【女官】チャングムの誓いのエロパロ【女医】

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1
エロサングン
「よくぞ宮中へ参った、ここではエロの真髄を徹底的に教え込まれる
どんな絡みでも構わぬが♂×♂だけは大罪ゆえ心せよ それでは始め」
2名無しさん@ピンキー:2005/11/14(月) 06:00:30 ID:/vlHCWUi
おらおら、WWF(World Wide Fund for Nature:世界自然保護基金)の
愛くるしいパンダ様が>>2ゲットだぜ! 頭が高いんだよ、ボケ!

.         ,:::-、       __     >1 クソスレ建ててんじゃねーよ。ビンスみてーに裁判で潰しちまうぞ。
    ,,r   〈:::::::::)    ィ::::::ヽ    >3 >>2ゲットも満足にできねーお前は、俺の着ぐるみ着てプラカード持ってろ(プ
  〃   ,::::;r‐'´       ヽ::ノ     >4 お前はカキフライのAAでも貼ってりゃいいんだよ、リア厨ヒッキー(プ
  ,'::;'   /::/  __            >5 汗臭いキモヲタデブは2ちゃんと一緒に人生終了させろ、バーカ。
.  l:::l   l::::l /:::::)   ,:::::、  ji     >6 いまさら>>2ゲット狙ってんじゃねーよ、タコ。すっトロいんだよ。
  |::::ヽ j::::l、ゝ‐′  ゙:;;:ノ ,j:l     >7 ラッキーセブンついでに教えてやるが、俺はストーンコールドが好きだぜ。
  }:::::::ヽ!::::::::ゝ、 <:::.ァ __ノ::;!     >8 知性のねーカキコだが、お前の人生の中で精一杯の自己表現かもな(プ
.  {::::::::::::::::::::::::::::`='=‐'´:::::::::/      >9 つーか、自作自演でこのスレ盛り上げて何が楽しいんだ?
  ';::::::::::::ト、::::::::::::::i^i::::::::::::/      >10-999 WWEなんか見てるヒマがあったら、俺に募金しろカスども。
.   `ー--' ヽ:::::::::::l l;;;;::::ノ       >1000 1000ゲットしたって、WWF時代の映像物に販売許可は出さねーよ。
        `ー-"
3名無しさん@ピンキー:2005/11/14(月) 08:06:29 ID:NUKelAkQ
盲点だったが確かに女官?女医とエロキーワードは結構豊富だ…
4チュ尚宮:2005/11/14(月) 10:43:57 ID:VpvgoiHK
ヨンセンとか亀持って宮中いったよな…エロくないか、幼女と亀…しかもその亀、すぐ死ぬしな…欲求不満の女官達が毎晩弄んだとか…部屋から、亀持ち出す役はヨンノ
5名無しさん@ピンキー:2005/11/14(月) 10:55:54 ID:FU4VMSYz
hosyu
6チュ尚宮:2005/11/14(月) 11:10:56 ID:NLYozSq9
女官達が一匹の亀を奪いあうとか…むやみに争ってはならぬという女官の掟により当番制になり、毎晩毎晩、いろんな女官達の部屋へまわされる亀…
ヨンセン「ねぇチャングム、私の亀、最近元気ないの…」
チャングム「そうね、なんかぬめぬめしてるし尚宮様に聞いてみようか」
チャングム「尚宮様、ヨンセンの亀の様子が変なんです」
7名無しさん@ピンキー:2005/11/14(月) 11:21:39 ID:FU4VMSYz
このスレ待ってたよ。
韓流ドラマスレはダメだと思ってた
8チュ尚宮:2005/11/14(月) 11:44:50 ID:vUkq0jlw
あと、気になるのは、ミン・ジョンホ…ストーカーちっく…1とモナーか?
ミンジョンホ「ハアハア、チャングムサン」
チャングム「キモイヨ」
9名無しさん@ピンキー:2005/11/14(月) 23:09:24 ID:FU4VMSYz
w
10名無しさん@ピンキー:2005/11/14(月) 23:23:50 ID:ZP+VmebH
ここあげときますね
11チュ尚宮:2005/11/15(火) 00:03:51 ID:rtd/2LM9
チャングムの育ての親にあたるカン・トック?(名前正確に分からんスマソ)も、使えるんじゃないかと
顔つきエロくないか
あの家、女の子いないしな…おじさん手出して奥さんにバレてお仕置き
12名無しさん@ピンキー:2005/11/15(火) 00:14:46 ID:LWrqnhx/
韓国でアニメでるらしいかけど・・
何かヤバい雰囲気が
13チュ尚宮:2005/11/15(火) 00:21:43 ID:P6/mVpys
「おじさん、どうして私の足を撫で回すのですか?」
そんな幼女の問い掛けを無視し続け、男は、その真っ白な絹のような肌の感触を楽しんでいる
「ん、チャングム、この足の蚯蚓張どうした?」
「これは前お母さんから鞭で叩かれたときの?
14チュ尚宮:2005/11/15(火) 00:21:46 ID:raB1ZKu/
「おじさん、どうして私の足を撫で回すのですか?」
そんな幼女の問い掛けを無視し続け、男は、その真っ白な絹のような肌の感触を楽しんでいる
「ん、チャングム、この足の蚯蚓張どうした?」
「これは前お母さんから鞭で叩かれたときの傷です」
「まだ、痛いか?」
「はい、時々痛くなります」
「そうか、可哀想にな…おじさんが痛くならないように薬をつけてやろう」
そう言い放つと男は、まだ瘡蓋の上に舌を這わせ始めた
15チュ尚宮:2005/11/15(火) 00:44:25 ID:raB1ZKu/
>13誤投下スマソ間違ってしまい重ね重ねスマソ
_| ̄〇_←初めてなので形違いだったら重ね重ねスマソ
16チュ尚宮:2005/11/15(火) 00:51:18 ID:raB1ZKu/
>14
×まだ瘡蓋
〇瘡蓋
「まだ」入りませぬ
嗚呼、粗相の連続恥ずかしや…
レスの無駄遣いスマソでございます
17名無しさん@ピンキー:2005/11/15(火) 11:41:20 ID:pmVuATiW
過疎スレだな
18粗筋のみ書いてみた:2005/11/15(火) 21:08:09 ID:xFgz7mf4
宮中に昇ったロリチャングムは、その才能に嫉妬した見習い仲間の罠に落ち、客人用の食材を台無しにしてしまう。代わりとして「アワビの肉壺蒸し」を作らされるチャングム。
秘伝の淫薬とたっぷりの煮汁、大粒アワビを肉壺一杯につめ込まれたまま、一日普段の仕事をするよう命ぜられるが、その間にも見習い女官たちはチャングムの壺を決壊させようといやらしい攻撃を仕掛けてくる。
最後には大股開きで逆さ吊りにされ、客人に舌を入れられてついに決壊。肉壺をじゅるじゅると啜られて快感に目覚め、チャングムは蒸し料理専属女官に堕ちてしまうのであった。
19名無しさん@ピンキー:2005/11/15(火) 22:29:56 ID:ZR9SASqx
漏れは普通にチャングムとラブ米のエロシーンが読みたいのだが。

変態男の妄想炸裂ぽいなのは飽きた。
20チュ尚宮:2005/11/16(水) 00:31:47 ID:BVKpZCpI
裸舞米ですか…
ネシブ長官×ハン尚宮とかありですか?
いぢめる?
21名無しさん@ピンキー:2005/11/16(水) 03:00:23 ID:jYWIikob
>>19
同意。ノーマルなところでチャン具無×チョンホ、苦ミョン×チョンホ、または妄想苦ミョンの一人エチ-か。
しかし時代背景の描写が難しいよな・・・・
22名無しさん@ピンキー:2005/11/16(水) 04:24:16 ID:4ooGAuge
ネシブ長官、宦官だよ。
23名無しさん@ピンキー:2005/11/16(水) 10:51:55 ID:sCkn1z1q
>22
 ネシブ長官がカンガンなのは知ってるけどさぁ
 別にカンガンだから性欲ないとは言い切れないし、張形とか使えばいいと思うけど、駄目かなあ…
 悶々としている女官達の淫火を密やかに鎮めてやるとか…
 舌も指もあるんだしさ、アレなくてもやることはやれると思うけど
24名無しさん@ピンキー:2005/11/16(水) 16:20:13 ID:stylFy+B
>18
GJ
期待age
25名無しさん@ピンキー:2005/11/16(水) 16:29:53 ID:YVTWrMvs
朝鮮のことは知らないが、お隣中国では宦官と女官がカップルになるのが盛んだったし
愛妾を抱えたり普通の結婚をした例もある。

故に>>20氏、>>23氏、大いにアリだッッ
是非書いてくれェッ
26チュ尚宮:2005/11/16(水) 18:57:24 ID:6NHoVZt1
 御膳を下げ、洗い場に汚れ物も持っていく…「王様の…箸…あの唇が…ここに…」
 殿方の唇は、どんな感じなのかしら…そっと汚れ物の箸を口元へ持っていく…
 やがて、舌を這わせ、男性自身を愛撫するかのような女官の舌使い
 ふっくらとふくらんだチマに隠された秘めどころを無意識のうちに配膳台の角に擦り付けて…
 隣の女官は、匙に残った米粒を丹念に舐め取っている…
 これは、日常茶飯事、いつもの事…誰も咎めはしやしない
27チュ尚宮:2005/11/16(水) 19:04:16 ID:B0JsTxUr
>>25
ありがとう!嬉しく思います!
カンガンも絡めんと、雄足りないと思われるしな
↑あと、まだ女官二人の軽めエチしかまだかいてません
ネ申来て欲しいよ
28チュ尚宮:2005/11/16(水) 19:39:50 ID:N47HThgv
 木苺の砂糖漬け…それが、王がチャングムに望んだ最期の料理だった…
 しかし、今は冬、王と云えども自然の摂理には逆らえぬ…
 季節外れの木苺…
 しかし、なんとしてでも差し上げたかった…しかし…
「余は、分かっておるぞ…木苺がなっておらぬ事くらい…」
「王様…」
「砂糖を持ってきてはくれぬか」
「…は…砂糖…?」
「そうだ」
 それならばと、女官に命じて砂糖を持ってこさせる
「ご苦労だった…医女チャングム以外、皆下がっておれ」
「王様?何をされるおつもりですか?砂糖など…」
「医女チャングム、余はそちの木苺の砂糖漬けが食べたいのだ…そして、そちは余に料理を食べさせたい…違うか…」
「はい、王様」
「そうか…では、よく聞け…そちのその胸の秘めやかな二粒の木苺を…余に食べさせて欲しいのだ」
「王様…はい、王様…」
 諸肌脱ぎになり、小さな小さな果実を差し出す女…
 砂糖を付けようとするが、はらはらと膝に零れ落ちる…
 戸惑う女、男は溜め息混じりにそこへ舌を伸ばし、潤いを与えてやり、女の作業がはかどるようにしてやる
29チュ尚宮:2005/11/16(水) 20:34:36 ID:oREXCiLx
↑投下してみました
なんか、エロくないな
宮中エロ難しいよ〜ここの王様、馬鹿ぢゃないし〜やりにくいなあ〜サランエロ
30名無しさん@ピンキー:2005/11/16(水) 20:45:08 ID:OD73PT+D
クミョンとラブコメがいいな。
31チュ尚宮:2005/11/16(水) 20:47:24 ID:71pLlT/d
過疎スレだな…自分がせっせとレスしてると、なんか一人エチしてるみたいな気分になる
32チュ尚宮:2005/11/16(水) 20:48:07 ID:BVKpZCpI
三十路ゲト
過疎スレだな…自分がせっせとレスしてると、なんか一人エチしてるみたいな気分になる
33嗚呼、悲しみのチュ尚宮 :2005/11/16(水) 20:53:24 ID:e9cRrEk+
>32誤爆
悲しい…所詮は裸舞米しかここは駄目なんだな…
>1エロサングン様は、裸舞米に触れてはおられなかったはずだが…ここは、ノーマル裸舞米スレなのか…
34名無しさん@ピンキー:2005/11/16(水) 21:09:58 ID:z4vlUgKP
まずは基本のカポーを書き上げてくれ。
話はそれからだ。
35チュ尚宮:2005/11/16(水) 21:14:13 ID:71pLlT/d
では、読者にまわるか…ガンガッテ書いて下さい
書く気失せたし
36名無しさん@ピンキー:2005/11/16(水) 21:23:38 ID:WuXdtAUS
とか言ってると落ちるぞ〜w
アブノーマルでもなんでもいいから書き上げてみたら?
37名無しさん@ピンキー:2005/11/17(木) 01:02:03 ID:MbDXqHrQ
あげ
38名無しさん@ピンキー:2005/11/17(木) 06:00:14 ID:Cb6ZK8eJ
>>28
続きマダー?
39名無しさん@ピンキー:2005/11/20(日) 00:51:40 ID:XY2vh7Fc
age
40名無しさん@ピンキー:2005/12/03(土) 19:14:56 ID:wSgGVwt5
        ー┼─      l二       / ヽ
          l      _|二__      ノ__ \
          /ヽ       |\,        ─-,
         ノ  \      |, ヽ_       _ノ
        キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!!!
           ,、_                 ____
      γ ̄ ̄o ヽ               /;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;丶
       | ∞∞∞∞|     ____   /:;:;:;:;:;:;:;[二]:;:;::;:;:;l
    __| ____|__ γ;;;;;;;;;;;;ll;;;;;;;;;/:;:;:;;;;;;;:;:;:;:;:;ll::;:;:;;;:;:;:;:;:;|
       | ノ '''  ''' ヽ| /;;;ノ '''  ''' ヽ:;:;:;|ノ '''  ''' ヽ:;:;|
      | ll 'ゝ,  、ノ' | lX|/ 'ゝ,  、ノ' |:;:;/  'ゝ,  、ノ' |:;|
     / ll  ,,ノ(、_, )ヽ ミ8|   ,,ノ(、_, )ヽ ミl:;:;|  ,,ノ(、_, )ヽ、,, .:::\
     \ 、ll Y`-=ニ=- Y 人`、Y`-=ニ=- Y、人`、 Y`-=ニ=- Y.:::::/
      \ll __`ニニ´:::::/ \  `ニニ´ ::::/ \   `ニニ´ ::::/
      / /ヽヽヽノ/ /´> .) ̄ヽヽヽノ lヽ )/  ̄ヽヽ.ヽノ  />  )
     (___)V/ / (_/.二二二二l/_/l /二二二二 l/_/
       l 二二二二l    (_/ l l l. | | )' ヽ_ ) l l l. | | )'
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       |_//     lノ_ | | |  |_| | ノ_ | | | |_| |
      ∪ `ー、___ヽ ∪` ー、___l  ∪` ー、___l
            \_)       \_)         \_)
41名無しさん@ピンキー:2005/12/07(水) 20:00:41 ID:w+Bg0hqs
一応あげ
42名無しさん@ピンキー:2005/12/08(木) 13:05:07 ID:sPrVTlvM
もうちょっと地上波の話数進まないと萌え話投下は無いかな?
待ってるのだが
43名無しさん@ピンキー:2005/12/14(水) 18:19:07 ID:+RQ4fAwm
長今「ジョンホ様のオギョモが私のチェパンスルに〜あぁ〜」
44中宗:2005/12/16(金) 01:45:05 ID:C7dp7cVR
はよう誰かネタを投下せよ。余をいつまで待たせる気なのだ。
これ以上待たせるようであれば、チャングムだろうとハン尚宮だろうとおかずにしてしまうぞ。
余は・・・余は・・・たまっているのだ。我慢できぬのだ。
45名無しさん@ピンキー:2005/12/16(金) 18:49:01 ID:z5Tu/56M
百合はどう? スレ違いかな
46名無しさん@ピンキー:2005/12/17(土) 09:35:53 ID:WNhqxsW/
>46
あり。パロってりゃいくね?
47ジョンホ×グミョン:2005/12/23(金) 16:26:14 ID:laqt+V4+
王殿のチュ尚宮様に申し上げます。
この度の集中放送におきまして、すっかりはまってしまった者でございます。
宮中の作法に疎い田舎者でございますが、
悲嘆に暮れていらっしゃるチュ尚宮様をお慰めせんがため、
見習いのSS女の身分でありながら、こちらに投下する無礼をお許し頂きたく存じます。
らぶ※の相手はチャングム以外に無いとお思いの尚宮様方はどうかスルーして下さいませ。
48ジョンホ×グミョン 1:2005/12/23(金) 16:27:02 ID:laqt+V4+
青白い雪明かりが照らしている。
いてついた空気が、深紅の長服を羽織る身体に、
しんしんと染みてくる。
凍える身体より、心はもっと冷えて、震え出す。
その奥に隠し続けてきた熱い思い。
滾れば滾るほど、この身の凍えがつまされる。
グミョンは、ただ、待っていた。
先ほど、その家の下男取り次ぎを頼み、主人を呼びだしてもらった。
出てきてくれるだろうか、このような深夜。
雪さえも凍りつくこんな夜に。

心を決めなくてはならぬ。
思いを断ち切らねばならぬ。
愛しい男。なれど、政敵。

女官でなければ、添い遂げることができただろうか?
いや、女官でなければ、出会うことすら叶わなかったであろう。
女官は王様の女。
我が身は我が身のものでありながら、我が身のものでは無い。
もし、女官が自ら思いに従い、恋に身を捧げるならば、
それは王に対する裏切りであり、人知れず処分されても仕方のない事。
49ジョンホ×グミョン 2:2005/12/23(金) 16:27:50 ID:laqt+V4+
門の潜り戸を抜けて、現れたその官に目礼した。
「少しだけ、お時間を頂きとうございます。」
心の震えが、声に現れなかっただろうか。
ミン・ジョンホを案内しつつ、夜道を行くのは不思議な気分だった。
この時が全てであろう。
グミョンがグミョンとして、ジョンホがジョンホとして、並び歩くのは。

グミョンはその家に着くと、ジョンホを部屋に通された。
入念に整えられたその食卓は、華美ではないが、いずれも手の込んだものだった。
「お座りください」
グミョンは、云った。
「何でしょう」
いぶかしがるジョンホに、グミョンはいま一度、云った。
「お座り下さい」
ジョンホは、勧められた座に腰を下ろした。
グミョンは、酒器を取り、無言のまま、ジョンホの前の杯に注ぎ入れた。
「どうぞ、お召し上がりを」
「一度でいい、王様でなく、大事な方のために、料理を作りたかった」
秘めてきた思いであった。
ようやくその思いが、言葉になると、あとは堰を切ってあふれ出す。
長年の思いと、そして断ち切らねばならぬ決意の言葉と。
50ジョンホ×グミョン 3:2005/12/23(金) 16:28:39 ID:laqt+V4+
ジョンホは、ためらいがちに、並べられた料理に箸を伸ばす。
いっそ、チャングムに義理立てして、そのまま去ってくれたなら、まだ思いも断ち切れよう。
だが、この男の優しさが、グミョンにまた未練が芽吹かせる。
「その茸は、南海より特別に取り寄せたもの。
珍味かと存じます」
ジョンホは、勧められるままに小皿に盛った。
そのきのこ料理が、特に気に入ったのか、皿の半分ほども平らげた頃、
グミョンは云った。
「身体を温める効果が高いので、このような寒い晩には最適でございましょう。
気分も安らいでおられるのではありませんか。」
云われてみれば、先ほどまでの緊張した気分が、いつの間にかほぐれ、
それどころか、グミョンを前にして、くつろいでいる。

51ジョンホ×グミョン 4:2005/12/23(金) 16:29:20 ID:laqt+V4+
「本当に、人の思いとは、困ったものでございます。」
グミョンは、ジョンホの横に座した。
「ジョンホ様」
グミョンが、ジョンホの背中を抱いた。
「ジョンホ様、どうか、どうか一夜のお情けを。」
「最高尚宮、なりません。
それは、王様に対する裏切りではありませんか」
グミョンの、その大胆な行動に、ジョンホは敢えて官位で呼びかけた。
しかし、そう諫めながらも、体内より湧き出る熱が、自身の精気を煽るように感じた。
思わず、息を飲む。
「ただの一度で良いと、申し上げております。
どうか、どうかお情けを。」
長年の、グミョンの思いを薄々悟ってはいた。
だからこそ、避けてきた。
いじらしいと思えば、情が移るのだ。
自分にはチャングムがいる。
男として、ひとたび心に決めた人を、裏切る訳にはいかない。
「あなた様とわたくしは、宮廷におきましては敵と味方。
いずれは、あなた様に対して、非常なる手段を下さねばならない日もまいりましょうし、
あなた様が、このまま我が一族に対しての風当たりを強くなさいますならば、
この身も処分される日もありましょう。
ですが、わたくしは、このまま手折られぬ花として散るのは嫌でございます。
尚宮職に上がる年頃となれば、もはや王様の御情を頂戴することも叶いますまい。
宮中に侍る身であればこそ、美しさには自身もございますのに、
なぜ、手折られる事もなく、花園で朽ちてゆくしかない。
この身を哀れと、思し召せ……」

52ジョンホ×グミョン 5:2005/12/23(金) 16:30:09 ID:laqt+V4+
グミョンの悲嘆を聞きながら、
ジョンホは思考に集中できなくなっていることに狼狽えていた。
飲み過ぎたわけではあるまい。
なるべく杯を重ねぬようにと留意していた。
だが、どうだろう。
頭の奥がクラクラし、何となく酒に酔った状態になっている。
いや、厳密には違う。
もっと、こう、頭がどんよりとする。
そのどんよりとした頭の片方で、欲望が芽吹くのを感じる。
欲望は体内の気脈を下り、会陰に精気を送り込む。

グミョンの装束に焚きしめられた香の匂い。
結い上げられた髪の香油の匂い。
それらがグミョンの女の匂いと混ざり合い、
ジョンホの欲望に火をつけようとしていた。

「いや、それは……」
ジョンホは、必死で自制しようとしていた。
「お情けでございます、ジョンホ様」
グミョンは、ジョンホに対面してひざまずき、
ジョンホの右手を取ると両手の中に包み込んだ。
白い指先は冷たく、沸き上がる熱情に汗ばむ手に快い。
「すべては一夜の夢。
渡来の茸が見せます夢でございます。」
グミョンは、ジョンホの手を、自らの懐に差し入れた。
硬い梨の実のようだ、とジョンホは思った。
正気が、小さな箱に閉じこめられて、自分はそこから見ている。
そして、欲情に流されていく自分を、冷ややかに見ている。
流されるまいと思うが、突き上げるものが、ジョンホを支配してゆく。
気づけば、ジョンホはグミョンの細い腰に手を回し、
激しい接吻をかわしてた。

53ジョンホ×グミョン 6:2005/12/23(金) 16:30:59 ID:laqt+V4+
「ジョンホ様…、あっ、ジョンホ様」
激しく揉みし抱かれる梨は乱れた襟元からこぼれようとしていた。
自分を失っていくというのは、こういう事なのだろうか。
現れた乳房。
ツンと上を向く木苺を口に含むと、グミョンは声を出すまいと唇を噛む。
その慎ましげな有様ながら、膝を割ろうと足を勧めると、
自ら開いて、その足に絡みつく。
しかしながら、何を怖れているのだろう、微かに震えるその背中。
ジョンホは、チョゴリをたくし上げ、足の間に手を差し入れる。
じっとりと湿るその中の、小さな突起を指で弄る。
「い、いや、あっ」
慎ましやかな喘ぎ声である。
女官たちには、王の急なお召しに応じられるように、
一通りの事は教えられている。
房事を重ねる毎に、王様の好みに応じて作法は変えられてゆくのだが、
初回は何事も慎ましくあらねば成らないとされている。
乱れまいと勤めながら、快楽のうねりに飲み込まれてゆく有様は、
艶やかにして、淫らである。
「大好きでございます、ジョンホ様。」
グミョンの手が、ジョンホの装束の帯に伸びる。
ジョンホの装束を脱ぐ手伝いをしながら、グミョンの肌は、
上気して梅の花のようである。
猛るジョンホのものに手が伸びる。
もう冷たくはない。
僅かに触れて、手を引っ込め、そして決意したように握るその仕草が初々しい。
そして、両手でそっと包み込むと、おずおずと口に含んだ。
張り型などで練習したのだろう、その動きは多少ぎこちなさを感じはするが、
男の快楽の生ずる壷を確実に捉えている。
体中の血が、快感の渦に巻き込まれる。
54ジョンホ×グミョン 7:2005/12/23(金) 16:32:08 ID:laqt+V4+
ジョンホを思って濡れそぼる、グミョンのその場所に、今度はジョンホが舌を這わせる。
「い、いけません、そんな、嫌。」
グミョンが膝を硬くする。
しかし、ジョンホの行為にほぐれ、開かれている。
ジョンホはいやらしい音を立てて、その場所を愛撫していた。
火のつくような快楽に、グミョンの宮女としての慎みは燃え尽き、
気が付けば、淫猥な喘ぎに変わっている。
「ジョンホ様、もうだめ。
入れてください、あなた様のお情けを。
でも、終わりたくない…」
ジョンホは、その場所に突きいれた。
幾度かの揺さぶりのうちに、グミョンは両目を硬く閉じ、
座布をきつく握りしめて絶頂の海を漂っていた。
ジョンホの体内の精気が太陽のように輝き、
熱の猛りを迸らせる。

体内の熱の醒め行く有様に、
ジョンホは自らの失態を後悔した。
後悔しながら、激しい眠気に襲われて、
いつの間にかまどろみに落ちてゆく。

雪明かりの中、グミョンは静かに待っていた。
思いを込めた、儀式の余韻が、
唇に、腰に、乳房に、まとわりつく。
そして、秘め事の残り香が、雪の中で凍てつき、
そしてグミョンの恋心さえ、この冷たい夜に凍り付き、
落下して砕け散るのを待っていた。

男の背中を見送った。
あれは、もう、只の敵。

−−おわり−−

55名無しさん@ピンキー:2005/12/23(金) 19:27:00 ID:KXw5pS9b
GJ!

苗字がつかないときは、濁らずに「クミョン」。
宮に入る前から、クミョンはラブ※に惚れてたよ。
56名無しさん@ピンキー:2005/12/24(土) 07:52:48 ID:yyXY7t0m
おおーっ、待ってました!
クミョン切ないス…
後悔するチョンホにも萌。
次回は是非チャングムの「お慕いしております」でも書いて下され!
57名無しさん@ピンキー:2006/01/08(日) 00:03:34 ID:32xGVBFA
 このドラマで描かれているチャングムの姿は、本当の姿ではありません。15,6世紀の韓国にドラマのような医女制度と言う物が存在したかどうかも不明です。
 実在したとされるチャングムの本当の真実の姿について、色々と知りたい人や語りたい人は、ハングル板のチャングム専用スレへどうぞ。異論反論質問なんでも受け付けております。  ↓

現行スレ 【歴史を】 チャングムの誓い 4 【クリエイト!】
http://society3.2ch.net/test/read.cgi/korea/1134025409/

 質問する人は、軽く過去ログを一読する事もお忘れなく。  ↓
3 http://p2.chbox.jp/read.php?host=society3.2ch.net&bbs=korea&key=1130252325&ls=all
2 http://p2.chbox.jp/read.php?host=society3.2ch.net&bbs=korea&key=1129622961&ls=all
1 http://p2.chbox.jp/read.php?host=society3.2ch.net&bbs=korea&key=1124289865&ls=all
58チャングムの誓い視聴率トップ10入り記念:2006/01/09(月) 15:48:13 ID:mXFL4K96
ヨンセンと王の絡み希望。
59名無しさん@ピンキー:2006/01/09(月) 16:29:21 ID:rO3KXOSP
【日韓芸能】『宮廷女官チャングムの誓い』日本でドラマ視聴率トップ10入り〔01/06〕
http://news18.2ch.net/test/read.cgi/news4plus/1136540071/66
66 名前:<丶`∀´>(´・ω・`)(`ハ´  )さん[] 投稿日:2006/01/06(金) 20:25:50 ID:DUWU9K/j
http://www.videor.co.jp/data/ratedata/backnum/2005/vol50.htm
VOL.50 2005年 12月5日(月)�〜�12月11日(日)
1位 木曜ドラマ・熟年離婚『最終回』 テレビ朝日 '05/12/8(木) 21.4%
3位 義経『最終回』 NHK総合 '05/12/11(日) 19.7%

http://www.videor.co.jp/data/ratedata/backnum/2005/vol51.htm
VOL.51 2005年 12月12日(月)�〜�12月18日(日)
1位 金曜ドラマ・花より男子『最終回』 TBS '05/12/16(金) 22.4%
2位 野ブタ。をプロデュース拡大スペシャル『最終回』 日本テレビ '05/12/17(土) 18.2%

http://www.videor.co.jp/data/ratedata/top10.htm#drama
VOL.52 2005年 12月19日(月)�〜�12月25日(日)
10位 宮廷女官チャングムの誓い NHK総合 '05/12/24(土) 9.9%

年末なので人気ドラマが次々に最終回を迎えていたわけです。
チャンムグが10位になった前の週にはベスト10の中の2本が、
その前の週にもベスト10のうち2本が最終回を迎えていました。
24日にはもうドラマが終了して特番の期間に突入していました。
だから9.9%のチャンムグがベスト10に入れたわけです。
そういうカラクリでした。ありがとうございました。

89 名前:<丶`∀´>(´・ω・`)(`ハ´  )さん[sage] 投稿日:2006/01/06(金) 21:28:07 ID:afATYmt/
この週だけおかしいと思ったら、軒並み先週ドラマが最終回を迎えた作品で、クリスマスおよび年末の連続ドラマの空白期間になってた模様。
番組も軒並みクリスマススペシャルなどで埋まってた。
そのせいで、先週まで高視聴率(?、しかし15%以上)だった作品が抜けた分、上位に出ただけであると推測。

100 名前:暴支膺懲 ◆CeoD2zuluY [sage] 投稿日:2006/01/07(土) 05:33:26 ID:xpxkEedG
オリコンの1位が史上最低枚数を記録したときに鮮人歌手がトップテン入りして、これで
有名歌手の仲間入りと喧伝した民族に相応しい記事ですね。w
60名無しさん@ピンキー:2006/01/14(土) 15:45:26 ID:ezIKIs1d
ほしゅ
61チャングムの誓い視聴率トップ10入り記念:2006/01/16(月) 00:59:49 ID:+665tgfD
ハン尚宮のネタお願いします。
62名無しさん@ピンキー:2006/01/18(水) 00:45:48 ID:x+FLgIra
漏れも読んでみたいです。
しかしSS書ける人って本当に尊敬するわ・・・
63名無しさん@ピンキー:2006/01/18(水) 07:49:35 ID:agBpj7Ed
64ミン尚宮×チャンイ 1:2006/01/19(木) 03:04:40 ID:l/XpTBGg
 ※続き、書けるかどうかわからないけど、一応置いていきます。


ヨンセンが王の寵愛を受け、特別尚宮となって間もなくのことである。
一日の仕事を終えたミン尚宮は、例によってチャンイを私室に呼び、
茶菓子をつまみながら、愚痴や宮女たちの噂話やら、影口やらを、
とりとめもなく語り合っていた。
ハン尚宮とチャングムが追放されて以来、チェ一族が水剌間の中核となり、
ハン尚宮の一派と見なされた者たちは、下働きに等しい仕事へと追いやられてしまった。
しかし、この度のヨンセンの思わぬ出世に、苦渋を嘗めていたミン尚宮の気持ちの中に、
春の訪れのような、浮かれた気分を目覚めさせてしまったのは、
無理からぬ事であったかもしれない。

いつもの愚痴ばかりの席が、幾分笑いに満ちたものとなり、
お茶だけであったというのに、ふたりとも何となく気分が高揚している。
「あのヨンセンが、王様のご寵愛をお受けになったとは。
一体、どんなふうだったんだろうね。
下をむいたままで、怯えていたみたいだけど、
これからはひとつ、その方面のこともいろいろ教えてあげないといけないかね。」
ミン尚宮の瞳に、灯が映り込む。
「そういう尚宮様は、いろいろとご存じなんですか。
枕絵とか、たくさんお持ちなんですか」
仕事や出世よりも楽しみが第一の、好奇心一杯のチャンイである。
「いろいろご存じというほどではないけどさ、
一応、女官だし、尚宮に上がる前は、なにかと年長の女官たちの手ほどきぐらいあったわよ。
今の女官長様が最高尚宮になられたあたりから、
そういう事をあまり好まない風潮が出来上がってきたのだけど。」
「え〜っ、尚宮様。手ほどきって、どんな……」
漢人から手に入れた桃饅頭を片手に、チャンイが身を乗り出してきた。
この娘は、こういう話に目がないらしい。
「まあ、あんたも見た目はそんなに悪くないし、
あの内気なヨンセンでさえ、王様のお目に止まったんだから、
あんたにも、いつお情けがってことも無いではないだろうから、
教えおくに越したことはないけどさ」
ミン尚宮は語尾を濁しながら、どうしたものかと考えていた。
65名無しさん@ピンキー:2006/01/19(木) 10:08:53 ID:zmEbA4AH
ワクワクo(^-^)o
66名無しさん@ピンキー:2006/01/19(木) 21:50:18 ID:GeLKQR/Y
( ´д)ヒソ(´д`)ヒソ(д` )
67名無しさん@ピンキー:2006/01/20(金) 00:34:19 ID:wUOeDAFC
ワクテカ
68名無しさん@ピンキー:2006/01/21(土) 10:51:02 ID:X5TODOw/
「ねぇ、ミン尚宮さま…。」
桃饅頭をすっかりたいらげたチャンイはさらにミン尚宮に近付き、
甘えるような声で言った。
「私にも…教えて下さい。」
チャンイの突然の大胆な発言にミン尚宮は逆にうろたえた。
「…エッ…!? お、教えるっ?なっ何を?串焼き?」
「もう〜っ、何でこの話の流れで"串焼き"になるんですか?
とぼけないでくださいよ。手ほどきですよ、手・ほ・ど・き!」
「あ、ああ…手ほどきね。そりゃ別に私はかまわないけど…。」
そうは言っても女官には同性愛禁止という厳しい掟がある。
ミン尚宮は"仕事"をとるか"情"をとるかで態度を決めかねていた。
するとチャンイはいつもの拗ねたような顔になって言った。
「尚宮さまは…私が可愛くないんですか?」
「えっ?そりゃ…可愛いわよ…。顔だけじゃなく人なつこい性格も…。」
チャンイは"お付きの女官として"可愛いか聞いたのだが、思わぬミン尚宮の
本音を聞きだせたようでチャンイはすぐ満足顔になった。
「だったら教えて下さい。私、ヨンセンみたいに王様の前でいざという時に
恥をかきたくないんです。」
ミン尚宮は可愛い顔を近付けてくるチャンイにどぎまぎしながら、
「そうよね、もちろんそうよね…。」と何度も頷いた。
チャンイは潤んだ瞳でミン尚宮を見つめ、その顔をさらに近付けた。
「ミン尚宮さま。口付けってどうやるんですか…。」


>>64 
続きかけるかどうかわからないって言ってたから勝手に妄想バクハツさせてしまいました………スマソ。

でもこっち向きのネタだなぁ
【大長今】チャングムの誓いで百合萌え
http://sakura02.bbspink.com/test/read.cgi/lesbian/1128719029/l50
69名無しさん@ピンキー:2006/01/21(土) 12:16:17 ID:MOtVjLtn
o(^-^)o
7064:2006/01/22(日) 00:56:16 ID:DftxWpiN
>68
レズ物はスレちがいなんですねorz
もう一度勉強してきます。
71名無しさん@ピンキー:2006/01/22(日) 17:21:05 ID:+CzT1myu
64,68萌えた。
>>45-46のやりとりもあるし、百合もありでしょ。
1で駄目だって言ってるのは♂×♂だけみたいだし。
72名無しさん@ピンキー:2006/01/30(月) 11:32:20 ID:fCHMe7ye
73名無しさん@ピンキー:2006/01/30(月) 23:41:55 ID:VlNP9aPq
展開がきになるよワクテカ
74名無しさん@ピンキー:2006/02/04(土) 19:02:18 ID:PQ9J3z3X
ジョンホ×チャングムのエロキボンヌ
75ハン尚宮×チャングム 手ほどき?:2006/02/04(土) 21:24:38 ID:fGgEaNv6
チャングムはヨンセンと同室だったような気がするが、これはチャングムが一人でいる
設定で読んでくだちい。
あと、時代考証めちゃくちゃですが気にしないでくだちい。
−−−−−−−−−−−−−−――−−−−−−−−−−−−−−−
その夜チャングムは寝付けなかった。
女官として宮中にあがる事を許され、師から大切な包丁を譲りうけた。
ついに、母との約束を果たす第一歩を踏み出したのだ。
父との約束を破り、両親を失ったチャングム。
――――――母が死ぬ前に遺した約束だけは守りたい
チャングムは暗い天井を見ながら、今までにあった様々な事を思い出していた。

すると部屋の外から誰かの足音が聞こえてきた。
その足音はチャングムの部屋の前でとまり、戸の隙間から誰かの影が床に映る。
チャングムが身を起こすと、「チャングム」と戸の向こうより呼びかけられた。
「尚宮様…」
チャングムは布団から出て、戸を開けるとそこには月に照らされた師の姿があった。
「尚宮様、このような時間にどうなさったのですか?」
師は桶と書物を持ち、何故か夜着のままここまで来ている。
チャングムが師の顔を見ると、師は唇に紅をさしていた。
師は普段から化粧などしない。チャングムは夜遅くに自分の部屋を訪ねた上、
化粧をしている師を訝しく思った。
「チャングム、今日からお前は正式に女官として宮中にあがる事になりました。
本当におめでとう。それもお前が日々、努力を怠らなかったからよ。でも」
師の口調と表情はいつものように冷静でつつましやかであった。それなのに、
紅をさした唇に違和感がある。
「私はお前に教えていない大切な事がありました。今からそれを伝えます」
76ハン尚宮×チャングム 手ほどき?:2006/02/04(土) 21:46:46 ID:fGgEaNv6
チャングムの瞳が輝いた。師はいつも自分に課題を与え、その中から何かを
伝えようとする。師がいきなり本題を伝えようとするのはめずらしい。
二人が部屋に入る。チャングムは灯りをつけた。
師の持っていた桶には白い絹布が数枚入っている。チャングムが書物の表紙を
見ると、物語のような題が書かれていた。師が伝えようとするのは料理に関わる
事なのか、それとも別の事なのか。
「私達女官には本来の役割があります。それは何?」
師の問に対して、チャングムは桶の中の絹布を見ながら言う。
「それは……私達女官は……」
桶、絹布、書物、紅をさした師、女官の役割。チャングムの頭の中で、これらが
繋がりそうで繋がらない。チャングムは師の顔を見つめた。
師の表情は変わらず穏やかなままであった。
「あの、尚宮様、尚宮様は今、口に紅を…?」
「ええ、そうよ」
「ではそれがこの問の答えに関係があるのですか?」
「そうね。あるわね」
「…………………」
チャングムの顔が曇る。今の自分は水剌間の女官、紅も絹も不要なはず。
紅をさしていれば料理の味をみる時の邪魔になる。
チャングムが答えられずにいると、師は微笑みながら言った。
「いつもは聡明なお前なのに…料理以外のことには興味がないのね」
77ハン尚宮×チャングム 手ほどき?:2006/02/04(土) 21:50:07 ID:fGgEaNv6
チャングムは口を少し尖らせた。
「尚宮様、料理の事じゃないんですね?じゃあ、もしかして…」
「言ってごらんなさい」
チャングムは俯いて「私達女官は…王様の女…という事でしょうか…」と言った。
「そうよチャングム。私達女官は全員、王様の女。お前も、私も」
チャングムは顔をあげる。
「王様の女ということは、いつ王様のお情けを受けてもおかしくないこと。
よって、これからお前に」
「え、あの、お情けって…?」
師は目を瞬いてチャングムを見た。チャングムは目を大きくして自分を見ている。
「本当にお前はこういう事がからきし駄目なのね…」
持ってきた書物をチャングムに手渡す。
「私は少ししたら戻ります。それまでこれを読んでいなさい」
師は桶を持って部屋から出ていった。軽いため息をついて。

チャングムは書物をめくった。そこには裸の男女が絡み合う絵が描かれていた。


チャングムは慌てて書物を閉じた。見間違いだと思い、もう一度開いてみたが
やはり裸の男女が絡み合う絵があった。
こういった物を他の女官が読んでいる事は知っているが、師までもが読んでいた
とは思わなかった。むしろ師はこういった物を嫌う人のはずだ。
今夜の師は紅をさしたり、こういった書物を持っていたりとどこかおかしい。
だからと言って読めと言われたものを読まない訳にもいかず、チャングムは書物を
ぺらぺらとめくりうなだれた。
文章を読むと、どうもこの男女は愛し合っているようで二人が結ばれる話なのだが、
チャングムには人を好きになるとか、愛し合うとかそういった経験がない。
チャングムは大きなため息をついて書物を投げ出した。
(お情けって巫山の夢の事なんだ……私は神女じゃないよ…)
78ハン尚宮×チャングム 手ほどき?:2006/02/04(土) 23:58:10 ID:fGgEaNv6
(尚宮様が紅をさしていたのは……殿方のため…?でもここには殿方なんていないのに…。
それからあの絹と桶は何のため?もう、訳がわかんない…)
チャングムが膝をかかえていると、戸が開いて師が部屋へと戻ってきた。
あわててチャングムが姿勢を正し、師が桶を机に置いて座った。
「尚宮様、今日の尚宮様は何だかおかしいです」
憮然とした表情でチャングムが言うと、師は口に手をあてて笑った。
「笑うようなことですか?だって、こんな書物を見せるし、いつもはしないお化粧を
してるし…」
「そう……。では、どうして今日の私がおかしいか教えてあげる」
「はい……」
師の持ってきた桶の中には湯が入っていた。どうやら湯を沸かすために部屋を出たようだ。
桶からは花のような香りが漂ってきた。この香りもお情けのためのものなのだろうか。
「チャングム、この世は対になる二つのもので成り立っているわ。
天と地、昼と夜………二つの間に交わりがなければ季節もなく、花も咲かず、命は生まれない。
人間もそう。男と女、交わりがなければ新しい命は生まれてこない」
師はゆっくりと言葉を紡ぐ。
「だから、男と女の交わりはとても大切な事なの。分かるわね」
「でも、私は、巫山の神女じゃありません―――――――それに、この書物に
出てきた二人のように愛し合うような殿方もいません。それよりも、どうして
尚宮様がこんな物持ってるんですか?」
チャングムが俯いたまま言う。部屋に花のような香りが広がっていった。
79ハン尚宮×チャングム 手ほどき?:2006/02/05(日) 00:05:42 ID:4KezI9ii
つと師が立ち上がり、投げ出された書物を拾う。そしてチャングムの隣に座った。
驚いたチャングムが顔をあげると、師は微笑んだ。
「お前、私がこの書物を持っていたのに驚いたの?」
チャングムは黙って肯いた。すると師はまた微笑んだ。
「私も興味があるから、ではいけない?」
チャングムは大きく目を見開いて師を見つめた。師は微笑んているだけだ。
「…………意外です……」
「軽蔑する?」
「い、いえ。ただちょっと驚いちゃって……」
「私も興味があるのは本当だけど、この書物は私の師だったある尚宮様がくれたものなのよ。
その時尚宮様はこうおっしゃったの。
“男と女の交わりにはもう一つ意味がある。男の『気』と女の『気』を一つにし、
心と体の調和をはかり、お互いの気力を充実させて健やかにする。私達女官は夫である
王様のために、御召しとあらばいつでも寝所に仕えられるように”と」
「……はぁ……」
「私達が王様の御膳を作るのも、王様の寝所にお仕えするのも、すべて王様が
心身共に健やかにあらせられるように、なのよ」
師の言葉にチャングムは肯いたが、その表情はまだ腑に落ちないといったものであった。
「まだ納得できないのなら、そろそろ実践にうつろうかしら」
80名無しさん@ピンキー:2006/02/05(日) 20:37:18 ID:48Ur4XK7
ワクテカ
81ハン尚宮×チャングム 手ほどき?:2006/02/05(日) 23:42:47 ID:Pq1kYQew
ドラマの細かいセリフとかかなり違ってますが許してくだちい。
手ほどきするの難しいね。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「じっ、実践?」
実践と聞いてチャングムの脳裏に書物の絵が浮かんだ。
あの絵のような事を師がするのか、と狼狽し、ならば相手が誰なのか、と
考えなくてもいい事を考えて焦る。
師の体が複雑に絡み合う様を想像してしまい、思わず師から距離を
とってしまった。
「あ、あっ、ああ、あの」
「どうしたの?」
「あ、あ、あの、今実践とおっしゃいましたが、尚宮様は…その……
こういった事を…なさった事が……?」
チャングムが俯きながら小さな声で絞り出した。
「…………あると言えばあるわね」
いつものような、静かな口調で師が答える。
「!!
で、ではっ、それはっ、王様の御召しがあったのですか?!」
先ほど自ら距離をとったのに、身を乗り出して師に詰め寄るチャングム。
「お前は言いにくい事を聞く子ね…」
苦笑いを浮かべ、チャングムの肩に片手を置いた。チャングムの顔が
薄い朱に染まる。
「あっ!………申し訳ありません尚宮様」
「昔はね、王様の寝所にお仕えする時の心構えを教える者がいたの。
私もその者やこの書物をくれた尚宮様から教わったのよ。
それに私が王様の御召しを受けたなら、今水剌間に居ないわ」
「そ、そうですよね!早とちりしてしまいました……」
師は穏やかな眼差しで俯く愛弟子を見つめた。
82ハン尚宮×チャングム 手ほどき?:2006/02/05(日) 23:49:06 ID:Pq1kYQew
愛弟子――チャングムは、明るさと積極性、そして持って生まれた素質で
水剌間の仕事をこなしてきた。
特に未知の物を知ろうとする好奇心の強さは目を見張るものがある。
これが彼女の長所だが、逆に落ちつきがない、後先を考えず行動するといった
欠点もある。
これから男女の交わりについて彼女に説く訳だが、男女の交わりには
体の快楽と欲がついてまわる。
今は顔を朱に染め、うつむく乙女であったとしても体の快楽を知った時、
好奇心の強さ故に暴走し、欲に飲みこまれてしまうのではないか。
その不安を断つかのように、チャングムの肩に置いた手に力をこめた。
「チャングム」
チャングムはゆっくりと顔をあげた。
「チャングム、これから私が言う事をよく聞いてね。
男と女の交わりには体の快楽があります。きっと、お前が今まで味わった
事のないもの…」
師の瞳がチャングムを映し、チャングムの瞳は師の唇を映す。
「その快楽は人の判断を狂わせる…………自分が自分でなくなる、体が
いうことをきかない…………体の快楽を欲する心に負けたものが
どうなるかわかる?」
チャングムは唇をふるわせた。だけど言葉が出てこない。
83ハン尚宮×チャングム 手ほどき?:2006/02/05(日) 23:51:45 ID:Pq1kYQew
花のような香りが充満する部屋で、師と愛弟子は向かい合っていた。
師は目を伏せている。
「体の快楽を貪るだけの、人の形をした獣になってしまうのよ。
―――――――私はお前を獣に貶めたくはない。」
師の胸の中にチャングムは居た。チャングムの頬に師のぬくもりがあった。
チャングムの背中に師の腕があった。
「私はお前にこう言いました。“料理は食べる人のために作る。食べる人を
思いやる心こそが料理人の基本”だと。
男女の交わりもそれと同じ…………相手の事を思いやる心、それを
忘れないで……。もしその心を忘れたまま交われば、体の快楽を貪るだけの
獣になってしまう―――――――――」
チャングムは抱きしめられたまま師の鼓動を感じていた。師の鼓動と自分の
鼓動が時折共鳴し、やがてずれていく。その繰り返しを感じていた。
きっと尚宮様は私以上に不安なのだろう、そう思っておそるおそる腕を師の
背中へまわした。
師の胸の中で母親に抱かれていた遠い昔を思い出す。父と母もお互いを思いやり、
そして自分が産まれたのだろうか。
チャングムは少しだけ涙をこぼした。
「尚宮様、ありがとうございます。
私、尚宮様が教えて下さった事絶対忘れません」
師の胸の中、チャングムは微笑みながら告げた。


エロになれずごめんちい
84名無しさん@ピンキー:2006/02/06(月) 13:32:49 ID:DvAbpEnj
GJ!
できたら続き見たい
85チェ尚宮×クミョン 教え?:2006/02/07(火) 00:23:14 ID:jFvJw8N+
チェ尚宮はSだと思うんですが皆様いかがでしょうか?
ドラマ本編でクミョンの女官合格祝いのシーンがあったような気がしますが
気にしないでくだちい。
あと、クミョンはチェ尚宮を「おばさま」と呼ぶのか「おば君」と呼ぶのか
「おば上」と呼ぶのか。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
おばであり師でもあるチェ尚宮は、常に堂々とした立ち居振舞いで若い女官達を
導き、同期の女官達には「次期最高尚宮は彼女しかいない」と一目置かれている。
名門チェ一族に生まれ、最高の環境と素質に恵まれ、彼女自身も相応の努力を
重ねた当然の結果と言っても過言ではない。
いずれ自分もあのように、周囲から尊敬と羨望を集める女官になり、ゆくゆくは
水刺間の最高尚宮になる、そう信じていた。
だから昇級試験を主席で及第したのも当然だと思っていた――――――
86チェ尚宮×クミョン 教え?:2006/02/07(火) 00:26:01 ID:jFvJw8N+
チェ・パンスル邸ではクミョンの及第祝いが開かれていた。
とは言え内輪だけの慎ましやかなものであったが、並べられた料理は山海の
珍味が取り揃えられ、王の御膳もかくあるやといった感であった。
チェ・パンスルがそれぞれの食材の薀蓄と入手経路について語り、妹のチェ・ソングムが
水刺間での調理方法について語る。二人のめいであるチェ・グミョンは目を輝かせて
話を聞いていた。
「いやいや、クミョンも大したものだ。皇太后様からお褒めの言葉をいただき…
一日も早く王様の御膳を任されるようになるのだぞ」
「兄上、さあ、もう一献」
妹に酒をすすめられ、パンスルは杯を受けた。
「今回及第した水刺間の女官達は皆、クミョンの足元にも及びませぬ……ふふふふ」
「そうかそうか……ああ、本当に今日はめでたいのう」
おじの目がとろりとしていた。クミョンは黙ってただ微笑む。
「さあクミョン、お前もいただきなさい」
おばが彼女に杯を渡した。
「はい……それでは………」
宴席なので杯は受けたが正直クミョンは酒の味が分からない。料理人としてこれでは
良くないとは思うが、今まで酒に酔った者の目に余る行いを見てきたこともあり
すすんで酒の味を覚えようとは思えなかった。
87チェ尚宮×クミョン 教え?:2006/02/07(火) 00:29:54 ID:jFvJw8N+
酒のせいで口の中と喉が熱くなった。クミョンは酒を飲み干すとまた黙って微笑む。
自分が何かを話すより、二人の話を聞いている方がこの場に相応しいと思ったからだ。
「おお、それはそうとあれはどうなったのか」
突然おじが言った。おそらく宮中に収める食材の事を聞きたいのだろう。
「はい、手抜かりなく……早速今夜執り行います」
おばは静かに答えた。何を今夜行うのか知らないが、二人は時々このような会話を
人前でしているのでクミョンは気にもとめず料理を見ていた。
「ははははは…一族のため精進いたせよ……これ、あの酒を持って参れ」
おじが声をかけると、瓶をもった下女が二人部屋へ入った。
「この酒が尚宮、その酒がクミョンへのわしからの贈り物だ…ささやかであるが
是非受けてくれ」
おじが下女に命じ、それぞれの杯に酒を注がせた。二人は杯を受ける。
「ああ…この味は…………梨や桃の味が……」
クミョンが微笑みながら言う。おじは得意気に、果物から造らせた珍しい酒であると
強調し、梨の花の故事や桃の木の故事を一通り話した。
「とても飲みやすいお酒ですね……どんな料理に使えるかしら…」
下女がすすめるまま杯を重ねると、おばが「私がいただいた方も飲んでごらん」と
瓶を差し出した。
断る理由もなく、クミョンは杯を受ける。鼻につんとくるきつい酒だが、ほのかに
甘味がある。思わず顔をしかめて「これは何のお酒でしょうか…」と尋ねた。
おじは身を乗り出して、この酒が遠い南の国にしかない木の実と草で造られたとても
貴重な物だと講釈をはじめた。おじが言うには、遠い南の国には季節が夏しかなく
人々の肌は鉄のように黒い事、人々は不死鳥を神と信じている事、黄砂ではなく
一年中嵐がやってくる事…。
88チェ尚宮×クミョン 教え?:2006/02/07(火) 00:35:44 ID:jFvJw8N+
「おお、おお…飲み過ぎた……今日はもうお開きとしよう…。では頼んだぞ…」
おじは体を揺らしながら部屋から出た。クミョンの頬が酒のせいで桃色になっていた。
「クミョン、私達も下がろう」
おばが立ち上がり、下女に何かを告げると灯りを持った従者がやってきた。
「クミョン、これから寄る所があるからついてきなさい」
クミョンは黙って立ち上がり、おばの後ろに付き従った。おばは従者に指示を出して
歩いていく。
屋敷の外に出ると数人の従者がいた。灯りを持った従者を先頭に、おばとクミョンが
従者に囲まれて進んで行く。
「あの……何があるのでしょうか」



続け
89名無しさん@ピンキー:2006/02/07(火) 00:45:44 ID:xBkdMGhS
キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!!!!
90チェ尚宮×クミョン 教え?:2006/02/07(火) 23:13:09 ID:A9JDaBYf
>>68の続きが読みたいお

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
おばはお前も酔っているだろうから足元に注意しなさいとだけ言い、
クミョンの質問には答えなかった。
おばには押しの強い所があり、かつ常に正論ばかりを説くので誰も反論
できぬまま押しきられる事が多々ある。
もしやおばも酔っているのではないかと思ったが足どりを見る限りでは
そうでないようだ。クミョンは黙っておばの後をついていった。
あまり歩かないうちに小さな小屋が見えた。
「この中にお前に見せたい物があるのだ」
おばはそう声をかけ、従者に扉を開けさせると中に入った。クミョンも
続けて入ると、小屋の中には円卓と椅子、大きな箱と寝台があった。
小屋ではなくて使用人の住む家にも見えるが、そのような身分のものが
寝台を使うはずもない。
「ここは……?」
おばは灯りを持った従者以外を下がらせた。クミョンに椅子に座るよう
すすめ、従者に何かを命じると自分も座った。
「ここはな、チェ一族の女が宮中にあがる事を許された時に必ず来る
場所なのだ……無論私も来た事がある。
お前をここに案内できてとても誇らしく思うぞ」
「まぁ……」
クミョンは自分の頬が熱くなるのを感じた。
「これからここで、女官として最も大切な事を教えよう」
91チェ尚宮×クミョン 教え?:2006/02/07(火) 23:15:50 ID:A9JDaBYf
「はい、尚宮様……力至らぬ事もあるやもしれませぬが……どうぞ
私をお導き下さい」
クミョンはおばに礼をした。おばは笑いながら「そのような堅苦しい礼
などいらぬ」とクミョンを座らせた。
おばが一人残った従者に指示を出すと、従者は部屋から出ていった。
しばらくすると従者が四つの瓶を抱えて入ってきた。おばが瓶を受け取り、
従者を下がらせる。おばは円卓の上に瓶を並べると椅子に腰掛けた。
クミョンは瓶に貼ってある紙を見た。どうも中身は酒のようで、まだ宴席が
続くのかと不安になった。
「尚宮様、女二人で酒を酌み交わすのでしょうか……?それよりも女官として
大切な――――」
「クミョン、物事には順序がある。慌てなくともよい。私がきちんと
教えてやろう―――」
そう言ったにも関わらず、何故かおばは扉を開けて人を呼んだ。
さっきから微妙に言動が一致していないのは遠い南の国の酒のせいなのか。
クミョンはおばの態度が信用しきれなかった。本当に女官として最も大切な事を
教えてくれるのだろうか。クミョンはおばを見やった。
おばは薄く笑いながら瓶を眺めている。クミョンの視線に気がつくと、お前も
ご覧と瓶を差し出した。

瓶自体はよくあるものでとりたてて珍しいものでもなかった。
その時きぃぃと音がし、扉が開かれた。
扉の向こうには老人が居て、二人に礼をして部屋に入った。
一体どれだけおじの家には使用人がいるのかとクミョンは思った。
これだけ人が居れば給金もそれなりにかかるだろうし、その金を生み出すにも
元手がとてつもなくかかるであろう。
「此度は…………クミョンお嬢様おめでとうございます」
老人がクミョンに向かって礼をする。この老人は女の自分の背丈よりも小さく、
髭が薄かった。
「ありがとうございます…」
クミョンも老人に礼をした。今夜は様々な人から祝福を受けた。
クミョンは彼らを知らないが、彼らはクミョンを知っている。
92チェ尚宮×クミョン 教え?:2006/02/07(火) 23:19:06 ID:A9JDaBYf
「このお方は、私がお前と同じ年の頃に宮中で女官のお世話をされていた方なのだ。
今夜はこのお方からも大切なお話を伺うのだぞ、クミョン」
老人は無表情でおばの少し後ろに控えた。
「はい…………」
クミョンは椅子に腰掛ける。おばが瓶の栓を開け、杯に酒を注いだ。
「やはり宴席の続きですか……」
「何を言うか、料理人たるもの酒の味を知らぬようでは宴席の料理も任されまい…。
宮中ではそう酒を飲む機会もないだろうに……さぁ」
おばが杯をすすめた。ささやかな抵抗としてクミョンはこのままでは酔ってしまうので
水が飲みたいと言った。
老人が部屋から出ていき、水を持って来た。器の中の水を飲み干すと、クミョンは
黙って杯を受ける。
おばはクミョンに酒の味について感想を求めた。クミョンが答えると、おばは酒や
料理に関する薀蓄を訥々と語り始め、控えている老人からもその薀蓄を補うような
話を聞かされる。
おじもそうであるが、おばも酔うと己の知識を語りたがるようだ。
もしやこれはチェ一族の酒癖で、自分もこの傾向があるのかもしれない。
やがて老人がおばに杯をすすめ、おばが自分に…という流れができていた。
老人が詩を口ずさんでいた。酒に酔い、湖にうつった月を手に入れようとして
湖に沈んだ詩人の詩と老人が教えてくれた。

「どうしてその詩人は月が欲しくなったのでしょう……」
「得難いものを求めるのが、我々人間の性」
「そうでしょうか―――――――それよりも、女官としての………」
このままでは酔いがまわり、何も得られぬまま時間が過ぎていく。クミョンは
催促した。したつもりだった。
「クミョン、少し酒をすすめ過ぎた様だね。あの寝台に横になって酔いを
醒ましなさい……水を持ってきてあげよう」
おばがクミョンの手を引き寝台に横たわらせた。クミョンは赤い顔で尚宮様、
尚宮様とつぶやいていた。

「――――クミョン、女官として最も大切な事、それは…」
おばの声が遠くから聞こえた。
93チェ尚宮×クミョン 教え?:2006/02/07(火) 23:51:29 ID:A9JDaBYf

クミョンは夢の中で猫になっていた。
にゃああ、にゃああと鳴いていた。
気がつくと何故か湖のほとりで、湖に浮かぶ小さな舟を見ていた。
舟には男が一人乗っており、男はいきなり身を投げた。
クミョンは男を助けようと湖に飛び込むが猫の身で叶うはずもなく、自らも
沈んでいく。

湖の底には街があった。水底の街のはずれに小さな庵があり、先ほどの男がいた。
クミョンは庵に向かって走ると、軒先でにゃああ、にゃああと鳴いた。
男は猫のクミョンを抱き寄せて膝の上に乗せる。
男はクミョンの頭を撫でていた。クミョンは身を丸め、男の手と膝の温もりを
得ていた。
猫のクミョンは男の顔を見ようとして膝からおりた。男は離れたクミョンを
また抱きよせる。するとクミョンの体が元の人間となった。
一糸纏わぬクミョンが男を見た。―――――男は、誰あろう、己が思いを寄せる
男であった。
クミョンは男に抱きつくと、にゃああ、にゃああと鳴いた。
男の手がクミョンの背中にまわる。人の形を持つ二人が雪のように溶け、水滴になる。
水滴になったクミョンはにゃああ、にゃああと鳴いた。
鳴声が体をふるわせ小さな波紋を生み出す。
思いを寄せる男と溶け合った自分と、猫の自分と、元の人間である自分。
このどれかを選べという声がした。クミョンは選ぼうとした。どれかを選ばねば
己が消えるとも言われた。なのに体が動かなかった。体を選ぶために体が必要なのは
夢だからだと思った。
これは夢で、本当の自分はただの人間。そう分かっているのに夢の世界から
逃れられない。早く現実に戻りたい。たとえ思いを寄せる男と溶け合ったとしても、
所詮夢。湖にうつった月……。
94名無しさん@ピンキー:2006/02/08(水) 15:27:28 ID:PsfHjjI8
続きを…!
95チェ尚宮×クミョン 教え?:2006/02/08(水) 21:21:53 ID:vvXIbl6O
これ書いてたら友人から「妊娠した」とメールが来ました。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
「…………どうであろうか」
チェ・ソングムは寝台の上のめいを見た。
めいは酒で眠りについているが、手首を寝台に固定され、膝を立てて
寝かされていた。
老人がめいの膝を押し割り、秘部に顔を寄せる。指で秘部をくじり、尻を
持ち上げて一しきり撫でまわした後こう言った。
「子を成すのに問題はないと見受けられました……ただ、産道が狭いようで」
「そういえばクミョンが産まれる時は難産だったと……まぁよい、男の陽物を
受け入れられれば」
「津液は多いようでございます…………味は、酸味が強く……苦味が出てきた時に
精を受ければ子を授かりやすいかと」
老人は淡々と告げた。
「寝ているとはいえ……クミョンはまるで子鹿のように鳴いていたのう………。
ふふふふふ」
めいの頭を撫でてやる。クミョンは口を少し動かしたが目覚める気配はなかった。
「貴方様の教えで、私は閨の睦事を知った……この子も今夜―――――」
老人は表情を変えず、部屋に置いてある大きな箱から何かを取り出す。
「クミョンお嬢様は生娘でございます故、これで殿方を受け入れる準備を
された方が―――――――御召しの際に無様な真似はできますまい」
「ありがとう……この子は大変反応が良いが、それだけでは男の方が満足できなかろう。
こう……男が我を忘れるような、何か……」
眠るクミョンを舐めるように見る。寝息と共に動く唇と喉、肌蹴られた襟元から見える
乳房、乱れた裾から白い内腿が見えた。
「生娘のうちから男を惑わすとは…………じっくりと教えられた方が、クミョンお嬢様も
歓ばれるのではないかと」
老人は箱から取り出した物を手渡した。それを見て、ソングムは口を歪めて笑う。
「これを使うのか。まぁ、そのうちこれでは物足りなくなるだろうに」
96チェ尚宮×クミョン 教え?:2006/02/08(水) 21:30:33 ID:vvXIbl6O
老人は部屋から出ていった。ソングムは懐に手渡された物をしまい、寝台に腰掛ける。
「クミョン…女官として最も大切な事を教えてやろう。
―――――それはな、王様の子をなす事だ。
水刺間の最高尚宮などできる事はたかが知れている……。子ができれば、その子が
我が一族を王様に近づける―――――母であるお前が国の母となる事もある―――――
なれば、この国は我が一族が……」
クミョンの髪を撫でながら聞かせてやった。何も知らずクミョンは眠る。
「ふふふふふ……今の王様は聡明で気丈な女子を好むそうだよ…………。お前の
才気と容貌、そして………があれば―――――」
ソングムは眼を輝かせていた。その輝きは燃える炭のようにとろとろと己の
理性を溶かしていった。
円卓の上に残っていた酒を口に含み、めいに口移しで飲ませる。
めいは少し抵抗したようだが嚥下していった。口の端より酒が零れ落ち、めいの
喉を伝い鎖骨のくぼみに溜まった。
舌を少し入れてやると、応えるかのようにめいが口を動かした。舌先でつついて
やると向こうの舌も伸びてくる。
「うふぁ…むぅ……」
めいが寝息にしては大きな声を出した。頭を撫でてやる。
(本当に何も知らぬのか………)
めいが酒で眠っている間、老人と自分の二人がかりで体を隈なく調べ上げた。
老人が閨の事に精通しているのは確かだが、それを差し引いてもめいは声を
あげて歓んでいた。津液も敷布に染み入るほどであった。

―――――心がほぐれていれば、体もほぐれていくのです。

老人がこう教えていたような記憶がある。ならば酒で心がほぐれたのだろうか。
「まあよい。これからだな……」
97チェ尚宮×クミョン 教え?:2006/02/08(水) 21:39:36 ID:vvXIbl6O
―――――クミョンは人間の自分を選んだ。夢から醒めるために。
人間の体を得ても夢から醒めなかった。誰かが自分の腕を掴んで振り向かせようと
していた。
それを振りほどこうと思いっきり身をよじる。だが逆にその腕に掴まれたままだった。
その腕はクミョンを抱きすくめた。
クミョンは腕の主を知ろうと眼をこらす。腕の主は思いを寄せる男だった。
嬉しくて、クミョンは腕を伸ばす。抱き合った二人は溶けなかった。クミョンは
男に頬ずりをして体を押しつけた。
男はクミョンの頭を撫で、まぶたに口づけた。男は耳もとで「貴方に会いたかった
のですよ」と囁いた。
その言葉を聞いた瞬間、クミョンの足元がずぶずぶと沈んでいく。猫の身で湖に
飛びこんだ時のように。
自分が沈み、男が離れていく。クミョンは手を伸ばしたが男に届かない。
「ジョンホ様、私は……!」




「ジョンホ……?」
おばが怪訝な顔をした。
98名無しさん@ピンキー:2006/02/11(土) 15:34:47 ID:AbkUaY8N
ワクワク o(^-^)o
99名無しさん@ピンキー:2006/02/12(日) 16:24:36 ID:H+eRgny/
( ´д)ヒソ(´д`)ヒソ(д` )
100名無しさん@ピンキー:2006/02/13(月) 21:15:53 ID:c6dEjEkS
ワクテカ100
101チェ尚宮×クミョン 教え?:2006/02/14(火) 14:13:09 ID:pHp3X4Ow
ジョンホじゃなくてチョンホだったよ
――――――――――――――――――――――――――――――――――――
クミョンが寝返りをうとうとして体をよじった。しかし手首を固定されているため
がたんと寝台が音を立てただけだった。
(・・・・・・・・・・・・・・・・・・仕方ない)
おばは寝台から離れ、大きな箱の方へ行った。中から革でできた輪のような物を
取り出し、寝台へ戻るとクミョンの片方の足首に巻きつけ寝台に固定した。
自由になっているクミョンの片脚を広げ、秘部が露わになるようにするとその
入り口辺りを指で弄る。
「うふぅ・・・」
クミョンの声と湿り気のある音が聞こえた。
おばは懐から先ほど渡された物を取り出した。それは珊瑚で作られた棒状の物で、
それを咥えて唾液を塗し始める。割と小柄なおばの手に収まる大きさの棒は先の方が
丸みを帯びており、その部分には丹念に唾液を塗した。
口から棒が糸を引きながら離れ、握られた棒はクミョンの入り口へと向かった。
おばの目が一点に集中する。
ちゅ・・・と小さな音がした。
「・・・・・・ふ・・・・・・・・・・・・」
おばの口から声が漏れた。珊瑚の棒はクミョンの中に少しずつ沈んでいく。
クミョンは小さなうめき声をあげただけで、ただされるがままであった。
おばが棒をゆっくりと沈め、棒の中ほどまで沈んだところで静かに引き抜く。
「ぬ・・・・・・」
眉をしかめつつもそろりそろりと手を動かし、クミョンを伺う。
(まるで医者のようだの・・・・・・・・・)
鍼を打つ医者や医女ならば見立てを間違う事もあろうが、閨で見立てを間違う事も
あるまい―――――。おばはゆっくりと手を動かした。
棒の先端がするりとクミョンの入り口から出ようとした。
「あ・・・はぁ・・・」
クミョンが声を出した。


(ここか・・・・・・)
おばがまた口を歪めて嗤った。
102チェ尚宮×クミョン 教え?:2006/02/14(火) 14:30:40 ID:pHp3X4Ow
沈んでいく足元は水ではなかった。春まだ浅く、溶けきらぬ雪に足元をすくわれるようだった。
嫌です、離れたくない、夢でもいい、だから離れないで―――――――――――――――
男はただ微笑んで立っていた。自分だけが沈んでいく。
嫌だ嫌だとあがいても体が動かなかった。足元に溶けきらぬ雪がまとわりつき、それが体全体を
被いはじめるとさらにクミョンを動けなくした。
溶けきらぬ雪が何故か体の中を侵してゆく。その感触は冷たいだけでなく、蜜のようにぬめりがあった。

「嫌です!嫌です!」
雪が溶けていった。それなのに体が動かなかった。目の前には男でなくおばが自分を
見下ろしていた。
「う・・・・・・あ・・・?」
「クミョン―――――――――」
おばの顔が影になってよく見えなかった。
「おばさま・・・・・・?」
おばが自分の上でゆらりと動いた。その表情は眉間にしわをよせ、いつもの大きな目が睨むように
自分を見ていた。
やっと、自分が酒に酔い寝台に寝かされた事が分かった。
「申し訳ございません!今」
身を起こそうとすると手が動かなかった。頭の中が回りはじめてまだ酒が抜けてないのかと
思った。
何故か自分の襟がはだけていた。乳房も見えていた。酔った自分が何か粗相をやらかした―――――
「おばさま・・・!」
「クミョン、もう一度教えてやろう・・・・・・女官として最も大切な事―――――――――――――――
それはな、王様の子をなす事だ」
103チェ尚宮×クミョン 教え?:2006/02/14(火) 14:47:19 ID:pHp3X4Ow
「何をおっしゃっているのですか?私が粗相を」
クミョンは起き上がろうとしたができなかった。がたんと寝台が音を立てた。
「そのままで聞け・・・・・・女官は全て王様の女・・・・・・・・・・・・どういう意味か分かるであろう・・・・・・。
皆、等しく、国の母になれるのだ」
おばが肩をつかんだ。ゆっくりと顔を近づけてくる。
クミョンは体が動かないことを酒が抜けていないからだと思っていた。だが違った。
自分の手首には革の輪がつけられていた。腕をあげようとすれば寝台ががたがたと音を立てる
だけだった。
「おばさまお放し下さい!この輪は!」
叫ぶと頭の中が回り、首の後ろから痛みが広がった。
「王様のご寵愛を受ければ・・・・・・・・・そして子を成せば・・・・・・ 水刺間の最高尚宮以上の
名誉があるではないか――――――――のう、クミョン」
おばが炭火のような視線でクミョンを見ている。
「私は・・・・・・私は・・・自分の力で・・・・・・最高尚宮になります!なれます!ご寵愛などいりません!」
首の後ろの痛みは頭の中に入り込んだ。痛みが回りはじめてもクミョンは叫んだ。
「なぜ子を成さねばならぬのですか?!私は自分の力で手に入れるんです!」
「ほう・・・・・・お前が寝ている時に教えたではないか。“ 水刺間の最高尚宮などできる事はたかが
知れている”と・・・・・・」
素質と努力、そして最高の環境にいる自分が勝ち得るべきものをおばが否定した。
頭の痛みが強くなった。寝台の上にいる自分は現実なのに、寝台が溶けきらぬ雪のようだった。
「それよりも、お前の体・・・・・・」
おばが珊瑚の棒に指を添え、そのまま静かに引き抜こうとした。
「あは・・・っ!」
クミョンは股間に違和感を感じた。おばが股間に手を当てているのが見えた。
「私もしや本当に粗相を」
クミョンの頬が熱くなる。小さな子供でもあるまい、どうしてこんな年になって・・・・・・と
己が情けない上に恥ずかしかった。
「おばさま・・・・・・早くこの輪を外して・・・いただきとうございます・・・・・・」
小さな、自分にしか聞こえないかもしれない声で懇願する。
104チェ尚宮×クミョン 教え?:2006/02/14(火) 14:49:07 ID:pHp3X4Ow
「それはできぬ」
おばの言葉に一瞬頭の痛みが消えた。だが言葉の意味を理解するとまた痛みが襲ってきた。
「この部屋はな、チェ一族の女が女官として宮中にあがる前に、閨の事を教えるための部屋なのだ。
――――――――無論私もここで教えを受けた」
おばは諭すように言葉を重ね、指を動かして珊瑚の棒でクミョンを刺激する。
「あ・・・・・・うっ」
クミョンの股間の違和感が強くなった。口の中に無理やり匙を入れられ、苦い薬を飲まされている
感覚があった。
おばはなおも語る。
「眠るお前は・・・・・・私とあのお方の手習いで、たいそう可愛い声をあげていたよ・・・・・・」
「――――――――――――――――――――――――嫌!嫌っ!」
クミョンの頭の中に夢の風景が浮かんだ。夢の中で男に抱きついていた自分は、現実でおばとあの老人に
辱められていただけだった。



続けた方がいいですか
10568の続き妄想 ミン尚宮編:2006/02/14(火) 15:12:19 ID:pHp3X4Ow
(ちょ、ちょっと・・・・・・すっごく積極的過ぎない?まずい、まずい・・・・・・)
チャンイがずいいと顔を向けて迫ってくる。その瞳は新しい食材を見つけてきたチャングム並に
輝いている。
(まずい・・・可愛い・・・・・・・・・可愛すぎる!)
許されるならこのまま押し倒してあんなことやこんなことや教える必要のないことまで教えて
やりたい。しかしここは宮中。我々は王様の女。女官同士は禁止。王様以外の男も禁止。
そうは言っても可愛いものは可愛い。こんな気持ちも知らないで、チャンイはきらきらと瞳を
輝かせて私を見ている。
(よし、ここは一つ・・・)
「あんたね、お菓子食べた後に“口付けってどうやるんですか…。”はないでしょう!
ほら、口の周りになんかついてるわよ」
どうやら何とか乗り切ったようだ。
「本当に風情がないんだからもう」
チャンイがブーブー言いながら口の周りを拭いていた。

「じゃあ、その風情ってのを教えて下さい!」
「!?」
106名無しさん@ピンキー:2006/02/14(火) 17:13:58 ID:rjORy4ir
キタキタキタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!!!
107名無しさん@ピンキー:2006/02/14(火) 20:53:46 ID:g7WLYOWj
>>104さん、是非おながいします
108チェ尚宮×クミョン 教え?:2006/02/15(水) 20:47:49 ID:zAck8u3k
コメントありがとうございます。励みになっております。続けます。
あと、このスレの方は殿方と婦女どちらが多いのでしょうか。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
頭の痛み、違和感、酒と戒めで自由にならない体をどうにかしたかった。
とにかくこの状況をどうにかしたかった。
おばとあの老人が自分を辱めていた事、それに自分が呼応したらしい事、おばが言った事、
全てが何かの間違いであって欲しい。寝台からおりて落ち着きたい。
「やめて下さい!・・・・・・・・・・・・もう、やめて・・・・・・」
クミョンは寝台をガタガタとゆすって起きようとした。
「お前は閨では強情になるのか・・・・・・・・・・・・こういうのを好む男もいるだろうが、昼間のお前とは
随分違うの・・・・・・」
おばがクミョンの眉間を指先で押した。押された所から痛みが走る。
「あう・・・・・・」
クミョンの目から涙が出てきた。頭の痛みで体を動かす気が殺がれていく。
「私を困らせるのはやめておくれ。それに、閨の事を知るのは何もお前だけではない。
今日及第した女官たちはすべてこのような事を尚宮達から教えられるのだ……」
おばがため息をつきながら言った。
「だから、お前だけが特別なのではない」
「うっ…ですが―――――――」
「お前は言って聞くような子ではあるまい。ここまで強情だとは思わなんだ―――――――」
「だ、だから私にお酒を―――――――!」
「……ふぅ、兄上はお前が主席で合格したのを本当に喜んでいたよ……」
おばが眉間から手を離して頭をなでた。クミョンの目が赤くなっている。
「クミョン、もう静かにしなさい……」
「嫌です……私は、私の力で……」
かすれた声でクミョンが言った。

この子は本当は何になりたかったのだろう。何をしたかったのだろう。
もしかしたら商才があり、家業を支えていたかもしれない。それともチェ家の才媛と噂され、
意にそまぬ相手と結婚していただろうか。
けれどもどの道、この子が自分だけの力でどれだけの事を成し得るのかそれは分からない。
いかに優れた資質があったとしても、この世界からは「女」というだけで否定される。
自分もそうだった。様々な経験をするたびに抗う気力もなくした。「女」である自分が悪いのか、
「女」である事が悪いのか、「女」を否定する世界が悪いのかいつまでたっても分からなかった。
ならば「女」を捨てるか、「女」を逆手に取るか―――――この二つに行き着いた。
「クミョン、お前は本当に自分の力だけで何かできると思っているのか……」
ソングムの大きな目から光が消えていく。
109チェ尚宮×クミョン 教え?:2006/02/15(水) 20:53:09 ID:zAck8u3k
おばは珊瑚の棒を動かすと同時に、クミョンの入り口の上の方にも指を添えた。
指の腹でゆっくり撫ぜるとクミョンがびくりと体を震わせた。
「クミョン……お願いだから……」
違和感と同時に痺れがクミョンの体に起こった。それでも頭の痛みは消えない。
おばが指を動かすと体の痺れがひどくなっていく。
「う……やめてくだ、さい……」
おばが特殊な技法で自分を動けなくしているのだと認識する。
「人は自分の力だけでは何もできぬ……だから集い、寄り添う―――――」
そう言うと、おばはクミョンの胸元に顔を埋めた。
「ひぅ!」
おばが赤子のように自分の乳房に吸い付いている。乳房からも痺れが起こる。
違和感と頭痛と痺れがクミョンの中を侵していく。
「嫌―――――です―――――」
ぺちゃ、ぺちゃと音が聞こえてきた。何かを食べる時のような音だった。
「う、う…」
「お前は家のために宮中へ行った。私とてそうだ。はっ……無力な者同士
寄り添ったつもりが、結局家のために利用されていたとは……。
お前が俸禄を両親に送っているのは知っているが―――――」
またおばはクミョンの乳房に顔を伏せた。


私には好きな人がいる。
その人と一緒にいたい。だけどできない。
その人が私をどう思ってるか分からない。それに私とは身分が違う。
その人は王宮に仕える貴族。私は商家の娘。
それに私は女官にならなければならない。お父さんとお母さんのため。それに
私の面倒を見てくれたおじさんのため。
だから一生懸命頑張った。私の事をひいきされてるとか、いい所の娘だからとか
言う人もいた。そういう事を言う人ほど何もしてない、頑張らない。
私が頑張ったのはお父さんとお母さんのため、おじさんのため。
でも本当は違う。
好きな人と一緒にいられないから。どんどん苦しくなるから。
頑張れば皆がほめてくれて、そうすれば苦しいのが少しだけなくなるから。
だから私は頑張る。これまでだって、自分の力でいろんな事をしてほめられた。
いろんな人が私をほめてくれたけど、おばさまにほめられるのが一番うれしかった。
おばさまは私と同じで家族のために女官になったとおっしゃっていた。
それにいろんな事を知っていて、他の尚宮様やおねえさん達から尊敬されていた。
おばさまは普段は怖いけど本当は優しい人。私の気持ちもきっと分かって下さる……。
110チェ尚宮×クミョン 教え?:2006/02/15(水) 23:18:13 ID:zAck8u3k
やがてクミョンは自分の体から違和感が消え、頭の痛みと痺れが強くなってきているのを
感じ取った。
「もう…こんな事、やめて下さい…………」
ただ懇願するだけで、抵抗する気力も消えていった。
「私は……ただ頑張っただけ、なんです・・・・・・・・・・・・頑張らなきゃ―――――あふっ!」
おばの動かす珊瑚の棒がクミョンの入り口をひっかくように刺激を与える。
また痺れが強くなってくる。
「―――――頑張らなきゃ、苦しい…………だって、だって」
痺れと痛みでおかしくなる前に伝えなくてはならない。きっとおばさまは分かって下さるから。
クミョンの目から涙が溢れる。
「だって、私は」
「チョンホとかいう者が諦められないのか?だから苦しいのか?」
胸をどんと押されたように思えた。自分のいるこの場所が溶けきらぬ雪のように思えた。
「う……あ……ああ」
「お前は寝言でその者の名を呼んでいた…嫌だ嫌だと言っていた―――――今ここでその者を忘れろ。
忘れてくれ!」
刹那、クミョンの口がおばの口でふさがれた。
ぺちゃ、ぺちゃとまた音が聞こえてくる。おばの口がクミョンの口を割り、舌をのめりこませる。
クミョンはただされるがままだった。おばの手が何故か震えていて、自分の肩を握っている。
――――――――――おばさま、分かって下さらないのかな…
クミョンは目を閉じた。口の中をこね回されていたが、痺れは消えて頭の痛みだけが残った。
クミョンが息苦しさを感じた時、おばも同時に口を離した。
「頼む……忘れてくれ…………何故自ら進んで苦しもうとするのだ!その者がお前に何か
してやれるのか!?―――――何もしてやれないだろう!何もしないだろう!
私の方がお前に――――――――――!私は女官だ、必要ならお前に何でも教えてやろう。
金子も用立ててやる……私が宮中にいる限りお前をいつも見守る事もできる…………私が
宮中を下がっても…お前の後ろ盾ぐらいにはなれる――――――――――!」
肩をゆすぶっておばが叫ぶ。頭の痛みと共におばの言葉が響いた。
おばの息が荒い。
「お願いです……離して下さい……」
「―――――許さぬ。お前が忘れるまで…………離さぬ」



中途半端でごめんちい
111名無しさん@ピンキー:2006/02/16(木) 23:31:38 ID:GQACA19B
乙です!!
チェ尚宮さまステキすぎますww
クミョン、やっぱりミンジョンホのことは諦めきれないんだね。悲しいなぁ・・・
続きがんがって下さい。楽しみにしてます
112名無しさん@ピンキー:2006/02/17(金) 13:13:17 ID:O/tjq9ci
GJ!
でも切ない…。
それから、>>105にあるミン尚宮編 の続きもすごい。楽しみにしてます。
11368の続き妄想 チャンイ編:2006/02/18(土) 13:05:16 ID:jECYgFpy
「ミン尚宮さま。口付けってどうやるんですか…。」
さっきミン尚宮さまが私を“可愛い”ってほめて下さったの o(^-^)o
ここで押さなきゃ!ミン尚宮さまって結構押しに弱いから、ここは押せ押せで
攻めて、絶対に手・ほ・ど・き教えてもらう!
今まで他の女官仲間と研究してきた「グッとくる表情&仕草集」その1、
“新しい食材を見つけてきたチャングムの目の輝き”でミン尚宮さまを見つめる。
どう?どう?ミン尚宮さまぁ〜。早く教えて下さ〜い。

「あんたね、お菓子食べた後に“口付けってどうやるんですか…。”はないでしょう!
ほら、口の周りになんかついてるわよ」
……あれ?
…………効かない?
これはもしかしてあの武官やハン尚宮さまにしか効かない?しくじったぁ…。
「本当に風情がないんだからもう」
確かに口のはじにお饅頭の皮がついていた………これじゃあ口付けなんて無理orz
なら作戦変更!
「じゃあ、その風情ってのを教えて下さい!」
114名無しさん@ピンキー:2006/02/20(月) 01:15:31 ID:tdHyFgdm
>>113
チャンイ可愛い♪
続きお願いします
115チュ尚宮様王宮へお戻り下さい:2006/02/20(月) 23:45:12 ID:LanVzFsK
16話でチャングムとチョンホが寺の小屋に隠れた時の妄想

カッコ内は心の声・かぎかっこ内はセリフ


※(チャングムさんと二人っきりチャングムさんと二人っきりチャングムさんと狭い所に
  二人っきりチャングムさんと薄暗い所に二人っきり寺男GJ!)
熊(さっきの追手は何だったんだろう……チョンホ様を狙ってた……お母さんと逃げた時
  みたいで怖い……)
外から追手が家捜しする音が派手に聞こえてくる
熊(怖い…………怖いよ……)
 「……………」
熊うつむく
※(うっわチャングムさんのほっぺぷにぷにしてえ)
 「大丈夫でしたか」
熊「はい…ちょっと息が切れましたけど何とか……」
熊胸に手をあてる。※を心配させまいと無理に笑顔を作る。
※「無理はなさらないで下さい。あの者達もしばらくすれば……」
 (ずっと家捜しして下さい追手の皆さんwwwwそうすればチャングムさんと二人っきり
  チャングムさんと二人っきりチャry)
熊「そうですね……ありがとうございます」
 (私っていつも薄暗い場所に誰かと一緒に閉じ込められるなあ……)
※(やべえムラムラしてきた(;´Д`) )
 「……もう少し奥に行った方がいいのでしょうか」
※少し前かがみ
熊「はい」
 (どうしたのかしら?逃げる時にどこかぶつけたのかな?)
※(おにんにんおっきおっきしたお)
 「……………」
※やはり少し前かがみ
熊「チョンホ様、もしかして先ほどどこかぶつけたりしていらっしゃるのでは」
熊、※を心配そうに見つめる
※「いえ、そういう事はありませんが何故に?」
 (まずいまずいまずいまずい沈まれ静まれ鎮まれ)
熊「…背筋が少し曲がってらっしゃるので。チョンホ様はいつも背筋が伸びてらっしゃるのに
  さっきからずっと前のめりですから……」
※「そうでしたか……」
 (何で女ってこんなに察しがいいんだよ)
116名無しさん@ピンキー:2006/02/21(火) 05:55:46 ID:UqK1+3dS
楽し過ぎるw
できれば続きも!

熊ってw
117チュ尚宮様王宮へお戻り下さい:2006/02/23(木) 22:39:53 ID:FUR0XUdZ
115の続き

※「とりあえず座りましょう。もっと奥に隠れた方がいいかと…」
(まずいまずいまずいまずい沈まれ静まれ鎮まれ)
※若干前のめりで座る
熊「はぁ…」(さっき走ったから汗臭いかも…離れよう…………)
熊、※と1メートルぐらい距離を置いて座る
※「…………」(さっき逃げる時チャングムさんと手つなげたなぁ…体もさわっちゃったなぁ…)
熊「…………」(チョンホ様どうして腰が浮いてるんだろう…もしかして厠に行きたいのかな…)
※「…………」(昨日は海で遊んだし、バーベキューもしたし、今日は二人っきりだし…………。
昨日チャングムさんお父さんの事教えてくれたよな…)
熊「…………」(まだあの追手いるのかなぁ…怖い…………)
※「…………」(アウトドアだと女が開放的になるって本当だな……)
熊「…………」(…………天井向いて怖い顔してるけど……チョンホ様やっぱり厠に行きたいんだ)
※「…………」(今日は最後までやるしかないな…)
熊「…………」(走ったらチマがずれちゃった…直しとこ)
熊襟元を直す
※「!」(おい!チャングムさんが乳寄せてますよ!)
熊「…………」(髪もぐしゃぐしゃになってる…お風呂入りたい…)
熊うなじの後れ毛を撫で付ける
※「!!」(チャングムさんが誘ってますうはwwwwwwwおkwwwwww)
熊「…………?」(お腹痛いのかな…?すごい顔してる)
※「………………………………」(もちつけ漏れ!生でやっちゃったらチャングムさんと漏れの子が
できちゃうYO!いやむしろ作らせて下さい)
熊「!」(やっぱりお腹痛いんだ!薬草!薬草!)
熊立ち上がって辺りを見回し薬草を探す
※「!」(チャングムさんに漏れの童貞を捧げます)
熊「チョンホ様今薬草を探しますね!もう少しですからね!」
※「!!!」(漏れそんなに弱そうに見えるのか?チャングムさんとなら何発でも逝けます)
熊音を立てないように辺りの物を探し回る
※「…………」(チャングムさんそれなのにじらしプレイですか)
熊「!!」(ここ薬草なんてない!どうしよう!)
熊、※の頭上にある棚を見ようとして※の足を踏んでつまづく
熊「―――ぁっ!」
熊、※にダイブ。仰向けの※に熊がのしかかった状態。
熊「す、すみません!」(音立てたら見つかっちゃう!)
※ ( д)   ゚     ⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y ゚
(出ちゃった………………………………チャングムさんのオパーイチャングムさんの匂いチャングムさんの
息チャングムさんの髪チャングムさんの二の腕チャングry)
寺男「もう追手はいなくなりましたよー」
熊「おじさんチョンホ様が!」

終わり
118名無しさん@ピンキー:2006/02/26(日) 08:54:47 ID:FErSMh5v
へたれなチョンホってらしくていいねw
119名無しさん@ピンキー:2006/02/26(日) 20:47:40 ID:S+iogLNh
職人ガンガレ保守
120sage:2006/02/27(月) 01:34:22 ID:zNXF9TCc
>117GJ
121チュ尚宮様王宮へお戻り下さい:2006/02/27(月) 23:20:45 ID:opRT96po
ヘタレチョンホの妄想
チャングムさんに虎耳と虎しっぽをつけてもらって二人で狩りごっこしたい。
野生的なチャングムさんに襲われたい。むしろ食われたい。
>>>>>>>>>>>>>>>超えられない壁>>>>>>>>>>>>>>
雑草チャングムの本音
本を貸してくれる武官が親切にしてくれて話も面白いからちょっとデートしたけど、
それぐらいで俺の女扱いはやめてほしい。付きまとうな。
おかげで同僚に嫉妬されてそのせいで女官をくびになった。
今は田舎で職業訓練している。早く宮中に戻りたい。

コメントありがとうございます。うれしいです
122名無しさん:2006/03/01(水) 22:57:36 ID:rGN0qXb7
チャングム×チョンホのエロキボンヌ
123チュ尚宮様王宮へお戻り下さい:2006/03/02(木) 18:58:33 ID:xV6d6IA7
空気を読まずにとりあえずまとめる

既出
-----------------------------------------------------------------------
>>6
亀×女官
>>14
トックおじさん×子チャングム
>>18
子チャングム恥辱
>>26
名無し女官2名
>>28
王様×医女チャングム
>>47
チョンホ×クミョン
>>64
ミン尚宮×チャンイ
>>75
ハン尚宮×チャングム
>>85
チェ尚宮×クミョン
>>115
チャングムとチョンホ
124チュ尚宮様王宮へお戻り下さい:2006/03/02(木) 19:03:34 ID:xV6d6IA7
キボンヌ
-----------------------------------------------------------------------
>>20
ネシブ長官×ハン尚宮
>>21
チャン具無×チョンホ、苦ミョン×チョンホ、または妄想苦ミョンの一人エチ-
>>30
クミョンとラブコメ
>>74
ジョンホ×チャングム
>>122
チャングム×チョンホ
125名無しさん@ピンキー:2006/03/03(金) 00:02:07 ID:Ph6PucBU
皇后様ネタ見てみたい
126チュ尚宮様王宮へお戻り下さい:2006/03/03(金) 00:53:12 ID:SQIjo/tI
空気を読まずにry

チェ尚宮の日記

ふと気がついた。
同期で水刺間に残っているのはペギョンと私の二人だけ。
宮中を下がった者もいれば王の側室になった者もいる。
先代の王は色好みであったからして人手不足の時期もあった。
同期の者が随分と減ったものだ。
しかし、なぜ私とペギョンだけが何事もなく尚宮になったのか。

バンバンバンッ←机を叩く音
>>>>>>>>>>>>>>>超えられない壁>>>>>>>>>>>>>>
ハン尚宮の日記

チャングムがミョンイの娘だった。









明日の夜にでも親子丼の作り方をチャングムに教えてやろう。
127名無しさん@ピンキー:2006/03/04(土) 13:59:02 ID:JZRmg1Mn
>>126
ワロタ。いつもGJです!
ハン尚宮様のミッドナイトクッキングが禿しく気になるww
128名無しさん@ピンキー:2006/03/06(月) 19:16:27 ID:D7ldNz4K
           韓国の歴史 = 願望と欺瞞と捏造で塗り固められた歴史    


日本人と韓国人の考え方の違い<`∀´>「諸君!」4月号
http://bbs.enjoykorea.jp/tbbs/read.php?board_id=phistory&nid=62393
   韓流「自己絶対正義」の心理構造<`∀´>「諸君!」4月号
   櫻井よしこ(ジャーナリスト)/関川夏央(作家)/古田博司(筑波大学大学院教授)より抜粋


櫻: 「日中韓『靖国参拝』大論争」(文芸春秋2005年8月号)のときにも感じたのですが、都合の悪いところ、自分にとって弱いところを突かれると、韓国の人たちは答えようとしない。
  そして、まったく別のところに話題をポンと変えて、また怒りだす。

古: 日韓歴史共同研究委員会も似てますよ(笑)。当事者なのであまり詳しくはお話できないのですが、たとえば意見が対立しますね。
  日本側の研究者が「資料をご覧になってください」と言うと、韓国側は立ち上がって、「韓国に対する愛情はないのかー!」と怒鳴る(笑)。

古: さらに「資料を見てくれ」と言い返すと、「資料はそうだけれど」とブツブツ呟いて、再び「研究者としての良心はあるのかーっ!」と始まるのです。

関: 歴史の実証的研究では韓国に勝ち目はないでしょう。事実よりも自分の願望と言うか、「かくあるべき歴史の物語」を優先させるようですから。

古: イエス。これは韓国の伝統的な論争の流儀であり、思考パターンなのですね。李朝時代の両班の儒教論争も、みなこれですから。
  要するに、「自分が正しい」というところからすべてが始まる。
129名無しさん@ピンキー:2006/03/09(木) 10:49:28 ID:JLxyXEJA
ほしゅ
130名無しさん@ピンキー:2006/03/10(金) 00:13:36 ID:sgoPgxTz
※クミョンの日記
チャングムとは、正々堂々と競いたかった。
でも、これがチェ一族に生まれた業なら、どうやら仕方あるまい。
しかし、どれほど奸計を弄しても、運はチャングムに味方する。
あの長官様でさえ………。
やはり、正義は最後には勝つのだろうか。


※チャングムの日記。
長官様に、少女の頃、一晩だけオモチャになりなさいと云われた。
私はよく分からず、裸にされ、静かにされるがままになっていた。
大きくなってから宮中の奥にも出入りするようになって、
「あの時の事は、よく分からなかったので、宮中の賢い方々に質問してもいいですか?」
と長官様に云ってみた。
その後は、困ったときに行ってみると、大体なんとかしてくれる。
131名無しさん@ピンキー:2006/03/10(金) 09:45:05 ID:hdQxb3KP
あんたの小ネタ大好き。
今日も一日がんばるか〜
132sgoPgxTz:2006/03/10(金) 14:11:23 ID:sddSedhw
>131
ごめん。いつもの人とは別人だよ。

ちょっと、チャングムの事良く考えると、
どうも腹黒い奴みたいな気がしてならないんだよ。
そいで、ちょっと書いてみた。

次落とす時は、名前に黒チャングムって入れるから。

133名無しさん@ピンキー:2006/03/10(金) 14:56:42 ID:hdQxb3KP
了解。

俺もチャングムは腹黒い人のような気がする時がある
いいなそれ>黒チャングム
134チュ尚宮様王宮へお戻り下さい:2006/03/10(金) 22:16:55 ID:aMt9eWDb
職人さんがきたよーうれしいよー!

今日は放送日だー!
135名無しさん@ピンキー:2006/03/11(土) 14:39:10 ID:EsRTq2iO
舟の上で走り出して男達に押し倒されてるハン尚宮様がエロかった
136名無しさん:2006/03/11(土) 19:33:52 ID:aLzqDz+G
ミン尚宮×チャンイの続きキボンヌ
137チュ尚宮様王宮へお戻り下さい:2006/03/11(土) 23:57:38 ID:8g4aqM2i
>>130のスケベ長官だと>>20ができるな…。
太平館に軟禁されてる時に…とか。

ハ「チャングムがたった一人で料理を…!ああ、私は…………」
長「ハン尚宮殿、気落ちなさいますな。私が何とか話をつけて…」
ハ「お願いします長官様。あの子を、あの子を…」
長「しかし私でもできる事とできない事があるゆえ……ハン尚宮殿にも
力を貸していただきますが」
ハ「私ができる事ならどのような事でも致します」
長「じゃあ今夜俺の夜伽」
ハ「は?」(※20話でトックに「女房とも夜中にデートした事ない」と言われた時のように)

誰か真面目なのを書いて書いて
138名無しさん:2006/03/12(日) 21:25:06 ID:aktaYIaR
>135
確かに・・・ハン尚宮様エロかった・・・
139チュ尚宮:2006/03/13(月) 22:12:53 ID:Uy4lLNUH
>>137
私が、チュ尚宮です
呼びかけて下さって有難う礼を云います
久しぶりに来てみました
残っていて嬉しいわ
140チュ尚宮様王宮へお戻り下さい:2006/03/14(火) 00:30:24 ID:CNk2rtWJ
やっとお戻りいただけたのですね!
早く皆にエロの真髄を!
――――――――――――――――――――――――――――
漏れの妄想による各人の傾向と対策

チャングム
積極的。好奇心旺盛なので何でもやってみたがる。
ハン尚宮
幼い頃のレイプ未遂がトラウマ。でもミョンイとチャングムのためなら頑張る。

チ「尚宮様〜トックおじさんから料理の本をいただいたんですけどここが
わからないんです」
ハ「見せて御覧なさい。…何なのこれは!」
チ「トックおじさんからいただいた明国の料理の本なんです〜(*´▽`*)
教えて下さい尚宮様〜」
ハ「…………ついてきなさい」
※料理の本=5話ぐらいに出てきたトック自作の本のこと


クミョン
体調不良(生理痛・神経性胃炎)が多くその気になれない。乱れるとすごい。
チェ尚宮
一族のためなら体も張れる。秘伝の春画で勉強済。

チ「今日はこの本で勉強するぞ。さぁ服を脱げ」
ク「今日は月のものゆえ…」
チ「そうか。ではこの部分を十遍朗読致せ」
ク「………………(言葉責めかしら…)」
141黒チャングム:2006/03/15(水) 01:34:23 ID:INUc66XT
※ハン尚宮の日記

 チャングムに水を持ってくるようにと命じてから、もう何日になるだろう。
 いい加減投げ出すか、泣き言を言うかと思ったが、存外骨があるようだ。
 だが、この宮中では、真面目に努力するだけではダメだ。
 相手が何を求めているか、何を云わんとしているのか、
 言外の言葉を知る聡明さがなければ、生き残っていくことはできまい。
 ここは心を鬼にして、静かにチャングムの答えを待とう。


※チャングムの日記
 
 ハン尚宮様のご命令は、私へのいじめなのかしら。
 わたしを宮中から追い出すつもりだとしたら、ここは簡単に泣き寝入りするのは癪だったので、
 だから、気分転換のつもりで、この前知り合った宦官のおじさまの処に、行ってみたの。
 宦官のおじさまは、私に優しく、
 「ここはどうだ。痛くはないか。
 まだまだつぼみが硬いなぁ。そこが可愛いところなのだが」
 とおっしゃりながら、チョゴリの奥に手を差入れ、オシッコの出る場所の上の処をクリクリとさすりました。
 「ちょっと震えているようだな。
 寒くはないか?それでいて、手のひらが汗ばんでいるようだ。暑くはないか。
 それとも、わたしを怖れているのか?
 私には男のものはついていない。だだこうして、おまえの大事な場所をさすったり、
 撫でたり、小さな胸の膨らみを見たり、肌を嘗めさせてもらったりすれば、それで充分なのだ。
 状況が許せば、おまえを温かい湯で温めて、血の巡りを良くし、
 硬くなる身体をゆったりさせてほぐしてから、ゆっくり撫でさすってあげると、
 お前も早く気持ち良さというものを全身で感じることができるのであろうが………」
 「あの、宦官さま。
 わたしごときの体調に、そこまで気配りなさるなんて」
 「それがわたしの仕事だからね。
 それに、体調をより良い状態に整えるからこそ、
 わたしの愛撫に可愛く反応するお前を楽しむことができるというものだ」
 「それでは、たとえば一杯のお水でも、暑くて喉が乾いている時と、
 身体が冷えている時とでは、お出しする水も替えたほうがいいということですね」
 ようやく、答えがみつかったのかもしれないと思う。
 その事で、私の緊張が解けたのか、宦官のおじさまの指先の触れた場所に、
 熱いものを感じた。
 おじさまは、チョゴリの下に顔を埋め、さきほど指でさすった場所を下でクリクリし始めた。
 そして、チマの襟元から手を差し入れて、両方の胸の突起を同時に弄る。
 わたしは思わず声が出て、次におじさまの指が、穴に触れたとき、ぬっとりと、
 そこが濡れているのに気づいて、羞恥で全身が熱くなった。
 心臓の音が激しくなるのを感じた時、足の先から腰にかけて、ビリビリと何かが走り、
 そして次にガクガクっとなった。
 なんか、それが凄く気持ち良くて、グッタリとした身体をしばらくおじさまに預けて、
 いつの間にかウトウトしていた。

 翌日。ハン尚宮様に合格をもらうことができた。


 
142チュ尚宮様王宮へお戻り下さい:2006/03/15(水) 20:13:51 ID:U6U07Rsh
黒子チャングム*・゜゚・*:.。..。.:*・゜(n‘∀‘)η゚・*:.。. .。.:*・゜゚・*
143名無しさん@お腹がいっぱい:2006/03/16(木) 14:49:09 ID:yXWkZEpU
黒子チャングムに萌え〜
144名無しさん@お腹がいっぱい:2006/03/18(土) 00:57:21 ID:JGaj+FGg
クミョンの一人エチーキボンヌ
145名無しさん@ピンキー:2006/03/18(土) 03:02:31 ID:HatPW3XA
ここは女の子におすすめ真面目な出会い
が出来ると思うよ♪  http://wres3160.web.fc2.com/

146名無しさん@ピンキー:2006/03/18(土) 12:19:50 ID:nxGUVwo1
チャンイのエロキボンヌ
147名無しさん@お腹がいっぱい:2006/03/18(土) 23:00:38 ID:CFRz1xbT
チャンイのエロキボンヌ
148名無しさん@お腹がいっぱい:2006/03/20(月) 22:29:56 ID:a1EEbCGT
>>145
かなりうざいよ。
149名無しさん@お腹がいっぱい:2006/03/20(月) 23:11:56 ID:a1EEbCGT
きゃぁ!!!この文章をみた人は運が良すぎぃ!!!
このメールは新型ですww
好きな人から告白★されたり・・・
嫌いな人が不幸になったり・・・
欲しい物が手に入ったり・・・
もうもう幸せすぎて、倒れそう!!!ww
でもねぇ・・・絶対にやらなければいけないことがあるの・・。
それは・・・【この文章を他のスレに3個貼る】これだけよ!!
どう?簡単でしょぉ??でもこれをしないと幸せにはなれないよ・・。
最後に一言・・・皆に幸せがおとずれますように・・・(^0^
150名無しさん@ピンキー:2006/03/20(月) 23:58:01 ID:ghCP9jz9
そうすれば料理試験の問題が出てくるの?
151名無しさん@ピンキー:2006/03/21(火) 05:11:28 ID:BavhCKGM

      チョンドラマばっかリ見てると、こんな顔になっちゃうよ。

           ,、_                 ____
      γ ̄ ̄o ヽ               /;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;丶
       | ∞∞∞∞|     ____   /:;:;:;:;:;:;:;[二]:;:;::;:;:;l
    __| ____|__ γ;;;;;;;;;;;;ll;;;;;;;;;/:;:;:;;;;;;;:;:;:;:;:;ll::;:;:;;;:;:;:;:;:;|
       | ノ '''  ''' ヽ| /;;;ノ '''  ''' ヽ:;:;:;|ノ '''  ''' ヽ:;:;|
      | ll 'ゝ,  、ノ' | lX|/ 'ゝ,  、ノ' |:;:;/  'ゝ,  、ノ' |:;|
     / ll  ,,ノ(、_, )ヽ ミ8|   ,,ノ(、_, )ヽ ミl:;:;|  ,,ノ(、_, )ヽ、,, .:::\
     \ 、ll Y`-=ニ=- Y 人`、Y`-=ニ=- Y、人`、 Y`-=ニ=- Y.:::::/
      \ll __`ニニ´:::::/ \  `ニニ´ ::::/ \   `ニニ´ ::::/
      / /ヽヽヽノ/ /´> .) ̄ヽヽヽノ lヽ )/  ̄ヽヽ.ヽノ  />  )
     (___)V/ / (_/.二二二二l/_/l /二二二二 l/_/
       l 二二二二l    (_/ l l l. | | )' ヽ_ ) l l l. | | )'
      |  //    ヽ ./ / | l | | | |   // | l | | | |
       |_//     lノ_ | | |  |_| | ノ_ | | | |_| |
      ∪ `ー、___ヽ ∪` ー、___l  ∪` ー、___l
            \_)       \_)         \_)
152名無しさん@お腹がいっぱい:2006/03/22(水) 22:46:25 ID:6xmO9p0j
>>151
うざいMAX
153名無しさん@お腹がいっぱい:2006/03/23(木) 22:00:06 ID:JrJJfaFw
チャンイのエロ書いて
154名無しさん@お腹がいっぱい:2006/03/25(土) 20:07:35 ID:F7YApRoE
ミン尚宮のエロキボンヌ
155名無しさん@ピンキー:2006/03/26(日) 00:24:19 ID:nJgdUIPC
156名無しさん@お腹がいっぱい:2006/03/26(日) 08:50:07 ID:F4INTzKz
>>155
うざい
157名無しさん@お腹がいっぱい:2006/03/27(月) 22:14:49 ID:TSIBXr/w
チャンイのエロキボンヌ
158名無しさん@お腹がいっぱい:2006/03/28(火) 22:40:07 ID:jsPqRwPF
チャンイとヤリたい
159名無しさん@ピンキー:2006/03/29(水) 00:39:04 ID:8WQGTVCo
160名無しさん@お腹がいっぱい:2006/03/29(水) 12:51:58 ID:W7t4TqKw
>>159
ありがとう
161名無しさん@ピンキー:2006/03/29(水) 14:26:07 ID:aW96KUbs
好奇心で自分の体をいろいろ調べているうちにオナニーの快感を知ってしまうチャングム
162名無しさん@お腹がいっぱい:2006/03/29(水) 22:24:35 ID:PTga4jfR
>>161
それってヤバくない?
163名無しさん@お腹がいっぱい:2006/04/02(日) 22:16:49 ID:KBzCKNma
クミョン「ハァハァ、チョンホ様!」
毎晩ミン・ジョンホのことを思ってオナニーをするクミョン
164名無しさん@ピンキー:2006/04/02(日) 23:20:36 ID:OHhtdxZj
>>163
硯見てやるのか?
165名無しさん@ピンキー:2006/04/03(月) 20:58:15 ID:o2cvGZTf
>>1
韓国ドラマ『チャングムの誓い』は、
韓国内で人気をはくしていた『美味しんぼ』や『将太の寿司』、『中華一番』などの日本の料理漫画や、
『料理の鉄人』などの日本の料理テレビ番組などに見られる料理対決要素に、
同じく韓国で人気をはくした『ベルサイユのばら』や『キャンディキャンディ』の日本の少女漫画などや、
NHKの『おしん』などに見られる、女性のサクセスストーリーを足したものに過ぎませんよ。

これら日本マンガやテレビ番組の韓国語版については、
こちらのスレッドにある参考サイトに行けば一部の画像が拝めます。
> 【コピー】 韓国パクリ事情 14 【便乗】
> http://society3.2ch.net/test/read.cgi/korea/1139068991/1
>
>  <丶`д´> パクリ大国 南朝鮮
 上記サイトの左フレームから、
  ■ [本館] パクリ多売更新情報 → アニメ・漫画編
                          ドラマ・映画・芸能界
  あたりを参照してください。
166名無しさん@ピンキー:2006/04/04(火) 17:02:41 ID:MT1uivv8
ちょんほ×ちゃんぐむキボンヌ
167名無しさん@お腹がいっぱい:2006/04/04(火) 22:07:01 ID:lAsqK2Ii
>>164
YES
見てやります
168110続き:2006/04/05(水) 21:22:26 ID:wUmKc/f4
(蛇足だけど許してくだちい)

おばはただクミョンの体を荒らしていった。クミョンはそれをただ受け入れた。
おばが手と口でクミョンの体を貶めながら言う。

我が一族の女で、女官になれない者達は誰かが決めた相手に嫁いでいく。
その者達はそれが当たり前だと思っている。
何の感情もない男と子を成し、家族を守り、死んでいく。それが当然だと思っている。
私はそんな生き方はしたくなかった。できなかった。
だから宮中で生きる事を選んだ。誰もがうらやむ世界で栄誉を得るために。
私がいるからこそ、一族が成り立つのだと他の者達に認めさせるために。
他人に頼るだけの、あの者達とは違うのだと証明するために。
お前もそうであろう。
自らの力で道を作らない、作れないあの者達とは違うと言いたいのだろう。
ならば、お前のその思いはただの足枷にしか過ぎない。

その思いがお前自身を焼き尽くす前に忘れろ―――――――――――――――
今ならば、まだ間に合うから………。


どうしておばが自分の気持ちを分かってくれないのか不思議だった。
どうして、忘れろ、忘れろと言うのだろう。
そして体から全ての感覚が消えた。
169110続き:2006/04/05(水) 21:26:26 ID:wUmKc/f4
あらわになった乳房、半開きの口、涙で汚れた顔。
めいが白い顔で寝台に横たわっている。ソングムは縛めを解いてやると寝台に腰掛ける。
己の手でこの子を無明の淵に落としてやった。
目的は果たした。
これ以上この子にする事はないはずだ。
この部屋に入ってからどれだけ時間が経ったのか見当がつかないまま、ソングムは
俯いていた。
(…………そういえばあの時も、私は。)
頭の中に一人の女が浮かびあがる。死の淵に落とした女が、見開いた目で自分を見続けていた。
(そうやってずっと私を見てる…………もうやめてちょうだい……)
女の視線に耐えられず襟元を握り締めると別の女が浮かび上がる。毎日顔を合わせるあの女だ。
表向きは伏目がちに俯いているだけの女。しかし伎楽の面のような顔の下に何を隠しているか分からない。
ふと気がつくとあの女がいつも自分を見ていた。私はお前がやった事を知っているのだ、と言いたげな
嫌な視線だった。
(お前に何ができるのだ。金も力もない卑しい生まれのお前が。お前などミョンイがいなければ
何もできないではないか!)
思わず寝台を叩いた。
(お前はいつも、いつもいつも…………ミョンイと二人で居たね。どうしてミョンイはお前と……)
握り締めていた手から力が抜けていった。そして自分の後ろにいるめいを介抱するために寝台から
おりた。
涙を拭いてやり、チマの胸元を直す。立膝の脚を伸ばしてやり、めいの体には何事もなかったかのように取り繕った。
「……おばさま、どうして…………」
かすれた声が聞こえてくる。
反射的に体をこわばらせた。この子も私を二人のような目で見るのか。
「どうして…………泣いて、いらっしゃるのですか……?」


終わり
170110続き:2006/04/05(水) 21:29:13 ID:wUmKc/f4
言い訳
当初の予定では
・姪御さんが汁まみれ
・姪御さんが使用人(複数)に犯られる
・おばさんに犯られた姪御さんが悪い子になっておばさんに夜のリターンマッチ
・おばさんが姪御さんを調教すべく棒入れっぱなしのまま仕事させる
・一族のために姪御さんが宮廷の皆さん(男)にご奉仕
とかそんなのを考えてたのですがどうもうまくいきませんでした。
そのため痛い話になりました。本当にすみません。しかもよく考えたらこの二人近臣総監ジャマイカ
171名無しさん@お腹がいっぱい:2006/04/05(水) 22:46:49 ID:AkY05Sla
>>170
おつかれさまです。
172名無しさん@ピンキー:2006/04/07(金) 03:08:59 ID:yeF7RPza
黙って読んでました
こういうの好きw

また気が向いたら、チョンホとチャングムも
よろしくお願いします キャー
173名無しさん@お腹がいっぱい:2006/04/09(日) 22:30:21 ID:mNSZh6tJ
チャングムのエロキボンヌ
174名無しさん@ピンキー:2006/04/10(月) 23:42:02 ID:XWJRgkR6
質問。
チャングムの夢(アニメ版)のパロはアリ?
175名無しさん@ピンキー:2006/04/11(火) 00:00:52 ID:xPdAYoiM
>>174
アニメの方が話考えやすいかもね。
待ってますよー

誰と誰なの?
176名無しさん@ピンキー:2006/04/16(日) 11:22:17 ID:VHderuvD
昨夜のラストに泣けた…>総合ドラマ
177名無しさん@ピンキー:2006/04/16(日) 16:09:19 ID:lp4+BnPz
>>175
色々と出来そうだけどな。
基本は
ジョンホ×チャングム
チャン・スロ×チャングム
ヨンノ×チャン・スロ
とか

漏れはSSの才能はないから投稿は無理だけどなorz
どなたか書いて下さい・・・
178名無しさん@ピンキー:2006/04/16(日) 17:22:40 ID:qJ6MYz3R
>>161
好奇心で中国の医書を読み漁ってるうちに男の機能増大に対して興味をもってしまうチャングム
実験は夫で
179名無しさん@ピンキー:2006/04/16(日) 20:22:10 ID:/f6TsjxD
>>178
>機能増大
チョンホ小さいwwwwwww
小筆wwwwww
180名無しさん@ピンキー:2006/04/16(日) 21:33:22 ID:qJ6MYz3R
好奇心で内外の医書を読み漁ってるうちに男根に対する形成外科に対して興味をもってしまうチャングム
実験はソウォンの遊び友達で

評判になって朝鮮全土から悩める患者が殺到
181名無しさん@ピンキー:2006/04/16(日) 21:59:55 ID:3dQSyYSX
>>180
それなんて上野クリニック?
182名無しさん@ピンキー:2006/04/21(金) 10:53:06 ID:b/1utQ8U
チャンイのエロ下さい
183名無しさん@ピンキー:2006/04/23(日) 23:36:49 ID:PH6nqtk5
184名無しさん@ピンキー:2006/04/26(水) 19:53:11 ID:FKN3YXAB
ハン尚宮×チャングム 初めての味(仮)

第25話を中心に、百合展開をしてみました。
あと想像で、物語を補足していますが、ストーリーに則したものです。

エロも盛り込みましたが、変態行為はなし。
真面目に? ♀×♀します。

分量は「チェ尚宮×クミョン 教え?」様と同じくらいです。
エロ程度もこれぐらいです。

書いてもいいですか?
185名無しさん@ピンキー:2006/04/26(水) 20:52:04 ID:TOH3HEGC
>>184様!!
神!!神!!
お辞儀しながら待ってます!!
186名無しさん@ピンキー:2006/04/26(水) 22:16:46 ID:mkoqc9D9
待ってる待ってる待ってたぞ!
187壱参弐:2006/04/27(木) 00:14:52 ID:OTd6VUhx
いや信じられないな。早速励ましをいただけるなんて。ありがとうございます。

それなら、今若干手直しをしているから(もう一度二人のやりとりのチェック)
明日夕方〜遅くとも明後日夕方までにはうpしますよ。

パロっていうより、たぶん皆さんの想定の範囲内に収まると思うけど。

見直しをしてみてもね、ハン尚宮さまの心の中は、チャングムよりもずっと
ミョンイの方が比重が高かったのだと感じている。素性がわかってようやく
チャングムの入る余地が出てきた、 と自分は解釈した。そんなストーリーです。
188名無しさん@ピンキー:2006/04/27(木) 00:19:25 ID:9wXSXEHr
がんばってくれ!
189名無しさん@ピンキー:2006/04/28(金) 14:09:40 ID:FJVl7MoJ
>>178
【韓国】 拡大手術した自分の男性器写真を女性の携帯電話に無作為に送信した男捕まる[04/03]
http://news18.2ch.net/test/read.cgi/news4plus/1144066411/

(南揚州=聨合ニュース)京畿道南揚州(キョンギド・ナムヤンジュ)警察は3日、
自分の性器写真を女性の携帯電話に送った疑い(性暴行犯罪の処罰及び被害者保護など
に関する法律)で李某(34)さんを非拘束立件した。

警察によれば李さんは2月8日午後4時50分頃、南楊州市退渓院の自分の家で、
携帯のカメラで性器を撮影した後、オ某(47.女)さんの携帯電話に送った疑いを
受けている。

警察によると、李さんは無作為に電話をかけて女性がでると写真を送り、今年初めから
最近まで同じ手法によって合計30余回にわたって不特定の女性らに性器写真を
送ったことが分かった。

李さんは警察で「去年11月、性器拡大手術をした後、楽しくてこのような犯行をやって
しまった」と言った。

ソース:<性器写真女性携帯電話に無作為送信>
http://www.donga.com/fbin/output?f=total&n=200604030178&top20=1


190ハン尚宮×チャングム −初めて嗜む−:2006/04/29(土) 03:48:35 ID:ua54/FGk
                               00/14       壱参弐 柵

 パソコンの前に座り続けて、ふくらはぎが引き攣って痛いなんて、
チャングムスレじゃ、しゃれにならない。

 で、作業再開、と思ったら、今度は最新版をFDに格納してしまったものだから
今作業中のパソコンでは読み込めなくて、USB−FDを仕入れてきてやっと復旧。
 一時はうp不能につき「ごめんなさい」しようかと焦っていました。


 では始めます。

 タイトルは、「たしなむ」とも「あじまむ」とも読みます。
 ちょっと凝らせていただきました。
 ・たしなむは、精を出して行う、好み親しむ、常に心がける、こころがけて見苦しくないように
  する、つつしむ、の意です。
 ・あじまむは、むさぼり食う、好む、味わう、の意です。
191ハン尚宮×チャングム −初めて嗜む−:2006/04/29(土) 03:49:47 ID:ua54/FGk
                               01/14       壱参弐 柵

 ハン尚宮は思案した。最近王様のお加減がすぐれず、よい療養の地がないか、長官から訊ねられ
たからである。

 ハン尚宮の知る場所は多くはなかった。
 一つは有名な温泉地だが漢陽からは少し遠い。王様が長い間、宮中を離れることはできないだろう。

 なにもハン尚宮が保養地を決める必要はない。王様に随行して水剌を作ればそれで充分だった。
しかしハン尚宮は常に相手へのもてなしを考えた。王様にくつろいでいただきたかった。
そして宮中ではお出しできないような、王様のご健康を回復するような料理を差し上げたいと思った。

 ハン尚宮の故郷の近くに、あまり知られていない温泉があった。硫黄泉で、独特の臭いとあい
まって心身の疲れを癒すと評判だった。
 その温泉地を思い出したのは、チャングムを思い浮かべたときだ。
 あの子がミョンイの娘だったなんて・・・。私がこうして宮中に上がれたのも、そして最高尚宮
になれたのもミョンイと、そしてミョンイの娘のチャングムがいてくれたからこそ。今でもミョンイ
が私を守ってくれる。
「そう、ミョンイと私の故郷の温泉をお勧めしよう。そしてチャングムも連れて行こう。あの地には
気力回復効果のある家鴨もあるわ。」
 ハン尚宮は長官にその旨、告げた。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
192ハン尚宮×チャングム −初めて嗜む−:2006/04/29(土) 03:50:58 ID:ua54/FGk
                               02/14       壱参弐 柵

 チャングムは混乱していた。母の死、その真相。そしてチェ尚宮様がそれに深く関っていたとは。
 チャングムを取り巻く状況は大きく変化していた。何よりも、ハン最高尚宮様、大好きなハン尚宮
様が、母の最も大切な人だったなんて。
 落ち着かない気持ちのまま、今日、王様の湯治に随行し料理も出し終えた。
「ハン最高尚宮様は、私にとって嬉しい所だと言われた。私が何故かとお尋ねしても、行けば判る
とおっしゃった。来てみたけどまだ判らないわ。」
 ミン尚宮とヨンセンが美肌効果を試しに、温泉にこっそり行こうと話しているのも耳に入ら
なかった。
 そこにハン尚宮が来て、チャングムを外に連れ出したのであった。チャングムはどこに行くのか
知りたかったが、ハン尚宮は何も答えなかった。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
193ハン尚宮×チャングム −初めて嗜む−:2006/04/29(土) 03:52:41 ID:ua54/FGk
                               03/14       壱参弐 柵

 チャングムはハン尚宮に付き従いながら思った。
 初めてこの方にお会いしたとき、厳しさ怖さを感じながらも、鮮やかに料理をする手さばきに
見とれたものだった。偶然にもハン最高尚宮様の下で寝食を共にし、訓育を戴いた。その教えの
一つ一つが、私をここまで導いてくれた。それだけでなく、ハン最高尚宮様がいつもお話しを
されていた親友は、私の母だった。ハン最高尚宮様は今でも母のことを思っておられる。教えを
いだだく度に、なぜか母の面影を感じたのは、だからなんだわ。

 ハン尚宮はチャングムを連れながら思った。
 初めてこの子と話したとき、最高尚宮になりたいなんて、当時の私ですら思いもよらないこと
だったから本当に驚いた。身の程を知らない者だと思った。
 ミョンイがいた頃は最高尚宮になろうと二人でよくおしゃべりしていたけれど、あんなことが
あって以来、考えることもなくなった。ただひたすら上の方の目につかぬよう、静かに過ごす
しかないと考えていた。
 でもこの子の、とんでもない願いに私の方が励まされた。ミョンイったら、こんなに似た
女の子がいることを私にも話してくれなかったなんて。
 もし私が最初から、この子のことを知っていたらどうだっただろう。お転婆なこの子には
幾度となくはらはらさせられた。真っ直ぐな気性に惹かれもした。その天性の能力を見つけ
引き出してやった。けれどもしミョンイの娘だと知っていたら、あれほど厳しく訓育できた
かしら。甘え、甘やかしていたかも・・・知らなくてよかったのかも知れない。ひょっとして、
これもミョンイの用心深さかしら。

 チャングムは思った。
 初めハン最高尚宮様は融通の利かない、冷たい方かと思った。でも徐々にそんな思いは消えて
いった。蔵から出されたとき、ハン最高尚宮様が私を背負いながらささやいた言葉を聞いて、
私を受け入れてくださったことが本当に嬉しかった。
 もっと私を受け止めて欲しかったのだけれど、そして何度かお誘いしたのだけれど、ちっとも
振り向いていただけなかった。
 競合に勝って初めて抱きしめられた時の温かさ。何度でも感じたい。ずっと、そしてもっと・・・。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
194ハン尚宮×チャングム −初めて嗜む−:2006/04/29(土) 03:53:46 ID:ua54/FGk
                               04/14       壱参弐 柵

 二人はチャングムの祖父の家に到着した。
「チャングム、ここがお前のお母様、ミョンイの実家よ。」
 ペギョンは宮中に上がるにあたって、ミョンイの父の養女という形をとった。そしてミョンイの
行方が判らなくなった後も、ここを訪ねていた。そんな関係から、ミョンイの父が亡くなった際
ハン尚宮はこの家を譲り受けることができた。
 ハン尚宮はミョンイがいつか帰ってくると信じていた。帰ってきたときに、それがたとえ
何十年後であっても、戻れる家を残して置きたかったのである。

 ハン尚宮はチャングムにミョンイとの思い出を語った。
 そしてハン尚宮はチャングムを抱擁した。お互いが近しい間柄だと知って以来、こうして何度
抱き合っただろう。

 いつもはそれで終わりだった。ひとしきり身体を寄せ、相手の温もりを感じればお互いに深い
安心と勇気を感じることができた。
 ところが今日チャングムを抱きしめるハン尚宮は、いつもと違った。温もりというよりは熱かった。
胸の鼓動はチャングムにも伝わって来るほどだった。しかし耳元で感じる息遣いは穏やかだった。
 チャングムはハン尚宮の意志を察した。
「ハン最高尚宮様、私ハン最高尚宮様と・・・。」
 ハン尚宮は更に胸が高まるのを感じた。ハン尚宮もいずれチャングムとそうなることを予感
していた。いやむしろそのつもりで、ここに連れて来たのだ。

 この子が私を好いているのは、以前から気づいていた。でも私は、その望みを許そうとは
しなかった。ミョンイを見捨ててしまった私が、他の者となんて。許されるものではない。
 でも今、私はチャングムを愛しみたい。この想いを抑えきれない。
 この家はミョンイ、あなたとの思い出の場所。この子と結ばれるなら、この地をおいて
他にはない。ミョンイ、許してくれるわよね。

 チャングムは更に続けた。
「私、ハン最高尚宮様のことが誰よりも好きです。そしてずっとお側にいたいと思って
います。どうか私を受け入れてください。いいでしょ、尚宮様、ねっ、ねっ!」
 ハン尚宮は軽く頷いた。この無私の笑顔と、尚宮様(ママニィム)という甘い声には
勝てないわ、と思いながら。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
195ハン尚宮×チャングム −初めて嗜む−:2006/04/29(土) 03:54:40 ID:ua54/FGk
                               05/14       壱参弐 柵

 ハン尚宮とチャングムはミョンイの家に入った。チャングムがハン尚宮から聞かされていた通り、
両班の家としては質素だった。しかし一通り設えがあった。ハン尚宮はチャングムを居間に
招き入れた。
 チャングムは少し照れた。お許しくださったものの、実際こうやってハン最高尚宮様と
二人きりになると、どうしてよいか判らなかった。とりあえずお茶を沸かし、道すがら買った
干し柿をお茶請けにすることにした。
 二人で干し柿を食べ、暫くの間黙って過ごした。

 チャングムは思った。
 気品のある美しい横顔。ずっと憧れていた方。先ほどはあんなお願いを申し上げたけれど、
怒っておいでなのかしら。

 ハン尚宮は思った。
 ミョンイ、あなたのお墓の前でそうとは知らず、この子のお母様はどんな方なのか思いを巡らせ
たわね。そしてチャングムがきれいな子だから、あなたのことをきれいだろうと言った。
そうだったのね。私が心から愛した、あなただったのね。
 こんなに私のことを慕い、私を助け、私を全力で守ってくれるこの子。この子の全てに、あなたを
感じてしまう。ミョンイ、私はこの子自身を愛しているの? それとも、あなたの生まれ変わり
とでも思っているの?

 お茶を飲み終えて、つと、ハン尚宮はチャングムの手を取り、その顔を自分の胸に引き寄せた。
チャングムはしばらくハン尚宮の鼓動を感じていたが、たまらなくなりハン尚宮の口元に自分の
唇を近付けた。ハン尚宮はいつものように目を伏せることもなく、チャングムを見つめ最初は軽く、
そして徐々に強く、唇を重ねた。
 ハン尚宮が軽く舌を入れようとすると、チャングムが身体を引いて、二人は離れる形になった。
沈黙が流れた。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
196ハン尚宮×チャングム −初めて嗜む−:2006/04/29(土) 03:55:55 ID:ua54/FGk
                               06/14       壱参弐 柵

「どうしたの、チャングム?」
「尚宮様。いいんですよね!」
 そういうとチャングムは布団を敷き、その上にハン尚宮を座らせ自分も並んで座った。
 ハン尚宮はチャングムの頤に人差指をあてて、少しだけ顔を上向かせた。目を閉じるチャングム。
ハン尚宮は再び口付けを始めた。ハン尚宮の舌がチャングムの唇を割り、チャングムの舌を捜す。
柔らかく、そして少しずつ深く絡める。口付けの音さえも心地よく感じる。もっと欲しい。もっと
感じたい。チャングムはそう願った。

 チャングムはようやく放されると、ハン尚宮のチョゴリの紐を解き、襟元を弛めた。
 そしてハン尚宮を抱きしめ、うなじに唇を寄せた。チャングムはその柔らかな感触を味わい、
次に耳に唇を寄せた。そして耳たぶを軽く噛む。舌を耳殻に這わせる。ハン尚宮は耳に吹き込まれる
チャングムの息遣いに、小さく吐息をもらした。
 チャングムは更にハン尚宮のチョゴリをはだけさせた。甘く柔らかな匂いがチャングムの鼻腔を
くすぐる。憧れの尚宮様。その胸は柔らかく張りがあった。決して大きくはないけれど、形よく、
今はチャングムの手に収まっていた。チャングムの唇がハン尚宮の胸元から乳房に降りる。そして
とうとうその中心を口に含んだ。
 チャングムはハン尚宮の香りにつつまれて夢中になって吸い付き、その突起に歯を立ててしまった。
思わずハン尚宮が声を上げた。チャングムは我に返りハン尚宮を胸元から見上げた。
「チャングム。お前も見せて。」
 チャングムは、チョゴリをはだけた。ハン尚宮はチャングムの胸に顔を埋め、唇を這わせる。
そしてチャングムのチマを解いて、また自分のチマも解き、素肌で抱きしめた。
 ハン尚宮の身体に、直にチャングムの体温が伝わってくる。その感触と共に、ハン尚宮の脳裏に
ミョンイが浮かんだ。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
197ハン尚宮×チャングム −初めて嗜む−:2006/04/29(土) 03:56:59 ID:ua54/FGk
                               07/14       壱参弐 柵

 幼い頃、両班の男に襲われそうになった。あのときのことは今思い出しても恐ろしい。奴婢の私が
どんな目に遭っていても、誰も助けてくれるはずはなかった。ただ耐えなければと思っていた。
ところがそのときあなたが現われた。
 以来共に遊び、学び、私は活発なあなたにいつもくっついていた。

 宮中に上がって、私が付いたチョン尚宮様は、私をとても可愛がってくれた。他の尚宮様は
お付きのセンガッシに、手解きをしていると聞いたこともある。でもチョン尚宮様は、添い寝を
されるだけだった。だから私は内人式を終えてあなたと同じ部屋になるまで、こんな感情がある
ことを知らなかった。

 初めての夜、あなたの手が私の布団に入ってきたわね。幼い頃は手を繋いだこともあったし、
子供どうし抱き合ったこともあった。だからきっとその延長だと思った。その晩はただ手を
繋いで眠った。
 ところが、あなたは徐々に私の腕を触り、脚を絡め、身体を寄せてくるようになった。
そのうち胸をまさぐるようになった。ちょっと恥ずかしかったけど、私はあなたのすること
ならと思って、何も言わずにいた。
 でも唇を寄せられたときは、さすがにびっくりした。慌てて押しのけると、あなたは私を強く
抱き寄せた。
「ミョンイ、何をするの?」
「いいから。」
「でも駄目だって、黙契式で誓ったわ。」
「あなたは本当に真面目なのね。確かに殿方とは絶対駄目。でも尚宮様たちはみな、内人やムスリと
されているのを知らないの? それに、私はあなたのことが好きなの。それとも嫌なの?」
「ううん。」
 実のところ、私はこの宮中の生活が気に入っていた。自分の生まれ育った環境よりずっと良く、
料理も読み書きも教えてくれた。そして、幼い頃に怯えたような恐ろしい男がいないことに
心安らぐ思いだった。
 それに、大好きなミョンイに求められているのだ。拒む理由はなかった。
「じゃ、任せて。」
 私は身を委ねた。あなたは、口付けを教え、身体を愛でられる喜びを与え、そして私の芯を
熱く火照らせた。
「ミョンイ、あなたはいいの?」
 ある時私が聞いたら、あなたはこう言った。
「私に抱かれている時のあなたって、本当に好き。小さな声で喘いで、身体を震わせて。とっても
可愛い。」
 だから専らあなたが求め、私はそれに応えていた。肌を重ねるごとに愛おしさが高まり、
深まっていった。時には私もあなたを求め、同じときに達することもあったわね。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
198ハン尚宮×チャングム −初めて嗜む−:2006/04/29(土) 03:58:03 ID:ua54/FGk
                               08/14       壱参弐 柵

 あなたは私を守り、いろんなものを与えてくれた。私を一番理解してくれた。私にとってあなたが
全てだった。
 なのに私は愛しいあなたを守れなかった。何の手助けもできなかった。

 ミョンイがいなくなった後、ペギョンの大きな部分が欠け落ち、埋めるどころか自責の念が
更にペギョンの心を責め苛んだ。だからペギョンは料理だけに打ち込み、痛みに直面することを
避けようとしたのだった。

 そんなペギョンを誘惑する内人や尚宮もいた。でも嫌悪しか覚えなかった。誰がこの寂しさ、
悔しさを埋められようか。
 特にソングム。ソングムは、たぶんミョンイのことが好きだったのだろう。ミョンイも彼女の
ことが嫌いではなかったようだ。彼女が時折見せる笑顔。私が言うのもなんだが、ちょっと
可愛らしい。もしかしてミョンイは、彼女と肌を合わせたことがあるのかも知れない。遅くに部屋に
戻ってくることがあったから。もちろん私は聞けなかった。もしそうだとしても、私よりはずっと
少なかったと信じたい。どうであっても、気分のいいものではない。
 そんなソングムが、ミョンイがいなくなってから私に付きまとうような時期もあった。彼女なりに
寂しさを感じていたのかもしれない。でも私は受け入れなかった。
 ミョンイ以外はいらない。そう思っていた・・・この子が現れるまでは。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
 チャングムはぎこちなさが残るその口や舌を、ハン尚宮の身体に這わせていた。
 チャングムを抱こうと思ったのはハン尚宮の方だった。しかし今、私がこの子に抱かれている。

 ハン尚宮はチャングムの手を取り、その中指を口に含んだ。舌を絡めて唾液を塗し、指先を
自分の身体に導いた。チャングムは少し驚いたが、素直に従った。そこには、熱を帯びたような
部分があった。おずおずと手を差し入れると、柔らかく、すぐにつぶれてしまいそうな感触がした。

「チャングム、お前初めてなの?」
「はい。ヨンセンに胸を触られることはありますが、あまり好きじゃないんです。」
「そう言えば、私はお前が子供の頃、添い寝もほとんどしなかったわね。」
「はい。他の尚宮様は、見習いを同じ布団に招き入れてお休みになることもあると聞いて、どうして
ハン最高尚宮様はそうなさらないのかと思うこともありました。」
「そうだったの。悲しい思いをさせていたのね。」
「いいえ、ハン最高尚宮様。私ハン最高尚宮様のことが大好きでしたから、同じ部屋にいられる
だけで、とても幸せでした。」
「そう。」
 ハン尚宮は時間を取り戻そうとするかのように、チャングムを抱きしめた。そして唇、うなじ、
胸を味わい、張りのある柔らかな肌を楽しんだ。チャングムは再び指を、そっとハン尚宮の奥に
沈めた。そこは温かく滑り、チャングムの指を飲み込んでいった。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
199ハン尚宮×チャングム −初めて嗜む−:2006/04/29(土) 03:58:50 ID:ua54/FGk
                               09/14       壱参弐 柵

 この感覚! ミョンイもこうやって私を愛してくれた。
 いつからだろう。いつまでも子供のように思っていたこの子を、抱きたいと思い始めたのは。
いつだっただろう、こんなに想い始めたのは。
 競合でこの子は私を助け、助けるどころかこの子自身が勝ったようなもの。その後、私が挫けて
諦めそうになったときに、支えてくれたのもこの子だった。あの時、この子は私に並んだ。
いや、超えていたのかもしれない。慈しむ対象だったのが、愛おしい相手になったのだ。
 この子の素性を知って、気持ちは高まるばかりだった。本当に愛おしい。この時を、どんなに
待ち望んだことか。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
 チャングムはハン尚宮を愛でながら、尋ねた。
「尚宮様、何をお考えなのですか。」
 ハン尚宮は答えなかった。いや、答えられなかった。ミョンイへの想い、チャングムへの想い。
合わせた肌から溢れ出る快さ。
 愛撫を続けるチャングムの手がハン尚宮の敏感な部分に当り、ハン尚宮はたまらず小さく
叫び声を上げた。
「尚宮様、おっしゃってください。」
 こう言うと、深く、激しく手を動かし始めた。
 ハン尚宮は喘ぎ声をあげた。身体は汗ばみ、上気してほのかに色付いている。
 ハン尚宮は今どこにいるのか、自分を愛でているのが誰なのかすら判らなくなった。
愛しい人、ミョンイに包まれた記憶、愛しい子、チャングムに抱かれている心地よさが身体を
駆け巡った。

 達したのは、チャングムがハン尚宮の乳首を甘く噛み、その手が深く挿し入れられた時だった。
その瞬間、思わず叫んでしまった。
「ミョンイ!」
 その名を口にした時、自分でも驚いてしまった。チャングムを傷つけたかもしれないと思い、
チャングムの顔を見た。
 チャングムはそんなハン尚宮の肩を抱き、心配ないというように、乱れた髪を撫で付け、
唇を寄せた。チャングムとハン尚宮は互いの口を求め合った。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
200ハン尚宮×チャングム −初めて嗜む−:2006/04/29(土) 03:59:43 ID:ua54/FGk
                               10/14       壱参弐 柵

 ハン尚宮が少し落ち着いてから、チャングムはやさしく語りかけた。
「母を愛されていたんですね。」
「チャングム。お前に悪いことをしたわ。」
「いえ、いいんです。私の腕の中で吐息を漏らされる尚宮様は、とてもおきれいです。とても
可愛いです。きっと母も同じように感じたことでしょう。」
「でもチャングム、お前とこうしているのに。」
「お気になさらないでください。尚宮様が少しでも安らげるなら、私も嬉しいです。」
「チャングム・・・。」

 しばらく二人は何も言わずにいた。チャングムはハン尚宮に寄り添い、軽くその身体を撫で続けた。
ハン最高尚宮様も満足されていると思い、嬉しく感じていた。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
201ハン尚宮×チャングム −初めて嗜む−:2006/04/29(土) 04:00:40 ID:ua54/FGk
                               11/14       壱参弐 柵

 ハン尚宮は自分を撫でているチャングムの手を取り、指の一本一本を舌で愛撫し始めた。指先、
指の股。唇で感じるのとはまた異なった、ちょっとくすぐったいような感じがする。
 ハン尚宮は上体を起こすと、チャングムに身体を預けていった。そして胸だけでなく、背中も、
内股も、あらゆる部分を舐め、転がし、軽く噛み、吸った。

「チャングム、料理は相手への思いやりだと教えたわね。この営みも料理と同じ。相手のことを
よく知り、相手に合わせていかなくてはならないの。だけどチャングム、料理と違って、これは
あらかじめ用意できるものではないし、その場で聞けるものでもないわ。だからその時の相手の
様子を身体で感じ取って、真心をお返ししなければならない。」

 チャングムは、ハン尚宮を愛したつもりだった。だが、それはハン尚宮の導きもあってできた
ことであり、自分がされたときどう感じるのか知らなかった。これまでもハン尚宮と抱き合うと、
その温かさや柔らかさを服の上からでも感じて、いい気分に浸れた。でも、こうして直接触られると、
今までとは全然違う感覚が芽生えた。
「それにチャングム、素材は手だけ口だけとは限らないわ。腕も脚も息遣いも言葉も、唾液すらも。
あらゆるものが材料なの。それらを上手に組み合わせることで、お互いが気持ちよくなるの。
二人の身体が熔け合い一つになったとき、心も一つになれるの。」

 ハン尚宮はチャングムの身体を反転させ跪かせると、今度は背中から責め始めた。うなじに息を
吹きかけながら両の乳房を優しく揉みほぐした。脇の下を舐め上げ、臀部は荒っぽく揉みしだいて
いく。チャングムの皮膚はますます敏感に、巧みに擦られ口をつけられる度、より敏感に
なっていく。乳房も心なしか張りが増しているようだ。
「チャングム、これから私がお前を料理します。私がお前をどう変えていくのか、感じなさい。
そして自分の気持ちを身体中で表現しなさい。」
202ハン尚宮×チャングム −初めて嗜む−:2006/04/29(土) 04:01:24 ID:ua54/FGk
                               12/14       壱参弐 柵

 ハン尚宮はチャングムの脚をゆっくりと開き、その中心に口元を寄せていった。ハン尚宮の
舌先がチャングムの敏感な部分を探し、軽く柔らかく触れた。チャングムは腰のあたりから
足先にかけて、甘美な痺れが走るのを感じた。その痺れは徐々に強くチャングムの身体を支配し、
気持ちが高鳴るかと思うとハン尚宮の舌が強く押し付けられ、あるいは歯で刺激を与えられた。
その微かな痛みに腰の辺りがキュッと震えて現実に引き戻され、それからまた頭がじんじんと
痺れてくるのであった。
 そしてハン尚宮の舌は、柔らかくチャングムの淵に沿って動き、徐々にその奥へ、もっと深みへ
侵入しようとしていた。チャングムはたまらず両手を伸ばし、ハン尚宮の頭を自分のそこから
どけようとした。ハン尚宮はふっと微笑むとチャングムの指を自分の指で絡め、擦りながら
柔らかく押さえ、しかし舌は容赦なくチャングムを責め続けた。
 チャングムの中心は溢れていた。それを掬い取ろうとするかのように、ハン尚宮の舌が、
ぺちゃ、ぺちゃと音をたてた。チャングムは恥ずかしさを感じる暇も無く、舌の動きにつれ何度も
昇らされ、身体の自由を奪われていった。
「チャングム・・・。愛しい子。」
 最初は微かに聞こえるぐらいであったチャングムの吐息は、やがて大きな喘ぎとなり、身体中が
汗に包まれていた。
「尚宮様!」
 そんなチャングムを見て、ハン尚宮はチャングムを解放すると、囁きながら再び腰や胸元、首筋を
順についばみ始めた。
「チャングム、私だけのチャングム。」
 愛撫によって敏感にさせられ、体内に興奮を与えられた後のそれらは、触れられるだけで震える
ほどに感じやすくなっていた。ハン尚宮は口元をチャングムの唇に寄せ、先ほどチャングムの中心を
そうしたように唇の縁を舐めまわし、唇を噛み、また舌を差し入れ、まるでチャングムの全てを
食べつくそうとするかのように激しく、甘く貪っていった。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
203ハン尚宮×チャングム −初めて嗜む−:2006/04/29(土) 04:02:08 ID:ua54/FGk
                               13/14       壱参弐 柵

 ハン尚宮はチャングムの上体を起こして脚を広げさせ、自分もチャングムに向かい合い脚を広げた。
そうしてチャングムの手を取り、自分の中に入れた。自身も手を伸ばし、チャングムの中に
沈めていく。
「明国から取り寄せた秘具を使って快楽に溺れさせ、簡単に相手を墜すことができると思っている
者たちもいる。しかし、それはしょせん体の交わりに過ぎず、人の道を外れることだ。
気持ちを込めて自分の身体で相手を高める。そうやって高めてから、最後には奈落の底へ引きずり込む


それが本当に熔けさせるということ、つまり情を交わすということなの。私はそれをあなたのお母様、
ミョンイから教えてもらいました。」
「お母様が?」
「そうよ。ミョンイは私の身体に、情を刻み込んだわ。だから私の心には、今でもミョンイが
生きているのよ。」

 チャングムは師の愛撫を堪えながら、師が語る言葉を聞いていた。改めて、師と母が深く結ばれて
いたことを知った。感銘と同時に、母亡き後の師の苦悩の深さに思いを馳せるのだった。

 これからは、私が師と熔けあいたい。私が師と情を交わしたい。
 そう思いチャングムは、師が感じる部分を探し、指を沈め、浮かび上がらせ、また沈める。
時折最も敏感な部分をやさしく擦り込む。
 最初に師をいかせたときは手馴れない、やや荒っぽい動きであったが、今はハン尚宮が驚くほど
滑らかに、確実に昂ぶらせている。師のそこは、先ほどとは全く違うものと思えるほどだった。
敏感な部分はチャングムの手にもはっきり感じられるほど熟し、奥からはとめどなく暖かなものが
流れ出ていた。
 チャングムも自分の中にある師を貪り始めた。それはハン尚宮の指が圧迫を感じるほど
であった。そして舌で愛しんだ時よりももっと柔らかく、しっとりと変化していた。
204ハン尚宮×チャングム −初めて嗜む−:2006/04/29(土) 04:03:50 ID:ua54/FGk
                               14/14       壱参弐 柵

「チャングム、仕上げはこうするのよ。」
 ハン尚宮はそう言うと、チャングムの肩をかかえて布団の上に倒し、その上に覆い被さった。
ハン尚宮は、チャングムの片腕を自分の背中に回させ密着度を高める。唇を合わせ、チャングムに
舌を出させて自分の口内で弄ぶ。同時に左手でチャングムの深奥と敏感な部分を愛しんだ。
 チャングムは、師の動きに身体が熔けていくように感じ、徐々に何も考えられなくなった。
そして背中を反らせ、たまらず腕に力が入り、師の腰を掴む。ハン尚宮は、敏感に尖った乳首を
口に含み、やや強めに吸い上げた。
 それから右手でチャングムの頭を抱え、指をチャングムの口に入れて、口内をかき回す。
耳たぶに舌を這わせる。
「ああっ、尚宮様!」
 心地よさが身を焦がすように思え、チャングムは果てた。
 初めて私の身体を開き、その全てを慈しんでくれた尚宮様。ハン尚宮に対する愛おしさが
チャングムの全身を包み込んだ。

 ハン尚宮も、チャングムの締め付けを感じながら、もうミョンイではなくて、この愛しい子、
愛しいチャングムそのものが自分の手の中にあることを確信していた。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
 ハン尚宮はチャングムの息が整うのを待って言った。
「チャングム、基本的なことは教えました。お前なら、いろいろ工夫を重ねてもっと相手を喜ばせる
ことができるわ。」
「はい、尚宮様。ありがとうございます。尚宮様のお教えは忘れません。そしてもっともっとうまく
なって、尚宮様においしいものを差し上げます。それに・・・私も尚宮様を戴きたいです。」
「この子ったら、うふふ。」
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
 帰り道で、もとの俯き加減の表情に戻りながら、ハン尚宮の頭を不安が過ぎった。
「この子は研究熱心なのはいいけれど、またあちこち駆け回り、間違いしでかさないかしら。

そうだ、>>82,83をもう一度言って聞かせねば。」
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――終―――
205名無しさん@ピンキー:2006/04/29(土) 11:51:19 ID:444EtcRK
神キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!!!!

ワクテカ
206名無しさん@ピンキー:2006/04/29(土) 12:28:57 ID:s3VSiV6w
ありがとう神!!センキュー神!!
ミョンイ・ペギョン・ソングムの三角関係まであってありがとう神!!
「ねっ」と「可愛いです」まであってありがとう神!!

それにしてもオチワロシュ
207名無しさん@ピンキー:2006/04/29(土) 21:33:16 ID:XNpGrIle
神ありがとー
良いよ良いよ!!
208壱参弐:2006/04/29(土) 23:10:56 ID:ua54/FGk
ありがとう、>>205-207。 励みになったよ。
さ、本編を見ることにしよう。
209壱参弐:2006/04/30(日) 22:07:42 ID:di3AujFZ
 お褒めの言葉をいただき、自信をつけて、いえ、調子こいております。
 愚作を献上するにあたり、
 「ジョンホ×グミョン」 様
 「ミン尚宮×チャンイ」 様
 「ハン尚宮×チャングム 手ほどき?」 様
 「チェ尚宮×クミョン 教え?」 様
 「チュ尚宮様王宮へお戻り下さい」 様
他、各氏の作品を参考にさせていただきました。ありがとうございました。

 ところで、本編が辛過ぎるので、引き続き脳内妄想で物語をフォローし、自らを宥めております。
 次の企画は、
 1.ハン尚宮とチャングムのその後。できれば、ミン尚宮とチャンイ、ヨンセンとのやりとりも加えて。
 2.ハン尚宮とチェ尚宮、そしてミョンイ。お嫌でなければ、SMテイストも加えて。
などを考えています。いずれも、若干物語から外れます。そして
「皆には申し訳ないけど、ハン尚宮様がいれば辛くない、苦しくない、寂しくもない」ので、
本当に済みませんが、全面、百合展開です。健全な妄想をご期待の、皆様の意に反することを
心苦しく思います。
 しかしながら、女官という制約が私を縛っておりまして、百合以上の関係を妄想するまでには
至らないのです。 

 こんな感じでよろしけば、献上いたします。
 まだあらすじのみなので、upは連休明けぐらいです。
210名無しさん@ピンキー:2006/04/30(日) 22:53:31 ID:UWKxjXjL
>>210
こんな素敵SSの後ですぐ次回作とかマジ神すぎです。
ぜひご自分の萌えのまま書いて下さい。
男同士でなくかつエロければ、百合とか気にしなくていいと思います。
てか今はもうなんか書いてもらえるってだけで幸せ(つд`)
211名無しさん@ピンキー:2006/04/30(日) 22:55:15 ID:UWKxjXjL
アンカーミスった。>>209
212名無しさん@ピンキー:2006/05/01(月) 12:49:27 ID:n+8Lbuqb
>>209
どうしてそんなに神であらせられますか!!
心をこめた料理を作ってどこかの家に呼び出したいくらいですよ!!
213名無しさん@ピンキー:2006/05/02(火) 16:51:49 ID:bZAPyZET
>209
GJ!
素晴らしいです。次回作もすごく楽しみにしてます。
特に2.ミョンイ・ペギョン・ソングムの3人の関係は百合に限らず妄想を
かきたてられるので、期待してます。あ、もちろん百合的にも超期待。
今回のSSでも、回想シーンにすごい萌えた。
214名無しさん@ピンキー:2006/05/03(水) 23:15:26 ID:ATMPL1PV
>209
すばらしいです!
ミョンイ、ペギョン、ソングムの百合読みたいです。
しかもSMテイストだなんて、激しく萌えます!
これを楽しみに連休中の仕事も頑張れそうです。
215名無しさん@ピンキー:2006/05/04(木) 16:09:03 ID:yVNj4bJQ
216名無しさん@ピンキー:2006/05/06(土) 21:43:32 ID:oltaL1Ge
韓国は日本人がつくった 著者 黄文雄

第1章韓国の独立と主権を確定したのは日本だった
第2章事大主義と属国根性が染みついた民族性
第3章李朝崩壊の混乱を救った日韓合邦
第4章「日帝三十六年」で実現した法治と人権
第5章漢語崇拝を絶ち、ハングルを広めた日本
第6章創氏改名と皇民化政策の真実
第7章飢餓の国を近代農業国に変身させた
第8章近代化のインフラを創出した日本の投資
第9章「正しい歴史」を学ぶべきは韓国人だ
217チャングム×ハン尚宮 −半熟親子丼− :2006/05/07(日) 01:16:57 ID:3CaLlTcV
                               00/        壱参弐 柵
>>210 了解しました。
>>212 是非呼び出してください。
>>213,214 お言葉をいただき、感謝します。私の動力源になります。もしよろしければどんな妄想をされているのか、概略をお示しください。栄養源にします。

このスレのタイトルは、知らない人は引くかもしれません。
でも、投稿者各氏の文章が本当に面白くて、それに触発されました。自分が思いつかない言い回しに惚れました。どうか皆さんも、作品をご提供ください。

技術的な面で、文字数と行数はどれぐらいが適切なのか。改行はしたほうがいいのか。いろいろ判らないことだらけです。お気付きの点があればよろしくお願いします。
(自分はこのスレに迷い込んできた者なので、ここのルールをあまりよく知りません。)

さて、始めます。前回作は本編との整合性を保つことを念頭におきました。そしていただいたレスによって作品がぶれるのを恐れ、一気に上げました。
この作品は、本編とは若干異なっておりますが、まだまだ想定の範囲内です。また後半の詳細未完なので、レスによって改変の可能性あり。
前回の3倍以上の分量を予定しておりますので、まったり上げます。中身もまったりです。

タイトルは半熟親子丼 ちっとえぐいなぁ。
218チャングム×ハン尚宮 −半熟親子丼−:2006/05/07(日) 01:20:45 ID:3CaLlTcV
                               00/        壱参弐 柵
[水剌間の一角]
 王様の湯治から数ヵ月が過ぎた。水剌間からは今日も忙しく立ち振る舞う女官たちの
賑やかな声が聞こえてくる。
 ハン最高尚宮は手際よく尚宮たちに指示を出し、王様の食事の準備を行っていた。
 ハン最高尚宮がすべき準備は食事だけではなかった。食事に纏わる故事や物語を用意す
る必要があったのだ。
 ハン最高尚宮はチャングムに声をかけた。
「チャングム、今晩来なさい。」
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
 暴君と呼ぶに相応しい先代王に比べて当代は穏やかな性格で、仕える者が恐怖に怯える
ことはない。しかし王様は生来玉体が壮健ではないため、常日頃接する者たちは、王様が
少しでも安らげるように、配意しなければならなかった。
 水剌間を担当するハン最高尚宮もその一人であった。あるいはより重要な役割を担って
いた。
 なぜなら、まつりごとを掌る者達には多少を問わず思惑があり、医官達、そして閨房に
就く至密達も様々な力関係とは無縁ではない。だから王様に接する時、多くの者たちは、
自派の要望を伝えようと躍起になっている。
 しかし水剌間にいる者は、他に比べれば下心を持つことが少ない。だから唯一、王様も
気を張らないひとときが過ごせるのである。
 王様の御膳の合間に物語る慣行は、先代の最高尚宮から始まった。先代のチョン最高尚
宮は、それまでの最高尚宮と違い私欲が無く、ただひたすら王の健勝を願う方だったので
ある。現在の水剌間のハン最高尚宮も、その先代の考えに従っていた。

 王様に物語を供するため、ハン最高尚宮は前の最高尚宮がそうしたように、自身も書物
をひもとき、また尚宮や内人を呼んでは新しい出来事や変わった物語を仕入れるので
あった。
 それは輪番制で、1人について定期的には半月に1度、その他面白い話があれば随時
ハン最高尚宮に聞かせなければならないこととなっていた。

 多くの者は半月に1度でも、話題作りに四苦八苦した。だがチャングムは3日と置かず
ハン最高尚宮の部屋に出向いている。
 チャングムは子供のころは山間の村に育ち、他の内人とは異なる環境で暮らしていた。
お互いが近しい関係であることに気付くまでは、チャングムはハン最高尚宮にすら幼少時
の思い出を語らなかった。だから夢中でウサギを追いかけたことなど、野山を駆け巡った
体験は、ハン最高尚宮にとっても物珍しいのだ。
 それに、常に体当たりで行動し、失敗の中から知恵と人の輪を築いていけるのも彼女の
力であった。チャングムは今でもしばしば菜園に足を運び、今栽培している薬草の様子を
聞いたりもしていた。
 だから彼女が話題に困ることはなかったのである。

 しかしチャングムが頻繁に出向くのは、その他にも理由がある。
 チャングムはハン尚宮と母のことを語り合いたかった。母が宮中でどのように過ごして
いたのかをもっと知りたかった。ハン尚宮を通して母の息吹を感じたかった。
 ハン尚宮もまたチャングムに、母親としてのミョンイの姿を聞きたがった。自分が戦慄
きながら行かせてしまったミョンイが、短い間とはいえ家族と共に幸せな時を過ごしてい
たことを知ると、自分を捉えていた痛苦が、少しだけ癒された。

 そして、もう一つの、より重要な理由があった。
 ハン最高尚宮への話題の提供は、時間を区切らず行ってよい。だから時には夜更けまで、
チャングムはハン尚宮の部屋にいることができた。だからどうなのか。つまり・・・
そういうことである。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
219チャングム×ハン尚宮 −半熟親子丼−:2006/05/07(日) 17:35:57 ID:3CaLlTcV
上記につき、numbering誤り。00/→01/。失礼しました。
^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^
                               02/        壱参弐 柵
[ハン最高尚宮の部屋]
 二人の関係は王様の湯治を機会に始まった。
 ハン尚宮もチャングムも、毎日こうしていてもよかった。だがこうなる前から、二人の
親密さは人の羨むところであった。ハン最高尚宮は今や水剌間の責任者として、
尚宮から見習いに至るまで掌握しなくてはならない。一人チャングムのみを優遇する
訳にはいかない。
 チャングムもまた、多忙なハン尚宮をこれ以上独り占めできないと知っていた。

 だから、今日は久しぶりの、いや、つい4日前も来たのだから客観的には全然久しくも
なんともないのだが、二人にとってはとても久しぶりに感じる逢瀬であった。
 チャングムは、山菜の保存法について話した。天日に干したとき、茹でてから日陰で
干したとき、粉末にしたとき、塩と灰をまぶしたとき。下処理によって風味や食感だけで
なく、食べた人の体調も変わるようだ。まだはっきりは判らないが、調べていこうと
思っていると話した。

 ひとしきり話し終えると、チャングムは、
 「尚宮様、ねぇ。」
と甘えた声を出す。ハン尚宮もチャングムの手に自分の手を重ねる。やや時を置いて、
チャングムを引き寄せ、しばらく口付けを楽しむ。

 そしてハン尚宮は、うなじを、耳を、目を愛撫し始めた。徐々に胸元、そしてそこから
下の方へと進めていった。
 チャングムはハン尚宮の乳房をつかもうとする。だが、ハン尚宮はその手を退け、
自分の背中に回し、愛撫を続けた。
 しばらくして、チャングムはハン尚宮の上に四つん這いになって乗り掛かり、
やや強引にハン尚宮の中に指を入れようとした。しかしハン尚宮はまたしてもその手を
受け入れず、逆にチャングムの敏感な部分に、下から手を差し入れ、他方の手は
チャングムの胸を揉むのであった。
 チャングムが熔けかかって、達しようとする頃、ようやくハン尚宮はチャングムを
受け入れ、自分の体内を感じさせた。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
220名無しさん@ピンキー:2006/05/07(日) 23:52:48 ID:grx35xna
神キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!!!!
ハァハァ期待してます。
221名無しさん@ピンキー:2006/05/08(月) 14:33:43 ID:aXNv/Muz
壱参弐タン
新聞の連載小説みたいだお (;゚∀゚)=3ムッハー
222チャングム×ハン尚宮 −半熟親子丼−:2006/05/08(月) 22:48:12 ID:zRtjoLmI
>>220多謝。 >>221 なるほど、連載小説と思えばいいのか。気が楽になりました。
^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^
                               03/        壱参弐 柵
 足繁くハン最高尚宮の元に通うチャングムを、勉強熱心だと褒める者がいれば、
取り入りたいのだとやっかむ者もいる。

 もちろん多くの者は、二人がそんな関係にあることを知らなかった。
 同期から上の者は、ミョンイがいなくなってからのハン尚宮が、一向に靡(なび)かない
のを知っていた。後輩たちの間では、堅物尚宮で通っていた。
 また、当然ながら二人も、水剌間など人目のあるところでは努めて気配を見せまい
とした。だから傍目には、相変わらず弟子に厳しく接する師匠に見えたはずである。

 しかしハン最高尚宮は確かに変わった。ほとんどの者は、彼女が変わったのは地位が
変わったからで、貫禄がつき余裕ができたからだと考えていた。
 だが、彼女の変化はそれだけではなかった。時折見せる喜色満面の笑顔は、今までの
彼女からは考えられないものだった。

 もしハン最高尚宮の変化の、真の意味するところに気付く者がいるとすれば、
それは第一にチェ尚宮であっただろう。
 幼い頃からペギョンを知り、恐らくミョンイとの関係も知っている。ミョンイなき後、
彼女が一変したのも見ている。だから今、もし、ハン最高尚宮の近くにチェ尚宮がいた
ならば、チャングムと結ばれてすぐに、それと気付いたであろう。
 あんなにペギョンの顔が輝いているのは、ミョンイの事件以来のことだ。だから彼女は、
彼女の心を解(ほぐ)す何かを得たのだ、と。

 しかし、その何かについては、容易に判明しなかったと思われる。
 まず、、ペギョンがミョンイ以外の誰かとそうなることは、彼女の今までの振る舞いからは
考えにくい。
 また、様々な状況からチャングムとの関係を疑わしく感じたとしても、チャングム自身は
以前から、ペギョンに嬉しそうにくっついて笑顔を振りまいており、何ら変わっていない。
 だから、ペギョンの変化の真相については、チェ尚宮とて確信はできなかったであろう。

 ところで、残念ながらチェ尚宮は、二人の関係を知り得る状況にいなかった。
相変わらず太平間で、鬱々と過ごすしかなかった。宮中の様子は兄からの手紙や、時折
食材を運びに来る内人から知る程度であり、勘のいいチェ尚宮であっても、さすがに
そこまで察知はできなかったのである。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
223名無しさん@ピンキー:2006/05/08(月) 22:48:56 ID:PdmAF3+N
おお!始まってるよ!
224チャングム×ハン尚宮 −半熟親子丼−:2006/05/09(火) 21:35:27 ID:PVCEmG/0
                               04/        壱参弐 柵
 ここにもう一人、友人の変化を知る者がいた。宮中に上がって以来、チャングムの
ことが大好きなヨンセンである。
 どうしてチャングムが好きなのか、それは判らない。子供の頃、自分に優しく接して
くれたことがきっかけであるだろう。だが、内人になった後の、チャングムの彼女に
対するあしらいを見れば、そこまで好きでいられるのが不思議な気もしてくる。
 よくは判らないものの、彼女はチャングムだけを見守り続けていたのである。

 ヨンセンが異変に気付いたのは、王様の湯治に随行した時であった。
 ハン最高尚宮とチャングムが外出から戻った時、ミン尚宮とヨンセンは不在であった。
 暫(しば)らくして、小壜(びん)を抱えて帰ってきたヨンセンは、休み支度をしている
チャングムの様子が、何というか、普段は単純に愛くるしい表情なのだが、今日は
目が、どことなく潤んでいるのを感じた。

 「チャングム、どこへ行ってきたの? ひょっとして温泉?」
 「ううん。家鴨以外にも変わった食材がないか、王宮で使えそうなものがあったらと思って
見てきただけ。 ね、ヨンセンは? その壜は何?」
 「チャンイ達のお土産にしようと思って汲んできたの。チャングム、出かけて楽しかった?」
 「うん。」
 そしてヨンセンは、なんとなく仄(ほの)かな薫りを感じた。この薫り、チャングムのものでは
ない。
 彼女は、何分チャングムだけを見ていたので、ある意味では、ハン尚宮よりも
チャングムを熟知しているのである。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
225名無しさん@ピンキー:2006/05/09(火) 23:05:30 ID:bp9PAgfC
壱参弐さま。ありがとうございます。
226チャングム×ハン尚宮 −半熟親子丼−:2006/05/10(水) 19:50:26 ID:iblBA6mg
>>223,225ありがとう。
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                               05/        壱参弐 柵
[水剌間の一角]
 ある日のこと、ハン最高尚宮は御膳の指示に忙しく、チャングムは当番ではなかった。
二人がいないのを確認して、ヨンセンはミン尚宮に話しかけた。
 「湯治に随行したとき、チャングムが最高尚宮様と出かけてったじゃないですか。
 あのー、私思うんですけど・・・。」
 「何よ、言いかけて止めないの。」
 「あの、たぶんねー、あの二人・・・。あの・・・。」
 「だから何なのよ。二人で温泉に行ったかもしれないってこと?」
 「仲がいいなって思って。」
 「そりゃそうよ。チャングムは、最高尚宮様の部屋子だったんだし、競合でも補助内人
 としてついていたんだし。それにあんただって、十分仲良しじゃない。」
 「それだけじゃないような気がするんです。」
 「まあ最近の最高尚宮様は、以前にも増して、よくチャングムをお部屋に呼ばれるわね。
 でも、もっと磨こうとされているのよ。私だって、部屋に行く度にお話を持って
いかなきゃならないし、それだけじゃなくって、尚宮がいかに内人に範を垂れるべきか、
こんこんとご指導されるわよ。あのお部屋じゃまったく気が休まらないわ。
 それに厨房の中の二人を見てごらんなさいよ。チャングムに対しては、特に厳しく
されて。私だったら付いていけないわ。まあ、あんたもしっかり勉強しなさい。」

 とは言ったものの、ミン尚宮も気になった。それで二人の様子を窺って見ることにした。
 「別になんてことないじゃないの。以前となにも変わった様子はないし。 あれっ。
 でも何か変ね。あんな感じだったかしら。」

 そのとき調理をするチャングムの手がハン尚宮の腕に触れ、その瞬間ハン尚宮がさっと
身をかわしたのである。それはなんとなく、例えば好意を持つ者達が意識するあまりに
意図せぬ接触を避けるかのように映るのであった。
 そう考えてみれば、二人の、特にハン尚宮の所作の一つ一つが、そしてチャングムへの
眼差しの注ぎ方が気になってしまう。
 「ひょっとして!」

 ミン尚宮はハン最高尚宮の生真面目なイメージが強すぎて、ヨンセンに言われるまでは、
そんなこととは思い付きもしなかったのである。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
227チャングム×ハン尚宮 −半熟親子丼−:2006/05/11(木) 21:21:48 ID:D/AazXmo
                               06/        壱参弐 柵
[ミン尚宮の部屋]
 数日後、ミン尚宮はヨンセンを部屋に呼び付けた。
 「ねえヨンセン、あなたが言っていたことって、ひょっとして・・・て、て、対食!」
 「そうです。」
 「うーん、何というか。うーん。ま、そりゃ一応駄目ってことだけど、皆やって
 いるしね。というか、うーん最高尚宮様がねえ。私そっちの方がびっくりよ。」
 「どうしてですか。」
 「だって、あんたも知ってのとおり、あの方はそういうことはなさらない方でしょ。
  ずっと前に先輩の尚宮様から、最高尚宮様は以前一人だけいらっしゃったと聞いた
 ことがあるわ。だけどその方がお若くして病気で退宮されからは、なさろうとはされ
 なかったそうよ。
  でもあのお美しさとお上品さでしょ。私達が内人の時も、お心をお寄せした者が少なく
 なかったんだけど、迷惑そうな趣きだったわ。

  それに相手がチャングムとはねえ。それも驚きね。
  あの子、以前から最高尚宮様にまとわりついていたのに、全然相手にされてなかった
 じゃない。何で今頃そんなことになったのかしら。お気に召されたなら、部屋子の時に
 していればよかったのに。あれっ? ひょっとしてあなた泣いてるの。」
 「・・・(泣)。」
 「まあ仕方ないわね。こういうのはお互いがあってだし、あなたにもきっといい人が
 見つかるわよ。」
 「・・・(泣)。」
 「泣かないのよ。別に対食で子を成すわけじゃないし、相手は一人と決まったわけ
 じゃないし、チャングムって今まで全然しなかったんでしょ。チャングムがそういう
 ことになったんなら、もしかしてチャンスかも知れないわよ。」
 「どうして・・・。」
 「だってあんたもチャングムも、部屋子の時に教えてもらえなかったんでしょ。だから
 しようにもできないのよ。だからチャングムがそうなったら、ひょっとしてあなたもお
 相手してもらえるかもね。」
 「そうなんですか。」
 「そうよ、それに私には判るの。たぶんチャングムはね、絶対いろいろやってみると
 思うの。」
 「何のことですか。」
 「ま、あなたは余計なことを考えなくていいわ。でも他の人に話して回っちゃいけ
 ないわよ。
  それから、チャングムが話すまで問い詰めちゃ駄目よ。そんなことしたら嫌われる
 だけだから。だからあなたはチャングムをずっと待っていなさい。」
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
228名無しさん@ピンキー:2006/05/11(木) 22:10:20 ID:uqzMQD8S
対食の意味がわかんなかったから調べたら非常食のサイトがいっぱい出てきた。
調べなおしたら意味が分かった。
229壱参弐:2006/05/11(木) 23:08:30 ID:D/AazXmo
>>228 失礼しました。スレ違い承知の上で、ご説明いたします。この言葉は、NHK版ではカットシーンにあり
ました。具体的には、第9話 黙契式において、ノ尚宮が肉親のような部下の内人を自決させ、その子
(ハンイ)を育てたということを、内人昇格予定者に話した後、チョン尚宮が繰り返させる言葉で出てきます。
「王に背き裏切る行為は如何なる行為であれ許されぬ」
  <以下カット>
  「目で見るだけでも」「言葉を交わすだけでも」「手に触れるだけでも」「心に思うだけでも」
  「例え相手が男ではなく、対食(テシク)であろうと同じ事」   *つまりここでいう”百合”のことです。
  <カットここまで>
「友をいたわり、決して裏切らず、」「女官の間に起こったことは」「どんなことでも洩らしてはならぬ」

なお、ISBN 434401071X (amazonで検索してください)P.162-165に、そのあたりの事情が
端的に説明されています。説明に必要な部分のみ引用します。
・対食とは、女官の知人(女性に限る)を宮中に招いて食事をすることを許す制度
・それを口実に、その行為が行われていたため、隠語として定着
・その行為は尚宮はその世話をするムスリ、内人はルームメイトが相手  といわれる。

以後、カット版ではわかりにくい部分の取り扱いには気をつけますが、ご指摘いただければ幸いです。
230名無しさん@ピンキー:2006/05/12(金) 00:37:01 ID:CpiCanQj
ハァハァ新作キテタ。
231名無しさん@ピンキー:2006/05/12(金) 17:56:28 ID:6SqVLImh
GJ!
232228:2006/05/12(金) 20:35:54 ID:3pvXzNsa
壱参弐たんありがとうございました。今日本屋で読んできました。
ググったら「対食」って中国が起源ってわかりました。
233チャングム×ハン尚宮 −半熟親子丼−:2006/05/12(金) 21:04:04 ID:V9x9w8mD
>>230 この作品はとても長いです。ごゆっくりどうぞ。 >>231ありがとう。 >>232 My pleasure.
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                               07/        壱参弐 柵
[ミン尚宮の部屋]
 チャングムはミン尚宮に呼ばれた。
 「あんた、ひょっとして最高尚宮様と、いい仲じゃないの?」
 「はい、母のように慕っております。」
 「そうじゃなくて、別に隠すことないわよ。母のようにって部分もあるだろうけど、
 そうじゃなくて好き合っているんでしょ?」
 「ええっ!」
 「あたし、ミン尚宮様には全てお見通しよ。最高尚宮様って不器用なんだもん。隠すの
 ならもっとうまくやんなきゃ。で、どうなの。うまくいってるの?」
 「そんなこと聞かれても困ります、けど。  へへっ。まあ、いい感じです。」
 「もーっ、妬(や)けるわね。でも、あのお堅い最高尚宮様を落とすなんて、あんたも
 やるわね。どうやったの。何かあったの。」
 「そんな、落とすなんてことありません。ただ、何となくそうなっただけです。」
 「でも良かったわね。私も最高尚宮様が心配だったの。就任される時とか、
 チョン尚宮様のこととか、ご苦労が続いたでしょ。でもこれで気持ちも落ち着く
 だろうし。そういう時って、なかなか人には言えないことを言えるでしょ。お悩みの
 ことを聞いてさし上げてね。」
 「はい、そうします。」
 「でも何か相談があったら、いつでも乗るわよ。あたしに任して。」
 「ええ、お願いします。」
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
[ハン最高尚宮の部屋]
 今日もチャングムから話を聞いている。
 「尚宮様、私思うんですけど、食材を水剌間で育ててみては如何でしょうか?」
 「どうしてそう思うの。」
 「司餐院(サオンウォン)からは、食べるのに適した時期に収穫され、同じような
 大きさの食材が運ばれてきます。でもたとえば野菜は、日々成長し、その時々によって
 味わいが変わります。若い間は柔らかいがクセがあり、収穫期を逃すと硬く、そして
 花や実を付け始めます。そういった変化を知れば、食材の取り扱いに新しい工夫が
 できるように思うのです。もちろん全部は無理ですが、数種類の野菜なら、勉強用に
 栽培できると思います。」
 「じゃ、やってごらんなさい。」
 「ありがとうございます。」
234チャングム×ハン尚宮 −半熟親子丼−:2006/05/13(土) 21:51:57 ID:6WhcDTcy
                               08/        壱参弐 柵

 「ところでチャングム、お母様の飲食抜記持っているかしら? ちょっと見せて
 くれない。」
 「はい。私がこの日記を退膳間で見つけたときは、最高尚宮様にご説明できなくて、
 本当に済みませんでした。」
 「そんなこともあったわね。
  ミョンイって、いつもこうやって丁寧に書き留めていたから。私も読んで、改めて
 いろんなことを思い出すわ。
  私たちが内人だった頃は先の王の時代で、みんな粗相のないように神経を尖らせて
 いたわ。作るのを楽しむとか、新しいお料理を考えている余裕なんてとても無かった。
 もうへとへとだった。
  遅くにやっと部屋に戻れて、そしてミョンイと一日の出来事を話すのが、一番楽し
 かった。今はお前が側にいてくれて、こうやって話しをしてくれて、そんなお前の顔を
 見る事ができて、私はとても楽しいわ。」
 「尚宮様・・・。ねっ、尚宮様。」
 「本当にお前って悪い子ね。」
 ハン尚宮、チャングムの手を取る。
 「どうしてそんなことをおっしゃるのですか。私、尚宮様のお言付けを守る良い子です。」
 「そうだといいんだけど。こっちにいらっしゃい。」

 それからまた、いつもの夜が過ぎていく。

 ハン尚宮は思った。
 こうやってこの子をわが手中に置けることは、この上もない幸せ。
 この子もずいぶん口付けがうまくなったものだ。初めてのときは、舌を入れただけで
驚いていたのが面白かったわね。今は私を優しく受け止め、絡ませ、時々吸い上げてくる。
 反応もよくなってきた。私が動かすと、肌が粟立つのが判るわ。それがまた面白い。
 ミョンイもこうやって私を楽しんでいたのね。あの頃は夢中だったから、そんなこと
ちっとも知らなかったけれど。

 チャングムも考えた。
 ハン尚宮様は私を愛しんでくださるが、なかなか受け入れてくださらない。私も
ハン尚宮様を戴きたいのに。

 そうだ!
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
235名無しさん@ピンキー:2006/05/13(土) 22:09:29 ID:uJ2uzm6e
壱参弐様

すばらしい!
236228:2006/05/14(日) 15:34:27 ID:QpChb0sv
>>234
>「尚宮様・・・。ねっ、尚宮様。」
>「本当にお前って悪い子ね。」
>ハン尚宮、チャングムの手を取る。
>「どうしてそんなことをおっしゃるのですか。私、尚宮様のお言付けを守る良い子です。」
>「そうだといいんだけど。こっちにいらっしゃい。」

やべえこの会話ktkr
237名無しさん@ピンキー:2006/05/14(日) 19:31:49 ID:PvtnVKtv
【大長今】チャングムの誓いで百合萌え http://sakura02.bbspink.com/test/read.cgi/lesbian/1128719029
238チャングム×ハン尚宮 −半熟親子丼−:2006/05/14(日) 21:15:12 ID:B6OlBzo8
>>235 Thanks!>>236 お喜びいただけて光栄です。 
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                               09/        壱参弐 柵
[ミン尚宮の部屋]
 「ミン尚宮様、教えていただきたいのです。」
 「何よ。」
 「あの、あの・・・。」
 「ああ、あのことね。で、どうなの。」
 「私はいいんですけど、ハン尚宮様があんまり、その・・・、あんまり良くなさそう
 な感じです。私どうしたらいいのか判らなくって。」
 「もうちょっと詳しく話してよ。だいたいどっちがやっているの?」
 「私もしたいんですけど、お許ししただけません。」
 「で、あんたはいいの?」
 「ええ、私はいつもです。でもハン尚宮様とは、初めてしたときは、いい感じだった
 のですが、今はうまくいきません。」
 「どんな風にしているのか教えてよ。」
 チャングムは説明を始めた。口付けから始まって、ハン尚宮が自分を昇らせていくこと。
 途中で何回かハン尚宮を触ろうとするのだけれど、ほとんど受け入れてもらえないこと。
 自分独りが果ててしまうこと。

 「なるほどね。なんとなく判ったわ。じゃ、まずこの本を読んでごらんなさい。」
 「なんですかこれ。はぅ・とぅ・びあん・うぃず・らぶ? 圖解女性同性戀秘傳大全??
 をんな いとめでたし??? 何なんですか。」
 「あんただって普通の春画は持ってるんでしょ。これはそうじゃなくって、あんた
 みたいな人の為に書かれた本よ。遠い異国とか明国、倭国の本を訳したものなの。
 私、いろいろ研究しているんだから。」
 「でも、ハン尚宮様は、真心があればいい。技や道具に頼るのはと・・・。」
 「あのねチャングム、料理の場合はあなた見習いの時代からずっと、下拵(したごしら)えや
 包丁捌(さば)きを練習してきたでしょ。最高尚宮様がおっしゃっているのは、そっから
 先のことなの。大根の皮剥きも満足にできないんじゃ、始まらないでしょ。これも
 同じよ。だから読みなさいってば。」
 「えっと、女体を触るときは、まず、揉み解すようにして、息を・・・。それから、
 身体の奥は、やわらかく・・・。そして、言葉は最高の愛である、ふむふむ。」
 「ここで読まなくてもいいの。自分の部屋で読みなさい。で、だいたいのことが頭に
 入ったら、実践するからいらっしゃい。」
 「ミン尚宮様、そこまでしていただけるなんて。」
 「勘違いしないでよ。私がやるなんていってないわよ。とにかく何日か後に
 いらっしゃい。それと、しばらく最高尚宮様としない方がいいわね。中途半端に
 聞き齧(かじ)っている段階だと、迷うだけで、うまくいかないと思うから。」
 「そうなんですか。じゃあそうします。」
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
239チャングム×ハン尚宮 −半熟親子丼−:2006/05/15(月) 00:45:06 ID:iLwKEqZ6
今日は自分にとって特別な日だから、2話目をupすることにした。この物語はほぼ完成。問題は
いつ果てるとも知れぬ目眩めく日々をどうやって終わらせるか。 誰か早く毒を盛ってくれ!
次の「チェ尚宮殿の嘆き」も半分ほどできた。だが、やや難。
自分の書くのはパロっていうより掘り下げストーリーだから、本編から飛躍できない。嘆かわしい。
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                               10/        壱参弐 柵
[ハン最高尚宮の部屋]
 ひとしきり話しが終わると、今日のチャングムはハン尚宮を誘おうとはしなかった。
ハン尚宮は、特に問いただすことなく、チャングムを去らせた。

[チャングムとヨンセンの部屋]
 「チャングム、今日は早かったのね。」
 「うん、お話しもすぐに終わったから。」
 「チャングム、ちょっと顔色が悪いわね。心配ごとでもあるの? ね、その本は何? 
 何か新しい調べもの?」
 「ちょっと勉強しようと思って。」
 「何か相談ごとがあったら、私に言ってね。」
 「うん、そうするわ。」
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
[水剌間の一角]
 「ミン尚宮様、一通り読み終わりました。」
 「それなら始めよっか。チャンイ、あなたもいらっしゃいよ。」
 「これミン尚宮、無駄口を叩いていないで、見習いの様子を見てきなさい。それに
 何です、チャンイ、チャングムまで。」
 「あ、最高尚宮様すみません。(小声で)ねえチャングム、あとで私の部屋に
 いらっしゃい。」

[ミン尚宮の部屋]
 「ミン尚宮様、何ですか。」
 「チャンイ、あんた前に手解(てほど)きして欲しいって言ってたわよね。今から指南してあげる
 から、しっかり聞きなさい。」
240名無しさん@ピンキー:2006/05/15(月) 13:36:39 ID:KBsFrKKC
うお。楽しみな展開!

>自分の書くのはパロっていうより掘り下げストーリーだから、本編から飛躍できない。嘆かわしい。

実際飛躍できてないかは別として、こういうエロ系の話でここまで本編のイメージ
を損なわないでいるのは、すごいと思うよ。
241名無しさん@ピンキー:2006/05/15(月) 14:18:40 ID:qY3RNRk1
レズネタばっかりだな
242名無しさん@ピンキー:2006/05/15(月) 15:41:02 ID:habB48eL
だがそれがいい
243名無しさん@ピンキー:2006/05/15(月) 16:19:02 ID:qY3RNRk1
レズはきれいだけどホモは汚らしいから
244228:2006/05/15(月) 19:32:44 ID:rW2plZu8
>>1の禁止事項だけどさ、このドラマでホモって難しくないか?誰と誰?
男女物はラブ※とチャングム、ラブ※とクミョンの二択?
逆にレズはいっぱい考えられるぞ。

壱参弐たん、風邪ひいたりしてないか?
245チャングム×ハン尚宮 −半熟親子丼−:2006/05/15(月) 20:21:45 ID:M+J4W1HJ
>>240 そういって戴けると救われます。>>242 ご支持いただけて幸いです。>>244 元々キャラが
立っているのは、ほぼ女性ですからね。設定上はネグミとか、長官さまの所とか、ありでしょうが。
体調お気遣いありがとうございます。今日はすっきり、次作をもりもり書いています。
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                               11/        壱参弐 柵
 「えっー本当ですか。私とうとうミン尚宮様と! でも何でチャングムがいるんですか。」
 「何言ってるのよ。誰があんたなんかと。」
 「でも尚宮様、お相手はいらっしゃらないのでしょう。」
 「昔ね、あんたたちぐらいの頃は、同じ部屋の子と付き合ってたわ。彼女は病気を
 理由に宮を出てったけれど、本当はね、いろいろあったの。(男を作って、逃げたなんて
 いえないし。)それからは他の部署の子とちょこっとね。まあいいじゃないのあたしの
 ことは。
  で、話しを戻して、これから皆もいろいろあるかもしれないから、練習しておくのよ。
 だいたいあんた達って子供の頃習っていないでしょ。先の王がひどくて内人もいっぱい
 お側に置かれたの。で、ちょうどあんた達が部屋子でお仕えする尚宮様が少な過ぎて、
 そういうことを教える人がいなかったのね。」
 「せっかくだから、ヨンセンも呼ばなくていいんですか。」
 とチャンイ。
 「あんまり人数が多いと、訳わかんなくなるし(あの子がいたら、チャングムにすぐ
 抱きつくから話しが進まないからね。)これぐらいがいいのよ。」

 「じゃ、早速口付けからね。えっとまずは、軽く唇を合わせる。それで徐々に吸いあう。
 それから舌を絡めるんだけど、最初はやさしく、その後は強く、舌だけでなく口の中
 全体を、歯も含めて触ったり舐めたりする。ということで、じゃ、やってみるから。」
 「え、尚宮様と私が! それとも、チャングムとされるんですか。」
 「違う違う。一人でこうやって舌を出して、頭の中で想像しながら、ひっこめて、
 回して、口をすぼめて。」

 尚宮さまのおちょぼ口って可愛い〜。この機会を逃してはなるまい。よしっ、思い切って
おねだりしよう。チャンイはそんなことを考えていた。
 ミン尚宮が二人に指示する。
 「これが訓練法よ。さ、やってみて。チャングムも。」
 二人、一生懸命舌を出して練習する。
 「毎日練習すること。そうすればうまくなるわ。舌の動きは基本だからね。」
246名無しさん@ピンキー:2006/05/15(月) 21:51:18 ID:snycIClL
[芸+]【韓流】ヨン様、ろう人形でもファンを虜に 感極まり涙する女性ファンも(画像アリ)
http://headline.2ch.net/test/read.cgi/bbynews/1147693675/

[芸+]【韓流】SG WANNA BEが日本人女性のハートをわしづかみ 失神するファンも
http://headline.2ch.net/test/read.cgi/bbynews/1147692940/

【韓流】リュ・シウォン、東京で1500人のファンの前で歌声を披露(画像アリ)
http://news18.2ch.net/test/read.cgi/mnewsplus/1147424772/

【韓流】優香がチャン・ドンゴンにラブコール  
http://news18.2ch.net/test/read.cgi/mnewsplus/1147320100/

【サッカー・W杯】ロイター「韓国の成功を羨む日本」★2
http://news18.2ch.net/test/read.cgi/mnewsplus/1147444935/
247チャングム×ハン尚宮 −半熟親子丼−:2006/05/16(火) 18:00:35 ID:sSHKgX/W
                               12/        壱参弐 柵

 「尚宮様〜、やっぱりよく判りません。お願いです、一度だけお手本を見せてください。」
 「・・・全く。一度で済まなくなるから嫌だって言ってるのよ。」
 「本当に、二度と申しませんから。」
 「仕方ないわね・・・。じゃ、口付けだけよ。」
 しぶしぶ、ミン尚宮はチャンイにしてやることにした。軽く唇を合わせ、少しだけ舌を絡める。

 「うー。なんかとっても柔らかくて、温かかったです。またお願いしよっかな。」
 さすがにもうチャンイには呆れて、ミン尚宮はチャングムに問いかけた。
 「チャングム、あんたはいいわよね?」
 チャングムは頷いた。ミン尚宮とすることに抵抗感は無いのだが、特にしたいとも
思わなかったからだ。
 「あーあ、もっと一杯教えようと思ったけど、あなたがお喋りするものだから、
 ちっとも進まなかったわ。仕方ないから、続きは明後日にしましょう。チャンイ、
 次は黙って聞かないと、もう呼ばないわよ。」
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
[ハン最高尚宮の部屋]
 今日もチャングムは、何もせずに去ろうとした。さすがに不安になって、ハン尚宮は
聞いた。
 「チャングムどうしたの? 気分でも悪いの?」
 「いえ、別に。今日は早く休もうと思います。」
 「そう。じゃ、ゆっくりお休みなさい。」
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
[ミン尚宮の部屋]
 チャングムとチャンイが座って、ミン尚宮が話すのを待っている。
 「じゃ次は愛撫の仕方その1。これは体の表面を撫でる方法ね。忘れちゃいけないのは、
 女性の身体って言うのは・・・。」
 「でもどうして女体を勉強しているんですか?」
 真面目な顔でチャンイが尋ねる。
248名無しさん@ピンキー:2006/05/17(水) 15:13:20 ID:3aycHu26
>>244
王様とヨンセン
淑媛になられた後の寝言が心配ですね。
249名無しさん@ピンキー:2006/05/17(水) 16:28:37 ID:eaqUXTHQ
>>244
それなら王様と皇后様もだな
あとは例の面白夫婦かw
250名無しさん@ピンキー:2006/05/17(水) 16:47:07 ID:gvv5wu8s
>244
ホモってこんなん?

「ミンジョンホ。来るしゅうない、近う寄れ」
「な、なにをおっしゃいますか王様」
「そちがさきほどチャングムと接吻しておったと密告が入ったのだ。その味を余にも分け与えよ」
「ご、ご冗談を…」
「余も本当は厭なのだ。だが、皇后とヨンセンが見張っておってチャングムには近付けぬ…ここはひとつ、そちに犠牲、いや、橋渡しになってもらうぞ。これは王命である!」
「((((;゚Д゚)))ガクガクブルブル」
251228:2006/05/17(水) 20:16:07 ID:MPfGROex
うはおまいら素敵すぎwwwwwww

ついでにこのスレって何人ぐらい人いるの?
252名無しさん@ピンキー:2006/05/17(水) 21:23:48 ID:eaqUXTHQ
人数ってか年齢層も気になるな
なんか21禁は普通にクリアしてそう
253チャングム×ハン尚宮 −半熟親子丼−:2006/05/17(水) 21:25:15 ID:cuu+1yO3
私も面白く戴きました。
>>251 何人ぐらいでしょうね。ま、私は5人しか見てくなくても、淡々と上げるだけですが。
次の「チェ尚宮殿の嘆き(仮)」は、エロ少な目なので、有名どころサイトで公表してもいいかもしれない。
少し迷っております。迷いつつせっせと推敲しております。
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                               13/        壱参弐 柵

 ! 痛いところを突かれたわ。まさかチャングムとハン尚宮様のためにやっている
なんて言えないし。かと言ってチャングムと二人っきりで教えてると、こっちが変な気分に
なっちゃうからだけどね。
 戸惑いを隠し切れないミン尚宮。慌てて理屈を考える。
 「えっとね、男の体は単純なの。チャンイ、あんたも春画見て知ってるでしょ、あの
 出てるところを触ってあげたら、それで気持ちがよくなるらしいの。触り方も女の
 身体で練習すれば、ま、ちょっと形は違うけど、だいたいおんなじ様なもんよ。だけど、
 女の方はもっと繊細なの。それでね、どうやったら気持ちよくなるのか知らないと、
 殿方との時も自分がつまらなく感じて、嫌になることもあるらしいのよね。殿方も
 そんな風情はお好みでないと思うわ。だから勉強しておけば、自分も気持ちよくなる
 ようにできるし、殿方にも好まれるからよ。わかった?」
 「さすが、尚宮様。本当に良くご存知なんですね。私ずっと付いていきますっ!」

 「じゃ、続けるわね。今も言ったように女体は繊細だから、いきなり感じやすい
 ところを触ったら痛かったりして逆に気分が悪くなるものなの。だからまず手を握って、
 感情を高めていくの。これぐらいできるでしょ。じゃ、二人でやってみて。」
 チャングムとチャンイ、なんとなく手を擦る。
 「そうじゃなくて、もっと情感を込めて。好きですって気持ちを手から伝えるの。
 そうね、触れる前に、手をこすり合わせて温めとくといいかもね。
  じゃ次ね。こう抱きしめ合う。で忘れずにいたいのが、言葉ね。
  いつものチャングムみたいにペラペラ能書きを垂れるのは禁物よ。短く、『好き』とか
 『尚宮様』とか『チャンイ』とか。じゃ、やってみて。」
とりあえず抱きしめて、相手の名前を呼んでみる二人。

 「まあまあね。さっきよりは良くなったわ。じゃ、服の上から身体を触ってみて。
 肩とか腰とか、背中とか。今座ってやってるけども、立ってでも寝てても要領は同じ。
 つまり身体を密着させたり、腕全体で包み込んだり。まだ指は使わないで、
 手のひら全体でね。」
 言われるまま抱き合って擦ってみる。通常の抱擁よりはやや濃厚に感じるが、
これぐらいなら友人とでもできる。そう二人は感じた。
 「いいじゃない。その調子よ。今日はここまでにしておくから、続きは来週ね。
 次からはもうちょっと熱いのをやるから期待しておいて。」
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
254チャングム×ハン尚宮 −半熟親子丼−:2006/05/18(木) 20:35:27 ID:pLNsOOCM
>>252 うぇ! 21禁でぐぐったら、とんでもない状況。当方控えめに、精神的絡み重視で
真面目に書いております。 そして弁えて、このような「通」の場に上げております。
長文、ご容赦を。まだ折り返し点まで来ておりません。
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                               14/        壱参弐 柵
[ハン最高尚宮の部屋]
 今夜の懇談の後も、ここ数週間と同様、チャングムは用件が終わると立ち去った。
 ハン尚宮は考えた。もしかして、もう嫌になったのかしら? それとも何か考え事を
しているのかしら?
 あの子は自分が納得するまで何も言わない子だから、このまま待つしかないのだろうか。

 それにしても抱きたい。あの子の身体を手の中におきたい。温もりを感じたい。

 あの子は割りと、けろりとしているけれど、私は何をされてもくすぐったくて、怖くて、
痛いような感じがして、恥ずかしかった。だけど、ミョンイは私の不安を消し去るように、
徐々に彼女の身体に馴染ませていった。
 素肌が触れ合う心地よさを教え、温もりを感じさせた。そして口付けを・・・。
 唇といわず、乳房といわず、身体中あらゆるところを火照らせた。
 やさしく愛撫されたり、きつく責められたり。何度となく私を愛しみ、喘がせた。

 時には何日もしてくれなくて、ただ待つしかなくて、欲しくて気持ちが弾けそうに
なったときに、思いっきり抱いてくれたっけ。

 ある夜、静寂があたりを包んだ。カシラダカの鳴き声もぴたりと止み、
衣擦れの音も、口付けの音も、二人の吐息すらこえなかった。ミョンイに包まれる
心地よさだけ。この世の中に、ミョンイと私しかいない、そんな感じがした。
 そして、身も心もミョンイの中に熔け、墜ちて行った。

 私も思いっきり抱いてやりたい。そうしてあの子を熔かして、熔かして、・・・。
ひょっとして私が溺れているのか。私ったら、最近はこの子が来る度にそんなことを
考えているなんて、愚かね。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
255名無しさん@お腹がいっぱい:2006/05/19(金) 23:41:34 ID:df9P4FFc
>>壱参弐 柵さん
尊敬しています!
小説の続きも気になる
256チャングム×ハン尚宮 −半熟親子丼−:2006/05/20(土) 00:34:58 ID:IlT/U975
今日は遅れて済みません。>>255 ありがとうございます。本当に励まされました。
なお、「柵」は「作」と同じ意味で、昔職場の先輩が使っていたのを真似たものです。
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                               15/        壱参弐 柵
[チャングムとヨンセンの部屋]
 チャングムはハン尚宮の部屋から自分の部屋に戻ると、ヨンセンに抱きついた。
きゅっと抱きしめ、何となく手を擦(さす)ったり身体を密着させたり。ミン尚宮の講義の
復習である。だが、本当はハン尚宮を抱きしめたかった。ここ1月近く、温もりに触れるのを
我慢しているのだ。
 
 そんな事情を知らないヨンセンは、訳がわからなかった。今の今まで、どれだけ
こちらが抱きついても、お返ししてくれたことはなかったのに。いったいこれは何? 
最近やっぱりおかしい。
 とは思いながらも、黙ってされるままにしておいた。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
[水剌間の一角]
 ハン最高尚宮は最近のチャングムの振る舞いに戸惑い、チャングムの姿を目で追った。
 チャングムは、チャンイと一緒に見習いを教えながら水剌を作っている。いつもの光景で、
特に変わった様子は無い。ミン尚宮が、今日も自分の部屋に、チャングムとチャンイを
呼んでいたことを除いては。
 「チャンイがよく遊びに行くのは判るが、どうしてチャングムまで。」
 ハン最高尚宮は少し不可解に感じた。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
[ミン尚宮の部屋]
 今日もチャングムはミン尚宮の部屋に来る。チャンイは座って待っていた。
 もうすっかり先生気分のミン尚宮が、話し始める。
 「いよいよ愛撫といわれるものを教えるけれど、手でやるにしても口、つまり舌とか唇、
 そして歯でやるにしても、最初は優しくよ。触るか触らないかから始めるの。このとき
 重要なのは相手の反応を確かめながら行うこと。自分が興奮してるからって、
 齧(かじ)り付くようにしちゃ駄目。痛くないように爪の手入れも忘れずにね。これは直接は
ちょっとできないから、服の上からでいいから。」
 とりあえず、肩や胸を触る二人。
 「そう、そんな感じ。できれば身体中撫で回した方がいいわね。それで、相手が
 嫌そうな顔をしなかったらどんどん強く掴んだりしてもいいんだけど、でもあんまり
 表情に出さない人もいるから(ハン尚宮様のことよ、チャングム)、その細かな表情を
 見てなくちゃだめよ。だから相手を愛撫するときは、最初は目を開けてなきゃね。
  痛がらせないように、だんだん強くしていくの。そして、ここで十分相手を
 いい気持ちにさせること。」
257名無しさん@ピンキー:2006/05/20(土) 00:36:00 ID:UlPItX9I
壱参弐様、私も毎日小説を楽しみにしております☆
次のお話『チェ尚宮殿の嘆き』とは前におっしゃっていたソングム・ミョンイ・ペギョンのお話でしょうか。
とても楽しみです!
お体にお気を付けて執筆なさってください
258名無しさん@ピンキー:2006/05/20(土) 02:00:16 ID:JGasQO26
壱参弐様
焦らされるハン尚宮様は
とてもかわいいですね!
259:チャングム×ハン尚宮 −半熟親子丼−:2006/05/20(土) 12:46:04 ID:IlT/U975
>>257 多謝。 言われるとおり、次作はかつての3人の状況です。まだ難渋中。その間、次々作の
○○尚宮復活を書き、既に完成。だが、順序として最後でないとうpできないので、しばらくお待ちください。
あ、念のため申し添えると、ハン尚宮の双子の妹が登場、とかはしません。
あとこの作品の折り返し点で、趣の異なる小品をご提供予定。
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                               16/        壱参弐 柵

 「いよいよ第1段階も大詰めね。感じやすいところは、胸とかお尻だけれど、
 出っ張ってるからやってる方は掴みやすいけど、慣れてない相手だと急に触られると
 抵抗感があったりもするの。だからもう一度優しくゆっくりから始めて、表情だけで
 なく身体の変化を観察すること。特に胸、乳首は緊張しているときは平坦だけど、
 興奮すると尖ってくるわ。だからといって強く噛んだり吸ったりしては駄目。それは
 最後の方でやること。じゃ、胸の代わりに私の指先を触ってみて。」
 いわれたようにミン尚宮の指を触ってみる二人。

 「チャングム、それじゃ駄目。そんな、最初っから摘まむようにしちゃいい気持ちに
 なれないの。あっそうだ、あなた達見習いの頃松の実刺しをしたでしょ。あれも指で
 強く摘まんで強引にぐいぐい松葉を押し込んでも入らなかったでしょ。あれと一緒よ。
  松の実のようにそっと指にはさんで、方向を確かめるために軽くコロコロと転がす。
 あんな感じ。じゃ、やってみて。」
 やってみる二人。確かにさっきよりは指先が温かく、湿っぽく、指同士吸い付くような
感じがする。
 「そうそう。吸い付く感じ。今は指先だけでやっているけど、これを身体全体で感じ、
 感じさせるようにするのが目標ね。
  で、今日教えたことをまず自分の身体で試してみて。そうすれば自分はどこが
 いいのか判るし、自分の反応を覚えておいて、相手とするときにも応用できるから。」
 「自分でやってみる?」
 「そうよ。恥ずかしがることは無いわ。特にチャンイ、あなた今独り部屋でしょ。」
 チャンイの同室のクミョンもまた、太平館に遷(うつ)されたままであった。
 「そうなんです。一人で寂しいんです。ですから、ミン尚宮様、添い寝だけで
 いいですから・・・、いえ、添い寝だけじゃなくって、どうか特訓をお願いします。」
 「だから駄目って言ってるでしょ。だいたい、そんなこと、ああだこうだと説明
 しながらしても、興醒めじゃないの。こういうことは、愛し合う者同士でやるのよ。」
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260228:2006/05/20(土) 18:14:46 ID:NCcpl1PU
ミンタンは本当に後輩の面倒見がいいね(´▽`*)
261名無しさん@ピンキー:2006/05/20(土) 20:05:13 ID:NJ6zRXR6
チャングムの夢のエロパロはここじゃ駄目なの?
262壱参弐:2006/05/20(土) 21:27:42 ID:IlT/U975
>>174,175,177 を見ると、ここでも可かと。
263チャングム×ハン尚宮 −半熟親子丼−:2006/05/21(日) 17:48:51 ID:kP4iDlcE
>>258 毎日少しずつのupに焦らされているあなたも、きっと可愛い方でしょうね?
>>260 後輩だけでなく、上司のことも案じ、いつも気配りされています。
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                               17/        壱参弐 柵
[チャングムとヨンセンの部屋]
 ヨンセン、既に休もうとしているところへ、チャングムが戻ってくる。
 「チャングム、遅かったのね。」
 「ミン尚宮様のところにいたの。」
 「そうなの。何かご指導を受けたの?」
 「ううん、別に。おしゃべりされるのを伺っていただけ。」

 ヨンセン、寝息を立て始める。
 「チャングム〜。チャングム〜。行かないでチャングム〜。」
 と、いつものようにチャングムの布団側に寝返りを打ち、胸元をまさぐり始める。
 「また、寝ぼけて。そうだわ、ちょっとヨンセンで試してみようかしら。えっと
 この当たりかな。胸は松の実を転がす感じで、と。ここら辺は・・・。」
 「ああっチャングム、大好き。」
 「困った子ね。あと、太ももに脚を絡めて、脚全体で擦り、相手の反応を見ながら、
 肌が吸い付くような感じに・・・なってるかな? それで言葉をかける。『ママニィ・・・』。」
 「チャングム〜。 ハン尚宮様、チャングムを連れて行かないで。」
 「! (何で知ってるんだろ。)ねえ、ヨンセン、私どこにも行かないわよ。」
 「チャングム、嬉しいー。」
 「ああびっくりした。でも、触るときの感覚が、なんとなく判ったわ。」
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
[ミン尚宮の部屋]
 再びチャングム、チャンイが来ている。
 「今日は、愛撫の仕方その2。これは体の中を愛しむ方法ね。これはさすがに
 あんたたちにやれとは言えないわ。だからこの本で説明するわよ。
  女の身体で特に感じやすいのがここ。でもここは普段はあまりはっきりわからないの。
 場所は判るけどね。だからこのあたりを指で、乳首みたいに軽く転がしていくの。
  ただ、そのままだと痛い時があるのね。だからさっき説明したように口付けしたり、
 体表を愛撫したりして感じさせておけば、このあたりが濡れてくるの。だからそれを
 指に付けてから触った方がいいと思うわ。濡れてなかったら、唾(つば)を付けても
 いいし。
264名無しさん@ピンキー:2006/05/22(月) 01:12:14 ID:nvFCqvVQ
ハン尚宮てウーデレ臭いあの方ですか?
265−SS職人への涵養−:2006/05/22(月) 20:56:47 ID:XhcEjGOY
連載は今日はお休みです。
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 小壱参弐、反尚宮に連れられその部屋に初めて入り、正座する。

 「SSという言葉を聞いたことがない、大人の時間を覗いたこともなかった子が、
 いきなりやってきて>>184と書き込むなんて。煽られるか不安だっただろうに。
 そこまでしてなぜ、好色諧謔板に書き込みたいの? 構わないから言ってごらん。」
 「@bbspinkの最高SS職人になりたいんです。尚宮様、どうすれば、早く最高SS職人に
 なれますか?」
 反尚宮、ちょっと戸惑うような、むっとしたような表情で、
 「書込(カキコ)を書いてみなさい。 書込を持ってきて。」
 「尚宮様どうぞ。」
 小壱参弐の日常を綴った、長文の書込には目もくれずに、
 「やり直しなさい! 何度言わせる気なの?」
 「はい。」
 小壱参弐、これならどうかと、知らぬ人のない吉牛写貼(コピペ)を持ってくるが、
反尚宮、冷たい表情で床に就く。
 それから何度書き直しても、見ようともしない。言葉を掛けてももらえない。

 朝早くから身支度をする小壱参弐が心配になって、様子を伺おうと部屋から出てきた
反尚宮、小壱参弐が大きな紙に文字絵(AA)を貼り付け、持ってくるのを見て呆れ顔で、
 「これは何?」
 「こうすれば目を引いていただけるかと・・・。」
 「明日の朝、もう一度持っておいで。」

 酢楽観で井戸水黄砂騒動があった後、再び小壱参弐、反尚宮の前に座る。
 「書込を持ってきなさい。 持っておいで・・・。」
 「どうしてそればかり何度もおっしゃるのですか。普通に日記を書いても駄目、
 面白おかしい写貼も駄目、文字絵も見ていただけない。」
 「お前はもう判っているはずよ。お母様はどうされていたの?」
 「あ!」
266−SS職人への涵養−:2006/05/22(月) 20:58:05 ID:XhcEjGOY
                                 02/02        壱参弐 柵

 「書込を持ってくるかい?」
 「あの、熟女萌えはお好きですか。」
 「大好きよ。」
 「あの百合の花を添えても構わないでしょうか。」
 「いいわよ。でも、薔薇は雰囲気に馴染まないわね。」
 「痛々しいとか汚らしいのはどうですか。」
 「ちょっと痛いぐらいなら大丈夫よ。」

 小壱参弐、もう一度書込を書いて持ってくる。
 反尚宮、さっと目を通し、満足そうに微笑む。小壱参弐、受け入れられたことが嬉しくて
たまらない。
 「本編に忠実に、妄想をほんの少し入れました。一度に読み切らず、連載小説を
 お読みになるようにゆっくりとお楽しみください。」
 「ええ、ありがとう。 お母様は物語をお話しされるのに、それだけのことを
 お聞きになったの?」
 「はい。こと細かく聞いてから、私にお話しくださいました。」
 「そうよ、こと細かく聞くこと。それがまさにお前に書込を持ってこさせた理由よ。
 書き込む前に、読む人の好きな物、嫌いな物、生理的に受け入れられるもの、できない
 もの。その全てを考えること。板の空気をよむこと。それがSS職人の心得だということを
 言いたかった。
  しかしお前は知っていたのね。お母様は実に立派だわ。例え保守のための
 一言(ひとこと)でも、書き込まれた瞬間から作品になることをご存知だったのね。
 そして書込は、読む人への配慮が一番だということ、SSは人への気持ちだということを
 ご存知だったのね。
  私はお前がそのような者とは知らず、□なところから来たから馴染みの者も居ぬとて
 受け狙いで、必死になって釣ろうとしているのだと誤解していたわ。
  躾(しつけ)ようとしたのが、逆に私の方が教わることになったわね。」

 小壱参弐、優しく言葉をかけられ涙ぐむ。
 「泣くのはおよしなさい。心を強く持たなければいけないわ。
  もし即答(レス)があっても、悦に入るのはおよし。場を弁(わきま)えない馬が
 太ったような評語が続いても、他の論場(スレ)で『変。』呼ばわりされても、
 むくれてはいけない。そして今後、ずっと放置されても泣かないようにしなさい。
  打たれ強くなりなさい。心が弱くては、お前がそんなにも早くなりたい最高SS職人に
 はなれないわよ。」
                                             <終>
267228:2006/05/22(月) 22:44:16 ID:DWtb2TB5
>>265
おもしろすぎるよwww鼻水出てきたwww
268名無しさん@ピンキー:2006/05/22(月) 22:54:50 ID:kg5WFRwy
>>266
おもしろすぎますwwww
269チャングム×ハン尚宮 −半熟親子丼−:2006/05/23(火) 20:15:29 ID:wbNp8AhO
>>267,268 教えにもかかわらず、悦に入っております。上げる前は不安でした。
手前味噌じゃねーか、とか。自分の書きたい欲望と、読まれる方の嗜好が合えば嬉しいです。
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                               18/        壱参弐 柵
 「もちろん、舌で舐める場合は痛みの心配はないけど、慣れていない人の場合は、
 する方はぎこちなくなるし、される方も相手の顔が見えなくて不安になったりするから、
 最初からお勧めはできないわね。この時も、相手の様子に注意してね。
  痛がるようだったら、一旦止めて、別のところからやり直しね。
  うまくできているときは、ここがだんだん大きく熱くなって、で、ちょっと触った
 だけで、相手の反応もよくなってくるの。こうなるとこっちのものよ。相手は自分に
 首っ丈っ、ていけばいいけど、ここでちょっと注意すること。」

 「つまり、ここからが秘法なんだけど、そのままやっていると、相手がどんどん昇り
 詰めていくけど、あっさり終わってしまう危険もあるわ。それは気持ちいいけど
 単純な味ね。だからどうするかというと、相手と会話しながら行うのね。
 もちろん会話といっても言葉じゃなくて、身体でよ。」
 「会話か・・・。難しいんですね。」
 「そうよ、難しいのよ。だからなかなかうまくいかないし、逆にうまくいけばすごく
 仲良くなれるの。」
 「ミン尚宮様と私はいっつもおしゃべりしてますから、きっとうまくできますよね。」
 「だからおしゃべりは喩え話よ。あたしを口説こうなんて思うんじゃないの。」

 「それで、次にここに指を入れて愛撫するんだけど、ここもほぐれてないと痛いだけなの。
 やってる方はあったかくて気持ちいいんだけどね。だからついつい力を入れがちだから、
 自然とできるようになるまでは気持ちを鎮めて、集中すること。相手を気持ちよくするのって、
 本当に難しいんだから。
  最後にこの中に、気持ちよくなるツボがあるらしいの。でもこれは人によって違うようだから、
 やってみるしかないの。」

 「ミン尚宮様はその時どんな感じがするのですか?」
 チャンイが好奇心を丸出しに聞く。
 「身体がふわっと浮くような、痺れるような。とにかく気持ちがいいものよ。身体も
 気持ちいいけど、気分が穏やかになるわね。そうね、誰かが直(じか)に自分を必要と
 してくれているんだ、って身体中で感じることができるというか。でも説明は難しいわ。
  それでね、そんな風に感じられる人を見つけることができたら、とっても力が湧いて
 くるわね。この人のために頑張りたい、とか、この人のためだったら何でもできる、とか。」
270チャングム×ハン尚宮 −半熟親子丼−:2006/05/24(水) 20:51:36 ID:VSVX8h/g
一つお伺いしますが、ここはネタバレおkですよね。次作からは地上波未放送分を含みます。
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                               19/        壱参弐 柵
 チャンイが言う。
 「私、尚宮様のために頑張ります! 尚宮様、私を守ってください。」
 「そうね、そういう時がきたらね。
  これで手解きの基本は終わりだけど、あと道具を使って良くするとか、いろんな方法が
 あるの。でもそれはもうちょっと後で教えることにするわ。それじゃ終わります。」
 「ミン尚宮様、ありがとうございました。」
 とチャンイ。
 「尚宮様、ありがとうございます。私なんだか判ったような気がします。それに私、
 いい方法を思いつきました。」
 チャングムはそう言って、瞳を輝かせて部屋を去った。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
[カン・ドックの家]
 「おじさん、お酒を分けていただけませんか。」
 「どうしたチャングム。酒は飲まなかったんじゃないのか。」
 「いえ、ハン最高尚宮様のお料理に使いたくって。」
 「そうかい、感心だな。いつも最高尚宮様のお役に立つことを考えているんだな。
 わしらにとっても大切な方だから、よろしくお伝えしてくれよ。そうだ、最近評判の
 百歳酒はどうだ。最高尚宮様お得意のチャプチェにも合うんだぞ。詳しい説明は
 ここに書いてあるから読んでおけよ ttp://www.bekseju.co.jp/。」
 「おじさん、ありがとう。」

 「ねえあんた、チャングム見たかい? ちょっと見ない間にきれいになったね。」
 「何言ってるんだ。チャングムは昔からきれいな子じゃないか。」
 「いや、私には判るね。たぶんいい人ができたんだろう。眼差(まなざ)しが艶っぽく
 なったね。」
 「そうかなあ。俺にはそんな風に見えないんだけどな。 えっ、でもそれって。男か?」
 「たぶん違うね。蔭(かげ)がないもの。相手は誰だろうね。内人様じゃないかね?」
 「チャングムが対食してるのか。」
 「そりゃ私だってどうかとは思うけど、宮の中、殿方と温もりを交わすこともなく一生
 過ごすんだから、それぐらい大目にみてやりなよ。でもどうせだったら、ハン最高尚宮様
 だといいんだけどね。だったら家は一生安泰だよ。」
 「ハン尚宮様と? なんて羨ましいんだ。わしも一度でいいから・・・。」
 「あんた! 何言ってんだよ!」
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
271名無しさん@ピンキー:2006/05/24(水) 22:41:18 ID:rWxGFS2p
>>263
何故中の人のコメントに萌えるのか
272チャングム×ハン尚宮 −半熟親子丼−:2006/05/25(木) 17:41:39 ID:nO7xSMIf
《》〔〕【】←文字テスト 次作の準備。大丈夫ですよね?  ある小説サイトによれば、
3万字を超えれば長編扱いとか。これは、約3.5万字(以下単位同)。初めて嗜むが1.1、
SS職人が0.2、チェ尚宮の嘆きが2.7、○○尚宮復活が1.1。計8.6.。ここまで来たら、10万字を目指すか?
^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^
                               20/        壱参弐 柵
[チャングムとヨンセンの部屋]
 「チャングム、どうしたのそのお酒?」
 「新しい料理に使おうかと思って。最高尚宮様にも試していただこうと考えているの。」
 「今日も最高尚宮様のお部屋に行くの?」
 「うん。どうして?」
 「最近よく行くわね。それに帰ってくるのが遅いわね。そんなにお話しして差し上げる
 ことがあるの? 私とはちっともお話ししてくれないくせに。」
 「ヨンセン、毎日行っているわけではないわ。あなたともこうやっておしゃべりしてる
 じゃない。」
 「ねえ、チャングム、ずっと仲良くしてね。」
 「うん、もちろんよ。あなたがいなかったら、寂しいから。」
 「そう? そうよね。私も寂しい!」
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
[ハン最高尚宮の部屋]
 定例の懇話の場に来たチャングム。酒壜を抱えているのにハン尚宮は気付いた。
 「チャングム、それは何?」
 「これはペクセジュと申します。おじさんの所で手に入れて参りました。このお酒の
 特徴として薬草を使用し、おいしく、また身体に優しいことが挙げられます。
 口当たりはまろやかで、まるで異国のぶどう酒のような趣きです。すっきりとした
 飲み心地、そして果物のような香りが、お料理の味を引き立てると思います。基本の
 材料であるもち米と、薬草は、甘草、枸杞、五味子、朝鮮人参、山査、葛根などの
 10種類が入っており、もち米は蒸さずに生のまま発酵させ、より栄養が残るように
 造ってあります。だから健康的で、次の日に残らないお酒なのです。このお酒にあう
 料理は参鶏湯(サムゲタン)、味噌チゲ、チャプチェ、チヂミ、豆腐の串焼きだと思い
 ます。」
 「そう。そんなに風味が良くて、身体にもいいなら王様の御膳にお勧めしようかしら。」
 「はい。それで今日最高尚宮様に味見をしていただきたくって、お持ちしました。」
273名無しさん@ピンキー:2006/05/25(木) 23:56:44 ID:e+sscULw
水刺間から同期の女官を全員追い出して、新しく来た女官達を全員肉奴隷調教する最高尚宮ダークミョン。
それも全部チョンホさまのせいwww


空気が読めなかった。
反省していない。
274名無しさん@ピンキー:2006/05/25(木) 23:57:37 ID:Uo7Yo2UP
SS面白いです、壱参弐氏。
ミン尚宮・チャンイの出番も多くて嬉し。
>>265-266には噴いた。
275チャングム×ハン尚宮 −半熟親子丼−:2006/05/26(金) 19:05:11 ID:Y3Hlq1ZO
‖=〓 文字テスト  皆様コメントありがとうございます。大変励みになっています。
一つ反省ですが、ここは壱参弐を見守るスレじゃないので、返答すると私が全部仕切って
いる感じ。今後お返ししないこともあるかもしれませんが、ご容赦を。
^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^
                               21/        壱参弐 柵

 「ありがとう。そういえば、お前とお酒を戴いたことはなかったわね。」
 「はい、私も尚宮様がお飲みになる姿を存じ上げません。」
 「そうね。昔は口にすることもあったけど、飲むのを止めたの。戴くのは先の最高尚宮様と
 ご一緒する時ぐらいだったわ。チョン尚宮様は、お酒がとてもお好きだったから。
  じゃ、せっかくだから戴こうかしら。」
 「はい、尚宮様、どうぞ。」

 チャングムが注いだ酒を、ハン尚宮、一息に飲み干す。結構いい飲みっ振(ぷ)りだ。
自分が知らないハン尚宮の姿を発見したようで、チャングムはとても嬉しくなった。
 「ありがとう。 そうね、確かにおいしく戴けるわね。そして、ほんのり甘いわね。
 お料理の味付けは、少し辛めの方が合うかしら。お前も味見してみなさい。」
 「いえ、私は遠慮いたします。尚宮様に召し上がって戴きたくてお持ちしましたので。」
 「遠慮しないで。」
 「それではお言葉に甘えて、戴きます。」
 ハン尚宮の真似をして、ぐいぐい飲んでみる。注がれるとまたぐいぐい飲んでいく。

 だがチャングムは、酒というものを今までほとんど飲んだことがなかった。宮中でごく稀に、
祝いなどの席で出される他は、おじさんの家で内人になった報告をした時、戴いたぐらいだ。
 普段、料理に使うことはあるが、調味料や材料の臭み抜きとして使っており、
酒そのものの味を考える必要はなかった。
 だから飲み方も知らず、今日は特につまみも用意していなかったので、飲むたびに
目眩(めまい)がするような妙な感覚に囚われた。・・・。

 ハン尚宮も心配になって言った。
 「チャングム、もうこのぐらいにしておきなさい。」
 「いいえ尚宮様、もっと。」
 こう言って、勧めたはずの酒を、手ずから注いで飲んでいく。もう完全にできあがって
いる。

 「尚宮様、私、尚宮様のことがだ〜い好きで〜す。もっと褒めて欲しいし、もっと
 可愛がって欲しいし、もっと厳しく教えて欲しいし。」
 「そう、じゃそうするわね。」
 「それだけじゃ嫌なんです。も〜っと抱いて欲しいし、そして、私も抱きたいのに。
 ち〜っとも受け止めてくださらないんです。尚宮様〜。」
 こう言うと、チャングムは寝息を立て始めた。
276チャングム×ハン尚宮 −半熟親子丼−:2006/05/27(土) 10:15:05 ID:pG9eELWn
                               22/        壱参弐 柵

 こうならないように、酒の練習を先に友としておくべきであり、上司、特に好意を持つ
上司の前で、いきなり試すのは無謀であった。
 だが、もしヨンセンと飲んでこんなことを洩らしたら、ヨンセンに襲われたかも
しれない・・・。


 仕方なく、ハン尚宮はチャングムを寝かしつけた。寝顔を見れば、その表情に
心和むものがある。そうだった、昔は時々こうやって、この子の寝顔を見続けていたっけ。
そっと頭を撫でてやる。こうして見ると、まだまだ子供ね・・・。
 「お母さん。」
 チャングムが寝言を言った。ハン尚宮は思った。
 この子は幼い頃に恐怖を目の当たりにした。まだ、母が恋しい時分に、二度と
手の届かぬ処へ引き裂かれたのだ。訳の判らない内に、全てを自分のせいだと思い込んで。
 この子も恐らく私と同じことを感じてきたのだろう。自分は生きていていいのか、
楽しんでいいのか、笑ってもいいのか、と。
 なのに、この子は何故こんなに明るく振舞えるのだろう? その辛さを何故感じさせ
ないのだろう。

 チャングムにしても私にしても、互いの艱難は比べられるものではない。そして私が
この子と違うのは、物心付いてからミョンイと共に成長してきたことだ。その時々の
喜びや悲しみを、分ち合ってきたのだ。その意味ではこの子よりも幸せな年月を過ごせた
のだと思う。
 だから尚、処決された友の姿が、私を束縛し続ける。

 「チャングム、私の心にいつまでもミョンイが住み続けることを許しておくれ。
 お前にミョンイの面影を見てしまうことを許しておくれ。」

 母を求めるかのように、チャングムの手がハン尚宮の方に伸びてきた。今、この子は
安らいで眠ることができているのだろうか?
 ハン尚宮は、彼女の手を自らの胸にあてがい、眠りについた。
 「剛毅な子・・・。だけれど剛毅なお前を抱くと、私の心は柔らかくなるのよ。
 ゆっくりお休みなさい。」
277チャングム×ハン尚宮 −半熟親子丼−:2006/05/28(日) 09:43:04 ID:4zihHDiV
Janeで書き込めず。苦闘後IEで試行。うまくいってくれ。
^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^
                               23/        壱参弐 柵

 翌朝、チャングムは目覚めて驚いた。内人になって以来、初めて師と一つ布団で
眠ったのだ。ハン尚宮はまだ休んでいた。久しぶりに見る師の寝姿。子供の頃、普段は
厳しい表情の師が、休んでおられる時にはやさしいお顔をされていた。チャングムは
暫らくの間、その姿に見惚(みと)れた。
 そして大人の広い背中を頼もしく感じたことを思い出していた。チャングムは
ハン尚宮の背中にそっと手を触れると、静かに部屋から出ていった。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
[チャングムとヨンセンの部屋]
 部屋に戻るとヨンセンはもう起きて、心配顔で待っていた。チャングムが帰って
くるのを見て言った。
 「いったいどうしてたの。帰ってこないなんて、私とても心配で。」
 「ヨンセンごめんなさい。ハン尚宮様にお酒の味見をお願いしたんだけど、
 勧められるまま戴いて、そのまま寝てしまったようなの。」
 「まあ、そんなことが。最高尚宮様怒っておられなかった?」
 「大丈夫みたい。今は休んでおられるけど。後で謝りに行った方がいいかしら。」
 「もちろんそうしなきゃ。」
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
[ハン最高尚宮の部屋]
 「・・・尚宮様、申し訳ありませんでした。見苦しい姿をお見せしてしまいました。」
 「そうね。でもお陰で、お前の寝顔を久しぶりに見ることができたわ。それにお前の
 思いも聞けたし。」
 「! 私、失礼なことを申し上げたのでしょうか。」
 「もっと厳しくしてくれとか言っていたわね。いいでしょう。これから更に厳しく
 躾けます。」
 「尚宮様・・・。申し訳ございません。」
 「いえ、それがお前の望みでしょう。なら、その通りにしましょう。」
 「・・・。」

 「・・・それに・・・、私のことを抱きたいと言っていたわ。どうして? お前
 この頃ちっとも求めてこないのに。何故なの? 何が不服なの?」
 「そんな、そんなことありません。・・・でも・・・尚宮様は私をなかなか受け入れて
 くださらないので・・・、それで・・・。」
 「それで、何?」
 「それで、あの・・・お酒をさし上げれば、ひょっとして・・・。」
 「私を酔わせて抱こうと思ったのか! けしからん。余計なことはせずともよい。」
 「尚宮様、お許しください。尚宮様はいつも私をお抱きになるばかりです。
 私、尚宮様をもっと・・・。どうして私に触らせようとされないのですか。」
278名無しさん@ピンキー:2006/05/28(日) 10:22:17 ID:oieE/cZx
>277
壱参弐様、無事書き込みで一安心。
毎日毎日待ちこがれております。
279名無しさん@ピンキー:2006/05/28(日) 14:46:23 ID:xIh5zJYZ
   ∧_∧
  / ・∀・ヽモリリーも楽しみに待ってます
  | ∪   ∪
  と__)_)
280名無しさん@ピンキー:2006/05/28(日) 15:05:55 ID:XxqAULV1
>>277
いつもイイ物ありがとうございます。

自分もOpenJane αを使っていますが下記スレの
604以降を参考にしましたら書き込めるようになりました。

OpenJane総合質問スレッド(初心者歓迎)part39
http://pc7.2ch.net/test/read.cgi/software/1148204771/
281名無しさん@ピンキー:2006/05/28(日) 20:08:38 ID:/BrkAhPy
↓ちょっと小ネタ投下
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

ヨンセン、聞いて。昨夜ね…ああもう。
わたし、もうどうしていいかわからないわ。
ミン・ジョンホ様よ。あの方、いったいどうしたらいいのかしら。
ええと、昨夜のこと、最初から説明するわね。だいじょうぶ、そんな心配そうな顔しないで。

夜更けにわたし、お部屋で医術の勉強をしていたの。
いくら勉強しても足りないのよね、うん…。一日がもっと欲しいわ。
で、あんまり根をつめたので頭が痛くなって、息抜きをしたくなって外に出てみたの。
そしたら丁度チョンホ様が通りかかって…なんでそんな都合良く深夜に通りかかるのって言われても。
昔からいつもそうだったわ。済州島でも同じよ。
気配を感じて振り向いたら必ずチョンホ様がいるのよ。なに、ヨンセン。変な顔して。
で、気付いた私に「奇遇ですね。チャングムさん」ってにこにこと寄っていらっしゃっ…
なによ、ヨンセン。そんな心配そうな顔しないで。
チョンホ様って気さくな方なのよ。

でね、どうしてこんなところにいるのかお尋ねしたの。ご様子がおかしかったから。
え?
なにが奇遇なの、めちゃくちゃおかしい…?違うわよ、そうじゃなくて。
チョンホ様ったら、お顔が真っ赤で、目つきが夢でも見ているようにうっとりなさっていてね。
わたし、これは実熱だわってピンときたの。ほら、顔全体が赤くなる発熱よ。
それで「失礼します」って額に触らせていただいたらやっぱりあったかいの。
「お熱ですよ、チョンホ様」って言ったらいきなり…あ、ちょっと、その。
「チャチャチャチャングムさささ」って、腕を伸ばして、その。
つまり、わたしに抱きついてこられたの。
わっ、そんなに大声出さないで、ヨンセン!
宮中であってはならない事よね、わかってるわ。ね?
だから私も、思いきり殴ったの。ええもう思いっきりよ。こういう事はしめしをつけなきゃ。
そしたら「チャングムさ…」って、チョンホ様ったらよろけてお転びになったの。
こういうのって犬のしつけみたいね。でも今までも同じ事があったから、対処は心得ているわ。
え?
ええ、これまでにも何度もあったのよ。
もしかしたらチョンホ様ってお寂しいのかしらって思うけど。
ほら、宮中にあがったばかりの頃、ヨンセンも寂しい時によく私に抱きついたりしてたでしょ。
え?これとそれは違う?またまた、大人になったから忘れてるだけよ、ヨンセン。

どこまで話したっけ。ああ、チョンホ様がお転びになったあたりね。
それが、運の悪いことに転んだ場所に沓脱ぎ石があって、そこで頭をお打ちになったの。
悶絶なさったわ。武官なのにおかしいわよね。え、違う?
いったいどれだけ殴ったのって、ん?ごく普通よ。
ほら、こうやって両手を組んで、関節のところで頸の真横から…本当は石を握っているともっといいんだけど。
なによヨンセン、その目。
なにかやる時は半端はだめってチャンドク先生から教わったのよ。
ともかく、これはまずいって思ったの。ほら、あんな夜更けに気絶した人の傍にいるのって物騒じゃない。
わたしがやったって思われて、縛られてしまうわ。え、まあ、そうね。わたしなんだけど。
でも、ほら、わたし、縛られてどこかに放り込まれるのはもうこりごりなの。わかってくれるわね、ヨンセン。
わたしくらいの年齢で、こんなに縛られてばかりの人生送っている者はめったにいないと思うのよ。
うーん。そんなに激しく頷かないでくれない、ヨンセン?
282名無しさん@ピンキー:2006/05/28(日) 20:09:10 ID:/BrkAhPy
ん、まあいいわ。で、わたし、急いでチョンホ様をお部屋に入れたの。
うん…それはもちろんまずいけど、しかたないじゃない。そのまま転がしておくわけにもいかないもの。
チョンホ様って重くて…しかたないから足首のところを帯で結んで、ひきずりあげたわ。
頭ががんがん石や廊下にあたってたけど、そのくらいは辛抱していただかなくちゃね。
で、まだ意識が戻らないから急いで平手で頬を叩いたの。なかなか気付かないから往復でね。
ヨンセン、なにをそんなに怖そうな顔をしているの?
大丈夫よ、平手を拳に変えたらチョンホ様はすぐにお気づきになったわ。
わたし、とても嬉しくて。
これで人殺しって捕縛されなくてもいいんだって思ったらついチョンホ様に抱きついてしまったの。
え?
それほんとにまずいわって、でも、あなただって可愛がっている犬が助かれば同じ事をするでしょう?同じよ。
「チャ、チャングムさん!!私もずっとあなたの事をぉ!」とかなんとか口走って、チョンホ様ったらとても嬉しそうだったわ。
それでね、抱きつきかえそうとなさるの。鼻息があらくて、極度の興奮状態だったわ。
うん?わかってるわよ、しめしがつかないわよね。
そう気付いたから、急いでもう一度殴ったの。今度は文机にあった硯でね。
チョンホ様、今度は声も出さずにお倒れになったのよね。
やっぱり硯だと、角で殴ってはいけないみたい。

で、どうしたらいいと思う、ヨンセン?
今もやっぱりお部屋にチョンホ様がいらっしゃるのよ。
しーっ、ううん、だいじょうぶ、命に別状はないわ、保証する。
ただ朦朧となさってて、へらへら笑ってらっしゃるの。
なんだかご自分のお名前も思い出せないみたい。
これ以上かくまっておくわけにもいかないし、困ってしまうわ。
さすがのわたしもほんとうの本当に困っているの。

ねえ、どうしたらいい、ヨンセン?
ヨンセンったら、なに寝たふりしてるのよ、ん、もう!



(無理矢理おわり)
283名無しさん@ピンキー:2006/05/28(日) 21:23:48 ID:TDny9P78
エロくない作品はこのスレに6
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1140876291/
284名無しさん@ピンキー:2006/05/28(日) 22:16:32 ID:XjqwCVPc
285名無しさん@ピンキー:2006/05/28(日) 22:51:01 ID:RcUiRhH7
>>281
>こういうのって犬のしつけみたいね。
>こういうのって犬のしつけみたいね。
>こういうのって犬のしつけみたいね。
>こういうのって犬のしつけみたいね。
>こういうのって犬のしつけみたいね。
>こういうのって犬のしつけみたいね。
チョンホ犬wwww腹痛いwww

もしかして30話のラブ※に殺意を覚えた副官のご家族の方?
286名無しさん@ピンキー:2006/05/29(月) 11:28:27 ID:JK75jkL9
>>282
>チョンホ様って重くて…しかたないから足首のところを帯で結んで、ひきずりあげたわ。
頭ががんがん石や廊下にあたってたけど、そのくらいは辛抱していただかなくちゃね。

ワラタw
287チャングム×ハン尚宮 −半熟親子丼−:2006/05/29(月) 19:16:35 ID:esINddRC
>>280 感謝。まだ専ブラ界では血の嵐が吹いているのかな? 暫く布団被って寝ます。
>>283 こんな書庫があったこと、保管後も作者が著作権を保持できることに感激。
^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^
                               24/        壱参弐 柵

 「・・・お前の言うとおりかもしれない。私はお前に触れられるのを好まないようだ。」
 「私が稚拙だから、受け入れていただけないんですか。」
 「お前が問題なのではない。」
 「では、どうして駄目なのですか。尚宮様は母を受け入れておられたのでしょう?」
 「だから、だからできない。
  初めてお前を抱こうと決めたとき、そしてお前に抱かれたとき、私はお前を見ようと
 した。感じようとした。でも、私はお前のお母様、ミョンイを感じてしまった。
  お前とそうする時・・・、お前を抱くときは、私の手の中にはお前しかいない。
  だがお前が私を求めるとき、私はミョンイとのことを思い出してしまう。それで、
 知らず識らずのうちにお前の手を避けてしまうのだ。」

 「お前がミョンイの娘と知って、ミョンイに対する煩悶は幾分和らいだ。
 それはありがたく思っている。
  けれど・・・私はあの人しか知らない。あの人は私の身体を開き、昇り詰めさせ、
 奈落に引き込んだ。そしてあの人に酔い痴れる私の全てを味わった。味わい尽くした。
 その感触は、私の身体に染み込んでいる。今でも私を捉えて放そうとはしないのだ。」
 「では、私も母と同じようにします。尚宮様の好まれるようにします。母がどのように
 尚宮様を愛されていたのか、私に教えてください。」
 「私はそうはしたくない。したくなかったからこそ、お前が幼かった頃から今まで、
 何も教えずにいたのだ。
  もしもお前がミョンイと同じようにするなら、私はその慈しみを受け入れてしまう
 だろう。感じてしまうかもしれぬ。しかしそれではミョンイに抱かれているのと
 同じことになる。お前自身を感じているのではない。
  また、もしもお前がミョンイとは違うやり方で私を求めるなら、それも私にとっては
 辛い。私の中のミョンイの思い出が、剥ぎ取られてしまうように思えるのだ。
  だから、私は受け入れることができないのだ。私はお前を抱きたい。しかしお前を
 受け入れてやれない。
  もし、それが、こんな私がお前の意に染まないなら、いや、私がお前を玩んで
 いるのに過ぎないなら・・・。そうね、愛でているとは言えないようね。」
 「尚宮様。」
 「今日はもう帰っておくれ。そしてしばらくここに来ずともよい。」
 「尚宮様。」
 「悪いけれど、しばらく考えさせておくれ。」
288名無しさん@ピンキー:2006/05/29(月) 23:19:35 ID:S3UnnmmP
>>54
最高
289名無しさん@ピンキー:2006/05/29(月) 23:31:12 ID:qJcV8yDu
854 名前: 我儘試運転中 ◆IP4F5VEcTI [sage] 投稿日: 2006/04/17(月) 14:58:15 ID:CQk4DTii
>>853
中宗実録の中で便通が悪いのでチャングムが使ってみると言った
「蜜釘」が気になるな・・・。
「醫長今言: “去夜煎進五苓散二服, 三更入睡。 且小便漸通, 大便則如舊不通,
今朝始用蜜釘。’ 云。】」
「用蜜釘後, 大便尚不通, 但如白膿之物微下。」だから効かなかったようだが・・・。

858 名前: マンセー名無しさん [sage] 投稿日: 2006/04/17(月) 16:20:31 ID:khgLHXVi
>>854
漢文には疎いけども「進」というのが文脈上、薬を勧めるという
意味で使われてるのは分かる。だからこそ「用」という字が使われ
てるのが怪しくて、長今が浣腸か、又はそれに順ずるアナル刺激器具
を使ってるようにしか見えないんだよね。
290名無しさん@ピンキー:2006/05/30(火) 12:33:00 ID:MtqWwNgd
>281-282
噴いた
ギャグではあるがどことなく素でチャングムっぽい
291チャングム×ハン尚宮 −半熟親子丼−:2006/05/30(火) 20:20:07 ID:rA1w2do5
                               25/        壱参弐 柵

 チャングムが不承不承立ち去った後、ハン尚宮は一人呟いた。
 「ミョンイ、あなたは私の全てであり、なき後も私を縛り続けた。今またあなたの娘が
 私を悩ませているわ・・・。」
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
[チャングムとヨンセンの部屋]
 チャングムが戻ってくる。やや暗い表情。
 「ねえチャングム、やっぱり何か心配事があるんでしょ?」
 「・・・。」
 「ハン尚宮様のことじゃないかしら?」
 「・・・。どうしてそう思うの?」
 「最近、あなたに違う薫(かお)りを感じるの・・・。」
 「・・・。」
 「好きなの?」
 「うん。」
 「尚宮様もそう思われているの?」
 「う、うん。」
 「そうか。ま、ハン尚宮様なら仕方ないわね・・・。立派なお方だし。私も尊敬して
 いるわ。それにあの方はチョン尚宮さまのお弟子さんだったから、私にとっては
 お姉様にあたる方。だから私は何も言わないわ。」
 「ヨンセン・・・。」
 「ねえチャングム、幸せ?」
 「とっても幸せよ。」
 「そう。良かった。」
 「ヨンセン。」
 「何?」
 「ありがとう。」
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
 数週間が過ぎた。ハン最高尚宮とチャングムは、水剌間にいる時は、何事もなかったかのように
過ごした。

[ハン最高尚宮の部屋]
 夕刻、チャングムが来る。
 「何か用なの? 呼んだ覚えはないが。」
 「尚宮様、お許しを戴きに伺いました。」
 「何もお前が悪い訳ではない。私に迷いがあるだけなの。」
292名無しさん@ピンキー:2006/05/30(火) 22:17:46 ID:su7a/JQt
>>290
>281-282ってゴン嫁の声が前提かな
ヨンエ地声だとちょっと違うような感じ
293名無しさん@ピンキー:2006/05/31(水) 00:24:28 ID:3kCC8u1a
>ハンXチャングムの職人さん
いつも乙です。毎日続けるのは大変でしょうね。
じっくり書いていってください。


>>283を考慮してエロに近付けてみた
この時代でこのカップルをエロに突入させるのは結構難しい

で結局お笑いに。諦めてくれ
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

「チャングムさん、申し訳ありませんが私を診ていただけませんか」
済州島にてチャンドクの厳しい指導のもと、女医を目指して修行するチャングムの前に
ミン・ジョンホがとぼとぼと現れたのは荒れ模様の冬の日の午後のことであった。

「どうやら風邪をひいたようで…昼食後からだんだん気分が悪くなりまして」
舞い吹雪く雪を背景に、彼はそう言った。目はやや潤み、顔もすこし赤い。
「ああ。お勉強の最中でしたか」
「いいえ、チョンホ様。だいじょうぶです、どうぞこちらに」
チャングムは急いで医術書を片付けた。
勉強のための時間は惜しいが助けを求める人は無視できぬ。
また長年の付き合いのチョンホは別格だ。
「寒いおりですし、兵士たちに移すわけにもいきませんから。どうかお願いします」
チャングムの薦めるまま床几に腰を降ろしたチョンホはチャングムを見上げた。
脈をとり、額に掌をかざし、チャングムは眉を開く。まださほど重い状態ではない。

「早くいらしたからだいじょうぶ。今日はお休みになって。いいお薬を煎じますから、服んでくださいね」
「ありがとうございます、チャングムさん」
薬草の棚に身を翻したチャングムを眺めつつチョンホは呟いた。
「しかし兵士たちより先に風邪をひくとは、お恥ずかしい。わりに丈夫なたちなのですがね」
「チョンホ様は働き過ぎですよ。たまには手をお抜きにならないと」
手早く薬草を選び、火をかきたてて薬鍋に封じる。
「あなたに言われるとは、心外です」
チョンホはすこし笑った。

チャングムが頭を傾げて思案している。
「このお薬ができるまで、ちょっと時間がかかりますけど」
「ああ、わかりました。また出直してきますよ」
チョンホは多少ふらつきながら立ち上がった。チャングムは急いで手を差し伸べた。
「あの、大丈夫ですか、チョンホ様?」
「平気です」
戸を数寸開くと荒れ狂う風がどっと吹き込んできて、チャングムが慌てて閉めた。
「すごい吹雪になってます、チョンホ様。このままここでお待ちになったほうが」
チョンホは一瞬の風で大量の雪が乱れ落ちてまだらになった床を眺めた。
「ではお言葉に甘えます、チャングムさん」
294名無しさん@ピンキー:2006/05/31(水) 00:26:01 ID:3kCC8u1a
げっブラウザからだからさげわすれたスマソ
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

狭い室内は薬鍋の熱気で充分暖かかった。
封のわずかな隙間から湯気が盛んに噴き上がり、滲みるような炭の、音とも言えぬ音だけが周囲にたちこめている。
居心地が悪く、チャングムはやたらに熾を煽いだ。
チョンホと二人きりでいたことは結構あったような気がするが、今日までこれほど気まずい感じはしなかった。
チャングムはいつもいつも極限状態だったから(たぶん一生変わらない)常に他に気を取られていたのである。
だが、今日は(非常に珍しく)差し迫った危機もなく、密室でチョンホのための薬を作っているだけ。
そんないつ終わるともわからない吹雪の中、チョンホの様子がなんだかへんなのだ。

ずーっと彼側の頬に違和感を感じていたチャングムは、ついにたまりかねてさっと顔をあげた。
「あの、わたしの顔、なにかついていますか、チョンホ様」
「いいえ」
チョンホはかぶりをふり、穏やかに微笑した。
「いつもいつもお綺麗ですね、チャングムさんは」

チャングムはうちわを取り落としそうになったが、火の傍なのでぐっと堪え、かわりに口を開けた。
「え?」
「とても綺麗です。いつもそう思っていました。あなたは美しい」
よく見ると、チョンホの目は潤みを増していた。
「きっと、純粋でひたむきで美しい心が見た目にも現れているのでしょう。そうです。そうに違いありません」
「ちょっと、チョンホ様。失礼します!」
チャングムは内心赤くなり、急いでチョンホの額に指をあてた。
普段から浮かれた事を言い始めると恥ずかし気もなく続けるチョンホだが、それにしてもおかしい。
案の定だ。さっきより額が熱いような気がする。
「熱が出始めたんだわ。横になってくださいな、今床をとりますから」
ひっこめようとした指先をまとめて掴まれて、チャングムは目を見張った。
「え、あの……チョンホ様?」
「床など必要ありません、チャングムさん」
チョンホは身を乗り出し、潤んだ瞳を訴えるように向けた。
「この熱は、恋の情熱なのです。あなたを慕う積年の私の想いが我慢できずに溢れ出たのです」

その指を叩こうとしてチャングムは躊躇した。相手は一応病人である。
「落ち着いてください、チョンホ様。あなたは今熱でちょっと(いつものがもっとひどいわ)」
「あなたに救われた輝けるあの日から、私の心はあなたを想い続けていたのです、チャングムさん!」
「いえ、あの(トックおじさんに言われるまで想像もしてなかったじゃないのよ)」
つっこみをいれているチャングムの内心にはもちろん気付かず、チョンホは握った指を引き寄せた。
「どうしてあなたはそういつもいつもいつもいつも冷静なのですか。私の態度を見てみぬふりをしているとしか思えない」
「あの、そうじゃなくて(ここまで波瀾万丈すぎてそんな暇なんてなかったし)」
ひき寄せられ、チャングムはさらに目を見開いた。ひげ面が迫ってくる。
「そ、そういう事はしちゃいけないんですよ、チョンホ様!」
身をそらすチャングムをチョンホは抱きしめようとした。
「何故ですか。あなたはもう女官ではないし、私も都を捨てた身です」
295名無しさん@ピンキー:2006/05/31(水) 00:26:55 ID:3kCC8u1a
「とにかく、いけませんってば!な、殴りますよ、チョンホ様っ」
手近の医術書をつかみあげたチャングムに、チョンホは気弱な笑みを見せた。
「…殴られるのはきっと痛いでしょうね」
チャングムは頷く。
「でしょう?わたしも母やおばさんや尚宮様に小枝の鞭で脹ら脛をよく叩かれたけど、とても痛かったわ」
チョンホの顔がぱーっと(熱で)輝いた。
「鞭。チャングムさんの白くて細い指には似合うでしょう。どうせならそれで殴っていただけませんか」
「ちょっと……いえ、チョンホ様。ねえ、お気を確かにお持ちくださいな、あの、ほんとうに大丈夫ですか?」
チャングムは絶句しかけたが、チョンホの息が燃えるようである事に気付いた。
「とにかく鞭は駄目です!いけないわ。早く横にならなければ…」
さきほど診た時にはさほどでもなかったが、病が進行しているのだろうか。
チャングムの思いに関係なく、チョンホの腕に力がこもった。

「チャングムさん…」
耳の近くに声と熱い息が振ってきて、チャングムはびくっとした。
「あの、だ、だめですってば…」
思いとは裏腹に声が小さくなってしまう。なんだか怖い。
チャングムが後ろに足を運ぶので、彼女を抱いたままのチョンホが追って迫ってきた。
背中が壁にぶつかって、チャングムは下がるのを断念した。
「ああ、チャングムさん。あなたの背は、なんて柔らかいんだ」
チョンホがうっとりと呟いている。背に掌の感触が這う。
チャングムは顔を赤らめ、身を捩ったがチョンホの腕はびくともしない。
「チョンホ様、いけませんってば」
腕を押しのけようとして、はっとチャングムは身をこわばらせた。

重ねた双方の衣服越し、腿に奇妙な感触を覚えたのである。
刀の類かと思ったがそうではないことはすぐにわかった。チョンホは丸腰だ。
「チョンホ様、これは?」
チャングムは訊ねた。チョンホの目がわずかに気を取り戻した。彼は口ごもった。
「これは…その…私の…ものです」
「チョンホ様の?なんですか?」
「あー…」
チョンホは考え込み、腕の力が緩んだ。チャングムは頸を曲げて、まじまじと眺めた。
下裳と上衣越しにもわかるほどなにかが盛り上がっている。
「チャングムさん」
チョンホはもじもじした。多少正気に戻って来た様子である。
「ねえ、なんなんですか?」
チャングムは顔をあげ、追求した。

彼女がこうなったら一歩も退かないことを知っているチョンホはますますうろたえて咳払いした。
「あの、その。えへん」
「チョンホ様」
「わかりました。ええと、私のものです。つまり……その、男ならば誰でも持っている器官です」
「ああ、これがそうなんですね」
チャングムは感心したげに頷いた。大きな目が求道者の光を帯びはじめた。
「もちろん医術書で知っていたけど、実際に見るのは初めてです」
「はあ、そうですか…」
実際にって、衣服越しなのである。
こんな場合にも関わらずどこかとんちんかんなチャングムにチョンホは微笑した。
やっぱり熱で彼の知力は鈍っていたに違いない。
正常な状態ならば、当然チャングムの台詞の流れは予測できたはずである。
296名無しさん@ピンキー:2006/05/31(水) 00:27:41 ID:3kCC8u1a
「でも、おかしいわね。たしかこれは、いつもこんな状態ではないはずだわ」
「それは……」
あなたとやりたくてこうなったのです、とはさすがに言えないチョンホの股間を、チャングムがつんとつついた。
「うっ」
思わず前屈みになったチョンホの目に、驚き、感動するチャングムの姿が映る。
「まあ、すごい反応なんですね!」
「いえあのチャングムさん…」
「あの、ねえ、チョンホ様」
じっと見上げてくるくっきりとした澄んだ瞳。その奥に探求の炎が妖しくも美しく燃えていた。
「普通ならとてもこんなお願いはできませんけど…ねえ、こんな機会は滅多にありませんよね。観察させてくださいな」
「観察?」
チャングムはぱっと身を低くしてチョンホの腕をすり抜け、医術書の山にとびついた。
「たしか、この本…あーっ、あったわ、これね。ええと。えとえと」
本を開いて置き、もう片手で匙やそのへんの布やら綿やら油やらをごたまぜに払いのけて
机の表面を確保したチャングムは満面に興奮を漲らせて叫んだ。
「さあ、チョンホ様!ここに出してくださいな」

「いやです」
チョンホは拒否した。潤みきった目が一層光をたたえており、今にも泣き出しそうだ。
「そんな純粋なきらきらした目をしているチャングムさんに観察されるのは、恥ずかしいです」
「まあ…」
帳面と筆をとりあげたチャングムは眉を寄せた。
「よくも、今さら恥ずかしいだなんて」
「許してください」
チョンホは恥も外聞もなく懇願した。
「熱でつい本、いえ、頭がおかしくなっていたのです、チャングムさん!」
「熱のせいで済むなら左捕盗庁はいらないんですよ、チョンホ様」
チャングムはにっこりと笑った。
「もちろん、鞭とかなんとかのご趣味もクマンさんたちに知られたくなんてないですよね?」



吹雪が去った後、しばらくの間ミン・ジョンホは高熱で寝込むこととなった。
もちろんチャングムは献身的にせっせと看病し、関係者一同を感心させた。
なんでも風邪をこじらせたそうだが、その真の理由を知っているのはこの世に二人きりである。
仲良しな事だ。

クミョンが知ったらさぞかし羨、いや、きっと怒り狂うことだろう。


おしまい
297名無しさん@ピンキー:2006/05/31(水) 00:39:48 ID:HN5wMVOy
GJ!ワラタw
エロ少なくても好きだな、こういうの
298名無しさん@ピンキー:2006/05/31(水) 02:09:55 ID:HubgnCXQ
赤みをおびてます。これは体内に熱がこもっている症状です by チャングム
                 __,,,,、 .,、
            /'゙´,_/'″  . `\
          : ./   i./ ,,..、    ヽ
         . /    /. l, ,!     `,
           .|  .,..‐.、│          .|
           (´゛ ,/ llヽ            |
            ヽ -./ ., lliヽ       .|
             /'",i" ゙;、 l'ii,''く     .ヽ
         / ...│  ゙l,  l゙゙t, ''ii_    :.!
        : /.._ /    ヽ \\.`゙~''''''"./
        .|-゙ノ/   : ゝ .、 ` .`''←┬゛
          l゙ /.r   ゛ .゙ヒ, .ヽ,   ゙̄|
       . | ./ l      ”'、 .゙ゝ........ん
       l  /     ヽ .`' `、、  .,i゛
       .l|  !    ''''v,    ゙''ー .l、
       |l゙ .il、  .l  .ヽ  .¬---イ
      .ll゙, ./    !            ,!
      .!!...!!   ,,゙''''ー       .|
      l.",!    .リ         |
      l":|    .〜'''      ,. │
 
299名無しさん@ピンキー:2006/05/31(水) 02:11:27 ID:HubgnCXQ

では横になってください。治療して差し上げます。 by チャングム

              ノ
       __     /
      /⌒ ヽ  /        /
      (     )'゙ヽ.     _/
.    /iー-‐'"i    ,;   /
  i ! ( ヽ.    )  ノ/ .:/
    (\.゙ヽ_(_/,イ/
  i ! (\\_,_)' ノ
    (\\_,_,)'
  i !  l ,i\ ヽ、 !
     し'

ハァハァ  チャングムさん、 チャングムさぁぁぁーーーーーーーーーーんんん!!!!!

アーッ!!!!!   by ミン・ジョンホ 
300名無しさん@ピンキー:2006/05/31(水) 19:16:59 ID:5jw+nO5d
2ちゃんにおけるラブ※の扱いって

ヘタレ
ニヤニヤ

M男
総受け

なんだな

>>293-296
休み時間に見て失笑して周りからかわいそうな人扱いされますた
301チャングム×ハン尚宮 −半熟親子丼−:2006/05/31(水) 21:27:40 ID:n4qw+oEN
* テスト >>293 GJ
^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^
                               26/        壱参弐 柵
 「しかしハン尚宮様、尚宮様が今でも母を想ってくださることを幸せに感じます。
 でもそれ故に、私を受け止めていただけないのなら、大変悲しく思います。
 私は尚宮様のその嘆きを和らげたい。少しでも安らいでいただきたいのです。」
 「お前に抱かれて安らぐ・・・か。そうであればどれほど快いことであろうか。
 お前を手の中に置くとき、私は十分安らいでいる。だから心配せずともよい。
  だが、・・・私は、お前に抱かれることで、ミョンイの思い出に向き合うのを・・・
 恐れている。向き合えば私はひ弱な姿・・・そんな無様な姿をお前に曝(さら)け出す
 ことになるだろう。私は、お前の前では師匠としてありたい。弱い自分を見せたくはない。」

 「だからといって私はお前を拒みながらお前の身体を求め、お前を慰み者にするのか。
 お前を拒むのと同様に、己もお前に触れるのを戒めるのか。
  それともまた、煩悶と合い舞いながら、ひ弱な姿を晒(さら)しながら、お前に愛でら
 れるのか。
  何(いず)れの道にしても、我が歩を進めることができかねる。」

 「そして、これは私自身が片付けることだ。お前を巻き込むことではないのだ。
  この話しは、もう終わりにしよう。私がいいと言うまで、ここには来てはならぬ。」
 「尚宮様。」
 「出て行ってちょうだい。」

[ハン最高尚宮の部屋]
 数日後の夜半、チャングムが来る。
 「尚宮様、どうかお願いします。尚宮様のお苦しみを分かち合えないということ、
 その上私がその痛みを弥増(いやま)してしまうことを心苦しく思います。
  それでもハン尚宮様にお願いいたします。もう私が尚宮様を癒すなどと出過ぎた
 ことは申しません。ただ、ただ、私の願いを聞いていただきたいのです。
  私自身が、勿体ないことですが、尚宮様を感じたいのです。どうか、どうか、
 私を受け入れてください。」
 「チャングム・・・。」
 「尚宮様は私に、『二人の身体が熔け合い一つになったとき、心も一つになれる。』と
 おっしゃいました。それが情を交わすということだとおっしゃいました。私も尚宮様を
 熔かしたいのです。熔け合いたいのです。
  私が尚宮様に受け入れて戴くことで、尚宮様がどのようにお感じになっても・・・、
 母をお感じになっても、母を想われても私は構いません。私はただ、尚宮様と情を
 交わしたいのです。身勝手なお願いと承知しておりますが、それでも私の我が儘を
 お許しください。」
302名無しさん@ピンキー:2006/06/01(木) 23:52:25 ID:rjFsca73
次作がまとまってきた。まだ悩むこともあろうが、少し嬉しい。相思相愛ではないものを書くのは非常に難しかった。
手法も骨組みから作るのではなく、各々が交わす会話を拾って、それを入れ替えたりしていた。稚拙なやり方だ。 
告知:本作は後14回で終了予定。明日から日曜までの3日間、休載するかも。可能な限り献上します。今後、土日休するかも。

それで、今日の分を献上しようと思ったが、ごく細かな部分で噛みあっていない。お見せするに忍びない。あと少し頑張るが、
駄目だったら今日は休載します。

まだ新専ブラに乗り換えできず。こんなことに時間を使っていられないのだが。
で、IEで書き込もうと思ったら人大杉。やってられん!
   by壱参弐
303名無しさん@ピンキー:2006/06/02(金) 00:16:26 ID:racq19DR
毎日ありがとうございます。
本当に楽しみに拝読しております。
一読者が勝手申すは恐縮ですが、
ここで寸止めとは、何卒ご容赦を〜
304チャングム×ハン尚宮 −半熟親子丼−:2006/06/02(金) 02:05:59 ID:l47MotY/
>>303 それは失礼しました。精神的絡みは難なもので。では頑張ります。本作終了までは、休載もなしで。 ・・・本日はこれでok。欲が出て、まとまらなかった。
                               27/40      壱参弐 柵

 求め、求められる関係。あの人とはそうだった。そんな時間に戻れるというのだろうか。
戻っていいのだろうか。
 しばらく思案した後、ハン尚宮は話し始めた。
 「・・・ミョンイはどう思うでしょうね。たぶんあの人なら、こう言うのじゃないかしら。
  『あなたがいくら私のことを思っても、もう私はあなたの傍にはいられない。
  あなたが悲しみを忘れられなくても、それでもあなたは生きていかなくてはならない。
   生きていくなら、あなたに少しでも幸せになって欲しい。だから、今あなたを
  想う人のことを大切にしなさい。そして恐れず一歩を踏み出しなさい。』
  きっとお前も同じ思いでしょ?」

 「私もお前と離れたくはない。そんなことは考えられない。お前と過ごす時の全てが
 私の喜びなのだから。」

 「お前がそれほど望むなら、私も覚悟を決めなくてはならないわね。
  お前と抱き合うことで、私は煩悶するかもしれない。お前に弱弱しい姿をさらけ出す
 かも知れない。そんな姿がお前を落胆させるかも知れない。そんな私でも、受け止め
 られるのか。」
 この子は、ただ直向(ひたむ)きに私のことを思っているのだろう。情の深い子なのだから。
 しかし、チャングムはこう言った。もう師匠が許していることを、承知しているのだ。
 「私はただ、尚宮様を感じたいと思っています。」

 チャングムは、瞳をキラキラさせながら見ている。この瞳。本当にミョンイ譲りだ。
この奥行のある瞳で無邪気に見つめられ、甘く囁かれたら、いつだって押し切られて
しまう。魔性、そんな言葉が頭を過(よ)ぎる。
 「相変わらず、頭に何にも入っていないのね。でもいいわ。お前に委ねてみましょう。
 それがどんなことになろうとも、お前の思うようにさせましょう。」
305チャングム×ハン尚宮 −半熟親子丼−:2006/06/02(金) 18:12:49 ID:xOURnPka
                               28/40      壱参弐 柵

 「でも残念だけれど、明日から暫く、朝早くから御膳を整えなくてはならないの。
 だから5日後に来てちょうだい。それと、この前のお酒おいしかったわ。お前も
 お酒の嗜み方を知らなくてはね。またカンおじさまのところで買ってきて。」
 「はい尚宮様。飲み方を教えていただけるなんて、本っ当に嬉しいです。
 では失礼いたします。」

 「ちょっとこちらへ来なさい。今夜は口付けだけ・・・。」
 久しぶりに柔らかさを味わう二人。
 「ねえ、チャングム。私の中に入れてきなさい。最初は小さく・・・。」
 今までチャングムは、舌を吸い上げられたことはあったが、意識して自分から入れるのは
初めてだった。
 チャングムはどきどきした。だがミン尚宮の言葉を思い出し、落ち着け落ち着けと
繰り返し、そっと少しだけ、柔らかく、舌をハン尚宮の口に挿し入れた。
 そうそう、そういえば手を握れ、肩も触れってミン尚宮様がおっしゃってたっけ。
片手でハン尚宮の手を取り、指を絡める。片手を肩に回し、優しく擦る。それから
何だったっけ? あ、言葉ね。口付けの合間に、「ママニィム」と囁く。

 ハン尚宮が変化し始めた。
 絡めた指を擦る度、肩を撫で回す度に吐息を洩らす。チャングムはハン尚宮の口内の、
歯の裏にまで舌先を伸ばす。舌の表裏を舐め、先を絡め、そしてもっと奥まで入れる。
 ハン尚宮の身体は上気し、微かに震えている。口内が暖かく、柔らかく熔け始めるのを
感じる。ハン尚宮はチャングムを引き離そうとした。しかしチャングムは腕に力を入れ、
しばらく続けた。
 そしてチャングムが、耳元や項(うなじ)に舌を這わせようとすると、
 「今日はだめ・・・。もうお帰り。」
ようやくチャングムから離れると、ハン尚宮はやっとの思いでそう言うのであった。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
[水剌間の一角]
 チャングムの姿を見かけたミン尚宮、周りに人気(ひとけ)のないのを確認する。
 「チャングム、この頃どう? うまく行ってる?」
306名無しさん@ピンキー:2006/06/02(金) 20:03:08 ID:95yYVD5f
おおっ、神!ありがとうございます!!
精神的絡みで奥行き、深みを増すなかでの萌え展開、
益々嵌まり込んでおります。
307チャングム×ハン尚宮 −半熟親子丼−:2006/06/03(土) 10:59:41 ID:hogNTSXO
                               29/40      壱参弐 柵
 「ミン尚宮様、実は、しばらくお会いできなかったんです。でも昨日久しぶりに。」
 「久しぶりってことは燃えたのね。」
 「いえ、時間がなかったので口付けだけでした。」
 「ふーん、残念ね。で、どうだった?」
 「すごく良かったです。何かこう、今までとは全然違って、甘みを感じました。」
 「いい傾向ね。同じ人とでもその時々によって味が変わってくるから。
 落ち着いて、できたのね。」
 「はい、今までは無我夢中でしたが、ちょっと冷静になってみると、逆に熱くすることが
 できるように思います。」
 「そう、その調子よ。じゃ頑張ってね。また何かあったら言ってね。」
 「はい、ありがとうございます。」
 チャングムは礼を言って、立ち去った。

 「これ、ミン尚宮。」
 そこへハン最高尚宮が通りかかり、二人の会話を小耳に挟んで呼び止めた。
 そういえば、私を求めなかった時、妙にミン尚宮の部屋に通っていたようだった。
もしや・・・。チャングムが他の者と接することなど、考えられない・・・こともない・・・。
 でもまさかミン尚宮と・・・そんな風には見えないけれど。まさかチャンイと? 
それとも他の子と? とにかく聞いてみなければ。
 「甘いって何のお話し? 何の味が変わるの?」
 「いえ、そのー。」
 「熱いってどういうこと?」
 「あのー、それはその・・・(何か言い訳を考えなくっちゃ。そうそう)、川魚の飴炊きの
 工夫を教えていたのです。砂糖醤油を熱々に溶かして手早く一気に絡めないと、
 味がうまくのりませんので、加減よくするにはどうするかと。」
 「そうなの?」
 今ひとつ納得出来ない顔のハン尚宮。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
[ハン最高尚宮の部屋]
 「チャングム、持ってきてくれた?」
 「はい、今日は2瓶お持ちしました。それから肴もご用意しました。」
 「ありがとう、じゃあ戴きましょうか。さ、お前も。」

 今日はハン尚宮の巻き髪は解かれ、背中に垂らされている。
 しばし酒を味わう。さすがにチャングムも、酒量を弁(わきま)え、少しずつ楽しむ。
しかし、
 「尚宮様。ねぇ尚宮様〜。」
 ハン尚宮の手を撫でるチャングム。
 「酔ってきたみたいね。」
308名無しさん@ピンキー:2006/06/03(土) 12:54:11 ID:RKRbs7mB
休載予定のところ、ありがとうございます。
恋するハン尚宮様、焼き餅妬いたり髪をほどいたり、
どんどん可愛いくなっていきますね。
楽しみ!
それにしてもミン尚宮様、本っ当にイイ人ですね
309チャングム×ハン尚宮 −半熟親子丼−:2006/06/04(日) 13:00:56 ID:j46IQDwE
                               30/40+α    壱参弐 柵
 「尚宮様〜。」
 「飲む時は、自分が先に酔っちゃだめなのよ。」
 「お酒に酔っているんじゃありません。尚宮様に酔い痴(し)れているのです。」
 この子ったら! こんなことを言うなんて。全く、すぐ調子にのって。そこがまた、
とても可愛いのだけれど。
 ふふっ。・・・、私を超えていると感じる時もあれば、まだまだ子供だと思うときもある。
 ・・・でもこの子は本当に、私を受け止められるのだろうか?

 「ねえ、チャングム。・・・お前のお母様、ミョンイなき後の私は、屍(かばね)のように
 生きてきた。何も言わず何も見ず。自ら何かしようとはしなかった。
  お前は私以上に辛い目に遭いながら、どうしてそのように強く生きられるのか。
 私はずっと不思議だった。お前のその輝きが、前向きに取り組む心が、どれほど私を
 励ましてくれたことか。」
 「私は、ただ、そうすることが自分の生きる望みだったから・・・そうすることが
 母の望みだったから・・・それが自分自身だったから、そうしてきただけです。
 どうしてそのように生きられるかと言われても、私にはそれ以外は考えられなかった
 だけで・・・。」
 「そうなの。」
 「はい、尚宮様。」
 この子はこう言うけれど、そして私の前では、ほとんど見せないけれど、
癒されない想いは続くのだろう。気持ちが纏(まと)まらないこともあるのだろう。

 私は今まで、抱くことは"安らぎを与えること"だと思っていた。そうではなくて、
"与えられること"でもあることを、この子と出会って知った。
 私を抱くことで、この子の気持ちが少しでも解(ほぐ)れるなら・・・。私の痛みはいい、
か弱い姿をさらけ出すことになってもいい。お前だけには、素直な私でいよう。
 「今夜は好きなだけ、自分の思うままにしなさい。それにこうしている間は、
 私を師匠と思わなくてもいい。私はあなたの愛しい人。だから存分にしていいから。」
 そう言うと、ハン尚宮は手をチャングムの肩に添えた。

 チャングムがハン尚宮の唇を軽くついばみ始める。上唇を舌先でくすぐり、次に下唇を
付け左右に動かす。互いの粘膜が柔らかく擦れあう。ハン尚宮はこれを特に好んだ。
直接の快感とは違うが、口元がぞっとする感触がいい。
 チャングムは舌を小さく差し入れ、ハン尚宮の歯だけを舐めていく。ハン尚宮が自分も
舌を絡ませようとすると、ふいに口を離し、そうさせまいとする。
 「ママニィム!」
 ハン尚宮の勝手な振る舞いを咎め立てするかのような口振りで囁くと、また口を
近付ける。上下の唇を塞いで同時に味わう。再び舌を入れ、今度は大きく掻き回してくる。
ハン尚宮が舌を合わせようとしても無視を決め込む。その間、チャングムはハン尚宮と
指を絡め、もう片方の手は肩を優しく揉んでいる。
310名無しさん@ピンキー:2006/06/04(日) 20:29:31 ID:VArTd9vl
おっ!+αとは!?
さらに楽しみがふえるのですね
感謝&ワクワクです
311チャングム×ハン尚宮 −半熟親子丼−:2006/06/05(月) 17:53:43 ID:laJUFF5Q
皆様の喜びは私の喜びです。ひとつお伺いします。次作はエロ極少ですが、上げていいのですね?
保守代わりと思って、「私を受け入れてください。」 他所スレ行けとか言わないで、
「お許しください、ねっ! ねっ! 皆様〜!」
^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^
                               31/40+α    壱参弐 柵
 やっとチャングムはハン尚宮の舌を捉え、粘っこいような吐息と、粘っこいような
唾液を共に押し付け、動かし、そして軽く吸わせる。吸われる舌を小刻みに動かすと、
放すまいとハン尚宮の舌が追いかけてくる。
 しばらくの間、チャングムはハン尚宮の口内を味わった。動きに合わせて自分を求めて
くるハン尚宮がいじらしい。

 チャングムはハン尚宮をゆっくり押し倒した。うなじを味わい、耳元に息を吹きかける。
襟元をはだけ、手を乳房に当て、軽く押し潰す。首筋を舐める。乳房を揉みながら、
人差し指だけでその中心を、触るか触らないかぐらいの力で弄くる。中心が尖ってきても
それ以上続けず、そ知らぬ顔で脇の下を舐め始める。
 ハン尚宮は身を捩(よじ)って、胸への愛撫を求める。そんなハン尚宮を見て、指先で少し
転がす。ハン尚宮は耐え切れなくなったのか、チャングムの頭を自分の乳房に導く。
 チャングムは軽く口に含むと舌先だけで、軽く押す。尖った中心を押すだけで何も
しない。ハン尚宮の乳首が更に硬くなるのを感じながら、チャングムはミン尚宮の言葉を
思い返していた。
 「これは会話よ。愛しながら相手の身体に問いかけるの。どうして欲しいのかね。
  答えが返ってこないなら、少し待つのもいいようね。ちゃんと返事が返ってきたら、
 また少しやってあげる。
  普通にお喋りしてても、どっちかだけが喋っていたらつまんないでしょ。」
  うまく話しが噛み合って、相手の壷(つぼ)に嵌(はま)っても、安心しちゃだめ。
 その動きだけに夢中にさせたら、豊かさや膨らみが出ないから・・・。」

 さっきから尚宮様は吐息を重ね、私の手や腕や身体に縋(すが)り付いてくる。
ミン尚宮様のおっしゃっていたことは、こんな感じなのか。、

 チャングムはハン尚宮を裏返すと、背中を擦り、肩を揉むように掴んでいく。脚を絡め、素肌を
密着させる。ハン尚宮は徐々に汗ばみ、肌同士が吸い付くような快さを感じていた。今は腿(もも)に
触られるだけで、反応してしまう。
 ハン尚宮の上体を起こし、ようやくチャングムは乳房を愛撫し始めた。舌の裏側で舐め、口に
頬張り、やや動きを遅くして様子を見る。ふっと手を内股に進め、軽く触ったかと思うと手を離す。
 愛でてくれるのか、くれないのか、ハン尚宮は、期待しては裏切られるチャングムの愛撫に
翻弄された。翻弄されながら、感じていく。感じながらもハン尚宮は思った。
 こんな子だったっけ? 今までは、自分がしたいことを押し付けてくるばかりだった
けど。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
312名無しさん@ピンキー:2006/06/05(月) 18:58:37 ID:JeYuQ/qH
自分語りは不要。
過疎だから投下はオケ。
313名無しさん@ピンキー:2006/06/05(月) 19:57:26 ID:3XJk6Vv5
読み手の受け止め方も人それぞれでしょうが、
『例え保守のための一言(ひとこと)でも、書き込まれた瞬間から作品の一つとして』
楽しませていただいております。
中のヒトのコメント付きで連載小説が読めるのも、また一興。
壱参弐様、
『今あなたを想う人のことを大切にしなさい。そして恐れず一歩を踏み出しなさい。』

314名無しさん@ピンキー:2006/06/06(火) 09:33:44 ID:Fn0mDj38
312に1票。
自分語りはしばしばスレが荒れる元になる。とくに長篇の場合は。
この人の場合スレをほぼ独占してる現状だしね。
話は楽しみにしてるので頑張って欲しいが。
315名無しさん@ピンキー:2006/06/06(火) 15:49:07 ID:0qnGEVgp
自分語りも歓迎です
独占ではなくて過疎だからこうなっているのだから
316名無しさん@ピンキー:2006/06/06(火) 18:34:32 ID:5MkCwFxI
板の一般的な傾向として自分語りが引かれるというのは確かにある。
作品投下のスタイルに関しても毎日1スレという方法は他職人が遠慮して投下しにくくなるという事でこれもまたなまぬるい視線で見られやすいという事も言い添えておく。
他スレではどちらも荒れる要因。
過疎スレには問題ないけどね。

317名無しさん@ピンキー:2006/06/06(火) 22:17:11 ID:bJ34iwsH
>>311
自分語りは気にはなりませんが、こんなに媚なくてもいいよ。
かえって引いちゃうからさ。
自信持って投下しなさい。
壱参弐様、楽しみにしてます。
318名無しさん@ピンキー:2006/06/06(火) 22:46:25 ID:MR2VBB9p
このスレ5人以上いるじゃねえかw
319チャングム×ハン尚宮 −半熟親子丼−:2006/06/06(火) 23:25:47 ID:zsZrnKYd
                               32/40+α    壱参弐 柵
[水剌間の一角]
 「チャングム、昨日遅かったってヨンセンから聞いたわよ。ということは、・・・して差し
 上げたんでしょ。」
 「お酒の嗜み方をご指導戴いていただけ、です。」
 「私には判るの。今日の最高尚宮様って、とても和(にこ)やかでいらしたわ。で、どうだった?」
 「・・・何とか受け入れて戴きましたが、どうなのか、よくは判りませんでした。」
 「まあ、あのご様子だとうまく行ったってことね。ほんと、いいわね。じゃあね、もっといろいろと
 教えてあげなくっちゃね。」
 「よろしくお願いします。あ、でも同じ時にっていうのはどうしたらいいんでしょうか。」
 「それはとーっても難しいわ。自分の感情を盛り上げ過ぎても駄目だし、相手も協力して
 くれないとね。もうちょっと経ってから、話すわ。」
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
[ハン最高尚宮の部屋]
 今日は、チャンイが話をする日である。
 「最高尚宮様、明国の北にある国に、人形の形をした胡桃を割る道具があるそうです。」
 「そう。」
 「その人形の形をした胡桃を割る道具が、甘いものや香ばしい木の実や、芳しい
 飲み物の国に連れて行ってくれるそうです。」
 「それは幻想的ね。」
 ハン尚宮は、話しの内容にはそれほど関心がなかった。ただチャンイの仕草や表情を、
注意深く観察していた。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
[カン・ドックの家]
 「おじさーん、あれ? おばさん、おじさんは?」
 「あらチャングム。あの人は、仕入れに出掛けてって、明後日にならないと戻らないよ。」
 「それじゃあおばさん、あのお酒を10壜ほどいただけませんか。」
 「どうしたの? お前、酒の味を覚えたのかい?」
 「ハン尚宮様が、ご所望されるので、時々お相伴させて戴いています。」
 「それにしちゃ最近よく買いに来るね。」
 「ハン尚宮様が他の尚宮様達とご懇談される時に、お入用なので。」
 「言ってくれれば、こっちから届けるのに。」
 「いえ、まだ各厨房の尚宮様にお試し戴いているだけなので、それほどはいらない
 のです。」
 「そうかい。じゃ持っていきな。お代は後で・・・。」
 「はい、これ。ハン尚宮様からです。お支払いしておくようにと。」
 「悪いね。
  ところでチャングム、最近ハン最高尚宮様とよくいるのかい?」
 「はい。お料理の他にも、会議のお手伝いなどさせて戴いています。」
 「ふーん、そうかい。チャングム、最高尚宮様と一緒にいて楽しいかい?」
 「はい。お会いできて、教えていただくのが嬉しいです。」
320チャングム×ハン尚宮 −半熟親子丼−:2006/06/07(水) 07:56:59 ID:+6tqSqF2
                               33/40+α    壱参弐 柵
 「そうかい。ねえチャングム。お前とハン最高尚宮様は、生きてきた長さが違うんだよ。
 お前がいくら判ったつもりでも、判りきれないところがあるんだよ。」
 「・・・。」
 「だからあんまり調子に乗るんじゃないよ。そのー、そうしている時は構わないけど・・・。」
 「えっ?」
 「だからそうしている時はいいけど。」
 「・・・はい。」
 「それ以外のときは、弁えなくちゃだめだよ。いつも一歩退(ひ)いて、お仕えするんだよ。
 お前よりもずっとずっとご苦労されているんだから、そのことを忘れちゃいけないよ。」
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
[ハン最高尚宮の部屋]
 チャングムが来て物語を供している。
 そしていつものようにチャングムが誘い、ハン尚宮がそれに応え、口付けが始まる。
 ここしばらくは、主にチャングムがハン尚宮を抱いている。今もハン尚宮の背後から、
うなじを噛み、背中を舐め臀部を擦っている。

 チャングムは、ハン尚宮を背中から愛しむのが好きだ。
 「尚宮様、こうしていると子供の頃を思い出します。子供の頃、尚宮様がお着替えに
 なるとき、その背中が本当にきれいで、とても憧れていたんですよ。ねぇ尚宮様。」
 「そうなの。お前に見られていたんなんてね。」
背中を撫でながらチャングムは続けた。
 「それに尚宮様、尚宮様はお休みになるとき、よく背中を向けておられて。私を嫌って
 おられるのかと、ちょっと寂しくもありましたけど・・・。」
 「そんなことはないわ。」
 「でも、それで尚宮様の背中を見ることができて。尚宮様がお休みになっておられる
 時に、尚宮様の背中に、そっと手を当ててみたことがあるんですよ。」
 「そうだったの。そんなことをしていたなんて、ちっとも気が付かなかったわ。」
 「だって、お怒りになったら大変ですから、よくお休みになっていることを確かめ
 ましたから。」
 背中から伸し掛かってハン尚宮の両手を握り、自分の乳房でハン尚宮の背中を愛撫
しながらチャングムは続ける。
 「それでね尚宮様、内人になったばかりの頃、尚宮様が私を負(お)んぶしてくださった
 ことがありましたよね。あの時、大好きな尚宮様の背中に触れられて、どきどき
 しました。もっと抱きしめたかったんですよ。」
 「うそおっしゃい。そんな元気はなかったくせに。」
 「そうでしたね。」
 チャングムはハン尚宮を横にし、自分も背後からハン尚宮の身体に自分の身体を
添わせて背中から責め続ける。乳房を揉み、首に手を回し、時々抱きしめては
またその肌を口で、頬で楽しむ。
 チャングムはハン尚宮の、かつて憧れた大きな背中が自分の中で小さく見えるのが
堪らなかった。肉体的な快感ではなく、精神的な欲望が充たされる。もっと味わいたい。
321チャングム×ハン尚宮 −半熟親子丼−:2006/06/08(木) 07:54:32 ID:mK0c1m2/
                               34/40+α    壱参弐 柵
 チャングムはハン尚宮を再びうつ伏せにすると背中に舌を這わせた。大きく舐め、
小さく噛む。片脚でハン尚宮の脚を開き、中心に指を沿わせると、そこは既に濡れていた。
チャングムは指をゆっくり沈めていった。
 そして、ハン尚宮が昇り詰めるまで愛撫を続けた。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
[ハン最高尚宮の部屋]
 ヨンセンはハン最高尚宮に話しを供している。
 「最高尚宮様、御膳をお出しする際に、あしらいを工夫することを考えました。」
 「今でも、もやしで龍を作ったりしているわね。」
 「いえ、祝宴の場だけではなく、普段普段に季節を感じさせる色とりどりの草花、
 木の芽など添えてみてはいかがでしょうか。それから盛り付けも、平坦に並べる
 のではなく、えーっと、・・・(あれっ、どうだったっけ? 確かチャングムは、
 真ん中を高くだっけ、何て言ってたかしら。)えっと、」
 ヨンセンは焦っていたが、ハン尚宮は落ち着いて聞いていた。この子が真面目に
料理を学んでいることは、よく知っている。
 妹弟子に当たるヨンセンに、ハン尚宮も優しく言った。
 「ヨンセン、よく調べようとしていることは判りました。でももうあなたは、見習い達を指導
 しなければならないのだから、判りやすく相手に伝えることも必要よ。」
 「はい。」
 ヨンセンは安堵の表情でハン尚宮を見つめた。

 しかしハン尚宮は思った。チャングムはこの子と同じ部屋にいる。そう言えば時々
胸を触られるとか言っていた。なんて羨ま・・・いや、けしからん。それに何か言い
たげな顔付きをしている。
 「それで、他に何かあるの?」
 「いえ、もう一度勉強し直して参ります。」
 ハン尚宮に問い詰められるのを恐れ、ヨンセンは、そそくさと立ち去った。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
[ハン最高尚宮の部屋]
 今日もチャングムは、ハン尚宮の背中を中心に愛撫をしている。
 肩を噛み、うなじに口付け、背骨の脇を舐め上げる。ハン尚宮が体をくねらせ逃れよう
とすると、更に肩甲骨に吸い付き、離さない。噛まれた肩、吸われた背中は、軽く歯形が
残り赤くなっている。
 ハン尚宮は、無防備な背中から責められ、ただされるままに昂らせていく。
 背中の汗が光り始める。脇腹を擦り、徐々にチャングムの手がハン尚宮の胸に移り、
乳房を弄り始める。ハン尚宮は、声にならない声を発しながら、チャングムの手を退け
ようとした。だがチャングムはその動きを許そうとはせず、ハン尚宮の両手を背中に
回して一掴みにし、片手で乳首を摘みながら、纏めた腕を噛み、舐める。
 喘ぎが大きくなってくると、チャングムはハン尚宮をうつ伏せに寝かせた。お尻から
敏感な部分を探り当てる。触ると、その指に昂りが感じられる。軽く、優しく愛撫を
始める。
 手の平が濡れている。そこにそっと指を入れる。締め付けを感じ、かき回してやる。
喘ぎが少しずつ大きくなって背中が揺らめき始める。
322チャングム×ハン尚宮 −半熟親子丼−:2006/06/09(金) 07:58:55 ID:Znagki95
                               35/40+α    壱参弐 柵
 震える身体から香気が漂う。ハン尚宮様の薫り。堪らない。欲望に己を見失いそうだ。
自分の腰の辺りに快感がこみ上げる。もっと激しく・・・、いや、いけない、いけない。
 「独り言はだめよ。」

 チャングムはミン尚宮の言葉を思い返し、動きを緩めた。自分だけが夢中になっては
いけないのだ。
 「会話っていうのは、相手の言葉を耳で聞くんじゃなくて、身体全体で聴くこと。
 最終的には、聴くんじゃなくて、引き出すようになれればいいわね。簡単に言えば
 焦(じ)らすって感じだけど、ちょっとそれとも違うわね。
  相手が欲しくてたまらないようにしてあげるっていうか。今やっているその動きだけ
 じゃなくって、相手がもっと自分を欲しがるように導いてあげるの。だから相手を良く
 見て、相手の気持ちを注意深く受け止める必要があるのよ。それが身体でする会話よ。」

 ハン尚宮は昇り詰める期待を抱え、しかし背後から責められているためにチャングムを
求めて抱き付くこともできず、ただ胸元にあるチャングムの片手にしがみ付き背中を震わせた。
 チャングムは、自分の気持ちを静めるために声を掛けた。
 「愛おしいです。私の手の中で私だけのものになっておられるお姿。」
 そう言って、ゆっくりとした動きから次第に激しくしていく。
 ハン尚宮がもうすぐ達しようとする間際で、また緩める。
 「・・・ねえ・・・。もっと・・・。」
 「尚宮様。愛おしく思います。」
 「・・・ねえ、お願いだから・・・。」
 「私に・・・酔われているお姿・・・そんな尚宮様が好き。」
 耳元で囁きながら、愛撫を続けるチャングム。強めては弱め、また激しくしては緩める。
 「もっと酔わせたい・・・。」
 身体を返し仰向けにしてやると、ハン尚宮はその腕を、チャングムの背中に回した。
抱きかかえられても、なお乳房を吸い、指で愛撫する。

 ハン尚宮が大きく喘ぎ、やっと果てるまで続けられ、ハン尚宮は深い吐息で応えた。
 チャングムは口付けをし、暫らくその吐息を飲み込んだ。
 ハン尚宮の息はまだ収まらず、今も胸や肩を上下させている。腰や腿に汗が光り、
快感の名残を留めている。

 「ハン尚宮様は私を欲しくないっておっしゃっておられたのに、今ではもっと欲しいっ
 て言われます。」
 「意地悪なことを言わないで。私がどう感じているのかは知ってるでしょ。」
 「いえ、尚宮様、こうしている時は、はっきりとおっしゃっていただかないと。」
 「あらあら、ずいぶんな物言いね。」
と答えたものの、にこにこしているチャングムの顔に、つい釣られてハン尚宮も笑い顔を見せた。
323名無しさん@ピンキー:2006/06/09(金) 11:28:27 ID:u+mjXumg
チョンホ×チャングム
で誰か書いて!
324名無しさん@ピンキー:2006/06/09(金) 11:59:11 ID:yoec7mCx
壱参弐様、変わらずありがとうございます。
出勤前に妖しい気持ちになってはマズイと思いながらも、
毎朝読みに来ずにはおられません。
その上、こうして昼休みにも携帯で読み返してしまう!
325名無しさん@ピンキー:2006/06/09(金) 12:26:14 ID:hfoh60WO
>323
うん。同意だ。
そろそろ、ノーマル男女で、濃いの読みたい。
いや、エロだけじゃなくて、心理描写とか緻密なラブストーリーが。
326名無しさん@ピンキー:2006/06/09(金) 21:29:01 ID:/8FkGm11
前にチャングム×チョンホ書いてくれた職人さん、もっとエロ展開で書いてくれないかな。結構楽しみです(*^_^*)
327名無しさん@ピンキー:2006/06/09(金) 21:59:05 ID:2GdFPqeY
空白の8年間を埋めてください
328名無しさん@ピンキー:2006/06/09(金) 22:00:30 ID:cu3dBiGP
呼ばれた気がして来た

>>326
その職人はたぶん俺ですが常駐はよそのスレなので
濃くてエロい情熱はそちらに吸い取られ、余裕がないです
しかも俺の中のチョンホだとお笑いにしかなりそうにありませんスマソ
329名無しさん@ピンキー:2006/06/09(金) 23:47:06 ID:/8FkGm11
では、お笑い+エロでもっと過激なチョンホ×チャングムをお願いします。
330名無しさん@ピンキー:2006/06/09(金) 23:48:20 ID:KDQ9TD46
しかしこのスレはラブ※需要がすごいな

>>328
お笑いチョンホが最高でした
もっとああいうのを読ませて下さい
チャングムがチョンホに1ヶ月アヒル食わせて実験とか
331名無しさん@ピンキー:2006/06/10(土) 01:20:02 ID:T8r7yzkN
いきなり王道はきついな
脇カプからでよければ書くよ
332名無しさん@ピンキー:2006/06/10(土) 01:26:39 ID:WHCbRjkB
>>331
キボン!
キボン!!
333名無しさん@ピンキー:2006/06/10(土) 01:36:22 ID:T8r7yzkN
>>332
じゃ、時間下さい。放送は見てはいるけど、イマイチ人物相関図等がわかりづらい。
調べてから始めるから。
334名無しさん@ピンキー:2006/06/10(土) 01:40:01 ID:WHCbRjkB
いつでもいいよ
がんがれ
335チャングム×ハン尚宮 −半熟親子丼−:2006/06/10(土) 07:59:08 ID:arufLhYN
                               36/42      壱参弐 柵

 笑いながらハン尚宮は思った。私を抱くこの子の手、身体。その柔らかさ、温かさ。
私を夢中で求めてくる、この子の気持ち。それを受け止めるとき、甘美な官能が私を包む。
そして心が、伸びやかに広がっていく。
 硬く強張り閉じ込んでいた心の中に、この子が入り込み、ミョンイの思い出・・・
思い出と共に、この子の愛おしさが少しずつ重なっていく。
 ハン尚宮は、久しく感じることのなかった、満ち足りた心地に浸った。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
[ハン最高尚宮の部屋]
 今日はミン尚宮が講話の当番である。
 「最高尚宮様、明より遠い異国に、夜伽を申し付けては一晩で飽き、殺(あや)めて
 しまう王がおられたそうです。」
 「どこにも大変な王様がいるものね。」
 「あるとき夜伽に選ばれた娘は、たいそう賢く、一晩に一つずつ物語を話し、
  『明日はもっと面白い話しがあります』と、王の気持ちを引き付け続けたのです。
  それは冒険物、恋物語、悲しい話、夢のような話、動物が出てくる寓話などなど、
 尽きる事がありませんでした。そして、とうとう千と一つの夜話を語り、ついには王も
 その女を寵愛し、殺めることはなかったそうです。
  この本は、その話をまとめたものです。これがあれば、もうお話に困ることは
 ないかと存じます。」
 「そう、そんなに面白い本があったの。では私に見せておくれ。」
 「最高尚宮様にお見せできれば幸いなのですが、何せこの本は異国の文字で
 書き綴られており、私からお聞かせしたく・・・(こんな便利な本をお渡しする訳には
 いかないわ。私が最高尚宮様に殺められないために仕入れたんだもの。)」
 「そう、それは残念ね。では聞かせておくれ。」
 「或る南の国に船乗りがおりました。遠く、海を渡り諸国から香辛料や、珍しい宝物を
 集めて・・・。」
 「なかなか面白いわ。また聞かせて頂戴ね。」

 「ところで・・・ミン尚宮、ちょっと教えて欲しいことがあるのだけれど。」
 「はい、何なりと。」
 「あなたチャングムのことで、最近何か気が付いたことはない?」
 「いえ、別に。相変わらず料理の工夫だといって、あちこち駆け回っていますけど。」
 「料理のことじゃなくて。」
 「チャングムの頭の中にはお料理しかないようです。(それとハン尚宮様のことも、
 ですけど。)」
 「その、誰か新しいお友達ができたのかと思って。焼厨房以外の、針房や至密とかの
 他所の者とか。なんだか最近、様子が変わったような気がして、ちょっと心配なの。」
 「そんな〜。チャングムはハン尚宮様だけですってば。(あっ、余計なことを
 言っちゃったかしら。)」
336チャングム×ハン尚宮 −半熟親子丼−:2006/06/11(日) 07:59:34 ID:8XWjNWrr
                               37/42      壱参弐 柵
 「何ですって?」
 「いえ、あの・・・。」
 「どういうことなの。」
 「あの、最高尚宮様はチャングムに、お目を掛けられ、・・・。(これ以上言えないわよね。)」
 「それで?」
 「日々ご指導されて、チャングムも腕を上げて、末頼もしく・・・。(でもハン尚宮様が
 どう思われているのか聞きたいのよね。)」
 「だから何?」
 「最高尚宮様も、ますますご健勝であられ・・・。(あー、でもやっぱ上役のそういうことを
 知っておくのも、務(つと)めじゃないかしら。そうよね、知るべきよね。
 聞いちゃおうかな、駄目かな。どうする、どうするミン尚宮!)」
 「はっきりおっしゃい!」
 「それでは、恐れながら申し上げます。最高尚宮様、チャングムと睦(むつ)び合われて
 いるご様子、喜ばしく思っております。その・・・。」
 「あなた何言っているの!」
 「えー、まー、その、共寝(ともね)などされ、誠に御仲麗(おなか、うるわ)しく。」
 「知っているの?」
 「そりゃあ判りますってば。いぇ、存じておりますぅ。」
 「他に誰か、知る者はいるの?」
 「たぶんヨンセンだけです。同室ですので。」
 「そうね、それじゃあ仕方ないわね。ところでヨンセンとはどうなの?
 あの子ずいぶんチャングムに甘えているように見えるけど。」
 「それは大丈夫です。ヨンセンは、そういったことは全然知りません。
 ハン最高尚宮様が御付になった、チョン最高尚宮様のところの子でしたから。
 それにチャングムは、何とも思っていませんし。」
 「そう。」
 「それで・・・(そうよ、肝心のことを聞いとかなくっちゃね。それもこれも
 チャングムを指導するためよ。あたしが興味あるから、じゃないからね。)
 それで最高尚宮様、いかがですか?」
 「?」
 「あのー、そのー、あのー、お味です。 あっ、済みません、失礼なことを伺って。」
 「あなたね。あなたが教えたのね。だからあんなに・・・。これで得心したわ。
  でも本当に失礼ね、そんなこと聞くなんて。でも・・・そうね・・・悪くはないわ。
  あなた串焼きもだけど、こういうことを教えるのは、とてもお上手ね。」
 「恐縮いたします。日々研究、修練しております。」
 「では、いい教本などがあれば見せておくれ。私も精進するゆえ。」
 「えっ本当ですか。お任せください! えっと、これが最近手に入れた倭国の絵解きで
 ちょうど夜話の本と共にお持ちしておりましたが、『緊縛女体森 団鬼八作』で、様々な
 形で縛り上げ、愛を育んでいくもので、チャングムにはぴったりか・・・。」
 「これっ! 春画は禁じておろう!」
 「申し訳ありません。」
 「ふふふ、ちょっとからかっただけよ。でもありがとう、ミン尚宮。」
 「最高尚宮様・・・。」
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
337名無しさん@ピンキー:2006/06/11(日) 09:16:21 ID:1UQTHMJu
>>336
わはははは!笑った
この展開は予想外でした
攻められるチャングムもぜひ(w

338名無しさん@ピンキー:2006/06/11(日) 10:45:17 ID:zgA0wJ6v
ハンさんぐん様の細やかな表情が浮かんでくる見事な描写、スゴイ!
無料で読めるなんてシアワセ♪
ありがとう!
339名無しさん@ピンキー:2006/06/11(日) 11:16:11 ID:GUFOIjnw
>>336
ミン尚宮様、最高!
340チャングム×ハン尚宮 −半熟親子丼−:2006/06/12(月) 08:02:10 ID:eTMDvQ1z
                               38/42      壱参弐 柵
[ハン最高尚宮の部屋]
 また別の夜。定例の進講の日である。
 もちろんチャングムは真面目に話し、ハン最高尚宮も真面目に聞いていた。
 だが終わると、
 「それで・・・。今日はすぐに戻らなくてはならない?」
 「いえ、特に何も。ヨンセンも休暇で出宮していますので、一人で医書を読む
 ぐらいです。」
 「じゃ、いいのね?」
 「ええ、私もすっごく欲しいです。それに、尚宮様からお誘いいただいたのですから、
 もっとうまくして差し上げます。」
 「そんなことはいいのよ、チャングム。いつも言っているでしょう。技の巧拙ではないと。
 私はお前の、心根(こころね)に触れたいのだと。」
 「判ってますってば。ねぇ尚宮様。」
いつものようにハン尚宮を求めようとする。

 「駄目。最近お前ばかりじゃない、だから今日は私が。
  言付けを守るって言ったでしょ。」
 「ねえ尚宮様。」
 「お前、本当に遠慮ってことを知らないのね。いいから任せなさい。そんなに
 言うことを聞かないなら、また追い出してしまうわよ!」
 「もぅ、尚宮様ってば。」
 チャングムは諦めて身を委ねた。

 久しぶりにチャングムを味わう楽しみ。この子を追い詰め、私の手の中でいかせたい。
この子の、いつもはいろんなものを目にし、いろんなことを見つけては喜ぶこの子を、
その時は私だけを感じさせたい。
 それに・・・最近、いや以前からだが、ちょっと生意気なところがある。お仕置きを
してやらなくては。
 ハン尚宮の頭の中で、あれこれ考えが、楽しく駆け巡る。

 ハン尚宮はチャングムを愛で始めた。身体を火照らせるチャングム。
 この子の瞳。この瞳の中に、私だけを映したい。かつて私が、ミョンイにそうされた
ように。そうして、この子の全てを味わいたい。
 「チャングム、そろそろあそこの味も知っておくべきね。」
 「あそこって?」
 「手を貸しておくれ。」
 そういってハン尚宮は、チャングムの上体を起こして手を取り、中指を口に含み唾液を
絡ませた。そして、その手をチャングム自身の中に入れさせた。
 「このぐらいまで指を入れると、柔らかな中にちょっと違う感じがする所があるでしょ?
 わかる?」
 「うーん。確かに何かやや硬いような、ざらざらしたような。ねえ、尚宮様のも見せて
 ください。」
341ベタでgo(1):2006/06/12(月) 16:20:08 ID:nZhEZz4U
ミン・ジョンホは心地よい薫風に鬢を撫でられ、唇を綻ばせた。
常時寒風吹きすさんでばかりのドラマ的日常において想像しえなかったほどの好天に恵まれ、王様ご一行様は都から馬で半日ほどの森にて楽しい狩猟の真っ最中である。

チョンホは馬の足を緩め、気を引き締めてあたりを見回した。
文官から武官まで総当たり的になんでもこなせるご都合主…いや優秀な彼は今日もどういう命令系統が交錯した成果か王の警護の任についている。
(もうすぐ昼食だな。チャングムさんはさぞ忙しくしていることだろう)
チョンホの唇に再び微笑が浮かんだ。
脳裏に水刺間の女官、ソ・ジャングムのひたむきな美しい顔がよぎるたび、彼は微笑まずにはいられない。
王様の食事を整えるため随従してきた者たちの中にチャングムがいる事はわかっていた。
任務の最中であるから直接話をする暇などないものの、共に王宮を離れ、この野趣に満ちた風景の中彼女の近くにいるというだけでチョンホは幸福を感じている。純情な男である。

「む?」
目の端に違和感を覚え、チョンホは頬を引き締めた。
鹿にしては小さな影が立ち木の影で動いたような気がした。
そろそろと弓に手をのばしつつ、馬の足並みをさらに落とす。
するりと鞍から滑りおり、チョンホはさしかわした下生えを踏みつけぬよう心を配りながら近づいた。
「あ!チョンホ様!」
「チャ…チャングムさん?」
茂みを越えた彼が目にしたのは、なぜか半べそ状態の、今は調理で忙しいはずの女官チャングムであった。
「一体こんなところで、なにを…」
見ると、彼女の傍らに菜籠が置いてある。なにか飾り物でも摘みに出たものか。
「チョンホ様、困っているんです。お願い、助けて!」
「どうしました」
チャングムがせっぱつまった泣き声をあげるのでチョンホは急いで近づいた。
彼女は首をぐっと前に傾け、タンギで結んだ束髪を見せた。
「あの、く、蜘蛛、蜘蛛がいませんか?」
見るとつややかな黒髪の端に、褪せた色のかなり大きい蜘蛛がいる。チョンホは律儀に報告した。
「ええ、いますね。大きいです」
「いやだ!さっき巣に触れてしまったんです。と、とってください、チョンホ様!お願いします!」
チャングムは悲鳴をあげ、身を震わせた。
「わかりました」
蜘蛛が怖いなんて可愛いなぁチャングムさん、などと少しでれでれしつつチョンホは手をのばした。
「…あ、しまった」
じっとしていた蜘蛛は危険が迫ったのを察知したのか、さっとタンギの影にかくれた。
「ど、どうしたのですか?」
チャングムがびくっとした。
「いえ、大丈夫。じっとして」
遠慮しながらタンギをもう片手で持ち上げようとした瞬間、蜘蛛は目に求まらぬ素早さで襟元に飛び込んでしまった。
342ベタでgo(2):2006/06/12(月) 16:20:42 ID:nZhEZz4U

「き、きゃっ!!!い、今、まさかっ」
小さな悲鳴をあげたチャングムを、チョンホは申し訳なさそうに見た。
「すみません、取り逃がしました」
「え、でも、それって、いま」
「はい。襟の内側に」
「いやあっ」
チャングムは地団駄を踏み、チョンホにすり寄った。
「ど、どのあたり?どこにいますか?」
「さあ、どこと言っても…」
なにげなく覗き込もうとしてはたとチョンホは動きを止めた。いけない。女性の襟の中など覗いては。
「あっ、あっ、今…!」
チャングムが身悶えし、訴えてくる。
「い、いま首の廻りにいるわ。今ならとれます、はやく、はやく」
せっつかれながらチョンホは仕方なくほっそりとした首廻りを、目をあまり開かないようにして観察した。
真面目な男なのである。

不吉な染みのように、首の付け根あたりで休んでいる蜘蛛を彼は発見した。
「あ、いました」
「はやくはやく」
「待ってくださいよ。えー、失礼します、チャングムさん」
チョンホは失敗を繰り返さないよう、断りをいれてわずかにチャングムの襟を指で引いた。
面積を増した白い肌からえもいえぬふんわりとした匂いがたちのぼり、チョンホの鼻孔を直撃した。
「う」
くらりとしてのけぞったチョンホに、チャングムが不安そうな澄んだ瞳を向けた。
「どうなさいました?もしやまた…」
「い、いえ」
頭をふり、チョンホは彼女に気付かれぬよう、急に気になりはじめた唾をのみこむ。
「大丈夫です。いいですか、じっとして…」
だが蜘蛛は、形勢危うしと見たのかまたもや回り込んで襟のさらに内側にとびすさった。
チャングムはまた悲鳴をあげ、チョンホはまたもや謝った。
すっかり隠れているわけではなく、わずかに見えているだけにたちが悪い。

数分後、チャングムの襟元はすっかり緩み、チョンホは彼女を抱きかかえるようにしてどこかに隠れた蜘蛛を探していた。
身を預けたチャングムはもはや悲鳴をあげる元気もなくなってきたのか切な気な吐息をついている。
なめらかな細めの鎖骨にはりつく透き通った肌に見蕩れている事にはっと気付き、チョンホは顔をあげた。
「チョ、チョンホ様、まだ見つかりませんか…?」
チャングムの吐息が熱い湿気を帯びて戎服の繊維を通し、チョンホの鼓動を昂らせた。
ごくりと喉仏を動かし、彼はようやく握りしめていた蜘蛛を後ろの叢に指先ではねとばした。
「あ、あと…少しです」
「ああいや。お願い、はやくとってください」
チャングムはかぶりをふり、さらにチョンホに躯をこすりつけた。
その柔らかさが彼の胸板を刺激する。
「はい。ですが、チャングムさん、申し訳ありませんが…」
チャングムは涙をためた目で彼を見上げた。
「なんですか」
「もう少し……その…緩めれば、確実に…」
もはや純情でも真面目でもなく本能に魂を売り渡した男、ミン・ジョンホ。

だがチャングムはチョンホがにじり寄りよった危険な理由に気付かなかった。
物心ついた頃からトックおじさんくらいしか男性については知らぬのだから無理もない。
「はい。きっととってくださいますね」
「は、はい。もちろん責任はとり、あ、いえ、最後まで、責任を持って」
343ベタでgo(3):2006/06/12(月) 16:21:17 ID:nZhEZz4U

チャングムは八本脚のおぞましい怪物さえいなくなるならばと思い定めた様子であった。
ぎゅっと目を閉じ、一気に襟をくつろげる。
さすがに頬が隠しきれずに染まっている風情がよけいに扇情的で、チョンホはまたもや唾を呑み込んだ。
くつろげたとはいっても膨らみの大半は隠れたままだったが、日に晒したことのない、抜けるような肌の美しさ。
「さ、はやく」
促されるまでもなく、なにも考えずその処女地に掌を滑らせる。
もう片腕で細い背中を抱いて引き寄せた。
「あっ?」
身を竦めてチャングムがとまどったような声を潜らせた。
「チョンホ様?」
「しっ」
彼は囁いた。囁かれた耳朶が染まり、目元が染まり、チャングムは不審げな表情でチョンホを見上げた。
「く、蜘蛛は…」
「もっと奥に潜っていってしまいました」
すらすらと嘘をつき、彼は真面目な顔でチャングムを見た。
「ええっ」
チャングムの眉がよった。彼女は衣服の中で激しく身悶えした。
「いやだわ。もう、どうしよう」
「もっと緩めて」
さすがにチャングムは動きをとめた。そっと上目遣いにチョンホの顔を見た。
「あの、でも…」
「こればかりは仕方のない事です。大丈夫、誰にも口外いたしません」
「でも……あの、わたし、恥ずかしいのです、チョンホ様は男の方だし…」
「目を瞑っていますから」
チョンホがしっかりと目を閉じたのをみて、チャングムは身を震わせる。
まだ蜘蛛がいると信じているのだから無理もない。
「…すみません。わかりました、…お、お願い…します」

さらに数分後。

「チャングムさんがいけないのです。男の前で肌を見せるから」
むちゃくちゃな事をいいながら、チョンホは腕の中の躯を揺さぶっている。
襟は落ち、からげあげた裾を彼の腕に巻き付けたまま、チャングムは混乱状態できょろきょろしていた。
「え、でも、なんで…あの、あの、蜘蛛はっ」
「そんなもの、もういません」
「ええっ」
やっとチャングムにも騙されたことが理解できたようで、彼女は美貌を怒りに染めた。
「嘘をついたのですね、チョンホ様。そんな、許せません」
「許していただかなくても結構です。ああ、チャングムさん。チャングムさん」
チョンホは片手で自分の下裳をまさぐりはじめた。
「いや、やめてください。許してください」
躯をのけぞらすチャングムを地面に押し倒し、チョンホは熱に浮かされたような声をあげた。
「あなたを抱きます。責任はとります。一緒にどこかに逃げましょう」
チャングムはかぶりをふった。
「いやです。わたし、宮中からはなれるわけにはいきません」
「では隠し通せばいい。望まないなら、あなたを二度と抱けなくてもいい」
襟から胸乳を握り出しながらチョンホが言う。
ふくらみを揉み込まれ、チャングムの唇から悲鳴だけではない不安そうな喘ぎが漏れた。
「あ、いや…」
「一度だけ。どうかお願いです、チャングムさん」
吸い付いて転がすと、柔らかな先端は男の口の中で慎ましやかに固まった。
「いや…あ、あっ、やめっ……!」
「チャングムさん…!」
下腹の熱い塊をとりだそうとしてチョンホは焦った。下裳の紐が絡まってなかなかほどけない。
「私の想いを、あなたに知っていただきたいのです、チャングムさん…!!す、す、好きなのです!!」
344ベタでgo(4):2006/06/12(月) 16:23:10 ID:nZhEZz4U



「…なのです!!」
絶叫して飛び起きたミン・ジョンホの前で、チャングムが驚いたように目を見開いた。
手に綺麗な布で包んだ箱を持っている。
「ど、どうなさいましたか、チョンホ様?」
「…え。あ」

狂おしくあたりを見回し、チョンホは電光のように己のいる場所を悟った。
見慣れた宮中の殺風景な詰め所だ。
もちろん森の中ではなく、きりりとした表情のチャングムの襟はきっちりと閉じている。

これが現実である。

「チョンホ様?」
心配げに見下ろすチャングムの視線から目を逸らしつつ、彼は無理矢理に笑った。
「………ゆ、夢を…見て…おりました」
言葉にするとあまりにも虚しかった。
切なかった。
そしていつものように、罪悪感が強烈にわいてきた。
「また、『いつもの夢』ですか?」
チャングムは心配げに微笑した。
「とても怖い寝顔でしたから…あの、ほんとに、なにか悪い夢じゃないんですか?」
「いえ、あなたを心配させるような事では…」
(ああ、今日も私はあなたにひどい事をしようとしていたのですよ、チャングムさん)
「きっと怖い夢なのですね。ああ、起こしてさしあげてよかったわ」
(残念です、チャングムさん、もう少し遅…あ、いや…!!!私はなんということを…!)
動揺しまくるチョンホに、チャングムは輝く笑顔で包みを差し出した。
「はい、これ。今日の差し入れです。お仕事、お疲れでしょうから…」
「いつもありがとうございます」
受け取った包みを開くと、なかからはうまそうな蒸し物がでてきた。
「今日もね、いつもお忙しいチョンホ様に精力をつけていただこうと思って。ニンジンと、それからヤマイモと…」
たのしげに説明をはじめるチャングムから視線を逸らしつつ、チョンホは溜め息をついた。

チャングムの手料理が食べられるのは嬉しい。
わざわざ差し入れてくれるのは本当に嬉しい。
だがこの料理の傾向はどうにかならないものだろうか。

(まだ私は若いんですよ、チャングムさん…)
夢ならともかく現実ではいつでも純情で真面目な男、ミン・ジョンホは優しい笑顔を彼女に向けつつ、心中重い吐息をついた。
あの夢はできればあまり見たくない。
だが自分からは言えない。
この幸福を自ら断つなどということは、絶対に。


誰かにチャングムの夢枕にたち、ひたむきな彼女をいさめてほしい彼であった。




おわり
345名無しさん@ピンキー:2006/06/12(月) 16:36:19 ID:0oDpCUb5
ワロスワロスw

お、ジョンホ新境地?とおもたけど結局このキャラかw
GJ!ごちそうさまでした。
346名無しさん@ピンキー:2006/06/12(月) 17:47:29 ID:VEhv4Uen
>いつもお忙しいチョンホ様に精力をつけていただこうと思って
>いつもお忙しいチョンホ様に精力をつけていただこうと思って
>いつもお忙しいチョンホ様に精力をつけていただこうと思って
>いつもお忙しいチョンホ様に精力をつけていただこうと思って
チャングムの天然ぶりが腹イテー
ヘタレチョンホ大好きだよwww
347名無しさん@ピンキー:2006/06/12(月) 21:48:56 ID:L5ePPVUL
イイヨ、イイヨwww
チョンホ様の新境地!
348チャングム×ハン尚宮 −半熟親子丼−:2006/06/13(火) 08:01:29 ID:I0BhscPS
                               39/42      壱参弐 柵
 「駄目よ、今日は任せなさいって言ったでしょ。黙って言われた通りにしなさい。
 今からここをね・・・。」
 そう言うとハン尚宮はチャングムの手を除け、脚を大きく広げさせ、自分の指を入れていく。
 「こうして圧したり、擦ったり・・・。」
 チャングムの肩が揺れた。肩だけでなく腰もそして特に脚が、ハン尚宮の手の動きに
応えるように震え始めた。
 「チャングム、気持ちいいでしょ?」
 チャングムは、痺れていた。甘美ではなく不快でもない。すぐ側(そば)の、敏感な所を
愛しまれている時とはまた違う体内の感触が、身体を奔(はし)る。そしてチャングムの
内側のそれは、徐々に大きさを増していく。
 「あっ・・・はぁ・・・」
 チャングムは声を抑えることができなかった。身体を支えるため、右手はハン尚宮の肩を
掴み、左手を腰の後ろで突っ張る。
 「じゃあ、もう一本指を入れてみましょうか。こんな風にね。」
 すっかり柔らかくなったチャングムのそこを、人差し指も犯し始めた。
 「チャングム、まだ果てちゃ駄目よ。頑張りなさい。」
といいながら撫でかき回す。濡れた壁がハン尚宮の指を包み、吸い、締め付ける。
締め付けていても、粘液が涎のように滴り、指の股に絡まっていく。くちゅ、くぷ。淫らな音が小さく響く。
 指をずん、と押し込み奥に食い込ませ、そしてすっと引き抜いてやる。親指で敏感な部分を弄び、
時折り強く押し付ける。中に入れた指の動きに合わせ、割れ目を覆う襞の一枚一枚を擦っていく。
小さな花弁は充血し、触れ始めた時より大きさを増して、熱く柔らかな抵抗感を指に与える。
 「尚宮様、あぁ・・・もう・・・っああ」
 「・・・果てても、何度でもいかせてあげる。」
 もう一度、中のざらついた部分に指先を当て、壁の前方に押し上げる。外側から親指を押し付け、
中にある指とで挟むようにして揉みしだく。

 「それに聞きたいことがあるの。お前、ミン尚宮からいろいろ教えてもらったでしょ。」
 チャングムは答えようとしたが、身体の動きに支配され思うように話せない。笑みだけを浮かべる。
 「どうして?」
 「・・・あっ・・・はぁ・・・」
 「ふふっ、答えられないようね。でも判っているわよ。」
 そう言いながら、揺らいで倒れそうになるチャングムの身体を右手で支え、愛撫を続ける。
 「うまくなりたいって思ったんでしょ?」
 チャングムは師が語るのを、ただ聞いていた。徐々に身体が反りだす。
 「本当にいけない子ね。私を感じさせたいって思ったんでしょ?」
 問われても、頭が回らない。
 「うまくしようと思うんじゃなくて、お前が心から楽しまないと、熔け合うことはできないのよ。」

 「それに、そんな心配をしなくてもいいのよ。とってもいいわよ・・・この頃。
 この前、口付けだけしたときは特にね・・・。」
 「ぁあ・・・尚宮様・・・」
 「お前をもっと味わいたくなったわ。あの後で、気持ちを鎮めるのに苦労したの。
 それで実はね、次の約束の日が待ち遠しかった。」

 ハン尚宮は、チャングムを横たえ、胸をちょっと吸う。チャングムは身体をくねらせた。
それを見て更に胸を舐め回し、尖った部分を何度も吸い上げてやる。
349チャングム×ハン尚宮 −半熟親子丼−:2006/06/14(水) 08:03:18 ID:EIU2OPBn
                               40/42      壱参弐 柵
 「だからお前にも、そんな切なさを味わって貰わなくてはね。
 それで、ここをこうしたら、どんな感じかしら?」
 膝を曲げて脚を開かせ、指はそのまま滑(ぬめ)った中を動かす。口元をチャングムの
敏感な所に沈め、指を動かすと同時に舌先で、ほぐし、転がす。

 チャングムは背中を強張らせ、師の肩を両手で痛いぐらいに掴んだ。
 耐えられない。そう思っても、なおも動かされる指や舌に、痺れの波が、寄せては返す。
頭がちょっと痛く感じるほど、逆上(のぼ)せてくる。
 ついに・・・身体を仰け反らせ、びくん、びくん、と数回大きく痙攣した。喘ぎ声、いや
小さな呻き声のような音が喉から出る。大きな衝撃が身体を貫いた。
 チャングムは次第に脱力し、師の肩を掴む腕の力も抜け始めた。それを感じて、
ハン尚宮の手が止まった。
 「尚宮様、・・・もう、お許しください。」
 息衝(いきづ)きながら、チャングムが言う。
 「許すわけにはいかないわ。このまま部屋に戻ったら、火照りが残って辛いだけ。
 ・・・私がいいというまで感じなさい。」

 ハン尚宮は、長い深い口付けをし、舌を何度も絡める。そしてうなじを齧る。
チャングムの身体をうつ伏せにしたり、上体を起こしたりして延々と責め、
肌、手、舌、その動きで絶え間なく襲い掛かり、快感を与え続けた。
 汗ばむ身体から、噎せ返るような匂いが立ち込め、部屋を満たす。
 愛撫を続けながらハン尚宮は言う。
 「これからは私が教えてあげる。いろんな愛で方で、じっくり仕込んであげる。」

 もう丑の刻を過ぎたのか。チャングムは頭の隅でふと思った。
 しかし責め続けられ、何度も昇らされていく。脚が思うようには動かない。耳に音も
届かなくなり、限界・・・それがあるのかないのかすら、よく判らない。
ただ、師の温もりと愛撫だけに包まれている。

 ハン尚宮は、チャングムの身体中を味わい、果てても果てても、疲れて動けなくなるまで、
昇らせ続けた。
 静寂と共に落ちる奈落の底。チャングムが愉悦に満たされた淵に落ちていくのを、
ハン尚宮は感じ取った。

 チャングムの息が収まり、落ち着くまで身体を撫でてやりながら、ハン尚宮は思った。
 いつまでこの子と過ごせるのか。いつかは私以外を求める時も来るのだろうか。
 「チャングム、ずっと私のそばにいるの?」
 「はい。私、尚宮様だけを見ています。」
 「そう。」
 嬉しい。だがこの言葉、ミョンイから聞きたかった・・・。この子もいつかは
ミョンイのように・・・魅力的な子だから。
 今は宮中も落ち着き、そんな風潮は少なくなっているけど、他の者を抱き、他の者に
抱かれることになっても、私は堪えられるのだろうか。

 それでもいい、それがこの子なら。私はそれをも受け入れよう。この子を好きな気持ちは
揺るがない。そして私の想いは、この身体にしっかりと刻み込んだのだから。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
350名無しさん@ピンキー:2006/06/14(水) 08:34:46 ID:g47Q56zR
>>349
毎朝ありがとうございます
クライマックスに酔い痴れております
でもこの日々も後二日、日々待ち遠しくも名残惜しい思いです
次作もぜひ!
351名無しさん@ピンキー:2006/06/14(水) 23:13:36 ID:IeUu2Mtq
壱参弐様、毎日お疲れ様です。
最後まで堪能させていただきます。
352チャングム×ハン尚宮 −半熟親子丼−:2006/06/15(木) 08:04:59 ID:MkY3bkNk
                               41/42      壱参弐 柵
 季節は巡り、風薫る頃。
 ハン尚宮は、最高尚宮としての務めを恙無(つつがな)く果たしていた。
 料理はもちろん、故事や異国の御伽噺、そして珍しい出来事を、面白おかしく御膳の
合間に語っていた。
 尚宮時代は口調も硬く、敬遠されることもあったハン最高尚宮である。だが下の者が
講話の際に語る様子を聞いて自省し、次第に話し方を心得るようになっていた。
 献立と話題。どちらもが滋味にあふれていた。そんな心和む御膳のひとときは、
王を癒し、ゆえに覚えもめでたかった。

 公務以外でも、ハン尚宮は満ち足りて過ごしていた。もちろんチャングムがいるから
である。初めて結ばれた時から曲折はあったものの、互いに愛で合う関係が、今も
続いていた。

 ハン最高尚宮がこの先気遣うべき事といえば、明国の使者の接待があった。
 しかし、これは当分先のことだ。また、長らく懸案だった世継の承認は既に受け、
暫らくは形式的な行事に過ぎない。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
 そんなある日、宮中で会合が行われた。数日前からハン最高尚宮は準備に追われ、
チャングムとも碌に話せずにいた。
 尚宮全てが集まったその会議を無事終え、夜半、もう休もうかと思う頃、
チャングムはハン尚宮に呼び出された。
 チャングムは不思議に思いながら部屋に行った。懇談の約束はしていなかったからだ。

[ハン最高尚宮の部屋]
 部屋に入ると、ハン尚宮は文机(ふづくえ)の向こうで佇んでいた。面持ちに憂いが
漂っている。チャングムが来るのを見て、座り、片手を机に置いた。そのまま何も話さない。
 沈んだ様子に、チャングムも掛ける言葉が見つからず、着座して待った。
こんなに当惑しているのは珍しい。以前の頑(かたく)なな姿に戻ったような気がした。

 ハン尚宮は懊悩していた。先ほどチェ尚宮とした会話が去来する。そして、あの・・・。

 何も言わないままだったが、ややして、ハン尚宮は文机越しにチャングムの手を掴んだ。
いつものように優しく撫でるのではなく、強く握り締めた。チャングムは少し痛かったが、
されるままに任せた。

 しばらく待っても黙ったままなので、チャングムは仕方なく声を掛ける。
 「尚宮様、会議の資料のまとめなどいたしましょうか?」
 「やらなくていいわ。」
 「それでは、次の祝宴の献立を考えるために、書付を探してきます。」
 「それもしなくていい。」
 「では何か・・・。」
 「ここにいればいい。お前がここにいてくれれば、それでいい。」
 手を重ねたまま、半時近くもそうしていたであろうか。チャングムの手が痺れだした頃
ようやく、口を開いた。
 「お前、今晩はいいの?」
 「はい。」
 それを聞くと、また黙り込む。

 「尚宮様、もうお休みになられませんと。本日はお疲れでしたでしょう。」
 「・・・お前にいて欲しい。」
 そういうとハン尚宮は、チャングムを引き寄せ抱きしめた。

 「チャングム。」
 「はい、尚宮様。」
 「愛しさであれ憎しみであれ、共に過ごした時は、消えるものではない・・・」
 「・・・。」
353名無しさん@ピンキー:2006/06/15(木) 08:58:11 ID:ViNGGPl3
>>352
えー、(今までとは少し違う意味で)ドキドキ!
せめてこの夢の中では、二人を幸せなままにしておいて欲スイ…
354名無しさん@ピンキー:2006/06/15(木) 15:35:49 ID:sdFLft4W
どうかどうか、ハッピーエンドでありますように・・・
355名無しさん@ピンキー:2006/06/15(木) 16:12:01 ID:rhtoFOnl
次回は最終回ですね。 ワクワク o(^-^)o
356チャングム×ハン尚宮 −半熟親子丼−:2006/06/16(金) 08:16:41 ID:20Jmxww7
                              42/42      壱参弐 柵
 「分かち合った時が、想いを差し向けるのか。想いは拭い去れぬのか。」
 「母のことでしょうか?」
 「違う。」
 「私のことなら、私ずーっと尚宮様のことを想い続けます。」
 「遠く離れても振り返らずとも、追い求めるのか。」
 「・・・。」
 「気付かぬのも、慈悲なきことか。」
 「おっしゃっていることが判りません。」
 「情は、消えない・・・。それを忘れないで。」

 そう言うと、ハン尚宮は唇をチャングムの唇に寄せ、口付けを求めた。ゆっくりと、
唇を重ね・・・その時、涙が落ちてきてチャングムの頬を伝わった。
 チャングムも当惑した。お辛いことがあったのだろうか。チャングムは手のひらで
ハン尚宮の背中を軽く擦った。

 ハン尚宮は思っていた。あの者との時間も消し去ることはできない。それを思うと、
心の痛みは更に増す。だが、この子にそれを告げることはできない・・・。

 チャングムはそれ以上はせず、寝支度を整え、ハン尚宮を休ませた。添い寝をし、
肩や背中を撫でる。先ほど、強く自分の手を握り締めたハン尚宮の手を、握られた手で
そっと包む。
 そのうちお気持ちを伺える時も来るだろう。今日はゆっくりお休みになって戴こう。

 優しく触れられながら、ハン尚宮は眠りに就いた。
 内人の頃、気落ちしていると、こんな風にミョンイが優しく慰めてくれた。
強張った気持ちが解れ、ゆったりとした気分になれた。
 ミョンイなき後の年月は、味気ないものだった。この子のいない人生も、
私には考えられない。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
 それからまた、二人は以前のように互いを頼りとして過ごした。
 いったいこの二人を分かつことなどできるのだろうか。二人ともそう信じていた。

 否、信じていた時間は続かなかった。ハン最高尚宮の清廉さを疎み、王のお気に入りと
なる有様を妬む者が少なからずいたのだ。

 数ヵ月後、王が昏倒した。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
 宮中から追われた者達。

 師はその時を、子の背で迎えた。己と同じ痛苦を、この子にも感じさせてしまうかと
思うと、やるせない。
 だが、師は疑わなかった。愛しい子の心に生き続けることを。いつも側にいて、見守り
導くことを。
 今まで己を支えてくれた気丈さは、これからはお前自身を奮い立たせるだろう。
 束の間迷うことがあっても、お前は決して道を見失うことはないだろう。
 だから・・・私は・・・安心していいのね・・・・・・

 子は師のその時を、背で見取り、師を・・・長らく痛ませてきた無念の正体を、初めて
知った。そして師が友を想う時、流していた涙と同じ涙を、憚ることなく流した。


 二人は離れ離れになった。しかしそれでも・・・二人を引き裂くことは、できなかった。
 師と友がそうであったように、師は子に、情を刻み込んだのだから。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――終―――

   お読み戴き、ご意見を賜り、ありがとうございました。
357名無しさん@ピンキー:2006/06/16(金) 08:45:48 ID:ON+FgxXE
お疲れ様でした。ドラマの展開になってたんですね。
チェ尚宮が出たのは次回作の伏線でしょうか?
って聞いてよかったのか
358名無しさん@ピンキー:2006/06/16(金) 22:43:41 ID:4hR88/D+
うわーん!ハン尚宮様ーーーー!!!
359名無しさん@ピンキー:2006/06/17(土) 06:54:05 ID:RG9P/apQ
半熟さん乙&アリガトォォォォ・゚・(ノД`)
他板からの誘導で読み始めたが珍しくエロ小説でドキドキしたよコノヤロー!
ハン尚宮様、百合、ソフトかつ細かくて執拗、しかもアンアンうるさくない描写は
まさに全萌えツボを押さえられた感じだったよコンチクショー!
そしてとどめに>>265-266>>335-336あたりで笑いの秘孔を突かれた。
本当にありがとうございました。またのお越しを心よりお待ち申し上げます。
360名無しさん@ピンキー:2006/06/17(土) 11:56:59 ID:+DcdGx6L
ああ…終わって仕舞われるのですね。
細やかで美しい大作をありがとうございました。
361名無しさん@ピンキー:2006/06/17(土) 23:27:42 ID:uzSnScfC
壱参弐様、毎日ありがとうございました。
毎朝楽しみに拝読し、時折勝手な感想やリクエストをしておりましたが、
最終回の後は呆(ほう)けるように気が抜けてしまい、お礼が遅れました。
しかしエロパロ板で、これ程切ない思いをしようとは!
そんな私は百合萌え板の住人。
362名無しさん@ピンキー:2006/06/18(日) 12:34:24 ID:Hrjb87JO
乙。
ROMってたけど楽しみだったよ。
363名無しさん@ピンキー:2006/06/18(日) 22:19:27 ID:lmUvSqBJ
壱参弐様、毎日ありがとうございました。
最後はチャングムとハン尚宮様の悲しい別れを思い出してせつなくなりました。
次回作も楽しみにしています。


それで・・・SSを投下しようと思うのですが、ここの住人様達のお好みがまだよく解りません。
一応、投下してみますので、嫌いな方はスルーして下さい。
組み合わせはヨンセン×皇后様です。
364皇后の間1:2006/06/18(日) 22:20:34 ID:lmUvSqBJ
それは、ヨンセンが中宗王の元へ特別尚宮として上がって一週間後―――
今、ヨンセンは文定皇后のお召しを受け皇后の居室にいる。

(突然のお召しなんてなんだろう〜こわい〜チャングム・・・あなたがいてくれたら・・・)

「久し振りでしたね、ヨンセン。いえ、特別尚宮と言わなければ」
「そんな、皇后様。もったいのうございます」
相変わらずの聡明な美しさ・・・皇太后様のご信頼が厚いのもよく解るわ・・・ヨンセンは皇后の御前で気後れしていた。
「その様に怯えなくてもよろしいのよ。無理も無いわね、これだけの者に囲まれていては」
「いいぇ…皇后様…わたし…何もかもが初めての事で…」
「まぁ、可愛らしい事。お前達、暫しの間、あちらへ下がっていておくれ」
「かしこまりました、皇后様」皇后はお付の女官達を人払いした。
皆奥の間に下がり、そして部屋の中は皇后とヨンセンの二人きりになってしまった。

(何をおしゃっるのだろう?王様の元に上がった私の事が気に入らないのかしら?不安だわ・・・)

「あなたも王様の元に上がって、もう七日。いかがです?何か不自由な事はありませんか?」
「そんな……不自由なんて……王様も皆様もとても私には優しくして下さいます。
 その上、この様に皇后様から暖かいお言葉まで頂く事ができて、身に余る光栄でございます…」
「あなたはとても大人しい女官でしたわね。そんなあなたの控えめな所はとても好ましいわ」
「いいぇ…そんな…皇后様…女官の身でありながら、この様な栄誉に浴する事をお怒りではと……密かに気にしておりました」
「何も気にする事などありません。王朝繁栄の為には後宮の存在は不可欠なものです」

(さすが皇后様・・・私の存在などに、些かのゆらぎも無いわ・・・それに比べて私ったら〜〜泣きたい!
 チャングムぅぅーーー!会いたいわぁーーー!!)

「その様にうつむいてばかりいないで、お顔を上げなさい」
「は、、はい、、皇后様」
ヨンセンは顔を上げ、皇后の面を見つめた。
皇后は脇息に凭れたまま、ヨンセンを艶然と見つめ返した。
自信と聡明さに満ちたその表情・・・それは、ヨンセンが特別尚宮になって初めて間近で眼にする皇后の姿だった。
365皇后の間2:2006/06/18(日) 22:21:09 ID:lmUvSqBJ
「時に、あちらの方の首尾は?」
「えっ?あちらの方とおっしゃいますと?・・・・何でしょう?」
「まぁ・・何度も口に出すような事では・・そうね、女官の身ならば何もかもが初めての事・・・気づかずとも無理は無い」
「エ?・エ?・エ?・・・皇后様〜〜私、本当に何のことやら〜〜」
「はしたないのですが・・・寝屋での初夜は首尾よう?・・・」
「あ・・あ・・その事でございましたか・・・私ったら・・・いちおう・・」
「そうですか、それは良かった事。それで『至り』ましたか?」
「こ、、皇后様、、、『至る』とは、どの様な事でございますか?」
文定皇后は、ほうっと溜息をつきながらヨンセンの顔を見つめた。
「あなたは余りにも若く、ましてや殿方を知らない女官の身であった者。『至る』をどの様に伝えたら良いものか?」
「皇后様。それ程『至る』とは、大切な事なのでございますか?」
「ええ、とても大切な事なのです。初めて王様のご寵愛を受けた夜は、その……お気持ちはどうであったか、覚えていますか?」
「さあ・・・何が何やら解らぬ内に終わってしまって・・・ただ、とても痛く・・・あぁぁ!!はしたない事を!!お許しを!!」
「いいえ、良いのです。どの女子(おなご)も最初はそれが普通」

ヨンセンは、顔を真っ赤にしてうつむいたまま、あの夜の事を思い出していた。
中宗王のお召しを受け、何が何だか解らぬ内に寝屋へ導かれたまま、初夜を迎えてしまった。
ミン尚宮の隠し持つ春画本を見た事があったとはいえ、あの絵に描かれた女達の様にとても気持ちの良い顔などはできなかった。
あの春画の女達が、何故歓喜の表情を浮かべているのかさえ理解の範疇では無かったのである。
その後、中宗王のお渡りが二度に渡って有りはしたが・・・ただひたすら「痛い」・・・それが、ヨンセンの正直な気持ちだった。

「李特別尚宮。いいえ、昔のままヨンセンと呼びましょう。『至る』とは、すべての女子がご寵愛を受ける時に感じる事ができる
 最高の境地―――歓喜が極限に達する事を示す言葉なのです」
「歓喜が極限に?・・・最高の境地?・・・」
「そうです。殿方も女子も営みを交わす場合は、お互いに『至る』事が最も大切。それが良い御子を授かる大切な条件でもあるのです」
「その様な大切な事だとは!私、未だ『至る』ところまでは……とても無理でございますぅぅ〜〜皇后様」

(チャングム〜〜どうしよう〜〜わたしって、ダメな女だわぁぁ〜〜
 でも・・・この事だけはチャングムに助けを求めてもムダなのね・・・よしっ!ここはやはり、経験豊富な方に・・・)

ヨンセンは、おそるおそる顔を上げて皇后を見つめた。
「こ、、皇后様。私はどうすればよろしいのでしょうか?」
366皇后の間3:2006/06/18(日) 22:21:42 ID:lmUvSqBJ
「閨房術と言う言葉をご存知かしら?」
「閨房術でございますか?それはどの様な?」
「遠くは天竺、古くは明がまだ唐と呼ばれていた時代から伝わる秘術の様なものです。
『閨房』とは即ち『女性の寝屋』を指す言葉でもあるのです」
「まぁ……とても難しいお話なのですね……私に理解できるでしょうか?」
「そうですね、最初は―――これなどをよくご覧」
皇后は、傍らから箱を引き出すと蓋を開けた。箱の中には、何やら古い巻物が数巻入っていた。
皇后は巻物の紐を解き、ヨンセンの前に広げてみせた。
「言葉で教えるのはとても難しい……これをご覧になって」
「こ、、これは?皇后様!」
「これは代々、王の后達に伝えられた秘密の巻物です。その他、明の使節や商人が内緒で皇太后様や私に献上した物もあるのですよ」
ヨンセンの目の前に広げられた巻物には、天竺の神々と思しき男女が交愛する様々な姿が描かれていた。
「四十八手と申しますが、実にこれらの交愛する姿は百通り以上・・・神々の姿とは申せ、只々驚くばかりですわね」
次に皇后が広げた巻物は、どうやら唐渡りらしい春画の構図が描かれていた。
それは、ヨンセンもミン尚宮の部屋で尚宮やチャンイ、チャングム達と夜中に覗いてクスクスと笑った事がある覚えのある代物だった。
但し、ミン尚宮の手元にある淫本は、実はチャングムの養父「カン・ドックおじさん」の手によるニセ本もあるのだけれど・・・
「それからこちらは……ああ、まだ早いわ。これは後ほど……」
「???」(何やら黒い物をお隠しになったわ・・・あれは何?)

「ヨンセン、こちらへ。私の側へいらっしゃい」
「は、はい。皇后様」
ヨンセンは、おそるおそる皇后の御前へ進み出た。
「こちらへ来たなら、次は衣の紐をすべて解き、私の前へ横たわるのです」
「エェェーーーっ!!着ている物を全部でございますか?」
「そうです。言葉で閨房術を伝授する事は大変難しい・・・私の身を以って、貴女に伝授致しましょう」
「そ、、、そんな、、、恥ずかしいです、、、」
「羞恥の心を忘れなければ、すべてを体得するのは無理ですわ。どうします?」

羞恥の心を忘れなければ、すべてを体得するのは無理・・・その皇后の言葉に、ヨンセンはすべてを皇后に委ねる事にした。

(がんばらなくちゃ!歓喜の絶頂・・・最高の境地・・・一度でいいわ、味わってみたい!)

ヨンセンは決心して衣の紐を全て解くと、皇后の前に生まれたままの姿を横たえた。
「皇后様・・・よろしくお願い致します・・・」
367皇后の間4:2006/06/18(日) 22:22:33 ID:lmUvSqBJ
「それでよろしいのよ……やる気が出てきたようですね」
皇后は自ら衣の紐を解くと同じ様に裸体になり、ヨンセンの側へ寄り彼女の傍らへ静かに座った。
「まあ、美しい事…珠の肌とはこの事を言うのですね」
皇后は片手をヨンセンの体の上に置くと、ゆっくりとヨンセンの裸体に触れていった。
「あっ!!・・・こ、皇后様・・・」
「体の力を抜いて、ヨンセン。目を閉じて静かに感じるのです…」
「ひっ!ひぃぃ〜〜はぁ・・あ・・ハァハァ・・こ・・皇后さまぁぁあ・・・」
皇后の指はそろりそろりとヨンセンの体を這い回った・・・それはヨンセンが今迄に感じた事の無い感触だった。

(す、、すごい、、皇后様、、、王様よりも、、感じるわ、、)

「とても滑らかだわ……ヨンセン……」
皇后はヨンセンの体の上に覆い被さると、自分の唇をヨンセンの唇に近づけ彼女の唇を割って舌を差し入れた。
「うっ!!ぐっ!!」
皇后は差し入れた舌をヨンセンの物に絡めると、そのままヨンセンの口蓋、そして口内の粘膜のすべてを刺激していった。
「あ、、あ・うぅぅ・・は・は・はぁ・・」
「ヨンセン、私を王様だと思って……唇を吸われれば吸われるままに、舌を絡めればそれに応えなくては……おわかりかしら?」
「あ・あぁ、、皇后様。おっしゃる通りに致します・・だから、このままぁぁ〜〜ん・ん・んふっ」
「フフフ……素質はありそうですね……」
皇后とヨンセンは唇を重ねたまま、唇を吸い、舌を絡めあった。

永く唇の交歓が続くと、皇后は唇を静かに移動させ、やがて皇后の唇はヨンセンの柔らかい乳房へと辿り着いた。
皇后の唇はヨンセンの乳輪と乳首を捉えると、舌を使ってそれを優しく刺激していった。
「あふっ・ふぁ・あ・あ・あ〜〜あぁーあーーああっ!」
さらに皇后は、ヨンセンの乳首を咥えると強弱を繰返しながら吸い続けた。
「あああぁぁ〜あん、、ああぁ、、あーーあっーーあっーー!!」
皇后の与える刺激にヨンセンは激しく身を捩り、自分の体の熱い火照りを感じ始めていた。
皇后は乳房への刺激を繰返しながら、片手をそろそろとヨンセンの下腹部を弄る様に移動させ、彼女の内股へと降りていった。
そして、閉じられたままのその部分に手を差し込むと、一番熱くあるはずの所に指先で触れた。
その場所が十分な潤いを保ったままである事を確認すると、皇后の動きは止まった。
「あぁん、あ、あぁ・・皇后様・・何故・・おやめになるのです・・私、もう、もう、このままでは、、、」
「どうして欲しいの?ヨンセン。おっしゃい・・・」
「あ、あ、あ、こ・こうごおぉ、、さまぁ・・・」
「さあ、恥ずかしがらずに正直に・・・」
「い、、いれて、、ほしいんですぅ、、あ、わたくし、、このままでは、、」
皇后はにっこりと微笑むと、先程の箱を取り出し蓋を開けた。
そして、先程しまった例の黒い物を再びヨンセンの目の前に取り出した。
368皇后の間5:2006/06/18(日) 22:23:08 ID:lmUvSqBJ
「これが何かお解りかしら?ヨンセン」
「そ、それは確かミン尚宮様の春本で、、あうぅ・・・余計な事でした・・・」
「ホホホ…よろしいのよ。女官達が密かに隠し持つという春本の事は承知の上です。女官達にはご禁制の品とはいえ、
 多少の事は大目に見てやらねば……一生を王様の女として終えるのですもの……殿方の味も知らずに……」
「どうか私が秘密を洩らしました事はご内密に・・・尚宮様にお咎め無き様・・・」
「お咎めなど与えていたら、女官全員を処罰しなければならなくなってしまうわ。
 それでは、王様も皇太后様も私も困った事になってしまう……」
「皇后様……ありがとうございます」

「この品は、明の商人が私に密かに献上した品物です。これは先程の『閨房術』に使う物のひとつなのですよ」
「それは『張り形』と言う物でございますね……ミン尚宮様の御本には、それに攻め続けられる女子達の姿が描かれておりました」
「よくご存知ね。それ以外にも用途は色々……初めて高貴の方の所に上がる乙女に交わりの成し方を教える為に…遊郭に出仕した
 新参の遊女達にも…年老いたお金持ちが若い妻妾を満足させる為に…そして、女子同士の交わりにも使われるのですよ」
「女子同士の交わり?・・・で、ございますか?」
「ああ、あなたは、高潔なチョン最高尚宮の元にいたからその様な経験は無かったのですね。
 チェ最高尚宮やミン尚宮あたりであれば……」

(あのチェ尚宮様が、これを使って?・・・あのとり澄ました恐ろしい方が?・・あの春画の女達の様になる・・・
 わたしが閨房術を習得したら・・・これを使ってチェ尚宮様やクミョンに仕返しを・・・する事ができるの?
 ハン最高尚宮様やチャングムの仇が討てるの?・・・ならば、絶対に!!!)

「どうしたのです?恐ろしげな顔をして?」
「あっ!いいえ…何でもありません、皇后様」
「入れて欲しい―――と言う、あなたの願いにはこれを使うしかなさそうですね・・・」
「それをお使いに?」
「さわってごらんなさい……明では最高級の品だと言う事です……手触りが本物に近いでしょう?」

ヨンセンは、片手でおそるおそるそれに触った。
材質は何であるか解らぬものの、それは巷で聞いていた物よりも弾力を備え、且つ柔らかく・・丁度、王様のソレと同じ様に・・・
「す、、すごいですわ、、、本物ソックリ、、あ!いえ・・決して、本物に触ったと言う意味ではなくて・・・」
「まぁ?ホホホ・・・さすがに玉体に触れるのは、私でも怖れ多い事・・・でも、良くできているでしょう?」
「ほんとうに……ある意味、感心しますわ……」
「さあ、ヨンセン。今度はこれをあなたの口に……」
「今度は口でぇぇーーー!!これをでございますかぁ?」
「そうです。『口淫』と言うものをご存知かしら?」
369皇后の間6:2006/06/18(日) 22:24:11 ID:lmUvSqBJ
「こういん・・・で、ございますかぁ?それはどの様な?・・・」
「口に淫らと書いて『口淫』と読むのです。閨房術を体得するには、自分ばかりが楽しんではなりません。
 まず、相手の方を心地よく導く……容易い事ではありませんよ。お互いの気持ちが同じ高みに上り詰めなければ『歓喜の極限』
 『最高の境地』を味わう事はできません」
「まぁ……自分ばかりが気持ち良くなってもいけないのでございますね……男の方は精を放てば良いのかと思っておりました……」
「そこへ至る過程が何より大切……その事を忘れないでね、ヨンセン」
「はい、皇后様」
「それでは・・・口をここへ・・・」
ヨンセンは生唾をゴクリと飲み込むと、その黒い張り形目指して自分の口を近づけ、それを口に咥えた。
「あふっ・・・あ・あ・く、くる、し、」
「歯を立てぬ様に……そうです……ゆっくりと、優しく……」
「あふっ!あふっ!!あふっ!!!あ・あ・あ、ゴホ、、ゴホ、、ゴホ、、くるし〜〜いいぃぃ!!!」
「まぁっ!口を離してはなりません。さあ、もう一度、王様の玉体の一部だと思って大切に・・・」
「は、はいっ!やります!」
ヨンセンは心を落ち着け、再び黒い張り形を咥えた―――ヨンセンは、脳裏に例のミン尚宮の春本を思い浮かべた。
頭の中で急いで頁をめくる―――(確か、あの辺りに描いてあったはず・・・ああ、あった!)
ヨンセンが思い出した春画の図―――それは・・・
唐の服をつけた男が己の身の丈半分位のイチモツをせり出し、同じ唐服を身に纏った女が苦しみながらソレを口淫する図である。

(ありえないわよね〜〜ぇ、、チャンイ、チャングム。ミン尚宮様ったら、本当にこんな男が昔の唐にいたとお思いですの?
 それに、なぜ?口を使わなくても、女子には女陰(ホト)がついているではございませんか?わからないわぁ〜〜アハハハハ♪)

――――(あぁ〜〜まさか、アレを自分がやる事になるなんて・・・ああ、くるしーーー!)―――

「これっ!苦しげなお顔をしていますよ。相手の方を思いやり、尚且つ、自分も楽しまなければ」
皇后の軽い叱責を受け、ヨンセンは今一度、妄想を繰返した。
自分の前に立ち塞がり、ソレを目の前にせり出した中宗王のお姿―――王様を思いやり、自分も楽しむ―――
口に淫ら・・・淫らな口・・・始めは苦しげだったヨンセンも、生身の王様を思い浮かべる内に、
その口は、序々に淫らな動きを繰返す様になっていった。
「なかなか良いわ、ヨンセン。その調子です」
口淫を繰返すうちに、ヨンセンの体は再び熱い火照りを感じ始めていた。

(あ、あぁ、、体が、、熱い、、、あん、、)

ヨンセンは、自分の秘所が燃え盛る火の様に熱を持ち、熱い液体を滴らせている事を感じていた。
370皇后の間7:2006/06/18(日) 22:24:51 ID:lmUvSqBJ
「あぁ〜〜ん、あぁ・・皇后様・・わたくし・・また・・・」
「どうしました?」
「わたくし〜〜また〜あぁぁ、、、それを、それを、、欲しいんですぅ〜〜わたくしの〜体の奥へ・・・」
 
皇后はヨンセンの言葉を聞くと、ニッコリと微笑み言った。

「時は満ちた様ですね・・・それでは・・・」

皇后は黒い張り形の反対側を自分の秘所に自ら差し込んだ―――「うっ……」―――差し込んだ瞬間、皇后は少しだけ小さく喘いだ。
そして、ヨンセンの体の上に乗ると、張り形の先をヨンセンの女陰の入り口まで近づけた。
皇后は手を使い、張り形の尖った先をヨンセンの桃色の小さな突起にあて、それを撫でるように刺激した。
「ひやっ!!ひゃーーぁぁ!!」
「まぁ・・・こんなに潤っているわ・・・余程、待ちきれなかったのですね・・・」
「あ、、、あ、、、こうごぉさまぁ、、、じらさないで下さいませえぇ〜〜おはやくぅ〜〜」
待ちきれなくなったヨンセンは、身悶えしながら体を捻り、腰を浮かせ、自らの秘所を張り形の先に近づけた。
ヨンセンが腰を浮かせると、それに気づいた皇后は、黒い張り形をヨンセンの秘所の奥までグッと差し込んだ。

「きゃっ!!ひゃあぁぁぁっぁーーーー!!!!!あっ!ぁ、あっ!あっ!あ、、」

待ちかねた物を己の女体に受けた入れた瞬間、ヨンセンは恥ずかしい悲鳴を上げた。
「あっ!あぁうぅ!!あ、ああ、気持ちいい!!あ、あぁ、、もっと、、あぁん、、もっとぉーー!!」
皇后は男のする仕草の様に腰を使い、何度もヨンセンの体の奥深くを突き上げた。
ヨンセンの秘所を突くと、同時に皇后の体の奥深くも突き上げられる―――「あぁっ!!あーー!!あぁ・・あ・あ・あ・」
いつの間にか、皇后の唇も熱い喘ぎを繰返していた。

「あぁ、、ヨンセン、、その様に、、石の様にじっとしていては、いけません、、あぁっ、ハァ、はぁ、腰を、、腰を、、」
「こ、、こし?腰を、、どのように?、、あ、あぁ」
「わ、、わたくしの、、あぅ、、動きに合わせて、、腰を、、同じ様に、、動かして、、あふ、あっ〜」
「こ、、これ、こうでございますかぁ〜〜あぁ〜あぁ〜」
「いいわ!いいわよーーヨンセン〜〜!!」

(あ、あぁん!不思議だわ〜〜腰を動かせば、こんな良い気持ちになれる・・知らなかったわぁ〜〜あぁ〜
 昨日までのわたし、、、あれじゃ、、死んだ魚だわぁぁ〜〜)

ヨンセンと皇后は、黒い物をひとつに挟んで喘ぎ続けた。
それは、本物の王様の玉体を挟んで身悶えるする妻妾の姿そのものであった。
371皇后の間8:2006/06/18(日) 22:25:26 ID:lmUvSqBJ
あっ―――――!!!!!

一瞬、ヨンセンの脳裏は真っ白になり、体が宙に浮く感覚を感じた――――

(あ、あ、あ、あ、、、これは、、、)

ヨンセンは声をあげる事も出来ずに、皇后の背中にしがみついた。
そして、そのまま気を失ってしまった――――


それから暫くの時を経て―――ヨンセンは、自分の体が軽く揺すられている事に気づいた。
「ヨンセン・・・ヨンセン・・・気がつきましたか?」
「皇后様・・・わたくし・・・・」「どうです?『至る』感覚は?・・・・」「わかりません・・・ただ、体が浮いたような・・・」
「それが『至る』という感覚なのですよ」「これが?・・・・」
ヨンセンは、もうひと言も喋れないという風であったが、ふと、皇后の背中に血の滲んだ跡を見つけた。
「皇后様・・・血が・・・お背中に・・・もしや、わたくしが、、、ご無礼を、、、」
「いいのよ、ヨンセン。私も時々、王様に・・・まあ、私たら!我を忘れて夢中になる事は、よくある事・・・」
「まぁ、皇后様ったら!はっきりおっしゃいますのね」「ホホホ・・・」「くふふふ・・・」

「皇后様。この様な感覚を味わってしまっては、もう、私・・・昼も夜もコレ無しでは・・・とても耐えられません」
「ヨンセン。それは良くない事です。あなたに最後にもう一つ教えなければいけないわ」
「良くないとは、何故でございますか?」「傾国の美女の話を聞いた事は?」「傾国の美女?」
「お隣の国では、殷の紂王の愛妾であった妲妃(だっき)や唐の玄宗皇帝と楊貴妃のお話などがそれにあたります。
 政(まつりごと)を行う者が、民を忘れ色と欲に迷えば、やがては国を滅ぼす結果をもたらすのです。
 私達は、王様と共に、そして民と共にあるのです。その事を夢々忘れてはなりません。
 何事も過ぎたる事は良くない――――それを忘れてはなりませんよ」
「かしこまりました、皇后様。お教えは決して忘れません」
皇后は、傍らの箱をヨンセンの目の前に引き出した。
「これは、あなたに下賜致しましょう。あなたの学んだ『閨房術』は、まだほんの入り口です。後は自分で精進なさい」
「ありがとうございます。皇后様」

「これ誰か―――」「はい、皇后様」
――― 奥の間から、先程の女官達が現れた。「私達の支度を――」「かしこまりました」
女官達は、裸体のままの二人の前に進み出て何事も無かった様に衣を着せた。

衣を身に纏った二人は、そのままいつもの二人に戻り再び対峙した。
「支度は整ったようですね。それでは、ヨンセン、ごきげんよう」
「はい、皇后様。失礼致します」
372皇后の間9:2006/06/18(日) 22:26:01 ID:lmUvSqBJ
ヨンセンは懐に例の箱を抱え、王宮の回廊をひとり自分の部屋へと向った。
中庭に差し掛かった時、思わず広い空を眺めた。
(お天気がいいわ。陽はまだこんなに高かったのね・・・ずいぶんと永い時を過ごした様な気がする)

どこまでも続く青い空――――この空は、遠い済州島(チェジュド)にも続いているのかしら?・・・

ヨンセンは、いまはもう王宮にいないチャングムの事を想った。

(チャングム・・・奴婢に落とされたあなたは、いま遠い済州島でどんな暮らしをしているの?)

チャングムが宮中に戻る為に医女の修行をしている事も、チャングムを慕うミン・ジョンホが済州島に行った事も、
カン・ドックが宮中に出入り禁止になった今、それをヨンセンに教えてくれる者は誰もいない――――
逢いたくても、今は自由にならない己の身―――特別尚宮になったとはいえ、数多いる妻妾のひとりに過ぎない自分の存在・・・
もう、幼い頃の様に自分を庇ってくれる人は何処にもいないのだ・・・
ヨンセンは少し涙を流しかけたものの、それをグッとこらえ、前を真直ぐに向いた。
(子供の頃には戻れない―――もう、私は子供では無いのだ。自分の身は、自分で守らなければ―――)

それに・・・ヨンセンは、先程下賜された箱を握り締めた。
(これをチャングムに伝えるまでは・・・何ひとつ、あなたに勝った所が無かった私だけど・・・これは別ね、チャングム!)
ヨンセンは、自分の学んだ物がいずれチャングムの役に立つであろう事を願った。


   
  *     *     *     *     *     *      *

やがて、チャングムとヨンセンは宮中で再会を果たす日がやって来る―――
それには、更なる月日を要するのだけれど、ヨンセンはまだその事を予感さえしていない。
そして、再会を果たしたヨンセンがチャングムに『閨房術』を伝える事が出来たのか?
ミン・ジョンホがその恩恵に与る事が出来たのか?
それは、チャングムとヨンセンだけが知っている秘密である。

終わり
373名無しさん@ピンキー:2006/06/18(日) 23:30:45 ID:XvcIkqvw
乙!
ヨンセン×皇后様って新しいね!!
マイナー(?)カプもイイヨイイヨー
374名無しさん@ピンキー:2006/06/18(日) 23:46:20 ID:ISZRYBOn
エロい。かつ恐ろしい。
皇后様はこんなして、好き放題してたら、燕山君と変わらんような。
375皇后の間:2006/06/19(月) 00:40:27 ID:up+klKsQ
ごめんなさい。シチュが悪かったですね。
修行して出直してきます。
376名無しさん@ピンキー:2006/06/19(月) 01:30:38 ID:KtSEIHuf
>>375
むしろ気に入った。ヨンセンの脳内セリフも良い感じでワラタ。
またよろしくお願いします。d!
377名無しさん@ピンキー:2006/06/19(月) 12:17:41 ID:72yhDeA3
うは、皇后様 キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!!!!
あの声でこんな事されたらメロメロ、ハァハァ。
378名無しさん@ピンキー:2006/06/19(月) 18:40:39 ID:hy6k6WXl
皇后様もの初めて読んだ イイヨイイヨー
ヨンセンとの会話も情があってよかったー
また読ませて下さい!
379名無しさん@ピンキー:2006/06/20(火) 00:20:50 ID:kxaUnU/A
皇后様もの、すごいです。読んでて赤面しました。


ところで、163 164の着想を元にして、短編を書きたいと思っています。使わせてください。
380名無しさん@ピンキー:2006/06/20(火) 20:26:11 ID:Sm3poTV4
>>379
硯 キタ━━━━(゚∀゚)━━━━ !!!!
小筆も*・゜゚・*:.。..。.:*・゜(n‘∀‘)η゚・*:.。. .。.:*・゜゚・*
381名無しさん@ピンキー:2006/06/26(月) 23:56:49 ID:8mgVmDrY
皇后さまステキ
宮中の女全部とやっていただきたいくらいステキ
382名無しさん@ピンキー:2006/06/27(火) 18:58:51 ID:nHBA6rPt
壱参弐様
次回作(崔尚宮様のなげき)を楽しみにしております!
383名無しさん@ピンキー:2006/06/27(火) 19:45:44 ID:ZwiU1tGs
>>382
次回作の予定あったんですか?!うれしい(*´Д`)
384名無しさん@ピンキー:2006/06/29(木) 23:07:18 ID:0jKgluHJ
>>382 次回作は校正中。
出来上がったものを一つup  内容:ノーマル 微エロ 原作少し改変
385−蓼句意虫−:2006/06/29(木) 23:08:05 ID:0jKgluHJ
                              01/04      壱参弐 柵
 味覚を失った。チャングムがウンベク医官にそう話すのを、チョンホは訓練場の
近くにある菜園で偶然耳にした。チャングムは治療法を探ろうと、医書の貸出しを
チョンホに頼んだ。
 部屋に戻り早速開く。うん? なにか挟み込んである。誰の物かしら。チョンホ様? 
いや、書庫からすぐ出てこられたから、お書きになる時間はなかったはず。きっと誰かが
書き付けてお忘れになったのね。このままにしておこう。
 しかし、ちょっとだけ・・・見てみる。杏(あんず)、竹・・・そんな文字が目に入った。
杏に竹・・・、ぱっと思い浮かぶ。

 この閃く瞬間が堪らない。
 こうなるとチャングムは自分自身を抑えられなくなる。わくわくする気持ちが己を
引き摺り、師匠も友も・・・もちろん大切だ。でも、その存在が頭の中から消えて
しまっては・・・考えようがない。もしかしたらこの性向が、悲しみに呪縛されるのを
防いでいたのかもしれない・・・が、とにかくそんな有様だから、今も紙切れを
元のように本に挟み込んで、新味祭の料理について考え始めた。

 数日後、医書を返しにきたチャングムを見送ってから、チョンホは書庫に入った。
手紙が届いたか確かめようと書物を捲る。そこへ上官の内禁衛将が来て、不機嫌そうに
声を掛けた。チョンホは慌てて本棚に戻し、立ち去った。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
 そのすぐ後、クミョンは懇意にしている官員に頼んで、たまたま同じ本を借り受けた。
最近、チャングムを見習って雑書類を順番に借りているのだ。
 クミョンは、医書に挟み込まれた紙片を見つけた。
  「小杏難擧地 孤竹蔵芒屯 軽陰暫重耳 落日自黄昏」
  擧−進士に、杏−首席で、小−幼くして・・・文官の方だわ。
  芒−剣の切っ先、蔵−はらわた・・・武官かしら。
 どなたがお書きになったのか。もしや。

 後日、その官員とすれ違った際、最近あの本を借りたのは誰かと尋ねた。
それはチョンホ様だろうと、官員は答えた。よく書庫で調べ物をされている姿を
見ていると。
 やっぱり。クミョンは合点した。まさか、チャングムへの手紙とは、考えも
及ばなかったのである。

 クミョンは、この詩を次のように読んだ。
   幼くして首席で進士に受かったものの、その位地は難しい
   光る得物(=竹.武器)で(敵の)臓腑を(裂くとき)、一人苦しむ(=屯)
   情けない(=軽)家来だ(=陰)。ただ少し(=暫)の(悩みが)のさばり(=重)
   それで(=自)一日落ち込んで、病む(=黄)とは愚かな(=昏)ことよ

 私と同じ。小さい頃から神童と呼ばれ、自分でも誇りに思うけれど、それでも迷う
ことも多い。そしてこの苦しさを誰にも明かせない、明かしたところで判っては
もらえない。誰とも分かち合えないことが、何より辛かった。

 チョンホ様も、お勤めで人には言えないお苦しみをお持ちなのだ。お気持ちを晴らす
ためこうして詩文に記して、それをそのままお忘れになったのだろう。
 クミョンは自分だけが辛い、と思い込んでいた事を恥じた。愛しい方の思いが
込められた詩。申し訳ないけど、戴こう。
 私ならあなたの苦しみを分ち合えるのではないでしょうか、チョンホ様。

 クミョンは以前買った硯を、大事そうに取り出した。そっと指を置く。ひんやりとした
感触が伝わってくる。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
386−蓼句意虫−:2006/06/29(木) 23:08:53 ID:0jKgluHJ
                              02/04      壱参弐 柵
 硯、
 選んだのは、あの方が文具を好まれ、これを所望されていたから、ではない。

 上蓋(ぶた)を外すと顕わになる、一糸まとわぬ姿。艶々と、きめ細やかな地肌が光る。
乾いた硯石の肌に水を滴らせ、墨で撫で擦る。最初はゆっくり、角で小さく擦り、
次第次第に液体は深く濃く、粘り始める。徐々に大きく、触れる面も広げて墨を回し、
時々墨ために入れたり、全体を撫で回したり。粘液がねっとりと絡まり、
程よく光沢を放ったところで

 いよいよ、太い筆が迫り・・・。思うだけで昂ぶって、早くそれを、とお願い
しているのに、先程から尖端の形を気にされて、眺められ、お触りになり。
 やっと決心された。と思う間もなく、いきなりとっぷりと中へ。時に強く、
時に軽く、まさぐられる。墨ために出し入れしてかき回され、時折り雫(しずく)が
零れる。そっと抜きかけてはギリギリのところで扱(しご)かれ。好きに動けるものなら、
包み込み張り付き動けなくなるまでこのままでいたい。なのに全て、お動きに任せるしか
ない。
 何度か出し入れされ、気が満ちてきたところで、素早く引き離される。
 そして、柔らかな敷物の上で文鎮に押さえ込まれ、身動きが取れなくなった所に、
思いの丈(たけ)を勢い良く、微かに擦れ合う音と共に存分に吐き出される。
それを受け止められる喜び。声を上げたいのだけれど、つつましく吐息をもらすだけ。

 白い肌の上に名残がしっかりと残り、あの方は笑みを湛えて見ておられる。


 愛しむかのように硯を撫で回しながら空想に耽っていると、針仕事をしていたチャンイが、
あなたのものじゃないの? と聞いてくる。悪いけど、邪魔しないで。
  「違うわ。(これはものじゃなくて、私なの。そしてチョンホ様のものなの。)」
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
 クミョンが本を返した後、チョンホは再度、医書を調べた。もちろんそこに詩文は
なかった。チョンホは嬉しく、独り言ちた。チャングムさん、私の言葉を受け取って
くださったのですね。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
 ヨンノはチェ尚宮からチャングムの偵察を命ぜられ、今はチャングム、ヨンセンと
同じ部屋で寝起きしている。だが、しばしば元いた部屋に遊びに行く。
 だからヨンノは見ていた。クミョンが、その文(ふみ)を度々読み返しているのを。
ヨンノは、実はクミョンのことも気にしていた。料理がうまくなる秘訣を知りたかった
のである。

 クミョンの不在時、チャンイも僅かな時間、座を外した。早速ヨンノは本棚から詩文を
取り出し、素早く写し取る。しかし意味がわからない。普通に読めば・・・。
   小さな銀杏の木は芽吹くのも難しく 孤独な竹は独りじっと青い光を放つ
   暗い闇は束の間のこと 日が沈めば黄昏はまた美しい
 竹林などの風景を詠った詩ね。クミョンったら、詩作の勉強をしているのかしら。
でも何かが隠されているのかも。
 その時、チェ尚宮から呼び出しがかかった。ヨンノは写しを袖に挟み込むと、慌てて
行った。
 話しが終わり立ち上がろうとしたとき、袖から写しが転がり出、チェ尚宮の目に
とまった。チェ尚宮は有無を言わさず取り上げ、さっと見て顔色を変えた。
  「これは何? どこで手に入れた。」

 よほど重大なチェ一族の秘密なのだろうか。とすれば、黙って写したと告げれば、
お叱りを受ける。ヨンノは半泣きで黙っていた。
  「ええい聞きとうもない。どうせ、カン熟手の持ち込む本の類であろう。だが、こんな物を
  持ち歩いている事が表沙汰になれば、咎めを受ける。返すから、始末なさい。」
 訳が判らなかったが、その剣幕に圧され、ヨンノはすぐに部屋を出た。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
387−蓼句意虫−:2006/06/29(木) 23:09:47 ID:0jKgluHJ
                              03/04      壱参弐 柵
 ヨンノは、その内容が気になって仕方がなかった。こんなこと絶対チョン尚宮様や
ハン尚宮様には聞けない。ミン尚宮様はご存知かも知れないけど、一応尚宮様だから、
言いつけてしまわれるかも。こういう時は、と。

  「チョバン姉さん、こんな詩があるのですけど、意味がよく判らなくて。内緒で教えて
 ください。」
  「ふーん、今時珍しいものを持ってるわね。これはね、あなたも知っての通り、
  漢字にはいろいろな意味があるから、それをはめ込んで、五言絶句を作るの。もっと
  難しく考えると破字って方法もあって、偏と旁(つくり)に分解して解読することもある
  けど、ここでは素直に一字として考えてみるから。
   これだったらね、表向き、情景を詠んだものね。そして、武官がどうしたとか取れる
  ところもある。だけど試験って、文官のことだから矛盾するわね。とすると、こうね。」
  「私(=小)は、艶やかな(=杏)女(=地)に(気持ちを)動かされそうで悩んでいる
  独り・・・あの先に光るものをおさめ(=蔵)られず、悩むのだ。」
  「あのってなんですか?」
  「言いにくいものよ。あれ、竹のような格好の、さ。」
  「はあ。」
  「竹って、最初は皮を被って柔らかいけれど、ずんずん太く硬く伸びるでしょ。だから、
  ね。判るでしょ。」
  「あっ、あれですね。よく春画で見る。」
  「で、次は、少しの間でいいから、重ねたい、それを笑わないで(=軽)くれ。」
  「何に重ねるのですか?」
  「もうっ! 陰って言えば、女性の象徴よ。」
  「はあ。」
  「これはそういうものなんだから、いちいち驚かないでよ。」

  「続けるわよ。一日そんなことを思って、自分で萎んで(=落)、疲れるまで(する)とは
  おろかなことよ。
   あと、ぐっと意味を読み込むと、小杏を銀杏だとすれば、銀杏(いちょう)には雄株と
  雌株がある。実がなるということは雌花のことで、そして銀杏(ぎんなん)は実だから、
  まだ芽も出ていない状態。それをたかぶらせるのは難しい、つまり・・・。」
  「つまり?」
  「つまり、まだ男を知らないような、例えば私達女官がそうだけど、特に内人になった
  ばかりのような女を恋焦がれる歌ね。それで、承句はさっきの通りで、転句の重ねると
  いう字には身ごもるという意味もあるから、つまり・・・。」
  「判りました。それじゃ、耳っていうのは?」
  「それは、それだけ、っていう限定の意味でいいわ。結句の日は太陽、易学でいう
  ところの陰陽の陽で、男の象徴。とすると起句から、女−男と交互に詠んでいるのね。
  昏は婚の異字だから、こんなにあなたを思っているのに、私は他の女を娶っていて、
  なお苦しい、という感じかしら。
   簡単に言えば妻子持ちの男が女官に惚れて、結ばれたいけど叶わない。だから
  その女(ひと)を思って、自分で解消する、と。一見、洗練された中に、欲望の
  滾(たぎ)りが溢れているわ・・・。ねえ、なんでそんな顔して見てるのよ。」
  「よくご存知だと・・・。」
  「先の王は詩歌や演舞はお好きだったの。でも学問がお嫌いで、詩学の教授に逆らって、
  こんな戯れ歌ばかり作らせておられた。謎解きや判じ物の一種よ。だから尚宮様達も
  お話しを合わせるために、必死でお考えになっておられたの。私はそれを見ていただけよ。」

 ああ、それでか。チェ尚宮様の御一門は、代々最高尚宮様を輩出されている。だから
どんな王にもお仕えできるよう、秘かに、料理以外でも英才教育を授けておいでなのだ。
だからあんなに怒って見せて、つまらないものだと私に思わせようとされたんだ。
やっぱり、捨てるなんてできないわね。
 ヨンノはまた一歩、チェ一族の一員に近付くことができた気がして、嬉しくなった。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
388−蓼句意虫−:2006/06/29(木) 23:10:16 ID:0jKgluHJ
                              04/04      壱参弐 柵
 竹筒御飯は高い評価を得た。味覚も戻った。チャングムは報告と本のお礼を兼ね、
団子を作ってチョンホに渡す。チョンホは、詩についても一言あるかと期待していた。
 叙景に、チャングムさんへの励ましを込めた詩。あなたなら、その意図を判ってくれた
・・・はず。
 だが、チャングムは、本と、菜園から宮に戻る道すがら語った、励ましには満たない
言葉に対してだけ、礼を述べた。
 チョンホは肩透かしを食らった感じがした。だが団子はうまい。食べていると、また
女官が来ていると部下が言う。きっと言い忘れたことがあるからだ。それを一番、聞きた
かった。心躍らせて会いに出る。

  「私はこの頃、悩みを抱えていました。でも、チョンホ様もお苦しみだったと初めて
  知りました。どうか私にも分かち合わせてください。」
  「どうしてそんなことを?」
  「チョンホ様がお借りになった医書に、お悩みの言葉が挟み込んでありましたので。」
 チョンホはがっかりした。意図せぬ相手に渡ってしまっことに。だが女官に宛てたとは
言えない。そしてクミョンが何を言っているのか判らない。別に悩みなんて無いのだが。
 とりあえず励ましておこう。えっと、さっきチャングムさんがいいことを言っていた。
  「料理をされる方は、食べる人の顔に笑みが広がればいいと願いながらお作りになる。
  私の仕事は敵を傷つけることですが・・・。」
 そうですね、あの詩も、そのお悩みを詠われたものでした。クミョンは深く頷いて、
チョンホを見詰める。
 何でそんな納得顔で見るのか。早く切り上げよう。
  「あなたはそのような仕事をしているのです。自信を持ってください。」

 クミョンは心を分かち合えた気がした。つと、硯を差し出す。
 一つ所帯になれなくても、この宮中、あの人の苦しさは私だけが判ってさし上げられる。
きっと私の悩みもお分かりいただけるはず。
 そしてこの硯を通して、チョンホ様と私は結ばれるの。

 チョンホは困惑した。この硯、欲しかったけれど、見る度にこの人の顔が浮かんで
来そうだ。使えないだろうな。残念だな。
       :
       :
       :
 チャングムはそんな二人にお構いなく、次の競合の準備に駆け回っていた。
―――――――――――――――――――――――――――――終―――
389名無しさん@ピンキー:2006/06/30(金) 17:34:08 ID:NF3l2Bwj
新作キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!!!!
390名無しさん@ピンキー:2006/06/30(金) 19:04:42 ID:7PmPmYTL
なんじゃこりゃー!硯エロいよ硯!GJ!!
391名無しさん@ピンキー:2006/06/30(金) 21:11:11 ID:XX4yU2T7
suzuri!suzuri!
392名無しさん@ピンキー:2006/06/30(金) 23:14:50 ID:EShoHTrj
すばらしい!!!壱参弐様!!!
筆より硯が前面にくるとは予想外。
超GJでした。
393名無しさん@ピンキー:2006/07/01(土) 01:40:20 ID:LjfalUEi
なんか既視感のある流れ・・・
394名無しさん@ピンキー:2006/07/01(土) 15:00:11 ID:007JPbEw
五言絶句の意味をちゃんと分かってるのがヨンノだけでワロタ
395名無しさん@ピンキー:2006/07/04(火) 17:27:42 ID:ABKbTHsq
皇后さまハァハァ
396名無しさん@ピンキー:2006/07/05(水) 20:17:22 ID:hZaPxC1D
 ふと、王様×チャングム×チョンホ、もしくは王様×皇后×チャングムなる
 ものを書きたくなりました。
 が、果たして私が書いていいものか・・・
 お許しいただけるなら草案が出来次第、書かせていただきたいものです
397名無しさん@ピンキー:2006/07/05(水) 22:52:43 ID:MGgmyp8V
祝! 新規参入
398名無しさん@ピンキー:2006/07/05(水) 23:54:18 ID:kq7pwl/+
三角関係(と言っていいのか)にwktk
男二人のチャングム取り合いに期待
399名無しさん@ピンキー:2006/07/06(木) 00:07:13 ID:nA6CkEr5
なにゆえ一気に上がったのかと思ったら。
すみませんが[sage]進行でお願いします。

作品期待しています。
400名無しさん@ピンキー:2006/07/06(木) 23:15:09 ID:/Y9F/AhB
>396です。
 すいません。初めてでドキドキしておりました。
 暖かいお言葉に調子に乗って考えてみようと思います。
 ただし、体調が現在、あまりよくないのでぼちぼちやっていこうかと。
 皆様には「つまらない」と思われるでしょうが、がんばってみます。

 ところでひとつ、質問。
「夢でチョンホに抱かれていると思っていて実際は王だったチャングム」と
「最初から三角関係状態で絡む3人」
 どちらがいいでしょう?
401名無しさん@ピンキー:2006/07/07(金) 00:21:58 ID:rHJivbGG
>>396
>>312

別に自分が書きたいものを投下してくれたらいい。名前欄にでも傾向書いてもらえれば、嫌な人は見ないだろうし
402ミョンイ×ペギョン×ソングム −月餅−:2006/07/08(土) 05:52:05 ID:5gJvaJNw
                              00/26      壱参弐 柵
内容:百合 微エロ ほぼ原作通り 長文 4分割予定

 本作の内容は概ね27話までの出来事である。
 ただし舞台は42話、カットシーンであるため、以下に概略を紹介します。

チョンホの動きにパンスルが怒り、その後このシーンとなり、(場面は変わってチャングムが
中殿に内書庫に入る依頼をする等が続き、)クミョンがチョンホに料理を奉げるシーンへと繋がる。
台詞が、"宮廷女官 チャングムの誓い ファンサイト 「チャングマ」"42話の一番下、
場面の様子は(姿勢に変動なし。このまま喋り、最後に若干荒く戸を閉め出て行く)は、
"大長今 MBC公式ホームページの日本語版、「大長今ストーリーガイド」"42話の中ほどを参照ください。
403ミョンイ×ペギョン×ソングム −月餅−:2006/07/08(土) 05:53:10 ID:5gJvaJNw
                              01/26      壱参弐 柵
 「今更お前を責めるつもりはないわ。
  私が甘かったから。あの時……縛り付けてでも……ことを終わらせるべきだった。」

 左賛成大監一派は更に力を蓄え、一族と後ろ盾である右相大監を脅かしている。
 「お前の懇願が、ミン副提調の始末を躊躇わせたからだ」
 伯父の怒りはいつになく激しかった。

 パンスル邸の自分の部屋で、クミョンは伯父の言葉を反芻していた。そこへチェ尚宮が
入ってきた。クミョンは更にお叱りを受ける覚悟でいたが、叔母は静かに、言葉を
押し出すように語り始めた。

 「情に絆(ほだ)されて、お前は苦しみ続けることになる。そう思いながらも、お前の
 願いを断ち切れなかった。
  一つにはチャングムを見縊(みくび)っていたこと。ここまで追い迫ってくるとは思いも
 よらなかった。
  そして私も、情を残して……いた。お前に捨てろと言いながら、それは自らに
 言い聞かせていたようなもの。大事に直面して幾度(いくたび)も決意し、しかし幾度も
 立ち止まり、何度も何度も心が揺れた。」

 「お前はあの時言った。私の恐れや苦しみは、競合で負けたときよりも、友を手にかけた
 話しをしたときの方が深いと。そう、その通りだ。だが、それだけではなかった。」

 「……お前は私のそばにいつも居てくれた。誰も振り向かない時でも、変わらず励まして
 くれた。だから今ここに至って、お前だけには全てを告げたい。いや知って欲しいと願っている。」
 「叔母様。」

 何をお話しになるのか。まだ私が知らないことがあるのだろうか。
 クミョンは叔母の顔を見た。重く沈み、塞ぎ込んだお顔をされている。あの時、友達の
お話しをされた時と同じ。
 「なき者にした友とは、仲が良かった。」
 「叔母様、叔母様のお苦しみのご様子から、普通のお友達ではないと感じておりました。
 たとえ叔母様がパク内人様と特別な関係であられたとしても、私は驚くことはありません。」
 「そう……。そうね、普通の友人ではなかった。でもそれだけじゃないの。
 私が苦悩していた本当の理由を、言うまいと思っていた。お前が知ったところで、
 どうなるわけでもないし、お前を怯(ひる)ませるわけにはいかなかったから。
  ……あの友は、お前達三人の関係に準(なぞら)えるなら、お前が慕うミン副提調とは違う。
 むしろ……チャングムだ。」
 「では叔母様、パク内人様をお好きだったのではないのですか。」
 「そして、同じ苦しさを味わった。」

 どういうことだろう。私と……同じ?
 「叔母様、それじゃ。」
 「そう。お前のミン従事官に対する気持ちと変わることはなかった。憧れ、慕い、
 愛しく、できることなら失いたくなかった。」
 さすがにクミョンも驚いた。叔母の深淵を覗くことになる。クミョンは心構えた。
 「それじゃ、もしかしてハン尚宮様を。お嫌いじゃなかったのですか。」
 「そう見えたでしょうね。外向きにはそう振舞わなくてはならなかったから。また、
 己の感情と一族としての役割は切り離さなくてはならなかった。
  今まで誰にも、伯母様、兄上にも打ち明けることは出来なかった。」

 「ミン従事官のことは譲れない、と言ったとき、訳を聞くのが怖かった。聞かずとも、
 なんとなく判っていた。
  そして、慕っていると告げられて、それが我が身のことのように思え、身体の隅々に
 染み付いた記憶が呼び覚まされた。」
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
404ミョンイ×ペギョン×ソングム −月餅−:2006/07/08(土) 05:53:54 ID:5gJvaJNw
                              02/26      壱参弐 柵
 「ハン・ペギョンとパク・ミョンイと私が出会ったのは、今から三十数年前のことだ。
 私は八つ、ミョンイは一つ年下で、ペギョンはもうすぐ六つになるという頃だった。
  ミョンイはしっかり者で、逞しさを感じさせる子だった。
  ペギョンは一番年少だったこともあって、守ってあげたいと思わせる儚(はかな)げさと
 健気(けなげ)さがあった。」

 「入宮して間もないあるとき、ミョンイが言った。
   「ペギョンちゃんって真面目だから、からかうとふくれて可愛いわね。」
   「あら、あなたペギョンちゃんのことが好きなの?」
   「ええ大好きよ。ここにくる前から好き。」
   「私もペギョンちゃん大好き。あの子あんまり喋らないけど。」
   「ソングムちゃんもペギョンちゃんのこと好きなんだ。私達気が合うわね。」

  ペギョンはこの子のことをどう思っているのだろうか。それにどうしてこの子達は
 知り合ったのか。それでミョンイに聞いてみたことがある。
   「ねえ、あなたとペギョンちゃんはいつお友達になったの?」
   「半年ぐらい前かな、路地であの子が遊んでいて、見かけたの。可愛いなって。
   それで一緒に遊ばないって。後で私の家に遊びに来てくれて、お料理を作ってくれたの。
   とっても美味しかった。」
   「それで仲がいいんだ。」
  また別のある日、ペギョンのいる前で聞いた。
   「ミョンイちゃんって両班の子でしょ。どうして宮に上がったの?」
   「お母様が早くに亡くなって、お父様から王宮に行ってくれないかって言われて。お父様の
   お言付けだから、そうしようと思ったの。」
   「ふーん。」
   「でも独りだったら寂しいし、ペギョンちゃんと一緒だったらいいなって思って、誘って
   みたの。宮に行ったらずっと一緒にいられるしね。ペギョンちゃんってお料理得意だしね。
   教えてもらえたらいいなって。ねっ、ペギョンちゃん。」
   「うん。」
   「それでペギョンちゃんのお母様にお話ししにいったの。お母様は、宮に上がると一生
   お嫁に行けないからって泣いていらしたわ。それでペギョンちゃんにね、どうしたいのって
   お聞きになったの。」
   「うん。」
   「それでね、ペギョンちゃんが言ったの。『ミョンイちゃんが宮に上がったら、独りぼっちに
   なるから……。』って。
    お母様はね、『お前、本当にいいのかい。両班さんのところのお子とお友達になっても、
   ずっと仲良くはできないのよ。』って言われたわ。だから私は言ったの。ペギョンちゃんの
   お母様、私一生ペギョンちゃんと仲良しでいます。ペギョンちゃんを絶対幸せにしますから、
   安心してください、って。」
   「うん。」
   「それでね、お父様にお願いして、一緒に宮に行くことにしたの。ねっ、ペギョンちゃん。」
   「うん。」
   「だからペギョンちゃんと、ずっと一緒に生きていくのよね。」
   「うん。ずっと一緒、ミョンイちゃんと一緒にいる。」
  ミョンイは私に聞いてきた。
   「ねえ、ソングムちゃんはどうしてここに来たの?」
   「伯母さん達がずっと宮におられるし、それにお料理が好きだから。」
   「そう。じゃペギョンちゃんとどっちが上手いんだろう。」」
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
405ミョンイ×ペギョン×ソングム −月餅−:2006/07/08(土) 05:55:08 ID:5gJvaJNw
                    03/26      壱参弐 柵
 「それから皆の噂で、ペギョンが奴婢の生まれと知った。
  宮にいる多くは、ほとんどが我らのように中人か、または常民だ。ごく限られた
 両班出身の者は幅を利かせ、そうでない者は遠慮がちにするのが世の慣わし。
 だから多くの者は出自や家柄を気にしていた。最高尚宮を輩出してきた家系に生まれた
 私は、同じ時に入った子達だけでなく上の方からも特別扱いをされ、少し距離を置かれていた。
  ミョンイはそんなことは全く関係なく、ペギョンとも私とも気さくに等しく付き合って
 くれた。……ミョンイが居なければ、私はペギョンと遊ぶことはできなかっただろう。」

 「ですが叔母様、ハン尚宮様のご身分に、お怒りになっておられたのではないですか。」

 「最高尚宮には私が成るべきだと思っていたし、一族代々の伝統を守らなくてはならない。
 五代前の叔母様からサリョンに至るまで、皆が努力と犠牲を払って築き上げてきた座だ。
 それを私の代で終わらせるわけにはいかなかった。私の立場としては、簡単に受け容れる
 ことなどできなかった。」

 「でも私はそのことを……身分のことを直に言ったことはない。どれだけ悲しませるか、
 よく知っているから。
  ああ言ったのは他の尚宮共だ。ちょうどいい名分だった。
  他の者共は、ハン尚宮の力量を知らぬからあんなことが出来たのだ。不利な立場から
 あそこまで辿り着く、その凄さを判らぬから。
  相手の力を推し測れるのは、同じぐらいの能力をもった者だけだ。クミョン、そうは
 思わぬか。チャングムを真に評価できたのは、内人の中でお前だけだったのではないか?」
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
 「少女時代は楽しかった。小さな身体に宮の中は大層大きく見え、どこまで行っても
 行き着けぬように思えた。あの頃多くの見習いがいたけれど、ペギョンとミョンイと
 いつも一緒にいたわ。」

 「ミョンイは、誰とでも打ち解けられる子だった。それだけでなく、魅力的な子だった。
 男前にも見える整った面立ち。いや、美貌だけではない。瞳に込められた魔力とでも言おうか。
 チャングムにも面影があるが、ミョンイの目は人懐(なつ)っこくて、引き込まれるような
 気がした。しかし一旦怒り出すと、まるで炎が噴き出すかのような迫力があった。そのどちらも
 が人を惹き付けた。」

 「お前が宮に上がった頃、ペギョンは尚宮としていつも厳しい表情をしていたが、昔は
 細面(ほそおもて)の端整な顔立ちの子だった。繊細で優しい気持ちを持っていた。
  心無い者共が、出自を揶揄したり除け者にしたりしたこともあって、引け目を感じていた
 のだろう。言葉数は少ないが、一言(ひとこと)一言が誠実だった。
  周りの皆は、私のことを料理が上手だって言ってくれた。ペギョンはそんなお世辞は
 言わなかった。けれど本当に巧く仕上げた時には、ニコッと微笑んでくれた。
  そしてミョンイの前では、とても嬉しそうに過ごしていた。」
 
 「多くの者はミョンイに惹かれたけれど、私はペギョンの品のある面立ち、真面目な人柄が
 どんどん好きになっていった。」

 「ペギョンは料理に優れた子であった。料理の勘が鋭く、目秤(めばかり)で味付けし、
 大雑把だが実に手早く作った。なのに、細かな味の違いのわかる子だった。
  母について料理をしていたそうで、可愛い手で、鮮やかな手捌(さばき)をみせた。
  私も幼い頃から料理を仕込まれてきたものの、お前ほど上手(うわて)ではない。だから
 あの巧みさは驚きだった。あの子の腕は、誰にも引けを取らなかった。」
406ミョンイ×ペギョン×ソングム −月餅−:2006/07/08(土) 05:56:10 ID:5gJvaJNw
                              04/26      壱参弐 柵
 「ミョンイは頭のいい子だった。食材の種類も、故事来歴もよく覚えた。
  そして型破りな味を見付けられる子だった。ミョンイの探検に私達もよく付いて行っては、
 びっくりさせられることばかりだった。何でも見て、何でも口にしていた。雑草から、
 土に至るまで。何でそんなことをするのかって聞くと、たぶん美味しいだろうと思ったし、
 そうだったら食べてみないと判らないと言うのだ。
  あの子が見付けたものを、時々私達にも食べさせてくれた。虎杖(イタドリ)で喉を潤す
 ことを教えてくれたのもミョンイだった。」
 「虎杖って、ウドに似た?」
 「そう。あの若芽の皮を剥いて、そのまま齧ったり煮物にしたりすると酸い味がする。
 だけど背丈ほどに伸び、擂粉木(すりこぎ)ほどに太くなった若芽の、竹のような節と節の間に
 一口ほど露が溜まっている。飲むと爽やかで雑味など全く無く、すっきりとした味わいだ。
  また、ミョンイが木や花の蜜、よく舐めたのはユリの木だったが、その蜜を掬い取って、
 私達の口元に持ってきたこともあった。最初にペギョンに舐めさせて、それから私にもくれた。
  その味も、その手も、ほんの僅かだったけど、共に味わった。それからミョンイは、私達が
 舐めた指をペロッと舐める。それがまた楽しかった。他にもいろんな木の実や草花を口にした。」

 「そして律儀で、物怖(ものお)じしない子だった。ご指導されている内人様達のご指示が
 おかしいと思ったら、遠慮無く、納得するまでしつこいくらいに聞いていた。
 よくはらはらさせられた。」
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
 「その頃は先々代の成宗大王の御世で、穏やかな時代だった。大王は学問を好まれ、私達も
 競って書物を読んだ。ミョンイは漢籍を良く知っていて、ペギョンや私にいろいろ教えてくれた。
 それに将棋(チャンギ)もうまくて、息抜きと称してよく遊んだわ。だから私はお前と違って、
 子供の頃は寂しい思いをしたことはなかった。」

 「見習いの頃、私は大叔母様のところで、ペギョンはチョン尚宮様の部屋にいた。
 ミョンイの尚宮様は、処決をお嘆きになってお体が優れず、しばらくして退宮されてしまったから、
 今はおられない。
  大叔母様は、私がペギョン達といても、特になにもおっしゃらなかった。私の伯母様、
 先代のチェ最高尚宮様と違って、どちらかと言えば優しい方だった。
  厳しい気性とそうではない気性。私とお前を見ても、どうやら我が一族は、代わり番こに
 そんな気立ての者が生まれるのかしらね。」

 「だけど、どうなのか。大叔母様は私達を共に過ごさせた。でも子供の頃の思い出が、行く手を
 阻むこともある。私がミョンイの件で塞(ふさ)ぎ込むのを見て、伯母様はお前を独りで
 学ばせられたのだと思う。
  どちらがいいのか、今でも判らない。」

 「とにかく私達は、それからもずっと仲良く過ごしていて、御膳競技を迎える時も、
 私達はいつも一緒に勉強した。
  そしてペギョンもミョンイも私も、内人となった。皆、美しかったわ。」

 「料理上手な二人がいたから、新味祭の時も、私がいつでも一番というわけにはいかなかった。
 食材と伯母様の特訓で、なんとか上位でいられたけど、あの子達にはなかなか叶わなかった。
 二人は本当に凄かった。そんな弱気ではいけないと、伯母様によく叱られたけど。」
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
407ミョンイ×ペギョン×ソングム −月餅−:2006/07/08(土) 05:57:09 ID:5gJvaJNw
                              05/26      壱参弐 柵
 「内人式を終えて、ペギョンとミョンイと私は、それぞれ別の者と同じ部屋になった。」

 「でも内人になる少し前に大王が御隠れになられ、先王の治世となってから、宮中の
 風紀も乱れ始めた。
  女官は王の目に留まれば、いや、そうでなくてもただ機嫌を損ねぬためだけに、一晩の
 慰み者として、夜伽に差し出された。
  内人は、お前達のように二人か三人で一部屋に住むのが原則。だけどあまりに
 お召しが夥(おびただ)しくて、それに祝宴や気紛れな御用も多くて、尚宮様達も毎日ご多忙
 だったから、一々構っていられなくなったのね。だから同室の者がいなくなり、独りで
 住まう者も多くいた。独りで夜を過ごす寂しさと、いつお手を付けられ……。
  大王は、お側に置かれた方を大切にされていたわ。
  でも燕山君は国中から名花を集められていたから、女官など一度切りで、後はぼろ切れの
 ごとく扱われ、捨て置かれた。房事も酷いと噂が広まっていて、皆怯えていた。
  だからあの時ほど、そういう関係になる者が多かったときはなかったと思うわ。
 皆ひとときの温もりを欲しがり、それがなければ耐えられなかった。それをご承知だったから、
 上の方も黙認されていた。」

 「私は、お前にしたように、一通りのことを大叔母様から教えられた。」

 「ペギョンは、あのチョン尚宮様だったから、何も知らなかったようね。もちろん
 チョン尚宮様もご存知ないわけではないけれど、好まない様子の者にはされなかった。
 その代り、ペギョンはお酒の相手をさせられていたけれど。
  それで、ちょっと際どい冗談も通じない、初心(うぶ)な子のままでいたわ。だからあの子と
 そうなるなんて無理だと、皆が思っていた。」

 「でも見習いの頃ミョンイが付いた尚宮様は、そちらの方がお上手な方で、ミョンイも好んだ。
  だから他の内人からよく誘われていたし、誘ってもいた。あの瞳に見詰められて言い寄ら
 れると断り切れなかったようね。焼厨房だけでなく至密、針房他の部署のいろんな子と……。
 好奇心の強い子。その好奇心は料理だけに留まっていなかった。
  いろんなものに対してがむしゃらに追っていく、そんな性格と付いた尚宮様の手解き。
 そして情への欲心。あの子は奔放に求めたわ。母親が早くに他界されて、だから人肌が恋しいと、
 話していたことがある。
  ミョンイと同じ部屋の子も、間もなく夜伽に上げられた。そんな事情もあってのことだけど、
 毎夜のように誰かと身体を重ねていた。」
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
 「でもさすがに目に余って。独り住まいも増えていたから、他の者と併せて部屋替えをされる
 ことになった。それは内人になって数ヵ月くらい後のことだったけど、その頃東宮殿に
 おられたチョン尚宮様とパク内人の尚宮様が、パク内人とハン内人を呼び出されたらしい。
  そしてパク内人に、もう少し慎むように言われた。ハン内人に対しては事の次第を伝えた
 上で、同じ部屋にしてもいいかお尋ねになった。女官の中で一番真面目なハン内人と同じ部屋に
 して、抑えさせようとされたのね。
  ハン内人はパク内人と元々仲も良かったし、あんまり深く考えないで承知したと聞いたわ。
 それでペギョンとミョンイは同じ部屋になった。
  でもその事がきっかけで、私達の関係に大きな転機が訪れた。」

 「ミョンイと同じ部屋になってしばらくして、ペギョンが変わっていくのが判るように
 なったの。だんだんと、綺麗になって。どういうことか判るでしょ?」
 「はい。」
 「ああ、思い出したくもない。初心な子が、あの澄んだ瞳が潤いを増し、姿形(すがたかたち)も
 艶っぽくなって。
  あのペギョンが、そうなるなんて。」
408名無しさん@ピンキー:2006/07/08(土) 14:50:38 ID:lQ3wV5aE
ワクテカ
409名無しさん@ピンキー:2006/07/08(土) 15:13:20 ID:DOe5jh+Z
きた!
410名無しさん@ピンキー:2006/07/08(土) 19:48:10 ID:P1L52MlE
ミン・ジョンホ×チャングムがメインで王様とはおまけくらいの絡みがいいな。
411名無しさん@ピンキー:2006/07/08(土) 20:13:02 ID:o/B+kyGg
>>402-407
壱参弐様、新作待っておりました。百合派でなくともチェ尚宮様の屈折した心理には、興味深いものがありますので、大いに期待しています。「もう一つの物語」という形ではなく、クミョンへの打ち明け話、という形をとっているのも良いですね。
412ミョンイ×ペギョン×ソングム −月餅−:2006/07/09(日) 01:18:45 ID:+LRo7qFE
                              06/26      壱参弐 柵
 「その後、私と同じ部屋の内人も王のお手が付き、独り部屋になった私の所へ度々
 ミョンイが訪れるようになった。 
  私はミョンイを嫌いではなかった。ペギョンの部屋に移る前から、あの子の部屋で夜を
 過ごしたこともあった。」

 「けれどミョンイも、私がペギョンのことを好きだって知っていたはず。憧れていたのを
 聞いていたはず。それなのにあの子はお構いなく、無邪気に私とも……。
  私もお付き合いした人は多少いたわ。でもミョンイは……こんなことを思い出すと自分が
 惨めになるけれど、ミョンイに抱かれるのは他の誰よりも素敵な心地がした。
  あの手。お米を研ぐように身体中をまさぐるうごめき。櫂(かい)が水を纏わり付かせるかの
 ようにしなやかに、欲望の水流を……昂りを一直線に昇らせず掻き切らず。絡み取られ
 ゆっくりと、あたかも官能のうねりが全身を覆うように、その動きに心までが纏わり付いて
 しまう。そのひとときは不安も心配も消えて……あの子は私に……安らぎを与えてくれた。」

 「でも……この子はペギョンを放っておいて……ペギョンもこの手で、この舌に捉えられ、
 感じて……いるのか……。それなのに私の身体も、その動きに反応してしまうなんて。
  なんだかこう言うと、情けないように思われそうだけど。」

 「部屋を替えられた後は、相手はペギョンと私だけになった様子だった。尚宮様達の思惑通り
 ペギョンに抑えられたのか、あるいはよほど気に入ったのか。」

 「ペギョンが変わったのに気付いて、誘いかける者もいた。
  私は伯父上のおかげで経済的に余裕もあったし、ちょっと誘えばたいていの者は付いてきた。
 だから私も、あの子がミョンイとそうなる前からだけど、何度か誘ってみた。だけど全然関心が
 なかったみたい。最初はあの子の初心さゆえに。そうなってからは、一途さゆえに。
  簡単には手に入らない相手だから、余計に気になって仕方がなかったのかも知れないわね。」

 「ペギョンは、私達の関係も知っていたと思う。何も言ってはこなかったけれど。元々あんまり
 しゃべらない子だったし、他の内人も誰と誰が、なんてことは詳しくは言わなかった。そういう
 嫉妬を顕(あら)わにするのは、はしたないとされていたから。
  でもミョンイが私の部屋に長居した翌朝、脹(ふく)れっ面で私を見ていたことがよくあったわ。」

 「私は、ペギョンを独り占めするミョンイが羨ましく、疎ましかった。だが、内気なペギョンと
 話すためにはミョンイが必要だった。相反(あいはん)する気持ちを抱えながら、私はそのまま
 二人を友とするしかなかった。」

 「ミョンイが、ペギョンだけを好きでいたのかどうかは、今でも判らない。
  でもチャングムを見ると、そうではなかったような気もする。あの者達の目は、一つのものを
 見続けることは、できないのではないだろうか。」
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
 「それから二年ほど経って、伯母様から務めを言い付かった。
  私は独り、部屋で鬱々と過ごした。ミョンイはそんな私をずいぶん気にしてくれた。
  仕方なく実行したけど、それを見られて。ミョンイから問われ、私は薬だと言い張るしか
 なかった。でもとうとう気味尚宮様に告げてしまった。
  ミョンイが正しいと信じるものの前には……、一度(ひとたび)こうだと思い込めば、友への
 情など、後回しだったのか。もう私は、どうしようもなかった。」

 「伯母様からパク内人を処決すると聞かされたとき、吐き気が治まらなかった。
  腕を磨き合ってきた友。出自や家柄にとらわれず私を認めてくれた人。そしてまた、さながら
 ペギョンとの仲立(なかだち)として。
  その頃の私にとっては、一族と同じくらい、あの子が必要だった。」
413ミョンイ×ペギョン×ソングム −月餅−:2006/07/09(日) 01:19:22 ID:+LRo7qFE
                              07/26      壱参弐 柵
 「更に伯母様は、ハン内人も知っているかもしれないと言われた。少しでも状況を知る者は
 消し去らねばならないと。私も不安だった。でもあの子のことだから、たとえ知ったとしても
 言い出せないと思った。それにこれ以上、友を失いたくなかった。
  今よりももっと辛かったあの頃の宮中で、何か拠り所がなければ過ごしていけなかったと思うの。
  そして同じ時に同じ部屋の者が二人共いなくなるなんて、不自然すぎる。
  だから、様子を見てはどうかと申し上げた。伯母様もハン内人の腕を買っておられた。そうで
 なくても人手が足りない中、これ以上内人を減らすわけにもいかない。そんな事情もあったから。」
 「そうだったのですか。」
 「お前は想いを貫き、守ろうとした。だがその時の私は、お前ほどの意志があった訳ではない。
 ハン内人を、それほど脅威とは感じていなかっただけだ。」

 「私が予想した通り、ハン内人は口を閉ざした。そして沈黙を守りながら変わっていった。
 以前ならちょっとした雑談をしたり、笑いあったりもできたけれど、それ以後は他の者との
 接触を避けていた。ただ黙々と料理を作るだけ。」

 「もしかしたら何か知っているのか。とにかく一度話さなければ。知っているにせよ、そうでは
 ないにせよ。そう考えて何度か話しかけようとしたわ。もし出来れば私が……時が経てば
 ミョンイを忘れ、私があの子の支えになれるかもなんて。そんな幻想を抱いたこともあった。
  でも駄目だった。正直なところ寂しかった。ミョンイがいなくなってから、まともに顔を
 見ることすらできなくなったのだから。」
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
 「私の苦しみは、友を危(あや)めたことだけから来ているのではない。それだけなら、せめて
 それだけなら、呑み込むこともできただろう……。」
 
 「でも私は、ペギョンが大切にしていたものを奪ってしまった。ペギョンは打ち沈んだ。
 そしてそんな姿を、近くで見続けなくてはならなかった。
  申し訳なくて……。私は一人の命と、もう一人の心を奪ってしまった。
  仲がいいとは知っていたが、そこまで深く、ミョンイがペギョンの一部にまでなっていた
 ことを、そうなって初めて知った。
  元々あった憧れ。自責の念と萎(しお)れるあの子に対する同情。そして手の届かない存在。
 それらが混ざり合って、恋しさが更に募っていった。」

 「お前だって似た思いをしたのだろう?」
 「……。」
 「だがそれでも、それでも、少なくともペギョンには逃げ出す場所はなかった。
 地獄の炎に炙(あぶ)られようと、私が耐えればいい。」

 「ミョンイがいなくなってから、ペギョンを誘う者もいた。ある者は同情から、またある者は
 美しさに惹かれて。下の者達は気品に憧れて。
  でも、誰にも心を開くことはなかったし、誰とも情を交わさなかった。言い寄られること
 自体、嫌がっていた。」

 「私はその様子を見て、ほっとした。これからペギョンに触れる者はいない。それでいい。
 それでいいとしよう。そう自分を納得させた。
  それに、好きであれ嫌いであれ、長い時間を共に過ごした記憶はお互いの心の底にあるはず。
 だからいつか、話しができる日が来ることを願うしかなかった。」
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
414ミョンイ×ペギョン×ソングム −月餅−:2006/07/09(日) 01:19:46 ID:+LRo7qFE
                              08/26      壱参弐 柵
 「その後、折に触れて部屋替えがされた。先王の時代に多くの女官が王のものとなり、
 後に退宮させられたから、見習いの数に対して尚宮の数が足りず、内人の部屋に
 入る者もいた。
  ハン内人も年長の見習いと一緒になった。でも相変わらず、その子とも打ち解けようとは
 しなかった。その見習いは元々身体が強くなかったし、ハン内人の態度も冷たすぎたのか、
 いろいろあったみたいで、内人になる前に家に返されてしまった。」

 「私達より上の女官が少なくて、私達は比較的若くで尚宮になった。
  尚宮になると弟子として部屋子を持つ。中には、手解きをして自分好みにしていく者もいた。
 でも私は安心していた。ハン尚宮はそんなこと、興味はないと判っていたから。」

 「それより、今まで習得した技法をやっきになって伝えようとしていた。最初に付いた部屋子は
 手厳さに根を上げ、途中で他の内人の部屋に移ってしまった。それは聞いたことがあるだろう。
  だから料理の技を引き継がせる者もできず、ますますあの人は孤独に打ち拉(ひし)がれて
 いった。見ている私も辛かったわ。でも目指すところが高くて、自分でも判っていたのだろう
 けど、融通をきかせるということができないから。」
 
 「そして王が代わり、ちょうどそんな頃、お前が入宮し、しばらくしてチャングムも入ってきた。
  ……それまでの十年ほどが、私にとって幸せな時だったのかもしれない。今振り返るとそう
 思ってしまう。」
 
 「どうしてチャングムがハン尚宮に付いたのか。縁(えにし)は、深いということか……。
  きっかけは偶然であったにせよ、それだけではなかった筈だ。
  思い起こせばチャングムも、最初は私の方が目をかけてやったが、なぜかハン尚宮に
 纏(まと)わり付いていたな。気難しいと評判のあの人に付き続けるのだから、大した子だと
 噂されていた。能天気なだけじゃないかって言う者もいたが。
  逆にハン尚宮も手こずる子を、どうして我慢強く訓育できるのか判らないと言われていた。
 以前なら、従わない子は許せなかったのに。」

 「だから、よくよく深い繋がりが……今にして、それが何だったか判る気がする。
  チャングムはミョンイと同じ匂いを感じ取ったのだ。それで母親代わりとして、絶対的な
 存在に映ったのだろう。それ以上の理由はないと思う。
  あの人の心の中にいるミョンイを見ることまでは、多分あの鈍い子にはできはすまい。」

 「だが、ハン尚宮は違う。あの子を見ていて、ミョンイの姿が面影に立ったのだと思う。
 愛してやまなかった人に似たところを見つけて、追憶を手繰り寄せ、思い出を重ねたのだろう。
  私も思い当たる節がある。確かに似ていた。でもあの無鉄砲さは……ちょっと違う。
  ……ミョンイはもう少し弁えた子だった。」 

 「あの子はハン尚宮に、屈託無く無邪気に接し続けた。それが時折り羨ましくもあった。
  ハン尚宮も最初の頃は単なる……、多少の才はあるようだったから、少しは熱心に
 教えてはいたけれど、普通の部屋子として扱っていた。そしていつものように抑えつけ、
 傍目にも過ぎるほど厳しく躾けていた。突き放した態度でいるのも、いつものことだった。
  でもいつ頃からか、内人になった後ぐらいだったか、その少し前だったか定かではないが、
 何があったのか接し方が変わった気がする。驚いたわ。それまで人を寄せ付けなかった
 あの人が、誰かに執着するなんて。
  あの子を必死で庇う姿は、ちょっと度が過ぎる雰囲気だった。
  そして、持てる技を惜しみなく仕込もうとしていた。
  やっとハン尚宮の腕を継ぐ子が現れたのだ。……率直に言って、少し妬ましく感じた
 こともあったわ。」
415ミョンイ×ペギョン×ソングム −月餅−:2006/07/09(日) 01:20:01 ID:+LRo7qFE
                              09/26      壱参弐 柵
 「それでも心の中にまでは、入れなかっただろうと思う。今までの様子から考えると。
  あの人が最も大切にしている部分に近付こうするなら、例の如くきつく撥ね付けていただろう。
  だから、チャングムがどう思っていたのかは知らないが、ハン尚宮はそれ以上の関係は、
 望んでいなかったのではないか。
  もし、最初からミョンイの子と知っていたら違ったかもしれないが……そんなこと
 考えたくもないが。」

 「だが、まあ想像するに、もしチャングムがミョンイのような環境にいたなら、きっと
 あの子も魔性を持っていただろう。そうなれば、同じ部屋の者どころか、お前まであの子と
 関係を持っていたかも知れぬわ。笑い事のようだけど。
  そうでなくとも、お前がチャングムに好意を寄せていた時もあったのではないか。」
 「はい、そんな時もありました。」

 叔母の言うように、私もチャングムに魅せられていた。
 他の者には無い伸びやかな心、型に嵌(はま)らない発想。接していると、使命感に
がんじがらめになっていた気持ちが、ふわっと解き放たれていくような気がした。
 異端児だけれど、その心根に触れ、自分の心の奥行を広げたいと思っていた。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
 「お前から見て、私がハン尚宮を嫌っているように感じたとしても、内心はそうではなかった。
  会えるだけで嬉しかった。
  幼い頃にミョンイが言っていたように、ハン尚宮は生真面目な性分だ。私がかける言葉に
 無表情を装いつつ、心中はしっかり反応している。それが、とても可愛かった。
  そしてハン尚宮を、いつも気にしていた。私と張り合えるのはあの人だけだったし、
 同じようにできなくても、どうしているのかいつも見ていたわ。」

 「相変わらず話す機会は無かったが、まあいい。どうせ私が伯母様の跡を継ぐのだし、
 そうすれば遠くない将来、ハン尚宮も好きにできる。腕は確かだから、存分に使い、全て私の
 思い通りになるはずだった。」

 「ところが、私達の関係に二つ目の転機が訪れた。
  伯母様がご病気で予定より早く退かれ、それが遠因で、最高尚宮の座を競うことになった。
 考えてもみなかったけれど、決して嫌ではなかったわ。」

 「尚宮になってからは、御膳は交代で勤めるから、水剌間で会うことも減った。
  だが競合いをする間は、顔を合わせることができる。あの人の料理を目の前で見ることが
 できる。たとえこの手に触れることが無くとも、ミョンイより長く、多く、あの人を感じる
 ことができるし……私を感じさせることができる。
  宮中に尚宮は数多くいれど、私の力を正しく評価できるのはハン尚宮だけ。あの人に、
 私の力を見せ付けられる。」

 「そして見習い時代に腕を磨き合ったように、料理で語り合えるのが純粋に嬉しかった。」

 「最初はちょっと侮(あなど)っていたけれど、見事だった。長い間、二十年近く沈み込んでいた
 あの人が、再び立ち上がり始めたから。
  だから私もあの人とのやり取りでは、本気で怒り、悔しがり、本気で喜んだわ。」
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
416ミョンイ×ペギョン×ソングム −月餅−:2006/07/09(日) 01:20:38 ID:+LRo7qFE
                              10/26      壱参弐 柵
 「当然勝つと思っていた競合で、私はチャングムに負けた。そのときはただ悔しかった。
 でも後で冷静になって考えると、やはりハン尚宮と直接戦うべきだった。それなら私の役割とは
 別に、気持ちは少しは収まっていたかも知れない。」

 「だが、相手は弟子の……しかも生粋の弟子ではなかった。ミョンイだった。
  その直後にチャングムの素性を知り、競合の経緯を振り返ったとき、ミョンイに対する
 侘びの気持ちは消えた。
  水果を出す時に話していた、あれはミョンイのこと……。また私の前に現れた。どこまで
 追いかけて、苦しめるのか。
  太平館のときもそうだったが、あの子は私の前に立ちはだかり、私がハン尚宮と競い合うこと、
 料理で語り合うことをいつも阻んだ。」

 確かに最後の競合で、叔母は誇りをかけて真剣にお取り組みになっておられた。私はその
お姿を頼もしく素晴らしく感じた。
 ハン尚宮様がご不在だったのは伯父のせい。でもチャングムが出しゃばらなかったら、
内人相手に競うことにはならなかった。
 私もまた……ミン従事官とのことが許せなくて、余計なことを申し上げてしまった。結果、
叔母を深く傷付けることになってしまった……。

 「結局、まともに戦ったのはご飯だけだ。あんな付け足し。だが、それにも……。」
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
 「私が見劣りすることが、白日の下に晒された。しかし直接競い合ってはいないと、自分に
 言い訳する余地があった。
  最高尚宮に成ってからは、他の者共に口を挟ませないこともできた。」

 「けれど、明国の使臣の接待に当たったときだ。それを己自身、痛烈に自覚したのは。」

 「その上お前に……、私の全てを注ぎ込み育てたお前に断じられた。料理の味ではなく情熱に
 おいて敗れたのだ、と。
  私は、……違うと思う。競合の場においては、料理の味も情熱も、負けてはいなかったはずだ。」

 そう、叔母が言われるとおり。
 どの料理も劣っていたわけではない。むしろ優れていた。けれど、気持ちを掴むことができなかった。
チャングム達の、意表を突く工夫と、その奥底に溢れる誠の心。それが食べる方を喜ばせ、
心を奪っていった。
 だがそれは、あの時の私には思い至らなかった。判り得なかった。一度たりとも心から捧げること、
それを許されなかった私には。

 私は叔母とは違う。最高の女官となって、最高の素材を使い、最高の料理をお出しする。
そして誰もが、私の料理を喜んでお召し上がりになる。そう願ってきた。
 でも中殿様や淑媛様……ヨンセンごときが……いや、あの子だからこそ言えた。
悔しいが……今の私には人の心を奪う料理はできそうにない。
 ……いやそうだろうか。できないのだろうか。ただ一人あの方に、ただ一度でいいから
真心を差し上げたい……それが叶うなら。

 「だが大本(おおもと)において、私は負けた。敗れたこと、それをはっきりと……言われたくは
 なかった。勝てたのは、私の腕を上回るお前、お前の聡さによるもの。言われなくても……相手の
 力量を測れるのは……私もそれぐらいは判る。お前の言ったとおり、ハン尚宮と、あの人を導く
 ミョンイに……一度も……。」
417ミョンイ×ペギョン×ソングム −月餅−:2006/07/09(日) 01:21:12 ID:+LRo7qFE
                              11/26      壱参弐 柵
 「どうすればいい。一族を危機に晒したと、見切られた私は?」
 「見切るなんて、そんな……。」
 「いやいい。判っている。あの時私は悟った。
  最高の地位にいる者は、当然最高の腕を持つべきと、お前にもそう言ってきたのに。なのに、
 この私は……才能を授からなかったから……最高尚宮となっても、ハン尚宮のいた位置に辿り
 着けることはない。
  それが判って、諦めがついた……。料理が好きだった。しかし、私が生きる場所は料理では
 なかった。それが私が競合で得た教訓だ……。」

 叔母はかつて私に、誇りなど意味を成さないと言われた。けれど、私がそうであったように、
叔母も心の中では誇りを持ちたいと願っておられた……料理では負けないと。
 そうでなければ、ああまでお気持ちを荒げられることはなかっただろう。

 そしてまた、あの時の叔母は、愛しい方を失った悲しみで一杯だったのだろう。それを押し
殺され、お強く振舞われて乗り越えようとされていた。なのに私は心を配らず、ミン従事官の
ことを言われて頭に血が昇った。

 「私がもっと高い地位にいたなら、競合など……あんなことなど……。」

 お心を癒して差し上げることはできなかったかもしれない。しかし、懊悩(おうのう)される
お気持ちを汲み取ることはできたはず。でも私はそうしなかった。自分ばかりが塞ぎ込んで
いると思い、怒りに任せて酷(ひど)いことを言ってしまった。最もお支えが必要な時に励ます
ことが……お仕えすることができなかった。
 そして叔母の心の、最後の砦を崩してしまった。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
 「お前は私に逆らってでも、よりよき水剌間の女官になろうとしていた。そうすれば、何かが、
 何か拠り所が得られるのではないかと足掻(あが)いていた。才能あるゆえに迷い苦しんでいた。
 その才能は、私の誇りでもあった。……才能だけを豊かに伸ばしてやれなかったことは
 済まないことだ。」

 「ただし、なあクミョン。お前がやろうとしていた素材を知る方法、ハン尚宮のやり方だけは
 頷(うなづ)けない。なぜなら、それは絶対味覚を持ったお前なら可能だけれども、多くは、私も
 含めてそうではない。
  ならば、手順や方法を重視していた方が、結局は誤りが少ないのではないか。あれはお前や
 チャングムのような子には適したかもしれぬが、多くの者には却って合わないと思っている。
 お前はずば抜けて優れているがゆえに、そのことに気が付かぬのだ……。ハン尚宮も自らが優れ、
 弟子も優れていたゆえに判らぬのだ。」

 しかし……私は、叔母達の優れた伝統の更に上を目指したかった。そしてあの子のように、
水剌間一の女官と認められたかった。
 そのためには、先達の教えだけでなく、いろんなことを試してみる必要があった。受け継ぐ
だけでは駄目だ。それでは進歩はないし、変わり行く物事に対応できない。
 失敗をしたとしても、気に入らない敵のやり方であっても、自身で確かめたかった。
チャングムがそうしていたように、パク内人様がそうだったように。
 この考えは今でも変わらない。

 こと料理については、叔母に終(つい)ぞお受け容れいただくことはできなかった。どうして
叔母は新しい方法をお採りになるのを躊躇(ためら)われたのか? ハン尚宮様を、誰よりも
評価されていただろうに。だからその良さもお判りになるはずなのに。

 ひょっとしたら、パク内人様のことでお心を封じられたのは、ハン尚宮様だけではなかった
のかもしれない。叔母もまた、友人の記憶に怯えられたのでは? パク内人様はチャングムの
ように、何事にも囚われない気持ち、伸びやかな好奇心をお持ちだったのだろう。叔母も、
私がチャングムに感じたような憧れをお持ちだったのかもしれない。
 でもその心根があだとなり、パク内人様は追いやられた。叔母は友の思い出にお苦しみになり、
間違いの無い道だけを選び、慣れ親しんだ場所に留まろうとされたのではないだろうか。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
418ミョンイ×ペギョン×ソングム −月餅−:2006/07/09(日) 01:23:42 ID:+LRo7qFE
                              12/26      壱参弐 柵
 「競合の結果、ハン尚宮は最高尚宮となった。
  そして我らは太平館に幽閉された。私は何度か、宮に出入りできるよう嘆願した。だが、
 色よい返事は貰えずじまいだった。」

 「あの頃我が一族は、それまでの取引きが激減するだけでなく、更に排除されようとしていて、
 兄上からも何とか打開しろと言われていた。
  最高尚宮の座を奪い返すにせよ、体制を立て直すにせよ、まずはハン尚宮と接触する必要が
 あった。あのまま封じ込められていては、何もしようが無い。相手がどれぐらいの情報を掴んで
 いるのか、いや現在の水剌間の状況。とにかく何でもよかった。知ることが必要だった。
 そしてできればクミョン、お前だけでも戻れるようにしなければならない。
  だから矜持など持ち得ない。機会を見付けて、どうあれ頭を下げてでも、何とかしなくては
 ならないと言い聞かせた。」

 「そんなある日、尚宮全員の会合に出るために、私も久しぶりに太平館から出ることが許された。」
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
 「会合の席で、ほぼ一年ぶりにハン尚宮を見て驚いた。身体から香気が漂うようだ。あんなに
 顔も輝いて。
  他の尚宮は、貫禄がついたからだと考えているようだった。
  それは違う。私には判る。まさか、情人ができたというのか。まさか。でもあの雰囲気は、
 全く以前のペギョンそのもの。ミョンイが側にいたときの雰囲気そのものだ。  
  では相手は誰?
  まさかチャングムだろうか。しかしいくら可愛がっているとはいえ、ミョンイの子とはいえ、二回りも下を
 相手にするとは思えぬ。ハン尚宮は特に年下をあしらうのは上手ではなかったから。」

 「手伝うチャングムの様子も、以前と何も変わることはなかった。
  それで判ったのだ。
  もしそんな相手ができたならば、あれほどハン尚宮を好んでいたチャングムが、平気で
 いられるはずはない。そしてチャングムなら、ひょっとしたらあの人の心の壁をも、無邪気に
 乗り越えられるかもしれない。あの子が……魔性を現したのかもしれない、と。」

 「それじゃ、チャングムとミン副提調のことは……。」
 「どうだろう。今はともかく水剌間にいた間は、多分ミン従事官のことはそれほどは。まあ
 いずれにせよ、ハン尚宮とも同時に愛する事ができたであろう。そういうことができる子よ。」

 クミョンは驚くと共に怒りも込み上げた。なぜ……。ミン副提調は、なぜそんな子を……。
チャングム、あなたって人は何もかも手に入れて……。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
 「料理でも、ハン尚宮に対しても。そのどちらとも、私はミョンイに負けた。」

 「ハン尚宮とチャングムの関係に気付いて、私は打ちのめされた。心底打ちのめされた。
 私達の関係がどうあれ、あの人なりの道を歩み、そして誰をも寄せ付けぬということ。それは
 私の秘かな誇り、秘かな喜びであった。
  だが、ミョンイは、再びペギョンを奪いに来た。やり切れぬ。あんな子供に。
  あの人と対等に語れる相手は、私だけであろう。
  だがチャングムは、あの人の頑(かたくな)さを打ち破って、熔かし反応を味わい、あの人を
 変えているのか。美しくしているのか。けしからん。許せん。」
 「叔母様、落ち着いてください。」
 「済まぬ。お前は、私がミョンイを好いていたと思っていたようだ。だが、もしそうなら、その生まれ
 変わりの子ならば、少しは思慕も芽生えただろう。あのように辛く当りはできなかっただろう。
  だが、そんな感情は持てなかった。それはお前が見た通りだ。
  あの這い上がる生命力、私に向けられた怨念。今は唯ただ怖い。恐怖なのだ。ミョンイがそうであった
 ように、あの子も私の恐れなのだ。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
419名無しさん@ピンキー:2006/07/09(日) 08:05:26 ID:zOrkpE2B
折り返し地点!!
壱参弐たん体に気をつけてね
420名無しさん@ピンキー:2006/07/09(日) 10:23:21 ID:IuQ/vlmx
細やかな心理描写。素晴らしい。しかし壱参弐様の作品で、これから、ミョンイ=魔性の女 のイメージから離れられなくなりそうだな^^;
それに対して一途なチェ尚宮様。哀しいくらい…。
421名無しさん@ピンキー:2006/07/09(日) 13:07:50 ID:n1KGrtPf
チャングムの未放映お蔵入り映像
ttp://ent.6park.com/bbs3/messages/99793.html
422名無しさん@ピンキー:2006/07/09(日) 15:19:46 ID:uedpxPRh
「これは?」
金氏朝鮮第第二代皇帝正宗は、いつものように不機嫌にたずねた。
「は、はい」
「何かと聞いておる」
「な、ナツメでございます」
「……」
「皇帝陛下は、調理法を聞いておられるのだ」
「わが国で取れたナツメをイルボンから後宮に上がった雅子の肉壷の中で発酵させたものです」
 あたりがざわめいた。
 無理もない。
 膣内で発酵させたナツメは、李王朝の時代から珍重されてきたことは事実である。しかし、いずれも、
後宮に囲われていた朝鮮女性の膣を使ってのものだ。それを、あろうことか、イルボン出身の女の膣を使うなどと……。
「ナツメの薬効は」
好色な目をいっそう細くして皇帝が下問した。
「おまえ。おまえだ」
「わ、わたしでございますか?」
「そう、チャングムとかいったな」
「はい。ナツメは、身体を強くし、特に、胃腸を助けます。また、よく眠れるようになります」
「それだけか」
「痛みを押さえ、火病を防ぎます」
「それはなぜか」
「血のめぐりをよくするからでございます」
「しかし、処女の肉壷と決まっておるではないか。なぜ経産婦を?」
「ええっ?」
「どうした、お答えせよ」
 失笑がもれる。
(ふふふ。チェサングン様の決めておいた手はずを守らないからよ)
(生意気なチャングムももうおしまいね)
 やがて、きっぱりとした答えが返ってきた。
「王様。そのナツメのにおいをかいでみてくださいませんか?」
「においとな?」
「はい」
「うむ」
「次に、味わってみてください」
「なるほど。乳酪くささがない」
「はい。処女はどうしても匂いがきつうございます。雅子は経産婦ですのでその点、ナツメがあっさりした味に仕上がるのです」
「しかし、まだ問題が残っておるぞ」
 オ・ギョモがいった。
「なぜ、イルボンから上がった雅子なのだ。わが国にも喜び組がおるではないか」
「お言葉ですが、喜び組は、全員堕胎しか経験していません」
(言ってしまったわ、今度こそ、チャングムも収容所送りよ)
「続けろ」
「堕胎しか経験していないのですから、当然、傷つきやすく膿みやすくなっています。
王様に差し上げるナツメはそのような肉壷では無理です」
「チャングムの勝ちだな。実に美味。そして、さわやかだ。民にも食べさせてやりたいもの。ご苦労」


423名無しさん@ピンキー:2006/07/09(日) 15:37:59 ID:2YpWclmz
>422
ぐ…ぐっ……ぐっじょぶ!!
424ミョンイ×ペギョン×ソングム −月餅−:2006/07/09(日) 20:42:43 ID:KQuXoNPl
                              13/26      壱参弐 柵
 「会合の後の夕刻、話しがあるとのことで、ハン尚宮に呼び出された。願ってもない
 ことだった。」
=======================================
 最高尚宮の部屋にて。ムスリが酒瓶と杯、少しの肴を持ってくる。用意が終わると、
誰も入れないよう、ハン尚宮は命じた。

 ハン尚宮はチェ尚宮に酒を勧めた。
 「チェ尚宮殿、これを。」
 「何のまねですか?」
 「ふっ、怖いか。心配せずともよい。太平間で使ってみてはと思って、担当の尚宮殿の
 ご意見を伺いたかっただけだ。他の尚宮にも試させている。お前だけ、そうせぬわけには
 いくまい。」
 「……最高尚宮様と戴くのは何年ぶりでしょうか。」
 「……そうね、お祝いの場以外だったら、二十年は無いわね。」

 かつて、ミョンイがカン熟手から酒をこっそり調達して、三人で酌み交わしたこともあった。
あの時は……白く濁った酒をソングムはそこそこ飲み、ミョンイは結構いける口で、ペギョンも
二人に合わせて、普通に飲んでいた。

 ハン尚宮はチェ尚宮に注いでやり、自身も手ずから注ぎ入れ、くっと飲んだ。
 あの時から、ハン尚宮は私的に酒を口にしなかった。チェ尚宮はそれを知っていたから、
少し驚いて尋ねた。
 「お嗜みになられるのですか?」
 「時々楽しんでいるの。」
 一口含むチェ尚宮。
 「飲み口がいい。だが人参の味が少し残る……。他にも薬草が入っているようですね。
 ややその香りが強いかと。」
 「ふふっ、さすがにチェ尚宮殿、舌は確かね。これは百歳酒といって、不老長寿の妙薬だそうよ。
 少し匂いがあるから、普通は焼酎などで割って、五拾歳酒と称して飲む。私は今の季節はこれで
 割っている。」

 ハン尚宮は、手元にあった素焼きの壷から液体を注ぎ入れ、チェ尚宮の酒を割ってやった。
 それは普通の水ではなかった。飲んでみると酒の風味にごく僅かな酸味が、程よく合わさって
喉を過ぎる。
 「これが何か判るだろう?」
 「虎杖(イタドリ)の露。」
  ―――懐かしい。思い出の味だ。
       ではお前も、ミョンイの話しをするということだな。

 ハン尚宮とチェ尚宮は、杯を傾けながら、太平館のこと水剌間の近況などを少しだけ話した。
もちろんかつてのように、和やかに笑いあうことはない。淡々と飲み淡々と話しをする。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
 一通り話し終えると、チェ尚宮はおもむろに切り出した。
 「ミョンイのことを知っておられるのでしょう? チャングムのことも。」
 「ええ。」
 「尚宮様もミョンイから聞いていたのでしょう?」
 「少しだけ。」
 「それで、どうされるおつもりですか。」
 「……。」

  ―――我らを放逐したくても無理だろう。ミョンイの手紙は処分したし、あれが無ければ
      訴えたところで取り上げられまい。とはいえ、このままでは我らも身動きが取れない。
       とりあえず詫びておくか。
 「あのことは、済まなかったと思っています。」
 「それで終わる話ではない。」
 「判っております。」
425ミョンイ×ペギョン×ソングム −月餅−:2006/07/09(日) 20:43:02 ID:KQuXoNPl
                              14/26      壱参弐 柵
 「料理人でありながら、よくあんな真似ができる。」
 「あの時の私には、そうする以外はありませんでした。」
  ―――逃れることはできなかった。救いを求めることもできなかった。

 「それで名門を騙るとは。」
 「……物事には何事にも表と裏、光と影がありましょう。
  この宮の中で様々な役割を果たす者がいるように、あの件では、私は一つの役割を果たそうと
 しただけです。」
 「でもチョン尚宮様がいらっしゃる間、不都合はなかった。何も敢えてここで、料理でやらず
 ともいい。」
 「最高尚宮様のように善悪を切り分け、正しき道だけを選べるのは、どれほど幸せなこと
 でしょうか。」
  ―――そもそも善悪などと。何事も、結果がどうなるかは判らない。私達が是非を判断は
      できないし、してもならぬ。

 「正しい有り様を全うするのもまた、そう容易ではない。チェ尚宮が選べたとして、それを
 貫けるのかどうか。」
 「そうかもしれません。しかし我らがやってきたのは、怪(け)しからぬことだけではありません。
  例えば反正の時、我らの協力なくして成功しなかったはずです。あの苛烈な王の下で、
 一体誰がそれを止めさせることができたのですか。正しさや真心、儒学の教えや諫言など
 何の役にも立ちませんでした。時には実力で、その手段がたとえ正しくないと見えたとしても、
 ことを運ぶべき時もあるのではないでしょうか。
  誰かがやらなければならないのです。それは尚宮様もお判りでしょう。
  それともあのような治世を永らえさせ、財政が破綻して尚宮様も退宮させられ、あるいは
 尚宮様も王の側に置かれて、酷い目に遭われてもよかったのですか。」

  ―――確かにそうだった。あんな時代、続いて欲しくはなかった。

       昨日まで同役の内人でも、王の手が付いた者にはそれなりの対応をせねばならず、
      部屋を与え、服を誂え、食事を作り。人手もますます足りなくなった。
       だから各部署の尚宮様は、腕の立つ女官が王の目に留まらぬよう必死で画策して
      おられた。それは私も見聞きしていた。

       特に水剌間の先々代の最高尚宮様の気苦労は並大抵ではなかった。王自らのみならず、
      側室がお風邪を召されただけで宮中各部署、特に焼厨房はいつ王の猜疑の対象になるかと、
      怯えて過ごさなければならなかったのだから。
       私もチェ尚宮殿も、それに焼厨房の大勢の女官がなんとか無事に過ごして来られたのは、
      チェ最高尚宮様に負う所が大きかった。

 「しかし、お前達は卑劣な手段を用いるだけでなく、それをもって権力を得ようとし、私腹を
 肥やしている。」
 「それは僅かなものに過ぎません。ほんの僅かな。」
  ―――だからお前を許せなく、いや、お判りでない。我が一族は、高位に就ける見込みはない。
       ましてや王族でもない。権力とは程遠い。
 「また、我らが意思を持って行ったことなどありません。
  ただ日々勤めを果たし、時には上の意向に則って、様々、行なっているに過ぎません。」
  ―――その行ないは常に危険と隣り合わせ。時には自ら、あるいは一族の命すら失いかねない。
 「その代償として、僅かな利得を受ける。少しも不当とは思いません。」

 「浅ましさが目に余る……。」
 「……。」
  ―――まったく……お前には判らぬのだ。他国との貿易を仕切り、この朝鮮に物財を
      供給してきたのは我らの商団。当然の分け前を得ているのであり、私腹などと言われる
      筋合いはないわ。

     いや、いけないいけない。こんな話しをしていてどうする。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
426ミョンイ×ペギョン×ソングム −月餅−:2006/07/09(日) 20:43:25 ID:KQuXoNPl
                              15/26      壱参弐 柵
 「……私は行いの中でミョンイを追い落とさせられました。……決して私の望みでは
 ありませんでした。」
  ―――苦しみは、お前だけのものではない。
       意に染まぬ命を受け、そして考えてもみなかった結果となった。友を死に追いやり、
      私も失い、お前からも奪ってしまった。
       お前の嘆きを見る苦しみは、お前の痛みに勝るとも劣らないのに。

 「でも、お前はミョンイが好きだったでしょ。如何に訳があるにせよ、なぜ愛しい友を手に
 かけたのか。」
 「あの強さ、正しさが災いしたのです。黙るということができなかった。見ぬ振りをして
 いればよかった。尚宮様のように。」
  ―――それで何も問題はなかった。なのに、ミョンイは。
       他の者は脅せば引き下がっただろうが、あの人なら義禁府に訴え出かねない。
       そうすれば我らだけでなく、他にも多くの者が傷付く。だからああするしかなかった。

 「一度ならず……。よく平然としていられる。」
 「尚宮様は尚宮様、私は私と、それぞれが与えられた定めの中で生きていくしかないのです。
 私も定めの頸木(くびき)から逃れられません。」
  ―――その後のことは……唯ただ怖かった……ミョンイが都に戻ってくる理由など一つしか
      あるまい。一度踏み込んだ道を引き返すわけにはいかない。ミョンイはそうなる運命
      だった。そう思って私は諦めた。
       そしてできることなら……お前とやり直したかった。打ち明け、許しを請いたいと
      願ったことすらあった。
       それは無理にせよ、せめて苦しみの中にいる私を知って欲しかった。なのにお前は
      一切拒んだ。全て私が悪いのか。いやそうではない。あの時の私は、単なる道具に
      過ぎなかった。好きでやったわけではないし、もちろん平然とできたわけでもない。

 「そうか、とはとても言えぬ。」
 「……。」
  ―――そうね。受け容れては貰えないでしょう。他でもない、お前の大切な人を奪ったのだから。

       だが、お前の言うとおり料理で不埒を働くことが怪しからぬというのなら、
       お前がせずとも他の者が、料理でせずとも他の手段でやるだけ。結果は何も変わらない。
      それにもし今、焼厨房でそのような事が起これば、お前までもが巻き込まれてしまう。
       それは私の望むところではない。
       でも我が一族が引き受ければ、私が最高尚宮に成っておれば、少なくともお前に害は
      及ばない。私の下で、私が対処し守ることができる。私の意に添うなら、穏やかに
      暮らすことができる。

       お前の正しさを貫きたければ、最高尚宮の座は相応しくない。
       チョン尚宮様のように、醤庫にでもおれば、納得できる生き方ができたでしょうに。

 「ひとつお伺いいたします。どこにおられても、最高尚宮に成らずとも、正しき道を歩む
 ことはできたはず。」
 「それでは十分ではない。」
  ―――今の私は、心の内にある志を守れれば、それでよしと考えているのではない。
      焼厨房にのさばる、不敬な輩を一掃しなければ。それがミョンイを奪ったのだから。
      もうあんなことを繰り返してはならない。

 「尚宮様は普通に女官としてお過ごしになる、それがお相応しいのではありませんか。
 それが定めだったはずでは。
  どうしてその枠を乗り越えて、その座を得ようとし、拘(こだわ)ろうとされたのですか。」
 「相応しいか否かは、お前が決めることではない。運命はただ受け容れるのではなく、
 相応しいように切り開くものと思っているから。」
  ―――座を巡ってお前に勝つとか負けるとか、そんなことに拘ったのではない。
       お前がいる限り、不敬な有り様に私も添っていかねばならぬ。もうお前達に怯え、
      黙するのは嫌。我が手を汚さずとも、見ぬ振りをするのも嫌だ。
427ミョンイ×ペギョン×ソングム −月餅−:2006/07/09(日) 20:44:00 ID:KQuXoNPl
                              16/26      壱参弐 柵
 「それでは尚宮様がお辛いだけです。」
  ―――切り開けるなどと愚かな。一度は我らの力に怖気づき退(しりぞ)きかけたのに。
 「それでもいい。」
 「なぜ? 以前の尚宮様は、そんなことには耐えられなかったはず。避けてこられたはず。」
 「チョン尚宮様の御意志を守りたい。」
  ―――チョン尚宮様が身を捨てる覚悟で不正に臨まれた時、高潔なお志を押し止めてしまった。
      チャングムを失いたくない一心で。
       チョン尚宮様はお前達の不敬を正すためだけに、この座をお引き受けになったというのに。
      それを知りながら、ただ私心から、母にもあたる方を差し置いてご無理を申し上げた。
       あの時を思えば、我が身がどうなろうと構うものか。

 「先代は先代。そして尚宮様の師匠殿の御意志であったとしても、尚宮様が進むべき道と
 そうではない道があるのではないでしょうか。」
  ―――お前にチョン尚宮様の真似はできない。両班のあの方とお前は違う……。

 「それだけではない。」
  ―――そうだ。それだけならあるいは諦め、引き下がったかもしれない。でも……。
 「……それが、ミョンイとの約束だった。私達は実力で最高尚宮になろうと誓い合った。」

 「ミョンイ……。」
  ―――そうか、ミョンイか。ミョンイと……そんな約束をしていたのか。

 「最早この世にミョンイはいない。けれどミョンイは私の心にいる。だからその約束を守り
 果たすこと。それがミョンイを、ミョンイの願いを生かすことになるの。」
  ―――それを思い出させてくれたのはチャングムだった。いやあの時、私の前にいたのは
      ミョンイだった。
       幼い頃ひどい目に遭いかけて、泣くしかなかった。でもミョンイが守ってくれた。
       あの時もそう。チョン尚宮様がおられなくなり、お前達の仕打ちを受けて
      迷い苦しんでいた時、再びミョンイが現れた。

 「判りました……。
  ……私は、私の定めを甘んじて受け容れます。尚宮様がどう思われても、この道を進むしか
 ありません。それは、私独りの意思が貫けるところではないのですから。」
  ―――いつまでもミョンイか。ミョンイのためにか。

       そして、きれいごとを言うのが疎ましい。

       だが羨ましく感じたり、少し快く感じたり。いつまで経っても真面目で頑固で凛々しくて。
      それがいい。そこに惹かれてしまう。

  ―――チェ尚宮が言うことも、この者なりの理屈か。それを是とするわけにはいかないが。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
428ミョンイ×ペギョン×ソングム −月餅−:2006/07/09(日) 20:45:13 ID:KQuXoNPl
                              17/26      壱参弐 柵
  ―――しかし、これでは何のために会いに来たのだ。少しは気持ちも鎮まったかと思いきや、
      ただお前の信念を思い知っただけではないか。相変わらずだ。いや以前より更に
      強くなった。
       どう謝ろうが、この頑固者が許そうとする筈はなく、他の者共のように利に
      靡くこともあるまい。
       我らの状況も変わりないだろう……私はこの先も太平館に……。
 「しかし……あらゆるものを奪い取り、踏み付けられた。それは残酷なことでした。」
  ―――最高尚宮の座も、一族の事業も奪い取られた。私が宮中にいることすら。

 「何のことだ。私がいつ、何をしたというの?」
 「私が持つ全てを……。」
  ―――私の自信も、私の宝物のクミョンの誇りも、壊された。正確にはチャングムが、ですが。
      子供とはいえ、全く心配りの欠片(かけら)も無い一言が、どれほどクミョンを
      傷付けたか。いつもいつも私の前に立ち塞がり、その振舞いが私の心を踏みにじったか。
       そして、そして私が何より許せないのが、お前までも奪われたことだ。

 「いいがかりも甚(はなは)だしい。」
 「それだけではないのです。」
  ―――この場が終われば、すぐに戻らねばならない。
       お前を見ることも叶わずに過ごさねばならぬのか。このままずっとか。ずっとなのか。
       また会えるのは半年後? 一年後? 待つわけにはいかないし、待つ意味もない。

       ……判っているのか、ソングムよ。定めを受け容れるのだろう?
       この人は敵(かたき)だ。惹かれ続けてどうする。いつまで引き摺り、迷い続ける。愚かな。

       長く続いた想いに、けりをつけなくてはならない。そのためには……。

       告げたい。あなたを見続けていたことを。愛しく想っていることを。一番理解し、
      評価できるのは私だということを。知って欲しい、一度でいいから。

       だが、告げてどうなる? 判らない。自分でも判らない。ただ私を心に留(とど)めて
      欲しい。

 「尚宮様、この頃大変なお変わりようです。」
 「私は何も変わってなどおらぬ。」
 「いや、私には判ります。お変わりになった。というより、昔のあなたに戻られました。私は
 その訳を存じております。」
 「どうしてそんなことを……。」
  ―――全く、何を言い出すのやら。

 「今のあなたのお姿、ミョンイがいたときのように思えます。」
 「そう見えるか。」
 「あなたが嘆かれるのを、ずっと辛く感じておりました。」
 「よくもぬけぬけと。」
 「あなたはあの後、誰にもお心を開かれませんでした。そこまで深く想っておられたことを、
 沈むお姿を見るまで知りませんでした。」
 「私がどうあろうが、それがどうしたっていうの。」
 「あなたはミョンイだけでした。だがミョンイは、あなただけだったと思っておられるのですか。」
  ―――この私も含めてのことだと知っているだろうに。

 「知らぬでもないが、あの時世(ときよ)だ。仕方あるまい。」
  ―――ソングム、お前もその内の一人だったろう。
429ミョンイ×ペギョン×ソングム −月餅−:2006/07/09(日) 20:45:35 ID:KQuXoNPl
                              18/26      壱参弐 柵
 「ミョンイは本当にあなたのことを大切にしていたのですか? 今でもあなたを支えて
 いるのですか? いいようにされていただけではないのですか?」
  ―――チャングムを見てもそうではないか。お前を好みながら、上役のお前を
      慮(おもんばか)って慎んでいたか? ミョンイもあの子も興味を惹くものがあれば
      釘付けで、お前が困惑しようとお構いなしだったではなかったか。

  ―――そうかも知れぬ……。ミョンイがどう思っていたのか、ずっといたら私達がどうなって
      いたか、それは判らない。もしかしたら、私は思い出の、美しい部分ばかりを心に留めて
      いるのかもしれない。
       だが、それもお前が引き起こしたことだ。お前が私達の時を奪った。ミョンイとの
      思い出はそこで止まった。チャングムと新しい時を進めるまでは。
 「利を貪ることに慣れたお前には判るまい。想いに見返りは必要ないということを。
  過ごした時の全てが私の喜びだった。その思い出が、いつも私を慈しんでくれる。だから私は、
 愛されていたこと、今でも導いてくれることを疑いはしない。
  それで十分。他の者がいようがいまいが、あの人がその時々、何に夢中になっても、
 私の気持ちを揺さぶるものではない。」
  ―――それがあの子達だから。それも含めて好きなのだから。

  ―――そこまで信じられるのか。肉親でもない者を、いまはなき者をそこまで信じられるとは。
 「そしてあなたはミョンイしかいないと、ずっと思い続けた。だから、他の者を一切
 受け容れようとはされなかった。」
  ―――あなたのことを慕う者を、なぜ。目の前に居る者を誰一人見ず、幻を追い続けるのか。
      いつまでも思い出に縛られて。
 「ミョンイと同じくらい、いやそれ以上に長く共に過ごし、あなたを見続けていた者がいる
 ことを知ろうとされませんでした。ご存知いただけなかったことを悔しく思います。
  そして、今また……。」

 「何なの?」
 「あなたは独りでは、何一つできなかったではないですか。どこにも行けず、碌に話しも
 できず。情すらもミョンイから与えられていたでしょうに。」
 「与えられていたのではない。」
 「ミョンイなき後は、ただ黙って料理を作られるだけ。精進していると言えば聞こえが
 いいが、心を分かち合う相手すら作れないでぴりぴりされているだけだった。」
 「……。」
 「今は違う。お強くなられた。」
 「……。」
 「お美しくなられた。……あなたのそばにミョンイの代わりがいるから。」
  ―――だが、お前とチャングムとは生きた長さも、立場も全く違うだろう。あの子の
      目線は到底届かないだろう。欠けた心を埋めることなどできないだろう。
      なのに何がいい。それともあの子のところまで、身も心も落としているのか。
       本当にあんな子と心を通わせているなんて思っているの?

 「……ひどいことを言う。」
  ―――さすがに鋭い。あの子との関係を察したか。それを材料に、牽制しようというのか。
430ミョンイ×ペギョン×ソングム −月餅−:2006/07/09(日) 20:45:54 ID:KQuXoNPl
                              19/26      壱参弐 柵
 「その者が、あなたの心を捉えているのを知って、私は居た堪(たま)れなく感じております。
その者に満たされているお姿を見るのは、更に辛いことです。」
 「なぜ? お前には関わりのないことではないか。」

  ―――言うべきか、否か。しかしもう今しか伝える時はない。言っていいのか。余計に
      嫌われるだけか……嫌われてもいい。ただ、気持ちを伝えたい。

 チェ尚宮は、ハン尚宮の目を真っ直ぐに見、瞳を捉えて言った。
 「あなたのことを……想って……想い続けていたから……です。」
 「……!」
  ―――あの後私に近付いて来たのは、ミョンイをなくした寂しさだけではなかったのか。
       そうだったの。そう言われれば、今までの、私に絡み付く視線も……。
       お前の情は私に向けられていたのか。知らなかった。そんなこととは全く思わなかった。
      ミョンイを想っていたとばかり……。それで尚更恨めしかったのに。今の今まで、直接
      言われるまで。お前を避け続けるあまり、全く知ろうとしていなかった。
       しかしこの私に汲み取れといわれても、難しいことだ。

  ―――我ながら全然素直ではないな。実のところ、お前のそばにいると、つい、強がった
      物言いになってしまう。

 「ミョンイは魔性を持っていました。」
 「だからお前だってミョンイと……。」
 「……チャングムもまた、その片鱗を持っている。」
 「知っているの……。」
 「今日お会いして、そしてあの子を見かけて判りました。
  でもミョンイの次に心を分かち合えたのがその娘とは。同じように魔性を持つ子。あなたは、
 それを好まれているのですね。またミョンイに抱かれているのですね。」
 「それは違う。」
  ―――確かにあの子にミョンイの面影を重ねることもある。魔性を感じることも。
       けれども、私が好きなのはそうだからではない。

       あの子の伸びやかな心に触れ、己の頑(かたくな)な心が解き放たれる心地好さ。
      逞しい気性に感化され、我が心も強く変わっていく爽快さ。身体中で力一杯、全ての
      想いをぶつけてくるあの子。心が蕩けてしまいそうだ。

       そして最も異なるのは……。そうね、お前が図らずも言ったように、私は
      ミョンイに守られていた。いつも頼り甘えていた。
       だけどチャングムは違う。強い子だけれどまだまだ幼いところがたくさんあって、
      もっと教えたいと願い、私も頑張らなくてはと元気が出てくる。

       それにミョンイから生まれ、私が育てた子。なんだかミョンイとの間にできた子供の
      ような気がしてくる。だからなのか、あの子を守りたいと思う、この気持ちは
      理屈じゃない。あの子はミョンイであって、私の一部でもあるの。

       あの子を思うと止まらなくなる。何を考えても何を思い出しても、それが、全部が
      好きで好きで、愛しくてたまらない。顔、姿、温もり、声、肌、匂いの全てが好き。
       あの子と情を交わす時、手の中で柔らかく熔け、喘ぎ、昇り詰め、果てて私に
      しがみ付く。あのお転婆な子が私だけのものになっている。それが私の官能を燃え
      上がらせる。私は、あの瞬間を貪り、酔い狂う。慎みを忘れ、あの子の全てを味わう。
       もうあの子なくしては、一日だって生きられないだろう。
431ミョンイ×ペギョン×ソングム −月餅−:2006/07/09(日) 20:46:13 ID:KQuXoNPl
                              20/26      壱参弐 柵
 「ミョンイは畏れを知らぬ子でした。自分だけならまだしも、あなたにまで最高尚宮などと、
 そんな途方も無いことを焚きつけた。失礼ながらあなたには荷が重過ぎるのです。
  それはミョンイも判っていたでしょうに。あり得ぬ夢を見させるとは。そしてあなたも、
 真に受けるとは。」
  ―――出てくるのは憎まれ口だけ。
       私の悪いところだ。お前が沈黙を守ることで人を寄せ付けなかったとしたら、私は
      尖った言葉で人を突き刺してしまう。

 「あれから二年ほど経つ。あいにくだが、何とかやれている。企みごとなど頭に入って
 いなかったミョンイの、澄み切った夢を叶えたわ。」

 それを聞いて、チェ尚宮は項垂(うなだ)れた。
  ―――全ての苦しみはミョンイから始まった。
       ミョンイがいなければ、お前がその座を目指すこともなかった。チャングムが
      いなければ、お前がその座に就くこともなかった。
       それなら何の問題も起こらなかった。

       あるいは……なぜあなたもあの時共に……消えなかったのですか。そうすれば悲しみに
      沈む様を見ることもなかったのに。あなただって、ミョンイと添い遂げられる方が
      良かったのではないですか。そして共に消えれば、チャングムが宮にいてもどうする
      こともできず、ましてや再び奪われるのを見せ付けられることもなかった。
       そうして、私をこれほど苦しめることはなかったでしょう。

       だが私は、それを望まなかった……。あなたまで失うなんて考えられなかった。

 チェ尚宮の力ない風情を見て、ハン尚宮は思った。
  ―――あのことは許せるものではない。けれど。ほんの一抹、この者にも……。
       この悄然とした姿。今までお前が見せたことのない弱々しい有様。いつもは強気な
      お前の、影も形もない。
       この者はひょっとすると今まで……強がっていたのか。

       ……この者もかつては友であり……理由はともかく胸に蟠(わだかま)りを抱えて
      いたのか……ミョンイがあのようなことにならなければ……もしかしたら、お前と
      共に歩めたかもしれない。たぶんそうだったろう。

       だが、お前の想いに気付いていたら、私が受け容れたならば何かが変わったと
      いうのか。お前を癒せたとでもいうのか?

       いや変わらない。
       もう過ぎ去ったことだ。お前との時は二度と巻き戻せない。ミョンイを誣告した時に、
      行く末は決まったのだ。
       だからお前は、ミョンイにも私にも詫びることができぬまま、苦しみの淵に沈むしか
      ないのだ。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
イタドリ:蓼科の多年草。山中や川べりなど至る所に生える。若芽はウドのように真っ直ぐ生え、
濃い緑の地に赤みを帯びた斑点がある。成長すると枝を伸ばし、掌以上の大きさの緑の葉を付ける。
次第に斑点は薄れ、緑色も薄れる。長じると褐色になり、木の枝のようにも見える。生で齧る
ことも煮付けることもできるが、たぶんシュウ酸が含まれているから多量の生食はお勧めしない。
露が取れるのは5月中で、赤色の斑点が残っているぐらい、枝や葉が広がらない間。小刀で切って
みて、さくっと容易に切れ、水が飛び散るものは、よく入っている。容易に切れるのは蕗のよう、
切れない物は牛蒡のような手応え。手でポキッと折ることもできるが、挫けてうまく折れない
こともある。露はわずかに酸味あり。切る時に茎の汁が混じるからかもしれない。実際ワイン等と
割ってみたが、悪くない。水っぽくなく、口当たりが更にまろやかで、飲みやすい。収集時に
雑菌が混入するから保存に不向き。また飲用はご自身の判断でどうぞ。
432名無しさん@ピンキー:2006/07/09(日) 21:55:12 ID:IuQ/vlmx
平行線を辿るハン尚宮様とチェ尚宮様に、萌え!
しかし、この二人、実は似た者同士なのか…不器用だし。いよいよ佳境ですね。
433名無しさん@ピンキー:2006/07/10(月) 00:29:19 ID:w2iVlLot
こんなお話を読むと、あの悪役のチェ尚宮が可愛そうに思えてきますね。
クミョンの気持ちは、なんとなく本編でもわかるんですが。
434名無しさん@ピンキー:2006/07/10(月) 01:31:24 ID:O0SOblbO
すごすぎる…
もう夢中です
435ミョンイ×ペギョン×ソングム −月餅−:2006/07/10(月) 07:41:07 ID:R5WhXX96
                              21/26      壱参弐 柵
  ―――やっと伝えることができたけれど。
       あの人の心にはいつもミョンイがいた。今ではチャングムまでもがいる。
       入る隙間は少しもない。私にその資格もない。諦めるしか……諦めなくては。
       でも……まだ……ただ一つだけ……。

 項垂(うなだ)れていたチェ尚宮は顔を上げて言った。
 「失礼ながらお願いがございます。どうかお許し下さい。」
  ―――とんでもないことだと判っている。それでも……。
 「……。」
 「一度だけ、ただ一度きり、私を受け容れてください。」
 「何ですって?」
 「少しだけ、あなたを感じさせていただきたく思います。」

 「(できない。)」
 驚き、拒絶しかけて、その言葉を呑み込んだ。

 相手の意図を図りかね、ハン尚宮の頭の中で、解せぬ思いと憐れむ気持ちが交錯する。
  ―――なんということを。私が許すと思っているのか。戯けたことを。

       しかし先ほどの様子からすると……そんなに私のことが……。あながち偽りや
      誑(たぶら)かしではないのか。

       そうだとするなら……このひとときだけは、このか弱き者の、気が済むように
      させてもいいのではないか。ずっと苦しんできたのだろうから。

       いや駄目だ、そんなこと。気を許しては駄目だ。私のミョンイを奪った女だ。
       私はミョンイと居られればよかったのに。それだけで幸せだったのに。
       お前は踏み付けられたというが、お前こそ、私の最も大切なものを踏み壊した
      ではないか。

       しかし……チョン尚宮様も言われた。広い心で慈しめと。撥ね付け、遠ざける
      だけでいいのか。
       私が真にこの者を超えようとするなら、仇であれ、知ろうと努めねばなるまい……
      そしてこのような下劣な者共にも、一度は手を差し伸べなければなるまい……。
      結果どうなるかを……恐れるな。どうされようが、私は揺るがぬ。
 
 ハン尚宮は覚悟を決めたものの、答えられないままでいた。
 つと、チェ尚宮がハン尚宮のそばに身体を寄せ、肩に手を回し抱きしめた。ハン尚宮は一瞬
身体を緊張させたが、逃(のが)れようとはしなかった。

  ―――なぜ拒まなかったの? チャングムとのことを黙っておけということ? 微かな、
      かつての友情がそうさせるの? ほんの少しだけ許そうとするの?
       ……理由などいい。あなたを味わうことができるなら。

 チェ尚宮は少し身体を引き離すと、頬や襟首に指を置き、その感触を確かめた。それから
唇を重ねていく。軽く柔らかく、触れた唇は熱を帯びている。
 韓服越しにお互いの……チェ尚宮は高鳴りから、ハン尚宮は戸惑いから発せられる鼓動を、
感じる。
 徐々に唇の重なりが深くなる。

  ―――いつからこんな風になったのだろう。心に触れようとするだけで壊れそうだったあの子は
     どこへ行ってしまったのだろう。
       料理以外何一つできず、誰一人受け容れなかったのに……立派になって……少し前まで、
     私の方が勝っていると思っていたが、いつの間にかこの人は、何もかも手の届かない
     高みにいる。
436ミョンイ×ペギョン×ソングム −月餅−:2006/07/10(月) 07:41:28 ID:R5WhXX96
                              22/26      壱参弐 柵
 チェ尚宮はしかし楽しんだ。二度とない機会を。
  ―――柔らかな唇。どれほど奪いたいと思ったことだろう。
       滑らかで柔らかい肌。温もり。触れたくて仕方なかった。昔と比べると少し皺も
      見えるけれど、でもそれがまたいい。この落ち着いたしっとりした触り心地。
      若かった頃から今に至るまで、あなたの移り変わりを楽しみたかった。残念だわ。
      私なら、それが出来たのに。
       襟元から微かに漂う香り。あなたが過ぎるたびに、残り香を楽しんだ。

     ……感激に身体が震えているのが判る。今こうやって唇を味わい、あなたの温もりを
      感じ、あなたの香りを鼻から喉から、胸一杯に味わえる。離したくない。離れたく
      ない。ずっとこうしていたい。
     
 ハン尚宮は、チェ尚宮の震える肩を抱いてやり、口付けに淡々と応じてやる。
  ―――もし、もっと前に、こうなっていたらどうだったろう。

       昔は純真な子だった。料理に直向(ひたむ) きに取り組む子だった。巧く仕上がった
      とき、笑顔をほころばせたではないか。召し上がった方の満足げな様子を、
      嬉しそうに見ていたではないか。あの時の無心の微笑みは、本当に愛らしかった。

       あの事があってから、お互い笑い合うことはなかったわね。お前の可愛い笑い声を、
      もう何年耳にしていないだろう。
       ずっと避け続けてきたけれど、その腕は意識していた。お前ならどうするだろう、
      お前なら……。競合も、簡単には勝たせてくれなかった。

       ソングム、いつからかお前は料理の根本を見失った? 技に驕り溺れるようになった? 
      それは何故? 見習いの頃ミョンイと共に過ごし、私達が共に持っていた心は、
      どこへ行ってしまったの?
       そう……お前はあの時にミョンイと、おまえ自身の心までも無くしてしまった。

       ……そんなお前にも、悲しいことに一抹、愛おしさを感じてしまう。どうして?

 チェ尚宮の手がハン尚宮の手を探し当て、軽く掴んだ。その温もりに、ハン尚宮は幼い頃を
思い出した。
  ―――宮の溜め池の水面(みなも)が、風で漣(さざなみ)立つのが面白くて、見惚(みと)れていた。
       ふと気付くと足元に魚が寄ってきた。すぐ近くにいるみたいで、遊ぶ魚に触ろうと
      したとき、足を滑らせてしまった。水が冷たくて、顔に掛かって気持ち悪く、服も
      濡れてなかなか這い上がれなかった。その時駆け付けて手を伸ばしてくれたのが、
      年長のソングムだった。

       差し伸べられた手のひらは温かく、力強かった。
       今まで思い出さないように努めてきた。この者と過ごした日々を。思い出せば、
      情に絆(ほだ)されてしまうかもしれない。ひょっとして、心を分かち合うことに
      なるかもしれない。そうして、私の中にいるミョンイは消えていくかもしれない。
      それが嫌だった。誰であれ、ましてやお前になど、私の心の中に近付けたくはなかった。

 ハン尚宮の手にチェ尚宮は指を絡ませる。
  ―――可愛い手を持っていたあなたも齢を重ね、もう四十を過ぎてしまったけれど、この
      きれいな指は変わらない。長く水仕事に晒されてきたのに、しなやかさも昔と変わらない。
       内人になった後、一度として味わえなかった。この柔らかさを、ミョンイは
      味わったのか。今はチャングムが味わっているのだろうか。

 「ソングム。私を変わったと言われますが、あなたもミョンイなき後、変わってしまわれたでは
 ないですか。哀れな人。深い淵に堕ち、もう引き上げることもできません。」
  ―――深い淵と同じ色の、暗澹たる目。ミョンイもこの瞳に自分を映していたことが
      あったのか。その時はまだ、この瞳は澄んでいたのか。ミョンイはお前のことだって、
      信じていたのに。
437ミョンイ×ペギョン×ソングム −月餅−:2006/07/10(月) 07:42:06 ID:R5WhXX96
                              23/26      壱参弐 柵
 ハン尚宮は、一旦離した唇を、今度は自らチェ尚宮の唇に重ねてきた。徐々に舌が
チェ尚宮の唇を割って入っていく。強く抱き締めてやる。

  ―――哀れみを感じられるとは、情けない。堕ちたものだ……。

 静寂が訪れ、二人を包み込んだ。先ほどまで聞こえていた衣擦れの音もしない。

  ―――あの時もそうだった。一瞬、それまでしていた愛撫や口付けの音、互いが洩らす
      吐息も消え、ただ暗闇にミョンイと私しかいないひととき。あの安らぎが懐かしい。
       情の深い子だった。強がる私を包み込み、か弱いペギョンを励ました。私達の
      どちらをも愛することができた。それはあの子にしかできなかった。
       ミョンイから与えられた温かさ。私を信じてくれていたあの手の中で、幸せを
      感じられた日々。そしてミョンイの側で、あなたと過ごした日々。

 チェ尚宮の頬を、涙が伝(つた)う。
  ―――時が経てば忘れると、言ってくれた尚宮がいた。その通り、多くの者は忘れたかのように
      振舞った。
       けれど私は忘れられなかった。あなたがいたから。
       あのことがあってから、あなたが夜中に時々部屋を抜け出すのに気が付いた。ひょっと
      したら誰か相手が出来たのかと、跡をつけたことがあった。
       あなたは池の辺(ほとり)にずっと佇んだままでいて。私は心配したわ。でも何もできなかった。
       差し出しても、もうこの汚れた手を掴むことはないだろうから。

 チェ尚宮の涙にハン尚宮も気付いた。
  ―――あの部屋から連れ出されたミョンイ。部屋に残るミョンイの匂いが、胸の奥から締め
      付ける。居た堪れなくなって、夜中にこっそり溜め池の辺に立ち、月の下、冷えた
      湿っぽい夜霧を浴びた。
       引き離されたのも、月が輝く夜だった。丸い月が水面に写り、風で漣立っては、また写り。
       私は独りぼっちになってしまった。

       月明かりの夜が恨めしかった。雨が降れば、月を眺めて思い出すこともない。雨音は
      泣き声を掻き消してくれる。

       時が経てば忘れると、言ってくれた尚宮がいた。その通り、多くの者は忘れたかのように
      振舞った。
       けれど私は忘れられなかった。屈辱に苛(さいな)まれて。
       汚名を雪ぐにも……、どうすればいいのか。独りでは何もできない。ミョンイ。
      あなたを命がけで守ろうとせず、怯えて自分だけ助かろうとした卑劣さ。
       いっそあの者を。ありもしない、あり得るはずもない讒言(ざんげん)をした
      あの者を……、そして私もミョンイを追って、この池に……。月を見上げると
      狂おしく激情に駆られ、そうなる己が怖かった。

       だからただ、水面の月を眺め、時をやり過ごした。何度も泣いた。枯れるほど泣いた。
      生きているのかどうかすら……生きていると信じて……年月が流れた。

       ソングム、この涙は何のためだ。誰のためだ。お前はミョンイのために涙を流した
      ことがあるのか? お前に泣くことが許されるのか!

 しかしハン尚宮は、チェ尚宮の涙をそっと拭ってやった。そして今度は舌を吸い上げ、柔らかく
口内を感じさせてやる。

 僅かな接点で、僅かな間、二人は繋がった。

  ―――友をなくした痛みを、あなたはチャングムによって少しだけ癒せただろう。だが、自分のせいで
      友をなくし、もう一人の友が悲しみに沈むのを見続けた苦しみは、癒されることはなさそうだ。
       あなたはミョンイによって美しく変わり、チャングムによって強く変わった。
       そんなあなたを、今やっと、感じることができた。それだけで、充分。
438ミョンイ×ペギョン×ソングム −月餅−:2006/07/10(月) 07:47:24 ID:R5WhXX96
                              24/26      壱参弐 柵
 「ペギョン……娘のような子を手に出来て、愛しみ、心から信じあえる。この宮中で
 そんな人がいる。それが誠に羨ましい……。
  ミョンイは生涯あなたと共にいて、あなたを幸せにすると言った約束を守ったのですね。
  そしてあなたは、最高尚宮になるという約束を守った。
  大したものだ。腕一本でここまできたのだから。」
 「独りで来たわけではない。ずっとミョンイがいてくれた。今はチャングムもいる。
 あの子が私を守り、支えてくれる。」
  ―――そう。私を悲しみの淵から引き上げてくれたのはチャングムだ。私はあの子に
      よって、再び歩き出すことができた。

 「受け止めてくれて…………ありがとう。」
  ―――そしてさようなら。あなたは私を振り向くことはない。それにチャングムがいつも
      側にいて、寄り添っている。ミョンイがそうだったように、今はあの子が独り占め
      している。私以外の者で満たされているあなたを、思うだけで辛い。

     好きだった。
     あなたがいなければ、ここまで真剣に料理に取り組んだだろうか。
     そして私の、秘かな拠り所になってくれてありがとう。

     でも、もう私は追わない。あなたは好きなように、チャングムやミョンイといればいい。

 チェ尚宮はまた太平館へ帰っていった。ハン尚宮はその姿が消えるまで見送った。
=======================================
 「……このことは、お前以外に話すつもりはない。」

 クミョンは叔母が語るあらましを、黙って聞いていた。叔母も届かない想いに身を焦がされて
いた。今まで、それを誰にも打ち明けられずに。
 時折りお見せになる頑(かたくな)な振舞い、その真因はここにあったのか。

 「太平館でお前が声を掛けたとき、私が意気消沈していたのは、ハン尚宮のことを考えていたから。」

 「会って、更に変わったのを知った。もう昔のようなか弱い相手ではない。沈黙しかできない
 存在ではない。心を閉じることで壊れるのを防ごうとする脆弱な人ではない。
  固い信念を持ちながら清濁併せ呑める、健(したた)かな人物になっていた。
  愛し、愛されるということ、守り、守られる絆が人をこれほど変えるのか。怖れを知る
 ことでしか、強くなれないと思っていたが……。」

 「強くなり過ぎた……。そして想いを知ったとしても、私に妥協はしないだろう。あの人は
 躊躇無く我らを排除するであろう。それを座して待つわけにはいかなかった。」

 私がチャングムの力を認め、恐れすら覚えたように、叔母はハン尚宮様を誰よりも深く
ご存知だった。だからそのお変わりように真実気付き、恐れられたのだ。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
 「最後に話したのは、あの人が取調べで獄中にいる時。厳しい尋問を受けているであろう、
 もうあそこに居られる時は幾許も無かろう。
  ひと目会いたい気持ちと……そしてもう一人の友と会いたくて。」

 「愛しさの残り火を感じた。どれほど思慕しようとも、振り向いたことのないあの人が、私に
 正対してきたときの微(かす)かな喜び。私の姿だけを瞳に映し、私の言葉だけに反応している。
 恨まれていようと、憎まれていようと、独り占めできる。
  もっと早くにこうなりたかった。我が手に置き、愛しみ、情を交わしたかった。あの人を
 熔かし、その瞳に、心に私を焼き付けたかった。
  ……まだ情を抱いている……愚かなことよ。」

 「私は言った。あの人に言った。いや違う……。
  あの人の心に居続ける、ミョンイに言った。
  もう静かに逝ってくれと。これ以上私を苦しませないでくれと。」
439ミョンイ×ペギョン×ソングム −月餅−:2006/07/10(月) 07:48:21 ID:R5WhXX96
                              25/26      壱参弐 柵
 「ハン尚宮も私の言葉が誰に向けられているのか、判ったのだろう。
  自分はミョンイと共に静かにいくから……だからチャングムだけは助けてくれと。
  愛しい人の忘れ形見を守りたい。それゆえ、初めて私に請い願っている。」

 「我が身はどうなってもよかったのだ。それだけの覚悟をしてあの座に就いた。だが、もし
 チャングムを失うならミョンイをなくした時のように、いやそれ以上に抜け殻となったで
 あろう。そんな命は必要ない、それだけは耐え難いことだった。」
  
 「現世(うつしよ)の私を目に写していても、眼中にはなくて……私への憎しみも恨みも忘れ、
 自身の命乞いすらせず。見ているのは常世(とこよ)のミョンイだけ。
  物心ついてから最後の最後まで、ミョンイが全てだった。生涯をミョンイに彩られた人だった。
  愚かだ。哀れだ。私もあの人も、結局その背後にいるのはミョンイだった。」

 「そして、またこうやって二人を引き合わせている。あの人と二人だけで会える最後の機会まで、
 ミョンイはすぐ側にいたのだ。」
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
 「ハン尚宮がいなくなればミョンイの悪夢も片が付く。生まれ変わりとて、身を明かす物もない。
 そこまでする必要があるのか。
  そう考えていたとき、チャングムと会った。」

 「ミョンイに似た面立ち。いや、ミョンイそのものが私を見ている。
  チャングムは何も知らないと、だから何もできないとハン尚宮は言った。」

 「あの子が知ろうと……知らずとも、あの子がしてきたことは……ハン尚宮を助け、あの
 地位まで昇らせた。ペギョンを愛し、強く変えた。
  そして信じる正義を私に押し付け、己自身と向き合うことを強いてくる。
  ミョンイはこの世にいない。なのに私の前に現れて、ハン尚宮を守り、私を強く強く
 責め続ける。」
 
 「ミョンイは私から全てを奪った。私の立場も、姪であり弟子であるお前の誇りも、失いたく
 なかったペギョンすら。
  本当に恐ろしい子。
  私を恨もうと、それはミョンイ自らが招いた痛みだ。許せるはずがないではないか。」
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
 「後姿を見送り、情は終わった。
  もう、恋焦がれたあの人を見ることはないだろう。見なければ、時が経てば忘れることが
 出来るはずだ。忘れたかのように振舞おう。今度は、沈む友もいないから。
  私に従っていれば、身を委ねていれば、手の差し伸べようもあったのに。信念を貫き、身を
 危険に晒すことを選んだ者の結末だ。どうすることもできぬ。どうすることも。」

 「全てが終わった。だからハン尚宮を慕う者共は、うるさくて堪らなかった。喚かれ、沈み込まれ、
 まだ思い出させようとするのか。疎ましい。それに慕うだと、そんなことは私が許さぬ。
  あの者共、力量も判らぬ者共に、軽々しくその名を口にさせたくなかったのだ。」

 叔母は終わったと言われる。しかし今でも、未練が燻(くす)ぶり続けているのだろう。
 ハン尚宮様が横死されて……それから叔母は変わられた。がむしゃらに猟官され、誰一人
辿り着けなかった女官長にまで昇られた。
 けれどもそれは一族のためというよりも……。

 それは捨てきれない情の残り火を、消し去られる努力だったのか。
 あるいは犠牲となった愛しい方への、せめてもの償いとして、だろうか。
 たぶんもっと大きな理由……叔母を衝き動かしたものは、ハン尚宮様にお認めいただきたくて、
ではないだろうか。
 この世におられないとしても、ハン尚宮様に、パク内人様に、チャングムに。私にも、そして
叔母自身にも、立派なお姿をお示しになりたいと思われたのだろう。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
440ミョンイ×ペギョン×ソングム −月餅−:2006/07/10(月) 07:49:48 ID:R5WhXX96
                              26/26      壱参弐 柵
 「お前にこのことを話したのは、大事に直面している今、これ以上迷いを持って欲しくない
 からだ。迷いは、一族とお前を危険に晒す。それは許されないこと。
  他人に拠り所を見出してはいけない。必ずしも振り向いてはくれぬし、意に添ってはくれぬ。
 お前を支えているのは我が一族だ。それを得心して欲しい。いやせねばならぬ。」
 「はい。」

 しかし……叔母がそうであるように、私も、誇りもあの方への思慕も諦め切れそうにはない。
無私の心を持てるなら、それはもう私ではないのだから。
 だからたとえそう努めたところで、他に縁(よすが)を見付けるだけだろう。誇りの代わり
として、思慕の代わりとして。結局は、誇りや思慕を手放せないということ、それらが下敷きに
なっているということではないか。手に入れた物を見る度に、下敷きになった物事を思い出して
しまうだろう。

 それでも、私はやるしかない。定めを受け容れ、迷い無く……迷いはない。ただ一つの心残りを
除いては……もう思い残すことのないよう、あの方に、自らの全てを捧げて。

 「クミョン、いかに想おうと、行いを心に添わせてはならぬ。決めるべき時よ……。
  まだ方法はあるから。」

 クミョンは叔母の顔を見た。相変わらず沈鬱な表情だったが、先ほど浮かべておられた涙は
もう無く、やや安堵した面持ちになっておられる。心の澱(よど)みを吐き出されたからだろうか。

 「しがみ付くことも奪うこともできないミン副提調にまだすがるのか? 何をどうすべきか
 よく考えなさい。」
 チェ尚宮はそう言うと、クミョンの部屋から出て行った。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
 屋敷の庭で月を見上げてチェ尚宮は独り呟いた。
 「子供の頃の可愛らしさ。大人になってからの品のよさ、優れた腕前、最高尚宮になった姿。
 私の他に、お前の全てを見た者はいない。
  そして、もう誰も触れることはできず、共に歩むことはない。
  それでいい、それでいいとしよう。」
 

 「料理、それは取り置くことはできない形のないもの。でも人の心に残り続ける。お前の心も、
 未だに水剌間に残り続けている。大した人ね。本当に大した人だわ。」


 「……お前が言ったように、友を失って私は変わった。お前を失って更に……もう何をしても、
 お前がいたときのような気持ちにはなれない。
  ひどいことも平然と……でも、元には戻れない。戻ろうとも思わない。これが定めだから。」


 「お前は、私の意を受け容れない敵であったけれど、疎ましいとすら何度も思ったけれど、」

 「お前と縁を結んだことを……悪いこととは思っていない……。なぜなら、」

 「ペギョン、あなたと過ごした日々は、愛しくも憎くも私の胸の中にあり続け、私を慈しんで
 いるから。」
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――終―――

   お読み戴き、感想・激励を戴き、ありがとうございました。
441名無しさん@ピンキー:2006/07/10(月) 12:37:57 ID:sJAdTy2J
まさかエロパロ板で泣くとは思わなかった
マジでありがとう
442名無しさん@ピンキー:2006/07/10(月) 13:02:30 ID:dTak5R/w
443名無しさん@ピンキー:2006/07/10(月) 13:25:37 ID:08d8+ewl
壱参弐様。チェ尚宮様をこんなに素敵に描いて下さるなんて…!感激しております。
“百合”というパロディでありながら、ドラマの雰囲気を損なわず、なおかつ深層心理に切り込んでいる…このドラマを愛し、深い考察を持っておられるからこそ出来たのだと思います。
>ミョンイから生まれ、私が育てた子。なんだかミョンイとの間にできた子供のような気がしてくる。だからなのか、あの子を守りたいと思う、この気持ちは理屈じゃない。
>自分のせいで友をなくし、もう一人の友が悲しみに沈むのを見続けた苦しみは、癒されることはなさそうだ。
>友を失って私は変わった。お前を失って更に…
>「ペギョン、あなたと過ごした日々は、愛しくも憎くも私の胸の中にあり続け、私を慈しんでいるから」
もう、表現一つ一つに身悶えしてしまいましたよ!
ドラマ本編のチェ尚宮様を見るのが、さらに楽しみになりました!

次回作は、「ハン尚宮復活」でしょうか?勝手なお願いですが、私的には、エロよりは、萌え系の話がいいのですが…。(皆様ごめんなさい)でもお任せ致します。
次回作も期待しております。長文失礼しました。
444名無しさん@ピンキー:2006/07/10(月) 13:50:50 ID:VIbtc8hy
壱参弐様、
何か胸が詰まって感想が書けませぬ。
本当にありがとうございました。
445ミン・ジョンホの独り言:2006/07/10(月) 17:31:29 ID:08d8+ewl
エロ全くなし
駄作でごめんなさい。
※日本語吹替版でお楽しみ下さい。

ハン尚宮の死後、チャングムが済州島に流刑にされてから二年が経った。ここへ来てからというもの、チャングムは、一人で海を眺めていることが、よくある。
そして、ミン・ジョンホは、そんなチャングムを、少し離れた所から見つめていることが、よくある。


チャングムさん、また今日も、一人で海を見ておられるのですね。あなたの頭の中は、仇を打つことで一杯なのでしょう。今日もそのことを考えておられるのでしょうね。
以前、鍼の失敗に苦しむチャングムさんが心配で、お声をかけたのに、
「復讐と医術、どちらもやり遂げます。お戻り下さい」と、素っ気無い言い方。私の想いは、チャングムさんには通過なのですか?私のことは、気にして下さらないのですか?

………いけませんね。こんなことを申し上げては…。真の愛は、見返りを求めてはいけないのです。私は、何年先もチャングムさんの側にいると誓ったのですから。

……そういえば、二年前、ハン最高尚宮様がお亡くなりになって、私はチャングムさんを追って済州島に渡った時。悲しみにくれるあなたに私は、「十年後であっても私はチャングムさんの側にいます。だから無謀な逃亡はしないで欲しい」と言いました。
なのに、あなたは…私の言葉を無視し、洞窟を出て行きました。私が追っていくと、チャングムさんは一人浜辺に座っていました。
亡くなられたハン尚宮様のことを考えておられたのですか?
いや!違う!あの時のチャングムさんは…単なる悲しみではなく、切なくて、優しくて、手の届かない愛おしい方、恋しい方を想っておられる…そんな表情をしておられました。私には決して見せない表情でした……。
チャングムさん、あなたには想い人がおられるのですか?いったい…いったい誰なのです?
水刺間におられた頃は、殿方と親しくしておられるようには見えませんでしたが…。まさか、女官の間でひそかに行われているという、“対食”(同性愛)?
と、なると、同室だったイ・ヨンセン殿か?いや、私が見る限り、チャングムさんはあっさりした態度だったから、それはないでしょう。
では、いったい誰なんです?
……嫉妬に狂うとは。愚かですね。愛は見返りを求めないと、頭では分かっていながら。でも、チャングムさんの心の中には、明らかに、私ではない別の方がおられるのですね。

「チョンホ様、何を悲しそうな顔をしているのですか?」
チャングムさん、いつの間に来たのか。
「いえ。別に。チャングムさんこそ、海を見て何をお考えになられていたのですか?」
「はい。ハン尚宮様のことを思い出していました」

一瞬見せたチャングムさんの顔…そうだ、この表情だ!切なくて、優しくて、愛おしい方を想っているような表情…。
チャングムさんは、ハン尚宮様を……。そうだったのですね。ただの仇討ちでは、なかったのですね?師匠として、母としてではなく、一人の人間として、愛しておられるのですね…。

「チョンホ様、どうかされましたか?」
「な、何でもありません。さあ、戻りましょう」

…私は、ハン尚宮様を越えられるだろうか…。
復讐が終わるまで、いや、もしかして、永遠に越えられないかもしれない…。

でも、それでもいいのです。私は、チャングムさんの側にいられれば……ただそれだけでいいのです。
だから、これからもずっと、チャングムさんを見守り続けます。

[終]
446名無しさん@ピンキー:2006/07/10(月) 20:09:11 ID:w2iVlLot
壱参弐様、お疲れ様です。
もう、言葉が出ません……せつなくて。
下手な感想は書かずにおこうと思います。

チョンホの独り言様、GJです。
こちらもせつないな……。
ラブ※でなくても、良いものは良いですね。
447名無しさん@ピンキー:2006/07/11(火) 01:09:12 ID:9S33j+Js
壱参弐さんありがとおおおお・゚・(ノД`)

>>445
健気なチョンホ殿いいよいいよー!また何かできたらうpお願いします。
448名無しさん@ピンキー:2006/07/11(火) 21:00:07 ID:5lt0MjBN
壱参弐様

ただただ今はこの感動をかみしめています。
本当にありがとうございました。

>>445
チョンホ様イイ!
応援したくなっちゃいました!
449チャングム×チャンドク:2006/07/12(水) 00:19:58 ID:bLx37OJ9
ちょっと小ネタ投下。

済州島で、チャングムは、医女チャンドクの薬房の手伝いをすることになった。そして、チャンドクの誘いを受けた。

「あんた私の弟子にならない?」

チャングムは心の中で思った。
(チャンドクさんは、ハン尚宮様とは比べ物にならない。ハン尚宮様は、気品があって、お美しかったわ。でも、チャンドクさんは、口が悪いし図々しいし、それに顔は…ウナギイヌみたい!)

「お断りします」

「私を毛嫌いするのも気に入ったわ」

そう言ってチャンドクはチャングムに迫ってきた。

「や、止めて下さい。私は、ハン尚宮様のことがぁぁ〜!」

「王宮に戻りたいんでしょ?」

「……はい」

チャングムは心の中で思った。
(うぅ…。お許し下さい、尚宮様…。王宮に戻るには仕方ないのです。心が痛いです…)

チャングムはチャンドクの弟子になった。
450名無しさん@ピンキー:2006/07/12(水) 00:22:38 ID:DWupeqqM
ウナギイヌにわろすwww
451名無しさん@ピンキー:2006/07/12(水) 01:09:57 ID:wPqZwVPg
おおっ!誰かに似ているけれど誰?と思っていたが、
誰か、ではなくてウナギイヌであったか!
なぞが解けてとってもすっきり
本当にありがとうございましたw)
452名無しさん@ピンキー:2006/07/13(木) 11:30:56 ID:AUkOiTBJ
壱参弐様に触発され、恐れ多いことながら、私めも、チャングムとハン尚宮様の話を構想中なのですが…。
しかし、エロなし、百合なし、という全くこの板の主旨に合わない話です。
微萌え師弟愛親子愛といった内容であり、むしろ【チャングムの誓いで百合萌え】掲示板向け、といった感じでしょうか。
ちなみに私は>>445,>>449の作者です。場違いとは思いつつも、いかがなものでしょうか(汗)
453名無しさん@ピンキー:2006/07/13(木) 12:32:46 ID:WNuA9nzV
>>452

>>283のとこに書いたらいいんじゃない?
454名無しさん@ピンキー:2006/07/13(木) 12:40:37 ID:AUkOiTBJ
>>453
やはりエロくないのは…ですよね〜(汗)
お邪魔しました。
455名無しさん@ピンキー:2006/07/13(木) 23:33:35 ID:nvpLw9/1
チャングム×チョンホです。
前編後編で雰囲気が違うので、分割投下します。
ミン・ジョンホをかっこよくと思っていたら、単なる剣劇仕様になってしまいました……。
多少、血が飛びますので、苦手な方はスルーでお願いします。
後半は、微エロ※です。
456漢拏山1:2006/07/13(木) 23:34:57 ID:nvpLw9/1
早朝から淀んだままの灰色の空が広がる……昨夜の嵐の余波が残っているのか……海から吹く風が強い……。
酷い雨風だった。よく、無事で一晩過ごせたものだわ。
そんな事を思いながら、チャングムは、風が吹き荒ぶ中、人通りの少ない道をハルラ山の方向へ歩いて行った。

ふと、道の向こう側から、チャングムがよく知るひとりの男が歩いて来た。
「ミン・ジョンホ様!」「チャングムさん?こんな天気の中、どちらへ?」
「私ですか?お師匠様の云いつけで、ハルラ山へ行く途中でございます」
「あの、険しいハルラ山へ?この強風の中をですか?」
「ハルラ山にしか自生しないという、薬草を採りに参ります。患者さんにどうしてもそれが必要な方がいるのです。
 店には置いていません。それで、お師匠様が私に採りに行くようにと……」
「夕べの騒ぎを知らないのですか?」「夕べ?あの嵐の事ですか?」

ミン・ジョンホは、深刻な表情を浮かべて、チャングムの顔を見つめた―――
「夕べ、倭寇の船が一隻、この島の近くで嵐に遭い沈没したのです。見張りの者が一部始終見ていたのですが、倭寇共は大概の者が
 海の藻屑と消えた様です……しかし、幾人かの者がこの島に泳ぎ着く事が出来た様だと……それで、夕べから手分けをして
 捜しているのですが、まだ、見つかっていません。危険です、チャングムさん。チャンドクさんに理由を話して戻った方がいい」
「いいえ、チョンホ様。患者さんには、その薬草が必要なのです。戻る訳には参りません」
「チャングムさん……」――ミン・ジョンホは、誰よりも意思の強いチャングムの性質をよく知っている。

(困ったな……説得して言う事を聞く様な人では無い……)

ミン・ジョンホは、暫く思案した末、チャングムに言った。
「チャングムさん。それでは、私がハルラ山まで一緒に行きましょう。あなたひとりを行かせる訳にはいかない」
「そんな!チョンホ様……倭寇を捜さなくて良いのでございますか?」
「平地を捜していないのなら、山へ隠れたとも考えられます。そんな所へ行くあなたを見過ごす訳にはいきません。
 大丈夫です。捜すつもりで一緒に行きましょう。但し、薬草を手に入れたら、すぐに帰ると約束して下さい」
「チョンホ様……」――『倭寇』と聞いて、少し怖れを感じていたチャングムは、ミン・ジョンホの力強い申し出に安堵した。
「申し訳ありません、チョンホ様……私の我侭の所為で……」
「気にしないで下さい、チャングムさん。患者さんの事を思うあなたの気持ちは、十分に理解出来ます」

本当は……(私の大事なあなたを危険な目に遭わせる事など、絶対に出来ない)―――ミン・ジョンホは、そう言いたかった。
しかし、医女の修行中であるチャングムにその言葉を告げるのは、彼女の心配事を一つ増やすだけなのだ。
そう思い悩みながらも、自分の本当の気持ちを胸の奥底へそっとしまった。

チョンホはハルラ山の方へ歩みを進め、そして、その僅か後ろにチャングムは従った。
夫婦でも無い二人……そして、奴婢である女が並んで歩く事など許されない。

(チョンホ様は、いつも私に優しくしてくれる……それが時々、戸惑いになる事もあるのだけど……)

二人は僅かな距離を保ちつつ、ハルラ山へ急ぎ歩いた。
457漢拏山2:2006/07/13(木) 23:35:45 ID:nvpLw9/1
済州島で一番高い山である、ハルラ山への道は険しい。
昨夜の風雨で崩れた道を避けながら、二人は山を登った。
二人が山道を進んで行くと、昨夜の嵐の吹き返しなのか、灰色の雲間から小雨が落ちてきた。
始めは小降りであったものの、それはやがて少しずつ強さを増していく……
「雨が降ってきましたね……急ぎましょうか」「はい……申し訳ありません」

まだ、雨宿りが必要な程の雨では無かった―――歩みを早め、ハルラの森の中へ足を踏み入れた二人の前に、不吉な影が近づいた。
不吉な影は二人の行く手を阻み、驚いたチャングムは、ミン・ジョンホの背中にしがみついた。
その姿は明らかに土地の者達とは違う―――(倭寇!倭寇だわ!!これが夕べ沈没した船に居た者達?)
倭寇の残党は、5、6人程いる。ざんばらに解けた髷に、倭の刀を手にし、薄汚れた出で立ちで、眼光だけが不気味に光っている。
男達はそれぞれ刀を抜くと、一番体の大きな男が二人の前に歩み出た。

「おまえ、水軍の武官だな。食い物は持っていないか?」
ミン・ジョンホは、武官らしく落ち着いた物腰で剣を抜くと、男に向って口を開いた。
「賊に施す様な物は持っていない。大人しく引けば見逃してやろう。引かねば、ただでは済まないぞ」
「フン、女連れで動きが取れないものと見える。食い物を持たねば、女を置いていけ。言う事を聞かねば、殺す―――。
 水軍の者が無事に帰れると思うなよ」

「チャングムさん……私の側を離れないように……」――チョンホは、そっとチャングムに囁いた。
 チャングムは恐怖の余り、ただ頷く事しか出来なかった。そして、チョンホの背中を強く握った。

「無事に帰れないのはどちらの方かな?手を出せば、後悔する事になるぞ」
「黙れ!水軍の分際で何を言う!俺達は、いつもおまえ達に酷い目に遭わされている。仇打ちには良い機会だ。覚悟しろ!」
「それでは、仕方無いな……」

倭寇達は、二人を円陣に取り囲み、刃を向けた。
ミン・ジョンホは、右手で剣を構え、左手でチャングムの体を庇い、倭寇達の動きに視線を走らせた。
チャングムは、なるべくチョンホの動きを邪魔せぬ様に、心を静めて、チョンホと同じく倭寇の動きを見張った。
ミン・ジョンホの構えに、只者では無い事を悟った倭寇達は、誰もチョンホに先陣をきる者はいなかった。
ただ、ジリジリと二人を円陣の内側に追い詰める動きを見せ、チョンホは、全く隙を見せずに剣を構え、倭寇達を見回していた。
そのまま数分の時が流れ、我慢出来なくなった倭寇の一人が、奇声を発しながらチョンホの頭目掛けて刀を振り下ろした。

「きゃああぁぁ!!!」――恐怖の余り、チャングムはチョンホの背中を離れ、耳を塞いでその場にしゃがんでしまった。
ミン・ジョンホの剣は倭寇の刀を簡単に受け止め、それを撃ち返すと、そのまま倭寇の頭を砕いてしまった。
血飛沫が雨粒と共に、チョンホとチャングムの衣に散った。
ミン・ジョンホの剣の勢いに、倭寇達は一瞬怯んだものの、すぐに二番手がチョンホを襲った。
458漢拏山3:2006/07/13(木) 23:37:14 ID:nvpLw9/1
チョンホは、二番手の男の刃先をかわすと、相手の喉笛を突き刺した。
三番手は、チャングムめがけて背後から刀を振り下ろす!―――「きゃぁああーーー!!!」
チョンホは、チャングムの悲鳴に直ぐ反応すると、身を翻すと同時に男を切って捨てた。
息つく間もなく、二人の男が、左右同時にチョンホ目掛けて飛び掛かる!
チョンホは鮮やかに跳躍すると、左手の男の頭蓋を足で割り、その勢いに乗って右手の男の刀を剣で払い、袈裟懸けに切って捨てた。

残るは一人―――― 一番対格も風貌も良い、最初に二人に脅しをかけた倭寇だった。
「やるな……こうも簡単に切って捨てるとは……名のある武官と見える」
倭寇は正面に刀を構えると、目を見開き、ミン・ジョンホを睨みつけた。
その構えは、男がかなりの手練で有る事を物語っていた。

(まずい……今までの雑魚共と、この男は違うようだ……なんとかしなければ……彼女を無事に……)

「おまえこそ、元は名のある武士ではないのか?何故、倭寇などに落ちぶれる……」
「おまえの知った事か!……確かに……元は俺も、由緒正しい身であった事もある」
「ならば、私の頼みを聞け」
「おまえの頼みだと?フフフ……笑止。何を聞けと言うのだ?」
「女は何も関係無い。命は見逃せ」
「見逃せだと?フン、まあいい……俺とおまえの勝負に女は何も関係無い。おまえの腕に免じて願いを聞くとしよう」

チョンホは、目を伏せたまま、しゃがみ込むチャングムに視線を向け言った。
「チャングムさん。さあ、立ち上がって!このまま、里まで逃げるのです!」
「そんな……チョンホ様……あなたを置いて逃げるなど……出来ません!」
「早く!奴の気が変わらぬうちに!」「いいえ、チョンホ様!嫌でございます!!」

「私の言う事が聞けないのか!」―――チョンホが初めて見せた怒りの表情に、チャングムの身は竦んでしまった。

「何をぐずぐずしている。行かぬのなら、女も一緒に切り捨てるぞ!」
「チャングムさん!さあ、早く行くのです!」
 チョンホの言葉に促され、チャングムは、仕方なく立ち上がった。
 そして、背中を向けて元来た道へと走り去った。

チョンホは、チャングムの姿が見えなくなるまで彼女の姿を追った。
無事にチャングムが逃げ延びた事を確かめると、再び、ミン・ジョンホは倭寇と視線を合わせた。
雨は益々激しくなり、共に刃先を向けて対峙する二人の体を強く打った。
遠雷は轟き、森は二人の息遣いを奥深くに包み、ただ激しい雨音だけが聞こえていた。
459漢拏山4:2006/07/13(木) 23:38:14 ID:nvpLw9/1
チャングムは、息が切れるまで走り続けた―――そして、チョンホの姿が見えなくなった所で走る事を止めた。
そのまま踵を返すと、道から横へ逸れ、再びハルラの森の中へ戻って行った。

(チョンホ様!!必ず、必ず、無事でいて下さい。私はあなたを置いて一人だけ逃げる事など、やはり出来ません!!)

深い草木の中を掻き分けて、道無き道を進むチャングムの胸は、今にも張り裂けそうだった。
それは、あの幼い日に母と共に追手を逃れた時の様に、恐ろしい程の焦りを感じていた。
自分の大切な者を再び失うかもしれない恐怖―――母を失った様に、ハン尚宮を失った様に、ミン・ジョンホを失う………
それが恐ろしい現実になれば、最早、自分の生きる意味など無きに等しい。
親切な人、自分への理解者―――昨日までは、唯の好ましい人としか感じていない筈だった。
チョンホが死ねば、私は、母や尚宮の復讐よりも死を選ぶかもしれない………あの人を死なせたくは無い……母や尚宮の様に。
夢中で元の場所に向うチャングムは、チョンホを思うその気持ちを、何と呼ぶのかさえ解らぬままに、前へ前へと進んで行った。

灰色の空に広がる黒雲は雷鳴と雨を呼び、時折、雲間を割る様に稲妻が煌く。
ミン・ジョンホと倭寇は、あれから永い事対峙したまま、お互いに一瞬の隙を突こうと機会を窺っていた。
均衡を破る機会は訪れぬまま、更に永い時が過ぎていった―――

チャングムは、漸く元の場所に近づくと、二人に気づかれぬ様にチョンホの背後にある草叢に身を潜めた。
二人の様子を窺うチャングムは、自分では何もする事が出来ずに、ただひたすらチョンホの無事を祈るしかなかった。

激しい雨に打たれ、息詰まる沈黙の時は流れ、向かい合うチョンホと倭寇――――――。

一瞬、―――雲間からの閃光が、ハルラの森の均衡を崩した。
近くの古木への落雷が、二人の沈黙を破った―――――――

ミン・ジョンホは、宙を舞う水鳥の如く空(くう)を切り、
チョンホの跳躍と同時に、倭寇はその刃を空中のチョンホへ向け、自分も僅かに跳躍し、弧を描きながら斬りつけた。
そして、直ぐに体勢を整え、背後に着地したチョンホの方を向いた。
チョンホの片袖は倭寇の刃にやられ、はらりと解けた衣の内側に血を滲ませていた。
寸暇を置かず、チョンホは倭寇が振り返るその瞬間を狙って、剣の切っ先を倭寇に突き立てた。
チョンホの剣に心臓を一突きにされた倭寇は、その一撃に断末魔を上げ、体はぬかるむ土の上に沈んだ。
そして、倭寇は雨に打たれたまま、二度と立ち上がる事は無かった―――。
チョンホが斬られた肩に手を置くと、その指の隙間からは夥しい血が流れ、雨と共に、チョンホの足下に血溜りを作った。

「チョンホ様ああぁっ!!!」―――肩から流れる血を見たチャングムは、彼の名を叫びながら、必死でチョンホの許に駆け寄った。
460漢拏山5:2006/07/13(木) 23:39:53 ID:nvpLw9/1
行ってしまった筈のチャングムが目の前に現れ、チョンホは驚いた。
「チャングムさん!何故?……」「チョンホ様!肩から血が……」
「何故、戻って来たのです……私の気持ちが解らないのですか?」「チョンホ様……」
「あなたを危険な目に遭わせる事など……耐えられない……私は、あなたの無事を……」
「いいえ、いいえ……チョンホ様……もう、何も仰らないで……私……私は、あなたを失う事が…一人で逃げるなどとても……」
「チャングムさん―――」「あなたを失う事など……とても、考えられません!」

チョンホを見つめるチャングムの瞳から、一筋の涙が流れた……そして、それはすぐに降り続く雨に流されてしまった。
チョンホの瞳はチャングムを見つめ、昂る気持ちに堪らなくなったチョンホは、チャングムを強く抱きしめた。
激しく降る雨は二人の体を濡らし、ただ抱き合ったまま、二人は雨の中に佇んだ―――

 *  *  *  *  *  *  *  *  *  *  *  *  *  *  *

雷鳴と雨を避け、二人は森の中の岩陰にいた―――

チョンホの傷は深く、唇は色を失っていた。
チャングムは出かける時に、チャンドクから、万一に備えて渡された僅かばかりの薬を持っていた。
それは、煎じて飲む必要が無い傷薬と腹痛の薬であった。
激しい雨に打たれ、倭寇達と戦ったチョンホは、出血により体力を失い発熱していた。
直ぐにチャングムが止血した事が幸いし、命に別状は無い様に見えた。
しかし、傷を負い、熱を出したチョンホの体力がどれ位持つのか?―――チャングムは、チョンホの脈を診た。
「いけない……何か熱を冷ます薬草を探さなければ……」
針を持たぬ以上、何か薬草を採取する必要があった。
雨と雷は、先程より幾分収まってきた様な気配がする。倭寇の残党は、あの男達以外にいるかもしれない―――
そう思いながらも、今は倭寇の影に怯えるより、チョンホの命を救う事の方が大事だった。
チャングムは、勇気を出して、岩陰から森の奥へと薬草を採りに出かけた。

半刻ばかりの後、チャングムは、熱を冷ます薬効のある草とチャンドクに云われた薬草を手に岩陰に戻ったきた。
チョンホの額に手を当て、脈を診た―――容態は出かけた時と差ほど変わってはいない。
チャングムは、すぐに、薬草を雨水で洗い流した石の上に置き、それを別の石ですり潰した。
本来は煎じて飲む薬草であったが、そんな場合では無い。どれ程の薬効が期待できるものか?
すり潰した薬草と木の葉に受けた雨水を手にし、チョンホの許へ近づいた。
(雨水などで、薬を飲ませて大丈夫かしら……)
チョンホの口に薬を含ませ、木の葉の水で流し込もうとしたが、チョンホは上手く飲んでくれない……熱にうなされているのだ。
(困ったわ……上手くいかない……どうすればいいの?)
461漢拏山6:2006/07/13(木) 23:41:27 ID:nvpLw9/1
チャングムは、薬と水を自分の口に含むと、そのままチョンホの顔へ近づいた。
チョンホの唇を人差し指でそっと開くと、自分の唇をチョンホの唇に重ねて、そのまま口移しで薬を飲ませた。

「うぅ……」―――苦い草の味と、何か柔らかい感触が自分の唇に触れている?

熱にうなされるチョンホは、薄っすらと目を開くと……それは、確かにチャングムの様だと思った……
だが、熱にうなされ、何も解らぬままに、与えられた薬を喉の奥へと流し込んだ。
チャングムは、残りの薬草をすべてチョンホに口移しで与えると、漸く安心してチョンホの寝顔を見つめた。

(チョンホ様……気づいて無いわよね……こんな事をしたなんて、気づかれると恥ずかしい……)

チャングムは、チョンホの側に座ったまま、岩陰の向こう側に降り続く小雨を見つめた。

(こうしていると、お母様と逃げた幼いあの日を思い出す……あの頃は、まだ人を救う術さえ知らない程、私は子供だったわ)

あの時、母を救う事は出来なかった―――そして、ハン尚宮様も救う事が出来なかった……苦い思い出がチャングムの中に蘇る……
だからこそ、今ここでミン・ジョンホを死なせるわけにはいかなかった
愛する人を失う事は、ここで終わりにしたかった―――。

暫く時を待ったが、与えた薬草がその効能を見せる兆しは、まだ感じられなかった。
チョンホの顔色は益々悪くなり、唇は相変わらす色を失ったままだ。

(ダメだわ……煎じなければ、効き目は無いのかしら?)

脈を診ようと、再びチョンホの手首を握った。その手は氷の様に冷え切っていた。

(冷たい!雨に打たれた所為なのね……体を温める方法を考えなければ……)

チャングムは、チョンホの濡れた衣を脱がせると、白い下衣一枚にさせた。
自分の思いついた方法を試す事に、些かの躊躇いは感じていた……だが、それをやらなければ、チョンホの体は冷え切ったままだろう。
チャングムは、チョンホが眠っている事を確かめた。
チョンホはよく眠っている様だ―――意を決して、チャングムは衣の紐を解き、下衣さえも脱ぎ捨てた。
チョンホの白い下衣の胸元を開くと、露わになったチョンホの厚い胸板に、自分の半裸になった姿を重ねた。
胸元に耳を当てると、微かに彼の心臓の鼓動が聞こえる……(良かった!心の臓は正しく動いてきている……薬が効いてきたのね)
チャングムは、チョンホの体を温める為に、羞恥を感じながらも両腕をチョンホの背中に回した。
そして、白く豊かな二つの乳房をチョンホの胸元に押し付けた。

(どうか、チョンホ様がしばらく目を覚ます事がありません様に……)

つづく
462名無しさん@ピンキー:2006/07/13(木) 23:45:01 ID:llalzfLV
いいところで「つづく」なんて!!
463sage:2006/07/14(金) 00:21:04 ID:/sw2+j/N
鬼に遇っては鬼を切り、仏に遇っては仏を切る―閔政浩―後の柳生十兵衛三巌である。
464名無しさん@ピンキー:2006/07/14(金) 00:23:58 ID:Wuv2zL0i

100年前の、朝鮮半島にあった外国人居留地(日本租界)
http://japanese.joins.com/upload/images/2006/04/20060414190544-1.jpg

100年前の朝鮮人の暮らし&町並み
http://www.seoulselection.com/files/shop_attach/435p-attach-2.jpg
http://www.seoulselection.com/files/shop_attach/435p-attach-8.jpg
http://www.seoulselection.com/files/shop_attach/435p-attach-1.jpg
http://imgnews.naver.com/image/098/2006/04/13/3ae580f3034d6e9cd7664644afd23f25.jpg
ttp://www.seoul.go.kr/life/life/culture/history_book/picture_seoul1/2/031215/1523_9619_075_prisoners.jpg
ttp://www5e.biglobe.ne.jp/~sawadee/img-box/img20030314213635.jpg
ttp://www1.harenet.ne.jp/~dandy/img-box/img20030104230820.jpg
ttp://www.seoul.go.kr/life/life/culture/history_book/picture_seoul1/1/031215/1522_9626_PIC1A.jpg

洗濯は海でしてました。塩分とか水質とかは気にしません。
http://www.seoulselection.com/files/shop_attach/435p-attach-5.jpg

身動き取れないほど集まってるのは、「繁栄」とは別のものです。
http://imgnews.naver.com/image/098/2006/04/13/219bff153789d9c7eb5233d9148e7251.jpg

100年前の朝鮮文化施設。明らかにシナの属国です。
http://www.seoulselection.com/files/shop_attach/435p-attach-3.jpg
http://www.seoulselection.com/files/shop_attach/435p-attach-6.jpg

南大門(崇禮門)明治29年(1896)5月28日
http://f48.aaa.livedoor.jp/~adsawada/siryou/060/ndm.jpg

西大門(敦義門)明治29年(1896)5月28日
http://f48.aaa.livedoor.jp/~adsawada/siryou/060/atsg.jpg

植民支配時代の白衣民族抹殺政策示す1930年代の写真を発見
http://japanese.joins.com/article/article.php?aid=66469&servcode=200§code=200

併合時代の朝鮮の女学生
http://japanese.chosun.com/site/data/html_dir/2004/02/29/20040229000009.html

465名無しさん@ピンキー:2006/07/14(金) 01:20:24 ID:3FHr1/RS
わっふるわっふる
466名無しさん@ピンキー:2006/07/14(金) 10:12:09 ID:xonmuXX+
漢拏山で吠える狼チョンホきぼん。
467名無しさん@ピンキー:2006/07/14(金) 13:17:50 ID:vstffCm5
続きを早く頼みます!ミン・ジョンホかっこよすぎ!
468漢拏山7:2006/07/14(金) 19:30:44 ID:XkGQJ0Z6
チャングムがチョンホの体を抱きしめると、氷の様に冷たくなっていたチョンホの体は、少しずつ温もりを取り戻していった。
最初はチョンホの体の冷たさを我慢していたが、チョンホの体に温もりが伝わっている事が解り、チャングムは安心した。
(良かった!体が温もりを取り戻しているわ!もう少し……もう少し、このままでいれば……)
チャングムは、あと少しだけチョンホに温もりを与えるつもりだったが、緊張から開放されたチャングムは、疲れからなのか?
知らず知らずのうちに眠りに落ちていった――――。

「う…うぅ……」―――肩に痛みを感じる……やはり、あの男にやられてしまったのだな……それにしても、温かい……

永い夢から覚めた様に、少しだけ熱の引いたミン・ジョンホは目を開いた。

(ん、、ん、、うぅん、、あ、あ、、アア――ッ!!こ、、これは?チャングムさんーーーっ!!!)

ミン・ジョンホは、辛うじて声を抑えた……自分の体の上にいる半裸のチャングムに驚きはしたが……
目を覚ましたチョンホは、自分が雨に打たれて発熱している事が解った。
そして、この岩屋へ来た時、耐えられない程の寒さを感じていた事も思い出した

(そうか……私を温める為に、自分の体を……それじゃ、、、まさか、、、薬を飲んだ時も?)

あの柔らかい感触……それは、紛れも無くチャングムの唇だったのだろうか?
嬉しい……いや、申し訳ない事してしまった……そう思って、視線を自分の胸元にいるチャングムに向けた。
自分の胸にピタリと重ねられた、チャングムの豊かな乳房……そして、白く透き通る様な肌……艶やかな髪……
美しい横顔を見せたまま、チャングムはぐっすりと眠っていた。
ミン・ジョンホにとっては、どれもこれも総てが、勿論嬉しくはあるが、かなり目のやり場に困るものだった。

ふと……両方の腕をチャングムの背中に回してみたくなる―――いや…そんな事をすれば、チャングムが目を覚ますかもしれない。
目を覚ませば、きっと恥ずかしい思いをするだろう……そう思ったチョンホは、チャングムの背中に手を回す事は諦め、
代わりに、自分の掌に触れている土と石とを握り締めてしまった。
それでも、心のどこかで諦めきれずに、自分の唇をそっとチャングムの髪の毛に寄せ、口づけた……
ただ、それだけの動作だったのだが、チャングムの髪に触れただけで、当然の『反応』が己自身の下半身で起こった事を感じた。
 
(しまった!!―――私とした事が……こんな事がチャングムさんに知れたら……恥知らずな男だと思われてしまう!!!)

チョンホは、チャングムを起こさない様に注意して、下半身を少しずつチャングムの体からずらしていった。
流石に、早鐘を打つ様な心臓の音は抑えられなかったが――――

(眠ろう、、、とにかく、、、チャングムさんに気づかれたらおしまいだ!!)

眠る事を試みたが……ミン・ジョンホは、全く眠る事が出来なかった。
469漢拏山8:2006/07/14(金) 19:31:47 ID:XkGQJ0Z6
(やはり、眠れない……無理だ……とても……)

ミン・ジョンホは眠る事を諦め、そのまま、体の上にいるチャングムを見つめていた。
それは、永い……永い、時間だった―――(これほど近くにいる機会など、もう無いだろう……)

愛しさは募り、チャングムの肌を直に感じながらも、自分の指一本さえ触れさせる事に躊躇う……
チョンホにとって、チャングムは『聖域』の様な存在だった。
軽々しく、邪(よこしま)な気持ちで触れる事は絶対に出来ない―――自分の気持ちが許さない。
だが、辛い……無防備なチャングムの寝顔を、壊す様な振る舞いをしそうになる……白い肌に……柔らかな乳房に惑いそうになる……
今の辛さに比べれば、先程の倭寇達との事など、些細な出来事の様に感じられる。
ミン・ジョンホは、静かに目を閉じ、心を空白にし、自分の感覚の総てを閉じ込める事にした――チャングムの為に。

「ん、、うーぅん、、いつの間に眠ってしまったのかしら……」

(チャングムさん……目を……)チャングムが目を覚ました事を知ったミン・ジョンホは、慌てて瞼を閉じた。

「チョンホ様?……良かった!まだ、眠っていらっしゃる。熱は下がったのかしら?」

チャングムは半裸のまま、ゴソゴソとチョンホの額めがけて体を移動させた。額にそっと手を当ててみる―――

(熱は下がっている様だわ……それにしても、チョンホ様は、何故こんなおかしな格好で眠っているの?)

真直ぐに寝ていた筈のチョンホの姿勢は、何故か腰の辺りで、ひどく不自然に曲がっている。

(私の寝相が悪かったのかしら?……)

チャングムは自分の額に手を当てている様だが――――何をしているのだろう?
そう思って、チョンホは薄っすらと目を開いて見た・・・・そして、見てしまった・・・

(ああぁーーーっ!!!なんだこれわあぁぁーーー!!!)

自分の目の前に広がっているのは、チャングムの白い豊かな乳房――――

(な、、なぜ?、、、私が寝ていると思ってるのか?チャングムさんわあぁぁ〜〜)

チョンホは、慌てて固く目を閉じた!

(なぜ、この人は、こうも無防備なんだ?、、、せっかく心を静めても、、、これじゃ、、同じ事、、、こんな事が続けば、、、
 間違いを犯さぬ内に、、、私はこの場で死ぬしかない!!!)

熱は下がっている……心音はどうかしら?―――チャングムは、脈診をせずにチョンホの胸に耳を当てた。

(変だわ……心音は正常だったはず……なぜ、こうも早鐘を打つ様な音がしているのかしら?)
(離れてくれ!、、、頼むから、、、チャングムさあぁぁん!!、、、)
(熱は下がっているから、心の臓が早いのは、何か理由があるのかしら?)

「ん、、ゴホッ、、んんん」―――なかなか離れてくれないチャングムに、チョンホは、わざとらしい咳をしてみせた。

(いけない!!目を覚ましそう!!早く、服を着なければ!!!)

チャングムはチョンホに背中を向けると、急いで衣を身につけた。
チャングムが服を着たかどうかを確かめる為に、チョンホは、再び薄っすらと目を開けた。
チョンホの目の前に広がるのは―――チャングムの白い滑らかな背中だけだった……

(もうダメだ!、、、余りに強い刺激だ、、、私はこのまま死ぬだろう、、、)

当然、ミン・ジョンホが、チャングムを残して死ぬ事などありえない・・・・
470漢拏山9:2006/07/14(金) 19:33:38 ID:AIZagjeD
チャングムは衣を身に着けると、チョンホの方を振り向いた。
チャングムが衣を身に着けた様だと思ったチョンホは、今初めて気づいたかのごとく、ゆっくりと目を開けた。
「チョンホ様?気がつきました?」「チャングムさん……私は?……」
「雨に打たれて、お熱が……もう、大丈夫でございますか?」
「え、、ええ、、もう、大丈夫です。心配をおかけしました、チャングムさん。ありがとう……」
「いいえ、お礼を言わなければならないのは、私の方でございます。チョンホ様をこんな目に遭わせてしまって……」
「そんな……気にしないで下さい。あなたが無事で本当に良かった」

雨は上がり、陽は少しずつ西に傾いていた――――
「雨……上がりましたね……そろそろ戻りましょうか?チャンドクさんが、心配するでしょう」
「そうですね。歩けますか?チョンホ様」
「ええ……熱も随分下がりましたから」―――チョンホは、そう言うと立ち上がった。
「あっ?・・・」「何ですか?私が、何か変ですか?」「チョンホ様。そのお手は、どうなさったのですか?」
「ああっ!!」―――チャングムの背中に手を回す事を諦めた時に、握り締めた土と石……チョンホの両手は黒く汚れていた。
「ああ、、、なんでもありませんよ。きっと戦った時に……」
チョンホは、先程の事を思い出し、妄想を振り払うかの様に両手を拭った。

「行きましょうか?チャングムさん」「ええ、チョンホ様……」―――二人は、岩屋の外へ出た。
先程までの嵐が嘘の様に、森は静かになり、陽射しは木の葉に残る雨粒を照らし、木々は皆輝いている―――

「あっ・・・」―――チョンホは、チャングムの片手を強く握り締めた。そして、チャングムを見つめ、にっこりと微笑んだ。
「急ぎましょう。暗くなる前に……」「そ……そうですね……」

いきなり繋がれた手に、チャングムは戸惑った―――戸惑いながらも、手を離してくれとは言えずにいた。
チャングムは、チョンホの片手を同じ様に握り締め、チョンホの繋ぐ手に導かれてハルラの森を抜けた。
二人は手を繋いだまま、ひと言も言葉を交わす事無く、山道を下って行った。

里の家々が見えて来た時、チャングムは黙って、繋がれていた手を解いた。
「チャングムさん?」「チョンホ様……」「何故、手を離すのです?」
「いけません……チョンホ様……誰かに見られたら……チョンホ様のお立場が……里の人達は、口が軽く……」
チョンホは立ち止まって、チャングムを見つめた――――
「私は構いません……誰に見られても……見られても構わない」
「チョンホ様……お願いです……私の言う事を聞いてください……」
「チャングムさん……」

他人になんと言われようとも構わない―――だが、自分の気持ちを押し通せば、逆にチャングムを苦しめる事になる。
チョンホは、もう何も言わずに黙って歩き続けた。チャングムは来た時と同じ様に、チョンホの僅か後ろに従った。
繋いでいた手は離してしまったが、心はまだ繋がっている―――ミン・ジョンホは、そう信じたかった。
471漢拏山10:2006/07/14(金) 19:34:32 ID:AIZagjeD
「チョンホ様、私はここで……」
「ここで良いのですか?チャンドクさんの所まで、お送りしましょうか?」
「いいえ……すぐ、そこですから。チョンホ様、傷はまだ、痛みますか?熱は?」
「ええ、すっかり……傷は、まだ痛みますが。チャングムさんのおかげです」
「あとで、他のお医者様に診せた方が良いと思います。私はまだ、見習いですから」
「解りました。帰りにウンベク先生の所へ寄って行きます」
「ええ、そうなさって下さい」

二人は向かい合ったまま、うつむいていた……お互いに、何か言葉を伝えようと思ったが、上手く言葉に出来ない。

「チャングムさん……早く戻らなければ、また、チャンドクさんのお叱りを受けますよ」
「そうですね……」
 
チャングムを引き止めたい―――チョンホは、想いとは裏腹な言葉を口にするしかなかった。

「それじゃ、チャングムさん。また……」「さようなら、チョンホ様……」

チャングムは、立ち止まったまま、ミン・ジョンホの背中を追っていた。
チョンホは、何度もチャングムの方を振り返り……振り返り……そして、チャングムの姿が見えなくなる場所で立ち止まると、
にっこりと微笑んで、片手を軽く上げた。
チョンホの姿が夕日の向こう側に見えなくなると、たった今、別れたばかりのチョンホの笑顔を胸に、チャングムは漸く家路についた。
472漢拏山11:2006/07/14(金) 19:35:25 ID:AIZagjeD
「まあ、チャングム、遅かったのね!何をしていたの?」
「お師匠様、ただいま帰りました。遅くなって、申し訳ありません」
「おまえ!その、服の血はどうしたの?何があったの?」
「あっ・・・」―――チャングムの衣には、ミン・ジョンホと倭寇の血糊が滲んでいた。それはどす黒く変色していた。

(どうりで……すれ違う人達が変な顔をすると思った……血の事は、すっかり忘れていたわ)

「何かあったのね!何があったの?」「お師匠様、実は……」―――チャングムは、一部始終をチャンドクに話した。
「それで……ミン・ジョンホ様は、おまえの所為でお怪我をなさったのね」
「はい……私と別れてから、そのままウンベク先生の所へ向かわれました」
「チャングム……おまえ……私の話しをよく聞いていなかったのね?何故、そんな危険な状況で山へ行ったの!
 云いつけたのは私だけど、急を要する患者で無い事は、おまえも知っていたでしょう?
 おまえは、ひとりの患者を救おうとして、別の人を危険に晒してしまったのよ!
 ミン・ジョンホ様が生きて帰られたから良かったものの、もし、死んでしまったらどうするつもりだったの!」
「お師匠様……申し訳ありません」
「そんな甘い判断しか出来ない様では、医女失格ね。正しい判断も出来ない様では、医女になる事は諦めなさい!」
「申し訳ありません……」――――『医女失格』……返す言葉は、何も無かった。

「もういいわ、、、まったく、おまえときたら、、、それで、ミン・ジョンホ様には、どんな手当てをしたの?」
「えっ!―――」「どんな手当てをしたか、聞いているのよ」
「はい、、、あの、、、止血をして、、頂いた傷薬を塗って、、、それから、お熱を出されたので、、、熱を、、、」
「熱ですって?それで、熱をどうしたの?」
「はい、、、熱を、、、熱を冷まそうと、、、薬草を探して、、、」「それから?」「はい、あのう、、、」
「はっきり言いなさい!」「はい、熱を冷ます薬草を与えて、、、」「それから?どうしたの?」
「お体が雨に濡れて、、、熱はあるのに、、、体は氷の様に冷たく、、、それで、、温めようと、、、」
「体はどうやって温めたの?」「はい、、、はい、、、ですから、、、」

(言えない―――どうやって、温めかなんて……言えるわけが無い……)

「何故、はっきり言わないの?おまえらしくないわね……」「ですから、、、、」

赤い顔をして俯くチャングムを見た時、チャンドクは、チャングムが何やら『特別な治療』をしたらしい事は理解した。
それはきっと、チャングムが赤くなる様な事なのでは―――?
「もういいわ……はっきりしない子ね。まあ、おまえも最近上達したから、その治療に間違いが無かったと信じましょう。
 ウンベク先生の所へ行かれたのなら、安心ね。それに、ミン・ジョンホ様には……私やウンベク先生よりも……」
「お師匠様やウンベク先生よりも?何でしょうか?」
チャンドクは、チャングムの顔をじっと見つめると、ニヤリと笑った。
473漢拏山12:2006/07/14(金) 19:36:08 ID:AIZagjeD
「そうね……私やウンベク先生が治療するよりも、おまえの治療の方が良く効きそうだもの。フフフ……」
「お、、お師匠さまぁっ!!!」

チャンドクの言葉を聞いたチャングムは、チャンドクの叱責が、いつの間にか自分への《からかい》に変わっている事に気づいた。
「あの・・・」―――チャングムは、チャンドクに何か言い返そうと思ったが、何かを見透かした様なチャンドクの視線に、
何も言い返す事が出来なかった。

「さあ、じっとしていないで、せっかく命を掛けて採ってきた薬草でしょう。早く、あちらへ持って行きなさい」
「はい……お師匠様」

チャングムは、採ってきた薬草を手に部屋を出て行こうとした。
背中を向けたチャングムに、チャンドクは、再び口を開いた。

「チャングム。患者の事を第一に考える、おまえは正しいわ。でもね、チャングム。よく覚えておくのよ。
 他人の命を大事に思う様に、自分の命も大切にしなければ―――命を失ってしまったら、医女にもなれないわよ」
「はい、お師匠様。もう、無茶な事は致しません」

チャングムは、黙って部屋を出て行った。
チャングムが出て行った後―――チャンドクは、もう堪らないといった様子で大笑いした。

「アハハハ、、、アハハハ、、、ああ、可笑しい!!あの子ったら!!」

なんでも完璧に、そして生真面目に遣り遂げるチャングム―――とんだ、弱点があったものだ。
いつものチャングムなら、どんな治療をしたかと問えば、完璧に答えるに違いない……非の打ち所が無い位に。
ミン・ジョンホ様……誰が見たって、チョンホ様のお気持ちは手に取るように解る。
まさか、あの子もそうだとは………まあ、チャングムの事だから、何の間違いも無かったと思うけど。
それにしても、思い出しても可笑しいチャングムのうろたえよう……意地悪しすぎたかしら?

チャンドクは、部屋の前を通る者達が呆れる程に笑い続けた。
チャンドクの笑い声は、珍しい―――部屋の前を通る誰もが、そう思った。
474漢拏山13:2006/07/14(金) 19:37:06 ID:AIZagjeD
=宮中=

チャングムとシンビは、女官の呼び出しを受け、後宮に向っていた。
「まったく……毎日、毎日、病気でも無いのに、こうも呼び出しを受けるなんて……たまらないわ」
シンビの心は沈んでいた―――「これじゃ、せっかく宮中に配属されても意味が無いわ。地方にいた方が、まだマシよ」
「シンビ……」
「チャングム。あなたは平気なの?年下の女官達に、いいように使われて?あなただって、もとは女官でしょ?
 あの人達は、私達に意地の悪い難題を突きつける事で、宮仕えの憂さを晴らしているのよ」
「あなたに何と言ったらいいのか、解らないわ……」
「こんな事をやっていても、医女の修行にはならないわ。そうよ、意味は無いわ!
 足を揉めだの、肌の手入れをしろだの……私は、耐えられない!」
「シンビ……私も最初は戸惑ったわ。でもね、今は平気よ。耐えられない事じゃないわ」
「あなたは強いわね、チャングム。あなたと一緒で良かった!私ひとりじゃ……とても……」

真面目なシンビが落ち込む気持ちは、よく解る。
それでも、耐えられない程の事じゃ無い――――母やハン尚宮様を失った事に比べれば……
そして、あの人を失いそうになったあの時を思い出せば……。

シンビと一緒に後宮に向うチャングムを、ミン・ジョンホは遠くから見つめていた。
朋輩と一緒にいるチャングムに、声をかけるのは躊躇われる。
このまま、そっとしておいた方がいいだろう………。

ミン・ジョンホは、目の前を横切って行くチャングムを追った。
一瞬、―――チョンホの目に映る、チャングムの美しい横顔と豊かな胸の膨らみ……
医女の服を通して、あの日、岩屋の中で見たチャングムの肌の白さが蘇る様だ――チョンホは、そんな錯覚に陥った。

「あなたを失う事など、とても考えられません」―――チャングムは、あの時、確かにそう言ってくれた。
そして、自分も同じ気持ちだった―――チャングムのいない人生など、とても考えられない。耐える事は出来ない。

チャングムの姿が見えなくなると、ミン・ジョンホは静かに背中を向けて歩き出した。
ハルラ山の山道を下った時、繋いでいた手は離してしまったけれど、チョンホの心の中では、チャングムとの手は繋がれている。
そして、心の中で手を繋いだまま、いつもチャングムを見守っている。
いつまでも、離れる事は無いのだと―――。

終わり
475名無しさん@ピンキー:2006/07/14(金) 21:27:40 ID:90W/ojVE
職人さんのじらしプレイに参ったよ (;゚Д゚)=3

そして前半と後半のチョンホのギャップに大笑いだ。
さすがラブ※
476名無しさん@ピンキー:2006/07/14(金) 21:47:37 ID:DHdQAGhe
うむ。でも、ラブ※ではあるけれど、精神的な絆もキチンと描いてくれたので、後味爽やか。
よかったよ〜。
477名無しさん@ピンキー:2006/07/15(土) 02:12:39 ID:Uic8Wdtd
>>474
焦らしプレイの後はめくるめくエロが展開される
かと思いきやラブ※のリアクションがおもしろくてツボで
パソの前でニヤニヤしてしまいました。GJ!

>>452
ウナギイヌの人ですか!チャングム×ハン尚宮様読みたいです。
もし>>283のスレじゃないところに投下される場合はご一報ください。
チャングムの誓いで百合萌えのスレは以前揉めたこともあるので
避けたほうがいいと思います。
478名無しさん@ピンキー:2006/07/16(日) 16:49:22 ID:XEb/T6a6
>>477
>>452の者です。いやはや、そのようなお言葉を頂けるとは光栄です。まだ構想段階ですが、了解しました。
479名無しさん@ピンキー:2006/07/19(水) 10:23:00 ID:LY7u5TrW
>>474
萌えてしまいましたよ。
えろなしなのに。どうしてくれるんですかこのときめきを。
王崩御後の逃避行編をはげしく希望します。
480名無しさん@ピンキー:2006/07/19(水) 21:22:44 ID:FTUGnslF
先程の者です。
悩みましたが、保守代わりにこちらに投下してみます。ていうか面白くなかったら申し訳ありません。
チャングム×ハン尚宮の話ですが、内容は
ノーマル(かなり原作に忠実)
微妙に百合
エロなし※ご自由に皆様各自の妄想で補って下さい
3分割投稿予定
481名無しさん@ピンキー:2006/07/19(水) 21:31:45 ID:FTUGnslF
[1]

 「鍼を打ちなさい。早く鍼を……」
 チャンドクに促され、チャングムは鍼を手にしようとする。目の前には患者が寝ている。 
 しかし、チャングムの脳裏には、激痛に苦しむチャンドクの叫び声と姿がよみがえる。額からは脂汗がにじみ出る。手の震えが止まらない。
 鍼を打たなければ……打たなければ……いや、できない……どうしてもできない……。駄目です、今の私にはできません……。
 チャングムは、助けを求めるような顔でチャンドクを見た。
 仕方なく、チャンドクが鍼を打った。

 済州島に来てから二年が過ぎていた。
 チャングムは、鍼の施術に失敗してから、恐怖心のために鍼を打てないでいた。そして、来る日も来る日も、一人で洞窟にこもって修練を続けていた。
 チョンホは、やつれていく彼女のことが心配だった。たまらなくなってチャンドクに会いに行き、問い詰めた。
 「どうして励ましてやらずに、あんなに厳しく当たるのですか?怖くなって鍼を持てなくなってしまいます」
 チャンドクは、冷静に答えた。
 「私も経験があるので分かります。チャングムがあの時以来、鍼を持てないのは、私に叱られたからではなく、鍼の打ち方を間違えて私を死なせかけた自分を許せないからです。自らに罰を与える時間が、もっと必要なのです」
 「しかし……」
 「いつ立ち直るか、それを決めるのは私ではなく、チャングム自身です。それに……」
 チャンドクは、少し考えてから言った。
 「私はチャングムの医術の師。でも、チャングムの心を導く師は……私ではなく、あの方ですから……」 
 「やはり、あの方ですか……」

 あの方。それは……。
482チャングム×ハン尚宮 〜韓尚宮懐慕〜:2006/07/19(水) 21:39:03 ID:FTUGnslF
※すみません。題名入れるの忘れていました。
[2]

 チャングムは一人、薄暗い洞窟の中で、座って考えていた。
 先程、自分がチョンホに言った言葉を思い返していた。

 ―――志があれば、あきらめなければ、何でもできると思っていました。でも、できないこともあると、初めて知りました。それでもやります、必ずやります―――

 さっきはナウリにそう言ったけれど……。でも、本当は、自信をなくしています。いえ、怖いのです。このまま鍼を打てないままになるのではと。そうなると、せっかく見つけた希望が、医女への道が、消えてしまう……。
 お母様とハン尚宮様の無念を晴らすという約束が、果たせない……それが何よりも辛い。
 予期しなかった障害に阻まれるのならともかく、自分の落ち度で招いた苦難が乗り越えられないなんて! 
 歯がゆくて、やり切れなくて、たまらない。
 この恐怖心、いったい、いつになったら乗り越えられるの?
 尚宮様……。やっぱり、志があっても、あきらめなくても、できないことが、この世にはたくさんあるのでしょう?
 私は、こんな自分が許せない。医術の道も、王宮に戻る道も、自分のせいで駄目になってしまうなんて……。
 だから、尚宮様。私を叱って下さい、もっと私を罰して下さい……。

 洞窟の中は静かで、身を切るような寒さが、いっそうそれを際立たせる。
 チャングムの頬に、一筋の涙が流れた。
 その時、どこからともなく風が吹いてきて……優しくチャングムの髪をなで、涙を拭い去るかのように頬をなでた。その風は、温かい空気となってチャングムを包んだ。
なぜだか少し、自分の体が、束縛されているような気がする。何か、いや、誰かに押さえ込まれているような……。
483チャングム×ハン尚宮 〜韓尚宮懐慕〜:2006/07/19(水) 21:43:55 ID:FTUGnslF
 「……尚宮様?」
 姿は見えないけれど……そうなのですか?私は今、尚宮様に抱きしめられているのですか?宮中に戻られたのではなかったのですか?
 懐かしくて優しい声が聞こえてきた。

 ―――チャングム……。苦労しているみたいね。気になって、ここへ来たけど……―――
 「尚宮様!まさか……信じられない……。お姿は見えないけれど、また会えるなんて……。でも、私はいつまでも尚宮様に心配ばかりかけてしまう困った子です。お許し下さい」
 ―――鍼の失敗のことね。お前らしくもないわ。そんな弱音を言うなんて―――
 「でも、私のせいなんです。私のせいで、約束が果たせなくなるかもしれないんです……」
 ―――お前自身が招いてしまった困難なんて、今までに何度もあったわね。お前は、好奇心が強くて、思い込んだら後先考えずにすぐ行動するし、すぐ調子に乗るし……。私は、そんなお前に、何度気を揉んだことか―――
 「……そうでしたね。でも、今度は、努力だけではどうにもならないのです。いつ恐怖心を乗り越えられるのか……先が全く見えないのです。不安なのです」 ―――先が見えない不安……味覚を失った時のことを忘れたの?―――

 「……!」
 そうでした、尚宮様。あの時私は、後先のことを考えずに、朝鮮人参とニクズクの食べ合わせを自分の体で実験して、味覚を失ってしまったんでしたね。
 本当に、あの時は、自分で苦難を招いてしまったとしか……。
 料理人としての道が断たれる、母の望みが叶えられなくなる……私はやり切れなくなって、やけを起こしました。
 でも、尚宮様は、私をお見捨てになりませんでした。私の、味を描く能力を、目覚めさせて下さいましたね。私に、絶対にあきらめない、ということを教えてくださいましたね。

 それともう一つ、あの夜のことも思い出しましたよ……。
 チャングムは、水刺間時代へ思いを馳せた―――――――――――――――


 チャングムが味覚を失ってからしばらくして、宮中の味噌の味が落ちている、という騒ぎが持ち上がった。その原因追究が、ハン尚宮とチェ尚宮の最初の対決課題となった。いわゆる「みそ騒動」である。
 ハン尚宮とチャングムは、外出許可を得て、王宮の外で調査を始めた。
 しかし、なかなか原因を突き止めることはできず、そうこうしているうちに、日が暮れてしまった。
 仕方なく二人は、ある村で宿に泊まることにした。

[つづく]
484チャングム×ハン尚宮 〜韓尚宮懐慕〜:2006/07/20(木) 01:10:40 ID:D82mcEkl
[4]

 次の日の出発時間が早いので、二人は早めに床についた。
 チャングムはハン尚宮と、枕を並べて寝ていたが、いろいろ考えてしまって、なかなか寝付けないでいた。
 (尚宮様は、私の才能を信じて下さっているけど……。でも、もしこのままずっと味覚が戻らなかったら……)
 チャングムは顔を上に向けたまま言った。
 「ねぇ、尚宮様。もし、私の味覚が 戻らなかったら、どうされるつもりですか……?味を描けるといっても、味覚を失った人間が水刺間にいるということが、もし他の人たちに知られれば、尚宮様の立場が危なくなるのではありませんか?」
 「お前はそんなことを気にしなくていい」
 「でも尚宮様……私のために……」
 「……お前のためだけではないわ。私自身のためでもあるの」
 「え……?」
 チャングムは、大きく目を見開いてハン尚宮の方を見た。
 「確かにお前は、天賦の料理の才能を持っている。だけど、それだけではない。私はお前の師で、お前を導く立場であるけれども……。
最近思うの。私がお前に導かれているのでは?と」
 「尚宮様、何をおっしゃるのですか?私が導くだなんてとんでもない!」
 「いいえ……。お前の前向きでひたむきな生き方が、どれほど私を勇気づけてくれたことか。過去にこだわり、今を生きようとしない、臆病な私を、お前が一歩前に踏み出させてくれた」 
 「………」
 「競合に勝つため、志を果たすためだけに、お前が必要なのではないわ。
私自身に、お前が必要なの。お前に側にいて欲しいの……」

 チャングムを見つめるハン尚宮の目は、真剣そのものだった。
 チャングムは、胸が熱くなった。尚宮様は、そこまで私のことを思って下さっているのかと。
 寝返りをうって、体ごとハン尚宮の方を向いて話しかける。
 「尚宮様。『お前が必要なの』って言って下さったこと、とてもうれしいです。私も尚宮様が必要です。私、これからも尚宮様を振り回してばかりかもしれないけど、ずっと側にいさせて下さいね。ね?」
 「フフ……この子は……」
485チャングム×ハン尚宮 〜韓尚宮懐慕〜:2006/07/20(木) 01:22:32 ID:D82mcEkl
[5]

 沈黙が流れる。
 再びチャングムは、寝床の中であれこれ思い巡らしていた。
 尚宮様と同じ部屋で寝るのは久しぶりだ。なんだか嬉しい。女官になってから、同じ部屋で寝ることは、今日みたいに外出でもしない限り、まず、ない。
 尚宮様のこと、部屋子の時は、ちょっと近寄り難く思えた時もあったけれど、でも、今日はとても親しみを感じる。
 「呪いの札事件」の時は、尚宮様はおんぶをして下さった。私はあの時、体が弱り切っていたけど、尚宮様の温もりが背中から伝わってきて……。また、あの温もりを感じたい。
 今日を逃したら、今度はいつになるか分からない。でも怒られやしないだろうか……?
 意を決して、遠慮がちにハン尚宮に話しかけてみる。 
 「あの、尚宮様」
 「何?」
 「あの、その……もっとそちらへ寄ってもよろしいですか?」
 「……お前はいったい、いくつになったの?」

 あきれたように言われてしまった。でも、あきらめない。
 「部屋子の時は、そんなことしたことがありませんでした。でも、なんだか今日は、そうしたいのです。いえ、そうさせて下さい。ね?」
 チャングムの、甘えるような声とキラキラ輝く瞳に、ハン尚宮は負けた。
 「……好きにしなさい」 「えっ!よろしいのですか?エヘヘヘ」
 チャングムは、喜び勇んでハン尚宮の方へ寄った。寄り添うように、体をくっつけるようにした。
 「ちょ、ちょっと!何でそんなにくっついてくるの!」 
 尚宮様は何を焦っているのですか?
 「……いけませんか?」 
 すがるような上目使いでハン尚宮を見る。
 「……いけないとは言っていないけど……」
 すごく曖昧な言い方ですね。

 本当は、尚宮様に抱きつきたいのだけれども、まさか、そこまでするわけにはいかない……。とか思いつつも尚宮様の温もりを楽しむ。
 何だか尚宮様は、母と同じ香りがする。とても落ち着く。
 「ねぇ。尚宮様。こうしていると、母と一緒に寝ていた頃を思い出します」
 「そう……」
486チャングム×ハン尚宮 〜韓尚宮懐慕〜:2006/07/20(木) 01:31:51 ID:D82mcEkl
[6]

 幼い頃は、父と母の三人で寝ていたけど、私はよく母の布団にもぐり込んでいたっけ。そうして私はよく、母の胸を触っていた。小さい頃は触りたくなるものだから……母は怒らなかったけど。
 ふと、隣のハン尚宮の姿がチャングムの視界に入る。私は尚宮様のことを母のようにお慕いしているけど……でも、尚宮様は、私のことを娘とまで思って下さっているのだろうか?
 ま、まさか、尚宮様にも、母と同じことをするわけにはいくまい。
 だって、私はあの頃とは違って、もう子供ではないんだし。それに、そんなことをしたら、怒られるに決まっている。
 でも……。ハン尚宮の寝顔を見てみる。
 尚宮様は、もう寝ているみたい……。でも、どうしよう。気がつくかもしれないし。どうする? 
 今日は、私は尚宮様を独り占めできる。この次はいつになるか分からないんだし……。
 ええい!気付かれても構わない。今日は特別な日なんだから!
 手を延ばし、寝間着の上から、そっと尚宮様の胸に触れてみる。
 ……尚宮様は気がつかない。それじゃ……。
 そっと手の平で、膨らみ全体を包み込むようにしてみる。柔らかい。でも、思ったより小さかった。やっぱり、子供を産んでいなければ、このようなものなのか。それに、尚宮様は細身だし……などと考えていたら、思わず、手に力が入って、胸を強く押してしまった。
 うわ……!!ど、どうしよう!と、思った瞬間、チャングムの手は、ハン尚宮に、ぎゅっと掴まれていた。 
 尚宮様の目が怖い!チャングムは慌てて顔を背けた。 
 「いったい何なの?」
 「いえ……あの、その、これも子供の頃の思い出でして……」
 「お前はすぐ調子に乗って!明日は早いんだから、早く寝なさい!」
 「はい……」

 チャングムの手は、ハン尚宮に払いのけられてしまった。
 分かってはいたけれど……。悲鳴を上げて下されば、「尚宮様かわいいです」とか言えたのに。冷静に不機嫌に言われたのでは、どうしようもない……。

 再び沈黙が流れる。
 尚宮様、怒ってる?顔をこっそり見るが、ただ寝ているのか怒っているのか分からない。
 あぁ……尚宮様に抱きしめてもらいたいのに……。 
 この状況では「ね?」って、おねだりしても駄目だろう。ていうか言えない。ただでさえ叶わぬ想いが、ますます叶わなくなってしまった。
 それならせめて……。
 チャングムは、ハン尚宮の片方の手を探り当て、そっと握った。
 ……良かった。今度は何もおっしゃらない。
 尚宮様の手は、長年、調味料や水にさらされて、少し潤いはなかったが、温かい。
 尚宮様の手から伝わってくる温かさ。わずかに接している尚宮様の体から伝わってくる温かさ。尚宮様の、ぬくもりに包まれて――― 安らぎと心地良さを感じながら、チャングムは眠りに落ちていった。


[つづく]
487チャングム×ハン尚宮 〜韓尚宮懐慕〜:2006/07/20(木) 18:34:24 ID:D82mcEkl

[7]

 チャングムは、夢と現実の境を、うつらうつらとさまよっていたので、気がつかなかったのだが……。
 実はハン尚宮は、もう片方の手でチャングムの手を、優しく撫でていたのであった。
 ハン尚宮は、今日までのことを思い返していた。

 ―――ミョンイを失ってから、私は……誰かと心を分かち合いたいとか、誰かを守りたいなどと思ったことはなかった。失うものがない方が強くなれると思っていたし、もう誰かを失う痛みを味わいたくないと思っていた。
 ところがどうだ。チャングムと出会ってからの自分は。自分でも驚くくらい、この子のために、心を傾けているではないか。
 最近の出来事だけでも、「錦鶏事件」、「呪いの札事件」、そして、今回の味覚消失。どれも、自分は不利益を被るばかりだ。
 でも、それでもいい、と思える自分がここにいる。 苦難を乗り越えるたびに、この子との絆が強くなっていくような気がする。そして、私も変わっていく。 
 この子を守りたいという気持ちが、私を強い人間に変えていく。
 いや……守られているのは、私の方かもしれないわね。この子と出会わなかったら、支え合ったり心を分かち合う喜びなんて二度と味わえなかったかもしれない。
 私は、お前に救われているのかもしれないわね……。――― 

 チャングムの寝顔は、幼子のようだ。可愛いというか、愛しいというか……。それを見ていたら、目が熱くなってきた。
 ハン尚宮は、チャングムの手を優しく撫でながら、目を潤ませて、しばらく見ていた。



その後。
チャングムの味覚消失は、ウンベクの、蜂の針という画期的な、しかし危険な治療により、ほどなくして完治した。
それまでは、全く見通しが立たなかったのに、思いもよらぬ方法で、道が開けたのであった。 
488チャングム×ハン尚宮 〜韓尚宮懐慕〜:2006/07/20(木) 18:41:05 ID:D82mcEkl

[8]

 ――――ひと通り、味覚消失の時のことを思い出したチャングムは、懐かしい思い出に微笑んだ。
 再びハン尚宮に話しかける。
 「あの頃は苦しいことも多かったけれど……今から思えば、尚宮様が側にいて下さって、幸せな時だったのかもしれませんね……。 
ねぇ尚宮様。味噌の調査の時、宿に泊まったでしょう?あの時私は、尚宮様と久しぶりに一緒に寝られるのが嬉しくて……。本当は、抱きしめてもらいたかったんですよ。でも、尚宮様は、迷惑そうでしたから……」
 ―――そんなことはないわ。ただ、あの時は、私の心にまだ余裕がなかったから……。でも、私が最高尚宮になった頃からは、何度も抱きしめてあげたでしょう?―――

 「………足りません。もっともっと、抱きしめてもらいたかったです」

 ―――「…………」―――

 「今はもう、私は尚宮様に、触れることさえできないのです」
 チャングムは、側にいるはずのハン尚宮に触れようとして手を延ばした。しかし、それは虚しく空を切るだけだった。嘆くように溜め息をついた。
 チャングムは静かに話を続けた。

 「私は……八つの時、父と母を失いました。私は幼すぎて、父と母に何かをしてあげたという記憶が、あまりありません。
私は、宮中に上がり、尚宮様と出会いました。
私は、尚宮様を振り回してばかりだったけど……でも、母にしてあげられなかったことを、たくさんして差し上げたいと思っていました。 
女官は王の女。普通の女としての幸せを手に入れることはできません。
でも、それでもいいと思いました。尚宮様の側にいられたから、幸せでした。
私にとって尚宮様は、師匠であり、母であり、いいえ、それ以上の存在でした。この世で一番好きな人でした。
尚宮様は、私の全てでした。
でも、今はもう、尚宮様は、この世にはおられず……。抱きしめてもらうことも、髪を撫でてもらうことも、手を握ることも……叶いません。
済州島にきてから、ただひたすら、王宮に戻ること、医術を修得することだけを考えてきましたが……。壁に当たったこの頃は、尚宮様がおられない寂しさに襲われるばかりです……」

 ハン尚宮は黙っていた。 
 しばらく沈黙が続いた後、チャングムは、自分を押さえつけている力が強まったのを感じた。自分の体の周りを、温かい空気が、包み込むように、撫でるように、流れるのを感じた。

 尚宮様は、私を強く抱きしめて私を撫でて下さっているんですか……?
 チャングムは、ハン尚宮に身を委ねた。そして目を閉じた。

 脳裏には、ハン尚宮に抱きしめられている時の記憶が、鮮烈によみがえってくる。
 母に似た尚宮様の香り。豊かではないが、柔らかな胸。ぬくもり。自分をしっかり抱き寄せる力強い手。
 私は、また、尚宮様のぬくもりに包まれている……。私の乾いた心に、尚宮様の優しさが染みてくる。
 例え他の誰かに抱かれても、こんなに安らぎを感じることはできないだろう。 
 できれば、ずっとこうしていたい……。
 
 チャングムは、安らかな眠りに落ちていくかのような錯覚にとらわれていた。
489チャングム×ハン尚宮 〜韓尚宮懐慕〜:2006/07/20(木) 18:49:02 ID:D82mcEkl

[9]

 しばらくして、ハン尚宮は、チャングムを抱きしめたまま、話し始めた。 

 ―――チャングム。よくお聞き。私は、今までもそうだったけれど、これからも、お前の側にいるから―――

 チャングムは、ゆっくりと目を開けた。

 ―――私は、お前の師であったけれど、同時に、お前に導かれ、助けられ、守られてもいた。
けれども、この世を去った今、お前に守られる必要はなくなった。
だから……私はただひたすら、お前を導き、守るわ。お前が私のことを忘れない限り、ずっと……―――

 優しく穏やかな尚宮様の声。
 こらえきれず、チャングムの目から、涙が溢れ出し、とどまることなく流れた。
 ―――お前はどうしてすぐ泣くの?泣くのはおよし―――

 泣きながらチャングムは言った。
 「……ね、尚宮様。これからも、ずっと私の側にいて下さるんですよね?」

 ―――ええ。ずっと側にいるわ―――

 「ずっと、ずーっと側にいて下さいね。ね?」

 ―――ええ。ずっと、ずーっと側にいるわ―――

 「………尚宮様。私、ずーっと尚宮様のこと、絶対に忘れませんから!」

 ―――フフ……でもどうかしら?お前は皆に好かれるからね。別に、私がいなくてもやっていけるんじゃないかしら?―――

 「そんなことをおっしゃらないで下さい!」

 ―――ちょっとからかってみただけよ―――

 「もう!尚宮様の意地悪!」
 チャングムは少し笑顔になる。

 ―――チャングム……。今もそうだけど、きっとこれからも、行き詰まって不安に押し潰されそうになる時が、何度もあるでしょう。 
だけど、お前は一人ではないから。自分にできることを一生懸命やりなさい。
そうすれば、必ず道は開かれるでしょう―――

 「はい。尚宮様。私、もう迷いません。絶対に、医術も復讐も成し遂げてませます」

 ―――それを聞いて安心したわ―――

 風が再び吹いてきた。
 辺りは眩しいくらい明るくなり、光の洪水のようだった。
 チャングムは、自分の体を押さえ付けていた、温かい力が次第に弱まっていくのを感じた。
 「尚宮様!もう行ってしまわれるのですか?」

 ―――ええ……。でも忘れないで。私はずっとお前の側にいるから……――― 

 「尚宮様!」
 チャングムは急いで立ち上がって、風を追いかけた。しかし追い付かなかった。
 風は、穏やかに洞窟を抜け、空の彼方へと吹き抜けていった。
しばらくチャングムは、呆然と空を見つめていたが、やがて、洞窟に戻った。再び静けさと寒さが襲う。

 チャングムはふと、薄暗かったはずの洞窟に、光が幾筋も差し込んでいるのに気がついた。 
 座り込んで、その光に触れ、光を浴びて、チャングムはむせび泣いた。
490チャングム×ハン尚宮 〜韓尚宮懐慕〜:2006/07/20(木) 18:55:58 ID:D82mcEkl

[10]

 数日後。
 チョンホは、牛島に向かう船を護衛するために、済州島を一時的に離れることになった。
 そして、チャンドクも、兵士の治療のために同行することになった。
 チャンドクが留守をしても、チャングムは大丈夫だろうか……。チョンホは、そのことが気掛かりだった。

 「本当によろしいのですか?ソ内人のことは、心配ではないのですか?」
 「何度聞いたら気が済むのですか?時には突き放すくらいがちょうどいいのです。それともナウリは、そんなにチャングムを頼りない子だと思っておられるのですか?」
 「いえ!そうではありません。ただ……心配で……」
 「それに、あの子は一人ではありません」
 「ソ内人は、ハン尚宮様と……本当に強い絆で結ばれているのですね……。私の入り込む余地はなさそうです。私は、苦しむ彼女に何もしてあげられない……」

 寂しそうに話すチョンホの顔をしばらく見ていたチャンドクだったが、励ますように言った。
 「でもナウリ。ナウリは、ナウリにできることを彼女にしてあげたらよろしいのでは?人はそれぞれに、占める場所というものがあります。ナウリには、ナウリの占めるべき場所があるのではないでしょうか?」 
 「そうですね……。ソ内人にとって、私の占める場所はどのくらいの大きさなのでしょうか……」

 チョンホの言葉を聞きながら、チャンドクは思った。(……まあ、これは、私自身にも言い聞かせているんだけどね!)

 そうして、二人は牛島に向かった。


 チョンホとチャンドクがいない間、済州島は倭寇の襲撃を受けた。
 チャングムは、倭寇の大将を治療した際に、ついに恐怖心を乗り越え、鍼を打つことに成功した。
 それはもちろん、トックおじさんや、住民の命がかかっていたからであったが、それだけではない。
 チャングムは、ハン尚宮と共にいた。チャングムの心は、ハン尚宮に守られていた。
 ―――志があれば、あきらめなければ、何でもできる――― チャングムは、そう思った。


 倭寇は、戻ってきたチョンホの軍隊により征圧された。
 再び、済州島に平穏な日々が戻った。



 空は青く晴れ渡り、海は太陽の光で反射して、キラキラと輝いている。そんな景色の中で、チャングムは一人たたずんで海を見ていた。
 チャングムは、ささやくようにハン尚宮に語りかける。
 「尚宮様……。私、また一歩前へ進むことができました。王宮へ戻る日が、また一日近づきました。
尚宮様が側にいて下されば、私、何でもできる気がします」

 海風が、チャングムの髪を優しく撫でるようにして、吹き抜けていった。


[完]
491名無しさん@ピンキー:2006/07/20(木) 19:29:20 ID:bi2YTjfB
どうして女官は隣で寝てる人のおっぱいに触りたがるのですかママニム .。゜(ノД`)゜.+
492名無しさん@ピンキー:2006/07/21(金) 00:37:47 ID:JRhPSMxk
[6]あたりで萌えました。
493名無しさん@ピンキー:2006/07/21(金) 00:46:59 ID:8HvdIXbk
ありがとう!
添い寝と胸タッチだけで充分ドキドキしました。
いいカポーだなぁ
494名無しさん@ピンキー:2006/07/22(土) 01:12:16 ID://UTpmVq
ハン尚宮×チャングムは、王道カプですね。
495名無しさん@ピンキー:2006/07/24(月) 09:36:18 ID:W4QFEsjW
「韓尚宮懐慕」の作者です。未熟な文章でしたが、お読み頂きありがとうございました。
ところで、まだ案はまとまっておらず、書けるかどうかも保証できませんが、
クミョン×チャングムを書いてみようかと思うのですが……。
タブーな組み合わせですが、17話以前のクミョンにとって、チョンホと同じくらいチャングムは心の支えだった……という解釈に基づき、話を展開してみようと思っておりますが、いかがなものでしょうか。
496名無しさん@ピンキー:2006/07/24(月) 19:43:23 ID:tCJhPlO2
>>495
是非!
楽しみにしてます!

497名無しさん@ピンキー:2006/07/24(月) 22:45:57 ID:ZJiH1YsF
>>495
すっごーーーーく楽しみ!
あの二人、いいカポーだと思うの
シャイであまり人に心を開かないお姉さまと
ズカズカと人の心の中に踏み込んでくるやんちゃな妹って感じで。
498名無しさん@ピンキー:2006/07/25(火) 07:43:51 ID:N+700JrB
>>496-497
熱烈なお言葉ありがとうございます!
クミョンってコンプレックスの塊みたいなものだから、描くのが難しいんだけど(準備時間がかかる)、頑張ってやってみようと思います。
499名無しさん@ピンキー:2006/07/25(火) 23:17:43 ID:RMb37Urp
ここは、チャングムの夢はおkだったんですよね?
キャラを本編に持ってきても、良いんでしょうか?
500名無しさん@ピンキー:2006/07/25(火) 23:31:39 ID:v5fw8ne1
>>498
待ってまーす!
501名無しさん@ピンキー:2006/07/26(水) 19:46:07 ID:IE61/Ngd
チョンホ×チャングムが読みたい
特に逃亡生活あたりを誰か書いて下さい。
502名無しさん@ピンキー:2006/07/26(水) 23:16:02 ID:ukriv/u/
>>501
それは、是非書きたいと思ってはいるんですが・・・
自分が書けば、一週間程は必要かと思います。
設定は、純愛がお好みですか?それとも、ラブ※仕様がいいですか?
503名無しさん@ピンキー:2006/07/26(水) 23:58:10 ID:KZjEeIiK
純愛でお願いします。あ、でも、キスシーンは入れて下さい!
504名無しさん@ピンキー:2006/07/27(木) 00:06:29 ID:k8oknSr0
>>503
では、その方向で。
キスシーンは、もちろん入れますが、それ以上も書こうかと思います(一応エロパロ板なので)
但し、ソフトに致しますので、ご了承下さい。
505名無しさん@ピンキー:2006/07/27(木) 09:58:03 ID:Fq47Qqhz
>>504
楽しみにしています。
506名無しさん@ピンキー:2006/07/29(土) 22:29:08 ID:S8n5p8i9
チャングム曜日
507名無しさん@ピンキー:2006/08/01(火) 23:25:34 ID:C/fvr232
逃亡編・・・推敲中です。1〜2日、お待ち下さい。
508名無しさん@ピンキー:2006/08/03(木) 22:55:10 ID:akBMd5KA
チャングム×チョンホ、逃亡編です。
前回、ハルラ山での続きの話を考えていましたので、逃亡生活とは少々違うかもしれません。
逃亡生活の入り口と言う事でご理解下さい。
509鴨緑江の向う側1:2006/08/03(木) 22:58:24 ID:akBMd5KA
(私?……眠っていたの?……ここはどこ?……)

薄暗い岩屋の中で、チャングムは目を覚ました―――しかし、そこには誰の姿も無い。
唯一つ、蝋燭の灯火だけが岩屋の中を照らしている。
 
(夢を見ていたの?私……チョンホ様はどこへ?)

もうすぐ日が暮れるのに、一緒に逃げた筈のチョンホの姿は何処にも見当たらない。
探しに行こうか?――そう思ってみたが、疲れ切った体が言う事を聞いてくれない。
夕べ王宮を出た時から、水も食べ物も口にしていなかった事を思い出した。
チャングムは膝を抱え、ぼんやりと蝋燭の炎を眺めていた。
村で聞いた『中宗王崩御』の知らせ―――気がかりだった。

(王様……あれからどうなさったのだろう?安らかな御最後だったのかしら……)

「チャングムさん――目が覚めたのですか?」

いつの間にか、岩屋の入り口にミン・ジョンホは戻って来ていた。

「チョンホ様……どちらへ?」
「今の季節、山の中は寒い。薪を探しに行っていたのです」
「そうだったのですか……私を置いて行かれたのかと思いました……」

ぼんやりと目覚めたばかりのチャングムの言葉に、チョンホは戸惑った。
 
(捨てられたとでも、思っていたのか?……ほんの少し、側を離れただけのつもりだったのに……)
510名無しさん@ピンキー:2006/08/03(木) 22:58:32 ID:OxUz6V0y
ハァハァ
511鴨緑江の向う側2:2006/08/03(木) 22:59:22 ID:akBMd5KA
「置いて行くだなんて……チャングムさん、どうしたのですか?あなたを置いて行く筈がないでしょう。
 顔色が悪い……送ってくれた内侍に聞きましたよ。夕べから何も食べていないそうですね」
「ええ……そんな気になれなくて……」
「内侍が、そっと教えてくれました。
 連れ出された船の上で、最初あなたは激しく抵抗したが、その後は黙ったまま食べも飲みもして下さらないと……
 内侍は弱り果てていましたよ」
「動揺していたのです……余りにも急で」
「王様の事が気になるのですね?」
「ええ……皆の事も、王様の事も……主治医として最後までお役目も果たせずに……苦しまずに逝かれたのだろうかと」

岩屋の中から、チャングムは遠くの空を見つめていた―――その空の先には中宗王がいた都がある。
そんなチャングムの姿を見たチョンホは、目を伏せて淋しそうに少しだけ笑った。

(愚か者だな、私は……この人が王の名を口にする度に、心がこうも落ち着かないとは……)

「何か食べませんか?体に毒ですよ」
「ええ……そうですね」
「私はその間に火を熾します。ゆっくり休んで下さい。疲れたでしょう?」

チャングムは、チョンホから渡された食べ物と水を僅かばかり口にした。
余り食欲は感じ無かったが、それを口にすると、少しばかり気が満ちるのを感じた。
火を熾すチョンホの横顔をチャングムは黙って見つめていた。
チョンホ様は、少し痩せた様だ―――慣れない暮らしの所為なのだろうか?そう、自分の為に、この人を犠牲にしてしまった。
それでも、自分への思い故に耐えていたのだろうか?

じっと見つめるチャングムの瞳に、チョンホは戸惑った。
「どうしたのです?私の顔に何かついていますか?」
「いいえ……チョンホ様……少しお痩せになった様だと……」
自分の身を案じるチャングムの言葉に、チョンホは微笑みながら答えた。
「体は至って元気ですよ。元気で過ごさなければ、医女チャングムに叱られてしまうから」
「まあ!フフフ……そんな事を仰るなんて、私は随分、口うるさい女だと思われているのでしょうか?」
「えっ!いいえ、そんなつもりでは……あなたに再び逢える事を信じない訳ではありませんでしたが、本当に再会出来るとは……。
 半ば諦めながらも、望みは捨てずにいました―――もう一度、あなたに逢えたらと………
 その時、私が元気でいなければ、きっとあなたを心配させてしまうだろうと……そう、思っていました」

「何もかも忘れた―――そう、仰ったのに……チョンホ様は、本当に私の事を忘れようとなさっているのだと思っていました。
 私とは、もう逢って下さらないのだと……私も同じです。それでもあなたを諦めきれなかった。
 王宮の何処にいても、あなたを探してしまう……書庫へ入っても、あなたの気配を感じてしまう……いるはずも無いのに
 ……あなたのいない王宮は淋しく、医女の仕事に打ち込む事だけが総てでした」

チョンホのいない王宮での生活――――
チャングムは、どれほど王の寵愛と信頼を得ても、決して心は満たされる事の無かった年月を思い出していた。
医女の仕事―――それが無ければ、自分は生ける屍と何も変わりは無かっただろう。医術だけが心の支えだった。
512鴨緑江の向う側3:2006/08/03(木) 23:00:13 ID:akBMd5KA
「忘れました―――確かにそう言いましたね。あの時は、そう言うしかありませんでした。
 だが、忘れられない……忘れてしまえば、楽になれるのか……いや、苦しみは増すばかりでした。
 あなたのノリゲを見る度に、あなたはどうしているのだろうかと……そればかりを考え……
 時が経つにつれ、あなたを側室にせず主治医とした王様の心も信じられず……あれ程あなたを愛した王様が、今頃、あなたを
 後宮に入れてしまったのではないかと疑った事もありました。
 そして、中宗王の様な情け深い立派な方に想いを寄せられて、それに抗う女人がいるであろうかと……
 あなたの事さえ、疑ってしまったのです―――あなたが王様の事を口にする度に、いつの間にか嫉妬心に捉われている。
 私は、救い様の無い愚か者です……私の告げた一言で、あなたが苦しむ事になるとは……許して下さい。
 忘れる事も出来ないクセに、あなたを悲しみに沈めてしまった……」
「チョンホ様――あなたを苦しめたのは、私です。許しを請うのは私の方です」

嫉妬心―――そんな心の弱さを見せるミン・ジョンホの姿を初めて目にした……チャングムは、自分を責めずにいられなかった。

(思いやり深く、優しい方……そう思い、いつまでも甘えていたのは私の方ではなかろうか?)

燃え盛る炎を挟んで、二人は俯いたまま、言葉を失っていた。
離れていた時の流れは、余りにも永く二人を引き裂いた。
失われた空白を埋めるには、今少し、時を待たねばならないのだろうか――チョンホは、そう思っていた。

「覚えていますか?前にもこうして過ごした事がありましたね」
「済州島で?同じ岩屋の中でしたね……よく、覚えています。チョンホ様は、私を助けて下さった」
「いいえ、助けられたのは私の方です。あなたがいなければ、今頃こうしてはいなかったかもしれない。
 山を下りる時、私は、二度とあなたの手を離すまいと誓っていました。しかし、里が近づくとあなたは手を離してしまった。
 私の立場を思ってくれる気持ちは嬉しくもあり、そして、あなたを守りきれない自分に悲しくもありました。
 それでも、心の中で私達の手は繋がれていると……そう信じていました」
「チョンホ様……」
「梨浦の渡しで、再びあなたの手を取る事が出来た――あの時は嬉しかった。済州島でのあの日が蘇る様でした。
 しかし、あなたは私の手を離れ、私達は宮中に戻る以外に道は無くなってしまった。
 そして、今度はあなたが三水に向う私の手を取ろうとしてくれた。なのに、離すまいと誓った手を三度目に離してしまったのは
 私だったのです……」
「あの時はそうするしかなかった……それが、あなたの思いやりだったと解っています」
「チャングムさん、私はもう離しません。あなたの手を離す事は決してありません」
「チョンホ様……私もです。あなたの手を離す事は致しません……決して……」
513鴨緑江の向う側4:2006/08/03(木) 23:01:10 ID:akBMd5KA
「チャングムさん。一緒に明国へ行っていただけますね?」
「チョンホ様……」
「明国は、この山の下を流れる鴨緑江(アムノクカン)の向こう側にあります」
「チョンホ様、どうしても明国へ行かなければならないのでしょうか?」
「何故です?行くのは嫌なのですか?」
「王様のご命令でも……この国を……朝鮮を捨ててしまわなければならないのでしょうか?皆のいるこの国を……」
「確かに、王様の最後のご命令は、あなたと明国へ逃げる事です。
 ですが、王命であっても、王命で無くても、あなたを明にお連れしたい。
 明国は、この朝鮮より何倍も広い国です。多くの民族が入り混じり、渡来人も多い。
 医術も進んでいる国です。医女を志すあなたには、またと無い修行の場となる事でしょう。
 それにこの国に残るには、今はまだ危険すぎます。ほとぼりがさめるまで身を隠した方が安全でしょう。
 王様もそう思って、この命令を下されたのでしょう。明へ行く事は、必ずあなたの役に立つと――」
「チョンホ様、解りました。一緒に明国へ参ります」
「そして、また一緒に戻って来ましょう……ここは、私達の生まれた国なのですから」

そこまで話した時、ミン・ジョンホは中宗王の事を想った。
 
(自分で話してみて、今漸く王様の心が理解出来る―――王様が、どれだけこの人を大事に思っていたのか……
 最後の時、どれだけこの人にいて欲しいと思っておられたか……それでも、御一人で逝かれてしまった。
 憎い相手であろう私に、この人を託して下さったのだ……)

愚かな嫉妬心を忘れ、チャングムを無事に明国へ連れて行こう―――チョンホは、そう決心した。

「夜が明けたら、明に向かいましょう。手配書が回っているので渡し場は避けた方がいい。
 渡し守を雇って鴨緑江を渡れば、誰にも気づかれる事は無い」
「思ったよりも近いのですね。それでも、歩いて渡るには遠いのですか?」

チャングムの質問に、チョンホは微笑みながら答えた。
「歩いて渡りたければ、あなたの父上が母上になさった様に、向こう岸まで『飛び石』でも置きましょうか?」
「飛び石?――チョンホ様が出来ると仰るのなら、反対は致しません」
「えっ!私が言い出した事ですが、それは少々辛いですね……」
「まぁ!辛いのなら、初めからそう仰って下さい。それでは、別の方法をお願い致します」
『別の方法』――そう言われて、チョンホは、チャングムが本当に歩いて川を渡るつもりなのかと思った。

(船を使わずに、行きたいのか?……この人なら、なんでも遣り遂げてしまいそうだ)
514鴨緑江の向う側5:2006/08/03(木) 23:02:03 ID:akBMd5KA
「チャングムさん……どんな方法を望んでいるのです?」

チャングムは、少し俯いて微笑んだ。そして、俯いたまま、チョンホの問いに答えた。
「あの時の様に……あの雪の中の様に……手を貸していただけませんか?」
「雪の中?一緒に逃げたあの時の事ですか?」
チャングムは立ち上がり、目を伏せたまま、チョンホの後ろ側に来た。
「あの時の様に、私に背中を貸して下さいますか?」
そう言うと、チョンホの背中にそっと凭れた―――
「あっ――!チャングムさん……」
「こんな事をして、迷惑ですか?チョンホ様」
「いいえ……迷惑などと……ただ……」
「ただ?ただ、何でしょう?」
「ただ……少し、重い……」
「まあっ!耐えられない位に重いですか?私……」

『重いですか?』―――そう心配しながら尋ねるチャングムに、チョンホは笑った。
「ウソですよ……重い筈は無い……あなたを背負っていても、雪の中でも、ちゃんと歩いて行けたでしょう?」
「冗談だったのですか?酷い方です……私は、本当に重いのかと」
「あなたが望むなら、背負ってだって鴨緑江を渡りますよ」
「いいえ……やはり、背負っていただかなくても結構です。今の季節、川の水はとても冷たいですから……
 こうして、暫くお背中を貸していて下さい。それ以上の望みはありません」

チョンホと別れてから、チャングムは時々夢を見た―――
雪の中、チョンホが自分を背負い、楽しそうに笑いながら歩いて行く……何処までも続く真っ白い雪の中を
そして目が覚め、チョンホの姿は無いのだと……もう、自分の側にはいないのだと……そう気づくと、決まって涙を零した。
だが、それはもう覚めれば消える夢では無い……チョンホの背中は、ここにある。

チョンホは、自分の背中に広がるチャングムの柔らかい感触に少し戸惑っていた―――
その感触は、あの日雪の中で感じたものと同じだった。
それは、もう蘇る事は無い……一度は忘れようとした感触だった。
無理にでも忘れ様としたそれは、自分の背中いっぱいに広がっている。

チョンホは、首に回されたチャングムの手をゆっくりと解くと、チャングムの体を自分の方へ引き寄せた。
向き合った二人は、暫くお互いを見つめ合い……そして、二人の唇は自然に重なった。
永い口づけが終わり、二人の唇が離れた時に、チョンホはチャングムに訊いた。

「あなたは背中を貸すだけで良いと……それ以上の望みは無いと言う……では、私がそれ以上を望んでも構いませんか?」
「チョンホ様。私は、もう主治医のチャングムではありません。あなただけのものです」

離れて暮らした空白の時間を埋める様に、二人の唇は、再び重なった―――
515鴨緑江の向う側6:2006/08/03(木) 23:02:46 ID:akBMd5KA
炎が岩肌を明るく照らし、二つの影が重なった―――
冷たい岩の褥の上にあっても、二人の体は燃え盛る炎よりも熱くお互いを求め合った。
二人は追われる身である事も忘れ、口づけを交わす度に、初めて逢った日から今日までの年月に想いを馳せた。
お互いの気持ちを自覚しながら、幾度もすれ違い、引き裂かれ、叶わぬ想いと諦めた事もあった。
漸く再会した二人は、もうお互いに離れて生きる事など考えられなかった。

チャングムは目を閉じ、チョンホの愛撫に身を任せた。
体の隅々に伝わる柔らかい感触に、チャングムは小さく喘いだ。
初めて感じる甘い感覚に、チャングムの脳裏は、あの雪の日の様に真っ白になっていった。
チョンホの指先は、チャングムの滑らかな肌の上を滑る様に辿り、幾度も夢に思い描いたものを確かめた。

「あっ……」

鈍い痛みを感じた時、チャングムは、チョンホの総てを受け入れた。
岩肌に映る二つの影は、赤く燃え盛る炎と共に大きく揺らいでいた。
自分の意識が何処か遠くへ行こうとしている……体の奥底に、何か熱い物を感じた……
そのまま、チャングムは意識を失ってしまった―――
516鴨緑江の向う側7
岩屋の外から吹く冷たい風が、頬を撫でた―――
頬を撫でる風の冷たさに、チャングムは目を覚ました。
頬は冷たくても、体は温もりに包まれている。

「目が覚めましたか?」

チョンホの腕の中で目覚めたチャングムは、まだ夢の中にいた。

「眠ってしまったのですね……私……」
「寒くは無いですか?外の風は冷たい様だ」
「いいえ……少しも……」

チャングムはチョンホの胸に手を当てると、これが夢では無い事を確かめる為に、そっとチョンホの胸元を撫でてみた。

「チョンホ様……やはり、少しお痩せになったみたい……」
「そうですか?あなたが言うのなら、そうなのかな」
「明へ行ったら、何か美味しい物を作りましょうね。何がお好きですか?
 ハン尚宮様が教えてくださったチャプチェは、とても美味しいのです。
 串焼きを美味しく焼く方法も、ミン尚宮様が教えて下さいました。それから、チャンイが好きだった……」

水刺間での女官達の事を夢中で話すチャングムを見て、チョンホは思った。
(可哀想に……戻りたくて、堪らないのだろう……どれ程、皆に逢いたい事か……)
チョンホは、チャングムを抱きしめると言った。
「水刺間の女官であったあなたに料理を作ってもらえるなんて、とても嬉しい事です。
 それでも、私にはあなたがいれば、それで充分幸せなのですよ」
「チョンホ様……」
「うーーん……でも、美味しい物でも食べて、少し太った方が良いのでしょうか?
 痩せて頼りない男になると、あなたから見捨てられてしまうのかな?」
「フフフ……また、そんな意地悪を仰るのですね。決して、私から見捨てる事などありません。
 チョンホ様も、ずっと私の側にいると、もう一度約束して下さい」
「約束します………十年先も二十年先も百年先も、ずっとあなたの側にいますよ」

二人は、再び唇を重ね、硬く抱き合った。
そのまま、お互いの温もりに包まれ、深い眠りに落ちていく………
岩屋の外の冷たさを、二人は朝まで感じる事は無かった。