THE 地球防衛軍でエロパロ4

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549名無しさん@ピンキー:2010/08/13(金) 14:31:11 ID:K6JwixHB
久しぶりに防衛軍やりたくなってハードごと3買ってきた
550名無しさん@ピンキー:2010/08/14(土) 00:46:09 ID:VE94Avhy
エロ書こうとしても書けんかった
551その日世界の片隅でX:2010/08/14(土) 00:51:21 ID:VE94Avhy
 EDFの新米兵士アディ・バークは、仲間たちと一緒に2日後にはポルトガルに上陸し、危機に瀕したイベリア半島を救う英雄となるはずだった。
 彼は今、海に浮かぶランチの上で、彼が数日を過ごした輸送艦が炎に包まれ、ゆっくりと傾いていく様子を眺めていた。
 ファイターUFO、映画に出てくるUFOそのものの紫色の円盤が、蠅のようにその周りを飛びまわっていた。海に浮かぶ人間を見つけては、輸送艦を沈めたのと同じ光線を躊躇なく浴びせかけるのだ。
 アーマーを装備していない者は一瞬で焼け死に、装備したものも寿命が少し伸びるだけ。それを止めるものはない。輸送船を守ってくれるはずの艦隊はすでに全滅していた。
 少し距離を置いたとはいえ、アディたちの乗るランチも安全ではなかった。まだ海にはたくさんの生きた人間が浮かんでいるが、彼らを殺しつくした後、円盤は一斉にランチに襲いかかるだろう。
 既に何度かこちらに円盤が近づいてきたことがあったが、兵士たちの何人かが艦から必死に持ち出した数丁のAS銃が彼らの命を繋いでいた。
 何度も円盤を追い払った銃も、一斉攻撃の前には意味をなさないだろうが。
 ランチの上も地獄だった。痛い、助けて、そんな言葉と弱い呼吸の音を漏らすだけの負傷者が、ランチの上に並んで横たわっていた。軍医はいない。もう死んだのだ。
 負傷者にしてやれることは、兵士達なりの応急処置と、励ましの言葉をかけるだけ。
 救難信号に7分で駆けつけると答えた駆逐艦は、10分たっても姿を見せない。海軍軍人が残酷な嘘をつくとは思えないので、おそらくその艦もここにたどり着く前に沈んだのだろう。
 近くに島もない海の上、俺たちはつまりここで死ぬのだ。アディは思った。
「イギリスからの空軍は来ないのか!」
「駄目です、今滑走路に蟻が出て何もできないと!」
 断続的な銃声の中、無線機の前では混乱が続いていた。先ほど一発限りのエメロードSAMを自ら円盤に撃ち込んだ、ランチの実質の最高位であるドーソン准尉は憎々しげに歯を噛み締めた。
 輸送艦隊は護衛の巡洋艦だけでなく、いざというときはイギリスからの航空支援も受けられると彼は聞いていた。最後の頼みが潰えたことになる。
「パトロール艦隊は?」
「到着まで27分! それまで持ちこたえろと言ってきてます」
「間に合わない!」
 ドーソンの怒鳴り声をよそに、誰もが生きることを諦めかけていた。ある者は弾が切れたASを当たるはずもないのに円盤に向けて投げつけ、ある者は家族の写真をより強く握りしめた。
 海上の害虫駆除を終えた円盤達が、ゆっくりと滑るようにランチを目指す。自分も艦から武器を持ち出せていたら。
 闘争本能に理性を侵されたアディは、最高の狙撃銃ライサンダー2を構えたつもりで、腰から抜いた拳銃の狙いを一番近い円盤に定めた。
 その円盤が、今にも光線を放ちそうなほどランチに近づいた。





 閃光。光条。衝撃。




552その日世界の片隅でX:2010/08/14(土) 00:53:46 ID:VE94Avhy
「遅れました!」





 アディは幾筋もの光を見た。それは円盤の放つ赤い光線ではなく、収束する青白い雷光だった。炎を吹いて制御を失った円盤が木の葉のように次々と落ちていく。
 アディが狙った円盤が稲妻に貫かれ、回転を乱された駒のようにふらふらと海に突っ込む。その水飛沫を浴びて、彼は我に返った。
 サンダースナイパー。当時は機密扱いであり、ランチの誰もがその名前を知らなかったが、助けが来たことは誰もが理解できた。
 稲妻の隙間を縫うようにして、雲の切れ目から人のシルエットが急降下。
 その背中から伸びるスラスターは虹色のプラズマ光を放ち、絶体絶命の状況も相まって、兵士達から見れば彼女はまさに天使そのものに見えた。
 天の雷に仲間を墜とされた円盤達は怒り、一斉に天使に向け光線を放つ。彼女は悠々とそれを避け、手に持っていたものをしっかりと構え直した。
 彼女の持つそれは弓矢、引き金のついたクロスボウのようにも見えたが、飛び道具ではなかった。
 重力に推力を上乗せして、彼女は円盤の密集するところへ突っ込んだ。彼女の持つそれ、天使の剣が抜かれた。
 アーク・プラズマの光がサンダースナイパーの稲妻よりもやすやすと、円盤の持つ最低限の防護フィールドを破り、内部機器をずたずたに引き裂いた。
 彼女が反転上昇を始めた時、炎を吹く円盤は柱のように積み重なり、ゆっくりと海へ落ち始めたところだった。
 誰かが叫び、それを引き金にランチに歓声が沸いた。重傷者すら笑顔になり、家族の写真を握り締めていた者は泣き崩れた。
 あれだけの円盤が消えていた。





 彼女は、ゆっくりと低空を飛行した後、ランチの船首に静かに降り立った。歓声と拍手は途端に止んで、空気は軍隊流の落ち着きを取り戻した。
「EDF、駆逐艦リイン付きのペイルウイング、ベル少尉です! 救援が遅れて申し訳ありませんでした!」
 その震える声で、彼女が先ほどの声の主だと知れた。彼女の足は震え、目には涙が浮かんでいた。
 よく見ると、アーマーには焦げ付きが、エネルギーパックには溶けた跡が生々しく、そして彼女の顔は煤まみれであった。無理もない。2重、3重の円盤の包囲網を突破してきたのだから。
「私たちがもっと早く来ていれば……」
 俯いたベルの震える肩に、ドーソンが優しく手を乗せた。階級こそベルが上であるが、その姿は娘をいたわる父親のようにも見えた。
「とんでもありません。救援、心より感謝します。少尉殿がいなければ、我々は生きていなかったでしょう」
 ドーソンの目から、涙が流れた。アディの初めて見る、鬼隊長の涙だった。
「本当に、よく来ていただけました」
「は……はい! ありがとうございます!」
 目をこすりながらもベルは微笑んで見せた。それを待っていたかのように、誰かが万歳、と叫び、再びランチの上は歓声で沸きかえった。その歓声は、いつまでも止むことが無かった。





 そうだ、とこちらも涙を拭いたドーソンが付け加えた。
「うちの小隊に、紅茶を入れる達人がいます。そちらの厨房を借りて、ぜひペイルウイングの皆さんにお茶を御馳走したいのですが」
「ええ、喜んで!」
 アディはやれやれ、と思った。あのときは散々駄目出しされたのが、じつは密かに気に入られていたらしい。
 そう、航海中ドーソンの紅茶を入れていたのは彼だったのだ。

             ―Fin―
553オセロ:2010/08/17(火) 03:27:17 ID:JDHC/9Ww
前回>>392>>396

「ああぁぁ!」
ゾーイの悪夢は、半年経った今も彼女の眠りを蝕み続けていた。
灰色の裸体の半身をベッドから起こし、豊満な乳房と共に、細い両肩をガタガタと震わせた。
大きく見開かれた黒い眼からは涙が溢れ頬を濡らし、大きく開かれた口は酸素を欲して喘いだ。
ウェーブのかかった長髪をかきむしり、その手で両の眼を覆って、焼きついた悪夢の情景を消し去ろうとした。
撃ち殺された老婆と、少年の姿……

「ううぅ……うぅうぅ……うえぇぇ……」
彼女は両腕で自らの身体を包むように抱き、嗚咽し続けた。
彼女の隣で寝ころんでいた人間の男は、そんな彼女に気付き、不愉快極まるといった表情でベッドから起き上った。
「ったく、なんだ?この店は。キチガイの化物しか置いてねぇのか!あっちの方は良くてもこれじゃ気分悪いぜ!」
男は震えるゾーイに皺くちゃの紙幣を投げつけると、床に落ちていたEDF陸戦兵のアーマースーツをさっさと装着して、その部屋を出て行った。
ゾーイは悲しみに潰れそうな表情でうつむき、やがて、目の前に放り出されている紙幣を掴んで、それを胸元で握りしめた。
今の彼女には、それしかなかったのだ。

バラックでの、あの事件から半年。
退院した彼女は、生きる為の手段として、最も原始的な方法を選ぶ事となった。
それは、人類も、インベーダーも、その進化の過程で、最も最初に確立された職業であった。
美女揃いであるインベーダーの雌との性行為は、戦時中からEDF陸戦兵(と、一部ペイルウィング隊員)の間では、割と頻繁に行われていた。
勿論、戦時中に行われたそれは暴力を伴う捕虜虐待に他ならないし、ゾーイの努める売春宿で行われる、料金と合意の上での行為とは意味が違っていたが。

ゾーイは支払われた料金を、売春宿の店主である、人間の中年女性の元に届けた。
性格のきつそうな顔つきの女店主は、くしゃくしゃになった紙幣を引き延ばして枚数を数えながら、ゾーイの方は見ずに口を開いた。
「また悪い夢をみたのかい……そんなんだから、客がなかなかつかないんだよ……困った小娘だね、アンタは」
「あ……ご、ごめン……なさイ」
ゾーイは申し訳なさそうに目を反らす。
売春宿の女店主は口が悪く、金にもうるさいが、給料の支払いだけはしっかりやってくれる、信頼のできる人物だった。
客であるEDF隊員達にはコンドームの使用を徹底させ、また暴力的なプレイも絶対に許さない、“商品管理”の行き届いた有能な上司でもあった。
「ほら、今月の分だよ……悪い夢抱えてたって、誰も助けちゃくれないよ」
「……」
ゾーイは給料を無言で受け取る。
彼女の様な敗残兵が……ましてや、地球外からやってきた異形の者には、それが今の全てだった。

一人の陸戦兵が、人ごみの中を進んでいた。
戦災の傷痕が残る街は、幾らか復興の兆しを見せ始め、同時に人々の活気も戻りつつあった。
テロを警戒中の、EDF治安部隊の車両が、通りのあちこちで睨みをきかせる側で、痩せた子供達がはしゃぎ回り
治安部隊隊員の一人は、チョコバーが幾つも入った袋を、餓えた子供たちの群れの中に放り投げた。
その隊員は、通りを行く例の陸戦兵に気付き、車両から飛び降りて制止を命じた。
「おい、お前……見ない顔だ、どこの部隊だ?」
陸戦兵は立ち止り、低く響く重たい声で答えた。
「本日付で治安部隊に配属になった……トーゴーだ……司令部に向かう途中だ……」
陸戦兵の胸にはしっかり「TOGO」と記され、その肩に付けられた部隊章も、携行しているAS-99も、全て正規の物だった。
治安部隊兵士は、直ぐに司令部に確認を取った。
トーゴーの名は問題なく確認され、治安部隊兵士は、階級が上であるトーゴーに敬礼した。
「司令部でしたら、すぐそこです……車でご案内します」
だがトーゴーは、それを呆気なく断った。
「出頭までは、まだ時間がある……先に、個人的な用事を済ませてから向かう……」
「了解しました……この辺りは物騒です、お気をつけて」
治安部隊兵士はそう言ったが、直ぐにそれは余計な事である事に気が付いた。
その男……トーゴーの身のこなし、装備品に施された完璧な整備、足音一つ立てない歩きかたを見ただけで
その男が、自分等より遥かに高度な錬度を誇る、百戦錬磨の陸戦兵である事を悟ったからだ。
554オセロ:2010/08/17(火) 03:29:46 ID:JDHC/9Ww
トーゴーは、治安部隊の車両から充分距離が開き、視界から消えたのを確認してから、大通りを脇にそれて、人通りの少ない脇道に入って行った。
そこは、EDF治安部隊の兵士でも、危険すぎてそうそう入りたがらない地区で、数々の非合法な店が軒を連ねる場所であった。
トーゴーは、その内の一軒の前で立ち止まり、周囲を一度見回してから、中に入って行った。
その店は潜りの銃砲店であった。
作業台で火花と格闘中の店主は、トーゴーの姿を見つけると驚いた様子だった。
「時間通りだな……流石あんただ!」
トーゴーは無駄口一つ吐かず、用件だけを伝えた。
「例の物は……用意できたか……?」
「あぁ、届いているとも!EDF陸戦兵正式採用、7.8×50o弾、100発!ロッドナンバーのそのまま、正真正銘の正規支給品だ!」
店主の出したケースは、しっかりと「Earth Defense Ground Force.」と記され、その象徴であるエンブレムも描かれていた。
トーゴーは更にケースを開き、中に綺麗に並んでいる弾丸を一つ摘みあげると、その薬莢底部に円状に刻まれた数字を確認した。
それは正しく店主の言うとおり、その弾丸が「EDFによって登録された、陸戦兵専用の銃弾」である事の証明であった。
店主は眉間にしわを寄せて、更に続けた。
「他でもない、あんたからの依頼だ、確実に仕事をさせてもらったが、本当にこの弾でいいのかい?何かの間違いじゃないのか?」
「問題ない……」
「……余計な事は聞くまい……俺の言葉は独り言だから、聞き流してもらって構わんが……」
「……」
「こいつは、足がつくぞ?」
「……分かっている」
トーゴーはそれ以上は答えず、札束をポケットから取り出して作業台の上に置いた。
その額は、普通の銃器店で扱われる額としては、0の数が4つ程多い法外な数字だったが、まぎれも無い、EDFの正式使用弾薬を手に入れると言う、危険極まりない依頼の報酬としては、至極当然な額とも言えた。
トーゴーが弾丸のテストの為、地下の射撃場に向かったのを確認した後、溜息を吐いた店主は、己の心の中で、煮え立つ疑問の鍋の底をかき混ぜた。
『愛用のAS-100F用8×55oではなく、一般兵士向けのAS-99用7.8×50o弾……それも、精密射撃用D型仕様でなく、通常のフルメタルジャケット弾……?
おまけに、すぐ足の付くロッドナンバー入りの弾丸だと……?知りたくはないが……一体何に使うつもりなんだ?』

数時間後……EDF治安部隊司令部。
司令部に到着したトーゴーは、この地区の警備責任者である、“ある陸戦兵”の元を訪れた。
その男は……半年前、あのバラックで、貧しい老婆と少年を射殺し、ゾーイを辱めた、あの悪漢であった。
「あんたが新しく配属になった監視員かい……俺がこの地区の警備担当、ペンウッドだ。仲良くやろうぜ、兄弟!」
「……トーゴーだ」
トーゴーは、ペンウッドの差し出した右手を取る事はせず、名前だけを名乗った。
ペンウッドは手を引っ込め、皮肉交じりに言った。
「へっ……慣れ合いは嫌いってか?監視員ってのは、どいつもこいつも……」
「……」
トーゴーはそれ以上口を開く事はなく、ただ無言のプレッシャーをペンウッドにかけ続けた。
ペンウッドはトーゴーの底知れなさに、言い用の無い恐怖を感じ、それ以上の軽口を叩く事ができなかった。
トーゴーは室内であってもヘルメットを外さなかった為、バイザーに隠れた表情を伺う事は出来なかったが、その下に光る鋭い眼光は、確実にペンウッドの心臓を縮みあがらせた。
『なんなんだ、この野郎は……インベーダー共の歩行戦車を相手にするより、生きた心地がしねぇ……!』
ペンウッドは苦い唾液を呑み込むと、改めて会話の切り口を探り始めた。
「と、とりあえず……あんたの新任祝い兼ねて……警備担当地区の案内、させてもらうぜ!」
555オセロ:2010/08/17(火) 03:31:55 ID:JDHC/9Ww
ペンウッドとトーゴーの乗ったジープは、夜の街を荒々しく走った。
運転するペンウッドの性格からして、その走りには人道さの欠片もなく、ジープは幾度も通りを行く子供たちや、貧しい人々を跳ねそうになった。
ジープは残留インベーダー達の多く住む地区の前で止まり、ペンウッドは、その浅ましい性根を垣間見せる言葉を並べた。
「トーゴーさんよ、ついたぜ!……くっせぇ現場によ!」
ペンウッドの乗るジープが現れた途端、通りに出ていたインベーダー達は、すぐさま建物の中に引っ込んだ。
「ここいらはゴミ虫の巣窟さ……和平締結で捕虜共の解放が決まった途端、奴らの多くが、ここに住みついちまった……ったく、余計な事しやがって!何が『残留インベーダーの生活の保証』だ!」
「地球に残ったインベーダー達の帰還目途が建つまで……それを守るのが我々の……お前の仕事のはずだ……」
「そして、その俺様の仕事を監視しに、あんたが呼ばれたわけだ……けっ!」
ペンウッドはジープを止め、売春宿が多く並ぶ場所で降りた。
店の前に立っている売春婦たちは、多くが人間の女であったが、それに交じって、灰色の肌をもつ、インベーダーの姿も散見された。
「おれぁ好きにやるぜ!……ここじゃ俺は神なんだ」
ペンウッドはそう言い、売春婦たちを物色し始めた。
人間の女達は猥褻に腰をくねらせて彼を誘い、インベーダーの売春婦達は怯えた表情で「自分が選ばれない事」を祈って震えた。
トーゴーが、その様を黙ってジープから見つめていると、彼の元にも数名の売春婦が集まってきた。
人間の売春婦達は口々に卑猥な言葉でトーゴーを誘ったが、彼は見向きもしない。
やがて諦めた売春婦達が悪態をつきながら消えうせると、トーゴーの目には、一人のインベーダー売春婦の姿が映った。
それは、半年前ペンウッドが襲ったバラックで凌辱された、ゾーイだった。
彼女は、憎しみに満ちた目でペンウッドの背中を凝視し、握りしめられた震える拳からは、青い血が滲んでいた。
トーゴーはジープを降りると、ゾーイの元に近づいた。
ゾーイはトーゴーに気付き、その姿に一瞬背筋を震え上がらせたが、すぐに本職を想い出して言った。
「あ……へ、兵隊さン……遊んでかナイ?コック、大好キ……」
ゾーイの美しい身体は、人間の煽情的な服でも難なく着こなし、尚且つ、他の売春婦達が霞むほどの色気を漂わせていた。
彼女の方も、トーゴーの逞しい肉体を陸戦兵のアーマースーツ越しにもはっきりと見抜き、立ち上る雄の匂いに、忘れかけていた女の欲求を呼び覚まされた。
「私の店、ナンバー1……(アァ……なんテ……逞しイ身体……)」

「トーゴーさんよ!なんだい、硬ブツかと思ったら……へへへっ、あんたも好きだねぇ!」
気付いたペンウッドが、両腕に一人ずつ、人間とインベーダーの売春婦を抱いて、嫌らしい笑みを浮かべながら言った。
「明朝、ここで落ち会おうや!……ハメ外しすぎて、財布すられんなよ!……ここのアマ共は、いじきたねぇからよ!ははは!」

30分後、トーゴーの上に跨ったゾーイは、実に4度目のアクメに達しようとしていた。
「オォォ……オオォゥ!……なんテ事なノ……狂ってしまいそうヨ……!」
「……」
トーゴーは情事の最中でさえ、ヘルメットを外そうとはしなかった。
彼は無言で、ゾーイの求める全てを与えるべく、彼女の高ぶった身体を愛撫した。
ゾーイは、実に三年ぶりに、それもインベーダーでなく、かつての敵である人類の雄によって、雌としての快楽を存分に味わわせられた。
トーゴーの上でゾーイの身体が弾け、一際激しく彼女の体が痙攣した。
達したのだ。
556オセロ:2010/08/17(火) 03:36:17 ID:JDHC/9Ww
ゾーイは肩を震わせて息をし、トーゴーの厚い胸板の上に倒れ込むと、その身体に幾つも刻み込まれた傷痕を、一つ一つ指でなぞった。
「……(なんテ男……一回モ、致さなかっタ……)」
トーゴーも、ゾーイのわき腹に残る古傷を見つけ、それにそっと手を触れた。
それだけで、今果てたばかりのゾーイは、背筋にジンと電撃が流れるようだった。
「……パイロットか」
「そウ……円盤型戦闘艇……エースだっタ……」
ゾーイは、惚けた頭の中に響くトーゴーの声に操られるように、濡れた唇を蠢かせた。
「人間を……EDFを、恨んでいるのか」
「人間……恨まなイ……EDF……私モ……お前達モ……沢山失っタ……一杯泣いタ……」
ゾーイの脳裏に、また「あの光景」が浮かび上がった。
途端に彼女は声を裏返し、肩を竦めて泣きじゃくり始めた。
「皆……死んダ……イイ人達……死んダ……罪無イ人達……うぅぅぇぇぇっ……」
ゾーイは高ぶった感情の波の中で、「しまった」とつぶやいた。
またいつもの悪い癖で、上等な客を逃してしまう……と。
だが、トーゴーは、ゾーイの緑色の髪を優しく撫で、突き出た長い耳に、そっと唇を落とした。
ゾーイの脳裏から、途端に悪夢の光景が消しとんだ。
やがて彼女の口からは、静かな寝息が響き始めた。
ゾーイが悪夢から解放され、静かな眠りを手にしたのは、実に半年ぶりであった。

明朝。
朝の冷たい空気に冷めきった身体を暖めるべく、トーゴーの身体を求めて、ゾーイはベッドの上に腕を走らせた。
だが、彼女の隣に、彼の逞しい身体はなく、ゾーイは慌てて目を見開いた。
トーゴーは既に陸戦兵のアーマージャケットを着ており、宿を出る準備を整えていた。
ゾーイは目を……黒と白が人間とは逆転した大きな目を……物欲しげにトーゴーに向けて、ベッドから半身を起した。
自分に悪夢を忘れさせた男が立ち去る……ゾーイの表情は心底暗かった。
だがそれは、トーゴーがベッドの上に置いた紙幣の束を観た途端、驚きの表情に塗りかえられた。
「……これジャ多イ」
「……この次も、お前を選ぶ……二倍払おう」
「えっ!」
トーゴーはアーマースーツを着終え、部屋を出る間際にこう言い残した。
「二度抱きたいと思える女は、そう多くはない……」
「っ!」
一人残されたゾーイは、顔を長い耳の先まで真っ青に染めていた。

                                      ……つづく
557名無しさん@ピンキー:2010/08/23(月) 15:43:12 ID:vNiWb/x1
GJ!
558名無しさん@ピンキー:2010/08/24(火) 00:31:04 ID:Z59wTiSG
GJでごさった!

本当にゴノレゴを読んでるみたいだった。
エロの加減具合とかも w

続編楽しみにしておりますぞ!
559名無しさん@ピンキー:2010/08/24(火) 17:54:54 ID:rgFRKTbt
ゾーイちゃんは最初は日本的萌えタッチだったのに、読んでるうちにさいとう・たかをプロのあの絵柄になっていったよね
560名無しさん@ピンキー:2010/08/29(日) 20:30:01 ID:TUp03HkT
例の作品以外が投下されても不思議と荒れないんだなあ
561名無しさん@ピンキー:2010/08/30(月) 23:57:35 ID:d/XmYU+0
ここはエロパロ住人だけでなくEDF隊員も読んでるからなぁ。

単にエロなだけでなく、硝煙の臭いでむせるというか、戦いの臭いがする作品が好まれるのだろう。

この前のエロ全開の作品が叩かれたのもそういう事なんじゃないかと。
562名無しさん@ピンキー:2010/09/04(土) 23:05:09 ID:7zCTW96h
新作が出るかもって、話なんだわさ。


地球防衛軍4
http://kamome.2ch.net/test/read.cgi/ghard/1283600376/
563名無しさん@ピンキー:2010/09/05(日) 07:06:26 ID:LLxUX5U1
564名無しさん@ピンキー:2010/09/25(土) 20:06:32 ID:ugRVJR2o
かなり間があいてしまいましたが、ようやく長かった規制も解除のようです
またまったりと続けていきたいと思います
565ペイルウイング物語−落日編−:2010/09/25(土) 20:07:27 ID:ugRVJR2o
智恵理を部屋に送った後、マリー大佐たちは直ぐに病院を辞した。
 3人が気まずい雰囲気のまま本部に戻ると、思いがけない客がロビーで待っていた。
 無粋なひっつめ髪をした、30過ぎの東洋人女性である。
 周囲から浮いて見えるのは、場違いな白衣のためであろうか。
「先生っ。才子先生じゃありませんか」
 光は相手が中野のラボで検査担当官だった女性科学者と知り、懐かしそうに挨拶する。
 しかし才子女史の態度は素っ気なく、小さく頷いただけであった。

「セントラル・グループ本社の矢井羽才子です」
 才子女史は指揮官であるマリー大佐に一礼した。
「ほぅ。民間人のその方が、ようここに入れたものよ。して、なに用じゃ?」
 大佐は怪しむような目を向けるが、才子女史は平然としている。
 それどころか大佐を非難するように、上から目線で見下ろしてきた。
「大佐は総監命令に逆らってまで、チェリーブロッサム大尉を日本に帰さないとか。その理由を伺いにまいりましたの」
 女史はペイルウイング総取締役の威を借りて、直接マリー大佐に挑戦してきたのだ。
「その理由を聞く権利が、その方にあろうかのぅ?」
 相手が権力で来るのなら、実母たるアン王女直轄の身である大佐も負けてはいない。

 しかし、その辺りの事情を知った上、敢えて挑んできた女史は一歩も引かなかった。
「大有りですね。何せ大尉の足を完治させるクローン技術は、当社の開発によるものですから」
 女史の眼鏡がキラリと光る。
「ちなみに執刀を担当するのは私です」
 大佐は思わず息を飲んだ。
 もうダメだと思っていた智恵理の足が、完治する可能性があるというのである。
 これには黙らざるを得なかった。

「大尉の細胞から、欠損している箇所付近のクローンを作成します。それを丸ごと移植すれば、あの程度の負傷など……」
 女史は智恵理のカルテを入手しているのであろうか、最後まで語らずに鼻で笑った。
「そのクローン技術というのは、既に確立されていると申すか。大尉を不確かな技術の実験台にするわけにはいかぬ」
 マリー大佐は心の葛藤と戦いながら、なおも女史に食らいつく。
「神経細胞群塊のクローンなど初歩の技術です。私が現在開発している物を知ったら、大佐は飛び上がって驚くでしょうね」
 女史は小馬鹿にしたように吐き捨て、そして喋り過ぎを後悔するように口をつぐんだ。
 気まずい沈黙がしばし流れる。

「セントラル・グループって、あの殺人戦車を作ってる悪魔みたいな企業のことかい? へぇ〜っ、実在してたんだ」
 沈黙を破って割り込んできたのはエンジェルだった。
 彼女はE551ギガンテスが軽量化を追求する余り、著しく安定性を欠く造りになっていることを皮肉っているのだ。
 エンジェルはキスの射程距離まで顔を寄せ、才子女史を無遠慮に見回す。
「死の商人さんが今度は何を売り込もうってんだい? 死なない兵でも売ろうってんなら、あたしも一口乗せてくれよ」

 女史は内心驚いた。
 自分が何気なく発した余計な一言を元に、この小娘は物事の本質に限りなく近い回答を導き出したのである。
「で、でまかせを言ってるだけよ」
 女史はエンジェルを無視することにしたが、自分の迂闊さがどうにも許せなかった。
 そして、偶然にせよ一瞬でも自分をたじろがせた小娘に仕返ししようと企んだ。
「確かにクローン技術を応用すれば、四肢がもがれたって退役せずに済むわね。でも頭のスペアはないもの。それにね……」
 そこで女史は一層人の悪い顔になる。
「……あなたみたいな雑兵は幾らでも替えがきくの。わざわざ高価なスペアを作るより余程安上がりだわ」
 そう言って女史は高笑いした。
566ペイルウイング物語−落日編−:2010/09/25(土) 20:08:16 ID:ugRVJR2o
 その台詞は、目の前にいる小娘のプライドをズタズタにするはずであった。
 ところがエンジェルは眉一つ動かさなかった。
「それであたしを傷つけたつもりかい。こちとら似たような台詞、孤児院で聞き飽きてらぁ」
 エンジェルはアクビ混じりに言った。
「それより、それが本心か。アンタらは結局のところ銭なんだろ? 銭のためには兵隊の命なんか屁とも思っていないんだよ」
 せせら笑うエンジェルの目がテュールリーの頃のものに戻っていた。
 このままでは本当に女史をぶん殴るかも知れない。
 なにせ彼女には、あのレギー・ベレッタにさえケンカを挑んだ前歴があるのだ。

 お世話になった先生と親しい戦友の狭間で、光はただオロオロするばかり。
 マリー大佐も黙ったまま腕組みしていた。
「だいたいテメェら汚いんだよ。まぁセンセは研究者だからラボが戦場なんだろけど、グループのお偉方はどうなんだ?」
 攻勢に立ったエンジェルが、一気に女史を追い詰めていく。
「重役様のご子息ご令嬢の中に、1人くらいは軍務についてる奴がいるのかい?」
 エンジェルは女史の耳元に顔を寄せ、最後のトドメを刺した。
「そんな汚い奴らに、大事な大尉を取り上げられてたまるかってんだよっ」
 それは女史に対して一番の効果を上げる文句の筈であった。
 ところが、今度はエンジェルが眉をひそめる番だった。

「ウフフフッ……なぁんにも知らないお嬢さんのね、あなたって」
 気がつけば才子女史が優しそうな目になっていた。
 憐れみの色まで浮かんでいる。
「東南アジア戦線で戦っているハミングバードって部隊があるのを少尉はご存じかしら?」
 知ってるも何も、ハミングバード隊といえばラオスのジャングルで戦っている、EDFで最も過酷な部隊である。
 地勢の悪さに加え、補給すら滞りがちになる悪条件のため、同隊は常に最悪の損耗率をキープしている。
 士官学校の卒業式において、同隊に配属を命じられた新任少尉が、壇上で失神してしまったことは伝説にもなっている。
 それほど過酷な部隊の存在をエンジェルが知らないわけはなかった。
「ここだけの話だけど……そのハミングバードの部隊長ってね、実はセントラル・グループ総帥、竜崎宗一郎の一人娘なの」
 女史がクスッと含み笑いした。
 その言葉は、エンジェルの口を塞ぐには充分すぎるインパクトを持っていた。

 エンジェルは背中を冷たい汗が流れ落ちるのを感じた。
 セントラル・グループの総帥は、彼女さえ二の足を踏むラオス戦線に自分の一人娘を投入しているというのである。
 世間体とかで済ますには余りにも苛烈であった。
 単に世論を気にするだけであれば、娘を後方の事務職にでも就かせれば事足りる。
 それがペイルウイング隊、それもハミングバードへの配属を認めるとなれば狂気の沙汰であった。
 或いは父の贖罪を果たそうという娘の自発的行動なのか。
 いずれにせよ、物心ついた時から父のいないチチョリーナ・ロッシには、狂気としか理解できなかった。

「下らない腹の探り合いは止めましょう。チェリーブロッサム大尉が、あなた達にとって大事な存在であることは分かりました」
 気がつくとイニシアティブは女史に奪回されていた。
「しかし、そんなあなた達だからこそ、なにが本当に大尉のためになるか分かって頂けるはずです」
 才子女史の声が3人の耳に虚ろに響いた。
567ペイルウイング物語−落日編−:2010/09/25(土) 20:08:51 ID:ugRVJR2o
                                 ※

「えぇっ、東京行きって……隊長、どういうことですかっ?」
 寝耳に水の命令に、智恵理は目を剥いてがなり立てた。
「も、もう決まったことなのじゃ。ヒナとて、いつまでもファランドール総監の命令に逆らってはおれぬわ」
 マリー大佐が突き放すように言った。
「そ、そんな……」

 狼狽える智恵理に今度はエンジェルが追い込みを掛ける。
「命令無視は大尉の十八番だけど、今度のは度が過ぎるんじゃない? 大佐が困ってらっしゃるのに気付かないのかねぇ」
「だいたいねぇ、あたしら下の者に失礼なんだよ、先輩は。あたしらの実力がそんなに信用できないっての?」
 光が憎々しげに唇を尖らせる。
「アンタ達……あたしのこと、そんな目で見てたの?」
 智恵理の唇がブルブルと震える。
「隊長っ。隊長にとって、本当にあたしはもう不要品なんですかっ? ちゃんと答えて下さいっ」
 智恵理は必死で冷静さを保とうと努力して言った。

 黙りこくって俯くマリー大佐を、エンジェルが肘でつつく。
「その方は……元々、隊の役に立っておらぬのじゃ。いつも勝手なことばかりして……若い者の教育上……こ、好ましゅうない」
 大佐は俯いたまま、抑揚のない声で詰まり詰まり答えた。
「目立ちたがりのスタンドプレーは迷惑だって言ってんの、分かんないかなぁ」
 光が大佐の腕を取って後ろに引き下がらせる。
「2小隊のことはチチョリーナに任せて、安心して治療に専念しなよ」
「ケッ、よく言うよ。元々あたしの小隊みたいなもんだし」
 光とエンジェルは廃棄物を見るような目を智恵理に向けた。

 智恵理は悔しそうに唇を噛んでいたが、やがてギプスを殴りつけて怒鳴った。
「分かったわ、もう要らないっていうんなら出てって上げるわ。ただしもう一度帰ってこいって頭下げたって二度と御免だから」
 3人を睨み付ける智恵理の目には涙が滲んでいた。
「さぁ、用が済んだら出てってよっ。あたし寝るんだからっ」
 智恵理はそう叫ぶと、上半身を倒して頭からシーツを被った。


 病院を出ていく3人は、一言も発しなかった。
 エンジェルが智恵理のいる病室を振り返ろうとし、マリー大佐がそれを止めた。
「けど……隊長……」
 光が何か言いかけたが大佐が口を封じる。
「これでよいのじゃ……3人で決めたことじゃろう……」
 2人を制する大佐の目にも涙が浮かんでいた。


 その日の夜、光は帰国する智恵理の私物を整理していた。
 兵員輸送機に乗せる私物の重量は厳しく制限されており、不要物は全て廃棄する必要がある。
 その選別を任されたのは、一番親しい存在である光であった。
「こんなガラクタいつまでも持ってて……仕方のない先輩だよ。なに、このでかいパンツ。先輩、お尻はでかいからなぁ」
 光はブツブツ言いながら、面倒臭そうにゴミ箱を一杯にしていく。
568ペイルウイング物語−落日編−:2010/09/25(土) 20:09:28 ID:ugRVJR2o
 写真の整理に移ると、余りの多さにウンザリしてしまう。
「ったく……わざわざプリントアウトしないでよね」
 いったい何枚あるのかすら分からない。
 その中に智恵理が同期生と一緒に撮った一枚があった。
 ペ科練の校舎をバックに赤ブルマ姿の智恵理がおり、それを左右から挟んでいるのは一条綾と竜崎雅である。
「恨むよ、雅先輩……」
 雅がどこかの財閥のお嬢さまだとは知っていたが、まさかそれがセントラル・グループ本家であるとは思いもしなかった。
 彼女が何を考えてペイルウイングを志したかは知る由もないが、その事実さえなければ才子を負かせていたかもしれない。
 間接的にとはいえ、智恵理と別れる原因を作った雅が憎らしかった。

 取り敢えず、写真は全部荷物にねじ込むことにして、続いて装備品の整理に掛かる。
 消耗品は廃棄するとして、貸与品は装備課に返還しなければいけない。
 制服を片付けているうち、血塗れになったペイルスーツが出てきた。
 あの日、智恵理が身に付けていたものである。
 その痛み具合に、智恵理が喰らった打撃の強さが窺い知れ、光はゾクッとする寒気を覚えた。

 続いてヘルメットを手に取った光は、内装を確認していて中に何か縫いつけてあることに気付いた。
 何だろうと思って糸を引きちぎると、汗にまみれてボロボロになった布きれが出てきた。
「あっ……」
 それが何であるか気付いた光は、思わず絶句していた。

「お守り……あたしがあげたお守り……」
 それは智恵理の卒業記念にと、光が近くの神社で貰ってきた安全祈願のお守りであった。
「……まだ持っててくれたんだ」
 一度は「交通安全は関係ない」と言って突っ返そうとした先輩。
 それでもむくれて取り上げようとしたら「もうあたしの物だから」と返してくれなかった先輩。
 あの日あの時の記憶が鮮明に蘇ってきて、光は涙で前が見えなくなってしまった。

                                 ※

 その翌日、ヒースロー軍用滑走路に智恵理の姿があった。
 車椅子には乗っていなかったがギプスはそのままで、松葉杖をつかないことには歩くこともできない。
 惨めな姿を晒したくないので、人目を忍ぶようにこっそりと機に近づく。
 搭乗口のタラップ前に、半泣きになった光が待っていた。
 光が黙ったまま、ショルダーバッグのベルトを智恵理の首に掛ける。
 智恵理はブスッとした顔でバッグを受け取ったが、やがて我慢しきれずに吹き出してしまった。
569ペイルウイング物語−落日編−:2010/09/25(土) 20:10:02 ID:ugRVJR2o
「なんて顔してるのよ。ホントにお芝居のできない子ね」
 智恵理が呆れたような口調でダメ出しした。
 一瞬呆気に取られた光だったが、直ぐに真っ赤になって怒り出す。
「先輩っ、あたしが演技してるって分かってたんだねっ」
 光は相手が怪我人だということも忘れて、智恵理の胸をポカポカと叩き始めた。

「折角あたしも付き合ってあげてたのに。きょうび、幼稚園の文化祭でももう少し上等なお芝居見せてくれるよ」
 智恵理はそう言いながら、光の耳をつねって体から引き剥がす。
「先輩っ、やっぱり行かないでっ。あたしから隊長にお願いしてみるからぁ」
 光はそう言ってわんわん泣き始めた。
 それを見ているうちに智恵理も貰い泣きしてくる。
 しかし心を鬼にして胸の内を語った。

「ありがと。けどね、こんな体じゃお荷物にしかならないの。それはあたしにとって我慢できないくらい辛いことなのよ」
 智恵理はそこで言葉を詰まらせたが、なんとか後を続けた。
「それにさ……治る可能性があるのなら、それに賭けてみたいんだ」
 智恵理はそう言ってぐずる後輩をなだめた。
「足が治ったら、また直ぐに戻ってくるからさ。それまでマリー大佐のこと頼んだよ」
 光は泣きやまなかったが、それでもハッキリと頷いた。

「……で、隊長は」
 智恵理はマリー大佐が必ず来ているものと信じ切っていた。
 そこに息せき切った大佐が駆け込んでくる。
「すまぬっ。下らぬ所用で来るのが遅うなった」
 マリー大佐は、智恵理が演技を見破っていることなど当然のように振る舞う。
「当たり前じゃろう。ヒナが大尉を邪魔に思うておるなど、何処の誰が信じようぞ」
 大佐は胡散臭そうに睨み付けてくる光を軽くいなした。
 聞けば、エンジェルは初志を貫徹して演技を続けるつもりらしい。
 どこを見回しても彼女の姿はなかった。
 泣き顔を見せたくないのであろうが、それも彼女らしくていいと智恵理は笑った。

「いろいろとお世話になりました」
 智恵理は改まった調子で大佐に敬礼する。
「世話を掛けたのはヒナの方じゃ。その方がおらねば、とてもここまでこれなんだ」
 大佐も気を付けをして敬礼を返した。
「そこで、今までの報償としてこれを授ける」
 マリー大佐はそう言うと、持っていた包みの中からキラキラ輝くティアラを取り出した。
 王室から下賜されたカリナンのティアラである。
570ペイルウイング物語−落日編−:2010/09/25(土) 20:10:45 ID:ugRVJR2o
「とんでもないっ。そんな大事な物、冗談でも頂けません」
 智恵理は飛び上がって驚いた。
「無論くれてやるつもりはないのじゃ。その方に一時預けておくゆえ、大事に持っていてくれい」
 大佐はそう言うとティアラを無理やり智恵理のバッグに入れる。

「カリナンは史上最大のダイヤモンドの原石じゃ。そこから分割されたダイヤは、いずれ一つになろうと引き合うという」
 その言葉に智恵理はハッとする。
「……じゃから、その方も直ぐに戻ってくるがよい。ヒ、ヒナは……いつまでも……待っておる……」
 大佐は喋っているうちに熱いものが胸に込み上げてきて、最後は言葉を詰まらせてしまった。

 見せまいと決めていたはずの涙が溢れてくる。
 そして、遂に堪えきれなくなって智恵理に抱きついてしまった。
 智恵理も大佐を固く固く抱きしめ返す。
 大事な先輩を独占されたというのに、今日の光は嫉妬を控えることにした。
 目の前にいる少女は、自分に過ぎたるものと謳われた大事な宝物を2つとも手放すはめになるのだから。

 やがて出発時間の到来を告げるアラームが鳴り響いた。
 智恵理とマリー大佐は最後の敬礼をかわし、万感のこもった目で互いを見詰め合う。
「お体に気をつけて」
「その方もじゃぞ」
 最後の言葉を掛け合うと、智恵理は杖をついて搭乗機に乗り込んでいく。
 搭乗口の扉が閉まるまで、智恵理は二度と後ろを振り返らなかった。

 エンジンの音が一際高くなり、機体が静かに滑り出す。
 マリー大佐と光は姿勢を正すと、滑走を始めた機を敬礼で見送る。
 みるみる速度を上げたジェット機は、アッという間に滑走路の端まで進むと軽々と離陸した。
 機はグングン高度を上げ、やがて東の空へと消えていった。


 それから10分後、機は早くも海上を飛んでいた。
 自席に座った智恵理は、テーブルに突っ伏して肩を震わせていた。
 目を閉じると、倫敦に来て以来この4ヶ月余りの出来事が瞼の裏に浮かんでくる。
 栄光に彩られた数々の戦歴、ほろ苦さを残した部隊内の軋轢、そしてアイスバーン少佐を始めとする仲間たちとの別れ。
 それらは決して夢などではなく、鮮烈に記憶された事実なのだ。
 そして今、智恵理もまた戦列を離れ、倫敦を後にしようとしている。

「あたし、絶対戻って来ますから。そしたら、また隊長の下で一生懸命頑張りますから……」
 智恵理は心の中で何度もそう誓っていた。

 しかし、その願いは結局叶うことはなかったのである。
571名無しさん@ピンキー:2010/09/25(土) 20:12:58 ID:ugRVJR2o
取り敢えずこれで落日編は終了で、次回からは地獄編を予定しています
またよろしくお願いします
572名無しさん@ピンキー:2010/09/25(土) 21:29:32 ID:iJQQ+u/t
うわああああああああ

やっと投下きたあああ待ってたあああああああ

これからが本当の地獄か・・・
573名無しさん@ピンキー:2010/09/25(土) 23:14:51 ID:688HiQUh
続きキタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━!!!!
完結目指して頑張ってください。
574名無しさん@ピンキー:2010/09/26(日) 02:05:26 ID:kt+tK7PT
うおおおおおおお続編来たー!EDF!EDF!

地獄編…なんという直球なサブタイトル…
ここからはディロイと近衛の大盤振舞い、加えてまだ出てないのは…空爆と超爆、大蜘蛛、メカソラスにテラソラスか…
龍虫復活はあるのかな。そういやインセクトヒルって出てたっけ…読み返そう

切ない展開が増えてきたね…
575名無しさん@ピンキー:2010/09/26(日) 02:13:16 ID:NV8MeNlG
うおおおおおおお
何年かけても待つぜえええええ
ほんとに楽しみにしてるんだ。面白い

なんかEDF4も外国のとは別に日本でも作られるみたいだし楽しみ
576名無しさん@ピンキー:2010/09/26(日) 07:45:18 ID:kt+tK7PT
>>575
夢を壊すようで申し訳ないけど、それはお前どっかで釣られてると思うわ
577第13話予告 :2010/09/27(月) 01:02:53 ID:iPfZblOH
インベーダーの巨大生物兵器は昆虫型だけとは限らなかった。
極東地区の市街地に恐竜型巨大生物兵器が出現したのだ。

先の大戦の時にその巨体を活かした突進や口から放たれる火炎でいくつもの都市を廃墟にしてきた"それ"は『ソラス』と命名されていた。
まさにモンスター映画から飛び出してきたような化け物であるが、勝機がないわけではない。

ヤツの眼を盗んで足元に潜り込んで近接兵器を使えば致命的なダメージを与えられるはずである。
隊員たちは大胆かつ慎重に任務を遂行できるのか!?

次回 The地球防衛軍2 第13話 『巨獣』
全ての敵を殲滅せよ!
578予告人 :2010/09/27(月) 02:32:46 ID:iPfZblOH
こちらも規制解除されたので保守再開です。

今回は銀○伝ぽくしてみました。
ちびまるこのお父さんの声で脳内再生おながいしまつ。w

ではまた ノシ
579名無しさん@ピンキー:2010/09/27(月) 17:13:08 ID:e/tyEHGG
どこまでも待ち構えていたものが次々と……我々はまだ外注作になんか屈していない!
580名無しさん@ピンキー:2010/10/07(木) 16:51:07 ID:mya1ni9E
久々に来たら落日編終わったのか…。
次はいよいよディロイたんがでてくるのかな
581名無しさん@ピンキー:2010/10/07(木) 19:57:52 ID:ciJAC3YC
>>580
ディロイに足をやられた訳だが
582名無しさん@ピンキー:2010/10/25(月) 00:53:57 ID:BnU7KyTt
h
o
s
y
u
583名無しさん@ピンキー:2010/10/30(土) 00:47:06 ID:RljqIY0b
hosyu
584第14話予告 :2010/11/07(日) 23:32:00 ID:PoNy61EC
インベーダーのキャリア2隻が極東地区・日本の山岳部に出現した。
偵察班よりヤツらは蜘蛛型巨大生物兵器を満載して都市部へ侵攻中との報告が入った。

"蜘蛛"を都市部に放たれてしまえば、ロンドンのような壊滅的な被害が予想される。
EDF極東支部は山岳部でのキャリア撃墜を決定した。

隊員たちはキャリア攻撃用の狙撃兵器、そして"蜘蛛"用の高火力兵器を携えて任務へと向かう。
谷底での一斉爆破による一網打尽の計略は果たして成功するのか?

次回 The地球防衛軍2 第14話 『谷間の影』
全ての敵を殲滅せよ!
585名無しさん@ピンキー:2010/11/08(月) 19:40:44 ID:GyLEjC8i
ミッション失敗例
ttp://pic-loader.net/view/711edf026.html
586名無しさん@ピンキー:2010/11/23(火) 15:10:52 ID:o++j8+Op
保守
587名無しさん@ピンキー:2010/12/07(火) 18:31:43 ID:d/Kc6BBC
保守
588名無しさん@ピンキー:2010/12/23(木) 23:41:02 ID:d0ktPhy5
PS3の新作たのしみ
589名無しさん@ピンキー:2010/12/26(日) 10:53:30 ID:hO4r4bP8
正真正銘、地球防衛軍4キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━!!!!キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━!!!!キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━!!!!

http://www.nicovideo.jp/watch/1293166683

EDF!!!EDF!!!
590名無しさん@ピンキー:2010/12/26(日) 13:06:05 ID:JOIWlmKk
PSPのほうは買うが正直XBOXの防衛軍微妙だからなぁ
THEの頃の昭和のB級感がよかったのに、変に世界観とか敵デザインとかリアルにしちゃったせいで逆にうそ臭くなってしまった



でも防衛軍4も買っちゃうけどな!
3のためだけに買ったXBOX360がようやく再び日の目を見る
591名無しさん@ピンキー:2010/12/26(日) 17:14:12 ID:ayvhEc+8
EDFIAは最初にスクショが出たときは絶望したが、次に動画が来たときに予想以上に防衛軍してたから、
今じゃ普通に期待してる
デザインが変わってもワラワラ感と絶望感と引き撃ちと無線があれば防衛軍に変わりない!
592名無しさん@ピンキー:2011/01/11(火) 03:17:56 ID:E5ES2QSw
俺たちは戦い続ける…ペリ子物語が完結するまで
593名無しさん@ピンキー:2011/01/11(火) 04:06:19 ID:7PP+rDPd
>>589
うおおおおおおおおおおおお
EDF!!! EDF!!!
PSP版、テラソラスの処理落ちが気になるな
処理落ちが軽減されてたら、俺、今度こそハーキュリーを手にするんだ…
でもよく考えたらコントローラー2つつなげられないから、絶対包囲稼ぎできないのかな…?
594名無しさん@ピンキー:2011/01/12(水) 03:13:46 ID:v6rtaxWw
このスレ
地球防衛家のヒトビトでエロパロ
かと思った
サーセン
595 ◆VUNwDQ3iOw :2011/01/20(木) 01:53:18 ID:BCbBrvyu
おつかれ
596 ◆H2ZnPqrkJs :2011/01/20(木) 01:55:04 ID:BCbBrvyu
なんどもm(__)m
597名無しさん@ピンキー:2011/02/08(火) 21:47:47 ID:ZhHvhwkX
保守
598名無しさん@ピンキー
保守