【女官】チャングムの誓いのエロパロ第三部【女医】

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「しぶとい子だね。
ただ、その根性だけは認めよう。
されど♂×♂はもっての外であること、前例に倣うべし」

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【女官】チャングムの誓いのエロパロ【女医】
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保管庫
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2ハン尚宮×チェ尚宮 −競望−:2007/07/19(木) 04:42:38 ID:z7Eq3eLF
「一つは……先の王の時代がいつまで続くのか判らなかったからでしょうね。
 先王がいる限り、お前は罪人の娘。素性を明かせば危険に晒された」

「あの頃は讒言も多かったから……身寄りのない子が……突然現れチェ一族を告発しよう
としても、そもそも信じてももらえなかったでしょうね。手紙を取り上げられ、放り出される
のが落ちだった」

「だけど、お前が最高尚宮になる頃には次の王様になっているかも知れないから。
 あるいはあの時代が続いていたとしても……最高尚宮になれるぐらいであれば、お前も
分別がついて、うかつな真似はしないだろうって思われたのかも知れない」

「もう一つ。これはお前の問題だけれど。
 お前がミョンイに起こったことの全部を知っていたら、果たして宮で、料理だけに打ち
込んでこれたかしら?」
 ―――しかしそれは、私にとっても同じことだ。あの者の行いの全てを知れば、同じ
    水剌間にいることなど堪えられなかっただろう。

「つまり、お母様はそれを敢えて告げず、お前が純粋な気持ちで修行することを望まれた
のだと思う」
 ―――この子に力がつくまでは、時を待つ必要があったのだろう。

「もちろんミョンイ自身、あのことへの深い恨みは消えなかったと思う。
 だけれどお父様に出会われお前が生まれて、お前が無事育つことに比べたら。
 お前との日々が、ずっと大切だった。自分のことよりも。
 それは私も同じこと。お前を苦しめてまで、自分の願いを貫こうとは思わない」

「そして」

「どうするのかは、お前に考えさせたかったのでしょう」

「それにその時にチェ尚宮が……宮に居るかどうかも判らないから。
 あの頃は本当にひどい時代だった。どれだけ多くの女官や官員……高位にいらっしゃった
方も含めてだけど、先王の気紛れで一族の没落なんて当たり前のことだった」

「あるいはひょっとしてソングムのことを……あの者が良いように変わることを願う
気持ちもあったのか。
 いえ、それは……判らないことね。お母様がソングムをどう思われていたのかは。
 今の私はあの者をそばで眺めて、考えも変わったけれど。
 ミョンイにしたことを思えば、許す余地なんてなかったでしょうね」

「ただ、お母様が願っていらしたのは……この前も話したように、お前が希望を持って
生きていくことよ。それだけは確かだと思う」

「あの時……私たちの命が危うくなった時、私にはお前のことしか頭に浮かばなかった。
ミョンイも同じ気持ちだったと思う」

「自分の娘に、ただ苦難を背負わせるなんて。それが自分の恨みを晴らすものであったと
しても、その子にとって幸せではないならば、私は望みはしない」

「もしそうしなければならない時があるとするならば、それは」

「敢えて茨の中を歩ませることになっても、それが光となり……その子の歩む道を照らす
ことになると思った時よ」

「そして私はその気持ちを尊重したい。お前が歩むべき道を歩ませてやりたい。
 だから私が決めるのではなく、今のお前が決めるのでもなく、最高尚宮になった時の
お前に決めさせたい。そう私は考えた」

「期せずしてお前は、お母様が意図されたより早くあの者の罪を知ってしまったけれど
……それはお前が乗り越えるべき試練。
3ハン尚宮×チェ尚宮 −競望−:2007/07/19(木) 04:47:28 ID:z7Eq3eLF
 いずれにしたって、ある時にこうなるかもと考えたとしても、時が流れるにつれ情勢も
移り変わっていくと思うわ。
 だからその時その時で、最善の方法を見つけていかなければならない」

「まだお前は、お母様が託された願いを受け止められるまでには至っていないと思う。
 だから手紙を見られる資格が備わるまで、私が預かっておきます。その時が来たら、
どうするか……チェ一族を告発することも含めて、改めてよく考えればいい」

「この前にも言ったように、私は私たちの代の問題までを、お前に背負わせたくない。
 私がチェ尚宮のことをどう思っているかなんて気にせずに、お前は今はただ、料理に
励みなさい」

 そういうとハン尚宮は、再び市場に向かって歩き出した。歩みながら胸中思いが溢れ
だして、また空を仰ぐ。
 この子にミョンイの面影を感じる度に、本当にそうだったら……ミョンイの子だったら
どんなにと、何度思ったことだろう。そしてそんな夢を見続ける自分を、何度情けなく
感じただろう。
 でももし最初から知っていたら、私はお前に夢中になっていた。厳しく躾けること
なんて、きっとできなかった。そんなことになったら、今のような強い子にはなら
なかったでしょうね。私を支えてくれるような、こんなに逞しい子にはね。

 ねえミョンイ。あなたはそこまで見通していたの?

 多分……私が思うに、あなた自身も判ってはいなかったのでしょう。
 けれど、今わの際に頭に浮かんだこと、恐らくその直感は、どれほど熟慮するよりも
一瞬にして全てを見通す力があるのかも知れない。あるいはチャングムの無事を祈る心を
汲んで、神様がその力を与えてくださったのか。

 ハン尚宮は、歩みを止めて言った。
「けれどあなたが納得できないなら…………どうしても許せないなら、私はあなたの望み
通りに……」
 ―――チェ尚宮を追い落としてもいいのよ
 その言葉を心に残したまま、歩き出す。

 チャングムもその後を追う。
 ハン尚宮は数歩進んでまた足を止めた。そのまま、振り返ることなく立ち尽くしている。
 ハン尚宮を見続けていたチャングムの頬に、冷たい水が触れて、チャングムは思わず
空を見上げた。
 風花。
 もう春も終わったというのに、空にちらちらと雪がきらめいた。

 ハン尚宮が歩くとチャングムも歩き、ハン尚宮が止まると同じように立ち止まる。
だから数歩、二人の間には隔たりがあった。そしてチャングムは決して前に出ることは
なかった。今はただ何も言わず、付き従っている。
 風に煽られるまま、雪は舞い上がり、また舞い降りた。
 そしてハン尚宮の肩に気まぐれに止まっては、すぐに縮んで小さな水滴になった。
水滴は少しずつ数を増やしていき、いつしかスゲチマ(羽織り)の肩に滲みを作っている。
 そして苦しみもまた、背中に滲んでいるのをチャングムは感じた。
 ―――けれど……私は尚宮様と一緒に過ごしたい。

「喜びも、そのお悩みも共にしたいのです」
 チャングムの声は背中を貫き、ハン尚宮の胸に染みていく。
「尚宮様を離したくはないのです」
 ありがとうチャングム、お前の気持ちは嬉しいわ。でも、それは駄目よ。
 もうお前と同じ目線で語り合うことはやめなければならない。そうしていては、また
二人だけの世界しか見えなくなって、お前を守ることができなるかも知れないから。

 二人はまた歩き出した。
「私とだけ、いて欲しいのです」
 チャングムが、つぶやくように言った。
4ハン尚宮×チェ尚宮 −競望−:2007/07/19(木) 04:58:26 ID:z7Eq3eLF
「わがままな子ね」
 けれどハン尚宮を慕う心に偽りはないことは、ハン尚宮にも判っている。
「お苦しみをやわらげて差し上げたいのです」
 背中越しに伝わるチャングムの想いは、舞い降りる雪のように、ひとひら、また
ひとひら。尚宮の胸の中に降り積もっていく。

 ミョンイ。あなたとお別れを告げなければならない。あなたがどう思ったにせよ、
この子はこれから先、自分の進むべき道を決めていかなければならないのだから。
 そのために……。私自身、あなたへの想いを……断つことも、それがこの子のため。

 お前、そしてお前の中にいるミョンイ…………一度は向き合わなければならないのね。
「今晩部屋にいらっしゃい。少しお話ししましょうか。
 昨日から警備の方も交代された。今度の責任者の方はミン従事官と親しいから、前ほど
心配しなくていいわ」

 チャングムは、はやる心を抑えて市場で食材を探し、あと身の回りのものを買い込んだ。
夕食も外で済ませることにした。
 出された煮物は簡単なもので作り方も荒っぽいけれど、素朴で独特な味がある。
たまにはこうして他の味を試さないといけない。
 食べながらいつものように、この味付けは、この材料の取り合わせはと嬉しげに話す
チャングム。いつだって料理に目が無いのね。だったらなおさら、余計なことは考え
させるわけにはいかない。
 ハン尚宮はそう感じた。


 夜が来る。
 声を掛け障子を引くと、ハン尚宮もすっかり寝支度を終え布団の脇に座っていた。
 誘われるまま、隣に座った。

 ハン尚宮はチャングムと、そして恐らく今ここにいるであろうミョンイに語りかけた。
「一つだけ約束して欲しいの。これは今日で最後にしたいと思っている」
「それは」
「あなたのことは好き。ずっと好き。そしてどれほど抱き締めたかったか。
 でも、私はあなたばかりを見過ぎていたような気がする。
 もしこれからもこうするならば、それはチェ尚宮がいようといまいと関わり無く
だけど、私はあなたしか、そしてあなたは私しか見られなくなる。お互いにとっては
いいのかも知れないけれども、周りの方がどう思うでしょうね。それにあれが油断に
繋がったことも否定はできないわ。
 あなたは私がいなくてもやっていける。でも他の子たちはそうではない。だからもっと
目配りしていきたいと思うの。それを判ってちょうだい」
「嫌です。私は尚宮様のおそばにずっといたいのです。尚宮様だけを見ていたいのです」
「また聞き分けのないことを言い出す」
「これが最後なんてあまりに辛いです。ずっとずっと、会える日をお待ちしていたのに」
「ああ。そう言い続けるなら、私は……」
「お願いです、尚宮様」
「やっぱりよしましょう。ささくれた気持ちで抱かれたくない。私まで荒んだ気持ちに
なってしまう……。
 代わりに……ここに居る間は、お前が寝付くまで側にいてあげるから。布団を持って
いらっしゃい。隣で寝ましょう」

 部屋に戻って布団を抱えながら、チャングムは考えた。確かに私はどうかしている。
なぜこんなに尚宮様を抱き締めようとばかり考えてしまうのだろう? お心の内も
考えずに。何を言われても、ただ自分のしたいことばかりお願いして。
 私はハン尚宮様に甘えきっているのではないか。

 踵を返し再び尚宮の部屋に向かった。
「尚宮様。すみませんでした。落ち着かない気持ちで同じ部屋で過ごすのは申し訳
なく思います。今しばらくよく考えてみます。もう少し頭を冷やして、それで改めて
参りたいと思います」
 ハン尚宮は何も言わず、軽く頷いた。
5ハン尚宮×チェ尚宮 −競望−:2007/07/19(木) 05:05:27 ID:z7Eq3eLF

 それから十日ほど、二人は普通に過ごしていた。けれど特に話しはせず、食事も
別々に取った。
 ある昼の空き時間、チャングムはハン尚宮の部屋を訪れた。
「尚宮様」
「座りなさい」
「あの」
「気持ちはまとまった?」
「はい」
「私はもうすぐ宮に戻ることになると思う。前にも言ったけれど、チェ尚宮はあのままに
しておくつもりよ。それであなたはどうする? チェ尚宮たちと一緒に過ごしていける?
やっぱり許せない? それともお前が他のところに行く?」
「まだチェ尚宮様とお会いして、平常心でいられるかどうか自信がありません」
「正直ね。それはそうだと思うわ。私も気持ちを鎮めるのにずいぶん時間がかかった」
「どうしたらいいのか、自分でもよく判りません」
「……あなたは、もうしばらくここに居た方がいい。頃合を見て様子を見に来るけど、
それで大丈夫そうだったら宮に戻すわ」
「はい」
「ところで、この前のお話しの続き……今晩私の部屋に来ない?」
「はい、伺わせていただきます」


 夜になり尚宮の部屋に向かう前、チャングムは机に肘をついて、これまでのことを振り
返った。
 ここに遷される前、尚宮様は必ずまた会える日が来るとおっしゃった。でも牢屋で肩を
抱いた、あれがお別れのような気がして。
 何度も思い出していた温もりを、今やっと。
 久しぶりの夜となる。もうすぐ一年にもなろうか。温泉地に行くまでは、ほぼ毎晩の
ように部屋を訪れ、ハン最高尚宮様のためにお話をして差し上げた。その後、たいてい
私がお誘いし、夜の帳に包まれた。
 私はヨンセンの部屋に戻らなければならず、朝まで過ごしたことはめったになかった
けれど、今日はずっと一緒にいられる。

 うふふっ
 やっぱり嬉しくなってしまう。

 部屋に入ると、ハン尚宮はすぐに抱き寄せ、チャングムの頭を撫でながら言った。
「チャングム。これからあなたは今まで以上に辛い思いをするでしょう。怒りを抑えられ
ないときもあるでしょう。でも頑張るのよ」
 
「私の気持ちは……チェ尚宮に対する感情は確かに変わった。
 けれど水剌間を良くしていこうというチョン尚宮様のお志は忘れてはいない。あの者
にも、同じようなことを二度と許すつもりはない。
 あなたも懸命に精進しなさい。そしていつの日か、ミン従事官にも協力をお願いして、
もう二度とあんな……お前のお母様のような目に会う者が無いように。それと……
チェ尚宮みたいに、罪に手を汚してしまう者が現れないように」

「お前の気持ちはどうやっても癒されないかも知れないけれど。
 お前が恨みに捉われて、これから先を過ごして欲しくない。
 あの者を追い遣ることで、お前……そうしたらお前は気持ちが晴れるでしょうね。
でも更なる苦しみを背負うことにもなるのよ。また、互いに修練しあえる友も失うのよ」

「ミョンイの手紙はあの者の弱み。
 そして、お前もまた弱みよ。お前の顔を見るだけで罪の意識に苛まれるはずよ。お前が
いつも元気で、心を捻じ曲げずに頑張ること、料理の力を着けていくことが、何より
あの者に対する復讐になる。お母様の願いを叶えることになる」

「判っておくれ」
「はい。尚宮様のおっしゃるようにします」
                                ―――終―――
6名無しさん@ピンキー:2007/07/21(土) 00:05:22 ID:iVKSkJWc
新スレ乙

>「喜びも、そのお悩みも共にしたいのです」
>「尚宮様を離したくはないのです」
チャングム版「お前が必要なの!」ですね。
7名無しさん@ピンキー:2007/07/21(土) 00:41:33 ID:bzLeYq8U
強引に迫るチャングムを、思わず応援してしまった自分…w
8名無しさん@ピンキー:2007/07/21(土) 21:21:32 ID:iHTRJmAl
イけイけ!チャングム!とマウスを机にトントンさせてしまった・・(Д)
机バンバンもなぜかやってしまった
9名無しさん@ピンキー:2007/07/29(日) 00:03:24 ID:CN0w8Gxn
圧縮直前保守
10宮廷商人 パンスルの苦悩(小ネタ):2007/07/30(月) 23:19:28 ID:yjbJ4H1M
「旦那様、今度の狩には護衛がいらぬと……」
「ああ、いらぬのだ」
「しかしオ・ギョモ様が狩にいらっしゃるではありませんか……ところで、
何故狩に行く前からここに獣の耳や尾が大量にあるのです?
商うにしては耳や尾だけでは…………」
「………………オ・ギョモ様だ」
「は?」
「オ・ギョモ様がこの耳と尾を芸者につけさせて、料亭で狩をするのだ…………。
…………どうしてこういうことばかり考え付くのだオ・ギョモ様は…………」


※イメージ画像
http://www.amazon.co.jp/%E3%82%AF%E3%83%AA%E3%82%A2%E3%82%B9%E3%83%88%E3%83%BC%E3%83%B3-%E7%8C%AB%E8%80%B3%E3%82%AB%E3%83%81%E3%83%A5%E3%83%BC%E3%82%B7%E3%83%A3-%E5%89%8D-%E9%BB%92-F/dp/B000KC8JM4
ttps://www.moshimo.com/mds/item/4159/113069
11宮廷商人 パンスルの苦悩(小ネタ):2007/07/30(月) 23:31:47 ID:yjbJ4H1M
料亭で泥酔したオ・ギョモに“狩には良い猟犬が必要だ”と言われ、
ttps://www.moshimo.com/mds/item/4159/113069を無理やりつけさせられた後
芸者を必死で追いかけるパンスル
12名無しさん@ピンキー:2007/08/04(土) 17:08:09 ID:rgBhYHlr
>10
>11
チェ尚宮「兄上に女官の気持ちはわかりませぬ」

パンスル「ワシだって一族のためには馬鹿にもなるのだ(泣)!」
13名無しさん@ピンキー:2007/08/05(日) 18:38:40 ID:kitSDQKi
>>10、11、12
ワロタW
14名無しさん@ピンキー:2007/08/05(日) 19:21:12 ID:ReHd3mmV
>>11,12
(゚Д゚)ウマー
15名無しさん@ピンキー:2007/08/12(日) 02:31:15 ID:PiS/5rW+
サランヘヨ
16見習尚宮:2007/08/15(水) 22:44:16 ID:/12HEHkU
ハン尚宮様ヲタです。ハン尚宮とチャングムの蜜月がもっと見たかったので
拙文を投下してしまいました。

(内容)百合 チャングムXハン尚宮 ややエロ有

「ママニムの独り言」

―もう朝なのね。いつの間に眠ってしまったのだろう。体がだるいわ。
  記憶が飛んでいるけれど、チャングムが寝巻きに着替えさせてくれたのね…。
  しかし、夕べは師弟が逆転してしまったわ。思い出しても恥ずかしいけど、
  今度は私がお返しをしてあげる。
 
ハン尚宮は、チャングムを出納係に任命した時に彼女があまりにしょげていたので
可愛そうになり、最後までやり遂げたら一つ願いを聞いてあげると約束していた。
数ヶ月経ってそろそろ料理の仕事に戻らせようと、昨夜自分の部屋に呼んで
出納係の労をねぎらったのだ。

―私と一緒に料理をするのが一番好きだなんて言って、本当に可愛い子。
 それにしても、出納係を全うしたら願いを聞いてあげるなんて
私ったら余計なことを言うんじゃなかったわ。
 でもあの子に上目づかいでねだられたら、つい許してしまうのよ。
 無邪気なあの子の願いだから、休暇でも欲しいのかと思ったら
 「尚宮様が欲しいです」なんて言い出して、驚いて返事もできなかったわ。
  
―でも私もチャングムが愛しい…。こうなったら覚悟を決めてあの子の好きにさせた。
 私の部屋子の時にはこういった事を教えたことはないし、
今はヨンセンと同室だけど、あの子もこういうことには疎いだろう。
だから添い寝の真似事でもすれば気が済むだろうと思ったのに…
17見習尚宮:2007/08/15(水) 22:45:27 ID:/12HEHkU
チャングムはハン尚宮が黙って目を伏せたのを合図に布団を敷いた。
ハン尚宮は髪を解き、チャングムを見つめた。
チャングムはハン尚宮をそっと布団に横たえ、唇を近づけた。

―あの子の唇の甘く柔らかかったこと…。チョゴリの紐を解いてきたので
 思わず体を固くしたけど、あの綺麗で澄んだ瞳に見つめられて力が抜けてしまった。
 料理には自信がある私でも、このことに関してはまるっきり駄目ね。
 チョゴリを脱がされながら、「震えている尚宮様は可愛いです」とまた言われた。
あとはもう2人とも生まれたままの姿になって、チャングムに愛されたわ。
 それにしてもあの子、何であんなに上手なのかしら?やはりヨンセンと?
 それともミン尚宮あたりから回ってきた春画で研究したのか?

―あの子の指や舌の動きは本当に心地よくて、どうにかなってしまいそうだった。
まるで、私の感じる場所を知っているかのように私を溶かした。
これも私が修行させた「味を描く能力」のお陰なのかしら?
こんなことにも役立つとは思ってもみなかったわね。
 
 チャングムがハン尚宮の中に指を挿し入れた時、あまりの高まりように
 一瞬驚いたが、息を弾ませながら強く弱く、浅く深く動かした。
 ハン尚宮はもう唇から洩れ出す声を抑えることができなくなっていた。
 チャングムはやがて指をもう一本挿し入れ、一層激しく動かした。
 ハン尚宮はチャングムの名を呼びながら達した。

―途中から頭に霞がかかったように、何が何だかわからなくなったわ。
 恥ずかしいから声を出すのを堪えていたけど我慢できなかった。
 何度チャングムの名を叫んだことだろう。少し気を失ってしまったみたいで
 気がついたときには、チャングムが滲んだ涙を唇で吸い取ってくれていた。
 安心してそのまま眠ってしまったようだわ。

ハン尚宮は身支度を整え、いつものように美しく気品に満ちた姿で部屋を出た。
途中ミン尚宮から朝の挨拶を受け、体の調子が悪そうだと尋ねられたので
「いつも痛む喉が今日は一層痛む」と答えて、心配そうなミン尚宮から足早に去った。

―ミン尚宮心配かけて悪いわね。気持ちは本当に有難いわ。
 愛想がない私を許してね。それに昨夜あんなことをして叫んだから喉が痛いの。
 まさかそんなこと言えないじゃない。

    【    終     】
18名無しさん@ピンキー:2007/08/15(水) 22:57:48 ID:u2H8ouor
新職人キター

この調子でもっと!
19名無しさん@ピンキー:2007/08/16(木) 18:27:00 ID:FhJyeS58
なかなか良かったです。

特に最後の落ちが、イイ!
20名無しさん@ピンキー:2007/08/16(木) 23:02:04 ID:04STJFod
しーぬーーーー(悶)!!
かわいすぎるぜよ、ママニム(TへT)
21名無しさん@ピンキー:2007/08/17(金) 08:54:01 ID:IU898BuH
チョンはいらね
22名無しさん@ピンキー:2007/08/18(土) 10:33:20 ID:ga6LLPSy
↑こんなん来るからsageてくれ
23名無しさん@ピンキー:2007/08/18(土) 10:54:17 ID:ioFSDa6C
このマターリ感がいいんだよなここは。
茶ドゾ    つ旦旦旦旦
sage推奨。
24名無しさん@ピンキー:2007/08/19(日) 02:17:23 ID:ow0XGfSo
ふたりの甘々生活もっとみたいよーー!!
25名無しさん@ピンキー:2007/08/19(日) 19:13:20 ID:0dhF4qGX
もっと見たいYO!
もう知ってるかもだけど

http://streaming.yahoo.co.jp/p/t/00005/v01548/
26見習尚宮:2007/08/26(日) 23:21:11 ID:vrRRujT3
連投失礼いたします。
ありえない設定でしかも長文になってしまい、ご容赦の程を。

(内容)百合 チャングムXハン尚宮 エロ多め

「ママニムの温泉旅行」

(ハン尚宮の執務室に長官が来て話している)
「先日のお前が薦めた温泉療養以来、王様のお加減がすこぶるよろしく、気力、体力とも
すっかり回復されて、皇太后様と皇后様も大層お喜びとの報告を受けている。本当によく
やってくれた。」

「最近は、御膳も以前のようにお召し上がりになっていただいております。」

「そこで王様と皇后様より、お前に褒美をつかわすようにと言い付かった。」

「いいえ、それには及びません。最高尚宮として当然のことをしたまでですから。」

「ハッハッハ。お前らしい。王様も融通の利かないお前のことだ、きっと断ると
お考えになり、承知させぬと私を打ち首にすると仰せだ。私はまだ死にたくないぞ。」

「(しばらく思案して)それでは恐れながら申し上げますが、弟子のチャングムを連れて
2〜3日外出させていただいてもよろしいでしょうか?」
「ああ。最高尚宮就任以来、お前も気苦労が絶えなかったろう。ゆっくりするがよい。
王様には私から申し上げておく。」

「ありがとうございます。」

「本当によかった。チョン尚宮もきっと喜んでいることだろう。」
「長官様…。」
笑顔で頷く長官に、心が温まるハン尚宮だった。



27見習尚宮:2007/08/26(日) 23:25:31 ID:vrRRujT3
ハン尚宮はチャングムを自室に呼び、話している。
「王様から、お前を連れて2〜3日外出してよいとの許可をいただいたわ。」

「本当ですか!」 チャングムは目を輝かせた。

「先日王様をお連れした、ミョンイと私の故郷に行かない?その前にチョン尚宮様に
ご挨拶もしたいし、ミョンイのお墓にも連れて行っておくれ」
無邪気に喜ぶチャングムを目を細めて見つめるハン尚宮。

最高尚宮代理という大役を任され、自信なさげなミン尚宮を優しく励ましながら、
留守中の引継ぎを行い、ハン尚宮とチャングムは宮中を出発した。
途中チョン尚宮が旅立った山に登り、志を継いで水刺間を守っていく決意を新ためて誓い
2人はミョンイが眠る場所に再びやって来た。

ハン尚宮はお辞儀を捧げながら、心の中で友に語りかけていた。
「ミョンイ…。まさかここに眠っているのがあなただとは夢にも思わなかった。
あなたと甘酢を作った時に誓い合った最高尚宮にとうとうなったわよ。
あなたの娘のチャングムが、私に困難に立ち向かう勇気を与えてくれたの。
ああミョンイ、幼かったチャングムを残して逝くなんてどんなに無念だったでしょうね。
私はあなたに何もしてあげられなかったけれど、これからはあなたの代わりにこの子をきっと幸せにするから安心してね。ミョンイ…。」

涙を流しながらお辞儀を捧げるハン尚宮を見つめるチャングムの目にも
涙が溢れていた。


28見習尚宮:2007/08/26(日) 23:27:58 ID:vrRRujT3
2人はミョンイのお墓を後にすると、市場で買い物などを楽しみながら
ハン尚宮の故郷に向かって歩いていた。

「尚宮様。今夜は母の実家に泊まるのでしょうか?それでしたら何か買って
私が食事の支度をさせていただきます。」

「いいえ、チャングム。今夜は私が決めておいた宿に泊まりましょう。
王様の療養の下見に来た時に見せてもらった宿なのだけど、部屋に小さいけれど
温泉が付いていて、きっとお前も気に入るわ。」

2人が宿に到着したのはすっかり夕方になってからだった。女将に部屋に通されて荷物を解いていたら、間もなく夕飯が運ばれてきた。
夕飯は、王様にも召し上がっていただいた村自慢の硫黄家鴨の料理と、素朴な田舎料理で
あった。2人は料理に舌鼓を打ちながら、この味付けはどうやっているのかなどと意見を交換して夕飯のひとときを楽しんだ。
「尚宮様。このような素敵な所に連れて来て下さって本当にありがとうございます。
お夕飯も美味しくいただき、私にはもったいないぐらいです。お疲れでしょうから
お休みの準備をしておきますので、先に温泉にお入り下さい。」

「お前と一緒なのだから疲れなんて感じないわ。それより、せっかくだから一緒に温泉に
入らない?」

「さ、尚宮様!?」 チャングムは赤くなって下を向いてしまった。

「私は先に入っているわよ。」 ハン尚宮は席を立って行ってしまった。

29見習尚宮:2007/08/26(日) 23:30:02 ID:vrRRujT3
ハン尚宮は温泉につかって、すっかり寛いでいた。
「チャングムったら、今更照れるなんておかしな子ねぇ…。」

チャングムは布団を敷いて寝床を整えながら、しばらく考えていたが
「失礼いたします…」と言いながら温泉にそっと入ってきた。

ハン尚宮が声を掛ける。
「湯加減はどう? 体がほぐれて本当に気持ちいいでしょう? 肌も生き返るわ。」

「はい、尚宮様。初めて入りましたがとても気持ちがいいです。」
「ちょっとチャングム、もっとそばにいらっしゃい。」

「は、はい。」

チャングムがハン尚宮のそばに来るや否や、ハン尚宮はチャングムを後ろから
抱きしめて、うなじに唇を寄せるとチャングムの体がぴくりと反応した。
ハン尚宮はチャングムの肩を撫で回し、乳房をそっと包むとゆっくりともみながら
先端を摘んで弄んだ。チャングムの唇から甘い吐息が漏れ始めると、ハン尚宮の手が
更に下におりてきて、チャングムの中にいよいよ入ろうとしたときだった。

「さ、尚宮様。すみません。これ以上温泉に入っていたら私はのぼせてしまいそうです。
申し訳ありませんが先に上がらせていただきます。」 チャングムはそう言うと
ハン尚宮の腕を抜けて、全身をゆで蛸のように真っ赤にさせて先に上がった。

「いいところだったのに仕方のない子ねぇ。でも夜は長いし…。」
ハン尚宮は、満月を見上げながらしばらく温泉を楽しんでいた。



30見習尚宮:2007/08/26(日) 23:31:59 ID:vrRRujT3
ハン尚宮が湯から上がり、寝支度を整えて部屋に戻って来ると
チャングムは寝てしまったのか出て来なかった。

「チャングム、もう寝たの?」 ハン尚宮が声を掛けながら障子を開けて
寝室を覗くと、チャングムが寝巻きのままで横になっていた。
「本当に仕方のない子だわ。湯冷めしてしまうじゃない。」 ハン尚宮が苦笑しながら
布団を掛けてやろうとした時、不意に下から伸びてきたチャングムの手に腕を掴まれて
強く引っ張られた。体勢を崩したハン尚宮はそのままチャングムに向かって倒れ込んだ。

「ちょ、ちょっとチャングム、何をするの?!」
「尚宮様たら、長湯をなさるからすっかり待ちくたびれたではないですか。」

チャングムはハン尚宮を布団に組み敷き、剥ぎ取るように寝巻きを脱がすと
自分も脱いで、いつものように唇を求め合った。唇を合わせながらチャングムの両手は
ハン尚宮の乳房をもみしだき、唇は喉元から徐々に胸へと下がっていった。
片方の乳房は手で愛撫しながら、もう一方は舌を使って円を描くように中心に近づいていき、
先端に触れるとあっという間に固くなり、ハン尚宮の呼吸が乱れ始めた。

チャングムはしばらく胸の先端を舌で転がすと、ハン尚宮の陶器のように白く滑らかな
肌を愛おしむように、背中や腰のくびれにも唇や舌を這わせていった。
チャングムの唇は更に下におりると内腿に達したが、中に入ることは今まで許して
もらったことがなかった。(今夜こそ尚宮様をもっと感じたい…)
チャングムの唇や舌の動きに酔わされていたハン尚宮であるが、内腿に
熱い吐息を感じると、いつものように拒んで脚を閉じようとした。

しかし今夜のチャングムは、ハン尚宮の脚の間に入り太腿を押さえつけるという
格好の姿勢になっていた。


31見習尚宮:2007/08/26(日) 23:33:48 ID:vrRRujT3
「チャングム、お願い。恥ずかしいから止めてちょうだい。」
「いやです。今夜は尚宮様の言いつけは守りません。」

チャングムはハン尚宮の太腿を押さえつけながら、唇をハン尚宮の中に寄せた。
ハン尚宮はチャングムの頭をつかんで離そうとしたが、ゆっくりと舌が差し入れられると
ついに観念したかのように抵抗するのを諦めた。チャングムはハン尚宮の足首を掴むと
大きく脚を開かせた。
「あぁ、チャングム… 駄目… 恥ずかしいわ…」

チャングムの舌は優しく動きながら中をかき回し、時には規則的に刺激を加えた。
敷布を掴んで快感に耐えていたハン尚宮であったが、もはや我慢も限界に達し
唇から喘ぎ声が漏れると、段々と大きくなっていった。
チャングムの舌がハン尚宮の敏感な部分を捉えると、ハン尚宮は悲鳴にも似た声をあげ、
固く尖らせた舌で愛撫を加えられると、ハン尚宮は思わずそばにあった枕を自分の顔に
押し付けて声を押し殺した。
「チャングム、お願いもうやめて。あぁ… もう駄目。」

息も絶え絶えになったハン尚宮は、愛撫から逃れようと無意識に体をよじると体の半分が布団から落ちてしまった。しかし一度離れたチャングムの舌が追ってきて、再びハン尚宮は快感の渦に投げ込まれてしまった。最初のように優しく動いていたチャングムの
舌の動きが次第に激しくなり、さらに指も加わえられるとハン尚宮は
もう何も考えられず、ひたすら喘ぎ声をあげて快感を訴えるだけだった。
「尚宮様!」 チャングムが呼びかけたのとほぼ同時に、
ハン尚宮は目の前に白い閃光が走ったのを感じ、そのまま果てた。


32見習尚宮:2007/08/26(日) 23:35:52 ID:vrRRujT3
翌朝早く目が覚めたハン尚宮は、寝入っているチャングムを起こさぬように
そっと温泉に入り、朝風呂を楽しんでいた。
「すっきりと目覚めがいいのも硫黄家鴨のおかげかしらね。」

ふと下の方を見やったハン尚宮、内腿に赤い斑点が幾つも付けられているのに気づいた。
「チャングムの仕業ね! 全く困った子だわ…。」

休暇も終り、2人は再び水刺間で忙しく働いていた。
今日は王様が硫黄家鴨の料理を久しぶりに食べたいと所望され、ハン尚宮はいつも以上に
準備に余念がなかった。仕上げを終えたハン尚宮にチャングムが近寄ってきて耳打ちした。
「尚宮様、また温泉に連れて行って下さい、ね?」
チャングムのいたずらっぽい目を見て、ハン尚宮は頬が赤くなるのを感じたが
そんなことは悟られないように慌てて目をそらすと、
「時間がないわ。早く御膳をお出しする準備をして!」と言いながら早足で
水刺間を出て行った。
「かしこまりました、ハン最高尚宮様。」 
と言いながらチャングムは嬉しそうにハン尚宮の後を追った。

【    終    】
33名無しさん@ピンキー:2007/08/27(月) 01:37:27 ID:drzO/T9X
一番乗り!!
最初ハン尚宮→チャングムだったのに
チャングム→ハン尚宮になって
その時のハン尚宮様のリアクション最高。
ギザエロス
テラ最高ですた。
ネ申作家ですね
34名無しさん@ピンキー:2007/08/27(月) 08:53:34 ID:N1XQuX3O
良スレ上げ!!
35名無しさん@ピンキー:2007/08/27(月) 23:46:53 ID:J2fFconc
ありえない設定&長文、全く問題無し!!w
いやチャングマ、藻前いい仕事したナ!!
36名無しさん@ピンキー:2007/08/28(火) 23:31:18 ID:jW6r21k6
ハン様は やっぱり誘い受け〜w

37宮廷商人 パンスルの苦悩(小ネタ):2007/09/11(火) 00:15:59 ID:+dms3raS
「何だこれは。寸法がずいぶん大きいではないか。こんなに体格のいい芸者が居るのか?」
「いえそれが…………」
「どうした? 寸法を間違えたのか?」
「…………先日オ・ギョモ様が料亭で“芸者にだけ医女の服を着せるのはつまらん。儂の分も
用意しろ”と………………………………。
その時は大変お酒を召し上がっていたので冗談だと思っていたら、どうやら本気だったらしく
…………旦那様? 旦那様?
大変だ旦那様がお倒れに! 早く医者を呼べー!!」


ttp://koreaenta.exblog.jp/97106
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
チョ・ギョンファン[조경환:Jo Gyeong-hwan ]
漢字表記:趙卿煥
生年月日:1945年3月21日
出身地:ソウル特別市(서울특별시)
既婚未婚::既婚(妻は他界)
出身校:漢陽大学演劇映画科卒業
身 長:178cm
血液型:O型
趣 味:ボディービル,ゴルフ,釣り
38名無しさん@ピンキー:2007/09/11(火) 22:22:28 ID:GIuABVwd
「趣味:ボディービル」てwwwwww

あんなポーズやこんなポーズなオギョモが浮かんできて
もうだめ……笑い死ぬ……
39名無しさん@ピンキー:2007/09/11(火) 23:35:25 ID:mkLmTz11
腹筋がきれいに割れたオギョモ様は
何かイヤだ!
40見習尚宮:2007/09/13(木) 00:26:13 ID:syXZ9otS
(内容)ヨンセンXヨンノ
   百合 エロ&ネタバレ有

   (ご注意)ヨンセンのキャラが若干壊れております。

   「愛 憎」

「ユン尚宮が亡くなりました」

知らせを受けたとき、ヨンセンは直ぐにはその事実が飲み込めなかった。
ユン尚宮… ヨンノが?
呆然とするヨンセンを心配して、ミン尚宮やチャンイが話しかけるものの
ヨンセンは返事が出来ない。そして、気づくと涙がとめどなく溢れてきた。

ヨンノ、あなたは幼い頃から私やチャングムに散々意地悪してきたわね。
憎くて憎くてたまらなかった子のはずなのに、何故こんなに涙が出るのかしら?
ヨンセンの脳裏には、センガクシ時代からのヨンノとの様々な思い出が浮かんできた。

そしてあの夜の出来事も…


   
41見習尚宮:2007/09/13(木) 00:27:51 ID:syXZ9otS
ハン尚宮とチャングムが宮中から追放され、失意の日々を送っていたヨンセンは
偶然にも王の犬と遊んでいたところ、王に見初められ承恩尚宮として迎えられたのである。
それからしばらく経ったある晩、ヨンノが改めてお祝いを申し上げたいと、
ヨンセンの住まいを訪れ目通りを願った。ヨンセンはヨンノを部屋に招き入れ、
2人は久しぶりに向かい合って座った。

「イ尚宮様、この度は誠におめでとうございます。これはささやかな贈り物でございます。」
「本当にそう思っているのかしら?」
「幼い頃から苦労を共にして参りましたのに、あんまりなお言葉でございます。」
「そう思うのだったら、チャングムを返して!チョン尚宮様やハン尚宮様を返して!」
「イ尚宮様…」 痛いところを突かれたヨンノは黙り込んでしまった。
そんなヨンノを見たヨンセンは、心の奥に封じ込めていた怒りが抑えられなくなり
今まで感じたことのない邪悪な感情が、ふつふつと沸き上がってきた。

42見習尚宮:2007/09/13(木) 00:29:26 ID:syXZ9otS
ヨンセンはお付きの女官に酒と肴を持って来させると、今夜は久しぶりに友人と
積もる話をするので、もう下がってよいと申しつけた。

「王様のお相手をするうちに、私もかなりお酒が飲めるようになったの。
さっきは感情的になってごめんなさい。ヨンノ、今夜はあなたと一緒に飲みたいわ。
それに、ここでは尚宮様なんて呼ばなくていいわよ。」
「で、でも尚宮様。申し訳ありませんが私はお酒をあまり飲めません。」
「そうなの? だったら私が飲ませてあげる…」
ヨンセンは自分の口に酒を含ませると、ヨンノに口移しで流し込んだ。

「はっ!!」 ヨンノは驚きで目を見開いた。「尚宮様、何をなさるのですか?」
「幼い頃からの仲なのだからいいでしょ? あなたをもっと知りたいわ。」
ヨンセンは酒の味が残る唇を再びヨンノの唇に押しあてると、
舌をこじ入れ、ヨンノの舌をからめ取ってしばらく味わった。
ようやく唇を離すとヨンセンは、ヨンノを床に押し倒しチョゴリに手をかけると
ひと思いにはぎ取った。露になった上半身を見てヨンセンは息を呑んだ。
43見習尚宮:2007/09/13(木) 00:30:38 ID:syXZ9otS
「な…何て立派な胸をしているのかしら。まるで瓜のようだわ。
小柄なこの子がこんな大きな胸をしていたなんて、今まで知らなかった。」
「尚宮様お許し下さい。お恥ずかしゅうございます。」 ヨンノは涙目で懇願した。
「こんなに素晴らしい胸を持っているのだから、もっとよく見せて」
ヨンセンが胸に顔を寄せようとすると、ヨンノが手で胸を覆って抵抗したため
「邪魔をするとは悪い子ね。あっ!そうだわ。」
ヨンセンはそばにあった紐を手に取ると、無理やりヨンノの手を上げさせ
万歳の格好にさせると手首を縛った。

ヨンセンはゆっくりとヨンノの乳房をもみ始めた。
柔らかく包み込まれたかと思えば、時にはぎゅっと握り締められたり
ヨンセンの手の中でヨンノの乳房は思うままにされた。
「尚宮様、おやめ下さい。」 ヨンノは初めてのことに恐怖さえ感じていた。
「大丈夫よ。段々気持ちよくさせてあげるから」

ヨンセンは、ツンと上を向いている両方の乳首を摘むとそっと擦り上げた。
「はぁ… あん…」 ヨンノの艶やかな唇が半開きになり、思わず吐息が漏れた。
「感じてきたみたいね。」 ヨンセンはしばらく乳首を弄ぶと
チマも脱がせ、とうとうヨンノは一糸纏わぬ姿になった。
今度は乳首に唇を寄せ、吸い上げたり舌でチロチロと舐め上げたりすると
「うぅ… あぁ… はぁん」 ヨンノが切ない声を上げた。
(憎たらしい子だけど、こうして見ると可愛いわね)
44見習尚宮:2007/09/13(木) 00:31:28 ID:syXZ9otS
「な…何て立派な胸をしているのかしら。まるで瓜のようだわ。
小柄なこの子がこんな大きな胸をしていたなんて、今まで知らなかった。」
「尚宮様お許し下さい。お恥ずかしゅうございます。」 ヨンノは涙目で懇願した。
「こんなに素晴らしい胸を持っているのだから、もっとよく見せて」
ヨンセンが胸に顔を寄せようとすると、ヨンノが手で胸を覆って抵抗したため
「邪魔をするとは悪い子ね。あっ!そうだわ。」
ヨンセンはそばにあった紐を手に取ると、無理やりヨンノの手を上げさせ
万歳の格好にさせると手首を縛った。

ヨンセンはゆっくりとヨンノの乳房をもみ始めた。
柔らかく包み込まれたかと思えば、時にはぎゅっと握り締められたり
ヨンセンの手の中でヨンノの乳房は思うままにされた。
「尚宮様、おやめ下さい。」 ヨンノは初めてのことに恐怖さえ感じていた。
「大丈夫よ。段々気持ちよくさせてあげるから」

ヨンセンは、ツンと上を向いている両方の乳首を摘むとそっと擦り上げた。
「はぁ… あん…」 ヨンノの艶やかな唇が半開きになり、思わず吐息が漏れた。
「感じてきたみたいね。」 ヨンセンはしばらく乳首を弄ぶと
チマも脱がせ、とうとうヨンノは一糸纏わぬ姿になった。
今度は乳首に唇を寄せ、吸い上げたり舌でチロチロと舐め上げたりすると
「うぅ… あぁ… はぁん」 ヨンノが切ない声を上げた。
(憎たらしい子だけど、こうして見ると可愛いわね)
45見習尚宮:2007/09/13(木) 00:33:17 ID:syXZ9otS
すみません。
>>44は誤爆してしまいました
46見習尚宮:2007/09/13(木) 00:34:52 ID:syXZ9otS
ようやく乳首から唇を離したヨンセンだったが
「そういえば、昔あなたは寝ている私に筆をくわえさせたってチャンイから聞いたっけ。
遅くなったけどお返しをさせてもらうわ。」
ヨンセンは文机から筆を持ってきて、ヨンノの脇腹をつーっとなぞり上げると
「ひぃっ…」 ヨンノは鳥肌が立った。
「さ、尚宮様! 何をなさいますか!悪ふざけはおやめ下さい。」
ヨンセンは構わず、左の乳房から乳首に向かって外側からそっと円を描き始めた。
「ん… はぁ…」ヨンノは抵抗しようにも、両手の自由を奪われているので
ヨンセンのなすがままである。

筆の先がとうとう乳首に達すると、ヨンノは悲鳴を上げた。
指とも舌とも違う感触に戸惑いながらも感じてしまう。
思わず「ヨンセンお願い、もう許して。ねぇ お願い… 」 と懇願しながらも
快感のあまり腰がくねってしまうのを止められない。
ヨンセンは、執拗に乳首への愛撫を続けていたがようやく筆を離した。
ヨンノの体の奥から太腿を伝って熱いものが溢れ出しているのを見ると
ヨンノの脚の間に割って入り、ぐっと太腿を押し開いた。
47見習尚宮:2007/09/13(木) 00:36:12 ID:syXZ9otS
「いやです。見ないで下さい。」泣き声になっているヨンノを無視して
ヨンセンはまたもや筆で、既に開きかかっている部分の入り口をす〜っと撫でた。
筆は湿り気を帯びてヨンノの中をかき回し、敏感な部分に触れて
その部分を執拗に責めるとヨンノは屈辱であるはずなのに、
いつの間にか悦びの声を上げていた。
「はぁ… あぁん… ひぃ… 」

(もうそろそろいい頃ね) ヨンセンは筆を置き、手首の紐を解いてやった。
足首を掴んで両脚を大きく開かせると、人差し指をヨンノの熱くなっているその場所に
一気に差し入れた。
ヨンノはイヤイヤをするように首を振ったが、中はヨンセンの指を締め付ける。
ヨンセンは指を出し入れしながら、もう片方の手で乳房を掴み乳首を弄んだ。
「ヨンノ、どう? こうするともっと気持ちがいいでしょ?」と言いながら
指を更に奥に進めて激しく出し入れすると
「あぁぁ! もう駄目です! いやぁぁ…」 ヨンノは悲鳴を上げると
体を大きくのけぞらせ、果ててしまった。
48見習尚宮:2007/09/13(木) 00:38:53 ID:syXZ9otS
しばらくは放心状態であったヨンノが落ち着くと、ヨンセンは言った。
「私から親友のチャングムを奪ったあなたが憎い。絶対に許すことができない。」
ヨンノが口を開いた。
「私は宮中に入った時から孤独でした。孤独さ故に権力のある者に取り入って
自分を守るしか術はありませんでした。チェ尚宮様やクミョンが私のことを
蔑んでいることもわかっています。それでもあの人たちの手となり足とならなければ、
私はこの宮中では生きていけません。チェ一族に捨てられたら、
私の生きる場所はどこにもないのですから」

「だからと言って、無実の人に罪を被せていいと思うの?」
(それには答えず)
「損得のない純粋な友情で結ばれた、あなたやチャングムが羨ましい。
母のように慈しみ、導いてくれたお師匠様を持ったあなたたちが羨ましい。」
ヨンノはむせび泣いていた。

ヨンセンは黙って体を拭いてやると、髪を優しく梳いてやった。
そして、その夜が2人の今生の別れとなった…

「ヨンノ… 哀れな子。」ヨンセンは呟いた。
意地悪で、大嫌いだったはずなのに…。
「ヨンノ、今夜はあなたを想っているから安らかに眠って…。
今度会ったら、また喧嘩でもしようか?」
ヨンセンは泣き笑いのような表情で語りかけていた。

【終】
49名無しさん@ピンキー:2007/09/15(土) 01:21:51 ID:/whcKHDN
ヨンノは女官一の巨乳なのになぜかネタにならなかったな
50名無しさん@ピンキー:2007/09/16(日) 22:02:16 ID:2GEfQ0/1
新カプktkr
51名無しさん@ピンキー:2007/09/19(水) 19:45:35 ID:OEvPwUEV
キャリア女性は夫、子どもを扶養しよう! (男性論女性論板)
http://love6.2ch.net/test/read.cgi/gender/1186243916/l50

キャリア女性は夫、子どもを扶養しよう! (社会・世評板)
http://society6.2ch.net/test/read.cgi/soc/1187945432/150
52名無しさん@ピンキー:2007/09/19(水) 22:19:03 ID:v5at+ktA
↑チャングムと関係なし。
クリックスンナ
53名無しさん@ピンキー:2007/09/19(水) 23:47:04 ID:bQOWuLcT
これは別にクリックしてもいいだろw
54名無しさん@ピンキー:2007/09/22(土) 00:23:36 ID:aRLzQ+c1
>>51
>キャリア女性は夫、子どもを扶養しよう! 
54話のチャングムに対するあてつけかよwwwwwwwww

>>17
亀レスだけど「喉が痛い」のネタ元がやっとわかった。カットシーンだったのか。
55名無しさん@ピンキー:2007/09/27(木) 22:33:16 ID:HYWMqDst
>>40
カプも新鮮だし、展開にぐっときた。
こういうの好き!
56名無しさん@ピンキー:2007/10/10(水) 00:38:24 ID:OtokqjOD
誰か書いて下さいママニム!
57名無しさん@ピンキー:2007/10/10(水) 23:22:30 ID:Y+ppgpm6
職人たちによる焦らしプレイ中ww

と思ってみたが、そろそろ限界ダ。
降臨求ム。
58名無しさん@ピンキー:2007/10/11(木) 12:12:38 ID:rV1EFvSj
捕手
59名無しさん@ピンキー:2007/10/11(木) 21:32:18 ID:8xh61xOW
作家尚宮様〜!!!
60宮廷商人 パンスルの苦悩(番外編2):2007/10/12(金) 00:55:28 ID:dJRy8vjQ
<パンスル邸>
「兄上、お加減はいかがですの? チャン執事から兄上がお倒れになったと聞いて
休暇をいただいて参りました」
「ああ、今は大丈夫だ」
「失礼致します。旦那様、先日数の合わなかった医女の服が二着」
「二度とワシの前で医女の服の話をするなぁ!!!」



<宮中>
「尚宮様、伯父様の具合はいかがでしたか? って、叔母様いったい何ですかその格好は!」
「これもね、オ・ギョモ様が兄上に作らせたらしいの。
わたくしは猫にしたからお前にはウサギがいいと思ってまた借りてきたわ」
「嫌でございます絶対に嫌でございます!!!」


※イメージ画像
猫→tp://www.interq.or.jp/www1/makon/gallaga/pic/nyamaid.JPG
ウサギ→tp://love.ap.teacup.com/imaiayako/timg/middle_1180943663.jpg
犬→tp://item.rakuten.co.jp/arune/j-7457/
61見習尚宮:2007/10/14(日) 23:24:24 ID:kbGIPano
ハン尚宮様がチャングムと一緒に済州島に渡っていたら…という
創作話です。長いため2回に分けて投下させていただきます。
尚、不快に思われる描写がありましたらご容赦下さい。

(内容)・チャングムXハン尚宮
    ・百合
    ・エロ有

 (済州島日記)

 ハン尚宮とチャングムは謀反の濡れ衣を着せられて宮中を追われ、奴婢として済州島に送られた。
厳しい拷問を受けて体の衰弱が激しかったハン尚宮は、チャングムに背負われて瀕死の状態で島に到着したが、
チャンドクという医女の適切な治療のお陰で一命を取り留めることができた。

チャンドクは非常に優れた医女であるという評判で、その名声は済州島のみならず
漢陽の都にまで聞こえていたが、宮中の医女長として迎えたいという再三の要請にも
「死んだことにして下さい」と、まるで人を食ったような返事で全く取り合わなかった。
奴婢であっても優秀な医女であれば宮中に配属されると知ったチャングムは、
希望の光を見出し、母やハン尚宮そして自分を貶めた者達に復讐するため
医女になっていつか宮中に戻ると心に決め、自ら志願してチャンドクの弟子になった。
 ハン尚宮は、チャンドクの薬房でチャングムが献身的に看病した甲斐もあって
徐々に体力が回復し、その料理の腕を見込まれて済州牧使の屋敷で住み込みの
使用人として働くことになった。
ハン尚宮とチャングムは違う道を歩むことになったが、互いの身を案じながら
新しい土地で懸命に生きていた。

62済州島日記@:2007/10/14(日) 23:28:52 ID:kbGIPano
ある日チャングムはチャンドクの遣いで牧使の屋敷に行き、ハン尚宮に一目会いたい
と姿を探して裏庭に回った。ハン尚宮は洗濯をしていたが、時々体が痛むのか
辛そうに手で叩いたりしていた。その背中を見ながらチャングムは、スラッカンで
2人で並んで料理をしていた頃の光景を思い出し、また濃緑の最高尚宮の制服に身を
包んだ、ハン尚宮の美しく威厳に溢れた姿を思い出して涙が溢れてきた。
 気配に気づいたハン尚宮が振り返ると、チャングムは慌てて涙を拭って近寄った。

「尚宮様、私もお手伝いします」 
「もう終わったから大丈夫よ」とハン尚宮は優しく制した。
「尚宮様のお体が心配です」
「大丈夫だから心配しないで。それよりお前の方が心配よ。ただでさえ好奇心が
旺盛で突っ走るお前は、チャンドクさんを振り回しているのではないの?」
「私は尚宮様を振り回してばかりでしたね…」 チャングムの目に再び涙が光る。
「私のことはいいから、しっかりと前を向いて生きていきましょう。」 
ハン尚宮はそっとチャングムを抱き寄せた。しばらくの間互いの温もりを感じていたが
 「ペギョン、ちょっとこっちへ来ておくれ!」 と遠くで呼ぶ声が聞こえたので、 
ハン尚宮は名残惜しそうにチャングムを体から離し、気をつけて帰るように言うと
屋敷へと入っていった。遠ざかる後姿を見送りながらハン尚宮の温もりに包まれていると
「おやチャングム、来てたのかい!」 と不意にチャヒョンの声がした。
 チャヒョンはハン尚宮と同じくこの屋敷で働いている使用人で、お節介なところもあるが、面倒見が良く気のいいおばさんで、チャングムを娘のように可愛がってくれていた。
 「全くペギョンさんは生真面目でね。洗濯なんて適当にやっておけばいいものを。」
 「ふふふ。それがペギョン様の性分なんですよ。でもチャヒョンさん、私はペギョン様
のお体が心配でたまりません。くれぐれもよろしくお願いしますね。」
「ああ大丈夫、任せておくれよ。決して無理はさせないから」
チャングムはチャヒョンの言葉にほっとすると、薬房へ帰って行った。
63済州島日記@:2007/10/14(日) 23:32:56 ID:kbGIPano
― それから数週間後 ―
漢陽から高官の一行が倭寇の問題で済州島に視察に来ており、明日は接待を兼ねた
宴会を牧使の屋敷で催すため、その準備に追われたハン尚宮はここ数日間寝る間もない
くらい忙しかった。宴会を明日に控え、夜までかかって料理の下ごしらえを全て終えて
一人で厨房の最終点検をしていたハン尚宮は、生姜がたくさん余っているのを見つけた。
― チャヒョンさんが買い過ぎたようね。まだ夜もそれほど遅くないから、カンナンを
作ってチャングムに持って行ってあげよう。ついでに足りない薬草をチャンドクさんに
分けてもらいましょう。
 ハン尚宮は余った生姜で手早くカンナンを作ると、薬草の在庫を調べるため
裏庭の保管庫へ向かった。中に入ってよく使う薬草の袋を順番に開けながら、
確認を始めて間もなく、脇に山のように積んである枯草の束の間から、
ガサッ、ガサッと不審な物音が聞こえた。
― 何の音かしら? 逃げた家畜でも入り込んでいるのかしら?

ハン尚宮が物音のする方に近づいた途端、急に伸びてきた手に腕を強く掴まれて
あっという間に枯草の中に引きずり込まれてしまった。
「何をするの!!」 ハン尚宮は咄嗟に叫んだ。そこには見知らぬ男がいた。
「訳あって隠れているんだが、こんな美人がやってくるとは俺も運がいいな」
流れてきたお尋ね者のような風貌をした男が、いやらしい笑いを浮かべているのが
月明かり越しに見えた。
「今すぐここから出て行けば誰にも言わないわ。だから手を離して!」 
ハン尚宮は、必死に恐怖を隠して男に言ったが、
 「こんな美貌を拝めるなんて、滅多にないことだからな」
男は舌なめずりをしながらハン尚宮を押し倒した。ハン尚宮は激しく抵抗したが
男の力に敵うわけもなく、とうとうその場に組み敷かれてしまった。
「止めなさい!人を呼ぶわよ!」

64済州島日記@:2007/10/14(日) 23:35:40 ID:kbGIPano
「ここまで見張りは来ないからな。大声を出しても無駄だぜ。」 男がのしかかってきて
顔を近づけてくると、生臭い息がかかりハン尚宮は思わず顔を背けた。
情欲に憑かれた男の、ザラザラした熱い舌が首筋や喉元を這い回り、
両手で着物の上から身体を弄られて荒々しく胸を掴まれると、
ハン尚宮は嫌悪と屈辱で吐き気がしてきた。
「無礼者!」 ハン尚宮は何とか男から離れようと、必死にもがいたが無駄だった。
「へへへ、もっと可愛がってやるからよ」 

男はハン尚宮の上着に手を掛けて、襟元をぐっと押し開くと白い両肩が露になった。
 ハン尚宮の脳裏には幼い頃、両斑の男に辱めを受けそうになった忌まわしい記憶が
甦る。(あぁミョンイ! お願い、私を助けて…。)
「真っ白で柔らかくて、たまらねえな」 男の手が両の肩を撫で回し、
息を荒くしながら貪るように唇で吸い付くと、しばらくそれを繰り返していたが、
ハン尚宮が激しく抵抗すればするほど、男は一層興奮した。
「もう我慢できねえ」 男は、ハン尚宮の着物の裾に手を掛けてまくり上げると、
肌着を一気に剥ぎ取った。 

「や、止めて!! 嫌ぁーーー!!」 どんなに抵抗しても男はびくともしない。
ふくらはぎを撫で回していた男の手が、だんだんと上がってきて太腿を掴んだ時
ハン尚宮は恐怖と絶望感に打ちひしがれた。このまま辱められるのか…。
(チャングム、助けて…)
男が無理やり足を開こうとするのを必死で拒みながら、
ハン尚宮は声の限りを振り絞って叫んだ。
「誰か来てーー!」
65済州島日記@:2007/10/14(日) 23:38:04 ID:kbGIPano
「おい! 今、女の叫び声が聞こえなかったか?」
「ああ、聞こえた。あっちの小屋の方からだ。」

近頃、牧使の屋敷周辺で盗人が横行しており、今日は牧使の屋敷に侵入した形跡が
あったため、兵士が警備を強化していたところだった。
兵士達は一斉に保管庫へ向かって駆け出した。
地響きのように遠くに聞こえていた足音が近くなったと思った時、扉が開け放たれた。
男は驚いてハン尚宮の足から手を離すと、転がるように逃げ出そうとしたが、兵士に
すぐさま捕らえられた。ハン尚宮は慌てて、身体が兵士の目に触れぬよう着物を整えた。
「お前は最近この辺を荒し回っている盗人だな。牧使様の屋敷にまで侵入するとは、
ただで済むとは思うなよ」 兵士達は男を鞭で叩くと、縛り上げた。
「使用人がこんな時間に出歩いて男を誘っていたのか? 今回ばかりは見逃して
やるから気をつけろ」
ハン尚宮に侮辱的な言葉を投げつけると、兵士達は男を引っ立てて行ってしまった。
末端の兵士が好色そうな視線で見つめるのが、ハン尚宮には耐え難いことであった。

一人残されると、間一髪助かったという安堵感と、男や兵士に受けた屈辱がこみ上げて
きてハン尚宮は堪えていた涙が溢れて止まらなくなり、声を押し殺して泣いた。
だがずっとここに居るわけにもいかず、ハン尚宮は震える手で身づくろいをすると
側に転がっていたお菓子の包みをそっと拾い上げ、ふらつく足で保管庫を出た。
私には一人で泣ける部屋もないのね…。ハン尚宮は雑然とした大部屋に戻る気に
なれなかった。張り詰めた糸が切れたかのように、ハン尚宮は屋敷の裏口を出て
行くあてもなく彷徨い歩いていた。
― 疲れた…。このまま海辺から身を投げたら楽になるかしら… 
でもチャングムがどんなに嘆き悲しむか…
そんなことを考えながらぼんやりと歩いていたら、いつの間にか
チャンドクの薬房の前に来ていた。

66済州島日記@:2007/10/14(日) 23:41:28 ID:kbGIPano
薬房にはまだ灯りが点っていて、ハン尚宮が扉の陰からそっと覗くと
チャンドクがチャングムに試験をしているようで、チャングムは答えを間違える度に
チャンドクに鞭でふくらはぎを叩かれていた。チャングムのふくらはぎには
血が滲み、叩かれる度にハン尚宮はとても見ていられず顔を背けた。
「これぐらい覚えられなくて、お前は医女になる気なの?」
「申し訳ありません。もう一度お願いします。」
「お前はそんなに宮中に戻りたいの?」
「はい。この世で一番大好きで、大切な方の無実を証明したいのです。そのためなら
何があっても耐えてみせます。」
― チャングム… お前って子は…。
ハン尚宮は包みを扉の入り口にそっと置くと、涙を拭いて屋敷へと帰って行った。

「今夜はこれで終りにするわよ。明日までにこの本を全部覚えなさい。私は寝るから
戸締りをお願いね」 チャンドクは有無を言わさず、さっさと寝室に入って行った。
「ふぅ…」 チャングムは渡された本を前に思わず溜息をついた。
しかし気を取り直して部屋を片付け、戸締りをしようと扉の前に行った時
包みが置かれているのに気づいた。(何かしら?)包みを開けると、中には
カンナンが入っていた。
― カンナン! 私が初めて尚宮様に出会った時にお作りになっていたわ。
あの鮮やかな手さばきは今でもはっきりと思い出せる…
「尚宮様!!」 
チャングムは表へ飛び出して辺りを見回したが、もうハン尚宮の姿はなかった。
「尚宮様、ありがとうございました」 
チャングムはハン尚宮の思いやりに胸がいっぱいになった。

【  続  】
67済州島日記@:2007/10/16(火) 00:58:48 ID:rurnko6U
― 季節は流れ冬がやってきた。温暖な済州島であるが、ここ最近天候が荒れていて
その日も朝から雪がちらついていた。雪は一向に止む気配がなく、だんだん激しく
降ってきた。
「今日はよく降るわね」 チャンドクが往診から戻って来た。
「はい。こんなに降るのは珍しいですね。」 
迎えに出て来たチャングムが、扉を開けて空を見上げた。

― その時、チャヒョンが慌てた様子で薬房に入ってきた。
「チャヒョンさん、そんなに慌ててどうなさったのですか?」
「ああチャングム。ペギョンさんは来なかったかい?朝から薬草を摘みにハルラ山に
一人で出かけたきり、まだ戻らないんだよ。奥様の具合が悪いからお粥を作って
差し上げようとしたのだけど、足りない薬草があってね。似たような草を入れようと
思ったんだけど、ペギョンさんが『人の口に入るものだから』と探しに行って
しまったの。どうしよう…。無理にでも止めればよかった。」
「山の天気は変わりやすいからとても心配だわ。道に迷ったのかもしれない。」 
チャンドクが腕組みをしながら呟いた。
チャングムは動揺のあまり体が震えるばかりで言葉が出なかったが、思い詰めたように
部屋へ行った。しばらくして戻ってきたチャングムは、腰に荷物を巻きつけて出かける
支度を済ませていた。チャンドクは驚いて言った。

「ちょっと!まさかお前はこの雪の中、ハルラ山に探しに行く気かい?」
「チャングム、気持ちはわかるけどお前まで帰れなくなるよ」チャヒョンも心配して言った。
「暗くなるまでにはまだ時間もあるし、ペギョン様はきっとどこかで雪を避けておいでに
なるのでしょう。薬草が生えている場所は私がお教えしたので、私には庭のような
所です。」 そう言うとチャングムはすぐに駆け出して行った。
「何て無謀な子なの…」 チャンドクは遠ざかる後姿を見やりながら肩を落とした。


68済州島日記@:2007/10/16(火) 01:00:43 ID:rurnko6U
― その頃ハン尚宮は、激しく降る雪に視界を遮られ、下山しようにも道を見失っていた。
チャングムに教えられ、何度か来たことがある場所とはいえ、幼い頃から野山を駆け
巡っていたチャングムとは違う。ハン尚宮は山歩きには慣れておらず、体力は既に
限界に達していた。
「困ったわ。雪のせいで道がわからなくなってしまった。段々と暗くなって
きたし、せめて雪を避けられる洞窟でもあればいいのだけれど…。」
ハン尚宮は念のため、持っていた紐を目印として近くの木の枝に結び付け、力を振り
絞って歩き出したが、しばらく歩いたところで木の根に躓いて転んでしまった。
何とか起き上がろうとしたが体がいうことを聞かず、体力も気力も尽きていた
ハン尚宮は諦めてその場に倒れ込んでしまった。
雪は止むことなく舞い降りて、ハン尚宮の体の上に降り積もっていった。

― チャングムはハルラ山へと急ぐ道中、ずっと母に語りかけていた。
「お母さん、ハン尚宮様をお守り下さい!私に力をお貸し下さい!」
山に入るとチャングムは注意深く辺りを見渡しながら、いつも訪れる薬草畑の
近くまで登って来たがハン尚宮の姿はどこにもなかった。
「段々視界が悪くなってきたから、暗くなる前にはお助けしなければ。」 
チャングムは大声でハン尚宮を呼びながら更に山道を登って行く途中、
ふと見上げた木の枝に、紐が結わえてあるのに気づいた。

「きっと尚宮様が結ばれたに違いないわ。そうしたらこの近くにいらっしゃるはず。」
チャングムが必死で辺りを探していると、雪を被った人影らしきものを視線にとらえた。「あっ!!」 チャングムは素早く駆け寄ると、雪を払いのけて懸命に呼びかけた。
「尚宮様、しっかりして下さい! 尚宮様、私がお分かりになりますか?」



69済州島日記@:2007/10/16(火) 01:04:19 ID:rurnko6U
ハン尚宮は、薄れゆく意識の中でミョンイに語りかけていた。
「ねぇミョンイ、もう貴女のそばに行っていいかしら?本当はもっとチャングムのそばに
いてやりたいのだけれど、あの子は逞しく成長したから、私がいなくても一人で
やっていける。ねぇミョンイ。なぜ返事をしてくれないの…」

「尚宮様、尚宮様!!」 
ハン尚宮は誰かが懸命に自分を呼んでいるのが聞こえ、うっすらと目を開けた。
「チャングム…なの!?」
「尚宮様、眠ってはいけません!」 チャングムはハン尚宮の頬を軽く叩きながら
呼び続け、雪の中からハン尚宮の体を起こすと背負って歩き始めた。
「もう少ししたらお休みになれますから頑張って下さいね。」 
チャングムはハン尚宮を励ましながら山道を歩き続けた。
間もなく誰もいない山小屋に到着すると、チャングムはハン尚宮をそっと横たえ
雪に濡れたハン尚宮の着物を素早く脱がせると、持ってきた着物に着替えさせた。
そして火をおこして小屋の中を暖めながら、薄い布団を探し出してくると、
ハン尚宮にそっと掛けてやった。
チャングムは休む間もなく、今度はハン尚宮を少しでも暖めようと手足をさすり始めた。
ハン尚宮は、そんな献身的なチャングムを見つめながらゆっくりと体を起こした。
「尚宮様、横になっていらっしゃらないといけません。」
「ありがとうチャングム。もう大丈夫よ。」 ハン尚宮が話し始めた。
「思えばお前には助けてもらってばかりね。最高尚宮になったばかりの時、皆に反発されて
挫けそうになったときもお前が助けてくれたし、牢に入れられた時もお前には
申し訳なかったけれど、一緒に居てくれてどんなに励まされたことか…。」

70済州島日記@:2007/10/16(火) 01:06:52 ID:rurnko6U
「尚宮様は、私にとってこの世で一番大切なお方です。今はお側にはいられませんが
何があってもお助けしたいのです。」
「雪の中に倒れていたとき気弱になってしまったのか、ミョンイにもう側に行っていいか
聞いたのだけど返事をしてくれなかったの。まだ早かったのかしらね?」
「尚宮様、二度とそんなことを仰らないで下さい!私を残して死んでもいいなんて。」 
チャングムは涙をポロポロと流しながら泣き出した。
「チャングム…」 (この子は私をこんなに一途に想ってくれているのね…)
 
ハン尚宮は愛しさが募って、思わずチャングムを抱き寄せた。
「尚宮様…」 チャングムが涙で潤んだ目でハン尚宮を見上げると、
ハン尚宮は唇でチャングムの涙をそっと吸い取ってやり、今度は唇を求めた。
(尚宮様の柔らかい唇… どんなに懐かしかったことか)
チャングムも応えるように唇を合わせたが、二人は段々気持が高ぶってくると
どちらからともなく舌を絡ませ、久しぶりの感覚を確かめるように激しく求め合った。

「尚宮様、お許しいただけますか?」 
ハン尚宮の体を気遣うチャングムの問いかけに、ハン尚宮は黙ってチャングムの
上着に手をかけ脱がせ始めた。チャングムもハン尚宮の上着の襟元を緩め徐々に
脱がせながら、首筋に唇を寄せうなじを味わおうと背後に回ったとき
驚きのあまり言葉を失った。

71済州島日記@:2007/10/16(火) 01:20:26 ID:rurnko6U
ハン尚宮の白くて美しい背中には、むごたらしい拷問の痕が無数に残っていた。
動きが止まったチャングムを察して、ハン尚宮は穏やかに言った。
「この醜い傷跡をお前にだけは見られたくなかったわ。」
「醜いのは尚宮様をこんな目に遭わせた人たちです。私は絶対に許しません!」
「私はお前が生きていてくれさえすればいい。生きていてくれてありがとう、
チャングム!」 

ハン尚宮の言葉に涙を流しながら、チャングムは背中の傷跡を指でそっとなぞり
癒すように唇を寄せていった。ハン尚宮はチャングムの首に手を回し、自分の方に
向かせると再び唇を求めた。チャングムは唇を合わせながら、そっとハン尚宮を
床に押し倒すと着物を全て脱がせ、自分も一糸纏わぬ姿になった。
首筋に唇を寄せ喉元に吸い付きながら、両方の手でハン尚宮の乳房をそっと揉むと
手の平の下で先端が段々と固くなっていくのがわかる。

指先で先端をそっと摘み、親指と中指の腹で優しく捏ねるように愛撫すると
「んぅ… あぁぁ…」  ハン尚宮は甘い吐息を漏らした。
チャングムが片手を外して、唇に先端を含んで吸い上げたり舌で転がしたりすると
指と舌の両方で責められて、ハン尚宮は異質の快感に腰がうねるのを止められず
体の奥から熱いものが溢れ出てくるのを感じていた。
 
チャングムがそっとハン尚宮の足の間に手を伸ばすと、驚くほど湿っていた。
「尚宮様… 尚宮様のここはもうこんなに…」 耳元で囁いた。
「お前はいつからそんな意地悪な子になったの?」
「うふふ。恥ずかしがる尚宮様はとても可愛いです…。」
「もう!またそんな事を言って。それはもう止めなさい。今度生意気な事を言ったら
許さな…あっ、あん… あぁ…」
悪戯をするように、チャングムが湿ったその場所に指を入れて軽く震わせたのだ。

「尚宮様は私のそばから離れてはいけません」 
甘い言葉を囁いてハン尚宮を酔わせながら、チャングムは欲しくてたまらなかった
白くて滑らかな肌の感触を確かめるように、指と舌で撫で回した。
72済州島日記@:2007/10/16(火) 01:21:59 ID:rurnko6U
チャングムはだんだん唇を下の方にずらしながら、ハン尚宮の足を開いていき
蜜で溢れている中心に口付けした。舌を差し入れると柔らかな襞を押し広げるように
舐めたが敏感な部分にはなかなか触れず、たまに寄り道をしてそっと舌で押すように
してハン尚宮の体がびくっと反応するのを楽しんでいた。
 
ハン尚宮は散々焦らされ、もどかしいような切ない気持ちにさせられていたが
やっとチャングムの舌は敏感な部分を捉えた。あくまでも優しく、宝物を扱うように
そっと舌で磨き上げるとハン尚宮の吐息が激しく乱れた。
「ここには私たちだけしかいません。だから尚宮様の声をもっと聞かせて下さい…」
チャングムは囁きながら、手の甲を唇に押し当て声を出すのを堪えようとする
ハン尚宮の手をそっと外した。

舌の回転を段々早くしていくと、ハン尚宮の腰が跳ね上がるようにくねるので
チャングムは太腿をしっかりと押さえつけなくてはならなかった。
舌で敏感な部分を執拗に磨き上げながら、胸の先端に両手を伸ばして愛撫する。
「あっ、あぁぁ… はぁ あぁ… チャングム、もう駄目… 」 
ハン尚宮は背中を仰け反らせるようにして絶頂に達した。
 チャングムは再び舌でゆっくりと愛撫を始めた。長い間触れられなかった渇きを
満たすかのように、ハン尚宮を責めて昇り詰めさせる。
ハン尚宮は愛しい子の情熱を受けとめて、悦びのうちに何度も果てた。

チャングムはハン尚宮から体を離し、その美しい身体をうっとりと眺めていた。
焚き火の炎に揺らめく肢体は、薄紅色にほんのり染まりとても艶かしかった。
ハン尚宮がチャングムの視線に気づいた。
「チャングム、恥ずかしいからそんな風に見ないで…。ねぇ、チャングム、
お願いだから 早く… 来て…」

73済州島日記@:2007/10/16(火) 01:24:32 ID:rurnko6U
チャングムはハン尚宮の足を大きく開くと、すっかり柔らかくなっているその場所に
ゆっくりと指を沈めていく。指を締め付けられるような感覚に心地よさを覚えながら、
チャングムが優しく指を挿し入れたり出したりすると
「はぁ… あぁ…」 ハン尚宮が次第に昂まってくる。

チャングムが、折り曲げるようにしてハン尚宮の膝を立たせると
ハン尚宮の腰が少し浮くような姿勢になり、一層深い部分にチャングムの指を
受け入れた。チャングムが奥深い部分を突いてくると、ハン尚宮は思わず悲鳴の
ような声を上げた。(あぁ… 身体の芯を貫かれているみたい…)

ハン尚宮の反応を見ながら、チャングムが少しずつ抜き差しの速度を速めると
ハン尚宮は奥に当たる感触に身悶えし、無意識に腰を上げて指を迎え入れようとする。
チャングムも興奮し、一層指の動きを速めながらハン尚宮の乳房を掴んだ。
「あぁ… うぅう はぁ… チャングム… お願い、もっとそばに来て」
ハン尚宮に喘ぎながら懇願されると、チャングムは指の動きは止めないで
ハン尚宮を横から抱きかかえるようにして身体を密着させ、ハン尚宮も背中に
手を回してしがみついてきた。
 
チャングムはハン尚宮を強く抱きしめながら、指の動きを激しくして追い詰めていく。
「チャングム! あっ、あぁぁ、もう駄目、はぁ あぁ…」
チャングムの背中に回した手に一瞬力がこもると、ハン尚宮は果てた。

74済州島日記@:2007/10/16(火) 01:27:10 ID:rurnko6U
気だるいような幸福感に包まれながら、二人は並んで横たわっていた。
チャングムは甘えるように頭をハン尚宮の胸に載せ、ハン尚宮は優しく髪を
撫でてやっていた。

「このまま時が止まって欲しいです。」
「お前はかなりチャンドクさんに鍛えられているようね。」
チャングムは黙って微笑む。
「でもね、チャングム。チャンドクさんはお前が憎くてやっているのではないのよ。
私にはよくわかる。 あら、どうしたの? 何がおかしいの?」
「だって、尚宮様。私が見習いの頃、尚宮様が私に水を持ってくるように仰った時、
私が途方にくれて泣いていたら、チョン尚宮様が全く同じ事を仰いました。」
「まぁ、そんなことがあったのね…。私は料理しか知らないけど、医術は人の命を救う
尊い仕事。おまけに優れたお師匠様に出会えて、お前は幸せよ。」
「はい。でも人体は不思議でわからないことが多すぎます。尚宮様のお体なら、隅々まで
わかっているというのに…」
「な、何を言うの!? そんなことないわよ。」
「それでは、もっと修練しないといけませんね…」

チャングムは再びハン尚宮に覆い被さり、ゆっくりとその身体を開いていった。
「チャングムったら… あぁぁ… 」
過ぎてゆく二人だけの夜を惜しむように、空がうっすらと明るくなるまで
二人は何度も求め合った。

75済州島日記@:2007/10/16(火) 01:30:14 ID:rurnko6U
二人が目を覚ました時は、昨日の悪天候が嘘のような快晴だった。
チャングムは、ハン尚宮を労わるようにしながら山を下りていった。
山の麓には、心配で居ても立ってもいられないチャンドクとチャヒョンが来ていて
二人の姿を見つけたチャングムは、笑顔で大きく手を振った。

二人の無事を喜んで泣き崩れたチャヒョンに対して
「あんたのことだから大丈夫だと思ったけどね。」
チャンドクは喜びを押し隠すように、わざとぶっきらぼうにチャングムに言った。
「ペギョンさん、お体は大丈夫ですか?」
チャングムが横から口を挟む。
「大丈夫です。昨夜私が全身を診察…」
「い、いえ。だ、大丈夫です。何かありましたら伺わせていただきます。」
チャンドクは訳がわからず不思議そうな顔をした。

ハン尚宮は、余計なことを言ってとばかりにチャングムを軽く睨むと、
チャングムは首をすくめて舌を出した。
その無邪気な仕草に、思わずハン尚宮の頬も緩んでしまうのであった。
(やっぱり私にはお前が必要なの…)ハン尚宮はつぶやいた。

【  終  】
76名無しさん@ピンキー:2007/10/16(火) 06:53:42 ID:iwQ/AXjY
乙!
朝から一気読み
77名無しさん@ピンキー:2007/10/16(火) 08:21:47 ID:L2STP1Hr
素晴らしい〜私も朝から一気読み!
GJ!!!

>(やっぱり私にはお前が必要なの…)ハン尚宮はつぶやいた。
この〆いい!見習尚宮さんありがと


78名無しさん@ピンキー:2007/10/16(火) 21:47:37 ID:xgqj3y0v
ハン尚宮の嫌がる姿って、余計男を興奮させそダヨね
女のチャングマから見ても艶やかしく見えるんだから、男ならなおさらなんだろうw
79名無しさん@ピンキー:2007/10/17(水) 21:08:47 ID:LBQ6Q1fK
@ということはAがあるということかwktk
80名無しさん@ピンキー:2007/10/22(月) 23:55:49 ID:daaDGg6C
い〜ね〜!!
A希望。
ハン尚宮様カワイソ・・だったうわぁぁぁぁん  。゜( ゜´Д`゜) ゜。
でもかなり裏山。
ハン尚宮の美しさ艶やかしさ萌え。
81名無しさん@ピンキー:2007/10/24(水) 00:27:19 ID:V23CbdVF
ハン様だからな〜、
そりゃ押し倒したくもなるだろ。
82名無しさん@ピンキー:2007/10/24(水) 23:53:51 ID:I56x500C
ハン尚宮の肌本当に綺麗なんだろうね。
やわらかいんだろうね。
しっとり。
そしてしなやk(ry

いやちがうよ自分は変態じゃないよ上の話の犯人でもないよ!
83名無しさん@ピンキー:2007/10/25(木) 00:17:03 ID:k4Abq5lL
>>82
んじゃ、藻前はハン尚宮を好色そうな視線で見てた末端の兵士のひとりだな?w

エロ兵士は後になって「漏れにもヤラセロ!!ハァハァ…」
て舞い戻って来たに違いない
84見習尚宮:2007/10/28(日) 03:19:26 ID:MM6GqdSa
他スレの「オ・ギョモとチェ尚宮は出来仲」という書き込みから
妄想いたしました。

・オ・ギョモXチェ尚宮
・ノーマル
・エロ有り


【我が一族】

− 硫黄家鴨事件の全貌が明らかにされようとしている取調室。

自分達が犯した罪が明白になるのを恐れたオ・ギョモとチェ女官長は、窮地を脱しようと
互いに罪をなすりつけ合うという泥仕合を演じていた。

(このままオ・ギョモ様の思う通りにはさせない。我がチェ一族がここまでくるのに
血の滲むような思いをしてきたというのに。それに私がどんなに屈辱を受けたか、
もうお忘れになったとでもいうの?)
==================================================================

チェ・ソングムは、代々最高尚宮を輩出してきたチェ一族に生まれ、幼くして
宮中に上がったときから、将来は最高尚宮になるように運命づけられていた。
とはいえ、料理が上手くなりたいと純粋に思っていたソングムは、周りの同期達と
切磋琢磨しながら見習いとして、日々の修行に励んでいた。
 ソングムが女官試験に合格した頃、叔母でもあるチェ最高尚宮が、倭寇を通じて
高価な宝飾品を横流しさせていることが極秘に発覚した。
王に報告が行けば、最高尚宮の座を追われるだけでは済まされず、一族の存亡にも関わる
事態である。頭を抱えたソングムの兄チェ・パンスルは、日頃から巨額な賄賂を渡して
取り入っていた、宮中の権力者であるオ・ギョモに面会し、何とか事実を揉み消して
もらえるように頼み込んだ。オ・ギョモはしばらく思案していたが、何とかしようと
パンスルに約束した。

 ある晩、実家でもあるパンスル邸に来るように言われたソングムが、兄の執務室に
入ると、パンスルが暗い表情で座っていた。
 

85我が一族:2007/10/28(日) 03:21:41 ID:MM6GqdSa
「兄上、只今参りました。お顔の色が優れないようですが…」
「あぁソングムか。早速だが、例の叔母上の件は知っているな?」
「はい。でもオ・ギョモ様のお取り計らいで、王様のお耳には入らなかったと伺って
いるのですが。」
「ああ。でもその見返りに要求してきたことがな…。」 深い溜息をついた。
「そんなに多額のお金を要求なさっているのですか?」
「金で済むなら幾らでも用意する。だがオ・ギョモ様は、お前に酒席の相手をして
もらいたいと仰っている。それが何を意味するか、お前ももう子供ではないから
わかるな、ソングム?」
 
(どうして? 何故私がそんなことをしなければならないの?)
ソングムは信じられないというように頭を振った。
「わしだって、実の妹にこんなことを言うのは誠に忍びない。だがなソングム、
わかってくれ。一族の存亡がかかっているのだ。このままではわしだけでなく
お前も、そして後に続く者達も、チェ一族は破滅するのじゃ…」 
パンスルは喉の奥から搾り出すような声で言った。

「一族のために、兄上は私の誇りを犠牲にしろと仰るのですか?」
「不甲斐ないこの兄を許してくれ…」 
ソングムは立ち上がると、泣きながら屋敷から出て行き、そのまま屋敷にも
宮中にも戻らなかった。

翌日パンスルの部下に発見され、屋敷に連れ戻されたソングムであったが
三日三晩、飲まず食わずで抵抗した。しかし、自分もろくに食事を取らずに
憔悴しきっている兄パンスルの姿を見て、ソングムは自分が一族を守る決意をした。
 
 「兄上、わかりました。私は兄上の仰る通りにいたします。」

86我が一族:2007/10/28(日) 03:24:09 ID:MM6GqdSa
翌日、ユン・マッケの妓房に来るように言われたソングムは、酒席の用意が
された部屋で、一人でオ・ギョモを待っていた。オ・ギョモが入ってくると、緊張で
身体がこわばるのを感じたが、丁寧に挨拶をするとオ・ギョモは満足そうに頷き、
女将も同席して飲み始めた。やがてオ・ギョモが目配せをすると、女将は下がり
部屋にはオ・ギョモとソングムの二人が残された。
 
「名はソングムと言ったな? もっと近くに来るがよい。」
「は、はい。失礼いたします。」
「お前は美形だな。こう言っては何だが、今までのチェ一族に美形はいなかったからな。
まぁ、飲もうではないか。」
「申し訳ありませんが私は飲めませんので、お酌をさせていただきます。」
「将来の最高尚宮たる者、酒ぐらい飲めんとな」 オ・ギョモはソングムを抱き寄せると
強引に口移しで飲ませた。(嫌だ。やめて!)
ソングムは手足をばたつかせて、身体を離そうとしたが無駄な抵抗であった。
やっと唇から解放され、ソングムが肩で激しく息をしていると
オ・ギョモはソングムを抱え上げ、襖を開けると隣りの部屋へ移動した。

薄明かりの部屋には布団が敷かれ、否が応にもソングムにこれから起きることを
想像させた。オ・ギョモはソングムを布団に下ろすと、早速着物を脱がせにかかる。
ソングムはずっと目を閉じていたが、白い肌が露にされる度にオ・ギョモの
息遣いが荒くなるのがわかった。 
 
「震えているのか? 可愛いのう。お前はなんて美しい身体をしているのだ」 
オ・ギョモはソングムを一糸纏わぬ姿にすると、興奮したように自分も着物を
脱いで、覆い被さってきた。オ・ギョモの大きな手で体中を撫で回され
鳥肌が立つような不快感を感じたが、ソングムはじっと目を閉じて耐えていた。
 しかしその手が乳房を揉み始めた時、ソングムは思わず抵抗して、オ・ギョモを
はねつけてしまった。

「お前が一族を背負っているのだぞ」 
オ・ギョモが耳元で囁いた一言が、ソングムを呪文のように縛り付けた。

87我が一族:2007/10/28(日) 03:26:47 ID:MM6GqdSa
オ・ギョモは荒々しく乳房を揉みしだくと、今度は舌で舐め回してきた。
乳首を強く吸い上げられたとき、ソングムは思わず声を上げてしまった。
音を立てて吸われ、感じてしまったことを恥じるソングムを愉しむように
オ・ギョモはすっかり固く尖っている乳首を舌で転がす。
ソングムはくすぐったいような甘い快感が、下半身にも響いていることに
戸惑っていた。(何…この感覚は?)
 
「どうだ気持ち良くなってきたか?」
オ・ギョモが舌の回転を早めると、ソングムは堪えきれずに声を漏らしてしまった。
「あっ… はぁぁ… いやぁ…」 
オ・ギョモはソングムの足の間に手を割り込ませると、ゴツゴツとした太い指を
差し入れ、クチュクチュと音をさせて掻き混ぜた。
「初めてだというのにこんなに濡れているぞ」
「あぁ、オ・ギョモ様、お止め下さい。」
淫らな音が自分の身体から発せられることに、ソングムは耐えられなかった。

オ・ギョモはソングムの上半身を起こすと、自分の下半身を突き出した。
女官仲間達と興味本位で眺めていた春画では見ていたが、初めて実物を目にする
男の部分は、猛々しく怒張し反り返っていた。ソングムが思わず目を逸らそうとした時、
オ・ギョモがそれを口に突き入れてきた。
(うぐっ。嫌だ、気持ち悪い。) 口一杯に入れられ、ソングムはえずいて涙目になる。
オ・ギョモは舌打ちをした。(まぁ、生娘だから仕方ないな。徐々に教えてやろう)
オ・ギョモは何度か腰を振って口に突き立てると、そのまま引き抜いた。
その瞬間ソングムは激しく咳き込み、気持ち悪さと屈辱感で涙が出てきた。
「お前の泣いた顔も美しくて、そそられるぞ。」
オ・ギョモはソングムを布団に押し倒すと、膝を割って足を大きく開かせた。
88我が一族:2007/10/28(日) 03:28:29 ID:MM6GqdSa
「嫌です。 見ないで下さい。」 ソングムは叫んだ。
オ・ギョモは、自分のはちきれんばかりに怒張した物をソングムの秘部にあてがい
体重を少しずつかけて押し入れていく。
「あぁ、痛い、嫌ぁー! 助けて!」 信じられない激痛にソングムは悲鳴を上げた。
「良く締まっているぞ。だんだん気持ち良くなるからな。」 
オ・ギョモはソングムの身体をこじ開けるように挿していき、根元まで押し込めた。
気持ち良くなるどころか、熱い痛みに身体が引き裂かれるようであった。

オ・ギョモはソングムの細い腰を両手で掴むと、自分も腰を振って秘部の奥へ
奥へと向かって突き立てた。最初はゆっくり動かしていたが、次第に激しく小刻みに
腰を振ってソングムを責めた。
(うぅ、あぁ、痛い。身体が壊れてしまう…)ソングムは早く終わってくれる
ことだけをひたすら願い、敷布を握って必死に耐えていた。

オ・ギョモがようやく身体を離し、これで解放されると思ってほっとしていたのも
つかの間で、今度は四つん這いにさせられた。
「このような格好でするのも、また一興だぞ。」
こんな屈辱的な体勢を取らされても逆らうことはできない。

オ・ギョモに後ろから一気に貫かれ、突き上げられながらソングムは思った。
「こんなことは私の代で終りにするわ。誰にも手が出せない強大な権力を得てみせる。」
そろそろ限界が近いのか、オ・ギョモは腰の動きを早めて一層激しくソングムを責めた。
「あぁぁ、もうお許し下さい!!」 ソングムは悲鳴を上げて訴えたが
身体の深奥まで蹂躙され、腰から崩れ落ちるとやがて気を失ってしまった。

意識が戻った時にはもうオ・ギョモの姿はなく、足の間に手をやると血が流れ
敷布には女になった証が染み付いていた。
「うぅぅ…」 ソングムは泣き崩れた。

89我が一族:2007/10/28(日) 03:33:03 ID:MM6GqdSa
翌日から、普段通り宮中の仕事に戻ったソングムだが、身体中が痛く熱もあるようで
次第に意識が朦朧となり、隣りで作業をしていたミョンイにもたれかかるようにして
倒れてしまった。

「ソングム!ソングム!しっかりして! ペギョン!お願いよ。手を貸して!」
ミョンイはペギョンと一緒に、既に意識がないソングムを部屋まで運んだ。
ソングムがようやく目を覚ました時、ミョンイが顔の汗を拭ってくれていて、
ペギョンが重湯を用意して部屋に入ってきた。
「ソングム、大丈夫?仕事のことは心配せずに、ゆっくり休んでね」
友達の優しい言葉にソングムの目から涙が一筋流れ、頬を伝った。

その後もソングムは、時折オ・ギョモに呼び出されて抱かれた。拒もうと思えば
拒めたはずなのに、次第に快感を植え付けられ、昇り詰める悦びを知った身体は、
心とは裏腹に更なる快感を求めた。
 
 しかし狡猾なオ・ギョモは、これ以上特定の女官に深入りすると、足元を掬われかねない
と用心し、ソングムとの関係を断った。それでもチェ一族には、何かにつけて便宜を
図ってやることで、巧妙に手なずけていた。


− 年月は流れ、一族の為に生きる決心をしたソングムは、己の野望に立ちはだかる
者は、たとえ友でも容赦なく手にかけた。幼い頃からの仲間であるミョンイには
密通の罪を被せ、最高尚宮の座を争ったペギョンには、王に出した硫黄家鴨の料理で
王が倒れたことに乗じ、取調べを担当したオ・ギョモと結託して謀反の罪をでっち上げた。


90我が一族:2007/10/28(日) 03:35:04 ID:MM6GqdSa
ペギョンを追い落として最高尚宮の座に就いたソングムであったが、権力への
欲望は飽くことはなかった。今度は、チェ一族の歴史の中で誰も就いたことのない
女官長の地位を狙い、姪のクミョンを最高尚宮に据えることで、揺ぎない権力と富を
得ようと画策した。そのためには、オ・ギョモにも力を借りる必要があった。
兄を通じてオ・ギョモに話を通してもらうと、何日かたってからソングムは
パンスル邸に呼び出された。

「ソングム。オ・ギョモ様は今度はクミョンをお望みだ。」
(何ですって! 私の誇りを奪っただけでは足りず、今度はクミョンだって?
どこまでチェ一族を愚弄すれば気が済むのか。)ソングムは怒りで震えた。

「兄上、クミョンは駄目です。あの子には一族の為に、あの子の誇りを捨てさせて
意に染まぬことも色々やらせてきました。」
「だが、断ったらオ・ギョモ様は何をするかわからんぞ。敵に回すのは危険だ。」
「兄上も、クミョンがミン・ジョンホ様を慕っていることはご存知のはず。」
「だが、決して結ばれることなどないのだからな。」
「兄上には女官、いいえ女の気持ちはわかりませぬ。好きな男を想いながら
他の男に抱かれる哀しみと屈辱は…。」
流石にパンスルもそれ以上何も言えなかった。

「ではどうすればよいのじゃ?」
「私がお金で解決させます。兄上にはご苦労をおかけいたしますが、
できるだけお金をご用意下さい。」

(絶対に我が一族に手出しはさせない…)
91我が一族:2007/10/28(日) 03:36:37 ID:MM6GqdSa
 数日後、ソングムはオ・ギョモを妓房に呼び出した。

 2人は久しぶりに対峙し、ソングムから口火を切った。
「お忙しい所、お呼び立てして大変申し訳ありません。兄より聞きましたが、
クミョンをお相手になさる件はどうぞご容赦下さいませ。」
「何?ワシの条件を呑めぬというのか!! お前を最高尚宮から引き摺り下ろすこと
だって出来るのだぞ。」
「失礼を承知でお願いに上がっております。相応のお礼はさせていただく所存でごさい
ますので、どうぞお取り下げ下さい。」
 オ・ギョモは天井を見上げながら、しばらく無言で考えていた。
「お前がそこまで言うなら姪のことは諦めよう。今後のことは兄上に連絡するから、
そのつもりでいるがよい。」
「ありがとうございます。出来る限りのことはさせていただきます。」

ソングムは深く頭を下げて、部屋から出て行こうとしたのだが、その時
オ・ギョモに後ろ手を掴まれた。
「な、何をなさいますか! その手をお離し下さい!!」
「相応の礼をすると言ったではないか。お前の姪など、もうどうでも良いわ。
久しぶりにお前に相手をしてもらいたくなったぞ。」

(このケダモノめ)ソングムは手を振りほどいて帰ろうとしたが、オ・ギョモは
ソングムを壁に押し付け、着物を剥ぎ取った。
「お止め下さい!」 ソングムは押しのけようとしたが、厚い胸板はびくともしない。

92我が一族:2007/10/28(日) 03:38:37 ID:MM6GqdSa
 オ・ギョモはソングムの片足だけ上げさせると、壁に立たせたまま
既に膨張していきり立っている物を、いきなり秘部に押し入れてきた。
愛撫もされず、濡れていないそこはヒリヒリと痛んだが、ソングムは不思議な
快感を呼び覚まされていた。オ・ギョモはソングムを壁に押し付けながら
グイグイと腰を振っていた。
 「あ、あぁ… い、嫌ぁ… オ・ギョモ様、お止め下さい…」
貫かれながら、ソングムはだんだん立っていられなくなり、自分の腕を抱きつくように
オ・ギョモの首に回すと、オ・ギョモはそのままソングムの両膝をすくって抱え上げた。
小柄な身体を弄ぶように、オ・ギョモは立ったままソングムを下から突き上げる。
「あぁぁ− す、凄い!! ううぅ…」
 ソングムを立ったまま貫きながら、布団が敷いてある部屋まで運んで行き
横たえるとすぐに覆い被さってきた。

「かつてはお前の若い肌に溺れたものだが、年齢を重ねしっとりと吸い付くような
肌も実にたまらない。お前の美貌もちっとも変わっておらぬぞ。」
 オ・ギョモは首筋にねっとりと舌を這わせると、柔らかい乳房を揉みほぐす。
ソングムはもはや抵抗する術もなく、快感に身を任せていた。
乳輪から乳首に向かって舌で舐めるだけで、乳首が固く尖ってくる。
オ・ギョモの舌が乳首を捉え、なぶるようにチロチロと舐めてやるだけで
ソングムは腰を震わせ、大きく喘いだ。
 オ・ギョモは乳首を舌で責めながら、下腹部に手を挿し入れ敏感な部分を
探り当てると両方を同時に愛撫した。
「はぁぁ… うぅぅ… あぁぁぁ… き、気持ちいい…」
ソングムは身体の奥から、蜜が溢れ出すのを感じていた。
93我が一族:2007/10/28(日) 03:40:28 ID:MM6GqdSa
 オ・ギョモは、ソングムの両足首を掴むと大きく足を開かせた。
すっかり柔らかくなっている秘部の入り口に、自身の固くなった物の先端を少し
入れては引き抜いたりを繰り返すと、ソングムは眉根を寄せ、もどかしさに
身をよじりながら快感を求めた。
「あぁ、オ・ギョモ様! 後生でございます。はぁぁぁ…。」
「ワシの物がそんなに欲しいか?」
「は、はい。い、入れて下さい…」
「最高尚宮の頼みを聞かぬわけにはいかないからな」
 オ・ギョモはソングムの両足を両肩に乗せて担ぎ上げると、固くいきりたった物を
誇示するように、ゆっくり腰を沈めていった。串刺しにするように腰を動かしてやると
ソングムがたまらず悦びの声を漏らす。オ・ギョモがとどめを刺そうと、腰の動きを
早めて奥深く突くと、ソングムは絶叫した。
「ああああ… もう駄目… い、いきそうです。」 
「ワシとお前は一心同体だぞ。」 オ・ギョモが息を荒くして言うと
そのまま身体を痙攣させて、ソングムは絶頂に達した。

オ・ギョモは、パク・ヨンシン女官長が多額の賄賂を貰っていたという
決定的な証拠をチェ一族に売り、ソングムは女官長にそしてクミョンは最高尚宮に
昇格した。ソングムが、自分の誇りを捨ててまで手に入れたかった、
一族の栄華がようやく訪れたかに見えた。
 
しかし宮中での権力闘争の風向きが変わり、また、ペギョンの弟子で今は医女と
なって宮中に戻ってきたチャングムの執念により、オ・ギョモとソングムが陰謀を
画策した、硫黄家鴨事件の真相が暴かれようとしていた。


94我が一族:2007/10/28(日) 03:42:05 ID:MM6GqdSa
オ・ギョモと睨み合ったまま、ソングムは思った。

― もう私達は一心同体などではない。あなたと刺し違えてでも、我が一族の名誉を
守らなければならない。私はあなたに女の誇りを奪われた。そして私は権力の
亡者となり、女官仲間のミョンイやペギョンまでもこの手にかけた。
毒を飲まされたミョンイの絶望的な目、最愛の弟子チャングムの命乞いをする
ペギョンの強い目の光は、今でも私を苛み続ける。だから私は二度とこんなことを
せずに済むように、誰にも負けない強大な権力と富を手に入れると誓った。
あなたに私の邪魔など絶対にさせないわ。

 だがオ・ギョモと共に有罪を言い渡された、ソングムの戦いはここで終わった。

一族の名誉を背負わされ、己の幸せを犠牲にしてまで、一族の誇りを守ろうとした
チェ・ソングム。彼女がもっと、自分の為に自由に生きることが出来たならば、
そして、正しく生きる道を示して下さるようなお師匠様に出会えていたら…
と思わずにはいられません…。
 
師匠の無念を晴らしたチャングムは、空に向かってハン尚宮に語りかけていた。

 【  終  】
95名無しさん@ピンキー:2007/10/29(月) 21:39:40 ID:CwCN/Pif
新機軸でなかなか興味深かった。

ただし…最後のチャングム独白は、ちょっと判りにくいと思う。
むしろここは、クミョンに語らせる(偲ばせる)方が良かったんじゃないの?
96名無しさん@ピンキー:2007/10/29(月) 22:43:23 ID:Nx/iiULR
宮廷商人〜を書いてるものです。
ギャグじゃないオギョモンが見れてよかった。
鬼畜オギョモンをお待ちしています。
97名無しさん@ピンキー:2007/10/30(火) 20:59:44 ID:YvaSAgZ4
ソングムに萌えまくった。
GJ!!
ソングムはパンスルともデキてたと思う。
僕は妹に(ry
パンスル×ソングムお願いしたい。
98名無しさん@ピンキー:2007/10/30(火) 23:54:58 ID:fD+uBx34
ソングムがパンスルに馬乗りになってそう。
99名無しさん@ピンキー:2007/10/31(水) 19:29:51 ID:KnVCd93d
>>97
>パンスル×ソングム

>「兄上、わかりました。私は兄上の仰る通りにいたします。
でもその前に、兄上、私を抱いてry」


こんなんか
100名無しさん@ピンキー:2007/10/31(水) 23:55:13 ID:6sR4dwcB
ちょ、誰かパンスル×ソングム書いてYO!
101名無しさん@ピンキー:2007/11/01(木) 15:34:49 ID:shtrDIQ1
オギョモ様は絶倫そうだけど兄上はあっちの方弱そう
102保管庫”管理”人:2007/11/03(土) 16:45:41 ID:wKOmHfbz
見習尚宮様

「済州島日記@」の丸付き数字1は、機種依存文字のため、Macで表示されません。
このため、保管に際しては、〔1〕きっこう括弧 に置き換えることを、ご了解お願いします。

(なお、投稿される場合の変更をお願いするものではありませんので、念のため。)
103名無しさん@ピンキー:2007/11/03(土) 16:52:08 ID:wKOmHfbz
名前欄に、なぜか” ”囲みが入りました。エラーのようで、意図はありません。(練習スレでも同じように出ました。)
お見苦しくなりすみません。
104見習尚宮:2007/11/04(日) 01:13:49 ID:8V+p1skb
>102
保管庫管理人様

全く問題ございません。
ご丁寧にありがとうございました。
105名無しさん@ピンキー:2007/11/13(火) 00:46:29 ID:aNNAyg05
職人光臨待ちage
106名無しさん@ピンキー:2007/11/15(木) 00:09:52 ID:znbRKf+U
ソングムかわいそう・・・
さすがにあれは嫌だ。
想像しただけで背筋がぞっとなる。
つーか、キモイ。
107名無しさん@ピンキー:2007/11/17(土) 10:22:16 ID:eQqQS48S
>>106
そのレスで職人が誰も来なくなる罠

「皇后の間」の職人さんはどうしてるんだろうか
108名無しさん@ピンキー:2007/11/18(日) 00:12:25 ID:qlRzOM6o
来ない、来ないぞ。
誰か降りて来てくれ 頼むから〜〜、
そして続きを書いておくれヨ 気になって仕方ないのよ。
109名無しさん@ピンキー:2007/11/18(日) 04:20:25 ID:yPl9nfJD
壱参弐様
どうぞご光臨を。
ハン×チェシリーズを完結させてくださいませ。
二人(+チャングマ)の行く末をこの目で見届けとうございます…
110名無しさん@ピンキー:2007/11/18(日) 23:07:19 ID:ULaRVZqq
上のハナシ好きすぎてプリントして読んでる。
大好き。
見習尚宮様お願いですご降臨なさってください!!
ねっねっいいでしょママニムvv byチャングム
次に見習尚宮様降臨したら完全な尚宮に昇進させね?内人(ナイン)式〜♪

長文スマン。書いてて自分で意味わかんなくなった。
111名無しさん@ピンキー:2007/11/18(日) 23:43:47 ID:I+6l5K/3
>>110
>次に見習尚宮様降臨したら完全な尚宮に昇進させね?

ぜひとも尚宮に昇格させたいものだな。
今までの働き、ウム、実に素晴らしかったぞ。
112名無しさん@ピンキー:2007/11/19(月) 00:11:04 ID:iw/qgmDa
>>111
ヨカッタヨカッタ。
贈り物にノリゲや高価な装飾品を宮の外から仕入れて参りますね。
てかここの板の住民みんな女官とか尚宮でおk?

調子のりすぎだったら申し訳ありません。
113見習尚宮:2007/11/19(月) 23:32:35 ID:S1D0KfYv
お言葉ありがとうございました。

再びソングム様で妄想中なのですが
中々進まず、今週末あたりに投下させていただこうと思っております。

尚宮に昇格とは身に余る光栄ですが、
調子こいて、ハン尚宮様にウナム寺に送られてしまいそうなので
見習いのままで精進いたしますね!
114名無しさん@ピンキー:2007/11/20(火) 00:49:56 ID:HQRedCln
見習尚宮さん
投稿される時は、メール欄にsageって入れられた方がいいですよ。
練習用には、こういうスレがありますよ。

練習用殴り書きスレッド3
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1193143632/

では、期待して待っていますね。
115名無しさん@ピンキー:2007/11/20(火) 18:30:43 ID:CT21nNqv
見習尚宮タソの謙虚さに惚れた。
ガンガーレ
116見習尚宮:2007/11/21(水) 01:30:42 ID:gDuouCAS
>>114
>>115

感謝!
117名無しさん@ピンキー:2007/11/25(日) 01:32:42 ID:TplL9Is/
こんにちは。以前何作か投稿した者です。

前スレに投稿しました「〜真昼の月〜」につきまして、
このたび壱参弐氏と共同で、加筆修正をいたしました。
書き直しであること、たいへん長文であること、また官能色がないことから、
別の個人サイト様のところに投稿しております。

アドレスは、保管庫の作品一覧に記載させていただきました。
よろしければご覧ください。
118 ◆RRDgBzr.dw :2007/11/25(日) 01:41:59 ID:e5k4UT0L
>>117の通りです。よろしくお願いします。 
119見習尚宮:2007/11/25(日) 03:23:23 ID:vsBe2KFz
ピルトゥ氏が、もしソングム様に思いを寄せていたら…という
妄想以外の何物でもございません。
ドラマでは、登場時から最後まで年齢不詳のピルトゥ氏ですが
本文の中では、ソングム様よりやや年上という設定にしております。
2回に分けて投稿させていただきますのでよろしくお願いします。

・ピルトゥXチェ尚宮
・エロ有
・42話のシーンを借用

(私の名はピルトゥ)

ソングム様と出会ったのは、私が11才の時だった。私は奴婢の家に生まれたが、
両親は早くにこの世を去り、たった一人の妹も流行り病で亡くしたばかりだった。
天涯孤独の身となった私は、商売屋の使い走りのようなことをしながら、何とか毎日の
糧を得ていた。ある日いつものように使いに出た帰り道、何やらわめく声と、幼い少女
らしき泣き声が聞こえた。泣き声が聞こえる方に行ってみると、私と同じくらいの
年頃の少年が、少女をかばって酔っ払いに殴られていた。
幼い頃から腕力が強かった私は、酔っ払いに飛びかかって殴りつけると、その男は
あっという間に逃げて行った。

「お兄ちゃん、ありがとう。」 少女は私に礼を言うと、倒れている少年の方に
心配そうに駆け寄った。
「兄上、しっかりして下さい!」
「大丈夫か?」 私が少年に尋ねると、一人では歩けない様子なので、私は背負って
家まで送ってやることした。案内された家は立派な屋敷で、私が中に入るのを躊躇
していると、私が少年を殴ったと勘違いした門番に、いきなり胸倉を掴まれた。

 「やめて!このお兄ちゃんは兄上を助けてくれたのよ!」 少女が慌てて門番に言うと
私は屋敷に入ることを許され、部屋で一人で待つように言われた。
しばらくすると、少年とその父親らしき男の人が部屋に入ってきた。


120私の名はピルトゥ:2007/11/25(日) 03:26:09 ID:vsBe2KFz
「息子のパンスルを助けてくれたそうだな。礼を言うぞ。」
私は黙って頭を下げた。
「子供ながらに大変強かったらしいな。」
「亡くなった父から武術を習っておりました。」
「そうだったのか。ところでお前は身寄りはあるのか?」
私は黙って首を振った。
「それなら、今日からこの家の使用人にならないか?余計な事を喋らない所が
気に入った。武術も好きなだけ習わせてやるぞ。」

 これで毎日、食べ物や寝る場所の心配をせずに済む。私は有り難い話だと思い、
宜しくお願いしますと頭を下げた。
その時、襖が開いてさっきの少女が飛び込んで来た。

「これ!ソングム。お前は外で立ち聞きしていたのか!」
「父上、ありがとうございます! お兄ちゃんよかったね!」
大きな目を輝かせて無邪気に笑う少女が、6才のソングム様だった。

その日から私は、チェ一族に生涯忠誠を尽くすことを固く誓った。
121私の名はピルトゥ:2007/11/25(日) 03:28:30 ID:vsBe2KFz
 私は雑用をこなしながら、武術の鍛錬に励む日々を送った。
2才上のパンスル様は、どちらかと言えば家で静かに書を読むことを好まれたのだが、
ソングム様は好奇心旺盛というか、大変やんちゃな少女であった。
ある日村の少年達が木に登って遊んでいるのを見て、自分でも登ったのはいいが
下りられなくなり、大声で私を呼びながら泣いていたこともあった。
またある時は川で遊んでいて、夢中になって足を取られて流されかけたこともあった。
その度に私がお助けしたのだが、迷惑と思ったことは一度もなく、
むしろ妹を守る兄のような気持ちであった。

 ソングム様が8才になった時、チェ一族に生まれた女の宿命ともいうべきか
宮中へ上がる時が来た。家族や私と離れて一人ぼっちになるのは嫌だと、散々
駄々を捏ねていたが、泣きべそをかきながら、迎えの人々に引きずられるようにして
屋敷を後にした。その後姿を見送りながら、私は再び妹を失ったような、切なく
寂しい気持ちになったものだ。

 宮中に上がったソングム様は、すぐに同じ年頃の友達も出来て、元気に
やっているようだと、後日パンスル様から伺って私はほっとした。
122私の名はピルトゥ:2007/11/25(日) 03:31:00 ID:vsBe2KFz
 ソングム様は休暇でお帰りになる度に、私にも宮中の友達や、厳しい尚宮様の
お話などを聞かせて下さった。何より私はソングム様が健康そうで、お変わりない
ご様子にほっとするとともに、少し気取って上品に振舞おうとするところが
微笑ましかった。しかし反面、自分には手の届かない遠い世界へ行ってしまったという
思いも強くなり、寂しくもあった。

 少女から大人へと成長していく過程で、元々綺麗な顔立ちであったソングム様は
ますます美しい女性に成長され、身体つきも丸みを帯びて女らしくなってきた。
たまに顔を合わせると眩しくて正視できず、胸の鼓動が激しくなるのを感じた。
夜、布団に入る度にソングム様の顔がちらつき想いが募る。
しかしもう無邪気でいられた子供の頃とは違う。身分の差を弁えなければいけない。
ソングム様も、大人の声に変わり、背も伸びて逞しく成長した私に戸惑いが
あったのだろうか。私と目が合うと、恥ずかしそうに逸らすようになった。

 女官試験に無事合格されたソングム様は、家業を継いだパンスル様とともに
これからチェ一族を担っていかなければならない。ご実家で開かれた祝いの宴に
特別に出席を許された私は、その少し緊張した美しい横顔を見ながら、何が
あっても私がお守りしますと、心の中で呟いた。


123私の名はピルトゥ:2007/11/25(日) 03:33:05 ID:vsBe2KFz
 その宴から間もなく、当時スラッカンの最高尚宮の座に就いていた、ソングム様の
叔母上の致命的ともいえる醜聞が明らかになり、チェ一族の存亡にも関わることだと
パンスル様が、毎日チャン執事と深刻な顔をして話し合いをしていた。
 ある日パンスル様が、宮中の実力者であるオ・ギョモ様にお会いになるために、
ユン・マッケ様の妓房にお出かけになるのにお供をした。話が終わって屋敷まで
帰る道すがら、パンスル様は青ざめた様子で一言も口を聞かなかった。

 その翌日ソングム様が宮中から急遽お戻りになり、パンスル様の執務室に
呼ばれたご様子であった。お話が終わった後、食事も取らずにお帰りになられたようで、不思議に思っていると、今度は私がパンスル様に呼ばれた。

「ピルトゥ。ソングムが宮中に戻っていないらしい。他の者と手分けして探してくれ。」
「こんな遅い時間なのに、まだお戻りになっていないのですか!」
「ああ。家を捨てる覚悟かもしれない…。」

私は驚き、慌てて部屋を飛び出すと他の使用人達とともに屋敷の外へ出て行った。
ソングム様に何があったのだろう…と思いを巡らせながら、あちこち探し回ったが
全く手がかりが掴めない。その時、幼い頃パンスル様も一緒に3人でよく行った
山中の廃屋のことをふと思い出した。あそこにいらっしゃるかもしれない…。
私は一人でソングム様をお迎えに行きたかった。だから他の使用人達には、
心当たりの場所があるとだけ告げて駆け出して行った。



124私の名はピルトゥ:2007/11/25(日) 03:36:28 ID:vsBe2KFz
真っ暗な山道を、松明の灯りだけを頼りに登って行くと目指す廃屋はまだあった。
松明を消して廃屋の中に入り、闇の中で人の気配を感じようと息を殺して耳を澄ませた時、
誰かの息使いが聞こえたので咄嗟に声を掛けた。
「ソングム様ですか?」
相手が息を飲んで驚いた様子だったので、安心させようと続けて言った。
「ソングム様、ピルトゥでございます。私一人ですのでご安心下さい。」
やがて目が慣れてきて、柱の向こうにソングム様が膝を抱えてお座りになって
いるのが見えた。私が近づいて行って、声を掛けようとした時

 「ピルトゥ、お願いよ。見逃して。私を逃がして!!」と悲痛な声が聞こえた。
「ソングム様。大変心配いたしました。私ごときにとてもお力になれることでは
ないかもしれませんが、よろしければ昔のようにお話いただけませんか?」
 
 ソングム様が話し始めた。一族の存亡の危機ともいえる、叔母様の醜聞を
揉み消してもらうよう、パンスル様がオ・ギョモ様にお願いに行ったこと。
その見返りにソングム様に酒席の相手をさせろと言われたこと。
私は怒りで両拳が震えた。つまりソングム様を差し出せと言うことか。
 「どういうことかお前にもわかるでしょう?そんなこと絶対に嫌。兄上には
申し訳ないけれど、一族の為とはいえそれだけは受け入れられない。」
 
ソングム様は涙を浮かべながら、私の手を強く握り締めて続けた。
「ピルトゥ、お願い。私を連れて逃げて。お前と一緒ならどこへ行っても安心できる。」



125私の名はピルトゥ:2007/11/25(日) 03:38:07 ID:vsBe2KFz
 ソングム様は私にしがみついてきた。その柔らかくて壊れそうな身体を、私は強く
抱きしめたいという衝動にかられたが、安心させるようにそっと肩を掴んだ。
月明かりだけが微かに射し込み、沈黙が続く。私の頭の中は千々に乱れていた。
自分に出来るのか?パンスル様を裏切る事、すなわちチェ一族を裏切る事を…。
 だが、自分の手で他の男にソングム様を渡す事だけはできない。
私は心を決めてソングム様に告げた。

「夜が明けたらここを出て、とりあえず私の両親の故郷に逃げましょう。
少し時間が経てば、ソングム様を大事に思われているパンスル様のこと、きっと
お怒りも解けることでしょう。私からもお願いに上がります。」
 「ありがとう、ピルトゥ。お前だけはいつも私の味方でいてくれるのね。」
「明日はかなり歩いていただくことになると思います。ですから今夜はもう
お休み下さい。」
「わかったわ。お前が側にてくれたら安心して休めるわ。」
そう言うとソングム様は緊張が解けたのか、間もなく私にもたれかかったまま
静かに寝息を立て始めた。その無邪気な寝顔を見ながら、私は口には出せない夢を見た。

両親の故郷で、ソングム様と暮らせたらどんなに幸せだろう。豪華な屋敷や
大勢の使用人を持たずとも、子供達に囲まれた素朴で温かい家庭を築けたら…。
そんなことを思っているうちに、私も少し眠ってしまった。

126私の名はピルトゥ:2007/11/25(日) 03:39:36 ID:vsBe2KFz
 夜が明けて空が少し明るくなった頃、私はソングム様を起こした。
「ソングム様、起きて下さい。もう出発いたします。」
私達は辺りを伺うように廃屋を後にすると、自然に手を取り合って山道を歩き出した。

その時、数人の男達に道を塞がれた。パンスル様の屋敷で一緒に働く使用人達だった。
ソングム様が怯えたように私の背後に隠れた。
「お前だけにいい格好をさせるのはしゃくだと思って、後を付けたらこんな事だった
のか!」
「頼む!今度だけは見逃してくれ!」
「お前、正気なのか?旦那様を裏切る気か?」 

男達が私に飛びかかり、私も負けじと応戦する。しかし、ソングム様の腕が掴まれて
ひねり上げられるのに気を取られたその一瞬の隙を突かれて、背後から頭に強烈な
一撃を食らってしまった。

「ピルトゥ、ピルトゥ!!しっかりして!」
ソングム様の悲痛な叫び声を遠くに聞きながら、私はそのまま意識を失った。

127名無しさん@ピンキー:2007/11/25(日) 14:43:57 ID:ir3Ral6I
まってたぜ!!
128私の名はピルトゥ:2007/11/25(日) 22:11:10 ID:xBAuW+e8
意識が戻った時、私はパンスル様の執務室に転がされていた。
パンスル様はいつもの場所にお座りになり、接待以外では家で酒を口にすることなど
殆どないのに、手酌で一人飲んでいた。私は慌てて飛び起きると土下座した。

 「旦那様。何も言い訳することはございません。この命、旦那様に委ねます。」
「お前はわしを不甲斐ない兄と思っているだろうな。」
私は無言で頭を下げたままであった。

「わしだって、大事な妹を駆け引きの道具などに使いたくない。しかしこのままだと
我がチェ一族はもう終りだ。わしは当主として、一族全ての者を守らなければならない。
ソングムもそれは承知しているはず。オ・ギョモ様は我々を悪いようにはできないだろう。」

 パンスル様は一息で酒を飲み干して言った。
「ピルトゥよ。ソングムは諦めろ。わかっているな?大事に思うなら、我が一族の為に
力を貸してくれ。」
掠れた声で諭すように話すパンスル様に、私はただ黙って頷くしかなかった。

ソングム様は連れ戻されても抵抗を続けたようだが、パンスル様の深い苦悩を
目の当たりにして、一族の為に己の身を犠牲にすることを決意した。
オ・ギョモ様の元からお帰りになった日の夜遅く、ソングム様の部屋からは
すすり泣く声が漏れてきた。

泣き声を耳にした私はオ・ギョモ様を呪い、自らの無力さを呪った。
どうしようもなく自分を抑えられなくなった私は、衝動的に屋敷を飛び出すと、
酒場で浴びるように酒を飲み、したたかに酔うと誘われるままに女を抱いた。




129私の名はピルトゥ:2007/11/25(日) 22:14:15 ID:xBAuW+e8
それから2年余りの間に、パンスル様はオ・ギョモ様と癒着の度をますます
深めていき、チェ一族が宮中で影響力を増すことに心血を注いでいた。
私はソングム様への想いを断ち切ろうと、自分に与えられた仕事に没頭し、
パンスル様に言われるまま、或いはそれ以上に非情なこともした。
 
ソングム様が屋敷に戻られる時は、極力顔を合わせないようにしていたが、
私の願いはソングム様が料理の道に精進され、これ以上一族の犠牲にはならないで
欲しいということだけであった。しかし権謀渦巻く宮中において、富と権力を
手にするには、私の願いなど所詮綺麗事にすぎなかったのかもしれない…。

その夜、庭の離れにある納屋で、明日宮中に納める商品の整理をしていた私は、
入り口に人の気配を感じて振り向くと、ソングム様が立っていた。私は大変驚いたが、
そんなことはおくびにも出さずに冷静を装った。

「ソングム様! このような所においでになってはいけません。御用がおあり
でしたら、伺いますのでお呼びつけ下さい。」

「ピルトゥ。お前は幼い頃からチェ一族のために尽くしてくれたわね。」
「旦那様やソングム様への御恩を考えたら当然のことです。」
「もう私は、そんなことを言ってもらえるような人間ではないわ」



130私の名はピルトゥ:2007/11/25(日) 22:17:07 ID:xBAuW+e8
「ソングム様もパンスル様とご一緒に、一族の繁栄を支えていらっしゃるでは
ありませんか。」
「一族の繁栄ね…」 ソングム様が言いかけると、目から大粒の涙がこぼれ出した。
「ソ、ソングム様! 一体どうなさったのですか?」
「私は一族の名誉を守るため、宮中に上がったときからの友を手にかけた…
私が毒を盛った所さえ見なければ!自分の胸に仕舞っておいてくれさえすれば
よかったのに! 何もあの子の命まで奪わなくてもよいのに!」

 ソングム様は堪えていたものが爆発したかのように、私の胸にしがみついて
泣きじゃくった。私は掛ける言葉が見つからず、ただそっと抱き締めていた。

「家でも宮中でも孤独に苛まれる。でも、もう通った道は引き返せない。
私の手で一族を没落させるわけにはいかないのよ。こんな家に生まれた宿命だと諦めて
受け入れようと思う。でも今だけは、私の思いを分かち合える人にそばにいて欲しい。
その人の温もりが欲しい。ピルトゥ… お願いだから私を抱いて。」


131私の名はピルトゥ:2007/11/25(日) 22:19:09 ID:xBAuW+e8
「ソングム様。今は神経が昂ぶっていらっしゃるだけです。今のお言葉は聞かなかった
ことにいたします。」
「私が嫌いだから?それとも私は…汚れているから?」
「そんなことを仰るのはお止め下さい!私は… 私は許されないこととは
知りながら、幼い頃からずっとお慕いしておりました。」
「ピルトゥ…」
「でも許されないことです。一族の御恩に背くようなことは出来ません。
私はソングム様に何があってもお守りいたします。それだけはお約束します。」
「ありがとう、ピルトゥ。それだけ聞かせてくれれば充分よ…」

ソングム様は私から身体を離すと、ゆっくりと着物を脱ぎ始めた。
私は石になってしまったかのように身動き一つできなかった。
月明かりに浮かび上がる均整の取れた白い裸身と、
豊かな乳房が否が応にも目に飛び込んで来る。
全てを脱ぎ捨て一糸纏わぬ姿になったソングム様が、再び私に身体を委ねてきた時
私の理性は砕け散った。

 私はソングム様を抱え上げると、そっと枯草の山に横たえた。自分も着物を
脱ぎ捨てるとソングム様にのしかかり、愛撫をするのももどかしく両足を大きく
開かせると、小さく呻き声を漏らすソングム様を半ば犯すように一つになった。

「申し訳ありませんでした。お身体は大丈夫ですか?」
ようやく落ち着きを取り戻した私がソングム様に尋ねると、答える代わりに、
私の唇に自分の唇をそっと合わせた。私は夢中になってその柔らかさを
味わいながら、幸福感に酔いしれた。

132私の名はピルトゥ:2007/11/25(日) 22:21:24 ID:xBAuW+e8
その夜から、ソングム様が宮中にお戻りになるまでの数日間、私達は毎晩
時を忘れて夢中で愛し合った。しかし刹那的に肌を合わせながら、2人とも
わかっていた。ソングム様は自分の感情で一族を捨てることは許されないし、
私もチェ一族を裏切ることはできなかったのである。ソングム様が宮中にお戻りに
なった時、この想いは永遠に封印しよう…。私はそう心に決めていた。

 激しい営みの余韻に浸りながら、ソングム様が私の腕の中に包まれている。
「ピルトゥ…。私が屋敷で過ごせるのも明日で最後よ。お前には世話になって
ばかりいるから、何かお礼がしたいとずっと思っていたわ。欲しい物があれば
兄上に頼んででも手に入れるから教えて欲しい。」
「そのようなお心遣いは無用でございます。」
「お前は私が子供の頃から、何かをあげようとしても決して受け取らなかったわね…。
でも、私もお前に何かしてあげたいのよ。」
そんなソングム様のお心に応えようと、私は最初で最後のお願いをした。
「それでは… 私だけの為に料理を作っていただけませんでしょうか…」

最後の日の夜、私はソングム様にチェ一族が来客をもてなす別荘に来るように
言われた。約束の時刻に到着すると、美しく着飾ったソングム様が出迎えてくれた。
すでに用意された膳の上には、宴会のように贅を尽くした料理こそなかったけれど、
とても美味しそうな皿がいくつも並んでいた。
 ソングム様が恐縮するような口ぶりで言った。
「急なことで、あまり材料が揃わなくてごめんなさい…」
「そんなことはありません。どれも心のこもった美味しそうな料理です。」
ソングム様が杯に酒を注いでくれて、食べるように促した。
 

133私の名はピルトゥ:2007/11/25(日) 22:25:04 ID:xBAuW+e8
食事が終わった後、私達は縁側に腰掛けて月を眺めていた。
「あれほど美味い食事を今まで食べたことはありません。」
「私は料理をしながら幸せを感じたことなど一度もなかったし、そんなことは必要ないと
思っていたわ。豪華な食材を使って、己の技を見せつけることに優越感さえ覚えていた。
でも今夜は初めて、食べる人の喜ぶ顔を思って料理を作る幸せを感じたの。
こんなことはもう二度とないかもしれないわね…。」
ソングム様の頬に一筋の涙が伝う。私はソングム様を自分の胸に抱き寄せた。
そしてそのまま抱え上げて寝室に運んで行くと、夜具の上にそっと横たえた。

目を閉じているソングム様の着物をゆっくりと脱がせてゆく。私も全てを
脱ぎ去ると、ソングム様に覆い被さった。首筋をそっと吸いながら、両手を
豊かな乳房に伸ばすと、下から押し上げるように揉んで柔らかな感触を確かめる。
鎖骨をなぞっていた唇を徐々に胸元に下ろし、尖った先端をそっと咥えると
強弱を付けて吸い上げると同時に、指先や舌で転がし刺激を与える。
「んぅ… あっ… あぁ… 」 ソングム様が堪えきれず、吐息を漏らす。
この甘くて切ない吐息が、私の情欲の炎を燃え上がらせる。
唇を全身に這わせながらソングム様の感じる場所を責めると、陶器のように
ひんやりしていた肌が次第に上気して熱を帯びてくるのがわかる。

 「ピルトゥ、そこは駄目… お願い…」 
私がソングム様の両足を大きく開かせて、蜜で充分すぎるほど潤っているその間に顔を埋めた時、
ソングム様が恥じらいながら懇願する。しかし快感に抗えないのはわかっている。
私は茂みをかき分けて舌を差し入れると、柔らかな襞の間を丹念に愛撫していく。
私の頭を押さえていたソングム様の手の力はすっかり抜け、熱い吐息が部屋中に響いている。
このままソングム様の中に入って果ててしまいたいという欲望を抑えながら
私は絶え間なく責め続ける。敏感な部分に舌を這わせると、ソングム様は
腰をひねって逃げようとしたが、私にしっかりと腿を掴まれてどうすることもできない。
舌を柔らかく回転させて優しく磨き上げたり、尖らせた舌先で突付いたりを繰り返すと
ソングム様は大きく喘ぎながら果てた。
134私の名はピルトゥ:2007/11/25(日) 22:30:50 ID:xBAuW+e8
 ソングム様が下になった私に跨るようにして、ゆっくりと腰を落として貫かれていく。
「あぁぁ… はぁ…」
布団の上に後ろ手を付いて、私を見下ろしながら前後に腰を緩やかに動かすと
白い乳房が妖しく揺れて、次第に上半身を仰け反らせていく。
官能に耐えるソングム様の艶やかな表情に私は我慢できなくなり、下から敏感な部分に
手を伸ばして指で弄ると、せめぎ合う快感にソングム様の腰の動きが鈍くなる。
 
 今度は私が下から突き上げると、もはやソングム様は私に支配されるがままである。
「あぁっ あっ いやっ… あぁん…」
両手で支えるように乳房を掴み、揉みしだきながら激しく突き上げると
ソングム様は身体を震わせながら、私の胸の中に崩れ落ちた。

 私がソングム様の髪を優しく撫でながら唇を求めると、ソングム様も柔らかい唇を
押し付けて応える。最初はついばむように軽く合わせていたが、次第に深く求め合いながら
私は身体を入れ替えてソングム様を組み敷く。

「ピルトゥ…」
私はソングム様の足を開くと、ゆっくりと中に入っていく。
「あぁ… んぅ…」
この滑らかで美しい肌、官能に溺れる表情、私を蕩かす甘い吐息の全てを記憶にとどめたい。
私は夢中で腰を振りながら奥へ奥へと入っていく。
「あぁっ ピルトゥ… はぁぁ… もう、私、私… あぁぁ!!」
「ソングム様!!」
私達は互いを強く抱き締めながら同時に果てた。


135私の名はピルトゥ:2007/11/25(日) 22:33:23 ID:xBAuW+e8
 私達はその夜を最後に、想いを交わすことは二度となかった。私の心が変わることは
なくても、時は無情に流れていくものである。ソングム様はやがて尚宮に昇格し、
次に目指した最高尚宮の座は競い合いでは負けたのだが、オ・ギョモ様と陰謀を企てて
奪い取った。姪のクミョン様を最高尚宮に据えて、チェ一族で初めて女官長の地位にまで
昇りつめても、何かに取り憑かれたかのように、富と権力をがむしゃらに追い求める
ソングム様を稀代の悪女と噂する人々もいた。自分の誇りを捨て、他人をも犠牲にして
失った物があまりにも大きいが故に、満たされることなど決してないのか…
屋敷の庭で、夜空を見上げながらよく物思いに沈んでおられたが、その胸中に去来して
いたのは過去の痛みだったのかもしれない。
 
“この世に確かな事など一つもない”というのは、皮肉にもパンスル様の口癖で
あったが、これまでの数々の罪が暴かれたことによって、沈まぬ太陽の如きであった
チェ一族は崩壊し、その瞬間に私も立ち会わなければならないとは…。
 
自分の誇りを貶め、他人の血や涙から得た富や権力など、一夜の夢のように儚いものである。
私はパンスル様を屋敷から逃がした後、山の中に潜伏していたのだが、
結局パンスル様は捕らえられ、罪に問われて護送中に絶命したと知った。
136私の名はピルトゥ:2007/11/25(日) 22:37:40 ID:xBAuW+e8
 そして私は愛しい人もお守りすることが出来なかった…。
宮中から逃げ出して、トンイン山で最期を迎えたと聞かされたが、今となっては
何故トンイン山に向かい、一人で何を思われていたのか私には知る由もない。
だがこれでソングム様が、一族の名誉という重圧からやっと解放されたのかと思うと
悲しみよりも、私は不思議と安らかな気持ちを覚えた。

私はゆっくりと立ち上がり山を下ると、麓の川で身を清めた。
そしてトンイン山を目指して歩き始めた。

ソングム様… 貴女は今何処にいますか?
長い旅に出発されたのでしょうか?それは今まで犠牲を強いた人々に許しを乞う、
辛い旅路になるかもしれません。
もし貴女が道に迷った時は、決して動かずに手を差し伸べて待っていて下さい。
私はどこにいても必ずや駆けつけると約束いたします。
そして今度こそ、その手を掴んで永遠に離すことはないでしょう。

【  終  】

137名無しさん@ピンキー:2007/11/25(日) 23:32:58 ID:dddCw5By
新作キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!!!!
138名無しさん@ピンキー:2007/11/25(日) 23:50:19 ID:e5k4UT0L
ピルトゥ視点からのチェ一族というのが面白かったです。

見習尚宮氏は、カプのバリエーションが豊かですね。
139名無しさん@ピンキー:2007/11/26(月) 21:14:20 ID:67RWDd13
GJです!
多彩なお話をいつもありがとう。
また、新作を期待しています。
140名無しさん@ピンキー:2007/11/26(月) 23:59:09 ID:l7JNQ07I
仕事をキッチリこなして偉い!
そして本当に沢山のカポー書けて凄い。
新作期待。
皆様、健康に気をつけて幸せに萌えようね
141名無しさん@ピンキー:2007/11/27(火) 17:21:30 ID:dhAsHXhG
GJ!!
乙!
142名無しさん@ピンキー:2007/12/12(水) 23:44:55 ID:p2P7pNAt
保守
143名無しさん@ピンキー:2007/12/19(水) 23:55:32 ID:ToG7upoe
144名無しさん@ピンキー:2007/12/20(木) 14:23:49 ID:qTmaXoYg


145名無しさん@ピンキー:2007/12/23(日) 23:07:31 ID:rib4/ycd
(´;ω;`)つカンナン
146名無しさん@ピンキー:2007/12/26(水) 17:04:40 ID:drQRkt8q
とりあえず保守体制
147名無しさん@ピンキー:2007/12/26(水) 19:06:54 ID:SmJ0IwI9
保管庫管理人です。

今、ものすごい勢いで新スレ乱立されています。
ここもできるだけ保守をしますが、恐らくいつかは圧縮対象となると思われます。

状況は、
エロパロ板総合情報室 8号室
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1196954194/  レス69以降
■ エロパロ板総合雑談スレッド・3■
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1133789127/ レス357以降
等です。

pink秘密基地
http://pie.bbspink.com/erobbs/
をご覧になれば、更に詳細が判る模様。


それで、避難所の候補として、http://jbbs.livedoor.jp/otaku/2051/を お借りすることになるかもしれません。
あるいは、保管庫の新着情報欄の活用、掲示板の設置などを考えています。

このスレがもし潰れた場合は、とりあえず保管庫を覗いてみてください。
http://jewel54palace.h.fc2.com/index.html


書き手の皆さん、保管庫への直接収録もいたしますので、作品があればご一報ください。
148名無しさん@ピンキー:2007/12/26(水) 20:26:47 ID:M+useQKk
hssh
149名無しさん@ピンキー:2007/12/26(水) 23:52:19 ID:SmJ0IwI9
保守
150名無しさん@ピンキー:2007/12/27(木) 01:33:40 ID:jncq0xdF
保守
151名無しさん@ピンキー:2007/12/27(木) 06:24:41 ID:I1iUeA6J
おはようボンジュール
152名無しさん@ピンキー:2007/12/27(木) 09:19:23 ID:nMxQeU7V
火種
153名無しさん@ピンキー:2007/12/27(木) 12:45:24 ID:YWRqhUKK
花の種 雑草の種
154名無しさん@ピンキー:2007/12/27(木) 12:46:47 ID:Cy9l2ek+
規制復活の模様
155名無しさん@ピンキー:2007/12/27(木) 18:01:54 ID:KI6ZSyer
この世に確かなことなど何一つとしてないわ!
156名無しさん@ピンキー:2007/12/27(木) 19:49:22 ID:xIYWQIV8
ちょっとw
保守隊のおまいらおもしろすぎw
157名無しさん@ピンキー:2007/12/27(木) 19:54:43 ID:fMas48Et
嵐は過ぎ去ったようです。

【参考】エロパロ板総合情報室 8号室
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1196954194/159

保守支援、ありがとうございました。

>>148氏。各スレ巡回保守、ありがとうございます。
158見習尚宮:2007/12/27(木) 22:57:28 ID:66La9Bes
保管庫管理人様、保守隊の皆様

火種を残して下さったことに深く感謝しながら投下させていただきます。

内容 百合
   チャングムXハン尚宮
   エロ有り

【ハン尚宮の負け】

中宗王は狩猟が非常にお好きで、年に何度かお出ましになる。その年の秋は、宮中から少し
遠い猟場で狩りを楽しみたいと所望されたので、久しぶりに泊まりがけでの外出となった。
チョン最高尚宮は、ハン尚宮をスラッカンの責任者として派遣することに決め、
ハン尚宮は自分の補助を勤めさせるために、チャングム、ヨンセン、チャンイを一緒に連れて
行くことにした。

ヨンセンとチャンイが嬉しそうに話している。
「宮中から出られるなんて嬉しい。私がいないとミン尚宮様がお寂しいかもしれないけどね。」
「チャンイは一度も宮中の外に出たことがないものね。(チャングムも一緒で嬉しいわ)」

出発当日の朝、ミン尚宮が見送りに出て来た。
「ハン尚宮様、行ってらっしゃいませ。あんた達もしっかり働いて尚宮様をお助けするのよ。」
「はい、ミン尚宮様!」
「ミン尚宮、留守を宜しく頼むわね。」

遠ざかる一行の後姿を見送りながらミン尚宮は溜息をついた。
「あ〜あ、私も行きたかったわ。でも前に猟場でチョバンと汁の準備をした時、
牛脂と間違えてあの子がソラの毒を入れちゃって、2人で味見をしたら倒れたのよね。
あの時はハン尚宮様も巻き添えでお倒れになり、残されたクミョンとチャングムが活躍した
お陰で先輩の面目が丸潰れだった。狩りのお供に声が掛かることなど、未来永劫二度とない
わね。チョバンは男と駆け落ちして明国に逃げたけど、私は相変わらず下っ端の尚宮のまま…。
まぁいいわ。それも人生ね。とりあえず今日はうるさいチャンイはいないし、真面目で厳しい
ハン尚宮様もお留守だからせいぜい羽を伸ばすとするかな。」

気が緩んで思わず大きなあくびをしてしまい、慌てて口元を押さえながら辺りを見回す
ミン尚宮であった。




159ハン尚宮の負け:2007/12/27(木) 23:02:00 ID:66La9Bes
ここ最近、公務に忙殺され部屋に篭りきりになっていた王様であるが、久しぶりに
大自然の下で狩りを楽しまれてご満悦であった。気分が良いと食欲も旺盛になられるようで、
ハン尚宮が入念に献立を準備し、真心を込めて調理した食事を実に美味しそうに召し上がった。

 夕食の片づけを終えた後、ハン尚宮は長官と明日の打ち合わせがあるので、
チャングム達に宿舎に戻って先に休んでいるように言った。宿舎といっても女官用の小さい部屋が一つある
だけなので、その夜はハン尚宮もチャングム達と同じ部屋で休むのである。

ハン尚宮の寝床も整えると、ヨンセンとチャンイは疲れが出たのかすぐに寝息を立て始めた。
チャングムは、ハン尚宮の隣りの布団に入って目をつぶったがなかなか寝付けない。
久しぶりにハン尚宮の側で眠れると思うと嬉しくて心が弾んでいたのだ。

「尚宮様、遅いわね…。」
その時やっとハン尚宮が宿舎に戻って来た。
「尚宮様、お帰りなさいませ。」
「あらチャングム、まだ起きていたの? 私を待たなくていいから先に休んでいなさい。」
ハン尚宮は部屋を出て行き、身体を洗うと寝支度を整えて戻って来た。
「チャングム、蝋燭を消すわよ。」
「はい、尚宮様。おやすみなさい。」
ハン尚宮も布団に入って目を閉じた。

ハン尚宮は布団に入ったものの、手や足の先が冷えていて中々寝付けなかった。
(秋の終りともなると冷えるわね。おまけにこの布団は薄いから身体も冷えるわ…)


160ハン尚宮の負け:2007/12/27(木) 23:06:02 ID:66La9Bes
チャングムは何度も寝返りを打つハン尚宮が気になって、そっと声を掛けた。
「尚宮様、どこかお具合でも悪いのですか?」
「起こしてしまったようね。手足が冷えて眠れないのよ。」
「それではお休みになれるよう、私が擦って温めて差し上げます。」
チャングムは布団から素早く出ると、ハン尚宮の布団に手を入れて手や足を擦り始めた。
「大丈夫よ。チャングム、お前も疲れているだろうから早く休みなさい。」
しかしチャングムが構わず擦り続けたお陰で、段々と手足が温まってきた。

(この狩りの準備の為にお忙しかったせいか、最近は夜を共にさせて頂こうとお部屋に伺っても、
「疲れているの」とか「今夜は駄目」と言われて追い返されてばかり。久しぶりに尚宮様の
お身体に触れさせて頂いたら、何だか変な気分になってきちゃったわ。
どんなにお叱りを受けてもいいから今夜は…)

(幼い見習の頃、チョン尚宮様がよくこうして擦って下さったものだわ。内人になってからは
ミョンイが温めてくれたっけ。懐かしいわ…。ここ最近、チャングムが部屋を訪ねて来ても
ずっと追い返してきた。忙しくて朝が早かったせいもあるけど、ちょっと焦らし過ぎて可哀想な
ことをしたかしら…。明後日は私達は非番だから、明日の夜は部屋に呼んでやって
一晩中存分に…。まぁ私ったら、何てはしたないことを。フフッ…。 )

 そんなことを考えて頬を緩ませているうちに、ハン尚宮はチャングムのお陰で手足も温まり
ウトウトと夢心地になってきたのだが、ふと身体に妙な圧迫感を感じて目を開けた。

「チャ、チャングム!!! ちょっと、一体何をしているの?」
チャングムがハン尚宮の布団に入り込み、寝巻の襟元に手を掛けて開こうとしていた。
「尚宮様、お静かに。」
「お前は一体何を考えているの!」
「最近はお部屋にも入れて下さらず、私はもう我慢が出来ないのです。お許し下さい。
ね? 尚宮様!」
「駄目よチャングム。ヨンセンやチャンイが目を覚ますわ。明日の夜は私の部屋に来ても
いいから、今夜は大人しく寝なさい。いいわね?」
「ヨンセンやチャンイは一度寝たら、朝まで起きませんので大丈夫です!」


161ハン尚宮の負け:2007/12/27(木) 23:09:11 ID:66La9Bes
 チャングムはそう言うと、ハン尚宮の首筋に唇を這わせながら、緩めた胸元に
手を差し入れる。ヨンセンやチャンイが寝ているので、ハン尚宮は大声を上げて抵抗する訳にも
いかず、仕方なくされるがままになっていた。チャングムはハン尚宮の胸の先端に
唇を寄せ、舌で悪戯をするようにくすぐると、あっという間に固く尖った。

(あぁっ… 止めて… 久しぶりのせいか何だか敏感になっているみたい。)
(尚宮様のお身体はいつもいい香りがするわ…)

「チョン尚宮様〜!! 抱っこ〜!!」
(驚かせないでよ。いつものヨンセンの寝言か。夢の中でも甘えん坊ね。)

 チャングムは尖った両方の先端を指で摘み、書物を優しく繰るように弄った。
(あぁぁ… チャングム、駄目… 身体が熱くなって蕩けてしまいそう…)
ハン尚宮の息遣いが段々と荒くなってきて、乱れた呼吸が静寂な空気を震わせている。
しかし夢中になっているチャングムは止めようとはせず、首筋を吸いながら、
指先に少し力を入れて強めに弄る。
(尚宮様… 私だけの尚宮様…  お肌が少し汗ばんできたみたいだわ。)
(お願いだから、もう止めて… そんな風にされたら声が出てしまう…)

 はぁっはぁっはぁっ…  ん…  あぁぁ…
苦しげな息遣いに甘い響きが微かに加わると、チャングムはハン尚宮の口を自分の唇で
塞いだが、相変わらず指の動きはそのままでハン尚宮を追い詰めてゆく。
痛みを覚えるほど強く弄られて感じさせられても、声を出せないハン尚宮は、
チャングムの唇に口を塞がれたまま昇り詰めた。


162ハン尚宮の負け:2007/12/27(木) 23:12:32 ID:66La9Bes
 もうどうにも止まらないチャングムは、布団にもぐり込んだままモゾモゾと下に移動すると
ハン尚宮の脚の間に身体を割り込ませて、寝巻の裾をめくり上げた。一度昇り詰めて、
身体の力が抜けているハン尚宮は簡単に両足を開かされ、すっかり熱く潤んでいるその場所に
唇を寄せられても抵抗できなかった。

(チャングム、お前は何て大胆な子なの。いくらヨンセンやチャンイが鈍感とはいえさすがに
気づかれてしまうわよ。ミン尚宮にでも話されたら、朝鮮中に知れ渡ってしまうわ。)

チャングムは、舌で柔らかい襞の間を優しくなぞっている。優しいが故に
かえって刺激が強くなり、ハン尚宮は鳥肌が立つような快感を与えられた。
チャングムは、敏感な部分に触れないように用心しながら緩やかに舌を動かし続ける。
腰をひねって逃れようとしたハン尚宮の腿をしっかりと掴んで押さえ込むと
諌めるように舌の動きを感じさせる。
(あぁぁ… どうにかなってしまう… あっ、あぁん、 駄目よ… 嫌ぁ…)
ハン尚宮は布団の端を噛み締めて、何とか声を出さないように必死に堪えている。

 「ミン尚宮様〜、こんなに沢山は食べられませんよぉ〜!!」
(今度はチャンイか。あの子は夢の中でもつまみ食いは止められないのね。ハン尚宮様、
今のも寝言ですので大丈夫ですからね。)
 そんなことを考えていたら、チャングムの舌はうっかりハン尚宮の敏感な部分を捉えた。

「あぁんっ!!    … ゴホゴホ。」
思わず声を上げてしまったハン尚宮は、慌てて咳払いをしてどうにか誤魔化した。
それでもチャングムはお構いなしに、ハン尚宮をゆっくりと責め続ける。

(もっともっと尚宮様を乱れさせたい…。でも布団の中は真っ暗だし、ちょっと息も
苦しくなってきたわ。一度ここから出ようっと。)
(あぁ… チャングム、もう許して… これ以上されたら私は壊れてしまうわ… 
お願いだから、もう止め…   あれ? 本当に止めたの?) 
 
チャングムの愛撫から解放されたハン尚宮は、ほっとしたような名残惜しいような
奇妙な気分にさせられた。
(ちょっとチャングム、お前は私をここまで昇らせておいて途中で止める気なの? 
身体がこんなに火照ってしまっては余計眠れない…。全くお前には翻弄させられるばかり。 )

163ハン尚宮の負け:2007/12/27(木) 23:14:49 ID:66La9Bes
  「尚宮様、部屋を出て外へ参りましょう!」
チャングムがハン尚宮の耳元で囁いた。
「お前って子は本当に無鉄砲というか、恐いもの知らずというか…。」
「このまま眠ることはとてもできません。尚宮様と二人きりになりたいのです。」
(眠れないのは私とて同じ事。でも、誰かに見つかりでもしたら一大事よ。)
躊躇するハン尚宮であったが、ひとたびチャングムに火をつけられた身体をどうすることも
できず、寝巻を整えるとそっと寝床を抜け出した。
 
「ねぇ、チャングム。ヨンセンとチャンイは大丈夫かしら?」
「大丈夫ですよ、尚宮様。あの二人は天地がひっくり返っても朝まで起きませんから。」
「お前は私をどこへ連れて行こうとしているの?」
「厨房です。夜中はここまでは護衛の方の目も届きません。」
「それはそうだけど、いくら何でも王様の御膳を作る場所でそんな…。」
 
 ― 厨房の中 ― 
「ねえ、チャングム。やはり止めましょう。宿舎に帰るわよ。」
チャングムは返事をせず、無言でハン尚宮の両肩を掴むと壁に押し付けて唇を重ねた。
最初は軽く触れ合っていたが次第に深くなっていくにつれ、強張っていたハン尚宮の身体から
力が抜ける。チャングムは、まだ温もりが残るハン尚宮の脚の間に手を差し入れると、
敏感な部分を指でそっと捏ね始めた。
 
「あっ あぁっ… んぅ… はぁぁ… 」
たまらずハン尚宮がチャングムの耳元で喘ぐと、思わずチャングムの身体も熱くなり
指の動きが激しくなる。

 「あぁ チャン…グム… もう… あぁ、立っていられない…」
ハン尚宮は腰が砕け、チャングムにしがみついてどうにか身体を支えていた。

164ハン尚宮の負け:2007/12/27(木) 23:17:27 ID:66La9Bes
 チャングムはハン尚宮を抱きかかえながら、厨房の隅の小上がりに連れて行くと
重なり合うようにして倒れ込んだ。寝巻を脱がされたハン尚宮の白い肌が露になると、
いつもの蝋燭の灯りとは違う、青白い月の光に照らされて透き通るように美しかった。

「尚宮様は月から降りてきた天女のようです。」
「ならば月に帰しておくれ。」
「天女が空を舞う羽衣は永遠に私のものです。」
「私が月ならお前は輝く太陽のように眩しいわ…。」

チャングムはハン尚宮の脚を押し広げると、すっかり開ききっているその場所に
そっと指を挿し入れていく。
「あぁぁ… あぁっ…」

(端整で、近寄り難いぐらいに気品溢れる尚宮様もお美しいけれど、私の腕の中で
快感に抗いながら、次第に墜ちてゆく尚宮様もとてもお美しい。指が吸い付くような絹の肌に、
すすり泣くような甘い吐息。誰も知らない私だけの尚宮様…。もっと深く感じたい。)

 (昼間はここでお前と一緒に仕事をしていたのに、今はこうしてあられもない姿で
抱かれているなんて…。お前は普段は優しい子なのに、床の上では野獣のような時がある。
そんなお前と肌を合わせる毎に、私はどうしようもなく溺れていく…。)
チャングムが挿し入れた指で深みを突く度に、ハン尚宮は身体の芯に痺れが走り、
喘ぐ声が次第に大きくなる。チャングムは指の動きを激しくしてハン尚宮を絶頂にいざなう。

「尚宮様、とてもお綺麗です。誰にも触らせたくありません。」
「あぁっ チャングム! チャングム!」
ハン尚宮はチャングムを強く抱き寄せると、何度も名前を呼びながら果てた。
気を失ったハン尚宮が目を覚ますと、チャングムが微笑みながら髪を撫でていた。

「震える尚宮様はとても可愛いです。」
「何を言うの…。」

165ハン尚宮の負け:2007/12/27(木) 23:20:28 ID:66La9Bes
 宿舎へ急いで戻りながら、チャングムが嬉しそうに話し掛けてきた。
「尚宮様、たまには他の場所というのも趣向が変わって刺激的ですね。私、宮中でどこか
よい所を探しておきます。」
「馬鹿なことを言うのはおよしなさい。今にも誰かが来るのではないかと肝を冷やしたわ。」
(本当はお前の言う通りよ。仕事場だというのにあんなに燃えてしまうとは、自分でも信じられない
ぐらいだった…。)

 ヨンセンやチャンイを起こさないように注意しながら、二人は宿舎に入ったのだが、
寝室の襖をそっと開けた時、腰が抜けるほど驚いた。ヨンセンがぼんやりと布団の上に座って
いたのだ。ヨンセンは虚ろな目を向けて話し掛けてきた。
 「お二人でどちらへ行かれていたのですか?」
「さ、尚宮様が手洗いへ行かれるのに、暗闇が恐いと仰るのでお供していたの。」
「そ、そうなのよ。幼い頃から暗闇だけは苦手だから、チャングムに一緒に来てもらったの。
(全く、何で私がこんな事を言わなければならないのよ)」
「ハン尚宮様にも苦手な物があるのですね!」
 ヨンセンはにやにや笑いながら、そのままごろんと横になって寝てしまった。
― チャングムが翌朝尋ねたら、ヨンセンは全く何も覚えていなかったのだが…。
「やれやれ…」 ヨンセンを布団の中に押し込めると、二人もそれぞれ寝床に入った。

 ハン尚宮は何かを思い出したように身体を起こすと、チャングムの耳元に優しく囁いた。
「チャングム、明日の晩は私の部屋にいらっしゃい。」
「・・・・・・・」
「(なぜ無視するの?)部屋に来ていいわよ。」
「Zzzzzz・・・・」
(えーっ、今布団に入ったばかりなのにもう寝たというの!? 全くもう…。)
ハン尚宮はすごすごと自分の布団に戻って目を閉じたが、身体の芯に甘い痺れが残って
なかなか寝付けない。結局その夜はまんじりともできなかった。

166ハン尚宮の負け:2007/12/27(木) 23:22:41 ID:66La9Bes
 翌日、宮中へ戻る道中で先を歩いていたハン尚宮にチャングムが追いつくと、
そっと耳打ちした。
「尚宮様。明日は非番ですので、今晩お部屋に伺ってもよろしいでしょうか?」
「来たければ来ればいいでしょ。」
ハン尚宮はチャングムの顔も見ずに素っ気無く言うと、さっさと前に行ってしまった。

「何をお怒りになっていらっしゃるのかしら…。でも急に不機嫌になられることはよくあるし、
そういう一筋縄でいかないところも好きなのよね。ふふふ。」
チャングムは全く気にも留めず、ヨンセンやチャンイ達の所に戻った。

― その夜、ハン尚宮の部屋
ハン尚宮は部屋に香を焚いたり、新しい敷布を用意したりしてチャングムを待っていたのだが
一向に来る気配がない。ハン尚宮は部屋の中をうろうろと落ち着きなく歩き回っていた。
「どうしたのかしら?来たいと言っていたのに、疲れて寝てしまったのかしら…。」
ハン尚宮は様子を見るために忍び足で廊下へ出た。

 ― チャングムとヨンセンの部屋
「それでね、チャングム。ミン尚宮様ったら可笑しいのよ。」
「へぇ、そうなの。」(ヨンセンたら今夜に限ってどうして寝てくれないのかしら。
早く尚宮様のお部屋に行きたいのに…。あっ! どうやらやっと寝たらしいわ。)

チャングムは部屋を出ると、急いでハン尚宮の部屋に向かった。
「尚宮様、もうお休みになってしまわれたかしら…。」
チャングムが廊下の角を曲がると、自室の前でそわそわしていたハン尚宮と丁度目が合った。
(尚宮様、待っていて下さったのですね)
ハン尚宮は決まり悪そうな表情を浮かべ、慌てて部屋に入ってしまった。

167ハン尚宮の負け:2007/12/27(木) 23:24:37 ID:66La9Bes
 「尚宮様、失礼いたします。」
チャングムも続いて部屋に入ると、ハン尚宮は布団の上に背を向けて座っていた。
「尚宮様、遅くなって申し訳ありませんでした。ヨンセンが中々寝ないもので。」
「別にお前を待っていたわけではないわ。」
「ですが、お部屋の前に立っていらしたようにお見受けしましたが…。」
「もう寝ようと思って戸締りをしていたのよ。用が済んだらさっさと帰ってちょうだい。」
そう言うと、ハン尚宮はチャングムに背を向けたまま布団に入ってしまった。
(どうして私は素直になれないの。本当は優しく抱き締めてやりたいのに…。)
(尚宮様の強情にも困ったものだわ。ちょっと困らせてみようかしら。)

「尚宮様。立場を弁えず失礼な事を申し上げてしまいお許し下さい。尚宮様はお疲れで
いらっしゃるのにこれ以上お邪魔はできません。部屋でヨンセンに慰めてもらいます。
我がままを言って申し訳ございませんでした。」
(何?ヨンセンに?そ、それは駄目よ、絶対に駄目。)
ハン尚宮は慌てて布団から身体を起こすと、相変わらず背は向けたままで言った。
「寝ているヨンセンを起こすのも気の毒よ。せっかく来たのだから居ればいいでしょ。」
(尚宮様、からかってごめんなさい。でもやっぱり可愛い。)

 チャングムは背後から、甘えるようにそっと抱き締めたがハン尚宮は拒まなかった。
(尚宮様、お許し戴けたのですね…。)
まずは自分の着物を脱ぐと、ハン尚宮のうなじに口付けながら寝巻を脱がせていき
腕を回して柔らかな両の乳房を掴みゆっくりと揉む。ハン尚宮の身体が小さく震えて
いるのを感じながら、チャングムはハン尚宮をそっと布団に押し倒すと、唇を重ねようと
顔を近づけた。その時下からハン尚宮の手が伸びてきて、胸にしっかりとチャングムを
抱き寄せると、思いもよらぬことを尋ねてきた。
 
「チャングム。私のことが好き?」
(尚宮様ったら今更そんなことをお尋ねになるなんて、一体どうしちゃったのかしら…?)
それでもチャングムは手を止めると、真っ直ぐにハン尚宮の目を見て答えた。

168ハン尚宮の負け:2007/12/27(木) 23:27:52 ID:66La9Bes
 「はい。幼い頃からずっとお慕いしております。」
「何故なの? 私はお前が見習いの頃から、時にはチョン尚宮様からたしなめられるほど
厳しい躾をしてきて、優しい言葉の一つも掛けたことがなかったのに…。」

「尚宮様はあまりお言葉は多くはありませんが、お心で語りかけて下さるというか
どんなときも見守って下さっているという安心感があるのです。私が幼い頃ひどい風邪を
引いてしまい、高熱が出たときのことを覚えていらっしゃいますか? 
尚宮様はお仕事で疲れていらしたはずなのに、一晩中私の側について額の汗を拭い、
ずっと手を握っていて下さいました。」

「ええ覚えているわ。病気知らずのお前にしてはひどい風邪だったもの。朦朧とした意識で
私を呼びながら、小さな手を伸ばしてきたお前が愛しくてね。母の気持ちとはこういうものかと
思ったものだったわ。」

  「私が無茶をして味覚を失った時もそうでした。あの時は尚宮様の補助どころか、もう
スラッカンでは役に立たない女官になったのだという絶望感でいっぱいでした。ですから
尚宮様が『お前が必要なの』と仰って下さった時は、どんなに嬉しかったことでしょう。
味を描く能力を見出して下さって、自分は信じられなくても尚宮様を信じればきっと道は
開ける―そう思うことが出来ました。いつもは物静かで冷静な尚宮様が、私を診せて下さった
お医者様を怒鳴りつけた時には驚きましたけれど…。」

「お前を慰めるためというよりは、本当に私にはお前が必要だから、自然にあのような
言葉が出たのだと思う。夜中の厨房で、色々な食材を口に運んで味覚を確かめるお前が、
絶望で泣き崩れる姿を見たときは、私も胸がかきむしられるようであった。抱き締めて
慰めるのは簡単だけれど、前に進むために心を鬼にして厳しい修行を課したのよ。」

 ハン尚宮はチャングムを抱いている腕に力をこめた。
 
169ハン尚宮の負け:2007/12/27(木) 23:30:54 ID:66La9Bes
 「ねぇチャングム。前に少し話したことがあったけれど、私には一緒に宮中に上がった
幼い頃からの親友がいたの。お前のように好奇心が旺盛で、情に厚い子だった。でもその子は
訳あって宮中を追われ、もしかしたらもうこの世にいないかもしれない…。大事な親友を
失った私は、大切な人を失う苦しみを二度と味わいたくなかったから、心を閉ざして
人を遠ざけた。救えなかった親友への罪滅ぼしでもあったかもしれない。感情を捨て、
仕事に打ち込むことで悲しみを忘れようとした私は、生きながら死んだようであった。
でもお前に出会い、損得など頭にないお前の正直で真っ直ぐな生き方に振り回されながらも
私の中で何かが変わっていくようであった。お前には、自分の信念を貫く勇気をもらった。
お前を一人前の女官にしながら、もう一度前を向いて生きていこうと決心したの。」

「尚宮様…。今までのお苦しみは私ごときには到底はかり知れないものだと存じますが、
尚宮様が背負われる悲しみも全て包み込んで、ずっとお側に居たいのです。」

 「チャングム。お前は氷のように固いはずの心の壁を溶かして、私の心を奪ったのよ…。」
ハン尚宮とチャングムはお互い見つめ合い、優しく抱き合いながら互いの想いと温もりを
感じていた。 それで充分に幸せなはずだが、チャングムはまだ若く、夜もまだ始まった
ばかりであった。

  「尚宮様。明日はお休みですし、今夜は寝かせませんよ。」
「お前はすぐ調子に乗るんだから。私は昨夜も寝られなかったのよ。あっ、ちょ…ちょっと
待ちなさい、チャングム…。」
「尚宮様はとても可愛いです。ほら、こんなことをすると…」
「あぁぁ… い、嫌ぁ… お願い… あぁっ…」
「尚宮様がお綺麗で、そのような甘い声をお出しになるから悪いのです。」
「近頃のお前ときたら、床の上ではまるで野獣のようだわ…。」
「それではもっと暴れましょう!」
「あぁっ。駄目よ、チャングム。止めてったら。んぅ…はぁ…もっと優しくして…」


170ハン尚宮の負け:2007/12/27(木) 23:36:36 ID:66La9Bes
 ハン尚宮が何度となく果てても、身体の隅々まで味わい尽くすかのようにチャングムの
唇と指が追ってくる。ハン尚宮は愛しい子が一途に自分を求める喜びを感じていた。
強い絆で結ばれた者同士が、心も身体も一つに溶け合っていく幸福な瞬間を共にしながら
ハン尚宮とチャングムは夜の帳に包まれていった。

 翌朝目が覚めた時、すっかり太陽が昇っているのに気づいたハン尚宮は驚いた。
(いくら非番とはいえ、ここまで寝坊をしたことは長い宮中生活で初めてだわ。
それに昨日激しくチャングムに責められたせいか足腰がだるい。
ん?あれ? 声も枯れてひどいものだわ。ずっと声を出していたものね。)

部屋の外からミン尚宮の声がした。
「ハン尚宮様、お目覚めですか?お具合はいかがですか?チャングムから頼まれた物を
お届けに参りました。」
ハン尚宮は思い出したように慌てて自分を眺めた。
(寝巻は着ているわね。自分で着たのか、チャングムが着せてくれたのか覚えてないけど)

 「お入りなさい。ミン尚宮、悪いわね。ところでチャングムは非番ではないの?」
「そうだったのですが、クミョンがひどい胃痛のため当番を代わったのです。チャングムが
『尚宮様は喉が痛いはずなので梨汁を届けて下さい』と言っておりましたので、お持ち
したのですが、なぜチャングムは尚宮様のお具合を知っているのですかね?」
ハン尚宮は顔が赤くなるのを感じながら返事をした。
「猟場に言ったときどうやら風邪を引いたようでね。」
わざとらしく咳をするハン尚宮に訝しげな視線を投げつつ、お見舞いの言葉を言うと
ミン尚宮は部屋から出て行った。

「全くチャングムは余計なことには気が回るわね。」
ハン尚宮は呆れたように独り言を言いながらも、美味しそうに梨汁を飲み干した。

 「チャングム。ハン尚宮様にお届けしたけど、何かあったの?ねえ、教えてよ。」
訳を知りたくてたまらないという様子でついて来るミン尚宮から、笑いながら逃げ出す
チャングムであった。

【  終  】

お読みいただきましてありがとうございました。
風邪など引かれませぬように、よいお年をお迎え下さい。

見習尚宮

171名無しさん@ピンキー:2007/12/28(金) 02:15:35 ID:TiQlgXaH
GJ!!!!
172名無しさん@ピンキー:2007/12/28(金) 05:42:38 ID:SaMqRk20
保守のみな様ありがとう。
職人降臨!
173sage:2007/12/29(土) 01:43:09 ID:zrULPFJY
ハン様可愛すぎ。萌へ死む
174名無しさん@ピンキー:2007/12/29(土) 01:46:15 ID:zrULPFJY
↑あ、まつがえた。
175宮廷商人 パンスルの苦悩(小ネタ):2007/12/30(日) 18:28:57 ID:1UyG+eTC
<パンスル邸納屋>
「さっきは大変だったな。どうなるかと思ったぞ」
「ああ。オ・ギョモ様の奥方が“夫をいかがわしい場所に連れて行くのは
お前か”って屋敷に怒鳴り込んで来るんだぜ」
「旦那様がいくら説明しても奥方は分からないらしいんだ、オ・ギョモ様の
方から連れて行けって言ってるのが」
「しかし、なんで奥方の耳に入ったんだろうな?」
「それがな、どうやらお針子、ほらオ・ギョモ様が旦那様に医女の服を
作らせただろ、そのお針子が奥方の服も作ってたからそれで奥方の耳に
入ったらしい」

<パンスルの部屋>
「奥方様にも参りましたな」
「…………オ・ギョモ様は反正の前、官位がなかった」
「はい、存じております」
「………………………………反正の前までは奥方の実家から援助があった」
「はあ」
「…………それで奥方様に頭が上がらず、家で何かあると料亭に行きたがるのだ」
「……………………憂さ晴らしに我々を巻き込むことはないでしょうに」


※『韓国の食』(平凡社ライブラリー) 104〜105ページ
http://www.amazon.co.jp/%E9%9F%93%E5%9B%BD%E3%81%AE%E9%A3%9F-%E5%B9%B3%E5%87%A1%E7%A4%BE%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%83%96%E3%83%A9%E3%83%AA%E3%83%BC-529-%E9%BB%84-%E6%85%A7%E6%80%A7/dp/4582765297/ref=pd_bbs_1?ie=UTF8&s=books&qid=1199003938&sr=8-1

「 両班は二つに分かれるんですね。官吏になれる両班となれない両班。
官吏になれた人は権利もお金もそれについてきますが、一方官吏として
出仕できない両班は、白頭(ペツトウ)といって、頭に何もかぶれない。
位がないから冠がかぶれないんですね。白頭は、権利もないし、お金もない。
(中略)
でも、たとえ生活は苦しくても、両班の男の人は仕事はやれないんです。
―――両班の男は肉体労働に従ってはいけない?
 してはいけない。だから奥さんは両班の体面なんか問題じゃなくて、
食べなくちゃいけないから、よその家の仕事をします。」
176名無しさん@ピンキー:2007/12/31(月) 00:32:43 ID:nv8wDdcs
>>175
いつも乙です。来年も良いお年を
177名無しさん@ピンキー:2007/12/31(月) 15:48:09 ID:G+RroOsH
保守など本当に有難う御座いました。
またここでこうやって書けて見れて嬉しい。
見習尚宮様も175様もその他のこの板の皆様今年乙。
見習尚宮GJ!!175GJ!
来年もここでよろしく
178謹 賀 新 年:2008/01/01(火) 15:57:13 ID:tDBSO1h1
というわけで、まだネタになってないキャラを書いてみる。

燕山君・チョンス・皇太后(中宗の母)・チョン尚宮・ヨンシン女官長・ウンベク・
ユンス・クマン・イクピル・シンビ・ヨリ・チョドン・チョボク

あとは誰がいるだろうか?(子供キャラ除く)
179名無しさん@ピンキー:2008/01/07(月) 21:25:57 ID:JoKrkKWM
ウンビ・ピソンかな??
間違ってたらスマソ
180名無しさん@ピンキー:2008/01/13(日) 18:37:29 ID:5y4f+ihC
医女長とチボクが抜けてる

あとはチョイ役というか、話を作るのが難しいキャラじゃないか?
(ソングムのおば、気味尚宮×2、チョンホの副官×2、テーマパークの人、
赤服大臣、中宗の前妻などなど)
181見習尚宮:2008/01/14(月) 18:07:39 ID:gqlPC3Yr
・ヨンシン女官長Xオ・ギョモ
・>175 「宮廷商人 パンスルの苦悩」の設定をお借りした部分があることを
 作者様にこの場でお断り申し上げます。
・微エロ。熟。

【オ・ギョモの憂鬱】

パク・ヨンシン女官長はオ・ギョモと会うためにユン・マッケの妓房を訪れた。
だが約束の時刻より早く着いたので、部屋で女将と世間話などをしながら待つことにした。
しばらくしてオ・ギョモが入ってくると、女将は黙礼をして部屋を出て行った。

「女官長、待たせたな」
「いいえオ・ギョモ様。お忙しい所恐れ入ります。それにしても、二人きりの時には女官長と
お呼びになるのは止めて下さいな」
「おぉ、すまなかった。ヨンシン、ゆっくり会うのも久しぶりだな」
「本当にお久しぶりですわ。何でも最近は新入りの妓生にご執心とかで、こんな古狸などは
とうにお払い箱かと思いましたわ」
「そんな皮肉を言うでない。せっかくの美貌が台無しだぞ」
(チッ、やぶ蛇だったわい。相変わらず口が減らない女だ)
「オ・ギョモ様ったらお上手ですこと、ホホホホ」

最高尚宮の座を巡る競い合いを皇后の命により再度行った結果、ハン尚宮がチェ尚宮を制し、
晴れてその座を勝ち取った。ハン尚宮の最高尚宮就任を快く思わない者達がいることから、
皇后は一時的にハン尚宮にスラッカンの全権を委ねることを決断し、一日も早く人心を掌握
するようにとハン尚宮に言い渡した。このような理由から、ヨンシン女官長は皇后より当分の間、
スラッカンに関与してはならぬと命じられ、渋々従わざるを得なかったのだった。

競い合いに敗れたチェ尚宮は伝統に従って醤庫へ行くため、スラッカンにはオ・ギョモや
ヨンシン女官長の息がかかった人物がいなくなる。そうなると、これまでチェ一族が輩出
してきた最高尚宮と手を結び、多額の賄賂の見返りとして、スラッカンでの物品の取引を
チェ・パンスル商会に独占させてきた、オ・ギョモやヨンシン女官長は困ったことになる。
慌てた二人は、今後の対策を話し合うことにした。
実はこの二人、若い頃から男女の仲であり、今でもその縁が続いているのである……。

ヨンシン女官長は若い頃は宮中でも評判の美人で、密かに想いを寄せる男も多かった。
一方オ・ギョモも、今でこそすっかり恰幅がいいが、昔は武道の鍛錬によって鍛え上げられた
身体を持つ紅顔の美青年で、女官達の憧れの的であった。若い二人は恋に落ちたが、
所詮ヨンシンは王の女である。やがてオ・ギョモは妻を娶り家庭を築いたものの、
ヨンシンへの未練が断ち切れず、年月を重ねながら二人は細く長い関係を続けていた。

「堅物のハン尚宮が最高尚宮に就任するとは困ったことになりましたわね」
「そなたは何も心配せんでいい。チェ・パンスルに何とかするようによく言っておくからな。
それより…… なぁ、ヨンシン、いいだろう?」
「オ・ギョモ様、無粋な真似は止めて下さいな。まずはお酒を召し上がりながらお話でも
いたしましょうよ」
ヨンシンは胸元に差し入れてきたオ・ギョモの手をぴしゃりと叩くと、オ・ギョモの杯に
酒を注いでやった。
「ハハハ、それもそうだな。今夜はそなたも飲むがいいぞ」
オ・ギョモは決まり悪そうに笑うと、ヨンシンの杯にも酒をなみなみと注いだ。

「おい、もういい加減にしないか。わしの方が先に倒れてしまうぞ」
「オ・ギョモ様もお年でしょうか?すっかりお酒に弱くなられたようですわね」
宮中で一、二を争う酒豪のヨンシン女官長の前では、オ・ギョモも形無しであった。

ヨンシンとオ・ギョモは隣りの部屋に敷かれた布団に倒れ込むと、ヨンシンはオ・ギョモの
着物を脱がせ、手馴れた様子で奉仕を始めた。

「うぅぅ…… いいぞ、ヨンシン。さすが年の功だ……」

182オ・ギョモの憂鬱:2008/01/14(月) 18:23:31 ID:gqlPC3Yr
年の功という言葉が勘に障ったヨンシンが、わざと歯を立ててやるとオ・ギョモは
情けない声で悲鳴を上げた。オ・ギョモもヨンシンを愛でようと、着物を脱がせて
いきながらその柔らかい肌を撫でていた。
(若い身体とはまた違った色香があるというものだな。肉も腐りかけが旨いとは良く
言ったものだ。おっと、こんなことをうっかり口に出したら大変だ……)
(昔のオ・ギョモ様はお腹も引き締まっていて、それはいい身体だったのに。学問の方は
からきし駄目だったけれど、粗野で荒っぽいところが私には新鮮だったわ……)

オ・ギョモがヨンシンにのしかかり、腰を振り始めた。
「あぁ、オ・ギョモ様…… えっ? ちょっと! 何? もう?」
オ・ギョモは数回腰を振ったところで果ててしまった。下から見上げるヨンシンの非難
がましい視線に耐え切れず、オ・ギョモは布団の脇に座り込んで必死に言い訳をした。

「済まなかったな。ここ最近激務が続いていたので、身体の調子が悪いのかもしれぬ」
「あらそうですか。何度か執務室にお訪ねしても、いつも外出中みたいでしたが。
まぁ、そんなことはもうどうでもよいですわ。私も多忙ですのでこれで失礼いたします」
ヨンシンはそう言い放つと、身支度を整えてさっさと帰ってしまった。

一人で部屋に残されたオ・ギョモは溜息をついた。
「一体全体どうしたというのだ?このままだと男の沽券に関わるぞ。チェ・パンスルに何か
探させなければ」
数日後、オ・ギョモは直々にチェ・パンスルの屋敷を訪ね、口外するなと念を押しつつ
パンスルにある依頼をした。

「旦那様。どうなさったのですか? お顔の色が優れませんが……」
「チャン執事か。実はオ・ギョモ様にまた困った依頼をされてな」
「いつぞやの医女服にも困ったものでしたが、今度は何ですか?」
「最近あっちの方が弱くなったらしくて、何か良い物を探せと仰るのだ。もういい年だと
いうのに良い加減に引いたらどうかと思わんか?わしなんて、オ・ギョモ様と関わるように
なってから、そんな気力はなくなってしまったというのに。いや、わしのことなぞどうでもいいのだが」
「旦那様、ご心配には及びませぬ。私が何とかいたしますので」
「頼んだぞ、チャン執事。オ・ギョモ様にも全く困ったものだ……」

数日後、チャン執事が八方手を尽くして探し出した明国の秘薬が手に入り、早速
オ・ギョモに渡された。オ・ギョモは名誉挽回とばかりに、ヨンシンと会う約束を取り付け、
当日その秘薬を飲んでマッケの妓房に赴くと、ヨンシンは既に部屋で待っていた。

「ヨンシン、先日は済まなかったな。これはつまらない物だが取っておきなさい」
秘薬と一緒にパンスルに取り寄せさせた、高価な翡翠の指輪だった。
「おやまぁ、素敵な指輪ですこと。お気を遣わせて申し訳ないですわね」
(当然よね。あの時は私に恥をかかせたも同然だったもの)
オ・ギョモが既に準備が整っている下腹部に、それとなくヨンシンの手をあてがうと、
ヨンシンは艶然とした意味ありげな笑みを返してきた。

オ・ギョモは秘薬が効いているうちに事に及んでしまおうと、やや強引にヨンシンを
布団に押し倒したが、ヨンシンは抵抗もせず大人しく身を任せていた。

「どうだ、ヨンシン。いいか?」
「オ・ギョモ様、凄いですわ!」
オ・ギョモが腰を振るたびに、ヨンシンが驚嘆の声をあげる。
「若い頃に戻ったようでございます!」
「もっと良くしてやるからな!」
オ・ギョモが更に腰を打ち付けようとしたその時……
「うっ?!」
「オ・ギョモ様?どうなさいましたか?オ・ギョモ様?ちょっと!息をしてないわ!」
オ・ギョモが目を見開いたまま、布団の上に崩れ落ちた。


183オ・ギョモの憂鬱:2008/01/14(月) 20:24:56 ID:AIloW8qY
ヨンシンは慌てて身支度を整え、女将に医者を呼ぶように頼むと裏口から出て行った。
「まさか死ぬなんてことがあったら……。あの場に居た事は口止めしておかなければ」

幸いにも妓房で飲んでいた医者が居合わせたお陰で、オ・ギョモは適切な治療を受けて
一命を取り留め、数週間の自宅療養を経た後に職務に復帰した。ある日、二人は宮中で
すれ違い、気まずそうに顔をしかめるオ・ギョモをよそに、ヨンシンが話しかけてきた。

「お体はもう大丈夫ですか?」
「あぁ、なんとかな。みっともない所をそなたに見せてしまって面目ない」
「パンスル殿に伺ったら、明の秘薬とやらをお飲みになったそうですね」
「あぁ。まぁそうなのだが、わしの繊細な身体には合わなかったようだ、ハハハ」
「妙な薬を飲んでお相手をしていただくほど、私は落ちぶれておりませんので」
ヨンシンはオ・ギョモを鋭く睨みつけると、そのまま歩き去ってしまった。
「おい、ちょっと待て!ふぅ、参ったな……」
去って行くヨンシンの後ろ姿を見送りながら、オ・ギョモは力なく肩を落とした。
「女房には絞られ、ヨンシンにまで恨み言を言われるとは腸が煮え繰り返りそうだ。
こういう時はマッケの店で飲むに限る。おい、輿を出してくれ!」

その頃、チェ・パンスルの屋敷ではパンスルとチャン執事が話していた。
「チャン執事、そういえばオ・ギョモ様から先日の明の秘薬と、翡翠の指輪の代金を
頂いたか?」
「それが旦那様……。高血圧の持病があるのに秘薬を飲んだせいで、心臓が一時停止なさって
大変だったとか。事前に知らせなかった我々に危うく殺されるところだったから、代金どころか
賠償金を払えと仰るのです。指輪の代金はその一部だと」
「何だと?チャン執事、わしはもう涙が出そうだ」
「旦那様、これは天が与えた試練と思って真摯に受け止めれば、きっと良い事もあります」
「そうだな、チャン執事。捨て鉢になってはいかんな。それでは気分転換にマッケの店で
酒でも飲むとするか。ピルトゥも呼んで来い」

【  終  】
184175:2008/01/14(月) 23:46:01 ID:ebIF5f9Q
見習尚宮様

こういう話大好きです。腹痛いです。
特に
>「旦那様、これは天が与えた試練と思って真摯に受け止めれば、きっと良い事もあります」
はすんごい笑いました。
185名無しさん@ピンキー:2008/01/24(木) 20:13:38 ID:cHpPbOc8
チェ尚宮の中の人のインタビューから
――ドラマでの印象が強烈だったので、実際のキョン・ミリさんがどんな方
なのか気になっていました。
_:仕事を完璧にしようとする所はチェ尚宮と似ていますよ。
でも人と争う部分は全然違います。
私はケンカなんて出来なかったので昔は
よく泣いていたの。
現実で争わなければならないなら、家で練習していかないと。

家で練習していかないと。

チェ尚宮が女官のころとして妄想
ソングム:ちょっとペギョン、あなた最近私に冷たいわよ!
ソングム裏声:あなたがミョンイをとったり夜どこかへ行って怪しいからよ!
ソングム:うるさいわねハンペンが!ミョンイは私のものだし夜だって最高
尚宮様の話を聞きに行ってるだけなんだから!
ソングム裏声:ハンペンって何よ!
ソングム:ハン・ペギョンの略よ!
ソングム裏声:ソングムァァァァ・・#
リアルペギョン:ちょっと、私だけど今誰か人居るの?私入っても良い?
ソングム:な、なんでもないわ!いいわよ!

妄想スマソ。
つまらんよね・・
186名無しさん@ピンキー:2008/01/24(木) 20:57:57 ID:JoH8kYBa
ワロタw
187名無しさん@ピンキー:2008/01/31(木) 22:44:11 ID:qKH0hL4v
保守age
188名無しさん@ピンキー:2008/02/04(月) 14:57:05 ID:8X5d4azV
>>178

医務官達で誰か作れない
189名無しさん@ピンキー:2008/02/06(水) 15:09:20 ID:PtGzKjm8
シンビに密かに惚れているシン・イクピル
190名無しさん@ピンキー:2008/02/08(金) 15:20:14 ID:eKqXAe34
↑ どっかの二次小説投稿サイトで、
シンピとイクピルの息子がくっつく
って言う話を読んだ事あるよ。

それよか、
チボクとソンドルが、女の事あれこれ話しながら、どつき漫才やってる・・・
って話はどう???
191名無しさん@ピンキー:2008/02/08(金) 20:01:59 ID:KQYcUBoO
やはりシンビだと清い話か
被害にあうような陰惨なのしか思い浮かばないね

漫才にシンビみたいな二人についていけない人を入れてみたりね
192名無しさん@ピンキー:2008/02/12(火) 18:13:56 ID:SR1NV7ea
これは?携帯だけだけど
ttp://courseagain.com
193名無しさん@ピンキー:2008/02/18(月) 10:57:47 ID:vhL5lwVa
ウンベクもイクピルも良い人だからそう作れないよね
194名無しさん@ピンキー:2008/02/18(月) 22:12:15 ID:MZUSVK1r
>>190、191
チボクとソンドルが薬剤倉庫で猥談中、シンビが薬を取りに来る。気まずい三人。
薬を作業場(?)に持っていくと、チョドンが「男を虜にする秘法」
(※下の方)をチョボクに話していて付き合わされるシンビ。
風紀の乱れが気になるも、医局長とヨリがいい仲というウンビの噂話を思い出すシンビ。


さてシンビは誰の所に相談に行けばいい?

1チャングム
2イクピル
3ウンベク
4ラブ※
195名無しさん@ピンキー:2008/02/19(火) 13:19:45 ID:B2GYV6fi
190です。
>194さんにお答えしますネ。

チャングムは、あっちの事にはやたら疎いので論外。
何しろ、チョンホが自分に片思いしていると言う事すら、なかなか気付かなかったくらいだから。

で、イクピルかウンベクになるんだけれど・・・。
イクピルは親身になって相談に乗ってくれそうだけれど、真面目すぎて逆に×。
時々、冗談や茶々を入れつつも、それなりに真面目に考えてくれるウンベクあたりが妥当かと・・・。

もっとも、これは大真面目に考えた、私の見解です。
196名無しさん@ピンキー:2008/02/25(月) 23:36:00 ID:CSc2O44c
済州島日記2が読みたいのだが…
197名無しさん@ピンキー:2008/02/27(水) 17:05:28 ID:0Pyx4oRL
「だからね、○○○○する時は○を○して」
「○○○○する時は○を○する…次は?」

メモ魔っぷりを発揮するシンビ
198名無しさん@ピンキー:2008/02/28(木) 21:47:20 ID:l1kfqwjT
>>197
男を虜にする秘法をメモか
199名無しさん@ピンキー:2008/02/29(金) 11:39:11 ID:iinwyNH6
シンビ本人は単に産婦人科の知識を得る積りなんだろうが内容は…
200名無しさん@ピンキー:2008/02/29(金) 12:30:32 ID:Wuq0LTPE
チャングムとシンビがイクピルの所へ行く。


チャングム「申先生、教えていただきたいことが」
クチビル「どうした」
シンビ「○○○○する時は○を○し、次は頃合を見て×××と聞いたのですが、その頃合を
どうやって見はからえば良いのかなかなかつかめないのです。
患者さんにも協力をお願いしているのですが皆さん恥ずかしがってしまうのです。
先生でしたらご存知と思いまして」
クチビル「……」
201名無しさん@ピンキー:2008/02/29(金) 12:58:49 ID:iinwyNH6
真っ赤な顔をしてしまうイクピル医務官

実に純真な瞳で問いかけてくるシンビにあらぬことを想像してしまい

ますます顔が紅潮してしまう
202名無しさん@ピンキー:2008/02/29(金) 16:10:08 ID:wQk35eTS
そこでチャングムが「お顔が赤いですね。熱証が考えられます」
203名無しさん@ピンキー:2008/03/03(月) 09:58:00 ID:7Q8jtPbj
>>191

両班の高官たちに遊女扱いされて玩具にされてしまうシンビ、とか
204名無しさん@ピンキー:2008/03/05(水) 07:54:50 ID:7iO5CKUS
シンビのメモした男を虜にする秘法(BYチョドン)を見て鼻で笑うヨリ様
205名無しさん@ピンキー:2008/03/08(土) 22:27:14 ID:W4qM+gi3
>>203

いやむしろ王様が好色で王様にされてしまうとか
206名無しさん@ピンキー:2008/03/09(日) 22:50:21 ID:D2llKODz
「言葉を慎みたまえ君はラピュタ王の前にいるのだ」
207名無しさん@ピンキー:2008/03/10(月) 23:08:03 ID:gwBIyyAM
そういえばシンビ≒シータだな
208名無しさん@ピンキー:2008/03/12(水) 01:32:42 ID:BpxR69yY
シータ程強いかなあ
209名無しさん@ピンキー:2008/03/22(土) 23:34:58 ID:wZ8ECG2A
保守
210名無しさん@ピンキー:2008/03/30(日) 01:56:48 ID:PhW8sFVo
シンイクピル医局長は疲れていた。思わず目を閉じて顔をしかめてしまう。
夜も更けた医務官室で、イクピルは一人黙々と書類に目を通していた。
医局長の職務は激務だ。内医院の長として医官や医女の監督に当たるのは勿論、
医術教育や衛生行政にも当たらなければならない。
チャングムが王の主治医に登用された分診察の仕事は減ったとはいえ、
それでも医局長として相当数の患者を受け持っている。
それから、内医院について大臣に命令権があり
専任の文官が配置されているとはいっても、医術の責任者として
色々と雑務をこなさなければならない。
なにより内医院には外部からの政治的圧力が有形無形を問わず
常に発せられている。時にはそれに対抗して
内医院の中立を守るという難しい課題に対処せざるを得ない。
もともと内向的で医術以外のことに興味は無く、学者肌であった
イクピルにとっては何かと大変で神経を擦り減らすような職務だ。

今日も診察の後で疫病対策についての意見書を大臣に提出し、
薬品購入予算の増額を求めて役人に掛け合い、
帰ってきてからやっと医官任用試験についての書類に目を通すといった有様だ。
医術の研究どころか睡眠時間さえ乏しく、これまで堅実な私生活の
おかげで健康には自信があったイクピルもこの所さすがに疲労感を
覚えてきた。
もっとも10年前に妻を亡くして以来独り身のイクピルにとって、
仕事に没頭することは誤診の失敗や過去の悲しみを振り切るための手段でもあった。

書類の決裁が一段落すると、イクピルは内医院を出て宮中の一画にある王族の屋敷を訪れた。王のいとこが重い胸の病を患っている。
ここ数日は特に病状が悪化し、主治医のウンベクが2日も徹夜をして治療しようやく危機を脱した。病状はだいぶ好転したが一応二人の医女が付き添っている。
主治医のウンベクは丸三日間の治療で疲労が限界に達し今夜は休養しているので、代わりにイクピルが一度様子を見に行くことにしたのだ。
 イクピルは病室に入ると付き添っていたウンビから患者の様子を聞き、脈診もしてみたが順調に回復しているようだ。
「よし、特に問題はないが今後とも充分注意して治療せよ」
「はい医局長様」
「薬の方はどうした、もうそろそろお飲み戴く時間だが」
「一緒に付き添っていたシンビが薬房に薬を作りに行っています」
「しかし内医院から来る途中には会わなかったが」
「もうだいぶ前に出て行ったのですが、そう言えば少し遅いですね」
  イクピルが医務官室に戻る途中で薬房に寄ってみると、中から明かりと煙が漏れている。どうやらシンビのようだ。
少し安堵したような表情を見せてイクピルは中へ入ったが、室内の意外な光景に思わずうろたえてしまった。
211名無しさん@ピンキー:2008/04/13(日) 18:46:21 ID:Sdd9nDvh
続き待ち
212名無しさん@ピンキー:2008/04/22(火) 21:56:49 ID:qY+SefWx
 薬房の中で、シンビは椅子に腰掛け柱にもたれ掛かったまま眠っていた。
側の薬鍋はとうに煮詰まって盛んに沸騰している。

 イクピルは少し慌て気味に駆け寄ると素早く火を消した。
鍋の中身を確かめるが、これは少し薄めれば何とか服用できそうだ。
 シンビの方を見ると、早朝からの仕事で疲れたのだろう、
瞳を閉じてぐっすりと眠ってしまっている。
心地良いからだろうか、口元が少し緩んでいる。
イクピルは亡き妻の若き日を思い出していた。
彼女も時折実に幸せそうな顔をして居眠りをしていたものだ…。

イクピルは何時の間にか、普段仕事中には見せたことの
ない優しい微笑を口に浮かべながら、かつて妻にしたように
シンビの髪を右手で撫でて、その寝顔を凝視していた。

と、シンビが眠たげな目をわずかに開き、
いぶかしげにイクピルを見つめていた。

それを見て自らが何をしているのかを自覚すると、
イクピルは思わずシンビから仰け反って顔を強張らせた。
今自分はシンビを愛でていたのではないか。
かつて若き日に妻に対してしたように。

自らがシンビの唇に思った官能的な感情を振り返り、
イクピルは強い自責の念に駆られていた。
自らはシンビのかつての師であり、
今は彼女を監督する医局長の身であるというのに。
それなのに自らは何を思っているのだろうか。

最初にシンビを女性として意識したのは
何時の事だったろう。かつての妻がそうであったように
優しく健気でそれでいて芯の強いシンビ…。
だが自らの自制心は己の感情を押しとどめてきた。
ところが今不意にその感情が表に出てしまったのだ。
213名無しさん@ピンキー:2008/04/22(火) 21:58:47 ID:qY+SefWx
 イクピルは極めて強いショックを受けながらも、
その内面を隠して何時もの自分を取り戻していた。
「目が覚めたか、シンビ」
その声と顔からは、先刻の微笑みと優しさは消えていた。
その調子は、冷厳を以って知られる医局長シンイクピル
その物だった。

「医局長様…」
シンビはようやく自らとイクピルの存在に気がついたようだった。
「すみません私は…」
「眠ってしまったのか」
「はい。申し訳ありません」
 失態を見られたことに顔を赤らめると同時に、
何時ものイクピルの厳しさを知るだけに
消沈したような顔をしながら、
シンビは消え入りそうな声で答えた。
「済んだ事はしかたがない。早く
ウンビに薬を渡してくるのだ」
 イクピルが少し居心地悪そうに、
何時もなら当然したであろう叱責もせず
口早に指示を出したので、
シンビは意外そうな顔をしている。
「はい…。あの、本当に申し訳ありませんでした」
シンビが頭を下げてから薬に
取り掛かった。鍋に向かうシンビの後ろで、
イクピルは何とも形容し難い苦い表情を人知れず浮かべていた。

「少し水で薄めるのだ。そうすればこの薬はもともと水分が含まれているから
多少煮詰まっても充分服用できる」
「はい、医局長様」
薬に水を加えて混ぜながら、
シンビがイクピルに尋ねた。

「あの、医局長様…」
「何だ」
「ひょっとして、私の頭を、髪を撫でられはしませんでしたか」
イクピルはかすかに狼狽しつつ、怒ったような調子で答えた。
「何を言うんだ、私はお前の肩を叩いただけだ」
シンビが申し訳なさそうに、しかし幾分安心したような様子で答えた。
「いえ、すみません。髪を撫でて貰う夢を見た…きっとそうですよね」
 取り敢えず自らの行為が露呈しなかったことに内心安堵する一方、
シンビの口調が少し陰りを帯びていることにイクピルは眉をひそめた。
214名無しさん@ピンキー:2008/04/22(火) 21:59:24 ID:qY+SefWx

「昔私が病気がちだった頃、良く父に髪を撫でてもらっていたんです」
意外な展開にイクピルはじっとシンビの後姿を見つめる。
「父は何時も口元に微笑を浮かべながら、優しい目をしていました。
 今お前はとてもつらいかもしれない、でもきっと良くなるから
苦しみに耐えて頑張っておくれ、って」
「…」
「私が昼間眠っていると、父は私を起さないように
そっと髪を撫でてくれるんです。時々私が目を覚ましてしまうと、
寝ていないと体に悪いからと少し困ったような優しい声で、
私を寝かそうとしてくれました。でも私は、あの微笑を見るために、
父に髪を撫でられて目を覚ますのが、とても嬉しかった…」

シンビが作業を止めてうつむいたのを見て、イクピルは思わずシンビを抱き締めそうになった。

「すみません、変な話をしてしまって。父はもう6年も前に亡くなったというのに」
シンビは目を少し手でこすった後、しばらく薬を混ぜて容器に移し替えた。
「ああ、ウンビが遅いので怒っているでしょう。医局長様、失礼します」
お盆に薬を載せて一礼した後、薬房を出て行くシンビを眺めながら、イクピルは厳しい表情を浮かべていたがその瞳は何かを問いかけていた。
215名無しさん@ピンキー:2008/05/03(土) 02:25:40 ID:C1ljN7Ck
>>214
乙です
216名無しさん@ピンキー:2008/05/08(木) 22:56:53 ID:KqKIjQBp
ちょっとこれは淡いんじゃないの

もっとお色気の話を期待したんだが(シンビが着替え中だった、とかね)
217名無しさん@ピンキー:2008/05/08(木) 23:57:03 ID:vrdhV0VF
オイラはまだ続くのだとばかり……
218名無しさん@ピンキー:2008/05/08(木) 23:57:32 ID:vrdhV0VF
オイラはまだ続くのだとばかり……
219名無しさん@ピンキー:2008/05/12(月) 00:25:28 ID:rC0L8XIv
 内医院の医務官室で、チャングムと
医務官達は、治療について活発に話し合っていた。
「王様と似た体格の患者の症例について調べてみましたが、
どうも大長令様のおっしゃるように食欲が…」
「この間医局長様から質問のあった件ですが、
 針を試してみた結果は…」
「慶州で起きた疫病の特徴は…」
「親父に頼んでもらった新しい医学書、来月にも
 明から入荷するらしいぞチャングム」
「これ、大長令様だろう」
220名無しさん@ピンキー:2008/05/12(月) 00:26:00 ID:rC0L8XIv
「では今日はこのくらいで終わりとし、
  次は月末の王様診察が終わった後に開催します。
  日時は追ってお知らせします」
 延々一時間ばかり真剣な話が続いた後で、
司会のシン医局長がこうまとめて会議は終わった。
 尤も次の診察時間までは幾らか間があるので、
お茶を淹れると4人は何時ものように部屋に残って
雑談に耽った。
「いや、何でもこの間○○院の武官が町の娘に…」
「おいおい、それ本当なのか。どうもお前さんは
 早とちりした間違いが多いからなあ…」
 おしゃべりなチボクが怪しげな噂話を話すと、それに
 ウンベクが陽気に茶々を入れていく。それを聞きながら
チャングムは愉快そうに微笑み、イクピルも話にはさほど関心は
ないようだがこの場の雰囲気に満更でもないらしくゆったりとお茶を飲んでいた。

チボクがある会計官の出張で起きた悲喜劇を面白可笑しく語った後、
雑談の話題は内医院の内輪話になった。
221名無しさん@ピンキー:2008/05/12(月) 01:30:05 ID:rC0L8XIv
「今度来た医女の□□、チャングム程ではないが可愛いぞ。
ただし仕事はいまいちだがな」
「確かに訓練が足りないかもしれないな。今度誰かを手本に
しっかり教えようか」
「ではこの趙治福めが一つ…」
「お前を見たって勉強にならんだろ」
「そんな殺生な、ウンベク様」
 チボクの大げさな反応にウンベクとチャングムが笑う。
「チャングムは忙しいからな…そうだシンビが良いんじゃないか」
黙って二人の会話を聞いていたイクピルは、
ウンベクの提案に少し困ったような表情を浮かべた。
 勿論、他の3人はそのことを知る由もない。
「でもシンビもヨンセンの診察で忙しいようですよ。
 そういえばこの間、シンビはとても疲れたような顔をしてませんでしたか」
チャングムの答えににイクピルはさらに表情を変えたが、
何事も無かったかのように湯飲みを傾けてお茶を飲んだ。

「おい、ここだけの話だが…シンビは男に言い寄られて困ってたようだぞ」

イクピルは思わずお茶を吹き出してしまったし、
意外な話にチャングムとウンベクも驚きながら口早にチボクに問いかけた。
「一体誰だ、相手は」
「どうして医女のシンビと知り合ったんですか」
チボクはさすがに内容が内容だけに声を潜め、
困ったような表情で顛末を語り始めた。

 三週間ばかり前に、チボクがある役所の局長の診察に行った時、シンビも同行した。
大した病ではなかったので、チボクは途中から薬の投与をシンビに任せておいた。
そのためシンビは数日間その役所に通った。
「どうもその時に、局長の若い部下がシンビに目を付けたらしいんですよ。
それで…」
 若い役人は家柄も良く、何より遊び人として名の通った男で、
何時しかシンビに付き纏うようになった。
「それで、この間シンビが呼び出されて誘われた時、
私はたまたま道で通りかかって見ていたんですがね、
彼女がはっきり断ってたんですよ。それでもあの男、
諦めないどころかシンビを林に追い詰めて
とうとうシンビの体を触わろうとしたのでさすがに彼女も怒って、
男に蹴りをいれたんですよ」
「蹴り?シンビがか」ウンベクが困惑した顔で言う。
「いや、急所に当たったらしくてシンビが
去っていくと男はうずくまってましたが」
純真だが意思の固いシンビならやりそうなことではある。
「私も気になってそれとなくその役所に探りを入れたら、
男は先週から地方に出張に出たそうですからまあ一安心と、
そういう訳ですよ」
「そうか、それなら良かったな」
ウンベクがほっとしたような様子で述べた。
「他の部署の役人共ときたら、医女を遊女か何かと勘違いしているからな。
全くシンビもいい迷惑だったろう」
「そうなんですよ、全く最近の若い連中ときたら…」
話は他の役所の役人批判に移ったが、
イクピルはシンビのことが気になって
耳に入らなかった。
222名無しさん@ピンキー:2008/05/13(火) 21:22:31 ID:icwntSAD
イクピルとシンビ、親子並みの年の差だけど
どっちも生真面目で色恋には疎い二人が…って結構萌えます
次も期待
223名無しさん@ピンキー:2008/05/17(土) 18:29:33 ID:GmNsvzx6
誰かどの夫婦でもいいから夫婦エロ書いて
224名無しさん@ピンキー:2008/05/17(土) 20:56:28 ID:hgMeCNdj
ヨンシン女官長とオ・ギョモは怪しいと思う
225名無しさん@ピンキー:2008/05/31(土) 01:53:25 ID:tQvhEkpr
保守
226見習尚宮:2008/06/07(土) 22:08:38 ID:uWtQJ6sW
以前投下した、「済州島日記〔1〕」の続編です。
3回ぐらいに分けて投下させていただきます。
・原作改変 
・エロ有

【 済州島日記〔2〕 】
1
「チャンドク様、ただいま戻りました」
使いに出ていたチャングムが薬房に帰ってきた。ハン尚宮とチャングムが済州島に流刑に
なってから既に二年余の年月が経とうとしていた。ハン尚宮は済州牧使の屋敷で使用人として
勤めを果たしており、チャングムはチャンドクの下で医女の修行を続けていた。自身も非常に優れた
医女であるチャンドクは、チャングムの非凡な才能を見抜き、医女になって宮中へ戻るという
チャングムの願いを叶えさせようと厳しい修練を課したが、チャングムはひたむきに努力して
実力を蓄えていった。そんなチャングムを、想い慕う気持ちを押さえきれなかったミン・ジョンホは、
宮中の職を投げ打って済州島に追いかけて来ると、陰になり日向となって彼女を見守っていた。
薬房の中では、ハン尚宮と同じ屋敷で働くチャヒョンがチャンドクと話していたが、
患者もいなくて暇だったのか、チャンドクはチャヒョンの噂話に付き合ってやっていた。
チャヒョンは中に入って来たチャングムを目迎えながら、夢中になって話し続けていた。

「それでね、ドンジュン様は絶対にペギョンさんのことがお好きだと思うのよね。だって、
私にあれこれペギョンさんの事をお尋ねになるんですもの。でもペギョンさんは迷惑そうで、
私がその話をするとどこかへ行ってしまうのよ。こんないい話はないのに。ドンジュン様は
男前だし、お人柄も良いお方だから、女だったら好かれて悪い気なんてしないわ。
私だったら喜んでお側にいるっていうのに」
「ドンジュン様にも好みがあると思うけど」 チャンドクが茶々を入れる。
「チャンドクさんたら失礼ね。そりゃあペギョンさんは私と違って美人で品があるからね。
チャングム。あんたもペギョンさんが立派な方と幸せになってくれたら嬉しいだろ?」
「全くチャヒョンさんは、話が飛躍しすぎてついていけないわ」 チャンドクは呆れて肩を
すくめた。チャングムは、いきなりそんな話をされても訳がわからず戸惑ったが、ハン尚宮に
何かあったのだろうかと気になった。胸の奥がざわざわと波立つのを感じながら、
思い切ってチャヒョンに尋ねた。
「ドンジュン様とは、どのようなお方ですか……」

チャン・ドンジュンは済州水軍の上官で昨年漢陽から着任した。元は宮中の武官で、人柄も
仕事ぶりも申し分なく将来を嘱望されていたが、妻を流行り病で亡くしてからというもの
宮中での生活に虚しさを感じて、自ら済州島での勤務を願い出た。十歳になる息子と二人で
暮らしていたが、男所帯で食事の支度などの家事もままならなかったため、牧使が自分の屋敷の
使用人を交代で寄越しては、世話をさせていた。従ってハン尚宮も、当番の時はドンジュンの
屋敷で食事を作り、雑用をこなしていたのである。ドンジュンはハン尚宮が用意する食事の
美味しさに感嘆し、口数こそ少ないが細やかな心配りをしてくれることに感謝していた。
そして何よりその美しさと気品がある佇まいに、次第に心惹かれていきハン尚宮が訪ねて来る日が
待ち遠しかった。彼女のことをもっと知りたいと思って、チャヒョンにあれこれ尋ねていたのだが、
勘の鋭いチャヒョンはドンジュンがハン尚宮に好意を持っていると察した。
チャヒョンにからかわれたり、他の使用人の間でも噂になっているのが鬱陶しかったハン尚宮は、
新しく入った使用人に料理を教えることを口実に、ドンジュンの屋敷を訪ねる当番から外してもらった。



227見習尚宮:2008/06/07(土) 22:18:25 ID:uWtQJ6sW
2
チャヒョンが帰った後、考え込んでいたチャングムにチャンドクが声を掛けた。
「お前に良い知らせがあるの。三ヵ月後に医女試験が行なわれるそうよ。この試験に受かって、
更に修練所で優秀な成績を修めれば宮中に配属される。お前の願いに一歩近づくわ」
「三ヶ月後ですか……」
もっと喜ぶかと思っていたチャンドクは、チャングムの意外な反応にやや戸惑った。
「どうしたの?お前のお母様やペギョンさんを貶めた者達に復讐ができるじゃない」

チャングムは曖昧に返事をした。奴婢に落とされ済州島に流刑にされた時、
必ずや宮中に戻って母やハン尚宮様、そして自分を罠にかけたチェ一族に仕返しをすると誓ったはずだ。
だから宮中の医女になることに希望を見出し、チャンドク様の厳しい指導にも耐えられたのではなかったか。
しかし医女試験に受かったら、ハン尚宮様を一人この島に残して行かなければならない。
自分は尚宮様をお守りしたいのに、離れ離れになるのは耐えられない。ここでチャンドク様の手伝いをしながら、
島の人と生きていくのも人生ではないか。復讐は遂げられなくとも、ハン尚宮様のお側にいて支えになれるのだから、
母もきっと許してくれるのではないか。時が来て宮中での権力争いの風向きが変われば、無実が証明され
身分が回復される日が来るかもしれない。
チャングムはそう考えたが、チャンドクに自分の気持ちを話すことはできなかった。

数日後、使いから帰ってきたチャングムを薬房の近くで待っていたハン尚宮が呼び止めた。
「チャングム」
「ハン尚宮様。どうかなさったのですか」 チャングムが嬉しそうに走り寄ってきた。
「お前と話をしたいと思ってね」 ハン尚宮はチャングムを木の陰に誘った。
「チャンドクさんから聞いたのだけれど、三ヵ月後に医女試験があるのに、
お前は受けると言わなかったそうね。お前の実力なら自信を持って
受けられるはずだと仰っていたわ。医女になって、宮中へ戻ると
あれほど言っていたお前がどうして?一体何があったの」

チャングムは一瞬俯いたが、すぐに顔を上げてハン尚宮に答えた。
「尚宮様。医女試験に合格したら、私は尚宮様のお側を離れなければなりません。
私はチョン尚宮様に、何があってもハン尚宮様をお守りすると約束したのです。
私の手で、母や尚宮様の名誉を回復して差し上げられないのは申し訳ないのですが、
きっと母もわかってくれると思います。
それに尚宮様、牢屋で私が言った言葉を覚えていらっしゃいますか?
私は母に出来なかったことを、これから全て尚宮様にして差し上げたいのです。
誰にも邪魔されないこの島で……」
チャングムは言い終わると、甘えるようにハン尚宮に身体を寄せた。
ドンジュンという武官のことが一瞬頭をよぎったのだが、
ほんの噂にすぎないのだからと言い聞かせた。
ハン尚宮はチャングムを抱き締めてやりながら、こんなにも自分を想ってくれる
チャングムが愛しくてたまらなかったが、この愛しい子が自分を越えて、
新しい道を歩んでいかなければならないことを誰よりもよくわかっていた。


228見習尚宮:2008/06/07(土) 22:28:48 ID:uWtQJ6sW
3
ハン尚宮が考え込みながら屋敷へ帰る途中、男に名前を呼ばれたので振り向いたら、ドン
ジュンが立っていた。ハン尚宮の顔が一瞬強張ったが、悟られないように黙って頭を下げ挨拶
した。
「こんな時間にどうなさったのですか」
「奥様のお具合が悪いので、薬房に薬を買いに参りました」
「薄暗い道を女性が一人で歩くのは物騒ですから、屋敷までお送りしましょう」
ドンジュンの申し出にハン尚宮は困惑して断ったのだが、頑として送ると聞かないので根負けし、
少し距離を置きながら、無言で屋敷に向かって歩き始めるとドンジュンが話し掛けてきた。
「最近、家に来て下さらないのですね」
「屋敷での仕事が増えたものですから、申し訳ありません」
「私もですが、息子もあなたの料理が食べられなくなり寂しがっています」
「私のような者に、そのように仰っていただきありがとうございます。今度何か
作って差し上げて、チャヒョンさんにでも届けてもらいますから」
「私はペギョンさんに来ていただきたいのです」 ドンジュンは、思わずハン尚宮の手を取って言った。
驚いたハン尚宮は、手を振りほどくと挨拶もそこそこに、逃げるように走り去った。
男に手を握られることなど初めてとはいえ、毅然とした態度を取れずに、動揺してしまった
自分が情けなく思えた。
その後ろ姿を見送りながらドンジュンは、これまで王の女として生きてきた、無垢な少女の
ように慎ましやかな人への想いが一層募るのであった。

それから数週間たち、チャンドクは相変わらず何も言わないチャングムに気を揉みつつも、
きっと何か思うところがあるのだろうと問い正したりはせず、今まで通りに修業を続けさせ
ていた。チャングムもチャンドクに申し訳なく思う気持ちがあるのだが、さりとて試験を
受ける気にもならず悩んでいた。気分転換でもしようと海辺にやって来て、寄せては返す波を
見つめていたら、そこへ丁度仕事を終えたミン・ジョンホが通りかかった。

「チャングムさん、深刻な顔をして一体どうしたのですか? 役所で耳にしたのですが、
医女試験があるそうですね。チャングムさんなら大丈夫、絶対合格します。修練所に入る頃には、
私も都に戻りお力になるつもりです」
「私は試験を受けるつもりはありません」 チャングムの返事にミン・ジョンホは驚いた。
「医女になって宮中に戻り、母上やハン尚宮殿の復讐をすると言っていたではありませんか。
その志はどうしたのですか」
「立ちはだかる山が、あまりにも高すぎて越えられるか不安です。それにハン尚宮様を島に
残して私だけ行くことはできません」
「ハン尚宮殿だって、チャングムさんが宮中に戻ることを誰よりも望まれているでしょう」
「そうかもしれませんが私にはできません。尚宮様は、私の命を救うために有りもしない罪を
背負われ、それは酷い責めを受けられました。お身体だけでなく、誇りもどれだけ傷ついたことか。
済州島への船着場まで歩けないぐらい衰弱され、背負った私の背中で母が亡くなった時のように、
遠のく意識の中で何度も私の名を呼ばれました。私はもうあのような思いを二度としたくはありません。
尚宮様のお側にいて、離れることなく生きていきたいのです」
涙を流して語るチャングムに、ミン・ジョンホは掛けるべき言葉が見つからず、
そして目の前に居ながらもチャングムの瞳に自分は映っていないのかと、一抹の寂しさを覚えたのであった。








229済州島日記〔2〕:2008/06/07(土) 22:39:11 ID:uWtQJ6sW
4.
ハン尚宮は折を見て薬房に立ち寄っては、チャングムを説得しようとしたのだが、泣かれたり、そんなに自分と離れたいのかと強く反論されたりして取りつくしまがなかった。
「苦戦していらっしゃるようですね」 往診から戻って来たチャンドクが声を掛けた。
「はい。あの子は子どもの頃から頑固なところがありまして」 
ハン尚宮は思わず嘆息をつきながら答えた。
「誰かに言われたからではなく、自分から立ち上がって歩き出さなければ。どんなに才能が
あってもこの先の道は険しくて、特に女官だったあの子には辛いことも多いでしょう」

ハン尚宮とチャンドク。 
― チャングムの二人の師匠が弟子を思う心は、共に深いものであった。

ある日ハン尚宮が庭で洗濯をしていると、ドンジュンが厳しい顔をして母屋から出て来た。
すぐ側にいたのにも関わらず気づかなかったようで、ハン尚宮に挨拶もせずそのまま屋敷から
出て行った。牧使様に呼ばれたのだろうか?ハン尚宮はやや訝しく思った。次の日の朝、
ハン尚宮は牧使の妻から、ドンジュンの屋敷で食事の支度をしてくるように言い付けられた。
手を振り切って帰ったこともあって、あまり気が進まなかったが、料理で詫びの気持ちを伝え
ようと、ハン尚宮はドンジュンの屋敷へ赴くと黙々と、しかし精一杯心を込めて料理を作った。
並んだ料理を、ドンジュンや息子が嬉しそうに平らげるのを見ると、ハン尚宮の心も
ふと温かくなった。後片付けが終り、息子が外に遊びに行ってしまったので、ハン尚宮も
身支度を整えてそろそろ帰ろうとした時、ドンジュンが厨房に入って来た。

「ペギョンさん。先日は無礼な真似をして申し訳ありませんでした」
「いいえ。私の方こそ驚いたとはいえ、ご挨拶もせずに失礼して大変申し訳ありません」
「今日はどうしてもあなたに来て頂きたくて、牧使様に無理矢理お願いしてしまいました。
実は先日役所から辞令が出まして、私は明国に赴任することになりました。任期は三年、
いやそれ以上になるかもしれません。息子には苦労をかけてしまいますが、幼い頃から色々な
土地を知るのもきっと良い経験になると思っています。しかし…… 一つだけ心残りがあるのです」
牧使の屋敷から厳しい顔で出て来たのは、明国への辞令が出たからだったのかとハン尚宮は合点がいった。

「ペギョンさん。私と一緒に来ていただけませんか」ドンジュンが真剣な眼差しで告げた。
思いもよらぬ言葉にハン尚宮は驚いて、返す言葉がすぐには見つからなかった。
「牧使様のお許しも得ました。官婢の身であるあなたを、正式な妻に迎えられないのは大変
心苦しいのですが、そんな事は世の中の形式的なことにすぎません。ご存知の通り私は妻を
亡くした身です。しかし、あなたと新しい地で新しい人生を始めたいのです。私の一生を賭けて
お守りすることを誓いますので、これからはどうか私と一緒に生きて下さい」

突然のドンジュンの告白に驚いたハン尚宮ではあったが、気を取り直すと静かに答えた。
「私のような料理しか取柄がない女に、そのようなことを言っていただいて感謝の言葉が
見つかりません。有り難くて申し訳ないぐらいです。しかし私はここを離れることはできません。
やらなくてはいけないことがあるのです。ドンジュン様のような、素晴らしいお方に
出会えたことは一生忘れません」
「ペギョンさん。島を離れる日まで、私は諦めずにあなたを待ち続けます」
ハン尚宮は無言で頭を下げると屋敷を後にした。ドンジュンの気持ちに応えることはできない。
自分の心の中にはチャングムが住んでいるのだから……









230済州島日記〔2〕:2008/06/07(土) 22:46:32 ID:uWtQJ6sW
5
ある晩のこと、寝付けないまま、何度も寝返りを打つハン尚宮に気づいたチャヒョンは、
きっとチャングムの事で悩んでいるのだろうと、気の毒に思った。

「ペギョンさんも大変だね。でもあなたは幸せ者だよ。チャングムはいつもあなたのこと
ばかり心配していて、実の娘でもそこまでできないよ。この島に来た時もあなたの身体が
気がかりだから、くれぐれも無理をさせないでくれと頼まれてね。いじらしい子じゃないの。
そこまで大事に思うあなたと、離れろという方が無理かもしれないね……」

チャヒョンの言葉はハン尚宮の胸に深く染み入ったが、同時に静かに切り裂かれるような
痛みも覚えた。私はチャングムに何をしてやれるのだろう……。一睡も出来ぬまま寝床を
抜けると、夜明けの海辺に立って、ハン尚宮は空の上のミョンイに語りかけた。

「チャングムを私に遣わせてくれて本当にありがとう。あなたを失ってから、自分の殻に閉じ
こもって生きてきた私に宝物を授けてくれた。あの子と過ごしてきた日々は、どんな宝石
よりも輝いているわ。師匠として導いてきたつもりだったけれど、実は私の方があの子に甘えて
頼ってきたのね。今だって、あの子に医女試験を受けて宮中に戻って欲しいのだけれど、
心のどこかにこのまま私と離れずに、この島で一緒に居て欲しいと願う自分がいるの。
ミョンイ、私はどうすればいいの? 私のことを心から慕ってくれるあの子が愛しくて
たまらない。でも本当にあの子が好きで、大切に想うなら前へ進ませてやらなければ
ならないのよね。あの子を私から自由にしてあげなければいけないのよね。ミョンイ…… 」

ハン尚宮は打ち寄せる波をじっと見つめながら、一つの決意をした。


(続く)
231名無しさん@ピンキー:2008/06/07(土) 23:40:23 ID:X4rycsrx
ヤターーー!
待ってたヨ、済州島日記2www
232名無しさん@ピンキー:2008/06/08(日) 00:38:39 ID:fIOtrU+K
おお、良いところで(続く) とは……。
233名無しさん@ピンキー:2008/06/08(日) 12:10:41 ID:Jsw5hte4
エロいのマダァ?(・∀・ )っ/凵チンチン
234名無しさん@ピンキー:2008/06/09(月) 21:00:13 ID:ErW0l2ZI
正直エロなしでもいいので早く続き読ませてけらっしゃい
235名無しさん@ピンキー:2008/06/09(月) 21:08:58 ID:M8WrBnGF
見習尚宮たんの放置プレイ中。
236名無しさん@ピンキー:2008/06/10(火) 23:08:13 ID:X1sEx63q
スレ乱立保守
237済州島日記〔2〕:2008/06/11(水) 00:55:57 ID:aSoFdImE
6
ハン尚宮が、明国への赴任が決まったドンジュンについて行くと、チャンドクから
聞かされた時、チャングムの頭の中は真っ白になり、身体の震えが止まらなかった。
当然知っているとばかり思っていたチャンドクは驚いたのだが、チャングムにすぐ
には話しにくかったのかもしれないと、ハン尚宮の心中を慮った。チャングムは薬
房を飛び出し、牧使の屋敷に向かうと、居合わせたチャヒョンにハン尚宮を呼んで
くれるように頼んだ。ハン尚宮がゆっくりとチャングムに向かって歩いて来た。

「尚宮様。明国に行かれるというのは本当ですか? きっと何かの間違いですよね」
「いいえ、本当よ。私はドンジュン様と明国に行くことにした」
「どうして、どうしてですか? 噂は本当だったのですか?だから私に医女試験を受
けて島を出ろと仰るのですか」
「お前には関係のないことよ」
「私のことなどはお忘れになって、ドンジュン様を選ばれるのですか」
「話が済んだのだったら、私は仕事があるので戻るわ。お前も薬房に帰りなさい」
ハン尚宮は踵を返して歩き始めたが、背中越しにチャングムの嗚咽が聞こえて胸が
張り裂けそうだった。泣きながら走り去っていくチャングムの足音が消えた時、
ハン尚宮は溢れる涙を拭おうともせずに、その場にしゃがみ込んでしまった。

ハン尚宮に裏切られたような恨めしく思う気持ちと、離れ離れになってしまう寂し
さで、チャングムの心は砕けてしまっていた。誰に聞いてもドンジュンを悪く言う
者はいないのだが、実際はどうだかわかるものではない。武官という地位を振りか
ざして、抵抗できないハン尚宮を、無理に連れて行こうとしているのではないかと
信じようとさえした。自分の目で彼がどのような人物か確かめて、場合によっては
ミン・ジョンホに頼んで、ドンジュンを告発することも辞さないと覚悟を決めた。

ある日使いの帰り、回り道をしてドンジュンの屋敷に寄ると、開いていた門から
そっと入って、中を伺うチャングムの胸は緊張で高鳴っていた。子ども達の元気な声
が聞こえてきたので、誘われるように先に進むと庭へと続いていた。
そこには楽しそうに子ども達と相撲を取るドンジュンの姿があった。わざと投げられて、
おどけた仕草をすると子ども達が大喜びし、それを優しい笑顔で見守っていた。その
笑顔に幼い頃別れた父の優しい笑顔が重なり、懐かしいような切ない気分になった。
この人は権力を楯にするような人ではないと、チャングムにはすぐわかった。そしてこの人
なら、ハン尚宮を大切にしてずっと守ってくれるだろうと思った。自分もハン尚宮を慕い、
守りたいと思っていたが、現実は奴婢の自分には何も出来ないのだ。本当にハン尚宮の
幸せを願うなら、身を切られるように辛いことだが、ドンジュンとこの島から送り出して
あげなければと自分に言い聞かせた。チャングムは声をかけずに、静かに屋敷を後にした。

ハン尚宮とドンジュンが一糸纏わぬ姿で見つめ合っている。やがてドンジュンの逞
しい身体がハン尚宮を組み敷いていくと、そのまま二人の身体は絡み合い、ハン尚
宮のすすり泣くような声が聞こえてきた。ハン尚宮の両膝を割って脚を開かせると、
ドンジュンはその白く美しい身体に自らをゆっくりと沈めていった。眉根を寄せ、
小さく呻きながらドンジュンを迎え入れたハン尚宮は、自分の中でドンジュンが動
き出すと堪え切れずに声を洩らしてしまう。ハン尚宮の艶めかしい声に我慢できな
くなったのか、ドンジュンが息を弾ませながら身体を打ちつけると、あまりの激し
さにハン尚宮はもう止めて欲しいと懇願するのだが、言葉とは裏腹に顔は次第に
紅潮し、快感に震える女の表情になっていった。

「尚宮様!」 チャングムは寝床から飛び起きた。全身が汗でびっしょりだった。
今のは夢だったのか。淫らな夢を見てしまった。しかし夢の通りハン尚宮は、
もうすぐ自分の手の届かぬ人になってしまうのだ。あの優しい笑顔の向こうには
ドンジュンが居て、美しい身体は彼に捧げられるのだ。その夜チャングムは、
生まれて初めて知る嫉妬という感情に苛まれながら、声を殺して泣き続けた。


238済州島日記〔2〕:2008/06/11(水) 01:00:24 ID:aSoFdImE
7
癒やすことの出来ない悲しみを少しでも忘れようと、以来チャングムは毎日医術の
修業に没頭した。そんなチャングムに声を掛けてやることも出来ず、ハン尚宮は
薬房の物陰からそっと見守っていた。
「チャングム。愛しい子。おまえならきっと乗り越えてくれると信じているわ……」
涙を拭いて帰ろうとしたその時に、丁度薬房から出て来たチャンドクと目が合った
ので、ハン尚宮が深々と頭を下げると、チャンドクも頭を下げながら寄って来た。

「この度はよく決心されましたね。チャングムは二、三日塞ぎ込んでいましたが、
少しずつ受け入れようと努力しているようです。母のように想い慕っていたあなたと
離れるのですから、辛いのは私にもよくわかります。でも……」 
チャンドクは言いにくそうに口ごもった。
「こんなことを言ったら気を悪くなさるかもしれませんが、本当にこれでよかったの
ですか?正直に言うと、私には無理をなさっているように思えるのです」

「私はチャングムを自由に羽ばたかせてやりたいのです。あの子の母親や私の復讐と
いうことに縛られることなく、医術の道を究めて欲しいのです。この私にはもう何も
してやることができません。あの子の足手纏いになるばかりです。
チャンドクさん、あなたは信頼できるお方です。どうかチャングムが才能を伸ばせ
るようにお導き下さい。くれぐれも宜しくお願いいたします」

「ですが、ご自分の気持ちを偽ってまで一緒に居てもお辛いだけでしょう」
「若い人のように燃え上がる情熱はなくても、一緒に暮らしながら時間をかけて
育まれる感情もあると思います。それでいいのです」

そう言ってハン尚宮は微笑んだが、その目は泣いていた。
チャンドクもそれ以上何も言えずに、ハン尚宮の気持ちを尊重することにした。


239済州島日記〔2〕:2008/06/11(水) 01:08:01 ID:aSoFdImE
8
ハン尚宮がドンジュンの屋敷に来て、荷物をまとめるのを手伝っていた。ドンジュンは
時折、眩しそうにハン尚宮を見つめるが、ハン尚宮は視線を避けるように黙々と
作業をしていた。
「ペギョンさん。出発が早まったおかげで、慌しくなって申し訳ありません」
「私には大して持って行く物もありませんし、ご心配なさらないで下さい」
「決心して下さって本当に嬉しく思います。あなたを一生大切にしますから」
ドンジュンは愛おしそうにハン尚宮を抱き寄せた。ハン尚宮は一瞬身を硬くしたが、
諦めてドンジュンの胸に抱かれていた。だがその心の中は虚ろであることを、
ドンジュンが知る由もなかった。

数日がたち、牧使夫妻の計らいでドンジュンとハン尚宮の為に、親しい人々を集めた
内輪だけの宴会が催された。チャングムもチャンドクと共に招待されていたのだが、
急に産気づいた妊婦の診察に出かけたチャンドクに付いて行き、自分だけで大丈夫
だというチャンドクの言葉に従わず、結局宴会には出なかった。自分にとっては、
ハン尚宮との別れを改めて突き付けられる場に、少しの間でも身を置く事など
到底耐えられないと思ったからだ。
「尚宮様、どうかいつまでもお幸せに……」 チャングムは心の中でそっと祈った。

その夜チャヒョンが薬房にやって来ると、チャングムは裏の小屋で薬草を煎じて
いるところだった。
「チャングム、今日は来られなくて残念だったね。ペギョンさんはそれはもう綺麗
だったよ。あんたにも見せてあげたかったよ」
「ペギョン様はいつでもお美しい方ですもの。今度改めてご挨拶に伺います」
「それがね…… ペギョンさんには固く口止めされていたんだけど、明朝にお二人は
明国へ出発なさるそうだ。あんたには絶対黙っていてくれと頼まれたけど、何も
知らないのは、幾ら何でも可哀想すぎるから教えに来たんだよ」
「明日の朝ですって?お別れも言えぬまま、そんな急に出発なさるなんて薄情です。
まだお屋敷にはいらっしゃるのですか」
「もう出てしまったよ。今夜は船着場の近くの宿に泊まって、明け方一番の船に乗る
らしい。出発した後に、この手紙をあんたに渡してくれと頼まれたよ」 
チャヒョンが懐から手紙を取り出した。
「あんたも辛いと思うし私も寂しいけど、一緒にペギョンさんの幸せを祈ってあげよう
じゃないか」
チャングムに手紙を渡すと、ほっとしたようにチャヒョンは帰って行った。
呆然としたチャングムは、震える手で手紙を開けると、食い入るように読み始めた。







240済州島日記〔2〕:2008/06/11(水) 01:18:47 ID:aSoFdImE
9
「チャングムへ
お前の顔を見たら辛くて話せなくなってしまうので、手紙を書くことにしました。
このような道を選択した私をお前は恨んでいるかもしれない。でも、お前ならきっと
わかってくれると信じている。親友だったお前のお母様を失ってから、私は人を
信じることができなくなり、親友を見殺しにした自分の勇気のなさを責める毎日だった。
しかしミョンイは、私にお前という素晴らしい贈り物を遣してくれた。お前と
過ごした日々は、楽しい時も辛い時もあったけれど、私にとっては本当に大切な
宝物のように思える。今になって振り返ってみれば、私がお前に助けてもらい、
支えてもらっていたことがどれほど多かったことか。私はお前に頼り甘えていたのね。
それなのに今の私には、お前に何もしてあげることができない。だからもう私の心配は
せずに自由に羽ばたいて、お前自身の人生を歩みなさい。お前はどんな状況にあっても
決して諦めず、いつも前を向いて進んでいけるのだから。
チャングム、どこにいてもお前を想っていることを忘れないで。私の心はお前に置いて行くわ。
お互い生きてさえいればきっとまた会える。どんなに辛いことがあっても生き抜くと約束して
おくれ。
                               

                                     愛しい子へ」

ハン尚宮の溢れる想いが込められた手紙を胸に押し抱いて、チャングムは泣き崩れた。
ハン尚宮と過ごした日々が頭の中を駆け巡り、会いたいと思う気持ちを押さえ
られぬまま泣き続けた。しばらくするとチャングムは立ち上がり、何かを心に
秘めて薬房から出て行った。

ミン・ジョンホの屋敷にやって来たチャングムが、屋敷の門で主への目通りを願うと
しばらく待たされた後にミン・ジョンホが驚いたような面持ちで現れた。
「チョンホ様。夜更けだというのにお邪魔して大変申し訳ありません」
「チャングムさんにはいつも驚かされますが、今度はどうなさったのですか」
「あの…… 馬を出していただきたくてお願いに上がりました」
「こんな時間にどこへ行くと言うのですか?」 
ミン・ジョンホの問いにチャングムは無言のままだった。
「余計な詮索は止めましょう。すぐに馬を連れて来ますので、ここでお待ち下さい」
頭を下げるチャングムを残して、ミン・ジョンホは馬小屋へ急いだ。一体何があった
のだろうか。明国へ行ってしまうハン尚宮殿との別れは辛いだろう。その代わり、
これからは自分がチャングムさんの支えになってあげなければ。ミン・ジョンホは
馬を連れてチャングムの待つ場所へと戻り、チャングムを先に馬に乗せてやると
自分も乗った。手を腰に回して、しっかりと自分にしがみつくチャングムの身体の
柔らかさと温かさに、ミン・ジョンホの心臓は高鳴ったが、そうとは悟られないように
手綱を引くと馬を走らせた。

「チョンホ様。お休みの所に無理なお願いをして、本当に申し訳ありませんでした」
「チャングムさんのお願いならどんなに無理なことでも聞きますよ。それに、私を
頼って来て下さってとても嬉しかったです。さぁ、どこへ行きましょうか」
「あの…… 船着場の方に行きたいのですが……」
「チャンドク殿にひどく叱られたのですか?そういう時は、海辺で夜風に吹かれるのも
気持ちが良いかもしれません。では散歩に出かけるとしましょう」




241済州島日記〔2〕:2008/06/11(水) 01:27:41 ID:aSoFdImE
10
その頃、ドンジュンとハン尚宮は宿で明朝の出発の支度を整えていた。ドンジュン
が、眠ってしまった息子を抱えて隣りの部屋に行ってしまうと、ハン尚宮は窓辺に
座って静かに海を見つめていた。
「チャングム……」 ハン尚宮は心の中でそっと呟いて、想いを馳せていた。
隣室から自分が戻っても、ハン尚宮は全く気付かぬ様子で海を見つめていたので、
ドンジュンは声を掛けるのを憚られてその場に立ち尽くしていた。代わりに心の中で
ハン尚宮に語り掛けた。

ペギョンさん、どうしてそのような悲しい目をしているのですか?思えば一度も私
を正面から見つめてくれたことはなかったかもしれません。それはあなたの控えめ
な性格が故のことと思っていましたが、違うのですか?王の女としての忠義のため
ですか?それとも心を残してきた人がいるというのですか……
部屋に戻ったドンジュンが、自分を見つめているのにようやく気付くと、
ハン尚宮は慌てて立ち上がった。

「ドンジュン様。何かお飲みになられますか?今すぐ頼んで参ります」 
ハン尚宮は部屋を出て行くそぶりをした。
「いいえ。何も要りませんからここに居て下さい」 
ドンジュンはそう答えると、背後からハン尚宮を強く抱き締めた。
「何故だか、このままあなたが戻って来ない気がするのです」
「そんなことはありません。一体どうなさったのですか」
ドンジュンは何も答えずハン尚宮を抱き締めたままでいたが、襟元からのぞく白い
うなじに、どうしようもなく情欲をかき立てられた。今までどんなに触れたいのを
我慢していたことか。とうとう自分を受け入れることを承諾してくれたのだ。
ハン尚宮を、半ば強引に引き摺るように布団に連れて行くと、そのまま倒れ込んだ。
ハン尚宮は固く目を閉じて抵抗もせず、もはや観念したかのように身を任せて
いたのだが、心の中でチャングムに詫びていた。
「チャングム、私を許しておくれ。心まで差し上げることは出来ないから……」

「ペギョンさん。乱暴な振舞をして申し訳ありません。しかしこの時をどんなに待ち
望んだことか……」
ドンジュンはハン尚宮の着物の襟元を緩め、白い肌が露になるとその美しさに目を
奪われた。この美しい身体を自分に委ねてくれたのだ。ドンジュンは天にも昇る
気持ちになった。
「ドンジュン様。灯りを消していただけませんか……」
「あなたの全てを見たいのです」
枕元の灯りに手を伸ばしたハン尚宮の手を押さえつけると、ドンジュンは首筋から
鎖骨にかけて唇を押しつけてきた。チャングムの柔らかな身体とは違う、固く締まった
身体に圧し掛かられながら、ハン尚宮は感情のない人形のように横たわり、
嵐が過ぎ去るのをひたすら待っていた。しかしドンジュンが、上着をはだけさせて
胸に顔を埋めようとした時である。

「お止めください」 
ハン尚宮は思わず叫ぶと強い力で彼を押しのけ、その身体から逃れると部屋の隅に
背中を向けて座り込んだ。
「申し訳ありません。今夜はご容赦下さい」
ハン尚宮はドンジュンに背を向けたまま詫びた。二人の間には暫く沈黙が流れていた。

(続く)





242名無しさん@ピンキー:2008/06/11(水) 17:20:13 ID:8Jk7r9HD
(,,・∀・,,) wktk
243sage:2008/06/13(金) 20:25:06 ID:ZKkwrkhn
ハン尚宮様〜〜〜〜
244名無しさん@ピンキー:2008/06/13(金) 21:50:59 ID:tJxWnB8B
ハン尚宮ってさー、むかし男に犯されかけたことあったよな〜
そのトラウマできっと、男に触られただけでも震えてしまったりするんだろう
耐える姿もかわいいなww
245済州島日記〔2〕:2008/06/16(月) 23:15:53 ID:nPE7u6iK
11
ミン・ジョンホは海岸に沿って馬を走らせていた。チャングムの温もりを背中に感じ
このまま夜が明けずにこの幸せが続けばいいのにとさえ思ったが、船着場が見えて
きたところでチャングムに声を掛けた。
「もうすぐ船着場ですが、夜の散歩もこれくらいにして、チャンドク殿が心配されると
いけませんから、そろそろ薬房に戻りましょう」
「チョンホ様。船着場の近くの宿屋に連れて行って下さいませんか」
ミン・ジョンホはとても驚いて、危うく馬から落ちるところだった。

「チャ、チャングムさん。そ、それはいけません。いくら何でもまだ早すぎます。
ろくに手も握ったことがないのに、い、いけません」 
ミン・ジョンホは焦る余り、冷静さを欠いて言葉がしどろもどろになっていた。
「チョンホ様にご迷惑はお掛けいたしません。ですからお願いします」
ミン・ジョンホは完全に誤解しているのだが、思い詰めたチャングムはそんなこと
には全く気付かず、とにかく一刻も早くハン尚宮に会いたかったのだ。決意が固そうな
チャングムの様子を見て、ミン・ジョンホは二人の思いを遂げられるなら、
たとえこの後どのような罰を受けることになっても、男としてチャングムを守り抜こうと
腹を決めて、宿屋へと馬を急がせた。

落ち着きを取り戻したドンジュンが、ハン尚宮に優しく声を掛けた。
「ペギョンさん。安心して下さい。あなたの気持ちの整理がつくまで、指一本触れずに
待つと約束します。明日の出発は早いですから、こちらに来てもう休みましょう。
気になるというなら、私は隣りの部屋で息子と寝ても構いません」
力ずくで征服されても文句は言えないのに、そんなドンジュンの思いやりに
彼を信じてせめて隣りで休むぐらいはしようと、ハン尚宮は立ち上がった。

宿屋に到着すると、ミン・ジョンホは先ず自分が馬から降りて、チャングムを用心
深く降ろした。ミン・ジョンホの手は震えていたのだが、ハン尚宮のことで頭が一杯の
チャングムは、ミン・ジョンホの心の動揺には全く気付いていなかった。
「チョンホ様。本当にありがとうございました。このご恩は決して忘れません」
そう言うとチャングムは、深々と頭を下げて一人で宿屋の中に急いで入って行ってしまった。

「チャングムさん」
走り去る背中に呼びかけたまま、後に一人残されたミン・ジョンホは、全く訳がわからず
呆然としていた。自分はどうやら誤解していたようだが、これからどうすればいいのだろうか?
チャングムはなぜここに来たかったのだろうか?ミン・ジョンホは混乱していたが、
とりあえずチャングムが出て来るのを待とうと、仕方なく馬の側に腰を下ろした。






246済州島日記〔2〕:2008/06/17(火) 00:23:03 ID:+3fOxOWo
12
ハン尚宮が立ち上がった時、誰かが廊下を走って来る音がしたかと思うと、部屋の前から聞こえてきた声に驚いた。
ハン尚宮は信じられない思いで耳を疑った。
「失礼いたします」 
障子を開けたのはチャングムであった。
チャングムは部屋に入ると、驚いて目を見張るハン尚宮の腕を取った。
「ドンジュン様。大変申し訳ありません。私にはこうするしか方法がありません」
チャングムはドンジュンに詫びると、ハン尚宮を連れて部屋から出て行った。
ドンジュンは二人を追おうとはしなかった。チャングムは宿屋の裏口から出て行くと、
無言でハン尚宮の腕を掴んだまま、小走りで海岸沿いを進んだ。誰も追って来ないことを確認すると、
チャングムは歩みを遅くし、掴んだ腕を離すと今度はしっかりとハン尚宮の手を握り締めた。
だが相変わらず無言のままで二人は歩いていた。

チャングムがどこに行こうとしているのか、皆目見当がつかないハン尚宮だったが、
不思議と心は落ち着いていた。夜空には満天の星が輝いており、見上げたハン尚宮は
まるでチャングムの瞳のようだと思った。初めて出会った時は、紅葉のように小さな手をした
子どもだったのに、立派に成長して私を支えてくれる愛しい子。ハン尚宮は一人、思いを巡らせていた。
手を繋いだままどのくらいの時間歩いただろうか。チャングムが浜辺に向かって下りると、
そこには小さな洞窟があり、ハン尚宮を連れて中に入った。

「尚宮様。ここは私がよく一人で勉強する洞窟です」 
チャングムがようやく口を開いた。
手早く流木を並べて火を起こすと、ハン尚宮を座らせて自分も側に腰を下ろした。
歩いている時は暗くて良く見えなかったのだが、火に照らされたハン尚宮の姿は
薄く化粧を施し上等な絹の着物を着てとても美しかった。チャングムは見惚れると同時に、
自分がハン尚宮の人生を壊してしまったのではないかという、猛烈な自責の念に襲われた。
247済州島日記〔2〕:2008/06/17(火) 00:29:12 ID:+3fOxOWo
13
「尚宮様には大変申し訳ないことをいたしました。ご挨拶だけして帰るつもりが、
お姿を見たら自分を抑えられなくなって……。どんな罰でも受けますので、
どうかお許し下さい」

「いいえ、罰を受けるのは私よ。お前とドンジュン様を傷つけてしまったのだから。
でも心のどこかで、お前が来てくれるのを待っていたのかもしれない……」
「尚宮様は薄情なお方です。全部ご自分で背負われて、私に黙って行こうとなさるなんて」
「チャングム、許しておくれ。お前は私のこの世でたった一つの大切な宝物なの」
ハン尚宮は、大粒の涙をこぼしながら泣いているチャングムを、自分の胸に優しく抱き寄せた。
「尚宮様。私は自分の愚かさがいやになります。いつまでも尚宮様を困らせてばかりいて……」

愚かだからこそ愛しい。私はお前の一途なところが好きなの。ハン尚宮は心の中で呟いた。
チャングムの胸の鼓動が自分のそれと重なっていくのを感じながら、ハン尚宮はチャングムの
身体の温もりが懐かしく、欲しくてたまらなくなった。今までは、自分から求めるのは何となく
はしたないことのように思っていたが、若いチャングムの求めに応えるだけで充分に満たされていた。
しかし今は違った。チャングムの温もりに包まれたい。ハン尚宮は心の底からそう願った。

チャングムを抱き締めたまま、ハン尚宮は首筋にそっと唇を寄せると、チャングムの
チョゴリの紐に手を掛けてゆっくりと解き始めた。ハン尚宮の柔らかい唇を心地よく感じながら、
チャングムもハン尚宮の意図を察し、ハン尚宮の耳たぶから首筋までゆっくり舌を這わせていくと、
感じ始めたハン尚宮の身体が微かに震えて、自然に手の動きが止まった。
チャングムは首筋から唇を離さずに、先に自分が着物を脱ぐと、ハン尚宮の着物を
一枚ずつ剥いでいきながらそっと押し倒した。

波が岩に打ちつけて砕ける音だけが、静かな洞窟の中に響いていた。


248済州島日記〔2〕:2008/06/17(火) 00:41:36 ID:+3fOxOWo
14
もう二度と触れることは叶わないと諦めた、美しい身体が目の前に横たわっているのに、
チャングムは何か躊躇しているかのように手を伸ばすことが出来なかった。
「チャングム。お前はやはり私を許すことができないのね」 
ハン尚宮が掠れた声で問い掛けた。
「いいえ、尚宮様。そうしたことではありません。実はその……」 
チャングムは答えを聞くのが恐かったが、気になっていた事を思い切って尋ねた。

「ドンジュン様とは、その…… 男女の契りを結ばれたのでしょうか」
「お前に心で詫びながら、心と身体は別物と言い聞かせて、求められるままに
応えようとしたけれど、やはり出来なかった。
信じてもらえないかもしれないけれど、
もしそうなっていたら、二度とお前に身を任すことはできなかったわ」
「私は尚宮様を信じています。私のことを想って下さっていたのに、少しでも疑って
しまった私をどうかお許し下さい。尚宮様の指一本たりとも、もう誰にも触らせたくない。
このお身体もお心も、私だけのものにしたいのです」

チャングムはハン尚宮を抱き締めると、懐かしい感触を確めるかのように全身に
唇を押し当て、舌で味わい指でなぞった。感じる部分は巧みに避けて、焦らすかのように
少しずつ火を点けられたハン尚宮は、チャングムの吐息がかかっただけで、腰が
くねってしまうぐらい高まっていた。
もっとお前が欲しいと訴えるような、潤んだ目でハン尚宮に見つめられたチャングムは、
再びハン尚宮を抱き締めると軽く唇を合わせた。しばらくの間、軽くついばんで
柔らかな感触を楽しんでいたが、次第に深く求めるハン尚宮に応えながら、チャングムの手は
ハン尚宮の柔らかな胸のふくらみを包んでいた。

さっきまで触れなかった先端をそっと指で弄り、舌で弾いたり転がしたりすると、
ハン尚宮は思わず甘い吐息を洩らして身体を仰け反らせた。艶かしく切ない吐息に
誘われるように、チャングムはようやくハン尚宮の感じる部分を責め始めた。
ずっと我慢していた想いが弾けるかのような、チャングムの激しい愛撫にハン尚宮は
快感に溺れ、無意識に身体を反転させて逃れようとするのだが、チャングムにしっかりと
抱きかかえられて、更に激しく愛される。こんなに荒々しくチャングムに求められたのは初めてだった。
身体の自由を奪われ、身体中が蕩けてしまうような快感を与え続けられたハン尚宮は、
悲鳴のような喘ぎ声を抑えることが出来ず、洞窟中に響き渡った声は、波の音に吸い込まれていった。
チャングムが自分の腿をハン尚宮の腿に絡ませると、汗だけではないハン尚宮の身体から溢れ出たものが、
内腿まで伝って流れているのがわかった。普段は慎しやかなハン尚宮が、自分によって淫らに乱れていく様に
チャングムの身体も熱く火照った。耳元で囁きながら、チャングムはハン尚宮の脚を開くと、
そのままゆっくりと指を中に沈めていった。
胸の先端を吸いながら奥まで挿し入れた手を動かすと、ハン尚宮の額には玉のような汗が浮かび、
首を大きく反らして快感を訴えた。
その表情を見たチャングムは、もうすぐハン尚宮が絶頂に達するのを察して手の動きを早めた。
「あぁ、チャングム!もう駄目… あぁっ、いく……」
思わず口走ってしまった、はしたない言葉。
「尚宮様」 
チャングムは呼びかけると、身体を投げ出すようにハン尚宮に預けた。
ハン尚宮も答えるようにチャングムの名を叫び、チャングムの身体にしっかりと
しがみつくと、そのまま二人は一つに溶け合った。






249済州島日記〔2〕:2008/06/17(火) 01:04:28 ID:+3fOxOWo
15
波はすっかり穏やかになり、心地よい音がチャングムの耳に優しく響いていた。
意識を失ってぐったりとしているハン尚宮の身体を、チャングムはいたわるように
そっと抱き締めていた。背中に回した手がハン尚宮の背中の傷跡に触れると、
優しく指でなぞりながら、チャングムは自分に問い掛けていた。

尚宮様は私を生かすため、酷い責めを受けることを承知で偽りの自白をなさった。
尚宮様が牢で私に言われた言葉は、今でもはっきりと覚えている。
― お前は私の子。私の娘なの……
― 私は死んでもお前を守り抜く……

命を賭して私を救おうとなさった、尚宮様の深い愛情をわかろうともせず、私は一体
何を迷っていたのだろう?このまま一緒にこの島に居たところで、尚宮様はちっとも
嬉しくなんてないのだわ。味覚を失った時のように、努力もせずに諦めてしまうことを、
尚宮様は何よりもお嫌いになる。どんなに辛くても前に進まなければ。
私は尚宮様をこんな目に遭わせた人達を断じて許さない。何としてでも宮中に戻り
尚宮様の汚名をそいで差し上げたい。こんなに大きな愛情をかけて育てて下さった尚宮様に、
今度こそご恩返しをしたい。

ハン尚宮の意識が戻ったようだったので、チャングムはそっと身体を離そうとしたのだが、
ハン尚宮はもっとチャングムの温もりを感じていたかったので、
しばらくこのままでいて欲しいと頼んだ。チャングムはハン尚宮を抱き締めながら言った。

「尚宮様、私は医女試験を受けます。そして必ず合格して宮中へ戻り、尚宮様の名誉を
回復して差し上げると誓います。その時お迎えに参りますので待っていて下さい。
寂しくてたまりませんが、尚宮様はいつも私の心の中に居て下さって、私を見守って下さいますよね。
だからもう、尚宮様を困らせるようなことはいたしません」

「チャングム……。わかってくれてありがとう。私はいつもお前のそばに居るから、
そのことは決して忘れないで。辛いことばかりお前に頼んで、
何もしてあげられない私を許しておくれ」
「そのようなことは仰らないで下さい。尚宮様の存在は私の心の支えなのですから。
でも心配なことがあるのです」
「何なの」
「またどこかの殿方が、尚宮様を見初めたら私は嫌です」
「変なことを言わないで。そんなことはもうないわよ」
「尚宮様は私だけのもの。私の側から離れてはいけません……」
「ええ、そうね。 ちょと、チャングム!何をするの、駄目よ。あっ、あぁ……」

チャングムが再びハン尚宮の脚の間に手を伸ばしたのだ。さきほどの愛撫の余韻で、
まだ敏感になっているその部分を探られて、ハン尚宮の口から漏れる声が止まらない。
チャングムは、再び昇り詰めていくハン尚宮の表情に夢中になって、肌を合わせた。





250済州島日記〔2〕:2008/06/17(火) 01:16:16 ID:+3fOxOWo
16
翌朝、二人はどんな罰でも受ける覚悟で戻ったのだが、ドンジュンが船宿の主人に
牧使宛の手紙をことづけていた。自分が無理にハン・ペギョンを明国に連れて行こうとしたが、
自分の不徳の致すところで済州島に残すことにしたこと。今回の件は自分の非であり、
ハン・ペギョンには全く落ち度がない故に、以前と同様に牧使の屋敷で働かせてやって欲しいこと等が
手紙には書かれていた。チャン・ドンジュンほどの人物がここまで言っているのだし、何より素晴らしい料理の腕前を持った
ハン尚宮を、手放すのが惜しかった牧使が拒む理由は何も見つからなかった。
よって二人に特にお咎めはなく、ハン尚宮は今まで通り牧使の屋敷で働けることになった。
ひどいことをしたのに、最後まで自分を庇ってくれたドンジュンに、申し訳なさでいっぱいになったハン尚宮は、
ドンジュンのこれからの人生に幸多きことを心から祈ったのであった。

医女試験の日まで残り僅かとなったが、今まで修業してきたことを全て出せば、
落ちるわけはないとチャンドクに叱咤激励されて、チャングムは最後の追い込みのつもりで、
寝る間も惜しんで勉強していた。もう何も迷いはなく、目標に向かって突き進む
チャングムの姿がそこにはあった。

いよいよ都へ出発する日の前夜、満月が綺麗な夜だった。ハン尚宮は薬房の陰で、
チャングムをずっと抱き締めてやっていた。ハン尚宮は黙って、チャングムの涙を
拭ってやると、愛おしそうに頬を撫でた。もう言葉は何も要らず、こうしているだけで
二人の思いは互いに伝わっていた。

出発当日、船着場にはチャヒョンやチャンドクも揃って見送りに来た。
チャヒョンは涙を浮かべていたが、チャンドクがわざと憎まれ口を叩いた。
「チャングム。お前のような子を相手にするのは大変だから、
二度と島に戻って来るんじゃないわよ」
「チャンドク様、本当に今まで有難うございました。医女になることで
ご恩返しさせていただきます」
「ミン・ジョンホ様。チャングムをくれぐれも宜しくお願い致します」
頭を深々と下げるハン尚宮に、同行するミン・ジョンホは笑顔で頷いた。

いよいよ船が出発した。ゆっくりと岸辺を離れ、見送りの人々が次第に小さくなってゆくと、
ハン尚宮の前では何とか堪えていた涙が溢れてきた。
「尚宮様。私は必ずやり遂げてみせますから、見守っていて下さい」
チャングムは海に向かって、決意を新たにするのだった。

一方、ハン尚宮も溢れる涙を拭おうともせずに、船が見えなくなるまでその場に
立ち尽くしていた。愛しい子が、これから待つ試練の道を乗り越えてくれることを
心から願ってやまなかった。
「ミョンイ。私達のチャングムが出発したわ。あの子にとって、辛い道が待っているかも
しれないけれど、あなたも空から見守っていてあげてね……」
ハン尚宮が空を見上げると、柔らかな風が一瞬吹いたような気がした。

(終)




251名無しさん@ピンキー:2008/06/17(火) 08:38:09 ID:NFDwZA7a
252名無しさん@ピンキー:2008/06/17(火) 23:05:56 ID:sKxVFO4F
見習尚宮殿、GJでございます。感動いたしますた。
チャン熊、ハン尚宮連れていかれなくてヨカッタね。

またそのうち、済州島シリーズ3が出るのを願うとするか…
253名無しさん@ピンキー:2008/06/19(木) 23:38:03 ID:vIpyk4+z
見習尚宮様 ありがとうございました。
楽しませていただきました〜〜・・・・
ハン尚宮様×チャングムをこよなく
愛する者より

また気が向いたら・・・・書いて下さいませ〜
楽しみにしております
254名無しさん@ピンキー:2008/06/28(土) 08:15:08 ID:nEIz4Mub
>「チャ、チャングムさん。そ、それはいけません。いくら何でもまだ早すぎます。
>ろくに手も握ったことがないのに、い、いけません」 
ここでのラブ※は30話の恥ずかしいラブコメを体験してないんだよな。
やはりラブ※の恋のライバルはハン尚宮なのか。
255名無しさん@ピンキー:2008/07/11(金) 00:24:16 ID:Q4YWBaeQ
保守
256名無しさん@ピンキー:2008/07/23(水) 00:12:07 ID:yrk0pRaS
保守
257名無しさん@ピンキー:2008/07/28(月) 23:18:27 ID:zXr/Hb8b
見習いさん、次まだですか?
258名無しさん@ピンキー:2008/07/30(水) 16:52:34 ID:668mAAyg
クズチョンのなりきりとかやってる脳味噌の腐ったカス売国奴死ねよグズ
社会のゴミが



























259名無しさん@ピンキー:2008/07/30(水) 16:57:31 ID:668mAAyg
このスレの住人は生きる価値もないゴミ在日チョンのグズばっかか








260名無しさん@ピンキー:2008/07/30(水) 16:58:23 ID:668mAAyg
ほんとゴミ蛆虫の集まりだな
生きてて恥ずかしくないの?












261見習尚宮:2008/08/10(日) 01:24:06 ID:exTAU8Mj
投下させていただきます。
・原作改変(生きていたヨンノさん)
・エロ有り

(再 会)
目を覚ましたヨンノは脇腹に鈍痛が走り、その部分を手で押さえて思わず呻いた。
ここはどこなのだろうか? 粗末な小屋に布団が敷いてあり、そこに寝かされていた。

「やっと気がついたか? 幸い傷は浅かったから、しばらく休めば大丈夫だ」
男の声が聞こえたので、ヨンノは声の主の方を見やると、浅黒く日焼けした男が
すぐ側に座っていた。ヨンノが怯えたような目で見つめるので、男は安心しろと
言って、何か食べ物を用意してくるからと小屋を出て行った。

ヨンノは痛む身体を庇いながら、必死で記憶の糸を辿っていた。
オ・ギョモとチェ一族の双方から脅され、自分の保身のためにチャングムを訪ねたが、
自らの罪を認めることだけが、己を救う道だと諭された。知っていることを全て
話そうと決意して役所に向かう途中に、さらわれてチェ・パンスルの屋敷に連れて行かれ
また脅されたのであった。自分はチャングムのように、一度宮中から追い出されたのに
また舞い戻って来られるような強い人間ではない。所詮、宮中でしか生きられない
弱い人間なのだ。チェ女官長の、事が収まったらまた宮中に呼び戻すという巧みな言葉を
愚かにも信じて、身を隠すつもりで山中を歩いている最中に刺客に襲われたのであった。
さっきの男は自分を助けてくれたのだろうか? 考えを巡らせていると、再び傷口が痛み
出したので、ヨンノは目をつぶって耐えていた。

やがて男が、お粥と野菜を柔らかく煮た物を手にして戻ってきた。ヨンノは全く食欲が
なかったのだが、男に強引に食べさせられたので、むせながらも少しずつ口に入れた。
「悪く思うなよ。三日三晩何も食っていないから、本当に身体が弱っちまうぞ」
男は乱暴な口調で言った。
「貴方様が私を助けて下さったのですか」
「ああ。偶然通りかかったら、男がお前さんを刺そうとしていたので、石を投げたら運良く
急所を外れたようだ。こんなむさくるしい所で悪いが、お前さんは何やら訳ありだし、
安全だから治るまでここに居るがいい。これから、お前さんの世話には女を寄越すから、
変な心配はするな」
その言葉通り翌日からは女がやって来て、泊り込みで食事の仕度をしたり、着物を取り
替えるなど身の回りの世話をしてくれた。

男も時々、薬を持ってやって来て様子を尋ねてはまた帰って行った。

262再会:2008/08/10(日) 01:29:35 ID:exTAU8Mj
それから一月ほど経って、すっかり傷口も塞がり痛みも消えたのだが、ヨンノは
これから自分はどうすればいいかと考えると、目の前が真っ暗になった。
まさか宮中に戻れるわけではないし、下手に動くとチェ一族の息のかかった者に
捕らえられて、今度こそ本当に命はないだろう。ヨンノは男に懇願した。
「私は宮中の女官で、王様に御膳をお出ししていたこともあります。食事の用意でも掃除でも
何でもしますので、お側に置いていただけませんでしょうか」

「宮中の女官か……。だからあんな高価な着物を着ていたというわけか。俺の一存では決め
られねえから、お頭に頼んでみるか。ところでお前さん、名は何だ」
「ヨンノと申します。お頭というと、貴方様は何をなさっているのですか」
「なさっているってほどのもんじゃねえが、一応倭寇の端くれだ」
「わ、倭寇ですか」 ヨンノはがたがたと震え出した。
「大きな声を出すんじゃねえ。宮中で呑気に暮らしていたお前さんと違って、この世で
生きていくのは大変なんだよ。これからは何でもやってもらうから覚悟しな。
俺はヒョンスだ」

ヒョンスがヨンノを頭領に会わせると、器量が良いから居酒屋で給仕でもさせろと
頭領は命じた。頭領は好色そうな表情で、ヒョンスにヨンノとはもう関係を持ったのかと
尋ねると、ヒョンスは真っ赤な顔をして否定した。
こうしてヨンノは居酒屋で働き始めたが、如何せん客のあしらいには慣れておらず、
来る客も荒くれた男達ばかりなので、酔ってはヨンノの身体を撫で回したりして
その度に、ヨンノは誇りが踏みにじられる屈辱で泣きそうになった。そんな時は、用心棒
代わりに店の隅で飲んでいるヒョンスが酔客を取り成してくれた。
「女官のお前さんには辛いだろうが、大丈夫か」
「はい。早く慣れるように頑張ります」

初めは泣いてばかりいたヨンノであったが、次第に客の扱いにも慣れてきて
また、腕前は下位から数えた方が早かったが、一応はスラッカン出身の女官である。
作る料理も評判を呼んで、居酒屋は大儲けして頭領は笑いが止まらなかった。
ある晩、ヒョンスは頭領と自分の兄貴分の男が話しているのを偶然耳にした。


263再会:2008/08/10(日) 01:35:16 ID:exTAU8Mj
「おい、例の妓房はもうすぐ完成しそうか」
「はい、お頭。来週には商売が始められそうです」
「新しい店には目玉が必要だからな。ヒョンスが連れてきたあの女を置くとするか。
可愛い顔をしているし、身体つきも男をそそるしな。ヒョンスに聞くと元は女官だった
らしい。ということは、男を知らないかもな。その前に俺が頂いておくか、ヒヒヒ」
「お頭もお盛んですな」
ヒョンスは暗い気持ちになった。妓房に売られた女は男達の慰みものになり、客が取れ
なくなったら、阿片漬けにされ廃人同様になって、路上に捨てられるのだ。

ヒョンスはヨンノを逃がそうと決心した。仕事帰りのヨンノを待ち伏せし、
突然目の前に立ちはだかった。
「どうかなさったのですか」
返事をする間もなく、ヒョンスはヨンノを背負うと走り出した。
「どこへ行くのですか? お願いですから降ろして下さい」
無言で走り続けていたヒョンスは、傷を負ったヨンノを寝かせていた小屋に辿り着くと
ようやくヨンノを降ろしてやった。

「驚かせて悪かった。だが、お頭がお前さんを妓房に置こうとしている話を聞いちまってな。
妓房がどんなところか、お前さんにはわかるか」
ヨンノは力なく頷いた。叔父のマッケが経営していたので、そこに妓生として置かれる
意味はわかっていた。
「女官のお前さんに、そんな仕事が出来る訳がない。それに店に出る前に、きっとお前さんの
身はお頭や兄貴に……。俺が何とかしてやるから、ここから逃げろ」
「ヒョンスさんも一緒に来て下さい」
「俺は…… お頭や兄貴を裏切れねえ」
「ここから逃げても、私には行くところがありません」
ヨンノは泣きながらヒョンスにしがみついた。
ヒョンスも思わずヨンノを抱き締めると、柔らかい身体から立ち上る香りに、
鼻をくすぐられた。ヒョンスは堪らずヨンノを組み敷くと、着物を剥ぎ取ろうと
したのだが、ふと我に返って手を止めた。

「済まねえ。助けた時、お前さんには手を出さないと言ったのに、約束を破るところだった」
「私はそんな約束はしていません」
ヨンノはゆっくりと着物を脱ぎ始めると、ヒョンスの首に腕を回した。



264再会:2008/08/10(日) 01:38:59 ID:exTAU8Mj
ヒョンスも心を決めると、自分も着物を脱いでヨンノに覆い被さり
濡れたように艶めく唇に自分の唇を押し付けた。
舌が差し込まれると、ヨンノも夢中で自分の舌を絡ませ、辺りには二人の
口付けの音だけが響いていた。やがてヒョンスは唇を離すと、ヨンノの胸元に目が釘付け
になった。豊かに実った果実のような、見事な膨らみに手を伸ばすと、息を弾ませながら
強弱をつけて揉み込んだ。自分の手の中で柔らかく形を変え、うっすらと紅潮していく
両の膨らみに、ヒョンスは高まる興奮を押さえられず、夢中でこね回していた。
ヨンノは、ヨンセンに愛撫された時のことを思い出していた。あの時とは違う、男の
無骨な大きな手に掴まれて揉みしだかれ、初めは痛いぐらいであったが、次第に身体が
熱く火照り、腰がどうしようもなく動くのを止めることが出来なかった。

ヒョンスの指が膨らみの先端を捉え、そっと擦り合わせるように弄ぶと、固く尖って
更なる刺激を求めているかのようであった。
「あぁっ」
ヨンノは身体が痺れるような感覚に襲われ、思わず悲鳴を上げてしまった。
固く尖った先端を、今度はヒョンスの舌と唇が愛撫する。音を立てて吸い上げられたり
舌で転がされたりすると、ヨンノの頭の中は靄がかかったように朦朧としてきた。
「はぁ、あぁ…… あぁん」
むしゃぶりつくようなヒョンスの愛撫に、ヨンノの艶やかな唇から漏れる、すすり泣く
ような甘い喘ぎが止まらなかった。

ようやくヒョンスは胸から顔を上げると、ヨンノの脚の間にそっと手を滑らせた。
そこは既に熱く充分すぎるほど潤っており、ヒョンスを迎え入れるのを待って
いるかのようであった。しかし、この身体は男を知らないのだ。ヒョンスが
ヨンノの中にそっと指を挿し入れ、優しくほぐすように動かしてやると、ヨンノは喘ぎ、
中からしとどに溢れる蜜が指を濡らした。ヒョンスはヨンノの脚を開かせると、ゆっくりと
しかし力強く身体を沈めていった。
「うぅっ」
ヨンノはまるで熱い楔を打ち込まれ、身体を引き裂かれるような痛みを感じながら、
ヒョンスを奥まで受け入れた。ヒョンスはしばらくじっとしていたが、やがて
ヨンノの細い腰を掴むと、ゆっくりと身体を押し付けるように動かし始めた。

ヨンセンもこんな痛い思いをして、王様を受け入れたのかなどと思いながら、ヨンノは
ひたすら痛みに耐えていたのだが、次第に痛みだけではない不思議な感覚に身体を支配
されていくのを感じた。そして自分の腰を掴むヒョンスの手に、自分の手を重ね合わせた。




265再会:2008/08/10(日) 01:43:55 ID:exTAU8Mj
「あっ、あぁっ はぅ……」
ヒョンスが、両の乳房をわし掴みにして激しく揉みしだきながら、腰の動きを早めたので
ヨンノは声を出さずにはいられなかったが、今は苦痛よりむしろ、身体が浮き上がるような
感覚に襲われていた。ヒョンスはヨンノの両脚を掴んで、自分の肩に担ぎ上げると
身体の奥へ奥へと突き進んだ。大きく喘ぎながら、夢中で腰を上げて自分を受け入れる
ヨンノに、溺れていく自分を予感しながら、ヒョンスは何度も突き上げて果てた。
「幸せに出来るかわからねえが、それでも俺と逃げるか」
ヨンノの目に溜まった涙を拭ってやりながらヒョンスが言うと、ヨンノは頷いた。

それから二人の逃亡生活が始まった。草の根をかき分けてでも、裏切り者は探し出す
頭領の気性を知るヒョンスは、ヨンノを連れて何年も必死で逃げ続けた。一日たりとも
気が休まる日はなかったが、ようやく安心して身を隠せる村が見つかり、二人は白丁と
して暮らし始めた。やがて子供も授かり、親子で貧しいながらも幸せに暮らしていたのだが
第二子の出産を間近に控えたヨンノに悲劇が襲い掛かろうとしていた。
出産の予定日まではまだかなり日があるというのに、急に産気づいたヨンノが倒れた。
ヒョンスは慌てて村の産婆を呼んで来たが、赤ん坊はなかなか産まれないばかりか、
ヨンノの意識も混濁してきた。このままでは母子ともに生命が危ないと言う産婆に、
ヒョンスは叫ぶように命請いをした。
「私の手には負えませんが、隣村に腕の良い医女様がいらっしゃると聞きました」
「誰だ? 教えてくれ。俺が今からすぐに呼びに行って来る」

その頃チャングムは、少し早いが昼食の仕度でもしようかと娘のソホンに言った。
その時、男が息を切らせて家に駆け込んできた。
「お前さんが医者様か? 俺の女房がお産で死にそうなんだ。お願いだから助けてくれ」
「死にそうですって? 奥さんはどこですか? すぐに行きましょう」
チャングムはソホンに留守番しているように言うと、急いで出て行った。
家に案内されるとチャングムはすぐに診察の準備をして、母親の側で泣いている
幼子を安心させるように抱き締めてやった。チャングムに言われて、ヒョンスは
子供を連れて部屋から出て行った。母親の容態を確めようと、チャングムがその
顔を覗き込むと、驚きのあまり自分の目を疑った。

「ヨンノ!? ヨンノなの」
意識が殆どなくなっているヨンノは、チャングムには気付かず、苦しそうに息をするだけ
であった。自分の感情に心を乱されてはいけない。今はヨンノと赤ちゃんを救うことだけ
を考えなければ。チャングムは落ち着きを取り戻すと、産婆に指示を与えながら治療を始めた。
夜中になっても治療が続いていて、ヒョンスは家の外で待ちながら、もう駄目なのかと
何度も絶望感に苛まれた。





266再会:2008/08/10(日) 01:47:52 ID:exTAU8Mj
長い夜が明けて空が白々としてきた頃、赤ちゃんの元気な泣き声が響いた。
「産まれた」
ヒョンスは家に飛び込んだ。チャングムが赤ちゃんの身体を産湯で洗って、
真っ白な布に包んでやると、そっとヒョンスに手渡した。
「ほら、元気な男の子ですよ。奥さんも無事ですよ」
「ありがとうございます。ありがとうございます。このご恩は一生忘れません」
ヒョンスは泣きながら何度も頭を下げた。

「チャングムなの」
意識を取り戻したヨンノは、驚きで目を丸くしていた。
「ええ、そうよ。ヨンノ、おめでとう。赤ちゃんは無事に産まれたわ」
「チャングム… 私… あなたにひどいことばかりしてきたのに、私や子供の命を助けて
くれたのね。今更お詫びをしても許してもらえるかわからないけど、本当に申し訳ないと
思っている」
「どんなに謝ってもらっても、亡くなった人は帰ってこない。でも、ハン尚宮様はきっと
あなたをお許しになると思う。母親として子供たちを立派に育て、しっかりと生きていく
ことが償いになると仰るでしょう。だから私もあなたを許す。志を同じにすることはなかった
けれど、共にスラッカンで学んだ、かけがえのない仲間だから……」

チャングムは、処方した薬をヒョンスに渡すと、二人に一礼して家を後にした。
ヨンノは涙が溢れて止まらなかった。ヒョンスの妻として、子供たちの母親として
暮らしていける喜び。母親のように慕っていたハン尚宮を亡くした、チャングムの悲しみ
の深さ。そして我が子のように愛しんだ、チャングムを遺して逝かなければならなかった
ハン尚宮の無念。それらが今になってようやくわかり、ヨンノは心の中で詫びながら
泣き続けた。

それから数年後、ヨンノは更に子供をもうけて、大家族を切り盛りしていた。
おまけに決して暮らし向きは楽ではなかったが、ヒョンスの理解も得て、親を亡くした
子供たちを何人も引き取っては、実の子供のように大切に育てていた。
やがてヨンノは孤児院を設立し、子供たちに字を教え女の子には料理を教えるように
なった。自分が犯した罪は決して消えることはないが、少しでも償いたい。
ヨンノはそういう思いで、献身的に子供たちに尽くし、巣立った子供たちからは
「お母さん」と、終生慕われ続けたのであった。
  
( 終 )


267名無しさん@ピンキー:2008/08/11(月) 01:18:46 ID:Bs3GsFhy
>>266
乙です。パラレルなサイドストーリーとはいっても、
ヨンノがこういうふうに幸せになっても良かったですね。
268名無しさん@ピンキー:2008/08/14(木) 17:16:22 ID:W94eFpHu
>>268
269名無しさん@ピンキー:2008/08/15(金) 05:22:45 ID:TZ9cmQdO
>>266

    彡ミミミミ))彡彡)))彡)
   彡彡゙゙゙゙゙"゙゙""""""ヾ彡彡)
   ミ彡゙ .._    _   ミミミ彡
  ((ミ彡 '´ ̄ヽ '´/ ̄ ` ,|ミミ))
  ミ彡  ' ̄ ̄'  〈 ̄ ̄ .|ミミ彡
  ミ彡|  ) ) | | `( ( |ミ彡
  ((ミ彡|  ( ( -し`) ) )|ミミミ   / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
    ゞ|  ) )  、,! 」( ( |ソ   < 感動した!
     ヽ( ( ̄ ̄ ̄' ) )/      \_______________
     ,.|\、)    ' ( /|、
   ̄ ̄| `\.`──'´/ | ̄ ̄`
      \ ~\,,/~  /
270名無しさん@ピンキー:2008/08/15(金) 10:50:42 ID:k6FpO+6G
勘当?
271名無しさん@ピンキー:2008/08/18(月) 13:24:46 ID:ccTFhza2
親切なヨンノさん
272名無しさん@ピンキー:2008/08/20(水) 23:44:38 ID:KYEzmwLZ
          ,, --──-- 、._
       ,.-''"´ /////////   \    感動スマスタ
     /                ヽ、   
    /     (●),   、(●)     ヽ
     l    `ー ,,ノ(、_, )ヽ、,,.∪       l   
    .|       `-=ニ=-.          |   
     l       `ニニ´.           l
    ` 、  /⌒⌒i   /⌒ヽ        /
      `/    |   |    \    /
273名無しさん@ピンキー:2008/09/04(木) 04:15:30 ID:jRCOD1I3
新作マダァ?(・∀・ )っ/凵チンチン
274名無しさん@ピンキー:2008/09/04(木) 18:23:14 ID:bZqVpaOy
もうハンxチェの作者さんは書く気ないのかな…ずっと待機してるんだけど
275 ◆RRDgBzr.dw :2008/09/06(土) 03:36:01 ID:B4cfzkc+
↑ 私のことでしたら書く気はあります。でも来年明けくらいになってしまうかもしれません。
276274:2008/09/06(土) 23:29:14 ID:9DUk8/vX
>>275って、壱参弐さんですか??だとしたらすごく嬉しいです。
たとえ年明けでも待ってます。完結するまで見届けられると更に良いんだけど…
とにかく、待ってます。
277名無しさん@ピンキー:2008/09/15(月) 01:47:01 ID:WcEKNTkz
>>210の作者さんと >>219の作者さんへ
同じ方かどうか判りませんが、この続きのような話しを書きたいと思います。
エロパートメイン予定です。
278名無しさん@ピンキー:2008/09/19(金) 06:33:55 ID:Za3WkbJl
あげ保守
279名無しさん@ピンキー:2008/10/01(水) 23:23:36 ID:kM63+qn6
保守
280名無しさん@ピンキー:2008/10/13(月) 17:11:16 ID:e3OxK1vE
>>277期待してます。
281名無しさん@ピンキー:2008/11/03(月) 00:52:30 ID:jn9SMUd/
保守
282名無しさん@ピンキー:2008/11/12(水) 23:40:13 ID:8UWSPPsL
hosyu
283名無しさん@ピンキー:2008/11/23(日) 01:54:29 ID:RawivWpx
age
284名無しさん@ピンキー:2008/12/03(水) 18:44:13 ID:5R1KTbEG
余は中宗王、今宵約束を違え積年の思いを遂げる!!
なんて設定で王×チャングムをだれか書いてくんないかな〜
285名無しさん@ピンキー:2008/12/07(日) 09:31:54 ID:J8J5ciSn
KINGキタコレ
286名無しさん@ピンキー:2008/12/28(日) 01:42:06 ID:AqTCfPyl
一応、保守しとく
287名無しさん@ピンキー:2008/12/28(日) 02:38:18 ID:p3vUhlXn
ありがとう
288名無しさん@ピンキー:2009/01/01(木) 03:30:18 ID:opSRVvze
あけおめ保守
289名無しさん@ピンキー:2009/01/07(水) 00:02:40 ID:p2eOdXoB
済州島日記3が拝める日は来るのだろうか…
なにげに期待しちゃってるのだが。
休暇で済州島に戻ってくるチャン熊ver.とか
用あって都近くまで来ることになった尚宮様ver.とか〜ってありえない設定でスマン。
見習尚宮さん、続編待ってるよ〜〜
290名無しさん@ピンキー:2009/01/09(金) 00:51:57 ID:Z0l3OOjX
私も待ってまつ>>275さんノ
291名無しさん@ピンキー:2009/01/13(火) 22:04:15 ID:eA+N3n94
あの牢に入ってるときの格好は下着?

チマの下はやっぱりなんもはいてない?
292名無しさん@ピンキー:2009/01/14(水) 00:41:10 ID:39Xzh4L/
>>291
牢のときの格好はチマの下につける肌着姿だそうです
(チャングムの誓いムック特別編より)

その下はってゆうと・・ぺ君のスキャンダル見てると
細いTバックぽいのが女性のお尻にあったんで
ふんどし・・・っぽいのをしてたのかな?
なんもはいてない訳じゃなかったようだけど
歴史的な事実としてはよくわからないけれど・・・
どなたか御教授を


まあ綺麗やったけどね〜♪
293名無しさん@ピンキー:2009/01/14(水) 22:12:47 ID:UnQsniwI
>>292
ありがとう。

294名無しさん@ピンキー:2009/01/15(木) 01:44:12 ID:ce50rFFz
>>293
どう致しまして
295名無しさん@ピンキー:2009/01/16(金) 00:23:07 ID:oK/xJaMu
ソングム様は兄上が取り寄せた
絹のふんどしだったのだろうか…
296名無しさん@ピンキー:2009/01/16(金) 01:55:03 ID:0FSdWGmS
>>295
どうでせう?
正絹の・・・・色っぽいなぁ

下着があれば・・(肌着の下に着けるもの)
脱がす描写ができまつね♪
297名無しさん@ピンキー:2009/01/25(日) 07:52:38 ID:ED/UtXDU
保守
298名無しさん@ピンキー:2009/01/25(日) 22:10:58 ID:Z2eJ4mht
せっせと下着を自作するミョンイ

ミ「ペギョン、あなたのために作った下着よ。さあつけてみて私の目の前で」
ぺ「………………………………」
299名無しさん@ピンキー:2009/01/25(日) 23:00:07 ID:dT3NhO10
(。-_-。)ポッ
ミョンイったら・・・
300名無しさん@ピンキー:2009/01/28(水) 21:12:59 ID:VTIGhWhI
チャングム「尚宮様、チャンイ達がお金を出しあって絹の服を仕立てたと
言うので、私も絹布を買ったんです。
それで尚宮様のために下着を作りました!
さあ早く着てください」
ハン尚宮「………………………………………(ミョンイ?)」
301名無しさん@ピンキー:2009/01/28(水) 23:18:35 ID:FVxRqWWK
「ありがとう、ミョンイ!ありがとう、チャングム」
302名無しさん@ピンキー:2009/02/03(火) 22:18:09 ID:rDozC69d
チャングム『ジョンホ様!いつもお世話になってますから、下着をしつらえました!』
ジョンホ『ええ?私のですか?』
チャングム『違います。私のです。さあ私のチマの紐をどうぞ解いて!』





ジョンホ「…なあんて…ないですね…」
チャングム「はい?(ジョンホ様…顔が赤いわ…風熱かしら)」

303名無しさん@ピンキー:2009/02/09(月) 09:27:34 ID:GeYj7yVw
>>302
すまん、誰か抜きどころはどこなのか教えてくれ
304名無しさん@ピンキー:2009/02/10(火) 06:28:21 ID:tdBQJaat
ほしゅ
305名無しさん@ピンキー:2009/02/11(水) 18:55:06 ID:cUoXePAM
ハラマセヨ!
306名無しさん@ピンキー:2009/03/01(日) 23:54:51 ID:Sr++13EY
「済州島日記」を完結させたいと思いつつ
手が動いていないのですが、Aの番外編として
ハン尚宮の回想(短編)を近々落とさせていただく予定です。
よろしければお読み下さいませ。
307名無しさん@ピンキー:2009/03/03(火) 22:13:53 ID:fEE41u14
>>306
ありがとうです^^

「済州島日記」完結お待ちしておりますペコリ(o_ _)o))
頑張ってくらさいね
308名無しさん@ピンキー:2009/03/11(水) 09:20:18 ID:kfWogt5U
>>307
顔文字とかやめろ‥
309名無しさん@ピンキー:2009/03/14(土) 23:46:17 ID:ccPEZvQH
チンチャ・・・ノナチャラセヨ
310見習尚宮:2009/03/15(日) 21:52:05 ID:4xa5DUMM
済州島物語〔2〕(番外編)
・ハン尚宮の回想

医女試験を受けるため、都へと向かうチャングムを乗せた船が、港から遠ざかって
行った。しかし見送りに来たハン尚宮はいつまでも帰ろうとはせずに、船が見えなく
なってもひとり物思いに耽っていた。

__________________________________________________________________________

チャングムの命が助かるなら私の命は捧げようと決めて、偽りの自白をしたことは
今でも全く後悔していない。体力も気力も尽き果て、船着場まで歩けなくなった私を
チャングムが背負ってくれた時、あの子を背負って蔵から出したことを思い出した。
愚かなほど一途に突き進むチャングムを、どれほど愛おしく思っているのかあの時
はっきりとわかったのだった。私は素直に感情を表すことが出来ない性格だから、
あの子には厳しく接してきたけれど、あの子はそんな私を支えてくれて、挫けそうに
なる度に勇気を与えてくれた。

チャングムのいない人生など、もはや考えられない。でもそんな大切な子を、私は
守ってあげることが出来ずに、また辛い道を歩ませることになってしまった。
どんなに謝っても足りないけれど、ミョンイごめんなさい。私を許して頂戴……。

私はもうあの子のそばに居てやれないけれど、ミン・ジョンホ様がいらっしゃれば
きっと大丈夫だわ。あの方は本当にご立派な方だから、チャングムを見守って下さる
はず。だから私は安心して島に残ることができる。たとえ二度と会えなかったとしても
私はいつでもお前の心の中にいるから、そのことは忘れないで。チャングム……


311済州島物語〔2〕番外編:2009/03/15(日) 21:57:51 ID:4xa5DUMM
ミン・ジョンホ様が済州島に赴任されて来られた時には、正直とても驚いた。
文武両道に長け、お志もご立派で宮中での出世は間違いなかったはずなのに、
このような島に何故来られたのかと思ったものだった。
それはチャングム…… お前を追って来られたのね。宮中での立身出世よりもお前が
心配で、何もかも投げうって来られた。
宮中にいた時からお前は全然そんなそぶりは見せなかったし、私もこういう類の
ことには鋭い方ではないから気が付かなかったわ。でも、お前もいつまでも子どもで
はないのよね。私が知らないことがあっても不思議ではないわ。
ミョンイが生きていたら喜ぶかしら? それとも身分が違いすぎて、心配で胸が痛む
かもしれないわね……

私は官婢の身である故、この島に赴任されてきたミン・ジョンホ様と、顔見知りと
いえども、軽々しく口を聞くことなど許されず、遠目で姿を拝見するだけだったけれど、
チャヒョンさんや、屋敷に来る役人達が噂をするのを何度か耳にした。
ミン・ジョンホ様がチャングムを慕っていて、この島まで追ってきたという噂で
最初はよくわからなかったけれど、今になるとそれは本当だったとはっきりと言える。

チャングムが修行中、チャンドクさんに厳しく叱責されて元気がないと聞いて、心配
になってこっそり薬房に様子を見に行った時だった。ミン・ジョンホ様が来られていて、
柱の陰からそっとあの子を見つめていらした。慰めの言葉を掛けるわけでなく、
少し心配そうな、愛しい者を見守るとても優しい眼差しだった。
その時私は、ミン・ジョンホ様のチャングムへの想いを確信した。
ミョンイが旦那様と出逢ったように、それは運命的な出逢いなのかもしれない。
あの子も大人になったのだという嬉しい気持ちと同時に、いよいよ私の元から
巣立ってしまう時が来たようで寂しい気持ちにもなった。

しかしチャングムは以前と変わらぬ態度で私に接していたし、私のことを一途に……
求めた。私もあの子に面と向かって尋ねるのも面映いような、恐いような変な気分で
何も聞くことができないまま、月日は流れていった。


312済州島物語〔2〕番外編:2009/03/15(日) 22:05:37 ID:4xa5DUMM
チャングムの出発が間近に迫ったある日のこと、私はハルラ山に出かける仕度を
していた。牧使様の胃の具合が悪かったので、ハルラ山で山菜を摘んで料理を作って
差し上げようと思ったのだが、そこへチャングムも山へ行く仕度をしてやって来た。
欲しかった薬草がチャンドクさんの薬房になかったので、チャンドクさんが気を
利かせてチャングムを寄越してくれたのだろう。あの子と離れ離れになる前に
一緒に出かけられるとは、思ってもいなかったので有り難い心遣いだった。

山へ行くには、よく晴れて気持ちの良い日だった。あの子と肩を並べて山道を
登って行きながら、私にとってはかけがえのない時を心に刻み込んでいた。
薬草や山菜を摘み終わり、簡単な昼食を済ませると私はそろそろ帰ろうと
チャングムを促した。歩き出してしばらくしてから私は意を決し、思い切って
ミン・ジョンホ様のことを尋ねてみた。

― ミン・ジョンホ様とは…… お前が見習の頃から知り合いだったの?
― はい。書庫で初めてお会いして、書物をお借りするようになりました。
  それ以来、悩んでいる時に励ましていただいたりとお力になって下さいます。
  尚宮様にウナム寺に遣わされて落ち込んだ時も、励まされたのですよ
― そうだったの…… 
― 尚宮様? どうなさったのですか? 突然そのようなことをお尋ねになる
  なんて、今日の尚宮様は何だかおかしいです
― そ、そんなことはないわよ
― それより尚宮様。その道を下らずに、こっちに曲がりましょう

チャングムは屈託なく言うと私の手を取り、来た道から外れて行った。
生い茂る藪の中を進んで行くうちに、私は心配になって引き返そうとチャングムに
何度も言ったのだが、私の言う事など全く聞こうとしなかった。

― さあ尚宮様、着きました。私がいいと言うまで目を閉じていて下さいね
私は仕方なく言われた通りにすると、チャングムは私の手を引いて数歩進んだ。
目を開けるように促され、恐る恐る目を開けると、そこには一面の花畑が広がって
いた。初めて見る美しさに、私はしばらく言葉を忘れて見入っていた

― 前に山に来た時に偶然に見つけて、ずっと尚宮様をお連れしたいと思って
  いたのです。出発前に願いが叶って本当によかった
― こんな危ない道を一人で来るなんて、お前って子は全く……

感謝するより、小言が先に出てしまう自分が嫌になりながら、私は思わず花畑の中に
入って腰を下ろした。生き生きと咲く野の花々を見ていると、日々の生活の辛さを
忘れさせてくれるような癒しを感じた。チャングムは少し離れた所で花を摘んでいた。
たちまち私の脳裏に、幼い頃のチャングムの姿が甦る。私が、毎日違う種類の草を
摘んでくるようにと課題を出した時も、一生懸命に草を摘んでいたわね。
無心に草を摘んでいた、幼いお前は美しい女性に成長し、私を支えてくれている……






313済州島物語〔2〕番外編:2009/03/15(日) 22:12:23 ID:4xa5DUMM
― 尚宮様、花束を作りましたよ。 尚宮様? 泣いていらっしゃるのですか?
― つい、お前の幼い頃を思い出してしまって。私ったら恥ずかしいわね
― 尚宮様……。 母に出来なかったことをして差し上げたいと思っていたのに
  約束を果たせずに申し訳ありません。きっと医女になって、尚宮様の無実を
  晴らしてみせますから、ご辛抱下さい
― 私のことは心配せずに、お前は希望を持って前へ進んでおくれ。それが私に
  とって、なによりの喜びなのだから

私はそう言うとチャングムを抱き寄せた。いつまでも私の胸の温かさを覚えていて
ほしいと願った。しばらく甘えるように抱かれていたチャングムが、潤んだ目で
私を見上げると、そっと柔らかな唇を私の唇に押し付けてきた。私も目を閉じて
受け入れたが、ふと我に返ると慌ててチャングムを離した。

― 誰かに見られたら大変だわ
― こんな所まで来る人など、誰一人いませんから大丈夫です。尚宮様……

チャングムは再び唇を重ねてくると、私をその場に押し倒した。息が止まるような
激しい口付けを与えられ、私は溺れそうになる自分を抑えなければと、手足を動かし
てささやかな抵抗を試みたのだが、びくとも動かなかった。
ようやく熱い唇を離し、チャングムは私のチョゴリの襟元に手を掛けて、前をはだけ
させると、吐息を洩らしながら露になった両の胸を、そっと手で包み込むようにして
感触を確めた。

― 駄目よチャングム、人が来たらどうするの。もうやめなさい
― 尚宮様のお身体は、綺麗でとても柔らかいです……

私はチャングムの身体を押しやろうとしたのだが、両胸の先端を弄られると
身体の奥が甘く痺れてどうしようもなく感じ始めてしまい、声を出さないようにする
のが精一杯だった。チャングムは、抵抗できなくなった私の手に指を絡めると、腕を
優しく地面に押し付けた。柔らかくて温かい手が素肌を撫で、唇が首筋から滑るように
下りてくると、時に強く吸い付いて愛しんだ痕跡を残した。

― あぁっ…… やめ…て……
固く尖った胸の先端を吸われながら、強弱をつけて舌で転がされたり、軽く歯を立て
られたりすると、もはや押し寄せる快感を堪えることができずに、羞恥心を忘れて
声をあげてしまった。チャングムは夢中になって私の胸を貪り、私は身体の芯を火照ら
せながら、じっと目を閉じてひたすら快感に身を任せていた。




314済州島物語〔2〕番外編:2009/03/15(日) 22:20:38 ID:4xa5DUMM
ようやくチャングムが胸から顔を上げたと思ったら、チマの裾からもぞもぞと手を
差し入れられ、肌着を脱がされてしまった。耳元で囁きながら、ふくらはぎを撫で回す
チャングムの手が徐々に上にのぼってきて、しばらく太腿の辺りを丹念になぞっていると、
私は呼吸を荒くしながら、無意識にその手から逃れようとしたのだが、とうとう
脚の間に割り込まれてしまった。チマで隠されてはいるが、かろうじて下着で覆われた
その部分はすでに熱く潤っており、薄い布越しに何度も軽く弄られると、私は
もどかしいような何とも言えぬ感覚に身をよじって、恥ずかしいことにいっそう蜜を溢れ
させた。チャングムの指は、しばらく焦らすようにゆっくりと動いていたが、下着の
脇からそっと忍び込むと、直に私の敏感な芽を捉えて優しく磨き始めた。

― チャングム、駄目よ。お願いだからそこはやめて…… あぁっ
私は僅かに残っていた理性を取り戻して、チャングムに懇願したのだが
チャングムは私が感じているのを見透かして、巧みに指で磨き続けながら
再び胸の先端を口に含んで同時に愛しんだ。チャングムと自分の吐息の他には、もう
何も聞こえなくなり、私は大きく喘ぎながら、両足の指先まで突っ張るような感覚に
襲われると、そのまま昇り詰めてしまった。ぐったりとした私が目を開けると、
チャングムの美しい瞳がまっすぐに私を見つめていた。愛しい子。私は思わず手を
伸ばして、チャングムをしっかりと抱き寄せた。

― 私だけの尚宮様……
チャングムは私の下着をはぎ取ると、囁くように呼び掛けながら、私の中に入って
きた。身体の奥をゆっくりと広げられ、身も心もすべてチャングムに委ねる幸せに
酔いながら、突き上げられる度に私はひたすらこの子の名前を呼び続け、刹那の快楽
に溺れていた。

― うぅっ… はぁはぁ… チャングム!! あぁっ……
大きな波に押し流されそうになった瞬間、チャングムに抱き寄せられ
私はむせかえるような花の香りに包まれながら、愛しい子の腕の中で果てた。

私はチャングムを胸に抱きながら言った。
― チャングム、よく聞くのよ。これからは私はおまえのそばに居てあげる
  ことはできない。でも、きっとミン・ジョンホ様が陰でお力になって
  くれるはずだから、信じて助けていただきなさい
― たとえお姿は見えなくても、ハン尚宮様はいつも私のそばに居て下さいます
よね?私の心の支えになって下さいますよね?
― ええ、勿論よ
― 尚宮様がお一人になってしまうと考えると、辛くて耐えられません
― 大丈夫よ。チャヒョンさんやチャンドクさんがいるから。それに……
  お前が私の心の支えになってくれるから
― 尚宮様……

チャングムは、張り詰めていた心の糸が切れてしまったかのように、泣きじゃくった。
私も涙を流しながら、ずっとチャングムの柔らかい髪をなでてやっていた。






315済州島物語〔2〕番外編:2009/03/15(日) 22:25:37 ID:4xa5DUMM
それから数日後、私はミン・ジョンホ様を訪ねて、夕方に勤めから戻られるのを
ご自宅のそばで待っていた。ミン・ジョンホ様がお帰りになると、お一人なのを確認
してから私は前に進み出た。

― これはハン尚宮殿ではありませんか。こんな時間に一体どうされましたか?
― 無礼な真似をして大変申し訳ありません。実はチャングムのことでお願いに
  参りました
― チャングムさんは、一生懸命修業に打ち込んでいましたから、きっと医女試験に
  合格しますよ。そして、いつかハン尚宮殿の無念を晴らしてくれるはずです
― 私は…… 自分の復讐ということはどうでも良いのです。ただあの子が
  生きる希望を見出して、挫けずに前に進んでくれることだけが望みなのです。
  あの子は勇気があり聡明ですが、一途すぎて周りが見えなくなることがあります。
  それに宮中に再び戻れば、チェ一族が黙っているはずはありません。きっとまた
あの子の命を狙うでしょう。ミン・ジョンホ様、お願い致します。あの子を
お守り下さい。こんなお願いができるのは、貴方様をおいて他にはおいでに
なりません。くれぐれもチャングムを宜しくお願い致します
― わかりました。命に賭けてチャングムさんをお守りすると、約束いたします
― よかった…… 本当によかった…… これで安心して島に残れます
― チャングムさんは幸せな人だ
― はい?
― こんなにも弟子を思ってくれる師匠に巡り会えたのですから。誰もが孤独な
  宮中で、お二人のように固い絆で結ばれることは奇跡かもしれません
― そうかもしれません。宮中は、私から大切なものを奪ったところだと思って   
いましたが、チャングムという宝物を贈ってくれました。
  あの子は、私に人を信じる喜びをもう一度与えてくれたのです……



チャングムを乗せた船は、水平線の彼方に消えてもう見えなくなってしまった。
ハン尚宮は、どこまでも続く青く広い海を見渡しながら
「チャングム」とそっと呼びかけると、チャングムの元気な返事が聞こえたような
気がした。ハン尚宮は思わず微笑むと、もと来た道をゆっくりと引き返して行った。

(終)


316名無しさん@ピンキー:2009/03/16(月) 02:20:01 ID:F1x32Xu2
わお>>306
ありがとうございます!!GJです
心からチャングムを思っているハン尚宮様が
大好きです♪

チェジュでのハン尚宮様のこれからどうなるんでしょうかねぇ?
完結編
負担無いようにゆっくり書き進めて下さいね

317名無しさん@ピンキー:2009/03/16(月) 22:02:33 ID:PxBWc5mk
>>315
GJ!久し振りに来てみたら、エロかったです。
318名無しさん@ピンキー:2009/03/17(火) 01:25:32 ID:AyY07X/t
>>315
       /  /   /  /   ーi-L,,,_.i        ヽ
     /  / /i  //i/く| /  /|/i,,,,,ヽ`トi- |    l
      l / i / i' ,i/i'⌒);;;i|/|/ .,;;;("⌒);;`;、/    l
     ,! / レ ,!,i;;;;;`;;::;;;;;;i   i;;;::::;;;;;;;(⌒i;i,|    l    /    /   /  | _|_ ― // ̄7l l _|_
     |/ | | /i i;;(_ノ;(__);ノ   i;(,_);;;o;;;;;;;!|  |   l _/|  _/|    /   |  |  ― / \/    |  ―――
       |/レ' ,' `'''''''''''''"    `'''':::;;;;;;;;:ノ |  |‐-、|..   |    |  /    |  丿 _/  /     丿
        / ,i                /ィ'| |⌒'i |
        / /i                 / /) ノ l    ゝ  ヽ
       |/ /ヽ、    ,,,,,___,,,,__     / ,/- ''" ヽ   / )ヽ Z、 ・・・
         / /`ヽ、,(,,,,__,,,,,_`)   _,.//  ヽ   \
        //|/ ,/⌒`i、,,_,r'⌒'-‐ ''l" /'    ! ヽ \ ̄
       /'  ,r''''"、.  iフ!/   ',  ,>-- 、、,,ヽ|\|  ̄
319名無しさん@ピンキー:2009/03/19(木) 02:33:54 ID:lmsxo7WF
殺伐としたスレにダンゴ虫の行列が!



>([[[[[)>([[[[[)>([[[[[)>([[[[[)>([[[[[)ムシムシ
320名無しさん@ピンキー:2009/03/19(木) 10:55:17 ID:BHkM63ux
ゾウリ虫
321名無しさん@ピンキー:2009/03/20(金) 02:06:55 ID:lpb2oj9F
                 _
               / /
             ,  -― (  /
.         /: : : :-=千</ ̄>
         /.:.:.:.: /.:.:.:.:.:/.:∧`ー<
.        ,'::::/::::/::/⌒イ::/ |:l_:::::::ヽ
       /::::,':::: W|/ j:/  j∧`::: ハ
        レl(|::::: |  ○     j::/:/::::|
.        l/|::::: |      ○ん|/:∧|
.         lヘ:: ト、  `‐'-'  ノ::::: /
.          _ム:|-f`_r―ァ≠!:::::/ わんわんお?わんわんお?
        /=、\「`}ヽ// j/
         (   \{: リ ∧
        ノ  _,}V/ }
        〉彡={レ'=ミ、{
322名無しさん@ピンキー:2009/03/22(日) 22:51:29 ID:NdJHc35G
マシックナ〜
323名無しさん@ピンキー:2009/03/23(月) 03:06:02 ID:VO3ZVjmF
ハン×チェ・・・競望・・・のSS作家はおでましに
ならないのかしら?

続き待っておりますので・・よろしくお願いします!
324名無しさん@ピンキー:2009/03/24(火) 19:35:23 ID:29qXL+FO
                   l 新  は
                   | 作  や
     ヽ , - … - 、 // ! 読  く
   __斗'´: : : /ヽ:}、 : : ヽ‐-、| み  つ
  /: : :i:‐/-x'、 斗‐ヽ}: :}: : :| た  ぎ 
  7_: :/{/U ̄     ̄Uヾレ、:r'| い  の
    ` {j   ! ̄ ̄ ̄ }  j ノ |  !!
     ', |      | 人´ ノ      /
    /: ヽL -─-<ヘ: : r` ヽ/⌒ヽ/
     7-/ / ヽ_// |ヽ`´
      /:|  //  |:::ヽ
      入| //  |___/
325名無しさん@ピンキー:2009/03/25(水) 02:56:41 ID:huNFiFPn
                 ∧        ∧  マチクタビレタ〜     マチクタビレタ〜
  マチクタビレタ〜       /  ヽ      ./  ヽ      マチクタビレタ〜
                 /   ヽ―――/   ヽ   マチクタビレタ〜  マチクタビレタ〜
    マチクタビレタ〜  /       l___l   \        マチクタビレタ〜
              |      ●  |    |  ●  |  / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
        へ    |  へ     ヽ   ./     | < ねえ、新作まだぁー?
         \\   \ \\     ヽ/     /   \____________
チン        \\  .> \\          ヽ
   チン      \\/    \\  _      |  マチクタビレタ〜
      \ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄/  / ̄   ヽ    /   _
        \回回回回回/ ̄ ̄ヽ        / ̄ ̄ /|    マチクタビレタ〜
         \___/      ヽ____/  /  .|         マチクタビレタ〜
                               /    |  マチクタビレタ〜
   __________________/     .|
                             |      |     マチクタビレタ〜
326イクピル×シンビ (210 219の続き):2009/04/01(水) 00:47:56 ID:jexDIL0T
武官にせよ役人にせよだ、とイクピルは思う。いずれにしてもシンビにその時が
来るのは遠くない。
チボクの噂話を小耳に挟んでからというもの、イクピルは毎日のようにそのことばかりを
考えていた。いや考えたくは無かったが、頭から追い出すことができないでいたのだ。

何か楽しげなひと時があれば女をはべらせたがるのは男のさがで、手近なところで
揃えるのはごく自然な成り行きだ。だが女官はいくら頭数があっても手は付けられない。
宮に女といえば奴婢がいるが身なりもぱっとせず、それをはべらせようという
酔狂な連中は限られている。となれば残るは医女だ。
そもそも医女というものは、今は上が厳しく諌めているから酒席に伴わなれずに
済んでいるものの、ついこの間の成宗王の頃には妓生が鍼を施すのはよくあること
だったし、医女が酒をつぐのも特別なことではなかった。そして燕山君の時代には
女そのものが足りなくなり、女と見れば身分も老若も問わず、という乱痴気騒ぎが
繰り広げられていたという。もちろん医女などは、真っ先に爛れた両班どもの餌食と
なった後でのことだが。

自分はあの時代を直接には知らない。ただ、やはり医官だった親父が深酒をして遅くに
帰り、気が鎮まるまで酒を飲み直しながら母に嘆いていたのを隣室で聞いていたことが
よくあった。
思えば親父も堅物だった。同じ内務院の医女が慰み者にされるのを、歯噛みする思いで
見ていたのだろう。
自分も後に宮に入りその名に聞き覚えのある医女を初めて見た時、なんとも言えない
ざらついた感慨に耽ったものだった。親父が荒れた夜の数だけ、この方も辛い夜を
過ごされたのかと。
いや宮に残れただけまだマシなのかも知れない。孕まされても妾として囲われるのは
僅かで、多くは目障りだと田舎の診療所へ追いやられていったらしい。
しかしそれから歳月を経て自分より年が上の医女は既におらず、最近入った連中は
酒席に足を運ぶこともあるようだが、むしろ嬉々として着飾り出向く様を見かけると、
世の中は変わったな俺も歳をとったとまた違う意味での感慨に耽ってしまう。
だからシンビが中宗殿下の治世で医女として過ごせたことは、何よりの幸せだと
思っている。でなければ真っ先に。それが王だけならまだしも、そこいらの下っ端連中に
まで繰り返し慰み者にされただろう。

ただし問題は。イクピルは髭についた酒を人差し指で拭いながら思う。
未だにあのようなふしだらな行いが通じると思っている年寄りや、あるいは何人の女を
モノにしたなどというたわごとを親の武勇伝として聞かされてきたような連中がいる
ことだ。
あいつらはことあるごとに。
口実を設けては。
あるいは力づくででもとばかりに。
いずれにしてもシンビにその時が来るのは遠くはない。この前聞いた若い役人にしたって、
あの時はじゃれついただけだったからその場はやり過ごせたというだけで、本気で、
そして家の威光を後ろ盾にされたら彼女に逃げる術はないだろう。

そう、シンビが女になってしまう日が来るのだ。

徳利を傾ける手が早まったのに気付き、イクピルはまた思う。
親父と同じだな、今の俺は。自分が手塩にかけて育てた部下が、そして好ましく感じる
女が他の男の、しかも怖気立つような輩のおもちゃにされるのを黙って見ていなければ
ならないのか。そしてただ手酌に咽ぶしかないのか。
327名無しさん@ピンキー:2009/04/01(水) 02:20:26 ID:jexDIL0T
俺は親父とは違う。そして時代もまた違う。
このところまともに夕飯を取ることもできずにいた。
疲労続きの体に少しでも精をつけようと頼んだ肉鍋の残りをつつく。
久々に腹を満たしイクピルの苛立ちはやや軽くなった。

シンビ。医女が交代で鍼の修練を積む時に、少しだけその裸を見たことはある。それも
何もまとわぬに近い姿をだ。もちろんそれは必要あっての事で、手足のツボなどある意味
大雑把だが首以下体幹の繊細な部分については僅かな間違いが命に関わる。だから医官の
厳しい監督の下で施術を覚えさせるのだ。
その時は教えるのに懸命だから、つまりそういう目で見ることは断じてない。だが普段
とは印象が違い、全体に割と肉付きも良くそして張りのある肌は、誰にも話したことは
ないが、記憶に留めてある。

イクピルは脳内にシンビの姿を浮かべた。
あの腿に自分の足を絡ませ、尻を。
股に手を差し入れ。
胸に自分の胸を重ね。
唇……
過日覚えた欲情を思い出し赤面する。
その気恥ずかしさを打ちのめすように、現実的な情景がまた頭を占めた。
俺じゃないんだ。そうするのは俺じゃなく、あの性根卑しいやつらなんだ!
聞いた名前はどいつもこいつも初物好きで、相手がとまどう様に興奮する変態野郎
ばかりだ。変態め!
イクピルは酒房のおかみに声をかけ、にごり酒を追加した。

その時シンビはどう感じるだろう?
もし俺ならば。妻もいて、女郎屋に出入りしたこともあった。女の扱いには、いやいや
扱いではない。思いやりだ。あの若造どもはシンビを妻や、せめて妾にとなど思っても
いないだろう。奴らにとってはひと時のおもちゃに過ぎないのだろう。
俺は。俺とは多少歳は離れているが、もしシンビさえ頷いてくれたならば、そばに置く
こともやぶさかではない。ずっとずっとだ。
イクピルは杯を傾けた。

しかしそれは。シンビなら俺よりマシな相手がいくらでもいるだろうさ。若い医官か
身持ちの確かな誰かと添い遂げてくれるなら。
けれど問題はそこではない。というか先のことをうだうだと考えるために酒の前にいるの
ではない。いずれ誰かとめおとになろうがなるまいが、そんなことはいい。そもそも
医女がそういうものだということは、娶ろうと思う相手は百も承知だろう。今のあの子に
必要なのは。少なくともあんな輩に無理やりされてしまう前に。
酒が深まるにつれ、イクピルの頭の中でシンビのその時ばかりが去来する。
酒につき合わされ
手足を押さえつけられ
あるいは縛られ
数人がかりということも
ああ俺はなんと馬鹿なことばかり。いくらなんでもそんな無体なことを俺は許さぬ。
まだ徳利に半分飲み残した酒をそのままに、イクピルは酒房を後にした。
だが許さぬと粋がってみても、どうしようがあるというのか。

  ただひとつあるかもしれない。

  俺が慈悲を。

足元をよろめかせながら夜道を宮に向かった。
328名無しさん@ピンキー:2009/04/01(水) 15:10:57 ID:VDFbELAy
てすと
329名無しさん@ピンキー:2009/04/02(木) 03:12:04 ID:QWfYg6AH
韓流系ってここだけですか?
330名無しさん@ピンキー:2009/04/02(木) 23:45:19 ID:UWSqOQDD
わかりません・・・
331名無しさん@ピンキー:2009/04/04(土) 05:48:40 ID:wyzcXV7m
>しかしそれから歳月を経て自分より年が上の医女は既におらず、最近入った連中は
>酒席に足を運ぶこともあるようだが、むしろ嬉々として着飾り出向く様を見かけると、
修練生からすればコネ作ったりイケメンゲットの場なんだろうなー
332名無しさん@ピンキー:2009/04/05(日) 12:13:50 ID:+WORoKGa
シンビヤ〜
333ハン尚宮×チェ尚宮 −星望−:2009/04/06(月) 02:49:32 ID:cZom5xTH
『……尚宮様のおっしゃるように……』

 その言葉にハン尚宮は目が覚めた。明り取りの障子越し、月明かりが部屋に注いでいる。
ほの明かりの中、半身を起こして久しぶりの寝顔を眺める。
 こうしてずっと見続けていたい……。

 腰の辺りに温もりが伝わった。チャングムが寝返りを打ち、腿をぴたりと寄せてきた
から。そして私も何も身に纏っていない。
 脱いだそれを探すと、枕元に衣類一式がきちんと畳んで置かれていた。

 あれから……それともやはり……何もせぬまま、眠ってしまったのだろうか?
この様子だと……昨日は……。
 記憶の糸を手繰り寄せる。
 いったい、いつどうなって……。


 昨夜はあれから一杯話した。お前が子供だっ頃のミョンイとの楽しい日々のこと。そして
私が宮でミョンイと過ごした時の話しも。
 ミョンイと突然別れることになり、辛くて仕方なかったけれども、独りぼっちとは
全然思わなかった。いつもミョンイを思いながら料理を作ってきたから。どこかで生きて
いると信じていたから。
 また必ず会って、あれも話そうこれも話そう。時折、ひとり甘酢の壷を掘り返し
眺めては語り掛け……。
 そうやって、ずっと宮で面影を偲ぶしかなかった……と。

 けれどお前と出会ってからは、寂しい気持ちが少しずつ癒されていき、時折ミョンイの
ことを忘れてしまうくらいに。
 特に……お前をウナム寺に送ったときには、それがこの子のためになるのだと自分に
言い聞かせつつも、お前のことばかり頭に浮かび、心配で仕方なくて。

 その後も私を励ましてくれたり助けてくれたり。よく頑張ってくれたわねって。
 私が最高尚宮になってからも、ずっと……。

 ひとしきり話しも終わり、そして。
 ミョンイに話したかったことをお前に話すことができて、とても嬉しい。私も心の
つかえが解けていく気がする、そんなことを言ったっけ。
 やっぱりミョンイは、私にこの子を下さったんだと思う。それはあなたの、
チャングムの幸せを願う気持ちもあるけれども。私ならこの子を託せるはずだと信じて
くれたのだろう。その思いをありがたく受け止めたい。

 そして私にもミョンイの一番の宝物を送ってくれた。宮で過ごす私のことを思って。
二度と会えない友に、友の最後の願いを伝えようとして。そしてもう水剌間に立つことの
できない自分の代わりに、この子と共に夢を叶えなさいと。きっとそう思っておられたの
だろうってそうも話したわね。
 今まで拭えなかった罪悪感、ミョンイからいつも守ってもらってきたのに、肝心の時に
何もできなかった悔しさが私を捉えて離さなかったけれど、お前に会えたことでほんの
少しは。
 ミョンイもひょっとして少しは、許してくれるんじゃないかと思えるようになったと。

 しばらく無言で見詰め合っている内に、互いの素性が知れて駆け寄り再会した時の
思いが、胸にこみ上げた。
 もう互いを隔てるものは無いと知った時の喜び。
 今の今まで口にすることも憚られた、ミョンイという名を存分に呼び合える喜び。
 あの時のことを思い出し、もう一度チャングムの頭を撫でた。

 そして……また。
 お前もあの日のように身を寄せてきて、あの子は私の胸に顔を埋めた。思わず、強く
強く抱き締めてしまい、そのままずっと長い間抱き締め合っていたっけ。
334名無しさん@ピンキー:2009/04/06(月) 11:25:10 ID:2/8MAfCO
そのシーン、瞼に浮かびます>_<
335ハン尚宮×チェ尚宮 −星望−:2009/04/06(月) 19:32:30 ID:pBJ3bGJ+
 他の誰かに奪われてしまうのではないかという不安。
 自分が独り占めしていていいのだろうかという恐れ。
 でも相手は? 女官である限り、いや万一そうでなくなっても、添い遂げる人を
見出すのは難しい。
 では、王の目に留まれば……我が子を抱く幸せは与えられようが、けれどこんな、
何でもやりたがりの子が、狭い部屋でじっとしていることに耐えられはしないだろう。
 何がこの子にとって、一番の道なのか……しかしそれは私が全て決められることでは
ない。この子自身が与えられた環境の中で考え、決め、動くべきなのだ。私はただ、
共に過ごせる間できるだけのことをするだけ。
 この子の温もりを感じながら、そんなことを考えていた。


 それから……あの子は顔を上げて、私の方に向けた。
 透き通った眼差しに見つめられて。
 互いの願いが互いに伝わる。

 それを成就したら、自分がどう変わるのか自分でも判らない。

 いや本当は判っている。すぐに明日もまた明後日もその先もと願ってしまうだろう。
 けれど。宮に戻って同じことは続けられない。何より愛し合っているからといって、
私一人のものにしておくことは、この子のためにならないのだから。
 何度も繰り返した言葉が、また頭のなかでぐるぐると回った。

 私にできるのは、一晩中寄り添ってこの子の側で過ごすことだけ。


 ちょうど今こうしているように。
 隣で眠るチャングムの唇。どこか幼さも残している唇を指先で軽くなぞった。甘美な
記憶が駆け抜け、身にうずきが蘇る。私を無限の陶酔に陥れたとはとても思えぬほど、
無邪気に柔らかい。


 それから?
 襟首から漂う、さっぱりとした香り。懐かしいこの子の匂いが喉にまで満ちてくる。
 二度と、と決めていたのに。拒まなければならないと固く。
 けれどそれを嗅ぐ内に……。このまま強引に押し倒して欲しいという甘えにも似た
感情が沸き起こった。
 ああ、節度のないことを。ようやく思い切り、私を抱く手を振り解き背中を向けた。
「じゃあ休みましょうか。あなたも着替えなさい」
 突然背中越し、強く抱き締められた。そして脱ごうとして襟元に置かれたままの両方の
手は、上からやはり強く握り締められている。
「そんなつもりで来たの? この前、もうよすって言ったのを忘れたの? お前が寝付く
まで側にいるからって」
「判っています、判っているのです」
「守れないのだったら出て行って」
「私もおとなしくお側にいるつもりでした。けれど。
 ずっと待っていたのです。尚宮様から引き離されてから、そして尚宮様がこちらに
来られてからもずっと」
「話したはずよ。あなたは遠くないうちに宮に戻る。でも私は最高尚宮にはならないし、
あなたと前のように関わるつもりもないって」
「それは判っています。だけど抱き締めていただいて。
 尚宮様のことを何度も夢に見ました。夢の中で何度も抱き締めていただきました」
「じゃあこれからも夢の中だけにしておきなさい」
「それだけじゃありません。私も尚宮様を抱きしめて……もっと深く身体も心も一つに」
「ちょっと手を離して」
 その力は緩むどころか徐々に強くなった。
「嫌です。もう二度とこの手を離したくないのです」
 チャングムの唇が首筋に触れるのを感じ、動悸が強まる。
 雨音も鳥の夜鳴きも、獣の遠吠えも何も、何の音も聞こえない。
 ただチャングムの鼓動が背中越し伝わってくる……。
336チャングム×ハン尚宮×チェ尚宮 −星望−:2009/04/07(火) 00:28:51 ID:Irjla9rV
                                 (いさじ)
                                 壱参弐 柵

Youtube・ニコニコ動画に「いさじ」という表記の高名な歌い手がいらっしゃいます
(「134」「isaji」とも)が、この方とは一切関係なく、ハンドルの読み方のヒントを得た
わけでもありません。
^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^
 当初、1話きりの小ネタのつもりで、「ハン尚宮×チェ尚宮」としましたが、リクを
戴いて、連載することになりました。
 第8回の−翹望(ぎょうぼう)−から、内容的にはチャングム×ハン尚宮(×チェ尚宮)と
なっていました。
 今更ですが、タイトルを微修正します。

 今回のSSには、昔のTVドラマの脚本や台詞からヒントを得た部分があります。
337チャングム×ハン尚宮×チェ尚宮 −星望−:2009/04/07(火) 00:30:52 ID:Irjla9rV
 もともと人気(ひとけ)のない太平館。主要な出入り門こそ不寝の警備はされているものの、
広大な敷地に点在する宿泊所にそれぞれの部署の者が寝泊りしているだけだ。その中に
チェ尚宮の息のかかった者がいなければ、夜中にわざわざ様子を伺いにくることはない。
 そして明日は各部署が交代で取る公休日で、それはつまり一日のんびりしていてもいい
日だった。
 それは太平館に長く留めさせられていたチャングムも知っている……。

「私とお前は、こういうことなしでいられないの? 身体なくして志を共にすることは
できないの?」
「でも今は欲しいのです。尚宮様の全てを。全部を私の身体が求めているのです」
 泣きそうな声でチャングムは続ける。
「この想いが静められなければ……心だけ……なんて……できません」
「でも静めなさい」
「尚宮様は私がどれほど……お別れも告げられぬままここに留め置かれ、誰もご様子を
知らせてもくれず。やっと聞けたのは、チェ尚宮様にむごいあしらいを受けていると。
 それも……噂とはいえ聞きたくないような辱めまで……」
 チャングムが私の手を握り締める拳にさらに力が入った。
 痛い。けれどこれはこの子の心の痛みなのだ。
「どれほど……どれほど。思い浮かべてはいけないと自分を戒めても、あのチェ尚宮様が
この手に触れこの肌を……思うだけで苦しくて仕方なくて」

 その言葉が胸を刺す。
 同時に徐々にあの者と心を通わせ、あの者に哀れみを覚え、そしてその内に僅かな
合間であったにしても、心地よさに痺れてしまい、そうしてひと時この子のことを頭から
追いやってしまった己の愚かしさも、自分の心を引き裂いていく。
「この前お部屋にお招きいただいた時は、なんとか抑えることができました。でも、もう
無理です。尚宮様」
「チャングム! それは無理やりされるようなものでも、乞われてするようなものでも
ないわ。だから」
「もしかして忘れられないのですか? チェ尚宮様のことを。
 愛おしいと一度でも思われた人のことを!」
 一瞬動揺が兆し、己が手を握り締めてしまったのを隠すことができない。
「そのお気持ちをお聞きして、どれほど辛かったか」
 チャングムの顔が背中に押し付けられた。泣いているのだろう、背中が湿っぽくなる。

 ようやくあの者の手から逃れ、チャングムの待つ太平館に来た時。
 もし受け入れたとするならば、あの夜だっただろう。再会できた嬉しさに、思い悩みも
忘れてこの子を抱いただろう。
 それを阻んだのは背中に付けられた傷跡――が示したあの者の記憶――で。それが
すっかり見えなくなるまで時を置いている内に、私は冷静さを取り戻すことができた、
忘れるには、あの者のことを消し去るには、私には既に十分な時間が与えられていた、
はずだった。
 けれど。
 もちろんこの子への想いが冷めたのではない。ただ、その間この子の将来をもう一度
じっくり考えたかった。
 そして自分のことも。
 チェ尚宮のこと、あの者から受けた愛情、そして自分が感じた気持ち。

 それら全てを自問自答し、ミョンイにも相談した。
 この子にも話したつもりでも。判ってもらえなかった……判りようは無いのかも知れ
ないけれども。
 幼少期から共に過ごしてきた私とミョンイと、そしてソングムの関わり。いくら
ミョンイの娘とは言え、また聡明な子であるとは言っても、チャングムの思い及ばない
部分がある。
 その後のソングムとの関わりについても。やはり立ち入れない世界なのだ。
「待って。私がここを発つのはもう少し先よ。お前とそうなるなら、もう少し……」
 少なくとも今は私の心の準備ができていない。
「……もう。私はこの手を離したくないのです、離すことはできないのです」
 私の左手を掴んでいた左の手を持ち直して両手が押えられ、そして右手は上着の紐を
解こうとしているが、細かく震え結び目に指が入らないでいた。
338チャングム×ハン尚宮×チェ尚宮 −星望−:2009/04/07(火) 00:33:01 ID:Irjla9rV
 口にはしないものの、この子の思うだろうことは判っていた。
 私とあの者は身体で感じ合ったこと。その思い出が消えても、哀れみや愛しさ微かな
共感があり続けることを。それは宮と太平館のように遠く離れても、年月を置いても、
消しきれないことも。

 けれどもし私が、忘れられないと言ったなら……落胆させるだけ。
 あるいは忘れたと偽っても、触れ合う内にチェ尚宮の影を感じたなら。それでも私を
愛してくれるだろうか?
 私の奥底の感情を確かめたい気持ちと、けれどこの子の知らない私の側面を知りたく
ない気持ちが交錯しているのだろう。強引に身体を求めるのは、この子にしてみれば、
他に成す術がないから……。
 私の全てを知らなければ、この子だって自分の心を定めることはできない……。だけど。
「お前を受け止めることはできないのよ」
 やっとの思いでそう言った。

 そしてこの子は実感として知らない。今は女官同士も比較的純粋な関わりが主流の
ようだが、私がこの子の年代だった頃はそうではなかったことを。
 私はミョンイ一筋だったけれども、ミョンイに他の者を感じることはしょっちゅう
だったし、それでずいぶん口惜しい思いもした。
 けれどある意味、相手の中に他の者の存在を感じることは当たり前だった……それも
含めて相手を受け入れるのが愛すること……であると。そんな気持ちを私たちの年代は
共有してきたように思う。
 だけどお前は、私だけに気持ちを向けようとしている。その想いを裏切りたくなかった。

 ミョンイに嫉妬し執着した私が、ミョンイの娘に嫉妬し執着されるなんて。因果なものね。
面白いというか……そう考える内、少し落ち着くことができたようだ。


 やめて、と再び言えば、さすがにやめるだろう。チャングムの方に身体を向けて座り
直した。
「待てません」
 私よりも先に、チャングムが言った。
「どうお思いであっても、どうお感じになっても。例えチェ尚宮様のことを思い出されて
も……それでもいいのです」
 その言葉に心が溶けていった。

 私だって。私だってどれほど待ち遠しかったことか。いやむしろ私の制止を全て無視し、
激しく求めてくれるのをどこかで期待していた。

 気持ちの変化を感じ取ったのだろうか。見つめる瞳が奥できらりと輝き、その瞳に
吸い込まれるように――いや本当に――吸い込まれていった。
 最後までわずかな抵抗を伝え続けた手が、いとも簡単に払いのけられた。引き寄せ
られるままに……チャングムのうなじに頬を寄せる。
 ……またこの子の肌の匂いが鼻腔をくすぐる。健康で若々しく、かすかに埃っぽい。
 思わずうなじを口に含む。唇から感じる肌が温かい。軽く滑らせ喉の前を味わうと、
この子も身を捩り応える。

 唇を合わせると、そのまま抱え込まれるように布団に横たえられた。互いに脱ぎも
脱がされもせず、服の上から身体中をまさぐりあう。
 もう何も考えられなかった。宮のことも、自分の立場も、そしてチェ尚宮のことも。

 誘われるまま、うなじの下の骨の形を探るように、この子の顎に舌を這わせていった。
 顎から頬へ、触れる頬の柔らかさに導かれた私の唇は、さらなる柔らかさを探し求めた。
 けれど、誘ってきた――のよね、この子が。その割には、唇がいつになく力がない
ように思えた。
 あまりに久しぶり。私がずっと拒み続けていたから。私がこの子の元に戻ってくるのか、
よほど心配だったのだろう。だからこうして抱き締められていることが、まだ信じられ
ないのだろうか。やっと許した今この時、この子自身どうしていいのか判らなくなっている
のだろう。そう思うとますます愛らしくなる。
 戸惑いすら感じさせる、頼りないその感触に……心が痺れてしまう。
339チャングム×ハン尚宮×チェ尚宮 −星望−:2009/04/07(火) 00:35:20 ID:Irjla9rV
 再び、眠るチャングムの顔を眺め、肩からずれた布団をかけ直した。

 いっぱい苦労してきたのに、今は何の心配もないというように、穏やかに目を閉じて
いる。もっとよく見たくて、蝋燭を手元に引き寄せ灯りを着けた。
 昔ミョンイに、あなたの寝顔を見ていると寛ぐと言われたっけ。時々夜中に目を覚ま
しては、私の顔を眺めていたことがあったって。
 それが判ったのは、何だか蝋燭が減るのが早くて何度も貰いにいかなくてはならない
ものだから、いつも寝るのは一緒のはずなのに不思議に思い、起きて勉強しているのって
訊ねたらミョンイは笑って答えてくれなかった。それで私がちょっと怒ったら、また笑い
ながらあなたの顔を見ているのよ、ですって。聞いて呆れてしまったけれど。
 でも本当にそうね。
 今は私が、この子の幸せそうな寝顔を見ている。そして心から安らいでいる。


 それから……。
 しばらくあの子のうなじや額を楽しんでいたけれど、あの子が私の耳たぶを指でなぞり
始めて。
 痺れが走り力が抜けた。
「尚宮様?」
 チャングムは私を訝しげに見上げている。
「何でもないわ」
「急にどうなさったんですか?」
「ううん。別に」
 チャングムの手が再び私の耳の後ろを撫でる。
「うっ」

 チャングムがまた見上げた。まじまじと見つめる目が次第にいたずらっぽく変わった。
 身を起こし半身を私の肩にもたせかけ、動けなくした耳元に囁き声がした。
「ここ、お感じになるのですか?」
 押し付けられた唇から逃れられない。
「前はそうじゃなかった……」
 何も言えずしばらくの間、片耳は指先でもう片方は唇でついばまれた。
 身体が熱くなる。

  ふふっ
 聞こえてきたのはため息ではなかった。
「感じるようになられたのですね。つまり……そういうことをなさってたってことです
よね」
 恥ずかしさに今度は顔中が熱くなる。
「ミン尚宮様に教えてもらったことがありました……女の人の身体はいろんな場所が
感じるけれど、それは人によっていろいろで……だからそれを見つけてって。
 それで……だけど無理は駄目なの。お互いに寛がないと気持ちよくならないからって。
 でも一度覚えたらそれからは」
「本当にミン尚宮は余計なことばかり教えるわね」
「ということはですね……尚宮様」
 また唇が押し当てられ、身体が痺れ始める。
「チェ尚宮様に……ここを……。
 こんなこともされたのですか?」
 舌先が耳孔で蠢く。
「よかったのですね……」
 答えたくても小さく首を動かすのがやっとだった。
「そして……今されているようなお顔で……昇り詰められた」
 チェ尚宮と過ごした夜がちらりと頭を過ぎったが、うなじあたりから流れ迸る快楽が
押し流していった。
「……きっとこんな風にお声まで上げられたんでしょうね」
 自分でも呼吸が荒くなり、喘ぎ声まで入り混じり……

 その後のことは覚えていない。
340名無しさん@ピンキー:2009/04/07(火) 12:55:07 ID:hHhrOkr0
乙ママニーン
しっかり今日も拝読いたしました
341名無しさん@ピンキー:2009/04/08(水) 20:18:40 ID:iNgJaifu
言葉責めKtkr
342名無しさん@ピンキー:2009/04/09(木) 02:11:37 ID:1R/tQmHY
あぁーぁ、チ・ジニとの別離
悲しすぎる切な過ぎる
・・・ひんな大長今チャングムも、あと1日で終了

 結末は幸せであって欲しい
343チャングム×ハン尚宮×チェ尚宮 −星望−:2009/04/09(木) 18:24:07 ID:Dk+yUIEW
 ようやく息が整うと、隣で見つめているチャングムと目が合った。
 先ほどの囁き声が耳に蘇り、また恥ずかしくなる。
「お顔が真っ赤です」
「お前があんなことを言うから」
 それを聞くとチャングムは仰向けになり、天井に目をやっている。

「その時私のことを思い出していただけましたか?」
 ごめんなさい、と言いかけて、けれど真剣な顔付きに不安になった。
「……怒ってる?」
「ええ。
 私しか見たことのないお姿を……チェ尚宮様にお見せになったのですから……」

 いやあれは……そうしたくてしたわけじゃなくって……本当は私も嫌だったのよ、でも、
でも……どう言い訳をしようとも。
 いや話せば話すほど、私の覚えた生々しい強い感情……劣情と愛情と……が伝わって
しまうだろう。

 しばらくしてチャングムの目から笑みがこぼれた。
「いいえ、ちっとも。恥らう尚宮様がとてもかわいいなって、少しいじめたくなった
のです」
「この子ったら……」
 二人して笑う。

「尚宮様」
「何かしら?」

「私思ったんです。
 ずっと甘えっぱなしだったなって。部屋子だった頃から内人になっても。尚宮様が最高
尚宮になられた後も、独り占めのようなことをしてきたって。
 ずっと……私を大切に思ってくださったことを感謝してもしきれないのに、そしてまた
母の一番の友達だったって知って。私は孤独だと思っていましたから、ただ嬉しくて。
 尚宮様の全てが自分のものなんだと有頂天になって、そして尚宮様がいらっしゃれば、
もう母のいない独り身ではないんだと、いい気でいたんだと思います」

「でも私も内人になってかなり経ちます。これからは自分で考えたり自分の行いに責任を
取ったりしていかなくてはならないのです」

「私が宮に入ってから内人になるまでの十年も、あっという間でした。
 そしてたぶん、あと十年くらいすれば私たちの中から尚宮になる者も出てくるでしょう」

「そうなれば後輩を教えたり、後輩のしたことに責任を取ったりもしなくてはならなく
なるでしょうね」

「今までみたいに、自分の思うとおりにして、そして尚宮様にご迷惑をかけてばかりは
いられないのです」

「もっと精進して、真の料理人になろうと思います。母が目指したように、実力で最高
尚宮になろうと思います」

「それが、母の夢を、母自身の夢であり母が私に託した夢を叶えることだと。母の無念を
晴らすことができるかどうか、それはまずその一番の願いを実現してから考えます」

「そして……尚宮様も宮にお戻りになったら。最高尚宮ではなくても、やはり重責に
あられることは間違いないですし」

「私のような者にだけ、目を向けていただくわけにはいかないでしょう。
 ましてや私が尚宮様ご自身のことに口を差し挟むとか、それはしてはいけないのです」

「ですから……」
344名無しさん@ピンキー:2009/04/09(木) 20:43:37 ID:Dk+yUIEW
「ですから」どうなんだと問いたい。

ブチブチ細切れの悪癖がデフォでっか?
345名無しさん@ピンキー:2009/04/09(木) 20:51:18 ID:Dk+yUIEW
 ↑ すみません。
誤爆スレに打とうかとメモしていたのをうっかり誤爆しました。お聞き流しを。
346名無しさん@ピンキー:2009/04/12(日) 00:36:15 ID:FbzjuB6Q
イクピル様の続きもお待ちしてます。
347名無しさん@ピンキー:2009/04/12(日) 23:47:07 ID:AO5tRcdd
続きが楽しみ
348名無しさん@ピンキー:2009/04/18(土) 02:25:07 ID:FUUZqEsF
それぞれの心の葛藤がすごい
ただのエロじゃないところがいい

続き待っております
349チャングム×ハン尚宮×チェ尚宮 −星望−:2009/04/22(水) 01:47:14 ID:tgL4cfmc
 その先は言わずとも。もうこのような関わりは終わりにしなくてはいけない。

「そう、これからはね」

「だけどこれまでのことは必要だったって思っているのよ」

「本当はね、時々お前といるのが辛いこともあったの」

「あんなことさえなければ、私はずっとミョンイといられたでしょうし、こうやって
尚宮になり、尚宮になってもあの子はいろいろ研究して、そして私に教えてくれた
でしょう。
 私も出来る限りの技を磨いて、あの子に伝えもし。
 真の料理人になるという一つの夢を二人で追って、そしてたぶんミョンイが最高尚宮に
なるのを見届けるのだなって」

「だけど私は突然、共に歩む相手を失った」

「現実の繋がりはそこで断ち切られたのに。私はそれを受け入れることができなくて」

「あの頃と変わらない姿を思い浮かべては、あの人だったらどう考えるだろう、どうする
だろうってそればっかりで」

「周りの皆は私が誰とも話さないって言っていたけれど、私はいつもずっと、あの人と
話していたわ」

「そんなある日また突然お前を授かった。
 お前はとても手のかかる子で、ミョンイを忘れそうになったことも度々だったって
ことは、さっきも話したわね。それは私の心を癒してくれる反面……」

「私の心からあの人を奪い去っていくことが妬ましくもあった」

「あの人にしてあげられなかったことができる喜び。ミョンイにしてもらいたかった
ことをしてもらえる喜びを感じ」

「その裏にある、羨ましさ」

「ここにいるのがミョンイだったらと」

「何度もそういう思いが蘇り、お前に心を預けきれない自分に嫌気がした」

「でもお前があの人の娘だと、ミョンイの希望と夢だと判り」

「私だって独りではないのだって思ってはしゃいで」

「ミョンイとの時間を取り戻そうとして、そして」

「こんな……深い関わりを交わすようにまでなった」

「だけど……お前の言うように」

「内人ともなれば女官としては既に一人前。これから先はお前自身が自分の道を探して
いかなくてはならない」

「その結果も自分で受け止めなければならない」

「それは、私の覚えているミョンイの生き方とは違うだろうし、そしてまた私がこう
なって欲しいと願う道とも必ずしも同じではないのでしょうね」

「それをお前が成長していく姿、これまで過ごしてきた時間と関わりで私は学んだ。
そして我が身にも知らしめることができたと思うの」
350チャングム×ハン尚宮×チェ尚宮 −星望−:2009/04/22(水) 01:49:51 ID:tgL4cfmc

「ミョンイを追い続け、お前をミョンイの代わりにしてはいけないんだと」

「それにたとえミョンイがあのまま宮にいたとしても、いつかは私たちは別々の道を
歩んだのだろうと」

「私自身も、私に与えられた役割を果たしていかなくてはならないんだと」

「寂しい気もするけど、お前もそう思うんじゃない?」

 チャングムは軽く頷いた。
 私だけを見て、私の後を歩いていたあの小さな女の子が、いつの間にか大人になって
いる。
 私はあの子にとって絶対の存在ではなくなり、ひとりの人間として――もちろん師と
弟子の分を弁えつつ――私そのものを、時には弱いところ、秘めねばならない部分も
含めて受け入れてくれたということだ。私の中にチェ尚宮の痕を見て……強く葛藤して
いるであろうにそれでも私を。
 無条件に注がれる愛情に……やっと、ミョンイを失って以来やっと、私にも心を許し
合える人が出来たのかもしれない……と思う。

 愛おしさがこみ上げ、寝巻きが未だ肩に残る上から撫でる。チャングムの手も私の肩を
軽く抱き、引き寄せ合い唇を合わせる。触れる柔らかな唇は、既に何度も重ねているはず
なのに、あたかも初めて合わせる時のように軽く閉じられたままだった。
 それは、今までの関係の終わりと、そして新たな関わりの始まりを予感させた。


「でも尚宮様。今夜は私が独り占めしますから。いいですよね」
 茶目っ気が表情の中に浮かびだした。
「尚宮様の感じる所を見つけて、もっとよくして差し上げます」
 人が真面目に話しているのに、判っていないのかそれとも聞いていないのか。ちょっと
むっとする。
 何もかもこの子の好きにさせるものか。
「もう身体は落ち着いたでしょ。じゃあそろそろ休みましょう」
 そんな、とでも言いたげな目をしていたが、仕方ないのかとちょっとしょんぼりした
様子で寝巻きの襟元を合わせ直し、布団をかぶった。

「ねえ、聞きたいことがあるんだけれど」
 布団をそっと持ち上げ、チャングムの瞳を見つめた。
「あなたの夢の中で、私はどんなだった?」
 今度はチャングムがはにかむ。
「どうって……ただお美しくて…………そして激しくて…………」
 チャングムのおとがいを傾け唇を重ねた。
 そして下唇を滑らせて、チャングムの上唇を左右にたどっていく。柔らかで、けれど
にゅるにゅるとした触感に、痺れが頭の芯からこみ上げてくるはず……。
 舌先で小さく探りを入れると熱い息が漏れた。
「夢とどっちがいい?」
「夢で見た……私の覚えていた尚宮様とは別の……お姿だったから……今の方が夢を見て
いるみたいです」
「じゃ、あなたはどんな風にしてくれたの?」

 しばらく返事が無かったが、思い切ったように言う。
「だったら私が夢でしたことを全部させてください」
 答えを聞く前に私の上着の紐をスルスル解いていく。

 そして衣服を少しずつ、まず私の上着から。
 身を寄せ合うと温もりが一層深まった。かつてこの感触に……身体中を愛され何度
我を忘れただろう。まだ始まったばかりなのにもうこんなに夢中になって、はしたない
……理性が自分を叱責する。
 あの者に抱かれていた時に、抱き合うときにも冷めた目で見られるようになれたと
思っていたのに。また再び、この子に我を失ってしまうのだろうか。
351名無しさん@ピンキー:2009/04/22(水) 02:24:51 ID:COnlmf+/
ハンサングン様 ママニィーン♪
352チャングム×ハン尚宮×チェ尚宮 −星望−:2009/04/24(金) 00:59:11 ID:TiPfiqfN
 己が欲望に軽い嫌悪を覚え唇を離そうとすると、その隙間からチャングムの吐息が
小さく漏れた。
 ふと見ると、チャングムがじっと覗き込んでいる。
「我慢されなくてもいいんですよ」
私が冷静でいられたのも、そこまで。
 今宵は、この子に委ねようと、この子の気の済むまでただ身を任せようと思っていたのに。
 そんな思いが脳裏をよぎったのもつかの間、強く抱き寄せ唇を貪っていく。

 昂る……気持ちが
 もう
 抑えられない

 理性はかけらと砕けた。
  あぁっ
 吐息と共に漏れた切ない声を合図に、口を開いて重ね合わせた。この子のそれが
私の中に潜り込んでくるよりも先に、私から舌を忍ばせ火照る舌を絡め、裏側を中心に
こねくりまわす。
 今はただ、あの子の唇も舌も歯も……そこにある、触れているもの全てが私を支配する。
いや頭の中からは、もっともっと、という甘美な誘惑が次々押し寄せた。
 まるで目が眩んだかのように。
 二枚の舌は、今やそれ自体が意図と意志を持ち、何度も絡み合う。時折口の端から
溢れる愛しみの名残は、互いの指で拭いとった。

 唇を合わせたままあの子の肌着に手を掛ける。あの子も口元を離さないようにしながら
袖から腕を抜く。張りのある乳房が現れ、それを下に眺めながら、また抱き締めた。
 素肌が直接触れ合う心地よさ。

 唇を開き加減にして、招き入れるように導くと、この子の舌が私の中に滑り込み、
それをまた……存分に味わう。

 私の腰に添えられたチャングムの手が、次はチマだと伝えた。二人を隔てていたものが
徐々になくなっていく。

 布団の上に寝かされ、ゆっくりと覆いかぶさってくるが、けれど両方の肘で脇を支えて
いる。その身体を引き寄せた。
「重くはないですか?」
 遠慮がちに聞いてくる。
「どうして?」
「山に行ったとき、お辛そうでしたから。まだ尋問で打たれた傷が痛むのかと」

 むしろ重みも何もかもを感じたかった。ぎゅっと身体全体で受け止める。チャングムも
安心したのか、両手を背中一杯に回し遠慮なく抱きついてきた。本当は、ちょっと重た
かったけれども、押し潰される感触がたまらなく心地よい。
 そして内股を密着させる。

 チャングムの胸に耳を当てると、トクントクンと鼓動が伝わってきた。
 生きているこの子、そして私。その実感をもっとと、胸をからうなじを唇で。この子は
私の体の上でされるまま。
 身体の上半分をひとしきり味えば次は……。
 太ももに触れるとすべすべとした肌の弾力が、私の手を心地良く弾き返した。ああ
もどかしい。もっと柔らかな食感が欲しい。この子も何度も腰をくねらせ、合間合間に
口付けをし舌を絡ませ、次の行為を促すような仕草を見せた。
353チャングム×ハン尚宮×チェ尚宮 −星望−:2009/04/24(金) 01:15:44 ID:TiPfiqfN

 しばらくしてチャングムは、両方の腿の裏に足を絡めてきて、私の足は少し開くような
形になった。そしてチャングムの指が下穿きの上から往復し始めた。
 私もチャングムの足の間にある……腿と布きれの隙間を潜り、温かい泉の中へ指を
忍ばせた。もう充分に潤い、そして待ちきれないとでも言うように指先に巻きつこうとする。
 でもチャングムの方はなかなか私のその部分に触れてくれないで、相変わらず布地の
上を辿っているだけだ。
 ひりひりする欲望。
 そしてこの子が動くたびに長く伸ばされた髪が私の頬を撫で胸を行き来し、身を
捩ってもまだ緩慢な刺激しか与えようとしない。たまらなくなり、私もチャングムの
胸の頂を指でさすったり、時々顔を寄せて口付けをしたり。
 次の愛撫をねだる。

 やっと……私のしているのと同じように……じかに触れてきたのと吐息が漏れるのは
同時だった。

「欲しかったのですね?」
 その言葉に――自分の欲望が見透かされているようで――ぎょっとして、目を見開いて
しまった。けれどこの子は私の目蓋に軽く口付けしながら、
「ずっと可愛がってあげますね」
と淡々と言い、熱い息が首筋に浴びせかけられる。この子の、髪から漂う甘い汗の匂いに
身震いし、また吐息、いや自分でも喘ぎと判るほどの声が出てしまう。
 首筋から唇が離れた。
 うなじや胸を味わった顔が上気している。
「尚宮様の息がくすぐったくて……とっても熱い」

 また身を重ねると、残る物を脱ぐのももどかしくなり、下穿きは足で押しやった。
 何も防ぐものが無くなったそこは、手のひらで押しつぶされ指先で摘まれ、指の侵入に
蹂躙されていく。
 長く長く口付けを交わされ、息苦しさに肩を押しても、却って強く抱きかかえられ、
舌を差し入れられる。
 だから唇を離すたびに喘ぎ、熱く湿った吐息を浴びせかけながら肩を齧られ、私も肩を
噛んで応えた。

「本当にきれい」
 小さい……けれど敏感な部分の小さな動きが私の全身を大きく揺さぶり始めた。
「もっとよく見たい……」
 つぶやくお前の顔もいきいきと燃えている。
 チャングムは身体が横にずらし、下から回した腕で私の肩を抱き、片足は絡めるように
残して、再び動きを始めた。
  あ あ
 重みから解き快楽の波を純粋に味あわせようというのだ。私の乱れる様の全てを眺め
ようというのだ。
  あっ うふっぅ
 痺れと共に、足腕が細かく震えた。
「つかまってください」
 崩れそうな身体から手を取り自分につかまらせる。
 この子の肩に指を食い込ませて耐えたけれど……愛撫と吐息に包まれて……
昇り詰めていった。


 夢心地の中で、私はかつての抱擁を思い出していた。

 幼馴染だったミョンイが、いつしか私とそうなって……私はそれを嫌ともなんとも
思わなかったし……されるまま……取り立てて好みもしなかった。最初の内は。
 けれど肌が馴染むにつれ、私の方からさりげなくねだるようになっていたようにも思う。
 そんな私にミョンイが時折、行為の合間に私を……囁き声で……翻弄した。
 それはちょうど、今チャングムが言ったように。
 私の身体や心の底まで支配し……全部をさらけ出す私を愛してくれた。
 思い出しても全然恥ずかしくない。ただ幸せだったあの頃。
354チャングム×ハン尚宮×チェ尚宮 −星望−:2009/04/24(金) 23:38:32 ID:lyJ1ua1r


 陶酔の果てに、髪の毛を撫でられる感触に目を覚ました。
 目を開けた私を見て、しばらくぎゅっと抱き締めてくる。温もりが肌から胸の中へ
伝わった。
「何度も……感じておいででした」
 そうだった。苦しいほど……激しく。

「でもこれで終わりじゃありませんから」
「疲れてない?」
「全然です。まだちっとも。だってチェ尚宮様以上にして差し上げたいし、そして感じて
いただかなくては」
「もうそんなことはいいのよ」
「それは頭では判っているのです。でも尚宮様の火照ったお顔を見ると、どうしても思い
浮かんで、お腹の中からもやもやした気持ちが湧き上がってしまいます」
 うつむくチャングムの頭を撫でる。
「ねえ、ちょっと一息入れない?」
「そうですね、まだ夜は始まったばかりですから。私お茶を入れてきます」
 そう言うと寝巻きを簡単に着直して小走りに出て行った。
「相変わらず元気ね……」

 二三度台所と障子の向こうを往復する足音が聞こえて、しばらくすると湯気を漂わせた
土瓶と共に戻った。

 盆の上に湯飲みを並べ白湯を注ぎ入れると、芳しい香りが立ち上った。覗き込むと
淡紅色の花びらが八重に咲こうとしている。
 私も寝巻きを羽織り、湯飲みを手にした。

「きれいだったので、木に登って摘んで漬けておいたのです」
「ここの庭のは、私が来た時には葉桜になっていたわね」
「ええ山桜で、まだ咲き誇っているのがありましたので」
「いい香り。ほんのり甘味も感じる」
「これは塩で軽く押しただけなので、渋みが残っているように思います。もう少し時間を
置いたら熟(な)れると思うんですけど」
「宮に戻ったら、いろんな花を漬けてみましょう。酢を少し入れたらもっと色鮮やかに
なるかもしれないし」
 あれやこれやと話しながら、桜茶をすする。

「それでね尚宮様。さっき台所の明り取りの窓から、星がとってもきれいに見えましたよ」
「そうなの。じゃあ一度二人で夜空を眺めて過ごさない? 今はこんな格好だから、
さすがに無理だけど」
 また二人して笑う。

「今ね、昔のことを思い出していたのよ」
「え?」
「見習いの頃ね。
 宮にいると春先は宴が多いでしょ。秋もそうだけど、そんな時期の女官、特に見習い
なんて宮の中のお使いに出ることもほとんどなくって、昼日中厨房とかで作業をし続ける
じゃない。だから季節の移り変わりを感じるのは、目の前に次々運び込まれる食材から
だけだった。
 ミョンイは宮に来るまではあちこち出かけていたらしくって、今頃梅が香る頃かなあ
とか言って」

 また湯を口に含む。一服のお茶が行為の後のけだるさを癒していく。

「ある時桜を見に行こうって、私とソングムに声をかけて。真夜中にね。
 最初は宮を出て山手に行こうとしたんだけど、さすがに夜の山は怖いし。まあ今考え
たら抜け出すなんてとてもできなかっただろうけれど。
355チャングム×ハン尚宮×チェ尚宮 −星望−:2009/04/25(土) 00:24:50 ID:ogmGJI2D
 それで、じゃあ庭の向こうの方の宴会場として使っている広場にある桜だったらって、
ソングムが言って。
 いつも遠目にしか見られない場所だったし、なんだか楽しそうで、普段だったら止し
ましょうって言い出す私もあそこならいいかもって、いそいそと上着を羽織って手を
つないで出かけた。
 今は埋めてしまったけど前はそこに池があり、舞台とかの飾り付けが設えてあって
船も浮かべてあったり。まだ宴の余韻が残っているような気がした。
 その池の畔に三人腰掛けて。あたりは真っ暗で、だけど月明かりに桜の花がぼうっと
霞み、それはそれは美しい幻想的な絵のようだった」

「夜桜はちょうど満開で、風が吹くと花びらが舞い、星と共に煌いた。
 だけど時々花ごと、くるくる回りながら落ちてくる。なんでだろうって不思議に思って
いたらソングムが木に留まって花をついばんでいるスズメほどの鳥を見つけて。
 蜜のある花びらには見向きもしないで、軸を齧っては下に落としているの」

「みんなで、きっと私たちにきれいな花のままでくれようとしているのねって言って、
落ちてくる花を集めたり、しばらく小鳥を眺めていたりした。
 後で内人様に聞いたら、四十雀(シジュウカラ)じゃないかって教えてくれたわ」

「尚宮様も、お若い頃はいろいろやんちゃをされていたのですね」

「まあ、ミョンイがどこかへ行く時は私たちの手を引っ張っていったから。連れられる
ままにあちこち」

「それに特にあの頃は忙しすぎた。年中休みらしい休みもなく、自分たちの部屋と厨房
との往復の毎日だった。
 それは内人様も尚宮様もおんなじで。だから皆こっそり気晴らしをしていたみたいね」

「私たちのように出歩く者もいれば、囲碁とか麻雀とか……お小遣いを賭けてしたり。
部屋で飲み過ぎたり、見つからないかどきどきしながらいけない本を眺めたり……今
思えば風紀が乱れていたわねえ。
 お前のトックおじさんも、お酒や遊び道具を持ってきてはこっそり売っていたっけ」

「あはは、そうだったんですか」

「だからってことはないけど……お前たちが多少の悪さをしても、全部お見通しなのよ。
私たちにしてみればね」

「今ここに来て改めて思うんだけど、やはり自然の趣は多くを教えてくれる。
 お前もミョンイもそういう経験をしてきたから、他の人にない料理を描き出すことが
出来るのかもしれない」

「だからね、これからは太平館にも順番に尚宮や内人を来させて、ゆっくり本を読んだり
山川を見て歩いたりしてもらったらって思っているのよ」

「でもまずは私たちがここで学ばなくては。
 今なら何でしょうね……藤とか、もうすぐ紫陽花が見ごろね。紫陽花は太平館にしか
ないから、よく見ておきましょう。きれいだけど、その葉を馬が食べて暴れだすことが
あるから、牛や馬がしょっちゅう出入りする宮には植えないんですって」

 そんな話しをする内に、湯飲みも八重桜を残すばかりとなった。飲み終えれば、また
……それが。
 二人に久しぶりに訪れた、そして恐らく最後の夜なのだから。


「あの人……ミョンイに抱かれて、私は深く満たされた。身体が燃え上がり心が震えた。
そしてお前も私を満たしてくれた。
 でも今夜は、もっと満たして欲しいし……私もお前を満たしたいって願っていい
かしら?」
356名無しさん@ピンキー:2009/04/25(土) 15:41:30 ID:G44tIxxB
願っていいですよ・・尚宮様♪

バランスが絶妙で好きです・・・
それぞれの人間関係と
それぞれが素晴しくエロな関係のところが

楽しみに読ませてもらっています
これからも読むことを願っても良いですか・・
壱参弐様
357名無しさん@ピンキー:2009/04/25(土) 22:11:55 ID:JneCn261
>「そうですね、まだ夜は始まったばかりですから。私お茶を入れてきます」

ま だ 夜 は 始 ま っ た ば か り

目がランランですよ
かなり生々しい描写あり。
シモネタ、病に関して、人体に関しての表現あり。
読む人を選ぶ作品。普通のエロ以外に耐性のない人は無理。
359イクピル×シンビ:2009/04/26(日) 19:19:52 ID:ImFwJ2rR
今日は泊まり番だったから、呼びつけが無ければ仮眠をしている頃だ。

けれど俺の女郎屋通いといっても、抱きに行ったのではないのだよなあ。
父の没後頼りにしていた兄が大病をしその薬代が賄えなかったことがあって、どんな患者
でも朝晩駆けずり回って診察し、眠る暇さえなかったのを、見かねた医者の先輩に紹介
してもらったことがきっかけだった。
もちろん妓生相手の稼ぎなど胸を張って言えることではない。
親父に聞いた話しでは、経国大典が示されてしばらくはその御政道に則り、女を診た者は
穢らわしいと蔑まれ、宮に召されることは絶対になかった。が、それを墨守した挙句が
后妃を何人も死に至らしめ、また担当した医官も次々死罪となった。
それで自ずとそういう腕を持つものが求められるようになり、となれば女郎屋界隈を
出入りしていたのが一番経験も積んでいたから、そういうのが宮に入り込んでいった。
今やそのきまりは有名無実化し、むしろ秘かにその類の経験を積むことが奨励されている
といってもいい。
が、表向きは口を拭うのがふさわしい振る舞いというものだ。俺もこのことは誰にも話し
てはいない。

ところであそこは様々な相談事が多く、そして女の体の隅々まで見なければならず、その
分実入りがよかった。
診察をする時に女の体に触れてはならぬ、などと綺麗ごとはお上品な方々の、まあ寝言
だわな。当然その、中にも指というかこぶしというか、病によっては結局腕の半ば近くも
入れることもあったり。そんな人体の奇怪さに最初の頃こそ気持ち悪い思いもしたが、
なに、慣れてみるとそれぞれで。だから女についてはそこらの遊び人風情よりもよく
わかっているつもりだ。そういう連中はただ己の快楽をむやみやたら突き立てるだけで、
中の造りもろくに知らない。そしてまた奴らが吐き出した欲望の後始末など考えたことも
ないのだろう。
俺ら医者は女の全部を行為の前後含めじっくり診立てねばならぬのだ。
というか、そうやって実際のところを知らずして、御簾越しやら手首に巻きつけた糸を
伝っての脈診だけでどうやってわかれというのか。我が命まで懸けて、やんごとなき方の
世話ができるというのか。
あんなもん診ているふりだけ、というのは医官仲間だけが知ることで、女医もまさか
俺らが眉間にしわ寄せながら、実は御簾の合間から顔色やその……患部というか、その
あたりを少しでも窺い知ろうと目を凝らしていることは知るまい。

あれこれ思い出しながら歩いているうちに足元がもつれ、そばにあった木の枝に腕を
絡ませて支えた。
いかん、このような風体ではさすがに怪しまれる。しばらく腰を下ろして酔いを醒まそう。

まだ女郎屋に連れてこられて間もない小娘の中には、診察でも体を触られるのを嫌がる
子もいる。なにもせぬうちから体をこわばらせ、最初はこっちもおっかなびっくりなもの
だから余計痛がって泣き出したりと面倒だった。

それへの対処を先輩にさんざん酒を飲ませてようやく聞き出した。
いきなりひん剥いてがばと無理やり開くから向こうも怖がるのだ。ついでにお前の顔を
見れば普通の病の者でも怯えるぞ。だからそっとうつ伏せに寝かせ、服の上からまずは
腰あたりを診ながらさりげなくツボを刺激しろと。特に背中から尻の上のあたりは気持ち
を和らげ痛みを取り去り云々。
ここから先は得々とした自慢話に辟易させられることになる。

曰く病が治らぬふりで何度も通わされるはめになったとか。
治ったはずなのにまた呼ばれて何事かと駆けつけると奥の間には布団が並べてあってだな。
360イクピル×シンビ:2009/04/26(日) 19:20:31 ID:ImFwJ2rR
こんな話しは聞きたくも無いが、合間合間に秘法を伝授してくれるものだから、聞かない
わけにもいかなかった。

腰から尻をほぐした後は徐々に前に手を移動して、股の付け根あたりをどうするこうする
と。お前もせいぜい指先に気合を入れ、女の方から身をよじるくらいにならんとな。
けれど忘れるな、診ている時には絶対に変な気で女の部分に手を触れてはいけない。
妓生のように、連日体を粗末に扱われている連中だからこそ、丁寧に診てくれる医者が
神様のように思えるのも無理のないことで、治してやってありがたがられると舞い上がり
男としても惚れられたと自惚れてはいかん。
そもそも女郎屋に向かうのは誑しこむのが目当てではないし、それでは治療の名目も
立たん。まあそんな勘違い野郎は早晩追い払われることになるがな、医者と妓生とは
身分や立場が違うんだから距離を保て、医者の誇りを常に忘れるな、名医は慈愛の心で
体の隅々心の奥底まで開かせるのが極意、などと。
それからがまた長話だ。

礼がしたいからと誘われても断り、まあ中にはいろいろあって、つい情にほだされたこと
も二度や三度ではなく飯ぐらいいいかとご馳走になったり。あれ、先ほどの話しと違うのではと聞くと、いやすっかり直り時間も置いてそれでも俺に感謝したいというのならむげ
には断れない、それはかえって女に恥をかかせるしまた礼を尽くして据えられた膳を食わ
ぬというのは俺の沽券にも関わるからなと。
それで召し上がられたのはお料理だけで?と問うと口を濁す。まあ先輩は非道ではなかったし、時折小耳に挟んだ噂でも、かつての患者たちが未だに付け届けを贈っているとか
いうのだから、それなりに取り計らったのだろう。
その他にも思い返してみても赤面するような話があったが、努めて真面目に聞いた。

その頃俺には妻がいてそれで十分だったし、おいしい思いとやらをしようとは思わな
かったがしかし確かに効果てきめんで、以来生娘たちを無用に泣かせることはなくなった。
ただ、女郎屋に出向かなくなってからもう何年になるか。妻を亡くしてからというもの、
なんであれ女の体を見たり、真面目な治療とは言え女の声を耳にしたくなくて、自ずと
その界隈から足が遠のいた。

今でもあの感覚を思いだせるだろうか。いやいやどうあっても思い出さなくてはならない。
指先を眺めると爪が少々伸び気味で、けれどツボを押すにはむしろ好都合だ。
これならいいとイクピルはうなづき立ち上がりまた宮に向かう。

ほどなくして宮の前に着いた。服の紐や肩の位置を整えなおし袖についた細かな木の葉を
払い、それから護衛に声をかけた。医官が夜間出入りするのはよくあることだ。今夜も
俺の顔を見、なにを聞かれることもなくくぐり戸を開けてくれた。

内医院に入ると中は静かだった。
普段、医官は夜は家に帰る。念のため先に医務官室や仮眠用の部屋を確かめたが、やはり
誰もいない。
医女は普通、二三人一組で泊まりの勤務につくのだが、今日は他のものたちは休みや薬を
調達するために遠方に出向いており、シンビひとりでいるはずだ。
この機会を……と思う反面、臆病な気持ちももたげるのを感じた。もう少しゆっくり考え
るべきでは……。
もちろん医官と医女とが組んで泊まることもないこともない。たとえば季節の変わり目は
どうしても急な病が増えるから、医女だけでは間に合わないことも多い。その時期まで
待てば、俺とシンビが夜を過ごすこともできなくもない。また先だっての王のいとこの
時のように急に泊りが入ることもなくはないが、もちろん必要で待機している時には雑談
などする余裕も無い。
361イクピル×シンビ:2009/04/26(日) 19:21:12 ID:ImFwJ2rR
だからそんな悠長に待ってはいられない。いまそこにある危機を感じたからこそこうして
戻ってきたのだ。やはり今だ、今夜しかない。

何度目かの決心をしてシンビを探した。
シンビは真面目で、手が空くと調べものをしたり薬剤の調合をしたりして夜を過ごす。
少しは横になったらと医女長は言っているようだが、煎じ薬のそばで腰掛けるくらいだ。
だから今夜も薬房にいるだろう。
案の定だ。そしてこの前と同じように、薬湯はもう煎じ上がっている。これではいつ土鍋
が燃え上がるかわからん。頑張るのは結構だが強く戒めねば、と肩に手をかけかけた。
いかん、今夜の用向きはそういうことではない。
まず薬湯を火から下ろした。そして改めて湯を沸かす。
さてどうするか。シンビは上がり口に腰掛け柱に寄りかかってている。

俺の理屈としてはこうだ。お前に言い寄るけしからん輩がいて、遠くない先に手篭めに
されてしまうだろう。お前は確か今はいい人はいないと聞いておるし、患者に触った以外
は男にせよ女にせよ人肌に触れたこともなかろう。そんなお前が不憫でならぬ。さっさと
相手を見つけるなら俺はこのようなことはせん。けれどお前のことだから、色恋にうつつ
を抜かすよりもまず医術を学ぶことしか頭になかろう。でだ。俺に出来るのは、お前の
苦しみを少しでも和らげることだけだ。だから。
俺自身としてはちゃんと通る言い分だと思うんだが。わからないというのなら、それは
シンビが己の美貌としかし置かれた立場のその弱さ、そして男共のけだもののような欲望
と背後の権力を知らないからだ。

とはいえ、叩き起こして説得するのは難しかろうと、さすがに思う。
先輩は、どうしてもおとなしくならぬ場合は少しばかり薬を飲ませることもあると言って
いた。俺自身はそんな厄介な相手に出会ったことはなかったが、その処方は覚えている。
まあ言ってみれば軽い痺れ薬で、痛みを減らして気分を軽くするために使う。
そう言えば噂を聞きつけたあくどい連中が、その手のを調合してくれないかと頼んでくる
こともしばしばある。連中は酒のように記憶も無くすることを狙っているようだが、残念
ながらそのような効き目はなく、お前らの悪事はしっかり覚えられているぞといって追い
払うのが常だった。
まあ闇の医者がそういうのを高値で売りつけているとは聞いているから、悪巧みをした
ければ内医院などに来るなということだ。
湯も程よく沸いた。その薬草を煎じ、これは軽く煮出せばいいのですぐに出来上がる。
シンビを起こたら、まずは飲ませてやろう。



恥ずかしながら俺のは人よりやや、いやかなりぼってりしている。もちろんそうしている
時のを並べて比べてみたことはない。が、実は女郎屋でも女だけではなく店の男連中の
相談に乗ることも結構あったし、時によっては高官たちがお忍びで、女に会いに来るので
はなくて治療のために女郎屋の場所を借りることもあったのだ。なにせこういった下の話
はお抱えの医者にも恥ずかしいらしく、前だけでなく、奴らは年中座ってばかりだから
まあ後ろの方までいろいろ。またここで俺は人体の不思議に圧倒されることになる。
そして思い出すのは吏曹判書のことだ。誤診ということにされているが、俺にも言い分は
ある。あの方は以前俺が女郎屋の医者だった頃によく出入りされていてお互い若い頃は
俺も度々相談に乗っていた。
気立てよく、あまり客のつかない女もかわいがっていた。そういう女は顔色悪くどこか
体調というか挙動がおかしいことが多かったから、やめておけと言ったことも数度では
ない。
362クピル×シンビ:2009/04/26(日) 19:21:45 ID:ImFwJ2rR
吏曹殿がどんどん出世し俺も内医院の医官となり、次に顔を合わせたのは数年前の
ことだった。ごく普通に風邪やらなんやらを見ていたのだ。けれどお互い立場が出来て、
昔みたいにざっくばらんに打ち明けてはくれなくなっていた。俺が見ればすぐ判った
だろうに……吏曹殿はそのころ新たな病として知られ始めた病で、発疹を伴う病をうつ
されていたのだ。だんだんわかってきたのだがこの病は女郎屋好きに多く、それは別に
恥ずかしいことではなかったが症状が面妖で、発疹が治まり直ったかと見える時期もあり、
ところがひどいのになると鼻や男のものまで腐り落ち、それが業病と称される病と似て
いることから非常に恐れられ、人に知られるのが嫌さに別の腕のよくない医者にこっそり
かかっていたと思われる。俺が診たときは最早手足の自由もままならず、けれど薄々事情
を知った親族から真相を告げることを阻まれ、まあどうしたところで結局医者のせいに
されちまうのは世の常だ。
とにかくそういうわけで宦官たちも含め、男の患者たちの普段目にはできない部分をいく
つも診てきた。
でまあそういう時にはいろんな形状のそれを眺めねばならぬことも……こっちはこれまた
見たくもないが相手は真剣そのものだし、数をこなすうちに女同様見慣れてくるもんだ。
ある時など結構名の知れた妓生相手に目の前でまぐわり初めて、先生ちょっと診ていた
だけませんかなどと言われ、あれにはさすがに驚いたというか、両班ともなればその時の
世話まで端女にさせるのが当たり前なのか、人前でも全然頓着がない。
こっちも下腹が膨張してくるのを悟られないようにするのが大変だったが、逃げるわけに
もいかず。なにせかなりの大金を弾んでくれるお方でむげにもできなかった。
まあ例のごとくのしかめっ面で通し、ご丁寧に白い残滓までとっくりと眺めて、これで
したら心配ないと思いますなどと言っておいた。
それがどう口伝てで広まったのか、それからは俺のは貧弱じゃないかとか、もっと女を
喜ばせたいから形を変えられないかとか妙な頼みをされることも多くなった。で、場合に
よってはそそり立つのを診なけりゃならなくなる。まあその内慣れてくるもんだが、俺の
口が堅いのをいいことに、本当に便利に使われてしまったものだと思う。まあその分
短い期間で多くの経験を積めたのは間違いない。
そんなこんなで俺は耳年増ならぬ目年増で、おかげでと言うかなんと言うか俺自身の
大きさについて自覚ができたのだ。
俺も普段の見た目はそれほど差はないが、その時になるとざっと倍くらいになり特に傘の
部分が下の方よりもぐんと張り出し、男はこれが当たり前かと思っていた。けれど見た
限りは俺より長いのはあったが太いのには出会ったことはなかった。

ところで妻をめとったのはそんなことを知らなかった頃だった。既に女はそこそこ見て
きていたから、妻のも特に変わったところはなく、見ため小さくても赤子すら通ると初夜
の晩、思えば前戯もそこそこにあてがい、慣れたものだと迷い無く貫いた。と、ところが
壁ができたかのように全然入っていかない。焦って無理に押し込めようとすると今度は
妻が堪えきれずに呻くのが聞こえた。痛いのかと聞くと、はいとうなづく。なんだこの
俺が、あれほど女のあれこれを知っていると自負していたはずが妻ひとりかわいがって
やれない。
恥ずかしくなり結局その夜は背を向けて寝てしまった。妻は申し訳なさげにしていたが、
申し訳ないのは俺の方だ。
で、それからは、女郎屋での経験がこんなことに役立つとは思わなかったが、腰を揉み
ツボを押したりして、妻も徐々に濡れもし。俺は目年増であったが実地経験にはうとく、
妻とする中で男として女を知ったようなものだ。
それでやっと一寸ほど埋めることができた。でもまたそこから先がどうしても入らず俺も
痛くて仕方ない。

さすがに困り果てしかし先輩に聞くのも気恥ずかしく、思い切って女郎屋の抱主にそっと
相談した。
363イクピル×シンビ:2009/04/26(日) 19:22:12 ID:ImFwJ2rR
まああれだ、俺はその手の場所で女を抱いたことがなくて、というか俺自身初めてだった
ので、それまで目の前の患者たちをこんなものかと診ていただけだが、考えてみれば
中には年端も行かぬ、普通は男と女の営みを知らぬような子供でも一人前に男の相手をし
ている。ということは、あの小さな体に受け入れていて、別に平気でいるのだ。
様子を見ても辛がることなく、まして殴られて無理無理されてもいないようだし。考えて
みればどうすればそんなことができるのか不思議な話だ。

抱主はでっぷりした腹に禿げ上がった頭のいかにもといった風体で、俺の真面目な問い
かけに最初は大笑いした。そりゃあ先生、ここでお見せしているのは男たちの理想郷でね。
皆が皆、そんなに簡単に女と楽しめるわけではないですよ、と。
その後は極めて真面目に答えてくれた。それはこんな話だった。
連れてきた子たちの多くはそれまで家でろくに飯も食えやしない。まずは一週間ほど、
たらふく食べさせてふかふかの布団で寝かせて毎日風呂にも入れてやる。で、ここが今ま
での暮らしよりもずっと居心地のよい所だと教える。最初は貧相な顔の子も、顔の色艶や
肉付きがぐんとよくなると自然と気分もほぐれてくるのだと。
そうしてからが仕込みの始まりで、まあ温かいおまんまをもっと食べたいという欲のある
子、あと家族を養いたい一心で最初からこういう商売に馴染もうとするのは手がかから
ない。あと生まれつき好きな子もいて素質があるというのか。ちょっと肩や尻を触った
反応でそういうのはすぐわかるから、この手のはそのまま客を取らせる。
通というか遊びなれた連中は妓生たちの内輪話を聞いているから、初物といっても既に
他の男、つまり儂の仕込み済みのではなく完全なまっさらを欲しがる。で、その方々に
うんといい値で買って貰い、後はその男好みに育て上げられるなりしてうまくいけば妾に
なることもある。まあそれは相性と女の努力次第だが。
普通の子はやはり怖がり、いきなり客に出すと粗相をすることまである。それもちょいと
なら目をつぶるが……緊張のあまり見るに耐えないものまでぶちまけてしまうのもいて後
の掃除が大変で。それでもいいというおかしな、といっては失礼だが変わったお方は別と
して嫌がられるし、汚れてしまった布団も使い物にならなくなる。
また緊張しすぎて痙攣まで起こして、娘もわんわん泣いて痛がるわ客のもどんどん締め
上げられて顔面蒼白になるわで、にっちもさっちもいかなくなることもある。
客のためばかりでもないんだぞ。娘にしてもある程度馴染ませておかないと腫れ上がった
り、ひどいのになると深く裂けたりして苦しみ抜くことになるんだ。儂のしているのは娘
にとっても慈悲で、だから儂が必要なのだ。
で、タダ飯を食わしている一週間ほどの間は表周りの掃除や洗濯の手伝いをさせたりする。
まだお座敷には入れないし、仲間の皆もそんな話は一切しない。廊下で会う度ニコニコし
た顔を向けられ、犬猫同然の暮らしをしてきた子にとっては天国のようなところだろう。
折を見てある日、女中頭が布団部屋で布団の整理をしろと命じその後で儂が部屋に入る。
布団部屋は外から鍵が掛けられ、儂が声を掛けるまでは開かない。で、そこの布団の山に
手を付いて、裾をからげろと命じる。もちろん主の命令を聞かぬわけにはいかないから、
わけもわからずおずおず捲り上げた尻や腿をまずとっくり眺める。しかるのち下着きを
さっと下ろしてやる。
この頃から異変に気付き、ガタガタ震えだすのもいるが気にしない。ここは大店、多い時
には一日に数人もしていかなければ間に合わないのだからな。で、むき出しになった尻を
広げ、色づきを調べ指で付き方を確かめる。付き方というのは上付きとかどうとかって
ことだ。先生も見てたらわかるだろう? あと、毛はまだ生え揃わないないのが多いが、
まあそれは儂の長年の経験と勘でどのあたりまでどうなるかってこともだいたい予想が
つく。これでこの娘の売り出し方、相応しい相手を頭に描いておく。
それから袂に忍ばせた軟膏をさっと塗り、自分の一物を軽くしごいてあてがう。この時
気をつけるのは、柔らかいままですることだ。儂のは人並みだが、それでも怒張すると
小娘には辛い。傷つけぬよう細心の注意を払うんだが、儂も若かりし頃は加減が出来ず、
つい血を垂らしてしまったこともたびたびで、それでは売値が下がる。
364イクピル×シンビ:2009/04/26(日) 19:22:44 ID:ImFwJ2rR
なにせ初物は三倍以上の値がつくんだがそれは初めて男を受け入れる恥じらいの涙や、
身を裂いた時に実のところは形ばかりではあるが流す血、そして己の体内に男の欲望が
染みこむ驚きの顔、そういうものを見たいからだ。とはいえ先ほど話したように汚物
まで浴びたいとは思わないしお互い無闇に痛い目もしたくないしさせたくもない。それで
は楽しめんからの。
儂らはそこらの道端で女を襲うような獣とは違う。こうやって店を構えお客に安心して
遊んでもらえる玩具を提供しているわけだ。だから水揚げにしたってまあ一種の様式美を
楽しむ大人の遊びというわけだ。
それにふさわしい商品を作り上げるのは、これはこれでなかなかの苦労ってやつで。

力を抜けと命じておいて途中まで持ち上がった儂のをゆっくり沈めていく。あれは意外と
柔らかに広がるもので、多少の抜き差し程度で破れることはない。客が初物相手でそう
なるのは、興奮して突っ張ったものを無理やり押し込み、これまた阿呆のように出し入れ
するからで、やさしくすればすぐに馴染み、娘も特に辛くはない。遊び慣れたお方も儂と
同じように、最初の何回かは血を見せることなく、その感触も含めて楽しんでくださる
ようだ。
もちろんこの程度でも涙を流し始める子もいるが、一切声は掛けない。体で儂を感じる
うちにこれが己の生きるすべだと悟っていくものだ。
中にはこらえ性のないのもいて部屋の中をどたどたと逃げ惑ったりすれば、まあまずは
部屋の外にいる女中頭が音を聞きつけて駆け寄り自分の部屋に連れ帰って因果を含める。
これで大抵は次の日には黙って儂に身を委ねる。それでも言うことをきかぬのは、しばら
くメシ抜きで放り込んでおく。体が弱れば逃げる力もなくなるし、一度食わせたメシの味
はそうそう忘れられるものではない。
これでも駄目ならもう無理やり。他の男連中の手を借り押さえつけ……。こういうのが
好みな酔狂なお方もいらっしゃるから、あらかじめ話しをつけておいてもらえれば、その
お方にお願いすることもある。もちろん助太刀をご用意するし、いやむしろそのお方の方
から生きのいいのを連れてくるから人手は無用とおっしゃることが多いな。まあ儂に逆ら
う奴に気づかうことはないから、他の妓生仲間や女中は顔を見せず男だけの中に放り込み、
あとは好きにしてくれと。
そういう時には離れをお貸しするのだが、一晩中ぎゃーぎゃー泣き叫ぶ声が届いて、他の
連中へのいい見せしめにもなる。次の朝にはぼろぼろの顔で泣きべそをかくのがおちだ。
とまあいろいろあるにせよ、いずれにしてもいつかは儂に従うことになるのはこの世界の
掟だ。

話しがそれたが、沈めたものを半分くらいまで入れまた抜いていく。これを丁寧に繰り返
して十回ほど。ここで儂も気を入れ少し大きくする。そしてまた何回か抜き差す。初日は
これで終わり部屋から出してやる。恥ずかしそうに皆と暮らす部屋に戻れば先からいる
妓生に様子を聞かれるだろう。で、皆そうだったのだと知って納得するだろう。
翌日から、一日置きに呼びつけやはり同じように入れてやる。やはり柔らかなまま入れ、
中で徐々に大きくしながら拡張してやる。仕込みの見極めは中で普通に怒張させ、だが
もう出し入れはせずにそのまま含ませておく。それでじわりじわりと潤滑液が染み出て
くるようになれば終わりということだ。
こんな一連の作業の中では決して全部をうずめない。その先はお客が楽しむ領域だ。ここ
まで教えたのでは初物の意味がなくなるからな。
そして絶対に、これは絶対にだが気をやらない。儂自身小便くさい娘は好まないし商売
道具を自分の慰み者にする気はない。また主が自分の体で気をやったとかいう思いは奴ら
に無用の自尊心を与えるからな。それはまずい。儂の仕事はお客の使いよいようにただ黙々
と道筋をつけることだけだ。
365イクピル×シンビ:2009/04/26(日) 19:23:50 ID:ImFwJ2rR
で、仕込みが始まれば年上の妓生たちもぼちぼち床の所作を話してくれるだろう。けれど
聞くと見るとは大違いだ。儂が施す子供じみたまぐわりではなく男が興奮した顔で体の上
にのしかかり腹の中を突き上げ、熱い放出を浴びせかける。女は抗う術もなくそれを体で
じかに受け止めさせられる。自分の体を何人もの男が通り過ぎ、その合間の熱情とだだ
残される空しい置き土産が女を磨き艶を出し、やがてはこの店の看板娘へと変えていく
のだ。

というわけで儂が仕込むのは長くても一月ほどで、あとは細かいことだが皆を集め並ば
せて順々に入れていくぐらいか。これは皆も同じということを知らしめるためと、そして
いずれはこの子たちもそれぞれが後始末などの世話に部屋に付くから、いちいち驚かない
ように見慣れさせておくくらいのことだ。
まあこうしてやっと店に出せるようになるのだが、やはりそれぞれ特長があってな、つま
り味わいが違う。ちょっとやるだけで感じ始めるのもいれば、まったく平気なのもいる。
このどちらも将来店を担ってくれる逸材だな。
また生まれ持っての名器ってのはあって。もうずいずい吸い込まれるような感覚で、しか
も苦しそうな気配がないのだ。儂は気が遠くなりながらつい全部を突き入れてしまうこと
もあるが、それをも体奥が楽しんでいる按配で。逆にこちらがよがりそうで自分を抑える
のに苦労し、白目を剥きながら儂は抱主の立場を思い起こしてなんとか最後だけは押し留
める。
その時の一物はいつまでもほんわかとし、次にその娘を抱くのが待ち遠しく仕込みを終え
るのが名残惜しい。そしていつかは儂のものにと思っていても、すぐに妾の声がかかって
しまうから、結局おあずけのままだな。ああいうのがもし儂の添い遂げる相手だったら、
互いに深く交わったまま心中してもいいかと思うくらいだ。

それでそうそう、奥方にどうしたらということだった。だから先生は奥方の体に感じ入
られて、血の気がありすぎなのではないかな。しばらく別のことを考えるとか。まあ愛い
お方の前では無理だろうが……その前に一回抜いておけとまでは言わないが、とにかく
男の方が気持ちを抑えるようにな。
硬くないまま入れるのはコツはいるさ。けれど右左に曲がる程度でも案外なんとかなる
もので、手なぞそえながら腰を押し込んでいくといい。場所さえ間違えなければ収まる
べきところに収まってくれる。それで抜き差しも我慢ししばらくそのままじっといる。
でないと動けばすぐまた大きくなるだろう? そうなったら奥方のがもちやせん。じっと
奥方のが広がるのを待つ。もちろんその間乳など揉んだりすればよいが、まあその辺りは
儂が伝授せずともご承知だと思う。
それで、しばらくしてゆっくり動いてみる。ここが先生の踏ん張りどころだ。たぶん
きつく締まり気持ちも昂りもぞもぞ動きたくなるが、となるとやはり奥方は苦しかろう。
もちろん先生も辛かろうが仲睦まじく過ごしていくには最初が肝心で、これを辛い苦しい
と思わせたらもうどうにもならぬ。奥方の方からしっぽりと受け入れてくれるまで、脂汗
を流しながら耐えに耐える。
少し締め付けが緩んできたと思ったらまたじんわりと腰を入れ、奥方の加減を見て……辛
そうだったらそこでやめる。儂とて半分を馴染ませるのに一月かけるのだから。
でまた二日ほどして同じようにする。次第にその感覚にも慣れ広がってもくるし感じ濡れ
てもくるだろう。そうなれば動いても和らげてくれるから。やっとお楽しみの始まりって
ことさ。
最後に抱主はニヤリと笑いながら言った。
先生、男が女を抱くんじゃなくって、本当は女にいいように抱かれるもんですぜ。

早速その晩妻を抱いた。はやる気を抑えるのに苦労し頼りないものを押し入れるのにも
苦労し、なんとか半分ほどは埋めることができた。けれどもうそこで俺のは大きさをどん
どん増して、強まる締め付けにこのままの放出を望んでしまうが、まだいかん。死ぬ思い
で耐え引き抜いてドクドク脈打つのを手で押さえつけた。
366イクピル×シンビ:2009/04/26(日) 19:24:42 ID:ImFwJ2rR

言われたように二日ほどしてまた試した。俺もこの感触に少しは慣れ半ばまで入れても弾
けることはなく、少しずつ奥へと突き進める。けれどまた、柔らかな尻の肉に俺のふぐり
が触れたとたん膨張を始めてしまう。うんうん呻きながらそのまま耐えようとしたが、
あまりの心地に思わず奥に差し入れた瞬間、暴発してしまった。
妻は黙って受け止めてくれたがこれでは。
まあしかし初めての気を、道半ばや腹の上にぶちまけるよりはましだったと、己を慰めた。
そんなこんなで何度も失敗はしたものの徐々にその感覚も掴み、膨れたままで動かしても
痛さもなくなったようで、中を存分に味わったりあちこちをつついたりして俺も楽しく、
そして妻の体もどんどん艶かしく変わり、女を磨くとはこういうことなのかと抱主の言葉
を思い起こしたりした。
ただしやはり最初のが辛いのは相変わらずのようで、妻の喜ぶ顔見たさについつい大きな
それを入れようとすると、俺としてはまわりのひだが包み込むようで気持ちいいのだが、
妻にしてみればめくり返されるような痛みが走るとのことで、上の突起を揉み、染み出て
くる液を馴染ませ傘の部分を使いひだを広げて塗りこめ、そうこうしているうちにやや
萎んだそれを、少しずつ沈めていかなくてはならなかった。


それで今からどうするか。
どうするもこうするもない。目覚めたシンビに薬湯を飲ませ、同じ過ちを繰り返すなと
言うとシンビは平伏し、しかしなぜお戻りですかと聞いてきた。少し用を思い出してと
答え、そして今晩はここで調べものをするからお前は仮眠を取れと言った。しかし案の定
シンビはこのまま他の薬湯を作ると言う。まあいい、そのうち薬も利いてくるだろう。
あの薬湯には、ほんの少々眠気を催す成分もあるがしかし熟睡するほどではない。俺は
寝ているに相手などという趣味はないし、なによりシンビ自身に自分がされていることを
しっかり覚えていて欲しかった。それが抱主の言葉によれば、己を悟るということなのだ。

やはりまたうとうとしだした。俺はその肩を抱き小上がりに布団を敷いて寝かせつけた。
衣類の紐を解き楽にしてやる。そうしてから体を裏返し裾を捲り上げると、あの目に焼き
付けた腿が現れた。
下着の合間を指で探る。全部を脱がせるつもりはない。必要なだけあればいい。なにせ俺
はこの子を慰み者にしようとするのではない。だから俺も軽く前をはだけただけで足袋も
そのままだ。
シンビの腰をもたげ下着をずらし、さて。大きく広げた方がこちらは楽だ。しかし足を
持ち上げたらさすがに気付くであろうし、それに女郎屋の抱主も言っていた。仕込みは
顔を見ず普段に近い格好で施すのが肝要だと。男は支配者であらねばならない。けれど
儂とて時にはうっとりしてしまうことがあるからな。それを見られたら女に舐められると。
ならこれはどうか。体をうつ伏せに変え足を閉じたままの尻の下に跨り尻の間だけ広げ、
俺のに油をなすりつけこの子にも油を塗る。それから手をそえてゆっくりと。この格好
ならシンビが尻を突き出さない限り奥まで届かず逆に好都合だ。うん、こうしよう。

ひだが押し広がり、傘が秘肉をかきわけていく。それだけで弾けそうになったが息を整え
てしのいだ。俺は犯すのではない。あの抱主と同じように、この子にこれから苦しみを味
あわせないための慈悲を施しているのだ。
また少しずつ腰を入れると、少し抵抗のある場所を感じた。何度も診察で見た膜だ。この
先に俺が入り込むのは心苦しいがしかし、隣室の親父の嘆きに聞き覚えた医女の、その方
の身を踏み躙った苦しみを少なくとも体で感じなくて済むように。それに俺はそっと通る
だけだから。
思いっきり深呼吸をする。幸い全部を脱がしていない分、目からの刺激が少なくて済み、
おかげでほどよく柔らかくなった。
また慎重に進む。
367イクピル×シンビ:2009/04/26(日) 19:25:12 ID:ImFwJ2rR

さすがに異変を感じたのか、シンビが目を開けた。しばらく状況が理解できなかったよう
で、あちこちを見たりしている。起き上がろうとするのを腿の裏側に腰を落として制止
した。
「どうして」
説明などいらない。説明してもわかってはくれないだろう。実際その時が来るまでは。
そして起きたのを幸い腰に力を入れた。
「おやめください」
抵抗する手には力が入らないらしく、放っておいても支障はなかった。
それはそれとして痛いのはここからだから、少しでも和らげるべくツボを押してやる。
腰の横もそうだが尻にかけての場所は痛みを取ると共に快楽を深めるのにも使われ、女自
身も楽しめるようになる。だが本格的には鍼も使うから誰も彼もが適当にやればいいと
いうのではない。妓生が先輩を頻々と招いたのも結局はこの施術をして欲しかったから
なのだろう。商売とは言え好む男ばかりが相手ではない。少しでも楽にと願うのは、苦界
に身を置く者たちの切実な思いなのだろう。俺もそれがわかってからは、先輩ほどでは
ないけれど、求めに応じて鍼を打ってやった。
そしてシンビの体も例外ではなかった。顔では嫌がるものの体はがほのかに熱っぽく
なっていく。
腰はようやく半分ほどにまで達した。抱主ならば、これで目的のひとつは遂げたことに
なる。
シンビはやめてくださいと小声で繰り返しているがどうせ誰にも聞こえやしない。あとは
このまま抜き差しすればそれでいい。もちろん硬くならないように我慢しなければ。
けれどどうにも様子がおかしい。ちっとも動いておらず、さすがの俺ももはや締め付け
程度では膨張しない自信があったのだが、半分ほどしか達していない俺のがまとわりつく
ような細かな感触に、入れただけの先だけが膨れていく。そして残る部分もそれを味わい
たいと俺の腰をせっつく。
俺が長らくなかったからこんなことに。先に自分で始末しておけばよかった。とにかく
やるべきこと、抜き差しをして終えよう。そう思いほんの少し引き抜き、そして突き入れ
たのだが。
抜くどころかどんどん吸い込まれてしまう。嘘ではない。勝手に中へ中へともぐりこんで
いくのだ。しかも傘の部分がくっきりと張り出しているのが自分でもわかる。抜こうにも
それがひっかかり身動きが取れない。
これが抱主の言っていた……吸い込まれるような感覚なのか。
シンビは顔を覆って泣きぬれている。
いや案ずるな、慰み者にするつもりはないと心の中で言う。
だがとにかく自分の意思とは無関係に、俺は懸命に腕を突っ張らせているのに遂には柔ら
かな尻に俺の下の毛がぴったりくっついてしまうありさまだった。
さすがに今動くわけにはいかない。だからそのままじっと体を沈め続けていた。ところが
また俺はなにもしていないのに、埋めたそれが勝手に揉みしだかれる。そして俺自身経験
のないほどに怒張した先が突き当たりにまで触れているのを感じた。その突き当たりが形
を変えて俺の先端をぐるりと包み、そしてその中に誘う。
さすがに堪らなくなり深呼吸を繰り返す。けれど頭の中、いや腰の先がもっと奥へとそれ
ばかりだ。
気が付くとこの子の腰を持ち上げていた。そして体の下半分を覆う衣類を剥ぎ取った。
俺は上も全部を脱ぎ捨てた。万一誰かが来たときにとりつくろえるよう着たままで、など
ということはどうでもよくなった。我ながら見苦しい毛むくじゃらな脛やらなんやらが
むき出しだ。
また尻をうんと持ち上げ、足をやや広げ気味にすると残る部分がにゅるにゅると引き込
まれた。シンビが呻くが痛がる気配はない。そして軽く揺すると潤滑液が出てきたのか
少し動けるようになった。
368イクピル×シンビ:2009/04/26(日) 19:25:39 ID:ImFwJ2rR

抜き差しを始める。これはもう慈悲ではなくて……この子の体が俺を飲み込んでしまった
からこうなっただけであるからして。
いや俺も味わいたいのはもちろん。
尻を掴んで腰を送る。ゆっくりと。結合が深まり傘全体が肉のかたまりでねぶられ、その
心地よさに俺は呻いた。
俺の手で快楽を与えるつもりがなかったから、今までどこにも触りはしなかったが、こう
なった以上順番が逆のように思うが、ちゃんと抱いてやらねばこの子にも悪いしつまらな
かろう。上着の合間から手を入れ、乳房を揉む。硬くしこっているのは怯えもあるのか、
とにかく手で暖め緊張をほぐしてやるが、ますます硬く縮み上がる。
それから腰の下から手を回し入れているすぐ下の突起をつばをつけた手でさすった。そこ
は既に熱っぽく、どことなく次の刺激を求めている気配すらあった。なら話しは早い。
「脱げ」
しかしもぞもぞと力なく動くだけだ。やむなく繋がったまま腰に残るものや上着も取り
去ってやる。これなら。まあつまらぬ話だが、もう逃げ出すことも叶わなかろう。そう
してやっと引き抜く。

いよいよだ。俺とシンビが本当に交わる時が。
突っ伏していた体を仰向けにし、足を開いて持ち上げた。シンビは目をただ見開いている。
「驚いたか。俺もこんなことはしたくなかった」
いやいやと首を振る。
「でもお前のためだ。任せろ」
犯しているわけじゃないと心の中で繰り返しながら広げた足の間に俺のをあてがい、柔ら
かなひだを傘の先でなぞると乾き始めている。突起を指で刺激するものの液はなかなか
出てこない。これでは入れたとて、またしばらくじっとしているしかないがそんな時間はない。
仕方ない例のものを。
これは女郎屋の抱主が奥様にどうぞとくれた軟膏で情欲を高める成分が入っているという。
処方を聞いても笑って答えてはくれなかったし、俺も結局妻に試す必要もなくて、置いて
いたのだが。で、男の側に塗って中に押し込めたり、あるいは女の敏感な部分に塗れば、
初めての女でも気をやるのだとか。
手に取り手のひらで柔らかくのばしシンビと、己の膨張にもたっぷり塗る。そしてまた
その中へ。ところが今度は途中でつっかえシンビも激しく抵抗する。ああまたあれか。
俺としたことが妻で何度も懲りているのに。もう一度軟膏を手に取りひだを広げその間に
もまた塗りこめ、そして俺は張りを減らすべく深く息をして。
ひだを指で大きく広げ、先端を押し付けていく。
やっと傘が埋まった。しかし油断は禁物だ。股のつけ根のツボを押して、痛みを和らげて
やる。けれどそれから先は案ずることはなく、というかまたさっきのように飲み込まれて
いく。入り口さえ通過すれば大丈夫なのか、俺が腰を進めても特段の突っかかりはない。
入れては少し戻しまた入れては戻す。徐々に深みを増し、最後はぐんと突き上げると、
シンビの腰が少し持ち上がった。腰同士を密着させたままで小刻みに揺する。
徐々になじんできたのか、あるいは諦めたのか。俺の動きに合わせて腰がくねるように
なった。もちろん中の締め付けは相変わらずで、俺はもう何度気をやりそうになったこと
だろう。そのたび、漏らすべからずとの主の言葉が頭に浮かぶ。ただ抱主にとって女は
商品だが、俺にとって、そして今は。
そんなことを考えながら敏感な部分をつまむ。先ほどよりやや厚ぼったくなっている。
覆う皮を指でむき出しにすると、とたんに強烈な締め付けで応えた。そして全体に
しっとりと汗ばみ、俺と繋がっている部分からも滑らかな液体があふれた。全く順番は逆
になってしまったが、改めてこの子の胸に顔を埋め乳の先端を吸うとそのたび戸惑いの
表情を浮かべる。
369イクピル×シンビ:2009/04/26(日) 19:26:35 ID:ImFwJ2rR
「シンビ。お前が襲われそうになったと聞いてな。いやあのことだけではない。他にも
お前をものにしようとしている連中は山ほどいる。
けれどどいつもこいつも、お前を妻にしようとは思っておらん。奴らの魂胆を俺はお前
以上によく知っている」
片足を抱えて角度に変化をつけた。同時に浮いた腰や背中のツボを刺激していく。
「だからな、お前に苦しみを味合わせたくはないと思ってな。俺は人には言ったことは
ないが、ちょっとしたことでこういう……ことの成り行きをよく知っている。
だからもしお前が、お前を付け狙う連中にむごいことをされたら、それこそもう立ち直る
のが難しいほどの苦しみを負う……そうされた人を何人も知っている」
すっかり滑らかに動くようになった律動が、尻との間でパンパンと音を立てた。
「不本意だろうが、俺はお前を抱くことにした。俺ならな、少なくとも苦痛は与えない。
そして一度男を知れば、もしそんなことがあっても……あって欲しくはないがあったと
しても。
いや……実のところ、お前を抱くつもりはなかった。ただ少しだけ望まぬ相手に奪われる
屈辱、痛みと共に与えられる絶望を減らしたかっただけなのだ」
小刻みな抽送を繰り返しながら続けた。
「ところがお前はなあ。自覚はないだろうが、恐らく稀に見るものの持ち主だ。俺は自分
を抑制できると思っていたが、お前の前ではかなわなかった。
俺はこんなことまでするつもりはなかった。これは本当の気持ちだ。だがな……今からは」
不快感は残ろうものの、やはりツボの効果は絶大のようで、こわばっていた尻まわりも
すっかり柔らかくなっている。そして接合部からはくちゅくちゅと滑らかな音まで聞こえて
くるようになった。
もう大丈夫だろう。大きく引いて傘の部分で入り口近くをこすり上げた。シンビの体の
たぶん膜の部分が傘に引っ掛かり、ぴろぴろまとわり付いてくる。今しか味わえない、
そうだな初物の味ってやつかな。それもとびきり上等のまっさらのを。
両手で尻をうんと持ち上げ足を支えてやや下方から攻めていく。当たる部分が変わり、
シンビは身を捩じらせて喘いだ。乳はすっかり尖り、舐めるといっそうつんと尖る。
「よくなってきたみたいだな。俺もたまらん」
今度はシンビの足ごと腿で挟みこみ、ちょうど尻同士をぶつけるような格好で、腹側の壁
を刺激してやる。吐息が喘ぎに変わっていく。
横や下をあちこち突いているといつのまにか手が俺の腰に添えられている。遠慮なく全部
の長さを用い抜き差しした。
喘ぐ声が強くなり、そして……もう出そうだ。

体勢を変えようと呻きながらなんとか引き抜くと名残惜しそうにシンビの体がうごめいた。
体からでたそれは見たことのないほどの充足を示しながらほんのり湯気を上げている。
立たせて柱に寄りかからせ、足を少し広げる。
「もっと気持ちよくしてやる」
割れ目の上下を傘でなぞると花びらがまとわりつき包み込もうとする。心地よさに、もう
張りを和らげることができずぐいぐい押し込むとまた細い場所で行き止った。少し突くと
シンビは体を上に逃し後ろ手で私の腹を押して抵抗する。痛いかと聞くとこくりと
うなづいた。
「俺はお前に傷をつけたくはないが……な、しかしお前を女に。だからここも俺が」
腰をつかみ渾身の力を込めてぐっと入れる。ふっと緊張が解けて、全部がずるりと滑り
込んでいった。シンビの体ががくんと揺れる。
「少しの辛抱だ。すぐに楽になる」
小刻みに揺らしてしばらくするとその部分から粘液がこぼれ、手に取ると少し赤く染まって
いる。
けれど既に体は馴染んでいたのだろう、それ以上痛がる様子もない。敏感な部分を揉み
さすると次第にシンビの息づかいが強くなってくる。
370イクピル×シンビ:2009/04/26(日) 19:27:12 ID:ImFwJ2rR
俺はそうしながらも、先端で体奥を探していた。ちょうど女郎屋で指先を使って女の体を
診ていた時のように。
絡み付く壁……ではなく奥の方の別の感触。腰を回して先端を集中的にその、子壷の入り
口と見当を付けた部分を小突く。俺はそれを指で触ったことがある。最初はぴたりと閉ざ
された肉がやさしく揉むと柔らかく広がり、すっぽりと指先をも包み込むことがあるのだ。
そしてここは女が立った状態の方が探しやすかった。だから俺は時々膝で立たせたりして
後ろから触診した。
もちろんそうそうする必要もないしできるものでもないが、その感触の妙珍さに、女には
いくつ口があるのかと驚いた覚えがある。で、その時治療に立ち会った女中頭によれば、
ここで男をくわえることができるのがいわゆる名器だと。そしてここを味わった男は、
どんなこわもても聖人君子も形無しに蕩け呆け女にありったけ貢ごうとする。
そして男がそこに気をやれば、ほぼ確実に……女も気をやる。もう互いに遊びじゃなく
なるんだよ。そんな二人にはややができるのもすぐで、それでお前さんが呼ばれることに
なるのだけどね、などと言っていたな。
そのときは聞き流していたが、さっきの傘をねぶられる感覚に俺はその極楽にたどり着け
るかもしれないという予感がした。しかしこの先どうすれば。
女中頭は、名器といっても生まれつきもいれば、当たった男の腕と情熱いかんで後でそう
なる子もいるみたいだけどとも言っていたっけか。もっとよく聞いておけばよかった。
でもそんな奥義を知った頃に妻の具合が芳しくなくなって、いろいろ試すどころか添い寝
するのがやっとだったし俺としても男女のまぐわいの技には興味が薄れていったから。
そんなことを思い出しながら腰を細かく揺さぶる。
ただ今は。俺が犯すのではなくこの子と本当にひとつになるためには。完全に結ばれる
必要がありそのためには絶対に。
すると先ほどよりもさらに入り口が大きくなったようで、ところどころ傘を包むような
加減になっている気もするし、ただその周りを滑っている時もある。そうこうするうちに
気分が高まってきた。爆発を堪えるために少し気を紛らせたい。
「前の月の障りはいつだ?」
「先月の半ばです」
「だいたいどれくらいで来る」
「月ごとです」
「じゃあちょうどいいな」
「なんのことですか」
「いやこちらの話だ」
そう言いながら慎重にその口を探ろうと、腰を回転するように動かした。次第にシンビも
俺も汗ばんできた。
急に無限に引き込まれる感覚を覚えた。
おお! これか?
なにかに先端を握られているようで、身動きが取れない。だから動ける範囲……とは言っ
ても尻にふぐりを押し付ける程度だったが……を繰り返す。
やはり違う。妻にも感じたことのないぬかるみの中に俺はいる。そして俺が動きもしない
のに、握り締められたり緩まったり。例えば指を使って無理やりされているかのような、
不思議な心地だった。
「入っているのがわかるか?」
「はい」
「いや、もっと奥にだ」
首を振る。それはそうだろうな。馬鹿なことを聞いたものだ。生まれて初めて男を受け
入れた女に、この感覚を感じろなんて無粋な話しだ。
このまま気をやってしまいたい誘惑に駆られ、しかしやはり体の上で果てたい。
ふぐりのつけ根をぎゅっと握り締めて抑えた。

「もうお許しください」
ふたたび布団の上に押し倒そうとした時シンビは言った。
371イクピル×シンビ:2009/04/26(日) 19:28:51 ID:ImFwJ2rR
「それはならん」
そうだ。男を知るということは男の生理を腹の中で受け止めるということだ。
だいたい宮には女どもがごろごろいるが、やつらは気位ばかり高いけれど一生女の喜びを
知らずに朽ち果てる。中には女同士で乳繰り合ったり尻を舐めたり自分で始末している
のは公然の秘密だが、俺に言わせればあんなものはままごとに過ぎぬ。女は男によって
磨かれるとは至言であり、だからお前はあいつらより幸せというものだ。その惨めさをまぎらわ
そうとあいつらはお前たちを呼びつけ、横柄に振る舞うのだ。まったく胸糞が悪く
なる。だがお前には女の幸せを感じさせてやるからな。
仰向けにしたシンビの足を両手で持ち上げ大きく広げる。薄桃色の泉が俺の腹の下に
あった。ああ、こうして眺めてみるとしみやくすみもなくて。そして小ぶりのひだが、
花びらのように愛らしく口を開けて待っている。俺はここでこの子とひとつになるんだ。
残っているであろう膜もあますところなく押し破る勢いで一気に貫く。
「俺の女になれ。手付きとわかれば、男が付きまとうことはあるまい。
そしてな、ずっと俺と続けろとは言わん。他に好きな奴ができれば引き下がる」
体の重みを乗せて打ちつける。シンビの力はすっかり抜け、今はされるままだ。
足を肩に乗せずんと深く差し込み、傘の下部でコリコリした部分を押さえつける。もう
これで十分一体感もあるが……いやまだ。立ってで後ろから攻めた時のあの感覚とは違う。
ここじゃない。このあたり? いや違う。全神経を集中し探し……既にあちこちから心地
よく締め付けられ快楽であるものの。
少し疲れ腰の力が抜ける。そのまま何気なく、惰性で突いた。
と。
すぽり、あるいはにゅるり、か。俺のがそこにはまり込んだ。
傘の下は締め付けられているが先端部分は桃源のぬかるみに解放されている。二つの絶妙
な感触に恥ずかしながら俺の乳首までビンビンに尖ってしまう。
「お前の一番奥に俺が」
もうしっかり咥えこまれたかのごとく吸い付かれている。数度腰を揺らすとシンビの腰も
俺とひとつになって揺れ動き、自在に抜き差しできる今までとは明らかに違う。
「わかるか」
体奥で異質な感覚が騒いているのだろう、シンビの目に狼狽の色が浮かび、体中から脂の
ようなじっとりとした汗が染み出す。
そして俺の腰はそこに埋まったままだ。背骨から腰が痺れ、とても振ることができない。
そしてまたシンビの呼吸するわずかな腹の上下動が伝わり俺をとろけさせてしまうのだ。
足を肩に乗せ支えていた両腕がガクガクする。震える手で足を下ろし、また震えながら
腰の左右に巻きつけた。多少身を引いても幸い先端の感覚は変わらない。どころか、どう
動いても吸い付く部分が付きまとい俺を揉みしだく。何度も気が遠くなり爆発しかけ、尻
の穴をすぼめて懸命にこらえた。
そしてああ。頑張っても頑張っても俺はだらしなく重みをシンビに預けていく。後は俺が
動いたのか、シンビが俺を犯したのか。ただ俺のものがシンビと深くつながり一体と
なっている。
この子は生まれ持ってのいわゆる名器か。それとも俺が開発したのか。単に相性か。
なら俺はシンビに俺の全てを。
いやそれもこれも。
普段の謹厳実直な俺、この子の師匠で今は上司、そして医局長としての立場。
ああそんなもの全部失ってもどうでもいい。
「中に出す。いいな!」
かぶりを振るが、その口で俺をきゅっと締め付けそそるのはお前じゃないか。そして腕も
また俺を抱いている。
止まらない。
ああ、もう。
緩く動かすだけで汗がしたたりぴたぴたと肌が密着する。

そして遂にその時。シンビから強い喘ぎが聞こえ棹全体、そして傘の部分にまとわり付く
肉がぎゅーっと包み込んだかと思うと急に弛緩し、俺は叫び声を上げて精を放った。
372イクピル×シンビ:2009/04/26(日) 19:29:37 ID:ImFwJ2rR


妻との時には少しでも中にと、放出したそれを押し込むようにすり入れたこともあった。
今はその必要もないほど、俺のは放った後もまだ握り締められ、何年ぶりかの濃い液の
最後の一滴をも搾ろうとするかのようにしごかれる。トクトク波打つ脈動が、俺の力も
命もこのつながりの中に吸い込まれていく。そしてそのたびに俺は呻き深く息をし、幸福
感を味わっていた。
俺には何も残っていない。
触れ合う肌はもう、汗でぐちょぐちょになっている。よだれがこの子の首筋に流れるほど
俺は弛緩しきった。

荒い息づかいのまま、シンビの唇を……いやこれだけは。彼女が俺を求めてくるまで俺
からは望まないことにしよう。

「医局長様」
まだ鎮まらない俺を体に挟み込んだまま、シンビが言った。
「すまん、俺はな」
体の中で俺への愛撫が続く。たまらずむくむくと起き上がるのを感じ、そしてまたシンビ
もそれを感じて恥じらい紅潮していくのを眺めた。髪の毛を撫でるとシンビはうっとりと
した目で応える。
「感じるだろ。またこんなにお前を欲しがっている。そしてお前も俺を欲しがっている」
体を起こし抽送を開始した。その動きは俺の放った精を更に奥へと送り込んでいく。それ
が染み渡ればこの体は……肌の色艶を増していくだろうな。そう思えばますます愛おしく、
初めてまぐわった後ろからの姿勢に変えてこころゆくまで味わう。シンビも俺の律動に
合わせて白い尻を前後に動かし始めた。
「そうだ。いいぞ」
少しずつ喘ぎが甘く変わり、そして俺を包む壁が柔らかく熱く張り出してきた。
「よし、準備ができたようだな。いくぞ」
俺の思いを乗せて放つ精をお前も心から受け入れてくれるなら、それは結晶となってお前
のこの胎内に新しい命を育むだろう。
激しく突き上げ、そして今度はあの口から少し外れた上あたりで二回目の気をやった。

なお抜くのが惜しくそのままにしていると、腰に触れる尻の柔らかさにまた誘われる。
シンビの表情はすっかり潤んでいる。
たがが外れたかのように腰を振り続け、俺のがまた張り出し出し入れがきつくなり、
そして一度も抜かず閉じ込められたままの俺の精とこの子の粘液が白くぐちょぐちょと
泡立ち染み出した。
体位を変えお互いに両手を後ろについて座った状態で足を広げ折り曲げる。シンビも自分
で腰の位置を工夫し、浅めに繋がったり時折深くぶつけてきたりして俺を味わっている。
そうこうするうちにまた俺のがシンビの奥の口に突き刺さった。シンビは信じられないと
いうように目を見開いている。
「そうだ、そこだ。わかるんだな?」
こくりとうなづいた。
「俺はここに来ると無茶苦茶気持ちいい。お前とひとつになれる気がする。もっとよくし
てくれ」
もぞもぞと動き、結合を深めようとするが思うようにいかないようだった。
「腹の力を抜いてな、俺と繋がる姿を思い浮かべるんだ……そう、そんな感じだ」
傘まで入り込むとあとは放っておいても体が勝手に吸い込まれていった。しばらく短い
抽送をしてシンビの中を楽しみ、シンビに俺の怒張を楽しませてやった。
深くつながりながら胸を吸うと、乳首が縮こまると同時に体奥もきゅっきゅと縮んだ。
一度コツを掴むと後はさほど思案することもなく、自在に子壷のうちそとを味わったり、
あるいは他の場所を刺激したり。もちろん合間合間に腿の付け根にあるツボや、そして
肩を揉んだ。
373イクピル×シンビ:2009/04/26(日) 19:30:16 ID:ImFwJ2rR

またシンビの喘ぎが色気を増していく。そして奥の口も厚ぼったくなりコリコリとした
弾力を俺に伝えている。
 んっ うっ
俺ももうこれで。
「いっぱい出すぞ」
腹の中を俺の思いで満たしてやる。
押し倒し広げた膝の裏を両手で固定し股を思いっきり広げる。そして先端をそこに慎重に
はめ込むと俺をまたしても愛撫しようとする肉にかまわず全部の体重をかけて奥の奥まで
突き入れ……その先は普通どこかに行き止まりがあるのだが今阻むものは何一つなく……
しかし俺を優しく抱擁する不思議な俺の居場所……に全てを吐き出していく。
「お…お前も…」
全てが飲み込まれていく。全てが包み込まれてしまう。
 おおぅっ おぅ うんっ
俺が放つたびにシンビの体もその衝撃にビクンビクンと跳ね上がった。三度目だという
のに俺の腰は短い間隔でぶるぶる振るえ、そしてシンビのそれも燃えるように熱くなり
何度も蠢き、その刹那刹那に頭の中が白くなる。

「よかったか?」
聞くまでもなく、既に体で答えていたのだが。いや言葉でも自分が感じているとことを
わからせることが必要に思えた。

これほどの快楽を与えてやれず子も成してやれなかった妻には申し訳ない。
ただ今は、シンビの存在が天の配剤ではないかと思うほど愛しい。
俺たちは結ばれるべくして結ばれたんだ……ずっとこのまま体ごとつながっていたい。

ようやく身を離すと、しばらくしてシンビから俺の白いのが、べとりとあふれた。
シンビは喜びに満ちた表情で俺の髭を撫でている。そして俺の顔を自分の方によせて、
あの唇を。シンビの全部が俺のもの……



「こうしていると父を思い出します」
耳元で囁く声がしたような気がした。
「ちょうどこのお髭のご様子が、父によく似ているのです」
髭を撫でられて……?



「シンビ…」
イクピルが目を開けるとシンビがびっくりしたような顔で立っていた。
「あれ? 俺はどうして」
「はい。お戻りになってすぐに薬を煎じていらっしゃったようですけれど、うとうと
されて。薬は煮詰まりかけていたので火から外しました」
「すまない」
「あまりにも気持ちよさそうにお眠りだったので、お声をかけそびれてしまいました。
私の方こそすみません」
「ああ。ところでシンビ。ひょっとして私の髭を撫でてはいなかったか?」
シンビはかすかに狼狽しつつ、戸惑ったような調子で答えた。
「あの、寝ていらっしゃって船を漕ぎ出されて、もう少しでお倒れになるのではないかと
つい手でお支えした時に触れてしまったのかもしれません」
とりあえず自らの行為が露呈しなかったことに内心安堵する一方、イクピルの口調が少し
嬉しげであるのをシンビもまた嬉しく感じていた。
374イクピル×シンビ:2009/04/26(日) 19:30:47 ID:ImFwJ2rR

「そうか。昔な、妻に同じように起こしてもらったことがよくあった。あの頃は昼も夜も
働きづめでいたからなあ。
俺は疲れているようだ。それで今寝ていた僅かな時に、いろいろ思い出していたのかも
しれない」
「ではもうお休みください。部屋を整えてまいります」
「いや。これを飲むから心配するな」
「何のお薬ですか」
「ちょっとした気付けというか酔い覚ましだ。これから徹夜で調べ物をしようと思ってな」
「どうぞ」

イクピルはシンビが差し出す薬湯を飲み干した。
書棚から持ち出した書類をめくるうち、体がほかほかし、また微かな眠気と、体奥には
高揚感まで……。



「医局長様、私ずっと先生のことが気になって…………本当は……好き……です……」
そんな声が聞こえたような気がした。
375名無しさん@ピンキー:2009/04/27(月) 21:40:49 ID:E1IXrZP4
二つ一気に読めて幸せ〜うれしい〜

>「よかったか?」
>聞くまでもなく、既に体で答えていたのだが。いや言葉でも自分が感じているとことを
>わからせることが必要に思えた。
教師(師匠)としての確認作業なのか独占欲なのか支配欲なのか照れ隠しなのか……。
イクピル、シンビに対してはSなのか?
376チャングム×ハン尚宮×チェ尚宮 −星望−:2009/05/05(火) 01:34:11 ID:W+Aw97U3

 チャングムは黙って私の背中をさすっている。
 ―――ミョンイはね。私のことをとっても大事にしてくれた。それまで……皆から
   蔑みの目で見られるばかりだった私のことを、いつも見守ってくれて。
    そして私を、私の気持ちを判ろうとしてくれたわ。
    そして私も……お前に同じように愛情を注ぎ続けてやれるだろうか?
 時折、ぽんぽんと軽く背中を叩かれる。何にも言わないけれどもそれが、安心して
いいのですよと伝えていた。

 チャングムの肩から寝巻きを滑り落とすと、以前より厚く感じる胸板や太くなった
二の腕が現れた。
「ずいぶんたくましくなって。
 懸命にやってくれたって、前の尚宮様が褒めてられたわ」
「こちらに来てしばらく……どうにも我慢できない時には、薪割りをさせてもらった
のです……。
 いえ、炎の加減が知りたいなって。炭も作ったりしたんですよ」
「そう。どこにいても研究熱心ね」
「ええ。木の種類とか大きさによって、ゆっくり長く燃えるものや激しく瞬間的に火が
上がるものや……いろいろ勉強になりました」
「私は料理を精進しろと書き送ったはずだったわね。
 まああなたらしいんだけど。そうやって何かに捉われずいろんなことを学び取ろうと
するのが」
「へへ。それと、この前ご一緒したような山歩きも沢山しましたから」
 チマをたくし上げて見せてくれる脚には以前見たよりはっきり、ふくらはぎの筋が
浮かんでいた。
「本当に頑張ったのね。そして苦労させたわね」
 肩や脚の全部を撫でながら言った。
「いいえ、私は平気でした。ハン尚宮様がご無事でいらっしゃるかそれだけしか」

 チャングムの話しを心地よく耳に入れながら、チマの結い紐と、そして身を覆う全てを
解き去り、もう一度その身体を眺める。次々に現れる肌が光り輝く。張りのある胸に
触れると、ふにゅりとした感触が手のひらに広がった。
 私のまだ肩にかけたままの寝巻で包み込むように抱きしめた。温かくて柔らかくて。

 崩れるように布団に倒し、その心地よい触感を唇で味わい舌先で楽しんだ。
 私が触れる度に胸が揺れ、吐息が漏れ、脇腹からくびれた腰、腿、首筋……無限に
広がる愛しさの海で、目にするもの手にするもの全てに口付け、堪能していく。
  ふぅ
 小さく溜息が聞こえた。
 背中を手で支え反らし気味にして、豊かな乳房をさらに強調し頬で楽しむ。チャングム
も私の胸を手で撫でて応えた。
 焦りすら感じながら内股のもっと柔らかな部分に指を添わせると、下から上へ、上から
下へ何度も撫で擦る。擦るたびに指は柔肉を掻き分け、ぬめりと共に深みを増していく。
 それから。
 入り口を探り中指をすっと、温もりに差し入れた。
 吐息に切なさが入り混じる……感度のいい、美しい身体。

 片脚を脇で掲げ腿裏を胸で支えて開き、中指を浅めにとどめたまま、くちゅくちゅと
入り口あたりをかき回したり、ゆっくりとほぐしていく。更に潤いが増え、その潤滑液を
塗りこめて愛撫を続けると、弾力に押し返されるようになった。
 それと共に肩に回された手に力が入り、唇が求めていた。求められるままに舌を含ま
せる。吸い込まれる力につけ根が痺れ、唇の合間からちゅっちゅという……響きが部屋に
こだました。
377チャングム×ハン尚宮×チェ尚宮 −星望−:2009/05/05(火) 01:36:05 ID:W+Aw97U3

 甘い口付けではなくて。
 卑猥……で。
 少し痛い。

 そんなに強く引き寄せなくても、私はお前から離れはしない。
 お前が真の心であり続ける限り。
 そんな気持ちが伝わったのか。接点がどろどろと溶け始め、そして溢れる唾液をもう
拭いもせず、ひとつになった口元からチャングムの首筋にまで流れていく。
 そして別の場所からもぬめりが流れだした。
 腰が軽く浮き上がり始め、さらにその奥へと誘う。既に入れている中指に、人差し指も
添える。
 けれどそこはしばらく……ぶりのせいなのか、思ったより狭い。それとも慣れ親しんだ
感触――いやいけないいけない、そんなことを考えては――。
 チャングムの表情を眺めながらほぐし、ほぐしながら少しずつ奥へと進めていった。
 この子は時折大きく口を開いて息を継ぎ、それと共に嬌声が漏れ、それに自分で驚いた
のか、また口を固く結ぶ。それが面白く、私の動きにつれ変わる表情を楽しみながら
感じる場所を探していった。
 そして息を継ぐたびに……指が強く挟み込まれる。

 たまらず埋めていた指を離し、脚を開いてその間に身を置いた。ほんの一瞬身体を
離しただけなのに、お前は手を伸ばし私を捜し求めた。
 片方の手で柔らかな唇に触れ、指で舌を絡め取る。こうすれば寂しくないでしょ。口の
中を犯す指はしかし、すぐにいいように噛まれ舐められている。
 そうしながら下の方の薄い色の毛の間を掻き分けて、顔を寄せていく。近付くにつれて
甘い香りだけではなくやや蒸れたような……海の匂いが淡く漂った。
 久しぶりに見るそれは、先ほど見た八重桜のような花弁が愛らしく重なっていた。
 辺りを唇に含ませながら舌を沈ませる。唇で吸い上げると、いつもどこか強気な子が、
無抵抗に身を震わせる。
 差し入れた舌を包み込む柔肉にほんのり塩味が浮かび、それもまた桜茶を思い出させた。
 舌先に反応する花弁と、そして自分の舌とこの子が一体となって、唾液とかすかに
渋いような酸っぱ味もある、汗の味にも似た愛液が混ざり溶ける。
 時折むっとする体臭がかすめる。けれどそれも含め愛おしく、この子の何もかも全部を
受け入れたいと願う。
 滲み出すしたたりの量もだんだんと増え、とろとろ流れ出すのをすいっと吸うと、
柔らかな温もりが一団となって舌の上から喉に滑り込んだ。

 その間、私の髪の毛は両手で掻き上げられ、そしてその部分に幾度も押し付けられた。
それは苦しくもなくむしろ甘美で、そして次々溢れる液体をちゅぱちゅぱと音を立てて
吸い取り……私も昂っていった。

「ここがいいの?」
 関節の二つめの深さで下方に押し付けると、くぐもった声を出す。
 少し指を立て気味にして左右に細かく震わせる。すると腰が撥ね馬のように大きく動き、
腿に何度も鼻をぶつけるくらいの勢いで荒ぶる。
「あっ ああ いきそうです」
 指先の力を抜くと、また切なげにくねりだす。
「尚宮様、私……うぅ」
 そしてまた指を立ててこの子の内側を愛しんでいく。
「いいわよ」
  くぁ ひゃ はぁっ
 昂りを増す声に上目遣いで様子を眺めると、唇は半開きになり震えている。
  いや あっ 駄目 あぅ
 体内の収縮が、もう近いことを教えている。
「ねえ、いっていいから」
 そして尚宮様と呼ぶとも喘ぎとも聞き分けられない言葉を口走り……時折眉根をしかめ
……足指が開き気味に硬直し、背中をぐっと仰け反らせたかと思うと……どうした訳か
肘のあたりまでにこの子から分泌された液体が飛び散っていた。
378:チャングム×ハン尚宮×チェ尚宮 −星望−:2009/05/05(火) 01:46:12 ID:W+Aw97U3

 ややあって大きな息を繰り返し、まだ熱っぽい唇を舌で味わう。小刻みに震え続ける
肩や上下する胸を頬で愉しみ、快楽の名残をキュっと縮み留める乳首を軽く噛んだ。

「激しいって、それは私が乱れるのが激しかったってこと? それともお前をこんな風に
したってことかしら?」
 耳元で囁くと胸の鼓動がまた早まり、そして胸の谷間に溜まった汗から濃厚な“女”の
匂いが漂った。
 すっと腕が伸びてきて私の首に巻き付き、首筋や背中を撫でまわしている。
「もう一度、ほら」
 汗は首にも浮かび、脇の下から滴りだす。時折それを舐め取りながら、心持ち膨らんだ
乳輪を手のひらで愛でる
 再び荒ぶる息遣い。私も再びその中に指を送り込み、今度は腹側を緩急をつけて撫でた。
私に身を任せ腕の中でとろける愛しい身体から、小さな呻き声が数回聞こえた。
「いきたいんでしょ?」
 私が撫でさすっている部分……下の毛が、手の中で急に逆立ち指に絡みつく。
 胸の頂を強めに吸い上げ口の中で転がしていくと、数度の硬直の後、腕の力は徐々に
弱くなっていった。

 まだ荒い息が収まっていない。
 ぐったりしたそこから、とろとろと流れ続けるのを指ですくい取っては楽しむ。


 重ねていた自分の身を脇にずらすと、チャングムは余韻の強さに耐えきれないかの
ように、背中を向け身体を縮こませた。

 お前、久しぶりだったから……。
 向けられたチャングムの背中をしみじみと眺めた。あの人はどうだっただろう? これ
が、私が幼い頃から共に過ごしてきた人の背中だったのだろうか。
 風邪ひとつひかない強い子だったから、他の女官がよくそうしていたように、看病
したり着替えを手伝ったりしたこともなかった。
 さすがに親子だけあって、背格好はよく似ている。でも背中をこうやってじっと見た
ことはなくて。いくら仲がよくても、何度身体を重ねても、それは夜具の中でのことで
あったし……感触しか。

 それにあの人の昂った姿を私はあまり……ほとんど。全く無防備な格好。ミョンイも
その時はこんな感じになるのかしらね。
 ひょっとしてチェ尚宮には見せていたのかしら。
 だったらもし今会えたなら、きっと私はあなたを……こんな風にしたいって。こんな
あなたを感じたいって願うでしょうね。
 そう思いながら肩に腕を回した。そして肩甲骨の形を指で確かめ、脇から腰のくびれを
愛でる。
 チャングムは背中で私を受け止めていた。
 艶やかな髪を撫で、その香りを嗅ぐ。

 身体に布団をかけてやる。
 この身にまだ纏っていた寝巻きを脱いで、同じ布団に潜り込んだ。
 そしてまだ汗の残る背中や腿に身を絡め、その感触を楽しみながら目を閉じた。
379名無しさん@ピンキー:2009/05/07(木) 00:28:40 ID:69Gq9Y2U
お疲れ様です
続き拝見できて嬉しいです
今回は・・・ちょっと濃い目な感じの攻めにまわってる
ハン尚宮様がとっても素敵です♪

しかし、ミョンイの影色濃く・・
今もハン尚宮様の心を捉えて
離さないんですね
これからこの人たちは・・(んとチェ・ソングムも含め)
どこへ行こうとしているのでしょう・・
先行き気になります
続き楽しみにしています!
380チャングム×ハン尚宮×チェ尚宮 −星望−:2009/05/08(金) 01:48:28 ID:42qac/Sf


 明り取りの障子越し、月明かりが部屋に注いでいる。ほの明かりの中、半身を起こして
久しぶりの寝顔を眺める。
 こうしてずっと見続けていたい……。

 また浸ってしまう。甘美な思いに。
 そう確か……夜半同じようにこの子の温もりを感じて、それで……気が付くと
チャングムは私の手を軽く握っていた。
 その手に指を絡めて感触を楽しんでいると、チャングムは私の手を肩に回したから、
私も自然と胸をチャングムに押し当てる格好になった。
 密着したままもう片方の手は口の中へ含まされ指が絡み取られ……唾液が絡んだそれを
腰から前の方へと回される。ほとぼる中に浸し……次の動きをねだるように。

 たまらなく欲しい。
 さっきしたばかりなのに、また欲しくなる。
 今はただ、あなたの全て、あなたのその命のときめきを感じたい。

 チャングムの身体を引き寄せて布団の上にうつ伏せて跨り、背中のあらゆる場所に舌を
這わせ唇で吸い歯で噛み、また手で味わう。
 徐々に息が荒くなり、軽く歯を立てる度に呻く声を背中に耳を押し当てて聞いた。体に
響く息遣いが漲(みなぎ)る命の力強さを私に伝えている。

 過ぎし日々、あの人との時。
 あの人には……愛情を常に注がれて。それが心地よくて、でも自分はどうしたらよい
のか判らず……いや何かを返さなくてはなどと考えもしなかった。分かち合うのが
当たり前過ぎたから。

 あの人がいなくなって、守られ与えられていたものの大きさにやっと気付き、何が
できるだろう、何かしなくてはと考え。
 それがお給金を米に換え、お父様にお送りすることだった。何のたしにもならない
けれども、今までのご家族の生活を支えていたあの子の代わりに、少しでも私がお父様を
お支え出来ればと願っていた。
 けれどお父様の嘆きは深かった。私も一応ことの顛末をお伝えして、ひょっとしたら
どこかで、と慰めたものの、そうだとしても二度と会えないだろうことは覚悟されていた
ご様子だった。
 そして情の深い娘との別離が……いくら私がいたとしても、あの子の代わりにはなれ
ようはずもない。

 ミョンイは連れ去られる時、子連れだと聞いた。きっとその時にチャングムのことを
私に教えて、そしてお父様にも伝えてくれって言いたかったのでしょう。
 もっと早くにそうと判っていれば。こんな可愛い子がいることや、そして私の手元で
育てていることをご報告できたとは思うけれども。お前にもお父様のご様子を話した
かった。
 いや、それも仕方ないと諦めるしかないのでしょうね。
 あの厳しい追っ手の中、この子を守り抜くために、そうするしかなかったのだろうから。
 でもあなたがチャングムを信じていたように、お父様もあなたの、ミョンイとその子が
生き抜く力を信じていらっしゃったのよ。

 チャングム。だからお前のそのたくましい命はね、決してお前だけのものではなくてね、
お前のお母様やそのお父様、お前にとってはおじい様のお気持ちがあってこそ。そして
また、私は一度もお会いできなかったけれども、お前のお父様のお心も、お前という賜物、
となり私に新しい人生を与えてくれた。
 この輝く命がいまここにあって。私はそれを愛しむことができる。
381チャングム×ハン尚宮×チェ尚宮 −星望−:2009/05/13(水) 01:10:49 ID:VDM08P/y
今回の「星望」は長いが、分割しないで1話とする。
まだ続き、今までで以下を含め18レス、あと10レス程度。
この後予定では2話ある。

―――――――――――――――――――――――――――――――
 眼下に置かれたぷっくりとした白桃にかぶりついた。
 激しくなるため息と腰のうねり。
 甘ったるい中に酸っぱさも含むこの子の香りと共に己から醸し出される生臭さい汗も
自分の鼻に届き、それがはしたなくも、さらに情念を高める。

 脚を広げその合間から指で……溢れ出す蜜を、はれぼったく、けれど鋭敏に尖った
部分に塗しつけて丹念に愛撫を重ね、時折反る身体を背後から押さえ……喘ぎ……微かに
歪む顔は淫靡に美しく、吐息がひときわ大きくなり私の手を強く握り締めると……くくっ
と力が抜ける。その身体を抱えて仰向けにし、自分の脚と交差させて中心部を重ね
合わせる。既にトロトロになっているそれを自分のと押し付け擦り交わった。
 時折胸を味わい唇に燃え盛る炎を感じ合う。

 滑りは腿にまで広がり、この子の腰も私の動きにつれ、いやそれ以上に激しくなる。
脚が脚に絡まり、背中を爪が這いずり回り、私が強く抱きしめるとチャングムは私の
耳を噛んだ。
  あっ もう ぅ
  ……いっしょに……尚宮様
  私も……チャングム……
 呼び交わす声が月夜に響き、唇と舌を深く絡ませながら沈み込んだ。
 鼓動が重なる。

 あったかい。心置きなく味わえるぬくもりが心地よい。


 ミョンイ。あなたがこの子に最高尚宮という寄る辺を与えたのは。二人の誓いを疑わず、
そしてどうにかして。どうにかして最高尚宮をと願い続けた私が、きっとこの子と巡り
合う時があるだろうと。

 いや、この子を見て、そして自分の道を定めろと。

 あなたの、そして私の宝。
 私をここまで変えた子。


 夢うつつまた別の顔。私にさらに変化をもたらした女が現れた。

 あの者に愛情を感じたことはほとんどなく、快楽を与えられたことは、今でも吐き気がし
……だけど互いへの憐憫の情が抱き合う中で溶け合ったのを否定もできず……。
 ソングムとの日々で……あの者の心中にも不実のみではない心根があること、そして
私の中にも同じように、誇れるものばかりではない様々な感情があるとを知り得たのは
……ある意味感謝しなければならないのでしょう……ね。

 何と言えばいいのか。やはりあの者の方が、人あしらいには長けていたことを素直に
認めよう。もちろん、生まれや実家の威勢が背景にあるとは言え。
 料理の腕や思いやりがあっても。
 ひとりで水剌間の全部を回せるわけではないことを身に染みて思い知らされた。
 その上身分の卑しい私がどう思われているかなんて、他の尚宮たちの本音を垣間見る
など、苦く、知りたくもない。どうしようもないことって、宮に来た時から判っていた。
 でもミョンイがいれば、あの人の側で私は……その辛さを直接浴びることはなく。

 だからあれもいい経験だったのかも知れないと今は思う。
 私がそうであったように、各々が背負うそれぞれの事情がある。

 中でも……ソングムのことを何一つ思えず。
382チャングム×ハン尚宮×チェ尚宮 −星望−:2009/05/13(水) 01:20:46 ID:VDM08P/y
 子供の頃から一番長く、共に時間を過ごしてきたというのに。それが否応無くで
あるにせよ私にとっていくら疎ましくても、知っておき知ってやる必要があった。
結果的に同じように敵対したとしても。


 この子に望むのは、己の運命も相手の立場も知った上で。その鬱屈する思いを秘め、
それでも相手を思いやれる……そんな人に…………チョン尚宮様のように。
 思えばあの座を受け入れられた時から、いやそれよりも前から、宮のありようや大勢の
女官の生まれや気立てや柵をご存知であったと思う。
 火傷を覚悟で敢えて火中の栗を拾い、そして同じ宮の中で共に暮らす皆を、我慢強く
温かく導こうとされた……。

 それに比べて私はどうだ。昔はミョンイを頼り、独りになってからは目を閉じ耳を
閉じて嫌なことから逃げ続けてきた。ただ料理を精進すればそれでいいのだと、ある意味
わがままに振る舞ってきたのではないか。
 そしてやっと柵に立ち向かおうとしても、やはり私は至らないことばかりで、人を
動かすことが不得手な未熟さ、頑なさに………………歯噛みした。


 そんな私がどこまでこの子に、私の轍を踏むな、しっかり眼を開き苦しさを受け止め、
なお人に寛容であれ、その上真心を忘れるなと言えるのだろう。チェ一族の処分はお前が
最高尚宮になって、そして決めろと……そんな長い重い、辛い道のりを。

 できることならあなたには、真の意味で強く強くあって欲しいが。


 いやそうではない。ミョンイがどう願おうが、この子がどう歩もうが、私は私のやるべき
ことをしていくだけ。今のようにいびつな形で支配された宮の、せめて受け持つ水剌間
だけでも、王様に安らいでいただけるひとときを差し上げる場所にしたい。チョン尚宮様の
お志を継ぎできる限りのことをし、考え。
 そしてチェ尚宮のことは私が決着をつける。

 チャングム。少なくともこれから先、私はそうしていく。
 そのためには、私は手段は……選ぶけれども、少なくとも今までのようなきれいごと
ばかりは言わない。


 ああミョンイ、もう一度会いたい。

 そして頷いて欲しい。それでいいのよって。



 ミョンイが私を。布団に包み込んで、私の目を覗き込んでいる。私は少しドキドキ
しながら温かい胸に身を寄せた。そんな私をただ、ぎゅっと抱きかかえ、そして背中を
軽く撫でてくれる。
「ねえ、ミョンイ」
 ねだるように囁いた私をミョンイはじっと見つめた。そして言う。
「ペギョン、あなたなら大丈夫よ」
「大丈夫? でも私はこれから」
 いっつも詳しくは答えてくれないで、それが不満でまた話しをねだっても、微笑む
だけだったけど。
「ソングムとも……」
 そう話しかけても、面持ちは変わらなかった。
 そして本当に幸せそうにしている。突如連れて行かれた時から見ることができなかった
この素敵な笑顔。
 久しぶりにあの人の笑う顔を見ることができて私も幸せ。

 ミョンイ、ありがとう。
383チャングム×ハン尚宮×チェ尚宮 −星望−:2009/05/14(木) 00:02:02 ID:dt6C61gR
 目覚めたのは、これが初めてではないような気がする。

 気が付くと、チャングムが私を撫でていた。頭を起こした私を見てこちらに身体の
向きを変えた。
「うなされていらっしゃいました」
「そうなの?」
「でも、時々笑ってられたり」
「また……昔を思い出して」
 チャングムの顔が少し歪んだような気がした。しかし何も言わず、首筋をぺろっと舐め
取られる。
「……少し塩辛いです」
 密着させた乳房は粘りを帯び、身体中がべとべとしている。夢の中で思い悩み、汗を
かいてしまったのだろう。チャングムの背中からも、幾筋かが流れ落ちている。さすがに
このままでは気持ち悪い。
 引き出しから手拭いを取り出してチャングムの身体を拭こうとした。
「私がして差し上げます」
 そう言うと、廊下から火鉢と一回り大きな鉄瓶を部屋に運び入れた。
「こんなものまで用意してたの?」
「えっとですね、これも実はミン尚宮様にご指南いただいて。使うかどうかわからない
けれど、一通り用意だけはしておこうと」
 そういえば夜も更けて、戸の隙間から吹き込む風に寒さも感じるようになってきた。
汗の跡が少しひやりとする。

 宮なら各厨房の竈の熱が絶えることなく温突(オンドル)の床を温めてくれる。けれど
ここは元々暖かで、夜通しの火番も冬を過ぎた今はいない。
 だから急に冷えた夜には、各々小さな火鉢を使って暖を取る。
 後は火鉢と言えば……宮でも、手元に火があると何かと便利で、夜更けまで勉強する
時など夜食に干し烏賊や餅をあぶったりお茶を飲んだりとか。
 食べ盛りの時には炭をがんがんに熾して、こっそり皆と猪鍋をしたことも。

 チャングムは持ってきた火鉢の炭を火種が絶えない程度に均し直すと、変わった形の
炭を中心からやや離れたところに置いた。
「これ、いがぐりなの? こっちは柿?」
「ええ」
「きれいにできたわね。元の形のまんまに」
「ついつい楽しくなって、普通の木と一緒にいろいろ焼いてみました。顔も服もすすだらけ
にしたものだから、戻ってから前の尚宮様に怒られましたけど。
 でもハン尚宮様に見ていただきたくってお持ちしました」
 また屈託なく笑う。
「本当にあれこれ、いろんなものを試してみてるのね」

 鉄瓶から盥に注ぎ入れた湯を適度に冷まし、そして手ぬぐいを絞り身体を拭いてくれた。

「尚宮様は、以前と違って……変わられました……」
 拭われてさっぱりとする。
「そうかしら?」
 置かれた盥に目を落とすと、乱れ髪の顔がやや上気して浮かんでいた。
 照れくさくなり火鉢に顔を向け、チャングムが作った飾り炭を手にした。
 ふわりとした巾着の形が美しいほうずきは、結構おいしくて、子供の頃よく口にした
ものだった。そしてこの根が咳を鎮めるからと、ミョンイが煎じてくれたことも
あったっけ。
 赤く点った炭を眺めながら懐かしく思い出し、指先をかざす。

「私が思いを致すことなんてできないとは存じますけれど……前よりずっとお心を
お見せになるような気がいたします」
 何度か湯で濯ぎ、そしてチャングムも自分の身体を拭き取り終えると、また手拭いを
持って今度は私の足の片方を膝に抱えた。されるままにしていると、血の巡りがよくなり
疲れが取れるのだと言いながら、改めて足の指まで丹念に清めてくれた。
 お互いほとんど……腰に適当に掛け布を巻きつけたりしている程度だったが、時折
白い灰を吹き上げる炭が寒さを感じさせなかった。
384チャングム×ハン尚宮×チェ尚宮 −星望−:2009/05/14(木) 00:19:07 ID:dt6C61gR

「太平館においでになってお教えをいただき、また諭していただいて。そして今こうして
時を共に過ごさせていただいて。そう感じました」
 今度は櫛を持ち出し髪を梳いてくれる。

 全て終え、チャングムが背中にくっついてきた。
「『私はどうしたら? これでいいのよね』って。そう何度も口にされてましたよ」
 先ほどと異なり、触れ合う背中と胸がさらさらとして心地よい。
「まあ、いろいろあったから」
「そのお悩みは、お話しいただけないのですか?」
 耳に寄せようとする口元を引き離し、正面から向き合った。
「話さない。ただ……私の後姿を見て……自分で考えて……」
「尚宮様。ずっと尚宮様のようになりたいと思っていました。その気持ちは今でも
変わりません」
「こんな中途半端な私を受け入れるのもいい。それは違うと私を乗り越えるのもいい。
でもね、自分で決めなさい」
「そう言われるなら今はこれ以上はお伺いしません。だけど、もしお聞かせいただける
時が来たならば。教えてくださいね」
「そうね、いつかは話せるかもしれない」
「でも尚宮様、今は」
 促された布団に目をやると、枕や周りにまで幾筋もの長い黒髪が名残を留めている。
私が手を伸ばすより先にチャングムも気付いて丁寧に取り去ってくれた。

 きれいになった敷布に先にチャングムが座った。
「どうぞ、この上に」
 上? 戸惑っていると、私の手を引いて両脚をさっさと広げられ、向き合って太腿の上に
座らされた。
 胸同士が微妙に触れ合う。チャングムはにっこりと微笑み、私のおとがいを指で支えて
軽く唇を触れ合わせてくる。小鳥がついばむように、軽く。
「私の憧れだったのです。私の大切な方なのです。その方が、こうしてこの手の中に
いらっしゃるのです。
 だから……」
 そう言いながら頬ずりを繰り返す。

「ねえ。お願いがあるんだけど」
「何でもおっしゃってください」
「あのね……ゆっくり……」
「ゆっくり?」
「して欲しいの」
 軽く頷いた後、しばらくしてそっと抱かれて胸同士をくっつける。
 そのままじっと。
 ほとんど動かず向き合い、時折位置を変えて背中から重なり合った。
「尚宮様の背中が大好き」
 背後から強く抱き締められ、息の詰まりそうな圧迫感と充実感。心地良い苦しさ。
 力を緩めてまた頬ずりしてくる。私を大事に大事にしてくれる。

 そっと首筋に唇が当てられ。
 私も、背後から回されたこの子の腕を抱きかかえる。

 この子が強く触れようとするたび、抱き締めて首を小さく横に振った。強く抱かれれば、
何度も遂げることができるかもしれないけれど、それぞれは一瞬の昂りで終わるから。

 ゆったりと時間が流れて。
 なのに身体の位置を動かすような、ほんの少しの動きが身体に染み渡り少しずつ汗ばみ、
息遣いの一つ一つ、柔らかな愛撫の一つ一つが、気持ちを昂らせて、体の深く骨まで
愛撫していく。
 このひとときこの一夜。一生分、それ以上に愛したい。少しでも長くこの肌を
味わいたい。
 小さな動きにも胸の二つの蕾が固くなり、またそれが相手の蕾を固くしていく。
385チャングム×ハン尚宮×チェ尚宮 −星望−:2009/05/14(木) 00:37:30 ID:dt6C61gR

 目と目が合うと、真っ直ぐな眼差しで心の底まで覗き込まれることに陶酔し、愛しい
瞳を舌で愛撫する。
 軽く互いの胸を触り合う。
 うなじを舌でなぞり、くぐもった吐息を耳で楽しむ。
 徐々に互いの情欲が募っていくのが判り。
 ただ互いの感触に浸る。


 この子の腰の後ろまで巻きつけていた脚をやや離し、出来た間に手を滑り込ませ、
そしてチャングムの手を取り私の中に誘った。

 私の手はこの子の中にあり、この子は私の中にいて、こうして繋がっている。

 時間をかけて体奥の感じる部分を探り、そして口元も結び合ったまま全身の変化を
満喫した。


 心地よさは頭の中で感じるものなのだろうか? それとも肌の表で感じるものか?
 確かにチャングムに触られる、その手や肌や唇から受ける刺激は快感だ。けれど、
それだけではない。これだけ求められること、無心に私にしがみ付き、私を……身体だけ
でなくて、心までも全てを欲しがる気持ちが、堪えようのないほどたまらないほどに、
身も心も痺れさせていく。深く満たされていく。
 このままこの子の全てを剥きだしにし晒し、私の全部もこの夜に放ちたい。

 そう、存分に愛したい。愛し合いたい。
 そっとチャングムの身体を寝かせて、その脚の合間を唇で包み込んだ。
 少しずつ膨らむそれを、舌でまた柔らかくくるむ。その周囲の襞も厚みを帯びてきて、
できた襞の隙間に舌を潜り込ませた。

 この子のお腹が上下し、まるで息をしているかのようにその部分も口を開けている。
「ああ気持ちいい」
 ただ舌を置いただけなのに、敏感な場所はもう大きく充血して唇の上であばれている。
「尚宮様にも……」
 そう言うと、チャングムは私の身体を横たえ……そして……身体を反転させて逆の方向
から……私の脚を掻き分け腿を押し上げると、その中に頭を潜り込ませた。
 そして同じように私のそこに舌を押し付けたり、一本の指で軽く中をくすぐったり、
その部分を裏側から持ち上げたり。

 たまらなく気持ちいい、ゆったりした深い愛撫。
 そして私は目の前にあるこの子の桜花に、また舌を潜らせ唇で包んでいった。
 じわじわと深まる愉悦。

 息が互いに荒くなり、その時が近いことを知らせた。

 最後はさすがに口や指の動きが激しく……喉の奥が締め付けられるような声が
数度、どちらともなく上がり……逆さまの身体を抱き締め合う。
 荒々しかった息が、短く早く、そして細くなったかと思うと、チャングムはびっくり
するような大声を一度だけ上げた。
 入れていた指がぎゅっと強く締め付けられる。と共に、敏感な部分がもっとぷっくりと
口の中で膨れた。
 私を抱く手から力が抜け、だらりと滑り落ちていく。
 けれど体内に残した指だけはひくひくと動き続けて、この子の命の滾(たぎ)りを感じて
いた。

 指を伝う滴りを拭い取り、また元の形……顔を同じ向きにして息が整うまで頭を撫でた。

 火照りの残る身体を抱き寄せる。
 チャングムも私の背中をさすってくれる。
386名無しさん@ピンキー:2009/05/15(金) 01:20:02 ID:RP53Fz1m
なんという・・・・情
なんという・・・・気持ちの昂り

二人だけの世界素晴しい

ただただ互いを見つめ愛し合う・・素敵
そんなのを読めるわたし達は
とても幸せだったりします♪

この世に作品送り出してくださってありがとう
ございます!
イサジssi コマウォヨ!

まだまだ続くようなので楽しみです
387チャングム×ハン尚宮×チェ尚宮 −星望−:2009/05/15(金) 01:35:11 ID:JUT9av9G
「やっぱり変わられました……お気持ちだけじゃなくて……その……」
 潤んだ瞳で見つめられる。
「こうやって抱いていただいて…………とっても気持ちいいんです。前よりずっと」
「でも……それは再会できて……あなた久しぶりだったから……そんな風に感じるのでは
ないかしら?」
「いえ、そうじゃないって思います。なぜだか判りませんけれど。
 すごく満たされるのに、また抱きしめて欲しくなるのです。なんだか身も心も安らぐ
感じがして」

 私が変わったかって……そうねえ。気持ちの面では。
 きっといろんなことがあって、自分の至らなさをはっきりと知ったこととか、世情を
知り怖れを知り、でも反面相手の弱さも見て、無闇に怯えずともよいと判ったこととか
だろうか。
 でもひょっとして……。

「生意気な物言いですが、なんだか大きくなられたなあって。そんな尚宮様にいつまでも
包み込まれていたくって」
 ―――ああよかった。ひょっとして、単に床上手になったってことだったらなんて
    思って……ちょっとそれは。

「ありがとう。そう思ってくれるなら私は幸せよ」
 ―――まあでも、これまでは何にしてもだけれど自分の思いや感情を、拙く表現
    することしかできなかったから。
     あのソングムとの時間に。様々なことで激しくぶつかり合った経験が。今の私を。

「でもねチャングム。
 ……私は今までみたいには……ただ真っ正直では……いられない」
 チャングムはじっと見ていたが、しばらくして言った。
「尚宮様からお教えいただいたお心。何より大切な志。それが変わろうはずはありません。
だから私は、尚宮様を信じています」
 そう何よりこの子の存在に、この子となら運命を共にしようと思える覚悟が私を強く
支えている。

 危難の時に人の本性は現れる。それまでずっと強く振る舞っていた者も、時として
弱気になることもある。多くの者はその時々で従うものを変えていくし、変えざるを
得ないのだけれど。でもこの子は私を決して裏切らない。そんな安心感、いつまでも
無条件で愛し続けてくれる信頼。それをこの太平館で過ごす中で、改めて……確信できた
から……。

 横に寄り添って寝、手指を深く絡めた。
 この子ならきっと判ってくれる。私の心も、何もかもを。いつまでも、きっと。

「ねえ、だけどもうあなたとは。辛いだろうけれど忘れなさい」
 また頬を軽く齧られたり、赤子のように胸を吸われたり。相変わらず本当に嬉しそうに
している。そんなお前の背中を撫でた。すべすべした肌が気持ちよかった。
「尚宮様、忘れられなかったらどうしましょう?」
 おどけたように言う。
「馬鹿なことを言わないでよ」
 そのうち小さな寝息が聞こえてきた。


 身を捩るお前もこうやって私の前で安らぐ姿もどちらも愛しくて、なお深く愛したく
なる……私だって離したくない離れたくない。以前のように、今のようにずっとお前と
二人きりでいられたらどんなに幸せだろう……けれどこれからそれは。
 自分に許してはいけない。

 だからこれで……。

388チャングム×ハン尚宮×チェ尚宮 −星望−:2009/05/15(金) 02:00:35 ID:JUT9av9G

  身体中が柔らかい肉に包まれている。
  胸が甘美に痺れる。
  そして下腹がどんより鈍く、けれど甘ったるく。

 ぼんやり夢見心地、先ほどまでのを思い出しているのだろうなと思う。
 こういうことはよくある。深い交わりの後はしばらく余韻が残るもの。
 それにしても、やたら息が睫毛を掠めてくすぐったいのだけれど……。

 目を開けたのと、口を割り込んだ舌で私の舌が絡み取られるのとは同時だった。

 いきなりのことに息が詰まる。
 チャングムは構わず、そして私が目覚めたのを幸いとばかりに身体に覆いかぶさり
手首を両手で押し付けて胸や首筋に愛撫を繰り返した。
「……やめ……」
 聞こえないかのように耳の辺り一帯や脇の下も次々に。
「ねえ」
「夢でしたことを全部するって申し上げました」
 チャングムは真顔で言う。そしてにこっと微笑んだ。
「まだ私はその夢から覚めていないのです」

 抱き締められまた耳たぶを舐められ、大きく脚を広げられ、背中いっぱいを貪られた
ような気がする。
 そんなことが幾度も……繰り返されて。

 手が下腹部を弄り、もう何度も腫れ濡れそぼったそこに添えられる。
 自分でもはっきり判るほど熱くなり、指の動き一つ一つに腰が勝手に応えてしまう。
 その姿態を見て更に激しく擦り付けようとする。このままではもうすぐにでも我を
失くしてしまいそうだ。
「ゆっくりして」
 諌めるように制した。
「駄目です。
 あの方は私の大切な尚宮様を……このお身体を……背中も乳房も……全てを味わい、
尚宮様はそれに悦びを感じられたのです。どんな事情があったとしても、私から奪われた
のです。
 だから私はチェ尚宮様が触れられた全部を」
「よしなさい」
「そして今でもその時のことを思い浮かべておられて」
「違うのよ、そうじゃないわ」
「頭では判っています。尚宮様の言われることは、亡くなった母と同じ大切なお教え
であると。だからお言付けを守らねばならない……心を真っ直ぐに……真心を持ち
これからを目指せ……そして……そして……過ぎたことを思い返すな…………けれど
いくらお言付けでも、この感情は抑えられません。
 私にお感じになればなるほど、悔しくて仕方ないのです。
 そして尚宮様から愛しみをいただいてますます、逆に激情が噴き出します」
「ああ、チャングム。さっきまで穏やかにしてくれたじゃない」
「この大きく温かいお心を感じれば感じるほど、チェ尚宮様にも同じように優しく
なさったのか、そしてチェ尚宮様は私と同じように、この心地を味わわれたのかと!」
 必死な形相だった。

 私もこの子の気持ちは判ってやりたい。応えてやりたい。
 でもどうしたら納得してくれるのか。あれほど抱き合っても愛し合っても、それでも
拭えぬ不信感が心の底に沈殿しているのなら。
「これから私の好きにさせていただきます。そしてチェ尚宮様をお想いになったお心も。
その全部を私の手に取り戻します」

 こうまでなったなら全て委ねるしかないのだろうか……いやまだ身を任せるには
早かったのか、などと思いながら混乱の中、求めを拒み続けた。
389チャングム×ハン尚宮×チェ尚宮 −星望−:2009/05/16(土) 02:15:03 ID:Z6YWgbNc

「もう。そんなにされるならこうします」
 そう言うとチャングムは、テンギ(髪飾り)で私の両腕を結わえた。
 束ねられた腕を頭の上で軽く抑えられ、身体に唇が寄せられ、耳の辺りにべとべとと
した唾液が絡みつく。

 嫌、いくらこの子に……好きにさせるとしてもこんなことまで。
 言おうとする唇は引き裂かれ、舌を吸い取られた。

 不思議な子だと思う。幼い頃から身体一杯に自分の思いを表現し、そしていつしか私の
頑なな心を溶かしていった。
 今も、私はこの子の師匠でありその立場を忘れまいと、己をどこか高みに置いておき
たいといった取り澄ました気持ちの最後の壁が、この熱情、そして生々しい感覚の前に
ぼろぼろと残らず崩れていく気がした。

 チャングムはさっきから私の身体中を舐めている。耳や胸は言うに及ばず、おへその
中も、そして手指の先までを自分のものにしていく。

 今はどこを……されているのかも判らない。力の抜けた腕は既に放置され、私の身体は
横に向けられたりうつ伏せにさせられたりして、ひっきりなしの愛撫をぼんやりと受け止め
ていた。
 時折口に押し付けるかのようにこの子の乳房があてがわれ、その感触を楽しませて
くれたりするものの、それも遠い世界のできごとのようだ。

 幾たびも……稲光(いなびかり)が。甘美で、でも少し痛みも伴う感覚が通り抜ける。堪え
きれずに漏れる喘ぎに、やはりあてがわれたこの子の指を噛み締めて押し留める。

「お辛いのですか?」
 酔いしれている耳に聞こえた。いいえ、そんなこと。
「さっきから、何度も首を振っておられたので」
 崩れ落ちたはずの心の壁に、羞恥心だけは残っていたようだ……。
「それとも、続けていいのですか?」
 自分の口からは答えられない……恥ずかしい
「やめた方がよさそうですね」
 だめ、それは。そんなことされたらおかしくなりそう。
 声を振り絞った。
「ねえ…」
 その間も背中を爪先が往復する。
「聞こえません、尚宮様。お望みをはっきりおっしゃっていただかないと」
 この子だって、私がどう感じているか知っていて。
「判ってる……でしょ」
 狂おしい誘惑の渦に、私はまんまと引きずり込まれていく。
「お願い…」
「でも尚宮様は私が何度お願いしても、全然お許しいただけませんでした」
「意地悪…言わないで」
 チャングムの背中にしがみついた。
「そのお顔、尚宮様のいじらしいお姿を見るとたまりません」
「……」
「そそります」
「……品の無い」
「すみません。でも……可愛くて仕方ないです」
「そう思うなら……」
「もっと愛したくなります」
「……ねえ…………して」

 ようやく手が放たれたが、すっかり力を失った身体はなすがまま。

 もう脚の表や裏や足首、そして膝の筋にいたるまで、この子に味わわれなかった部分は
無いといっていいだろう。
390名無しさん@ピンキー:2009/05/16(土) 07:44:39 ID:zG3YbLjE
チャングマのリベンジキタワァ

391名無しさん@ピンキー:2009/05/20(水) 00:06:53 ID:HIWGtVsA
チャングム・・・どこに気持ちを落ち着けるのかしら・・

でもでもハン尚宮様の息も絶え絶えな言葉には
わお!って思ってしまった
素敵だぁ・・尚宮様ぁ
392保管庫・まとめサイトより:2009/05/20(水) 01:58:32 ID:/KKV4R9k
危険なウィルスが拡大中です。

現時点で保管庫・関連まとめサイト、保管庫管理人のPCは感染していません。

保管庫等を閲覧される場合は、まず日々最新の対策を。
また保管庫から外部に飛ぶリンクは、自己責任で開いてください。


GENOウイルスとは
ttp://www31.atwiki.jp/doujin_vinfo/  (必読)
ttp://www40.atwiki.jp/gegegeno/   (初心者向け)
ttp://www29.atwiki.jp/geno/      (黒いサイト)

GENOウイルスチェッカー
ttp://geno.2ch.tc/ (簡易版で、topしか判定しない?)
ttp://wepawet.cs.ucsb.edu/index.php (本格的解析? つながりにくい)
------------------------------------------------------------
GENOウイルススレ ★18
ttp://pc11.2ch.net/test/read.cgi/sec/1242666396/

【保身専用】同人サイト・GENOウィルス注意9【協力禁止】
ttp://changi.2ch.net/test/read.cgi/doujin/1242651247/
393チャングム×ハン尚宮×チェ尚宮 −星望−:2009/05/22(金) 02:37:34 ID:FntKY75z
 そして両手で包み込まれた踵や足先に頬ずりを何度も繰り返し……くるぶしが
齧られ…………ひゃっ、と。
 親指が口に。
 ああこんなことまで。

 足指は含まれ、指と指の間に舌が前後する。意外にくすぐったさはなくて柔らかい
温かい感触。
 そして時折……。
「尚宮様のここ、タコができていますね」
そう囁きながら足の裏まで大きく舐めまわし、また指を口に運ぶ。
「立ちっぱなしのお仕事だから」
 もうそれは、包み込まれるというより引きずり込まれるといった感じだった。

 気持ちよくなると腰が抜ける……のはよくあり、山歩きをすると膝が笑うという経験も
ある。けれどこんな足首が抜けるというか。力が全然入らず、軽く甘い薄衣に……足先
から膝も腿、そして腰まで全てが覆われていく。
「こんなに硬くなって」
 口に含みながら、チャングムの手が胸を撫でた。
 上は馴染んだ心地よさに疼き、そして足先には感じたことのない……特に指を
しゃぶられると意識がふっと軽やかになる。
「こんなに力が入って」
 快楽のあまり縮こまった指を揉み、そして親指小指中指とばらばらにほぐしては広げ
一本一本をまた口の中で弄び、ちゅっちゅと吸い付かれる音を聞いた時には鳥肌立った。
 身体の上と下からさざ波が押し寄せる。二つの波がぶつかる場所。それは……。
「でもここは溶けるように柔らかい」
 そう言うと脚の間に……。

 またしばらくの愛撫に耐えた。しかし。

  ああぁ  あぅ いいぃ

「そんなにお声を上げられたら、ご病気かと駆けつけて来るかもしれませんよ」
 何を口走ったか、とにかく次々に声が出てしまったようだ。
「誰かに見られたらどうしましょう。このお姿を」
 そうよ、普通に抱き合っているだけでも破廉恥……なのに。尚宮が内人に責められ、
しかもこんなあられもない姿で。そう思うと、でもなぜかますます身体の奥底から……
じゅんと。

「いっぱい垂らして」
 脚や腰はチャングムに掲げられれば上がり、下ろされて裏返されて大きく広げられたり、
かと思うと身体を横に向けてまた持ち上げられ、あらゆる角度から責め苛まれる。
「急にお具合が悪くなられたので、介抱していましたって言うしかないですね」
 なおも脚を広げて生暖かな愛撫が繰り返され、それは手指と舌の共同作業へと変わって
いった。
「尚宮様、どんどん湧き出しています」
 責めに加わった舌が体内を侵蝕する感覚に悶え、唇が私から滴る液体を吸い上げる音に
震え、同時に敏感な部分に残された指が翻弄し続ける。
「きれいにしないといけませんよね」
 そう言いながら……さらに後ろ……の部分まで……侵蝕しようとするのを、無意識の
うちに肩を掴んで押し戻したようだ。

「素直でいられないんだったら。もう一度、失礼します」
 ちょっと怒った顔をして、でも何の躊躇も無く今度は後ろ手に縛られ、うつ伏せに
寝かされた。
「して欲しいっておっしゃった、そのお言い付けを守っているのに」

 双丘を撫で回した手が両脚を開いていく。その後ろにチャングムが陣取った。
「どこから見てもおきれい」
 痛いほどに視線が突き刺さる。

 背後から回された手が腰を支え、私を無防備にさらけ出していく。そして指が……
何かを確かめるかのように、軽く、くるくるとなぞっている。

「ひょっとして、ここもチェ尚宮様が?」
「いえ、違うわ! いいえ!」
 羞恥に震えながらも、それだけは否定した。
「それなら……よかった」
 指は一旦源泉に沈められ、私を獣性の海に耽溺していく。
 そして。
「私が全部を……お許しいただけますよね」
 そう囁くと共にぬめりが。初めてされる場所への感触。悪寒にすら似た震えが腰から
兆した。
 けれど気持ち悪さの反面、なぜか背筋がゾクゾクする。
 あの、白魚のような指が……私の……遠慮もなく。
 口を吐(つ)く声は、叫び声に近いのではなかろうか。
「お声も素敵です」
 言いたくて言っているのではないのだけれど、とにかく身体が反応し、そして勝手に
吐息が声となっている。
 更に舌まで加勢したものだから……。
 蠢きがねばねばを増すにつれ崩れ落ちそうになり、その度腰に回された手に力が込め
られ、また愛という名の下で蹂躙されていく。

「先ほどから、嫌っておっしゃってますけど……こんなに感じて」
 からかうように言い、腰一帯全部を舐め回され愛しみを与えられる。腰が本当に砕けて
しまい、いいように好きなようにされている。

 もう身体の力が抜け切って、引き起こされても自分を支えることができなくなる。
 ようやく――腕は縛られたままであったが――身体を起こされ、後ろに座るこの子に寄り
かかるようにして座ることを許された。
 しかし脚はそれぞれチャングムの脚に絡められ広げられ、間には手のひらが、もう片方の
手は胸を、そして髪の毛の合間からうなじをついばまれた。

「いい匂い……母もこの香りに包まれたのかしら」
 ふんふんと鼻をならしながら、独り言のように言う。
 私はまた抗うこともできず、身体中をあますところなく愛されていく。

 でも何度もその時を迎えようとしても、その度動きが緩慢になる。あともう少しで……
昇りかけては鎮められて、でも後ろからの責めに……私の手も……身動きもままならない。
「ねえっ」
 身を捩って求めても、同じことが繰り返されるだけだった。
「こんな染みまで作られて。明日私が洗いますね」
 下を見ると、股の間からだらしなく零れたぬめりが敷布に冷たく広がっていた。指との
間に糸まで引いて。

「尚宮様、さっきからもじもじされてますけど、本当にどこかお具合でも悪いんですか?」
 そうじゃなくって、と言いたかったが、相変わらずはっきりとはしゃべれない。
「熱っぽいし、息も荒いです」
 だってあなたがそうしているのよ。心まで弄ばれ、おかしくなりそう。
「だったらずっとこうやって介抱しなくては」
 そしてまた淡々と行為を続け、けれど焦らされ続ける。
 ますます力が定まらなくなって、自然とチャングムの胸にぐっと寄りかかるように
なっていた。
「そう、尚宮様。力を抜いて」
 チャングムの手が髪の毛を掻き上げ、耳たぶを唇で挟まれ耳中に濃厚な愛撫が繰り
返される。
「私のするままに」
 もう……チャングムの頭が傾けられ、私の頭もやや後ろ向きにされ、そして深い口付け
を受ける。
「もっと気持ちよくして差し上げます」

 腰の前に回された両手は私の反応を見ながら敏感な部分を丁寧に探り出し、その部分を
指で更に剥き出ししていく。
 ぴたぴたと与えられる刺激に、くちゃくちゃという音で応える身体は、もう自分のものか
どうなのかも知れず。背後のこの子と一体となり、この子自身、あたかも自涜している
かのように、時折うめき声を上げている。

 そしてやっとその時が……。

 遂に来たのか……来なかったのか……判らないくらい、普段と何一つ変わらない感じで、
とろとろと心地よく身体が溶けていった。

 私は大きな息を繰り返し、背中に当たる胸にもたれかかり身を捩り続けている。
 再び三度四度と口付けを受けてもカラカラで、互いの息も妙に粘っこい。


 チャングムはふっと微笑むと障子を開け、素焼きの壷を部屋に運んだ。
「それ何?」
 壷の中身を新しい湯飲みに注ぐと、チャングムがまず一口飲み干した。そう言えば私も
喉が渇いた。私の分を入れてはくれ
「尚宮様」
先ほどのように後ろから、いや、やや斜めに抱き寄せられ口付けをされ、そっと開いた
唇の間から注ぎ込まれた。口の中に広がる液体が次第に喉の奥に達する。
「お嫌ですか?」
 嫌という以前に、驚いている。何も言えずにいるとまた口に含み、私を抱く腕に力が
入った。そして零れぬようにゆっくりと流し込まれた。
「お声をあげてらしたので」
 次々と流れ落ちる水はほどよく冷え、乾いた喉を潤していく。

 この子と出会った頃の、水を持ってこいと命じた時のやりとりが、チラっと頭を掠め、
こみ上げる笑いを堪えたが……結局堪えきれずに口の端から零れた。
「何を笑ってらっしゃるのですか?」
 言えることではないわね。だって、どうしたら私の気持ちに添えるのか必死だった子が、
今は私の意を聞くこともなく、けれど望みを叶えているのだから。

 唇越しに含まされていく。それが数回繰り返される。最後に送り込まれるいくぶん温く
粘度も感じる甘露、その最後の一滴まで啜る。

 そしてやっとまた、手が解かれ横たえられた。

「まだ満足できないのじゃないですか?」
 未だに全身が敏感で、どこを触れられてもすぐ反応してしまう。それなのに汗ばんだ
肌に、やはりしっとりとした肌が重ねられる。
「ほら、欲しがっていますよ」
 その言葉が下腹部あたりに、甘い疼きを醸し出す。
「本当は……尚宮様って……とってもいやらしいんですね」
 昂りが収まり切らないその部分に指が添わされ、穏やかな愛撫が繰り返されている。
「こんなにされて」
 溢れた粘液を指にすくい取り、見せ付けた。
「ほんとうにかわいいお声でした。もっと聞かせてください」
 ぬらりと光る指をチャングムは自分の口に含ませると、またその指を私の中に
とっぷりと沈める。

「全然辛抱できなくて。年上なのに」
 上から見下ろす顔が意地悪を言う。
「それに……以前は、されるままに任せられることも多かったのに……待ちきれないと
ばかりに、次々お求めになる……なんて。
 やっぱり変わられましたね……というか、変えられてしまったのですね」
 続けられる指の動きに胸の動悸が強まり、またすぐに次の高みへ曳かれていく。
396名無しさん@ピンキー:2009/05/24(日) 13:28:41 ID:WQjg+bsc
プチ黒チャングム降臨か・・・・・
397名無しさん@ピンキー:2009/05/24(日) 15:23:27 ID:gmZVnil3
震えているいやらしい尚宮様はとても……
398名無しさん@ピンキー:2009/05/25(月) 02:26:44 ID:KsPCg9I4
私のハン尚宮様が。。。。
チャングムと代わりたい。。。

399名無しさん@ピンキー:2009/05/29(金) 23:26:28 ID:BsXnSYG4
いやらしい尚宮様マダー?
400名無しさん@ピンキー:2009/05/30(土) 09:45:09 ID:FF7I87IN
400
401名無しさん@ピンキー:2009/06/01(月) 03:09:25 ID:mbRC+XZY
意地悪なチャングム・・・に翻弄されるハン尚宮様萌え

続き期待しております

でも無理なさらないようにね
402名無しさん@ピンキー:2009/06/09(火) 21:42:47 ID:KBPMFKsY
保守あげ

「だって…………」
 腕に軽く触れた。
「こんなに私を……こうして……」
 愛撫を続けるチャングムを撫でた。
「……気持ちよくしてくれる……前よりずいぶんと……それに……」
 その手を取って、逆にチャングムの潤いに浸してやる。
「お前もこんなに……ほら。柔らかくて」
 指を敏感な部分の上で往復させた。
「熱いでしょ。そして中は……吸い付くように……もっと温かいのよ」
 中指を奥に誘ってやる。
「だから私も欲しくなる……こんな風に、とても」
 この子自身のぬかるみにまぶされたチャングムの指先を……そっと咥えると、醸された
風味が漂った。
 中指の爪先を噛み、指の腹に舌を這わせ、人差し指との合間に移る。二本の指を含み
ながら、その間を往復させ、今度は人差し指の背を強く噛み、次は小指から順番に指の股
近くを噛み啜って……ゆっくりと味わった。

「尚宮様……」
 チャングムが深く息をつき少し首を傾けたものだから、髪が肩から前の方にしなだれ
かかった。
 この子の肩の髪を後ろに流そうとしたけれど、うなじや耳の後ろまで張り付いている。
さらに手を伸ばし、汗を指に感じながら額まで掻き分けてやる。と。
 ―――ミョンイ?
 面影? ではない。美しいあの人がいる。
 こんなこと空想の産物に過ぎないと判っているのよ。いいえ、判らなければ。
 だけど。

 ミョンイ以外には見えない……。

 またこの子に取り憑いているの?
 いや……。私の中にまだ恋焦がれる気持ちが残っていて。
 今この子と抱き合い、肉の感触、息遣いや汗ばみ、眼差し。この子の全てを手にし、
そして私の全部を与えているというのに、現実の生々しい感触よりも過去の思い出が
勝ってしまうなんて。
 今度は私が夢の中にいるのかもしれない。
 ―――抑えようとしても、抑え切れない懐かしさ。そして安らぎ。


 ミョンイに抱かれる夢を見たことはなく、かつての夜を思い浮かべることもあまりない。
 己に強いたのではないけれど、きっかけが無かったというか、そうしたいとはちっとも
思えなかった。
 ソングムとの時、思う振りをしたことはあっても、それは振りというだけ。
 あの別離と、そして再会してまた行方知れずとなって。無事生き伸びたにしても……
かなわないにしても、いずれにしたって辛い時を過ごしているのは間違いない。なのに
私が勝手にあの人と、たとえ夢の中とはいえ幸せなひとときを過ごしていい訳はなく、
まして嫌な思いから逃れるための道具ではないのだから。
 知らず知らずのうちに、心を封じ込めていたのだと思う。

 でも……この子がミョンイの子だと判ってからはどうだったのかしら? 思い起こせば
何度かこの子に面影を感じて葛藤もあったけれど……いいえ、それはあくまでもこの子
自身の温もりを感じてのことで……あの人の代わりにしてはいけないと……時折ひょいっと
面影がかすめてその度、自分を戒めてきたのだったっけ。

 代わりにするつもりもないけれど。
 抱き締められる力の加減も、時折私の頭を撫でる手の動きも、足の先まで触れ合わせる
肌の柔らかさも。
 あの人以外には思えなくて。
 ああ、思いっきり抱いて欲しい。
 あの人に愛されたあの日に帰りたい。


「嫌い?」
「え?」
 訳が判らないという顔だけど、それはそうよね。何の説明もしていないのだから。
「こんな私のこと……嫌に……ならない? はしたなく求めて、乱れて」
 今の私は、あなたのことをミョンイとしてしか見れないの、なんて言えない。

 チャングムはしばらく見つめていたが、答える代わりに肩を持つ手に力を込め私の
身体を裏返えし圧し掛かってくる。
「とろけて溶けて。私に身の全部を委ねてくださって」
 抱き締められ撫で回され舐められ、むしゃぶりつかれた。
「ああ、こうやって尚宮様をこの手に。あの泣いてばかりいた日はなんだったのかしら」
 つぶやきながらうつ伏せの身体の下にこじ入れた手は乳房を探っている。
 背中の上にいるこの子の剥き出された……想いに焦げ臭さすら感じてしまう。その
微かな嫌悪の兆しを見て取ったのか、また腕が束ねられ手指を口で吸い上げられる。
「嫌いになんてなりません。いくら変わられても」
 チャングムの息が荒くなる。
「いいのです、それで」
 汗がぽたりと流れた。それを手で伸ばすように私にこすり付けてくる。
「身体中に私の匂いを染みこませたい」
 いくら自分を過剰に上に置くように振る舞っても、私を支配するように制しても、
お前の望みは満たされないだろうに……。

 だけど身体中にまぶされたこの子の汗……ああそうだ、この懐かしい香りが鼻奥から
記憶を呼び覚ましている。どうして今まで気が付かなかったのか。
 それはきっと……ソングムの……熟れ、やや饐えかけた体臭を嗅ぎ……それまでこの子
自身のだと当たり前のように思っていた若さの中に、昔のままのミョンイがいることを
見つけてしまったのだろう。
 こんな気持ち……。自分が嫌になる。
 だけど今は。この子には……申し訳ないけれど。

 そんなことを思う間にも肩は齧られ、耳を舐められ、手は休むことなく体中を撫で
回している。

 判っている、判っているのよ。そうするのはお前の欲望からではなくって。心を求める
術として、いや、自分で自分を確かに感じられる手段としてそうせざるを得ないのだって。
そしてまた、私を離したくない想いと、より深く接したい気持ちだってことは。
「そしてもっと私のものにしたい。私だけを見て欲しい。お心も何もかも全部を」
 もちろん私も同じで。お前を離したくはないし、もっと強く結ばれたい。
 ―――あの時、よく自分はおかしくならなかったものだと思う。けれど今この子を
    いやこのミョンイを再び失ったら、私は跡形もなく崩れてしまうだろう。

 だけども。
 これだけ互いに深く想い合っても……この子がミョンイ……そしてソングムを越えられ
ないのは……そして私も最後の心を解き放てないのは。
 愛し合う相手をその時でも敬しなければならず、私は師匠として振る舞わなければなら
ないってこと。このような関わりの最中であったとしても、つまらない敷居があって。
 ―――本当は思いっきり甘えたいの。
     ねえ、今だけ、ミョンイと思っていいかしら。

「チャングム……」
「尚宮様?」
 続けられる愛撫に、言葉が続かない。
 私を仰向けに変え、髪を手で梳きながら囁かれた。
「なんでもおっしゃるように」
 でも、私を尚宮様と呼ぶな、なんて言えない……今はこの子にされるままに……ただ
溺れよう。
>>404 途中から一部書き直し
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 だけど身体中にまぶされたこの子の汗……ああそうだ、この懐かしい香りが鼻奥から
記憶を呼び覚ましている。どうして今まで気が付かなかったのか。
 それはきっと……ソングムの……熟れやや饐えかけた体臭を浴び……それまで
この子の若さだと当たり前のように思っていた匂いに……深く交わって初めて醸し出
される馥郁(ふくいく)たる香りの中に。昔のままのミョンイがいることを……沈めたはずの
記憶の底から浮かび上がってきたのだろう。
 こんな気持ち……自分が嫌になる。この子にも……申し訳ない。
 だけど今は。

 そんなことを思う間にも肩は齧られ、耳を舐められ、手は休むことなく体中を撫で
回している。
 判っている、判っているのよ。そうするのはお前の欲望からではなくって。心を求める
術として、いや、自分で自分を確かに感じられる手段としてそうせざるを得ないのだって。
そしてまた、私を離したくない想いと、より深く接したい気持ちだってことは。
「そしてもっと私のものにしたい。私だけを見て欲しい。お心も何もかも全部を」
 もちろん私も同じで。お前を離したくはないし、もっと強く結ばれたい。
 ―――あの時、よく自分はおかしくならなかったものだと思う。けれど今この子を
    いやこのミョンイの心が私から離れたら、私は跡形もなく崩れてしまうだろう。

 だけども。
 これだけ互いに深く想い合っても……この子がミョンイ……そしてソングムを越えられ
ないのは……そして私も最後の心を解き放てないのは。
 愛し合う相手をその時でも敬しなければならず、私は師匠として振る舞わなければなら
ないってこと。このような関わりの最中であったとしても、つまらない敷居があって。
 ―――本当は思いっきり甘えたいの。
     ねえ、今だけ、ミョンイと思っていいかしら。

「チャングム……」
「尚宮様?」
 続けられる愛撫に、言葉が続かない。
 私を仰向けに変え、髪を手で梳きながら囁かれた。
「なんでもおっしゃるように」
 でも、私を尚宮様と呼ぶな、なんて言えない……嫌われたくないから……今はこの子に
されるままに……ただ溺れよう。

 けれど知らない間に、腕に力が入っていたようだ。
 また両手を上にされ、脇の下を責められる。
  もっと ああ いぃ
「ここですか? こんな感じですか?」
  うううぅ
 喘ぎ混じりの自分の声。顔がかっと熱くなる。
「お顔がつやつやして」
 頬を両手でつつみこんで言う。
 先ほどのように上気した顔を見られているのだろう。想像するだに恥ずかしい。
「そろそろですね?」
 交差した脚の間を軽く擦り付けながら、上は乳房同士が触れ合う程度の距離にある。
私の手はチャングムの肩を持ち、脚ももたげられて腰に深く絡めさせられた。そして唇を
重ねながら、漏れる喘ぎを深く吸い込まれながら、この子の重みを感じ、けれどその重み
すら跳ね返すほどに背中を仰け反らせて……また……。


 そう、こうしてミョンイは私の力の抜けた手足を自分に巻きつけて……私のその時も、
ずっと見つめてくれて……あったかい。そしてとてもかわいいって言ってくれて、その
後はぎゅーっと抱きしめて、そして優しく撫でてくれて……かわいいかわいいって囁き
続けてくれた。あなたが大好きよ、とも。

 背中にあった手の動きがぴたりと止まった。
 ぼんやり眺めると、チャングムも私を見ている。
「全部が欲しいって思って。そのお心……チェ尚宮様に対するものも……そして……」
 重ねられた胸から、この子の鼓動が激しく伝わってきた。
「だけど尚宮様を独占したいっていくら思っても。どれだけ愛しんでも、どれだけお喘ぎ
になっても乗り越えられない。尚宮様を変えることはできない」
 鼓動は更に強くなった。
「さっき……お辛そうな顔をなさってました。でも時々……遠い目をされて。それから
幸せそうに微笑んでられました」
 胸を頬擦りされて、私は吐息を漏らした。
「この温かい身体の中で、どなたのことを想われて……いらっしゃったのか」
 しばらくして意を決したように言う。
「尚宮様に一途に思い続けていただけるなんて」
 チャングムはまた背中を撫でてくれる。
「そして。さきほどは身震いまでされていましたよ。見たことのないような、かわいくて、
穏やかなお姿で。深く満足されているご様子でした。
 母に抱かれて……昂られたのですね。その時の尚宮様は本当に美しいなって」
 チャングムの頭を撫でた。
「お前にこうして見つめられ、温もりや汗の匂いを感じ……ごめんなさい、本当に何も
かも頭の中から消えていって、そして……幸せだった昔をふっと……さっきはどうしても
……抑えられなかったの」
「お心の全部を受け止めようとしても、それでもちょっぴり妬ましくなってしまう。そう
感じる自分が嫌になってしまう」
「お前が悪いのじゃないのよ。いつまでも忘れられない私がいけないの。これだけ愛され
ているのに。お前といるのに、ふっと、あの人といるように思って」
「……いつまでたっても羨ましくて。だけど……誇らしくも感じます。こんなに尚宮様に
愛していただいて」
「……そうよ。とっても素敵な人だったわ」
 チャングムは私をじっと見ている。
「本当にごめんなさいね」
「いいえ私はいいんです。そして嬉しいです。尚宮様のお心の奥底までお見せいただいた
のですから。
 でも、なんだか不思議な気もします」
 私の脇腹を触りながら言う。
「尚宮様は私に母をお感じになって。私は尚宮様の中に母を……」
「私はミョンイがいなければお前とも出会っていなかっただろうし。あなたももちろん
ミョンイがいなければ……だからこうやって私たちが結ばれたのも」
「そうですね。ある意味、自然なことなのかもしれません……だけど母の……女の部分を
感じてしまったのは、ちょっと複雑です。頭では判っていたつもりなんですけどね」
 小さくため息をつく。
「そうねえ。お母様の……そうねえ。でも……そうやって、少しずつ大人になっていくの
かもしれないわね」
「おかしいですよね。私は尚宮様のこのようなお姿を見ていたというのに」
「でもそれも自然な気持ちじゃないかしら。自分の親だけは違うって」
「尚宮様」
「なにかしら?」
「私は尚宮様と……こうしてお身体にも触れていたのに。ずっと、そのお気持ちを秘めて
いらっしゃったんですね」
「いや、隠していたつもりもなかったの。もうすっかり落ち着いたと思っていたのよ……
今夜お前に抱かれて……ふっとね」
「心の奥の奥では、きっとお辛かったでしょうね」
「あの人とは別れを告げることもできなかった。その残念さはあるけれど。
 でも私の未練を伝えてお前を悲しませる方がもっと辛い」
「私は本当に大丈夫です。そのお気持ちも含めて、全部が尚宮様なんですもの。
 尚宮様の愛が私にないというわけじゃありませんから」
「ずいぶんと大人びたことを言うようになったわね」
 そんなこの子は食べてしまいたいくらいに愛おしい。
 手を伸ばし胸や首筋、腰。頬擦りをし唇で味わっていく。
「無理やり離されて……どれだけ大切だと……一緒に過ごしていたら判らなかったことが
たくさんありました」
「私もよ。あのまま宮で変わらず過ごしていたら気が付かなかったことも多いと思う。
 まあだから……私たちに起こった辛いことも……その意味ではありがたく感じても
いいのかもしれないわね」
 チャングムは私のおとがいに両手のひらを当てて言う。
「尚宮様、私を…………母と思って……くださっても……いいです……」
 チャングムの胸に左手を置いて言った。
「でも、悪いわ。この身体はお前のものであって、ミョンイの代わりじゃないんだから」
 私はチャングムにぎゅっと引き寄せられた。
「本当にいいのです。だって……とっても気持ちよさそうにされていたのですよ。そんな
尚宮様をもっと感じたいのです」
 下から抱きしめる手に力が入る。
「ね、いいでしょ? お望みのようにしてください」
 首筋に唇が這った。
「いいって言ってくださるまで」
 そう言うと、この子の身体の横に添えていた私の脚はチャングムの脚によって器用に
裂かれ、その間にチャングムの腿が割って入った。
「離しません……こんなことしたりして、ね」
 膝を立て気味にして左右にくいくいと揺さぶる。
「後ろから……失礼します」
 腰を撫でまわされ、その腰ごと腿に強く押し付けてくる。
「いいお顔を見せてくださいよ」
 お尻をまさぐる手が、徐々に押し付けられている部分に近付いてきた。
「もうこんなに!」
 潤んだそこは、たどり着いた指を苦もなく飲み込んだ。その間にも、チャングムの唇は
私の乳房を捉え、舌を長く伸ばして転がしたり甘く噛まれたり。
「いっぱい気持ちよくなってくださいね」
 私はこの子の肩を噛むのが精一杯。身体の上でいいように振り回されている。
「楽しかった時を思い出されて……」


 子供の頃から触れ合っていたし互いの家にお泊りもしたから、同じ部屋になっても別に
何の遠慮も感じなかった。当たり前のように手をつないで眠り、夜中に目を覚ますと、
いつの間にかこちらの布団に潜り込んでいたことが何度もあった。
 だったら最初っから一緒に寝ようと言い始めて、寝息を真隣に感じながら眠りについて。
 すると今度は肩を撫でてくれたり、足が軽く絡んだり。私もそんなミョンイをそっと
抱き返したりもした。
 撫でられる場所は、お腹や腰や……胸もたまに。服の上からだったけれど、心地よくて、
日中の辛いことも忘れ安心して眠ることができた。
 その頃既に男女のことは聞き知っていたけれど、ミョンイとそうなるとは思っても
みなかった。
 それぐらい、自然な形で始まったわね。

 それが、いつの頃からか膨らんだ胸をなぞるように触られ、私の手を肩に回して触れ
合う部分が大きくなったり。絡んだ足は時々寝巻きが跳ね上がり素足の部分がくっつい
たり。そしてまたいつの頃からか、太腿が脚の間に押し付けられるような格好になったり。

 そんなある日。ほっぺ同士を合わせるのはしょっちゅうだったけど、耳元に生暖かな
風とぞわぞわした音を聞いたときはびっくりして、思わず跳ね返した。
『動かないでよ〜』
『な、何をしているのよ』
『何って。かわいいから』
 いつもとは違って私の身体は強く押さえ込まれ、しばらく首筋やら頬を唇で触れられた。
 そして私の真上から見つめる顔が徐々に近くなり……唇同士が。でもただ唇をなぞる
唇は、妙にあったかいものだなと感じただけだった。
『あははー。ペギョンの唇って』
 そういうとミョンイはいきなり布団をかぶってしまった。
『私の唇って、何なの?』
 布団に手をかけて聞いても答えてくれなくて、ただ笑いを堪えているようだった。
 私も仕方なく、そのまま眠りに付いた。

 その次の日から。ミョンイとの触れ合いは、だんだんとそういう意味へと変わって
行ったと思う。
 首筋だけでなくて胸元も大きく広げられては頬擦りされた。足先を絡められ、太腿を
繰り返し押し付けられて。そのうちお腹の下あたりが、ほわっと気持ちよく感じたりして。
さらにミョンイの背中に腕を回させられたりとか。
 でも唇は何度も重ねたが、触れ合うのは唇だけだったし、身体も半身を添わせる程度
だった。だけど、そうされた後は私の身体もほくほくし、それは身体をひっつけたから
とはどこか違い、なんだか心も楽しく、そして……身体の奥がしっとりし始めるのを
感じていた。

 男女のことは聞いていたものの、それはある意味絵空事。自分の身体に起こることとは
結び付かなかった。布団の中で身体を寄せ合い、挙句変な気持ちになり下穿きを汚す。
それがなんとなく恥ずかしいことに思えて尚宮様に相談もできない。
 それに宮ではそういった話を気さくにできる友達はいない。女官同士というのも聞いて
いたが、他に親しくなりたい相手がいない私には他人事。何をどうしているのかなんて
興味もない。
 何より何でも頼りになるはずのミョンイが当の相手では――そんな時も普通の顔でいて
私ひとりが舞い上がっているようで――やはり聞くのは憚られた。

 それで里帰りした時に母に相談すると、母は驚きもせずに話しを聞いてくれた。そして、
宮ではあたかも男女の契りのようなことが、女官同士で交わされることは珍しくない。
お前がミョンイちゃんとそうなるのが嫌なら、今のうちに断りなさい。でも安らぎを
感じるなら……いつかはね、お前とあの子が生まれたままの姿で……深い時を過ごす
ことになるんだろう。添い遂げる相手が……ミョンイちゃんだったのね……。
 そしてね、そんな最中に身体がそうなるのはごく自然なこと。
 これからも時々驚くようなことが……相手にも自分にも起こるかもしれないけれど。
誰しもその時は、人が変わったようになるの。だから心配せず、あの子に任せたらいい
から、いっぱいかわいがってもらいなさい。お前も自分の気持ちを相手に伝えなさい。
それがお前の幸せになるだろう、と。

 宮に戻り、夜が来る。
 生まれたまま……か。その時の私は、不安よりも好奇心が勝っていた。寝支度を
しながら、時々ミョンイの顔をチラチラと眺めたりして。
 そしてミョンイが隣に入ってきて、いつものように手足を絡めてくると、私もその
身体をきゅっと抱きしめた。それから唇の接触を受けながら聞いてみた。
『ねえ、私の唇って、何なの?』
『え? ああ、柔らかいなって』
『それだけ?』
『うーんと、ね。でも言えないわ』
『言ってよ』
『嫌がられたら悲しいし』
『そんなことないって』
『だってペギョンはおぼこいから……何にも判ってないし』
『知ってるわ』
『強がらなくていいのよ』
『強がりじゃないもの。ねえ、私、覚悟してきたよの』
『覚悟? なにそれ』
『あのね、母に……母はああいうお店をやってるからそういうのに詳しいと思って』
『お母様に話したの』
『うん』
『どうおっしゃってたの?』
『うん、大丈夫。ミョンイちゃんならいいって……だから』
『そう。そうなの。いいわね、相談できるお母様がいらして』
『でもミョンイは尚宮様がいらっしゃるじゃない』
『あはは、そうね。ペギョンだって同じなのに。あ、恥ずかしかったのね。やっぱり
おぼこいんだ』
『おぼこくないって』
 思わず抱きついてミョンイの上に半分乗った。ミョンイは真顔になって、私の肩から
垂れた髪の毛を掻き上げた。
『あなたの唇……かわいくて』
 そうして引き寄せられるまま、私の方から唇に触れていく。
『もっと深く合わせたいって、ずっと思っていたの。前々から。だから……』
 唇越しの言葉の後、ミョンイの舌が私の唇をなぞり始めた。口の辺りが濡れ、緩んだ
隙間からその舌が私の口の中に入ろうと……思わず顔を離した。
『やっぱり怖い?』
 うん、と軽く頷いた私の頭を撫でながらミョンイは言った。
『まだ早かったのかなあ。いける子は最初っから受け入れてくれるんだけど』
 好奇心もあった。嫌われたくはなかった。それで思い切ってまたミョンイの唇に自分の
唇を重ねた。そして軽く唇を開いてみたものの、ミョンイはついばむだけでさっきの
ようにはしてくれなかった。
『ねえ』
 促すと少しだけ舌先を唇に沿わせてくれたが、どこか遠慮がちだった。
『いいのよ。あなたとはこうやって抱き合うだけにしましょうね』
 背中を撫でる手が優しかった。

 それから半刻ほどミョンイの肩に頭をもたせかけていたものの、しかし眠りに付けず、
時折目を開け寝顔を眺めた。
 この人なら……怖がることは何もないのに。どうして私は。
    幼い頃、突然男が私を抱きかかえ、尻までチマを捲り上げようとした時のあの
   ごつごつした指。私の腕を掴んだ毛むくじゃらな穢らわしい手。逃げることも
   声を上げることもできずに震えていたあの時。その恐怖にしばらく吐き気が収まら
   なかった。
 この身体のどこにも、そんないやらしさはない。いや、あの時男に立ち向かった毅然と、
そして美しい眼差しや、ぐいと私を引っ張ってくれた白い手。こんな高貴な人に何の
不安を感じよう。それが、互いに生まれたままの姿になったとしても。
 本当は私ももっと触れ合いたい。
この子の抱擁は気持ちいいし、そうすることでミョンイが喜んでくれるなら私だって
嬉しい。どんなことになるのか判らないけれど……。
『ミョンイ、私……』
 唇を軽く合わせて……さっきしてくれたみたいに舌を滑り込ませてみたのだけれど……
うーん、ここからどうしたらいいの? きれいな歯の上でつるつるするばかりだ。唇の
周りもぐちょぐちょして……いったい何がよくてこんなことを。
 別に何にもしないで、ミョンイの柔らかい身体に触れている方が好きかも。

『ペギョン?』
 そんなことを考えていたら、ミョンイが目を開いた。
『顔を真っ赤にして』
 私はどきまぎするばかり。
『別に……あの……さっきの続き……を。どんな感じなのかなって』
『あらあら。こっそり練習してたんだ!』
 そう言って頬を両手で挟みこみ、ふっと微笑んだ。
『ひとりでなんてずるいわよ、ね』
 そして私の耳元で囁いた。
『私の言うようにしてくれる?』
 もちろん私は喜んで頷く。
『ペギョン、唇を重ねたら、少し舌を出してみて』
 言われるまま、合わせた口先から舌を伸ばす。
『うーん、もうちょっとべろっと』
 また言われるままにぺろっ。
 出した舌がミョンイの唇に吸い込まれ、舌先同士が軽く触れ合った。もうそれだけで
頭がくらくらとしてしまい、ミョンイの動きに合わせて頼りなくもぞもぞと動くほか
なかった。
  ふぅっー
 一旦離れ、ミョンイがため息をつく。私はミョンイの表情を伺った。つまらない子だと
思われたらどうしよう。
『ああ、あったかくて気持ちいい』
 よかった、喜んでくれたんだ。だったらもう一度と唇を合わせようとすると、
ミョンイは私の肩を押して私の上に乗っかった。
『あなたも気持ちよくしてあげる』
 そうして首筋に唇を添わせる。それは鎖骨を往復し、そして耳をなぞっていった。
『ねえペギョン。舌でするけど……気分が悪くなったら言ってね』
 舌? 意味がわからないが、とにかく言われるままに。
 私の頷きを頬で受け取ったミョンイは、耳たぶを唇で挟み込み耳の外や内側に舌を
這わせていく。気持ち悪い……か。確かに相手がミョンイでなければそう感じたかも
しれない。身体の内部への侵入なのだから。
 けれどその動きは繊細で、流し込まれる吐息は甘ったるく、触れられている部分が
どんどん熱を帯びていくのが自分でも判った。
 唇が首筋へと移り、それにまた酔いしれていると、なんだか胸やお腹や腿のあたり
からも、どきどきする感覚が芽生えてきた。知らない間に絡められた脚、そして手で
いろいろなところを触られていたのだ。
 そうこうするうちに着物の前がはだけられた。ミョンイも帯紐を解き、胸をあらわにし、
そしてまた身を重ねられる。人肌に触れる感触の……ねとっとした甘美さ。だけど少し
戸惑ってしまい、思わず身を縮ませた。
『怖がらないで』
 そして唇を重ねられ、今度はミョンイの舌が私の唇を割り込むのを必死に受け止める。
正直言って、最初うえっとしてしまった。なにせ、自分の意思以外のものが口の中を
動いているんですもの。けれど緊張していた私の舌も、身体全体を撫でられているうちに、
いつしかミョンイのと同じように柔らかく溶けていった。そうして時折私の舌が
ミョンイの中に吸い込まれ、ミョンイの口の中を味わったり、またミョンイの舌が私の
中に入ったり。
 どきどきは消え、柔らかくて温かいこの感触が、純粋に心地よさへとつながっていった。
『うっとりしちゃって』
 ミョンイはまたふっと微笑み私の頬を指先で撫でると、私のと、そして自分の上着も
全部取り去った。背中に私の手を回し胸をこすり付けてくる。乳房同士が触れ合い、
互いの乳首に引っ掛かったりしてはぷるんぷるんと揺れる。
『今度はここを』
 片手が先端を捉え、もう片方は唇で刺激される。
『痛くない?』
 しばらくして聞かれた。
『痛くはないけど……こそばゆいような』
 それを聞くと安心したのか、また胸や首筋、そして脇の下を撫でられ舐められていった。
『ペギョン、気持ちいい?』
『なんだか……よく判らない。温かいけれど』
『そう。じゃあ、続きはまた今度にしましょうね。もう寝ないと明日も早いから』
 そう言いながら上の寝巻きを着せてくれる。
 私も寝床に入ったが、身体がほかほかしてきて……やはり下の部分が、じめじめと
するのを感じた。何か物足りない気もするけど……ちょっと疲れてしまったので、素直に
眠りについた。

 翌日は、唇といわず胸といわず、身体中がはれぼったいような妙な気分だった。

 そんなことをひと月繰り返し。
 とまあ、何事にも時間と日数がかかり、でもミョンイは根気よく私を馴染ませていった。
 脱がせるのはいつも上だけだったけれど、下の方は服の上から、腿で小気味よく
揺さぶられたり、時には裾を捲くり上げて腿同士を触れ合わせたり、下穿きの上から手で
なぞられたしていた。それがなんとも気持ちよいと思えるときがあって……自分の吐息を
感じたり。
『こうするといいの?』
『じんじんとしてきて』
『そう。じゃあ』
 私の寝巻きを全部脱がせ始めた。それから手で腿やお尻や腰を何度もさすっていく。
『きれいな脚』
『ミョンイは着たままなの?』
『だって刺激が強すぎたら、また……びっくりするでしょ』
『もうこんなになったんですもの、いまさら』
 私もミョンイの下を脱がせた。
『また強がりを言って。そういうところがかわいいんだけど』
 笑いながら腰を浮かせ、脱がせやすくしてくれる。その笑顔が素敵で、私はミョンイに
覆いかぶさって、もうすっかり慣れた口付けを繰り返した。
 以前はぬめって、ちょっとなあ、と思えた時もあったけれど。今はたまらなく好き。
だってお互いの温もりを、じかに感じられるのだから。
 上下とも取り去って、下穿き一つの格好で脚を絡めながら、何度も口付けをする。
素肌の触れ合いは想像以上に気持ちがよく……生まれたまま……って案外いい。
ミョンイもにこにこしながら、私の身体中を撫でてくれて、全身がぬくぬくになった。
 それから耳元で囁かれるゾクゾクも、ミョンイの息吹が吹き込まれるような感じが
してとっても好き。だから私もミョンイの耳元で話しかけてみた。
『ねえミョンイ。せっかくだからもう全部脱がない?』
『え?』
『だってあなたって……他の人と……もっと……』
『うーん。まあそれはそう……だけど。知ってるの?』
『有名よ。私の耳にまで入ってくるくらいだから』
『ごめんなさい。でも今はあなただけ。信じて』
『ふふっ、その言葉を本当に信じていいのかしら?』
『でも他の人とあなたは違うし』
『そう言ってくれるのは嬉しいけれど。奥手相手じゃ、つまらないでしょ』
『ペギョンを大事にしたいの』
『私はミョンイに喜んでもらいたい。それが私の喜びなの。だから』
『私はペギョンが楽しんでくれるのが一番よ。あなたがいいのなら』
 そう言って手を伸ばし、全てを取り去った。同じように私もミョンイのを。
 二人を隔てるものがなくなり、初めて全部の部分を触れ合わせる。互いに胸を
まさぐり肩を噛み、脚を絡め……ほわほわとした毛がちょっとくすぐったかった。
 ミョンイの手は次第に、解き放たれた下腹部に伸びてくる。覚悟はしていたものの、
指先が触れた時、短い痺れが走り、私は目をぎゅっとつぶった。
『ああ、すごい!』
 そう、私のそこは。
『前からこんなになっていたの?』
 ぬめりも手伝い、触れる指は私を滑らかにとろけさせていった。
 薄目を開けると、ミョンイはじっと見つめている。
『じゃあ、ここで感じていたんだ』
 突然その一点がびくっと脈打ち、もどかしいような官能が下腹部に染み渡り、どうして
いいのか判らなくなった。ただ必死でミョンイの腕にしがみつき、その動きを止めさせ
ようとした。
 けれどミョンイは逆に私の腕を手や身体で押さえつけ、軽やかに撫で続ける。
『不思議な気持ちになるかもしれないけれど』
 そう言いながら指先を押し付けられているのかなと思ったら、さっきよりも一段と鋭い
情熱が脈動を繰り返した。
『こうすると……もっと感じない?』
 感じる? いや痛みのような気もするし、そうではないような気もするし。ミョンイは
戸惑う私に構わず律動を繰り返す。
 されるうちに体の力が入らなくなり、なんだかお小水を堪えているような、とっても
変な気分。
  ミョンイ あ あの 私
『どうしたの?』
『あの……変なの……恥ずかしいけど……お漏らししてしまいそうなの』
『構わないから……しばらくこのまま……』
 ミョンイはふふっと笑うと、深く口付けをしてくる。
『今やめたら、かえって辛くなるから』
 勝手にがくがくと揺れ始めた脚はミョンイの脚で絡み取られてより大きく開かされて
……ぎゅっと力が入り、歯を食いしばり、身体が浮き上がった。
 気持ちいい。こんなに素晴らしい世界があったなんて。
『ペギョンの初めての味』
 ミョンイにその部分をぺろっと舐められ、また飛び上がるような痛み? なのか何なの
かが身体を走った。

 気が付くと、ミョンイは私を包みこんで安らかな顔で眠っていた。私もその胸に手を
あてて、寝息を心地よく聞きながら目を閉じた。
412名無しさん@ピンキー:2009/06/11(木) 01:48:48 ID:IFJfSVN9
わお!書いてくださったんだ
ありがと

過ぎ去りし日々よもう一度ですね
やっぱり、ハン尚宮様の心の中にはミョンイがいて
そして、チャングムはチェ・ソングムも越えられないのか・・

ハン尚宮様がミョンイとの邂逅に思いを馳せ
昔語りが終わった時に何か変化してくれることを祈って

続き待ってますノ
 私にとってそこに至るまでは長い道のりだったけれど、その後のことからすれば、
ほんの序章に過ぎなかった。

 ミョンイに抱かれれば抱かれるほど私の身体は丸みを帯びていった。
 私たちの仲は次第に皆にも覚られるようになった。それは私自身の変化と、そして
自分の夜這い――まったくなんて言い様だろう!――が無くなったからだと、ミョンイ
自身が笑って教えてくれたが。時々他の女官の視線が私を捉えるのを感じたりもした。
 あの時は、ミョンイへの嫉妬だとばかり思っていたのだけれど。人気者のミョンイが、
私のような者を相手にしているなんてと。
 そんなことにはお構いなく、ミョンイの行為もまたその幅を広げていった。けれど
ミョンイは先行きを教えてはくれない。いくら尋ねても、いいから任せて、と言うばかり。
不安じゃないけど、私の驚く様子ばかり眺められるのは、やっぱり不満……けれどそう
やって私を支配していくのがミョンイには楽しいみたいで。だったら諦めるしかない。

 指の動きは回を追うごとに執拗さを増し、数度達しても許してくれず、ねちねちと
こねくり回されるようになった。
 時々自分の指も当てさせられ、大きくなったそれを確かめさせられたり、ミョンイの
したように包み込んでいる皮の部分を剥き出しにさせて、鋭敏な感覚を実感させられたり。
肉の喜びを知って変わる私を見ては耳元を舐めながら、いやらしい子って囁きかけたり。
一層恥じ入る私を今度はぎゅっと抱きしめてくれて、きれい、かわいい、大好きとも。
 確かに……女官たちの噂話の通り。人誑(ひとたら)しって、こういう人のことなんだって
思うようになったっけ。

 でも、もう十分と思っていたのだけれど。まだまだ私は甘かった。
『しんどくない?』
 指が中に沈められた時は少し驚いた。さすがにちょっと下腹が張るようで辛いというか
……だけど……まあなんとか。
 また長い時間をかけて少しずつ埋め、ゆっくりほぐされていく。それがまた何日か
繰り返されて。
 遂には。大きく股を広げられ、両手でその部分を広げられて何やら観察している。
『おもしろいわね。ここからぴゅっぴゅっって』
『ええ?』
『感じているのが判るのよ。ちゅって吹き出してきて、ぬるぬるになって、ペギョンも
どんどんとろけていくから』
『そんなに見ないでよ。今までいろんな人のを見たんでしょ』
『それは人によって違うから。あなたにもっとよくなって欲しいの。だから確かめてるの』
 それから舌が差し入れられ、私の身体に熱い命を吹き込むかのように蠢いた。
ミョンイと身体の一部がぴったりと合わさった満足感。自然と口から吐息がこぼれはじめ、
それがいつからか自分でも喘ぎと判るほどになまめかしいものとなっていった。

 この声……夜半、手水に向かう時に他の部屋から漏れ聞いたこともあった。その時は
何てばかげた人たちって思っていたのだけれど。いざ自分がそうなってみると、ちっとも
恥ずかしいことではない。身体中で愛を受け止め、その歓喜を相手に伝えること
だったんだ。
 私の相手、ミョンイもそれを聞いて本当に嬉しそうにしてくれて、私はまた喜びに満ち
溢れる。
 そんなことを考えていたら、いつの間にか私の中には数本の指があった。それが
ひとまとまりになったり、別々の動きをしたりしている。
 中を探られる感覚は、外の、主に脚を痺れさせたものとはまた違って……全身を痺れ
させ揺さぶった。汗が皮膚を潤し、触れ合う肌の感触がまた堪らない快楽をもたらす。
私もミョンイのしっとりした肌を求め、手で胸で、そして脚で味わった。
 その間にもミョンイの手が中や外を器用に往復し、身体が小刻みに震え始め、けれど
もう戸惑いはなかった。私はされるままの愛撫に耽溺し、よがり声を上げてミョンイに
応えた。

『深く感じたのね?』
 軽く頷いた。
『あなたの中がきゅーっと締め付けて。ビクビクってなったのよ』
 心の底から身体の全部から愛しいと思えて。
『また欲しい?』
414名無しさん@ピンキー:2009/06/11(木) 22:07:55 ID:mKgVLgwB
ミョンイとペギョンのエクストララウンドキタワァ
 身を絡ませたのが私の答え。
『かわいい子。私もあなたが欲しい……ペギョン、大好き』
 見つめられ、抱きしめられ。そしてまた淫靡、いいえ素晴らしい喜びが部屋を満たして
いく。

 営みが終わっても、朝まで余韻に浸った。

 私は変わった。
 一度達した身体は次の日も、そしてその次の日も、ずっとずっと愛されたいと願い、
母の言った深い時を過ごすという意味を実感し、身を交わらせる幸せを噛み締めた。

 でもあの交わり。心はもちろん、身体も十分に愛し合っていたと……私はそう思って
いたけれど。独りよがりだったのじゃないかしらって、今になると考えることがある。
 私は、どれだけあの人を満たすことができたのか。
 なかなかミョンイのそこには触らせてはくれず、あの人と同じように布団に潜り込もう
とした私を、子猫をつまみ上げるようにひょっと抱き上げ、お腹に乗っけて言ったっけ。
されるのとするのは違うし見るのはもっと違う。あなたはまだいいからって。
 時々、私の高潮に合わせて、私の腿に脚の間を激しく擦り付け強く身をこわばらせたり、
ごくたまに私の手をミョンイに宛がわされ、導く指共々撫でさせて、そして力が抜けた
ような顔を見せてくれた。その後で私は自分の指をそっと含み、ああこれがミョンイの
味と香りなのだと知るぐらいだった。
 まあ確かに……あまり……見てくれのいいものじゃない。びっくりしたかもしれないし、
それを受け入れ相手を気持ちよくするのは情熱も体力もなければ結構難しいと、この頃は
――チャングムとソングムを抱いて――判ってきたけれど。
 それとも……ミョンイは満足していたのだろうか。
 あの時の私は、愛撫を受け止めるので精一杯……そんな私が真似たところで……
でもでも私は愛していたのに。あの時、説明してくれれば納得したのに。

 うーん。結局は、ミョンイに直接聞いてみないと判らないのかもね。だからもっと
時間があれば、いつか尋ねたはずよ。
 二人で枕元で話し合うの。私はこう感じるんだけど、あなたはどうするのがいいのって。
それでね、私はあなたの望むとおりにしてあげるから。

 ……いや……頼ってばかり、甘える一方の私は、あのまま共に過ごしてもいつまで
たっても思い至れなかったかもしれない。
 ミョンイはいっぱい包み込んでくれた。何も知らなかった私の全部を受け止め、愛する
ことを教えてくれた。そんなミョンイの心を、より深く感じることができたのが……
引き離された後だったというのは、なんとも皮肉に思えてしまう。

 だからこそ共に過ごせる時間の限り、この子のよさを見つけ、教え、そして伸ばして
いかなければ。
 お前に甘えるわけには……いか…な…あっ
 ―――私って本当に……いやらしい。
 また昂り始めるこの身体。入り込んだ指が内襞をコリコリと捉え、直接的ではない
じんわりと深い心地よさを体内に響かせる。
 ―――頭とは裏腹に身体はすっかり甘えてしまっているじゃないの。
 かと思うと指の腹で敏感な部分をなぞられる。
『感じて。もっとしてあげるから』
  あぅっ
 叫ぶ唇は柔らかく塞がれ、押し入った柔らかな異物に舌が絡め取られ唾液がまぶされて
いく。
 ―――呻いても手で避けるようにしても、止めないで…………ずっと。
『いい子。正直なあなたが大好き』
 脚が掲げられ、舌は先ほどまで指で溶かされていた場所に侵入し。
『あなたが気持ちいいなら私も嬉しい』
 またそれは喘ぎを大きくした口の中へ、私から噴き出た情欲の味をも携えて。
 ―――もう……だめ……。
 身体全体が痺れてしまう。
『ペギョン!』
「ああ、ミョンイ」

「尚宮様のお心を奪うのは……できないみたいですね……至らない私には」
 昂りの波が消えると共に手の動きが緩やかになった。
「私が抱きしめるよりずっと……」
 頭を撫でられ、もたせかけた肩の上から静かな声がした。
「でもいつか、もっと愛されるようになります。尚宮様に求めていただけるような
人間になります」
 何も言えない。私は申し訳なさで一杯だ。
「だけど……今は……尚宮様のお思いのようにいたします……ですから」
 まだ少し余韻の残る背中が撫でられている。
「失礼をお許しください……しばらくの間」
 見つめて、そして首筋に舌を這わせながら言う。
「母に成り代わって……母のように……尚宮様を……抱きます」
 手がそこを確かめるように触れている。
「こんなに溢れさせて。母を想えば気持ちいいのですね」
「馬鹿なことを言わないで」
「それと……尚宮様じゃなくって……お名前を……もっとよくなっていただくために」
 心の中に募る興奮。
「ペギョン……って呼ばれれば、燃えるのでしょ?」
 それだけで、実は胸がきゅんとしてしまった。
「けれど……」
 取り繕うとしても、とろっと流れたのが自分でも……。
「ご自分で確かめてください」
 私の手を携え……指が当たるそこは……熱い。
「身体は嘘をつけないみたい」
 粘液に塗れた二人の指を絡ませたままでねぶっている。
「だから今だけ、そうします」
「お前は……いいの?」
 途切れがちな息を整えつつ言った。
「とろけるお顔が見たいのです。私もいっぱい愛したい」
「でも……やっぱり…………」
 私の方の覚悟が……できていなくて、大きく呼吸を繰り返してみたが……それは愛撫の
渦の前では無駄な抵抗に過ぎなかった。
「あの……ね…ミョンイはね……」
「お話しいただかなくても結構です。私にお任せください」

 深い息遣いは吐息に消え、いつしか。
 重ねられた温もりの下で、あの頃に戻って陶酔している私がいる。

「好き、本当に大好き」
 包みこむ身体に私の腕はぴったりと添い、口の中に浸された舌を吸っている。
「こっちを見て」
 目を開くと互いの視線が絡み合う。向けられるのは私の反応をねばっこく探り出す
ミョンイの目そのもので。そうなると私の目もきっと、もの欲しげにせがむ目になって
……いるに違いない……。
「ああ、潤んだ瞳がたまらない」
 私の喘ぎが増し乱れると、向けられた目の輝きも嬉々として増していく。
 だけど私だってあなたが乱れるのを見てみたい。
 負けじと、覆いかぶさっている脚の間に自分の腿を押し当ててみた。
「あなたも気持ちよくなってよ」
 上から降りかかる吐息に、そう伝えたけれども。
「ううん。こんなに素敵な身体、一瞬だって目を離したくない。もっと味わいたい。
だからいくのがもったいなくて」
 脇の下を、毛穴の向きとは逆に舐め上げる舌に、やすやすと屈服させられてしまった。


「この格好は好き?」
 背後から両手を押さえつけてうなじを襲われ、快楽の波に反らた顔をぐいと横に向け
て口付けを与えられる。
 私は嗚咽を漏らして応えた。
「こんなみだらな姿がいいの? じゃあこれは?」
 身体を横向きに寝かされ、脇から回された手が胸を揉みしだく。更に上側の脚は下から
支えられながら開かされた。無防備になった場所に唾液をまぶした手が絡みついている。
「私の手、とっても滑らかに動いて」
 支えていた脚が、私の腰をぐんと前に押した。
「見えるでしょ」
 頭を後ろから前に押し傾けて見せ付け、更に羞恥を煽る。
「この中にも入ったりして、指が何本も」
 身を捩り逃れようとしたが、うなじに張り付いた唇が耳をじゅっと吸い上げた。
「いやいやってしても、ここの口はいいって話してくれる。ああ私もたまらない」
 荒ぶる息に上下する背中を齧られた後は、艶と張りのある内股を腿に張り付かせ、
そして背後からぎゅっと抱きしめられた。
 柔らかな肌に包まれ、絶え間ない心地よさに燃え上がり。
「いつまでもいつまでもこうしていたい」
 甘美な囁きに我を忘れ。
「そこ……ああいぃ……思いっきり……」
 何度もおねだりを繰り返した。
「ペギョン……大好き」
「私もあなたが大好き」
 愛情を求めたいという欲望と、己の喜びを与えたいという欲望が渦巻いて。また体位を
変えては全身を愛されていく。

  パシッ!!
 と、突然お尻を叩かれた。
「浮気して!」
「そんなつもりじゃなかったのよ」
「責められて、このお尻もよがらせてたんでしょ」
「それは……ソングムが無理やり」
 後ろ手で身体にすがりついた。
「でも感じたんでしょ?」
 手で撫で回しながら言う。
「今だって濡らしてるじゃない。そんなによくって?」
 また数回ぺちぺちと。
「悪い子はお仕置きしないと」
「ごめんなさい」
 一転、優しく抱きしめて背中をさすってくれる。
「あんな目に合わされたのに。守ってあげられなかった」
 叩かれたところが軽く撫でられている。
「自分が腑甲斐なくて悔しくて仕方なくて。もう、この身体を離さない。絶対誰にも
触らせない」
 身を任せる心地よさと心を委ねる安心感に、とろとろと溶けてしまった。

 それからまた二人で抱きしめあった。
 もう直接的な快楽はあってもなくてもよくて。
 何度も触れ囁き合い続けるだけで。
 背中に汗が流れ、汗の上から置く手に背中の温もりを感じ合う。
「いくとき……ああ、きれいで。そしてこの身体。柔らかくていい匂いがして」
「私もたまらない。とっても気持ちよくしてくれて」
「本当にかわいい。ペギョン、とってもきれい」

 不意に涙が溢れてきた。
 なぜ……? 理由なんて浮かばない。気持ちが昂りそして安らいで。肌をぴったり
合わせていたら、ひとりでにそうなって。

 目尻から横に伝い続ける涙は舌にすくい取られ、私が泣き終わるまで黙って頭を撫でて
くれた。

「落ち着いた?」
 優しい問いかけと共に温かい手で私の手を取り、指を絡めてくる。
「まだこうしていたい」
 そう答えて顔を寄せた。
「あらあら、甘えんぼさん」
 笑顔がまぶしい。その顔はあの大好きな……ここに戻ってきてくれたのね……嬉しくて
でも見つめられると気恥ずかしくて、また顔を胸に埋めた。
「だってとってもきれいで。あったかい」
 撫でながら、ちゅっちゅと吸ったのは……ミョンイの……乳房。
「くすぐったい」
 笑い転げている。その笑顔を楽しみながら舌先で転がし甘く噛む。笑い声は私の肩に、
熱い吐息となって零れかかった。
「もっと感じて」
 やっぱり私、あなたが楽しむのを見てみたい。あなたをよくしてあげたい。
「気持ちいいけど、おかしくなりそう」
「おかしくなってもいい。私にもあなたの声を聞かせて……」
 上下する胸に頬を預けて、徐々に熱を帯び始める肌を堪能していく。
 紅潮する顔。私の背中を掻き毟る爪。私はあなたほどいろんなことはできない。でも
私の拙い愛撫に、身体で応えてくれるのが嬉しい。

 そして何度その時を迎えただろう。

「ペギョン」
 何度この名を呼ばれただろう。

「いいわね、ここ」
 頭をやや右向きに押し付けられ、うなじにかかる髪を掻き上げて言う。
 あの恍惚の時が……でも。
「怯えた目をしないの」
 私の頬を両手で挟みこんで言う。
「だって……あなたに食べられてしまいそうで。全てをあなたに」
 吐息がこそばゆい。けれど見つめる目は怖いぐらいに燃え盛っていた。
「そうできるなら。いやそうしたい。ペギョンの全部を」
 起こした半身を私の上に預け、愛撫を再開させていく。心地よさが染み渡った身体は
僅かに触られるだけですぐにまた沸騰し始める。
「いただくから」
「嫌、ちょっと」
 抵抗する手は束ねられ押え付けられ、有無を言わさず体重がかけられていく。
 それでも首筋に唇が触れた時、本能的に身を捩った。
「力を抜いて」
 力が入っていては辛いばかり……と経験から判っていても、思わず強く抗って
しまったが、胸の頂が唇に捉えられ、茂みには手が這い、そしてまた指を深めに入れて
奥の壁を刺激し始める。
「何度触っても温かくて気持ちいい」
 腕が背中に回されたが、もうとろけて、すぐに下に転げてしまう。
 仕方ないわね、とつぶやきながら後ろ手で私の指同士を組ませると、言った。
「離さないで」
 そして唇で首筋を探っていく横顔は、鼻腔をぷくっと膨らませている。
「ああ、こんなに激しい脈が」
 脈打つのは唇越しか、それとも体内をまさぐり続ける指から生まれたものなのか。
 敏感な部分にあてがわれた指の動きが一層深まり、私の背中が反り始めると、肩を
押さえた指が痛く食い込んだ。
419名無しさん@ピンキー:2009/06/13(土) 03:07:06 ID:PfMAPKGc
うわぁ・・・寝ようとしてたんだけど
一気読みしてしまいましたわ

チャングムがミョンイとしてペギョンを抱くって・・
参りました。。。
対等な言葉遣いに萌えでした

壱参弐さんの言語感覚も冴えてますね
大好きです♪
「身体が震えて……きゅって締まっている」
 一度口付けを与えられ喘ぎを強く吸い込まれると、その舌はべろべろとうなじに向かい、
そして大きく開けた唇が私の首筋を覆い……。
 手が脚が、触れる全ては柔らかでとりとめない。愛でられている、それは判るがどこを
どうとは……。
 次の瞬間、きつく吸い上げられ……いや歯を立てられて……ぐぐーっと飲み込まれる。
  ひ…!ぁああ!!
 頭の中がじんじん鳴りまぶたの内側をキラキラいくつもの流れ星。目をぐるっと回しても、
同じ場所に煌めき降り続けている。
 ―――この景色を……手をつないで一緒にあなたと。
 どくどく響く鼓動と共に暗闇に途切れる意識を怖いと思い、けれど首に与えられる唇の
温もりは、そんな自分をこの世に繋ぐたった一つのよすがのよう……。

「いったのね……私もいきそう……」
 触れ合う胸の頂がコリっとした感触に変わったと思ったら、ぎぃっと背中に力が入って。
「あぁ 私だけのものになって!」
 そんな絶叫が遠くに聞こえた。
  離したくない
 力を込め抱きしめようとしたものの。
 手がずるりと――こわばった肩や腕の筋肉をなぞりながら――滑り落ちるのを感じた。


 いつの間にか寝巻きを着せられ、新しい敷布に整えられた布団に寝かされていた。
 それから語り合ったのは、夢うつつ。
「ねえ、あなたが夢見たことの全部をしてくれた?」
「はい、それ以上させていただきました」
「そう。だったら嬉しい。私も夢の中にいるようだった」
「私もとっても嬉しいです」
「ねえチャングム。身体の結びつきはなくても、私の心がお前から離れることはない。
ずっと見守っていくから」
「私もです」
 その横顔に何度も触れ、指先で楽む。

 空が白み始めている。これならもう寝ない方がいいのかも知れない。けれどさすがに
身体が動かない。
「少しの間、休みましょう」
「いいえ、まだお話ししていたいです」
「また今夜も明日も、話しはできるでしょ」
「もっと……触れていたい……」
「もうおやすみ」
「ずっとこうして…………」

 無防備な寝顔になった。
 唇の表面をそっと指先でなぞる。残る指で軽く顎を支え唇を合わせても、もう寝息しか
聞こえてこなかった。
 それから何度か頬をつついてみたが、本当に深く寝入ったようだ。


 何度も交わり抱き合い、身体中に互いの痕跡を残し、そして気だるい。けれどその
全てが心地良く、爽やかな疲労感に包まれていた。
 大好きなこの子と疲れ果てるまで愛し合えて、こんなに幸せな事は無い。

 下ろしたての蝋燭も、燃え尽きかけている。
 そうね、私が宮に帰るまでの毎晩でもこうして、この子の寝顔を見守っていましょう。

 眠る愛し子。
 いきなり私たちは引き離されてしまったから、お前が私を……こんなに激しく求めて
しまう気持ちは判るし、私だってあなたが欲しかったけれども。でもね。
 触れ合うのが悪いわけじゃないのよ。だけどお前はまだまだ伸びていけるし、そうして
いかなければならない。二人だけの……甘美な歓喜の世界に閉じこもっては、お前に
与えられた力をも私だけに閉じ込めてしまうのだから。
 それではお母様の願いもお前の誓いも成就できないでしょ?
 明日からは。

 もう私たちは二度とこんなことはしないでしょう。
 けれどそれでいい。
 私はこの子の美しく、そしてあの恐ろしいまでの顔を忘れることは無い。お前が精一杯
愛してくれた心も。

 ありがとう。ミョンイに会わせてくれて。
 私の全部を受け止めようとしてくれて。

 もしも……再びこの子に抱かれる時があるとするならば……。
 時々はこの子がまた、ミョンイに見えるときもあるかもしれないけれど。いつかきっと、
この子自身の顔を、私は見ることができるだろう。


 鳥のさえずりが聞こえる。表の戸を開けて、障子越し明け始めた朝の光を入れた。
 私も眠くなった。起きるべき時刻が来るまで、もう一度短い夢に浸ることにしよう。

 ミョンイに抱かれ、ソングムに抱かれ、そしてチャングムに抱かれた。
 していることの表面的には皆同じ――互いの愛しみが互いを燃え立たせ、感じて
いる方も感じさせている方も共に喜びを分かち合おうとする――だけれど。
 無限の愛に包まれていたあの頃。
 苦みばしった想いがあるのを知ったあの時。
 そして……捨て切れない葛藤を抱えながら、それでも互いを求めてやまない心を
抱きしめた今。
 それぞれは違い、それぞれに対する想いも違う。でも今はそのどれをも愛おしく思える。
 そしてそれぞれは……私を変えた。


 まどろんでいるうちに朝日が強く部屋に差し込んでいた。時を告げる太鼓が鳴り、
さすがにもう支度をしなければならない時間だった。
 目を開けると、チャングムも目を開けて微笑む。
「もっと寝ていてもいいのよ」
「はい。でも尚宮様のお姿を、なるべく見ていたいのです」
「かわいいことを言うわね」
「だって、こうし私が尚宮様を独占できるのはこの太平館だけですから」
 思わず頭を撫でた。

 布団を畳み、自室に抱えて帰ろうとするのを手で制した。
「お前さえよければ、これからもここで寝ていいわよ」
「え、ほんとですか?」
「ただし、もうこういうことは」
「判ってます、お言い付けは守ります」
「そう。だったらこれからはこうして、一緒にいられる時は隣で寝ましょうね」
 爽やかに微笑むこの子は昨夜の痴情はどこへやら、もうすっかりいつものチャングムに
戻っていた。

 別れ際、人差し指でチャングムの唇をすっとひと撫でした。
「いつだって私はお前が、お前自身が必要なの。それはこれからもずっと変わらないわ」

 チャングムはにっこりと微笑みながら、一礼すると部屋を後にした。

                                ―――終―――
422名無しさん@ピンキー:2009/06/13(土) 21:31:47 ID:LF7XUpy2
あ、愛の一夜が終わってしまったぁ
423名無しさん@ピンキー:2009/06/14(日) 02:58:43 ID:WZwM52QD
わ〜泣けてきた
本当の意味でこの夜を経て、ハン尚宮様は変わられたんですね
んでやっぱりいついかなる時もチャングムが必要なのが確認できて
とても嬉しいです

そして、いつか・・・が来ることを祈ってます
真実の愛に裏打ちされた
本当の姿で・・・
まだお話は続きますが
素晴しい場面を描写してくださり感謝です

この二人本当に血肉がついて
あたかもそこに存在するような感じすらしてきました
次の展開にドキドキしながらまたお待ちしています

424名無しさん@ピンキー:2009/06/17(水) 09:03:18 ID:d42KDidx
ところでチャングム、洗濯は?
425名無しさん@ピンキー:2009/07/02(木) 20:46:05 ID:hj7dKiUP
新作マダァ?(・∀・ )っ/凵チンチン
426名無しさん@ピンキー:2009/07/03(金) 16:21:21 ID:ShlPeqNJ
果報は寝て待て
427名無しさん@ピンキー:2009/07/08(水) 01:00:10 ID:u76nDLW6
寝て待ってるヨ♪
428名無しさん@ピンキー:2009/07/08(水) 10:49:28 ID:P1fs3ZZz
床擦れしますた
429名無しさん@ピンキー:2009/07/08(水) 23:05:25 ID:jrvYlAy0
>>428
ワロタW
430名無しさん@ピンキー:2009/07/21(火) 00:22:23 ID:CPifIw9M
三連休も終わっちゃうけどいさじ様はお出ましになりませぬか?
431名無しさん@ピンキー:2009/07/21(火) 12:44:36 ID:rJGVipIp
民放放送開始保守
まさか御老公の後とは…
432名無しさん@ピンキー:2009/07/21(火) 21:19:22 ID:N9947xpJ
支援
433名無しさん@ピンキー:2009/07/24(金) 20:21:18 ID:SD3xgsyS
チャングムパチ台化あげ
434名無しさん@ピンキー:2009/08/23(日) 23:46:41 ID:yRWvtAve
○第28話からの創作です
○2回か3回に分けて投下する予定です


天上人(てんじょうびと)                       見習尚宮                           
1.
ここは俗世に別れを告げた者がやって来る天上の国である。残して来た者に思いを馳せながら、
人々はそれぞれ穏やかな日々の暮らしを享受していた。
今日もある家の中庭から歌声が聞こえてくる。気持ち良さそうに民謡を唸っている
声の主はチョン尚宮だった。

権謀渦巻く宮中のスラッカンの最高尚宮の任を引受け、うごめく魔物のような権力の手を
完全に払拭することは叶わなかったが、権力に媚びへつらう輩が世襲してきた最高尚宮の
地位を、御前での競い合いによって実力で得られるように道筋をつけたことは、彼女の
長い宮中生活で最も満足のいくことであった。そしてその競い合いで、信頼する弟子の
ハン尚宮が勝って最高尚宮に選ばれたことは何よりの喜びであり、自分の意志を継いで
くれることだろうと思い残すことはなかった。人付き合いが苦手で、自分にも他人にも
厳しいハン尚宮が、見習から尚宮までまとめあげていくには、これまでにない苦労が
付いて回ることは想像に難くない。しかしこちらに来る前に、チャングムにハン尚宮を
支えるように頼んだからきっと大丈夫なはずだ。チャングムは約束を必ず守る子だし、
そんなことを頼まなくても、チャングムだけは周りが全て敵になったとしても、絶対に
ハン尚宮から離れたりはしない。チョン尚宮には2人の絆の強さがよくわかっていた。

ハン尚宮とチャングムに全てを託し旅立ったチョン尚宮は、こちらの世界に来てからは
肩の荷を下ろし、長い間遠ざかっていた風流の道を再び謳歌していた。

相変わらず歌い続けているチョン尚宮の元に、近所の人が訪ねて来た。
「マルグムさん。俗世からあなたを訪ねていらした方がいるのだけど」
「私に客人ですか?」
(はて誰かしら? 私の次は順番的に……、まさか長官様が!? 或いは女官長
だろうか? いや、面の皮の厚さから言ってあれは相当長生きするはず……)

物陰から静かに歩み出て頭を下げた人物を見て、チョン尚宮は驚いた。
「お久しぶりでございます。お元気そうで何よりです」
「何と。ハン尚宮ではないか! なぜここに居るのだ? おまえがここに来るのはまだ
早すぎるよ」






435名無しさん@ピンキー:2009/08/23(日) 23:51:32 ID:yRWvtAve
2.  天上人(てんじょうびと)
「申し訳ありません。こんなに早く、チョン尚宮様にお会いすることになるとは、
さぞや驚かれたことだと思います」

ハン尚宮は、最高尚宮に就任して少しずつスラッカンの改革を試みたものの、それを良く
思わないチェ一族の妨害に遭い、ついにはチャングムと共に謀反の濡れ衣を着せられ、
島流しの刑で済州島へ向かう途中に力尽きたことを話した。

「お前も大変だったね。謀反の罪だなんて、どれだけ酷い取り調べを受けたことか」
チョン尚宮はハン尚宮を軽く抱き締めると、その身体を優しく撫でてやった。

「幼い頃から宮中に上がり、先王の大変な時代を経て、お前も心休まる暇がなかった
だろう。ここは嫉妬も争いも何もない平穏な世界だ。私も醤庫に居たときのように、
また風流の道を楽しんでいるよ。お前も好きなことをしてゆっくりするがいい」

「私は昔から料理しか取り得のない人間で、一体何をしたらよいのやら……」
「もう私達は王様の女ではなくなったのだから、自由に恋愛もできるのだよ。
私も何人か殿方の茶飲み(本当はお酒だけど)友達がいて、生前の愚痴まで聞いて
やっているよ。お前はまだ若くて器量も良いから、その気になれば結婚相手だって
見つかるわ。お前さえその気なら、心当たりがあるから私が紹介してあげようか」

「チョン尚宮様!お戯れはおやめ下さい。そのようなご心配は無用です」
ハン尚宮は横を向いた。
「やれやれ…… お前は相変わらずお堅いね。でも、後ろ髪を引かれる思いで
チャングムを残して来たばかりのお前に、そんな浮かれたことを言った私の方が
間違っているね」

チャングムの話になると、ハン尚宮は悲しそうに顔を伏せるのであった。そんな
ハン尚宮を見て、チョン尚宮はしみじみと言った。

「お前はチャングムとするのがそんなによかったのかい?」
「はっ!?」

その言葉を聞いたハン尚宮は驚きのあまり、思わず顔を上げた。
(ど、どうしてチョン尚宮様は私とチャングムの関係をご存知なのかしら?
絶対に誰にも知られていないと思っていたのに、部屋から声が洩れていたのかも
しれない。きっと敢えて見逃していて下さっていたのね。もうこの世界に来てしまって
いるのだし、今さら隠し立てしても仕方ないけれど、改めて聞かれると恥ずかしくて、
答えに困ってしまうわね。)


4363.天上人(てんじょうびと):2009/08/23(日) 23:58:00 ID:yRWvtAve
「あ、は…はい。良かったというか、深く結びついたというか……」
「何を言っているのか良く意味がわからないよ。それにどうしたの? 
顔が赤いみたいだけど」
慌てたように口ごもるハン尚宮を、不思議そうな顔でチョン尚宮は見ていたが
そのまま話し続けた。

「チャングムのように、人一倍好奇心が旺盛な子を相手にするのは、時には大変だった
のではないの?」
ハン尚宮は答えず、頭の中で回想するのであった。
(あの子と初めて結ばれた時もそうだった……)

---------------------------------------------------

「震える尚宮様はとても可愛いです」

競い合いが佳境を迎え、緊張を隠せないハン尚宮を見てチャングムは、冗談めかして
師匠の不安を取り除こうとした。そんなチャングムを戸惑ったように諌めながらも、
ハン尚宮は自分がなぜ最高尚宮の座を目指すのか ― その思いを初めてチャングムに
語りかけた。
その時チャングムは、ハン尚宮が奴婢の生まれであることや、自分が見捨ててしまった
親友との約束を果たしたいという、悲愴なまでの決意で競い合いに臨んでいることを
初めて知ったのである。

気高くて、何事にも動じない強靭な心を持っているように見える師匠も、悲しい思いを
胸に秘めて必死に生きてきたのだ。そう思うと、チャングムは一層ハン尚宮を慕う気持ちが
強くなり、そばにいて自分が守ってさしあげたいと思った。

「尚宮様、お休みの仕度が出来ました」
チャングムは早く身体を休めていただこうと布団を敷いて、そっとハン尚宮を促したのだが、
師の細い肩はまだ微かに震えていた。

「尚宮様は私がお守りいたします」
チャングムは愛おしさでいっぱいになり、ハン尚宮を抱き締めると布団に押し倒した。
「何をするの、チャングム」
ハン尚宮は思わず声を上げたが、チャングムの温かい身体を受け止めていると、長い間の
孤独感が癒されて、心の底から勇気とチャングムに対する愛情が溢れてくるようだった。
チャングムが身体を離すと、しばらく2人は言葉もなく見つめ合っていたが、
チャングムの輝くような黒い瞳に全てを委ねたように、ハン尚宮はそっと目を閉じた。




4374. 天上人(てんじょうびと):2009/08/24(月) 00:03:57 ID:mKzMAR5I
「尚宮様ったらまた震えていらっしゃいます。恐いのですか?」
床の中で、2人は一糸纏わぬ姿になって抱き合っていた。

「だって私は……、私は初めてだから。お前は誰かと経験があるの?」
チャングムは余裕があるかのように、微笑みながら唇を重ねてきたが、合わせた唇が
ぶるぶると震えていたのでハン尚宮は可笑しくなった。
「何よ。お前だってこんなに震えているではないの」
「えへへ、私だって生まれて初めてですから」
幼子のように無邪気に笑うチャングムに呆れたやら、可愛いやらで、ハン尚宮はそっと
片手を伸ばして頬に触れると、優しく撫でてやった。

「まだ私が幼い見習の頃、夜中に急に目が覚めてしまい、尚宮様がお着替えになる所を
偶然に見てしまったことがありました。本当にお美しくて、いつまでもそのお姿が
頭から離れなかったのですよ」
「その頃から比べると、私も随分年を取ってしまったわね」
「いいえ、今でもとてもお綺麗です……」
チャングムは、頬に触れるハン尚宮の手を握ってそっと外すと、再び唇を重ねたが
もう震えてはいなかった。
「尚宮様は、幼い頃に辱めを受けそうになったと仰っていましたが、お身体に触られる
のがお嫌なら、私はもうこれ以上何もしません」
「お前と一緒なら乗り越えられるわ」

チャングムの唇が首筋をゆっくりと這うと、ハン尚宮はくすぐったかったのだが
じっと我慢していた。やがて両方の胸を掴まれて、膨らみを確めるかのように
ゆっくりと揉まれながら、耳元で『尚宮様……』と優しく囁かれると、身体の奥が
甘く疼くような感覚に支配されていく。
チャングムが唇をそっと胸に寄せて、赤子のように先端を吸い始めると、ハン尚宮は
思わず頭を抱き寄せた。自分の口の中で、先端が少しづつ固くなり、尖ってきたのに
気付いたチャングムは、舌先で先端を弾いてみた。

「あぁっ」
思わぬ衝撃が身体中に走ったハン尚宮は、たまらず声を出してしまった。
「尚宮様、ここは気持ちが良いのですか?」
ハン尚宮は返事をしなかったのだが、少し紅潮した顔が何よりの証拠だと、チャングムは
判断してそのまま愛撫を続けた。
「あぁ…… チャングム…… い、いやぁ、ああっ 」
「あぁ尚宮様、とても可愛いお声です」
チャングムに指先と舌で胸の先端を弄られながら、ハン尚宮は初めて知る快感に
身体を震わせ、切ない声を洩らすしかなかった。


4385. 天上人(てんじょうびと):2009/08/24(月) 00:09:34 ID:mKzMAR5I
「尚宮様のお身体は、とても柔らかくて良い香りがします」
ほんのりと上気した肌からは、芳しい香りが立ち昇り、チャングムは胸に顔を埋めて
しばらく幸せな気分に酔っていた。
チャングムの手が太腿を掴んで撫で始めると、一瞬ハン尚宮は、辱めを受けそうになった
時のことを思い出した。あの時の男の手の感触は忌まわしかったが、今自分に触れている
のは、紛れもなくチャングムの手なのだ。

「尚宮様、お辛いですか?」
ハン尚宮の身体が強張ったので、チャングムが心配そうに声を掛けた。
「大丈夫よ、チャングム。一瞬、遠い昔の恐ろしかったことを思い出してしまったの」
「尚宮様を、たとえ指一本でも傷つける人を私は許しません」
チャングムはハン尚宮の唇を求め、強く押し当てると舌を滑り込ませて、ハン尚宮の
舌を絡め取った。最初のうちこそ少し戸惑っていたハン尚宮だが、次第に自分から
チャングムの動きに合わせると、部屋中に粘っこい水音と2人の吐息が響いていた。

「ここがこんなに湿っています……」
チャングムは、ハン尚宮の脚の間に手を軽く押し当てながら囁いた。
「恥ずかしいことを言わないで…… お前に……されたのよ……」
「尚宮様、お辛くなったら仰って下さい」
チャングムはハン尚宮の脚を押し広げると、身体の中に指をそっと挿し入れた。
柔らかな襞に締め付けられるような感覚が、なんとも心地よかった。
「あぁ……チャングム、お願い…… 優しくして……」
「尚宮様の中はとても暖かくて柔らかい……」
チャングムはもっと奥へと入りたかったのだが、ハン尚宮が苦しそうだったので
中をほぐすようにそっと指を動かすと、段々と昂まってきたようだった。
「尚宮様、気持ちいいですか? もっとお声を聞かせて下さい」
「お前は意地悪な子ね」
チャングムが少し強めに探ると、ハン尚宮は甘くて切ない声を上げながら
チャングムにしがみついた。声が一瞬小さな叫びに変わったと同時に、
チャングムの背に回された腕に力がこもり、静かに力が抜けていった。

4396. 天上人(てんじょうびと):2009/08/24(月) 00:14:09 ID:mKzMAR5I
「やっぱり尚宮様は可愛いです」
チャングムは終わった後、ハン尚宮の髪を優しく撫でながら微笑んだ。

「私がもっと受け入れてあげられたらよかったのだけれど……」
「最初から難しい料理は作れません。少しずつ上達していくのですから」
「お前は真面目に聞いてるの?」
「はい。尚宮様にもっと満足していただけるように、料理ともども精進しますから」

屈託なく答えるチャングムに、やっぱり自分はこの子に振り回されるのねと
ハン尚宮は苦笑した。
「尚宮様、私を受け入れて下さってありがとうございます」
チャングムの唇が近づいてくると、
(私もよ、チャングム……)とハン尚宮は心の中で呟きながら、そっと目を閉じた。


=====================================================================


(それ以来、私たちは心も身体も深く結ばれていったのだった)

「でもチャングムの好奇心が、堅物のお前を変えたとも言えるわね」
チョン尚宮は楽しそうに笑った。

「全くお恥ずかしいかぎりです」
「別に恥ずかしがることはないよ。お前も優秀な弟子だったが、チャングムほど
好奇心は持ち合わせていなかったようだね」
「………」
(当たり前です。私はふざけて春画を見せたミョンイと、しばらく口を聞かなかった
ぐらいなのですから)

「弟子であるチャングムから、教えられることも時にはあったのではないか?」
「えっ!! そ、それはですね……」
「俗世ではいつも冷静沈着だったお前が、さっきから何でそんなに驚いてばかり
いるのか、私にはさっぱりわからないよ」

チョン尚宮にからかわれながら、ハン尚宮はまた思い出の中に入っていった。

(つづく)



440名無しさん@ピンキー:2009/08/25(火) 23:57:34 ID:nUOpBTta
見習様降臨

そしてヨンエケコーン
441名無しさん@ピンキー:2009/09/06(日) 19:13:49 ID:svKq5Xor
チャングム「尚宮様、幼い頃のように鞭で打ってはいただけませんか?」
ハン尚宮「お前はいつからそんなプレイをする子になったの?」
チャングム「あの快感が忘れられないのです。尚宮様、お願いします!」
ハン尚宮「お前は何に対しても好奇心旺盛で大胆なのね」


ビシッ!バシッ!ハン尚宮のエンドレス鞭打ち開始!!!

チャングム「あっ!あっ!もっと強く!尚宮様!」
ハン尚宮「チャングム・・・相変わらず打たれ強いのね」
チャングム「あっ!んっ!女王様プレイをなさる尚宮様はとても可愛いです・・・」
ハン尚宮「何を言うの・・・」
チャングム「本当です。はぁっ!Sっ気たっぷりの尚宮様はとてもお美しいです」
ハン尚宮「Sだなんて・・・そんなこと言わないでチャングム」
チャングム「あっ!あん!汗を滴らせながら鞭を打つ尚宮様はいつもより更に艶めかしくていらっしゃいます」
ハン尚宮「チャングム・・・恥ずかしいわ」
チャングム「はい。ああっ!言葉攻めに顔を赤くする尚宮様もたまらない」
ハン尚宮「お前だってSじゃないの・・・」



チェ尚宮|д゚).。oO(あの者たち・・・私以上のSではないか!!)
442名無しさん@ピンキー:2009/09/07(月) 01:01:46 ID:HtUb3s38
     ,.ィ'",ィ    `' 、
 .  /_ / __,,,     ',
   //..、 ̄.,、、ゝ     .',
   i.F‐'゙  `'ー‐',.     l
   !|       `‐、  ,.、 ',     >>441
   ||,,,,_ ,  _,,,,,,  | |7}. ',     久々にわろうた
   ||. ̄ ,'  ´ ̄   リ!|/  ',       げにいみじきすれのたつのも今はむかし
   !.',  i,_っ     l!|   ヽ
 . l ',  _,,_      | l    \   あたらしき人まいりこれりども
   | ヽ `゙´     , ヽヽ       程しらぬものばかりなりて いとこうじけり
   ヽ. ヽ、    ,.ィ   ヽ,
  /,、ri个`,゙゙゙゙´   //ヽ ,、
 // | ||| | ',',\  / / // /\
4437.天上人(てんじょうびと):2009/09/13(日) 21:33:02 ID:VR3hOSUT
最高尚宮の就任式が終り、数日は気に掛かる仕事も特になかったので、ハン尚宮は休暇
を取り、チャングムを連れてチョン尚宮の墓参りに出かけた。女官の運命とはいえ、
幼い頃から母のように面倒を見てくれた人の、最期を看取ることが出来なかったことに
ハン尚宮の心はとても痛んでいたので、ゆっくりとお別れを言いたかったのだ。
その後促されるままに、チャングムの母親のお墓参りにも行ったのだが、まさか
ミョンイがそこに眠っているとは夢にも思わずに……。

その晩のこと、2人は宿で寝支度をしながら、あまりに月が綺麗だったので
部屋を出て、縁側に座りながら夜空を見上げていた。


「尚宮様。私のわがままで、母のお墓にお連れして申し訳ありませんでした」
「そんなことはないわ。私もお前のお母様に一度お会いしたかったから。
お前を見ていて思うけれど、お母様もきっとお美しい方だったのでしょうね」
「ええ、尚宮様と同じくらい綺麗でした……。何か母とお話しされたのですか?」
「そうね……。 でも内緒よ」
「そんなぁ、尚宮様!」
チャングムは寂しそうに下を向いてしまった。

「幼いお前を置いて逝かなければならなかった無念を想い、そしてこの私に、お前を
贈って下さったことを心から感謝したわ」
「きっと母も安心していると思います」
「そうだといいけど……。厳しくて融通が利かない、こんな頑固者に会わせてしまって
後悔なさっているかもしれないわね」
「母にはわかっていますよ。私が、幼い頃からどんなに尚宮様をお慕いしているか」
「チャングム……」
ハン尚宮は胸がいっぱいになり言葉が続かなかった。

満月の光が2人を明るく照らしていて、静かなとても美しい夜だった。



4448.天上人(てんじょうびと):2009/09/13(日) 21:36:41 ID:VR3hOSUT
「あぁっ 尚宮様……」
ハン尚宮が寝床でチャングムに覆い被さり、若くて張りのある乳房を愛でながら
先端をそっと吸っていた。甘い声を洩らしながら、恥ずかしそうに身悶えする子が愛し
くて、もっと可愛がってあげようと思っていると、脚の間にもぞもぞとした感触を
覚え、あっと思う間もなくチャングムの指が挿し入れられた。

「駄目。今夜は私に委ねてくれるはずでしょ!」
「ですが、私が尚宮様に触れてはいけないとは仰っていません」

仕方なくハン尚宮は、そのまま胸の先端を舌で転がし始めたのだが、挿し入れられた
チャングムの指に、ゆっくりと中を掻き回されると、次第に意識が胸元から遠のいて
きた。それでも何とか愛撫を続けていると、競うようにチャングムの指も動き
ハン尚宮が昇り詰めないように、あえて焦らすような動きに終始していた。
それでもハン尚宮の呼吸は荒くなり、どうしてもチャングムの指先に神経が集中して
しまうため、次第に胸への愛撫がおざなりになってくると、ついにチャングムの乳房
から顔を離してしまった。

「尚宮様、どうなさったのですか? お続け下さい」
「もう駄目…… もう無理……なの……」
上体を起こし、喉から振り絞るように答えるハン尚宮を、チャングムは下から支える。
いや、支えるようにして両の乳房を揉みしだいていた。
「尚宮様…… とてもお綺麗です」
声を出さないように必死で堪えるハン尚宮は、艶かしくて美しく、チャングムは
下から見上げながら自分も身体が熱く火照り、もっと感じさせたいと思った。


「あっ…… あぁっ」
先端を摘まれこねくりまわされると、ハン尚宮の我慢もいよいよ限界を越え
切ない喘ぎ声を洩らしながら上体をくねらせる。チャングムが愛撫を止めると
ハン尚宮はチャングムの腕の中に、ゆっくりと崩れ落ちてきた。

「今夜は宮中の外で、ずっと尚宮様と居られるので嬉しいです。一晩中でも寝ないで
尚宮様に触れていたい……」
ハン尚宮はそのまま身体を預けながら、耳元をくすぐるチャングムの声の心地よさに
緩やかに溶かされていった。







4459.天上人(てんじょうびと):2009/09/13(日) 21:41:21 ID:VR3hOSUT
しばらくしてチャングムは身体を入れ替えると、今度はハン尚宮の上に伸し掛かり、
耳たぶから首筋に熱い唇を這わせた。

「尚宮様、今夜はお休みになれないかもしれませんよ」
チャングムの微かな愛撫と囁きに、ハン尚宮の身体に再び火が点けられる。
柔らかい胸の膨らみを両手で包み、既に起ち上がっている先端を指の腹で優しく
弄ぶと、もう一方は唇を寄せて乳輪を吸い上げながら、舌先でちろちろと転がした。
「あっ あぁっ……」
執拗に指と舌で弄ばれて、絶え間なく押し寄せる快感に抗えなくなった、ハン尚宮の
唇からは断続的に声が洩れ、甘い疼きの証が、恥ずかしいほど身体の奥から流れ出して
いた。チャングムが先端を軽く甘噛みすると、ハン尚宮は大きく喘ぎながら
軽く達してしまった。

(胸だけでこんなに感じてしまうなんて……)
自分の身体が、チャングムに変えられていくのが恐ろしくもありながら、ひとたび
肌を合わせると、慎みを忘れて快楽に溺れていく…… 

ハン尚宮の呼吸が整わないうちに、チャングムは唇で柔らかい肌をついばみながら
段々と下りていき、おへその周りを舌でくすぐったり、脇腹をすっと舐め上げたり
すると、ハン尚宮の身体がぴくりと反応するのを楽しんでいた。
「ここもお感じになられますか?」
突然腰のくびれを強く吸われたハン尚宮は、快感のあまり全身に鳥肌が立った。


「やめてチャングム、お願いよ。やめなさい」
「どうしてですか? こんなに気持ち良くなって下さっているのに」
チャングムは顔を上げると、ハン尚宮の膝を立たせたまま、大きく脚を開かせた。
太腿の裏を少し押しやるようにすると、今にも溢れそうなその場所が、チャングムの
目の前に露になったので、ハン尚宮は羞恥でいたたまれなくなり、チャングムを
諌めたのだがまるで聞く耳を持たない。

「せめて…… せめて、灯りを消してちょうだい」
「今夜は尚宮様の全てを見たいのです…… お願いですからお許し下さい」
チャングムは顔を寄せると、ハン尚宮の体内にゆっくりと舌を沈めていった。
(つづく)


446名無しさん@ピンキー:2009/09/19(土) 04:02:08 ID:pdWwDsby
素敵な世界が広がってるなぁ
他の方の作品も読みたいです
447名無しさん@ピンキー:2009/10/01(木) 04:19:06 ID:iPsLDpBV
壱参弐さま
何処に落ち着くのか
続き読ませてくださいませね
448名無しさん@ピンキー:2009/10/02(金) 21:53:43 ID:5oT1l5+1
百合お腹いっぱい…
449名無しさん@ピンキー:2009/10/04(日) 00:40:07 ID:K3hwswa8
まぁ女性ばっかしの話しだし
個人的にはどれだけ書いてもらっても良いなぁ

描写も綺麗やし♪
450名無しさん@ピンキー:2009/10/04(日) 01:59:08 ID:to7zcumJ
チャングムのエロパロなんかあったんかw
驚いたけど面白いもんな
45110.天上人(てんじょうびと):2009/10/04(日) 18:07:03 ID:dYWqloXy
まるで自分が目の前にいることを、忘れてしまったかのように、何かを思い出しては
頬を染めているハン尚宮を、チョン尚宮は訝しく思ったのだが、特に訳を尋ねる
ようなことはしなかった。

「ハン尚宮。お前は普段は慎ましやかだが、いざという時には大胆で情熱的なところも
あるから、好奇心旺盛なチャングムとは相性が良いのかもしれないね。さぞかし、
2人で色々なことを試してみたのだろう?」
「チョン尚宮様!! 何を仰るのですか」
「そんな大声を出さなくても、耳は達者だよ」
「も、申し訳ございません。お言葉を返すようですが、私は、その……本来は普通の
方法を好むのですが……あの子に無理矢理……いえ、結局は私もそれを望んでいた
ようで……」
「つまりお前はチャングムに、基本を大切にしながら、創意工夫することの大切さも
教えたということだね」
「・・・・・・」



------------------------------------------------------------------------
チャングムの舌が、甘い蜜を掻き出すようにハン尚宮の中で動き回り、時折鼻の先が
敏感な部分をかすめる度に、ハン尚宮は小さな呻き声をあげた。

「あぁっ」
チャングムがそっと敏感な部分を吸い上げただけで、ハン尚宮は昇り詰めてしまい
身体の奥からとろとろと蜜を溢れさせながら、下腹を緩やかに上下させていた。
今度は指で敏感な部分を捉え、薄皮を剥くようにして柔らかい中身を刷き出しにすると、
舌先で突付いたり、唇で包み込んだりして絶え間なく愛しむ。ハン尚宮は堪えきれずに、
敷布を強く握り締めると、大きく喘ぎながら全身を震わせて何度も果てた。

「チャングムお願い、やめて。もう何度も昇り詰めたのに…… あっ、ああぁっ!」
目の前で大きく脚を広げられ、恥ずかしくて堪らないはずなのに、身体の奥からは
熱い蜜がとめどなく流れ出し、チャングムの舌に掬われる。どんなに懇願しても、
チャングムはただ一点を、甘く執拗に責め続けた。やっと顔を上げたのはハン尚宮が
何度目かの絶頂の果てに、意識を失ってからだった。


「ねぇ、これ以上されたら、私はおかしくなってしまうわ」
「おかしくなっても、乱れてもいいではないですか。尚宮様をもっと気持ちよくして
さしあげたいのです。いいですよね?」
目が覚めたハン尚宮の耳元でそう囁くと、チャングムはハン尚宮の中に指を、一本
二本とゆっくりと挿し入れていく。


45211.天上人(てんじょうびと):2009/10/04(日) 18:11:04 ID:dYWqloXy
「あぁ……」
何度もチャングムに昇らされたせいで、身体の中は敏感になっており、少しの刺激でも
感じてしまう。チャングムが指を曲げて、少し膨らんだ部分を探り出すと、これまでに
ない感覚を覚えたハン尚宮は、自然と身体を強張らせた。

「大丈夫です、尚宮様…… 力を抜いて楽になさって」
チャングムが膨らんだ部分を軽く押すと、ハン尚宮の息遣いが荒くなる。
「尚宮様。ほら、こうするともっとお感じになりますか?」
チャングムに力を込めて探られると、敏感な部分を弄られるのとは、また違う快感に
ハン尚宮は戸惑いながら、どうしようもなく引きずり込まれていく。

「こんなに溢れさせて。気持ち良いのですね」
耳元で悪戯っぽく囁くと、ハン尚宮は違うというように首を振ったが、顔は上気し、
唇から洩れる喘ぎはますます大きくなっていた。
「気持ち良くなければ、もうやめなければいけませんね……」
チャングムはわざとそう言うと、手の動きを止めてしまった。
ハン尚宮は、ねだるようにチャングムの手に身体を擦り付けるのだが、チャングムは
髪や太腿を撫でながら、気付かないふりをしていた。

「ねえ、チャングム。お願い……これ以上困らせないで……」
「尚宮様が嫌がることはできません」
「あぁ、チャングム、私が望んでいるの! 私がお前を欲しいのよ」
潤んだ目で見つめられると、チャングムは微笑んだ。
「最初からそう仰って下さればいいのに。尚宮様は本当にかわいいです」
チャングムの指が再びハン尚宮の中を掻き回し、力を込めて膨らみを擦ると
ハン尚宮は息を弾ませながら、チャングムの首に腕を回してしがみついてきた。

「うぅっ ああぁ いやあぁ!」
「尚宮様、まだ…… まだいってはいけませんよ」
ハン尚宮が見せる恥じらいと官能に揺れる表情に、チャングムも熱く昂まり、体内を
愛しみながら、首筋に舌を這わせたり乳房の先端を擦り上げたりして、甘く苛む。
全身を絶え間なく襲う快感に、ハン尚宮は身体が壊れてしまうのではないかと思った。
指の動きが速さと力強さを増すと、悦びの証が体内から噴き出すように溢れ出し、
身体中の力が抜けたハン尚宮は、チャングムの腕の中にぐったりと崩れ落ちた。

「肩口に血が滲んでいるわ。きっと私が噛んでしまったのね。大丈夫?」
ハン尚宮は、身体を拭ってくれているチャングムを気遣った。
「本当だ、全然気付きませんでした。私はとても嬉しいです。私が夢中になって、
尚宮様も夢中になって下さって」
甘えるように身体を寄せてきたチャングムを、ハン尚宮はそっと抱き締めた。

45312.天上人(てんじょうびと):2009/10/04(日) 18:14:31 ID:dYWqloXy
「就任式の時、皆の方を真っ直ぐに向かれた尚宮様は、本当にご立派で涙が出ました」
「お前が勇気を与えてくれたお陰よ」
「いいえ、私など何も。でも……」
「どうかしたの?」
「馬鹿げているようですが、尚宮様が遠くに行かれたみたいで、少し寂しいのです。
最高尚宮様になられて、今までのように、お隣りで料理をさせていただくことも
滅多になくなるのかと思うと寂しくて……」
「そんなことを言うなんて、お前らしくないわね。私は覚悟を持って、チョン尚宮様の
お志を継いでいく決意をしている。スラッカンを良くしていくために、努力して
いくわ。だからお前も一緒に手伝って欲しい。これからも私にはお前が必要なの」
「尚宮様…… 私は何があっても尚宮様をお守りいたします。お約束します」
「それは心強いわね」

ハン尚宮は微笑みながら、チャングムを抱く腕に力を込めた。
もしお前と出会っていなかったら、今頃私はどうなっていただろう?
自分の殻に閉じこもり、一生ミョンイに詫び続ける人生を送っていたかもしれない。
ミョンイとの約束を果たすことができたのも、お前のお陰よ。
そして何の邪心もなく、ひたむきに私を慕ってくれるお前に、孤独だった心が
どれだけ癒されたか。チャングム、本当にありがとう……

「チャングム…… あっ、あぁっ……」
「尚宮様は本当にお美しいです」
チャングムの愛撫で、ハン尚宮の陶器のように白く滑らかな肌は薄紅色に染まり
厳しく凛とした声は、甘く切ない喘ぎに変えられていく。
チャングムの手は二つの膨らみを弄り、両脚を押し広げると、一気に中へ入っていた。
「あぁ…… チャングム…… もっとお前を感じさせて……」
チャングムが片脚を持ち上げるように抱えながら、身体の奥まで入り込んでくると
お腹の底まで痺れが響き、ハン尚宮は全身を震わせてチャングムを求める。
チャングムは片手でしっかりハン尚宮の手を繋ぐと、唇を合わせ強引に舌を絡め取った。
ハン尚宮は応えながらも、身体の奥を強く探られる度に声を洩らしてしまい、塞がれた
唇の端から雫が伝っていた。
「チャングム、あぁ…… いきそう…… あぁ、そばにいて……」
「尚宮様……私も一緒に……」
硬く尖った胸の先端を吸われながら、深く強く突き上げられると、ハン尚宮は叫ぶような
声をあげ、繋いだ手を一瞬強く握り締めると、徐々に力が抜けていった。

「離れないで……今夜はこのままでいましょう……」
空が白み、鳥の鳴き声が聞こえてきた頃、ハン尚宮は自然に腕をチャングムに回すと、
互いの素肌の温もりを感じながら、2人はようやく眠りについた。

45413.天上人(てんじょうびと):2009/10/04(日) 18:17:13 ID:dYWqloXy
「ハン尚宮! ハン尚宮! 聞こえているのかい?」
「はいっ?」
「心ここに在らずだね。チャングムのことを考えていたのかい?」
「あの満月の夜のことを……。い、いえ何でもありません。私ったら何を言っているので
しょうか。申し訳ありません」
「別に謝らなくてもいいけれど、こっちが聞きたいぐらいだよ。夜といえば、あの子が
夜更けに、部屋に帰っていくのを何度か見かけたが、いくら勉強熱心とはいえお前も
最後まで付き合うのは大変だったろうね」
「お恥ずかしい話ですが、私は殆ど途中で意識をなくしてしまうので、いつもあの子が、
後の始末をしてくれておりまして……」
「何と。お前はどこか身体が悪かったのかい? 料理中に意識をなくしてしまうなんて。
今までどうして話してくれなかったのかい?」
「料理……? 今まで料理の話をされていたのですか?」
「そうよ。チャングムと、料理をするのはよかっただろうという話のつもりだけど」
「 他  に  何  か  ?」
宮中では見たことがないぐらい、取り乱すハン尚宮が可笑しくて、チョン尚宮は
大きな声で笑った。


「私が旅立つ時は、チャングムとヨンセンが見送ってくれたが、お前はチャングムに
別れを告げることができたかい?」
「はい。もう歩けなくなった私を背負ってくれて、船着場までの道のりを2人で話を
しながら、私の最期の願いを伝えました」
「そうだったのかい。どんなに辛かっただろうね……。でも最期の時を、一番大切な人の
温かい背中で迎えられたと聞いて、少しほっとしたよ」
「重荷を背負って、たった一人で済州島に流された、チャングムのことを考えると
ここに来ても心配でたまらないのです」

ほろほろと涙をこぼすハン尚宮にほだされて、チョン尚宮はある老婆のことを話した。
その老婆の家には大きな水晶玉があって、残してきた人への思いが強ければ強いほど
今の姿が水晶玉に映し出されるとのことだった。
「その人を訪ねてみるかい?」
「是非、お願いいたします」

チョン尚宮に連れられて、老婆の家を訪ねたハン尚宮は、挨拶もそこそこに
水晶玉がある部屋に案内してもらった。目をつぶって、心を落ち着かせてから
水晶玉を見ると、薄暗い蔵のような中に女が2人捕らわれていて、1人は上等な
絹の着物を着ているようだが、もう1人の若い女性は粗末な着物で、心身共に
疲れきった様子で、足枷をはめられていた。

45514.天上人(てんじょうびと):2009/10/04(日) 18:21:16 ID:dYWqloXy
「チャングム! チャングムだわ! あぁ、お前はまた酷い目に遭っているの?」
ハン尚宮は思わず叫んだ。それから毎日のように老婆の家に通って、水晶玉を見ては、
ハン尚宮は心を痛めていた。ある日チャングムは脱走したようで、足を血に染めたまま
当てもなく走り回っている。心も身体も限界のはずなのに、目に悲しい光を宿らせて
何かに取り憑かれたように足を動かしていた。そして、何とか逃げ切ったのか
島を出るために、海辺で密かに船を待っているようだった。

「私が宮中に先に戻っていると言ったから、お前も宮中に戻るつもりなのね。
ああ、チャングム! 今は駄目よ。このままではお前は死んでしまうわ。お願いだから
辛くても島に残って。きっと機会はやって来るから、命を粗末にしないで」
聞こえるはずもないのに、泣きながら呼びかけている、ハン尚宮を目の当たりにして
チョン尚宮は何か考え込んでいるようだった。やがて心を決めたかのように、
ハン尚宮に背を向けた。

「これは独り言だから聞かなくてもよい。お前がこちらに着いた船着場から、今夜
夜が明ける前に、俗世に行く船が出る。しかし誰でも行かれる訳ではなく、行かれたと
しても戻れずに、永遠に浮遊し続ける者も多いのだ」
ハン尚宮は、チョン尚宮の背中に向かって深々と頭を下げると、船着場に向かって
足早に駆けて行った。
「やっぱりお前は行くんだね。勿論、止めるつもりもなかったけれど。戻って来られ
ないかもしれないのに、チャングムを助けるためにお前は行くんだね」

船着場へ着いたハン尚宮が、船を待って乗り込むと、船頭らしき男が言った。
「お前さんは相手が見えるが、相手にはお前さんは見えないぞ。それでもいいのか?」
「はい、構いません」
「それに、二度とここには戻れないかもしれないんだぞ」
「はい、承知しています」
「それでは目をつぶって三つ数えるんだ」
ハン尚宮は言われた通りにすると、身体が浮き上がってどこかへ飛んでいくようだった。
着いた所は海辺で、その時チャングムがこちらに向かって歩いて来た。
よかった、間に合ったようね……。ハン尚宮は安堵の溜息を洩らした。

ハン尚宮はチャングムに近寄り、手を取ると草むらに座らせた。そして、万感の
思いを込めて胸に抱き寄せ、頭を撫でてやった。私の姿は見えなくていいから、心を
感じて欲しい。ミョンイも私も、お前の心の中でいつまでも生きているから、お前は
何があっても生き抜いておくれ。さぁ、涙を拭いて前に向かって歩き出すのよ。
愛しいチャングム、私はずっとお前を空から見守っているから……

その時一つの奇跡が起きた。チャングムにもハン尚宮の姿が見えたのだ。


45615.天上人(てんじょうびと):2009/10/04(日) 18:27:43 ID:dYWqloXy
― 会いたくてたまらなかった尚宮様。私が心配で来て下さったのですね。
 この悲しみが癒えることは永遠にありませんが、私は前を向いて生きていきます。
正々堂々と宮中に戻り、必ず尚宮様の無念を晴らすと約束いたします。尚宮様は私の
心の中で生きておられるのですから、決して離れることはありませんよね……

チャングムはハン尚宮の温かい胸に甘えるように抱かれていたが、いつの間にか
ハン尚宮の姿は静かに消えてしまった。チャングムは泣き笑いのような表情で
しばらく佇んでいたが、ゆっくりと立ち上がると船には乗らずに、来た道を
引き返して行った。

― 尚宮様、会いに来て下さってありがとうございました。私はもう大丈夫ですから
安心なさって下さい。でも…… 一目でいいから、もう一度お会いしたいです……

― 私の心が通じたようね。本当によかった……。
ハン尚宮は、戻っていくチャングムを涙ながらに見送り、姿が見えなくなるまで
いつまでも立ち尽くしていた。
やがてハン尚宮は眩い閃光に身体中が包まれると、光の道に導かれて、
天上の国へと帰って行った。


「チョン尚宮様、ありがとうございました。只今戻ってまいりました」
「戻ったかい。お前の願いが通じて、チャングムは歩き出したようだね。あの子は
きっとお前との約束を守るだろう。お前はあの子をここから見守っていてあげなさい。
そしてお前達の願いが叶った時は…… その時はまたチャングムに会いにいって
おやり」

ハン尚宮は、目を潤ませながら笑顔で頷いた。

「ところで、お前とチャングムは料理の他に、何をそんなにいいことをしていた
のかい? よかったら私ともやってみるか?」
「チョン尚宮様!? その話はもうお止め下さい!!」
「何だ、私とはできないことなのかい? まぁ、いいでしょう。お前が慌てているのを
見ている方が楽しいわ」
「・・・・・・」

「お前が来てから、まだろくに食事らしい食事をしていなかったね。そうだ、近所の
人達も呼んで、皆と一緒に食べることにしよう。料理の準備をするけれど、
久しぶりに手伝ってくれるかい?」
「勿論、喜んでお手伝いいたします」

チョン尚宮とハン尚宮は、昔のように肩を並べて台所に立ち、見事な手さばきで
料理の準備を始めると、次々と美味しそうな料理が出来上がっていった。
2人は時々、こうして近所の人々に料理を振る舞っては喜ばれるようになった。

「ハン尚宮、お前をお茶に誘いたいという殿方がいるのだが、会ってみないか?」
「私はその気はありませんので、適当にお断りいただけませんか」
「やれやれ…… お前ときたら、チャングムが結婚でもしない限り無理そうだね」

ハン尚宮に軽く睨みつけられながら、チョン尚宮は大きな声で笑っていた。

(完)





457名無しさん@ピンキー:2009/10/05(月) 12:42:22 ID:Az6kdGDT
>>456
458名無しさん@ピンキー:2009/10/05(月) 22:49:30 ID:R/eu8Lt/
>>456
あの浜辺のシーンは余りにも美しく心に響くものでしたよね
あの場面に新たな必然性を持たせて下さって
ありがとうございました
そして天上人のチョン尚宮さまGJ!
459名無しさん@ピンキー:2009/10/05(月) 23:13:15 ID:dV+2U5G6
460名無しさん@ピンキー:2009/10/05(月) 23:18:19 ID:Iy5qN3b9
あれ乙
461名無しさん@ピンキー:2009/10/06(火) 00:26:16 ID:xAc9pRcj
462名無しさん@ピンキー:2009/10/06(火) 08:56:16 ID:ykR8Rj3s
見習様〜いつもありがとう〜
海の美しいシーンとはうらはらにあの世のチョン尚宮様にワロタ
463名無しさん@ピンキー:2009/10/14(水) 15:25:38 ID:qmjtQt30
       、       /⌒ヽ, ,/⌒丶、       ,
       `,ヾ   /    ,;;iiiiiiiiiii;、   \   _ノソ´
        iカ /    ,;;´  ;lllllllllllllii、    \ iカ
        iサ'     ,;´  ,;;llllllllllllllllllllii、    fサ
         !カ、._  ,=ゞiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiii!! __fカヘ.
       /  `ヾサ;三ミミミミミミ彡彡彡ミヾサ`´ 'i、
       i'   ,._Ξミミミミミミミ彡/////ii_   |
       |  ;カ≡|ヾヾヾミミミミミミ、//巛iリ≡カi  |
        |  iサ  |l lヾヾシヾミミミミミ|ii//三iリ `サi  |
       |  ,カ ,カll|l l lヾリリリリリ川川|爪ミミiリllカ、カi  |
        |  ;iサ,サ |l l l リリ川川川川|爪ミミiiリ サi サi  |
        |   iカ ;カ, |l l リリリリ川川川川l爪ミミilリ ,カi カi  |
       |  iサ ;サ, |リ リリ川川川川川l爪ミミiリ ,サi サi  |
       |  iサ ;iカ, | リ彡彡川川川川|爪ミミiリ ,カi :サ、 |
       ,i厂 iサ, |彡彡彡彡ノ|川川|爪ミミリ ,サi `ヘ、
      ,√  ,:カ, |彡彡彡彡ノ川川|ゞミミミリ  ,カi   `ヾ
     ´    ;サ,  |彡彡彡彡川川リゞミミリ  ,サi
         ;カ,  |彡彡彡彡リリリミミミシ   ,カi
         ,;サ,   |彡彡ノリリリリミミミシ    ,サi
        ;メ'´    i彡ノリリリリリゞミミシ     `ヘ、
       ;メ      ヾリリリリノ巛ゞシ       `ヘ、
      ;メ        ``十≡=十´         `ヘ、
                 ノ    ゞ
恥を知れゴキブリ在日と売国奴ども
464名無しさん@ピンキー:2009/10/14(水) 15:27:13 ID:qmjtQt30
       、       /⌒ヽ, ,/⌒丶、       ,
       `,ヾ   /    ,;;iiiiiiiiiii;、   \   _ノソ´
        iカ /    ,;;´  ;lllllllllllllii、    \ iカ
        iサ'     ,;´  ,;;llllllllllllllllllllii、    fサ
         !カ、._  ,=ゞiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiii!! __fカヘ.
       /  `ヾサ;三ミミミミミミ彡彡彡ミヾサ`´ 'i、
       i'   ,._Ξミミミミミミミ彡/////ii_   |
       |  ;カ≡|ヾヾヾミミミミミミ、//巛iリ≡カi  |
        |  iサ  |l lヾヾシヾミミミミミ|ii//三iリ `サi  |
       |  ,カ ,カll|l l lヾリリリリリ川川|爪ミミiリllカ、カi  |
        |  ;iサ,サ |l l l リリ川川川川|爪ミミiiリ サi サi  |
        |   iカ ;カ, |l l リリリリ川川川川l爪ミミilリ ,カi カi  |
       |  iサ ;サ, |リ リリ川川川川川l爪ミミiリ ,サi サi  |
       |  iサ ;iカ, | リ彡彡川川川川|爪ミミiリ ,カi :サ、 |
       ,i厂 iサ, |彡彡彡彡ノ|川川|爪ミミリ ,サi `ヘ、
      ,√  ,:カ, |彡彡彡彡ノ川川|ゞミミミリ  ,カi   `ヾ
     ´    ;サ,  |彡彡彡彡川川リゞミミリ  ,サi
         ;カ,  |彡彡彡彡リリリミミミシ   ,カi
         ,;サ,   |彡彡ノリリリリミミミシ    ,サi
        ;メ'´    i彡ノリリリリリゞミミシ     `ヘ、
       ;メ      ヾリリリリノ巛ゞシ       `ヘ、
      ;メ        ``十≡=十´         `ヘ、
                 ノ    ゞ
歴史捏造反日洗脳番組のでオナッてんのかお前らwwwwwwww
キチガイ人もどき
465名無しさん@ピンキー:2009/10/14(水) 15:28:17 ID:qmjtQt30
       、       /⌒ヽ, ,/⌒丶、       ,
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        iサ'     ,;´  ,;;llllllllllllllllllllii、    fサ
         !カ、._  ,=ゞiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiii!! __fカヘ.
       /  `ヾサ;三ミミミミミミ彡彡彡ミヾサ`´ 'i、
       i'   ,._Ξミミミミミミミ彡/////ii_   |
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        |  iサ  |l lヾヾシヾミミミミミ|ii//三iリ `サi  |
       |  ,カ ,カll|l l lヾリリリリリ川川|爪ミミiリllカ、カi  |
        |  ;iサ,サ |l l l リリ川川川川|爪ミミiiリ サi サi  |
        |   iカ ;カ, |l l リリリリ川川川川l爪ミミilリ ,カi カi  |
       |  iサ ;サ, |リ リリ川川川川川l爪ミミiリ ,サi サi  |
       |  iサ ;iカ, | リ彡彡川川川川|爪ミミiリ ,カi :サ、 |
       ,i厂 iサ, |彡彡彡彡ノ|川川|爪ミミリ ,サi `ヘ、
      ,√  ,:カ, |彡彡彡彡ノ川川|ゞミミミリ  ,カi   `ヾ
     ´    ;サ,  |彡彡彡彡川川リゞミミリ  ,サi
         ;カ,  |彡彡彡彡リリリミミミシ   ,カi
         ,;サ,   |彡彡ノリリリリミミミシ    ,サi
        ;メ'´    i彡ノリリリリリゞミミシ     `ヘ、
       ;メ      ヾリリリリノ巛ゞシ       `ヘ、
      ;メ        ``十≡=十´         `ヘ、
                 ノ    ゞ
在日と売国奴は日本から出て行けよ生きてても意味のない乞食以下の社会の汚物が
466名無しさん@ピンキー:2009/10/31(土) 22:25:16 ID:jOLGy13g
誰も書いてないのかなぁ神無し
467名無しさん@ピンキー:2009/11/07(土) 01:11:54 ID:1VfZSp0t
新作マダァ?(・∀・ )っ/凵チンチン
468名無しさん@ピンキー:2009/11/30(月) 18:34:37 ID:EkSh7vhQ
続き書いてくらさい
469名無しさん@ピンキー:2009/12/14(月) 01:42:35 ID:r2W6aPdf
ハン尚宮様に逢いたいなぁ
470名無しさん@ピンキー:2009/12/31(木) 03:26:15 ID:U0rlwkAk
あなたの心の中に……
471名無しさん@ピンキー:2010/01/03(日) 15:26:47 ID:XU3/hUhk
あけましておめでとう

保守
472名無しさん@ピンキー
醜いゴキブリチョンでオナッてる人ですらない恥ずかしい蛆虫在日売国奴まだやってたのか
在日特権でいい思いしながら捏造か蛆虫以下の汚物の分際で
いい加減日本からでてけよゴキブリ以下の汚い寄生虫
同じ種類の下劣な下等生物が沢山いるレイプ大国チョン半島で好きなだけオナってろ
日本のおかげで生きてこれたカスが
生きる意味も存在価値もない社会の生ゴミくん、本当は自覚あるんじゃないか?自身が死んだほうが喜ばれる人間だってことww
まあ自覚あったら在日や売国奴なんかやってないわなw
肥溜めチョン半島でさっさと死んでね日本人の糞に集る寄生虫チョン