【ライ3ダーZ】THE 地球防衛軍でエロパロ3【さ、3ダー!】

このエントリーをはてなブックマークに追加
913「捕われの翼」:2008/12/05(金) 22:19:19 ID:2DR3b+TD
「わかってる、でも・・・苦しいの、お願い・・」
「駄目、やめて」


「ごめん・・・」
 マリアは泣きそうな顔で言った。
 しかたなくユキは、マリアの肩を抱こうとしたが、マリアはユキに背を向け、壁を向いて嗚咽した。
 ユキはその背中を抱いた。
 何か言わなくてはと思ったが、一日の疲れが再び襲いかかり、ユキはそのまま眠りに落ちた。


                            ◇◆◇

 翌朝、マリアはいつものマリアに戻っていた。
「おはよう、私はもう行くわよ」
「うーん・・・」
ユキは、まだ疲れの残る身体を起こした。

「新棟の方で長い実験があるの。私はしばらく戻れないわ」
 マリアは手早く服を着替えながら言った。
「部屋は自由に使っていいから。食事は誰か運んでくれるわ。元気でね」
 繋がれたままのユキを残し、マリアは振り返りもせずに立ち去った。



914「捕われの翼」:2008/12/05(金) 22:20:40 ID:2DR3b+TD

                            ◇◆◇

 数日後、ウォレス・バークリーは、シベリアを出発する機内にいた。
「(全ての物質から放たれる思念エネルギー、それを感知し物事を先読みをする能力を持った少女・・・か)」
 ウォレスはメモに目を通しながら、研究所での体験を思い返した。
「(それに思念エネルギーの誘導・・・・結局分からずじまいだったな」

 まだ30台半ばの若い少佐は、知的好奇心を大いに掻き立てられていた。
「(あのユキという少女・・・)」
「(いずれ戦場でお目にかかる日が楽しみだな)」
 ウォレスは目を細め、窓の外を見つめた。

(続く)

915「捕われの翼」:2008/12/05(金) 22:22:08 ID:2DR3b+TD
第8話「罠」

 ユキが研究所に捕らわれてから、3ヶ月あまりが経過した。

「もう、疲れた・・・」
 診察室のような部屋で、ユキは溜息をついた。
 連日、様々な検査や実験、そして過酷なトレーニングが繰り返され、ユキの疲労はピークに達していた。
「いつまでこんなことが続くの・・・」
 家族や故郷のことが思い出される。
「みんな心配してるだろうなあ」

 唯一の話し相手であるマリアも、最近は殆ど姿を見せなくなっていた。
「誰でもいい、話し相手が欲しい・・」
 ユキは孤独だった。

 その時、ドアが開き、一人の白衣の女性が入ってきた。
 ユキはわが目を疑った。

「お、お母さん!?」
 そう呼ばれた女性は、驚いた表情を浮かべた。
「ええ?」

「あ・・・・いえ」
 ユキは俯いた。
 確かに母親に似ていたが、女性は白人だった。
 
「ウフフ、驚いた。マリアと同じことを言うのね」
 女性の笑顔はとても魅力的だった。
「私の名前はリサ。心理学者よ。別にママって呼んでもいいけど、私まだ28歳なの」
 リサはユキの手錠を外し、頭を優しく撫でた。
「まあ、お姉さんだと思って、色々相談して頂戴」
「・・・・」
「あなた、日本から連れてこられたそうね。可哀想に・・今まで寂しかったでしょう」
「あら、どうしたの?」
 ユキの瞳から、大粒の涙が零れた。
916「捕われの翼」:2008/12/05(金) 22:23:32 ID:2DR3b+TD
 リサはその涙を拭い、ユキを膝に抱いた。
「・・・・・」
 あふれる想いをこらえきれず、ユキはリサに抱きついた。
 自分がどれほど孤独だったか、いかに人肌のぬくもりを求めていたかを思い知らされた。

「よしよし、可愛い子。甘えんぼうさんね。あなたたち、ほんとに酷いとこにいるんだもんね」
 リサは微笑みながら言った。
「何でもいいわ。あなたの話を聞かせて。たくさん聞いてあげる」

 ユキは本当に嬉しかった。
 故郷のこと、家族のこと、友達のこと、ここでの暮らし、全てをリサに話した。

「リサ・・・・」
 ユキは言った。
「なあに、ユキ」
「私は日本に帰りたいの・・・わかるでしょう」
 リサの表情が曇る。
「分かるわ、でもそれはできないのよ・・・」
「どうして!?」

 リサは諭すように言った。
「それはね、あなたが特別な力を持っているからよ」
「力・・・?」
「そう。その力はね、みんなのためになる素晴らしいものなの」
「分からないよ・・・そんなの」
 ユキは下を向いた。
「そうでしょうね。でも、今はここから出すわけには行かないわ」
「そんな・・・いつまで、ここにいなくちゃならないの?」

「そうね・・・あなたの力が完全に引き出されるまでは」
「えっ?」
「心配しないで。私が引き出してあげるから。マリアと同じようにね」
 リサはそう言うと、ユキを抱き寄せた。

917「捕われの翼」:2008/12/05(金) 22:27:06 ID:2DR3b+TD
「痛っ!」
 腕に僅かな痛みを感じ、ユキは叫ぶ。
「注射よ。すぐに終わるから」

「許して・・・・」
 リサの小さな呟きは、ユキの耳には届かなかった。

 注射の効果はすぐに表れた。
「え・・・・」
 室内の景色が歪む。
 鼓動が早くなり、身体が熱くなる。
「な、なんなのこれ・・・・」
 床が歪み、プラスチックのように溶けていく。
 地の底に向かって自由落下していくような、強烈な感覚。
「ああああ・・・・・・・!!!」

 倒れそうになるユキを、リサが膝の上で支えた。
「大丈夫よユキ、いい子ね・・・すぐにキモチよくなるわ」
「ええっ・・・・・・キモチよくなんか、ああああっ!!!」
 下腹部の辺りから、急激におぞましいほどの快感が突き上げてくる。
「いやああああっっ!!!!」
 内臓を直接摑まれ、そのまま泥沼に引きずり込まれていくような気がした。
 ユキは身を捩じらせ、必死に抗った。

「逃げないで・・・力を抜いて」
 リサは耳元で囁き、そのままユキの耳に舌を入れた。
「んんっ!!!はああ・・・」
 耳から全身に、甘美な快感が走り抜ける。
 全身の力が抜け、ユキは快楽の波に捕らわれた。

「イヤ・・・・・・気持ちいいぃ・・・」
「気持ちいいのね、可愛いわ。ほらここ、赤ちゃんみたいに」
 ユキがふと冷たさを感じ、自分の下半身を見ると、ジーンズの太腿までびっしょりと濡れていた。
「えええっ!!なんで・・・私、私・・・・」
「仕方ないのよ。マリアだってするわ。脱いじゃえば平気よ」
918「捕われの翼」:2008/12/05(金) 22:28:11 ID:2DR3b+TD
 上下とも脱がされ、ユキは全裸になった。
「おいでユキ。まだまだよ」
 リサはそう言い、再びユキを膝に抱いた。
 慣れた手つきで、注射がもう一本追加される。

「あああああっ!だめええっ」
 先程と比べ物にならないほどの、津波のような快感が突き抜ける。
「ま・・・また出るっ、出ちゃう」
 下腹部を掻き回し続ける快楽が、出口を求めていた。
「いいわよユキ・・・そのまま出しなさい」
「ええっ!!そんな・・んんっ・・」
 耐えることなど不可能だった。
「イヤッ・・・だめ、あ あ あ ・・・」
 
 リサの白衣を、自分の尿が汚していく。
 背徳的で甘美な排泄の快感に、ユキの頭は朦朧となった。

「キモチいいでしょう・・我慢しなくていいの」
 リサはそう言い、手元のタオルでユキの内股を優しく拭った。
「あぁっ!!ぁ・・・ああ・・・」
「どうしたの?拭いてあげてるだけよ フフフ」
「……あっ…ぁ…ぁはあ…」
 リサは優しく、ユキの秘所を愛撫しつづける。
「やっ・・め・・もう・・お願い・・ああ」
 少女には耐えられない刺激だった。

「ダメよ。まだまだ・・」
 リサは無情にも、今度は2本連続で追加の注射をした。
「お・・・願ぃぃ・・もう・・・・駄目」
 突き上げる快感は、もはやユキにとって苦痛でしかなかった。
 ユキは激しく嘔吐した。
 
(続く)
919名無しさん@ピンキー:2008/12/05(金) 22:30:57 ID:G8mQht1V
本日は以上です。
ありがとうございました。
920名無しさん@ピンキー:2008/12/06(土) 11:24:42 ID:HSBWj8Gw
ペイルウイング隊設立までの経緯か…いい着眼点
921「捕われの翼」:2008/12/06(土) 22:45:43 ID:3JCvywVD
第9話「快楽」

 ユキはしばらく意識を失っていた。
「う…ここは?」
 部屋を見渡すと、いつものマリアの部屋だった。
 服も、新しいものに着替えさせられている。
「私、どうしちゃったんだろう…たしかリサさんに…」
 ユキは、不思議な体験を思い出し、頬を紅く染めた。

「今、何時なのかしら」
 ユキはベッドから起き上がった。
「あれ???」
 身体が軽い。
 今までの疲労感が嘘のようだった。

 洗面台の鏡を見る。
「何これ…私の顔??」
 鏡に映った自分の顔は、今まで以上に瑞々しく、艶やかな白さに変わっている。
「綺麗…」
 ユキは呟いた。
 鏡の中のユキは、大人びた魅力と、健康的な美しさを放っていた。

 ドアが開き、ユキは我に返った。
「マリア!」

「…ただいま」
 マリアはユキを一瞥し、無表情のまま着替えを始めた。

「マリア…久しぶりね」
「そうね、元気そうじゃない。悪いけど私もう寝るから」
 マリアは背を向け、上着とスカートを脱ぎ捨てた。

「(あ…れ…??)」
 キャミソールから覗くマリアの白い肩を見て、ユキの中に何かが込み上げてきた。
「(やだっ…どうしたの私)」
 下半身から、先程の強烈な快感が突き上げてくる。
922「捕われの翼」:2008/12/06(土) 22:46:53 ID:3JCvywVD
「何?」
 マリアがこちらを見ている。
「なっ、何でもないわ」
 ユキは慌てて顔を背けた。
「…おやすみ」
 マリアは気にも留めず、いつものヘアバンドのような機械を頭に着け、横になった。

 ユキは寝るどころではなかった。
 下半身の疼きは、とどまることを知らず、一層激しさを増してくる。
「マリア…あ、あのね」
「何」
「今日、リサって人に会ったんだ。あなたのことも…」
「何ですって?」

 マリアは頭の装置を外し、体を起こした。
「だから、リサっていう女の人が来て、それで…」
「注射をされた?」
 マリアは強い調子で尋ねた。

「されたわ…それで…」
「何てことを…」
 マリアは溜め息をつき、哀しげな目でユキを見つめた。

「あれは麻薬よ、特別な麻薬」
「ええっ…麻薬」
 ユキは絶句した。

「そう」
マリアは続けた。
「一度打ったら最後、定期的に打たないと、禁断症状が表れて、長くても半年で死ぬわ。調合方法は総帥しか知らないそうよ」
「そんな…なんで…」
 ユキは、現実を受け入れられなかった。
923「捕われの翼」:2008/12/06(土) 22:48:47 ID:3JCvywVD
「苦しいでしょう?」
「う…うん…何だかとっても」
 ユキはもう、立っているだけで精一杯だった。
 身体中が熱くなり、とめどない快感がじわじわと侵食を始める。
「出してきていいわよ、しばらくは楽になるから」
 マリアはそう言って、むき出しのトイレを指差した。

「だ、出すって、何を??」
「知らないけど、触ってると、出ちゃうから。自分でしなさいよ」
「ええっ…な、何を言ってるの??」
「…しょうがないわね」

 マリアはベッドから起き上がり、ユキを便器の前へ連れて行った。
「早く、下脱いで。座って」
「ああ……」
 言われるままに、ユキは下半身を露わにし、便座に座った。

「楽にしてて。出させてあげるから」
 マリアはそう言って後ろに回り、そっとユキの秘所に手を触れた。
「ああっ!!!やああ…ああああ」
 ユキの反応に構わず、マリアは巧みに指を動かし、陰核を愛撫する。
「(やだ…何これ…キモチいぃぃ…)」
 ピチャピチャという音がして、ユキは自分の性器が濡れそぼっていることを知った。
 
「はぁ…あぁ…あぁ……」
 少女の滑らかな指の動きに合わせ、脳がとろけるような快感の波が押し寄せてくる。
「あぁ…ああ…ああっ!!マリアっ!もうっ…」
「そろそろ出そうね、遠慮しないで」

 マリアは指の動きを速めた。
「はあんっ!!んっ!!んーーっ!!!」
 マリアに導かれ、強烈な快感が出口を見つけだした。
 激しい音を立て、膣口から透明な液体がほとばしり出る。
 あまりの快感に、ユキは声を出すことも出来なかった。
924「捕われの翼」:2008/12/06(土) 22:49:34 ID:3JCvywVD
「こうするの、わかった?」
 頭の上から、マリアの声が響く。
 ユキは荒い息をしながら、小さく頷いた。

「どう?まだ出そう?」
「わからない…まだ、ちょっと苦しい…」
「最後まで出さないと駄目よ」
「でも…もう出ないよ…」

「じゃあ、私を見て。見たいんでしょう」
 マリアはそういうと、薄手の下着をするすると脱いだ。
「!!!」
 白く柔らかい、少女の裸体が現れた。
 甘い香りが、ユキの欲望を強烈に刺激する。
 快楽の波が、再び押し寄せてきた。
「まだいけそうね」
 マリアは囁くと、今度は前から手を入れてきた。

「あっ…あぁあああ…ひっ…」
 マリアの白く細い指が、自分の中にゆっくりと入ってくる。
「…んっ…く…うぅ…」
 何度も抜き差しを繰り返される度に、愛液が溢れ、身体中の快楽を引きずり出されるような感覚を覚えた。

「どう…キモチいい?」
 マリアの青い瞳が、自分を見上げている。
 指の動きが再び速くなった。
「はあっ…ああっ…はあっ…んっ…んんーーっ!!!」
 ユキは2度目の絶頂を迎えた。


(続く)
925名無しさん@ピンキー:2008/12/06(土) 23:45:19 ID:3JCvywVD
本日は以上です。
ありがとうございました。
926名無しさん@ピンキー:2008/12/07(日) 19:12:26 ID:yQqOZNE6
乙です。

新しい作家さんが出てきて嬉しい限りだ。

俺も予告書かなくて済むしw
927「捕われの翼」:2008/12/09(火) 00:27:19 ID:MPRacjtW
第10話「苦痛」

 翌日、イワン博士は興奮して所長に詰め寄った。
「所長!!一体ユキに何をしたのです!」
「博士。どうした。何があった?」
 所長は落ち着いて答える。

「何があったじゃありません!見てくださいこのデータを」
 所長はデータに目を通した。
「あれほど安定していた思念感知の数値が…今は滅茶苦茶です!」
「本当だな…」
「一体何があったのです??」

「SEPを大量投与した。上部の命令でな」
 所長は気まずそうに言った。
「SEP…またあの合成麻薬を使ったのですか!?」
「そうだ」
「もしものことがあったらどうするんですか!マリアの思念認識が不明瞭になったのも、SEPが原因の可能性があるんですよ!」
「わかっている、しかしだな…」

博士の興奮は収まらなかった。
「どうしてくれるのです!あの安定した強力な思念感知フィールド…私の理想が…」
「イワン博士!いい加減にしろ」
 所長も語気を強めた。
「副作用の症状が収まれば、思念感知も安定を取り戻すだろう。
 それに見ろ。覚醒のSE最大値が30%を優に超えている。やはりSEPは思念感知強化に効果的なのだ」
928「捕われの翼」:2008/12/09(火) 00:28:08 ID:MPRacjtW
「しかし…」
 イワン博士は未だ不満気だった。
「いいか博士。SEP投与は総帥直々のご命令なのだ。
 薬漬けにする以外に、我々が超能力精鋭兵士を飼いならす方法は無いのだからな」
「…わかりました」
 博士は渋々引き下がった。

 所長は笑いながら言った。
「喜ばしい数値もあるじゃないか。思念誘導の素養も、ユキはなかなか優秀なようだぞ。戦場に出すのが楽しみだ」
「私はもともと、軍事利用には乗り気じゃないんですがね」
 イワン博士は不機嫌そうに呟いた。
「ハハハ、そう言うな。そうだ、日本から来た権藤という男がいたな。あいつにユキの調教を任せよう。思念誘導強化には適任だろう」


                                       ◇◆◇
929「捕われの翼」:2008/12/09(火) 00:29:32 ID:MPRacjtW
「(へへ…コイツは役得だな)」
 権藤清二は、目の前の美少女を見て思った。

 ユキは、その日本人らしき中年男に危険な匂いを感じた。
「俺は権藤っていう。日本人だ。よくわからんが、こんなシベリアのカビ臭い所に送り込まれて、いい加減嫌気がさしてたところさ」
 男は、勝手に自己紹介を始めた。
「かと思えば突然、お前みたいな女を好き勝手いたぶって構わないとよ。一体上の連中は何考えてやがるんだか」
 
 ユキは、再び手錠をかけられた上、上半身裸にさせられていた。
 男がヤニ臭い息を吐きかける度、激しい羞恥と屈辱に襲われる。
「というわけで、これも仕事だ。悪く思うなよ。とは言っても、俺はこんな仕事ならいつでも喜んで励むがな、ハハハ」

 突然、男はユキに強烈な平手打ちを見舞った。
「………!」
「何か言えよ、小娘」
 ユキは頬の痛みをこらえ、真っ直ぐ権藤を見返した。
「ククク…いい眼だな。お前みたいな女は好みだ」

「跪け」
 権藤は命じた。
「いいか、今日からお前は俺の玩具だ。少しでも逆らったら痛い目に合わせてやる」
 ユキの中で、激しい憎悪の感情が燃えた。
「まあ、口で言っても分からんだろうから身体に教えてやる。ほら、これが何か分かるか?」
 男はそう言って、一本の黒い鞭を取り出した。
「そう、鞭だ。動物の躾に使う。分かるな。床に伏せろ」

「(絶対に、コイツの前では泣かない…)」
 ユキは悲壮な覚悟を決め、鞭打たれる体勢になった。

「そら、行くぞ…」
930「捕われの翼」:2008/12/09(火) 00:31:15 ID:MPRacjtW
 背中に焼ける様な痛みが走る。生まれて初めて味わう鞭の痛み、屈辱。
「フフフ・・・まだ序の口だ」
再び鞭が唸る。
「うっ……」
 空を切る音と共に、更に激しい痛みが襲った。呻き声がもれる。
「ううっ!…」
 想像を絶する苦痛だった。ユキの覚悟は、早くも揺らいだ。
 立て続けに鞭が飛ぶ。
「ああっ!!くっ!!!いやああ!!」
「ハハハハハ」
 身を捩り、涙を流すユキの反応を見て、権藤は暗い欲望を爆発させた。
「そうだ、お前、化け物なんだってな。人間以下だ。丁度いい扱いだろ」
 不規則に、絶え間なく、強烈な打擲が続き、ユキの自尊心は完全に打ち砕かれた。
ビシィッ!!!!!!
「ぁああああああああっっ!!」
 ユキはもはや、身も世もなく泣き叫んでいた。
「いい声で鳴く・・・たまらんな。
 たっぷり時間をかけて、俺好みの女に調教してやる。感謝しろよ フフフ…」


 ユキにとって、本当の地獄となる2年間が始まった。


第一章 完
931「捕われの翼」:2008/12/09(火) 00:32:50 ID:MPRacjtW
本日は以上です。
ありがとうございました。
932名無しさん@ピンキー:2008/12/09(火) 01:06:50 ID:MGitVOL2
ソレナンテ=エ=ロゲ
933名無しさん@ピンキー:2008/12/09(火) 16:53:33 ID:WXCaRLA7
2年後、そこには颯爽と現れる陸男の姿が!!
934名無しさん@ピンキー:2008/12/09(火) 22:21:58 ID:A/0tEZH/
陸男といってもいっぱいいるぞ。
研究員を片っ端から狙撃する陸男から研究所を跡形もなく爆砕する陸男まで。
935「捕われの翼」:2008/12/11(木) 22:11:32 ID:QyV4Bo+Q

第二章

第11話「予兆」

 2016年12月。ユキが捕らわれてから、2年の月日が流れた。
 EDFは、世界各地の紛争に介入、鎮圧を繰り返し、完全に世界を掌握する組織となっていた。
 だが、捕らわれのユキの生活には何の変化も無かった。

「寒い…」
 ユキはようやく、服を着ることを思い出した。
 権藤の度重なる通電実験によって失われた記憶は、殆ど取り戻せなかった。
「…私は、まだ死ねない」
 17歳のユキは、痛みの残る身体に鞭打ち、立ち上がって服を着た。

 生きる意味を見つけることは容易ではなかった。
 繰り返される拷問、戦闘訓練、恐怖、苦しみ。孤独。薬漬けにされた肉体の禁断症状、麻薬の強烈な快楽に溺れてしまう精神。
 故郷や両親のことなど、全く思い出せなかった。

「ユキ!!」
 一人の女性が部屋の中に入ってきた。
「リサ……」
 ユキは顔を上げた。
 自分を麻薬漬けにしたのは、他でもないこの女性である。
 憎んでも憎みきれない相手であったが、自分の肉体は快楽に尻尾を振る犬のように、リサに惹かれてしまうのだった。
「ユキ、辛かったわね」
 リサはユキを抱きしめた。

936「捕われの翼」:2008/12/11(木) 22:13:01 ID:QyV4Bo+Q
                                              ◇◆◇


 ウォレス・バークリー中佐は、2年ぶりにユキと相対した。
「(美しい…)」
 少女は充分すぎるほど、大人の魅力を放っていた。
 表情こそ虚ろだが、澄んだ瞳の美しさは少しも衰えていない。

「ウォレス中佐、いかがですか。久しぶりにご覧になって」
 コルイマ研究所所長のフランクが声をかける。
「今すぐ私の部隊に欲しいくらいだ。訓練は怠っていないようだな」
「もちろんです」
 所長は胸を張った。

「本部ではマリアの研究が進んでいる。未来予知能力の分野が中心だが、軍事兵器としての利用価値も申し分ない。
 だがこのユキは、本当に凄い才能だな」
 ウォレスは、戦闘データに目を通しながら言った。

「話は変わるが」
 中佐は続けた。
「今回私が来たのは、ある重要な懸念について、上部から確認を依頼されたからだ」
「と申しますと?」

「本部では、マリアの思念感知を具現化し、識別する研究がかなり進んでいる。もちろん完全にではないが、ある程度の把握は可能になった。
 予知能力の軍事作戦利用も、成功した事例がある。まあ、失敗が殆どなのだが」
 所長は微笑んだ。
「そうですか、マリアの思念感知は不安定な上に、情報量が膨大ですからな。我々も相当苦労しました。作戦利用は一か八かでしょう」
937「捕われの翼」:2008/12/11(木) 22:14:45 ID:QyV4Bo+Q

「うむ、そのマリアの思念感知なのだが、このところ異常な様子を捕らえていてな」
 ウォレスは声を低くして言った。
「単刀直入に伺おう。ここでマリアが、人類の滅亡について予言したことは無いか」
「それは…」
 所長の顔色が変わった。
「何度かあります。夢の中で、確かに世界の終わりについて記録していた時期がありました」

「そうか…実はな」
 ウォレスは真剣な顔で続けた。
「本部の研究所からの報告によると、何度識別を試みても、2020年以降、人類の持つ思念エネルギーが全く感知されないことが明らかになった」
「何ですって…」
 所長は絶句した。

「原因は全く不明だ。麻薬によってマリアの感知能力が低下したためなのか、研究所の分析に問題があるのか。
 ただ、自然災害や核戦争などによる、人類滅亡の危険が予測されている可能性もある。
 マリアに関する全ての記録を、本部に持ち帰りたいのだ。もちろん極秘でな」
「わ、わかりました」
 所長は言った。
「私の記憶では、巨大な火の玉が人間を焼き尽くす…そんな夢が記録に残されていたと思います」
「研究所の報告結果と同じだ。詳しいことはさっぱりわからん。とにかく全ての資料を頼む」
「了解しました」
 所長は慌てた足取りで去っていった。

938「捕われの翼」:2008/12/11(木) 22:15:40 ID:QyV4Bo+Q

「さて、ユキ」
 ウォレスはユキに直接語りかけた。
「マリアから、お前に伝言がある」
「マリアが…?」
 ユキは目を見開いた。
「そうだ、世界を救うために力を貸して欲しい。お前にだけでも信じて欲しいと言っていた」
「私が…何をすればいいの?」
 ユキは訳がわからなかった。
「それはマリアから聞くがいい。お前は今から、私と一緒に本部へ行くのだ。お前は軍属になる。これは命令だ」
「そんな…」
「それとも、ここにいたいか?任務を忠実にこなせば、いずれは日本に帰ることもできる。両親にも会いたいだろう」

「日本……ううっ!!…」
 ユキは痛む頭を抱えた。
 本当に何も思い出せない。
 両親の顔も、友人の顔も…

「…優斗…」
「ん?何と言った?」
「…何でもありません」
「記憶が無いのか?」
「はい…でもマリアは…マリアに会いたい」
 ユキは、哀願するように言った。
「ならば決まりだ。本部へ運んでやる」

 後日、ユキは来た時と同じく、薬で眠らされ、2年ぶりにコルイマ研究所から移送された。

(続く)

939名無しさん@ピンキー:2008/12/11(木) 22:21:15 ID:QyV4Bo+Q
本日は以上です。
ありがとうございました。
(ここって500KBまででしたっけ…)
940名無しさん@ピンキー:2008/12/12(金) 01:26:39 ID:kS4rW+zU
>>939
GJ! いつも楽しみにしてます。

>容量
質問スレ見たら500KBくらいまでとありました。

次スレは…まだいいのかな?
スレ立てやったことないからタイミングがわからない。
941名無しさん@ピンキー:2008/12/12(金) 06:38:18 ID:2+zzaJZK
>>940
ご回答ありがとうございます。応援までしていただいて恐縮です。
新スレで書けたら本当に嬉しいです。
もちろん、最後まで埋めたほうが良いようであれば、このまま投下します。
942「捕われの翼」:2008/12/14(日) 16:12:13 ID:8ZGX+xpR
第12話 「再会」

 目を覚ましたユキが見たのは、オレンジ色に染まった天井だった。
「う…ここは…?」
 そこは病室のような場所だった。
 窓があり、オレンジ色の光が射し込んでいる。
「ああっ!!」
 ユキは叫んだ。
 居ても立ってもいられなかった。
 腕の点滴や、頭に着けられた装置をかなぐり捨て、ふらつく足取りで窓辺に駆け寄った。

「綺麗……」
 2年ぶりに見る太陽だった。
 紅く、大きく、今まさに西へ沈もうとしている。
 ユキは涙を流した。

「おやおや、やっとお目覚めかと思ったら」
 突然後ろから声をかけられ、ユキは驚いた。
「誰!?」
 後ろには、軍服姿の若い女性がいた。
943「捕われの翼」:2008/12/14(日) 16:13:04 ID:8ZGX+xpR

「あたしはジェシカ・ベイル少尉。中佐殿に言われて、あんたを護衛することになったチームの隊長だよ。よろしく」
「私はユキ。あの…」
「中佐から話は聞いてるよ。あんた、私よりSRBSのスコアが高いんだって?信じらんないね。まあ、実戦に出りゃわかるさ。
 うちの小隊は凄腕ばっかだからね。あんたは今回出る幕無いよ」
 ジェシカは、肩まである金髪をなびかせて笑った。

「今回?えーと…私何にも知らないんだけど」
 ユキは首をかしげた。
「呆れたね。ドンパチに決まってんだろ。あと要人確保だっけか」

 ユキが唖然としていると、ウォレス・バークリーが部屋に入ってきた。
 ジェシカが素早く、直立して敬礼する。
 ウォレスは答礼し、ユキに話しかけた。

「ユキ。ここはワシントン本部の研究所だ。お前に会いたがっている者がいる」

 ユキはその後ろに、包帯をした少女を見つけ叫んだ。
「マリア!!」
944「捕われの翼」:2008/12/14(日) 16:14:39 ID:8ZGX+xpR
 マリアは微笑み、ウォレスに言った。
「中佐、二人きりにさせてください」
 ウォレスは頷いた。

「1時間後にSI動作テストだ。遅れないように」
 科学者らしき人物がそう命令し、全員が部屋から退出した。


                          ◇◆◇

「マリア!大丈夫!?」
「ああ、これ?」
 マリアは自分の両腕に巻かれた包帯を見た。
「大丈夫よ、訓練中の事故。もう治りかけ」

 マリアはそのまま、ユキの肩を抱いた。
「あなたこそ大丈夫?酷い実験で、殆ど記憶を失くしたって…」
「ええ、大丈夫、少しは思い出せる」
「私のこと覚えてて、会いたいって言ってくれたそうね。嬉しかったわ」

945「捕われの翼」:2008/12/14(日) 16:15:39 ID:8ZGX+xpR
 マリアは少し大人っぽくなっていた。
 懐かしい、甘い香りが、ユキの心をくすぐる。
「ユキ、二人でキモチいいことしたの覚えてる?」
「う、うん…」
「私、ユキにしてあげるの結構好きだったのよ。出しちゃうとき、可愛かった」
「マリアだって…」
 ユキは頬を紅く染めた。
 マリアの顔がゆっくりと近づいてくる。

 二人は長く、甘い口づけを交わした。

「ユキ、キモチよくなりたいでしょ?」
「え…」
「言ってごらんなさい。いっぱい出したいんでしょ」
 マリアの不自由な両手が、ユキの下半身を撫で擦る。
「ああ……でも…」
 ユキの欲望は激しく膨れ上がった。
 愛液が下着から溢れ、太腿を伝ってくる。

「分かってる。してあげるから、下脱いで横になって」
 マリアは床を指差した。
「そ、そんな…」
「早く脱いで」
 逆らえず、ユキは下半身裸になり、床に横になった。
946「捕われの翼」:2008/12/14(日) 16:16:46 ID:8ZGX+xpR
「手が使えないから、これしかないわね」
 マリアはユキの片足を支え、スリッパを脱いだ右足で、ユキの割れ目をそっとなぞった。
「んはぁあっ!!」
 白い靴下が陰核をなぞる刺激に、ユキの身体はビクッと反応した。

「ビチョビチョになってるわ」
「んんんんっっっ!!」
 マリアはぐりぐりと足指を押し付け、ユキの陰裂を愛撫した。
「ぁああああああんっ!」
 マリアの美しく、すらりと伸びた脚。
 それが自分に快感を与えてくれている。
 被虐的な構図が、ユキの興奮を促進させた。

「靴下が湿ってきちゃったよ。私一人じゃ脱げないのに」
 リズミカルに、こね回すような刺激が続く。
「ああっ!キモチいいっっ!んんんっ!!」

「こんなに湿っちゃったら、私は気持ち悪いな」
「ああっ…だって…」
「脱がせて」

947「捕われの翼」:2008/12/14(日) 16:17:35 ID:8ZGX+xpR
 突然、顔の前にマリアの右足が差し出された。
「ん……」
 ユキは屈辱を感じながらも、靴下の先を咥えた。
 じわりと、口内に自分の味が広がる。
「あんまり声出すと外に聞こえちゃうから、塞いじゃうね」
 マリアは足を引き抜くと、その足で口内に靴下をねじ込んだ。

「んんっんーーーっ!!」
 マリアは自由になった右足で、より一層強い刺激を与えてきた。
 膣口に、親指の付け根まで深く挿入してくる。
「んんんんー…」
 下腹部に甘い快楽の波動が押し寄せ、出口を求めている。

「出そう?いいよ」
 マリアは今度は、足裏全体で陰核を激しく刺激した。
「んんんんーー!!!!!!」
 ユキが絶頂を迎えそうになった瞬間、足による刺激が止んだ。
「!?」

 マリアが恭しく跪き、自分の秘所に口づけるのが見えた。
「!!!!」
 柔らかな唇の感触に包まれ、ユキはマリアの口に激しく愛液を放出した。


                                 ◇◆◇
948「捕われの翼」:2008/12/14(日) 16:18:36 ID:8ZGX+xpR
「ユキ、お願いがあるの。私の話を信じて」
 マリアの青い瞳が、じっとユキを見つめた。
「信じるわ。なに?」
「近い将来、この世界にとても恐ろしいことが起こるの。何なのかは分からない。でも感じるの。地球がざわめいている。
 あなたなら分かってくれる。感じたことがあるはずよ。草や木や動物、全てのものから声が聞こえるような感じ」
 ユキは頷いた。
「私はユキより、それを感じる力が強いの。でももうすぐ、それが全部聞こえなくなってしまうわ。残るのは灰と怨念だけ。
 地球が恐がってるの。お願い私を信じて…」

 ユキはマリアの思念を、その痛烈な苦しみを強く感じた。
「信じるわ…私には、よく分からないけれど」
「ありがとう」
 マリアは天使のような微笑を浮かべた。

「それで、何をどうすればいいの?」
 ユキは尋ねた。
949「捕われの翼」:2008/12/14(日) 16:19:27 ID:8ZGX+xpR
「それが…私にもはっきりとはわからないの」
「そんな!」
「でも、私たちには力があるわ。お互いに心を通わすこともできる。力を合わせれば、道が開けるかもしれない」
「私は…自分の力がよく分からないのよ」
「そうね…私たちの力は不完全だわ。でもまだ世界のどこかに、同じような力を持っている人がいる。
 私があなたを見つけたように、あなたにもその人を見つけてほしいの」

 ユキは困惑した。
「そんな…いきなり見つけてくれって言われたって」
「私は今、この研究所を離れられないの。でも、大体場所の見当はついてる。
 ウォレス中佐が力になってくれるわ。EDFで私の話を信じてくれるのは、中佐しかいないの。総帥って人はよく分からないし…」

「マリア。時間だ」
 ドアが開き、先ほどの科学者と、ウォレス中佐が入ってきた。
「ユキ!お願い。あなたを信じてるわ。また会いましょう」
「マリア!!」

 マリアは寂しげな微笑を浮かべ、去っていった。

(続く)
950名無しさん@ピンキー:2008/12/14(日) 16:21:07 ID:8ZGX+xpR
本日は以上です。
ありがとうございました。
951名無しさん@ピンキー:2008/12/15(月) 10:33:39 ID:QHRZceJ2
ドMユキハァハァ

スレ勃て出来なかった
援護してくれ!↓

ゲーム 地球防衛軍シリーズのエロパロスレです。

過去スレ
THE 地球防衛軍【エロサンダー】
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1114683548/
THE 地球防衛軍【エロサンダー】2
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1139738967/
【ライ3ダーZ】THE 地球防衛軍でエロパロ3【さ、3ダー!】
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1182606586/
952名無しさん@ピンキー:2008/12/15(月) 21:37:15 ID:bpsG4mLz
新スレ立てました

THE 地球防衛軍でエロパロ4
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1229344477/l50


【】は上手いのが思いつかなかったので、勝手ながら外してしまいました
すみません
953名無しさん@ピンキー:2008/12/15(月) 22:33:24 ID:00Zri1kB
>>952
礼賛乙!
954名無しさん@ピンキー:2008/12/16(火) 01:27:38 ID:SO2tGemt
新スレ立て乙

だがちと早すぎと違うか?w
955名無しさん@ピンキー:2008/12/16(火) 02:05:41 ID:d7zd7+Y2
あと4KBだからなあ。
早いといえば早いけど。
実は容量オーバーで死ぬの見たこと無いわ
956名無しさん@ピンキー:2008/12/16(火) 15:42:53 ID:fpc+xdbP
スレ立て乙です。

13話投下して埋めたいと思います。
957「捕われの翼」:2008/12/16(火) 15:45:47 ID:fpc+xdbP
第13話 「仲間」

「マリアから話は聞いたな?」
 ウォレスはユキに尋ねた。
「はい」
「私だってあの話を頭から信じているわけではない。ただ、お前たちが持つ未知のエネルギーの存在は認めている。
 それに、今回の作戦は私の利害とも一致するのでな」

 ウォレスは続けた。
「マリアの思念感知によれば、3人目の能力者は、南米で1ヶ月前に起きた、麻薬組織による人質立てこもり事件に巻き込まれているようだ。
 人質の中にいる可能性が高い。EDFとしても、テロリスト殲滅のために突入作戦を敢行しなければならない」

「それって、どういうことですか?」
 ユキは不安げに尋ねた。
「我々が潰そうとしているテロ組織の中に、人質として思念エネルギー能力者が捕らわれているかもしれないということだ。
 そしてお前の任務は、私の部下と共にテロ組織に突入し、能力者を生きたまま確保することだ」
「そんな!!無理です!」
 ユキは叫んだ。
「心配するな。私の部隊で一番優秀な小隊を護衛に付けてやる。それに私は、お前なら必ず生きて任務を遂行できると信じている」

958「捕われの翼」:2008/12/16(火) 15:48:16 ID:fpc+xdbP
「………」
 ユキは俯いた。
 マリアの寂しげな表情、苦しみの思念が脳内に蘇る。
「(なんだかよく分からないけれど、マリアの力になってあげたい…)」

 ユキは言った。
「一つだけ約束してください」
「何だ」
「もし、連れてくることができても、その人には…薬を使わないって約束してください」

「……」
 中佐の目に、微かに哀れみの色が浮かんだ。
「約束は出来ない。だが、総帥に進言しておく」
 ユキは頷いた。

                                          ◇◆◇

959「捕われの翼」:2008/12/16(火) 15:51:24 ID:fpc+xdbP
 翌日正午、EDF本部飛行場。
 小型の軍用輸送機の前で、ユキは第21独立小隊のメンバーと合流した。
 隊長のジェシカ・ベイル少尉を含め、そこに居たのは僅か6名の陸戦兵であった。
 何も分からないユキに、ジェシカが一人一人チームを紹介した。


「あたしが隊長のジェシカ。昨日会ったね」
「こいつは狙撃手のレオン。腕は間違いなくEDF一だよ」
 長身の若い狙撃兵は、ユキに軽く微笑んだ。
「こいつは突撃兵のアシュレイ。すばしっこくて弾に当たらないのが取り柄さ」
 愛用のショットガンを撫でながら、アシュレイも挨拶を送る。
「このデカイのはブライアン。重火器専門」
 大柄な黒人兵士は、ニッと白い歯を見せた。
「こいつはスコット。どんな武器も上手に扱える天才だ」
「あとはこの眼鏡のトビー。特殊兵器オタクの変態野郎だよ」
 
「ええっと…私はユキ。よろしく」
 ユキは頭を下げた。
「あんた、銃は使えるね?」
 ジェシカはそう言って、ユキに突撃銃AS-18を手渡した。

「訓練はしてるわ。でも、私戦争なんか…」
 ジェシカは鼻で笑った。
「昨日も言ったろ。今回はあんたの出る幕じゃないよ。それ持ってあたしの後ろにいればいいの。さあ、乗って」
 輸送機はユキたちのチームを乗せ、南米へと飛び立った。
960「捕われの翼」:2008/12/16(火) 15:52:31 ID:fpc+xdbP
                                          ◇◆◇


<パラグアイ シウダ・デル・エステ市郊外>

 目的地に到着すると、宿舎でジェシカが全員に向けてブリーフィングを始めた。
「いいか。敵はジャングルの施設に篭城してる。人質の数は52人。敵は武装勢力6、70人ってとこだ」
「人質が一箇所に集められる夕食時を狙う。ブライアンがゴリアスで正門を爆破。反撃してくる敵主力をあたしが殲滅する。
 アシュレイとスコットは食堂に突入し残りの敵を始末しろ。レオンは後方から援護。トビーは施設から敵を一人も逃がすな。以上」

「ちょ、ちょっと待って!」
 ユキは叫んだ。
「この人数で突入するの!?いくらなんでも…」
 ジェシカは笑った。
「うちの小隊は傭兵時代からこんな感じさ。大丈夫、EDFの最新鋭装備とあたしらの腕がありゃ、5分で片がつくよ。
 あんたは安全を確認したら、人質の中からターゲットを探し出して、報告してくれりゃいい」
961「捕われの翼」:2008/12/16(火) 15:53:25 ID:fpc+xdbP
 その日の夕方、ジェシカたちの部隊は密かにジャングルを抜け、テロリストのアジトに接近した。
「突入まであと少しだ。ビビらず付いて来いよ」
 ジェシカがユキに小声で話しかけた。
 ユキは緊張で混乱していた。自分は何故こんな所へ来てしまったのだろう。

「落ち着けよ。私がこいつで守ってやるよ」
 ジェシカは自分の武器をポンと叩いて言った。
「不思議な銃…何ですかそれ」
 研究所での戦闘訓練でも見たことが無い。
 ライフルではあるが、まるで小型のガトリング砲を思わせるような造りだ。
「こいつはな、まだ世界に一本しかない。試作型のAS-20SSSだ。反動が凄すぎて、あたししか使いこなせないよ。
 ウォレス中佐の部隊に居ると、こういう最新兵器が色々回ってくるんだ」
962「捕われの翼」
「ジェシカ、時間だ」
 双眼鏡で敵を観察していたレオンから、無線で連絡が入る。

「オーケイ、ブライアン。派手にかませ!!」
 ゴリアスDの轟音が響き渡り、施設の正門が数人の見張りと共に木っ端微塵に吹き飛んだ。

 慌てふためいたテロリスト達が、施設から武器を携えてバラバラと飛び出して来る。
「行くぜ!」
 ジェシカは物陰から飛び出し、無謀にも破壊された正門から正面突入していった。
「喰らいな!!!!!!」
 ジェシカのAS-20SSS試作型が火を噴く。
 
 その威力たるや、正に鉄の暴風だった。
 無数の強力な弾丸が襲い掛かり、敵は反撃する間もなく死体の山となった。
 鉄板や薄い壁までも貫通し、逃れようとした敵も次々に斃れ、迎撃に出た敵主力はあっという間に壊滅した。

「アシュレイ、スコット!突入しろ!」
 SG-5とAS-18を装備した2人が食堂めがけて突進し、残りの敵兵を掃討する。

「行くよ!ユキ。気をつけて付いて来な!」
 ジェシカも走る。ユキは慌てて後を追った。

 食堂では大勢の人質が、床に伏せて震えていた。
「く、来るなっ、殺すぞ!!!」
 生き残りのテロリストが、人質に銃を突きつけて悲痛な声で叫んだ。
 
 だが次の瞬間、テロリストの頭は、窓の外からの正確な狙撃によって吹き飛んだ。
「ヒュー、さすがレオン。トビー!外はどうだ?」
 ジェシカが無線で尋ねる。
「こちらトビー、5人蒸し焼きにした。逃げられた奴はいないぜ」
「こちらレオン、施設にもう敵の姿は無い」