【涼宮ハルヒ】谷川流 the 50章【学校を出よう!】

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1名無しさん@ピンキー
谷川流スレッド設立に伴う所信表明

我がスレッドでは、谷川流作品のSSを広く募集しています。
過去にエロいSSを書いたことがある人
今現在、とても萌え萌えなSSを書いている人
遠からず、すばらしいSSを書く予定がある人
そういう人が居たら、このスレッドに書き込むと良いです。
たちどころにレスがつくでしょう。
ただし、他の作品のSSでは駄目です。
谷川流作品じゃないといけません。注意してください。

■前スレ■
【涼宮ハルヒ】谷川流 the 49章【学校を出よう!】
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1181933714/l50

■過去ログ■
http://www9.atwiki.jp/eroparo/pages/210.html

■これまでに投下されたSSの保管場所■
2chエロパロ板SS保管庫
http://sslibrary.gozaru.jp/

■荒らしについて■
削除依頼対象です。反応すると削除人に「荒らしに構っている」と判断されてしまい、
削除されない場合があります。21歳以上なら必ずスルーしましょう。

PINK削除依頼(仮)@bbspink掲示板
http://sakura02.bbspink.com/housekeeping/
2名無しさん@ピンキー:2007/07/10(火) 22:03:41 ID:Y8Fb9wLi
Q批評とか感想とか書きたいんだけど?
A自由に書いてもらってもかまわんが、叩きは幼馴染が照れ隠しで怒るように頼む。

Q煽られたりしたんだけど…
Aそこは閉鎖空間です。 普通の人ならまず気にしません。 あなたも干渉はしないで下さい。

Q見たいキャラのSSが無いんだけど…
A無ければ自分で作ればいいのよ!

Q俺、文才無いんだけど…
A文才なんて関係ない。 必要なのは妄想の力だけ… あなたの思うままに書いて…

Q読んでたら苦手なジャンルだったんだけど…
Aふみぃ… 読み飛ばしてくださぁーい。 作者さんも怪しいジャンルの場合は前もって宣言お願いしまぁす。

Q保管庫のどれがオススメ?
Aそれは自分できめるっさ! 良いも悪いも読まないと分からないにょろ。

Q〜ていうシチュ、自分で作れないから手っ取り早く書いてくれ。
Aうん、それ無理。 だっていきなり言われていいのができると思う?

Q投下したSSは基本的に保管庫に転載されるの?
A拒否しない場合は基本的に収納されるのね。  嫌なときは言って欲しいのね。

Q次スレのタイミングは?
A460KBを越えたあたりで一度聞いてくれ。 それは僕にとっても規定事項だ。

Q新刊ネタはいつから書いていい?
A最低でも…………一般の――――発売日の…………24時まで――――待つ。
A一般の発売日の24時まで待ってもらえますか? 先輩、ゴメンナサイです。

Q1レスあたりに投稿できる容量の最大と目安は?
A容量は4096Bytes・一行字数は全角で最大120字くらい・最大60行です。
Aんふっ。書き手の好みで改行をするのも揃えるもバッチリOKです。
3名無しさん@ピンキー:2007/07/10(火) 22:05:10 ID:Y8Fb9wLi
というわけで投下します。エロなし。
4名無しさん@ピンキー:2007/07/10(火) 22:06:08 ID:Y8Fb9wLi
 力を失くした友人が目の前で倒れる。
 見慣れた北高のスカートが半瞬、ひらりと舞って、彼女は横たわる。

 それを見下ろすのは突然の襲撃者。
 人より、機械より冷たいように思える眼差しは、何の感動もないかのように倒れた彼女に注
がれている。まるで内面を象徴するかのように真っ黒なスカートをなびかせて。

 俺は何もできなかった。
 手も足も出ず、言葉も発せなかった。

「……観察下に置く」

 世界中のあやゆる冷凍庫でも、たとえ絶対零度に達してようともこうはいかない声が告げた。
 どんな反駁も許されず、動かない友人を見ることしかできず、俺はただ、立ち尽くしていた。



 ――この世界いっぱいのさよなら――



 高校二年、夏。

 六月だってのに梅雨の二文字を己が辞書から忘却させた太陽が、燦々なんて言葉じゃまだ温
いくらいに熱と光を列島に放射し、UVカットもたちまち崩落しそうなエネルギーが無駄に俺の
皮膚も焦がしていた。去年といい今年といい、これは本当に地球温暖化による屋外サウナなの
か判別しかねる。
 などと考えている間にも額から顎、胸から腹にかけて忌々しい汗が肌を伝う。
 それもそのはずで、よもやこんな炎天下の元を好きこのんで登山する人間など、全国探して
もせいぜい数百人いればいいほうで、そのうちの一人が俺になっちまってるのは一年数か月通
ってる公立高校がなぜか山の上にあるからだ。普通を尊ぶはずのパブリックシニアハイが、な
ぜわざわざそんな立地に校舎を建ててるのか、校長でなければ誰にツッコミを入れりゃいい?
「どうしたんだい。朝から随分と険悪な表情をしているね」
「ん」
 脇を見ると、数年来の友人が暑さとは無縁の涼しい表情で泰然と微笑んでいる。
 その姿を見た俺はしばしの逡巡と共に、
「なぁ、お前って夏に強いのか?」
 俺が言うと、この酷暑にも長袖で顔色一つ変えない佐々木は、
「それは気温への耐性って意味かい? だとすればまぁ、寒さよりは暑さの方がやり過ごせる
ね。僕自身は別段夏が好きというわけでもないんだが」
 湿度が半分しかないかのようにからりと言った。そうか。俺自身は四季で言えば夏が好きな
はずだが、この気候には戦闘前から白いハンカチを投げるより他ない。いっそ一限はこの超過
熱量を発散すべく自習時間にすべきじゃないか。
「この分だと猛暑日という言葉だけではまかなえなくなる日が来るのかもしれないね。僕には
夏時間を導入すれば省エネルギー効果が上がるとも思えないけれど」
 佐々木の言葉が茹だった脳髄を適当に攪拌するのを感じつつ、そうなれば日本は温帯から繰
り上がって亜熱帯になったりするんだろうかと思い、弓状列島の形を維持できなくなった母国
なるものを想像して束の間の清涼を得た。寒気がするね。余計な戦慄をするのはもう少し皺が
増えてからでいいだろう。こちとら前途ある若者であるところの高校生だ。
「それじゃさしあたって今日の試験で成果を出すことにしよう」
 佐々木が背中に突き刺さる矢を放ち、まともにそれを受けた俺はさしずめ瀕死の戦士だ。こ
ら戦友よ、下級兵の傷をわざわざ増やして敵地に送りこむこともあるまい。
 すると佐々木はおなじみのクックッという控えめな笑い声で、
「僕が上官だったら、君が本当に傷ついて倒れた時には助け起こしてやるべきなのだろうか?」
 そう言われて俺はクラスメートや友人数名の顔を思い浮かべて、若干の溜飲とともに、
「……頼りにできそうなのはどうやらお前くらいしか思い浮かばない。すまんが」
 俺の嘆息に佐々木はまた笑って、セーラーの肩口で髪を軽やかに揺らせた。

5名無しさん@ピンキー:2007/07/10(火) 22:06:53 ID:Y8Fb9wLi
 すっかり茹でダコ状態で二年五組の教室に到着すると、さすがにもう見慣れてきた級友の面
々も皆一様に熱に当てられている風情であった。試験直前であるにも関わらず、今読むべき教
科書の用途を違えて送風機にしているあたり、まこと共感することしきりだが微々たる温風程
度にしかなってないだろうな、この分だと。
「あああちぃあちぃ」
 下世話な胴間声が俺の不快指数を無意味に煽った。暑さそのものを体現したような口調は一
年来の友人、谷口のものだ。俺は教科書に落としていた懈怠面を上げる。
「解ってることをわざわざ言いに来るな。冬ならともかく、夏じゃ固まっても暑苦しいだけだ
ぜ。男同士じゃ気色悪くもあるしな」
「おうそうかそうか。とすればお前らは夏中その暑苦しさのど真ん中にいるわけか。ご苦労な
こった」
 だらしなくシャツを扇ぐ谷口に何のことかと言いかけて気づいた。ははぁ。一体何度言えば
気がすむのだろう。こいつは。
 俺は首でちょいと後方を指示して、
「あのな。佐々木と俺のこと言ってるんだったらまったく持って見当違いもいいとこだ。つう
か、人の体感温度より自分の心配したらどうなんだよ」
 すると谷口は胸を張って親指で自分を指し、
「へ。俺だったらその点いくら熱くなろうが大歓迎だぜ。暑いじゃなく熱いだぞ。だが、他人
の熱さを見せつけられんのは春夏秋冬通じて忌避したいとこだな」
 何が忌避だ。だったらなおのことわざわざ近寄って来るなと言いたいね。
「二人とも随分余裕だけど、彼女より答案の心配はしなくていいの?」
 冷水のような声をかけたのは中学時代からの秀才肌、国木田であった。互いの足を踏み合う
ばかりの俺と谷口をほどよくほぐすのは大抵この優等生である。たった一言で早速現実へ我々を
帰還せしめたしな。
「おおそうだった。もともとキョンじゃなく国木田のところへ行くはずだったのに、この熱さ
で熱射病になってたみたいだ。一時的方向音痴になっちまったぜ」
 などと吐き捨てて谷口、それと苦笑いの国木田は席に戻っていく。あえて暑さが熱さになっ
てるとこには反応しない。キリがないからな。
「お前もそうやって爽やかに静観してないで、ちょっとは否定してくれよ」
 振り向きざまに窓際最後尾の佐々木に話しかけた。佐々木は軽やかに首を振り、
「いや。こういうものは往々にして、必死に否定するほど相手の疑念を深めるばかりさ。むし
ろキョン。君が堂々としていたほうがやがて彼も諦めるのではないかな?」
 そう言われればその通りにも思えて二の句が出てこず、やむなく俺は頭を切り替えて直前の
山場を確認すべく佐々木に教示をたまわることにした。


 さて放課後である。
「何も今から背骨を曲げて歩くことはないと思うよ。五十年もすれば放っておいても自然と前
傾姿勢になるのだからさ」
 傍らでフォローにならないフォローを佐々木が言い、そんな俺たちは部室への道すがらであ
った。
「ときに佐々木よ、予備校なる場所は楽園と監獄とどっちだろう」
 すると佐々木はちょいと片眉を上げ、
「どちらでもないね。僕に言わせれば住めばなんとやらさ。続く言葉は君次第かな」
 何だかはぐらかされたように思うが、それ以上追求する気力もたちまち暑さに奪われるって
ものである。今秋の生徒会選挙で全校舎に冷暖房完備を公約に立候補する生徒がいたら組織表
使ってでもそいつを当選させてやりたい気分だ。
 通いなれて第二の私室状態となった文芸部部室も当然ヒートルーム化していて、そんな空気
風呂にもまったく動じる気配のない人物が一人、長テーブル付近の椅子に古式如来の人形よろ
しく座っていた。
「よ、周防」
「……」
 仮にも一年以上のつき合いなんだから目礼以外の挨拶も覚えてほしいものだと思ったが、突
然饒舌になる周防なんてのはそうそう見られるものではなく、記憶にあったかどうかすら定か
でない。
6名無しさん@ピンキー:2007/07/10(火) 22:07:25 ID:Y8Fb9wLi
 俺と佐々木は周防の向かいの椅子にそれぞれ座った。大抵の部には部長がいて、それは今隣
に座った年来の友、佐々木がそうであるが、この部屋には部長用机にあたるデスクがない。

「僕は『長』のつく役職に就くことを望まないよ。名義だけならまだしも、そんな九鼎大呂は
必要ない」

 と言って部のテーブルを円卓ならぬ角卓にしてしまったのである。去年の春、初めてこの部
室に来た時には部長机とパソコンが上座とでも呼ぶべき部室の奥部にあったのだが、佐々木が
来てからそっくり一式片隅に追いやられてネット巡回等専用PCブースと化した。別に形式だけ
でも部長机として残しておいてもいいと思うんだが、佐々木はそういう格式ばったものを頑な
に拒むのだった。
 さて、三者めいめいがそれぞれに昼からの放課後を展開していた。すなわち俺は弁当を食べ、
佐々木はノートを広げて週明けにあと一日分残った試験範囲の総仕上げ。周防は天文関連の百
科事典のような大きさの本を単調な手つきで繰っている。どっちも暑さなどお構いなしの表情
はそれなりに体感温度を下げてくれるが、それにしたってまだまだ暑い。このままだと汗を吸
い切ったワイシャツを雑巾絞りできそうだ。
 正午過ぎになって雲が出てきたらしく、何とか扇がずにいられるくらいには気温が下がった
みたいだが、俺持参の水筒の麦茶はどうにも温かった。地球だけでなく魔法瓶まで壊れてんのか。
 するとノックとともにドアが開いた。部員二名が顔を覗かせ、
「遅れてごめんなさい! ちょっとクラスでおしゃべりしちゃって」
「学食に行ってた」
 橘、藤原の両名がそれぞれに入室し、周防の両隣に座った。
「しかし暑い。学食だけにでも冷房入れるべきだろう」
 藤原は半袖Yシャツの襟元を扇いで風を送った。
「俺は食堂よりこの部室にこそクーラーが欲しいけどな」
 すると藤原は横向けていた顔の目尻で俺を見て、
「ふ。それもそうか。何だかんだとここにいる時間が一番長いからな」
 こと今日のような半ドンの日課とあればなおさらである。まぁ言ったところで夢物語でしか
ないのは俺も藤原も解りきっているのだが。
 さて入室したもう一人、橘京子はと見ると、すでに佐々木と何やら話しこんでいて野郎の侵
入できる余地は見受けられない。部の設立当初から解っていたことだが、橘はどんな相手にで
も分け隔てなく接し、それは佐々木も同じタイプであるものの、佐々木の場合は男相手限定
で口調を変えるという稀有な性質があったため、おおむね男子連中の人気は橘六、佐々木四く
らいに分かれるという説を以前谷口からこんこんと聞かされた。俺に言わせりゃどうでもいい。
アラスカにでも行ってオーロラ相手に語りかけててくれ。文字通り玉虫色の反応が期待できる
と思うぜ。

 超常現象研究会――。

 それがこの文芸部室に間借りしている我々五人が所属する団体名だった。
 この部ができた経緯を語るには、時計の針を一年とひと月前まで戻さねばならない。

 ………
 ……
 …

「キョン。部活動には顔を出してみたかい?」
 去年の五月の連休明け、この時も同じクラス、同じ席順だった俺と佐々木は、朝のHRを前に
そんな会話を始めた。
「いいや。もともと体育会系って気質でもないしな。かと言って文化部に入ってひとつのこと
に打ち込むってのも性に合わん。ひょっとしたら何か向いてる物事があるのかもしれないが、
同好会一覧の中に目を引く団体はなかったな」
 すると佐々木は腕組みして視線を中空にやり、
「そういえば中学でも何かに打ち込んでいるようではなかったね」
「まぁな」
7名無しさん@ピンキー:2007/07/10(火) 22:07:58 ID:Y8Fb9wLi
 我ながら怠惰と思うことしきりだったが、要するに休日をまるまる使って練習に打ち込んで
友情なり絆を深める、みたいなことに対してちょっと傾いた態度を取った結果だ。友達ってこ
となら、それこそクラスで顔合わせてる連中とたわいない話に興じているほうが楽しかったし
な。わざわざ部活に出向いてまで別の仲間を持とうとも思わなかった。
 すると佐々木はいつもの好奇を充満させたようなキラキラした目で、

「どうだろう。ここは一つ、僕と君とで新しく部を作ってみないかい?」
 思わず机から出したノートを取り落としそうになった。
 今何て言った? すまんが聞きとれなかったのでもう一度言ってくれないか。
「だから、新しい部を設立してみないかと言っているのさ。どうやらこの学校にはこの世の物
理法則に反した現象を扱う団体はないようだからね。そのような内容のクラブを作れれば、き
っと楽しいことになると思う」
 目尻をわずかに細くして笑う佐々木に、俺は唖然の二文字を貼り付けたツラをしていただろう。
「ちょっと待て。それはあれか? つまるところの、超常現象――」
「研究会」
 佐々木が俺の言葉を引き取った。俺が目を点にしていたのは言うまでもない。

 佐々木が俺を瞠目させたのはこれが初めてではない。以前に一度だけ同じようなことがあった。
 他ならぬ中学時代、最高学年でいざ志望校を決める段になってのことで、こいつが俺と同じ
くこの県立高校に行くことに決めたと聞いて、俺はたいそう面食らった。佐々木は当時から学
年トップの座を揺るぎのないものとしていて、それゆえにてっきりここから遠くにある私立の
進学校のいずれかに行くのかとばかり思っていた。

 それ以来となる実に数ヶ月ぶりのサプライズである。
 学校の生徒手帳を見たところ、何でも新しい部を立ち上げるには最低五名の生徒が必要で、
つまり少なくともあと三名集めなくてはならない。
 が、佐々木はいざ行動するとなると実に迅速で、さながら春一番のような勢いと朗らかさで、
気づいた時には俺と佐々木以外の部員三名に加えて部室、プラス顧問まで用意してきやがった。
「キョン、物事はタイミングだよ。ここだと思ったときに躊躇すると、二度と訪れない出会い
や現象というものがあるのさ」
 俺は無意味に当惑した。一年以上こいつと友人関係にあるが、よもやこんな性質も兼ね備え
ていたとは思わなかったよ。
 俺が驚いている間に超常現象研究会は発足の運びとなり、その日のうちに俺は他部員三名と
引き合わされた。
「廊下で偶然出会った人にとりあえず話を持ちかけてみたんだがね。片端からOKの返事が来た
のは僥倖と言うべきだろうね」
 片手の平で指し示しつつ佐々木は、
「こちら、六組の周防九曜さん。この部屋は元々文芸部で、彼女は文芸部員でもあるんだが、
このたび超常現象研究会と兼部してくださることになった。この部室も共用ということで。彼
女がいなければこの幸運はもたらされたなかったと思うよ。奇特なお人だ」
「…………」
 当の周防九曜は何も言わなかった。以後数日と経たずに解ったが、こいつは地球上探しても
そうはいないってレベルの無口人間であり、眠たげに目を一度こすっただけで、他にリアクシ
ョンらしい動きもしなかった。ただ黒く長く量の多い髪と茫洋とした白い顔だけがやたら印象
に残った。
 佐々木は慇懃に十五度のお辞儀をして、次の説明に移る。
「こちらは橘京子さん。彼女は八組の生徒さ。入ろうとしていた部は他にいくつかあったそう
なんだが、僕が話を持ちかけると二つ返事で快諾してくれた。僕と気が合いそうだ」
 すると橘京子と呼ばれた少女は小首を振って柔らかく笑い、
「橘です。いろいろと気になることはあるのですが、今はただよろしくと言っておきます」
 ふふっと笑って隣にいる第三の部員の方を向いた。このままでは女子の中で俺だけ男という、
紅一点の真逆を実現してしまう寸前であったが、幸いにして次の人物は男子生徒であった。
 そいつは腕組みの姿勢で佐々木の説明を待たずに、
「藤原と呼べ。それだけ解れば十分だと判断するから、この場で他に言うべきことはない」
8名無しさん@ピンキー:2007/07/10(火) 22:08:32 ID:Y8Fb9wLi
 思わず「何様だお前」とチョップの一つも入れたくなった。しかし佐々木が、
「彼は二年生で、つまり上級生だ。この学校のことについても鞭撻を仰げると思うよ」
 そう言ってまたクスッと笑う。どうやら俺と藤原との視線の応酬が気に入ったらしい。
「と、まあそういうわけで。これからよろしくお願いします」
 佐々木が最後に総括して、めでたく(と言うべきかこの時の俺には解らなかったが)超常現
象研究会が発足したのである。ついでに言っておくと顧問教師は俺と佐々木のクラス担任であ
るハンドボールラヴァー体育教師の岡部だ。首尾よく判を押してくれたのは、佐々木の弁舌達
者な言葉運びと頭の切れ、そして何より人好きのする本人の性格によるところ大だろう。

 …
 ……
 ………

 と、こうして一年前にわれら超常現象研究会のメンバーは初顔合わせを果たしたわけで、以
来、慎ましやかな部長(本来会長となるのかもしれないが、「それでは生徒会長と紛らわしく
ないかい?」という佐々木の言葉で『部長』という呼称を採用した)の元、月に数度の割合で
実際に謎の現象が目撃されたり噂された地区を訪ねたり、かたや宇宙の神秘に触れるべく天体
観測を夜の校舎屋上に忍び込んで敢行したり、古来の文化からその悠久の歴史に潜む謎を知暁
すべく調べたり……。
 そういった具合に、時折合宿をとり行ったりもして、この一年思いもよらぬ体験をしてきた
俺だった。それと言うのも佐々木がこの会を起こしてくれたおかげなのだが、そういえば未だ
何がきっかけでこんな突拍子もないような集まりを起こそうと思ったのか、その理由を聞いて
いない。取り立てて訊くようなことでもないかと最近では思っているが、佐々木がこんな行動
に出たことに、当時の俺は一週間くらい疑念の徒となっていた気がする。


 さて、今現在の部室では俺と藤原によるチェスマッチが展開され、それを橘と佐々木が話の
伏目に見やり、周防が涼やかにページをめくるといういつもの風景が続いていた。
「チェックメイト」
 藤原が俺のキングを進退いずれも選択不可の極致に追いやって白星をあげた。これまでチェ
スに限らずあらゆる種類のボードゲームを主にこいつが持ってきて勝負してきたが、要領がい
いのか三回に二回はこの不遜な先輩上級生が勝ちを収める。
「むむ、ぬかったか」
 俺はスコアボードに自らの黒丸とその上に白丸を書くと、不敵に口の端を曲げている片割れに、
「休憩しないか。これで三連戦だしさ」
「いいだろう」
 ほんとなら先輩に対して敬語の一つも使うべきなのかもしれないが、いつの間にか互いに礼
節とか敬仰の念ってものを捨て去っている間柄である。こんだけ傲然とされればわざわざかし
こまって謙るのもはばかられるってものであり、藤原の才能と呼べなくもない。
「さ、それじゃ明日の予定を決めようか」
 言ったのは佐々木だった。基本的に議事進行も部長たるこいつが務めているのは、俺も橘も
藤原も周防も向いてないという単純な消去法によるものだ。
 佐々木は休み時間に森羅万象に対する小話をする時と何ら変わらぬ雰囲気のままで、
「ひさびさに市内散策をしようと思う。それといつもの場所で七夕に向けてプランを練ろう」
「お散歩は久しぶり。今からわくわくなのです」
 橘が相槌を打って佐々木とクスクス笑い合った。さながら年子の姉妹のように見えなくもない。
「…………」
 周防が金属光沢を思わせる犀利な瞳で俺を見た。
「七夕――」
 そう言うと漆黒の髪を微動もさせずに、周防はまた天体図鑑に目を落とした。何が言いたい
のか読み取れたことなどこの一年を通じて片手で数えるほどしかなかった気もするが、そんな
事態になる時は何かしらの黄信号が灯る時であると解っていたので、判別しかねた今は真実平
穏と見ていいんだろう。たぶん。
「他に意見のある人はいるかい? いつも言っていることだけど、なるべくなら全員の希望を
取り入れるようにしたいからね」
 すると橘京子が挙手とともに、
「はい。ウィンドーショッピングがしたいです」
9名無しさん@ピンキー:2007/07/10(火) 22:09:07 ID:Y8Fb9wLi
「またか」
 すかさずツッコミを入れるのは藤原である。反射的面訴に対し、主張者たる橘は、
「いつも何にも提案しないあなたより千倍マシだと思いますけど」
「ふ。何も買わない客というのは店舗にとって冷やかし以外の何物でもないからやめたらどう
だ。というのは僕にとって十分建設的な意見だがな」
「どう聞いたって退廃的だわ! 詭弁よ詭弁」
「何とでも言え」
 このようなやりとりはほぼ毎日のことで、その度俺は三種の渋茶を混合して口に含み続ける
ような表情となり、佐々木はクスクス笑いを続行。周防は何にしても反応らしい反応をしない
が、三回に一回くらいは目線をちらとよこすことがあり、どうやら興味がないわけでもないら
しい。
「まぁまぁ。しばらくぶりだしいいんじゃないかな。街路はかなり暑いと思うから、あんまり
長いこと外にいても身体に毒だしね」
 と部長が一声上げると結果的に丸く収まるのもこの研究会の常だった。かくして明日の予定
が決まり、やがてこの日の活動は終了した。

 部活が終わると、俺たちはいつも揃って長い坂道を麓の駅前まで歩き、それぞれに自宅方向
へ歩いて一日は終了する。
「じゃぁな」「また明日」「さようなら」「おう」「――」
 それが俺の静逸としつつもどこか珍奇な日常のメインパートだった。
 このメンバー、この部室、この時間。
 だから俺は安心していられた。
 そして、そんな日々が続いて行くと思っていた。

 しかし間違いだったのだ。
 ジグソーに違うピースが紛れ込んでるなんて甘いものではなく、その何もかもが。


 土曜日の朝。七時半に目を覚ました俺は、「いつもの場所」へ向けて自転車を駆った。
 月に数度、休日の会合をとり行うべく嘯聚するのがそこであり、すなわち北口駅前だ。
 学校の最寄駅とは離れたこの場所は市内から出かける際にも起点として役立ち、それは近隣
住民であれば誰もが同じである。
「おはようございます。晴れてよかったわ。陽射しが強くなりすぎるのは勘弁ですけど」
 唯一の先着者は橘京子だった。いつも思うのだが、休日となるとこの爛漫女子生徒の服装に
敵う相手はそういない。夏仕様と思しきフレアメッシュのカットソーは黄色を基調としていて、
めずらしくジーンズをはいている。一体洋服にどれだけ金かけてんだお前、と藤原なら言うか
もしれんが、俺は無用な火傷を負う気はないので黙っておこう。
「今日も藤原が最後かね」
 俺が疑問を投げると甲子園を目指す名門校の主将ピッチャーより鋭くキャッチしたこの八組
女子は、
「どうかしら。もしそうだったらこれで七連続ですよ? 許しがたいわ。いっそこれまでの分
も含めて全額奢らせたいくらいです」
 括った髪を揺らせてまだ現れない相手に対し気勢を上げるのはいいが、完全割り勘制は部長
の取り決めだし今後も揺るがないと思うぜ。
「佐々木さんは甘いんです! あぁいう侃侃諤諤とした上級生づらは、一度戒めないと解らな
いのよ」
「おや、早くもここは炎天下みたいだね。おはよう」
 佐々木が夏場であることを思わせぬ涼感伴う挨拶と共に現れた。勿忘草色のカーディガンに
フリルスカートは黒。示し合わせてるんじゃないかってくらい橘と守備範囲を違えているのは
単純に趣向の違いだろうか。
10名無しさん@ピンキー:2007/07/10(火) 22:09:40 ID:Y8Fb9wLi
 しばしの間超常現象研究会女子は昨日見たテレビドラマに関して独自の見解をそれぞれに話
し合っていたが、
「…………」
「遅くなった」
 無愛想担当の二名が同時に到着したところで会話を打ち切った。
「遅いどころじゃないのです。解ってるなら早く来て下さい。……あぁ、周防さんはいいの。
この腑抜け遅刻常習犯にあたしは言ってるのだから」
「――遅刻。……時間に――来ない」
「誰も遅刻していないけどね」
 佐々木が腕時計を見て爽やかに会話にオチをつけた。
「今日も暑くなりそうだし、とりあえず涼めるんなら早いとこ喫茶店に行っちまおう」
 俺が提案すると藤原が、
「同意する。この気候は僕には合わない」
「偉そうですねいつもいつも」
 唯一の三年生が何か言うと八割方橘のコメントがセットなのはいつものことである。
「――気温上昇」
 周防が北高制服の長袖で片目をこすり、
「それじゃ行こうか。時間は長いようで短いのだから」
 佐々木が言って一同が歩き出す。

 その時だった。

「いたっ!」
「うわ」
 誰かとぶつかった。
 振り向きざまだったのでまるで警戒のしようもなかった。肩にほど近いところへ誰かの頭部
がぶつかったらしい。俺は謝罪すべく接触した相手を確認する――。
「…………」
 シロウサギを思わせるくりくりした瞳が、俺を見上げていた。
「ごっ、ごめんなさいっ!」
 少女であった。とんでもなく可愛らしい姿の。
「いえ! こっちこそすいませんでした」
 彼女につられて俺も挙動不審がちに返礼する。
「あの、それじゃあたし急ぐんで。……さよならっ」
 そう言うと少女は俺の脇をそよ風のように通り抜けて駆けていく。
 十メートルほど向こうに、少女を待っていると思しき男女の集まりがあった。その面々に目を
やった俺は――

「痛っ!」

 超瞬間的頭痛が走った。痛みを感じた直後にはもうまったく普段通りというほどに一瞬なの
だが、刹那的に感じたそれは激痛と言っても差し支えないほどだった。
 俺は再び男女の集団に視線を飛ばす。するとその中の一人に目を奪われた。
 先ほどの春風少女が釈明しているらしい相手。黒髪のショートヘアを微風になびかせ、どこ
か傲然と眉を吊り上げているその人物も少女であった。
 どうやらその一団は女三人に男一人という編成らしく、見ると男のほうは連れの女性陣に負
けず劣らず眉目秀麗な顔立ちをしていた。……ははぁ、ハーレム状態ってやつか。
「キョン、どうしたんだ?」
 背後から佐々木の声がした。俺はすかさず振り向いて、
「ん、いや何でもない。ちょっと暑さにクラッと来ただけだ」
 と言いつつ今一度向こうの集団を振り返ると、唯一の男と目が合った。
 が、次の瞬間には背けられた。ひょっとしたら目が合った気がしただけだったのかもしれん。
「ならばなおのこと速やかに避暑と行こう」
11名無しさん@ピンキー:2007/07/10(火) 22:10:11 ID:Y8Fb9wLi
 佐々木は微笑を変えぬままで歩き出した。橘藤原が後に続き、俺もそのようにすべく身体を
反転させかけたところで、
「…………」
「周防?」
 黒髪緘黙娘が先ほどの一団が消えた方角へ瞬きせぬ視線を送っていることに気がついた。
「おいっ。行くぞ」
 目の前で手を振ると、周防は一度瞬きをしてこちらを目の端でとらえ、
「了解――」
 俺は何か言う代わりに首を傾げた。


 先ほどの一団が気になっていたのも店に入るまでのわずかな時間で、弱冷房が心地よい店内
に踏み入るとたちまち頭は切り替わった。
 先客がいない限りここにするといういつものテーブルに男女別で座り、さっそく佐々木と橘
がめいめいのバッグからノートやらパンフやらチラシやらを取り出す。
「佐々木さん、あたしからでいいかしら?」
「どうぞ」
 年中動摩擦係数ゼロの二人が実に円滑に順を決めた。
「七夕からはちょっとずれちゃうんですけど。夏休み。折角だからあたしの伯父さんの別荘で
合宿したらどうかなって思ったのです」
 そう言うと橘は旅行代理店のセールスレディのようにパンフレットを数冊広げた。
「別荘を持っているのかい? 気前のいい話だね」
 パンフの一冊をしげしげと眺めながら、佐々木は遅れて咲いたナズナのような笑みと共に言
った。
「俺らみたいな面識のない人間が行っちまっていいもんなのか?」
 俺が至極真っ当な疑問を呈すと、
「全然大丈夫です。あたしが小さい頃から伯父さんあたしにメロメロだもの」
 橘は伯父が倒錯者と疑われても仕方ないようなセリフをあっけらと言った。
「こんな通年調子はずれに見るべきところなど何一つないと思うがな」
 藤原がアイスブラックを啜って冷淡に言った。
「じゃあなたは来なくていいです。あたしと佐々木さんと周防さんとキョンくんとで行きます
から」
 橘はテーブルに両拳を叩いて言った。
 おい待て。そうなると俺は山奥の避暑地で精神的実質的孤独を否が応でも満喫する羽目になる。
「まぁまぁ。彼が本気で言ってるんじゃないのは橘さんだって解ってるだろう?」
 佐々木が柔よく仲裁を試みて、藤原、橘の両名は言葉抜きの返答をするのだった。さながら
変わりばんこにブランコに乗れと言われた近所の子どものごとき様相である。


 結局橘案は佐々木の如才ない仲介によって事なきを得て、合宿の開催が無事決定された。
 その佐々木はと言うと、
「さて七夕の夜だけどね。ベタではあるけれど天体観測をしたらどうかと思う」
 キラキラした瞳で部員全員を均等に覗って、事件の解決編を語る準備のできた私立探偵よろ
しく口の端で笑う。
「別に異を唱えるわけじゃないが、観望なら定期的にやってるよな」
 俺の言葉に佐々木は動じず、
「そうだね。だから今回は場所を移そうと思うんだ。いつもは学校の屋上に忍び込んでいるけ
れど、ちょうど格好の区画を提供してくれるって人物がいてね」
 俺が誰かと二秒ほど考えて、
「鶴屋さんか?」
「ご名答」
 正解だった。
 鶴屋さんというのは藤原と同じクラスの三年生で、事あるごとに俺たち超常現象研究会に現
れては快活に場を盛り上げて、最後まで同テンションのまま帰って行く愛嬌たっぷりの先輩で
ある。日本全土探してもそうそうないだろう大庭園を持つ日本家屋に住んでおり、それだけで
家系の重鎮ぶりが伺い知れる。
12名無しさん@ピンキー:2007/07/10(火) 22:10:43 ID:Y8Fb9wLi
「こことは別にもう一つ目立った小山が市内にあるだろう? どうやらあそこが彼女の家の私
有地らしくてね。七夕の話をしたら二つ返事で快諾してくださった」
 佐々木と鶴屋さんね。さてどっちから話を切り出したんだろう。
「晴れるといいですね」
「うん。僕もそう願っているよ」
 佐々木と橘のやり取りを耳にしつつ、ちょいと横目で藤原の表情を盗み見た。
 注意しないと解らないくらいの微細さで口角が上向いている。
「何を見ている?」
 即刻バレた。さすが抜け目がないな。
「ふ。一年もこのような場で話をしていれば、お前含め全員の性質なんて火を見るより明らかだ」
 腹話術のような小声で語りかけてくる上級生に、俺も息つくついでに返事をしてやった。

 やれやれ、ってね。


 翌日。日曜日のことである。
 俺はまるまる空いた一日を寝坊することもなく起きたものの、だからといって取り立ててす
ることは見当たらず、いや試験勉強すべきだが残るは文系科目だけなので何とかなるさと腹を
くくって漫然と午前を過ごしていた最中。
「キョンくん。電話だよーっ」
 妹が子機を片手にこちらへやって来た。
「誰からだ?」
「知らないひとー」
「名乗らなかったのか?」
「代わればわかるからって」
 小学六年生十一歳のわが妹は、ちろっと舌を出して受話器を俺に渡すとさっさと行ってしま
った。格好からしてありゃ友達の家にお出かけか。
 俺は点滅する保留ボタンを押して電話に出る。
「もしもし」
『もしもし。……こんにちは。初めまして、と言うべきですね』
 聞いたことのない男のものだった。
「誰だ?」
 いささか乱暴な訊き方になってしまったのは、俺に休日電話してくる同性など藤原でなけれ
ば谷口か国木田あたりがせいぜいであり、要するに心当たりがなかったからだ。
『佐々木さんの秘密を知る者……とでも言えば話は早いでしょうか?』
 その言葉に心臓が早鐘と警鐘を鳴らす。

 なぜ知っている。

 すると電話の主は俺の様子を察したのか、受話器越しで微かに感じ取れる笑い声とともに、
『いやだな。言っておきますが怪しい者ではありませんよ。どうやら時期が来たようなのでね。
あなたに接触する場を設ける必要があると思いまして』
 言ってる意味がさっぱり解らない。こいつは何者だ? 藤原や橘の仲間か? ……いや、だ
としたらあの二人が俺に事前に知らせておかないわけがない。
 電話の男は微笑する気配を維持したままで、
『どうか警戒を解いていただけませんか。謎を解きたいのでしたら、昨日あなたが佐々木さん
がたと集合した場所に午後一時に来て下さい。危害を加えないことだけはお約束しますよ』
 俺が何も言えないでいると、適当な別れの辞句とともに電話は切れた。
「何なんだよ」
 思わず疑問が口をついた。
 あいつは何て言った。……時期が来た? 佐々木の秘密を知ってる?
 それでなぜ俺に連絡してくる。解らないことだらけで脳内回路が火花を散らしそうだ。

 まず俺は橘や藤原に連絡するかどうか迷った。
 万一何かあった場合、頼れるのはあの二人くらいだ。電話の男は危害を加えないとか言って
たが、それじゃなぜ俺だけに連絡してくる。
13名無しさん@ピンキー:2007/07/10(火) 22:11:16 ID:Y8Fb9wLi
 迷うのは半時にして、俺は携帯に持ち替えてアドレス登録からまずは藤原の番号を呼び出す。
 コール。
「…………」
 出ない。待ってる間に留守電に切り替わっちまった。
 丁度手が塞がってるだけかもしれないが、胸を靄がかかったような不安がよぎる。
 やむなく橘に電話をかける。するとこちらはツーコールほどで反応があった。
「もしもし。あたしですけど、何か用でしょうか」
 変わらぬ声に俺はわずかばかり安堵する。
「橘。たった今佐々木の秘密を知ってるって男から電話があった。どうも俺に会いたいらしい
ことを言っていて、この後時間指定つきで待ち合わせすることになった」
 俺が言い終えると、続いたのは明らかな沈黙だった。
 受話器の向こうで表情を失う絵姿が見え始める頃になって、ようやく橘は口を開く。
「そう……。来たのね」
「奴は何者なんだ? 橘。お前はあいつを知ってるのか?」
 俺の質疑に電話向こうの同学年は、
「いいわ。彼に会ってください。言ってる通り、危害を加えるような真似はしないと思います。
詳しくはその後で」
 橘はそれだけ言うとしぼみかけの風船のような気の抜ける声でさよならを告げて電話を切った。
 何がどうなっているのだろう。さっきから謎が増える一方だ。
 今解っているのは、佐々木に関してまた何事か起ころうとしてるってことくらいか。
 脳裏の信号が静かに黄色に変わろうとしている。俺の感性は行くなと主張するが、行かなけ
ればもっと悪いことになるかもしれない。


 チャリを飛ばして昨日に引き続き駅前の広場に出向いた俺は、即座に一つの回答を得る。
 そこにいたのは昨日見かけた高校生グループの中にいた唯一の男子だった。
「電話の主はお前だったのか」
「遠目からだったのに覚えていてくださって光栄です。さ、立ち話は何ですから、どこかお店
にでも入りましょう。もちろん僕が奢りますよ」
 無闇に笑顔を振りまくハンサム野郎だった。俺より背が高く、外見だけなら俺は完敗の二文
字を闘う前から掲げる自信がある。
 どこでもいいですよと野郎がいったので、俺はいつもと違う喫茶店をわざわざ選んでそこに
入った。ウェイターにアイスコーヒーを注文して、できるだけ不機嫌な表情を意図して作るよ
うに心がける。
「自己紹介がまだでしたね。古泉一樹と申します。以後お見知り置きを」
 古泉と名乗るその男は、カジュアルスタイルの長袖を丁寧にまくって、若手営業三年目のよ
うな穏和かつ親和な微笑で、
「今日お越しいただいたのは他でもありません。あなた自身に僕らの存在を知っていただこう
と思いましてね」
 俺は瞑目すると、
「お前は何者だ」
「超能力者……と言えば、あなたにもピンとくるものがあるのではないですか?」
 将棋でとっておきの一手を差して相手の機先を制した時のような顔で古泉は言った。
 俺はというと、心臓を剣先で突っつかれたような当惑を覚え、それは外面にも現れたようだ
った。古泉はお冷を少し口に含んでから、
「本当は一年前にあなたとも面識を持っておくべきでした。橘さんさえいなければね。このよ
うなことにはならなかったのですが」
 橘がお前に何かしてたってのか。
「彼女の組織は我々のところより遥かに強力な力を有しているのですよ。組織力とでも申しま
しょうか。ですから迂闊に手を出そうものなら、反対にこちらが首を括られかねない。先ほど
何でもないようにかけた電話も、そこに至るまでにはひとつと言わず悶着があったのですよ」
 口数が多い割に何一つ核心に触れようとしない。それでいて依然すべてを知ってるかのよう
な笑みを貼り付けているのが癪に障る。
「早いこと本題に移ってくれないか」
「これは失礼を。ようやくあなたとこうしてお話する機会を設けられたもので、つい口が弾ん
でしまいました」
 気色悪いことをさらりと言って、古泉はなおも妍姿たる微笑を崩さない。
14名無しさん@ピンキー:2007/07/10(火) 22:11:47 ID:Y8Fb9wLi
「用件と言うのは他でもありません。佐々木さんの力をよそへ移していただきたいのです」
 迷い人に道を教えるような親切めいた口調による文言が、俺の思考を奪い去ろうとする。
 ……どうして知っている。
 古泉は俺の心中など意にも介さぬように話を続ける。
「涼宮ハルヒ、という人物をご存知でしょうか?」
 知らない名だ。涼宮。そんな姓の人物は俺の歴史上一度も存在したことがない。
「確かに珍しい苗字ではありますね。しかし、彼女の特異な点は何も名前だけに限った話では
ありません」
 ここで一度店内を睥睨した古泉は、俺に笑いかけるように視線を送りつつ、
「涼宮さんも世界を変えてしまう力を持つ資質を有しています」
 言葉の効果を確かめるように数拍置いた。間にコーヒーが運ばれてくる。
 古泉はたった今届いたそれを優雅に一口飲んで、
「佐々木さんが今現在有している力。それは元々涼宮さんが持つはずだった……と我々は考え
ています。あぁ、『我々』というのは、僕の所属する機関のことですが」
 俺は到底コーヒーを飲む気になどなれなかった。まるで毒でも入っていると聞かされたかの
ように、俺の背筋はシベリア寒気団も真っ青になるほど凍りついている。
「あなたもご存知の通り、佐々木さんには世界そのものを望む方向へと運ぶ力があります。今
のこの平和とも呼ぶべき日常は、まさしく彼女の力によってその姿を保っている」
 古泉は弁舌すべらかに話し続ける。……どうやら、こいつが佐々木について知っているとい
うのはハッタリやデマカセの類ではないらしい。
「そこまで解ってるのか。ならどうしてその涼宮だかって女にわざわざ力を移す必要がある」
 そう言うと古泉は深く頷いて、
「このままでは困る事情がありましてね。僕が今日ここであなたにお会いしたのはそのためです」
 事情ってな何だ。お前の面目が立たないなんてことなら今すぐ帰らせてもらう。
「それくらいであればむしろ歓迎すべき事態です。が、そんなに簡単な話ではないのです。こ
こでひとつ頼みがあります。今から僕とある場所に同行していただけませんか?」
「断る」
 誘いの類は全て断るつもりでいたので、俺は即答した。
 すると古泉は顔色一つ変えずに、
「予想していましたがつれませんね。その目で見ればあなたも考えを変えると思ったのですが。
ならば一つだけ申し添えて起きましょう。信じる信じないはあなた次第ですが、このまま佐々
木さんが力を持ち続けた場合。結果として世界は崩壊することになるでしょう」
 言うに事欠いてそれか。ヒーローショーに興じる幼稚園児でも騙されやしないと思うがな。
「僕だって無意味な道化を演じるために一年も待ったりはしませんよ」
 古泉一樹との険悪な会談はそうして幕を閉じた。


『彼らとは四年前からずっと平行線状態なのです』
 古泉一樹との二者面談の後、俺は橘京子に再度電話した。
 受話器越しの橘の声はいつもと変わって神妙だった。
『あなたも知ってるように、あたしたちの組織は佐々木さんの存在をすべての軸として発足し
ています』
 一呼吸するような間を置いて、
『いっぽう彼――古泉さんの所属する機関は佐々木さんではなく、涼宮ハルヒさんのほうに焦
点を当てているのです。話し合いの場を設けた最初の日から、あたしたちとあちらの意見はい
っこうにまとまる気配を見せませんでした。今では冷たい相互干渉を続けるばかり』
「何だって急にこっちに接近してくる必要があるんだ? ……いや、その理由はあの古泉も言
ってたな。佐々木の力をその涼宮って女に移せとか。じゃないと世界は崩壊するとまで」
 俺が言うと、橘は考えこむような空白ののち、
『……そんなことを言ったのですか。言い分だけなら何となく解りますけれど』
 俺にはさっぱり解らない。
『あなたが言ったように、彼らは涼宮ハルヒさんに佐々木さんの力が宿っていないと世界は崩
壊してしまうと考えているんです。いいえ、考える以前にそう感じているの。あなたは自分が
日本人で、男であることを当たり前だと思っているでしょう? それくらいの確信があるんです』
 お前は佐々木に対してそう思ってるんだもんな。
15名無しさん@ピンキー:2007/07/10(火) 22:12:21 ID:Y8Fb9wLi
『ええそうよ。それは再三話した通り。だから涼宮さんに力を移すなんてもってのほかなんです』
 また沈黙の停滞があったが、橘は付け足すように、
『あなたは……どう思ってますか?』
 何だそれは。
『佐々木さんがこのままなら、世界は無事に続くってあたしは信じています。けれどあなたは
どう? 誰に神様の力が宿ればいいと思いますか?』
 冗談のような話だが嘘でも何でもないのはよく解っている。
 が、だからってそんな得体の知れん力の適格者が誰かなんて訊かれて、どう答えろというの
だろう?

 しかし、俺はこう思う。
 今さら佐々木から力を奪って他の奴に押し付けるくらいなら、自覚ないままでわれらが部長
に持ってもらって、その収集を俺たちでつけてるほうがいいんじゃないか? 少なくとも二者
択一で答えを迫られたら俺はそう返事する。これまで何とか五人でやってきたんだ。これから
もきっとうまくやっていける。

『……よかった。それなら大丈夫ですね』
 橘の安堵を音符に変えたような口調が耳に響く。
『佐々木さんにはあなたがお似合いだと思うもの』
 心臓を直に触れられるようなセリフだった。俺が何か苦し紛れのイイワケをするより早く、
『これからも傍にいてあげてね』
 悔しいことに何も言い返せず、以降俺が発せたのは通話終わりの挨拶くらいだった。


 ベッドに寝転んで天井を見上げると、古泉一樹のムカの入る無害スマイルが浮かび上がって
きた。何か知らんが腹立たしい。俺は首を振ってその残滓を振り払い、風呂でも入るかと身を
起こす。
 すると妹が部屋に入ってきて、
「キョンくーん。お客さーん」
「誰だ」
「藤原くん。今日は京子ちゃんと一緒じゃないんだね」
 勝手に俺の机から文房具をカチャカチャと漁りつつ妹は言った。それをあの素直と対局にい
る先輩男子に聞かせたら面白い表情が見れると思うぜ。
 なんてことは言わずに俺は適当に手を振ってドアを閉めると階段を下りた。本人が下にいる
んじゃ、妹がいつ何時吹き込んだ悪知恵を実行するとも限らんしな。その場合真っ先に俺に容
疑がかかり、冤罪かどうかなんて関係無しに三日間くらいは遊ぶゲームをオセロにされる。定
石を知ってるのか、オセロじゃ藤原の勝率は実に九割を超える。奢り連チャンはごめんなんでね。


「よう。着信履歴を見てな。こちらも用があったから来てやった」
 デフォルトでセリフにキャット空中三回転半ひねりがかかる先輩藤原が言った。
「立ち話も何だ。歩こうじゃないか」
 俺はこの提案に頷いた。夏の夜。街頭には散歩するにも物思いに耽るにもうってつけの舞台
が広がっている。
「古泉一樹と会ったのか」
 藤原は言った。口調は相変わらずいつも皮肉を言う調子と変わらないが、変わってもらって
も困るように思うので俺は素直に肯定し、
「お前もあいつを知ってるのか」
 すると藤原は首を振って、
「詳しいことは聞いていない。ただこの時代に来る時に調べた名前の中にあったというだけの
話だ。別の人物ならともかく、その男に至っちゃ僕の管轄外だ」
 何やら含みのある言い方だったが、藤原はまたも首を振り、
「重要なのはそこじゃない。ついさっき起きたことにある。厄介なことに原因は不明だ。佐々
木にあると片付けてしまうのは簡単だが、さてそうすんなり行くだろうか」
16名無しさん@ピンキー:2007/07/10(火) 22:12:55 ID:Y8Fb9wLi
「何が起きたってんだよ」
 公園を迂回して、道は引き続き街灯の照らす閑静な住宅街である。通行人は誰もおらず、さ
すがにまだ時期が早いから寝坊したセミが鳴いてることもない。

「未来時空との交信が一切絶たれた」

 俺は歩みを止めていた。
 目と口を半開きにしたままで、半袖シャツが夜光をほのかに反射する藤原の立ち姿を見ていた。
「いいリアクションだ。そのくらいの当惑がほしかった。わざわざ来た甲斐があるというものだ」
 冗談のように口の端を歪ませる笑い方もいつものものだったが、
「時間移動はどうした? ひょっとして……」
「皆まで言うな。その通りだ。今現在の僕はTPDDを使うことができない。あるのに使用停止さ
れている。遺憾だが原因を独力で突き止めるのは無理みたいだ」
 ふっ、と息を吐いて諦観の微苦笑。お前。何でもないみたいに言ってるが、もしも元いた時
代に帰れないなんてことになったらどうなるんだよ。
「さあな。……ここで暮らすか? 文明も思想も亀の歩みのこの時代で?」
 藤原はそう言うと一人で歩き出した。対話者たる俺に背を向けて。

 追いかけようとすると気配を察したのか手を振って「来るな」のジェスチャーとし、やがて
夜陰にまぎれて藤原はどこかへ消えた。それがあの上級生なりの付き合い方なのだということを
俺はこれまでの経験から知っている。へこんでも折れる奴じゃないってこともな。週明けには
元通り登校して解決策を練ろうとするに決まっている。

 そして、俺は今回も何とかなることを信じて疑わなかった。
 これまでやってこれたから、という、ただその頼りない一点のみを理由に。
 次第に強くなろうとしていた風の前に灯された、それは細く脆い蝋燭であるとも知らずに。


 一年前、佐々木が集めた三人はたまたまなどではなく、ある必然によって一同に会した。

 橘京子は超能力者である。
 橘には佐々木の内面を投影した『閉鎖空間』に入り込む能力があり、そこから佐々木の心理
状態を知ることができる。閉鎖空間の内部は誰もいないことと色が単色であること以外はこの
世界とまったく同じ。通常淡いクリームイエローで統一された色調は、時に紺色になったり、
グレーになったり、さながら水彩画の信号のように佐々木の心情を反映する。元の色に戻らな
いと、通常空間のどこかに何らかの発露があり、それは大抵自然災害や天変地異の形を伴って
世界のどこかに降りそそぐ。四年前、橘は佐々木の力を察知し抑制する方法を悟り、そうして
超能力者となった。似たような力を持つ人物があと数人いるらしい。

 周防九曜は宇宙人だ。
 本人曰く『天蓋領域』という名の宇宙にまたがる情報意識体で、実体はなく、不可能もない。
……と考えられていたが、佐々木が物理法則を無視して超常現象を発生させる不可解な能力を
保有していることに気づき、その調査をすべく人類とコミュニケートできる人型端末を作製し
て地球に送り込んだ。観察用端末たる有機インターフェースこそが周防九曜である。天蓋領域
と直接コネクトできる周防は、人間とはおよそかけはなれた魔法のような力を持っていて、こ
れまでにも何度か助けられた。

 唯一の先輩藤原は未来人だ。
 どれくらい先の時空から来たのか明言はしていないが、藤原は時間跳躍を可能とする無形の
装置を持っている。ゆえに過去や未来へ時間を遡ったり進んだりすることが可能なのだが、ど
うも制限があるらしく、自在に使えるわけではないらしい。元いた時代と連絡を取って、許可
が下りれば時間移動できる。藤原がこの時代に来たのは、佐々木が原因と思しき時空障壁が現
在にあり、これより過去へ向かうことができず、その原因を突き止めるためという話だった。
17名無しさん@ピンキー:2007/07/10(火) 22:13:28 ID:Y8Fb9wLi

 三者ともそれぞれ別の勢力に属し、目的もバラバラであるにも関わらず、一年以上この超常
現象研究会で同じ日々を過ごしてきた。依然として各々の目的は達成されていないらしいが、
それが佐々木の力とどう関係しているのか、誰にも解らない。


 馴染みとなった通学路を今日も歩きつつ、俺は思う。
 何かが起きようとしている――。
 日が変わってもまだ古泉一樹とやらの柔和な笑みが浮かんで消え、昨日の藤原の発言を思
い出して胸騒ぎを感じる。


 テスト最終日は心ここにあらずを体現した答案を虚ろに作成して終了し、掃除当番の佐々木を
残して俺は一人部室へ向かった。
 ドアを開けると橘京子がすでにいて、藤原周防の二名はまだ来ていなかった。
 俺が鞄を置いて座ると、橘は読んでいたファッション誌を半分閉じて顔を上げた。
「こんにちは。テストどうでした?」
「最初に訊くのがそれか。心の安寧を得るために部室に来てるんだがな」
 俺が言うと橘は愛想笑いのような表情を一瞬浮かべるものの、すぐにそれは曇り空へと変化
する。
「……彼ら、このまま引き下がるとは思えません」
 俺は何も言わずに顎を引いた。カーテンが風になびいているが、入ってくるのは湿気を含み
すぎた南国のような熱風だ。
「涼宮ハルヒさんの周囲には古泉さん以外にもあと二人、彼女に関心を抱いている人がいます」
「まさか宇宙人と未来人じゃないよな」
 そう言うと橘は眉根を微動させてお使いのお金を落としてしまった子どものように顎を引いた。
「その通りです。藤原くんとも周防さんとも違うところから来た人たち」
 いっそ冗談めかして言ってほしかったものだ。
「そいつらも佐々木の力をよこせって言い出すのか」
 橘はいきなり最難関の問題を出されたクイズ回答者のように嘆息して、
「それは解りません。あたしが藤原くんや周防さんのことを詳しく解らないこと以上に、あっ
ちの人たちの動向は謎に包まれています」
 心なしか自信なさそうに見えるのは、超能力者であることを除けばこいつも普通人と何ら変
わりないからだろうか。
 ガチャっとドアが開いて藤原が現れた。
「あの生徒会長め。どこまで目が鋭いんだ」
 独り言と共に登場したヒネクレ高校生は鞄を乱雑に放って俺の向かいに座った。
 ひとしきり部室を見渡した藤原は隣の女子に目を止め、
「どうした湿っぽい顔して。不快指数が上がるからやめろ」
 見たとこ藤原は普通どおりだったが、マイナスが基本となっている発言を受けて橘は、
「うるさいです。……たまにはその暴言癖をどうにかしたら」
 口を結んでわずかに顎を引いた。夏服の襟を仰いでいた藤原は再び脇に視線をやって、
「何があったか知らないが、落ち込むのはひとりでやれ。ただでさえ蒸し暑いというのに、こ
の上辛気臭いのはごめんこうむる」
「この……!」
 橘は一瞬挑むような目つきで藤原へ向いたが、躊躇してまた元に戻り、
「今日は帰ります。佐々木さんによろしく」
 未完成の凧のようにふらふらと立ち上がって部室から出て行った。
 その様子を無愛想に見ていた藤原はドアに向かって、
「何だあれは。ただでさえ女というのは理解しがたいが、あいつは群を抜いている」
「お前、周防の寡黙さと佐々木の穏健さをちょっと分けてもらえよ」
「お断りだ。僕は誰の指図も受けない」
 腕組みして苛々を言外に表していた。橘は気の毒だったが、あいつは藤原が今この時代に取
り残されてることを知らないはずだ。歴史の年表にある時間にひとり置き去りになれば、そり
ゃ八つ当たりのひとつもしたくなるだろう。俺なら校舎の窓ガラスを片端から叩き割るくらい
してるかもしれん。
18名無しさん@ピンキー:2007/07/10(火) 22:13:59 ID:Y8Fb9wLi
「何なんだどいつもこいつも。これだから群れるのは嫌なんだ」
 悪態をつく藤原にゲームするか訊こうとして、結局やめた。ご機嫌取りと思われるのは願
い下げだ。
「なぁあんた」
 ここに来てあんた呼ばわりである。この亭主が妻に投げるようなぶしつけな呼びかけは何
とかならんものだろうか。
「朝比奈みくるって奴がいる」
 突然何だろう。意味をつかみかねて眼を瞬く俺に、
「この前あんたにぶつかった女だ」
 あの美少女か。
 そう言うと藤原は鼻で笑って、
「あの女も未来から来ている」
 さらりとネタバレをした。これで残っていた敵役宇宙人未来人の席が片方埋まったことになる。
「僕と目的はそう違わないはずだ。だがそれだけにいつも目障りだった」
 俺が朝比奈みくるさんとやらを拝見したのはこの前が始めてだったが、藤原はそうではない
らしい。まるで朝っぱらから銀歯が取れてムカの入ったような顔をしている。
「頼みがある」
 急に藤原は俺に向き直った。相変わらず寝不足三日続きのような不平顔で、しかし目線だけ
は固定したまま。
「朝比奈みくるから聞き出してほしいことがある」
 言われて俺は何となく検討がついた。
「時間移動についてか」
「ふ。察しがいいじゃないか。……その通り。あいつが今TPDDを使えるかどうか知りたい」
 タイムプレーンデストロイドデバイス。略してTPDD。時間移動に必要な無形装置らしいとい
うことまでしか知らないが、その不可視のタイムマシンを彼女も持ってるのか。
「詳しくは禁則だ。が、その解釈で合っている。僕が懸念するのは、朝比奈みくるも時間跳躍
できなくなっているという可能性だ。あいつが時間移動できるのならまだいい。それならこち
らの仕組みが何らかの支障をきたしたということで片づく」
 ここで藤原は一度天井を見て、
「だがな、もし朝比奈みくるもこの時空に切り離されているのだとしたら、この件は急速に重
要度と深刻度を増してくる。僕はそう睨んでいる」
 面を下げて机の一点を睨んだ。
「奴らは光陽園学院に通っている」
 藤原は簡潔に述べ、
「おそらくお前ならある程度までは簡単に接近できるはずだ。……古泉と言ったか。あの現地
民はお前を興味対象としているようだからな」
 男に好かれても鳥肌全開になるだけなのだが。
 がちゃ。
 ドアが開いて佐々木と九曜、それと橘が戻ってきた。
「や。掃除が終わって周防さんと二人でここへ向かっていたら、元気のない彼女とばったり出
くわしてね」
 佐々木は橘に流し目を送り、
「色々話していたら遅れてしまったよ。……ときに藤原先輩? かつて欧米でレディファース
トという心がけが浸透していたのをご存知かな?」
 そのまま藤原へにっこり微笑んだ。当の藤原はその視線を受け流し、
「寡聞にして知らない。悪いが教えてくれないか」
「平たく言ってしまえば、男性は女性を守ろうとするのが美しいという観念さ。今は概ね男女
平等が美徳とされているがね」
「つまり僕に謝れと言うのか」
 すると佐々木は微塵も怒る気配を見せず、むしろ面白がるようにクックッと笑い、
「そうではないよ。ただね、狭量な価値観ばかり尊重していると、時に思わぬしっぺ返しを食
うことがあるってことさ」
「何が言いた――」
 佐々木に向き直ろうとした藤原は途中で首の動きを止めた。俺も今気づいた。最後尾にいた
橘はこちらに背を向けるようにしてこうべを垂れ、震度一くらいの微小さで肩を震わせていた
のである。
19名無しさん@ピンキー:2007/07/10(火) 22:14:31 ID:Y8Fb9wLi
 佐々木はなおもにこにこと笑っていたが、
「テストも終わったことだし、今日は新たにひとつ提案をしたかったんだがね。これではまだ
話を始められそうにないから」
 藤原はサブリミナルのように瞬刻どきりとして見えた。
 罰が悪いを地で行くかのように藤原は笑窪をいびつに出したり消したりしていたが、
「さっきは言いすぎた。……すまない」
 むず痒くてしょうがないのが一目瞭然な調子でようやく言った。
 すると、
「……ぷぷぷ」
 漏れた声は泣いているはずの橘のものである。今や両手で小腹を押さえて引きつりがちに身
体を震わせ、
「ぷ……くくく。ふふふふふ。引っかかったわね!」
 くるっと振り向いて早咲きのヒマワリのように笑った。
「涙は女の武器って古来から言うけれど、これだけ効くとは思いませんでした」
 ドッキリを抜かりなく仕掛け終わって大満足な様子に、
「っぐ。こいつ……!」
 急な崖を転げ落ちる洗濯機の中のように目まぐるしく顔色を変える藤原。
「いや、いいものを見させてもらったよ。くくく。橘さん、あなたの演技力は大したものだね」
 佐々木は真実笑いをこらえていたらしく、声を出さずに思い切りウケているようだった。
「――――?」
 周防だけがツボをとらえ切れずに藤原を見て、五秒経って橘を見てしているが、さすがに今
のやり取りを理解しないのは勿体ない。折角だから後で人間の心の機微について小十分ほど説
いてみるのも一興かもしれない。


「この週末に花火大会があるらしい」
 ひとしきり落ち着いて、元通り台形にテーブルを囲んで座った五人の中、部長は提案する。
「ちょっと電車を乗り継ぐ必要があるんだがね。かと言って遠方というほどの場所でもないか
ら、打ち上げがてらどうかと思って」
 目線で佐々木からバトンを渡された俺は即答。
「ああ、丁度試験に痛んだ己が魂を慰安してやりたいとこだったからな。花火ね。これほどぴ
ったりな気晴らしはないってもんだ」
 佐々木が満足気に頷いた。貴やかな笑み。
「はいはい! 罰ゲームとして藤原くんに焼きそば奢ってもらいたいです!」
「おい貴様! それはペナルティでもなければ賛成意見でも何でもないだろうが!」
 手を挙げた橘に藤原が脊髄反射。早くも二者間で火花が散って前哨戦の様相である。
「――」
「周防さん、花火は好きかい?」
 黒曜石を宿した瞳をまつろわせ、周防は無言の疑問符を頭に浮かべた。
「爆発――期限――起源」
 微妙に誤変換をして周防は呟いた。俺は花火とは何であるかを説明してやった。
 すると周防は、
「……見る」
「決まりだね」
 佐々木が相槌を打った。見事なもんだ。俺ならこのアンバランス極まる集まりの重心をとる
なんて芸当、とてもじゃないができそうにない。
「はい佐々木さん! ついでにウィンドーショッピングを――」
「完全に関係ないだろう!」
 藤原をダウナーから一時的アッパーに変えることが出来るのは橘ただ一人である。


 かくしてこの日の放課後は終わりを向かえた。
 先ほどまでの横転転覆ムードはどこへやら。佐々木とはそういう包容力を持った存在なのだ。
 こいつがいるから今の部活がある。
 俺たちは何とかして、佐々木の奇妙な能力がフェードアウトするまで、この日常を維持すべ
く力を合わせなくてはならず、それが俺の意思だった。
20名無しさん@ピンキー:2007/07/10(火) 22:15:03 ID:Y8Fb9wLi

 いや、俺だけじゃない。全員の意思であるはずだった。


 俺が光陽園学院に出向いたのは三日後のことだ。他ならぬ藤原の頼みを受けたからで、あい
つが俺にこんな申し出をすることなどこれまですべてひっくるめても片手で数えるほどしかない。
 少なからず俺は警戒してここへ来たつもりで、それは俺たちと主義を異にしているだろう集
まりと会うからだ。
 光陽園学院は北高のある山の麓からちょっと歩いたところにある私立の高校だ。男子の学ラ
ンと女子の黒ブレザーがいかにもハイソな品格と高貴さを漂わせていて、何となくではあるが
県立校の制服を纏っていると近寄りがたい雰囲気がある。
 下校時刻を向かえると、生徒がアリの群れのようにして昇降口から出てくる。予想はしてい
たが、その集団のなかに朝比奈みくるや古泉一樹の姿はなかった。休日にまで集まる間柄なら
ば、放課後も集まってる可能性は大いにあった。
 そこまでは想定通りでよかった。が、直後に俺は意表を突かれる。
「こんにちは」
 背中を一グラム重くらいの力でとんとん叩かれる。瞬間振り返った俺の目に入ったのは、二
人の女子高生の姿であった。
 一人は朝比奈みくるさんに相違ない。先日抱いた印象を違えるどころか倍化させそうな美少
女ぶりは、彼女の立場が藤原の対極なんてポジションでなければ卒倒して求愛していたかもし
れないほどである。……普通敵役ってのはもう少し意地の悪そうな顔してるもんじゃないか?
これじゃ戦意喪失も甚だしい。
 残る一人は見覚えのない、髪の短い少女であった。もしかしたら朝比奈さんたちを見たあの
時一緒にいたのかもしれないが、印象にも記憶にもまったく残っていない。今相対していても
そのまま空気に溶けてしまいそうな淡い印象を滲ませている。
「朝比奈みくるさんですか」
 俺は既知であったほうの光陽園生へ問うた。するとどこかおっかなびっくりとした彼女は、
「はいっ。えっと……その……あなたは」
 そこで俺の名前を彼女は言って
「――ですよね?」
 俺は頷いて、
「なぜ俺が来るって解ったんですか。誰にも言ってないし約束もしてないはずなんですが」
 自然と敬語が出たが、それは見るものを陶然とさせる彼女の容姿と雰囲気のせいであったか
もしれない。何となく祖国の姫を厳重警護する衛視のような気分を抱かせる。
 すると朝比奈さんは躊躇の色を見せて、
「それは……」
「わたしが干渉した」
 並ぶもう一人がぽつんと言った。聞いた瞬間記憶から消えるような声音である。
「我々は一度あなたに会う必要があった。これはそのための手段、措置」
 いちおう目線をこちらへ向けているものの、その向こうにある空か、あるいはもっと向こう
の茫漠たる宇宙空間のさらに遠くを見ているような視線だった。
「あの……どこかお店にでも入りませんか?」
 非常に申し訳なさそうに尋ねる朝比奈さんは、その通り申し訳なさそうな仕草とともに提案
した。


 かくして俺と朝比奈さんと名を知らぬ少女は近場にあった喫茶へとすべり込んだ。駅からほ
ど近い場所にあるものの一度も来たことがなかったのは、単純に日頃の生活圏からここが漏れ
ているからであろう。
 朝比奈さんは公演当日突如主役に抜擢された新米舞台女優のように当惑することしきりで、
「あの、……彼女は長門さんです」
 隣の空気少女を手のひらで示した。長門さんと呼ばれた少女は一度瞬きし、
「長門有希」
 とだけ告げた。瞳にはそのもの虚無と、ぱかっと口を開けた俺が映りこんでいた。
21名無しさん@ピンキー:2007/07/10(火) 22:15:35 ID:Y8Fb9wLi
「古泉くんとはもう会ったんですよね?」
 朝比奈さんは障子を破ってしまい母親の機嫌を伺う娘のようにして上目で俺を見た。そんな
仕草がまたクラリときそうなのだが、そんな場合でも状況でも立場でもない。
「ええ。自分の耳より先にあいつの頭を疑う話を聞かされましたよ」
 メニューを取って注文を適当に決め、最終的に俺がアイスコーヒーとアイスティー二つをウ
ェイターに注文した。
 ややあって朝比奈さんは困ったように視線を移ろわせ、
「そのことなんですが。……あたしは、古泉くんと違う考えを持っています。涼宮さんが力を
持っていなかったとしても、世界が終わってしまうなんて思わないわ」
 ここで朝比奈さんは濃霧の最中に突如迷い込んだように困惑色を強め、
「けれど……」
 言葉が霧消する。自分の意見を表明するのが苦手な人なのだろうか。
 俺は軽く喉を鳴らして、
「あの、これだけは言っておきたいんですが」
 朝比奈さんに極力同調しないよう、意識的にチャンネルを変え、
「佐々木の力を移そうなんて俺はこれっぽっちも考えません。そんなことができるのかも疑問
ですが、会ったこともない涼宮って人に渡しちまうくらいなら、これまで通り俺たちで後始末
も含めて何とかします。この意見を変えるつもりもありません」
 すると朝比奈さんはカタツムリが歩むくらいの速度でゆっくり顎を引いて、
「はい。……あたしもそう言うと思ってましたから」
 彼女はつかの間横目で長門有希を窺った。当の長門は別段俺たちの会話に関心を示す風もな
く、ただ飄々と届いたアイスティーを啜っている。
 どうも当を得ないな。じゃぁこの二人が俺に会った目的は何だって話になる。古泉一樹の主
張はこの二人に比べれば格段に瞭然としていたが、逆にここにいる女子高生コンビは何しに来
たんだ?
 煙霞の向こうに影をひそめる二人の思惑を推測することは無為に思え、しかるに俺は首を振
った。
「朝比奈さん。話によるとあなたは確か未来人で、ということはつまり時間移動もできるんで
すよね?」
 率直に訊いた。迂遠な韜晦よりこの方が早いし、効果的と判断したからだ。
 すると彼女は上体だけで騰躍し、
「えっ!? ええと……あの……その」
 露骨に当惑した。これではできますとジェスチャーしてるようなものだったが、問題はその
先なのだ。
「それともできませんか。何でも時間移動ってのは限られた人しかできないって話で」
 俺が言うと朝比奈さんは食べものを喉に詰まらせかけた幼児のように目を白黒させそうにな
ったが、何とか紅茶を飲んで息を整え、
「はい、そうです。けど……」
 頭に手を当てて集中しようするも、結局首を振るとそれきり黙してしまった。
 俺はアイスコーヒーを飲んで考える。
 ふたつ解ったことがある。
 ひとつは、朝比奈さんというこの未来人らしき光陽園生は、情報を隠したり駆け引きしたリ
というのが得意ではないらしいこと。
 もうひとつは、彼女も今時間移動を行えない可能性があるということだ。朝比奈さんには申
し訳ないが彼女は粗忽者だった。さすがに何度か見た藤原の未来交信と同じ仕草をすればそれ
くらい解る。確信が持てたわけじゃないが、反対にこれ以上の詮索は慎んだ方がよさそうだ。
 俺は停頓する空気を何とか流すべく、隣の静逸とした風情の女子に、
「で、お前は宇宙人てことでいいのか」
 そう言うと長門有希は二秒ほど俺と視線を交わしていたが、無謬なる表情に別段変化を及ぼ
すこともなく首だけをちょいと引いて、
「通俗的表現を用いればそれで間違いない」
 とだけ言ってまたアイスティーを一口飲んだ。周防もそうだが、宇宙人ってのはもう少し愛
想とか愛嬌を学習してもいいんじゃなかろうか。
 俺はまた朝比奈さんに向き直り、
「涼宮ってのはどんな女なんですか? 参考がてら聞いておきたいんですが」
22名無しさん@ピンキー:2007/07/10(火) 22:16:08 ID:Y8Fb9wLi
 そう言うと朝比奈さんはキョトンとして、
「涼宮さんですか……? そうだなぁ。普段は明るくて勉強も運動もできるし、あたしたちと
も仲良しなんですけど」
 間を置いて考えこみ、
「時々、ぼんやりとしてることがあって、そういう時には何を話しかけても上の空っていうか」
 浮かんだのは凛とした才色兼備の優等生である。何でもできて友達に不自由もしてないんな
ら退屈する要素などどこにもないだろう。それとも満たされすぎて現実がつまらんのだろうか。
 と、そこで俺は思い当たる。
「朝比奈さん。その涼宮ハルヒはあなたたちの正体を知っているんですか?」
 すると彼女は猛烈な勢いでもって首をぶんぶん振った。
「いいえ! そんなことできません。涼宮さんがあたしたちの正体を知ってしまったら、何が
起きるか想像もつかないもの……」
 俺は少なからずこの朝比奈さんとやらに共感する。
 いつからか、佐々木に橘たちの秘密を明かさないようにすることが俺や部員の中で暗黙の了
解となっており、半ば無意識のうちにあいつの現状認識にセーブをかけることが必須事項とな
っていた。橘いわく「佐々木さんにはずっと平和な心でいてほしいのです」。

 その佐々木が超常現象研究会を立ち上げたのには理由があるはずだった。
 ついぞ明確な答えを聞いていないままだが、よもや本当に不思議現象に遭遇することを望ん
でいたのだろうか。設立当初から活動内容に困ってる様子はなかったが。
 佐々木には世界全体に影響してしまう厄介な力が備わっている。もしも宇宙人や未来人や超
能力者なんてものが本当にいると佐々木が知ってしまい、そのように現実認識を改めた場合、
果たして世界そのものにはどういった発露があるのか、想像もつかない。
 と、ここで俺はまたも疑問に直面して朝比奈さんに質疑する。
「でも、その涼宮ハルヒに世界をどうにかする力はないんですよね?」
 朝比奈さんはこの問いに本日最大の困窮を見せ、結果として俺に答えを述べなかった。
 「あぅ」とか「えっと」とか、何か言おうとするが口をパクパクさせるの繰り返し。やむな
く俺は彼女をそっと制してこの問題を流してしまった。そもそも会うのが二回目の俺にそこま
で話す義理などないし、話せない事柄などいくらでもあると思うからな。
「俺から訊くことはもう何もありません。朝比奈さんは大丈夫ですか?」
「えぇ、平気です。あの、あたしは佐々木さんの力を移そうなんて思ってませんから。それだ
けは解っていてくださいね」
 言い終わると朝比奈さんはほっと安堵の息を漏らし、最後にちょっとだけ笑ってくれたのが
何とも愛らしかった。今日一日でファンになってしまいそうである。


 喫茶店を出るとまとわりつくような熱気と曙光が肌を撫でた。うんざりしつつも去り際の挨
拶だけは爽やかにすべく俺は振り返る。
「それじゃまた」
「はい。今日はありがとうございました」
 朝比奈さんはにこっと微笑んだ。
 手を振って背中を向ける直前、気配を感じた。
「…………」
 すでに歩き出す様子の朝比奈さんの傍ら、長門有希が俺に視線を送っていた。
「あのぅ、長門さん?」
 朝比奈さんが戻ってきて呼びかけた。長門有希は瞬きすると朝比奈さんに何か言って、それ
から二人で歩き出した。
 何だったんだ。言い忘れたことでもあったのか? そういやあいつは何のためにあの場にい
たのだろう。

23名無しさん@ピンキー:2007/07/10(火) 22:16:43 ID:Y8Fb9wLi
 帰って俺は藤原に電話をした。
『そうか。それだけ解れば十分だ。……考慮の余地がある』
「けど、だからってあの人が未来と通信できないって決めてかかるには材料が足りないと思う
ぜ。うっかり者らしかったし、たまたまそう見えただけかもしれない」
 俺の考えに藤原は受話器越しで微かに失笑する音を出し、
『いいかキョン。世の中偶然などということはそうそうありはしない。結果があるからには推
定すべき原因がそこにはある。見るべきはそれだけだ』
 じゃあな、と言って電話は切れた。ごくまれにあだ名で俺を呼ぶあたり、ほんと小癪な奴で
ある。素直ならざる性質こそがあいつのアイデンティティなのかもしれないが。
 通話を終えた俺は風呂に入った。短時間浴槽に浸かりながら、先ほどの朝比奈みくるさんと
長門有希との談合の様子を回想する。
 涼宮ハルヒ。一体どんな人物なんだろうか。
 先週の邂逅時にはよもやあの集団にこんな背景があるとも知らず、特別記憶してもいなかっ
たから思い出せと言われても映像が浮かばない。黒髪ショートの奴がいたくらいしか。


 一足早い夏祭りは土日をかけて開催されるようで、土曜の夕方に集合をかけた俺たち超常現
象研究会は、連れ立って休日専用の集合場所から駅のホームへと赴いた。
「実に清々しいね。僕は夏の暑さは好きになれないけれど、夕涼みはいいものだ」
「……しかしこの民族衣装は何とかならないのか。心許なくてたまらない」
「こういうのはムードが大事なんです。あなたそんなだから女の子にモテないのよ?」
「――浴衣」
「……やれやれ」
 と、部員全員それぞれ好き勝手思い思いのコメントを綴ったところで市外方面への電車が出る。
 佐々木は夏が苦手と言ったが、俺はやっぱりこの季節が好きだ。夕方の雰囲気もそうだが、
照りつける太陽に深まった緑。湿気を帯びつつも熱を持った空気。それだけで気分が高揚する。
 若干フライング気味の日本の伝統的夏衣装に身を包んだ俺たちであるが、提案者は他ならぬ
橘京子で、賛成票をすぐさま入れたのは佐々木。藤原は反対して周防は意思表明しないので無
効票。俺次第で引き分けか否か決まるところを女性陣の押しに負けて今に至るってわけさ。
 だがまあ、これはこれで着慣れてみると確かに快適だ。ちょっと人様の目を引くのは俺とし
ちゃマイナスでも、着てるだけで何かわくわくという擬音を付帯した気になれるね。何より涼
しいし。
「今晩中これで過ごすのは拷問に近いな」
 隣でつり革をつまみつつブツクサと言う藤原に、
「キマッてるのに残念だな、そりゃ」
 と返してやった。気休めではなく、藍染の渋い浴衣を纏った藤原はもともとの整った目鼻立
ちもあってやたら様になっていた。初めて着たとは思えん。ほら、あそこの女子中学生と思し
きトリオがお前を見てるぜ。
「ふ。嬌声に興味などない。馬鹿馬鹿しい」
 まんざらでもなさそうに見えたのは俺の気のせいってことにしといてやるか。
「――――」
 隣を見ると、緑を基調とした浴衣を着たそのまんま和人形夏版みたいな周防が、今日もまた
眠たげに目を瞬いていた。
「どうだ、浴衣は」
 去年も着てたはずだから、俺の見る限り二回目だと思うが。
「冷涼――」
 好意的に解釈しといていいのかそれは。
「――――」
 ぱちりと瞬きしただけである。去年の今頃はこんな動作のひとつひとつから何か意志のヒン
トはないかと探ったりしたもんだったが、こいつは緊急時以外にシグナルを発せず、つまり今
はのこれは常態ってことだ。俺はそれをランプブルーと認識することにしている。
「ここに来る途中で二回も声をかけられてしまいました」
 周防の向こう。佐々木相手に談笑する橘は水色地に金魚をあしらった浴衣を着ている。
 佐々木はというと、特別な柄のないシンプルな一枚を選んでいた。
「さながら良家のお嬢様に見えたのかもしれないね」
 佐々木が一番向こうで例のクスッとした笑いを浮かべて言った。
 一瞬だけ、それを言うならお前も負けず劣らずじゃないかとツッコミそうになった。
24名無しさん@ピンキー:2007/07/10(火) 22:17:15 ID:Y8Fb9wLi


 全国的にも時期尚早とよべそうな川原の縁日は、それが逆にアピールポイントとなっている
のかたいそう賑わっていた。こういう場で果敢になる人物は決まっていて、
「あ、リンゴ飴! わたあめとどっちか迷います。わぁ射的もある! でも一回も当てたこと
ないしなぁ……」
 四方八方あらゆる屋台にコメントしてくれるので視覚にたよらずとも把握できて助かる。
「何だこの人の群れは。何故こう狭い道に集まりたがるのか理解できない」
 いや藤原君、それがこの時代の島国人間のサガってものなのさ。
 俺たちはしばし縁日に添って亀より遅い行軍を続けていたが、
「キョンに周防さん。金魚すくいで勝負しないかい?」
 不意に佐々木が提案して、俺と周防に手招きした。一歩前に出て、
「おじさん、三つね」
 千円札を渡して釣銭を受け取り、あれよと言う間もなく俺の手元にもポイが渡ってきた。
「一番多く取った人が勝ち。……ということは一匹も取れないとそれで負けが決まってしまうね」
 袖をまくってクスリと笑い、品定めする佐々木はいつになく楽しそうに見えた。
 半瞬ボーっとした俺は佐々木につられてすぐさましゃがみ込む。見ると周防はすでに五匹の
金魚を椀に収めて周囲の客の度肝を抜いていた。
 苦笑いしつつ俺は水深十センチそこらの簡易水槽に目を落とす。黒いのとか出目金に目が行
くが、金魚すくいなんぞ妹にせがまれた時くらいしかやらないからコツの心得もなければ経験
も不足している。
「時に佐々木よ。金魚すくいの経験値はいかほどか」
 俺が横目で尋ねると、佐々木は水面の光を大きな瞳に反射させつつ、
「んー、記憶にある限りでは五才そこらからやっていないかな」
 自信ありげに見えたのでつい訊いちまったものの、それなら五分五分の白帯試合ができそうだ。
 俺も袖を肘の上まで引き寄せ、活きの良さそうな一匹よりむしろ授業中の谷口のようなのを
率先して選んで狙いをつける。
 じっと機を窺う。他の金魚が生み出す流れに乗ってるだけなんじゃないかってくらい怠けて
漂ってるその一匹が角に来たところで、すかさずポイを投入――――ゲットだぜ!
「あっ、ちゃぁ。……やってしまった」
 直後視線を奪われた先で、佐々木が破れたポイ片手に微苦笑を浮かべていた。……すると、
「のわっ!」
 椀に移していた金魚が俺の手の傾いた隙を狙ってまさかの跳躍を見せて水槽にダイブした。
「ざんねーん。逃げちゃったもんはしょうがないねぇ」
 俺が抗議のこの字も思い浮かべないうちに、ランニング一丁に短パンのオヤジが笑った。
 くそ、さすが金魚谷口。体育だけは万年10。
「ふふ、引き分けか」
「だな」
 と言って見上げると、周防は椀をひしめく金魚で満たし、なお破れていないポイ片手に目尻を
こすっていた。いや、取りすぎですよお客さん!


「あっはははは! 意外とヘタなんだ。ふふふのふー」
「うるさい。ええい主人! もう一度だ!」
「はい毎度ありー」
 一度はぐれた橘藤原はどこぞと思った矢先、二つどなりの射的場にて周囲の人目を少なから
ず集める似非バカップルとなった二人を発見した。
「ずいぶんと盛り上がってるみたいだね」
 佐々木がさり気なく橘に話しかけ、
「もう四回目だけど一つも当たらないのです。ふふふ」
「そこ、聞こえているぞ。見ていろ。これまでのは練習に過ぎないんだ」
 と言って撃鉄を上げ、放ったコルクは見事真紅の垂れ幕に吸い込まれた。合掌。
「ちょっと貸してもらっていいかな?」
25名無しさん@ピンキー:2007/07/10(火) 22:17:48 ID:Y8Fb9wLi
 佐々木はそう言うと渋茶と苦虫を同時に口に含んだような表情をする藤原からコルク銃を
受け取って台に立て、腰掛けて弾を詰めると撃鉄を上げ、飛び下りて片手でて放った弾は見
事に食いだおれ人形の小型貯金箱を打ち落とした。
「わは! 佐々木さんすごい!」
 歓声を上げてパチパチと拍手する橘と、呆然するは藤原……とついでに俺。周防は二匹選
んだ金魚を片手に下げて、立ったまま寝ているように見える。
「佐々木、お前が射的同好会に入ってたなんて聞いたことないぜ」
 俺の感心に佐々木は、
「小学校の時子供用のクレー射撃をやってたことがあってね。こういうのは得意なのさ」
 俺は想像してみた。齢十そこらにしてサングラスをつけ、颯爽と遠方数十メートルの皿を
次々打ち落とす小学生佐々木。
 ……クールだな。
「さ。こんな寸劇はやめにしてさっさと場所を取っておいたほうがいいんじゃないか」
 務めて普段どおりに振舞おうとする藤原先輩は、しかし至極真っ当かつ建設的な意見を言っ
てしまっていることにお気づきなのだろうか?
「それじゃ藤原くんにジュース奢ってもらいたいでーす」
「そんな契約に同意した覚えはない」
 はーいと手を挙げる橘をしれっと藤原がかわすのを周防が瞬きで見届け、佐々木と俺は揃っ
て苦笑した。
「俺と佐々木が奢る側に回るさ。さっき金魚すくいで周防に完敗しちまったからな」
 お手上げの体勢をとって俺は言った。
「それじゃ場所を取りに行こうか。この人手なら早すぎるってこともないだろう」
 佐々木が取りまとめて、どこか幻想的に照る裸電球やらちょうちんやらの中を俺たちは歩いた。


 二十分ほどかかって何とかスペースを探し当てたものの、既にほとんどの場所が人で一杯だ
ったこともあって、屋台の並びからはそれなりに距離を置く羽目になってしまった。
「場所は開けているし、花火を見る分には何の問題もないよ」
 佐々木はいつもの愉快な微笑みとともに言った。
「買出しに結構距離があるぜ。ひとしきり買ってから来るべきだったか」
「人がいすぎなんだ。僕としちゃこのくらい静かな方が気が休まる」
 藤原はシートに横になって肩肘を立てた。周防が端に座って金魚を茫漠とした瞳で見つめて
いる。
「それじゃキョン、一緒に来てくれるかな。僕一人ではさすがに厳しいからね」
「おう。……しかし、この分じゃ最悪コンビニ探したほうが早いかもな」
「あたしも行きましょうか?」
 橘が自分を指差して言う。すると佐々木が何やら橘に耳打ちした。橘はしばし首を縦に振っ
て聞いていたが、やがてシートに戻って手を振り、
「行ってらっしゃい」
 笑みがいわくありげに見えたのは暗がりによる錯覚か?


 案の定というか、川原を戻るコースは軽い散歩くらいの距離があった。縁日に近付くにつれ
て人の数が増えて行く。
「あ。僕としたことが三人に注文を聞いてくるのを忘れていたよ」
 佐々木が思い出す頃、すでに俺たちは道を半ば以上来ていた。俺は半分肩をすくめ、
「適当に買ってけば適当になくなるさ。好き嫌い言うような連中じゃないしな」
 俺が言うと佐々木は即妙に視線を交わし、
「それもそうだね」
 口を緩やかに曲げる笑顔で返した。
 真夏の夜と大差ない空気が火照った肌を微かに冷やす。
 ずっと遠くには大きな鉄橋があり、アーチ型に点々と明かりが灯る下を車が光の道を作って
ゆっくり動いていく。
「キョン。進路は決めたかい?」
 佐々木が注意していないと聞き逃しそうな声量で言った。
26名無しさん@ピンキー:2007/07/10(火) 22:18:23 ID:Y8Fb9wLi
「ん、何かと思えば勉強トークか?」
「いや、そんなつもりじゃないけどね。けれど僕らももう二年生だ。あと三ヶ月もすれば進路
志望に添って授業内容が分かれてくるだろう?」
 佐々木は真っすぐ前を見ていた。向こうの祭りの明かりを受けて、瞳がきらめいている。
「消去法で文系だな。それこそ入学当初から間違いない」
 俺はそう言って手を頭の後ろに組んで空を見上げる。雲が薄く長く半分ほどを覆い、そのカ
ーテンの向こうで明るい星だけがまばらに存在を示していた。
「僕とは反対か。進んで理系を選ぶだろうしね」
 佐々木の口調には何か言外のニュアンスが含まれていて、俺は咄嗟にそれを判断しかねる。
「お前なら迷わずどこへでも行けるさ」
 そう言うと佐々木は伏目がちに息をついて、
「そうだね」
 俺はしばらく佐々木の横顔を何ともなしに見ていたが、
「さ、急がないと花火が始まっちまうかもしれないぜ」
 呼びかけに部長は顔を上げて、それから見慣れた笑みを浮かべた。


 進路が分かれようとクラスは一緒だ。それに部室だって毎日行ってる。だからそこに不安材
料など見つかるはずもない。そう思ってたんだろう。

 後になって本当の意味を知ったところで、その時の俺に解ろうはずもない。
 根本的に間違っていたことに気がつくまで、あと少し。


「あ、帰ってきました! おーい!」
 橘が手を振り、周防が首だけ横向けて、藤原が横になったまま片手を上げる。
 程なくして第一号となる赤い花火が夜空に咲いた。
「わ! 始まった。たーまやー」
「これはいい席だったかもね。静かだしよく見える」
「あ! それあたしが食べようと思ったのに!」
「ふ。なら名前でも書いておくんだな。あいにく僕に油性ペンの持ち合わせはないが」
「――爆発。――消滅」
「金魚じゃなくて花火見たらどうだ? ……つうか寝てんのか周防」
「あれは化学でやった簡単な炎色反応さ。緑色はバリウム。銀色はアルミニウム。青色は銅」
「はい罰金、それあたしのだもの」
「何を言っている。誰のものでも……おい。なぜ名前が書いてあるんだ」
「――回避。――実行」
「佐々木、周防の金魚の名前を一緒に考えてくれ」
「パブロ・ディエゴ・ホセ・フランシスコ・デ・パウラ・フアン・ネポムセーノ・マリアなんて
のはどうだい?」
「何だそりゃ」
「ピカソのフルネームを途中まで拝借したのさ」
「すまん、俺が悪かった」
「――――」
「周防さん寝てるー」
「zzz……」


 楽しすぎる夏祭りだった。
 こんなに笑っちまったら夏が終わるまでの二か月分使っちまってるんじゃないかってくらいに。
 だがあいにく、それは二か月分じゃなかった。一年ぶんでもなかった。

27名無しさん@ピンキー:2007/07/10(火) 22:18:56 ID:Y8Fb9wLi
 七月に入って、今学期の登校日数も順調に目減りしつつある。
 思い出したかのようにここ数日は雨が降っていて、俺は傘をさして谷口と坂道を登る。
「しかしよー。お前と佐々木はどうして行くところまで行かないんだ?」
 何を言ってるんだこいつは。雨で足りないのならバケツ一杯の水をぶっ掛けてやってもいいぜ。
 すると谷口は雨粒を飛ばす犬的に首を振って、
「だっておかしいだろ。キョン、お前は佐々木が学年……いや、学校全体でどんだけ人気なの
か解ってないからそんなことが言えるんだ」
 解ろうとも思わんね。夜ごと悪夢を見そうだしな。
「そんなこと言ってると、知らぬ間に誰かに持ってかれちまうぜ」
 不敵に笑っても締まらない谷口に向けて俺は憮然とし、
「佐々木が恋愛云々に無関心なのはお前もとっくに知ってるだろ」
「だからこそ俺は警鐘を鳴らしてやってんのさ。灯台は近くほど暗いんだぜ? 知ってたか?」
 俺は辟易して首を振る。やれやれだ。これさえなければ今のところ高校生活に文句のつけよ
うもないんだがな。


 下駄箱で靴を履き替えていると肩を叩かれた。
「やぁキョンくんっ! 元気してるかなっ?」
 声の主は超常現象研究会のVIPオブザーバー的存在、鶴屋さんだった。俺は沈滞する雨だろう
がまったく影響しない快活な先輩に挨拶した。鶴屋さんは八重歯を覗かせる笑みと共に、
「七夕なんだけどさ、笹の葉っぱもあったほうがいいよね? あの山なんだけど、竹は生えて
ないからさっ。よかったらうっとこの庭から刈ったの持ってくかい?」
 そりゃ願ってもない提案ですが、あの御殿でたくましく育っただろう竹を頂戴しちまってい
いんですか?
「平気平気! むしろ伸び放題で困ってたくらいだよ。そんじゃ七夕の日に届くようにしとく
っさ。楽しみにしててよっ!」
 ぽんと肩を叩いて鶴屋さんは高気圧そのもののように去っていった。果たしてどのように運
送するのだろうか。
 俺はSPのような黒服サングラスのメンズがヘリから山に降りる姿を夢想した。グレイト。
 ……まぁそれはそれとして。


 放課後。
 試験返却による憂鬱もほどほどに部室へ向かうと、ドアを開ける時になって佐々木がいない
ことに気がついた。さっきまで修辞的アプローチによる学習方法についての考察を延々懇々聞
かされていたのだが。
 ドアを開けると周防だけが着席していて、しとしと降る雨を禅を伴った瞳で観察しているよ
うであった。周防教の開祖になれそうだな。
「よう。試験はどうだった?」
 訊くまでもなく佐々木と並んでトップだろうとは思うが。
 周防はカメラのピントを合わせるような眼差しで俺を胡乱に見ていたが、
「――完了」
 と、そのまんまなことを言った。いや、そりゃ終わったのは確かだけどさ。
 俺が腰掛けると、周防は反対に立ち上がって鞄をついでのように拾い、そのまま部室を出て
行ってしまった。……何なのだろう。あいつに限って風邪気味だから早退ってことはないだろ
うし。


 しばらく一人で漫然と時を過ごし、世界に人類は俺一人しかいないのではないかという錯覚
すら起こしそうになる静寂のもと、待てども待てども誰も現れない。何だ、揃いも揃って臨時
休業か? はてこれまでにそんなことが一度でもあっただろうか。
 あまりに暇なのでやむなく俺は部室から退出し、部員の誰かに電話しようか三秒迷ってやめ
にした。あいつらがここに現れないならば、それには何か理由があるはずで、仮に急を要する
事態であればこっちがかける前に向こうから連絡があると思ったからだ。
28名無しさん@ピンキー:2007/07/10(火) 22:19:28 ID:Y8Fb9wLi


 いつもは五人で下る坂道を傘さして孤独に歩き、遠くの空の晴れ間にこの雨は一過性のもの
かと思っているうち、俺は駅前に至っていた。
 横断歩道を渡るために車の往来を確認し、さて一歩踏み出さんとした時になって目の前にい
る人物に気がついた。
「…………」
 長門有希。
 数日前に見せた白皙の面のまま、無関心な目でこちらを見ている。
 俺は心中で警戒態勢を取って、再度素早く車を確認すると、警戒を解かずに道を渡った。
「何の用だ」
 顔を向けずに言葉だけ投げると、ビスクドールのような長門は淡々とした口調で、
「話がある」
 簡潔に言った。俺は微かな吐息とともに、
「今さらだな。この前朝比奈さんといる時じゃだめだったのか?」
 こく、と頷くのが目の端に映った。
「聞かないって言ったらどうする」
「あなたは来ると確信している」
 答えになっていなかったが、断ると面倒なことになりそうな予感がしたのも事実だ。
 俺が答えるより早く、長門有希は光陽園の黒スカートをそよと微動させて歩き出した。
「こっち」
 今俺が渡った横断歩道を引き返し始める。ここで無視して帰ったらどうなるだろうと思いつ
つもついて行ってしまったのは、さて何でだろうな。下心だけは含有率0%であることを断言す
るが。
 二分ほど歩いて到着したのはいかにも金回りのよさそうな人間がローン組んで買いそうなマ
ンションだった。オートロックを解除してエントランスをくぐり、エレベータで七階へ。七〇
八の表示があるドアの前で立ち止まる。
「……待て」
「なに」
「お前の家じゃないよな、ここ」
「そう」
 鍵を開けようとする動作を一時停止させて振り返る長門有希の表情から、どんな感情も読み
取ることはできなかった。少なくとも普遍的女子高生の感性を有していないだろうことは明ら
かだ。
「悪いが上がるのは遠慮するぜ。初対面じゃないとか関係なしだ」
「……解った」
 意外にあっさり承諾し、長門はまた水先案内人のように俺を引率する。
 続いて向かったのはマンションからほど近い公園だった。ここならたまに部活のメンバーで
来ることがあるが、最近はご無沙汰だったな。
 気づけば雨は上がっていて、ところどころ薄日が照射していた。散歩人はさすがにまだいな
い。目につくベンチはどれも皆一様に濡れていたが、
「…………」
 長門が腰かけたベンチだけが乾いていた。アーケードも全自動乾燥システムもないとすれば
明らかに何らかの超自然作用によるものであるが、ツッコミは封印しておく。
 俺たちは木製ベンチの端と端に座る。
 三十秒くらい待っても何も会話がなかったので俺から切り出した。
「人間相手に黙ってても情報を伝えることができないことくらいお前にも解るよな?」
 すると長門は一度瞬きして、
「用件は二つ」
 喧騒なき屋外でも下手すると聞き逃しそうな声で言った。
「我々情報統合思念体の意向をあなたに伝える必要がある」
「何つった?」
「情報統合思念体」
 長門有希は、それが天蓋領域と起源を異にする情報意識体であることを説明しはじめた。
29名無しさん@ピンキー:2007/07/10(火) 22:20:02 ID:Y8Fb9wLi
「我々は涼宮ハルヒが持つはずだった情報創出能力に着目していた」
 長門は国営放送のキャスターより平坦な口調で続ける。
「ごく最近まで、統合思念体は間歇的情報噴出は涼宮ハルヒによるものであるという確信を揺
るがせなかった」
 だが認識には齟齬があることに気がついた。それこそが佐々木によるものだった。
「しかし、未だ情報の潮流は涼宮ハルヒが発端であるという考えは変わっていない。その力は
何らかの原因によって歪められた可能性がある。我々はその因果を解析することにした」
 その過程で佐々木の周囲にいる俺たちに気がついた、ということらしい。隣の高校にいた
のに一年も気づかなかったってのは何ともマヌケな話だな……と思っていると、
「我々の感知能力にアンチプロテクトをかけるシステムがある存在によって組み込まれていた」
 長門は一拍置く代わりにまた瞬きし、
「それが天蓋領域。彼らは我々より遥かに早い段階から『彼女』(佐々木のことだ)の能力に
気がついていた。そして、他者にそれを発見探知されないためのジャムコードを生成した」
 情報統合思念体は、この春以降、その暗号でなければ知恵の輪のようなパズルを解くのに力
のほとんど全ての力を費やしたらしい。
「調査は一通り終了した。そこから我々は暫定的にではあるものの、ひとつの結論に達した」
 長門有希はここで立ち上がった。別に演出を意識したということでないのは顔を見れば解る。
 二歩前に出て、

「この世界は天蓋領域によるシュミレート時空域であり、我々を初めとするすべての概念が彼
らによるプログラムにすぎない」

 長門有希の頭部を一瞬太陽が照らして、また翳った。
 俺は長門の言った意味が解らずに、ぽかんと口を開けて黙っていた。
「そりゃどういう意味だ?」
「この世界は元より存在していない。あなたも、わたしも。すべて制御下でのデータ。一定の
アルゴリズムに基いて考え、行動するように製作されている」
 んなバカな話があるか。これまで聞かされたアホくさい話は山のようにあれども、こればか
りは特A級のジャンク品扱いである。俺は確かに生きているし、頬をつねれば当たり前に痛い。
「おそらく」
 長門有希は思案するように顎をわずかに引いた。
「この世界はあるオリジナルを元に改変された擬似時空域。ゆえに、ある程度までは元世界と
同じ情報が組み込まれている。通常、プログラム内の存在は自分がデータであることすら認識
しえない」
 長門は俺の反応など意に介さずなおも続ける。
「本来の情報創出能力は涼宮ハルヒにあったものと思われる。ケースの異なる事例を試行する
ために、『彼女』に模造能力が付与された」
 誰も何も言わなかった。言葉を発する糸口どころか、その方法すら俺は失念してしまったよ
うに思われた。これは何だ? 新手の攻撃方法か、はたまた催眠術か? ……しかし、長門有
希の話は本当とも嘘とも言えない。どちらの証拠もない。それどころか、こいつの話が確かな
ら、事実が証明された時、世界そのものが偽りであることになってしまう。
 そんなバカげた話があるわけないと思っていると、
「二つ目の用件を伝える」
 長門有希は幽霊のような足取りで歩き出していた。俺はそれを蜃気楼より朧な姿としてまん
じりと眺めていて、あらゆる思考はその幽霊のような幻影に絡め取られていた。

「あなたを殺す」

 その言葉を聞いた刹那、視界が真っ暗になった。
 が、痛みはまったくない。直後、視覚以外はすべて無事であると判断でき、二秒後には視界
も無事であったことが確認できた。
 俺の目を覆ったのは闇ではなく、真っ黒な髪の毛だった。
 市内全域探してもこれほど豊富な黒髪を持つ存在はいないだろう人物。ひょっとしたら宇宙
規模で探しても無二であるかもしれない。
30名無しさん@ピンキー:2007/07/10(火) 22:20:35 ID:Y8Fb9wLi

 周防九曜が長門有希と対峙していた――。

 周防は両手で長門の手首をそれぞれ押さえ、毅然とした立ち姿で俺の前に現れた。
 長門の両手の平は俺の見間違いでなければ淡く白く発光していたが、今、その輝きが失われ
て元に戻る……。
「――――」
 周防の後ろ姿は、不可視の圧力を自分という一点に凝集しているように思わせた。
「…………」
 それは長門有希も同じだった。氷柱のような視線が周防の頭部へ全てを貫通するかのごとく
向けられている。

 一瞬だった。
 周囲の景色が突如として暗灰色の空間に変容し、競り合っていた二人のうち片方が倒れた。
「周防!」
 俺が近付く間を与えず、直後、周防は二十メートルも向こうに弾かれた。
 うつ伏せで横たわる周防は固形物以上に微動だにしない。その傍らで長門有希が冷然と周防
の偃臥姿を見下ろしている。
 てめえ何する気だ! 周防に何した!
 しかし、言葉にならなかった。声すら出せなかった。

「……観察下に置く」

 長門有希の最後の言葉とともに公園の風景が復活する。
「……あ」
 俺は一人マヌケにベンチの前に棒立ちしていた。周防九曜も長門有希も、どこにもいない。
「……な、何だ。今のは」
 ……周防。
「周防! 帰ってきてくれ! どこだ!」
 叫んでも何も起こらなかった。
 ただ遠くをランニング中の主婦が怪訝そうに一度こちらを見ただけだった。


 どれだけか俺の時間は止まっていた。
 客観的にそうでなかったことを知らせたのは携帯のバイブレータだ。
 俺は我に返って、半ば瞬発力だけで電話に出た。
「もしもし?」
 あわや記憶錯誤を起こしそうになるが、電話越しのそれは橘の声で間違いない。
「橘! 周防がさらわれたんだ!」
「待って! ……落ち着いてください。先にこちらの話を聞いて」
「落ち着けだと。そんな場合じゃないんだ! 長門有希が――」
「佐々木さんが大変なのよ! とにかく早く学校に来て!」
 それだけ言うと電話は切れた。
 ……何なんだ!?
 俺は何も考えられぬまま携帯を閉じると、ただ闇雲に身体を動かし、全速力で坂道まで駆け
出した。
 何がどうなってるんだ? そもそも何を信じればいいんだ?
 通いなれたはずの通学路は、どんな悪路より長く険しい走行路と化した。たちまち息が上が
る。それでももつれる脚に鞭打ってデタラメに走り続ける。
「……ちくしょう。何だってんだ」
 佐々木が何とかって橘は言っていた。長門有希は佐々木の力は移されたものだと言っていた。
ついでに、この世界が作り物とまで断言した。
31名無しさん@ピンキー:2007/07/10(火) 22:21:06 ID:Y8Fb9wLi

 佐々木には世界そのものに影響する力が秘められている。
 そして、俺たちはずっとそれを守ってきた。

「佐々木……」
 ようやく校門が見えてきた。まばらに下校する生徒の中、二名の姿が見える。
「キョンくん!」
 橘と藤原が駆け寄ってきた。それぞれ持ち前の困惑の色を浮かべているのが一瞬で解った。
「何があった! ……はぁっ、はぁ」
 かがんで息をととのえる。バカみたいに暑い。ここに来て陽が照ってきやがった。
「閉鎖空間の様子がおかしいの! なのに佐々木さんが見つからないんです!」
「ついさっきのことだ。TPDDの凍結が解けた。同時に尋常じゃない規模の時空振動が今この時
間に起きていることを知った」
 橘と藤原がそれぞれの知覚した事実を立て続けに言った。俺は考えるより先に、
「佐々木は。あいつはどうしたんだ。……どこに行った」
「だからそれが解らないんです! あんな色の空間は見たことがありません。……佐々木さん」
 橘は祈るように両手を合わせて空を見上げた。

「ん……!?」

 携帯が振動した。
 反射的に取り出す……佐々木本人からの着信だった。
「佐々木! 今どこにいる! 大丈夫か!」
 通話ボタンを押すと同時に俺は叫んだ。二者それぞれの心配顔は視界に入る。
『キョン。今から僕が言う場所へ来てほしい』
 前置きなしの佐々木の声は、一聴した限りでは通常どおりに感じられた。
 ただ、冗談めかした様子も何か支障をきたした雰囲気もない。
「どこだ?」
 反射的に問うと、
『光陽園学院。場所は知っているね。正門まで君一人で来てほしい』
「どういうことだ? 佐々木、お前――」
『待っているよ』
 電話が切れた。単調な機械音だけが鼓膜を打つ。
 五秒間、俺はそのままの姿勢で固体化していたが、待ちきれずに橘が、
「佐々木さんだったの? 彼女はどこ? 無事なのですか? ねえ!」
 藤原は困惑と疑惑を混ぜたような表情で黙って俺を見ていた。
「……光陽園に俺一人で来いと言われた」
 俺はそれですべてだった佐々木との会話をありのまま伝達する。
「それだけ? それでおしまい? あんなに怖ろしい色なのに?」
 橘は己が不安をかき消すかのごとくまくし立てた。
「早く行ったほうがいい」
 藤原がそっけなく告げた。
「待って! 誰かの罠かもしれないのよ? もしかして佐々木さんは誘拐されてるのかもしれ
ないじゃない。脅されて電話をかけたのかもしれないわ」
 橘が両の手を拳にして主張する。藤原は橘を横目で見て、それから俺をじっと眺めて、
「キョン。部長の様子はどんなだった」
「聞いた限りでは普段通りだった」
「騒いだら痛い目に遭うって言われてるのかもしれないわ。じゃなきゃあんな……」
 橘は頬を押さえてうなだれるように言葉をすぼませる。
「いいか橘」
 藤原が性急に言った。
「僕はこの件について何も聞かされていない。つまり、うんざりさせられる既定事項が今回は
存在しないってことだ。この意味が解るか? 今のこの時空で起きていることは、未来から見
ても筋書きにないということだ。だからというわけでもないが、僕は今こそこいつを信用する」
 顎をしゃくって俺を示した。橘は顔を上げて藤原、次に俺を見てからまた目を戻す。
32名無しさん@ピンキー:2007/07/10(火) 22:21:40 ID:Y8Fb9wLi
「でも――」
「行く」
 俺はそれだけ言った。このまま喋っていても堂々巡りだ。
 ……それに、さっき長門有希が言っていたこともある。今すべきは尻込みじゃない。
「二人とも待っててくれ。必ず佐々木と帰ってくる」
 最後の沈黙があった。俺は二人をゆっくりと見て頷く。橘と藤原は、俺とアイコンタクトし
たのち、一度だけ視線を交わして、頷いた。

 待ってろ、佐々木。


 通学路の坂道をこんなに速く駆け下りたことはかつてなく、さながら破裂寸前の樽のように
どこまでも両脚を回転させた俺が光陽園学院正門にたどり着く頃には、もう使い物にならない
くらい身体はフラフラだった。間に見た下校途中の北高と甲陽園の生徒たちが過ごしているつ
つがなき日常が別世界の景色に思え、長門有希の言葉を思い出し、痛烈に心臓が痛んだ。
 この世界が嘘であるはずがない。
 下校時刻を大きく回り、生徒もまばらな光陽園学院の正門に佐々木はいた。
「……佐々木」
「キョン。汗みずくじゃないか。大丈夫かい?」
「お前こそ平気なのか。どっか具合が悪いんじゃないのか? 何かあったんじゃないか?」
 佐々木は秀麗たる横顔に変わらぬ微笑を刻み、
「大丈夫さ。僕ならね」
 悠然とした姿態は、しかしどこか引っかかりを覚えさせた。なぜだ。佐々木はいつも通り、
こうしてちゃんと無事でいるじゃないか。なのに何が気になっている。
「僕について来てほしい。話があるんだよ」
 佐々木はそれ以上余計な話をせずに甲陽園の敷地内へと足を踏み入れる。
「ちょっと待て。……この中に入るのか? どうして?」
「その必要があるんだ。キョン。君に来てほしい」
 佐々木は歩き出しかけたが、
「あぁ、僕らは北高の生徒会代表ということになっている。だからこのまま敷地内をうろつい
ても大丈夫だよ」
 顎に指先を当てて佐々木は言った。まるで登下校時に天文や物理学についての雑学を話す時
のものと何ら変わりがない。俺はそんな佐々木もさることながら、初めて入る私立の校舎とそ
の空気に恐縮もとい萎縮しているのか、どこか落ち着きがしない。
 佐々木はさも自分の母校であるかのように迷わず歩を進め、俺はただそれにつき従った。
 来客用の玄関から校舎内に入り、スリッパを履いて道は回廊へ至る。
「どこに向かってるんだ」
「ある人物のところさ。……僕と、君と、彼女とで面会を果たす必要がある」
 ずっとボケていたピントが急に合って一つの像を結ぶかのように、俺は回答を得た。
「涼宮ハルヒ」
 佐々木は言った。なおも変わらぬ口調とともにそぞろ歩きを続行する。
 なぜだ……!?
 佐々木、なぜお前が涼宮ハルヒを知っているんだ?
 瞠若する俺は発すべき音声を持たず、知ってか知らぬか佐々木はそれきり何も言わなかった。
 長袖セーラーの袖が止まったのはそのすぐ後のことだ。
「着いたよ」
 そこで佐々木は振り向いた。ステンドグラス越しの光を見るような儚い目で俺を見て、
「キョン……」
 二年以上の付き合いのなかで一度も見せなかった、感情を到底量れぬ面持ちとなって、
「ごめんね」
 ドアが開かれた。
33名無しさん@ピンキー:2007/07/10(火) 22:22:12 ID:Y8Fb9wLi


 ――涼宮ハルヒ。

 俺はそいつを知っていた。
 まともに顔を見るのは初めてのはずだった。
 なのに、瞬間、またもあの疼痛が頭蓋を走り抜けた。
「つぁっ!」
 俺は頭を抑えた。
 バカな。何故だ? 会ったことなどなかったはずだ。俺の経験と理性はそう主張している。
それこそ抗議文書の出しすぎでポストに何にも入らなくなるくらいに、確かだと言っている。
 だが、所詮それはただの紙切れでしかない。感性が訴える。


「キョン。紹介する。涼宮ハルヒさんだ」
 佐々木が歩み寄って片手の平で示した人物は、佐々木によく似ていた。
 肩口のあたりで切りそろえられた短めの髪と、キラキラしたよく光を通す瞳。
 だが反対にまったくベクトルの違う印象を与えるのは、どこか不満をもっていそうな不遜な
表情と、挑戦的にも思える整った眉。
 ……間違いない。
 俺は、こいつを、涼宮ハルヒを知っている。
 だが、いつどこでどのように会ったのか、まったく記憶にない。
「…………」
 声帯マヒに陥る俺に、涼宮ハルヒは火傷すらしそうな光熱の視線を向け、
「あんたがキョンなのね」
 聞いた瞬間に六感が符号を感じる声で言った。
 俺は文字通り開いた口が塞がらなかった。いかなる接着剤を持ってきて接合しようと、二秒
後にはまた元通りぱっかりあいた口蓋を晒していたものと思う。
 涼宮ハルヒはくるりと後ろを向くと、窓辺の生徒机にどっかと座って腕組みをした。
「さっさと頼むわ」
 足を適当に空中へ泳がせるハルヒ。それを受けて佐々木はクスッと笑う声を出し、
「そうだね。あまり時間がないのも確かだ」
 光陽園夏服の後ろ姿に視線を固定させたままの俺に、
「キョン。話を始めていいかい?」
「…………」
 俺が涼宮に視線をくれたまま反応できずに黙っていると、頬に誰かの両手が触れた。
 直後、俺は佐々木の顔が十数センチの近くにあることに気がついた。
「大事な話だ。すべてを繋ぎとめる真実。一度しか言わないから聞いてほしい」
 すると佐々木は俺から離れて、教室と思しきその部屋の学習机の合間を縫って歩き出した。
 催眠術にかかった被験者のように、俺はぼんやり佐々木の姿を眺めていた。
「先だって一つ言っておきたい」
 佐々木は窓を半分ほど覆っているカーテンを仰いで言った。
「僕が話す間、キョン。君はなるべく口を挟まないように願いたい。すべてを話し終えてはじ
めて、僕たちは相互理解の機会を得られるのだと思う」
 何のことを言っているのかまったく解らず、俺はちらと涼宮ハルヒの姿を見たが、佐々木の
言葉に特別関心を示す様子はなかった。俺はまた佐々木を注視する。佐々木は横目で俺を見て
いたが、俺が無思考状態で首を縦に振ると、やがて頷いて身体をこちらへ向けた。
「四年前」
 佐々木は記憶を探るとも、記録を読むとも判別できぬ口調で、
「涼宮ハルヒさんにある能力が発現した」
 一行目にして早速口出ししたくなった。
 ちょっと待て。
「佐々木。お前……」
 言いかける俺を目で制しておいて、
「それはあらゆる自然法則を超越し、世界全体に影響するほどの途方もない力だった」
 佐々木は言った。俺は既に全身が総毛だっていることに気がついた。
34名無しさん@ピンキー:2007/07/10(火) 22:22:45 ID:Y8Fb9wLi
 バカな。
「しかしキョン。興味深いことに彼女自身は自分の能力に気がつかなかった」
 まるで英語の教科書を苦もなく訳しているような平板な口調だった。俺は依然呆気に取られ
たままで、いつの間にか言葉を組み立てる力を失っていた。
「本人の自覚なきまま、その力は世界にいくつかの影響を及ぼした」
 佐々木の告げる内容の半分を俺はしっかりと理解し、同時に半分をあらん限りの疑問で埋め
ていた。……一体何を言おうとしているんだ。
「ある者は超能力と呼ぶべき力に目覚め、ある者は未来からこの時代への調査に赴き、また
ある者は宇宙からの使者として地球に降り立った」
 佐々木は机と机の合間を縫って歩き出す。一歩、また一歩と、床の感触を確かめるようにして。
「彼らは涼宮さんに注目していたものの、みな一様に彼女を観察し静観することを選んだ。と
ても気になってはいたが、同時に接触は危険だと思っていたんだね」
 佐々木は薄く微笑んでいるように見えた。カーテン越しの淡い光が輪郭をおぼろにする。
「しかし一年前、ある出来事が起きたことによって事態は一変する」
 俺はふと、佐々木の話にこれまでの記憶を照合させている俺自身を見いだした。
 なぜだ。佐々木、なぜお前がそんな話をしている。
「キョン」
 佐々木は言葉を切って余白を生み、
「君が涼宮さんと出会ったんだ」
 言葉が切先の鋭い刃となって俺を射抜いた。
 瞬間的頭痛とともに、ありもしないはずの強烈なイメージが脳裏を焦がし、そう思う頃には
痛みもろともなくなっている。
「彼女、涼宮さんは、それまでの日常を退屈極まりないものと考えていた。彼女自身は不思議
な現象の発生源となっているが、それに気がついていない以上、面白いと思いようもないとい
う寸法だ」
 佐々木は涼宮ハルヒの傍へ歩み寄ることはあっても、そちらへ顔を向けることはなかった。
まるでここに俺と佐々木自身しか存在しないように振舞っている。
「涼宮さんと君はあるクラブを作った。部活には当然部員が必要だ。そこで新たに三人を集め
た。しかしこの時、どうしたことか涼宮さんを観察していた宇宙人と未来人、それに超能力者
がそれぞれ新入部員として入ってしまったんだ」
 ここで佐々木は俺を見て、
「キョン。君はそれまで何の変哲もない普通の高校一年生だった。しかし、彼ら部員三名は君
に自らの正体を告白し、それを契機に君は非常に稀有な境遇に立つ唯一の人物となってしまっ
たんだ」
 耳通りのいい声がやんだ。
 教室の中には三人しかいなかった。窓は開いていて、時折吹く風にカーテンがなびいていた。
 そこから広がる外の世界と、今のこの教室内は、繋がってなどいなかった。
 わずかばかり西へ傾いた陽光が、かろうじてこの場所へ光をもたらし、そしてそれが今の俺
に見える世界のすべてだった。
「引き続き超常現象は発生していたし、それまでに比して周囲の状況は予断を許さないものと
なったにも関わらず、涼宮さんはその後も自分の力や彼女を取り巻く人物の正体に気づかなか
った。キョン、君と部員三名がそれらをうまいこと対処しフォローしていたからだ」

 佐々木はどこにも存在しないはずの歴史を語っていた。
 なのにそれは嘘でも偽りでもなかった。
 俺の経験だったのだ。

「涼宮さんは、君や彼らと過ごす毎日をとても楽しく感じていた。それは彼女だけでなく、君を
含めた全員が等しく同じ心境であったかもしれない。五人はいつしか、無意識のうちに互いを
助け合うまでになっていた。さらにいい知らせとして、涼宮さんに宿っていた力は月日の経過
とともに弱まり始めたんだ。もしかすると、このまま彼女は普通の高校生に戻ることができる
かもしれない。しかし、そう思い始めていた矢先にある事が起きる」
 佐々木は靄然たる口調のままで教壇に登り、教卓に近付いた。
35名無しさん@ピンキー:2007/07/10(火) 22:23:18 ID:Y8Fb9wLi
 第六感がシグナルを黄色に変えようとしているのを感じ取り、そう解る頃にはもう佐々木は
続く言説を発していた。
「涼宮さんの力がなくなっては困ると考える人たちがいたんだ。彼らは目的こそ違えど、その
立ち位置たる陣地の色は近いところにあった」

 それはこの一年間の回想録だった。
 俺が過ごした一年間。
 橘と、藤原と、周防と……佐々木と。

「ある日のことだ」
 佐々木は机に視線を落とした。瞳の光は一向に移ろう気配を見せない。
「キョン、君は中学時代の友人と再会した」
 心臓が脈動していないかのような錯覚に陥る。
 ……違う。そんなはずはない。
「一年ぶりだった。たまに出かける駅でたまたま会った……と、そう見えたかもしれない」
 動悸がした。休符が今度は八つ打ちの鼓動へと変化し、たちまち掌に汗が滲む。
 佐々木、もういい。それ以上話さないでくれ。
「ところがその友人は後日またも君と会った。そして友人は君に対して、涼宮さんの傍にいる
人たちと敵対しうる存在を三人紹介したんだ」
 やめてくれ。もういいじゃないか。
 帰ろう、佐々木。
「その三人も同じく宇宙人、未来人、超能力者だ。……そして彼らは決して涼宮さん側の三人
と相容れることはない」
「佐々木」
「もう少しだよ。あと少しで終わりだ。辛抱してほしい。苦情ならそれからいくらでも聞くから。
何なら絶交してくれたって構わない」

 出し抜けに気がついた。
 佐々木は笑ってなどいない。いや。確かに今こうして微笑んでいるが、そうじゃない。
 そうじゃない……。

「さて、敵である彼ら三人の中に、涼宮さんの力そのものに特に注目している人物がいた」
「佐々木、もういい。そんな話を聞きに俺はここへ来たんじゃない。……帰ろう」
 解ってるさ。
 佐々木は嘘や冗談を言う人間ではない。ましてこんな場所で。
 けど、だから何だっていうんだ。俺もお前もここにこうしているじゃねぇか。
 ……偽者だと? 
「……ふざけるなよ」
「キョン。その人物はね、世界をもうひとつシュミレートしてみることにしたんだ。あらかじ
めそれまでの記憶を持たせて、仮に涼宮さんに宿った力が、『もう一人の宿主』に存在したら
どうなるかってね」
「もういい! そんな話はたくさんだ!」
「結果は知っての通りさ。……一年間。長く持ったほうだと思う」
 佐々木……。
「ごめんね、キョン」
 頼むから泣かないでくれよ。

 永遠に思える沈黙が、数メートル四方しかない小さな世界を支配した。
「ごめん。今までずっと隠していて」
「どうしてお前が謝るんだよ。どうして……」

「僕はすべてを知っていたんだよ。この世界が誕生したその時から、何もかもすべてをね」

36名無しさん@ピンキー:2007/07/10(火) 22:23:51 ID:Y8Fb9wLi
 続く言葉は存在しなかった。
 初めから、言葉なんてちっぽけなものに任せられることはひとつもなかったのだ。

 世界が終わりへ向かっていく――。


 これは夢だ。長い長い夢。
 そもそも、宇宙人に未来人、超能力者なんてものが現実に存在するはずがない。
 初めっから世界の方がおかしかったのだ。
 目が覚めたら、きっとそこには不思議なことなど何もない、平穏な日常が広がっていて、世
界をどうにかするような力も、耳を疑うようなトンデモ話も、こんな茶番じみた舞台劇もない。
俺は佐々木と学校に行って、普通の友達である藤原や橘、周防と変わらぬ放課後を過ごす。超
常現象なんてなくとも、星を見たり、博物館行ったり、たまにまったく無関係に映画とか……
そうだな、ウィンドーショッピングでもいい。そんなのに出かけて、普通の高校生として、退
屈だよなぁとか言いながら、それでも本心じゃ満足して毎日を過ごすんだ。

 それだけでよかったのだ。


「周防九曜はね」
 光陽園学院の一教室の中。突如声を発した人物がいた。

 涼宮ハルヒ――。

 俺が顔を上げると、黒スカートに夏服半袖のそいつは、佐々木に代わって机の間を歩きだした。
「このシュミレート時空域そのもののプログラムを統理していたのよ。言ってみれば世界の心
臓みたいなもの。周防九曜がダウンすることは、つまりこのテストそのものが終わることと同じ」
 涼宮ハルヒもまた、佐々木とは別種の冷然ぶりを発揮しているように見えた。こうして外面
だけ見ていると、俺がどっかの世界でこいつと出会って別の部を立ち上げたなんてそうそう信
じられない。しかし、理性の主張とは裏腹に、俺は涼宮ハルヒに対して奇妙な郷愁めいたものを
感じていた。そしてそれは時間の経過に伴って、まるで現像されていく写真のようにはっきり
とした輪郭を作っていくのだった。
「一年間も持ったのは長いほうだったかもしれないわね。有希――本物の情報統合思念体が気
づかなければまだこの世界は続いていたと思うけど。まあとにかく、彼らが気づいたから『天
蓋領域』は試行を終えることにしたのよ」
 何の感慨もなく、淡々とした口調で涼宮ハルヒが言った。俺はというと、今だ語彙の海を旱
魃させたままでマヌケな棒立ちを続行していた。
「本当ならその場で即刻終了してもおかしくないはずだけど、佐々木の持ってる力にはひとつ
だけバクコードとも呼ぶべき例外があった」
 涼宮は教室の後ろで足を止めた。振り返って教卓の佐々木を見る。当の佐々木本人は面を伏
せたまま、ここからでは表情が解らない。
「ここであんたにすべてを聞かせることで、終了そのものをわずかな間遅らせることができる」
 凛とした顔は、常日頃佐々木が浮かべる微笑みとは対照的なものだった。
 涼宮ハルヒは俺のほうへ歩いてきた。見る間に隣へ来ると、肩口で髪を揺らして、
「佐々木を頼んだわ」
 それだけ言うと教室から出て行った。
 後には俺と、教卓の天板を見つめた佐々木だけが残された。
 日差しだけが、どこか物寂しげに床の半分ほどを照らしていた。


 夏だった。
 雨の少ない今年は、知らない間に景色を春から夏のものへ変貌させていて、それはたなびく
カーテンと透き通る窓の向こうに、どこまでも広がっていた。体がそれまで皮膚感覚を忘却し
ていたかのように、ようやく暑さの感覚が戻ってくる。数年間眠っていた気すらする。
37名無しさん@ピンキー:2007/07/10(火) 22:24:24 ID:Y8Fb9wLi

 教室内には永遠に続きそうな沈黙。
 机を数個隔てた俺と佐々木の間には無限の距離があった。
 時折吹く風は佐々木の髪をさらおうとして叶わず、諦めたようにまた無風になるのだった。
「佐々木」
 老人のようなひからびた声を俺は発した。喉がカラカラだった。
「帰ろう」
 やっとそれだけを言うと、佐々木は引きつるように小さく頷いた。
 何も言わず、数歩、ゆっくりと歩いてこちらへやって来る。
 俺は佐々木の手を引くと、やがて光陽園学院を後にした。


 ガキの頃。
 素顔を隠すマスクとスーツを見に纏い、予定調和に悪役をばったばったと倒しまくるヒーロ
ーに、俺は憧れ打ち震えていた。
 強きをくじき弱きを助け、最後には必ずハッピーエンドが待っている。そんな単純明快なス
トーリーに、俺は心惹かれていたのだ。

 今、俺はかけがえのない人物の手を引いている。
 見ようによっては、それはいかにも格好のいい行動であるのかもしれない。
 いつか小さかった頃の俺は、この姿を見て同じように憧れたかもしれない。
 だけど、どれだけしっかりと手を握ろうとも、俺にそれ以上の力はない。
 世界を救うことも、今泣いてる人を笑わせることも。まして正義の味方にもなれやしない。
 ……何とかならなかったのか。
 もう少し早くに知っていれば、せめてあとちょっとだけでも佐々木を解ってやれれば。


 北高に帰り着いたのは夕方のことだ。
 空はまだ明るく、気温も高いままだった。
「佐々木さん!」
 部室に入ると橘京子が声をあげ、たちまち部長のもとへ駆け寄って抱きついた。
「よかった……本当によかった」
 震えていた。
 橘はほとんど言葉になっていない声で佐々木に延々と何か言っていて、佐々木はただそんな
橘を抱きとめていた。あのいつもの笑みに、どこか儚さを織り交ぜて。
 藤原と目が合った。一度背けられたが、上級生は意を決したようにまた俺を睨み、
「話がある」
 顎でしゃくって俺を屋外へ促した。


 校庭前の下り階段に俺たちは並んで座っていた。
 夕暮れに向けて徐々に橙色へ変化する空が嘘みたいに綺麗だった。
「帰還指令が出た」
 藤原は出し抜けに言った。それが堰となっていたのか続けて、
「突然TPDDが使用可能になったと思えばこれだ。しかも、最優先強制コードで絶対に回避不可
と来ている。いいか、このタイミングでだぞ。どう考えてもおかしい。時空振動がぴたりと止
んだからというのが理由らしい。……それは僕にも解る。うんざりするくらいにな」
 すると藤原は立ち上がって夕暮れになずむ白雲を見つめ、
「何があったか話せ。……すべてをだ」



「織姫さまと彦星さまは、一年に一度だけ会うことができるのです」
 妹が手にした本の一説を朗読した。
38名無しさん@ピンキー:2007/07/10(火) 22:24:55 ID:Y8Fb9wLi
 俺はリモコンでチャンネルを適当に切り替える手を止め、声の主へ目をやった。
「ねえキョンくん。二人はどうして毎日会えないのかなぁ?」
 妹は小学生向けの図鑑と思しきハードカバーから顔を上げて言った。その目には純真無垢な
疑問の色を示すハテナマークが浮かんでいる。何だ、肝心なところは書いてないのかそれ。
 俺は何も言わずにソファから立つと、出かける準備をすべく荷物を取りに自室へ向かった。
 間もなくして下りて来ると、妹は玄関先で図鑑を両手に抱えてむくれていた。
「ねえねえ、キョンくんってばー」
 口をタコのようにして俺のTシャツの裾を引っ張ってくる。俺はふと考えて、

「それじゃ反対に、毎日会えるが急に会えなくなっちまったらどうなるか考えてみろ」

 そう言うと妹は三度ほど目をぱちくりとさせて首を傾けた。俺は微笑すると、ドアの取っ手を
ひねって家を出た。

 気持ちのいい夜だった。
 こんな日は星でも見るに限る。なんてのは俺らしくもないが、今夜くらいは似合わぬセリフを
言ってみるのも悪くない。なので俺はできるかぎりのさりげなさとクールさを持って、
「こんな日は星でも見るに限る」
 途端に歯が浮いた。俺は一人失笑しつつチャリを引っ張り出し、心身ともにゆっくりした速
度で待ち合わせに向かった。

 ひさびさの鶴屋山である。
 春に鶴屋さんの誘いで花見して以来だったが、季節が進行した分だけ緑は深まっていて、時
期を間違え早く目覚めた蜩がどこかで一匹鳴いていた。
 俺は短時間の登山を毎朝の登下校で鍛えさせられた脚力とともに制し、ほどなくして頂上に
到達する。
「よ。待ったか?」
 俺は荷物を肩がけしなおして、既に到着していた佐々木に呼びかけた。
 佐々木は俺に気づくと、折りたたみ式天体望遠鏡に触れる手を止めて、
「そうでもないよ。一年待った彼らに比べれば、このくらいは何でもない」
 そう言って星屑の天頂を仰ぎ見た。街の明かりから離れたこの山は、夏でも星がよく見えた。
 俺は軽く首を振って、
「いいや。遅刻は遅刻だからな」
 隠していた缶ジュース二本を取り出して片方を放り、
「たまには奢られるのも悪くないと思うぜ。部長様」
 すると佐々木はキャッチした缶を見て、にこりと笑うと、
「そうだね」
 天の川を閉じこめたような満天の瞳とともに言った。



「……そうか」
 俺がすべてを話し終えると、藤原は長い沈黙の後にそれだけ言った。
 すでに夕間暮れを迎えていた。背中側の空がわずかに紺色に変化している。
 藤原は腕を組んで沈思していた。言わない方がよかったか、と一瞬だけ思ったが、
「やはり聞いておいてよかった。……キョン、感謝する」
 こちらを見る目には滅多に見せない光が宿っていた。俺が半ば呆気に取られていると、
「ある程度の検討はついていた。上がどう思ってるのかは知らないが、この一ヶ月、明らかに
様子がおかしかった。既定事項に関する通達がまるでなかったからな」
 藤原は階段を登り、
「戻るぞ」
 俺は半分意識を残したままで立ち上がりかけたが、
「ちょっと待て。橘には何て言えばいい」
 背中を向ける上級生に尋ねた。すると藤原は失笑気味に肩をすくめ、
「なぜ僕に訊く」
39名無しさん@ピンキー:2007/07/10(火) 22:25:28 ID:Y8Fb9wLi
 さて何故だろう。……って今さらだな。
「好きにしろ。お前に任せる」
 藤原はそう言って一足先に歩きだした。俺は中腰のままで半ば呆然として見送っていたが、
やがて思い直してさんざん話してきた先輩男子の背を追いかけた。
「待てよ!」



 たいそう立派な竹が忽然と、まるで忘れられたトーテムポールのように生えていた。
「…………」
「これには驚いた。鶴屋さんはこれまで会った人物の中でも指折りの素敵な先輩だったけれど、
さすがは彼女という感想を抱くよ」
 まったく同意見である。
 てっきり細っこい笹の枝でも束にしてよこすのかと思っていたが、これはまさにここに竹が
生えているようにしか見えない。試しに押し引きしてみたがびくともしない。ここへ迷い込ん
だ翁がいたら一発で光る竹を見つけて帰れるだろうが、切るのは恐れ多くて拝むだけで済ませ
るかもしれん。むしろ俺は鶴屋さんを拝み倒したい気分だが。
「それにこれ、短冊何枚あるんだろうね。二人で分けても一年分になりそうだ」
 まるで札束である。これは完全にジョークだろうが、強化チタンか何かのアタッシュケース
に入っている。色も様々で、虹色の二乗はあるだろう数に加え金銀白黒……。しかし、ペンが
二本丁度なのはたまたまだよな?
「さてどうだろう。僕はあえて回答を控えさせていただこう」
 佐々木はクスッと笑って片手で口元を押さえた。どっちにしろ関係ない気がする。鶴屋さん
ならば、あらかじめ解ってればそのままあの明朗な笑みとともに喜んで送りそうだし、そうで
なくとも直感で結局同じ結果になってるんじゃないだろうか。
「さ、願い事を書くことにしよう。さいわい短冊には困らないみたいだしね」
 佐々木は早速水色の一枚を選んで何やら書き出した。俺も一枚取り出して、さて何書くかと
呻吟するのだった。



「お帰り」
 部室に戻ると、佐々木と橘は談笑の最中であった。
「あ、やっと帰ってきた。今合宿の話をしてたのです」
 橘はいつもの天真爛漫な笑顔に戻っている。俺は藤原と顔を見合わせた。藤原も少なからず
面食らっているようだった。
「さ、座りたまえ」
 佐々木の催促に俺と藤原はおずおずという具合に指定席へと落ち着いた。



 まさかこんなものまでと用意してあった脚立を使って短冊をつけ終わり、夏のクリスマスツ
リーのように豪奢な竹を見上げた。
「ずいぶん欲張っちまったな。これじゃ一生分の願い事と取られてもおかしくないぜ」
「では今宵空に願いを捧げられなかった人の分としよう。実際、僕自身はどれが自分の願いな
のか判然としないからね」
「俺はほとんど全部願望で埋め尽くせたがな」
 そう言うと佐々木はまたクスクス笑った。
「キョン。やっぱり君は、おそらく自分で思っている以上に面白い性質をしているよ」
 そうか? お笑いの道だけは志すまいと遥か幼少期に誓った覚えがあるんだがな。
「いや、そういう意味ではないんだがね。ふくくく」
 何がツボなのかよく解らんが、俺は望遠鏡に歩み寄って、
「それはそうと、これもうズレちまったんじゃないか?」
「そうだね。さっきまではよく見えていたんだが。もう一度探さないといけないね」
 佐々木は笑いを微笑に変えてこちらへ歩いてきた。
「ん。ベガとアルタイルってどっちが彦星でとっちが織姫だっけか」
40名無しさん@ピンキー:2007/07/10(火) 22:26:00 ID:Y8Fb9wLi
「ベガが織姫、アルタイルが彦星さ。もともと彼らを再会させるために僕らが短冊に願いを書
くと以前話した覚えがあるけど、覚えているかい?」
 ぐ。さっぱり失念している。これでもどうでもいいような知識ほど頭に残っているというち
ょっと得がたいものの全く役に立たない性質を持ってるはずなんだがな。
「ふふ。まあいいよ。少なくともあれだけ願い事を書けば、橋ができずに彼らが往生するよう
なことにはならないだろうから」
 俺の煩悩も恋人同士の逢瀬に一役買ってくれるならちょっとは報われるってものだ。
「それで」
 佐々木は声を出さない笑いをしきりに続けながら、
「何を書いたんだい? 訊いていいかな」
 吊るした時に見なかったのか? 俺はお前の含め一通り見ちまったんだが。
「フェアじゃないと思ってね。僕がどれかに本当の願いを書いても君が見つけるのは困難だが、
君のは反対にどれも真実に見えるかもしれないじゃないか」
 佐々木は俺を見て言った。俺はしばし考えたものの、その見透かすような瞳に観念し、
「いや佐々木、どうやったってアンフェアなのは俺のほうだ」
 そう言うと佐々木はふと口もとの笑みを緩めて、
「それはどういう意味だい?」
「ええとだな……」
 この期に及んですぐには答えられない俺であった。



 すっかり夜になるまで俺たちは話しこんでしまい、おかげで校舎を出た生徒は俺たちが最後
だったろう。
「これで心置きなく夏休みを迎えられます! ふふふ」
「気味の悪い笑いを抑えたらどうだ。あぁそうだ。お前、期末どうだったんだ?」
「またそれ!? あなたホンッとに性根が曲がってますね!」
「僕はお前の将来にささやかなる心配をしてやったに過ぎないんだがな」
 言い争う名コンビを先頭に坂道を歩いて帰る俺たちだった。
「楽しかったね」
 佐々木がふと呟いた。俺はエンドレス漫才を観察する目を隣へ向けて、
「そうだな」
 脳裏をよぎったのは周防九曜の姿だった。
 どんな正体を持っていようと、あいつも他に代わりのいない俺たちの仲間である。
 佐々木の力を涼宮ハルヒに移したことで執行猶予がついたなら、あいつを帰してくれてもい
いだろうが。
「周防さんは、あれでもちゃんとこの部での日々を楽しんでいたよ」
 佐々木が言った。その目には言い知れぬ気遣いの色があり、また年月を越えた底知れぬ温か
みが見て取れた。
「……そうだな」
 俺は『天蓋領域』たる星がかりの空を見上げた。

 おい、聞こえたか天蓋領域。
 そう、そこにいるお前のことだ。
 お前は箱庭で俺たちを動かして満足しただけかもしれない。だがな。今、ここにこうして俺
たちは存在しているんだ。お前がどう思おうが、何と言おうが知ったことじゃない。
 しかしな、人の気持ちをこれっぽっちも解らない知性体なんぞに、人間の持つ不可思議な力
なんて解りっこないぜ。まして世界をどうにかする力となればなおさらだ。

 見てろ。いつかしっぺ返しを食う時が来る。
 それは必ず。ここにいる俺には不可能でも、どこかにいるもう一人の『俺』は、やっぱり同
じようにお前を認めないはずだ。俺はそう信じて疑わないのだ。涼宮ハルヒ。あいつと出会っ
た時に感じた強烈なイメージ。あれこそ異世界の『俺』が別の人格でないことの確たる証拠な
のだ。俺たちの世界で好き勝手やった代償は高くつくぜ。
41名無しさん@ピンキー:2007/07/10(火) 22:26:34 ID:Y8Fb9wLi

 ……だが、同時にほんの少し感謝もしているのだ。
 俺の世界はここにあって、佐々木がいて、藤原がいて、橘がいる。周防のことも忘れない。
 俺たちが出会って、毎日集まって一緒に帰る、この歴史を作ってくれたことに、俺は素直に
ありがとうと言いたい。それだけは真実だ。

 そう、すべてが嘘だった世界にも、ちゃんと真実はあるんだ。

「それじゃ、また週明けに」
「はい! じゃあね佐々木さんにキョンくん!」
「佐々木にキョン、じゃあな」
「またね!」
「またな」
「……」
「……」
「……お前ら、下手すると中学生未満だぜ」
「「な、何だと!(何ですって!)」」
「くくくくく。ふふふふふふ」
「佐々木、黙って笑ってないでたまにはお前も思うところを言ってみたらどうだ。こいつらに
はそろそろ自覚という名の処方箋が必要だ」
「ふふ。それは困ったね。僕は今のままが一番いいと思っていたところなのに」
「じゃあ俺が言ってやる。橘、藤原。お前ら地球上で他に類を見ないほど相性抜群だぞ」
「…………」
「…………」
「……さ、キョン。帰ろうか。僕たちが長居するとこの先の修羅場の切れ味が落ちそうだ」
「おうとも。あぁいつになく楽しい下校時間だったのになぁ」
「キョン!」
「佐々木さん!」
「「……あっはっはっはっは!」」



 佐々木はしばし黙したままで天体望遠鏡に向かっていたが、
「……見えたよ。さ、早く」
 促された俺はケプラー式の対物レンズに目を近づけた。空いた目を閉じる。
「…………」
 そこにはほのかに青い燐光を纏う織姫星の燦爛たる輝きがあった。
 広漠たる宇宙の神秘の片鱗は、確固たる存在感をレンズ越しの惣闇に放っていた。
「すげぇ」
 思わず感嘆の息を飲んだ。何物も今この時輝いている存在には敵わないと思わせる。
「と言ってもそれは二十五年に放たれた光だけれどね」
 …………。
 なぁ佐々木、さすがに今のツッコミは浪漫を感じる男という生き物にとって無粋であったか
もしれないぜ。
「これは失礼。僕はアルタイルのほうが好きだからというわけでもないが、口が滑ってしまった」
 滑った上に若干ナナメだな。
「ん、それじゃそっちを見るとしますか」
 俺が提案し、
「了解」
 佐々木が相槌を打った。
 俺は顔を上げて、佐々木は反対に焦点を合わせるべく望遠鏡に臨む。
42名無しさん@ピンキー:2007/07/10(火) 22:27:07 ID:Y8Fb9wLi

 その間、俺は鶴屋山を見渡した。
 中央に大木ならぬ大竹を据えた私有地たる山の頂上は、間断なく吹く微風のおかげでさほど
暑くなかった。見上げると星の帯が源泉なき光の川を形成している。俺はふと厳粛な気持ちと
なって、一夜限りで橋渡しされただろうミルキーウェイを眺めていた。相思相愛の加熱するあ
まり離別させられたってのには同情三割の前に呆れ七割だが。

 無限の涼夜はあまねく天穹を覆っている。
 まだ梅雨であるにもかかわらず雲はひとつとしてなく、宝石を散りばめてもこうはいかない
星漢が、ここでこうして観測する者の存在を矮小なものにして、時間の感覚を遠遐の彼方へ押
しやっていた。

「どうだ佐々木、そろそろ見つかった――」

 か。
 俺は最後の一文字を霧消させた。

「…………っ、うっ」
 佐々木は地面にへたり込んでいる。

「佐々木……?」
「……キョン……ごめ……っ。うっ……」

 振り向いた佐々木は涙を流していた。

「ごめ、っ、えう……うわぁぁ……」
 佐々木。
「佐々木!」
 俺は歩み寄って、佐々木を抱きしめた。
「……佐々木」
「うぅぁあ、……ごめん、ごめんねキョン……ぅぅぅ」
 ショックだった。
 ブラックホールとか暗黒物質じゃ足りないくらいの風穴が、胸にどかんと口を開ける。

 佐々木は、ここに来てなおも自分を抑えていたのだ。

「ごめん……ごめんね……。こん、っ、うっ、こんな……」
「お前は悪くない。……誰一人悪くない」
「うぁあ、キョン、あぁぁああー」

 ちくしょうめ。

 初めから知ってただって?
 ……笑わせるな。そんな事実をどうしてあらかじめ知らせておく必要がある。
 そもそも、なぜ世界をどうにかする力なんてもんがこいつに宿る必要があった。

 誰でもいい。出てきて教えてくれよ……。

「うぅぅぅ……っ、あぁぁっ、えっく」

 佐々木は舞台の中心で張り切るようなタイプじゃないんだ。
 まして宇宙の中心にいるなんて重役、自覚して務まってたほうがどうかしてる。

「……ほんと……はっ、こんな……こんな……」
「もういい。……もういいんだ」
43名無しさん@ピンキー:2007/07/10(火) 22:27:40 ID:Y8Fb9wLi

 謝りたいのは俺のほうだ。これまでの一年間、正義の味方の真似事をしつつ、大切なことは
何一つ解っちゃいなかった。佐々木は最後の最後まで本心を表さない奴なのだ。本当に困って
も、世界の終幕前の土壇場でも、なお自分を後回しにするような奴なのだ。

 それに気づかなかった大馬鹿野郎は俺だ。

「佐々木」
「……っ、ぅうう」

 気づけなくてすまなかった。
 俺が気づかなくちゃいけなかったんだ。
 そしたらもうちょっと、ほんのわずかくらいお前の気持ちが楽になったかもしれないのに。

「泣くな……お前は本当に、頑張りすぎってくらい頑張ってた」
「あっ、うぇっ、ぅぅうあああー」
「ずっと一緒だ。何がなくなっても、ずっと……一緒にいるからな」
「キョン……っ、うぅっ、キョン……」

 くそ。
 これで終わりなのか。

 まだまだ、やってないことがあるじゃないか。

 合宿にだって行ってない。夏休みもまだだ。祭りだってあと三回は行かないと気が済まん。
 橘は日焼けが嫌とか言うかもしれんが、海水浴だって今年こそ行きたかった。

 まだ。
 まだこの先も、いくつもいくつも楽しいことをするはずだったろうが。

「佐々木」
 俺は涙でくしゃくしゃになった佐々木の頬を両手で包んだ。
「ずっと大好きだった。今でもバカみたいにお前が好きだ。……大好きだ」
 風が吹いて木々が揺れる。
 ジーンズのポケットに一枚だけ隠していた短冊が、空に昇って行く。

 無数の星が世界を照らす下、俺たちは最後のキスをした。

「キョン……」
「もう謝辞は抜きだぜ。耳にタコができちまうからな」
「……そう、か」

 ずっと離さない。
 たったの一日ついた延長期間は、もうそれ以上続くことはなく。

「ありがとう……」

 最後に佐々木が笑う。


44名無しさん@ピンキー:2007/07/10(火) 22:28:13 ID:Y8Fb9wLi
「大好きだよ、キョン」



「佐々――






























 ――。
 ――。


 ――――。

 ――試行、――終了。


 ――。
 ――。







45名無しさん@ピンキー:2007/07/10(火) 22:28:45 ID:Y8Fb9wLi
























「キョン?」
 呼び声に我に返った。
「……佐々木?」

 ごくごく見慣れた喫茶店の内部であった。
 休日の午前なのに人がまばらなのは、今が雨降りの空模様だからだ。
 俺は常連となっているこの喫茶店の一角へ、しかしいつもと違う顔ぶれと共に座っている。
「早くしてもらいたいのはこっちの方だ。何をぼーっとしている」
 名前も知らないのに悪印象を相当蓄積している未来人の男がぶしつけに言った。
「事を急ぐのはよくないわ。まず順番に自己紹介から始めないと」
 隣で、これも同じく悪い記憶しかない、先輩をさらった誘拐犯の首魁たる少女が無邪気に笑
った。
「――――」
 真っ黒な姿。
 何も言わない、俺たちをかつて真冬の山岳で遭難させた連中の手先だろう宇宙人が、頻闇の
瞳を虚ろに向ける。……妙な感じを受けたのはこいつからだったか。
46名無しさん@ピンキー:2007/07/10(火) 22:29:20 ID:Y8Fb9wLi
「キョン、大丈夫かい?」
 俺の隣で中学時代の友人が靄然と微笑んだ。
「ん、ああ。ちょっと眠気が来ただけだ」
 眠いなどと言っている場合ではないのだ。ここにいる連中は俺にとってほとんどが黒なので
ある。この話し合いの推移如何では、即刻警戒態勢に入らねばならないかもしれない。俺は気を
引きしめるべく頬を叩いて渇を入れる。

「始めよう」

 俺は言った。未来人野郎が嫌な感じにニッと笑うのが嫌でも目に入る。
 そう、問題は起きたばかりなのだ。
 もしかしたら、まだ始まってすらいないかもしれない。
 それはここから先の時間に、模糊とした不定の現象としてたゆたっている。


「佐々木」
「何だい、キョン」
 俺は覚悟してこれだけ言った。
「頼んだぞ」
 俺はお前を信じている。
「うん。もちろんさ」
 佐々木は小さい頷きを返した。
「この前も、君は親友だと言ったばかりだしね」


 そうだ。
 佐々木は中学時代の親友だった。
 俺がこいつを信じることができるのなら、今だって胸を張ってそう呼べる。


 かくして佐々木を含む三人の人物との会合は始まった。
 俺はそこでいくつかの新事実を知り、いくつかの疑念を持った。

 が、同時に大丈夫じゃないかとも思っていたのさ。


 他ならぬ『親友』が、隣にいたからな。







 (了)
47名無しさん@ピンキー:2007/07/10(火) 22:29:52 ID:Y8Fb9wLi


















 ――俺は短冊をひとつだけ吊るさずに隠し持っていて、そこにはこう書いていた。

 『今ここにいる俺たちが、ずっと一緒にいられますように』











48名無しさん@ピンキー:2007/07/10(火) 22:30:27 ID:Y8Fb9wLi
以上です。
49名無しさん@ピンキー:2007/07/10(火) 23:47:56 ID:Ka3+EYDE
しょっぱなから投下乙
後でじっくり読ませてもらうわ
とりあえずこの量なら確かに新スレ立てて正解だな
50名無しさん@ピンキー:2007/07/11(水) 00:24:48 ID:h147vUWe
いきなりGJ

藤原と橘に惚れたww
51 ◆LeyXT4003g :2007/07/11(水) 00:29:33 ID:VnlhrAU9
※このレスにはSSのネタバレが含まれます。

話としてはよくある箱庭かマトリックスかというストーリーであり、人によっては陳腐の部類に入るかもしれない。
しかししかし、キョン語りの細部に手を抜かず書ききれる発想と根気と安定感が、まことに、まことに素晴らしい。
淡々とクライマックスの七夕観測会を書ける忍耐力には感嘆してしまったよ、本当に。
捏造カプなはずの橘×藤原も、読んでいて応援してやろうという気になるくらい生き生きと描かれていて、原作を読んでもそんな気分になってしまいそうだ。
キョンによる後日の回想という形式の原作では決して読むことのできない譚、
その点で「二次創作にうってつけの話」「ここでしか読めない話」「世界でたった一人にしか書けない話」を読ませてもらったことに、感謝を捧げたい。

だが、仕方のないことではあるにせよ、
原作と同じ「回想録」としてのままの体裁が、じゃあ仮想空間での出来事を記述したのは誰なんだ?という矛盾を生んでしまうのは否めない。
それに関連して、小さな事ではあるが、
>>12で謎の男から電話がかかってくるシーンには(『分裂』のパロディシーンとはいえ)、回想録にしては事前予告が全くなく、
逆に>>26あたりでは、書き方のせいかもしれないが少々しつこすぎたりと、不安定さがあると感じられた。
また、原作では協和音を奏でているとはピタゴラスもおそらく認めない佐々木団が、こちらでは見事に結束しているのは、
実験者によってそのように作られたから、というのが読後の納得なのだが、これは書き手が本意とするところだろうか?
冒頭に何故このシーンを選んだのかも気になる点だ。確かに仮想と現実を接続する重要なターニングポイントではあるが。
思念体側(実験時空統括者:長門)と天蓋側(実験時空統括者:九曜)がハルヒと佐々木で交互にシュミレート(113,000:757,000)してたのかと考えたけれど、
そこまで設定した気配はないようなので、ショッピング――橘かよ!――ショッキングなシーンとしての食一樹を狙っただけだろうか。
他、不整合ではないかと思う点や、敢えて目をつぶって書いたのではないかと思われる要素はいくつかあるが、
突っ込んだら穴二つという羽目になりかねないのでやめておく。

最後に、スレ立て乙!
52名無しさん@ピンキー:2007/07/11(水) 00:56:31 ID:tnOl6njK
新スレに、いきなり読みごたえのあるSSが来たな。
読み手としても、色々じっくり感想書きたくなる作品だわ。
とりあえず、良作投下&新スレ乙!
53名無しさん@ピンキー:2007/07/11(水) 00:59:45 ID:0bVM3WOY
ざっと眺めたが、この改行は才能がある。たぶんその筋の人だろう。
54名無しさん@ピンキー:2007/07/11(水) 01:17:07 ID:e8fz1Uh1
感想用のボキャブラリーがない俺を許して欲しい。


凄く面白かった。乙
55名無しさん@ピンキー:2007/07/11(水) 01:17:09 ID:SeuW0ZFy
パンジーがこんなツンデレキャラになるとは…
作者乙&GJ!
56名無しさん@ピンキー:2007/07/11(水) 01:29:29 ID:xTFp8oWY
藤パンがここまでナイスキャラに見えるとは……なんて驚愕
57名無しさん@ピンキー:2007/07/11(水) 01:31:02 ID:W2iZOckI
語彙が足らず表現しきれないが一言だけ。

よかった。乙&GJ
58名無しさん@ピンキー:2007/07/11(水) 01:51:40 ID:/gZM3TlO
とてもいいお話でした。
でも、なんか書こうとすると全部51の劣化になっちゃうのでやめておく。
以下蛇足

前スレがまだ終わっていません。
あちらに優先的に書き込みましょう。
【涼宮ハルヒ】谷川流 the 49章【学校を出よう!】
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1181933714/
59名無しさん@ピンキー:2007/07/11(水) 02:04:41 ID:2OgU+jAa
ハルヒはいつ事実を知ったのか、それをいつ認めたのか……それがちょっと気になってしまった。
でもそれは些細な事だと流せるぐらいの話だった。
佐々木×キョンより藤原×橘を応援してしまうのは仕方ないよな?
作者さんGJでした!

ただやっぱり気になった一箇所だけ指摘させて。
>>39の部室で談笑してるのは藤原と橘だよな?
60名無しさん@ピンキー:2007/07/11(水) 02:06:44 ID:TzKaOF8J
驚愕の事実!日本の子供たちが洗脳教育を受けている!

日教組(反日洗脳教育)=民主党(朝鮮 中国)

特亜民主党マニフェスト

●消費税で国民の年金を賄い、また、世論の動向を見て、後の消費税UPにより、今まで掛け金の存在すら知らなかったような在日の年金も賄います。
●支持母体である公務員の身分は役所新設横滑りで全員保護し、公務員の無駄遣いは税金UPではなく、国債発行という国民の借金で賄います。
●風営法改正を白紙に戻し、パチンコ業界の規制を緩和します。
●外国人(特亜人)に地方参政権を与え、済し崩し的に国政にも参加できるようなフラグを確実に立てます。
●中国が欲している沖縄に中国人を3000万人移住させ、一国二制度を実施します。
●竹島は韓国のために放棄し、尖閣諸島は中国のために放棄します。対馬、沖縄の要求につきましては、特亜友好のために必要なら、その要求に応えたいと思います。
●中華思想に陶酔し、経済、国防その他、中国の属国同然になり、建前上の毒食料自給率100%を達成し、あらゆる内政干渉は、宗主国による行政指導として受け止めることとします。
●人権擁護法という名の特亜人特権法を作り、日本国民の心の叫びを特亜人の手により容易に弾圧できるようにします。
●北朝鮮崩壊の折り、難民は全員受け入れ、その費用は日本国民の血税により賄います。
●憲法改正、特に9条については法的欠陥を維持するため手をつけません。
●支持母体である日教組、自治労は徹底的に保護し、日本の教育、日本の行政を更に腐敗させます。
●南京、慰安婦の件につきましては、たとえ信用性がない嘘であっても適当に謝罪し、未来永劫、集られるためのフラグ立てとします。
●日本の国家主権を放棄し、特亜共同体に必ず主権移譲します。
●あらゆる黒い利権及び特亜関係からの怪しい献金につきましては、日本国民の皆様のために大切に保護、使用します。
●その他の「絵に描いた餅マニフェスト」につきましては、いつ見ても大変美味であると自画自賛しております。

特亜民主党 党首 小沢民(日本名:小沢自治労)
61名無しさん@ピンキー:2007/07/11(水) 02:47:55 ID:LBbXxNUm
62名無しさん@ピンキー:2007/07/11(水) 03:49:38 ID:65bbW3p6
夕立の前と後に感じるような、不思議なもの悲しさと清涼感を感じた。
63名無しさん@ピンキー:2007/07/11(水) 06:59:29 ID:90N6Dmzv
北高佐々木バージョン良かったよ!
特に藤原と橘の夫婦漫才が
64名無しさん@ピンキー:2007/07/11(水) 07:53:36 ID:8Sztf+cq
すごい良作 力作。
でも、天涯領域が弱すぎるな。長門を機能停止にする力があるからもうちょっと
頑張ってもいいのかな。
それと、古泉はどうやってキョンの電話番号をわかったのかな。機関の力で調べたのか。
橘が古泉とキョンの接触を妨害しないのも、橘のスタンスからすると変な感じ。これは、古泉の
機関より力があることから、油断したのかな?
65名無しさん@ピンキー:2007/07/11(水) 08:36:14 ID:uVZ7ZNM9
つ 電話帳
66名無しさん@ピンキー:2007/07/11(水) 09:14:09 ID:8MMTcbAJ
凄い面白かった。知らない言葉が出てくる度に辞書引いて勉強になったぜw
67名無しさん@ピンキー:2007/07/11(水) 11:22:33 ID:fUsAtR5n
長になりたがらない佐々木の控え目なところが出ていていいね
68名無しさん@ピンキー:2007/07/11(水) 12:08:26 ID:lfq9MAfS
GJ!!俺の貧相な語彙じゃ面白かったとしか言えねえよ。
でもSOS団のメンバーの出番がほとんど無かったのが悲しかった。
まあこの設定じゃしょうがないけど、
やっぱり俺はSOS団の5人が好きなんだと再確認できたよ。
69名無しさん@ピンキー:2007/07/11(水) 14:41:05 ID:k6zuqnzw
>>51
どうしたら食いつきが食一樹になるんだよw
70名無しさん@ピンキー:2007/07/11(水) 20:03:43 ID:G0EYfD7t
物凄くGJだったぜ
ただ、もちっと最後の二人のシーンを甘甘にして欲しいかったなと
思った佐々木萌えな俺を許してくれ。

さて、前スレ埋めようか
ついでに70ゲト
71名無しさん@ピンキー:2007/07/11(水) 20:14:20 ID:65bbW3p6
終盤ややあっさりしすぎな感じはするな。
ことが全部終わった後のフォローがないんで、なんとも物足りなさを感じるというか。
佐々木団の面子がよく書けてたんだし、後半でもうちょっとみんなで話すシーンやってもよかったんでないかと。
72名無しさん@ピンキー:2007/07/11(水) 21:36:19 ID:AfooJfbl
GJです。自分の語彙力のなさが恨めしい…
ものすごく楽しく読ませてもらいました。超常〜会の面子の仲のよさなんかが
細部に書き込まれたエピソードで伝わってきて、違和感を感じずに読ませてしまう
力量にはただ感嘆するのみです。特に>>40-41の下校シーンなんかは、
ここに周防がいないことが淋しく感じられるほどでした。
73名無しさん@ピンキー:2007/07/11(水) 21:57:37 ID:Nhucadb6
語彙が足りないって流行ってるの?
今日はやけに目に付くけど、何か変な感じがする。普通に誉めればいいんじゃね?
74名無しさん@ピンキー:2007/07/11(水) 22:01:19 ID:0bVM3WOY
逆だよ、誉める言葉がうまくみつからないって謙遜ぶる意味で使ってるらしい。
なら必死に探せよと思うけれど。
75名無しさん@ピンキー:2007/07/11(水) 22:30:39 ID:qKtFm4SI
ああ、そういう意味だったのかー>謙遜
書き手にしてみれば、「面白かった」の一言が一番いいんじゃないかねえ。
76名無しさん@ピンキー:2007/07/11(水) 23:01:13 ID:Q7gD26+R
良作が投下されると読み手は感想書く時に自分の語彙(=ボキャブラリー)の無さを恨めしく思って使う言葉
謙遜ってより、『感動をうまく言葉に表せない』って意味で2chではよく使う
77名無しさん@ピンキー:2007/07/11(水) 23:18:48 ID:Nhucadb6
よく使われてるんだ。知らんかった。
相手を誉めるのに一々自分を卑下するような事言ったら、お互い気持ち悪いと思うんだけどな。気にしすぎか。
とにかく>>48はGJって事だね。
78名無しさん@ピンキー:2007/07/12(木) 00:03:37 ID:9ssuW3nU
感想の書き方なんて人それぞれ。
それを他人がごちゃごちゃ言う必要はない。
79名無しさん@ピンキー:2007/07/12(木) 01:34:52 ID:2DwuOjN9
>>48
とても面白かったです。話も文章も凄く上手だと感じました。
ただ、あまり一般的でない言葉が少し多すぎて、その度ごとに読むのを中断
させられてしまうという印象を受けました。
(勿論、これは書き手さんのスタイルにも強く依存する点なので、一概に良し悪しの
判断をできることではないということも、重々承知はしているつもりです)

何にしろ、SSで自分の語彙力の無さをここまで痛感させられたのは初めてのような気がしますw


>>59
多分部室のシーンは屋外でのキョンと藤原の会話のシーンの続きだと思うので、
部室内で談笑してるのは佐々木と橘の両名で合ってるのではないかと思います。
80名無しさん@ピンキー:2007/07/12(木) 02:34:10 ID:BIynbMXm
>>79
あぁ、佐々木とキョンの短冊書きが合間々々に挟まってるのか。
THX、理解度が浅かった。もう一度読み返してこよう。
81名無しさん@ピンキー:2007/07/12(木) 02:42:37 ID:NM9rlX7B
キョンが佐々木団(仮)に所属してたらっていうIFネタで終わるんじゃなく、
話として成り立ってるのが凄いな。

藤原(大)とかをうっかり想像してしまったのは俺だけでいい
82名無しさん@ピンキー:2007/07/12(木) 03:44:34 ID:/lhiWm+H
アレが特盛りなのか?そうなのか。



アッーー!!
83名無しさん@ピンキー:2007/07/12(木) 15:35:53 ID:wy+sgDgc
>>82
●<彼が特盛りなら…僕のは特盛り汁だくですよ。
84名無しさん@ピンキー:2007/07/12(木) 18:39:24 ID:xnE+7Mm8
>>83
その汁だくで前スレ埋めてこいw
85名無しさん@ピンキー:2007/07/12(木) 19:41:13 ID:qs4V6YL8
お、落ち着けって!!
そんなことしたり荒らしよりたち悪いって!!
86名無しさん@ピンキー:2007/07/12(木) 19:55:01 ID:0cd5BIVt
>>85
す、すまん!!
俺としたことがつい取り乱して冷静な判断力を失っていたようだ!!
87名無しさん@ピンキー:2007/07/12(木) 21:07:52 ID:/lhiWm+H
●<やはりお仕置きが必要なようですね
88名無しさん@ピンキー:2007/07/12(木) 21:22:58 ID:rjSRlq8l
そろそろ熱は冷めたかな?とりあえず>>4さんGJです。
89名無しさん@ピンキー:2007/07/12(木) 22:02:37 ID:GpJNVdmL
面白かった。読み応えもあるし、なにより5人の仲間の雰囲気が学生っぽくて楽しそう。
やっぱり、キョンはどの世界にいても集団の中心にいる大黒柱のようなやつだよな。
とてつもない能力を持っているのに、よりかかっているのはいつもキョンの肩、みたいな。
90名無しさん@ピンキー:2007/07/13(金) 00:03:49 ID:ATmPyqHp
さっき保管庫で読んできた。
最近時間が無くて小ネタとかばかり読んでて長文読んでなかったけど、つい読んでしまった。
すごく面白かった。>>48GJです
91名無しさん@ピンキー:2007/07/13(金) 16:03:27 ID:mEZWgcBz

かみ わがまま
うちゅうじん れいせいちんちゃく
みらいじん てんねん
ちょうのうりょくしゃ ガチホモ
はたおとこ おひとよし

かみ くーる
うちゅうじん むくち
みらいじん ツンデレ
ちょうのうりょくしゃ へたれ
はたおとこ おひとよし

いもうと じゅんすい
うちゅうじん きちく
にょろ にんじょうか
ちょうのうりょくしゃ スネーク
はたおとこ おひとよし

なんか嫌な集団になった。このパーティーのどこかに入るならどこがいい?
92名無しさん@ピンキー:2007/07/13(金) 17:15:24 ID:bm4THxU1
>>91
客観的に属性だけ見るならBが一番安定しているような。
というか佐々木ときょこたんがいるからB。
93名無しさん@ピンキー:2007/07/13(金) 17:54:41 ID:2LK0nZm5
  新 ス レ 早 々 圧 倒 的 な 力 の 差 を 感 じ て し ま う 。


  こ れ は も う 如 何 と も し が た い ね ……
94名無しさん@ピンキー:2007/07/13(金) 18:31:47 ID:XErh2/DU
本編の続き出ないからテンプレまで変わってしまったか。
95名無しさん@ピンキー:2007/07/13(金) 18:55:10 ID:ZQ2cbc6D
テンプレじゃねーよw
ってなんか分からんがウケちまった。疲れてるな
96名無しさん@ピンキー:2007/07/14(土) 00:04:12 ID:19EbtGMT
>>93
キミには頭が上がらないよ……釣り師として。
でも、死んで欲しい
97名無しさん@ピンキー:2007/07/14(土) 00:20:34 ID:MAz9x6I+
ハイレベルな長編ごちそうさん(,,゚∀゚)=3
98名無しさん@ピンキー:2007/07/14(土) 12:24:55 ID:tgDpL389
まとめサイト管理人さんへ
以下の作品が荒らしの書き込みまで入って、内容が重複しているようです。

◆F6k6hz1X4c 様(16-126th): 『トータル・リコール』
http://www1.atpages.jp/eroparo/sslibrary/h/haruhi392.html

http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1151383972/130-131
↑これが荒らしの書き込みなので、この部分を削除お願いします。
99名無しさん@ピンキー:2007/07/14(土) 16:19:54 ID:S/B/A4ap
>>91
えーと、きちくのうちゅうじんってどっちですか。もしそれが黄緑色の人だったら
君がっ泣くまでっ殴るのをっ止めない!!
彼女は鬼畜でなく腹黒です。
100名無しさん@ピンキー:2007/07/14(土) 17:11:06 ID:YEjt65OF
>>99
きみどりのきは鬼畜の鬼ーってよく言わないかい?えっ、言わない?
あれ?窓一面にw(ry
101名無しさん@ピンキー:2007/07/14(土) 17:15:55 ID:fnPndw2A
陰毛が濃そうなキャラ(俺主観)
朝倉→森→朝倉→黄緑→ハルヒ→鶴屋→橘→阪中→佐々木→周防→朝比奈→ミヨキチ→ここからは無毛→長門=キョン妹
野郎キャラ
荒川→田丸兄→会長→谷口→藤原→田丸弟→キョン→古泉→国木田→博士くん
102名無しさん@ピンキー:2007/07/14(土) 17:25:02 ID:S/B/A4ap
>>101
……何か吐き気がしてきた。あと、朝倉さんが二人いるのは何故。
そして>>99!! ワカメに巻かれて溺死しろ。
103名無しさん@ピンキー:2007/07/14(土) 17:30:01 ID:fnPndw2A
>>102
消し忘れた…すまん俺をNGにしてくれ。
104102:2007/07/14(土) 17:32:13 ID:S/B/A4ap
あれ? 俺自殺してない? 「そして>>99!! ワカメに巻かれて溺死しろ」って。
……俺もNG、よろしく。
105名無しさん@ピンキー:2007/07/14(土) 21:23:33 ID:RZq4q7Ir
>>103-104
●<それでは僭越ながら、僕があなたがたの*をNGにして差し上げましょう…フフフ…
106名無しさん@ピンキー:2007/07/14(土) 21:23:35 ID:wod6b9l5
とりあえず>>48への感想以外は前スレに書かんか?
まだ487Kで埋まってないんだが。

http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1181933714/
107名無しさん@ピンキー:2007/07/14(土) 23:58:08 ID:GoJcQ/Ly
そうか夏か。そうかそうか……。
108名無しさん@ピンキー:2007/07/15(日) 00:31:23 ID:N/eSjUyQ
キョンの逆行モンはありなのかな?かな?
たとえば「ハルヒに古泉、はては長門や朝比奈さんまで何も覚えてないのに、一年間の記憶とともに過去の世界にやってきたキョン!
彼は二度目の一年をどうするのか?ここに新たな物語が始まる」みたいな感じでさ、どうかな?

まっ、どっちにしてもウチには小ネタを創る文才すら持ち合わせてないけどね。
109名無しさん@ピンキー:2007/07/15(日) 00:36:23 ID:dihpj3Zc
>>108
つ 【ループタイム】
110名無しさん@ピンキー:2007/07/15(日) 01:11:50 ID:N/eSjUyQ
ありゃ?これはすっかり失念してました。(*⌒▽⌒*)あっはっは。
>>109さん、どうもお世話おかけしました m(_ _)m
111名無しさん@ピンキー:2007/07/15(日) 01:19:57 ID:GWaRZlun
>>101
<剛毛>
朝倉、森、黄緑、ハルヒ、鶴屋、みくる
<普通>
橘、阪中、佐々木
<薄毛>
周防、ミヨキチ
<無毛>
長門、キョン妹
112名無しさん@ピンキー:2007/07/15(日) 02:10:20 ID:c0iT0PAb
>>111
ハルヒは意外と<無毛>だな。
113名無しさん@ピンキー:2007/07/15(日) 02:15:49 ID:Y3KSF9EE
佐々木はキョンの趣味に合わせて剃ってるにスーパーヒトシ君で
114名無しさん@ピンキー:2007/07/15(日) 09:07:52 ID:spSItPj+
>>113
残念。没収とさせていただきます。
115名無しさん@ピンキー:2007/07/15(日) 10:06:34 ID:yOtcZUfH
またマコト君ボッシュートだよ…
116保管庫からきますた:2007/07/15(日) 14:20:44 ID:aZlEqlNJ
現在その2を長門中なのだが、なんなのこのレベルの高さ。
エロパロ内ではありえんくらいだ。
エロパロだっつうのに一般向けも平気であったりして、
それでも引き込まれちまうってのはドエロの俺にもありえなかったことだし。
全員キョンの影響でも受けているのか。

しばらく未読消化せねばならぬので失礼するが、
この分だと俺も何か書きたくなりそうな勢いである まる
117名無しさん@ピンキー:2007/07/15(日) 14:21:56 ID:1C+6E2Aq
118名無しさん@ピンキー:2007/07/15(日) 14:43:13 ID:WRgmhQIE
とりあえず書いてみたら?
119名無しさん@ピンキー:2007/07/15(日) 15:16:49 ID:aZlEqlNJ
まだキョン度が足りないので・・・
ある一定のレベルに達しないとここに作品を残すなど
長門に判りやすい表情を求めるくらい大それたことと思うので・・・
120名無しさん@ピンキー:2007/07/15(日) 17:02:09 ID:wK6wkxME
意外なことにまだ無いのはキョン×ハルヒ×佐々木
121名無しさん@ピンキー:2007/07/15(日) 17:30:38 ID:AS6DqPLL
笹の木シリーズが続けばそのうちありそうだな
122名無しさん@ピンキー:2007/07/15(日) 20:50:33 ID:mfZAEWQt
…………あれが三つ巴になるのか。ぐっちゃぐっちゃの淫猥になるんだろうな。楽しみだけれどね。
123名無しさん@ピンキー:2007/07/16(月) 14:08:27 ID:m7WWgyCW
保守?
124名無しさん@ピンキー:2007/07/16(月) 16:09:17 ID:CQbRA0eP
暇つぶしにクイズでも出す事にする。
暗闇の中靴下を取りたいのだが、タンスの中には黒と紫の二種類の靴下しかない。最低同じ色の靴下をだすにはどうすれば良いか?
「制限時間は何分でしょうか?」
1分だ!簡単だろ?
「…それは簡単分かった…よくすぐにわかる。」
さすがだな長門。思わず惚れそうになるぜ。
「ふん!キョンのくせに!頭にくるわね!」
頭が柔らかくすれば分かると思うぞ。
「すみません僕も分かりました。すみません皆さん」
古泉は別にどうでもいい。
「あ、あ、私も分かりました。とっても簡単ですね。」
分からないのはハルヒだけか?
「悔しい!でも…アタシだけ馬鹿にされている感じだわ!」
と言いながらビクッビクッとしているわけではない。
ちなみに暗闇なので色を識別するわけじゃない。これがヒントかな?

保管所の管理人さんこれはのせなくていいぞ。
125名無しさん@ピンキー:2007/07/16(月) 17:44:17 ID:Hz6X/FoA






だすだけなら全部だしていいの?
126名無しさん@ピンキー:2007/07/16(月) 18:22:27 ID:YwAfv2l/
>>124
お前本当は保管庫に載せてほしいんだろ?バレバレだぜ
127名無しさん@ピンキー:2007/07/16(月) 18:23:54 ID:rGAkLMPS
とりあえず答えてみる。


「……あーもうわかんない! なによ、さっさと答えをおしえなさぁいっ! このバカキョン!!」

いやいや、この場合どちらかと言えばバカという言葉に該当するのは俺よりもむしろ答えられなかったハルヒのほうではないか?
長門も古泉も朝比奈さんも分かっている以上、問題は公正なものであり、俺に非はない。
もちろんそんなことは口にだそうものならハルヒのとび蹴りが飛んでくることは間違いないので、黙っていたが。

「じゃあ、いっせいに答えを言うか。長門、古泉、朝比奈さん、お願いします」

頷く三人。頭を抱えながら、ジトーッとした目で俺を見るハルヒ。そんな目をしても無駄さ。頭の柔らかさでは、俺たちに軍配が上がったな。

「せーの……」

三人は異口同音に言った。

「「「電気をつける」」」

「いやいや、みなさん考えることはまったく同じでしたね」
「……単純な問題」
「えへへ、すぐにわかっちゃいましたあ。あ、涼宮さん、ごめんなさい」

ハルヒはしばらく硬直して小刻みに震えていた。俺が「じゃあ、第二問――」と言いかけたその瞬間だった。

フッと部室が暗闇に包まれる。停電じゃない。部室だけじゃなく、外も真っ暗になっていたのだ。文字通りの暗闇に俺たちは包まれる。

「えっ!? な、何なんですかこれー! きゃあああー」
「落ち着きましょう、まずは状況の確認と、光源の確保を」
「今スイッチを入れた。だが、電気がつかない」

なんだ、なんだいったい!? なんでいきなり真っ暗になっちまったんだ!? おい、ハルヒ、ひょっとしてお前の仕業なのか。
たかが引っ掛けクイズでなんと大人気ない。俺の妹だってこんなことはしないぜ、おい!

い、いま何かが触った。何の感触だ、これ? うわっ、首筋、首筋ににゅるって感覚が! し、舌か? おい、誰だよ、俺を掴んでいるのはっ!

「キョン……どお? 暗いなら電気つけてみたらいいじゃない。それがあんたの『答え』なんでしょ……」

ハルヒ、落ち着け、暗闇で俺の服を脱がそうとするな。おい、おおお前、既に裸じゃないか!? 部室だぞ、ここ!

「見えないわよ、どうせ。『暗闇の中』ってそういうことでしょ? ……靴下の色云々は問題のかざりなんだから、あたしが正しい問題を出してあげる……


『電気もつかない暗闇で、キョンはどうやってあたしの逆レイプから逃げるのでしょう?』


制限時間はないから、ゆっくり考えなさい♪ もっとも、のんびり考えていると、解なしになっちゃうわよ?」


暗闇の中で、ハルヒが楽しそうに言った。
128名無しさん@ピンキー:2007/07/16(月) 18:29:00 ID:nw2bDsow
なんという模範解答…
129名無しさん@ピンキー:2007/07/16(月) 18:36:56 ID:mUAHBC1o
わっふるわっふる
130名無しさん@ピンキー:2007/07/16(月) 18:37:46 ID:IDy2TfPI
  原 作 者 の 新 作 読 む と や っ ぱ 圧 倒 的 な 力 の 差 を 感 じ て し ま う 。


  こ れ は も う 如 何 と も し が た い ね ……
131名無しさん@ピンキー:2007/07/16(月) 18:49:12 ID:ixyQzSrG
>>130
まったくだ…

という事で>>127は早く新刊を発行できるように作業にもどってくれ
でも、今回みたいな息抜きは必要だよね
132名無しさん@ピンキー:2007/07/16(月) 18:49:15 ID:6CcfZUQY
キョンがハルヒを襲えばいい
133名無しさん@ピンキー:2007/07/16(月) 20:05:43 ID:Hz6X/FoA
>>127
とりあえず逆レイプされるというフラグを折ればいいんじゃないかい?
134名無しさん@ピンキー:2007/07/16(月) 20:15:40 ID:9QXehSd5
やられる前にやれ、か
135名無しさん@ピンキー:2007/07/16(月) 20:45:27 ID:mUAHBC1o
でもそれ、根本的に何か間違ってないか?
136ねちねちと細かい俺:2007/07/16(月) 21:18:58 ID:NAcb1FNF
暗闇の中靴下を取りたい

ってなってるから電機をつけた時点で「暗闇の中靴下を取る」にはならないんじゃね?
137名無しさん@ピンキー:2007/07/16(月) 21:28:37 ID:SDwAS19H
なら、今自身が穿いている靴下を脱いで出せばいいだけだ
138名無しさん@ピンキー:2007/07/16(月) 21:29:19 ID:8tklnx4j
とりあえず三つ取り出せば、
全部黒/二つ黒・一つ紫/一つ黒・二つ紫/全部紫
のどれかになるから、色の揃った一足が確保できる…

とはいえ、暗いまんまでそのどれを履けばよいというのだ?
139名無しさん@ピンキー:2007/07/16(月) 21:32:54 ID:SDwAS19H
まぁ、それ以前に普通靴下をタンスに仕舞うときは、セットにして入れるのだがな
140名無しさん@ピンキー:2007/07/16(月) 21:33:19 ID:nw2bDsow
しかし紫の靴下とは…

形は同じなのか?
例えばどちらかかが5本指の靴下とか。
141名無しさん@ピンキー:2007/07/16(月) 22:10:48 ID:+mBjsCE5
ちょっと短編
思いつきの馬鹿話なので軽く流してくれれば幸い
142名無しさん@ピンキー:2007/07/16(月) 22:11:32 ID:+mBjsCE5
古泉一樹の憂鬱

 昔、鍵は鍵であり、それ自体に力はない、みたいな事を言った覚えがあります
 でも、最近はそうでもないのでは、と思い始めてきましたよ。
 むしろ、力は力でしかなく、鍵という発動のきっかけにより全てを支配する、と。

 だって、これじゃあ、ねぇ。

 ある晴れた日の午後の昼休み。
 僕は校庭で運動する生徒を眺めに行く途中で、渡り廊下を歩く長門さんをふと見つけました。
 たまには女にも声をかけましょうか、と歩き始めたその時、ちょうど反対側から彼が現れます。
 おやおや、やはり彼女も逢いたい人を自然と呼び寄せてしまうものなのでしょうか。
 心の力か宇宙の力かはさておき。
「おう、長門」
 長門さんはちょっと速度を早めて近づ…と言うか既に彼の目の前に立っていました。
 長門さん、人目もあるのでワープは止しませんか? 是非。
 いや本当に是非っ!
「お前、今、廊下の向こうに居なかったか?」
 彼が周囲に目を配りつつ長門さんの両肩を掴みます。
 気苦労の絶えない人ですね。
 最も、貴方のせいと言えば貴方のせいなのですが。
「気のせい」
 長門さんはほぼゼロ距離から彼を見上げています。
「…ええと、それで?」
「…じー」
「声にださんでいい」
 どうやら、彼女は彼の前でだけお茶目になれるのでしょうね。
 …と、僕が見ていると彼女が知ったら、リアルに生命維持活動の危機を迎えかねないので少々離れます。
 で、当の彼はそんな彼女に見詰められて、何とも困った顔をしていますね。
 ふふっ、まったく、ヒューマノイドインターフェイスにして地球で最もコミュニケーションが苦手とさえ言われた
彼女のこの変わり様、彼女の生みの親さえ想像出来たでしょうかね?
「な、長門、どこに行く所だったんだ?」
「…付き合う」
「え?」
「どこに行くの?」
 会話は苦手とはいえ、ここまで支離滅裂だと最早清々しさを覚えますね。
 まったく、彼の瞳はそんなに魅力的ですか?
 否定はしませんが。
「いや、俺はちょっと昼休みの間部室で昼寝しようかと思ってな。実は、今朝忘れ物しちまって、あの坂を
二往復しちまったんだ。そのあと更に体育だったから疲れ果てちまってな」
 彼はそういって背伸びします。
143名無しさん@ピンキー:2007/07/16(月) 22:12:55 ID:+mBjsCE5
 あの坂は確かに大変ですからね。
 最も、涼宮さんの宇宙創造パワーに付き合って頂くのは他でもない貴方です。
 体力はいくらでも付けておいて頂きたいものですね。
「そう」
 長門さんは、他人から見れば素っ気ない事この上ない返答を返しました。
 でも彼程ではありませんが、最近は僕も多少解るのですよ。
 長門さんは、大丈夫? と言う心を込めて彼を見上げていますね。
「そういう訳だ。って、お前は部室でいいのか?」
 長門さんは含羞草のの様にやんわりと頷き、彼の少し後ろに移動しました。
「…あー、これは、移動しろって事か?」
 もう一度含羞草が動きます。
「そうか」
 彼はそのまま歩き出し、長門さんはどこかの勇者の子孫の放浪王子の様に、彼の動線を正確にトレスして
歩き出しました。
 程なく二人は我らが聖なる部室に到着します。
 長門さんは彼の後ろに立ったまま、手だけを前に出して鍵を開けると…当然、自然に体がくっつきますね。
「俺、邪魔か?」
「このままでいい」
 良くは無いと思いますが、長門さんなりの肌の触れ合いが欲しかったのでしょうか。
 ストレートさが時々明後日の方向を向くのも彼女ならではですね。
「ふあぁ…。そんじゃちょっと寝させてもらうか。寝るっつっても机寝だけど、しょうがないか」
「…ひざまくら」
「ん? 何か言ったか?」
「来て」
 僕の体温が数度下がった気がしました。
 いえ、そういう行動自体は羨まもとい微笑ましいし、長門さんの感情を知らない訳ではありませんよ。
 でも、校舎内でその、ある一部の、ごく一部の、約一名、総人類分の一名が存在するこの校舎内では控えて
もらいたいのですが。
 いやマジで。
 本気と書いてマジで。
 そんな事を考えている間に、獲物は女郎蜘蛛に腕を捕まれて巣の中へ運び込まれてしまいました。
 扉が閉まります。
 この瞬間から、あの扉は恐らく核シェルターより頑丈な天の岩戸になったんでしょうね。
 と、そこへ。
「キョーン! 何処行ったのよまったく! 疲れている様だからせっかくお弁当同席してあげようってのに、
あのバカどこで油売っているのよ! …部室かしら?」
 体温が更に下がります。
 僕の息は多分白くなってますね。
「す、涼宮さん!」
 僕は言葉と同時に飛び出しました。
「あら、古泉くん」
「いやぁ偶然ですね。ちょうど良かった。僕とランチで」「キョン知らない? 知ってたら言いなさい。
知らないならバイバイ」
 とりつくしまも無いとはこの事でしょうか。
 僕の絶望をにじませた表情も無視して彼女は大股歩きで部室に向かおうとしました。
 彼女には、特定の男性に対するアンテナか何かでも付いているのでしょうか。
「か、彼なら! ついさっき外に出て行きましたよ!」
 出任せが、正に口から出任せが出てしまいまして。
144名無しさん@ピンキー:2007/07/16(月) 22:14:02 ID:+mBjsCE5
「外? …何でよ」
 涼宮さんの大きな瞳が訝しげに僕を見詰めます。
 嘘言ったら殺す。
 そう瞳が言ってます。
 冗談でも何でもなく。
 ああ、彼はいつもこんな風に閻魔大王に睨まれているのですね。ちょっと濡れそうです。
「か、彼の妹さんに頼まれて、下の商店街にちょっと買い物だそうです! 彼は妹さんのお願いに弱いです
からね! ははははは」
 神様、僕にガラスの仮面を下さい。
「…ふぅん、まぁ妹ちゃんのお願いならキョンは聞くだろうし…何よぉ、あたしに一言言えばそれくらい一緒に…」
 何かぶつぶつとおっしゃってますが、どうやら部室から注意は背けられたようです。
 後で彼につじつまを合わせる様にお願いしなくてはなりませんね。
 安堵のため息をつこうとしたその時、あたしもちょっと暇だし、何を買ったのか校門で張り込んでみよう
かしら? などと抜かし…おっしゃり始めた涼宮さんを熱弁と懇願で宥め、なんとか退場してもらいました。
 この十数分で一晩中神人と戦ったくらいの疲労感を感じましたが、気のせいと思っておきます。

 少しの後。
 昼休みもあと少しという所で僕も部室の方に向かう事にしました。
 そろそろ、彼と長門さんが例えナニをしていたとしても、いい加減顔を出しておかしくない頃合いですからね。
 部室への角を曲がった時、丁度彼が扉を開けて出てきました。
「いや、すまなかったな。本を読めなかったようだし、良かったのか?」
 彼が扉の向こうに向かって済まなそうに話していますね。
 ふむ、やはり予想通りだったのでしょうか。
「…いい。腿にかかるあの加重は、私にとっても心地がいい。とても」
「そ、そうか」
 たまには僕の前でもあれくらい饒舌になってほしいものです。
「疲れたら、いつでも。あなたが望めば団の活動中でもあなたの家でも、来てくれてるなら家でも
かまわない。むしろ来て。週末なら泊まりも可」
「い、いやそこまで甘える訳には」「甘えて」
 …勢いに任せて何かとんでもない事言ってますよあの無口洗濯板は。
 このままでは彼が呑まれます。
 僕は世界平和の為、偶然を装い戦地(主に僕にとって)に足を踏み出しました。
「おや、これはこれは」
「よう、古泉」
「……」
 その瞬間、脳天に絶対零度を想像させる視線が約一名から無遠慮に突き刺さりましたが僕はしにましぇん。
「どうもこんにちはこんなところでおふたりにあうとはぐうぜんですねあははきょうはてんきせいろう
なれどなみたかしでしょう」
「…何か悪い物でも喰ったか?」
 罪は無いんです。
 罪は無いんです彼には。
 でもお星様が許して下さるなら、寿命が一発で三年縮むと言われようとも、一度彼を殴りたいと思った僕は
間違っていますか?
「いえいえ。ただ、急がないと次の授業に遅れますよ」
「ああ、そうだな。それじゃ」
「あ、ちょとそこまで。お話ししておきたい事が…」
 僕の背中に無数に突き刺さる殺人的視線を感覚器全てから除外しつつ、僕と彼は早足で教室の方へ向かいました。
 さて、今日の午後の平和は貴方の演技力にかかっていますので、よろしくお願いしますよ。
145名無しさん@ピンキー:2007/07/16(月) 22:15:06 ID:+mBjsCE5
 その後、団の活動は、何故お前の弁当を今食うんだ? と不満を述べつつも事の成り行きを知っている
故に全部食べて下さった彼の奮闘のお陰で、どうやら平穏に済みました。
 涼宮さんも空になった弁当箱を見て満足そうに笑っていましたしね。
 ところで朝比奈さん、僕の茶碗そろそろ茶渋が増えてきましたよ。
「あ、そうですね。すいませーん」
 可愛く言ってますがとうとう洗うの文字は出てきませんでした。

 その日の夜。
 僕はいつもの様に精神的、肉体的疲れを癒すべく個人的趣味でやけに暗い公園に向かっていた所、組織から
緊急の連絡を受けました。
 あああああもう少しでツナギの似合うちょっと悪そうなげふんげふん。
 涼宮さん絡みなら僕もわかりますからどうやらそれ以外です。
 森さんから聞くと、学校の方に少女が一人向かっているとの事でした。
 了解と電話を切ると、数分後には新川さんが車をよこしてくれました。
 ありがとうございます。その口ひげ、いつもにもまして艶やかでダンディに見えますよ。
 短い移動時間は生憎ナニをするにも尺が足りず、僕は学校前で車を降りました。
 人気のない真夜中。
 昼間よりも長く、そして勾配も急に感じる坂道を僕は歩きました。
 夜の空は黒と言うより蒼に近く、無数の星と月が因るにもかかわらず僕の足下に影を落とします。
 春先なら夜桜見物に良い天気でしょう。
 こんな時、隣にあの人がいたら…いえ、多分めんどくさがるのでしょうね、ふふ。
 ようやく着いた校門前。
 そこに、彼女は居ました。
 学校に向かって、いえ、空に向かって顔をあげ、僕からは丁度真後ろの姿。
 月とお話しをしている。そんなイメージがぴったりの後ろ姿です。
「長門さん」
 一瞬躊躇った後、僕は声をかけます。
 すると、まるで今この時に声をかけられる事がわかっていたかの様な動きで彼女の顔が横を向きまして。
 まだ僕を見てはいません。
 その姿はまるでレリーフの様に静かに月明かりに照らされています。
 横を向いたその瞳から意思を読む事は、残念ながら僕には出来ません。
 ですので、一般的な方法でコミュニケーションを試みる事としましょう。
「…何をしていらっしゃるんですか?」
「……」
 ガン無視ですか。
 が、負けてはいけません。
「閉鎖空間も発生していませんし、その兆候もありません。観測者たる貴女がこの様な場所にいる理由は
無いかと思われますが?」
「……」
「失礼ですが、僕の組織も色々と観測をおこなっています。貴女のプライバシーを心配するまでもなければ
そんな事を気にする必要も無いのでしょうが、ちょっと気になりましたのでね」
「……」
「宜しければ、理由など…」
「……」
「ええと、間違っても非難する気など無いのですが、出来れば行動理由をちょっと…」
「……」
 すいません、そろそろ口を開いて欲しいのですが。
「散歩」
146名無しさん@ピンキー:2007/07/16(月) 22:16:00 ID:+mBjsCE5
 わざと聞こえない様に言っているんじゃないかと思える程小声で呟き、彼女は僕の脇を通り抜けて
さっさと坂を下りてしまいました。
 と言うか、あの洗濯板、とうとう僕と視線を一瞬も合わせずに帰っちゃいましたよ。
 何ですか? 彼が居ないとなるとあの女本当に冷血ですね。血が通っていればですけど。そもそも
何色の血が流れているんでしょうかあの宇宙人は。
 いいかげん付き合いも長いんですからもうちょっとこう…。
 ちょっと泣きそうになりましたがやめておきましょう。
 男の子ですから。

 次の日。
 正確には先程の珍事から数時間後、まだ陽も昇らぬうちに僕の携帯が鳴りました。
 緊急コールで。
 僕は飛び起き、お早うしているマイサンに構う暇もなく外へ飛び出します。
 時間がどれだけ掛かるか解りません。
 制服の上下だけを着て、正に飛ぶ様な速度で僕は部屋を出ました。
 外には既に新川さんが車を止めていました。
「一体何があったんですか? 涼宮ハルヒに何かあったんですか?」
 車は僕がドアを閉めた瞬間、ジェットコースターの様に飛び出します。
 これは確かに一大事の様ですね。
「放っておくと、間違いなく彼女絡みになります」
 ネクタイを締めながら、僕はその言葉に喉を鳴らしました。
「一体、何処で何が起きているのですか?」
「あれを見て下さい」
 新川さんが車を止め、指を差しました。
「学校?!」
 僕の視線の先。
 そこにあるのは確かに学校です。
「…ん?」
 そして続けて僕は違和感を覚えました。
 違います。
 何かが、いえ、学校のある丘自体が違うんですよ。
 何がどうって言うと…。
「新川さん」
「はい」
「…ここは、いつからいろは坂になったんですか?」
 そう、目の前にはあの有り難い男体山へと続くあの難所を彷彿とさせる葛折りの坂道が出来あがっていたのです。
「夜、あなたを送り届けたてから暫くの後、連絡がありました。どうやら、長門様が何かの時限式因子を
植え付けていた様でございます」
「…成る程、僕が来たからその場は帰ったが、しっかりと種は植えていた訳ですね」
「長門様のマンションへ向かいます」
 月はまだ天にあります。
 なんとしても今夜中にこの異変を何とかしなくては。
 こんなものを涼宮ハルヒと言う存在に見られた日には、何を言い出すか解りません。
 長門さんがなぜこんな事をしたのか理由は不明です。
 もしかしたら、また彼女の言う所のエラーが蓄積して暴走をはじめたのでしょうか。
 とにかく、涼宮ハルヒの暴走でない以上、涼宮ハルヒの平穏をかき乱す因子を取り除かなくてはなりません。
 車は彼女のマンションへと滑る様に走り続けました。
 ですが、彼女に会えたとして、次にどうするべきでしょう? はたと僕は悩みにぶつかりました。
 とすると、やはりここは彼女のアキレス腱かつ唯一無二の翻訳者である彼にも同席してもらうのが順当と
言うものでしょう。
147名無しさん@ピンキー:2007/07/16(月) 22:17:02 ID:+mBjsCE5
 夜更けで不機嫌そうな彼の横顔を眺めるのもおつな物ですし。
 趣味と実益が重なりました。
 僕は二、三回舌なめずりしてから彼の携帯に連絡を入れます。
「…今何時だと思っている」
 スピーカーの向こうからむっつりとした声が聞こえます。
「僕がこんな時間に電話をかける時、どんな理由が考えられますか?」
 そんな声を出すからいつもちょっと意地悪な返答がしてしまいたくなるのですよ。困った人ですね。
 濡れそうです。
「なんか、あったのか?」
 流石に目の覚めた声が返ってきました。
「ちょっとばかり面倒がおきまして、申し訳ありませんが今から長門さんのマンションへ来て頂きたいのです。
森さんをそちらへよこしますので、至急用意をお願いします」
「長門? 長門になにかあったのか?」
 急に声に真剣味が増しました。たまには僕にもそんな声を出して欲しいものです。
「お話しは落ち合ってから。ではよろしくお願いします」
 何なら駆け落ちあってからでもいいですよ。
「わかった」
 電話を切るのとマンション到着は同時でした。
 僕は車を降り、ロビーへ向かいます。
 十分ほどして、バイクに乗った森さんとその後ろに乗った彼が到着しました。
 彼と森さんがヘルメットを取り、着の身着のままの彼が後ろから降ります。
「森さん、ありがとうございます。運転上手いんですね」
「え? あ、はい」
 …何で顔が赤いですか森さん。
「い、いえ。本当にもっとちゃんとgyuっと捕まらなくて大丈夫でしたか?」
「ええ、おかげさまで」
「こ、今度はもっと上の方をしっかり掴んでくださいね。背中もちゃんとくっつけてくれると…」
 帰れ痴女。
 女郎を退場させ、僕と彼はロビーの前に立ちました。
「で、長門は?」
「どうも出てくれないんですよ。何度もインターホンを押したのですが…。声はきこえている筈です。
非常事態と何度も説明したのですが、まるっきりなしのつぶてでして」
「それまずいんじゃないか? まさか本当に長門に何かあったなんて…」
 彼がインターホンで部屋番号を押します。
「無駄とは思いま」「…何」
 瞬間的に声が返って来ました。
 ぴんぽーんの「ぴ」で出ましたよこの根暗無口。
 僕の時は無視ですか? めがっさ無視ですか?! 声をかけられたら返事しろって事くらい、貴女の
創造主に習いませんでしたか?
「こんな夜遅くにすまない。ちょっといいか?」
「いつでも構わない」
「よ、宜しければ下に来て頂きたいのですが!」
「…夜中…迷惑…」
 そろそろ泣いていいですかぁ?
 彼の前だからって声は出すけど、出した声の内容に問題がありすぎますよ長門さん!
 おかしいですよ長門さん!
「まぁそういわず、すまないが来てくれないか? 頼む」
「今から行く」
148名無しさん@ピンキー:2007/07/16(月) 22:18:17 ID:+mBjsCE5
 ああ、閉鎖空間を生み出したい気分っていうのはこういう気分なのでしょうか。
 涼宮さんの気持ちがちょっとだけ分かった気がしましたよ。
 一分も経たずに長門さんがロビーに降りてきました。
 いつも通りの制服姿。
 この人、部屋着って本当に何も持っていないんでしょうか? いえ、それどころかこの服、脱ぐ事あるんでしょうか?
「良かった。お前は無事だな」
 こくり、と頷き彼を見詰めます。
「何か、あった?」
 何かあった? って言いましたか貴方?
 声聞こえて居たんですよね?
 さんざんインターホンから説明しましたよね。
 僕、ちょっと喉が痛いですよ?
「いや、詳しくは俺も分からないが…古泉、具体的に話してくれ」
 ええと、それは僕に言っているんですよね? いえ、勿論貴方に話すのは初めてですが…釈然としないんですよ!
 心が叫ぶんですよ!
「…さっさと言って」
 あんたって人はぁーーーーっ!
「と、とりあえず、一緒に来て頂けますか? 車があちらにありますので」
「分かった。いいか、長門?」
 長門さんは至って素直に頷きました。
 猫の様な可愛らしい筈のその仕草が、拳を握りたくなる位憎らしく見える理由を誰か教えて下さい。
 相変わらず僕とは視線を合わせてくたさいませんし。
 それから僕たちは、何故か茂みの向こうから戻ってきた新川さんにお願いして、車で学校前へ向かいました。
 見てもらうのが一番です。
 と言うか説明はもう勘弁して下さい。

「…なんだこりゃ?」
 彼が至って当然の一声をあげてくださいました。
 ああ、ここに来てようやく普通の反応を聞けましたよ。
 涙が頬を伝います。
「長門さん、これはあなたの仕業ですね?」
「……」
「本当なのか? 長門」
「…そう」
 僕はココに存在しませんかそうですか。
「一体何なんだ? この悪夢の様な葛折りの坂道は」
「僕もそれを聞きたかったんですよ」
「……」
 期待なんかしていませんよ。ええ。
「長門?」
「…健康に、いい」
「は?」
「運動の後に、適度な休息を取る。それは体にいい。私も嬉しい」
 個人的感情挟みまくりです。
「いや、この坂の事を聞いているんだが」
「坂を上れば分かる」
「どういう意味だよ」
 分からない? と長門さんが首をかしげます。
149名無しさん@ピンキー:2007/07/16(月) 22:19:20 ID:+mBjsCE5
 そこでどきどきしないで下さい。
 それは孔明の罠です。
 花の姿に己を似せ、何も知らない無垢なる蝶を無慈悲な鎌で狩りとる花蟷螂の罠です。
「私の準備は万端」
「は?」
 腿をかるく叩き、期待に満ちて輝く彼女の瞳。
 …ふと、僕の頭の中で、非常に嫌な内容での謎と言う名の霧が晴れてきました。
「長門さん」
「……」
 いいかげんこっち見て下さい。見なくても話しますよ。
「このいろは坂、彼に関係していますね?」
「俺? 何の事だ?」
「すいません、一通り喋らせて下さい」
「……」
 長門さん、貴女まで睨まなくていいんです。しかも本気で。
 で、やっと僕を見てくれましたね。向けて欲しくない視線のタイプで。
「すいません、ちょっとこちらへ。貴女は待っていて下さい」
 彼が不満そうに僕を見ます。
 移動しようとしますが長門さんは動きません。
 僕が彼に目線を向けると。
「長門、行ってやってくれ」
「…分かった」
 すいません、埋め合わせはいつか公園でご奉仕させてもらいます。。
 で、ものすごく億劫そうな表情で僕の後に着いてきて下さる長門さん。
 僕の場合は桃太郎伝説並に無軌道に着いて来るんですね。
 ついでに長門さん、無表情と不満そうな表情は違うと知っていらっしゃいますか?
 僕と長門さんは、彼がぎりぎり見える間合いまで離れ、そこで話を始める事にしました。
「さて、あの坂ですが、これは彼の為のみの行動と思っていいですね?」
「……」
「坂を上る事で彼が疲れる。その疲れを癒す方法を貴女は知っている、と言うか実践したい方法を貴女は
持っている。そうですね?」
 と言うかもうこっち見てませんよこの人は。
「貴女は、昼休みに彼にしてあげた膝枕の感触が忘れられず、またそれを行いたくなった。だが、彼が
忘れ物をいつもするとは限らない。だが、彼自身に干渉して彼がそれを察してしまう事は避けたい。
だから貴女は肉体的にどうしても彼が疲れる方法を考え、そして実行した。違いますか?」
「…古泉一樹」
「やっと僕を見てくれましたね。と言う事は正解ですか? そんな事をして、彼が疲れたとしても
さっきの様に違和感が先行してしまいますよ。そもそも涼宮ハルヒがこんな異常事態を見逃すはずが
ありません、と言うか誰が見ても異常事態どころではない騒ぎになります。貴女の望み、とても
可愛らしいと思います。ですが、どうかこの状況、今すぐ元に戻してください。お願いします」
 勝ったと思いました。
 理論も理屈も完璧。
 彼女もこれなら折れる。
 そう思いました。
「…見ていたの? あの人と私のかけがえのない時間を汚したの?」
 僕はいつの間に鬼と会話していたのでしょう?
 コミュニケーションって難しいですねえ。ははは。ああ…なんだか意識が遠く…あれ、視界も真っ白に
なってきたような…。
150名無しさん@ピンキー:2007/07/16(月) 22:20:23 ID:+mBjsCE5
「長門!」
 不意に、意識がはっきりと戻りました。
 そして聞きましたよ。
 今貴女、舌打ちしませんでしたか?
 チッて。
 チッて聞こえましたよ。
「何?」
「いや今、なんか空に向かって無数の光が飛びかけていたから、何事かと思って」
「最後まで見ていて良かった」
 殺る気満々ですか。
「良い所に来てくれました」
 事件解決の為にも、僕の命の為にも。
「こうなったら一緒にお願いして貰えますか?」
「何をだ?」
 少なくとも彼の前では僕をSATUGAIしたりはしないでしょう。
 僕は命を賭けた真相の説明を始めます。
 大げさではないです。
 多分。
「…本当か、長門?」
 彼が額に手を当て、頭が痛い、のポーズで長門さんを見ています。
「……」
 対して長門さんは怒られた子犬の様な瞳で彼を見上げていました。
 心なしか、瞳が潤んでいる様に見えます。
 雨に濡れて震えているチワワの様です。
 心揺らがない男性は居ないでしょう。
 でもはっきり言いますよ。
 このズ ベ タ 。
「長門さん、彼の表情を見れば分かりますよね? どうか、事が荒立たないうちに全てを元に戻して下さい。
観測者たる涼宮ハルヒにおかしな刺激を与える事は非常に危険です。それは貴女の生みの親たる情報統合
思念体の意図するところではありませんよね? 下手をすれば、この学校、いえ、この国、それどころか
宇宙の危機なのですよ?」
 長門さんは俯いています。
 まだ抵抗しますかこの宇宙人は。
「長門、ええとな、お前が俺を気遣ってくれるのは嬉しい。でも、やっぱり学校がこうなっているなんて
おかしいだろ? それに毎日毎日そうする訳には流石にいかないんだ。玉には…その…なんだ、ちょっと
昼寝したいと思ったらそうするから…それで勘弁してくれないか?」
「…約束」
 二つ返事ですか。
 宇宙の危機より男を優先しますか。
 めまいを感じているさなか、長門さんは坂の前に歩み出て、小声で呪文を唱え始めます。
 坂が、丘全体が音もなく小刻みに揺れ始め、闇夜の丘は黒い砂粒の様に淡くなり、数秒の後にそれはいつもの
見慣れた風景に戻りました。
 少しの間眺め、それ以上の変化がない事を確認し、僕はようやく安堵のため息をつく事が出来ました。
「よくやったな、長門」
 彼が長門さんの頭を撫で、長門さんは眠そうな表情で彼に身を預けています。
 その表情は、もっと撫でて、と訴えています。
 ちょっと待って下さい。
 間違いを直しただけで、褒められるような事はしていませんよ彼女は。
 言いたい事は多々ありますが、今の平和の為にそれを飲み込み、僕達は帰路に就きました。
 長門さん、ところでなんで彼をマンションに誘ってますか?
 あなたも何でほいほい着いて行きますか?
「いや、力の使いすぎでちょっと足下がふらつくって言うからさ」
 嘘だっっっっっ!
151名無しさん@ピンキー:2007/07/16(月) 22:21:08 ID:+mBjsCE5

 次の日。
 我らがSOS団の活動は僕と彼のボードゲーム、涼宮さんのネット探索、朝比奈さんの給仕、そして長門さんの
読書と、いつも通りつつがなく行われています。
 願わくば、この平和が続いて欲しいものです。
 ところで僕の茶碗、そろそろ茶渋で底が見えなくなりそうです。
「しっかし今日は暑いな。温暖化で難局や北極の氷が溶けているって言うし、そのうちこの辺も学校の
高台を残して一面海、なんてなる可能性あるのかね?」
 暑さを紛らわす為の他愛のない愚痴に、朝比奈さんがくすりと微笑んでいます。
「そんな怖い事考えたらめっですよ、キョン君」
 くすくすと可愛らしい笑みで彼を見詰める瞳は、確かに彼が女神とあがめるに値するのでしょうね。
 僕も軽く会話を会わせるとしましょう。
「でも、事実国の面積が減っているところもありますよ。怖いですねぇ」
「不謹慎ですよ。そこの人は困っているのに…」
 睨まれました。
 私は貝になりたいなぁ。
「キョン」
 ふと、涼宮さんが子供の様な瞳で彼に声をかけました。
「何だ?」
「そうなったら、この街までそうなったらさ、街の人はどうなるのかしら?」
「うーん、ノアの箱船みたいな大きな船があればなんとかなるんじゃないか?」
「ふぅん、それならアリよね」
 背筋が寒くなったのは気のせいではないと思います。
「そっか、そうなればみんなは安全か」
 全然安全じゃありません。
「そうしたら泳ぎ放題だぜ。気持ちいいだろうな」
 だから貴方も無責任な事を!
「…そうなったら、キョン、嬉しい?」
 待った待った待った!
「ああ、嬉しいぞ」
「褒めちゃう?」
「誰をだよ」
「誰でもいいじゃない。そのきっかけを作った人をよ!」
 待って待って待って!
「そうだな、がんがん褒めるぞ。高い高いしてくるくる回して褒めてやるぞ。ハグハグだってしてやる」
 暑さでテンションがあがっているのでしょう。不穏な単語がくっつきます。
「はぐはぐ…ふぅん」
 涼宮さんの頬がほんのり染まっています。
 まずい! とりあえずまずい!
「すっ涼宮さん! 実は僕の知り合いにペンションをやっている人がいて…」
 僕は口から出任せの冒険プランを熱弁し、三十分後には週末のスケジュールができあがっていました。
 ああ、今から組織に大変な申請をしなくてはなりませんねぇ…。
152名無しさん@ピンキー:2007/07/16(月) 22:21:56 ID:+mBjsCE5


 帰り道、彼が僕に語りかけてきました。
「古泉、またハルヒがおかしな事をしそうだったのか? いつもながらああいったはた迷惑な神様のおもりは大変だな」
 彼は珍しく素直に同情の気持ちを表してくれます。
 いつもなら僕も素直に感謝する所ですが…。
「まったく、無自覚程怖いものは無いな。自分の考えがどれだけこの世に影響を及ぼすか分かっちゃいないんだから。気まぐれな神様程怖いものはないぜ」
 そこまで分かっていて…。
 理解していて…。
「どうした? 顔が引きつっているぞ?」
「僕は、貴方こそが気まぐれな神様じゃないのかって思う時がありますよ」
「皮肉か? 一般人代表の俺に対して」
 彼はやれやれ、と言う顔で笑います。
 ああ。
 それですよ。
 今こそ、僕が言いたいのはそれです。

 やれやれ。





153名無しさん@ピンキー:2007/07/16(月) 22:22:49 ID:+mBjsCE5
以上。
おそまつ。
154名無しさん@ピンキー:2007/07/16(月) 22:24:14 ID:/Uc8EC1r
なんかおもしろかった。



でも長門房の俺には……
155名無しさん@ピンキー:2007/07/16(月) 22:31:46 ID:8tklnx4j
古泉、苦労人だな。毛根のケアには気を配れよ?

>142
>校庭で運動する生徒を眺めに行く途中
>たまには女にも声をかけましょうか
さらっと問題発言連発だな古泉w
156名無しさん@ピンキー:2007/07/16(月) 22:33:03 ID:SDwAS19H
>>153
コーヒーを吹いちまったじゃねぇか
157名無しさん@ピンキー:2007/07/16(月) 22:42:48 ID:CQbRA0eP
>>136
俺の書き方がまずかったみたいです。反省して六時間全裸で正座します。

クイズ形式は俺にはムリポ。一応三つ取るが正解だったのに無駄に使わせてスマンのう。
158名無しさん@ピンキー:2007/07/16(月) 23:12:56 ID:rGAkLMPS
>>157
ハルヒが気がつきそうな気もするな
159名無しさん@ピンキー:2007/07/16(月) 23:34:26 ID:CQbRA0eP
>>158
以外にハルヒは気が付かないのではと思った。
しかし地震にびびりながらカキコしている。
160名無しさん@ピンキー:2007/07/16(月) 23:43:42 ID:cBsQFVqD
乙。
161名無しさん@ピンキー:2007/07/16(月) 23:59:40 ID:Dar50X9X
>>153
長門はここまで馬鹿なキャラじゃない。
ウザく仕立て上げすぎ。
162名無しさん@ピンキー:2007/07/17(火) 00:05:38 ID:buzdxm2C
>>161
…テンプレ読んで
163名無しさん@ピンキー:2007/07/17(火) 00:11:04 ID:4YZRJp0q
>>153
がんばれいっちー!
まけるないっちー!

だがホモネタは自重しろいっちー!
164名無しさん@ピンキー:2007/07/17(火) 01:13:21 ID:mFN2b3dG
キョンへのフラグは滅びん!何度でも蘇るさ!
的なものが思い浮かんだ。
つかいつのまに森さんとのフラグを・・・
165名無しさん@ピンキー:2007/07/17(火) 01:18:56 ID:dwu4PGv7
>>153
結構みんな辛いなあ。
いや、上手かったし面白かったと思ったよ。
確かに多少ホモネタがキツかった感じも無くはないけど、
それこそネタだしさ。
166名無しさん@ピンキー:2007/07/17(火) 01:26:19 ID:jRzZE3et
ここの辛辣度は去年秋くらいに比べると嘘みたいに緩和したと思うw
167名無しさん@ピンキー:2007/07/17(火) 01:56:33 ID:zZvU+lil
やべ、素で古泉にときめきそうになったw
168名無しさん@ピンキー:2007/07/17(火) 07:55:36 ID:pecPlc7P
森さんの後ろから腰を押さえてバイク二人乗り。
もう少し上っていう事はおっぱいを触るという事だよね?感じながら運転する森さんを想像してしまった。
下ならもっと興奮する(俺)な。長門の家よりラブホにいきそう(笑)!
運転して具合が悪くなったとかで!
169名無しさん@ピンキー:2007/07/17(火) 09:58:24 ID:iRPyxoRR
>>153
いい感じに各キャラがデフォルメされていて面白かった。
ただ組織には違いないけれど、やっぱり機関と言って欲しかったかな。
170名無しさん@ピンキー:2007/07/17(火) 18:17:22 ID:6zX4gXQL
ところで、団員みんなで長門が出題した暗号遊びをするのはなんてタイトルだか、誰か覚えてないかな。
読み返したいんだがログが膨大で見つからねぇ……
171名無しさん@ピンキー:2007/07/17(火) 18:22:00 ID:pecPlc7P
40ー231
172名無しさん@ピンキー:2007/07/17(火) 19:10:39 ID:6zX4gXQL
ありがと
173名無しさん@ピンキー:2007/07/17(火) 19:16:42 ID:NP+nCCF8
森さんの後ろから腰を押さえてバイク二人乗り。
もう少し上っていう事はおっぱいを触るという事だよね?感じながら運転する森さんを想像してしまった。
下ならもっと興奮する(俺)な。長門の家よりラブホにいきそう(笑)!
運転して具合が悪くなったとかで!
174名無しさん@ピンキー:2007/07/17(火) 21:16:57 ID:M1kqPpJe
>>166
個人的には緩和しすぎに感じるけどな。

俺が投下した時には、住人がガラッと入れ替る前の辛辣さで頼む。
175名無しさん@ピンキー:2007/07/17(火) 22:18:27 ID:jRzZE3et
>>174
それ投下する直前に言ってくれ。辛くすんのはいくらでもできるし。
176名無しさん@ピンキー:2007/07/18(水) 01:17:29 ID:sA1WN+pC
批評の多さが懐かしく思える今日この頃
あの量の批評があると創作欲が増える増える
批評家の皆さん帰ってこないかなぁ〜
177名無しさん@ピンキー:2007/07/18(水) 01:49:35 ID:p2nzm6Kp
まあ朝比奈さんはまだいらっしゃるようだし、みんな居なくなったわけでは無いと思うよ。
178名無しさん@ピンキー:2007/07/18(水) 02:44:40 ID:rUbn0qaT
>>177
俺まだ一度も朝比奈さんからまともに批評受けた事無い。
まぁ批評する価値なしって事なのかもしれんが……orz

次の時に期待しよう。
179名無しさん@ピンキー:2007/07/18(水) 06:47:57 ID:QefXqquN
>>173
ん?何でコピペしているの?
180名無しさん@ピンキー:2007/07/18(水) 09:39:13 ID:j+uyVPwd
朝比奈さんて>>51
181名無しさん@ピンキー:2007/07/18(水) 13:00:47 ID:rUbn0qaT
>>180
そう。
前にネタSSで朝比奈さんが長文感想書いていたってのがあって、そこから。
どんなに辛辣な事言われても脳内で「ひゃ〜い」ボイスに変換したら和む……はず?
182名無しさん@ピンキー:2007/07/18(水) 16:41:12 ID:j+uyVPwd
一時期は批判喰らわないほうが珍しいくらいだったからなぁ。
今思うとあれは何だったんだろう。
183名無しさん@ピンキー:2007/07/18(水) 17:50:00 ID:QefXqquN
批評よりも作品投下してくれ!
184名無しさん@ピンキー:2007/07/18(水) 17:59:11 ID:e/eyIR+S
>>182
もう真面目に読んでる人が殆どいないって事じゃないか?
俺も惰性で読んでるけど感想書きたくなるのは滅多になくなっちゃったし
「あっそ」で終わりって事が多くなった
185名無しさん@ピンキー:2007/07/18(水) 18:51:36 ID:P5ImnnfG
昔は批評が〜なんていうレスが目立つが、あれは批評じゃなくてただの罵倒だろ。
しかも、なぜか読み手側同士でやり合い始めていたんだから。

投下するたびに住人同士がケンカを始めるんじゃ、投下する気も失せるし、
結果として投下量が減少→投下がないんだから批評・感想も減るという状態だな。
186名無しさん@ピンキー:2007/07/18(水) 19:00:17 ID:cjBr6UjO
エロくて笑える作品が投下されると嬉しいけど
使い古したような小ネタとか「感動してください」的なのは食傷気味であります

というか書くにしても最新刊の切れ方が半端だから話組み立てるのが大変なんだよね
187名無しさん@ピンキー:2007/07/18(水) 19:09:10 ID:1CiOIsHc
新刊出たらまた投下も増えるでしょ
2期も決まってるんだからこのままフェードアウトって事は無い品
読者は黙って待てばよい
188名無しさん@ピンキー:2007/07/18(水) 19:21:27 ID:4AHfJJkE
俺はお気にの過去作品読んだりとかしてマターリしてるよ。
数が多いからそれだけで時間無くなるw
189名無しさん@ピンキー:2007/07/18(水) 19:46:17 ID:oKI4xKmF
つーか50スレまで来れば住人もかなり入れ替わっている罠
190名無しさん@ピンキー:2007/07/18(水) 19:50:31 ID:Lvidd/lb
昔は感想レスが多かったよな。
そのぶん荒れることも多かったが。

作品に対するレスは作者だけが受け取ればいいものなのに、他のやつが口出しするからおかしくなる。
投下する以上、そこでどんなレスが行われてきたか把握しているだろうし、批評か罵倒かというのも受け取った本人が判断すればいい。
関係ないやつがそれを見て文句言ってんのが不思議でならなかった。
おまえは作者の母親か?護ってやらなきゃとでも思ってんのか?っていつも思ってた。

ま、今はマターリしてるから、これはこれで良いと思うけどナー。
191名無しさん@ピンキー:2007/07/18(水) 20:22:43 ID:87kLc+En
まあ全体的に偉そうだったのは確かだな
>>184みたいな我が強い奴がいっぱいいて、住民同士で喧嘩してたって感じ
ROMってる身としてはあの雰囲気は嫌いだったけど、作者からしてみたらどうだったんかな
192名無しさん@ピンキー:2007/07/18(水) 20:46:48 ID:j+uyVPwd
>>190
俺もそう思ってた。作者含め感想にはレスしなければいい。
ただ、あの空気を好んでた書き手読み手もいただろうし、だからこそ質の高いSSが来るのも事実だとは思う。
実際ここでつく感想はひとつひとつ大事に思えるし。
でもだからって意図的に空気かき乱す必要はないんだけどさ。そう思ってたってことで。
193名無しさん@ピンキー:2007/07/18(水) 21:05:38 ID:ZCnVCRt3
良い意味で辛辣なのはありがたかったが、
なんの中身もないただの罵倒じゃね。
194名無しさん@ピンキー:2007/07/18(水) 21:11:46 ID:P5ImnnfG
>>192
>だからこそ質の高いSSが来るのも事実だとは思う。
そりゃ、あんな状態だとマンセーされる古参の作者しか投下できないからな。
質が高いSSが来るのではなく、それしか投下できないってことだろう。

>>193
読まなくてもできるような感想も多かったからね。
もっとも堂々と読んでませんと言ってとがめる奴もいたようだが。
195名無しさん@ピンキー:2007/07/18(水) 21:26:31 ID:RX6k8Kf6
>>186
うわ、俺今もろ感動してください的なの狙って書いてるんだけどw
もう皆そういうの飽きた?
まあ、狙って書くと大抵ハズすのは解ってんだけど、どうもね。書きたいのよ。
196名無しさん@ピンキー:2007/07/18(水) 21:50:14 ID:Lvidd/lb
別にいいんじゃない?
感動したいときってあるし。
好きなもの書くのが一番だと思うよ。
197名無しさん@ピンキー:2007/07/18(水) 22:00:30 ID:oKI4xKmF
まあここはエロ限定って訳じゃないからな
一般作品も数多く投下されてきたわけだし
198名無しさん@ピンキー:2007/07/18(水) 22:02:19 ID:XE048Vf7
>>195
それは、読んでみない事には判断できないな
199名無しさん@ピンキー:2007/07/18(水) 22:20:21 ID:rUbn0qaT
>>186
俺、最近そんなのばっかだ。
エロか……書き途中なの仕上げるかな。
200名無しさん@ピンキー:2007/07/18(水) 22:32:13 ID:LceFmvc3
つってもまぁ、一番需要があるのはエロなんだけどね。

そんな訳で、今宵もモニター前でwktkさせて貰ってます。全裸で。
201名無しさん@ピンキー:2007/07/18(水) 23:10:04 ID:u1bIpsuQ
感動モノは俺は書けないから素直にwktkしとく。
202名無しさん@ピンキー:2007/07/18(水) 23:14:47 ID:nHi+EqfT
ここで懐かしめな台詞

何で俺が帰ってくると(ry
203名無しさん@ピンキー:2007/07/18(水) 23:18:16 ID:aJjLTGOq
つーかさ、純粋に分裂がつまらなすぎて人と熱が引いただけだと思うんだ…
204名無しさん@ピンキー:2007/07/18(水) 23:19:17 ID:SrNspHB4
SSのネタが枯渇しただけだよ
205名無しさん@ピンキー:2007/07/18(水) 23:28:00 ID:P5ImnnfG
>>203
投下量が激減するほど不評をかっているようには見えないけど。
驚愕が出るまでは評価できないという人の方が多そうだ。
206名無しさん@ピンキー:2007/07/18(水) 23:30:53 ID:u1bIpsuQ
つまらんとかいう以前に完全に途中だもんな。
新キャラの扱いに困る。
207名無しさん@ピンキー:2007/07/18(水) 23:47:49 ID:eQ/Ck2+G
>>203
俺はかなり面白いと思ったけど。
憂鬱を別物として省いたら、消失の次に面白いと思う。
208名無しさん@ピンキー:2007/07/19(木) 00:13:48 ID:S9jcRmeO
憂鬱:涼宮ハルヒの憂鬱
溜息:涼宮ハルヒの溜息
退屈:涼宮ハルヒの退屈/笹の葉ラプソディ/ミステリックサイン/孤島症候群
消失:涼宮ハルヒの消失
暴走:エンドレスエイト/射手座の日/雪山症候群
動揺:ライブアライブ/朝比奈ミクルの冒険Episode00/ヒトメボレLOVER/猫はどこへ行った?/朝比奈みくるの憂鬱
陰謀:涼宮ハルヒの陰謀
憤慨:編集長★一直線!/ワンダリング・シャドウ
分裂:涼宮ハルヒの分裂

・長編
消失>憂鬱>分裂>陰謀>溜息
・短編
エンドレス>笹の葉>雪山>みくる憂鬱>編集長>ライブ>ヒトメボレ>射手座>ワンダリング>退屈>ミステリック>孤島>ミクル>猫


こんな感じでまんべんなく楽しんでいる俺はおそらく勝ち組
209名無しさん@ピンキー:2007/07/19(木) 01:11:40 ID:GHGop9Ua
>>207
お前の感想なんか誰も聞いちゃいないと思うんだ
210名無しさん@ピンキー:2007/07/19(木) 01:36:30 ID:Lv03r3F8
しかし、こうして3ヶ月半ほど待ってみると4月に2ヶ月待てって主張していた人は延期が決定したとき、どのような気持ちだっただろうか?
211名無しさん@ピンキー:2007/07/19(木) 01:44:11 ID:rU6INakF
あんなもんただの釣りに決まってるだろ
いらん心配してないでSSを書く作業に戻るんだ!
212名無しさん@ピンキー:2007/07/19(木) 02:40:59 ID:bF5DUiCE
>>202
お帰り、人は減ったがここは相変わらずさ。
ところで駆け付け(SS)3本って言葉知ってるかい?
213名無しさん@ピンキー:2007/07/19(木) 03:12:22 ID:dB0mOpAO
>>212
それなんて……
214名無しさん@ピンキー:2007/07/19(木) 05:07:18 ID:KGm2woWt
てか、ここの書き手が減ったのはらきすたに流れちゃったからじゃね?
215名無しさん@ピンキー:2007/07/19(木) 05:19:53 ID:Sy8L5y+b
216名無しさん@ピンキー:2007/07/19(木) 07:05:02 ID:KWmo4o3B
・アニメ終了してブーム終わる
・社員の自作自演がばれてシラける
・新刊がありえない程の低評価

書き手が減ったと言うよりも、ハルヒ好きの人口が普通に通常状態まで減っただけだと思う
アニメ放映開始してからが異常すぎたんだよ
217名無しさん@ピンキー:2007/07/19(木) 07:31:04 ID:hzhq4zMV
しかし、どうでもいいがみんな普通にハルヒが飽きられて人がいなくなった、みたいな話題してるけど、
ここは一応谷川総合スレなんだけどな。
218名無しさん@ピンキー:2007/07/19(木) 07:48:51 ID:KWmo4o3B
谷川のスレでハルヒによる住人の変化を語るのがそんなにおかしいのか?
論点おかしいぞ
219名無しさん@ピンキー:2007/07/19(木) 07:49:04 ID:srvSEC8j
それは……そうだったな
最近はまったく見ないが
220名無しさん@ピンキー:2007/07/19(木) 10:41:04 ID:m7Z7l5UE
投下めちゃあった時もいいSSいっぱいあったもんなぁ。
とりあえず驚愕までは下火かな。
221名無しさん@ピンキー:2007/07/19(木) 12:55:17 ID:ZcTaXUI/
余所が主体の人間からしてみれば
50迄進んでいる現状で何を贅沢な事言ってんだか
って感じなんだがな
222名無しさん@ピンキー:2007/07/19(木) 13:12:36 ID:M3vJRT6+
ここの住人は贅沢だ
223名無しさん@ピンキー:2007/07/19(木) 14:20:10 ID:j2QepmQh
久々に来たら住人の層がガラッと変わってるなぁ
夏だからか?
224名無しさん@ピンキー:2007/07/19(木) 14:57:43 ID:mYyiy+ip
驚愕つまらんってどんだけ
225名無しさん@ピンキー:2007/07/19(木) 15:00:07 ID:78ctDqmg
>>223
携帯厨が大量に湧いたのが原因
VIPもな
226名無しさん@ピンキー:2007/07/19(木) 15:15:15 ID:WvwtQ5zD
>>223
古参の人間は普通にROMってるだけでしょ。
227名無しさん@ピンキー:2007/07/19(木) 16:14:39 ID:EOwH4DZI
まぁ過疎になるよりましじゃね
228名無しさん@ピンキー:2007/07/19(木) 16:47:05 ID:ESBfbt0J
肝心の驚愕があんなデキで新刊も出るアテが無いってんじゃ盛り上がりようがないわな
既存のネタなんか書く方も読む方もみんな飽きちゃってるし
229名無しさん@ピンキー:2007/07/19(木) 16:59:05 ID:S9jcRmeO
>>228
もう驚愕を読んだと申すか
230名無しさん@ピンキー:2007/07/19(木) 17:15:51 ID:v/1IFLwM
>>228
ちょwww
リアル未来人発見!
SOS団に通報しm(ry
231名無しさん@ピンキー:2007/07/19(木) 17:17:37 ID:cjDe5UCb
保管庫の驚愕のことか? いやそんなはずは……
驚愕というか顎が外れそうなのなら他にもあるが。
232名無しさん@ピンキー:2007/07/19(木) 17:46:03 ID:EOwH4DZI

分裂の事いったのでは?
233名無しさん@ピンキー:2007/07/19(木) 18:26:05 ID:gIt1TSLF
ただ単にネタ切れだと思う。
個人的には今森さんのを書いてはいるが。
もう既刊の内容はほとんど使っちゃったし、驚愕が出ても、
アニメの二期をやっても、またあっという間にネタを使い尽くしちゃう気がする。
234名無しさん@ピンキー:2007/07/19(木) 18:31:59 ID:m7Z7l5UE
原作からして新キャラ出さずに話を進めるのはもう無理みたいな感じだったしな。
235名無しさん@ピンキー:2007/07/19(木) 19:39:36 ID:XQ9Vmk0o
驚愕だったら二日くらい前から紗羅とかで流れてる
内容飛び飛びだけど

はっきり言ってつまんなかった
236名無しさん@ピンキー:2007/07/19(木) 19:41:47 ID:XQ9Vmk0o
途中で送信しちゃったぜ

つまんないから新刊として出せないのかなあとか、勘ぐりたくなる
取り敢えず佐々木が思いっきり黒くて橘は悲惨に可愛かった
237名無しさん@ピンキー:2007/07/19(木) 19:54:45 ID:m7Z7l5UE
夏か……。
238名無しさん@ピンキー:2007/07/19(木) 19:56:55 ID:grQzEIdD
ハルヒがキレ泣きしてるところ2、3ページどっかで拾ってすぐ捨てたけど……
もしかしてあれって本物だったのか?
239名無しさん@ピンキー:2007/07/19(木) 20:00:51 ID:Lv03r3F8
>>236
それは、佐々木さんはヤンデレとして期待していいの?それとも、ただ単に黒いだけ?
240名無しさん@ピンキー:2007/07/19(木) 20:01:10 ID:hzhq4zMV
>>237
夏だねえ。
241名無しさん@ピンキー:2007/07/19(木) 20:15:36 ID:c0d8YQNm
>>239
「やあキョン」
おお佐々……どうしたんだ佐々木!?
「いや、夏だからね。こんがり焼けてしまったのさ」
見事に真っ黒だな。
242名無しさん@ピンキー:2007/07/19(木) 20:39:45 ID:Lv03r3F8
>>241
佐々木さんが黒くっ!?
243名無しさん@ピンキー:2007/07/19(木) 20:42:28 ID:c0d8YQNm
>>236
「ひっぐ、えっぐ………」
何泣いてんだ橘。
「きょ、キョンさん。日焼けした肌が破けて痛いのです…くすん」
夏だな。
244名無しさん@ピンキー:2007/07/19(木) 20:56:52 ID:gIt1TSLF
>>243
それものすごくかわいいです。
245名無しさん@ピンキー:2007/07/19(木) 21:17:00 ID:c0d8YQNm
ふふ、真っ黒な肌ってのもたまにはイイかもな。健康的でうまそうだ。
「きょ、キョン……?」


そうか、肌が破けると痛いのか。激しい動きで擦れたら、さぞ痛いだろうな。それもアリだ。
「ひっ!? キョンさん眼が恐いです……」
246名無しさん@ピンキー:2007/07/19(木) 21:18:48 ID:EOwH4DZI
夏は暑いね。
247名無しさん@ピンキー:2007/07/19(木) 21:55:08 ID:I6HDXE9j
質問。今まで読んだ中で一番エロイと思ったエロパロ作品は?
どんな趣向が好みか参考までに聞きたい
248名無しさん@ピンキー:2007/07/19(木) 22:09:12 ID:JJgObDGx
変態佐々木シリーズでは?
249名無しさん@ピンキー:2007/07/19(木) 22:10:55 ID:DB7HBYYS
>>247
13-150様: 『涼宮ハルヒの○天国』


な、なんだその目は!?おい、何処に電話して…
!?お前等、俺を何処に連れて行kあwせdrftgyふじこlp;@!!
250名無しさん@ピンキー:2007/07/19(木) 22:11:55 ID:Lv03r3F8
>>247
俺は32ー126様の妹×キョンと45ー681様のキョン×佐々木かな。全部は見てないけど、その二つが印象に残ってる。
251名無しさん@ピンキー:2007/07/19(木) 22:33:26 ID:eE+VKjKI
このスレなら朝倉パロの「あなたを犯して涼宮ハルヒの出方を見る」みたいな奴で確か未完だった奴
あんなにいい作品なのにもったいない
個人的には綾守っぽいバカエロ文大好き
252名無しさん@ピンキー:2007/07/19(木) 22:35:26 ID:EOwH4DZI
>>247
俺の作品以外
>>248
IDがルソーなのね。
253名無しさん@ピンキー:2007/07/19(木) 22:35:36 ID:NGflWdSG
口腔と唇は好きだ。だが変態佐々木シリーズは苦手。ごめんよ。
254名無しさん@ピンキー:2007/07/19(木) 22:53:39 ID:EJy8yDmc
くるくる橘だな。続きを切に望む。
255名無しさん@ピンキー:2007/07/19(木) 22:55:49 ID:r+Kdh5XC
日焼けで思い出したが、全く表現されてなかったな>漫画版エンドレスエイト
アニメでは外せない話だと思うが、どう表現されるかねえ
256名無しさん@ピンキー:2007/07/19(木) 22:59:29 ID:S9jcRmeO
>>254
同意。あれ読んでから分裂読み返したら、橘京子が愛おしく思えて仕方なくなった。
257名無しさん@ピンキー:2007/07/19(木) 23:13:06 ID:A7aso8d5
>>255
あれ?漫画ってツガノガクの奴だろ?
あれにエンドレスエイトなんて収録されてないぞ?
258名無しさん@ピンキー:2007/07/19(木) 23:13:32 ID:m7Z7l5UE
雑誌連載の最新とか思わないわけ。
259名無しさん@ピンキー:2007/07/19(木) 23:24:58 ID:NGflWdSG
ツガノ版はキョンが本気でホンジュラスの位置が知らないって設定になっててスゴク残念だった……
分かってないよツガノたんは。とぼけたフリして分かってるのがキョンなのに
260名無しさん@ピンキー:2007/07/19(木) 23:28:39 ID:6uhJjnpo
まあモノローグがそのままキョンの思考だったらハルヒに勉強なんか教えてもらう必要ねーわな
261名無しさん@ピンキー:2007/07/19(木) 23:35:33 ID:nmfEbQnM
夏だ
262名無しさん@ピンキー:2007/07/19(木) 23:48:16 ID:rO2O3EEb
トータルリコールだっけ、なかなかよかった
263名無しさん@ピンキー:2007/07/19(木) 23:49:21 ID:H/Or0iGM
夏だ!海だ!団活だー!


           あれ?
264名無しさん@ピンキー:2007/07/20(金) 00:01:26 ID:9hS/o28p
夏の新作読むとやっぱ圧倒的な夏の力を感じてしまう。
これはもう如何とも夏だね……
265名無しさん@ピンキー:2007/07/20(金) 00:12:02 ID:v/bKkyVK
日焼けに苦しむきょこたんの背中や腕の皮をペリペリと剥いてあげるのはオレの仕事だよな?
266名無しさん@ピンキー:2007/07/20(金) 00:14:17 ID:VFVWt1yo
>>265
そして半べそかいているきょこたんの肌にやさしくクリームを塗りこむのは俺の仕事だろ?
267名無しさん@ピンキー:2007/07/20(金) 00:15:55 ID:rEXFyxjQ
>>254
どんな内容か忘れてたので保管庫で見てきた。
キョンの閉鎖空間レイプの奴かw
てか結構最近の作品なのにタイトルから内容が思い浮かばなかった俺の記憶力の無さに絶望したorz
内容はなんとなく覚えてるけどタイトルは余程印象深いのじゃないと覚えられないな。
268名無しさん@ピンキー:2007/07/20(金) 00:16:44 ID:aG96bSrI
たとえば?
269名無しさん@ピンキー:2007/07/20(金) 00:17:56 ID:03efhcAv
>>265
九曜がやってるとこ想像して少し萌えた
270名無しさん@ピンキー:2007/07/20(金) 00:21:00 ID:4FaAtKkL
キョン×ハルヒ...なんかだとどれがどれだか
271名無しさん@ピンキー:2007/07/20(金) 00:22:22 ID:pAa4Mks0

毎度お馴染み強制ハイキングコースの不快指数を上げるというただ一点で
大活躍を見せるであろう季節が到来したことに日に日に苛立ちが隠せなくなり、
まぁ実際問題この季節に入って俺にとってどんな利益があるかふと考えてみると
ハルヒのハルヒによるハルヒのための夏休みという最悪フレーズが頭に浮かび、
このお先真っ暗状態の季節にどうやったら希望の光が差し込むのかと考えながら古泉イビリのチェス盤から視線を外すと
麗しき我がSOS団の専属マスコットかつお茶汲みかつ俺の目の保養要員である朝比奈さんと目が合ってしまった。
そうだ、夏休みにはもしかすると朝比奈さんの水着姿が拝めるかもしれん。
いや、これはもしかするとなどと言う仮定的な発生率の低く、根拠の無い妄想などでなく、
先ほど頭をよぎった最悪フレーズの後押しを受け確信となり、おれのこの季節への
期待度がどうにか保てそうな気がしてきて少し安心だな。
そういえば朝比奈さんはこの季節をいったいどういう風に堪能するのだろうか?
おれと同じように身近な異性の水着を楽しみます的な含みの笑顔を期待しつつおれは話しかけていた。

「朝比奈さんにとっての夏の楽しみってなんですか?」

少し考えるそぶりを見せ、可愛らしい仕草を取りつつ、

「そうですねぇ〜……掲示板の書き込みかなぁ〜」

意外な返事に戸惑いつつもおれの想像しているような場所への書き込みでなく美味しいお茶の入れ方討論会
などのハートが飛び交うような平和な掲示板への書き込みで知識とやる気の注入に勤しむということだろう。
そう自分に言い聞かせている間に続けざまに

「この季節になると湧いてきちゃいますからねぇ〜」

何が湧くのだろうか? 植木鉢の周りの水などにボウフラが、ということなのか。

「しっかりとマナーを守ってもらおうと大変なんですよ〜。
書きたいことや伝えたいことは沢山あるんですけど規制に引っかかっちゃうから
いつもいつもしっかり分かってもらえたか心配ななんですぅ〜」


272名無しさん@ピンキー:2007/07/20(金) 00:40:25 ID:lic1kHCF
>>270
そうならないように、wikiを黙々と編集していますよ。

皆オラに元気を分けてくれ ヽ('A`)ノ
273名無しさん@ピンキー:2007/07/20(金) 01:45:55 ID:9hS/o28p
wikiやってる奴の宣伝がウザいって叩かれまくってるのを知ってての、その発言なわけだな?
274名無しさん@ピンキー:2007/07/20(金) 02:19:30 ID:ztAJsRcI
ウザイって言うほど宣伝してたかなぁ?
便利になるんだからwikiの存在はありがたいと思うんだけど。
275名無しさん@ピンキー:2007/07/20(金) 02:24:21 ID:UZK7BZov
変な奴はスルースルー
276名無しさん@ピンキー:2007/07/20(金) 02:31:31 ID:S+B8psEs
宣伝なんてろくすっぽしてないと思うのだが。
277名無しさん@ピンキー:2007/07/20(金) 02:34:27 ID:aG96bSrI
適当なこと書き逃げしただけだろ、宣伝どうこう書いた人も。
278名無しさん@ピンキー:2007/07/20(金) 05:07:07 ID:CSJOx2ty
俺が記憶にあるのは昔に一回、勝手にやれとか自分でやれとか、袋叩きになってたことがあった程度かね
最近では存在自体忘れてたからそんなに宣伝とかはしてなかったと思うけど
最初の頃はちょっとウザかったけどね
279名無しさん@ピンキー:2007/07/20(金) 12:40:08 ID:+/gkbj30
>259
まあツガノが色々解ってないのはデフォ……
280名無しさん@ピンキー:2007/07/20(金) 12:53:13 ID:MjDZZnet
投下いきます。35〜40レスくらい予定。エロなしオリジナル要素強です。
281佐涼辺四角関係1:2007/07/20(金) 12:55:08 ID:MjDZZnet
 さて、最初に色々と説明しておかねばならんだろう。
 去年末から今に至るまでのウナギ同士が喧嘩してくだを巻きながら絡まったような複雑怪奇満載の紆余曲折を。
 去年のクリスマスを迎える直前の頃に俺を取り巻く世界が突然切り替わった。
 それはもう舞台劇で優秀な黒子があっという間に背景を変えてしまったかのような手際の良さでな。
 クラスからハルヒだけが消えてることに気づいた衝撃は忘れようもないぜ。古泉に至っては9組の教室ごときれいさっぱり消えちまったときたもんだ。
 よくよく調べてみりゃハルヒと古泉は共学になった光陽園学院の生徒で、北高に残っていたのは朝比奈さんと長門だけ。
 学校が分かれただけならまだ救いはある。だがこの世界の面子はみんな揃いも揃って特殊属性を捨てて、ただの一般人になっちまってところが絶望的だった。
 そんな正常でありながら異常な世界に俺は投げ込まれちまったってわけだ。まったく何の因果だろうね。
 しかし、捨てる神あれば拾う神ありってのは真らしく、天国から地獄のカンダタにクモの糸を垂らすが如く、俺に救いの手が差し伸べられることになる。
『鍵をそろえよ』の指令、緊急脱出プログラムの起動。もちろん救世主は我らが長門様だ。
 俺が放り込まれた世界に居た文芸少女の長門じゃなくて、元の世界で共に過ごした情報統合思念体ヒューマノイド・インターフェースの長門。
 俺はその長門の指令に従って、文芸部室に団員を終結させて緊急脱出プログラムの起動準備まで漕ぎ着けた。そこまでは順調だったと言えるだろう。
 後は画竜点睛とばかりにそのボタンを押すだけ――。
 そこで、とんだ邪魔が入りやがった。
 こっちの世界の髪の長いハルヒがボタンを押そうとする俺の手を寸でのところで掴みやがったんだから堪らない。まったく冗談じゃねぇぜ。
 結果的にプログラムは不発。俺の居残りが決まった瞬間だ。
 だが、そう単純に結末を迎えないのが俺のひねくれた運命なのさ。
 どうやら起き上がりこぼしのように安定知らずの反面、どんなときでも窮地から這い上がれるチャンスがあるらしい。
 最近この境遇が良いことなのか悪いことなのか真剣に悩むようになってきたんだが、どうだ?
 少なくとも間違いなく心臓には悪いという確信はあるんだけどな。
 何の前触れもなく元の世界の髪の短いハルヒが乗り込んできやがったんだよ。
 発生させた閉鎖空間で元世界と新世界を繋げるという実にあいつらしい強引なやり方で。おまけで漏れなく古泉が付いてきたのはもはや余談以外なんでもないことだが。
 過程は割愛させてもらうが、クライマックスに北高の屋上で長短ハルヒから二択を迫られることになる。
 どっちについていくかってな、そんなもんをすぐに決められるくらいならこんな妙な人生を歩んじゃないぜ。
 いっそのこと二人まとめて俺が面倒見ればいいんじゃないか? 
 なんて、不届きな回答放棄が頭を掠めたのが終わりの始まり。
 突如現れた<<神人>>によって、田舎道で轢死したヒキガエルのように俺はペシャンコに潰されて意識を断絶させられた。


 ――、このときばかりは本気で死を悟ったね。四半世紀も生きないままに俺の人生が短編形式で終了したと。
 だが二度と覚めないと思っていた俺の目は再び見開かれることになる。
 目覚めたのが自室のベッドだったから、いっそのことただの長い夢ということにしてしまい願望も虚しく、俺を出迎えたのは二人のハルヒ。
 いや、正確に言うと双子の涼宮姉妹だった。中学をイギリスに留学して過ごした双子の妹が帰国して戻ってきたという細かい設定付きの。
 妹は一卵性双生児を証明するかのように、なり形は三次元コピー機で複写したんじゃないかと思えるくらいに見事にハルヒと瓜二つ。髪が腰までかかるくらいに長いこと以外はな。
 俺から言わせれば、さっきまで居た世界で光陽園に通っていたハルヒにそっくりだった。俺のことを『ジョン』と呼びやがるしな。イギリスだからジョンの方が親しみはあるんだとよ。よく出来たこった。
282佐涼辺四角関係2:2007/07/20(金) 12:56:14 ID:MjDZZnet
 ちなみに妹は双子にありがちなコンビ名よろしくハルヒと語感を合わせて某と名乗ったが、俺にとっちゃどっちもハルヒであることに違いがない。ゆえに、俺の中ではそれぞれハルヒ(短)とハルヒ(長)で勝手に定義されてしまっている。
 一方、他の面子はどうなったかというと、基本的に元居た世界の面々と言えるだろう。
 長門は宇宙人で朝比奈さんは未来人で古泉は超能力者であり、北高に通うSOS団のメンバーであるという基本がここでは成立していた。
 そして3人はSOS団設立から野球大会、夏合宿、終わらない夏休み、文化祭ライブジャック、コンピ研とのネットゲーム対決に至るまで、取りこぼしもあますことなく記憶の照合が取れている。
 これだけで俺は十分に満足だった。
 なんだかんだ言って、俺にとってはやっぱりここが心休まる世界なんだってことなんだろうな。
 長門の考察によると、今現在ハルヒ(短)は世界改変の能力を封印した状態にあるらしい。今俺達が居る世界は他からの受けない断絶世界で、この特殊な世界を維持するためにハルヒ(短)の能力のリソースの大半が奪われてるっていう話だ。
 ちなみにハルヒ(長)には物騒な能力そのものが備わっておらず、認識がごく普通の一般人となっている。
 断絶世界は他からの干渉に制限を与えるらしく、現在長門は能力をかなり限定されて。朝比奈さんは未来との通信ができない状態にある。リソース不足のせいか閉鎖空間の発生もないために自ずと古泉のバイトも休止中となっている。
 分かりやすく言うと、ここは俺が生まれ育った世界と連続性があって、ハルヒが双子で、SOS団のメンバーは限りなく一般生徒に近い状態にある。そんな世界だった。


 この世界が始まったのは去年末の12月25日。そして今の日付は5月31日の深夜、あと1時間足らずで6月になる。俺はこの世界で半年足らずを過ごしたってことになるのか、感慨深いもんがあるね。
 ただでさえ俺の両手両足に余るハルヒが二人に増えたとしたら。
 そんな恐ろしくて仮定するのも憚られるようなふざけた設定が現実となり、当初はかなりハルヒ(長)の動向に注目した。
 お約束のように北高の1年5組に転入してきて、俺の前の席に陣取ってオセロのように涼宮姉妹に挟まれてしまうのではないかと気に病んだりもした。
 だが、よくよく考えれば毛虫よりも普通を嫌うハルヒ(短)と同じDNAを持つあいつがそんなベタな展開を好むはずもなく、ハルヒ(長)は光陽園女子に編入した。
 そしてSOS団の第二名誉顧問に就任し、鶴屋さんのように一歩退いたところから見守るような姿勢を貫いている。
 そうは言っても事ある毎にちょっかいをかけてきて事態をややこしくしてくれたりするんだけどな。そのスタイルはまるでヒットアンドアウェーのボクサー。姉とは別の意味で油断のならん存在だった。
 その最たる例が今回の惨事だな。
 できることならもう勘弁願いたいね。こんな寿命をカンナ掛けされているような心地は二度と味わいたくない。
 そういうわけで、ようやく本題に入れそうな気配になってきたわけだが、察しの通り今から語り草にするのは件の『寿命のカンナ掛け』の詳細レポートだ。
 決して誤解のないように傷をなぞる様な自虐行為じゃないことをあらかじめ断っておく。
 自分はそれほどのマゾヒストじゃないと信じたい。じゃあどれほどなんだとここでツッコまれても困るんだが、まぁいい。
 酷い目に逢ったらみんなに話して少しでも楽になろうという心理があるだろう? アレと似たようなもんさ。そうに違いない。
 とにかくここで今までのあらすじ終わり。始めようか。
283佐涼辺四角関係3:2007/07/20(金) 12:57:02 ID:MjDZZnet


//////////


 昼下がりの教室の窓際。
 天球の頂点付近でこれからの夏に向けて大ブレイク間違いなしとセルフプロモーション活動をおっぱじめた太陽の強い日差しを浴びながら数Uの授業を粛々と受けていた。
 この時間帯は一日の課程も後半戦に差し掛かって疲れが見え始めた頃合いで、なおかつ腹は満たされて適度に暖かく過ごし易いというゴールデンタイムとなる。
 その証拠に恩恵にあずかって舟を漕いでる奴らが続出している。谷口の阿呆に至ってはハンドタオル持参で枕代わりに机に伏してやがる。
 それを尻目に俺は板書をとる作業を休まずに続けた。
 本音を言えば俺だって右へ倣えで眠りの海にダイブしたいのはやまやまだ。だが、それを許さない厳とした現実が俺に突きつけられていた。
 最近授業に全く付いていけてない。
 実に端的な表現だ。だがそこには背水の陣のような緊迫感がある。
 一年の中盤からまるでムササビのように滑空ばかり続けて俺の成績だが、だましだましで誤魔化しているうちについにポテンシャルエネルギーが枯渇したらしく赤点ボーダーにひっかかるまでに高度が落ち込んでいた。
 昨日授業中に英作を当てられたときは自分でもびっくりしたぜ。どうやら俺の左脳は文法はおろか単語まで忘却の彼方に押しやってしまったらしく、出だしの3単語を書いたところでエンストを起こしてしまった。
 何やらハルヒ(短)が口パクやジェスチャーでサインを送ってくれていたようだが、そんな即席のコンタクトで通じ合えりゃ世話はない。
 カップラーメンが出来上がるか否かの時間を立ち尽くして授業を停滞させた俺はあえなく退場となった。
 恥さらしの他なんでもない。ただ、これは自業自得だろう。むしろいかに自分が怠惰を貪っていたかを身をもって知らしめてくださった教諭に感謝すべきなんだろうとも思う。
 このままでは次の中間で赤点は必至だ。そうなったら問答無用で塾行きとなることは親との約束で決まってしまっている。
 二年の内から塾の世話になるなんて、よっぽど志が高いのか低いのかの両極端に違いない。もちろん俺は間違いなく後者の予備軍なわけだが、昇格だけは避けたいところだった。
 さて、教壇ではそろそろ若手の範疇に括るのは無理が出てきた教師が淡々とチョークで数式を刻んでいる。二年になって急に難しくなったように思うのは単なる錯覚じゃない。
 二次方程式までは許してやるとしても、それ以上次元が高くなるとグラフが複雑になりすぎて作図からしてままならない。方程式と解の関係? 因数定理? そんなの俺の知ったことかとブッチできればどれだけ救われることか。
 3行以上の文言で記述された応用問題を見ただけで解ける自信が失せる始末だからな。
 今、教師が熱心に解き方を教えてるのがまさにその応用問題なわけだが、かなり出だしの段階で見失ってしまった。どっかの入試問題らしく、黒板の半分以上を消費する大解答劇が教壇上で延々と繰り広げられている。
 二年のこの段階で入試問題にチャレンジさせる必要があるのかと文句だけ一丁前に垂れても仕方がない。
 試験で虫食い形式で出すと言ってる以上、内容は分からずともノートだけはなんとか書き写しておかねばならんだろう。せめて後からゆっくり辿るくらいはやっておきたいからな。
 理解の追いついていない数式はもはやロゼッタストーンに刻まれたヒエログリフと同じで、暗号解読などに特段の興味があるわけでもない俺にとってそれらは読むことも書くことも苦痛の他なにものでもなく、修行僧のようにひたすら耐え忍ぶ。
 実質的にはなんの学習もしていないにもかかわらず、シャーペンを動かすことだけで疲れてしまい思わず一息つくと、見計らったようなタイミングでチャイムが鳴った。
 五時間目終了。
 分からない授業について行こうとすると精神的な負荷が半端じゃない。凝った肩を解すように回して軽いストレッチをやっていると、無防備な背中を突付く輩から邪魔が入った。
 
「なんだよ。っていうかお前、ちゃんと芯を畳んでからつっついてるんだろうな?」

「失礼ね。それくらいわきまえてるわよ」

 振り返ると黄色いリボンとカチューシャがトレードマークの我らが団長のお姿。憮然とした表情のまま、俺の心を探るかのようにぐっと前のめりに身を寄せてきた。
284佐涼辺四角関係4:2007/07/20(金) 12:57:37 ID:MjDZZnet

「あんた。随分と熱心にノート取ってたわね、珍しいこともあるもんじゃない。そんなに今の長いだけで何の捻りもない問題が琴線に触れちゃったわけ?」

「単に余裕がないんだよ。昨日の俺の失態を見ただろ? 危機感に追われてやってるだけだ」

 その台詞は失言だったらしく、ハルヒ(短)の眉がピンと跳ね上がった。
 やっちまった。昨日もあの後こってりと絞られて、強制的に文法を叩き込まれたばかりなのに馬鹿か俺は。
 自分からこの話題を振っちまうとはヤキがまわったもんだ。

「あんたね。言っておくけど補習なんてみっともない真似したらタダじゃおかないからね? SOS団の面目を考えなさい。あんた一人の赤点のせいでダメ集団のレッテル貼られちゃうんだから」

 ダメ集団のレッテルなら一年以上前からすでにベッタリと貼り付いてるはずだが、などと面と向かって言えるはずもなく、喉の奥へと押しやった。
 こいつとの付き合い方にもいい加減慣れてきている。こういうときはただ相槌を打ってやり過ごすに限るのさ。

「分かったよ。そうならないように善処させてくれ」

 本当に分かってんの? と言わんばかりに疑惑の視線を俺に突き刺してくるハルヒ(短)。腕を組んでさらに大きな態度に出るのかと思いきや、そこから急に落ち着きを失ったかのように視線を慌しく彷徨わせ始めた。
 なんだ? 一体何を仕掛けてくるつもりだ?
 意図が分からず戸惑いながらも身構える俺に、ハルヒ(短)は切り出しどころがつかめないようなぎこちない様子のままに口を開いた。

「き、昨日も言ったけど、あんたの家庭教師引き受けてもいいわよ? というか、こんな状況で自力でなんとかできるなんてさらさら信じらんない。おとなしくあんたの成績をあたしに預けなさい」

 傲岸不遜な態度を纏って強気な視線をぶつけてくるものの、その頬はほんのりと朱が差していた。
 勢いでごまかそうたって限界がある。今の台詞ばかりはさすがに自分でも妙だったって分かってるんだろうな。
 こいつは中々お目にかかれない表情だ。個人的には切り取って脳みその奥底のタンスに保存したいくらいのヒットショットだぜ。
 しかし、ここで噴出してしまっては収拾がつかなくなってしまうのは必至。それは望むところじゃない。なんとか踏みとどまって看過してやることにする。

「とにかく少し落ち着け。中間まで後二週間とちょっと残っている。もう少し考えさせてくれよ、な?」

「キョーン! ちょっと来てくんない?」
 
 俺の言葉に被さる様に教室の出入り口から声が掛かった。
 国木田か、いいタイミングだ。ちょっと待ってくれ。

「悪い。じゃあそういうことで」

「あっ、ちょっと!」

 天の助けに飛びつくように俺は席を立って、うまい口実でエスケープに成功することができた。
 なにやら不穏な罵声が背中に投げつけられているようだが、どうも身体が拒否しているらしく後ろからの音声はまるでローパスフィルターを通ったかのように掻き消えてカットされた。
 目先のピンチはなんとかやり過ごせたものの、決断の時期は確実に迫ってるのも事実か。
 さて、一体どうしたものか。緊急事態とは言え、本当にハルヒ(短)に教えを請うのか?

 先送りにしててもどうにもならねぇぞ。

 脳内に住まう天使的存在が珍しくも正論を吐きやがった。
 余計なことをしてくれる。おかげでテンションがガタ落ちだ。
 俺は囚人のように暗澹と重い足取りで国木田の元へ向かった。
285佐涼辺四角関係5:2007/07/20(金) 12:58:22 ID:MjDZZnet


//////////


 山の手にある住宅街に双子の娘の家は在った。
 クリーム色のレンガを積み上げられて作られた玄関には正方形のチタンプレート製の表札に明朝体で『涼宮』の苗字が掲げられている。
 玄関を抜ければ親子がボール遊びに興じるに十分な広さを擁する庭が在る。
 木々に飾られた庭は水銀灯のスポットに照らされて、夜風に吹かれながら新緑が穏やかに木の葉を奏でるコンサート会場と化していた。
 空には雲がまばらで適度に風がそよぐ心地の良い夜だった。
 玄関から続く敷石を辿って庭を抜けると、新しくはないけども壁面がせり立って重厚で風格のある洋風の家屋を構える。
 その家屋の一角、小規模ながら優雅な曲線を描くロートアイアンが配された瀟洒なバルコニーのある部屋が幼い頃からの二人の共有空間だった。
 時を経て妹は隣の部屋に移ったが、今でも二人してくつろぐときは暗黙のうちにここと決まっている。そういう意味では二人の場所に変わりはない。
 中学へ上がると同時に家庭の事情で妹は英国へ留学し、今春4年ぶりに戻ってきたという経緯がある。
 年頃を迎えて何かと身の回りの荷物も増え、手足の伸びきった双子の姉妹には少々この部屋は二人で過ごすには手狭になってしまっていた。
 別々の部屋があてがわれたことは少女達の成長の証とも言えた。
 風呂から上がってベッドに入るまでのこの時間帯は、この共有空間でダベって取り留めのないおしゃべりに興じるのが姉妹の習慣となっている。
 妹はカーペットの上で地元のタウン誌を広げながらドライヤーで腰まで届く長い髪を乾かしていた。
 ロングヘアの扱いにも慣れたもので、ハープを奏でるように指先でなびきながら冷風を当てて手際よくくまなく乾かしていく。
 漆黒の黒髪は見事なまでに滑らかで、揺れるごとに光を写して煌くほどの艶やかさを誇る。幼い頃から伸ばし続けている自慢の髪だった。
 いつドライヤーのCM撮影にフレームインしてもおかしくないくらいに画になっていたが、それはあくまでも上半身だけの話。あぐらをかいてどっかりと鎮座する姿が自宅限定の警戒心ゼロの女子の姿を如実に象徴している。
 姉は机に向って書き物をしていた。実用性を重視するあまりか少々広すぎる木製のシステムデスクは、その小さい身の丈に比して不釣合いに写る。
 幼少の誕生日に両親から日記帳をプレゼントしてもらったときからずっと継続している日記の執筆中だったが、今一つ筆の運びは芳しくない。
 床に座る妹とは対照的に髪は肩に掛かるか掛からないかのセミロング。未だ風呂上りの熱が冷めやらないのか汗が薄っすら滲んだ肌をスタンドの暖色に浮かび上がらせて視線を紙面に落としていた。
 しばらくじっと考え込むようにしていたが、ついに完全に行き詰ってしまったのか、髪を掻き毟って苛立ちを小爆発させ、まるで日記帳と睨めっこするのを放棄するようにくるりと椅子を半回転させた。
 背もたれに身を預けてペンを鼻下に挟みながら唸るその姿は、これもまた公衆の面前ではあまりおおっぴらにお見せできない姿である。
 それに気づいた妹は、不機嫌な姉の様子に少しも動じずドライヤーを切って髪の手入れを終えるとおもむろに切り出した。

「なによ。随分とご機嫌ナナメじゃない」

 姉は顔面に載っていたペンをつまみあげると、今度は指で回して弄びながら応える。親指と人差し指と中指の間で淡い青色のシャープペンシルを淀みなく踊らせながら。
286佐涼辺四角関係6:2007/07/20(金) 12:59:09 ID:MjDZZnet

「書く事がないのよ」

「何も無理に書かなくたっていいんじゃない? 人間そんな日もあるでしょ」
 
 視線は雑誌に落としたままあくまでも暢気に応える妹に、姉はペンを止めて反駁する。

「書く事がなかったと言う事は、今日という一日を特筆すべきことがないままに無為に過ごしてしまったということと同じよ? ここ一年はこんなことなかったのに由々しき事態だわ」
 
「今日は暑かっただの、授業がダルかっただの、テレビが面白かっただのなんとでも書きようがあると思うけど……」

 いかにも適当にそこまでつらつらと述べたところで、妹はふと何かを思いついたように一呼吸空けた。視線を上げて唇に笑みを結ぶと目を細めて姉を窺う。

「あんたの場合、『ある特定のネタ』しか書かないから、こんなアドバイスは無意味かしら?」

「な、何よ?」

 椅子の上で口許をへの字に曲げて虚勢を張る姉に対して、妹はカーペットの上で片膝を抱えて膝小僧に頬をつけて下から探るような視線を向ける。まとまっていた髪の一房がはらりと横顔から床に滑り落ちた。

「つまりは彼が相手してなかったから日記に書くことがないってことでしょ?」

「――――、っ!」

 台詞に呼応するかのようにピタリと髪の短い娘が硬直した。
 姉の態度が分かりやすいのは助かるが、遺伝子を同じくする自分にもこの素質があるのかと思うと、妹はなにやら複雑な気分になった。

「まさか、図星なわけ?」

 妹にしてみればほんの軽い気持ちでちょっとカマをかけてからかってみただけだった。しかし、姉は沈黙をもって雄弁にそれが冗談で済まされないということを語る。

「ご、誤解しないでよ? 日記を見たわけじゃないからっ」

「……分かってるわよ」

 気まずい空白の時間が二人の間に流れる。藪蛇じみた展開になってしまったことを気に病んだ妹はいたたまれなくなって、フォローを入れようと切り出した。

「ええと、ここ数日なーんかカリカリしてるなって思ってたら、そういうことだったってわけね。もし何か抱え込んでるなら、あたしで良ければ相談にのるわよ?」

 懸命に取り繕う妹の姿に姉は何か釈然としないものを感じながらも打ち明けようかと心を決める。
 男女の機微に疎い姉にとって妹はいつだって的確なアドバイスをくれる最良の理解者だったからだ。
 悩んだときはとりあえず自分一人で考えてみるのがポリシーだったが、答えが出せずに悶々としていたところで妙にタイミングが合ってしまった。これもきっかけかと割り切ると姉は少し心が軽くなった。

「今週に入ってからキョンの様子が変なのよ」

「変って?」

「団活に出ずにホームルームが終わるとすぐに帰るのよ。問い詰めても用事があるからの一点張り。用事の内容を訊いてもはぐらかしてばっかだし」

「うーん。ジョンがあんたの追及をかわしてまで守るプライベートか……、なんだろ。気軽に話せない深刻な内容とか?」

「それはないわね。雰囲気がチャラチャラしてるもの。少なくともこっちが自重するような内容じゃないはずよ。絶対なんか隠してやってることがあるんだわ」
287佐涼辺四角関係7:2007/07/20(金) 12:59:41 ID:MjDZZnet

 双子の姉妹は鏡に映したように向き合って示し合わせたように腕を組んで考え込む。

「尾けてみればいいじゃない、って、もしかしてもうやってたりする?」

「やったわよ。一旦家に帰って着替えてから電車に乗るところまでは分かったわ。でもアホキョンが電車に駆け込んだせいで見失った」

「そう……、ちなみそれっていつのこと?」

「昨日よ」

 妹は口許に手を当てならがら視線を宙に走らせて何か思案する。
 そしておもむろに傍らに置いてあった携帯を取り上げると、ボタンを操作し始めた。
 手にしているピンク色の携帯は昨今の女子高生には珍しいくらいに一切の装飾のない簡素なノーマル仕様。持ち主の実用主義を如実に表している。
 まるで拍子をとるように小気味よく画面を揺らして文字の入力を終えると姉の方に向き直った。

「何? いきなりどうしたの?」

 妹の唐突な行動を姉は訝ったが、当の妹は「ちょっとね」とだけ返して何事もなかったように会話に戻る。

「それってあたしも気になるわね。あの優柔不断の代名詞があんたの拘束を振り切って優先させることが他にあるなんて相当なことよ?」

「………、何か色々とひっかかるトコがあるんだけど……、まぁここはツッコまずに同意してあげるわ」

 言いたいことを飲み込んで渋い顔の姉に構わず妹は聞き取り調査を再開する。普段は姉よりも落ち着いた印象を持つ妹だが、今は例外とまるで探偵ごっこを楽しむような無邪気な表情を見せていた。

「ジョンは何か荷物持ってた?」

「いいえ、そりゃ手ぶらじゃなかったけど小さいトートを提げてたくらい? 特別にめかしこんでるわけでもなし。いつも通りの冴えないアイツよ」

「どっち方面の――」

 部屋に響いた着信音、半世紀ほど前に一世を風靡した英国のロックバンドの誰もが聞きなじんだ旋律によって妹の言葉が断ち切られた。

「メール?」

「なかなか早かったわね。殊勝な心がけは買ってあげるわ。どれどれ――」

 目を輝かせて画面を覗き込んだ妹だったが、一瞬にして表情を曇らせる。

 『母親のお遣いだ』

 届いた一文は極めて短くて簡素なものだったということもあるが、妹は内容が伝わるものであれば贅沢を言うつもりなどなかった。だがこれではあまりにも酷い。真偽は別としてどこに何をしにいったのか最低限の内容が何も拾えない。
 眉をキッと引き締めて、気に入らないとばかりに口を尖らせて猛然とボタンを打って返信をする。

「ちょっと! あんたまさかキョンにメール打ってんの?」

「そうよ。さりげなく訊けばひょっとしたらぽろっと漏らすかもしれないけど思ったけど、読みが甘かったわね」

「やめなさいよっ」

 姉は相当に慌てた様子で椅子から跳ねるように立って妹の手を止めようとするが間に合わない。送信ボタンを押し終えた妹は背中に携帯を隠した。

「何て打ったのよ? 見せなさい!」

「やーよ。あんたの名前出したりしてないから安心なさい」

 聞く耳を持たずになおも背中に回ろうとする姉を妹は片手を突き出してけん制し、僅かの隙を突いて立ち上がると臨戦態勢をとる。
 他愛ない姉妹のじゃれあいには違いなかったが、スポーツ科学的に見れば非常にレベル高いアンバランスな攻防が繰り広げられていた。
 しかしモチベーション自体は対照的で、姉は両手をワキワキヤル気満々なのに対して、妹は眉を顰めて嫌悪感が窺えた。
288佐涼辺四角関係8:2007/07/20(金) 13:00:40 ID:MjDZZnet

「ちょっとぉ、お風呂上りなのにまた汗かきたくないんだけどっ」
 
「ふん。そう思うのならおとなしく携帯を渡しなさい」

「姉妹といえども守るべきプライベートってのがあると思わない? 日記書いてるあんたなら分かるでしょ?」

「……送ったメールだけ見せてくれればいいわ。表示させて画面をこっちに向けて」

 年端もいかない女子には不釣合いなくらいに無駄を削ぎ落とした交渉を進めて二人の折り合いがついた。
 あくまでも不承不承といった様子で妹は背中に隠していた携帯を胸の前に持って来ようとしたとき、またも静寂を破って着信音が鳴った。
 双方とも金縛りに襲われたように身じろぎもせずにそのメロディに聞き入り、その後の僅かな沈黙と合わせてばっちり数秒間の空白の時間をやり過ごす。
 沈黙を破ったのは姉。抜け目なく機に乗じて携帯を奪おうとしたが、妹はいち早くその気配を察知して半歩下がって身構える。また膠着状態に逆戻りとなった。
 妹は警戒を外さず、手に持った携帯を肩くらいの位置まで持ち上げてキープ。姉に向けた視線の間に携帯の画面を割り込ませるようにしてメールの中身を確認する。
 メールの内容はまたもや簡略極まるものだったが、今度はどこに何をの質問に対しての答えが書かれていた。
 一文字たりも見逃すまいと瞬き数回してその内容をしっかり確認し終えた妹の表情が急に引き締まる。

「ねぇ、さっきも聞きかけたけど、ジョンの向かった方向ってどっち? 上り? 下り?」

「あんたね。この期に及んでまだごまかそうってわけ? ……、っていうか返信早くない? もしかしてキョンと定期的に……」

「いいからっ、教えて」

 妹の剣幕に姉は少し気圧されてややためらいながらも素直に答える。
 妹は表面上は沸き立ちながらも、まずい部分に触れようとする勘の良い姉を成り行き上で丸め込むことに成功して、内心少し溜飲を下げた。

「……上りよ。上りの普通に乗ってったわ。それがどうしたのよ?」

 この発言を耳にして妹の表情が一気に何か覚めた様な冷たい表情に成り代わる。色を無くした瞳を細めて、あきれた様に鼻で一息を吐くと表示画面をゆらりと姉の方に向けた。
 成すがままに棒読みで文面を朗読する姉。
 画面には駅名と母親の友達の忘れ物を届けにという目的と、探偵のように問い詰めてくるのは止せというどうでもいい注意書きが表示されていた。
 それを読み終えた姉は即座に色めき立つ。

「なにこれ? 逆方向じゃない。嘘もいいところね」

「ジョンは嘘が吐くのが下手ね。嘘は本当の中に混ぜるからこそ成り立つのに。それとも裏の裏でもかいたつもりかしら?」

 メールの送り主を蔑むように携帯に冷たい視線を落としながら妹は腕を下ろした。そして、剣呑に薄く笑んで怒りを静かに滾らせるように呟く。

「最初はさ、正直軽い気持ちだったけど、ここまで隠したがるとなるとあたしも意地が出ちゃうんだけど」

 それに応える様に姉は腕を組んで憮然とした表情で頷く。
289佐涼辺四角関係9:2007/07/20(金) 13:01:12 ID:MjDZZnet

「奇遇ね。あたしもそう思ってたとこよ。だまくらかそうとするその曲がった根性が許せない。なにがなんでも暴いてやりたくなってきたわ。どうせくだらない理由に決まってんでしょうけど」

 バレバレの嘘は正に逆効果。姉妹のハートには完全に火が点いてしまった。釣り上げた眉の下で獲物を狙う獣のように炯々とした眼差しを突き合わせて決起する。

「……やる?」

「モチロン」

 乾杯をするようにゴンッと拳骨を軽くぶつけた。
 部屋着姿で細い手足を露出させた娘にミスマッチな男らしい構図で締める。締まろうとしていた。だが、

「……それはそうと、さっきの答えは? あんた、キョンと結構メールでやりとりしてるわけ? もしかしてやたらとケータイ見せたがらないのは……あたしにやましいやりとりがあるから、とかかしら?」

 この姉の発言で全部どっちらけになった。
 完全にやりすごせたものと思い込んでいた妹の表情が引きつる。
 不穏に目を細めてにじり寄る姉、笑ってごまかそうとするもののすっかり圧倒されて奇妙な半笑いになったまま片肘を上げて身を守るように半身になる妹。
 半分に欠けた月が雲の少ない西の空に沈みかける頃、娘達の闘いは実のところまだまだこれからだった。


//////////


 とある駅前に展開された没個性も甚だしいありふれた様相の商店街を涼宮姉妹は並んで歩いていた。
 昼下がりの休日、外出する人が最も多くなる時間帯ということもありって街はそれなりに賑わいをみせている。
 自宅でのドタバタ決起会から数日、不本意にも姉妹は非常に退屈な日々を過ごしていた。
 今度ホシが団活をエスケープすることがあったら、完全協力体制で尾行して追及してやろうと意気込んでいたが、以来肝心のホシが動きを見せず肩透かしを喰らっていたのだ。
 そして動きが取れずにやきもきしたまま、とうとう週末を迎えてしまったのであった。
 一波乱あるかもしれないと先を読んで、週末の予定を空けていたことが仇となり、珍しく空白の休日を過ごす羽目になっていた。
 午前中はなんとか自宅でこの暇さ加減を耐え忍んでいたものの、我慢の限界を超えた姉が鬱積を晴らすために贔屓にしている雑貨屋でも冷やかそうかと決めたのがこの外出のきっかけである。
 同じく暇を持て余していたいた妹が便乗してくっついてきて今に至っていた。
 凱旋パレードの女帝をも思わせる威風堂々とした様で、同じ顔を並べて颯爽と歩みを進める麗しくも凛々しい双子の娘は人ごみに埋もれず、すれ違う人の目を引いていた。
 狙ってやってるわけではないので目立つのは本意ではない。そのため、こうして二人で出歩くことは稀である。一目で双子と分からないように、最近では意図的に系統の異なる服装をするように心がけているくらいだった。
 姉は明るい紫を基調として黄色の細いストライプが横に入ったワンピースに裾を絞ったデニム調のカットパンツを合わせていた。身体にフィットする生地なためメリハリのついたラインが出てよく似合っている。袖から大胆に露出した腕が眩しい。
 一方、妹は白のタンクトップの上に青系統のカーディガンを重ね着していた。カーディガンはVネックの切れ込みが深いデザインになっており、瑞々しい配色で清楚さが引き立っている。パンツルックの姉に対して裾に向けて緩やかな広がりがあるスカートを履いていた。
 確かに二人の服装は毛色が異なっているが、非常に涼しげで夏を感じさせる装いに共通点があった。

「ねぇ、このまままっすぐ帰るつもり?」

「ちゃんと寄っていくって。チラシ見たわよ。新作のケーキ出たんでしょ?」

「さすが我が姉。チェックが早いわねぇ」

 雑貨屋を後にして今は駅に戻る途中にあった。
 阿吽の呼吸で妹イチオシの甘味処に寄っていくことになり、そうなればオフの定番コースの完成となるわけだが、店まであと30メートルというところでハタと妹が歩みを止めた。
 視界の端にあった妹の姿が突然消えて、何事かと姉が振り返る。
290佐涼辺四角関係10:2007/07/20(金) 13:01:51 ID:MjDZZnet

「なに? どうしたの?」

「ちょっと、あれ……」

 妹は自分で目撃しておきながら信じられないといった風に少し呆けた様子で人差し指を虚空に掲げた。
 事情を飲み込めない姉は目を眇めて不審に妹が指し示す方向を視線で追う。
 まず姉の視界に飛び込んできたのは健康志向のバーガーショップ。二階席がガラス張りになっている。
 そして、より正確に照準を絞ると見慣れた後姿を見つけた。

「――――キョンっ!」

 意外過ぎる人物を見つけて思わず大きな瞳を見開いてギョッとする姉だが、驚くのはまだ早いとばかりに追い討ちをかけるが如く更なる衝撃の光景が突きつけられる。
 窓際の席でキョンと称される男子と向かい合って座っている人物を注視せずにはいられない。
 肩に届かないくらいの長さで短く切り揃えられたヘアスタイル。
 どこか儚げな印象を呈している少し色素の薄い栗色の髪。
 聖母を想わせる気品に溢れる長い睫毛に彩られた優しげな目と、優雅な笑みを浮かべる桜色の小さな口許。
 それらの特徴は姉の網膜に強く焼き付いているものばかり。
 姉にとってAAAランクの超重要人物、佐々木という名の女子が鎮座していた。

「誰? 知ってる子?」

 凍りついたように表情を強張らせている姉に、佐々木と直接の面識がない妹はきょとんとした様子で尋ねる。

「……佐々木さん」
 
「ササキ? ……あー! ジョンと同じ中学出身の!? 自己紹介であんたに握手求めて、ジョンと男言葉で喋る風変わりなコ、だっけ?」

「そうよ」
 
 興味深々の妹に対して、姉はぶっきらぼうに返答した。
 妹に構ってる精神的な余裕がないのである。
 佐々木という女子の影は初めて逢ったときから姉の意識の片隅に常に貼り付いていた。

 中学時代佐々木さんとキョンはどんな関係だったのか。
 キョンを『親友』と評したが、本当にそれだけなのか。
 一方キョンは佐々木さんのことを何と思っているのか。
 佐々木さんにあたしという人物はどう写っているのか。
 自己紹介の後の握手の意味に何か他意はなかったのか。

 考えるだけでは決して答えの導かれないこんな疑問が頭のどこかでグルグルと回り続けていた。
 それはまるで呪縛のように纏わりついて少女の心を千々に乱れさせることもしばしばであった。
 そして自身が最も否定したかった疑問、

 あれ以来二人は連絡を取り合って逢ったりしてるのか。

 の答えが今現実として目の前にある。
291佐涼辺四角関係11:2007/07/20(金) 13:02:30 ID:MjDZZnet
 悲しくて、そしてどこか悔しい、しかしそれが嫉妬であることを認めたくないような複雑な気持ちで涼宮姉は階下からキョンと呼称する男子生徒の背中をじっと見つめた。
 その表情は苦虫を噛み潰したような顔。口許を引き締めて突き出すように唇を形作る。

「聞いてはいたけどずいぶんとキレイなコね。可愛い系というより美人系っていうのかしら。あれじゃあコロッといってもしかたないわねぇ」

 妹の口調は揶揄するかのようにくだけたものではあったが、その目は決して笑っていない。意志の強さが感じさせる鋭い眼光でジョンと呼称する男子生徒の背を射抜く。
 当の男子は食事に手をつけているわけでもなく、机に視線を落としたままで先ほどから忙しなく手元を動かすことに腐心していた。知らぬが仏というのは今の彼の為に創られた言葉なのかもしれない。
 
「なんだかさぁ。あたしキョンのエスケープの理由がなんとなく分かっちゃったんだけど」

「まぁ、何をやってるか分かりやすい構図ね。放課後にわざわざ尾行する手間が省けてよかったじゃないのよ」

 つぶやくように二人して改めて佐々木を仰ぎ見た瞬間、佐々木の視線がずれて3者の視線がばっちりぶつかった。
 佐々木は一瞬少し驚いた顔を作ったが、すぐに平素に戻ると薄く微笑んで姉妹の視線を受け入れた。
 その笑みは野に咲く一輪の花のように可憐で清涼感漂う好意的なものに違いなかった。1%ほど含まれる「来るならどうぞ」と言わんばかりの挑発的な要素を除いては。
 察しの良い涼宮姉妹がその不純物に感づかないわけがない。目には目をと二人して不敵に笑い返してみせた。
 妹がすっとぼけた調子で呟く。

「なーんか甘いものって気分じゃなくなっちゃったわねぇ」

「ハンバーガーとかどうかしら? うってつけだと思うんだけど」

 佐々木と視線を真正面からぶつけ合ったまま、涼宮姉妹はお互いを見ずにコンセンサスを取る。
 その図式はまるで人の流れで出来た大河を挟んで、天守閣から敵を見下ろす君主とそれに挑む二人の武士。さしずめ男子生徒は囚われてるようで自覚の全くない困った姫君といったところか。
 前哨戦の狼煙を上げるように、3人の娘による視線の火花が咲いて激しく散り乱れていた。


//////////


 俺にはデフォルトで2つの選択肢があった。

 A ハルヒ(短)に勉強を教わる
 B 国木田に勉強を教わる

 しかし、少し考えてみれば一見二択のように見えて実は選択の余地がないことにすぐ気づけるだろう。
 Bは決して層が厚いとは言いがたい俺の友達メンバーの中で最も勉強ができる国木田にノートを見せてもらい、補足で分からないところを教えてもらうという質実剛健プランだ。さしたる気兼ねもせずに頼めるところが非常に魅力的に写る。
292佐涼辺四角関係12:2007/07/20(金) 13:05:22 ID:MjDZZnet
 しかし、同じクラスの国木田とのやりとりは常にハルヒ(短)に筒抜けだと考えた方がいい。よしんばBを選んだとしてもハルヒ(短)に嗅ぎ付かれないわけがないという致命的な欠陥があった。
 あの授業での大失態以来、ハルヒ(短)はなぜか俺の家庭教師にやたらとノリ気で、これまでもちょくちょくオファーを寄こしてきている。
 あいつの目の前でこれみよがしこのオファーを堂々と無碍にして他に頼めるほど俺の度胸は据わっちゃいなかった。
 第一バレたらどんな難癖を付けられるか分からん。
 現在ハルヒ(短)の力は封印状態であるということを差し引いても、わざわざBを選んで精神を擦り減らすような真似はしたくないってのが本音だった。
 そうなったら過程はどうであれ結局はハルヒ(短)に教わるってところに落ち着くに違いないしな。
 そういう意味でAの一択ってわけなのさ。
 しかしそうかといって諸手を上げてAを選べるかというと、そうとは言えないのがここ最近の悩みの種だった。
 学年トップレベルにあるハルヒ(短)の学力自体は認めざるを得ない。近所の小学生を教えてるのは伊達じゃないぜ。教え方そのものも上手い部類に入るだろう。テストの傾向と効率の良い点数の取り方をよく心得ているからな。
 だが、いざ教えてもらうとなると少々痛い目を覚悟しないといけないのがネックだった。もちろん肉体的にという意味じゃない。精神的にな。
 
「アンタ、また同じこと聞くつもり? 本気で覚える気あんの?」

「ちょっと数字いじったら計算ミスのオンパレードなんて信じらんない。四則演算からもう一回やり直したら?」

「グラフをよく見なさいよ。っつーか、問題文をよく読め。答えが問題文の中にあるボーナス問題よ? これを取りこぼすようじゃ目も当てらんないわ」

 俺の言いたいことがなんとなく伝わっただろうか?
 説明するまでもなく、これらはハルヒ(短)に少し見てもらったときのやり取りを抜粋したものだ。
 問題が解けないのは元々頭のトルクが細い上に勉強不足である俺の責任だ。だから誰が一番悪いかというと、そりゃもちろん俺に違いない。
 ハルヒ(短)みたいに分かってる奴から見りゃ、この要領の悪さは相当にイラつくもんがあるんだろうなってことも察しがつく。
 だが、それを考慮してもこの春の陽気をも凍てつかせるような罵声ともつかない台詞を一定周期で拝聴したいと思えるほど俺のテストステロンの分泌量は落ち着いちゃいないようだった。
 普段ハルヒ(短)が傲岸不遜に振舞って、どんな罵詈雑言を吐こうとそれはさして気にするところじゃない。いままで大概そうだった。それ自体がくだらないことか、俺にとってどうでもいいことが対象であることがほとんどだったからな。
 俺の役どころはハルヒ(短)の戯言に対して「まったくこいつはしょうがねぇな」的に流しつつもブレーキを掛けてやることであり、真正面から受け止めることじゃない。
 だが、今回ばかりは赤点ボーダーとの真剣な闘いというギリギリの本気の状態なために、流すことも許されず受け止めざるを得ない状況にある。ここに埋めがたいギャップのようなものを感じていた。
 妙に長くなっちまったが、要はマジなだけに傷を抉るようなハルヒ(短)のスパルタは俺にはキツ過ぎるってことなのさ。


 こういう悩める板ばさみの状況があって、独学に限界を感じつつもまるで女子高生がダイエットの開始時期をジリジリと引き伸ばすように、ハルヒ(短)に頼むのを先送りして、一択であるはずの選択肢Aを中々選べずにいたわけだ。
 しかし、そうした折の先週末に転機が訪れた。
 何の巡りあわせか街中で佐々木とばったり遭遇したのさ。
 佐々木とは春休みの最後の日にSOS団の待ち合わせに偶然鉢合わせて1年ぶりの再会を果たしていた。そこから数えるから今回は約1ヶ月ぶりの再会ということになるか。
293佐涼辺四角関係13:2007/07/20(金) 13:06:40 ID:MjDZZnet
 たまたまお互い時間があってカフェで話をする内に、今のくだらない悩みを愚痴のように口走ってしまったのがきっかけで、俺の前に新たなる選択肢Cが提示されることとなった。

 C 佐々木に勉強を教わる

 進学校に在学中の佐々木の学力は折り紙つきだ。中学3年次に塾で机を並べて受験戦争を共に戦った戦友でもある。その時から、俺は佐々木に分からないところを訊いたりしていた。
 その教え方は論理的で明瞭かつ当たりがソフトで、俺と同じ目線に立って根気強く解き方をリードしてくれるという誰かさんとは対極を成すものだった。
 これ以上の適任があるだろうか? いや、無いと言いきれるね。
 幸運が授けてくれた何かの縁だと俺は信じて迷うことなくその場で佐々木の厚意に食いついた。
 それから1週間、毎日放課後に勉強をみてもらっていた。
 勉強場所は地元から少し離れた商店街にあるバーガーショップ。
 何時間ダベっても大丈夫という、金がない学生と喋る内容の尽きない主婦にとって絶好の溜まり場だ。知る人ぞ知る穴場なために満席になることもない極上のレンタルデスクだった。
 最初の3日は放課後にすぐ集まっていたが、さすがに何日も団活をサボることに無理があったらしく、ハルヒ(短)が本格的に疑いだしたのでここ数日は団活が終わってからの集合に切り替えている。
 こうなると佐々木が塾の日は1時間ほどしかみてもらえないことになるが、それは仕方ないところだろう。
 しかし、数日前いきなりハルヒ(長)が寝る前に妙なメールを送ってきたときは肝を冷やしたぜ。
 偶然放課後に駅に入る俺を見たとか書いてあったが怪しいもんだ。
 こういうメールは見た直後に送らないか? あいつの性格を考慮して、どうも日を空けて思い出したように送ってくる内容じゃない気がしてそれとなくはぐらかしといたが、さてこの判断は正しかったかろうかね。
 まぁ、とりあえず団活と被らせなければこれ以上訝られることもないだろう。
 そう自己完結した俺は今週末のオフを活かして日曜日にもかかわらず佐々木に出てきてもらって分からないところを教えてもらっていた。
 当然タダで教えてもらうのはあまりに気が引けるので、何か奢らせてくれと申し出たところ、いつものアップルパイで良いと返ってきた。遠慮しているわけではなく小食のためこれで十分ということなんだとよ。
 誰かさんじゃこうはいかんだろう。
 佐々木よ、冗談抜きでお前が女神に見えるぜ。
 そう感謝しつつも、俺は目の前の生物の問題と格闘する。一週間前に心を入れ替えた成果がじんわりと感じられる手ごたえがあった。
 よし、このページ終わり、次! なかなか調子も上がってきたじゃないか。
 
「あら、なかなか捗ってるじゃない」

 突如鼓膜を振るわせた声色はあまりにも耳慣れたものだった。
 景気よく走っていたシャーペンのペン先がノートと瞬間接着されたようにビタリと急停止。
 月に叢雲、花に風。
 まさかと思うのも億劫だと諦めて、ゆっくり視線を上げるとトレイを持って立つハルヒ(短)――――、そしてその横に並んで立つとハルヒ(長)。よりによって二人セットかよ。

「相席してもいいかしら?」

「どうぞ」

 固まったまま動けない俺に対して佐々木はまるで来るのが分かっていたようにごく自然に涼宮姉妹を迎え入れた。
 ハルヒ(短)は俺の隣に、ハルヒ(長)は佐々木の隣に腰を下ろす。

「それにしても驚いた。まさか涼宮さんが双子だったなんてね。黙ってるなんてキョン、キミは少々意地が悪いな」
294佐涼辺四角関係14:2007/07/20(金) 13:07:25 ID:MjDZZnet

 佐々木よ、それは心外だ。わざわざ伝えておかねばならんほど重要なことでもないと思うぞ。

「ひょっとしたら私のことは色々と伝え聞いてるかもしれないけど、初めまして」

「お噂はかねがね、なんてね。一応あたしが妹ってことになってるの。こちらこそよろしく」

 そう言って二人は握手を交わす。
 傍から見れば実に華やかかつ爽やかな画に違いなかった。
 双方の微笑みがいささか必要以上に感じるのと、やたらと握手が長いと感じるのは俺の錯覚だと信じたい。
 向かい側の席を取り巻く空気が澱のように淀んでいるように見えるなどもってのほかだった。

「で、あんた、どうしてこんなトコで参考書広げてんのよ?」

 息を呑んで向かい席の二人に釘付けになっているところへ、隣のハルヒ(短)から鋭い声が掛かって我に返る。
 しまった。自己紹介の内にややこしいモノをとっとと仕舞っとくべきだったぜ。とんだ失策だ。
 佐々木に教えてもらってました、などと吐露することは当然許されず、俺は背中に冷たい汗を垂らしながら必死に何とかわそうと考えを巡らしたとき、

「一緒に勉強してたんだ。中間テスト対策ってことでね」

 間髪入れずに佐々木が明朗に述べた。
 頭の中で膨らみかけていたくだらない言い訳を霧散させて、俺は真っ先に耳を疑ったがそれは単なる現実逃避であることに気づく。
 佐々木、せめてもう少し空気を読んでくれる相方だと信じていたが、俺の勝手な見込み違いだったのか?

「ふーん。わざわざ休日なのにキョンに呼び出されて佐々木さんも大変ね。団員の非礼を詫びるわ。団長としてね」

 そう言いつつも下手な態度など微塵も見せないハルヒ(短)。それに対して佐々木は首を横に振って、穏やかにその薄っぺらいお詫びを拒否する。

「とんでもない。むしろ懐かしんで楽しんでるよ。こうやって休日をキョンと勉強して過ごすのは久しぶりだから。やっぱり休みの日はのんびりできていいね、平日の放課後とはまた違う趣がある」

 真っ先にこの台詞に反応したのは他でもない俺。
 何気ない調子で佐々木の口から滑り出た内容に、口外無用の禁則事項が含まれていたからだ。
 ハルヒ(短)に内緒にしたいという俺の事情をこいつは知ってるはずだった。そもそも、佐々木にみてもらうようになったのはハルヒ(短)のオファー(短)を受けられずにいたからだぜ。
 なぜだ? 言葉の流れの中でならまだしも、どうしてわざわざ付け加えるように言った?
 弁の立つ佐々木が口を滑らせたとは考えづらい。狙ってやってるか血迷っているとしか思えない。ちくしょう、一体何を考えてやがる。
 とにかくこの会話を断ち切るべきだったが、出鼻を挫かれた俺にはそのきっかけの持ち合わせがなく、不本意にも切り出せずに沈黙の時を過ごす。

「へ、へーえ……。そう、そう言う事だったのねぇ――――」
295佐涼辺四角関係15:2007/07/20(金) 13:09:18 ID:MjDZZnet

 わざわざ見なくても察することができたが、案の定隣を窺うとハルヒ(短)の横顔はリード線で引っ張ったように見事に引きつっていた。
 慌てて視線を逃がそうとしたが、見透かしたようにそれまで脇目も振らず斜め前しか見ていなかった瞳がグルリと回って、ガッチリと俺の目を捕らえた。
 正直に言おう。ちびりそうなくらいの迫力だってな。

「キョン! どーゆーこと! 説明しなさい!」

 ガタンと机を揺らすことも厭わずハルヒ(短)は鬼神の形相で俺の胸倉を乱暴に引き寄せる。そして鼻先3センチ、息の掛かりそうな至近距離で恫喝するように問い詰めてきた。
 視界にドアップで写りこんだハルヒ(短)の顔に泡を食ったが、そんなことを意識してる場合じゃないと俺の生存本能が窒息の警告を出していた。
 く、苦しいっ。一体この細腕のどこに重機のような怪力が潜んでるんだ?

「っ、放せって。しゃべる! 説明してやるからっ!」

 圧迫された気道から搾り出すようにそれだけ言い遂げると、ハルヒ(長)の窘めもあってハルヒ(短)は俺を解放した。生ゴミを捨てるように、それはもうぞんざいに。
 ったく、観念もなにもあったもんじゃないぜ。それすら猶予を与えないんだからな。お前、履歴書の特技の欄に取調べって書けるぞ。俺で良けりゃお墨付きをやってもいい。
 ソファーに放り投げられた俺は乱れた襟元を直して、とにかく居住まいを正す。
 ハルヒ(短)は持久走で自己新を更新した直後のように肩で息していた。本来窒息させられそうになった俺がやる仕草だぞ、それは。
 
「隠していたことは謝る。だが今回ばっかりは俺もマジなんだよ。緊急事態ってやつだ。腰を据えて勉強したかったんだよ。親に塾行きを宣告されたら団活も本格的に休止だ。これはそうならないための対策なんだよ」 

 我ながら名演説だ。自己評価ながら80点はつけてやりたいね。
 こんなにはっきりと自己主張できたのは久しぶりなんじゃないか。
 だが、手ごたえを感じていた俺に返ってきた台詞は、

「だから?」

 という味も色も素っ気のない一言。ハルヒ(短)は口をへの字に曲げたまま何の一つも納得した様子を見せていない。
 だからもへったくれもないだろ。今俺が言ったのが結論だ。

「あんたなりに考えてることは分かったわ、色々とツッコみたいところはあるけど後まわしにしてあげる。あたしが訊いてるのはこれからのことよ。これからどうするつもり?」

 どうするもなにもないだろ。このまま中間まで佐々木に勉強を教えてもらうに決まって……、

「却下」

 最後まで聞け。何が気に入らないんだ? 団活にちゃんと出るなら問題ないだろ?
 食い下がる俺に、ハルヒ(短)はまなじりを決して凄む。

「ダメね。団活に出た後ここに勉強しに来るわけでしょ? そんな時間のロスの多い非効率なことやってどうすんの? 二束の草鞋を履くような真似なんてキョンには1億3千年早いのよ」
296佐涼辺四角関係16:2007/07/20(金) 13:09:58 ID:MjDZZnet

 じゃあ俺の中間試験対策はどうしろってんだ?
 当然の反論にハルヒ(短)は一瞬視線をあさっての方向にやって間を作る。
 なんだ? なぜそこでアクセルを緩める必要がある? 既視感があるのは気のせいじゃないぞ。確か前にも似たようなことがあったはずだ。
 それを思い出すより先にハルヒ(短)は腕を組んでアヒル口を作って居直った。

「……、あたしが学校で教えたげる。昼休みとか放課後にね。な、なんなら団活が終わったと居残りでやってあげてもいいわよ。って言うか、勉強教える話なら何度も言ってることじゃない。なんであたしに相談しないわけ?」
 
 まずい方向に話が流れ始めやがった。くそっ、なんとか避けて通れないのか?
 窮したままにふと正面を見ると、ハルヒ(長)は噴出すのを我慢するかのように口の端を歪ませてひたすらニヤニヤしていた。お前、絶対楽しんでるだろ?
 なんて説明したらいいか言いあぐねていると、佐々木が押し殺したような独特な調子でくっくっと笑った。

「やっぱりダメだよキョン。ちゃんと涼宮さんには話を通さないと」

 佐々木、この期に及んでそれは愚問だぞ。やりとりを3往復でも見てりゃ、こいつが話し合えるヤツかどうか判断つくだろう?

「どういうこと?」

「説明してもいいけど、私の口から言うのも変かなって。ただ、今ここで私とキョンが居るってことに答えが集約されてるように思えるけど、どう? 聡明な貴女ならピンとくるものがあるはずだけど、私の見立て違いかな? ……、それとも気づかないフリしてるだけ?」

 無垢に微笑んだままあくまでも友好的に、何気ない世話話の一片のように放たれた佐々木の言葉は、超流動状態のヘリウムのように粘度ゼロで右から左へ流れて行きそうになった。
 二人のハルヒが揃って呆然となっていることが、なによりも俺のリアクションが正常なものであることを示している。
 3者そろって脳に染み入るように時間を掛けて今の佐々木の発言がいかに異常であったかということの理解を終えると、場の温度が一気に氷点下まで沈み込んだ。

「一人で勝手に深読みするのは勝手だけど、あたしの答えは究極にシンプルよ? 団員を管理するのが団長の務めだから、あたしはそれをまっとうするだけ」

「団長様のスパルタ授業を戦々恐々と受けるのと、リラックスした状態で私と勉強するのと、果たしてどっちが効率的かな。涼宮さんはどう思う?」

「キョンは甘やかすとダメなタイプだから。叩かれて伸びるのよ」

「焼きを入れ過ぎた鉄は返って脆くなるそうよ。アメとムチは使い分けないとね」

 …………、ハッと我に返る。思わず聞き入っちまった。
 待て待て、おまえら。なんかおかしいぞ? 最初は俺とハルヒ(短)が話していたはずだ。いつの間に佐々木とハルヒ(短)のラリーにすげ替わった?
 今にもヒビが入りそうな緊張の空気に反して、二人の表情は妙に活き活きとして自信が滾っているのが余計に恐ろしい。
 涼宮姉妹はともかく、佐々木はあまり争いごとのようなことを好むタイプじゃないはずだ。ここまで張り合うということが意外だった。
 とにかくこのラリーはやばい。やば過ぎるだろ。
 すぐにでも止めなければとテーブルの上の水でも零そうかと画策したとき、乾いた音が場を断ち切った。
 今まで黙していたハルヒ(長)が立ち上がって手を打ち鳴らしていた。
297佐涼辺四角関係17:2007/07/20(金) 13:11:48 ID:MjDZZnet

「ハイハイ、二人ともそこまで。お二人の主張はよーく分かったわ。ついでにキョンの主張もね。でもこのままじゃどこまでも平行線でしょ? あたしに良いアイデアがあるわ。それにノッてみない?」

「やぶから棒に何よ。まずはそのアイデアの中身を説明しなさいよ」

 ハルヒ(短)の当然の返しに、佐々木も頷いて追従する。
 おい、何を思いついたのか知らんが、またややこしくなるようなことを言い出すんじゃないだろうな?

「厭なら棄却してくれて結構よ。あくまでも民主的にね」
 
 ハルヒ(長)は一人あっけらかんとした調子で説明を開始した。

「要は誰がジョンの勉強指南役として相応しいか、今度の中間テストで勝負すれば良いのよ。教科を分け合って指導して点数を競うの。実に分かりやすいでしょ? ねぇ、北高の科目はどうなってるの?」

「……数学UとB、現代文、古典、英語、物理、生物、世界史、地理、保体の10教科だ。保体のテストはあってないようなもんだから実質9教科か」

 聞くだけ聞いてやるとばかりに教えてやるとハルヒ(長)は瞳を一層輝かせて続ける。

「数学系、国語系、理科系、社会系が2つずつ、そして英語ね。都合よく二人で分けやすいじゃない。余ってる英語はあたしが教えてあげるわ」

 いや、そう言ってこっちを見られてもな。
 帰国子女から英語を教わるのは吝かじゃないが、本気で勝負させるつもりなのか? 

「面白い試みだけど、各教科によって難易度が違うだろうから合計の点数では公平な勝負ができないんじゃないかな?」

「その通り。だからあくまでも基準は平均点。平均点の差分を点数としてその平均で勝負よ。これならまぁ、完璧とは言わないまでもおおよそ平等と言えるでしょ?」

 ハルヒ(長)の説明が納得いくものだったのか、佐々木は「ふむ」と考え込んだ。

「……いいわ。やろうじゃないのよ、その勝負! そうと決まったら分担を決めないとね」

 おいおい、ちょっと待て。勝手に話を進めるな。
 俺の前提条件を思い出せ。今回の中間でなにがなんでも結果を出したいって意図を忘れたのか? それを賭け事のネタに祭り上げようなんてどうかしてるぜ。
 呆れて物も言えん俺に対して、ハルヒ(長)は微塵も勢いを落とさずに胸の前で腕を組んで見下ろしてくる。

「あたしは3人の要求を満たすベストなアイデアだと自負してるわ。勉強は個別にやるから集中できるわよ。んでもってお互い勝とうとして躍起になるだろうから、自動的にジョンの点数はあがるわ。そして、試験終了と同時にこの諍いにも決着が付く。一石二鳥じゃない」
298佐涼辺四角関係18:2007/07/20(金) 13:12:19 ID:MjDZZnet

 ………………、なるほど。確かにそう言われて見ればハルヒ(長)の提案がいみじくもまんざらでないように見えてくる。
 俺が一番回避したいのはなぜそんな剣幕で争う必要があるのか分からん二人による不毛極まりない衝突によって、俺の勉強が中断されることだ。
 しかしこのアイデアを採用すれば、ハルヒ(短)と佐々木による競り合いをうまく学力向上に利用できるってわけか。
 …………でもなぁ、おもちゃにされてる感が拭えないのがどうにも引っかかる。いや、しかし――。
 そんな風に少しでもまともに考え始めた俺が莫迦だった。
 
「教科は佐々木さんから選んでいいわ。学校が違う分のせめてものハンデよ」

「ありがたく受け取っておくよ。やはりそこは大きいからね。この一週間でキョンに重点的に教えた教科の中から選ばせてもらおうかな」

「でも手加減はしないかんね」

「望むところよ」

 すでに話はまとまりつつあるようで、末期のすい臓がんを告げられた患者のように手遅れの状態。今更俺が口を出すのも憚られる様な空気が充満していた。
 どうやら考えてしまった時点で俺の負けだったらしい。
 気づけばハルヒ(長)は時折二人の話に耳を傾けながら、なにやら熱心にルーズリーフにペンを走らせている。
 覗きこんだ瞬間にまず飛び込んできた文字は『対戦誓約書』。
 書面には約款やらただし書きやらが手書きながらもそれらしく記されている。
 ……眩暈がした。
 ボクシングのタイトルマッチじゃあるまいし、そんなもん作ってどうするんだ?

「いいじゃない。雰囲気よ雰囲気。これがあれば勝負のあと揉めたりしないしね」

 そんな大層なモンじゃないだろ。俺の勉強指南役の権利はいつの間にそんなに高騰したんだ?
 やっぱりどうにも遊ばれてる気がしてならんと釈然としないまま渋い顔をしていると、話はトントン拍子にまとまったようで、あれよあれよという間に調印式が取り交わされた。
 お前ら協調するところを間違えてるぞ。
 署名の欄には佐々木とハルヒ(短)のフルネーム、そしてプロモーター気取りか知らんが最下段にハルヒ(長)の名前が刻まれた。
 それを目の当たりにして、もう後には退けない現実を悟る。
 本気かよ……、お前ら。なんてこった、佐々木まで完全に毒されちまうなんて全くの想定外だった。

「よっし、んじゃあたし達は帰るわ。引き続き勉強は続けてちょーだい」

「キョン、時間割にないけど明日数Uと物理の教科書を学校に持ってきなさいよ」

 長短ハルヒはそれぞれそう言い残すと、立つ鳥跡を濁さず席を立って去っていった。
 トレイに載っていたのは、キレイに平らげられて空になったカップとハンバーガーの包み袋。いつの間に食べたんだ? こいつら。
 急展開についていけてない俺はただ阿呆みたいに口を半開きにしたまま見送るだけ、佐々木はどこぞの国の皇太子妃殿下のような優雅さで手を振っていた。
 目の前で起こってる事象がどうにも現実味に乏しく、ともすれば俺は夢を見てるんじゃないかと疑ってみたが、残酷にも一口啜った時間の経ち過ぎたアイスコーヒーは水っぽくて温かった。

「キョン、どうしたんだい? 顔色が優れないようだが」

 そう言って机越しに佐々木は俺の顔を覗き込んできた。
 睫毛の長くて薄茶色に彩られた曇りのない虹彩は油断すれば引き込まれてしまいそうで、俺は慌てて背筋を正した。
 久々に間近に佐々木の顔を見ちまった。こいつがこんなに綺麗な目してたなんて今まで気にもしなかったぜ。
 俺の挙動が滑稽に写ったのか、佐々木は口許に手を当ててくすりと笑う。
299佐涼辺四角関係19:2007/07/20(金) 13:13:22 ID:MjDZZnet

「俺の成績をネタに賭け事が成立してるんだぞ。そりゃ顔色の一つや二つ優れなくて当然だろ」

「そうだね。その点については僕も不本意な部分がある。申し訳ないと思うよ」

 影を落とした佐々木の表情には疑いのない謝罪の念がにじみ出ていた。
 ……まぁ、いい。よくないけど、いいことにしようじゃないか。
 ここに来て佐々木を責めても仕方がない。調印式もつつがなく済んでしまった今、利用できるものは利用した方が良いと考えるのが建設的ってもんだろう。

「お前の性格や趣向についてあらかた把握できていたつもりだったんだがな」

「キョンが知ってるのは1年前の僕ってことだね。男子三日会わざれば刮目して見よなんていうけど、流石に女子でも1年もあれば変わるってことさ。なにかとね」

 佐々木は意味深にも無邪気に表情を崩した。
 ここで何が変わった問うのは少し無粋な気がするので、俺は切り口を変える。

「どうしてこんな面倒事にのった? 」

「……そうだね。強いて言えばこの時間を守りたいってことかな。今現在僕らにとって唯一の接点だから。唯一ということはすなわちかけがえのないものと換言することができるだろう? かけがえのないものを守るために勝負するのさ」

 なんだか明瞭に答えているようで、煙に巻かれているような気がするのは俺の頭が悪いせいか?
 今ひとつ釈然としない俺の顔を窺うと、佐々木はくっくっと零して最後に付け加えた。

「キョン、キミは相変わらずだね。1年前と全然変わってない。ああ、どうか気を悪くしないでくれたまえ。貶してるわけじゃないんだ。笑いが止まらないのはどうにも懐かしくてね。おかげで更に意志が固まったよ」
 
 佐々木の言葉はとうとう最後まで理解できず終いだった。
 ハルヒといい佐々木といい、ときどき何を考えてるのか全く分からなくなりやがる。
 真剣に考え始めると知恵熱が出そうだったが、こんなことで熱を出している場合じゃなかった。今の俺には一分一秒でも勉強の時間が惜しい。それ以外のことに思考を回してる余裕など1ミップスすらもない。
 長過ぎたブレイクタイムに幕を引いて、俺達はどちらからともなく視線を問題集に戻し、日が暮れるまで勉強に没頭した。


//////////


 ここからはひたすら勉強の毎日となるわけだが、序盤、中盤、終盤と長短ハルヒ、佐々木の授業風景をそれぞれ抜き出してみようか。
 まずは序盤。調印式の次の日。
300佐涼辺四角関係20:2007/07/20(金) 13:14:27 ID:MjDZZnet

 バーガーショップで去り際にハルヒ(短)が遺した言いつけを守って俺は学校で数学Uと物理を教わった。
 ハルヒ(短)曰く、壊滅的な理数系をなんとかするのが最優先事項だそうだ。それに関しては全く異論はないね。
 意見の方向性が一致するなんて雨でも振るんじゃないか?
 なんて、思ってると本当に夕立が襲ってきやがった。
 安っぽいトタンのひさしを叩く雨音を聞きながら、居残りの文芸部室で数Uの問題を解く。
 ハルヒ(短)は『勉強は勉強! 団活は団活!』の基本方針を曲げるつもりなどさらさらないらしく、例に漏れず今日も団活を終えてからの居残りとなった。
 だが気になったことが一つ。
 長門が本を閉じる時刻が異様に早かった。帰り際に見た古泉と朝比奈さんのぎこちない態度から察するに多分に気を遣わせてしまったんだろうな。
 すまんみんな。中間が終わったら喫茶店で一品奢らせてもらおう。
 そんなことを頭の片隅でつぶやきながら、図形問題を解いていた。
 
「キョン、あんた作図が苦手みたいねぇ。真っ直ぐ線が引けないところがすでにネックだわ。ごちゃごちゃの図描いてるからミスするんじゃないの?」

しょうがないだろこればっかりは。センスに文句を言われてもどうにもならんぞ。

「それ以前の問題よ。横着しないで物差し使いなさいってこと。ホラ、あたしの貸してあげるから」

 そう言ってハルヒ(短)は色もデザインもない、透明でただ目盛りと方眼線が引かれただけの物差しを取って寄越した。

「……ああ、サンキュ」

 そう言って俺は真っ直ぐなX軸とY軸を引いて、本日初と言えるまともな直交座標を作成する。
 おかげで問題の解答は捗ったが、俺の心中は少し混乱していた。
 ハルヒ(短)の教え方がなんか違うのは気のせいではないだろう。今だけじゃない、これはのっけからずっと感じていることだった。
 なんというか、抑えてるというか、言葉を選んでるというか、まぁ究極に端的に言えば優しいっていうことになるんだが、身構えて臨んでる分なんだか調子が狂ってしまう始末だった。

 例えば、半月前のハルヒ(短)ならば間違いなくこう言っただろう。

「キョン、あんた作図のセンスないわねぇ。もう終わっちゃってるとしか言いようがないわ。あー、もうなにこのごちゃごちゃの円と線! 前衛絵画やってんじゃないのよ?」

 とでも言われただろう。
 いや、さすがにここまでじゃないにしても、それに限りなく近い辛辣な語彙が選択されたはずだ。
 
「あ、そこは直線の式求めなくていいから、ね、座標で読めるでしょ? こことここ、分かる?」

「どこだ? すまん、少し小さく描きすぎたな」

「……、ここよ」

 あまり耳にしたことがない蚊の鳴くような掠れた声がしたと思うと、次にひんやりと柔らかいものが俺の手の甲を包んでいた。
 ハルヒ(短)が俺の手を取って、図上の2点を導き示していることを視覚はすぐに認識していたが、脳はその事実を否定したかったらしく、心音3拍ほど隔ててようやく事象の理解を遂げる。
 それほどに目の前の現実は目に疑うものだった。
 寄り添うように触れ合う肩、前髪が触れ合う距離まで接近した顔。いつの間にこんなに接近してたんだ?
 蛍光灯に照らされたハルヒ(短)のすっぴんの肌はシルクのようにキメが細かく、ツンと尖った上唇は陶磁器のように瑞々しく、それらは少し、いやかなり健全な男子にとって毒だった。
 まずい、完全に意識しちまった。心音がやかましいくらいに鼓膜を打ち鳴らしてやがる。ハルヒ(短)に悟られるだろうが、鎮まれ。
301佐涼辺四角関係21:2007/07/20(金) 13:15:25 ID:MjDZZnet
 期せずして目が合う。ハルヒ(短)の頬は真っ赤に色づいていた。
 その刹那、ハルヒ(短)はものすごい勢いで手をどけて自分の膝の上に戻すと不自然に背筋を正してそっぽを向く。耳まで真っ赤だぞ、お前。
 もしかしてお前熱でもあるのか? 今日はなんかおかしいぞ? 挙動全般に亘って。

「失礼ね! 至って正常よ。これはあんたが――――っ」
 
 あんたが? 俺か? 俺が……、そうだよな。確かに俺がやっちまったよな。
 ここまで分かり易けりゃさすがの俺でも察しがつくさ。
まさかお前に気を遣わせることになるなんて思ってもみなかったんだが、それは俺の甘えだよな。
 さて、ここで俺はどうすべきか。

 本当に熱を測ろうと額に触れるべきか?
 とにかくいつもの調子に戻れと言うか?
 佐々木とお前は違うと言い聞かせるか?

 いいや、どれも違うね。
 こんな無粋なことをこのハネッ返り娘に言った日にゃ混ぜっ返すようなことになるだけだ。
 熱を測ろうとするのは論外として、これらの言動以前に俺にはやらなければならないことがある。
 
「えーっ、その、なんだ。ハルヒよ」

「何よ?」

「今更あれなんだが……、先に申し出てくれたお前をないがしろにしたことを謝りたい。すまん」

 頭を下げた。本当は昨日、遅くとも今朝の一番にやっとかないとだめなことだったよな。情けねぇ。
 視界の外でハルヒ(短)がどんな仕草や表情をしてるのかは推し量るしかない。反省のあまり顔を上げられないというより、ただ単にハルヒ(短)の顔が見れないでいた。
 感覚が麻痺してるのか、やけに空白の時間が長く感じられた。

「……全くよ。バカキョン」

 力のないその言葉で時間が再び流れ出す。
 ハルヒ(短)はそこからまくしたてるように続けた。

 「あー、ダメ。やっぱ無理。そもそもあたしがキョンに合わせる時点で間違ってんのよ。今確信したけどね、やっぱあんたは厳しくお尻を叩いて追い込まれないと伸びないタイプよ。温〜い環境でやっててもダメ、スパルタの方が性に合ってるのよ」

 スパルタが性に合ってるのはむしろお前だろう。なんて言えるはずもなく、かといって素直に頷くこともできず、俺はとにかく少し溜飲を下げた。
 なぜかって? それは今のハルヒ(短)の調子にサビが戻っていたからさ。
 顔を上げると、瞳の奥底に無尽のエネルギーを湛えて、対する者に有無を言わせない自信を纏ったハルヒ(短)が居た。
 ……やっぱりこいつはこうでないとな。勝手な話だがこっちも調子が狂っちまうんだよ。
 思わず笑みがこぼれると、ハルヒ(短)の目が逆三角形に吊り上った。

「ヘラヘラしてるんじゃないわよ。そう決まったからには、ビッシビシ行くからね。覚悟しなさい!」

 そう捲くし立てると物差しで俺の手の甲を叩く暴挙に出た。
 いてぇ! いきなりなんてことしやがる。ビシビシってそういう意味じゃないだろ。
 未だハルヒ(短)の頬にはほんのり朱が残っている。だが、かくいう俺も多分同じような表情をしてると思うからそれはお互い様だ。
 今のはさすがにちょっとわざとらしかったか? お互いに。
 まぁいい、照れるのは後回しだ。
 とにかくいつものペースで。
 窓の外で雨はいつの間にか上がって、厚かった雲間から夕日が差し込んできていた。
 悪態を吐き合いながら強引にも確実に妙な雰囲気を晴らして、俺たちは図形との格闘へと戻っていった。
302佐涼辺四角関係22:2007/07/20(金) 13:16:16 ID:MjDZZnet


//////////


 中盤。調印式から一週間後。

 ハルヒ(長)の初めての授業機会が訪れた。
 回数が少ない分、休日に俺の自宅にて朝から夕方までみっちり教わることになっている。
 自室にあいつを招くことに抵抗がないわけじゃないが、さすがにこんなに長い時間をバーガーショップに入り浸るわけにもいかず、消去法による苦渋の選択だった。
 まぁ、いい。俺もあいつには色々と聞きたいことがあるんだ。図書館では雑談は厳禁だが、ここでなら気兼ねはない。
 開会式のようにお約束の家捜しイベントをつつがなく消化したのは、わざわざ詳細を記すところじゃないだろう。
 ハルヒ(長)はさすがに帰国子女なだけあって英語は十八番らしい。何と言っても発音が違う。ネイティブな英語を聞き慣れてるわけじゃないが、自然か不自然かくらいの判別は俺にだってつくぜ。
 担当の英語教師がおこがましいと思えるくらいに流麗な英語を披露してくれた。
 勝手なイメージで文法を完全に無視した感覚的英語を持ち出してくるんじゃないかと危ぶんでいたが、開始早々にそれは杞憂と終わる。
 学校で習った文法英語と日常英語を完全に融合させて自分のものに仕上げていた。
 教科書とノート、プリントを見せると、出題確率の高そうな単語や熟語に目星をつけてピックアップしてまずは暗記タイム。そしてそれが終わる頃には練習問題を組み終わっていて問題慣れさせる手際の良さは脱帽ものだった。
 基礎的なところを押さえて、今は配点の高い英作の練習に突入していた。

「書いてある日本語をそのまま英語にしようとしたらダメよ。噛み砕いてできるだけ単純な日本語に直すのよ、日本語のレベルを自分が使える英語のレベルに落とすの」

 この解法方針に従ってまずは日本語の意訳から手をつける。
 開始からすでに3時間か。初めて自室にハルヒ(長)を迎えた妙な緊張もいい加減ほぐれてきて淀みなくペンを走らせているところに、読んでいた漫画から顔を上げてハルヒ(長)が切り出してきた。

「ね、中学時代ジョンは佐々木さんと付き合ってたわけ?」

 現在分詞の用法が間違ってるとか、時制が違うとか言い出すのかと思いきや、完全に不意を突かれてバチンとシャーペンの芯が折れた。

「あ、あのなぁ。人が集中して問題解いてるのに邪魔をするな」

「まぁ、いいじゃない。前半がんばったんだしちょっとくらい。で、どうなのよ?」

「友達だ。まさかそんなデマでも流れてるのか?」

「そういうわけじゃないけどさ。姉がやたらと気にしてるから、はっきり確認とってあげた方が精神衛生上いいかな〜って」
303佐涼辺四角関係23:2007/07/20(金) 13:16:53 ID:MjDZZnet

 そりゃ変な話だ。確か前にSOS団の待ち合わせ場所でばったり鉢合わせたときに、自己紹介の中で佐々木は俺のことを親友だと評したからな。公明正大に。

「今は親友かもしれないけど、昔はどうだか分からないじゃない」

「そんな余計な深読みしなくていいんだよ。佐々木と俺が話してるのを聞いただろ? どっちかって言うと野郎同士の感覚だぞ?」

 この俺の見解がいたくお気に召さなかったらしく、ハルヒ(長)は頬杖をついてジト目で睨んできた。
 血圧に良くないな。髪の毛のボリュームがあるせいか、お前がそうするとやたらと圧迫感があるんだよ。
 そんな軽蔑の視線を浴びせられる理由など一切身に覚えがないんだが。

「あのねぇ、野郎の友達が姉と真正面きって張り合ってジョンと一緒に過ごす時間を奪い合って勝負するとでも思ってんの? もし古泉君がそうしたとして、あんたそれをなんの違和感もなく受け止められるわけ?」

 野郎の友達ってのは言葉のアヤなんだよ。気持ち悪い例えを持ち出すな。

「まぁ、いいか。ジョンがこの調子じゃ男女のまろやかな雰囲気なんて出るわけないわよね」

 ああそうさ、そんな雰囲気とやらはどんなのか想像すらもつかんね。
 ハルヒ(長)は上半身を後ろへ投げ出すと、両手を床につきながら仰け反って天井を仰いだ。
 人の部屋でくつろぎすぎだ。スカートで胡坐をかくのはどうにかならんのか。……見えそうだぞ。
 くそっ、ガラス張りの机なんか使うんじゃなかった。さっきから気になって仕方がない。
 気を紛らわせるために俺は会話を続けた。

「俺からも一ついいか?」

「なによ?」

「今回こんなことを仕掛けてお前に何のメリットがあったんだ?」

 興味を引く内容だったのか、ハルヒ(長)は反動をつけて机に身を乗り出してきた。

「メリット? そりゃあ色々あるわよ。変な虫が寄ってくるのはそれはそれで困るし、一応、高校卒業までは協力してあげるってことになってるから。まぁ、あくまでも補助って感じだけどね」

 爛々と目を輝かせながら言い放ったにもかかわらず、その8割が意味不明、理解不能ってどういうことだ?
 頼むから少しはペースってもんを合わせてくれ。

「あー!? もうっ、また同じミスしてる『遠くに』は『to the distance』じゃなくて、『in the distance』!」

 言ったそばからこれか?
 姉と分け合った俺を振り回すDNAを遺憾なく発揮してくれるね。俺はやれやれと手振りするかのように消しゴムを滑らせる。

 それからハルヒ(長)は漫画を読むのを止めて、机に二本の頬杖をついてずっと俺を見守った。
 視線だけチラリと上げると、悪戯っ子世に憚るとばかりに無邪気に百ワットの笑みを浮かべるハルヒ(長)の顔。
 俺自身を見てどうする。解答を見てくれ。
 様々な雑念を振り払うために唯一俺ができることは、問題に没頭することだった。
304佐涼辺四角関係24:2007/07/20(金) 13:17:37 ID:MjDZZnet


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 最後に終盤。試験初日を前日に控えた日曜日。

 この二週間、学力の高い二人にマンツーマンでついてもらって勉強に熱を入れた甲斐あって、成果をひしひしと感じることができた。
 参考書の基礎問題はもはや朝飯前。応用問題でもつまずく方が少なくなった。
 本番を迎える前だが、すでにこの点に関して感謝せねばなるまい。
 賭けのことは……、いや、とにかく今は考えないようにしようじゃないか、まずは赤点クリアを目指すのが俺の第一目標だったはずだ。
 今日は佐々木を自宅に迎えていた。
 休憩中に佐々木に懐いてなかなか離れようとしなかった妹をひっぺがえして、後半戦に突入していた。
 古典をやっていたが出題率100%の教科書に載っているものに関しては、諳んじることができるくらいにマスターできていたので、今は教師が授業中に配ったプリントを復習していた。
 失礼な話だが、当初俺は勝負としては佐々木がかなり不利だと見込んでいた。
 分からないところをピンポイントで尋ねるくらいならまだしも、よく考えれば他校の生徒に試験対策指導まで依頼することはかなり無理があるからな。
 しかし当然そんなことを佐々木が見越してないわけがなく、ある秘策が飛び出した。
 調印式の翌日に国木田から、

「キョン。昨日突然佐々木さんから連絡があって、変なことを頼まれたんだ。北高のノートをコピーさせてくれって。数B、世界史、古典、生物の4教科限定で。断る理由がないから今日待ち合わせることになったんだけど、何か知らない?」

 と切り出されたのさ。
 そうだよな。まずはノートとプリントが揃ってないと始まらん。
 一学期前半を怠惰に過ごした俺は板書はおろか、配布プリントも碌に保管していなかった。何も言わずこれを読んで先手で対策を打った佐々木には驚嘆を禁じえない。今更ながらできる女だった。
 プリントを元に佐々木がアレンジした問題を解き終わって採点を受ける。
 即座にチェックを終えて佐々木は満足げに頷いた。

「全問正解だ。これなら古典に関しては十分だと太鼓判を押せるね。残りの時間で数Bをもう少し詰めておこうか。残りの科目は僕がまとめた暗記項目を見返す反復を怠らずにやってくれ」

「分かった。ありがとう」

 俺は机の上から古典の教材を片し、数Bの問題集を取り出すために鞄を漁る。

「いよいよ明日からだね。どうだい? 自信のほどは」

 ここまでやってもらっといて『ない』とは言えんだろう。むしろ、こんなに万全の体制でテストに臨むのは初めてなくらいだぞ。最早赤点が気になるレベルじゃない気がするくらいだ。
 これを受けて佐々木はくつくつと喉を鳴らす。何がツボったのか目を細めて口元に手をやるオプション付きだった。

「それは僕らが目指すところの影響だね。1点でも多くキョンに取らせることが趣旨だから。まして相手は涼宮さんとくれば自ずとレベルも高くなるってものさ」

 ……それなんだが、もしハルヒ(短)に勝ったとしてこれからずっと俺の勉強指南役を受け持つつもりなのか?
 何がそんなに意外だったのか、佐々木は珍しく目をぱちくりと見開いたまま瞬きを繰り返すという珍しいリアクションを見せた。

「当然だよ。そのために競い合ってるんだぞ? ……もしかして、僕じゃ役者が務まらないかい?」
305佐涼辺四角関係25:2007/07/20(金) 13:18:32 ID:MjDZZnet

 傍らに座る佐々木が僅かに身を寄せた。
 表情はそう変わったようには見えないが、俺には一抹の不安が窺えた。
 ふわりと鼻先に触れたのは紅茶と日本酒を混ぜたような不思議な芳香。
 こいつ香水を付けてるのか?
 明らかにシャンプーとは異なる蠱惑的な香りに一瞬戸惑ったが、ここで固まっちゃ不自然だ。かぶりを振って懸命に話に戻る。
 いや、そういうわけじゃないんだが、こんな冗談のような対決でどこまでお前が本気なのか今一つ測りかねてるだけだ。
 佐々木は大きく息を吐くと、意を決したように返してきた。

「もちろん本気だ。これはね僕にとって与えられたチャンスなんだよ。1年と少し前に僕が犯した失態を取り戻すためのチャンス、言わばリベンジさ」

 リベンジ? そいつはどういうことだ? と尋ねようとしたとき、佐々木は続けて二の句を告げていた。

「離れれば意識してもらえ―――……、―――ね」

 発言がかち合ったことと、佐々木が囁くように呟いたことが相まって正確に聞き取れない。
 ただ、うつむき加減で思いつめた佐々木の表情からはなにやら只ならぬ意思が感じられた。聞き返すのが躊躇われる空気が立ち込めている。
 だが、すぐ何事もなかったように表情を和らげて、佐々木は視線を俺に戻した。

「とにかくこうやってまたキョンと勉強したいと思ってるのさ。一緒に同じ大学を目指すなんてどうだい?」

 お前と一緒の大学? レベルが合わんだろう。無理があるんじゃないか?

「そんなことはない。キョンはやればできるヤツだからね。月並みな台詞だと思うなかれ、教えてて実感したことなんだ。本当に心の底からそう思ってる」

 本当かよ。……まぁ、実現可能かどうかは別として、お前と一緒のキャンパスライフを送れるとしたら――――、俺は少しだけ広大な構内を佐々木と談笑しながら並んで歩く想像を馳せる――――、楽しいだろうな。うん、それは間違いなくそう思うぞ。

「っ――――」

 この瞬間なぜか幕間があった、ような気がした。デジタルで計測すりゃおそらく1秒にも満たない刹那の時間。
 だが、この一瞬に俺は佐々木の強張ったような表情をとらえていた。息を呑んだというか、言葉に詰まったというかそんな感じの顔。
 自分でも妙な感じだ。普段の会話ならこんな些細なこと気にもとめないはずなのにな。
 そんな俺の思考がどうでもいいとばかりに、何事もなかったようにごく自然に再び会話が流れ始める。

「……、あるいはそれとも、このまま君に赤点を取らせてご母堂様に君を塾へ放り込んでもらって、またあの頃のように自転車の後ろに乗って流れる星空を堪能するのも悪くないと思うけどね」

 おいおい、そいつは性質の悪い冗談だな。
 そう言ってお互いに笑い合った。
 佐々木の頬が妙に赤かったのが気になったが、きっと大笑いして気分が高揚してたせいだろう。
 クールなこいつでもこんな表情を見せるんだな。
 
 最終日は勉強は確認程度でこんな風に和気藹々と流れていった。
 もちろん手を抜いたわけじゃない。やることをやり尽くした感があったのさ。
 今回に限ってテスト直前特有の悲壮感も焦燥感も全くなかった。
 それは間違いなく俺のために尽力してくれた彼女達の多くの努力と俺の少しの努力の証。
 無駄にはできないね。
 とにかく後は結果を出すだけだ。そうして俺はいよいよ本番に臨んだ。
306佐涼辺四角関係26:2007/07/20(金) 13:19:03 ID:MjDZZnet


//////////


 特にアクシデントにも見舞われず中間テストの日程は全科目を終了し、更に一週間とちょっとが過ぎた。
 ちなみに試験期間中は指導を辞退した。試験直前の時点で個人的には十分以上に目標達成のレベルにあったと実感していたからな。
 今日は最も採点が遅れていた古典の答案が返ってきて、これにて俺の中間テストの結果が出揃うこととなった。
 率直な感想を言おう。
 俺が一番ぶったまげた。返ってきた答案にはあまねく見たこともないような点数が踊っていたから。
 赤点ラインを気にしていた二週間前の自分が莫迦らしい。あくまでも感触の話だが、クラスでベスト10入りは堅いんじゃないか。
 ちなみに規定のルールにより、俺の点数は未公開となっている。
 ハルヒ(短)は知りたい欲求と、正々堂々と勝負したい欲求を衝突させて、答案が返ってくる毎にやきもきしまくっていた。
 ちなみに基準点となるクラス平均点だが、公立の教師が足並みを揃えて全員律儀に告知してくるはずもなく、ハルヒ(短)の強引極まりない聴取と計算要求を受けて教師の悲鳴が聞かれたのは言うまでもない。
 ちなみに俺は平均点を知らないので勝敗の行方は分からない。それはメールで俺の得点と平均点の両方の情報を得ているハルヒ(長)のみ知るところだった。
 全くの余談だが、もしやと思い試験直前にハルヒ(短)に自分の点数を犠牲にしてクラス平均を下げたりするなよと冗談半分にカマをかけてみたところ、マジで悩んでやがったときは開いた口が塞がらなかったぜ。
 もちろん必死の説得でキチンと受けさせたけどな。

 そんなこんなで今日が結果発表。当然気乗りはしない。
 俺としては自分の点数が出揃った時点でどこかへ逃亡したい気分だった。
 だがそうするわけにも行かず、放課後に待ち合わせ場所になっている森林公園へ向かった。
 さすがに喫茶店やバーガーショップで俺のテストの点数が公開されるのは嫌だったし、一同騒ぐこと必至だったため迷惑とならない他の場所でとリクエストを出したのは確かに俺だが、まさか森林公園の野外ステージを選んでくるとは思わなかったぜ。
 そりゃあ平日のあそこなら人通りもまばらだが、何もあんな遠いところじゃなくてもいいんじゃないか?
 だが、プロモーターのハルヒ(長)が「一番雰囲気が出るから」という主張を曲げるはずもなく、俺はSOS団の連中に鶴屋さんを加えた面々とともに、文句を言いつつも野外ステージ前まで来てしまっていた。
 SOS団の面子は第二名誉顧問様によって借り出されていた。スタッフとして人員が要るだと。
 みんなを巻き込むのは勘弁してくれと言いたいが、久しぶりの外出ということで一同の表情が明るかったのが唯一つの救いか。
 ステージにはすでにハルヒ(長)と佐々木の姿があった。佐々木は一度自宅に帰ってから来たのか私服姿だった。まぁ、確かに放課後にこんな辺鄙なところまで制服を着たまま来ようと思わんよな、常識的に。
 時刻は五時過ぎ。日照時間が長い恩恵を受けてまだ夕暮れの気配はない。
307佐涼辺四角関係27:2007/07/20(金) 13:20:04 ID:MjDZZnet

「全員揃ったみたいね。んじゃま、準備から始めますか。鶴屋さん、手はず通りよろしく!」

「あいよっ、みくるー! 有希っこ、古泉君、ちょっち集まって手伝うにょろよ」

 名誉顧問同士阿吽の呼吸で団員が動き出した。スケッチブックやサインペン使って何をさせるつもりだ? たのむから演出は控えめで頼むぞ?
 そう気に病んでいるとハルヒ(長)が駆け寄ってきた。
 思ってることを一言二言言ってやろうとするが、案の定先手を握られた。くそう。

「一応あんたの意思も訊いとこうかなってね。どう? 延長戦がいい? それとも完全決着希望?」

 内緒の話なのか声を潜めてそんなトンデモ質問を問いかけてきた。
 俺が選べりゃ苦労ないぜ。
 強いて言えばどっちも遠慮したいね。
 ……とりあえず、二人の先生の狭間で神経を擦り切らせるのはこれっきりにしたい。
 先生方の指導は確かにすばらしかったが、時折り執念じみたオーラがにじみ出てたのは正直恐かったぞ。それを交互に浴びた俺の気持ちを汲んでくれ。
 というか、密着指導は今回限定としたい。テスト毎にこんなに時間を取らせるわけにはいかんだろ。勉強のやり方も教わったし次からはなんとか一人で頑張れるはず、と思ってる。

「……ふぅん、やっぱりそう来るか。なるほどね。……分かったわ」

 そう言いつつも、「全く困った子ね」と我が子を嘆くような表情がにじみ出てないか?
 まぁ、それはいいとして、分かったってまるで俺の儚い願望を叶えるかのような口ぶりだな。
 てっきりつまらないとダメ出しを食らうもんだと思っていた予想に反して、ハルヒ(長)の輝ける瞳はタランチュラ星雲を取り込んだように煌きを増していた。
 嫌な予感がすると問い質そうとしたが、タッチ差でハルヒ(長)は鶴屋さんに呼ばれて身を翻してステージに戻っていった。
 どうやら準備が整ってしまったようだ。
 胸のつっかえが取れないまま俺は結果発表に臨む。

「えー、お待たせしました。それではこれから『ジョン(キョン)の勉強指南役争奪戦in北高一学期中間テスト』の結果発表を行います」

 ステージに上がってマイクを持ってるフリをしてすっかり司会者気分に浸ってるハルヒ(長)。そしてその両脇には、露払いと太刀持ちのように鶴屋さんと古泉、朝比奈さんと長門の二組が控えるという配置で何やら中途半端に本格的に始まってしまった。
 観客席は俺を挟んでハルヒ(短)と佐々木が見守る構図になっている。
 
「では、まずは国語系対決! 現代文@ハルヒVS古典@佐々木さん! 点数オープン!」

 早くもボルテージが最高潮のハルヒ(長)とは対照的に、古泉と長門が全く平素と変わらないテンションで手持ちのA3サイズのスケッチブックをめくった。
 古泉が持っている紙に大きく刻まれた数字は+21、対する長門のは+17。
308佐涼辺四角関係28:2007/07/20(金) 13:21:35 ID:MjDZZnet

「大きく書かれてるのが得点と平均点の差分ね。向かって右下にカッコなしで書いてるのが得点。カッコ付きの数字は平均点。えー、4点差で涼宮ハルヒの勝ちー!!」

 よっし! と小さくガッツポーズで答えるハルヒ(短)。一方、佐々木は動揺の素振りなど見せないままに静かに佇んでいる。
 脇に控える鶴屋さんと朝比奈さんが画用紙を切り取って、ラウンドガールのように掲げて持つ。それは実に華やかでいいんだが、この発表形式はマジで心臓に悪いぞ。一気に結果だけ知らせてくれた方がどれだけマシだったか。
 そんな悪態など露知らずにハルヒ(長)オンステージは続く。
 一進一退の攻防が続いた。どの科目の点数も余裕で10点以上プラスなのは喜ぶべきことだったが、そんなことどうでもいいくらいに俺は勝敗の行方が気になっていた。
 そして、鶴屋さんと朝比奈さんが画用紙をテープで縦に繋げて表示している得点結果に最後の四枚目が連なって、古泉と長門が4教科の平均を表示した瞬間、全員が息を呑んだ。




















「ハルヒ+18.5点! 佐々木さん+19.5点!!」

 盛大なる発表に対して訪れたのは沈黙。今までの盛り上がりが嘘のよう。まるで水を打ったかのようにシンと静まり返った。
 みんなの気持ちは分かる。リアクションの取りようのない結果が突きつけられていた。
 気まずい。ひたすら気まずい雰囲気だ。いわんこっちゃない。
 目も当てられんと額に手をやったところで、

「ということで、この勝負――――」

 ハルヒ(長)がダメ押しのように分かりきった結果を告げようとする。
 そんなことはそっちのけで早くも俺はどう収拾をつけたものかと思考を始めようとしていた。



















「――――、あたしの勝ち!!!」
309佐涼辺四角関係29:2007/07/20(金) 13:24:05 ID:MjDZZnet

 鼓膜を振るわせたのは待ち構えていたものではなく、ハルヒ(長)の耳を疑うような言葉。
 置いてけぼりの展開に呆気にとられて静まり返る一同。
 この因果のつながりを無視した展開に真っ先に反応したのはハルヒ(短)だった。

「何を寝ぼけたこと言ってんのよ。ふざけてないで、ちゃんと……、佐々木さんをコールしなさいよ」

 真剣に反駁するハルヒ(短)。しかし、反対側の傍らでは佐々木が声を押し殺してクツクツと笑っていた。
 3者3様のリアクションに包囲されて、俺は戸惑うばかりだ。

「ふざけてなんかないわよ」

 壇上でハルヒ(長)が目配せすると、笑いを我慢できないといったテンパった表情のままに鶴屋さんが古泉から奪った手持ちのスケッチブックをペラリとめくり、あるはずのない次ページを表示させる。
 そこに記されていたのは――、英語、+20、87(67)の文字。+20という文字がご丁寧にも花丸に彩られて表示されていた。
 なんとなく展開を悟ってしまった俺は慄然となった。

「平均で一番のあたしの勝ち」

「平均ってあんた1教科しか教えてないじゃないのよ。っていうか、これはあたしと佐々木さんの勝負じゃない。なんであんたが割り込んでくんのよ!」

「平均は平均よ。たとえ1で割ってもね。約款にはジョンに勉強を教えた者に対戦の権利があると記されてるわ。そして、署名をしたのはあたしとあんたと佐々木さんの三人。サインしといて知らないなんて言わせないわよ」

 超然とそう言い放ったハルヒ(長)は凱旋とばかりに対戦誓約書を掲げて見せた。
 俺には鬼の首のように見えるぜ。そら恐ろしい。
 いや、違和感はあった。なぜ分かりやすい合計で勝負させないのかという違和感。だがあの時、あの展開で色めき立つ俺たちにはそれが布石になってるとは思いもよらなかったぜ。
 対戦の構図は間違いなくハルヒ(短)VS佐々木。だが、そこに割り込む割り込まないは状況を見てから自分の意思で決められるようにするための布石。
 要は表向きガチンコ勝負と偽って、裏は色々と調整シロのある半分出来レースってわけだ。
310佐涼辺四角関係30:2007/07/20(金) 13:24:36 ID:MjDZZnet

「だってあんた負けるんだもん。なっさけない。素直に勝ってりゃ黙っててあげようかなー、なんて思ったけどダメね。ジョンを佐々木さんにとられるよりマシでしょ?」

「なっ! よくもぬけぬけと。絶対最初っから狙ってやってたんでしょ! この詐欺師!」

 ああ、その代名詞には俺も同意だ。
 お前、履歴書の特技の欄に詐欺って書けるぞ。俺で良ければお墨付きをやってもいい。って、前も似たようなことを言ったようなのは、気のせいか?
 ハルヒ(短)は顔を真っ赤にして抗議と罵倒を喚き散らしている。その顔は怒ってるのか恥らっているようななんとも判別のつかない奇妙な顔をしていた。
 佐々木は佐々木で何がそんなにウケるのか、身を震わせて笑うばかり。いつもの噛み締めるような笑いではなく、声を上げて目の端にうっすら涙さえ浮かべて笑い捩れていた。
 壇上のみんなは一様に困った顔。ステージをバンバン叩いて笑い転げている鶴屋さんを除いては。
 なんだこのカオス状態は……。
 どうすることも出来ずに立ち尽くしていると、ハルヒ(短)がステージに詰め寄って片足掛けて壇上に上ろうとする。
 ハルヒ(長)はそれを冷静に待つと、突然スプリンター顔負けの瞬発力でステージから飛び降りて、お互いの立ち位置を入れ替える形にした。そして信じられない速さで俺の腕を取って引き寄せる。

「というわけで! ジョンの勉強を見る役はあたしに決定! これから反省会だから。ふたりっきりで! じゃあね〜!」

 そう言って駆け出した。自ずと俺も走らせる羽目になる。
 ハルヒ(短)の怒声を背に、浅いすり鉢上になった野外ステージの観客席を駆け上がる。
 傍らにはこれ以上ってないくらいに楽しげに笑みを浮かべるハルヒ(長)の顔。比べて俺はどんな顔をしてるだろうか。
 きっと一晩酢に漬け込んだ梅干の種を口に含んだような変顔をしているに違いない。
 傍らのハルヒ(長)は目が合うと、星がこぼれそうな極上のウインクを一つ飛ばしてきた。
 まるで「ね、これでよかったでしょ?」と言わんばかりの無言のメッセージ。
 良いのか、悪いのかはわからん。だだ、できるだけ丸く収めてもらったと言えなくもないってことは確かだった。
 複雑な気分だ。色々言いたいことはある。後のフォローも残っている。後ろから追っかけてくるハルヒ(短)とかな。
 だがまぁ、今はテストを乗り切った開放感と孔明も顔負けのこいつの策士っぷりに免じて。
 茜色に染まる空の下、俺は全力で緑に囲まれた小道を駆け抜けた――。
311名無しさん@ピンキー:2007/07/20(金) 13:25:22 ID:MjDZZnet
以上、おしまい。
最後まで読んでくれた人、ありがとう。
312名無しさん@ピンキー:2007/07/20(金) 13:46:01 ID:qZmH0EnZ
GJ!
こうきたかwwwwwwwww
なんという孔明…
これって『二涼辺三角関係』の続編って見ていいのかな?
313名無しさん@ピンキー:2007/07/20(金) 14:35:08 ID:YKYcjkN0
そのオチだったか!

実は保体は古泉君!平均25点以上獲得!
マッガーレエンドはないのか・・・
314名無しさん@ピンキー:2007/07/20(金) 15:56:41 ID:LomInTZA
>>310
久し振りの長編ktkr
そしてGJ!!!
相変わらずあなたは修羅場が大好きですねww
最初のハンバーガー屋の辺りの描写は最高でしたわ。
315名無しさん@ピンキー:2007/07/20(金) 17:17:20 ID:20BClsmm
>>278
それは別人だよ

>>311
オチにクスりとさせて貰ったw
316名無しさん@ピンキー:2007/07/20(金) 20:06:30 ID:zCL6Gf0B
相変わらず三角関係が大好きですね。
四角になってるようですが。

ただいま小悪魔系の成功分岐を書いたりしない?
主にエロイ方向で。
317名無しさん@ピンキー:2007/07/20(金) 20:20:46 ID:ccBR1zlg
>>310
あぁ、二次創作よいなぁとのほほんとしておりました。まさか続き書かれるとは思いもせず。
オチは「あぁ、そっか四角関係だったw」と題名思い出してニヤリ。
何よりキョンフィルターかかりまくりなのが歯がゆくもどかしく楽しいですね。おつかれさまです。
318名無しさん@ピンキー:2007/07/20(金) 20:21:13 ID:PcZuSWTD
>311
なんかいいね。
落ちが素敵だ。
319名無しさん@ピンキー:2007/07/20(金) 21:14:57 ID:s1mDFWjt
>>311
妹属性を持ったハルヒ(長)は最強ですな。
GJ!
続編を期待しますよ!
320名無しさん@ピンキー:2007/07/20(金) 22:05:53 ID:LIfVxBth
>>GJ!!
あまりの出来のよさに終始ニヤニヤしっぱなしでした!
今後のハルヒ(長)の活躍に期待大!!!!!
321名無しさん@ピンキー:2007/07/20(金) 22:58:24 ID:RWky2CG7
GJ!!
楽しまさせてもらいました

ただ、ハルヒ(長)が偶にキョンのことを「キョン」と呼んでいたのが気になったぐらいかな。
まぁ細かすぎてどうでもいいけど。
322名無しさん@ピンキー:2007/07/20(金) 23:12:59 ID:HJV38hjw
細かい部分は気にせずに、ハルヒ(長)のハチャメチャを楽しもうよ!
323名無しさん@ピンキー:2007/07/20(金) 23:31:37 ID:+fWVUbt8
マスター、俺の息抜きに長門ものでおすすめを一つ教えてくれないか
324名無しさん@ピンキー:2007/07/21(土) 00:26:34 ID:3H3XmGIy
>>311
貴方ならやってくれると思ってた。期待して待ち続けていた甲斐があったよ。

>>323
38-72なんかどうかな?
325名無しさん@ピンキー:2007/07/21(土) 01:23:13 ID:KBy33jLs
もう少ししたら暇つぶしに阪中ネタでも投稿してみるかな?もしくは黒シスターにしようか考えている
326名無しさん@ピンキー:2007/07/21(土) 03:18:27 ID:u6X/eRkJ
31-893氏の『エヌ氏の憂鬱』の元ネタ誰かわからんかな。妙に気になる。
おぼろげに星新一かなーという気はするんだが。
327名無しさん@ピンキー:2007/07/21(土) 04:06:44 ID:VvNRvSUV
>326
前半は分からんが喜緑さんネタはまんま「ボッコちゃん」だな
朝倉さんのはパッと思い出せないが星氏のショートショートであったような気がする
328名無しさん@ピンキー:2007/07/21(土) 09:11:14 ID:AL6q6i2L
317 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/02/28(水) 22:43:06 ID:9gUHeh5t
>>192-193
今更ながらGJ

元ネタは
「きまぐれロボット」「ボッコちゃん」
だな

これ書いたの俺なんだな
329名無しさん@ピンキー:2007/07/21(土) 12:07:04 ID:08Uph55c
>>328に更に補足すると、
ラストの朝倉ネタは「ボッコちゃん」収録の「妖精」が元ネタ。

星新一フリークの俺が言うんだ、間違いないと思うけど一応確認してくる
330名無しさん@ピンキー:2007/07/21(土) 16:09:51 ID:0/CAtpXX
やっぱり原作が一人称形式だと
SSも一人称形式が多いですね
331名無しさん@ピンキー:2007/07/21(土) 17:34:31 ID:CokjKW2X
三人称はハルヒのイメージじゃない
332名無しさん@ピンキー:2007/07/21(土) 18:11:50 ID:hOCb3gmN
>>331
でも最近投下された佐涼辺四角関係でも途中で三人称使ってるんだぜ。
なんにしても作者の力量次第だろ。
333名無しさん@ピンキー:2007/07/21(土) 18:11:52 ID:ldKNdnYX
http://mercury.orz-2ch.net/orz.cgi/pie.bbspink.com/anime2.2ch.net/anime2/1184956353/194-
関西では土曜はダメよが恐ろしい放送してた
334名無しさん@ピンキー:2007/07/21(土) 22:26:31 ID:3H3XmGIy
>>333のせいで心的外傷後ストレス障害を発症した。
謝罪と賠償を要求する(゚д゚)
335名無しさん@ピンキー:2007/07/21(土) 23:30:10 ID:gCgHHmi4
乙ガレーン
だがイマイチ
336名無しさん@ピンキー:2007/07/22(日) 11:29:02 ID:+PKjwG4z
(´・ω・`)人が来なくなったね・・
337名無しさん@ピンキー:2007/07/22(日) 12:46:25 ID:zLP92s45
>>336
ここは雑談する場じゃないんだよ
投下くるまでロムるのが正しい
338名無しさん@ピンキー:2007/07/22(日) 12:52:01 ID:UH0S96OI
>>337
じゃあロムってろよ厨房
339名無しさん@ピンキー:2007/07/22(日) 14:14:22 ID:/th5aFSl
>>338
IDが……
340名無しさん@ピンキー:2007/07/22(日) 15:13:30 ID:OAvDs8sb
>>338
古泉…
341名無しさん@ピンキー:2007/07/22(日) 15:18:31 ID:C1OwI52/
>>311
深夜の学校の保健室でイチャイチャする展開をお願いします!
342名無しさん@ピンキー:2007/07/22(日) 19:21:18 ID:vn9mzCba
佐々木×キョンでエロプリーズ。
343名無しさん@ピンキー:2007/07/22(日) 19:58:01 ID:tMXkqLMN
変態佐々木シリーズを首を長くして待っている俺
 耳を刺すような静寂にふと目を開けると、そこは見慣れた自室の天井などではなく、白い天井と釣り下がったカーテン、
背中には妙に硬いスプリングのベッドの感触、鼻につく薬品の香り、そして真っ暗な中に浮かび上がる俺の体操服。
 端的に言うと、俺は真夜中の保健室に寝ていた。ついでに言うと二の腕には包帯が巻かれている。そういうシチュエーションなのか?
 さて、先ほど自室で寝ていたことを考えると、この状況に合致する可能性は以下のうちどれかだろう。

1.ハルヒがトンデモパワーを発揮して閉鎖空間内の学校に俺をワープさせた
2.長門が超宇宙的パワーを発揮して世界を改変させ俺を深夜の保健室に寝かせた
3.朝比奈さんが未来的パワーを発揮して俺を過去に飛ばした、または帰ってきたときに俺の記憶を消した
4.古泉にアッー! され、忌わしい記憶を封じるため自ら記憶に蓋をしてエーゲ海に投げ捨てた
5.佐々木団の誰かの何とかパワーでどうにかなって何故かここにいるとかなんじゃね?

 …何が嫌だって、4の可能性を思いついた俺の思考が嫌だが、俺の出口を触診で確認したところ、幸いなことに未だ
可憐な蕾である。俺の貞操は無事だったか。これほど神に感謝したことは無い。今度ハルヒがBL系の本を持っていたら燃やそう。

 さて、いい加減現実逃避はやめて、さっさとこの事態を解決するか。そもそもこの世界が現実かどうかは分からないが、
選択肢1、2、3のどれかなら、長門か朝比奈さんのフォローがあるはずだからな。
 他人任せと言う無かれ。俺はごく普通の高校生でしかないのだ。フラグデストロイヤー? なんだそれは。そんなことを
言う奴は漫画かアニメかライトノベルの見すぎだろう。しかし昨今のアニメのクオリティの高さには驚かされるばかりだ。

 そんなことを考えながら、俺はホイホイと窓の傍に近づいて行ったのだった。閉鎖空間なら色で分かるし、限定的な世界の
創造なら学校のみしか存在しない場合もある。さて、鬼が出るか蛇が出るか。十中八九神人だろうが。と…、

 バン!!!! と、とんでもない音がして、保健室中の窓に黒い液体らしきものが付着した。それらはざわざわと脈動し、
パン! パン! バァン!! という音と共に窓ガラスを突き破り、保険室内へと侵入してきた。
 …などと冷静かつ第三者的な観察を俺が出来るはずも無く、ただ床にへたり込んで腰を抜かしているんだが。
しかも少しちびった。多分普通の一般人なら最初の時点で失神&失禁していてもおかしくない。どこのホラー映画だ。
「う、あ、あああ、ああ…」
 などと自分の喉から漏れる情けない音を聞いているうちに、それは床に蟠り、鳴動し、150cm程の高さになり、
内部から白と紺の文様が浮き出て…?

 白い体操着に「1の2 くよー」とポップな字、そして紺ブルマの天蓋なんちゃら宇宙娘が現れた。

 …とりあえずこのとてつもない脱力感と、さっきまでのとんでもない恐怖感をうっちゃって、一つだけつっこみたい。
「…なにしてるんだ、お前」
 と、その何処を見ているのか、そもそも見るなんていうアナログな機能が備わっているかどうかすら分からない双眸を、
俺からつ、と離して、首を奇妙に傾けた後、そいつはポツリと言った。
「――――――女体―――――に―よる――――――篭―絡―――――?」
「ねーよ」
 この世の中に、深夜の校舎に置き去りにされて、黒い塊に窓ガラスを割られた挙句、脈絡も無く現れた体操服の女子に
篭絡されるという奇妙奇天烈な属性持ちがいたら教えてくれ。全力で立場を代わってやるから。

「―――――深夜―の―――保健室で――――契ると―――――篭絡―――率が――当社比――――――259.4%増し――」
 それは何処情報だ。その妙に細かい数字は何だ。ついでに当社で何処の会社だ、あとブルマを脱ぐな。意外とかわいい
下着っつーか縞パンは反則だろ。いつの間にか身体が動かないしベッドに移動させられてるし短パン脱がすなって アッー!!



深夜、保健室っていったらやっぱ九曜しかいないよね。え、違う?
345名無しさん@ピンキー:2007/07/22(日) 20:39:06 ID:7wEqfvyj
これはつまらんだろう…
346名無しさん@ピンキー:2007/07/22(日) 20:46:37 ID:kwRdjGgD
不覚にも吹きそうに
347名無しさん@ピンキー:2007/07/22(日) 20:54:36 ID:tMXkqLMN
こういうの意外と好きw
348名無しさん@ピンキー:2007/07/22(日) 20:59:54 ID:rIMx2/WM
そしてキョンを寝取られて怒り狂う長門と九曜によるキョン争奪戦が始まるというわけか。
349名無しさん@ピンキー:2007/07/22(日) 22:36:37 ID:uXQryQZS
九曜相手にアッー!でオチていいのかwww
350名無しさん@ピンキー:2007/07/22(日) 22:52:49 ID:+PKjwG4z
「キョン君、キョン君、あのね。どうしても食べなきゃダメ?」
当たり前だ!好き嫌いはいけなんだぞ。早く食べなさい
「だって〜キョン君、この白いネバネバしているの。どうしても気持ち悪くて…あたしどうしても嫌なのはいやなの〜!」
やれやれ…新鮮なうちに食べさせるか。ほら口を開けなさい
「いやー!口に付いたよ〜飲み込めないし気持ち悪いよ〜。」
よく噛んで味わって食べなさい。よし食べたな。えらいえらい



数日後キョンの家

「でね!ハルにゃん。キョン君あたしに無理矢理たべさせたんだよ!」
まさか…まったくキョンの奴アタシも食べたことないのに実の妹に無理矢理食べさせるなんて制裁が必要ね!
「え?ハルにゃん食べた事ないの?ちなみにミヨちゃんも好きで食べるみたいだけどね」
ちょ、ちょっと妹ちゃん?ミヨちゃんって?
「あたしの友達だよハルにゃん!その時もキョン君がミヨちゃんに勧めていたよ。」
しかし妹ちゃんとその友達にも女に対してみさかえないのね
「ハルにゃんは味付けはどうするの?ミヨちゃんは醤油を入れるみたいだよ!」
(アレに醤油?ブッ飛んでいるわね…みよちゃんと言う娘は…)
アタシは多分そのまま飲み込むわよ。だってそのほうだとキョン喜ぶし…苦しいの我慢しなくちゃいけないけど…
「凄いねハルにゃんは!トロロをちょうみりょうつかわないんだね☆」

(トロロ?ア、アタシもしかして物凄い勘違いしていた?)
ま、まぁね・・凄いでしょう!だってアタシはSOS団団長よ!
「あれ〜?おかしいな?ハルにゃん顔真っ赤だよ☆なんで〜っ」
その台詞を聞いたアタシはその場から全力で帰っていった。
「おい!ハルヒはどこに行ったんだ?」
「ん〜よくわかんない。朝ご飯の話をしていたらかえっちゃった!てへっ☆」

351名無しさん@ピンキー:2007/07/22(日) 22:55:20 ID:+PKjwG4z
以上です。
俺進歩していない。orz
352名無しさん@ピンキー:2007/07/22(日) 23:03:48 ID:kqwDucaN
妹www
さすがフラクラ兄妹w
353名無しさん@ピンキー:2007/07/22(日) 23:17:39 ID:rIMx2/WM
>>352
技のキョンがフラグを叩き割り、剛の妹が力技でフラグを蹴散らしていくということか?
354名無しさん@ピンキー:2007/07/23(月) 00:09:35 ID:5WADyR8E
>>353
キョンは全て無意識でやってる気がするが
妹は小学生にしてはちょっと幼すぎる気がする
ってことは計算して(キョンの周囲のフラグを)蹴散らしてるのかと
355名無しさん@ピンキー:2007/07/23(月) 01:04:35 ID:7UrKw6aq
昼食をとっている時に偶然外を通ったSOS団を眺めながら、積年の疑問を考えていた。
それは「なぜキョンはあれほどにフラグクラッシャーなのだろうか」という問いである。
簡単に見えて、奥の深い問題だ。
「キョンがキョンである限り常に僕達の予想の斜め上を行く」などと達観し諦める浅薄な人間もいるだろうが、
それは自分の気持ちへの裏切りであり、女性としての敗北以外何者でもない。

「世界改変」という現象がある。
神の力、宇宙の力、時間を操る力を用いて、フラグを立てても高速に遠ざかる彼に対し何らかの改変をし、
その寵愛の矛先が自らの方に遷移させるという現象である。
つまり、如何に彼がフラグをデストロイしたとしても、彼が改変された世界の中にいるとすれば、
ハッピーエンドでライスシャワーな未来に常にたどり着く筈なのだ。
目の前の彼は世界改変の影響を受けているか?
それは、SOS団の女性陣を見ることでわかる。
外部から客観的に観察することで、超常の力を持つ彼女達にフラグが立っているかどうかを判断し、
改変が行わているかがわかるはずなのだ。
観察してみたところ、彼は3人に立っていたダース単位のフラグを軒並みへし折っていた
よって、彼は世界改変の影響を受けていないと言える。

さて、折角頼んだナポリタンが来る前ではあるが、そんなことよりも彼の所に行こうと思った矢先、
つまずいたウェイトレスが僕の服にナポリタンをぶちまけてしまった。
謝るウェイトレスに生返事をしながら、「これじゃあキョンの前に出れないじゃないか」と考えた瞬間、
僕は気づいてしまった。
彼は涼宮さんにとっての鍵…。
彼の世界改変能力は…フラグクラッシャー…。
356名無しさん@ピンキー:2007/07/23(月) 01:04:54 ID:VrrhD6Lr
>>354
あのキャラは擬態なのかwwww
357名無しさん@ピンキー:2007/07/23(月) 02:09:34 ID:5WADyR8E
>>356
なんか違和感を感じるんだw
姪が最近中学生になったが、ここ2,3年で
かなりませてる感じがあるw
キョンの妹とは(根本的な性格は除いて)全然イメージが違うんだ。
キョンの妹は純粋すぎる気がするな
358名無しさん@ピンキー:2007/07/23(月) 02:10:50 ID:8xM4W2Fj
うちの姪なんて二歳なのに、もう演技を覚えてるぞ。泣きまねするしw
359名無しさん@ピンキー:2007/07/23(月) 02:43:55 ID:MHb7th/G
キャラソンを聞く限りではキョン妹はガチで兄Loveのような希ガス。
で、普段の擬態うんぬんなんだが…

キョンがハルヒ達と東京の大学に進学→キョン妹(中2)、激しく憤る→未来人組織からスカウト(兄同様、時間遡行の素養があるとかで)→
2年間に及ぶ訓練を経て、過去(5年前)に時間遡行→朝比奈みくる誕生

といった一連の流れを妄想した。
船を見たことないとかの発言については、一応遠い未来から来たってことにしてないとマズいんで、わざと言ってる。
発言のブロックも同様。

これなら、現代で長門に会う前から長門のことを知ってたことについての整合性が合うわけで…
360名無しさん@ピンキー:2007/07/23(月) 02:49:33 ID:8TMLHHXE
そんな無理な解釈がいいんならキョン=みくるだって可能だろうな
361名無しさん@ピンキー:2007/07/23(月) 02:54:17 ID:5WADyR8E
寧ろ長門がみくるの時代まで残ってたって方が
信憑性ありそうだな
362名無しさん@ピンキー:2007/07/23(月) 02:55:32 ID:MxTSHLaf
斬新だwwww
363名無しさん@ピンキー:2007/07/23(月) 02:59:06 ID:8xM4W2Fj
きっとそこで長門教官から心構えとか色々教わったんだよ。
だから苦手意識が抜けないんだw
364名無しさん@ピンキー:2007/07/23(月) 03:41:04 ID:gX71+d8f
微笑厨ウゼェ
365名無しさん@ピンキー:2007/07/23(月) 04:43:22 ID:8TMLHHXE
同意だがここで言うな。VIPいけ
366名無しさん@ピンキー:2007/07/23(月) 07:27:07 ID:RaVXiWpW
たまには古泉のガチ恋愛物が欲しい。
ホモ物以外のノーマルカプで。
367名無しさん@ピンキー:2007/07/23(月) 07:35:18 ID:WzYH1qiI
相手は鶴屋さんか森さんしか居ないからな。
368名無しさん@ピンキー:2007/07/23(月) 08:49:25 ID:RaVXiWpW
>>367
古泉→ハルヒはガチだと思うんだが
369名無しさん@ピンキー:2007/07/23(月) 10:22:47 ID:WzYH1qiI
>>368
長門はハルヒが恋敵として判断していたのだから、学校を変えて、古泉も同じ学校に在校させてハルヒの事を好きにさせた。
まぁ潜在的な敵を移動と俺は考えたけど。
ちなみに朝比奈は驚異にはならないと判断したのでは?
370名無しさん@ピンキー:2007/07/23(月) 11:02:10 ID:PHoXT2hd
逆だろ。●を恋敵と判断していたから(ry
371名無しさん@ピンキー:2007/07/23(月) 12:28:14 ID:L6hNIS9d
今更ながら7日の新聞見た
全面広告ってすごいな
372名無しさん@ピンキー:2007/07/23(月) 14:47:09 ID:wSovvh0R
もうあれだ。
一時期評判になったドラえもん最終回みたいに、未来のSOS団が未来組織ってことで。
373名無しさん@ピンキー:2007/07/23(月) 15:45:36 ID:nXWQBjDy
何となく思ったんだけど、キョンがホストをやったら凄い儲けそうじゃないか?
374名無しさん@ピンキー:2007/07/23(月) 15:56:22 ID:6PRsTwMD
キョンはもともと普通設定だからな
アニメ化とかいろいろあって原作絵もやたらかっこよくなったが・・・
375名無しさん@ピンキー:2007/07/23(月) 16:27:59 ID:itmRu3DO
まず固定客がつくまでが大変だろうな
376名無しさん@ピンキー:2007/07/23(月) 16:54:26 ID:8zUZUCCE
ハルヒ、長門、朝比奈さん、鶴屋さん、朝倉、阪中、森、佐々木、橘、九曜、ミヨキチがキョンを指名して争っている間に、漁夫の利を得る妹と喜緑さんという電波を受信した。
そして、2枚目キャラのはずなのにキョンと比べて、誰からも相手にされないいっちゃんも受信した。
377名無しさん@ピンキー:2007/07/23(月) 17:17:02 ID:RaVXiWpW
>>369
そういう作品に関わることじゃなくカプとしてと言うか妄想としてって言うか。
378名無しさん@ピンキー:2007/07/23(月) 17:22:10 ID:nXWQBjDy
>>376の設定で誰かSSを書いてくれないか?いや、書いて下さい。
379名無しさん@ピンキー:2007/07/23(月) 18:12:37 ID:7Sa1LjUY
ホストクラブ作る話なんてリアルに本編でありそうだから困る
380名無しさん@ピンキー:2007/07/23(月) 18:15:15 ID:MoNCa5xg
谷口「頼む!俺も入れてくれっ!」
381名無しさん@ピンキー:2007/07/23(月) 18:34:12 ID:WzYH1qiI
>>377
おっけい!理解した。
>>378
似たような感じのは作成中だが・・そのうちに涼宮ハルヒの分裂及び核爆発。
ちなみに妹が暗黒面。
382名無しさん@ピンキー:2007/07/23(月) 18:40:16 ID:MxTSHLaf
ハルヒでホストとはこれ如何に
383名無しさん@ピンキー:2007/07/23(月) 18:47:12 ID:8nr2lqux
まずいな、別の作品にかぶるぞw
384名無しさん@ピンキー:2007/07/23(月) 18:55:17 ID:2ecxjmOT
とある事情でハルヒがホストをすることになると……。
ドラクエのごとく期間限定空間にすればいいかな。
No.1古泉に、マニアに人気があるキョン、経営している長門、
他女性客 他男性店員

会話が思いつかん
385名無しさん@ピンキー:2007/07/23(月) 19:19:24 ID:nXWQBjDy
ハルヒがテレビのホストの特集を見て、こんなのの何がいいのかしらって思いSOS団の男子にやらせてみる。

みたいな話はどう?
386名無しさん@ピンキー:2007/07/23(月) 19:21:50 ID:kAbWOEJS
いや待て落ち着け。
「ホスト」で、「ハルヒ」はまずいだろ。さすがに。
387名無しさん@ピンキー:2007/07/23(月) 19:24:22 ID:tcTV8hFD
商業用途ならともかくパロディースレでやってなにがまずいのか教えてくれ
388名無しさん@ピンキー:2007/07/23(月) 19:41:42 ID:2XF+284l
むしろ話を絡めてクロスオーバーで
389名無しさん@ピンキー:2007/07/23(月) 20:01:51 ID:kL+fYt/B
>>388

ソレダ!
390名無しさん@ピンキー:2007/07/23(月) 20:11:24 ID:6vd44a5w
ここは谷川流スレだろ?
391名無しさん@ピンキー:2007/07/23(月) 22:05:08 ID:WzYH1qiI
クロスオーバーならVIPへ

392名無しさん@ピンキー:2007/07/23(月) 22:39:28 ID:mxjbWd0I
>>369
確かキョンは長門以外性格に変化は無いと言っていたから、一応古泉はハルヒに恋愛感情に近い
ものを感じていると俺は思う。

ハルヒをもっと遠くの学校の生徒にせず、北高のすぐ近くの光陽園をわざわざお嬢様校から
共学に変えてそこの生徒にしたのは、ハルヒに対する好意と嫉妬が綯い交ぜになった結果か?
古泉も一緒だった理由は分からんが。
393名無しさん@ピンキー:2007/07/23(月) 22:56:17 ID:8TMLHHXE
>>392
単純にストーリー上ハルヒは北高にいると困るからだと思うよ。深い意味はなくながるんの都合につきる。
すぐにハルヒ見つけちゃったらキョンにハルヒ探しさせて「ハルヒに会いたかった」とか言わせられないし。
ただ古泉に関してはハルヒと同じ学校にする必要がないため何かの伏線かもしれないが、
無駄に伏線のようなものを張りたがるながるんの遊びにすぎないかもしれない。
394名無しさん@ピンキー:2007/07/23(月) 22:58:56 ID:NJfjki4B
ラノベ板の谷川流スレでも滅多に繰り出されないことで希少価値の高い
伝説とさえ言われるハイパーマジレスをここで見ることができるとは……ありがたや
395名無しさん@ピンキー:2007/07/23(月) 23:02:25 ID:8nr2lqux
「鍵は、簡単に見つかりたくない/見つからないのも困る」という
長門の葛藤の現われで、半端に近い隠し方にしたと読んでいたが。
396名無しさん@ピンキー:2007/07/24(火) 00:23:41 ID:ZtQaRLL1
単純に、
【改変前】 
ハルヒ→神・団長。自分(達に)とって、とても大切な人物。

【改変後】
神・団長→ただの美人。自分にとって、とても大切な人物。

って感じで感情はそのままなんだけど、そのベクトルっていうか、役割が入れ替わったせいなだけじゃないかと思ったり。
ちょっと自分でも説明しにくいんだが。
397名無しさん@ピンキー:2007/07/24(火) 12:53:15 ID:MBrjrD0a
なんとなく分かる。

『憤慨』で喜緑さんがいつの間にか書記に納まってたみたいに関係者の記憶を改竄した、って話が合ったし、長門が古泉の意識上のハルヒのポジションを、
「神・団長→恋人」に改竄した場合「自分が彼女に抱いているのは恋愛感情のはず」だと古泉が誤認して疑問を抱かなくても無理はない、のかもと思った。
398名無しさん@ピンキー:2007/07/24(火) 13:22:04 ID:o2Llk/xU
2chのネタやら同人やらSSやらMADやら見まくってると
どこまで公式というか本編のネタなのかわからなくなるから困るw
399名無しさん@ピンキー:2007/07/24(火) 13:28:23 ID:x34OWJu1
たぶん改変された影響で板名を読めない人が溢れ出してると思うんだ
夏と冬に大型改変が毎年発生するからなぁ、小規模ながら春にも発生するが
秋は影響された人間出ないのは改変が発生しないからかな
400名無しさん@ピンキー:2007/07/24(火) 13:50:04 ID:cxqhPyuK
公式に腹黒設定は存在するのか気になる
喜緑さんだけ確定……なのか?
401名無しさん@ピンキー:2007/07/24(火) 14:29:39 ID:6vVC42ww
「人生はちょい悪ぐらいが賢い」
ぐらいに考えてるっぽい「プチ腹黒」なら生徒会長がいるな。
402名無しさん@ピンキー:2007/07/24(火) 15:44:48 ID:ZScVcLin
流をぶった切って
涼宮ハルヒの日常マダー?
403名無しさん@ピンキー:2007/07/24(火) 16:02:15 ID:V2ETcrY8
喜緑さんは、有機生命体生の様々な概念みたいなのが良く分かってなくて、
効率重視で行動してるからそう見えるとか。
404名無しさん@ピンキー:2007/07/24(火) 16:06:20 ID:9BU/Jagb
希望だが、涼宮ハルヒの再開はまだかな?
あと変態佐々木と○天国も演奏もまだ完結してないし
405名無しさん@ピンキー:2007/07/24(火) 16:25:20 ID:IvtO98Zo
>>398
俺はむしろハルヒの世界がいくつも分裂してるように感じることがあるw
作者ごとにキョンの性格微妙に違ったりするじゃん。そのせいかも。
406名無しさん@ピンキー:2007/07/24(火) 18:51:08 ID:5SgLmMkM
ハルヒ書いてる作者ってヤンデレ好きなのかな?
出て来るキャラ皆ヤンデレ臭がするw
407名無しさん@ピンキー:2007/07/24(火) 19:10:32 ID:MBrjrD0a
お前だけだw
408名無しさん@ピンキー:2007/07/24(火) 19:20:51 ID:I9yarBYk
絶望系……。
409名無しさん@ピンキー:2007/07/24(火) 19:37:56 ID:rYK6nu2G
>>399
秋は秋で桜咲く奴がいるだろ。たぶん。

らき☆すたのせいであらゆる場面を喫茶店に置き換える俺負け組み。
410名無しさん@ピンキー:2007/07/24(火) 19:44:26 ID:71wN2JhO
不毛な世界
411名無しさん@ピンキー:2007/07/24(火) 19:59:42 ID:GQ9s+fM2
流は2323だ!
言葉は時に非情に残酷に成り得るから気をつけろよ
412名無しさん@ピンキー:2007/07/24(火) 20:31:35 ID:YVWadyMA
ここも以前と比べて雑談が増えましたね
413名無しさん@ピンキー:2007/07/24(火) 20:48:34 ID:2yHSFFqm
過度の雑談うぜえ
本スレかネタバレスレ行ってほしいわ
414名無しさん@ピンキー:2007/07/24(火) 20:55:11 ID:IvtO98Zo
まぁエロパロは保守の必要ほとんどないしねぇ……。
415名無しさん@ピンキー:2007/07/24(火) 21:29:18 ID:j9jdvrdy
>>355
ナポリタン投稿が元か?
416名無しさん@ピンキー:2007/07/24(火) 22:18:22 ID:C4AEck3W
絶望した!!
非日常が日常になりつつある俺の日常に
絶望した!!
417名無しさん@ピンキー:2007/07/24(火) 22:35:44 ID:EtVqE4e/
ハルヒ読み始めの頃は
微妙にかってに改蔵と似てるかもと思ってたもんだ
418名無しさん@ピンキー:2007/07/24(火) 23:21:34 ID:Az6inUGy
読んでると雑学が身につくという点では似てるかもしれない
419名無しさん@ピンキー:2007/07/24(火) 23:39:41 ID:Pn1Xn8WI
朝比奈さんをおもちゃ扱いした反省を全く活かさずに、長門を景品扱い。
これでもしコンピ研戦で、ハルヒが暴走して敵陣に突っ込み秒殺で敗北したら、長門がコンピ研に行く行かないに関わらず、キョンはさすがにハルヒのことを見限るんじゃないだろうか?
420名無しさん@ピンキー:2007/07/24(火) 23:46:59 ID:tMYx17QL
ちゃんと原作読んでる?
状況がまったく違うと思うんだが。
421名無しさん@ピンキー:2007/07/24(火) 23:58:14 ID:Pn1Xn8WI
もしといい言葉を一応つけてる。古泉とキョンのフォローがなければ長門の能力を使う前に負けていたかもしれない。
422名無しさん@ピンキー:2007/07/25(水) 00:01:22 ID:2yHSFFqm
いや勝つか負けるかの問題じゃなくて
ハルヒが長門をどうするかのときの態度、様子をよく考えてみろよ
423名無しさん@ピンキー:2007/07/25(水) 00:06:09 ID:Pn1Xn8WI
最初から賭けなければいいだけの話だよ。空気悪いから話題変えようか?
424名無しさん@ピンキー:2007/07/25(水) 00:10:08 ID:5zF47rOl
そもそもここはそういうことを話す場所じゃないってわかってる?
425名無しさん@ピンキー:2007/07/25(水) 00:14:16 ID:d+OpHkJu
夏だなぁ。つくづく夏だ。

変態佐々木シリーズマダー
426名無しさん@ピンキー:2007/07/25(水) 00:31:50 ID:MwyOkIhE
思えば夏だからって「ここ」に人が増えるのはおかしくないか?
ここって何板だよ。
427名無しさん@ピンキー:2007/07/25(水) 00:35:51 ID:lyrkHu6j
でもまっ夏で頭が湧き始めてるやつらはいるな
428名無しさん@ピンキー:2007/07/25(水) 00:45:03 ID:xEx3Tl/V
普段の住人が戻ってくるんでなく、新規の住人が増えるんじゃないかな。
検索とかで辿りついたりしてる人も増えるだろうから、何板とか関係なく。
429名無しさん@ピンキー:2007/07/25(水) 01:03:17 ID:FkV9z0zx
>>426
自分の歳も数えられない阿呆なら、十分ここに来る可能性はあるぞ。
430名無しさん@ピンキー:2007/07/25(水) 06:42:31 ID:Hrh7MuEN
もういるだろ
431名無しさん@ピンキー:2007/07/25(水) 09:09:25 ID:6zSURgxp
肉体年齢と精神年齢は一致しないものなんだよ
432名無しさん@ピンキー:2007/07/25(水) 09:47:48 ID:DUKbRVjZ
>>431
妙に納得してしまった

キョンと妹絡ませづらくて困る
組み合わせは好きなんだけど彼、妹とか手出しそうにないから・・・
433名無しさん@ピンキー:2007/07/25(水) 10:10:55 ID:IujmXfnk
>>432
なら妹が奴に手を出すってのはどうよ?
434名無しさん@ピンキー:2007/07/25(水) 11:24:57 ID:DL+rjeCr
「ねぇねぇキョン君、キョン君☆」
いったいとうした?宿題をみてほしいのか?今からなら少し時間とれるが…
「えーとねぇ…これ家庭科でクッキー作ったんだよ?食べてみて☆」
やれやれ、しょうがないな…では戴くとするか。ん?奇妙な味がするが?おいおい、眠気が襲ってくる。意識が切れる瞬間妹が…
「これでキョン君はあたしの物!他の女には絶対渡さないから!ごめんねキョン君☆」

前にも書いたなwww
435名無しさん@ピンキー:2007/07/25(水) 11:59:15 ID:Hrh7MuEN
というか俺のID、ハルヒだな。と言うことでハルにゃんと無人島行ってくる
436名無しさん@ピンキー:2007/07/25(水) 12:03:29 ID:9Wldx4uA
>>435
最後まで見ろ

無縁だそうだぞ
437名無しさん@ピンキー:2007/07/25(水) 12:37:11 ID:Hrh7MuEN
やれやれ一体誰の陰謀だ?
438名無しさん@ピンキー:2007/07/25(水) 13:03:57 ID:vyb//S+u
 ある日の夕食後。
俺はリビングで頬杖をつきながら、血湧き肉躍るというほど入れ込んでいるわけではないが
途中で視聴を中断するのは少々躊躇われるといった内容の、
まぁ普通に面白いテレビ番組を眺めていた。
 
「ねえキョン君」
 なんだ妹よ、とは返事しなかった。俺ほどにテレビ番組の内容に関心を持っては
いないらしい妹は、しばらく視界の中には捉えていないがシャミセンと戯れていたはず。
 ブラウン管(残念ながらまだ液晶でもプラズマでもない)の中では男達の挑戦を綴った
ドキュメンタリーがクライマックスを迎えようとしている。番組冒頭で役者ではない
現実の彼らがスタジオに登場してにこやかに当時を振り返っていたので
事業が成功するのは9割9分わかっているのだが、それでも応援したくなっている俺がいる。
 とにかく、話なら後にして欲しい気分だ。それくらい察しろ妹。
 
「キョン君は誰と付き合ってるの?」
 母に『今日の夜ご飯なに?』と聞くみたいな調子で、妹はそんなことを聞いてきた。
「は?」
 反射的な返答。その疑問符を含めてたった2文字の台詞には、『なぜ急にそんな事を
聞いてくる?』『俺が今現在誰とも付き合っていないことぐらいわからないのか?』
『俺が誰かと男女交際をしていると判断した理由は何だ?』等々の多彩な意味が
含まれている。だが、妹はそんな微妙なニュアンスを受け取ってはくれなかった。
 
「ハルにゃん?」
「待て、どこをどう解釈したらそうなるんだ」
 なぜハルヒが第一候補なんだ。純粋な疑問である。俺とハルヒが付き合うとか、
まかり間違っても有り得ない上に御免被りたい。そんな自明の理よりもなぜ俺の妹が
俺とハルヒが付き合っているかもしれない等という思考に至ったかの方が気になる。
 
「じゃあみくるちゃん?」
「いや、付き合ってない」
 俺の質問には答えず、妹は続ける。朝比奈さんか。そうだったら実に望ましい。
望ましいどころかバラ色の人生だ。だがハルヒじゃあるまいし世の中がそんなに
自分に都合良く回ってくれると思えるほど楽観主義者ではない。
 
「なら有希ちゃん?」
「違う」
 長門と付き合う……ちょっと想像できない。いや、交際してる様自体は
想像できなくもないが、現実的にその状況に至るはずがない。ハルヒとよりは
ずっとあり得る気もするが。
 
「もしかして古泉くん?」
「ふざけるな」
 激しく脱力した。なぜ奴が第四候補なんだ。というか第四候補まで来て
なぜ急に俺が同性愛者である可能性を考慮するんだ。天地がひっくり返っても
あり得ん。世界が作り替えられても――想像して背筋が寒くなったので止める。
 
「じゃあ誰と付き合ってるの?」
「そもそも前提が間違ってる。俺は誰とも付き合ってない」
 答えると、妹は少し黙り込んだ。最初からその結論に至って欲しいものだ。
 何を考えてこんな質問をしてきたんだろう。それが気になってしまい、
視線はテレビへ向けたまま意識だけは黙っている妹へ向く。
 
「――じゃあ、」
 しばしの沈黙の後、妹は珍しくためらいがちに口を開いた。
「誰が好きなの?」
 
 
「…………さあな」
 答えると、妹は「そう」と長門みたいな返事をして、それ以後質問してくる事はなかった。
 テレビからはコブシの効いたエンディングテーマが流れていた。
439名無しさん@ピンキー:2007/07/25(水) 13:46:02 ID:DL+rjeCr
>>483
これで話は終わってはいなかった。さらにおかしい方向に話は進んでいく、ある女の介入で…
「実は僕と付き合っているんだよ。妹さんには既にご承知だと思ったがね」
突然佐々木が現れた。青天の霹靂。もしくは藪から棒。いやいや、まてまて、
自分が少しパニックを起こしているのを冷静に落ち着かせてからテレビを消して妹と供に彼女に視線をむける。
「くっくっく…今更隠す事無いんだよキョン。まさか照れているわけじゃないよね?」
すると妹は涙目になりながらぶるぶる震えていた。
440名無しさん@ピンキー:2007/07/25(水) 15:10:11 ID:reeuCOkG
よう、未来人
441ほんの一歩だけ ふみ出してみたら:2007/07/25(水) 15:44:03 ID:DU5sySIB

 ほんの一歩だけ ふみ出してみたら
 わたしは楽しい 気持ちになった
 きっかけは ほんの些細なことで
 わたしは、彼と街に出た


 自分好みな色に染まる慣れ親しんだ自室に戻ると、わたしはカバンを下に降ろしベッドにふぅと腰掛けた。
 そのまま両手の力を抜いて、身体をベッドに投げ放つ。
 布団とシーツがすれる音。ぱたぱたと髪が落ちる音。倒れた反動で中空に浮いた両手が最後に着地する。
 大の字というより十字の姿で、わたしはゆっくり目を閉じる。

 お気に入りの俳優が活躍していたスクリーン。
 前々から気になっていた甘い香りの喫茶店。
 でも真っ先に思い出すのは楽しみにしていたそれらでなくて、今日一日を共にした優しくたたずむあの人の事。
 俳優よりも格好良くない、スイーツよりも甘くない。それでも最初に思い出すのはわたしにくれたあの言葉。

 こうして瞳を閉じるまで、わたしは一日を楽しんでいた。のんびり歩いた帰り道でもわたしは多分微笑んでいた。
 映画についていっぱい話した。スイーツについていっぱい話した。最後に寄った彼の家では、三人一緒にいっぱい遊んだ。
 今日の日記は超大作かな……さっきまでそう考えていた。
 だけどこうして思い返すと、書きたいことは一つだけだった。

 お気に入りの色をしたちょっと小さなダイアリー。
 前々から綴ってきていたわたし自身の歴史帳。
 ただ真っ白なページを開いて今日一日を振り返ってみる。今日一日を共にした優しくたたずむあの人の事を。
 俳優よりも格好良くない、スイーツよりも甘くない。それでもわたしが日記に書くのはわたしが気付いたこの気持ち。


 ほんの一歩だけ ふみ出してみたら
 わたしは不思議な 気持ちになった
 きっかけは ほんの些細なことで
 わたしは多分 恋をした


『わたしは、彼に恋をした』

442名無しさん@ピンキー:2007/07/25(水) 15:48:39 ID:DU5sySIB
>>436
GJ、探りをいれる妹ちゃんが何気に可愛かった。
そんな妹ちゃんに対抗したくて即興でかいた。
443名無しさん@ピンキー:2007/07/25(水) 19:36:14 ID:fCMHA8ED
なんで皆安価をミスるんだ・・・?
ハッ! まさか情報操(ry
444名無しさん@ピンキー:2007/07/25(水) 20:37:41 ID:DL+rjeCr
アアアアアアアアアーー今気が付いちゃったてへっ☆
445名無しさん@ピンキー:2007/07/25(水) 21:30:23 ID:DU5sySIB
俺もか!
携帯だから自動的にアンカー付くはずなのに……これが情報操作なのか。
446名無しさん@ピンキー:2007/07/25(水) 21:58:54 ID:Hrh7MuEN
おそらく改変されたのは、お前達の頭の中だろうな
447名無しさん@ピンキー:2007/07/25(水) 23:53:21 ID:T3eENifN
―――計算…………どおり……?
448阪中ネタその2:2007/07/26(木) 00:07:57 ID:2flWTPAu
私は今学校が終わってルソーとお散歩中なのね。久々に町の中散歩コースを堪能しているのね。
もう少し北に進むとSOS団ご用達のファミレスがあるのね。もしかしたら涼宮さんに逢えるかもしれないのね。
あっやっぱりファミレスの中で涼宮さん達が居たのね。涼宮さんが籤引きしているのね。
やっぱりキョン君と一緒に行動するみたいのね。ちょっと後ろからつけてみるのね。名探偵阪中なのね!
はっきり言って残り三人はどうでもいいのね。私は涼宮さんの行動を調べてみるのね。
あれ?二人きりになった瞬間手を繋いでいるのね。キョン君と付き合っている事は否定しているのに…これは事件の匂いがするのね。
角を曲がっていったのね。確かそっちの方は大人にならないと行けない所なのね。おや?ピンク色の建物に入っていったのね。
こんな所に不思議なものがあるとは思えないのね…え、えっと、ど…どうしようルソー。
「ワン、ワン、クーン」
分かったのね。あそこの壁に隠れて見張って出てきたら話を聞くのね。

2時間後

出てきたのね。お二人さん肩を組んで…これは突撃レポートするしかないのね。
こんにちはなのね!すると二人は金縛りにあったように動かないね。お〜い・どうしましたのね?
「あ、あ、あの見ていた?阪中さん…」
全て見ていたのね!ファミレスからずーと!それで気になって付けていたのね。
「マ・マジで?おいおい勘弁してくれよ…」
キョン君がうなだれながら凹んでいたのね。すると涼宮さんが説明をしたのね。
「実はね、この建物に幽霊が出るという噂があったの…だからキョンと二人で調査にいったわけなのよ。」
幽霊が出るの?私恐いのね…どうしようルソー…ちょっと寒気がするのね。やっぱり出るの?と質問したのね。
「いやガセだったみたい。結局骨折り損だったの…なかなか見つからないわ。」
よかったのね。私幽霊が恐いのね、今キョン君が持っている鞄はもしかしてお札とか入れているの?
「あぁ、これが無いと困るんだよ色々と…ハルヒの奴が…いや何でもない。」
やっぱり涼宮さんは抜け目無いのね。じゃそろそろ帰るのね。さようならなのね。行くよルソー

って別れたのね。大野木さんは茫然としていたのね。だって涼宮さんは絶対嘘付かないのね。
「あ、あのさ阪ちゃん…もうその話しない方がいいよ…後ろから睨まれそうだから」
佐伯さん…私別におかしい話した覚えないのね…谷口君が涙を流しているし国木田君がニヤニヤしているのね?
クラスのみんなに知られちゃ不味い話じゃないのにおかしいのね。
449名無しさん@ピンキー:2007/07/26(木) 00:16:22 ID:2flWTPAu
以上です。
※あくまで阪中さんは私のイメージなので注意して下さい。
450名無しさん@ピンキー:2007/07/26(木) 00:42:39 ID:zGIMxrBt
坂中は天然なのか腹黒なのか判断しにくいww
451名無しさん@ピンキー:2007/07/26(木) 00:56:29 ID:2flWTPAu
修正
あっやっぱりファミレスの中で涼宮さん達が居たのね。涼宮さんが籤引きしているのね。

>あっやっぱりファミレスの中で涼宮さん達が居たのね。これから籤引きをして組むメンバーを決めているのね。
>>450
涼宮ハルヒ教の信者なので疑うことはいたしません。
452名無しさん@ピンキー:2007/07/26(木) 01:08:29 ID:gE5vL5yt
「これが無いといろいろと困る鞄」って何だキョンwww
453名無しさん@ピンキー:2007/07/26(木) 10:27:44 ID:eDXdZ3G2
wwww
454名無しさん@ピンキー:2007/07/26(木) 11:33:50 ID:a9fmAS7z
●<どうやら僕の出番の様ですね。
455名無しさん@ピンキー:2007/07/26(木) 13:26:06 ID:LjN6bAvX
そういえば古泉×みくるって過去ログにあったっけ?
456名無しさん@ピンキー:2007/07/26(木) 15:21:35 ID:2flWTPAu
>>455
多分無いよ。古泉はネタキャラだし…
457名無しさん@ピンキー:2007/07/26(木) 16:18:48 ID:4kARYckz
>>456
謝れ!!真面目な古泉好きな俺に謝れ!!!
458名無しさん@ピンキー:2007/07/26(木) 16:27:36 ID:2flWTPAu
>>457
●<ごめんね
459名無しさん@ピンキー:2007/07/26(木) 17:16:29 ID:tRb9A62p
つまり今ならどんな古みくも大絶賛な可能性があるかも知れないことも無いような気がしないでもないということか。
460名無しさん@ピンキー:2007/07/26(木) 17:39:39 ID:u6qUflPL
まさしく。俺もその組み合わせ書いたことないや。
461名無しさん@ピンキー:2007/07/26(木) 19:25:49 ID:tyQ3bWcv
原作者の新作読むとやっぱ圧倒的な力の差を感じてしまう。
これはもう如何ともしがたいね……
462名無しさん@ピンキー:2007/07/26(木) 19:38:03 ID:gE5vL5yt
読ませてくれよ、その「原作者の新作」をよぅ。
463名無しさん@ピンキー:2007/07/26(木) 21:37:34 ID:RNSxK5zL
古みくは古みくでいいと思うんだけどなぁ……ってか基本的には何でもウェルカム
464名無しさん@ピンキー:2007/07/26(木) 21:40:13 ID:TMGeEvzq
問題は古みくをキョンに書かせるとえらい文面になりそうということで……。
465名無しさん@ピンキー:2007/07/26(木) 21:46:21 ID:x2H6un0X
>>455
二人乗りのSSがあったような
466名無しさん@ピンキー:2007/07/26(木) 22:08:33 ID:nKys/8+/
>>455
初期の頃に『機関』が方針変更して朝比奈さん凌辱とかなかったっけ?
SMとかVIPとかと混同してるかもしれんが。

>>465
黒い二人の水面下の攻防なヤツか。アレは笑った。
467名無しさん@ピンキー:2007/07/26(木) 22:41:21 ID:LlkcsDXA
みく古はシチュが思いつかん
468名無しさん@ピンキー:2007/07/26(木) 22:53:32 ID:zGIMxrBt
古みくよりも古長のほうが読んでみたい俺は少数派?
469名無しさん@ピンキー:2007/07/26(木) 23:11:06 ID:L+paj/v+
古長の方が書きやすそうかも。
ただ俺の中の古長って>>153氏みたいなマゾい感じだからなぁ
470名無しさん@ピンキー:2007/07/26(木) 23:21:48 ID:ZVMCsHGF
俺は古みくは好きだけど、古長はあまり好きじゃないかな。
古泉は長門にはいじめられていてほしい。
471名無しさん@ピンキー:2007/07/26(木) 23:23:43 ID:nKys/8+/
古長は小ネタで一回書いたくらいかなぁ。
古みくより原作で絡んでいるのでネタさえはまれば書きやすかった。
472名無しさん@ピンキー:2007/07/26(木) 23:33:28 ID:ikQAyJQc
古長は、色々とどーでもいい話を振る古泉と、我関せずの長門といった原作の距離感がネックだな。
vipとか腐系個人サイトによくある古長カプものは論外。

しかもそーいうのに限って大抵くっ付くまでに至る過程がすっ飛ばされてるしな…
473名無しさん@ピンキー:2007/07/26(木) 23:35:00 ID:LlkcsDXA
古長はくっ付くより妙な友人という関係が好き
474名無しさん@ピンキー:2007/07/27(金) 00:00:08 ID:fsM9uzQG
古泉、長門、みくるの関係はカオスが1番好き。一見普通に話してるけどみんな黒いみたいな。
475名無しさん@ピンキー:2007/07/27(金) 00:09:06 ID:rFQtxZVE
はっきり心情とかを描写しちゃうと面白くないんだよなぁ。
476名無しさん@ピンキー:2007/07/27(金) 00:23:27 ID:fDRxbxyn
だから、キョン視点なんだろ?
キョンですが部室の空気が最悪です ってな具合に
477名無しさん@ピンキー:2007/07/27(金) 08:23:34 ID:vBP2PfWm
やっぱり古泉で純愛物は鶴屋さんとか森さんが相手か
ハルヒに片想いみたいなのしかないか。
古泉×坂中ってのも新鮮な気もするが。
個人的には朝倉×古泉が見てみたい。
478名無しさん@ピンキー:2007/07/27(金) 09:39:39 ID:09Lw0Ype
どんな接点があるのかと>朝倉×古泉
479名無しさん@ピンキー:2007/07/27(金) 09:48:36 ID:TZ7z01wF
>>478
そこは妄想でなんとかするもんじゃないのかと
480名無しさん@ピンキー:2007/07/27(金) 10:05:22 ID:LMzGBNhm
まだ橘藤原ならわかるが
481名無しさん@ピンキー:2007/07/27(金) 10:49:00 ID:E9X8YjRN
まぁどんなのも書き方次第じゃね。
482名無しさん@ピンキー:2007/07/27(金) 11:04:00 ID:7NtN2Bj/
ifで行くとか?
長門がバックアップで朝倉がSOS団に入団とか。
483名無しさん@ピンキー:2007/07/27(金) 11:15:28 ID:PgdPJhK3
戦艦と朝倉の立場が逆なら・・・返す返すも惜しいな。
戦艦は要らない子。
484名無しさん@ピンキー:2007/07/27(金) 11:16:44 ID:KpJg4RAY
そう思うのは結構だが、どのキャラもファンがいるんだから、あんまりうかつなことは言わないほうが吉。
485名無しさん@ピンキー:2007/07/27(金) 12:11:37 ID:c2tba1rP
戦艦って誰?
486名無しさん@ピンキー:2007/07/27(金) 12:18:40 ID:KpJg4RAY
長門だろ。
不沈戦艦として有名なのがあるからな>戦艦長門
487名無しさん@ピンキー:2007/07/27(金) 12:21:31 ID:OMKHfcdL
どこの有名ですかw
488名無しさん@ピンキー:2007/07/27(金) 12:24:20 ID:zOm1KdXX
そもそも本編中で「戦艦長門の長門」って紹介されてるじゃんか。
489名無しさん@ピンキー:2007/07/27(金) 12:38:49 ID:LMzGBNhm
戦艦長門の最後は……標的艦
もしかして最後がアレなら欝になるな。
490名無しさん@ピンキー:2007/07/27(金) 13:45:36 ID:hVHfvgaP
的にされても生き残り、最後に目を離した間に隠れるようにどこかへ消える…
泣けるじゃあないか…
491名無しさん@ピンキー:2007/07/27(金) 13:47:54 ID:J2yPNWvp
姉妹は謎の事故で沈没。
僚艦が次々と戦没する中、ただ一隻生き残る。
標的艦として2度の核実験に耐えるも、誰にも気づかれること無く静かに波間に消えていく。

最後を暗示しまくりだな
492名無しさん@ピンキー:2007/07/27(金) 17:30:30 ID:rFQtxZVE
長門は死なない 何度でも蘇るさ
493名無しさん@ピンキー:2007/07/27(金) 18:05:24 ID:KpJg4RAY
いまだに(沈没しているとはいえ)船体が残ってるわけだしなあ。
494名無しさん@ピンキー:2007/07/27(金) 18:16:05 ID:6pnPFHhn
やっぱり長門は『涼宮ハルヒの驚愕』で死んでしまうのかなぁ…。
495名無しさん@ピンキー:2007/07/27(金) 18:52:38 ID:Tto8DZKi
>>494
ハルヒが望まないだろうよ
496名無しさん@ピンキー:2007/07/27(金) 19:25:44 ID:6pnPFHhn
>>495

自分の勝手な妄想なんだが、涼宮ハルヒの分裂でキョンが風呂に入っている時に電話をかけてきた女の子が、やはり新団員の異世界人だと思う。
この異世界人の子は、分裂のαの世界とβの世界を自由に行き来できる能力を持っていて、βの世界で寝込んでいる長門を助けるためにαの世界から異世界人がキョンとかつれてどうにかするんだと思う。
497名無しさん@ピンキー:2007/07/27(金) 20:03:10 ID:lzJDc0lw
たかが一軍艦の沈没話をなんで小説で再現しなくちゃならんのか。
498名無しさん@ピンキー:2007/07/27(金) 20:42:32 ID:dsRt9EhK
なつ
いんすぴれーしょん
かじょうはんのう
499名無しさん@ピンキー:2007/07/27(金) 22:49:33 ID:akuQQelc
>>498
誰に三行?
500名無しさん@ピンキー:2007/07/27(金) 23:08:50 ID:LMzGBNhm
変態佐々木と二等涼のコラボが読みたくなった。
501名無しさん@ピンキー:2007/07/27(金) 23:36:38 ID:RwyuBHe4
>>497
そのほうがドラマティック
502名無しさん@ピンキー:2007/07/27(金) 23:46:59 ID:1M+9wteT
いやむしろドラスティックじゃね?青い道とか走り抜けたくなるような…
503名無しさん@ピンキー:2007/07/27(金) 23:57:45 ID:gf1ye3wL
僚艦が次々沈没ということはだな、SOS団員が次々に・・・

やっぱやめるわ、うん。名前だけ貰ったと解釈しておく。
504名無しさん@ピンキー:2007/07/28(土) 00:01:44 ID:lzJDc0lw
つうか長い門に雪と有機を掛けたんだろうと思うよ。
周防は旧国名が山口県で隣り合ってるからそうしたものと。
ほら、作者ガンパレ好きなんでしょ。
505名無しさん@ピンキー:2007/07/28(土) 00:47:13 ID:lgFCS70B
愛してるよ
506名無しさん@ピンキー:2007/07/28(土) 00:54:11 ID:9guC7GDP
長門ならネジ一本になってしまっても愛せる
507名無しさん@ピンキー:2007/07/28(土) 01:22:11 ID:p7iiK+lA
>>504
どうせなら、宇宙人関連はみんな旧国名にしてくれたら面白かったのにな。
越前涼子とか美作涼子とか、武蔵涼子に加賀涼子!

全然ないな、我ながら。

そしてどうでもいいことだが、俺ついさっきまで喜緑さんのことを"きみどりみどり"だと思ってた。
508名無しさん@ピンキー:2007/07/28(土) 01:23:30 ID:gfoJ7YfW
きみどりえみりだよな?確か。
509名無しさん@ピンキー:2007/07/28(土) 01:24:48 ID:6z4gJrA7
つーか長門型の姉妹艦が陸奥なわけだよな…
つまり、

朝倉さんのパワー、
喜緑さんの残虐性、
そして長門の情報改変能力を兼ね揃えた最新型インターフェース「陸奥」が登場する可能性もありってことか。
510名無しさん@ピンキー:2007/07/28(土) 01:25:04 ID:gBGHTl/R
>>507
> きみどりみどり

どんだけグリーンなんだよw
511名無しさん@ピンキー:2007/07/28(土) 01:30:52 ID:9guC7GDP
というか善緑さんが黒いのって公式設定だっけ?
もうSSやら同人やMADやらで混乱してるw
512名無しさん@ピンキー:2007/07/28(土) 01:32:16 ID:uzmgr8p8
>>511
人間ごときには無理です
513名無しさん@ピンキー:2007/07/28(土) 01:52:47 ID:goMiBRDs
>>511
たしか黒いのはキャラソンだけのはず
514名無しさん@ピンキー:2007/07/28(土) 01:54:37 ID:uzmgr8p8
分裂の九曜と対峙してるシーン読んでもなんとなく黒い感じがしないか?
515名無しさん@ピンキー:2007/07/28(土) 02:03:02 ID:y8iW8F2Q
まったくしない。
516名無しさん@ピンキー:2007/07/28(土) 02:11:31 ID:rXCrXZat
黒いんじゃなくて合理的なんだよ。
517名無しさん@ピンキー:2007/07/28(土) 02:18:47 ID:goMiBRDs
確かに黒そうだが確定とまでわ言えないだろ
518名無しさん@ピンキー:2007/07/28(土) 04:28:11 ID:TmPziDQU
キャラソンも黒く見せようとしてる感じがするんだよな、何となくだが・・・俺だけか?
519名無しさん@ピンキー:2007/07/28(土) 08:22:07 ID:DrLoKbRK
腹黒いのを演じているけど実は結構純情な鬼緑さんの二次創作なら読んだことがある。
といっても他のキャラがヤンデレばっかりだからそう見えただけかもしれんが
520名無しさん@ピンキー:2007/07/28(土) 08:26:35 ID:D7o7pt62
今なら聞ける!MADってなんですか?
521名無しさん@ピンキー:2007/07/28(土) 08:28:00 ID:lgFCS70B
M・・・まるで
A・・・頭が
D・・・ドラッグアンドドロップ
522名無しさん@ピンキー:2007/07/28(土) 08:29:13 ID:gPI9/JUO
M もっともらしいことを
A ああだこうだいうばかりの
D だめにんげん
523名無しさん@ピンキー:2007/07/28(土) 08:58:28 ID:ph2LxfDD
>>507
……美作涼子……

……作→竹

ごめんなさい
524名無しさん@ピンキー:2007/07/28(土) 08:59:59 ID:hhwC7SAN
>>509
謎の大事故を起こしてそのまま居なくなりそうじゃん

ってそのまま朝倉だなw
525名無しさん@ピンキー:2007/07/28(土) 10:48:37 ID:DrLoKbRK
今初めて、愛しの兄が振り向かないとハレハレユカイの妹バージョン聴いたけど、ガチで兄ラブかキモウトとしか思えない。
愛しの〜の後にハレハレを聴くと兄以外興味がないように聴こえるから不思議、ハレハレは公式の歌なのに…
526名無しさん@ピンキー:2007/07/28(土) 11:22:11 ID:a0bV5Jll
>>525 兄ラブが公式ということじゃない?
527名無しさん@ピンキー:2007/07/28(土) 12:12:01 ID:8S0o6NWb
キョンに気があるキャラは妹・ミヨキチ・ハルヒ・長門・佐々木・朝比奈。
あと誰かいたかな?古泉は論外ね。
528名無しさん@ピンキー:2007/07/28(土) 12:13:23 ID:a0bV5Jll
>>527 九曜たんもいれてあげて
529名無しさん@ピンキー:2007/07/28(土) 12:53:47 ID:D5qLMFkm
39も伸びてるから何ごとかと思ったら夏だったな。
530名無しさん@ピンキー:2007/07/28(土) 13:47:31 ID:a0bV5Jll
今日は妹と二人で映画を観ていたのだが、さすがの妹も怖かったらしい。
終始俺の腕を掴んでいた。そして、その夜―――。

「キョンくん、キョンくん。もう、寝ちゃった?」
ん、妹か?まだ、寝てないぞ。なんか用か?
「あ、あのね、さっきの映画が怖くて寝れなくてね、だからいっしょに寝てほしいの。」
はは、おまえも怖がりだな。しょうがないな、ほらこっちにこい。
「へへ、久しぶりにキョンくんと寝れる♪」
しょうがない奴だな、でも妹の意外な一面を見れて良しとするか。




















■月☆日
ふふ、「妹の意外な一面をみせて、妹を認識させる」計画は成功。この調子で、どんどん
計画を進めるよ。そして、他の女の事を考えられないようにしちゃうんだから。
531名無しさん@ピンキー:2007/07/28(土) 15:52:40 ID:8S0o6NWb
黒妹。
532名無しさん@ピンキー:2007/07/28(土) 17:25:27 ID:oxW8Ns1O
女を認識させるじゃないのか
533名無しさん@ピンキー:2007/07/28(土) 17:53:10 ID:Nk2q/JMU
長門に操られたキョンがハルヒ(短)ののうなじにキス。

違う場所にいるハルヒ(長)が 「ひゃん!」と声を漏らしながらビククンと反応。

エチ現場をハルヒ(長)に抑えられて3P突入

ぐったりしたキョンを長門がお持ち帰り

キョンを誑かすつもりの長門が逆に誑かされて奴隷化

ハルヒ(短)(長)がキョンを奪い返しす為に閉鎖空間を発動

何故かキョンから1ccでも多く搾りとった方が勝ちというルールで戦いが始まる

割り込んできた◯◯の勝利




こんなssを思いついた。
534名無しさん@ピンキー:2007/07/28(土) 18:10:48 ID:8S0o6NWb
>>533
二文字か、よし予想する
○○?→京子・周防・藤原・古泉・喜緑・阪中・吉村・新川・田丸・園生・谷口・鶴屋・会長


ダメだもう思いだせん
535名無しさん@ピンキー:2007/07/28(土) 18:44:40 ID:4xVRGL36
妹は駄目なのか…
536名無しさん@ピンキー:2007/07/28(土) 18:47:14 ID:tDzkedJd
女未でおk
537名無しさん@ピンキー:2007/07/28(土) 18:47:48 ID:RXaZDdEb
実妹
538名無しさん@ピンキー:2007/07/28(土) 19:13:46 ID:2qP93akw
>>533
佐々木と朝比奈みくるは完全にアウトだな。
539名無しさん@ピンキー:2007/07/28(土) 19:14:37 ID:2qP93akw
×>>533
>>534
540名無しさん@ピンキー:2007/07/28(土) 19:26:09 ID:ZFo40ePK
>>538
・親友
・巨乳
これでおk。
541名無しさん@ピンキー:2007/07/28(土) 20:12:12 ID:eoHMAH9H
ハンドボール馬鹿はお呼びでない?
542名無しさん@ピンキー:2007/07/28(土) 20:47:22 ID:PWEAI7Ei
>>524
ちなみに公式には「謎の大事故」という事になっているが
実際は新兵の放火というのが真相らしい…激しくスレチだが
543名無しさん@ピンキー:2007/07/28(土) 21:05:58 ID:8S0o6NWb
「キョン君大変!そこ腫れているよ。」
あぁちょっとな、ただ膿が貯まっているだけだよ…あとで処置するから大丈夫だ。
「えぇーっ痛そうに見えるよキョン君?」
膿を抜けばかなりよくなるからお前はあっちに行っていなさい。
「じゃあ自分の部屋に戻っているねキョン君★」
バタン!
あぶねえ…まさか妹にチンコが勃起しているのを見られるとは思わなかったぜ…やれやれ危うくバレル所だった。
気を取り直して今日は誰をおかずにするか…朝比奈さん?昨日抜いたばかりだ…長門うーむ命の恩人で抜くのはまずいだろうな。
仕方がないハルヒか佐々木で抜こうか?佐々木の下着は紫っぽい。今はノーマルで抜きたいし…ハルヒか?今日はアイツの下着は白だったな。なら逝くしかなかろう!

ハ、ハルヒ〜シコシコ…おっぱい…シコシコ…アイツの下着…シコシコ…触りてぇシコシコ…軟らかいなぁ…シコシコうっ…

今日は結構出たな…ティッシュティッシュっと…ガチャッ嫌な予感がした。振り向くと
扉が開いてそこには妹がいた…
「キョン君ハルにゃんでオナニーしてる!」

という電波を受けた。
544名無しさん@ピンキー:2007/07/28(土) 22:36:00 ID:ilhBIdgp
電波を受信すること事態なんら問題はない
が、わざわざ書き込むレベルの電波ですかと
書き込むならもう少し表現能力や語彙の幅を広げてみてはどうだろうか

と偉そうに言ってみる
545名無しさん@ピンキー:2007/07/28(土) 22:40:09 ID:weV22fM3
>>544
それでは>>543の表現力うpバージョンを投下してくれ
そしたら抜ける気がする
546名無しさん@ピンキー:2007/07/28(土) 22:47:08 ID:ilhBIdgp
残念ながら素晴らしい語彙や言葉の使い回しは持ち合わせていない
だがしかし
言った手前努力はしてみる できれば今日中
547名無しさん@ピンキー:2007/07/28(土) 23:17:17 ID:3+kwfypJ
ところでDVD2巻表紙絵の朝倉はえろいことに今更ながら気づいた。
……レンタル版しか手に取ったことないんだもんよ。
548名無しさん@ピンキー:2007/07/28(土) 23:32:48 ID:7Df+/uFw
>>545
「キョンく〜ん、はさ……キョンくん大変! そこ腫れてるよ!」
って、うぉあっ!! 突然入ってくるな、ノックは忘れるなって常日頃から言っているだろうが
「そんなことよりキョンくん大丈夫なの!? お医者さんに見せたほうがいいよ、ね?」
いや、そんな大それたもんじゃないから心配はいらん。ちょっと膿が溜まってるだけだから医者に見せる必要もないんだよ。
「えぇ〜、とっても痛そうに見えるよキョンくん」
自分で解決できるレベルの症状なんだから大丈夫だって。それより
「うん? どうしたの?」
おふくろには言うんじゃないぞ? いいか?
「えぇ〜、何でっ!? キョンくん大変そうだったら手伝ってもらわなくちゃ」
その心配はないってるだろうがっ!! それよりおふくろには心配を極力かけたくないだろう? 
おまえもそれぐらいなら分かってくれるよな。だからあっちにいってなさい。
「うんっ! じゃあ部屋に戻ってるねキョンくん♪」

なんだこの状況は。普段からこういう状況に陥らんように気をつけているというのに
なぜこんな非常事態が安息の地である我が家の中でも発生しているんだ。
それより我が妹よ、小学五年生にしてまったくの無知であるということはどうかとも思えるのだが今回ばかりは助かった。
普段から成長著しく云々言っていたお兄ちゃんを許してくれ。
そしてこんな緊急事態に直面していたというのにマイサンは元気に自己主張を続けている。
まったく、少しは落ち着いたらどうなんだと、自問自答してみるも
若さゆえの性欲というものはまったくの恐れ知らずというものであることにいやでも気づかされてしまう状況に少し鬱になる。
まったく、やれやれだ。

さて、そんなマイサンが俺からの刺激を今か今かと長くして待っている。
そんなに急かすなっての。気を取り直してさっさと作業に入ることにする。朝比奈さんでいくか? 
いや、昨晩お世話になったばかりである先輩に連投を頼むのは酷なものであるから本日は別の人に登板してもらおう。
では長門? いやいや、なんだかんだ言っても長門には世話になりっぱなしである。
肩身の狭い立場を考慮に入れると少し後ろめたさが残ってしまう。
ということで今日は佐々木にがんばってもらうことにする。佐々木の下着は紫っぽい、だとすると俺の気分とは合わない。
普通に白で行きたいと心の底から湧いてくる感情を押さえつけての佐々木では申し訳ないので本日の登板は見送りだな。
そんなことを考えているとまたハルヒしか残っていないこの寂しい人選をどうにか変えねばと考えてはいるものの、
今は目先の欲望の処理に全神経を使っているといっても過言ではない。
よし、逝くしかなかろう。



大口切ってみたがエロ書いたことなかった
すまん、今は心から反省している 
549名無しさん@ピンキー:2007/07/28(土) 23:35:22 ID:wNoQ3WKO
>>548
ドンマイww
550名無しさん@ピンキー:2007/07/28(土) 23:50:09 ID:8S0o6NWb
俺の電波が…お見事!さすがに脳内垂れ流しの話を5分で書いた自分のとは全然違う。
551名無しさん@ピンキー:2007/07/29(日) 00:32:06 ID:NI8BOZy6
>>548
GJGJ
あとの展開までもう少しだ!
552名無しさん@そうだ選挙に行こう:2007/07/29(日) 01:01:19 ID:jJeZ0Lme
結局ネタに妹を選ぶキョン
553名無しさん@そうだ選挙に行こう:2007/07/29(日) 01:46:03 ID:L7CuR2sr
勝手に>>548の続き

想像で自慰をするためには、その相手も大事だが設定というのも非常に大事である。
まずは場所。部室、教室、俺の部屋、ハルヒの部屋……、ハルヒの部屋は行った事が無いから却下だな。
部室は昨晩の朝比奈さんで利用してしまったしな……、今日は俺の部屋にしとくか。
そういうことで場所は俺の部屋。
ある麗らかな日曜日に頼んでもいないのにハルヒが家庭教師にやってきた、という設定にしよう。

ハルヒの罵詈雑言に耐えながら必死に勉強に励む俺……、いや、励んでるつもりなのだがどうにも集中できない。
原因はハルヒにあった。とは言っても、奴の口から容赦なく炸裂する口撃にではない。
そんなものにはとっくの昔に慣れている。
じゃあ、なんなのかというと、奴の胸だ。
今日のハルヒは、胸の部分が大きく開いたキャミソールを着てやがる。
もう答えはわかるだろう?
ハルヒが上半身を少し前に傾けるだけで見えるんだよ、健全な男子高校生には凶悪的で魅力的な谷間が。
大きく前に屈んだ日には、白いブラジャーまでバッチリだ。
ハルヒの奴も、朝比奈さんほどではないが中々のモノを装備してるんだったな。
ハルヒのスタイルの良さを改めて実感してしまう。
ああ、その胸に触れたら、いったいどんな感触が……
って、駄目だ!! なに考えてやがる俺!! 相手はあのハルヒだぞ、朝比奈さんじゃない。
頭の中から煩悩を追い払うんだ! そう、谷口の馬鹿面でも思い浮かべて……

そんなこんなで俺の脳内は理性と欲望の天下分け目の一大決戦。
ハルヒが話しかけていることなんかにはまったく気づいてなかった。
「ちょっと、キョン! バカキョン!!」
ハルヒの怒声に、ようやく我に返る俺。
「……あ、悪い! な、なんだ?」
と、ハルヒの方に目をやると、ハルヒは腕を組んで俺を覗き込んでいた。

ああ……、ハルヒさん、そんな腕を組んだりすると胸が押し上げられてより一層……
しかも、俺を覗き込むように、大きく前屈み……
ああ……、近い……
目の前に白い双丘が……

理性と欲望の天下分け目の戦は、只今の決定的な攻撃により、欲望の勝利となりました。

「……もう駄目だ、勉強どころじゃない」
「え、ちょ、ちょっとキョンどうしたの?」



そういえば俺もエロ書いたことなかった
とても反省している
あとは職人に任せます
554名無しさん@そうだ選挙に行こう:2007/07/29(日) 03:23:39 ID:9JNVE8rz
>>553
俺も勝手に続きを

先に言っておくが、この行動は決して俺の理性の脆弱さによるものではないぞ。
むしろ我が理性軍は獅子奮迅の活躍だったと言っても過言ではないだろう。
俺の十六年あまりの人生中でも最高度の働きをしていた、さっきまではな。

…ただ、ハルヒにより増幅強化された欲望には抗すべくもなかった、それだけのことさ。

「った、いきなりなにすんのよ!、このバカキョ…」
やっちまった、俺はハルヒを押し倒しちまった。
もう我慢できねえ、つーかする必要も感じないしな。
だいたい男の部屋に一人で来るときにそんな格好してくるなんて絶対誘ってるだろ。
しかも無防備すぎるんだよ、お前。悪いのは俺の欲望軍に加勢したお前だからな。
ああそうだ、全部ハルヒが悪い、悪いのはハルヒだ、そういうことにしておけ。
「ハルヒ」
ハルヒに覆いかぶさった俺は、息がかかるくらいまで顔を近づけて名前を呼んだ。
「な、なによ…」
お、これは以外、ハルヒは俺から目をそらした。なんだかしおらしいじゃねえか。
てっきり腹か急所を蹴り上げられるかと思っていたんだがその心配はなさそうだ。
「っ!!ちょっと、あんたなにを!」
なにってハルヒの胸を揉んだんだ。キャミソールの上からだが。
うおっ、すげぇ柔らけぇ、まさに至福の感触。しばらく離したくないね。
「あんた…、こんなことしてどうなるかわかってんの?」
なんだろうな、死刑って最近は言わないから罰金百倍の刑とかだろうか。
もっともそれくらいじゃもう俺はとまらなそうだが。
「ハルヒ、俺、もう我慢できない」
「え、ちょっとキョン…?」
ハルヒの瞳が揺れる。ああその不安げな表情もまたグッとくるじゃねえか。
「お前もこういうのを期待してたんだろ…?」
右手をすばやくハルヒのスカートの内側へ滑り込ませる。
なめらかな太ももの感触が手に伝わる。すべすべで実に気持ちがいい。
「んぁっ、キョン…」
ハルヒが艶かしい声をあげた。いいね、思わず背中にゾクりときた。
さて、太もものさわり心地も捨てがたいが我が右手にはさらにゆくべきところがある。
俺はハルヒの秘部へと右手を這わせた。


おし、こんな感じかな。空想世界の俺は現実世界とは異なりずいぶん積極的だ。
いつもアイツに振り回されてばっかの俺だからな。
妄想のなかでくらい俺が主導権を握っても罰は当たるまい。
ノリノリで妄想していたら俺の股間は既に準備万端になっていた、元気だねマイサンよ。
さて、そろそろ溜まりに溜まったリビドーを解放するために心地よい刺激を与えるとするかね。


555名無しさん@そうだ選挙に行こう:2007/07/29(日) 06:07:22 ID:nBDSxL32
続きに期待☆
556名無しさん@そうだ選挙に行こう:2007/07/29(日) 06:44:52 ID:U83F+ex/
職人のリレーもなかなか乙なものだ
557名無しさん@そうだ選挙に行こう:2007/07/29(日) 07:22:42 ID:Nzekkt+w
しかし生殺しw
558名無しさん@そうだ選挙に行こう:2007/07/29(日) 07:34:34 ID:0JIxU3il
続きマダ〜!(・∀・ )っ/凵 ⌒☆チンチン
559名無しさん@そうだ選挙に行こう:2007/07/29(日) 07:57:43 ID:9iz0b0ZO
書きたかったがある疑問が浮かんできた
この場合、キョンフィルターはどうなるんだ?
これがあるなしで話は大きくずれてくるだろうし
560名無しさん@そうだ選挙に行こう:2007/07/29(日) 08:49:06 ID:0JIxU3il
オナニー中だからいらないのでは?
現実かも試練が
561名無しさん@ピンキー:2007/07/29(日) 13:54:34 ID:+SXXSzjR
>>533
雰囲気とオチだけを勢いだけで書いてみた。
5レスほどを予定。

>管理人さんへ
実験作のため保管庫には未収録でお願いいたします。
562>>533 1:2007/07/29(日) 13:55:25 ID:+SXXSzjR
 音と色のない文芸部室で、噎せ返るような濃密な熱気が鼻腔を熔かす。
 未だ事態を整理しきれていない混乱と、ひどい倦怠感と、そして気を抜けば天にも昇りそうな身の毛もよだつ快楽がない交ぜになって、俺の思考能力を塗りつぶしていた。
 もうまともに何も考えられそうにない。
 俺に許されたことは感じることだけだった。
 何をも差し置いて感じられるのは突き刺さる3つの熱視線。
 1つは時おりピクンと身を振るわせて、熱に浮かされたような表情で陶然となっているハルヒ(短)。
 もう1つはあくまでも無表情のまま身じろぎもせずに目の焦点を収束させている長門。
 そして、最後の1つは俺の息子に夢中になってむしゃぶりつきながら心底いとしげに、幸せそうとすら言える恍惚の表情で見上げてくるハルヒ(長)。
 そんな思春期少年によるご都合主義の夢でも滅多にお目にかかれないような楽苑が在った。
 この展開に至った経緯を今更語る気にはなれない。
 頭が痛くなるくらいに込み入り過ぎているのもあるが、さっきも言った様にそんなことに気を回す余裕がこれっぽっちもないってところが本音だ。
 ただ一つ間違いなく言えることは、ハルヒ(長)によって断続的に与えられる刺激がとにかく気持ち良くて俺はいっぱいいっぱいだってことだけ。
 ハルヒ(長)は持ち前の勘のよさを遺憾なく発揮してすっかりコツをつかんでしまったらしく、俺の息子をいい様に翻弄し続ける。
 接触面積を少しでも多く確保したいためか、吸い上げたい意図が強過ぎるのかは定かじゃないが、上唇を伸ばして息子を頬張る顔は当然見たことのないもの。
 まさかあの底抜けに気が強くて生意気極まりないこいつの口に愚息を突っ込んで、こんな顔をさせる日が来るなんて思ってもみなかったぜ。
 そう自覚すると場違いな支配欲に満たされた。鳩尾のした辺りからじんわりと黒い何かが広がっていくような奇妙な感覚にとらわれる。
 加えて響き渡る卑猥な水音と、耳朶をくすぐる淫靡な息遣い、息子を這い回る柔肉の感触の三重奏によって目も眩むような快感に襲われた。
 もう長くは持ちそうにないな……。
 頭が茹だってるくせして、射精の回数だけは明確に覚えていた。今度気をやれば実に6回。
 今までハルヒ(短)、ハルヒ(長)、長門の3人の膣内に1回ずつ。ハルヒ(短)、長門の口内に1回ずつ。そして、今出そうとしてるのはハルヒ(長)の口。
 5回も出したにもかかわらず、俺の息子は一向に治まりがつく気配をみせず、今なおそそり立って涎を垂らしながら自己主張を続けている。
 自分で打ち明けるのもなんだが、本来の俺の息子はこんな元気も根性も持ち合わせちゃいない。
 夢のようなハーレム状態を考慮しても、この異常な持久力と瞬発力と耐久力を裏付けるには足りそうになかった。
 じゃあこの帳尻を合わせるカラクリはなんだというと――――、なんのことはない、息子は絶賛ドーピング中なのさ。
 口火となった長門のフェラの際に、映画撮影の時の朝比奈さんよろしく甘噛みされてなんだかよく分からないモノを注入されてしまった。
 
「前借り」

 とだけ呟いた長門の台詞が気になってしようがない。
 前借りってなんだ? もしかして今まで放った大量の精液と引き換えに、未来の俺が枯れ果ててしまうってことか? 
 頼むから間違っても寿命と引き換えとかは勘弁して欲、――っ!!!
 
「ズバッ、ズバッ、チュッ、ズババババッ!」

 突如、芯から抜かれるような強烈な吸引感が息子を突き抜けた。
 強制的に我に返らされると、眼下からのハルヒ(長)のねめつける様な視線とぶつかる。
 ハルヒ(長)は鋭い眼光のまま俺の息子を口いっぱいに咥えこみ、ディープスロートで有無を言わさず追い討ちをかけてきた。
563>>533 2:2007/07/29(日) 13:56:06 ID:+SXXSzjR

「ヂュパッ、ヂュパッ、ジュッパッ! ジュルルル、ジュルルルルル――――!」

 待て、待て待て待てって。いきなりトップギアに入れるのはやめろ。

「ちゅむっ、んむっ、んんん――――ヂュッ! んヂュルルルルルルルルル――――!!」

 俺の息子の中を真空にせんがごとくの勢いで一心不乱に吸引を続ける。
 魂まで抜かれてしまいそうな錯覚すらするぜ。
 気持ちいい……、そりゃあ気持ちいいに違いないんだが……、よ過ぎると、逆にツライんだよ。
 
「っ、ぱぁ……。はぁっ、はぁっ、はぁっ……」

 顔を歪めて懇願するような俺の視線を受けて、ハルヒ(長)はようやく息子を解放する。息が上がっていた。あれだけ無茶な肺の使い方をすりゃ当然かもな。

「――っ今、他の事考えてたでしょ?」

 ハルヒ(長)は口許を拭いながら、息も整わないままに口を開いた。
 瞳の奥に嫉妬じみた蒼い炎を盛らせて真っ直ぐに俺を射抜いてくる。
 予想以上の剣幕に俺は背筋に冷たいものが走った。
 圧倒されて口を利けないでいると、ハルヒ(長)はまるで言い聞かせるように息子をキュッと握りこんで口を尖らせた。どうやらいたくご不満らしい。
 正直に謝る。すまなかった。だから、息子を人質にとるような真似はやめてくれ。

「あたしだけ見て、あたしのことだけ感じて……」

 今までと一転かすれるような声と、儚くて切なそうな相貌。
 思わずドキリと俺の心臓が高鳴る。こんな顔されて無碍にできる野郎がいたとしたら俺は一生そいつを尊敬してやってもいい。
 吸い込まれるようにハルヒ(長)の瞳から目が離せないでいると、ハルヒ(長)は何かを祈るように目を閉じて、ゆっくり口を開けて優しく再び息子に舌を這わせ始めた。
 行為に込められた想いに呼応するかのように俺は胸の奥が熱くなる。
 ディープスロートからうって変わって、ハルヒ(長)はチロチロと舌を差し出して息子を弄ぶ。
 可憐なピンク色の舌先が小刻みで丹念に這い回った。
 尿道をほじくり、雁首の付け根を弾いて、裏筋を伝う――――、まるで息子の全てを網羅するように、くまなく唾液をまぶしていく。
 その様は「これは自分のモノ」とマーキングしているかのように俺に写った。
 
「んんっ、れるん、れるれる。んちゅっ、んむっ、んむんむっ、っちゅっ」

 息子にキスして一旦口を離すと、

「んふふ。夢見心地みたいなカオしちゃってぇ。そんなに気持ちいいんだ? こうされるとどう?」

 それだけ言いのけて、測ったように息子が丁度納まるくらいの直径に口の大きさを保持し、そのまま先端だけを咥えた。
 そして、間髪いれずにそのまま激しく首を動かし始める。

「っ――――! ああっ!?」
 
 ストロークは浅いものの、意外に厚ぼったい唇が絶妙に引っかかって今までとはまた異なる快楽に包まれた。
 思わず声が漏れると、ハルヒ(長)はいっそう気をよくしたのか、口の締まりをきつくして動きを速める。
 これはヤバい。滑りの良い口腔の粘膜の感触と、柔らかくて温かい頬の肉感が最高に気持ちいい。間違いなく6回目の射精が近いことを俺は悟った。
564>>533 3:2007/07/29(日) 13:56:55 ID:+SXXSzjR
 
「だめだ。イクぞっ」

 根元に精液が集まってくる。ここまで来れば後は扱かれてるだけでイケそうだった。
 そんなことを頭の片隅で意識した矢先。
 見計らったようなタイミングでハルヒ(長)は口を離して薄く笑む。お馴染みの悪戯っ子フェイス――、この期に及んで一体何を閃いちまったってんだ?
 そんな問いに対して突きつけられた答えは目を疑うもの。
 ハルヒ(長)は自慢のロングヘアの一房を手に取って、息子に巻きつけてその上から優しく握って高速で上下させるという奇行に出ていた。
 これは……、俗に言う髪コキというやつか?
 男の俺ですら聞きかじったことしかないフェチズムのニッチに在るようなマニアックなテクニックを一体どこで覚えてきた?
 言葉を放つ余裕のない俺は目線だけで問うと、ハルヒ(長)は不敵に、そして淫らに口元を歪めて応える。
 その表情が、

 どう? これはあたしにしかできないわよ?

 と言わんばかりに見えるのは、きっと俺の視神経がぶっちぎれてるからに違いない。
 今更ながら侮れないことを思い知る。
 しかしそんな余計なことを考えたのも一瞬。
 思考を押し流すかのように、髪コキの快楽は猛威を振るって効果的に俺を射精へと導いていく。
 コシのある艶やかな無数の繊維質で鈴口と雁首をくすぐられるのは味わったことのない新鮮な感覚だった。
 掌の柔らかな感触と棕櫚のような毛先の硬い感触、2種類の刺激が融合されて快感は絶頂へと達する。
 これは、ヘタしたら癖になっちまう……、かもな。
 睾丸から急速に白濁が湧き上がってくる感覚がした。
 ヤバい、もう出るっ。
 切迫した俺の様子を酌んで、ハルヒ(長)は全てを受け止めるという意思表示とばかりに目を閉じる。

「……ジョンの白いのいっぱいかけて、……あたしをよごして」

 天使の素顔のような純真無垢な表情のままに紡がれたどこか拙い幼言葉が聴覚に染み渡った瞬間、ゾクリと背筋が駆け上がって俺の息子は暴発した。

 ビュクッ、ビュクッ、ビュルルルル――――。

 水圧で暴れるホースを思わせるように息子が弾けて本日6回目とは思えないほどの大量の精液が飛び散った。それはもう盛大に。
 白濁の飛沫はハルヒ(長)のキメ細かい肌と、黒光りするような滑らかな髪に容赦なく降りかかる。
 黙っていればアイドル顔負けの美貌と、触るのもためらわれるような美しい御髪を俺の白い欲望が汚し尽くした。
 ――――、突き抜けた享楽と、湧き上がる征服欲に俺の精神がついていかずに、著しく視界が歪んだ。
 思わず目を瞑って数秒やり過ごす。
 眩暈を治めて目を開けると、呆けたように焦点の定まらないままに虚空を見つめる精液に塗れたハルヒ(長)のあられもない姿が飛び込んできた。
 これを知覚して、息子が反応せずにいられなかったのは内緒だ。
 どこまでも欲張りな愚息だった。
 表面張力が重力に負けて精液が頬を伝うと、ハルヒ(長)はそっとなぞりおもむろに口に含んで味わうように舌鼓を打つ。
 その仕草が堪らなくエロチックだった。思わず押し倒したい欲望が渦巻くが、射精直後の達成感もあるのは確かでそれらが相克して結局どうしたいのか自分が分からなくなる。

「……変な味。でも、これが――――、ジョンの味」

 そう呟くと褪せていたハルヒ(長)の表情に色が戻る。
565>>533 4:2007/07/29(日) 13:57:49 ID:+SXXSzjR
 ハルヒ(長)は幸福で満たされたような暖かい笑みを浮かべていた。
 それを見届けると、混乱は晴れてどっと疲労感が身体に押し寄せてきた。
 もはや何をする気にもならないのは当然で、何もしゃべる気すらも起こらないほどに疲弊していることに気づかされる。
 そんな俺を尻目にハルヒ(長)は意気揚々と立ち上がると、嬉々として顔や髪についた精液を拭ってメスシリンダーに落としていった。
 いきなり登場した理科実験器具は理科室から拝借してきてものだ。
 器具名で言ったらピンとこないか? 鶴のように長細くて注ぎ口のついた円筒形の体積計量器具だよ。
 学校の備品をこんなことに使うなんて、税金を払った人に申し訳が立たねぇな。

 ……そういやそんな主旨だったな。思い出したくもなかったが。
 セックスとフェラの2回の合計でより多く俺を絞った者が勝者。勝者は俺を独占して自由にできるというトンデモゲームの生贄にされていたんだった。
 現実逃避のためか、すっかり忘却の彼方に追いやってたぜ。

「ふふーん。どうかしら? 結構溜まったわよ?」

 精液を集め終えたハルヒ(長)は得意げに頷いて、挑戦的な眼を傍に控えているハルヒ(短)と長門に向ける。

「……フン。口で受け止めなかったロスは大きいわよ? 後悔しても知らないからね」

「集計」

 精液を湛えた3本のメスシリンダーを持ち寄って突き合わせる娘達の図は異様の他なんでもない。表面が泡立っているのがいやに生々しいぞ。
 あーあ、そこ谷口の机じゃねぇか……。朝教室に来て精液を計量したメスシリンダーが机の上に3本立ってたら、あいつどんなリアクションするだろうな……、ってくだらねぇ。
 勝者は誰なのか、脱力感に見舞われながらも気になったがどうやら僅差らしく、ここからではどのシリンダーが一番多いのか見分けがつかない。

「んー、ハルヒが20mlで有希が17、8mlくらい、あたしが22mlってとこ?」

 自分の勝利を確認したハルヒ(長)はパッと表情に華を咲かせた。対照的にハルヒ(短)は悔しそうに唇を噛んでやりきれなさを露にする。
 それはそうと全部合わせるといくらだ? ……だめだ、頭が回らん。だが、そんなに出していいのかと不安になる量に達していることは間違いなさそうだった。

「悪いわね。っていうことで、この勝負――――」























566>>533 5:2007/07/29(日) 13:58:24 ID:+SXXSzjR







「わたしの勝ち」

 ハルヒ(長)の高らかな勝利宣言に平素のテンションでアンバランスに割り込んだのは、他でもない、……長門有希、彼女だった。
 よもや目盛りの読み違いなどやらかすはずがないだろう。一体どういうことだ? 
 全身の力を振り絞って3人娘に向き直ると、案の定、長短ハルヒはセットで置いてけぼりを食らって、眼を剥いたまま固まっていた。

「二人とも過多申告のチート。この溶液には彼の精液以外に、膣分泌液や唾液などが多く含まれている。成分分析の結果では涼宮姉妹の実質精液搾取量はともに15ml程度。わたしのシリンダーは100%彼の精液しか入っていない。だからわたしの勝ち」

 ……解説すべきか? いや、俺がしないと話が進まんのだろうな。
 膣内や口内に射精された精液をメスシリンダーに集める手段は限られている。そして例に漏れずに3人娘はご想像の通りのごく一般的な方法を用いて採集した。
 ここは、その姿がひどく劣情をもよおすものだったことだけを記しておけば十分だろう。
 採集された液体の色合いがまだらでやけに泡立ってることから察して欲しい。
 この手法では過程で愛液や唾が混入することは免れない。長門を除いては。
 つまりはそういうことだった。
 しかしなにもこんなときにまでどんな大どんでん――――、

「待って! そんな結果だけ言われても納得できるはずないじゃない」

 とめどなく流れていた俺の思考をハルヒ(短)の反論が耳をつんざいて断ち切る。
 ……まぁ、そりゃあ……、なぁ。
 やかましい大声を非難するのを差し置いて、俺は妙に納得してしまった。
 長門が言うからには事実に違いはないんだろうが、結果が目に見えない以上、当然のリアクションかもしれなかった。

「そ、そうよ! ソース出しなさい、ソース!」

 戸惑いながらもハルヒ(長)も勢いで追従する。
 また乱痴気騒ぎの再開か? 今までの争いは一体何だったんだ? ったく俺の精子を返せ。
 やれやれ、勘弁してくれよ……。
 諦観の念に中てられながら俺はどこかへ逃亡したい気分になった。
 長短ハルヒが大騒ぎしながら長門にまくし立てて詰め寄っているが、まともに音声を拾う気にはならんね。
 この隙に逃げようぜ。
 そう決め込んで重たい足を上げようと、おっと、ズボンを履くのが先だなと屈もうとしたその時だった。

「…………彼の白いソースの量が全てを証明している」

 沸き立つ空気を一瞬で凍りつかせる長門の親父ギャクが炸裂。
 ……長門よ、一体どこまでぶっ壊れちまったんだ?
 しかし、閉口しながら伺った白皙の表情は、金型に流し込んで作ったかのように寸分違わず、俺を真っ直ぐに見据える黒い瞳からは何の揺らぎも読み取ることはできない。
 俺が逃げる気力を失ったくらいだ。ある意味最低なこの口撃はなかなかに効果的だったらしく、長短ハルヒは揃って唖然とするばかり。
 すっかり毒気を抜かれて勢いを削がれてしまったらしい。
 しかしこのままフェードアウトしそうにないのも事実で、泥試合が再開されてしまうのかと思うと眩暈がした。
 額に手をやると、脳みそがぐでんぐでんに揺れているような錯覚がする。
 今回はやけに酷いな……、気を抜くと意識が……、いや、まじでヤバい。
 瞼が鉛に化けたように重くなり、俺の視界はとんどんアスペクト比が低下していく。
 猛烈な眠気の大波に浚われる中、一片の思考をかき集めてこんなことを考える。
 まさかこれが『前借り』のツケか?
 いや、眠気で済むならそれに越したことはない。どう逃げきろうかという画策がふいになったのは不本意ではあるが。
 次に目が覚めるときは、どうかみんなまともに戻ってることを願う。
 今の俺にできることはこれだけだ。
 こんな天国のような地獄を彷徨う真似はもうたくさんだからな。
 息子の状態も心配だ。麻痺したように感覚がない。酷使の末に二度と勃ち上がれない身体になってしまったらどうすんだ?
 とにかく頼む。頼んだぜ、3人とも……。
 最期、いや縁起でもない。最後にそう切に願って、自我はいよいよ波に飲み込まれてまどろみの大海原へ藻屑と消えていった――――。
567名無しさん@そうだ選挙に行こう:2007/07/29(日) 13:59:54 ID:+SXXSzjR
以上です。
エロ分補給の助けになれば幸いです。
568名無しさん@そうだ選挙に行こう:2007/07/29(日) 14:19:45 ID:0JIxU3il
>>567
乙!あなた様はもしかして二等涼の作者様でつか
569533:2007/07/29(日) 17:53:05 ID:sIRDUnQh
うおぉww
まさか俺の電波が文章になるなんて
恥ずかしい!! ……でも!! ビクッビクッ……

楽しく読まさせてもらいました。
ありがとう。GJです。
この御恩は長門SSでそのうちお返しします。
570名無しさん@そうだ選挙に行こう:2007/07/29(日) 17:55:09 ID:nvy9+zn1
>>567

電波受信してもこんなにうまく書けないわorz
571名無しさん@そうだ選挙に行こう:2007/07/29(日) 18:40:53 ID:mzq2GUvJ
>>567
超GJ!!
フェラってる文章がネットリエロくって勃ったww
何も考えられそうにないとかいいながら、前借りの影響を心配しているキョンが萌えw
さらにそれに気づいて猛烈に攻めるハルヒ(長)に惚れwww
572名無しさん@そうだ選挙に行こう:2007/07/29(日) 19:33:24 ID:cs92BXzn
>>567
超GJ!!
567の新作読むとやっぱ圧倒的な力の差を感じてしまう。
これはもう如何ともしがたいね……
573名無しさん@ピンキー:2007/07/29(日) 21:17:58 ID:C0Ik5l4p
>「…………彼の白いソースの量が全てを証明している」

長門が壊れたw
574名無しさん@ピンキー:2007/07/30(月) 06:56:20 ID:EuCooSi/
長門が壊れるとやっぱ圧倒的な力の差を感じてしまう。
これはもう如何ともしがたいね……
575名無しさん@ピンキー:2007/07/30(月) 07:12:36 ID:qM+dDjEf
>>567
保管庫に入れないなんてとんでもない!
576名無しさん@ピンキー:2007/07/30(月) 17:13:59 ID:dX8EZlKb
>>575
超GJ!!
フェラってる文章をネットリ保管庫に入れたくて勃ったww
とんでもないとかいいながら、スルーの影響を心配している>>575が萌えw
さらにそれに気づいて猛烈に如何ともしがたい>>574(コピペ)に惚れwww
577名無しさん@ピンキー:2007/07/30(月) 18:39:46 ID:qM+dDjEf
>>576
●<ちなみに>>543の脳内垂れ流しを修正した>>548 >>553-556も捨てがたい。
ところで続き、まだ〜?
578名無しさん@ピンキー:2007/07/30(月) 19:20:11 ID:I6HR9G62
続きを読むとやっぱ圧倒的な力の差を感じてしまう。
これはもう如何ともしがたいね……
579名無しさん@ピンキー:2007/07/30(月) 19:31:48 ID:LEhFPxQs
>>317
それだwwww
game13終了予定日6〜10になってるけど6日が月曜じゃまいかwwwww
まじで1週1ゲームで週末にはサバ堕ちコースじゃね?ww
580名無しさん@ピンキー:2007/07/30(月) 19:33:56 ID:LEhFPxQs
ぎゃーゴメン誤爆した。しかもVIPに書いたつもりだったからsageチェック外してあったorz
吊ってくる
581名無しさん@ピンキー:2007/07/31(火) 00:24:05 ID:2FmpY7kN
安易に吊る吊る言うな。
582名無しさん@ピンキー:2007/07/31(火) 01:20:38 ID:CSkrPyBu
初回限定版DVDの絵は良いな。
けどなんで皆檸檬持ってるの。
583名無しさん@ピンキー:2007/07/31(火) 02:01:54 ID:h3KqBuaH
>>581
夏だなあ ああ夏だなあ 夏だなあ
584名無しさん@ピンキー:2007/07/31(火) 02:50:40 ID:AN+zCOZA
ザ・テレビジョン
585名無しさん@ピンキー:2007/07/31(火) 13:49:17 ID:CSkrPyBu
>584
ソレカ。さんく。

……2巻の朝倉、レモンをあの顔のままグシャーって握りつぶしそうだよな、なんか。
586名無しさん@ピンキー:2007/07/31(火) 15:58:26 ID:bb7fw7iK
にちゃあ……
朝倉は、液が滴っている握ったままの『ソレ』をペロリと舐めた。
587名無しさん@ピンキー:2007/07/31(火) 17:42:02 ID:ENF5RABG
>>586
朝倉「この独特の酸味……これが、貴方の味ね……え?もっとなめろって?うん、それ無理」
朝倉は、液が滴り続ける『それ』を何の躊躇いも無く握り潰した。
588名無しさん@ピンキー:2007/07/31(火) 18:12:34 ID:+Uppe7bt
「ねぇねぇ、ソレっておいしいの?」
すると朝倉は手についた液体を妹に舐めさせた。
「うっ、にが〜いしおいしくないよう。」
589名無しさん@ピンキー:2007/07/31(火) 19:07:34 ID:xoWy3RY8
>>585-588
エロパロ板に相応しい流れ。
最高に感動した!
590名無しさん@ピンキー:2007/07/31(火) 20:14:08 ID:qYq42ZQc
>>585-588
なんか卑猥だww
てかどんな状況だよw
591名無しさん@ピンキー:2007/07/31(火) 23:31:07 ID:x21eZYOq
>>589
エロパロ板に相応しい大げさレス。
最高に感動した!
592名無しさん@ピンキー:2007/07/31(火) 23:36:17 ID:LbfdC0WG
「……て―――もて――――――ても―――て……」
なに、やってるんだ?九曜。あと、ここは男湯だぞ。
「…………もんだ―――いない……」
……あんまり見つめないでくれか?ある一部分が大きくなっているのがばれてしまう。
「……だい―――じょうぶ―――わたしが―――ちいさく―――してあげる……」
ちょ、まっ、おちつけ。九曜に手伝ってもらわなくても、小さくすることはできるからな。だから、じりじり近づくのはよしてくれ。な?
「……わかっ―――た―――こんかいは―――やめておく……」
「……でも―――つぎは―――かくごして……」
………次があるのか……
593名無しさん@ピンキー:2007/07/31(火) 23:55:15 ID:+Uppe7bt
>>588の続き
「これ?どうやってだすの?」
すると朝倉はニコリとほほ笑みながら妹に囁いた。
「ソレを手でいじりまわしながら上下に擦るのよ。」
「見るよりやったほうが早いわよ?ほら、触っていると変な気持ちになるでしょう。男の人はこれがいいみたいなのよ。ふふ」
会話が終わる前に妹は俺のアレをぎこちない慣れない手つきで擦っている。
「やべぇ、実の妹に…朝倉…変な…くぅ…事をさせるのを辞めさせて…くれ…」
「うん、それ無理!だって貴男が苦しんで悶えるのを見たいのよ」
くそっ!なってこったこのままでは妹に犯されてしまう。落ち着け冷静になるんだ…しかしこいつにこんな才能があるなんて…
「なんか変な汁出てきたよ?これネバネバしてる?」
「ふふ、そろそろ逝きそうなのよ。舐めてあげて…そうすると喜ぶわよ?」
うう躊躇なく、竿をくわやがった。
「きほしひひ?ひょんふん?」
「何を言っているのだマイシスターううもうすぐ逝きそうだ。初めての人は朝比奈さんと決めていたのに…」
俺が射精を耐えていると朝倉が
「なかなか逝かないわね?じゃあこうするしかないわね。」
いきなり顔を近づけて目を閉じてキスをしてきた。普通のキスではない、ディープだ。
舌を入れられ歯茎の裏や俺の舌をかき回す。はっきりいってもうたまりません。
上からは朝倉下からは妹二段攻撃を受ける。俺みたいなチェリーボーイが耐えられるわけなく思いっきり妹の口内に精をぶちまけてしまった。

カタカタ


カタカタ
あのう?長門さん何を書いていますか?
「………小説」
「あのですね。出来ましたら普通の内容でお願いしたいのですが?」
だが長門は何も言わずキーボードを叩いて文章を書いていった。
作成画面を良く見るとなんと2CHのエロパロの掲示板だった。
「…………私という固体は神とかGJと言われるのを希望している…投稿の許可を…」
「よし!やっちまえ!って冗談だ!おい長門。」

「そう」
と言いながらエンターキーを押した。
594名無しさん@ピンキー:2007/08/01(水) 00:34:28 ID:m6ruviBP
何している昆布さんwww
595名無しさん@ピンキー:2007/08/01(水) 02:23:45 ID:uKvfaDa+
「ねえ、キョンくん。しょじょとかどーてーってなに?」
ぶふっ!?なんだ?藪から棒に妹よ。何でそんな事をいきなり聞く?
「だって、クラスの友達が言ってたんだもん。なにかいけないことなの?」
そんな事は無い。ただ、まだ知るには早いな。もう三年は待ちなさい。
「いやだいやだー!いま教えてよキョンくん」
……しょうがないな。いいか?一度しか言わないぞ?聞き逃しは無しだからな。あのな、処女とか童貞って言うのは、簡単に言うと一度も性行s……エッチをした事の無い人を言うものだ。解ったか?
「ふーん……じゃあ、キョンくんはどーてー?」
あまり妹には教えたくないが……童貞だ。
「それじゃあ、ハルにゃんやみくるちゃんや有希ちゃんは?」
そんな事は知らん。何で俺がそんな事を知っていなきゃならん?
「えー!?つまんないー!」
つまらなくて結構。もういいな?俺は寝るぞ。
「じゃあ、さいごにいっこだけ」
なんだ?手短に頼む。
妹は、満面の笑みで、
「それでは、あたしはしょじょでしょうか?」






みたいな電波を受信した。まさか、妹はキョンの寝込みを襲わないだろう。それとも、キョンは知らぬ間に妹に夜這い掛けられて童貞喪失?
596名無しさん@ピンキー:2007/08/01(水) 02:25:38 ID:t42xn70g
前にもすごーく似たようなのを見た記憶が・・・
597名無しさん@ピンキー:2007/08/01(水) 05:39:54 ID:YnvqZkMO
違和感を感じたなら、それは君の夏休みが何回か繰り返されているのでは?
598名無しさん@ピンキー:2007/08/01(水) 09:19:31 ID:m6ruviBP
エンドレスエイトのネタがあってもおかしくはないわな
599名無しさん@ピンキー:2007/08/01(水) 10:43:53 ID:KZSPwWgD
>>595
「あたしはしょじょでしょうか?」がじょじょでしょうかに見えたw
600名無しさん@ピンキー:2007/08/01(水) 11:52:29 ID:+CXjcjxd
処女でしょでしょ
601名無しさん@ピンキー:2007/08/01(水) 12:42:27 ID:ohS1fx3j
 いつもの部室。
 俺はとんでもないものを発見してしまった。
 パソコンを使うときに座る団長御愛用の椅子の上。それは光の加減によって見え隠れしている。
 見えてしまったものは仕方がない。でも、手に取ろうとするのは自分の意志だ。
 取るんじゃない。
 取ったら自分に負ける。

 椅子の上にある。

 ――一本の毛。
 普通の毛ではない。縮れている。
 しかも、なかなか長い。

 これは誰のだ?
 誰のだからってどうするつもりでもない。何かを期待してる訳でもない。
 ただパーマのかかった妖しく光る毛を見てしまっただけだ。
 誰のと気になる方がおかしい。

 そうだよな……。




という電波を受信した
602名無しさん@ピンキー:2007/08/01(水) 13:35:17 ID:m6ruviBP
>>601から少し電波を受けた。

確かに気になる。一体誰のだろうか?髪の毛というせんというのは?該当者が居ない…
団長席にあったのは確かだ…ハルヒか?アイツの髪はもっと長いし、しかもストレートヘアーのはずだし。他のメンバーもパーマしていない。
やれやれ、気になるので仕方がない調べてみますか。
まず味覚で調べるとしよう。とりあえず噛んでみるかな?ん、何故か少ししょっぱい味がするぞ。匂いはクンクンチーズ臭がする。
しかし誰かチーズを食べたのかもしれん。長門か?あいつは掃除当番だし、朝比奈さん?今日は学校休みなはずだ。訳が分からなくなったぜ。
603名無しさん@ピンキー:2007/08/01(水) 13:52:24 ID:vf97aKO2
>>602
落ちていた毛を拾いいきなり味覚で調べる男、キョン!
いったいどんな岸部露伴だw
604名無しさん@ピンキー:2007/08/01(水) 14:38:43 ID:m6ruviBP
修正
誰のと気になる方がおかしい。
そうだよな……。
やっぱり確かに気になる。一体誰のだろうか?その髪の毛は?
団長席にあったのは確かだ…ハルヒか?アイツの髪はもっと長いし、しかもさらさらストレートヘアーのはずだ。長門や朝比奈さんでもないな。髪色が違う。
やれやれ、仕方がない調べてみますか。俺はその縮れた毛を掴んでいた。
まず最初に味覚から調べる事にした。
噛んでみた。ん、何故か少ししょっぱい味がするぞ。匂いはクン、クン、少しチーズ臭がする。
しかし誰かチーズを食べたのかもしれん。長門か?あいつは掃除当番だし、朝比奈さんと古泉か?二人は今日は学校休みなはずだ。まったく訳が分からなくなったぜ。
このままじゃ埒があかないな。もう少し状況を判断する材料が不足がちだ。ふーむやっぱりハルヒの物だろうか?いや女は陰毛や脇毛は生えないしな。妹もそうだし…

605名無しさん@ピンキー:2007/08/01(水) 15:49:45 ID:EHz9wTpn
ちょwwwキョンは一体何を信じてるんだwww
606名無しさん@ピンキー:2007/08/01(水) 17:21:29 ID:eEM0ym0U
その毛からマッガーレの影が見えた
607名無しさん@ピンキー:2007/08/01(水) 18:09:08 ID:+CXjcjxd
古泉「僕はきちんと処理していますからその点抜かりはありませんよ」
608名無しさん@ピンキー:2007/08/01(水) 19:02:14 ID:m6ruviBP
その時扉がいきなり開いた!
「やっほ〜っ皆いる?なーんだキョンだけ?」
おい、だけとは何だよ…だけとは…まったくしょうがない奴だな。まぁいいか
「アンタ何してんの?まさかアタシに対して嫌らしい事考えている訳じゃないでしょうね?」
(お前に興奮する訳ないだろう!朝比奈さんならわかるが…と口には出さないでおく)
やれやれ、しかしハルヒなら毛の正体が分かるかもしれん。ダメ元で聞いてみるか
なぁハルヒ、この毛何か分かるか?お前の所にあったのだが、俺には訳分からん。
口に加えていた毛を出してハルヒに見せた。するとハルヒは真っ赤な顔をしてブルブル震えていた。
「こ、こ、このエロキョーン!」
ハルヒの奴に思いっきり殴られた。まて!俺はただこの毛の正体が知りたいだけだ。なぜエロ扱いされるのかまったく身に覚えが無い。
「そ、それは…あ……し…の…よ。」
何かを言っているようだが…はっきり言いやがれ!殴られ損じゃないか。
「それはアタシの陰毛なの!このエロキョン!」
おいおいハルヒさん女性は陰毛や脇毛は生えないんじゃないか?嘘を付くな!困った団長さんだ
「馬鹿な事言ってるんじゃないわよ。女だって生えるわよ」 
困ったな。いいかハルヒ…俺は妹の裸をみるが毛なんて生えてないぞ、嘘を誤魔化しても無駄なんだぞ。
「分かったわ…キョン見せれば納得するのね?アンタにだけ見せてあげる…アンタ以外に誰にも見せるわけじゃないから」
するとハルヒはスカートをたくし上げ白いショーツが見えていた。そしておもむろにショーツを下げるとそこには…



暇だから続きを書いた。後悔している。
609名無しさん@ピンキー:2007/08/01(水) 19:11:47 ID:g4Uyh1O0
>>608みてて
キョン(なんだハルヒのかつまんね)

という言葉が浮かんだ
610名無しさん@ピンキー:2007/08/01(水) 19:50:10 ID:zZpHO821
そこにはご立派なマーラ様の御姿が!
611名無しさん@ピンキー:2007/08/01(水) 19:54:28 ID:UICSeNa9
わっふるわっふr
612名無しさん@ピンキー:2007/08/01(水) 20:14:48 ID:IFkxpYN2
>俺は妹の裸をみるが毛なんて生えてないぞ
キョン自重w
613名無しさん@ピンキー:2007/08/01(水) 21:56:33 ID:J65voO7i
むしろ妹自重w
614名無しさん@ピンキー:2007/08/02(木) 00:19:29 ID:jyMU+FCB
そこで自重するのは妹のほうだよな。
成人女性というか妹以外の裸体がどうなってるか知らないってどんだけ厳しい情報規制なんだww

実は知らなかっただけで既に堕とされてたりしてな。
これは新手のマッサ−ジとかって言いくるめられてそのまま押し倒されt(ry
615名無しさん@ピンキー:2007/08/02(木) 06:02:17 ID:ske/ESRi
保管庫更新遅いね
616名無しさん@ピンキー:2007/08/02(木) 06:28:27 ID:ske/ESRi
更新なっていた。orz
しかし佐々木ネタが少ないのう。
とりあえず怪電波を受けた人は書いてみてよ。
617名無しさん@ピンキー:2007/08/02(木) 08:02:59 ID:GqBc1OMe
じゃあ俺怪電波発信するわ
618名無しさん@ピンキー:2007/08/02(木) 09:29:05 ID:iUgtm9Rb
じゃあ俺ジャミングするわ
619名無しさん@ピンキー:2007/08/02(木) 10:18:42 ID:kJfl9+0N
佐々木と妹って、ハルヒより強いヤンデレ臭がするのは俺だけ?
620名無しさん@ピンキー:2007/08/02(木) 10:50:14 ID:PI4oAiao
もうハルヒ以外みんなヤン(ry
621名無しさん@ピンキー:2007/08/02(木) 10:55:12 ID:iUgtm9Rb
作者がヤンd(ry
622名無しさん@ピンキー:2007/08/02(木) 11:42:11 ID:ske/ESRi
○月△日
今日はSOS団の皆がきた。アタシも一緒に遊んでもらった。楽しかった。

○月▽日
この日は佐々木が来た。部屋でプロレスしていた。
「初めてだからやさしくしてくれ、とかああキョン僕の具合はどうだい」とか言っていた」
佐々木が帰った後シーツが血で染まっていた。キョン君乱暴はいけないんだよ?
でもアタシも混ぜて欲しかったなキョン君

○月▲日
今日はシュークリームのお姉ちゃんが来た。犬も連れて、またキョン君の部屋でプロレスしていた。お姉ちゃんは犬のように四つんばになっていた。
随分手慣れているようだった。キョン君がヤバイとか言っていた。疲れないのかなキョン君。
○月▼日
ミヨちゃんが来た。キョン君も国木田君と谷口が呼んでいたみたい。谷口がミヨちゃんにちょっかい出していた。

○月□日
今日は見た事無い女の人が来た。名前を聞くと橘と言っていた。またキョン君の部屋でプロレスしていた。やっぱり佐々木と同じ様に「痛い、凄過ぎます」とか言っていた。やっぱり出血の跡があった。

○月■日
今日は鶴にゃんが来た。さっきアタシの日記を読んでいた。なぜか笑っているみたい。鶴にゃんもプロレスしに来たのかな?
この日記はハルにゃんに見せないでにょろと言われた。

○月◎日
今日はハルにゃんが来るみたい。日誌はキョン君の机の中に隠しておくよ。
623名無しさん@ピンキー:2007/08/02(木) 11:49:43 ID:Pv5bj3dR
1年以上会わなくても、すぐに子供が「パパ」と分かる関係は、
僕は「内縁の妻」と呼べると思うんだ。
624名無しさん@ピンキー:2007/08/02(木) 16:43:40 ID:1zx8cVAO
キョン以外のキャラのCPが久々に欲しい
古泉とか国木田とか藤原とかと女性キャラとか。
百合でも良い。
625名無しさん@ピンキー:2007/08/02(木) 16:45:00 ID:+A6ogjG9
コマーシャルペーパー?
626名無しさん@ピンキー:2007/08/02(木) 16:50:31 ID:UrtDNmmB
古泉と橘って昔付き合ってたらしいぜ?

とかネタ振ってみる
627名無しさん@ピンキー:2007/08/02(木) 21:30:28 ID:BNYMsDqt
「それは嘘だな。橘と古泉がつるむのはもっと後だと聞いているんでね。既定事項だから間違いない」
628名無しさん@ピンキー:2007/08/02(木) 23:21:26 ID:OKKmc1zk
藤原は朝比奈さん(大)の元カレで、
何も知らないみくる(小)についツンツンしてしまうんだせ?

とかネタ振ってみる
629名無しさん@ピンキー:2007/08/02(木) 23:29:41 ID:7UslAAZv
>>628
いや、むしろここは
藤パンは朝比奈さん(小)から(大)への進化における、ミッシングリンクを担っているとかで

具体的には、未来還った後の朝比奈さん(小)をアレコレいたした結果、あのようなバインバインに…とか
630名無しさん@ピンキー:2007/08/02(木) 23:35:40 ID:is9Kpm4K
>>626-629
要約すると、
古泉が藤パンをアレコレいたしたということでおk?
631名無しさん@ピンキー:2007/08/03(金) 00:09:17 ID:lrc8hqLH
>>630
藤パン…あんまりおいしく感じさせないパンだなw

実は佐々木は橘達をあざむいていて実際は神の力をみずから封印していたりして!
と思ったりハルヒの力のアンチかもしれないと思ったときもありました。
だが凌駕を読まないと分からないね?
632名無しさん@ピンキー:2007/08/03(金) 01:49:51 ID:QF09Ptyc
凌駕?何を超えたいんだ?
633名無しさん@ピンキー:2007/08/03(金) 02:20:24 ID:pyhDw8Z4
流れをぶった切って悪いんだが、SOS団の部室で長門がキョンにフェラして、口ん中に出させて、ハルヒの方にそれを吐き出して、「あなたに彼は渡さない」っていったような内容のSSがあったと思うんだが、題名が思い出せない。誰か知ってたら、援護求む。
634名無しさん@ピンキー:2007/08/03(金) 07:25:57 ID:VgSsstFb
>>633
7-695「題なし キョンx長門 被ってそうなネタ」
のことかい?
635名無しさん@ピンキー:2007/08/03(金) 07:50:54 ID:o3zr9WWa
ハルヒとキョンがラブラブになってほしい古泉
しかしキョンはみくるに気がある様子
みくるが邪魔→無理やり………

という古みくが見てみたい
636名無しさん@ピンキー:2007/08/03(金) 10:32:42 ID:pyhDw8Z4
>>634
そ れ だ !thx!!!ありがとう!!
637名無しさん@ピンキー:2007/08/03(金) 10:41:11 ID:CqGQbsbc
>>635
「あなたも任務でこの時代に来ているのでしたら、もっとこう、彼との付き合い方をですね」
「あ、大丈夫ですよ古泉くん。キョンくんとは上辺だけの付き合いですから」
「…………」


「あなたも任務でこの星に来ているのでしたら、もっとこう、彼との付き合い方をですね」
「くそったれ」
「……えっ?」
「彼が言っていた。くそったれと伝えろ、と」
「…………」


「ストレートに聞きます。涼宮さんは彼の事をどう思っているんですか?」
「奴隷だね」
「…………」
「って受け返しの答えが今読んでるマンガにね……ってあれ、古泉くん? どこ行ったのかしら?」


 どうした古泉、そんな部屋のすみで枝なんか折りまくって。
「別に何も。僕なりのあなたへの皮肉ですよ」
 ……?
638名無しさん@ピンキー:2007/08/03(金) 11:22:48 ID:UucX1bPU
>>637
みくる黒いなあw
639名無しさん@ピンキー:2007/08/03(金) 12:57:36 ID:0kFGywI6
お前ら小ネタはいいからSS書いてくれw
640名無し@ピンキー:2007/08/03(金) 13:52:52 ID:8CedwAgF
641名無しさん@ピンキー:2007/08/03(金) 19:39:10 ID:muEecNzg
見かけによらずハルヒが貧相な団地住まいをしていて、そこへ病見舞いにキョンが行くSSって
無かったかな?
642名無しさん@ピンキー:2007/08/03(金) 19:49:39 ID:VMlgUunx
あったのは憶えてるが、タイトルが出てこない…
643名無しさん@ピンキー:2007/08/03(金) 20:40:50 ID:lrc8hqLH

♪  ∧_∧
   (´・ω・`)))
 (( ( つ ヽ、   ♪ 変態♪
   〉 と/  )))
  (__/^(_)

    ∧,_∧ ♪
  (( (    )
♪   /    ) )) ♪佐々木 ♪
 (( (  (  〈
    (_)^ヽ__)

♪ ∧,_∧
(丶(´・ω・`)     まだ〜♪
  \  (丶ヽ ♪
   〉    )
  (__ノ^(_)
644名無しさん@ピンキー:2007/08/03(金) 20:41:28 ID:I2Fn6cHO
>>637
あずまんが
ハルヒ
サザンアイズ
だっけ?
645名無しさん@ピンキー:2007/08/03(金) 21:26:05 ID:32poo0s4
俺も待ってる変態佐々木シリーズ。

つーか、誰も正式タイトルで呼ばないくらい定着しててワロタw
646641:2007/08/03(金) 21:40:54 ID:muEecNzg
頼む!教えてくれ。
647名無しさん@ピンキー:2007/08/03(金) 21:41:10 ID:VuRZG+iI
【キョンの限界】
俺はもう限界だ。
よりによってこんな日にSOS団の活動があるなんてな。休日くらいゆっくりさせろ。…?なぜ俺が限界なのかって?理由は単純だ。この一週間、忙しくてオナニーができなかったからだ。まぁ、そういう訳でしぶしぶ集合場所に行ったのだが…

「ちょっとキョン!10分遅刻よ!罰金ね!」
はいはい。また俺の奢りかよ…
「仕方ないですよ。遅れる方が悪いんですし」
うるせースマイル野郎、お前に言われたらムカつくんだよ!…まぁ、ここは無視しておくか。


「お腹も膨れたことだし、ペアを決めるわよ!」
「無印だ」
「僕は赤ですね」
「無印だわ!」
「私は赤ですぅ〜」
「……赤」
ちっ!朝比奈さんと一緒が良かったのに…
「じゃあ、私とキョン、古泉くんとみくるちゃんと有希ペアね!二時間後に集合よ!」
そんなこんなでハルヒと二人きりになったのだが…
今の俺にはキツすぎる…大体なんで今日に限ってハルヒの露出が多いんだよ!
……こうして見るとやっぱハルヒって可愛いよな…スタイルもいいし…
「何さっきからジロジロ見てんの!?キモいわよエロキョン!」

ギクッ!!   
648名無しさん@ピンキー:2007/08/03(金) 21:44:02 ID:QF09Ptyc
驚愕より先に台風が来るとは思ってなかった
649名無しさん@ピンキー:2007/08/03(金) 21:57:08 ID:VMlgUunx
>647
わっふるわっふr
650名無しさん@ピンキー:2007/08/03(金) 22:00:44 ID:CJJmqPRD
>>641
vipの「おうちえかえろう」か?
ttp://www25.atwiki.jp/haruhi_vip/pages/2244.html
651名無しさん@ピンキー:2007/08/03(金) 22:03:18 ID:VuRZG+iI
【キョンの限界】
べ…別に見てねぇよ!お前の思い過ごしだ!しかも、俺の趣味は朝比奈さんみたいな…「みくるちゃんがどうしたって〜?」
すまん、ハルヒ!何でもない!
「…まぁ、いいわ。でも、それより、さっきから脚とか胸とかに視線を感じるのよね…露出しすぎかしら。」
当たり前だ。ハルヒみたいな美少女がこんな露出の多い服きてたら百人中百人が振り返るね。性格を知らなかったらの話だがな。
「なんか言った?今日のアンタおかしいわよ!?」
そうか?俺は普通だが…
「ほんとに?なんか隠し事でもしてるんじゃないd…!?」
その時ハルヒは何かに気づいたように会話をやめた。一瞬、俺の股間を見たような気もするが…もちろん、俺の息子はバリバリの戦闘体型だ。

どうした、ハルヒ?顔が赤いぞ?
「な、なんでもないわよ!エロキョン!」
これは完璧に気付かれたな…だが、どうすることもできなかったんだ。こればかりは仕方がない。
と、ここでハプニングが起きた。ハルヒに見られたことによって、俺の息子が今までにない勢いで膨張していったのだ。目の前にはハルヒ、周りは誰もいない公園。もう我慢ならん。俺の理性は吹き飛んだ。

ハルヒ!
「なにy…!?」
 
652名無しさん@ピンキー:2007/08/03(金) 22:07:02 ID:8WHczd2O
書き溜めて投下しろ
653名無しさん@ピンキー:2007/08/03(金) 22:14:27 ID:lrc8hqLH
できれば完成させてからお願いしたい。
セクロスシーンは気合いをいれなされ
654641:2007/08/03(金) 22:18:11 ID:muEecNzg
>>650
thx!
漏れはこの空気が好きだったんだよ
655名無しさん@ピンキー:2007/08/03(金) 22:25:06 ID:VuRZG+iI
【キョンの限界】
俺は勢いに身を任せてハルヒを草むらに押し込んだ。

ハルヒ…ハルヒ…
「っ痛…なにすんのよ!」
ハルヒィ〜、朝から限界なんだよ…しかも、お前がそんな服を着てるし…もうだめなんだ。

そういうと俺はハルヒの服を無理矢理脱がして胸を揉んだ。
「…んっ…ゃめなさ…ぃ…」

胸の感触はこの世のもなとは思えないほど素晴らしかった。俺はズボンを脱いでハルヒの胸に息子を押しつけた。

やわらけぇ〜…ハルヒぃ気持ちいいよ…
「なにかあったの!?やっぱりおかしいよ!キョン!やめてよ…」
哀願するハルヒを無視して、俺はハルヒの胸でパイズリをし始めた。手コキの百倍は気持ち良いね。まさに天国だ。
「ぁ…んっ…ぃや…もぅ…ゃめて…」
うるさいな。黙ってなめろ。

俺はハルヒの口に息子を押し込んだ。
「…ムグッ!?…」
悪いな。もう射精るわ。
「…!!?……苦い…」
ハルヒの口の中に一滴残らず注いでやった。半端なく気持ち良かったぜ。最高だな!
だが、この程度では満足などしなかったさ。なんせ一週間も禁欲生活を送っていたんだからな。そして、乱暴にハルヒのパンツを脱がしてマンコをなめ回した。
656名無しさん@ピンキー:2007/08/03(金) 22:28:52 ID:8WHczd2O
夏のにおいがプンプンと…
657名無しさん@ピンキー:2007/08/03(金) 22:40:05 ID:CtyiU5bZ
どこからのコピペ改変ですか
ネタ元が知りたいですね
658名無しさん@ピンキー:2007/08/03(金) 22:48:35 ID:VuRZG+iI
【キョンの限界】
「そ…そこはダm」
ハルヒが何か言いかけたところでクリちゃんを思い切り引っ張ってやった。すると、ハルヒは一瞬のうちに潮を吹いて痙攣をおこしていた。

「あ…あぁ…たすけ…て」
助けなんて来ねぇよ。
「ぃや…いやだ…キョン…もいやめて…」
ハルヒ、お前は俺が嫌いなのか?
「嫌い…じゃなぃ…けど…こんなことするキョンは…大っ嫌い!!」
あー?俺はお前に毎日こき使われてんだぞ?これくらいしてもいいじゃねぇか!!

次の瞬間、俺にこみ上げてきたものは怒りだった。
どうやらハルヒは痙攣がおさまったようだ。

挿入れるぞ?
「いや!それだけはイヤ!挿入れたりなんかしたら殺してやる!」
それでこそやりがいがある。
さらば童貞フォーエバー

怒りと欲望に身を任せてハルヒの膣内に突っ込んだ。
「痛い!痛い!嫌よ!こんな屈辱…!」
なんだ、ハルヒ。初めてだったのか?

更に激しく突いてやった。
「痛いっ!やめて!もうやめなさい!!」
ハルヒぃ〜お前の泣き顔最高だよ。
そう言うと、ハルヒにキスをしてやった。
「んぷっ!?」
ハルヒの舌を絡めとり、口の中をなめ回してやった。
「ファーストキスなのに…」
659名無しさん@ピンキー:2007/08/03(金) 22:51:10 ID:lrc8hqLH
ハルにゃんかわいそうだよキョン君。
660名無しさん@ピンキー:2007/08/03(金) 22:52:44 ID:VMlgUunx
ハルキョンものでも、こうゆうのは苦手かなぁ
661名無しさん@ピンキー:2007/08/03(金) 23:05:52 ID:VuRZG+iI
【キョンの限界】
次にハルヒの乳首を吸ってやった。
「ひあっ!…あふぅ…」
まずい、もう射精ちまう…
「!?ちょっと待って!まさか膣内に射精すつもりじゃないでしょうね!?」
その通り。よく分かったな。
「膣内はダメよ!射精したりなんかしたら死刑よ!死刑!」
黙れ、たっぷり注いでやるから心配すんな。
「待って!お願いだから膣内だけはやめて!!なんでも言うこと聞きますから!!」
問答無用。
「そん…な…」
うっ!
今までにない凄い量だな。
さすがに膣内はまずかったか…
「ぁ…ぁああぁ!!」
ハルヒは失禁しているようだ。まさか尿まで一緒に出すとはな。とんだ淫乱女だぜ。
「アン…タのせいでしょ…許さないん…だから…」
まだ言うか。どこまで持つか楽しみだなコリャ。

「!?ちょっとキョン!何してるの!?そこは…!」
ぐったりしたハルヒのアナルに息子をぶち込んだ。これだけ溜まってたんだ。まだまだ満たされないね。
「痛い!裂けるって!ホントにやめてよ!!!」
やだね。こんなに気持ち良いことを誰がやめるんだ。教えてくれ。

それから俺はハルヒに陵辱の限りを尽くした。
662名無しさん@ピンキー:2007/08/03(金) 23:07:40 ID:CqGQbsbc
>>644
バレたっ!!
さて小ネタに走ってばっかいないでSS書こう……
663名無しさん@ピンキー:2007/08/03(金) 23:40:37 ID:VuRZG+iI
【キョンの限界】
何時間経ったのだろうか。ハルヒは一時間ほど前に声を出さなくなった。まるで人形だ。
虚ろな目をしたハルヒの顔に精液をぶっかけて俺は帰路に着いた。もちろんハルヒを放置したままでだ。

古泉や長門や朝比奈さんはもう帰ったのか?そう思い、古泉に電話をかけた。
古泉か?今日はすまんな。もう帰ったか?
「はい。あまりにもあなた達が遅いのでお先に帰らせてもらいました。」
そうか。閉鎖空間は発生したか?
「いえ。なぜです?また何かやらかしたのですか?」
いや、なんでもない。
そう言うと俺は電話を切った。それから長門と朝比奈さんに謝罪メールを送っておいた。

次の日、目覚めは快調だった。昨日あれだけ発散したんだ。当然だな。

学校に行くとハルヒがいつもどおりに座っていた。
なんて声をかければいいのやら。
とりあえず俺はなるべく目を合わさないようにして席に着いた。
「今日のSOS団は昨日の反省よ!」
あ、あぁ…
なぁハルヒ、怒ってないのか?
「そうね〜アンタがキレると怖いっていうのは分かったわ!でも後で死刑なんだから!」
すまんかった…でもハルヒが可愛かったから…
「…///やっぱり死刑は取り消してあげる!」
664名無しさん@ピンキー:2007/08/03(金) 23:43:10 ID:zQs7jsDG
sageろ
665 ◆LeyXT4003g :2007/08/04(土) 00:32:59 ID:bwcj+6vV
>>663
sageやしねえし、改行もしねえし、2時間にわたる細切れ垂れ流し投稿。ちったあ迷惑を考えろと言いたい。
まあこれでだ、文章が巧いだとかプロットが斬新だとか心情が丁寧だとかのいわゆる秀逸さがあれば、投稿形式なんつー些細なことに目を瞑らなくもないがね。
こりゃまた見事なまでのお約束強引SS。新手のネタかって疑いたくもなるぜ。書いてる奴自身が「限界」だったんじゃねえのと思っちまうような願望充足型だからな。
近所の保育士ならこんな文章からも褒められる点の一つは見つけられるだろうが、俺はあいにく男のお子様を可愛いがるケは持っちゃいないね。
待てよ、レイプから始まる恋愛だから書いてるのは女の子か?否否、こんなもんを書く女は幼女老女貧乳爆乳関係なく願い下げだ。
一つ言いたい。ここの他に発表する場所はなかったのか?例えばチラシの裏に印刷して台風の風に乗せてばらまくとかさ。そのほうがよほど評判になるぜ。オススメはしないが。
666名無しさん@ピンキー:2007/08/04(土) 00:52:20 ID:I3RWZ6o0
別に擁護する訳じゃないが(それどころか読んですらいないが)

>>665
できが悪いから、別のところでやれと受け取れる感想を書くのはどうかと思うがね。
667名無しさん@ピンキー:2007/08/04(土) 00:55:13 ID:9TAWp7TR
そう受け取った奴なんか居るのか?と思ったが↑見てると受け取りかねないなw
668名無しさん@ピンキー:2007/08/04(土) 01:13:09 ID:CUA+STum
(´・ω・`)
669 ◆LeyXT4003g :2007/08/04(土) 02:00:08 ID:bwcj+6vV
すまん。
670名無しさん@ピンキー:2007/08/04(土) 02:05:06 ID:41xlwQRL
>>669
まあせめてもう少し改行してみやすくしろってこった
671名無しさん@ピンキー:2007/08/04(土) 02:05:23 ID:xNrMZgYg
無視されるよりも、ちゃんと言ってくれる人がいるだけ幸せだよ。
少し言い過ぎているように感じられるけど、改行とか指摘してくれているから改善しやすいように言ってくれてるよ。
ただ、批判するだけの人よりずっとマシ。
最低限、sageと書きためてから投下した方がいいとおもう。
sageの仕方はメール欄にsageと書くだけだから。
672名無しさん@ピンキー:2007/08/04(土) 02:35:10 ID:xNrMZgYg
あと、今回のようなときは投下前にレイプ描写有り注意とか、カップリングとかを事前に書き込んでおけばいいと思う。
そうすれば、後は読み手の責任になる。嫌いなシチュ、カップリングだからって叩いてくる人がいても、分かっていて読んだ人の責任になる。
書き手が書きたいものを書くのであって、読み手がそれを制限するのはどうかと思う。
673名無しさん@ピンキー:2007/08/04(土) 09:02:48 ID:vW3y7P9W
え?批判するだけのナニが悪いんだ?
674 ◆30tHANivrc :2007/08/04(土) 09:19:23 ID:0cDT4+h9
>>669
どどんまい。というより前から楽しんで読んでた。もっとやってくれ。
675名無しさん@ピンキー:2007/08/04(土) 09:56:25 ID:91s4b/xY
ニコニコのとある動画を見た
ENOZがエロすぎる
676名無しさん@ピンキー:2007/08/04(土) 10:42:03 ID:/rqqPI2V
去年は>>665くらいの辛辣さはザラだったんだがのぅ……。
677名無しさん@ピンキー:2007/08/04(土) 10:45:33 ID:xSAFIW7U
>>675
ENOZのエロは見た事無いな。
ハルヒを軽音に入れる為キョンに逆レイプする四人。
678名無しさん@ピンキー:2007/08/04(土) 11:20:58 ID:/Elw6lKU
>>672
カップリングは特殊なもの以外必要ないだろう
679名無しさん@ピンキー:2007/08/04(土) 11:30:37 ID:GQSkSc+/
>>676
なんかわかるなー。
でも夏厨にも優しい住人に感動した。
680名無しさん@ピンキー:2007/08/04(土) 13:42:07 ID:DqbH+F/T
特殊なカップリングか…
谷口×ハルヒ ルソー×シャミセン とかかな
681名無しさん@ピンキー:2007/08/04(土) 13:55:29 ID:lHnqJSim
というか「細切れ投下、住民の反応無視」はどこ行っても荒らし扱いだろ
これで賞賛された人間なんかこの板で見たことねえ
ついこの前もハヤテだか何かのスレでかなり叩かれてたし
682名無しさん@ピンキー:2007/08/04(土) 14:59:25 ID:Ow94/Rfj
>>ルソー×シャミセン
ごめん、すごく見てみたい。
ってか、ルソーって♀なのか?
683名無しさん@ピンキー:2007/08/04(土) 15:07:09 ID:ZMIDsfID
>>682
種族の垣根を越えてるのはいいのに、男女にはこだわるのかw
684名無しさん@ピンキー:2007/08/04(土) 15:13:56 ID:xNrMZgYg
獣姦なんてよくあること。
それより性別の方が大事だよ。
っていうか獣同士の場合、獣姦のジャンルに入るのかな?
685名無しさん@ピンキー:2007/08/04(土) 15:16:51 ID:jKCNK4O3
ってかセリフどうするんだ?
擬人化か?w
686名無しさん@ピンキー:2007/08/04(土) 15:20:53 ID:QmHai8Lc
ハルヒの想像でシャミの中にキョン、ルソーの中に阪中
でも途中で気が変わってルソーの中が古泉になってアッー!
687名無しさん@ピンキー:2007/08/04(土) 15:20:57 ID:RuuIGGP4
にゃー
わんわん
ごろにゃーご
わん////
688名無しさん@ピンキー:2007/08/04(土) 15:22:21 ID:RuuIGGP4
sage忘れた
スマソ
689名無しさん@ピンキー:2007/08/04(土) 20:06:44 ID:UOCYHJoN
バロス
690名無しさん@ピンキー:2007/08/04(土) 20:56:58 ID:wkSkG9xz
妙な盛り上がりを見せたな
691名無しさん@ピンキー:2007/08/04(土) 22:11:34 ID:sGPtXlIz
>>681
住民の反応無視は言語道断だろうが、細切れ投下を逆手に取った作品なら最近あったな。
45-256。
692名無しさん@ピンキー:2007/08/04(土) 22:20:08 ID:xSAFIW7U
>>691
ごめんそれ俺だわ。あの時はオチがあるから読んでくれれば分かってもらえると思ったからね。
693名無しさん@ピンキー:2007/08/04(土) 22:54:53 ID:ZZgQbXvC

「閉鎖空間とかけて」

どうした急に、長門。

「あなたと解く」

察するに、宇宙人作の、地球的冗談の類らしい。
……ここは言ってやらねばなるまいな。

「あー……。その心は?」








「なかなかデレない」

すまん、さっぱりわからないんだが。
……あのー、朝比奈さん? 肩を震わせて爆笑をこらえておいでのはなぜでしょうか。
694名無しさん@ピンキー:2007/08/04(土) 23:21:57 ID:xSAFIW7U
>>693
続きに気体
695名無しさん@ピンキー:2007/08/04(土) 23:23:22 ID:V+z1UYf2
うまいなw
696名無しさん@ピンキー:2007/08/04(土) 23:24:59 ID:OoZQuCYQ
な…長門が進化しているっっ!!
697名無しさん@ピンキー:2007/08/05(日) 00:00:09 ID:KFaritfF
>>670
この程度で改行が少なくて読みにくいんなら、ここのSSは読まない方がいい。
698693:2007/08/05(日) 00:14:20 ID:lLMhcTM4

いえ、こちとら初投下の一発ネタ……気体されても昇華できません> <

地の文のキョン語りがスラスラ書ける人とか羨ましいよ
699名無しさん@ピンキー:2007/08/05(日) 00:19:19 ID:pEjrPVFV
レイプくらいでガタガタ言う奴がエロパロ来るなと思った

【限界】とかいう超絶糞SSとは別の話だが
700名無しさん@ピンキー:2007/08/05(日) 00:26:08 ID:O6WQsD2k
エロパロである以上、シチュエーションにどうこう言うつもりは毛頭ないです。
ただ、ある程度の文才はほしいぜ。
701 ◆q3/X1KMqGk :2007/08/05(日) 00:33:31 ID:HwRBpIaV
<<7OO
才能がない奴だっているんだ。あまり、攻めてやるな。
702名無しさん@ピンキー:2007/08/05(日) 00:43:30 ID:EAEH14ms
>>701
フォローになってねえwww

ていうか、才能あろうがなかろうが、
文章なんて書かなきゃ上達しないだろ。
ましてやSSに文才を求めるほうがおかしいんじゃないか?
最低限のルールは守るべきだが、
それ以外は暖かく見守ってやれや。
703名無しさん@ピンキー:2007/08/05(日) 00:44:32 ID:0EmHIdE9
俺は文才はともかくブツ切れは、な
704名無しさん@ピンキー:2007/08/05(日) 03:35:53 ID:cmqh0SLB
保管庫が403になるのは俺だけ?
705名無しさん@ピンキー:2007/08/05(日) 03:48:02 ID:QCXb8WIg
奇遇だな、俺もだ。ったくどうなってやがる、
まさかあいつが、エロシーンを公開されるのが嫌で・・・・
封じるために403にしたとか?無意識に。

やれやれ。
706名無しさん@ピンキー:2007/08/05(日) 09:44:15 ID:YVyuLKTA
保管庫見れねぇ…
707名無しさん@ピンキー:2007/08/05(日) 10:25:57 ID:sH75wLJO
今普通に見れるがな。
708名無しさん@ピンキー:2007/08/05(日) 10:40:26 ID:RpdUbLM/
俺はアウトだ。
題名一覧は観られるが、中身が読めん。
709名無しさん@ピンキー:2007/08/05(日) 10:43:08 ID:6pFIfTNa
保管庫が見れない・・・何故だ?
あと変態佐々木さんシリーズの正式タイトル誰か教えてくれ。ささっきー好きとしては見てみたい気持ちで一杯なんだ・・・
710名無しさん@ピンキー:2007/08/05(日) 10:49:51 ID:sH75wLJO
>>709
笹の木狂奏曲とか。
俺も中が読めなくなった。
711名無しさん@ピンキー:2007/08/05(日) 11:30:34 ID:6pFIfTNa
>>710
d
回復を待つしかないか・・・
とりま、残業&早出の夜勤明けには眠すぐる・・・ので寝る・・・
712名無しさん@ピンキー:2007/08/05(日) 11:38:37 ID:bKJqzl5i
マジで見れねぇぇおああ!orz
713名無しさん@ピンキー:2007/08/05(日) 13:23:31 ID:sFZKi5O/
日曜くらいのんびりしてろっていう長門なり気遣いによる情報操作だよ、きっと。
714名無しさん@ピンキー:2007/08/05(日) 14:20:25 ID:qynGrJyy
未来からすれば規定事項なんだろ、きっと。

たとえば変態佐々木のシリーズで自慰しようとして果たせず、
モヤモヤしたまま街に出たら、互いに素直になれなかったツンデレの同級生と
バッタリ出会い、暑さともてあます性欲からつい致してしまうとかな。

それによって、未来にとって重要な人物が産まれる訳だ。たぶん。
715名無しさん@ピンキー:2007/08/05(日) 15:19:45 ID:HwRBpIaV
まあ、そういうこともある。
716名無しさん@ピンキー:2007/08/05(日) 15:23:17 ID:Fs8GYBsg
こういう悲劇を繰り返さないためにも
変態佐々木シリーズは書き続けられるべきだと思うんだ。
717名無しさん@ピンキー:2007/08/05(日) 16:02:10 ID:rIxMedyF
復活した?
718名無しさん@ピンキー:2007/08/05(日) 16:39:45 ID:sH75wLJO
読める読めるぞ!(;´Д`)ハァハァ佐々木タン
719名無しさん@ピンキー:2007/08/05(日) 17:13:55 ID:Ahekeyeu
読める読めるぞ!(;´Д`)ハァハァ…ハルヒ(長)
720名無しさん@ピンキー:2007/08/05(日) 18:46:42 ID:K6RaBxLD
携帯からぽけブラで見たら変な宣伝しか出ねえ・・
他は大丈夫だが。
721名無しさん@ピンキー:2007/08/05(日) 20:51:01 ID:HwRBpIaV
何はともあれ良かったじゃねぇか(^w^)b
722名無しさん@ピンキー:2007/08/05(日) 21:19:46 ID:6CLWcYe5
キョンが女性陣を耳掃除で籠絡していくSSのタイトルって何でしたっけ?
723名無しさん@ピンキー:2007/08/05(日) 21:33:18 ID:sH75wLJO
>>722
イヤーズクリーンコンサルタント(40-77)
724名無しさん@ピンキー:2007/08/05(日) 22:01:08 ID:6CLWcYe5
>>723
やぁ、これこれ。この話大好きだったんで、もう一度読みたかったんですよね。
ありがとうございました。
725妹の策略(佐々木編):2007/08/05(日) 22:44:05 ID:sH75wLJO
「キョン君、ねぇキョン君、お願いだからこっちにきてよ〜♪」
なんだ妹よ。なんか用か?俺はお前に用はないから…それじゃお休み。
「だ〜めだ〜め、ちょっとあたしが用があるの!」
いったいなんだ明日学校だが早く寝にないとだめなんだぞ。
「これ!お願いだからキョン君女の子に優しくしなきゃもてないぞ」
おいおい朝比奈さんや長門なら分かるがお前なんか女と思った事何か無いぞ!
「ぶ〜っひどいよ。キョン君今の事ハルにゃんに言うよ」
やれやれ…分かったよじゃあこっちをむけよ…穴を良く見せなさい、じゃあ少し開くぞ。
「やだぁ〜キョン君くすぐったいよ…あっ気持ちいいよ。」


そして佐々木がキョンに会いに来たある日
佐々木は妹の部屋
キョンは部屋を片付けをしている。

「…ってねぇ…キョン君はねぇ穴を傷つけ無いようにするの上手いんだよ。」
(キョン…まさか君は実の妹に手を出すなんて…なんて不潔なんだ。)
そ、そうなんだ。アイツは優しくしてもらったのかい?
「それでね!最初は恐かったけど段々気持ちが良くなっていくの。」
……あはははは、もう我慢できない。中学時代はあんなにマイクロミニスカート等でアプローチしても下着には興味を示さず
(勝負パンツ穿いていても見ないふりして)
自転車二人乗りで胸を当てても反応が無くもしやと思ったがやっぱりシスコン?
「んとねぇ?ミヨちゃんもいつもやってもらっているんだよ?えへへ」
誰?その人は?SOS団には居なかったな…チッ橘さんも案外使えないな。
「あたしの親友だよ!小学六年生すごっく可愛いんだよ?」
(おいおいキョン…君はシスコンじゃなくロリコンだったのか…このままではいけない私が何とかしなければ…)
「ん?どうしたの?顔色悪いよ。キョン君にやってもらったら?気持ちいいよ!」
分かった…私は初めてだけど彼ならあげてもいい。これ以上キョンを変な道に踏み外さないようにする為に
「あれ〜何をあげ「じゃ私はキョンの部屋に行ってくる。」ちょちょ佐々木〜!」
バタン
……行っちゃった…ふぇ〜んキョン君が取られちゃうよ〜ただの耳掃除なのに〜ぃ
そうだハルにゃんを呼べばいいんだ。なら一刻も猶予はないんだ!
もしもしハルにゃんアタシ…
ガチャ
いきなりドアが開き佐々木が思い詰めた顔をしていた。いったいどうかしたのか?妹と何かあったのか?
「キョン……僕はもう覚悟を決めたよ。自分に正直になる…だから」
あいつは何か小言でボソボソ何かを言っている。
ガチャ
おい鍵を掛けて何をするんだ?          
すると玄関がチャイムの音が聞こえてきた。
726名無しさん@ピンキー:2007/08/05(日) 22:48:53 ID:sH75wLJO
以上です。妹の策略は最終回
楽しめたら幸いです。
m(__)m
727名無しさん@ピンキー:2007/08/06(月) 00:01:03 ID:ITwCBW4r
佐々木のハジメテがそんな形でなくなってしまうのは実に惜しい…orz
728名無しさん@ピンキー:2007/08/06(月) 00:09:59 ID:0YaAs+oQ
>>726
佐々木のどこまで突っ走る妄想にワロタw
すごく楽しめました。乙です。
729名無しさん@ピンキー:2007/08/06(月) 00:24:21 ID:ZtZBn7oI
oつ
730726:2007/08/06(月) 00:30:53 ID:S5Q85Pu/
>>726
×妹の策略
○黒妹(佐々木)
間違えた。
731726:2007/08/06(月) 00:44:02 ID:S5Q85Pu/
修正
カチッ
おい鍵を掛けて何をするんだ?          
すると玄関からチャイムの音が聞こえてきた。
732名無しさん@ピンキー:2007/08/06(月) 19:57:42 ID:S5Q85Pu/
俺しか居ないみたいだな。
やれやれ、一人も淋しいな
733名無しさん@ピンキー:2007/08/06(月) 21:15:33 ID:Zc+x81g7

   ∧∧
  ( ・ω・) おれもいるよ…
  _| ⊃/(___
/ └-(____/
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

  <⌒/ヽ-、___
/<_/____/
734名無しさん@ピンキー:2007/08/06(月) 21:23:05 ID:ajzavkZV
なぜ寝るw
735名無しさん@ピンキー:2007/08/06(月) 21:28:05 ID:b3iDJIoB
                     i|     .i
                     | |     .||
              _______,| .|_,,___!.|、
    __          \  /|/// / |i!' ゙゙゙̄',''
    ゙' - , _ ̄ ゙" ''' '' ─;-/_, ./  /__゙., -;;:''______________ 俺もいるぜ!!
       "''.‐- ,,, /  ./;:/ノ,.  / / \______,,,,,,  --‐‐‐'゙
 - - -  - - -  -'!i, /;;'./ ̄) /;';/.,/'゙- -  -  - - - - - -
             ゙‐-./:::: / /--゙           +
   ‐ - ; . -‐ _ ‐ ./::::;/./   ;;    ‐ -‐ _-         
      ;  .   .  /⌒ /       +              
     +  .‐  . '  /  ./      ;  -  ; ‐   _-
      ,        |./     ‐   ゙
    _______゙_________________
    ///////////////////////
736名無しさん@ピンキー:2007/08/06(月) 21:59:37 ID:jvPWWsNE
俺はここにいる
737名無しさん@ピンキー:2007/08/06(月) 22:44:51 ID:2egIRqyZ
ゴメン、俺は居ないかも
738名無しさん@ピンキー:2007/08/06(月) 23:16:39 ID:RzbqRBni
よし今から点呼をとるぞ
居ない奴は返事しろ
739名無しさん@ピンキー:2007/08/06(月) 23:22:04 ID:KEOXUrjc
ノシ
740名無しさん@ピンキー:2007/08/06(月) 23:25:39 ID:MQqUTcGp
はいっノ
741名無しさん@ピンキー:2007/08/06(月) 23:38:55 ID:2384Xwvc
みんな寂しいんだね
742名無しさん@ピンキー:2007/08/06(月) 23:48:03 ID:mX0u7PVO
少年オンザの人最近投下無いな。
hpも三ヶ月ぐらい更新してないし、
やっぱ驚愕が出ないことにはネタに困るんだろうな。
743名無しさん@ピンキー:2007/08/07(火) 00:17:52 ID:ODluaez4
なぜ壊れたwwww
744名無しさん@ピンキー:2007/08/07(火) 01:52:14 ID:JnrF6lHr
>>742
俺も心配だ。ネットは急に消息くらむからな。
745名無しさん@ピンキー:2007/08/07(火) 03:25:13 ID:R39wZ4XA
今頃キョンとハルヒは励んてるところか
746名無しさん@ピンキー:2007/08/07(火) 07:38:34 ID:ai3PVNpX
ちょいとお聞きしたいのだが、分裂は平行世界の話しなのか?
747名無しさん@ピンキー:2007/08/07(火) 07:55:03 ID:HWVqdUVL
色んな所から噂を聞いてきました
748名無しさん@ピンキー:2007/08/07(火) 09:12:58 ID:EXwNpaEk
>>746
たぶんそうでしょう。朝比奈さんが言っていた分岐点じゃないかと思いますがね?
749名無しさん@ピンキー:2007/08/07(火) 09:43:12 ID:JnrF6lHr
平行世界っちゃそうだろうけど、これまでの前フリからして「上書きされた時系列」である可能性が高い気がする。
見た感じβをαが書き換えたっぽいよねってのはもう発売当初から言われてることだけども。
750名無しさん@ピンキー:2007/08/07(火) 16:04:32 ID:Rn39GTsF
驚愕が出ない限り、結論は宙ぶらりんなままだけどな。
751名無しさん@ピンキー:2007/08/07(火) 16:22:25 ID:sWaIx1hP
スレ違いではあるが、俺はどちらも上書きされる前だと思った。今はどっちも進行形で存在してると。
752名無しさん@ピンキー:2007/08/07(火) 19:07:37 ID:IIM8gRtq
10レスぐらいのハルヒもの投下しますです
753デートの心得1/10:2007/08/07(火) 19:08:51 ID:IIM8gRtq
何の変哲も無い普通の高校生が昼休みに語り合う話題なんてのは、そうそう代わり映えのない物だ      ろうと思う。
 少なくとも、変哲極まりない日常の中で平凡を唯一の利点に生きている人間が居るとすれば、極々ありきたりな話題を選ぶに違いない。
 すなわち俺はこの気だるい午後の時間にあって、わざわざ神経を磨り減らされるような事情がないように願ってるってことだ。

「っつー事は、だ、キョン。お前は過去に一人も女が居たことがないばかりか、女の気配一つなかったと、そう言う訳か」

 極端に暑くもなく、耐え難いほどに寒くもない。中途半端この上ない、だからこそ俺の好む季節。
 過ごしやすい時期、その上後ろにはハルヒも居ない、心休まる一時だ。
 だっていうのにこの男はどうしてだろうね、こうも余計な考えばかり浮かばせるのか。
 そういう無駄なアイディアを発露する機会は悪夢の試験週間にとっておいたらどうだ。
 校歌を一面に書き連ねれば合格点がもらえるって学園伝説を谷口、お前が樹立するとかな。

「前回カレーの美味しい作り方を書いたらマイナス5点されたから二度とやらん。
それよりお前だ、朝比奈先輩や長門有希と二人だけで見かけたって話は聞いてるぜ? 
立派なデートじゃねぇか。意識して見せないのを格好良く感じるのは小学生までで十分だと思うがな」

 本気で試験でやったのか。もうお前自身が伝説で良いな、間違いない。なんなら生徒会長に掛け合って生徒会通信に載せてもらうってのはどうだ。ああ見えて話と浪漫のわかる男なんだ、あの人は。

「黙れ、話を変えて逃げるな。俺はな、お前がそうやって何もない何もないって言い張るのが失礼に当たるんじゃないかって言ってるんだよ。 朝比奈さんみたいな美女が男から何の意識もされてないなんて知ったら、そりゃぁ傷つくぜ。どうなんだよその辺は」

 お前の言いたいことはわかるがな、そりゃ余計なお世話だ。
 朝比奈さんとSOS団の事情抜きに個人的な外出をしたことは一度もない。長門ともな。
 それにSOS団には二人なりに真剣に参加してるんだよ。
 ちょっと二人だけだったからって下世話な妄想をするなんてのは酷く失礼に当たる行為だ。絶対に。
754デートの心得2/10:2007/08/07(火) 19:10:53 ID:IIM8gRtq
「ほほぅ? そりゃー本当か?」

 俺はともかく、長門や古泉、そして朝比奈さんはSOS団に相当な意気込みと事情を持って参加している。
意気込みだけならハルヒだって十分過ぎるほどだし、事情なら今は俺にだってある。
 その辺を考慮に入れて少々強い抗議をしてみたつもりなんだが、谷口は全く堪えないどころかしてやったりの気色の悪い笑みを浮かべやがった。何が言いたい。

「っつーことはお前は本当に女っ気のない人生を送ってきたわけだ。
彼女どころかデートの一つもしたことのない、情けない男なんだな?」

 女っ気というのが何を指すのかは釈然とせんが、彼女も居なければ明確にデートをしたこともない。
 だからといってお前や他の女持ちと代わりたいなんて思ったことはないぞ。幸いにもな。

「俺だってお前なんかと死んでも入れ替わりたく何かねぇよ。
ただな、人生の先駆者としてお子様にちっと助力をしてやろうじゃないか」

「結局お前の恋愛談か。聞いてやるから普通に言い出せばいいだろうが」

「まぁまぁキョン、谷口が前置きなんて珍しい、聞いてあげようよ」

「うむ、つまりだ、これは俺にとって既に良い人生の糧となっている話だが
俺が以前の彼女と意見の相違が発生するに至った原因の一因はデートを行う上で二人の認識に食い違いがあったからだと思うんだ。
なんなら俺の手際に少々の不備があったと認めてやってもいい」

 つまり、の後は簡潔に話せ。デートで失敗して振られた、それだけだろう。
 デート失敗談は参考になるかもしれんが、どうせなら成否両方備えた人の話を聞きたいもんだぜ。

「糧になった、と言っただろう。俺はお前のように女っ気のない人生を送ってきたわけではないからな、それなりに自負を持っていたつもりだった。
だがな、本当のデートというものはただ女と出かけるのとは訳が違う。デートの特有の距離感ってものがお前にわかるか?」

「そりゃ未経験だ。わかるわけないだろう」

 人差し指一本を突きつけて、冬の失恋から随分と立ち直ったらしいクラスメートは言い募った。
 デート特有の、と言われてしまえば俺にはなんとも言い返せない。
 普段通りで良いんじゃないかって気はするがな、違うと言うなら違うんだろう。
755デートの心得3/10:2007/08/07(火) 19:11:41 ID:IIM8gRtq
「そう、違うんだ。何と言っていいか……俺にも難しい。
やはりこれは実体験してみなければお前には理解しがたいだろうな」

 突きつけた人差し指をひょいと左右に振り、意味深に告げる谷口からは嫌な予感しか伝わってこない。
 虫の予感ってのはこの一年で成長した数少ないものの一つだ。これは止めた方がいいかもしれん。

「じゃあ、どうしようもないんじゃない?」

「いいや! そんなことはない!」

 しかし空気の読めない……いや、谷口のテンションを見るにむしろ空気を読んだのか国木田。
 先を促す一言にぐっとこぶしを握りこみ、谷口はもう一度人差し指を突き出した。

「お前も実際にデートをしてみればいい! それで何もかもがはっきりとする!」

 おい、今爪が当たったぞ。大体何もかもって何だ。はっきりさせる事なんてないぞ。

「すまん。いやしかし、仲のいい、しかも高ランクな女が身近に居るわけだ!
ここで一つ頭を下げてデートの経験をしておくってのは絶対に身になることなんじゃないか?
朝比奈先輩からデートの心得なんてのが聞ければどんな女にだって気後れはしないはずだぜ」

 鼻をさする俺に谷口がしつこく訴える。国木田の生ぬるい笑みを見ても、そういう事か。
 最初から随分と朝比奈さんを推すと思ったら、自分がデートで失敗したから
 慣れていそうな女性にデートの心得を聞いてきて欲しいわけだ。助力するんじゃなかったのか。
 紹介してやるから自分で聞いてみろ。
 男慣れなんてとんでもない上に一体いつのデートマニュアルが出てくるかわからないが、一緒に歩いた限りには不愉快を感じさせない上品さを持った人だぞ。

「実際にその場に立たないとわからないとさっきも言っただろうが。
出来れば朝比奈先輩か長門有希、このさい涼宮でもいい。聞いてきてくれ。
昨日、新入生なんだがな、かなりハイレベルな娘のアドレスを聞けたんだよ。
今度どこか行こうって、結構乗ってくれてるんだ。俺にはもう彼女しか居ないんだ、頼む!」
756デートの心得4/10:2007/08/07(火) 19:12:35 ID:IIM8gRtq
 手を合わせ、さらにぐっと突き出してきた谷口の手には……なんだこれは、チケットか何かか。

「映画かぁ。しかも前売り予約なんて、わざわざこの為に買ってきたの?」

「いや、新聞屋だ。……これをお前に託す!」

「託されてもな……俺だって忙しいし、俺以外は輪をかけて忙しいと思うぞ、みんな」

 再び手を合わせて拝んでくる谷口には悪いが、SOS団は平日は毎日営業、土曜日は定例不思議探索だ。
 残るは日、祝日しかないが、祝日には何があってもおかしくない。基本的には週一日だけが休日になる。
 仮にも未来から来ている朝比奈さんだ、休日には難解な報告書を書いていたっておかしくはないし
 長門はハルヒの怪しげな能力発露の帳尻あわせをしているかもしれない。別口の宇宙人の件だってある。
 ハルヒ本人も、日曜日は毎週模様替えをしているとかいう地味に脅威の情報を含めて、個人的に忙しい時間を過ごしているらしい。
 そもそも恋愛感情を精神疾患とかいう女をデートに誘うのは余りにも負け戦だ。

「だがお前だって個人的に親しくするのを拒みたいわけじゃないんだろう?
相手だって同じだ。一歩踏み込むのを恐れるんじゃない!」

「そういう話じゃないって言ってるだろ、話を聞けって……」

 ひたすらに拝む谷口にチケットを返そうとしたその時、教室の後ろの扉の開く音が、どうしてだか妙にはっきりと俺の耳に届いた。
 残念な事に、さっきから続く嫌な予感を体現したような不機嫌そのままの表情の涼宮ハルヒがその扉から入ってきたのも
 ハルヒがしかめっ面を少しだけ緩めて疑問をプラスしたような、言ってみれば怪訝な表情で俺の持つ二枚の紙切れに視線を注いできたのも、正直予想通りだった。
 さらに言えばすぐにチャイムが鳴って次の授業の教師が入ってきて返すタイミングを逸してしまったのも、予想通りってやつだっただろう。
757デートの心得5/10:2007/08/07(火) 19:13:22 ID:IIM8gRtq
「ハルヒ、デートに行かないか」

「……春だからって、頭まで花畑っていうのはどうかと思うわよ」

 断られるのがわかっていれば逆に誘いやすいと言うのも変な話だが、確かな事だった。
 午後一発目の授業後の短い休み時間、後ろの席のハルヒへと先ほどの谷口よろしくチケットを突きつけてみたが、結果は予想通りだった。
 一応チケットは受け取ってくれたが。
 
「何よこれ、映画? しかもテレビでCM流しまくってる超定番、SOS団の存在意義に真っ向から対立するような選択ね。
前にもこういう判で押したようなデートコースはお断りだって言ったことあったんじゃないの?」

「覚えてるさ、映画か遊園地にスポーツ観戦、昼飯はファーストフードってな。そのチケットは貰い物なんだよ、お前に合わせてなくて悪かったな」

「忘れてないのにわざと出してきたわけ?度し難いわね……。どうせ昼休みにあのバカの谷口から貰ってた奴でしょ。
友達にチケットの調達を頼むなんて、また決まりきった単純な方法ね」

 いや、そういうのは少女マンガでは定番かもしれんが現実にはそうそうないと思うぞ。
 ……おい、力を入れて握るな、紙がしわになるだろうが。

「第一あたしがそういうのに興味ないって事ぐらいわかってるでしょ。無駄なことで時間とらせるんじゃないわよ」
 
 昼休みを通り過ぎてさらに巻き戻したような不機嫌極まる表情でチケットを投げてよこすと、ハルヒは頬杖をついて窓の外に視線を移した。話は終わりということか。

「こういうのは言う方の気持ちもあるだろ。お前を誘っておきたかったんだよ。電話じゃなくて直接言っただけ、まだマシだと思っておいてくれ」

「なっ……」

 丁度話も終わったところでチャイムと同時に次の教師が入ってきた。
 これが終わればSOS団の時間だ。後ろのハルヒの様子を考えれば、先に古泉に謝っておいた方がいいかもしれないな。
758デートの心得6/10:2007/08/07(火) 19:14:03 ID:IIM8gRtq
 他の二人に声をかけたのが翌日になったのは深い意味があったわけではなく、単に前日は別れるまで5人が揃っていたからだ。
 とりあえず昼休みに部室に居るであろう長門を誘って、忙しいようなら身分不相応甚だしいが朝比奈さんにお伺いを立ててみるとしよう
 ……そう考えていた所、校門脇でばったりと件の先輩と出会った。

「キョンくん。おはよう。昨日は涼宮さんずっとパソコンを見て考えていたみたいだったけど……何か知ってる?」

 坂の上の地味な県立高校に降りた天使……と言うとありがたみがむしろ下がってしまう気がするな。
 朝比奈さんは今日も非常に愛らしく、笑顔で挨拶した後に少し不安げに表情が変わっていった様子もまた眼福だ。大丈夫ですよ、たいしたことじゃありません。

「それより朝比奈さん、日曜日とか、何して過ごしてます?」

「えっ……日曜日は何もないから、お掃除とかお洗濯とか家事を普段よりちゃんとやるようにして……
後はちょっと買い物に行ったり……」

 案外普通だ。是非一度朝比奈さんの家にお邪魔してみたい。いや、空気を吸えるだけでもいい。
 朝比奈さんの部屋の空気なら天然ガスなんかよりよっぽど貴重だ。売ろうにも値もつかないだろう。
 とにかく休日は休日らしく過ごしているというなら好都合だ。ここでお会いしたのも何かの縁に違いない。

「朝比奈さん、昨日友達から映画のチケットを貰いまして。良かったら一緒にいかがですか?」

「映画……えっと、見る方……よね? どんな映画なの? そういえば、ちゃんと見に行ったことはまだないんです」
759デートの心得7/10:2007/08/07(火) 19:14:41 ID:IIM8gRtq
 休日の予定を聞いた時点で半ば誘ったようなものだったおかげか、想像するよりずっと気楽に言えたが、それでも随分と緊張はした。
 以前少し聞いた話では男から声がかかることは多いそうだったが、全て断っているらしい。
 にもかかわらず俺の誘いに乗り気になっていてくれるのは何か特別な男になったようでかなり優越感がある。
 もちろん、そういう存在ではないのは十分わかっているつもりだが。
 通学鞄からチケットをとりだして見せると、朝比奈さんはしげしげと興味深げに観察して……と思ったら、愛らしい眉をひそめて首を傾げてしまった。
 別に予告編の立体映像が見えたりはしませんよ?

「ううん、そういうんじゃなくて……ごめんなさい、一緒には行けません」

「そうですか……それは残念です」

 別に今週とか来週という話じゃなくて、上映している間暇があればでいいんですが。
 と、ついつい言い募ってしまうのは仕方のない男の性だろう。
 さっきまであんなに乗り気だった訳でもあるのだし。

「違うんです、その映画がダメなだけで、キョンくんと見に行くのが嫌なんじゃないの。
今度は絶対大丈夫だから、私からも誘うから……」

 それは大変嬉しいですが、それならそれで断られた理由は一体。
 未来的な問題が発生してしまうような内容なのでしょうか、この映画は。
 とはいえ申し訳なさそうな朝比奈さんを前にこれ以上迷惑をかけるつもりもない。
 しきりに恐縮する愛すべき先輩に、全く構わないが行きたかった気持ちは本当だと伝えるのには随分と苦労をした。

「それには涼宮さんと行って上げて、きっと喜ぶから。そうするべきだと思うの」
 
 下駄箱を過ぎた別れ際、真剣な表情を瞳にも映して朝比奈さんは俺を見つめた。
 ハルヒは最初に誘いましたが、あっさり断られましたよ。それで機嫌を損ねたようでしたから。

「それでも、何度でも誘うの。本当に嫌がってるようならダメだけど……女の子には何度でも声をかけて自分から仲良くならなきゃ」

 何度でも。
 朝比奈さん、一緒に映画、いかがですか。

「はい、その映画以外なら、いつでもね」

 最後はまさに天使の微笑みで、教えてくれたそれはデートの心得の最初の一つだったのかもしれないが
 谷口なんかに教えるには惜しすぎる。俺の胸にだけしまっておくとしよう。
760デートの心得8/10:2007/08/07(火) 19:15:31 ID:IIM8gRtq
昼休み、最初の予定通りに向かった部室で椅子に腰掛けた俺に、流石と言うべきか、長門は開口一番に言った。

「涼宮ハルヒと」
 
 まだ何も言ってないがな、そうするべきなのか、長門。

「そう」

 普段と同じく両手で本を持ってはいるが、今日はしっかりとこちらを見つめる世話になりっぱなしの万能宇宙人の瞳に、それ以上反問するつもりもない。
 だがな、ハルヒはこういうことで考えは曲げそうにないし、俺にどうこうできる自信はないぞ。
 ぱたんと本を閉じ、右手で部室備え付けのパソコンを指差すと長門は音もなく立ち上がり、するすると扉へと向かった。見ておけばいいのか、パソコンを。

「……っと、待ってくれ、長門」

 文芸部室の見慣れた扉を前にした、やはり見慣れた長門の後姿に、絶対に言わなければならない事を思い出した。

「順番的に長門に最後に声をかけることになったが、そうしようとおもってしたわけじゃない。
ハルヒにはチケット貰う所を見られちまったし、朝比奈さんにはたまたま校門で会ったんだ。
本当ならここで最初に長門を誘うつもりだった」

「………………」

 長門は無言で佇んでいる。切りそろえられた髪が一瞬ふわりと揺れた。

「あなたが本当にそう考えていると、理解している」

「ああ、助かるよ」

「だからこそ恐らく、涼宮ハルヒは……」

「ハルヒが、どうした?」

「何も……」

 そのまま長門は部室を出て行ってしまった。ハルヒが、何なんだ。
 とにかく、パソコンを動かして見てみるか。
 起動―問題なし。デスクトップ、アイコン表示―問題なし。特別な表示はない。
 とりあえずSOS団のHPを見てみるか、と地球儀のアイコンをクリックして、ふと思い当たることがあった。

「……映画映画映画、動物園植物園水族館に茶店公園、フランス料理に夜景……一日で全部なんて、無理に決まってるだろ……」

 映し出された、前日にハルヒが噛り付いていたパソコンの履歴。
 本当はこの後鶴屋さんにもお声をかけようと思ったんだがな、全く。
 もう一度誘ってみるしかないか。素直じゃない団長様をな。
761デートの心得9/10:2007/08/07(火) 19:16:29 ID:IIM8gRtq
「昨日のチケットな、朝比奈さんと長門に見事に振られてきたよ」

「当たり前でしょ。SOS団の誰があんなありきたりな誘いに乗るって言うのよ。
あんたも団員の自覚を身につけなさいって散々言ってるのに、それじゃいつまでもヒラのままよ」

 昨日と同じ、午後最初の短い休み時間。やはり昨日と同じ不機嫌顔で、ハルヒは俺の差し出したチケットを握っている。だからしわになるぞ。
 
「まったく、下らないことやってるんじゃないわよ、本当に」

 昨日とは違い、叩きつけるように返された紙切れ2枚。
また突き返されたこのチケットを持って明日誘ってみるのもいいかもしれないが、もう少し粘ってみるか。朝比奈さんの教えに従ってな。

「そう言うがな、そのありきたりな誘いとありきたりなデートをした事がない人間はどうすればいい。
一風変わった招き方をしようにも、そもそも一般的な経験がないとどうしようもない」

 やはり昨日と同じく頬杖をついているハルヒだが、その顔と瞳はこちらを向いている。
 まだ話は終わってない、そう思っていいか。

「不思議探索で街中に様子のおかしいカップルが居ても俺にはそんなのわからんし
お前が面白いことを思いついてもそれが平凡に思えるかもしれない。人とは違うっていうのは他人がどんなものか知ってないとな」

「あたしはわかってるわよ、十分過ぎるほどにね。中学では……もう話したでしょ」
762デートの心得10/10:2007/08/07(火) 19:17:09 ID:IIM8gRtq
 そりゃお前はそうかもしれんがな、俺はこれといってなにもない中学時代を過ごしたんだよ。
 高校に入ってからはのんびりデートなんて暇はなかったしな。
 
「そのあんたの不勉強さをあたしに押し付けようっての、随分ね。
まともなデートってのをわからせようとしたら一日二日じゃ足りないわよ?」

 こっちを見つめるハルヒの瞳に、ゆっくりと気色が浮かぶのがわかる。
 ああ、どうせ俺もそうだろうさ、忌々しいことに頬が緩んでいくのが自覚できる。

「悪かったな、不勉強で。そのチケットに免じて、団員の頼みに付き合ってくれ」

「このチケットって、谷口のでしょうが……全く、この様子じゃ本当にダメダメね。
いいわよ、やってあげようじゃないの。団員が女性の扱いもロクに出来ないんじゃ団長として情けないからね。
あんたがものになるまで、毎週休みはないと思いなさいよ?」
 
 瞳から笑みが溢れるのにそれほどの時間はかからず、ハルヒは百万ワットの笑顔で俺に毎週日曜が休日から外れることを宣告した。

「さしあたっては今週末、あんたの希望で映画に付き合ってあげるけど、他にも行くべき所は山ほどあるんだから、しっかり準備しておきなさいよ」

 準備ってのは何だ、財布か。言っとくがフランス料理は無理だぞ。
 しかしまぁ、映画1回誘うつもりがそれじゃあ収まりきらなくなりそうだ。
 この調子じゃ朝比奈さんと映画に行く時間もなさそうなのが残念で仕方がない。

「ったく……やれやれ」

「聞いてんの?あんたの為にやるんだから、気合入れなさいよ」

「初デートだからな、気合入れていくさ。エスコート頼むぞ」

「逆でしょうが……まったく、しっかりついてきなさいよ」

 ああ、しっかりついていくさ。
 
 よろしく頼むぞ、ハルヒ。
763デートの心得終わり(1/10):2007/08/07(火) 19:19:32 ID:IIM8gRtq
以上です。
涼宮ハルヒを書くのが初めてだったのでそれっぽく書けるかエロなしで試してみました。
また今度エロ有りにチャレンジしてみたいと思います。
最後に、1/10の行割がおかしいのでもう一度…申し訳ない

 何の変哲も無い普通の高校生が昼休みに語り合う話題なんてのは、そうそう代わり映えのない物だろうと思う。
 少なくとも、変哲極まりない日常の中で平凡を唯一の利点に生きている人間が居るとすれば、極々ありきたりな話題を選ぶに違いない。
 すなわち俺はこの気だるい午後の時間にあって、わざわざ神経を磨り減らされるような事情がないように願ってるってことだ。

「っつー事は、だ、キョン。お前は過去に一人も女が居たことがないばかりか、女の気配一つなかったと、そう言う訳か」

 極端に暑くもなく、耐え難いほどに寒くもない。中途半端この上ない、だからこそ俺の好む季節。
 過ごしやすい時期、その上後ろにはハルヒも居ない、心休まる一時だ。
 だっていうのにこの男はどうしてだろうね、こうも余計な考えばかり浮かばせるのか。
 そういう無駄なアイディアを発露する機会は悪夢の試験週間にとっておいたらどうだ。
 校歌を一面に書き連ねれば合格点がもらえるって学園伝説を谷口、お前が樹立するとかな。

「前回カレーの美味しい作り方を書いたらマイナス5点されたから二度とやらん。
それよりお前だ、朝比奈先輩や長門有希と二人だけで見かけたって話は聞いてるぜ? 
立派なデートじゃねぇか。意識して見せないのを格好良く感じるのは小学生までで十分だと思うがな」

 本気で試験でやったのか。もうお前自身が伝説で良いな、間違いない。
 なんなら生徒会長に掛け合って生徒会通信に載せてもらうってのはどうだ。ああ見えて話と浪漫のわかる男なんだ、あの人は。

「黙れ、話を変えて逃げるな。俺はな、お前がそうやって何もない何もないって言い張るのが失礼に当たるんじゃないかって言ってるんだよ。
朝比奈さんみたいな美女が男から何の意識もされてないなんて知ったら、そりゃぁ傷つくぜ。どうなんだよその辺は」

 お前の言いたいことはわかるがな、そりゃ余計なお世話だ。
 朝比奈さんとSOS団の事情抜きに個人的な外出をしたことは一度もない。長門ともな。
 それにSOS団には二人なりに真剣に参加してるんだよ。
 ちょっと二人だけだったからって下世話な妄想をするなんてのは酷く失礼に当たる行為だ。絶対に。
764名無しさん@ピンキー:2007/08/07(火) 19:24:29 ID:EXwNpaEk
次はエロをお願いします!乙でした。
765名無しさん@ピンキー:2007/08/07(火) 19:27:32 ID:F4IwHBpF
乙!
次回作でエロいのを期待w
766名無しさん@ピンキー:2007/08/07(火) 20:21:42 ID:HtA9+GU6
へたに中途半端なエロが有るより、
こういう日常的な話の方が好きな俺は異端なのか?
767名無しさん@ピンキー:2007/08/07(火) 20:34:15 ID:V5aTxNYf
ただ偶にはエロがないとこの板の
趣旨に沿わないという理由で消され
る可能性があるからなぁ
768名無しさん@ピンキー:2007/08/07(火) 20:55:25 ID:06ubKuNu
>>766
安心しろ。俺もだ。
769名無しさん@ピンキー:2007/08/07(火) 21:09:49 ID:IrYzdWhh
エロ無しの日常読むとやっぱ圧倒的な力の差を感じてしまう。
これはもう如何ともしがたいね……
770名無しさん@ピンキー:2007/08/07(火) 21:09:52 ID:qYNk3FJL
>>767
そんなことあるのか?
俺はこのスレで数え切れないぐらいのエロ無し作品を見てきたんだが、
一つとして消された作品なんてなかったぞ。
771名無しさん@ピンキー:2007/08/07(火) 21:14:53 ID:8oi8+Nbo
>>770
個々の作品ではなくてこのスレの存在のことだろ
772名無しさん@ピンキー:2007/08/07(火) 21:23:37 ID:qYNk3FJL
>>771
てかエロの有無に関しての議論は過去スレで散々議論されただろ。
結局エロとパロの板だから別にエロがなくても大丈夫だろみたいな結論で落ち着いた気がする。
773 ◆LeyXT4003g :2007/08/07(火) 21:36:59 ID:WxgPudLF
その理屈はこの板においてはごく少数派だということを忘れてはならない。
774名無しさん@ピンキー:2007/08/07(火) 21:56:41 ID:7P1EuGBg
この
775名無しさん@ピンキー:2007/08/07(火) 22:22:11 ID:7P1EuGBg
誤爆です。すいません。
776名無しさん@ピンキー:2007/08/07(火) 22:22:12 ID:x9Niu/tm
なにはともあれ。
>>763
GJ!
777名無しさん@ピンキー:2007/08/07(火) 22:36:37 ID:DH2zWkHW
ガイドみてたら以外とエロ作品も少なくないし、スレにまったくエロが無いって言うことも実は稀だったりする。

>>768
(゚∀゚)人(゚∀゚)ナカーマ
778名無しさん@ピンキー:2007/08/07(火) 22:48:55 ID:EXwNpaEk
く、くそ!エロ好きな俺はお払い箱か?
変態佐々木・ハルヒ(長)・ミヨキチのエロ尻ー図まだ〜?
779名無しさん@ピンキー:2007/08/07(火) 23:10:49 ID:ExmJH4GP
俺はエロのある無しは別にどうも構いはせんな
780名無しさん@ピンキー:2007/08/07(火) 23:14:57 ID:vTr1jyEC
騒いでいるのは一部だけだから・・・
781名無しさん@ピンキー:2007/08/07(火) 23:15:55 ID:HQEAGTDP
百合の絡むスレだと書きにくいのかほとんどエロ無しだぞ
らきすたとかな、エロなし多い
782名無しさん@ピンキー:2007/08/07(火) 23:19:01 ID:YBOfLkkl
そりゃ男キャラがいないもんなw
783名無しさん@ピンキー:2007/08/07(火) 23:23:20 ID:hyq+3C0v
てす
784名無しさん@ピンキー:2007/08/07(火) 23:32:02 ID:5UAldOm3
谷口の「五点引かれた」にフイタww
785名無しさん@ピンキー:2007/08/08(水) 00:07:13 ID:krspqAVo
ってか「驚愕」もう発売してんの?
「驚愕」で話は完結すんの?
786名無しさん@ピンキー:2007/08/08(水) 00:09:43 ID:sjeC8vSu
エロあろうが無かろうが、うまけりゃ俺はいいよ。
787名無しさん@ピンキー:2007/08/08(水) 00:09:46 ID:BpnCPs7O
自分で調べろ
788名無しさん@ピンキー:2007/08/08(水) 00:15:01 ID:LL3UfvbR
キョンの凌駕

春…よく昔の人は春眠暁を覚えずと言ったものだ。夜遅くまで起きていて、俺を起こすのは妹閣下…それもフライングボディプレス付き
それから歯を磨き母上が一生懸命作ってくれた朝ご飯をいただく。
朝から辛い坂道のハイキングコースを登山家のように毎日登って学校に行かなければならない。
今は授業中であり時間はお昼が終わり五時間目であった。
その事件が起きたのは…つまらない古典の授業だ。手から消しゴムが転がり落ちた時。丁度ハルヒの椅子の下に落ちていた。
やれやれ落ちてしまった。ハルヒにでも取ってもらうか?
だがハルヒは寝ていた…これでは自分で拾うしかないな。仕方ないな椅子を下げて床下に落ちている
消しゴムを拾おうとすると目線がスカートの中を思わず見てしまい。だがわざとじゃない
俺は思わず凌駕した…いつもの白いパンツが見えるはずだった。だがあいつはパンツ穿いていなかったのだ!
それもすっかり丸見えだ。なぜなら足を開いているからな思わず息を呑む。
薄い陰毛のうえにクレバスもしっかり見えているわけであり生では初めてだ。もちろん妹は入らない
ハルヒのアソコは少し水気があった。なんとも言えない感じがする。
俺は本能で携帯をムービーモードで撮影をしてしまった…男なら分かるはずだ。

という電波を受信した。
俺が書くと全然エロじゃないなw
789名無しさん@ピンキー:2007/08/08(水) 01:11:04 ID:Ig3Pzt63
凌駕……?
790名無しさん@ピンキー:2007/08/08(水) 01:24:11 ID:LL3UfvbR

たのむ皆!俺をNGにしてくれ!
791名無しさん@ピンキー:2007/08/08(水) 01:41:34 ID:lzp0C6hl
クレバス・・・妹・・・・
792名無しさん@ピンキー:2007/08/08(水) 01:42:07 ID:LvqHRGJ3
>>790
(・∀・)
793名無しさん@ピンキー:2007/08/08(水) 01:42:14 ID:zW6hC1qx
Short Summer Vacation

というSSが投下されたようだが、保管庫のどこに収容されてる?
ページ数が多くて分からないんだが
794名無しさん@ピンキー:2007/08/08(水) 01:47:10 ID:g99yfuZb
それはvipの方じゃないかな。しかも一年前じゃねえかw
795名無しさん@ピンキー:2007/08/08(水) 01:50:11 ID:zW6hC1qx
>>794
そうなのか、別のスレで名前が出てきたからせっかくだし読んでみたくて
VIPに行ってくる。ありがとう
796名無しさん@ピンキー:2007/08/08(水) 02:01:05 ID:LL3UfvbR
797名無しさん@ピンキー:2007/08/08(水) 02:20:54 ID:hbMtj4Pl
>>788の電波を受信
そして放課後
部室で皆が集まるのを待ちながらさて今日は古泉とどのゲームをするかと考えていたのだが
どうにも先ほどの動画が気になってしまいついつい観賞してしまった俺は酷い自己嫌悪に陥り
一通り身悶えた後ふと忘れ物をしたことに気付いてしまった。
仕方なく教室に戻ったものの探し物は見つからずまぁいいかと本日二度目の部室ドアを開けた。
もちろんノックは忘れない。期待していた朝比奈さんの返事はなく中には不機嫌な顔をしながら
携帯をいじっているハルヒがいるだけでまだ他の面子は来ていなかった。
今日は古泉はバイトかとかはたしてハルヒの携帯は俺のと同じ型だったかと疑問に思いつつも
こういうハルヒには出来るだけ関らんほうがいいと判断し普段は長門が読んでいる本を一冊取り出し
様子見を始めたのだがどうにも様子がおかしい。
殺気の矛先が俺に向けられている気がして居心地悪いことこの上ない。
しかしこの状況は次の瞬間に一転することになった。

「キョン、これなんだと思う?」
といって唐突にハルヒが突き出してきた携帯の画面を見て俺は凍りついた。
そこには例の動画が寸分違わず再生されていた。

…続かない
>>793
あなた今日17スレ目が終わった某スレから来ましたね?
798名無しさん@ピンキー:2007/08/08(水) 02:26:15 ID:Ig3Pzt63
>>793
テラ使い魔wwwww
799名無しさん@ピンキー:2007/08/08(水) 03:07:18 ID:Ig3Pzt63
>>796
良い作品というものは、どんな背景があっても、やはり良いものだ
800名無しさん@ピンキー:2007/08/08(水) 11:09:10 ID:qthNbNUi
ようやく涼宮ハルヒの演奏3話書けました
長編書いてると細かいところで詰まって非常に遅筆です
誤字・脱字が怖い

ANATAKIKOU格好良いですね
801涼宮ハルヒの演奏:2007/08/08(水) 11:11:46 ID:qthNbNUi

 3/ギターとギター

 ハルヒはやはりマジなようである。
 翌日から古泉曰くハルヒの密着練習が続いた。何故密着するのかは知った事ではなく、俺が知る必要性は皆無と言っていい。
 あの年中暴れ続ける脳を持った女子高生の意図を汲み取るなどシャミセンに小判をやるくらい意味のないことだ。
 まあとにかくハルヒとのギター練習があったのだが、本来の目的であるギターの練習が記憶に少ないのは何故だろうか。
 胸を惜し気もなく押し付けられたり、髪の毛で肌を撫でられたり、指を恋人のように絡められたり、どれも故意ではないと思うのだが、意識せざるを得なかった。
 だが、意識すると言ってもハルヒのような女に動物の本能を発動させるなど有り得ない訳で、多くを覚えているのもただ女性特有のそういう何かによるものであり決してハルヒ自体を意識してる訳ではない。そんなことはあってはならん。
 そんな練習も学校が授業をする為の場所となっている日だけであり、珍しくも土曜日なのに不思議探索がないというので俺は今こうしてベッドの上で二度目の睡眠に入ろうとしている。
 久しぶりの休みだ。たまには家でゴロゴロ寝るだけってのも良いだろう。罰は当たるまい。
 しかし、俺の普段の行いが悪かったのだろうか。目を閉じてもう少しで眠りの世界に行くというところで甲高い聞き慣れた声が、
「さあ、ギターの授業を始めるわよ!」
 鼓膜を大きく振動させた。
 ……待て。少しとは言わず多く待て。
 まさか。もしかして俺はSOS団の部室――いや、団室か――で寝ていたというのか。
 ありえないありえない。認めんぞ。
 俺の部屋にハルヒが来てるなんて。
 目を開けて声がした方を見る。
 そこには、にっこりと顔に100Wスマイルを浮かべ、ギターらしきものを二本背負い、大きな紙袋を二個持った電気街から帰ってきた収集僻のある大人のようなスタイルで、ハルヒが立っていた。
 何故お前がそこにいる。寝ぼけた頭だとよく理解出来ん。
「楽器ってのはね、毎日練習しなきゃ上手くならないのよ。だから今から教えてやろうって訳」
 ガサゴソと何やら準備をし始めるハルヒ。おい、人の家でいきなり何しやがる。
「あんたの親に許可は貰ってるわ。ちょっと話したら快くオッケーしてくれたわよ。あんたと違って話のわかる良いお母さんね」
 にこっと奥歯を見せるとそのまま準備を続けていく。
 俺は話がわからないのではない。ハルヒ、お前の行動がおかしいから正そうとだな。あー、こんなこと話したって無駄か。
「それだと妹が黙ってないと思うんだが」
 あいつは俺がSOS団メンバーと何かをしようもんなら興味津々、好奇心全開でついてくるという特殊能力を持っている。
「私がちょちょいと耳打ちしたら素直に友達と遊んでくると言ってたわ」
 ほう、是非その耳打ちの内容を聞きたいものだな。
「ダメよ。耳打ちした意味が無いじゃない」
「そりゃそうだ」
802涼宮ハルヒの演奏:2007/08/08(水) 11:12:50 ID:qthNbNUi


 で、ようやくハルヒの準備が終わった。ものの数分である。
 その間にコンセントがないからと言って、プラグが刺さったままのコンセントからプラグを躊躇せずに抜き去るハルヒを見て、注意して言い争いになりかけるということがあったが、そんなことは些細な事だろう。
 今俺の部屋には、ギター二本とアンプ二台、アンプの上にはヘッドフォンが置いてあり、アンプと繋がれている。
「今日はキョンの家で練習するということで、ヘッドフォンを使うことにするわ」
 左手に着けた片仮名がせめぎ合う「フロントマン」という腕章がハルヒのやる気を物語っていた。やれやれ。
 仕方ない。朝からギターの練習か。
 俺はパジャマ姿のままベッドから立ち、まずは着替えることにした。
「わかった。今はとりあえず服を着替えたいのだが」
 すると、いつも我が儘我等が団長涼宮ハルヒは頬を少し朱に染めると、あっそうと言って俺から目を背けた。着替えると言っても上半身とパンツが見えるだけだし、ハルヒの前でも構わんだろう。
 それに部屋を出たら、キョンなんだしわざわざ出なくてもいいでしょうがなどと言われていたに違いない。ハルヒの頭には男女という言葉が欠落しているらしいからな。
 男の着替えなんてもんは長々しく説明するようなものではないので、ここでは省略する。
 着替え終わった俺は歯をものの一分で磨き、ハルヒのギターレッスンに入っていた。二人ともヘッドフォンを耳に当て、一人を除きまあまあ様になってるのではないだろうか。
「あー、やっぱ小指が動かないわねぇ」
「仕方ないだろう。まだ始めて二週間も経ってないんだぞ」
 手元で光るフレットボードを見て溜め息を吐きそうになる。どうしてこんなに指を動かさにゃならんのか。
 指先なんて鉄の弦に痛め付けられて皮が厚くなっちまった。
「才能があれば小指も一週間で動くわよ」
 凡人の俺に才能なんて期待するなよ。
「そうだったわね。所詮キョンだもん。もともと期待はしてなかったわ」
 ああ、そうかい。
 なら何で俺のパートをギターという大それたもんにするんだ。タンバリンかマラカスで良かったのに。
 てなことをハルヒに言える日が来ると良いのだが、間違いなく未来永劫来ないだろう。
「はい、じゃあもう一回」
 ハルヒの言い付けにより基本練習である全ての指を使う練習を毎日やっているのだが、やはり小指が難しい。意識しても微かにしか動いてくれない。
 普段から小指を使っていれば良いのだろうが、生憎俺は日常で小指を使う機会が少ないのだ。
 だから仕方ないだろう?
「あーもうじれったいわね」
 あぐらをかいて座っていたハルヒが立ち上がり、俺の方へと向かってくる。
 な、何をする気だ。
「こうよ、こう」
 俺の指を掴みやたらと動かしてくる。ハルヒの目がニヤけている気がするが、見間違いだろうか。
 俺はどう言うことも出来ず、ただハルヒがやることを他人のように見ていた。
 始めは小指だけに触れていたハルヒは薬指、中指、果てには今、手全体を掴んでいる。気がつくとハルヒの顔が何かを企むものになっていた。
「だから、こうするのよ。こう」
 そう言うと、ハルヒは俺の後ろに回り込み、俺の左手と右手を支配した。俺は思わず振り向き、
「何するっ」
 んだ、とは言い切れなかった。背中に何やら熱反応があるのだが、これは何だろう。
 深く考えたくはない。
「こっちの方が分かりやすいでしょ」
 ハルヒが悪戯っぽく笑いながら言った。いや、そう見えた。
 実際分かって俺の背中に柔かな物体を押し付けているとしたら、こいつは何を考えているのか。一体何がしたいのか。
 古泉の言う通り密着しているだけなのだが、無駄に意識してしまう。女としては見れないはずなのに、だ。
 あぁ! いい加減くっつくのはやめてくれ。
 今まで築いてきた何かが勢いよく崩れていきそうだ。
「ちょっとキョン、聞いてる?」
 後ろから鼻息が俺の顔に当たりそうなくらい顔を近づけるハルヒ。
 近い、近過ぎる。
803涼宮ハルヒの演奏:2007/08/08(水) 11:13:42 ID:qthNbNUi
「あ、ああ。聞いてる聞いてる」
 ヤバイ。目を反らすしかない。
「聞いてないじゃない。今からもっかい言うからちゃんと聞いてなさい」
 いつもならもっと高圧的な態度を取っているのに何故か普通な対応である。
 今日のハルヒ、妙に丸いような……。いや、まさかな。
 まぁどっちだって良いさ。今はハルヒにギターを教わっていよう。
 シャンプーの香りが無駄に鼻をつくが気にしないことにする。
「ほら、見てなさい」
 ハルヒの髪の毛が耳に触れる。思わず体を退けぞらしてしまいそうなくらいこそばゆい。顔に血が集中していくのがわかる。
 女性としてハルヒを意識せざるを得ない状況になってしまっている。古泉よ、この状況で俺にどうしろと言うのだ。
 ハルヒの指が動く。よく見ると白くて綺麗な指だ。よく見ると、な。
 それを目で追っていく。ハルヒの指はまるで波を打ってるかのようにしなやかに動く。
 上手い。改めて思う。細い指が旋律を奏で、ハルヒが澄まし顔で俺を見る。
 距離は未だに近い。顔が……顔が。
「じゃ、次は自分でやってみなさい」
 糸が切れたように俺から離れ自分の練習に入るハルヒ。いきなり距離が開くとその距離に違和感を覚えてしまいそうになるが、否、そんなことあるはずがない。
 顔はよく見えなかったが、そそくさと戻る姿はハルヒらしくなかった。俺の見間違いかもしれないが。


 それから、そのままあまり言葉を交わすこともなく各々、ヘッドフォンの世界に入り込んでいた。
 そろそろ腹も減ったことだし、下に降りて昼飯を食べたい。朝はハルヒが来て食べてないしな。
「ハルヒ、もう昼だし休憩にしないか?」
「……」
 ハルヒは黙ったまま耳にヘッドフォンをし、目をつむりながらギターソロを弾いている。
 聞こえてないのか。試しに肩を軽く叩いてみる。
「……! 何よ」
 ゆっくりとヘッドフォンを外し、床に置く。
 一瞬今凄い顔しなかったか?
「昼飯にしよう」
「え、あ、そうね」
 伸びをして立ち上がるハルヒを先導し、部屋を出る。
 リビングに行くと食欲をそそる良い香りが漂っていた。
「良い香りね」
「ああ、早く食おう」
 食欲に負けて椅子に座ると、向かい側にハルヒが座った。
「今日はハルヒの分もな」
 まだ何やら支度をしているらしいお袋に声をかける。もしハルヒの分だけがなければ非常に気まずいからな。
「わかってるわよ」
「すいません。ご馳走になって」
 ハルヒはやはり大人にだけは礼儀正しい。妙に凛とした態度で対応している。
 世渡りが上手そうだ。いや、もう渡りまくってるのか。
「何か言った?」
 いいえ、何も。
 目を細めてアヒル口になるハルヒを尻目に俺は昼飯のことだけを考えていた。
804涼宮ハルヒの演奏:2007/08/08(水) 11:14:16 ID:qthNbNUi

 てな訳で、今日の昼食はハルヒを含む四人で行うことになった。横に妹、前にハルヒ、ハルヒの横にお袋。これは嫌な予感がする。
 俺はそんな悪寒を振り払うかのようにただ食欲の赴くままに食べる。箸が進む。無理にでも進む。
 しかし、俺の努力も空しく妹がいきなりはしゃぎ始めた。
「ハルにゃんとご飯なんて久しぶりー」
「そうだったわね。でも、これから何度でもあるわよ」
「何で?」
「さぁねぇ、何ででしょう」
 何だ、その意味深な発言は。これ以上ハラハラさせるなよ。
 黙々と食べていたお袋が眠れる獅子が如く突然口を開いた。
「涼宮さんって可愛いわね。あんた何をしたのよ」
「ぶほぁっ!」
 俺は口に含んでいた物を吹き出してしまうくらい同様していた。
 いきなり口を開いたかと思えば、一体何てことを言い出すんだ。俺がハルヒに何かをするなんてことあってはならん。強く否定したい。
「汚いわね」
 ハルヒを見ると、俺が吹き出した物がかかってはないものの嫌悪の念を露骨に表していた。
 お袋がいなければ、後で怖いことが待ってる上に冷たい目で俺を睨んでいただろう。
「すまん」
 俺が言うと、ハルヒは何も言わずに食事を再開した。謝罪を無視するとは……。
「で、何をしたの?」
 お袋は懲りずにそう言った。おもちゃを与えられた幼児のように実に楽しそうである。
 しつこい。何をそんなに食いつくところがあるのか。
「何もしてない」
 むしろ俺がされている側だ。
「本当? 涼宮さん」
 持っていた箸を置いてまで聞くお袋。その目は絶対に俺を楽しんでいる。
 ハルヒはそれに合わさず、箸を持ったまま答えた。
「はい。彼には私に付き合って貰ってるんです」
 凜とした大人らしい態度で言う。いつもそんな感じだと良いのだが……って、何!?
 俺が受け手であることは分かっていたのか。分かっているなら是非とも土曜の探索を少しでも減らしてはくれないだろうか。朝から歩き続けるのは結構疲れるんだよ。
「へぇー、良かったわね。付き合ってるだなんて」
 お袋はまだ何か言いたげにニヤニヤとした目で俺を見ている。この状況を楽しんでないか? そんな心の問いはお構いなしにお袋は置いた箸を持ち直し、箸を進める。
 えらい爆弾を投下してくれたもんだ。妹は、
「ハルにゃんとキョンくんは付き合ってるのー?」
 と延々聞いてくるし、ハルヒは柄にもなく目を横に反らし、顔を赤らめている。
 俺は箸を動かすことしかできない。ハルヒもどうやら俺と同じらしい。妹以外は無言の食事となってしまった。

 午後からは気まずい空気も消え去り、俺達は普通に練習に取り組んでいた。
 しかし、これだけやって上手くなった実感がないというのはどうなんだろうか。結構ヤバイ気がする。

 こんな調子でハルヒとのギター練習が続いた俺であったが、何とかコードを弾くことくらいは無難にこなせるようになっていた。
805涼宮ハルヒの演奏:2007/08/08(水) 11:14:54 ID:qthNbNUi
「そろそろキョンも使えるレベルになってきたわね。もうバンドで合わしても良いんじゃないかしら」
 部室で練習していると、突拍子もなく団長が言い出した台詞である。見ると、ハルヒは割と真面目な表情をしている。
 少しでもハルヒに認められたということであろうか。かと言って認められたとしても嬉しい訳ではない。
 ハルヒが一人でオセロをしている古泉に答えを求める。
「そう思わない? 古泉君」
 古泉はそのイエスマンぶりを見せつけるかのように、
「ええ、そうですね」
 否定の色は一切見せなかった。
 少しは否定しろよ。
 ハルヒはそうよねと言って、何やらパソコンをいじり始めた。ここからでもうきうきしているのが分かる。
「今のあなたは譜面を覚えればバンドメンバーとしていられるレベルです。もう少し自信を持ってはどうでしょう?」
 そんなレベル知らねぇよ。だいたい俺は不安なんだ。
 か弱い先輩が今も別の場所で練習しているとなると不憫でならん。あの人にキーボードを弾かせるのは心配で仕方がない。
「その点は心配要りません。実は僕も心配でしてね。長門さんに頼んであります」
 古泉は一人オセロを止め、ドラムマガジンを読んでいる長門に目をやる。長門は俺と古泉の目線など気にも止めず、活字と写真を眺めていた。
 しかし、長門の力を使ったバンドなんて感心出来んな。
「僕の労働時間を増やすことになり得る、つまり閉鎖空間が発生するよりはマシです。それに彼女がドラムを担当する時点でもうこのバンドはおかしいんですよ」
 ね、と同意を求める古泉はいつものようにキザったらしかった。常に笑顔でいられる秘訣があれば、教えて欲しいもんだな。是非とも実践したい。
「じゃあ、スタジオを予約するわよ!」
 突然ハルヒが立ち上がった。目が期待に満ちて輝いている。それなのに何故俺は不安に駆られるんだろう。
「ちょっと待て。朝比奈さんの意見はどうするつもりだ」
 朝比奈さんのことだから、絶対にハルヒが言う日は空いてるだろうけど。
 でも、ここは一応言っておきたい。
「言われなくても分かってるわよ。今から電話するわ」
 少し不機嫌な顔になるハルヒ。片眉が吊り上がっている。この顔、何度見たことか。
 いやしかし、ハルヒも常識のようなものは分かってきたのかもしれない。前までのハルヒならそんなのどうでも良いでしょ、とか言ってそうだ。
「そうか。なら良いが」

 という訳で、思っていた通りハルヒが言った日にちは朝比奈さんも完全に空いていたらしい。
 これも朝比奈さんの存在する未来へと繋がるのだろうか。もし、行かなければタイムパラドックスとやらになってしまうのか。
 まあいい。今はそんなことを気にしている暇はない。
 何故なら、今目の前にあるペラペラの数枚の紙が俺の心を如何にしても折ろうとするからだ。
 この記号の群集をどうしろと。この線だらけの紙をどう読めと。
 俺は目の前にある楽譜とかなりの劣勢状態で睨めっこをしていた。その楽譜というのも、ハルヒが作詞作曲を手がけたものだそうで。
 歌詞も綺麗な字で書かれている。何故か読むのは憚られるのでじっくり読もうとは思わないが。
 ギター二本とベース一本、ドラムはニュアンスだけが書いてある。ダダダ、とかゆっくりめとか。ドラムだけえらい適当じゃないか?
 まあ長門だから心配はないだろう。期待しているぞ、長門。
 ギターは一段目がハルヒが担当して、二段目は俺が担当するらしい。一段目は連符などオタマジャクシがひしめき合ってるが、二段目は縦に並んだものばかりである。
 つまり、俺はコード、バッキングギター。ハルヒはボーカル&リードギター。
 ……非常に技術の差を感じる。歌ってすぐこんなの弾くのか。歌いながら弾くところも結構難しそうだ。
 それに比べて俺は、最後まで簡単。
 何だろう。この敗北感は。気にしたら負けか。負けだよな。
806涼宮ハルヒの演奏:2007/08/08(水) 11:16:07 ID:qthNbNUi

 そして遂に来てしまった。
 初スタジオ。SOS団にとっても、俺の人生にとっても、初めての体験だ。
 上手くないなりにも出来る限りの練習はしたつもりだが、どうにも不安になる。ハルヒに借りたギターを背負う肩が重い。もうちょっと練習しておけば良かったかな。
 ハルヒの言っていた場所に行くと、待合室のような場所でいつもの面々が待っていた。
「遅い! 罰金」
 こういうときでも同じセリフかよ。少しは俺の財布の状況を理解してくれないか。
「罰金ってここではどうすりゃ良いんだ」
「私の分払っといて」
 へ?
「スタジオ代、私の分も払っといてって言ってんの」
「二人分だけで良いのか」
 ハルヒはしたり顔になって俺にある紙を見せた。
「一時間……」
 何だこの金額は!? こんなの全額払ってたら一ヶ月に二回行くだけで無一文になっちまう。
 俺の驚きを隠しきれない表情を見て、ハルヒは、
「それ全部払ってくれんの? そんなに払いたいなら良いけど」
 これを払うなんてとんでもない。慎んで二人分だけ払います。
「そんなら仕方ないわね。じゃ、この会員登録の書いて」
 会員登録もしなきゃならんのか。面倒だな。
 空いていた椅子に座って必要事項を高速で書き、ハルヒに渡す。
「はいはい、じゃあ行きましょうか」
 ハルヒがフロントの人に五人分の申込用紙を渡し、今日借りているらしい部屋へと行く。
 まず扉が厚い。音を通さない為なのだろうが、異様に厚いし重い。取っ手もかなり大袈裟だ。
 それを開けて中に入ると、ドラムセットとキーボード、アンプが三個に何やら音楽って感じの機械がある。あれ名前なんていうんだ?
 ハルヒは突っ立っている俺を余所に自分の用意を始めた。担いできたギターを取り出し、チューニングをしてシールドでアンプを繋ぐ。
 繋ぐ……? 何かがシールドとシールドの間にある。
「それ何だ?」
 ハルヒはしゃがんで用意をしつつ、答える。
「エフェクターよ。言ってなかったっけ?」
 夢中なのは良いですが、ジーンズの上から布が見えてますよハルヒさん。赤い布が。
「多分初耳だ」
「そうだっけ。簡単に言えば、音色を変える機械よ」
 いやだから、赤い布がですね。
「へぇ」
 ハルヒは尚も赤い布を出したままもう一個のエフェクターを繋いでいた。
 俺も準備を始めないとな。
 チューニングをして、ギターと繋いだシールドをアンプに差し込む。
 色々なツマミがあるが、どうすれば良いのだろうか。
「ハルヒ、これどうすりゃ良い?」
 マイクの準備に取りかかっていたハルヒは、
「あーそれね。キョンはまだエフェクター持ってないからゲイン上げて歪ませて」
 と言われても、こんなでかいアンプは触ったことがない。
807涼宮ハルヒの演奏:2007/08/08(水) 11:16:49 ID:qthNbNUi
「電源の入れ方は?」
「それはね……」
「どれがゲイン?」
「えっと……」
 こんな調子で俺が質問ばっかりしている内に他のみんなも準備が完了したらしい。
 と言っても、長門はバチ、いやスティックを持って座るだけでだいたい準備完了のようで、暇を持て余し、俺達の準備をただただ見つめていた。
 何処か楽しげな瞳になっているのは気のせいか?
 朝比奈さんは今にも壊れそうな震え具合で、見てるこっちが更に不安になってくる。そんなに固くならないで下さい。大丈夫です。
「じゃー、一回みんなでテキトーに合わせるわよ!」
 いつの間にかマイクスタンドを自分の前まで持って行き、マイクをあの機械と繋ぎ準備万端なハルヒがピックを持った右手を上げた。
「キーはEね!」
 途端、ドラムの連打が鳴り響いた。細い手首が折れそうなくらい速い動き。まるで機関銃のような音だ。
 続いてハルヒのギターが高音のノイズを放つ。正確にはハウリングに近い。そこからすぐに凄い勢いで即興のフレーズを弾いていく。
 長門とハルヒが躍動して、音と音が絡み合って、混じり合っている。
 長門のドラムが落ち着いたところで古泉が入っていく。破裂音のようなベース。指と弦が反発し合う。強い、短い音。
 どんどんバンドの音象へと近づいていく中で遂に朝比奈さんの指が動き出した。
 連続する機械音と歯切れの良い和音。近未来的な音が流れ出す。宇宙をも想像させる。
 まさか朝比奈さんまでこんなに上手いとは。凄い……。
 蠢く音と音が狭い空間で渦を巻いている。呆気に取られた俺は四人の演奏に入ることを忘れていた。
 ハルヒが強い眼差しで俺を見る。微量ながら期待のようなものを感じてしまう。
 我に返り、急いでピックを弦に引っかける。簡単なコードで追いつこうとするが、追いつけているのかすら分からない。
 どんどんヒートアップしていく演奏にハルヒが声を出す。
「ヘイッ!」
 それを合図に長門がスティックをエックスの字にして二回叩いた。
 ワン、ツー。そんなタイミングで。一瞬演奏が止まる。
 そして。
 全員の音がハジけた。長門は力強く叩き付け、ハルヒはノイズを、古泉は轟音、朝比奈さんは高速弾き。
「良い感じね」
 演奏が終わった。ハルヒは満足気な顔でみんなを見ているのだが、その視線を俺に向けるのは間違っている。
 俺は最後までみんなの演奏に呆気に取られていて、ギターを弾くにも適当なコードで誤魔化していただけだ。だから、そんな目で俺を見るんじゃない。
「みくるちゃん凄いじゃない」
「え、え、あ、はい」
 ご機嫌なハルヒに褒められ、しどろもどろな朝比奈さんであったが、確かにその演奏は凄かったし、上手かった。
 俺はどうしても劣等感を感じざるを得ない。
「じゃ、この前渡した曲をやるわよ」
 ハルヒの言葉から練習していたギターを思い出す。
 難しくはない。何とか弾けるはずだ。
「ユキッ」
 ハルヒが長門に視線を投げかけた。
 長門によるカウントが始まる。四回、全員がそのリズムに集中する。
808涼宮ハルヒの演奏:2007/08/08(水) 11:17:32 ID:qthNbNUi


 初めてのスタジオの結果はというと、俺以外はこれでもかというくらいに力を出し切っていたように思う。
 しかし、俺は、俺だけは最悪だった。他の誰よりも簡単なパートなのに微妙に間違えてしまう。古泉はそれくらい気にしなくて良いと言っていたが、ミスった俺は相当気にしてしまう。
 間違う自分に苛立つ。そのことに更に苛立つ。非常にストレスの溜まる悪循環が始まっていた。
 ハルヒの歌は普通に上手いし、長門の超絶ドラムテクもヤバい。他の四人が上手いと余計に不安になる。
 俺はこの日からギターを弾くことに自信を失いつつあった。
 だから、今こんなことを言ってしまったんだと思う。
「俺はいない方が良いんじゃないか?」
 途端、部室の空気が重くなる。動作では表れない空気の重みが部室を圧していた。
「どういう意味ですか?」
 古泉が訝しげに俺の言葉に応える。顔はいつもの笑顔から目を開いた美少年な顔になっていた。
「俺がいなくてもバンドとして活動出来るだろ」
 そう思う。単純に四人だけでバンドとして成り立っているじゃないか。俺は別に要らなくないか?
「それは違います。あなたは必要ですよ」
 古泉は組んでいた手を離して、真面目そうに言う。
「いや、四人で既に成り立っているものに俺がわざわざ介入するのはただ蛇足なだけじゃないか?」
 ハルヒが操作するパソコンのファンが唸っている。風より重い、音だけが。
「まぁ良いさ。俺は今日の練習を休ませてもらうことにする」
 椅子から立ち上がり、鞄を持ち部室から出る。扉の隙間からハルヒの声が聞こえた気がするが、きっと気のせいだ。
 今日は家に帰ってゆっくりしていよう。……ギターのことは忘れて。




うわー、最初下げ忘れた
すいません。許してください
809名無しさん@ピンキー:2007/08/08(水) 11:38:26 ID:LL3UfvbR
続きまだ〜?
sage忘れはどんまいです。
810名無しさん@ピンキー:2007/08/08(水) 13:14:09 ID:X8RsbHHc
>>808
GJ!
なんなんだろな、この身につまされる感じは・・・
811名無しさん@ピンキー:2007/08/08(水) 15:45:46 ID:ZhvTuAj0
>>808
GJ!
>>810
なんでだろう、遠い過去を思い出した
812名無しさん@ピンキー:2007/08/08(水) 18:31:25 ID:t8PRIq7y
原作者の新作読むとやっぱ圧倒的な力の差を感じてしまう。
これはもう如何ともしがたいね……
813名無しさん@ピンキー:2007/08/08(水) 21:33:04 ID:0ZMJUdca
ハルヒと学校以外の作品ってあるのか?
それとも2つだけか?
814名無しさん@ピンキー:2007/08/08(水) 21:36:10 ID:JkTh/MhV
谷川流 170
http://love6.2ch.net/test/read.cgi/magazin/1186300753/
ここのテンプレ見れ
815名無しさん@ピンキー:2007/08/08(水) 22:54:05 ID:LL3UfvbR
>>797の怪電波を受信

すべてお見通しだったのか…どう言い訳をすればいいんだろう等と考えていると
「みくるちゃん扉に鍵をかけて、それと有希!キョンを拘束しなさい。」
おい、拘束しなくても俺は逃げないって、それから俺は長門にロープで縛られ椅子に座らされている。
「アンタ…なんでこんなことしたの?それに盗撮なんてらしくないんじゃない?」
すまない。あの時の俺は少しおかしかった。撮影したことはあやまる。すまん…
今は反省し罪悪感に包まれている。だからわりに何か罰ゲームでもやってやるぜ
でもどうでもいいが長門がデジカメ持っているんだ?訳分からん。
「それはいい心掛けね分かったわ。じゃあアンタにも恥ずかしい姿になってもらうからね。」
な、何でだよ!! おいコラやめなさい。俺を裸にしても面白くないぞ!
ハルヒは俺に飛び掛かり最初にベルトを外しにかかりあっと言う間にパンツ一丁にされた。
「有希はそのまま撮影しなさい。みくるちゃんスカートを捲り上げなさい!そうすれば面白いものが見られるわよ」
ちょっ、ハルヒさん…朝比奈さんが嫌がっているじゃないか…あれ?いつもなら…
『ふぇぇぇー!嫌ですぅ辞めてくだちゃーい!ふにゅぅぅ』のはずが

目がマジで嫌らしい感じがする。いわゆる淫乱モードになっているのではないか?
ハルヒにしたって今日は絶対何かがおかしい…実はドッキリなーんて?いやありえない多分空気が物語っている。
「何を考えているのでしゅか?キョン君目を逸らさずに良く見てて下さいね。えい!」
ズルッ
すると目の前15pに朝比奈さんのパンツではなくアソコが丸見えである。
ハルヒより陰毛は薄く…割れ目からは液体で湿っていて何とも言えない匂いがする。
しかも俺のアレが膨張していた。だって仕方がないだろ俺は童貞だし密室での行為とくればな
つづく
816名無しさん@ピンキー:2007/08/09(木) 01:03:12 ID:KChpeiVX
>>797-798
よく分かったな……あそこから来たよ
昨日の夜に読みきったが、中盤辺りから涙が止まらなかった
間違えてエピローグを最初に少し読んでしまったのが、悔やまれるが

これ以上は自重するよ、作品を投下してくださった方々皆乙
これからも頑張ってください
817名無しさん@ピンキー:2007/08/09(木) 01:29:04 ID:EM5UuAtT
自分で自分のレスに続けて書いていって楽しいもんなのか?
818名無しさん@ピンキー:2007/08/09(木) 03:16:28 ID:J2/tE5Ud
ピタリとレス止まってちょっと笑ったw
819名無しさん@ピンキー:2007/08/09(木) 07:18:59 ID:oWwXfyB5
まぁ気長に待つさ。変態佐々木まだ〜?
820名無しさん@ピンキー:2007/08/09(木) 11:34:36 ID:5E1LqPPQ
もしもだ。もしもハルヒが中学時代に彼氏とズコバコ犯ってた、もしくは犯られてたとしたらどうだろう。
キョンと二人で歩いている時に元彼氏とあって、

元彼氏「へぇ、それが今の彼氏か?」
ハルヒ「……何が言いたいのよ」
元彼氏「なあ、お前もうコイツとヤったのか?」
ハルヒ「なっ、あんた何言い出すのよ!」
元彼氏「俺がお前にヤったことあるかって訊いた時に言ったよなぁ。
    今まで付き合った奴全員としてみたわ、ってよ。
    今更カマトトぶってんじゃねぇよ、この淫売女が」

ってな展開になったら俺は……orz
安っぽいエロ同人&テキトーな文章でスマソ
821名無しさん@ピンキー:2007/08/09(木) 11:48:06 ID:oWwXfyB5
>>820
欝になるから勘弁…
ハルにゃんはまだ処女だよ!
822名無しさん@ピンキー:2007/08/09(木) 12:13:39 ID:Jsrhr+Sz
>>821
あれだけいろんな男と付き合ってんだし非処女だろw
823名無しさん@ピンキー:2007/08/09(木) 12:44:05 ID:sN4gvdQO
それくらいで淫ばいだの鬱だの言い出すのが不思議
824名無しさん@ピンキー:2007/08/09(木) 12:45:16 ID:b8CK92pk
>>822
「万が一ユニコーンと遭遇した時に非処女だと近寄れ無いから」
そんな理由で乙女に一票
825名無しさん@ピンキー:2007/08/09(木) 13:02:19 ID:5E1LqPPQ
>>823
まあそんな俺は涼宮ハルヒの輪姦をズリネタとして愛用してるんだけどな
ハルヒみたいな女が実は淫乱ってのもいいもんだww
826名無しさん@ピンキー:2007/08/09(木) 13:08:07 ID:++fYi+Wm
>>824
「とは言ったものの、犬より大きい生き物には怖くて近寄れない」はるにゃんを想像して不覚にもおっきした
827名無しさん@ピンキー:2007/08/09(木) 14:39:35 ID:RJI7AEsp
むりやり犯られてさえいなかったら処女だとは思うがな。
ハルヒの性格から考えて。
828名無しさん@ピンキー:2007/08/09(木) 14:45:01 ID:DrlhN3MF
とりあえず興味持った事は試してみそうなハルヒだから
最初の何人かとしてみて良くなかったので失望したと見る

そしてキョンとしたら凄く良くて
何も考えずに好きでもない男で捨てたことを後悔するとGOOD
829名無しさん@ピンキー:2007/08/09(木) 14:47:28 ID:I5EXgPbf
ジョンがいるから無理
830名無しさん@ピンキー:2007/08/09(木) 15:29:05 ID:vO3ZxD4R
>>825
そんなタイトルのSSあったっけ?
831名無しさん@ピンキー:2007/08/09(木) 15:51:21 ID:V6f0qemD
ドジンシには掃いて捨てるほどあるな
832サンプル1:2007/08/09(木) 15:54:59 ID:lZw23x/t
西日にオレンジに染められた長門の肌は、何とか思念体だかヒューマノイドだか知らないが朝比奈さ
んやハルヒのそれらと何ら変りが無いようだった。朝倉とのやり取りで眼鏡を失い、その魅力たるや
谷口の評価に二階級特進くらいの上方修正を要請しなければならないほどだ。
「……なに?」
「い、いや何でも無い」
長門vs朝倉の宇宙人対決なんて少なくとも俺の現実から地球七周り半以上は隔たりがあるであろう光
景を目の当たりにして、俺は疲れていたんだろう。気がつくと随分長い間腕の中で横たわる長門の顔
をボーっと眺めていたようだ。
「臀部に違和感を感じる」
「ん? お前の再構成とやらにも限界があるのか? 大丈夫か?」
「そうではない、あなたの身体を構成する一部分が私に触れている」
しまった。人間、特に男の人間というやつは生命の危機にさらされた時に自動的に反応する機能があ
る。種を保存しようとする本能ってやつだ。要するに俺の息子がカチカチになって長門の尻を押し付
けているというわけだ。
「こ、これはだな……」
「有機生命体の生殖行動には興味がある」
「な、なんだって!? おまえがか?」
「情報統合思念体」
「だ、だがな、あの、その、なんだ……」
「あなたのDNAおよび有機生命体が生殖に用いる液体のサンプルを要求する」
「待て、お前の親玉はそんな初歩的な事くらい宇宙開闢の昔から知っているんじゃないのか?」
「あなたは特別な存在。涼宮ハルヒに選ばれた」
辺りの雰囲気に多少の違和感を感じて周囲を見回すと、さっき再構成されたばかりの教室が微妙に変
化している。ドアが無い。
「お、おい、長門、何をする気だ!?」
「サンプル」
そう言うと長門は俺のベルトに手をかけ、制服のズボンを脱がしにかかる。
「長門、それはまずい、ちょっと待て……」
「あなたは拒否していない」
そう、俺の息子はこんな特殊な状況にあっても、いやこんな状況だからか針を刺したらどこぞの土産
ものの羊羹みたいにちゅるっとひっくり返りそうなくらいに張り詰めている。ああ、俺の初めては愛
しの朝比奈さんか、百歩譲ってもハルヒあたりと済ませたかったのだが、長門だってあの二人に負け
ず劣らずの美少女だし、こんな状況で断固拒否などしようというものなら純真な乙女に恥をかかせて
しまうというものだ。いや、長門に限ってはそんな事は無いのだろうか? だが、万が一という事も
ある。えい、据え膳食わぬは男のなんとやらだ。
「わかった、お前がやりたいならやっちまえ。そのかわり痛いのとか息子をもぎ取るとかは無しだぜ」
「了解した」
長門は立ち上がった俺のトランクスを両手で下げると、そこにそそり立つモノをしげしげと眺めた後、
おもむろに口に含む。普通の人間と変わらないぬくもりと柔らかい舌や唇の感触が俺の脳を痺れさせる。
「ちゅば…ぐちゅ……ずずっ…」
眼下で内燃機関のような規則的な動きを繰り返すその頭の天辺から甘やかな芳香が漂ってくる。こい
つもシャンプーとかリンスを使うのだろうか? その必要も無さそうだが。なんて呑気な事を考えて
いる暇は無さそうだ。最近溜まり気味だった上にこんな魅力的な事をされてしまったら……。
「んぷ…むっ…ずぷ……」
「長門、そろそろイキそうだ。このままイっても大丈夫か? 変なもんかけても壊れないか? お前」
「へいひ……はへへいい…じゅぷ…」
規則的な動きはそのままに、そのペースが段々スピードアップしてくる。息子の付け根の奥のほうが
不随意に収縮を始め、ギュウギュウ締め付けている。
「うぁっ…!!」
台風の長雨で120%満水状態だったダムのように俺のほとばしりが長門の口の中で決壊した。
「ごくん……ぬぷ…ずじゅ…」
833サンプル2:2007/08/09(木) 15:56:46 ID:lZw23x/t
「…ん…ぬぷ……ずず…んぷ……ぬぷ…む…ん……」
『サンプル』を何事も無く飲み干した長門だったが、その口淫は止まる気配を見せない。男性諸君な
らわかると思うが、これはちょっとまずい…膝がカクカクしてきた。気が狂いそうだ…。
「長門、ちょっと待ってくれ…ストップ」
「じゅぷ…………」
萎みつつある我が息子を小さな口から解放した長門が俺の顔を見つめながら、一ミクロンほど首をか
しげているように見える。こいつは一通り人間の生殖行動を知ってはいるのだろうが、詳細なところ
までは親玉から習っていないらしい。
「人間の男ってやつは、イったあと少しの間だけ超過敏になるんだ。どういう理屈かは知らんがな」
「了解した」
「サンプル取れたか?」
「解析して情報統合思念体の当該データベースに送付済み」
「ははっ、俺のクローンとか作るのは勘弁してくれよな」
「伝えておく」
しばらく目と目が合ったまま無味乾燥な沈黙が続く。そういえば、幼い妹に無理矢理された以外に俺
はキスもしたことが無かったのに、長門とこんな事をしているんだと気付いた。
「なぁ、キスしてもいいか?」
「キス」
「口と口を付けるんだ」
「何故?」
「その、愛し合う人間同士はキスするもんなんだ。キス単独でもするし、生殖行動とセットだったり
もする」
「わかった」
と、言ったきりその大きな瞳は瞬き一つせず俺を見つめている。
「いいのか?」
「いい」
「目、閉じてもらえるか?」
何故? と聞かれそうな気がしたが、今度は素直に目を閉じてくれた。生まれて初めてのキス。ちび
っ子のいたずらのキスではなくて舌を絡ませながら。忘れていたが、たった今ここに『サンプル』を
放出したばかりだったのを少々後悔しながら、俺たちは随分長い事キスをしていた。すると、さっき
萎んだばかりの息子が再び長門の太ももあたりに違和感を与えだした。
「当たっている」
「ああ」
「もう一度サンプル」
「いいのか?」
「いい」
再び俺の息子を口に含もうと顔を近づけてくる長門に言った。
「ちょっと待て、その、お前を見せてもらってもいいか?」
「何故?」
「見たいんだ、お前を」
「わかった」
俺はセーラー服に手を掛けると通常の三角タイとはちょっと違うリボンのような紐を解き、長門の身
体を露わにしてゆく。長門らしく機能以外の事はあまり考慮されていなさそうな白いブラジャーが控
えめな2つの丘を包んでいる。その合理的な布を外すと小ぶりながらも形のいい乳房に薄ピンク色の
可愛らしい乳首が乗っているのが見える。
「長門、綺麗だ」
「そう」
あまり関心も無さそうな顔をしているが、嫌がってもいない。少し頬を赤らめているような気がする
が、気のせいだろうか? そんな事を思いつつ滑らかで柔らかい乳房を優しく揉みしだき、小さな乳
頭を口に含む。そして、俺の手は薄っぺらい腹やくびれた腰、水を垂らしたらワックスかけたての車
みたいに水を弾きそうな太ももを経由してスカートの中へと誘われてゆく。ブラジャーと同じ色のシ
ンプルなパンティー越しに女の子の部分を弄る。熱い。感じてくれているのか? 長門。

パンティの中に手を滑り込ませると、熱々のホットケーキにメープルシロップをかけたみたいな幸福
な感触が待ち構えていた。俺も若い男だ、もう我慢ならんとばかりにパンティーをずり下ろすと、そ
こには控え目な陰毛を形良く蓄えた低い丘があり、花屋というよりは魚屋か寿司屋あたりに縁のあり
そうな景色があった、良い意味で……。貝? いや、ここは花弁としておいた方がロマンがあるとい
うものか。どちらにしても、それは宇宙人とかヒューマノイド云々などという事がどうでもよくなる
ほど、人間らしく、美しく作られていた。
834サンプル3:2007/08/09(木) 15:58:19 ID:lZw23x/t
その美しい花弁に舌を這わせると、少し鉄のような味がするが、これは長門が鉄で出来ているという
事ではなく、人間の女性もそうだと誰かが言っていたような気がする。スカートの中で夢中になって
嘗め回していると長門の身体がぴくん、ぴくんと動くのがわかる。その頻度が上がってくると、太も
もが俺の顔を挟んで締め付けてくる。
「ん……」
ちょっとした驚きだが、長門が切なげな声を上げ始めた。もう、良く出来ているなんて考える事自体
長門に失礼な気がしてくると同時に、この控えめな文芸部員をもっと悦ばせてやりたいと思いはじめ
た。花弁の一片を指で押し広げると小豆のように小さな、それでいて一番敏感な部分が露わになる。
そこを舌を尖らせて突いたり指でいじったりしていると長門の声も段々はっきりと悦びの色を帯びて
くる。長門のそこが十分に蜂蜜まみれになったところで俺は言った。
「挿入れていいか?」
「いい」
可愛い声を出すくせに、こういう受け応えは長門らしいまんまなんだなと苦笑しつつも、俺は息子を
その部分にあてがい、手に持って少し上下させて入り口を探すと難無く飲み込まれてゆく。
「初めてか?」
「そう」
「痛いかもしれないけど、平気か?」
「予想される痛みは問題にならない程度。無視できるレベル」
「わかった。じゃあ、いくぞ」
俺は逸る気持ちを抑えつつ、腰を深く沈めてゆく。長門の初めてを突き破る感触と同時に長門の顔が
僅かに歪んだように見えた。
「痛いか?」
「正常な範囲。もう大丈夫」
大丈夫といっても相当痛いんだろうなと思ってゆっくりピストン運動をする。身体の一点から伝わっ
てくる熱さが心地いい。
「好きなように動いて。私は平気」
「ありがとう。じゃあ」
遠慮していたのがわかったのか、自由に動く許可をもらったのでもうちょっと動かせてもらうとしよ
う。長門に覆いかぶさるようにして深く口付けながら、俺の腰が加速してゆく。二人の僅かに乱れた
息づかいと長門が時折漏らす切なげな喘ぎ声のみがこの空間に存在する唯一の音源。目の前には二つ
の愛らしい水饅頭を思わせる物体がプルンプルンと揺れている。愛しいこの身体全てを愛撫しつくし
てやりたい。そう思って手と舌を這わせ、長門の身体を縦横無尽に侵食しつくす。俺の動きに合わせ
て奏でられる悦びの声は今まで聞いたどんな音楽よりも美しく、俺を昂ぶらせた。
「ちょっと立ち上がって、そこの机に手をついてくれるか?」
「わかった」
言われるがままに長門は机に手をかけて立ち上がる。覆い被さってきたスカートを片手で上げ、俺は
バックの体勢で再度長門の中に侵入してゆく。小ぶりながらもみずみずしく柔らかい白い尻を見てい
ると、桃太郎が桃から生まれるってのはそういうメタファだったのか? と妙な事を考えながらも、
俺の付け根がこそばゆく収縮し始める。
「長門、気持ちいいか?」
「いい」
予想外にストレートな返答が帰ってきたが、気持ちいいならそれは結構な事だ。俺が長門を背後から
抱き締め床に四つん這いにさせようとすると、察してくれたのか長門も上体を僅かに持ち上げて机の
脇の床へと移動する。二人の体温が溶け合った蜜壷のある一点、身体の前面にあたる方向の辺りをか
き回していると断続的だった長門の可愛い声が連続性をもったものに変わってくる。
「ああ……はぐぅぅうう……」
「いきそうなのか?」
「わからない…。初めての経験…。……未確認の感覚が臨界点に達しようとしている。……無視でき
ないレベル」
「怖いか?」
「あなたは…私を壊したりし……ない。だから平気……」
「ああ。長門。俺はお前を壊したりなんかしないさ」
「はぅううう…あっ……んん……」
長門の身体が弓のように反って脚をこわばらせ、ピクピクと痙攣している。イったのだろう。俺はこ
の完全無欠のようなインターフェイスとやらをイかせた事に不思議な誇らしさを感じると共にこの人
間の少女と何ら変わりのない生命にとてつもない愛着を感じ始めていた。放したくない。
835サンプル4:2007/08/09(木) 16:00:03 ID:lZw23x/t
「長門。好きだ」
「好き?」
「好意を持っているんだ。お前に」
「そう」
「お前の親玉は愛という概念を持っているか?」
「わからない。少なくとも私には与えられていない……と思う」
今はそれが何かわからなくても、お前は愛する心を持っているさ、きっと。無いなら俺が作ってやる。
「落ち着いたな。じゃあ今度は俺の番だ」
「あなたの番」
長門がイッた後も入れたままにしていた我が息子をここぞとばかりに動かすと、長門も少しずつ腰を
動かし、向かい合ったピストン運動は俺の『未確認の感覚』を臨界点へと引きずり込んでゆく。
「うっ…はぁ…長門…そういえばお前…妊娠とかするのか?」
「理論的には可能。…でも未実装」
「じゃあこのまま出してもいいか?」
「いい…」
「よしっ…じゃあ…いくぞ」
俺は一分一秒でも長く愛しい身体と繋がっていたい気持ちと、早く楽になりたい気持ちの板ばさみに
なりながら、もう引き返せないところまで来ていた。長門の尻にあてていた汗ばんだ手に心持ち力が
入り、最後の渾身の一突きを深々と沈めた。さっき放出したばかりなのに、俺のほとばしりは長門の
中でしばらくの間ドクドクと脈打ちつづけた。
「はぁ…はぁ…」
繋がったまま長門を仰向けにし、覆い被さると長門の身体、正確には頭の辺りを抱き締め、長門の額
が俺の胸にうずまっている。
「とても興味深いデータが取れた」
「そうか」
「このインターフェイスと有機生命体の肉体的接触は、かなり低い確率で想定されていた出来事」
「親玉に叱られるか?」
「情報統合思念体はこの接触に興味を持っている」
「はは……」
「あなたを放したくない。……これは何?」
それは感情、中でも俺たちが愛って呼んでいるとびっきりのやつなんだぜ、長門。俺もその感情をお
前に感じている。繋がったまま見つめあって一息つき終ったところで長門がまた腰をもぞもぞと動か
し始めたが、俺もさすがに三発連続はきついので、謝ることにした。
「ごめん、今日はもうお終いだ。少し疲れた」
「わかった」
長門の大きな瞳が瞬間停電のように一瞬だけ暗い表情を見せた気がした。
「残念なのか?」
「……少しだけ」
「そうか。すまん」
繋がった部分を抜き出すと俺はポケットからティッシュを取り出して長門を拭いてやった後、俺のモ
ノもきれいにしてパンツをはく。ジーっと俺を見たまま動かない長門にパンティを穿かせ、しばらく
抱き合った後帰るから服を着ろと言うと長門は文字通り機械的な動作で服を身に付ける。いつの間に
か教室はドアを復活させ、俺達は通常の空間に戻ってきた。着衣の終わった長門の腰をポンっと叩い
て帰るぞと言うと、長門は黙って俺の数歩後をついてくる。そして扉を開けると、こんな状況でハル
ヒの次に会いたくなかったニヤケハンサムフェイスがそこにあった。
836サンプル最後:2007/08/09(木) 16:01:46 ID:lZw23x/t
「あなた達でしたか。まぁ、予想はついていましたがね」
「こんな時間にお前は何しに来たんだ?」
「いえ、この教室の前を通りかかったら人の気配のようなものを感じましてね。しかしながら、扉を
開けても誰もそこにはいなかった。気のせいかもしれないとは思ったのですが、何分あなたと涼宮さ
んの所属する教室ですから、ふと心配になりまして」
「まぁ、何も無かったとは言えないが、今は話す気がしない。あとにしろ」
「わかりました。ただ、これだけは言っておきます。あなたと長門さんがどういう関係になったとし
ても涼宮さんの行動、とりわけ無意識下での行動に影響を及ぼさない範囲であれば我々『機関』がと
やかく言うつもりはありません。しかし、涼宮さんは勘の鋭い方ですから、くれぐれも用心してくだ
さい」
言うまでもなくこいつにはバレバレという事か。『機関』とやらの怪しい機材で俺達を覗いてたんじ
ゃないだろうな? まぁ、いくらなんでもそこまではしていないだろう事を望んでおく。
「あぁ、わかってるさ。あいつにバレたら死刑、良くても罰金として喫茶店おごり百年分とか言い出
しそうだからな」
「それだけで済めば良いのですが、涼宮さんがあなたに何らかの感情を持っているとすれば、いえ、
これはあなた以外の人間からすれば明白な事でしょう。その感情を害する事があれば、良くて世界の
改変、悪くすればこの世界の終わりを意味すると言っても過言ではないでしょう」
「ハルヒが俺をどうこうってのはよくわからんが、そんな事にはならんと思うぜ。たぶんだけどな」
「信頼しているというわけですね」
「まぁな」

俺と長門の関係は俺さえ口を滑らせなければ、絶対に団長閣下や他の団員、まぁ朝比奈さんだが。に
ばれる事はないだろうとたかを括っていたが、ある日朝比奈さんの着替えシーンに偶然遭遇してしま
い廊下に飛び出した俺のところへ長門が来て「サンプル」と言ったのには少々肝を冷やした。俺の息
子の僅かな変化ですら、この宇宙人っ娘の目をごまかす事はできないらしい。その晩、俺が長門のマ
ンションにしばらく寄り道して帰った事は言うまでもないだろう。
837サンプル書いた人:2007/08/09(木) 16:04:13 ID:lZw23x/t
最近原作を読み終わったばかりなので皆さんにとっては今更なシチュエーションで
書いてしまったかもしれませんが、良かったら読んでみてください。
838名無しさん@ピンキー:2007/08/09(木) 16:06:47 ID:oWwXfyB5
乙!長門(;´Д`)ハァハァ
839名無しさん@ピンキー:2007/08/09(木) 16:11:06 ID:7GxuWenb
乙!

> 息子をもぎ取るとかは無しだぜ
このセリフで股間が痛くなったw
840名無しさん@ピンキー:2007/08/09(木) 17:55:51 ID:5E1LqPPQ
>>830
アーカイブへちの出してる同人誌。
ハルヒがDQNやら北高生徒やら野球部員やらデブのオッサンやらに強姦輪姦されて中出しされまくるやつ。
一度手に入れたら絶対に手放すことの出来ない一品。鬼畜好きの俺にとっては最高の作品だ。
841名無しさん@ピンキー:2007/08/09(木) 18:07:50 ID:f9xalgcJ
>>828
これに一票
842名無しさん@ピンキー:2007/08/09(木) 18:25:49 ID:G8M9g+Dj
>>840
あ〜、あのできの悪いやつのほうか
843名無しさん@ピンキー:2007/08/09(木) 19:53:26 ID:Kz7RlvHH
恋は精神病の一種さ、これも粘膜の生み出す錯覚だよ、
とか言って何の感慨も無く、ただの『楽しむ行為』として“フレンズ”と致している佐々木ってのもなかなか良いんじゃない?
844名無しさん@ピンキー:2007/08/09(木) 20:10:50 ID:5E1LqPPQ
>>842
出来の良いやつってのは何を指してるんだ?
へちが出してるハルヒ本ではこれが一番気に入ってるんだが。
845名無しさん@ピンキー:2007/08/09(木) 20:41:23 ID:NCYr8r4y
まぁ原作至上主義の俺はハル×キョンしか認めないからな、同人誌は。
846名無しさん@ピンキー:2007/08/09(木) 21:05:52 ID:Kz7RlvHH
人の好みにアレコレ言いたくないが、土人の話なら半角行ってこいよw
847名無しさん@ピンキー:2007/08/09(木) 21:42:54 ID:2YNpLmGy
原作者の同人誌読むとやっぱ圧倒的な力の差を感じてしまう。
これはもう如何ともしがたいね……
848名無しさん@ピンキー:2007/08/09(木) 21:59:09 ID:dpzAgiiy
もう何が何やらw
つうかその愛されるコピペ生み出した彼はある意味うらやましい。
849名無しさん@ピンキー:2007/08/09(木) 21:59:18 ID:sN4gvdQO
同人誌は半角の管轄ではないだろうに
変なところに誘導するなよ
850名無しさん@ピンキー:2007/08/09(木) 22:15:47 ID:nFDcLfAC
現在489KB
そろそろ次スレですよ
851名無しさん@ピンキー:2007/08/09(木) 22:51:17 ID:1jtrnpVA
>>847
またかよ…って思ったらなんだよそれwww
852名無しさん@ピンキー:2007/08/09(木) 23:18:19 ID:KPkIllBW
つーかマジで読んでみたいわw

ほい次スレ
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1186668958/
853名無しさん@ピンキー:2007/08/09(木) 23:21:09 ID:5E1LqPPQ
>>852
何を読みたいんだ?
854名無しさん@ピンキー:2007/08/09(木) 23:30:52 ID:bqlSz2oB
>>853
お前がスレの流れと前後のレスを読めるようにでもなれ
855名無しさん@ピンキー:2007/08/09(木) 23:52:05 ID:5E1LqPPQ
>>854
流れだの何だのと言っているが、主語の無い文章を書いておいて後は相手に丸投げってのは良くないと思うがね。
発言者の正確な意図を汲み取ろうとするなら主語は絶対に必要だろ。
856名無しさん@ピンキー:2007/08/09(木) 23:53:49 ID:H++qGG8q
原作者の同人誌だろ
857名無しさん@ピンキー:2007/08/10(金) 00:44:38 ID:2JI70tVt
直前のレスを読めば”原作者の同人誌”だと理解できるはず
858名無しさん@ピンキー:2007/08/10(金) 00:55:37 ID:FQnbI2Nn
>>853日本語力なさすぎワロス
859名無しさん@ピンキー:2007/08/10(金) 01:47:44 ID:MM5ADaov
作者の同人誌っていうのは、ハルヒ関連スレでは禁句だと思ってたがなw
860名無しさん@ピンキー:2007/08/10(金) 04:46:32 ID:TOL+HZbJ
5E1LqPPQのアキノリが頭悪すぎて噴いたw
861名無しさん@ピンキー:2007/08/10(金) 09:42:36 ID:XGy8V5ar
>>840
涼宮ハルヒの睦言1〜3は買ったか?
と悪ノリしてみる
862名無しさん@ピンキー:2007/08/10(金) 09:58:53 ID:2f1IEEqL
埋めネタもお待ちしています
863名無しさん@ピンキー:2007/08/10(金) 12:55:14 ID:QMq2uwnk
>>840
あれは抜きネタにはよかったな
希有馬屋の 恋するハルヒは〜 は読んだか?
俺はあれがお気に入り
こういうタイプの淫乱も◎だな
864名無しさん@ピンキー:2007/08/10(金) 13:55:29 ID:1aE2dtXL
そろそろ同人の話はやめようぜ。荒れるかも試練
865名無しさん@ピンキー:2007/08/10(金) 17:55:17 ID:TAoYTjxV
変態佐々木シリーズを読んだ後に分裂を読むと、佐々木の性格を裏読みして圧倒的な妄想を感じてしまう。
これはもう如何ともしがたいね…
866名無しさん@ピンキー:2007/08/10(金) 19:57:36 ID:SYD+u8NO
>>865
おまえは俺か。
867名無しさん@ピンキー:2007/08/10(金) 20:35:05 ID:2JI70tVt
>>865-866
よう俺

くるくる☆橘を読んだ後に(ry
868名無しさん@ピンキー:2007/08/10(金) 21:11:28 ID:zB4DjKrT
>>865
確かに如何ともしがたいなww
869名無しさん@ピンキー:2007/08/10(金) 22:38:29 ID:e5ZVh2Df
というかあの変態佐々木さんのせいで、
確固とした「佐々木さん=変態」という像が
出来上がって小揺るぎもしないんですが。
870名無しさん@ピンキー:2007/08/10(金) 22:56:32 ID:SYD+u8NO
分裂が出たら、佐々木の登場するすべてのシーンをかってに脳内変換して
3回は作業する自信がある。

これもすべて変態佐々木シリーズのおかげです。
本当にありがとうございました。
871名無しさん@ピンキー:2007/08/10(金) 22:58:33 ID:SYD+u8NO
分裂じゃねーや。驚愕だw
872名無しさん@ピンキー:2007/08/10(金) 23:06:24 ID:2JI70tVt
>>871に期待
873名無しさん@ピンキー:2007/08/11(土) 00:24:24 ID:D43VOqDW
新参の俺に変態佐々木シリーズとやらを教えて偉…エロい人
874名無しさん@ピンキー:2007/08/11(土) 00:28:32 ID:mJK9qYpo
SS保管庫位嫁
875名無しさん@ピンキー:2007/08/11(土) 00:29:17 ID:SNptimVP
>>873
>>709-710
このスレぐらい嫁
876名無しさん@ピンキー:2007/08/11(土) 00:37:04 ID:WpplhGlr
>>869
あれっ、俺こんな書き込みしたっけ?
8771レス埋めネタ「彼らのさよなら」:2007/08/11(土) 01:03:51 ID:yLVM0bDJ
 そこには二人の人物がいた。彼らは「最後のひと時」を共有していた。
 一人は超能力者だった。一人は未来人だった。

 七夕の夜。
 この世界の何人が銀河に願いをかけているのかは解らない。

 しかし、彼らはささやかに祈っていた。
 あとほんの少しでもいいから、この時間が続きますように……と。

「ねぇ。……あたしは、佐々木さんをどれだけ救えたのかしら」
 橘京子は宵闇を見上げた。

 学校の屋上だった。
 彼らは普段、部活動でこの場所に上がってくることがある。無断で。
 いちおう星を観測するという名目があったが、この学校に天文部はない。
「お前はそうやって自分に存在意義を見出しているつもりか? だったらいい趣味じゃないからやめておけ」
 橘の先輩である男子生徒、藤原が言った。橘は即座に首を横向けて反駁する。
「じゃぁあなたもその習癖を矯正したらどうですか? その揚げ足取りみたいなツッコミ癖!」
 痴話のようなケンカをする二人以外に、今宵の校舎屋上に人はいなかった。
 ここから数百メートル離れた山の屋上に、この二人のかけがえない仲間がいたが、それはこの一節には登場しない。
 藤原は嘆息して肩をすくめる。
「……ま、おあいこだろう。第三者が見て五十歩百歩なのはつい最近証明された事項だからな」
 橘は頬を膨らませていたが、気の抜けた風船のように肩を落とすと、
「……そうね」

 夏の夜だった。
 どこまでも広がる天蓋は、この季節にそぐわぬほどの煌きを散開させていた。

 藤原と橘はしばしの間、黙って天の川を見上げていた。
 大切な人たちと、大切な世界のことを思って。


「橘」
「何ですか」
 長い沈黙を破った藤原に、橘が応えた。
「先に言っておくが、僕は湿っぽい寸劇が大嫌いだ」
「あたしだって、あつらえたような三文芝居は好きじゃありません」

 微風が二人の間を撫でた。
 まるでそれこそが寸劇であり三文芝居だと言わんばかりに。

「……これまで楽しかった」
 正直に告げたのは藤原だった。彼は本当に、ようやくその気持ちを打ち明けた。
「…………」
 橘は何も言わなかった。
 藤原の言葉は、思いもかけぬほど彼女の心を打った。
 瞬間、橘はこみ上げてくる思いを抑えるだけで一杯になってしまった。

 震える橘に藤原は当惑し、躊躇した。
 そしてそっと、彼女の手に触れた。

「感謝するよ」

 こんな言葉は後にも先にもこれっきりだろうと彼は思った。
 橘は堰を切って、声にならない嗚咽と共に泣き出した。

 ありがとう――。

 それが彼らの「さよなら」だった。
 ただ、二人だけが知る、最初で最後の別れの言葉だった。
878名無しさん@ピンキー:2007/08/11(土) 01:25:37 ID:va2ngxh5
>>877
良い。スレの変態佐々木の流れも受けながらw、綺麗にまとめてくれたな。
スレを締める「さよなら」のタイミングである事が、また素晴らしい。理想の埋めネタ乙。





でも>>3-48といい、こういうSSが積み重なる事で、原作を読んでも圧倒的な橘藤原フラグを感じてしまう。
これはもう如何ともしがたいね…
879埋めネタ曇りのち雨:2007/08/11(土) 01:46:18 ID:26AKzLlS
今日はいつもの不思議探索がなく俺は町をうろついていた。他にやることがなくうろうろしていた訳だが
ぶらぶらと歩いていると前方に見慣れた二人組いた…ハルヒと谷口だ。二人とも仲良く話に夢中になっていて
俺が通り過ぎても気付かない様だった。まぁ谷口が無理矢理付き合わされているのだろう。
だが俺の中が何かが引っ掛かるようにムカついている。いや、ハルヒが他人との交流を望んでいたのは俺だったはず…
この嫌な感じはいったい。声をかけようとしたら団員以外見せた事無いスマイル…しかも心のそこから楽しんでいるようだ。
それで分かった…ハルヒの事俺…好きだったんだ。谷口は俺の友達だし…古泉や長門にあなたは鍵だと言われてすっかり安心していたのだ。
今は離れて二人を見つめている。悔しい…悔しい自分に対してなぜ気が付かなかったのだろう…思わず天を仰いだ。
いつのまにか俺の頬に涙が流れていた。しばらくすると雨が降ってきた…俺の心と同じ様にしばらく雨に打たれていた。
それから何時間居たのか分からない。そうだ…家路に戻ろうと思い歩きだすと急に雨に打たれなくなった
…と思ったら傘をかけてくれた人がいた。とりあえず確認する為に後ろを向くと
見慣れた女性がいた…佐々木だ。彼女は心配そうに俺に黙って何も言わず傘をかけてくれのだ。
俺の顔を見つめながら彼女が俺に話し掛けた。
「キョンいったいどうしたんだい?ずぶ濡れて何かあったのかい?」
いや、何でもない…すまんな気を使わせてありがとうな佐々木…でもなこれは俺の事だから気にするな。
「キョン僕は君の親友だよ?その姿見れば心配するじゃないか…それとも僕では頼りないかい?あ…っ君…泣いているのか…」
はぁ?俺は泣いてねえよ。雨で濡れているだけだ。気のせいだ。すると佐々木は何も言わず優しい顔をして俺を抱き寄せてくれた。
あたたかい…やさしいこの温もり、この感覚は……ああ思い出した。おふくろに似ている。慰めてもらった時。
なぁ佐々木の奴これから言うことは独り言だからな。いいか勘違いするなよ。
俺はハルヒが好きだった…だがアイツは俺ではなく友達の男と付き合っている。だから俺は…身を引く…二人に祝福したいし
だから今はこのままにさせてくれ…辛いんだ

分かったよキョン僕…いや私ならいつでも君の傍にいる。決して離れないから安心して…キョン
実は後で分かったのだがハルヒは谷口とデートしたわけじゃなく俺のプレゼントを探していたらしい。
880名無しさん@ピンキー:2007/08/11(土) 01:49:29 ID:26AKzLlS
実は試験的に某スレに投下した作品です。
下手なSSですが宜しくお願いします
881名無しさん@ピンキー
唐突過ぎる感があるような気がするが……。どんな実験だったんだろう

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【涼宮ハルヒ】谷川流 the 51章【学校を出よう!】
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