嫉妬・三角関係・修羅場系総合SSスレ その37

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819名無しさん@ピンキー:2007/08/16(木) 00:21:23 ID:H1+lNPiU
>>817
一日の内に同一の作品が投下されているって所に突っ込みたいんじゃない?
そこまでして騒ぐ程の問題かどうかは俺には分からんが。
820名無しさん@ピンキー:2007/08/16(木) 00:22:06 ID:0d3alKhr
いい感じで殺伐してるじゃねーか!!!
821名無しさん@ピンキー:2007/08/16(木) 00:23:05 ID:+loCCgFY
そうだな、「アンタはアタシのためだけに作品を書くべきなのよ!あんなスレに投稿するなんて言語道断だわ!……そう、あのスレ、過疎の振りして同情を誘ったのね。騙されちゃ駄目よ!あの泥棒猫なんかにはアンタの作品、いえ書き込みすら勿体ないわ!」

とか言っちゃうちょっと素晴らしいおにゃのこだったな。
822名無しさん@ピンキー:2007/08/16(木) 00:24:26 ID:+loCCgFY
すまない、妄想開始が遅かったようだ
823名無しさん@ピンキー:2007/08/16(木) 00:46:14 ID:Gq+Wgjvb
> 330 名前:ROCO ◆VpKHzOu04Y [sage] 投稿日:2007/08/15(水) 13:20:31 ID:pF+Mp4m/
こいつな

さて、こいつがどんな作品を投下してたのか探してみるかね
824名無しさん@ピンキー:2007/08/16(木) 00:49:00 ID:sQFRqVq2
お前ら…
久々に修羅場スレが凄い勢いじゃないか!これは神が大量に降臨しているに違いない!
と初めてゲーム機を買ってもらった小学生のごとく瞳を輝かせながらスレを開いた俺にあやまれ!
ここの住人はもう少しスルースキルが高いと思ってたぜ…
荒らしにレスとかしてんじゃねえよくそったれが。
825名無しさん@ピンキー:2007/08/16(木) 00:58:56 ID:f5g1d1mk
>>824
ごめん
826名無しさん@ピンキー:2007/08/16(木) 00:59:34 ID:o2RilY/Z
たった今37.5の方にtVzTTTyvm.氏による投下がありました。従いまして
38の方は削除申請を行っておきました。住民皆さんの移動を御願いします。

http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1187181981/l50


うーん直ぐに消されてしまう38スレの復讐が怖い・・・
827名無しさん@ピンキー:2007/08/16(木) 01:16:50 ID:bQ9HigzF
>>823
一応かなりの数の作品を書いている職人さんだし本人に突撃する前に一度
> 330 名前:ROCO ◆VpKHzOu04Y [sage] 投稿日:2007/08/15(水) 13:20:31 ID:pF+Mp4m/
この部分の信憑性だけは確かめたほうがよくないか?こんなものID部分だけすげかえればいいだけだし、
828名無しさん@ピンキー:2007/08/16(木) 01:21:04 ID:pzoviS3R
バカエロ専門のROCO氏がこのスレ降臨するわけないだろ
他人に迷惑かけんのも大概にしろよ
829名無しさん@ピンキー:2007/08/16(木) 01:22:12 ID:pl7u51aS
てか突撃すんなって、他のスレ住人不快にするだけだし、このスレにも火種が増えるだけだし
仮にもし本当だとしてもスルーでいいだろ
830名無しさん@ピンキー:2007/08/16(木) 01:33:48 ID:+bJl5XsW
ここからは埋めネタの時代です
831名無しさん@ピンキー:2007/08/16(木) 01:35:23 ID:SkboYPQD
>>827
そことは別の場所で確認した。突撃する必要はないと思うから別にどことかいわんけど
ちょこちょこスレ覗けばわかるよ
832名無しさん@ピンキー:2007/08/16(木) 01:57:25 ID:HBEbfcQU
ROCO ◆VpKHzOu04Y(笑)
833名無しさん@ピンキー:2007/08/16(木) 02:10:01 ID:SdPB0O/R
>>823
大した職人じゃないって言ってたヤツ涙目wwwwwwwwww
834名無しさん@ピンキー:2007/08/16(木) 02:26:25 ID:Jd35TwhS
常にNTRワンパが大した職人とは思わん
835名無しさん@ピンキー:2007/08/16(木) 02:28:58 ID:9UYGZuZR
真実かはわからん
証拠に乏しすぎる
おちつけ
836名無しさん@ピンキー:2007/08/16(木) 02:34:14 ID:eXCrrqCe
「その3」で検索すると真実がわかるかもかも
837名無しさん@ピンキー:2007/08/16(木) 02:35:07 ID:qLHXH4s/
言うだけは誰にだってできるしな
例えばかき回したいだけのオナニー荒らしさんとか
838名無しさん@ピンキー:2007/08/16(木) 02:37:49 ID:fiuBjT6W
ここの住人はNTRやレイプの属性がないヤツが多いからそう思うんだ
逆にいえば嫉妬ヤンデレワンパの職人には惜しみ無いGJを送ってるのはどこの誰かな
839名無しさん@ピンキー:2007/08/16(木) 02:47:48 ID:qLHXH4s/
なーに下らない煽りにいきり立っちゃってんの
840名無しさん@ピンキー:2007/08/16(木) 03:05:48 ID:Jd35TwhS
「NTRワンパ」職人じゃなく「(空気読まず荒れてた事もある)NTR」「(意味無し即堕ち)ワンパ」職人って言ったつもり
841名無しさん@ピンキー:2007/08/16(木) 03:11:35 ID:qE3YYvOg
なんにでも好みがあるから仕方ないけど
住み分けできないのが問題だな

まぁたった一人だから住み分けも糞もないけど
嫌なら見ないしね
842名無しさん@ピンキー:2007/08/16(木) 03:38:43 ID:OhbMUNzS
緑の看護婦がーーー…


…嫌い。
アニメ版で壊れた笑声を上げていた時の水月が好きだ。
843名無しさん@ピンキー:2007/08/16(木) 03:45:10 ID:BTFRcusQ
>>838
話がすり替わってるぞ
今回問題なのは、自分は作品投下してるくせにわざわざ他の作者さんを非難中傷(上のレスの様に本当に気分が悪くなる程)してた奴がROCOだったって話だ
844ROCO ◆VpKHzOu04Y :2007/08/16(木) 04:08:54 ID:u6oGn10a
信じてもらえるかどうかわかりませんが、とりあえずこっちの同IDの書き込みは自分の書き込みじゃないです。
その時間は、すかいらーくで遅めの昼を食べてましたし。
845名無しさん@ピンキー:2007/08/16(木) 04:18:19 ID:gH+/jaFE
久しぶりに開いてみたらお前らはまだ荒らしがどうとかやってんのか
846名無しさん@ピンキー:2007/08/16(木) 04:49:05 ID:cupMLdBO
書き込んだの俺なのに、冤罪着せられてROCOかわいそ。
847名無しさん@ピンキー:2007/08/16(木) 05:49:36 ID:fACYdk6k
あのさ、余所から来たアホは少し黙ってくれないか。
俺はSSが読みたくて来たのよ。お前のクソの役にも立たない文を読みに来た訳じゃないわけ。

ルールなんぞ投下した神が決めればいい。乞食が決める事じゃない。それともお前は何かこのスレに貢献したのか?
してから来いビッチ。
848名無しさん@ピンキー:2007/08/16(木) 06:22:48 ID:+bJl5XsW
もうそろそろつまらない争いはやめろ
埋めネタが書けないじゃないか
849名無しさん@ピンキー:2007/08/16(木) 07:37:08 ID:ys+I9SSQ
俺は優れているがゆったりペースな作品よりも最低限読めるレベルで投稿テンポのいい作品の方がいい
べつに遅いのを非難するわけではなくただサクサク進めてくれる作者はありがたいなと思うだけ
850名無しさん@ピンキー:2007/08/16(木) 10:29:56 ID:7Dymavv5
>>844
見苦しい嘘にワロタwwww
おい、ニュース速報にお前の非難や抗議をするスレを立ててもいいんだぞ
これ以上、草の作者を侮辱するようなことや嫉妬スレを荒らす行為をやれば
言葉様の制裁を受けることになるんじゃないのか?




な ん て  う  ら  や  ま  し  い  ! !


窓を開けると言葉様が笑っていたり、彼女を連れてデートをしていると
彼女の頚動脈が勢いよく噴出するなどの素晴らしいフラグだなw
851名無しさん@ピンキー:2007/08/16(木) 10:32:30 ID:qLHXH4s/
いい加減黙ってろアホ
852名無しさん@ピンキー:2007/08/16(木) 10:54:52 ID:V/rLELjA
ROCO 必死すぎww
853名無しさん@ピンキー:2007/08/16(木) 11:05:37 ID:0d3alKhr
つーか普通にID被る事はあるよ。
まあROCOがそうだったのかはわからんが。
854名無しさん@ピンキー:2007/08/16(木) 11:56:43 ID:s8F5OBHH
855名無しさん@ピンキー:2007/08/16(木) 14:30:59 ID:mATr0NV6
SS読みたいなぁ…
856名無しさん@ピンキー:2007/08/16(木) 16:11:44 ID:v9XGUSBo
これが大人のやることか?
857埋めネタ:2007/08/16(木) 21:08:10 ID:nLzBfGhO
ホントに…まとめサイトに行っちゃうの?
確かにあの女の方がたくさんSSがあるかもしれないよ?
でも、あの子に書き込めるのは、阿修羅氏だけなのよ。あなたのものじゃない。
私なら…いつだって書き込める!dat落ちするまで…ずっと、ずーっと、ずーーっとあなたの話を聞いてあげられる。
……私のなにがいけなかったの?荒らしが沸いたから?
ううん、それとも容量が足りなくなってきたから?
……許さないよ。まとめサイトにも、皆殺しにも、絶対にあなたを渡すもんか!
……ちょっと、出かけてくるよ。
ま っ て て ね
ほ か の す れ に い っ ち ゃ い や だ よ ?
858名無しさん@ピンキー:2007/08/16(木) 21:10:40 ID:nLzBfGhO
sage忘れるなんて…私もまだまだね。
待っててね?あなたにふさわしいスレになるまで
859緑猫 ◆gPbPvQ478E :2007/08/16(木) 21:11:23 ID:oJu/YoIB
埋めネタ投下します
久しぶりに、あの人が活躍します
860怪物姉乱戦記(前編) ◆gPbPvQ478E :2007/08/16(木) 21:12:46 ID:oJu/YoIB

 季節は初秋。
 帝都は四季の変化がそれほど激しくない地域なので、秋になったという実感は湧きにくい。
 しかし、辺境の方では季節に応じた特産品が出てくるので、流通の中央となる帝都にも、秋らしいものが出そろい始める。
 
 特に食材は、夏の間に栄養を溜め込んだ野菜が、店頭にたくさん並んでいる。
 料理好きの者にとっては、腕の奮い甲斐のある季節だった。
 心なしか商店通りを歩く人々も、どこか浮ついた気分が広がっていた。
 
 セツノ・ヒトヒラも、そんな一人である。
 
「――あ、いいのが入ってるなあ。今晩のメインはこれにしよっかな」
 るんるん気分で食材を見て回る。
 その足取りは軽く、今にもスキップを踏んでしまいそうなくらい。
 
 それに対し、ユメカ・ヒトヒラは論外だった。
 
「……えー。まだ買うのー? ちかれたー。帰りたいー。ユウキさんとはぐはぐしたいー」
 両手には多数の紙袋。中には食材が一杯で、いつ積載量オーバーしてもおかしくない。
 その足取りは重く、表情はだれにだれきっていた。
 
「うっさい馬鹿姉。日頃全く家事しないんだから、荷物持ちくらいは手伝ってよね」
「えー。それを言うならユウキさんはー?」
「お、お兄さんはいいの! お仕事してるし、手伝ってくれようとするし」
「仕事なら私たちだってしてるじゃない。しかもユウキさんより高給」
「……私たちのは後ろ暗いお金じゃない――っと、これもいいなあ。あーでもさっきのも捨てがたいし……むむむ」
「もー。材料なんか何だっていいじゃない。セっちゃんなら美味しく料理できるんだからあ」
「黙れ」
 
 姉の文句を一蹴する。
 料理に関してはちょっぴりこだわりのあるセツノだった。
 
 と。
 
「――お。ねえねえセっちゃん」
 
 料理に関しては全くこだわりのないユメカが、何かを発見したのかセツノの裾をくいくいと引っ張る。
 
「なに? 可愛い猫でも見つけたの?」
「猫じゃなくて、ユウキさんがあそこに」
「っ! ……ん。は、話しかけたい気持ちはわかるけど、多分お仕事中だろうから、余計なちょっかい禁止」
「あ……喫茶店に入ってった」
「…………ち、ちょっと休憩しよっか。姉さんも疲れたでしょ?」
「やったー」


861怪物姉乱戦記(前編) ◆gPbPvQ478E :2007/08/16(木) 21:13:35 ID:oJu/YoIB

 帝都の喫茶店は、ただ茶を飲んで休憩するだけのところから、社交場の役割を果たすところまである。
 ユウキが入っていった喫茶店は、上の下クラスの、高給といって差し支えない店だった。
 単に休むだけなら、もっと別の店を選ぶだろう。
 ということは――
 
 
「……ねえ、セっちゃん。あれって」
「……うん。とりあえず、私たちも離れた席に座ろっか」
 
 
 
 
 
「すみません、お待たせしました」
「ああ、待った待った。ここお前の奢りな」
「……あの、待ち合わせ時間まで、まだ余裕ありますよね?」
「アタシは待ったぞ。それで十分だろ」
「……理不尽だ……」
 
 項垂れながらも、ユウキは席に着いた。
 学院生の頃から、目の前の人物はこんな感じだったので、今更どうこう言う気はない。
 とはいえ、なにかと難癖付けてこちらの奢りにするのであれば、もう少しランクの低い店にして欲しかったりする。
 
「いやー、しっかし久しぶりだなユウキ。元気してたか?」
「おかげさまで何とか。……アマツ先輩も変わりないみたいですね」
「ばっかお前、アタシの方は色々大変なんだぞ。
 就任してすぐなのに遠征任されるし。しかも戦闘あったし。マジ疲れたわ」
「ああ、噂は聞いています。任務お疲れ様でした。しばらく帝都に滞在されるんですか?」
「んにゃ。明日には向こうに戻らなくちゃいけない。
 色々面倒な手続きがあるのよ――っと、注文がまだだったな」
 
 ユウキの先輩にして元学院執行部長、アマツ・コミナトは、指を鳴らしてウェイターを呼びつけた。
 相変わらず偉そうな仕草が似合ってるなあ、という感想を、ユウキは心の裡に留め置いた。
 見た目こそ、流麗な金髪と整ったプロポーションが周囲の男の視線を集めるが、
 その実中身は、誰よりも男らしいという、非常に希有な人物だった。
 普段は騎士という立場上、騎士服や甲冑を身に纏っているのだが、
 今はオフだからか、落ち着いた女性らしい、シックなドレス調の服装をしていた。
 
「ほれ、ここはお前の奢りだ。好きなの頼め」
「……はい。えっと、紅茶をひとつ」
「んじゃアタシはマルクス産の珈琲と、サーモンチーズのサンドイッチ、クリームスープをスティック付きで。
 あとはそうだな……子羊のローストとアップルパイを2つずつ。こんなもんかな」
 
 さようなら僕の財布の中身。
 と、ユウキがぼんやり儚んでいたところで。
 
「ほら、お前も好きなもん頼め。コイツの奢りだから何も遠慮しなくていいんだぞ?」
 
 と、アマツはユウキではない人物に、そう声を掛けた。


862怪物姉乱戦記(前編) ◆gPbPvQ478E :2007/08/16(木) 21:14:32 ID:oJu/YoIB

「…………」
 
 第一印象は、白い、の一言に尽きる。
 そんな女の子だった。
 輝くような白銀の長髪。
 飾り気のない、薄い色彩の長袖シャツと膝丈スカート。
 年の頃は10代前半か。育ちの良さそうな上品な姿勢で、ちょこんと椅子に座っている。
 
「ほら、何でもいいから。腹減ってるだろ。
 好きなの指させ。この字体は読めるだろ?」
「あの……アマツ先輩? その子……」
「ん? ああ、こいつ、喋れないんだ。実はコイツのことでお前を呼び出したんだが――」
 
 アマツは少女に選ばせるのを諦め、適当に、年頃の女の子が好きそうな甘味をいくつか注文した。
(……おや?)
 ふと、ユウキは気付いた。
 アマツが少女の注文を決めた瞬間。
 ほんの少し。決してアマツに悟られないように。
 少女が、残念そうな表情を、していた。
 
 
 注文したメニューが届き、まずか互いの近況報告を済ませてから。
 アマツは、改めて本題に入ろうとした。
 が、その前に。
 
「すみません、その前に注文させて下さい」
 言いながら、下手くそな指鳴らしでウェイターを呼びつける。
「? 別にお前の奢りだから構わないけど」
「えっと、子羊のローストと、ウィンナーの盛り合わせ、あとは渋めの紅茶を適当に見繕って下さい」
「うん? 珍しいな。お前がこんな時間にそんな重いもの頼むなんて」
「えっと、まあそれはそれとして、お話をどうぞ」
「ん、ああ。それで、さっきも言ったが、今日の用件はコイツについてなんだ」
 
 アマツはそう言って、傍らの少女を手で示す。
 
「コイツ――名前は、ホワイトっていうんだけどな。ホワイト・ラビット。
 アタシの遠縁の親戚なんだが、ちと困ってる状況にあってだな」
「? はあ……」
 
 剛胆な先輩にしては、妙に遠回しな話の進め方だな、とユウキは微かに首を傾げた。
 ユウキのよく知るアマツだったら、余計な前情報なんてすっ飛ばして、単刀直入に結論から言い始めるのだが。
 
「さっきも言ったが、こいつ、ちと訳ありで、しかも喋ることができないんだ。
 そんな感じだから、ここんとこ、誰とも打ち解けることができなくてだな。
 最近じゃ私しか構う相手がいないって始末なわけだ。で、えっと……」
 
 もごもごと、何か言おうとしては止める、を繰り返すアマツ。
 こりゃあ本格的におかしいぞ、とユウキが思い始めたところで。
 
「――お待たせしました。こちら、ご注文のお品になります」
 
 ユウキの追加注文したメニューが、届いた。


863怪物姉乱戦記(前編) ◆gPbPvQ478E :2007/08/16(木) 21:15:18 ID:oJu/YoIB

「お、来たみたいだな。話の前に、先にそれ食ってもいいぞ?」
「――いえ、すみません、これらはそちらの女の子に」
 
 ユウキはそう言って、少女の方を示した。
 
「かしこまりました」
 
 言われたとおり、少女の前に料理を置くウェイター。
 アマツも少女も、不思議そうな顔をしていた。
 もっとも。
 アマツの方は“どうしてコイツに?”という、ユウキの行動を理解できていない表情だったが、
 
「どうぞ。こっちも食べたかったんでしょ?」
 ユウキはそう言い、にっこりと微笑んで見せた。
 
 少女は、“どうしてわかったの?”という、心底驚いたような表情を、していた。
 しばらくユウキが笑顔を向けていると、はっとしたように我に返り、
 ユウキに対し、はにかむような笑顔を見せた
 
 
 
 美味しそうに肉料理を食べる少女を横目で見ながら。
 アマツは恐る恐る、ユウキに向かって訊ねてきた。
 
「……どうして、コイツが肉食いたいって、わかった?」
「いえ、何となくですよ。
 それより――この子が周囲と上手く打ち解けられないって話ですけど、大体察しは付きましたよ」
「へ?」
「この子、凄く頭が良いですよね。会話は出来なくても、周囲の状況をよく見ています。
 だけど、自分なりに状況は整理できても、他の人と言葉を交わすことができないから、
 周りは周りで、勝手にこの子の状態を決めつけて、色々押しつけることになっちゃってるんじゃないですかね。
 この子にとって、それは大きな重圧になって、周りに積極的になれなくなってるんじゃないでしょうか」
 
 自分が思ったこととは別のことを、周りから勝手に決めつけられるのだ。
 それを否定しようにも、言葉は出ず、常にコミュニケーションは一方通行。
 これで社交的になれと言う方が間違っている。
 
「だからまずは、近くの人が、この子の話をじっくり聞いてあげることが必要なんだと思います。
 別に言葉を話せなくても、仕草や視線を、時間を掛けてじっくり見てあげればいいんですよ。
 ――っと、別に君が悪いって話をしてる訳じゃないですよ。
 それより、ゆっくり味わって食べて下さいね。あ、口の周り、汚れちゃってますよ。ほら」
 
 食事の手を止め、こちらの様子を伺っていた少女に、
 ユウキは声を掛け、身を乗り出して口の周りをハンカチで拭ってやった。
 少女は嫌がる素振りもなく、目を細めてそれを受け入れていた。
 
 
「……ふむ」
 
 それを見て。
 アマツは何やら、ひとり頷いていた。


864怪物姉乱戦記(前編) ◆gPbPvQ478E :2007/08/16(木) 21:16:09 ID:oJu/YoIB

「しかしアレだな。お前は歩く託児所か。このロリコンめ」
「褒めてませんよね。というか非道いですね」
「まあそれはともかく、これなら大丈夫そうだな」
「?」
 
 アマツは隣の白い頭をぽんぽんと撫でながら、
 
 
「コイツ、住むところがないんだ。
 できれば中央に置いておきたいんだが、私は明日からまた出なくちゃいけない。
 というわけで、ユウキ。
 ――お前が、コイツを預かってくれ」
 
 
 そう、言った。
 
 
「…………はい?」
「お前、今は省庁の個別寮に入ってるんだろ。
 一人二人増えても問題ない広さだから大丈夫だろ?」
「い、いえ、その、いきなりそんなこと言われても」
 
 だいたい、既に二人居候してるし――とは言えないが。
 
「生活費の心配はしなくていいぞ。ちゃんとそれなりの額を払うから。
 家事とかの手間も、気にするな。コイツ、物覚えが凄く良いから、教えれば一通りできるようになると思うし」
「と、とは言ってもですね、勝手に僕たちの都合で決めるのは良くないというか」
「なあホワイト、お前はコイツ――ユウキのところで住むの、嫌か?」
 
 アマツの問いかけに。
 少女は、ふるふる、と首を横に振った。
 
「ま、そりゃそうだよな。今の寺院に押し込めてられるよりは数百倍マシだろ。
 というわけで決まりな、ユウキ」
「ちょ、そんな一方的に――」
 
 ユウキは抗議しようと声を荒立てて、
 
 少女の表情を見て、ぴたり、と止まってしまった。
 
 
 少女は。
 ――私、行っちゃダメなの?
 と、目で訴えかけていた。
 
 今住んでいるところがそんなに嫌なところなのか。
 それとも自分のことをそれなりに気に入ってくれたのか。
 わからないが、少女のそんな“声”を聞いてしまっては。
 ユウキが断ることは、できなかった。


865怪物姉乱戦記(前編) ◆gPbPvQ478E :2007/08/16(木) 21:16:55 ID:oJu/YoIB

 それからは、話の流れは激流の如き速さだった。
 あれよあれよという間に、少女を預かる上での手続きについて確認させられ、
 気付けばアマツから纏まった額の生活費を渡されて、
 引っ越しに当たって、少女の荷物がまとめて置かれている場所を教えられ、
 最後に、きっちりと店の伝票を押しつけられていた。
 
 
(……ユメカさんとセツノちゃんに、何て説明しよう……)
 
 
 アマツは、既に店の外。
 向かいには、美味しそうに肉料理を食べている白い少女。
 
 ユウキは、誰にもばれぬように。
 こっそりと、溜息を、吐いた。
 
 
 
 
 
「――あ、お兄さん、溜息吐いた」
「お人好しだもんね――じゃなくて! これは一大事よセっちゃん!」
 
「え? 何言ってんの姉さん?」
「私とユウキさんの愛の巣(+お邪魔虫)に、刺客が送り込まれるってことじゃない!
 どうしてそんなにのほほんとしてられるの!?」
 
 憤慨するユメカだが、セツノは落ち着いた表情で、
 
「誰がお邪魔虫よ誰が。
 ……っていうか、ユウキさんの部屋なんだから、私たちが口出せることじゃないし」
 
 余裕たっぷりに、そう言った。
 それに対し、ユメカは納得がいかない模様。
 ――と、何か思い当たったのか、はっとした顔になる。
 
「そうか……!
 セっちゃんには家事というアドバンテージがあるけど、私には何も無い……!」
「姉さんには(胸焼けしそうな)豊満な体があるじゃない」
「あ、脂っこくなんてないもん!
 ……というかセっちゃん、最近たくましくなってない?」
「気のせい気のせい。
 しっかし、あんな可愛い子と一緒に住むことになるのかあ。
 楽しみだなあ。物覚えがいいって言ってたから、料理も教え甲斐がありそうだなあ」
「ああっ!? セっちゃんがお姉さんモードに!
 そういえばイナヴァ村でも、小さい子の面倒をよく見てたよね……!
 くうっ! たとえセっちゃんが裏切っても、私は負けないからね!」
「あーはいはい。がんばってー」
 
「ふんだ! こうなったら私だけでも戦い抜いてやるんだから!
 ――あんな小さな女の子に、ユウキさんは渡さないもん!
 ユウキさんをロリコン道に堕とそうとする小悪魔は、私がこの手で成敗してやるんだから!」


866緑猫 ◆gPbPvQ478E :2007/08/16(木) 21:17:41 ID:oJu/YoIB
続くかもしれません。
ついカッとなって書きました。今は反省してます。
まあそういうわけで本編のキャラを二人出してみたり。
かなり久しぶりでしたが、ユメカは何度書いても楽しいです。
867名無しさん@ピンキー:2007/08/16(木) 21:18:59 ID:ZIE3akHk
おお緑ネコ、あんたも今回は随分筆が早いな。
書き溜めてたのか、それとも夏休みきゃ?どちらにしろうれしいよ。GJ。
868名無しさん@ピンキー
テンプレ

このスレでは、24時間以内の連続作品投稿は禁止です。
具体的には、前回作品の最終レスから24時間以内の投下を禁止しています。1〜2レス程度の小ネタは、作品には含まれません。
自分一人のスレではありません。皆が気持ちよく使えるよう、他の作者さん、読者さんへの配慮を忘れないようにしましょう。」


↑ルール違反なのでは?