ホントは関連スレで事足りる様な気がしないでもなかったが、どうもスレタイが分かりづらかったんで立てた。
スマン。
乙。携帯からだとtxtに纏めるとかロダにあげるとか出来ないから助かる
LR違反なんで削除依頼出しといた
前に落ちた、スレがない作品投下スレの後継的スレと考えて良いのかな?
>>5 良いんじゃない?
こういうスレが無きゃ無駄なマイナースレを立てる馬鹿が際限無く増えるし。
>>1がスレ立てするときに調子に乗って【ターゲット属性】に実在人物を
含めちゃったからLR違反になってしまった。
LR抜粋
>以下は禁止、より相応しい他の板でどうぞ。
>実在する人物(アイドル等)を元にした創作 →えっちねたロビー等
このスレの主旨自体は賛成なんだけどね、残念。
立て直す?
立て直すなら、削除されてからのほうがいい。
「故意の重複」は削除しない、って判断を最近削除人がしてたから。
それ以前に、削除人がこのスレを削除するかどうかが疑問だな。
そのまま使えってスルーされる確率が高いと俺は思ってる。
どちらにせよ、削除人の反応を待ってからだな。
なんか削除スルーッポくね?もう4日経ってるし。
ローカルルール違反っても目くじら立てるほどじゃなさそうだし。
普通につかっても問題ないだろ。
13 :
名無しさん@ピンキー:2007/08/09(木) 00:40:07 ID:bNfzTvQf
LR違反だが単発スレの防止にもなるし、削除人も板の為になると踏んだんじゃない?
どんどん使ってけば良いと思うよ。あえてage
14 :
名無しさん@ピンキー:2007/08/09(木) 00:53:06 ID:swkukyr/
>>13 だが残念ながら単発スレ立てる奴はLRなんぞ読まないのが現状なんだよな
15 :
名無しさん@ピンキー:2007/08/12(日) 06:31:17 ID:dSVS7dyj
立て直す必要はないし、削除スルーなら圧縮のときに落としたら?
>>1にある「追い出されたスレ」の完全重複だし(+LRに触れない+ここより
守備範囲が広い)、そっちのスレでは、次スレに移行するときに
もっと分かりやすい名前に変えるということになっているから
>>2 ただの乱立スレ
スレから追い出されたSSを投下するスレ
それ、タイトルがやだなぁ。
ウチは異常者に荒らされてスレ潰されちゃった類だから。
そもそも追い出される以前に最初からスレがないような作品だってあるわけで。
ここは「スレが無い作品のエロSSを書くスレ」の趣旨で使って
シチュが特殊とかそういうのはあっちで書くようにしたら住み分けできないかな?
賛成。
じゃあ
「シチュエーションが特殊・ネタバレ含みで本スレには投下できないなど」の
個別スレはあるが投下先がないSS投下(一次創作含む)は向こう
マイナー作品やレトロ作品など今現在専用スレがない作品のSSはこっち
ってことにするか?
それでいいと思う。
あっちをうpろだスレとして使って、こっちはスレのない作品スレとして使えば。
こっちも次スレまで行ったらスレタイから「うpろだ代わり」を外して
もっと分かりやすいスレタイとテンプレにしたらいいんじゃないだろうか。
削除されないのを信じて投下してみる。
元ネタはサターンのギャルゲー「ROOMMATE〜井上涼子〜」。
内容は超ライトな調教…と言うか公開オナニー。
では。
年頃の二人が、ひとつ屋根の下。「間違い」が起きたとして無理はないと思う。いや、それは「間違い」なんかじゃない。寧ろ「必然」だ。お互いを知れば知る程に惹かれ合い、いつしかお互いに愛し合う。それを誰が止められるだろう。
そうして、僕と涼子は結ばれた。
年頃の二人が、ひとつ屋根の下で、しかも恋人同士。「間違い」が起きたとして無理はないと思う。
きっと、それは「間違い」なのだろう。でも、僕と涼子にはやはり「必然」だ。お互い愛し合えば愛し合う程に虜になり、いつしか肉欲に溺れてゆく。しかもそれを咎める者は誰もいない。
そうして、今夜も二人の時間が幕を開ける。……淫らな交わりの時間が。
「…んっ…ん…んん……っ」
いつもの様に、僕と涼子はリビングでキスをする。ソファーで隣り合わせに座って、自然と身体を近付けて唇を重ねるのが、風呂上がりの僕らのセオリーだ。
「……はぁ…っ」
そっと唇を離し、涼子は切なげな声を漏らす。頬をほのかに赤く染め、瞳を潤ませたその表情が堪らない。
「…涼子…いいかい」
彼女のまだ少し濡れた髪を撫でながら、耳元に囁き掛ける。
「…………あ…はい…」
視線を少し泳がせながら小さな声で返事をする。これが、涼子の同意の合図だ。
僕はソファーから立ち上がり、リビングの照明を暗くした。それに合わせる様に涼子もソファーから離れ、そのまま床に静かに腰を下ろす。その気配を背中に感じつつ、僕は引き出しの中の物を手にした。
僕は目を閉じて座る涼子の首筋に手を廻し、カチャカチャとそれを括り付ける。そうして首輪を付けた涼子の姿に、僕の中の何かが弾けて消える。首輪の先の鎖を握り締め、少し低い声で言う。
「……さァ、立つんだ涼子」
「…………はい…御主人様…」
涼子も僕と同じだ。普段の理論的な彼女は影を潜め、夜の顔が姿を現す。ルームメイトの境界線が崩れ去り、男と女――いや、牡と牝の関係になる。
「涼子、まさかそのままでスル訳じゃ無いよな?」
僕は鎖をクッ、と手元に引き寄せた。
「脱げよ」
短い言葉に威圧的なニュアンスを込める。
「……はい…」
言われるがまま、涼子は自ら衣服を脱ぎ始めた。パジャマも下着も畳まれる事も無く、そのまま床に脱ぎ捨てられてゆく。
「これで…いいですか…」
薄い明かりに照らされて、涼子の肢体が僕の眼前に晒される。
少し茶色掛かった長い髪。
巨乳という訳では無いが充分な膨らみを称える両胸。
その先端で既に硬さを増しているピンク色の乳首。
テニスによって健康的に引き締まった身体。
外観の印象よりも少し濃い恥毛。
恥じらいつつも、視線に曝されて感じている微妙な表情。
その全てがこの鎖に繋がれ、僕の思うがままに出来る。その征服感が欲望を膨張させていく。
「さ、いつもの様に言ってみな」
膨張した欲望に比例し、僕の口調は荒くなる。
「…ご…御主人様……私の身体を…好きに…して下さい………何でも…するか…らぁ…」
隷属の台詞は、最後には懇願に変わっていた。よく見ると、両胸の先端は先程よりも一段とピンと張っている。涼子が欲情し始めているのは明白だ。
「何でもするんだな?」
一瞬の沈黙の後、
「…はい…」
涼子は小声で答えた。
「よし……じゃあ、イク所を見せて貰おうか」
「えっ……?」
涼子は一瞬何を言われたか判らない、といった表情を浮かべたが、直ぐに僕の言葉の意味を理解して視線を泳がせる。
すかさずグイッ、と手に持った鎖を引き寄せて僕は言い放つ。
「返事は『はい』だろう?」
自分の立場を思い出し、涼子は目を閉じて口を開く。
「……はい……御主人様…」
僕は再びソファーに身を沈め、涼子に視線を送る。その彼女は、目の前に座り込んで、ゆっくりと股を開く。自らの秘唇に涼子の細い指先が滑り落ちる。涼子はその既に濡れた入口を暫くなぞった後、人差し指を沈めて行く。
――クチュッ…。
「はぁんッ……!!」
切ない声を上げる涼子。
「そのまま続けて、涼子…」
「……あ……は…いっ……ン…ご…御主人…様ぁ…」
涼子は潤んだ瞳で僕を見た後、再び薄く瞼を閉じて中指も自らの躯に誘う。
――グチュ…グチュッ…。
「…あんっ……あ…あァ…ンッ…」
押し寄せる快感を堪えようと、開いた両脚を内側に縮こませる涼子だが、途切れ途切れに喘ぐ声は徐々に艶っぽさが増して行く。
「…あッ……んっ……ご…御主人様ッ……ご…主人……さまぁ…っ…」
僕が命じるまでも無く、涼子は空いていた左手で自らの乳房を揉み上げ、そして譫言の様に「御主人様」と繰り返す。
涼子の頭の中の僕は、今どの様に彼女を犯しているのだろう。
涼子は普段は理屈っぽい、とまでは行かないが、知識や経験に基づいて話したり行動するタイプだ。この年頃の娘にありがちな「その場が良ければOK」という事はまずない。
そんな比較的真面目な彼女が僕の目の前で、本能のままに自らを慰めて快感に溺れている。その事実は僕をより興奮させるに充分だった。
「……気持ちいいのかい、涼子」
「あぁん………いいっ……きもち…いいで…す……ご主人…様……あッ」
涼子は吐息混じりに答える。
「じゃあ、もっと良くなりな」
僕のその言葉を待っていたかのように、涼子は乳房を愛撫する左手の指先で硬くなった乳首を摘む。
「ああァァンッ」
一際高い声で鳴く。
グチュ…クチュクチュ……。
「あ……あん……あぁンッ…」
…チャリ…チャリ……。
涼子が愛らしい声で悶える度に、首輪の鎖が擦れて音を立てる。それが涼子の耳にも届いているのだろう、自らを慰める指遣いが段々大胆になってゆく。
「いいよ、涼子……涼子の可愛い声、もっと聴かせて…」
僕は涼子にそっと囁く。まるで優しく愛撫する様に。
「…あっ……ご…主人さ…まぁ……あぁン……あッ…あぁ…」
段々良くなって来たのか、内側に少し閉ざしていた太腿が自然と開かれ、涼子のはしたない指遣いがはっきりと見て取れる。赤く充血したクリトリスを弄る指先が堪らなく淫靡だ。
「…涼子…そんなに気持ちイイの…?」
「…はい…ッ……きもち…いい……いいの…ぉッ……」
薄目を開けてこちらを見ながら、涼子が僕の言葉を肯定する。
涼子の表情には淫靡な色が浮かび、髪が汗でその顔に絡み付いている。その口元からはうっすらと唾液を垂らし、秘唇を愛液でテカテカと光らせている。汗ばむ肌は桃色に染まり、すっかり発情しているのを僕に見せ付けている様なものだ。
グチュ…グチュグチュ……ジュクッ…グチュグチュッ………。
…チャリ……ジャラジャラ……チャラ……。
涼子の奏でる水音と金属音が絡み合う。
「…あぁん…っ…も……ダメ……イッ…ちゃう…ぅ」
涼子はその時が目の前に迫っているのを告げた。そして僕の方に縋る様な視線を向ける。僕と涼子の目が合うが、僕は敢えて何の反応もしないでいた。
「……あっ…あァッ……イ……イク…ッ…御主人…様ぁ……あン」
涼子は僕の言葉を求めていた。だが、敢えて焦らす。支配しているのは、僕だからだ。
「……ご…主人様…ぁ……イカせて…下さい……お願い…します……あん……イ…イキ……たい…です…ぅ…ッ」
涼子があられもない言葉で悶え、達するのを望む。陰唇を苛める指先は自らを激しく弄ぶ。愛液がポタポタと床に落ちる。
そんな涼子を、僕は何も言わずにひたすら見つめ続ける。視線で、全身を舐め回す様に。
「……あぁ…ご主人…様ぁ……そんなに……見つめられたら…私……私…っ……あっ……あ…あん…もっと……見て…み…見て……下さい…ッ……ぁン……私の…あっ…わ…私の……は…恥ずかしい……とこ…ぉ……ッ」
恥じらいは直ぐに悦楽となり、言葉に現れる。涼子の心と身体の全てが淫らに乱れていた。
「も……イク…っ…イッちゃ…ぅ……御主人様に…見られ…ながらっ…あ…あぁ…ご……ご主人…さまぁ…ッ」
涼子は腰を浮かして、濡れた秘唇を見せ付ける様な恰好になる。見られる事で興奮が高まるのを、涼子の本能が知っていた。
「……あっ……あっあッあッ…イク…イクっ……イク…ッ……イ…イクぅっ……!!」
一際高い声を上げながら、涼子は全身をビクンビクンと痙攣させて果てた。陰唇からは愛液が後から後から溢れ、涼子の指も床もぐっしょりと濡らしていた。
「イッたんだね、涼子」
「ハァ…ハァ………あ…ハァ…ハァ…ン……」
涼子は呼吸が乱れ、まともに返事も出来ない状態だった。達した後の虚脱感で、そのまま床に横たわっている。
僕はそんな涼子に近付き、顎にそっと手を伸ばした。こちらに向けさせた表情には、まだ恍惚の色が残っている。
「自分だけ勝手にイクなんて……はしたないな、涼子は」
「…そん…な……だって、御主人様が…見せろ、って」
「…いやらしい指遣いだったな………普段からあんな風にしてるんじゃないの……?」
僕は反論の隙を与えない。涼子が困惑していくのが手に取る様に判る。
「そんな……違うの…私、そんな……」
「気持ち良くなりたくて……止められなかったんだね…」
「…違うの……だって…あなたが」
僕はグッ、と涼子の手首を掴んで、こちらに引き寄せた。
「…あなた、じゃ無くて『御主人様』だろう?……涼子は悪い子だな……」
「…ご…ごめんなさい……御主人様……」
そのちょっとした言葉の揚げ足を取り、僕は涼子を追い詰める。
「この手が悪いんだな………お仕置きが必要だね、涼子」
僕は懐から首輪と揃いの、黒い手枷を抜き出して涼子に見せた。
「……さぁ……反省の時間だよ……涼子……」
以上です。
もしかしたらこの続きで、緊縛した涼子を犯すSSを書くかも…。
>27
井上涼子のSSが読めるとは嬉しいです。
いっしょに住んでいる感じが出ていて興奮しました。
緊縛した涼子を犯すSSも読みたいです。
あとお風呂でエッチも勝手に希望。
ゲームではお風呂のシーンに興奮したのでw
ほぜん
GJ
涼子ナツカシスw
ちょっとお借りします
今から投下
深い深い森の奥。
陽は落ちて鈴虫の大合唱が始まる頃、私は巨木の上に建てられた
ツリーハウスに明かりを灯す。
昼間に眠り夜に起き出すそんな生活。
「んっー…圧縮近いし今夜も頑張るぞ」
両手を上げて伸びをしながらツリーハウスの窓から下を見下ろす。
地面には茶色くなった雑草とホームレス達の青いテント群。
実はここは深い深い森なんかじゃなく都内某所の公園なのだ。
魔力によって私の住まいのツリーハウスは人間には見えない状態なのだが、
地面に降りればそこには人間達の生活が広がっている。
私はパソコンの電源を押しミネラルウォーターに口をつける。
「…俗っぽい生活にもだいぶ慣れちゃったな」
光を放つモニターを見つめながら呟く。
電気を樹上に引く技術は青テントの住人から真似た。
私がエルフの里を飛び出してどのくらい経ったろう。
人間の男と恋に落ち、都会に出て来て別れ、公園に住みついている。
時々変装して働いてあとはこの家に引っ込んでいる気ままな毎日。
でも不規則に過ごしたくなくて、夜起きたらまずネットのとある掲示板の
情報のまとめをしている。
「あれ、今日はまだ12時前かぁ。
集計出てないよね。」
今夜は早めに目が覚めてしまったらしい。
私は久々に掲示板に並ぶ作品をじっくり読んでみることにした。
数十分後。
私は自分の熱い身体を両手で抱きしめ葛藤していた。
「すっごい好みのエッチなSSだわ。」
そう、私の見ている掲示板はエッチな小説がたくさん置かれているところ。
深夜のアニメにハマった時にネットで検索しまくり辿り着いたのだ。
18才未満は閲覧禁止だそうだが私は年齢なんてとっくにパスしている。
久しぶりに身体が疼く。
両足の付け根の奥が熱くなり、むずがゆい。
久しぶりにしちゃおうかな。
薄地のワンピースをめくりショーツを脱いだその時。
「こんばんは〜」
背後の窓際から声を掛けられた。
私は慌てて足首に引っかかっているショーツを机の下に爪先で押し込む。
振り返ると一匹の野良猫がビニール袋持って窓際に座っている。
いつもの馴染みのヤツだ。
私は服のシワを整えるフリをしてノーパンのまま窓際へ歩く。
スースーするが恥ずかしくはない。
だっていつも部屋ではノーブラだからコイツには胸は透けて見えてるだろう。
「秋の名物、松茸だよ〜」
見た目は普通の猫なのにペラペラ人間語を喋る。
この公園に住んでからの知り合いだがコイツの本当の正体はまだわからない。
「ありがと。いつも悪いわねぇ。」
窓際に着くと私はビニールを受け取った。
私達は食べ物を交換したり雑談したりする関係だ。
「んじゃ、ボクは集会があるから今日はもう行くね。
ソレ、楽しんでねっ」
「あっ。もう行っちゃうの?」
猫は後ろを振り向かずに枝をぴょんぴょん跳ねてあっという間に闇に消えた。
「楽しんでってどういう意味?高級品だからいろんな料理作っててこと?」
ビニール袋を開けて中に入っている松茸を覗く。
どこから採ってきたのか、形も香りも申し分ない。
あれ?中に一本だけ真っ白い松茸がある。
何だろうと手にとってみると、それは松茸のシルエットなんだけれど感触が
やたら、ぷにぷにと肉感的だった。
「全部真っ白でツルツルしてるけど毒キノコにもこんなの無いわよね」
さすがに私も森で暮らしていた知識は忘れていない。
手に持ったまま15センチ程の謎のキノコを見つめる。
するとだんだんキノコのが変化してきた。
カサの部分がキュッと締まり全体的にピンク色になってきたのだ。
コレって…。
アレに似てるかも…。
そう男性の…。
頬が熱くなりキノコから目を外しモニターを見る。
するとたまたま開いていたSSの台詞が飛び込んできた。
「……おちんちん入れてください。
ぶっとくて、気持ちいいおちんちんを
あたしのいやらしいココにぶち込んで…」
目で文章を追った瞬間私はまた身体が疼くのを感じた。
足の間が湿ってくるのがわかる。
乳首が反応して布にこすれて痛い。
「さっきの続きしちゃおうかな…」
私はモニターの前に座りワンピースの肩紐を外した。
豊満ではないが痩せた体なので胸はいちおう有るように見える。
「はぁ…」
私は片手で胸を揉みしだいた。
乳首もつまみ少しひっぱったり先端を撫でる。
時々SSを読みながらいじると私の秘部は触ってもいないのに露が溢れてく
るのがわかった。
膝に掛かったワンピースをめくり胸をいじっていた片手を伸ばす。
もう片手は変なキノコを握ったままだ。
「本物のチンポ握ってるみたいに見えちゃう…」
左手で誰かのおちんちんを握りながら右手で自分のクリトリスをいじる。
頭の中ではさっきのSSのおちんちんをねだる場面をなぞる。
「はぁっ…くちゅくちゅいってる…」
私は膣の中に指を伸ばした。
すると膣内は蜜で溢れ、指では物足りないとばかりに吸い付いてくる。
「んっ…すっごい圧迫感…もっと奥をこすりたいよぉ」
指を三本に増やしてみたが元々細い指だし、どうやっても奥までは届かない。
「…ふぅ」
指を引き抜き人差し指を親指の先に押し付け離すと
粘り気のある透明な露が糸をつくる。
うーん。
コレ入れたいなぁ。
私は起きた時のままの乱れたベッドに戻り仰向けに倒れ込む。
左手で握ったキノコはツルツルしてるけど乾いていて滑りが悪そうだ。
私は口元に持っていき少しづつくわえ舌で湿らした。
んんっ。本物ぐらいの大きさ…。
あの猫がきっと魔法を使ったんだわ。
十分湿らし、私は秘部にモノの形をしたキノコを当てた。
色は艶々したピンク色なので最早キノコとは言い張れないが。
「んっ…」
ゆっくり入り口に差し込み奥に押してゆく。
恋人と別れてどのくらい経ったろう…。
あれ以来人間とは交わっていない。
入れてみると大きさがかなり生々しく本物に近かった。
1人で自分を慰めることはあったけど…こんな感触久しぶりだ…。
「ああっ…」
声が出てしまう。
キノコの大部分が入ると膣壁はぴったり吸い付きキノコを離さない。
キノコの根元を掴み抜いたり差したり動かしてみる。
するとクチュクチュという音が次第に大きくなり太ももからお尻に
幾筋かの露が垂れていった。
「あっ!あん、気持ちいいっ!」
私は夢中でキノコを出し入れしてしまった。
奥まで差してかき回したり、膣の入り口をツンツンつついたり…。
だんだんキノコ全体に私の愛液が絡まりだんだん手が滑るようになってしまった。
「あっ!」
とうとう滑ったはずむで手がキノコから離れてしまった。
持ち直そうとしたその時。
「っ!あれ?」
なんとキノコが勝手に動き出し激しくピストンを始めたのだ。
「やっ…あぁ…なにこれっ!」
抜こうと思って手を伸ばしたが奥までズップリ突き刺され体の力が入らない。
ぐちゅぐちゅ、ぴちゃぴちゃ。
休む間もなくピストンされる感じが何者かに
犯されているようで私はますます感じてしまう。
自分でおっぱいを揉みながら
「いやぁ…やめてくださいっ…」
なんて叫んでみる。
もしも。万が一。
こんなバイブみたいなモノを突っ込んで喘いでいるところを人間なんかに見られたら…
そう思った瞬間私の身体を快感のしびれが走り腰や背中に力が入った。
「あっあぁ…イッちゃう…突っ込まれたままイッちゃうよぉ!」
身体をひくつかせ私はイッてしまった。
イク瞬間、私の膣は締まりキノコをぐっと捕まえる。
しかしキノコは私がイッたのにはお構いなしで変わらずピストンを続けていた。
「やっ…やだ、なんで止まんないのっ…あっ」
くぅっ。絶対、あの猫、明日とっちめてやる…
イッた時の愛液が増えた分、キノコが突っ込まれると、グチュ、ズブっと
下品な音がする。
抜きたいけれど、悔しいことに気持ちの良い場所を
ガンガンに攻めてこられ私は意識を手放しそうになった。
瞼を閉じたその時、キノコはピストンを止めメリメリとひたすら奥に侵入
しようとしてきた。
「ちょっと…ヤダ…」
私の声を無視してキノコは前進し、根元部分までズッポリと入ってきてしまった。
さすがにこの状態で突かれたら痛いかも…
両手に力をこめてグーをつくり身体を強ばらせる。
するとキノコはピストンせずにそのまま全体がブゥンと震え始めた。
振動は膣内全てを刺激して、私の意識を飲み込もうとする。
「これも気持ちいいかも…」
うっとりと目を細め揺れに身を任せていたが、急にキノコは回転を加え
子宮に向かって上下してきた。
「あっ…あんっ!やだぁ!壊れるっ!」
ビックリして叫んだが、私の身体は壊れるどころかいやらしい汁を
滴らせ喜んでいた。
「んっ…!」
一瞬キノコが膨らんだかのように感じた時、私はイッてしまった。
「はぁっ…」
二度目の絶頂を迎えた後私は疲れ果て、キノコを差し込んだまま眠ってしまった。
「くしゅんっ!」
翌朝、胸丸出しの半裸で寝たせいかくしゃみで目が覚めた。
いつの間にかキノコは消えているがシーツは湿っている。
私は立ち上がりパソコンに向かった。
掲示板には更新されていないのを心配する声が書き込まれていた。
ごめんなさいと詫び、今夜作業しますと書きいったん電源を落とす。
もしも今エルフの顔馴染みに会ったなら、
なんて俗っぽいことをしているんだと嘆かれるだろう。
でも私はこんな暮らしが気に入っている。
実はまた機会があれば人間の男と暮らしてもいいと考えることもある。
「銭湯で一番風呂してこようかな」
私は伸びをしてパソコンから離れた。
以上で終了。
ありがとうございました。
GJ (:つ ≡3
39 :
名無しさん@ピンキー:2007/09/11(火) 07:44:26 ID:eD3mCyZi
上里予公園かw
赤い靴ならぬ、白いキノコ。女の子は死ぬまで……と一瞬思った
gj!
男の子がふたなりの女の子に調教されるオリジナルの話を、ここに書き込んでも大丈夫でしょうか?
おk
いいけど、ふたなりは専用スレあるぜ?
ふたなりっ子が出てくるなら、ふたなりスレで歓迎されると思うけど。
自分、ふたスレ住人なんで読みたいっす。
ふたなりが出ますが、内容的にショタ調教が中心になると思うので、どこのスレでも微妙にスレ違いになりそうなので。
とりあえず安心して書いていきます。ある程度、量がまとまってから書き込もうと思います。
まあ、ショタ総合スレは多分避けたほうがいいしな(あそこ荒れやすい)
46 :
43です:2007/09/12(水) 02:42:09 ID:J/EtrsEO
>>44 そっか。ではこのスレで楽しみに待ってます。
>>46 ありがとうございます。
ふたなり好きの方のお気に召すかはわかりませんが……。
とりあえずは一編が完成しました。
濡れ場の描写が詳細なものを読むのが好きなせいか、
大したことはしていないのに長いです。
しかも濡れ場が始まるまでも長いです。
短く纏められたらと思うのですが……どこを削ればいいかわからずこうなってしまいました。
それでは、この場をお借りして書き込みさせて頂きます。
【エロ内容】SM ふたなり
【ストーリー内容】鬼畜
【ターゲット属性】ショタ
ボクは産まれてからずっと、庶民として生活してきた。
だから、例えば漫画とかで見るような、広大な土地に建つそこらの学校よりも大きな洋風のお屋敷なんて、現実にはないと思ってた。トラックだって通れそうな扉が開くと、普通の家一軒分の広さがあるホールが出迎えてくれる個人の家なんて、空想だって。
赤い絨毯が敷き詰められた2車線級の廊下を通って、メイドさんの案内に従って応接間へ入れば、金色の長髪が綺麗な、その家のお嬢様が待っててくれたりして。
「やっと来たわね。児里かなう君?」
「は、はい!」
どこか遠くから聞こえたような声に、ボクはハッとした。
いけないいけない、これは空想なんかじゃない。ボクは現実に、現実には有り得ないと思ってたほど豪華なお屋敷へ来てるんだ。
黒いソファーに座ったお嬢様が、入り口に立つボクへ微笑みかけてくれてる。
「履歴書は私も見ておいたわ。私と同じ歳なんですってね?」
「は、はい」
「高等部の……いえ、あなたの場合は高校一年生と言うのかしら?」
「は、はい」
「学業があるのなら、この夏季休暇の間だけなのね?」
「は、はい」
友達の叔父さんの友達の近所の人づてに紹介された、住み込みのお手伝いのアルバイト。
同い年の可愛い女の子が居るお金持ちの家でなんて話は、半信半疑だったけど……。
「聞いてた通りね。同じ歳の男なんて思えないわ。背も低いし、初等部の女の子みたい」
「は、はい。……て」
それ、気にしてるんですけど……。友達に言われると怒るんだけど、この子には怒れない。同い年のはずなのに、じっと見つめられてるだけでなんだか威圧されちゃう雰囲気。
わ、目も青い。ウェーブのかかった長髪はブロンドだけど、ハーフかな。日本人的な可愛さっていうか綺麗さもある。釣り目がちでちょっときつそうだけど。
でも、こういう子に限って実はでれ〜っとしたとこがあったりして。
どんな仕事をやらされるんだろ? 執事みたいな感じかな。
ある日いつものようにバルコニーへボクがお茶を持っていくと、お嬢様が照れるんだ。
『い、いつもありがとう、児里』
『どうしたんですか? お嬢様がお礼を言うなんて』
『私だって……礼くらい言えるわよ! かなうのこと……好きだし』
『え? 今なんて?』
『好きだって言ったのよ! ……バカ!』
「ダ、ダメです。お茶が零れちゃいますよ」
夕日をバックに二人の顔のシルエットが重なって……というところで、「……そう思うならどいてくださると嬉しいのですが」幻の風景が儚く消えた。
応接間の入り口に立っているボクのうしろに、いつの間にかティーセットを持ってきたメイドさんが立っていた。
「す、すみません」
わああ、空想して声まで出してたなんて!
顔が熱くなるのを感じながら、ボクには小さくなるしかできない。
お嬢様はメイドさんが持ってきたカップに口をつけてから、こっちを見て苦笑する。
「予定通り、明後日から頼むわ。それからあなた、立ち仕事の方が好きなのかしら?」
「は、はい。あ、じゃなくて座る仕事も……なんでも大丈夫ですけど」
「そう? 椅子に座るのは苦手なように見えるわよ?」
「あ……」
そ、そっか、座って良かったんだ。
結局ボクは入り口に立ったまま、メイドさんが持ってきてくれたお茶を飲む余裕もなく、面接を終えてしまったのだった。
面接の恥事件から一週間。
ようやくボクはこのお屋敷での仕事と生活に、慣れていける自信がついてきた。
仕事は基本的にあちこちの掃除が中心。要は普段のお手伝いさん達だけでは間に合わないところを綺麗にする、夏の大掃除要員だったわけ。
住み込みだから部屋のひとつはボク用に使わせて貰えてるし、基本的に仕事のときはひとりだし、思ったより気楽にやれてる。もちろん、まだ緊張することはあるけど。
広い廊下に均等に並ぶ西洋風の鎧の像を磨くのが、昨日からのボクの仕事だ。
頭から足の爪先、篭手の指のあいだまで、傷まないよう丁寧に布で拭いていく。退屈な作業なんだけど、一度やり始めると夢中で汚れを落としてるのが不思議。
「真面目にやってるじゃない、かなちゃん」
像の頭を拭こうと背伸びをしてると、メイドさんのひとりが声を掛けてきた。
ここで仕事してる中ではボクが一番年下だから、ボクは皆に敬語を使っているけど、今はもう同僚みたいなものだから、向こうからは軽い口調で話してくれる。
ボクの呼び方は変えて欲しいけど……。
「かなちゃんじゃないですよ。それより見てください。顔も映るんですよ、これ」
「アンティークの置物だからあんまり綺麗にし過ぎても変なんだけど……。あ、仕事、そこまででいいよ。お嬢様が呼んでるから」
「え、ボクをですか?」
一瞬、耳を疑った。今までなかったことだから。
なんの用だろう? ここで仕事をしててわかったことがある。非現実的な環境が実在しても、現実にはそうそう空想みたいなことは起こらないってこと。だからきっと現実的な用事なはずだ。
部屋にゴキブリが出たとか、なにか失敗を怒られるとか……。
「やだなあ、どっちも苦手なのに……」
「どっちもってなにが?」
「な、なんでもないです」また声に出しちゃった。「すぐ行ってきます」
「はい、頑張ってきなさいよ」
ボクの身長に合わせてメイドさんが軽く膝を曲げて、ぽんぽんと頭を撫でるように叩いてくる。ムッとするけど、怒ると余計からかわれるんだよね。年上の女の人って……。
ちょっと道に迷っちゃってから、ボクはお嬢様の部屋の扉をノックした。
「あの、児里ですけど」
「入りなさい」
お嬢様の部屋に入るのは初めてだ……。
ボクは大きく深呼吸をしてから、「失礼します」重い扉を開けた。
部屋に入った瞬間、ハーブのような香りがボクを包み込んだ。
白い壁には黒で幾何学模様が描かれていて、モノトーンな雰囲気が出てる。部屋一面に敷かれた絨毯は鮮やかなダークレッドだ。
学校の教室の倍くらいの広さの中に、壁や絨毯と同じ白黒赤系統の配色でまとめられた家具が堂々と居座っている。天井も廊下より一段高くて、ボクの身長の3倍近くありそう。
室内で雨が降るわけもないのに天蓋がついたベッドの端に、お嬢様が座っていた。
「あの、用事って……?」
面接のとき以来、まともに会うこともなかったから、また緊張してしまう。
このお屋敷の広さのせいで、1日中全然顔を合わせないことだってあるんだから。
「まずはお座りなさい。……今日は座れるわよね?」
「は、はい」
くすっと笑うお嬢様から目を逸らしながら、ボクは離れた位置のベッドの端に座ろう、としたんだけど、「なにをしてるの!」突然、怒られて跳び上がった。
「す、すみません!」
ベッドに座っちゃダメだったの?
でも、椅子は机の前にひとつしかないし……。
「あなたはそこに座りなさい」
お嬢様が指差したのは、お嬢様の足元の絨毯の上だった。
そっか、椅子に座らないといけないってわけじゃないか。
ボクは言われた通り、絨毯の上に体育座りをした。だけど黒いワンピースを着たお嬢様を足元から見上げてると、なにかが不自然な気がしてくる。……なんとなくだけど。
「男のクセに髪を伸ばしてるのね?」
唐突にお嬢様は手を伸ばして、ボクの髪のあいだへ撫でるように指を差し入れてきた。
ど、どういうこと? 体と頭が一辺に限界を超えて、機能停止してしまう。。
「栗色で綺麗だし、流れもいいわ。ショートよりは長いわね。セミロング……の手前、ミディアムくらいよね。目も大きくて可愛いわ」
「あ、あのー……?」
褒められてるのか、男としてバカにされてるのか……。
お嬢様は黙って、値踏みをするような目でボクを眺める。
ほ、本当になんなんだろ?
女の子とふたりっきりでこうしてると思うとだんだんドキドキしてきて、行き場のない視線が泳いでしまう。お嬢様は足を組んでるから、ワンピースの裾から太ももが覗いてるんですけど……。
「決めたわ。これを両手に着けて頂戴」
満足した様子のお嬢様が放り投げて渡してきたのは、金色の細い腕輪だった。浮き彫りで飾られてるだけの、シンプルなデザインだ。
よくわからないけど、とりあえず着けてみる。
これ、手錠みたいな着け方するんだ、変な腕輪。
「その服は私服よね? あなた用の制服も明日には間に合うわ」
「え、ボクにも制服が――」
「着けたら立って、両腕を背中に回しなさい」
口を挟もうとしたボクを遮って、マイペースで命令してくる。
今のは結構ムッとしたけど、一応はこの子がボクの雇い主みたいだし……それに綺麗な子だし……我慢して言われた通りにしておく。
「いいわ。そのままうしろを向いて、動かないで」
「はあ……」
つい生返事しちゃう。なにかの遊びのつもりなのかな?
この腕輪も制服なのかな。それとも、ボクへのプレゼントだったりして。
お嬢様に背中を向けたまま首を傾げてると、金属のカチャカチャした音が聞こえてきた。
まだなにかくれるのかな、なんて思ってると、カチャンッて留め金を合わせたような音が2回。両方の腕輪になにかをつけた?
瞬間、ぐいっと腕を引っ張られた!
「わ、わっ!?」背中からベッドに倒れてしまう。「な、なにするんですか!」
「本当の仕事を始めて貰うのよ」
足を組んで座る姿勢を変えないままのお嬢様が、急に冷たい雰囲気になった気がした。
ボクは立ち上がるのに腕を動かそうとして、「え、あれ、なんで?」両腕が背中に回ったまま戻せなくなってるのに気付いた。
「本当の、仕事って……?」
両腕を動かすと金属の鎖が触れ合うような音が邪魔をする。
左右の腕輪が離れないように繋がれちゃってるんだ!?
腕が巧く使えないせいで、仰向けに倒れたまま起き上がれない!
そんなボクを見下ろしながら、お嬢様はベッドの上を探ってなにかを拾い上げてる。
「大人しくしておきなさい。今、これも着けてあげる」
お嬢様が突然始めたわけのわからないことにまだ頭が追いつかなくて、ボクは抵抗するのも忘れて、それも着けられてしまった。
く、首輪? 猫用みたいな赤い首輪がなんでボクの首に?
鈴までついてて、ボクが動くとチリンって鳴ったりしちゃってる。
「おまえにはね」
ぞっとする微笑みを、お嬢様が浮かべた。
「私達のペットになって貰うのよ」
「ペ、ペット……ボクがですか!?」
まさか、そんな空想みたいなことが現実に起こるわけが。
それもこんな、凄くタチの悪い空想みたいなこと、あるわけない……はず、だよね?
「そう、ペットよ。どういうペットかは……わかるわよね?」
「わっ、そ、そんなとこ!?」
お嬢様がズボン越しのボクの股間に手を乗せたとき、はっきり理解できた。
なんだかボクには理解できない状況になろうとしてるってことが。
「ダ、ダメなんですよ、そういうとこ触ったら!」
手は止まらないで、ズボンのチャックが下ろされてく。
「それ、ダメですってばあ!」
なんとかお嬢様の手を止めようとして、不自由な体勢でじたばた暴れてみる。
すると、青い両目の睨みがボクを突き刺した。
「うるさい、黙ってじっとしてなさい!」
「は、はい!」
反射的に言うことを聞いちゃう。
話し慣れてない人に強気に出られたら、メチャクチャでも言い返せないんだもん……。
「あ、あ、あ……」
ズボンと下着が膝まで降ろされてくのをどうしようもなく見守りながら、ボクは自分の視界の端っこがぼやけてくのを感じた。
ボクの大事なとこはお嬢様の手で暴かれてしまった。
冷房の効いた室内の空気に、あそこが直接冷やされる。
「あら、生えてないわ。本当に子供ね」
サラッとひどいこと言わないでください!
「ちゃんと睾丸はあるのね。もしかしたら私達と同じかと思っていたけれど……」
「やめっ……んっ……!」
人差し指であそこの付け根から撫で上げられちゃう。
お、女の子に……ていうか、他人にそんなとこ触られちゃうのも初めてだよぉ。
「つ、つんつんしないでください。ふあッ!?」
背中がゾワってした!
「おまえは声も女の子ね。ペニスも睾丸もあるけれど、小さいし……この皮は剥けるのかしら? 勃たせてご覧なさい」
ピンっと指で弾かれて、あそこと心が両方痛んだ。
それはボクは確かに男らしくない外見かもしれないけど、それなりに男のプライドっていうのも持ってるつもりなのにぃ……。
ふにゃって柔らかい状態のまま触られる自分のあそこが、なんだか凄く情けない。
「あら、これくらいでもう泣いているの?」
「な、泣いてません!」
涙が出ちゃっただけだけど、うう、それってやっぱり泣いてるって言うのかも。だってこれじゃ襲われてるみたいで……同い年の女の子を怖がってるなんて、認めたくないけど。
こんなときにあそこが元気になる余裕なんてあるわけないよ。
やっと諦めてくれたのか、ボクのそこから手が離れる。
「仕方ないわね。経験はあるの?」
「な、なんの……?」
「セックスに決まっているでしょう」
「セッ……!」
いらいらした表情のお嬢様に恥ずかしそうな様子は全然ない。
ボクは聞かれただけで顔から湯気だって出そうなのに。
「そんなの……ないです……」
「そう、良かったわ」
妖しい微笑みを浮かべたお嬢様が、仰向けになってるボクの胸に座ってきた。
ボクの顔の方を向いた姿勢を取って、今度はなにをする気なの……!?
黒いワンピースのスカートを広げて、ボクの上に女の子座りをしてるお嬢様。
冷ややかな目なのにどこか興奮してるみたいに見える。
お嬢様はドキっとするような舌なめずりをして、スカートの裾を両手でつまんだ。
「目を逸らしてはダメよ」
「え……あ、あの……?」
まさか……と思う間もなく、スカートが徐々にめくられていく。
そ、そんなことしたら下着が見えちゃいますよ。
白い肌の太腿がどんどんと露わになっていって、ついに左右が繋がった。
――ゴクッ。
自分の唾を飲み込んだ音が、頭の中に大きく響く。
ウ、ウソでしょ?
最初に見えたのは、ふわっと繁ったブロンドの陰毛だった。
「下着は……」穿いてなかった……の?
お嬢様、もうあそこの毛がたくさん生えちゃってるんだ……。
本で見たことあるのと違って金色だから濃くは見えないけど、でもそのせいで、半分まで出てきたお嬢様のあそこがよく見えちゃう。
ふっくらした唇のような盛り上がりが創る割れ目。
お嬢様の呼吸に合わせて、開いたり閉じたり。
内側の薄い唇も開くと、赤く色付いた奥の方が一瞬見えて、また閉じる。
こ、これが、女の子のあそこ……。濡れてるみたい……。
本でしか見たことなんてないけど、確か大陰唇とか小陰唇とか。
それで、もう少し上の方にはクリトリスっていうのがあるんだよね……。
「あ、れ?」
めくり上がっていくスカートの下から、お嬢様のあそこのほとんどが現れた。
……と、思うんだけど。
クリトリスがあるはずの場所から、やけに太いモノが伸びてるような……。
「ふふ、よく見ておきなさい」
言われなくても、もう目が放せない。恥ずかしいけど……。
ゆっくりスカートがめくられてくけど、なかなか太いモノの先は出てこない。
なんなんだろう。他のとこより濃い肌色で、血管が走ってるのが透けてて。
も……もしかして!?
太い幹の中心に一本浮き上がった筋。
エラを張ってさらに一段太くなってる先端はつるつるした紅色に染まってて、頂点の切れ目には透明の液体が玉になっていた。
「おちんちんンンン!?」
「そうよ。私達にはね」
お嬢様は片手をスカートから離して、あそこ……女の子の割れ目を2本の指で広げた。
「ヴァギナとペニスがあるのよ」
「え、えええええ!」
そ、そんな人が現実に居るの?
しかもお嬢様のお……おちんちん、とんでもなく大きいんですけど……。
下手したらボクの手首より太そうだし、先っちょなんておへその上まで反り返ってるし。
なんで男のボクのあそこのは……で、女の子のお嬢様のはこんなおちんちんなの!?
「どう、気に入ったかしら?」
お嬢様は立派過ぎるそれをつかむと、ボクの顔へ向けてきた。
「ひっ!? やや、やめてください!」
き、気に入るわけないよ!
大砲を向けられてるみたいなプレッシャーで体が固まっちゃう。
先っちょに溜まってた透明の玉が、つーって糸を引いてボクの首元に……。
「や、やだやだやだやだ! 気持ち悪いィ……!」
「そうかしら? じゃあ、これはなに?」
「ぃううっ!」
ぎゅってあそこを握られた。
お嬢様が身をよじって、ボクのあそこを冷たい目で見てる。
「私のペニスに興奮したのかしら?」
「そ、そんな……い、いたぃっ!」
おちんちんじゃない方のとこを見たからです!
そう言いたくても強く握られたあそこが痛くて声が出せない。
「完全に勃起……」言葉の途中でぷっと吹き出して、「してるのね、これで」
「ひどぃ……です……!」
「かなうのモノは色も薄いわね。あら、まだ剥けてない……手でしないとダメかしら」
呆れたようなお嬢様のため息。
「ああああっ!? やっ……なにっ……!」
同時に、ボクのあそこを激痛が襲った!
「いああぁぁっ、ああああううぅ!」
壊されるんじゃないかってくらいの痛さに、ボクにはもう強がることもできなくて、ただ泣き叫ぶしかない。首元の鈴の音がお嬢様と一緒にボクを笑ってるみたいに聞こえる。
「そんなに痛いの? まあいいわ、今はやめておいてあげる」
やっと放してくれても、ジンジンって痛みは治まらない。
お嬢様がこっちへ向き直って見下ろしてくると、ボクの体が震えちゃう。
こ、怖い……。
巨大なおちんちんが、ボクの顔の方に迫ってくる……!
「あ……あ……ん、んんうぅぅ!」
「さあ、口を開けて。私のペニスを舐めなさい。それがおまえの仕事よ?」
ぴったり閉じた口にぬめぬめした硬いモノが押し付けられてる。
お嬢様のおちんちんを舐める……? ボクが!?
「んんん……!」
ボクが拒んでも、紅い先っちょが唇の合わせ目を左右に往復する。
うえぇ、ぬ、ぬるぬるしたのをつけられてるぅ。
「口を開けなさい!」
「やっ、うっ……」
首を横に振って嫌がってみせたら、鼻にぴったりくっつけられた。
嫌でも匂いを直接嗅がされちゃう。
鼻からボクの中へ入っていく、汗がこもった生温かくて生臭い匂いと、青っぽい匂い。
「く、臭いぃ……!」
「なんですって?」
――パシン!
「あうっ!」
ほっぺたを、叩かれた……?
「私に奉仕させようというのは、おまえを選んであげたからなのよ。ペットなら喜んで主人に奉仕するべきでしょう? それを、おまえはなんて言ったの?」
お嬢様の声はいつもと同じで綺麗だけど、怒りを隠さずに圧し掛かってくる重さがある。
悪いのはそっちだって怒り返したいけど、怖くて、怖い……。
「ごめん……なさい」
「謝るだけで許されると思うの? ペットなら、態度で表しなさい」
「うう……」
叩かれたほっぺたにおちんちんを擦り付けられる。
気持ち悪いぬるぬるが口にも、顔にも塗り広げられて……もうやだよぉ……。
「ボクは、ペットなんかじゃ……」
――バシンッ!
強く、叩かれた。
さっきと反対側のほっぺたが痺れて、じんって熱くなる。
「やるの? やらないの?」
手を振り抜いたままの格好で、お嬢様はボクに抑揚のない声で追い討ちをかけてくる。
いくら女の子のだからって、おちんちんなんて舐めたくない!
舐めたくないけど……。
「ひっ……うっ……」
涙はずっと止まらないし、喉が勝手にしゃくり上げるようになっちゃう。
こんな泣き方したの小学生のときくらいなのに……。
泣きながら見上げたら、お嬢様と目が合った。
「や、やり……ます」
こんなの、言う通りにするしかないよ……。
目を逸らして喉を落ち着かせようとしてると、そっと体を起こされる。
ボクの顔を覗き込んできたお嬢様の顔は、優しかった。
「最初からそう言えばいいのよ」
嬉しそうなその表情は、ボクと同い年の、子供っぽさの残る女の子の顔だった。
こ、こんなことされてるのに、可愛いって思っちゃった……。
そうだよね、顔は可愛いし、ハーフだから普通と違う美人さがあるし。
なのに、なんで……。
「さあ、おまえの初仕事よ。奉仕をなさい」
なんでおちんちんがあって、しかもこんな性格なの……?
お嬢様は自由に動けないままのボクを絨毯の上に戻すと、自分はベッドの端に座って大きく足を広げた。ちょうどお嬢様の足のあいだにボクが居る状態。
跪くボクの正面には、お嬢様の巨大なおちんちんがそびえ立っている。
巨根って言うんだよね、こういうの……。
白い肌のすらってした脚。
ブロンドに守られる奥で赤い粘膜をぬめ光らせる、女の子の秘部。
その上端から場違いな威圧感を放つ、血管の浮いた太い……おちんちん。
袋はついてないから……男のと違うんだ。
おちんちんだけど女の子のだから、男のボクが触っても変じゃない……と思う。
でも……。
でも舐めるのはやっぱり変かも……。
「ううぅ……」
顔を近付けると青臭い匂いがまとわりついてくる。
気のせいか匂いがきつくなったみたい……。先っちょに染み出てる粘液の玉が大きくなってるせいなのかな。せめていい匂いだったらまだ我慢できるのに。
ボクがひとりエッチしたときのと同じ匂いがする……。
「まずはキスをなさい」
頭を撫でられる、優しく。
でも、言う通りにしないとその手で叩かれそうで、ボクは……。
――ちゅっ。
軽くおちんちんの先端に唇を触れさせた。
粘液の玉が唇とのあいだでぷちゅって潰れて、口の端から顎へ垂れていっちゃう。ほっぺたにつけられたのも、まだ乾いてない……。
「んっ……離れちゃダメよ。そのまま口を開けなさい」
嫌だけど、逆らえない。
上唇と下唇のあいだで粘液が糸を引くのがわかる。
けど、もうやめるわけにいかない。
ゆっくりゆっくり口を開いてくと、おちんちんの周りのもわっとした空気が入ってくる。
その生温かい空気が舌の上を流れると、衝動的に逃げ出したくなるくらい気持ち悪い。
「ふぁ……は……ぁ……」
匂いを嗅ぎたくなくて、口で細く息をしておく。
粘液の糸が、唇にぷつんって衝撃を残して切れた。
「さあ、舌を出して。私のペニスを舐めるのよ、かなう」
やだ、やだ、やだ。
けど……。
そうだ、女の子の体の一部なんだから。
こんなの、指を舐めるようなもの……。
――ぴちゃっ。
「はぁ……あ……」
ボクの舌が、お嬢様のおちんちんに、ついに触れてしまった。
休んでいた味覚が一気にしょっぱい味を感じ取る。硬いゴムみたいな弾力を持つ先端と、それより柔らかいボクの舌とが、粘液と唾とを擦り合わせて交換していく。
変な味……卵の白身みたいにぬるってしてるクセに少し塩っぽい味がして。
まずいっていうか臭い……臭い味だよぉ……!
「ふあっ! ひゃんっ!?」
突然、ボクのあそこになにかが触れた。
「じっとしてなさい。今日は初日だから、おまえも気持ち良くしてあげるわ。ありがたく思いなさい? いつもだったら私はここまでしてあげないわ。慣れないかなうのためを想って、こうしてあげるんだからね」
「あ、そんなっ……足でなんて……ひうっ!」
お嬢様の足だ。
広げたままの右足を器用に折り曲げて、ボクのあそこを踏むみたいに強く押してくる。
「ほら、舌が止まっているわよ」
頭をつかまれて、お嬢様のおちんちんの根元に顔を引き寄せられた。
これ、なんか変だよ。こんなにひどいふうにされてるのに……。
――ちゅっ、ぴちゃっ、ちゅっ。
恥ずかしい音を立てておちんちんなんて舐めさせられて、情けなくてたまらないのに、なんでボクのあそこまで硬くなっちゃってるの……?
「んんっ、あむっ……はぁっ、んん……んぅっ……」
太い幹を横から唇で挟んだり、筋に沿って舐め上げたり。
――ちゅばっ、くちゅっ、ちゅぷうぅっ!
塗り広がってる自分の涎を、音を立てて吸い込んだり……。
「はふっ……んっ……ひゃんっ! ん……れうぅ」
くぷくぷって粘液を湧き立たせる先っちょの穴を、舌で大きく舐め上げたり。
それから、それからその穴にキスをして、ちゅううぅっって吸い上げたり。
涎と粘液が混ざって溢れちゃって、口の周りがびちゃびちゃになっちゃってる。
ど、どうして?
怖いからやってるだけなのに、どうしてこんなにボクはいろいろできてるの?
「あはっ、いいわ……。その調子よ……ああっ……!」
ボクがおちんちんにご奉仕するたびにお嬢様が悦んでるから?
えっちな声で喘がれるとドキドキして、もっと聞きたいって思って……。
「きゃっ、ひんっ! じょ、上手じゃない」
巨根の根元から先っちょまでつーって舐め上げると、びくびくって幹全体が震える。
出てくる粘液も色に白いのが混じり出して、量も増えてる。
味も……しょっぱくて臭い味が濃くなってる。
口の中がぬるぬるだらけになって気持ち悪いのに、や、やめられないよぉ。
「ご褒美を……あっ……あげるわ。もっと、奉仕……なさい!」
「あっあっ……ふあっ……んんううぅっ!」
ボクのあそこが熱くなってきて、膝立ちの姿勢のまま腰が退けちゃう。
そ、そっか。
女の子を気持ち良くできてるからっていうのもあるけど、ボクがお嬢様のおちんちんを舐めるたびに、ボクのあそこも足で刺激されてるから……ご奉仕できちゃってるんだ。
――ぺろ、ぺろ、ぺろ、ぺろ。
「ひあっ、あんんっ! お、お嬢様ぁ……足……凄い……あ、あむうぅ」
おちんちんのすべすべした部分に何度も舌を往復させると、お嬢様の足がボクのあそこをお腹とのあいだに挟んで擦り上げる。
あそこの奥がどくんって響いて、ボクは目の前のおちんちんに唇を押し付ける。
「かなう……もっと……もっとなさい! ああっ、私の……こんなに……!」
お嬢様が足の指先でボクのあそこを掴んで揉み解すと、ボクは唇でおちんちんの先を揉むみたいにしながら、舌を穴の部分にぐりぐりしちゃう。
もう、なにがなんだかわかんない……!
とにかく気持ち悪くて、気持ち良くて……。
臭くてしょっぱくてにちゃにちゃして、怖くて髪を撫でられて……。
悔しくて情けなくて、嬉しくて優しくて……。
「かなう……かなう! その小さな……んあっ……お口、は……は、あぁ……私の、ペニスを……咥える、穴……なのよ!」
突然、頭を両手で掴まれた!
お嬢様の腰も浮いて、巨根がボクの口にぴったり狙いを定める。
「咥え……? うゆっ! ひゃむんんううっ!?」
口を開けてしまった瞬間に、手首くらいありそうなそれがムリヤリ捻じ込まれてくる。
反射的に口を大きく開けたけど……む、無理だよぉ!
「はぐうううぅぅ……んぐっ……ぐぐっ……!」
限界まで丸く穴を作っても、お嬢様の太過ぎるおちんちんは、カサの部分で止まってしまう。な、なんだかさっきより大きくなってませんか……?
それでもお嬢様はボクの頭から手を放してくれない。
「ああんっ、入らない……のね。でも、いいわ……そ、そのお口……犯してあげる!」
――じゅぷっ、じゅぷっ、じゅぷっ!
強引にボクの頭が前後させられちゃう。
「んぐぐっ! ぷぱっ……ぷふっ……ぐぶううぅぅ、ん!」
大きく出してる舌の上を巨根のカサが滑って、口を塞がれては解放される。
――ぐちゅっ、じゅぱっ!
動きに合わせて、ボクの唇とおちんちんのあいだで粘液と涎が大きな音を立てて泡立っては、びちゃびちゃ飛び散っちゃってる……。
口、犯されてる……?
ボク……女の子のおちんちんに……?
ビクッビクッてボクの舌の上で、臭くて大きいモノが跳ねる。
なんだか、ボーっとしてきちゃった……。
「ふあ、おひんひん……? ぷあっ、あふうっ……んぶうぅっ……」
「かなう……イクわよ……かなう……! 私の、精子……飲みなさい!」
「んぐううっ!」
おちんちんがカサの部分ギリギリまで口の中に入ってきて、一瞬、動きが止まる。
――ドクン。
「うぐっ!? ぷゆううっ! ぐううううううぅぅぅぅぅんんっ!?」
――ビュクンビュクンビュクンビュクンビュクン!
喉の奥に噴射される強烈な衝撃がボクを襲った!
「イってるわ、あはあああぁぁぁぁああぁっ! イクううぅぅぅう!」
「んぐっ、んぐううっ! んく、くぷ……んく、んぐぐぅ……!」
口の中いっぱいに液体が注ぎ込まれてきて、すぐに入り切れなくなったそれは、唇とおちんちんのあいだから勢いよく逆流していく。
一瞬遅れて舌が濃い塩辛さを感じ取る。
透明のと全然違う、はっきり存在感のある青臭い味……!
いっぱいに溢れた粘液はおちんちんを吐き出しても喉に絡みついてる。
「んぐっ……こくん……」
固まりかけのゼリーみたいにドロドロした粘液が、勝手に喉を滑り落ちる。
味が濃くて、生温かくて、量が多くて重い……。
出したままの舌から長く糸を引いて垂れていくのが、重みでわかっちゃう。
こ、これって……精子……?
「う、うえぇ……ぷっ、うぷっ!?」
口の中に残ってる真っ白な精子を吐き出そうとしてると、顔に同じ粘液が飛んできた。
お嬢様のおちんちん、まだ射精を続けてる……!
「あっ、やっ……。お嬢様ぁ……ダメ……ぷあっ、んくんっ」
喋ってたら口に飛び込んできて、また飲んじゃった……。
「おまえもイキな……さい!」
「ひあっ!?」
思いっきりボクのあそこが踏んづけられた!
お嬢様に弄くられていつのまにか溜まっていた熱が根元からこみ上げてきて、腰が勝手に大きく震えた。そのあいだも頭から白い粘液が降り注いでくる。
「やああっ、で……るぅ! あ、あ、あああ……!」
――ビュクッ、ピュッ、ピュッ。
お嬢様の足の下で、ボクのあそこは数回跳ね踊って、赤い絨毯に白い粘液を落とした。
女の子の精子をかけられながら、ボクまで射精しちゃうなんて……。
力が抜けてボクが床に倒れ込んでも、まだお嬢様のおちんちんは精子を噴き出してる。
女の子の精子って、おしっこみたいにたくさん出るんだ……。
「ふふふ、精子で真っ白になっちゃったわね……。かなうのペニスは情けないわね。あれだけしか出せないで、もう終わりなの?」
「んんぅ……や……は、あ……」
柔らかくなったあそこを足でグリグリされるの、気持ちいい……。
ぼやけた視界に見えるのは、あちこちに飛び散った白い固まり。
少しでも身動きすれば、体中から粘液がねとつく音がする。
舌の上にはまだ精液が残ってるし、ほっぺたの裏側にも喉の奥にも絡みついたまま。
濡れて重くなった前髪の先には白い玉が滑ってる。
顔も、ほっぺたを重い粘液が伝い落ちてくのがわかる。
服だってあちこち肌に張り付いてるし……体中べとべとする。
口から逆流したのが鼻からも出ちゃってるかも。青臭い匂いしかしない……。
どうしよう……。
女の子のでも、おちんちんなんて舐めて良かったのかな……?
ペットって、どういうことだろう……。お嬢様は、なんで……。
疲れちゃった……。
「ん……んく……」
臭い味の精子を唾と一緒に飲み込みながら、ボクはゆっくり目を閉じた。
*****
深夜のテンションというものは、
ときどき加速のオーバースキルを発動させてくれますね。
だからといって徹夜するのは阿呆のやることでしたが……。
それではスレ汚し、失礼致しました。
GJ!
続きに期待してます。
GJ!ト言ワネバナラナイデショー
面白かったです、GJ!
金髪でお嬢様で気が強くて巨根なんて最高ですね!
もちろんかなう君も可愛くて良い。
お口犯しちゃうシーンが良かったです。
良い感じだったが、巨根ってまた萎える要素を何故強調するのだろう。
普通じゃだめなのかねぇ。
つ 自分の萎えは他人の萌え
逆も然り
>>65-67 GJコメントありがとうございます。
人を選び過ぎるかなと思っていましたし、
やはり反応があると嬉しいものですね。
特に濡れ場のシーンは描写が巧くいっているか不安でもあるので。
口を犯されるシーン、
お気に召して頂けたようで本当に嬉しく思います。
>>68 気に入らない要素もあったようですが、
良い感じと言って頂けて嬉しいです。ありがとうございます。
萎える要素等については、
>>69でコメントしておられる方の通り、
自分の萌えが人の萎えになることもあり、
その逆もあるのだと思っています。
もちろん、属性のない人も目覚めさせる文章が書ければ、とは思いますが。
というわけで、
おそらくますます人を選ぶような内容になっていくでしょうが、
続きができたので書き込みさせて頂きます。
次のもう1シーンと一緒にするつもりだったので、
濡れ場……というほどの場面はありません。……と、思います。
マニアックなシチュエーションでもスレ違いにならないと思うと、
ついついマニアックなシーンを余計に入れてしまいますね。
【エロ内容】SM ふたなり 微エロ
【ストーリー内容】鬼畜
【ターゲット属性】ショタ
気が付いたらボクは、枕元でリンリン鳴る目覚まし時計にチョップしていた。
ふかふかのベッドの上で体を起こすと、お日様の匂いがふわっと立ち昇る。
朝起きたらお屋敷の部屋に居る生活にも慣れてきた。ボクが使わせて貰ってる部屋は、広さも内装もホテルにそっくりな作りになってる。それも少し高級そうなホテルに。
「ふわ……あふぅ」
ぼーっとあくびをしながらテレビをつける。
昨日はいつ寝たんだっけ? お嬢様のおちんちんを舐めて……え?
ま、待ってよ。あんなの現実なはずないよね? だいたい女の子におちんちんが生えてるわけないし、ほとんど初対面のボクにお嬢様があんなことするわけないし。
「変な夢……」
あんな夢見るなんて、そ、そんな願望があるわけじゃないのに。
ボクは男だから、ああいうのはされる方の側だもん。そういう夢だったら良かったのに。
『好きよ、かなう。あなたのモノだったら汚くはないわ』
なんて言われちゃったりして。
『ダ、ダメですよ、お嬢様。綺麗なお口なのに……』
『あなたに汚されるのなら、汚くないの……んっ』
「あっ、お嬢様、いけません……!」
『ううん、かなうをイかせてあげたいの』
「そんなにしたら……ボク、もう……!」
「お・は・よ・う! セイ少年!」
「うひゃあああああああ!?」
なに、なに、なに!?
お嬢様じゃない人の大声にいきなり耳元を襲われて、ボクはベッドから転げ落ちた。いつのまにか持ってた枕が、クッションになってくれたけど。
「キミ、やはり正体は女だろう? ナニに枕を押し付けるのは、女の子のやり方だぞ?」
「さ、紗夜音さん。なんの話ですか!」
「ナニの話」
侵入者は転んだボクを、腕組みして見下ろしていた。
紗夜音(さやね)さんはチーフメイドをしていて、ボクが会ったことのある中ではお嬢様の次に、このお屋敷では偉い人だ。ちょっぴり変な人だけど……。
赤みがかった髪をポニーテイルにしていて、あと……胸がおっきい。
白と黒のコントラストが効いたメイドさんの服が、胸の部分で膨らんで、腰の部分できゅって締まって、お尻のとこでまた大きく膨らむ、モデルの人みたいなドキドキする体型。
サバサバした大人の女の人って感じ。
「ノックくらいしてくださいよ!」
「したんだぞ、何回も。三三七拍子を2回だから、合計26回だ」
う、それは、気付かなかったのかも。
変な夢見たからって朝からあんなえっちな空想に夢中になっちゃうなんて、ボクって最低かも……。ごめんなさい、お嬢様……反省です。
ボクはベッドに座って、改めて顔を向けた。
「朝からなんの用なんですか? 仕事、まだの時間でしょ」
「ああ、まあね」紗夜音さんは肩をすくめて、「気付いてないのか?」
「なにをです?」
ボクが首を傾げると、呆れたようなため息をつかれた。
部屋の中を見回しても変なところはないし、なんのことだろ?
紗夜音さんはわざとらしく首を横に振って、やれやれって仕草をする。
「わからんならいいよ。先に顔洗ってこい、アンテナ立ってるぞ」
「はあ……」
なんだかわかんないけど、言われなくてもそうするつもりだったし。
手で髪のクセを確かめながら、紗夜音さんを置いて洗面所に入る。
それにしても、部屋に専用の洗面所とトイレがついてるなんて。これでシャワーがついてたら、完全にホテルの部屋だよね。
綺麗に磨かれた鏡に、パジャマ姿に首輪のついた、眠そうなボクの顔が映ってる。
頭のてっぺんからはいつもの寝癖がピンって跳ね上がってた。髪を切れば女の子に見えるなんて少しは言われなくなるかな? でも、ボクが短髪にしても似合わなそう……。
顔を洗って、歯を磨いて。寝癖は今日も完全には直らないけど、変じゃない程度にして。
それじゃあトイレに……あれ?
なんか変じゃなかった?
「あーーーーーっ!」
首に、首に、首に! 赤い首輪がついてる!
反射的に手首も確かめるけど、腕輪はなかった。首輪にも鈴はなくなってる。
でも、だけど、この首輪は間違いなく、お嬢様にムリヤリつけられてしまった物だ。ということはあれは夢じゃなくって、ボクは本当にお嬢様のモノを……?
「ウソ、でしょ……」
口の中に溜まった唾を飲み込む。
喉の奥へ落ちた液体には、味も匂いも、粘り気も感じられない。
「ウソじゃないぞ、ペットちゃん?」
気付いたら洗面所の入り口に紗夜音さんが立っていた。
壁に寄りかかる格好で、ニヤニヤとボクを見下ろしてる。
し、知ってるんだ。ボクの昨日のことを、紗夜音さんも。なんで!?
「お嬢様とグルなんですか!? あんな……あんなこと!」
「グル? まあ、グルかな。皆でキミみたいな子を探してたからな」
皆でって……どれくらいの意味の『皆』なの?
ちょっと待ってよ! もしかしてこのお屋敷って、ただのお金持ちの家じゃないの?
こんな動物みたいな首輪外したいのに、なんで取れないの!
「無理だよ、鍵がついてるから。切るのも無駄だ。その首輪、中にワイヤーが入ってんだ。鍵はお嬢様しか持ってないしさ」
一歩一歩紗夜音さんが近付いてくる。
ボクは後退りをしながら、睨み上げてやる。
「そ、そういうのって……こういうのって犯罪でしょ!」
「うーん、違うな」肩をすくめて、「バレなきゃ犯罪にはならない」
「隠すのも犯罪です!」
「隠したのがバレたらな」
ボクの背中が壁に当たって、これ以上逃げられなくなる。
紗夜音さんが、ボクの両脇の壁にドンって音を立てて両手を置いた。
「ひっ……」
「いいか、逆らってもいいことはないぞ? 特に逃げようなんて思って、もし成功しても、そのあと不幸になるのはキミだけじゃない。お嬢様次第だ、が……大事な忠告だからな」
壁とのあいだに挟まれた状態にされてる。
首を真上に向ければ、鼻がくっつきそうなくらい近くに紗夜音さんの顔があった。
ボクより頭ひとつ分は高い身長に覆われてる。右も左も腕で塞がれてて、逃げ場なんてなくて……また視界の端っこが滲んできちゃう。
「脅かしですか!? お嬢様も紗夜音さんも、お、おかしいです!」
だけど……。
最悪な場合になっても、紗夜音さんは普通の女の人なんだから。お嬢様にさせられたようなことをやらされたりはしないよね。
「脅かしじゃない、忠告だ。まあそう怖がらない。逆に言えば、ここを逃げ出したりしなければ、そんなことには絶対にならないんだ。キミ自身へのお仕置きはするけどな」
顔がさらに近付いてきた。
お、おでこと鼻の先がホントにくっついちゃってますよぉ。
「キミの聞き分けがなかったり、言うことを聞かなければ、素直になるように躾ける。あたしはキミの教育も、仕置きも、任されてるんだ」
「そ、そんなの」ホントにペット扱いじゃないですか……。
「要は聞き分けが良ければいいんだ」
やっと顔が離れてくれたかと思うと、紗夜音さんはエプロンのポケットからなにかを取り出した。チリンって軽く高い音が響く。
昨日、ボクの首輪についてた鈴……?
「ちゃんといい子をできれば、あたしもキミに悪いペットの証をつけなくて済む」
チリン、チリンって鈴を揺らして鳴らしてる。
悪いペットは鈴をつけられて……どう、なるの?
「お仕置きって……?」
「お嬢様にどんなご奉仕をさせられたか、覚えてるか?」
ま、またお嬢様のおちんちんを舐めさせられるのがお仕置き? あんなのもう二度としたくないし、忘れたいのに……。
唾を飲み込むボクに、紗夜音さんは意地悪そうにニヤッて笑う。
「あれと同程度じゃ、お仕置きの『お』の字にもならない」
もっとひどいことをされるのが、お仕置きなんだ……!?
ボクは唇を引き結んで、立ちすくむしかできなかった。
冗談だよ、とは言ってくれないよね……。
「そうと決まったらぼーっとしない!」
紗夜音さんが無理に腕を引っ張ろうとしてくる。
無言で抵抗してみたけど、簡単にボクの体は引きずられちゃう。
「もう新しい生活は始まっているんだ。さっさと制服に着替える!」
ベッド横のクローゼットの前で解放されたけど、逃げられないよう真後ろに立たれてる。
制服……? 昨日、お嬢様が言ってた、ボクの制服がもう入ってるの?
服を脱がされるんじゃなくて、着ろって言われるのなら……。ボクはいつも使ってる作りつけのクローゼットを開けてみた。
「えっ?」
中のハンガーにメイドさんの服が、何着分も掛かってる。
他の人の制服と間違えたの? え、ボクが掛けてた服がない!
「これ、女の人の服ですよ! それにボクの服は!?」
ボクの部屋だし、昨日までここにあったのと同じクローゼットだよね?
なんで、なんで? 慌てて引き出しの方を確かめてみてもボクの下着はなくて、代わりに入ってるのは……淡い色をした丸っぽい布と、くしゃくしゃの布とかがたくさん。
「それがキミの服だよ。このブラとパンツ……じゃないショーツに。と、ガーターもだ」
引き出しを閉めようとしたボクを制して、紗夜音さんが下着を1セット取り出す。
ベッドの上に広げられたのは、半月型の膨らみがふたつ並んだのと、三角形の柔らかそうなの。それと、生地でできた4本のベルトがぶら下がってる輪状のもの。
ブラジャーと、ショーツと……3つ目のはガーターベルトっていうの?
「ボ……ボクは男ですよ! こんなの着られませんよ!」
「着るんだ」
「む、無理です」
頭に血が昇った勢いで睨んでみるけど、まるで気にされない。つい目を伏せちゃうけど……それでも着ようとしないでじっとしてたら、大きなため息が聞こえた。
「まあ、躾けがあたしの仕事だしな」肩をすくめて、「趣味でもあるが」
言ってから、紗夜音さんはえり元から自分の胸に手を入れる。
わ、大胆……! こんなときでもドキってしちゃうボクって……。
一瞬目を逸らしちゃったからよくわからないけど、黒い棒を取り出したみたい。なんだか知らないけど、あんなところに直してるなんて。
「だからさ」棒を握る手の指が動く。スイッチ?「早速これを使えて、嬉しいぞ」
シャッて音がして、黒い棒から太い紐みたいなのが飛び出した。
黒光りするそれは、紗夜音さんの身長くらいの長さまで伸びてる。なにかのコードみたいにも見えるけど、なんだろ?
「これがなにか、わからないか?」
紗夜音さんが勢いをつけて振りかざす。
寒気がしてわかった。
鞭なの!?
「やっ……!」
――ヒュンッ。
空気が鳴って、衝撃。
――ピシャンッ!
「ぃあぁぁあああっ!」
ホントに打たれた……!
体をかばう暇もなく、肩からお腹まで一直線の一撃が走った。
フラッシュみたいな一瞬の痛みが服越しの肌に突き刺さって、それが消えると打たれた一線が痛いより熱いっていうような疼き方を始める。
「あっ……あ……いたっ!」
熱いところを触るとズキンって疼きが響いて、ポロポロ涙が止まらなくなっちゃう。
「さ、紗夜音さんまで……うっ、ひくっ……こんなの……ひどいこと……」
「ああもう、泣くなよ。その顔と声で泣かれると……」
――ヒュウンッ!
「もっと虐めたくなるじゃないか!」
「やっ……やああああああああああっ!」
――ビシイイィィィッ!
鞭がまたボクを打った!
あんなに痛かったのに、さっきよりずっと強く。
激痛のせいで勝手に出ちゃう悲鳴で息が切れるより早く、また空気が鳴る音。
――ビシィ! ピシャッ、ビシャンッ!
激痛……そのあと激痛……また激痛!
し、死んじゃうよぉ!
「ひあっ! いたっああっ! 助け……ひうっ! あぅっ……あ……ぁ……!」
肺の中の空気が全部出ていって声が出なくなっても、鞭は止まってくれない。
足がガクガク震えて、右から叩かれたら左に、左から叩かれたら右によろけちゃう。
「ほらほら、キミが着替えると言うまでやめないぞ!」
「ひっ……ひきゅっ……!」
喋る余裕なんてないのに……。
体中痛くて、今どこを打たれたのかもよくわからなくって。
脚とかは痛くないのはわかるし、首から上にも当たってないから……。
ボクは両腕で上半身を守る。
「こっちがお留守になったぞ!」
涙でぼやけた視界に見えた。
紗夜音さんの鞭が、下からボクに襲い掛かってくるのが。
――ピシャアアアァンッ!
「ひきゃああぁぁあああぁぁあぁあああっ!?」
そんなとこまで鞭で打つなんて!
ボクの脚のあいだ……あそこに太い針を刺されたみたいな激痛に、意識が跳んじゃう。
一瞬、音も光も感じられなくて真っ暗になったけど、頭への衝撃ですぐに目が覚めた。
後頭部がクローゼットに当たったんだ……。
そのまま力が抜けて、ボクは横向けに床に崩れた。
い、痛い……!
あそこがじんじんして焼かれたみたいに……。
「ふあっ……はぁっ……ん……ふぁ……」
全力疾走をしたあとみたいに苦しくて、体のあちこちが休みなく疼く。
治まらないあそこの鋭く熱い痛みに、思わずボクは下腹部を張るように力をこめた。
力を、こめちゃった。
――ちょろろ……。
「あっ……」
じわってあそこが温かくなって、下着が中から蒸れてく感触。
やだ、やだ、やだ……!
ボク……お漏らししちゃってる……!
すぐに両手であそこを押さえるけど止められなくて、逆に勢いが良くなっちゃう。
――しょぉぉおおお……。
溜まってたおしっこが、ボクのあそこを通ってどんどん流れ出てく……。
「あっあっ……ぁ……あ……」
さっきトイレに行きそびれちゃったからだ……。
あそこの付け根の奥の膀胱がしぼんでくのは気持ちいいけど、押さえた手の下でパジャマも下着もびちゃびちゃに濡れていってるのは、凄く気持ち悪い……。
「あれ、もしかしてお漏らしか?」
ぎゅって目を瞑っても、紗夜音さんの呆れたような声は聞こえてきちゃう。
あそこへの一撃を最後に鞭は止めてくれてるけど、まだ出てるの、きっと見られてる。
これじゃボク、ホントに子供みたい。
恥ずかしいよぉ……!
「ううっ……えっ……えうぅっ……」
おしっこはやっと止まったけど、子供みたいな泣き声が止まらなくて。
だって、手まで温かいおしっこでびしょ濡れになってて。
たくさんだったからきっと水溜りもできてて……。
匂いだってもう隠せない。
部屋中おしっこ臭くなってる……。
もう高校生になったのに、男なのに。
最低だよ、ボク……。
「さ、最初にしちゃあ、やり過ぎたかな」
ちょっと慌てたような声が聞こえて、髪を撫でられる。
まぶたを開けてみたら、ボクを覗き込む紗夜音さんの顔があった。
あれ、そのうしろに誰か立ってる……?
「そうでもないわ。ペットの躾けは最初が肝心ですものね」
ぼやけてよく見えないけど、金色の長い髪?
それにこの声……お嬢様!?
「お嬢様! いついらしたんですか」
髪を撫でてくれてた紗夜音さんの手が離れた。
「今よ。一番のところは見逃してしまったようね。ぐずったの?」
「いえ、少しもたついただけで。一度で済ますつもりだったんですが……つい」
「それはかなうが悪いわね」
紗夜音さんとお嬢様がボクのことで話してる。
ボクはまだ体が痛くて、あそこが気持ち悪くて、恥ずかしくて……動く気になれない。
お嬢様にまで見られたなんて……見られてるなんて……。
「こいつが誘ったんでしょう?」
お嬢様らしいぼやけた人影が近付いてきて、硬い感触の物がボクのお腹に当てられる。
これ、きっと室内用の靴の感触だ。
足でボクのパジャマの上着を、めくり上げてるんだ……。
「回数は多かったみたいだけれど、手加減したわね?」
「そんなには……。服の上からですから」
「そう? でもちょうど良かったわ。昨日は後片付けもせずに寝てしまったものね?」
ボクのお腹を出したままにして、お嬢様の足が目の前に移動してきた。
そのまま、ボクの口に近付いてきて……?
「私の足についたおまえの汚い精子もそのままでね!」
「んぐ……うぐぅ!」
半開きになってた口に、靴の爪先を押し込まれた!
いくら室内用っていっても……汚いよぉ!
手はびしょびしょのあそこから離せないし……口の中で暴れる足のせいで、首を振って嫌がることもできない。
「自分で自分のモノの掃除もできないで! 今日は自分の着替えもできないの!?」
「くんんっ……けふっ……! んぐ……んんううぅぅうう!」
苦しい……!
硬い爪先を舌で押し返そうとしても、舐めるみたいになっちゃうだけで……。
昨日の夕方までは、ボク、普通のアルバイトだったのに……。
「お、お嬢様、初日からそこまで怒ることは……」
「昨日だってだいぶ加減してやったわ。まだ甘やかせというの?」
「いえ……ですが順序があります」
静かになって、ボクの口の中の足も動きを止めた。
紗夜音さんが助けてくれてるの……?
「わかったわ。躾けをあなたに任せたのは、私だものね」
口から出た靴が、一度ボクのほっぺたを撫でて離れる。
ボクの涎がついたの、拭ったんだ……。
「それで、この後始末はどうするつもり?」
「そうですね……。自分でさせましょうか?」
「逆よ。このまま着替えさせなさい」
二人でなんの話をしているの……?
「このままというと、拭かずにですか?」
「そうよ、ペットにはぴったりの香水だわ。だけどすぐ乾いてしまうわね……」
床に倒れているボクには足の動きしか見えないけど、お嬢様が動いて、それからなにかが水の上に落ちた音がした。ボクのおしっこの水溜りに、なにかを投げ入れたみたい……。
「よく吸わせてから穿かせなさい、半日は持つわ。まだ鞭は使うのかしら?」
「いえ……もう大丈夫だと思います」
「そう、ならいいわ」
お嬢様の足がボクの視界から出ていく。
「朝食前に粗相の匂いを嗅がされるとは思わなかったわ。紗夜音、任せたわよ?」
「はい、お嬢様」
不機嫌そうな足音が遠ざかっていって、部屋からお嬢様の気配がなくなった。
ホントにボクのこと、ペットとしか扱わなくなったんだ……。
そのまま部屋の中が静かになると、生温かく濡れた両手の気持ち悪さとおしっこの匂いだけが、ボクの感覚の全部になっちゃう。
もう声も出したくないくらい、情けなくて最低の気持ち……。
「ふー……キミとは別の意味で15歳とは思えないわ、お嬢様も」
しばらくしていつも通り明るい紗夜音さんの声が聞こえて、体が起こされた。
クローゼットに背中を預けた姿勢にされちゃう。
紗夜音さんはボクの顔を覗き込んでくるけど、目を合わせる気になれないよ……。
「まあこれで、逆らっても余計恥をかくだけだってわかっただろう?」
声をかけられても、うつむいたままなにも言えない。
そうしてたら頭に手を置かれた。
それから、優しく撫でられちゃう。
「今からでも言う通りにすれば、これ以上はぶたないぞ」
言い方は穏やかだけど……。
じゃあ、言う通りにしなかったら……?
そっと顔を上げてみたら、間近で目が合った。
「着替える気になったか?」
「……はい」
しゃくり上げそうな喉で、ボクはそう返事をしてしまった。
紗夜音さんに支えられて、なんとかボクは立ち上がれた。
ズボンと下着が水を吸って重くなってるのがわかっちゃう。
お嬢様が居なくなって、鞭もやんで、やっと気分は落ち着いてきたけど。
これからやらなきゃいけないことを思うと、また泣きたくなってくる。
でも、ひどいことされたくないもんね……。
「あ、あの、お風呂で着替えてきます」
女の子の服に着替えるところなんて、見られたくない。
体も洗わなきゃ、汚いし……。
ズボンからおしっこが染み出て、ぽたぽた落ちてる。
脚をつーって水滴が伝い落ちてくのも、気持ち悪くて肌がぞわぞわする……。
下着があそこに張り付くのを我慢しながら、ボクは部屋を出ようとした。
なのに、紗夜音さんが立ちはだかってどいてくれない。
「ダメだ。さっきのお嬢様の話、聞いてなかったのか? そのまま着替えるんだ」
「そ、そのままって……」おしっこで汚れたままですか……?
「そうだ」
はっきり言えなかったボクに、紗夜音さんはきっぱり頷いた。
「鈴をつけられなかっただけ運が良かったんだぞ? さあ、あたしも手伝ってやるから」
「ひ、ひとりで着られます。出ててください!」
「初めて着るんだろう? それとも……着たことあるのか?」
「な……ないですっ!」
「じゃ、手伝いが要るじゃないか」
そんなぁ……。
人に見られながら、おもらししたまま体も洗えないで、女の子の服に着替えるなんて。
そんな最低なことできるわけないのに……ないけど……もう鞭はやだよぉ……。
「わかったか、わかったな? わかったら、まず服を脱いで裸になれ」
「裸……」
最後の望みをかけて、すがるように見上げてみる。
紗夜音さんは、首を横に振るだけだった。
「わかりました……」
諦めるしかないみたい……。
ボクは震える指で、パジャマの上着のボタンを外した。
頭から脱いだ上着はベッドに置いておく。
夏なのに全然日焼けもできてないボクの上半身が、紗夜音さんの視線に晒される。
あ、れ?
あんなに鞭で叩かれたのに、どこも腫れてない。赤くなってるだけ。
手加減って、こういうことなの……?
「なにしてる。さっさと脱げ」
「は、はい」
そうだ、これから下も脱がなきゃいけないんだ……。
ズボンに手を掛けて、ボクはうしろを向いた。
「こら、背中を向けるな」
「うぅ……」
すぐに怒られて、嫌だけど前に向き直る。
びしょびしょになったズボンが張り付いて脚を抜き難いけど、裏返しにしちゃいながらもなんとか立ったまま脱げた。
――びちゃっ。
ズボンを足元に落としたら、ちょっと水飛沫が跳んじゃった……。
下着はもう染みどころじゃなくて、水に浸したみたい。
それ以上は自分から動く気になれない……。
「パンツも脱げ。脱いだら両手は尻に回せ」
紗夜音さんの声、だんだんイライラしてきたみたい……?
ボクはまぶたを閉じて、息を吸って。
思い切って、下着を脱いだ!
解放されたあそこが飛び出るみたいに揺れて、蒸れてた肌が冷房の風に冷やされる。
昨日はお嬢様……今日は紗夜音さんに見られちゃうなんて……!
脱ぎ捨てた下着は、ズボンと同じにべちゃって音を立てた。
「見ないでください……」
恥ずかし過ぎて、顔が熱くなっちゃってる。
裸になったあそこを手で隠そうとしたら、紗夜音さんが足でドンって大きな音を鳴らす。
ボクはびくってしちゃって。
言われた通りに、両手をお尻に回しちゃった……。
「よーしよし」
満足そうな紗夜音さんの声が、すぐ近くに来る。
ボクは目を瞑ってるから見えないけど、絶対見られてる。
おしっこで蒸れて湯気だって立ってるかもしれないあそこに、息がかかってるもん……。
全部見られちゃってるよぉ……!
「なるほど、確かに小さいし皮被りだな」
「そ、そんなこと……」口に出して言わなくていいのにぃ……。
「無駄毛が全然ないな、キミは。肌も白いし、細身。いい太腿もしている」
「あっ、やっ……!」
太腿を撫でられて、くすぐったくて身震いしちゃう。
こ、このまま変なことされたりしないよね……?
「じっとしてろ。よし、服を着る前にキミに教えておくことがある。目を開けろ」
「は、はい……」
まぶたを開いたら、顔を左右から手で挟まれた。
ボクに目線を合わせてしゃがんでくれてる紗夜音さんが、真っ直ぐこっちを見てる。
じーっと見られてたら……うう、目が泳いじゃう。
「いいか?」
紗夜音さんの片手が動いて、ボクの胸の方へ。
人差し指と親指で、ボクの乳首をつまんで……!?
「ひゃんっ!?」
――くりゅくりゅ。
つ、つねられて、ひねられてる。
痛いみたいな、痛くないみたいな、ちょっとくすぐったいみたいな……。
変な感じがするよぉ。
「キミは今日から男の子じゃない」
「あっ、紗夜音さ……んんっ!」
「キミは、メスだ」
――ぎゅっ。
「ひあっ!」
強く潰すみたいに力をこめられて、変な痛みに背中が仰け反っちゃう。
結構痛いのに、痛い感じと違って……な、なにこれ。
ううん、それより紗夜音さん、ボクのことをメスって言ったの……?
「それから……」
今度は下の方へ紗夜音さんの手が降りていく。
「これはチンポじゃない。クリトリスだ」
「あくっ、んっ!」
ボクの柔らかいままのあそこを、指でピンって弾かれた。
チ、チン……て、紗夜音さんがそんな下品な言葉を使うなんて……。
それにボクのあそこがクリトリスって……?
ボクのあそこはお……おちんちん、なのに。
クリトリスって、普通の女の子についてるはずのモノの名前だよね……?
「で、だ」
紗夜音さんの手があそこから離れて、横からボクのお尻に回ってくる。
「ま、まだあるんですか?」
「これが一番大事なんだよ。キミの尻の……ここ!」
「え、あっ……ダメでっ……あっ!」
お尻の穴を触られた!
お尻の谷間に沿って、上から下に滑り落ちてきた指が、そこで止まって。
な、なんでそんなとこ触るの!?
「汚いですっ……あっ、やっ、やあっ……!」
後ろからお尻の穴を揉むみたいに指で押されてる。
トイレとお風呂以外じゃ、自分でも触ったりしないとこなのにぃ……!
ぐにゅぐにゅ、されて……。
気持ち悪い、気持ち悪い……気持ち悪いよぉ……!
「ここはキミの……」耳元で囁かれる。「マ・ン・コ、だ」
指が、強く押しつけられた。
――つぷっ!
「ひああああっ! は、入っ……!? あっ……んぅ……」
すぐに、指は離れてくれたけど。
一瞬だけ、ちょっと広げられて、指の先が入っちゃったみたい……。
やだ、やだ、触られたとこ、ムズムズするぅ……!
「いい感触だ。ああ……我慢できん」
お尻を押さえるボクに見せつけるように、紗夜音さんが指を口に含む。
お、お尻の穴を触った指……汚いのに!
「さ、紗夜音さん……?」
お尻まで触ったりするなんて、その指を舐めちゃうなんて。
紗夜音さんって、凄い変態の人だったんだ……!
唇から涎の糸を引きながら指を抜いてるのは、えっちだけど……。
ちょ、ちょっとあそこがピクってしちゃって、ボクは両手をつい前へ戻しちゃう。
そうしたら紗夜音さんも脚のあいだを押さえて、うしろを向いた。
「おっととと、今勃てたら治まらなくなるな……。ふう」
深呼吸をして落ち着こうとしてるみたい。
立てたら治まらないって……なにが立ったらなんだろ?
うう、でもそんなことより、まだお尻の穴に感触が残ってて、気持ち悪いよぉ……。
ずっと裸だから早く服も着たいけど、着せられるのは女の子の服だし……。
ベッドの上を見れば、さっき脱いだパジャマの上着と、女の子の下着が散らばってる。
あれ、三角形の……ショーツがなくなってる。
「さて、それじゃあ着方を教えてやろう」
紗夜音さんが深呼吸を終えたみたい。
ボクを横目にベッドの上から下着のひとつ、ガーターベルトを拾い上げた。
「ガーターは、パンツを穿く前に着けておけ。腰で留めるんだ」
言われた通りに腰の位置までガーターベルトを通して、背中側で長さを調節させられる。
変なの……。
「それから、パンツ……ショーツだ」
紗夜音さんが、床へ視線を落とした。
つられてボクも見てみたら、視線の先にあったのは水溜りだった。
見ないようにしてた、ボクのおしっこの水溜り……。
匂いだって、まだ部屋にいっぱい残ってる。
トイレと同じ、臭い匂い……。
ボクはすぐに目をそむけたけど、紗夜音さんが水溜りからなにかを拾ったのはわかった。
「まずこれを穿け。お嬢様の言い付けだからな」
紗夜音さんが手渡してきた物は、びしょ濡れの布切れだった。
なに、これ……。
ショーツ、みたいだけど。
さっきお嬢様が、水溜りに投げ入れたのって……!?
「こ、こんなの……穿けませんよ!」
女の子の下着ってだけで嫌なのに、おしっこでびしょびしょになったのなんて!
「気持ちはわかる。だが、穿け」
「でも……!」
「穿け」
同じ言葉をゆっくり繰り返されて、睨まれた。
紗夜音さんがいくら怒ったって、いくらなんでも……だけど……。
「ひどい……です……」
こんな物を穿くのまで仕事なの?
広げたショーツに足を通して、情けないけど……引き上げてく。
濡れてるせいで引っ掛かりながらも、ボクは女の子のショーツを、穿いちゃった……。
あそこに湿った布地がぴったり張り付いて、きっと形が浮き上がってる。
ガーターベルトも……こんな、変態みたいな格好……やだなのに……。
また、視界がぼやけてきちゃう。
「ほら、いちいち泣くな。最後はブラだ。着け方をよく覚えろよ」
紗夜音さんが今度はブラジャーを手渡してきて、ボクはいやいや胸に当てさせられる。
ボクの胸は膨らんでなんてないのに……。
ストラップを肩に通して、腕を回して背中でホックを留めさせられて。
両肩のストラップの長さを調節すれば、ボクの胸に女の子のブラジャーが乗っかった。
胸をこんなふうに締め付けるなんて、なんだか変な感じ……。
これで女の子の下着、3つとも着けちゃった。
絶対変態だよ、こんなの……。
紗夜音さんはボクを見て、満足そうに腕組みしてるけど。
「へえ、ぴったりだな。見てみろ」
「い、いいです、そんなの」
「いいから見ろ!」
強く言われたら逆らえない。
ボクはムリヤリ、クローゼットの前に立たされた。
クローゼットの扉の裏側は、ほとんど全身が映る大きな鏡になってる。
そこに、女の子の下着姿のボクが映っていた。
「えっ……?」
ドキッて、した。
な、なんで、ボクなのに。
ボクじゃないみたいに……。
ううん、ボクによく似た女の子に見えちゃった……一瞬、だけだけど。
薄い胸が半月型のブラジャーで守られてて、腰には下向きの三角がふたつ並んだみたいなガーターベルトが巻かれてて。そのベルトから垂れたクリップのあいだに、濡れたショーツが張り付いてる。
どれも薄い桜色のレース地で統一されてて、悔しいけど、ボクに……。
「似合ってるじゃないか。男の服より、よっぽどキミに合ってるんじゃないか?」
そこまで思いたくはないけど……!
それにショーツの不自然な膨らみは、やっぱり、ボクが男だって証だもん。
女の子の、お嬢様のおちんちんよりは目立たないかもしれないけど……。
ショーツから染み出した水滴が太腿を垂れ落ちていくのも気持ち悪くて、なのに鏡で見たらなんだかえっちな感じがして……赤い首輪も目立ってるし……。
こんなふうに思ってたら、ボクまでおかしくなっちゃうよぉ。
「よし、かなう。もうひとつあたしから命令だ」
ボクのうしろ、頭の上から鏡越しに、紗夜音さんが視線を合わせてきた。
まだ命令があるの?
紗夜音さんがボクを名前で呼ぶなんて珍しいけど……。
もう恥ずかしいこと、したくないのに……。
「今日からあたしのことは、紗夜音お姉様と呼べ」
「えっ?」
お、お姉様?
「呼べって……そう呼べばいいんですか?」
「そうだ。言ってみろ」
紗夜音さんは頷いて、鏡越しにボクへ微笑んでる。
お尻を触られたりするよりはずっとマシだけど……。
こ、これはこれでなんだか恥ずかしいよ?
でもこんなことで嫌がって怒られたくなんてないし……。
「さ……紗夜音お姉……様」
「もう一回」
「紗夜音……お姉様」
「はい、をつけろ」
「は、はい……紗夜音お姉様」
何回も言わせないでください!
鏡の中で真っ赤になってるボクの顔のうしろで、紗夜音さんがにやーって笑ってる。
へ、変な趣味でもあるのかな。ないわけがないって気もするけど……。
「よし、あたしへの返事はいつもそれだ。わかったか? わかったら返事!」
「あ、はい! ……さ、紗夜音お姉様」
「よーし、じゃあさっさと残りを着ていくぞ」
ベッドの上に、メイドさんの服やストッキングが新しく広げられていく。
あれもボクが着せられるんだよね……。
ムリヤリおちんちんを舐めさせられて、鞭で打たれて。
お漏らしを見られて、そのおしっこで濡れた女の子の下着まで着せられて……。
このままボク、男扱いも人間扱いもされなくなっちゃうの……?
GJ!あなたが神か
GJ!
自分ショタは今一つだったんだけど、これはイケル!
最終的に、かなうがどうなるのか楽しみ。
GJです!
続き待ってます。
GJ
なんだか何かに目覚めてしまいそうだ。
漏れのツボに嵌りまくり!!
GJっす
93 :
名無しさん@ピンキー:2007/09/22(土) 21:59:59 ID:rNIkOIU9
あげ
>>88-92 GJコメントありがとうございます。
筆が進まないときは頂いたコメントを読み返したりなど、
大変励みにさせて頂いています。
本来は属性に今ひとつだった方に気に入って貰えたり、
なにかに目覚めそうだと言って貰えるのはやはり嬉しいですね。光栄です。
それでは、ある程度続きが書けましたので、投稿させて頂きます。
児里かなう−3 0/0
【エロ内容】SM ふたなり
【ストーリー内容】鬼畜
【ターゲット属性】ショタ
ピンク色の床のタイルが、柔らかな照明の光を跳ね返してる。
壁には花畑の大きな絵が掛けられてて、棚には本物の花が活けられた花瓶が置いてある。部屋の中に甘い香りが舞って、まるで額の中に本当の花畑があるみたい。
今ボクが居るのは、ちょうどボクの家のボクの部屋と同じくらいの広さの……トイレ。
それぞれの部屋にもトイレがあるのに、それとは別にあちこちにこんな個室があるんだよね。鏡付きの洗面台もついてるからかな、メイドさん達は化粧室って呼んでるけど。
「んっ……。ふぅ」
用を足して、ボクは便座から立ち上がった。小さい方だけど、座ってしなさいって紗夜音さんに言われたから……。
女の子のショーツなんて嫌だけど、ちゃんと穿き直しておく。
うう、乾いたのはいいけど染みになっちゃってる。
それにびしょびしょのときはわからなかったけど、女の子の下着って肌触りがすっごく……すべすべしてて。歩くときも生地で撫でられてるみたいで、気になるよぉ。
これからずっとこんな格好しなきゃいけないのかな……。
「ボク、女の子じゃないのに……」
自動で流れる水を確かめてから洗面台に向かえば、鏡には首輪付きのメイド服のボク。
頭にはフリル付きのヘアバンド。紗夜音さんはカチューシャって言ってたっけ。
体には、上着とスカートが別々になってる、ツーピースとかいう黒いドレス。これも肩のとこに白いフリルの大きな飾り付き。
それと腰からは、白いエプロンがスカートの上に垂らされてる。これもやっぱりフリル付きで、しかも背中で大きなリボンを作って留めさせられてる。
正面の鏡に映ってるのはそこまで。
ボクは自分の体を見下ろしてみた。
ふんわり広がってるスカートは凄く短くて、ガーターベルトが白いストッキングを吊るしてるとこも隠せてない。黒くて革っぽい靴が一番まともかも。デザインは女の子用な感じだけど……。
だいたいこのスカートなんて、穿いてる意味あるのかなって思うくらい。
他のメイドさん達は足元近くまであるロングのスカートなのに、ボクのは脚の付け根の少し下程度の丈なんだもん。立ってるだけでもストッキングとのあいだに太腿が出ちゃってるし、ちょっとしゃがんだりしたらすぐ下着が見えちゃう。
こんなのきっと、女の子でも恥ずかしい服だよね……。
でも、朝にこの服を着てからは、紗夜音さん以外の人に会わなかったのにはホッとしちゃった。仕事はひとりで掃除するだけだったし、ご飯もボクの部屋に持ってきてくれたし。
午前中なんて、まだ乾いてなかった下着を見られたらどうしようって思うと怖くって、誰かの気配がした気がするたびに物陰に隠れたりして、凄く疲れちゃったもん……。
でも、いつもなら仕事中に誰にも会わないなんてことないのに、どうしてだろ。
「こら、小便だけじゃなかったのか? いつまでかかってるんだ」
「あっ、はい。すぐ出ます!」
紗夜音さんの声だ。
ボクは急いで手を洗って、トイレを出ようとして振り返る。
「わっ!」さ、紗夜音さんが居た。「中まで入ってこないくださいよ!」
鍵を掛けちゃダメなんて言われて嫌な予感はしてたけど、ホントに入ってくるなんて!
「終わってるんじゃないか。それに恥ずかしくないだろ、トイレでしているところなら」
「恥ずかしいです! どこでだって、その、見られたら……」
意地悪な言い方をされて、ボクは最後まではっきり言い返せなくなる。
お漏らしのことなんて、早く忘れてくれればいいのにぃ……。
「とにかく終わったのなら行くぞ」
「うう……はい」
「こら、返事の仕方が違うぞ」
「あ、えっと……は、はい、さ……紗夜音お姉様」
この呼び方も、やめさせて欲しいのにぃ……!
夕飯も終わって、あとは最後の仕事が残るだけらしいけど。
ふ、普通の掃除だけだよね?
変なこと、もう今日はさせられたりしないよね……?
廊下に出てボクは指示を待つけど、紗夜音さんはなかなか歩き出さない。
な、なんでボクのこと、じっと見下ろしてるんだろ? 早く仕事を終わらせて着替えたいのに……女の子の服、着るのも見られるのも、もうやだ!
逃げ出したくなるのを我慢してうつむいたら、紗夜音さんがボクの前にしゃがみこんだ。
「な、なんですか?」
「いやな」
正面からボクのスカートを見てる。まさか覗いたりなんてしないと思うけど……。
ボクがスカートを押さえようとすると、それより先に紗夜音さんの手が……?
あっ、ダメ!
「やあああ! 見えちゃいますってばあ!」
スカートをめくって、ボクのあそこに顔を近付けてる!
めくられてるのを元に戻そうとしても、紗夜音さんの方がずっと力が強い。
ボクが女の子の下着なんて穿いてるとこ、なんで何度も見たがるの!?
「ちょっと確認するだけだ。じっとしてろ」スカートの下から声がするよぉ。「ああ、これ、模様じゃなくておしっこの染みが残ってるのか」
「そ、そういうこと……言わないでください!」
「独り言だ。よしよし、わかったわかった。ほら、放したぞ」
紗夜音さんが立ち上がって、手を放されたボクのスカートは元通り下着を覆い隠す。
スカートめくりして、わざわざ染みまで確認するなんて……紗夜音さん、ひどいです!
ボクが抗議の目を向けると、紗夜音さんは肩をすくめた。
「パンツ見られたぐらいで、そう真っ赤になるなって。香りを確かめただけだ」
「香り?」
香りのするものなんてボク、着けてたっけ?
一瞬なんのことかわからなくて首を傾げたボクに、紗夜音さんが困ったみたいに微笑む。
あ……に、匂いのことなの?
「かぐわしきアンモニアの香りってところ、だな」
「か、嗅がないでください!」
匂いまで確認するなんて、ひどいひどいひどい!
朝以外は紗夜音さんもなにもしてこなかったから、ちょっと安心してたのに。掃除の仕事に集中して忘れることができてた情けなさとか悔しさが、また湧き上がってきちゃう。
「おっと、そんなすぐ涙目になるなよ」
「な、なってません! 涙目になんて……」
呆れたみたいに言われて、ボクは慌てて目をこすった。
あ、こすった指が濡れてる……。で、でも、あんな意地悪されれば涙だって出るもん。
ボクは涙を拭ってから、念のためにスカートを押さえておいて、紗夜音さんを見上げる。
「仕事、残ってるなら早く終わらせましょうよ」
今日の仕事が終われば、あとはお風呂に入って寝るだけ。
明日は明日で不安だけど、とにかくもう、眠るあいだだけでも全部忘れちゃいたい……。
「そうだな、そろそろ行くか。だが、早く終わるかどうかはわからんぞ」
「え?」
どういう意味だろ……。
ボクが聞き返そうとして口を開くより早く、紗夜音さんは廊下の奥へ歩き始める。
もう遅い時間だけど、掃除のキリがつくまではやめたらダメってことかな?
「あの、紗夜音さ……紗夜音お姉様」
紗夜音さんのうしろについて歩きながら、背中に呼び掛けてみるけど。
「なんだ?」
「あ、いえ……」やっぱり、聞くのが怖いかも……。
朝に変なことされながらだったからよく覚えてないけど、ボクのことを男の子じゃなくてメスだって言ってたし。ボクのあそこはクリトリスで、お尻はま……な、なんとかって。
なんだか嫌な予感、してる。
ま……なんとかって、おまん……女の子のあそこのことだよね。それって、お、おちんちんが入るとこなわけだよね。紗夜音さん、ボクのお尻の穴を触ってたけど……。
う、ううん、そんなわけないよね。
ペット扱いされるようになったからって、首輪をつけられてるからって、えっちなことばっかりさせられるとは限らないんだから。きっと大丈夫……きっと。
ボクは首を振って、悪い方の考えを頭から追い出しておいた。
赤い絨毯の上を進んでいく背中を見失わないように、追い掛けるのに集中する。
紗夜音さん、足が速いよ。ボクは短いスカートが気になって歩き難いのに……。ストッキングも脚がスースーして落ち着かないし。もう、早く着替えたいよぉ!
ボクが腕を畳んで少しでも服を隠しながら歩いてると、紗夜音さんの足が止まる。
突き当たりにあったのは、地下への扉だった。
「この奥だ。足元、気をつけろよ」
紗夜音さんは扉を開けて、階段を地下へ降りていく。
良かったぁ……お嬢様や紗夜音さんの部屋に行くんじゃなかったんだ。この奥はワイン蔵があるだけだもんね。わざわざそんなとこで変なことなんて、するわけないよね。
階段が終わると、天井も壁も石造りになってる通路に出る。
明かりもまばらで、なんだかゲームに出てくるダンジョンって感じ。埃っぽい匂いの中に、ちょっとだけワインの香りも混ざってる。
1階の廊下より狭くて暗くて。息苦しくなりそうだけど、それでもちゃんと冷房は効いてる。石の天井にも、どこにも送風口は見当たらないけど……?
きょろきょろしてたら、爪先が石床のデコボコに当たった。
「わっ!」
転んじゃう!
目を瞑った次の瞬間、ぽふって柔らかいものが受け止めてくれる。
「足元に気をつけろと言っただろう」
頭のすぐ上から紗夜音さんの呆れた声。
じゃあ、ボクを受け止めてくれたこのむにゅむにゅしてるのは……紗夜音さんの胸?
「わああっ、ごご、ごめんなさい!」
「静かにしろ」
慌てて飛び退いたボクに、紗夜音さんは気にする素振りも見せない。別のことに気を取られてるみたい。歩くのをやめて、石壁をこんこん叩いて回ってる。
「どこだったかな……」
なにを探してるんだろう。
でも、初めて女の人の胸を触っちゃった。それもすっごくおっきいの……。
ボクの胸を締め付けてるブラジャーも、ホントはあんな膨らみを支えるための物なんだよね。そっか、紗夜音さんも、ボクにさせたみたいに毎日下着をつけたりしてるんだ……。
「よしっ、ここだ!」
「あ、ご、ごめんなさいっ!」えっちなこと考えてちゃってました!「あ……」
紗夜音さんの大きな声にビックリしてつい謝っちゃった。
きょとんとしてる紗夜音さん。
ボクが頭の中だけで考えてたことを怒ったわけじゃないみたい。当たり前だけど。
「キミはさっきからなにを慌ててるんだ? いいからこっちに来い」
「は、はい。……紗夜音お姉様」
胸に視線が行っちゃわないようにボクは下を向いて、紗夜音さんに近付いた。
正面にあるのは、通路の石壁。それだけ。特に汚れてるようには見えないけど。
ボクは首を傾げちゃう。
「ここを綺麗にすればいいんですか?」
「綺麗に? どこから出た発想だ」紗夜音さんも首を傾げた。「まあいい。見てろ」
石壁に空いてる穴に、紗夜音さんの指が入れられる。
カチャンって音がした。鍵を開けたときみたいな音?
違う、この音はホントになにかの鍵を開けたんだと思う。だとしたら……。
「もしかして……隠し扉とかじゃないですよね?」
近所の山へ探検しに行ったときみたいな、ワクワクする気持ち。でもそれと、なんだか暗過ぎて怖いっていうのと、頭の隅っこで……嫌な予感も。
嫌な予感? ううん、気のせいだよね。
「ははは、でかい屋敷なら必ず隠し部屋でもあると思ってるのか?」
見上げるボクを見下ろす紗夜音さんは、笑いながら石壁を押した。金属が擦れる甲高くて短い音が鳴って、片側を支点に壁が滑っていく。
開いた壁の奥は真っ暗だ。だけど通路とは違う広い空間があるみたい。これって……?
驚いたボクが見返すと、紗夜音さんは肩をすくめた。
「その通りだ」
あとを追ってボクも隠し部屋へ入ると、紗夜音さんが明かりのスイッチを入れた。
オレンジ色の弱い光が薄く部屋の中を照らし出す。
まだ目が慣れてないからよくわからないけど、お屋敷のボクの部屋よりは広そう。
「ここ……なんなんですか? わ……声が」
ボクの声が壁や天井に反響して、思ったより大きく聞こえた。
硬い床を蹴るボクの足音も、部屋の中に響いてる。
「あれ……シャワーですか?」
少しずつ室内が見えてきて、すぐ近くの壁に掛かってる物がわかった。
「お風呂、なんですか? ここ……サウナとか」
紗夜音さん、なんで返事してくれないんだろう。どこに居るかもわかり難いのに。
壁や床、天井はやっぱり石でできてる。お屋敷の部屋にしては珍しく天井が高くない。
あれ、天井になにかついてる。
滑車……かな。なにに使う物なんだろ。
考えてみたら、見つけ難いように部屋を隠してるなんて変だよね……?
シルエットしかはっきりしないけど、部屋の隅っこには物がごちゃごちゃ置かれてる。
近付いてみようとしたら、照明が一段階明るくなった。
「え……?」
はっきり見えるようになった隅っこの物の中で、一番大きな物がボクの目を引く。
横向きの三角柱を数本の足が支えてる、木製の変な置物。
友達のえっちな本に載ってた、三角木馬っていうのに似てる気がするけど……?
「さ、紗夜音さん! この部屋って!?」
もしかして、変なことをするための部屋なの!?
慌てて部屋を出ようとして見回しても、どこにも扉がない。
ボ、ボク、どこから入ったんだっけ?
「心配しなくても、今日はその大道具は使わんよ」
紗夜音さんが、居た。
でも、いつのまにかメイドさんの服を足元に脱ぎ捨てて、格好が変わってる。
黒光りする革の水着みたいな服。
あ、ああいうえっちな服って、ボンテージっていうんだっけ……?
「さ、紗夜音さん。その服は……?」
足元も、ヒールの高い靴に履き替えてた。
床をコツコツ鳴らしながらゆっくり近付いてくる。
「夕飯前に着込んでおいた。さすがにドレスの下に着るには着心地は良くないなあ」
ボンテージの胸元をつまんで煽ぐ紗夜音さんの体から、ボクはつい目を逸らしちゃう。
服以外はいつもと同じサバサバした雰囲気だけど。
でも、それがなんだか余計に怖い。今の状況、絶対普通じゃないよね……。
「しかし」
――ヒュン。
聞き覚えのある、空気の鳴る音。
「やはりこの格好になると、気分が変わるな」
紗夜音さんの手の動きに合わせて、地面を叩く音が響く。
鞭だ!
「ま……またボクになにかするんですか!?」
安心できるって、安心していいって思ってたのに!
威嚇するみたいに紗夜音さんは鞭を鳴らしながら、距離を詰めてくる。
「やけに素直だったが……なにもされないと思ってたのか?」
「だ、だって、普通の仕事ばっかりだったじゃないですか、服以外は……だから」
なにかされるかもって気も、もちろんしてたけど。
でも、だけど、昨日の夜や朝のことは、なにかの間違いだったんじゃないかって。
「もう終わったんじゃないかって……変なことされ、るっ!?」
すぐ足元を鞭が叩いた!
飛び退きたかったけど、動いたら今度はボクの体に鞭が飛んできそうで……。
動けないでいたら、近くまで来た紗夜音さんに顎をつかまれた。
そのまま、くいって顔を上げさせられちゃう。
「えっ、あの……」
「つくづくキミはおめでたいな。壊すつもりはないが、甘やかすつもりもないぞ?」
「こ、壊す……?」
壊れるかもしれないことをするってこと?
な、なにが? ボクが……?
「一度身の程は教え直しておかないとな。さっきもあたしの呼び方を間違えただろう?」
紗夜音さんの指先が、ボクの唇を優しくなぞっていった。
ボクから一歩下がると、鞭の弾力を確かめるみたいに両手で引っ張ってる。
ま、また鞭で打つつもりなんだ……!
朝に打たれたところが痛みを思い出して、気のせいかじんじん疼くみたい。
「あたしの言うことを心から聞いていないから、そんなふうにボロが出るんだ」
紗夜音さんは鞭から片手を放して、いつでも振り上げられる距離と姿勢を取った。
あれ……?
紗夜音さんの脚のあいだ、女の人のあそこのとこ、変に膨らんでるような……?
「さあ、教えた呼び方であたしを呼んでみろ」
「えっ、あ……」
ピシャンって鞭が床を叩いた音にハッとして、ボクは視線を上げた。
へ、変なとこ見てぼーっとしてたら怒られちゃう。膨らみは気になるけど……。
言う通りにしてれば大丈夫? きっと鞭は使わないよね?
「さ、紗夜音お姉様……?」
「それだ。心から言ってないだろう?」
そ、そんなこと言われても。
「もう一度」
「紗夜音お姉様……」
「ダメだ!」
また鞭が床を叩いて、ボクはビクってして体を腕でかばっちゃう。
その腕を紗夜音さんにつかまれて、上から睨まれた。
ムチャクチャだよぉ……!
「こ、心からって……?」
「口で言うだけじゃなく、心の中でも繰り返すんだ」
「心の、中……?」
「そうだ。ただ呼び方がそうなんじゃなく、あたしはキミにそう呼ばれるべき立場だ。キミもあたしをお姉様と呼ぶべき立場なんだ。それを忘れるな」
紗夜音さんの弟になった気持ちになれってことなの?
ううん……きっと妹になった気持ちにってことなんだろうけど。
気持ちの違いが声でわかるとは思えないけど、でも、鞭は……。
「もう一度言ってみろ」
とにかく、紗夜音さんをお姉さん……お姉様って思えばいいんだよね。
ホントはやだけど……。
ボクはできるだけ心をこめて、お姉様の目を見てみた。
「さ、紗夜音お姉様ぁ……」
――トクン。
えっ……な、なに、今の?
口で言いながら心の中でも紗夜音お姉様って呼んだら、胸がきゅってした。
なんだか自分だけじゃ心細くなって、紗夜音お姉様に甘えたくなっちゃうような……。
なんて言えばいいんだろ、こういう気持ち……。
「よし、それでいい」
お姉様は今度は満足したみたいで、ボクの頭を撫でて微笑んでくれてる。
ホントに心の中の違いが声に出ちゃうものなんだ……。
撫でられるのが嬉しくて、ほっぺたが火照るのがわかっちゃう。
ち、違う、子供扱いされて嬉しいわけないもん。
凄く恥ずかしかったから、こんな気持ちになるだけだよね……?
「その調子で、キミの立場も確認させてやろう」
「た、立場……?」
頭から手が離れて、また紗夜音お姉様が鞭にちょうど良さそうな距離に戻った。
あ……お姉様のあそこ、やっぱり膨らんでる。
もしかして紗夜音お姉様って、お嬢様と同じに……。
「どこを見ている。あたしの目を見ろ!」
「は、はい、紗夜音お姉様」
怒られて、ボクは慌てて視線を合わせた。
今、意識しなくても自然に返事ができちゃった……?
戸惑っちゃうボクに関係なしに、紗夜音お姉様は鞭を鳴らす。
「キミはこの屋敷の、なんだ?」
「なにって……」ペット、ですか……?
声に出してはいいたくなくて、ボクは口をつぐんじゃった。
瞬間、空気が鳴った!
――ピシャン!
「やっああっ! あああっ……!」
腕で胸をかばったけど無視されて、無防備なお腹に鞭を当てられた!
またフラッシュみたいな一瞬の痛みと、そのあとの熱い疼き。
ちょっと言えなかっただけなのに……!
「キミが言えたら鞭はやめてやろう」
紗夜音さんがまた鞭を振り上げた。
に、逃げなきゃ……でも、どこに?
考えるより早く、ボクは背中を向けて紗夜音さんから離れようとする。
「逃がすか!」
――ビシィッ!
「ひあううっ!」
背中への一撃が、エプロンのリボンでも防げない強い衝撃でボクの肌を刺した。
お腹も、背中も、ズキズキ……!
足の力が抜けて、横向けに床に倒れちゃう。
「なにか言うことはあるか?」
仕事で巧く掃除ができてなくて怒られたときと、同じ声。
こうなるってわかってたのに、でも怖くてじっとしてられなくて。
涙でよく見えないけど、ボクは起き上がれないまま紗夜音さんの顔を見上げる。
「ペット、です……」
言うだけだもん。
口だけでも言えば、叩かれないもん……。
「よろしい。じゃあキミは男か、メスか?」
「うう……」口だけ、口だけ。「メス……です」
「そうだ。キミはメイドの服を着てはいるが、この屋敷で皆に飼われている、首輪付きのメスのペットだ。皆に奉仕をするのが、キミの仕事だ。自分で言ってみろ」
「ボ、ボクは……ボクは……メイドさんの服を着て、飼われてる、首輪の……ペット……です。メスの……。奉仕が、仕事、です……」
なんで……?
なんで口で言うだけなのに、こんなに悔しくて、苦しいの……?
まるでボクがボクに、児里かなうは男じゃない、人間でもない、皆に飼われてるメスのペットだって言ってるみたい。言われてるみたい。
「ふえ……うぅ……ひぅ……くっ……」
鞭で叩かれた方が良かったとも思えないけど。
でもやっぱり涙が止まらなくて、しゃくり上げて泣くのも我慢できないよ……。
石床を見ながら打たれたお腹を押さえてると、背中から抱き起こされた。
「さ、紗夜音さ……んっ……?」
「お姉様、だ。まあ、さっきのはあれで許してやろう」
床に足を伸ばして座る紗夜音さんに、背中を預けてる格好。
ボクの肩をそっと抱いて、その手で髪も撫でてくれる。
紗夜音お姉様ってひどい人なの? 優しい人なの?
わけがわからなくなってきちゃうよぉ……。
「そんなに自分でペットと認めるのがいやなのか?」
「そ、そんなの……」いやに決まってます。
はっきり言ったら怒られそうだから言えないけど。
撫でてくれながら、お姉様はボクの耳元に囁いてくる。
「まだ慣れないだけだ。その内、抵抗もなくなる」
そんなこと、絶対にないと思う。
だってボクは人間だもん。ペットになんかされて抵抗ないわけないよ。
なにも言わないでいたら、ぎゅうって背中から抱き締められた。
「どうしてペットがいやなんだ?」
「どうしてって……あぅ、いたっ!」
鞭で打たれた部分を圧迫されて、ボクは仰け反っちゃう。
でも紗夜音お姉様はボクの様子を見てすぐ、痛まないように抱き直してくれた。
「ペットとして奉仕をするのなら、あたし達はかなうをペットとして大事に扱うぞ。なんの不満がある?」
「け、結局……ペットなんじゃないですか」
「幸せなペットになりたいとは思わないか?」
「い、いくら幸せでも……あっ……」
後頭部が柔らかいものに押し付けられる。
そ、そっか、さっきからボクの背中を圧迫してたのって、お姉様の胸だったんだ……。
「グズって鞭で打たれるのと、素直なペットになってこうされてるの、どっちがいい?」
「それは……」
鞭で打たれるくらいなら、素直になって優しくされる方がいいの……?
ホ、ホントにそれでいいのかな。大事にされるからってペット扱いで……。
ううん、そんなのやだ。
けど、鞭もやだけど……。
「まあ、少しずつ教えてやるよ」
最後にボクの頭をポンポンって軽く叩いて立ち上がる。
ボクも手を取られて立ち上がらせられた。
だけど、外に出るわけじゃないみたい。
「まだ、なにかするんですか……?」
「もちろん」
紗夜音さんは肩をすくめて、自分の脚のあいだへ手を持っていく。
ボクは今度こそ、その膨らんだあそこから目を放せなくなった。
紗夜音さんは普通の女の人だと思ってたけど。
あそこの膨らみは、最初見たときより大きくなってる。
ボンテージの生地を盛り上げてるその形は、大きな棒状で、やっぱりこれって……。
「さ、紗夜音さ……紗夜音お姉様も、お嬢様と同じような……?」
間違いない、みたい。
ボクが見ているのに、ためらいもなく紗夜音さんはあそこの部分のジッパーを上げる。
そんなところが開くようになってたんだ……!
「ああ、言わなかったか? もちろんあたしも女だが、チンポが生えているのさ」
「チ、チン……!」
紗夜音さんって、言葉遣いが下品だよぉ!
でも、開いた隙間から飛び出したそれはおちんちんより、そう呼ぶ方が合ってるかも。
さすがにお嬢様のよりかは小さいけど、棒の部分に比べて先っちょの広がりが大きくて、カサの開いたキノコみたいっていうと大袈裟だけど……そんな印象を持っちゃうくらい。
それに、お嬢様のよりかはって言っても、ボクよりはずっと大きいし……。
「紗夜音お姉様まで……」そんなのの生えた女の人だったなんて……。
ま、待ってよ。まだなにかするって、まさか?
「な、なにをさせるつもりなんですか?」
「そういう質問が出るということは、わかってるんだろう?」
ボクを見下ろす紗夜音さんの顔が、気のせいか少し赤くなってる。
恥ずかしい? ううん、興奮してるって感じがする。ボクに……!?
「昨日、お嬢様にしたようにだ」
「あっ、うっ……き、昨日?」
紗夜音さんに肩を押さえつけられて、強引に膝立ちにさせられた。
石床に膝が当たった痛みを我慢して見上げようとしたら、目の前に……おちんちん!
「やっ! あうっ……やだっ、やです! やだあっ!」
また、昨日の夜と同じだよぉ!
首を振って嫌がってたら、頭をつかんで動きを止められちゃう。
「さあ、キミの口でフェラをして貰おうか」
フェ、フェラって……どうして紗夜音さんはそういう言い方をするの!?
もう、おちんちんを舐めたりするのなんて!
ボクが動かないでいたら、また鞭が床を叩いた音がした。
「一度やったことだろう?」
「う……」そう、ですけど……。
つるつるした赤い先っちょに染み出てる滴から、生臭い匂いがボクの鼻に入ってくる。
紗夜音さんのおちんちん、ピクッピクッて動いてる。
や、やだよぉ。気持ち悪い……。
「鞭で打たれたいなら、あたしはそれでもいいが?」
鞭もやだよぉ!
でも、でも、またするの? していいの?
鞭が怖いからって、今度は女の子の服や下着まで着て、あんなの舐めたりするの?
緊張して唾を飲み込んで、お嬢様に飲まされた味を、思い出しちゃう。
「鞭の方がいいようだな」
――ヒュン!
「い、いやです!」
迷ってたら空気の鳴る音がして、ボクは反射的に首を振った。
「じゃあ、フェラをするんだな?」
紗夜音さんは考える暇をくれないで、鞭で床を叩く。
急がなきゃ。急いで決めなきゃ……!
パシッパシッて鞭が石床に当たる音に焦らせられちゃう。
「今度はお漏らしをしたとしてもやめないからな」
ひ、ひどいです。
朝よりもっと叩かれたら、ボク、どうなっちゃうの……?
お漏らししちゃってもずっと鞭で打たれてたら……い、痛いじゃ済まないかも?
「や、やり……ます」
お嬢様のときと同じように、ボクは返事をした。
お漏らしより、女の人の体の一部を舐める方がずっといい……よね?
「なにをやるのかはっきりしないな。いいか、教える通りに言ってみろ」
紗夜音さんが耳打ちしてくる。
こんなこと言えませんって、言いたいけど……!
「ボクのお口、で、紗夜音お姉様のチ……チン……ポ、に、ご奉仕させて……ください」
しゃくり上げそうな喉を抑えて、ボクは涙も拭えないままペットの言葉を口にした。
膝立ちになってるボクの目の前に、紗夜音さんが仁王立ちしてる。
ボンテージのあそこの隙間からは大きなカサの広がったおちんちんが反り返ってて、ボクの鼻先で揺れて威圧してくる。
よく見たらおちんちんの根元の赤毛で隠されてる奥に、女の人のあそこもあるみたい。
でも、今のボクには別なとこを見てる余裕なんてないよ……。
「手に持って、まずはキスをするんだ」
「は、はい。……紗夜音お姉様」
女の人の一部分。おちんちんだけど、女の人の……。
頭の中で繰り返しながら、ボクはそっと手を伸ばしてみた。
幹の部分に、まず指先が触れて、手を飛び離しちゃいそうなのを我慢する。
「うう……」
他人のおちんちんを手で触るのなんて、初めてだよぉ……!
握ってみたら、表面の血管の微妙なデコボコまでわかっちゃう。
しっとり湿ってるけど、こ、これって汗なのかな。
でも、これだけじゃダメなんだよね……。
「ん……」
――ちゅっ。
ボクは目をつぶって、昨日と同じようにおちんちんにキスを、しちゃった……。
ううう、唇にまた、先っちょのぬるぬるが付いてきてるぅ。
「よし、いい子だ」
頭を撫でられても全然嬉しく……ないけど、ちょっと気持ちが和らいだみたい?
唇のぬるぬるを指で拭い取って、ボクは紗夜音さんを見上げた。
もう終わり、じゃないですよね……。
「キミ、オナニーはしたことあるか?」
「えっ!?」
オ、オナ……?
ひとりえっちのことだよね。
「そ、そんなこと……」恥ずかしくて言えるわけないです!
「答えはわかった。だが、次からははっきり言えよ」
うつむくしかできないボクの頭を、紗夜音さんはポンポンって叩いてくる。
「服は着たままでいい。あたしに奉仕をしながら、自分でもオナニーをしろ」
さ、紗夜音さんのおちんちんを触りながら、自分のも触れってこと?
人前でひとりえっちしろだなんて、どこまで恥ずかしいことをすればいいんだろう……。
ボクは聞き間違いを期待して紗夜音さんを見返すけど。
鞭で石床を叩く音を聞かされただけだった。
「あたしのチンポをしごきながら、舐めるんだ。一緒にキミのクリもしごきながらな」
「クリ……?」
「キミの股に生えてるクリトリスのことだ」
ボ、ボクのもお……おちんちんなのに!
それに、ひとりえっちしながら他人のモノを舐めるなんて、できるのかな……?
いやだけど、おちんちんにキスまでしたのに、鞭で怒られるなんてもっとやだ……。
服を着たままでいいっていうから、紗夜音さんからは見えないし。
お漏らしを見られるよりはマシだよね……?
ボクは上から見え難いように少し腰を引いて、スカートの下のショーツに右手を入れた。
「ん、んっ……」
や、やだ。自分の触ったら変な声出ちゃった。
ボクのは柔らかいままだけど、女の人の前で自分のあそこを触ってるなんて思ったら、なんだか敏感になってるみたい……。
恥ずかしくて、あそこまで緊張しちゃってるのかも。
残った左手で、紗夜音さんのおちんちんをつかんで。
りょ、両手で一本ずつおちんちん握ってるって、変な感じ……。
「さあ、舌を出せ。涎をまぶしながら奉仕してみせろ」
紗夜音さんがボクの頭を撫でながら催促してくる。
これだけ、やればいいんだから……!
ボクはもう一回唾を飲み込んでから、口を開いて舌を出した。
――ぴちゅっ。
おちんちんの先っちょから移動してきたぬるぬるが、舌の表面にじわって広がる。
ちょっとしょっぱい卵の白身みたいな、この青っぽい臭い味……。
お嬢様と同じ……ううん、お嬢様のより、気のせいか生臭さが強いみたい。
「いいぞ、そのまま……手も動かせ」
紗夜音さんの声が熱っぽくなってる。
言われた通りに左手を根元から先っちょまで、握ったまま上下させてみる。
さ、紗夜音さん、おちんちんも凄く熱っぽい……熱い。
塗り広がった涎とおちんちんの粘液のせいでにゅるにゅる滑るたびに、ドクンドクンって心臓みたいに脈を打ってる。
な、なんだかボクまでドキドキしてきちゃう。
ボクは口で息をしながら、気付いたら無意識に自分のあそこも弄っちゃってた。
「んんぅ……!」
紗夜音さんのおちんちん、汗の匂いが凄いよぉ……!
口から吸った息が鼻まで通って、生臭い匂いを感じさせられちゃう。
――ぴちゃ、ぴちゅう。
「ん、あむ。んう……れうぅ……んっ……」
し、仕方ないからやってるんだよね?
怒られたくないからやってるんだもん。仕方ないもん……。
「くっ、いいぞ……かなう」
「んむぅ……んっ……うみゅ……はむ……」
お嬢様にさせられたときみたいに、先っちょのつるつるした部分を唇で挟んでみたり。
唇全体を押し付けるみたいにしながら、舌で舐め上げたり。
そうしながら2本のおちんちんを、片手ずつでごしごししちゃう。
「ふあ……あんっ、んっ!」
あそこ、ボクのも熱くなるぅ……!
これ、いやじゃない……かも。
だって、鞭を使ってるときはあんなに怖かった紗夜音さんも、ボクがおちんちんを舐めてるときは、えっちな声を出して頭を撫でてくれてるだけだもん。
あ、ほら、先っちょの割れ目から出るねばねばに、白いのが混ざり始めてる。
これってボクが、紗夜音お姉様を気持ち良くできてるってことだよね……?
――ちゅっ、ちゅうっ、ちゅばっ。
白いねばねばが出るとこを何度も吸い上げちゃう。
「んっ……んくっ……」
ボクは口の中に溜まったねばねばを、涎と一緒に飲み込んだ。
喉の奥を生臭い匂いが落ちていく。
口を開けたら、上顎と舌のあいだで飲みきれなかった分が、にちゃって糸を引いた。
「ふあ……んんっ……ん、く……」
紗夜音お姉様のって、苦いんだ……。
舌で口の中のを綺麗に拭い取ってから、また飲み込んでおく。
仕方ないから、だよね?
いやだけど、鞭よりいやじゃないから。鞭よりは好きだから……。
「渋ったわりには……うっ、いいか、あたしがイったら……キミも一緒に、イクんだ」
――ぺろ、ぺろ、ぺろ。
おちんちんを舐めたり手で撫でたり。
お姉様の言葉が途切れ途切れになるのが嬉しくて、ついボクは夢中になっちゃう。
自分のおちんちんも、ひとりえっちのときみたいに、包んでる皮の上からごしごしする。
もう硬くなっちゃってて、ショーツからちょっと出ちゃってるかも。
でもボクのもえっちな粘液でぬるぬるになってて、擦ると気持ちいい……。
「くっ、んあっ……タ、タイミングがズレたら、お仕置き、だからな?」
お仕置き……?
お、お仕置きはやだよぉ。
「ふぁ……は、はい……紗夜音お姉様ぁ……んんうっ」
お姉様と一緒に、ボクも気持ち良くなれってことだよね?
返事をしておいてから、目の前のおちんちんに、ちゅってキスをしちゃう。
――ぴちゅ、ちゅ、ちゅくうぅぅぅ、ちゅぷぅ。
舌を先っちょにおしつけて、糸を引きながら離したりつけたり。
そのまま大きなカサの裏側を舌先でなぞって。
一回転したら先っちょに戻って、舌を押し付けて、繰り返して。
そうしながら両手でおちんちんをぬるぬるで擦り上げて。
「んっ、れるぅ……うゆ……?」
どっちの手でどっちのおちんちんを触ってるか、わからなくなっちゃった……。
頭がボーっとして、巧く考えられないよぉ。
あ、でも、わからなくてもいいよね。
とにかくどっちも気持ち良くすればいいんだもん。
もう口元もほっぺたも、両手もおちんちんのぬるぬるだらけになっちゃってる。
臭いけど、ドキドキする匂い……。
お姉様のおちんちんのドクドクって脈が、強くなったみたい。
同じリズムで先っちょから、白混じりの透明のねばねばが休みなく湧き出てる。
そろそろ、出るのかな。
お嬢様と同じに、あの真っ白なのが……。
「よし、いいぞ、かなう! 全部受け止めろ!」
「えぅ? ぷゆっ、ひゅむううううっ!」
お嬢様のときと同じように頭をつかまれて、おちんちんに口を押し付けられた!
違ったのは、お嬢様ほど巨根っていうのじゃなかったこと。
唇を強引にこじ開けられて、先端がどんどんボクの口へ入ってきてる!
「んぐううっ、ぐっ、くうぅうんんんぅ!?」
い、息ができないよぉ!
顎が痛くなるまで開けた口の中いっぱいに、おちんちんを詰められてる。
舌も圧迫されて動けなくって、唇の隙間から溢れた涎がだらだら落ちちゃう。
「けふうっ!」
喉の奥に突き当てられて、吐き気のこもった咳が出た。
ボ、ボク、おちんちん全部咥えちゃってる。
喉の奥まで紗夜音お姉様が入ってきてる……!
「うっ、ぎゅぅ……」
ボクの口の中で、おちんちんのビクビクが大きくなる。
「イクぞ、かなう! キミも一緒にだ!」
そ、そっか。
一緒に気持ち良くならないと、お仕置きされちゃう!
急いで擦り上げた自分のおちんちんが手の中で震えるのと、口の中で紗夜音お姉様のおちんちんが一段大きな脈を打ったのは、同時だった。
――ドクン!
「んんんんんううぅっぐううっ! んぐっ、んっんんぅ……んっぐうううっ!」
――ドプッ、ドプッ、ドプッ、ドプッ……。
喉の奥に直接大量のねばねばが注ぎ込まれてきて、反射的に飲み込まされちゃう。
「んんぐっ! んんぐううぅっ!」
お、溺れちゃう!
こんなに飲み切れないよぉ!
紗夜音お姉様のお腹を力いっぱい押して、なんとかおちんちんを口から吐き出せた。
おちんちんが白いねばねばを噴き上げるのは止まらないで、ボクの頭から、顔、メイドさんの服やエプロンにまでかかっちゃう。
「うあっ、ぷあっ、あ……」紗夜音お姉様の、かけられてるよぉ……。
ボクは膝立ちする力も抜けて四つん這いになる頃、やっとお姉様の射精も終わった。
喉にへばりついた精液を飲み込んでから、大きく深呼吸をする。
「けふっ、けほっ! くぁ……はぁ……」
精液……。や、やっぱり精子なんだよね、これ。
咳き込む口から真っ白な粘液が、溶けたアイスみたいにねばつきながら床に落ちていく。
また口に射精されちゃった……。
ううん、体中に……。
「ふぁ……んくっ……」
呼吸の合間に飲み込む紗夜音お姉様の精液は、お嬢様のと同じようにしょっぱい味。
だけど、なんだかお嬢様のより苦いみたい……。
生臭い匂いも、イカみたいな匂いが強くって。
「う、うえっ……けほっ、けほっ」
さっきボク、こんなのをいやじゃないかもって思ってたの?
ど、どうして? ねばねば気持ち悪くて臭い味なのに……。
「いい顔だな。鼻からもあたしのチンポ汁が出てきてるぞ?」
「え、え……?」
四つん這いのボクの前にお姉様がしゃがんで、覗き込んできてる。
鼻から……? どういうこと?
まだ頭がボーっとしてる。
「よし、キミもイってたようだな。零したのはまあ、許してやろう」
いつの間にかボクの後ろに回って、ボクのスカートを……?
めくり上げてる!
「やっ、やっ、ですっ! あっ!」
スカートを押さえようとしたら支える腕がなくなって、肩をついて転んじゃった。
でも、もう起き上がれない。そのまま横向けに寝転がっちゃう。
「あたしは連発でもいいが……少し休憩にしてやろう。休んでおけ」
紗夜音さんの足音が、部屋の隅の方へ移動していった。
休憩……?
まだ、今日は終わりじゃないってことなの……?
GJっす!
泣き虫でダメっ子で天然のかなうきゅんがカワイイ!
俺のツボですw
お姉さまも時々甘やかしても、きっちりヤル事ヤルのが良いですね〜
続き、期待しています。
とてもとても素晴らしいときは何て言えばいいんだ?
やっぱりGJの一言だよな
GJ!!
紗夜音さんの口調が、好きだ。
かなう、どんどん染まってきてるなぁ。まさに、調教。
何故、俺はかなうじゃないのか?
119 :
名無しさん@ピンキー:2007/10/09(火) 08:10:45 ID:EDtYXlN6
ほす
保守
数レスお借りします。こないだ終わった深夜アニメ「ヒロイックエイジ」より、
熟女おっぱい艦長ニルバール中将のエロです。
【エロ内容】乱交
【ターゲット属性】熟女?
122 :
涅槃のご褒美:2007/10/17(水) 19:10:19 ID:LsVF/I8u
行ってきたよ。マジだったんだな。
え? いや、ほらアレよ。ニルバール中将の「ご褒美」。
先週、蟻塚に待ち伏せされたのあったろ。あの時俺、当直でさ。第一波でいきなり管区の
免疫システムが死んじゃって、俺非常用コンソールだけで必死こいて応戦したのよ。手動で。
そしたら後で聞いたら、あの近くで艦内に虫が入らなかったブロックって、俺のいたとこだけ
だったんだって。
せっかくだから色々データ集めて、手動迎撃のマニュアル改良してみたら、これが艦長の
目に留まったらしくて。「二等勲功を与える」なんてメールが来てさ、俺も噂は聞いてたから、
半分冗談で「中将閣下と一夜を」なんつって送ってみたわけよ。そしたらお前、
〈明後日22:00、艦長室に来られたし〉
指定の時間に艦長室の前まで行くと、他に四人いてな。みんななんかソワソワしてて、
俺と同類だってすぐわかったよ。救護班の知り合いが一人いたな。
時間きっかりにドアが開いて、艦長室の、その向こうの私室の、そのまた向こうの寝室まで
ドアが開いてて。みんなで入ってくと、いたよ。艦長が。
「よく来たな」とか言って、いつものあのスーツで。
「君らは皆、先週の戦闘で殊勲を上げた。自分がなぜここに来たか理解しているな?」
部屋の照明がこう、薄暗くてな。俺らが黙ってうなずいたら、
「結構。ならば、今夜は……私を好きにするがいい」
にっこり、つーか、ねっとり、つーか。見たこともない笑顔でさ。ゾクゾクッと来たよ。たぶん、
その笑顔だけで俺達五人全員勃起してたね。
123 :
涅槃のご褒美:2007/10/17(水) 19:12:04 ID:LsVF/I8u
結論から言うと、艦長エロすぎ。あと、若すぎ。
最初にチンポ出したの俺の隣の奴だったんだけど、まあ最初に咥えられて三秒で
出しちゃうってのは、わかる。そいつ一番若かったし、俺達みんな期待してギンギンに
溜まってたしな。だけど、そのまましゃぶられ続けて十秒もたずに二発目ってのは
普通じゃない。三発目にはそいつ、悲鳴上げてたよ。喉がゴキュゴキュ動いて、飲んでる
のがわかるんだ。ふやけたチンポから湯気上げたまま、そいつ腰抜かしちまった。
見てるだけでイキそうになったね。
あと俺、あの乳は絶対成形してんだと思ってたんだよ。それが、触ってみたら生。
ふっくらして、なんかしっとり汗ばんでて、産毛がやーらかくて、あれ艦長四十越えてるって
絶対嘘だろ? 四十台であの乳は有り得ないって。挟まれただけで俺出ちゃったもん、
いやホント。そのままパイズリでもう一発、先っぽ吸われてもう一発、アッという間に
三発搾られちゃった。最初の奴のこと笑えないけど、あのテクは反則だよ。全部艦長の
顔にかかってさ、でも笑ってて、あのスーツの茶色い指先ですくって舐めるんだよ。
嬉しそうに。
さすがに他の連中も我慢できなくなったみたいで、みんなでわっと押し倒してな。
マントひっぺがして、体中撫で回して、スーツにチンポこすりつけてる奴もいたな。
破こうとすると、たぶん艦長がスキンスーツの強度を調整してたんだと思うけど、簡単に
ビリビリ裂けるんだよ。肌がまたむっちりして綺麗でさあ、こう引き締まってるんだけど、
脂で透き通るみたいで、いや艦長ってホント何歳なんだろうな? でもやっぱりそれなりの
齢なのかもな、何たってエロさが半端じゃなかったもん。あの手で握ってしごかれただけで、
冗談じゃなく腰が抜けそうになるんだぜ。
最初に突っ込んだのは、確かオーガン乗りって言ってた奴だったよ。その頃にはもう
みんな艦長の手とか口で三、四回ずつ抜かれてたから、さすがにすぐ出したりは
しなかったけど、でも長くはかからなかったな。二番手の奴もあんまりもたなかった。
入れてる間中、「凄ぇ」としか言わなかったよ。
三人目くらいからかな、艦長の様子が変わってきたのは。息が荒くなってさ、腰の動きが
だんだんマジになってくるのがわかるんだよ。四人目の俺になったらもう、目がトロンと
しててさ、なんか上半身に力がうまく入らないみたいなんだけど、でもアソコの中は
凄かったな。うねるみたいに動いて、吸い付いてくるんだ。それで、脚で俺をがっちり固めて
離さないんだよ。前の三人もそうだったけど、だから中に出すしかないわけ。どうせだからって
一番奥までねじ込んで射精したら、なんか急所に当たったらしい。のけぞって、舌つき出して、
「あへぇ……」
って。これは本気声だ、って思ったね、皆。
124 :
涅槃のご褒美:2007/10/17(水) 19:15:37 ID:LsVF/I8u
そっからはもう、輪姦さ。五人目が突っ込んでる間も、待ちきれなくてみんなして手とか
顔とかにチンポこすりつけて。またそれを嬉しそうにしゃぶってくれるんだよ。タガが外れて
きたんだろうな、あのキリッとした顔がだらしなくなって、声も大きくなってきて、涙まで
浮かべてヨガるもんだから、俺達も夢中になっちゃってな。頭つかんで無理矢理チンポ
突っ込んだり、逆にわざと焦らして、
「チンポください」
とか、
「ザーメン飲ませて下さい」
とか言わせるんだよ。また素直に言うんだぜ、あの艦長がとろけそうな声でさあ。
たまらねえよな。
そのうち、尻の穴にも入れてほしいとか言い出すから、俺ともう一人でサンドイッチしたら
もう、泣いて悶えるんだ。たっぷんたっぷん音が立つくらい必死に尻振って、タイミング
合わせて同時に一番奥で射精してやったら、もうあれは悲鳴だったなあ。防音大丈夫かって
思った。
そのへんから後はよく覚えてないけど、穴という穴を使いまくったよ。穴だけじゃなくて
もちろん胸、脇の下とか、太ももとか、ヘソとか、髪の毛でも出したし、足の裏を使ってた
奴もいた。
艦長はもう体中、ほんとに体中ザーメンまみれで真っ白。最後の方はもう目はうつろで、
悲鳴もかすれてきて、体に全然力が入らないみたいだったけど、それでも尻と口だけは
別の生き物みたいに動いて吸い付いてきて、たまらないんだよ。
最後は半分失神した艦長に、みんなして顔射、顔射、顔射。あの太い眉毛にぶっかけるの、
気持ちよかったなあ。
125 :
涅槃のご褒美:2007/10/17(水) 19:16:51 ID:LsVF/I8u
ようやく我に返って、時計見たら午前3時を回ったとこだった。五時間ヤリっぱなしだったんだな。もう腕を上げるのもだるくて、五人でぼーっとしてたら、ザーメン漬けになってた艦長がむっくり起き上がってさ。満足したか? なんて訊くから、そりゃもうって。
「では、向こうにシャワーがあるから、体を流してから帰るといい」
って言うんだけど、艦長室のシャワーを艦長より先に使うのもあれだろ。だからお先にって言ったら、
「私はいい。……もう少し、このまま余韻にひたっていよう」
顔にこってりついたザーメンを指先ですくって、ペロって舐めた顔のエロかったこと。思わずもう一戦挑みそうになったけど、夜も遅いし、おとなしくシャワー浴びて帰って寝ましたよ。ええ。
何回出したかって? うーん、はっきり覚えてるだけで七、八回だけど、記憶飛んでるから
その倍くらいはあったと思うなあ。今でもまだチンポ痛いもの、俺。
でもな、つくづくアズ・アゾート艦隊に来てよかったって思うよ。今までだって命懸けだった
けど、これからも命賭けられるね、俺。こないだ来た、あのアルゴノートって艦にもすごい
カリスマの姫様が乗ってるっていうけど、俺なら断然ニルバール艦長だね。
お、戦闘配備か。おっし、行こうぜ。なんか次はノドスが来るとかって聞いてるけど、
ノドスってあのノドスかね。実在するの? まあ、頑張ろうぜ。
End
>>121-125 _ ∩
( ゚∀゚)彡 おっぱい!! おっぱい!!
( ⊂彡
| |
し ⌒J
まさか中将モノが読めるとは、GJ!!
GJ!!
ニルバール中将の名器とか想像しただけで射精した
ニルバール中将のエロが読めると聞いて飛んできました!!11!111!!1!
保守
あげ
捕手
133 :
名無しさん@ピンキー:2007/11/17(土) 23:09:01 ID:jRFyC/O9
あげほ
保守
保守
だめええ、こんな……いやぁあああんん、……保守
何気にこのスレ好きなので保守
139 :
20:2007/12/05(水) 22:41:41 ID:5/2RXbn0
今更だが、井上涼子SSの続きを投下してみる。
僕は慣れた手付きで涼子の細い手首に手枷を嵌めていく。チャラ、と鎖が擦れる小さな音が耳に届いた。
「この手がいけないなら、自由を奪わなくちゃね…これなら自分で弄れないだろ…?」
耳元でそう囁いた後、わざと音を立てて涼子の耳を舐め回す。
「…あぁん…っ……耳…ダメ…ぇッ…」
甘い声で鳴く涼子。彼女の性感帯の一つがここなのは既に承知だ。唾の量を増しながら、更に責め立てていく。
ピチャ……クチュクチュ…チュク……クチュ…。
耳たぶから内側の窪みに至るまで丹念に舐め回し、時折息を吹き掛けたり、甘噛んだりして涼子を舌で玩ぶ。
「…はァ…ンッ……あ…あん…っ……や…やぁ……そんなに……な…舐めたらぁ…っ……あッ」
涼子は眉間に皺を寄せて快感に堪えているが、洩らす声には艶めかしさが宿っている。胸元に視線を落とすと、桃色の先端がピンと勃っているのが判った。
「…何だ…縛られて感じてるのか?…いやらしいな、涼子は……」
「ち…違……あっ…あぁン……あぁ…ッ」
自らの恥態を否定する涼子の言葉を遮って、僕は涼子の股間に指を延ばす。そこは再び溢れ出した愛液で湿っていた。
「…身体は正直だな……」
涼子の眼前に粘つく指先を突き付ける。余りにも古典的な言い回しだが、涼子を辱めるには充分だ。
「…だって…ぇ……ご主人様が……そんなに…するから…ッ……あっ…」
再び、従順な涼子に戻り始めている。だが、まだまだお仕置きはこれからだ。
僕は鎖を引っ張り、涼子に立ち上がる様に促した。それに従い、ゆっくり立つ涼子を居間のテーブルの前まで導く。
「…じゃ、この上に乗って脚を拡げるんだ」
「……は…はい……」
言われるがまま涼子はテーブルに上がる。そして手枷を嵌めた両手を胸の前にし、所謂M字開脚のポーズになる。
僕は再びソファーに深々と体を沈めて涼子に視線を向ける。丁度彼女と目線の高さがほぼ同じになり、紅潮した顔と濡れた蕾を見比べる。
「…ご主人様……は…恥ずかしいです……そんなに……見ない…で……」
その言葉を全く意に介さず、視姦を続けながら僕はソファーの裏に隠した物を手に取る。
「…さて……涼子、コレが何か分かるかい…?」
黒光りする固まりが、手元のスイッチを入れるとウゥゥン…と無機質な振動音を立てる。
「………ッ!」
涼子は息を呑んだ。恐らく実物を見たのは初めてだろうが、どう使うモノか解らない程世間知らずな涼子ではない。
「…さぁ……中に入れるぞ……」
一度スイッチを切ったバイブを秘唇の入口に近付けて何度かなぞる。
「…やぁ……許して…ご主人…様ぁ……そ…そんな……駄目…ェ…」
涼子はイヤイヤと頭を振り、震えた声で制止を求める。だが、身体はさほど強張ってはおらず、心の奥底の強い欲求が見え隠れしている気がした。
そう思うと、自分の中の秘められた欲望が――涼子を苛めたいという思いが一気に加速した。手にしたバイブを、濡れた入口から涼子の膣内へと沈めてゆく。
…ヌチュヌチュ……。
いやらしい水音と共に、バイブが涼子の中に侵入して行く。
「…ぁッ……あぁんっ……入って…くるぅ…っ!…あっ…あァン……ッ」
その声は、普段の彼女からは想像もつかない程、艶かしかった。
「…いい格好だね、涼子…」
「…あ……やぁ…っ…言わ…ない…で…っ……は…恥ずか…し…あッ…」
バイブは涼子の膣内に納まり、僕が手を放しても咥え込んだままになる。その隙間からは愛液がじわりと伝う。
「嫌だ、じゃないだろう?御主人様が入れてあげたんだぞ」
僕は再びバイブに手を延ばして、少し出し入れしてみる。
「…あぁァンッ………あ…ありがとう…ございま…す…ぅ…あ…ァンッ…!」
台詞とは裏腹な、羞恥に満ちた表情と声色で涼子が言う。その様が、僕の中の秘めた衝動を掻き立てる。
涼子を、もっと、苛めたい。辱めたい。
その思いが、バイブのスイッチを「ON」にしていた。グゥゥン、と無機質な振動音が涼子を責め立てる。
「…あっ…あぁァンッ!」
ビクンッ、とまるで電気が全身を走ったかの様に両肩を震わせて涼子が一際高い嬌声を上げる。軽くイッたのだろう。
「またイッたのかい…?涼子は本当にいやらしいな………」
僕はわざと皮肉っぽい口調で涼子の耳元で囁き、緩やかに舌を這わせた。
「…あッ……と…止め…てぇ……あンッ……あぁ…っ……んんッ」
敏感な部分を二カ所も同時に責められ、涼子は堪える術も無く切なげな声を漏らす。
「…何、言ってるの…?こんなに感じてるくせに……ほら…ちゃんと御主人様に素直に言いな…涼子」
一瞬、バイブの振動音以外の音が消えた。その静寂の後、涼子はか細い声を搾り出した。
「……う…嬉しいです……御主人…様…」
っと、すまない。
誤爆した。
申し訳ない。
少し場所借ります。
元ネタは「ef」で、宮村みやこのSS。俺はアニメ版しか知らない(しかもまだ七話まで)ので、原作とズレてたら勘弁。
平日の昼下がり。俺の部屋として使われているアパートの一室。カーテンは開かれ、春の近付く緩やかな陽射しが注がれている。
原稿を上げる為に俺が授業を休むのは珍しくないので、誰も気にはしてないだろう。みやこにしても同じ様なものだ。近頃、こうして二人で過ごす事が増えた。……そして、二人の秘密も増えていった。
「…ん…んっ……んッ……ふぅ…ん……んっ……んっ……ん…」
みやこは俺の膨張した欲望の塊を愛らしい口に含み、頭を前後に動かしている。四つん這いのその身を包んでいるのは、ウチの高校のスクール水着だ。豊満な二つの膨らみの先端が小さく硬く尖っているのが、水着越しにも判る。
「何だよ……こんなにしちゃって…」
俺は手を延ばし、みやこの左胸を鷲掴みにする。掌から溢れる程の乳房が、俺の手の中で形を変える。布越しでも硬くなった乳首を捉えるのはたやすかった。それを親指と人差し指で摘み上げ、捏ねくる度に、みやこの身体がビクンと跳ね上がる。
「きゃっ……やだ…ッ…」
「…おいおい…口を休めていいなんて言ってないぜ……ちゃんとしゃぶれよ…」
思わず俺の欲望から口を離したみやこに、俺はその顎を掴んで窘める。
「…あ……ごめん……はむ…っ……ん…んっ…」
みやこは右手に掴んだ俺の肉棒を扱きつつ、再び奉仕を再開させる。口内で時折チロチロと蠢く舌が艶かしい。
「…んっ……ちゅく…ちゅく……くちゅ……ぅ…ン…ちゅ…っ…ん…んっ……」
唾液の絡み合う音に混じり、時折艶っぽい声が洩れて来る。左手で徐々に垂れて来た髪を掻き上げる仕草に、俺は何とも言えぬ興奮を掻き立てられる。
「…んっ……ちゅく…ちゅく……んんッ…んっ……ちゅ…ふぅンッ…ん…ンンッ…」
みやこの口元は涎に塗れ、テカテカと光っている。だが、彼女はそれは気にも留めず、俺の物をしゃぶり続ける。
「…なぁ、宮村……胸、見せてみろよ」
俺は掌の中で玩ぶそれを改めて要求してみた。
「…んっ……広野くん…やらしいなぁ……」
みやこはいつもの様なからかうような口調になる。と同時に、俺の物を握る手を解かぬまま、残る左手で水着を肩から降ろしてゆく。両肩を外し、臍の上辺りまで下げると、豊満な膨らみが大気に晒される。
「…あ…今、ムクッてなった?……興奮したんだ、私のおっぱいで」
「……うるさいな、ほっとけよ」
みやこの指摘は図星で、俺はそれをごまかす為にぶっきらぼうに言う。その形の良い膨らみと、薄いピンク色の尖端に改めて欲情したのは紛れも無い事実だった。
「ふーん……素直じゃないなぁ…。ま、いいや……はむっ……んっ…ん……んんっ…」
みやこは再び俺の勃起した肉棒を咥え、奉仕を続行する。
「……んっ…ん……いいよ…広野くんの…好きな所に出して。胸でも、口でも……顔でも」
俺の裏筋に丹念に舌を這わせながら、みやこが潤んだ瞳を見せる。何かを欲する様なその表情に、俺の射精感が高ぶった。
私の口の中で、広野くんが脈打っている。ヌチュヌチュ、といういやらしい音が耳の中で響く。おしゃぶりしている私の顔や、露になってる胸に、広野くんの視線を感じる。
それらが、凄く心地良くて、私はますます一生懸命尽くしてあげたくなる。だから、あんな事を言ってみたのだ。
自分でも、はしたない事してるなぁ、と思う。わざわざスク水まで着て、しかも自分から脱いで、男の子のモノをしゃぶってる。これじゃいわゆる「痴女」って言われても仕方ない。
でも、広野くんが喜んでくれてる。こんなに硬くして、私を求めてる。それだけで、私は何だってしてあげられる。
「ね…広野くん……ここ、苦しそうだよ……我慢しないで、出していいんだよ…?」
硬くなった広野くんのモノをさすりながら、私は言う。それはもう燃える様に熱を帯びていて、今にも破裂しそうな感じだ。
ふと視線を上げると、広野くんは眉を潜めていて、射精しそうになってるのを我慢していた。男の子のこういう顔って、ちょっとカワイイと思う。
「…やべっ……宮村…ッ…射精るッ……!」
広野くんはそう言うと、私の頭を掴み、少し離そうとした。私はそれで、広野くんがどうしたいのか分かった。だから次の言葉が自然に出ていた。
「いいよ…っ……出してッ…熱いの……いっぱい…かけて…ぇ…!」
「…あっ…射精るッ……み…みやこッ…!」
広野くんのモノから、白くて熱いのが一気に放たれ、私の顔をみるみる汚してゆく。勢い余った分が、髪や胸の辺りまで飛び散る。「…あッ…熱い…ッ…!」
その一滴一滴に広野くんの快感が篭っているみたいで、顔を汚されているのに、私の心は満たされていた。下腹部に、その熱さが移染してゆく。
「…ハァ……ハァ……」
広野くんは息を切らしていた。が、あそこは一度射精したのにまだ元気みたいだった。
「…すごい……いっぱい、かけられちゃった……」
丁度唇の辺りにかかった分を指で掬い、チュルッと音を立てて舐めてみせる。少し苦い…広野くんの味がする。
「…やっぱり、変な味…」
そう言って、わざと苦い顔をして舌を出すリアクションを取る。本当は変なんかじゃなくて、広野くんのだから好き。でも、そうは言ってあげないのがささやかな抵抗だった。
「……宮村が自分で『出していい』って言ったくせに」
イク時だけ私の事「みやこ」って呼ぶの、広野くんは気が付いているのだろうか。それが聞きたくていっぱいしてあげてるっていうのも、正直ある。
「広野くんこそ、私の可愛いお顔に、ガンシャしたかったくせに……Hだなぁ」
いつもと同じ口ぶりで言う。…そうでもしないと、本当はしたくてウズウズしてるのが気付かれそうだと思うからだ。
「…………まあ、そうだけどさ」
広野くんは軽く言ったけど、目は笑ってなかった。
そんな目で見られたら、私も本音を言うしかない。私はスク水を指でずらし、すっかり濡れたトコを広野くんに見せておねだりしていた。
「……ねぇ、広野くん……私、して欲しいな…。…お願い………入れて…」
すいません、続きは近い内に投下します。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
「おはようございます」
「おはよう、ユラちゃん。 ユラちゃん今日は随分ご機嫌だね?」
「あ、分かりますか?」
ユラちゃんはにっこり微笑んで応えてくれた。 そりゃ付き合ってる大好きなコだもの。
ましてやここ数日はドコと無く元気なかったし。
「実はね……」
ユラちゃんがそっと目配せしたので視線の先を追ってみるとそこには咲き誇る大輪の花のような満面の笑顔を湛えたキラちゃんがいた。
成る程、二人は仲良し双子姉妹だからな。 良くも悪くもお互い強く影響しあっている。
だから片方が落ち込んでるともう片方も落ち込んでるし。 実際ここ数日はキラちゃんが不機嫌だったせいでユラちゃんも気遣って表情を曇らせ気味だった。
今回は丁度逆に当たるわけだ。
「キラちゃんに何か良い事あったの? って、あ……」
「そ、今日久しぶりにキラちゃん彼と一緒のランチタイムでしょ」
そう、新年度に入ってからキラちゃんは付き合ってるアイツとは別のクラスになっちゃった、けど今日は久しぶりに。
「良かったね」
「ハイ」
そう答えて微笑むユラちゃんの笑顔にボクの心のうちまで幸せに満たされてくる。
今日はキラちゃんがご機嫌なお陰でボクも肩の荷が下りたように過ごしやすかった。
いやもうキラちゃんが不機嫌な時のそのオーラの放つプレッシャーと言ったら。
一時よりはマシになったとは言えやっぱりかなりの重圧を感じさせる。
それに何よりもユラちゃんだ。
キラちゃんが不機嫌だとやっぱり遠慮してしまい表情が重くなる。
でも今日はそう言った憂いが全く無い。 こんなに気持のいい日はどれくらいぶりかな。
「そう言えば今日のお弁当は……」
「ハイ、私とキラちゃんで作りました」
其の返事に思わず僕の顔はほころぶ。 今から早速昼休みが楽しみになってきた。
時間は流れ昼――正午、昼食時を告げるチャイムが鳴る。
席を立ちユラちゃんの元へ向かうとユラちゃんも同じくボクの元へきてくれた。
手には二つのお弁当箱を持って。
早速机を繋げて――。 そう伝えしようとするとそれを遮る様にユラちゃんが口を開いた。
「ねぇ、今日は屋上で食べない?」
「良いねぇ。 天気も良いしそうしようか」
「うん。 それもあるんだけど……」
そう言ってユラちゃんはキラちゃんの方へ目配せした。
あ、成る程。 今日はキラちゃんが久しぶりにアイツとの昼食。 二人っきりにさせてあげようと言う心遣いか。
「OK。 じゃぁ屋上に行こうか」
そしてそれはボクにとっても望むところ。 ユラちゃんと二人っきりでのお昼!
晴れ渡る天気もまるでボクらを祝福してくれるかのようにすら感じる。
そしてボクらは教室を後にする。 出るときキラちゃんは笑顔で見送ってくれ、ユラちゃんもそれに笑顔で応える。
やっぱイイな、こういう姉妹の仲睦まじい様子ってのは見てて和む。
そして屋上でのランチタイム。 天気は快晴。 大好きなユラちゃんと二人っきり。
しかも其のお弁当もユラちゃんの手作りと来たものだ。 幸せすぎて怖いくらいだ。
楽しい昼食も終りボクらは屋上を後にし教室へ向かう。
幸せの余韻を噛締めながら二人廊下を歩く。
きっとキラちゃん達も楽しい昼食時間を過ごせたんだろうな。
そう思って教室の扉を開けると……、え?
ちょ、チョット待て。 何だこの空気は?!
予想外の空気の重さに思わず面食らう。 重苦しい空気の発信源は、キラちゃんだった。
どういう事だ? だってキラちゃん今日は久しぶりにアイツとの楽しいランチタイムだろ?
朝からそれでご機嫌だったじゃないか。
教室を出る時だってボクらを笑顔で見送ってくれたじゃないか。 それが何で……。
隣のユラちゃんに視線を送れば彼女も困惑の色を隠せないでいた。
そうこうしてる間にチャイムが鳴り授業が始まる。
授業が始まってからもボクとユラちゃんはキラちゃんの事が気になって仕方なかった。
そして授業が終わると早速キラちゃんに事情を……聞ける雰囲気じゃなかった。
だがキラちゃんもボクは兎も角、大切な妹であるユラちゃんには心配を掛けたくないからか、微笑んで見せた。
だが其の笑顔はどこか強がりのような痛々しさを感じさせるものだった。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
今日の昼食をキラは心待ちにしていた。 久しぶりの恋人と過ごす楽しい一時。
そうなるはずだった。 なると思って胸膨らませていた。
だが実際には思い描いていたのとは程遠いものだった。
現れた双司は一人きりではなかった。 ここ数日いつも双司の側に寄り添うように一緒にいた転校生の双子。
薫子と菫子も一緒に現れたのだった。
そして二人がキラに接してくる態度が非常に友好的だったのがまた、ある意味逆にやるせなかった。
いっそ挑発的だったり挑戦的だったのなら受けて立てれたものの、そう言う態度で来られては逆にやりずらい。
感情のままに行動できたらいっそ楽だったのかもしれない。
しかし双司に迷惑を掛けたくないという思い。 キラの培われてきた社交的な性格。
それらがそうする事を許さなかった。 結果表面上は終始穏やかな態度で接して見せた
だから傍から見れば和やかな食事風景だったのだろう。
しかし食事が終り三人が帰っていくと込上げてきた気持は閉じ込めてた分何倍も苦しいものとなって跳ね返ってきた。
何でこんなにも苦しいのか――その理由はキラは解かっている。
一条薫子と一条菫子――。
双司と同じ幼い時間を、想い出を共有した幼馴染の仲。
キラが自分と双司との間に持ち得ない、関係性、繋がり、絆――。
自分がどう足掻いても手に入れることが叶わないものを持っている。
其の事が、あまりにも羨ましく、いや――妬ましかったから。
そして、そんな気持になる自分が嫌だったのだ。
「今日のお昼とっても楽しかったね」
「うん。 私達の知らない双司クンの話も訊けて」
昼食も終り双司と共に教室に戻ってきた薫子と菫子はお昼を取りながら交わした談議を振り返り話に花を咲かせてる。
そして其の様子を見つめながら双司は胸をなでおろしていた。
今日は久しぶりのキラとの昼食。 今年になってクラスが別々になってしまった為去年のように昼を共にする機会は減っていた。
更に言えば仲良しだった幼馴染との再会に時間を廻していた為というのもあるのだが。
そして今日久しぶりにお昼を一緒にしたわけだが、だがその場に再会した幼馴染――薫子と菫子もついてくるとい言い出したのだ。
昼食が始まるまで三人を一同に引き合わせる事に双司は不安な気持を抱えていた。
だが始まってしまえば双司も含めて四人で楽しい食事時を過ごせた。
「でもびっくりだったね。 双司クンの友達ってどんな人かと思ってたらあんな綺麗なコだったなんて」
「ホント、髪も物凄く綺麗でサラサラで物腰も上品でお嬢様、って感じで」
薫子と菫子を見つめ胸をなでおろしながら双司は思う。 ――考えすぎだったな、と。
社交的で人当たりの良いキラ。 元気で明るく誰とでも仲良しだった幼馴染の薫子と菫子。
そんな三人を引き合わせることに何を心配してたのだろう、と。
「ところで双司クン。 双司クンとキラちゃんの間柄って単なる友達ってだけなの?」
「もしかしてさ〜、カノジョなんじゃないの?」
「……え?!」
悪戯っぽい視線と口調で話し掛けてきた薫子と菫子に双司は返答に詰まる。
「あ〜、返事が無いってことは」
「やっぱりそうなんだ〜」
言われて双司はますます押し黙ってしまう。
「でも考えてみれば双司クンもお年頃だもんね」
「それにちっちゃかった頃よりうんとカッコ良くなってて」
薫子と菫子の言葉を訊きながら双司は俯いたまま尚も押し黙ってる。
「でもキラちゃん、可愛い上にお嬢様だったのはちょっとビックリだったかな」
「そうだね。 でもおかげでそんなキラちゃんとお友達にもなれてよかったよね」
俯いてた双司は其の言葉に思わず顔を上げる。 そして二人の顔を見ながら安堵したのだった。
その日の夜。
「ねぇ菫子ちゃん。 コレで引き下がるつもり無いよね?」
「勿論よ薫子ちゃん。 折角ダーリンと再会できたんだモノ」
薫子と菫子が自分たちの部屋で話してるのは昼間のこと。
あの場では二人共双司とキラの間柄を笑顔で認めていたが、だが実際の心のうちは違っていた。
幼い頃、いつも三人一緒で遊んでいた薫子と菫子にとって双司に寄せてた思いは単なる幼馴染以上のもの。
だから双司に彼女がいることに内心は穏やかではなく、そして諦めてもいなかったのだった。
「だからって焦りは禁物だよ?」
「わかってる。 だってダーリン困らせたくないしね」
To be continued.....
DoCoMoのCMのエロパロが見たい
二組の関係が萌える
156 :
名無しさん@ピンキー:2007/12/26(水) 14:43:17 ID:92F/qJA6
緊急保守
157 :
名無しさん@ピンキー:2007/12/26(水) 22:55:11 ID:M+useQKk BE:439680184-2BP(1000)
hssh
158 :
名無しさん@ピンキー:2008/01/03(木) 15:38:42 ID:AsxlmFzs
>>140 まさか涼子のSSがあって読めるとは思ってもみなかったんで最高!
涼子はエロなSSも同人も絵も少ないからありがたいよ。
構成もうまくてドキドキしたし続きが読みたいっす。
…つか、実在禁止ってわかってるなら訂正文書き込んどけば済むんじゃ…
>1しか見ない人がでるかもしれないけど。
ほしゅ
161 :
井上涼子作者:2008/02/01(金) 21:55:57 ID:2exWLLAE
>>158 今更ながらレスありがとうございます。涼子は個人的に凄く思い入れのあるキャラなので、同志がいるのは嬉しい限り。
じっくり、ねちっこく涼子を弄り倒したい思いもあったので、続きに手を付ける事にします。しばしお待ちを。
>161
うっうー 楽しみにしてますぅ。
同じく楽しみにしとりますノシ
ところで、以前別なスレで書いたSSのリメイク版を
こちらに書き込んでもOKでせうか?
ここって保管庫無い?名作ばっかなのに惜しーよ。
前スレにあたる「スレがない作品のSSを書くスレ」の保管庫なら総合保管庫にあったから、
依頼してみるのもいいかもしれない。
はたしてここの住人に、KURAUを知っている人が何人いるだろうか。
168 :
名無しさん@ピンキー:2008/02/13(水) 08:26:29 ID:FGYZWhlQ
そろそろ、星あげ
169 :
名無しさん@ピンキー:2008/02/16(土) 06:16:04 ID:xgk+Be7e
170 :
名無しさん@ピンキー:2008/02/25(月) 08:20:54 ID:eEc+Jwzh
☆
ほしゅついでに。
近いうちに総合保管庫にここのSSの保管を
お願いしてみようと思うんだけど住人の皆さん、OKでしょうか?
172 :
名無しさん@ピンキー:2008/03/04(火) 09:39:14 ID:CUSXDzlx
俺はOK
オッケーノシ
つかここの住人て何人くらいなんだ?
だあれも いないと 思っていても
どこかで どこかで xxxxxが……
175 :
名無しさん@ピンキー:2008/03/04(火) 18:18:11 ID:S+Addjo8
ほす
177 :
名無しさん@ピンキー:2008/03/12(水) 16:34:45 ID:i6f/4reU
すごい事に気づいた。
ここってスレがないやつなら、全部OKなんだよな。
そうともよ!
だから職人さんよ、ジャンジャンバリバリ投下してくれ!
マジかよ!要するに本スレではシチュエーション的に微妙なものも、ここなら有りなんだな
おう、有りだとも。今の仕事が終わったら
エロパロ総合保管庫にここのSSの保管を申請するつもり。
だからいっちょヨロシク
☆
板にないやつなら、全部OKということに気づいた俺
おかげで妄想が止まらん。
182 :
名無しさん@ピンキー:2008/03/21(金) 16:53:03 ID:c/5bAds7
ほしゅ
保守
184 :
名無しさん@ピンキー:2008/04/01(火) 15:55:15 ID:mVqY5TIP
ho
ここと「スレから追い出されたSS」スレって内容的にどう違うん?
ぶっちゃけ一緒?
少し違うんじゃないかな。
そのスレで連載しているうちに内容がスレの趣旨から外れてしまったものはこちらだろうし。
スレに粘着が棲み着いてしまった場合、こちらに避難するというのも有りだろうし。
>>185 こっちは、スレがないのが基本。
追い出されたのもおkだろうが。
保管庫マダー?
189 :
名無しさん@ピンキー:2008/04/25(金) 11:18:15 ID:CT7OML2j
ほ
ほし
191 :
名無しさん@ピンキー:2008/05/08(木) 12:42:23 ID:o/mxz+JB
保守
先生っ、バキのエロパロはどこに行けばありますかっ!?
193 :
名無しさん@ピンキー:2008/05/21(水) 00:21:59 ID:cvIre8Uq
ほし
本当は百合スレ系なんだろうけども、男性器が入ってるので微妙という事でこちらに投下します。
【エロ内容】 本番なし、制服プレイ、ぶっかけ、着衣オンリー、おもらし、百合、姉妹
【ストーリー内容】撮影もの
【ターゲット属性】エロ内容が好きな人であれば誰でも
では、どうぞ。
「は〜、このキャミワンピとベストが欲しいんだけどなぁ…」
教室の一角で、私は手に取るファッション雑誌を見つつ溜息をつく。
「由香里、どしたの?」
そんな私の傍に寄ってきたのは親友の美帆だった。
「この雑誌の今月号の特集、見てよー。前から欲しかったものが一面に載ってて…」
私は彼女にそのページを見せ付ける。
「あー、由香里はこういう感じの服が好きだもんねー。お姉さんの影響かな?」
美帆はそこまで言って少しからかう様な笑みを浮かべる。
「お姉さんはスタイル抜群なのにねー。由香里はどっちかというとお子様タイプだからね」
「う…、人が気にしている事を」
私のお姉ちゃんは雑誌にも掲載されている程のグラビアアイドル。
巷で話題になっている超巨乳とかではないけれども、本当にバランスの取れたスタイルで、妹の私も
ちょっとどきっとしてしまう位である。
で、肝心の私はというと、胸は小さいし、お尻も普通だし、下手すると中学生に間違えられるんじゃないかと
思えるほどの体型でちょっとしたコンプレックスになっていたりするのだ。
「2人とも顔立ちはそっくりだし、可愛いのにねー。スタイルが違うだけで片やアイドル、片や幼児体型…」
「美帆、怒るよ?」
「ちょっとした冗談よ。でも、こういう服を着たらもうちょっと大人っぽく見えるんじゃないの?」
美帆の言葉に私は一瞬だけ目を輝かせ、しかしすぐに顔を落とす。
「そうなんだけど…この値段見てよ」
そう言って私は服の紹介文に記載されている値段に指を当て、彼女に見せる。
「どれどれ…ってうわ、あたしのお小遣い半年分位の値段じゃない」
「でしょー?ああ、こういう服には一生縁遠いのかしら?」
美帆の言葉に私はますます溜息をつく。
「…じゃあ由香里のお姉さんにお願いしたら?」
「前言ったら『仕事手伝ってくれるならいいわよ』って言ってた」
私の不満げな言葉に信じられない、といった表情を見せる彼女。
「じゃあ仕事手伝えばいいじゃない?」
「以前一回だけ手伝ったんだけど、朝早くから夜遅くまで撮影会の裏方やらされて、しかもバイト代は
ちょっとしか出なかったのよ…。だから今回も断ろうと思ってるの」
「でも、ひょっとしたらいい仕事かもしれないじゃん。内容だけ聞いて、それから考えたら?」
多分ロクでもない仕事だろうと思いながらも、もう一回だけ、と納得しながら彼女の言葉に耳を傾けるのであった。
196 :
大人のバイトA:2008/05/31(土) 04:15:22 ID:Opu8Ln00
その夜。
「おねーちゃん、この前の仕事の話だけど…」
私はお姉ちゃんの部屋をノックし、その話を持ち出しながらベッドに腰掛ける。
「あら、手伝ってくれるの?」
少し嬉しそうな表情を浮かべながらお姉ちゃんは私の隣に座る。
「内容にもよるわよ。前みたいに朝から晩まで動かされた挙句バイト代1万じゃ割りに合わないわよ」
「あはは…あの時は私もまだ駆け出しだったから。でも今回は違うわよ?」
そう言ってお姉ちゃんは自分の机の上にある電卓を持ち、おもむろに計算をし始める。
「…そうね、だいたいこれ位は支給出来るわね」
私は電卓の数字を見て目を大きくさせた。
「嘘、こんなにくれるの?」
お姉ちゃんの提示した金額は欲しい服を買っても余裕でお釣りが来るものであった。
「もちろん!仕事内容はちょっとした撮影だけど、拘束時間も半日だし楽な仕事よ?」
その言葉で私の気持ちは決まったも同然だった。
「こんにちは〜」
当日、待ち合わせ場所にて私を出迎えてくれたのはお姉ちゃんと多分主催者の人だろう、どちらかというと
格好良い系のおじさん、って感じの人だった。
「由香里ちゃんっていうんだ、なかなか可愛い子だねぇ。由香菜ちゃんとはまた違う魅力を感じるね」
「でしょ?監督、今日は宜しくお願いしますね。ほら由香里も挨拶して」
お姉ちゃんに促されるまま、私も同じ様に挨拶をする。
「あ、宜しくお願いします。お姉ちゃんの足を引っ張らないように頑張ります」
そして2人に連れられて撮影場所である事務所に足を進める。
197 :
大人のバイトB:2008/05/31(土) 04:15:52 ID:Opu8Ln00
「この制服、可愛いですね」
「由香里ちゃんはセーラー服とかは初めてかい?」
監督さんの言葉に私は少し恥ずかしげに返事をする。
「あ、はい…。私の通ってる高校はブレザーなので」
私の着ている衣装はどこかの有名高校のセーラー服だそうだ。
といっても今どきの著名なデザイナーが作ったとかではなく、紺の三本縁襟に白の生地の半袖のセーラーに
赤のリボンに紺のプリーツスカートのシンプルな作りだったが、初めてのセーラー服に何かどきどきしてしまう。
「こっちも準備出来たわよ」
お姉ちゃんの声に振り向くと、お姉ちゃんも同様に制服に着替えていた。
ただ、私の着ているセーラーではなくブレザー型の制服。
紺を基調としたブレザーとチェックの入ったスカート、そして赤のネクタイが印象的だ。
「お姉ちゃん、綺麗…」
「うふふ、まだまだ現役行けるわよ」
ちょっと見とれてしまった私に悪戯っぽい笑顔を見せるお姉ちゃん。
「じゃあそろそろ始めようか」
監督さんの声掛けで撮影が始まっていく。
最初は立ったままで、そしていろんなポーズを取っていき。
ソファに腰掛けて姉と一緒に撮影したりする。
「いいね、もうちょっと傍に寄り添ってみようか」
監督さんの指示通りに身体を動かす私。
(何か、どきどきしちゃう)
お姉ちゃんの体温を直に感じ取ってるからだろうか、ちょっと変な気持ちが湧き起こってしまう。
「ほら、もっとぎゅっとしていいのよ?」
そんな私の気持ちを知ってか知らずか、お姉ちゃんはさらに私に密着してくる。
カメラの音がぱしゃぱしゃ響き、『記念の為』とお姉ちゃんがリクエストしてたビデオカメラの回る音も
私の耳の中に入っていく。
しばらく時間が過ぎて、満足した表情で監督さんが私達に声を掛ける。
「さて、だいぶ撮り終えたから…ちょっと休憩して、それからもうちょっと撮ろうか」
監督さんはそう言うと、てきぱきと機材を直して控え室の方に戻っていった。
「はい、喉渇いたでしょ?」
ふぅ、と溜息を付く私の目の前にジュースの入った紙コップが飛び込んでくる。
「ありがとう、お姉ちゃん」
私はそれを受け取り、こくりとひと口飲み、そのまま一気に飲み干す。
「あとワンシーンだけ撮るから、それで終わり。ただ…」
「ただ?」
お姉ちゃんの最後の言葉が気になって私は鸚鵡返しに答える。
「ちょっと吃驚するかもしれないけど、私の傍に居たら大丈夫だから」
「?」
その言葉の意味が理解出来なくて、私は首を傾げる。
「由香菜ちゃん、由香里ちゃん。最後の撮影に入るよ」
さらに意味を問いただそうとした時、監督さんが私達に声を掛けてきた。
それと同時に回りに何故か下着姿の男性が何十人も後ろに立っている。
「監督、さん…?」
撮影にしては、あまりにも珍妙な格好の男性陣だし、一体どういう事なのか理解がまだ出来ていない。
「えっとねー、次撮るのは、ちょっと…大人向けの撮影なんだ」
「!?」
思わず立ち上がりそうになる私をお姉ちゃんが優しく宥める。
「大丈夫、本番行為とかは無いから。ただ、制服は汚れちゃうけどね」
「それって一体…きゃっ!?」
私の疑問の声は目の前に出てきたもので遮られてしまう。
そう、私とお姉ちゃんを取り囲む様にして周りの男性が下着の中からシンボル…その、おちん―を取り出したのだ。
そしてそれを一心不乱に扱き始めている。
「お、お姉ちゃん、これって…」
「怖がらなくていいの…。私の傍に居れば大丈夫」
私は驚きと不安が混じった表情を浮かべ、思わずお姉ちゃんを抱きしめてしまう。
「いい子ね…こっち向いて」
その言葉に従うまま、お姉ちゃんの顔を見つめた瞬間だった。
「んっ…!」
何とお姉ちゃんは私にキスをしてきたのだ。
(ダメだよ…私達、姉妹なのに…)
ますます混乱する頭、そして温かい唇がさらに思考を掻き乱す。
「んっ、んんっ…」
唇を優しく啄ばまれ、舌でなぞられ、柔らかく抱きしめられながら何度もキスをする。
(ダメ、ダメ…拒絶しなきゃ)
しかし頭でそう思っていても身体が全く反応しない。
むしろその行為を受け入れたい気持ちがむくむくと湧いてくる。
「んふっ…」
すりすりと身体同士を擦り合わせてくる姉の行為に私の理性も徐々に失われていく。
「…ぷぁっ」
唇同士が離れた時は、もはや私には抵抗する力が残されていなかった。
まるで熱を帯びたかの様に私の顔は火照って、頭の中は掻き乱れていた。
「由香里、触ってみなさい」
お姉ちゃんは、私の隣で扱いている大きな男性器を指し、私に触らせようとしていた。
その言葉にまるで夢遊病の如く手を伸ばす。
(熱い…そして大きい)
初めて見る父親以外の男性器。
しかも手に収まりきらない程に大きく伸びている。
「前後に動かしてみなさい…」
さらにお姉ちゃんの言葉に従うがまま、それをゆっくり動かす。
先っぽから透明な液が出てて、くちゃくちゃといやらしい音を立てている。
そんな音を聞いてると、私のスカートの中も熱く感じてしまう。
「出そうになったら手を上げて下さいね」
お姉ちゃんの言葉にその男性は無言で頷く。
くちゅくちゅと淫らな音を立てて透明な液がぽたり、と滴り落ち、私のスカートの上にその液体が広がる。
(ああ、可愛い制服なのに…)
ちょっとショックを感じながらも、こんな清楚なセーラー服が汚れるという事に不思議な感覚が生まれていく。
199 :
大人のバイトD:2008/05/31(土) 04:16:56 ID:Opu8Ln00
しばらく扱いていたのだが、不意にその男性が手を上げた。
「もう出そうなのね、じゃあ由香里のセーラー服に思いっきり掛けてあげて」
「え…」
お姉ちゃんの言葉に私が声を上げようとした瞬間、その男性は男性器を私の制服のリボン辺りに擦り付け、そして。
びゅくっ!
先端から白い液体が一気に噴き出し、私の着ていたセーラー服の赤いリボンが白く汚れる。
びゅるっ、びゅっ!
まだ止まらない白濁液がリボンだけでなく、胸の紺襟を汚し、白い生地に染みを作る。
「あ、あああ…」
その光景に私は先程以上のショックと、そして同様の下半身の疼きを感じていた。
どろどろの液体がセーラー服を汚していく。
私の思考が元に戻る前にさらにショッキングな光景が広がった。
別の男性のおちん―が今度はスカートに向かっていたのだ。
そして…。
びゅっ!びゅっ!
同じ位の量の白濁した液が穿いているスカートに降り注ぐ。
紺色のプリーツスカートに広がる白い染み。
つい10分程前はあんなに可愛らしいセーラー服だったのに。
今は白く汚され、元の面影は無くなりつつある。
でも、そんな状況が私の身体に変化を与える。
下半身が痺れて、まるで感覚が失われた状態になっていったのだ。
「んっ…」
身体もぴくり、と反応してしまう。
「由香里…もう一回、キス、しちゃおうか」
お姉ちゃんの言葉に私はもう抵抗しなかった。
お互いの唇がもう一度重なり合う。
そして今度は舌同士を絡めあって、唾液を溢れさせるキスを交わす。
その間にもいろんな男性のものが私達に向かい、白い液体を制服に、そして私達にもどんどん掛けていく。
白く染まる私達の制服、そして髪の毛や顔。
そんな状況に私の下半身は限界を迎えていた。
200 :
大人のバイトE:2008/05/31(土) 04:17:23 ID:Opu8Ln00
「お、お姉ちゃん…」
「どうしたの?」
「腰から下が変な感じで…何か出ちゃいそう」
私の言葉にお姉ちゃんはすごく嬉しそうな笑顔でこちらを見つめる。
「出ちゃいそうなのね?良いわよ、我慢しなくても」
そこまで言うと、どろどろに汚れた私の身体をきゅっと抱きしめたのだ。
「あ…ダメっ」
私はスカートの上から手を押さえて、必死に堪えようとしたのだが。
ぷしゃああああ…
我慢していたものが一気に溢れ出し、抑えてた部分からその液体がスカートの中心を濃い紺色に染めていく。
身体をがくがく震えさせ、止まらないおしっこをそれでも何とか抑えようとするが、それもお姉ちゃんの抱擁で
いつしかその状況に身を委ねてしまう。
もうスカートはおしっこでびしょびしょに濡れ、お姉ちゃんのスカートにも染み込んでいた。
「お姉ちゃん、ごめんなさい…」
16歳にもなって、おもらししちゃうなんて…。
恥ずかしさと申し訳なさで目に涙を浮かべる私。
でもお姉ちゃんはそっとその涙を指で拭い取ってくれたの。
「いいの、由香里のなら汚くない…私も、出しちゃおうかな」
そう言うとお姉ちゃんも軽く身体を震えさせた。
ちょろちょろという音と共に、お姉ちゃんのスカートも一気に汚れていく。
「抱いて…強く抱きしめて欲しいの」
「お姉ちゃん…!」
私もお姉ちゃんの失禁したもので汚れる事も構わずその身体を強く抱きしめる。
そしてさらに周りの男性は白い液体を私達に掛けていったの。
「由香里ちゃん、お尻上げて…そう」
監督さんに言われるがままに四つん這いになる私。
びゅっ!
おしっこで滴り落ちる濡れたスカートに白い液…精液が掛けられ、その部分が白く染まる。
そしてへたり込む私に左右から同時に精液をぶっかけられ、セーラー服がどろどろになっていく。
お姉ちゃんも仰向けになった状態で、全身に精液を掛けられていく。
201 :
大人のバイトF:2008/05/31(土) 04:17:59 ID:Opu8Ln00
栗の花の匂いに包まれて、私の身体はもう変になっていた。
直接大事な部分を触られていないのに駆け上がってしまう感覚。
「じゃあ最後にお互い抱きしめ合いながら壊れちゃおうか」
私もお姉ちゃんも精液塗れの制服に身を纏いながらその上から抱きしめ合う。
「お姉ちゃん…」
「由香里…」
その状態でキスを交わしながら、また精液が私達に降り注ぐ。
「あんっ、ダメっ!変になっちゃう、何もしてないのに…」
「いっちゃいそう?」
お姉ちゃんの言葉に私は大きくこくこく頷く。
「じゃあ…いっちゃいなさい、おしっこも漏らしていいのよ」
「うん、出すよ、出る、ああ、ダメ、だ、めぇぇぇぇ!!」
ちゃんとした言葉が出せないほど気持ちよかったのか、ぎゅっとお姉ちゃんを抱きしめて私は絶頂に達した。
びくんっ、と身体を震わせ、残ってたおしっこを放つ。
多分おしっこだけじゃなくてエッチな液体も噴き出してたんじゃないかと思う。
さらに濡れた状態が分かるスカートの上に精液が掛かり、おしっこと精液のブレンドされたものがスカートに残る。
そして私はお姉ちゃんにもたれる様な形で、その意識を手放したのだった。
それ以来私は制服を着て汚す行為に快感を覚える様になった。
貰ったバイト代は結局雑誌に載っていた服を買わず、同じ様なセーラー服を購入していたのだ。
そして、私はそれを着てお姉ちゃんの部屋の前に立っている。
もちろん下着は一切付けていない、まさに制服だけの格好。
私の太ももはすでにエッチな液体が流れ、床にぽたり、と落ちている状態。
スカートの前も少し染みになってる。
その場に崩れ落ちそうな気分になるのをぐっと堪え、ドアをノックする。
「お姉ちゃん…」
これから起こる事を想像するだけでいっちゃいそう…。
「ああん、お姉ちゃん、気持ちいい!また出ちゃうよぉ!」
「由香里っ…いいの、いっぱい汚していいのよ…!」
お互いの大事な部分をスカートの上から擦り合わせながら私はまた絶頂に達してしまう。
もう着ているセーラー服はおしっこと蜜でぐちょぐちょに汚れ、お姉ちゃんの着ている制服も同じ状況。
それでもまだ足りなくて、さらに身体同士を求め合うの。
「いくっ、いっちゃうっ!」
これで何度目の絶頂なんだろう。
スカートの上から染み出た蜜が床に滴り落ちる位汚しまくっている。
それほど全身を凄惨な状態にさせながらも、私達の宴はまだ終わる事は無かったのだ…。
以上です。
取りあえず姉=川澄綾子、由香里=釘宮理恵で変換すれば尚良しw
監督は…若本規夫でいっとく?
203 :
名無しさん@ピンキー:2008/06/03(火) 17:34:39 ID:PCyTB1UL
お姉さん確信犯だなwそして監督若本吹いたw
読んでみたがこれはいいライト(フェチ)エロ。
まるで16pの汁だくだくエロ漫画を見てる感じだなw
勢いで書いてみたけど、特殊すぎて落とすスレが無いので・・・
ちょっと長いですが、エロパートだけ切り出せないので、
お暇なときにどうぞ。
【エロ内容】犬−犬(本番あり)
【ストーリー内容】わんことわんこのちょっと切ない純愛
【ターゲット属性】犬 (人間が読んでも楽しめると思います)
タイトル:「GR たんぽぽの犬籍簿」
濃いガソリンと、車体がガタゴトと揺れるたびに掻き立てられる埃に残った、
以前に積まれた荷物たちの匂い。
わたしはケージ(※動物用の檻)に「佐伯さん」が添えてくれた、
小さな黄色い花の香りを嗅いで気を紛らわす。
わたしも今は積み荷のひとつで、小型のトラックの荷台の中、
期待と不安と、そして出会いに満ちた世界への到着を待っていた――。
コンクリートや鉄の獣舎とは違う、慣れ親しんだお家(うち)と同じ、
木や革、木綿の布製の家具に染み付いた動物たちの匂い。
都心から少し外れた高級住宅街の中にある洒落た洋風デザインのその店に着いて、
ケージから出されたわたしは、大きく息を吸ってひと安心する。
次の瞬間、
『ようこそ!』
と大きな声がした。
その吠え声は、ケージを開けてくれた人間の女性の耳には、
「ワンッ」としか聞こえなかっただろうけど。
『ようこそ、動物専門店、鳳奇堂(おうきどう)へ。
ぼくの名前は、ロッコ。この店の看板犬。またの名を営業部長。
マスターや常連さんはロンって呼んでる。
血統書の登録名は、ACE LIGHTNING of SUNNYHEART JP──』
『ちょっと待って。いったい、いくつ名前があるの?』
はっきりと発声されたのは、最初の一声のみ。それ以降は、目や耳の動き、
息遣い、尻尾の動き、歩様、そういったボディランゲージだけで多くの言葉を交わす、
わたしたち、犬の会話。
早口で少しお調子者といった声色(動き色?)の彼は、わたしと同じ、
美しく磨かれたような長い金色の毛並み、垂れた耳とふさふさの尾、
そして優しいブラウンの瞳で笑顔を振りまく──ゴールデンレトリバーのオスだった。
ゆったりしたチェーンの首輪にぶら下げられた、おそらく彼のチャームポイントの、
赤や青や金の刺繍糸で彩られた小さな袋は、少しくすんだ色をしていて、
わたしの首に嵌められた赤い牛革の首輪と同じように年季を感じさせるものだった。
彼は口数とは裏腹にゆったりとした落ち着いた動きで、常連のお客をもてなすように、
相手に恐れを抱かせぬ態度でわたしに近付く。
弧を描く動きは、敵意のないことを示す犬の習わしだ。
わたしもそれに倣って、彼と点対称に動く。
お互いのお尻の近くに鼻を寄せるように近付きながら、くるくると何度か回り、
ようやく毛皮と毛皮が擦れ合った。
ずっと人間である「佐伯さん」と一緒に暮らしていたから、
犬同士で触れ合うのは本当に久し振り(昔、兄弟とじゃれ合っていた頃以来)なんだけど、
彼のおかげで自然と犬らしい挨拶ができた。
そのことに感謝をしながら、
頭の向きを揃えてわたしの横にそっと並んだロッコの顔を見上げて、
わたしはドキッとした。
生まれて一歳と五ヶ月のわたしに対して、倍に近い体格のオトナの犬。
その彼の瞳に吸い込まれるように、わたしは心を奪われる。
人間の目には少し野暮ったい印象を持たれるかもしれない、
レトリバーとしても大柄な彼。
でも、犬同士が惹かれあう要素は見てくれとはまるで関係がない。
尻尾の付け根から香る、個犬個犬で違う匂いであったり、
ほんのちょっとした仕草であったり?
動物の世界にも、「一目惚れ」ってのはある。
いえ、どちらかと言えば動物の方がその専門と言っていいかもしれない。
突然の出会い。それは雷光のように、眩しく、激しく、わたしの胸を貫く。
わたしは、犬が親愛の情を示す作法に倣い、そっと、ロッコの頬に口付けをしていた──。
『わたしは、FL DANDELION of NORTHERNSNOW JP──
佐伯さん……えっと、ブリーダー(※繁殖家)さんのところでは、
「たんぽぽ」って呼ばれてた。
ここでもそう呼んでもらえたら嬉しいのだけど──』
このまわりくどい自己紹介は、血統書を持った純血種の犬独特のもの。
わたしたちのような犬には通常、二つの名前がある。
一つは、血統書に書かれる登録名。
もう一つの名前は、親しい人間が付けてくれる「愛称」だ。
「たんぽぽ」や「ロッコ」というのがそれ。
登録名は堅苦しいものであったり、多くの繁殖を手懸けたブリーダーの場合は、
単に便宜的で意味のない名前を付けたりするので、
そのままでは呼びにくかったりする。
一般の飼い主さんは、家に犬を迎え入れたときに新しい名前を付けるものだ。
犬が登録名で呼ばれることはほとんどないため、自分の登録名を、
末尾まで完全に覚えている犬はきっと、わたしやロッコくらい。
そんなところでも、私は彼に親近感を覚える。
それはそうと、わたしは「商品」としてこの店にやってきたので、
愛称で呼ばれるのは、実際には、願うべくもないこと。
ペットショップでは、情が移らないようにするため、
売り物の犬には愛称は付けないのが慣例なのだ。
『彼女が君をどう呼ぶかはわからないけど──、よろしく、たんぽぽ』
尻尾を振るロッコの視線の先。
わたしは、自分をケージから出してくれた人間、
ポニーテールにジーンズ姿の小柄な女性に目を向ける。
ここ、鳳奇堂のオーナー大城戸氏の娘さんで、店主代理の「美衣子さん」だ。
彼女は少し遠巻きにしたままわたしたち二頭の犬を眺めて、にっこりと笑った。
「あら、さっそく仲がいいのね。
ロッコ、彼女にここのこと色々教えてあげてくれる?」
「ウォンッ」
ロッコが一声、鳴いて答える。
でも、彼は人間の言葉が分かっているわけではないだろう。
美衣子さんだって、犬に言葉が通じると思って喋っているわけではないし、
ロッコがわたしにお店のことを紹介できるなんて思ってないに違いない。
それでも、声をかけてくれる。
この人ともうまくやれそうだ、と、そのときのわたしは、
ロッコとはまた別のこの出会いにも心を躍らせた。
何故ならわたしは、
「心を開いて接してくれる人間の言葉をほぼ正確に理解する」
ことができるからだ。
──わたしはブリーダーさんの家で、六頭の兄弟のうちの一頭として生まれた。
ブリーダーの名は、「佐伯」さん。
物腰の柔らかい、慈愛に満ちた女性だけれど、少しだけ、人付き合いが苦手。
決して裕福ではない専業のブリーダー。
互いに仕事を優先した生き方を選んだ旦那さんは海外で暮らしていて、
佐伯さんはずっと犬を育てて一人で生計を立てている。
わたしは彼女の「下の名前」を知りたかったけど、
人から常に尊敬される立場だった彼女は、誰からも「佐伯さん」としか呼ばれず、
結局、わたしは一番好きだった人間のフルネームを知らず終いとなった。
白い色を連想させる佐伯さんの犬舎号(お店の屋号のようなもの)、
「NORTHERNSNOW」は、今はレトリバー専門の佐伯さんが、白い大型犬、
Gピレネーズの繁殖をしていた頃の名残だ。
母犬のお乳が止まり、人工哺乳で育てられた兄弟のうち、
わたしだけが体を壊し、それがその後のわたしの生き方を決めることになる。
幾度となく嘔吐物を詰まらせて生死の境をさまよった虚弱なわたしを、
佐伯さんは必死で看病し、その口で汚物を吸い出してくれたりもした。
そのときの情景がわたしの幼い頃の記憶のすべてで、
わたしは命の恩人である佐伯さんに傾倒し、心から慕うようになった。
いつでも彼女のそばに居て、彼女の一挙手一投足まで見逃さないようにしながら、
いつか恩に報いるときを夢見て暮らしていた。
そうしているうちに、
わたしは佐伯さんの言葉を正確に聞き取っている自分に気付いたのである。
そして、言葉が分かるがゆえにブリーダーの世界のことを知り、さらに、
悲しい事実も知らされることになる。
体が弱かったうえに、一人の人間に依存するようになってしまったわたしは、
「売ることのできない犬」になっていた。
兄弟たちがそれぞれの飼い主に出会い、巣立っていった後、一年近く、
わたしは佐伯さんの元に留まり、徒(いたずら)に体を成長させることになった。
子犬を新しい飼い主の元へ送り出す適齢は、生後五〜六ヶ月、
その時期を逃した犬は、ブリーダーにとっては厄介者となるのが普通である。
新しい子犬を飼い主の元に送り出したあとのことだった。
「たんぽぽとは、ずっとこのまま一緒かもね──」
その佐伯さんの沈んだ声の調子から、わたしが少なからず、
ブリーダーである彼女の経済的負担になっていることを知るのだった。
あるとき、NORTHERNSNOW犬舎に現れた一人の人間の男性が、私の運命を大きく変えた。
彼は、痩せ身の筋肉質、小柄でヒゲ面の少し怪しい風体をしていたが、
どこか不思議な魅力を動物たちに感じさせる、ある種の特別な人間だとわたしは直感した。
それが鳳奇堂のオーナー、大城戸氏だった。
応接室に大城戸氏を迎えた佐伯さんは、今までわたしにも見せたことのない表情で、
大声で笑いながら会話をする。
わたしは佐伯さんの座るソファのすぐそばに寝そべって、
二人の様子を目を円くしながら見守っていた。
二人は古い友人で、意気投合していたが、それだけではない。
大城戸氏は、(動物も含めた)他人の感情を真っ直ぐに引き出し、受け止め、
安心させる才能の持ち主だということが分かる。
心から笑い声をあげる佐伯さんを見て、
多くの犬がそうやって判断を飼い主に委ねるように、
わたしもこの人間が信頼するに足る者であると理解した。
しばらくして、佐伯さんの声のトーンが落ちた。
二人の表情ばかりを追いかけていたわたしは、その会話の内容にも意識を集中する。
わたしのことを話しているみたいだった。
「──この子は本当に滅多なことでは鳴かないから。自分の声が嫌いみたいね。
ゴールデンレトリバーは番犬に、って求められることもあるし、
鳴かないことがいいことばかりではないの──本当はレトリバーは、
あまり番犬には向かないんだけど──。
それと、この子はわたしとずっと過ごしてきたから人見知りが激しくて。
人の手には慣らしてあるけれど、可哀想なくらい緊張してしまうの。
レトリバーは陽気で社交的なのが人気の源でしょ?
結局、こうしてうちに残ることに……」
「人見知りする犬は感性が豊かで、人間をよく観察している。
パートナーや環境に恵まれればきっと幸せになれるだろう。
どうかな? たんぽぽ──」
大城戸氏は、ごく自然に、わたしに声をかけた。
わたしはいつの間にか、佐伯さんのそばから立ち上がっており、
大城戸氏の手招きに誘われるように、彼に寄り添っていた。
動物の心理をよく知った者の不安を抱かせぬ振る舞いに、
心を奪われていたこともある。
ただ、それよりも、あることを確かめたい気持ちが抑えられなくなっていた。
この人の言葉を、わたしは──。
「私の店においで、たんぽぽ。
そこで君と一緒に暮らしてくれる人を探そう」
わたしはこのとき初めて、自分の「人間の言葉を理解する」能力が、
佐伯さん以外にも働くことを知ったのだ。
『──おいで、たんぽぽ。お店を案内するよ』
あのとき聞いた大城戸氏と同じ調子の優しい声で、ロッコが誘う。
わたしは尻尾を振りながら、ロッコの後をついて歩いた。
犬にとって初めての場所は少し不安で、わたしはあちこちの家具に残った、
ロッコの匂いを探しては嗅いだり、毛皮を擦りつけたりしていく。
ロッコはそんなわたしを辛抱強く待ちながら、館内を説明してくれる。
広い洋館をベースにしたこのお店は、エントランスホールが吹き抜けになっていて、
広いその空間がグッズやフードの売り場になっている。
二階は美衣子さんと、たまにふらっと帰ってくるオーナー大城戸氏の寝室。
上がってはいけないことになっていて、わたしたちが過ごせるのは一階の部屋だけ。
エントランスホールが廊下代わりにもなっていて、
食堂、居間、応接室とそれぞれ直接に繋がっている。
食堂には小さな木のテーブルがぽつんと寂しく一つ。椅子が二つ。
この店では、人間用の家具は、それで充分なのだ。
併設されたキッチンは対照的ににぎやかで、広い流し台と大きな冷蔵庫が二つもある。
『ここで、ぼくたちのご飯も用意されるんだよ。
でも、つまみ食いは厳禁』
『うん、わかってる』
ロッコは、次の部屋にわたしを案内する。
『こっちがぼくの部屋……なんてね。ひとりで占有できるのは、夜だけなんだけど』
その部屋、居間はとにかく広く、大小六つものソファーがある。
壁際には動物の写真集や書籍の詰まった本棚、大きな壁掛けのテレビ。
ここは動物好きの常連さんが集まるサロンのようになっていて、
今は誰も居ないけれど、週末などはものすごく賑わうそうだ。
天井も高く、佐伯さんの家に慣れているわたしは少し頭がクラクラした。
『ちょっと広すぎて落ち着かないんじゃない?』
犬はどちらかというと、狭く、囲まれた空間が好きなのだ。
『大丈夫、ほら』
居間の端には、三方にしか金網のないサークル(※天井のないケージ)があり、
そこがロッコの寝床だった。
年季の入った赤いタオルシーツが敷いてある。
部屋の主を気取っているロッコの、本当の居住区はその狭い一角だった。
『次の部屋は、お店の一部として改装されてるんだけど……』
最後にロッコに連れられて入った元「応接室」を見て、
わたしは鼻の頭に少し皺を寄せる。
直射日光が入らないよう、カーテンが閉じ切られたその部屋は、
五段くらいの扇状の段差が作られていて、ケージや水槽が綺麗に配置されていた。
清潔にされていたが、犬の嗅覚には誤魔化しようのない、
尿酸の匂い──生きた動物たちのシグナルが鼻を刺す。
ここはペットショップなのだという実感。
自分も商品として売られるためにここに来たことを思い出す。
そして、大城戸氏に誘われたときから分かっていたことなのに、
軽い嫌悪感を覚える──。
佐伯さんはいつも言っていた。
ペットショップでは生きた動物の販売を行うべきではないということ。
諸外国では、どんな動物でも生体はブリーダーから譲ってもらうのが常識となっている。
飼い主が持たねばならない飼育に関する知識は膨大で、利益優先のショップでは、
販売後のアフターケアも十分ではない。
お金を出せば誰にでも売る構造は無責任な飼い主を大量に生み出す。
そして、営利主義の行き着く先にある、生命の軽視。
きらびやかなショールームの裏で、販売額と維持コストの兼ね合いにより、
売れ残った動物が処分されていくという──。
「こんなこと、あなたに話しても仕方ないけど」と、佐伯さんが静かに語るそばで、
わたしは疑問を口にした。
『──処分ってどういうこと?』
そのときだけ何故か、いつもとは逆で、佐伯さんにわたしの言葉が通じたみたいだった。
「──殺されるのよ」
彼女はそう、寂しそうに答えた──。
『どう? 鳳奇堂では珍しい動物ばかりを扱っているんだよ。
珍獣・奇獣っていうの?
若い個体があまり居ないのには理由があって──
あっ、今はね、哺乳類は居ないから、ぼくの話し相手はたんぽぽ、君だけだよ』
『えっ? うん……』
『どうしたの、たんぽぽ?』
『なんでもないよ……』
そう言いながら、わたしは心の奥で大きく落胆していた。
わたしはおそらく、明日からこの部屋で暮らすことになる。
ケージの中で、お客さんに「飼い主になって」と愛想を振り撒きながら。
美衣子さんはわたしのことを「たんぽぽ」とは呼んでくれないだろう。
そもそも、期待してはいけないことだったけれど、
売れるまでの間、わたしは名前のない「ゴールデンレトリバーのメス」になる。
ここでも売れ残ったら、という不安が胸を刺した──。
『お店番をするときは、こっちだよ』
エントランスホールに戻ったロッコは、戸口の脇のレジカウンターの正面、
商品棚を避けるように敷いてあるカーペットの上でわたしを呼ぶ。
大型犬が寝そべって、頭から伸ばした尻尾の先まで収まるくらいの広さがある、
そのカーペットに、二頭で横になった。
寄り添ったわたしの背中がロッコの腹にくっつくように。
こうして何かに背中が触れていると犬は安心できる。
わたしが不安を感じていることを察したロッコが気遣って、
そんな体勢なるようにわたしの体を引き寄せていた。
顔をあげて見ると、カウンターの向こうで、
美衣子さんが弾むような明るい声を発している。
誰かと電話をしているようだ。
美衣子さんの軽快な声と、背中に感じるロッコの優しい温もりに、
わたしはもう気分を落ち着けていた。
佐伯さんが自分の否定していたようなペットショップへわたしを送り込むはずがない。
さっき覚えた不安はきっとわたしの思い込みで、
大城戸氏が約束してくれたように、
美衣子さんも親身になってわたしの飼い主を探してくれるに違いない。
「うん、着いたよ……、うん……、すごく可愛い子……、
うん、リボンが似合うと思う、……、
お店の、いっこ使うね……うん、大丈夫……、
うん、ほんと。ひと声も鳴かないわよ……、賢い子なんだと思う……」
人間の言葉が分かるわたしにも、電話での会話はなかなか理解できない。
正面で向かい合って、細かな表情の変化まで見落とさないようにしながらで、
ようやく人間の言葉を聞き取れるわたしには、
感情表現の豊かな美衣子さんのお喋りであっても、
断片的な単語が次々と流れていくだけのようにしか聞こえなかった。
でも、自分が褒められているということはよく分かる。
『美衣子さんの声、相変わらず可愛いなあ……』
ロッコがぱたぱたと尻尾を振って、嬉しそうに言う。
もちろん、ロッコには彼女がどんな話をしているのか、
まるっきり分かってないんだろうけど。
彼女の声は、そう、子犬のキュンキュンという甘え声に少し似ていて、
わたしたち犬の仲間を魅了する響きがあった。
わたしも、その高く、可愛く響く声が少し羨ましくて、聞き惚れる。
しかし、次に耳に飛び込んできた言葉に、わたしは凍り付いた。
「……そう、明日にでも、処分しようと思うの……」
──処分──かつて聞いた恐ろしい言葉。
佐伯さんの言っていたことが思い出され、わたしの心を一瞬で暗く染めた。
この店に居る動物の誰かが、明日、殺される?
そんな言葉が、優しそうな美衣子さんの口から出るなんて──
「……うん……、だってもう三年でしょ。長すぎるわよ……、
うん……、そりゃあ思い出もいっぱいあるし、寂しいけどね……」
わたしはがばっと顔を起こし、ロッコを見る。
ロッコは、人間の言葉が分からない彼は、きょとんとして、わたしを見詰め返した。
『緊張しているの?
心配しなくていいよ。平日のこの時間はまだお客は来ないから』
違う、そうじゃない……。
わたしは今聞いたことをロッコに伝えるべきかどうか迷い、
そして、結局口をつぐんだ。
わたしに人間の言葉がわかるだなんて、とても信じてもらえそうにないし、
私の予想が当たっていたら、と思うと、恐ろしくてとても言えない。
あの言葉は──ロッコに向けられたものかもしれないのだ。
夕方になると、お客が姿を現し始め、
ロッコは常連さんに捕まってもみくちゃにされている。
わたしは気落ちしたまま、知らない人間たちとの距離も測りかね、
食堂のテーブルの下に逃げ込んでうずくまっていた。
きっと聞き間違い。
絶対に、聞き間違い。
今日知り合ったばかりだけど、
わたしの中ですでに大きな存在になっているあの素敵なロッコが、
明日になったら居なくなるなんて、そんなことがあるわけがない。
電話の声なんて、犬のわたしにはまともに聞こえるわけないんだから──。
美衣子さんが夕食を摂りに来て何かを話しかけてくれたが、
まったくその意味が理解できなかった。
きっと心を閉ざしてしまっているのはわたし。
言葉を聞こうとしていないから分からないだけ。
でも、昼間の電話の言葉が胸に引っかかっていて、
わたしは美衣子さんを信用できずにいた。
美衣子さんは、わたしが初めての場所で緊張しているのだと考えたのか、
近くに居ない方がいいと判断したのだろう。
食器を持ってお店の方に戻っていった。
閉店時間が来て、わたしはエントランスホールに残されていた、
ここに運び込まれたときのケージに戻される。
自由を奪おうというわけではない。
犬は囲まれた空間で寝る方が落ち着くし、何より、このケージには、
わたしが昔から使っていた白いタオルシーツが敷いてあるので、
安心できるだろうという配慮に違いなかった。
ほっとする、シーツに染み付いた自分の匂い。
そして、僅かに残る、懐かしい佐伯さんの匂い──。
あの事はもう忘れよう。
人間の電話の会話は正確に理解できないのだし、きっと何かの間違いだろう。
そう思ったけれど、わたしはなかなか休めなかった。
明日からの生活に対する不安と、そして──空腹のせいだ。
わたしは、美衣子さんの用意してくれたお昼ご飯に、
一口しか口をつけてなかったことを後悔した。
『たんぽぽ、起きてる?』
ロッコの声がする。薄明かりの中に浮かぶ金色の体。
ケージに寄せられたロッコの口元からカチャカチャと音がしたかと思うと、
ケージの出入り口の金網がすっと開いた。
『ぼくはここのケージの鍵は全部開けられるんだ』
『いいの?』
『咎められたことはないよ』
わたしは、ロッコに誘われてケージを出る。
そして昼に見た、あの居間へ連れられて行った。
『いつもこんなことしてるの?』
『女の子の動物が来たらいつも、
夜中にケージから出してこのとっておきのソファーに招待するんだ。
といっても、言葉の通じる哺乳類の子だけだよ』
『女の子だけ?』
『そう、「だけ」』
茶目っ気のあるロッコの口調で、すっかり彼のペースに乗せられたわたしは、
さっきまでの沈んだ気持ちも吹き飛んで、
この深夜の……デート? に胸をときめかせた。
ロッコの含みのある言葉に、心臓がドキドキする。
ロッコは、居間にある三人掛けくらいの一番大きな黒い革張りのソファーへと、
わたしをエスコートする。
革の生地は柔らかく仕上げられていて、少しひんやりとしていて気持ちいい。
クッションがよく利いたそのソファーにわたしは寝そべった。
『気分はどう?』
『お腹がすいちゃったの。でも……』
『ちょっと待ってて』
ロッコは、トトッと軽やかに走って行ったかと思うと、
食堂からカリカリ(※ペット用のドライフード)の入った食器を器用に咥えて運んでくる。
そして、わたしの目の前にそっと置いた。
『ぼくは自分で食べる量を調節できるから、
美衣子さんが忙しくて世話できないときの食事がこうやって用意されてるんだよ』
『もらってもいいの?』
『ちょっと待って』
カランと音がする。
ロッコが何か小さな丸い粒のようなものをひとつ、食器の中に落としたのだ。
『何を入れたの?』
『気持ちが楽しくなる薬』
『ふふふ、そんなものがあるの?』
おそらく、昼間、塞ぎ込んでいたわたしに対するロッコの思い遣りだろう。
わたしは感謝しながら、ソファーからいったん降りて、カリカリに口をつけた。
佐伯さんのところで食べていたのと同じ、懐かしい味。
脂肪分が少なくて犬の健康に気を遣った輸入ドライフードの味だった。
「これ、高いのよね。でも、あなたのためだから」と言っていた、
佐伯さんの笑顔が脳裏に浮かぶ。
わたしは夢中で食器に口を突っ込み、ロッコは腰をおろして、
佐伯さんがそうしてくれていたように、わたしの食べっぷりを見守ってくれる。
「カリッ」とフードとは別の何かが砕ける音がして、
(実はあまり味覚の鋭くない)犬の舌にもはっきり分かる、苦い味が口の中に広がった。
これが楽しくなる薬?
『飲み込むんだよ』
ロッコに言われるままに、わたしはその苦味の正体を喉に送った。
すぐに残りのフードを掻き込む。
わたしはロッコの用意してくれたフードをペロリと平らげていた。
『美味しかった?』
『うん、ありがとう』
犬の世界では、食べ物を贈られることはその贈り主の庇護下に入ったことを意味する。
ロッコに守られる立場となったわたしは、その嬉しさにゆらゆらと尻尾を振り、
犬流の挨拶で、頭をロッコのあごの下に擦り付ける。
そのまま、ロッコはわたしの頭を押えるようにして体を回転させ、
ソファーの上へと誘導した。
わたしたちは、横に並んで長いソファーの上に寝そべる。
わたしが奥で、ロッコが手前。
わたしはソファーの背に体を押し付けられ、この少し強引で、
それでいて優しい犬、ロッコの「たからもの」にされた気分になった。
透き通った瞳の大きな顔が近付く。
そして、大きな鼻でわたしの垂れた耳を起こし、こう囁いた。
『ちょっとエッチな話をしようか──』
わたしの心臓が、ドクンと音を立てた。
それは、あのケージの扉を開けられた瞬間から期待していたことかもしれない。
でも、わたしはまだ少し幼くて(※大型犬の性成熟は二歳、繁殖適齢は三歳)、
ロッコがわたしを異性として意識しているのか、この発言を聞くまでは、
はっきりとは分からなかった。
わたしは、自分がロッコと釣り合いのとれるオトナの犬であることをアピールするために、
平静を装って、こう返す。
『ねえロッコ、女の子の動物をこのソファーに連れてくるって言ったよね。
それから……どうするの?』
『もちろん、「交尾」するんだよ』
想像通りの返答。わたしは驚かないように努める。
そして、自分も同じように誘ってもらえたことを嬉しく思いながら、
ひとつの懸念について、確認する。
『わたし、発情してないよ?』
犬は年に一度か二度、短い期間しか発情しないのだ。
『わかってる。だから、お話をね──』
わたしは理解した。
ロッコは、彼が今までしてきた数多くの交尾の話をしてくれるのだ。
ただ、彼が今から話そうとしているのが、犬同士ではない、
「異種族との交尾」であることを知ると同時に、わたしは目を円くした。
しかしそれは、これからの語りを聞くうえで、わたしとロッコにとって、
よい方向に働く要素でもある。
一頭のパートナーと添い遂げるという、犬の祖先である「狼」や、
貞操観念の発達した人間にとっては理解し難いことかも知れないが、
犬は相手を選ばない乱交で、経験豊富なオスであればあるほど魅力的なのだ。
とはいえ、犬は本質的に嫉妬深い動物でもある。
ロッコの相手が犬ではないのなら、わたしが悔しい想いをすることもない。
『一風変わった交尾の話からしようか』
『うん』
わたしは好奇心でいっぱいだった。
ロッコはわたしの反応を見て、満足そうにしながら語り始めた。
『このお店に、オグロワラビーの女の子が来たときのこと……。
ワラビーって分かる?
カンガルーの大きさが小さいのをワラビーと呼ぶんだけど、
えっと……』
『有袋類、でしょ? 分かるよ。
お腹に袋があって、そこで子供を育てるんだよね』
『そうそう。
それでね、彼女の毛皮は短い毛がびっしりと詰まってるような手触りで、
後ろから抱きかかえて挿入するときはすごくおとなしいんだ』
話の内容が具体的になってきて、わたしはドキドキしながら目で続きを催促する。
『犬の交尾は、お尻とお尻をくっつけるでしょ。知ってる?』
『えっ、うん。もちろん』
わたしはブリーダーさんの所に居たから、ちょっとした耳年増である。
『それでぼくは犬同士がするみたいに向きを変えて、
彼女と繋がったままお尻を合わせたんだ。
ぼくは大型犬で、ワラビーは後ろ足が立派で長いんだけど、
それでも体が小さいんだ。彼女はぼくのお尻の高さに合わせようとして、
何度もピョンピョンと飛び上がって……』
『それで……?』
『大型のカンガルーになると、ディンゴという野生犬をひと蹴りで殺しちゃうくらい、
後ろ脚のばねがすごいんだ。
ワラビーの彼女も同じで、すごかったね。
ぼくはあそこが引き千切られてしまうんじゃないかと、
交尾が終わるまで生きた心地がしなかったよ』
犬の交尾時間の長さを知っているわたしは、ロッコの苦悩を想像して思わず吹き出した。
『あ、でも、有袋類って性器はお腹の袋の中にあるんじゃないの?』
『それじゃあ、彼女たちはどうやっておしっこをするの?』
『あっ、そうか……』
『次は、そうだなあ……、カワウソの話。
あるとき、大城戸氏がカナダカワウソの女の子を連れてきた。
ペットショップではよくコツメカワウソが売られているけど、
それより大型のカワウソなんだ。
密輸の摘発で行き場の無くなった子でね、動物園に引き取られるまでの間、
ここで過ごしたんだ』
『そんな子とも……しちゃったんだ?』
『えへへ、もちろん。
本来、水の中で長い時間を過ごす彼女は、
すごく細かい毛が密集した毛皮を持っているんだ。
毛の長さは全然違うけど、ちょっとしっとりとした感じは、
ぼくたちレトリバーと同じ──』
ロッコが右手をわたしの背に乗せ掛ける。
わたしは押されて横倒しになり、ロッコの顔を見上げるような姿勢になった。
少しずつ、わたしの呼吸は荒くなってきていた。
背中に置いた手から、ロッコがわたしを意識していることがよく伝わってくる。
ロッコ、わたしとも……したいの?
ロッコはわたしの上下する胸の動きを、きっと楽しみながら、
それでも平静を装ったふうに話を続ける。
『彼女も好奇心いっぱいで、ぼくとの交尾を快諾した。
でもね、体格差が問題なんだ。
大型のカワウソとはいっても、たんぽぽ、君より小さいんだよ。
そして、決定的に、足が短い』
『そうなんだ』
彼女「も」、というロッコの言葉にまた、ドキッとしながら、生返事を返す。
興奮して、口の中がねっとりとしてくる。
『それにね、尻尾がすごく太くて胴との境い目があまり無いんだ。
だから、彼女にはこのソファの上に仰向けになってもらって、
そのまま挿入したんだよ』
このソファで?
わたしはソファに鼻を当て、匂いを嗅いでみる。
ロッコが数々の動物たちと交尾してきたというソファの上で、
今、わたしたちはぴったりと触れ合って、会話を続けてる。
『小さくて、可愛くて、それにカワウソってのはすごく情熱的で、
ぼくも随分興奮した。
長いおヒゲの小さな顔がすぐ目の前にあってね、
交尾しながら舐め合うには最適の距離だった。
でも……、あれには閉口したよ』
『えっ? 何に?』
『水棲哺乳類はああいうの、気にしないのかなあ……、
お口が、すごく「サカナ臭かった」んだ』
『あっははは……』
わたしは、臭ってないよね?
少し気になって口元を押える。
佐伯家でもドライフード中心だったし、よく歯磨きガムをもらってたし、
犬は唾液が多くて歯は清潔な動物だし……、あれ?
わたしは、結局、お話の中に出てくる動物に嫉妬している自分に気付いて、
顔が熱くなった。
それを誤魔化すようにロッコに話題を振る。
『ねえ、ヤマアラシは? 背中に針がいっぱい生えているんでしょう』
『鳳奇堂にもタテガミヤマアラシの子が来たことがある』
『で、どうなったの?』
『でも、残念ながら……』
『?』
『オスだったんだ──』
こんな風に、ロッコのお話には必ずオチがついて、わたしを楽しませてくれた。
嘘か本当か分からない。きっと作り話なんじゃないかと思う。
わたしを元気付けてくれるための創作なのかな?
もう大丈夫だよ、ロッコ。
昼間の憂鬱は、すっかり吹き飛んでいる。
ロッコのおかげでわたしは心地よい興奮に包まれ、ロッコにギュッと身を寄せて、
次から次へと繰り出される未知の動物たちの話に熱中していた。
そして、ついに、聞かずにはいられない、次の質問を口にした。
『ロッコ……、その……わたしたちと同じ……、犬とは……したことがあるの?』
『もちろん、と言いたいところだけど、残念ながら……』
ロッコはペロリと舌を出しておどけた表情を見せた後、
少し真面目な口調になって説明してくれた。
『この店に来る犬はたいてい子犬なんだ。商品として入荷するからね。
たんぽぽは例外なんだよ。
ぼくが相手にした、いわゆる珍獣、奇獣といわれる動物たちは、
大きくなってからここに来る。
オーナーの大城戸氏は別荘地に飼育施設──というか、
居間に動物たちを放してるらしいけど──を持っていて、
世界中を渡り歩いているとき以外はそこで動物たちの訓育を行っているんだ。
そして、この店に連れてきて、信用できる飼い主だけに動物を売る。
人件費と食事代しかかかってない動物を売っているわけだけど、
あと、お店の維持費を差し引いて売り上げはトントン。
それでも結構な値段になる。滅多に売れないからね。
大城戸氏がこの仕事を続けているのは、珍しい動物たちが、
やたらと密輸されたり、飼えなくなって棄てられたり……、
人間の社会の中で不幸にならないようにするためだ。
高い値段は、その飼い主に動物を飼う資格があるかを量る一つの指標なんだよ』
それまでの明るく、ちょっとふざけた態度のロッコからは想像できない、
真面目で難しい話を聞いて、わたしはロッコを見直す。
同時に、大城戸氏が想像通りの立派な人間であることを知り、安心した。
実はわたしには難し過ぎて、
ロッコの言ってることをぼんやりとしか理解してなかったけど、それで充分だった。
『お話、もっと聞きたい?』
『う、うん、でも……』
さっきから気になっていることがひとつあった。
一年と五ヶ月、まだメスの犬としては十分に成熟していないはずのわたしの体の、
交尾のときにオス犬の体が密着する部分、そして股間、
もっと具体的に言うと、
お尻の上のあたりと女の子の性器そのものがムズムズして痒い。
発情もしていないのに、どうして?
ロッコがぴったりと寄り添っているので、「そこ」の様子を確かめることができない。
しきりに自分の体を気にしているわたしに気付いたのか、
ロッコはソファの上で立ち上がる。
そして、あろうことか──、
わたしに身を起こす隙も与えず覆い被さり、わたしの背中に腰を、股間を、
ゆっくり数回押し当ててからソファーを降りた。
わたしの心臓はばくばくと音を立てて、今にも破裂しそうになった。
『興奮した?』
『ず、ずるいよ……、ロッコ』
『どうして?』
ロッコはわたしの反応を見て楽しんでいる。
若いわたしに対してオトナの余裕を見せ付けているようだった。
背中に触れたロッコの、その……おちんちんは、まだ柔らかくて、
全然興奮の色を見せていなかったのだ。
わたしだけが息を荒げてハァハァと喘いでいるのがみっともない。
『たんぽぽもよくわかってると思うけど、ぼくたち犬は交尾をしなくても、
一緒にいるだけで嬉しいし、愛し合うこともできる。
たんぽぽ、君の発情期を待たずともね』
すまし顔で追い討ちをかけてくるロッコ。
わたしはもう一度、「ずるいよ」と言って鼻声を立てた。
『ごめん、たんぽぽ。ちょっとからかいすぎたかな?』
謝られても、燃え上がった気持ちを鎮められないわたしは戸惑い、
息を荒げたまま恥ずかしい思いを隠せない。
お話を聞いているうちに昂ぶってしまって、
わたしは胸の内を巡る想いを吐き出したくて堪らなくなった。
わたしも──ロッコと交尾がしたい。
でも、今は発情期ではない。
発情していないメスの犬が交尾をすることはできないのだ。
これじゃあ、蛇の生殺しだよ、とわたしは身悶えた。
でも──、
『あれっ?』
ふと、わたしはおかしなことに気付く。
『ん?』
『どうして、ロッコのお話の中の動物たちは、
みんなここに来たときに発情していたの?』
『それはね……、これだよ』
そう言って、ロッコは首から下げてる小さな袋に手を当てた。
『尽鮮丹(じんせんたん)っていうんだ。
大城戸氏が中国の秘境で手に入れてきたお土産なんだよ。
ぼくのお守り袋の中に入れてもらってたんだ』
『それって……』
もしかして、さっきの「気持ちが楽しくなる薬」?
『飲んじゃったよね、たんぽぽ。
尽鮮丹は、オスにはちょっとした強壮剤でしかないけど、
メスの動物に与えるとね──』
わたしは、がばっと身を起こし、すぐに体を丸めて自分の股間を確かめる。
そこがムズムズしていた理由がすぐに分かった。
毛皮から露出した柔らかいお肉の部分が、
赤くなっていつもの倍ほどに膨れ上がっているのだ。
『ほら、そんな風に、あっという間に「発情」するんだよ』
思わず性器に舌を当てて様子を確かめたわたしは、敏感になったお肉が伝える、
ズキンとする痛みのような快感が頭まで突き抜けるのを感じて飛び起きる。
ぬるっとした粘液が、膨らんだお肉の中心から溢れていた。
『安心して。尽鮮丹を飲んで発情したときは、決して妊娠しないから──』
わたしはすっかりロッコの策略に乗ってしまったことを知る。
ロッコはわたしに薬を与えて、エッチな話をいっぱいして、
興奮させて、そして自分から誘うように仕向けていたんだ。
わたしがロッコに一目惚れしてしまっていることを十分承知で、
彼がこのように仕組んだことについては、少し憎らしい。
でも、そのことを怒ったりはしない。
自分が今発情しているという事実、それは何にも勝る嬉しさだから。
『やっぱりずるいよ、ロッコ』
ソファーを降りたわたしは、ロッコの口元に自分の鼻先を強く押し付けて、
あなたのことが好きだという合図を送ってから、
お尻を向けて尻尾を大きく振った。
『これで、してくれなかったら、許さないから──』
『ぼくが君に誘惑されない理由なんてあるかい?』
ロッコがこんな回りくどい手段を取らないといけなかったのには訳がある。
犬のオスはメス犬が出すいっぱいのシグナルを受けて初めてその気になる。
だから、わたしから誘うことが必要だった。
やはりこれまでの話は、
わたしを「その気」にさせるためのロッコの作り話だったのだろう。
わたしはすっかり騙されていた。
でも、ありがとう、ロッコ。
『美衣子さんには、絶対知られちゃだめだよ。面倒なことになる』
『うん、わかった』
ロッコは鼻を鳴らして、わたしのお尻の上あたりに手をかけようとする。
そこは、交尾の際に二頭の犬が強く触れ合う部分。性器さながらに敏感になっている。
わたしはゾクゾクする快感を覚えながらも、ロッコが触れ続けることを許さない。
軽く振り払って、二・三歩ほど部屋の中を駆け、
ロッコが再び飛び掛ってくるのを待つ。
寝室で寝ている美衣子さんを起こすわけにはいかない。
わたしとロッコは激しく絡み合うことを求めながら、
大きな音を立てないというもどかしい制約をまた、一つのエッセンスにして、
互いに興奮を募らせていく。
広いと思っていた部屋が窮屈に感じる。
爪がカーペットを掻く乾いた音が部屋の中を幾重にも交差する。
ロッコはわたしに夢中になっていて、
今ではわたしと同じように大きくハァハァと息を吐いている。
その愛しさを覚える吐息をはっきりと耳に入れたいと思ったわたしの足が一瞬止まり、
ロッコの大きな口がわたしの首筋に絡み付いた。
ロッコはそのままわたしを甘噛みする。
『もう、我慢できないよ、たんぽぽ……』
『わたしも……』
ロッコが口を離しても、わたしはもう逃げなかった。
四肢をカーペットに押し付けるようにしてしっかりと立ち、
尻尾を左にそっと曲げて秘められた箇所をロッコに与えるべく、晒した。
『挿入(い)れるよ──』
ロッコの逞しい腕が、ひと回り小さいわたしの胴を強く抱える。
ずっしりと重い、ロッコの体重が背中に圧し掛かる。
わたしのお尻の上とロッコのお腹がぎゅっと強く触れ合う。
それを合図に、わたしはあそこの力を抜いてロッコが入って来れるようにした。
ロッコが腰を振り始める。最初は探るように、そして慈しむように優しく。
ロッコの、硬くて熱いものの先端が、わたしの性器を何度も撫でる。
わたしは強い快感に意識を奪われないように足を踏み締める。
自分の性器の頂点にある敏感な部分がどうして在るのか分かった。
ロッコがわたしの「位置」を探るのと同時に、
わたしもロッコの「位置」を感じながら、
互いに腰の高さや角度を合わせるために必要な器官なのだ。
ふたりの狙いがぴったり重なったと思った瞬間、
鋭い剣の切っ先のようなものが、わたしの体に押し込まれていた。
『ああっ!』
ロッコの動きが激しくなり、
腰が前に突き出されるたびに「それ」はわたしの体の深い部分にまで押し込まれる。
長さと太さを増しながら体の内側を擦りあげる愛しいオスの性器は、
想像以上に大きく、熱く、
そして強く脈動しながらわたしの中を一杯に満たしていく。
わたしの背中に乗ったまま、ロッコは動きを止めた。
『大丈夫? たんぽぽ。君は若いから、ぼくのが大きすぎないか心配なんだ』
『ん……、うん、平気だよ、ロッコ』
本来は発情するような年齢ではない自分の体に、少し不安はある。
心なしか、広げられたお肉がピリピリと痛むような気もする。
でも、ここまで来たらやめられない。
最後までしてよ、ロッコ。
『ん……気持ちいいよ、たんぽぽ』
初めて開かれ、内側に触れられる感覚を知ったわたしのその器官が、
自分でも気持ちよさを感じながら、ロッコを包み、優しく刺激している。
この不思議な感覚が、交尾、なんだ。
言葉で聞くのと体験するのとでは大違い。
このお腹の底から突き上げるような嬉しさは何ものにも代え難い。
わたしの前足が、嬉しさと、
ロッコの体重を支えていた疲れで少し震えていることに気付いたのか、
ロッコはわたしのお腹を抱えていた二本の前足の片方、右足を床に下ろして、
わたしが楽になるようにしてくれた。
体格差がある二頭だからなんとか可能な無理な姿勢を、ロッコは器用にこなす。
ああ、この優しさがロッコなんだ、と、
わたしはこうしてロッコに貫かれている幸せを、幾重にも感じ、噛み締めていた。
ロッコの腕が再びギュッとわたしのお腹を締め付ける。
そして、わたしの入り口の部分で、
中に収まっているロッコの性器の根元が膨らみ始める。
犬が交尾のとき、お尻とお尻で繋がった姿勢を取ることができるのは、
この膨らみ、「亀頭球」のおかげなのだ。
わたしはそれが完全に膨らみ切るのと、その次に発せられるロッコの言葉を待った。
『たんぽぽ』
『うん……』
『射精(だ)すよ──』
この段階になって、やっとオスの犬は精子を射出する。
それまで出ていた液体は潤滑剤の役目をする腺から出たものだ。
液体を激しく吐き出しながら、上下にビクビクッと震えるロッコの性器が、
わたしを刺激する。
思ったよりメス犬の性器内の感覚は鈍いらしく、
精液自体は何か温かいものが流れるような感じしか受け取れないけれど、
そのじんわりした温かさはわたしを恍惚とさせる。
『長い、ね……』
ロッコの射精はまだ続く。
『相手を思う気持ちが強いほど、長いんだよ』
そんなことを言って、本当はいっぱい溜まっていたからだよね。
そう思ったけれど、ロッコの意見には同意する。
わたしもロッコに対する想いでいっぱい。
一分近く続いたロッコの射精は、緩やかに終わりを迎えた。
しかし、犬の交尾自体はまだ続くのだ。
ここで抜いてしまっては犬はほとんど受胎しない(いずれにせよ、今のわたしは、
尽鮮丹の効果で決して妊娠はしないらしいけど)。
射精を合図にオス犬の体内で、精子を活性化させる液体が製造される。
それが吐き出されるまで、二頭の犬はお尻とお尻をくっつけたままでいる。
ロッコも、犬の交尾の作法に従い、わたしの背中から下りて体をくるっと回転させた。
このまま、時間にして、およそ三十分から一時間、
わたしはロッコと体の一番深い部分で繋がっているのだ。
誰も二頭を引き離すことができない、幸せな時間。
さっきのワラビーの話じゃないけれど、
体の小さなわたしのお尻が引っ張り上げられないように、
ロッコは後ろ脚を少し開き気味にして高さを合わせてくれている。
それがまた、嬉しい。
小さな電灯の薄明かりだけが照らす部屋の中で、二つのふさふさした尻尾が、
ゆっくりと絡み合う。
わたしたちは互いに荒い息を吐きながら、動きを止め、
「そこ」だけが別の生き物であるかのように揺れる尻尾と尻尾で愛を語り合っていた。
このあと訪れる絶望を知らずに──
次のロッコの一言がなければ、わたしはこのまま幸せに浸って朝を迎えていただろう。
そして、心の準備もできぬまま襲い来る運命に、深く悲しみ、無力感に包まれ、
胸を引き裂かれることになったろう。
『ああ、この店に来てからの三年間で、今が一番幸せなときかもしれない……』
『……えっ?』
三年間──まだわたしと繋がったままの状態で、ロッコはそう言った。
三年、という時の流れを指す言葉が、昼に聞いたあの会話と符合する。
──だってもう三年でしょ──
──明日にでも、処分しようと思うの──
ロッコがこの店に来て、三年──
わたしは再び、あの恐ろしい言葉を思い出した。胸を衝撃が突き抜ける。
間違いない、ロッコは、明日、わたしの前から居なくなる──
『どうしたの、たんぽぽ?』
わたしの体が固くなるのを感じたロッコが、心配そうに振り向く。
何て言えばいいのだろう。
焦ったわたしは、あのことを口に出してしまっていた。
『ロッコ、わたしは聞いてしまったの。あなたは明日──』
その次の言葉が出てこない。
言えない。
ロッコはふっと小さく息をついて、そして、静かにこう言った。
『知ってるよ。ぼくは明日、「処分」されるんだ』
『まさか──、ロッコ……』
『たんぽぽ、君もなんだね。
そう……、ぼくは人間の言葉がほぼ理解できるんだ』
あまりにも残酷な事実。
ロッコは自分の運命を知っていた。
何故、気付かなかったのだろう。
ロッコは、美衣子さんに言われた通り、わたしにお店の中を案内してくれた。
それはロッコが美衣子さんの言葉を理解していた証拠。
わたしは悲しみに包まれ、ブルッと身震いした。
すべてを知ったうえで、ロッコはさらにわたしのことを、
初めての場所で緊張しているのではないかと、気遣ってくれさえもしていたのだ。
『──この店に来る前のことはよく覚えていない。
あまり環境のよくないショップで、病気をうつされてここに来たみたいだ。
本当なら売れ頃の子犬だったぼくは、色んな病気を併発してしまった。
ぼくの首に付いてるお守り、さすがに読めないけれど、
「健康御守」って書いてあるらしい。
大城戸氏が病弱だったぼくにくれたんだ。
あの尽鮮丹も、ぼくのために探してきてくれたんだよ。
まさかあんな効果があるなんて、氏も知ったのは随分あとのことだったけど。
そして、美衣子さん──』
ロッコは、いった言葉を詰まらせ、感極まったように身を震わせてから、
続きを語り始めた。
『美衣子さんは、病気を悪化させてぼくが吐いたとき、
鼻や気管に詰まりそうになった汚物を口で吸い出してくれた。
何度も、何度もね。
大学生だった彼女は、学校を何日も休んで、ぼくにつきっきりで……。
彼女が居なかったら、ぼくはきっと今、この世には居ない』
わたしは驚きを隠せない。
それは、佐伯さんがわたしにしてくれたことと同じだった。
『ぼくはその後も一年ほど病弱で、商品にはならず、売れ残ってしまった。
その間も、何度美衣子さんに命を救われたかわからないな。
ぼくは彼女のことをずっと見ていて、彼女のために出来ることなら何でもしたくて、
そのうち、人の言葉が分かるようになったんだ』
うん、うん、とわたしは頷く。悲しくて仕方がない。
こんなところに居た、もうひとりの自分。
好きになった相手が、自分と同じ境遇であったことの嬉しさ。
その大きさの分だけ深い悲しみに包まれるのだ。
わたしたちは、運命に導かれるように出会い、
そして、こんなにもすぐに別れを迎えようとしている。
犬の涙腺は悲しいときに涙を流す能力がなくて、わたしはただ俯いて震えるばかりだ。
犬はとことん、無力なのだ。
どうして、という想いが心の中をぐるぐると巡った。
美衣子さんに伝えたい、聞きたい。どうしてロッコが処分されなきゃならないの?
どうして人間は、そんな残酷なことができるの?
ロッコの命を救った美衣子さんが、どうして今度は彼の命を奪おうとするの?
その疑問に答えるように、ロッコは続けた。
『──でも、結局、何の役にも立てなかったのかなあ。
ペットショップの経営には、色々、
ぼくたち犬には分からない複雑な事情があるんだよ。
ただ、ぼくが経済的負担になっていることは間違いない。
ぼくは美衣子さんのために生きて、
彼女がぼくを必要としなくなったら潔くその元を去る。
それがぼくの誓い、ぼくの宿命(さだめ)──なんだ。
会ったばかりなのに、さよならだね、たんぽぽ。
君はまだ幼いのに、無理をさせてごめん。
でも、ぼくのこと覚えておいて欲しかった。だから──』
ロッコは繋がったままのお尻を小さく振った。
そして、わたしのお腹の中に収まっているものを精一杯震わせて、気持ちを伝えてくる。
──悲しまないで、たんぽぽ。今はこの交尾を、楽しもう──
でも、だめ。
わたしは割り切れないよ。
ロッコはわたしの生い立ちをよく知らないんだろうけど、
わたしもあなたと同じなの──
ロッコを待ち構える運命、
それは、遠くない将来の自分が受け入れなければならなくなるものかもしれなかった。
ペットショップでは、売れ残った犬はいずれ──処分されねばならないのだ。
犬でしかないわたしには、ただ朝が来るのを待ち、
ロッコが連れ去られるのを黙って見ているしかないのだろうか。
そんなの嫌。
でも、どうすればいいの?
『美衣子さんにお願いしようよ、ロッコ』
『どうやって? ぼくたちの言葉は、彼女には通じない』
『こんなの嫌だよ』
『仕方ないんだ』
本当に、どうにもならないことなのか。
犬のわたしに出来ること──。
わたしの頭に、小さなひらめきがあった。
『ねえ、ロッコ、今のこの姿を美衣子さんに見せたら──』
ロッコはビクッと身を震わせた。
『だめだよ、管理ができてない、って美衣子さんが責められる……』
『美衣子さんは、わたしがロッコの子を身篭るかも、って思うでしょう?』
『……確かに、ぼくが父親になるのなら、血統書にそう書かれるのなら、
親犬を処分するわけにはいかない。
──でも、やっぱりだめだよ。
尽鮮丹の効果なんだ。君がぼくの子を産むことはない』
『でも、気付かれるまでの間、あなたには猶予が与えられる。
二ヶ月……、一ヶ月? それでいい』
『今は検査薬で、もっと早くに答えが出るんだよ。
いや、ああ、ぼくが言いたいのはそんなことじゃない。
君の飼い主探しが遅れるんだ。
妊娠しているかも分からない犬を売れるかい?
だめだ、君の大切な時間を奪うわけにはいかない。
早く飼い主を見つけるんだ。
君がぼくと同じ運命を辿るのは、耐えられない』
『それでも、少しでも長くあなたと一緒に居たいの』
『だめだ、たんぽぽ。
君はブリーダーさんのところに居たから知っているだろう?
ああ、お願いだから、ぼくにあのことを言わせないで!』
ロッコの言葉で、わたしはようやく、恐ろしい事実に気付かされる。
『もし、わたしが……、わたしの体質が繁殖に向かないものだとしたら……』
遺伝的に病弱で、繁殖すべきでない犬と判断されていたら。そのときは──
わたしは、そこに至った自分の考えに震えた。
わたしとロッコは、望まれない子を産ませないために、
一緒に処分されることになるかもしれない──。
しかし、最悪の結末を想像しながらも、わたしは覚悟を決める。
このまま何もできずにロッコと別れるくらいなら、それでいい。
決意を固めたわたしの体が、繋がったままのロッコをぎゅっと締め付ける。
こうするしかないよ、ロッコ──。
わたしは天井を見上げ、大きく息を吸って、声をあげた。
「ウオン、ウオン」と女の子らしくないちょっと太い声で、
世界の果てまで届けといわんばかりに、力の限り吠える。
『だめだ! たんぽぽ、なんてことを……』
ロッコはわたしの考えに気付き、嘆く。
『ああ、こんなことになるなら、君を誘わなきゃよかった……』
でも、わたしは後悔してないから。ロッコ。
制止するロッコに構わず、わたしは吠え続ける。
交尾が続いている今、わたしと繋がったままのロッコにはどうすることもできない。
美衣子さん、聞いて。
わたしとロッコを、離さないで。
ロッコを──、殺さないで!
それが認められないというのなら──、
わたしも、一緒に死なせて!
わたしが鳴かないことを伝え聞いてるはずの美衣子さんは、
きっとすぐこの異常事態に気付くだろう。
案の定、バタバタと慌てたスリッパの音が、階段を駆け下りてくる。
『見られちゃだめだ、たんぽぽ。君もぼくと同じように──』
ロッコがどう叫ぼうとも、事態は止められなかった。
美衣子さんは、居間の入り口で呆然と立ち尽くす。
金色の獣が二頭、お尻をくっつけて繋がったまま、
激しく喘ぎながら鋭く光る四つの目で自分を見詰めているのだ。
何が起こっているのか理解することは、そのときの彼女にはできなかったに違いない。
美衣子さんは口元を押さえ、頭を大きく左右に振って、何も見なかった、
というように、ふたたび足音を立てながら寝室へと戻っていった──。
ロッコはわたしのしたことを怒らなかった。
体が離れると、二頭で別々に、自分の濡れたところを舐めてきれいにする。
事後はどうやら相手とすぐに触れ合うことを嫌うらしいオス犬の心理で、
ロッコはわたしを避けて自分の寝床に入ったが、
わたしは彼に無理やり身を寄せて、お腹に抱かれるようにして寝そべった。
そして、そのまま一言も交わさず、眠りにつく。
──夢を見ていた。
わたしとロッコは、ロッコがカワウソとしたと言ってたのと同じように、
向き合って互いに抱きついていた。
周囲は冷たく固いもので満たされていて、物音一つ聞こえない。
まるで地面の底にふたり一緒に埋められているかのよう。
ロッコはわたしの肩を強く抱え、わたしはロッコのお腹に腕を絡ませている。
その姿勢のまま身動きひとつ取れない。
そしてわたしのあそこはロッコの熱く大きなもので満たされていた。
それは深く、深くわたしの中に挿し込まれ、
二度と離れないようにと根元を大きく膨らませている。
わたしの愛を培うための器官も、それが永遠に抜かれることのないように、
強く、優しく、ロッコを包み込んでいた。
ふたりはもう一つ、湿った部分を絡み合わせている。
大きく裂けた犬の口が隙間のないくらいに重なり、舌を優しく擦り合わせる。
その重なった二ヶ所の熱い部分以外の体はまるで麻痺したかのように感覚がない。
ロッコが上になっているのか、わたしが上なのかも分からない。
音も光もない世界に閉じ込められ、それでもわたしたちは幸せだった。
ふたりはもう死んでいるのかもしれない。
でも、二度と離れない。
気付くと、もう、わたしたちは呼吸をしていない。
外界と関係を断たれ、それでも不思議なことに、
融合している部分が、とくんとくんと脈打っている。
この世に生まれ、似た境遇に育ち、そしてふたりは出会い、愛し合った。
ロッコ、あなたに会えてよかった。
大好きだよ、ロッコ――
『おはよう』
ロッコの声で、目が覚める。
朝が来ていた。
ロッコが優しく、額や耳の毛並みを舐めて整えてくれている。
『夢を見たんだ』
『わたしも』
『たんぽぽと、ずっと交尾し続けてる夢。君のは?』
『わたしも……』
思わず、笑みが漏れる。きっと同じ夢を見ていたんだろう。
あの夢は、これからのわたしたちのことを暗示しているのかもしれない。
だから、余計にロッコの表現は可笑しかった。
今はもう不思議と、悲しくない。犬は、くよくよしないものだ。
トントンと階段を降りる音が聞こえてくる。
美衣子さんは昨日と同じジーンズ姿で……、よく思い出してみれば、
わたしたちの交尾を見られたときもこの服装だった。
疲れたら、そのまま寝てしまう人らしい。
「オハヨウ、フタリトモ」
美衣子さんがかけてくれる声は、悲しいほどに、
わたしの耳には何かの暗号のような「音」にしか聞こえない。
「マタ、ケージカラダシチャッタノネ、ロッコ」
美衣子さんは、すっと自然な動きでわたしに近付く。
不思議なくらい、警戒する気も、避けようとする気も起こらなかった。
わたしは、ここに来て初めて、美衣子さんに体を触られていた。
そして、美衣子さんが、佐伯さんや大城戸氏と同じ、いえ、それ以上に、
動物の心の領域に簡単に踏み込んでしまえる才能を持っていることを知る。
わたしはまったく抵抗することもなく、気付けば美衣子さんの前に、
お腹を丸出しにして転がっていた。
「オカシイナア、ツナガッテイタトオモッタノニ……」
美衣子さんは、わたしの股間の様子を調べているようだった。
そこは、薬の効果が切れ、すっかり元通りになっていた。
美衣子さんが少し身を離すと、まるで暗示が解けたかのように体が自由になり、
わたしは立ち上がった。
そして、運命のときが訪れる。
美衣子さんが、わたしたちに言った。
「ネエ、ソレ、処分スルカラ……」
処分、という単語だけがはっきりと聞こえた。
わたしとロッコは立ち上がり、全身に緊張を漲らせ、美衣子さんを睨みつける。
覚悟はしていても、現実への対処はまた別物だ。
小さい唸り声が、わたしの口から漏れてしまう。
美衣子さんの手が、近付く。
もう少しで噛み付いてしまうところだった。
警戒している二頭の犬を見て、ふっと小さく溜息をついた美衣子さんは、
いきなり、わたしたちの間に割って入り、
両手でわたしとロッコの太い首をギュッと抱きしめた。
突然の出来事に、身動きひとつ取れない二頭──。
「ちょっと、どいて」
『えっ?』
『ええっ!?』
美衣子さんの言葉がまた理解できるようになったことも驚きだったが、
ロッコを連れ去ろうとしていると思った美衣子さんの手が、
わたしたち二頭をサークルから追い出すようにしたことで、
ロッコも、わたしも、意表を突かれた。
「本当に、おまえたちは仲がいいのね」
美衣子さんは笑いながら、サークルに敷かれていた赤いタオルシーツを持ち上げる──。
「寝心地は悪かったでしょう?
そろそろ処分しないといけないと思ってたの。
覚えてる? ロッコ──」
美衣子さんは、懐かしそうに言いながら、タオルシーツを広げて見せた。
「ほら、あなたがこの店に来て一番に吐いたときの染みがまだ残ってる……。
もう三年も使ってるからね、さすがに繊維もすっかり抜けちゃって、
寝そべってて気持ちよくないでしょう?」
美衣子さんは優しく微笑み、二頭の犬は、呆気に取られる。
『どういうこと……?』
『ぼくたちの勘違い、だったみたいだよ、たんぽぽ』
『処分って……』
『こういうことだったんだね。人間の言葉は難しいなあ』
わたしたちは、顔を見合わせる。
次の瞬間、笑いが込み上げてきた。
といっても、人間のように声をあげて笑うのではない、ちょっとした表情の変化。
美衣子さんがわたしたちの様子を感じとって、声をかける。
「そうね、新しいタオルは、二頭で一緒に寝られる大きさがいいかしら?」
ロッコが、「ワンッ」と吠えて美衣子さんに頭をすり寄せる。
わたしも、尻尾をめいっぱい、引き千切れるくらいに振って、
この素敵な人間の女性に、甘えるように寄り添った。
「いきなりどうしたの?
さては、あなたたち、わたしのこと、何か誤解していたでしょう?」
敵わないなあ、と思った。
この人は、わたしたちの言葉がわからないのに、事の成り行きを見通している。
わたしたちの熱烈な歓迎を受けてしりもちをついた美衣子さんは、
そのままの姿勢でわたしとロッコの頭を優しく撫でて、言った。
「わたし、前からブリーディング(※動物の繁殖)に挑戦してみようと思ってたの。
ロッコ、た…ぽ…、ふたりとも、手伝ってくれる?」
ロッコは嬉しさのあまり、大はしゃぎで、尻尾をブンブンと振り回す。
『たんぽぽ、ねえ、聞いた? ねえ?
ぼくたち、これからも一緒に居られるんだよ──』
それももちろん嬉しかったけれど、
わたしの頭は、別のことでもいっぱいになっていた。
──今、わたし、名前を呼んでもらったの?
美衣子さん、わたしのこと、「たんぽぽ」って呼んでくれたの?
はっきりとは聞き取れなかったけれど、多分、間違いではない。
嬉しさで目頭が熱くなる。
でも犬だから、やっぱり涙は出ないのだけど。
『いい娘(こ)だなあ、美衣子さん。尽鮮丹飲ませちゃおうか』
『えっ!? ダメッ! ダメよ』
ロッコのとんでもない発言を耳にして、わたしはハッと我に返る。
ロッコがわたしをからかっているのだと知りながらも、心が拒絶する。
お話で聞くだけならともかく、
目の前に居る自分以外の女の子とロッコが交尾をするなんて、
嫉妬深い動物である犬のわたしには許し難い。
『冗談だって。君に飲ませたあれが、最後の一粒だったんだ』
そう、そして「最初の一粒」でもあったんだろう。
ロッコはすっかり、わたしが好きな陽気で楽しいロッコに戻っていた。
『愛してるよ、たんぽぽ……』
『わたしが適齢になるまで、あと一年半くらい? おあずけ、だよ、ロッコ』
『わかってる。犬は交尾をしなくても──』
『愛し合える?』
美衣子さんはわたしたちがこんな会話を交わしていることなんて知らずに、
にっこり笑って立ち上がると、何かを思い出して、
手をジーンズのポケットに突っ込む。
「そうそう、これを付けてあげるのを忘れてたわ」
美衣子さんが広げた手のひらに乗っていたのは、小さな赤いリボン。
それをわたしの左耳の上あたりに留めてくれる。
そして美衣子さんはこう言った。
「大城戸家へようこそ、たんぽぽ──」
ふたたび、投げ掛けられる、わたしのことを指す言葉。
この日、わたしは「佐伯たんぽぽ」から「大城戸たんぽぽ」になった。
‐GR たんぽぽの犬籍簿‐ 終わり
以上です。
専門的な部分はイイカゲンなことを書いているので、
突っ込まないでくださいw
GJ!たんぽぽかわいいよたんぽぽ
>>230 切なくてエロくて温かくてすっごく面白かった!!
GJ!
たまたま覗いたんだけど、いいものに出会えて、うれしい
遅ればせながら、G-----J!!
オチワロタwwwでも言い終わり方だな!GGGGJJJJJ
保守しておく。
圧縮来そうだってさ
238 :
名無しさん@ピンキー:2008/07/23(水) 00:18:49 ID:qI774eUD
緊急あげ
保守。
>>230 遅ればせながら読ませていただきました。
GJ!わんこ好きのわたくしには堪らないお話でした!
保守☆保守
圧縮避け
涼子タンの続きまだー?
無限のフロンティアってゲームのSSここに投下していい?
スレがないならいんでね
244は誰に追い出されたのだw
1匹のしょぼい嵐に
投下しても良さげみたいですね
LIVE A LIVEのSSここに投下していい?スレは探したけどなかった。
スレないならokだよ
そのためのスレだしね
濃いのたのむよw
スクエアスレ落ちたからね。
他にスレは無いと思う。
254 :
318:2008/08/12(火) 01:39:39 ID:Cv1FA6b+
255 :
318:2008/08/12(火) 01:40:29 ID:Cv1FA6b+
透明な液体を滴らせながら屹立するペニス。異臭を放つそれに顔を寄せ、舐め始めた。ぴちゃぴちゃと水音が響く。不快な臭いと
味に、途中一度二度吐き気がこみ上げたものの、我慢して舐め続け、そして、口に含んだ。
牙を立てないように、相手の不興を買わぬように、おそるおそる行う口唇愛撫。客はそれに満足できなかったのか、わたしの
頭部をその節くれだった手で押さえつけ、喉の奥までを犯しぬくように前後させ始めた。
「ん、ぐっ・・・ぐぶっ、かはあっ・・・!」
恐怖と嫌悪に体毛が激しく逆立った。もがいて逃れようにも、がっちりと固定された手は離れない。わたしは知っている、
これはしばらく我慢していればすぐに終わること。下手に抵抗すれば、後で「飼育係」にどんな事をされるか分からない。
あきらめて、身を任せていればいい。抗う事は寿命を縮める。その認識を肯定するように、男の性器がびくびくと痙攣し、
口内に熱く臭い体液を放出した。
簡単な体調チェックの後、わたしの檻に戻ることが許された。帰還すると部屋にざわめきが生じたが、それはすぐに
収まり、しばらくして仲間のひとりが声をかけてきた。
「大丈夫だったかい?酷い事はされなかった?」
「ありがとう、大丈夫です。痛めつけられたりはしなかったもの」
疲労して口も利きたくないが、心配してくれている相手に冷たい返事をするわけにもいかない。酷い事はされていない。
少なくとも、肉体的には。生き物を切り刻みたがる、変態的なサディストはいくらでもいるのだ。
「そう、それならいいんだけどね・・・」
今わたしに話しかけている女は、もちろん人間ではない。彼女は人間の頭と猛禽の体を与えられたキメラだ。ギリシア神話に
現れる、セイレンという魔物を模して作られたもの、と誰かが言っていた気がする。人面獣体である点では、豹のキメラである
わたしに似ていると言えない事もない。
この部屋を見渡せば、そのような人外のものたちがいくらでも目に入る。しなやかな体をくねらせる人魚、蝶の翅を持つ妖精、
蛇体のラミア、天使、ケンタウルス・・・。それらはもちろん自然に生じたものではない。我々は、人間の性欲を満たす為にのみ
造られた、生まれながらの娼婦だ。性行為と客を喜ばせる為の僅かなパフォーマンス以外は何も教えられず、客をとっていない時は、
この狭い部屋でうずくまって時を過ごす運命にある。
人魚が哀しげな声で歌い始め、わたしはそれを子守唄に眠りにつく。生は苦痛、眠りは死。せめて痛みのない死を望みたい。
256 :
318:2008/08/12(火) 01:41:09 ID:Cv1FA6b+
ある日、セイレンが脆い体を傷つけられ、包帯だらけで戻ってきた。翼は骨を折られたのか痛々しく垂れ下がり、羽毛は逆立って
何箇所か禿ができていた。慰めようにも、鉄の檻に阻まれて触れる事さえかなわない。
「大丈夫ですか?ひどくやられましたね」
「なに、よくある事さね。逆らってどうにかなるもんじゃないしさ、仕方がないよ」
確かに、こういった事はよくあるとは言えないものの、決して稀な出来事ではない。我々は「高価な品物」ではあるが、「取替え不能な
誰か」ではないからだ。それなりの代金を払えば、どんな行為も許される。
「大丈夫、アタシはこんな事でへこたれやしないさ。元気になってみせるよ」
彼女は無事なほうの翼を広げて、だからそんな顔をするのはおやめ、と笑う。翼端が狭い檻の格子を掠め、風を送って寄越した。
翌朝、檻の中には襤褸の塊のようになって横たわる彼女の屍があった。「飼育係」が義務的にそれを回収し、我々は彼女が運び去られて
いくのを黙して見送らねばならなかった。
「うらやましいわ・・・」
人魚がぽつりと零す。
「やっとここから出て行けるのだもの。あのひとは自由になったんだわ」
いくたりかが同意の言葉を返し、部屋はそれきり静かになった。
我々は死ぬまで自由にはなれない。それが当然だと思っていた。
「おい、ちゃんとご奉仕してくれよ。お前達はそのためにいるんだろ?」
セイレンの死に様が強く記憶に残り、どうしても行為に力が入らない。昨日の今日で客を取らせる、「飼育係」達の配慮のなさに問題が
あると思う。
「あー、もういいや。股開け」
わたしは大人しく言われるままの姿勢を取り、男が唾液まみれの男根を挿入しようとする様を冷静に眺めた。行為自体は不快であるが、
わたしの意志を介在させずに済むという点ではありがたい。準備の出来ていない体にむりやり侵入される痛みには、もう慣れている。
ピストン運動が体をゆすぶり、結合部分が激痛を訴えてもわたしは声を上げずに耐えた。この程度の苦痛など、セイレンの受けたものに
比べれば何ほどの事もない。
「もっと反応して見せろや。喘ぐなり泣き叫ぶなりしてもらわにゃ張り合いがねぇだろうが!」
ああ、そういう嗜好の人なのか。ならばそれなりの演技をせねばならないかと、わたしは頭の隅で考えた。
257 :
318:2008/08/12(火) 01:41:59 ID:Cv1FA6b+
ぎしぎしと騒音が起こり、埃が天井の通風孔から降り注ぐ。数秒の後、がたりとカバーが外れ落ちて、何事かと律動を止めた客と、
わたしの目の前にひとりの男が降ってきた。
「うわっ!!な、なんだっお前ぇ」
わたしの中でたちまちの内に性器が萎え、客は声を裏返らせながら無様にわめく。侵入者は冷ややかにそれを見据え、一言囁いた。
「黙れ」
客は瞬時に口をつぐむ。男はわたしをちらりと一瞥した。片手に握られた銃。ゴムの焦げたような臭い。
「騒ぐなよ」
向こうで起きている喧騒が、次第にこちらへと近づいてきている。
「騒げば、殺す」
「・・・殺してくださるのですか?」
男は一瞬虚を突かれたような表情になったが、すぐにかっと目を見開き、わたしを睨みつけた。わたしも彼を見返す。奇妙な沈黙の中で
気付いた。このひとは呼吸をしていない。
「殺して欲しいのか?」
扉の前で足音が止まり、ドアが勢いよく開かれた。
「いいえ、誰も来ませんでしたけれど」
性交が行われていたのが奥の部屋だったのが幸いだった。わたしは嘘をついてのけ、不審そうな表情の「飼育係」を追い返す。彼らも
まさか合成獣如きに騙されるとは思わなかったのだろう、大人しく引き下がってくれた。
「多分もう大丈夫でしょう」
奥からのそりと侵入者が現れた。
「妙な奴だな」
無表情だった顔を、微かに笑みの影がよぎる。
「何処に行かれるのかは知りませんけれど、気をつけてくださいね」
あの「飼育係」達に嘘をついたのだ、わたしはただでは済まないに違いない。しかし気分がいい。あのいやらしい連中を騙しおおせたのだ!
これはわたしなりの仇討ちとも言えなくもなかろう、切っ掛けを与えてくれた彼に感謝したい気分だ。
「本当に、妙な奴だ・・・名を聞いても?」
一瞬考え込む。「飼育係」たちに個体名を付けられた記憶はないし、個体が頻繁に入れ替わるキメラ同士では、名を付ける習慣はなかった。
「わたしに名はありません。どうか、気をつけて。本当に」
覚悟はしていたのだが、何故だかわたしにお咎めはなかった。「飼育係」達が慌しく働いている雰囲気のみがあり、誰にも客が来ない日が
数日間続いた後に、わたしだけが連れ出された。
「久しぶりと言うべきか。元気そうだな」
いよいよ廃棄の日が来たかと、身を硬くしていたわたしを待っていたのは、あの侵入者だった。
「あの方がお前を引き取りたいそうだ。命拾いしたな」
奇妙にかすれた声で、「飼育係」がそう言った。
258 :
318:2008/08/12(火) 01:42:32 ID:Cv1FA6b+
「おい、どうした、起きろペルラ」
主がわたしを呼んでいる。意識が覚醒し、自分の現状を把握しようと働きだす・・・嫌な夢を見た。
「わたし、魘されていましたか?」
無言で頷き、背をさすってくれる主。わたしは微笑んでみせようとしたが、うまく行かなかった。あの施設に閉じ込められていた
同胞たち。彼女らは今どうしているのだろうか。セイレンのようにひそやかに息絶えたか、わたしのように誰かに買い取られたか。あるいは
あの冷たい牢獄の裡に、今なお囚われているのか。
「ご主人様、わたしを何故買い取ったのです?」
前脚の付け根辺りで手の動きが止まり、主は微かに目を細める。
「・・・おまえはあの時、殺して欲しいと言ったな」
体温を持たない掌が移動し、猫にするように喉元を撫で上げる。
「キメラのおまえが。死にたがる獣はいないものだが」
ほんの僅かに、指先に力が篭められた。
「おまえは今でも死を望んでいるか?」
喉に食い込んだ指が顎を押し上げ、強引に視線を固定される。貫くようなまなざし。咄嗟に言葉が出ず口ごもるわたしを見て、主は
口元だけで笑うとあっさり手を離した。
「合成獣とサイボーグ。つくりもの同士似合いだと思わないか?」
わたしの身体を冷たい手が蜘蛛のように這い回る。黄褐色の獣毛を散らしながら爪が皮膚を掻き、血がにじむ傷を残した。主はわたしの髪に
顔を埋め、手負いの獣のように唸る。
「おれを憎むがいい、ペルラ」
冷たい腕が豹の胴に回され、低い声が囁く。
「おまえにはその資格がある」
背中側から抱かれている為、表情はわからない。
「あなたを、憎む・・・?」
頷く気配。
「な、ぜっ」
言葉が途切れる。指が2本秘所に挿入され、体液を溢れさせるそこをかき混ぜ始めた。
「あぁあっ・・・ん、はうっ」
鉤爪を布団に食い込ませ悶える。布団がやすやすと引き裂かれ、白っぽい詰め物が飛び散り、そこに体液が滴り落ちて染みを作った。
全てが済んだ後も、主はわたしの身体に腕を回したままじっとしている。そんなにわたしを求めるくせに、あなたは憎んで欲しいのか。なぜか
突然悲しくなって、腕を外さないようにそっと向きを変えると、抱き返すような形で彼の肩に前足をかけた。
「ご主人様、あなたは憎まれていたいのですか?」
今度はわたしが見つめる番だ。彼は逃げるように顔を背け、喉の奥から言葉を搾り出した。
「失言だ。忘れろ」
いや、忘れはしまい。横を向いている主の頬を舐めた。冷たいゴムの感触。
「わたしはあなたを憎みはしない」
あなたはわたしに様々な物をくれた。知識、快楽、ひとを愛する心、そして名前。名前のない合成獣を「ペルラ」にしたのはあなただ。二度と
わたしは死を望みはしないだろう。一分一秒でも長く生きてあなたの傍に居たい、例えあなたが望まぬとしても。
「あなたを、愛しています」
一瞬、ほんの一瞬だけ、主の顔がひどく悲しげに歪んだ気がした。
「おれにそんな資格はない」
小さく低い声でそう言った主の姿は、これまでにないほど弱々しく見えた。
259 :
318:2008/08/12(火) 01:43:09 ID:Cv1FA6b+
以上です。スレ汚し申し訳ありませんでした。
260 :
名無しさん@ピンキー:2008/08/13(水) 00:36:08 ID:sTZ3MTYB
あげ
需要があるか、どうかわからんが、Sugar+Spice!のSS投下
・即興です。
・エロなし。どちらかと言えば燃え重視?
・ミャンマールートのIfエピローグ
・本編から5〜10年後の世界
・稚拙な文章乙
それでもよろしければドゾー
今が永遠でないように 俺は永遠を生きられないんだ
だから今を悔いないように 精一杯生き抜いてやるさ
それが、俺の生き様なんだから
Super+Spice! If−It'sMyLife−
俺、新木和真が深山藍衣と結婚してもうすぐ5年になる。
藍衣の実家の銭湯の住み込み従業員として働きながら、それなりに充実した人生を送っている。
・・・ちなみに子宝には未だ恵まれていないが。(この点については親父や藍衣の両親からは酷く責められてる)
ただ、お互いに寄り添うだけでも結構満たされていて、不満は全く感じることは無かった。
あのニュースを見たりするまでは。
「先日行われた全日本ボクシング新人王決定戦で結之宮出身の伊達麻希さんが見事新人王に輝きました。」
それはローカルチャンネルのスポーツニュースで報じられた。
あのマサムネが・・・と、感慨深い物を感じたが、それ以上に俺の中の何かに火が灯された。
今思えば、アレが今日という日の始まりだったのかもしれない。
「何してるんだ、まーくん。」
ふと、藍衣の声がしたので振り向いた。
「ん・・・いや、さ・・・ちょっと、寝付けなくってさ・・・」
庭先で少し体を動かしてたのだが、その音に気付いたのだろう。藍衣が様子を見に来たのだ。
・・・ただ、その目は付き合いだす前(俺の記憶が失われた後の話・・・だが)に良く見せたジト目をしていた。
「・・・・・・・・・」
無言の重圧。
そりゃそうだ。何しろ俺はただ体を動かしてただけじゃなくって・・・シャドーボクシングをしてたからだ。
ボクシング。
俺が記憶を失う前にも、そしてその後にも俺と藍衣の間にはソレが付きまとっていた。
そして、ソレは一度は俺達の絆を断ち切り、そして一度は俺達の絆をより一層深めた。
「・・・そう言えば、あの時の答え、聞いてなかったね。」
「・・・・・・・・・」
俺は何も返せなかった。
ボクシングが俺たちの絆を再び断ち切ろうとしていた、高校時代に藍衣は俺に問い詰めた。
「何でボクシングをするのか。私とボクシング、どっちが大切なのか。その答えを聞くまで、私達は恋人でも幼馴染でもない。」・・・と。
結局、俺はその答えを見出せぬまま。今を迎えていた。
だけど、今ならその答えの輪郭だけがおぼろげながら見えていた。
「・・・あの時なら答えられなかったけど・・・今なら少しだけならわかった・・・かもしれない。」
「・・・・・・聞かせて」
怒りとも悲しみともつかぬ声色で、藍衣は俺にその答えを求めた。
「生き様・・・なのかも。」
「・・・」
藍衣は無言でその先を求めた。
「結局、人の人生は永遠じゃない。人それぞれの輝ける生き方があるんだ。」
「・・・で、まーくんにとっては、ソレがボクシング・・・と?納得出来ないね・・・」
まぁ、そりゃぁそうだろう。藍衣とボクシングのコトで揉めた時に思い知ったんだが、女ってのは結構独占されたがってるフシが多少なりともあるっぽいと。
だけど、俺がボクシングをやりたい理由はそれだけじゃない。
「せめて・・・せめて、藍衣が胸を張って、『この人が私の夫だ』と誇れる夫である為に、俺はボクシングをしたいんだ。」
「・・・!!その為に・・・その為に自分の体を傷つけて!その為に私との時間を犠牲にして!!その為に周りの皆の神経をすり減らして?!」
藍衣は完全に怒りに任せて、俺に掴み掛かってきた。その目は怒り以上に失望に近い色合いを濃く浮かび上がらせていた。
おっと、ミス。
>その為に周りの皆の神経をすり減らして?!」
ではなく、
「その為に周りの皆の神経をすり減らさせて?!」
ですた。
「・・・・・・」
予想していたとはいえ、いざ面と向かって言われるとなると、やはり堪えた。
だけど、俺はマサムネとの決着以上に、藍衣にとって誇れる男でありたい、と言う想いは抑えられなかった。
俺の胸倉を掴みながら、激しく俺の体を揺さぶる藍衣の体を抱き寄せてやると、俺はその唇を奪った。
「藍衣の言うことはもっともだ。だけど、やっぱり俺はココで平穏に藍衣と生きていくより、例えどんな危険があったとしても、俺や義父さんや義母さん、俺たちに関わってきた皆、それ以上に藍衣が誇れる男になりたい。」
俺は、藍衣の瞳を真正面から見つめながらそう言い切った。そう、やっと答えを見つけた。
俺は藍衣の為に戦う。藍衣との幸せの為に戦う。例え、どれだけ傷つき、敗れようとも藍衣が誇れる男でありたい。
もう、止められそうに無かった。いや、止めたくは無かった。今は藍衣もボクシングも諦めたくは無かった。
「・・・ズルい・・・ズルすぎる。そんな瞳でそんな事言われたら、私には止められないじゃない・・・」
どれだけ、藍衣の唇を貪っただろう。不意に俺を押しのけると、俯きながら呟いた。
「・・・ゴメン。」
「謝るな。」
本当に申し訳なくなり、謝った俺を藍衣は静かに責めた。
気まずい空気が俺たちを包んだ。
「わかったよ・・・最後にもう一度だけまーくんの好きにすればいいさ。」
「藍衣・・・」
「でも約束して。今のまーくんには私が・・・藍衣がいる。無理はしても無茶だけはしないで欲しい。」
「・・・善処するよ。」
月明かりが優しく深山家の庭を照らすなか、俺たちは唇が触れ合うだけの口付けを交わした。
これは契約。「例え、どれだけ傷つこうとも、必ず愛する者のもとへと帰る」と言う、誰にも敗れない約束。
それから数年。俺は今、結之宮にある大きな運動施設の一室に居る。
あれから全日本王者となったマサムネとタイトルマッチを行う。
だけど、その場には藍衣の姿は無い。今回は別れた訳じゃない。
藍衣の中には俺達が育んだ新たな命が宿されている。予定日も近くなり、今は病院のベットの上だ。
まさか、こんな日になるとはな・・・
日付は12月22日。そう、藍衣の誕生日だ。
・・・昔を思い出すな。高校時代にマサムネとやった真剣勝負。あの時も藍衣の誕生日だった。
あの時は予選で負った俺の怪我がもととなり、俺もマサムネも不完全燃焼のまま、マサムネが全国へと旅立った。
マサムネはあの時の悔しさを糧に、全日本の王者となったのだ。
そのマサムネに、挑戦者として俺は挑む。何か運命というか、因縁めいたモノを感じずには居られない。
「しっかしよぉ・・・何も今日試合する事は無かったんじゃねぇの?」
椅子に座り、来るべき決戦へ向けモチベーションを高めている俺に向かって佐藤が言った。
今、俺の控え室には会長やトレーナーの他に、今日の試合のイメージソングを歌ってくれた佐藤に黒越、歌と司が居た。
俺とマサムネが戦うコトになり、同じ結之宮出身で今や日本のミュージックシーンを引っ張る4人がプロモーターに頼んで作ってくれたらしい。
だけど、その日付や俺の今の状況を知ったのは、曲が完成した後の事だった。
「ハハ・・・はねるや夢路にも同じ事言われたさ。」
床から視線を放さず、俺は佐藤のボヤキに応えた。4人の顔は見えないが、今4人がどういう顔をしているかは想像がつく。
だけど、そのビジョンに後悔は感じない。ただ、4人への感謝の念が絶えない。
「カズマが自分で選んで、アイがそれを許してくれたんだよね?だったらボクはカズマを責めたりしないよ。」
司が変わらぬ口調で俺に話しかけてくれた。それだけで余計な緊張が解されるのが分かる。
はねるには最初怒鳴られたモノの、同じアスリートとして最終的には俺と藍衣を支えると言ってくれた。
ちなみに、はねるは今実業団に入り、日本人初のオリンピック陸上女性メダリストとしての期待が掛かっている。
夢路には本気で怒られ、今は絶交状態。全く口をきいてくれない。ま、覚悟はしていたけど。
「ま、深山さん・・・じゃなくて、奥さんが許してくれたんだ。無様な結果は残せないのはわかってるよね?」
やはりコチラも変わらぬトゲトゲしさを含んだ口調で黒越が、トレードマークとも言える冷笑を浮かべていた。
だが、その冷笑に僅かな温かみが見えるのは黒越もすこし丸くなった証だろう。
その様子に俺は時間の経過と共に、変わらぬ友情を感じ取った。
そう、今回は一人じゃない。前のマサムネとの一戦は、藍衣とボクシングのどちらかを取るかで、一人で駆け抜けた。
でも、今度は俺を全面的に支えてくれて、更に新たな命を生む為、形は違えど、共に戦う藍衣が居る。俺とマサムネの為に歌を歌ってくれる佐藤達が居る。
そして、何より俺の戦いと共に生まれてくる新たな俺達の家族が居る。
前みたいにがむしゃらに走ったりしない。だけど、答えのその先の幸せの為に多少の無理はする。
「Sugar+Spice!の皆さん、そろそろお時間です。」
TV局のADらしき人物が俺の控え室を覗き込み、佐藤達を呼んだ。
「おっと、もうそんな時間か。わかった、今行くわ。じゃ、新木・・・無茶はすんなよ。嫁さんと子供のためにもな。」
そう言って佐藤は俺に向けて拳を突きつけてきた。
俺はフと軽く笑い、その拳に既にグローブに包まれた俺の拳を軽く当ててやり、その想いに応えた。
オープニングセレモニー、そして佐藤達によるこの試合のイメージソングの演奏が終わり、いよいよ試合となった。
『それでは、青コーナーより!挑戦者!!新木和真選手の・・・入場です!!!』
リングアナウンサーの紹介と共に入場曲のイントロが流れる。
曲はBon joviの「It's my life」。俺がプロライセンスを取るためのトレーニング中や、テスト前に必ず聴いていた曲だ。
心挫けた者のための曲じゃない 信念を失った者の為の曲でもじゃない
唯の群集の一人になりたくない そんなヤツは俺の歌に耳を傾けるんだ
ヴォーカルの囁く様な、でも心に訴えかける歌声が会場に響く。
その中を俺はゆっくりと決戦の場となるリングへと歩いていく。
花道を半ばを過ぎたあたりで、曲はサビを迎えた。
それが俺の人生だ 今やるしかないのだから 一度しかない人生なんだから 悔いの無いよう精一杯生き抜くんだ
俺の心は開かれた高速道路のよう どっかのお偉いさんが言ってたように 自分にとって最善の道を歩むんだ
何があっても自分らしく生きてやるさ それが俺の人生なのだから
・・・そう。唯の一人の男では居たくない。一度しかない人生なんだ。だったら最高に輝いてやろうじゃないか。
一度しか与えられないハズのチャンス。だが、俺は運命の悪戯か、2度目を愛する者から与えられた。
だから、悔いは残したくない。何が何でも戦い抜いてやるさ。
『続きまして・・・赤コーナーより・・・王者!伊達麻希選手の入場です!!』
さぁ、マサムネ。あの時の続きと行こうぜ。言っとくが今の俺は・・・無敵だぜ?
何しろ、二人も俺を守ってくれるヤツがいるんだからな。
そして、決戦を告げるゴングが―――――――今、鳴ろうとしている。
カァーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン!
以上です。
各キャラクターのセリフに一部口調が変わってる部分があるかもしれなかったコトをココでお詫び申し上げます。
ツンデレ幼馴染良いよ、ツンデレ幼馴染(ハァハァ
【エロ内容】
ホモネタ 漫画ゴラク 二次創作
趣味でない人はスルー推奨
「ほう……」
剃髪をしていない坊主は、日本刀で斬りかかってきた女を見て、こう評した。
「不思議なオーラを発している…水色の清らかなオーラと 濁ったドス黒いオーラ…」
「オーラだと」
ロングヘアの女は、坊主の台詞を即座に否定した。
「そんなことは関係ない」
世間で流行りのスピリチュアルなんたらとやらには興味がない。
第一、仕込み杖を持っている坊主など、危険人物以外の何者でもないではないか。
銃刀法違反だぞ。
「ふっ……」
どういう仕掛けになっているのか、女は後ろ髪から一降りの日本刀を取り出した。
「貴様、名は何という」
「他人に名を尋ねるときは、自分から名乗るものだ」
若い女性に大受けのスピリチュアル診断も、板垣総理秘書官には通じないらしい。
坊主を見据えたまま、女は言った。
「内閣情報調査室…… 木葉優子!」
「仏の道に背きし者… 名は外道坊!」
ガキィィィィィ──────ン!
互いの切っ先が相手の刃を止め、勝負はたちまち膠着状態に陥った。
が、
どちらかといえば、ハイヒールの高さに踏ん張れない優子が不利。
おまけに坊主が股間をまさぐってきたからたまらない。
「───むぅ」
一見すると女性のソレだが、奥を探れば総理譲りのイチモツが顔を出す。
「そうか……。陽と陰! 正と邪! 実に不思議なオーラを発している理由はこれか……」
板垣総理の女性秘書官とは仮の姿。
真実は日本で唯一の殺人許可証(マーダーライセンス)を持つ男”牙”であった!
スポーツトレーナーの本業はサボり
男でありながら女性秘書官として働く”牙”。仕事柄、セクハラも強姦寸前も経験済みだ。
「残念だったな」
しかし、坊主は表情も変えずに言った。
「安心しろ。俺の名は…………外道坊!」
ジャラーン…… ジャラララ──────ン……
(平松先生の次回作にご期待下さい)
>>271 なぜだろうwww元ネタ知らないのにワロタ
終わってるしwwwwwww
じわじわくるwwwww
とりあえず保守。
保守
最近スランプなので、文章を変えようと努力してみんとす、とストーリーは手なりで書いたら、投下するスレがもうここしかなかった。
エロなし。タイトル『雨の日ストーカーちゃん』か、酉『◆1Bix5YIqN6』でスルーを。
それじゃ、投下開始します。
台風が近づいているせいだろうか。その日は、朝から雨だった。
「放課後になれば、もう少し収まってくれるかって思ってたが」
ため息を吐き、カバンから傘を取り出す。折りたたみ式の小さな傘だ。
開こうとしたところに、背後から男の声が来る。
「海老原<えびはら>ァ、傘持ってきてるな? 入れてくれね?」
「俺は、男同士で相合傘なんぞしたくないな。走れ馬鹿。ってか天気予報を見ない程度にド低脳だったんだなお前。哀れんでいいか?」
「ぐあいつになく冷たいお言葉ですね海老原サン!」
「馬鹿野郎、これがいつもだ。勝手に優しい俺を捏造するな」
ちくしょおおおお、と馬鹿が走り去っていく。
俺と同じく教科書は学校に置いていくタイプだが、
「涙が雨で分からないのは、幸運だろうさ」
口端を吊り上げつつ、傘を広げた。
さて、と。足元が濡れる覚悟を完了したところで、小さな女が、やはり小さな歩幅で雨の中へと入っていく。
傘はない。お菊人形のように陰気な髪が、一気に水を含んでいく。
声をかけたのは、その女が知り合いだったからだ。
「おい」
振り返った顔は、目が見えないほど伸びた前髪で半分覆われている。
「ん」
彼女は、誰と話すときも暗い。それに、端的に物事を話し、口数が極端に少ない。
嫌われている、とまでは行かない。だが、絶望的に地味で、イジメの対象にすらならない。
平賀・空子<ひらが・そらこ>は、そういう女だった。
「なにかな、海老原……衣弦<いげん>、君」
彼女は、辛うじて聞こえる程度の声を出す。
「傘はどうした、平賀」
「壊れてて」
「イジメにでもあってるのか」
「そうじゃない。朝、転んじゃって」
「そうか」
カバンを見れば、抱きかかえるように保持されており、厚みも違う。
定期テスト八十点台のアベレージを持つだけあって、天気予報すら見ない馬鹿とは違うらしい。
ふ、と息を吐き、
「使えよ」
開いた傘を押し付けて、雨の中へと一気に駆け出す。
どうして傘を貸したのか。
たまにはいいことをしたかったからか。
平賀が女だったからか。
平賀が哀れだったからか。
どうなのかは、自分でもよく覚えていない。
/
「海老原ァ。また、誰だっけアレ、ヒラカ? が見てっぞ」
「あ?」
その雨の日を境に、平賀は度々俺の前に姿を見せた。
貞子みたいな陰気さは、見ているだけでこちらの気分まで陰鬱になってくるほどだ。
イジメがないのは、彼女をイジメてもスカッとしないからなのだろう。
隣の馬鹿も、ただ俺に解決を促すだけで、自分から何をするわけでもない。
「ああ。もう一週間になるか」
「そうだなァ。海老原、アレに手ェ出したか?」
「出してねェよ馬鹿。お前<サル>と一緒にするな」
「今、『お前』に『サル』とかルビ振ってなかったかァ?」
「何お前メタ発言してんだよ。そんなの知覚できたのか?」
「い、いや、できてないけどよ」
「なら、お前の気のせいだ」
ううむ、と納得しがたい顔をする馬鹿から目線を切り、平賀の方向を見る。
平賀の視線は前髪で判然としないが、それでも顔の方向から、こちらを向いているのだろう、とはっきり分かる。
近寄ろうかどうか迷い、……止めた。
「まあ、そのうちいなくなるだろ。ああいうヤツは、無視しときゃ大丈夫だ」
馬鹿が、ああ、と同意する。
「ま、せいぜい、刺されないように気ィつけれよ、海老原。ああいう女は、思いつめると怖いぜ」
「分かった」
馬鹿だって、常に馬鹿を言うわけじゃない。正しいことだってきちんと言う時がある。
妙に説得力があるその言葉に頷くその瞬間も、彼女の視線はこちらにあった。
/
平賀・空子は、とにかく、地味な女だった。
高校に入学してから一年と半年。たまに見かけるが、いつだって髪の毛は長く、いつだって俯きがちで、つまりは暗かった。
最初、クラスが一緒になるだとか、委員が同じになるだとか、いくつかの偶然がなければ、彼女と話すこともなかっただろう。
二年になってからは、クラスも一緒にならず、元々薄かった縁は、元々のように、千切れかけて、いた、の、だが。
「っ……!」
背後からは、ぱしゃぱしゃと水たまりを踏む音。
十日前と同じく雨降る今日。色々な偶然が積み重なり、俺は一人で下校することとなっていた。
そこに現れたのが、平賀だ。
ぱしゃぱしゃと、水たまりを踏みながら、彼女は俺の後ろを歩いている。
声をかけてくるでもない。何かを仕掛けてもこない。ただ後ろを歩いているだけだ。
以前ちょっとした偶然で、彼女の家の住所を見た覚えがある。しかし、この道をわざわざ通る必要はない場所のはずだ。
不審に思いつつも、曲がり角で、ちらり、と、平賀を見る。
今日は、傘があった。まだ真新しい、群青の傘だ。
「あ」
彼女が口を開くのが見えたので、急いで足を踏み出す。
「なんだ、」
考えが読めない。
なぜ、俺に関わってくる。背景として最適な空気を持っているような女が、なぜ俺に関わってくる。
不審、と先ほど誤魔化した一語を、己に向けて訂正する。
不気味。
そうだ。不気味、だ。
「なんだってんだよ……!」
認識してしまえば、恐怖は加速する。
早足で跳ね上げた水の冷たさよりも、背筋を走る寒気の方がはっきりと知覚できる。
ぱしゃぱしゃと背後から来る足音は先ほどよりも早く、待って、と、呼び止める声も聞こえてくる。
気づけば、家を通り過ぎてしまっている。だが、背後からの足音は、どこまでも付いて――
「あれ?」
振り向けば、そこに、平賀はいなかった。
足音もない。声もない。姿もない。
「ふりきった、のか?」
それにしては、いなくなり方が唐突だった気がする。
おそるおそる道を戻り、曲がり角から半身を出す。
いた。
平賀・空子は、倒れた瞬間の効果音が幻聴できそうなくらいの見事さで、すっ転んでいた。
動かない。
平賀は、倒れ付したまま、ぶくぶくと酸素をちょっと深めの水たまりに放出している。
「む」
これはマズい。不気味だ何だと言ってる場合ではない。とりあえず傘を投げて、救助活動に入る。
肩をつかみ、頭を保持してひっくり返す。胸の上下はあるので、死んではいないらしい。
だが、気絶している。幸か不幸か、家は近い。連れて行くのはちょっと嫌だが、ここで放置するほど人道から外れているつもりはない。気絶していれば、ただ地味な女であるだけだ。
目を覚ましたらとっととお帰り願おうと思いつつ、彼女を背負い、俺は歩く。
/
戸締りについてはうるさい母親だが、玄関の鍵については植木鉢の下だなんて間抜けなところに置いている。
が、人を背負いながら、となると、その鍵を取る難易度は跳ね上がる。
幾度か平賀を落としそうになりながらも、俺はなんとか家の中に入った。
「は」
一息。だが、ここでぼうっとするわけにもいかない。
平賀を居間のソファーにおいて、風呂の方へと向かう。
とりあえず靴下と上着を洗濯籠に叩き込み、自分のバスタオルと、予備においてあるバスタオルを持って、居間へと戻り、……思う。妖怪にしか見えないな、と。
濡れ光る髪の毛は、自宅のソファーなんて日常に浮き出る非日常だ。彼女の人格を抜きにしても、ちょっと怖い。
「起きたか、平賀」
声をかけると、彼女は振り向かずに名を呼んできた。
「海老原君?」
「ああ」
首肯。
続けて、状況を説明する。
「お前は転んで気絶したから、仕方なくつれてきた。これ以上の状況説明はいるか?」
「いらない」
「そうか。ほれ、タオルだ」
「ありがとう」
やはり振り向かず彼女はタオルを受け取り、わしゃわしゃと髪を拭いていく。
「風呂くらい貸してやる。制服も、乾燥機にかけとけ。母さんの服置いといてやるから」
「ありがとう」
平賀の言葉は、常どおりの淡白さだ。まあ、行動は粘着質そのものだったが。
「平賀。ちょっといいか」
「なに」
「なんで俺を追ってきてたんだよ」
詰問に近い口調だ。
やはり彼女は振り返らず、
「傘を返したくて」
「か、傘?」
「ん。傘」
「そんなの、いつだって返せるじゃないかよ」
疑問には、簡潔な答えが返ってくる。
「縁」
一息。
「あなたと、縁を作りたくて」
……感情が来る。この女相手には、感じたくなかった感情が、だ。
「お風呂、借りていい?」
「あ、ああ」
彼女はバスタオルをかぶったまま立ち上がり、あくまで顔を見せずに問うてきた。
「どこ?」
「あっちだ」
「ん」
指差した方向へと、歩いていく。
……一人、残された俺はと言えば。濡れたソファーの背もたれによしかかり、わずかに痛む眉間をもみ、
「参ったな」
と、呟いた。
認識することで、思いは確固とした形になる。
「可愛いじゃないか、あいつ」
とりあえず、と思う。
風呂から上がってきたら、髪の下の顔を確認してやろう、と。それでもまだ可愛いとか俺が思っていたら、きっと、俺の完全敗北だろう――と。
俺はため息を吐きながら、緩む己の頬を戻した。
投下終了。
あ、ストーリーとか内容明記するの忘れた……一応、学園物だよ!
コンセプトは『雨』『ストーカーちゃん』『ん』。
『ん』って言う女の子ってマジ可愛いと思うんだ!
とりあえず、楽しんでいただけたら、本当に幸いだ。
続きは?続きはないの!?
最終回間際の展開に萌えてエロ書いて久々復帰したら作品スレ落ちてたんで、ここお借りします。
「RD 潜脳調査室」 波留×ミナモ
ガチでやってはいませんが、エロい事はしていますのでエロパロ板に書きに来た。
81歳爺さん(精神年齢は32歳)と15歳女子中学生のカプ成立なんて、このアニメだけだよ全く。
厭ならこの鳥をNGしてください。
テラスに向けて大きく視界が開けているガラス製の窓状の壁面からは、青い海と空とが綺麗に映し出されている。空に浮かぶ太陽は天頂を過ぎ、そろそろ海の水平線へと差しかかろうとしていた。
窓に透過された太陽の光が、事務所の中に降り注いで来ている。部屋にあるいくつかの机の上を光が照らし出しているが、そこにはもう物は何も置かれてはいなかった。大きな端末もメタルへの接続は切られており、何も映し出されていない。
「――これで、あらかた片付きましたね」
一段上にある応接スペースから、白髪の老人が腕を組んで部屋中を見回してそう言った。唇には薄く微笑を浮かべている。
「そうですね」
長い褐色の髪をアップにした私服の少女は、事務スペースにある机の上に置いたバスケットに物をしまい込んでいた。小物や写真立てや卓上の植木鉢など、それらが古新聞で保護されつつもそれなりに大きなバスケットの中に納まってゆく。
「荷物になるでしょうから、後程宅配便でお送りしても良かったんですよ」
「いえ、波留さんに御迷惑は掛けられませんから」
少女はそう言い、右手を顔の前に挙げて横に振ってみせた。これらは彼女の私物であり、その処分は自分でやるべきだと彼女は思ったのだった。
その態度に老人は軽く頷いた。そうすると、後頭部で結ばれた白髪が揺れて首に掛かる。
「そうですか。何にせよお手伝い頂きまして、ありがとうございました。ミナモさん」
「もうかなり片付いてましたから、楽でしたよ」
そのミナモの台詞に、波留は目を細めた。その表情は相変わらず柔和なものである。
「この1週間、自分で色々と処分していましたからね」
「…そうですか」
ミナモは相槌を打つのに、一瞬の間を要していた。私物を片付ける手も一瞬止まる。包んでいる新聞紙がかさりと音を立てた。
「…そろそろ、食器も乾きましたかね」
波留の声が、彼女の上から降り注いでくる。ミナモがそれに顔を上げると、老人は応接スペースの階段を下りてゆく所だった。向こう側のキッチンへと歩みを進めてゆく。
「波留さん」
「ミナモさんは御自分の物を片付けていて下さい。お借りした食器類を持ってきますから」
そう言いながら、ミナモを見る。微笑を浮かべてそう言った。
今日、彼らはこの事務所のテラスでランチを共にしていた。それはミナモが作った料理であり、ふたりでそんな食事をする事も初めてだった。
食器類は波留の事務所にも少しはある。しかしミナモは一部、自分の家から持参して来ていた。もし食器類が足りなかったら大変な事になると思ったからである。
波留が背筋を伸ばして階段を下りる。その様子をミナモは見ていた。老人の背中が部屋の向こう、廊下へと消えてゆく。
ミナモのバスケットは色々なものが満載される事となっていた。
持ち込んだ食材類を全て処理したのはいいが、帰宅する段になって私物類を持ち帰る事になったためである。容量としては、プラスマイナスゼロと言う状況だった。
部屋の中央側に立つ波留は、机の前に居るミナモに対して微笑んでいた。
「今日は本当にお世話になりました。美味しい料理も頂きましたし」
真っ直ぐに立つ波留は、ミナモよりも頭ひとつ背が高い。長身の老人の顔をミナモは少しはにかんで見上げていた。
彼女の視界の隅からはガラス越しに空が感じられる。太陽はまだ丸い光点を保っているが、水面に揺らぎを作り出しつつあった。きらきらとした照り返しが事務所まで通ってきていて、彼女の前に立つ波留にもその陰影を与えている。
静かな部屋だった。何も会話をしない限り、音が響かない。ミナモには自分の鼓動の音がやけにやかましく思えてきた。
もう、やる事がない。ランチの約束はこなしてしまったし、部屋の片付けも終わってしまった。こうなると、もう帰るしかない――彼女はそんな事を思っていた。俯き加減になる。
「ミナモさん」
波留が彼女の名を呼ぶ。相変わらず良い声で、柔和な響きだった。
「あまり遅くならないうちに、お帰りになった方がいいでしょうね」
優しい声で彼はそんな事を言う。しかし、まだそんなに遅い時間ではない。大体、まだ夕焼けにもなっていない。それはミナモにも良く判っていた。
俯いた彼女の顔が僅かに震える。――どうしてそんな事を言うんですか。まだここに居ちゃいけないんですか。そんな言葉が彼女の脳裏をぐるぐると巡る。
「波留さん」
彼女は俯いたまま、短く老人の名を呼んだ。そのまま一歩を踏み出す。ふわりとした足取りで、波留へと自分の身体を導いていた。
彼女の顔がそのまま波留の胸に当たる。アップにした彼女の髪が軽い勢いに揺れた。そして彼女は波留の胸に顔を埋めた。
「ミナモさん」
「波留さん。暫く、こうしていてもいいですか」
波留は何も言わなかった。只そこに立っていた。腕をミナモの身体に伸ばす事もしない。ミナモはそれを良しとして、そのまま波留の胸元に身体を縮こまらせて、しがみ付いた。
それなりのブランド品と思われるジャケットとその下に着ているシャツにミナモの指が絡む。それを彼女はぎゅっと掴んでいた。引き寄せたそこに彼女の顔が埋められている。
ランチの前、ミナモがやって来る頃まで、波留は海沿いの桟橋を延々と走り込んでいた。81歳の老人とは思えないまでに回復した体力を存分に発揮し、更にそれを鍛え上げようとしていた。
その後ミナモと合流し、ミナモが料理をしている間に波留はシャワーを浴びて汗を流し、身支度を整えていた。そのために顔を埋めたミナモには石鹸の良い匂いと綺麗に洗濯された衣服の匂いが伝わってくる。不快感がない。
そんな風にしていると、ミナモは自分の顔が熱い。鼻の奥がつんとしてくる。回復してきているとは言え老人として薄い胸板を感じつつも、顔を上げる訳にはいかないと思っていた。もしそうしてしまったら、波留の顔を見てしまったら、泣いてしまうような気がしたのだ。
とは言え、今でも少しでも気を抜いたら、泣いてしまいそうな気もした。泣いてしまっては、波留の服を汚してしまう。品のある衣服でそれなりの価値がありそうなのだから、そんな事をしてはいけないだろうと彼女は思った。
しかし今でもしっかりと掴んでいるために、シャツなどには皺が寄りつつある。それをいけないと思いつつ、彼女は身体を縮こまらせたまま動けなかった。指に力が入ってしまって、強張って解けない。
不意にミナモは、自分の背に僅かに何かが触れるのを感じた。やんわりとした、滑るような感触。自分の右頬の脇を擦り抜けている存在も感じ取っていた。衣擦れの音とその感触が伝わっている。
波留の右腕が伸ばされていた。その先にある手が、ミナモの背中に回されていた。その手が彼女の背筋をそっと撫で下ろす。スーツ地である彼女の衣服越しに、波留の指の感触がした。
そして掌をそっと背中に押し付ける。軽く熱を持った体温が、衣服越しにではあるがミナモに感じられた。
その感触に、ミナモの中で何かが止まらなくなった。彼女は衝動的に動く事が今までにも多々あった。今回もその一環の行動だった。
ミナモはさっと両腕を伸ばした。波留の両肩に、自らの両手をそれぞれに置く。そのまま一気に伸び上がる。背伸びして爪先立ちをする。
波留とミナモの身長差は17センチ程度だった。彼女はその距離を一気に埋め、波留の唇と自分のそれとを重ねた。老人の男の薄い唇に少女の瑞々しく柔らかい唇がしっかりと押し付けられていた。
しかし、彼女の勢いはすぐに削がれる。伸び上がっていた踵は維持出来ずに降りてしまう。そのまま彼女の唇は波留から離れていった。
ミナモの両足が床を捉える。着地した勢いのまま、彼女は俯いた。波留の視界では彼女の褐色の髪が揺れるばかりだった。そして波留の肩に置かれていた少女の両手も、そのまま滑るように老人の身体をなぞって落ちた。またその胸の辺りのシャツを掴む。
「――波留さん」
少女の口許から、老人の名前が漏れた。小さな声だった。シャツを掴む指に力が入っているのが見て取れる。
「波留さん」
ミナモはその名を連呼する。まるでそれしか喋れないかのように。小さな声ではあるが、そこには切実な響きがあった。
――行かないで。
そう言えたらどんなに楽なのだろうか。ミナモは心の中でそう思っていた。或いは、好きだとか――そんな事を口走ったら、いいのだろうか。
しかし今の彼女にはそんな台詞を口にする事は出来なかった。言ってしまっては駄目なのだと思っていた。もうこの人の傍に居る事は出来ない。それが判っている以上、そんな言葉を言い出しては迷惑なのだ。
とは言え、彼女の心中で渦巻く感情を誤魔化す事は出来なかった。だから、波留の名を呼ぶ事で代償する。ミナモは無自覚ではあったが、そこに全ての感情を込めていた。
「――ミナモさん。落ち着いて下さい」
俯き加減のまま、何度か波留の名前を連呼した頃。ミナモの頭上からそんな言葉が降り注いできた。老人の穏やかな声であり、その台詞の通りに落ち着き払った優しげな調子だった。
しかしミナモは波留の胸元を掴んだままで、顔を上げる事は出来なかった。頑なな指が震えていて、その震えは身体にも伝播しつつある。口の中で小さく波留の名を連呼する。
彼女には自分がもう泣きそうだと言う自覚があった。しかし、未だに頑張って目を瞑ってそれを堪えていた。泣いては迷惑だと痛感していたからだ。しかし、いくら頑張ったとしても、今自分を見下ろしている波留は、きっと困った顔をしているのだろうと思っていた。
既に迷惑を充分に掛けてしまっている。しかし、かと言って、この衝動をどう処理すればいいのか。全く判らなかった。だから硬く目を伏せて、縮こまって震えている。
不意にミナモの両頬に、そこを包み込む感触がした。かさついた肌触りで、軽く骨ばっている感触。それが波留の両手である事をミナモが理解するのにそれ程時間を要する事はなかった。
ともかく波留の両手が、俯き加減のミナモの両頬に添えられている。泣き出しそうな状況だったために、ミナモにとって自らの頬は熱く感じられていた。触れる波留の肌の方に若干の冷たさがある。だから、自分の熱が波留に伝わる事が恥ずかしいような気がした。
波留の手にそっと力が込められる。ミナモの両頬を挟み込んだまま、その顔をそっと上向かせていた。――見られたくない。ミナモは瞬時にそう思い、閉じた瞼に力を込めた。ぎゅっと瞑る。
そんな彼女だったが、額の辺りに軽く何かが触れる感触を覚えた。それはあまり覚えがないような感覚だったために、ミナモは怪訝に思う。薄く瞼を開けてみる。
ぼんやりとした視界の中、波留の顔がすぐそこにあった。背の高い波留が若干屈み込み、彼の顔が最接近している状態であったため、後頭部で纏められた白髪がずれて首筋に掛かりミナモの視界にも入っている。
ミナモは何が起こっているのか一瞬把握出来なかった。しかし、すぐに気付いた。波留は彼女の額に自らの唇を落としていた。
それは軽い口付けであり、ミナモがその行為を自覚した時点で、波留の唇はミナモから離れていた。それでもミナモは思わずその身を硬直させてしまう。連呼していた波留の名も止まり、全てがフリーズする。そして頭に血が上る思いになった。
そんな彼女を知ってか知らずか、顔を離した波留はミナモを見下ろしつつも微笑んでいた。ミナモの頬から右手を離す。指を軽く曲げた状態で彼女の額に伸ばし、口付けた辺りを撫でた。
「――落ち着きましたか?」
そうミナモに告げ、波留はにこやかに笑う。その態度にミナモは戸惑っていた。目を見開き、口を大きく開く。しかし言葉がなかなか出てこない。
「…い、今のは一体どういう事ですか?」
「先のキスのお礼…でしょうか」
ようやくミナモが繰り出してきた台詞に、波留は薄い唇に微笑を浮かべて対処していた。
「…どんな意味があるんですか?」
ミナモのそんな問いに、波留は笑みを苦笑へと変化させていた。何も答えず、ミナモの額を指先で撫でていた。そこに掛かる前髪を軽く払う。
「家族のキスだと思えばいいんでしょうか」
「…そうですね」
ミナモの言葉に波留は苦笑を深めた。右手をそっと上げ、ミナモから離す。その動きにミナモははっとした顔を見せた。切迫したような言葉が口をついて出てくる。
「――厭です、波留さん。私、波留さんのためなら何でも出来ます」
「…何でもって、それは」
波留は短い言葉で対処していた。優しくも苦笑が続けられる。
「波留さんになら、私」
「それ以上は、あなたは言うべきではありませんよ」
何かに突き動かされるように言うミナモに波留の台詞が被せられる。優しく諭すような口調だった。ミナモの左頬に添えたままだった手が、そこを軽く撫でていた。
「そう言う事は、軽い気持ちで言ってはならない事です」
「軽くなんかありません!私、そんな子供じゃないです。皆だってメタ彼と」
「…最近の中学生は、そうなんでしょうか…?」
波留は苦笑を深めていた。確かにメタルでは若年層においても妙な濫用をしている層がある事を、彼は仕事上把握していた。しかし全ての中学生がそれに当て嵌まる訳もなかった。
「でも、ミナモさんは違うでしょう」
どうあっても受け合ってくれない。ミナモはそう感じた。眉を寄せる。また、顔が熱くなってくる。このままではまた泣きそうだと感じていた。唇を噛み締める。
そして彼女はゆっくりと顔を波留に向けていた。最初はおどおどとした感じで、しかしそのうちにしっかりと波留を見据える。
「…波留さん。私じゃ、駄目?」
その時、ミナモは思いつめたような表情をしていた。大きな瞳は歪んでいて、今にも泣き出しそうだった。
波留は彼女の瞳に映る自分の顔を見やっていた。彼女の表情と、自分の顔とを見比べる。必死に縋るような少女の顔と、只苦笑しているだけの自らの老いた顔を。
それを把握した後、波留は何も言わなくなった。只無言でミナモを見ている。その表情から徐々に笑みの成分が失われてゆく。
皺が刻まれた顔ではあるが整った面持ちが真顔になり、ミナモを見下ろしていた。そんな顔から真剣な視線を落とされていると、ミナモは不意に背筋にぞくりとするものを感じていた。
これは、彼の事が怖いのだろうか。それとも別の事なのだろうか。彼女にはそれが判らなかった。
波留の左手はミナモの頬に伸びたままだった。そこを軽く撫でるように数度動かしている。肌が擦れ合う感触がミナモに伝わっていた。
そこに、波留の右手が伸びてきた。そっとミナモの顎に親指を当て、軽く押す。彼女の顎を軽く引いていた。そうする事で彼女の口が半開きになる。ぷっくりとした唇から舌が覗く。
そこに波留は軽く屈み込み、そのままその唇を奪っていた。それもそれだけではなく、開いた隙間から舌を差し込む。
その瞬間、総毛立つ感触がミナモを襲った。彼女の脳が対処し切れない事態に、自身の身体は固まるしかない。その目が見開かれる。そこに映るのは、最接近した波留の顔だった。
ミナモの口や歯列を割って入り込んできた波留の舌が、そのままミナモのそれを絡め取った。怯んだ彼女の舌を追いやり突付き舐め上げる。
口内を犯される感触にミナモは凍り付いている。好き勝手に動かれているために口許に隙間が出来、そこから呼吸が漏れた。しかし波留の手がミナモの顔を支えるように保持しているために、逃さない。口を吸い上げ、口付ける角度を変える。
ミナモは口許が唾液に塗れている事に気付いた。口を塞がれ続けているために、少し息苦しい。しかし何処となく妙な気分になってゆく。呼吸をしようとして、鼻に掛かったような声が漏れた。波留の胸元のシャツを掴んでいた指が、縋りつくような印象に変わってゆく。
波留の右手がミナモの背筋に伸びた。後れ毛に触れ、そのまま首筋から撫で下ろしてゆく。触れるかどうかと言う微妙な感触だった。立てられた指先が背中をやんわりと掻き回し、あちこちに触れる。その感触にもミナモの身体は震えていた。
そのまま波留の手は下りてゆき、ミナモの腰周りに到達していた。そこも今までの調子で撫で回してゆく。
その感触に、ミナモは不意に何かが怖くなった。急に目が覚めたような気分になる。口の中を蹂躙する柔らかな感触が、まるで別の生き物のように感じられた。
思わず波留の胸に置いたミナモの手が、嫌がるようにそこを押していた。すると、波留は素直に身を引いていた。一歩後ろに引き、身体を引き剥がす。屈み込み接近させていた顔を上げ、唇を離した。
舌を引き抜かれる感触にミナモは震えを感じた。唾液が軽く糸を引いて、すぐに途切れた。
「――ほら、やっぱりお厭でしょう」
波留はそう言い、自らの口許を覆い隠すように手を当てて苦笑していた。それはいつもの彼の仕草だった。口許に手の甲を押し付け、軽く拭っているのは違っていたが。
彼のその台詞に、ミナモは頬に紅が差す。一瞬波留を見上げるが、すぐにその顔を俯かせた。また真っ直ぐに見上げる事が恥ずかしく思えたからだった。
「…ごめんなさい」
小さな声がミナモの口から漏れていた。本当に何をやっているのだろうと思った。元々は自分がして欲しいと言った事で、彼はそれに応じてくれただけだろう。なのに、嫌がってしまった。それすらも彼はお見通しだったらしいが――。
「こちらこそ、酷い事をしてしまいました。申し訳ありません」
気遣うような声がミナモの耳に届く。そんな風に謝って貰う資格など、私にはないのに。そんな事を思っていた。彼女は指を波留の胸元のシャツに絡める。すっかり皺が寄ってしまっていた。
「…でも、私、後悔はしてませんよ」
「え?」
波留は怪訝そうな声を上げた。そこにミナモは顔を上げる。濡れた口許を拭う事もせず、ゆっくりと口角を上げてみせる。頬を染めたまま笑みを作り出す。
そうやって笑う事を意識すると、自分の思考もある方向へと定まってゆくような気が、彼女にはした。
「ファーストキスだったんですけど」
「…そうですか」
照れ臭そうに微笑むミナモに、波留も微笑んだ。彼のそれは穏やかであり気遣うようであり――何とも言えない笑みだった。
そんな彼の顔を見ていると、ミナモは何かを感じた。すっかり強張っていた指を解き、波留の胸から剥がす。右手で拳を作り、自らの胸に当てた。勢い込むように言いかける。
「波留さん、私」
「…そろそろ、本当に日も暮れてしまいます。お帰りになった方がいいですよ」
そう言って波留はミナモの台詞を遮る。視線を横にやった。そこにはテラスへ続くガラス製の壁全面の窓が存在しており、そこからはすっかり紅く染まった太陽の光が降り注いで来ていた。太陽は下方を軽く海面へと接触させている。
「波留さん。私の家には誰も居ないんです。ソウタも父さんも、忙しくて最近帰ってきませんから」
それは事実だった。彼女の兄は統括部長代理として多忙な日々をこなしており、父親は今は居ない上司から託された計画を進めていた。そのために、帰宅していない。
元から多忙で家に寄り付かなかった父はともかく、兄が戻ってこないのは、今までになかった事だった。結果的に彼女はこの1週間、孤独な夜を過ごし続けている。
「それでもお帰りになるべきです」
波留は微笑みつつも、そんな風にやんわりと言い続ける。ミナモの言葉を聞き入れない。
「私、ここに泊まっていってもいいんです」
むしろ、そうしたいんです。――彼女はそう言いたかったが、そこまで言い切る事は出来なかった。負担を掛けたくないと言いつつ、何処かで逃げを打とうとしてるのだろうか。そんな事を思う。
いずれ別れが来るならば、彼ともっと一緒に過ごしていたい。彼女の胸に、そんな痛切な想いが去来していた。何もなくていいのだ。只、共に時間を過ごしたい。今まで通りに。或いは、今まで以上に。そんな欲求が只彼女の胸を突いてくる。
そんなミナモを波留は見やった。笑みを浮かべた口許から、軽く溜息めいた息をつく。そして、言った。
「僕は、今晩ここを引き払うつもりなんです」
淡々とした台詞に、ミナモは息を飲んだ。思わず自らの胸にやった手が、落ちる。
確かに今日、片づけを一緒にこなした。しかしそれは、そこまで切羽詰まった事だとは思っていなかった。なのに、本当にこの人は、もう――。
「ですから、あなたはお帰りになって下さい」
波留は笑みを浮かべて言った。それは寂しそうな表情だった。それでも彼はきっぱりとミナモにそう告げていた。
ミナモには、そこに譲歩の意思は見出せなかった。だから彼女は俯くしかなかった。自らの顔が震えるのが判る。唇を噛み締めた。
「…波留さん。お願いがあります」
「何でしょう?」
ミナモとしては、出来る限り感情を押し殺そうとした声を発したつもりだった。そうしなければ泣いてしまうと思ったのだ。それでも声は何処か震えている。
対する波留の声は、相変わらず落ち着いていた。凪いだ海のように揺らがない。それが普段からの彼そのものであり、普段のミナモはそれに安心するはずだった。しかし、今回はどうなのだろう。彼女は自問する。
ミナモは息をつく。大きく呼吸をした。喉の奥が熱くなっていて、そこに空気が張り付く思いがする。つんとしていた鼻にもどうにか息が通った。――私はまだ泣いていない。どうにか大丈夫だ。彼女はそう感じる。
そして彼女は意を決して顔を上げる。顔を上げた勢いに前髪が額を覆い、そしてばらけた。紅潮した頬を晒していると思う。しかしそれでも彼女は波留を見上げていた。
「もう一度――キスしてくれますか?」
その投げ掛けられた台詞に、波留は黙り込んでいた。繕うような笑顔は浮かべない。只、ミナモに視線を落としていた。
しかしそのうちに、彼はミナモに両腕を伸ばしていた。下ろした両腕がそのままミナモの腰に回る。その後ろで彼は両手を重ね、抱き締める格好になった。
その行為にミナモは後ろを振り向き視線を落とす。が、すぐに前を見た。波留を見上げ、嬉しそうに微笑んでいた。若干照れ臭そうな表情を浮かべる。彼女は軽く背伸びする。
両腕を上に伸ばし、波留の肩に掛ける。そのまま彼女は彼の首の後ろで両手を絡めた。結ばれていて首筋に掛かってくる彼の白髪が手に当たり、くすぐったい思いがする。
ふたりは抱き合う格好になる。お互いに軽く腕に力を込め、互いの身体を引き寄せていた。15歳の少女の柔らかく形の良い胸が衣服越しであったとしても、81歳の老人の鍛えられつつも薄い胸板に感じられる。逆もまた然りだった。
そのままふたりはどちらともなく、唇を重ね合った。目を細め、瞼を伏せる。互いの感触を確かめ合う。
室内には静かに夕陽が降り注いでいる。
事務所の玄関はガラス戸の自動ドアだった。そこに波留は立っている。室内側に足を止め、外側に立っているミナモと向かい合っていた。
ミナモは大きなバスケットを肩に提げ、波留に一礼した。
「それじゃ…波留さん」
「ええ」
ミナモの挨拶に波留は笑顔を浮かべて頷いていた。ふたりは「さようなら」とも「またいずれ」とも口にしない。そこには様々な心情が込められており、更には互いにそれを理解していた。
波留はミナモに対し、深々と頭を下げた。右腕を胸に当てて畏まったような一礼を見せる。白髪が首筋を伝い、垂れ下がった。
先に顔を上げたミナモは、バスケットを持ち直す。そしてゆっくりと踵を返し、事務所と波留に背を向けた。確実な歩みで、夕陽が差す外の道へと進んでゆく。
ミナモは淡々と歩みを進めてゆく。その途中でふと、彼女は振り返った。事務所の方を見る。
事務所の自動ドアは既に閉じられていた。夕陽がそこに当たり、煌いている。その光が奥を見通す事を邪魔している。しかし彼女は目を凝らした。
それなりに距離を取っているはずだが、波留は未だにその場所に居た。まだミナモに対して一礼を続けている。
その事実を把握すると、ミナモは込み上げてくるものを感じた。顔が歪み、足が止まる。バスケットの持ち手が肩に食い込んで重い。これ以上進む事が出来ないような気がした。
しかし、彼女はそれらを堪えた。きっと前を見定める。夏の夕暮れの風が彼女の頬をなぶった。俯かず、そのまま一歩を踏み出す。真っ直ぐと歩いていった。
事務所では波留が一礼をする姿勢を保ち続けていた。その胸に当てた彼の右手が、力を込めてそのシャツを鷲掴む。ミナモがそれまでにしがみ付いていたために皺が寄っていた箇所だった。そして彼は、俯いたまま唇を噛み締めていた。
彼のそんな姿を、ミナモは目にする事はない。只、静かに漣の音がふたりの間に響いていた。
今まで家事全般を取り仕切っていた兄の不在は、1週間を迎えていた。しかしミナモもその状況に慣れ始めている。帰宅後、荷物を片付け、干していた洗濯物を取り込んでしまう。
ランチとは言え遅い時間帯になっていたために夕食はどうしようかと考えたが、一応軽く食事を摂った。独り分の料理を作る事は結構な寂しさを覚える。特につい先程、大好きな人間に料理を振る舞ったから、それが際立った。
が、この状況では仕方のない事だと彼女は思う。それに人間、慣れるものなのだと痛感している。
夜も遅くなると、彼女も身支度をして自室に篭る。携帯端末をベッドサイドテーブルに置き、パジャマ姿でベッドに座った。髪を下ろし、楽な格好になる。
室内に視線を巡らせると、ミナモはついつい机の上に置いたものに視線が固定される。それは写真立てや小物類であり、つい先程事務所から持ち帰ってきたものだった。
それを見ていると、また胸が熱くなる。そこを通る息が熱を持つ。彼女は右手を口許に当てた。そして、指で自らの唇をなぞる。
ミナモは、夕方の出来事を思い出していた。――あの感触。何処となく奇妙な感覚を覚えた、あの行為。
いや、私はそれが一体何なのか、理解は出来る。
確かに私は大人ではない。でも、何も知らない子供でもないのだ。
ミナモは溜息をついた。右手を口許に当てたまま、のろのろと左手が動く。躊躇いがちに彼女の身体を彷徨う。
ベッドに伸ばした足を軽く広げた。そのまま左手がゆっくりとパジャマを捲り上げ、下腹部に潜り込んだ。
微かに濡れた感触に、彼女は眉を寄せる。俯き加減に軽く上体を曲げた。滑り込んだ左手が、隠された部分をなぞると、ぬるりとした液体が伝わってきた。口許に当てた右手の指を含む。
そして、彼女は濡れた部分にあてがった指をゆっくりと動かし始めた。
背筋に痺れるような感覚が走る。熱い息が漏れてくる。指先に感じられる小さな粒を押し潰すように擦り上げると、自分の事ながら身体が跳ねた。そのまま身体が横に倒れる。ベッドのスプリングが彼女を受け止めた。
彼女は気持ちの赴くままに体勢を変えた。うつ伏せになり、疼く身体をベッドに押し付ける。まだ熱を持っていなかったベッドの感触が冷たくて気持ち良い。
しかしそれに浸る間も無く、彼女は潜り込ませたままの左手で濡れた箇所を擦り上げる。大きく息をつく。右手を口許から離した。呼吸を確保する。
少女は眉を寄せ、敏感な部分を擦り上げ続ける。悶えるように顔を振ると、長い髪が頬に当たる。それも彼女にとっては刺激になった。粘液が彼女の手を濡らし垂れてくる感触がする。
「…波留さん」
掠れた声で彼女はその名を呼んだ。彷徨うように右手を伸ばす。たわんだシーツを掴む。まるで溺れている人間が何か縋るものを探すように。
指を動かすと粘着質な音が響く。彼女にはそれがやけに大きく聴こえて感じられた。鼻に掛かった声を漏らしつつ、思い切って内部に指を1本だけでも突き入れてみる。
しかし彼女には痛みにも似た違和感しか覚えない。――やっぱり私はまだ子供なのだろうか。眉を寄せつつも少女はそんな事を考えた。仕方なく指を抜き取り、花弁を捲り上げて露になった花芯を弄ぶ事に意識を集中する。
――波留さんなら、どうしてくれるんだろう。唇の感触を思い起こす。好きな人が優しくしてくれたら、大丈夫なのだろうか。熱い息をつく。汗なのか涙なのか、彼女当人には判別がつかない水分が頬を伝った。
じっとりと濡れた部分は広がり、手首まで濡らしている。手を動かすだけでは足りず、足を閉じて密着させて腰を僅かに揺らし始めた。
そこが酷く過敏になって来ると、彼女はいじるのが怖くなってくる。瞼をきつく閉じる。まだ慣れない感覚が彼女の身体に広がってくる。身体が熱い。
「――っ」
ミナモは唇を噛んだ。眉を寄せる。そして手を止めた。潜り込ませたままの左手に粘液が絡み付いている。その付近からじんわりとした感覚が広がってくる。その奇妙な感覚が脳に到達し、弾けた。
呼吸を荒くする。汗を掻いた額に前髪が張り付く。胸が張っているような気がして、パジャマ越しにシーツと擦れるとそれもまた奇妙な感覚を呼び起こした。
すっかり目が潤んでいるらしく、彼女の視界が霞む。彼女はふとその先のベッドサイドテーブルに、携帯端末が転がっているのを見た。
――声が聴きたい。
その欲求が彼女の脳から湧き上がってきた。思わず彼女はそれに従い、右腕を端末に伸ばした。しかし微妙に距離が足りず、届かない。もう少しだと思い、彼女は身体をずらした。
が、その時点で我に帰った。手が彷徨い、携帯端末の脇を掠めてそのまま引いてゆく。
もう、駄目なんだ。波留さんとはもう、話せないんだ。
彼女は、普段は寝る前に彼に連絡を取っていたものだった。そうやって他愛のない会話を交わしていたものだった。それが平穏な日々であり、彼女はそれが何時までも続くものだと思っていた。
しかしそれは、今となっては途切れてしまった。もう終わってしまったのだ。終わらせてしまったのだ。
ずっと傍に居たかったのに。こんなに好きなのに。
でも、私の居る場所は、最早彼の隣には存在しなかった。彼の視線は深海へと向かっている。そこから呼ぶ声に応じようとしている。そんな彼を留める事など、私には出来ない。
ミナモは顔を歪めた。その瞳から涙が溢れてくる。今日はずっと我慢してきたが、遂にここに来て何かが決壊した。
電脳化していたら、この欲求に従ってすぐに電通を試みる事が出来たのだろうか。そうすれば、波留さんは応じてくれたのだろうか。
それとも、今頃はもうあの事務所に居ないはずだから、もう答えてくれないのだろうか。彼女はそんな事を思った。
しかしそうではない彼女なのだから、それは無意味な仮定だった。彼女自身、それが良く判っていた。空しい想いを抱え、彼女は左手を引き抜く。両手でシーツにしがみついた。
それからは涙が止まらない。しゃくり上げる。独りしかいない家の静かな部屋の中、彼女は声を上げて泣いた。まるで子供のように。
そしてその日はやって来る。
以上。場所提供どうも。
ところで事務所のふたりをメタル深層から見ていたら色々な意味でやさぐれた久島の自意識が、
これまたふたりを見ていて色々な意味でむかついたエライザに対してリンクライン伸ばして触手プレイもどきをやらかし、
エライザも煤けたふいんきでそれに戯れてやってるのは、また別の話です。
思うんだが、攻殻スレに落とすべきではなかろうか?
もったいないな。たしかに
>>285 GOD JOB!!感動した!
これ本編にそのまま組みこんでよくね?
ミナモがいい所で怖くなったのは
人がさっきからずっと呼んでるのに女子中学生に手え出してんじゃねえと
怒りの久島が妨害電磁波出してたからだったりしてw
携帯から初めてだから読みにくいかもごめん
元ネタは『観用少女』といっても設定とか世界観ぐらいなんだ
たぶん9レスぐらい?
規制とかひっかからないといいなぁ
微小エロ?・ハッピーじゃないエンド・ロリ
やっと手に入れた。D氏はカラカラと音を立てるグラスを煽る。
織り目の美しい敷かれた絨毯、腰掛けている柔らかく身を受け止める長椅子、
木目の美しいサイドテーブル、磨き上げられたシャンデリア。
この空間を構成する『モノ』は全てが豪奢その一言に尽きる。
D氏が揺らしているグラスも、深い波紋を内包するウィスキーも。
だが、その贅を尽した品々も部屋の真ん中に座る少女に勝ることのできる
『モノ』は何一つありはしないのだ。
『観用少女』――この都市の上流階級、さらにその中でも一握りの人々だけが
手にすることができる『生きているお人形』だ。
毎日飲む人肌に温められた上質のミルク、時折かじる砂糖菓子。
そして持ち主の愛情で形を保ち続ける、不思議な『モノ』……。
話すことはなく、ただただ天使の微笑みを返す、まさに金持ちの道楽としか云えない存在だ。
シルクのドレス、ダイアモンドで飾り、丁寧に髪をすき、薔薇の露で磨いてやる。
時間と労力と金の無駄使いでしかないはずなのに、それこそがスターテスだと求める声は後を絶たない。
そんな少女をようやくD氏は招き入れることができたのだ、喜びは深く、酒も進もうと云うもの。
ただ他の持ち主とD氏はある一点で異なっていた。
少女を『育てる』、そのために迎えたのだと云う点で。
世話の仕方を間違えなければ少女は永くその姿を保ち続ける。
時に愛情が不足して枯れてしまうものなどがいるが、大抵の人間は少女の笑顔に夢中になり、
愛情が増すことはあれ、消えることはない。
ただ、持ち主以外の愛情では満たされない少女が、持ち主の死後、
追うように枯れることがあるぐらいだ。
では『育てる』とはどう云うことか。
数十年前のある日、まだ青年実業家として成功し始めたばかりのD氏は聞いてしまったのだ。
ある都市の富裕層の楽しみ、観用少女は決められたミルクと菓子以外を与えると成長するらしい、と。
人形など生身の女に比べたらと聞き流していたのだが、途端、興味が湧いた。
自分だけに微笑み、自分の好みのように育つ少女。
自分がいなければ死んでしまう少女。
最初はしおらしくしていた癖に際限を知らず贅沢になり、
あれもこれもと欲しがり、自分を縛ろうとする女とは違う存在。
欲しい、欲しい、欲しい。
それからD氏は観用少女のために働き続けた。朝も昼も晩さえも。
情報網を巡らせ、観用少女の取扱店を探しだした頃には随分と年老いていた。
ようやく傍に置けると喜んだのも束の間、店主は飄々とD氏は少女に選ばれなかったので売れないと云う。
少女は眠りから醒めることで持ち主を選ぶのですよ、と。
それでもと望むと、訳ありですがと奥に眠る少女を出してきた。
藤の露を水晶に閉じ込めた瞳、朝陽を糸にした髪、骨が透けたように白い肌、綻びる前の曼珠沙華の唇。
この少女は微睡むことなく、また笑いかけることもないのです、と云う言葉も聞こえず、
小切手にサインをするとそのまま連れて帰った。
噂のような満面の笑みはないが、訳ありというのだ、仕方ない。
少しばかり残念だが手に入れられただけ良いだろう。
カランと氷が音を立て、D氏は回想から浮上した。
目の前では店で見たままの少女が座っている。
グラスを置いて少女に近付いた。
皺の浮かぶ指を絹糸よりも細い髪に絡ませる。感情の籠らない瞳を覗き込む。
少女は自分の意思で動くはずだが、何の抵抗もなくD氏に抱え上げられるままだ。
猫の子より軽い躯をそのままベッドに横たえた。
紫の瞳は天井の模様を映すばかり。
小指の爪より小さなボタンを外し、ゆっくりとドレスを脱がす。
シルクの下着は肌と同じ白さで、銀糸で刺繍が施されている。
それさえも取り去り、D氏は、ほぅ。と息をついた。
しなやかに伸びる四肢も、微かに浮かぶ鎖骨も、なだらかな胸に色付く突起も、
僅かな窪みを見せる臍も、淡い溝も総てが完璧だった。
少女を存分に見つめながらD氏は名前を考える。
運命とも云えるその名を。
すぐに名前は脳裏に煌めいた。何度か呟き、確かめる。
しかし考える必要などなかった。この部屋にはD氏と少女、たった二人しかいないのだから。
シャンデリアの光に浮かんだ躯を静かに指でなぞる。その後を舌でさらに追う。
てらてらと筋が輝いたが、少女はただ虚空を見つめるばかりだった。
D氏はまず、ミルクに蜂蜜を混ぜて与えることから始めた。
少しずつ少しずつ毎食のミルクの際にスプーン一匙増やしていく。
まるで毒でも混ぜてじわりじわりと相手を死に追いやるように。
人肌に温められたそれを少女が飲み干す度にD氏の笑みは深くなる。
一月も過ぎる頃には少女に成長の兆しが現れだした。
専用のミルクと共にドレスを届けにくる店主に勘付かれないよう、
少女を部屋の奥深くに隠し、サイズの合わないドレスを受け取る。
店主が帰ると直ぐ様それを捨てた。
少女の美しい躯を包み遮る物などくだらないだけだ。
閉ざされた世界にドレスが何の意味を持つだろうか。
毎夜D氏は少女を指と舌とで愛した。
最初は僅かな変化さえ見せなかった未熟な蕾が次第に緩み、綻ぶ様に酔う。
未だに瞳はD氏を映さず、抵抗どころか瞬き一つさえすることがない。
しかし四肢が伸び行くほどにまろやかさを帯びる様子だけで十分だった。
何時しかミルクの半分は蜂蜜となり、砂糖菓子の量は増えていた。
日々少女は育ち続ける。
控え目ながら確かに掌を押し返す胸の膨らみ。
その頂きへ執拗なまでに舌で刺激を与える。
仔兎が身震いする様な少女の反応にD氏は益々満足すると、
簡単に掴むことのできる脚の爪先から指の股にまで唾液を摺り込んだ。
そのまま上へ上へとしかしじりじりと登り、淡い茂みを芽生え始めた場所へと辿り着く。
ゆっくりと舌を滑り込ませると、甘い香りが鼻孔に届いた。
生身の女とは違い、甘い物しか口にしない少女からは、本当に蜜としか云えない味がする。
ずっずずっと音をさせて吸い込む度に押さえた脚が震えた。
初めはさらさらとした滑らかな感触しか返さなかった場所だが、
日々の積み重ねでまさに蜜壷へと成長していた。
暖房だけでは防げない外気の冷たさに粟立った肌に頬擦りする。
少女は言葉を紡がない唇から浅い呼吸を繰り返す。
この部屋へ連れてきた頃はまだ十にも満たない姿だった少女は、
季節を一つ跨ぎ、昼が短くなった今では十四、五に見える程となっていた。
しかし少女の瞳は変わらない。
また夜が始まる。
D氏は少女に甘い甘いミルクを与え、薔薇の香りの湯に入れてやる。
壊れ物の様に丁寧にベッドへ運び髪をすいた。
骨の白さはそのままに、滑らかに艶やかに広がる背中に口付ける。
首筋も太股も乳房も何度触れても飽きない不思議。
少し乱暴に指を動かすと小鳥の様に、あ、あ、と鳴いた。
初めて聞いた少女の声は美しいソプラノで、何時しかその瞳に映ることは諦めてしまった。
鋭く冷える晩のこと。
いつもの様に少女を愛しながらD氏はグラスを傾けていた。
ふ、と少女に呼ばれた気がして顏を向ける。
そんなはずないと思いながら少女の視線追うと、カーテンの隙間から雪が降っていた。
初めて繋がりが出来た様でD氏は少女が雪を良く見れるようにと、
立ち上がり窓辺へと歩み寄り、カーテンだけでなく、窓を開け放つ。
銀世界が街灯に輝き、冷気が体温をみるみるうちに奪った。
それでもこうしている間は少女の視界に存在している様に思え、
今まで感じたことのない高揚がD氏を強く包んだ。
ゆっくりと振り返ると想像の中の少女と一寸たりとも違わない姿がある。
二対の藤の水晶に捕えられて、D氏は震えた。
ああ、と言葉にならない声が漏れる。
夢を見ている気持ちで一歩踏み出した瞬間、胸違和感を感じる。
締め付けられる痛みに崩れそうになりながら、薬のある戸棚を目の端で見つけるが、
誘うように両腕を広げた少女を選んだ。
荒い息で這いずりながらベッドに辿り着く。撫で付けた白髪も乱れたままに少女へ手を伸ばした。
霞む視界の中でも微笑む少女はとてもとても美しく、D氏は自らの願望が叶った事を知る。
ああ、私の綺麗な綺麗なお人形。愛しているよ螢雪。
遠のいていく意識とその鼓膜に少女の、さようなら。と云う言葉は届いただろうか。
微かに触れ合った指先が、力を失いシーツへ落ちた。
雪の止んだ翌朝、食事を取りに降りて来ないD氏を気遣い、
長男がメイドと共に部屋のドアを開けると、
晩のうちに吹き込んだ雪で白く輝く室内に変わり果てた主の姿と、微笑む少女があった。
部屋へ踏み込もうとした長男を少女は見やると、焦点の合わない夢見る瞳で笑みを残し、
朝陽に溶け込み元から存在しなかったかの様に『枯れ』てしまったと云う。
fin
慣れないことはしちゃいけないね
エロくなくてごめん
ありがとう!
おお、まさかプランツとは…
GJと言わざるを得ない
すげーGJ!
今更LIVE A LIVEで投下させてくださいな
おぼろ丸×レイ 内容は純愛だと思われま
次から投下入ります
この世界は一切時間が動いていないように思えた。
暑くもなく寒くもなく、風も吹かず雨も降らない。
ただどんよりと重く濁った灰色の雲を空に立ち込めているだけである。
更には──日の出も日の入りも、見られることはなかった。
「どうなってんだろーな、この世界は」
額に伝う汗をその手で拭いながら、仲間の、
強いてはこの世界の唯一の紅一点、レイ・クウゴがぽつりと呟いた。
しかし女性と言っても心山拳師範。少し大きめの中華服に包まれたその身は華奢だが、
拳法に置いて彼女に勝る男はこの面子にはいない。
「時間の流れがわかんねぇのが問題だな」
言ってチッ、と軽く舌打ちをしたのは高原日勝。
彼の時代では最強の格闘家として名を馳せていたらしい。
実際その驚異的な体力と技に他の者は何度も助けられていた。
ただどうも天然な所があるらしく───、
・・・まぁそれはそれで場の雰囲気を和ませるのに一役買っているのだが。
「俺はそろそろ休憩してーんだけど。流石に疲れたわ」
溜め息を尽きながら近くの切り株に腰を下ろす。
疲弊した様子で心持ち肩を下ろしている彼は田所アキラだ。
恐らくこの面子で最年少だと思われる。特に身体能力で目立った点はないが、
彼には超能力という特殊な能力があった。
ただそんな能力よりも彼の派手すぎる外見の方が皆を驚かせていたのは言うまでもない。
「何いってんだい!早く元の世界に帰りたいなら少しでも動かないと!
・・・ここに来てから随分経ってるんだ。休んでる暇はないよ!」
レイが激を飛ばす。実際この世界に来てから日にちの感覚はないものの、
かなりの時間が経っているのは明らかだ。更には人外の魔物と無人の町並み。
多少焦る事にも無理がないと言えよう。
「そうだな。それにこの世界には強いわけのわからん生き物が沢山いる。
あいつらともっと戦って己の拳を鍛えないと!」
「「・・・・・・。」」
バンテージを巻いた拳を景気良く突き上げる日勝を、残りの二人は半眼で見つめた。
「・・・ま、まあまだあいつも戻って来ないし、それまでは休んどくが吉さね、うん」
「・・・だな。少しでも体力は温存すべきだ」
「なんだ二人とも疲れているのか。それなら仕方がないな!」
至極爽やかに言うと、日勝はそれが当然であるかのように、
座っている二人の横で筋力トレーニングを始める。
「お、おい・・・」
彼に何か言おうとしたアキラを、レイは視線で軽く止める。
「言っても無駄ってもんさ」
「・・・・・・そうだな」
それ以降会話はなく、ただ日勝の腹筋を鍛える音だけが辺りに流れた。
──と、不意に黒い影がさっと三人の前に落ちてくる。
「待たせたな」
皆に聞こえるか聞こえないかの声量で、その影は姿を現す。
「いや、そう長い時間でもなかったぜ。で、他のみんなはどうだった?」
一瞬敵の襲撃かと驚いたものの、仲間の帰還に胸を撫で下ろしながら
アキラは舞い降りた彼に尋ねた。
「うむ、特に異常はなく、皆生存しておる。ポゴ殿から肉をいただいた。分け前のようだ」
言って皆の前に大きな包みを差し出す。全員で食しても満足できそうなその量に、
ここに来てから十分な食料を得ていない三人は思わず喉を鳴らした。
「ふむ・・・。今日はもう半日は動いたであろう。鍵の洞窟に水路のある小部屋がござった。
とりあえずそこで野営と致そう。」
「げー、あそこまで行くのかよ〜」
思わず愚痴を漏らすアキラに、彼はさらりと返す。
「時の感覚のない体には闇で休息を取る事も必要でござろう。
なに、交代で見張れば不意に襲われる事はござらぬ」
まあ一理あるなと独りごちながら、それでもアキラは渋々彼の後に続いた。
それを追って残りの二人も後ろについてくる。
薄霧流れる森の中、四人の足は城下町へと向かっていた。
彼の名はおぼろ丸。四人目の仲間、ではなく仲間を集めた最初の人間と言った方が正しい。
忍で様々な密命をこなして来た彼も、流石にこの世界には戸惑った。
とにかく元の世界に戻る手がかりを探さねばと彷徨う内に今共に行動する三人と、
他の場所で待機している三人(内一人?はからくり)を見つけたものの。
誰一人として自分と同じ世界、時代にいた者ではなかった。
それぞれの者に彼らがいた時代と特技を聞いて回ったのだが、
どうも長期戦となりそうなこの世界において食料調達や野営を的確に指示できるのは、
自分とあと一人、銃士と言ったか──、サンダウンだけのようであった。
故に彼は連れて来ていない。自分が死んだ時の為の保険だ。
勿論、おぼろ丸自身もこんなわけのわからぬ世界で死ぬ気などさらさらないのだが。
ないのだが──、・・・迫り来る敵はどれも強敵で、人外未知の生物ばかりであった。
それでも、──と、彼は辺りを見回す。
起こした火を囲むようにしてそれぞれの格好で眠っている仲間達。
交代で見張って休息を取るとはいったものの、慣れない世界に感覚のない時の流れ。
肉体的にも精神的にも相当疲弊していたのだろう。
そこに久しぶりの充実した食料を摂取すれば眠くなってしまっても仕方がない。
皆の寝息が響く洞窟の小部屋で、おぼろ丸は思わず苦笑した。
実際皆頼りになる者ばかりであった。
体力力と共に誰よりも秀でている日勝は戦闘の要であるし、
柔軟な技と驚異的な速さを持つレイは補佐としても火力としても使える。
体力に不足があるアキラは、故に第一線は維持できぬものの、
自分とレイで上手く補佐すれば敵を混乱させ、弱体化に導くことができた。
更に彼は特殊な神通力を持ち合わせているため、皆をまとめる事がとても上手かった。
だから彼は、これまで単独行動が多かった経験故にどうしたらよいものかと
頭を悩ませていたおぼろ丸にとって、非常に有益な人材だった。
全く困った世界だが悪くないこともある──、おぼろ丸は思う。
心身共に強い者に、こんなにも出会えたこと。本当に貴重な経験である。
だがしかし。
(そろそろ決着をつけねばならぬな・・・)
決別の時を考えると惜しいものもあるが、自分には自分の時代でやるべき事がある。
岩間様に良く似たあの大きな魚──、アムルクレチアの言によると、
人のような気配がするのはこの城下町の北東にある大きな洞窟のみ。
なればそこに各々の時代に戻れる鍵があると見て良いだろう。
「どうしたんだい?小難しい顔してさ」
思考を巡らしていた不意に、目を覚ましたのか仲間の一人から声が掛かった。
「悪かったね、交代で見張るって言ったのに寝ちゃって」
少しバツの悪そうな顔をしながら、レイはおぼろ丸の隣に座った。
「問題ござらぬ。・・・皆疲れておるのだ、
せめて少しくらいはゆっくりさせてやっても良かろう」
「あんたねえ、あんただって疲れてるのは同じだろう?
だったら平等に休むのが当然じゃないかい!」
むっとするレイに、おぼろ丸は冷静に返事をする。
「レイ殿。然様に大声を出されては皆が目を覚ますではござらぬか」
その言葉で更に彼女は機嫌を損ねてしまった。
「はいはい悪かったよ!
けどこういう所で我慢されてあんたに死なれても困るのはあたいらなんだからね!」
普段ならここでまあまあ、と仲介を買って出るアキラが寝ているため、
おぼろ丸は暫く一方的な彼女の説教をひたすら聞く羽目になってしまう。
しかし彼は悪い気はしなかった。
彼女の言は、言い方は荒いが自分や仲間を案じてのことである。
生まれてからこの歳まで忍の世界にいたおぼろ丸にとって、
自分や他人の身を案じる事等全くなかったのだ。
実力主義故に代わりも多い。死は弱者である事の必然。
更には自分の死前提で果たさねばならぬ任務もあった。
最初は皆共に互いの心配をする様を不思議に思ったり、むず痒く感じたものの、
今となってはそれが彼にはどことなく心地よいものに思えた。
「何笑ってるんだい!こっちは怒ってるってのに。気持ち悪いねぇ」
レイの言葉で我に返る。自分でも気づいていなかったので思わず視線を返すと、
「その布の端っこが三日月に歪んだんだよ!隠してたって分かるんだからね!」
と一応小声ではあるがさも不愉快そうに言われた。
「済まぬ」
とりあえず謝ってみると。
「なんで謝るんだい笑ったくらいでさ」
また怒られてしまった。
未だごにょごにょと口を歪ませている彼女を横目で見ながら、おぼろ丸は再び苦笑する。
口煩いものの、彼は彼女のことを存外嫌ってはいない。
それまで彼が見てきた女は、色を使っての任務を主にするくのいちや、
権力を持つ男に縋って生きる姫君ばかりであった。
自分の持つ純粋な力で生き抜く彼女は彼にとって新鮮で、また清々しくも思えた。
「レイ殿の心遣い、有難く思う」
本当はもっと自分を案じてくれている事をとても嬉しく思っていることを
色濃く言葉に表したいのだが、いつも必要以上の言葉を用いない性格の所為か、
おぼろ丸にとってこれが精一杯の謝辞だった。
また怒られるのだろうかと思ってちらりとレイを見やると、
彼女は意外なことに驚いた顔をしていた。
「・・・驚いたね、あんたからそんな言葉が出るなんて」
「むう・・・」
そんなことはない、以前からとても有難いと思っていた──、と言えば良かったのだと、
一言発した後に気づくも後の祭りである。
自分の口ベタを苦々しく思いながら、気まずさを感じておぼろ丸は彼女から目を背けた。
代わりに彼女が欲しがっていそうな言葉を考えてみる。
「その心遣いに甘えさせてもらう。暫くしたら見張りを交代してはくれぬか」
もう一度視線を向けると、今度は、───笑っていた。
「うん、分かったよ」
自分を信じてくれた事に嬉しそうなその笑みは焚き火の暖かい色に美しく照らされて、
どういうわけかおぼろ丸にそれまで経験した事の無い感情を持たせた。
強い意志を宿した大きな瞳。薄く朱に染まった柔らかそうな唇。優しい笑顔──・・・。
(・・・なんだこれは)
彼が逡巡している間に、また彼女の説教が始まる。
大体あんたはなんでも一人でやろうとしすぎだとか、顔を見せないのは良くないとか
色々と言っているのは聞こえたが、とりあえず聞いておくふりをしておく。
──と、不意に自分の第六巻に危険が閃いた。
未だ呑気に彼に説教を続けるレイの口を押さえつける。
予期せぬ反撃に不意を突かれたレイの体はそのまま床に倒れ、
まるで押し倒されたような形になってしまう。
ごん、と鈍い音が響いてレイの頭が床に打ちつけられたのだと分かったが、
おぼろ丸にそれを謝る暇はなかった。
抗議しようとしてくるレイの口を更に強く押さえ、小声で囁く。
「・・・気配を殺せ」
彼が胸元から暗器を取り出した所で漸くレイも合点がいき、ぱたりと体の動きを止める。
後は二人ともひたすら扉の向こうの『何か』に悟られないように息を殺すだけだった。
扉の向こうからずる・・・ずる・・・と蛇が這うような重たい音が聞こえ、
──それはやがて扉の前をゆっくりと通り過ぎていった。
完全に音が聞こえなくなって、更に暫くしてから二人は漸く息を吐く。
「あー、・・・油断してたよ、済まなかった」
開放された口を小さく動かしながら、ぼやくようにしてレイが言う。
打った頭は油断していた自分の自業自得だとでも思っているのか、
おぼろ丸を咎める事も無く、悔しそうにさするだけだった。
そしておぼろ丸の方は──、
事故とはいえ押さえつけてしまった彼女の唇。それと手首。
その柔らかさと細さに、罪悪感と疼きを覚えていた。
「・・・・・・?」
疑問符を視線で投げかけてくるレイ。真下にある彼女の体は自分よりもかなりか細い。
近くに寄った事で初めて感じる彼女の体温と仄かな甘い匂い。
「これは・・・?」
レイの頬にある十字の傷が気になり、握り締めていた彼女の手首を解いてそっと触れる。
ぴくりとレイは身じろぎしてしまう。
「あ、ああ・・・。拳法を始める前の昔の古傷さ。大した事じゃあないんだけどね」
おぼろ丸の雰囲気がいつもと違うのを感じながらも、
とりあえず彼女は普段通りに振舞ってみる。
「・・・もういいだろ?そろそろどいてくれないもんかね」
その言葉には答えずに、おぼろ丸は自分の口元を隠す布を引き下げ
素早く彼女に口付けた。
──静寂が流れる。
一瞬何をされたのか判らなかったのかただただ驚いた表情を浮かべるレイの顔色は、
次第に赤く染まってしまう。困った様な顔をして俯く彼女が可愛らしくて、
おぼろ丸はもう一度唇を重ねた。
再び押さえつけた彼女の手は、ぎゅっと彼の腕を握りはするものの抵抗はない。
それが不思議に思えて、唇を離して彼女を見つめる。
「な、なんだよ・・・」
ふて腐れた様にそれだけ言って、レイはおぼろ丸から視線を逸らした。
(・・・嫌がっておらぬ・・・?)
何故だか全く分からなくて、今度は多少乱暴に唇を押し付け、強引に舌を絡めてみる。
「!!・・・っ、ふ・・・」
今まで聞いた事の無いような小さな悲鳴がレイから漏れる。
それでもやはり抵抗はない。舌先でちろりと上の歯肉をなぞってやると、
レイの体がびくりと震えた。
更に生暖かい舌を自分のそれで舐めていると、驚いたことに彼女のほうからも、
恐る恐るではあるが舌を絡ませてきた。
不器用ではあるがおぼろ丸がした事を同じように返してくる彼女が、
とても健気なようで彼の胸を高鳴らせる。
互いの唾液塗れになった唇を名残惜しくも離し、彼はレイに問う。
「何故嫌がらぬ」
レイは心底呆れた顔で彼を見つめた。思わず怒鳴りそうになるが、
おぼろ丸の彼女を見つめる目は静かながらも真剣な光を燈していたので、
仕方なく呟く。
「・・・嫌じゃないからに決まってんだろ」
しかしその答えはおぼろ丸にとって答えにはなってなかったようで。
「・・・何故嫌ではないのか?」
これには流石のレイも溜め息をつき、ぺちりと彼の頬を優しく叩いた。
「あんたは女にそれを言わせる程無粋な男かい?」
自分を睨みつける彼女を見つめながら逡巡し、漸くおぼろ丸が口を開く。
「・・・悪趣味でござるな」
「自分で言うかね・・・。まああたいもそう思うよ」
けっ、っと自嘲するレイの頭を優しく撫でながらおぼろ丸は精一杯、
自分なりに微笑んだ。
「お主に、惚れ申した」
その笑顔はずるいと、レイは思った。
既にいびきさえかき始めて熟睡している二人を見やりながら、
これならまだ暫くは起きないかな、と思いつつもやはりどこか不安になる。
下に敷く布もないので体を痛められては困ると胡坐の上に座らされ、情事は始まった。
男の割には細っこいとおぼろ丸を見縊っている所があったレイだが、
その体に抱きしめられてやっぱり自分より作りが大き目な腕や胸にガラも無く緊張した。
最初は得体の知れぬ姿や術で不気味に思ったものの、その知恵や技は頼りになった。
こうして食料を得、定期的に休息を取れるのは、
彼のお陰に他ならないとレイは分かっていた。
ただおぼろ丸の、もうクセにさえなっているような自分の身を顧みない戦い方や考え方は、
レイにとって不愉快だった。守ってあげたい、そう思った。
(だからあんたに惚れたのかもしれないね・・・)
自分の身を飽きることなくひたすらに抱きしめる彼の紫紺の髪を優しく撫でながら、
レイは悪戯っぽく囁いた。
「あんただって相当な悪趣味さね」
既に口元を隠していた布がないおぼろ丸の表情は、やはりころころと変わる物ではないが
それでも以前よりかは幾分、読み易い。
眉根を寄せて口を噤むその様は、怒っているのではなく
むしろ照れているのだろうとレイは思った。
意地悪いレイの微笑にて自分の心中を読まれたのが分かったおぼろ丸は、
なんとなく悔しくなってそれを紛らわすかのようにレイの胸元を肌蹴させる。
ほっそりとした首と薄く浮き上がった鎖骨が露になる。乳房はさらしで固められていた。
それを彼は器用に解いていく。
これから全部見られてしまうのかと思うと緊張して、それを悟られないようにか
自然とレイの口が回ってしまう。
「あ、あんたってさぁ、やっぱりキレイな顔してたんだね。
ちょっと気になってたんだ、その布の下どうなってんのかなって」
レイの予想以上に、おぼろ丸は整った顔立ちをしていた。
元々切れ長の鋭い視線だけでもそんな気配はしていたが、改めてみるとやはり見惚れる。
が、おぼろ丸は苦笑する。
「拙者の口が裂けている等とでも思っておったでござるか?」
「・・・・・・。」
男っていうのは馬鹿が多いのかもしれないとレイは思った。
さらしから開放されたレイの乳房は、大きめではないが確かな質感を持ち、
彼女の細い上半身にふるりと実っていた。
「・・・じろじろ見るんじゃないよ」
おぼろ丸の視線に恥じらいを感じたレイは両手でそれを隠そうとする。
しかしそうするよりも彼の手がそこに触れる方が早かった。
「あ・・・」
困った様に声を上げるレイの頬に唇を寄せながら、両手でふにふにとそれを揉みしだく。
暖かくしっとりとした感触が手から彼の本能を刺激する。
次第に硬くなる乳房の先端を摘み、或いは爪で引っかくように擦ると、
レイの体がびくりと震えた。
「や・・・っ、」
普段とは想像もつかないような、まるで小動物の鳴き声のような声。
顔を真っ赤にして堪えるレイをもっと苛めたくなって、彼は彼女を抱き寄せた。
「ん・・・、は、ぁん・・・!」
首筋から鎖骨を焦らす様にじっとりと舐め上げ、漸く乳房に辿り着く。
その薄桃色の先を指で苛め、舌で舐り、軽く甘噛みする。
更にはその白い柔肌にかぶりつき、何度も何度も赤い跡を残す。
「こ、こんなのつけたら・・・」
「誰かに見られるわけでもなかろう?」
戸惑うレイを尻目におぼろ丸は朱色の刻印を落とす。
「や・・・、こ、こまる・・・、ぅ、あ・・・!」
「・・・それは済まぬ」
すっかり硬くなった乳房の先端をぐりぐりと親指で押しつけると、
ひあ、と一層高くレイが鳴いた。
もっと素肌を重ねたいとは思うものの、寝ている二人の存在はやはり頭から離れない。
仕方なく自分の着物の前だけ肌蹴させレイを抱きしめる。
彼女の暖かい体温と、少し汗ばんだ肌が吸い付くように
彼の胸板に押しつけられる。
「ん・・・」
今度は躊躇うことなく自分の背に腕が回された事を嬉しく思いながら、
おぼろ丸は顔をあげて催促された口付けに乱暴に答えた。
切なげに赤く染まったレイの体は、すでにあちこちをおぼろ丸に蹂躙され、
すっかり蜜を垂らし、熟れていた。
壁にもたれかかり、前だけ肌蹴られたその体はくたりと力無く投げ出され、
ただ胸だけが息荒く上下に動いている。
全裸でないのが返って艶かしい、と思いながら
おぼろ丸はそっと彼女の下半身に手を触れた。
「う・・・」
大き目の拳法服に手をかけると恥ずかしげにレイが抵抗する。
しかし視線を合わせてみると、彼女は観念したように体から力を抜いた。
自分の顔は今もしかして獣のように飢えた顔をしているのかと思うと、
されるがままに身を委ねてくれたレイになんとなく罪悪感を覚える。
が、下半身の拳法服を脱がせ、更に最後の下穿きも取ると、
そんな些細な罪悪感などあっと言う間に消し飛んでしまう。
レイの秘部はそれまでの快感で溢れる様に蜜を零し、その花弁を濡らしていた。
「ひ・・・ぅ」
思わずその鹿の様にしなやかな両の足を開かせ、覗くと、レイは顔を真っ赤にして俯く。
「なんで、そんなに見るのさあ・・・!」
再び目線を合わせると、レイは苦虫を噛み潰した様な顔をして、
やはり仕方なく瞼を閉じてしまう。
そんなに怯えさせてしまったのだろうかと、今度はおぼろ丸が心配する番だった。
「拙者が怖いか?」
自分勝手に行為を進めてしまったかと自責の念を感じながら掠れた声で訊ねると、
レイは一瞬驚いて、呆れた様に微笑んだ。
「馬鹿だねえ、そんなことあるわけないじゃないかい」
まさか自分の恥部を見られるのが恥ずかしくて抵抗しようとしても、
その度に重なる彼の視線が切なげで、普段との落差に可愛らしさを感じて
ついつい許してしまうとは死んでもいえない。
「・・・馬鹿だねぇ」
それでも心配してくれた事が嬉しくてそっとおぼろ丸に口付ける。
人を寄せつける雰囲気を全く持たない彼がこんなにも自分を案じてくれる事が、
嬉しく、だからこそ愛しいと思えた。
水の流れる音に混じってぴちゃぴちゃと飛沫のような音も聞こえる。
「ふ・・・、ぁ、・・・んんっ、・・・っは・・・」
そして快楽にすすり鳴く女の声も。
すっかり濡れそぼったレイの蜜壷は、おぼろ丸の指の一、二本等簡単に飲み込んでしまう。
指を中で動かす度ににちゃにちゃと蜜が音を立て、絡みつく。
弛緩しきった彼女の体は、刺激の度にびくびくと身を捩り困った様に震える。
その妖しい仕草におぼろ丸の理性も瓦解しかかっていた。
───可愛い。愛らしい。思いっ切り鳴かせてみたい。
蜜壷の上にある肉芽に指を這わせ、芽を剥き、その実を擦るとレイが仰け反った。
「ん・・・!あ、っ・・・、ひぁ!」
大きく声を上げたのはほんの一瞬で、後は口をぱくぱくとさせながら必死に堪える。
彼女もやはり他の仲間の存在故に声は上げられない。
その懸命な姿に己を昂ぶらせながら、レイの唇を自分の唇で塞ぐ。
「ん・・・!ふむぅ・・・!ふ・・・、んっ、んんっ・・・!」
忙しく蜜壷をかき混ぜながら一方の指で肉芽を爪先で苛め続けると、程なくレイは果てた。
「はぅん・・・っ・・・!」
白い足がびくりと跳ね、ぐたりと床に落ちる。
「あ・・・ん・・・」
涙の滲んだ瞳は蕩けた様な光を宿し、暫く眩しそうに細められた。
ぐちょぐちょに濡れ、充血した秘部から指を抜くと名残惜しそうなレイの溜め息が漏れる。
普段の勝気な彼女からは想像も出来ないような妖艶なしどけない姿。
その激しい落差におぼろ丸は一層胸を高鳴らせてしまう。
未だ羽織っている拳法服の上着の大きめな裾で、二人の唾液に塗れた口の周りを
こしこしと拭いているレイを可愛らしく思いながら、
おぼろ丸は彼女を抱き寄せ、再び自分の膝の上に導いた。
「・・・・・・」
それから良い言葉が見つからず、どうしたものかと困りながら彼女の髪を弄っていると、
レイがそっと彼を抱きしめ、耳元で囁いた。
「・・・来なよ。あんただって男だろう?」
「むう・・・」
意外に大胆な彼女を心底有難く思いながら、
おぼろ丸は充分に硬くなった己を下穿きから取り出した。
眠っている彼らにでさえ彼女の痴態を見せたくないと思ってしまうのは、
もしかして自分は相当独占欲が深いのかと思ってしまう。
・・・それでも思ってしまうものは仕方ない。
無造作に寝ている二人に背を向け、レイを前に座らせる。
これでもし起きて見えてもせいぜい素足くらいのものであろう。
「ぅ・・・、んは・・・!」
じりじりと自分の胎内に侵入してきた彼の一物に、レイは圧迫感と
それ故に自分の中が一杯に満たされる快楽で思わず声を上げた。
「・・・っふ・・・、」
おぼろ丸もまた、自分を包み込む暖かい肉壁と、どろどろに絡まる蜜の所為で
ぽつりと呻いてしまう。
全部入ってから一呼吸置いて、おぼろ丸はがしがしと腰を動かし始めた。
「んっ、はっ、・・・ぅんっ!は・・・ぅ!」
出来るだけ声を出さないようにと我慢しているものの、貫かれる快感には
どうしても抗う事ができず、彼女は小さな悲鳴をいくつか漏らしてしまう。
涎を零しながらも必死に声を堪えるレイのその健気な姿は、
おぼろ丸の嗜虐心に火をつけた。
敢えて肉がぶつかるように体を揺らしながら耐えるレイの耳元で囁く。
「唯でさえ音が激しいのに、然様に声を出されては二人が起きてしまうやもしれぬ・・・」
そこでレイはあまり気づかなかった自分たちが出している音に耳を傾けてしまう。
ぱちん、ぱちんと尻を叩くような音と、二人の体液でとろとろに蕩けた結合部が
放つ卑猥な音にすぐ気づき、彼女は一層顔を赤くした。
その隙に彼女をぐっと引き寄せ一番奥深くまで貫くと、
不意の攻撃に思わず強めの嬌声が上がった。
「あは・・・ん!はぅ、・・・ん・・・!!」
「だから・・・」
意地悪く先程の言葉を繰り返そうとすると、今にも泣き出しそうな顔でレイが訴えた。
「だって、こんなの・・・!・・・ひどいじゃないかい・・・!」
その切ない表情が余りにもいじらしく思えて、堪らずおぼろ丸はレイを抱きしめた。
そのまま何度も激しく唇を重ね、今度は立ち上がって腰を動かす。
「やっ・・・!落ちちまうよ・・・!」
背中を壁に押し付けられながらも浮いたままの格好での情事は不安定で、
レイは思わず落とされないようにと彼の首に必死で腕を回す。
「腕を離さなければ良い・・・」
細身の彼女の体は軽い。おぼろ丸はレイの下半身をしっかりと抱き上げ、
壊してしまいそうなくらいに腰を打ちつける。
「うぁ・・・、あぁっ・・・!」
か細いレイの足が、反動で何度もおぼろ丸の背にぶつかった。
「あんた・・・底なしかい・・・?」
息も絶え絶えと言った様子で呟くレイに、おぼろ丸は返事をしなかった。
何度も体位を変え、攻め立てるうちに彼女は何度も果ててしまったのである。
対するおぼろ丸と言えば、特に変わった様子もなく彼女の急所を突いて来る。
レイから見ればまさに言った言葉通りにしか見えなかった。
しかしそれは的外れな言葉であった。
おぼろ丸は彼女を出来るだけ悦ばせようと、何度も何度も迫り来る絶頂感を堪え、
覚えたばかりのレイの弱点を攻め続けたのである。
既に彼女の蜜は自分の太ももまで濡らすほどに溢れている。
これならば満足させられたかもしれないと胸中で一人頷きながら、
再び彼女を抱き、その腰を宙に浮かせる。
「・・・今度は、拙者が、・・・・・・」
そこまで言ってレイを見やると、彼女は潤んだ瞳をきらきらと輝かせながら微笑んでいた。
「うん。・・・来なよ」
「・・・・・・嬉しく、思う」
もっと嬉しいという気持ちを伝えたくても、彼が言うことができたのは結局これだけ。
こんな自分惚れるなんて、彼女は本当に悪趣味だと胸中で苦笑しながら、
今度は自分が果てる為に乱暴に腰を動かした。
がしがしと奥まで何度も貫かれ、レイは堪らず喉を反らして涙を零す。
「・・・っ、・・・んっ、ふ、んんっ、・・・は!うぅん・・・!」
我慢しつつも甘い吐息と共に漏れるレイの声が耳に入り、一層彼の欲望に火がついた。
もう彼女を気遣う事もなく夢中で中を蹂躙する。
赤い跡が沢山ついた彼女の柔らかい胸に顔を押しつけながら、
おぼろ丸はそろそろ白む頭に抗うことなく身を委ね、一心に腰を振る。
「ふ、ぁ・・・、あん・・・!ひ・・・、あぅ・・・!やぁ・・・ん!・・・ああっ・・・!」
「う・・・」
びくりと自分の体が震えるのが分かる。そのまま力が抜けていくように、
彼の白濁液がどろどろと彼女の胎内に吐き出された。
「・・・びくびくしてる」
「むう・・・」
生理現象とはいえ気恥ずかしい思いをしながら、物珍しそうに自分を見上げる
レイの視線におぼろ丸は目を瞑って耐えた。
全部出し切った後にずるりと一物を引き出すと、同時にどろりと濁った液が
彼女の胎内から零れ落ちた。
「あちゃー・・・」
「・・・申し訳ない」
なんだか汚してしまったような気がして謝ると、
レイは再びどうして謝るのかと頬を膨らませた。
悦ばせることが出来たのは良かったが、やはり多少無理をさせたように思う──。
ぐっすりと寝入る彼女の髪を撫でながら、おぼろ丸は少しばかり反省した。
そして再び脳裏に掠める仲間達との、──レイとの別れに、身を切るような
胸の痛みを覚えてしまう。
更に思う。
レイが本当に自分と同じ想いを抱いているのならば、いずれくる別れの時の
為にも自分は好意を伝えるべきではなかったのではないかと。
自分と同じ心の痛みを、彼女にさせるべきではなかったのではないかと。
いくら考えても結局は後の祭り。
そう遠くない最初で最後の別れに恐れながらも、通じ合えた喜びと
愛おしさを噛み締める事が出来るこの時間を、今は甘受すべきだと彼は独りごちた。
それに───。
二度と会うことが出来ない相手で良かったのかもしれないと、おぼろ丸は思う。
きっと同じ時代に生きることができる相手だったならば、
坂本様を守りきることと、自分の惚れた女子を守りきること、どちらか選ばねばならない。
──命を懸けて守り抜くことは一人しか出来ない。
「・・・済まぬ」
無邪気に寝入るレイの寝顔にそっと口づける。
力強い瞳。無邪気な寝顔。細い肢体。そして優しい微笑み。
そなたを選ばぬなど今の拙者にできるはずがない。だからこそ───
───そなたとの別れ、甘んじて受けよう・・・。
おわり
今更脱字発見してしまった;
他にも誤字等あったら申し訳ありませんが、脳内保管してください;
投下できるところがあって良かったです、有難うございました。
GJ!エロいし萌えた
保守
335 :
名無しさん@ピンキー:2008/11/02(日) 06:09:28 ID:NztGvvRB
保守+底age
保守
337 :
名無しさん@ピンキー:2008/11/08(土) 09:19:37 ID:5n36D0Sr
お邪魔します。
「采配のゆくえ」の二次で投下します。
石田三成×たまきです。
カップリングやシチュに関しての注意事項は特にありません。
ED後を想定して書いたものなのでネタバレ満載です。
その点は特にご注意ください。
IDであぼーんよろしくお願いいたします。
のちに『関ヶ原の戦い』と呼ばれる天下分け目の大戦が起きたのは、慶長五年九月十五日。
豊臣方の指揮を執り、謀略や裏切りが錯綜する中勝利を手にした西軍の大将・石田三成は関ヶ原の戦いを最後に姿を消した。
天下の行く末は敗者である東軍の大将・徳川家康に委ねられる形となり、豊臣家は勝者でありながら沈黙することとなる。
――大戦から、少し時は流れる。
某国某所。戦の気配などどこにもない片田舎に、その邸宅はあった。
萱葺きの屋根は長いこと葺き替えられていないらしく、ところどころ朽ちかかって苔生している。
柱もだいぶ古い。木目が黒味を帯びた飴色になっている。
さすがに障子だけは貼り替えたのだろう。やけに白が眩しい。
お世辞にも立派な邸宅とは言えなかったが、庭だけは広かった。
もちろん相当長いこと手入れされていない庭だ。ともすれば、背の高さまでありそうな雑草が伸びている。
そんな庭を赤い着物を着た少女が慣れた足取りで散策していた。鼻歌を歌いながら、時折雑草を掻き分けては花を摘む。
「…うん、こんなもんかな」
紫色の小さな花を手折ると、少女は腰を上げた。
庭の花を摘んで、床の間に飾る。古びた邸宅に居を移してからの少女の日課だ。
雪が降るようになれば他に日課を作らなければならなくなるだろうが、今しばらくは花摘みが楽しめそうだった。
「梅だいふく、そろそろ帰ろっか?」
少女が肩に乗っている白いネズミに声をかける。
ひもじい思いをしないようにと食べ物の名前をつけたら、名前のとおりふっくらと育った。
多少ふっくらしすぎた感もあるが、人懐っこい上に頭も良く、少女の良き相棒となっている。
梅だいふくは帰りを促すようにちゅう、と小さく鳴いた。少女はくすっと笑う。
「そうだね。そろそろ帰らないと、心配させちゃう」
西の空を眺めやると、すでに日が傾き始めていた。
夕刻を告げる橙色の光が少女の束ねた髪を留めている黄金色の飾りに鈍く反射する。
髪飾りはかなり大きく、珍しい形をしている。少女の生家である島家の三つ柏の家紋をかたどったものだ。
風が冷たくなってきていた。幾度も雑草を揺らし、そのたびにさわさわと音がする。
「おーい、たま! たま!」
聞き慣れた声に呼ばれて、振り返る。穏やかな声だが、雑草が揺れる中でもよく通る。
振り返るとちょうど草叢を掻き分けてきた声の主と目が合った。声と同じ、穏やかな笑顔を向けてくる。
「たま、団子ができたぞ。食べるか?」
「食べるけど――殿! 『たま』じゃなくて『たまき』だって言ってるでしょ!」
たまきは腕組みして、頬を膨らませて見せた。声の主である青年が苦笑する。
「そっちだって同じじゃないか。今はもう『殿』じゃないだろう?」
「だ、だって…」
たまきは思わず頬を染めた。軽く唇を噛んで、うつむいてしまう。
「『あなた』って、なんか言いづらいんだもん!」
たまきの夫の名は、石田三成という。
お世辞にも威厳があるとは言えないが、正真正銘、西軍の指揮を執っていたあの石田三成だ。同姓同名というわけではない。
屈強という言葉とは無縁の、線の細い優男。実際武芸はからきし駄目で、父譲りの剣術の才を持つたまきの足元にも及ばない。
知性はあるものの、いい意味でも悪い意味でも素直すぎる。清廉だが、青臭いのだ。
大真面目に『大一大万大吉』――ひとりがみなのため、みながひとりのためを思えば、天下泰平になるという意味――の言葉を理想と
して掲げ、自らの旗印としていたほどだ。
たまきはそういう戦場には到底似つかわしくない三成にいつしか惹かれていた。
だからこそ、戦場を離れてもこうして共にいる。
きい、と小さく音がした。建てつけの悪い戸口が開いた音に違いなかった。
「…誰か来たみたい!」
「あ、おい、こら」
三成の制止も聞かず、たまきは走り出した。
いまや主君でも家臣でもない、夫と妻なのだが、改めて意識するとやはり気恥ずかしかった。
戸口を潜ってきた男を目にした途端、たまきのふんわりとした甘やかな気持ちはどこかに吹き飛んだ。
代わりに体に染みついている武士としての研ぎ澄まされた感覚が戻ってくる。
警戒している梅だいふくを胸に抱き、男を見据える。
大きな体躯の壮年の男だ。知った顔ではない。殺気は感じられないが帯刀している。
刀が飾りではないことは、着物の上からでも確認できる鍛えられた体が物語っていた。
「御免。こちらは石田三成殿のお屋敷でよろしいか?」
「『屋敷』ってほど立派じゃないけど、そんなところだよ」
男は一礼したが、たまきは頭を下げなかった。
徳川方の人間で間違いないだろう。
三成は関ヶ原での戦いの後、近江の佐和山城主という地位を捨てた。事実上、豊臣家への離反を意味する。
豊臣家の中枢たる淀の方ならば、探そうとすれば簡単に三成の居場所を突き止められるだろう。
反逆者として捕らえるも、再び召し抱えるも自由だ。豊臣家は三成を失って身動きが取れなくなっているとも聞く。
だが、今のところ一度も来訪はない。こうして徳川方の使者は時折訪れるが。
淀の方は天下人の妻だった貴人だ。わざわざ片田舎まで使いを遣るなど、考えも及ばないのかもしれなかった。
「石田殿はご在宅か?」
「…いたら、何?」
無意識に言葉が棘々しくなる。
家康が目論んでいることは、本来はたまき自身が三成に言わねばならないことだ。それが悔しいのかもしれない。
「おい、たま。――!」
家の陰から顔を覗かせた三成にも、男が何の用事で訪れたのか知れたようだ。表情が硬くなる。
たまきは即座に三成を庇うようにして立った。もし得物を抜かれたら、三成の腕では敵うはずもない。
「石田殿ですな」
頷いて見せると、ぽん、と三成がたまきの細い肩を叩く。
たまきが肩越しに振り返ると、三成は安心させるように微笑んだ。
「たま、大丈夫だから」
「うん…」
三成の『眼』には、常人には見えない何かが映っているのだろうか。
古い邸宅はふたりで暮らすにはちょうどいい広さだが、客人をもてなすような部屋はない。
たまきは土間に座って、三成お手製の団子を頬張っていた。
上品な甘味で美味しいが、目の前に『美味しい』と言う相手がいないのはやはり寂しい。
梅だいふくがちゅうちゅうと鳴いた。さっきやった団子の欠片をもう食べてしまったようだ。
少しちぎって差し出す。梅だいふくは器用に両手で受け取ると、また夢中になって団子にかじりついた。
たまきは耳をそばだてて意識を続きの部屋に集中していた。
三成が大丈夫だと言うのだから大丈夫なのだろう。だが、万が一ということもある。
「――石田殿のご助力が――」
「――殿は是非にと――」
「――万石の大名に取り立てて――」
背を向けている三成の声はほとんど聞こえないが、体躯だけではなく声も大きいらしい使者の声はある程度聞こえた。
たまきは胸中で溜め息をついた。
真っ直ぐすぎて、戦場には似合わない。それでも三成には人の上に立てる特別な力があった。
初めて会ったときに覚えた、不思議な感覚。
三成に見つめられると、心の中まで見透かされているような怖さと、心の中までわかってもらえるという安心感がないまぜになったよ
うな感覚に陥る。
あの感覚は、すでに覚醒を始めていた三成の力の片鱗を示していたのだろう。
天下にただふたり、石田三成と徳川家康しか持たない力――『天眼』。
戦場にいる人間の心に直接触れて、心に触れた相手がどう動くかが読み取れるようになる能力だ。
使い方さえわかっていれば、戦場の動向を思うがままに操り、窮地に陥っている戦況をひっくり返すことも容易い。
東軍が西軍に敗れた理由は、家康が『天眼』に頼りすぎて人の絆を疎かにしたから、その一点に過ぎない。
西軍はもともと寄せ集めの軍であり、三成は常に綱渡りの采配を強いられた。
だからこそ『天眼』を過信せず、相手を説得して得た絆を大切にして勝利を得たのだ。
近頃、徳川の使いを名乗る者の来訪が頻繁になっている。
家康が『天眼』を持つ三成を自軍に引き入れようとしているのは明白だった。
勝者が敗者の軍門に下るというのも奇妙な話だが、今の実質的な天下人は徳川家康だ。
家康にしてみれば、『天眼』を持つ三成は目の上の瘤に違いない。
同じ『天眼』を持つ者同士が戦ったとして、勝てるかどうかはわからない。実際関ヶ原で家康は敗れている。
家康はすでに老年。長きに渡って耐えに耐えてきた慎重な男だ。
賭けに出るくらいなら、三成にそれなりの石高を与えて飼い慣らすほうが賢明だと考えているのだろう。
ふと見ると、梅だいふくが仰向けになって眠っていた。
団子で膨らんだ丸い腹が、規則正しく上下している。
たまきは頬杖をついて、頬を膨らませる。主人がこんなに悩んでいるというのに。
満腹で幸せそうに眠りこけている梅だいふくを羨ましく思った。
「ねえ、殿。殿の好きにしていいんだよ?」
使者が帰ると、たまきはそう切り出した。
すでに日暮れは近く、日の光が名残惜しそうに縁側から部屋に入りこんでいる。
「もう秀吉さまはいないんだし、淀の方さまが望んでるのは天下泰平の世じゃない。…家康と組んだって、いいんだよ?」
「家康とは組まないよ」
三成が二客の茶器を片づけつつ、さらりと返す。
機転を利かせて茶を出した寺小姓に感心し、秀吉公が家臣として取り立てた。
その寺小姓こそが三成である。そんな話を人づてに聞いたことがある。
子供の頃から頭が回る人間であったのは間違いないが、普通に三成の淹れるお茶は美味しい。
同じ茶葉、同じ茶器を使っているのになぜこんなに味に差が出るのだろうと、たまきはいつも首を捻っている。
「今父さまがいたら、家康と組んでもう一旗あげようって言うかもしれないよ?」
茶器を片づけようと土間に向かう背中に、そんな言葉を投げつける。
まるで詰問するような物言いになってしまい、たまきは口をつぐんだ。
『父さま』――三成に過ぎたるものと称された、稀代の軍略家・島左近だ。
たまきにとっては自慢の父でもあり、幼少期から苦悩の種でもあった。
戦術も剣術も、徹底的に父に叩きこまれた。女だからといって容赦はなかった。
そんな左近の教育が、石田三成にとって有用な『道具』を作るためではないかと疑った時期もあった。
――もちろん、すべては誤解であったとあとで気づかされたが。
左近は歯に衣着せぬ物言いをする人間だった。主君である石田三成をバカだと言って憚らなかった。
だが、その『バカ』という言葉には、常に第一級の忠誠心と敬愛がこめられていた。
まだ姿を見たことのなかった石田三成を、羨ましいと思ったり、妬んだりしたこともあった。
土間で三成が頭を振ったのが見えた。
「たま、もういいんだ」
「でも…でも、もったいないよ、まだ若いのにこんなご隠居みたいな生活するの。
殿なら――殿ならもう一度戦場に立てるのに!」
たまきは胸に拳を押し当てて呻いた。
この邸宅で暮らし始めてから、ずっと澱のように胸に溜まってきた思い。
世捨て人になるには三成はまだ早すぎる。人を惹きつけ、動かす力があるというのに。
謀略と裏切りに塗れていた関ヶ原で、西軍を勝利に導いたのは奇跡ではない。三成自身の力だ。
家康は三成を認めている。ならばもう一度、と後押ししない武家の妻はいないはずだ。
「おいで、たまき」
土間から戻ってきた三成が両手を広げた。澄んだ双眸がたまきを見つめ返している。
たまきは頬を染めて視線を泳がせたが、意を決して三成の腕に飛びこんだ。
三成はたまきの華奢な体を受け止めると、あやすように頭を撫でる。
「もしかして…わたしのホントの気持ち、わかってた?」
「…ああ」
「そっか…」
たまきは息をついた。
いくら本心を隠していても、三成の前には敵わない。いや、単に隠せていなかっただけかもしれない。
いずれにせよ未熟であったと反省する。戦術家は自軍の人間まで騙せるくらいでなければならないのだ。
ただ、これ以上隠していても無意味だった。
たまきは三成の背中に腕を回し、肩口に顔を埋めた。
「ごめんね。ホントは戦場に立ってって言わなくちゃいけないのはわかってる。でもわたし、あなたに死んでほしくない。
一緒に生きていたいの。だから、もう戦場には行かないでほしい。それがホントのわたしの気持ち。
元お守り役としても、妻としても、失格なのはわかってる。でも…あなたの苦しむ顔は見たくないんだもん…!」
知らず、涙声になっていた。視界が滲む。
たまきにとって初めての実戦は先の関ヶ原の大戦だった。
その合戦でたまきは父を、三成は過ぎた知恵者と呼ばれた補佐を失った。
関ヶ原で命を落としたのは島左近ばかりではない。
秀吉公に『百万の軍を指揮させてみたい』と言わしめたほどの、優れた軍才を持っていた大谷吉継。
『鬼島津』の異名をとる島津義弘の甥で、島津軍の事実上の大将であった島津豊久。
名もなき兵を含めれば、一体双方にどれだけの犠牲が出たというのだろう。
次々に人が死んでいく。戦場に立つと、死に対する感覚が麻痺していくようで怖かった。
まるで人を人とも思わなくなるような――
三成はたまきを強く抱きしめた。苦しいほどに。
「戦場に立ったら、俺はまた自分の采配で大事な人たちを失うことになる。逃げていると言われればそのとおりかもしれない。
それでも、一番大切なものはここにある。戦う理由はないよ」
一番大切なもの、という言葉が誰を指しているか気づいて、ぽっと頬が赤くなる。
たまきは頬の赤みが引くまで、睫毛を伏せて気を落ち着かせることにした。
言い訳に過ぎないかもしれないが、三成に『天眼』を使わせたくない気持ちもあった。
意図的に人の心に触れようとすると、心身の消耗が激しいらしい。
何人もの心を一度に取りこむのだから当然と言えば当然かもしれないが。
『天眼』を使うたびに苦痛に表情を歪める三成の姿を、たまきは本陣のすぐそばで見ていた。
だが、『天眼』を使うなと止めることはできなかった。勝利のために、止められなかったのだ。
「たまこそもったいないんじゃないか? おまえの剣術と戦術なら、充分通用するのに」
不意に抱きしめられていた腕が緩む。
本当にたまきを認めているうえで、何気なく三成は言ったのだろうが、たまきは思わず頬を膨らませる。
「殿はホントにバカなんだから。わたしは殿のお守り役だよ? 離れるわけないでしょ」
たまきの剣術も戦術も、三成ひとりだけのためにあるものだ。
三成のために振るわなければ意味をなさない。何より、たまき自身が三成以外のために戦場に立とうとは思っていない。
三成はどうにもとぼけたところがあって、女心の機微などは理解してもらおうとするほうが間違っているようだ。
何となく悔しくて、たまきは三成の頬を引っ張った。
三成と目が合う。今の心なら、読まれてしまっても構わなかった。
「それに今は、わたしは殿の――あなたの妻だよ。離れたりしないよ」
「妻、か…つま、つま…」
ふと、感じ入ったように三成が繰り返す。何か嫌な予感がする。
「『妻』とはい『つま』でも一緒に、なんて――」
来た、とたまきはげんなりした。思わず耳に手を当てて『は?』と聞き返してしまう。
三成得意のダジャレだ。本人は相当好きらしく、しょっちゅう思いついては披露してくれる。
ただ、一度も面白かった試しがない。
「…なんでそんな顔するんだ…」
三成はがっくりと肩を落とした。会心の出来栄えだと思っていたようである。
すっかり日の落ちた部屋に敷かれるのは一組の布団。
夫婦なのだから当然と言えば当然だし、たまき自身できれば三成の子供が欲しいと思っていたが、やはり緊張してしまう。
覆い被さってくる三成の顔をまともに見ることもできない。
「三成さま…灯り、消して…」
「今さらじゃないか」
「だって…」
「わかったわかった」
三成が苦笑して、枕もとの灯りを吹き消した。一気に部屋が闇に包まれる。
すぐには夜目には慣れない。それは三成も同じなのだろう。たまきの白い頬を確かめるように触れてくる。
大きくて温かい手だ。普段はやや頼りないが、三成の体温にどこか安心している自分がいる。
「たまき…わかっているだろう? 家康は俺を警戒している」
「うん。『天眼』は、竜顔みたいなもの…なのかな…」
「どうだろうな。多分、家康自身もわかっていない。だから警戒しているんだと思う」
竜顔とは、帝王の相であるという。頂点に立つ者はふたりもいらない。世の摂理だ。
だからこそ戦国の世は終わらず、豊臣家と徳川家の対立が世を混乱させ続けているのだ。
「家康に協力するつもりはない。けど、家康の動向には気を配ろうと思ってる」
「どういうこと?」
闇の中で、唇に柔らかいものが押し当てられる。たまきは目を閉じて、三成の温かい唇の感触を確かめた。
今、三成が生きてここにいる。その感触を確かめた。
「『天眼』は人を駒としてしか見なくなる危険性がある。絆の大切さを忘れてしまう危険性がある。
人を信じられない人間が、天下人になれるはずがない。そうだろう?」
「うん、そうだね。それに…『天眼』がなくたって、人を信じられなくなる人だっている…」
たまきは唇を引き結んだ。大坂城で最後に見た、淀の方の姿が脳裏をよぎる。
己の境遇を恨み、夫である秀吉公を恨み、果ては豊臣家さえも恨み――憎悪の檻に囚われた、哀れな女性のなれの果て。
何よりも悲しく弱いものは人の心であると、思い知らされた。
「…淀の方さまが本当に欲しいものは、愛情だ。だが、淀の方さまの欲している愛情をあげられる人はもういない。
だから…『天眼』のある俺は、いないほうがいい。天下を混乱させるだけだから…」
灯りの落ちた部屋に次第に目が慣れてくる。三成の双眸が寂しげに揺れているのがわかった。
淀の方を憎しみの淵から救えなかった。そのことを、まだ後悔しているのだろうか。
たまきは三成の両頬を包みこんで、唇に唇を寄せた。
「三成さまは、わたしのためにいてくれればいいよ」
「…たまき…」
「わたし、あなたのそばにいたい。…わたしの望みは、それだけなんだから」
着物の合わせ目を割って、手が直接肌に触れてくる。
取るものもとりあえず流れてきて、正式な婚儀を挙げる余裕などなかった。
たまきなど、関ヶ原の戦い以降実家に戻っていない。合戦で死んだものとされているかもしれなかった。
だが、ふたりは夫婦としての契りを交わしている。たまきはもう生娘ではなかったが、夜の行為はまだ見習いだ。
元は十九万石の大名だったのだし、石田家の血を継ぐためにも見た目どおりの清廉な生活を送っていたとは思えない。
当然、女性の影は何人もあったのだろう。
普段の少し間抜けな三成のほうが本当は安心できるのだが、それは秘密だった。
灯りを消すのは、暗くすることで三成の目に心が映らないようにするためでもある。
がちがちに緊張している今の自分の心は、さすがに読まれたくはない。
小ぶりな胸の膨らみを、やんわりと掴まれる。
武芸にこの膨らみは邪魔なだけだと思っていたが、まるで存在を主張するかのように三成の手に吸いつく。
壊れ物を扱うように何度も揉まれると、甘い息が漏れた。肌が行為を勝手に覚えているようだ。
覚えていて、しかも期待している――少し浅ましいと、恥じる。
敏感になってきた乳房に三成が唇を寄せ、軽く吸った。余っている片方の胸も、包むように揉まれる。
前髪の毛先が触れてこそばゆい。たまきは身を竦ませた。
「すまん、痛かったか?」
「ううん、平気…」
視界が悪いと、自然と他の感覚が鋭敏になってくる。
少しかさついた大きな手と、手よりもわずかに温かい唇の感触が生々しい。
三成の指先が胸の突起を掠め、たまきは喉を反らせた。
すでに桜色に染まった突起は固く屹立している。まるで愛撫をねだっているように。
三成がすぐそばに唇を押し当ててから、突起を口に含む。
「んん…っ」
湿った口内の感覚に、たまきは声を上げてしまう。
痛いくらいに屹立しているそこは、唇に柔らかく挟まれるだけで甘い痺れを起こす。
「あ、はあ…っ」
三成を助けなければ、三成を守らなくては。いつもそう思っていた。今でもどこかでそう思っている。
お守り役は父から託された役目であったし、実際石田三成という主君は頼りないところがあった。
もちろん、采配を振るうときの三成は目を見張るほど頼れる人物に豹変するのであるが。
主君である三成のお守り役を務めるのは嬉しかった。父に、そして三成に認められたようで、嬉しかった。
だからこそ、こうやって翻弄されるのは抵抗があった。
ただ、最後の抵抗さえ少しずつ剥がれて落ちていく。
「ん、うっ…あっ…」
いくら歯を食いしばっても、こぼれ落ちる声は止められない。
左の突起をきつく吸われる。痛みはない。ただ、慣れない快感が波のように押し寄せてくるだけだ。
いやいやと首を振る。たまきの乱れた髪から三つ柏の飾りがするりと抜け、布団に転がった。
ごめんなさい。
sage忘れたうえに連投規制に引っ掛かりました…
腰の紐が解かれる。着物の裾をはだけさせられて、腿が露になった。
ようやく三成の唇から胸が解放された。たまきは束の間の休息に大きく息を吐く。
だが、息を吐き終えた途端我に返る。肌を晒す羞恥に身を捩った。
「ねえ、三成さま…何か話して」
布団に視線を落としたまま、たまきは呟いた。唐突な頼みに自分の腰の紐を緩めていた三成が目を丸くする。
「何かって、何をだ?」
「…静かだと、恥ずかしいんだもん…」
終わりのほうは掠れて言葉にならなかった。うまく言葉にできず、余計に羞恥が煽られてかあっと体温が上がる。
興に水を差すようなことを言ってしまったと後悔するが、続けてくれとも言いづらい。
三成が解けてしまったたまきの髪を指先で優しく梳いた。
「そろそろ梅だいふくが起きるぞ」
「起きないよ、あのぶんじゃ」
たまきは呆れたように嘆息する。
梅だいふくは土間で相変わらずの体勢で眠ったままだ。恐らくは朝まで眠ってしまうだろう。
ふと影が落ちて、三成の顔が近づいたのが知れた。こめかみに唇が押し当てられる。
「たまきと一緒にいると、救われるんだ、俺は」
「え…?」
「今だって、正しいことをしたかどうかわからない。豊臣家を支え続けたほうが良かったのかもしれない」
「…でも、もう…淀の方さまは…」
たまきはしどろもどろになってしまう。秀吉公亡き後も豊臣家を支える、気丈で慈愛溢れる女性だと思われていた。
だが、大坂城で見せたあの姿は――己を取り巻くすべてを恨み、憎しみに身を焦がした夜叉そのものだった。
「淀の方さまは豊臣家を潰そうとするだろう、天下を混乱させるために何度でも。ただ、淀の方さまにこだわらなければどうなる?」
はっとしてたまきは顔を上げた。寂しげな表情の三成と目が合う。
「豊臣家の象徴には秀頼さまがいれば充分だ。淀の方さまに消えていただく方法はいくらでもある。幽閉、あるいは――暗殺」
「三成…さま…」
「…ただ、結局は第二、第三の淀の方さまを生むだけだ。だから豊臣家を支え続けることを選べなかった」
たまきは三成の胸を拳で叩いた。どすっ、と鈍い音がする。
「こら、しっかりしろ、殿!」
「…たまき?」
さすがに堪えたようだ。苦悶の表情になっている。
三成を睨め上げると、たまきはきっぱりと言った。
「わたしはね、バカな殿が好きなの! だから今のままでいいんだよ!」
三成は安堵の笑みを漏らした。そして、もう一度たまきのこめかみに唇を押し当てる。
「そうだな。バカじゃなければ、俺じゃないな」
閉じていた膝を割られ、腿の内側を探られる。器用な指はすぐに秘所に辿りついた。
小さく円を描くように入口をゆるゆると撫でられる。まるで刺激を塗りこまれているようで、たまきは何度も喘ぎを漏らす。
「あ…っ!」
思わず悲鳴を上げ、背中をそらせる。
三成はたまきを気遣って優しく扱うように心がけてくれている。
だが、直接陰核に触れられると、堪え難い衝撃が突き抜けた。まだ衝撃を素直に快感には置き換えられない。
戦術や剣術ならば多少覚えがあるが、閨中術などたまきが知るはずもない。
三成を悦ばせるには未熟すぎる体だが、今さら悔いても遅い気がした。
もうたまきは三成の妻なのだから。三成以外に抱かれたくない。
陰核を掠めるように触れて時折快感を与えつつ、指が侵入してくる。
例え指一本でも、異物は異物だ。たまきは浅く呼吸を繰り返す。
指が奥に滑りこんでいくと、とろりとした蜜が滲んだのが知れた。
「ふ、うっ…」
怯えているわけでもないのに、体が震える。三成が頭を撫でてきた。
いつの間にか縋るような目で見ていたらしい。
「平気、だよ」
たまきは笑顔を作って見せた。額に唇が押し当てられる。
蜜の滑りも手伝って、二本目の指は比較的すんなりと受け入れられる。
くちゅ、と嫌な音がした。自分の体から出る音とは言え、ひどく淫らだ。
秘裂から中を広げるようにまさぐられる。淫らな音が繰り返される。
たまきはきつく目を閉じ、唇を噛んだ。時折下肢が勝手にひくつく。
いつになったら恥ずかしくなくなるのだろう、そんなことを遠くで考えていた。
指が引き抜かれるとほうっと胸が弾むほどに息をついた。
指が出て行くのと同時に、蜜が秘孔から溢れたのが知れた。
三成はたまきの腕を背中に回した。汗でしっとりと濡れている。たまきは回した腕に力をこめた。
細身に見えてもそれなりに厚みがあって、しっかりとした硬い体だ。
いくら鍛えていても柔らかいたまきの体とは違う。
充分に濡れている秘孔に熱くて硬いものが押し当てられる。
本能的に恐怖感が襲い、たまきは身を震わせた。だが、大丈夫だと知らせようと、三成の頬に頬を摺り寄せる。
「力、抜いてるんだぞ」
「うん…」
宥めるように頬を撫でてから、三成が重みをかけてくる。
ゆっくりと裂くように熱が入りこんで下肢をを侵食していく。圧倒的な物質感に眩暈がする。
たまきは何度も息を吐いた。脂汗か冷や汗かわからないものがこめかみを伝う。
じわじわと体の奥からせりあがってくる疼きは確かに快感で、これから与えられる激しい快感の予兆でもあった。
三成が小さく息を吐く。
「三成さま、苦しいの…?」
たまきはすぐそばにある三成の汗で貼りついた前髪を解いた。眉をひそめていた三成が苦笑する。
「気持ち良くて苦しいと言うか、そういう感じだな…」
三成はしばらく動かなかった。たまきも目を閉じて、体の中の熱が自分に馴染むのを待つ。
浅く呼吸を繰り返す。凶器のようだった熱が、鈍い疼きに変わっていくまで。
律動を待つ時間は、長くも短くもあった。
「もう、平気か?」
小さく頷いて答えると、たまきは力を抜いた。あとは三成に身を任せるしかない。
膝を持ち上げて、三成が深いところへ入りこんでくる。激しいはずの刺激はすぐに甘い痺れにとって代わられる。
「ああっ…!」
手を離さないよう、指先が食いこむほどに三成の肩を鷲掴んで背を反らせる。
三成の腕が細い腰に回る。自然、挿入がさらに深くなる。
突き出される形になった胸元に、三成が顔を埋める。音を立てて胸元に口づけられる。
「みつ…なり、さまっ…」
「たまき…」
疼きのような鈍痛が下肢を襲う。圧迫感はあるが、痛みはない。
三成が体を動かし始める。突き入れられるたびに無意識に咥えこんでしまう。
慣れていないと言っても、快感を体は覚えている。勝手に体が擦れあうことで生まれる快感を追っていく。
たまきは知らない。自分のぎこちない反応、喘ぎ、表情、匂い、そういったものが三成を煽っていることなど。
「あ、あ、っ…」
三成の下で、たまきは何度も嬌声を上げた。
一度快感の尾を捕まえてしまうと、苦痛は溶けて消えてしまった。
何度も何度も快感の波が押し寄せてきて、奥を突かれるたびに声が上がる。
最初は緩慢だった三成の動きが激しくなってくる。収束が近いようだ。
たまきはとっくに限界を越えている。ただ翻弄されて喘ぐだけだ。
「あ、あっ…!!」
ひときわ大きな嬌声を上げて、たまきは頭が真っ白になった。
膣の中で熱いものが弾ける。精が体の奥、子が宿る下腹へと流れていく。
引き抜かれるとどっと疲労がのしかかってきた。三成が体を重ねてくる。
互いに息が上がっている。重なった胸はせわしなく上下し、早鐘のように鼓動を打つ。
自覚はないだろうが、汗ひとつかかなそうな涼しげな風貌の青年だ。
その三成が頬を上気させて息を乱し、体の重みを預けてくれている――信頼されていることが、何よりも嬉しい。
「あなたは、間違ってないよ…」
たまきは三成を掻き抱き、頬に頬を寄せた。
「みんなが間違ってるって言っても、わたしは間違ってないって、信じてるから…」
「…ありがとう」
三成がきつく抱きしめ返してくる。少し声が掠れていた。
ふたりはしばらくそのまま互いの存在を確かめ合うかのように抱き合っていた。
「なあ、たま。春になったら庭に畑でも作ろうか」
枕もとの灯りを再びつけると、三成が暢気にそう言った。
たまきは畑仕事に精を出す三成を想像してみたが、思わず吹き出してしまう。
「殿が鍬振り上げたら、後ろにひっくり返っちゃうんじゃない?」
「し、失礼な」
三成はジト目で返すが、どうやら畑を耕すのに向いてないのは気づいたようだ。
何しろ、本陣から山上に展開する味方の陣に辿りつくまでに息切れしていたくらいである。
たまきはそんな三成を思い出して、声を立てて笑った。
「大丈夫だよ、力仕事はわたしがやるよ。それとも殿、冬の間に鍛えてあげよっか?」
たまきの大きな目が、三成を覗きこむ。
三成がついたまきを『たま』と呼んでしまう理由――初めて会ったときに猫と勘違いしたからでもあるのだが、たまき自身が猫を思わ
せる風貌をしているから定着してしまった感がある。たまきの目も、猫のように大きくてよく動く。
たまきは期待の眼差しで三成を見つめた。久々に思い切り剣が振れるかと思うと気分が高揚する。
「うーん…遠慮しておく」
しばしの沈黙のあと、三成は頬を掻いた。
ある意味予想どおりの答えで、たまきは頬を膨らませた。
(終)
以上になります。
お邪魔いたしました。
繰り返しになりますが、sage忘れ申し訳ありませんでした。
GJ!元ネタ知らないけど凄くおもしろかった!
確か最近出たDSのゲームだったよね
キン肉マン(ガール)のエロパロってないんかな…
公式にょたも出たことだしいつか書いてみたい
とりあえずおちんちん保守
まんまん保守
おしり保守
ケツ穴保守
359 :
名無しさん@ピンキー:2008/12/28(日) 02:07:32 ID:EcE5Z7ZB
一旦上げとく。スレの性格上人目に付く方がいいだろう。
確かにその方が良いな
最近新しく保管庫立ち上げようと考えてるんだけど、このスレも管理させてもらっていいですかね?
良いと思う
363 :
名無しさん@ピンキー:2009/01/03(土) 09:12:23 ID:fRXsEz26
>>361 ついにこのスレも保管庫に収まる日が…ってほど消化してないけどいいんじゃないか?
364 :
361:2009/01/05(月) 22:01:36 ID:eGGReYr8
sageわすれてました…
ちょwなんかスタイリッシュww
368 :
名無しさん@ピンキー:2009/01/05(月) 23:03:44 ID:+ZdZwejJ
>>364 AAイラスト化計画の中の人ですかね
乙です
371 :
名無しさん@ピンキー:2009/01/10(土) 08:54:44 ID:Xrxp83Ax
>>372 借りた海外サーバーがやたら重いのでミラーページの方がお勧めです。
>>374 一応AAイラスト化計画の管理人さんから許可を戴いているのですが…
公開直後から件のイラストに関してのレスがあったので一応注意書きに転用許可を作者さまより戴いているのですが旨を加えてあります。
また、このスレの保管すること自体を含めて、何かお気に召さない事があればどうぞ。
>>374 バレてるっぽいじゃなくてお前がツールか何か使って調べたんだろ
注意書きもろくに読めないようなバカは暇なことばかりやってるんだな
>>377 トリでぐぐってみたら引っかかったよ。
数字のみは割りと解析されちゃってんのかな?
379 :
名無しさん@ピンキー:2009/01/13(火) 10:51:14 ID:gxAAjMWg
2ヶ月も投下無いようだし空気入れ換えもかねてageとく
ここが過疎はある意味喜ぶべきだけどな〜
ちなみにこの板、芸能人の実名はOKなのか?
LR違反になるんじゃないかな?
エロパロ書き始めた頃に、参考にエロ小説サイトを回ったが、
ナマモノは最凶の荒れジャンルだってことには一瞬で気付いた。
やっぱり実名はダメか。教えてくれてThanks
素直に諦めるわ。
なるれす
「ひっ!?うぐッッ!」
突然の刺激に、カツミは食いしばった口からたまらず悲鳴をもらす。
ひと息つくためにペニスから口を離したのと、メガネの男が肛門に指を入れたのは同時だった。
タイミングがずれていれば、誤って男のペニスを噛み切っていたかも知れない。
予告もなしにそんな所に指を入れるなんてと思ったが、次の瞬間にはそんな事など考えることができなくなってしまった。
「あああ〜〜、ひいぃぃ〜!何?なんなのこれぇ!」
肛門に指を入れられ、ほじられたそのあとから、無数の小さな小さな熱い泡が弾けるような感覚が襲ってくるのだ。
数秒経ってもその刺激は収まらず、むしろじんじんと熱くなってくる。
何らかの薬液を塗りつけられたのは明らかだった。これまでも媚薬の類を盛られ、酩酊した気分で犯されたことはあったが、
このような刺激はこれまで味わったことはなく、その感覚に狼狽するのも無理はない。
「嫌!熱い!ひい。助けて、これいや、あうぐう〜!」
カツミは男達のペニスへの奉仕などできるはずもなく、裸身をくねくねとのた打ち回らせることしかできない。
腸壁に塗りつけられたものを掻き出そうと指を入れるが逆効果にしかならず、さらに強い刺激がやってくる。
「おい、これは大丈夫なんだろうな。随分暴れているじゃないか。後に残るようなものは困るぞ!」
カツミのただならぬ様子を見て、エダジマがメガネの男を睨みつけ声を荒げる。
残る二人の男も困惑した表情でそれを見守っている。
「まあまあ、もちついてクダサイ。コレ、我が国で開発されたダイエット用の塗り薬デス。
水分に反応してこうなるんでス。本来は肌ニ塗って発汗作用を促シ…」
「おたくの国のものだから心配しているんだ!」
「ホント、だいじょぶデスから。我が国ではミンナセックスの時に使ってますたヨ。むしろそっちの使い道の方が多いくらいでス。
あの部屋のコにも使ってやりますた。かなり嫌がってた彼も、すぐ大人しくなりますたヨ。」
慌てたメガネの男がアゴで寝室を示しながら釈明する。しかしエダジマはまだ納得していないようだった。
「あ〜、あれか。ククク。どおりでノンケが大人しくしているはずだ。女みたいな声を上げてよがっていたな。
あっちの趣味はないが、ずいぶんそそられたよ。ククク。」
初老の男は合点がいったように頷くと、太った男も音頭をとるように
「まだ若いのに目覚めちまったかもしれませんな、ひっひ。あれをこの女に使ったのなら、こりゃあどこまで乱れるか楽しみだ。」
と言い始められては、エダジマも引き下がるしかない。ぐう、と唸ると、
「使いすぎは勘弁してやってくれ。今のところ替えの効かない人材なのでな。癖になられると厄介だ。」
そう言い残しバーカウンターに戻って行った。
387 :
386:2009/01/30(金) 04:46:17 ID:bBGnjYTr
すいません間違えました。
どこと間違えたのかkwsk
続きください
突然ですがお邪魔します。
「瞳のフォトグラフ」(GUNP フレックスコミックブラッド連載中)で書いてみたので
投下させていただきます。
【エロ内容】和姦 百合
【ストーリー内容】写真部の部活の一シーン(少なくとも嘘じゃない)
【ターゲット属性】女子高生
【NGワード】予習推奨 ちょっぴり専門用語もあり エロ久しぶりだしこの先大丈夫かな
大体そんな感じです。とりあえずタイトルは「京×一宮」としておきます。では暫しお付き合いの程。
391 :
京×一宮:2009/02/02(月) 20:12:59 ID:VvRJU88D
或る日の放課後の事。いつもの如く京シオリは写真部の部室を訪れた。今日は何か楽しい事がある、そんな気持ちを隠し切れないような笑みで。
「こんにちはー……おや」
部室の扉を開けるや、シオリはちょっと意外そうな顔になった。普段なら二、三人は部員がいるはずなのに、何故か今日は同級生で親友の一宮ユイしかいない。それでもシオリはそれなら却って好都合、と思い直していつもの穏やかな笑みを浮かべた顔に戻った。
「こんにちは、シオリ。何だか明るい顔してるけどどうしたの? 何かいい事でもあった?」
「ふふん」
よくぞ聞いてくれた、とばかりに満面の笑みを浮かべるシオリ。そして徐に鞄の中を弄って愛用のリコーGR DIGITAL IIを出してみせた。レンズとアクセサリーシューに新しいオプションの付いたのを。
「あら、それテレコンじゃない。GR用の」
「そ。今日入荷したって連絡があって、買ってきたんだ。前から広角だけじゃなくて、標準の画角でも撮りたかったしね。フォクトレンダーのファインダーも一緒に買っちゃった。アスペクト比3:2でしか使えないけどなかなか見え具合いいよ」
「そう。見た目も格好いいわね。今度私にも使わせて」
「勿論。でも実はまだこの組み合わせで撮ってないんだよね。そうだな……」
シオリは悪戯っぽく笑い、ユイに言った。
「ねえ、ユイをモデルにポートレート撮らせてもらってもいいかな?」
「いいけど」
「サンキュ。それじゃあ暗室に行こうか」
「え、暗室なの? 校庭の方が良くない?」
「いいからいいから。ほら、入って入って」
シオリに促されるままに、ユイは暗室へと押し込められてしまった。
392 :
京×一宮:2009/02/02(月) 20:15:09 ID:VvRJU88D
「はい、じゃあ笑ってみて」
パチッ
「いいね。それじゃあ今度はちょっと怒った顔してみようか。『シオリの意地悪』って言いたそうな感じで……」
パチッ
「そうそう、怒った顔もユイは可愛いよ」
「ちょっと、揶揄わないでよシオリ」
些か本気で怒った顔をシオリに向けるユイ。
「あ、その顔もいただき♪」
パチッ
そうして一頻り撮った後で、シオリはモニターに再生画像を映してユイに見せた。
「あら、周りがきれいに整理されてて、私だけ上手に切り取ってくれてるじゃない」
「ね? こんな狭い場所だとこれくらいが一番いいんだよ。広角だとこんな時どうやっても顔が歪んじゃうじゃない? これなら部屋の中でバストアップや全身撮るのにちょうどいい感じになるなって思って買ったの。それじゃ今度は……」
「どうするの? 場所を変えて校庭で撮る? それとも食堂でも行こうかしら」
「ううん」
「じゃあこれで撮影会はお開き?」
「ううん、続けるよ。という事で……脱いで」
「え……ええっ?!」
393 :
京×一宮:2009/02/02(月) 20:22:12 ID:VvRJU88D
「もう、シオリったら……」
幾ら女同士でもそれは嫌と断ったものの、結局シオリの必死の説得と、これから撮る写真は自分の責任において外部に漏れないよう厳重に
保管するとの誓約の下に、ユイはカーディガンと制服を脱いで下着姿でシオリの前に立つ事になった。
「ユイってなかなかスタイルいいんだね。その下着、よく似合ってるよ」
「嫌だ、あんまり見ないでよ。エッチ」
淡いオレンジの地に黒いハート模様の刺繍の入ったブラジャーと、前に同じ柄の入ったお揃いのパンツと黒のニーソックスしか身につけて
いないユイは、恥ずかしがってレンズの方を向こうとしない。それどころか自分の恥ずかしい姿を撮られたくないとばかりに腕を体の前でV
字にクロスして体を隠していた。そこでシオリは女同士だからとわざわざ言わずに、
「そんなに恥ずかしいの、ユイ? じゃあ……」
シオリも制服とスカートを脱いで、下着とソックスだけの姿になった。ユイのアダルトチックな下着に比べると色気のないシンプルな灰色
のスポーツブラとパンツだったけれど、ユイに引けを取らないナイスバディのシオリが着るとセクシーさが引き立つ。
「はい、私も脱いだよ。これでお相子でしょ?」
「……(お相子だって問題じゃないと思うけど)」
「ねえユイ。私だってこんな格好誰にも見せたくないよ。でもユイなら私は特別だから……」
憂いを湛えた目でシオリはユイに語りかける。シオリとは相思相愛のユイにとってこの一言は決まり手になったようで、まだ恥ずかしさに
震えながらもユイは腕をどけて、下着に覆われたグラマラスな半裸の姿をシオリの前に晒していった。ファインダーを覗きながら、シオリが
嬉々としてシャッターを切る。
「うん、綺麗だよ、ユイ。君はまるで女神ヴィーナスみたいだ……」
「嫌ね。煽てたって何も出ないわよ」
「ほら、いつまでもそんなに剥れてないで、もっと綺麗なユイを見せてよ」
「……」
恥ずかしさと当惑が心の中で綯い交ぜになって、黙って立つユイ。嫌らしい目で見ないでとばかりに腕で胸を隠そうとしたのを、シオリが
タイムをかけた。
「あ、いいねそれ。こう腕を組んで、胸持ち上げてみてよ」
「え、こう?」
「そうそう、うーん、ユイっておっぱい大きい方だし、いい感じの絵が撮れるよ」
すっかり機嫌を良くして、シャッターを切りまくるシオリ。そして更にユイに言う。
394 :
京×一宮:2009/02/02(月) 20:26:19 ID:VvRJU88D
「私、ユイのセミヌード見てる内に、何か飽き足らなくなってきたな」
「えっ」
シオリの笑みと声音に嫌な予感を感じて後ずさるユイ。けれどもシオリはそんな事には頓着せずに言った。
「ユイ、ブラ取って」
「だ、駄目よシオリ。そんなとこまで撮るなんて……」
ユイはとうとう目尻に涙さえ浮かべて抗った。
「ユイ、私言ったでしょう? このデータは私とユイ以外誰にも見せないって。このデジカメのメモリは誰にも分からない場所に隠しとくから……何ならおっぱいは見せてくれなくても、隠してくれててもいいよ。ここまで言っても駄目かな?」
「見せなくてもいいなら……」
ユイは両手を背中に回し……て、ブラジャーを外す前にその様を満悦の体で見ているシオリを一喝。
「シオリ、ジロジロ見ないで。あっち向いててよ」
「はいはい」
「はいは一度でいいから」
シオリがユイから視線を逸らし、ユイはブラジャーのホックを外して、裸の胸を両手をクロスさせて隠した。
「これでいいの、シオリ?」
「うん、ありがとユイ。綺麗だよ、ユイの胸……」
シオリは手ブラで胸を隠すユイの姿を、角度や露出を変えて何枚も撮っていく。ユイは元よりボリュームがあって形も綺麗な乳房を寄せて持ち上げているので、女の目から見ても羨ましいほどセクシーに映っていた。
「あーもう、ユイって凄く綺麗だね……私もう我慢できない」
「え、ちょっと何よシオリ。駄目、来ないで……きゃっ」
とうとうユイはパンツとニーソとローファーしか身に付けていない、あられもない格好でシオリに押し倒されてしまった。
395 :
京×一宮:2009/02/02(月) 20:29:59 ID:VvRJU88D
はい、とりあえずは以上です。これからカラミに入りますけど要望があればできる限り
お答えしたいと思います。少女セクトみたいな感じで書けたらいいなんて思ってるのですけどね。
続きはさほどお待たせせずに書きますよ(でも気に入ってくれた人いるだろうか)。お粗末さまでした。
396 :
井上涼子作者:2009/02/02(月) 22:02:47 ID:2L2wmn7R
>>395さん乙
こうして職人さんがしばしば現れるのがいいよね。マイペースに続き待ってます。
あ、保管庫作成ありがとうございました。俺は驚くほど間が空いたが、好評スランプ中。でも涼子にちゃんと挿入してやりたいので気長にやりたいです。
397 :
京×一宮:2009/02/03(火) 20:19:51 ID:ccipMJ6A
こんばんは。
昨日書いた「瞳のフォトグラフ」のエロパロの続き、最後まで書けたのでお送りします。
百合のカラミどうしようか、手元の資料あれこれ引っ張り出して悩んだのですが、何とか
マシな形にはできたのではないかと自画自賛しております。
ではスレ汚し恐れ入りますがどうぞ。
398 :
京×一宮:2009/02/03(火) 20:20:49 ID:ccipMJ6A
「い、嫌。駄目よ、そんな事……んっ」
涙を零して嫌がるユイの口を塞ぐように、シオリは唇をユイの唇と重ね合わせて舌を絡めてきた。泣く子をあ
やすように、優しく髪も撫でて。
「泣かない泣かない。私が本当に好きなのはユイだけだよ。これはその証明ってことで……寒がりで寂しがり屋
のユイさん。私が暖かくしてあげる」
ユイの耳元で優しく囁いて、耳の中に暖かい息をフーッ。
「んっ……」
耳で感じたユイがビクッと体を震わせる。それを認めたシオリは右手をユイの左の乳房に重ねた。高鳴るユイ
の胸のドキドキを確かめるようにそっと。
「ユイのおっぱい、丸っこくて綺麗だね」
「さ、触らないでよ、シオリのエッチ……あっ、そこは……ひゃう」
シオリは両手でユイの両の乳房を優しく撫でて、その天辺のポッチリをペロリと舌で舐めた。
「乳首もピンクのさくらんぼみたいで可愛いよ。食べちゃいたい……」
「嫌、弄らないで。何か、変な感じなの……あっ、吸っちゃ嫌」
指先と唇でユイの乳房の感触を楽しむシオリ。そうしている間にも空いた手はユイのお腹を擦って、少しずつ
下に降りていった。焦らすように足の付け根を触って、シオリの指がパンツ越しにユイの秘密の場所に到達した
時、
「ああっ」
ユイの声のテンションが上がった。更に悪戯っぽく笑うシオリ。
「ほら、クリがぷくって膨れて、パンツもお漏らししたみたいにぐしょ濡れになってる……ユイも満更でもなかっ
たんだね」
「そ、そんな事ないもん……シオリ、もう悪戯はやめてちょうだい」
399 :
京×一宮:2009/02/03(火) 20:23:01 ID:ccipMJ6A
「悪戯? 人聞き悪いなあ。私は悪戯やおふざけでこんなことしないってば」
シオリはユイに構わず、ユイのパンツに手をかけた。
「ね、濡れたパンツ穿いてるのもあんまり気持ちよくないよね? だから脱いじゃおう」
「駄目よシオリ、そんな……」
シオリにパンツを脱がされて、ユイは嫌だと言うように股を閉じて、その先にある秘密の場所を手で隠した。
「そんな事されると余計見たくなっちゃうな。それだけでも済ませられない」
「やめて、嫌。嫌よそんなの」
秘密の場所を隠したまま、いやいやをするユイ。
「ほらいつまでも嫌がってないで。それとも……私だから恥ずかしいのかな?」
「……シオリの馬鹿。分かってるくせに」
クスリと笑ってユイの手をどけて、ユイの秘所を見ようとするシオリ。相手が好きな人だからこそ、裸を見ら
れるのは余計に恥ずかしい。そんな女心をシオリにしっかり見透かされていたユイは「恥ずかしくて死にそう」
になっていた。シオリは尚もユイのアンダーヘアを掻き分けて、その下にある可憐な花弁を露にした。
「お願いシオリ、見ないで……」
「そうは言ってても、ほら、後から後から濡れて来てるよ。私にヘアを触られて感じてたのかな? それともやっ
ぱり見られてエッチな気持ちになってる?」
「そ、そんな事ないわよ」
「あらあら、私に嘘つくなんてユイも悪いところあるじゃない? でもいいよ。こうしたら本当の事は分かっちゃ
うんだから」
ピチャッ、レロ……チュッ
シオリはユイの股間に顔を埋めて、しっとりと濡れた花弁にキスした。
「駄目よシオリ、そこ汚いわ……」
「汚くなんかないよ、ユイのここ……薄桃色できれいだよ」
「あっ、な、何だか、変になっちゃう……ひゃん、シオリ、シオリぃ」
愛おしげにユイの秘所を舐め回したり、ピョコンと顔を出しているクリトリスを舌先でコロコロ弄ぶシオリ。
力の抜けたユイは最早抵抗もせず細波のように体を巡る心地よい感じに身を任せていた。
「あ、ああ、シオリ、私、もう壊れちゃいそう……はああんっ」
「ユイ、やっと素直になってくれた。もう、いいよね……」
「えっ……」
頃は良し、とシオリは体を起こすと下着を脱いで、裸の体をユイに重ね合わせてきた。片手をユイの股間の
割れ目に宛がい、もう片方の手でユイの手を取って自分の花弁を触らせて。
400 :
京×一宮:2009/02/03(火) 20:25:01 ID:ccipMJ6A
「シオリのも、こんなに濡れてる……」
「うん、私もユイを撮ってた時からずっと我慢してたんだよ。こんなに切なかったのを……だから、ね、一緒に
感じさせて?」
「……」
クチュ、チュププッ……
嫌らしい音と共に、お互いの手がお互いの花弁の奥まで入っていく。花蜜で満たされ、好きな人への想いで熱
く火照る女の大事な場所の中へ。
「あ、ああっ、シ、シオリぃぃ。駄目、そんなに掻き回さないで」
「だって、こうしないと気持ちよくならないじゃない? もっと見せてよ。ユイの感じてるとこ……」
シオリが胸をユイの胸に合わせた。固くなった乳首がコリコリ擦れ合う。
「そ、そんな、シオリ……私段々おかしくなっちゃ……ああん」
「うふふ、可愛いよ、ユイ……ここもこうしてあげる」
シオリは指でユイの秘所を掻き回しながら、親指の腹でクリトリスを擦った。同時に自分の腰を振って、ユイ
の指の感触も愉しむ。
「ああっ、い、嫌、私、もう、駄目……はああ、私、い、イッちゃう……あああああああん」
プシャアアアアッ
激しい放尿と共に絶頂を迎えるユイを見ながら、シオリは更に悪戯っぽく笑う。
「あーあ、ユイだけ先にイッちゃった……。ユイがそんな勝手な娘だったら、嫌いになっちゃうぞ?」
「えっ、あ……」
ユイは「嫌い」という言葉に反応して哀願するようにシオリを見た。
「ん、嫌われるのは嫌かい? だったら……ヒナノじゃないけど『誠意』を見せてもらおうかな」
「誠意……?」
まだ快楽のカタルシスから解き放たれないまま、半ばはっきりしない意識の中で息も絶え絶えにユイが問い掛
ける。それに答えるようにシオリはユイの前に座って、股を開いてみせた。
401 :
京×一宮:2009/02/03(火) 20:26:58 ID:ccipMJ6A
「私にも……して」
その一言でシオリの言いたい事を察したユイは、体を起こしてシオリの花弁に口づけた。
チュッ、チュルル……チュパ
「う、んん……そこ、いいよ、ユイ……」
「シオリ、こんなにぐしょ濡れになって……」
「だって、ユイが上手に舐めてくれるから……あっ、ああ……気持ちいい。もっと、もっと舐めていいよ」
ピチャッ、ピチャッ、ピチャ……
割れ目をなぞり、その度に舌先でクリトリスを突付かれてシオリはビクビクと体を震わせる。
「シオリの感じてるとこ、可愛い……そんなシオリ、私好きよ」
「ああっ、私も好き、好きだよ、ユイ……んあっ、ああ、凄い……ああああああっ」
ビクビクッと体を震わせて、今度はシオリが絶頂を迎える番だった。
「良かったよ、ユイ、ありがとう……」
シオリがユイを抱いて、愛し合った後の余韻に浸ろうとしていた時、
コンコン、コンコンコン
誰かが暗室のドアをノックした。
「(ちょっとシオリ)」
「(落ち着いて、そこの私の服取って。私が出るから)」
シオリは裸の上から制服とスカートを着込んで、暗室の鍵を開けて応対した。
「部長、どうしたんですか? 何か悲鳴みたいな声が聞こえてたみたいですけど」
ドアの向こうには後輩の相原ハルカと瀬名ユカリが立っている。
「え? ああ、別に大した事ないよ。暗室の掃除してたらゴキブリが出て大騒ぎしちゃっててさ」
「ゴキブリですか?」
恐ろしい物が出た、と言いたそうに顔を顰める後輩二人。
「でももう大丈夫だよ。私とユイで退治したから。さ、後はお姉さん達に任せて君達は写真でも撮って来たら? 今日は天気がいいし綺麗な夕焼けが撮れると思うよ」
後ろを向いてユイに目配せしてから、シオリは半ば強引に闖入者を追い払った。
402 :
京×一宮:2009/02/03(火) 20:28:43 ID:ccipMJ6A
「もう、私信じられない。ちょっと新しいアクセサリー試すのがあそこまでエスカレートしちゃうなんて」
親友同士一緒に下校する道すがら、正気を取り戻したユイはシオリの事でプリプリ怒っていた。
「ごめんごめん、もうあんな事絶対しないから。ファインダー越しのユイがあんまり可愛かったから私我慢できなくってさ」
対照的に悪びれもせずヘラヘラ笑ったままのシオリ。それでユイは余計にカチンと来て、
「そんな事言ったって許してあげない」
「そんなに臍曲げないでってば。もうユイ以外の女の子に手出したりしないから」
「……それ、信じていい?」
「も、勿論だよ」
ユイ一筋を公言してはいても、女には節操のない所のあるシオリだった。下級生に次から次へとちょっかいを出している事では有名である。
「シオリがそう言うなら……」
ユイの怒った顔が少しだけ穏やかになったのをシオリは見て取り、そして言った。
「それは今回は許してくれる、と思っていいのかな?」
「……」
無言のユイ。ただ微かに頷いたようだった。
「ふふっ、ありがとう、ユイ。それじゃ今度は演劇部からメイド服とかドレスを借りて来て、それでコスプレ写真でも……」
「調子に乗らないで」
パチーン
「痛っ」
ユイの平手打ちがシオリの頬に決まった。
おわり
403 :
京×一宮:2009/02/03(火) 20:35:35 ID:ccipMJ6A
商業デビュー間無しの人(らき☆すたやアイマスのパロでは有名な人だけど)の
お粗末なパロにお付き合いいただきありがとうございました。これが元ネタを知っ
てる方に好評なようならもう一つくらい何か書くかなんて(無謀な)ことも考えて
ますが。ユカリ(偽かがみん)が写真撮ってたら怖いあんちゃんに因縁つけられて
犯されるとか(半分嘘。鬼畜は苦手ですし)。ではご縁があったらまたお会いしましょう。
404 :
名無しさん@ピンキー:2009/02/03(火) 22:28:00 ID:qbVtJp9h
乙〜〜〜
GJ
GJ!GJ!!
瞳のフォトグラフは一話から追いかけてるけど、まさかSSが読めるとは思わなかった。
試し撮りから発展するシチュが非常に萌えます。一宮先輩萌えなので第二弾も楽しみにしています。
GJ!乙!
原作知らないけどいい感じ。
410 :
390:2009/02/22(日) 00:20:32 ID:V3ydyCni
ども、390です。
「瞳のフォトグラフ」でもう一本書いてみました。保守にしかならないでしょうが
投下させていただきます。今回のカップリングはイヅミ(外見タマ姉で性格は長門っ
ぽい)×ユカリになりました。
【エロ内容】寸止め 百合
【ストーリー内容】コメディ
【ターゲット属性】女子高生
【NGワード】 本編未使用の設定あり(GUNPさんすみません) 古典ギャグ
タイトルは「姫の意外な顔」でどうぞ。
「こんにち……えっ」
放課後、写真部の部室にやって来た瀬名ユカリの目に入ったのは、人差し指を唇に当てて、
「しいっ」
とヒソヒソ声で言う京シオリ部長だった。シオリの向かいの席では、ユカリと同級の部員の久家イヅミが机に伏して寝ている。
「今日の姫(シオリはイヅミをこう呼んでいた)、一日中こんな感じだったんだよ。聞いてみたら気に入った写真のレタッチが納得いくようにできなくて、結局徹夜しちゃったんだってさ」
「そうなんですか(相変わらず凝り性だこと)」
「姫は低電……あいや、低血圧で一度寝たらなかなか起きないよ。もう授業は終わったんだし、暫く寝かせといてあげようよ……さて、私はちょっとそこらを散歩して来るね。姫に悪戯しちゃ駄目だよ」
シオリはユカリに釘を刺して出て行った。後に残されたのはユカリとイヅミだけ。ユカリはイヅミの側に来て、寝顔を見遣った。イヅミは大層気持ち良さそうに寝ている。ユカリの悪戯心がムクムクと頭をもたげてきた。
「(駄目だって言われると却って悪戯したくなるってものよ。まして相手があんたなら。あんたのこの無防備な寝顔、撮って大伸ばししたらさぞ大受けでしょうね)」
ユカリは邪悪な笑みを浮かべると鞄からカメラを取り出して、ファインダー枠の中にイヅミの顔を目一杯収めてシャッターを切った。
パシャン、パシャン
「うーん……」
カメラのシャッター音に反応してか、イヅミが唸った。
「(やばっ、起こしちゃったかしら)」
慌てるユカリ。そこでイヅミがもう一言。
「……あなた、田舎にお帰りになったら」
「なぁんですってぇ!」
カチンと来たユカリは思わず大声を出したが、イヅミは知らん顔でまた寝ていた。
「何だ寝言か」
「……」
ユカリが側にいる事などお構いなしですやすや寝ているイヅミ。ユカリはカメラをしまって、直にイヅミの寝顔を見た。
「(……こうして寝てるだけなら、可愛い女の子なんだけどな)」
日頃対立してばかりいる事など暫し忘れて、イヅミに魅入るユカリ。
「(どうしていつも私達にあんなツンケンした態度取るんだろ……そんな悪い娘には、こうよっ)」
ぷにっ
ユカリは指でイヅミの頬を突付いた。その感触が面白くて更にぷにぷにする。
「(あらあら、柔らかくてさらさらだこと。こっちのお手入れも念入れてるのかしら)」
ユカリは更にイヅミの髪にも触ってみた。
「(あ、なんかいい香り……髪もさらさらしてて……あまぁ〜い」
ユカリがイヅミの髪の香りに酔っていると、
「うぅ〜ん……」
イヅミがゆっくりと体を起こした。
「(やばっ、起こしちゃった?)」
慌てるユカリ。こっそり暗室か外に退散しようと思う間もなく、イヅミはユカリの方を見て話し掛けてきた。
「なぁんですかぁ〜、あたし今日眠くて……ふわぁ」
「ああ……ご、ごめんなさい、ごめんなさい。起こしちゃった事は謝るわ。だから怒らないで、ね?」
「うにゅ……あ、ちょっと、行かにゃいでくだしゃい」
イヅミの手が伸びて、ユカリの手を掴む。
「ちょ、ちょっと、あんた何するのよ」
「うにゃあ、逃げなくてもいいじゃないれすかぁ」
寝惚けたいづみがフラフラ立ち上がって、ユカリに掴みかかる。
「ちょっとやめてよ。駄目、そんな……きゃあ」
イヅミにすがられて、ユカリは尻餅をついたままイヅミに組み敷かれる格好にさせられてしまった。
「い、嫌ああ、駄目よそんな……ひあっ」
「ふみゃあ、柔らかぁ〜い」
「ああんやめて、そんなとこ触らないで」
イヅミの手はユカリのおっぱいにかかっていたのである。ユカリが抵抗しても、イヅミの手は離れるどころか執拗にユカリのおっぱいを攻めようとしてくる。
「ちょっとぉ、いいかげんにしてよ。女同士でこんな事って……あん、ん、駄目よぉ」
「にゃ〜、いい匂い……」
イヅミはユカリが嫌がるのも聞かずに首筋に顔を埋めて、髪の匂いを楽しんでいたかと思うと、
チュッ
「!?」
ユカリはイヅミにファーストキスを奪われてしまった。
「今日はヒナが露出についてみっちりコーチしてあげるですよー」
「あの、師匠、露出って……」
「何赤くなってるですか? 露出って言ってもお肌の露出じゃないですよ。カメラに送られる光の量の事です。これを覚えておけば写真が真っ白になったり真っ黒になったりする失敗も未然に防げるですよ。だからしっかり覚えてください」
「はいっ、よろしくお願いします」
そんな会話を交わしながら部室にやって来た相原ハルカと小鳥遊ヒナノが見たのは……今しも熱いキスの真っ最中のイヅミとユカリだった。しかもイヅミの手はしっかりとユカリのおっぱいを掴んでいた。
「「……」」
何も言えず、その場の光景に呆然とする二人。
「ゆ、ユカリちゃん……」
「おお、お二人はそういう関係だったのですか。これは絶好のシャッターチャンス。激写です、絶写です、突然写です!」
反応に困ってオロオロするハルカと、カメラを取り出してシャッターを切りまくるヒナノ。
「ちょ、ちょっと待ってよ。違うの。これは……いやあぁぁぁぁぁぁ」
「うにゃ……あー、皆さんお揃いですか」
ユカリは泣き出し、イヅミはハルカとヒナノをまだボーッとした目で見ていた。
「うんうん、喧嘩するほど仲がいいとはよく言ったもんだね」
「ですから部長、違うんですってば」
「ま、何にせよ姫と仲良くやれたって前向きに考えてもいいと思うよ?」
「部長、他人事だと思ってふざけないでください!」
「ゆ、ユカリちゃん、私は分かってるからね? あー、その、そっちの気はないって」
「ねえ、ユカリちゃんとの間に何があったの?」
「さあ、あの時の事は覚えてません。一宮先輩もあんまり気にしないでください」
「んふふ〜、今度の部のブログのエントリはこれで決まりです(※個人情報保護法違反です)」
水と油に見えたユカリとイヅミが実は深い仲だったという女性週刊誌的ゴシップはすんなり写真部に広まって、ユカリはそれから暫くの間、好奇の目に耐えなければならなかった。もう一人の当事者のイヅミは柳に風を決め込んでいたけれども。
416 :
390:2009/02/22(日) 00:31:03 ID:V3ydyCni
はい、お粗末さまでした。
今回書くに当たって、冬コミで売ってた設定資料集も参考にしました。イヅミが低血圧
というのはそこに載ってた設定です。本編では拙作よりずっと面白い形で活きてくるで
しょうけど。
一宮先輩? 俺も一番好きでまた書きたいのですがまだ彼女にまつわる話が少ないので
俺の貧困なイメージでは前作が限度です(あ、そう言えば一宮先輩の下着がエロいって
のも本編でまだなかったなw)。次こそは彼女でいきたいですなw。
ではまた瞳フォトでいいのが書けたら投下します。ごきげんよう。
417 :
名無しさん@ピンキー:2009/02/22(日) 01:21:42 ID:4pJ0sB89
おお!
キテタ
乙乙!
いつもお世話になっております。
以前は専用スレがあったのですが、今は無いので投下したいと思います。
【エロ内容】「逆レイプ」に近い「ご奉仕」
【ストーリー内容】純愛
【ターゲット属性】『ゼノサーガ EpisodeV』のKOS-MOS Ver.4(マリア覚醒後)
となっております。
よろしくお願い致します。
深夜。
エルザの下層通路を慎重に進む。足音が響かないように、息を潜めて。
しかし、どれだけ注意していても、隠密行動については後ろを歩くKOS-MOSの方が長けていた。
俺の足音が金属音を抑えられないのに対して、彼女は衣擦れの音さえ立てていない。
さすがはKOS-MOS、としか考えられなかった。
無言のまま通路を進み、ひとつの倉庫の前で立ち止まった。
扉に耳を近づける。何も聞こえないことを確認して、シャッターを開けた。
開き切らないうちに素早く身を滑り込ませ、すぐさま閉鎖スイッチを押す。
開閉の音を聞かれただろうか。しかし、今更どうしようもない。
電灯が付けられると、俺は大きく息を吐き出した。
それを見たKOS-MOSが近づき、顔を覗き込んでくる。
「ここへ来るときはいつも緊張していますね。そこまで過敏にならなくてもいいと思いますが」
深く青い瞳で見つめられ、今度は違う意味で緊張してしまった。
「この前いろいろあったからね。どうしても気を使ってしまって」
KOS-MOSと秘かに会うのはこれが初めてではない。
以前から彼女と調整室で度々待ち合わせをし、ひと時を過ごすことが習慣になっていた。
「魅力的」という言葉では言い表せぬほどの彼女だ。二人きりで何も起こらないわけがない。
あの日、彼女の調整槽の中で「行為」に及んだ。
そして全てを終え、あられもない姿で眠っているところを翌日シオンに発見されたのである。
KOS-MOSとの密会は仲間内でも「公然の秘密」として扱われていたため、特に驚かれはしなかった。
皆の態度が変わったというわけではないのだが、あからさまな証拠を晒してしまったことが恥ずかしかった。
しかし、シオンには二人ともこっぴどく叱られた。
「KOS-MOSにおかしなこと教えないで頂戴!」
そのあまりの剣幕に、シオンのKOS-MOSに対する愛情の深さを感じるとともに、
まるで自分が性犯罪者になったかのような気がした。
こうして俺たちはあいびきの場所を変えねばならなくなり、この倉庫を選ぶことになった。
「お前にも、迷惑かけたしな」
「そんなことはありません。不注意であったのは私も同じですし、それに……」
言いよどみ、少し視線を下げる。
「私も、望んだことですから」
頬が、熱くなるのを感じた。
「KOS-MOS――」
ほとんど反射的に抱きしめていた。一瞬、彼女は身を強張らせたが、すぐに弛緩していった。
体温が移動し、ぬくもりが交じり合う。
「ありがとう……」
しばし抱擁を交わした後、胸に顔を埋めて彼女が呟いた。
「お茶、入れましょうか」
「うん」
ここは普段からあまり使われていない倉庫だった。天井が低く、少し狭いせいかもしれない。
収められているのは小さなコンテナばかりで、中身はどれも雑多なガラクタだった。
調整室と比べれば清潔な場所とは言えないが、都合のいいこともあった。
コンテナを並び替えれば死角を作ることができ、「秘密基地」的な雰囲気を楽しむことができる。
また、少々私物を持ち込んでもコンテナに隠しておけば見つかることもない。
狭い船内だから油断はできないが、新たな待ち合わせ場所としては申し分なかった。
俺がコンテナのひとつから使い古しのマットレスを引っ張り出す一方、KOS-MOSは別の箱から携帯型の電気コンロを取り出した。
マットレスをコンテナで仕切った一画に運び込む。そこに座り込めば狭さは気にならなかった。
ペットボトルの水を沸かし、紅茶を淹れる。それが、新しい夜の習慣になった。
「今日はこれを持ってきた」
「まあ、ダージリンの自然栽培ものですね。ひょっとして高かったのではないですか?」
「ちょっとね。でもなかなか飲めるものじゃないし、KOS-MOSにとってもいい経験になるかと思って」
「ありがとうございます」
漂う紅茶の香りが無骨な機械油の臭いを押しのけていく。
たとえレストランでなくても、少し苦くても、彼女と過ごすお茶の時間は貴重な時間だった。
「時間があったら、今度どこかへ遊びに行かないか?」
「それは、デート、というものですか」
「うん。行きたいところとかある?」
「そうですね……クーカイ・ファウンデーションの、どこかへ……」
「なるほど、あそこは定番だもんな。面白いところも多いらしいし」
「え、ええ、はい」
「どういうところがいい? 遊園地みたいなところか、落ち着けるようなところか」
「にぎ、賑やかなところも、たまには……ふぅ……いいと思います」
「……?」
KOS-MOSの挙動がおかしい。
抑えているのだろうが、息が荒い。口で呼吸をし、何度も姿勢を正して座り直す。
頬がやや紅潮しているのも紅茶のせいではないだろう。
何かを言いたそうにするが、目を合わせるとそっぽを向いてしまう。こちらを窺う瞳が不自然に泳いでいた。
「KOS-MOS……具合でも悪いのか?」
「えっ、いえこれは……そういう、わけではないんです」
言うことまで覚束なくなっている。こんなことは初めてだった。
彼女の横に座り、滑らかな頬に手の甲をあてた。少し熱いように思われる。
アンドロイドが風邪をひくわけはないが、変調をきたしているのは確かだ。
そうであれば俺にできることは少ない。
「シオンを呼んでくる」
「待ってください」
腕を掴まれ、立ち上がりかけた体勢で制止される。
「シオンは……はあぁ……関係ありません」
「でも、体調が良くないなら無理しないほうがいい。KOS-MOSの体は複雑なんだし……」
先日の一件を思うとシオンを呼ぶことには抵抗を感じたが、黙っていればあとで何を言われるか分からない。
彼女の眼には奇妙な熱がこもっていた。
瞳を潤ませながら、呆けたように、まるで遠くを見るように俺を見つめてくる。
こんな彼女をかつて見たような気もするが、いつなのか思い出せない。
あまりに熱心な視線に気恥ずかしさを感じた瞬間、記憶の底が疼いた。
思い出したわけではない。彼女から漂う香りが、身の危険を感じさせた。
とにかく、ここから離れたほうがいい。
KOS-MOSのためというよりは、むしろ自分のために。
中途半端な姿勢のままじりじりと後ろへ下がる。
「私は病気ではありません」
「……いいか。人間には『未病』という言葉があるんだ。まだ病気じゃないけど、
その一歩手前の状態のことをそう言うんだ。ひょっとしたら、今のKOS-MOSがそうかもしれない。
早いうちに診てもらった方が、あとが楽になるんだぞ」
「あなたの心拍数が上がっていますね。私が診ましょうか」
彼女の手に力がこめられていく。痛くはないが、もう人の力では振り払えない。
「いや、俺はいいから、座ってていいよ」
「あなたの方こそ、どうぞ横になってください」
両腕を絡ませ、ほとんど立ち上がっている俺を引き止める。
ここで言う通りにしたらどうなるのだろう。
その好奇心と戦うのはグノーシスを相手にするより困難なことだった。
コネクション・ギアで連絡が取れれば用は足りる。しかし、間違いなくKOS-MOSに気づかれてしまうだろう。
取り上げられてしまえばそこまでだ。
今の彼女を無理矢理にでも引き離すことは、ほとんど「攻撃」を行うのと同じだった。
俺の腕を犠牲にするのは構わないが、それ以前に彼女を傷つけることは絶対にできない。
「さあ、早くこちらへ」
鼻息も荒く腕を引っ張ってくる。抵抗しようにも徐々に痛みが増すだけだった。
「は、離してくれ………」
「座っていただければ離します」
彼女に怪我をさせずに逃げ出す方法はひとつしかない。猶予はなかった。
力いっぱい腕を引くと同時に、叫ぶ。
「エーテルドライブ!」
発動と同時に極彩色の光が彼女を包む。光に巻き込まれないようにできるだけ身を引いた。
「フィストダウン」ならば振りほどく隙も生まれるかもしれない。
しかし、光が治まっても彼女に変化はなかった。
それどころか妖艶な笑みを隠そうともせず、動揺する俺の手にキスをした。
「これもあなたのおかげです」
そう言って、自らの左手首に嵌められた、見覚えのある腕輪を示した。
「グラムザインか!」
完全に失念していた。異常を防ぐため彼女へ優先的に装備させていたのだ。
隙ができたのはこちらだった。
襟を掴まれたと思ったときには、既に体が宙を舞っていた。上下が逆転し、視界が歪む。
衝撃と共にマットレスへ落ちる。
間髪入れず、唇を塞がれた。
いつものような恥じらいを含むものとは正反対の、一方的で暴力的なまでのキス。
「んっ………んんっ!」
両手で頭を固定される。
唇を甘噛みし、強く吸い付いてくる。あっという間に彼女の舌が口内に進入した。
歯茎をなぞり始めると、関節の力が抜けていくのを止められなかった。
彼女が俺の舌を捕まえ、絡みながら吸い上げてくる。
口内を隅々まで愛撫され、甘い痺れが全身を満たしていった。
ようやく唇が離された頃には、完全に「堕とされて」いた。
彼女が馬乗りになって覆いかぶさり、正面から見つめてくる。その視線すらも避けられない。
「どうですか?……」
欲情に染まる瞳で尋ねながら、首筋をなぞってくる。
「うっ………ど、どうして………」
それだけ言うのがやっとだった。
「先日のことで気落ちしているように見えたので、元気づけてさしあげようと思いまして」
「で、でも……こんな、やり方は………くうっ」
「気持ち良くありませんか?」
「…………」
彼女の愛撫は正確で、しかも丁寧だった。
鎖骨から首筋周辺を撫でる一方、もう片方の手がシャツの裾から差し込まれ、胸へと伸ばされる。
腹の温度を確かめるように指が動き、そのまま指の腹で円を描くように乳首を刺激する。
「男性でも感じる部分だと聞きましたが、本当のようですね」
それは今まで感じたことのない快楽だった。ペニスに受ける刺激と違い、射精への昂揚は感じられない。
しかし、体の芯まで、脳の奥まで脱力するような痺れが走る。
シャツが剥ぎ取られ、胸板に舌が這わされた。柔らかな質感が胸や腹を這い回り、鳥肌が立つ。
「こんなに硬くなって……」
「ふああっ!」
乳首に吸い付かれ、情けない声が出でてしまう。
女性ほど大きくはない突起を、彼女は熱心にしゃぶり続けた。
空いている側も指先で挟み、優しく揉むように動かしてくる。
どう我慢していいのかさえ分からない。
左右を交互に舐められ続け、腰や脇の下など皮膚の薄いところをなぞられる。
出口がないままに与えられ続ける快楽が精神をとろけさせていく。
ふいに、彼女が離れた。
両脚を押さえつけたまま、ベルトを外し始める。逃げる気力はもうなかった。
ズボンと下着を同時に下ろされ、ペニスが露わになる。
「ちゃんと感じて頂けてるんですね」
全く触れられていなかったにもかかわらず、そこは大きく隆起していた。
しなやかな指が触れ、両手で優しく包み込まれる。
もうそれだけで、限界が近くなっていた。
腰を引こうにも、両脚の上に乗られているせいで全く動けない。
彼女の手がゆっくりと上下に動き始める。
しごくというよりマッサージを受けているかのような感覚だったが、敏感になった体は先走りの粘液をとめどなく溢れさせた。
そのぬめりがさらに刺激を高めていく。
「はあぁ……」
彼女はため息をつきながら快感に打ち震えるペニスを眺めている。
こんなに目の色を変えている彼女は見たことがない。
明らかに異常な状態にあることが分かっていても、彼女の興奮する姿は欲望をかきたてられるものだった。
何だか分からないが、彼女は昂っている。
責められているのはこちらなのに、その反応を嬉しく思ってしまうのだ。
そうすると、自然とペニスがびくびくと震えてしまう。
「はむぅ………」
突如、ペニスが暖かい粘膜に包まれた。
「くうぅ……!」
弱い部分を知り尽くした舌が動き回り、的確すぎる愛撫が加えられていく。
弾力のある舌が這い回る度に唾液が塗り広げられ、さらに動きを滑らかにしていく。
それに伴い、ぴちゃぴちゃという音が室内に響き始める。
頭全体を使って竿から亀頭をしごく。途中で裏筋をなぞることも忘れない。
それは快感を与えるためというよりも、舐めたいから舐めているという感じだった。
そして、陰嚢を優しく揉まれながら雁の溝を擦られたとき、突然快感の波が襲った。
「――――――っ!!」
抵抗する暇も与えられず、快感が白い粘液となって先端から噴出していった。
少し頭を引いて射精を受け止めるKOS-MOS。
何度か見ている光景ではあるが、この時ばかりは違った。
「受ける」というより、「吸い出す」勢いでペニスを扱われるのは初めてだった。
射精が終わっても彼女はなかなか口を離さない。
敏感なままの亀頭や竿に再び唾液を絡ませ、残った残滓を舐め取っていく。
口淫による丁寧な陰部洗浄は背筋が寒くなるほど卑猥な姿だった。
「ごちそうさまでした……」
ペニスは全く衰えておらず、逆にさっきよりも硬度を増しているように思われた。
全身の血液が集中しているのではないかと感じられる一方、手足は全く動かせないほど骨抜きにされていた。
息もたえだえになった俺の体を抱きしめ、彼女は唇を塞いでくる。
かすかに、生臭い吐息。
自分の放った味が彼女の味と混じりあい、目が眩む。
青い瞳から目を背けることができない。
「満足していただけましたか?」
うなずくためにはかなりの努力が必要だった。
終わったというのに、彼女は抱きついたまま離れようとしない。
俺の体に頬ずりをし、腕や腹を撫で回してくる。
その間も彼女の腰がゆっくりと動き、腹の間で挟まれた肉棒へじわじわと快感を与えてくる。
「そうなのですか? ……ここはまだ落ち着かないようですが」
笑みを浮かべたまま動き続け、もうあからさまにペニスを摩擦してくる。
激しくはないが間歇的に快感が襲うため無視することはできなかった。
「そんなにされたら、また……」
再び溢れ出す先走り汁がかすかに粘着質な音を立て始める。
体を離すと、二人の腹の間で透明な糸が引いていた。
その様子を確かめた彼女は俺の上で座り直すと、腰を浮かせた。
自らスカートの下に手を伸ばし、前後の金具を外していく。
取り外された下着の股間部には、はっきりと薄黒い染みが広がっていた。
恥部から滴る愛液がペニスを濡らしていく。
彼女は下着をぞんざいに放り出すと、硬さを取り戻した肉棒に手を伸ばした。
指先の冷たさが伝わり、肉棒の熱さとの温度差が新たな快感を生む。
先端の位置と角度を確かめた彼女が微笑んだ。
そして、ゆっくりと腰を沈めた。
先端がぬかるみに触れ、徐々に彼女の中へと導かれていく。
亀頭が肉の花弁に包み込まれ、柔らかな粘膜を通して体温を共有する。
根元まで入ってしまうと、内部の襞が間欠的にうごめいて微妙な刺激を与えてきた。
強く締め付けるでもなく、擦りあげるのでもない。
優しく抱きしめるように、隙間無く密着してくるだけだった。
しかし、俺を悶えさせるにはそれだけで十分だった。
「入っているだけで……んぅ……我慢、できませんか?……」
頬を朱に染めて馬乗りになる彼女が、身をよじらせる俺を見下ろしている。
ほとんど力ずくで押し倒され、組み敷かれているという背徳感が快感に拍車をかけた。
一度出しているにもかかわらず、たちまち射精が間近に迫る。
「我慢できなかったら、そのまま……ふあっ……そのまま出してくださいね」
彼女が上半身を後ろへ倒すと、結合部が露わになった。
濃いピンクの肉の中へ肉棒が根元まで飲み込まれているのがはっきりと見える。
儚げだがふっくらと充血した秘唇は粘液にまみれながらも決して離れそうになかった。
勃起したクリトリスが包皮から半分ほど顔を出している。
俺の見ている前で、膣口がひくんと動いた。
先程よりもねっとりと絡みつき、細かな襞の質感が最も敏感な粘膜を刺激する。
その感触に、ついに白い欲望が溢れ出した。
迸るというより、漏らすような射精だった。
「はあっ!………あ、熱いのが中で……ふくううぅ……」
強烈な快感はない。その代わりに、体の芯から溶けていくような快感に包まれる。
その心地よさに意識を手放しかけたとき、彼女の腰がそろそろと動き始めた。
射精直後の敏感な亀頭にはそれでも強すぎるくらいだった。
「うあっ! ちょっ、今はまだ……ぐうぅ!」
脚を開き、繋がった部分を見せつけながら、動きは速まっていく。
腰を引いても逃げ場は無い。
彼女はすっかり上気した顔で見下ろしてくる。
「もっと……んっ!……出してもいいんですよ。……はああぁっ!」
膣内が蠕動し、根元から先端に向かって搾り出そうとするように動いてくる。
愛液と精液が混じった粘液が結合部から滲み出し、泡立っていた。
隠しようのないほど水音が響き、聴覚からも刺激が襲いかかる。
時折ゆっくりになったかと思うと、再び動くという動作を不規則にしてくるため、快感に全く対応できなかった。
腰をがくがくとゆすりながら射精する道しか残されていなかった。
「んあっ! はあああああんっ!!」
彼女が全身を振るわせて絶頂を迎える姿は、もうかすんで見えていた。
体液を全て吸い出されるかのような放出感に、このままおかしくなってしまいそうだった。
そして、そのまま意識の焦点がぼやけていくかに思われたとき、彼女が再び正面から見つめてきた。
肉棒をくわえ込んだまま、上体を倒して体を預けてくる。
「おい……もう、やめて……」
俺の弱々しい訴えは聞き入れられなかった。
「もっともっと出していいんですよ。次はこんなふうに……」
上下には動かさず、円を描くように腰を動かし始める彼女。
様々な角度から肉棒が揉みこまれ、特に亀頭全体が複雑なうねりに巻き込まれる。
「これがいいんですね」
「そんなこと……うあああっ!」
押し返そうと伸ばした腕に力は入らなかった。逆に両手首をつかまれマットに押さえつけられてしまう。
無抵抗なままで、ひたすらにしごきあげられる。
そこにはただ射精させること以外の意図はなかった。
それでいて、快楽の責め苦を与えている彼女は慈愛に満ちた表情を浮かべている。
ふくよかな胸を押し付け、愛おしそうに見つめるその視線に、耐えられなかった。
どくっ、どくどくどくどく……
彼女の声が遠のき、視界が桃色にかすんでいく。一方で快感はますます荒々しくなるのが感じられた。
荒波に巻き込まれたように感じた瞬間、俺は意識を手放していた。
**********************
眩しさを感じて眼を開けると、見慣れたキャビンの天井が見えた。
続いて平衡感覚が戻り、自分がベッドに横たわっていることが分かった。
脳がまだ動かない。少しずつ記憶を辿ってみた。
たしか昨日は倉庫でKOS-MOSと……
その後の顛末を思い出し、血の気が引いた。
あれから俺はどうなったのか? いつ部屋に戻ったのか覚えていない。
病院に担ぎ込まれたか? それとも死んだのか? 死んだとしたら「腹上死」じゃないか。
いや、この場合は「腹下死」か……
意識が迷走する中、体は疲労感に支配されてあまり動かす気になれないほどだった。
特に腰から下はどこかへいってしまったかのようだ。しかし、存在している感覚はある。
ということは、死んだわけではないらしい。
「お目覚めですか?」
視界にKOS-MOSが入ってきた。
息を呑み、動けないにもかかわらず身を引こうとしてしまう。それは条件反射に近い動きだった。
「待ってください、まだ動かない方がいいです」
「……戻った……のか?」
「……申し訳ございません」
彼女は深々と頭を下げた。昨夜とは違い、いつも通りの雰囲気に戻っている。
しばし、気まずい空気が流れた。
本当は声を出すのも億劫だが、それでも聞かないわけにはいかない。
「昨日のあれは……何なんだ?」
「元気付けてさしあげようとしたのは事実なんです」
うつむきがちに、ゆっくりと話した。
「男性には、その、そういう《サービス》をすると喜ばれると聞いたもので……」
まあ、「喜ぶ」というか、「悦ぶ」というか。複雑なところではある。
「でもあれは《サービス》なんてものじゃなかったぞ」
「逆レイプ」という言葉が喉まで出かかった。
「それに、いつもとは様子が違ってた」
彼女は黙ったまま、一枚のデータディスクを差し出した。
表面に貼られたラベルの文字は手書きで、随分と古風な作られ方をしていた。
人前で口にするのははばかられる、支離滅裂な言葉が並んでいる。
【寂しい夜の特別ご奉仕プログラム:「尽くす気持ちが大事です!」】
【大人しいあの娘があなたの下半身をマッサージ!】
【「熱い白濁汁を思いっきり出しちゃってください。溜めると体に良くないですよ」】
「これ、違法プログラムじゃないか!」
「……すみません」
生体部品で作られたレアリエンを性欲処理の対象として見る人間はやはりいる。
特に表立って歩けない人々の間では、ソフトとハードの両面で改造を施されたレアリエンを「性具」として売買することが横行しているという。
このプログラムもそうした違法改造技術の一環として作られたものに違いない。
「どこからこんなものを?」
「U.M.N.で情報を探しているうちに、たまたま見つけたんです。具体的にどんな風にすればいいか分からなかったので、つい……」
KOS-MOSとは思えない判断だ。
素性の怪しいプログラムを体内に入れるなど、毒を飲むのと同じことだ。
自殺行為と言ってもいい。
「おそらく親和性が悪かったために暴走状態になってしまったんだと思います」
俺はベッドから身を起こした。
「暴走どころじゃない。下手をしたら精神崩壊してたかもしれないんだぞ」
「はい……」
「その、気持ちは嬉しいけどさ、こんなものを使ってもしお前に何かあったら、どうするつもりなんだ」
「…………」
顔を上げられない彼女の肩を引き寄せ、抱きしめる。
「それに……こんなもの使わなくても、俺はKOS-MOSにしてもらうだけで十分気持ちよくなれるから」
彼女はうなずくと、俺の背中に腕を回した。
「まあ、あれはあれで気持ちよかったけど……」
「ふふふ、ありがとうございます」
彼女の青い髪を撫で、その香りを吸い込む。
そう。これだ。
互いのぬくもりをただ静かに感じあう。この感覚こそが最も落ち着き、また喜ばしいものなのだ。
体を離すと、俺はディスクを返した。
「物理的に破壊して、処分するんだぞ」
「分かりました。あの……」
「ん?」
「私の中のデータは既に削除したのですが、あのあと私なりに再構築してみたんです」
「再構築?」
「危険な箇所や害のありそうなコードを削って、私が代わりになるものを組みました。
安全性を高めたものにバージョンアップさせたんですが、それはどうしましょうか?」
「それは……」
想像した途端、悪寒が走った。
KOS-MOSの入念且つ愛のこもった「奉仕」を受けて、果たして自分を保っていられるだろうか?
昨日のように無理矢理ではなく、限界を心得た、完璧に制御された愛撫。
どんな変化も見逃さず、様々な技術を駆使して焦らすのもイかせるのも自在だろう。
意識を失うぎりぎりの快楽を与えられ、最高のタイミングで射精させられてしまう。
しかもその様子を全て見届けられてしまうのだ。
「一度、試してみますか?」
考えただけで、下半身に軽い疼きが起こった。
俺は再びベットにもぐりこむと、毛布をかぶって言った。
「また、今度にするよ……」
「分かりました。体調が戻ったら、いつでも言ってくださいね」
それまで我慢できるだろうか。誘惑に負けてしまう可能性もなくはない。
だが―――
「KOS-MOS」
「はい?」
「ありがとう」
彼女はかがみこみ、俺の額にキスをした。
「お役にたてられ……幸いです」
End
428 :
418:2009/02/23(月) 14:47:59 ID:JoLEPYo3
以上です。
忌憚無きご意見をお願いします。
長文失礼致しました。
元ネタ知らないけど良かったー。GJです。
オチも暴挙wの理由が納得できて良かった。アンドロイドとかええのう…
蛇足だけど、最後は「お役に立てて……」のほうがいいかなー
俺はこのシリーズはナムコ×カプコンでしか知らないですが登場人物の心情とか
カラミの状況説明が丁寧で良かったです。盛り上げていただきありがとうございました。
>>390 職人乙。
続きまってましたー。
軽く触れ合う感じな雰囲気に萌える。
次回作も期待しています。
>>418 元ネタは邪神の方しか知らないけどGJ
描写が丁寧で良かったです。
433 :
418:2009/02/24(火) 07:58:48 ID:TQEFp56+
皆様、本当にありがとうございます。
>>429 はい、どうぞ。たくさんの人に読んでいただけるのはありがたいです。
よろしくお願いします。
>>430 最後は「お役に立てて……」のほうがいいかなー
そこは私もかなり迷いました。
>>431 私もこのような発表の場があって助かりました。
乙
投下ないな
436 :
名無しさん@ピンキー:2009/03/16(月) 07:12:01 ID:BXIbhuFW
ちと淋しいね
本当は書いてるんですが、完成はまだまだ遠く……
頑張って
男女両方の体を持ってる人間が自慰の代わりに
自分同士でヤっちゃう話ってここでいいでしょうか?
フタナリではないですしベッドシーンは普通ですし、
体だけなら近親(兄妹)なんですが状況があまりにも特殊でして。
あとdion軍が規制中なので携帯から初投稿だったり。
dion規制されてないけど?
ppp-bb.dionが今月2日からずっと全鯖規制中でして…
という訳で投下させていただきまする
よく晴れた日の、昼には遅く、夕方というには早い頃。
一人の女がスーパーから出てきた。
手には夕食の材料が入ったビニール袋を下げ、
重そうにふくれた腹でよたよたと歩いている。
「ふぅ……」
女は妊婦だった。
全身から感じられる柔らかい雰囲気が、
彼女が幸せな毎日を送っていることを思わせる。
この街に越してきて一年以上、すれ違う通行人の中にも
挨拶をする程度の知り合いが何人かいた。
「こんにちは。いい天気ですね」
自宅近くでそう声をかけられ、女も反射的に挨拶を返していた。
(……あれ?)
しかし、目の前にいる相手は女の記憶にない。
高校生くらいだろうか。異様に整った顔立ちをした、
そのくせ不思議と印象の薄い少年だった。
綺麗な顔がニコニコ笑ってこちらを見つめている。
「お子さん、もうすぐ生まれるんですね」
極上の笑顔で少年は言った。
毒気のない微笑みに女は少しドキリとしながら、
「ええ、来月には。双子なんです」
と答えた。
「そうですか。男の子ですか?」
「いえ、二卵性らしくて、男の子と女の子が一人ずつ」
「なるほど、おめでとうございます」
ありがとう、と女は顔を赤らめて答える。
少年は視線を女のお腹に向けていたが、やがて女に言った。
「少しだけ、お腹の赤ちゃんに触ってもいいですか?」
「ええ――いいですよ」
初対面の相手に馴れ馴れしい話かもしれなかったが、
女はにっこり微笑む少年の雰囲気に安心し、うなずいていた。
その場に座り込んだ少年が、女のふくらんだ腹を丁寧にさする。
――さわさわ。なでなで。
「あっ、動きましたよ」
「そう?」
「いや嘘です。そう都合良くはいきませんね」
少年と二人で笑う。
触れていたのは数秒ほどだったが、彼はそれで満足したらしい。
やがて立ち上がると、少年は女に礼を言った。
「ありがとうございます。お腹の赤ちゃんたちに祝福を」
「祝福? そうね、どうもありがとう」
大げさな言い方をする子だなと思ったが、
少年はそのまま弾むような足取りで去っていった。
月が変わり、女は双子の赤子を出産し、夫婦で喜びあった。
兄は啓一、妹は恵。少し変わったところはあったが
二人ともいい子で元気に育っていった。
――リリリリリ……。
目覚ましを乱暴に叩いて止め、ボクは起き上がった。
寝ぼけた頭でぼんやりと周囲を見回し、最終的に自分の体に目を落とす。
目に入ったのは薄い水色のパジャマ。
胸には大きめの膨らみが二つ、呼吸に合わせてゆっくり動いている。
「ふああああ……」
あくびをした拍子に長く伸ばした黒髪が顔にかかる。
(髪、セットしなきゃ……)
女の子は男と違って大変なのだ。隣の部屋ではもう三十分ほど寝ていられるが、
こっちの体はそういうわけにはいかない。
しかも最近はママがお弁当を作ってくれなくなったので、
起きる時間が相当早くなってしまった。うう、健康的だなあ。
「さて、と……」
ようやく身だしなみを整え、ボクは啓一を起こすことにした。
といっても、隣の部屋に起こしにいったわけじゃない。
「う〜〜〜」
ボクは嫌々ながらも啓一の身を起こした。
こちらの部屋に目覚ましは必要ない。半身はもう起きているのだから。
目を開けると、緑のパジャマの下半身の部分が盛り上がっている。
こっちはこっちで健康的なことです。
「時間あるかな……」
ボクは時計を見た。啓一は着替えるだけでいいし、
弁当も冷蔵庫の残り物で何とかなる。
自然に収まるのを待ってもよかったんだけれど、
少し時間もあったからボクは一発ヌくことにした。
――ガチャ。
ボクは啓一の部屋のドアを開け、制服姿のままベッドの前に座り込んだ。
「よいしょっと」
中年くさい掛け声と共にズボンと下着をずり下ろす。
勃ったそれが露になると、ボクは躊躇なく肉棒を口に含んだ。
――ピチャ……チュパ……。
ボクの目の前で、セーラー服を着たボクがボクのをなめ回している。
すごくややこしい言い方だが、他に言いようがないから困る。
本当は彼氏か彼女でもできればいいのだが、
ボクの存在はあまりにも特殊すぎてまともな恋愛はできないだろう。
というわけで仕方なく、自分で自分の性処理をするしかない。
「うーん……寂しいボク……」
この場所からだと恵の胸が、恵の視点で見るのとは違ったアングルで見える。
巨乳と自慢するほどではないけれど、そこそこだと思うんだ、うん。
ボクは肉棒をくわえながら、制服の上から自分の胸をつかんだ。
「後でまた計ってみるか。でもこっちの成長期は過ぎたと思ってたけど、
おっぱいの大きさはまた違うのかな?」
恵の口がふさがってるため、啓一の口でそう独り言を漏らす。
この体質の特長の一つが、自分のスリーサイズを楽に測れることだ。
あんまり嬉しくないけど。
そんなことをしている間にもボクは肉棒の先っちょ、
自分の感じる部分をひたすらに舌でいじり続けていた。
啓一の性感がどんどん高まっていくのがわかる。
「う……ううっ !!」
耐え切れず、恵の口に盛大に出す。
出るタイミングがわかっているからこぼさずに済むのはいいけど、
やっぱりこんなの苦くて飲めたもんじゃない。
ボクはティッシュを取って啓一から恵の手に渡すと、そこに液体を吐き出した。
「ふう……」
啓一のそれが萎え、ボクは息をついたが、今度は新たな問題が持ち上がった。
「あ、しまった」
スカートの中に手を入れると、ショーツがじんわり湿っている。
恵の顔を見ると、頬を赤らめて荒い息を吐いているのがわかった。
そう。ボクには鏡もいらないのだ。
だがさすがにこれ以上オナっている時間はない。
「落ち着け……素数を数えて落ち着くんだ」
ボクは啓一と恵、二つの口から交互に数を数えた。
「2」「3」「5」「7」「11」「13」「17」「えーと19」
何とか火照る恵の体を静め、ボクは学校に行く用意をした。
遅刻することもなく、ボクは校門をくぐった。
啓一と恵、外からは仲の良さそうな兄妹に見えるだろう。
「おはよー」「うっす」と朝の挨拶がいったりきたりする中、
一人の男がボクの元に近づいてきた。
「よう、啓一」
「や、栄太」
ボクは悪友に手を挙げて言った。
「恵さんも、おはようございます」
「おはよう、佐藤くん」
ボクが恵の顔で微笑んで返すと、栄太は飛び上がらんばかりに喜んだ。
ふふん、伊達に猫をかぶってはいない!
水野恵が校内の美少女ランキングに名前を連ねていることは
啓一をしていればすぐにわかる。まあ悪い気はしないが、
こうして男の下心が透けて見えるのが困ったものだ。
こちらに何かと話を振ってくる栄太を軽くあしらいながら、ボクは校舎に入った。
啓一は二年B組、恵はA組である。
ボクは二つの体をそれぞれのクラスに座らせた。
B組ではボクの前の席に腰かけた栄太と、どうでもいい話をする。
「へっへ、今週のコーナーはコレだっ」
栄太は自慢げに雑誌に載ったグラビアアイドルを見せつけてくる。
「ほー」
(やっぱり胸がでかいなあ)
ボクはA組で恵の胸を見下ろしながらそう思った。
(ボクも普通よりはあると思うんだけど……足りないのか、くそぅ!)
しかし何気ない視線を向ける啓一に、栄太は少し冷めたらしい。
「何だよー、せっかく見せてやってるのに……
反応しろよーこの不能めー」
「ちげえよっ !!」
ボクもエロ本とか大人の雑誌は読むのだが、
女性の体を見るとつい自分と比べてしまい、興奮が冷めてしまう。
だが、そんな部分が他人からは真面目に見られているらしい。
自分ではそんな馬鹿な、と思うのだが。
「なあ啓一ぃ」
「何だよ」
「いい加減に恵さん紹介してくれよ〜。後生だから〜。
お前からデートに誘ってくれたらうまくいきそうだからさぁ」
「駄目だな。お前じゃ間違いなく無理、賭けてもいい」
「この薄情者めっ !!」
こいつはわかっていない。啓一に見せる普段の振舞い、言動が
恵にも「そのまま」伝わってるってことを。
誰がこいつの彼女になんかなりますかい。
「ああ……お前はいーよなぁ。毎日毎日、恵さんと一つ屋根の下だもんなぁ。
そんで『小学生までは一緒に風呂入ってた』とか
『ドアを開けたら恵さんが着替えしてた』とかsnegな状況に――」
「やかましいっ !!」
ボクは栄太を殴り飛ばした。
まあこいつの言うことも間違ってはいない。
どころか啓一と恵は今でも一緒にお風呂に入るし(洗うのが楽だから)、
二つの体で同時に着替えをしても、どうってことはない。
啓一は恵の生理の日も、下着の色も、オナニーの回数も全て知っている。
が、それはボクにとっては当然のことで、別に何とも思っていない。
何たって、啓一も恵もどっちもボクなんだから。
「恵〜!」
ボクの元に一人の女の子がやってきた。
坂本由紀、ボクの友達だ。
「どうしたの由紀? そんなに慌てちゃって」
由紀は茶色のショートヘアを振り乱し、ハアハア息をしている。
まるでどこかから走ってきたみたい。
「聞いてよ! 亜美に彼氏ができたんだって!」
「へ〜。おめでたいわね」
「おめでたくないわよ! あたしを置いて抜け駆けしやがってえ!
見つけたらタダじゃ済まさないわよぉ……!」
由紀は背中から炎を出しながら怒りに震えている。
「それじゃ、由紀も彼氏作――」
ドガッ !!
言い終わらないうちに、由紀の回し蹴りがボクの机を吹き飛ばした。
誰にも当たらなかったけど、一瞬ヒヤリとしたね、すごく。
「なんか言った? 恵」
「いえ、何も」
青い顔でボクは答えた。
「そりゃ恵はモテモテでしょうけどねぇ……。
今まで何人の男子を振ったかお姉さんに言ってごらん?」
「え、いやいや――」
由紀の手がボクの頬にかけられた。
「やっぱり、恵には啓一クンがいるから他の男は要らないってことかしら?
いいご身分よねえ……」
「いや、私と啓一はただの兄妹で――」
「うんうん、かっこいいお兄さんがいてうらやましいわ♪」
あまりの迫力にボクは言葉を飲み込んでしまう。
「よし、決めた。啓一クンを彼氏にしちゃおうっ!」
「はい?」
「だから恵、とっとと段取りを整えなさい。
今啓一クンに彼女はいないでしょ?」
「う、うん。いない――けど……」
やだなぁ。普段はいい子なんだけど、
どうして男絡みになるとこう暴走しちゃうのかな、由紀は。
でもここで「イヤです」とでも言おうものならボクの命が危ない。
――仕方ない。
ボクは栄太を置いてB組からA組にやってきた。
「あ、啓一クン !? ちょうどよかったわ!」
「はあ……」
ボクはため息をつきながら、由紀の前に歩を進める。
「坂本さん」
「啓一クン……?」
うるんだ目でこちらを熱く見つめる由紀。
でもゴメン。やっぱ無理。
「済まない。さよなら」
短く言い、啓一は教室を出て行った。
「…………」
後に残されたのは固まった由紀と、何が起きているのか
よくわかってないクラスメート達。
でもボクにはよくわかる。早く逃げないと危険だということが。
「○△θ$%ふじこ□Ω煤` !!」
何とか逃げ出した恵の後ろから、絶叫と轟音が追いかけてきた。
生まれたときから、ボクは一人だった。
本来は「啓一」と「恵」という二人の人間のはずなのだが、
なぜか二つの体に対して、心は一つしか生まれてこなかった。
恵の視覚は啓一の脳に。啓一の味覚は恵の脳に。
全ての感覚がつながっていて、互いの全てを理解することができる。
そしてそれは思考も同じだった。
ボクの人格は「啓一」でもあると同時に「恵」でもある。
双子のテレパシーとかそんな生易しいものじゃない。
生まれたときから完全に人格が一体となっているのだ。
そのため、小さい頃は随分と苦労した。
「ねえママ、ボクは啓一なの? 恵なの?」
二つの口を揃えて尋ねるボクに、ママは不思議そうな顔をして答えた。
「いい? あなたは啓一。あなたは恵。
双子だからって間違えちゃだめよ?」
いや、だから両方ボクなんですけど……。
自分が特異体質だと理解するまで大変だったが、
この状態でずっと生きているとさすがに適応もしてしまう。
常人の二倍の情報量にも混乱することもなく、
二つの別々の体を片方は「啓一」、もう一方は「恵」として違和感なく動かす。
ピアノの演奏で左右の手が別々の動きをしているっていう表現が近いかな?
きっと、今のボクは世界一器用な人間に違いない。
恵の体で勉強にいそしみながら、啓一の体でスポーツに励む。
そしてどちらの知識も経験もボクの中で一つになる。
という訳で「啓一」も「恵」も何でもできる万能型の優等生だった。
451 :
10/12:2009/03/19(木) 12:44:06 ID:Qx1FNbIS
困ったのが思春期の体の変化だ。
恵が生理になったり啓一が精通を迎えたり、
成長するにしたがってはっきりしてくる男女の体の違いに戸惑ったものだ。
自慰を覚えたのももちろん同時、中学生のときだった。
もっともボクの場合、他人から見れば自慰とは言えないだろう。
自分のチンチンを自分の割れ目に挿れるのだから、
行為そのものはただの近親相姦にしか見えない。
でも信じて下さい。これはオナニーなんです。
自分で自分の唇を吸ったり、いろんな体位を試してみたり
安全日だからって生で出しまくったりするのも自家受粉なんです。
まあ、まだ受粉はしてないけれど。
今日は部活もなかったので同時に帰れた。
「ただいまおかえり」
書き置きを見ると、ママもパパも帰りが遅くなるらしい。
仕方ない、今日はボクが夕食を作るか。
「いただきますごちそうさまでした」
残りはパパとママに置いとこう。
料理するのも食器を洗うのも、啓一と恵は完璧な連携で仕上げてしまう。
連携というか、何と言いますか。まあ自分だし。
お風呂に入るまでゴロゴロするか、と思ったが
せっかくだから朝の続きをすることにした。
ベッドの上で、上半身だけ裸になった恵が顔を赤らめている。
「うむ、我ながらなかなかのエロス」
ボクの中の男の部分も興奮している。
啓一は後ろに回りこむと、恵の乳房を揉み始めた。
「んっ……」
いつものように恵の顔を上げ、啓一にキスをさせる。
自分で自分にする、丁寧で濃厚な口付け。
――はむ、ちゅ……ちゅぱっ。
今日もなかなか感度がいい。常人の二倍の感覚はダテじゃない。
たっぷり一分ほど舌を絡めて離すと、唾液の端がボクの二つの口をつないだ。
うっわ。ボクの顔、エロすぎる。
写真に取っておきたくなったが、誰かに流すのにも抵抗がある。
小遣いに困ったらやるとしよう。
ボクは両方の服を脱がせると、
四本の手を交互に互いの秘所に伸ばし、ゆっくりと刺激した。
自分の手だからどれでもいいっちゃいいのだが、
やっぱりチンチンは女の手、アソコは男の手じゃないと気分が出ない。
既に恵のアソコはぐっちょりと濡れているし、
啓一もすぐに先走りの汁が出てくる。
「はあ……はあ……」
二つの口から同時に漏れる熱い息。
これも合わせた方がなんかエロい気がする。
「ん―― !!」
恵の方が先にイキそうになり、慌てて啓一の手を引っ込めた。
中身は一つだけれど、体は恵の方が敏感らしい。
それじゃ、そろそろ挿れますか。
ボクは恵を四つんばいにさせると、後ろから啓一のを受け入れた。
――ジュポッ、ジュポッ……。
汁まみれのアソコが、嬉しそうに肉棒に絡む。
「あああああ――」
「いい……!」
どちらの腰を動かしても、両方の口から声が出る。
ボクは入れる快感と入れられる快感に喘いだ。
突きこむと、ボクの先が奥まで当たる気がする。
「あ――うう……」
恵の胸もそこそこだけど、啓一のチンチンにも自信がある。
少なくとも、自分の「女」の部分には相性バッチリ、一番奥まで届いている。
まあ、これも全部オナニーなんですけどね。
――グチュッ、ジュッ……ヌポッ……。
「ううああ……!」
「うひいいい……!」
いかんいかん、そんなこと考えてる間に高ぶってきた。
普通の人間の二倍の性感が、ボクの頭をかき回す。
入れて入れられ、突っ込んで突っ込まれ。
よし、今日は同時にイクとしよう。
安全日だし大丈夫でしょ、と軽く考えて中出しを決める。
「……はあああっ !!」
啓一と恵、二つの体がビクンと跳ね、ボクは絶頂に達した。
熱いモノを出して出されて。
ビュルルル、とボクの膣の中にボクの精液が注がれる。
「……はあ、はあ……」
どちらの体も息もたえだえ、つながったままベッドに倒れこんでしまった。
……はーあ。
している間は興奮したけど、イクとつい冷めてしまう。
ボクは一体、何をしているんだ。
傍目から見ればセックスかもしれないが、やっぱりこれは寂しい。
こんなことで性欲を発散するくらいなら、早く恋人を作った方がいい。
「恋人、なあ……」
「恋人、ねえ……」
男相手にはボクの「男」の部分が反発し、
女相手にはボクの「女」が反発する。
こんなボクに恋人なんてできるのだろうか。
でもこうして日々自家受粉に励むのも空しい。
それともボクは生まれながらのナルシストなんだろうか?
ふう、とため息をついて啓一が恵の体から抜けた。
ゴポッ、と音がして汁がシーツにこぼれる。
――はあ、お風呂に入ろう。
ボクは後始末をすると全裸の二つの体を起き上がらせ、
そのまま浴室に向かったのだった。
以上となります。
元々はODスレ用のSSだったのですが、どこをどう間違えたのかこんな話に…
長々とスレ汚し申し訳ありませんでした。
ではこれにて失礼致します。
>>442 全体に漂う空しさというか、醒めた空気が妙にエロチックに感じました。
逆にセックスになると、奇妙に即物的で淡々と
あっけらかんと処理している感じになるのがまた面白いです。
良いものを読ませてもらいました。ありがとう。
エロいな
凄くエロい
乙
ちょっと変わったふたなりモノって感じか。
なかなかいいっすの。
>>439です。
あれから続きを書いてみたので投下でございます。
今回はエロなしで申し訳ないですが。
昼休み。2年A組の坂本由紀は珍しく男子生徒に呼び出された。
「何よ、話って」
由紀はショートヘアを茶色に染めた、活発そうな女生徒だ。
運動部には入っていないが、普段の暴れっぷりが高じて
周囲からは「格闘王」の称号を与えられている。
恋多き年頃なのだが、おかげで彼女を受け入れてくれる
寛容で丈夫な恋人にはまだめぐり合っていない。
「ああ、悪ぃな」
壁にもたれた男子生徒が軽い調子で言う。
ニヤけた顔が妙に軽薄さを感じさせる、見るからにお調子者といった男だ。
隣のクラスの佐藤栄太。顔見知りではあるが
由紀とはそれほど親しい訳ではなかった。
「坂本、お前に頼みがある」
「頼み?」
由紀の顔は不審げな表情を浮かべた。
栄太のトボけた軽いキャラは、由紀の好みとはカスリもしない。
そんな相手にいきなりお願いなどされては、つい身構えてしまうというものだ。
「これを見てくれ」
栄太が取り出したのは、郊外にある水族館の割引券だった。
「何それ。一緒に来いって? お生憎さま、お断りするわ。
正直言って、あんたなんか全然タイプじゃないのよね」
デートの申し込みを、由紀が両断する。
「ふっ、わかってるさ、そんなことは」
ひどい言われようだったが、なぜか栄太は余裕のある態度を保っていた。
「よく見ろ。実はこの券、四名様まで使えるんだ。
これがどういうことかわかるよな?」
「――え?」
由紀は相手の顔を見た。
たしかこいつは、あの水野啓一と仲が良かったはずだ。
そして由紀の友達の水野恵を狙っているらしい。
由紀は栄太の意図を理解し、口端をつり上げた。
「なーるほど。あんたは啓一クンを、
あたしは恵を誘えばいいってことね」
「ご名答。どうだ? 悪い話じゃないだろ」
「いいわ。その話乗った」
「交渉成立、だな」
二人は教室の隅で、笑いながら握手を交わした。
よく晴れた日曜の午前。
集合場所の駅前には、三人の男女が集まっていた。
「もお、遅〜い! 佐藤のやつ、人を誘っといて最後に来るとか
マジ人として終わってるやつよね !?」
「ご、ごめん……」
「いや、別に啓一クンは謝らなくていいのよ。
悪いのはあの頭の軽い馬鹿なんだから」
由紀が腰に手を当てて笑う。
今日の由紀はベージュのタンクトップに紺のミニスカートだった。
本当はショートパンツの方が性に合っているのだが「啓一クンは絶対に
こっちのが好きなはず!」ということで、彼女なりに選んできたらしい。
「後で絶対あいつにおごらせてやる。覚悟してなさい、ふふふ……」
後ろを向いて赤いオーラを身にまとう由紀に、
啓一と恵は冷や汗を浮かべて一歩身を引いた。
やがて栄太がやってきて由紀の飛び蹴りを顔面に受けると、
一行は水族館方面へのバスに乗りこんだ。
「フリルの下着なんて似合わない物を……」
「あ、見えちゃった? ごめんね。
今度は見せないようにちゃんと気をつけて蹴り飛ばすから」
「……すいませんでした」
そのやり取りを横で見ていた二人が笑う。
(恵さん、やっぱり笑顔がいいなあ)
恵は白のインナーに青のベスト、フレアスカートという装いで、
背中までふわりと伸びたツヤのある黒髪が清楚なイメージを抱かせる。
「今日こそ! 俺は! ゲットだぜ!」
「……どうしたの? 佐藤君」
「あーいやいや、何でもありません。恵さん」
バスの中で騒ぐ栄太を、恵は首をかしげて見つめた。
座席は栄太と恵、由紀と啓一が隣り合うようにしている。
バスが着くまでの十数分の間、栄太はちらちらと横を見ながら
頭の中で策を巡らせていた。
「へ〜え、やっぱキレイねぇ」
由紀が水槽の熱帯魚を見て声をあげる。
「こらこら坂本、あんまりウロウロしてると迷子になるぞ」
「失礼ね、大丈夫よ!」
まだ早い時間とはいえ、休日の水族館は
カップルや親子連れでそれなりに混雑していた。
この様子では、一度はぐれてしまうとなかなか合流できそうにない。
しかし栄太と由紀にとっては、それが狙いだった。
「タコって意外と愛嬌あるんだな、驚いたよ」
「うん。とってもかわいいわね」
二人の後ろでは啓一と恵が仲良く歩いていた。
似合いの美男子と美少女のカップルに見えるが、
人によっては顔立ちから二人の血の繋がりに気づくだろう。
「……よし、そろそろいいだろう。頼んだぞ」
「わかったわ。そっちも頑張りなよ」
「ふっ、タイタニックに乗ったつもりでいてくれ」
「あんたそれ意味わかってる……?」
ボソボソと小さな声で栄太との会話を済ませると、
由紀は明るい声で啓一に話しかけた。
「あ、あっちにペンギンがいるんだって! 啓一クン、見に行こ!」
「え? あ、う、うん……」
半ば強引に啓一と腕を組むと、
由紀は彼を通路の向こうに引っ張っていった。
「あ……」
恵が声を漏らすが、大騒ぎしている幼稚園児の群れに通路をふさがれ
その場に取り残されてしまった。
「大丈夫ですか、恵さん?」
その横に栄太が笑顔で立つ。
「坂本もしょうがないヤツですね。
仕方ない、あの二人とは後で合流しましょう」
「え、ええ……」
栄太は作戦がうまくいったことに舞い上がっていたため、
恵のつぶやきは耳に入らなかった。
「――そっか、栄太も由紀も……やれやれ……」
由紀は啓一と手を繋ぎ、上機嫌で歩いていた。
「あれー? 恵も佐藤もいつの間にかいなくなっちゃったわね。
仕方ないから啓一クンも一緒にさがそ?」
無論、見つけるつもりはない。
このまま出口まで二人っきりで館内を巡るつもりだった。
「大丈夫。あの二人は順路を三つ曲がった後ろにいるから、
ここで待ってればすぐに合流できるよ」
「――はい?」
何か今、さらりと信じられない言葉を聞いた気がする。
「あ、携帯のGPS? やっぱり啓一クン、あの子が心配で
いっつも居場所を把握してるのね。恵が羨ましいわ♪」
「GPSなんてないよ。でもわかるんだ」
「……あっそ……」
あんたはニュータイプかジョースターの血統ですか。
そう突っ込みたかったが、ここでまた啓一と恵を一緒にしては
計画が台無しである。由紀は啓一の腕をとった。
「ま、まあ場所がわかってるなら心配いらないわよね。
とにかく、あちこち回りましょ?」
「んー、そうだね。それでもいいか」
気のない啓一の返事に怒りを隠しつつ、
由紀と啓一は順路から少し外れた展示室にやってきた。
水槽とパネルに囲まれた、円形の部屋である。
大した展示はないようで、他に人はいなかった。好都合だ。
「ちょっと座りましょ」
「うん」
由紀は啓一と一緒に部屋の隅の長椅子に腰を下ろした。
「ねえ、啓一クン」
「何? 坂本さん」
「ダメよ。苗字じゃなくて名前で呼んでほしいの」
「いいよ、由紀さん」
啓一は由紀の方を向き微笑んだ。
その笑顔に思わずドキリとさせられる。
(こうして見ると……恵と結構似てるのね)
もちろん啓一は恵より身長は高いし、サッカー部のレギュラーをしていて
脚や胸板も男らしく力強い。
だが筋の通った鼻や薄い唇など、顔のパーツは恵と共通点があった。
顔だけでなく、啓一と恵はともにスポーツ万能にして
成績も仲良く学年ベストテンに入る模範的な優等生だった。
テストでは二人が毎回ほぼ同じ点と解答になるため
一時はカンニング疑惑をかけられたこともあったのだが、
別々のクラスで試験を受けているのにカンニングのしようがない、
ということで潔白が証明された。その代わりしばらくの間
二人のあだ名が「フロスト兄妹」になってしまったが。
(それに、表情も似てる気がする……)
恵が男の子になったらこんな感じだろうか。
いつもの友人と同じ親しみがわいてきて、
由紀は長椅子に座ったまま啓一にもたれかかった。
「啓一、クン……」
「何だい? 由紀さん」
「この前は断られちゃったけど……その、良かったらあたしと、
お付き合いしてください……!」
顔を赤らめて告白してきた由紀を見て、
啓一は困った顔で頬をポリポリとかいた。
「困ったなあ……それはこの前、きちんとお断りしたんだけど」
「だって、啓一クンって何だか他人とは思えないんだもん。
まるで恵と話してるような感じがして……」
「そりゃそうさ」
「?」
啓一の意外な言葉に由紀は疑問符を浮かべた。
そんな由紀に啓一が口を開く。
「ごめんなさいね、由紀。やっぱり駄目なの」
「……え?」
「わからないの? 私よ、私」
「――け、啓一クン……?」
にっこり微笑んで目の前の少女に言葉をかける啓一。
だがその口調は今までとまるで違っていた。
「由紀はちょっと乱暴だけど元気が良くて、私はいつも助けられてる。
あなたは大事な大事な、私の友達よ」
由紀は大きく目を見開き、座ったまま飛び跳ねて
啓一から一メートルほど離れた。
その弾みで長椅子から落ちそうになるが、そんなことはどうでもよかった。
「でも恋人にしたいかっていうと、ちょっと違うの。
……ごめんなさい。あなたの気持ちに答えられなくて……」
(――まるで恵と話してるみたい――)
さっき自分の言った言葉が頭の中に蘇る。
「あ……ああ……あぁあ……!」
肩を震わせ歯の根を鳴らし、腰を抜かして由紀は怯えていた。
人間の頭より大きな笠を持つ巨大なクラゲがふわふわと浮かんでいた。
「すごーい……」
「デカいですね」
恵が水槽に両手をつけて見入る。
「体は赤いのに、笠だけ白いのね」
「こっちの小さいのは全身がオレンジ色ですよ」
「あ、ホントだ」
無邪気な子供のようにクラゲを見つめる恵の様子は
普段の控え目な態度とはまた違った愛らしさを感じさせる。
(恵さんってこういう顔もできるんだ……)
ここも順路からは外れた位置にあり、先ほど嵐のような幼稚園児たちが
走り去ってからは無人の空間になっていた。
暗めの照明と幻想的に泳ぎ回るクラゲの群れの前で、
憧れの美少女とたった二人きり。
(ここで勇気を出さないと、男じゃない……!)
「あ、あの、恵さん!」
「何かしら、佐藤君?」
にっこり笑う恵の顔が間近にある。清楚で、可憐で、そして綺麗で。
栄太は恵の肩に両手を置き、震える声で言った。
「ぼ、僕は、恵さんのことが……好きですっ !!」
恵は聖母のような笑顔を浮かべ、栄太を見つめた。
「――やれやれ。こうなると思ったよ」
「え?」
恵の発した言葉に、栄太はとっさに反応できなかった。
「由紀と二人で、俺にコンビネーションアタックを仕掛けた訳だ。
まあ魚もクラゲもタコも綺麗だから、来た甲斐はあったけどな」
「め、恵さん……?」
こちらを見つめる大きな瞳。癖がなく揺れる、つややかなストレートの黒髪。
薄く可愛らしい唇から漏れる透き通った声。
間違いなく、そこにいる少女は水野恵であるはずだ。
なのに――。
(け……啓一…… !?)
信じられない状況に、栄太はよろめいて一歩後ろに下がった。
恵は空いた距離を詰めるようにこちらに歩を進める。
先ほどは自分から近づいていたはずなのに、今は立場が逆だ。
「栄太。お前が面食いなのはよく知ってるけど、
顔だけで相手に告白するのは正直言ってどうかと思うぞ。
そんなだから、未だに彼女ができないんだよお前は」
恵はニヤリと笑った。いつもは絶対に見られない表情。
まるで啓一のようだった。
「え、えーと、あの、その……」
「仕方ないから今日は一緒にいてやるけどな。
お前も俺なんか狙うのはやめて、もっとちゃんとした女の子に告白しろよ」
栄太はパニックになっていた。
なんで恵さんが男のように喋っているんだ?
なんで啓一みたいなセリフを吐くんだ?
なんであいつと同じ顔をする?
(な、何なんだよ……訳わかんねえよ……!」
憧れの少女と会話することも逃げ出すこともできず、
彼はクラゲの水槽の前で立ちすくんでいた。
「……なんてね」
「え?」
いきなり元の表情に戻った啓一に、由紀は間の抜けた声をあげた。
「どうだい? 由紀さん。恵っぽかっただろ? 俺」
「け、啓一クン?」
そこにいるのはいつも通りの凛々しい顔の啓一だった。
「俺の隠し芸なんだ。恵の物真似」
「そ――そう、なの……」
「恵にそっくりだっただろ?」
「そ、そうね……すごく似てた……さすが双子ね……」
はああああ……と思いっきり息を吐き出し、
由紀は疲れたように長椅子に両手をついた。
「という訳だから、由紀さん。ホントゴメン」
「あ……う、うん……いいよいいよ……」
この世のものならぬ光景を見せられた後では、
交際を断られたことなどどうでもよくなってしまう。
むしろ啓一には近づかない方がいいと由紀の本能が訴えていた。
「じゃあ、そろそろ合流しようか」
「え?」
「恵と栄太はあそこのクラゲコーナーにいる。
もう昼だし、そろそろ合流してメシにしよう」
やはり、啓一には恵の位置がわかるらしい。
(せ、詮索しちゃ駄目な気がする……)
こうして、由紀の彼氏いない歴はまだ続くのだった。
恵は再び微笑むと、ぺこりと栄太に頭を下げた。
「ごめんなさい、佐藤君を驚かせちゃって」
「……え……?」
「今の、啓一が教えてくれたの。
佐藤君に言い寄られたらこうすればいいって」
「そ、そーなんですか……啓一のヤツ……ハハハ……」
栄太は汗を垂らしながらうなずいた。
「どう? 私、啓一に似てたでしょ?」
「ええ……そりゃもーそっくり……」
胸をなで下ろし、ハァハァと呼吸を整える栄太。
「ごめんね。せっかく私なんかに告白してくれたのに」
「い、いやいや、別にいーッスよ……。
恵さんと俺じゃ、やっぱ全然釣り合わねー……」
「でもさっきの佐藤君もステキだったよ?」
満面の笑みを浮かべる恵にドキリとさせられ、栄太は慌てて首を振った。
「おーい!」
その時、後ろから啓一の声がした。
「あ、ああ。啓一……」
啓一の背後には由紀が消耗しきった顔で立っている。
栄太は汗の乾かぬ顔で由紀に話しかけた。
「だ、駄目だった……何つーか俺にゃ無理……」
「あ、あたしも……諦めた……」
このあと四人はファミレスで昼食をとり、
その勢いでカラオケということになった。
もちろん啓一と恵の完璧なデュエットに、栄太と由紀が
完膚なきまでに叩きのめされたのは言うまでもない。
「あいつら一体なんなんだ……」
「悪い。佐藤、肩貸して……」
よろよろと帰ってゆく二人を見送りながら、
啓一と恵はいつものように穏やかな笑みを浮かべていた。
誰にも聞こえない声が風に乗って流れてゆく。
「まあ、たまにはこういうのもいいかもね」
以上となります。
前の続きなので題名つけてみたりエロがなかったり
ちょっぴりホラーだったりTSことトランスセクシャルぽかったり
双子ものだけど姉or妹スレに投下したら白い目で見られそうだったり
やっぱりここのスレ向けのSSだと思ってます。
ではこれで失礼致します。スレ汚し以下略
470 :
名無しさん@ピンキー:2009/03/22(日) 17:04:49 ID:8J2Hs0Kf
乙乙!
続きものとかここ、あんまりないから
逆に嬉しいだろ、常識的に
エロなくても、ふいんきがよかった
おお! 続きが来てる
面白かったよ
GJ!!
面白いな
乙
なんか癒された
何故か毎日のぞいちゃうんだよ、ここ
アテクシも
>469
ねぇ、これって、猫玄の漫画じゃないか?
>>439です。
ついまた続きを書いてしまったので投下投下。
今回はエロつきですが、やはり雰囲気重視にしています。
だんだんファンタジーっぽくなってますが気にしない。
穏やかな日の夕方。
駅前のドトールに二人組の男女が入ってきた。
どちらも綺麗な顔立ちをした制服姿の高校生で、
穏やかで柔らかい雰囲気がよく似ていた。
ひょっとしたら兄妹なのかもしれない。
「いらっしゃいませ。何になさいますか?」
カウンターの向こうから笑顔で応対する店員に、
少女の方が二人分の注文を淡々と告げた。普通こんな場面では
何を頼むかとか、支払いをどうするかで会話の一つも交わすものだが、
少女は金を払うと無言で空いた席に座り、その後から少年が
二人分のコーヒーとミラノサンドを乗せたトレイを持って
黙って彼女のテーブルに運んでいった。
席についてからも、両者は何も話さなかった。
黙ったまま静かにコーヒーをすすり、サンドをかじる。
まったく会話を交わさない二人を見て、ケンカでもしているのだろうか、
と隣のサラリーマンがちらりと少女に興味深げな視線を向けたが
どうもそういう訳でもないようだ。彼女は男の視線に気づくと、
にわかに笑みを浮かべて向かいの少年に話しかけた。
「ねえ啓一。佐藤君どうしてる?」
テーブルの上には、シュガーの空き袋と
ミルクの空容器が二つずつ転がっている。
「ん、啓太がどうかしたか?」
カップを口に運んで、啓一と呼ばれた少年が聞き返した。
「それがね。今日の帰り由紀と一緒だったの。
ひょっとしたらあの二人……付き合ってたりして」
「へえ、いまいち合わないと思ってたんだけどな。性格が」
「こないだの水族館でくっついちゃったかも。
もしそうだったら、私たちのおかげじゃない?」
「……何言ってんだよ、お前は」
嬉しそうに話す少女に向かい、呆れた表情で少年が言った。
少女のよく手入れされた黒いストレートの髪が揺れ、
セーラー服の肩をふわりと撫でる。
やはりどこにでもいる、ありふれたカップルのようだ。
サラリーマンは隣の席から聞こえてくる高校生らしい平凡な会話を
羨ましそうに聞き流すと、コーヒーを飲み干して席を立った。
穏やかで弛緩した空気が店内を包む。
少年の名は水野啓一。少女は水野恵。
生まれる前からずっと一緒だった双子の兄妹だ。
共に成績優秀、スポーツ万能で啓一はサッカー部に所属している。
恵は真面目で親切、清楚な感じが全身からにじみ出ており
その上校内でも評判の美少女だ。男子から告白されることも多かったが
彼女はその全てを穏便かつ迅速に断り続けていた。
啓一の方も優しい万能型の優等生で、やはり今まで
女子からの交際の申し込みの数々を残らず断っている。
二人とも決して失礼な態度は取らなかったので
大抵の相手は諦めてくれたが、断る理由については
高校の七不思議にも数えられるほどの謎とされていた。
誰もが認める優等生と美少女の兄妹が、共に恋人を作らず
ずっと独り身でいるのである。周りが不思議に思わないはずがない。
「ひょっとしてあの二人、兄妹で付き合ってるんじゃないか?」
そんな疑問が出てくるのは当然の話だったが、
啓一と恵が恋仲になっているというのは誰が見ても考えにくかった。
実は、二人はあまり仲が良いようには見えないのである。
啓一の朝練がない日はいつも一緒に登校するし、二人とも
同じ中身の(量は違うが)弁当を学校に持ってくる。
だが二人は教室や通学路で一緒にいても会話を交わす事はなく、
二人だけのときもお互い黙って何も言わないらしい。
他の人間には普通に喋るのに、兄妹の間の会話がほとんどない。
かといって仲が悪いかと言えばそうでもなさそうで、
勉強や運動をやらせれば抜群の連係を発揮する。
仲が良いのか悪いのか、それすらもわからない。
強いて言えばお互いを完全に意識していないような、
まるで二人で一人の人間かのような振舞いだった。
啓一と恵はテーブルで話に興じていたが、そこに声がかけられた。
「隣、いいですか?」
「はい。どうぞ」
隣のサラリーマンはさっき出て行ったので空いている。
啓一は相手を見返してうなずいた。
「じゃあ失礼します」
席についたのは二人と同じ年頃の少年だった。
やはり高校生のように思われ、白いワイシャツとネクタイ、
黒のスラックスという平凡な格好である。
二人が思わず目を見張ったのは、優しい笑みをたたえた美貌だった。
啓一などとは比べ物にならないほどの端正な顔は、
美術館から抜け出てきた古代の英雄の彫刻を思わせる。
少年はにこにこした顔でアイスティーにシロップを入れた。
ストローを刺して冷たい液体を一口吸い、笑みを浮かべる。
何気ないその仕草から目が離せず、二人は彼を見ていた。
「ご兄妹ですか?」
そんな啓一と恵に、彼が問う。
数瞬後、ようやく啓一は自分が聞かれたのだと気づき、
慌てて少年に答えて言った。
「は、はい、双子なんです。俺が啓一、こっちが恵」
「やっぱり似てますね」
「よく言われます」
啓一は愛想笑いを浮かべた。
二人とも、今までこの少年と会ったことはない。
もしこの顔を一度でも見ていたら決して忘れないだろう。
それほどまでに彼の印象は強かった。
だがそれ以上に啓一と恵が気になったのは
この少年にどこかで会ったことがあるような、という
先ほどの事実とは矛盾した感情だった。
まったく記憶にないのに、なぜかどこかで見たような……。
そんな思いが頭を離れないのである。
二人はそのままじっと少年を見ていたが、
こうしてずっと黙って相手を眺めているのも失礼な話だ。
仕方なく啓一は、気になったことを正直にぶつけてみた。
「すいません、あの……どこかで会ったこと、ありましたっけ?」
少年はストローに口をつけ、悠然と言った。
「ええ、ありますよ」
その返答に二人は納得した。
やはり思い違いではなかったのだ。
「ああ、やっぱりそうでしたか。なんとなくそんな気がしたんです。
それでえーと、いつ、どこででした?」
疑問が解消されてほっとした顔で啓一が言う。
彼はそんな啓一ににっこりと笑って答えた。
「あれはたしか、君たちがお母さんのお腹の中に
いたときだから……十七、八年ほど前だったと思います」
「……は?」
「久しぶりですね。ちゃんと成長していて安心しました。
水野啓一さん、水野恵さん」
突拍子もない事を言い出した彼に呆気に取られ、
二人は呆けた顔で美貌の少年を見ていた。
「僕は知ってるよ。二人が一つの人格、一つの存在だってことを」
「―――― !!」
誰も知らない二人の秘密を口にされ、啓一と恵の顔が強張った。
「君たちは感覚、記憶、人格を共有しているよね。
啓一さんの感じたことは恵さんの感覚でもあるし、
恵さんの思考は同時に啓一さんの意識でもある。
例えるなら右手と左手。そんな関係ってとこだね、二人は」
「な、何でそんなこと……!」
啓一と恵の共有人格が、二つの口から同じ言葉を発した。
二つの体に一つの心。男にして女。兄にして妹。
これが、二人ともが万能の優等生である理由だった。
二つの体で経験した記憶が共有されているため、
勉強の知識もスポーツの経験も一つになっているのだ。
家事も遊びも、自在に連係・分担して完璧にこなすことができる。
啓一は恵であり、恵は啓一だった。存在に垣根はなく、
二つの心と思考は生まれたときから完全に溶け合い、一体となっていた。
少年は穏やかに笑いながら、透き通るような視線を二人に向けている。
「大丈夫だよ。周りは誰も聞いてないから」
細い人差し指を自分の口に当て、少年が言った。
その言葉に二人は辺りを見回したが、他の客も店員も、
誰も三人のことを気にしていなかった。
まるでそこに誰もいないかのように、誰も目を留めない。
「ほら。誰も見てないし、聞いてない」
惚れ惚れするような笑顔で少年が再び言った。
「あなたは……誰ですか?
ボクの秘密は誰も知らないはずなのに……」
恵が強い目つきで相手をにらみつける。
「あはは、警戒されてるね。でも大丈夫さ」
「あなたは誰なんですか……!
なぜあなたはボクのことを知っているんですか!」
「簡単だよ」
ぴんと指を立て、少年は答えた。
「君たちを一つにしたのが僕だからさ」
「…………」
「…………」
あっさりすぎる物言いに、二人はしばし呆然とした。
少年はそんな二人に聞かせるように語りだす。
「昔むかしのことでした。大きなお腹をかかえた妊婦さんが
家に帰ろうと道を歩いていました。妊婦さんのお腹の中には
双子の赤ちゃんが入っていて、幸せそうに笑っていました」
おとぎ話のような語り口で少年の声が響く。
「そこに一人の男の子がやってきました。
男の子は妊婦さんに挨拶をして仲良くなると、
ふっくらしたお腹を触らせてもらいました。そのとき、
男の子はお腹の赤ちゃんたちの、まだ生まれてもいない心を
粘土みたいにくっつけて、一つにしてしまいました」
「……まさか……!」
歌うような声。楽しそうな声だった。
「やがて可愛い男の子と女の子が生まれました。
二人はいつも一緒で仲良く育ちましたが、
他の子供たちとは何かが違っていました」
「…………」
「そう、二人には心が一つしかなかったのです」
相変わらず少年はにこにこと笑顔で二人を見つめている。
啓一と恵は同じ驚愕の表情で、同じセリフを吐いた。
「あなたが……ボクを…… !?」
にわかには信じがたい内容だったが、先ほどからの
少年の異様な雰囲気が、二人に嘘ではないと告げている。
「いやあ。ちゃんと育ってくれるか心配だったんだけど、
うまくいったようだね。僕も嬉しいよ」
彼の優美な口が笑みを作っていた。
「……なんで、そんなことっ !?」
二人は大声をあげたが、周囲の客は何も気にせずくつろいでいる。
世界がそこだけ切り離されているかのようだった。
「あれ、君はその体が嫌いなのかい? 僕はいいと思うんだけどなあ」
意外そうな声を少年があげる。
「いい訳ないだろ! こんな変な体で生まれてきて、
小さい頃からボクがどれだけ苦労したと思ってるんだ!
ボクだけ体が二つあるんだよ !? 悩みもしたし、
人付き合いもまともにできないこともあった!
こんな話、誰も信じちゃくれなかったしさ!」
「うーん、君にとっては嫌かもしれないけど、
今の君は自分が考えてる以上の存在なんだよ?」
「何がっ !?」
聞き分けの悪い子供を見つめる大人の目を、少年がこちらに向けた。
「タロットの大アルカナ『世界』のカードを知ってるかい?
この国では時を止めるジャンプ系漫画で有名なようだけど」
「そんなの知りません!」
「四方に置かれた天使や獣たち。輪を描いて伸びている植物。
その真ん中、『世界』の中心に位置する一人の人物。それは
究極にして完璧な存在、始まりにして終わりであると解釈される」
少年は笑顔のまま小難しい話をし始めたが、
いきなりそんな訳のわからないことを言われても二人にはさっぱりだった。
恵は占いに多少興味があったが、タロットには詳しくない。
だが少年は二人の戸惑いを無視し、話を続けた。
「男にして女という完璧な人間。一般的には両性具有がそうじゃないかと
言われているけれど、僕は違う方向からアプローチをしたくなった。
そうして生まれてきたのが君ってわけさ」
「ボクが……完璧……?」
「赤子。母親。若者。老人。人間には色々あるだろうけど、
一番基本の分け方はやっぱり男と女だよ。
君はその両方の存在として、自己完結した心を持っている。
互いに理解し合おうと、一つになろうと人間は愛し合うけれど、
君たちは最初から一つになってるんだ。完全にね」
この少年は何を言っているのだろう。
自分は何を聞いているのだろう。
「わかってるんだろう? 自分が他の人を愛せないってことを」
「――違う!」
二人は叫んだ。
「もちろん、君がただの高校生であることに変わりはない」
少年が落ち着いた声で続ける。
「完璧な人間……そんなのは言葉の遊びに近いからね。
君は平凡な人より能力は高いけれど、それでも普通の人間の
せいぜい二人分の価値しかないというのが現実だ。
では百人の人格を結合すれば理想の人間になるのか?
千人なら、万人なら? 人類全てを一つにすれば完全なのか?
今後地球の人口が増えていくとして、今の六十億の統合より
未来の百億の融合がより完璧と言えるんだろうか?
君はそういった疑問を考えるためのテストケースなんだ」
「…………」
あまりに現実離れした話に、
二人は言葉に出せずに黙って少年を見つめていた。
「……とまあ、色々言ってはみたけれど――」
彼は話を区切るように楽しげに笑った。
「実のところ、僕も君にそこまで期待してる訳じゃない。
簡単に言えば、ただの暇つぶしってことさ」
「………… !!」
ヒマツブシ。
あまりと言えばあまりの言葉に、啓一と恵が戦慄した。
「ああ、言い方が気に入らなかったなら謝るよ。
でもこうして大きくなった君にわざわざ会いに来て、出生の秘密を
説明してあげた意味を、もうちょっと考えてほしいな」
「……あなた、何者なんですか」
「何だっていいじゃない。楽しいんだから」
華麗な笑顔が、二人にはとても残酷に見えた。
「という訳で、人生を思い悩む君にプレゼントをあげよう」
「……プレゼント?」
「普通の人間になりたいんだろ?」
衝撃の連続で、驚く気力も失われつつあった。
二人分の知恵と理解力を以てしても、事態の異様さについていけない。
座ったまま少年が軽く右手を上げた。
細くしなやかな指を広げ、二人の方に向ける。
「はい、終わり」
「…………?」
何もしたようには見えなかったが、次の瞬間には
少年は微笑んでその手を下ろし、席を立っていた。
「じゃあね」
ゆらりと店から出て行く美貌の少年を、
啓一と恵はただぼーっとして見送るだけだった。
「……何だったんだろ……」
「うん、さっぱり訳わからない……」
「――!?」
啓一が目を見開いた。
手はブルブルと震え、歯をカタカタと鳴らし、
なにか信じられないものを見るかのような表情だった。
そして、それは恵も同じ。
「君は……ボク?」
「――ボク、じゃないボクが……いる?」
啓一と恵。
二人は驚愕と恐怖におののきながらお互いの姿を見つめていた。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
がっくりと肩を落として、二人は家路についていた。
珍しいことに、兄妹が二人きりで会話をしている。
「はあ……私たち、これからどうしたらいいんだろ……」
「ああ。俺もどうしたらいいのか……わからない。
まさか、俺が二つに分かれちまう……なんてな」
「本当にお互いがわからなくなっちゃってるね。私たち」
横を歩く啓一の顔を珍しそうに見つめ、恵がつぶやく。
啓一と恵。
今まで一つだった人格が、あの時から二つに分裂してしまった。
もうお互いの見たもの、聞いたものは直接わからないし
相手が何を考えているかも勝手に想像するしかない。
啓一も恵も、一つだったときの記憶が残っているため
どちらも一人の人間として違和感なくいられるけれども、
今の二人はどこにでもいる、ただの双子の兄妹でしかなかった。
「――啓一」
名前を呼ぶのももどかしげに、セーラー服の少女が言った。
「私……誰? 私、もう啓一じゃないよね?」
「恵……お前は恵だ。ボクは……俺は啓一だ。
俺たちは分裂してしまった。一人から二人になったんだ。
もう俺はお前じゃないし、お前は俺じゃない」
恵の白い手を取り、啓一が夕陽に頬を染める。
そのまま腕を伸ばして少女の腰に回すと、
恵もまた同じように啓一に抱きついてきた。
誰もいない道の真ん中で少年と少女がじっと抱き合う。
十秒、二十秒、もっと。時間が止まっていた。
「これが、俺だけの感覚……」
「私、一人だけなんだ……」
密着して伝わってくる相手の体温も。背中に回された手の感触も。
かすかに漂ってくるお互いの匂いも。
これまでとは違い、共有することはなかった。
――トクン、トクン……。
静かな世界で聞こえてくる心臓の音だけが二つ感じられた。
「……啓一」
「なに?」
いちいち聞き返さなければ、恵の言うことがわからない。
それは啓一にとって初めての不自由だった。
「私たち、分かれちゃったけど……」
「――ああ、うん。わかってる」
わからないけど、何となくわかる。
人間が逃れられない、不自由で不完全な理解。
それを啓一は今、我がこととして実感していた。
「分かれちゃったけど……私、すごくドキドキしてる。
変、だよね……こんなの……」
「変じゃない。俺も……すごいドキドキしてる」
恵は見上げ、啓一は見下ろす。以前はその両方の視覚があった。
今はお互いが相手の顔を見つめ、頬を赤く染めるだけ。
恵のかかとが上がり、つま先立ちで背伸びをした。
自分のものでもあった顔が、見慣れた少女の顔が近づいてくるのを
啓一は緊張して見とれていた。
――ちゅ……。
触れ合った瞬間、啓一は目を閉じた。
口づけの感触を余さないよう、全感覚を動員して感じ取る。
啓一も、恵も。二人はそのまま動かなかった。
舌を動かすこともなく、抱き合う腕をきつく締めるでもなく。
二つの体が一つの彫刻となって、西からの赤い光を浴び続けていた。
それは欠けた体、欠けた心を取り戻そうとする行為。
分かれた人格が再び一つになろうともがいていた。
やがて影が離れ、二人はまた二つになった。
「えへ……キスってすごいね。私たち、一つだったときは
フェラもセックスもあんなにしてたのにね」
「なんか……感覚は半分になっちまったけど、
興奮は三倍にも四倍にもなってる気がする……」
「ねえ、家に帰って……続き、しよっか?」
夕陽のせいでなく真っ赤になって、啓一はうなずいた。
もう日が暮れる。
荷物を置いて着替えをしようと啓一が部屋に入ると、
後ろから恵がぴったりついてきた。
「あれ、ここで着替えるのか?」
「うん……自分が半分になっちゃって不安なの。
着替え見せてあげるから、啓一も見せて……」
なぜいちいち赤くなるのだろう。
互いに同じ人格を持っているはずなのに、
恵のソワソワした仕草や恥ずかしげな表情は
啓一にとって不可解で、だが嫌いにはなれなかった。
――スル……。
啓一の目の前で、恵がいつものように制服を脱ぐ。
彼自身も今までずっとやってきた当たり前の行動だったが、
なぜか啓一は妹から目を離せないでいた。
自分も脱いで着替えないといけないのだが。
「や、やっぱり気になる……?」
「え……」
頬を染めて恵がこちらを見上げてくる。
「私もそうだから……見られてると変な気分になってくるの……」
「――恵……」
「そっちも……見せて……?」
啓一も自分の制服に手をかけ、慣れた手つきでスルスルと脱いでゆく。
そして、兄妹は下着と靴下だけの姿になって向かい合った。
顔は赤く心臓は跳ね、熱っぽい視線を交換し合っている。
いつも見ていた自分の体。
もはや自分のものではない互いの体を見ながら、
啓一と恵は自分の半身に向かって口を開いた。
「とりあえず、服着てご飯作ろっか……」
「あ、ああ……そうだな」
二人の両親は今でも夫婦仲が良く、
今日も子供たちを置いて映画と夕食に出かけていた。
啓一も恵も、自分たちのことは何でもこなせるように
なっているため、こうしたことは珍しくない。
小遣いが入るチャンスなので二人としても歓迎だった。
どちらも食欲はあまりなかった。
オムレツとサラダで簡単に済まそうとしたのだが、
今までと違い完璧な連係が取れなくなっていたので
何度もぶつかってしまい、二人の調理は少なからず混乱した。
そうして彼らは、自分が不完全な二つの半身に
分かれてしまったことを改めて思い知らされたのだった。
「一緒に一つのことをやらずに、分担した方がいいかも……」
「そうだな……何てこった……」
沈んだ顔で返事をする兄を、恵は笑顔で慰めた。
「でも、いつもより楽しかったよ?
いつも私たち、何するにも一人だったんだもん……」
「恵……」
啓一はそんな妹の嬉しそうな顔を見てニッコリ笑うと、
ケチャップのついたオムレツの切れ端を口の中の放り込んだ。
夕食後、恵が食器の片付けを、啓一が風呂の用意をすることになった。
――ジャアアアア……。
洗剤のついた皿を洗う水音がキッチンに響く。
恵は馴れた手つきでどんどん洗い物を済ませていった。
軽く微笑んだ少女が考えているのは双子の兄のことだ。
(啓一、今何してるんだろ……)
兄が風呂掃除をまだしているのか。もう終わったのか。
啓一の感覚がない恵にはそれを知ることができない。
失われた半身の感覚。分裂した自我。
生まれて初めての事態に混乱も戸惑いもあったが、
しかし一番大きな感情が興奮であることに恵は驚いた。
(生まれてから今まで、自分が異常だってずっと思ってて……。
いきなりその原因の人が現れて……暇つぶしだなんて言われて……
突然私が二つに分けられちゃって……何がなんだかわからないけど……)
それでも、心のどこかでそれを喜んでいる自分がいる。
自分は恵だと。彼は啓一だと。二人は別人なのだと。
啓一の顔。啓一の体。啓一の声。
それを「他人」のものとして見るのは素晴らしく新鮮だった。
「恵、終わったぞ。湯入れといたから」
「あ、ああ――うん、わかった」
戻ってきた啓一の声に、恵の思考が中断させられた。
こうして不意にかけられる兄の声も心地よい。
恵は片付けを終わらせると、
そのまま後ろに立ってこちらを見ている啓一に笑いかけた。
「どうしたの、啓一? そんなに見つめちゃって」
「あ、ああ……」
恵の片割れの少年は、ぼうっとした表情で妹の顔を見つめていた。
それがおかしくて、少女はつい笑ってしまう。
「あはは……わかってる。わかってるよ、啓一」
兄にとっては、自分を笑う妹の態度が気に入らなかったようだ。
「な、何がわかってるんだよ」
「何って、私のことが気になって仕方ないんでしょ?」
「そ、そんなこと……」
ムキになって否定しかけた啓一に、恵が頬を朱に染めて言う。
「……私たち、ついさっきまで一つだったんだよ?
わからない訳ないよ。啓一が考えてることなんて」
穏やかな笑みをたたえ、少女は少年の前に立つ。
手を伸ばせば触れ合うほどの距離。
啓一は赤くなった顔をそらすように横に向けた。
「……でも、俺はもうお前じゃない。別人なんだ」
辛い、本当に辛そうな声を絞り出して啓一が言った。
戸惑いと不安、喪失感の混ざった感情に顔がかげる。
恵はそんな兄に手を伸ばし、そっと抱きついてやった。
再びの抱擁。
自分のものではない柔らかな感触と暖かな体温が伝わってくる。
「恵……」
啓一も腕を回して、少女の華奢な体を締めつけた。
あったかい……。
自分で自分を暖めるのではなく、他人の体に暖められている
という実感が、啓一の心を溶かしていく。
「ん……啓一、痛いよ……」
「え? あ、ああ……ごめん」
知らない間に、つい力を入れすぎてしまったらしい。
彼は力を緩め、腕の輪の中に恵を包み込んだ。
「そうか……そっちの体、細いもんな……」
「そうだよ、よく知ってるでしょ?」
「うん、わかってる」
共に笑顔を浮かべ、二人は見つめあった。
うるんだ瞳の少女が言う。
「あーあ、私が啓一だったら良かったのに……」
「なんで?」
恵は少しだけ頬を膨らませて続けた。
「だって、君のことを見上げないといけないもん」
その表情が、啓一にはとても可愛く感じられた。
ふふふ、と思わず笑い声をあげて少年が答える。
「それは勘弁してほしいな。お前の顔、すっげー可愛いから」
「――馬鹿……自分の顔でしょ?」
「今は別人――だろ?」
「……ん……」
今度は目を開けたまま、兄は妹の唇を奪った。
触れ合った口から舌を伸ばし、啓一が恵に侵入する。
彼女もそれはわかっていたようで、
こちらも舌を出して兄のものに絡め始めた。
――ちゅ、ちゅる……。
二人だけの静かな部屋に唾液を交換する音が響く。
人格が分かれていても、二人の動きはぴったりだった。
舌を絡め口内を舐め、互いの唾を吸いあう。
「はあ……ん……」
恵はトロンとした目で啓一を見上げている。
啓一もまた、荒い吐息を妹の中に送り込んで体を火照らせた。
奏でられる水音のワルツの下、一組の舌が踊り続ける。
「――ぷはぁっ……」
三十秒か一分か。呼吸が苦しくなってきたので一旦首を引く。
兄妹の混ざった唾液が、二人の唇を淫靡な架け橋でつないだ。
「……け、啓一ぃ……」
心はすっかり兄の虜になったと、恵の目がそう言っている。
きっと自分もそうなのだろう。啓一は残った理性で分析した。
「恵……」
一つになっていたときから知ってることだが、
同じ人格でも性感は恵の体の方が上だった。
自分の方がまだ衝動を抑えていられる。
それを自覚して、啓一は妹に言ってやった。
「……お前、よだれ垂れてるぞ」
ピンク色の唇の端から、一筋の雫が落ちかけていた。
その指摘に恵はハッと我に返り、怒った顔で言った。
「啓一ぃ……空気読んでよ」
「ふん、さっきのお返しさ」
啓一の舌が伸び、恵の唇をよだれごとペロリと舐める。
「………… !!」
兄の不意打ちに彼女は返す言葉を失い、
耐えかねたように熱い息を一つ吐いた。
啓一はしてやったりといった表情で妹を見下ろした。
「続きは……上で、しよう」
今すぐ彼女に襲いかかりそうな欲望を必死で抑え、
彼はこくりとうなずいた恵を連れ、ゆっくり二階へ向かった。
自分の部屋に着くなり、啓一はベッドの上の妹に飛びかかり
荒々しく衣服を剥ぎ取った。
「あ、やだ……啓一、落ち着いて…… !!」
白いブラを取ると、恵の形のいい豊かな双丘が丸見えになった。
桃色のパンティと黒のニーソックスだけの裸体は
今まで散々見てきたはずなのに、ひどく啓一を刺激した。
ほぼ全裸の妹に覆いかぶさり、そっと頬ずりをする。
露になった少女の肌が啓一の顎にこすられて熱を持った。
「ダメだ……可愛い。恵、可愛いよ」
「そ、そんなこと……啓一に、言われるなんて……」
彼は上から恵の体をきつく抱きしめ、耳元で囁いた。
「ホントだよ。恵もこっちに入ってたら、絶対そう思うって」
「……じゃあ代わってよ」
「それはできないな……もしできても、したくない」
兄の意地悪な言葉に、恵は眉をつり上げた。
「もう……私、こんなにされて、ドキドキしてるんだよ?
私ばっかりこれじゃ、不公平じゃない……」
「でも、やっぱりこういうのは男がリードしないとな」
そう言って啓一は、顔を下ろして妹の大きな乳房にかぶりついた。
見慣れた白い肉の塊は、今はとても美味そうに見えた。
「あ……! ……ず、ずるい……」
じらすように舌を這わせ唾を塗りこむと、恵が切なげな声をあげた。
綺麗な乳輪を口に含み、舌でコロコロと乳首を転がす。
一つだったときの記憶から、そこが感じるのを啓一はよく知っていた。
「はぁん……いやぁ……!」
甘い声で自分を咎めだてる妹にたまらない愛情を感じ、
彼はそのまま恵の乳房を慰め続けた。
左右の塊をかわるがわる愛撫し、恵の顔から理性が乏しくなった頃、
啓一は妹の秘部を隠していた最後の布地に手をかけた。
スルスルと太ももから足首にずらし、ついに外してしまう。
「綺麗だ……恵……」
少女の裸体を見つめ、啓一はそう囁いた。
恵の肉壷は我慢できずにとろりと汁を垂らし、
今か今かと啓一を待ちかねていた。
「はぁ……はあ……」
二つの口から吐かれる熱い吐息。
それがシンクロしていくのを感じながら、啓一はズボンの中から
はちきれんばかりに膨れ上がった自分の肉棒を取り出した。
これだけ濡れていれば充分だ。
「あ……はあ、けーいちぃ……?」
啓一は、呆けた顔で焦点の合わぬ目をした恵に覆いかぶさり、
パンパンにそそり立った自分のをそっとあてがった。
「恵……いくよ……」
返事もできない妹の腰を両手で押さえ、彼はゆっくりと
少女の中を突き進んでいった。
「――あっ…… !?」
濡れそぼった膣をかき分けられる感触に、恵の目に光が戻る。
啓一は侵入を停止し、上から妹の顔を見下ろした。
気がつけば貫かれていた恵の驚きの表情は、
彼にかすかな優越感をもたらしたようだ。
「恵……どう?」
「やん……入れちゃ……!」
腰をひねって逃げようとした恵だったが、兄にがっしりと
押さえ込まれているこの状況では無駄な抵抗でしかなかった。
「嫌なはずないだろ……? こんなの、いつものことじゃないか」
「ん……でもぉ……!」
自分でない自分と繋がるという初めての感覚。
違和感と快感と、そしてわずかばかりの恐怖に恵の顔が染まるのが
啓一の目にはっきりと映った。
「大丈夫……大丈夫だよ」
体を伸ばし、笑顔を浮かべて彼は妹の唇にそっと口づけした。
大きく見開かれた恵の瞳が、啓一のそれと至近で向かい合う。
二人はそのまま時を止めていたが、そうしているうちに少女の目に
だんだんと安堵と情愛の色が浮かんでくるのがわかった。
「――ふう……」
啓一は口を離し、わずかな距離を隔てて妹と見つめあった。
「……落ち着いた? 恵」
「うん、もう大丈夫だけど……」
心なしか、恵の表情は少しばかり悔しそうに見えた。
「なんで……私と啓一、こんなに違うの? 元は同じじゃない……」
「ん、そうだな……同じはずなのにな……」
彼は恵を見下ろし、挿入したまま腰を動かし始めた。
「んっ……あぁ……動かないで……!」
優しい兄の動きに、恵の目が細められる。
「とりあえず言えるのは、俺が恵を好きってこと。
……だって、こんなに可愛いんだもん」
「好き……? 啓一、わ、私が好き……?」
聞き返してくる少女に笑いかけ、啓一が繰り返した。
「ああ、好き……恵、好きだ。愛してる」
だんだんと啓一の動きが激しくなってくる。
自分も腰を使い始めていることには気づかず、恵は喘いで言った。
「ば、馬鹿ぁ……私たち、お、同じだった……はんっ、だよ?」
互いに自分。分かたれた二つの人格同士が愛し合うなど――。
襲いかかる快感に必死に歯を食いしばり、啓一が答える。
「でも、俺は恵が好きだ……今まで誰も好きに……なれなかったけど、
俺はお前が大好きだ……。こうやって一緒に……なりたい」
「啓一……!」
それは分裂した人格が再び一つに戻ろうとしているだけかもしれない。
だが啓一も恵も、繋がった相手のことが愛しくてたまらなかった。
こうして一つになって快感に身を任せていると、
欠けた部分が満たされていく気がしてくるのだった。
「う、あ……はあ……!」
啓一は陰茎を激しく前後させ、恵の中をかき回した。
いつもの半分、貫く感覚しか彼は感じなかったが、
愛しい自分の半身の少女を抱いているという実感に
普段の何倍もの興奮が啓一の脳を刺激してくる。
それは恵も同じようだ。
「――はん……あっ……ああんっ !!」
細めた目から涙を、喘ぎ声の漏れる口からよだれを垂らし、
彼女は快楽のおもむくままに腰を振り続けていた。
肉棒を受け入れた女陰は汁まみれで、
互いの腰が動くたびにジュポジュポと水音を響かせる。
啓一のたくましい男の体も、恵のか細い女の体も、
興奮と快感の汗で全身がじっとりと濡れていた。
思春期に入って何度も経験した自分同士の交わり。
確かに性交の感覚は常人の倍はあったはずだが、
いくらやっても心は満たされなかったように思う。
それが今、一つだった人格が分かたれ、啓一も恵も
お互いを求めて心を満たし合っていた。
結局ベッドの上で三回、その後風呂場で二回。
二人は初めての他者との交わりにのめりこみ、
思う存分お互いを貪り合った。
部屋にカギをかけ、二人は恵のベッドで抱き合って眠った。
さすがにもう性交はしなかったが、狭いベッドの中でくっついて
相手の温もりを感じているだけで言い知れぬ安らぎを感じるのだった。
「恵……」
「何? 啓一」
そっと囁く声で、双子の兄が妹に言う。
「明日、一緒に起きよう。一緒に着替えして、
一緒に身だしなみを整えよう。それで一緒に弁当作って、
一緒に登校して、学校で一緒に栄太や由紀の相手をしよう」
「あはは、何それ。そんなの今までもやってきたじゃない」
「もう俺たち、二人だからさ……あらかじめ言っておこうと思って」
恵がクスッと微笑んだ。
「でも、もう前みたいな連係できないよ? 君と私はもう違うんだもん」
「違うからこそ、面白いかなって思ったんだ」
「ん、そうだね……」
暗い部屋の中で彼女は兄の顔を見つめた。
「でも、啓一は元に戻りたくないの?
私たち、今までずっと一つだったのに分かれちゃってさ」
「どうだろうな……俺にはわからない」
「私も……わからないよ」
啓一は、こちらを見ている妹に向かって微笑みかけた。
「俺たち、もう一つじゃないけど……でも、もしずっと
一つのままだったら、こんな気持ちにはならなかったろうな……」
「啓一……」
「とにかく寝ようか。あんまり騒いでると怒られちまうし」
「……うん」
うなずいた妹に、啓一はそっとキスをした。
以上となります。
今度は分裂させてみましたが、平凡な兄妹モノになりそうだったので
そこのところが結構苦戦。難しいですね。
続きそうな展開の割には、続きを何も考えてないのも困ったものです。
>>476 読んだことがないので何とも言えません。
基本は多重人格の逆パターンなので、皆無なシチュでもないのかも?
ただ、なかなか普通のスレには投下しにくい気はしてます。
ではこれにて失礼します。
またどこかでお会いできたらいいですね。
GJ!
離れてしまった相手を求めて以前よりもエロくなる辺りが、何か神話っぽくて素敵っす
ところでハサミと糊みたいに人の心をくっつけて切り離した諸悪の根源は、
一体どう落とし前を付けるんだろうか
敢えてスルーというのも、神話の理不尽さが出てて良いとは思うけど
面白いからいいけど、
なんかシリーズ物の一部に見える
すごい!面白い!!
>499
本当に読んだ事無いの?第1話から第2話前半までそのまんまだったよ?
いや、あっちはそこまでで終わってるけど。
TS界の住人として言わせてもらえば、確かに一風変わった話ではあるが
全く新しい訳でもないな
例えば藤子不二夫のバケルくんは人形に乗り移る話だが、
一人で同時に複数の体を操る場面があった気がする
あとコピーロボットとか憑依だとか、これ系の話はいつの時代も隠れて存在している
名前まで同じだとかじゃない限り、普通にオリジナルの創作でいいと思うよ
かなり面白かったし俺としては充分アリだな
>>503 面白そうなんで読んでみたいんだけど、題名教えて。
保守しておく
保守です
保守
>>503 陽気婢 にも同じ趣向の作品があった気がするな。
この作品はこの作品として面白いし、それでいいんじゃね。
こんばんは
>>439です。
一つと二つの双子話の続編を投下です。
青空の下、グラウンドを疾走する影があった。
「――水野ぉぉ! いいぞ、上がれぇえ !!」
コートの右側を、ボールを持った少年が駆け抜けてゆく。
勢いに乗った彼は、半ば怯えた敵チームの選手二人を
瞬く間に抜き去り、さらに外側にオーバーラップしてきた
もう一人の少年の前方へとパスを送る。
「…………!」
相手チームの表情が引きつった。オフサイドはない。
一人目が敵を引きつけていたためノーマークだった二人目は、
余裕の表情で深い位置へと流されたボールを受け取ると、
そのままゴールラインの近くからセンタリングを上げた。
「……うぉおおおぉっ !!」
歓声が上がる。観客もチームメイトも、そして敵の選手でさえも
高く跳び上がった彼のヘディングシュートが、
次の瞬間にはネットに突き刺さるだろうと予測していた。
そして、その通りになる。
「――ゴォォォォォルッ !!」
ゴールの隅に落ちてゆくボールはキーパーの手をすり抜け、
改めてコートの周囲の生徒たちを盛り上がらせた。
「はぁ、はぁ……」
ゴールを決めた少年は、仲間の賞賛を浴びつつ呼吸を整えている。
「ハットトリックだぜ」「さすが啓一だ」という声が
彼にとってはやけに遠くから聞こえてくる気がした。
ゴールを決めた時から、彼の目はある一点に注がれている。
グラウンドの隅にたたずんでこちらを見つめている少女。
美人、と言うべきだろう。
よく手入れされたストレートの黒髪を背中まで垂らし、
唇は薄く瞳は大きく、清楚そのものといった女の子だ。
(――恵……)
彼は声には出さず、心の中で呼びかけた。
以前はそれで通じるはずだった。いや、その必要すらなかった。
しかし今、啓一の心は恵には届かずこうして見つめ合っている。
彼女は学年でも評判の美少女だし、成績も良ければ性格も優しく
恋人にしたい女ランキングでは一、二を争うほどだった。
しかしいまだかつて、この少女に寄り添う立場になった男はいない。
その原因が自分にあることは、啓一にはよくわかっていた。
いや、自分たちに、と言うべきか。
水野啓一、そして水野恵。
引き裂かれた彼らはまだ元に戻っていなかった。
無事に勝利を収め、観客たちは自分たちの学校の代表を祝福した。
啓一もまた笑顔を浮かべ、仲間と勝利の余韻を分かち合う。
「――祐介、助かったよ」
彼は隣にいた、三点目のアシストを決めたDFの少年に笑いかけた。
中川祐介。本来はサッカー部員ではないのだが、
数の少ないこの学校のサッカー部員に怪我人や欠席者が出ると
こうして助っ人に駆り出される。
「いや、こっちこそDFの癖にあんなに前に出て悪かった。
一点取られちまったのは俺のせいだな」
気まずそうに頬をかいて祐介が答える。
目つきの鋭い少年だが、実は気のいい男で啓一とも仲がいい。
「そんなことないって。アシスト二回も決めてくれたし充分だよ。
あんなにやる気あるんだったら、本気でうちに入らないか?」
「悪ぃが遠慮しとく」
ニヤリと笑っていつもの返事をする。
祐介が指差した先には、黒髪をツインテールにした
中学生でも通りそうな小柄な少女が彼を待っていた。
「……祐ちゃ〜ん」
「おう、待たせたな。瑞希」
飛びついてきた彼女を汗ばんだ体で抱きとめ、髪を撫でてやると
周囲から羨望と嫉妬の眼差しが向けられた。
「……祐ちゃんってやっぱりすごいんだね。
見てたよ? なんかびゅーんって走ってたの」
「んなこたないさ。啓一に比べれば大したことないって」
こちらを見ながらそう言ってくる、嬉しそうな顔を見ていると
祐介が部活をやらない理由が誰にでもわかってしまう。
啓一はため息を一つつき、祐介の肩をポンと叩いた。
「じゃ、お疲れ。また試合のときは頼むよ」
「都合がつけばな。あと曽根崎先生に助っ人料忘れるなって
ちゃんと言っといてくれよ?」
「――ああ、わかった」
他校との試合に勝ったときの顧問は実に機嫌がいい。
部員でなくともあれだけ活躍した祐介には何でも奢ってくれるだろう。
彼は祐介と少女に別れを告げ、自分の相方のところへ向かった。
恵は遠慮がちに校舎のそばで待っていたが、
興味津々で迫ってくる部員たちに取り囲まれていた。
「水野さん、俺見ててくれた?」
「啓一を見に来たの? 珍しいね」
「俺たち、これから打ち上げするんだけど一緒に来ない?」
美少女に群がる汗臭い男たちに愛想笑いを振りまく恵。
その内心は、一風変わった嘆きで埋め尽くされている。
(……江崎も奥田も、私の髪に触るんじゃない! 汚いだろっ!
キャプテンも、こないだ彼女にフラれたからって
馴れ馴れしくしすぎだと思うんです! やめてください!)
分裂する前、彼女は恵であり啓一でもあった。
サッカー部員としての啓一の記憶は今でもしっかり残っている。
女としての意識と男の記憶の双方に照らし合わせてみても、
今の状況は決して愉快なものではなかった。
救いの主がやってきたのはそのときだ。
「……あ、啓一ぃ!」
彼女は啓一が近づいてくるのに気づいて手を振った。
――なんだ、やっぱり啓一か。期待させやがって……。
周囲の部員たちが顔に失望の色を浮かべ離れてゆく。
キャプテンなどは露骨に彼への怒りを表しつつ
「お前も早くフラれてしまえ!」
と謎の言葉を発した。
近くでは、顧問の曽根崎が笑みを浮かべて部員を集めていた。
「帰りたい者はー、帰っていいがー、それ以外の者はー、
私と晩飯をー、食いに行くぞー」
「おおおぅっ!」
定年間近のやせた体に大勢の高校生を連れて居酒屋に行く元気があるとは
あまり思えなかったが、それがあるのだから周囲には驚きだ。
「それとー、今日は機嫌がいいのでー、ついでにー、
試合見てた子らもー、飯を食わせてやるぞー」
「やった、先生太っ腹ぁ!」
どちらかと言えば弱小なのだが、サッカー部の試合には
女の子のファンが少しながらいる。
ほとんどは啓一目当てではあるが、中には啓一を諦め
他の部員とくっつく女子もいないではない。
祐介と瑞希は帰ってしまったが、残りの部員とマネージャー、
数人の女生徒が打ち上げに参加することになった。
「――という訳で水野さんも! ぜひ!」
「ええ?」
調子のいい誘いに恵は少し考え込んだ。
本音を言えば啓一と二人で帰りたいのだが、
あんなに勝利に貢献した啓一がこの場を去る訳にもいくまい。
「先生もいいって言ってるし、恵も行こうぜ」
「んー、啓一がそう言うならいいよ」
「ぃやったぁああぁ!」
半ば渋々だったが、こうして恵も一行に加わった。
駅前の居酒屋、奥の座敷部屋に彼らは押しかけた。
この辺りには店も多く、こうした大部屋もよく空いている。
コーラやファンタが運び込まれ、顧問の音頭で祝杯をあげた。
皆が虎視眈々と狙っている恵は四隅の席、
彼女を守るように座る啓一の隣でウーロン茶をあおっている。
向かいには部長の特権でキャプテンが座り、恵に話しかけていた。
「恵ちゃん、今日の試合どうだった?」
「あ、はい、すごかったです」
恵が当たり障りのない答えを返す。
座敷の反対側では顧問がビールを片手に
肩をすくめる部員をバンバンと叩いていた。
「はははー、あの御堂のやつのマヌケ面がー、良かったわいー」
どうやら、相手の学校の顧問のことを言っているらしいが
まともに取り合う者は誰一人としていなかった。
キャプテンは嬉しそうに恵と話し、自分の活躍をアピールしている。
「中盤の要をMFと言ってね。特に俺みたいなボランチは
目立たないけどすっごい重要なポジションなんだ」
「そうですね。同じMFでも、攻めの啓一と守りのキャプテンは
役割が全然違いますもんね」
「そう、俺たちが支えているからFWも啓一も攻撃できるんだ。
何たってサッカーはチームワークが大事だからね」
「でも、やっぱり今日の啓一すごかったです。さすが1.5列目」
「ぐ……」
キャプテンの顔が少し下を向いた。
「あとリベロの中川君も素敵でした。DFなのにあんなに上がって、
すごい距離を走ってましたよ。スタミナが違いますね」
「ああ、彼はお手伝いだからね。無理に目立たない方がいいんだ。
彼が上がりすぎたせいで、一点取られたようなもんだし」
「でも、二回もアシスト決めてましたよ? 守りでも敵のFWを
ちゃんと止めてましたし。もしかしてレギュラーより優秀かも」
「うぐ……」
キャプテンの顔がもう少し下を向いた。
焼きそばをちゅるちゅると食べる恵を愛しげに見つめながら、
キャプテンは諦めずに話を続けた。
「し、しかし恵ちゃんは意外とサッカーに詳しいなあ。
もし良かったらうちのマネージャーをやらないか?」
「え、もう三人もいるじゃありませんか」
「グラウンドから水野さんが励ましてくれたら、
きっと皆ももっと頑張れると思うんだ。――もちろん俺だって」
「でもキャプテンってこの間、一年のマネージャーの福島さんに
手を出そうとして逃げられたって言ってませんでした?
結構見境がない人なんですね」
「……な、なぜそれを……! ――啓一ィ!」
「俺は何も言ってませんよ、キャプテン」
そもそもあんたが泣きながらフラれたとか俺に言ったんじゃなかったか。
それを「俺たち」が聞いていただけだ。
啓一は澄ました顔でオレンジジュースを口に運んだ。
その後も大いに盛り上がり、解散した頃には
もう日が暮れ、夕方が過ぎて夜になっていた。
名残惜しそうな男子たちに手を振って別れ、
恵は啓一と二人で夜道を歩いている。
「……ホントにキャプテンしつこかったよ、啓一。
前からあんな人だったかなぁ……?」
不機嫌な顔でそう口にする妹に、兄が微笑む。
「ま、仕方ないさ。あの人、C組の加藤と
付き合ってたらしいけど、こないだフラれたってさ。
加藤は可愛いけど、付き合う相手がすぐ替わるからな……」
「いいように遊ばれちゃったのかな?」
「さあ、どうだろう」
大して興味がなさそうに啓一がつぶやいた。
こんな風に二人きりで言葉を交わすのも、啓一と恵が
一つではなく、二人になったからである。
あれからしばらくこうやって暮らしているが、特に不自由はない。
ただ、いつでもお互いを求め合うようになった。
見つめあい、話し合い、抱き合わないと満たされない。
かつて一つだった頃、彼らが恵であり啓一でもあったときは
こんな飢えと乾きを感じたことはなかった。
兄と並んで歩きながら、恵が口を開く。
「……祐介と瑞希ちゃん、見たでしょ」
「ああ。仲良さそうだったな」
試合が終わった後の二人の様子は明らかに以前とは変わっていた。
「――あの二人、付き合ってるんだって」
「別にいいじゃないか、お似合いだろ」
啓一が平静そのものの声で答える。
彼らは幼馴染の仲だという。きっとうまくいくだろう。
「…………」
恵は落ち着いた兄の表情を眺め、目を伏せてぽつりと言った。
「ちょっと……うらやましいな……」
「――そうか」
腕をそっと出してやると、少女が自分の腕を絡めてくる。
啓一と恵は、街灯に照らされた夜道をゆっくり歩いていった。
深夜、かすかな物音を感じて啓一は目を開けた。
試合で肉体は疲労していたが、今夜は何となく来ると思っていたので
何とか意識を失うギリギリのラインで起きていた。
とはいえ、彼女がもう少し遅かったら眠ってしまったかもしれない。
ベッドから身を起こし、暗い部屋の中でドアを見つめる。
――キィィィ……。
そっとドアが開き、薄い水色のパジャマを着た少女が姿を現した。
こちらをうかがうような視線を真っ直ぐ見つめ返し、手招きしてやると
彼女は慌てた様子でドアを閉め、彼に近寄ってきた。
「……啓一、起きてたの?」
「ああ。何となくな」
恵は長い黒髪を揺らし驚きの表情を見せたが、見た目ほど驚いてはいなかった。
啓一が「何となく」彼女を待っていたように、
恵もまた「何となく」彼が待っていると思っていたのだ。
切り離されてもまだ通じているような気になって、
兄妹は揃って顔をフッとほころばせた。
ベッドの上、啓一の下半身の辺りに腰を下ろして恵は兄と向かい合う。
月は雲に隠され、外は街灯の明かりしかなかったが
この部屋にもささやかな電灯がともっていて、互いの顔をのぞき合える。
「……啓一」
大きな黒い瞳は細められ、うるんだ目が彼に向けられている。
自分を求めてやまない、彼しか知らない恵の表情だった。
子供のように手を伸ばし、緑の寝巻きに包まれた啓一の体を抱きしめると
兄の体の温かさが伝わってきて、恵は身を震わせた。
「恵……」
そんな妹を、啓一は微笑んで抱き返してやる。
二つに分かれてからしばしば繰り返されてきた抱擁だが
兄妹は飽きることもなく、こうして抱き合うのが大好きだった。
「ん……啓一ぃ……」
何度も何度も、少女は少年の名を呼んだ。
元は一つのはずなのに、恵の方がこうしてよく甘えてくる。
今も幸せそうに兄の体に密着し、ぎゅうぎゅう啓一を締めつけた。
啓一も気持ちよさげに妹の体を抱いていたが、
ふと思いついたように恵に小さく囁いた。
「……今日は、しなくていいのか?」
「う、ううん……して……」
頬を染め、羞恥心をむき出しにして少女が言う。
少年は笑うと、声に出さずにつぶやいた。
――やれやれ、これじゃどっちの性処理かわかりゃしない。
二人はパジャマと下着を脱ぎ、ベッドの上で裸になった。
「啓一は寝転んでて……」
恵に言われた通り彼が仰向けに転がると、その上に
一糸まとわぬ彼女がうつ伏せになり、互いの陰部がさわれる体勢にする。
「へえ……エロいな……」
「えー、初めてじゃないでしょ?」
兄の両手で膣口を広げられながら、恵が手を陰茎に伸ばす。
経験はあったが、二つに分かれてからは初めてだった。
たっぷり手淫で性欲をかき立て合い、相手の性器に口をつける。
――じゅぷっ、ちゅぱっ……じゅるるうっ……!
「はあ……恵の――やべ、止まらな……」
陰茎と女陰に唾を塗りつけ、溢れてくる汁を飲み込む。
「んんっ……駄目、吸わないでぇぇっ…… !!」
責め合いは啓一の方が若干優勢なようだった。
「……あぁあっ…… !!!」
――プシャアァッ……。
手と口を使った熾烈な争いは、少女の嬌声と潮吹きによって決着を迎えた。
顔をべたべたに汚した啓一がにやりと笑って勝利を宣言する。
「へへっ……やった」
啓一は体勢を入れ替え、肩で息をしている恵をベッドに押し倒すと
大きく実った乳房を両手で揉みしだきながら少女の唇を奪った。
「んっ……んんっ……!」
彼の腹の下では恵の膣口がよだれを垂らして啓一を待っていた。
――そろそろ、入れてやらないとな。
妹の胸と口とを犯しつつ、啓一は猛りきった肉棒に劣情をみなぎらせた。
「はあ、はあ……はぁあ……?」
白いベッドの上に、恵の長い黒髪が扇のように広がっている。
肉欲に支配された目でこちらを見つめてくる彼女の腰をつかみ、
彼はギンギンに張り詰めた自分自身を恵の中に突きこんだ。
「――はぁ……くるぅ……♪」
開いた口から下品に舌を覗かせ、少女が息を吐く。
欠けていたものが満たされる思いが、性器を中心に
全身へと広がっていくのを恵は感じていた。
満ち足りていたのは啓一も同じである。
「う……恵ぃ……!」
自分の陰茎を包み込んでくる熱すぎる膣の肉に頭を焼かれながらも
彼はグショグショになっている恵の中を往復した。
――ズチュッ、プチャッ! ジュプジュプッ……!
次から次へと溢れ出してくる妹の汁の音を聞きつつ、
何度も何度もかき回した彼女の肉壷をえぐる。
あまり騒ぐと、親にバレてしまう。
兄妹揃って理想の優等生二人が深夜に近親相姦にふけっているなどと
教師や両親が知ったら腰を抜かすかもしれない。
二人は喘ぎ声を必死でかみ殺しながら交わり続けたが、
啓一が上から恵の薄い唇に噛みつき口を封じてしまった。
体の上下で汁の合奏を奏で、どちらも激しく腰を振る。
やはり、こうしているときが一番幸せだ。
二人の体も心も一つになって、満たされた気分になる。
(――恵ぃ……ボクは……)
(け、啓一ぃ……ボ、ボク……)
少年と少女は、理性も恥じらいも捨てて貪欲に互いを求め合った。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
二人の家の近くに、市内一の高層マンションがあった。
地上三十階、百メートルを超える高さの屋上に一つの人影が立って
豆粒のように小さな彼らの家をじっと見下ろしていた。
「――うーん……」
一見するとただの少年にしか見えない。
だが普通の少年は、こんなマンションの屋上に立って
強風の中を平然と百メートル下を見下ろしはしないだろう。
「やっぱり普通の人間に戻りつつあるね……困った困った。
せっかく十数年かけて育てた『世界』が台無しじゃないか」
彫刻のように端正な顔が冷静にそうつぶやく。
彼はポケットからカードの束を取り出し、
常人ならバランスの取っていられない危険な場所でシャッフルを始めた。
しなやかな長い指が閃き、裏返しの束から一枚を選ぶ。
「――ふむ、『太陽』か」
カードの表には、大地を照らす明るい太陽の顔と
その下で立っている二人の子供が描かれていた。
「太陽は究極の力、あらゆる社会で輝く生の象徴とされている。
僕の本体だって夜明けに主たる太陽を導くのが役目だった。
――でも、このカードは終着点じゃない。
究極の力たる太陽の導きによって男と女、陰と陽の
対立する二つの要素が接触し、終局たる『世界』へと向かう……」
少年は整った唇をつり上げて微笑んだ。
まるで、楽しくて仕方がないというように。
「二つにしたら、一歩下がっちゃったよ……どうしたものかな?
もう一度あの子たちを一つにしたらうまくいくんだろうか」
白い指が虚空に躍り、22枚のカードを再びポケットにしまい込んだ。
彼は悪魔。
神と共に人に生み出され、神に逆らうべく定められた者。
地獄の底で灼熱の業火に焼かれているとも、永劫の氷の中に閉じ込められているとも
言われている古代の堕天使の、小さな小さなひと欠片。
やがて来るべき破滅の時を前に、嵐の前の静けさをこの東洋の島国で過ごしている。
だがその活動は多忙という言葉とはほど遠く、
日々人間たちをもてあそんで暇を潰しているというのが実態だった。
その悪戯の一つとして、双子の赤子の精神をいじってみたのだが――。
思った以上の興味をそそられ、ついこうやって彼らを見に来てしまう。
二つのものを一つに混ぜて。
一つのものを二つに分けて。
それをまた一つに戻したら、どうなるのだろうか。
人の心、人の生。それを観察するのは今や長い時を生きてきた彼の、一番の楽しみになっていた。
夜風に乗って、透き通るような彼の声が流れてゆく。
「いやあ、面白い……人間は面白いよ、本当に」
雲が流れ、今まで隠れていた月が露になった。
南西の空に半分だけの黄金色の球体が浮かび、夜の街と大地を少年と共に見下ろしている。
次に引くべきカードは何か。
「僕としてはやっぱり、世界を引きたいところだけど――。
まあ別のカードでも、構わない……かな」
星か塔か。月かもしくは死神か。それとも運命なのか。
少年にもそれはわからない。わからぬからこそ、面白い。
「――やっぱり、彼らに決めてもらおうか……」
その声も凍りつくような笑顔も、誰にも届かなかった。
―――――――――――――――――――――――
以上となります。
まだ終わってませんが、おそらく次回で完結させると思います。
それでは今日はこの辺で失礼します。
乙〜
そろそろ次スレじゃね?
テンプレは
>>1で
【ターゲット属性】から『実在人物』を削除すればおk?
保管庫のこと忘れてた
…と思って見ようとしたら消えてるみたいだが…
>>521 乙
悪魔かあぁ・・・どうせなら天にまします神の忠実な御使いの方が好みかも
でも続き期待
528 :
次スレ天麩羅:2009/04/22(水) 22:37:14 ID:FZbav+KM
細かいが、「シチュエーション」と直しておくといいかもね
あとURLのh抜きとか
いっそ色々テンプレを弄ってもいいのかもしれないが、現状特に困ってるわけでもないし
そのままでいいんじゃないかな
必要性が出てくれば、自然に話し合うことにもなるだろうしね
531 :
528:2009/04/23(木) 18:07:04 ID:K8+54+qI
>>530 自分では何もしないで、建設的な意見も言えないタイプ。
>>531 以前使わせていただいた身としては、感謝の一言です。
新スレありがとうございます。
535 :
名無しさん@ピンキー:2009/04/23(木) 21:43:54 ID:I317+6AO