw
244最早:2007/08/06(月) 00:44:52 ID:V3dKm5zi
ヘリの中の話kwsk!!
245名無しさん@ピンキー:2007/08/06(月) 00:50:25 ID:lmVp53Cl
あ、入れ忘れてた
>>241
CRR氏GJっす。
ティアはヴァイスの御蔭でいろんな意味で成長してますねぇ
ただ本編だとあの差し入れのシーンが彼のStSにおける幸せの絶頂期だった…な扱いになりそうなのが心配
ヴァイス最終話までに復活して見せ場あるといいなぁ。
OPでヘリ取られちゃってるし
246名無しさん@ピンキー:2007/08/06(月) 00:52:29 ID:1BE3XBLs
>>244
2スレほど戻ってみよう。わりと最初のほうにある。
247名無しさん@ピンキー:2007/08/06(月) 00:55:10 ID:G7KjnDZl
>>242
そうか?イメージし難いんだが
248名無しさん@ピンキー:2007/08/06(月) 00:58:20 ID:pnU0Zxa2
ヴァイスには盗撮魔のイメージしかない俺が居る。
249名無しさん@ピンキー:2007/08/06(月) 00:58:43 ID:Eah4OyDc
>>242
マイナーカップル……アルト×ルキノなんてどうだい?




……ちょっと自分の腐男子っぷりに泣けるorz
250名無しさん@ピンキー:2007/08/06(月) 01:02:49 ID:pnU0Zxa2
そういや、18話でシャーリー守っていたのアルトとルキノのどっちだっけ。
251名無しさん@ピンキー:2007/08/06(月) 01:04:56 ID:8bpw0IbJ
>>241
乙ー今回も面白かったです、ヴァイス×ティアネタはかなり好きです
しかし…姐さん×ヴァイスも好きなだけに結構最後はショッキング…
ティアといいアルトといい、何故か兄貴のカップリングは好きなの多いなぁ俺
兄貴の人徳のなせる技か
本編でも復活を待ちたいところです
252名無しさん@ピンキー:2007/08/06(月) 01:33:43 ID:0wUW+6s9
セインは無機物しか通過できなかった気がする
253名無しさん@ピンキー:2007/08/06(月) 01:38:29 ID:JfvQqQNi
ヴァイスティアキタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!!!
254名無しさん@ピンキー:2007/08/06(月) 02:13:11 ID:bU/DJWA4
投下頻度が結構高いけど、このタイミングだと、まだ早いかな? もう少し間を空けた方がいい?
255名無しさん@ピンキー:2007/08/06(月) 02:35:02 ID:h4kmGTFP
タキシードを着たシグナム姉さんとウエディングドレス姿のエリオきゅんが式を挙げるって電波を受信したんだが…送信者いるか?
256名無しさん@ピンキー:2007/08/06(月) 02:37:27 ID:RLGbcMHo
>>255
想像したら腹筋つったwww
シグナムがエリオをお姫様抱っこしてる場面が鮮明に浮かぶぞオイ。
257名無しさん@ピンキー:2007/08/06(月) 02:44:47 ID:zwGxyGjs
ヴァイスのお見舞いでティアナとアルトが鉢合わせる三角関係をぜひ所望したいw
258640 ◆CaB8KPh.gs :2007/08/06(月) 02:55:54 ID:4FUcQ3f+
えーっと。引退した身で申し訳ない。
>>236氏、kwsk.
259246:2007/08/06(月) 03:01:47 ID:bxJw3UWt
>254
順番待ちかな?
本編見た後来たら、結構進んでる。
260名無しさん@ピンキー:2007/08/06(月) 03:11:05 ID:mAkIBVEm
まず、38氏のサイトってどこだ??
26122スレ300:2007/08/06(月) 03:17:01 ID:bU/DJWA4
動きないようなら、3:30頃から投下開始します。問題あるようなら止めますので。
262260:2007/08/06(月) 03:22:47 ID:mAkIBVEm
連投失礼。見つけました。
てか、以前にサイト紹介してましたね。
640氏、お探しならサイト名『黎明翠玉』で探せばいけるかと。
このくらいなら何個か見かけたので許容範囲かなーと思いますが。
263名無しさん@ピンキー:2007/08/06(月) 03:27:36 ID:VVAkRV1R
>>262
38氏は「「魔法少女」が終わる時」の作者か。
つか、投下したのは全部上げておくべきだろ。読み返すのが大変(´・ω・`)
264236:2007/08/06(月) 03:28:37 ID:suzo+nNf
>>258
・・・いえ、旧保管庫にある640氏の
「魔法少女リリカルなのはA’s −変わりゆく二人の絆−」
と、ちょっと似てるかなーと思ったのですが・・・
読み返してみるとネタが少し被った程度ですね。
軽はずみな発言で混乱させてしまい、申し訳ありませんでした。
26522スレ300:2007/08/06(月) 03:39:16 ID:bU/DJWA4
それでは、これから投下開始します。
タイトルは「ステップアップ:15歳 その2」
以前投下したステップアップ:15歳の続きです。ユーなので、エロあり。
266ステップアップ:15歳 その2:2007/08/06(月) 03:40:40 ID:bU/DJWA4
 昼休み――聖祥大附属中学校。
「「「「……」」」」
 いつものように、昼食をとるべく集まった仲良し5人組。その中に、ただ1人だけいつもと違う者がいた。その名を、高町なのは。学校では生徒その1に過ぎないが、異世界においては凄腕の魔導師として知られる少女である。
 その少女が、おかしかった。彼女のことをよく知る4人でなくても、おかしいと思える程に。
 とにかく心ここにあらずといった感じで、こちらの呼びかけにもろくに応えない。時折何かを思い出すのか顔が赤に染まり、ブンブンと首を振る。そんな状態が、登校時から続いているのである。
「絶対、何かあったわね」
 今も弁当箱を開いたまま、一つも手を付けずに放心しているなのはを見ながら、アリサが目線で残りの3人に同意を求める。無言で頷く3人。
「問題は、何があったんか、やけど……ま、想像は付くなぁ」
 そう言って、はやてはニヤリと笑うと
「あ、ユーノくんどうしたん? こんな所まで来て」
 びくんっ!
 反応は絶大だった。顔は瞬時に沸騰し、身体はミストルティンを食らって石化したかのように微動だにしない。とても、分かりやすい反応だった。
「なのはちゃん、今のははやてちゃんの冗談だから」
 すずかの言葉で石化は解け、なのはは恨めしそうな視線をはやてに向けたが――そこで止まる。他の4人の視線がなのはに向いていたからだ。あわあわとなのはは慌て、赤い顔のまま俯いてしまった。
「さーて、なのは。一体、昨日は何があったの?」
「な、なに、って? べ、別になにもないよアリサちゃん」
「何もないわけないでしょうが。昨日は管理局で仕事だって聞いてたけど、戻って来るなりそんな様子じゃ、説得力が微塵も感じられないわ」
「それに、さっきの反応も、それを裏付けてるなぁ。何で、ユーノくんの名前でそこまで動揺するん? 確か、昨日は教導隊の仕事だったはずやなぁ、フェイトちゃん?」
「え? あ、そうだね。無限書庫の手伝いをする、っていうのは聞いてたけど……」
 ノリノリのアリサとはやて。それとは対照的に、フェイトは戸惑い気味だ。もちろん、興味はあるのだろうが、それでなのはが困るのが嫌なのだろう。それはすずかも同じなようで
「こういうのは、当人同士の問題だし、あまり追及するのもどうかな? なのはちゃんも困ってるし」
 と、助け船を出す。しかし
「だって、興味あるやん。すずかちゃんかて、そうやろ?」
 との問いに、苦笑するすずか。否定はしなかった。気になるものは気になるらしい。
「てことで、どうなん、なのはちゃん? 書庫の手伝い、ってことは、その後ユーノくんとお楽しみ、やったんやろ?」
「そういえば、この間もそんな話になったもんね。ひょっとしてアレで触発されて、ついに一線を越えたとか!?」
 迫るはやてとアリサ。が、そこでなのはの様子が変わった。
 顔色は次第に元へ戻り、表情は落ち込み気味に。先程までの空気はどこへやら。すっかり雰囲気が重くなる。
「……誤魔化された……」
 ポツリ、となのはは呟いた。
267ステップアップ:15歳 その2:2007/08/06(月) 03:42:38 ID:bU/DJWA4
 よくよく考えてみれば、だ。なのはは一線を越えるつもりで、ユーノの所へ行ったのだ。昨晩のアレがあまりにも強烈すぎて、ついそのことばかりを思い出しては悶えていたが。
「ま、まぁ、昨日何があったかについては置いといて……」
 結局、気がつけば昨晩の一部始終を話してしまっていた。全員、真っ赤になっているが、終わった今では自分も恥ずかしい。なにせ、当事者だ。
 そんな中、咳払いなどしてアリサが言った。
「どうして、そこまでだったのかしら?」
 それはなのは自身も疑問だ。流れ的にはそのまま、でおかしくない。というか、そうでないとおかしい、と思う、のだが……どうなのだろう?
「何か、理由があったのかも……しれないけど……」
 フェイトも首を傾げる。
「ひょっとして、まだ早いと思ってる、とか。もう少し大人になってから、とか考えてるんじゃないかな?」
 すずかがそう言うと、はやてがむー、と唸った。
「はやてちゃん、どうしたの?」
「いや、何か忘れてるような気がしたんやけど……」
 うーむ、と腕組みしつつ首を捻り、しかし思い出せなかったのか、はやては、まぁええか、と呟いた。
「そうやなぁ。普通なら、そのままいただきます、が当然やと思うけど……ユーノくん、淡泊そうやしなぁ。女顔やし、案外、性欲が薄いんやろか?」
「淡泊ぅ? フェレットになって女湯に入ってきたあいつがぁ?」
 そりゃあない、と手を振り、はやての意見を否定するアリサ。
 初めてユーノが人間だと知った時、、ユーノはなのはが自分の姿――人間形態を知っていると思っていたようだった。温泉の時も、拒否の姿勢を見せていた。それを強引に連れ込んだのはなのはだ。
 それに、下心があるならもっと付け込む隙があったのも事実。着替えだろうと風呂だろうと、何食わぬ顔でそこにいればよかったものを、しかしユーノはそれをしなかった。まあ、ちらちらと見てはいたのだろうが、それは男のサガ。そこを責めるつもりはない。
 それに、認識の相違がなくなり、正体を知ってからは、そういうことは全くなかった。着替えの時は自主的に部屋を出てくれたし。まあ、何度か風呂には連れ込んだが。自分が。その辺り、あの頃は自分の方が無頓着だった。
 そういうわけで、今のアリサの発言に、というかそれに含まれているであろう意味には異議を唱えたかったのだが、はやての目が一瞬輝いたように見えたので止めた。
「それに、よ。なのはだって、最近、育ってきてるし。ユーノだったら問答無用で襲いかかってても不思議じゃないわ」
 じっ、とこちらの胸に視線を移すアリサ。まあ、年相応には育っている。この5人の中では一番控えめ、ではあるが。
 が、問題はそこではなく。
「ゆ、ユーノくんはそんなことしないよっ!」
 さすがにユーノをケダモノみたいに言われるのは、カチンときた。きた、のだが……
 アリサの発言を否定する、ということは、こちらの色香には迷わない、ということで。つまり、こちらがどれだけアプローチをかけても無駄だ、という意味に思えて。
「はぁ……」
 と、思わず溜息を吐いてしまった。自分には女性としてそれだけの魅力がないのだろうか、と。
「あ、もしかして」
 と、アリサが何か思いついたのか声を上げた。
「ユーノ、今の若さで不能、ってことは? それなら理由もつくわ」
 いきなり何を言い出すのアリサちゃん? それってつまり、あれだよね……? 勃た――
「あー……確かになぁ。それじゃ、したくてもできんわなぁ……」
 って、何で納得できるのはやてちゃん? 一体、何の根拠があって――
「そ、そういえば、男性はストレスが溜まるとその傾向があるってエイミィが……」
 どういう経緯でそんな話をしたのフェイトちゃん? ていうかエイミィさんが言ったのは一般論ですか経験則ですか?
「ユーノくんのお仕事、精神的にも激務なんだよね? 可能性は否定できないかも」
 どうしてそこでフォローしてくれないのすずかちゃん? それより何より、何でみんなそんな目でこちらを見るの?
 親友達は言いたい放題言って、こちらへ生温かい視線を向けてくる。その態度を見ていると、何だか先の言葉達が本当であるような気がしてきて
「ふえぇぇぇっ!? そんなあぁぁぁっ!?」
 なのはは自分でも嫌になるくらい、情けない声を上げていた。
268ステップアップ:15歳 その2:2007/08/06(月) 03:46:13 ID:bU/DJWA4
「はぁ……」
 シャワーから出て、ユーノはベッドに倒れ込んだ。上半身は裸、下にはズボンをはいている、いつもの恰好。別段、人目があるわけでも無し。独り暮らしの男なんて、そんなものだ。
 うつ伏せたまま、独り言ちる。
「なのは、大丈夫かなぁ」
 思い返すこと4日前。何とか『防衛』に成功し、実家に送り届けてから、なのはとは会っていないし、連絡も取っていない。何というか気まずいのだ。
 まあ、さすがにこれ以上放置しておくのは恋人として失格なので。
「メールだけでも、しておこうかな」
 久々に仕事も早く片付き、今日は早めに寝ようと思っていたが、やるべきことはやらねばなるまい。
 そう思って身体を起こしたところで、チャイムが鳴った。
「誰だろう?」
 今の時間を見て、考える。こんな時間に訪ねてくる人物に心当たりがない。時間帯を考慮に入れるなら、可能性があるのは強いて言えばクロノくらいだが。
 そういえば、4日前の今の時間は、なのはと――
 あの時のことを思い出しかけて、いかんいかん煩悩退散と首を振りながらそのまま玄関に向かう。乾かしたわけではないので水気を残したままの髪が少々重いが、手にしたタオルで拭きながら
「どちらさま――って!?」
 開いたドアの向こうには、こちらを見て顔を紅潮させたなのはがいた。
「こ、こここんこんばんは……!」
 何やら混乱しているなのはを見て、何があったのかと思いながら、自分の恰好に気付く。ああ、これじゃ、仕方ないかも。
「えー、と。とにかく、ここじゃ何だから、中へどうぞ」
「う、うん……!」
 飛び込むように、というか逃げ込むように、なのははユーノの脇を抜けて奥へと入っていった。

 とりあえず、寝室に戻ってタンスからシャツを取り出して着ると、ユーノはなのはに向き直った。
「で、こんな時間にどうしたの一体?」
 ベッドに腰掛けているなのはに、問う。なのはが約束もなく、しかもこんな時間に部屋を訪ねてきたことは、今までに一度もなかったからだ。
「あ、あの、えーと、ね? ちょっと、聞きたいことがあったの……」
「聞きたいこと? 何を?」
 電話ではなく、直接聞きに来た、ということは、かなり重要なことなのだろうか? 自分で力になれればいいけどと思いながら、先を促す。
 4日前のように、何やら言いにくそうにしていたが、なのはは顔を上げた。
「ゆ、ユーノくんが……不能だって、本当なの!?」
「は……?」
 イマイッタイナニヲオッシャイマシタカ?
 ユーノはまず、自分の耳を疑った。なのはの口から出た言葉が、あまりにも意外というかあり得なかったから。
 ゆっくりと時間をかけてそれを噛み砕き、なのはの言ったことを理解する――認めたくはなかったが。
「な、何でっ!?」
「ち、違うの!?」
「当たり前じゃないか! 枯れるような年齢じゃないよっ!」
「じゃ、じゃあじゃあ、本当は女の子には興味が無くて男の子が好きだ、っていうのは!?」
「もっとあり得ないよ!? 僕はノーマルだよっ!」
 自分でも不思議なくらい必死に言い返す。
「だったらっ! どうして誤魔化したりしたのっ!?」
「……っ!?」
 が、それには言い返せなかった。そして、思った。あの時のあのやり方は、どうやら間違っていたらしい、と。
「どうしてこの前、あそこまでで止めたの? わたし、そんなに魅力ないかな……」
 さっきまでの、捲し立てるような口調ではなく、沈んだ声で。
「それとも、あんなこと言う女の子は、ユーノくん嫌いだったのかな……」
 震える声が、俯いたなのはの口から漏れてくる。
「そ、そうだよね……あんないやらしいこと言う女の子なんて――っ!?」
 が、それ以上の言葉は出なかった。いや、言わせなかった。ユーノは、なのはを押し倒していた。
269ステップアップ:15歳 その2:2007/08/06(月) 03:48:12 ID:bU/DJWA4
「なのは……僕だってね、健全で、健康な男子なんだよ?」
「え?」
 きょとんとした、しかしまだ陰りが残った顔のなのはに、ユーノは正直に言った。
「年齢相応に、異性に対する興味はあるんだ。この間みたいなキスをしたいとか、なのはの裸を見たいとか!」
 いや、むしろ叫んでいた。今まで散々我慢してきたのに、こちらの気も知らないで妙な勘違いをされて。
「なのはを想像しながら、口にしにくいことだって何度もしたし! 色々触りたいとか! この間なんて、あのまま押し倒してやろうかなんて思ったりもした!」
「じゃ、じゃあ……どうして……?」
「そんなの決まってる。なのはを犯罪者にしたくなかったからだよ」
 そうだ。だから、手を出さなかったのだ。色々我慢して、耐えて、頑張ったのだ。だというのに
「あの……それ、どういうこと?」
 などと、なのははのたまった。

「どういうこと、って。そのままの意味だけど」
「だから……どうして、それでわたしが犯罪者になるの?」
 何かが、おかしい。どうも認識の相違というものがあるらしい。
「だって、なのはの国では、そういう法律があるんだ、って聞いてたから。男は18、女は16になってないと、そういうことしたら駄目なんだ、って」
 そう言うと、なのはな目をぱちくりさせて、苦笑いを浮かべた。
「ユーノくん。それ、ちょっと間違ってる。それね、そういうことしてもいい年齢じゃなくて、結婚できる年齢、だよ?」
「は……?」
 今日はどうも、耳の調子がおかしい日らしい。今のなのはの言葉を聞く限りでは
「確かに……結婚するまではそういうことをしたら駄目、っていう貞操観念的なものは、昔あったみたいだし、今もないわけじゃないけど……」
 何の問題もなかった、ということなのだろうか。あの時も、そしてそれより以前にも何度かあったが、本能の叫びに従っていればよかったということなのだろうか。だとしたら
「は、はは……」
 今までの我慢は、一体何だったのだろう。無駄な努力を続けていたことに、正直泣きたくなった。
 と、不意になのはに引き寄せられ、そのまま柔らかな感触に口を塞がれた。十数秒ほどその状態が続き、それが終わると抱き締められる。それだけで、先程までの沈んだ気持ちが吹き飛んでしまった。
「ごめんね、ユーノくん。わたし、全然気がつかなくて。それなのに変なことばっかり言って」
「い、いや、気付けないのは当然というか……僕が気付いてなきゃおかしかったんだろうけど……」
 あの時に、はっきりと問い質しておけばよかったのだ。そういう法律があるんじゃないの? と。やっぱりあの時の自分は少々テンパっていたらしい。
「でも……誰なの、そんなこと言ったの。もしかしてお兄ちゃん?」
「いや、なのはと付き合い始めた頃に、はやてが」
「そう、はやてちゃんが……」
 一瞬、なのはの声が固くなった気がした。この体勢ではなのはの顔は見えないが、何故か、見えなくてよかったと思ってしまう。
「そ、それでね、ユーノくん。ど、どうする?」
「どうする、って?」
 こちらに回されたなのはの腕から、少しだけ力が抜けた。
「だ、だから……これから。誤解は解けたし……ゆ、ユーノくんも、我慢してた、んだよね?」
「う、うん……それはそうだけど……」
「だから、ね? いいよ……?」
 耳元で、そう囁かれ、ユーノは上体を起こす。
 もう限界だった。先程までの会話と、抱き締められた時の感触と、匂い、そして今の甘い声。今まで封じ込めていたものが解放される。もう、我慢する必要はない。
 だからユーノは、なのはの唇に、貪るように吸いついた。
270ステップアップ:15歳 その2:2007/08/06(月) 03:50:26 ID:bU/DJWA4
 何をどうしたかは、よく覚えていない。キス以上のことは初めてであり、結局、事前に知識を仕入れる余裕もほとんどなかったのだ。せいぜい、性感帯と呼ばれる箇所についていくらか知っていたくらいで。
 だからユーノは、とにかく思いつく限りのことを試してみた。舐め、吸い、甘噛みし、指で押し、弾き、なぞり、手で揉み、撫でる。反応があればそこを重点的に攻めてみる――つまりは、ディープキスをした時と同じだ。
 違うのは、あの時とは比べものにならないくらいのプレッシャー。勢いで突っ切れればよかったのだが、いざコトに及ぼうとすると正気に戻ってしまったのだ。おかげで一つ一つの行為に踏み切るのにえらく気力を要し、なのはの反応がまたこちらを混乱させる。
 とにかく色々苦労しながらもユーノは頑張った。
 そして、それら行為の結果が、痛いくらいに膨張した自分の愚息であり。
 上気した頬と潤んだ瞳、汗ばんだ白い肌を晒したなのはだった。
 幸いというか、なのははとても感度がいいようだった。でなければここまで乱れはしないだろう。自分が上手かった、ということだけはありえない。なにせ、初めてなのだから。
「なのは、大丈夫?」
 荒く、熱い呼吸を繰り返すなのはがさすがに心配になって、ユーノは声を掛ける。
「う、うん……大丈夫、だよ……ぅ」
 あまり大丈夫そうでない反応が返ってきた。
「無理は駄目だよ。確かになのはとはこうなりたかったし、したいって気持ちは大きいけど、一方的に押しつける気はないんだから」
 ここまでやっておいて何だが、それがユーノの正直な気持ちだった。こういうことは、お互いの気持ちが通じ合っていないと意味がない。なにより、義務感とかですることでもないのだ。
「大丈夫、これはわたしが望んだことでもあるんだから……一度に色々されてちょっと混乱というか、戸惑ってるだけだから……」
 微笑みながら、先程よりは若干落ち着いた声で、なのはは答えた。
 その気持ちが嬉しくて、愛おしくて、ユーノは優しく唇を落とした。
「それじゃあ、いいね?」
「うん……きて、ユーノくん」
 もう一度だけ確認をとって、ユーノは自身をなのはの秘所にあてがおうとして――とても重要なことに気付いた。
「ね、ねぇ、なのは?」
 緊張と不安を浮かべているなのはに、問う。
「今日って、大丈夫なの?」
「え?」
「だから……危なくない日、なのかな、って」
「え、えっと……分からないけど、避妊具みたいなのがあれば、どっちでも問題は――」
「……さっきの理由により、まだ準備してない」
 これで本番はヤバイ。外れればいいが、もしも当たってしまったら。
 中で放たなければいい、という問題でもない。慣れればそれも可能だろうが、今のユーノにとって、そこは未知の領域だ。最悪、侵入後即暴発、なんてことも否定できない。
 どうしたものか、と考え込む。危険日の算出方法をユーノは知らない。なのはも、あの様子では知らないだろう。
「そ、そうだ! レイジングハート!」
 不意に、なのはが自身の相棒を呼んだ。考えてみれば、待機状態のままで、未だになのはの首に掛かっている。
「いつもわたしの体調管理、してくれてるよね? だったら、そういうの、分かる?」
《直撃ですね》
「あう……」
《問題ありません》
「「大ありだよっ!」」
《さあ、心おきなく続きをどうぞ》
「「ぢゃなくてっ!」」
 何だかはっちゃけているデバイスの言葉に、同時に叫んでしまった。なのははレイジングハートを取り外すと、枕の下に埋める。何やら抗議らしき声は聞こえるが、無視だ。
「ど、どうしようか?」
 自分の下にいる、なのなに問いかける。続きをするような雰囲気が失われつつあるのだが、愚息だけはしっかり自己主張していた。
271ステップアップ:15歳 その2:2007/08/06(月) 03:52:22 ID:bU/DJWA4
「ごめんね、ユーノくん……」
「いや、別になのはが悪いわけじゃないんだけど」
 済まなそうに謝ってくるなのはに、そう答える。実際、どちらに非があるわけでもない。要はタイミングが悪かったのだ。
「でも……わたしだけ、気持ち良くしてもらったのに……」
 なのはの視線はユーノの息子に向いていた。まあ、自分はまだ達していない。逆に、散々翻弄はできたが、なのはもそれは同じで。それでもこちらが主導で動いていただけに、何やら申し訳ないらしい。
 かといって、女性側から男性側にできることってあるのだろうか? と首を傾げる。あるのかもしれないが、現時点でそれをユーノは知らなかったし、想像できなかった。
 だから、考える。何とか自分もなのはも気持ちよくなって、納得いく形で終われないだろうか、と。
 男が気持ちいい場所なんて一つだ。女性は色々あるみたいだが、やはり秘所、だろうか。
「え、と……それじゃあ、試してみようか」
 ふと、何とかなりそうなことを思いつき、ユーノはなのはに跨った。そして、すっかり蕩けている割れ目に指を這わせる。
「ふあっ!?」
 不意打ちに近かったせいか、過敏に反応するなのは。やはり、ここが一番よさそうだ。
「しょっ、と……」
 ユーノは息子を、なのはにあてがった。先端を入り口にではなく、全体を秘裂にそって。すっかり濡れているそこは、とても熱を持っていて、それだけでもユーノに快感を与える。
「あ……すごく熱い……ん……」
 斜め上を向いていたそれを押しつけるようにすると、なのはもそれで感じているのか、声を漏らした。
「なのは、そのまま、足を閉じてくれる? 僕のを、挟み込むように」
「う、うん……」
 こちらの指示に、なのはは従う。柔らかな太腿の感触が加わり、刺激が増した。
「それじゃあ、動くね」
 その体勢のまま、ユーノは腰を少しだけ浮かせた。
「あ、あああっ!?」
 途端、なのはが声を上げた。ユーノのペニスが、なのはの秘裂を擦り上げた結果だ。
「ふあうっ……!」
「うあっ!?」
 同じように擦りながら、怒張を秘所と太腿の間に沈める。粘りのある体液と熱が絡みつく。なのはと同じように、今度はユーノも思わず声を上げていた。
「ど、どう、なのは……?」
 呼吸を整えながら、問いかける。たったの一往復だったが、なのはの呼吸も乱れていた。
「な、なんか……すごい……」
「気持ち、いいかな?」
「う、うん……」
「それじゃあ――」
 再度、腰を浮かせた。
「あんっ!」
 そして、沈める。
「はぁうっ!」
 大体の要領が掴めたので、ユーノは少しずつ、腰の動きを早めてみた。
(くっ……凄く、気持ちいい……っ!)
 未知の感覚が、襲いかかってくる。自分でするより何倍も強烈な快感が、ユーノの愚息を包んでいた。
 ずちゃずちゃと、往復させる度に響く摩擦音。火傷しそうなほどに感じられる熱。そして何よりも――
「あぁっ、あっ、はっ、あうぅっ!」
 なのはの嬌声が、頭の中を駆け巡る。触覚から感じる快感もさることながら、耳に飛び込んでくる音と声も、こちらを更に昂ぶらせた。
「ど、どうっ!? なのはっ!」
「はっ、すっ、すごい……のっ! ああっ! ほ、本当、にぃっ! さ、され、てっ! されて、るっ! みたいでぇっ!」
「きっ、気持ち、いいっ!? これがっ! いいのっ!?」
「うんっ! うんっ! いいっ! いいのぉっ! あぁっ!」
 本当の性交ではない。体勢だけを真似た、疑似性交だ。それでも本当を知らないユーノにはとんでもない快感で。
「じゃあっ! もっと! もっと、気持ち良くっ!」
 更なるそれを求めて、ペースを上げた。
272ステップアップ:15歳 その2:2007/08/06(月) 03:54:27 ID:bU/DJWA4
「ふあぁんっ!」
 なのはの方も同じように翻弄されているようだった。紅潮し、快楽に溺れた顔がそこにある。触覚、聴覚に加え、視覚によってもたらされる情報が更に加わった。
「くっ!」
 まずい、と思って目を閉じた。反則だと言いたくなるほどに、今のなのはの表情は淫らで。しかし目を閉じていると、他の感覚が余計に鋭敏になってしまい逆効果。
 なのはを抱き締めるように、ユーノは身体を倒した。腰の動きは止めないまま、頭をなのはの頭の横に不時着させる。目を開くと、見えるのは白いシーツとなのはの髪のみ。少しだけ、落ち着いた。
「ああっ! あんっ! あっ、熱い、のぉっ! ゆっ! ゆーの、くぅんっ!」
「すごいよ、なのはっ。擦れ合う音が、聞こえる? すっごく、いやらしい音を、立ててる、のがっ!」
「いやぁっ! 言わないでぇっ! でもっ! でもぉっ! 気持ちいいのっ! こういうことっ! 初めてなのにっ! 本当に! してるわけじゃっ! ないのにぃっ!」
 腰の動きが止まらない、というか、止められない。気持ち良すぎて、この快感から抜け出したくなかった。なのはもこちらの身体を抱きしめて、快感の波に耐えて――いや、完全に呑まれているようだった。
 しかしそろそろまずい。耐性がない分、やっぱり限界が訪れるのが早い。込み上げてくる前兆が感じられた。
 歯を食いしばって耐えながら、ユーノは擦りつける動きを、押し上げる動きに変えた。秘所をなぞるだけではなく、その上の芽にも刺激がいくように。
「! ユーノくんっ!? それ駄目ぇっ!」
「ごめん! そろそろ、ヤバイからっ! だから、なのはもっ!」
「そっ、そんなのっ! やっ! 駄目ぇっ! 頭がっ! 真っ白にっ! いやっ! あああああぁぁぁぁ――っ!」
 びくん、となのはの身体が震え、腕の締め付けと、腿の締め付けが増した。あと少しで、こちらも――
「くぅっ!」
 最後に思い切り擦り付けて、引き抜く。びんとそそり立った先端から、白濁が勢いよく、何度も放たれ、なのはの腹に、胸に浴びせられた。
「うわ、ぁ……」
 射精による脱力感に耐えきれず、ユーノはなのはの横に倒れ込んだ。
「も、もう駄目……」
 呼吸を整えながら、なのはを見る。蕩けた表情のまま、なのはもこちらを見ていた。
 言葉はない。ただ、なのはが差し出してきた手を、ユーノは何も言わずに握り返した。



「大丈夫?」
「うん、何とか……」
 ようやく落ち着いて、ユーノはなのはと一緒にシャワーを浴びていた。なのはは照れたが、既にお互いを見せ合った後だ。何を今更、と一緒に入ったのだが。やはり恥ずかしいものは恥ずかしいらしい。
 逆に自分は随分と免疫ができたようだった。あれだけ色々試せば、そうなるのだろうか。
「ううううう……」
「どうしたの?」
 背中を洗ってやりながら、ユーノは何やら唸るなのはに問いかける。だって、と顔を真っ赤にしたまま、なのははこちらを見た。
「ああいうこと、初めてだったのに……わたし、あんなになっちゃって……」
「うん、すごかったね……」
「言わないでっ! 自分でも驚いてるんだから……わたしって、あんなにえっちな女の子だったんだ、って……まねごとでこれじゃ、本当にした時、どうなるかと思うと……」
 想像したのか、更に赤くなって、俯いてしまう。
「ねえ、なのは。その、本番の話だけど」
 ボディソープを洗い流して、ユーノは自分の考えを口にした。
「やっぱり、するのはなのはが16歳になってからにしよう」
「え?」
「したい、って気持ちは変わらないけど、ここまでしたら、慌てることもないかな、って思ったんだ」
 急いては事をし損じる、だっけ、とユーノはなのはの世界の言葉を思い出す。
「ゆっくり、でも確実に、進んでいけばいいと思って。どう?」
 なのはは混乱しているのか、わたわたと手をばたつかせている。その様子がおかしくて、からかいたくなった。
「それとも、そんなに早く、し・た・い・の?」
「にゃううっ!?」
 沸騰したなのはを見ながら、思う。
(それに16だったら、万が一失敗しても、責任取れるし)
 もちろん、なのはの夢のことも、自分の仕事のこともあるので、万全を期すつもりではある。が、イレギュラーはどこにでも転がっているものだ。
「だから、さ」
 なのはを後ろから抱き締める。硬直してしまったなのはの耳元で、ユーノは囁いた。
「それまでは練習ってことで。本番で失敗しないように、念入りに、ね?」
「は、はい……」
273ステップアップ:15歳 その2 おまけ:2007/08/06(月) 03:57:52 ID:bU/DJWA4
「あのー……これは、どういう状況なんやろ?」
 本局の模擬訓練施設で、八神はやては呟いた。施設全体は結界に覆われ、脱出を許してくれそうにない。
 視線の先には、白いバリアジャケットを纏ったなのはがいた。足元には、箱詰めされたマガジンが山と積まれている。
 そして、その後ろには。家族とも言うべきヴォルケンリッター&リインフォースの姿。全員が緑色の鎖やリングやロープにバインドされており、おまけに緑色した四角錐の結界に閉じ込められていた。
 例外はシャマルだけで、彼女だけがケージの外に拘束されている。
 全員で呼び出されたと思ったら、いきなりこれだ。
「あのね、はやてちゃん」
 ニコニコしながら、なのはが言った。
 がしゃこん、がしゃこん、がしゃこん、がしゃこん、がしゃこん、がしゃこん。
 六連装のカートリッジが全弾ロードされ、レイジングハートに膨大な魔力が集積されていく。
「実はね、わたしとユーノくんの関係について、肝心なところで進展しなかった理由が分かったの」
「そ、そうなん? で、この状況は――」
「それを、教えて……ううん、思い出させてあげるね?」
 こちらの言葉を遮るなのは。その目が、全く笑っていないことに気付いた。
「さあ、どうぞ。ユーノくん」
「ユーノくん。私らの世界ではな、男は18、女は16にならんと、エッチなことしたらあかん、って法律で決まっとるんよ。いくらなのはちゃんが可愛いからって、襲ったりしたらあかんよー」
 棒読みで、ユーノが言った。しかしその口調、どこかで聞いたような。しかも、思い出させる?
「――っ!?」
 そこで、ようやく思い出した。この間、学校で感じた違和感。そう、今の言葉は――
「思い出せた?」
 だらだらと、脂汗が流れる。そうだ。確か2人が付き合い始めた当時、冗談交じりにそんな事を言ったような。
「だ、だけど、それを本気で信じたん……?」
「僕はミッドチルダの人間だからね。そっちの常識までは知らないし。勿論信じた、というか信じてたよ。冗談で言うような事じゃない、と思ったからね」
 まずいまずいまずいまずいまずいまずいまずいまずい!
 頭の中で警鐘がガンガン鳴り響く。このままでは――死ぬ! 否! 殺される!
「だから、ね。わたし、少しだけ。ほんの、少しだけ怒ってるの。自分の言ったことを忘れて、性欲が薄いとか不能だとか男色だとか散々なこと言った誰かさんのこと」
「い、いや、それは……って、そこまで言うたの私だけちゃうやんっ!?」
「だから、ね? お仕置きが必要だと思うの」
 抗議するが無視された。レイジングハートが、こちらを向く。なのはの足元に、桃色の魔法陣が生まれる。
「大丈夫だよ? ちゃんと、非殺傷設定だし。何かあっても、シャマルさんがいればすぐ『続けられる』し」
「ダウンしても強制治療で再開っ!? あかんっ! SLBなんて何発も食らったら、本気で死んでまうっ!?」
 命の危機を感じ、バリアジャケットを纏う。防御魔法を構築するが、気休めにしかならないだろう。頼みの綱は家族であるシグナム達だが……
 クリスタルケージの中にいる彼女達は、全く身動きが取れない様子だった。数種のバインドを複数重ね掛けされ、しかもいまだにユーノはバインドを準備し続けている。解除されたら次のバインドが間髪入れずに襲いかかる、そういう構図ができあがっていた。
 騎士達は何とか拘束を解除しようとして――いるの、だろうか? 何故か、そうは見えなかった。まるで、このままの方が安全だ、と言わんばかりの、複雑そうな表情でこちらを見ている。
 ユーノもニコニコ笑っていた。ただし、目以外。
「ああ、その心配はないよはやて」
 なのはの周囲に生まれるのは無数のスフィア。ディバインシューターだ。
「そんな、一撃で昏倒だなんて、それじゃあ、お仕置きにならないじゃないか」
 つまりあれですか、たこなぐりですか。私はなぶられつづけるわけですか。
「あ、悪魔――っ!」
「うん、悪魔でいいよ。悪魔らしいやり方で、お仕置きするから」
 管理局の白い悪魔が、ここに顕現した。
274ステップアップ:15歳 その2 おまけ:2007/08/06(月) 03:58:55 ID:bU/DJWA4
 しゅーと。しゅーと。しゅーと。しゅーと。しゅーと。しゅーと。
 がしゃこん、がしゃこん、がしゃこん、がしゃこん、がしゃこん、がしゃこん。
 ばすたー。ばすたー。ばすたー。
 ぱたん、きゅ〜。

「はい、シャマルさん。早く直してあげないと……なのはの次の標的が変わりますよ? 具体的に例えれば、言うことを聞かない某湖の騎士とか」
「ひ……ひぃぃっ! クラールヴィントぉっ!」
 ぴろりろりん。

 がしゃこん、がしゃこん、がしゃこん、がしゃこん、がしゃこん、がしゃこん。
 しゅーと。しゅーと。しゅーと。しゅーと。しゅーと。しゅーと。
 がしゃこん、がしゃこん、がしゃこん、がしゃこん、がしゃこん、がしゃこん。
 ばすたー。ばすたー。ばすたー。
 ぱたん、きゅ〜。

「ほら、どうしたんですシャマルさん? 早くしないと――」
「ごめんなさいごめんなさいはやてちゃんごめんなさいぃぃぃっ!」
 ぴろりろりん。

 がしゃこん、がしゃこん、がしゃこん、がしゃこん、がしゃこん、がしゃこん……
 しゅーと。しゅーと。しゅーと。しゅーと。しゅーと。しゅーと。
 がしゃこん、がしゃこん、がしゃこん、がしゃこん、がしゃこん、がしゃこん。
 ばすたー。ばすたー。ばすたー。

 ぴろりろりん。
「はやてちゃん? カートリッジはまだまだあるからね?」
「もっ、もう……! もう堪忍してえぇぇぇぇっ!」
27522スレ300:2007/08/06(月) 04:00:43 ID:bU/DJWA4
以上です。お付き合いいただき、ありがとうございました。
おまけはどうしようか迷ったのですが、以前期待してくれた方がいたので、UPしました。

やっぱりエロはむずかしい……これでおっきする人、いてくれるかなぁ……
さて、次のステップに進むのはいつになるか。こんな作品ですが、楽しんでいただければ幸いです。
では、今日はこれにて。
276名無しさん@ピンキー:2007/08/06(月) 04:30:21 ID:tK9t47Uh
あははは!ご愁傷様、はやて。
レイジングハートのはっちゃけぶりもよかったっす。どうせなら、嘘ついて直撃させればよかったのに。(後で怒るられるのが自分じゃないので好き勝手言ってます。)
277名無しさん@ピンキー:2007/08/06(月) 04:32:19 ID:JfvQqQNi
うはw
オチが凄い事にwww

でもあれです。
レイジングハートには、こうやってほしかったッ!

レイ『全然まったく問題はありません!心置きなく絆を深めてください!!』
レイ(高い命中率が期待できるでしょうwwwww さあ、二人にとって真の絆赤ちゃんを!!)
278名無しさん@ピンキー:2007/08/06(月) 05:06:53 ID:L4sxDYEa
>>204
ぐっじょぶ
ザフィーラかっこいーよザフィーラ
27938 ◆KHEtQ2j5Nc :2007/08/06(月) 07:28:50 ID:T4Hm8D5a
>>230
あ、G-WINGさんのに似てたのかorz
ずっと書きながら誰かのに似てる気がしてたんだが、あくまで「気がする」レベルだったし、誰の作品に似てるのかも思い出せなかったから気のせいだと思ってたorz

>>236
あの短編の事?
あれは……、正直閉じ込められたユーノ+結界破壊にSLB+遺跡内で告白がかぶってるだけじゃあ?
ユーノ閉じ込めるには転送防止用の何か使わないとあの男なら簡単に脱出しかねないし。
結界破壊デフォで持ってるSLB使うのが結界破壊するには自然だし、救出時点で告白ってベタなラインに入ると思う。
つか640氏の変わりゆくはA's後で、俺のはSTSなんだけど。
280名無しさん@ピンキー:2007/08/06(月) 08:28:57 ID:YIuLRHqT
>>279
本気か?どんだけゆとりだよ、お前
明らかに手本(既存文章)ありき、なものにしかなってねえだろうが
別人である以上、台詞の一字一句まで同じなんてあるわけねーよ、盗作野郎がふざけんな
281640 ◆CaB8KPh.gs :2007/08/06(月) 08:48:43 ID:4FUcQ3f+
>>260
d
>>236氏、38氏
ま、実際に読んで確認してみますわー。
その上で単なるネタかぶりならそれで問題ないでしょうし。
282名無しさん@ピンキー:2007/08/06(月) 10:09:49 ID:mdffZK2C
俺も参考、というよりもパクってる雰囲気は感じたなあ
例えば一文として
>「……確かに、プロポーズだね」
>「そうね。どっからどう見てもプロポーズね」
>「そうですよね……」
>「プロポーズ、ですよね」

一方魂(ryの方のG-WING氏の文章
>「なのはは本当に真剣だったし、一生だもんね。」
>「…プロポーズね。」
>「…プロポーズだね。」
>「…プロポーズですね。」
>「…式はまだなんですか?」
とか、
他にも足が不自由とか、土産届けてとっとと帰るとか

極めつけは
その話が出た直後のプロポーズの展開
長いから省略するけど正直一部改変しましたってぐらい同じにしか見えない
これじゃあ丸々パクリましたって言われても文句言えない気もするけど
283名無したん(;´Д`)ハァハァ:2007/08/06(月) 10:14:19 ID:ZDnWuD78
>>22スレ300氏
ぐっじょぶですw
最後、自分が不能でないことを直接はやての身体に教え込む
ギガ鬼畜ルートなユーノ君を想像したのはきっと俺だけじゃないはずだと信じてる!

あとシャマルさんカワイソス。ユーノ君ペタ鬼畜wwww
そして、なんというずっとなのはさんのターンwwwwもう最後で腹筋がえらいことにw
284名無しさん@ピンキー:2007/08/06(月) 10:39:43 ID:ThvecvJK
ターンA氏の続きマダー?
エリティアいいよエリティア
285名無しさん@ピンキー:2007/08/06(月) 11:04:07 ID:iqoRKqJ6
>>204
やっべぇ、めっちゃ面白れぇ!
超GJ! ニヤニヤが止まらんwwwww
286名無しさん@ピンキー:2007/08/06(月) 11:17:35 ID:etq71bqe
投下するべ
・非(微?)エロ
・フェイト好き、再びすまん
・リアル幼女って水着であっても何も感じないな


「集まってもろたんは、他でもない…例の事件の被害が拡大しとる」
1つの部屋に機動六課女性陣が全員集合していた。
「許せないね…」
なのはは、拳に怒りを込め震えている。
「そやな…本腰を入れて見付けだすで…犯人を!うちらの下着を盗んだ犯人を!!」

トゥルルールルー ドゥンドゥンドゥンドゥン ドゥドゥン(ry
リリカルサスペンス劇場
大切な布が消えた!六課の怒りは天の怒り
機動六課下着盗難事件 (前編)

「まずは第一の事件から振り返ろうか…8月24日、戦技教導隊所属、機動六課出向中、高町なのはの下着が盗まれた」
はやてがそう言うとなのはが立ち上がる。
「うん、実際は無くなったのを8月24日に気付いたってことなんだけど…」
「うちは1度聞いたけど、詳しく話してもらってええ?」
なのはは、「うん」と頷くと話始めた。
「次の日、つまり25日が休暇でユーノ君とデートの約束をしてたからのその盗まれた下着…
私の勝負パンツをチェックしようとしたの…そしたら…」
なのはは、悔しさに顔を背ける。
「その下着で、ユーノ君と…まだ3回目だし、大胆かなって思ったんだけど、雑誌に普段着けないような
下着で男の子は興奮するって書いてあったし、その興奮からエッチも激しくなるって書いてあったから…
その下着が無くなったから、私どうしようか考えて、その、ね、胸でユーノ君のを挟んだり…」
「なのはちゃん、そこまで聞いてへんよ…なのはちゃんのエッチと下着は流石に関係あらへん」
はやては、溜息をついて話を遮断した。
本当なら根掘り葉掘り聞き出したいが、今はそういう場ではない。
「どんな下着だったんですか?」
287下着泥:2007/08/06(月) 11:20:39 ID:etq71bqe
ティアナがなのはに聞いた。
「え…どんな下着かって聞かれると…」
先程は内容まで言おうしたのに、今回は黙るなのは。
熱中すると周りを忘れるからなぁ、とはやては思いながら、「シャーリー」と名前を呼んだ。
「はい、なのはさんの証言を元にCGで再現されたものがこれです」
シャーリーが操作すると、モニターになのはの勝負下着が写し出された。
「「おぉぉぉ!」」
「「黒…」」
「「ひ、紐パン…」」
様々な声が上がりなのはは、顔を赤くして小さくなった。
「これが…エースオブエス…!」
スバルは目を見開いて驚愕していたが、下着と呼び名は全く関係無い。

「話を戻すで…この下着が24日には既に無くなっていた、と。それ以前に穿いたのは?」
「買った日…19日の次の日だから20日に試し穿きを…」
赤いままの顔で小さな声で恥ずかしがりながら言う。
ティアナはふと考えた。
20日?先月の20日と言えば…
「聖王教会に行った日じゃないですか!」
ティアナは導き出した答えを声で提出する。
「あ、いや、その…」
なのははさっきより更に小さな声で呟く。
ティアナは思い出す。
「なのはママー!」と笑顔でなのはに抱き着いたヴィヴィオ。
周りから見れば微笑ましい光景であった。
そのなのはママは、黒の紐パンを穿いていたのだ。
狂っている、何かが狂っている…
「まぁ、それについては今は言及せぇへん…でや、その話を初めに聞いた時はフェイトちゃんの仕業やと、思たんやけど」
「えぇ!?」
突然、容疑者扱いされたフェイトは戸惑う。
「私もね、そう思ったんだけど…」
「なのは!?」
皆の視線がフェイトに向く。
「なのはちゃんとユーノ君の邪魔が出来て、なのはちゃんの下着もゲット出来る…一石二鳥や」
皆の視線が冷たい。
シグナムの顔には『見損なったぞ』と、書いてある気がした。
288下着泥:2007/08/06(月) 11:23:17 ID:etq71bqe
翌日の新聞の一面を飾ったのは『エリート女性執務官、同僚の下着を盗む!』
更に週刊誌には、『下着泥棒執務官の出生の秘密』とクローンであることが暴露されてしまう。
「判決!フェイト・T・ハラオウンを終身刑とする!!」
裁判長から出された判決は、残りの人生を牢の中で過ごせというものだった。

「いやーーーー!!!」
「フェイトちゃん!冗談や!冗談!落ち着きぃ!!」
突如、叫び出したフェイトを宥めようとはやては必死に呼び掛ける。
「私じゃない!私じゃないよ!!」
必死の形相で無実を叫ぶフェイト。
「わっかっとっるるる」
フェイトに揺さ振られながら、はやてはなんと言った。
「落ち着いて、フェイトちゃん!分かってるよ!フェイトちゃんが犯人じゃないって!」
なのはもフェイトを落ち着かせようと叫ぶ。
「なのは!違うよ!私じゃないよ!」
それでもフェイトの混乱は納まらない。
「テスタロッサ、すまぬ!」
言葉と共にシグナムは、フェイトの首筋に手刀を叩きつける。
すると、フェイトはガクッと首筋から力が抜け、テーブルに突っ伏した。
「主はやて、話の続きを」
「あ、あぁ、せやな…」
気を失ったフェイトを見ながら、はやては話を続けた。
「フェイトちゃんの犯行やないってのは、皆の下着も盗まれたってことでも分かると思う。そもそも、冗談やしな…」
実際は、冗談ではない。
機動六課設立の1年程前のある事件からの疑いであったが、それはまた別の話である。
「それで…次に盗まれたのは、28日、ティアナとスバルの下着が数枚やな」
「はい!」
自分達の話題になったと、ティアナは声を出して立ち上がった。
「27日の訓練の時の上下、寝る前のシャワーまでの上下を28日の午前に干していて、
午後戻ってきたら、無くなっていました」
「合計8枚盗まれたということか…」
289下着泥:2007/08/06(月) 11:26:15 ID:etq71bqe
シグナムの計算に「いえ」とティアナは、否定する。
「スバルはノーブラなので6枚です」
「そうかぁ…でも、スバル、ノーブラが開放的なのは認めるけどなぁ…大切なことを忘れとる!」
はやての言葉によって話が脱線し始める。
「大切なこと?」
首を傾げるスバルに、はやては立ち上がって力強く言った。
「形や!!」
「形…ですか?」
「そや!おっぱいっていうんはな、大きいほど歳を取ると崩れやすいんや。
けど、ブラジャーはそれを防いでくれるアイテムなんや」
力説するはやてに、呆けながら聞くスバル。
こうなったら駄目だ、となのは以下他のメンバーも諦める。

数十分後
「はい!私、ブラジャー着けます!」
「よろしい!初めてのブラはうちが選んだるからな!」
「よろしくお願いします!」
漸くはやての話が終了しようとしていた。
「よし、それじゃあ、今日は解散や!」
いきなり解散を宣言する満足な顔のはやて。
「はやてちゃん!本題はスバルのブラじゃないよ!」
「下着泥の話はどうなったんだよ!」
本題はほとんど進んでいないのに、終わろうとするはやてをなのはとヴィータが慌てて止める。
「そ、そやったな。あかん、あかん。それじゃあ、次の被害者は…」
なんとかはやてを元の話に戻すことに成功した。

「六課全員、何かしら下着を盗まれてるね」
「上はシャマルから下はキャロまで…ていうかリインのまで盗むなんて何考えとるんや」
全ての被害状況を確認してなのはとはやては言った。
「売るのが目的とかですかね?」
ティアナの言葉にはやてはうーん、と唸りながら周りを見る。
確かにこのメンバー下着なら高値で取引されそうだ。「個人的な趣味と販売目的の可能性、どちらもあるな」
シグナムは難しい顔で呟いた。
290下着泥:2007/08/06(月) 11:29:18 ID:etq71bqe
シグナムは怒っていた。
彼女が盗まれたのは、はやてに初めて買って貰ったブラジャー。
つまりは、初めてのブラジャーだ。
それを盗んだ者を彼女は、問答無用で斬るつもりだった。
「どちらにしても許すわけにはいかない」
「そうやな」
シグナムの言葉にはやても頷く。
「まずは個人的趣味の線から考えようか、シャーリー」
再び、名前を呼ばれたシャーリーはモニターに4人の顔を映し出す。
「六課の男性陣はこの4人。つまり、趣味の線ならこの4人に絞られるってことや。
他にも男はおると思うけど、うちは覚えとらん。部隊長に覚えられないほどどうでもええ存在やな。というか名前も無いやろ」
はやての言葉の後半部分は無視しておいて、なのははモニターを見た。
エリオ・モンディアル、グリフィス・ロウラン、ヴァイス・グラセニック、そしてザフィーラ。
「この4人が容疑者ですね」
「エリオはそんなことしないよ!」
いつの間にか目覚めたフェイトが力強く言った。
「いや、可能性があるってだけでな?」
「エリオはしないよ!」
「フェイトちゃん、聞いとる?」
「エリオはしない!」
「…そやな、エリオはせぇへんよな」
このままだと、フェイトは暴れかねないと思ったはやては退いた。
「それならヴァイス陸曹だって!」
今度は、ティアナも反論を始める。
だが
「ヴァイス君はしそうやな」
「うん、やりそうだね」
「あー、あいつだったら違和感無ぇな」
はやて、なのは、ヴィータに好き勝手言われてしまう。
そして、ティアナは冷静に考えてみた。
―やりそうだ…
291下着泥:2007/08/06(月) 11:31:45 ID:etq71bqe
「じゃあ、4つの小隊に分けるで。まずは販売の線を販売ルートから洗う小隊、うーん、名前は…いいのが思いつかんなぁ…。
とにかくそれをシャーリー、アルト、ルキノや」
「「「はい」」」
3人は声を合わせて返事をした。
「次に、容疑者のよ…3人を監視する隊を、キャロ、ティアナ、スバル、ヴィータ」
「「「はい」」」
「おう」
ステキとヴィータの声は重ならなかった。
「盗まれた下着を捜索するのは、なのはちゃんとフェイトちゃん、シグナムや」
「うん」
「分かったよ」
「分かりました」
3人の返事はてんでバラバラだった。
「最後に、統括と残っている下着を監視するのがうちとシャマル、リインや」
「分かったわ」
「はいです」
全員の役目が決まり、はやてが中心に手を差し出す。
その手に皆の手が重なっていく。
「絶対に犯人を見つけ出すで!」
「「「「「「「「「「「「おう!!」」」」」」」」」」」」
そして、円陣が解かれた。
続く かな?
292名無しさん@ピンキー:2007/08/06(月) 11:37:31 ID:etq71bqe
初めは鬱な話を書こうと思ってたのになぁ…なんでこうなったのか…
293名無しさん@ピンキー:2007/08/06(月) 11:46:07 ID:NL61Ur98
>>292
下着泥って題材が題材だからなぁ
だがGJ
続きを期待している
294名無したん(;´Д`)ハァハァ:2007/08/06(月) 11:46:32 ID:ZDnWuD78
これはこれでw
そしてヴァイスワロタwwwwwカワイソスwwww
というかティアナにまでやりそうだと思われてるとかw
295名無しさん@ピンキー:2007/08/06(月) 11:48:17 ID:etq71bqe
しまった…なんだよエースオブエスって…orz
どんだけサドなんだよ…
296名無しさん@ピンキー:2007/08/06(月) 11:51:57 ID:OoWgKBXZ
これでエリオだったらフェイトはどうするんだろうか…
297名無しさん@ピンキー:2007/08/06(月) 11:53:26 ID:8TqyS1Dw
おもしろかったので続き期待してます

>>295
別に間違ってないけどなwwwwww
298名無したん(;´Д`)ハァハァ:2007/08/06(月) 12:03:05 ID:ZDnWuD78
>>295
言われて気づくエースオブエスwww
流石なのはさんだ!ランクも性癖もSだなんて。
でも実はMッ気たっぷりってのもいいk(ry

>>296
フェイトさんが『言ってくれたら私のをいくらでも上げたのに』じゃね?
299名無しさん@ピンキー:2007/08/06(月) 12:14:49 ID:drZkZqCX
GJ!
ステキってなんのことかと思ったらキャロ、ティアナ、スバルの略称か。
300名無しさん@ピンキー:2007/08/06(月) 12:20:15 ID:OoWgKBXZ
>>298
成る程…
ということはフェイトがあの黒下着フルセットをエリオに渡すのか……
301名無しさん@ピンキー:2007/08/06(月) 12:56:29 ID:W8w7ITyb
>>299
スバルティアエリオの場合はエステに
スバルキャロエリオの場合はエキスに
ティアエリオキャロの場合は消えてになります

なかなか意味深やわぁ
302名無しさん@ピンキー:2007/08/06(月) 13:51:59 ID:gHGxXVd1
ギン姉が堕ちてナンバーズの仲間になった理由は

ノーヴェからペニスバンドで荒々しく乱暴に乱れ突き
ウェンディやセインに全身をなめ回されされる+ウーノの言葉責め

オットーやディードは二穴同時挿入後に表情一つ変えずに黙々とピストン運動

三角木馬に乗せたギン姉を屈託のない笑顔で鞭や蝋燭で責めるクアットロ

トーレ&セッテによるレズ責め

そして撮影担当のディエチ&チンク(チンクに関してはまだ本調子では無いため欠番。凄まじい光景に我慢できず二人揃って自慰をする)

の11人かがりで責め立てられナンバーズの虜にされたから
303無刃:2007/08/06(月) 14:13:05 ID:uOWPD4WQ
小話投下。

今回の生贄はクロノです。
304無刃:2007/08/06(月) 14:14:05 ID:uOWPD4WQ
ザ・レガシィ〜遺産〜



その隠しファイルは機動六課本部機能移設作業中のアースラ中枢電算室から発見された。

ブリッジで行われていたデータベースの移行作業中、かつてエイミィが座っていた席で作業していた

シャーリーが、多種多様で雑多なファイルに埋もれていたそのファイルを「其れ」と判別し、引き上げたのは

彼女のマニア魂の天啓だったのだろうか、ともかくも中を覗こうとした所、艦長権限によるロックが施されており

現在その権限を持つはやて部隊長が呼ばれ、それに暇な実行部隊員一同も何故かブリッジに集合した(シャ○除く)


はや「ほな、ご開帳といこか」


そして禁断の遺産が暴かれた…

一同「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

それはアースラ訓練室の映像だろうか、なのは達の戦闘訓練風景が映っていた。撮影時期は9〜11歳の頃だろうか。

確かに一見普通の訓練時の画像なのだが、だがしかしその画像が妙に下方からのアングルに偏っていたり、意味も無く

下腹部や胸元をアップにした画像があったり、あつまさえバインドで拘束された画像だけ集中的に撮ったシーンもあった。

はや「こ、これは・・・」
305無刃:2007/08/06(月) 14:15:06 ID:uOWPD4WQ
なの「……(赤面)・・・・・・はっ、フェ、フェイトちゃん!大丈夫!?」
フェ「可愛いなのは…可愛いなのは…可愛いなのは…(鼻血滝)」


それは、エイミィを「食堂のデザート一年分」で買収して協力させて(主に艦長権限の部分)

完成させた嘗てのアースラ男性クルー・一同による魂の結晶であった。

エリ「(ゴクッ)」
キャ「エリオ君、ああいうの(拘束プレイ)が好きなのかな…」

其れは「戦闘時のバリアジャケット着用におけるエロチズムの追求」という

ある種の芸術性を求めた高尚な(製作者談)作品ではあったのだが…


はや「シャーリー?(怒」
シャ「は、はひ」
なの「このファイルが作られた時期の艦長さんてわかる?(冥」
シャ「え、えーと・・・多分このヒトじゃないかと…(汗」

そこに映されていたのは・・・

はや「ほほう、堅物な振りして随分むっつりだったんやなぁ…」
ティ「真面目で実直そうに見えたんですけど…」
スバ「ヒトは見かけによらないってこと?」
はや「ほな、ちょっと出かけてくるわ」
なの「フェイトちゃんはどうす…あれ?」
血の海「(へんじがない、ただのしかばねのようだ)」


後日、聖王教会の一室で起こった騒動のコメント

査察官「やぁ、かれもなかなかやるもんだね…」
教会騎士「彼の品格を見誤っていたようですね…」
修道女「破廉恥な」

母「教育、間違っちゃったかしら…」
義妹の使い魔「嘱託試験の時に目覚めちゃったのかなぁ」

友人Y「ええ、アイツは昔からそういう感じでしたよ」


終わる。
306名無しさん@ピンキー:2007/08/06(月) 14:37:05 ID:iqoRKqJ6
友人Yの冷静なコメントに吹いたwwww

てか、今日は平日だというのに、なんだこの投下量はw
307名無しさん@ピンキー:2007/08/06(月) 15:45:57 ID:mAkIBVEm
おいおいwww
ところで友人Yよ。
>完成させた嘗てのアースラ男性クルー・一同による魂の結晶であった。
とあるが、当時のきみもアースラクルーと親しくしてなかったかね?
308名無しさん@ピンキー:2007/08/06(月) 17:19:06 ID:L4sxDYEa
>>292
フェイトお馬鹿杉ワロタ
309名無しさん@ピンキー:2007/08/06(月) 17:36:40 ID:CtZqTMdn
K「Yの馬鹿はどこへいった!!!!」

Yの同僚「過去発見された遺跡の視察を30周ほどしたら帰ると言っておりました」
310名無しさん@ピンキー:2007/08/06(月) 18:16:54 ID:rxUU1ysk
>>309
KじゃなくてCじゃない?そんな気がする。

>>307
Yさんは、「昔も今もNが頼まなくても中身まで見せてくれるから
別にそんなデータいらない」って言ってましたよ、確か。
311名無しさん@ピンキー:2007/08/06(月) 18:48:42 ID:dt8viNN1
なんか友人Yが言うとお前が言うなと言いたくなるんだがな
お前も一枚噛んでるだろwww

>>310
ある意味ではKであってるかと
後Yが言ってるのが負け惜しみに聞こえるwww
312名無しさん@ピンキー:2007/08/06(月) 19:30:38 ID:tcGisx/Q
多分、時期的には無限書庫勤務だろうから、ハブられてた可能性の方が高い。

「ある意味助かった、のかな? まあ、当時話を持ち掛けられてたら危なかったかもしれないけど……人間、誠実に生きないと」
フェレット時に色々あった後ろめたさから、実はそっち方面において妙にお堅い性格になってしまっていたYだw
313名無しさん@ピンキー:2007/08/06(月) 20:04:18 ID:maxmZUwQ
いや、ここは。

K「待て!僕ははめられたんだ!あの狡猾なYの罠に!僕は、無実なんだーーーーー!」


Y「計 算 通 り」
314名無しさん@ピンキー:2007/08/06(月) 20:11:12 ID:VVAkRV1R
Kって高町(兄)のことか?
315名無しさん@ピンキー:2007/08/06(月) 20:40:14 ID:Man95Sne
でも、エイミィも共犯なんだよな……
316名無しさん@ピンキー:2007/08/06(月) 21:03:23 ID:qh1jx4AI
>>304
F・T・H執務官、あんたの頭はピンク脳でつかw
とりあえずGJ!
317入院中(フェなの):2007/08/06(月) 21:04:35 ID:DkcCj/QO
投下します。
・非エロ
・フェイト×なのは(←ヴィータ?)
・ちょい長い
318入院中(フェイなの):2007/08/06(月) 21:08:14 ID:DkcCj/QO
 ヴィータちゃんは優しい子だ。人の幸せを喜んでくれる。人の悲しみを怒ってくれる。痛みを恐れているから、優しく触れる方法を知っている。とても優しい子だ。とても優しい子だから、いつまでも安らかでいてほしいと思う。私なんかのせいで、余計な心配をさせたくはない。
 私を、重荷にはしたくない。

 船を漕いでいたヴィータが、勢い余って丸椅子からつんのめりそうになったところで目を覚ました。
 戸惑いながら辺りを何度か見渡したが、やがて現状を理解できたらしい。
 自分が今なのはの見舞いに来ていること。いつの間にか居眠りをしてしまっていたこと。
 理解は出来たらしいが、どうにも眠たいらしい。目がトロンとしていて、今にもそのまぶたは再び閉じてしまいそうだ。
 入院生活が始まって以来、ほぼ毎日のように見舞いに来てくれるこの赤毛の少女――というと本人は激しく否定する――が、何でもないような顔をしながらも実はとんでもない激務の間を縫って顔を見せに来てくれていることをなのはは知っている。
 だから、出来ればこのまま寝かしておいてあげたいのだが、病院での面会時間は決まっているし、何より彼女の仕事に支障を来すようなことがあるわけにはいかない。かわいそうではあったが、なのはは声を掛けることにした。

「ヴィータちゃん。時間、大丈夫?」

 肩を揺さぶりながら、少しだけ大きな声で彼女の名前を呼んだ。二言三言不快そうな声をあげた後、手の甲で目尻をこすりながらヴィータが口を開いた。

「ん…。今何時?」
「六時、ちょっと前かな。あ、面接時間もうすぐ終わっちゃうね」

 実をいえば、病院側が設けている面接時間の終わりまでもう少し時間がある。
319入院中(フェイなの):2007/08/06(月) 21:51:51 ID:DkcCj/QO
 ただしなのはの場合、今は——他の患者と比べても——身体がとても疲れやすい状態にあるという医師の診断の元、面接時間も含めて院内での行動を大きく制限されていた。
 ワンルームを与えられた見返りにしては随分と割に合わない。なのはが不満を唱える前にそれらは決定事項となってしまい、この先当分解かれる気配はない。

「じゃあ、今日はもう帰るけど、また明日来るからな」

 外から借りてきたらしい丸椅子を小脇に抱え、ヴィータは出口のドアノブに手を掛けた。
 応じてなのはが手を振る。

「うん。待ってる」

 また明日。とは言わないようにしていた。もしそういってしまったら、どんな用事や仕事を優先してでも彼女がここに来てしまうことをなのはは理解しているからだ。
 それは一時的にはどうにかなっても、後々彼女自身の負担になってくるだろう。だから、待ってる。来るか来ないかはわからないけれど、来るかも知れないことを了解しておく。
 そんななのはの意図をいつからか察してしまったヴィータは、なのはの言葉を少しだけ悲しい思いで受け止めながらも、表面上はなんとか笑顔で応じた。

「おう、また明日な」

 ぱたん。


 バタン!

「悪ぃ、遅くなったッ」

 乱暴にドアを開け放ちながら部屋に入ってきたのはヴィータだった。午後五時半。なのは用に設定された面接時間はもうほとんど残されていない。
320入院中(フェイなの):2007/08/06(月) 21:53:17 ID:DkcCj/QO
「こんばんは、ヴィータちゃん。走ってきたの? 息、あがってるよ?」

 肩を上下させながら飛び込むようにして入ってきた少女の姿を見て、なのはは可笑しそうに右手で口元を隠した。笑っているのを隠したつもりなのかも知れなかったが、その行為はまったく意味をなしていない。

「わ、笑うなよ。マジで急いできたんだからよ」

 それでもしっかりと丸椅子を忘れずに抱えてきていて、枕元の近くに置いたそれの上にヴィータは腰を下ろした。

「あはは、ごめんごめん。忙しいのに来てくれたんだもんね」
「別に、そんなんじゃねぇよ」

 頬を少しだけ赤く染めて、なのはから視線をそらすようにそっぽを向いた。腕を組みながらの一連の動作は、彼女の照れ隠しとして身内では有名だ。

「ありがとう」
「お、おぅ」
「あ、そういえばねヴィータちゃん。今日売店でこんなもの見つけちゃった」

 そういって枕元から取り上げたのは、ウサギのぬいぐるみだった。ややタレ気味の赤い目に、黒い糸で縫い合わされた口。過去にはやてがヴィータに買い与えたぬいぐるみとよく似ている。
 一つだけ大きく違うのは、黒い蝶ネクタイを着けていたヴィータのぬいぐるみに対して、なのはが見つけてきたのは赤いワンピースを着ていた。

「見つけた瞬間、あっ、と思って。こういうのって、どこでも流行るものなのかな?」
 プレゼント。そう言って微笑みながら差し出されたそのぬいぐるみをおずおずと受け取る。
 渡されたぬいぐるみを見つめるヴィータの顔に少しずつ笑顔が広がりつつあったが、一瞬でそれはいぶかしむような表情に変わった。何に気付いたのか、慌てて椅子から身を乗り出した。

「って、おい! お前勝手に出歩いたのか!?」
「無理無理。だって私の足この通りだし」

 なのはが入院した先の事故で、彼女は生命すら危ぶまれるほどの傷を負った。幸い最悪の事態は免れたものの、傷は深く大きく、それ故の入院である。
 その中でも特に際だったのが両足に対するもので、今の彼女は歩くことはおろかベッドから出ることも自力ではままならない。
 そんな状況下にあるはずの彼女が院内であれ出歩くことなどまったくもって不可能なはずで。

「まさか、勝手に魔法使って…」

 身体は動かなくとも、仮装戦闘データによるイメージファイトならできるとなのはは主張したが、入院中ぐらいはおとなしくしてろというユーノのお達しによってなのはの相棒たるレイジングハートは募集され、現在はフェイトの元に預けられている。
 それでもなのは程の魔導師なら杖の支援などなくとも単身で飛行魔法などやってのけるだろう。両足が動かないので、自由自在、というわけにはいかないが、飛ぶこと自体には支障を来さない。
 凄い形相で迫ってくるヴィータにやや圧倒されながらも、なのはは否定の意味を込めて大きく両手を振った。

「そんな無茶しないってば。あのね、今日から、あれ使ってもいって先生が貸してくれたの。て言ってもまだ看護士さんがいないとダメなんだけどね」

 そう言ってなのはが指さした先には白い壁、ではなく、折りたたまれた車椅子が壁に立てかけられていた。

「…車椅子?」
「うん。それでちょっとお散歩しようかなぁってふらふらしてたら売店でそのぬいぐるみを見つけたの」
321名無しさん@ピンキー:2007/08/06(月) 21:53:18 ID:3Q3LwDcc
支援
322入院中(フェイなの):2007/08/06(月) 21:55:34 ID:DkcCj/QO
「車椅子使えるようになったなんてあたしは聞いてないぞ」
「いや、だから今日からなんだってば…」

 ヴィータとしてはどうにも納得がいかなかったらしいが、それでもいったん椅子に座り直した。

「ったく。病人は余計なことに気を遣わなくていいんだよ」
「あはは、ごめんね?」

 別に謝って欲しくて憎まれ口を叩いた訳じゃなかったのだが、そこまでストレートに謝られるとむしろ自分がどう対応していいのか分からなくなってしまう。慌ててフォローを入れる。

「あ、いや、別に。…ありが、とぅ……」
 うん。ヴィータの言葉になのはは満足げに返事をした。それがやはり恥ずかしかったのか、取り繕うようにヴィータが続けた。
「そ、それにしても、もう車椅子か。この調子なら退院ももうすぐだよな」
「そうだね。私も早くこの足治して復帰しなくっちゃ」

 実際のところ、車椅子が使えるようになることと足が動くようになることとでは全くと言っていいほど関係はないのだが、この時点でのヴィータはその事実に気付いていない。

「早く戻らないとヴィータに差をつけられちゃうもんね」
「カンケーねぇだろ。お前にはお前の夢があるんだから」
「うん。そう、だね…。」
 少しだけ、小さな間。時間と時間の間に一筋だけの小さなひびが入ったような、そんな気がした。
 それに気付いたと同時に、ヴィータは深く後悔したが、もう遅かった。後悔は過ちの後に来るもので、起こってしまったことはもう変えられない。

「あ、ヴィータちゃん。時間、大丈夫?」

 それは昨日と同じ、いつものお決まりの言葉。仕事が忙しいはずなのに毎日のように見舞いに来てくれるヴィータのことは純粋に気遣ってくれる優しい言葉。

 それなのに、何故か今日は聞いていてひどく胸が痛かった。

「…そう、だな。悪い、今日はこれで帰るな」
「うん。ありがとね」

丸椅子から立ち上がって、その上にもらったぬいぐるみを乗せて小脇に抱える。もう片方の空いた手でドアの取っ手を掴んだ。

 かちゃり。

ドアを開くその前に、出来るだけの笑顔でヴィータは言った。
「じゃあ、また明日。車椅子使えるからって、無茶するなよ?」
「あはは、大丈夫だよ。じゃあね」
「おう、明日な…」
323名無しさん@ピンキー:2007/08/06(月) 22:18:26 ID:3Q3LwDcc
支援
324入院中(フェイなの):2007/08/06(月) 22:27:28 ID:Ee4mX+b0
 ばたん。


 ヴィータはなのはの容態に関して大体のことを人を通して知っている。一番近くにいながらも彼女を守ってやれなかったことに責任を感じて、周りよりもなのはに対して特に気を遣ってきたからだ。
 もし現場に立ち会っていなかったにしても、ほかの守護騎士やその主たるはやて、あるいはなのはと交友があった者たち同様、仕事と仕事の合間に顔を出しにいくようなことはあっただろうが、恐らく今ほど頻繁にはならなかっただろう。
 それだけなのはの負傷はヴィータにとって大きな責任を感じることだった。それは客観的な事実によるものではなく、ヴィータ自身の心が生み出したものだ。
 ヴィータをよく知るもの達はお前の責任ではないと慰めとも励ましともとれる言葉を贈ってくれたが、それはヴィータが抱える重荷を全て取り払うには至らなかった。
 自分一人の力であの事故を回避できたかも知れないなんてうぬぼれたことは考えていない。独力で簡単に解決できる問題などこの世には無いに等しい。
 そもそも自分一人ではどうにも出来ないからこそそれが初めて問題となるのだ。だからこそ夜天の書には守護騎士システムが内在していたのだし、だからこそ守護騎士は四人作られた。
 でも、それでも、ほんの少しだけでも、何かできたのではないだろうか?
 一人でいる時間が来る度に、なのはのことを思い出す度にそんな考えが脳裏をよぎる。
 あの事故は対策の立てようのないような突発的なものではなかった。もっと前――ヴィータがなのはと出会う以前――から少しずつ彼女の身体を蝕んでいたものがその時偶然表に出てきたに過ぎない。
 それはいつ起こってもおかしくなかったはずだ。その予兆もきっとあったはずだ。小さくても確かな危険信号を、なのはの身体は確かに発していたはずだ。それを気づけなかった。一番近くにいたはずなのに、事故が起こるまで気づかなかった。
 シグナムを将とするヴォルケンリッターは夜天の書に組み込まれていた一介のシステムであり、明らかに人間ではなく、それ故の特性を有する。身体は老化せず、魔力次第で負傷はすぐに『修復』される。
 夜天の書の主を己の全てをもって守護する永久機関。夜天の書の一回ごとの活動時間は長くないが、それでも並の人間を遙かに上回る時を過ごしてきた。
 なのはとヴィータ。初めてあったとき、二人の間に外見的な年齢差はさほどなかった。身長やら何やらは育ち盛りであるなのはがすぐにヴィータを追い越してしまったが、年齢で言えば上であるヴィータはなにかとなのはの世話を焼いてきた。
 少なくともヴィータはそのような念を心のどこかで抱いていた。
325入院中(フェイなの):2007/08/06(月) 22:29:09 ID:Ee4mX+b0
 しかし、それこそ自分のうぬぼれだったのだろうか。ずっと護ってきたはずだった。それは思いこみだったのだろうか。
 辛いも、疲れたも、少し休みたいも、自分に言ってはくれなかった。察してあげることも出来ずに、結局、彼女の、なのはの大切なものを護ってやれなかった。
 それはとても悔しいことだ。とても悲しいことだ。こんなにも想っているのにそのほとんどが空回りしている。
 なのはの入院が始まって、面会が可能になってから、出来る限り仕事を切り詰めて彼女の元へと通った。差し入れとして果物を食べさせたりもしたし、退屈しのぎ用に本を持ってきたりもした。
 八神家で起こった珍事を面白可笑しく話すこともあったし、ユーノやフェイトを始め、他の来客があった日にはみんなで談笑することもあった。出来るだけ明るく振る舞った。多分意識はしてない。なのはが笑ってくれるから自分も暗くならずにすんだのだ。
 自分からケガのことは聞かないことにした。触れてもよい内容なら、なのはの方から話してくれるだろうし、それに、もしも「大丈夫か」なんて聞いた日には彼女は無理をしてでも元気そうに振る舞うことは目に見えていたからだ。
 聞かれなければ仕事の話も一切しなかった。なのはは現場の復帰を強く望んでいて、入院当初は医師の目を盗んでは無茶なリハビリを始め、しょっちゅうユーノやフェイトに叱られていた。レイジングハートが取り上げられたのはこの頃のことである。
 特に負傷が酷いなのはの両足。正直な話、完治は少し難しいらしい。歩けなくなる可能性だって皆無ではないということだ。五体満足でない人間が、激しい戦闘や危険な任務を伴う武装隊の仕事を続けるのは並大抵のことでは叶わないだろう。
 彼女が目標とする教導隊ならなおのことだ。そんな彼女の前で仕事の話をするのはどうにも気が引けた。
 彼女はもう、空に上がることが叶わなくなるかも知れないのだから。
 腫れ物に触るような気遣いが、果たして今の彼女にふさわしいのかはわからない。でもそれ以外には考えつかなかった。
 そうすることしかできなかった。
 ほかにどう償っていけばいいのかわからない。

 病院内の庭の一角。そこに設けられたベンチにヴィータは座っていた。膝元には先ほどなのはからもらったうさぎのぬいぐるみがちょこんと座っている。
 今日は遅れてきた分、面会終了時間いっぱいまでいられるように時間を作ってきていた。六時終了でも、粘ればもう三十分ぐらいはなんとかなるだろう。だから少し帰りは遅くなるとはやてたちには伝えてあった。
 五時五十分。随分と意気込んで来てしまったものだから、早めに帰ったら恐らく疑問に思われるだろう。何も言われないかも知れないが、心配されるだろう。それは、あまり望ましくない。だからここで時間をつぶすことにした。
326入院中(フェイなの):2007/08/06(月) 22:30:36 ID:Ee4mX+b0
「償い、か…」

 ぬいぐるみの耳を玩びながら呟いた。細い指に摘まれて長い耳が前後に揺れる。
 そう、償いだ。いつからかそんな言葉を抱くようになった。自分の周りの人間は、頭に『ど』がつくほどのお人好しばっかりで、自分を省みないですぐに他人を支えたがる、心配する。
 だから決して誰にも言わない、自分の心の中だけにあるその言葉。何に対しての償いなのかは考えたことがないからわからない。
 なのはへの償い。ただそれだけを考えてがむしゃらにやってきた。なのに考えるほど訳が分からなくなる。何がしたいのか、どうすればいいのか、どうすべきなのか。よくわからないものがごちゃごちゃしていて、答えが出せない。
 ちらちらと時計を眺める。先ほど見たときと大して時間は経っていなかった。皮肉なことにこういうときに限って時間の進みというのは遅くなる。

「なのは、怒ってねぇかな…」

 「うん」ではなく「大丈夫」。「待ってる」「また明日」ではなく「じゃあね」。考え過ぎかも知れないが、笑い飛ばせるだけの気力が今のヴィータにはなかった。全然時間は進んでくれない。
「ダセェよな、今のあたし…」
 ぬいぐるみに顔を埋める。目の細かい布の肌触りが気持ちよかった。
 真っ黒い視界の中で、ヒールのかかとを鳴らす硬い音が聞こえてきた。病院の職員か誰かかと思っていたら、どうやらこちらに近づいてきている。顔を上げて、ぼやけた視界で前を見つめた。
 目を強く押しつけていたせいで顔ははっきりとわからなかったが、その服装と長い金髪にはよく見覚えがあった。

「今晩は、ヴィータ。今日もお見舞い?」
「テスタロッサ…」

 鮮明になってきたその端正な容姿は、穏やかな笑顔を浮かべていた。
327入院中(フェイなの):2007/08/06(月) 22:31:17 ID:Ee4mX+b0
「あはは…」

 静かになった部屋で一人なのはが口を開いた。誰に対してでもなく苦笑いを浮かべる。

「やっちゃったなぁ」

 帰り際の表情から考えて少し気まずいことになってしまったかも知れない。感受性の強いヴィータのことだからきっと今頃どこかで落ち込んでるだろう。
 なんであんなことを言ってしまったのかよく分からない。気付いたら言ってしまっていた。後悔先に立たず。本当に申し訳のないことをしてしまった。
 次会ったら謝ろう。なんて言って良いのかわからないが、とにかく謝ろう。でも、明日も彼女はここに来てくれるだろうか。酷い言葉を投げつけた手前、自分勝手なことを考える自分に嫌気がさす。

「お前のせいだぞ…」

 自分でもやっと聞き取れるような声で呟く。包帯やらプロテクターやらで固められた自分の足を手の甲で軽く叩いた。痛い。

「あはは、痛いや…」

 目尻が熱くなった。そっと自分の足にすがる。少しだけ包帯が、湿っていた。


 こん、こんこん。
 不意にそんな音が部屋に響いた。ノックの音。恐らく来客の合図。
 自分の面会時間は三十分前にもう終わったし、看護士がやってくるには中途半端な時間。少々疑問に思いながらも、腕で乱暴に顔をこすってから、招きのための返事をした。

「はーい」

 ゆっくりとドアが開いた。白を基調とする院内で強い存在感を放つ黒色の制服。流れるような長い金髪と、穏やかな赤い瞳。それはなのはがよく知る人物であった。

「今晩は。お邪魔するね」
「フェイトちゃん?」
「うん、レイジングハートも一緒だよ」
『今晩はマスター』
「うん、レイジングハート。今晩は」

 フェイト・T・ハラオウン。なのはにとって最も親しい友人の一人だ。なのはの声に笑顔で手を振りながら、ヴィータ同様受付で借りてきたのか、抱えてきた丸椅子をベッドの近くに置いて腰を下ろした。
 入院中は募集されてしまったレイジングハートはフェイトの左肩近くで静かに浮かんでいる。

「ごめんね。急いできたから差し入れはなにも持ってきてないんだ」
「そんなのいいよ。でもどうしたの、もう面会時間は終わってるはずなのに。それに、執務官試験、もうすぐでしょ?」

 医師の判断より他の患者と比べて短いなのはの面会時間は終了時刻をとうに過ぎていた。普通ならこんな時間に受付が人を通すはずがない。
 不思議そうな顔をしているなのはに、フェイトは右手の人差し指を立てて言った。

「ハラオウン家家訓、『権力は使うもの』」

 答えになってない上に言っていることは無茶苦茶だったが、小首をかしげて微笑む姿はとても彼女に似合っていてとても可愛らしかった。呆れか諦めか、なのはは乾いた声で笑うことにした。
328入院中(フェイなの):2007/08/06(月) 22:31:56 ID:Ee4mX+b0
「フェイトちゃん、ちょっとだけリンディさんに似てきたね」
「そうかな?そんなことないと思うけど…」

 頬を赤く染めて照れているフェイトには恐らくなのはの真意が伝わっていない。

「でも忙しいのにわざわざ来てくれたんだよね。ありがとう」
「ううん、気にしないで。それより、調子はどう?」
「そんなに悪くないよ。そうそう。今日ね、先生がアレ置いてってくれたんだよ」
「車椅子?」
「うん。まだ看護士さんが一緒じゃないとダメなんだけどね、でもこれで一歩前進」
「そっか。…車椅子だったらはやてに聞けば色々役に立つこと教えてくれるかもね」
「あ、そうだよね。今度はやてちゃんが来てくれたら聞いてみようかな」
「私から聞いておこうか?」
「大丈夫。気にしないで」
「気にするよ。なのはのことだもん」

 淀みなく続いた会話が、そこで初めてとぎれた。あまりにも真剣なフェイトの眼差しがなのはの口を噤ませたのだ。フェイトは続ける。

「私の一番の親友で、一番大切で、一番大好きな人」
「フェ、フェイトちゃんッ」

 なのはは一人で赤面した。フェイトは大まじめな顔で恥ずかしいことを恥ずかしげもなく言ってのけることが多々あり、それによっていつも赤面させられるなのはは彼女のこの性格をいつもずるいと主張している。

「辛いときや疲れたときは言ってほしいし休みたいなら頼ってほしい。私はなのはのことを支えてあげたい」
「でもッ」

 それは甘えだ。他人にのしかかって自分は楽をする卑怯な手だ。

「そんなの、悪いよ…」

 沈黙。置き時計の秒針が動く音がやけに大きく聞こえた。フェイトが再び口を開けたその音さえもなのはにははっきりと聞こえた。

「ねぇ、なのはは。もしも私が何かに困っていたら助けてくれる?」
「うん」

 それは二人が友達となったときに初めて交わした大切な約束だった。お互いの名前を呼んで、お互いを大切に思って、お互いを想い合っていくための約束。

「今はこんなだけど、きっと、きっと助けに行くよ」
 そっと自分の足をさすった。それだけでも分厚い包帯の下から若干の痛みを感じる。今このベッドから飛び出すことは叶わないが、自分は必ずフェイトの元へ駆けつけるだろう。それだけは絶対の事実だった。

「ありがとう。でも、それなのになのはが困ってるときは私に助けさせてくれないの?」
「…そんなことないよ。フェイトちゃんは今こうやってここに居てくれてる。助けて、くれてるよ?」
「だったらもっと助けさせて。一緒にいさせて。なのはが少しでも悲しい思いをしてると、私も凄く悲しいんだ」

 そっと、なのはの手の上に自分の手を重ねる。

「さっき、そこでヴィータと会ったよ」

 その名前を聞いてなのはの身体が一瞬こわばった。

「少し落ち込んでたよ。何かあったの?」
「うん、ちょっとだけ、八つ当たりしちゃった」

 ヴィータは優しい子だ。となのはは思う。今回の件にしても、本来ならありもしない責任を感じて無理をしながらも毎日顔を出しに来てくれる。
 それはとても大変なことだろう。同じ職に就いていたから理解できる。武装隊の仕事を毎日夕方に一旦でも切り上げることなんて並大抵の努力ではできない。
 無茶をするなとヴィータは言ったが、なのはからすれば彼女の行為自体がよっぽどの無茶である。
 でもそれが自分を想ってくれる故の行為だったから、嬉しくて、少しだけ甘えてしまった。期待するような態度はしない代わりに、彼女の行為に一切口を挟まなかった。
329入院中(フェイなの):2007/08/06(月) 22:33:02 ID:Ee4mX+b0
 結果彼女は毎日見舞いに来てくれたし、色々と考えて気を遣ってくれた。それがいつしかお互い当たり前のような状態になってしまって、気付いたら自分は深くヴィータに寄りかかっていた。

「あんまりにも優しくて、私を大切にしてくれたから、知らないうちにわがままになっちゃって。重荷にしたくないって思ってたのに、思いっきり寄りかかってた…」

 そして、幼い子供が母親にそうするがごとく、自分に対しての不満を、なんの関係もないはずのヴィータにぶつけてしまった。多分すごく傷つけて、きっと嫌われてしまった。

「じゃあ、今度ちゃんと謝らないとね」
「うん。でも、もう来てくれないよ。きっと」
「そんなことないよ。ヴィータはすごく優しくて強い人だもん。私たちなんかよりもずっと長い間辛い思いをしてきて、それに耐えてきたんだ。きっと明日も来てくれるし、なのはのこと許してくれるよ」

 フェイトの言葉に泣きたくなった。事実頬には滴が伝っていた。なんで自分の周りにいる人たちはこんなにも優しい人ばかりなのだろう。幸せを喜んでくれて、悲しみを怒ってくれて、辛く当たってもそっと触れてくれる。
 自分にはそんな資格なんて無いのに、なんでこんなにもみんな良くしてくれるのだろう。

「そんなの、決まってる。なのはが私たちに、私たちよりももっとたくさんのことをしてきてくれたから。だからなのはにもらったものを返してるだけなんだよ。ほんのちょっとだけどね」
「私そんなことしたことないよ。いつも助けられてばっかりで、私なんか何もしてないッ」
「気付いてないだけだよ。私たちはずっとなのはに助けられてきたんだ。だからなのはが困っているならどうにかして助けてあげたい」
 いつの間にか自分の頭をフェイトの胸に埋めて泣いていた。フェイトが優しく背中をさすってくれる。柔らかい声色で慰めてくれる。涙が止まらない。声を押し殺すことも忘れていた。

「ねえ、誰かに寄りかかることって、そんなに悪いことかな? 自分で抱えきれないものを人に少しだけ持ってもらうのは、いけないことなのかな?
 私たちが自分一人で出来ることなんてほとんど有りはしないのに、それでも一人でどうにかしなくちゃいけないのかな?
 それってすごく悲しいよ。友達も家族も大切な人も、全部いらないって言ってるんだよ? 私はなのはに、そんな風には思われたくないな。
 なのはは私の一番大切な人だから、私もなのはの大切な人でいたい。それって、わがままかな?」

 隣の病室にいる他人のことや、薄い壁の向こうにある受付にいる看護士のことなど考える余裕もなく、なのはは大きくしゃくり上げた。

「お願いだからなのはのこと、支えさせてほしいな。私がそうしたいから。なのはが悲しいと私も悲しい。なのはが嬉しいなら私も嬉しい。
 でもそれは私だけじゃなくて、みんなも同じ気持ちなんだよ。ヴィータもきっと私と同じ気持ち」
「うん、ありがとう。ごめんね。…ごめんねフェイトちゃんッ」
「私はいいよ。ありがとうもごめんなさいも言われるようなこと、何もしてないから。でもヴィータには両方言わないとダメだよ。大丈夫。きっと明日も来てくれから」
「うん、…うんッ」

 胸の中でなんども頷いた。今の自分にはそれしかできないから。明日そうすることを強く誓って、何度も頷いた。


「なのは」
「なに、フェイトちゃん…」
 気持ちもやっと落ち着き始めた頃、目の前の大切な人に名前を呼ばれた。今は彼女の肩を借りて、頭を寄りかからせてもらっている。
 恥ずかしさがあった上、フェイトの肩が凝ってしまうからと初めは断ったのだが、半ば無理矢理そうさせられた。しかしやってみれば意外と心地が良く、それ以上に好きな人と触れあえているのはもの凄く嬉しかった。

330入院中(フェイなの):2007/08/06(月) 22:33:37 ID:Ee4mX+b0
「まだ足の傷、痛む?」

 フェイトの細く長い指が、なのはの腿をそっとさすった。本来なら目を細めたくなるその行為も、今は傷のせいで純粋に感じられない。

「ちょっとだけ」
「こっちも?」

 今度はその手が胸に触れた。出来る限り優しい力で触れられても、今は痛みしか感じられない。

「うん、…ごめんね?」
「いいよ。そんなことで謝らないで。じゃあ、今日はこれだけだね」

 言って、なのはのあごに手を添えて自分を見つめさせた。そのまま、唇を触れあわせる。

「………んんっ」

 いつものように長く激しいものではなく、2、3度互いの舌を触れあわせるだけの行為だった。フェイトがなのはの身体を気遣った故のことであり、気持ちの上ではもどかしたが、その心遣いがなのはには嬉しかった。

「今日はもう帰るね。あんまり遅くいると母さんに迷惑かけるから」

 そうか、出所はそこだったのか。部屋に入ってきた時のフェイトの言葉の答えがやっと分かった。でもそれは口にしないで心の内にしまっておく。

「うん。あ、ごめんね、上着汚しちゃって」

 来たときと変わって、今のフェイトは上着を脱いで腕に掛けていた。室内はともかく今はまだ冬だ。病院の外は相当肌寒いだろう。
 フェイトが引き寄せてくれた胸元でなのはは盛大に泣いた。
 その声はくぐもっていたので外に漏れることはなかったが、どちらにしろ彼女の制服を色々と派手に濡らしてしまった。もうしかしたらシミになるかも知れない。

「いいよ。なのはのだから」
「ななッ、フェイトちゃんッ!」

 とびっきりの笑顔でそんなことを言われたものだから、なのはは激しく赤面した。本当に、こんなことを素で言ってしまう彼女は卑怯だとなのはは思う。

「あはは。大丈夫だよ。予備ならあるから」

 やはり答えになっていない言葉と笑顔を向けながら、フェイトはドアの取っ手に手を掛けた。

「また近いうちに来るよ。駄目そうだったらメールするから」
「うん。待ってる」
「じゃあ、お休み。なのは」
「お休み、フェイトちゃん。レイジングハートもまた今度ね」
『お大事に』
「あはは。ありがとう。」

 ぱたん。


 小さく手を振っていたフェイトの姿が完全に見えなくなる。それを確認してからなのはは小さくため息をついた。

「うぅ、フェイトちゃん、意地悪だよぅ…」
331入院中(フェイなの):2007/08/06(月) 22:34:17 ID:Ee4mX+b0
 触れあう程度だけでも、キスをした。触発されてなのは身体はわずかに熱を持ち始めていた。フェイトが触れていった胸や特に下半身がうずく。
 もっと触れて欲しかった。深く貪って欲しかった。自分が痛いと言ってそれらの行為が行われなかったことも今は忘れて、やり場のない思いで近くにあった枕を抱いた。
 明日。そうでなければいつか来てくれたら。ちゃんとヴィータに謝ろう。フェイトちゃんと諭され、なのははそう心に決めた。
 それから色んな話をしよう。自分の身体の状態や、それ故に出来ることと出来ないこと。出来れば助けて欲しいことと、気にしなくていいことを。
 武装隊のこともたくさん教えてもらおう。同僚の様子なんかも是非聞いておきたい。
 そして、もしヴィータが自分のことを許してくれたら、ヴィータ自身のことも注意しよう。もっと自分のことを大切にするように。お見舞いのために無茶な仕事ぶりをやめるように少しだけ叱ろう。
 無茶をすればロクなことがないことは今の自分が一番よく知っている。そうやって脅してやれば多分言うことを聞いてくれるだろう。でもそれは拒絶じゃなくて、感謝と喜びの気持ちを込めて。
 お見舞いに来てくれたみんなにお礼を言おう。精一杯の気持ちを込めて、笑顔でありがとうと言おう。そしてその思いを忘れないで心の内に残しておこう。
 それらが全部出来たら、後はケガの治療に専念しよう。早く自分の夢へと近づけるように。自分を助けてくれたみんなをちゃんと助けてあげられるように。
 それから、彼女にもっと触れてもらうために…。

 
後日談。
 ある日やってきたフェイトが随分とやつれて見えると思ったら、どうやら執務官試験に落ちてしまったらしい。自分の面倒を見てくれていたばっかりにとなのははしきりに謝ったが、フェイトはそれを遮った。

「ハラオウン家家訓、『一度は失敗するもの』」

 それは主に義兄から受け継いだものらしい…。
332入院中(フェイなの):2007/08/06(月) 22:36:16 ID:Ee4mX+b0
以上です
ほんとやたら長くて申し訳ない。時間もかかったし
長文投稿は初めてでテラあたふたしますた

多分続きがあるならリィン×ヴィータで
333名無しさん@ピンキー:2007/08/06(月) 22:38:58 ID:hnwVJMuj
>>332
GJ!GJなの!
でも途中で投下が止まってヤキモキしたんだぜ?
334名無しさん@ピンキー:2007/08/06(月) 22:43:52 ID:790tuPSw
>332
乙彼様。

義兄の教え……性交したのが失敗?

【炎の言霊より】
335名無しさん@ピンキー:2007/08/06(月) 23:50:55 ID:MFAT5CQF
いいえ、>>295
それでいい、それがBEST!!
336 ◆6BmcNJgox2 :2007/08/07(火) 00:01:07 ID:2ylFUgTS
ちょっと自分なりに変な話を書きます。

・一応なのは×ユーノ
・エロは多分無い
・ギャグ
・ユーノ受難
・実在する人物がモデルになってる奴登場
・バトルあり
・何故かなのはがプロレスオタになってる
・フェイトとはやて好きな人スマソ

何かエロパロスレでやる意味が感じられない様な変なお話です。それでは…
ある日、何の前触れも無くなのはがユーノの所にやって来た。
「ねぇユーノ君! 今度の休みは暇?」
「え? まあ…時間は取れるけど…。」
「ならデート行こ! デート!」
「え!?」
なのはの口から出た意外過ぎる言葉に思わずユーノは自分の頬を抓った。
痛い。と言う事は夢では無い。これは現実だ。
「どうしたの? ユーノ君? もしかして…ダメ?」
「そんな事は無い! そんな事は無いよなのは!」
「良かった〜! じゃあ私ね、ユーノ君と二人で行きたい所があったの。」
なのはがユーノとデートで行きたい所とは一体何処なのだろう?
遊園地? それとも映画館? それともそれとも…
ユーノは自分が考え得るデートスポットを頭の中で幾つか挙げていたが、
なのはが指定した場所は余りにも意外過ぎる場所だった。
「え…? プロレス…?」
「そう! 燃える闘魂アントニオ猪樹と極悪狂虎ティーガー・ジェット・シンの
因縁の対決! これをTVじゃなくて直で見たかったの! 勿論ユーノ君と一緒に…。」
何が悲しくてデートでプロレスを見に行かなければならないのか…ユーノは
なのはの選択に疑問を抱いた。しかし、なのはは実に楽しみにしていたし、
ユーノ自身としてもなのはの為を優先したい為に特に何も言わなかった。
「これで決まりね! それじゃあ今度の休日でまた会いましょ!」
「うん。それじゃあまた!」

二人は笑顔でそれぞれの仕事に戻った。その後…二人…と言うか特にユーノに対し
恐るべき惨劇が待っているとも知らずに…

数日後の休日、約束通り二人のデートの日がやって来た。
勿論二人がデートでやる事はミッドチルダ体育館で行われる
燃える闘魂アントニオ猪樹対極悪狂虎ティーガー・ジェット・シンの試合観戦である。
しかもなのはとユーノは一番最前列の席に座っていた。
「行けぇぇぇ!! ぶっ殺せぇぇぇ!!」
リング上ではメインイベントであるアントニオ猪樹対ティーガー・ジェット・シンの
試合に先駆けて若手レスラーによる前座試合が行われていたのだが、
そこで他の観客に混じって熱狂的な声援を送るなのはの姿に
ユーノは少々呆れていた。
「ねぇ…面白い?」
「面白い面白い! ユーノ君だってそう思わないの!?」
「でも…プロレスってショーなんでしょ?」
「ユーノ君! 貴方アレ見てもあんな事が言える!?」
と、その時リング上で試合をしていた若手レスラーAが対戦相手の若手レスラーBの頭を
ブレンバスターで強くリングに叩き付けており、それには思わずユーノも目を背けた。
「うわっ! 痛そう!」
「そうよユーノ君! ショーであんなに派手に流血する!? ショーならあんな事しないって!」
何か何時にもましてなのはが熱い。何故なのはがプロレスでこんなにまで熱狂するのか
ユーノには理解出来無かったが、ユーノだって無限書庫の司書であるし、学者でもある。
故になのはが何故このプロレスに熱狂するのか目の前で展開されている試合を
観戦する事で自分なりに検証しようとしていたが…やっぱり分からなかった。
ユーノにはただムキムキの男がパンツ一丁で殴り合ったり組み合ったりするような
そんな光景にしか見えなかった。
「うおおおおお!! ぶっころせぇぇぇぇ!!」
「なのは…完全にキャラ変わってるよ…。」

そんなこんなやってる内に前座試合も終了し、メインイベントの時間がやって来た。
『本日のメインイベント!! 燃える闘魂アントニオ猪樹対極悪狂虎ティーガー・ジェット・シンの
一戦です!! それでは選手入場です!!』
ミッドチルダ体育館中にアナウンサーの声が響き渡り、まずアントニオ猪樹が
花道を入場して来た。それに合わせて観客達が声援を送る。
「猪樹!! ボンバイエ!! 猪樹!! ボンバイエ!! 猪樹!! ボンバイエ!!」
無論、なのはも他の観客と一緒になって声援を送っていたのだが、やはり
ユーノには何故なのはがここまで熱狂するのは理解出来なかった。
「ねぇなのは…あの顎がペリカンみたいにしゃくれてる人…そんなに良いのかい?」
「何を言うのユーノ君! 猪樹さん格好良いじゃない! 新ミッドチルダプロレスの社長さんで、
それでかつ現役でその上エースなんだよ!!」
「(僕としてはなのは以上のエースなんて有り得ないんだけど…。)」
プロレスラーを所詮はショーマンとしか考えていないユーノは心の中でそう呟いていたが、
なのはの夢を壊さない様にあくまでも自分の心の中に留めておいた。
そして猪樹がリングに上がると同時に今度はティーガー・ジェット・シンが手に
サーベルを持って走りながら入場して来た。
「シュビ・ドゥビ・ダバダー!!(彼の出身世界の言語で殺してやると言う意味)」
花道でサーベルを振り回すと言ういかにも悪役らしい行動を行いながら
入場してくるシンにユーノも少し驚いていた。
「な…何か怖そうな人だね…。」
「怖そうな人じゃなくて本当に怖いの! ティーガー・ジェット・シンは街中で
奥さんと買い物中の猪樹さんを手下のレスラーと共に白昼堂々襲撃した事もあるし、
リング上でも様々な因縁のあるんだよ!」
「そ…そうなんだ…。」
なのはがユーノに力説していたのも束の間、なんとシンはゴングが鳴るのも待たずに
リングに上がるなり猪樹に攻撃を仕掛けてきたでは無いか。
『あーっと! シンの奇襲だー! サーベルで猪樹を滅多打ちだー!』
「ああああ!! この野郎!! 猪樹さんに何しやがるぅぅぅ!!」
「やっぱりなのはのキャラ変わってる…。」
猪樹にサーベルを何度も打ち付けるシンになのはは激怒していたが、
そこでやっとゴングが鳴り、猪樹も攻撃に入った。
「あんだくのやろ!!」
「シュビシュビ!!」
今度は猪樹のパンチがシンに炸裂。その度に観客(なのは含む)が熱狂する。
「やれぇぇぇ!! そこだぁぁぁぁ!! シンをぶっ殺せぇぇ!!」
「なのは…なのは…こんなのなのはじゃないよ…。」
プロレスに熱狂する余り別人の様になってしまったなのはにユーノは涙するしか無かった。
しかし…
「シュビシュビ!!」
「しゃっ!」
『あーっと! 出た! シンの目潰しだー!』
シンは猪樹に目潰しを仕掛け、さらに目を押さえて倒れた猪樹をそのままリング下に
蹴り転がしてしまった。
『シンが猪樹をリング下に落としたー! そしてシンもリング下に降りた! これは場外乱闘です!』
「あああああ!! 猪樹さんしっかりぃぃぃ!!」
なのはは目に涙を浮かばせながら猪樹の安否を気遣っていたが、そこで突然シンが
客席にまで身を乗り出し、なのはの座っていたパイプ椅子を取り上げようとするでは無いか。
シンはパイプ椅子と凶器にして猪樹を殴ろうとしていたのだろうが、なのはとて
イスが無くなったら困る。その為にイスを力一杯掴んで逆に引こうとした。
「アパラパー!!(彼の出身世界の言語で貸せと言う意味)」
「これ私のイスなの!」
「シュビビ〜!!」
シンはイスを取り上げようとするが、なのはもイスを放さない。そして…
「頭冷やそうか!!」
「ウビッ!! ギャァァァァ!!」
『おおおおっとぉ!! 客席にいた女性がシンに目潰しだー!!』
イスを取られたくない一心でなのははシンに目潰しをしてしまった。
流石にこれはユーノもなのはを注意する。
「ちょっとなのは! やりすぎだよ!!」
「ああああ!! ユーノ君危ない!!」
「ラッタッター!!(彼の出身世界の言語で頭来たと言う意味)」
「ギャァァァァァ!!」
『シンの大逆襲だー!!』
目潰しをされた怒りか、シンはパイプイスでなのはに殴りかかろうとしていたのだが、
目潰しされて視界が封じられた事もあって、間違ってユーノの方をぶん殴っていた。
「ユーノ君しっかりして!」
「シュビ!」
『シンのコブラクローが猪樹の首筋に決まったー!』
なのはは頭を押さえて苦しむユーノを心配していたが、シンは猪樹の方に戻って。
猪樹の首にコブラクローを仕掛けていた。
「この馬鹿ぁぁぁ!! ユーノ君に何をするの!!」
ユーノを傷付けられた怒りか、なのははレイジングハートを取り出して
シンの前に飛び出した。流石に周囲の被害を想定して、魔砲はしなかったが、
それでもレイジングハートそのものでシンの頭を思い切りぶん殴る大暴れ!!
『ああああ!! 女性が凶器でシンの顔面を打ち付けたぁぁぁ!!』
「もうこうなったら私がシンを料理してやるの!!」
『山本さん!! 女性がシンを料理してやると言ってますがー!』
『無理ですね!! プロレスは甘くないですからね!!』
実況解説席ではその様なやり取りが行われていたのも束の間、
なのはは軽く飛び上がって倒れているシンの首筋にレイジングハートを叩き込んだ。
『女性が凶器でシンの首筋を攻撃だー!!』
「ユーノ君も直接恨みを晴らしてやるの!」
「う〜…もうヤケクソだ!」
ユーノも頭を押さえながらシンに頭を殴られた怒りを晴らすべく、
なのはの提案に賛同し、観客席とリング場外の境界に位置する金柵を乗り越えようとしたが
そこでユーノは脚を滑らせてしまい、金柵で股間を強く打ってしまった。
「つううううう!!」
『眼鏡をかけた青年が急所をしたたかに打ち付けたー!!』
そして股間を押さえて倒れ込むユーノの首筋に対し、シンのコブラクローが決まるのである。
「シュビ!」
『なんとシンが眼鏡の青年にコブラクローをしかけたー!!』
「ダァァァァッヒャッヒャッヒャッヒャッヒャッ!!」
「はっはっはっはっはっはっはっはっは!!」
ユーノの首筋にシンのコブラクローが決まると同時に突如上がる謎の笑い声。
その笑い声を発した張本人はなんとなのはとユーノの後をこっそり付けていた
フェイト&はやてだった。そして二人はユーノにコブラクローをかける
シンの手近にまでやって来て大爆笑をしていた。
「殺せ!! このままフェレット男を殺せ!! ダァァァァッヒャッヒャッヒャッヒャ!!」
「もうどうにでもなれぇぇぇや!! はははははははは!!」
フェイトはユーノが死ねばなのはは自分の物だと考え、シンのコブラクローを受ける
ユーノに爆笑しており、はやては単純に面白いから笑っていた。
「そうだ! 記念写真だ!」
「それじゃあシンちゃん顔あげてな。」
「ハイチーズ!」
ユーノがシンのコブラクローを受けて死にそうになっているのがフェイトとはやてにとって
余程面白いのか、カメラを取り出して記念撮影まで始めてしまった。
『山本さん!! どーしますか!?』
『私はもう知らん!!』
「畜生!! 何時までも好き勝手にさせるか!!』
『おおお!! 猪樹が蘇生したー!!』
やっと復活した猪樹が立ち上がった。しかし、やはりシンの目潰しで見えなくなった目が
まだ回復していないのか、本人はシンを掴んだつもりでも、実際はユーノを掴んで
リング上に引っ張り出していた。
「おらぁ! 立てくのやろう!!」
『おおおっと!! 猪樹が眼鏡の青年をロープに振った!!』
「ダァァァァァ!!」
『眼鏡の青年がロープに跳ね返って来た所を猪樹の延髄切りが後頭部に炸裂だー!!』
「ああああ!! ユーノ君!!」
「ダァァァァッヒャッヒャッヒャッヒャッヒャッヒャッヒャッ!!」
猪樹の延髄切りをモロに食らったユーノにフェイトとはやての笑いは止まらなくなった。
「しゃっくのやろう!!」
『出たぁぁぁぁ!! 猪樹の卍固めが眼鏡の青年を締め上げれるぅぅぅ!!』
「ダァァァァッヒャッヒャッヒャッヒャッヒャッヒャッヒャッ!!」
「おなかが!! おなかが痛くてかなわんわ〜! ハッハッハッハッハッ!!」
猪樹の技の数々を受けるフェイトとはやては腹を押さえて笑うばかり。
しかし、いくら仲の良い友達だと言っても、あんな目にあうユーノを笑う者を
なのはが許すはずが無かった。
「フェイトちゃん!! はやてちゃん!! もう許さないの!!」
『出たぁぁぁ!! 先程シンに目潰しをした女性が爆笑している女性二人を
ドロップキックで蹴り飛ばしたぁぁぁぁ!!』
「ユーノ君を笑う人はフェイトちゃんやはやてちゃんでも許さないの!!」
なのはは泣きながらレイジングハートを振り回してフェイト・はやてを殴り付け、
一方リング上でもユーノに数々の技をかける猪樹に銜えてシンまでリングに戻っていた。
しかし、シンの方もまだ視界が回復しておらず、ユーノの存在に気付いていなかった。
「シュビ・ドゥビ・ダバダー!!(彼の出身世界の言語で殺してやると言う意味)」
『あああっと!! シンの跳び蹴りが眼鏡の青年に炸裂したぁぁ!!』
「シュビシュビィィィ!!」
さらにシンはユーノを掴んで持ち上げ、アルゼンチンバックブリーカーに決めたでは無いか。
しかも本人は猪樹を持ち上げているつもりだからますます性質が悪い。
『シンが眼鏡の青年にしかけたアルゼンチンバックブリーカーで青年の背骨がボキボキ鳴ってるぞー!!』
「も…もう…一思いに…殺して…。」
『あーっと今度は猪樹のアームブリーカーが眼鏡の青年に炸裂だー!!
これはあの腕折り事件の再来かー!?』

それから、猪樹対シンの試合はグダグダの内に引き分けとして終了し、
フェイト&はやての二人もなのはの逆鱗に触れた罰で病院送り。
そしてボロボロの姿でベッドで寝ていたユーノを見つめ、なのはは悲しげな目をしていた。
「ごめんね…ユーノ君…。私がプロレス観戦しに行こうなんて言わなかったらこんな事には…。
ごめんね…ごめんね…。ユーノ君…ごめんね…。とりあえず…あの愚か者二人は
私が地獄に強制送還しといたけど…ごめんね…ごめんね…。」」
なのはは泣いていた。ユーノがこんな目にあったのは自分のせいなんだと…そう落ち目に
感じていたのである。しかし、ユーノはなのはを恨むどころか、微笑を向けていた。
「謝る事は無いよなのは…。僕もなのはと久し振りに二人きりになれて…楽しかったよ。」
「ユーノ君!」
「次また今度の休日…二人でまた何処かへ遊びに行こう? 流石にプロレス観戦は嫌だけど…。」
「うん!」
なのはは目に涙を浮かばせながらも微笑み、二人は手を握り合った。
                   おわり
342 ◆6BmcNJgox2 :2007/08/07(火) 00:15:30 ID:oMnWciov
何か滅茶苦茶やってしまったけどギャグって事で許してくださいorz

>>204
滅茶苦茶吹きました。
こういう馬鹿馬鹿しい話(勿論良い意味で)は大好きです。
個人的には続編も期待したいです。

>>220
右足が動かなくなってしまったユーノのなのはに対する告白の結果は
どうなってしまうのでしょうか? 続きを期待します。

>>224
受けた部分が凄い! これは確かにイカされて当然ですね。
エロさは無いと言ってましたけど、私個人はそそられました。
でもこういうのはスバルだからイカされただけで済んだんでしょうけど
生身の人間なら確かに死んでるかもしれませんね。

>>241
これはGJですね。
ティアナとヴァイスも良いと思えるようになって来ました。

>>275
直でとは無いとは言えなのは×ユーノに関して良い物を読ませていただきました。
最後のおまけも凄い吹きました。

>>292
これは滅茶苦茶吹きました。
彼方此方に笑える要素があって腹が痛いです。
特にフェイトが犯人にされそうになる所とかですね。
下着ドロで終身刑とかwww

>>306
これも吹きました。
特に最後の皆の犯人に対するコメントとかwww

>>332
GJ
とにかくなのはのお見舞いにちょくちょく来るヴィータが良いです
343名無しさん@ピンキー:2007/08/07(火) 00:17:53 ID:Zi5T13kv
>>342
今、筋肉のノリの俺にとっては最高傑作だ。GJ
344名無しさん@ピンキー:2007/08/07(火) 00:20:00 ID:fr9WPxT+
>>342
GJ!
さすが魔王 強すぎだぜ。
なのはさんなら女子プロレスの頂点に立てると思う
345名無しさん@ピンキー:2007/08/07(火) 00:33:13 ID:RMAHUoHw
さすがに肉体言語ならナカジマ姉妹の方が上かw
346名無しさん@ピンキー:2007/08/07(火) 00:35:31 ID:fZotvP+a
なのはさん、もどってきてー
347名無したん(;´Д`)ハァハァ:2007/08/07(火) 00:38:29 ID:oosakl32
>>342
何だこのカオスな異次元空間はwwwwwwwww
何かもう、ぴちぴちのレオタード装備のなのはさんが蝶の仮面装備して
マットの上で豪快かつ華麗に嵐の如く暴れまわる姿を想像しちまったよwww

そして悪の組織の大幹部な服装なフェイトさんも同時に妄想してしもたw
348名無したん(;´Д`)ハァハァ:2007/08/07(火) 00:40:34 ID:oosakl32
っといかん。肝心のGJ!を忘れていた。>>342さんテラGJ!

>>「殺せ!! このままフェレット男を殺せ!! ダァァァァッヒャッヒャッヒャッヒャ!!」
そして執務官さん自分に正直杉w
何かもう342さんのクオリティに嫉妬wwww
349名無しさん@ピンキー:2007/08/07(火) 00:48:46 ID:7CLBf/gP
http://www.nicovideo.jp/watch/sm561148

皆が試合するとこうなります
350y=ー( ゚д゚)・∵. ターンA:2007/08/07(火) 01:51:28 ID:6bkTmmEm
ども、到底終りそうに無いので、あっさり中篇にしました
>>163
続きです

・エロ無し
・ブルー少々
・進展…あるような無いよな


351y=ー( ゚д゚)・∵. ターンA:2007/08/07(火) 01:52:11 ID:6bkTmmEm
―J型―



「…やり切れないな、…とうとう、うちでも増えてきたか」
「どうしましょう?とりあえず…彼女容疑は引ったくりなんですけど…」
「詳細が…どこから逃げて来たのかまだよく解らない…研究所か…組織か…もう少し話をよく聞かないと」
「2,3日はウチで拘束が認められています、が…この後、受け入れ先でも無ければ…
                    やっぱり、その後は本局から…施設送りでしょうか」
「施設か…」
エリオは嫌なものでも思い出すように呟いた




タイプJ型、戦闘機人―

通称ジャンク、壊れ物…はぐれ…口の悪い隊員などはハズレなど、様々な俗称を持つ者達
…ミッドチルダを中心に今では年間百体単位で摘発され
捕獲される戦闘機人の約95%…つまり現在ほとんどを占めるのがこのタイプの機人だ
通常の人間に毛の生えた程度のパワーの者から、2、3倍程度の出力を持つ者
稀に爆発的な破壊力を発揮する者まで様々なタイプの者が居る

この型に分類される機人に共通しているのは
―性能が不安定―
その一点に集約される…それは出力もだが特に精神面がだ
多くは開発途上の幼いまま放置され一般教育は、最低限のレベルに留められていた
彼女達ほとんどの者は製作者の使い捨ての暗殺…盗み等に使役されていた
その方がある意味余計な事を考えず使役する側には都合が良いのだ

また、あるいは意図的に本来の使用目的から逸脱して戦闘能力を一般人以下に押さえられ
…奉仕者、端的に言うと性の捌け口として扱われる機人も多かった

機人についての人権に関しては未だ議会で議論中、成されている最中で
どこまで機人のその権利を認めるか…むろん公には前に挙げたこれら全ては犯罪行為だ
彼女らの罪をどこまで彼女達本人に求めるのか…それとも道具として扱い全く認めないのか
結論は当分出そうも無い

主の元から逃げ出しても人間社会で生きる術を知らず、結果、窃盗…性を売る事に走り
近年ミッドチルダ社会の大きな不安の…犯罪の種になっていた


ちなみに残りの少数例が通称R型…レアタイプと上は呼んでいる
…行方不明のナンバーズ・ウーノ以下数名、及び突然変異的に規格外の出力を発揮する者達
…もっともここ数年R型の捕獲が報告された例は無く
ボクもあの時のナンバーズNo.5 チンク以来遭遇していない…

そのせいか普段R型がボク達機動隊の話題に上る事はほとんど無い
スカリエッティ事件以前の機人に関しては世間では存在自体を秘匿されており、公式に型名は無いが
ボク達は事件以前のビフォー、B型と仮に呼んでいる、そうスバルさん達の事だ…

352y=ー( ゚д゚)・∵. ターンA:2007/08/07(火) 01:53:26 ID:6bkTmmEm
そして今のこの状況は捕縛される直前にスカリエッティが
世界中のネットにばら撒いた戦闘機人の基礎製造技術により発生していた

あの時点で機人における基礎研究
彼―狂気の天才スカリエッティによりすでにほぼ確立されていた
―にもかかわらず
この各地で生み出された新種の機人郡達は―どれを取っても
かつてのナンバーズと呼ばれた…僕達と戦った者達に到底及びもつかない固体ばかりだった

原因は明らかに製作者の側の能力と意識の欠如にあった
スカリエッティ以前に遅々として機人の研究が進まなかった理由の一つ
…複雑な人体を素体にした機人は
出力を高位置で安定させる事とメンテナンスが非常にデリケートで困難な存在なのだ
認めるのも嫌だが…、やはりスカリエッティは…
この分野において非凡な才能を有していた者だった…





「施設…あまりいい噂は聞きませんよね…」
ファイルを胸に抱え、少女は水色の髪を少し垂らして俯く
「…更正して出てきた機人が未だに存在しないんだ…当然だよ」
エリオはやや早足に歩きながら少し苛立ったように答えた



―ロッサとエリオ―



レトロなジュークボックスが落ち着いた曲を奏でている
あまりエリオが同僚や部下達とは近づかないタイプのお店だ
キョロキョロと周りを見回す
普段見慣れた若い局員達とは明らかに一段上の雰囲気を漂わせる男女ばかりが談笑している

「やぁ!こっちこっちエリオ君」
カウンターに腰掛けた白のスーツの男がにこやかに手を振っている
ようやく身近な声に安心して小さく手を挙げて返事をした
「…どうも遅くなってすいません」
エリオは丁寧に折った制服の上着を抱えたまま、足早にそこに近づき
ペコリと頭を下げその隣に腰を降ろした

「…悪かったね、急に呼び出しちゃったりして、…ん?何か元気無い?嫌な事でもあった?」
「…いえ、そんな…ヴェロッサさんこそ大丈夫ですか?執務官の仕事お忙しいのに…」
チラリとお昼の機人の子の事が頭を掠めた、頭を軽く振る
ふうん…と一呼吸置くとヴェロッサは気が付かないフリで、明るく答えた

「ハハ!…なーに、独身時代から馴れてるよ、仕事は常に80%の力でやれ…さ
 一生やる職務、…少しは息抜きしないとね、全力で突っ走ってたらさ…いつか切れちゃうよ」

聖王教会のシャッハさんが怖い顔で腕組した姿が一瞬思い浮かんだが
エリオは何も言わなかった、彼女が聞いたら何と言うやら…
人生観の違いとでも言うものだろうか
昔見たなのはさんの映像を思い出した、切れる…か、シャッハさんはそういうの認めないだろうけど…
ロッサさんの言う事にも一理ある、そう思った
353y=ー( ゚д゚)・∵. ターンA:2007/08/07(火) 01:54:16 ID:6bkTmmEm
「それで何の話ですか…?今日は」
「ん?…いや何…ティアナさんもそろそろだと言うし…
 ついにエリオ君も子持ちとなるわけだろ?、…これで君の人生の監獄にも
 めでたく立派な錠前が付くと言うワケだ…囚人仲間で仲良く乾杯しようかと思ってね…」

クスクス可笑しそうにグラスを傾ける
「…ヴェロッサさん」
エリオは少々呆れた顔で人生の先輩の横顔を眺めた
「冗談だよ、まあ…他にも少々野暮な話もあるんだけど、…とりあえず、おめでとうさ…」
こっちを向いたヴェロッサがグラスを差し出し、エリオもマスターがそっと置いたグラスを取り
ぎこちなくチンと合わせた


ヴェロッサ・A・ナカジマ
ティアナの親友、スバル・ナカジマの夫である、現在2児のパパ、職業、執務官
子供は上が5歳女の子、下が1歳男の子

結婚前から妻達の親交の深かった事もあり(当時ティアナは独身だが)
家も近かった事から何かと家庭の事につけ、仕事の事につけ相談する事が増えた二人だった
今では家族ぐるみの付き合いと言って良い

特に
彼等の下の子の時は既に二人は結婚を前提に同棲しており、自分達の時の参考にもなる
…と進んで彼等の家に行き、赤ちゃんの世話を引き受けたりもしたものだ
出産後で静養していたスバルや仕事の忙しかったヴェロッサは大いに感謝していた
また、そのため上の女の子などは頻繁に家を訪れる赤毛の青年を見て
今ではエリオの事を親戚の兄か何かだと思っているらしい

当時ヴェロッサとスバルが付き合っていた事は皆を大いに驚かせたが
エリオ以下男性陣がより驚いたのは、当日、花嫁姿のスバルを見た時の方だった
「…ス、スバル…さん?」

他の男達動揺、呆気に取られて、エリオはぼう然と呟いた
衝撃だった
薄く唇にルージュを塗り、付け毛を付けて後ろ髪を伸ばした姿
純白のケーブを被り真っ赤な花束を持って腰掛けたスバルの輝くばかりの美しさに
ポカンとしてる元局員、及び6課男達の中で一人ヴェロッサが勝ち誇ったように
フフンと自慢気に顎に手を当てていた

うぬぅぅ…と悔しそうに呻いていたのはヴァイスさんだったが
ニコニコ笑う奥さんのシャーリーさんに肘を入れられて咳き込んでいた

「わぁ…綺麗よ…スバル、本当に…」
「ホンマ化けよったなぁ… まぁスバルは磨けば光る子やとは、思っとったけど
                                  …ここまでとは…」
自分の事のように微笑み喜ぶなのはさんと
うちの男どもも見る目が無かったなぁ…と腕組をしてニヤニヤ笑うはやてさん

その周りを囲んで女性陣、キャロやヴィータさんが楽しそうに笑い祝福の言葉をかける
シグナムさんカリムさんシャーリーさんアルトさんルキエさん…と 

「ロッサ…あんたこれで浮気なんかしたら直接ぶん殴りに行くからね…」
何やら隅で新郎の袖を引きに耳打ちするシャッハさん
やがてティアナとギンガさんに案内、先導されて壇上に静々と導かれて行く新婦…
暗いニュースが多かった時だったし皆の心からの笑顔も久しぶりだった


354y=ー( ゚д゚)・∵. ターンA:2007/08/07(火) 01:55:12 ID:6bkTmmEm
当時の事を振り返ってはヴェロッサはこうのたまう
「…いやぁ、事務室で残務処理をしてた彼女を見つけた時の気分?んーそうだなぁ…
  …数百倍くらいに跳ね上がりそうな超優良株券が…格安で市場に放り出されてるのを見つけた時みたいな…
 胸がときめいて、思わず周りを見回したね、咳払いをしたね、誰も気が付いてないな?…ってさ」


一方スバルはこう証言する
「うん…えーとね、ティアが何かエリオ君と一緒に帰る事が多くなった頃だったでしょ?
 私ホラ、コンピューターとかぜーんぜん苦手でさ、…毎日残って処理してたんだけど今までティアに頼りっきりだったから…
 頑張っても頑張ってもちっとも終らなくて…いい加減嫌になってデスクでウンウン唸ってて…
  で、そんな時場違いな白いスーツを着たあの人がこっちに来て、「何この人?」って顔で見てたら

  「…お嬢さん、ボクで良ければ、何かお手伝いさせてくれませんか?」

 …だって…いきなり、…うん、あたしお嬢さんなんて言われたの子供の時以来だったから
 思わず周りを見回して自分を指差しちゃった『あたし?』って、それから毎日来てたかな、あの人」




「ま、ロッサの奴は、普段から『私』とかカリムとかシャッハみたいな美人に囲まれて暮らしてたからな〜
 女を見る目『だけ』は確かやったわけや…」

と一部の言葉を特に強調して頷くのは
新婦の元上司にして新郎の事も家族のように知る部隊長

また独身時代の彼を良く知る一部の人達からは大いに心配されていたロッサの遊び癖だったが
結婚して子供が出来て以来
頭に超が付くほどの親馬鹿ぶりを発揮したのはむしろロッサの方だった

結婚記念日や子供の誕生日には
普段の数倍の手際で仕事を片付けて職場から消えて居なくなる彼を見て

…普段どれだけ手を抜いて働いているんだアイツは…とは彼の親友の言
その上事ある毎に可愛い子供達の写真を毎日見せつけられて
いい加減、辟易したため

「うちの子だって十分可愛い!」

と怒鳴り飛ばした
以来、それでも懲りずに局内をウロウロしていたロッサが目をつけた相手
それが隊長に抜擢されたエリオだった

今回のティアナのおめでたの事に関しても
…自分がエリオ君に子供の素晴らしさを懇々と毎日説いていたからだ…と
周囲にその功を大きく胸を張り主張するロッサだった

結婚を牢獄、子供を錠前…と表現する彼だったが
彼の牢獄には上等な絨毯が敷き詰められ、その錠前は黄金かダイヤで出来てるらしく
その錠前は毎日毎日、何年見てても飽きないものらしい
仮にこの囚人に釈放だ、出ろ、と言いつけたら徹底抗戦の上
断固としてこの住み心地の良い牢獄に立て篭るものと思われる
355y=ー( ゚д゚)・∵. ターンA:2007/08/07(火) 01:56:01 ID:6bkTmmEm
その後

男二人にとって
他では…特に妻にはとても言えない話題、仕事の愚痴、あれやこれやの話が
楽しく続いた
そろそろ明日の事が気になったエリオが時計を気にしだした頃
ロッサの携帯が振動した

「ちょっと失礼」
そう言って立ち上がったヴェロッサがホールの脇で何事か話を二言三言話す


そろそろ…自分もおいとましたほうが…とエリオがそれを見て考えていると
驚いた顔でこっちを見たヴェロッサが
彼にしては珍しく慌てた感じでこっちにツカツカと大股で歩いて戻って来た

「マスター!支払いはここに置いとくよ、こちらの方のもだ、…エリオ君大変だ…ちょっと立って立って…」
ゆったりとした動作でお辞儀する初老のマスターに目もくれずエリオの腕をつかむ

「な、…何ですか?ボ、ボクですか?…急に…何か事件ですか?」
「…ああ事件だよ、大事件だ、ボクじゃなくて、君の人生にとって…」
不安定な体勢で腕を引かれ、ヨロケながらホールを連れ出される
「…生まれそうなんだって君の赤ちゃん…今スバルから連絡が入った、ティアナ君…今病院に運ばれたって…」
「………え、えええ!!!?」

腕に掻けた制服を落っことし、、ほろ酔い気分が一気にぶっ飛んだエリオが入り口で叫んだ
中のホールの客が一斉にこちらを見た
うちのが今付き添ってて…そんな事をヴェロッサが何かその後言っていたが
エリオはその後の事をよく覚えて居ない

気が付いたらロッサと病院の廊下を走っていた、後ろに看護婦さんに怒られながら
356y=ー( ゚д゚)・∵. ターンA:2007/08/07(火) 01:56:43 ID:6bkTmmEm
―スバルとティアナ―

エリオとティアナの新居
キッチンから繋がった拾いフローリングの床にふかふかの白い絨毯が敷かれていた
二人の妙齢の女性がいくつかの郵便物を横に置き、座りこんで話をしている

一枚の写真付きハガキを二人は見ていた

「…全然変わっちゃったよね〜キャロ」
青い髪を以前より伸ばして、柔らかな女性的な魅力のスバルが昔と変わらない口調で呟く
「そっかな?あたしはそうでも無いと思うけど…」
オレンジの髪を腰までゆったりと伸ばした、お腹の大きなティアナが横から覗き込む

浅く日に焼けた肌、後ろで束ねたピンクの髪の毛
歳相応にスラリと背も伸びて、スレンダーな体に動きやすさと機能性を重視した服装
健康的な女性の魅了が写真の中からも充分に伝わってくる
笑顔で写っているのは キャロ・ル・ルシエだった

かつての6課の彼女達の仲間
当時は幼かった彼女も、今は立派な野生保護官として
フィールドワーク中心の生活を送っている

「…去年のティアの結婚式以来だよね」
やっぱりアレがきっかけと言うか…ふんぎり
…と口を開きかけて慌ててスバルは口を閉じて恐る恐る親友を見た
チラリとその表情を見て
「…ハイハイ、気を遣わなくてもいいから、もう昔の事よ…」
そう言いながらもティアナの表情はやはり少々思うところがあるようだ
しまったなぁ…と言う表情のスバル

当時、フェイトを失ってヤケになり、荒んだエリオを励ましたり…
いや彼女達の場合は彼と言い争ってぶつかり合っていた事の方が多かったが
ともかく、いつの間にかお互いを男女として意識し始めた二人だった

6課解散の後スターズ、ライトニング、共にメンバーはバラバラになり
ティアナは以前からの夢であった執務官を目指し
エリオは様々な各地上部隊のフォワードを渡り歩いて腕を磨いたが
その間も二人の交際は何と無く続いていた

ティアナが執務官に合格してエリオも新部隊の隊長に抜擢
両者の身辺が落ち着いてきたところで、気が付くとエリオの年齢や収入も世間的におかしくないレベルに達していた
ようやく周りを見る余裕が出来て、初めて結婚に目が向いた二人だった

エリオがその間、どう思っていたのか知らないが…
それまでエリオの一番近しかった異性、キャロの事はティアナの心に常に引っかかっていた
自分が彼女からエリオを横取りしたみたいな後ろめたい気持ち…
かと言って「キャロの事をどう思う?」とは交際中も今までも、怖くて聞いた事も無かったティアナだった
今の関係にヒビが入り、音を立てて崩れそうで
357y=ー( ゚д゚)・∵. ターンA:2007/08/07(火) 01:57:34 ID:6bkTmmEm
「あの、さ、隣に写ってるの…やっぱり良い人じゃないかな?」
親友の為にも失点を取り返したい期待を込めスバルが話かけた

サファリルックの少し細い感じのするメガネの男性が写っている
どこかで見たことがある気がしたが…
日に焼けてるせいか、その人の事はティアナには、よく思い出せなかった

「どう…かな?…解んないね、文面には…とっても頼りになるとか、尊敬してる先生…ってあるけど」
軽く首を傾げた
「でも、やっぱり…見せたかったんだと思うよ、キャロも、わたし達に、わたしももう大丈夫なんだって!」
少し力を込めてスバル

「…うん、そうだね、…そうだといいな」

写真のキャロの笑顔は本当に楽しそうだ、この笑顔が本物である事を本当に信じたい
ティアナはそう思った
傍らのもう一枚の手紙をめくる

こちらは普通の官製はがきだが
白い面にはデフォルメされた、ある人達の姿が…八神はやてと
その騎士達がカラフルに色付けされて
メッセージが添えられていた

描いたのは絵柄からしてシャマルさんだろうか
彼女の意外な才能を知る数少ない二人はそう判断した
6課に居る時は医務室で暇を持て余した彼女はよく机に向かって何やら周りの人達をネタに
漫画を描いてたりしたものだ、ちなみに男性には絶対に見せようとしなかった

イラストの斜め上辺りにここだけは印刷で、保育施設の名前がプリントされてある
八神隊長のイラストにはフキダシ突きで『身内特価で安くしとくで〜』とある
同時に送られて来た冊子には保育園から幼稚園まで手広く対象としている
彼女の新たな職場の詳細なパンフレットがぎっしり詰まっていた
つまり、かなり気の早い、生まれてくるティアナの子を対象とした園児勧誘だ

「…八神隊長も元気そうだね」
ぴらっと裏返してスバル
「ホントにね」
クスリと笑うティアナ

6課解散と同時に本局を辞めてしまった八神はやて部隊長
わたし達の前ではいつも気丈で、笑顔だったけど、フェイトさんを失った責任を全部自分のせいだと
…なのはさんだけには言ってたらしい、ひどく落ち込んで、泣いたらしい
…その事をわたしが知ったのもごく最近だ

何度も二人にお見合いを勧めたリンディ提督から結婚後に教えてもらった
スバルはもっと前から、やっぱり結婚した後暫くして同じように教えてもらったんだって

あの人は…なのはさんも未だに独身だ
本人達は
「そりゃまぁ…私に釣り合うような素敵な男もなかなかおらへんしね〜アハハ」とか
「うん、わたしも…まだ仕事の方が忙しいし…」とか笑顔で言っているが

フェイトさんの死が
あの二人には私達とは比べ物にならない程重かった…んだと、私は今でもそう思う
自分達だけが幸せになるのが
永遠にその機会を失った親友に対して辛くて、耐えられないんじゃないかなって…多分、勘だけど…

リンディ提督も何とか二人の気持ちを前向きに動かしたくて
結婚した私達に期待して…と考えるのは少し僭越過ぎるだろうか
フェイトさんの親代わりのあの人には二人は自分の子供みたいに心配なんだろう
358y=ー( ゚д゚)・∵. ターンA:2007/08/07(火) 01:58:21 ID:6bkTmmEm

「あたし、前ね」
「ん?」
スバルが手紙を上に向けて見ながら突然話はじめた
「うちの子がはやて隊長…今園長先生だった、のとこにお世話になってたでしょ、…まぁ
 また下の子がお世話になると思うけど…」
「うん」

「あたしの仕事が遅くなって、子供迎えに行くのが遅れちゃってさ…夜遅かったし
 電車も終電ぎりぎりだったんで、帰りにシグナム副隊長に車で一緒に家まで送ってもらったんだ…」

親友が何を言おうとしているのか良く解らないがティアナは続きを待った
スバルもどこから話していいのか考えながら話しているようだ

「…でね子供も疲れて寝ちゃって、ずっと運転中黙ってたシグナム副隊長がぽつぽつと喋りだしたんだ

 『…お前達が主ははやての事を心配してるのは知っている…私にもその気持ちはよく…解る
   …私も、シャマルもヴィータも心配だったしな…気にはかけていた
  …局を辞めたのも、生きる事を…戦う事に本来繊細な主の心が耐えられ無くなったのではないか…とな』

で、しばらく沈黙が流れてね

  『 …だが違った、主はやては微塵も戦う事を諦めてなど居なかった、より厳しい戦場を選び
  …新たな問題が発生しても、…逃げずに向きあっていたのだ
   …私は…主の真意も見抜けぬ愚かで未熟な騎士だった…だが同時に誇りに思った、改めてこの身に誓った
     …我が身が滅びるその時まで、…テスタロッサの分まで及ばずながら我が主を支えてみせると」
  …だからもう心配はいらん、…主はやては、…そんなに弱い人では無い』
                                       
                                        …てね」



「……………」
「その時は何と無ーく、解ったような気がしてたんだけど、―ティア今の私の隊の事知ってるよね?」
「え?あ、うん、エリオ君と同じ特機の…三番隊だっけ?」

突然話題が変わったので少し虚を突かれた感じのティアナが答えた

「そう、で、ティアはうちの副隊長の事知ってる?」
「……知らない」
「チンクちゃんなんだ、元ナンバーズの5番」
沈黙


「…そうっ……って、え?えええ!?」
「やっぱ驚いた」
「…そりゃ…驚くわよ     …初めて聞いたわよそれ…第一アンタあの子と…」
うん、とスバルは頷いた

ギンガが攫われた時暴走したスバルと戦ったのが彼女だった
触れた金属にエネルギーを付与して爆破させる能力…主にナイフを主装備に使うナンバーズ
あの戦いで、両者共に大きなダメージを負った、浅からぬ因縁の相手同士…だったはず


「あの子のスカウトの話は…今話すと長くなるんだけど…」
「…言いなさいよ、そこまで言ったら余計に気になるでしょ…」
359y=ー( ゚д゚)・∵. ターンA:2007/08/07(火) 01:59:10 ID:6bkTmmEm
―スバルとティアナ2―


「…何のつもりだ?」
金属製の首輪、遠隔操作で爆破可能な拘束道具
爆発すれば容易に首が千切れ飛ぶ

が外されて床に銀色の光沢を反射していた
眼帯の少女が冷たい目でそれとスバルを見比べていた
「こうしなくちゃ対等にお話できないでしょ?」
制服姿のスバルが答えた

チンクは周りを見回した、爆発物実験にも使われる強固なだけが取り得の
何も無い殺風景な特殊金属壁の部屋
一部が黒い強化耐熱ガラスになっているが…どうせマジックミラーだろう、人の気配を感じた
こいつを倒してもどうにもなるまい…床の首輪を見る
フン…拘束が外れても何も動きが無い…と言う事は…いざとなればこいつごと…か…

「…で、話とは何だ?」
とにかく変化は歓迎しよう、機人の自分にも退屈だけは耐え難い



No5 チンク 
元ナンバーズの彼女はティアナ達に捕らえられて、貴重なサンプルとして
研究所でひたすら検査と実験の毎日を送っていた

他に代わりの居ない、その為殺される心配も乱暴される心配も当面無いが、ただただ単調な毎日
永遠に続くかのように感じる白い音の無い世界
機人である自分以上に無機質で、意思を持たないかのように感じる、黙々と動く不気味な白衣の集団
全裸にされてワケの解らないコードをあちこちに繋げられる事もしょっちゅうだった

が、元々彼女が生まれた環境も似たようなものだった為、羞恥心などチンクは感じなかった
感じられたのは目の前で、忙しく動きまわり、モニターを睨み、何事かツラを突き合わせて話し合う連中が
彼女の生みの親であるDrスカリエッティには
遥かに劣る劣悪な頭脳しか持たない奴等だと言う事だけだった…

薄く笑った、ガラスの向こうで連中が自分が笑ったのを見て何か騒いでいる
そう言えば初めてだったか、私がここに来て笑ったのは
そんな連中にもそんな連中にモルモットとして扱われる自分の運命も可笑しくて
チンクは笑った、冷笑するしか無かった

そんなある日
自分を訪ねて来た奴が居た
タイプゼロ…私と闘った、―そして私を捕らえた
その時初めて知った…名前を名乗った、固有名を
スバルーナカジマと






「……つまり私にお前の部隊の副官になれと言うのか?」
こっくりと頷くスバル
「馬鹿かお前は…」
言い終わる前にチンクはスバルの首に手刀を突き付けていた、スバルの首筋から薄く血が垂れた
360y=ー( ゚д゚)・∵. ターンA:2007/08/07(火) 02:00:43 ID:6bkTmmEm
「今ここでお前が殺されても…多分、私は殺されないぞ…大事な代えの無いサンプルだからな…」
呟くチンクの独眼を真っ直ぐにスバルが見つめ返してきた
「そうだね…でもあたしも自信があるよ、その前にチンクちゃんの機能を停止させちゃうって…」
スバルの右拳がチンクのお腹に添えられていた

(速い…)
目だけ動かして見た、今の動き、機人であるチンクも気が付かなかった
彼女の危険な能力は知っている、その力は触れただけで自分達機人には致命傷…あの時より成長している…
確かに自分が有利とは必ずしも思えない

外で何か騒いでいる気配が微かに感じる、チンクは黙って手を引いた
「…止めておこう、連中はお前よりも私が壊れる事の方が心配そうだ」

「そう、でもね、地上の方でも優秀な人手が全然足りないんだ、あの人達より上の人達を動かせるよ
 そう言う風にかけあって来たんだ、色々条件はあるけどね…
 チンクちゃんの力を有効に使えるならね、あたしに力を貸してくれるなら、協力してくれるなら…出れるよここから」

「……………」
チンクは考えた
ウーノ姉の他にもあの戦いで、数名の姉妹が逃走に成功したはずだ、その事は気にはかかっていた
自分はとてもここから独力で脱走できそうも無いが…もし出来たとしても彼女らの情報を一人で集めるのも
そもそも長期間、人間社会に潜伏するのも至難…いや不可能だろう

ここで救出を気長に待つのも一つの手だが…彼女らが今私よりマシな環境に居る保障も無い
私達の体は常に高度なメンテナンスを必要としている、それに技術者も
助けを待っているのはむしろ彼女達かもしれない…いや、もしくはもうとうの昔に全員機能停止しているかもしれない…
ならは私は何を…


「…いいだろう、話だけでも聞いておこうか」








「…てなわけ」
スバルの話が一区切りついたのを見て、ようやくティアナは質問した
「ちょ…アンタまた…そんな、そ、それで…今…あの子にはその…そういう…制御用の首輪とかは…付いてるんでしょうね?」
長い付き合いから次の答えは予想できたはずだが
ティアナは聞かずには居れなかった、聞いたら同罪になるのも解っていたのだが

彼女の予想どうり、スバルはあっさり首を振った、横に
「ううん、付いてる事は付いてるけど見た目だけ、起爆装置も爆薬も外しちゃってる」

「…………」
ティアナは額を押さえて天井を仰いだ
「…あんた、それでチンクが…彼女が問題…って言うか逃げたら…」
「大丈夫だよ、チンクちゃん彼女の姉妹が見つかるまでは任務に付き合うって言ってるし…」
「…ってアンタねぇ…」

今更ながらスバルの底抜けにポジティブな思想に呆れる思いのティアナだった
しかしもう、…これはスバルの勘を信じるしか無いだろう、そうティアナは考えた、腹をくくった
…今の話からするとチンクが自由を得たのはもう、かなり前だ
それが今まで…とりあえず問題無く働いていると言う事は何かしらチンクにも今そこに留まる理由があるのだろう
そう信じないと怖くてやってられない、チンク、彼女ではなく、スバルと付き合うのは
361y=ー( ゚д゚)・∵. ターンA:2007/08/07(火) 02:02:35 ID:6bkTmmEm
「はぁ…それでその話は解ったから、で話の続きは何?」

ああそう!とスバルは手を叩いた

「そう、それでね、今J型の機人って言う…」
ティアナが頷いたのを見てスバルが続ける

「あの子達の事件が最近多発してて、で、成人してる機人は危険だし即本部送りなんだけど…」

ピラリと八神ファミリーの保育施設のパンプを目の前に掲げた

「踏み込んだ施設とかにはさ…ホンの初期段階の赤ちゃんとか…ちっちゃい子とか居たりして
 …で、そう言う場合、その子達は、ほとんど普通の子と変わらなくてね」

はやて隊長達のイラスト…八神一家のハガキを見せる
 「で、今のとこ宙に浮いた状態なんだその子達の扱い、現場任せって言うか…で、ここのはやて隊…園長の施設
 実はそういう子達を受け入れてるんだよね、…かなり大量に」

唖然とした
「そ、その話って…」

「うん、もちろん非公式…私ね、それ聞いた時初めて解ったんだ…シグナムさんがあの時言ってた事…
 ああ…はやて隊長の新しい戦場って…こういう事だったのかって…
 あたし達が事件が終ったって思ってた時、もう、こういう次の事態をを予見してたんだなって…で、いち早く…て聞いてるティア?」

「聞いてる…」
ティアナは眩暈がする思いだった産休中だが自分も一応執務官だ、この事…下手をすれば
 機人を大量に集めて…テロ活動の疑いをかけられるかもしれない…国家騒乱罪とか…
 けっこうスレスレ…いやむしろ黒っぽい話しだ…あの人のやる事はどうしていつもこう…

ハァ…溜息をついた、スバルがこっちを見つめて反応を待ってる
しょうが無いか、聞いちゃったし、あたしも協力できる範囲で動いてみよう、いつもの事だ

「OK…解ったわスバル、、この話はオフレコね、私もなんとか…八神隊長、やっぱり凄い人だっ…た…痛っ…」

「ティア?」
いきなり言葉を切り、苦しそうに身を折るティアナにスバルが膝立ちになった、…嘘これって
「やばい…きちゃった…見たい…」
「じ、陣痛?た、…大変だ、エリオは!?」

「きょう…は…車…で、出て…エリ…オの…携帯…は…」
そこまで言うとティアナは苦しさに耐え兼ねて呻いた、それ以上は痛みで喋れないらしい
「わ、私の携帯…ああっ!もう…何でエリオ君の入れて無かったの!?…ま、待ってねティア
 …今ロッサ君呼ぶから、すぐ車まわして病院に…」

慌しくスバルは携帯をバッグから取り出すとロッサの番号を呼び出した
362y=ー( ゚д゚)・∵. ターンA:2007/08/07(火) 02:04:17 ID:6bkTmmEm
お終い…今度こそ次で終わり
最新話見てないので新しい情報無いです…
眠いので、ではでは〜
363名無しさん@ピンキー:2007/08/07(火) 02:14:26 ID:DX/t3zuH
>>332
お見舞い話キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!!!
ヴィータの空回りっぷりと、フェイトの王子様ッぷりに完敗!
GJです!
364名無しさん@ピンキー:2007/08/07(火) 02:55:54 ID:/UBZsseq
>>362
y=ー( ゚д゚)・∵. ターンA氏GJ!
新たな事件の匂い……も気になりますが、
・ロッサ×スバル
・ヴァイ×シャリ
他の珍しいカップリングがさらに気になるwwww 
365名無しさん@ピンキー:2007/08/07(火) 04:07:45 ID:MQvPWkJP
>>362
GJ!!
で、眼鏡をつけて見覚えの有るのって……

ああ、あの人かw


そしてえ、シグナムから省略されたザフィーラに、全米が泣いた!
アルフも居なくなっちゃったんだよなorz
366名無しさん@ピンキー:2007/08/07(火) 05:29:24 ID:wDygCT98
>>362
乙ですー
いつもがそうじゃない、という訳じゃないですが、
今回、中身が濃く感じます。

何故か、生まれた赤ん坊が金髪赤目で
それを見たエリオがギャアーと叫ぶ様子が脳裏に浮かんだ。
367名無しさん@ピンキー:2007/08/07(火) 05:39:00 ID:P4qOpKar
浮上
368名無しさん@ピンキー:2007/08/07(火) 10:43:32 ID:naAltDUC
>>289

スバルとギンガの全力疾走してもあんまり揺れないバストは大胸筋らしい。
369名無しさん@ピンキー:2007/08/07(火) 10:46:30 ID:oMnWciov
胸筋でも揺れる時は揺れる
370名無しさん@ピンキー:2007/08/07(火) 10:56:04 ID:JkKmyf8i
柔らかければ筋肉だろうと脂肪だろうと構わん
371名無しさん@ピンキー:2007/08/07(火) 11:08:12 ID:WqZ1Sp6Z
>362
「走っても胸が揺れないスバル・ナカジマさんでしたー、拍手ー」(ゴンッ)
372名無しさん@ピンキー:2007/08/07(火) 12:22:25 ID:ePAFlVs8
>>371
「究極超人すば〜る」だな!
80年代臭がしてよくわかる!
373名無しさん@ピンキー:2007/08/07(火) 12:23:19 ID:NHBWT3Vm
ギン姉&ヴィヴィオの陵辱が読みたいです。
374名無しさん@ピンキー:2007/08/07(火) 12:32:23 ID:P4pD226r
ターンA氏
GJ!
エリティアは改めていいものだと認識しました
続きを心待ちにしています。
エロも欲しいと思ってしまうのはだめでしょうか
375名無しさん@ピンキー:2007/08/07(火) 12:32:32 ID:vDlsRc+W
個人的にギン姉(ナンバーズバージョン)と ノーヴェを見てみたい

自分達に負けた奴がチンク姉をあんな目に合わせた奴の姉が13番目のナンバーズとして自分達と同格の扱いを受けるのが不満で持ち前の性格も影響し素直になれないノーヴェと
何とか打ち解けようと努力するギン姉

そんな時にクアットロがギン姉にある事(ノーヴェは同性愛者でギン姉の事を愛してるから素直になれないって嘘)を吹き込み。
真に受けたギン姉がノーヴェに迫り・・・・・

って感じで
376名無しさん@ピンキー:2007/08/07(火) 15:07:04 ID:Zrknsuub
むしろギン姉は0番じゃ? つまりナンバーズの長女「ゼーロ」。
……何故かナンバーズでチンク以上に慕われるギン姉を幻視した
377名無しさん@ピンキー:2007/08/07(火) 16:54:10 ID:fmC59h6l
ロッサ×はやては、『親の決めた許嫁』状態ではなかろうか。

貴重な古代ベルカの継承者、確実にその資質を残さねばならない。
だが、カリムは聖職にある為婚姻が許されない。
というか義理とはいえ、ロッサとカリムは姉弟だし。

そこに現れたのが新たな継承者、しかも女性。
ロッサとくっつければ、確実に古代ベルカの血が残る、と、上は考えた。
幸い、二人を引き合わせたら仲は悪くなさそうなので、思い切って……

なんか、大林さんか政宗さん演じる教会上層部が似合いそう。
378名無しさん@ピンキー:2007/08/07(火) 18:35:07 ID:naAltDUC
>>377

はやての親って言うと…シグナム父さんとシャマル母さんか?

え、ザフィーラ?はやては「公式設定で犬扱い」してるからなぁ…

とりあえずグレアムお祖父ちゃんの説得が難関かと。
379名無しさん@ピンキー:2007/08/07(火) 19:08:00 ID:nek04gjM
>>362
ターンA氏GJ!!
チンク姉スキーとしては彼女が生きてただけで ∩( ・ω・)∩バンジャーイ ですよ
スバルんの勘に感謝ですなー
その他マイナーカプ……ユーノ×シャッハ?何処に接点があるんだって感じですね、すんますん
>>376
ギン姉はギン姉で、ノーヴェをスバルだと思い込まされててノーヴェを可愛がりたいんだが
ノーヴェの方は元敵でハチマキの姉だし…って感じで他のナンバーズと違って距離をとるけど、
ボロが出て洗脳が解けるとまずいからしぶしぶされるがままになってる、とか
んでもってギン姉は「最近スバルが甘えてくれない……」って感じで寂しがってウーノに相談するとか
380名無しさん@ピンキー:2007/08/07(火) 19:08:31 ID:Vq090sRu
>ターンA氏
GJです!
珍しいカップリングが多いですね
というかキャロの相手って文面からしてもしかしてグリフィ(ターン
381 ◆6BmcNJgox2 :2007/08/07(火) 23:00:23 ID:oMnWciov
また一本書きます。
今回は…
・エロ無し
・なのはが魔法少女になる前のお話
・なのはが誘拐されちゃう話
と、こんな感じです。
382歴史が動く前…編 1 ◆6BmcNJgox2 :2007/08/07(火) 23:02:13 ID:oMnWciov
これはなのはがまだ9歳で…かつ魔法と出会う以前のお話。

「子供を狙った誘拐には気をつけましょう。」
学校の先生にその様な事を言われたその日の放課後、下校中のなのはは背後から怪しい気配を感じていた。
「あ…後から誰かが付いて来てるの…。」
恐る恐る後を見ると、そこには確かになのはの後を追っている何者かの姿があった。
頭には帽子、目はサングラス、口はマスクで覆った明らかに怪しい大人の人。
それがコソコソと電柱だったり壁だったりと彼方此方に隠れながらなのはの後を追っていたのである。
「どうしよう…誘拐犯かも…。」
なのはは怖くなり走った。とにかく家まで走る。家になら家族もいるし安全だ。
なのははそう考えていた…が…。
「キャア!!」
突然なのはは何者かに襲われてしまった。しかし、それは背後からなのはを
追跡していた怪しい人物では無い、逆に正面からなのはに飛び掛った別の大人であり、
瞬時にクロロホルムを嗅がせられてなのはは眠らされてしまった。

「う…ここは…。」
なのはが目を覚ますと、薄暗い部屋の中にいた。
さらに手と足に手錠やロープとは違う見た事の無い物がはめられており、身動きが取れない。
そしてもがくなのはの目の前になのはをさらったと思しき二人の男の姿があった。
「お目覚めかい? 高町なのはちゃん?」
「おじさん達どうして私の名前を!?」
「フッフッフッフッ…今から10年後…なのはちゃんは知らない人はいない位の有名人になるんだよ。」
「え!? それってどういう…。」
男の発した言葉の意味が分からなかった。しかし男はさらに続ける。
「実はね、おじさん達は今から10年後のなのはちゃんに酷い目にあわされてしまってね、
それで時空を超えてこの時代のまだ強くないなのはちゃんを狙って歴史を変えようって事になったのさ。」
「管理局の白い悪魔もこの時代ではただの運動オンチな女の子だもんな〜。楽なもんだよ。」
「え!? 何を言ってるの!? おじさん達おかしいよ! 何漫画みたいな事言ってるの!?」
なのはは怖かった。勿論自分を誘拐した二人が怖いのは当然だが、それ以上に
二人の放つ意味の分からない言葉がますます得たいが知れず、怖かった。
「さて、管理局の連中が嗅ぎ付けない内に息の根を止めておこうか?」
「いやいや、時空奴隷商人に奴隷として売ってしまう手もあるぞ。
これなら俺達も儲かるし、10年後の奴も歴史から消滅すると言う一石二鳥だ。」
「おお〜! それ良いんじゃね?」
「何…何…? え…一体どういう事なの…?」
男達はなのはの目の前でその様な会話を交わし、なのはは言葉の意味は分からなかったが、
意味が分からないからこそ逆に二人が怖く、ビクビク震えていた。
383名無しさん@ピンキー:2007/08/07(火) 23:03:06 ID:/Pcv4Im1
二次元ドリームノベルで書いてる黒井弘騎が夏コミで大人フェイトが子供コスを着せられたシチュの陵辱ものを同人小説で出すみたいだね
自分のHPでプレビュー紹介してた
384歴史が動く前…編 完 ◆6BmcNJgox2 :2007/08/07(火) 23:06:24 ID:oMnWciov
「誰か…助けて…。」
なのはの目から涙が流れ、その一粒が床に落ちた。と、その時だった。
突然薄暗い部屋のドアが開き、何者かが現れたのである。
「おっとそこまでだよ!」
「え…。」
それは最初、なのはの後を背後から付けていた為に誘拐犯では? と思われた
謎の帽子+サングラス+マスクの人だった。そしてその帽子サングラスマスクの人は
手に持つ部分がピンク色で、先端が金色、そして金色の部分の中心に赤い宝石が
はめ込まれた杖の様な物を持っていた。
「二人とも、歴史改変未遂の罪で逮捕します!」
「ゲゲッ! もう見付かった!」
「え? 一体何がどうしたの?」
なのはは意味が分からないままだったが、謎の帽子サングラスマスクの人はなのはを誘拐した
二人の男を忽ちの内に叩き伏せ、そして手錠やロープとも違う不思議な何かで
二人の男の手足の自由を奪っていた。
「二人とも連行させて頂きます。」
「畜生! 畜生!」
「後少しだったのに!」
自由を奪われた二人はその辺にのた打ち回るばかりだったが、
今度はなのはの方に帽子サングラスマスクの人が近付き、杖を振るうと共に
なのはの手足を束縛していた物が消滅し、なのはは自由の身になった。
「君…大丈夫?」
「あ…ありがとうございます…。」
そして帽子サングラスマスクの人はなのはの頭を軽く撫でるのだが、なのはは
まるでその人が他人の様な気がしなかった。
「悪いけど…ここまでの記憶は消去させてもらうよ。じゃないと歴史が変わって大変だから…。」
「え…それってどういう…。」
なのはがそう質問しようとした瞬間、なのはの意識はそこで途切れた。

気が付くと、なのはは下校中の道の真ん中に立っており、何事も無かったかの様に家に帰って行く。
帽子サングラスマスクの人に追われていた事も二人の誘拐犯に誘拐された事もなのはの記憶の中から
完全に消滅し、その間の時間に関してもリセットされ、ごくごく普通の時間として流れていく。
つまり、この事は最初から無かった事となったのである。

そして…なのはがユーノと出会う事になるのはそれから間も無くの事だった。

「おかえりなのは!」
「ただいまフェイトちゃん…。それにしても…今回の仕事は肝が冷えちゃったよ。
まさか10年前の私を狙った時空犯罪者が出るなんて…。一歩間違えれば
私自身が消滅する事になるんだし…。」」
「とにかく、これからもこういうのには気を付けないとね。」

なのはを救った謎の帽子サングラスマスクの人の正体が、10年後の未来から来た自分自身である事を
なのはは知らない…

                      おわり
385 ◆6BmcNJgox2 :2007/08/07(火) 23:07:51 ID:oMnWciov
と、こんな話を書いてて思ったんですけど、
なのはがユーノと出会って魔法少女にならなかったら
プレシアテスタロッサ事件の時点でジュエルシードによって
地球のある次元は消滅してたかもしれないんですよね。
もしくは夜天の魔道書事件で…

>>362
結婚を牢獄と比喩しつつも、なんだかんだで豪華に作られてるって所が
何かバキのオリバを連想させてくれました。
GJ
386名無しさん@ピンキー:2007/08/07(火) 23:16:38 ID:fZotvP+a
>>380
えっ、グリフィスなのか?おら、てっきりユー(ry
そうだよな。某司書長だってフェイトがいなくなったらそれなりのダメージ受けるよな。
管理局から去るか、もしくはさらに仲間たちとの距離ができたかもしれない。
もしかしたら、リミッターに対する見直しをクロノと一緒に進めているかもしれない。
まさか、十以上も歳の離れた女の子に手を出してるはずが無い・・・。
387名無しさん@ピンキー:2007/08/07(火) 23:29:51 ID:yxh6zNLU
仮にだけど銀ねぇがバーサクしたら
1vs3でもフルボッコに出来たんじゃね?

IS次第かな?
388名無しさん@ピンキー:2007/08/07(火) 23:30:00 ID:xWhKWgEW
>>386
ここで漫画版に出てきたタントなんてやつを思い浮かべたのは俺だけでいい
389名無しさん@ピンキー:2007/08/07(火) 23:36:28 ID:2M8X3sqi
>>385
ふむ……確かになのはが居なかったらと考えるとガクブルもんだよな。
ちなみに、未来なのはさんの格好、シャマルさんの変装セットでおk?

>>386
それでも淫獣なら…淫獣ならきっとやってくれる!
390名無しさん@ピンキー:2007/08/07(火) 23:38:03 ID:fmC59h6l
>388
いや、そう考えないでも無かったが、タントとミラは夫婦な気がする。

レリックを発掘した大学生とか、アースラのオペレータの……

……名前何だっけ、あさのときしだ?オスカー&マーカー?

片方がぴらふぅなのは覚えてるんだが。
391名無しさん@ピンキー:2007/08/08(水) 00:03:48 ID:5Pb9Rca6
>390
 アレックスとランディ?<アースラの男性オペレータ
392名無しさん@ピンキー:2007/08/08(水) 00:48:49 ID:JLQgo2xZ
>>385
そこで、歴史は変わるが、なのは(19)が魔法の師匠になっていれば魔王じゃなくて、帝王になってたかもなw
393CRR:2007/08/08(水) 01:03:48 ID:6pEpjkXR
ども。
SS書きになって初めての夏が来たなぁ…
それは置いといて、ちょっとした息抜きを投下。

・非エロ
・ネタ要素アリ

ではドゾー
ミッドチルダの空の下。
金属音と火花を散らし、二人のベルカの騎士が空戦を繰り広げていた。

一方は、ピンクのポニーテールを振り乱す。
もう一方は、ユニゾンで金色になった髪をなびかせる。

デバイスとデバイスがぶつかり合い、不協和音を奏でる。
永遠に続くかのような、激しいドッグファイトg『はーい!!!シグナムさん!ゼストさん!オッケーでーす!!!』






『魔法少女リリカルなのはStrikerS』絶賛放映中!






「ふむ……やはり騎士同士の戦いが一番面白いと思いませんか、騎士ゼスト」
「全くだな、騎士シグナム」
「では、これから訓練室で続きでも……」

「あかん!まだ撮影残っとるんよ!」

すっかり騎士精神に火がついたシグナムとゼストに、はやてが歯止めをかける。

「しかし、主……」
「ほーう?ほんならシグナムはまたOP一瞬だけの出演でええの?」
「うっ………」
「さんざん『NEET侍』とか『働きたくないでござる』とかボロクソに言われとるやんか。少しは出番稼がな」
「はい………」

はやてに諭され、耳があったら垂れ下がっているような落ち込みようで、シグナムはゼストに謝る。

「申し訳ない……っ!!これも家のローン返済のためなのです……解って頂きたい」
「………心得た」




ミッドチルダ郊外に設けられた撮影ベース。
ここでは今、次元世界で大ブームのTV番組『魔法少女リリカルなのはStrikerS』の新オープニングの撮影が進んでいた。

そもそも、この『魔法少女リリカルなのは』シリーズは、当時人手不足だった時空管理局の魔導士のプロモーションを目的として、
10年前に第一作が発表された。
当時は民間魔導士だった高町なのはと、嘱託魔導士だったフェイト・テスタロッサ。
この二人の幼女……もとい少女をメインに、魔法を使った熱血バトルを描いたこの作品は瞬く間に大ヒット作品となった。

その後、続編の『A's』でのテコ入れ、グッズ展開、その他もろもろのプロモーション活動が功を奏し、
見事に管理局に入局する魔導士の数を爆発的に増やす事に成功した。

今回は10年を経ての新作という事で、新しいメンバーを大量追加。
世界観は徹底的にリアル思考に方向転換され、賛否両論を巻き起こしている。
そんな『魔法少女リリカルなのはStrikerS』の撮影の総指揮をとるのが、『A's』にも出演した機動六課長・八神はやてその人であった。

「まったく……10年前とは違うんやで!どんどん貪欲にやっていかな生き残れんわっ!」



気を吐くはやてを、撮影ベースの片隅からファ○タのオレンジを飲みながら見ているリイン。
そこへ、さっきの撮影から戻ってきたアギトがやってきた。

「ふー……やっぱユニゾンは疲れる……あんまり旦那とは相性よくないしなぁ」
「お疲れ様です♪アギトちゃん、これ飲んで頑張ってくださいね♪」
「お、さーんきゅ♪……ん?」

汗を拭きながら、リインからファ○タを受け取ったアギトの表情が曇る。

「……おい、バッテンチビ」
「何ですか?」
「ファ○タっつったらグレープに決まってんだろーが!このド素人!」
「なっ……聞き捨てなりません!!オレンジの良さが分からないなんてそれこそ素人さんですよっ!!」
「ああん!?」
「何ですかっ!ヤりますかっ!」

飲み物一つを引き金に、おチビ同士の宇宙小戦争(リトル・スターウォーズ)が勃発した。




爆発音が空に響き渡る。

『はいカットぉ!!だめだよスバルちゃん!IS発動させちゃ!』
「あ、すみません……17話撮ったばっかだからなんか感情移入しちゃって」

ウイングロードの上から、スタッフに謝るスバル。

「このバッカやろー!撮影続行できねぇじゃんか!」
「だからゴメンって……」

地面を見ると、コンクリートに叩きつけられたノーヴェがスバルに文句を垂れていた。
ノーヴェの体、固有武装共に一部破損が見られる。

『しょうがないなぁ……撮影は一時中断!』

その姿を見ていたウーノとスカリエッティ。

「……どのくらいで直るでしょうか」
「なぁに、私の手にかかれば、30分で撮影に耐えられるクオリティまで回復できるとも。はーっはっはっはっ!!」

まさに才能の無駄使いであった。



「さて、今度はヴィヴィオとなのはさんが手を繋ごうとして離れてしまうシーンなんですけど」

アシスタントのシャーリーが困った表情でヴィヴィオを見る。
ヴィヴィオの腹には青いベルトががっちり巻かれており、
これで『敵に捕まっているヴィヴィオ』を表そうとしているのだが……

「う―――………」

ヴィヴィオはなぜかへそを曲げてしまい、一向に演技を始めようとしない。

「ねぇヴィヴィオ〜……がんばってくれないと、ママ困っちゃうな〜」
「う―――………」
「ふにゃ、どうしよう……」

なのはの説得にも応じない。これは重症である。

「なのはちゃん、ここは私に任せて」
「シャマルさん?」

どこからともなく現れたシャマルが、クラールヴィントをなぜか使う。

「クラールヴィント、導いてね♪」
『Ya!!』

すると、ヴィヴィオの背中から手がにょきっと現れた。
そのまま、その手はヴィヴィオのわき腹をくすぐりだした。

「きゃ―――ははははぁぁぁぁぁあぁぁ!!!!!まま――――!!!まま――――!!!」

よっぽどシャマルのテクニックがいいのか。
ヴィヴィオは発狂したかのように笑いながら体をくねらせ、なのはに手を伸ばし助けを求める。

「シャマルさん……」
「うふふ♪」

その後、このシーンのヴィヴィオの動きには、TV放映時にファンの間で『ヴィヴィオダンス』という名が付けられた。



「……うわー……」

スバルの全裸シーンを見て、ティアナは絶句した。
ただいま撮影した素材を編集中。スバルやティアナ達もスタッフに加わり、〆切に間に合わせるべく詰めの作業を行っていた。

「えへへ、ちょーっと恥ずかしいけどね……まぁ、これ肌色のボディスーツだし、何とか割り切れるよ」
「ナカジマ三佐が見たら泣くんじゃないかしら……」

映像に、歌を重ねていく。
『リリカルなのは』シリーズ恒例、フェイト・T・ハラオウンが歌うOPテーマが流れる。

「は〜……やっぱフェイト隊長の歌はいいね〜。なんかこう、燃えるって言うか何て言うか」
「スバル!聞き惚れてないで作業再開っ!」
「は〜い………あ、そういえばそろそろ……」

スバルがTVを点けると、モニターにフェイトが映っている。
主題歌の売れ行きが好調で、今日は音楽番組『MUSIC SATAN』に異例の出演を果たしていた。

「あ、フェイトさん照れてる」
「しょうがないよ、向こうはコメディアンだし、フェイトさんがトークで勝てると思う?キャロ」
「………無理だと思う」

小さいころからフェイトを見てきたちびっ子二人は、モニター越しに、番組MCに弄られるフェイトを生暖かく身守っていた。




機動六課隊舎の屋上に人影が見える。
なぜか体育座りで、月を眺めていた。

「ザフィーラの兄貴………」
「……何だ、ヴァイス……」
「数字って、残酷っすよね……」
「うむ……」

新OPで、がっつり出番を省かれた二人がそこにいた。
やがて二人は立ち上がり、その場を離れる。

「……ヴァイス、酒でも飲みにいこうか……」
「いいっすね。でも……今日は何か、何飲んでも酔えない気がするんすよ……」

月明かりに照らされた二人のとぼとぼ歩く姿は、とても小さく見えた。

「あ、あと、グリフィスも連れて行きましょうよ、兄貴……」
「うむ……」



おわり。
398CRR:2007/08/08(水) 01:17:12 ID:6pEpjkXR
以上です。
元ネタ…というかインスパイア元は某同人誌の
「なのはA'sは管理局のプロパガンダフィルム」という設定と、ターンA氏のなのレンジャーだったり。
あの本の軍事的考察はすげぇ燃えるぜ…

ではエロスの修行に行ってきます。
399名無しさん@ピンキー:2007/08/08(水) 01:26:13 ID:5xSv2Drr

犬と兄貴(´・ω・`)カワイソス
400名無しさん@ピンキー:2007/08/08(水) 01:28:17 ID:9GiqRpSA
>>398
GJです。オトコの出番はほとんどなさそう。
何故かヴィヴィオ先生見に行ってしまいました。

で、エロスの修行って何ですか?
401CRR:2007/08/08(水) 01:32:15 ID:6pEpjkXR
>>400
オナn(ry
……でなくって、次の作品はエロくする予定です、という意味でした。
まだまだエロは慣れないもんで日々修行の身っすよ…
402名無しさん@ピンキー:2007/08/08(水) 02:05:58 ID:EWXpEnUY
どうでもいいけどここほんと非エロ少ないよな
こんな板にあっていいのか
403名無しさん@ピンキー:2007/08/08(水) 02:08:18 ID:wwVYuLOm
>>398
これは久々に吹いたwww

そして消えた男性陣カワイソス(´・ω・`)ショボーン


>>401
エロエロしくなる一番の方法は、
エロエロしい小説を読み漁る事!
これにつきる!!
つうわけで、一緒に触手スレにでもいこうじゃないか!
404名無しさん@ピンキー:2007/08/08(水) 02:09:15 ID:MsJY3bNN
え?
ここエロパロ版やろ?
非エロは少なくてよくない?
405名無しさん@ピンキー:2007/08/08(水) 02:15:09 ID:wwVYuLOm
大丈夫ですよ!

エロはちゃんとありますから!
ただ、最近は近代ベルカ式で非エロが続いてるだけなんです!
406名無しさん@ピンキー:2007/08/08(水) 02:15:47 ID:C4Y3ezM3
>>396


ちょww
ヴィヴィオダンスって
思わずOP見直しちゃったじゃないか!!


男達……忘れられてるユーノは無念すg
407名無しさん@ピンキー:2007/08/08(水) 02:27:16 ID:cbLWDS1h
「エースオブエースにそっくりな機人を作って欲しい! 金はいくらでも出すから! 」

「これはこれは…無限書庫の司書長様がスポンサーになっていただけるとは何たる光栄
 この私が全力でご満足いただける作品を製作しますよ」



アニメ板のなのはスレでスカ博士が数の子の通販しているネタを見かけたので
なのはに歪んだ愛情を持つユーノがなのはに瓜二つな機人をオーダーするって妄想。
408名無しさん@ピンキー:2007/08/08(水) 02:29:09 ID:PU22Zoug
このスカ博士は超高級ダッチワイフ職人としても生きていけそう。
409名無しさん@ピンキー:2007/08/08(水) 03:12:27 ID:hIZtz18j
エリオがフェイトを想って自慰しているところ、フェイト本人がエリオの部屋に入ってきて…
なんて妄想した
410名無しさん@ピンキー:2007/08/08(水) 03:14:41 ID:4ElOMnek
今更気づいたけど・・・前スレリンク先が21話になってる件。
411名無しさん@ピンキー:2007/08/08(水) 03:18:46 ID:ee1hfpla
>>403
触手スレといったら

殴殺天使☆戸愚呂ちゃんの新作はまだかなと
ふと思った漏れガイル
412名無しさん@ピンキー:2007/08/08(水) 04:11:06 ID:C4Y3ezM3
そもそも、新OPには男性は五人しか映ってない……
敵はスカリエッティとゼスト
味方はエリオにゲンヤさん、後は家族写真にクロノが……不遇すぎるorz
413y=ー( ゚д゚)・∵. ターンA:2007/08/08(水) 05:19:31 ID:oSU5QvYf
>>385
最近のってますね〜GJ
なんかジョジョの杖助のエピソード思い出しましたよ、多分関係無いんでしょうけど
簡潔にまとまってていいですね、見習いたいです

>>398
GJです
なんか最近はよく文章全体を眺めて形を見てます、それでも横に長くなりがちですが
CRR氏綺麗ですね、言葉の切れもいいし、読みやすい、こういうのはセンスなのかなぁ…

ドラゴン桜初めて見て数学は美しさが重要という考えに目からウロコだったんで、それ以来なんですが
ああそうか文章も多分そうなんだなぁって
プロパガンダフィルム…いいですね〜ああいうのを上手に嘘をつくと言うんでしょうか

>>407-408
機人の話考えてる時に、こりゃ絶対ナンバーズそっくりなのが裏で売り出されてるなって考えてまして
そんでスバルの3番隊が踏み込んでチンクがそれを見てとか…

ついでに普段レスしてないので少し、いや少しじゃないか…ホントは全レスしたいんですがアレですので…普段控えてます

ヴィータの新婚、出産について―
新婚まではままごとぽいのが可能と思いますが出産となると…どうしても帝王切開が頭に浮かぶので自分はちょっと
エロくなるか―
今書いてるのはならないですスイマセン、今まで喜怒哀楽の喜と楽ばっかり多かったので今回怒哀がテーマ
一応それぽく書く努力はしてます、それでも脱線しそうになりますけどね…orz
後日談でエリオがとある理由で玄関でティアナー!、ええ何!?…って展開は考えてますけど

他レス全て見てます
普段お礼を言ってないので、ありがとうございます〜この場をお借りして、自分が全レスするとこうなります…
では長文失礼
414名無しさん@ピンキー:2007/08/08(水) 08:48:06 ID:npp/kYNG
>>398
乙です!
昨夜初めて新OP見たけど確かにヴィヴィオのあのジタバタはちょっと異常だと思ったw

>>411
同士発見。
集団で喘いでるシーンが好きという変態な俺にはたまらん。
415名無しさん@ピンキー:2007/08/08(水) 11:24:47 ID:i/rBf8t0
誰もいない、トウカするなら今のうち
基本エロ無しギャグだけど、一瞬だけそれっぽいのが入ります。
416誤解旋風(センセーション):2007/08/08(水) 11:25:37 ID:i/rBf8t0
「ふーん、真面目なんだねぇお前は」
「ま、真面目というよりも、当然の事と、というか」

 男子トイレの小便器。そこで隣り合うように、男と少年が並んでいた。
 ヴァイスとエリオ。女性の多い六課において、ある種、異世界ともいえる領域である。
 そして、わざわざそんな中で話す事など、そう多くはない。

「でもよ、俺がお前くらいの頃は知り合いに頼んでそういう本とか仕入れてたぜ? お前はそういうのないよな」
「で、ですから、その――」

 ……エリオとて、女性に興味がないわけではない。
 だが、真面目な性格故に、そういった本は十八歳になってから、と心に決めているのだ。
 失礼します、と行って去っていくエリオの背中を見送りながら、ヴァイスは呆れたように溜息をつく。
 やれやれ、押さえ込んじゃって。フェイトさんに育てられたからかねぇ。
 下手にそういう欲求を押さえ込むと、ふとした拍子に暴走しちまうっていうのに。

「……よし、ちょっと手伝ってやるか」

 いきなりそっち系の本を渡しても拒絶反応が出るだろう。なら、官能小説でもどうだろうか。
 ああ、そうだ。それがいい。
 そう思いながら、頬が緩むのを感じる。
 いや、違う。これはエリオ・モンディアルという若い種を開花させるための投資だ。断じて、自分が楽しむわけではない。
 弁護になっていない自己弁護をしながら、ヴァイスは自分の部屋に向かっていった。

 ――この行動が、六課全体を揺るがす大騒動になるとは、まだ誰も予想する事はできなかった。
417誤解旋風(センセーション):2007/08/08(水) 11:26:27 ID:i/rBf8t0
◆エリオとキャロ

(確かに興味がないわけじゃないんだけどな……)

 訓練終了後。クールダウンしていく頭の中に、今朝の男子トイレでのやり取りが流れ込んでくる。
 そりゃ、興味はあるし、無防備すぎるキャロや先輩フォワードたちにドキリとする事も多々――否、多々タタタタタタタ!
と、なんの擬音だと言いたくなるほどある。
 でも、でもだ、この世には理というものがある。買い物をするにはお金を使わなくちゃならないし、強くなるには努力しなくてはならない。
 それと同様に、女の人の裸が出てくるような本は、十八歳にならねば買ってはいけないし、ましてや読む事など言語道断。そう、エリオは思っている。
 ……時々、「早く大人になれないかなー」と、夜のベッドの中、悶々とする事もあるが、まあ、それは致し方が無いという事で。

「エリオくーん!」
 真面目な少年故の悩みを振り払う少女の声。キャロだ。隣で並行するようにフリードが飛んでいる。

「キャロ。お疲れ」
「うん、エリオくんも」

 スバルとティアナはいない。今日は朝から外周りらしく、二人はほとんどワンツーマン状態で訓練を行っていた。
 疲れてはいる。けれどそれは気持ちのよい疲労だ。シャワーを浴びれば、産まれかえったような感覚になる事だろう。

「あ、そうだ」
 宿舎に戻る途中、不意にキャロが言った。
「この前、本貸してくれるって言ってたよね。あれっていつ行けばいいかな?」

 ああ、そうだ。絵本ばかり読んでいたキャロが、「そろそろ普通の小説も読んでみたいなぁ」と言ってたのを聞いて、そう言ったのだ。
 うーん、と唸る。
 シャワー浴びたら一緒に行こう、と言いたいところだが、この後、ヴィータ副隊長に訓練の事で聞きたい事があるのだ。

「それだったら、鍵渡すから、僕の部屋から適当に見繕って来てよ。僕、これから少し寄るところがあるからさ」
「うん、わかった」

 ……その言葉は、自分の部屋にやましいものが無いからこそ、言えた言葉であった。
 エリオは知らない。窓から侵入したヴァイスが、「さあてどういう反応をしてくれるかね」と笑いながら机の上に一冊の本を置いた事実を――
418誤解旋風(センセーション):2007/08/08(水) 11:28:10 ID:i/rBf8t0
        ◇

「エリオくんの部屋って片付いてるなぁ」

 誰かが男の子の部屋は散らかってるものだ、などと言っていたのを聞いたが、それも人によりけりらしい。
 他人の部屋、という事もあって少々遠慮がちに歩んでいくキャロ。

(えっと……本棚とかも片付いてるし、あんまり動かさないほうがいいよね)

 なら、どれにしようか。
 そう思い視線をさまよわせ、見つけた。机の上に乱雑に置かれた、一冊の本を。

「あっ! これにしよっと」

 ……キャロは知らない。自分の行動が、巨大な岩を坂道に向かって蹴り飛ばすような行為だという事を。
 そう、そんな事をすれば転がり続けるしかない。誤解と言う名の岩は、ゆるりと転がりだした。

◆フェイトとなのは、そしてキャロ

 今日は珍しく暇な日だね、とフェイトは思った。
 スバルとティアナももうそろそろ帰ってくる頃だし――そうだね、皆、いつも頑張ってるし、なにか美味しいもの買ってきてあげようかな。
 どうかな? となのはに問うと、彼女はうん、と頷いた。

「いいと思うよ。この頃、休暇も出してあげられないから……うんっ、少し休んだらヴィヴィオも連れて三人で買い物に行こっか」

 そうだね。と答え、フェイトは微笑む。なのはの膝に座ったヴィヴィオも「うんっ!」と嬉しそうに頷いている。
 穏やかな時、ゆるりと流れる、親友と過ごす平和な時間。それがいつまでも続けばいいのに、と心から願った。
 キャラメルミルクに砂糖とミルクをたっぷり入れ――その瞬間、なのはとヴィヴィオの笑顔が若干引き攣った事に気づかず啜った。

「ふぇ、フェイトちゃんって、やっぱりリンディさんの子だよね」
「そうかな? でも、やっぱり一緒に過ごす時間が長いとある程度似てくるのかもね」

 わたしとなのはも、そういうのがあるのかな? と微笑みと共に言うフェイトに、なのはは心の底から思った。
 ――さすがにその味覚ばっかりは、移らないと思うなぁ。
 と。事実、傍から見てるヴィヴィオも若干引き気味だ。
 一度、フェイトの作るキャラメルミルクを飲んでから、おやつの時間はフェイトを避けるようになってしまっている。
 二人の僅かな表情の変化をフェイトが怪訝に思っていると、不意に、小さな足音が響いてきた。
 振り向くと、そこには彼女の娘同然の部下、キャロの姿があった。

「キャロ、一人でどうしたの?」
「あ、フェイトさん、なのはさん」

 胸元に本を押し当てるようにしたまま駆けて来たキャロの頭に、とん、と掌を載せる。
 こうやって撫でていると、絆のようなものが感じられるのだ。
 キャロは少し子供扱いされすぎているような気がして、若干不満なのだが、それでもやさしい姉のような存在に頭を撫でてもらえるのは嬉しいと思っている。
 その動作が終ると、キャロは口を開いた。

「えっと、実は……今読んでる本で、字が読めなかったり、読めても意味がわからないのがあって、誰かに聞こうと思っていたんです」
「そっか。どれどれ、ちょっと見せて」

 ふふ、とフェイトは小さな笑みを漏らした。
 そういえば自分も昔、なのはたちの世界の字――漢字が分からなくて苦労したなぁ。
 そんな自分が、地球とミッドという違いはあれど、文字を教えようとしている。それに、どこか感慨深いものを感じた。
 そうして、フェイトはキャラメルミルクを啜りながら、本の文字を追った。そう、何も考えずに。

419誤解旋風(センセーション):2007/08/08(水) 11:29:54 ID:i/rBf8t0
        ◇
 
「や、ぁ。なにを……」

 バインドで拘束された少女が、恐怖で震えた声を漏らす。

「へへっ、管理局のエースといえども、デバイスなしじゃあ形無しだな」

 男が汚らしい笑みを浮かべ、彼女のバリアジャケットを引き裂いた。
 妖艶なふとももが顕になった。汗で滑った白い肌は、ただひたすらに淫靡。
 その付け根にある清楚な白い下着――未だ何者もの侵入を許していない聖域を覆い隠す、最後の防壁。それに、そっと手をかけた。

「いやっ! やめて! やめてぇぇぇえええ!」

 少女の哀願が聞き届けられる事はなかった。白い下着はするするとふとももを下り、ひた隠しにされていた聖域が垣間見えた。

「やだ! やだやだやだぁ! 見ないでぇー!」
「おーおー、泣く泣く。そんなに恥ずかしいかい? でもな、本当に恥ずかしいのはここからなんだぜ?」

 男の言葉に不安を覚え、男が持つ『それ』を見た――見てしまった。

「な――なに、よ。それ」

 太い注射器のようなデザイン。だが、先端にあるのは針ではない。なにか、液体を出し入れするチューブのようなものに思えた。

「それは――実践で感じてくれやぁ!」

 凶暴な大きさのそれ。その先端が、少女のアナルを貫いた。

「は――ぅ、あ」

 今まで感じたことのない異物感に、肺の空気を吐き出してしまう。
 けれど、少女はすぐ知る事となる。それが、ただの前兆で在ることに。

「ぁ、ぁ、あああああ、あ!?」

 ぐぐぐっ、と注射器ならば引くはずである持ち手を押し込み出した。
 その瞬間、腸の中に液体がなみなみと注がれていく。

「あ、あ、あ、」

 ぐるる、とお腹が異音を発し、噴出するような排泄欲求が押し寄せてくる。

「さぁて、何分持つかなぁ」

 男はニヤニヤと、いやらしい笑みを浮かべて腹部に掌を押し込んだ。
 ぎゅるる――と異音が激しく鳴り響き、少女の瞳も大きく見開かれる。

「だ――や、はぁ……こんなところで、でちゃうぅぅ」

 白いおしりがひくひくと揺れ――止まった。

「あ、あ、あ、あああ、あっあっあっあっあっ!」
「おや? もう終わりか。どうやら、ここは凡人以下みたいだな」

 断続的に響く少女の悲鳴。それと共に、腸から吹き出そうとする異物を押さえ込んでいたアナルがゆっくりと開き――
420誤解旋風(センセーション):2007/08/08(水) 11:30:30 ID:i/rBf8t0
        ◇

 ――ぶびゅう、とキャラメルミルクを吹き出した。
 直線上にいたなのはの顔面に直撃しているが、今のフェイトにそんな些事を気にかけている暇は皆無であり絶無だ。

「きゃ、きゃきゃきゃ! キャロ! 一体全体なに読んでるのー!?」

 叫んだ。いや、それはもう叫びというか、咆哮というべきかもしれない。 
 慌てて表紙を確認し――タイトルを見た。

『墜落のエースシリーズ〜浣腸編〜』

 編!? というかシリーズ!? こんなものがもっと他に存在しているっていうの!?
 いや、ていうかキャロはなんでこんなものを読んでいるの!?
 責任感の固まりであるフェイトにとって、これは衝撃通り越して殺意すら覚えるような事態であった。
 無論、殺意といってもキャロに対してではない。この本を渡した、誰かに対してだ。

(コロス……誰だか知らないけど、コロス……)

 けれど、キャロはなぜフェイトがこんなに動揺しているのか理解できていなかった。
 そもそも、読めない字があったせいで、内容を半分も理解していなかったのだから、それも致し方の無い事である。

「ねぇ、キャロ? これ、誰に渡されたの? ちょっと、聞かせてくれないかなァ?」
「えっと、渡されたっていうんじゃないですけど……エリオくんが『好きな本を借りていい』って言ってたので、エリオくんの部屋から……ふぇ、フェイトさん!?」

 エリオの部屋から、の辺りでイスから崩れ落ちたフェイトに、慌ててキャロが駆け寄る。

(え――エリオ。エリオが……こんな、こんな本……)

 目の前が真っ暗になる。ああ、そういえば、プレシア母さんに真実を告げられた時も、こんな感じになったよね、あはは。
 このまま、今度こそ心を閉ざして倒れこみたい衝動に駆られたが――彼女の保護者としての責任感が、それを押しとめた。
 そうだ。エリオが間違った方向に行こうとしているのなら、わたしが止めなくちゃ。
 それが保護者としての、自分の役割なんだから……ッ!

「待っててエリオ、わたしが、わたしがぁ――!」
「あ、フェイトさん……」

 凄まじい速度で廊下を駆け抜けていくフェイトの背中を、キャロは呆然と見送っていた。

「……ねえ、わたしの立場ってなんなの?」
「なのはママ、大丈夫?」

 べっとりと顔面にキャラメルミルクを貼り付けたなのはが、寂しげに呟いた。
421誤解旋風(センセーション):2007/08/08(水) 11:31:37 ID:i/rBf8t0
◆エリオとフェイト

「つまり、そういうわけだ」
「でも、こういう場合、こうしたら――」
「違げーんだよ。そうするとこうなるだろ? だから――」

 ああ、そうか。

「ありがとうございました。すみません、時間とらせてしまって」
「なぁに、暇だったしな。時間さえありゃ、また付き合ってやるよ」

 ヴィータに接近戦の戦略について教わっていたのだが、思いの他時間がかかってしまった。
 再度おじぎをして部屋を出ると、そういえば、キャロはどんな本を取ったのかな、と思う。
 昼時だし、食堂にいるかな――そう思って歩み始めた瞬間の事だ。

「……あれ?」

 魔力反応? まさか襲撃!?
 そう思ったが、すぐにそれがよく見知った魔力だという事に気づく。

「フェイト、さん?」

 けど、六課内で一体なんで魔法なんか――そう疑問に思い始めた瞬間、曲がり角から雷光が駆け抜けてきた。
 その雷光は、エリオを確認するや否や神速で加速。空気を帯電させながら、こちらに向かってきた――直前で静止した。
 ……制服姿のフェイト。だが、その制服も、あまりの魔力に所々焼け焦げている。
 バリアジャケット展開の時間を惜しむほどに、急がなければいけない事態――それは一体なんなのだろう?
 怪訝に思うエリオの肩を、フェイトはわしっ! と掴んだ。凄い力だ。
 どうしたんですか、そう言おうとして見上げると、今にも泣き出しそうなフェイトの顔が飛び込んできた。

「エリオエリオエリオエリオエリオォォォォッ! どうして!? 一体どうしてそんな風に!? やっぱり仕事ばっかりで一緒にいてあげられなかったのが悪いの? ねえ!」
「ちょ、フェイトさん落ち着いてください! それじゃあなにがなんだかわからないですよ!」

 そ、そうだね。と深呼吸を何度か行うフェイト。そして、若干落ち着いたのか、じっと目を見て話しかけてきた。

「あのね、エリオ。キャロが借りてきちゃった本なんだけど――あれはもうちょっと大人になってからでもいいんじゃないかな?」

 本? 大人になってから? どういう事だろう。
 うーん、と頭を捻り、思い至った。
 そうだ。そういえばグリフィスさんに戦闘戦略の本を借りていたんだ。そして、キャロがそれを持っていったんだ。
 確かに、難しい事ばかり書いてあるし、下手に実践しようとしたら基本が疎かになってしまうかもしれない。それについて、フェイトさんも心配しているのだろう。
 少し前に、ティアナさんが無理をして、なのはさんにこっぴどく怒られていたから。

「大丈夫です、訓練には支障をきたさない程度にしてますよ」
「……いっ、いや、あのね? そういう話じゃなくてね?」
422誤解旋風(センセーション):2007/08/08(水) 11:32:33 ID:i/rBf8t0
 今にも泣き出しそうなフェイトを見て、エリオの混乱は深まっていく。
 なんだろう、僕、何かまずい事を言っているのかな? と。
 無論、マズイ事は言っていない。ただ、双方の前提条件が大きく食い違っているだけなのだ。
 だから、

「訓練終った後にヴィータ副隊長とその知識について話し合ったんですけど、『中々いいんじゃねーの?』って言ってもらえましたし。
それに、ティアナさんに頼りきってばかりじゃ、いざって時に困りますしね。ある程度は知っておいた方がいいと思うんです」

 こんな真面目な言葉も、非常に危険な言葉に成り代わるわけで。
 ヴぃ、ヴィータがぁ!? それにティアナまで!? と。なにか、この世の終りのような叫び声を上げるフェイト。後三十分で世界が崩壊すると言われた人は、
こんな表情を浮かべるのかもしれない。
 ……フェイトさん、色々と疲れてるのかな?
 ああ、そうだ。休みもなく、仕事の合間を縫って僕たちの訓練に付き合ったりしているんだしね。
 そう結論付けると、エリオは微笑んだ。満面の笑み。見たものを安心させる、柔らかな笑みだ。それを見て、若干フェイトの容態は回復し――

「無理はせずに精進していくつもりです。そして、いつかは『フェイトさんやなのはさんと一緒に』出来るように頑張ろうと思います!」

 ――地獄の底に叩き落された。

「…………ソ、ソウ。ソッカ、ガンバッテネ、エリオ」
「はい! それじゃあ、失礼します!」

 たたたー、と去っていくエリオの姿を眺めるフェイト。その姿は、まるで意志の伴わない人形のようであった。

         ◇ 

 エリオの背中が、曲がり角に消える。
 その瞬間、フェイトはその場に崩れ落ち、慟哭した。九歳の時、初めて友達になったなのはと別れる瞬間とて、こんなにも泣いてはいなかったはずだと思う。

「うん? どうしたテスタロッサ。こんな大声で――なっ!?」

 フェイトの声を聞きつけたシグナムが、部屋から顔を出し――ぎょっとした。
 子供、というよりも赤子の如く泣きじゃくるフェイト・T・ハラオウン十九歳。それは、中々見られる光景ではなかった。

「エリオ……エリオォ……ごめんねぇ。わたしが、ちゃんと一緒にいて上げられなかったから、あんな風に……う、うあぁぁ……」
「……いや、とりあえず落ち着けテスタロッサ。一体、なにがあった」

 しゃくりあげながら語りだすフェイトの言葉に耳を傾け――その突拍子もなさに呆れ果てる。

「……テスタロッサ。それはおそらく勘違いだろう」

 ティアナはどうかは知らないが、ヴィータとは長い付き合いだ。そういう方面に興味が向いていないのはよく知っている。 

「で、でも……」
「なにか致命的な齟齬あるのかもしれんな……とりあえず、本人に問うのが一番だ。私がヴィータに聞きに行こう」

 ……それに、こんな状況のフェイトをほっぽりだすわけにも行くまい。
423誤解旋風(センセーション):2007/08/08(水) 11:33:24 ID:i/rBf8t0
◆ヴィータとシグナム

「……あー」

 じんじんと痛む尻を撫でながら、ヴィータは呻き声をもらした。
 最近、自分が座るイスにガタが来ているのか、どうも座り心地が悪い。
 給料で買いなおそうとしたのだが、

「あかんよー、乱暴に扱うからそないになるんや。反省の意味も込めて、来週までそのままや」

 とはやてに言われたため、そのままの状態だ。
 ……なぜ自分のイスだけ他人に比べて消耗が早いのか。ヴィータは数瞬ほど悩むが、すぐさま思い至った。

「……いや、だってあれ、楽しいじゃん」

 言い訳をするように、ぼそぼそと呟き、机に突っ伏す。
 そう、正座で座り、背もたれに両手を載せて――ぐるんぐるん、と回る遊びのせいだ。
 実は、密かな楽しみだったりするのだが――この分じゃ自重しなくちゃなんねえな、と二度目の溜息を漏らした。
 アイゼンのメンテでもするか、と油を取り出す。本格的なモノはシャーリーにお願いするのだが、カートリッジシステムに油を差すくらいは
自分でやる。

「……うぉ、っと」

 そう思って瓶に手を伸ばした瞬間、運悪く放って置いた他の瓶に辺り、そのままボーリングの要領でなぎ倒された。
 がしゃあん! という大きな音と共に、油が散乱する。

「――うわっ、とと、タオルタオル! いや、それより先に箒とちりとりか」

 慌てて散乱したガラス片を取り除き、液体にタオルを押し当て吸収させる。
 けれど、思ったより溢した量が多かったらしい。タオル一枚では拭えそうにはない。

(エリオの訓練について書類にしなきゃなんねーし、とりあえずタオル五、六枚置いて吸収させておくか)

 やれやれ、と溜息を吐く。
 その溜息と重なるように、こつんこつん、とノいうックのが聞こえてきた。

「……あん?」

 誰だ? そう思いながらロックを解除すると、見知った姿が見えた。

「なんだ、シグナムじゃねえか。どうしたんだよ、一体」
「いや、少々聞きたい事があってな。今日、訓練後にエリオが部屋に来たのは本当か?」
「いやまあ、来たけどよ、それがどうした?」
「実は――」
「あ、ちょっと待ってくれ」
424誤解旋風(センセーション):2007/08/08(水) 11:34:06 ID:i/rBf8t0
 よっと、という軽い掛け声と共にイスから降りる。

「ちょっと尻が痛くてよ、座ったままじゃ痛くてしかたねーんだ」

 そう、エリオがきた時、ヴィータはイスに座った状態で会話をしていた。座り心地の悪くなったあのイスに、だ。
 思いの他、会話も時間がかかり、尻もじんじんと痛みを発していたのだが、急に立ち上がるのも変だ。
 けれど、「尻が痛くてなー」と新人に弱みを見せるのもな……と思い、結局最後まで座ったままだったのだ。

「……尻?」
「ああ。……っくー、なんかまだヒリヒリしてやがる」
「ヒリヒリ……だと?」

 ん? と首を傾げるヴィータ。なにか、シグナムの様子がおかしい気がする。

「んだよ」
「いや……考えすぎだと思う……ん?」

 瞳を逸らしたシグナム、その視線の先に、妙なものがあった。
 そう、不自然におかれた、タオルの山。
 そして、この前部屋に来たときまで存在していた瓶が、一本もない。
 それが意味するところは――

「ああ、それか? ちょっと汚しちまってさー、ああやって吸収……あん? どーしたんだ、シグナム」
「…………いや、お前も子供ではなかったのだな、とな」
「ったりめえだ! 言ってるだろ、あたしは大人だってな!」

 ……確かにな。
 ぼそり、と呟くと、シグナムはそのまま部屋を出て行ってしまった。

「……結局、あいつ何しに来たんだ?」
425誤解旋風(センセーション):2007/08/08(水) 11:34:55 ID:i/rBf8t0
◆はやてとグリフィス

 八神はやては怒っていた。激怒、といってもいいくらいだ。
 先程、泣きじゃくるフェイトを見つけたのが十分ほど前。
 その理由を聞き、エリオに「その本って誰からもろたんー?」と問うたのが数分前。
 思いもよらない相手――グリフィスの名が出て驚愕したが、彼も男、という事なのだろう。
 そして、放送で呼び出しをかけたのがついさっきだ。

(グリフィスくん、事と次第によっちゃあ、あたしとなのはちゃんの二人で頭冷やさせるからね)

 内心でそう呟き、瞳を剣呑に光らせる。
 こんこん、というノック音。扉の外から、「八神部隊長」という声、グリフィスだ。

「入ってええよ」
「はい、失礼します」

 そう言って入室してくるグリフィスの顔は、困惑に彩られていた。なんで自分が呼ばれたのか分からない……そんな表情だ。

「まあ、今回はちょっと前説抜きで聞かせてもらうで――グリフィス君が、エリオに貸したっていう本の話や」
       
        ◇

(エリオに貸した本――ああ、戦闘戦略、でいいのかな?)
 エリオに貸した本なんてそれしかないので、他に選択肢はない。
 けれど、

「……あの、なにか問題がありましたか?」
「あっ、ありましたかって……」

 ほっ、本気で言うとるん? と鋭い瞳でにらまれ、困惑する。

(少し、落ち着こう。なぜ八神部隊長がこうも怒っているのかを)

 やはり、今の状態では早い、という事なのだろうか? 下手に知識をつけても、逆に動き難くなる、と。
 しかし、グリフィスにはそうは思えなかった。エリオは真面目ではあるが、子供故の柔軟な思考も持っている。知識に囚われる事は
ないと判断したからこそ、貸し与えたのだ。

「はい。エリオの強い要望があったから、というのもありますが――上手く動くには、ある程度の知識も必要と感じましたから」

 咄嗟の指示を上手く理解するには、ある程度の下地も必要だろう。問題はないはずだ。
426誤解旋風(センセーション):2007/08/08(水) 11:36:03 ID:i/rBf8t0

         ◇

(うっ、動く!? どこ!? どこを動くねんよ!?)

 真顔で淡々と語るグリフィスにはやては愕然とした。
 おかしい。なに? なにがどうなっとるん? グリフィスくんこんなキャラちゃうやろ!?
 真面目な副官の知られざる素顔に混乱する頭。それを必死に押さえ、なんとか言葉を紡ぐ。

「で、でもな。あんな――その、を、わざわざ、貸すなんて」
「……? いえ、こういうものって回し読みするものでしょう?」

 専門的な書物は高額だ。いちいち買ってたらお金が足りなくなる。
 そのために図書館があり、また、友人通しで必要な物を買い、回し読みをする。

「回し読みって――み、みんなで読むもんなん?」
「ええ。自分も訓練校時代はクラスの男女と一緒に回し読みをしていました」
「男女!? ていうか女もなん!?」

 愕然と。なにか、今まで信じてた世界がガラガラと崩れ落ちていくのを目の当たりにした少女のような表情で叫んだ。

「……ああ、そういえば八神部隊長は地球の学校――中学は女子だけ、訓練校は三ヶ月だけしか行っていないんでしたね。
それなら、知らないのも仕方がないかもしれないですけど、普通の学生はこうですよ?」

 いやまあ、あたしそういう男の子の付き合いなかったけど……と俯きながらぼやく。

「あの、そろそろいいでしょうか? 明日までにまとめて置きたい書類があるので」
「……うん、ええよ。ごめんな、呼び出して」

 いえ、と答えグリフィスは退出した。
 一人になったはやては、そのまま机に突っ伏した。

「……わからへん。あたし、男の子がわからへんよぉ……」
427誤解旋風(センセーション):2007/08/08(水) 11:37:00 ID:i/rBf8t0
◆なのはたちとエリオ

「ママー、これってどういう意味なのー?」
「えっと、あの、その……ね? なんていうか、その」
「フェイトさん、これ読んだら急にどっかに行っちゃいましたけど、どんな内容なんですか?」
「えっと、それは、それは、それは――ッ!」
(フェイトちゃんの――フェイトちゃんの馬鹿ぁぁー!)

 高町なのはは、この時ほど親友を恨んだ事はない。
 この本を放置した状態で去っていくものだから、キャロは自分に質問してくるし、それを見たヴィヴィオも興味を持ち出すし……

(だ、誰か。誰か助けてー!)

 官能小説片手に小さな女の子二人に質問攻め――否、責め――にされているその姿は、シュールなんてレベルじゃない。

「あ、エリオくん」
「え!? エリオ!?」

 ぐりん、と首を動かしてキャロの視線を追うと――うむ、確かに赤髪の少年がこちらに向かってくるところだった。

「キャロ。それになのはさんにヴィヴィオも――どうしたんですか?」

 どうしたんですかじゃないのッ! そう怒鳴りたくなるのを必死に押さえる。

「あ。そうだ、エリオくん、ここの字って読める?」
「あ、ちょ、キャロ!」

 なのはの制止も聞こえてないのか、ある種核爆弾のような書物を掴み、エリオの元に向かっていく。

「ちょっと待ってね、えっと――――えぇッ!?」

 ちょっとまて、なんだこれは。そんな内情が透けてみる叫びだった。

「きゃ、キャロ。これは一体……?」
「言われた通り、エリオくんの部屋から持ってきたんだよ。あ、そうだ。鍵返さないとね」
「あ、ありがとう……ってそうじゃなくてぇ! そんなもの持ってないよ僕は!」

 そこまで言って、ふと、先程フェイトと交した会話を思い返してみた。
 …………血の気が引いた。引きすぎて顔が真っ青通り越して土気色になった。
 どんな変態だよ僕は……と呟き、そのまま地面に倒れこんだ。

(この反応――持ち主はエリオじゃない?)

 最初は誤魔化す為の演技か、と思ったが、さすがにあの顔色の変化は演技では出来ないだろう。
 エリオを介抱するキャロを横目に、だったら誰が、と考え込む。
 その最中の事だった、
428誤解旋風(センセーション):2007/08/08(水) 11:38:07 ID:i/rBf8t0
「なのはさん、どうしたんすか? この騒ぎ」

 ヴァイスが現れたのだ。つい先程までヘリの整備をしていたのか、服は若干汚れている。

「うん、実はね――」

 なのはが、自分の知っている範囲で今回の事を説明した。
 すると――あからさまにヴァイスの表情が変化した。慌てて取り繕ってはいるが、それを見落とすエースオブエースではない。

「ヴァイス陸曹。ちょっとお話があるから、訓練場に行こうか」
「ちょ、違う! なのはさん、俺はなにも――!」
「あれ、ヴァイス陸曹」

 不意に、アルトが食器を片手に現れた。

「どうしたんですか? っていうより、今朝なんで六課の壁でロッククライミングなんてしてたのか、聞いてもいいですか?」
「なっ!? ばっ、馬鹿!」

 瞬間、食堂の空気が凍った。凄まじい重圧、もしここにティアナがいれば、「ごめんなさいごめんなさいごめんなさい」とトラウマ全開となっていただろう。

「……ふうん、大体飲み込めたよ。――フェイトちゃん、はやてちゃん、シグナムさんにヴィータちゃん。ちょっといいかな?」

 隊長たちに念話で事のあらましを語りながら、ヴァイス陸曹を引き摺って訓練場に向かっていった。

◆スバルとティアナ

「いやー、まさかエンジンが止まっちゃうなんてね」
「全くよ。おかげで随分と遅くなったわ」

 ティアナはそう言って、溜息を吐きながらバイクを押していた。

「隊長たちに通信も繋がらないしね、一体どうしたのかな」

 坂道に差し掛かる。ティアナとスバルは後退しながらバイクを押し上げていく。
 後でヴァイス陸曹に見てもらわないと、と内心で考えていると――ふと、遠くで閃光が走った。

「うわー。あれって隊長たちだよね。休日なのに、あんな大魔法の訓練なんて……」
「……いや、訓練って感じには見えないけど」

 なにか、逃げ回る物体を追い詰めるように魔法を放ち続けているのを見て、誰かをいたぶっているようにも思えた。
429誤解旋風(センセーション):2007/08/08(水) 11:40:31 ID:i/rBf8t0
投下完了です。
楽しんで書けた話ですが、どうですかね? 
24kbとかなに、ふざけてるの、って感じですがにゃー。
430名無しさん@ピンキー:2007/08/08(水) 11:50:45 ID:qZ4cKGeU
なんというカオスwwwww
というかお前ら、会話の繋がり方が絶妙にも程があるわwwwww
431名無したん(;´Д`)ハァハァ:2007/08/08(水) 11:58:40 ID:40nPHlKy
>>429
GJ!
というか、本のチョイスに>>429氏のこだわりを感じた。

>>――ぶびゅう、とキャラメルミルクを吹き出した。
ここでくそみそ吹いた。繋げ方うめぇw一瞬あれの比喩がキャラメルミルクとか
思ってしまったジャマイカ。そしてなのはさん乙。

管理局のエースと、そのエースを拘束しているのがバインドというあたりから
一瞬この本の一番最初の出所が、出番のない某司書長のところだった日には
なのはさんがどんな反応するんだろうなとか考えてしまった俺ガイル。
432名無しさん@ピンキー:2007/08/08(水) 11:59:51 ID:82FXtH4R
>>429
GJ!
ヴァイスさんももっと普通のを渡せば良かったのに。
433名無しさん@ピンキー:2007/08/08(水) 12:02:29 ID:pFnAPrY3
y=ー( ゚д゚)・∵. ターンA氏
GJ!
とりあえず、オリキャラの赤髪戦闘機人を想像し萌えた俺は負け組
出産時とエリティアのラブラブっぷりをまっちょる
434名無しさん@ピンキー:2007/08/08(水) 12:04:52 ID:C4Y3ezM3
GJ!
でもヴァイス陸曹はなぜ、お尻のを置いて行ったんだ?
普通のがないのか?やはり彼の趣m(ry
435名無しさん@ピンキー:2007/08/08(水) 12:07:41 ID:XD+aTvnW
>>429
GJ
容量は気にしなくていいんじゃね?
ここの作品群30kオーバーはざらにあるよ
50k超えの某作品に比べりゃ半分にもならん
436名無しさん@ピンキー:2007/08/08(水) 12:55:46 ID:MsJY3bNN
でも、早い奴ならエリオの歳だともうすぐだよな。二次性徴。
ああいうの持ってないと困らないか?
ヴァイスの行動はともかく考えは正しいと思う。
だからといっていきなり緊縛排泄は無いと思うが。
437名無しさん@ピンキー:2007/08/08(水) 13:46:05 ID:Htwd6aeZ
>>429
比喩表現とかじゃなくて
【(´゚ω゚):;*.':;ブッ 】とやってしまったじゃまいか!
「濃い味」返せwww
438名無しさん@ピンキー:2007/08/08(水) 14:10:09 ID:B4LZMJbW
>>434
逆に考えるんだ、『エリオに渡すからこそ尻ネタ』だったんだと。

つまり幼い彼女をいたわるためにも前より後ろで(なんか槍っぽいものに串刺しにされる音
439名無しさん@ピンキー:2007/08/08(水) 15:06:28 ID:OmU/576J
>>438

最初の一行見たときヴァイスがそういう趣味なのかと思っちまったじゃねーかwwwww
440名無したん(;´Д`)ハァハァ:2007/08/08(水) 15:18:39 ID:40nPHlKy
>>439
おまwwwwもう>>438の最初の一行がそっちの方向でしかみられねぇwww

ヴァイス×エリオ、新しすぎるぞw
クロノ(15)×ユーノ(9)がマンネリになったシャ○ルさんの新ネタだな
441名無しさん@ピンキー:2007/08/08(水) 15:48:54 ID:HKhRQYQa
エリはやの人続きマダー?
442名無しさん@ピンキー:2007/08/08(水) 15:50:00 ID:EXZlFbkP
「ヴァイス×エリオ……これね」
443名無しさん@ピンキー:2007/08/08(水) 16:08:36 ID:9dlRnAdl
>>442
そろそろ最終決戦なんですから、マンガ描いてないで仕事してくださいシャマル先生www
444名無しさん@ピンキー:2007/08/08(水) 16:24:45 ID:aTVIRqWA
バカ、入院してて暇だったんだよ
445名無しさん@ピンキー:2007/08/08(水) 16:28:59 ID:JLQgo2xZ
で、二人力合わせてザフィーラを掘ると
446名無しさん@ピンキー:2007/08/08(水) 16:40:57 ID:OEaRPlc3
ておあアッー!
447名無しさん@ピンキー:2007/08/08(水) 16:58:24 ID:Q7snuO7P
個人的に故人キャラでは舞乙のレナママ並に好きなキャラの
ママジマことクイント・ナカジマのエロパロを見てみたい
448名無しさん@ピンキー:2007/08/08(水) 17:39:58 ID:E4pgrMLO
エリオを道化にするのって難しいんだよな〜どんな倒錯性癖でもキャロが許容しちゃいそうだし。


ところでグリフィス君はシャーリーの作った人型デバイスじゃなかったのか?
449名無しさん@ピンキー:2007/08/08(水) 18:25:19 ID:oSU5QvYf
>>429
ありそうで新しいwワラタww
ヴァイス×エリオでいいよもうwwwww
450名無したん(;´Д`)ハァハァ:2007/08/08(水) 19:38:14 ID:40nPHlKy
>>448
多分、姉属性は許容してくれないぜ。その場合フェイトにとられるかr(ry
451名無しさん@ピンキー:2007/08/08(水) 19:49:59 ID:w3GUHAal
>>429
GJ!作品全体の表現の巧みさとキャラの台詞の繋がりの絶妙さに脱帽!ww
452名無しさん@ピンキー:2007/08/08(水) 20:08:32 ID:BO6lUpha
>>429
義妹さんは元気にメイド学校に通ってますか?
それはともかくGJ!
エリオ分が補給出来たぜ!
453名無しさん@ピンキー:2007/08/08(水) 20:12:59 ID:OOCHYy79
>>429
投下GJ!!!
ヴァイス陸曹乙〜(−人−)ナムナム
>>439-440
おまいらの所為でこの一件が全てヴァイス陸曹がキャロからエリオを奪い取るための策略に見えたじゃねーかwww
454246:2007/08/08(水) 20:19:44 ID:Y1TLi/Ae
前回、読んで頂いた皆様、感想レスをくれた皆様ありがとうございます。246です。

最近、職人さんの投下ペースにタイミングが合わず、残業なんてくそ喰らえって感じ
です。

今回もエロなし。というか、しばらく無いです。

注意

後に鬱展開鬱エンドです。
なのはさん、後に多大に病みます。
フェイトさん、後に軽く病みます。

では。
455Nameless:2007/08/08(水) 20:20:43 ID:Y1TLi/Ae
「ふぅ……」

 今日一日、疲れた体をベッドに預け、スバルは疲労感から目を瞑って息を吐いた。時
計を見れば、まだ眠るには早すぎる時間。だが、いつも通りティアナとじゃれながら、
眠くなるのを待つ気も起こらない。

「あんた、最近何やってるの? 今日だって昼休みに抜けて、休憩してるわけでもなさ
そうだし、そもそもあんた、許可とって外でてるんでしょうね?」

 ベッドに横たわったまま、つけられた電気に眩しそうに目を腕で覆って、スバルが応
える。
 一言、大丈夫だよと呟いた。その後は共に無言。ティアナは椅子に座り、今日一日酷
使した己のデバイスへのねぎらった。

「体は大丈夫……このくらいでおかしくなったりしないから……許可は……大丈夫」

 長い無言に先に耐えられなくなったスバルが、もう時間を置きすぎてしまった質問
に、精一杯の言葉で答えていた。
 ティアナからの反応は無い。ただ、下でベッドが軋みをあげただけだった。
 しばらくして電気が消える。だがそれでも、ティアナからは眠った様子が感じ取れ
ない。
 全身に襲い掛かる疲労感は、ティアナと話したことでほんの少し和らいだ。だが、晴
れることの無い気分は、ここ数日続けている一つの行動故。
 思い出し、ため息を一つ吐いてからおもむろにスバルが言葉を投げた。

「ティア」
「何よ、あんたが眠そうだったからこうやってベッドに入ってあげてるのよ。とっとと
眠るなら眠りなさいよ」
「ん、ありがと……そうだね……」
「待ちなさい。言いかけたのだけ聞かせなさい。気になって眠れないわ」

 ティアナなりに気を使ったのだろう。言葉とは裏腹に、声に微かにまどろみが入って
いた。
 疲れているのはティアナも同じ。訓練中、コンビである彼女にはきっと負担がかかっ
ているはずだから。
 それでも、やめる事はできなかった。

「ティアはさ、好きな人とかいないの?」
「いないわよ。そんな余裕がどこにあるのよ……で、それがどうしたのよ」
「ううん……何でもない」

 会話はそこで終了した。ティアナは眠ったのだろう。再度、スバルが声をかけても返
事は無く、耳を澄ませば微かに聞こえてきたティアナの寝息。
 寝ようと、スバルも目を瞑り意識をゆっくりと沈めていく。底は思いのほか浅かった
ようだ。間を置かずに完全に眠れる、そう思った矢先、瞼の裏側に現れた人に眉を狭め
た。
 出てくるのは、もう馴染みとなった苦笑を浮かべる彼の姿。

「十年、長いなぁ……二人とも、すれ違ってるだけなのに……」

 あと少し、勇気を出せば手を取れるのに。
 眠りに入る直前、そう呟いてスバルは二人の笑顔を思い出した。
 
 ――――後、もう少し。頑張ろう。
456Nameless:2007/08/08(水) 20:21:52 ID:Y1TLi/Ae
魔法少女リリカルなのはStrikerS
―Nameless―
(2)


 「はーい、みんなお疲れ様。午前の練習はこれで終わり。みんな、ゆっくり休んで
ね」
 「お疲れ様でした……」

 なのはの報せを受け、ガクガクと足を震わせていたスバルたちはそのまま一気に地面
に崩れた。練習着はドロだらけ、貼り付く汗の不快感にシャワーを浴びたくとも、体は
一向に動いてくれない。

「ったく、ちっとはよくなってるって思ってたけど、お前らだらしないぞ」

 そんな状態の新人フォワード達に、ヴィータはため息を吐いて睨みなながら、横目で
なのはの事を見る。
 相変わらず、フェイトと真剣な表情で今日の新人達の様子を話し合い、次回の予定を
調整しているようだった。頭に叩き込んでいるスケジュール表を詳細に思い描き、些細なズレも見逃さないように。
 何もせず、火照った体を癒すようにそれを眺めていたヴィータが、おもむろに視線を
ティアナに移動させる。
 ぐったりと、スバルたちの会話にも混ざらず座って俯き、ただ乱れている息を整えよ
うとしている様子に、ヴィータが眉をしかめ歩み寄る。

「ティアナ、大丈夫か? まぁ、今日の練習は指揮してるお前に負担がかかったかもし
れねぇけど、そんなきつかったか?」
「はぁ、はぁ、大丈夫、です……」

 その様子は、決して大丈夫なわけではなく、練習での疲労が大きすぎることを如実に
していた。

「あんま無理すんな、また叱られるぞ」

 言いながら、ティアナが叱られることは無いだろうと、再びなのはを伺う。予想通
りといった所か、フェイトと話しながらなのはは固い顔をして彼女を見ていた。ヴィー
タの視線に気づいたところで会話は終了。疲れた体を引きずるように歩くティアナ達の
背中を見送って、なのはがヴィータに頷いた。

「大丈夫、ちょっとお話してみるから」
「あぁ、よろしくな」

 なのはに頷き返し、ヴィータが昼食のために背を向ける。歩き出し、背中にかけられ
た声に振り向いた。

「分かってるよ。シャワー浴びたら来いって言えばいいんだろ?」
「うん、よろしくね」

 いつも通りの笑みを浮かべたなのはに背を向け、手を振りながらヴィータは隊舎に
入っていく。
 目的地は分かっている。丁度いいと、自室からバスタオルを手にシャワー室へ。
 扉を開け放った瞬間、襲い掛かるのは汗が出るような熱気。だが、練習後の体には
それは心地の良いものだった。
 足を進めることも無く、ヴィータは彼女の姿を目に留める。それは、シャワー室にい
た皆も同じだったのだろう。当然のごとく裸のヴィータに、全員が目を丸くして首をか
しげた。
457Nameless:2007/08/08(水) 20:22:58 ID:Y1TLi/Ae
「あれ、ヴィータ副隊長珍しいですね。こっちのシャワー室使うなんて」
「まぁそうだな。別に使ってねぇわけじゃないけど、時間がずれることも多いしな。そ
れよりスバル」
「えっ、は、はい……」

 ギロリと鋭い目で見上げられ、思わずスバルが狭い個室でたじろいだ。
 その様子だけで、自覚があるのだろうということは分かった。自覚があるならば、な
のはのお叱りも軽いだろうと、最近あったことが事だけに内心で安堵の息を吐く。

「まぁ分かってるならいいや。後でなのはの所行って叱られて来い」
「はい、すいません……」

 肩を落としたスバルを、気の毒そうな目で他の三人が見つめた。静まりきったシャ
ワー室に、タイルに水が弾ける音と、それに掻き消されるほどのキャロの慰める声。
 大丈夫だよ、と言ったスバルの顔はお世辞にも笑顔とは言えない困り顔。
 何とも言えない重苦しい雰囲気の中、スバルが先に出てなのはの元へと歩を進めた。
 部隊長であるはやての個室の近くに位置する、教導官であるなのはの個室と執務官の
フェイトの個室。
 法務関係と捜査を取り仕切るフェイトは、ここに足を踏み入れることは珍しくない
が、主な仕事が新人達への教導であるなのはがここにいることは殆ど無い。
 ここでやることといったら、なのはでしかできない教導官としてのオフィスワーク
か、サポート役のヴィータとの話し合い。

「スバル・ナカジマ入ります」
「どうぞ」

 もしくは、今のスバルのような状況くらい。
 緊張でじっとりと汗をかいた手を落ち着き無く動かし、スバルは座ったままのなのは
に視線を向けられずにいた。
 分からない何かで叱られると思うより、分かりきっている事で叱られるほうがその衝
撃も大きいから。そしてそれが、自分自身いけないことだと分かっているならなおさら
に。

「あの場では言わなかったけど、今日の練習酷かったね」

 叱るというよりは、子供を諭すような静かな声で、おもむろになのはが話し始める。
 立ったまま俯いているスバルは、反論することも出来ず小さく謝るだけだった。

「練習自体はちゃんとやってるように見えたけど、それだけティアナが頑張ってたって
事かな。ヴィータ副隊長も、フェイト隊長も分かってたよ。ティアナがスバルの分まで
やってるって」
「すいません……」
「謝るならティアナとライトニングの二人ね。私に謝っても意味ないよ」

 鏡を見れば、もしかしたら自分は泣きそうな表情になっているのかもしれないと、唇
を噛んだ。
 分かっていたことだったけれど、改めて言われるのは思っているよりも辛かった。

「スバルが一番しなくちゃいけないことは?」
「……ちゃんと元気に帰ってくることです」

 そんな事、普段からなのはを見ていれば分かること。改めて言われるまでもない事だった。
 小さな物音は、なのはが立ち上がった音。そのままデスクを回り込み、肩を震わせた
スバルの手をとる。
 思わず顔をあげたスバルが見たのは真剣な、それでも優しいなのはの表情。
458名無しさん@ピンキー:2007/08/08(水) 20:23:47 ID:XfIpyc0v
>>429
GJです
あとワンツーマンじゃなくマンツーマンだな
459Nameless:2007/08/08(水) 20:23:58 ID:Y1TLi/Ae
「本当は違うこと言ったら、もっと叱ろうと思ったんだけど、分かってるなら大丈夫か
な?」
「……」
「分かってるのに、練習中に考え事するほど悩んでること?」
「悩んでるとかじゃないんです……ただ……」
「じゃあ、大事なこと? それしか考えられないくらい、大事なことかな?」

 怒らず、それでいて甘やかす訳でもない心配そうな声だった。
 そのなのはの言葉にスバルは迷う事無く頷きながら、震えた声で謝った。それは、心
配をかけているみんなへの罪悪感から。

「大事なことなんです……凄く……」
「そっか、じゃあしょうがないよね。早く、いつも通り練習に力入れられるようにして
ね。スバルに何かあったんじゃないかって、エリオもキャロも心配してるみたいだか
ら。後、ティアナに特に謝っとくんだよ」

 微かにと頷いたスバルに、なのはが終わりと肩を叩いた。先ほどとうって変わって
の笑顔は、それでもスバルの心を晴らすには至らない。だが、それでも少しだけ軽くな
ったつもりで、スバルが頭を下げて部屋を出る。
 それを見送ったなのはが、疲れた表情でソファに座り大きなため息を一つ吐いた。

「甘いなぁ……もっとしっかり怒るべきなのに……」

 それは、余りにもスバルの言葉が予想外だったから。自分の質問に、あんな答えを返
すとは思っていなかったから。
 こんな所で、自分の気持ちは伝わっていると分かっても、素直に喜べるものではな
かった。

「そうだね、いつものなのはに比べればちょっと甘かったかな」
「フェイトちゃん」

 いつからそこに立っていたのか、気づけばフェイトが苦笑しながらなのはの隣に同じ
ように腰を下ろした。
 本来ならば、勤務時間である今は一言入室を報せなければいけないのだが、それは二
人だけしかいないということで互いに疎通は出来ていた。
 微笑んだフェイトに対しなのはに笑顔はなく、フェイトの肩に寄りかかりながらな
のはは先ほどと同じようにため息を吐く。

「もぅ、なのはママそんなんじゃヴィヴィオに心配されちゃうよ?」
「やめてよぉ……恥ずかしいなぁ……」
「何言ってるの。あの子の保護責任者になるって言ったのはなのはだよ」

 その、なのはが赤面する言葉はフェイトなりに気を使った証拠。フェイトの言うとお
り、自分で言い出したことなのにもかかわらず、なのははフェイトに更に体を傾け些細
な抵抗をしてみせた。

「ママかぁ、エリオやキャロだって、フェイトちゃんの事そんな呼びかたしてないのに
ね」
「エリオは……あれだし、キャロもヴィヴィオとは違うよ」
「ごめん私、変なこと言っちゃった。そうだよね……まだ、あんなに小さいもんね」

 言葉にしたことに軽く自己嫌悪しながら、なのはがフェイトに密着させていた体を
離す。
 もうここでする事は今日は無い。なのはが、部屋を出ようと同意を求めるようにフェイトを見つめ、彼女の表情の変化に微かに心臓を大きく動かした。

「ユーノの事、聞かなかったでしょ?」
「別に聞く必要ないよ、スバルもしっかりやるって言ってたし。スバルがユーノ君と何
やってるかなんて――――」
「聞く必要は十分あったよ。それが教導に支障をきたしてるなら特にそう」
460Nameless:2007/08/08(水) 20:25:03 ID:Y1TLi/Ae
 静かだが、なのはを責めるような声だった。
 教導官として責任あるなのはに対しての、執務官としての言葉。
 なのはが俯いたことで硬かった表情を元に戻し、フェイトが立ち上がりながら笑顔を
作る。

「まぁ、分かってもらえたならいいよ。それよりなのは?」
「ん……何、まだあるの?」
「あんまりぐずぐずしてると、スバルにユーノ取られるよ? なのははいいの?」
「なっ、何言ってるのフェイトちゃん!?」

 フェイトの言葉に脱力し真っ赤になりながら、なのはが手を暴れさせて声をあげた。
その声は余りの驚きに裏返り、思わずフェイトが声を出して笑うほど。
 だが、それが余計になのはの顔を熱くする。子供のように頬を膨らませ、フェイトを
残して部屋を出ようとした刹那、謝りながらフェイトに腕を掴まれ、なのはが半目でフ
ェイトを睨んだ。

「今のは冗談だけど、いつまでもゆっくりしてたらユーノも待っててくれないよって
事。好きなんだから、もっとちゃんとアピールとかしないと」
「ち、違うっ! そんなんじゃないよっ、ユーノ君は――――」
「私の幼馴染で親友で家族なんでしょ? もうそれ聞き飽きたよ」

 それを言うたびに、彼女は心を締め付けている。それは、誰にでも分かること。
 逃げ出さないように、フェイトがなのはの腕を強く握ったままなのはを見つめた。逃
げられないと悟ったのか、なのはもフェイトの赤い瞳を見ながら恥ずかしそうに体を動
かした。
 フェイトがなのはを抱きしめ、その背中を優しく撫でる。抱きしめられたなのはは、
フェイトの暖かさを感じながら、ゆっくりと目を瞑った。

「でも、ユーノの事好きなんでしょ?」
「……好きだよ。ずっと好きだったもん……誰かに取られるなんて考えたくないよ」
「じゃあ、頑張んなきゃ。ゆっくりちょっとずつ、なのはらしくでいいから」

 なのはが頷くのも確認せず、なのはから体を離したフェイトがそのままなのはを残し
て部屋を出た。
 同じようになのはも部屋を後にし、食堂に入ってヴィヴィオを見つけた。

「ヴィヴィオ、なのはママも一緒に入れて欲しいな」
「うん、いっしょにたべよ?」
「ありがとー」

 ヴィヴィオの隣に座り、そのすぐ近く、微かに居辛そうに会釈をしたスバルに微笑
み、なのはが食事を口に運んだ。
 一口食べるだけで、疲れた飛んで行くような美味しさがあった。満面の笑みで食べて
いるヴィヴィオも、同意を求めるかのように笑ってみせる。

「おいしい?」
「うん、おいしいよ。そうだヴィヴィオ、なのはママが食べさせてあげる」
「うん、あーん」

 なのはが差し出したスプーンを、勢い良く咥えるヴィヴィオの子供らしさに気を良く
し、次々とヴィヴィオの眼前にスプーンを差し出す。
 ヴィヴィオの笑顔を見ながら、なのはは無意識にユーノの事を脳裏に浮かべる。

「あぅ……もっと」
「あ、ごめんごめん。はいヴィヴィオ、あーん」

 変わらないヴィヴィオの動き。それに、彼を思い描いて重ねてみた。
 きっと、ユーノはこんな事全力で拒否するのだろう。フェレットの時ならいざ知ら
ず、真っ赤になって慌てる姿は想像せずとも容易に分かることだった。
461Nameless:2007/08/08(水) 20:26:11 ID:Y1TLi/Ae
 ――――あんまりぐずぐずしてると、スバルにユーノ取られるよ。

「……っ!」

 不意に、そんな気にする必要もないフェイトの冗談が頭に浮かんだ。何か、棘のよう
な鋭いものが胸に突き刺さったような痛み。
 それはまるで、フェイトの雷撃魔法を受けた時のようで、フェイトが言葉と共に気づ
かないように撃ったのではないかと錯覚してしまうほど、確かなものだった。

「今の……何で……?」
「どうしたのー? どこかいたいの?」

 子供はそういった変化に敏感だ。それは子供だけではなく、警戒心が強い相手や気に
なる相手には一様に言えること。。
 ヴィヴィオに心配させないようにと笑顔を作り、スプーンを差し出すが胸の痛みは少
しも取れた気がしない。

「ん……はい、なのはママにもあーん」
「うん、ありがとうヴィヴィオ」

 ヴィヴィオに差し出された食事を同じように頬張るが、頭の中からユーノの事が離れ
ない。
 別に、取られるなんて思っているわけではない。フェイトも冗談だと言っていた。た
だ、それがスバルではないにしろ、確かにそういう事は絶対無いとは言い切れない。

「……」

 全く実感がわかないユーノの隣にいる人。将来、彼はどんな人と幸せになるのだろう
と考えて、内心でため息を吐いた。
 気にすることは無い。ゆっくり自分らしく、そう何度も心に言い聞かせていく。
 ふぅっと、息を吐いてで心を入れ替える。もうすぐ午後の業務が始まってし
まう。皆に迷惑は掛けられない。

「じゃあ、なのはママお仕事だから。ヴィヴィオは、いい子でお留守番しててね」
「うん、頑張ってね」

 ヴィヴィオに自室へ送り届けた後、拳を握り締めて気合を入れた。

 ――――後もう少し。頑張ろう。


* * *


 その日の夜、業務を終えてベッドに体を倒せば、淡い眠りが体を包み込んだかのよう
に、心地よい重さが感じられた。

「なのはママ、もうおやすみなの?」
「ん? 大丈夫だよ、ママまだまだ元気だから」

 言ったと同時、扉が開く音共に現れたフェイトが、ヴィヴィオに帰りを報せながらな
のはの元に歩み寄る。
 それに、なのはが微かに体を強張らせるが、ヴィヴィオはそれに気づかず帰ってきた
フェイトの足にしがみ付いた。

「フェイトママ、おかえりなさいー」
「うん、あの、ヴィヴィオ……フェイトママ、歩けないんだけど」

 眉を下げて苦笑するフェイトから離れ、ヴィヴィオがソファに転がった。フェイトが
その隙になのはへと歩を進め、見上げるなのはに苦笑い。
462Nameless:2007/08/08(水) 20:27:16 ID:Y1TLi/Ae
「本当に冗談だったんだけど……やっぱり元気にならないね」
「……大丈夫だよ、一晩寝れば元気になるよ」
「そっか、焦っちゃったんじゃないかって思ったんだけど」

 制服を脱ぎ、部屋着に戻ったフェイトが昼と同じようになのはの隣へ座ってヴィヴィ
オを抱きしめた。風呂に入ったヴィヴィオの頭を気持ちよさそうに撫でながら、頬を膨
らませたなのはに、どうしたのと首を傾げる。

「焦ってないけど……フェイトちゃん、私の応援してるのか分からないよ。ゆっくりっ
て言ったりお昼の時みたいなこと言ったり……」
「応援してるよ。なのはの幸せなら、私も嬉しいから……応援してないわけ無いよ」

 本当に困ったような表情のフェイトに、慌ててなのはが弁解をした。
 今のはお昼のお返しのつもりだった。本当に、フェイトが自分の事を考えていること
は良く分かっている感謝もしてる。だから、その気持ちに早く応えてあげたいと、そう
思っていた。
 不意に、抱きしめたままのヴィヴィオが、眠たそうに目を擦った。重くなりだした瞼
がヴィヴィオの目を塞ごうと更に眠気を増やしていく。

「そろそろ寝ようか、明日も早いしね」
「そうだね……ヴィヴィオ、なのはママと一緒に寝ようか?」
「う、ん……ままと、いっしょ……」

 その最後の力を振り絞ったようなヴィヴィオの声に、思わずなのはとフェイトが声を
出して笑い合う。
 電気を消して、目を瞑る。そうすれば、眠気を感じていた体はすんなりと生ぬるい湯
につかっている様に動きづらいものになる。
 寝息を立てたフェイトの顔を見ながら、なのはが手を伸ばしたのは目覚まし時計。起
床時間を示す時間を少しだけ動かして、今日やることはそれで終わり。

「ん……」

 その朝、重たい瞼を擦って時間を見れば、昨夜セットした時間の10分前。二人が起
きないようにベッドから抜け出し、目覚ましの時間を元に戻した。
 窓から見える空には、いつもなら既に頭が出始めている日の姿はない。
 音を立てないように制服に袖を通し、なのはが足を忍ばせてそこへ向かった。
 昨日のうちに許可は取ってある。そもそも、無断で使おうとなのはの立場なら何ら咎
められることは無い。

「大丈夫、私は喫茶翠屋2代目なんだから……今でも、たぶん……」

 袖をめくって厨房に置いたのは、可愛らしいピンク色の弁当箱。
 思い出しているのは、彼の部屋を掃除した時にため息を吐いた、数え切れないほどの
カップ麺のゴミ。

「よし、このくらいだったら別に普通だよね……ユーノ君、喜んでくれるかなぁ……」

 そんな言い訳を口にしつつ、なのはがギラリと光る包丁を手にとって微笑んだ。
463246:2007/08/08(水) 20:28:22 ID:Y1TLi/Ae
以上です、ありがとうございました。

なんとも内容が薄いかもしれないSSですが、ご勘弁を。

なのはさん、そろそろ最初の変身を見せてくれます。


>>429

なんというか、話が上手いです。
そこから、キャロとヴィヴィオの性教育が始まるのですか?
464名無しさん@ピンキー:2007/08/08(水) 20:44:50 ID:9dlRnAdl
246氏
GJ!!
ここからどう鬱になるのか・・・・・・オラ、ワクワクしてきたぞ。
465名無したん(;´Д`)ハァハァ:2007/08/08(水) 21:26:41 ID:40nPHlKy
先生、なのはさんのエアークッキングはまだですk(ry
466名無しさん@ピンキー:2007/08/08(水) 21:43:27 ID:r+d7T8F0
>>463
GJ!
崩壊の兆しが見え始めてwktk
467名無しさん@ピンキー:2007/08/08(水) 21:53:31 ID:4ZjNqFSz
>>246
見たくないけど見てみたい。それが鬱展開と考える。
自分も続き待っていよう!

>>――――あんまりぐずぐずしてると、スバルにユーノ取られるよ。
やべぇユーノ×スバルが読みたくなってしまう…。
文才無いんで誰か書けないか?
468名無しさん@ピンキー:2007/08/08(水) 22:04:08 ID:IckJvZMa
エリオにはもうここしか無いんです…エリオを!エリオを誰か書いてくれー!
469名無しさん@ピンキー:2007/08/08(水) 23:17:25 ID:HIIZsF+d
エリオどころか当初期待していたルー子一味までいらない子になりそうな予感がするのは俺だけなんだろうか…
つまりなのはと絡まないキャラは二次創作でしか活躍できないと。
470名無しさん@ピンキー:2007/08/08(水) 23:27:53 ID:r+d7T8F0
ルーテシアはキャロと共に無印11話を再現してくれると信じている。
ついでに13(ry
471名無しさん@ピンキー:2007/08/08(水) 23:29:46 ID:GZPPSw9H
広げすぎた風呂敷のつけ……でしょうな。
新規キャラがもう半分ぐらいなら、上手くストーリーに絡められたと思うのだが。

……あれそうなるとやっぱりライトニングはいらない子?
472名無しさん@ピンキー:2007/08/08(水) 23:45:27 ID:NxQGzYeF
>>467
カップリングとは限らないが、一応ちょっと無理すれば六課新人面子も絡ませられるんだよね
スバ=なのはさん師匠 ティア=幻術の本探し エリオ=同姓でフェイトの幼馴染として 
キャロ=同じサポート系で(シャマルも近いがミッド式で補助系はユーノとキャロだけ)
あとは話の構成さえ何とかすれば
>>468
クロノサイトは十分あるし、ユーノサイトもぽつぽつ出てきたけど…エリオ中心、無いよね
成長する少年(過去持ち)はカップリング要素抜いてもいけると思うんだけどなあ
473名無しさん@ピンキー:2007/08/08(水) 23:46:47 ID:Ar29iwoo
>>470
正直、百合は勘弁
都築的には友情らしいが
でも、エリオが絡まずキャロとルー子だけでお話ししそうだ

>>471
半分って云うより、
A'sまでの面子とヴィヴィオとスカリ、ナンバーズだけで良かったような
新人とかルー子一味とか要らない気がする


しかし、キャロ→エリオ←ルー子を期待してたが
フリード→エリオ←ガリューになりそうだな
474名無しさん@ピンキー:2007/08/08(水) 23:48:40 ID:UfiI8d2L
でも都築はとらハ1で百合やったしなあ
475名無しさん@ピンキー:2007/08/08(水) 23:48:54 ID:yeUnUzDg
>>473
アッー!!
あ、でもガリューとフリードって♂か?
476名無しさん@ピンキー:2007/08/08(水) 23:49:33 ID:/++weHFZ
ナンバーズを半分リストラして、その分をルー子一行にすれば
まだバランスが取れたと思うな。
で、ナンバーズにスターズ、ルー子にライトニングをぶつければ
戦闘面でも丁度いいし。
477名無しさん@ピンキー:2007/08/08(水) 23:54:25 ID:wCggqIfz
ライトニング(特に当番回無しのエリオ)哀れ・・・・・このスレでくらいは活躍してほしい。
というわけで職人の皆様・・・エロ無しでエリオのSSをお願いします。


エリキャロ路線とか、あるいは親子としてのエリフェイ路線とかで・・・。
478名無しさん@ピンキー:2007/08/09(木) 00:00:06 ID:GMmf9Dia
>>477
そこら辺は漫画版でやっちゃったからなぁ。
479名無しさん@ピンキー:2007/08/09(木) 00:09:43 ID:lo8z3KSD
ルー子のポジションがキャロと同系統のFBじゃなく
GW、FAやSGのエリオと直接対決できるポジションなら
エリルーとかの話も増えたんじゃないかな
480 ◆6BmcNJgox2 :2007/08/09(木) 00:46:32 ID:bNmi4xCK
また変な話を書かせていただきます。

・オリキャラ出ます。
・エロ多分あります。
・少々ギャグです。
・フェイト好きな人スマソ
481フェイト対パパラッチ 1 ◆6BmcNJgox2 :2007/08/09(木) 00:48:45 ID:bNmi4xCK
ミッドチルダに一人のパパラッチがいた。彼は元忍者で、戦乱が長く続いていた
とある世界で諜報活動をして生計を立てていた。しかし、その戦乱も終わって平和になり、
忍者としての役割も終わってしまった事もあってミッドチルダに移住してパパラッチに転職。
忍者として学んだ様々な技術を応用して次々にスクープを撮った物である。

そして今回…彼が新たなスクープとして狙っていたのは機動六課だった。
「匂う匂う。ああいう場所にこそ凄まじいスクープがあるのだよ。」
機動六課と言えば管理局の中でも時空管理局の中でも特に凄いと言われる者達が
集まっている場所だ。実際、かのスカリエッティ事件でも凄い活躍をしたと言う話は有名だ。
しかし…だからこそ面白いスクープがあるかもしれないとパパラッチは考えてた。
いくら機動六課の魔導師と言えども神様では無くれっきとした人間である。
人間ならば失敗もあるし、人には言えない恥かしい秘密なんかもあったりするだろう。
そこを写真にとって新聞社や週刊誌に持ち込む。そうすれば大スクープとして
取り上げられるし、そのスクープの載った新聞や週刊誌の売上げも上がり自分自身も大儲け。
これがパパラッチの考える壮大な計画だった。

パパラッチが早速侵入した場所は屋根裏だった。屋根裏からの侵入は忍者時代から
良くやっていた事であるし、屋根裏からターゲットの部屋の様子を上から見下ろす事が出来る。
そしてさらに、パパラッチがまず第一のターゲットに選んだのはフェイト=T=ハラオウンの部屋だった。
「(ここの執務官さんはエースと怪しい関係が…なんて噂もあるし…面白いのあるかもしれないな。)」
部屋の天井に穴を開け、そこから部屋の様子を見ながら息を殺してフェイトの帰りを待っていると
間も無くフェイトが帰って来た。
「(おっ! 早速来たな! それにしてもすげぇ美人だ…。)」
機動六課自体が何故か美人揃いである為にそこまで目立つ事は無いが、
それでも機動六課の外から来たパパラッチにとってフェイトの姿はまるで女神の様な神々しさだった。
「(さてさて…これから超絶美人執務官フェイトちゃんの恥かしい秘密を探して写真に収めるぞ〜。
特に美人だからこそ余計に恥かしい…って奴を…。)」
…と、パパラッチが意気込んでいると、フェイトは突然制服を脱ぎだしたでは無いか。
「(おお!?)」
思わずパパラッチの目は釘付けとなる。パパラッチの存在に気付かないフェイトは
構わずにどんどん服を脱いで行き、ついには下着まで脱いで全裸になったでは無いか。
「(お! もぉれつ! 幾ら他に人がいないからって全裸になりますか?)」
全裸になり、全てが露となったフェイトのプックリと膨らんだ乳房や
細く括れたウエスト、丸々とした尻を見たパパラッチは思わず鼻血が出そうになったが、
これが屋根裏に付着して、万が一発見されたら大変な事になるので必死に飲み込んだ。
482フェイト対パパラッチ 完 ◆6BmcNJgox2 :2007/08/09(木) 00:50:12 ID:bNmi4xCK
「(それにしても…何故裸になったのだろう…風呂に入りに行く様子も無いし…。)」
パパラッチがそう考えていると、フェイトは何やら一冊のアルバムを取り出していた。
そしてページを開くとなんと全てが高町なのはを写した写真では無いか。
「ああ…なのは…貴女はどうしてそんなにまで美しいの…。」
「(ん!?)」
写真に対して何か独り言を始めたフェイトにパパラッチは首をかしげた。
「ああ! なのは! なのはが恋しい! なのは! なのはぁぁぁぁ!」
「(うわあああ!! オナニー始めやがった!)」
フェイトは左手に持つアルバムに収められたなのはの写真を見つめながら
右手で自身の女性器を激しく弄くり、かき回した。
「なのは! なのは! なのは! なのはぁぁぁぁぁ!!」
「(これは凄い! 執務官がここのエースと怪しい関係だって噂は本当だったんだな!?
これは良いスクープだ!! 【機動六課の超美人エリート執務官の意外な正体!!】
【レズとの噂は真実だった!! エース高町なのはの名を連呼しながら自慰行為に走る
超美人エリート執務官!!】これは売れるぞぉぉぉ!!)」
パパラッチはとにかく自慰を続けるフェイトの写真を取り捲った。が…
この手の屋根裏忍び込みのパターンとして、天井が抜けてしまって
パパラッチは部屋の中…それもフェイトの真正面に落下してしまった。
「あ…。」
「ど…ども…。」
これは両者とも実に気まずかった。パパラッチは不覚にもフェイトに見付かってしまったし、
フェイトにいたっては見ず知らずの男に自分の全裸を見られてしまった上に
なのはで自慰していた事まで知られてしまった。と言うか、フェイトは今も自慰行為の為に
思い切り脚をM字に開いていた為、その正面に落ちて来たパパラッチに
大きく開かれて愛液まみれになった自分の女性器をモロに見られてしまったかもしれなかった。
下手をすれば菊門の方も…
「あ…どうも…お邪魔しました…。」
とにかくパパラッチは殺されない内に立ち去ろうとしたが…既に遅かった。
彼の背後には既にバルディッシュを構えたフェイトの姿があったのだから。
「ちょっと待ちなさい…。貴方にお話があるの…。」
「ってうお! これは凄い! 全裸でも戦う超美人エリート執務官!! これだ!!」
「うるさい黙れ!!」
フェイトもフェイトで相当焦っているのか、バルディッシュこそ構えているが
バリアジャケットまでは装着するに至らず、全裸のままだった。しかも女性器からは
愛液が流れ出ている。全裸でバルディッシュを構えると言うこのギャップが
さらに凄まじい物を感じさせ、パパラッチは思わずカメラに収めていたが
次の瞬間バルディッシュがパパラッチに向けて振り下ろされていた。

ありがとうパパラッチ。さようならパパラッチ。君の見せてくれた勇姿を僕達は忘れない。
                     おわり
483 ◆6BmcNJgox2 :2007/08/09(木) 00:51:37 ID:bNmi4xCK
私の持ってるパパラッチの間違ったイメージ全開で書いたので
パパラッチに詳しい人スンマセン

>>398
これは新しい! 新しいです!
この解釈は実に新しいと思いましたし、凄く平和なのが微笑ましく感じました。

>>429
勘違いの連鎖が凄まじくて何度も噴いてしまいました。
あと、さりげなく堕落のエースシリーズの他のも呼んで見たいと思ったりwww

>>463
最後のなのはが包丁を持つ所が何か起こりそうですね。
まさかこの包丁で何かやってしまうのんでしょうか?
484名無しさん@ピンキー:2007/08/09(木) 00:52:30 ID:f8/BqFnw
・・・・・・・・・・G、GJ!
485名無しさん@ピンキー:2007/08/09(木) 00:57:58 ID:GMmf9Dia
なのフェ分が含まれてたら何でも許せる俺に心底あきれたぜ。
GJ!
486名無したん(;´Д`)ハァハァ:2007/08/09(木) 01:05:17 ID:NTXz98i7
>>463
何故か某所のなのはがユーノを(食的な意味で)喰っちまうssを思い出したw
487名無しさん@ピンキー:2007/08/09(木) 01:06:42 ID:elN2MGSB
>>404
As終了後から暫くはエロのほうが少ない時期があったんで問題無いと思うがなぁ。
あの頃の職人さん達って今何してんのかな。
488名無しさん@ピンキー:2007/08/09(木) 02:30:15 ID://tYjwUe
ダーク系のSSって大丈夫?

ネタに浮かんだのが…死亡あり、ストーカーあり、が浮かんだのが…

あるいみ修羅系かも…
489名無しさん@ピンキー:2007/08/09(木) 02:52:44 ID:LDD4k/AI
>>488
>>1の通りに注意書きさえあればいいんじゃね?
OKな人もいればダメな人もいるわけだし
490名無しさん@ピンキー:2007/08/09(木) 09:18:01 ID:8mzSQH2f
某RPGの武器に「乙女丸」って名前の出刃包丁(必中)があって(ry
491名無しさん@ピンキー:2007/08/09(木) 12:34:03 ID:636Bw/ng
エリフェイ待ち
492ておあー:2007/08/09(木) 13:45:35 ID:W8ZB4892
 前回レスをくださった皆さんありがとうございました。
エロパロ板でエロなし作品ばかりやるのもどうかと思ったので次に書くときは
絶対にエロを入れた作品にしようと思ったのですが、19話を見たら
衝動的に殴り書きしてしまいました。
StSは並の熱血バトルアクションアニメなら本編で当たり前のように描写されるシーンを
容赦なくカットor視聴者の脳内補完に丸投げするので困る

・エロなし
・19話あたりの裏でこっそり展開されているかもしれない物語
493風、ふたたび:2007/08/09(木) 13:46:11 ID:W8ZB4892
 何も心配ないですからね。落ち着いて、ゆっくり休んでください。

 ――そう言って、アイツは病室を出て行った。笑わせる。

 ――ほんのちょっと前まで操縦桿も触った事がないようなガキが、俺の代わりに六課のヘリパイだぁ?

 ――冗談じゃねえ。せっかく自分のヘリを手に入れたってのに、こんな怪我くらいでその座を追われたら、一生後悔する羽目になっちまう。

「ぐっ……なんだ……このチューブやら何やらは……」

 痛みを無視して強引に身を起こすと、視界に映ったのは想像以上に重症な自分の体で――

『Good morning, my master』
「……どこがいい目覚めなもんかよ」

 アイツが枕元に置いていった相棒は、あの日と同じ姿に形を変えていた。


 ―幕間劇『風、ふたたび』


「……っはぁ、はぁ……」
 体が重い。腕や脚から指の一本に至るまで、どこ一つとして満足に動かせる箇所は見当たらない。今医師に診断書を見せられれば、確実に動くのを諦めてしまうという確信がある。
 まだ動ける。
 まだやれる。
 どうせ大した怪我じゃない。
 気休めでも自分にそう言い聞かせ続けていなければ、この体はきっとすぐに崩れ落ちてしまうだろう。
「脚は……よしっ、立てるな」
 自らに確認するように呟き、力を込めてベッドから立ち上がる――はずだった体は、しかし己の意志に反してぴくりとも動かなかった。
「……くそっ。何やってんだよ、バカタレが……」
 あの日以来、体に染み付いてしまった絶対的な恐怖。彼から魔導師としての将来を奪い、今もなおフラッシュバックとなって自分を苦しめ続けるあの事件。
「まだ引きずってるのかよ。今はそんな事気にしてる場合じゃねえだろ……ヴァイス・グランセニック」
494風、ふたたび:2007/08/09(木) 13:46:54 ID:W8ZB4892
 もしかしたら、また戻れるかもしれないと心のどこかで考えていた。
 あの時、迫り来るガジェット群を撃ち落としながら、一度は失ったものを再び取り戻せるかもしれないと思った。 
 だが、そんなわずかばかりの自信と希望はスコープに映ったあの少女の姿を見た瞬間、まるで幻術魔法の見せる幻のように消え失せ――

「情けねえ……動けよ……」
『Master』
「……やめてくれよ」
『Master』
「俺はもう、お前のマスターなんかじゃねえよ。引き金を引くのが怖くて、また誰かを傷つけるのが怖くて……
憧れだのなんだの理由をつけてヘリのパイロットに逃げた、ただの臆病な男さ……
お前だって本当はそう思ってんだろ?」  

 はっきりと宣告してほしかった。
お前はもう戦場に立つべき男ではないと。今のお前に出来る事はないと。
そうすれば、今までのままでいられるから。

『I don't think so』
「うるさい、黙ってろ!!」
『Call me, call me my master』
「やめろ!!」

『Plaese call my name, again!!』

 沈黙。
 どれくらいの時間、そのまま固まっていただろう。呼吸を整え、ゆっくりと振り返る。
チップ型のデバイスは、目覚めた時と変わらぬ姿で自分を見つめていた。

 ――シグナム副隊長が、ちゃんと持ってきてくれました。

 脳裏にアルトの言葉が蘇る。
「……シグナム、姐さん」
 機動六課ライトニング分隊副隊長にして、ヴォルケンリッターの将である強き女性。彼女もまた、これから始める戦場へと向かっているはずだ。
 目を閉じれば彼女との想い出が浮かぶ。初めて出会った8年前から六課設立直前、そして最後に交わした何気ない会話まで……
 その時ふいに、いつか彼女と交わした会話が脳裏に浮かんだ。
495風、ふたたび:2007/08/09(木) 13:47:26 ID:W8ZB4892
 ――フェイト執務官にそんな過去が?
 ――ああ。もっとも、今ではそんな過去があったなど想像もできんがな。
 ――すごいですね……俺ならきっと耐えられないですよ、自分がそんな状況になったら。
 ――かもしれんな。
 ――そんなはっきり言わなくても、姐さん……
 ――ふん。だが、テスタロッサはこう言っていたぞ。

「捨てればいいってわけじゃない……逃げればいいってわけじゃ……もっとない……か」
 かつて毎日そうしていたように、小さなパートナーを手に取る。 
「みんな何かのために戦ってきた。いや、今だって戦ってる。
後輩どもを戦場に立たせて、自分は9歳の女の子以下ってんじゃ……やっぱ格好がつかねーよな」
『Yes』
「……だよな。俺だってわかってる。本当は俺も前線で戦いたい。
あいつらの盾になって護ってやりたい。失ったものを取り戻したい……
でも、もしかしたらまた恐怖に負けそうになるかもしれない。だから……」

 目を閉じて大きく深呼吸。足にゆっくりと力を込め、立ち上がる。

「俺にもう一度、力を貸してくれないか、ストームレイダー」
『Of course! My master!!』

 あいつらには、どこまでも飛んでゆける翼がある。
 ならば俺は風になろう。あいつらがより高く遠く飛べるように。あいつらの"幸運の追い風"に。
496ておあー:2007/08/09(木) 13:50:13 ID:W8ZB4892
以上です。兄貴やザフィーラはきっとみんながピンチの時に駆けつけてくれるはず。
某司書長は……どうだろ。いたらかなり優秀な戦力になってくれると思うんですが。
ザフィーラ先生の続編を望む方もおられるようでありがたいことなのですが、今のところ
単なるドタバタ劇にしかならなさそうです……
次に何か書く時は最低限微エロくらいは用意すると誓います、騎士の剣にかけて。
497名無しさん@ピンキー:2007/08/09(木) 14:10:12 ID:fNnZCYY3
兄貴マジ男前
498名無しさん@ピンキー:2007/08/09(木) 14:17:42 ID:GMmf9Dia
ヴァイスはあんまり好きじゃなかったけど、これは良い。GJ!
499名無しさん@ピンキー:2007/08/09(木) 14:44:38 ID:0Qfz9/Ys
>>496

これは良い兄貴!
グッジョブ!
500名無しさん@ピンキー:2007/08/09(木) 15:31:43 ID:Vu302/cZ
>>496
そんな意地でもエロ入れることないんじゃね?
自分の好きなようにすれば良いでしょ。
入れたいなら入れればよし、嫌なら入れなければよし。
501名無しさん@ピンキー:2007/08/09(木) 15:33:28 ID:Vu302/cZ
おっと忘れてた。GJ。
502名無しさん@ピンキー:2007/08/09(木) 16:53:04 ID:CikC0ZhM
>>496
GJ

まあ敵さんの数が多いから、実際に戦闘できる味方の増援はあると思うけど。兄貴やザッフィーは純粋に戦闘要員で。司書長は戦闘できなくてもあの要塞止めるとか、ヴィヴィオをアレから切り離すのに奮闘するとかできそうだし。
個人的には長距離転送トリオが中枢に六課メンバーを送り込む、とか見たいけど。もちろん増援としても活躍。

エロを目的に書くなら話は別だけど、そうでないなら無理に入れることもないと思う。必要なら入れればいいし、意味ないなら入れなくてもいい。自然が一番。
503名無しさん@ピンキー:2007/08/09(木) 21:36:30 ID:roUPNauL
>>496
雑誌情報によると出番はあるそうだぜヴァイス!しかも状況考えるとティアナを助ける役の可能性が…!!
ユーノは・・・出て欲しいが出れてアレだな。情報提供だな Orz
504名無しさん@ピンキー:2007/08/09(木) 22:28:19 ID:9t6NuqXX
スタッフはユーノ嫌いなのか? というかこのあからさま過ぎる男子排斥はなんなんでしょ
505名無しさん@ピンキー:2007/08/09(木) 22:31:05 ID:Cf8vcd0F
魔法「少女」なんだから女の子が目立つのは当然かもしんないけど、犬とかヴァイスの怪我でのあからさま離脱は・・・
506名無しさん@ピンキー:2007/08/09(木) 22:31:44 ID:o7R0Flzb
>>504
都築の過去の作品を見ても、男キャラは少ない。
主人公と、せいぜいその友達1人、くらいしか出てこないからなぁ
507名無しさん@ピンキー:2007/08/09(木) 22:33:14 ID:gT1iXXap
>>506
小鳥ルートだと別のヒロイン同士でくっつくからなぁ
508名無しさん@ピンキー:2007/08/09(木) 22:37:29 ID:wajy939B
みんなの期待の星だった中将もあまりにも小物すぎて嘆く前に笑ったよw
509名無しさん@ピンキー:2007/08/09(木) 22:38:00 ID:IwBBie5n
まああれは本当に、例外といってもいいような例だけどな。
510名無しさん@ピンキー:2007/08/09(木) 22:44:21 ID:IwBBie5n
>>509>>507宛てね。

>>506
基本的にクールで有能に裏方仕事をこなす男キャラが好きっぽいイメージがあるな、都築氏。
とりあえず都築作品で男が大々的に目立つにはクラスヒロインになって救われる側に回るしかない。
そういう意味じゃエリオにも期待したんだが、こっちも少々肩透かしか…
511y=ー( ゚д゚)・∵. ターンA:2007/08/09(木) 22:49:34 ID:V6zxXSrM
こんにちは
>>361
の続きです24kほど、結局全部で72kほどに
スレ残り僅かですが、使わせて頂ます
うーんサラッとやるつもりだったんですが、短く纏める技術が…
512y=ー( ゚д゚)・∵. ターンA:2007/08/09(木) 22:50:39 ID:V6zxXSrM
誕生―1



「あ、来た、来ましたよ」
「…もぅ…おっそーい、ホラこっちこっち!」

普段着のスバルと、その隣
頭一つ低いエリオの部下、水色の髪の少女が
こっちこっちですー隊長、と制服姿で小さく手を振っている

はっはっ…
はっはっ…ぜー…あー、まいったね…

エリオとロッサが二人の前まで来て腰に手を当て
ぜーぜーと息を整えている

「まったくもうッ…こんな時にエリオもロッサ君も二人してお酒飲んでるなんて…」
半分ほど本気で怒っているスバル
そんな事言ったってねぇ、妻に詰め寄られたロッサがハンカチで額の汗を拭き
ひらひら手を振る、その頭に「ロッサ君っ」とスバルがコツンとゲンコツを当てている
「隊長大丈夫ですか?」
心配そうに部下の子が屈み込む
エリオが前かがみになったまま苦しげに手を挙げて答える

やっと、後ろから看護婦さんがはーはー言いながらパタパタと追いついてきた
振り返りぎょっとしたロッサが慌てて頭を下げている
あたふたとスバルもその横に出てペコペコと一緒に謝り、ロッサの頭を押さえている
ひとしきり説教を受けると
看護婦さんは、「お静かにお願いしますね?」と言い残し
お辞儀をしてナースステーションへ帰って行った

「ティ、ティアナは…無事?」
とりあえずエリオは一番心配な事をたずねた
「え、えっと…」
困った顔の少女
「それが私は運んで来ただけで…」
スタスタと戻って来たスバルがちょいちょいと人差し指で点灯している分娩室を指差す

「その格好じゃエリオ君今から中に入れないよね、もう…消毒して着替えて、入って見る?」
「いえ…じゃ、…とりあえず…大丈夫なんですね…はぁ…良かった…」

ようやく落ち着いてきたエリオが胸を撫で下ろし、ロッサと二人、どさっと
傍らのイスに腰を降ろした

「…やれやれだね、まぁ、…まったく、間に合ってよかった」
「ホントよもぅ…間に合わなかったら一生ティアに恨み言、言われてたぞ…エリオくん
  二人共酔ってて運転できないって言うから。あたしの隊の方呼び出したんだけど
   …家がエリオ君の所轄に近くて良かったわ、
 うちのが連絡回してくれて、こっちのこの子が当直だったからすぐ来てくれたの」

面目無いとしゅんとするエリオ、傍らの子にも頭を下げる
「あ、ありがとう…感謝するよ」
「いえ、とんでもないです…」

513y=ー( ゚д゚)・∵. ターンA:2007/08/09(木) 22:52:52 ID:V6zxXSrM
よいしょとスバルもロッサの隣に腰を降ろし
遠慮がちに少女も腰を降ろした

「入ってどのくらい?」
「えっともうそろそろ1時間くらい…」

壁の時計を見るスバル

「そ、それってどうなんですか…何か問題でも?」
初めての経験に見当が付かず不安な顔のエリオ

その時高らかな鳴き声が分娩室から廊下に響き渡り、四人は一斉に顔を上げドアを見た
お互いの顔を見合わせる
「…おめでとうエリオ君」「やったねエリオ」「隊長…おめでとうございます」
それぞれ、背中を叩き、両手でエリオの手を握り、涙ぐんでいる

エリオはと言うと
あまりにも唐突にと到来した人生の瞬間に、座ったまま唖然としている
「…え?何…ですか?生ま…れたんですか?もう?」
「…ホラホラ立って立って」
本人より嬉しそうなスバルに手を引かれエリオはヨロヨロと立ち上がった

ドアが空いてピンク色の姿の看護婦さんが出てきた
エリオを見てマスクを外しながらニッコリ笑っている
「…あ、お父さまですか? おめでとうございます、母子共にどこにも異常は見当たりません
     …元気な女の子ですよ」

促されてエリオはふらふらとドアに近づいた
にこにこした看護婦さんが横にどいてくれ明るい清潔な室内が見渡せた
中央に髪を下ろしたティアナがベッドに横たわり、別の看護婦さんから小さな布の包みを見せてもらっていた
その目がエリオを認めて微笑んでいた


―誕生2



「…あーもー…何か一仕事終ったって感じ…予定よりちょっと早かったから、少し怖かったけど…」
「ごめん、来るの遅れて…ホントに…ご苦労さま…ティア」

ベッドに横たわったままのティアナと別室に移された
ティアナが左手を顔に当て目を瞑って呟いていた
傍らに腰を降ろしたエリオがその片手をそっと握っている

「わぁ…ホントに真っ赤なんですねー」
少し驚いた顔で呟く水色の髪
「そりゃ赤ちゃんって言うぐらいだからねぇ」
ロッサが訳知り顔に頷いている
「生まれたばっかりはねー…、一週間ぐらいしたらだいぶ変わってくるのよ」
屈み込んで除いているスバルが説明している

ベッドの横に置かれた透明な容器の保育器に3人が寄り集まって
ワイワイと思い思いの感想を喋っている

514y=ー( ゚д゚)・∵. ターンA:2007/08/09(木) 22:53:41 ID:V6zxXSrM
あ、とスバルが何かに気づいた
「あっと…ゴメーン…ティア、じゃ、あたし達はもう帰るから、…明日また来るね、じゃまたエリオ」
頭に手をあて、そう言うとロッサの手を引いてドアに向かい、手を振った
「おっとと、じゃ、また」ロッサもにこやかに手を振る
「…あ、すいません、気が付かなくて…隊長、私も当直なんで帰りますね
                           …えっと奥様も…おめでとうございました」


ペコリと頭を下げると部下の子も続いた
エリオが頭を下げ
ティアナは寝たまま少し手を振った


シュイ

気密ドアが閉まり
部屋に二人が残されて静寂に包まれた

「赤ちゃん…少し小さめなんだけど問題無いんだって…」
「…うん」

また沈黙

エリオは手を握ったまま、保育器の赤ちゃんを見た
「ホントに…ホントにボクの子が生まれたんだね…何か信じられないや…」
「…当たり前でしょ、それどういう意味よ?」

ティアナが冗談ぽく呟いた
「え?いや、別に意味とか…」
くすりとティアナは微笑んだ

エリオが考えていたのは自分の出生の事だった…
普通の人間では無い自分の誕生の秘密
ある日平和な日々は終わりを告げ、告げられた、お前は本当の両親の子では無いと…
両親はボクから目を逸らした、ボクはニセモノだった

そんな自分の子が生まれた
エリオは顔をティアナに近づけそっと額にキスした

「あの…ありがとうティア…その…本当に…何て言っていいのか…」
そんな自分の子をティアナは産んでくれた
ありがとう…
もう一度キスした

クローンのボクと一緒に歩んでくれる事を選んでくれた
正常な、普通の人生を生きているティアナが

「あたしも…って…あはは…なんかホッとしたら…涙が…出て…きちゃった…」
ぽろぽろとティアナの瞳から涙が伝って、とめどなく流れ枕元を濡らした
慌ててエリオはハンカチを取り出した
その涙を拭きながらその艶やかなオレンジの髪を撫でてやった

515y=ー( ゚д゚)・∵. ターンA:2007/08/09(木) 22:55:12 ID:V6zxXSrM
「…これで、あたしにも家族が出来たんだよね…」
エリオの手が止まった
「ああ…そうだね」
そっか…ティアナもお兄さんを亡くしたんだった、たった一人の家族を
ずっと独りだったんだ

思わずエリオは愛しくなって体を寄せてティアナの頭を抱きしめていた
少しティアナは驚き、そして少し目を閉じて尋ねた

「…ね、エリオ、この子の名前もう考えてた?」
エリオは少しうろたえた
「え?いや…まだ時間があると思ってたから…それに男の子か女の子とか…」

ティアナが少し赤い目の顔を離して少しエリオの戸惑っている瞳を見つめた

「じゃ、あたしの考えてた名前を聞いて…あたしね、決めてたの…ずっと前から
  エリオの子がお腹に出来た時から、ずっと…女の子なら絶対こうしようって…
     『フェイト・M・ランスター』 ね?…いい名前でしょ…」

エリオは目をしばたかせた
ややあって傍らの保育器を見てもう一度微笑むティアナを見た
ようやく口が開いて言葉が出た

「…うん、とってもいい名だね」

そう言ってもう一度ティアナを抱きしめた



―思案


帰りのタクシーの後部座席にエリオは体を沈めていた
本当はずっとティアナに付き添って居たかったが、明日の仕事が控えていたし
何分急過ぎた
事情を隊員達に話して明日は早く仕事を上がらせてもらい、また明日、なるべく早く来るから…
そうティアナに告げて病院を後にした
ティアナも疲れていたし、そっと手を振って送り出してくれた

座席にもたれた
体は疲れていたが、心地よいの高揚感の方が上だった
体がふわふわするようで、眠気なんか全然感じなかった

明日…スバルさんが来てくれるにしても当然、彼女も仕事が終えてだろうし…
ああ、困ったな、朝からの付き添いを誰に頼もう…
自分も、来る時は赤ちゃんの色んな物買わなくちゃ…あ、いやそれは早いか、いやその前に本を…
とめどなく考えは巡る

次第に考えが生まれた自分の娘の事だけになってきた
ボクの子供…本当にボクの子供が生まれたんだ…ようやくふつふつと実感が湧いてきた
何だか不思議な感じがした

…小さな手だった
ぎゅっと手を握る
容器の上から自分の手を重ねて見た、本当に小さくて…
ボクの手よりずっと…
小さなボクのフェイトの掌…フェイト

516y=ー( ゚д゚)・∵. ターンA:2007/08/09(木) 22:55:53 ID:V6zxXSrM
…フェイトさん
穏やかな表情を浮べた金髪の執務官の顔が浮かんだ


昔…ずっと昔、6課に入る前の…記憶
施設に居た頃のボク

あの頃…両親に捨てられて…悲しくて、苦しくて
やけになっていたボクがありったけの魔力を込めてぶつけた小さな拳を
フェイトさんはその細い手で受け止めてくれた


『…煩いよ!…ホントは…ボクの事なんかどうでもいいクセに!』
『そんな事無い…どうでも良くなんてないよ…エリオ…』

ぶつかり迸る魔力の中で優しく、ほんの少しだけ悲しそうに
フェイトさんは応えてくれた



「………」

フェイトさんが居なくなって
…思い出すのも辛くて、長いこと自然に封印されていた光景がふいに目の前に鮮やかに浮かんだ
「フェイトさん…」

じっと自分の手を見た、一見綺麗そうに見えて
よく見ると、傷だらけのタコができてごつごつした掌を、…ストラーダを10年近く振るい続けたんだから当然だ
いつの間にかボクの掌は大きくなった、多分あの時のフェイトさんよりもずっと

あの時、フェイトさんが受け止めてくれたから…今のボクが居る
…今あるボクは全部フェイトさんのおかげだ
もし…あの時フェイトさんが居なかったら…もし…誰もボクの拳を受け止めてくれなかったら…
ボクは…


『…私が…何をしたって言うんだ…』




ボクと同じ赤い髪の毛…悲し過ぎて何も感じなくなったような虚ろな目
あの子の顔が浮かんだ

あの子は…ボクだ…

エリオは俯いていた顔を上げた

「あの…すいません、少し寄ってもらいたいところがあるんですが…」

517名無しさん@ピンキー:2007/08/09(木) 22:56:17 ID:NO7rI5dt
 
518y=ー( ゚д゚)・∵. ターンA:2007/08/09(木) 22:57:19 ID:V6zxXSrM
5年後―



ドォーン…

「おー…」

はやて園長が窓の外に目を向けて声をあげた
雲を突きぬけ桜色の光の柱が青く澄み渡る大空に吸い込まれて行く
地上からわっと拍手と歓声が沸き起こり潮騒のように
建物の中に居るこちらまで響いてくる

「…アレ見ると今年も始まったなぁって感じがするなぁ」
「なのは…いえ高町空司令もお忙しい身でありながら、わざわざ毎年、ありがたい事です…」

ネクタイを締めながら、嬉しそうに鏡の前で
今年の父兄の前の挨拶に備えて身だしなみを整えるはやて
ジーンズにエプロン姿のシグナム先生が新園生のファイルの束を胸にあいずちをうつ

二人の背後でドアが開いて赤い髪の小さな先生が顔を覗かせた
「…おーい二人共、そろそろ受付も混んできたぜ、ルーとシャマルだけじゃ大変なんじゃねーの?
 来賓のヴィヴィオまで手伝ってたぞ、ちょい、あたしも行ってくるわ」
「フっ…お前では、受付で新入生と間違われるんじゃないのか?」
「ハァ!?…シグナム、あのな、いくら何でもそこまで小さくねーよ、お子様扱いすんな!」
「あはは、…あー何や私も久々にドカーンと派手に撃ちたくなってきたわ、…なぁ一発ぐらいええやろ?」

窓から2発目が上がったのを見てはやてが窓から身を乗り出して振り向いた
ぎょっとした二人が慌てて止める

「そ、それはちょっと…主の砲撃は少々質量を伴いますので万が一、市街地方向に落ちたら…そのまずい事に…」
「そ、そうだぞ、はやて、最初の年に後始末してくれたクロノにガン怒られただろ、それ、あれ海に落ちたから良かったようなものの…」
「…えー、ええやん少しぐらい…注意すれば…じゃあ、リインとユニゾンして擬似SLB…、な、それならええやろー?」

指を咥える園長先生に二人の先生はダーメと首を振った
ぶーケチ…、と、そろそろよいお歳の園長


私立保育施設 『ヴォルケン・リッター』
頭に『はなとゆめ』と付け字がしてある
グレアム提督の遺産をそっくり受け継いだはやてがその資金をそっくり注ぎ込み
局を出てからほどなく、聖王教会の協力の元設立した
基本的に5〜6歳の初等部以下の子供を対象にした児童施設

それ以外にもオプションで幼児の一時預かり、受け入れなども行っている
…こちらのメインは非公式な機人の子供についてである
局を辞めて専業主婦をしていたシャーリーの新しい職場になっている

個性豊かな先生方による厳しい教育方針で
卒園生は礼儀正しく父兄の評価も上々

519y=ー( ゚д゚)・∵. ターンA:2007/08/09(木) 22:58:02 ID:V6zxXSrM
今でもたまにシグナムやヴィータは戦技教官として管理局に技術指導で招かれているため、
親が彼女らに指導を受けソレ関係の子供も多い
中でも教育熱心な武断派の親などは子供の頃から本物に触れて英才教育ができると、わざわざ遠くから通ってくる子もいる
それに伴って子供を通じてコネを作りたい親、入局前に子供同士の人脈作りなど、人が人を呼び
毎年入園希望者は増え続けている

第一期卒園生はすでに管理局や地上前線部隊で働いている子も多く
エースもチラホラ輩出していた
近年はいっそ初等部から中等部まで取り扱い範囲を広げてはどうか…?
との親の意見も多くなってきて、はやても思案中だ



30年後―学園都市ヴォルケンズの前身である
都市を丸ごと一つ敷地に取り込み
幼稚園から大学院まで、民間でありながら仕官養成コースなどでは様々な公的資格まで取得できる

「ウチの学校とOB連がクーデター起こしたら…止めれる部隊が居ないよな〜
            …俺シグナム先生と、正面から出くわしたら直立不動で敬礼して回れ右で合流しちまうよ…」
「…まぁ、あれだ、うちの理事長に張り合えるのは空戦隊の白の大魔王様ぐらいなもんだろ、…もっともどっちかつーと二人して手を組みそうだけど」

とは学院卒業生の上級仕官達の好んで遣うジョークである



ルーテシアが来園の客の名簿と名前を照らし合せてがすらすらと走らせている
「…ハイどうぞ、式はあちらの講堂です」
リボンを親と手を引かれている子の胸に付けている
子供と目が会ったルーテシアがにっこり笑った、つられてその子も笑う

となりではシャマルと騎士ヴィヴィオが同じように来園者の胸にリボンを付け
パンダとコアラの着ぐるみが黙々とパンフレットをリボンを付けた人から純に手渡しては
講堂を指差している
中身はガリューとザフィーラだ

その時、受付に聞きなれた声が聞こえてきた
「ちょ、ちょっとコラ、待ちなさいフェイト!
       あ、シャマルさん、ルーちゃんヴィヴィオ…ごめんなさーいちょっと前を…」
「わ」
と言うヴィヴィオと無言で片足を上げるガリューの間を
小さな影が疾風のように人ごみの中を駆け抜けて行く
鮮やかなオレンジレッドのツインテールをなびかせて
520y=ー( ゚д゚)・∵. ターンA:2007/08/09(木) 22:58:43 ID:V6zxXSrM
エピローグ1

「…ゴメンお待たせ、それじゃ、行こうかアリシア」
エリオがドアを開け、運転席に乗り込み後部座席に向かって言った
その膝に助手席に乗っていたアルフがすかさず飛び乗る
「わ、コラ、アルフ!…だから家に置いてこようって言ったのに…まったくもう、フェイトのやつ」
ホラ、下りて、ちっち…あー、駄目だこいつ動かないや…
「ごめんなさい父さん、フェイトの式と重なっちゃって…」

ひょこっと座席の間から顔を出した
エリオと同じ赤い、だが繊細で艶やかな髪の毛を後ろで束ねた少女
アリシア・M・ランスター
今年15歳になる、すらりとした肢体と金色の瞳が印象的な、エリオ家の長女
真新しい特機の制服を身にまとい
首からは師匠から譲り受けたブリッツキャリバーが青く光っている

「何を言ってるんだよ、アリシアの入隊式だって同じぐらい人生で大事な事だろ?…あっちはティアナが行ってるから」
エリオ・モンディアル
24歳になった、機人のアリシアを迎えて…あと猫のアルフ、フェイトがどうしても飼うと聞かなかった
現在4人と一匹の家族の大黒柱

昨年から正式に特機16隊の総指揮を担う事となっていた
補佐にはスバルが昇格、一番隊の隊長兼、副指令に、チンクはスバルの後を受け3番隊の隊長となった
アリシアがこの度からお世話になる所だ

「ごめん、ちょっと待ってー!」
ん?エリオが窓から首を出すと
青い髪の副指令とその後ろから小柄な眼帯の3番隊隊長が駆けてきていた
「どうしたんですかスバルさん?」
「はぁっ…はっ…ごめんエリオ…司令、悪いんだけど二人のっけてって…ロッサがキー持ったまま
 会場の方へ行っちゃって…人ごみで…あたし、隊のセレモニーのスピーチやる事に…」

走りにくい格好で急いで来たため車に手をついて息を切らすスバルさん
助手席のドアを開けて中に招き入れた
ごめん、ありがとー、とスバル

「まったく…お前の息子がぐずぐず言うから余計に遅れたんだ…本当にアレはお前の子か?…」
スバルよりも珍しい、正装したチンクが息も切らさず呟きながら後ろの席に座り込む
アリシアが、あ、どうも…と頭を下げる、チンクがそちらを一瞥して「ああ」と言い、前を向いた
「アハハ…あの子はねーあれで、あたしに似てるんだよー
        …あたしも昔はあんな子だったからさ…ってゴメン、エリオ君そんなわけだから急いでお願い…」

あ、ハイと地上部隊の総指揮を担う若い青年は部下に返事をして車を出した

「あ、…そう言えばギンガさん、特機辞めちゃうんですね、今日の式は出るみたいだけど…」
「あ、うん、ギン姉アリシアに教える事教えたからもう思い残す事無いって、で、少し休んでから
 こっちのはやてさんのとこで働くんだって、ギン姉元々子供好きだったから…」
「あ、私のこれも師匠がバトンタッチだって…」
「タイプゼロか…特機としては戦力ダウンは否めないな…」
「ちょーっとチンクちゃん、そう言う言い方もうしないの!」

「あー…まま、スバルさん、その分アリシアが頑張るから、な」
「え!?ええと…あの…及ばずながら…」
「…あまり期待できそうにないな…」
「が、頑張りますから!」

「………!」
「…」

車が門から遠ざかって行く
521y=ー( ゚д゚)・∵. ターンA:2007/08/09(木) 22:59:25 ID:V6zxXSrM
エピローグ2―

毎年この礼砲を撃ってきた
天国に居るフェイトちゃんの歳と同じ19発を

白地に赤をあしらった儀礼用の礼服を身にまとい、なのはは18発目を空に放った
桜色の光芒が空に消え
カートリッジを換装してレイジング・ハートを空に向けて、また構えた、十…九…発…目


「くろすふぁいあ、しゅーと!」
え?

しゅぱ!
完全に収束しきれない赤く細い魔法弾が縺れるように螺旋状に空に舞い上がり
20M程上空でパリパリと先端が空中に放電して消えた

え?今の…電撃…魔力変換?
なのはは振り向いた

「…こ、コラー!、あんた、フェイト!いつの間に…ママのクロス・ミラージュ勝手に持ち出して…って、ああー!
 ゴ、ゴメンなさい…なのはさん、大事な式に…うちの子が…」
「ティアナ?あ…えっと、…じゃあその子は」
「は、はい、その…うちの子です、今年入園の…ホラ、フェイト、ご挨拶」
「誰この人ー?」
「だ、誰じゃないでしょ、ママの師匠よ、先生!」
「ママの!!?」
その頭をティアナが押さえる

押さえられた少女が少しビビッた感じでまじまじとなのはさんを見上げる
少女の中でママは今まで世界最恐だった、パパよりも

「ティアナ…今の放電…したよね?」
「あ、アハハ…やっぱり解ります?、うちの子、小さい時から…自分の名前の…パパのママの写真ばっか見て育ったから
 で、その、フェイトさんが雷を使うのをパパから聞いてから、自己流で練習してたみたいで、そしたら本当に…」
「ホントなの?凄いじゃないティアナ…、こんな小さいのに」
「え、えっと…馬鹿みたいに魔力だけは高いんですうちの子…あは、トンビが鷹を生んだって言うのかな…あはは」

ティアナはそう言って照れながらも嬉しそうに娘の頭をごしごし撫でた
髪をくしゃくしゃにされて小さなフェイトが悲鳴を上げる
なのははその姿を見て目を細めた、少女の魔力値は明らかに常人の域を超えているのが感じられる
才能の限界を感じてもがいていた16歳のティアナの泣き顔が昨日のように思い出された

そっか、ティアナの自慢なんだね、その子は


「ね、ティアナ、あと一発残ってるんだけど、…その、その子も一緒に撃たせていいかな?」
「え?…ええと…わたしは構いませんけど…」

その時ティアナに捕まっていた小さなフェイトが急に声を上げた
「あ、こらー、ナカジマ!、あんた、そこにいるでしょ!、出てきなさいよ、ご主人さまを助けるの!」

周りを囲んでいた人垣の中でビクリ!とした青い髪の少年がこちらを見ている
新入生では無さそうだ、女の子のように可愛い顔で年長組の園児服を着ている

「し、知らないよ〜フェイトちゃん、その人偉いんだよ〜ママが言ってた…
               …第一…ボクの方が一つ年上なのに、いっつも命令ばっかり…」
「なんですってー!」

522y=ー( ゚д゚)・∵. ターンA:2007/08/09(木) 23:00:12 ID:V6zxXSrM
フェイトが声を上げるとひっと言ってパパーと青い髪の子は逃げて行った
「…あースバルのとこの子だ…、コラ!ティアナあんた!またあの子苛めて…」
「うーあいつめご主人さまを見捨てて…後でおぼえてなさいよ…」

なるほど、あの子がスバルの子か、そう言えば去年ロッサに連れられてたのを見た気がする
なのはは嬉しくなって笑った
こんなに嬉しい気分は久しぶりだ
閣下…と人垣から空戦魔導師の部下の一人が進み出て耳打ちした
うん、うん、解った、もう少しだけ待っててね
なのは部下を退がらせた

「…じゃあこっちおいで、フェイトちゃん?、わたしと勝負だよ!」
なのはがレイジングハートを突きつけた
勝負!?…とその言葉を聞いてフェイトの瞳が輝いた

…フェイトは挑まれた勝負は絶対に負けない、例えママの師匠だろうと…
わたしははパパのママみたいなゴージャスで美人の最強魔法使いになって、美少年だけのハーレムを作るって言う壮大な夢が…
天国のフェイトが聞いたら、いかなる感想を持っただろう、その少女は想った

「ハァ…しょうがないか、クロスミラージュ、リミットオフ、非殺傷で出力最大値に設定してやって、一発だけ」
『Yes my master』
クロスミラージュが返答して、銃身がロングバレル用に組み変わった

もどかしくそれをティアナから受け取るとフェイトはなのはの元に走って行った
フェイトが傍らに立つとなのはがレイジングハートを空に向けて構えた
フェイトも両手で手に余るほどの大きさのクロスミラージュを構えた

「じゃあ…いくよ、負けないからねフェイトちゃん!」
「わ、わたしだって!」

「ディバインバスター・ブレイク…」
「くろすふぁいあー…」

「「シュート!!!」」


空に舞い上がる二筋の光の光芒片方が太く、もう片方は細く
やがて消えて行くそれを見ながら、なのはは想った

フェイトちゃん見えてますか?
…貴女がエリオの手に託したものは

今しっかりと次の子達に受け継がれてるよ…




end
523名無しさん@ピンキー:2007/08/09(木) 23:04:08 ID:JmQIlm0e
ヴァイスの出番って言うと…


聖王のゆりかごの攻撃!→アースラ直撃!?→???のガード!

ヴァイス「オレってやっぱりう不可能を可能にする男…ザザー…」ドゴーン

ストームレイダーUは砕け散った!


こんな感じか?
524名無しさん@ピンキー:2007/08/09(木) 23:08:05 ID:NO7rI5dt
>>523
それだと続編で仮面を被って敵として出てきてしまうだろう
まぁ感動の再開するけど
525名無しさん@ピンキー:2007/08/09(木) 23:11:38 ID:jWFx2u/j
また続編かよwww
感動の再会って・・・姐さんか?ティアなのか?
526名無しさん@ピンキー:2007/08/09(木) 23:13:58 ID:FvVty11P
むしろ両方で修羅バー
527名無しさん@ピンキー:2007/08/09(木) 23:14:41 ID:GMmf9Dia
一週間で450kbとか加速しすぎだろ。
528y=ー( ゚д゚)・∵. ターンA:2007/08/09(木) 23:17:22 ID:V6zxXSrM
おしまいです!、何かまぁ宿題終った気分で、今回もエロ皆無でしたすまそ
リクくれた方にご満足頂けるものができたかどうか…
お付き合い下さいまして、ありがとうございました
調子が良ければ、週末に機人の子とチンクのちょい話を書こうかと、でそのあとなのレンジャー…
そろそろギンガやナンバーズのエロいのもいいですね〜夢広がりまくり
うーんリインVとウーノのエロエロ電脳合戦…ハッキングしかけてきたウーノと触手とか…
全部妄想です!…ではでは
529名無しさん@ピンキー:2007/08/09(木) 23:22:12 ID:G9/DPTx9
>>523
いや、こうだろ。

ヴァイス「なのはさん、しっかり面倒見てよ!悲しいけどこれって戦争なのよね!!」

っとストームレイダーで特攻をだな…ちなみになのはさんなのは白い悪魔繋がりという事で…
530名無しさん@ピンキー:2007/08/09(木) 23:31:48 ID:LOJXL8ng
>>529
その場合、誰が大型機動兵器に乗って
「やらせはせんぞぉっ!」と言うんだろうな?

…中将?
531名無しさん@ピンキー:2007/08/09(木) 23:34:55 ID:2QxGsUxe
>>528

突拍子なく出てきたアリシア15歳に一瞬違和感を覚えますた、それだけですが。
あとはフェイト・M・ランスターってことはエリオは婿に入ったのか。
532名無しさん@ピンキー:2007/08/09(木) 23:48:17 ID:chN96fJK
>530
うぇ。ありそうで怖い。
533名無しさん@ピンキー:2007/08/09(木) 23:59:50 ID:G9/DPTx9
>>530
ぜんぜん違和感ないなw階級も一緒だしwww

レジアス「アインヘリアルが量産の暁には抵抗勢力なんぞあっという間に叩いてくれるわぁ!!」

レジアス「たかが一人の魔導士にこのアインヘリアルがやられるか!!」
レジアス「やらせわせん!!やらせわせんぞぉ!!この俺がいる限りは地上本部の栄光はやらry」

あれ…?敵が何時の間に変ってるしwww
534名無しさん@ピンキー:2007/08/10(金) 00:05:03 ID:PTagQsby
ちょwww
みんな、ガ○ダム話の前に言う事があるだろ!
ターンA氏GJ!!
535名無しさん@ピンキー:2007/08/10(金) 00:05:06 ID:pWA6yvbV
>>510
>>基本的にクールで有能に裏方仕事をこなす男キャラが好きっぽいイメージがあるな、都築氏。

それなんてオセロット?

スネーク→エリオ
ザ・ボス→フェイト
ヴォルギン大佐→中将

うほっ これなら目立てるよ
536名無しさん@ピンキー:2007/08/10(金) 00:06:09 ID:UbpqPLHm
>>522
乙すぎる!
537名無しさん@ピンキー:2007/08/10(金) 00:13:08 ID:VZT+zfd+
ところで、ここはリクエストおk?
おkならばナンバーズ物をお願いしたいが・・・
538名無しさん@ピンキー:2007/08/10(金) 00:38:10 ID:lqI9iyCt
今気がついたけど、
前スレ埋めていない気がする。
539名無しさん@ピンキー:2007/08/10(金) 00:43:54 ID:MCMYH146
いや、ちゃんと埋まってる。
540名無しさん@ピンキー:2007/08/10(金) 00:44:19 ID:a1gFWk0r
>>528
ターンA氏GJ!
チンク姉も、J型機人の子も幸せそうで良かったよかった。
そしてさり気に管理局を掌握してるはやてワロス
チンク姉と機人の子の話も楽しみに待ってますwktk
541名無しさん@ピンキー:2007/08/10(金) 00:50:00 ID:sDsZjFkN
おお、忘れてた
ターンA氏GJ!
542名無しさん@ピンキー:2007/08/10(金) 01:13:50 ID:lXYQYchY
3〜4レス投下させていただきます。

・非エロ
・15歳時のなのはとユーノ
・なのはは時空管理局につとめてません
543『永遠に消えぬもの、その名は』:2007/08/10(金) 01:15:16 ID:lXYQYchY
指先から血がにじんでいた。
とはいえ、大した事はない。微かな、本当に微かな傷だった。
一体、いつできたものだろう――。
痛みより、そんな思いが先によぎる、その程度の傷だった。
僅かな彼の疑念は、思考の対象ごと直ぐに消え失せる。
そのはずだった。いや、そうあるべきだった。

――彼女の傷は。

それを忘れて生きる事など有り得ないから。
そして忘れる事などできない事を思い出したから。
だから彼は。
その微かな傷を、忘れる事が出来なくなってしまった。


『永遠に消えぬもの、その名は』


響く鈴の音が、涼しさを伝えてきた。
本来は無機質な金属音が、これほど心地良く響くのは、
訪れた場所、海鳴市で高町一家が営む、喫茶翠屋のおかげである。
この翠屋を初めて訪れた人でも直ぐに気づくのは、
店内には女性客しか目に付かないことだ。
翠屋は喫茶店だが、同時に洋菓子店でもある。そして肝心のその味の方だが、
これは、もはや溢れんばかりの女性客で賑わう様子をみれば、語るまでも無い事である。
もっとも、お客の女性達は、大いにその味の素晴らしさを語っている。
そして、今日も今日とて、学校帰りの女学生達と、買い物途中の女性達とで翠屋は多いに賑わっていた。

この為、男の自分は随分と浮いた存在として見られる、と最後に思ったのはいつだったろうか。
ユーノ・スクライアは実に取り留めの無い事を考えながら翠屋を訪れた。
544『永遠に消えぬもの、その名は』:2007/08/10(金) 01:16:57 ID:lXYQYchY
「いらっしゃいませ!」
店内の、汲めども尽きぬ話題と、華やかで賑やかな声に負けない彼女の声とともに、
高町なのはが出迎えてくれた。
それに応えて、ユーノはひょい、と手を挙げた。
訪れたのがユーノと分かると、なのはは華のような笑顔を、更に大輪に咲かせて近寄った。
「こんにちは、ユーノくん」
「こんにちは、なのは。今日も忙しいみたいだね」
「ううん、ぜーんぜん平気だよ。だって私は」

未来の二代目翠屋店長さんだもん!

 その声の響きは、未来へ夢と希望を持ち、そして、
それを叶えるための不屈の意思をもった人だけが出せるものだった。
「……そうだよね、二代目店長だもんね、さっすがなのは!」
「そうそう。任せてよ!それではこちらへどうぞ、お客様!」
ユーノが来てくれた事に、嬉しさを隠しとおせない様子でおどける彼女をみて思い出す。

昔、なのはは自分と出会う前、将来は翠屋を継ぐものと、『ぼんやり』考えていた。
今はもう、その『ぼんやり』は、どこか遠くに消え去ったのだ。

彼女の魔力と一緒に。

だからユーノは思う。どうしても思う。無為で無駄な事を。
出会わなければ良かったという、本当に本当に無意味な事を。
545『永遠に消えぬもの、その名は』:2007/08/10(金) 01:18:38 ID:lXYQYchY
其処はとても寒い場所だったという。
その色は、あらゆる時空で謳われる白ではなく、
忘却された記憶の残り滓の様な、怖気を呼ぶ白だっという。
降り続ける雪は、幻想を呼び起こす事も、詩情を沸き立たせる事もない、
唯々寒い場所だったという。

誰も居ない。何も無い。命を感じない。
想い出さえも閉ざして埋めて、二度と芽吹かせないような、雪。

その雪に、多分初めて色が付いた。

「何やってんだよ!医療班!!」
絶望的に赤黒い色だった。
「早くしてくれよ!」
誰かが居る。何かが有る。命を感じる。
「早くしないと!」
その誰かに、何かが起きて、命は消えようとしていた。
「こいつ死んじまうよ!!!」

誰かは、強く優しく可憐な少女だった。
本当に、年端もいかない少女。

高町なのはだった。

そしてユーノに、この場所の、行ったことのないその空から降る雪が、積もり始めた。
546『永遠に消えぬもの、その名は』:2007/08/10(金) 01:20:25 ID:lXYQYchY
投下は以上です。
それとこれ続き物です。
どうぞよろしければ、ご指導ご鞭撻よろしくお願いします。
547名無しさん@ピンキー:2007/08/10(金) 02:24:15 ID:No46jCo1
>>546
GJ!
548名無しさん@ピンキー:2007/08/10(金) 08:46:08 ID:9Gie5mHo
>>546
これは期待GJ。
549名無しさん@ピンキー:2007/08/10(金) 10:32:29 ID:TdJimzF1
>>528
ターンA氏GJ!
そして乙かれさまでした!
エロなしでもエリティアのラブラブが良かったので無問題
550サイヒ:2007/08/10(金) 12:45:28 ID:CCxeXLGu
まだぎりぎり投下できるかな?

例によってクロフェ一本投下させてもらいます。
エロは入れる予定ですが、今回の投下分には含まれません。
551Monday Holiday:2007/08/10(金) 12:46:38 ID:CCxeXLGu


 まどろみから、フェイトは目覚めた。
 まず目に入るのは見慣れた天井。首を倒していけば、朝日が目に入った。カーテンは閉め切って
あるが、晴天であることは布を通して来る光で分かる。
 一つ小さなあくびをして、完全に眠気を醒ます。気分は爽快。これだけ気持ちのいい寝起きは久
しぶりだ。
 睡眠時間は普段よりやや多い程度。なのにこれだけ気持ちがいいのは、やはり隣に愛しい人がい
るためだろう。
 ころりと身体ごと転がって、反対側を見やる。
 すぅすぅと寝息を立てる恋人、クロノ・ハラオウンの寝顔があった。
 仕事が詰まっている時などは眉間に皺を寄せて苦悶の表情で寝ることもあるクロノだが、今は穏
やかな顔で眠っている。
 なんとなく、手を伸ばしてクロノの前髪をいじりながら、フェイトは寝顔を見つめた。
 赤ちゃんの寝顔は天使のようだとよく表現されるが、フェイトにとってはクロノの寝顔もそれに
負けず劣らず可愛らしく映る。他人に言ったら吹き出されそうな表現だろうが、本人は大真面目に
そう思っている。
「天使というには、ちょっといじわるだけどね」
 昨夜の男女の営みを思い出し、くすりと笑う。
 空いている手で胸板をなぞる。済んですぐ眠りに落ちたため、二人とも生まれたままの姿である。
「もうちょっと控えめにしてくれるといいんだけどなぁ」
 胸にのの字を書きつつ前髪を引っ張っていると、クロノの寝息が止まった。うっすらとまぶたが
持ち上がる。
「うん…………朝か……」
「ごめん、起こしちゃった」
「……なんとなく起きかけてたから……別に……」
 そう言うが舌は回っておらず、眼は半分閉じかかっている。
「もう一度寝直せば?」
「いや……もう起きるから……だから」
 次にクロノの口から出た言葉にフェイトは眼を丸くする。
 だがすぐに微笑み、顔を近づける。
「ん……」
 唇が重なる。柔らかく押し当てるだけでそれ以上のことはしない、おはようのキス。
 顔を離した時には、クロノの眼は完全に開かれていた。
552Monday Holiday:2007/08/10(金) 12:48:19 ID:CCxeXLGu
「眼が覚めた?」
「ああ、おはようフェイト」
「おはようクロノ」
 笑い合い朝の挨拶をする二人。挨拶が終わると、今度はクロノの方から唇を近づけてきた。
「ん……」
 二度目のキス。今度は触れるだけでなく、少し口を開いて互いの舌先をつつきあう。朝の目覚め
のキスというには、少々深い。
 二分近く経ってようやく唇が離れた時、フェイトは腰の辺りに違和感を覚えた。
 背中に回されていたはずのクロノの手が、いつのまにか尻まで下りておりさわさわと撫で回して
いた。顔の方も、フェイトの胸の谷間に埋まる形になっている。
「……するの?」
「ああ」
「まだ朝なのに?」
「いいだろう、今日は二人とも休日だ」
 たまには贅沢に時間を使わせてもらおう、とクロノは言って、フェイトの乳房に舌を這わせた。
「クロノのエッチ……」
 そう言いつつ、フェイトの手もクロノの股間に伸びている。朝勃ちにしては固すぎるものに指を
絡める。
「一回だけだよ」
 今日はやりたいことがあるんだから、とだけ言い、フェイトは思考を理性から情動に譲り渡した。


      Monday Holiday


「今日はデートしよ」
 朝食と呼ぶにはだいぶ遅くなった食事の席で、そう切り出したのはフェイトだった。
「デート?」
「うん、だって私達ってそういうことしたことがないよ」
 言われてみればそうだった。
 今でこそ相思相愛な関係の二人だが、正式に告白して付き合い出したのはわずか半年前である。
 ちょうどその頃は機動六課は発足直前であり、フェイトは人材スカウトや各部署への根回しであ
ちこち飛び回るのに忙しかった。クロノはクロノで、艦隊提督なため常に業務過多である。
 そのため普通の恋人同士がするようなことをほとんど経験しないままだった。
 もちろんそれ以前にも二人で出かけたことはあるが、あくまで兄妹でお出かけの範疇でしかない。
「デートするのは僕も賛成だが、具体的にはどうするんだ?」
「大丈夫。ちゃんとプランは考えて、レストランの予約とかはしてあるから」
 どうも恋人は大分前からこの計画を練っていたらしい。
「とりあえず最初に行くのは服屋さん」
 フェイトは焼き魚をつまんでいた箸から手を離し、びしっとクロノの服を指差した。
「クロノ、似たような服ばっかり着てる」
「うっ……」
 仕事以外は諸事無頓着なクロノは、服装にこだわりなど全く無い。バリアジャケットを半ば普段
着にしており、それ以外だとワイシャツと黒系統の服を数着持っているだけである。
「クロノに任せてたら駄目だから、私が選んであげる」
「でも……」
「じゃあクロノは、自分で自分に似合う服を選べる自信があるの?」
「…………頼んだ」
 満足そうにうなずくフェイトを見ていると、ふと思った。
(こういうのを尻に引かれてると言うんだろうか)
 すすった緑茶はずいぶんと苦かった。
553Monday Holiday:2007/08/10(金) 12:51:48 ID:CCxeXLGu


『主、ハラオウン達が出てきました』
「お、やっとおでましかいな」
 フェイトのマンションから少し離れた有料パーキング。車内でこの日十度目の欠伸をしていたは
やては、守護獣からの念話に顔を引き締めた。
『だいぶ遅かったけど、なんかあったんかな?』
 はやてが駐車場に着いてから一時間。早朝から犬の姿で玄関で張り込んでいたザフィーラに至っ
ては、実に四時間近くも待っている計算になる。
『特に変わってるようには見えません。ただ……』
『ただ、なんやの?』
『駐車場ではなく、駅の方角へ向っております』
『ありゃ、当てが外れたな』
 そこそこ遠出になるから車を使うと睨んだのだが、予想は外れた。
「フェイトちゃん達は車使わへんみたいやし、私らも歩こか。徒歩を車で追うんは目立つし」
「うん……」
 助手席の相棒に声をかけるが、いまいち元気の無い返事が返ってきただけだった。
『ごくろうさんザフィーラ。戻ってええで。ヴィヴィオの世話おねがいな』
『承知しました……主』
『なんや?』
『なるべくほどほどに』
 ザフィーラの言葉の裏には、無限の懸念と諦念が感じられた。
『わかってるて。二人の邪魔するようなことせえへんよ。……たぶん』
『……』
 まだなにか言いた気な気配はあったが、結局ザフィーラは一言も発さず念話は切れた。
「さて、行きますか」
 勢いよく車を下りようとした時、服の裾が引っ張られた。
「ねえ、はやてちゃん。やっぱりやめようよ」
 助手席のなのはだった。
「忙しい二人のせっかくのデートなんだから、水を差すようなことしちゃいけないよ」
「大丈夫やて。ザフィーラにも言うたけどな、なんも二人の邪魔するわけちゃうねん。二人がどん
なデートするかにちょーっと興味あるから見守らせてもらうだけや」
「でも……なんか悪いよ」
「じゃあなのはちゃんは二人がどんなデートするか、気にならへんの?」
「うう……」
 フェイトはあまり人前で惚気たりしない。クロノと普段どうやって過ごしているのか話すことは
あるにはあるが、肝心な部分はぼかしてしゃべる。もっと詳しくとせっつけば、真っ赤になって黙
り込む。
 そうやって隠されると、そんな口に出せないほどいちゃついているのかと思ってしまい、どうし
ても探りたくなるのが人情だ。
 なのはもその思いには勝てなかったのか、しばらく悩んでから分かったと言って車を下りた。
「それじゃあ、レッツゴー!」
554Monday Holiday:2007/08/10(金) 12:54:31 ID:CCxeXLGu
 もっとも、はやて自身の思惑はちょっと違う。
 ここのところ、六課を快く思っていない上の方がねちねちと文句つけてくるのとやりあうことが
続き、フラストレーションが溜まっている。
 なによりそういう連中とやりあってるせいで、ゲンヤと逢引する回数が激減している。
 そんな時に恋人との間については秘密主義な友人がデートすると分かれば、デート中にするであ
ろう恥ずかしいことをタネにからかって苛めてやろうと思うのは天然自然なことである。はやて的
に。
 双眼鏡、デジカメ、最終兵器の盗聴器も準備万端整っている。
(ふふふ、覚悟しいやフェイトちゃん。今日こそどんなやらしいことしてるのか、ばっちり見せて
もらうで)
 自分がえらく邪悪な笑みを浮かべてるであろうことを自覚しつつ、はやては意気揚々と歩き出し
た。


「ところではやてちゃん。どうして今日二人がデートするって分かったの?」
「この間な、たまたまフェイトちゃんが映画のチケット二人分買ってるの見てん。で、その他にも
たまたまレストラン特集を調べてるの知ったり、たまたま予約するホテルが分かったり、たまたま
その日付まで分かってもうたりしてん」
「……どこまでが本当のたまたまなのかな」
 最初だけである。

             ※

 世間は平日の昼前。車はそれなりに通っているが、道行く人は数えるほどしかいない。
 そんな風景を眼に映しながら、散歩のようなことをするのは久しぶりだな、とクロノは思った。
 提督に就任してからこのかた、休日というものは仕事を持ち帰ってするかじっと休んで体力回復
に努めることだった。
 フェイトと付き合いだしてからは仕事することはなくなったが、家で二人きりで過ごしてばかり
だった。
 だからこうして急ぐでもなくぶらぶらと街中を歩くのは、ずいぶんと新鮮だ。
(それにしても、どうして歩きなんだ?)
 デートの全体的な流れは、秘密にした方が楽しいとかで教えてもらっていない。それでもデート
の定番である場所を回るとするなら、それなりの移動距離になる。
 なのに、フェイトは徒歩がいいと主張したのだ。
 隣を歩む発案者を、ちらりと横目で見てみる。
 若草色のワンピースに白のタイトスカート。この日のために用意したと思われる服装でめかしこ
んでいるフェイトは、なぜかずいぶんと挙動不審だった。
 出かける寸前までは意気揚々としていたのが、わずかに頬を染めて俯き加減で黙り込んでいる。
右手が不自然に少しだけ前の方へ出ており、さかんに握ったり閉じたりを繰り返している。
「……フェイト」
「え、あ、な、なにかな」
「道はこれであってるのか?」
「えっと……うん、これでいいよ。三つ先の信号を曲がって真っ直ぐ行けば看板が見えてくるから」
 説明し終わると、フェイトは再び黙り込んでしまった。普段なら、どんな服屋なのかとか話題が
広がるはずである。
 体調でも悪いのかとあれこれ考えながらクロノが言われた信号を曲がった瞬間、まったく唐突に
答えが目に飛び込んできた。
555Monday Holiday:2007/08/10(金) 12:56:06 ID:CCxeXLGu
 四、五歳ぐらいの少年と少女がいた。友達なのか兄弟なのかは分からない二人組。その手と手は、
しっかりと結ばれていた。
「あ……」
 なんのことはない。フェイトはああいう風に、手が繋いで歩きたかったが、恥ずかしくて出来な
かったのだ。
 ここは自分の方から手を差し伸べてやろうとクロノが思い、いざ実行に移しかけた寸前、優秀な
理性が待ったをかけた。人目があることと、自分達の年齢を忘れるな、と。
 年を低く見られることが多いクロノだが、それでも二十歳以上であることは間違えられない。
 フェイトはフェイトで、落ち着いた雰囲気のためやや年上に見られたりする。
 そんな青春という言葉が似合わなくなりつつある外見の二人が、人前で臆面無く手を繋げば他人
様はどう見るか。
 微笑ましいを通り越して生温い笑みを浮かべること間違いない。
(…………)
 伸ばしかけた手が引っ込む。
 何故か、このヘタレと怒鳴る母親とエイミィの顔が浮かんだ。

 結局、服屋に着くまで二人の手が触れ合うことは無かった。



 実は、クロノは服屋にいい思い出が無い。
 自分で行った時には適当に選んでさっさと帰るだけですむが、これが家族連れで行った場合には
間違いなく悲惨なことになった。
 女性陣は例外なく、服を選ぶのにそれはそれは時間をかけるのだった。
 全部の服を見て回りそこから長々と迷い、ようやく選んだ十数着を試着してからまた悩み、あげ
くの果てに買い込んだ荷物は平然とクロノに持たせる。
 なんでたかが服にそこまでこだわるのか分からない。
 特に、こんな服買う人いるわけないよ〜、とけたけた笑ったくせにしっかり試着し、その姿を鏡
に写してまた笑うエイミィなど、その思考回路はクロノには死んでも理解できそうにない。
 ザフィーラによれば、八神家の面々も似たようなものらしいから、女性とはそういう生き物なの
だと割り切ることにしている。
 だから、フェイトにまず服屋に行くと言われて少々渋ったのだ。
 しかし今日は違った。
 服屋に入ったフェイトは、最前までの挙動不審ぶりが嘘のように手際よく動き、あっという間に
五着の服を選び出してみせた。
「ずいぶん早いな。あっちの棚は見に行かなくていいのか?」
「大丈夫。あらかじめ、ここのお店のカタログ取り寄せてチェックしておいたから」
 改めて、恋人のデートにかける気合を思い知らされた。
「クロノの服を私が全部決めちゃうってのもおかしいから、この中から選んでね」
 手渡された服を見てみる。正直、どれも大差ないようにしか思えない。
 いっそのこと五着とも買おうかとも考えるが、いきなり大量に服が増えても着られやしない。そ
のままタンスの肥やしにするようなことになってしまえば、フェイトにも服にも申し訳ない。
 やっぱりフェイトに最後まで決めてもらおうか。一度はそう思ったクロノだが、こちらをうかがう
フェイトの顔を見てやめた。
 どれを選ぶかという期待と、もしどれも気に入らなかったらという一抹の不安が入り混じった表情
は、どれだけ真剣にクロノのことを考えて服を選んだかがはっきりと伝わるものだった。
 そうまでして選び抜かれたものの最終決定を任されたのに、投げ出すようなことをするのはよくな
いことぐらいは鈍い自分でも分かる。
 真剣に苦悶すること数分。なんとかクロノは一着を選び出した。
「これがいいかな」
 頭のめったに使わない部分をフル回転させたため、ずいぶんと疲れた。
 だが、フェイトの喜び様を見て疲れは吹き飛んだ。まるで自分が服を買ってもらったかのように、
うれしそうである。
 他人の服を選んで喜ぶその思考は、やはりクロノには分からない。分からないが、こんなフェイト
が見れるならもうそれでいいな、とクロノは心の底から思った。
556サイヒ:2007/08/10(金) 12:59:24 ID:CCxeXLGu
今回はここまで。
前後編の予定ですが、三、四分割になるかも。

今回の目標の一つは「エロノじゃない」なので、
そういう方面はあんまり期待しないでください。
557名無しさん@ピンキー:2007/08/10(金) 14:12:38 ID:MCMYH146
乙ー
558名無しさん@ピンキー:2007/08/10(金) 14:19:46 ID:QSA9oEe1
>>528
命名の下りで、マジ泣きした俺きめぇ。・゚・(ノД`)・゚・。
ターンA氏超GJ!

559節制の14 ◆6EgzPvYAOI :2007/08/10(金) 14:39:44 ID:9ySAZImu
少なくとも、なのはやフェイトのデートに尾行や盗聴は不要と思う。

だって、バルディやレイハを通して筒抜けだから。

スバル「でも、マッハはギン姉のデートの様子を聞き出せないよ?」


……正解は、CMの後で。
560名無しさん@ピンキー:2007/08/10(金) 14:53:38 ID:R6C529sO
>>556
GJ!フェイトかわいいよフェイト。
Asから純粋培養された感じで非常にイイ!
561名無しさん@ピンキー:2007/08/10(金) 18:39:26 ID:yo+ammeX
「エロノ」だからエロいわけではないのです。

「クロノはエロい」というのはリリカルおもちゃ箱の時

からに既に魂に刻まれているのです。
562名無しさん@ピンキー:2007/08/10(金) 18:43:57 ID:kJgBCqOU
なんという魂の記憶……
563名無しさん@ピンキー:2007/08/10(金) 18:55:33 ID:KHLkeaCI
そろそろクロなのが読みたくなってきたなぁ
新婚の某氏は無理だろうから誰か他の職人さん書いてくれないかなぁ
保管庫見てたらクロなのって422氏しか書いてないもんなぁ orz
564名無しさん@ピンキー:2007/08/10(金) 20:58:22 ID:oyQnLPXk
正統派カップーて話がひねりにくいんやもん
565名無しさん@ピンキー:2007/08/10(金) 21:24:16 ID:Cc4y8Pn2
ここで毎晩ユノフェを探し回る俺が登場だ。
566名無しさん@ピンキー:2007/08/10(金) 21:39:56 ID:yo+ammeX
じゃあ三回転半捻って「クロノ×レティ提督」で。
567名無しさん@ピンキー:2007/08/10(金) 21:54:41 ID:7IzftKJy
>>565
ネタはあるんで院試終わったら書く予定。
微妙に暗めかもだが。いやまあ思いっきりハッピーエンドなんですけどね
ふふ、そのためにも今は試験……(しかしやる気でない)
568名無しさん@ピンキー:2007/08/10(金) 22:13:36 ID:+BAKMr3l
>>566
ならリンディ提督×レティ提督で
569名無しさん@ピンキー:2007/08/10(金) 22:14:00 ID:8I400Bva
ここで百合CPならなんでもいい俺が登場っと。
無いなら自給自足で書けば良いじゃない。というか俺1回そうしたしな・・・・虚しい。
570名無しさん@ピンキー:2007/08/10(金) 22:19:57 ID:ppvkX2up
百合CPがいいなら本編見れば(ry
571名無しさん@ピンキー:2007/08/10(金) 22:26:38 ID:6ZjiuqlP
>>568
リンディ×クロノがあるんならレティ×グリフィスも…無理か?
572名無しさん@ピンキー:2007/08/10(金) 22:28:13 ID:MCMYH146
>>569
よう、俺。
573名無しさん@ピンキー:2007/08/10(金) 22:28:26 ID:JHFPlbeI
>>546
GJ!
これは所謂ifモノってやつだな?期待して待っとる
574名無しさん@ピンキー:2007/08/10(金) 22:54:33 ID:9ySAZImu
>568
そのカップリングは逆だと思う。

旦那の多忙で持て余し気味なレティさんが、熟れた体を持て余す未亡人のリンディさんにあんな事やこんな事を。

二人セクスィな格好で逆ナンすべく町に繰り出しTo Be Next...
575名無しさん@ピンキー:2007/08/10(金) 23:21:08 ID:WDck5a0o
>>574
素晴らしい!なんという妄想だ!!!!
576名無しさん@ピンキー:2007/08/10(金) 23:30:38 ID:26kImKwI
>>413のターンA氏
>ヴィータの新婚、出産について―新婚まではままごとぽいのが可能

レス遅れてすみません。ここだけでもお願いできませんでしょうか。
577名無しさん@ピンキー:2007/08/10(金) 23:32:19 ID:b+munhvq
>>546
StS前引退モノ、次も期待しています。GJ。
エロを…できれば。

>>556
クロフェいいですね。GJ。クロエイも好きですが。
578名無しさん@ピンキー:2007/08/10(金) 23:54:41 ID:wnexXsyY
仮○ライダーエリ王

キャスト
モモ=シグナム(ソードだから)
ウラ=なのは(一番ロッドっぽいから)
キン=フェイト(金だし戦斧だし)
リュウ=ティア(銃だから)

テコ入れで新ライダー、キャロノスが出て来るぞ!



………元ネタ知らないと激しくつまらん上に、なのレンジャーの二番煎じっすね、忘れてください。

…文才無い癖に、なんでこんな変な電波受信したかなぁ、自分…。
579名無しさん@ピンキー:2007/08/11(土) 00:06:54 ID:OwXfn2br
よく見ればそろそろ次スレ立てなきゃならないサイズに。
580名無しさん@ピンキー:2007/08/11(土) 00:10:36 ID:U0UETDgT
>575
まだまだ。

そこでクロノとグリフィスに見つかるんだよ。
581名無しさん@ピンキー:2007/08/11(土) 00:23:39 ID:5scykGUR
>579
立てようとしたがホスト規制で無理だった。
582名無しさん@ピンキー:2007/08/11(土) 00:39:32 ID:WUAhu8QY
582なら立ててくるか
583名無しさん@ピンキー:2007/08/11(土) 00:40:23 ID:T/JwWi5H
>>580
そしてスワッピングか!
そうかそうなんだな!?

いいじゃないかw
584名無しさん@ピンキー:2007/08/11(土) 00:44:19 ID:WUAhu8QY
☆魔法少女リリカルなのは総合エロ小説_第24話☆

http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1186760564/
585名無しさん@ピンキー:2007/08/11(土) 02:01:04 ID:WUAhu8QY
なんか寝るに寝られないな投下見てると
586名無しさん@ピンキー:2007/08/11(土) 08:44:37 ID:U0UETDgT
>583
でも、フェイトやシャーリーやエイミィは抜きで。
587名無しさん@ピンキー:2007/08/11(土) 09:33:14 ID:FSTxey6z
>>585
同感。
投下間隔長すぎて、待ちきれず寝ちゃったけど。
588名無しさん@ピンキー:2007/08/11(土) 12:44:31 ID:pDQ69Puk
遅くなりましたがターンA氏GJ!
感動しました・・・
エリオいいよエリオ
ティアナよかったよティアナ。とにかくGJ!
589名無しさん@ピンキー:2007/08/11(土) 13:43:27 ID:DyMbCtYW
かなり遅れましたが、ターンA氏超GJです!




&埋め
590名無しさん@ピンキー:2007/08/11(土) 23:15:52 ID:JO7gyS/D
せやけどこれはただの埋めや
591魔法少女リリカルなのはStrikers 〜 The Other Side:2007/08/11(土) 23:48:10 ID:JFedLosf
埋め用に書いたのを投下。

※漫画版(StS1巻)の設定が入ってます
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

魔法少女リリカルなのはStrikers 〜 The Other Side


陸士386部隊・災害担当部――
私は其処に所属している。
現在は人事関係の仕事をする事務方であるものの、
4年ほど前までは前線に出っ張って災害救助に従事していた。
私の名前は……仮に、Y、とでも呼んで欲しい。

さて、先ほど私は、人事関係の職にあると述べた。
そして今は4月、まさに人事異動の季節である。
今日は、スバル・ナカジマ2等陸士、ティアナ・ランスター2等陸士、
この2人の新人が他所の部隊に正式に異動となる。
行き先はハードワークで知られる古代遺失管理部に設立された新部隊、機動六課。

とりわけ、スバル・ナカジマ、この子のことについては、私はちょっとした感情
――誤解しないでいただきたいが、決して恋愛感情を持っているわけではない。
とにかく、この子と私にはちょっとした因縁がある。
とはいえ、ナカジマはその事は知らない。
単に、私が一方的に感慨深くなっているだけなのだ。


話は4年前に遡る。
臨海都市区画での空港火災。
それが、私とナカジマを繋ぐ鍵である。

当時、私は空港近くの部隊に所属しており、当然のことながら
何処の部隊よりもはやく現場に到着し、消化・救助作業を行っていた。
私の現役時の魔導師ランクはD。下から三番目のD。これが私の魔導の精一杯だった。

少年時代はFランクだった。どうせ魔導の勉強をやっても才能のある奴らには叶わない
と、魔法学校には行かずに、普通校を卒業。そして、民間会社に就職。
しかし、魔導師への憧れは心のなかでずっと燻っていた。
そんなある日、電車の中で読み捨てられていた雑誌をふと取って読んでみたことがあった。
目を引いたのは、ある魔導師の記事。
若干13歳で戦技教導隊入りを果たした少女の記事。
正直に言おう。妬ましかった。
自分に魔導の才能がないのが、何も知らないような子供が出世し脚光を浴びるのが。
私の中にある何かに火が点いた。
その後、訓練校に入学し、数歳年下の若者達と肩を並べ訓練し、何とか局員の
端くれに滑り込んだ。私の売りは脚力を生かした火災時の突破による消火活動。

しかし、この時の火災は如何ともしがたかった。
まず、規模が凄すぎた。炎は空港全体を覆い、周りの都市区画にまで被害が及ぶ有様だった。
要救助者もまた膨大な数だった。それに対して、こちらは絶対的に人手が不足していた。


592魔法少女リリカルなのはStrikers 〜 The Other Side:2007/08/11(土) 23:49:27 ID:JFedLosf
「ぬぅあっ」

「駄目だ駄目だ!こっちは駄目だ!」

チームを組む仲間達が火の勢いに当てられて後ずさっていく。
周りは火の海。私達のちっぽけなシューターでは焼け石に水状態で、
私たち自身も退路を確保せねば危うい状況であった。
それでも、私は諦めきれずに声を張り上げた。

「この先に子供が取り残されてとるんだ!何とかならないのか!」

空港の奥深く、避難が間に合わずに取り残されてしまった子供。
子供の体力は知れたもの。
対して火の勢いはとどまる所を知らず、退路は次々と炎に包まれ消えていく。
事態は一刻を争った。

「さっき本局の魔導師が突入した!救助は彼女がしてくれる!」

即座にチームリーダーの男が叫ぶように答え、身を翻して退避を促した。
本局の魔導師――本局から来るはずの航空部隊はいまだに到着していないはず。
おそらくその魔導師は偶然ここに居合わせたのだろう。
「彼女」と言ったところからして、女性か?
あの炎の大海に、ひとり飛び込んでいくのか?
空港を舐め尽す劫火を前に、私は無力だった。
情けなさで涙が出そうになった。
しかし泣くよりも前に、まず自分の責務を果たさなければならない。
助けねば。ひとりでも多く。
赤黒い炎の嵐を前に、ともすれば俯きそうになる己のを心中で叱咤して、
無理やりに前だけをみて、手を伸ばし続けた。




「おい!Y!しっかりしろ!大丈夫だからな!」
チームの仲間が私を励ましてくれる。
私は崩落した壁の一部に脚を挟まれて負傷し、医療部隊の処で治療を受けていた。
自慢の脚はありえない方向に曲がっていた。
炎はいまだに治まる気配を見せない。
脚の痛みと現実感を奪う火災の光景に呆然としていたとき、遠く空港の奥のほうで
一条の桃色の光が空港の外壁を突き抜けて、夜空に飛び出すのを見た。
「噂には聞いていたが、何という馬鹿魔力…」
医療班のひとりがそう呟いたので、一体何事なのかと聞いてみた。
「偶然居合わせた本局の子ですよ。大分奥のほうなので、砲撃で退路を開いたとか」
あれ?もしかして、その人はさっき私たちが行けなかった最奥部に取り残された
子供を救助に行ったという「彼女」だろうか?
しっかし砲撃魔法?とんでもない威力である…。
脚の痛みも忘れて再び別の意味で呆然としていると、先ほどの医師が苦笑いしながら言った。
「とんでもない威力ですな。流石、悪名高い白いあくm……ゲフンゲフンゴッホン……
しかしぃ、あれでも、あの子は以前は大怪我を負って魔導師を辞める寸前までいったんですよ」
とても信じられない。あれほど力強く美しい砲撃魔砲の使い手が、そんな大怪我を負って復帰したなどとは。
噂をすれば影。夜空からこちら側に向かって、件の白いバリアジャケットの魔導師が
救助した子供を抱きかかえて飛んでくるのが見えた。
白い魔導師が再び火の海の中に戻っていくと、救助された子供――まだ小さな女の子だった
――は泣き始めた。どこか怪我をしていたのか、怖かったのか、救助されて安堵したのか。
その子の見つめる先には、あの魔導師の後姿があった。
593魔法少女リリカルなのはStrikers 〜 The Other Side:2007/08/11(土) 23:50:43 ID:JFedLosf

その白い魔導師が、いつか雑誌でみた少女であったことに気づくのは、空港火災の一件で
現役魔導師を退いて、人事部の事務方で働くようになってからだった。
さらにそれから2年後、あの空港の奥に取り残されて、私が助けに行くことのできなかった
少女が局員として私の部隊に配属されてきたのには驚かされた。
そしてさらに2年が経った今、あの少女、スバル・ナカジマは、空港火災で救助してくれた
高町教導官に見出されて彼女の直属の部下としてエリート部隊に引き抜かれるのだ。


約一ヶ月前、高町教導官が私のところにやってきて、ランスターとナカジマについて
色々と聞きに来たときには、正直かなり緊張した。髪はきっちりと7:3分けに、お茶葉は
最高級のもの、勿論カップも下ろしたて。ハンカチ常備、口もとは必ず笑みを形作る。
さあ、来い!
と、意気込んだものの、「不屈のエース」「白いあ(これ以上言うと死ぬらしいので自粛)」
などと呼ばれる物々しい評判とは裏腹に、高町教導官は意外と気さくで拍子抜けした。
そして高町教導官とヴィータ教官らを相手に、私は2人の能力について説明を行った。
「脚も速いし、タテ移動も優秀です」
何せ、タテ移動は私が暇をみて、時折、ナカジマに助言をしていたのだ。
これは私の得意分野だった。昔の杵柄というやつだ。
そのせいかナカジマは「Yさん、Yさん」と言って私を慕ってくれる。
ここは何としてもアピールしておかねば。
「インドアや障害密集地なら、下手な空戦型より、よっぱど速く動きますな」
おっと、これはまずったかな?高町教導官とヴィータ教官は生粋の空士だ。
気を悪くされただろうか?しかしこれは事実だ。インドアならばナカジマは誰よりも速い。
「ああ、いや……航空教官のヴィータ三尉や、
戦技教導隊の高町一尉がご覧になれば穴だらけだとは思いますが」
気合を入れたせいか、説明にも段々と熱が入ってしまった。
しかし、高町教導官は気にした様子もなく、私は安心した。
ちなみに帰りがけに高町教導官にサインをねだったのは私の生涯の秘密のひとつだ。
魔導師を目指したものなら、あの魔砲を見て心動かされないものはいない!はず…。




さあ、今日はナカジマとランスターの2人の出立の日。

ナカジマは泣き虫だから、泣いてしまうかもしれない。
もう私の後を「Yさん」と呼んで、助言を求めについてくることはないだろう。
これから彼女にとって望みうる限りの最高の師につくのだから。
ランスターは、きっと、一人になったときに泣くかもしれない。そういう子だ。

窓を開けると心地の良い風が頬をなぜていく。

本日、快晴ナリ。

雲ひとつない、どこまでも突き抜けていくような真っ青な空が、

有望な2人の年若き魔導師の旅立ちを祝福してくれているような気がして、

私は眼鏡を外して、目を細めた。




END

ここまで拙文を読んで頂いた方に感謝を。
594名無しさん@ピンキー:2007/08/12(日) 00:24:12 ID:B3xcH1fX
これはいろんな意味でいい埋め。GJ
595名無しさん@ピンキー:2007/08/12(日) 01:27:34 ID:1c/fI1ZJ
>>593
目の付け所がいい。GJ
596名無しさん@ピンキー:2007/08/12(日) 01:54:44 ID:WRsjqHmL
>>593
おお。GJ差し上げます。
>とても信じられない。あれほど力強く美しい砲撃魔砲の使い手が、そんな大怪我を負って復帰したなどとは。
>ちなみに帰りがけに高町教導官にサインをねだったのは私の生涯の秘密のひとつだ。

これは恋だね。

597名無しさん@ピンキー:2007/08/12(日) 02:31:08 ID:8SnMswBv
>>593
なんという爽快なる物語!

GJです!!
598名無しさん@ピンキー:2007/08/12(日) 04:11:46 ID:9cllY41T
>>593
漫画版のおっさんかwGJ
599名無しさん@ピンキー:2007/08/12(日) 15:59:12 ID:oZ3YQWBI
全SSに愛を込めて!
GJ
次のスレのために!
埋め
600名無しさん@ピンキー:2007/08/12(日) 17:59:17 ID:vM4baLxd
あと10kBちょい残ってるな
601名無しさん@ピンキー:2007/08/12(日) 19:51:20 ID:MMlP1GoK
602節制の14 ◆6EgzPvYAOI :2007/08/12(日) 21:17:19 ID:PNwktFo3
任せろ、私にいい考えがある。

【玄田哲章風に】

マンガ版でさ、フェイトの嘱託魔導師試験をレティ提督が監督しとるわな。

で、その後で面接があったわけだ。


性的な意味で。

「……と言うわけでフェイトさん、あなたの適正を確認させて貰うわ。
 性的な意味で」
「え?あ、そんな、すごっ、い、イクーッ!!」

「……なのはの適正ってどうなのかな?
 性的な意味で」
603名無しさん@ピンキー:2007/08/12(日) 21:52:01 ID:bN00gV6O
埋めます
604名無しさん@ピンキー:2007/08/12(日) 21:52:17 ID:vM4baLxd
スレを埋めてもら\   白い悪魔の名は伊達じゃない…    / ` ヽ{/ <二¨ 簀巻きにして
えるかな ?       \  ||  ,'. .. ./i. .i .| ,ヘ. . . .l. . . lヾゝ|   /       \ヽ 埋めたげようか?
   \  \      \l」  |: . : .!フニ!ミi;/ !ァ;ニ_}. . . |: ::| l  /         . ,. i ト、}
     >=-、\ __  \  |. . : <ト'  !`  'ト' .!〉. . |:.i:|ノ/ ::..     .....::/イ:| | | リ 
     フ>'´    `ヽ/./\ l. . . .lゝ- '  ,  `-'j , , レ /..:|i::::::::::::::::::::::::/イ,イ:レレ―-く^ ヽ、
    / イ  /      、ハ)、\ . . lu"  r‐ァ  "イ/// . ::::| \:::ヽ:::::::::/ |::∧     ヽ. } ゴメンナサイ
   ∠V/ / // { ヽ\ Vl'、  \ト、>、 __ ,イ/../|   ::::|  Y^ ー ' ,  レ'::::!  ヽ.  ! | ゴメンナサイ
    / { { {{ トk从|\j斗l ',!ハ\j \∧∧∧∧/  |   ::::| / ̄ ` 、i_ノ| ::::|::::::::::::i:::::::|:: | ゴメンナサイ
  /  V llハY冽  f冽リ j ∨  .<    な  > . | / ::::|┴――‐< ̄ ̄ /^ヽ/ `Y.|::.| _r 、
. /  / ヽ从小¨´ '_ `¨/l∨  ∨ < お の .>. | / ::::|::::::::::::::::::::::::::::::::::/::::::rヘ<二ユ,|:::}┴、 `!
../     /   |.lゝ, _ イ/     ∨<    は  > |/: :::::|::::::::::::::::::::::::::::::,.ム::::::::V.人. i ∨  `V
──────────────<. 話 さ  .>───────────────────
  なのは!今夜も いっしょに(ry <   ん  >  l    {    ヽ  ヽ. lヽ,〉'´}. l    !  .! !   }
   /l   -| 十! /- イ /  |  |  ,' ,.< !!! の  >.  l. |、 ヽ \ ゝ  ヾ〉';;:j '| j   ,'   j |  ,'
   l |   W|_l_/| / |l ,'  / メ/|: /   /∨∨∨∨\ _」」__、_|_`_,j_ゝ_、,)、  {゚ソノ/ jノ  /  ,' j! /
 :/こ|   レ行ifヾ八{ /xく/ |/   少し頭冷やそうか <´O:.:;;:i''l^`ヾ、 ヽ.jゝ‐'  |   ,  / / } /
 {{^ |   |!込,,ソ    イf巧トV /〃:.:.:./.:.:.:.,:.:.:.:.:.:.:.:.:: \ヽヽ=ニソ _」    、    /| !  j /!/ j/
 | ヽ.|   |   `      込,ソ// /:i: :.: i: :/:.:i:.:.|:.:l:.:.:.:.:.:.::.Y\ヽー-‐'´    _,   , ' !/| / ,/j'  |
 l   |   |        ,  ア/ . レl:!:.:./l::|:.:/レl:j、:j、::|::l:|:|:.:|:./l\       ´´ /   j ノ //    l
 |   l   |     r- _   /   'ヘ/:.:l::l:.:l'莎 ヘト忝レ::l::ム/ 'v l..\__     /    // / |     |
 l ._/|   |\  `ー  /      .|:.: :⊥ヽl ¨ ,  ゙ー' |/イ/   \|:.:\  ̄     /ノ j      !
.斗{ |   l   ヽ、_. ,/        .l/  `l\ ‐   イ l/`llY  ̄\ :.:.:\ていうか、さんを付けろよ!
: : :.∨|   |\_|/         /     / lノ l¬≠ i   lj.!    ∧:.:.:.:'\ 埋めるぜ!?
605名無しさん@ピンキー:2007/08/12(日) 21:58:12 ID:vM4baLxd
 /:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:/:.:.:.:.:./ /:/ |:.:.:.:.:.:.:.:.:.:ハ:.:|:.|:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:',:.:ヽ
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レ!:.:.:|:.:.:.:.:.:.:./イ示气tミ、ー--|:.:.:.:.:.:./ュ‐.ニ、 |:.:.l:.:.:.:.:.|:.:.:.|:.:.:.:|
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' |:.:.l|∧:.:.:.:.レ-.マzzニシ--_  |:.:.:.:/マ辻シ′/ /:.:.:.:.: /:.:.:.:|:.:.:.:|
 V |:.:.ヘ.:.:.:l.       ´     |:.:./    ̄^'/イ:.:.:.:.:.:/:.:.:.:./:.:.:./  また月曜日が来る!
>、 `|.:.:.:ヘ.:.:|           ノ:/      jハ:.:.:.:./:.:.:.:./.|:.:/
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606名無しさん@ピンキー:2007/08/12(日) 21:59:56 ID:vM4baLxd
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     l/|:.:|:.:.:.:.:/.:.|:.:.|:.:.:/‐l/-|:.:ハ:.:.:ハ:.:. |:.:.:.|: |:.:.|:.:.:.|:.:.:.:/ |   | l:.:.:.:.:.:.:,   
       V',:.: /:.:.:.|:.:.l:.:.:.|<圷示 ∨|ー-|:./」_:|:.:.|:.:./:.:.:/  :|   | |:.:.:.:.:.:.:',  もう働きたくないの
       !:∨:.:.:.:.:|:.:.|、.:|l ゞ='   ヘ| 'イ圷示/|: /:/'^レ   ∨  |:.:.:.:.:.:.:.:',   
        |:.:.:.:.:.:.:. |ヽ| ヽ|    ,    ゞ=' ′|/:/|r;/      \. |:.:.:.:.:.:.:.:.:',   
        |:.:.: / ̄ ̄\ヘ.    ′       /イ:.:.|/、   ___ヽ|:.:.:.:.:.:.:.:.:.:',  
        |:/      /|:.:\  ` `     / |:.:/  「|Y´     \:.:.:.:.:.:.:.:.:.',
      /       //|:.:.| \__ .. イ |,|/  l|:| |      ∧:.:.:.:.:.:.:.:.:',
     ./       /〈. Vリ   | \_>'′  l      |:| |         ∧:.:.:.:.:.:.:.:.',
   ./       / \\  l| !ニニ}   /    ,./ |           \:.:.:.:.:.:.:',
  /.        ;' //  | |::|    /'     \ |           \:.:.:.:.|
 「 \         /  \\   .|/⌒ニニニ/      〉〉 |        /  〉:.:.:|
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.      \   _ハ     __\ ∨ /r<<___    ハ´ ̄、       / |:.:.:.:.|
607名無しさん@ピンキー:2007/08/12(日) 22:10:36 ID:vM4baLxd
              ,. -―――- 、
             ∧>-、 _____`ヽ
              /V⌒ヾ、| l7フ7///|
           /V     `´ ̄ ̄ ̄Vミ|   
           ハ|/           |ミ|   こ、このままでは
         { f/  -、         {ミ|   定年前に
         ヘ|  ゞ・>ソ {xニニ.    |:;ハ   過労死してしまう!
          ∧   ̄ }   ゞ゚ー'   |{ }|   
         //}    /       r /:|,r'  
       ./////X777Xァァイvx / /-―-、
_.. ‐ ニニ/:::::∨//\ ー-__ ,,`ヾハT ⌒ヽ \_
「「「「「「「「|:::::::::|\///>、/7ハ..x<7{ ̄´       ヽ「「Tゞ、
| l l l l l l |:|:::::::::l.  \//// | | | | { ̄    \ \ ∨///ク
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:::::::::::::: /:::::::::::::|∧ ヘ〉∧::::::∧ にシ‐\        ノ|>、:::
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608名無しさん@ピンキー:2007/08/12(日) 22:14:09 ID:vM4baLxd
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    `丶、.      \}.   レ'´|  ./:.::.::/^V^V⌒ヽノ⌒ヽ::.::.::.::',  当たれ!
      `丶、      \.    | /:./:./::.::.::.::.::.::.::./V^l:.::.|::.::.::.:: l   宝くじ当たれ!
         `>‐─<\  {./:./:./::./::. |::./|::.::|  j::.::ト、 :.::. |  
          /::.: : : : : :.:ヽ \\{__{:.:.:|::|::.l/ l::.::|  x≦j }-、:.:|-、
           |::.: : .  . : ::|  l  ト、\|::|代ラk|: /ィfユフ  f }:ノ: :}
           |::.: : .  . : ::|  |  Lノ  Vl:{   レ      }./ : /`丶、
______________人::.::.::.: :.::.::丿 丿 /    Vハ  L      /: : : /    `丶、
           >─一'´ / ./      Vヘ  r___ァ  /: : .: .:/\_, -──\
 ̄ ̄ ̄`¨7¨¨¨´     /  /       ',__\_____/{: : : .: ./:/: : : : : : : : .: .:',
      /  ___/  ./ト、     /}∨: : |\八: : : /´: : : : / ̄\: : : i
      ./ /         / !  >┬‐'´./ ハ: : | ./ /:\/‐─-、/     \: |
     //        /   j /   } /   /: :', :|/ /: :/ ̄ ̄\\     }ノ
    /       /\__ノ {___/  /: : : ∨: {/ : : : : : : : .:\\  /:|
-‐' ´         / ̄ ̄    \   /: : : : : : :V´ : : : : : : : : : : : : } }/ : : l
     __, -‐'´          `マ´ : : : : : : : : ∧: : : : : : : : : : : : .:j/: : : : :j
__, -‐'´                  |∨: : : : : : : : : ∧: : : : : : : : .: .:/: : : : : .:/
                     |.:∨: : : : : : : : : .:}: : : : : : : :/: : : : : : : /
609名無しさん@ピンキー:2007/08/12(日) 22:27:11 ID:vM4baLxd
            ∠二: : : :`ヽ/´  ̄ ̄ `丶
         , '" ̄: : : : : : : : : : : : : : : :、:\/⌒\
        /:/.:.:.:.:.:/.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ヾ:ヘ\.:.:.:.: ヽ
       l://.:.:/.:./ .:./ .:l.:.:,'.:.:{:.:.:.:.l.:.:ヽ.:.:.Vl:/ \.:.:.:.:',
         /.:.:/.:. l:.:.:.!>ト/{.:.ハ.:.:斗<:l:.:.:.l.:l.:.:.:.:.ヽ.:.:.l
.         l.:.:/.:.:.:.|:l.: レ仟圷ヽl ヽfチ圷 |.:.:l:|.:l.:.:.:.:.:.:.:.: |
.         |:/!.:.:.: 从.:.{. V;;リ    V;;リ 'j.:.,' |.:l.:.:.:.:.:.:.:.: |  ヴァイス君
.          j:ハ.:.:..Wト :.ゝ   '    /.:/レ|.:l.:.:.:.:.:.:.:.: |  休日出勤
              \:{ヽ|:小    V 7  彡'.:.|│l.:.:.:.:.:.:.:.:.|  お願い
               ` Y:| ヽ、  ´ ,.イ! .:./ |.:l.:.:.:.:.:.:.:. |  
               ヾ:ゝ ト≧≦ュ| リ/   |.:l.:.:.:.:.:.:.:.:|
             ____, /| >tく |ヽ、____|_l.:.:.:.:.:.:l.:.|  
          /ヽ::::::::::::::::/  |/ l只lヘ|  l:::::::::::::::: ̄ヽ.:l.:|
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610名無しさん@ピンキー
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... ..:(   )ゝ (   )ゝ(   )ゝ(   )ゝ
....  i⌒ /   i⌒ /  i⌒ /   i⌒ / マダワカカッタノニ......
..   三  |   三  |   三  |   三 |   
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