ゼルダの伝説でエロパロ 【5】

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4374-3 Malon VI (15/28) ◆JmQ19ALdig :2007/10/28(日) 20:19:17 ID:y92DM/TJ
 いいわ! して! もっと! もっと!
 心の中で絶叫する。だけどやっぱり口には出せない。あたしは分別のついた大人なんだから、
子供の時のように考えなしじゃないんだから、ずっと頑張って働きながら、誰にも身体を許さず
慎ましく生きてきたんだから、そんなこと、そんなこと、口には、口には、ああ、出したい、口に
出したい、何もかも言ってしまいたい、言えたらどんなにかいいだろう、でも言ったらリンクに
どう思われるだろう、恥ずかしい、恥ずかしい、大人になって意識してしまったその言葉、大人の
あたしを縛っているその言葉、それを忘れられない、けれど忘れたい、けれど忘れられない、
けれど忘れたい……
 なんでそんなに迷っているの。いまさら何をためらっているの。言ってしまえばいいんだわ。
リンクは昔のあたしを知っているんだから。慎ましく生きてきた? 違うでしょ。毎晩リンクを
想って自分を慰めてきたあたしじゃないの。今日だって、泊まっていってと誘いをかけて、
馬小屋での行為さえ告白してしまったあたしじゃないの。いまこの瞬間だって、リンクに
攻められてひいひい喘いでるあたしじゃないの。それがほんとのあたしなのよ!
 慰める? 行為? そんなこと言ってるからだめなんだわ。ちゃんと言いなさい。言える?
あたしに言える?
 言えるわよ!
 オナニー! オナニー! オナニー!
 さあ言ったわ。次は口に出して言うのよ。あたしがして欲しいことを、あたしが思っている
ことを、正直に、リンクに聞こえるように言いなさい!
 言おうとした瞬間、指と口を離したリンクが上半身をかぶせてくる。あたしの開いた両脚の間に
身を置いてのしかかってくる。リンク、リンク、するの? するのね?
 手を持たれる。引かれる。導かれる。握らされる。
 これ。リンクのこれ。硬くて、熱くて、ぴくぴくと脈打ってて。子供の時に握ったことは
あるけど、あの時とは段違いに大きい。太い。
「あの!」
 思わず口が開く。
「あたし……あの時から……したことないから……こんなの……大丈夫かしら」
「何を?」
「え?」
「何をしたことないって?」
「あ……あれ……」
「あれって?」
 何てこと。リンクはあたしに言わせようとしている。あたしが言いたくて言えないあの言葉を。
「したいんだろ?」
「え……ええ……」
「だったら言って」
「でも……」
「言って欲しいんだ」
「え?」
「君に言って欲しいんだよ!」
 ぐいと顔が寄ってくる。
 リンクが? ほんとに? だったら……だったらあたし──
「マロン!」
「セックスよ!」
 ついに言葉が放たれる!
「セックス! セックス! セックスよ! お願い! リンク! して! いますぐ! あたしと!
あたしと! セックスしてぇッ!!」
4384-3 Malon VI (16/28) ◆JmQ19ALdig :2007/10/28(日) 20:19:58 ID:y92DM/TJ
 堰を切ったようにあふれるマロンの叫びが、握った自分を引き寄せるマロンの手が、リンクを
感激で震わせる。濡れに濡れた熱い谷間に先端が触れる。
「大丈夫だよ」
 熱狂するマロンを優しく制し、狙いを定めてそっと腰を出す。
 ──指があれほどすんなり入るんだ。七年ぶりだろうと心配ないさ。こうしてゆっくりと進めて
やれば……
「そうよ……」
 ──ゆっくりと、ゆっくりと、ほら、入ってゆくよ。このまま進めても、大丈夫だね?
「そうよ、そのまま……」
 ──きついけれど、問題ないよ。七年間、ずっと指を挿れてきたんだろう?
「ああ、そうよ、そうよ……」
 ──君の中、とてもいい。だからこのまま、もっと先に進めていくよ。
「そのまま、そのままずっと、ずっと先に……」
 ──あの世界の君とも、ちょうどいまと同じようにして……
「来て……んん……もっと、ずっと……」
 ──あの時は、あっという間にいってしまったぼくだけれど……
「くうぅぅ!……そうよぉ……」
 ──いまはこうしてすっかり君を満たしてしまっても、まだ余裕があって……
「あぁぁ!……んぁん!……そうよ……そうなのぉ……そうなのよぉッ!」
 ──子供の時のような異常な敏感さもなくて、じっくりと、しっかりと……
「んんんああああぁぁぁぁッ!……もう少し……もうちょっとぉぉッ!」
 ──君の強い圧迫にも耐えて、いまにも達しそうになって悶える君を……
「あぁッ! もうッ! もう来るッ! もう来ちゃうぅぅッッ!!」
 ──ついに達してしまった君を、こうやって、受け止めてあげることができるんだ。
4394-3 Malon VI (17/28) ◆JmQ19ALdig :2007/10/28(日) 20:20:46 ID:y92DM/TJ
 いまだ止まらぬ快感の余波に、大きく息を喘がせながら、マロンはリンクの下で、仰向けの
身体を弛緩させていた。
 慎みという抑制を振り切った解放感、七年という時を隔ててリンクをおのれの中に迎え入れた
感動、挿入直後から一気に突っ走った爽快さ、そして最後に訪れた圧倒的な絶頂が、マロンから
あらゆる思考を、あらゆる言葉を奪っていた。
 やがてリンクが身を起こし、それがようやくマロンの意識を動かした。
 大丈夫だった。痛くも苦しくもなかった。ただただ快いだけだった。リンクがそうしてくれたんだ。
ああ、リンク、あたし、あたし……
 そのリンクは、なおも逞しさを失わず、マロンの内奥で息づいていた。
 なら……もう一度……
 いったん開花した欲情はとどまることを知らず、再びマロンを炙り始める。
 その時、急に身体が浮き上がった。リンクに両脇を持たれ、上体を起こされたのだ。と思うと、
リンクは後ろへ倒れ、マロンは仰向けのリンクの上に跨る形となった。結合は保たれたままだった。
「動いてごらん」
 リンクの言葉に、一瞬、はたと当惑する。
 動く? あたしが? この格好で?
 が……
 マロンの身体が動き始める。ゆっくりと……上へ……下へ……円を描いて……
 どうして……どうしてこんなに自然に動けるの……
 こんな格好でしたことなんかないのに、こんなやり方があるなんてことさえ知らなかったのに、
どうしてあたしは……こんなに……こんなに……
「あッ!」
 リンクが下から突いてくる。あたしの動きに合わせて、あたしを貫くあれ、あれ、そう、ペニス、
ペニス、ペニスを突き動かして!
 快感が高まってゆく。高まってゆく。
「リンク……リンク……もっと……もっと……」
 もっと速く……もっと強く……
「……はぁッ!……リンク……はぁッ!……んぁん!」
 激しく摩擦を続ける二人の連結点で、
「……はぁッ!……リンクぅ……あたしに……はぁッ!……はぁッ!」
 快感が渦を巻き、湧き上がり、沸騰し、
「あたしに……んぁんッ!……あなたを……ちょうだああぁぁぃぃぃぃ……」
『何を言ってるの、あたし』
 わずかに残る理性が、ふと羞恥心を取り戻させ……
 でも……でも……
 それがあたしのして欲しいこと。ほんとのあたしが望んでいること。七年間、ずっとずっと
思ってきたこと。そうよ、あたしは七年間、ずっとこうやるしかなくて──
 手が自らの急所に伸び、腫れ上がったしこりを、ぐっと……
「ひいぃぃぁぁぁッッッッ!!」
 どん! と叩きつけられるような衝撃。もう止まらない。あそこも、指も。
 さらに胸をつかまれる。
「くううぅぅぅぁぁぁッッッ!!」
 触って……触って……あたしを……もっと悦ばせて……
 リンクの手が、指が、乳首を、乳輪を、豊かな両の乳房全体を、優しく、激しく……
「あああぁぁぁんッ!……リンク……リンク……リィィンンクゥゥゥ……!」
 ──嬉しい、気持ちいい、感じる、素敵、だから、だから、だから!
「ひぃッ!……ひぃッ!……リンク……はああぁぁぁぁッッ……!」
 ──来て、来て、来て、あたしの中で、あたしをいっぱいにして!
「リンクぅ……リンクぅぅぅぅぁぁぁぁあああああッッッッッ!!」
 ──欲しい、欲しい、欲しい、だけど、ああ、だけどあたし、あたし、あたし!!
「来るぅ!……来るわぁぁッ!……もうッ!……もうだめええぇぇぇッッッッ!!!!」
4404-3 Malon VI (18/28) ◆JmQ19ALdig :2007/10/28(日) 20:21:30 ID:y92DM/TJ
 激しい上下動を繰り返していたマロンの身体が突然止まり、全身の筋肉が引き絞られる。
 再度の絶頂ののち、力を失って前に倒れるマロンを両手で支える。身を起こす。抱きしめる。
胸に手を残したまま、口で口を塞ぎ、舌を送りこむ。前に体重をかけ、マロンの背をベッドに
押しつける。
「あ……あ……あぁぁぁん……」
 マロンが悩ましい声をあげる。
 まだ燃え尽きない旺盛な欲情に感嘆しつつ、それをおのれの欲情に転化させ、ここまで
耐えたのだから、ここまで見届けたのだから、もう我慢してはいられない、もう自分をとどめては
いられない、君の欲しがっているものを、君が望んでいるものを、いまこそ君にあげようじゃないか!
 突く。突く。突く。突く。
「うッ!……うッ!……うッ!……うッ!……」
 マロンの口が短く規則的な呻きを漏らす。
 さらに突く。突いて、突いて、突いて突いて突いて──
「うぁッ!……リンク!……すごい!……うぁッ!……」
 呻きが妄言にかわってゆく。
 強く強く強く速く速く速く突いて突いて突いて──
「うぁぁッ!……はぁぁッ!……んぁぁッ!……おぁぁッ!……」
 意味不明となった叫びが響きわたる。
 これ以上は不可能な強さと速さで突いて突き刺して突きまくって──
 ──ああ、もう限界だ、マロン、いいかい?
「いいわ!……いいわ!……リンク!……来てぇぇッ!」
 ──いいね? いくよ? いいんだね? 
「そうよ! いいのぉ! いいのよぉぉッッ!!」
 ──じゃあいくよ! いまいくから! 君の中でいかせてもらうよマロン!!
「んぁぁッッ!! 来てぇぇぇッッッ!!!」

 とうとうリンクが到達する。次から、次へと、リンクの命が放出される。
「……い……く……う……ぅ……ぅ……ぅ……」
 その命を受け取りながら、マロンもまた、この上なく深い絶頂に達し、両脚が高々と持ち上がり、
組み合わされ、ぐっとリンクを自分に押しつけ、この幸せをできうる限り長く保っていたいとでも
言うかのように……
 ああ……リンク……あなたは……一緒に……
『……いって……くれたのね……』
 マロンの頬に、究極の恍惚が微笑みとなって浮かんだ。
4414-3 Malon VI (19/28) ◆JmQ19ALdig :2007/10/28(日) 20:21:59 ID:y92DM/TJ
 リンクの胸に顔をもたせかけ、マロンはぼんやりと思いにふけっていた。
 こうやって、いつまでもリンクと触れ合っていられたら、どんなにいいだろう。
 それは、しかし、かなわないこと──と、マロンは理解していた。
『リンクは世界に出て行く人……』
 子供の頃から、ずっと旅をしているリンク。ひとつ所にとどまることなど、ありはしないのだ。
 でも──と思いは旋回する。
 そういえば、リンクの旅の目的とは、何なのだろう。
 前に聞いたことがある。リンクには使命があると。世界には悪いことが起こり始めていて、
リンクはそれを防がなければならないのだと。
 リンクの言ったとおり、世界は悪の手に落ちた。リンクには防げなかったのか。いや、リンクは
いまも、その悪と戦っているのか。
「ねえ、リンク」
 そっと、訊ねる。
「この世界って、これから、どうなるのかしらね……」
 間をおいて、リンクが答える。
「よくなるよ」
 静かな、けれども力のこもった声だった。
「ぼくがよくしてみせる」
 リンクが?
「世界を闇に落としこんだ、あのガノンドロフを、ぼくは倒す。そして、この世界に生きている
人たちの幸せを、取り戻してみせる」
 ガノンドロフを倒す? あの魔王を?
 そうなのね。リンクは、やっぱり、悪と戦っているのね。
「実は、それはもう、うまくいき始めているんだ」
 リンクがあたしを見る。あたしを慈しむような、その目。
 あたし? そうね、確かにあたしは、リンクと知り合えて、リンクに抱かれて、とても幸せだわ。
「頑張ってね」
 頬に手を触れ、ささやきかける。
 リンクが旅の空の下で、どんなことをしているのか、あたしは知らないけど、きっとリンクなら、
この精悍な顔、この引き締まった口元、そして、すべてを見とおすようなこの力強い眼差しで、
まっすぐに未来を目指して、戦っているに違いない。
4424-3 Malon VI (20/28) ◆JmQ19ALdig :2007/10/28(日) 20:22:45 ID:y92DM/TJ
 それだけかしら──と、寂しくも微笑ましい思いが湧き起こる。
 これほどあたしを夢中にさせてくれたリンクだもの、戦い以外のことだって、ずいぶん経験を
積んでいるんじゃないの?
 リンクが身体をずらし、胸に顔を埋めてくる。手でさわさわと触れながら。
「あたしの胸、どう?」
「気持ちいい。張りがあって、大きくて」
「そんなに大きい?」
「大きいよ」
「他の人よりも?」
「ああ」
 思ったとおり。
 ぼんやりしてて気がついてないみたいだけど、リンクは白状した。他の女の人の胸がどれくらいの
大きさなのか、リンクは知っているんだわ。
 いいじゃない──と、マロンは思う。
 あたしが初めてリンクとセックスした時、リンクはすでにセックスを知っていた。リンクが他の
誰とセックスしてたってかまわない。たまに来て抱いてくれたら、あたしはそれでいいの。
 だけど──と、今度は心を強くする。
 いまはあたしと一緒にいるんだから、あたしの方を向いててくれなきゃだめよ。
 リンクのペニスを握ってやる。萎えてしまったそれは、握ったくらいでは力を取り戻さない。
それなら、と身体を動かし、股間に顔を寄せる。
「マロン……」
 戸惑ったようなリンクの声を聞き流し、口に含む。舌で舐める。唇をすべらせる。それは
ぐんぐん硬さを増してゆく。
『やったわ』
 と、ほくそ笑みながら、不思議な思いも浮かんでくる。
 初めてのことなのに、いままで経験もないことなのに、どうしてあたしはためらいもなく、
男のペニスを平気でくわえられるのだろう。リンクの物なら、という理由もある。リンクだって
あたしのあそこを口でしてくれたから、という理由もある。けれど、それだけじゃない。そう、
さっきリンクに跨ってした時も、同じように感じた。初めてのはずなのに違和感のない行為。
「あ──」
 思いが破られる。身を離したリンクが、あたしをうつ伏せにして、腰を持ち上げて、後ろから、
ああ、後ろから──
「あ! ああッ!」
 再び高ぶりきった、硬い、硬いそれを──
「あうぅッ! くッ! ぅあッ! あ! ああああぁぁぁッ!」
 一気に膣に挿れてきて、腰を叩きつけてきて、奥をずんずん突きまくってきて!
 馬みたいな、牛みたいな、動物みたいな格好であたしたちはいま交わっていて!
 やがて胸までもリンクの両手に明け渡し、またも沸騰し始めた欲情の坩堝へと、マロンは
ひたすらにおのれを投じていった。
4434-3 Malon VI (21/28) ◆JmQ19ALdig :2007/10/28(日) 20:24:22 ID:y92DM/TJ
 傍らで動くものの気配がし、リンクは目を開いた。マロンが身を起こしていた。
「もっと寝てていいのよ」
 微笑みながら言い、マロンはベッドから離れ、服を着始めた。
「君は?」
「朝御飯の仕度をするわ。お掃除とお洗濯もあるし」
 窓を見る。外は明るくなりかかっているが、まだ日の出の刻にはなっていないだろう。マロンは
いつもこんなに早くから起きて働いているのか。
「ぼくも起きるよ」
 リンクもあわてて床に降り、着衣した。
 手伝おうという提案は、初め、笑って拒否されたが、重ねて主張した結果、
「じゃあ、母屋の前を掃いてくれる?」
 と箒を渡された。リンクは戸外に出、言われた仕事をした。目の前の馬小屋からは物音が
しており、インゴーも早朝から仕事をしているのだ、とわかった。
 掃除を終えてから、馬小屋へ入ってみた。
「よう」
 馬に餌をやっていたインゴーが、短く声をかけてきた。
「おはよう」
 こちらも挨拶する。インゴーは馬に目を戻し、給餌を続けながら、にやりと笑って言った。
「ゆうべはお楽しみだったか?」
 どきっとし、同時に、その品のない発言が気に障ったが、インゴーは平然として言葉を続けた。
「お嬢さん、ちょいと、はしたねえとこはあるんだけどよ、明るくって優しくって、いい人だよ。
おめえもそう思うだろ?」
「うん」
 思わず頷いてしまう。
「お似合いの相手がいてくれたらなって、俺はいつも思ってんのさ」
 インゴーがちらりと視線を送ってくる。
 リンクは返事ができなかった。
 目の前にいるのは、マロンを虐待していた、あの世界のインゴーとは別人なのだ、とわかっては
いても、あまりの違いに戸惑いを禁じ得ない。それに、いまのインゴーの言う意味は……
「おめえもあちこち旅をしてて、いろいろと忙しいんだろうがよ、ちょくちょく会いに来て
やっちゃあくんねえか?」
 インゴーの真面目な声、真面目な表情には、マロンを案ずる真情が明白に滲み出ていた。
さっきの下品な発言も、もう気にはならなかった。
「わかった」
 使命を負った自分が、この先、マロンに対して、どれほどのことができるのか、と、不確かな
思いは残る。けれども自分にできる限りのことを──と、リンクは心の中で約すのだった。
4444-3 Malon VI (22/28) ◆JmQ19ALdig :2007/10/28(日) 20:24:58 ID:y92DM/TJ
 朝食のあと、お茶を飲みながら二人で続けていた他愛のない会話にも区切りがつき、リンクは
マロンに出立を告げた。マロンは一瞬、眉を落としてうつむいたが、すぐに顔を上げ、晴れやかな
笑みをそこに満たした。
「リンクはこれからも旅をして、遠い所まで行くんでしょ?」
「ああ」
 頷くリンクに、
「ここにいて」
 と言い置き、マロンは母屋の戸をあけ、外に姿を消した。出発の準備を調え、しばらく待つ
うちに、再び戸が開かれ、マロンが手招きをした。戸外に出てみると、そこには馬具一式を
装備したエポナが立っていた。
 笑みを浮かべたまま、マロンが熱心な口調で言った。
「エポナを連れていらっしゃいよ」
「え? でも……」
「そうしなさいよ。旅をするには、馬は絶対必要なんだから」
 マロンの未来が変わったこの世界では、エポナの未来も変わっていた。リンクに譲られることには
ならず、ずっと牧場に居続けていた。あの世界で親友になったエポナと一緒にいられないのは
残念だったが、それも運命──と、リンクは、これから先、一人で旅をする覚悟を固めていたのだ。
 ここでエポナを譲ってもらえるなら、とても助かる。が、エポナはマロンの親友でもあるのだ。
ほんとうにかまわないのだろうか。
「インゴーさんも賛成してくれたわ。実は──」
 先日やってきたゲルド族が、エポナを欲しがるような態度を示していた。いずれ必ず、エポナを
よこせと言い出すだろう。そうなったら無下には断れない。奴らに渡すくらいなら、リンクに
乗ってもらった方がずっといい。リンクはエポナを充分に乗りこなせるし、エポナも喜ぶだろう
から──とマロンは語った。
 そういうことなら──と、リンクはマロンの手を握り、素直に好意を受け取るべく、短い言葉に
思いをこめた。
「ありがとう」
4454-3 Malon VI (23/28) ◆JmQ19ALdig :2007/10/28(日) 20:25:41 ID:y92DM/TJ
 マロンは、はっと胸をつかれた。返事ができなかった。
 リンクはエポナに近寄り、親しげに話しかけながら、ひらりとその上に跨った。身に広がる
小さな震えを感じながら、マロンはただリンクを見ていることしかできなかった。
 ありがとう。この単純な言葉。
 いつも何気なく使っているこの言葉が、いまはどうしてこんなにあたしを揺り動かすのだろう。
そう、この言葉について、何か大きな印象を得るような経験を、つい最近、あたしは、したのでは
なかったか。
「また来るよ」
 馬上からのリンクの声が、再びマロンの意識を揺らす。
「ここはエポナのふるさとなんだし、それに……ぼくも……」
 言葉が消える。その先を、しかしマロンは聞きただそうとは思わなかった。
 あたしが望む言葉が、リンクの心にはある。そう信じられれば、これ以上、求めるものなど
何もない。リンクの「また来るよ」という言葉。それであたしには充分なの。
 リンクがエポナの脚を前に送る。マロンも横について歩を進める。門の所でエポナを止めた
リンクは、はにかんだような表情を、いかにも邪気のない笑みに変え、優しい声で言った。
「じゃあ」
 マロンもまた、微笑みながら応えた。
「またね」
 リンクはマロンに軽く手を上げて見せ、門をくぐり、ハイラル平原へとエポナを歩み出させていった。
 エポナが向かう方角に、マロンは怪訝な思いを抱いた。
 南へ行くのね。東じゃなくて。
 その思いが、さらに怪訝な思いを呼び寄せる。
 どうしてあたしはリンクが東へ行くと考えたのだろう。誰に言われたわけでもないというのに。
 何かを思い出せそうな気がする。なのに、どうしても思い出せない。
 自らの記憶の奇妙な曖昧さを、あれこれと吟味するうちにも、リンクの後ろ姿は、南へと下る
緩やかな斜面の上を、少しずつ、少しずつ、遠ざかっていった。広大なハイラル平原の中で、
それはごく小さな一点でしかなかったが、その安定した歩みと、まっすぐに伸びた背筋が、
目に見える以上の大きな存在感を表出している、と、マロンには感じられるのだった。
 リンクは行く。今日も暗雲に覆われる、この荒みきった世界を救うために。悪を討ち果たし、
人々の幸福を取り戻すために。
 荒唐無稽ともいえるその意志を、あたしは素直に酌み取れる。なぜなら、リンクは──
 唐突に頭に浮かぶ一つの文言。
 これは何? まるで記憶のどこかに埋もれていたかのような……あたしは夢でも見たのかしら……?
 惑いながらも、身は自然に動く。地に跪き、両手を組み、頭を垂れ、不思議に暖かな心持ちで、
マロンはその言葉を口にした。
「神よ、勇者を護りたまえ」
4464-3 Malon VI (24/28) ◆JmQ19ALdig :2007/10/28(日) 20:26:41 ID:y92DM/TJ
 リンクはゆっくりとした歩調で、エポナを南へ進ませていた。マロンを不幸な境遇から救い出す
ことができたという喜びと満足感、そして、そのマロンとの情熱的な一夜の余韻が、リンクの心を
浮き立たせていた。
 ただ一方で、心にはかすかな翳りも差していた。
 過去に旅立つ前、ぼくがマロンに会い、初めての体験をした──という、ぼくにとっては
感動的なできごとが、マロンにとっては、なかったことになってしまった。その思い出を
共有できないのは、何とも寂しい。
 だが、「なかったこと」でもかまわない。マロンが自らの不幸な境遇を知らずにいられるのなら、
それに越したことはない。思い出はぼく一人がひっそりと守ってゆけばいい。
 翳りを振り払い、今後のことに思いを向ける。
 シーク。
 ぼくの過去での行動は、確かに未来を変化させた。シークの考えは正しかった。この成果を
早く伝えて……
『待てよ』
 リンクの胸はどきりとした。その時になって初めて思いついた。
 変化をきたしたこの未来の世界で、かつてのマロンとの出会いは「なかったこと」になった。
では、シークについてはどうだろう。南の荒野で会った時、シークはぼくのことがわかるだろうか。
いや、そもそも南の荒野でシークに会えるのか。ぼくがシークと知り合ったこと自体が「なかった
こと」になっているのでは? それどころか、ぼくが時の神殿で目覚めてからの、三ヶ月あまりの
できごとが、すべて「なかったこと」になっているとしたら?
 激しい動揺に襲われる。が……
 そんなはずはない。ぼくはゼルダの耳飾りを持っている。三ヶ月の旅の間に、あの泉で拾った
ものだ。シークに関しては……
 あわただしく懐をあらためる。シークに貰った剃刀が、そこにあることを確認する。同時に、
過去から帰ってきた時、マスターソードの台座のそばには蝋燭があったこと、その蝋燭は、やはり
シークから貰ったものであることを思い出し、リンクは大きく息を吐いた。
 未来が変化したといっても、変化したことと、変化しなかったことがある。シークとの出会いは、
変化しなかったことだ。
 安堵しながらも、懸念を完全に払拭したいと心は逸り、リンクは南の荒野に向けてエポナを
急がせていった。
4474-3 Malon VI (25/28) ◆JmQ19ALdig :2007/10/28(日) 20:27:20 ID:y92DM/TJ
 四日後の夕刻、リンクは南の荒野に到着した。目的地の洞窟は、多数の岩がそそり立つ、足場の
悪い所にある。リンクはエポナから降り、轡をとって、足元を確かめながら、注意深く歩を進めた。
 シークは洞窟の前で焚き火の仕度をしており、リンクが近寄っていくと──接近していることは
とうに気づいていたのだろう──驚いた様子もなく、悠然とふり向いて、声をかけてきた。
「思ったより早かったな。僕もついさっき着いたばかりなんだ」
 いつもと同じ平静な声だった。その調子にほっとしたが、
「ぼくのことがわかるんだね」
 と、念を押さずにはいられなかった。シークはにっこりと笑い、諧謔味の感じられる口調で言った。
「わかるさ。けれども、そう言うところをみると、過去の改変が未来にどういう影響を及ぼしたか、
君はもう経験したようだな」
「うん。でも、君こそ、そう言うところをみると、ぼくが無事に過去へ行ってこられたと、
よくわかっているみたいだね」
「ああ。だが詳しい話はあとにしよう。まずは腹ごしらえだ」
 シークは焚き火をおこす作業に戻り、リンクはそれを手伝った。
 草の一本も生えていないここでは、エポナに食事をさせることはできなかった。気の毒だったが、
事態を予想し、ここに着く少し前、草のある場所ですでにたらふく食わせていたので、エポナには
翌朝まで我慢してもらうことにした。近くの小川へ赴き、水だけは充分に与えておいた。
 夕食の準備が調い、二人は焚き火の前に腰を下ろした。手持ちの食料に加え、シークが獲ていた
野禽が焼かれ、二人の胃に収まった。食事が一段落したところで、改めてシークの口が開かれた。
「では、まず君の話を聞こうか。七年前の世界は、どうだった?」
 リンクは過去への旅の内容を語った。コキリの森でサリアに再会し、森の神殿に隠れて
ガノンドロフの襲撃を避けるよう伝えたこと。途中でロンロン牧場に立ち寄り、マロンに
会ったこと。その出会いが七年後のマロンの運命を一変させていたこと。二人の女性との微妙な
経緯まで告白するのは憚られたが、それ以外については思いつく限り、詳細を話して聞かせた。
「──そんなわけで、マロンの未来は変わった。で、サリアはどうなんだ? サリアは無事に
生き延びることができたのか? 君は知っているんだろう。教えてくれ!」
 抑えてきた欲求を解き放ち、リンクは勢いこんでシークに詰め寄った。シークは感情を面に
現さず、奇妙な回答をした。
「サリアは、無事だともいえるし、そうでないともいえる」
 はぐらかすようなシークの言葉に、頭が混乱する。
「……どういうことだ?」
 シークはすわりなおし、リンクをじっと見据え、落ち着いた声で言い始めた
「君の過去での行動は、実は大して現状を変えてはいない。ガノンドロフが世界を支配し、賢者を
滅ぼしてしまった、という大筋はそのままだ。が、大きく変わった点もある。それがコキリの森の
情勢だ。詳しいことは、今後、君自身の目で確かめられるだろうが──」
 そう前置きし、シークは淡々と話を続けていった。
 三年間の修行を終えたシークは、まずハイリア湖へ、次にカカリコ村へと赴き、荒廃した世界の
状態を目の当たりにした。デスマウンテンの大噴火とゾーラの里の氷結が、ゴロン族とゾーラ族を
それぞれ滅亡させており、ゲルド族の軍門に下ったカカリコ村も、荒れた雰囲気となり果てていた。
そこまでは改変前の歴史と同じである。しかし次いで訪れたコキリの森は、見渡す限りの
焼け野原となっていた改変前とは異なり、その外郭が焼失しただけで、中心部は焼けていなかった。
 シークは森に潜入した。コキリ族は生存していた。外部の人間を知らない彼らを慮って、姿は
見せず、こっそりと話を聞き取った。それによると──
 ゲルド族の反乱が起こってからほぼ一年後のこと。コキリ族たちは、森の外に黒煙が上がるのを
見た。サリアは急遽、森の神殿へと走り、その中に入っていった。煙はそのうち見えなくなり、
森は焼亡を免れたが、サリアは神殿に姿を隠したまま、現在に至るまで戻ってこない──
4484-3 Malon VI (26/28) ◆JmQ19ALdig :2007/10/28(日) 20:28:04 ID:y92DM/TJ
 シークの話は終わった。リンクは釈然としなかった。
 ぼくが指示したとおり、火事が起こったのを知って、サリアは森の神殿に身を隠したのだ。
それはいい。だが、その後、サリアはどうなったのか?
 火は森の中心部までは及ばず、コキリ族の仲間たちも無事だという。それもいい。実に喜ばしい
ことだ。だが、火事がガノンドロフの仕業であることは疑いないのに、どうしてガノンドロフは、
森の外郭を焼きながら、奥まで侵入しなかったのか?
 シークに問いただしてみた。シークは、やや間をおいてから、冷静な口調で言った。
「森に結界が張られたのだ、と思う」
「結界?」
「ガノンドロフや、他のゲルド族の侵入を阻むような結界だ」
「誰がそれを?」
「サリアだ」
 リンクは二の句が継げなかった。シークが説明を補完する。
「サリアが森の神殿に入った結果、ガノンドロフの侵入が阻止された。神殿で何らかの力を得た
サリアが、森と自らを守るために結界を張ったとしか考えられない」
「何らかの力って……すると、サリアは『森の賢者』として覚醒したというのかい?」
 驚いて問う。
「完全な覚醒ではないと思う。前にも言ったように、時の勇者としての力を発揮できない子供の
君には、できないはずのことだからだ。それでも、神殿という場が、サリアに……何というか……
半覚醒──とでもいうような状態を引き起こしたんじゃないだろうか」
「半覚醒……」
 リンクは茫然とその言葉を繰り返した。シークの説明は続いた。
「完全な覚醒ではない、という理由は、他にもある。結界の力が、最近は弱まっているようなんだ」
「弱まっている?」
「森の中に、いろいろな魔物がはびこるようになった。明らかにガノンドロフの魔力のせいだ。
いまだに奴自身は森へ入れないが、結界を弱体化させて、魔物を送りこむことはできたんだ。
その数は徐々に増え、いま、コキリ族の生活は危機に瀕している。おそらく神殿にいるサリアの
身にも、危険が迫っているに違いない」
「ということは……いまこそ──」
「そう、いまこそ!」
 シークが声を強めた。その先をシークは言わなかったが、リンクはおのれのなすべきことを
完全に理解していた。
 いまこそぼくは森の神殿を訪れ、賢者としての完全な覚醒を、サリアにもたらさなければ
ならない。サリアはぼくを待っている。半ば目覚めた状態で、半ば眠った状態で、精いっぱいの
力で森を守りながら、迫り来る危険と戦いながら、サリアはぼくを待っているのだ!
 しかし──と、高揚する心が引き戻される。
「賢者を覚醒させる方法が、わからないままだけれど……シーク、君は何か思いついたかい?」
 シークは眉を寄せ、やや沈んだ声になった。
「それは……僕にもわからない。だが──」
 リンクを、そして自らをも励ますような調子で、シークは言葉を続けた。
「サリアが賢者として半覚醒の状態なら、君がサリアに会えば、その方法もわかるんじゃないだろうか」
「そうだな……」
 答えながらも、自分自身が解決の糸口を握っているような気がして、リンクは頭の中で思考を
敷衍させようとした。が、その試みはシークの新たな発言によって遮られた。
4494-3 Malon VI (27/28) ◆JmQ19ALdig :2007/10/28(日) 20:28:57 ID:y92DM/TJ
「もう一つ問題がある」
「もう一つ?」
 問い返すリンクに対し、冷静に戻ったシークの声が応じた。
「神殿の入口の扉が閉じられている。これも改変前とは異なっている点だ」
 思いがけない変化。
「それでサリアの身が守られているわけだ。魔物を防げるかどうかは疑問だがね。少なくとも僕は、
何度か森の神殿を訪れたけれども、中へは入れなかった」
「じゃあ……ぼくはどうやって神殿に入ればいいんだ?」
「考えがある」
「どんな?」
 一呼吸おき、シークは短く言った。
「『森のメヌエット』」
「あ──!」
 神殿の前にあるゴシップストーンがもたらしたという、神殿に何らかの関わりがあるという、
あのメロディ。あれはこういう場面で、神殿の扉を開くための鍵だったと! 『時の歌』が
『時の扉』を開くための鍵であったように!
「僕の竪琴では、効果はなかった。だが勇者である君の『時のオカリナ』なら、神殿の扉を開く
ことができるだろう」
 リンクは大きく頷いた。シークの言に深く納得できた。さらに、自分が封印されていた間の、
言葉に尽くせないほどのシークの苦労が、ここに至ってやっと報われることになったのだ、と
理解され、リンクの心は改めて、シークへの感謝の念に満たされた。
 過去のことばかりではない。いまもシークは、改変前と改変後の歴史を対比させて、理路整然と
ぼくに説明してくれた。さもなければ、時を越える旅によるさまざまな変化を受け入れるのに、
ぼくはかなり難儀することになっただろう。
『え?』
 そこで初めておかしいと気づいた。
 マロンは改変後の歴史だけしか知らなかった。改変前の歴史の記憶は、全く頭にないようだった。
なのに──
「シーク、君はなぜ……改変前と改変後の、両方の歴史を知っているんだ?」
 かすかな笑みがシークの顔に浮かんだ。
「君の疑問はもっともだ。順を追って説明しよう」
 そこで真顔に戻ると、シークはリンクの方に身を乗り出し、ゆっくりとした口調で話し始めた。
「君の過去での行動が世界を変えた。しかし変えたといっても、元の世界がなくなってしまった
わけじゃない。言うならば、新たな世界が枝分かれをし、平行した二つの世界となって、これまで
ずっと時を経てきたんだ。ここまではわかるか?」
 必死でシークの話を追いながら、リンクは自分の頭を整理させた。
 コキリの森が全焼してサリアが命を落とし、マロンが虐待されていた、改変前の世界。過去に
戻ったぼくがサリアとマロンに会ったことで、そこから新しい世界が生まれた。コキリの森が
焼け残ってサリアが森の神殿に逃れ、マロンが平和な生活を保っているという、改変後の世界だ。
その二つの世界が、別個のものとして存在していると。
「わかるよ、何となくだけれど」
 あやふやな思いで答える。頷いたシークが話を再開する。
「二つの世界は別々だから、本来、一方の世界にいる人物が、もう一方の世界の状況を知ることは
できない。事実、改変後の世界にいる僕は──いま君の目の前にいる、この僕のことだが──
さっき話したように、サリアは森の神殿に姿を隠し、コキリの森はガノンドロフの侵略を免れた、
と認識していた。それが唯一の現実だった。五日前までは」
4504-3 Malon VI (28/28) ◆JmQ19ALdig :2007/10/28(日) 20:29:51 ID:y92DM/TJ
 五日前?
「五日前の夜、僕は平原で野営していたんだが、突然、僕の頭に、それまで認識していたのとは
異なる、別の記憶が現れたんだ。その記憶では、コキリの森はガノンドロフによって焼き払われ、
コキリ族は全滅し、サリアも死んだことになっていた。初めて意識した内容なのに、僕はその
歴史を実際に経験した、と確信することができ、すべてを理解した。これは過去でのリンクの
行動の結果だ、僕はいままでリンクによって改変された世界で生きてきたんだ、いま頭に浮かんだ
記憶はリンクが過去に戻る前の、改変前の世界のものなんだ──とね」
「五日前の夜というと……ぼくが過去からこの世界に帰ってきた時だ」
 シークの奇怪な話に驚きながらも、その奇怪さを解決に導くだろうと直感される点を、リンクは
思わず指摘していた。得心したように、シークはまたも頷いた。
「やはりな。僕もその時、これは君が過去から帰ってきたということだ、と思った。僕がそれを
感じた際、地震のような揺れを脚に感じたんだが、君はどうだった?」
「ぼくも感じた! マスターソードを抜いて、この世界に帰ってきたとわかった瞬間、脚が揺れる
感じがしたよ!」
「その時──」
 シークが厳かに言った。
「君がマスターソードを台座から抜いた時──正確には、その過去の側ではなく未来の側の時点で
──二つの世界が統合されたんだ」
「統合?」
「改変前の世界が、改変後の世界に吸収された──と言った方が適切かな。まさにその瞬間、
改変前の世界の記憶が、改変後の世界の僕に宿ったわけだから」
 感動的な心のうねりが、リンクの身体を震わせた。
 マスターソードを台座に戻せば、ぼくは過去に戻れる。過去での行動は新たな世界を生むが、
マスターソードを台座から抜けば、ぼくが未来へ帰るとともに、複数となった平行世界が一つに
統合される。何と完結的なマスターソードの作用!
 しかし、まだ疑問は解決していない。
「改変前の世界の記憶が宿るのは、君だけなのか? マロンや……それにインゴーも……改変前の
世界のことなんか、全然覚えていなかったけれど……」
「いや──」
 シークが首を横に振った。
「世界全体が統合されたのだから、改変前の世界の記憶は、あらゆる人に宿るはずだ。ただ、
それは記憶の奥底に封じられて、意識の上には浮かんでこないんだろう。さもないと記憶が
混乱して──僕も初めはそうだったが──まともに生きてはゆけなくなるだろうからな」
 リンクは心が安らぐのを感じた。
 改変前の世界での、ぼくとマロンの関係。マロンにとって、それは「なかったこと」ではなく、
ただ思い出せないだけのことなのだ。マロンの記憶の底にしまわれている、確かな事実なのだ。
そう思えば、あの心の翳り、あの寂しさも、充分に癒されて余りある。
 だが──と疑問に戻る。シークの説明は不充分だ。
「君の場合は、改変前の世界の記憶が封じられないで、意識の上に浮かんでいるね。それは
どういうわけなんだい?」
 シークは沈黙した。ほとんど無表情だったが、目にはかすかな感情がうかがわれた。
 ややあって、シークはおもむろに口を開いた。
「それは僕にもよくわからない。考えられる理由は、僕が時の勇者である君のそばにいて、君を
助ける立場にいるから、というものだが……」
 言葉は消えるように途切れた。シーク自身も納得していないような感じだった。
 改変前の世界の記憶を意識してしまえば、記憶が混乱し、まともに生きてゆけなくなるだろう
──とシークは言う。シークはその混乱を実際に経験している。両方の世界の記憶を自然に持つ
ぼくには実感できないが、まともに生きてゆけないというほどの混乱を、シークは甘受し、
消化してゆかなければならないのだ。それも、シークという人物の、使命の一環ということ
なのだろうか。
 シークが目を伏せていた。膝の上に置いた、自分の右手を見ているようだった。意図は
酌み取れなかったが、シークが持つ峻厳なまでの固い意志を、その態度は物語っている、と、
リンクには思われるのだった。


To be continued.
451 ◆JmQ19ALdig :2007/10/28(日) 20:31:41 ID:y92DM/TJ
以上です。スレの残り容量を僅少にしてしまいました。すみません。
Malon IV からの引用は、例によって意図的なものです。
>>425-426はひと続きです。間に抜けはありません。
時間移動の現象面は原作に準拠しましたが、もともと原作に矛盾点があり
さらに過去改変という独自設定を加えたことで、どうしても不自然な点が残ってしまいました。
そのあたりは敢えて描写をぼかしていますが。
452名無しさん@ピンキー:2007/10/28(日) 21:20:33 ID:3JTbduvp
いきなり来てたー
いつもお疲れさま。
453名無しさん@ピンキー:2007/10/28(日) 21:59:11 ID:hvjYthxR
乙です!!!
454名無しさん@ピンキー:2007/10/29(月) 00:51:19 ID:F9lm1oBL
いつもながら素晴らしい!GJ!

そうか、時オカはファンタジーじゃなくSFだったのか・・・
455名無しさん@ピンキー:2007/10/29(月) 01:11:01 ID:A66VWQ/r
GJ

SFだろうがファンタジーだろうが関係ない。
◆JmQ19ALdig氏の作品が面白いというだけで充分だ。
456名無しさん@ピンキー:2007/10/29(月) 02:20:06 ID:RIdTMmLX
GJ!

場面転換に一瞬戸惑ったが、
ここ(地震)で話が枝別れしたんだな、と理解した
457名無しさん@ピンキー:2007/10/29(月) 03:59:03 ID:i+xpUaaH
エロ小説を15年以上読んできたのに
まるで生まれて初めてエロ小説を読むような瑞々しい恥ずかしさとドキドキに
つつまれてしまった…この得がたい読書体験には
3日間の全裸正座など比ぶべくもない! 毛布等のさしいれもあったしアッー!

ロリルト姫とのアナルセクロスキボ(ryアッー!
458名無しさん@ピンキー:2007/10/29(月) 09:22:39 ID:uxQaIFnZ
GJ!!

時間の差がなんだかややこしい事になってきたみたいですが、
後編の説明で納得しました!!
不自然な点?特に気になるところはなかったですよ!!

あと、>>457も乙w
459名無しさん@ピンキー:2007/10/29(月) 13:03:45 ID:E2lsVfv+
GJ!かなり上手く時空問題を片付けたのでは?一つの行動が波及して因果を書き換えて行くあたりはさすがに時の勇者。ファンタジー的にどうにでもなるものを極力SF的に処理したところもお見事。
牧場を守り抜いたインゴーに拍手。森の神殿wktk。
>>457乙。超カオスwwwww
460名無しさん@ピンキー:2007/10/29(月) 20:43:32 ID:LV35OwYb
GJ!!
マロンがちゃんと救われていて本当に良かった!地震後の四つんばいや鞭の下りは流石
インゴーは、ゲーム中のエポナを巡るレースでかなりイラつかせられたが、
この作品の中の彼を見ていると意外といい奴かもしれないと思えた
シークが変更前と後の記憶を共有しているのは、やはり正体があの方だからでしょうか?w
次も楽しみにしています
461名無しさん@ピンキー:2007/10/31(水) 23:31:58 ID:UELRPbli
次スレ…携帯厨には無理…ガクッ…
462名無しさん@ピンキー:2007/11/01(木) 01:11:21 ID:W+VsEQED
保管庫様に依頼出しました。
保管完了まで保守よろ。2・3日に1レス程度でいいと思う。
新スレは誰かお願いします。

あと、保管庫にある自分の過去SSについて削除依頼しました、ご了承ください。
アッシュについては一応書き続けてはいるので、忘れた頃に完結したらあぷろだにでも上げます。
463名無しさん@ピンキー:2007/11/01(木) 16:30:11 ID:6ret4Ylo
立てた

ゼルダの伝説でエロパロ 【6】
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1193902153/

464名無しさん@ピンキー:2007/11/02(金) 11:57:26 ID:N9QDZs0s
保管庫依頼出していたのってアッシュの人だったんか…
465名無しさん@ピンキー:2007/11/04(日) 01:28:58 ID:bJG3LrJa
埋め
466名無しさん@ピンキー:2007/11/04(日) 18:40:52 ID:8LzltxK6
埋める
467名無しさん@ピンキー:2007/11/04(日) 22:31:00 ID:BRACebmX
俺の肉棒で
468名無しさん@ピンキー:2007/11/04(日) 22:51:05 ID:6RBwiUf/
全裸ルト姫さまとの再会期待埋め
王女として、結婚するまで処女は守らないとならないとかの理由で
アナルセクロスキボン
469名無しさん@ピンキー:2007/11/06(火) 10:05:16 ID:Txe1r/wm
埋め
470名無しさん@ピンキー:2007/11/08(木) 15:25:13 ID:jbWkefR1
埋まった?
471名無しさん@ピンキー:2007/11/08(木) 16:04:07 ID:1IMXNCcL
ゼルダの伝説でエロパロ 【6】
ttp://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1193902153/
472名無しさん@ピンキー:2007/11/09(金) 04:58:03 ID:Xrz84U8w
埋め
473名無しさん@ピンキー:2007/11/10(土) 20:31:02 ID:NgqwZSot
早過ぎた。あまりにも早過ぎたよ次スレ埋め
474名無しさん@ピンキー:2007/11/12(月) 01:07:29 ID:OHLiCFFy
全くだな
475名無しさん@ピンキー:2007/11/12(月) 02:08:57 ID:5ji3nnBW
でも次スレ立てないとSSが容量的に投下できない感じじゃなかったかな。
476名無しさん@ピンキー:2007/11/12(月) 02:55:45 ID:6c74wNwW
そりゃあ一行レスばっかならたくさん書きこめるわな
477名無しさん@ピンキー:2007/11/12(月) 06:02:47 ID:dJbWvIAM
やったーエロパロ小説できたよー(^o^)ノ

 ───アタシの名前はゼルダ。心に傷を負ったお姫様。モテカワスリムで恋愛体質の愛されプリンセス♪
アタシがつるんでる友達は森でヒキコモってるサリア、パパにナイショで
働いてると見せかけてサボってるマロン。訳あって不良グループの一員になってるナボール。
 友達がいてもやっぱり城内はタイクツ。今日もサリアとちょっとしたことで口喧嘩になった。
女のコ同士だとこんなこともあるからストレスが溜まるよね☆そんな時アタシは一人で平原を歩くことにしている。
がんばった自分へのご褒美ってやつ?自分らしさの演出とも言うかな!
 「あームカツク」・・。そんなことをつぶやきながらしつこいモンスターを軽くあしらう。
「ギョエェェエエ……ブモオゥォ……」どいつもこいつも同じようなセリフしか言わない。
城下町の男はカッコイイけどなんか薄っぺらくてキライだ。もっと等身大のアタシを見て欲しい。
 「すいません・・。」・・・またか、とセレブなアタシは思った。シカトするつもりだったけど、
チラっとキャッチの男の顔を見た。
「・・!!」
 ・・・チガウ・・・今までの男とはなにかが決定的に違う。スピリチュアルな感覚がアタシのカラダを
駆け巡った・・。「・・(カッコイイ・・!!・・これって運命・・?)」
男は自称勇者だった。連れていかれてオカリナ取られた。「キャーやめて!」ガノンドロフが来た。
「ガッシ!ボカッ!」アタシはシークになった。トライフォース(笑)
478名無しさん@ピンキー:2007/11/12(月) 09:21:57 ID:Zc+ldD0y
・・・・・・
(これが噂の「スイーツ(笑)」なんだろうか)
479名無しさん@ピンキー:2007/11/12(月) 12:09:35 ID:ToRfb3SN
スイーツコピペwww
480名無しさん@ピンキー:2007/11/12(月) 14:09:05 ID:ZEnM9Byx
クソワロタwww
481名無しさん@ピンキー:2007/11/12(月) 23:57:39 ID:dJbWvIAM
じゃあ埋めます
482名無しさん@ピンキー:2007/11/13(火) 00:01:20 ID:dJbWvIAM
出る出る
ゼルダの伝説!
出る出る出る出るついに出る!
ゴージャス!今度の冒険
リアル!キミもすぐに体験
ハッと息のむ謎解きアクション
なるほど!スーパーファミコン!
知らず知らずと真剣勝負、今宵もゼルダは最高潮!
スーパーファミコンゼルダの伝説出る出る出る出るついにでる〜!

GO!GO!GO!GO!
483名無しさん@ピンキー:2007/11/13(火) 00:02:52 ID:BQ5R3kSn
500kb超えました
484名無しさん@ピンキー:2007/11/13(火) 00:04:51 ID:BQ5R3kSn
あれ、まだ書き込めるのか。
485名無しさん@ピンキー:2007/11/13(火) 01:08:14 ID:R96vrMd2
なかなか埋まらないね
486埋めで。無限の砂時計のフォーチュンで。
壁際に追い詰められたフォーチュンは既に落ちたも同然だった。
口中で暴れる舌に知らず知らず服従し、ドレスの隙間から忍び込んだ手に乳房を弄ばれながら昂揚する身を抑えられなかった。
フォーチュンの腕を押さえつけ自由を奪っていた相手の右手が下着の中に滑り込み、既に濡れ溢れた秘所に強引に潜り込むと蹂躙を開始した。
指の動きに合わせて短い喘ぎ声を上げながらあの夜のことを思い出すフォーチュン。

カシヅクが振り返るとそこには一糸も纏わずに立つフォーチュンの姿があった。
後ずさると、いきなり地面に伏せて土下座し首を横に振るカシヅク。
「フォーチュン様、勿体無うございます。お願いですからわたしのような下賎な者に心を残さないでください。」
「あなた‥わたくしの事が嫌?」
「滅相も無い!ただ、貴女のような尊い方は安易な同情などでわたしごときに汚されてはなりません。いずれフォーチュン様にはもっと相応しいかたが現れるでしょうから。」
「わたくしは‥」
「さあ早く、怪物共に襲われる前に急いでこちらに避難してください。扉の封印はわたしが。いえいえ、心配なさらずとも大丈夫、辺りが安全になれば必ず戻ってきますとも。」
カシヅクはそのまま足早に立ち去って行き、そして2度と戻らなかった。

回想半ばで下着を引きおろされうつ伏せにされ後ろから挿入され歓喜の悲鳴をあげる。
騎乗位に座位にと次々と体位を変えて男に陵辱されながら、蝋燭の灯りに映し出され水晶球に反射する自身の姿を見つめるフォーチュン。
半裸で髪を振り乱し自ら開いた股間に男の物を出し入れされながら上下の口から涎を流して悦びの声をあげるあられもない自分の姿を凝視しながらフォーチュンは思う。
聖女でも女神でもなく、通りすがりの男に簡単に身を任せて快楽に溺れるようなどうしようもない女なのに、どうして彼はわたくしを崇めるだけでただの女として見てくれなかったのだろう?

我知らず一筋の雫がフォーチュンの頬を伝わる。
ひたすら欲を求め激しく突き上げては引き体内を熱く掻き回していたものが、ふいに動きを止める。
「身体は正直だな。口で幾らアンアン言ってても気分は乗ってネェだろ?お前、男に死なれてヤケクソになってるだけじゃネェのか?」
「い‥いいえ。違います。これは‥。どうか気になさらず続けてください。」
「ムチャ言うなぃ。死人の身代わりにされてるって知ったら萎えちまったぜ。」

萎えたと言いながらも、身体を引き起こし仰向けにして再び進入を開始する男に安堵するフォーチュン。

あの時、これも定められた運命だからと、これからカシヅクの身に起きる予感の全てをフォーチュンは納得し受け入れたはずだった。
しかしそれもただの思い込みで、親しかった人を失う痛みに堪えられるほど心は強くなかったと今になって彼女は思い知った。
フォーチュンは気持ちを切り替え心を集中させる。
私は未来を見つめる者。過去を振り返ってはだめ。過ぎた事に心を囚われてはいけない。
彼の死は予定されていた事なのだからもう忘れなければ‥。

乳首を甘噛みしていた唇がそっと離れると、首筋を軽く這い耳たぶを齧りながら
「惚れた男を失って辛いならよ、意地を張らずにいっぱい泣けば楽になるぜ。」と囁いた。

「わたくしに優しくしないでくださいまし。」‥どうか貪欲な獣のようにこの身を喰らい尽くし何もかも忘れるぐらいに滅茶苦茶にしてくださいませ。
「別に、自分を苛めるプレイが望みってわけじゃネェだろ?「『運命だから仕方ない』な〜んて奇麗事を言って痩せ我慢せずに、悲しくて泣きたいなら好きなだけ泣きゃいいじゃねぇか。オレは見てみねえフリをしてやっからよ?」
「悲しむなどとんでもありません。運命とは抗わず受け入れるものなのです。彼は運命に従って天に召されたのですから明るく見送‥」
「バカだろお前?」

ふいに唇を塞がれ優しく髪をなでられる。

フォーチュンを見つめる緑色の瞳の奥に男の未来が一瞬垣間見えた。
凶悪な魔物と対峙し不気味な触手に巻きつかれ苦痛の悲鳴を上げ闇に飲み込まれていく姿と、そして‥。

貴方は未来を知らなければ運命から逃れられると思っているのですか?
たとえ知っても自分なら運命を変えられると本気で信じているのですね。

いつのまにか零れ落ちだした涙は止まらずに歓喜の涙と混ざって零れ続けた。