【ライ3ダーZ】THE 地球防衛軍でエロパロ3【さ、3ダー!】
1 :
名無しさん@ピンキー :
2007/06/23(土) 22:49:46 ID:f5Nnixjd
おおっ やっちまったと思っていたら、打てば響くように……申し訳ない
そんな智恵理の心中を知る由もなく、マリー中佐は荷物を載せた台車を押して隊本に入ってきた。 智恵理とフォルテシモ少尉は、慌ててそれを手伝う。 中佐の荷物を見た智恵理は、思わず声を上げそうになった。 山のような荷物の中に、見慣れたペイルバッグが埋もれていたのである。 中身は聞くまでもなかった。 智恵理とフォルテシモは驚いたように顔を見合わせる。 「あの……中佐殿。中佐殿は……」 2人の視線に気付いたマリー中佐は大きく頷いて答えた。 「うむ、マリーも皆と共に前線で戦うつもりじゃ。本隊は本日付けで大隊として再編されることなった。よろしく頼むぞ」 第7混成連隊麾下のペガサス隊は、これまで3個中隊を連ねる特設攻撃隊として編成されていた。 それが、指揮官たる中佐が第1中隊長を兼任する、独立攻撃大隊として再編されることになったのだ。 智恵理の気分はますます重くなった。 下手をすれば第1中隊がまるまる中佐の護衛をしなければならなくなり、戦闘部隊として機能しなくなるおそれがある。 ふと見れば、フォルテシモ少尉も青い顔をしていた。 中佐が前線に出れば、副官である少尉も同じ戦場に立つことになるのだ。 少尉も後方部隊で戦闘訓練は受けているものの、実戦の経験となると皆無であった。 フォルテシモ少尉が智恵理に顔を近づけて耳打ちする。 「大丈夫ですよ。一度でも実戦に参加すれば、怖くなって逃げ出すに決まってます」 智恵理に言わせれば、その一度が怖かった。 初陣で未帰還にでもなられた日には、隊の全員が責任を問われかねない。 ペ科練にいた頃に聞いた話であるが、司令官殿下や姫様隊長を失った部隊には過酷な運命が待っているという。 事実を隠蔽するため、伝染病患者の病棟に長期間隔離された部隊があると聞く。 部隊ごと熾烈な最前線に送られ、全員が戦死するまで補給無しの戦闘を強いられるとも聞いた。 王族系指揮官を戴く部隊には、常にその種の恐怖が付きまとっていた。 それは軍法のどこにも載っていないが、確実に存在しているEDFの不文律であった。 もっとも、姫様部隊は戦地に出ることはあっても、後衛を任されるのが普通であり、命のやりとりとは無縁である。 だがペガサス隊はエース部隊であり、常に前衛攻撃隊として決死隊の最前列を任される存在である。 当部隊に後衛勤務をさせる余裕など、今のEDFにはない。 部隊の指揮を執る限り、マリー中佐が最前線に立たされるのは確実であった。
「人事異動が決定した時とは事情が変わったんです。近いうちに新しい転属命令が出るに決まってますよ」 そう言うフォルテシモ少尉の顔には、幾分赤みが戻ってきていた。 ※ この日は人事異動発令日であり、マザーシップ迎撃戦で消耗したペガサス隊にも人員補充があった。 それも大幅な補充が必要となったため、異動人員は中隊規模に及んだ。 慢性的な兵員不足に苦慮する人事院は、疲弊した部隊同士を合併させることでしか帳尻を合わせる術を持たなかった。 地底決戦の折り、地上の陽動作戦に参加したセイレーンという部隊がある。 倫敦防衛の傍ら、要請により各地へ応援出動するペガサス隊とは違い、拠点を持たず一作戦ごとに転戦する戦略任務部隊である。 同隊は陽動作戦中に大被害を被り、兵員の大半を喪失した。 そこで人事院はこの度セイレーン隊を廃止とし、ペガサス隊に吸収合併させることにしたのである。 智恵理としては頼もしい援軍であったが、併呑されるセイレーンの隊員にすれば複雑な思いがあった。 彼女たちは地底決戦で敗北を喫するまでの間、全軍の中で最高のキルレシオを誇っていた名門部隊である。 自分達がペガサス隊の下風に立つことをよしとする隊員など、只の一人もいなかった。 自信に満ち溢れた旧セイレーン隊の面々は、その日の午後リージェンツ・パークに到着した。 智恵理はマリー中佐と共に指揮所の前でそれを出迎える。 演習場に着陸した兵員輸送ヘリから真っ先に降り立ったのは、癖のある金髪を風になびかせた美女である。 襟元に少佐の階級章が、そしてその横に「ラ・シレーヌ」の部隊徽章が光っていた。 セイレーンにこの人ありと言われたエース、ラヴィアンローズ少佐である。 EDF士官学校を首席卒業した後、陸戦隊の中隊長を経てペイルウイングに転身したエリートで、上下からの信頼も厚い。 撃破数は400を大きく越え、アイスバーン少佐亡き後、彼女のスコアは全軍を通じてのトップに位置している。 近いうちにアイスバーン少佐を抜いて、歴代一位に躍り出ることは確実とされていた。
ラヴィアンローズ少佐の後ろから、一騎当千の隊員たちが続々と降りてくる。 少佐を含めると、セイレーン隊からの転属者は総勢8名である。 全員が白人であり、有色人種は一人も含まれていない。 智恵理も先程知ったばかりだが、セイレーンでは4名が一組となり区隊を編成し、区隊2つで一個小隊を構成するらしい。 最初は8名の小隊で戦闘に突入するが、乱戦になると当然編隊の維持は困難になる。 それでも最悪2名一組のチームは堅持し、攻撃を担当するリーダーをウイングが援護する。 そして如何なる場合でも、個人戦闘は決して許されないという。 火力では3人編成のデルタより劣るが、機動力を生かすには2人一組の方が確かに有利である。 ペイルウイングの特性を考えるとツインの方が有効にも思えた。 智恵理がぼんやりそんなことを考えていると、ラヴィアンローズ少佐が指揮所へ向かって歩いてきた。 指揮所の前に整列した旧セイレーン隊の隊員たちが、マリー中佐に向かって敬礼する。 そしてマリー中佐の答礼を待って、一斉に気を付けに戻る。 一糸乱れぬ統制された行動であり、練度の高さが窺い知れた。 「ラヴィアンローズ少佐以下8名、只今着任いたしました」 少佐の着任申告を受け、マリー中佐が鷹揚に頷いた。 「うむ、頼りにしておる。マリーもここでは新任じゃ。共に励もうぞ」 少佐は再度敬礼するとその場を離れかけたが、中佐の傍らに智恵理の姿を認めて足を止めた。 「あなたがチェリーブロッサムね。噂は聞いているわ」 ラヴィアンローズ少佐は冷たい視線を智恵理に送った。 「東洋人じゃなければスカウトしていたのに。残念ね」 気づけば旧セイレーンの隊員たち全員が、蔑みのこもった目で智恵理を見ていた。 ある者は智恵理の全身を舐め回すように視姦し、ある者はニヤリと笑って舌なめずりする。
憎しみと軽蔑の波動を真正面から浴びせられ、身に覚えのない智恵理はたじろいだ。 2つの乳房と前後のホールに熱い波動がネットリと絡み付く。 その余りの圧力に、智恵理は秘密のスリットが潤みを帯びてくるのを感じた。 智恵理には理解できなかったが、セイレーンの隊員たちにしてみれば彼女を憎む立派な理由があったのだ。 感情のもつれは地底決戦に端を発していた。 囮を引き受けた彼女たちが大被害を被っている時に、智恵理は独断で巣穴へ突入して大戦果を上げた。 命令を遵守した彼女たちは屈辱にまみれ、それを無視した智恵理は栄光を手にした。 セイレーンの隊員たちは、智恵理のとった身勝手な行為を絶対に許せなかった。 或いは、その怒りは戦友を失った彼女たちの悲しみが、無責任に転嫁されたものなのかも知れない。 ただ、彼女たちが智恵理を憎んでいるのは紛れもない事実であった。 智恵理は流石に気分を害したが、初対面の相手と喧嘩をするほど子供ではないので無視することにした。 それに今日から彼女たちは同じ大隊のチームメイトになるのだ。 いずれ互いに助け合わねばならない局面もあるであろう。 その時に気まずい思いをするのは嫌であった。
智恵理がんばれ
第3部は落日編か 徐々に鬱な展開になりそうだな
何人生き残るか・・・・
久しぶりの新作キテター 鬱展開望むところだ テラソラスの出番はまだまだ先だろうけど期待してるぜ!
ソラス系はレイピアで瞬殺さr
ソラスの死をあれだけ悼んでたんだからそれはないだろうw しかし伝説の男がどうなってるのかは気になるところだ…
伝説の男が現れて、智恵理といい仲に・・・なんてありきたりな設定じゃなくて たまーにふらりと現れては存分にカッコイイ姿を見せて去ってゆくあたりが ヒーローっぽくてよろしい。
皇帝都市現れたときに新型ウホッ追い払っていたと妄想>伝説の男 しかし燃えが尽きないな陸戦もペリ子も。
>>14 おおナイス
テンプレになかったから分からなくなってた
ブクマしとくか…
伝説の男のライサンダーもいつまでもFだと辛いものがあるな いずれ胡瓜とか礼賛乙とかに進化するのか
ストリンガーだったりしてwww
3の武器か>ストリンガー よく知らないけど美味ぇのか、それ?
貫通するんだよ
>>20 アッー!
まあ実際の話、2の世界観でやってる以上、3の武器は出せないだろう。
2は知ってても3は知らないって人も多いんだろうね かく言う俺もその一人だが
>>11 未だにレイピアで瞬殺する以前に、テラソラスの懐まで辿り着く前に灰にされてる俺
歩幅広すぎ
テラソラスはチビッコ葬って直ぐに前方のビルの屋上まで飛翔し緊急チャージ 回復した頃にちょうどテラソラスが目の前を通り過ぎるので、背中に貼り付いてあぼーんだろ
「ふ、ふふふっ。 わたくしと皆様は糸に絡まれて逝去なされてしまうことでしょう……。」
EDF! EDF!
その日の昼食を終えると、智恵理はマリー中佐の呼び出しに応じて指揮官室を訪れた。 「チェリーブロッサム大尉、入ります」 ノックをして入室した智恵理は、思いがけない人物との再会を果たした。 浅黒い顔に浮かんだ品のある微笑が智恵理を迎える。 「マーヤ中尉?」 そこに待っていたのは、地底決戦の折り重傷を負い、戦線を離脱していたマーヤ中尉であった。 「もう体は大丈夫なの?」 智恵理は相好を崩して中尉の手を握る。 「心配かけたけど、もう大丈夫。それより一番大事な時に動けなくて……申し訳ないことをしたわ」 自分の入院中に、部隊が隊員の過半を喪失する損害を出したと知り、中尉は心苦しそうに目を伏せた。 責任感の強い中尉は自責の念に駆られているに違いない。 「けど、マーヤ中尉が復帰してくれて、百万の援軍を得た気分だよ」 智恵理はお世辞でなく、心からそう思った。 ヨーガの達人である中尉の実力は、エイリアン・ウォーシッパーの能力者に勝るとも劣らない。 多くのベテラン隊員を失った今、マーヤ中尉の復帰による戦力アップは明るいニュースであった。 「その方はそれほどの剛の者か?」 横合いからマリー中佐に声を掛けられ、智恵理はようやく場所をわきまえて畏まった。 懐かしさの余りに我を忘れていたが、ここは指揮官たるマリー中佐の執務室なのである。 気付くと今一人、ラヴィアンローズ少佐が冷ややかな目で智恵理を見ていた。 「ならば決まりじゃ。その方に第3中隊を預けることにする」 マリー中佐がウンウン頷き、マーヤ中尉を第3中隊長に任命した。 「ですけど隊長。階級や実績から考えますと、私よりもチェリーブロッサム大尉の方が適任なのでは?」 急な指名により、マーヤ中尉が驚いた顔になる。 「ならば、その方は今日からマーヤ大尉じゃ。それで文句はあるまい」 中佐が幼さの残る丸顔に満面の笑みを浮かべて言い切った。 彼女のコネを使えば、中尉を大尉にすることくらい造作もないというのであろうか。 「参謀総長からの推薦もあるのじゃ。チェリーブロッサム大尉はマリーの直属中隊に入って貰う」 智恵理の表情が露骨に固くなる。 つまりは実績を買われて、アン王女直々に姫様隊長の用心棒を命じられたのである。 「そんなのって……あたし、自由に戦えなくなるじゃない……」 智恵理が最も恐れていた事態になった。 「あの年増……」 脳裏にイタズラっぽく笑う参謀総長の顔が蘇った。
「ラヴィアンローズ少佐は第2中隊を任せる。その方が連れてきた隊員を預けるから、存分にやってくれ」 中佐はラヴィアンローズ少佐にも大隊人事を発令した。 「ありがたき幸せ」 少佐はその場に立ち上がると、胸に手を当てて優雅に一礼した。 貴族然とした立ち居振る舞いであった。 ※ 「先輩っ、どうなりました」 演習場へと出てきた智恵理を後輩の光が出迎えた。 新編成が気になるのか、光の顔は少々緊張気味であった。 「そんなにあたしと離れるのが辛いの?」 智恵理が意地悪そうに笑う。 「安心して。また同じ第1中隊だから」 光が安堵の表情を浮かべるのを放置して、智恵理はエンジェルに向き直る。 「覚悟しておいて。あたしの2番員は少々辛いよ」 智恵理はエンジェルに自分のレフトウィングを任せることを告げた。 エンジェルは唇の端を歪めて笑みを漏らす。 「分かってるよ。今までだって3番員として散々苦労してんだからさ」 戦場では単騎になりがちだが、智恵理は本来第2小隊を率いる小隊指揮官である。 しかし他人に倍する進出能力を持つ智恵理は、ともすればウィングを置き去りにしてしまう。 よって彼女の2番員は、事実上の小隊長として3番員を指揮して戦う必要が生じるのである。 ふと、2番員だったコンボイ特務曹長の巨体が懐かしく思い出された。 プロの軍人として、むしろ自分より指揮官に相応しかったのではないかと思う。 いなくなって、改めて彼女の存在の大きさを思い知らされた。 気が付くとエンジェルも遠くを見るような目をしている。 「おっかなかったね」 エンジェルはテュールリー練兵場で、初めてレギーと対面した時のことを思い出していた。 「あたしだって……最初にレギーとやり合った時、おしっこチビッちゃったもの」 智恵理もアルカトラズでの一件を懐かしく思い出し、クスクスと笑う。 そこに光が勢いよく割り込んできた。 目の前で自分の知らない思い出話をされたので、あからさまにジェラシーを全開させている。 「ちょっと待って。先輩のLWはあたしじゃないの? 階級もそいつよりあたしの方が上だよ」 納得がいかないとばかり、光が詰め寄る。 「アンタは第3小隊長を任されたんだよ。ペ科練出身者がいつまでも子供みたいにダダこねてちゃダメ」 智恵理は突き放すように言った。
ペ科練はペイルウイング隊の初級幹部を育成する専科学校であり、その生徒には小隊長になるべき専門教育を施されている。 実戦経験はほとんど無いものの、光にならどうにか小隊長の役は務まるであろう。 否、どうあっても務めて貰わなくてはならない。 「LWにはカフェオレを付けてあげるから。RWのアイリス伍長は新人だから、ちゃんと面倒見てあげて」 ウィンザー迎撃戦ですっかり智恵理の信奉者となったカフェオレは、同じ中隊に入れると知って目を輝かせる。 逆に光の顔は険しくなった。 「そんな素人ばっか集めて……あたしを殺す気なの?」 光の頬がプクッと膨らむ。 「何くだらないこと言ってんの。アンタも実戦経験者の一人なんだから。後輩の育成にも力を尽くしなさい」 智恵理も負けずに頬を膨らませる。 「……覚悟しときなよ、先輩。後で指使って潮噴かせてやるんだから」 光は納得しないまでも、一応先輩の顔を立てて引き下がった。 「あたしのRWには新人のセーラー伍長。アラベスク少尉にはこれまで通りセカンドをお願いするよ」 智恵理にチラリと一瞥されただけで、シャイなアラベスク少尉は小刻みに震えだした。 少尉はバーディやシュリンプといった士官学校卒の新人少尉グループの一人である。 EDFに入る前はチェケッティ派のバレリーナだったという。 艶のある黒髪をロングに伸ばし、真一文字に切り揃えた前髪が清楚な印象を与える。 技量はやはり未熟だったが、素直な性格が幸いしたのであろう。 直ぐにエリート意識を捨て、古参隊員と打ち解け合えたため、戦いに必要な技能を学ぶことが出来た。 特にエースだったアイスバーン少佐から受けた薫陶は、少尉にとって大きな財産となっていた。 そのお陰で、今では同期の中では最高の技量を持つまでに上達している。 「他に適任者がいないんだ。みんなでカバーするからさ」 智恵理は手を合わせて拝み倒した。 セカンドとは中隊長の2番員のことで、指揮官の直掩を任務とする重要なポジションである。 通常は下士官上がりの准尉をもって充て、部隊最強の称号が贈られることになっていた。 「でも……」 少尉は姫様部隊にまつわる不文律をおもんばかって顔を伏せる。 自分のミスが、文字通り部隊の命取りになるのだから、それも仕方がなかった。
少尉が辞退しようと口を開き書けた時、副官フォルテシモ少尉を伴ってマリー中佐が演習場に姿を見せた。 2人とも士官制服ではなく、真新しいペイルスーツを着込んでいる。 隊員たちは何事かと訝しがりながらも、中佐の前に正規の序列で横隊整列した。 中隊参謀を兼任するフォルテシモ少尉は中佐の左後方の位置につく。 「敬礼っ」 フォルテシモ少尉の号令で敬礼がかわされる。 隊員たちが大きく動揺し、失笑が漏れかかるのがハッキリと分かった。 マリー中佐は中隊員の顔を見回してから手を下ろす。 隊員たちがそれに倣った。 「新隊長のマリーじゃ。よろしく頼む」 中佐が武張った口調で自己紹介をした。 余りの愛くるしさに、またも失笑が漏れる。 しかし今度は中佐も見逃したりしなかった。 「その方ら、笑ろうておられる立場かぁっ」 その剣幕に隊員たちが黙り込む。 「あの浮遊都市を前にして、笑えるだけの余裕があるのなら何も言わぬ。自信のある者は一歩前へ出よ」 勿論、誰一人として動かない。 「あれだけの化け物じゃ、無論マリーとて怖い。しかし我らがEDFの戦士である限り、あ奴は避けては通れぬ宿敵なのじゃ」 隊員たちは水を打ったように静まりかえった。 「戦うからには敗北は許されぬ。そして勝つためには猛訓練で腕を磨くしかないのじゃ」 マリー中佐は言葉を切るとヘルメットを被った。 全員が生唾を飲んで身を引き締める。 中佐に言われて再認識したのであるが、あの化け物と戦うのは自分たちなのである。 余りにも現実離れしすぎていたため、どこか他人事のように感じていた。 しかも今の自分たちの力では、到底勝利はおぼつかない。 だが、絶対に負けることのできない戦いであり、勝つためには確かに技量を上げるしかないのである。 中佐の命令に反論できる者など誰もいなかった。 「無用の訓辞はこれまでじゃ。第1中隊はこれより1週間、休みなしの強化訓練に入るっ」 マリー中佐は出来るだけ怖い顔を作って威儀を正した。 しかしその姿もやっぱり愛くるしいものであった。 訓練教官に指名された智恵理が前へ出る。 「訓練隊形っ、作れぇーっ」 さっそく火の出るような猛訓練が開始された。
《西暦2019年11月29日 リージェンツ・パーク ペガサス部隊本部》 浮遊都市接近の報入る。 倫敦の各地に設置されたセンサーが激しく反応し、地磁気の大きな乱れが観測された。 これは敵の浮遊都市が実体化する時の予兆である。 計算の結果、敵の予想出現地点はウィンザー近辺と判断された。 図演室にペガサス隊の全隊員が集まっていた。 みんな青ざめた顔を見合わせ、緊張感に押し潰されそうになっていた。 それは歴戦の猛者が揃う第2中隊、ラ・シレーヌの面々も同じであった。 現行の戦力で浮遊都市と戦うことに、不安がないと言えば嘘になる。 訓練もまだ完全ではない。 しかし、敵はいずれは戦わねばならぬ相手なのだ。 智恵理はチラリとマリー中佐の顔を見た。 2人の視線が空中で絡み合う。 「行くぞ。我らがやらんで誰がやる。あ奴は逃げることの許されぬ仇敵なのじゃ」 智恵理が小さく頷く。 「出撃の準備じゃ」 全隊員が一斉に起立した。 ※ 廃墟と化したウィンザーに夕闇が迫りつつあった。 瓦礫の間に展開した智恵理たちは、空を睨んでじっと待っていた。 智恵理はフゥと短く息を吐く。 おかしなことに敵愾心は湧いてこなかった。 智恵理の頭にあるのは、何が何でも浮遊都市を墜とさねばという使命感だけであった。 「地磁気に大きな乱れっ。浮遊都市、来ます!」 フォルテシモ少尉が短く、鋭く叫ぶ。 夕焼け空に黒い稲妻が走り、空間が大きく歪む。 一瞬、隊員たちを激しい失調感が襲う。 それと同時に、空飛ぶ都市が出現していた。
音声を伴わない悲鳴があちこちに上がる。 空一面が、巨大な空中都市に埋め尽くされていた。 それは、圧倒的なまでの威圧感を伴っていた。 「勝てるのかよ……」 エンジェルの漏らした弱音が掠れ声になっていた。 ふと視線をずらせた智恵理の脳裏に哄笑が流れ込んでくる。 『来たよ、皇帝が来たよ! 星々を統べるお方が来たよ! もう終わりだよ、全ての終わりが来たんだよ〜』 それはアスラの発した思念波であった。 「あの人、元気になったんだ……」 以前、智恵理のミラージュガンに敗れ去ったアスラであったが、ようやく傷も癒えたのであろうか。 智恵理は思念波の流れを辿って、南の廃墟群に目を向ける。 「いた」 半ば崩れ落ちたビルの頂に、鳥のようなシルエットが確認できた。 向こうでも智恵理に気付いたのか、ゆっくりと正面に向き直るのが分かった。 影はゆっくりと右手を上げ、夕焼け空に浮かぶ浮遊都市を指差した。 『見よ空を。近衛兵だよ。皇帝を守る近衛兵団だよ! 勝ち目はないよ〜、今度こそ勝ち目はないんだよ〜』 気の狂ったような哄笑が、智恵理の脳内に響き渡る。 アスラはアイスバーン少佐の仇であるエイリアン・ウォーシッパーの一味である。 それなのに不思議と憎悪の念は湧いてこず、何か懐かしいような気すらした。 彼女の妹に当たるマーヤ中尉も、何処かで今の思念を受け取ったことであろう。 「ところで近衛って何だろう?」 智恵理は気持ちを戦いに専念させ、周囲を隈無く見張る。 回答は直ぐに出た。 浮遊都市の下面に設置された発進口が、空戦艇を吐き出し始めたのである。 発進口から垂直に落下した空戦艇は、途中で折りたたみ翼を展開して宙に滞空する。 見たこともないタイプの新型UFOであった。 東京連隊を壊滅に追い込んだという空戦艇に違いない。 「あいつらが皇帝を守る近衛兵団だというの」 8個ある発進口から次々と近衛UFOが降下してくる。 夕焼け空が見る見るうちに埋め尽くされていった。 その数、総勢約50。 「皇帝陛下のお守りは、質より量って訳?」 智恵理は思わず悪態をついていた。 新型UFOは十数機ずつの梯団を組むと、智恵理たちのいる方へと殺到してきた。
マリーたまがんばれ!
マリーが凄い切れ者なんじゃないかと思ってきた
「エリート(または皇室関係者)が侮られてるけど、実は非常に有能」ってのは王道パターンの一つだからな。 けど、「皇室関係者の中でも厄介者扱い」とかだったら燃え上がる。新宿鮫みたいだけど。 マリーが兵士として有能なのか、指揮官として有能なのか、今後に期待。
後半に入っていきなり強敵インペリアルガードが相手か。 同時に主人公自身もまた不本意ながら、 近衛兵になっているところが対になっていて興味深い。 強烈な近衛兵団、しかも3波もの攻撃をどう凌ぎきるか。
作者さん待ってました!! 作戦がいきなり潜ビルだったら笑うw
いや ここはやっぱり潜ビルでしょう 事実潜ビルでしかinf近衛兵団には勝てないっしょw ゴリアス99とかあれば別だけど
残念ながら戦場をベブンズゲートが飛び交います
ゲームと違って1人で戦うわけじゃないから、 潜ビルも要らないし玄関・瓦礫にこもる必要もない バックマスレイで十分です ただヘブンズゲートは見てみたいw でも謎だらけの兵器だからそれなりに伏線とか要るんだろうなぁ
この時点でマスレイはまだ無いだろw 天国門はともかくパンドラは初期の段階で出ていたような
ヘブンズゲートは見てみたいなw infやimpで近衛相手に大活躍。とても世話になった思いいれのある兵器だ
EDF! EDF!
EDF!EDF!
「それじゃ、まずは小手調べ」 智恵理はサンダーボゥ20に身を任せ、前方へと突出した。 置き去りにされた仲間たちが狼狽えるのを尻目に、智恵理はぐんぐん加速する。 ウィングが駆けつける前に、一人で半分は喰ってしまう自信はあった。 対する敵の新型機は何の躊躇も見せずに智恵理に向かってくる。 「ファイアッ」 智恵理はサンダーボゥ20の射程ギリギリから射撃を開始する。 青白い稲妻が束になって宙を裂く。 フルチャージで連射するが、つい先日まで新型20Rを使っていた智恵理には何ともまどろっこしく感じる。 それでも正確な射撃が敵の前衛を捉えた。 科学の稲妻が20本束になり、先頭にいた敵機に命中する。 ところが、驚いたことに敵は衝撃で機体をクルリと回転させただけで、さしたる被害を受けた様子もない。 高速で離脱していく機体は薄煙すら吐いていなかった。 「近衛とか言ったっけ……何て頑丈な奴なの」 智恵理は目を丸くして驚いた。 これがファイターUFOなら、たとえ墜落しなくても致命的な損傷を受けているはずである。 智恵理は身を翻すと、後方へ去っていく近衛UFOを追った。 それに気付いた敵が旋回をうち、激しいドッグファイトに突入する。 幸い運動性能はそれほどでもないらしく、智恵理は易々と内懐に飛び込むことに成功する。 「今度こそ……」 眼前1メートルに展開したバーチャルスクリーンに、銃口と連動したターゲットスコープが浮かび上がる。 智恵理は慎重に銃口を動かし、ダットポイントが近衛と交わるようにもっていく。 光の十字と敵影が重なった瞬間、トリガーに掛かった人差し指が素早く屈伸した。 轟音と共に飛び出した稲妻が、敵機のど真ん中に突き刺さる。 衝撃で機体が大きく揺さぶられる。 しかしそれだけであった。 不死身のごとき新型機はすぐに体勢を立て直し、鮮やかな反転を見せて離脱していく。 「うそぉ……」 智恵理があんぐりと口を開いてそれを見送る。 その隙を突くかのように、智恵理の背後に迫った数機が光弾を速射した。 赤紫色をした光の礫が、狙い違わず智恵理の背中を捉える。
「ギャッ」 今まで喰らったこともない、もの凄い衝撃が智恵理の全身を突き抜けた。 運動神経が麻痺し、体中の随意筋が硬直する。 ボディアーマーに貼り付けているフィルム状の防弾パッドが砕け散る。 瞬間的に失神した智恵理は危うく墜落しかけ、取り落としそうになったサンダーボゥ20を本能的に抱きしめる。 「くっ……くぅぅっ……」 智恵理はほとんど無意識のまま、左上昇旋回で危機を脱する。 急激な機動に追従できなかった近衛の編隊が、独特の飛行音を上げて眼下を通り過ぎていった。 だが、智恵理はまだ全身が痺れ上がっており、直ぐさま反撃することは叶わない。 たったの一撃で、背中側の防弾パッドがほとんど捲れ上がっていた。 同じ箇所にこれ以上攻撃を受けることはできない。 「くっ……ちょっとチビッた。もの凄い威力……侮れない……」 智恵理は今更ながらに新型UFOの性能の高さを思い知らされた。 速度と火力はペイルウイングを遙かに凌ぎ、機動力もなかなか良好のようである。 「その上、奴らはタフだわ」 智恵理がたったの一撃で失禁するほどのダメージを負わされたのに対し、敵は2回も直撃を受けてシレッとしている。 そして何よりも恐ろしいのは彼らの物量であった。 敵は数機が一隊となって、次から次に波状攻撃を仕掛けてくる。 遅まきながら味方と連携を図ろうと振り返った智恵理は、僚員たちが近衛の群に追い回されているのを遠目に認めた。 仲間たちは互いをカバーしながら、敵の攻撃を必死でしのいでいる。 この1週間、みっちりと積んだ猛訓練は無駄にならなかったようである。 皆、訓練以上の動きを見せ、どうにか隊形を維持している。 しかしとてもではないが、こちらにカットインしてくる余裕はなさそうであった。 「まずい……」 智恵理は、突出した自分が敵中に孤立していることを悟った。 ラヴィアンローズ少佐に言わせれば、それ見たことかというところであろうか。 たった数週間実戦から離れていただけなのに、戦いの勘は綺麗に失われていた。 「こんなことになるんだったら……」 後悔する余裕もなく頭上から2機、背後から3機の近衛UFOが襲いかかってくる。 智恵理はブーストを目一杯掛けて左斜め前方にダッシュする。 今まで立っていた場所に紫色の光弾が降り注いだ。 智恵理は爪先が地面に着く刹那、軽やかに身を翻してピボットターンを見せる。
生死に直結した緊張感が脳下垂体に働きかけ、徐々にだが智恵理に実戦の呼吸を取り戻させていた。 右脳の活動が活発になり、左脳のそれを大きく上回る。 一瞬、5機の近衛が空中で停止したように思えた。 「今ぁっ」 極限まで高められた空間認識力が、同時に5つの対象に対する照準を可能ならしめる。 細くしなやかな指がトリガーに掛かり、目にも止まらない早さで5度屈伸した。 トリガーが往復する度、銃口の角度が目まぐるしく変わる。 全機撃墜できる完璧なスピードとタイミングであった。 ところが、5回宙を裂くはずだった稲妻は、たったの2発発射されただけであった。 「………?」 智恵理の反応速度に、サンダーボゥ20の連射性能がついてこれなかったのである。 「しまった。これニーマルだった……つい、タイプRの感覚で……」 かつての愛銃、サンダーボゥ20Rの実用発射速度は毎秒2発。 これは今使っているサンダーボゥ20の実に2倍に相当する。 その感覚で射撃したのであるから、ミス・ファイアが生じたのも無理はなかった。 狼狽えた智恵理の前に近衛が砲列を作り上げる。 「やばっ」 逃げようとした智恵理だったが、一瞬の躊躇が命取りになった。 まともにパルスビームを喰らった智恵理は、その衝撃に意識を失いながら大きく吹き飛ばされた。 何処かで爆発音が虚ろに響いていた。 「………?」 意識を取り戻した智恵理は、暗い天井をボンヤリ見ていた。 遠くで爆発音が上がり、衝撃波が焦げ臭い空気を運んでくる。 嗅ぎ慣れた臭いが、智恵理にここが戦場であることを思い出させた。 反射的に身を起こした智恵理が顔をしかめる。 「つぅっ……」 外傷は無いようだったが、腹直筋が激しく痛んだ。 呼吸するのも苦しい。 ぼろ雑巾の様になったペイルスーツの下に、黒いボディアーマーが見えていた。 表面に貼り付けていたフィルム状のパッドがささくれ立っている。 これまで苦労して稼いできた防弾パッドが、智恵理の命を危ういところで救ってくれたのである。 智恵理はズタズタになったボディアーマーを慈しむようにさすった。
「危ないところじゃったのぅ」 いきなり背後から話し掛けられ、智恵理は反射的にサンダーボゥを構えて振り返る。 しかしそこに立っていたのがマリー中佐であることに気付き、慌てて銃口を下げた。 「失礼いたしました」 ついでに頭も下げ、恐縮して非礼を詫びる。 「よい、捨て置け。しかしその方は重いのぅ。ここまで引きずってくるのに難儀したわ」 マリー中佐は背中を丸めて腰をトントンと叩く。 「あたし……確か平地で近衛にやられたんだよね……」 智恵理はようやくこの時になって、自分が物陰にいる不自然さに気付いた。 辺りを見回すと背後に豪奢な玄関ドアがあり、ここがビルのエントランス前だと分かった。 玄関が奥まった造りになっているため、2階より上の部分がひさしになっている。 左右を確認すると、分厚い壁に囲われていた。 そのため敵は正面一方向からの攻撃しかできず、それも滑空しながらの射撃なので、なかなか有効打を放てないでいる。 いわば、そこは一種の安全地帯となっていた。 「流石は先日の大空襲を凌いだだけのことはある。なかなか頑丈な鉄筋コンクリートよのぅ」 マリー中佐が得意気に顔をほころばせた。 中佐が智恵理をここまで移動させたのは明らかであった。 「隊長がお一人で?」 智恵理は信じられないといった顔でまじまじと中佐の童顔を見た。 外を見ると、まだ数十機の近衛が遊弋しており、味方を追いかけ回しては盛んに攻撃を掛けている。 こんな中、よくも一人で自分をここまで運べたものだと感心した。 「その方が撃たれた瞬間、知らぬうちに飛び出しておった。アラベスクには済まぬことをした」 若い隊長は、自分を護るべきセカンドを置き去りにして、智恵理の救助に向かったと語った。 匹夫の勇を恥じているのか、中佐の頬はバラ色に染まっていた。 それが事実なら、中佐は5機の近衛を一人で追い払い、智恵理を救出したことになる。 今日初めて実戦に参加した少女がである。 直ぐには信じられない出来事であった。
「なに、マリーにとってその方らは家族も同然じゃからの。当たり前のことをしたまでじゃ」 あっけらかんとした中佐の顔は智恵理と対照的であった。 「ありがとうございました」 智恵理は改めて指揮官に頭を下げた。 しかし、顔を上げた時、智恵理は憤怒の形相になっていた。 「けど、ご自分にもしものことがあったらどうするんですか。考えなしに行動するのは今後一切止めてください」 怒りに燃えた智恵理は、一気にまくし立てた。 なじられたマリー中佐が眉を吊り上げる。 智恵理は一瞬「やっちゃった」と思ったが、激憤の前には上官も王族も関係なかった。 「指揮官を失った部隊など烏合の衆も同然です。それに中佐に何かあったら、参謀総長にどうお詫びすればいいんです」 若い指揮官の見せた独り善がりの正義感など、智恵理には認めることができない。 上官侮辱に問われることになっても、戦術の理だけはハッキリさせておきたかった。 ところが、マリー中佐の見せた反応は予想だにしないものであった。 参謀総長の名が出た途端、中佐の表情が俄に曇ったのだ。 中佐は泣きそうになった顔を俯いて隠す。 「マリーはな……どうせ要らぬ子なのじゃ……」 思いもよらなかった展開に、智恵理が大きくたじろぐ。 「マリーは母親に捨てられた要らぬ子じゃから……例え死んでも悲しむ者などおらぬのじゃ」 タイル張りの床に大粒の涙が落ちて染みを作った。 「マリーは無用の子として生まれ、直ぐに親類の家に貰われていった身。これまで本当の家族などおらなんだ」 中佐の肩が大きく上下し、しばらく嗚咽が続く。 「その方らはマリーが初めて得た身内、本当の家族同然に思うておる。その家族の窮地を何故に救うてはならぬのじゃ」 中佐は顔を上げると、キッと智恵理を睨み付けてきた。 只ならぬ剣幕を前に、智恵理は驚くべき事実に思い当たった。 「隊長……あなたのお母さまとおっしゃるのは……まさか……」 台詞の語尾がかすれてしまう。 「マリーはな、参謀総長閣下が19の時に生んだ無用の子なのじゃ」 涙をたたえた目が、真っ直ぐに智恵理を見詰めていた。 中佐の感情が爆発した瞬間、智恵理の頭に彼女の思念が一気に流入してきた。 それで全てが理解できた。
アン王女が留学先で異国の男性と燃えるような恋に落ちたこと。 マリー中佐がその結果身籠もった、2人の愛の結晶であるということ。 王女が自分の立場ゆえに、やむなく嬰児を手放さざるを得なかったこと。 そして16歳になったマリー中佐の元に参謀総長の使者が訪れ、拉致同然にEDFに入隊させたこと……。 「総長閣下は、マリーなど死んでも構わぬのじゃ……否、むしろ……」 再び視線を落とした中佐が嗚咽を続ける。 思いもしなかった驚愕の事実に、智恵理はしばらく口もきけないでいた。 しかし、このまま指揮官に落ち込んでもらっている訳にはいかない。 「あのう……隊長。参謀総長は公正明大な方と聞いています」 智恵理は中佐の嗚咽が一段落するのを待って、優しく話し掛けた。 「きっと、全世界が危機に陥っている時に、ご自分の愛娘だけを安全な場所に置いておくことが許せなかったのですよ」 咄嗟の思いつきが智恵理の口から飛び出した。 中佐の肩の震えがピタリと収まる。 「だからこそ、隊長をご自分の代理として一番危険なペガサス隊に入隊させ、人類を救う戦いの先頭に立って貰いたかったんです」 智恵理を仰ぎ見る中佐の頬が上気していた。 「そ、そのようなものかのぅ……」 中佐がパチパチと瞬きを繰り返す。 「当たり前です。自分の娘を死なせて平気な母親が、どこの世界にいるというのです」 智恵理は妹を叱るような厳しい口調で念を押した。 「それと、隊長にとって部下が戦死することがお辛いのは分かります……」 智恵理の目が憂いを帯びたものになる。 「ですけど、それと同様に隊長にもしものことがあれば、我々だって悲しい思いをするってことを忘れないで下さい」 マリー中佐は、涙を拭って大きく頷いた。 「うむ、済まなんだ。以後は軽挙妄動を慎もうぞ」 素直なのか、それとも単純なだけのか、中佐の機嫌はすぐに直った。 こうなれば、後は如何にしてこの窮地を脱するかである。 「して、招かれざる客人どもじゃが……如何もてなしてやろうかのぅ」 マリー中佐はすっかり落ち着きを取り戻し、不敵な笑みさえ浮かべていた。 「不躾な奴らじゃが、マリーらがこの場におる限り、正面からお行儀よく向かってくるしかあるまい」 中佐は左右と背面、それに上部を覆った分厚いコンクリート壁を見回した。 余程頑丈な造りなのか、先程から何度となく攻撃を受けているにも関わらず、壁はビクともしていない。 折角手に入れたベストポジションを、自ら放棄する必要などどこにもなかった。 「この際ですから、タップリと躾てあげましょう。サーカス団が欲しがるくらいに」 智恵理はサンダーボゥ20を叩いて首肯した。
言っているそばから1機の近衛が目の前を通過する。 2人は同時に同じ目標に向けてサンダーボゥ20をぶっ放した。 さしもの近衛も、至近距離から40本もの稲妻を受けては只では済まない。 大きく火花を噴き上げたと思うと、体勢を崩して地面に落下した。 スクラップと化した近衛が、地響きを立ててアスファルトに転がる。 「1機撃墜じゃ」 マリー中佐が歓声を上げた。 それでもまだ20機以上の近衛が空を埋め尽くしている。 彼らは獲物を追い詰めたと認識して、2人の籠もるビルに殺到してきた。 たった2人の反撃が始まった。 ※ それから約1時間、悪夢のような攻防戦が繰り広げられた。 浮遊都市は50機ほどいた最初の近衛兵団を失うと、直ぐに新手を送り出してきた。 如何に安全地帯にいるとはいえ、智恵理たちも全くの無傷というわけにはいかない。 第2陣を壊滅させた時には、それぞれ数発ずつの被弾を浴びていた。 それでも続く第3陣を追い払った時、智恵理の頭を押さえ込んでいた圧迫感が嘘のように消え去った。 浮遊都市が戦場から離脱していったのである。 ウィンザーに平和な夕焼け空が戻ってきた。 気がつけばアスラの思念波もいつの間にか消えていた。 「見逃してくれた……の?」 そう思うより他なかった。 敵が後もう一陣の近衛兵団を投入していたら、2人は無事では済まなかったであろう。 ボロボロになった2人のボディアーマーが、激戦のもの凄さを物語っていた。 「まずは名刺代わりの挨拶というところかのぅ」 強がりを言うマリー中佐も荒い息をしている。 歴戦の智恵理が疲れるくらいなのだから、中佐の消耗は相当なものであったろう。 それでも弱音を吐かない中佐に智恵理は感心した。 「案外、隊長の頑張りに恐れをなしたのかも知れませんよ」 智恵理のリップサービスに対し、中佐は満面の笑みで答えた。 「なら、そういうことにしておくかのぅ」 そこに第1中隊の面々が駆けつけてくる。 彼女らも今までどこかのビルに潜り、必死の応戦を続けていたのだ。 真っ先にエントランスに駆け込んできたアラベスクが中佐の前に跪く。 「申し訳ありませんでしたっ」 少尉はマリー中佐の無事を確認すると、目に涙を浮かべて許しを乞うた。 隊長の直掩を果たせなかったことを詫びているのである。 「よい、マリーこそ勝手をして済まなんだ。セカンドを泣かせるとは、悪い隊長よのぅ」 マリー中佐の笑い声を聞いて、シャイなバレリーナはようやく顔を上げた。
「ところで大尉……」 中佐が智恵理を振り返り、何か言いだそうとして口をつぐんだ。 智恵理は微笑を投げ掛け、中佐に先を促す。 「そのぅ……マリーもコールサインとやらが欲しいのじゃが……」 中佐は顔を赤らめて遠慮がちに呟いた。 コールサインは敵に個人名を特定させないために使われる、無線の呼出符号である。 通常、直属上司や仲のいい戦友が贈ることになっていた。 智恵理のコールサイン『チェリーブロッサム』は、ペ科練の教官だったお局様に付けてもらったものである。 桜は日本を代表する花であり、その可憐さや潔さは智恵理の好むところであった。 智恵理は小首を傾げ、少し考えた上で口を開く。 「それじゃ『ヒナ』……で如何でしょうか?」 マリー中佐は意味が分からず、智恵理に説明を求める。 「あたしの国の言葉でリトル・プリンセスの意味です……それと……」 智恵理が躊躇したように言い淀み、やがて思い切ったように口を開いた。 「……実はヒヨコって意味もあります。申し訳ありません」 智恵理は無礼なことを言ったと頭を下げて詫びた。 「いや待て、そうでもなかろう。ヒナか……今のマリーにピッタリじゃ」 中佐は頬を染めて照れ臭がった。 「うむ、気に入った。ただしヒナはヒナでも、マリーは荒鷲のヒナじゃ。いずれ大きく羽ばたくことを約束するぞ」 中佐が満足そうに頷くと、隊員たちから拍手が上がった。 拍手に被さるように、何処からともなく輸送ヘリのローター音が聞こえ始める。 「さて、我が家に帰るとするか。今宵はヒナの奢りで祝勝会じゃ」 黄昏時のウィンザーに黄色い歓声が上がった。 着陸したヘリに向かいながら、智恵理はマリー中佐の背中を見詰める。 思えば中佐の見せた行動は、ペイルウイング・スピリットのお手本であった。 中佐がいなかったら、智恵理は確実に戦死していたであろう。 それに無我夢中だったとはいえ、5機の近衛を蹴散らした腕前はただ者ではない。 「ひょっとして、あたし……とんでもない天才の誕生に立ち会ったのかも?」 智恵理は振り返り、今しも地平線に沈もうとしてる夕日に目をやった。 夕日は沈むが、明日になれば朝日となって新たな恵みを人類にもたらしてくれる。 有史以来続いてきたその営みを、智恵理たちの時代で断ち切ることは出来ない。 明日も明後日もその先もずっと、こんな綺麗な夕日が見たいと智恵理は思った。 本日ペガサス隊26名が上げた総スコアは、撃墜38機、撃破54機。 この数字が、近衛兵団が一戦あたりに被った損害として、半世紀ぶりに更新したワースト記録に該当することなど智恵理たちが知る由もなかった。
snsk しかし本当に潜ビルとはww
GJ!! やっぱり玄関潜りに限るよな 潜ビルってのは、バイク潰したり屋上のドアをすりぬけたりして、 文字通りビルの内部に潜るバグのことだと思ってたんだけど…
相変わらず面白い。GJ!
潜ビルは
>>54 の言うとおりバグ技で、すりぬけて完全にビルの中に入って戦う戦法のことだね
ただ単に地形?を利用する玄関潜りとは別もの
56 :
名無しさん@ピンキー :2007/07/12(木) 20:06:24 ID:xcsyDIjK
話とまったく関係ないが 近衛兵団が半世紀前にどこの星でそんな被害を被ったのか気になる俺が居る
自動迎撃装置ヘヴンズゲートが配置してある星
>>56 きっと「伝説の男」級の戦士がいたけど敗北した星だ。適当だが。
ウルトラの星滅亡したのかよw
敵の半数以上は撃破されて戦闘不能になった時点で撤退したのか? 無駄に玉砕せずに再戦を期す冷静さがいかにもエリート部隊っぽくてリアル
マスレイの前にプラズマ・ウィップとか出るのかな
友人二人がハデスト〜INFにかけて挫折しかけてたんだが、やってるの見てて面白そうだったから俺も参加させてもらったんだ… …それが俺のEDFデビュー。だから、 ハード辺りで使う武器があんまり分からないorz この小説に出てきてる武器のほとんどは使ったことないし、この先どんな武器が出るのか予想のしようもないんだ… レイピアなんてそれこそマスレイとTしか知らないし(ウィップはネタで使ったことあるけど) イージー〜ハードを懐かしみながら読んでる人が羨ましいよ グロームはこの小説読んで使った 銃口から出てるように見えなかった
ゲームの武器は系列ごとに一つのグラフィックしか使ってないからな サンダーボウとグロームが全く同じ形なんてのは味気ないよな
しかもペリと陸の武器も同じグラフィックだったりするし。
>>65 それはない
と思うんだけど…何が一緒なの?
レイピアとバウンドガン。 対戦などで確認汁
>>67 俺には違うようにしか見えないのだが・・・
あ…ペリ子の狙撃兵器とバウンドガンが一緒だな
中距離武器(雷撃とレーザー両方)とバウンドガンが一緒だったのは確認した
キャラのグラフィック(ペリ子のブーツに入ったEDF紋章、陸男の腕章・あ ご紐など)にはものすごくこだわって作ってあるのにな
PS2の2作については予算少ないんだから無茶言ってやるなw
武器は大抵キャラで隠れて見えないしな
武器なんて見てる暇があったら引金を引けって事だな
いつも黒煙で何も見えないんですが
黒煙で何も見えないだと…? ボルケ6Wのことか…ボルケ6Wのことかー! ところでみんな武器はどれぐらい集めた? 俺は協力プレイでIMP絶対包囲を残すのみなんだが、未だに礼賛乙とSG100とハーキュリーを持ってない 戦車の耐久力が跳ね上がってるから礼賛Fでもキツいよ…
>>76 すまん、最後の1文が理解できない
ちなみに俺は神武器だとハーキュリーしか持っていない(陸ミッション達成率
72.4%)
>>77 ダロガとかディロイの事だろうな。
3から入隊して3はコンプ。
2だとまだハデスト途中でシクレ0だぜ。
てか、タイヤもないのに戦車っていうのがおかしい気がするんだが。
歩く物を戦車と考えるのはおかしい、と考えるか 強力な陸戦機動兵器を戦車、とするか 個人の主観の違いだろ、 強襲でゆっくり考えてる暇はなかったんだろうけど
思考戦車ってあるじゃんアニメで、ああいう考え方
Wikipediaによれば、 >車両(しゃりょう、元の用字は車輛 英:vehicle) >汽車や列車、電車などの車体(鉄道車両)。 >戦車や装甲車、自走砲などの軍用車両。 >日本の道路交通法上の車。同法においては、「自動車、原動機付自転車、軽車両及びトロリーバスをいう。」(第2条第1項第3号)とされている。なお、同法における「車両等」とは、上記の車両の他に、路面電車を含む。 >建設機械のうち自走するもの(建設車両) >農業機械のうち自走するもの(農業車両) >産業機械のうち自走するもの(産業車両) だそうだ。 ちなみにパトレイバーでは、人型二足歩行するレイバーを「車両」として扱っていた。
運用の仕方によるんじゃね? 例えば「どう見ても飛行機でも、道路を走って客を乗せてればバスだ!」 これは強引過ぎか。
76だけど皆ずいぶん真面目に論議してるな 何気なく言っただけなのにw 俺も普段はダロガ、ディロイって呼んでるけど、 両方まとめて言うならやっぱり戦車になる まあ、普段はまとめて言う機会も無いわけだか そもそも戦車っていう呼び方の由来は何からなんだ?ゲーム内の通信か?
そもそもゲームの中で誰かダロガとかディロイとか言ってたっけ?
ダロガはオペがはっきり言っていたな ディロイは攻略本だったっけか?
ダロガは多脚歩行戦車だっけ? で、それの改良型がディロイと
姿も性能もまったく違うが・・・
たしかに 誰も明確に改良型とは言ってなかったか…
戦車 敵主力戦車と積極的に戦闘、撃破できるだけの火力と装甲を有する戦闘車輌 自衛隊ではこうだったはず
定義が敵依存なのか。ちょっとおもろいね その気になれば何でもアリじゃない?
武装によっちゃバイクでも戦車になり得るわけかい
>>94 映画版スポーンでバイクをマントで覆うシーンがあったが、あの状態で攻撃できたら戦車扱いだったのか。
敵主力戦車とは、敵の保有する1番強い戦車の事 これに対して積極的に戦闘撃破できるだけの火力と装甲、とは、正面から撃ち合って(当然敵からの被弾も想定)勝てるという事 戦車=敵の1番強い戦車を正攻法で倒す事を想定した戦闘車輌 だから当然、技術が進んで相手にする戦車が強くなれば、より強い戦車を開発する事になる 究極の対戦車兵器という事かな バイクにミサイル積んで戦車撃破する事は可能かもしれないが、それは戦車ではなく即席の「対戦車車輌」 ダロガやディロイは、EDFの主力戦車を相手にできるから戦車で良いと思うよ
EDFの主力戦車=陸戦兵
なにがなんだかw
敵主力戦車に正攻法で勝てる〜という定義だと、 逆にギガンテスを戦車って呼べないな ガラスの装甲だし、主砲を10発以上当てないとダロガもディロイも倒せないし… 戦闘能力が生身の女性以下だ その生身の女性は数秒間密着するだけで山みたいに大きい怪獣も葬るけど ってか、大砲よりスナイパーライフルの方が威力高いっておかしくね?
>>99 対戦車ウルトラマジカル爆裂ファンタスティックコスモ徹甲ヴォルカニック焼夷ドラゴニック滅龍榴弾とか、そういうワケのわからないなんか凄そうな弾丸だと思おうぜ。
現実の世界の話だ 敵を規準にするといっても、あくまで想定 今現在どこの国探してもバイクを戦車代わりにする敵はいないから、極端に弱い戦車はいないし、無意味に超強力な戦車を作る必要もない ギカンテスのスペックが防衛軍の世界勧における最適な戦車ってだけじゃね? 二度目の侵略を想定してなくて新型車は開発しなかったと
あの戦車は空挺戦車と考える。ミッション19盾でシールドベアラー相手に全滅したのが本当の主力戦車であって、 陸戦兵が乗り捨てたりするような戦車は空中投下などで歩兵を支援する目的なのではないかと。ギガンテスは言わば歩兵支援戦車とでも言うべき存在じゃないか? 実際は羽蟻用の対空戦車とかMLRSみたいな車両があの世界にあってもよさそうなんだけど
対空ならヴィルヴェルヴィントだな。 古過ぎだけどさ。
万能工作機械ktkr
さっき不可解な現象が起きた 神武器コンプをめざすべく、いつものように神獣を討伐に行っているときのこと。 ペリ子を待機位置に移動させるべく飛ばした際、ついでにチビをちょこっとマスレイで 炙って瀕死にしておいた。 それから左手でペリ子を飛ばしつつ、右手で陸男を動かし前方のチビにV2を一発。爆風が おさまったとき、それは起きた。 前方のマスレイで炙ったチビが陸男に向かって1歩歩くたびに悲鳴を上げ、3歩歩いたところでひときわ 高い悲鳴を上げてどうと地面に倒れ伏したのだ! V2を1発かました意外、陸男は何もしていない。ペリ子はビルの上で待機している。 マスレイは七町念仏だったのか? 他にもこんな現象を見た人はいないか?
処理落ちか何かでV2の爆風の当たり判定がおかしくなったとか…? でもとりあえず神武器集めは灼熱でやれと言っておく 神獣稼ぎなんて気休めの暇潰しにしかならんから、ホントに
まあ運しだいだしな 神獣であっさりと礼賛乙げtした俺みたいなのもいるわけだし
ヘボな俺にとって烈火は墓場 あそこを漁場に出来るお前さん方すげぇ
烈火…前作か? 灼熱稼ぎは簡単なことは簡単なんだよ 開幕のUFO撃破なんて失敗してもすぐやり直せるし、コツを掴めば残り1機とかにも出来るし、 後は自爆囮するだけだからな ただ、二つの画面を見つつコントローラーを入れ替えながら操作するのが精神的にしんどいんだよ… 特に精鋭・鏡面を全滅させてから稼ぎの体制に入るまでが一番疲れる 陸戦に蟻が寄らないようにしつつ、どんどん沸いてくる蟻をマスレイだけで倒しながらキャリアー下に移動しないといけない 一番楽なのはジェノ砲取ってからの神獣稼ぎだな
器用な真似する人もいるもんだな
灼熱は陸戦兵の武器がほしいときにはお勧めできない
陸戦兵だけでできるところが望ましいな
ま、そうなると
>>109 の
>ジェノ砲取ってからの神獣稼ぎ
になるんだが
SGかAS二丁持ちが出来れば陸戦で灼熱稼ぎできそうなんだがなぁ… 2Pプレイ・ダブル陸戦にして、片方は馬糞V2でUFOを蹴散らしつつスティック前倒しっぱ もう片方がまとわりついたUFO倒しつつ戦車で逃走 突っ込んだ方が死にかけた所でジェノ足元に撃って自爆 その間にもう片方はバイクをかっさらう 後はSGかASで手動で倒しながら稼ぎの体制に入る… …とやれば理論上は可能なはずなのだが上手く行かないな 近距離武器ではディロイが倒せないし…あ、AS撃ちっぱなしでなんとかなるかも…? でも面倒極まりないから結局テラソラスにバイクで特効して乗り物ジェノ自爆するんだよな
113 :
名無しさん@ピンキー :2007/08/04(土) 20:35:36 ID:nq2xymwE
落ちてる?
おいおいおいおい! 普通に攻略スレになってるじゃねーか! 一瞬どこに来たのか分からなかったwwwwwwwww
115 :
名無しさん@ピンキー :2007/08/05(日) 19:42:57 ID:MbuJgEXW
ここは敢えてageて書き手を呼び込むっ!!
ここってエロじゃなきゃ駄目?
防衛軍のSSならなんでもいいと個人的には思ってる
同意 個人的にEDF兵って待機中にどう過ごしているのか気になる
正直3しかやってない人間が入り辛い雰囲気は漂ってる
ペリ娘が解ればいいんじゃね?
今からでも1と2を買ってやればいいじゃない。両方新品で買っても四千円だし。 何より今やっても十分面白い。 サブロクに手ぇ出す程ゲーム好きならまさかPS2持ってないって事もないだろうし。
3から入ってEDF2やると重すぎでビビる。 特に最初のステージがやばい
3のC70爆弾とかZERX-GUNとかが2にあれば大分違うだろうなぁ
空爆とか絶対包囲がぬるいステージになるな ディロイも何も出来ずにタコ踊りか C70爆弾はムカデとか蟻塚に対して凄く効果がありそう
まぁ、いずれにせよハデスト以降は熾烈だけどな 処理落ちも熾烈になりそうだが
鏡面「セントリーテラ雑魚スwww弾丸全部跳ね返しますねwww」 鏡面「赤い所はらめえええええええええええええええええええええ」
鏡面涙目w セントリー跳ね返されてもプレイヤーには飛んでこないし、狙い自体は中心に行くからホント意味ないよな セントリーつええ ビル玄関とかアーケードに潜ってセントリー使っても無敵だよな…殲滅力がヘブンズゲートの比じゃない
絶対包囲だったらあるったけ前面に展開でバイクに向かう事になるんだろう
70爆弾設置 → バイクで誘導 → 爆破で
逆にペイルが3にいたら…って想像するのも楽しそうだな プレイヤーがペイルになるのもそうだが、 ぞれ以上にペイルだらけの味方部隊があるってのが色んな意味でオイシイと思うぞ レイピアや雷撃やミラージュや粒子砲や黒がそこら中を飛びかうわけだ プレイヤー含めた味方同士の被弾もかなり多そうだが
とりあえず味方がレイピアやサンダーボウつかってたら近寄るのは不味いような・・・ あ、でも味方の攻撃はダメージ無しか。
吹っ飛ばされるけどな こっちのゴリアスの爆風で「キャッ!?」だの「イヤ〜ン」だの「アーマーがっ!!」とか言って、助けに向かえば「合流しますっ!」とか「助かりました」とか言うんだな
吹っ飛び判定あるのはペイルウイングの場合プラズマ系武器だけだから サンダーボウやサンダースナイパーの面制圧雷撃の雨を潜り抜けて陸戦部隊が突撃したり出来るわけだ
逆にアサルトの壁に保護されつつレイピアでチャージとか
誰かこのスレに残っているものはいるか?
俺は見たぞ…ストーム1だ…ストーム1が保守してる! たったひとりで…!
ペイル+EDF3の話で少しだけネタを思いついたけど、エロは書けない… まず書く暇もないが… 保守のためにいつか書きたいとは思ってるんだ
俺こないだ知った 3にはオペ子以外に女性隊員が存在することを
戦争終盤になるにつれて人が足りなくなったから女性も前線にたつようになったんかな
そう言われてみればそうだ。 星船で通信入るもんな。
暮れなずむウィンザーに現れた浮遊都市は、出現時と同様に忽然と消え去った。 その後、浮遊都市の行方は杳として知れなかったが、決して地球侵略を諦めて立ち去ったのではないことは確かであった。 その証拠として、世界各国の大都市に対し、ファイターUFOによる一斉攻撃が開始されたのである。 攻撃の規模は小さく、被害も微々たるものであったが、非戦闘員である市民の心理に与えた効果は決して小さくなかった。 12月に入ると倫敦に対する空襲は激しさを増し、ペガサス隊も連日のように出撃した。 この頃のファイターはペイルウイングと同等の性能を持つまでに進化しており、開戦当初のような安パイではない。 むしろ、訓練を終えたばかりの新人ペリ子では、パワーを活かした敵の機動力に翻弄され、苦杯を舐めることも度々であった。 これまでの戦いで多くのベテランを喪失したEDFは、兵員の不足を養成学校の卒業繰り上げで対応してきた。 そのツケが回り、平均的な技量の差では敵に大きく水をあけられてしまっている。 開戦時のように一人で多数のUFOを相手にすることなど、限られたエースを除き望むべくもなかった。 それでもペガサス隊は徹底した連携を保ち、連日続く戦闘に何とか勝利を収めていた。 特にラヴィアンローズ少佐率いるラ・シレーヌ中隊は、洗練された戦術と新型エクレールの威力もって多大な戦果を上げ続けた。 他に主力となり得る部隊を持たない倫敦は、彼女たちの決死の奮戦でかろうじて制空権を保っていたのである。 《西暦2019年12月10日 ピカデリーサーカス》 満月の近いある夜のこと、倫敦市街に対し敵の空襲が敢行された。 市街各所に設けられた観測所からの情報は、CIC──中央情報センターに集積され、オペレータにより多角的に分析される。 その結果、敵の目標はピカデリーサーカスと判明した。 直ちにペガサス隊に出動命令が下り、待機中の第1中隊がこれに対処することとなった。 「敵勢力について何か入っておらぬか?」 最近メキメキと実力を伸ばしつつあるマリー中佐が、右後ろに控えた副官に尋ねた。 「偵察情報によると、敵はファイターUFO20機。その他に未確認機種が6機程度……」 こちらは一向に実戦慣れしないフォルテシモ少尉が、戦術ディスプレイを確認してCIC発の最新情報を取得する。 続いて少尉はディスプレイをレーダーに切り替え、付近の状況をリアルタイムで確認した。 副官のレーダーは、PEユニットの大パワーを利用したロングレンジ・レーダーである。 そのため、通常なら2種類持てる武器が、彼女だけは1つに限定されていた。
「……ファイターは3つの梯団に分かれて、それぞれ3方向から市街地に侵入を図るつもりです」 レーダーは東と西、そして南に赤い光点の群を映し出している。 それら全てが中央へと移動しつつあった。 「未確認機種については、今だレーダー圏外にいて捕捉不能です」 与えられた情報を元に、中佐が採るべき作戦を模索する。 「今なら6、7機ずつの編隊に分かれておるのか。合流する前に各個撃破……で、どうじゃ?」 マリー中佐は判断を求めて2小隊長の智恵理を振り返った。 「セオリーどおりですね。同数の敵なら、奇襲を掛ければこちらの損害ゼロで叩けるでしょう」 智恵理は頼もしそうに相づちを打った。 どうやら2人で夜遅くまで開いている戦術勉強会は無駄になっていないようである。 「合流前に叩くのなら、事は拙速を尊ぶ……とは言うものの、その方はまた一人で突っ込む腹かのぅ?」 マリー中佐が心なしか寂しそうな表情になった。 中佐の考えた通り、智恵理は敵編隊の一つに単騎で斬り込むつもりでいた。 自分一人でも7機程度のファイターなら互角以上に戦える。 そうすれば、味方は2個編隊を相手にするだけで済むのだ。 如何に奇襲といえ、3回連続してでは相手に気取られる危険があった。 智恵理としては少々無理をしても、中隊から一人の損害も出したくなかったのである。 「勝手なコトして申し訳ありません。皆がベテランになったら、その時は楽をさせて貰いますから」 とにかく今日生きて帰らないことには明日は来ない。 たとえ今日は新人でも、明日さえ与えてあげれば誰しもエースにのし上がる可能性がある。 智恵理は、それがアイスバーン少佐から引き継いだ、自分のなすべき役割であると認識していた。 「エンジェル、ごめん。後、頼んだよ」 智恵理は2小隊の指揮を2番員のエンジェルに預ける。 「もう慣れっこだよ」 エンジェルは口を尖らせて答える。 「ヒナにはアラベスクがおるゆえ、安心して存分に暴れてくれい」 中佐は自分のセカンドに、右目を使ってウインクしてみせる。 シャイだが素直な性格のセカンドは、前中隊長アイスバーン少佐の薫陶を受けて育ったペガサス隊の生え抜きである。 このところの迎撃戦で自信を付け、中佐の頼もしい用心棒に成長していた。
「それじゃ、あたしは西から侵入する編隊を……隊長たちは東の敵を叩いて下さい」 智恵理が戦闘の段取りを決める。 「うむ。しかる後、合流して南からの敵に備えようぞ」 中佐と智恵理は互いに敬礼をかわして左右に分かれた。 智恵理はユニットを噴かしながら背後を振り返ってみる。 闇に消えていく16本の航跡が目に入った。 「随分と逞しくなられて……」 智恵理は若い指揮官の成長ぶりを思い、我がことのように嬉しく思った。 しばらく断続的にユニットを噴かしていると、智恵理のレーダーに赤い光点が入ってきた。 赤色の光点は、地球外テクノロジーによるマシンが発する電磁波を捉えたもので敵を意味する。 青く光っている点はEDFのパーソナル・ビーコンを捕捉したものであり、勿論のこと味方を示している。 その他の地球生命体、つまり一般市民たちは白い点として識別されていた。 8個の赤い輝点は整然と並んで東進中であり、まだ智恵理の姿を補足していないようである。 智恵理が唇の端を使って不敵に笑う。 気付かれる前に半分は喰う自信はあった。 ところが、8機編隊の背後から、別の赤点が6つ現れたことにより計算が狂ってしまう。 「こいつらが例の未確認機種? よりによって、なんであたしのところに来るのよ」 智恵理の眉毛がつり上がった。 とは言うものの、前後2つの敵編隊が連係プレイを図るには距離が開き過ぎている。 手早く片付ければ、挟撃を受ける危険はない。 この14機は何とか一人で食えるだろうと判断を下した。 一旦敵をやり過ごして背後から奇襲する腹であったが、作戦を時間差強襲に変更する。 「うりゃぁぁぁぁっ」 智恵理は雄叫びを上げ、真っ正面からUFOの編隊に突っ込んでいった。 脳下垂体が煮えたぎり、同時に5機の敵に照準を合わせる。 その中から、数秒後の自分にとって最も危険な位置を占めるであろう3機を選別する。 その間、ほんのコンマ数秒。 次の瞬間、智恵理のサンダーボゥが3度火を噴いた。 シールドを破られた3機が制御不能になって墜落する。 反射した稲妻の余波を喰らい、巻き込まれたUFOも大きく動揺する。 智恵理はその隙に編隊のど真ん中に侵入を果たした。
「アンタたち、こうすれば撃てないでしょ?」 電磁波を掻き乱されて智恵理を見失った敵は、同士討ちを恐れて火器管制システムをシャットダウンさせる。 「こっちは自分以外、全部敵なんだからぁ〜っ」 智恵理は光学照準で狙いを付け、敵を片っ端から薙ぎ払っていく。 全ての敵が地上に墜ちるまで1分を要しなかった。 マザーシップ戦以来、智恵理の思念力はますます冴え渡って来ていた。 今なら強化剤なしでも誘導兵器を使えるのではないかとすら思える。 あの激しかった攻防戦が彼女を成長させ、一つ高いステージに登らせたのは間違いなかった。 「よし、次っ」 一瞬の休息の後、智恵理は後続の未確認編隊に備えて思念波の網を張った。 その時には未確認機種の編隊は大きく散開し、六方から智恵理を包囲する布陣を敷いていた。 包囲攻撃を掛けてくるつもりかと思ったが、それにしては各機ごとの間隔がありすぎる。 これでは有効な連携は取れず、折角の数的優位を生かせない。 「なに、こいつら。ど素人なの?」 敵の意図が不明なまま、智恵理は取り敢えず一番近くにいる敵に接近してみることにした。 レーダーレンジのギリギリで智恵理は停止し、敵の姿を見極めた。 それは見知らぬ形のUFOであり、これまで手合わせした敵にはない奇妙な機影をしていた。 鏡のように磨き上げられたボディに月光が反射して、冷たい輝きを放っている。 中央部には真っ赤なコアがあり、あたかも一つ目のように辺りを睥睨していた。 「シールド・ベアラー?」 智恵理はデータブックで見たことのある敵兵器の名を思い出した。 鏡面円盤シールド・ベアラー、別名『魔鏡』。 一時期アジア戦線を席巻した敵の秘密兵器であり、その特徴はあらゆる攻撃を反射する物理運動反転シールドにある。 実体弾であろうが光学兵器であろうが、鏡面シールドに命中した攻撃は、そのままの威力で射手に跳ね返ってくるのである。 その秘密と攻略法が発見されるまで、EDFの隊員は何処から攻撃されたのかも気付かないまま多大な犠牲を重ねた。 しかし、彼らの弱点が中央部に輝く赤いコアであると判明した後は、安易な射撃訓練の的と成り下がった。 現在では第一線から退いたとも聞く。 何と言っても、自らが攻撃用の火器を持たないことは兵器として致命的であった。 「なんで今更……罠かな」 智恵理は呆れかえったが、伏兵の存在を恐れて念のため周囲をレーダーで探ってみた。
「…………?」 あってはならない場所──戦場の真っ只中に白い光点があった。 白い光点は、EDF隊員以外の地球生命体、つまり彼女が守るべき一般市民を意味する。 それなのに思念波の網は、凄まじい殺気を捉えている。 智恵理はある考えに思い当たって慄然とした。 彼女は人類でありながら、一般市民のカテゴリーに入らない存在に心当たりがあったのである。 「エイリアン・ウォーシッパー?」 周囲に邪気が立ち込め、大気が澱んでいく。 レーダーから光点が、脳裏から殺気が消えていった。 「どこっ? どこなの?」 妨害電波が出ているのか、急にレーダーや無線が使用不能になった。 おまけに濃すぎる邪気のため、敵の発する思念波動も掴めない。 「ダメだ……」 智恵理は舌打ちするとビーコン電波の射出をカットした。 自分が発している電波が敵に捕捉され、闇夜の提灯になることを恐れたのである。 突如として智恵理のビーコンが消えたので、中佐たちは驚いているかも知れない。 しかし無線が使えないので、味方に状況を伝えることもできなかった。 「くそぅ、どこだ……分からない……」 智恵理は焦ったが、敵の術中に嵌るまいと必死で冷静さを保とうとした。 突如として攻撃が来た。 前触れも無しに背後から襲いかかってきたエネルギー波が、智恵理のボディアーマーを吹き飛ばしていた。 「ギャッ」 悲鳴を上げた智恵理がアスファルトを転げ回る。 殺気どころか気配すら全く感じなかった。 「うぅぅ………」 膝をついて身を起こした智恵理が背後を確認する。 そこには青白い月光に輝くシールド・ベアラーがいた。 赤い一つ目が智恵理を嘲弄するように光っている。 「違う……」 シールド・ベアラーに武装はないはずである。 仮に武器があるのなら、もっといい射撃タイミングが幾らでもあった。
「今撃ったの、こいつじゃ……アァーァァッ」 またも背後から攻撃を喰らい、智恵理が前方のアスファルトに叩き付けられた。 勢い余って転がる智恵理の右脇腹を、新たなエネルギー波が殴りつけた。 「ウゲェ〜ッ」 パッドの弱いところを撃たれ、智恵理が嘔吐してのたうち回る。 「ど……どこから……」 周囲を見回してもシールド・ベアラーしか見あたらない。 ガンナーの姿どころか、射撃の際に発する殺気すら感じ取れなかった。 背中と脇腹のパッドが捲れ上がり、局部的な防御力がゼロになっている。 「あと一撃喰らったら危ない……」 智恵理は身をよじってその場を離れようとするが、手足に力が戻ってこない。 「ダ……ダメだ……」 智恵理が意識を失い掛ける。 智恵理最大のピンチを救ったのは、全力で近づいてくる16本の航跡と闇夜を切り裂く稲妻であった。 敵の2個編隊を撃破したマリー中隊が駆けつけてきたのである。 ビーコンを切ったことが、結果として味方に急を知らせることになったのだった。 周囲を押し包んでいた邪気が急速に薄れていく。 敵は形勢不利と見たのか、フィールドから立ち去っていったようであった。 「大丈夫かっ?」 マリー中佐が智恵理を助け起こし、息があるのを確認してホッと溜息をつく。 「すまなんだ。もそっと早う来られれば良かったのじゃが、意外に手こずってのぅ」 中佐は到着が遅くなったことを詫びた。 そんな中佐の姿を見て、智恵理に羞恥心が湧き上がってきた。 「自分の不注意です。おまけにシールド・ベアラー6機は取り逃がしちゃいました」 無様な惨敗を喫した自分に腹が立ったが、言い訳はできなかった。 「……これで2度目ですね。隊長に助けて貰ったのは」 智恵理は素直に頭を下げて感謝の言葉を述べる。 「その方らはヒナの家族と言うたであろうに」 しかめっ面で喋り始めた中佐だったが、余程嬉しかったのであろう。 最後はこらえきれずに満面の笑みを漏らしてしまった。
※ 翌日、智恵理は中隊休暇を利用して、一人ピカデリー・サーカスに出向いた。 第2回戦に備え、昨夜の戦闘を分析するためである。 まず、初弾を浴びた場所に立って、当時の状況を思い出してみる。 「敵の配置は、変則六角形に配されたシールド・ベアラーが6機……」 それぞれの配置箇所を脳裏に描く。 「それと、エイリアン・ウォーシッパーの気配が消えたのがあの辺り」 智恵理は約500メートル離れた南南西の位置に目を凝らす。 そこはクライテリオン・シアターの陰になっており、視認することはできない。 従って、そこから智恵理を直接照準で狙撃することは不可能である。 考えられるのは気配を消した敵がこっそり背後に回り込み、狙撃してきたのではという仮説であった。 しかし、それにしては敵の動きが余りにも素早すぎた。 ユニットを使えば可能かもしれないが、そうであったなら闇夜を引き裂く光の航跡が目に入ったはずである。 「まさか、敵の思念誘導兵器が……」 新たに恐ろしい疑念が湧き上がってきた。 だが、智恵理でさえ思念力を無効化される邪気の中でのことである。 邪気の海の中で思念を自由に操れるとしたら、かなりの能力者ということになる。 それに、もし敵が思念誘導兵器を発射したのならば、爆発的な波動をキャッチしたはずであった。 「分からない……分からないよ」 智恵理は首を頻りに振りながら、手がかりを求めて広場を歩いた。 「姉ちゃん、どっからきたの?」 「俺たちと遊びに行こうよ」 下卑た笑い声が聞こえてきたのは、丁度智恵理が帰隊しようと思い始めたころであった。 顔を上げると如何にもという感じの男たちが、一人の少女を取り囲んでいた。 浮遊都市の来襲このかた、倫敦の治安は乱れ始めていた。 終末思想が街中にはびこり、やけくそになった一部の者は暴徒化していた。 噂によると暴動の陰には、人類は異星人と同化して新たな生命体に進化すべきだと主張する妖しげな宗教が暗躍しているという。 「宇宙教団とか言ったっけ?」 目の前の男たちはそこまでは行かないとしても、騒ぎを利用して美味しい目を見ようという便乗者であるらしい。
対する相手は、ほとんど銀髪に近いプラチナブロンドをショートボブにした細身の少女である。 度胸がいいのか鈍感なのか、自分の置かれた立場にもかかわらず全くの無表情であった。 冬の倫敦に似つかわしくない、ノースリーブの青いワンピースが印象的であった。 「ちょっと、何してるの?」 放ってはおけず、智恵理がカットインした。 「なんだぁ、嬢ちゃん。ヤキモチ焼いてんのかぁ?」 「よく見ると、わりかし可愛いじゃんか」 「何だったら嬢ちゃんも一緒に来るかい?」 男たちは相手をチビの東洋娘と見てせせら笑った。 「アンタたちも英国紳士の端くれでしょ。そんなことやってて恥ずかしくないの?」 智恵理は男たちの目を見据えて一喝する。 その時、男たちの一人が智恵理の正体に気付いた。 「おいっ、こいつ……いや、この人……チェリーブロッサム……」 「えぇ〜っ?」 途端に男たちの顔が青ざめ、あからさまに逃げ腰になった。 数々の攻防戦を制した英雄、そしてあのマザーシップを叩き落とした恩人として、智恵理の名は広く知られていた。 チェリーブロッサム大尉は、当時の倫敦で最も有名な東洋人なのである。 「失礼しましたぁっ」 徴兵による軍役の経験があるのか、男たちは敬礼して智恵理に謝罪した。 「分かればよろしい。それでは解散っ」 智恵理は真面目くさった調子で答礼し、男たちに立ち去るよう命じた。 男たちは脱兎の如く駆けだし、自分達の車に飛び乗った。 そしてタイヤを激しく鳴らして発進する。 「敵の浮遊都市、頼んだぜぇっ」 「またアイツもやっつけてくれよなっ」 男たちは口々に叫びながら広場を後にした。 彼らとて、決して無法者ではないのだ。 ただ行き先の見えぬ閉塞感が、彼らをやけくそにしているだけなのだ。 彼らのためにも、一日も早く浮遊都市を叩かねばならなかった。 「ったく……怪我はない?」 智恵理は振り返って青いワンピースの美少女に問い掛けた。 しかし、やっぱり少し鈍いのか、少女の顔には何の感情も見いだせなかった。 「心配だから、送ってくよ」 智恵理はこんな少女を風紀の乱れた町中に放置しておくことが出来ず、家まで送り届けることにした。 少女の案内で古びたアパートまで来た智恵理は、そこで別れようと軽く手を挙げた。 「……上がっていかない?」 その時になって、少女は初めて口を開いた。
ちょうど1ヶ月か 長いよDION軍
いきなり来ててビックリしたぜ!GJ! 鏡面の謎がどうなるのか楽しみだ
いつのまにか弱点まで分析されてた鏡面(´・ω・) カワイソス
153 :
伝説の蟻 :2007/08/16(木) 15:34:57 ID:zTafHRHL
ただの鏡面じゃない! 古くは反射衛星、今風ならリフレクタービットなんだよ! 鏡面が包囲し敵が鏡面を撃ち、跳弾で攻撃してるんだ。 だから発射点がわからなかったんだ。
新作キテター 久しぶりにまとめサイトから一気読みしたけど、やっぱりおもしれえ 地球防衛軍2への愛を感じるw また2をやりたくなってきた
156 :
名無しさん@ピンキー :2007/08/16(木) 17:10:55 ID:kuU1oTbF
>>155 気持ち悪さのあまり吐いてしまうぐらいにムズムズするのか
ここの中にA.L.S.がわかる人はいるのかな
わがんねぇ と保守
P.W.S.なら分かるが
>>160 やはり酸ダーは服だけ溶かすのか
こんな状態になったペリ子が身を隠そうとしてもEDF4だと配下にした陸戦兵が
いつまでもついてくるんだよねw
数分後、智恵理はアパートの一室でお茶を待っていた。 何か少女に感じるところがあって、そのまま立ち去りかねたのである。 部屋の中を見回すと調度品は質素であり、タンスや粗末なベッドなど最低限の家具しか置いていない。 少女は引っ越してきたばかりか、もしくは長く居住するつもりがないものらしい。 「ひょっとすると旅行者かな? 留学生だったりして」 そういえば、少女の容貌にはエキゾチックなものがあった。 テレビでよく見る体操競技の上位ランカーが纏った雰囲気である。 ブルガリアかその辺りの東欧──少なくとも地元の者ではあるまいと思う。 やがてドアが開く音がして、少女が部屋に入ってきた。 「お待たせ……」 智恵理が顔を上げると、シャワーを浴び、バスタオル一枚になった少女が立っていた。 その表情には相変わらず感情がこもっていなかった。 その後、進退窮まった智恵理は、なし崩しにベッドインしていた。 「なんで……こんなことに……」 少女の上になった智恵理は相手の股間に顔を埋め、一心不乱に舌で花弁をまさぐっていた。 智恵理とは逆向きに寝そべった少女は、下から智恵理の股間を責めている。 いつもは総受けに回る智恵理が、今日は対等の立場で相手に絡み付いていた。 「あたしって……ひょっとして、相当にエロキチ……?」 何故こんな事になったのか、本人にも分からなかった。 天の摂理が働いたとしか言いようがない自然さで、2人は行為に突入したのであった。 少女の舌が智恵理のアヌスを舐め上げ、先端を中に潜り込ませる。 「あぁっ……卑怯よ。それダメェ〜ッ」 泣き所を抉られて智恵理が悲鳴を上げる。 「あたし、シャワー浴びてないのにぃ……アソコ、臭わないかな……」 羞恥心が快感を増幅させていく。 充分に解れた智恵理のアヌスを少女の細い指が深々と貫く。 「はぁぅぅっ」 裏Gスポットを責め立てられ、智恵理の股間から液が迸った。 頂点に上り詰めた智恵理は、失神しそうになるのを必死でこらえる。 そして直ぐにお返しの一撃を少女のクリトリスにぶち込む。
「はぅぅっ……そんなことされたら、私……私……うぅ〜っ」 敏感な突起を甘噛みされ、少女の腰が大きくうねった。 少女のスリット内部からも潮が噴き上がる。 どういう訳か、互いの泣き所が手に取るように分かった。 やがて2人はトロトロになった秘所同士を噛み合わせ、擦りつけ合い、そして同時に果てた。 「夜にかかる虹って……知ってる?」 ルナ、と名乗った少女が智恵理に問い掛けた。 先刻まで激しく燃えさかっていたのが嘘のように無表情に戻っている。 「なに、そのレインボーマン?」 智恵理は相手が分かるはずもない日本の古い特撮ヒーローの名を口にした。 同番組のエンディングに、夜空に七色の虹が伸びていく合成シーンがあったのを思い出したのである。 智恵理はネットテレビでそのシーンを見る度、「そんなアフォな」と一人で突っ込みを入れたものであった。 「虹ってのは日光が大気中の水滴に屈折して分光する現象でしょ? 残念だけど夜には太陽は沈んじゃってるからなぁ」 智恵理は天井を見詰めたまま呟いた。 「夜の虹を見た人は必ず幸せになれるって……私、一度は見てみたい」 ルナが抑揚のない声でそう呟く。 その虚ろな目の奥には、不幸のどん底にいる者に共通した、ある種の光が灯っていた。 ルナの生まれた環境や、これまで過ごしてきた人生など智恵理が知るはずもない。 また知ったとしても、智恵理個人にどれ程のことをしてあげられるだろうか。 言葉だけの同情など、相手を傷つけてしまうだけであることを智恵理は知っていた。 今の智恵理には、そんなことより自分の腋の臭いの方が気になって仕方がなかった。 アパートを辞した智恵理が通りの角を曲がった時であった。 いきなり走り寄ってきた1台のワゴン車が、智恵理の行く手を遮るように急停車した。 「あぶないっ」 智恵理は思わず足を止め、後ろに飛び下がる。 その目の前でワゴン車のドアがスライドし、中から黒ずくめの集団が飛び出てくる。 智恵理は悲鳴を上げる間もなく抱えられると、有無を言わさずワゴン車に押し込まれてしまった。 タイヤを鳴らしてワゴン車が急発進する。
智恵理が車内を見回すと、ピッタリと身に張り付いた黒服の集団が目に入った。 目出し帽をスッポリ被っているため顔は分からない。 だが、腰のくびれと胸の尖りから、全員が女であることは分かる。 「やばっ。エイリアン・ウォーシッパーだ……」 智恵理の全身の産毛が逆立つ。 仇敵に拉致されたと思い込んだのである。 ところが、ワゴン車は1ブロック先を曲がったところで急停止した。 「降りろっ」 黒服の女は智恵理の腕を掴むと、車から引きずり下ろす。 「痛いっ、痛いって」 乱暴な扱いに、智恵理は悲鳴を上げて抗議する。 「智恵理様。お久しぶりです」 いきなり本名を呼ばれ、智恵理は身を固くして身構えた。 顔を上げると見知った顔があった。 フワフワした猫毛の金髪や、グンと突き出たロケットオッパイにも見覚えがある。 「スチュワート大尉?」 智恵理はかつてインセクト・ヒルから救出したSIS隊長の顔を思い出した。 SISとは作戦3課に所属する特別攻撃隊で、ドンパチはもちろん頭脳も明晰な腕利きが揃うエリート部隊である。 トレイシー・スチュワート大尉は東京のインセクトヒルを強行偵察中、黒アリに襲われて瀕死の重傷を負ったことがあった。 大尉を絶体絶命の窮地から救い出したのは、他ならぬ智恵理であった。 そして大尉は、自分の部下の仇を取ってくれた智恵理に大恩を感じていた。 「流石は智恵理様。目の付けどころが違いますわ」 スチュワート大尉は智恵理を置いてけぼりにして一方的に感心してみせる。 訳が分からず智恵理が答えあぐねていると、スチュワート大尉がクスクスと笑った。 「また、おとぼけを。あの女が例のふざけた教団の宣教師と知って近づいたのでしょう?」 隠さずともいいではないかとばかり大尉がウインクする。 例の教団とは、「地球人は異星人と同化して新人類へ進化すべき」と主張する宗教団体のことであろうか。 ルナが宇宙教団の一員と聞かされて、智恵理は少し驚いた。
「あの女の調査は、SISが作戦部長閣下から直々に受けた命令なのです。今回は手出し無用に願いませんか」 SISの隊長は智恵理に向かって頭を下げた。 「あの様な下っ端の相手は我々にお任せ下さい。智恵理様のお手を煩わせるまでもありませんわ」 見当違いのお願いをされて、智恵理はますます面食らう。 「いや……あたし別に、あなた達の職分を侵す気はないから……」 智恵理は思うところをそのまま述べた。 スチュワート大尉の表情がようやく緩む。 隊本まで送ろうという大尉の好意を辞退して、智恵理はその場を立ち去った。 「チーフ、なんであんな小娘なんかに……」 若いイザベル少尉がスチュワート大尉に不満そうな目を向けた。 彼女は『鉄のトレイシー』ことスチュワート大尉の信奉者である。 それだけに、自慢の上官が見せた弱腰な態度を認めることが出来なかった。 イザベル以外の隊員たちも複雑そうな表情を浮かべている。 胸糞悪い日本娘など、痛い目にあわせて強引に手を引かせるつもりでいたのだ。 「やめておけ。お前らがどうにか出来るようなお方ではない」 鉄の女が一睨みすると、隊員たちは俯いて口をつぐむ。 ただイザベルだけは、一人納得いかないように眉をひそめていた。 ※ 「ほぅ、夜の虹とな?」 アフタヌーン・ティーの席上、マリー中佐は智恵理からルナの話を聞かされ首を捻った。 無論、智恵理は中佐に余計な心配を掛けまいと、教団絡みの話は伏せていた。 「見れるものなら見せてあげたいけど……肝心のお日様が沈んじゃってるんだし、どだい無理な話ですよね」 智恵理はダージリンの湯気を吸い込み、芳醇な香りを楽しむ。 「そうとも言えまい。太陽の光なら夜にもあるからのぅ」 マリー中佐は記憶を手繰るように天井を見つめた。 「あぁ、そうか。月の光って、太陽の光を反射したものだったんですよね」 智恵理は中佐の言わんとしていることを理解して手を打った。 「ケンタッキーにあるカンバーランドの滝では、晴れた満月の夜に月の虹が現れるという」 夜の虹では雨の代わりに、滝の作り出す水煙がプリズムの役割を果たすのである。 「ハワイでは月虹はナイトレインボウと呼ばれ、見る者を祝福するそうな。もっとも滅多にお目にかかれぬそうじゃがな」 度々見ることの出来るような物では御利益もあるまい、と中佐が笑った。 いずれにせよ、このご時世ではのんびり月虹見物ともいくまい。 ルナの夢を叶えるためにも、早くインベーダーどもを追い払わなければならない。 そうすればルナも目が醒め、おかしな考えに惑わされなくなるだろう。
「もうルナとは会わない方がいいな……」 SISの情報を信じるならば、相手は国家反逆罪に問われかねない危険思想の持ち主である。 自分がスパイ容疑を掛けられるようなことにでもなれば、やんごとなき中佐にまで迷惑が掛かってしまう。 智恵理はもう二度と会わないであろうルナの顔を思い出し、それを振り払うように首を左右に振った。 ※ その翌日、再度倫敦に空襲警報が発令された。 灯火管制の敷かれた中、満月の光を浴びてペガサス1およびペガサス2が出撃する。 「敵はファイターUFO約30機。2個梯団に分かれ、それぞれ北東と北西から市街地へ侵入を図る模様」 フォルテシモ少尉は、CICから衛星経由で送られてくる情報を素早く解析する。 「狙いはピカデリーサーカスじゃ。ヒナらは東の敵を討つ。ペガサス2は西の編隊を頼む」 ラヴィアンローズ少佐が恭しく敬礼する。 「敵の目的は人心攪乱じゃ。市街地を攻撃させてはならん。手前で捕捉して撃破するのじゃ」 マリー中佐はそう言うや、ユニットを全開にさせて北東方向へと突進した。 アラベスク少尉とフォルテシモ少尉が中佐を追い、智恵理の2小隊と光の3小隊が中隊デルタを保ってそれに続く。 「また出てくるかな。あいつ」 智恵理は中佐を追いながらも、レーダーを監視して周囲に気を配る。 敵UFO編隊まで500メートルに迫ったところで東側に別反応が関知された。 思った通りシールド・ベアラーの6機編隊である。 「隊長っ」 智恵理が無線のマイクロフォンに叫ぶと、中佐は黙ったまま人差し指を東へ向けた。 行って戦えと言う、単騎戦闘の許可である。 「エンジェル」 智恵理が左後ろを振り返ると、エンジェルが諦めきった様子で天を仰いだ。 「エンジェル小隊、行くぜっ。セーラー伍長、続けぃ」 エンジェルがやけくそ気味に号令を掛け、3番員のセーラーを従えて中佐を追う。
セーラーはEDF第3艦隊司令部の暗号班に勤務していた情報戦のプロである。 それがマザーシップとの戦いで艦隊が消滅したのを契機に、司令部の推薦でペイルウイング隊に転科した。 一応は海兵としての陸戦訓練は受けているものの実戦経験などない。 それでもペイルウイング選抜試験に合格し、専科学校の訓練に耐え抜いているのであるから運動神経は良いのであろう。 この時期、ペイルウイング隊員になるには3つのコースが用意されていた。 一つは士官学校を卒業すると共にペイルウイング科の養成コースを選択し、後方の訓練部隊に入隊する道。 もう一つは陸戦兵や航空隊など、他の兵科からペイルウイングを志し、選抜試験を受けて専科学校に入る道。 更には智恵理や光のように最初からペイルウイングに憧れ、ペ科練を目指す道があった。 士官学校卒は理論立った戦術指揮に優れ、専科学校卒はプロの兵士としてそつのない戦闘力を発揮した。 そしてペ科練卒業者は、漲る若さと迷いを知らぬ真っ白な正義感を武器にして、終戦までを戦い抜くことになる。 実戦部隊において、転科組は士官たちの階級を敬い、士官たちはペ科練の若さを恐れ、そしてペ科練は転科組の扱きに涙した。 それぞれ一長一短はあったが、互いに良きライバル関係を形成して切磋琢磨する間柄であった。 マリー中佐率いるペガサス1は、北東方向から侵入してきた15機編隊と真っ正面からぶつかった。 ラヴィアンローズ少佐のペガサス2も、ほぼ同時に北西からの敵と接触する。 いずれも倍近い戦力差が、重石となってズッシリとのし掛かってくる。 「ミスったか……」 マリー中佐は第1、第2中隊が連携して、敵を1個編隊ずつ叩いていくべきだったのでは、と後悔する。 しかし一方の編隊に集中している間に、残りの編隊に市街地の蹂躙を許してしまうことになる。 市民に被害を出すようなことになれば、厭戦気分が蔓延して国民士気を大いに低下させる。 その結果、生産基盤たる経済活動に乱れを生じさせ、戦争継続に支障を来すことになる。 それを思えば2倍の敵と戦うこともやむを得なかった。 「デルタを維持するのじゃ。編隊を離れた者から敵の餌食になるぞ」 マリー中佐は怒鳴り声を上げ、中隊デルタを敵編隊の横っ腹へと導いていく。
一方のラヴィアンローズ少佐は隊を4バイ4に分け、それぞれオフェンスとディフェンスに専念させる。 ディフェンスはエクレール30の連射で、稲妻のバリアを幾重にも張り巡らせる。 電撃の投網に遮られたUFOが立ち往生するところに、オフェンスのバトル・ラムが襲いかかった。 連続して光の衝角を打ち込まれたUFOが、炎を上げて爆砕していく。 名門ラ・シレーヌの水際だった戦い振りである。 オフェンスの4人が今度は2バイ2に分かれ、噴煙に紛れて宙に飛び上がる。 そして動揺しているUFOの直上に出ると、急降下しつつバトルラムをぶっ放す。 正確無比な射撃を受け、4機のUFOが大爆発を起こして墜落した。 ラヴィアンローズ少佐は戦果に目もくれず、ビルの谷間に待避していく。 ようやく混乱から立ち直ったUFOがそれを追おうとするが、少佐は既に射程外へと逃げ去っている。 それでもUFOは少佐に逆襲しようと全速力で追跡に入る。 しかしそれこそラ・シレーヌ中隊の思う壺であった。 背後の見張りを疎かにしたUFOが、逆さ落としに降ってきたエクレールの餌食になる。 ディフェンス役の4人が今度はオフェンスに回り、UFOに隙が生じるのを上空で待っていたのであった。 2つのチームが互いを囮に使い、攻撃と防御を素早く入れ替える戦術こそ、ラ・シレーヌを最強部隊ならしめたお家芸である。 ペガサス1は中隊デルタを保って左急旋回を続けていた。 「死にたくなければデルタを崩すな。フォーメーションを維持するのじゃ」 マリー中佐は右後方を振り返り、一番外周を回っている3小隊を叱咤する。 一番の大外回りを強いられた3小隊の3番員、新隊員のアイリス伍長はヒィヒィ言いながら必死で編隊についていく。 やがて旋回力に勝るペガサス1が、UFO編隊の旋回半径の内側に滑り込むことに成功する。 危険を感じたUFOは旋回を右へと変え、間延びした単縦陣で離脱を図る。 これこそ待ちに待った瞬間であった。 切り返しの早さなら、ペイルウイングの方が数倍上回っている。 素早く射撃体勢を整えたペガサス1は、敵の右側面に回り込み「イ」の字型に脇腹を突いた。 「ファイヤー」 8丁のサンダーボゥ20が砲列を作り、右斜め後ろからUFOの編隊を薙ぎ払っていく。 猛烈な射撃により編隊の半数が火を噴いて脱落していった。 「あと半分じゃ。ヒナに続けっ」 マリー中佐は編隊を振り返って檄を飛ばした。
早っ シチュエーションは夜襲かのう
毎度乙です なし崩しのエロにはなんか笑ってしまったけど、スレ的にはそれが本来あるべき姿なんだよな… ここまでエロを必要とされないエロパロスレも珍しいんじゃなかろうか もちろんあるに越したことは(ry 未だにバトルラムを使ってるあたりに泣いた そこまで金と技術がないのか今のEDFは
2線級の部隊なんかまだバーストランス使ってんだぞ、多分
これからが本番だな
いや落日・・・ これからペイルウイングにとって長く寒い夜が来る
すげぇ 月齢表で確認したら2019年12月12日のロンドンはマジで満月だ こういう細かいところまで手を抜かないんだなw
176 :
名無しさん@ピンキー :2007/08/22(水) 09:39:11 ID:C+jmitlR
偶然じゃなく調べた上で書いてるんなら作者スゲェけど、
それよりもまず
>>175 の発想がスゲェと思うんだぜ
昨日甥の夏休みの宿題手伝っていて月齢検索サイトを見つけた 粗探ししてやろうと思って調べてみたら本当にfullmoonだったんで驚いた こういうのちゃんと調べてから書くんだろうけどちょっと感動した
防衛軍本部画面の左下、回転するいくつもの正方形が重なったグラフィック が大口を開けた宇宙人の顔に見えるのは俺だけだろうか・・・
>>172 使い勝手ではバースト>バトルラムじゃね?
まぁ多分難易度はハード程度だと思うが。INFだと蜘蛛とか近衛とか即死モノだし
参謀は20と20Rまで出てるのに… そういやレーザーと粒子砲って出てきてなくね? 支援と誘導がなかなか出ないのは分かるんだが 現状だとほぼレイピア、ランス、雷撃(あとたまに狙撃)だけで戦ってるよな
hosyu
ほ、保守だーっ
最も美しいペリ子は連れ去られてインベーダー皇帝の妃になると聞いてほとんどの隊員が安堵した、っていうアメジョみたいなフレーズはどの作品のだっけ
PWSのハワイ防衛戦あたり 皇妃ではなく側室っだったと思われ
おお、dd
実はインベーダ♀は美女揃い って事で陸男の捕虜にされたインベーダ子凌辱してください
すごい久しぶりにこのスレでリク見た気がするw
>>187 雑談してPWS読んで感想寄せて雑談しての繰り返しだったからなww
俺今余所で構想練ってるから、今は難しい。
むしろ捕獲された伝説の男の優秀な遺伝子を巡ってインベーダー美女達の誘惑合戦をだな
相手が伝説の男だと逆に全員が虜にされそうな悪寒w
インベーダ子はエルフ耳これは譲れない そして伝説の男の素顔はゴルg…ビシッ ズキューーンンン ???「ギルティ…」
それでスナイパーライフルのグラフィックはアサルトと同じでM16っぽいのかw
>>157 腕一本で落とされる衛星乙
>>161 昔は黒ブリーフ穿いてた殺し屋乙
サンダーボウの影に隠れて目立たないけど、エクレール30だってハデストクラスの性能ですよ?
>>193 おまえとはいい防衛ができそうだ
広域の攻撃モーションキャンセルには申し分ない性能だよな
拡散しすぎて正面にも当たらないことがあるのが難点だが・・・
つ洞窟 つ斜め下撃ち
洞窟の片手は酸砂40で決定
LIMも中々どうして
エクレールは直撃した時の殲滅力はサンダーボウすら超えたりして命を救われることもあるが なにぶん運要素が強くてなぁ・・・もうひとつの武器は確実にダメ与えられるの持ってかないと安心できない
インベーダ子『フン!何時まで私の拷問に、耐えられるかしらねぇ?』 陸男「…」 インベーダ子『生意気な♂ね、その余裕がいつまで続くかしら?』 陸男「…優秀な拷問係は、あまり口を開かないものだ…」 インベーダ『馬鹿にするな!(ああ…でも、この体……)』 一時間後 陸男「……」 インベーダ子『オオオッ…オオオゥ!イイワ…最高よ!…もっと、もっと貫いて…犯し貫いてぇ!』 陸男「……この艦の司令質と…ゲートの解除方法は…」 インベーダ子『言うわ、なんでも…協力しちゃう!だからお願いよ……最後まで欲しいのぉ!』
200 :
名無しさん@ピンキー :2007/09/16(日) 00:43:09 ID:o823//M+
>199 それ何てデュークトウゴウ?
>>199 ゴルゴ吹いたw
最近そういう展開見ないな>ゴルゴ
インベーダA『司令!三番艦のジェノサイド砲が!』 インベーダ司令『なにぃ!?』 インベーダB『三番艦通信途絶!完全にスタンドアローンです』 司令『馬鹿な…占拠されたのか!総員戦闘配備!』 インベーダA『三番艦ジェノサイド砲、拡散砲撃モード!エネルギー集束95%!射撃まで…3秒!』 司令『くそ!各艦回避運動!』 インベーダA『駄目です!間に合いません!三番艦エネルギー開放!』 インベーダC『うわ!二番四番、それに六番艦被弾!二番と四番轟沈!衝撃波到達五秒前!』 司令『総員衝撃に備えろ!』
ズズン… 司令『被害状況報告!六番艦どうした!』 インベーダB『六番艦より入電…ワレ、操舵フノウ、ワレ、操舵フノウ…通信途切れました!』 インベーダC『六番艦爆散!これは…五番艦巻き込み、共に轟沈!』 インベーダA『三番艦、再砲撃まで40秒…司令!』 司令『…やむを得ん、三番艦を沈めるぞ!』 インベーダD『待って下さい!三番艦には…第8王室、セレン嬢様が!!』 司令『っ……王族の馬鹿共がぁ!』 インベーダA『残り…20秒…』 インベーダB『…!、三番艦より脱出艇確認!救援信号…これは!セレン嬢です!』
司令『なんと…自力で脱出なされたか!よし、各艦全砲門、目標三番艦!残骸一つ残すな!』 陸男に乗っとられた三番艦は消滅し、セレン嬢を乗せた脱出艇は旗艦に救助された… 司令『よし、くれぐれも失礼のないようにな』 兵士AB『はっ』『了解!』 インベーダD『ハッチ開きます』 ガシュッ! 司令『セレン嬢、ご無事で何……貴様は!』 陸男『……』 司令『撃て!このヒトを始末しろ!』 ズガーン!ズキューン! 兵士AB『うわ!』『ぐああ!』 司令『き、貴様…たった一人で!』 陸男『………』 ズガーン!ズガガーン!ズガーン…
セレン嬢『フフ…私が王族だって知って、びっくりしたでしょ?パパに頼んで拷問官にしてもらったの、ヒトをいたぶりたくて』 陸男『…』 セレン嬢『…酷い女と思ってるでしょ、仲間を裏切るなんて』 陸男『…いいや』 セレン嬢『いいの、私はアナタと一緒なら、どんな事だってしてあげる!私の星に来ない?良い思いを…』 チキ… セレン嬢『!ま…まさか!』 陸男『……全て、知っていた…お前が王族だという事も……お前が色情だという事も……人間の諜報能力を、侮らぬ事だ』 ズガーン!… セレン嬢『……(なんて…男…)』
オペレーションコード『G』 たった一人の陸戦兵(Ground Forth)による、インベーダ艦隊撃滅作戦は成功した しかし、この作戦の立案者である、英国諜報機関MI6所属、ヒューム二世は、Gの正体について固く口を閉ざしている…
これは素直におもすれーネタ
面白いが、ゴルゴ風なら銃声は「ズキューン!ガガゥーン!」にしてくれ!
そのうちコレ書いて良い? 俺の解釈でもうちょっとシチュとかいじって。
211 :
199 :2007/09/18(火) 07:01:12 ID:uguIHKps
おk
その頃、智恵理は小ジャンプを繰り返してシールド・ベアラーに接近していた。 レーダーは6つの赤い光点と、1つの白い光点を捉えている。 赤い光点はシールド・ベアラーの編隊であり、白い点はエイリアン・ウォーシッパーの能力者である。 同時に智恵理の超感覚も7つの対象を感じ取っている。 「まただ。邪気が満ちてくる……」 智恵理は周囲の大気が重くなっていくのを感じた。 空気の密度が濃くなり、おどろおどろしい雰囲気が漂い始める。 やがてレーダーが利かなくなり、続いて敵の気配も消失してしまった。 邪念の影響下にある区域は、完全に外部と途絶されている。 この世とあの世の境界が接近し、亡者の呻き声が風に乗って響いてきた。 「慎重に……慎重に。全方位に対して全神経を集中するのよ」 智恵理は自分に言い聞かせ、皮膚感覚と聴覚に注意力の全てを注ぎ込む。 何処かで銃声がした。 「近い」 それは陸戦兵の使うライフルではなく、もっと小型で銃身の短い拳銃の発射音であった。 銃声のした方に目をやると、幾つもの火花がチカチカと点滅している。 少し遅れて甲高い豆の爆ぜるような破裂音が聞こえてきた。 「銃撃戦? 誰が戦ってるんだろう」 智恵理は闇に紛れて現場へ接近してみることにした。 近くまで一気に飛んだ後、ビルに挟まれた路地を慎重に歩く。 そして現場まで、ビルを一つ残すところまできた時であった。 「…………!」 もの凄い殺気が背後から襲いかかってきた。 智恵理が反射的に地面に転がり、サンダーボゥ20を構える。 銃口の先に黒革の半袖ジャケットと半パンツを着た女が立っていた。 「待てっ。撃つなっ」 女が両手を上げて智恵理を制止した。 右手の人さし指をこれ見よがしにピンと立て、拳銃のトリガーに掛けていないことを強調している。 声を出すのがコンマ数秒遅れていたら、サンダーボゥの雷撃をまともに喰らっていたであろう。
「ふぅぅ〜っ」 智恵理は溜息を漏らして銃口を下げる。 女は昼間に見かけたSIS隊員の一人であった。 たしかイザベルとかいう名の少尉である。 「なんでこんな所に?」 智恵理は立ち上がって質問する。 「例の女をこっちに追い詰めた」 イザベルが大きく息を吐いて周囲に目を配る。 「えっ? ルナが……」 智恵理はルナが近くにいると知って驚いた。 「その先の行き止まりに追い詰めたと思った途端、後ろから奇襲を受けた。待ち伏せを喰らったらしい」 普段の彼女なら、部外者である智恵理の質問など鼻であしらっているところである。 それどころか昼間の約束を破ったと決め付け、智恵理を責め立てたことであろう。 たった今智恵理が見せた動きに余程驚いたのか、素直な態度で質問に答えていた。 「背後からのいきなりの奇襲?……やっぱりあいつだ」 智恵理は敵の正体が、先日のエイリアン・ウォーシッパーであると確信した。 敵は自分の気配を完全に消し去る特殊能力を持っているらしい。 久し振りに対峙する強敵であった。 再び豆の爆ぜるような音が連続し、革靴の足音が聞こえた。 『ヴィクトリアから一斉。対象はBブロックを北方向へ逃走中』 イザベルの小型無線機から隊員の声が漏れ出す。 「しめた。ヴィッキーが奴を追い詰めたっ」 イザベルが顔を輝かせて走り出す。 「待って」 智恵理がイザベルの後を追う。 2人が銃声のした方へと向かい、Bブロックの角を曲がる。 そこに首のない死体が転がっていた。 イザベルの着ているのと同じ革ジャケットに半パンツを身に着けている。 「ヴィッキー……」 イザベルが口元を押さえてしゃがみ込む。 数メートル先の路上に黒髪の頭が転がっていた。 角度から見て、背後からビーム砲で狙撃されたのに間違いない。
『全隊員に告ぐ、ポイント01に集結せよ』 無線機にスチュワート大尉の指令が入る。 しかし仲間の死体を目の当たりにしたイザベルは、うずくまったまま立とうとはしない。 「行こう。まだ敵は生きてるんだよ」 智恵理は集合命令に従い、作戦行動に戻るようイザベルを促す。 イザベルは頷いて立ち上がると、拳銃を手にしたまま走り出した。 「智恵理様……」 イザベルと共にポイント01に現れた智恵理を見て、スチュワート大尉は複雑な表情を浮かべた。 「勘違いしないで。あたしが追ってるのは宇宙人マンセーの宗教家じゃないの。れっきとしたエイリアン・ウォーシッパー……」 智恵理は大尉に説明しようとして、重大なことに気が付いた。 「宇宙人を信奉する宗教って、エイリアン・ウォーシッパーの行動理念と全く同じじゃないの?」 智恵理の背筋に冷たいものが走った。 もし宇宙教団が根元の部分でエイリアン・ウォーシッパーと繋がっているとしたら、怖ろしいことである。 侵略者どもは、既にかなりの数の人類を味方に引き込んでいることになるのだ。 下手をすれば人類はエイリアンと戦うまでもなく、自らの手によって滅びてしまうかもしれない。 最近頻発している市街への空襲も、市民に恐怖を植え付けることを目的としているとマリー中佐は推測していた。 恐怖は敗北感を産み、敗北感は厭戦気分を育む。 厭戦気分に囚われた人間の辿る道は、降伏か裏切りしかない。 「そんなの絶対に許さない」 それを許さないためには、EDFが優位を示し続ける必要がある。 自分たちが侵略者に絶対負けないことを、市民に知らしめてやらねばならないのだ。 それなのに、たった一人のエイリアン・ウォーシッパーに翻弄されている現実が情けなかった。 「えぇっ? ちょっと待ってよ。これって、ひょっとしたら……ルナがエイリアン・ウォーシッパーってことなの……」 混乱した智恵理の思考力が、ようやくその事実に辿り着いた。 智恵理の顔が真っ赤になり、続いて真っ青に変わった。 仇敵とエッチな関係になってしまったことが恥ずかしく、そして怖ろしくなったのである。 どおりで互いの急所が的確に分かったはずである。 能力者同士、知らぬうちに相手の願望を読み合っていたのだ。 こうなれば、ルナが情報収集の目的を持って智恵理に接近してきたことは疑いようもない。
「共鳴効果……って言ったっけ」 能力者同士が接近すると、互いの全てをさらけ出してしまうことになる。 その結果、互いを取り込もうとして、思念が共振を始めるというのだ。 アルカトラズで悪魔の姉妹と戦った折り、ミラージュからそう指摘されたことがあった。 「やばっ。あたし……エイリアン・ウォーシッパーに取り込まれかけたの?」 それは軍人として許されざる背任行為であった。 戦死したアイスバーン少佐に対しても顔向けできない。 「敵は全人類に対する裏切り者だ。遠慮は要らない」 気が付けばスチュワート大尉が部下に武器を配っているところであった。 ゴリアス・ロケットランチャーやSG型ショットガンなど、人間を撃つにはオーバースペックの兵器が次々に手渡されている。 それら全てが最新モデルの一級品であった。 「敵はこのブロックのどこかに潜んでいる。全方位から網を狭めて殲滅する」 大尉の指示を受け、1個分隊ほどの隊員が真剣な顔で頷く。 「射線上に味方がいるおそれがある。射撃の際は同士撃ちに充分注意しろ」 鉄のトレイシーの命令で、猟犬と化した十数人の娘が猛然と突撃を開始した。 智恵理も隊員の一人に続いて包囲網に加わる。 「智恵理様っ」 スチュワート大尉が目でたしなめてくるが、相手が相手だけに放っておくことは出来ない。 突如攻撃が来た。 いつ、どこから撃たれたのか気付かないうちに、東、西そして南の三方から突入を図った隊員がエネルギー波に貫かれた。 続いて智恵理の真横にいた隊員が、側面から頭を吹っ飛ばされて転がった。 「敵は狙撃兵だ。側背からの攻撃に備えよ」 大尉の指示で、隊員たちが手近な遮蔽物に身を潜める。 その一つにエネルギー波が打ち込まれ、焼け焦げた死体が宙を舞った。 持ち主と共に吹っ飛んだゴリアスDDが、智恵理に向かって落ちてくる。 暴発の恐怖が智恵理の体を硬直させた。 「まずいっ」 ゴリアスDDの爆破範囲は直径20メートルにも及ぶ。 筒内破裂による爆発に巻き込まれたら負傷後送では済まない。
主を失ったゴリアスDDはアスファルトに叩き付けられたが、幸い弾体の信管は作動しなかった。 「ふぅぅぅ〜っ」 智恵理はバイザーとゴーグルを跳ね上げると、大きく溜息をついて額の汗を拭った。 ロケットランチャーが金属音を立てて足元を転がっていく。 夜風にさらされた腋の下が異様に冷たかった。 「どこから? どこから撃ってくるの?」 智恵理は路地に飛び込んで周囲に目を配る。 しかし敵の姿は感知できず、ただ虚空にシールド・ベアラーが浮かんでいるのが見えた。 それはこちらから攻撃しない限り、全く無害な存在である。 鏡のような機体に満月の光が冷たく反射していた。 突如、智恵理の頭に衝撃が走った。 「月の光は日の光……月そのものは輝かず、太陽の光を反射しているだけ……」 シールド・ベアラーを輝かせているのは月からの光である。 そして、その月を輝かせているのは地平線の下に沈んだ太陽である。 つまりシールド・ベアラーは二重に反射した太陽の光を放っているのである。 「光の反射……見えない太陽の光…………」 シールド・ベアラーの機体に、ルナの顔が重なって見えたような気がした。 智恵理はゴリアスDDを拾い上げると、虚空のシールド・ベアラーを注視した。 「違う……」 智恵理はかぶりを振って別のシールド・ベアラーを捜す。 500メートル先の中空に赤い一つ目が輝いている。 「違う……これも……」 智恵理は3つ目──左後方に配置されたシールド・ベアラーから目を逸らそうとして、慌てて視線を戻した。 僅かに輝きを増したのを、違和感として捉えたのである。 「いた……」 そのシールド・ベアラーはジリジリと角度を変え、智恵理に正対しつつあった。 智恵理は首を振って別のシールド・ベアラーを確認する。 「……こっちにも」 不審なシールド・ベアラーの左翼800メートルに、ゆっくりと俯きつつある1機がいた。 智恵理は自分の予測が的中したことを確信すると、ゴリアスDDの砲身を右肩に乗せた。 そして自分に正対しようとしているシールド・ベアラーに狙いを付け、そのまま姿勢を保持する。 時間が刻々と流れていった。 やがて2機のシールド・ベアラーが停止する瞬間がやってきた。
やにわに智恵理の指がトリガーに掛かり、素早く一度屈伸した。 ゴリアスが吼え、もの凄い噴煙と共にロケット弾が発射された。 砲弾は狙い違わずシールド・ベアラーに命中すると、物理運動反転シールドの作用により、進入角と同じ角度で対称反射する。 砲弾は噴射炎の圧力で加速しながら2機目のシールド・ベアラーに命中する。 再び反射した砲弾は斜め下方に走り、ビルの谷間に吸い込まれていった。 爆発音と共に巨大な火炎球が盛り上がり、爆風が辺りのビルをなぎ倒した。 闇夜が真っ赤に染まり、断末魔の悲鳴が辺りをつんざく。 それはあたかも地獄の亡者が発する呪詛のようであった。 智恵理やSISの隊員たちは身をすくめ、頭を抱えてその場にうずくまる。 頭上の悲鳴はしばらく荒れ狂っていたが、徐々に小さくなっていき、やがて辺りは嘘のように静まりかえった。 気がつけば辺りを支配していた邪気が消え去っていた。 ようやく立ち上がった智恵理は、ゴリアスDDを捨てて爆心地へと歩いていった。 そして捲れ上がったアスファルトの上に一つの死体を見つけた。 黒いワンピースのボディースーツに長いバイザーのついたヘルメット姿。 そのヘルメットの後頭部から銀色の髪がはみ出ている。 顔は確認するまでもなかった。 「敵は複数の鏡面円盤を組み合わせ、エネルギー波を多重反射させて攻撃していたのですね」 スチュワート大尉が感心したように呟き、右手を掲げて強敵に敬意を払った。 「どおりで、どこから撃ってくるのか分からなかったはずです……流石は智恵理様」 その声は智恵理の耳には届いていなかった。 幸せを欲っするあまり人類を見限った一人の少女が、智恵理の足元で永遠の眠りについていた。 Xナンバー計画に関する全ての資料が消去された今、ルナの身上や過去について知る術はない。 だが、持って生まれた能力が彼女を周囲から孤立させ、遂には人類を裏切らせるに至ったのであろうことは想像に難くない。 おそらく、幼いころから魔女として恐れられ、迫害を受け続けてきたのであろう。 どれだけ人恋しかったことか、どれだけ恨めしかったことだろうか。 智恵理は掛ける言葉も見つからないまま、その場に立ちつくした。 「おかえりなさい……」 死ぬことにより、ようやく怨念の呪縛から解放された少女に掛ける言葉として、智恵理にはそれ以外思いつかなかった。
うおおおおおGJ!! EDFって単語を見たときに「ああ、そういやこれ地球防衛軍だったな」って改めて感じたよ 罠本部とオペ子と隊長の存在って実は大きいのかな…?
新作キテター。GJ!! 今回は特にいい話だなぁ。シールドベアラーがいい味でてるぜ
鏡二枚に反射させて狙撃か…… 山猫の大将みたいだ
ルナタソに敬礼 残ったシールドベアラーはこの後SISがおいしくいただきました
なし崩しのベッドインにもちゃんと情報収集の目的があったのねw
ほしゅ
友人がSRCで The地球防衛軍の設定で雪風タソやエグゼリカタソや武装神機シリーズを開発出来るシナリオさ作った。 ペルウィングや陸男は涙目な扱いで地球防衛軍である必要はほぼ皆無ですが
誰も居ないじゃないですか(笑)
ここは前からSS投下がくるまで基本的に保守進行になってるっぽい たまに雑談することもあるけど、たいていは保守レス
ほ、保守だー
今気付いたんだが、
>>225 ってスクイズネタだったんだろうか。
《西暦2019年12月21日 倫敦市街》 この日、倫敦はインベーダーの奇襲攻撃を受け、一時的に市街地が占拠された。 すぐさま首都防衛軍が迎撃に出たが、大規模な敵の侵攻を食い止めることは出来なかった。 頼みとされたエメロードミサイルは、敵の新型空戦艇を叩くには余りにも非力であった。 最後の砦である狙撃中隊もリロードの隙を突かれ、敵の突入を許して阻止線ごと壊滅してしまった。 かつては精強を誇ったライサンダー1も最近では威力不足が目立ち、その存在意義を急速に失いつつあった。 「くそったれがぁ……一日も早く新型の……ライサンダー2の量産を……」 一人のベテラン狙撃兵が技術敞の怠慢を呪いながら、自分の流した血の海に沈んでいった。 首都防衛軍の決死の奮戦も敵を撃退するに至らず、敵の先鋒部隊はウェストミンスターまで僅かな距離に迫った。 この事態に参謀本部は恐慌状態に陥った。 世界の首府たる倫敦が、これほど簡単に陥落するとは思ってもいなかったのである。 残された兵力は本部親衛隊だけであったが、その戦闘力はお世辞にも高いとは言えない。 隊員たちは宮殿を枕に討ち死にする覚悟はできていたが、命を引き替えにすれば必ず勝てるというものでもない。 少なくとも、参謀総長アン王女はそれほどロマンチストではなかった。 当時、巴里へ応援出動していたペガサス隊に帰還命令が下ったのは、それから直ぐのことである。 任務を終えたばかりの智恵理たちは、休む暇も与えられずに輸送ヘリで倫敦へ転進した。 「敵はキャリアー3機を主軸とする機動部隊です。例の近衛兵団が護衛についている模様」 ヘリ内で行われたブリーフィングで、副官フォルテシモ少尉が現地の状況を説明する。 「キャリアー3機となれば、市街はアリどもで埋め尽くされておるな」 マリー中佐の表情が固くなる。 これまで敵は倫敦の制空権を奪取すべく、ファイターを主とする空軍力で航空撃滅戦を挑んできていた。 それが遂に地上ユニットである巨大甲殻虫を前線に投入してきたのだ。 巨大甲殻虫の堅牢さと凶暴性は恐怖に値する。 特殊合金すらクリームのように溶かしてしまう蟻酸攻撃も強烈である。 しかし彼らの真の怖ろしさは、その圧倒的な数による物量攻撃にあった。 倒しても倒しても仲間の死骸を乗り越えて向かってくる巨大アリの恐ろしさは、実際に対峙した者でないと分からない。
しかも最新の報告によれば、奴らの攻撃力と防御力は開戦時とは比べものにならないほど向上しているらしい。 これまでEDFが戦ってきた巨大アリは、地球の地下で密かに増殖されていたものである。 しかし浮遊都市出現以降の巨大アリは、地球より重力の大きい惑星で養殖されたものであるという。 機動力、耐久力ともに大幅にアップしているのも、それならば頷ける。 「あんな非常識なアリの存在が許されるんなら、どでかいアリクイがいたっておかしかねぇだろ」 エンジェルが薄ら笑いを浮かべて吐き捨てた。 「誰か、どっかの星からスカウトしてこいや」 輸送ヘリの中に笑いが起こった。 ファイアフライ少尉こと蛍野光が勢いよく立ち上がる。 「言い出しっぺのお前が見つけてこい。できればアリと間違われて、そのまま喰われちまえばいいんだ」 光は柳眉を逆立てると、空に向けて指を差した。 自分の実力に不安のある彼女は、つまらないジョークで精神集中を乱されたくなかったのである。 「そうすりゃ、地球の大気汚染も少しは解消されるだろうよ」 今度は爆笑が渦を巻く。 マリー中佐までが腹を抱えて笑い転げている。 ようやく皆の肩から力が抜け、いつものペガサス隊が戻ってきた。 「2人ともいい加減にして。黙ってないと、ユニット取り上げてヘリから突き落とすわよ」 智恵理は頃合いを見計らい、わざと怖い顔を作って2人を睨み付ける。 仲の悪い2人は、そっぽを向いて座り込んだ。 緊張の解けたところで、智恵理がマリー中佐に切り出す。 「隊長、近衛は隊長にお譲りします。地上のアリンコ軍団は任せといて下さい」 智恵理は敢えて危険な任務を買って出た。 「その方、一人で大丈夫か? 敵の数は相当なものに違いないぞ」 マリー中佐が不安そうに眉をひそめる。 「全然オッケーです。あたしにはコレがありますから」 智恵理は真新しいプラズマアーク銃のストックをピシャリと叩いた。
レイピアGスラスト。 接近戦に特化した近距離兵器で、無数に乱舞するエメラルドの刃はあらゆる物を粉砕する。 初期型とは比べものにならないほど強力な武器であるが、使い手を選ぶ暴れ馬でもある。 智恵理は初陣以来の活躍がペイルウイング総監部に認められ、このたび晴れてその使用を許されたのである。 これは彼女が、名実共にエースと認知されたことに他ならなかった。 事実、智恵理の戦闘力は抜群であり、公認スコアでも先日50傑入りを果たしている。 総監部は彼女に新兵器をあてがうことで、これまでの功績に対する報いとしたのである。 総監部の見立て通り、智恵理はこの日の倫敦奪還作戦でも目覚ましい活躍を見せた。 僚友がビルに籠もって近衛UFOを迎撃する中、智恵理はその合間を縫って単騎でアリの群と渡り合った。 レイピアGスラストの威力は申し分なく、新種の黒アリもストレスなしに切り刻めた。 制空権を取り戻すと同時にペガサス隊は一斉に反撃を開始し、キャリアー3機を血祭りに上げて倫敦を奪還したのである。 勝利報告のため参謀本部へ出頭したペガサス隊は、上層部の熱烈な歓迎を受けた。 今回の危機が余程ショックだったのであろうか、部隊編成を司る第2部長はペガサス隊の親衛隊入りを持ちかけてきた。 首都防衛軍が頼りにできない現在、彼女たちを参謀本部に常駐させて倫敦の防備に専念させようという腹づもりらしい。 マリー中佐は即答を避けたが、内心では心を動かされたようであった。 親衛隊に入れば、生母である参謀総長の近くで働ける。 それは中佐にとって魅力的な条件であるには違いなかった。 ※ 智恵理たちがリージェンツ・パークの隊舎に帰り着いた時、既に日付が変わっていた。 「あぁ〜あ、疲れた。今日はもう寝よ」 「明日は空襲がありませんよぉ〜に」 クタクタになった隊員たちは兵器の整備も明日に回し、それぞれ寝室へと向かう。 智恵理も自室に戻ったが、風呂に入ってサッパリしたくなり、ユニットバスの準備をした。 濃紺の制服をハンガーに吊すと、お湯が溜まるまでの時間を利用して報告書を作成する。 パンティ一丁になってパソコンに向かっていると睡魔が襲いかかってきた。 高ぶっていた神経がようやく落ち着いてきたのである。 そして、まさに眠りに落ちようとした瞬間、思念波の網に異物感が引っ掛かった。
「………!」 一瞬で我に返った智恵理は椅子を倒して立ち上がった。 「誰かいるっ」 智恵理はリビングをぐるりと見回して異物感の源を探る。 策敵結果は直ぐに出た。 智恵理は部屋の隅に設置されたクローゼットに近づく。 そしてノブに手を掛けて一気に開いた。 「出てらっしゃいっ。誰なの? 人のプライバシーを覗き見しようってバカラッチは」 パンティ一丁の智恵理は、腰に両手を当てて仁王立ちになった。 「幾らあたしだって、そうそう毎晩はオナニーなんか……ん?」 てっきり後輩の光だと思っていたのに、目が合ったのは顔も知らない全くの他人であった。 怯えた目をした少女が体育座りして震えていた。 一糸まとわぬ裸であり、細長い手足が白蛇を思わせる。 眉以外は、頭部はもとより股間にまで一本の毛も生えていなかった。 「うっ、うちゅっ……宇宙人っ?」 驚いた智恵理は、腰が抜けたように立ちつくす。 と思っていたら、少女が唐突に日本語で喋り始めた。 「たっ……助け……」 智恵理の驚きが伝染したように、呂律が回らない。 「ころっ……ころっ……殺されるぅっ」 いきなり立ち上がった少女は、叫び声をあげて智恵理にしがみついた。 女の体臭とお香の匂いが、智恵理の鼻をくすぐる。 「えぇっ? あっ……春嶺尼?」 それは以前に戦ったことのある尼僧のエイリアン・ウォーシッパーであった。 「お願い、助けて。奴らに……奴らに殺されるぅ〜っ」 春嶺尼は泣き叫びながら智恵理の首筋にすがりつく。 泥まみれの白い肌には、無数の生傷と痣が浮いていた。 訳の分からないまま、智恵理は春嶺尼を風呂に入れ、体の汚れを落としてやった。 そして傷口を消毒してあげると、ようやく春嶺尼も落ち着いてきた。 「…………」 弱々しく目を伏せた春嶺尼を見ていると、智恵理の心に複雑な感情が湧き上がってきた。 本人の言を信じるならば、アイスバーン少佐を手に掛けたのは、春嶺尼その人なのである。 本来なら、憎んでも憎みきれない仇敵のはずであった。 しかし如何に敵とは言え、助けを求めてきた者を放っておくことなど智恵理には出来なかった。
「で……なんでアンタが殺されるの。全然、意味分かんないんだけど……」 智恵理は出来るだけ関心なさそうな口調で説明を求めた。 その途端、問い掛けが魔法の呪文であったかのように、春嶺尼がガタガタと震えだした。 「ごめん……あたしには、どうでもいいことだった」 智恵理は冷静さを保ったまま質問を取り下げた。 「ところで、落ち着いたら出ていってよね。ハッキリ言って迷惑だよ」 智恵理は冷酷な告知を突き付ける。 「アンタに何の義理もないし。怪我人をMPに突き出さないことが、同じ日本人としてしてやれる精一杯のことだから」 それだけ言うと、智恵理はプイと横を向いて口を閉ざした。 「あいつら……あいつらマザーシップを撃沈されたのを……全部あたしのせいにして……」 春嶺尼が観念したように口を開き、訥々と事情を語り始めた。 それによると、エイリアン・ウォーシッパーの最高幹部会は、皇帝に対してこれまでの不手際を詫びることになったという。 まさか皇帝陛下の御親征があるとは、彼らは考えもしていなかった。 このままでは今日の事態を招いた責任を問われ、自分たちが罰を科せられると恐慌に陥ったのだ。 そこで、スケープゴートに選ばれたのが春嶺尼であった。 マザーシップを沈められるに際して、事前に智恵理を排除できなかったというのがその理由だった。 同じく現場にいたイングリッドは欧州の名門出身であるため、全てが不問に付されたという。 あろうことか処刑執行人に選ばれたのは、これまで彼女と共に戦ってきたアルカトラズ出身の能力者たちであった。 その刑の執行寸前、彼女は命からがら逃げ出してきたのだった。 「追っ手が掛かってるのよ。ファティマ、マニトウ、アコンカグヤ……仲間内でも本当に怖ろしい連中なの」 春嶺尼は自分の肩を抱いて、ブルルと身を震わせる。 もうそこまで追っ手が忍び寄っているような怯え方であった。 「お願いっ、あたしを助けて。奴らに対抗できるのはアンタしかいないんだよぉ」 顔色を失った春嶺尼を前に、智恵理の血は煮えたぎっていた。 「昨日まで仲間だった人間を、自分の保身のためだけに……許せないっ」 東洋人だからといって味方の上層部から蔑視されるのは、智恵理にも身に覚えがあることであった。 しかし命に関わる差別までは受けたことはない。 たったの3人でソラスに挑まされた時ですら、その原因は人種差別とは無縁であった。
智恵理は春嶺尼のことが哀れに思えてきた。 最初EDFに不要品として処分されかかり、今度はエイリアン・ウォーシッパーから切り捨てられようとしているのだ。 我が身に置き換えて考えれば、心中計り知れないものがあった。 「春嶺尼ちゃん、嬉しいよぉ〜っ」 感無量とばかり、春嶺尼が再び智恵理に飛び掛かる。 体に巻き付けていたバスタオルが外れ、無毛のヌードが現れた。 「よしてって。アンタとはそんな気にはなれないんだからっ」 智恵理が強引にキスしようとしてくる尼僧を押しやっていると、ドアがノックされマリー中佐が入ってきた。 「……す、済まぬ……取り込み中であったか」 裸で抱き合う智恵理と春嶺尼を見て、マリー中佐は顔を赤らめた。 「ち、違います、隊長ぉっ。こいつが勝手に……」 弁解しながら、智恵理は自分の失態に気付いた。 春嶺尼は、ここにいてはいけない存在であったのだ。 スキンヘッドの東洋人は、嫌でも中佐の目を引いた。 「ところで、その方は誰じゃ? 基地では見かけぬ顔じゃが」 中佐が訝しげに尋ねた。 「あのっ、そのぉ……前任部隊……アルカトラズ実験小隊時代のぉ……せ、先輩ですっ」 智恵理は苦し紛れを口にしたが、まるっきりウソを言ったわけでもなかった。 春嶺尼は確かに実験小隊の出身であるし、智恵理の先輩に当たるというのも事実である。 「失礼いたしましたっ、中佐殿。私は第8機動歩兵大隊所属の春嶺尼大尉でありますっ」 春嶺尼は直立不動の姿勢を取ると、ペイルウイング式の敬礼を見せた。 「参謀本部に出張中なのですが、本隊に218する前に、一度後輩の顔を見ておこうと押し掛けて参りましたっ」 218とはペイルウイングの略号コードで「帰還する」という意味を持っている。 春嶺尼はそれをさり気なく会話に盛り込むことにより、話に信憑性を持たせようとしたのである。
しかしそんな小細工は最初から必要なかった。 「おぉっ、大尉の戦友ならヒナの戦友も同じじゃ。遠慮は要らぬ、帰隊まではこの隊舎を宿所にするがよい」 中佐は我が友を迎えたように笑顔で答礼した。 智恵理の言うことなら無条件で信用しているという態度が見てとれた。 それを見て、智恵理はかえって心苦しく思った。 「申し訳ありません……これには人の命がかかっているのです」 智恵理は心の中で中佐に詫びていた。 そんな智恵理の心など知らぬように、春嶺尼は飛び上がって喜んだ。 「ところで隊長。何かあたしにご用があったのでは?」 智恵理は話題を変えようと、マリー中佐に来意を尋ねた。 「う、うむ……」 マリー中佐は春嶺尼に目を向け、開きかけた口をつぐんだ。 「遅いから、先輩はもう寝てて。あたしのベッドを使っていいから」 空気を読んだ春嶺尼は気を利かせ、黙って隣室に消えていった。 「……さぁ」 人払いを済ませると、智恵理は中佐を促した。 「第2部長殿から申し出のあった話じゃが……」 マリー中佐は口ごもりながら切り出した。 「親衛隊へ移籍する話……その方はどう思う?」 そう言うマリー中佐の視線は宙を泳いでいた。 中佐にとって、生母のそばに仕えることは魅力的な話であった。 しかし、公務に私情を挟むことに一種のやましさがあったのである。 「そうですねぇ……」 智恵理は曖昧な返事をして黙り込んだ。 マリー中佐の生い立ちを思えば、彼女が実母であるアン王女を慕う気持ちは良く分かる。 だが、親衛隊隷下に入るとなれば色々な制約を受け、戦いの自由度が失われるのは明らかである。 神出鬼没のエイリアンを敵にして、臨機応変な対応が出来なくなるおそれがあった。 やれ規則だのしきたりだの、手続ばかり踏まされていては戦いのイニシアティブを敵に奪われてしまう。 正直なところ、智恵理はこの身売り話には否定的であった。 しかし、中佐の愛くるしい目が不安そうに泳いでいるのを見ていると、真っ向から拒絶することはためらわれた。 「反対意見も出るでしょうが、前向きに検討してみましょう」 智恵理は取りあえず、その場逃れの言葉でお茶を濁した。 途端にマリー中佐の目がパッと輝いた。 智恵理はそれを見て観念した。 やんごとなき中佐の目を、涙に暮れさせることは出来ない。 中佐が喜んでくれるのなら、多少の苦労は自分が引き受けようと決心した。 「それでは頼んだぞ」 中佐はウンウンと頷くと、軽い足取りで部屋を出ていった。 扉が閉まった途端、智恵理は軽はずみな約束をしてしまったと後悔した。
2.5レスで占拠\(^o^)/オワタ 春嶺尼は信用できるのか?追っ手の実力は如何に? 板挟みの智恵理はどう答えるのか? 次回をお楽しみに! ところでディロイが出るときはうんと絶望的にしてほしいなあ あんなのどうすればいいのよ、ぐらいに
新作キテター レイピアGスラストの活躍期待だぜ しかし話が膨らんでいくなぁ。次回も期待してます
最近マリー様が可愛すぎて仕方がない(*´Д`)ハァハァ
エメロード…二次作品でも役立たず…書いて気付いた、75調だわ 礼賛1が通用しないってことはハードかハデストぐらいかな でもゲームの難易度は無視して徐々に敵の強さを上げていってほしい。物語終盤でINFかIMP並の強さになって、レア武器神武器クラスが何とか通用するみたいな やっぱり智恵理がマスレイ、参謀30、ミラージュ15WR、サイブレα辺りを使いこなす姿は見たい。今はまだ下位誘導兵器もまともに使えないような状態だが、いつかきっと…
そう考えると陸男とペリ子は伝説の男レベルの腕前なんだな すげぇ
陸男は伝説の男そのものの可能性が高いと思うが・・・
ゲーム中にそんなセリフ出てこなかったっけ?
伝説の男=数百もの巨大生物をほふり、マザーシップをも撃墜した男。1の陸男 「そんな与太話、信じてるのか?」と言われるぐらいにその存在を認知されてない 通信からして2陸男は1陸男の二年後の姿と考えるのが普通だと思うが… 伝説の男と違って通信でもあまり触れられないペリ子は何者なんだろうな。支援兵器や思念誘導兵器をいとも簡単に使いこなせるあたり、伝説の男より人間離れしてるような気もするんだが
礼賛1で一撃できなくなったなら、後継はSNR-230改辺りだろうか。でも、礼賛Fが開発済みなんだったなそういえば・・・
>>244 でも支援兵器はヘブンズゲート、誘導兵器はサイブレくらいしかあまり使えない気もする。
ひょっとして使いこなせてないのでは・・・
一般の陸戦が礼賛Fなんか使ったら腕が吹っ飛んじまうよ
>>246 そんな表記あったっけ?
礼賛Zの方なら、似たような表記があったが(事実、主人公以外に使用出来る奴が居なくて試作4丁で終わった訳だし)
漏れは礼賛Fは礼賛Zを一般の陸男が使用出来るように、あえて威力を落とした物と解釈してるが
もし、漏れの勘違いだったらスマソ
ライサンダーZeroは最初にインベーダー技術を駆使して作られた初期ロットだろ 人間には使いこなせなくてお蔵入りになり、開発ナンバーは0に戻された ライサンダーFirstがそのディチューン版 一般兵用がライサンダー1 狙撃兵用にスペシャルチューンを施されたのがライサンダー2だったはず
>>248 なるへそ
どちらにせよ、PWS内の陸戦兵にとって各種兵器の後継機種の投入(最低礼賛2かF、贅沢が許されるなら胡瓜)は急務な訳か
>>248 そういうのすげぇ燃えるんだがどこに書いてあった?
FはFinalだと思ってるんだけど AS-100FとかイズナーFFとかプラズマ・グレネードFとかスティングレイMFとか 最終モデルはFで終わるのが多いし でライサンダーのZは特別モデルみたいな
253 :
247 :2007/10/12(金) 23:30:13 ID:N04o0dBP
>>252 色々な解釈があるんだなぁ(一部3の武器が混じっている件は置いといて)
その辺の想像(あるいは妄想)が出来るのも、この作品の魅力の一つなのかも
一応コピペっとく ●武器の命名基準(抜粋) 基本的には武器の名前は「シリーズ名+数字・ローマ字・ギリシア文字」で構成される 数字が大きい程強力である 武器名に付く文字の意味 R:連射力が高い RR:Rより更に連射力が高いが命中精度が悪い D:命中精度・射程・威力に優れているが連射力が悪い DD:Dよりさらに威力に優れている B:弾丸がバウンドする 改:改良型で連射力や威力や命中精度等が向上 カスタム:カスタムタイプで「改」と意味に大差なし SSS:スペシャルモデルもしくは最終強化型で「改」と意味に大差なし F (FANCY):ごく上等な特別仕様品 W(WAY):WまたはWAYに付く数字の数だけ同時発射可能 X(MAX):特殊な最終強化型 Z(ZERO):先行試作されたプロトタイプ
>>255 小さくてよく見えないから、全体像を見せてくれないか。
>>254 それは何がソースなの?攻略本?
俺もZは特殊型でFはFinalだと思ってたよ…0とファンシーだったなんて…
でもそうなるとダイナストZっておかしくないか?α以上Z以下のじゃじゃ馬性能なダイナスト無印は一体なんなんだ?
αはZのデチューンのはずだし…
あとS=Snipe(狙撃)orSpecial(特殊)、L=Length(射程)、C=カスタム=改、08=低速弾道、LIM=Limit(限界)ってのもあるぞ
M30PランチャーについてるMってのはなんなんだろうな
MultiWayのMじゃないの
ああ、なるほど でもなぜかWじゃないんだよな…Mの方が名前の響きがカッコイイからだろうか
そういえばペル子の画像は館の一枚しか持って無いよな
館のはエロいよな
館ってなんぞ
逃げないと踏み潰されるぞー
「で、どうなのよ? そっちの状況は」 自室に運ばれてきた朝食をつつきつつ、智恵理は春嶺尼に問い掛けた。 これは一応、投降者に対して行う尋問である。 しかし智恵理はこの手の仕事が好きではなく、口調は自然とぎこちないものになる。 「そっちって、宇宙教団のこと? アンタたちの言う、えぇ〜っと……エイリアン・ウォーシッパーだっけ?」 テーブルを挟んだ春嶺尼が面倒くさそうに答えた。 正式にゲスト扱いされることになった彼女にも、同じ士官用糧食が配膳されている。 「さすがに焦ってる。頼みの大ムカデは返り討ちに合うわ、マザーシップは沈められるわで、教団のお偉方は大騒ぎだよ」 エイリアン・ウォーシッパーは異星人の先導者として、侵略行為に荷担する人類の裏切り者である。 マザーシップを旗艦とする第一次攻略部隊の壊滅は、彼らにとって重大な責任問題に発展しているらしい。 春嶺尼は、その責任の全てを押し付けられ、死をもって償わされそうになったのだ。 「アンタたち、その……EDFの脱走兵たちはどうなの?」 智恵理は、元EDF隊員でアルカトラズの先輩に当たる能力者たちのことを尋ねた。 「冴えないねぇ。ニッキーとパリスが殺られたかと思うと、今度はルナでしょ。オマケにあたしに逆脱走されるわで……」 春嶺尼は自嘲的に唇を歪めた。 彼女たちEDFの脱走兵は無敵の暗殺部隊として、教団から大いに期待されていた。 地球侵略が成功すれば、それ相応の地位が約束されていた。 それが智恵理1人のために次々に葬り去られ、彼女たちの名誉は地に落ちた。 今ではすっかり冷遇されているらしい。 「特にアスラの奴は怒り狂ってるよ。絶対にアンタを殺すって」 智恵理の顔が暗くなる。 10人いると教えられた能力者の“姉”のうち、既に3人は屠り、目の前の春嶺尼は戦線を離脱した。 残る6人は自分を殺そうと、爪を研いでいるに違いない。 6人のうち、アスラとイングリッドの2人とは既に一戦交えたことがある。 しかし残りの4人は完全に未知の存在であり、EDFのデータバンクにも彼女たちについての資料は残っていない。 彼女たちはどんな能力を持ち、どんな技で襲ってくるのか。 戦う前に是非とも知っておきたいデータであった。
だが、智恵理が本当に聞きたかったのはそんなことではなかった。 アイスバーン少佐がどんな最期を遂げたのか、それを聞いてみたかったのだ。 もう少佐の死を受け入れた筈だったのに、それを確かなものにするのが怖く、どうしても言い出せないでいた。 「ほんと、あったまくる奴ら。顔も思い出したくないよ」 春嶺尼がゲロでも吐き捨てるように言った。 「ごめん」 智恵理は知らないうちに、春嶺尼に不快な思いをさせていたことに気付いた。 敵からすれば春嶺尼は反逆者なのであろうが、彼女にしてみれば裏切られたのは自分だという気持ちがあるのだろう。 敵の詳細について少しでも情報が欲しかったが、今は彼女が落ち着くのを待つことにした。 「あぁ〜あ、お味噌汁飲みたいなぁ」 智恵理の気遣いなど知る由もなく、春嶺尼が食事に不平を述べた。 「それじゃ、あたし出掛けてくるから。絶対にここから出ないでちょうだい」 朝食を食べ終えた智恵理は、春嶺尼に部屋を出ないよう釘を刺した。 今日は午前中にペイルウイング総監部へ出頭し、レイピアGスラストの件で総監に挨拶してこなくてはならない。 下らないことではあるが、それはエースの称号を受けたことへの感謝の表明であり、慣習的に行われている儀式であった。 「それと、パソコンとか触らないでよ。アンタのこと完全に信用した訳じゃないんだから」 ウンウン頷く尼僧の目は、好奇心にキラキラと輝いている。 「見るかなぁ……見るだろうなぁ……」 智恵理は絶対に見られたくない秘密の日記帳を内ポケットにしまい込むと、後ろを振り返りつつ部屋を出ていく。 そして、智恵理がドアノブに鍵を突っ込もうとした時であった。 非常事態の発生を知らせるアラームが宿舎中に響き渡った。 『倫敦上空に敵浮遊都市接近。全隊員はA装備で隊舎前に集合せよ……』 館内放送は3度繰り返して至急報を伝えた。 「大変だっ」 智恵理は再びドアを開き、私室に飛び込んだ。 大慌てでクローゼットからペイルスーツとボディアーマーを引っ張り出す。
「出撃なの? 頑張りなよ」 必死で着替えをしている智恵理をよそに、春嶺尼がのんびりとトイレに入っていく。 その姿を見ていると、智恵理は急に便意を催してきた。 そういえば、今朝はまだ起きてからトイレに行ってなかった。 「こ、こんな時に……ちょっとぉ、春嶺尼ぃ。早く出てっ」 智恵理はトイレのドアをガンガンと叩いた。 お腹がこんな調子では、まともに戦うことは出来ない。 「そんなこと言われたって、今入ったばかりじゃないの」 ドア越しに春嶺尼のくぐもった声が聞こえてくる。 「どうでもいいから……出撃に間に合わなくなっちゃうぅ〜っ」 「どうでもよくないっ。あたし、お腹こわしてんだからぁ〜っ」 互いに切羽詰まった声を出しているうちに限界が訪れる。 「もっ、もうダメェ〜ッ」 智恵理は自室のトイレを諦めて、宿舎の共用トイレを使うことにした。 極端な内股になり、お尻の筋肉を締めて廊下を走っていくと、前からペイルウイングの一団が走ってきた。 第2中隊、旧ラ・シレーヌの面々である。 先頭を走っていたテリーヌ中尉が不自然な走り方で近づいてくる智恵理に気づいた。 智恵理の体調不良を見抜いた中尉は、仲間たちに目配せする。 「大尉殿っ、どちらへ行かれますか?」 「武器庫はあっちであります」 ラ・シレーヌの隊員たちは智恵理の両脇に腕を回すと、拉致するように武器庫へ抱えていく。 「ちょっ……まっ……ひぃぃっ……」 智恵理は手足に力が入らず抵抗できない。 「1中隊、チェリーブロッサム大尉っ。A装備、急げっ」 テリーヌ中尉が武器庫の窓口に向かって怒鳴る。 直ちに愛用のプラズマユニットとサンダーボゥ20、そしてレイピアGスラストが払い出された。 受け取ったユニットを、マドレーヌ少尉とショコラ准尉が智恵理の体に装着していく。 「あ……あぁ……」 ユニットのベルトが不必要なまでに固く締められる。 ベルトが腹に食い込むと、智恵理の便意は更に高まった。 「ひっ、ひぐっ……」 少しでも気を抜くと括約筋が緩み、今にもお漏らししそうになる。 「さぁ、大尉殿。急ぎましょう」 ラ・シレーヌの隊員たちは意識朦朧となった智恵理を抱え、隊舎前へと走り出した。 彼女らが隊舎前に駆けつけた時、既に大隊集合が完了していた。 マリー中佐も指揮台に乗って全員の整列を待っている。 「遅いっ。貴様ら何をしておったか」 第2中隊長ラヴィアンローズ少佐が不機嫌そうに怒鳴った。 智恵理は仕方なく1中隊の列に走り、第2小隊長の位置に着く。
「気を付けぇっ。敬礼っ」 副官の号令で一斉に挙手の敬礼を行う。 中佐は手早く答礼して戦闘指示に入った。 「浮遊都市の予想出現位置はパディントン上空。当大隊は三方から包囲して、これを全力で叩く」 中佐の指示が智恵理の耳に虚ろに響く。 真っ青になった顔には、脂汗がじっとりと滲んでいた。 「どうした大尉。体調が優れぬのか?」 中佐に声を掛けられ、智恵理は必死で首を振る。 大事な一戦を前にして、「ウンチ漏れそう」などとは口が裂けても言えなかったのだ。 「その方は疲れておる。余り無理をするでない」 中佐がいたわりの声を掛け、戦闘指示が終わった。 ※ パディントンに到着すると、既に頭上は実体化した浮遊都市に押さえられていた。 だが、上空を見回しても近衛兵団の姿は見えない。 素早い展開が功を奏し、敵に制空権を奪われずに済んだのである。 「むぅぅ……」 マリー中佐はどうしたものかと首をひねる。 どこから手を付けたものか判断できなかった。 皇帝都市の、余りにも堂々たる威容であった。 中佐は智恵理の助言を得ようと、左後ろを振り返った。 ところが、肝心の智恵理はうつろな目で天を仰いでいる。 体は小刻みに震え、小さなアゴはカクカクと上下に動いていた。 「大尉。どうかしたか……大尉」 マリー中佐は心配になり、智恵理に向かって呼び掛けた。 「えっ? あ、はい……」 智恵理の目に焦点が戻り、中佐に向き直る。 が、すぐさま智恵理の目は再び泳ぎ始める。 それを見て中佐は眉をひそめた。 どうやら智恵理の体調不良は深刻であるらしく、まともに戦えるような状態ではないと中佐は判断した。
「さて、どうしたものか」 中佐は都市の下部に林立した火器群をぐるりと見回す。 今のところ沈黙を守っているが、それらが一旦火を噴けば辺り一面が焼け野原になるのは見えていた。 手持ちの兵器は、あらゆる状況に対処することを想定した標準A装備である。 勿論、長距離レーザーライフルも装備のうちにあるが、大隊全部でも6丁しかない。 こんなことなら、遠距離戦闘に特化したD装備にするべきであったと中佐は後悔する。 そして、再び頼みの智恵理をそっと振り返ってみた。 智恵理は完全に集中力を欠いていた。 猛然と渦を巻く便意が精神の統一を邪魔していたのだ。 「だ……だめ……ひぐぅっ……」 集中力が散漫になり、思考回路は乱れに乱れている。 思念波どころか、通常の思考すらままならない状態にあった。 「やばっ……どこかでおトイレ借りなきゃ……」 いよいよ智恵理の肛門括約筋に限界が訪れた時、浮遊都市に変化があった。 「敵に動きが。何か投下しています」 カフェオレ伍長がレーザーライフルのスコープから目を離して叫んだ。 浮遊都市底面のあちこちから、豆粒のようなものがパラパラと落ちてくるのが肉眼でも見えた。 「新型爆弾っ?」 フォルテシモは逃げ腰になり、アラベスクは中佐を庇うように前に出る。 「いえっ……球状の物体です。既に接地しましたが、爆発は観測していません」 カフェオレの報告を聞き、フォルテシモ少尉はレーダーモニターを確認する。 浮遊都市の直下に赤い光点が20ばかり見えた。 その内の半数ほどが、1中隊のいる緑地へ向かって移動してくるところであった。
「速いっ」 赤点は航空ユニット並みの速度で近づいてくる。 「散開っ……散開しましょう」 智恵理が絶叫を上げた。 一人になって、どこかでこっそり用を足そうと考えたのである。 「敵の戦術は、高速を利したヒットアンドアウェーじゃな。よし、小隊ごとに散開せよ」 中佐は密集隊形で固まっていては、只の一撃で壊滅するおそれがあると判断した。 各員が一斉にユニットを噴かせて左右に散らばる。 「エ、エンジェル……いつもゴメンね」 智恵理はこの時とばかり戦線離脱を図った。 ところがRWのセーラーが背後から食らいついてくる。 「いけませんっ。いつも大尉殿お一人を危険な目にあわせて……今日こそは3番員の任務を全うさせていただきますっ」 未熟なりに真剣なのであろう、セーラーの目が三角になっていた。 「きひぃぃぃ〜っ。こ、今度一緒に戦ってあげるからぁ……エ、エンジェルぅ〜ん」 智恵理はセーラーをエンジェルに任せると、一人緑地の北東方向へと飛んだ。 しばらく飛ぶと、眼下に人工の小川が見えてきた。 先を見ると、おあつらえ向きに木製のアーチ橋が架かっている。 「アレだっ」 智恵理は空中でボディアーマーのクロッチを外すと、そのままの勢いで橋の下へと滑り込んだ。 サポーターを下ろすのももどかしく、しゃがみ込んで膝を抱える。 真っ白なお尻がブルルンと震えた。 「はぁぁぁ〜っ」 深く長い溜息が口から漏れ、表情が恍惚となる。 この時、智恵理はハッキリとエクスタシーを感じていた。 排泄感と共に全身の力が抜けていく。 戦地で、しかも戦闘中に用を足すのがこんなに気持ちイイものだとは知らなかった。 こんなところを敵に襲われれば一巻の終わりである。 また、味方に見られても別の意味でお終いである。 もし誰かに見つかったら、というスリリングな状況が智恵理をゾクゾクさせていた。 自然に右手の中指が股間のスリットにあてがわれ小鼻が膨らむ。 「あぁ〜ん、クセになっちゃう〜ん?」
排泄感が性的興奮に繋がるとは、智恵理は思ってもみなかった。 切羽詰まっていたのが嘘のように、その新しい感覚を楽しむ余裕が出てきた。 「テリーヌたちに感謝しなくちゃいけないのかな? やっぱり」 すっかり落ち着きを取り戻した智恵理に、そんな冗談を考える余裕が生じる。 この時智恵理は、自分が絶体絶命のピンチに陥っているとは、全く気付いてはいなかった。 最初の一撃が襲いかかってきたのは智恵理の左──川上側からであった。 いきなり橋が壊れそうな衝撃が加えられた。 「ヒィヤァァァーッ」 その一撃で我に返った智恵理は、レーダーを確認して慄然となる。 いつの間にか、橋の周囲が敵に取り囲まれていた。 「み、見つかったぁっ?」 驚いた智恵理は、しゃがんだまま左斜め後ろを振り返る。 肩越しに見えたのは、巨大な赤い玉であった。 「ヤバいっ。敵の新型兵器だ」 直径5メートルはあろうか──8枚の湾曲した金属プレートを蛇腹状に組み合わせて作られた巨大な球体であった。 赤い玉はジリジリと動いて橋の下へと侵入を図っている。 しかし、智恵理のいる場所は地面と橋の隙間が狭いため、玉はそれ以上進めずにいた。 まさに天佑、智恵理は偶然にも安全地帯に入っていたのである。 右肩越しに振り返ると、そこにも3機の赤玉が見えた。 「ちょっ、ちょっと待ってなさいよ。今、相手をしてあげるから」 敵に包囲されて用を足すのは、まさに異様な感覚であった。 如何に相手がロボット兵器とは言え、トイレシーンを見られるのは生まれて初めての経験である。 「あたしって、絶対にドMなんだろうなぁ」 智恵理は異常に興奮している自分を、我ながら情けなく思った。 ようやくスッキリした智恵理はユニットのボックスから医療キットを取り出し、滅菌ガーゼを使って後始末をする。 「よぉ〜っし。それじゃ、イクよ」 智恵理は敵が直近にいることを奇貨として、その場でレイピアGスラストを全開にした。 ガンガンと打撃音が連続し、火花が激しく上がる。 最新型レイピアは敵の新型ロボット兵器の装甲も容易く貫いた。 硬い外殻を削ったエメラルドの刃が、玉の内部に侵入する。 その途端、脆弱な内部構造がいきなり大爆発を起こした。 「キャァァァーッ」 爆圧が智恵理の体を橋の下から吹っ飛ばした。 外殻が強度を保ったまま内部が炸裂したため、爆弾のような作用を見せたのである。 失神した智恵理は頭から小川の中に突っ込んでいった。
新作乙です! ゲームよろしく橋の下戦法を使うとは… というか智恵理が変態すぎるwwww
新作キテター ドMっぷりに磨きがかかってきてる…w
何とハラハラする展開 それにしても文章になるとギリオかわいい
保守
保守しまっす
EDF! EDF!
死守します。
保守
「くっ……くぅぅ……」 小川の冷たさが、智恵理の意識を短時間で回復させた。 ペイルスーツの前面がボロボロになり、黒いボディアーマーが所々露出している。 もの凄い爆発であった。 ヘルメットがなかったら、鼓膜はやぶれてしまっていたであろう。 何が起こったのかよく把握できないうちに、敵の攻撃が始まった。 想像を絶する猛スピードで、赤玉が正面から突っ込んでくる。 「ひっ……」 岸へ上がりかけていた智恵理が身をすくめ、再び冷たい水の中に転落した。 起き上がる暇も与えられず、川面を切り裂いて新手が迫ってくる。 「くっ……」 それを身をよじって辛うじてかわす。 狙いを外した赤玉が、速度を落として方向転換に入った。 「そこぉっ」 智恵理のサンダーボゥ20が火を噴き、装甲に激しい火花が散る。 だが、堅牢な鎧を貫くことは出来ず、赤玉は悠々と射程外へと逃げてしまった。 智恵理は一瞬出来た隙を利用して、橋へ向かって駆け出す。 先ほどの橋の下に戻ることが出来れば勝機はあった。 しかし何歩も進まないうちに、堤防の向こうから新手が接近してきた。 恐るべきスピードで堤防に乗り上げた赤玉が、そのままの勢いで宙に飛び出す。 「ひぃぃっ」 思わずしゃがみ込んだ智恵理の頭上を空飛ぶ玉が駆け抜けていった。 超高速回転が発する衝撃波が、唸りとなって智恵理の耳を突く。 「アレに当たったら死んでた……」 呆然とする智恵理の背後から、次の赤玉が突っ込んでくる。 咄嗟に身を捻るがわずかに遅れ、智恵理の体が宙を舞う。 水柱を上げて、智恵理の体が川面に叩き付けられた。 「む……むぐぅぅ……」 半ば失神した智恵理が、闘争本能だけを頼りに立ち上がる。 飛ばされた先が、丁度橋の手前であったことが智恵理の命を救った。 ほとんど無意識のまま橋の下に転がり込んで難を逃れる。
ガリガリという不愉快な騒音が、智恵理を我に返らせる。 「はっ……」 気がつくと、数機の赤玉がボディを回転させ、橋の下へ潜り込もうとしていた。 しかし橋は攻撃に耐え、赤玉の体当たりにも屈しない。 橋の所々で木目のシールが剥がれ、下地の金属が地肌をのぞかせていた。 木造と見えたアーチ橋は、その実、特殊合金で出来ていたのだ。 「東京の下町にあったアーケードと同じだ……」 智恵理は、いつか雨の下町で見た防空アーケードのことを思い出す。 その強度はソラスの火炎攻撃さえ凌ぐと、偶然会ったシスターが教えてくれた。 さしもの赤玉も、この特殊合金には歯が立たないらしかった。 「よぉ〜し。こいつをお見舞いしてやる」 智恵理はサンダーボゥ20を腰だめにして、1発2発と連射する。 その程度では重装甲は貫けなかったが、稲妻の衝撃が赤玉を後方に押し返した。 30メートルの間合いを取ったと確認するや、智恵理はレイピアGスラストに持ち替える。 「これでも喰らえっ」 再接近しようとした赤玉に、エメラルドの刃がカウンターで炸裂する。 ガリガリと金属が削れる音がしたかと思うと、赤玉がいとも簡単に大爆発を起こして四散した。 レイピアGスラストの恐ろしいまでの威力であった。 今度は充分な間合いを取っていたため、智恵理は爆風を浴びずに済んだ。 コツさえ掴めば赤玉の処理は簡単であった。 安全地帯に潜み、レイピアの射程ギリギリで攻撃すれば一方的に叩けるのだ。 橋の周囲にたむろっていた5機を続けざまに破壊する。 射程外をウロウロしている連中には、サンダーボゥの連射をご馳走する。 たちまち全ての赤玉が掃討された。 智恵理がホッと肩を下ろすのと同時に、大気が歪む感覚がした。 浮遊都市が現場を離脱していったのである。 途端に頭の上を押さえつけていた重圧が薄れていく。 「……奴ら、新兵器のテストでもしてたっていうの?」 智恵理は安堵と悔しさが入り混じった複雑な表情になる。 だが、智恵理は直ぐに気持ちを切り替えた。 ともかく、今はパディントンの街を敵から守らなければならない。 市街地ではまだ多数の赤玉が暴れ回っているのだ。 「みんなを助けに行かなくっちゃ」 智恵理は橋の下から這い出ると、市街地に向かって飛翔した。
真っ直ぐに北へと上がると、そこは1中隊の受け持ちエリアであった。 川べりの民家を飛び越えると、オフィス街が広がっている。 そこで仲間を捜していると、いきなり背後から赤玉が襲いかかってきた。 「うわぁっ」 思念波が敵を捉えるのと、赤い砲丸が飛び込んでくるのが同時であった。 敵はギリギリで身を沈めた智恵理のヘルメットを掠めていった。 「速いっ」 恐るべき速度と重量であった。 軽く掠っただけで、智恵理は軽い脳震盪を起こしていた。 智恵理は、自分が迂闊にも敵の十字砲火の中心に誘い込まれたことを知った。 安全地帯に戻ろうと考えるより早く、敵の新手が横合いから襲いかかってくる。 「うっ……」 咄嗟にブーストを掛けて前方に逃れる。 ブーンという回転音を残して赤玉が遠ざかっていく。 「くぅっ……待てぇっ……あうっ」 息つく間もなく、平屋の向こうから別の1機が飛び込んでくる。 ギリギリで避けるのがやっとであった。 思念波で捉え、かつ、目にも見えているというのに反撃できない。 敵の動きは人間の反応速度を上回っているのである。 智恵理の反射神経をもってしても、銃口で追い切れなかった。 「ビルの上からなら……」 智恵理は敵のジャンプ高度を見極め、5階建てのビルなら届かないと判断する。 隙を見つけ、ユニットを噴かせて飛び上がる。 しかし智恵理の目論見は見事に外れた。 飛び上がって直ぐの、まだ速度が乗っていない智恵理に向かって、敵が一斉に襲いかかってきたのである。 「うわぁぁぁっ」 死角から飛び掛かってきた赤玉が、横殴りの一撃を食らわせた。 身を捻って逃れようとした智恵理だったが、一瞬遅かった。 超高速回転が生み出す衝撃波が、智恵理の体を大きく吹き飛ばした。 半ば意識を失った智恵理が、受け身も取れずにアスファルトに叩き付けられる。 「むっ……むむぅっ……」 智恵理は白目を剥いて全身を痙攣させ、それでも闘争本能だけで立ち上がろうと身悶える。 4個の赤玉がゴロゴロと近づいてきて、地面に横たわる智恵理を取り囲む。 「ま……まずい……う、動けない……」 このまま轢かれれば、内臓が破裂してしまう。 だが逃げようにも、激しい脳震盪のために指一本動かせなかった。
絶体絶命の智恵理を救ったのは、突然降りそそいだ強烈なビームであった。 一撃を食らった赤玉は、ビリヤードそのままにぶつかり合って大きくブレイクする。 「………?」 智恵理は何事かと、目だけを動かして四方を探る。 目より先に思念波が救世主の存在を捉えた。 もの凄い波動がビンビンと伝わってくる。 「誰っ? マーヤ中尉なの」 爪先の向こう側に一人のペイルウイングが立っていた。 手にしているのは見知らぬ形の銃である。 一見、アサルトライフルのようにも見える。 2人の間に赤玉が割り込んできた。 転がっていた赤玉が、突然身を開いて形を変える。 回転が収まり、敵はその場に急停止した。 「なに? このダンゴムシ」 智恵理が叫んだとおり、それは防御姿勢を解いたダンゴムシそのものであった。 「ローラーロボット、ギリオ。皇帝陛下からの贈り物だよ」 乱入してきたペイルウイングが、バイザーを跳ね上げてウインクした。 救世主の正体は、部屋に残してきた春嶺尼であった。 ちゃっかり智恵理のペイルスーツを着込み、背中にはPEユニットを装着している。 襟元に輝く階級章は、もちろん大尉のものである。 「ア、アンタ……隠れてろって……」 智恵理が声を震わせて非難した。 「ゴメンね。なんか嫌な予感がして、追っかけて来ちゃった」 春嶺尼がペロリと舌を出して肩をすくめた。 「危なくなったら加勢しようと、隠れて見てたんだ」 それを聞いて智恵理が青ざめる。 「えぇっ……アンタ、いつから見てたのよ?」 問われた春嶺尼は噴き出しそうになり、とぼけた口調で答えた。 「智恵理ちゃんが橋の下でイイコトしてた辺りだったかな」 智恵理の顔が、今度は真っ赤に染まった。 用を足しながらオナっていたところを、春嶺尼に見られたのは確実であった。
「そこでゆっくり寝てなよ。奴らは春嶺尼ちゃんがまとめて面倒見てやるから」 春嶺尼はウインクすると、ユニットを噴かして飛び上がった。 「それじゃあ、いきますか」 春嶺尼はアサルトライフル型の武器を肩付けし、ろくろく狙いも定めずにトリガーを引き絞る。 その刹那、目も眩みそうな赤紫の閃光がパルス状にほとばしった。 智恵理は目を細めてバイザーとゴーグルを下ろす。 針のように細い閃光がギリオの装甲に突き刺さり、プスプスと小さな穴を穿っていく。 表面上、全く無傷に見えたギリオだったが、内部からの圧力に耐えきれず木っ端微塵に吹き飛ぶ。 「ライトニング01の威力を見たかっての」 春嶺尼が愛銃を天にかざして見得を切る。 それはプラズマ技術の本家本元が開発した、光学兵器の最新型であった。 EDFの保有する既存の兵器には見られない、しいて言えば電撃銃と粒子砲のハイブリッドである。 まだ爆煙の消え去らぬうち、春嶺尼の背後から弾丸ギリオが突っ込んでくる。 春嶺尼は振り返りもせず、ヘッドスリップでそれを避ける。 続いて横合いから、そして頭上から、次々にギリオの攻撃が襲いかかる。 春嶺尼はわずかにブーストを使い、必要最小限度のステップワークでその全てを捌ききる。 それは回避と同時に反撃を考えていた智恵理とは違い、決して色気を見せない、逃げに徹した動きであった。 それ故、春嶺尼はギリオの連続ヒットアンドアウェイに巻き込まれることなく、ゆとりをもって全てを回避できた。 焦れたギリオは一撃離脱戦法から格闘戦に移行する。 それまでのギリオは、攻撃が当たろうが当たるまいが、突入の速度を保ったまま脇目も振らずに安全圏へ離脱していた。 だが今や、地上に落ちると機体を荒々しく空転させ、急速反転で再突撃を試みるようになってきた。 そこに大きな隙が生じる。 「チャ〜ンス」 砂煙を上げてバックスピンに入ったギリオに向け、春嶺尼がライトニング01をぶっ放す。 プラズマの針が嵐となって、ギリオの装甲をズタズタに切り裂く。 大音響と共に鉄団子が吹き飛び、爆発に巻き込まれたビルが倒壊した。 一瞬、停止したギリオの集団に向かって、上空から稲妻が降りそそぐ。 智恵理のサンダーボゥ20である。 彼女は春嶺尼が戦っている最中、隙を見てビルの屋上に移動していたのであった。 ギリオのジャンプでも届かない高みから、智恵理は撃って撃って撃ちまくる。 向かいのビルに春嶺尼が飛び上がり、ライトニング01で攻撃参加する。
2人のユニットがキンキン鳴き始めたころ、全てのギリオが滅びていた。 「やるね、智恵理ちゃん」 「そっちこそ」 智恵理と春嶺尼が互いの健闘をたたえ、白い歯を見せ合う。 そこにようやくマリー中隊が戻ってきた。 「おぉっ、見ておったぞ。その方、流石は大尉の先輩じゃ」 マリー中佐は春嶺尼を天晴れと褒めちぎる。 結局、中佐たちは逃げるのが精一杯で、1機のギリオも墜とせなかった。 智恵理と春嶺尼が大半の敵を引き受ける中、マーヤ大尉が2機、ラ・シレーヌが共同で3機を撃破したにとどまった。 エクレール30の電磁網も、ギリオの超高速アタックを止めることはできなかった。 偶然、民家の隙間に引っ掛かったギリオを、バトルラムのゼロ距離射撃で吹っ飛ばすのがやっとであったのだ。 この日、大隊の被った損害は戦死2名、負傷8名。 敵新兵器の威力を考えると、これだけで済んだのは奇跡に近かった。 「それにしても恐るべき新兵器です。あたしも危うくやられかけました」 智恵理はギリオの残骸に目をやって身震いする。 春嶺尼がカットインしていなかったら、パディントンは智恵理の墓所になっていたかも知れない。 近衛兵団といい、今度のギリオといい、敵は侮りがたい新兵器を続々と投入してきている。 幸い、今回は勝利を得ることが出来たが、この次も上手くいく保証は何処にもなかった。 ともかく、浮遊都市を追い払ったペガサス隊は、リージェンツ・パークへ帰還することにした。 当然ながら、皆の足取りは意気揚々とはいかなかった。 ※ 途中、ペイルウイング総監部に出頭するため、智恵理は皆と別れて1人ウェスト・ミンスターへと向かった。 総監代理にレイピアGスラスト受領の礼を述べ、型どおりの激励を貰うと、用件は1分で片づく。 そうなると参謀本部には、一小隊指揮官である智恵理のいるべき場所はなかった。 士官とはいえ下っ端大尉の彼女など、ここではその他大勢に過ぎない。 すれ違う佐官級の女性将校たちは、見知らぬ智恵理の襟元を確認して優越感タップリの笑みを浮かべる。 ある者は嫌味にクスクス笑い、またある者はあからさまな蔑みの視線を送ってくる。 「なんだよっ。これでも、こっちは遠慮して大尉をやってんだからねっ」
実はマザーシップを撃墜した折り、智恵理は戦功抜群として2階級特進で少佐への昇進を申し渡されたのだ。 しかし、即日退役願いを出す心積もりをしていた彼女はそれを固辞した。 大尉に任官したのは、除隊に伴ういわゆるポツダム昇進である。 きっちりご褒美を頂いていたら、ポツダム昇進分を併せて中佐になっていてもおかしくなかった。 今更そんなことを考えてみても仕方がないので、鬱陶しい視線は完全に無視することにする。 「綾さん、こんな化け物屋敷で仕事してんのか。これは近衛とやり合うよりきついや」 智恵理はふと、同期の出世頭が参謀本部で勤務していることを思い出した。 折角だから作戦1課を訪れて、補佐官の一条綾に会ってみようかと考える。 しかし、自分が作戦部の参事官を敵に回してしまったことを思い出し、それを断念した。 自分と同期生だということが知られたら、綾にどんな迷惑が掛かるか分かったものではない。 やむを得ず帰隊しようと廊下を歩いていると、前方から高官の一行がやって来た。 「やばっ」 階級章の金地の面積からすると、かなりの上層部に所属する一団に見えた。 一大尉の、それも士官学校も出ていない智恵理は、廊下の壁にヤモリのように張り付くしかなかった。 一行をやり過ごそうと黙礼していると、不意に声を掛けられた。 「チェリーブロッサム……大尉……で、よかったかな?」 聞き覚えのあるアルトに智恵理が顔を上げると、ブルーの目がイタズラっぽく笑っていた。 「ア、アン王女っ?……いえっ、参謀総長っ」 智恵理は身を硬直させて最敬礼に切り替える。 王女の唇を知る両頬が、リンゴのように赤く染まった。 「その様子だと、どうやら完全に復活したようだな? 元気そうでなによりだ」 智恵理は最高司令官に直接声を掛けられる栄誉に浴し、身も心もカチンコチンに緊張した。 何より、参謀総長という雲上人が、前線の戦士に過ぎない自分を記憶していることに驚いた。
「で……どうだ、アレは? なかなかの拾いものだったろう」 腕組みしたアン王女がニヤニヤと笑いかけてくる。 最初、智恵理は意味を解せなかったが、直ぐにマリー中佐のことを言っているのだと気付く。 「はっ、最近メキメキと腕を上げられて。まるで生まれついてのペイルウイングのようです」 智恵理は直立不動のまま答えた。 「そうだろう。なにしろ、アレは馬術と鹿撃ちには才能があると聞くからな」 嬉しそうに応じる王女の顔は、只の親バカの表情になっている。 智恵理はそれを聞き、マリー中佐が初陣で見せた抜群の射撃センスに得心がいった。 道理で狩りが上手いはずである。 「アレはお前に預けた。早く一人前にしてやってくれ」 王女はそれだけ言うと、将官クラスの取り巻きに急かされ、その場を立ち去っていった。 智恵理は最敬礼でそれを見送る。 「ふぅ〜っ」 溜息をついて智恵理が身を起こす。 ふと気付くと、周囲の雰囲気が大きく変わっていた。 先程まで蔑みの色を浮かべていた女性将校たちの目が、今は戸惑いと羨望に溢れていた。 自分たちには近づくことさえ叶わない最高司令官が、見下していたチビの東洋人大尉に親しげに話し掛けたのである。 いったい何者なのかと戸惑うのも無理はなかった。 そのうち「チェリーブロッサム」とか「CB」とかいう囁き声が漏れ聞こえてくる。 いけ好かないブロンドどもが足早に立ち去るのを見て、智恵理はようやく溜飲を下げた。 「疲れちゃったよ。早く基地に帰ろう……」 気が付けば、戦いとは縁のない無意味な疲労感が、ずっしりと肩にのし掛かってきていた。
新作キテター。毎度ながらGJ 春嶺尼はこれからも活躍しそうな感じがしてきたね 綾の再登場にちょっと期待しちまったぜw
鉄球クリアー ギリオが強敵とは意外。やはり現実にはダウン中無敵だったりギリオの攻撃力が低かったりはしないのね あとライトニングはやはりイズナーのことでいいのかな
EDF2のパケ裏、8枚の写真のうち右下と左下の写真に注目してみよう どうやらかつてのEDFはインベーダーの兵器をそのまま運用していたらしいな。それとも写真のペイルがエイリアン・ウォーシッパーなのか? 何はともあれ今回もGJ! 近衛に続いてダンゴまでこんなだったら…ホントに、ディロイはどうなっちまうんだ…
上の方で谷間の影のイメージ画像が貼ってあったが 峰の亀裂の画像はないのか。峰を恥丘、亀裂をワレメとみなしたくぁwせdrfg
幻のライトニング01がこんなところに ストUのヨガブラストと並ぶ幻の武器だなw
ライトニング01って没ネタなのか? 詳細kwsk。
>>290 が言う通り、パッケージの裏でペリ子が使っている武器
ペリ子用なのに何故かアサルトライフル系の表示がされているのが特徴
開発段階の映像と思われるが、2ちゃんの本スレでも数々の憶測をよんだ
ところでダルシムのヨガブラストは後年のゲームで強引に実現されてるぞw
ASの絵なんだしやっぱりイズナの原型なのかな? 始めはAS系の雷撃兵器としてライトニング01ってのがあったけど、名前にひねりが無いからイズナっていう名前に変えたとか 単に開発段階では雷撃自体がASグラだったのかもしれんが、 公式サイトとかタイトル画面放置で見れるデモムービーでもイズナ系の武器が使われてるし、それがライトニング01の可能性は高いと思う あとレイピアー01ってのもあるよな
>>294 そうだったのか。dクス。
あとでパケ裏見てみよう。
いやぁ懐かしい・・・ハードから入った俺も最初ギリオと戦った時 あのスピードと戦法に翻弄されて「こんなの勝てっか」っておもたよw 慣れてくるとそれほど怖くはなくなったが それを考えると割りとリアルな話かもね ところでレイピアー01は初めて聞いた 詳細希望
ライトニング01と一緒だよ。パケ裏のペイルが持ってる 見た目はただの初期レイピアだけど…開発段階では01なんて洒落たナンバーがついてたってことかな?
来るかなインベーダーより怖い敵が
>>299 そうだな。
俺は今、甘い饅頭が怖いよ。
ここらで一杯、お茶が怖い
302 :
名無しさん@ピンキー :2007/11/19(月) 15:42:56 ID:g8GZqDWu
保守あげ
来たらいやだ
やべ、いよいよだな
どうなることやら
来そうで来ない焦らしプレイ
勘弁してくれ焦らしプレイ
※ リージェンツ・パークに戻った智恵理は、真っ直ぐに自室のある宿舎へと向かった。 その途中、階段脇にある談話室で、若手に取り囲まれた春嶺尼の姿を目にする。 離れて見物していると、春嶺尼は大げさな身振り手振りで何やらレクチャーをしているようであった。 適当にホラを吹いているのであろうが、聞いている若い隊員たちは真剣そのものである。 なにしろ、そのスキンヘッドが凄腕であることは、実際に自分の目で確認しているのだ。 ただ、智恵理の後輩である光だけは、面白くなさそうにそっぽを向いている。 春嶺尼が自分の知らない智恵理の一面を知っていることに、ジェラシーを感じているのであろう。 「だからね、ダンゴムシがブッ飛びモードに入ってる時は、無理に攻撃しなくていい訳よ。分かる?」 談話室のドアを開くと、春嶺尼の声が聞こえてきた。 どうやら、敵の新兵器ギリオの攻略法を伝授しているらしい。 マリー中佐までもが真剣な顔でメモを取り、目を輝かせてウンウン頷いている。 「敵の体当たりは必ず直線攻撃だから、そんなのはヒラリとかわして格闘戦に持ち込むの」 そんな芸当が、誰にでもできるのなら苦労はしない。 並のペリ子なら、あの回転アタックに反応できずに、一撃で礫死体になるのは火を見るよりも明らかだ。 まともに相手をしようと思ったら、対近衛戦と同様に安全地帯に逃げ込んでのアウトレンジ攻撃しかないだろう。 ドアの開く気配を感じ、振り返った皆が智恵理の存在に気付く。 「おぉ大尉、帰ったか。今、その方の先輩殿から、ダンゴムシの倒し方を教わっておったのじゃ」 マリー中佐は目をキラキラさせている。 「おかえり、智恵理ちゃん」 手を振って笑いかけてくる春嶺尼の姿は、生え抜きのペガサス隊員のようである。 「済まぬが、若い者に稽古をつけてやってくれぬか。いや、その方が倫敦を離れる日まででよいのじゃが」 春嶺尼を見詰めるマリー中佐の視線が、あからさまに粘性を帯びている。 中佐が先輩殿をスカウトしたがっていることは、誰の目にも明らかであった。
「エヘンッ、エヘンッ。ちょっと先輩……約束のアレ……今、お願い出来るかな?」 智恵理は激しく咳払いして会話に割り込んだ。 中佐が春嶺尼を登用しようと、第8機動歩兵大隊の司令部に連絡でも入れようものなら、全てのウソが露見してしまう。 そもそも8機に春嶺尼などという名のペイルウイング大尉は存在しないのである。 「ん? 約束って……」 そんな智恵理の心配などよそに、春嶺尼はすっとぼけた顔で返事をする。 「いいからっ、こっち来なさい……オホホホ、中佐。先輩と込み入った話がありますので、ちょっと失礼します」 智恵理は春嶺尼の耳朶を引っ張って談話室から連れ出す。 「いたっ……やだっ、ちょっと痛いって」 呆気に取られる隊員たちを尻目に、智恵理は春嶺尼を強引に自室へと引きずり込んだ。 「ちょっとぉ、アンタどういうつもりなのっ。敵の裏切り者のクセに、あんまり調子に乗らないでっ」 ドアを閉じると、智恵理はもの凄い剣幕で怒鳴りつけた。 参謀本部に事実が知れたら、自分だけではなく中佐までもがスパイ容疑に問われかねない。 春嶺尼は本来なら人目に触れることすら許されない存在であった。 「敵の裏切り者だなんて……そんな風に思われてるんだ……春嶺尼ちゃん、悲しいよぉ〜っ」 「うそ泣きしたってダメッ。甘く見られたもんだわ。そんなお芝居が通用するとでも思ってるの?」 智恵理は腰に手を当てて傲然と胸を反らす。 「うぇ〜ん。今日だって智恵理ちゃんの危ないところ助けてあげたのにぃ〜」 ソコを突かれると耳が痛かった。 確かにあの時、春嶺尼がカットインしていなかったら、智恵理は今ここに立っていられなかったであろう。 俄に昨日までの敵を信じてしまうのは危険であったが、借りは借りであった。 「春嶺尼ちゃん、なんかお礼が欲しい気分なの」 春嶺尼は媚びのこもった流し目を智恵理に向ける。 「な、なによ……そんな目で見ても何にも出ないわよ。だいたい、助けてって頼んだ訳じゃないし」 智恵理は目を逸らせて口をへの字に結ぶ。 「別になんかちょうだいって言ってんじゃないよ」 春嶺尼は智恵理の視線の先に回り込み、グッと顔を近づける。 「それにぃ……あたしの欲しいモノは、智恵理ちゃんも今欲しがっているモノ……」 春嶺尼はそう言って悩ましく溜息をつく。
内心を見透かされ、智恵理は思わずドキリとした。 先ほど生命の危機に晒されたばかりであり、まだ脳の興奮が収まりきっていなかった。 それに、オナりまくった下半身には甘い疼きが中途半端に残っていた。 この時、智恵理は激しく乱れたいエッチな気分になっていたのである。 「ねねねっ、智恵理ちゃんもガツンとイッちゃいたい気分なんでしょ?」 春嶺尼は智恵理の首に腕を回すと、耳元に熱い吐息を吹き掛けてきた。 「今日、ギリオに殺されかかったのは誰?」 春嶺尼が内緒話をするように智恵理の耳元に囁く。 「……あ、あたし」 それは事実であり、不本意ながらも認めるしかなかった。 「そこをあたしに救って貰ったのは誰?」 「……それもあたし」 智恵理はムスッとした顔で右手を上げる。 「ウンチしながらオナってたのを黙って欲しいのは誰?」 「……やっぱり……あたし」 智恵理は観念して両手を上げた。 「と言う訳で、いったっだっきまぁ〜す」 春嶺尼は智恵理に飛び付くと、そのままもつれ合ってベッドに倒れ込んだ。 いきなり濃厚なキスが襲いかかってくる。 「む……むむ……ん……」 長い舌が智恵理の口腔内に差し込まれる。 舌と舌が軟体動物のように絡み合う。 それだけで智恵理の意識は早くも朦朧とし始めた。 春嶺尼の舌が首筋へと移動していくが、直ぐにスタンドカラーに行き当たる。 熱い軟体動物は、柔肌を求めて首筋から肩口へと這っていった。 そして汗ばんだ腋の下に辿り着く。 「あ……あん……」 敏感な粘膜質の肌を舐められて、智恵理が鼻声を出してしまう。 「あ、あたしのソコ……匂いキツくない?」 智恵理は以前から自分で気にしていることを尋ねてみた。 「……でも嫌いじゃない……割りと好きかも」 春嶺尼はワザとクンクン鼻を鳴らして智恵理を辱める。 同時にスーツ越しに胸の膨らみを揉まれていると、智恵理はいよいよ我慢できなくなってくる。
手早く全裸になった2人は、体を密着させて再びねちっこいペッティングに入る。 乳首と乳首をグリグリ押し付け合っていると、直ぐに固く尖ってくる。 春嶺尼が智恵理の上でターンし、シックスティナインの体位を取る。 智恵理の目の前で無毛の秘裂が満開になっていた。 躊躇することなく舌を差し入れると、春嶺尼の体がビクンと反応する。 「あん……いきなりぃ?」 春嶺尼が眉をひそめて切なそうな表情になる。 丹念に舐め回していると直ぐに溢れかえり、ピチャピチャと嫌らしい音を立てるようになってくる。 「あぁ……いやらしい……いやらしいわぁ……」 その反応の良さに嬉しくなった智恵理は、更に奥を責めたてる。 春嶺尼も負けてはいられず、智恵理の泣き所を探り当てる。 ヒクヒクと収縮しているアヌスに唇を寄せて思いっきり吸引する。 「ひぃやぁっ」 新しい感覚が智恵理に歓喜の声を上げさせた。 「ここ、智恵理ちゃんの弱点なんでしょ? 教団の人間なら誰でも知ってるよ」 春嶺尼が悪びれずにとんでもないことを口にする。 「……ルナの奴だ」 ルナがもたらした情報なのか、自分の性癖が敵方で大々的に宣伝されていると知り、智恵理の羞恥心は最高潮に達する。 まだ何もされていない秘裂の奥から、熱いモノがドッと溢れてきた。 「噂どおり随分と敏感なんだね。これだったら、ちょっと太いウンチするだけでイッちゃうんじゃない?」 春嶺尼は言葉で責めながら、指を二本肛門に潜らせる。 「いぎぃっ?」 すっかり待ちぼうけを喰らっていたアヌスは、指を離すまいとグイグイと締め付けてくる。 春嶺尼は締め付けに逆らい、指を前後に動かせていく。 「ひぃぃっ、すごい……春嶺尼の指、すっごく感じる……ひぃっ、ひぃぃぃっ」 たちまち智恵理はクライマックスに登り詰める。 そしてまさに達しようとした、春嶺尼の指がスポンと抜かれた。 「ひっ?……い、いやぁぁぁ〜っ」 イク寸前に快感の供給を止められ、智恵理は相手の指を求めて腰を浮かす。 「智恵理ちゃん、イかせて欲しいの? じゃあ、ちゃんとお願いして」 春嶺尼が意地悪く焦らせる。 「イかせてっ……智恵理をアヌスでイかせてぇっ」 ご要望に応え、春嶺尼が指でアヌスを深々と抉る。 「あひぃぃぃっ」
智恵理が白目を剥いてのけ反った瞬間、春嶺尼は信じられないものを見た。 肛門が熱くなったと思ったら、いきなり会陰部のムーラーダーラ・チャクラが開いたのである。 「ひっ?」 驚く尼僧の目の前で、丹田のスヴァーディシュターナ・チャクラから眉間のアジュニャー・チャクラまでが一気に開いた。 「こんなのって……悪魔の姉妹やアスラが勝てないわけだよ……」 春嶺尼はついつい両手を合わせて拝んでしまう。 「しゅ、春嶺尼ぃ……早くっ……早くイかせてぇ」 またもおあずけを喰らった智恵理は、激しく尻を振って続きをせがむ。 既に半狂乱になっていた。 それから数時間後、精も根も尽き果てた2人は抱き合って毛布にくるまっていた。 「うそ……智恵理ちゃんが能力に目覚めたのってEDFに入ってからなの?」 その事実を知らされ、春嶺尼はまたも驚いた。 これだけの才能の持ち主が、WG設立委員会の張り巡らせたスカウト網に引っ掛からずに残っていたのだ。 「アンタはどうだったの? なんでEDFに?」 智恵理はふと湧いた疑問を口にした。 「あたしはね、小学校に上がる前から、自分に与えられた力に気付いていたよ……」 春嶺尼は天才霊媒少女としてもて囃され、やがてインチキ霊能者として世間から抹殺された半生を語った。 そして山奥の尼寺に監禁されていたところを、鷲のような目をしたアングロサクソン系の中年男に救い出されたことを。 「人はね……自分が持ってない力、自分に理解出来ない力を他人が持つことを決して許さないの……そう、絶対にね」 春嶺尼は悪寒に身を震わせ、憎悪の表情を見せた。 「でも人類の中にも智恵理ちゃんみたいな人もいるって、よく分かったよ」 春嶺尼は表情を緩めると、智恵理の体をギュッと抱きしめる。 そして無言の智恵理にキスすると、再び熱い戦いを再開させた。
新作キテター!GJ!! 今回はエロに撤したな あと「〜〜チャクラ」ってのにいつも吹くんだがww
新作キテター 両手を合わせて拝むフイタw 次回も楽しみにしてます
ヒナたんのエロ画像キボンヌ
317 :
名無しさん@ピンキー :2007/12/09(日) 01:16:05 ID:zPMdzKvZ
智恵理のアソコにスキンヘッド投入まだ〜
318 :
名無しさん@ピンキー :2007/12/10(月) 17:13:40 ID:JNWHqfOF
スカルファック保守
バカスwwww
ワロwww
322 :
名無しさん@ピンキー :2007/12/13(木) 11:32:58 ID:R2S1T2Z+
ビーチク勃起したでホンマ
保守
そして保守
※ 「1分隊は突出しすぎだ。2分隊、側面から牽制の準備を」 アルカトラズ実験小隊を率いるヴィナス中尉は、無線マイクに向かって怒鳴り声を上げた。 サンフランシスコを襲った敵部隊は小規模であったが、主力をなす巨大甲殻虫は強敵であった。 ましてや今回の出撃には一つの制約があった。 司令部曰く「実戦は特別分隊に任せ、実験小隊は支援に回れ」というのである。 「肝心の特別分隊とやらは何処に行ったんだ。奴らのための出撃だろうに」 ヴィナス中尉がサタンローズ軍曹に向かって怒鳴る。 褐色の美貌が不機嫌そうに歪んでいた。 こういう時の中尉には逆らわないほうがいい。 軍曹は無線機に向かって呼出符号を連呼する。 「ヴィナス隊長から特別分隊。特別分隊、何処にありや」 軍曹が呼び掛けること十数回、ようやく気怠そうな返事が返ってきた。 『何遍も喚かなくったって、ちゃんと聞こえているよ』 返答になっていないレスがあり、ザァーという雑音を残してプツンと途切れる。 「ふざけるなぁ。奴らはどこにいる」 ヴィナス中尉の顔から血の気が引いていた。 直ぐさまレディオガールが電波探知を始め、先程入ったレスポンスの発信源を探る。 「判明しました。我らの直上です」 その声に、ヴィナス隊の全員が天を仰ぎ見た。 右手にそびえる8階建てのマンション、その屋上に彼女たちは居た。 真新しいスーツとヘルメットに身を固め、だらしなく鉄柵にもたれ掛かった2個分隊のペイルウイング。 彼女らこそが、この騒動を鎮圧するために試験投入された特別分隊であった。 「貴様らぁ、そんなところで何をやっとるかぁっ。司令部からの殲滅命令は受け取ったろうが」 黒人中尉が感情を抑えきれずに爆発した。 「まずは、そちらのお手並み拝見と思いまして」 一団のリーダーとおぼしき金髪女がニッコリと微笑んだ。 表情だけ見れば笑っているのは確かなのだが、そこには喜怒哀楽、一片の感情も籠もっていない。 中世の宗教画に登場する天使のような、整い過ぎてどこか現実離れした美しさであった。
「ファティマ……貴様、いい加減にしろよ」 ヴィナス中尉が、血に飢えた猛獣のような顔つきになる。 だがファティマと呼ばれた天使は、眉一つ動かしたりしなかった。 「いいわ、後は私たちに任せて。あなた方はそこで休んでいてね」 ファティマがゆっくりとヘルメットのバイザーを下ろし、他の者が不敵な笑みを浮かべてそれに倣う。 「じゃあ、アスラ、イングリッド、アコンカグヤ、それに春嶺尼とルナは敵の正面に……」 ファティマがタクトを振るように優雅に指揮を執る。 「ウルル、マニトウ、ニッキー、パリス、バステトは私と右側面からっ。さぁっ、お行きなさい」 号令が掛かった次の瞬間、全員が飛翔していた。 そして丸腰のまま、暴れる巨大アリに向かって突っ込んでいく。 先頭になった浅黒い肌のペリ子が、アリの前で無防備に突っ立つ。 そこに大アゴを開いた一匹のアリが突進してくる。 ペリ子は平然と、ドッヂボールのボールを避けるより無造作に身をかわす。 身をよじりながらハーネスに差した筒を抜き、親指で側面のスイッチを入れる。 筒先からプラズマアークの刃がビュンと飛び出る。 ペリ子は口端だけでニヤリと笑うと、突っ込んできたアリの前肢に切り付けた。 レイピアの前身、プラズマソードの威力は怖ろしいほどだった。 ズバッという斬撃音と共に、アリの前肢が2本、軽やかに宙を舞う。 鮮やかな逆袈裟斬りであった。 突っ伏したアリの側面から、黄金の縦巻きロールをなびかせて別のペリ子が斬り込んでくる。 鮮やかな一撃が決まり、頭部を切り落とされた巨大アリは直ぐに動かなくなった。 「すげぇ……」 遠巻きに見守っていたヴィナス中尉以下の隊員たちが呻き声を上げる。 「あっ、あいつ危ないぞ」 サタンローズ軍曹の指差す先に、一人のペリ子が散歩するような足取りで悠々と歩いていた。 細身の、ヘルメットの後ろから短い銀髪を覗かせたペリ子は、場所柄をわきまえぬ物腰で悠然と敵中に入り込んでいく。 それなのに敵の群は、彼女などそこに存在しないかのように全く注意を払わないでいる。 視覚では捉えているのに、生命の波動が伝わってこないのである。 その結果、アリたちは彼女をいないものと認めていた。 お陰で好位置を占めることに成功した彼女は、いきなりの奇襲で5匹のアリを次々と死骸に変えた。
そこに流星のような勢いで2人のペリ子が突っ込んでくる。 ストレートとソバージュ、2種類の金髪をなびかせたペリ子たちは、見事なコンビネーションでハンティングに参加した。 圧巻は、一際大柄なペリ子の暴れっぷりであった。 一個の暴風と化した彼女は敵陣で荒れ狂い、見る間に死骸の山を築いていく。 彼女たちの常人離れした、異常とさえ言える戦い振りは、アルカトラズ実験部隊の猛者たちを戦慄させた。 完全に動きを止めた死骸にさえ何度もプラズマソードが叩き付けられ、外骨格が切り刻まれる。 プラズマアークに触れたアリの体液が瞬時に蒸発し、胸の悪くなる悪臭が辺りに立ち込める。 殻が割れ、毒々しい色の内臓が飛び散っても、殺戮の宴は終焉を迎えなかった。 「ウ、ウゲェェ……」 たまらず嘔吐する隊員たちが続出した。 「おい、もうやめろ……やめろって言ってるだろっ」 見かねたヴィナス中尉が制止命令を飛ばす。 「アハハハハハァッ、敵に情けを掛ける愚者がいるよ。アァーハッハッハッハッ」 浅黒い肌のペリ子が、狂ったように哄笑した。 その間も特別分隊の面々は手を休めない。 惨劇が終わりを告げたのは、ようやく巨大アリの群がプラズマアークに焼き尽くされた後であった。 「私たちの受けたのは敵の殲滅命令でしょ? 殲滅とは、すなわちこのような結末を必要とするんじゃなくって?」 ファティマが天使の笑顔を浮かべたままでポツリと漏らす。 その無慈悲な冷笑を見たヴィナス中尉は背筋に悪寒が走るのを感じた。 そして悪魔というものが、元来天使の同族であることを思い出していた。 「南無阿弥陀仏、南無阿弥陀仏……」 東洋人らしいペリ子が何事かをつぶやき始める。 それがヴィナス中尉の癇に障った。 「気味の悪い呪文は止めろっ」 ヴィナス中尉がそのペリ子に向かって怒鳴った。 不服そうに唇を歪めたペリ子が、ゆっくりとバイザーを上げる。 その下から現れたのは、挑戦的な笑みを浮かべる春嶺尼の顔であった。 そこで智恵理は目を覚ました。
反射的に時計を見ると、まだ午前4時であった。 真っ暗な室内は冷え切っており、吐く息が白く伸びる。 「……夢?」 智恵理は先程のイメージが夢ではなく、隣に寝ている春嶺尼の脳から滲み出た記憶の断片であると気付く。 それは、かつて春嶺尼が経験した初陣の記憶であった。 「同床同夢……」 裸で抱き合って寝たため、知らぬうちに相手の思念を拾ってしまったのだと気付き、智恵理は頬を赤らめた。 「こっちも変な夢を見させちゃったんじゃ……」 智恵理はそっと春嶺尼の様子を確認しようとして──その時、彼女の姿が見えないことに初めて気付いた。 慌てて飛び起きた智恵理は手早く服を身に着けると、春嶺尼の姿を求めて部屋を飛び出していった。 非常灯に照らされた薄暗い廊下を走り抜け、階段を飛ぶような勢いで降りていく。 周囲の思考ノイズが昼間より少ないため、相手の居場所はハッキリと掴めた。 宿舎の玄関を出て、直ぐの植え込みの中に春嶺尼はいた。 小雪が舞う夜明け前のことで、徹夜で警戒に当たっている歩哨の姿は見えない。 悟られぬよう、無心で近寄っていくと彼女が何か話しているのが聞こえてきた。 「……うん……まだ完全にこちらを信用したわけじゃ……うん、うん……」 聞き耳を立てていると、どうやら無線機で何者かと交信しているようであった。 「……うん……その時が来たら連絡する……じゃあ、怪しまれるといけないから、アイツの部屋に戻る」 そこで交信が終了した。 自室へ向かう智恵理の足取りは重かった。 信じたくないことだが、やはり春嶺尼は仲間を裏切った芝居をしていたのである。 彼女は宇宙教団が送り込んできたスパイであったのだ。 「肌を許すんじゃなかった……」 智恵理は苦しそうに顔を歪ませた。 同じ戦場で背中を任せ、互いに体をむさぼりあった今では、初対面の時とは違った感情を彼女に抱いてしまっている。 出来ればこのまま黙って何処かへ立ち去って欲しい。 もし問い詰めて、敵であることを認めれば彼女を葬らねばならない。 今日の事態を招いてしまった責任の所在は、他ならぬ自分にあるのだった。
智恵理は陰鬱な気分でペイルスーツに着替えると、官品のコンバットナイフをブーツに仕込む。 そして身じろぎもせずにルームメイトの帰りを待った。 ほどなくして音も立てずにドアが開き、春嶺尼が部屋に入ってきた。 「ごめん、起こしちゃった? どうしたのよ、こんな時間に戦闘準備なんかして」 最初、智恵理を見た春嶺尼は驚いた顔になり、作り笑いでその後を取り繕った。 「どこ行ってたの? 当ててみようか……立ちションでしょ」 智恵理がニコリともせず、春嶺尼の肩へ視線を向ける。 そこには溶け残った雪の結晶が積もっていた。 しばし沈黙が続く。 「このまま黙って逃げてちょうだい……」 そうすれば、今度出会った時には憎い敵とみなして存分に戦える。 切実な思いを込めた智恵理の顔は、完全に血の気を失っていた。 智恵理の表情から全てを悟った春嶺尼が態度を改める。 そして寒さのため紫色になった唇を開いて心中を語り出した。 「ごめん……本当は仲間と連絡を取ってたんだ……」 覚悟は出来ていた筈なのに、智恵理は頭を殴られたような衝撃を感じた。 それと共に自分の浅はかさを呪い、迂闊さを後悔した。 だが、春嶺尼が続いて語った言葉は、智恵理の予想を覆すものであった。 「実は……あたしの他にも仲間を裏切って、教団から脱走したがっている同志がいるの。何とか手引きをって思ったんだけど」 そこで春嶺尼が躊躇したように言いよどむ。 「……あたし自身が完全に信用されてる訳じゃないし……その、これ以上智恵理ちゃんに迷惑かけられないし……」 悔しそうに下唇を噛む春嶺尼を見て、智恵理は自分自身が恥ずかしくなった。 春嶺尼は自分だけではなく、今も敵中に残る仲間のことを、それに智恵理の立場までもを考えていてくれたのだ。 それなのに自分は己の保身しか頭になかった。 そう思うと顔から火が出るほど恥ずかしくなった。
「何バカなこと言ってるの。敵の敵は味方って言うでしょうが」 智恵理はしかめっ面を作り、戦友を叱り飛ばした。 「なにも味方になってくれと頼む気はないの。戦わずして敵の数が減ってくれたら、それだけで大戦果を上げたのと同じだわ」 敵の兵器が強力になってきている中、智恵理には能力者までも相手にしている暇はなかった。 人類が滅びるかどうかの瀬戸際において、それはまさに不毛な戦いというものである。 しかし、春嶺尼ともう何人かの能力者が味方になってくれるというのなら、これほど頼もしい援軍はない。 智恵理は能力者1人の戦闘力を少なくとも1個大隊に相当すると見ていた。 しかも新兵ばかりの大隊ではなく、ベテランや中堅どころを集めた精鋭の1個大隊である。 それだけの戦力を敵から削ぎ、味方に付けることが出来るなら万々歳というものであった。 「いいわ、この際だからその人も連れて来ちゃなさいよ。アルカトラズの後輩がまとめて面倒見てあげるから」 智恵理は胸を反らして言い放った。 勿論、彼女たちが敵の脱走者であることは、しばらく黙っていなければならない。 しかし、彼女たちが説得力のある戦い振りを見せつけてやりさえすれば、仲間たちも受け入れてくれるだろう。 正体を明かすのはそれからでも遅くない。 「智恵理ちゃん、ホント? さっすがムショ仲間。話せるぅ」 「ムショとか言わないっ」 智恵理が即座に訂正する。 「どっちでもいい。とにかく感謝の気持ちを表したいの」 春嶺尼は唇を尖らせて智恵理に迫る。 「こらぁっ、調子に乗るな」 智恵理の平手がスキンヘッドをピシャリと打つ。 それでも強引に唇を奪われると、そのまま昨夜のリターンマッチにもつれ込んでいった。
その昼下がりのこと、智恵理は自室で春嶺尼と向かい合っていた。 「で……その脱走した人、封鎖された地下鉄の駅に逃げ込んだのね?」 智恵理が確認するように春嶺尼に尋ねた。 「追っ手をまいて、一時オックスフォードサーカス駅に隠れるって無線が入ったんだけど、それから連絡が取れないんだ」 春嶺尼が仲間を気遣って心配顔になる。 ベイカールー線の一部区間は以前の戦いでアリに占拠され、それ以来復旧せずに閉鎖されたままになっていた。 その無人の地下鉄に春嶺尼の仲間が逃げ込んだというのである。 「よしっ、助けに行こう。手遅れになる前に」 智恵理は地下鉄に敵が侵入したとの情報をマリー中佐に告げ、迷い込んだ市民を救出する名目で出撃許可を取り付けた。 一刻を争う事態であり、取り敢えず智恵理が先行出撃することになった。 「中佐、敵の実体が不明です。よろしければ私が共に参ります」 春嶺尼が即座に援護役を志願した。 「ハゲは黙ってすっこんでて。先輩のケツ持ちはあたしの仕事だよ」 光がここぞとばかり牽制する。 「それを言うなら、LWのあたしの役目だろっ」 エンジェルが鼻息を荒くして光を押し退ける。 「中佐っ。中佐は一刻も早く体制を整えて主力部隊の出撃準備を」 春嶺尼は2人を無視してマリー中佐に決断を促す。 「しかし……その方は……」 マリー中佐は口籠もり、語尾を濁らせた。 正規の部下ではない者に対し、出撃命令を下すことに躊躇いが生じたのである。 階級は上だといっても、マリー中佐に春嶺尼への指揮権はない。 「隊長、閉所では予測のつかない遭遇戦になるおそれがあります。先行部隊は少数精鋭で編成するのが妥当かと」 智恵理の後押しで中佐は決断した。 「よし、大尉と先輩殿に任せる。ヒナらも直ぐに後から追いかけるから、無理はするな」 智恵理と春嶺尼は神妙な面持ちで小さく頷いた。
もはや定番台詞だけど、新作キテター!GJ!! 最近は春ちゃんばっかりで他の面子が可哀想だな… マザー戦で覚醒してた光の今後に期待してます><
新作キテルーGJ! オリジナル展開がすごく楽しみだ 次回も楽しみにさせてもらいます!
波動がないのがルナで 金髪コンビがニッキーとパリスで 大笑いしてたのがアスラかな? 次は地の底か重装鉄球あたりの展開を予想した それはそうとエンジェルがその他キャラに…
伝説の男は今どの辺りで戦ってるんだろう?
>>335 東京で光覇明宗と一緒に気張ってンじゃネーノ?
アメリカにはX-MENやアイアンマン、ファンタスティック・フォー、第四十七代合衆国大統領もいるし。
フィクションのヒーローたちが結託したらインベーダーフルボッコだな。
ソラスの星で奴らの群と戦ってるんだよ
密かに来襲したフォーリナーを一人で相手にしてるとか
>>336 お前はセガールの存在を忘れてはいないか?
そんなフィクションの英雄とはわけが違うぜ
340 :
名無しさん@ピンキー :2007/12/25(火) 23:09:44 ID:748eSMqY
>>339 セガールみたいなただの東洋かぶれにソラスが倒せる分けないだろ。
やっぱ、 異星人の相手には地球防衛隊のウルトラマンしかおらんな。
>>340 実際に何年か関西で暮らし、関西弁ペラペラな超人コックをただの東洋かぶれとな。
セガールは日本のラジオ番組で、 虐めにあってつらいです、って相談した子供に、 「艱難、汝ヲ玉ニスル、ノ精神ガ大切ヨ」といった男。
PINKが飛んだら続きは保管庫に直接投下されるのかな?
保管庫ってどこだっけ?
345 :
名無しさん@ピンキー :2007/12/26(水) 18:42:55 ID:xsJKcXyM
ho
346 :
344 :2007/12/26(水) 19:14:29 ID:/gxfXj2V
347 :
名無しさん@ピンキー :2007/12/27(木) 01:36:33 ID:jLK/44st
念のためあげ
348 :
名無しさん@ピンキー :2007/12/27(木) 01:36:37 ID:xLlHqPte
ho
あけおめ!
351 :
バギーちゃん :2008/01/03(木) 19:07:02 ID:HiwmL8TP
ことヨロ
352 :
名無しさん@ピンキー :2008/01/04(金) 03:22:23 ID:aPjT9jL4
初ぬるぽ
354 :
名無しさん@ピンキー :2008/01/05(土) 22:07:34 ID:76VAG13g
初インリン
355 :
名無しさん@ピンキー :2008/01/07(月) 01:26:33 ID:wLT3QOtx
初保守
356 :
名無しさん@ピンキー :2008/01/09(水) 01:49:39 ID:OxC0Ao13
初サンダー!
357 :
名無しさん@ピンキー :2008/01/13(日) 05:34:20 ID:f2xzHqKL
ほす
今更なんだが春嶺尼ってどう読むんだ?中国人?
この前EDFスレでペリ子物語の存在を知ってやっと今一話から全部読みきりますた
───アタシの名前はペリ子。侵略者と戦うEDF隊員。モテカワスリムで戦闘体質の愛されガール♪ アタシが相手をしてる敵は攻撃を跳ね返す鏡面、マザーシップにナイショで 地球を散歩してるソラス。訳あって侵略グループの一員になってるディロイ。 強敵がいてもやっぱり戦いはタイクツ。今日もディロイとちょっとしたことで一騎打ちになった。 敵同士だとこんなこともあるからストレスが溜まるよね☆そんな時アタシは一人で町を飛ぶことにしている。 がんばった自分へのご褒美ってやつ?自分らしさの演出とも言うかな! 「あームカツク」・・。そんなことをつぶやきながらしつこい蜘蛛を軽くあしらう。 「ばぅ ばぅばぅ ンばぅ!」どいつもこいつも同じようなセリフしか言わない。 インベーダーの蜘蛛はカワイイけど糸に巻かれて死ぬからキライだ。もっと等身大のアタシを見て欲しい。 「ばぅ ばう」・・・またか、とセレブなアタシは思った。シカトするつもりだったけど、 チラっと蜘蛛の全体を見た。 「・・!!」 ・・・チガウ・・・今までの蜘蛛とはなにかが決定的に違う。スピリチュアルな感覚がアタシのカラダを 駆け巡った・・。「・・(デカ過ぎる・・!!これって新種・・?)」 蜘蛛はバウ・ロードだった。追いかけられて糸を放たれた。「キャーやめて!」パンドラをきめた。 「ガッシ!ボカッ!」アタシは死んだ。サイクロンレーザー(笑)
スイーツって言いそうで言わないな
ミラージュ(笑)とかの方がよくね? 語感的に
>>364 最初はミラージュ(笑)にするつもりだったけど
ペリ子物語のミラージュを馬鹿にしてるように思われるかもしれなかったからやめたんだ
よくそこまで考慮するな
( ;∀;)イイハナシダナー
何だこれは・・・?
369 :
名無しさん@ピンキー :2008/01/26(土) 20:14:31 ID:0WYvXCgW
さ、酸だ〜
更新遅いなぁ。続きがかなり気になる…
それと俺も
>>358 みたいに読み方が気になってるんだが誰か知らない?
しゅんれい…にい…? でもたしか日本人だったと思うんだが…
※ 輸送車を飛び降りた智恵理と春嶺尼は、オックスフォードサーカス駅の入り口へ向かって駆けだした。 「中佐って、智恵理ちゃんの言いなりだね。もう寝てあげたの?」 「こんな時に何言ってるの。アンタは」 智恵理は不謹慎とばかり眉をひそめた。 春嶺尼はケラケラ笑いながら、先に立って地下への階段を駆け下りていく。 智恵理は顔をムッとさせたままそれを追いかける。 同駅は秋頃に起こった大アリ騒動で閉鎖され、そのまま放棄されていた。 南北に走る区間が東から伸びてきた巣穴にぶち抜かれ、そのままベイカーストリート駅までが巣の一部と化したのだった。 まだアリの残党がいる可能性があり、また崩落の危険もあって、ここへの立ち入りは厳しく制限されている。 その上、行政機関は市民の心理に与える影響を考慮し、目に見える地上の被害回復を優先していた。 そのため地下鉄の復旧は後回しにされ、閉鎖状態は長く続いたままであった。 「どうしよう……」 智恵理は構内への入り口で、固く閉ざされた隔壁を前にして途方に暮れていた。 そんな智恵理をよそに、春嶺尼は壁に取り付けられたハシゴを上っていく。 「ここから入れるんだよ」 春嶺尼が作業通路の扉を開けて智恵理を誘う。 作業通路は路線の天井に沿って伸びており、トンネル内の通気口を兼ねている。 「この先に隠れるって、ウルルから連絡があったんだ」 ウルルとは宇宙教団から逆脱走した能力者のコールサインである。 素養に恵まれたアボリジニの出身で、非常に高い能力の持ち主だという話であった。 「でも、どうしてこんな危険を冒してまで……」 仲間を裏切る気になったのかと智恵理は尋ねた。 「奴ら、あたしに手が出せなくなった途端、別の生け贄を選ぶことになって。やっぱりイングリッドに決まったんだけど……」 男爵令嬢が貴族の特権を振りかざし、その結果、罪のないアボリジニ娘にお鉢が回ったことは聞くまでもない。 ウルルが仲間を裏切るのに、それほど良心の呵責を覚えなかったであろうことは容易に想像出来た。
「早く助けないと。イングリッドってのは、自己保身のためならどんな手段だって平気で使える女だから」 春嶺尼は体を微かに身震いさせて狭い通路の中に消えていく。 義憤に燃える智恵理がそれに続いた。 2人は頭上のダクトに気を付けながら通路を歩いていったが、ウルルはなかなか発見できない。 おそらく追っ手から逃れるためどこかに身を潜め、波動を消しているのであろう。 やがて足音が微妙に変わり、空洞の上に出たことが分かった。 「この下は線路になってるんだ。智恵理ちゃん、下を探してくれない? あたしはこのまま作業通路を調べてみるから」 通気口の頑丈な留め金を外し、分厚い蓋を開けると、複線のレールが走っているのが見えた。 「分かった、アンタも充分気を付けて。追っ手がいるとしたら多分そっちだから」 智恵理が線路に飛び降りようとするのを春嶺尼が引き止めた。 「ちょい待ち。武器は預かっとくよ。ウルルは智恵理ちゃんのこと知らないから、武器を持ってたら敵として撃たれるかも」 もっともだと考えた智恵理は、何の疑いもなくGスラストを春嶺尼に渡した。 「ここ、開けっ放しにしといてよ。脱出口が分からなくなるから」 智恵理は薄暗い穴の中をぐるりと見回す。 「それじゃイクから。本当に気を付けるんだよ」 そう言い残して智恵理は地下鉄の軌道敷内に飛び降りていった。 智恵理の姿が見えなくなると、春嶺尼はバイザーを下ろしてバーチャル・スクリーンを展開させる。 レーダーを見ると、智恵理が北へ向かって移動しているのが分かった。 ユニットを使用しているのか、移動速度はかなり速い。 それを確認した春嶺尼がニヤリと唇を歪めた。 「チュン、ご苦労さま」 いつの間にか3人の黒ペリ子が現れ、春嶺尼の背後を取り囲んでいた。 春嶺尼はそれを認めても驚いたりしなかった。 笑ったままで、智恵理の飛び降りた通気口を固く閉ざす。 真ん中に立っている黒ペリ子がヘルメットを脱ぐと、天使の微笑みが現れた。 柔和な、それでいて全く暖かみの感じられない、宗教画の天使である。 「これで袋のネズミね、智恵理ちゃんは」 ファティマの微笑が少しだけ強みを増す。
「なんで直接ぶっ殺してしまわないのさ? 機会は幾らでもあったろうに」 アスラが義手になった右手で壁を殴りつける。 今からでも智恵理を追いかけて、直接勝負を挑みかねない勢いであった。 隣に腰を屈めて立っている巨大な──あのレギー・ベレッタを凌ぐ体格の黒ペリ子も、興奮したように歯を鳴らす。 「ほら、ウルルも怒っているよぉ。大事な仲間を殺したアイツを、なんで生かしとくのかってねぇ」 アスラはウルルの巨体をなだめるようにさすり、ファティマに向き直った。 「だって、暗殺なんかしたって意味ないじゃない。あの子はやっぱり『侵略者の新兵器』で殺されるべきだと思うの」 あのチェリーブロッサムが侵略者の新兵器に敗北したとなれば、全軍の士気に与える影響は大きいであろう。 彼女の『マザーシップ殺し』の異名は、新しい伝説としてそれほどまでに知れ渡っていたのである。 「ともかく、あの子の始末はギリオラたちに任せちゃいましょ」 ファティマはそう言ってニッコリと微笑んだ。 春嶺尼はその通りだと頷いて、智恵理の降りていった通気口に目をやった。 その頃、智恵理はユニットを断続的に噴かして先を急いでいた。 着地して走るたび、半円型になった天井に足音がカンカンと反響する。 所々に横穴の跡があり、コンクリートで分厚く塗り固められていた。 これらはアリが開けた巣穴との連絡通路なのだろうか。 日の光が一切差し込まぬ地下世界では、天井に取り付けられた保安灯だけが頼りである。 だが、仄暗い照明だけでは先は見通せず、視界は最悪の状態であった。 「どこに隠れてるのかな。ルナみたいに気配を消す能力に長けていたらお手上げだよ」 智恵理はウルルがどんな容姿をしているのか聞いてくればよかったと、少しばかり後悔した。 それでも、もしトンネル内にいるのなら、相手の方から何らかのリアクションがある筈だと信じて進み続ける。 「ん……奥に誰かいる……」 智恵理の超感覚が暗闇の彼方に潜む、何者かの気配を捉えた。 正確に言えば、物体が動く時に生じる空気の振動を皮膚感覚が感じ取ったのである。 「ウルルかな?」 智恵理はユニットを切り、徒歩で慎重に近づいていく。 「コードネームの通り大柄なんだな……レギーといい勝負だったりして……」 ふと、かつての相棒の顔が頭をよぎり、智恵理の口元が緩みかける。 その動きが途中で止まり、口元が引き締まる。 足の動きもピタリと止まる。 カンカンという足音だけがしばらく反響していた。
「違う……大きすぎる。それに1人じゃない」 そう思った瞬間であった。 レーダーの策敵範囲にいきなり赤い光点が6つ入ってきた。 「まずいっ」 智恵理は身を翻すと、全速力で反対方向へ走り出した。 「春嶺尼っ、敵の待ち伏せを喰らった。直ぐに待避するから戦闘準備を……」 無線機に向かって必死で叫ぶが、春嶺尼からの応答はない。 「春嶺尼っ……ちょっと、春嶺尼……聞こえないの?」 レーダーの光点がカーブを曲がって直線に入りかける。 振り返った智恵理は、敵の正体を見て真っ青になった。 カーブの向こう側から姿を現せたのは、超合金のダンゴムシであった。 昨日の機体とは別機種なのであろうか、装甲はくすんだ金色に見える。 「本格的にヤバいっ」 ここは幅の狭いトンネルの中であり、天井も低い。 逃げる場所は後ろしかなかったが、相手のスピードは智恵理を遥かに凌いでいる。 「例の通気口まで辿り着けたら……」 そう考え、必死でユニットを噴かす。 しかし、とうに見えてきてもいい筈の通気口は何処にもなかった。 「そんな……あたし、どっかで見落としちゃったの? 春嶺尼……春嶺尼ぃっ」 叫んでいる間にも、ユニットのゲージは下がり続けていた。 『春嶺尼っ……春嶺尼ぃぃぃ〜っ』 床に転がった春嶺尼のヘルメットから智恵理の悲鳴が漏れてきた。 「アァーハッハッハッハッ、とんだお笑いぐさだよ。イィ〜ヒッヒッヒッ」 智恵理の必死さがお気に召したのか、アスラが例の如く哄笑する。 『春嶺尼っ……どこなの? 春嶺尼ぃっ』 智恵理の悲鳴がいよいよ切実さを強めてきた。 「あらあら、救いようがないお人好しなのね智恵理ちゃんは。まだ騙されてたことに気付いてないみたい」 ファティマが無慈悲な微笑を浮かべ、アスラが相槌を打った。 ウルルは既に関心を無くしたように、黙って座り込んでいる。 一人春嶺尼だけが複雑な表情を浮かべ、固く閉ざされた通気口を見ていた。 いよいよ残り少なくなったゲージを気にしつつ、智恵理はユニットを断続的に噴かして省エネ飛行を続けていた。 黄金のローラーロボット、ギリオラは智恵理を追い立てるように後方から迫ってくる。 反撃しようにも、智恵理は全くの丸腰であった。 頼みの綱は春嶺尼ただ一人であったが、どういう訳か先程から連絡が取れない。 その上、脱出路として確保していたはずの通気口も見つけられず、智恵理は自分の位置を完全に見失っていた。
「春嶺尼っ、どこなの? 聞こえてたら早く来てぇっ」 智恵理は助けを求めて通信機に叫び続ける。 しかし、やはり応答はなかった。 緩く右にカーブしたトンネルを逃げ続けるうちに、状況は絶望的な展開を見せる。 智恵理の逃走方向に、新たな赤点が出現したのであった。 「挟み撃ち……」 カーブの先から出現したギリオラの姿を見て、智恵理の心臓は凍り付いた。 気を取られた一瞬の隙を突いて、一機のギリオラが加速して智恵理に突進する。 「ギャッ」 大きく跳ね飛ばされた智恵理が、蛙のように壁に叩き付けられた。 立ち直る暇も与えられず、逆方向から来たギリオラが智恵理を轢過する。 「グェェェッ」 ボディアーマーの特殊パッドが犠牲となり、智恵理の命を辛うじて守る。 たったの2撃で智恵理は完全にノックアウト状態に陥った。 身動きすら出来なくなった智恵理にギリオラの群がジリジリと迫る。 霞がかかった智恵理の目に、巨大なダンゴムシが写り込む。 「春嶺尼っ……春嶺尼ぃぃぃっ」 智恵理の悲痛な叫びがトンネルにこだました。 「こうなると、なんか哀れを通り越して滑稽ですらあるわね……興ざめだわ」 ファティマがクスクスと笑い、優雅に身を翻した。 金糸のような髪がフワッと揺れる。 それに続いたアスラは振り向きざまに唾を吐き、ウルルも立ち上がって中腰になる。 春嶺尼だけが気まずそうに排気口を見詰めていた。 振り向きもせずそれを察し、ファティマが立ち止まる。 「どうしたの、チュン?」 背を向けたままでファティマが尋ねた。 「あのさぁ……」 春嶺尼が気まずそうに口籠もる。 「よく考えたら、あいつもこっち側の人間なんだよね。説得したら、あたしたちの仲間になってくれると思うんだけど……」 春嶺尼は遠慮がちに仲間の背中に呟いた。 「あいつの強さはよく知ってるし、味方になってくれたら頼もしいなんて思ったりして……どっかな? やっぱダメかな?」 春嶺尼はエヘヘッと媚びを売るように笑った。 3人の黒ペリ子がピタリと足を止めた。 「可哀想に……やっぱり取り込まれちゃったのね」 ファティマは陰鬱な声で呟いた。 背中越しに伝わってくる気配に冷たい殺気が混じる。
「えっ? そ、そんなことないよ」 春嶺尼の顔からサッと血の気が引いた。 「へ、変なこと言っちゃったみたい。ごめん……忘れて……」 アスラとウルルが歩みを再開して闇の中に消えていく。 1人ファティマだけがその場に残った。 「チュン……あなたその格好、とても似合ってるわ」 春嶺尼はファティマに指摘され、自分が智恵理から借りたペイルスーツを着ていることを思い出す。 「でも、ちょっと似合いすぎみたい……」 ゆっくりと振り返ったファティマの顔には、相変わらず一欠片の感情もない微笑が宿っていた。 「ヒィィッ」 春嶺尼が悲鳴を上げ、数メートルを一気に跳び下がる。 「それに、生け贄を出さなきゃいけないのはホントなの。悪いけど……消えてちょうだい」 ヒョイと挙げたファティマの右手が金色の光に包まれていた。 可視化するまでに高められた彼女の思念波である。 温かい、見る者を抱擁するような優しい光であった。 「いやっ……いやぁぁぁっ」 春嶺尼が絶叫を上げ、振り向きざまに駆け出そうとする。 無慈悲な微笑みを浮かべたまま、ファティマが右手を一閃させた。 上がりかけた春嶺尼の足が、凍り付いたように停止する。 次の瞬間、春嶺尼の腹部に赤い線が真一文字に走り、続いて口から鮮血が迸った。 ドスンという、物が倒れる音がした時、ファティマは既に踵を返して仲間の後を追っていた。 後には静寂だけが続いていた。 「し、死ぬぅ。春嶺尼ぃっ」 10機以上のギリオラに取り囲まれ、智恵理は絶体絶命のピンチに陥っていた。 最後に倒れ込んだ場所がトンネルの隅であったことが、彼女の命をギリギリで繋ぎ止めていた。 側溝に体が半分落ち込んだ状態になり、そのためギリオラの回転アタックを直接身に受けずに済んでいるのである。 しかし超合金の装甲は、猛スピードで回転することによりグラインダーのようにコンクリートを削っている。 このままだと、後わずかな時間で智恵理の体はミンチにされてしまうであろう。 「春嶺尼、早く来てぇっ……春嶺尼っ」 智恵理の口から一際悲痛な叫びが上がった時であった。
「目ぇつぶってぇっ、口開けててぇーっ」 待ちに待った春嶺尼の叫びが聞こえた。 思わず指示に従った途端、轟音と共にもの凄い爆風が襲いかかってきた。 同時に視界が開け、排気口から逆さまに突き出た春嶺尼の上半身が見えた。 床の上にプラズマソードが転がり、眩いピンクの光が明滅している。 それが最後尾にいたギリオラを破壊し、群がっていた仲間を爆風で吹き飛ばしたのである。 逃げ場のない閉所で巻き起こった大爆発は強烈であった。 渦を巻く衝撃波は智恵理のヘルメットを飛ばし、鼓膜を麻痺させてしまう。 このため智恵理は一時的に聴覚を失ってしまった。 「遅くなってごめん」 春嶺尼が智恵理のレイピアGスラストを投げて寄越す。 これさえあったら百人力である。 今度はトンネルの狭さが智恵理に味方した。 横からの攻撃を気にする必要もなく、智恵理は一方的にギリオラを叩きまくった。 突っ込めばやられると分かっていても、そこに倒すべき敵がいる限りAIに組み込まれた殺戮本能は突撃を止めない。 それがロボット兵器の悲しい宿命であった。 最後のギリオラが吹き飛び、地下鉄が人類の手に戻ってきた。 智恵理は長い溜息をつき、天井の春嶺尼を仰ぎ見た。 「来るのが遅いっつぅーの」 智恵理が悪態をつくと、逆さまになった春嶺尼が弱々しく微笑んだ。 「何してるの。早く降りてらっしゃいよ」 智恵理は聞こえない耳を気にしながら春嶺尼に手招きした。 それに応じ、春嶺尼が飛び降りてきた──と思った智恵理は、目の前の光景に思わず絶句していた。 「……しゅ、春嶺尼っ?」 線路の間に、上半身だけになった春嶺尼が転がっていた。 極限まで高めた思念力で動いているものの、既に助からないことは明白であった。 「春嶺尼っ。あんた、どうして……こんな……」 智恵理が駆け寄って春嶺尼の上体を抱きかかえた。
「ごめん、智恵理ちゃん……あたし、こんなになっちゃった……」 春嶺尼の口から血の泡が噴き出てくる。 「なにっ? なに言ってるの? 聞こえないっ」 智恵理は春嶺尼の口元に耳を持っていくが、何を告げようとしているのかさっぱり聞き取れない。 「あたし智恵理ちゃんを騙してたんだ。嘘ついた罰は当たっちゃったけど……酷い目に合わせてごめんね」 何事か口をパクパクさせる戦友を見て智恵理はもどかしくなる。 「あたしを殺ったのはファティマ……奴らのリーダーだよ」 春嶺尼の言葉が途切れがちになってくる。 「……ホーリーランス……思念波を物理攻撃に使う恐ろしい女。智恵理ちゃんも……気を付けて……」 春嶺尼の目の輝きが徐々に失せていく。 命の灯火が燃え尽きようとしているのである。 「なんか知らないけど、黙ってて。直ぐに病院つれてくからぁっ」 智恵理は涙目になって春嶺尼を制する。 それを見た春嶺尼の目にも涙が一杯溜まってくる。 「ありがと……」 春嶺尼はこんなになってもまだ自分の身を案じてくれる智恵理に感謝した。 そして仲間を裏切り命を失う羽目にはなったが、智恵理を助けることが出来て本当によかったと思った。 「奴らの皇帝は……皇帝の正体は……浮遊……都……の……」 そこまで言って春嶺尼はガクリとこうべを垂れた。 「春嶺尼っ、春嶺尼ぃっ」 固く抱きしめた戦友の体から、急速に体温が失われていった。 ※ 「一般市民が巻き込まれたというのが誤報で何よりじゃ」 押っ取り刀で駆けつけてきたマリー中佐は、ホッと胸を撫で下ろした。 市民の安全を第一に考え、国民士気の維持を何よりも大事に思う中佐にとっては、それが最重要事項であった。 「で、先輩殿はどうしたのじゃ?」 中佐は春嶺尼の姿が見えないことに気付き、智恵理に尋ねてみた。 「春嶺尼は……先輩は……先に帰りました。原隊復帰の期日が迫っていますので……直接空港へ……」 智恵理の右手が友情の証──戦友の形見のプラズマソードをギュッと握り締める。 折角作戦参加を志願してくれた彼女が戦死したと知ったら、中佐は深く責任を感じるであろう。 智恵理は自分を全般的に信頼してくれた中佐を苦しめたくなかった。 真実は、やがて落ちるであろう地獄まで、自分が持っていくことに決めていたのである。 全ては欺瞞に他ならない。 しかし、それが身内を裏切ってまで味方してくれた、大事な戦友への感謝の印であると智恵理は思った。
乙ぅぅぅぅぅぅぅぅ!!!
乙っっっ!!!!!
乙!!!!!!!!!! 待ってた甲斐があるほど熱い展開。鉄球も登場キター ここは一気に読ませてもらったほうがいいね やっぱ面白いわーw 春嶺尼は日本語読みと中国語読みといろんな読み方で呼ばれてるんだね 「しゅんれいに」だろうか
やっぱおもすれー
春嶺尼は尼さんの法号で「しゅんれいに」だろうね 「チュン」というのは仲間内でのニックネームなのかな 新章になって近衛、鏡面、鉄球ときたが 次はいよいよ新型戦車の出番か
もう絶望しか出てこないな
だがそれがいい 個人的にはテラソラスがちょー楽しみ
まさかここで感動的な展開とは あのファティマの目…養豚場の豚でも見るような目だ…残酷な目だ… 「かわいそうだけど私のホーリーランスの餌食になる運命なのね」って感じの! >次はいよいよ新型戦車の出番か 精鋭のことも思い出してあげてください
ホーリーランスて人に向けたらやっぱあの位威力あるよな でもどの位のアーマー想定してんだろ>チェリー 取りあえず鉄球の直撃でも死なない位はあるんだよな しかしこれからも増えていくだろうし アーマーの演出も最高です!
保守
EDF!EDF!
サンダー!
毎回一見して元ゲーと関係ないオリジナルのストーリーから、最後には 「ああ、これはゲームのあの場面だ」って展開につながるのがいいね あと武器選択画面にしか出てこないV字レーザーの誤射のエピソードとか 細かい設定がしっかり再現されてて、なんか嬉しくてニヤニヤしてしまう
ディスクに膨大な量の没ボイスデータが入っている通称「あひゃ子」が エイリアンウォーシッパーとして出てきてるのが面白いな ずっと気になってたから、まるで没になった公式設定がそうであったかのように思える 唯一使われたのが「蜘蛛の糸に巻かれてみんな死ぬんだよ」だけだもんなw 2パターンの声で同じセリフが録ってあって、計1時間くらいの没ボイスが入ってる
没セリフはSSの中にそのままそっくり使われてるね セリフに合わせてストーリーを考えるんだろうか 考えてみればアスラの声だけはみんなが知ってるんだなw
文章力もそうだけど、作者のこじつけ力には脱帽だよな
レギー・ベレッタはプロレスラーだった経歴からしてレジー・ベネットがモデルなのかな 黒人中尉のヴィーナスはウィリアムズ姉妹の姉で、ニッキーとパリスはそのままヒルトン姉妹か
E
D
F
2
は
402 :
名無しさん@ピンキー :2008/02/12(火) 22:00:13 ID:i7pJkXo1
E!D!EDFEDFEDFEDF! E!D!EDFEDFEDFEDF! E!D!EDFEDFEDFEDF! E!D!EDFEDFEDFEDF! サンダァーッ!
「ジェ〜ノサイド〜ジェ〜ノサイド〜(SOS、SOS) 今日もまた誰か〜 市民のピンチ〜(乙女のピンチ〜)」 『ザーザザーおい止めろ!ザー無線繋ぎっぱで耳レイプな替え歌歌うな!』 「あ…すまん、つい」 ピギャ〜!グギャー!グオオンぐおおん! 「…」 ピギャーピギャーピギャーグオオンぐおおんグオオンぐぐぐおおん 「…虫ってこんな鳴くのかなぁ」 『余計な事喋らず倒せ!』 「…了解」 ドシュウーーー… 「………」 ドグワーーーンっっっ 『ぐあああああ』 「あ」(やっべ…巻き込んだ) 「……ジェ〜ノサイド〜ジェ〜ノサイド〜(SOS、SOS) 今日もまた誰か〜 市民のピンチ〜(乙女のピンチ〜)」
無線で断末魔を流すのは感心しないな
ほらほら飛〜んでいる〜わ〜(ゼロ距離ショットガン的な意味で)
『きゃあ〜〜〜!』 やべっ、ペリ子誤射っ
もちろん、性的な意味で
『ザーザー大変だ…ザザー誤射してしまった』 『え〜、ザー何してるのよ!ザザザー今日危ない日だって言ったのに!』 『ザー…ごめん…なぁ、もし、さ』 『ザザー何よ』 『もしできちゃったら…ザー責任取るよ』 『…!それって…プロポーズ?』 「おい、お前ら仕事しろ!無線でだだ漏れだぞ!」 『///』 『(。>_<。)』
《西暦2019年12月24日 リージェンツ・パーク ペガサス隊当直室》 「折角のクリスマス・イブだってのに、何が悲しくて女だらけのケーキ自棄食い大会しなきゃならないんだよ」 蛍野光は当直室のソファに寝っ転がると、今日4つ目になるイチゴショートを頬張った。 この聖なる夜、当直室に詰めているのは智恵理と光の他、マーヤ大尉、シェラザード曹長そしてエンジェルの5人である。 他の隊員はミサに出掛けており、智恵理たち異教徒と無神論者のエンジェルだけが当直員として残っていた。 「仕方ねぇだろ。テメェが男引っ掛けるの失敗したんだから」 エンジェルが溜息をついて天井を仰ぐ。 クリスマス気分に浮かれ、町へ男漁りに繰り出した智恵理、光、エンジェルの3人だったが、結果は惨めであった。 その上、帰隊するなり留守番を命じられたとあっては、まさしく泣きっ面に蜂である。 クリスマスを浮かれたイベントと捉えていた智恵理たちと、敬虔な教徒である他の隊員との間にはかなりの温度差があった。 「うっさいっ。いい線イッてたんだよ……途中までは」 光はエンジェルを怒鳴りながら、恨めしそうに横目で智恵理を睨む。 「な、なによその目は。なんか、逆ナンしくじったのがあたしのせいだって言われてるみたいじゃないの」 智恵理が目を三角にして光を睨み返す。 「実際そうだし。なんせ、先輩がマザーシップ殺しのチェリーブロッサムと知った途端、男どもは逃げ出しちゃうんだもん」 「まぁ、何にしてもやり過ぎは良くねぇわな」 光とエンジェルの口調には棘があった。 まるで、智恵理がマザーシップを撃沈したのがいけないと言わんばかりである。 「うっさいわね。アンタの化け物じみたデカパイのせいでしょうがっ。男ども、ドン引きしてたじゃないの」 智恵理は光に噛み付き返し、次いでエンジェルに向き直る。 「アンタはアンタで徹夜に備えてニンニク食べ過ぎてからに……ドラキュラ伯爵から誘拐予告でも来たのかっつぅ〜の」 智恵理は濃厚なニンニクの臭いを放っているエンジェルを皮肉った。 「もうやめましょう。不毛な言い争いは虚しいわ」 「所詮、クリスマスなんて異教のイベントは、私たちとは関係ないんです」 マーヤ大尉とシェラザード曹長に諭され、3人はうなだれて溜息をついた。 「くそっ、宗教差別だ……こうなったら、来年のお盆には何が何でも休暇取って日本に帰ってやるんだから」 「こうやってあたしたちの貴重な青春はムダに費やされていくのね……」 「あぁ……こんな世の中が続く限り、アタシらの前に天使は舞い降りてくれないんだよ」 エンジェルが無線機のコンソールに蹴りを入れた時、それが合図であったかのように奇跡が起こった。 当直室のドアが開き、本当に天使が出現したのである。
「ベアトリーチェ……BB」 智恵理は入り口に立っている少女を認めて顔を輝かせた。 その少女――ベアトリーチェ・ベリーニはEDF幼年学校の生徒で、智恵理が巴里にいた時の専属従兵である。 「お久しぶりです、大尉殿」 ベアトリーチェが腰を折ってペコリとお辞儀する。 半身を起こした彼女がニッコリと微笑むと、パッと花が咲いたようになる。 まさに絵になる絶世の美少女であった。 「幼年学校はもう休みなの?」 智恵理はベアトリーチェを招き入れると余り物のケーキを勧めた。 「ええ、今日から年明けの4日まで。さっそく遊びに来ちゃいました」 ベアトリーチェはそう言って、お土産のイチゴジャムを差し出した。 今晩はこれを体に塗りたくって、互いに舐めっこしようという誘いなのであろうか。 「1月末にはいよいよ卒業です。そしたら、あたし士官学校に進まず、ペガサス隊に志願しますから」 憧れの智恵理を前にして、ベアトリーチェは純真な目をキラキラ輝かせた。 それを見て智恵理の顔が少し暗くなる。 「実はね……無くなっちゃうんだ、ペガサス隊」 ベアトリーチェは訳が分からず、キョトンとした目で智恵理を見詰める。 「この年末で、参謀本部の親衛隊に吸収されちゃうんだよ」 智恵理はバツが悪そうに頭を掻いた。 第2部長の要望通り、と言うかマリー中佐の願いが叶い、ペガサス隊の親衛隊入りは正式に認可された。 既に主要な機材類はウェストミンスターの親衛隊本部に運び込まれ、ここには必要最小限度の設備しか残っていない。 移転がすんだ後も、この基地は彼女たちの待機詰所として残される予定である。 3つの中隊が交替制でここに詰め、突発事案に備えることになっていた。 もっとも、智恵理自身は本部庁舎には行かず、無理をしてでもこの旧隊舎に詰めっぱなしになる覚悟でいる。 本部にいては敵の奇襲に対応しにくく、後手後手に回るおそれがあった。 そして何より、本部の化け物屋敷じみた独特の雰囲気には到底馴染めそうに思えなかったのだ。 ベアトリーチェは、と見ると、口をへの字に結んで目をウルウルさせていた。 大好きなペガサス隊が消滅することが、余程ショックだったのであろう。 「でも、変わるのは名前だけなんだぜ。ここも前進基地として残されるし」 超美少女の目に涙が溜まってくるのを見て、エンジェルが慌てて付け加えた。 「BBもペイルウイングになったら親衛隊を志願すればいいよ。BBほどの美少女なら大丈夫だと思うから」 智恵理の気休めも効果がなく、ベアトリーチェの目から涙が溢れてくる。 「あぁ〜ん、もうっ……BBがペイルウイングの練習課程を終えたら、ちゃんと推薦状書いたげるからぁ〜っ」 とうとう智恵理の声が悲鳴に近くなる。 それでやっとベアトリーチェのご機嫌が直った。
「年の瀬も押し迫ってるってのにぃ……こんなので来年、大丈夫かなぁ?」 思い返せば最悪の1年であった。 多くの人と知り合って友情が芽生え、そして多くの戦友と死別した。 17年の人生の中でも、まさに激動の1年であったと言える。 「これ以上ないってほど最悪の1年だったな。落ちるとこまで落ちたんだから、来年はちょっとでもマシになるといいなぁ」 ベアトリーチェの屈託のない笑顔を前に、智恵理は心からそう願わずにおれなかった。 ※ そんな智恵理の願いも虚しく、年が明けると敵の空襲はいよいよ熾烈の一途を辿った。 今日10機のUFOを落としたと思えば明日は20、それを壊滅させると明後日には30と、敵の物量は無尽蔵に思われた。 無限の回復力を誇る敵との戦いの末、智恵理たちは悪夢のような消耗戦に引きずり込まれていったのである。 そんな折、大西洋上に敵の空挺部隊が集結しつつあるという未確認情報が飛び込んできた。 その数おそよ500とも言われ、敵は一気に雌雄を決するべく一大航空部隊を編成しているものと思われた。 空挺集結の報に接し、参謀本部は俄に色めき立った。 「ともかく敵が攻めてくる以上、座して死を待つことも出来まい」 緊急対策会議の席上、参謀総長アン王女は列席した軍首脳をぐるりと睨め回した。 会議に出席したのは、参謀本部の各責任者と総司令部の大幹部連中である。 その中には親衛隊ペイルウイング指揮官となり、大佐に昇進したマリーもいた。 「敵の数は300とも500ともいう。50の敵に苦戦している現勢力ではこれに対抗し得ないのは明らかである」 アン王女はお話にならないとばかりに指示棒を机の上に放り出した。 耳の痛い話をされ、首都防衛軍司令官が顔をこわばらせる。 おまけに、こちらから先制攻撃を掛けようにも、海上兵力の枯渇した今となってはその手段はない。 「倫敦上空の制空権を失えば、敵は自由に空母を進出させてこられる。そうなれば市街は虫どもに蹂躙されてしまうだろう」 王女の目が一段と鋭くなった。 昨年、倫敦を恐慌に陥れた、カナリー・ワーフの回転木馬を思い出しているのであろうか。 それに、先だっては僅か2隻のキャリアーに倫敦市街を占拠されたばかりである。 これ以上国民士気が低下すれば、戦争の継続すら危うくなる。 それは王女の一番恐れるところであった。
「今日は、皆の忌憚のない意見を聞かせてもらいたい」 厳しい現状を前にして、各部長や総司令部の幕僚たちも顔の色を失っている。 「航空参謀。現在の航空兵力は?」 アン王女に指名され、総司令部の航空参謀がその場に立ち上がる。 「およそ300機……」 航空参謀の答えに、列席者たちの顔が幾分明るくなる。 「……しかし問題はその質です。敵UFOとまともに戦える新型バゼラートとなると……」 航空参謀は心苦しそうに語尾を濁した。 「航空戦力といっても、それほどあてには出来ないと言うことか」 アン王女が鼻白む。 「作戦部の意見は?」 いきなり指名を受けた作戦部長が言いよどみ、脇に控えた一条綾補佐官を一瞥した。 綾が頷いて席を立つ。 「航空兵力やペイルウイング隊があてにできない以上、我々に残された手は狙撃部隊によるバーチカル戦法しかありまへん」 綾の遠慮のない台詞に、ペイルウイング総監や航空隊司令官が顔色を失った。 綾は気にする素振りも見せずホワイトボードに近づくと、何やら図を書き始めた。 「市街の数カ所にライサンダー隊による阻止線を構築します。距離500ないし800から任意の1班が狙撃を開始……」 綾がボードの一点を指示棒でバンバン殴りつけて説明する。 「それに敵が引き寄せられたら、すかさず安全な待避所へ……同時に対角線上の別部隊が背後から敵を狙撃します」 それを繰り返しつつ敵勢力を徐々に減殺し、しかる後、温存していた航空ユニットで一気に勝負を掛ける。 それが綾の立案した必殺の布陣であった。 「そんなことが出来る訳がない。第一、ライサンダー1が敵の空挺部隊に無力であることは昨年来の迎撃戦で明らかだ」 第1航空戦隊司令が目を剥いて綾を非難した。 「誰がそんな時代遅れの豆鉄砲使う言いました?」 綾はせせら笑うように答える。 「すると……ライサンダー2が……」 ペイルウイング総監ファランドール少将が片眉をピンと跳ね上げた。 ライサンダー2は決戦兵器として開発されていた次期主力狙撃銃である。 ギガンテス戦車砲と同等の威力を秘めた特殊弾頭を、SSSの精度で1キロ先へ撃ち込む性能を誇る。 「どうにか量産体制が整いました。完成品から逐次狙撃大隊に回してますさかい、兵器換装終了と同時に作戦発動可能どす」 綾が戦技研の努力を、自分の手柄であるように得意満面で説明した。 「まだ実戦配備は済んでおらんのか。実績もない未配備の新兵器をあてにするようでは、折角の作戦も絵に描いた餅だな」 敵の総攻撃は、明日始まるのかもしれないのだ。 アン王女は腕組みを崩さず、しばし目を閉じる。 「ペイルウイング総監。意見は無いか?」 「…………」 ファランドール少将は口をつぐんで押し黙った。 「本部親衛隊の意見は?」 参謀総長は俯いている愛娘のマリー大佐を横目でチラリと見た。
「……我々には……我々ペイルウイング隊には、これまで倫敦を守ってきたという自負心があります」 EDF史上最年少の大佐は顔を上げ、思いきったように口を開いた。 「それが戦いもせず、他の部隊に後を任せるのは納得出来ませぬ。どうか我々の手で決着を付けさせていただきたく思います」 それを聞いたアン王女は、ほぅと感心したような顔付きになった。 「で、どうする? 500の敵を相手にどう戦うつもりだ」 王女は愛娘に向き直り、アゴをしゃくって先を促す。 そこから先はファランドール少将が引き継いだ。 「各戦線から選りすぐりの隊員を集め、統一指揮下で動く連合ペイルウイング部隊を臨時に編成します」 ペイルウイングの真価が問われる時とあって、総監は真剣な顔でアン王女を見詰めた。 「戦力さえ同等なら、我々がまだまだ敵に負けておらぬことを証明して見せましょう。なにとぞ……」 総監はそう付け加えると、今一度深々と頭を下げた。 《西暦2020年1月15日 倫敦 ウェンブリー》 この日、倫敦の命運を掛けたP1号作戦が発動された。 各戦線から一時的に引き抜かれ、倫敦に集結したペイルウイング隊員は、その数およそ800名。 総司令部の指揮下に入らず、ペイルウイング総監部に直轄した臨時の任務部隊である。 ファランドール少将の取った作戦の第一段階は、厭戦気分の蔓延する市民の度肝を抜いた。 連合部隊の出陣式を兼ねた軍事パレードがウェンブリー競技場において決行されたのである。 この日、無料開放されたスタンドには、収容人数を遥かに超える12万人の市民が押し掛けた。 普段、スポーツやコンサートで使われるスタジアムは、いつもとは違った趣の熱狂が渦巻いていた。 このところの厳しい戦局を肌で感じていた市民は、重苦しい閉塞感を打開してくれる変化を待ち望んでいたのである。 「アン王女、バンザーイ」 「EDF、バンザーイ」 市民は貴賓席に座ったアン王女に対し、熱烈な声援を送って彼女の支持を表明する。 そこに華やかな軍楽隊に先導された800名のペイルウイングが登場した時、市民の熱狂はクライマックスに達した。 勇壮なペイルウイングマーチに合わせ、一糸乱れぬ隊伍で行進する連合ペイルウイング部隊が続々と入場してくる。 ホームストレッチ前の貴賓席、アン王女の前にズラリと並んだ本部親衛隊の列中に智恵理はいた。 そして平静を装いながらも、心中では市民の歓声に負けないくらいに熱狂していた。 「すごいっ、すごいよ。これだけの戦力があれば、敵が幾ら来ようが負けっこないよ」 智恵理たちの眼前を軍楽隊が通り過ぎ、続いて連合ペイルウイング部隊の行進が貴賓席前に差し掛かる。
その先頭、真新しい部隊旗と並び、指揮棒を小脇に挟んだ長身のペイルウイングがいた。 総指揮官である彼女は貴賓席に王女の姿を認め、ヘルメットのバイザーを跳ね上げる。 「あっ……バルキリー隊長……」 驚いたことに、連合ペイルウイング部隊を率いる総指揮官は、智恵理のかつての上官であった。 バルキリーことソフィア・ビョルグンドは実験小隊を退いた後、前線部隊の要職を歴任し、本日付けで大佐に昇進していた。 この度、連合ペイルウイング部隊が結成されるに際し、まず必要とされたのは指揮能力と実戦力を兼ね備えた指揮官である。 その点、陸戦隊以来の総スコアが200を超え、数々の作戦において前線指揮を執ってきた彼女は申し分ない存在であった。 まもなく貴賓席前に達したバルキリー大佐は、よく通るメゾ・ソプラノで号令を掛けた。 「アイーズ・ライトッ」 号令に従い、小隊長以上の指揮官は挙手の敬礼を、他の隊員たちは一斉に首を右へ曲げ、貴賓席に向かって注目する。 智恵理たち親衛隊員は立ち上がって答礼し、シックな私服姿のアン王女は愛猫を抱いたまま右手を上げて応えた。 連合部隊の司令部直轄部隊が通り過ぎると、サンダーボゥを担いだ一般部隊の隊員たちが続々と行進してくる。 隊員たちは9列縦隊の中隊ごとに整列し、貴賓席の手前で一糸乱れぬかしら右を見せた。 「あっ、ヴィナス中尉……あっちにはトリックも……」 指揮官クラスを見れば、いるわいるわ、智恵理も見知った名うてのエースたちが揃っていた。 彼女の旧友の他にも『エーゲ海の真珠』と呼ばれるペネロペ少佐、『不死蝶』パピヨン大尉など錚々たる顔ぶれが並んでいる。 その中に、思い詰めたような表情の中国人娘を見つけ、智恵理はふとデジャブーを感じた。 彼女の顔が、地底決戦で散った鳳凰部隊のエース、ランラン大尉の記憶とダブるまで数秒を要する。 「大尉の妹? お姉さんの仇を討つため志願したのかな」 智恵理は同じ戦いで戦死した神楽大尉のことを思い出し、家族を失った彼女の心中を察する。 しかしそんな感傷は、次に眼下を通りかかった支援攻撃大隊を見た途端、一発で吹き飛んでしまった。 「ホノルル……それに寧々ちゃん」 支援大隊の一角、プラズマ・ランチャー中隊に続いて現れた狙撃中隊の中に、懐かしい2人の顔を見つけたのである。 ホノルルは智恵理が初めて持った部下の一人であり、浅野寧々はペ科練の同期生である。 2人とも長大な銃身のサンダースナイパーを担ぎ、凛々しい顔で行進している。 「すごいや。これだけのペイルウイングを揃えれば、負けろっていう方が難しいよ」 智恵理は目を輝かせ、通り過ぎていく連合ペイルウイング部隊に敬礼した。 この時、智恵理は味方の一方的な大勝利を信じて疑わなかった。
団結式の後、連合ペイルウイング部隊は大隊ごとに隊舎をあてがわれ、しばしの休息に入った。 無論、既にこちらの動向は敵の知るところとなり、いつ敵が奇襲を掛けてきてもおかしくない状況にある。 その時に備え、連合部隊は出来るだけの完熟訓練を実施しておく必要があった。 なにしろ、各戦線から選り抜きの隊員を集めたとはいえ、全体として見れば意思の疎通も叶わぬ寄せ集め部隊なのである。 少なくとも2、3回の合同演習を大隊レベルで行っておきたいところである。 連合部隊の総司令たるバルキリー大佐は参謀長カサンドラ中佐を伴い、打ち合わせのため総監部を訪れていた。 「……という訳で総監。ハイドパークの跡地を演習場として借り受ける件は了承願います」 バルキリー大佐は念を押すようにファランドール少将に頭を下げた。 「その件は了解した。さっそく物資補給の手配に移ろう」 少将は補給将校を呼びつけると、必要な物資の調達を命じる。 「ところで、出撃可能はいつ頃になりそうか? 実は偵察衛星が気になる観測データを捉えた」 バルキリー大佐の眉がピクリと動く。 「月方面から未確認物体多数が接近している。成層圏に達するのは、まだ先のことだが……敵の増援と見て間違いない」 電磁記録を差し出す少将の声が陰鬱に響く。 月が侵略者の橋頭堡になっていることは、この時期、既に明らかになっていた。 敵は月を確保したことにより、安全な衛星軌道を周回しつつ、好きなタイミングで兵器を投下することが可能になった。 迫りつつある物体も、恐らく敵が月面に待機させていた予備兵力なのであろう。 「この上、更に増援ですか……円盤よりかなり大型ですね。まさかとは思いますが、新型の陸戦兵器では?」 カサンドラ中佐が予言めいた推測を述べた。 となれば、敵は早くも航空撃滅戦を制した後の布石を打っているのであろうか。 最新の情報によれば、大西洋上に集結している敵の空挺部隊は1000機近くに膨れあがっているという。 「敵にこれ以上の増援を許せば勝てる戦も勝てなくなる。万全は尽くせぬかも知れないが、ことは拙速を尊ぶ」 少将はすがるような視線をバルキリー大佐に向けた。 「我々が大規模な演習に入れば、敵は必ず行動を起こします。その時こそが奴らを葬り去る最大のチャンスです」 バルキリー大佐は団結式と同じく、この演習自体をデモンストレーションとして最大限に利用する気でいた。 「焦った敵が動いてくれれば……この勝負、もらったも同然」 まず、倫敦市内に狙撃部隊による強力な縦深陣を構築し、ドッグファイトで敵を誘い込む。 そして空陸両面からの立体戦法で敵を徐々に減殺、しかる後、倫敦近郊において航空決戦に持ち込み一気に雌雄を決する。 それが大佐が思い描く必勝の戦術構想であった。 奇しくも、それは綾の立てた戦術案とほぼ同じ内容であった。 他に頼りになる策もなく、ファランドール少将は大佐に全てを任せる決意をした。
乙です!
負けフラグ立ちすぎ全英が泣いた 空挺結集も鉄球と一緒で現実ならかなり恐ろしいステージになるのか… と思ってたけどディロイの話題が出た途端に噛ませ犬に成り下がったよw
いよいよ奴が来るのか、と思ったけどゲームじゃ近衛の次には火球が落下してきてんのね
421 :
名無しさん@ピンキー :2008/02/22(金) 08:51:43 ID:/rNrB3aJ
今回は作戦会議か 脳内でアニメが再生されるぜ
ああ、懐かしい面々がちらりと登場して感無量だな そしてこれからのことを思うと気が重くなるが、楽しみでしょうがないw
きしめんの鬼畜っぷりに期待
高難易度のきしめんは障害物に隠れるかディロイを撃って弾道を逸らすか自爆するしかないもんな
皇国の守護者みたいになってきたな。許容も無く、慈悲も無い。 この800人のペイルウイング大隊のうち、果たして何人が生き残るのか。 ところで、あの男の戦闘スタイルって、ライサンダーなどの長距離対物ライフルでの超長距離狙撃戦だったよな? あの男との再会はあるのだろうか?
初登場時はアサルトライフル使ってるから、状況に応じて使い分けるんじゃね? ライサンダーFは幅広く使える武器だし、前作の最強ライフルだから何度も使われてるんだろうと思う
さりげにSGだかのショットガンも使っていたような
そのうちボルケ教になって帰ってきたら俺は笑う
爆破半径140mの某大量破壊兵器使いになってたらどうしよう
>>428 伝説の陸男「ボルケーノwwwwwドカーンドカーンwwwww」
チェリーブロッサム「ちょ、巻き込むな!」
陸男「ぼるけいのうwwwwwぼるけいのうwwwwwwww」
どっかからもいできたジェノサイド砲を両手持ちする伝説の漢
E
D
F
2
は
地獄だ!
ぜ!!
PS3で地球防衛軍3発売してくれんかのう…箱○持ってないからなー
ペイルウィング復活!ペイルウィング復活!
全選手入場!!
443 :
名無しさん@ピンキー :2008/03/16(日) 14:16:33 ID:TcQnaf+M
どらっ、四つん這いになって尻を持ち上げてみろ!! ねぶり回してやるぜ(`皿´)
…
>>442 全選手入場!!
コンクリ殺しは生きていた!! 更なる研鑚を積み巨大蜘蛛が甦った!!!
凶蟲!! バゥだァ――――!!!
太陽系第三惑星地球はすでに我々が制圧している!!
巨大生物巨大甲殻虫だァ――――!!!
現れしだい飛びまくってやる!!
インセクトヒル代表 飛行甲殻虫だァッ!!!
素手の殴り合いなら我々の物量がものを言う!!
素手の大蟻 クリムゾン・アンツ 赤色甲殻虫!!!
真の護身を知らしめたい!! ローラー・ロボット ギリオだァ!!!
地上戦は3階級制覇だが空中戦なら全階級私のものだ!!
EDFの特殊部隊 ペイルウイングだ!!!
爆発対策は完璧だ!! 百脚龍虫 ドラゴン・センチピード!!!!
全侵略軍のベスト・メンバーは私の中にある!!
運搬の神様が来たッ キャリアー・UFO!!!
タイマンなら絶対に敗けん!!
特撮怪獣のケンカ見せたる 宇宙生物 ソラスだ!!!
ドッグ・ファイト(空中戦)ならこいつが怖い!!
インベーダーのエース・ファイター インペリアル・ガードだ!!!
東京湾から敵の歩行戦車の上陸だ!! 多脚歩行戦車 ダロガ!!!
ルールの無い戦争がしたいからインベーダー(侵略者)になったのだ!!
プロの戦争を見せてやる!!マザーシップ!!!
めい土の土産に教えてやるとはよく言ったもの!!
達人の奥義が今 実戦でバクハツする!! ローラー・ロボット改 ギリオラ先生だ―――!!!
世界ヘヴィ級チャンプこそが地上最強の代名詞だ!!
まさかこの巨大凶虫がきてくれるとはッッ バゥ・ロード!!!
闘いたいからここまできたッ キャリア一切不用!!!!
宇宙のピット(ケンカ)ファイター ディロイだ!!!
オレたちは爆撃最強ではない対地攻撃で最強なのだ!!
御存知インペリアル・ボマー ドレッドノート!!!
空中戦の本場は今やインベーダーにある!! オレを驚かせる奴はいないのか!!
エース・ファイターUFOだ!!!
デカカァァァァァいッ説明不要!!
皇帝都市だ!!!
地球はオレのもの 邪魔するやつは思いきり撃ち思いきり蹴るだけ!!
改造宇宙生物 サイボーグ・ソラス
今の自分に死角はないッッ!! ミラー・ファイターシールド・ベアラー!!!
モニターの中でならオレはいつでも処理落ち必至だ!!
超巨大宇宙生物 キングソラス フルサイズで登場だ!!!
特に理由はないッ 侵略者が強いのは当たりまえ!!
特撮協会にはないしょだ!!! 日の下開戦!
ファイターUFOがきてくれた―――!!!
爆撃だったらこの人を外せない!! 超A級爆撃手 インペリアル・ボマーだ!!!
超一流ランナーの超一流の逃走だ!! 生で拝んでオドロキやがれッ
大英帝国の鋼鉄人!! ロンドン・一般市民!!!
物量戦術はこの蟻が完成させた!!
インベーダーの切り札!! 超巨大甲殻虫だ!!!
若き王者が帰ってきたッ
どこへ行っていたンだッ チャンピオンッッ
俺達は君を待っていたッッッ伝説の男の登場だ――――――――ッ
よくがんばった!
鼻水吹いたw ようやったなGJ
いったいいつ地球防衛軍はバキっぽくなったんだw
デカイ説明不要www
デカイ説明不要はある意味間違ってないから困るw
見れば判るからなあ、あの威圧感はw ・・・・・・「4」はやっぱ2のリメイクになるのかな。どんなんなるのかなデカイは。
452 :
名無しさん@ピンキー :2008/03/24(月) 18:21:27 ID:rrOSkfkR
4出るの?
嶺の亀裂クリアできねえ
うん? ここは誰でも書いておk?
ついでにルールとかもある?
誰が書いてもokなんじゃないかな このスレの初期からいたわけじゃないけど、ルールもこれといってなかった気がする まぁ、実質ほぼ長期連載のペリ子物語スレだけど 保守がてらの軽い雑談やSS投下なんかもある というか、そろそろこのスレも3周年むかえるんだなw なんという長期連載。未だに毎月の楽しみだもんなぁ
いやそうじゃなくて、一応ここには年齢制限があってだな…
>>457 そんなことは言わずもがなですよ隊長
板の最低限のルールじゃなくて、このスレのローカルルールを聞いてるのかと思われます、サー!
何を聞きたいのかイマイチわからない上にまとまってもいない質問してる奴だぜ? まぁ「はじめてのスレは半年ROMる」が出来てない時点でどうかと思うがな
なにが複雑なのか分からないがどっちもどっちじゃね?w どちらも何がしたいのか意味不明。煽ってるようにも見えないぞ ってことで以後スルーするのぜ
462 :
名無しさん@ピンキー :2008/03/26(水) 13:09:37 ID:qi/QPgTy
【 虐殺オリンピックスポンサー不買のお願い 】 「 あなたが買った1本のコカ・コーラの代金が1発の銃弾になり、1人のチベット人を殺します 」 〜 買わない事がチベットを救う事になる 〜
463 :
名無しさん@ピンキー :2008/03/27(木) 02:40:17 ID:OdpL9a4h
どなたか保管庫のアド教えて下さい……orz
>>463 スレを最初から読めば
>>14 にあるのがわかるハズだが?
ロクに調べもしないでageてまで質問するお前のような馬鹿の為に
>>464 はわざわざURLを貼ってくれたんだぞ?
せめて20歳になってからまた来い。
>>463 ありがとう、お前が聞かなかったら俺が聞いてたかもw
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「では、くれぐれもよろしく」 一礼をして総監室を辞したバルキリー大佐は、ドアの外で偶然智恵理に出くわした。 予期せぬ場所での再会に、智恵理も驚きを隠せない。 「お久しぶりです、バルキリー……大佐」 智恵理は嬉しそうに細めた目でかつての上官の階級章を確認し、そして勢いよく敬礼した。 同行していた3中隊次席のバーディ中尉も慌てて敬礼する。 しかし、その動きはぎこちなく、どこかなおざりな感じがした。 大佐が答礼すると、肩のストラップに吊したグレネードが小さく揺れた。 智恵理の記憶が正しければ、それはパンドラとか呼ばれる支援兵器の筈である。 「ホント、久しぶりね」 大佐の顔が懐かしいアルカトラズ時代のものになった。 眉が下がり、今にも泣き出しそうな情けない顔が、生徒に苛められた職場実習生を彷彿させる。 しかし智恵理は、この泣き顔の30女が、実は能力者と互角に戦える希有の存在であることを知っている。 「あなたも本部要員になったんだから、少佐にして貰えばよかったのに」 そう言って笑う大佐から、智恵理に向かって負の感情が流れ出す。 大佐は智恵理をXナンバー計画に巻き込み、化け物じみた能力を開花させてしまったことに後ろめたさを感じていたのだ。 しかし智恵理の屈託のない笑顔を見ているうちに、大佐から徐々に負の波動が薄れていく。 「ともかく親衛隊の側面支援、頼りにしているわ」 長身の連合部隊総司令は、再度敬礼すると智恵理の前から歩み去った。 「……大尉。バルキリー総司令とは、余り誼を通じない方がいいんじゃないか」 大佐の姿が見えなくなると、バーディは声をひそめて呟いた。 「ん? どうして」 智恵理は怪訝そうに問いかけた。 「大尉はヒナと仲がいいだろ。無論、周囲は大尉のことをバリバリの王女派と見てるよ」 ヒナことマリー大佐はアン王女の愛娘である。 そのマリー大佐と懇ろにしている智恵理が、王女と通じていると見られるのは当然のことだろう。 そこでバーディは一層声を低くする。 「ところが、あのバルキリーってのはローゼンバーグ議長の懐刀、バーンズ准将の情婦……当然、ガチガチの議会派だからね」 「なに、それ?」 智恵理はバーディの言っている意味が冗談ではなく解らなかった。 「アンタ……マジかよ」 バーディは呆れ顔になりながらも、智恵理に詳しく説明してくれた。
王女派とはその名の通りアン王女を慕って集まった、EDF参謀本部を中心とする軍閥である。 そして議会派とは、WG設立委員会を構成する国連議員たちを中心とした政治家の派閥である。 共に戦後世界の主導権を狙って互いを牽制しあう政敵であった。 ペイルウイングには、その生い立ちからしてアン王女寄りの者が多い。 ハッキリと議会派色を鮮明にしているバルキリー大佐などは珍しい存在であった。 それだけに大佐の行動は、公私の区別なく情報部の監視下に置かれている。 アルカトラズ時代に彼女の腹心だったリタ・キャンベルは、作戦部長が送り込んだスパイだったという風説もある。 副官エイプリルとして大佐に接近した彼女は、委員会の極秘作戦をことごとく盗み出し、逐一作戦部に報告したというのだ。 これにより、議会派が王女派を出し抜くため独自に企画していた反攻計画は、一旦白紙に戻ったという。 後日、計画が再開された時、その内容は大幅に参謀本部に譲歩したものになっていた。 これに対する議会派の反撃も、また凄まじいものであった。 生還率の低下した昨今、ペイルウイング隊員の人員不足は深刻になってきている。 これはペイルウイング少数精鋭主義を唱える議会が、新規隊員の養成に予算を回さなかったことに起因するという。 それが事実なら怖ろしいまでの利敵行為である。 有識者に言わせれば、現在の人類は王女派、議会派そして宇宙教団の三つどもえの戦いを繰り広げていることになるらしい。 「何やってんだろ。今は人類同士で争ってる場合じゃないってのに」 智恵理は王女派、議会派の双方に腹が立ってきた。 「そんなに同士討ちしたいのなら、この戦いに勝ってからにしたらいいじゃない」 議会派が企画していた極秘作戦というのがXナンバー計画であることは、今の智恵理にはハッキリ分かっていた。 仮に両派閥が共同して計画を進めていたなら、忌まわしいアルカトラズの悲劇は起こらなかったかもしれない。 そうすれば、あのアスラやニッキーたちもEDFから離反せずにすんだのである。 おそらく戦技研に戻ったミラージュが王女派で、地下に潜ったガイスト博士が議会派なのであろう。 エイプリルの働きで議会派の動きを察知した王女派は、自らの息が掛かったミラージュを計画に割り込ませたに違いない。
超心理物理学の権威であるミラージュの参画は、ガイスト博士にとっても有意義なことだったのであろう。 思念波の武器化については自信があるガイスト博士も、被検体の能力開発については門外漢であった。 折角の被検体、Xナンバー1号から26号までをダメにしてしまったのも博士の不手際である。 対するミラージュにはサイコガンについてのノウハウは無かったが、博士が苦手とする分野に一日の長があった。 それ故、博士は彼女が王女派の人間と知って、自由に智恵理を弄らせていたのである。 すなわち、ガイスト博士が銃器を、そしてミラージュが射手を、互いに相手のため秘密裏に担当していたと言える。 2人が最初から胸襟を開き、共同して開発に当たっていれば、どんな素晴らしい思念誘導兵器が完成していたことか。 寝返ったアスラや春嶺尼たち、それにマイティ少尉が共にいてくれたら、どんなに頼もしい戦友になってくれたことか。 そう考えると、智恵理は悔しさの余り叫び出しそうになった。 智恵理の怒気を敏感に察知したバーディは、慌てて話題を逸らした。 「何にしても私たちはやるべきことをやるだけだよ。それよりヒナが待ってる。急がなくちゃ」 《西暦2020年1月20日 ウェストミンスター EDF本部庁舎》 「なにっ……連合部隊の第1陣が壊滅したじゃと?」 その凶報を受け取った時、マリー大佐は親衛隊本部でアフタヌーンティの真っ最中であった。 高価なティーカップがテーブルに落ちて真っ二つに割れた。 「詳細については何も入っておりません」 大佐に襟首を締め上げられ、フォルテシモ中尉が目を白黒させる。 「隊長っ。直ぐに中央情報センターへ参りましょう」 そう言う智恵理の顔は真っ青になっていた。 被害の状況、特に寧々たち旧友の安否が気になっていたのである。 中央情報センターは本部庁舎の地下10階にあって、本作戦における戦術情報を統括している部署である。 マリー大佐は、ドアの前に立ち塞がる衛兵を突き飛ばすように押し退け、強引にセンターへ入室した。 「連合部隊はどうなっておるっ?」 大佐が怒鳴り声を上げると、インカムをつけたオペレータたちが一斉に振り返った。 通称オペ子と呼ばれる情報処理のスペシャリストである。 ドンパチには縁のない少女たちは、乱入してきたペイルウイングに非難の目を向けた。 相手が親衛隊所属のペイルウイング隊長と認め、直ぐに手空きの通信将校が駆け寄ってくる。 「次のような情報が入っております」 通信将校はファイルを開き、マリー大佐に向かって戦闘記録を読み上げる。
「10:13、敵の大梯団見ゆ。その数、約200……10:28、アルファ大隊第2、第5中隊、敵前衛部隊と接触……」 若い通信将校は次々とファイルを捲り、淀みなく記録を読み上げていく。 それによると、敵UFOは200機ごとの大梯団を組み、3つの集団に分かれて倫敦市街に侵入を図ったという。 これを迎え撃った連合部隊は、少数のエースのみで構成された囮部隊でこれを迎撃した。 囮部隊は敵の出鼻を挫いて編隊を攪乱すると、直ぐさま反転して敵の後続を縦深陣に引きずり込むことに成功した。 その後、綿密な計算によって構築された狙撃陣地は、たちまち敵の第1波200機を半減させている。 そこへ第1陣のアルファ、ブラボーの2個大隊が殴り込みを掛け、一方的に敵を壊滅させた。 ここまで、綾やバルキリー大佐が構想した通りの展開である。 「なにそれ……完全なワンサイドゲームじゃないの?」 智恵理は一瞬、先程の凶報が誤報であったのかと思った。 ところが彼我の優位が逆転したのはそれから直ぐのことであった。 「12:05、敵の第2波150機が倫敦侵入。直ちにアルファ大隊が迎撃に向かう……12:24、同大隊長戦死……」 マリー大佐と智恵理は思わず息を飲んだ。 「何が起きたのじゃ? 伏兵か」 アルファ大隊を指揮していたのは、経験豊富なスペリオル中佐である。 直援担当のセカンドも、総スコア10傑に入る剛の者であった。 それが劣勢の敵に軽く捻られてしまったと言うのだから、2人が驚くのも無理はなかった。 「はっ、敵の1機とドッグファイトに入った直後、ビーコンが途絶えております……」 通信将校はファイルの束を捲って確認した。 その後、中隊長以上の指揮官が軒並み倒され、指揮系統を潰された各編隊は敵の包囲にあって各個撃破されたという。 「何者じゃ……ペイルウイングのエースをことごとく葬り去った敵とは……」 マリー大佐の顔から血の気が引いていた。
「隊員間における私的会話は公式記録に残っていませんが、『赤い奴』なる語彙が何度も受信されております」 「赤い奴?」 智恵理が呻くように漏らした。 断片的な会話から推測するに、それは赤く塗装された円盤であり、通常の機体より遥かに素早く、圧倒的な火力を誇るらしい。 モニターされた会話の中に『赤い奴』という呼称が悲鳴混じりに何度も交わされていた。 恐らくそれは敵の精鋭たる存在、エース・ファイターなのであろう。 「データが未回収ですので確認出来ていませんが、一般ファイターの3倍は早く、もの凄い火力を持っているとか」 通信将校は声をひそめてそう呟いた。 「3倍早い、真っ赤な機体……シャア……?」 智恵理が漏らした独り言を理解出来る筈もなく、マリー大佐は通信将校に先を促す。 「その後、組織的な空戦は行われておりません。現在、ブラボー大隊の生き残りが敵の殿軍と交戦中。以上です」 通信将校はそう言ってファイルを閉じた。 「なにっ、まだ戦っている仲間がおるのか。増援部隊の出撃はどうなっておるのじゃ」 大佐が血相を変えて通信将校に詰め寄る。 「敵の主力は撤収行動に入っています。今、増援を出せばいたずらに被害を拡大させ、収拾のつかないことに……」 「仲間を見殺しにせよと申すかっ」 大佐は思わず大声を上げてしまった。 「しかし、これは上層部の決定であり……私の意見では……」 それを聞いた智恵理は情報センターの扉を開けて駆け出そうとした。 ブラボー大隊の地上部隊には、浅野寧々が配属されているはずなのだ。 「ならぬっ、待つのじゃ大尉」 マリー大佐は大声で智恵理を呼び止めた。 そして立ち止まった智恵理の前に回り込み、両手を広げて通せんぼする。 「今からその方1人が駆けつけて何になる。兵力の逐次投入は愚の骨頂と、ヒナに教えてくれたのはその方ぞっ」 大佐はいつになく厳しい口調で智恵理を怒鳴りつけた。 「しかし……このままでは……」 こうしている間にも、ブラボー大隊の生き残りは全滅しつつあるのだ。 黙って仲間を見捨てることなど、智恵理には耐えきれなかった。
「ヒナとて不本意なれど、今その方を失う訳にはいかぬのじゃ。きたる復讐戦に備え、ここは自重してくれい」 大佐の目がウルウルとしていた。 しかし智恵理にも聞ける命令と聞けない命令があった。 智恵理は大佐の細い胴に手を回し、優しく横へとずらす。 「絶対……ぜぇ〜ったい生きて帰ってくることを約束します。ですから……」 智恵理はサッと右手を挙げて敬礼すると、踵を返して通路を駆けていった。 それを見送った大佐は、智恵理の後ろ姿が見えなくなるのと同時にその場にしゃがみ込んでしまった。 「すまぬ、ヒナに力がないばかりに。死んではならぬぞ……死んでは……」 智恵理はPEユニットを背負うと、廊下の窓から直接空へと飛び出した。 本部庁舎から高層ビルの屋上づたいに飛ぶと、空戦域まではあっという間であった。 空域にはまだ多数のUFOが居残っており、数を頼みに残り少なくなったペイルウイングを追い回している。 その数はおよそ50機あまり。 大多数を占めるファイターに混じり、近衛、シールド・ベアラーなど、ありとあらゆる機種が乱舞していた。 「あそこっ」 智恵理は5機編隊のファイターに追われているペイルウイングを見つけ、ユニット全開で急降下していった。 位置のエネルギーを速度に変えた智恵理は、アッと言う間に編隊に追いすがり、至近距離からサンダーボゥを乱射する。 束になった稲妻が虚空を切り裂いた。 2機のファイターが爆発し、残りが黒煙を上げて離脱していく。 背後の異変に気付き、追われていたペイルウイングが振り返った。 イヤーレシーバーに描かれたパンダのパーソナルマークがチラリと見える。 バイザーを上げると、中国娘の驚いた顔が露わになった。 「単騎で戦ってはダメッ。各個撃破される前に、生き残りを糾合して編隊を再構築するのっ」 そう叫んだ智恵理は、台詞とは相反する行動に出る。 敵に追われている仲間を救うため、再び単騎空戦を挑んでいったのである。 上空を見ると、有力な近衛の編隊に追い込まれていくペアが目に入る。 射程距離の外であったが、智恵理はためらうことなくサンダーボゥをぶっ放した。 取り敢えず、自分達の背後に敵がいることを教えてやればいい。 案の定、雷撃は命中しなかったが、敵は編隊を崩して回避行動に入った。 それで窮地にあったペアは救われる。 「仲間を助けて集結するのよっ。目標はチェルシー王立病院」 智恵理は振り向きざまに、背後に忍び寄ってきたファイターをぶち抜く。 そしてブーストを噴かし、上空から被さってきた近衛の編隊を置いてけぼりにする。
四方八方が敵に埋め尽くされており、一瞬の油断が即死に繋がる状況であった。 しかし智恵理には、数秒後の自分にとって危険な敵だけを的確に選別する能力があった。 従って、目まぐるしい乱戦の中でさえ、一方的に先手を取ることが出来たのである。 ふと、眼下を見下ろした瞬間、緩慢な動きで飛ぶ1機のファイターUFOが目に入った。 普通の機体とは異なり、ボディが真っ赤に塗装されている。 「赤い円盤……」 智恵理は味方を一方的な敗北に追いやったという、敵の精鋭を見つけたのである。 「こいつが……エース……ファイター?」 交信記録が真実ならば、目の前の敵は通常ファイターの3倍のスピードと火力を有し、彗星のごとき機動力を誇るという。 恐らくあの近衛よりも手強く、智恵理の能力をも凌駕しているのであろう。 その精鋭が全くの無防備で眼前を直線飛行している。 智恵理の喉がゴクリと鳴った。 「今ならやれる……今しか墜とせない……」 智恵理はダットポイントを動かし、慎重に照準を合わせる。 知らず知らずのうちに息が上がり、呼吸が荒くなっていた。 動悸に合わせてクロスゲージが上下に乱れる。 「落ち着け……落ち着くのよ……」 智恵理は自分に言い聞かせるように念じる。 その途端、不思議な感覚が頭に流れ込んできた。 「…………!」 トリガーを引こうとした人差し指が、凍りついたように固まった。 「……少佐……アイスバーン少佐……?」 思念波が敵を捉え、波動がシンクロした瞬間、あのアイスバーン少佐の気配に包み込まれたのである。 智恵理は目標から目を逸らし、周囲をキョロキョロと見回した。 勿論、少佐がいるはずもなく、敵味方とも離れた空域でドッグファイトの真っ最中である。 智恵理の視線が、ゆっくりとエース・ファイターに戻された。 「……ま、まさか……少佐なの?」 懐かしさ、悲しみ、喜び、そして恐怖──ありとあらゆる感情が複雑に交じり合い、そして一気に爆発した。
その途端、エース・ファイターが急激な機動に入った。 ようやく後ろ上方を占めている智恵理の存在に気付いたのである。 信じられない急角度で上昇したエース・ファイターが、飛行機雲を引きながら目の眩むようなループを描く。 アッと驚く暇も与えられず、智恵理はバックを取られていた。 「くっ、はぁっ……まずいっ」 反射的に身を捻った脇腹を、赤紫の光弾が束になって駆け抜けていった。 並のファイターに比べて、遥かに弾の密度が濃い。 智恵理は身をよじった体勢を利用して、横転から左垂直旋回に入る。 しかし、あろうことか、敵は智恵理の動きを見切っていたかのように、彼女の旋回方向に先回りしていた。 「そんなっ」 歯を食いしばってGに耐え、今度はパワーダイブで危機を脱する。 だが、エース・ファイターは全力の急降下に平然と追随してきた。 「ぐぅぅっ……」 ダイブを諦めた智恵理は降下の勢いを利用して急上昇に入る。 脳内の血液が足りなくなり、意識が遠のいていく。 「ダ、ダメだ……やられる……」 振り返った智恵理は、エース・ファイターがパルスレーザーの発射態勢を取るのを確認する。 「これまでか……」 観念した智恵理の体スレスレを掠めていったのは、網膜を焼くような眩い稲妻であった。 サンダーボゥとは明らかに違う、射程の長い稲妻が、雲一つ無い上空へ駆け抜けていく。 青天の霹靂の正体は、サンダースナイパー6による精密射撃であった。 市街地に展開している友軍の狙撃部隊が援護してくれたのである。 地上からの稲妻攻撃は何度か連続し、数発がエース・ファイターに命中して火花を散らす。 エース・ファイターは破損したふうにも見えなかったが、それでも智恵理への攻撃を中断して西方向へと進路を変えた。 潮時と見たのか、それを機に敵の全軍が撤収行動に入った。 「ま、待って……少佐……少佐なのですかっ?」 逃げる敵を追いかけようとした時、丁度智恵理のPEユニットが緊急チャージに入った。
「怖ろしい相手だった……」 緩降下に入った智恵理は、敵の動きを反芻してみる。 あの、敵の動きを先読みして追い込んでいく、詰め将棋のような戦いぶりは、確かにアイスバーン少佐を彷彿させた。 しかし、相手が少佐なら自分を攻撃してくる訳がない。 何よりも敵のUFOに乗っている理由が分からない。 「洗脳……まさか……」 余りにも突飛な空想であったので、智恵理の思考はますます混乱していった。 地上に降りると、懐かしい顔が待っていた。 「ホノルルッ……さっきの支援攻撃、あなただったの?」 サンダースナイパー6を担いだ黒髪のハワイアン娘が、右手を上げて駆け寄ってきた。 「やっぱり隊長だったか。あんな動きができるペリ子なんて、今どきそうはいないからね」 ホノルルはそう言うと、自称2017年度ミス・ハワイの美貌を崩して笑った。 「ありがと、危ないとこだった。流石だね、あの高度で動いてる的に3発も当てたよ」 智恵理は旧部下が見せた腕前に感心する。 そして2人はがっしりと抱き合い、無事に再会できたことを喜んだ。 智恵理は背後に人の気配を感じ、首だけで振り返ってみる。 懐かしい浅野寧々が立っていた。 「寧々ちゃんっ」 彼女と再会するのは、第2次倫敦降下作戦でダロガと撃ち合いを演じて以来のことである。 まだ半年そこらしか経っていないのに、10年ぶりのような気がした。 東南アジアのジャングルで幾つもの死線を越えたのであろう。 儚げな雰囲気はそのままだったが、少し逞しくなったように見える。 2人は何も言わずに抱き合った。 寝食を共にし、喜びと苦労を分かち合った同期生に言葉は要らなかった。 ただ、互いが無事に生きていてくれたことに感謝した。 智恵理の目から涙が自然に溢れてきた。 しっかり抱きしめた寧々の背中も、嗚咽に合わせて震えているようであった。 「参謀本部に帰るんだろ? うちの車で送ってくよ」 我に返ると、ホノルルが親指で背後の装甲輸送車を示していた。 智恵理は礼を言ってから西の空を見上げてみる。 そこには既に敵の姿は見えず、傾きかけた太陽だけがギラついていた。 「恐ろしい敵だった……本当に少佐だったの?」 智恵理は込み上げてくる胸騒ぎを押さえることが出来なかった。
おお更新直後だ 乙
まさかのシャア+アイスバーン少佐…というか円盤にはやっぱり中の人がいるのかw 智恵理もゲーム中のペリ子並に強くなってきてるね まだディロイが来ない。ディロイ怖いよディロイ
更新キテター。いつもながら乙 3倍ふいたw 話も後半戦に入ってきてますます面白くなってきたなぁ 精鋭でこれならディロイがとんでもないことになりそうだ そしてテラソラス期待
精鋭と思ったら空挺結集だった。そしてアイスバーン少佐の出番が意外と早…いやそうでもないのか? エース強すぎwと思ったがゲーム中でもペリ子はエースと相性悪い品。
488 :
名無しさん@ピンキー :2008/04/06(日) 13:09:32 ID:wucJa2Rj
E!D!F!
E!D!F!
490 :
名無しさん@ピンキー :2008/04/09(水) 20:44:40 ID:95Ws0O1S
E!D!F!!
E!
D!!
F!!
E!
D!
F!
497 :
名無しさん@ピンキー :2008/04/13(日) 10:20:33 ID:uW0h2L22
性的不能フォース
E?
D?
500 :
名無しさん@ピンキー :2008/04/16(水) 11:02:25 ID:yNLnJeZD
ペイルウイング物語みたいなエロ小説って売ってないですか?
501 :
名無しさん@ピンキー :2008/04/17(木) 13:37:40 ID:jbQIE/M4
俺の目の前で負傷し、倒れているのは、つい先程ソルリングXをぶち込んで撃墜してやった、飛行円盤のパイロットだ。 炎を噴いて墜落する円盤から辛うじて脱出したものの、爆砕した円盤の破片を受け、この様だ。 しかし、この姿…… 「ニーギ、ジョリカ!ジョリカ!ハスタニーギ!」 護身用と思しき小型武器の筒先を俺に向け、必死の形相で喚きちらすその様は… 「ふん、インベーダーも人員不足という事か…化け物じみたのを想像していたがな」 真っ赤な目から涙を流し、金属片の突き刺さった脇腹を抑えて泣き叫ぶそいつは、果たして人間の女と変わらぬ姿だった
502 :
名無しさん@ピンキー :2008/04/17(木) 14:05:48 ID:jbQIE/M4
「ジョリカ!」 何と言ってるか知らんが、恐らくは「近寄るな」とかそんなだ。 腕っ節は強くはないだろうが、武器を持っている以上迂闊には近付けない。 お互い銃口を向け合ったまま膠着状態に陥ったが、長くは続かなかった。 「ウッ…」 出血によって意識が遠退いたか、奴は遂にその場に倒れ込んだ。 俺は直ぐさま駆け寄ると、奴の手にした武器を蹴り飛ばし、両腕を背中に回して捕獲用の手錠をかけて拘束した。 抵抗する術を完全に奪ってから、次にどうすべきか考えた。 奴の様子を見る限り、放っておけば直ぐにもくたばるだろう。
503 :
名無しさん@ピンキー :2008/04/17(木) 14:19:12 ID:jbQIE/M4
とりあえず俺は応急処置を施してやる事にした。 奴の着ている服は、ペイルウィングの物によく似た構造で、ひん剥き方も直ぐに分かった。 胸元を開くと、若干色の濃い肌が露出し、小柄な体格に不釣り合いな、発育の良い乳房が撓わに揺れた。 右脇腹に突き刺さった破片を慎重に抜き取り、支給品のキットを使って傷口を塞ぐ。 ラボで開発された、この最新のキットは、直ぐさま太い血管の傷口も塞いでしまう。 それから鎮痛剤を一錠奴口に含み、水筒の水で解いて口移ししてやった。 と、ここで奴が目を開いた。
504 :
名無しさん@ピンキー :2008/04/17(木) 14:31:53 ID:jbQIE/M4
「ギャッッ!」 真っ赤な目を見開き、赤子を殺すような悲鳴を上げたかと思うと、途端にジタバタと暴れ、喚き出した。 「ジョリカ!ヤヌシヒーギ!ジョリカァァア!!」 まるで懇願するような悲痛な声を上げ、また涙を流しで首を横に何度も振る… まぁ、俺も“不純な動機”で助けてやった訳だし、文句は言うまい。 俺はその不純な動機を、実行に移す事にした。 「騒ぐんじゃねぇ」 スパァンと高い音をたて、俺の硬い掌が奴の頬を張った。 「ギャッ!」 少し静かになった所で奴の長い緑色の髪を掴みあげ、無理矢理立たせると、向かいの無人のコンビニに引きずり込む
505 :
名無しさん@ピンキー :2008/04/17(木) 14:44:02 ID:jbQIE/M4
「楽しませてもらおうか」 奴を床に転がすと、まだ痛むであろう傷口を靴先で蹴り上げ、仰向けにする。 「ナジリーニ…アサナジ…リィィッ…」 まるで祈るような言葉を発し、涙をポロポロ零しながら、怯えた表情で俺を見上げる雌のインベーダ。 だが、俺はガンジーでもなきゃ、マザーテレサでもない。 雄の地球人だ… 「先に侵略した貴様らが悪いのさ…お合いこだぜ」 俺は嘘は言ってない。 インベーダに捕獲されたペイルウィングが、明らかに凌辱された後殺害され、辱められた遺体が晒されていた事だってあった。 綺麗事なんぞ糞喰らえ…これは戦争だ…
506 :
名無しさん@ピンキー :2008/04/17(木) 14:54:56 ID:jbQIE/M4
恐怖で硬直してしまったのか、奴は俺が一物を曝そうが両足を無理矢理割って開こうが、抵抗はしなかった。 ただ震える声で何やら祈り、脅えた目で見つめてくる。 「ほう…」 インベーダの雌の割れ目は、横に割れているか縦に割れているか、戦友と賭をした事がある。 果たしてインベーダのそこは人間のそれと同じであり、賭には負けてしまったが、支払う戦友は今回の戦闘でフライにされちまった。 「それでは失礼をば」 奴の髪を掴み上げ、脅えた表情を楽しみながら、俺は剛直を一気に突き上げ、奴の胎内を縦に貫いた。 「……ギャッ!!アアアァァッッッ!!」
507 :
名無しさん@ピンキー :2008/04/17(木) 15:08:11 ID:jbQIE/M4
ミシミシと何かを破る感触の後、奴と俺の連結部分からは痛々しい血が流れ落ちた。 途端にコンビニ内に奴の悲鳴が響き渡り、恐らく生娘“だった”奴は目を見開いて泣き叫んだ。 「アァァッッッ!アアアアッ…ア…」 「は!やっぱり初めては痛いってか?良かったじゃねえか、手前はまだ生きてるぜ!」 俺は二三回奴の頬を張った後、明らかにサイズの合っていない奴の中を蹂躙し尽くすべく、ピストン運動を開始した。 ギシッ…ギシ… 「アァァッッッ!ヤアァッ…アア!」 ミチッ…ミチッ… 「ヒグゥゥッ…ゥゥッ」 まるでかり首を噛みちぎらんばかりの締め付けに、俺も長くは続かなかった。
508 :
名無しさん@ピンキー :2008/04/17(木) 15:21:37 ID:jbQIE/M4
が、ここで予想もしない出来事が起こった。 奴の中で今正に精を吐き出さんとしていた俺の息子が、まるで舌で嘗めあげられるような感覚を味わったのだ。 インベーダの割れ目が人間と同じ…というのは正確さを欠いた。 奴らの雌には、人間のヴァギナにはない、特殊な器官が備わっており、雄の性的刺激を感じ取って、射精の瞬間に独特の刺激を与える。 それは奴らにとってオーガスムスのような物なのかもしれないが、人間と違うのは、雌の状態に関係なく、雄の射精に合わせて雌もそれに達してしまうというのだ。 「ひゃは!こいつは…最だ!」
509 :
名無しさん@ピンキー :2008/04/17(木) 15:32:15 ID:jbQIE/M4
「アハァアアッッ!フアァァアッッッ!」 奴は初めてにも関わらずよがり狂い、背を反らしてよだれを撒き散らし、長い耳のついた頭を荒々しく振り乱す。 人間の女では到底味わえぬ快感に、俺の一物はたまらず、多量の精を全て奴の中に撒き散らした。 「ふぅ…死ぬかと思ったぜ」 腰が抜けそうになりながら俺は何とか立ち上がる。 生気のない瞳で呆然と宙を見つめ、時々しゃくり上げるように肩で息をする奴の髪を引っつかむと、その頬に精液と奴自身の血で汚れた一物を擦り付けてやった。 「ウ…アア……グッ」
510 :
名無しさん@ピンキー :2008/04/17(木) 15:45:54 ID:jbQIE/M4
例えエクスタシィを感じようと、暴力によって一方的に行われた性交であれば、それはただのレイプだ。 改めてそれに気付かされたか、奴は再び涙をこぼし始め、震える声で祈り続けた… いつまでも…いつまでも… そして半年後、戦争は終結した… インベーダの巨大要塞が粉砕されて数日後、月の裏側に潜んでいた奴らの特使と名乗る者が、和平交渉の為に地球にやってきたのだ。 数ヵ月前まで種の存亡をかけ殺しあった敵が、今では宇宙の友人に… インベーダ側は化学技術の一部と幾つかの植民惑星を地球に賠償として提供し、地球側は文化交流を…
511 :
名無しさん@ピンキー :2008/04/17(木) 15:57:13 ID:jbQIE/M4
今やインベーダは、地球での生活権を得て、俺達と同じように生活している。 驚くべきは、その宗教感だ… 「口付けは婚姻の証なり、唇を許した女は、夫に永遠の忠誠を誓え……」 とんでもない馬鹿げた男尊女卑だ。 あのインベーダの女が、あそこまで脅えたのも、全くその通りだ。 俺は鎮痛剤を飲ませる為、うっかりあいつの伴侶になっちまったんだからな。 除隊の後、つまらん生活をしていた俺だが、この習慣が公に知られるようになって数日後、奴は本当に俺の前に現れやがった。 額に「男性の所有物」の証である逆三角の入れ墨を入れ…
512 :
名無しさん@ピンキー :2008/04/17(木) 16:07:40 ID:jbQIE/M4
「私…オ前ニ仕エル……ウウウッ」 それがどれほど屈辱的であろうと、奴らにとっては絶対的な掟なのだろう。 「リグ=ナー(ナーは従属を意味するらしい)」と名乗るインベーダの雌は、地球風の服を着て、俺の家を尋ねて来て早々、玄関の前にへたり込んで泣き始めた。 泣こうが喚こうが、リグの人生は決まってしまったのだ。 戦争捕虜を凌辱するような悪党たる俺に純潔を奪われ、そしてこれからも奴隷の様に仕えなければならない。 「く、くはははっ!あははは!」 俺は、笑いが止まらなかった… 「まあとりあえず入れ、話はそれからだ…ククク」
513 :
名無しさん@ピンキー :2008/04/17(木) 16:18:44 ID:jbQIE/M4
それから半年間、俺はあらゆる嗜好でリグを凌辱し、調教した。 乳首とサネにピアスを空け、首輪に鎖を繋いで部屋中引きずり回し、常にディルドを挿入したまま買い物に行かせた事もある。 毎夜のように屈辱的な姿勢でリグの中を汚し、失禁するか失神するまで鞭をくれてやった。 だが奴は恨み言一つ言わなかった。 ただ、インベーダの言葉で服従の誓いを意味する言葉… 「ナジリーニ、アサナジリー」 を、心底悲しそうに呟くばかりだった。 俺が人格者であれば、きっとリグは幸福だったろう。 例え奴隷であれ、優しい主人に仕えれば… だが俺は俺だ…
514 :
名無しさん@ピンキー :2008/04/17(木) 16:27:16 ID:jbQIE/M4
しかし、俺の悪徳も長くは続かなかった。 インベーダと地球人の文化交流が進む中、奴らの中にもフェミニズムという概念が浸透を始めたのだ。 主に地球人女性が中心となり、地球人男性によって不当な扱いを受けたインベーダ女性の権利保護を求める運動が盛んになり、すぐに俺も槍玉にあげられた。 しかも悪い事に、そいつらの調べで戦時中のリグに対する暴行が暴かれてしまい、俺は戦争犯罪人としてすぐに当局に逮捕されてしまった。 開放されたリグがどんな浮かれ様をするか想像したが、果たして結果は少し違っていた。
515 :
名無しさん@ピンキー :2008/04/18(金) 00:51:40 ID:vqfc8QQE
リグはMPの制止を振り切り、連行される俺の元に駆け寄ると、硬い抱擁を浴びせて来たのだ。 奴は俺の耳元に口を近づけ、拙い言葉で必死に囁いた。 「オ前ニ支エル、乱暴サレル、トテモ辛カッタ…掟破ル、モット辛イ…助ケテクレタオ前別レル、トテモ辛イ…」 まったく、どんな価値観してんだか… 獄中じゃシャバのニュースが唯一の楽しみだが、賠償として受け取った植民惑星では、地球政府とインベーダ住民との反発で内乱状態だそうじゃないか。 所詮、人間もインベーダも、俺と変わらぬ糞袋。 きっとリグの奴も、俺と同じ考えだろうさ…
以上でおしまい 携帯からなんで半端な話になってもた
携帯から乙です! PWS以外のエロパロ作品はいつぶりだろうかwこれもエロエロはしてなかったけどw
面白かったよ!!久しぶりに短編も読めて嬉しいーー!! また気が向いたら是非、投下お願いします。
519 :
名無しさん@ピンキー :2008/04/22(火) 01:38:27 ID:0JMh5dUK
>>516 携帯から長文乙です。
今度はツンデレペリコで濃厚ビアンプレイおながいしますm(_ _)m
520 :
名無しさん@ピンキー :2008/04/25(金) 15:36:44 ID:Ilt4zUmF
E
D
F
!
524 :
名無しさん@ピンキー :2008/04/28(月) 11:33:25 ID:xiGSAcnu
EDF3したいから箱買ってくるよ。
書いてよか?
526 :
名無しさん@ピンキー :2008/04/28(月) 17:46:53 ID:xiGSAcnu
了解
>>516 に触発されて俺も携帯から
エロ無し
苦手な人は「とあるEDF狙撃兵の記憶」をNGで
半世紀以上昔、米軍海兵隊のとある狙撃手はこう言った。 「臆病なほどに慎重に、決して相手に自分の存在を知られること無く、自分の後方にいる子供たちを護る為に引き金を引け」 士官学校に入学し、狙撃手の養成コースに進んだ者は必ず最初にこの言葉を叩き込まれた。 また別の狙撃手は、どうすればたった100日間に500人を超える狙撃を、スコープも無しに 成功させることができるのか、と言う問いに対し、たった一言だけ、「練習だ」と答えた。 もちろんこの言葉も教え込まれた。 狙撃手とは「姿を隠し、反撃も許さず遠くから一方的に攻撃してくる卑怯者」だ。 そんな人間が戦場で敵に捕まったとしたらどうなるのか。 先の言葉はそれを忘れない為の言葉だ。 そう、一番最初に教え込まれたはずだった。 第二次星間戦争、インベーダー共の二度目の侵攻当時、私、石原百合(イシハラ・ユリ)少尉は、 EDF極東支部の第4陸戦歩兵師団第2大隊E中隊に所属する狙撃手だった。 先の大戦のさなかに私はEDF士官学校の門を叩いたが、私の訓練期間中に戦争は終わり、 私は実戦配備されること無く、訓練に次ぐ訓練の日々を送っていた。 当時、新設されたペイルウイング隊に転属しないかと言う誘いがあったが、私は狙撃を愛していた。 そしてそれ以上に、私は陸戦兵として狙撃手を続けていたかった。 先の大戦で、突如巨大怪獣が街を襲ったあの日、高校3年だった私はただの逃げ惑う群集の一人だった。 県内でも中堅どころのバスケ部のスタメンだった私は、脚と体力には自信があったが、 あの特撮怪獣のような姿を目の当たりにした私は、今まで感じたことも無いような 恐怖と絶望に圧倒され、押し潰されないように必死で走った。 だが、必死で逃げる私の前に、突然一人の陸戦兵が現れ、巨大なライフルを片手に、 龍の姿をした絶望にたった一人立ち向かって行った。 彼の放った弾丸は吸い込まれるように巨大怪獣に飛んで行き、巨大怪獣の胸元からオレンジ色の 飛沫の花を咲かせ続けた。 いつしか私は恐怖も絶望も忘れて、彼の事務的なまでに淡々とした、冷静で正確な戦いに見入っていた。 そして絶望は打ち砕かれた。 その日の内に高校卒業を待ってEDFの士官学校に入学したいと両親に打ち明け、両親の賛同を得た。 賛同を得られた決め手は、もともとやりたいことが無いと言って進路を決めあぐねていたのもあったかもしれない。 おそらくは彼の活躍によるものだろう、インベーダーとの戦いにEDFが次々勝利し、 人々に希望をもたらしていたのも決め手になった。 ともかく私は士官学校に入学して狙撃手の卵になった。 それ以来訓練に訓練を重ねて、今回の二度目の大戦でようやく初陣を飾ることになった。 残念ながら彼の戦いは半ば以上戦場伝説扱いされてヨタ話の類になっていたが、狙撃に関しては 私が再現してみせると、士官学校同期の相棒、観的手(スポッター)のアイザック・ボウナム少尉と意気込んでいた。 この戦争で優秀な戦果を挙げれば、故郷のニューハンプシャーに待たせていると言う彼の恋人に 自慢話をさせてやれる。 アイザックの為にも、そして、あの伝説の彼の名誉の為にも、私は人一倍気合いを入れて戦いに臨んだ。
そうして都市部に近付くキャリアーを次々撃ち落としていたのだが、 敵の物量に押し流される形で友軍は壊滅、アイザックも押し寄せるアリの大群に呑まれてしまった。 故郷の婚約者の惚け話を毎日聞かされていたのに、こんな異国の地で蟲に喰われて死んだなんて、 まだ見ぬ彼の恋人に聞かせることはできない。絶対に生きて帰してやらないと。 だが、私も他人の心配をしている場合ではない。 市街地郊外の道路で、今まさに拷問ショーが始まろうとしている。 二機のUFOから伸びたアームで四肢を拘束され、さらに上空にいるもう一機から、 先端に何やらゴチャゴチャと器具のついたアームが伸びてくる。よく見るとディルドオのようなモノまでついている。 あんな粗末で愛も無いモノに、大切に守ってきた処女を散らされるのは嫌だなあ、などと 現実逃避気味にボンヤリと考えた。 周囲はアリの群れで囲まれているが、私の左手足を拘束しているUFOからさらに左に 二本のアームが伸びて、そこからアイザックのものらしい悲鳴が聞こえるので、まだ 生きてはいるようだが、私より先に拷問が始まっている以上、何とかして早く助けなければ。 だが、私の四肢を掴む奴らのアームはどれだけ暴\れても緩む気配どころか、揺れることすら無い。 万事休すかと半ば諦めかけたその時、私にアームを伸ばそうとしていたUFOと、 アイザックに拷問をしているUFOが、突然ほぼ同時に爆発した。 数秒遅れて響く乾いた、しかし頼もしい二発の銃声。 私達の手足を拘束していたUFOも次々撃墜され、逃げ惑うアリ共も二、三匹がまとめて射抜かれる。 最後の銃声が響いた時、インベーダー共は完全に息絶えていた。 しばらく呆然としていたが、アイザックの呻き声で我に返り、あたりに散らばった回復剤で二人の手当てをした。 幸い、アイザックは手足や胴体に無数の切り傷を負って気を失ってはいたものの、 ほとんどは皮膚の表面を傷付ける程度のもので、出血も大したものではなかった。 手当てが終わる頃、背後でアスファルトを踏みしめる足音がした。 とっさに足元に転がっていたアサルトライフルを構えると、そこには見覚えのある人影と、 見覚えの無い人影が立っていた。 一人は三年前、私を軍に導いた彼。 もう一人は小柄な、おそらくは女性の、ライフルを担いだ陸戦兵だった。 ボロ布のようなギリースーツを身に纏っていたが、見間違えようが無かった。 「無事か?」 彼が口を開いた。低く、よく通る声だった。 「は、はい、私も彼も無事です」 銃を下ろし、アイザックを見ながら答えると、少し安心したような表情で、彼が言った。 「そうか、良かった。どうやら間に合ったみたいだな、早紀」 「ええ、生存者がいて何よりですね」 早紀と呼ばれた女性は、ほっとした様子で答えた。 腰のポーチから煙草を取り出しながら、彼が質問してきた。 「お前さん、名前は?」 「はっ、EDF極東支部、第4陸戦歩兵師団第2大隊E中隊所属、石原百合少尉です。 こっちは同じ部隊の私の相棒で、アイザック・ボウナム少尉です。 コードネームはグングニルです」 「石原少尉か、よろしく。俺は、まあ、そうだな……阿部玲二(アベ・レイジ)中尉、 とでも名乗っておこうかな?こっちは相棒の木嶋早紀(キジマ・サキ)准尉だ。 コードネームはグレイプニルだ」 「木嶋早紀です。よろしくお願いします」
ずいぶんあからさまな偽名だ。 「average(平均)」だなんて、あなたが平均なら、私は平均を大きく下回っているよ。 木嶋准尉の方は本名だろう。小さな手をおずおずと差し出していたので、手を取って握手を交わす。 柔らかくて少し冷たい小さな手は、少し震えていた。 「お疲れ様」 少し微笑んで囁くと、笑顔を浮かべて感謝の言葉を述べてきた。 可愛い。正直、ソッチの趣味は無いはずなのにグラッと来た。 「そう言えば、俺はお前さんの顔に見覚えがあるな」 まさか覚えていたのか、顎に手をやりながら中尉(襟元の階級章は中尉のものだから、 階級だけは本当だろう)が呟いた。 人違いだったら私が恥ずかしいので、しらを切って様子を伺うことにした。 「そうですか?」 「ああ、三年前のソラスとの戦いで、俺のことを熱心に見ていた高校生くらいの女の子がいたな」 覚えていてくれたんだ…… 「正直、危なっかしくて邪魔だったんだが、生きていてくれて良かった」 う。 「そ、その節は本当にご迷惑おかけいたしました…」 やばい、人違いのが100倍マシなくらい恥ずかしい。 「いやいや、良いんだ。俺も女の子が見てるからって張り切りすぎたしさ」 冗談混じりに言ってくれたが、本当に申し訳無いと思うし、恥ずかしい。 顔を羞恥で真っ赤にしてペコペコ頭を下げていると、木嶋准尉が少し不機嫌そうな声で、 無線で救援を呼んだ、と教えてくれた。 「何怒ってるんだよ早紀〜」 「怒ってません!」 「俺、何かした…?」 「何でもありません!」 私はライバルになり得ないから、安心していいよ。 しかしこの朴念仁にも呆れたものだ。これがあの伝説的英雄だなんて、ちょっと幻滅した。 まあ、完璧超人なんているはず無いか。 それから救援のヘリが来るまでの間、意識を取り戻したアイザックとともに、昔話に花を咲かせた。 前回を知っているのは中尉だけだったから、いろいろな話を聞き、いろいろなことを教えてもらった。 その時に聞いたのだが、中尉と准尉は同じ孤児院の出身なのだそうだ。 同じ孤児院の子供たちもEDFに入隊したらしいが、中でも准尉は特に中尉に 憧れていたらしく、直接中尉に弟子入りしたと言う。 中尉も、どうせ自分は不正規兵扱いだし、士官学校などで要らない知識まで詰め込まれるよりは、 実戦で必要な、役に立つ知識を教えた方が良いと考えたようだ。 それからこの一年半の間、北海道の雪原や南西諸島の密林で、サバイバルと武器の扱い方、 狙撃などをマン・ツー・マンの付きっきりで教えていたのだとか。 私の知る限り最高の兵士に手取り足取り教えてもらえるなんて、羨ましい話だ。
と、そこまで話していると、視界の右上に表示されたレーダーの下、私たちの遙か後ろに、 突如赤い点が一つ、ぽつんと現れた。 瞬時に足元のライサンダーに手を伸ばし、バイポットを立ててうつ伏せになった。 ボルトを起こし、引き、押し戻し、倒し、ストックを肩に押し当て、スコープを覗き込む。 UFOだ。 距離は射程距離ギリギリの1km先、風は軽風、風向310度、狙いを左上に逸らす。 ゆっくりと息を吐き出し、心拍数を落としてわずかな揺れを抑える。 左手を右脇に差し込む。 今だ。 ほぼ同時に三つの轟音が響く。 「命中確認!三発命中しました!」 すぐさま次弾を装填していると、准尉が着弾を教えてくれた。 スコープで見ると、火を噴きながら墜ちていくUFOが見えた。 「公式スコアには、認定されないだろうな」 ライフルを肩に担いで、中尉がボヤく。 「低空飛行で死んだフリでもしてたんでショウか……?」 アイザックが投げかけた疑問は、答えが出ることもなく消えていった。 「じゃあ、私たちは行きます」 「おう」 ヘリから食糧や弾薬を手渡しながら、中尉に別れの挨拶をする。 存在しない兵士には、基地に帰ったところでロッカーも何も用意されていない。 帰る場所も無いボヘミアンは、戦場を渡り歩く流浪の民となるしか無い。 「いろいろ教えていただき、ありがとうございマシタ。またいつかお会いしまショウ」 「ああ、君も早く怪我を治して、また一緒に戦おう」 「Yes,Sir!」 堅く握手するアイザックと中尉を見ながら、手招きして准尉を呼ぶ。 「早紀ちゃん、ガンガンアピールしないと、あの人絶対に気付かないから、色仕掛けでも何でも やって、しっかり振り向かせなさい。でないと誰かに取られるかもよ?」 「が、がんばります……」 真っ赤になっちゃって可愛いなあもう。 「それじゃあ、頑張ってね」 「はい!」 「もういいかー?出発するぞー!」 パイロットがじれている。もうお別れだ。 「本当にありがとうございました! またいつか会いましょう!」 「ああ!今度からは敵に捕まったりするなよ!」 ヘリが離 「ああ!今度からは敵に捕まったりするなよ!」 ヘリが離陸する。 手を振る二人の影が小さくなっていく。 次に会うのはいつだろうか。 いつかはわからない。 だが、その時は決して助けられることは無いよう、もっと強くならなきゃ。 夕陽に向かって飛ぶヘリで、私は固く決心した。 ────了
以上。
以下は解説と言うか何と言うか。
釈迦に説法かもしれないけれど。
・二人のスナイパー
冒頭で言葉を引用した二人の狙撃手はどちらも実在する人物。
前者はベトナム戦争で活躍した米海兵隊のカルロス・ノーマン・ハスコックII世一等軍曹。
ttp://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AB%E3%83%AB%E3%83%AD%E3%82%B9%E3%83%BB%E3%83%8F%E3%82%B9%E3%82%B3%E3%83%83%E3%82%AF 後者は第二次大戦のフィンランドの英雄、シモ・ヘイヘ少尉。
ttp://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B7%E3%83%A2%E3%83%BB%E3%83%98%E3%82%A4%E3%83%98 詳しいことはウィキペディアを参照のこと。
フィクションだと思いたくなるかもしれないけれども、ノンフィクションの実在した人物。
・観的手(スポッター)とは
観的手(スポッター)と言うのは、風向、風速や、距離による着弾点のズレを狙撃手に指示し、
弾着の確認や周囲の警戒などを担当する兵士。
多くは狙撃手としての訓練を積んだ兵士が担当し、交代して役割を分担し、射手の負担を軽減する。
・登場人物の名前について
ツッコミが入る前に先手を打ってネタバラシ。
百合は完全なオリジナルで、アイザックは略して相棒になるようにしよう、と考えてああなった。
まずファーストネームのアイザックが浮かんで、その時ラジオでレッド・ツェッペリンが
流れていたので、ファミリーネームはボウナムにしようと。
中尉も名前を考えていた時にラジオから流れてきたのがあのラジオドラマだったから。
早紀は直前に執事コメディを読んでいて、ポンコツメイドが好きだから。
かなり適当やね。
・グングニルとグレイプニル
どちらも北欧神話に登場するマジックアイテム。
グングニルは主神オーディンが持つ「投げると狙った相手に必ず命中する槍」で、オーディンの
妻の美しい髪を剃ってしまったロキが、ご機嫌取りの為に黒小人に作らせたとされている。
グレイプニルは、世界を滅ぼしオーディンを呑み込むと予言された魔狼、フェンリルを
拘束する為に作られた魔法の鎖で、猫の足音、女性のヒゲ、山の根、熊の腱、魚の息、鳥の唾から
作られているとされ、以上の物が存在しなくなったのはこれの制作に使われたからだとか。
ちなみにこれも黒小人が作ったそうな。
・狙撃シーンについて
だいぶ前に読んだ狙撃手をモチーフにした小説を参考にしたので、結構考証とか雑でデタラメだらけだと思うけど気にしない。
>風は軽風、風向310度
軽風と言うのは風速1.6〜3.4m、風力階級で言うところの「2」くらい。
狙撃にはほとんど影響は無い程度。
風向310度は正面を0度として、右回りに数えての向きで、だいたい10時方向からちょっと正面寄りくらいか。
>バイポット
銃の先の方から生えた二本脚のパーツ。
床などの安定した台に置くと左手で保持するより安定し、ブレを抑えることができたり。
>心拍数を落とす
胸に定規などの軽く長い物を当てるとわかるのだけど、鼓動に合わせて少し振動している。
長距離狙撃はわずかな揺れで大きく外れるので、心拍数を落として揺れない時間を伸ばすのだとか。
・UFOがレーダーにかかっていなかった理由
やられたフリして着陸してサボってた、とかそんな感じ?
惜しい作品だな。 これで設定資料が本編より長ければ最低SSのテンプレ通りだったのに
いやいや、面白かったですよ。また書いて下さいな。昭和の日万歳!
とりあえず532さえなきゃ普通にGJ贈れたんだがな
536 :
名無しさん@ピンキー :2008/05/03(土) 01:35:36 ID:kWATdDv2
E!
Dー!
えぇぇぇぇぇふっっ!!
E?
540 :
名無しさん@ピンキー :2008/05/07(水) 14:49:01 ID:oXz/MYYX
D!
F!
D!
E?
D!
えふぅ
E!
D!
F!
549 :
名無しさん@ピンキー :2008/05/16(金) 20:24:55 ID:FfujSV/5
超!
絶!
E!
D!
F!
智恵理が身も心もクタクタになって帰隊すると、笑顔のマリー大佐が迎えてくれた。 「よくやってくれた。お陰でブラボー大隊は全滅を免れたと、バルキリー司令も喜んでおられたぞ」 マリー大佐は智恵理の両手を握りしめて喜びをあらわした。 だが、全滅を免れたとはいえ、既にアルファとブラボーの両大隊は戦闘集団として機能できなくなってしまった。 残るはチャーリー、デルタ、エコー、フォックストロットそしてゴルフの5個大隊、550名のみ。 連合ペイルウイング部隊は開戦初日において、その戦力の3分の1を喪失してしまったのである。 空恐ろしいまでの被害であった。 敵に与えた打撃も大きかったが、宝石より貴重な熟練隊員を多数失ったことは取り返しのつかない損害である。 智恵理は種の存亡をかけた決戦というものの恐ろしさを改めて思い知らされた。 だが、これは泥沼のような消耗戦の序章に過ぎなかったのだ。 ※ 「いったいどうなっておる。一向に戦果が上がらぬではないかっ」 作戦部長は報告書のファイルを机に叩き付け、苦虫を噛み潰したような顔で吐き捨てた。 P1号作戦の発動から既に1週間が経過していた。 この間、組織だった大空戦が3度行われ、連合ペイルウイング部隊は戦況不利のままジリジリと後退していった。 「何たるざまだ。雌オオカミ風情が大口たたきおってからに」 雌オオカミとは陸戦兵時代のバルキリー大佐の蔑称である。 自ら立案した作戦を却下された作戦部長は、割り込みをかけてきた彼女の失態を心中で嘲笑していた。 しかし、参謀本部ナンバー2としての彼は、笑ってばかりいられなかった。 連合ペイルウイング部隊の敗退は、そのまま倫敦の陥落に直結するのだ。 こうなれば当初の計画通り、ライサンダー2の増産を急がせ、直ちにペイルウイング隊の支援計画を練らなければならない。 「直ぐに作戦1課の一条補佐官を呼べ」 作戦部長はインターフォンのスイッチを入れ、最近では無くてはならない存在になった寵臣を呼びつけた。
「どうなっておるのか、この醜態は」 同じ頃、同じ庁舎内で同種の怒りを爆発させている人物がいた。 ペイルウイング総監のファランドール少将である。 怒りの矛先は、連合ペイルウイング部隊のバルキリー司令に向けられていた。 「ソフィア……お前は私に辞表を出させたいのか、ええっ? それがローゼンバーグ議長の意向なのか」 総監は理性を失ったかのようにまくし立てた。 ローゼンバーグ議長はWG設立委員会を仕切っている責任者であり、いわゆる議会派の総元締めである。 もちろん、ファランドール総監にとっても憎い政敵に当たる。 総監の怒りに対し、バルキリー大佐は眉一つ動かさないで平然としていた。 ただ押し黙り、肩のストラップに吊したパンドラを優しく撫でていた。 その姿を見ているうちに、総監の怒りもどうにか鎮まってくる。 「で、どうなんだ? もはやペイルウイングでは敵の新型航空ユニットには勝てないのか」 総監は上目遣いにバルキリー大佐を見た。 「いえ。開戦初頭の優位は失われたとは言え、我々はまだまだ充分戦える力を持っています」 大佐は胸を張って答えた。 「なら、どうして同数の敵を追っ払うことが出来んのだ。部隊の運用に問題があるとでもいうのか」 総監は当の運用責任者に向かって嫌味な口調で質問した。 相手が錯乱気味であるのを理解していたので、大佐はレディとしての振る舞いを損なわずにすんだ。 今、味方が押され気味になっている原因など、彼女にはよく分かっていた。 連合ペイルウイング部隊は兵員だけは揃っているものの、決して意思統一された部隊ではない。 寄せ集めの隊員で構成された急造部隊では、各隊ごとの連携なども望むべくもなかった。 そして、訓練のための時間が取れないことは致命的とさえ言えた。 だが、それよりも彼女たちを苦しめている要因が別にあった。 レッド・バロンと呼ばれる1機のエース・ファイターの存在がそれである。 彼はここぞと言う時に空戦場に現れ、死命を制するような働きを見せていた。 「アイツ一人のために、どれだけ邪魔されたことか……」
編隊空戦のさなか忽然と現れ、ここぞというツボに痛撃を加えて去っていく赤い円盤はまさに通り魔であった。 この疫病神に墜とされた小隊長以上の指揮官は既に10人を超えている。 全軍を指揮する司令としては憎んでも飽き足らない仇敵であった。 しかし聞くところによれば、彼は技量未熟な者や戦闘力を喪失したペイルウイングには目もくれないという。 その紳士的な振る舞いが、レッド・バロンの呼び名の所以となっていた。 「ならば、全力を挙げてその赤いのを叩けばよかろう。チャンスは戦力が拮抗している今しかないぞ」 ファランドール総監はテーブルを叩いて怒鳴った。 「騎士道精神などというロマンティシズムに浸っている余裕はない。如何なる手段を使ってでも赤い奴の撃墜に全力を上げろ」 それだけ言うと総監は会談を一方的に打ち切った。 ※ その頃、智恵理はリージェンツ・パークにある親衛隊の市中詰所にいた。 「少佐……少佐……本当に少佐なの……?」 当直室のソファに寝転がった智恵理は、一人物思いに耽っていた。 既に亡き者と思っていたからこそ、少佐を忘れることができた。 それが生きているのかもしれないと思うと、再び心が乱れてしまう。 もちろん、少佐が生きているのなら、智恵理としては嬉しい限りである。 しかし彼女が敵に寝返り、悪魔の手先になったというのなら、これほど怖ろしいことはない。 実力では到底少佐に及ばぬ智恵理であった。 その上、特別な関係にあった少佐を相手にして、銃を向けることなどできるわけがない。 これでは戦わずして既に勝負がついているのも同然であった。 「少佐……どうして……少佐ぁ……」 智恵理の目から自然と涙が溢れてきた。 「ここにおったのか。随分探したぞ」 そう言って当直室に入ってきたのはマリー大佐であった。 智恵理は慌てて立ち上がり、大佐にソファを勧めた。 表情を見られないよう、顔はあらぬ方へと背けていた。 そんな智恵理の態度を見て、大佐は顔を曇らせる。 「まだ怒っておるのかのぅ。その……ヒナが味方を見殺しにせよと命じたことを……」 あの一戦以来、智恵理がふさぎ込んでいることを大佐は気にかけていた。 そしてその原因が、仲間を救うために飛び出そうとした智恵理を、自分が引き止めたことにあると考えていた。
「えっ……そ、そんなの全然気にしてません。それよりも、また勝手なことしてすみませんでした」 智恵理は落ち込んだ自分の態度が、他人にまで悪影響を及ぼしていると知って驚いた。 「隊長には隊長の立場があるってのに、あたしそれを考えもしないで……」 智恵理は大佐に向かってペコリと頭を下げた。 半泣きになっていた大佐がようやく愁眉を開く。 「今後、勝手な振る舞いをする時には、ヒナに気付かれぬようにやるのじゃ。後の責任はヒナが取るでのぅ」 大佐は胸を張って含み笑いした。 ようは、これまで通り好きにやれと言うのである。 智恵理は大佐の自分に対する信頼の強さを感じた。 「それで、何でしょう? あたしに用事があったのでは」 智恵理はレーダー員の席に腰を下ろして大佐に問い掛けた。 「うむ……その方もレッド・バロンとやらを知っておろう」 大佐の発した言葉に智恵理はドキリとした。 「そ奴のために味方は大苦戦しておる。恐るべき使い手じゃ……その方なら、あ奴を墜とせようか?」 大佐は遠回しにレッド・バロン退治を命じているのだ。 疫病神レッド・バロンを落とせば親衛隊の名声は嫌でも高まり、落ち込んだ士気も一気に盛り上げることができるだろう。 何よりも、親衛隊が戦いの前面に立つ口実が作れるのが大きかった。 智恵理の顔が露骨に青くなる。 「あたしには無理です。今のあたしの実力では……」 智恵理はぎこちなく首を横に振って見せた。 「そうか、ならば仕方がない。その方なら互角以上の勝負が出来ると思うたがのぅ」 大佐は残念そうに目を伏せたが、それでもそれ以上の無理強いはしなかった。 ※ 一方、実戦の全権を与えられたバルキリー大佐は、部下に無理強いしない訳にはいかなかった。 大佐の肩には権限に伴う期待と責任がズシリとのし掛かっているのである。 バルキリー大佐は各大隊からハンターを募り、史上最強のカルテットを作り上げた。 選ばれたのはプワゾン少佐、オルカ大尉、カトリーナとツイストの両中尉。 いずれも腕に覚えのある一騎当千の強者である。 「なかなか豪勢な小隊ですな」 指揮官に選ばれたプワゾン少佐は、毒のある笑みを大佐やウイングたちに向けた。 「バターを塗るのに斧を使うようなモンです」 少佐は「自分一人で充分なのに」とばかり含み笑いをした。
それでもバルキリー大佐は怒ったりしなかった。 むしろ、彼女たちが尻込みし、出撃を拒否しなかったことに感謝したほどである。 レッド・バロンはそれだけの難敵であった。 「これでダメなら、私が出る。立場など構っていられる場合ではない」 大佐は悲壮な決意をもって必殺のカルテットを送り出した。 4つの無惨な遺体が連合部隊の司令部に運び込まれたのは、その日の夕刻であった。 選び抜かれたペイルウイングのエースたちをもってしてもレッド・バロン撃退は叶わなかったのだ。 4人分の遺骸は酸鼻を極めた。 どれが誰のどこの部位か、はっきりと選別して棺桶に入れるには、今少し時間が必要であった。 「なにがバロンなものか。あれはレッド・デビルだ……」 戦果確認のため同行していた偵察員は顔を歪めて報告した。 接敵するやたちまちレッド・バロンに背後を奪われたプワゾン少佐たちは、ほとんど抵抗も出来ぬうちに瞬殺されたという。 ただ1人、即死を免れたツイスト中尉は、なんとか戦闘空域を脱しようと緩降下していった。 だが、レッド・バロンの攻撃は執拗に続き、遂に中尉も倫敦上空に散華した。 他の3人の遺体も、地上に落下するまでに何度も撃たれ、空中でバラバラに解体されたとのことであった。 レッド・バロンが紳士的に振る舞うとは、結局のところ恐怖に駆られた隊員の願望から生じた戦場伝説に過ぎなかったのだ。 「無謀な賭だった。最初から私が出ていれば……」 バルキリー大佐は4人の遺体を前に頭を垂れた。 そして彼女たちを始め、レッド・バロン改めレッド・デビルの犠牲になった部下たちの冥福を祈った。 戦乙女、遂に起つ。 バルキリー総司令自らがレッド・デビルに一騎打ちを挑むという話は、直ぐに倫敦中の知るところとなった。 バルキリーことソフィア・ビョルグンド大佐、当年29歳。 陸戦隊では北欧の戦乙女として名を馳せた、才色兼備の女傑である。 兵科をペイルウイングに移してからは後方での指揮官任務が多かったため、総スコアは上位50傑にも入っていない。 しかし、その身体能力や状況判断力の高さに疑いを持つ者はいなかった。 加えて作戦指揮は勿論のこと行政手腕にも長けている。
純粋に個の戦力として比較するのであれば、あのアイスバーン少佐には一歩譲るであろう。 だが、総合能力で判断されるのならば、2人の立場は逆転する。 当代ペイルウイング隊にとって、バルキリー大佐はかけがえのない存在なのである。 そんな大佐の蛮勇を、参謀本部が許すわけがなかった。 穿った見方をすれば、アン王女の取り巻きが、大佐にこれ以上の名声を稼がせまいとしたとも取れる。 とにかくバルキリー大佐の出撃を却下した作戦部としては、直ちにそれに代わる作戦案を出さねばならなかった。 「ほれ、あのペリ子でいいんじゃないのか、君ぃ。例のマザーシップ殺しの……」 高等参事官は、ほんの数ヶ月前まで覚えていた固有名詞を思い出そうと記憶を手繰った。 「あぁ、ナントカと言う……えぇ〜っと、確か東洋人の……」 彼の部下も少し頭をひねって、直ぐに思い出すのを諦めた。 自分の昇進や栄達に影響しそうにない戦闘要員の名など、一々覚えている訳がないと気付いたのである。 「結局この程度のもんどすか? 作戦部の高級幕僚言わはっても」 一条綾は冷ややかな目で上官たちの醜態を睨め回した。 そして智恵理ならばレッド・デビルを打ち負かし、この危機を回避できるかどうかをシミュレートしてみる。 「五分五分、言うとこやろか?」 あのマザーシップ戦においても、綾は四分六で智恵理が勝つと考えていた。 たった一人で同じマザーシップを撃沈した前例があったからである。 だが、綾が思うにレッド・デビルはマザーシップより強敵であった。 彼一機でもマザーシップを沈めることは可能ではないかと、綾は考えている。 綾は勝ち目のない戦いに同期生を投入させるほど冷酷にはなり切れなかった。 と言ってこのまま手をこまねいている訳にもいかない。 第一、数百ものペイルウイングをいつまでも倫敦に集結させておくことはできないのだ。 こうしている間も、各戦線は人員欠乏に伴うギリギリの戦いを強いられているのである。 「やっぱり礼賛部隊の出番どすか……」 綾は新設される第11独立狙撃大隊の組織図表に目を落とした。
同じ頃、親衛隊市中詰所でも「バルキリー大佐出撃却下」の話題で持ちきりであった。 今日の待機班はマリー大佐直卒の第1中隊である。 「先に先輩がやっちゃいなよ」 「大尉ならアイツだって墜とせるんじゃねぇ〜の?」 周囲が無責任に煽ってくるのを智恵理は黙って聞き流していた。 勝ち負けに関係なく、彼女はレッド・デビルと戦うことなど出来ないのだ。 よしんば勝ったとしても、アレの搭乗員が本当にアイスバーン少佐だったら、今度こそ正気を保っていられなくなるだろう。 誰かに相談したかったが、説明のしようすらなかった。 また、アイスバーン少佐が敵に寝返ったなどとは、彼女の名誉のためにも絶対口にしてはならないことであった。 智恵理は寂寥感にドップリと浸っていた。 「どうせ作戦部から正式に討伐令が出ることは分かり切っておるのじゃ」 気がつくと、マリー大佐までもが扇動者の輪に加わっていた。 「ならば、そなたから志願した方が功績も……」 ことさらに功績を強調するような論法が智恵理を苛立たせた。 「あたしはこれまで功績のために戦ったことは一度もないし、これからもありませんっ」 思いのほか冷酷な口調だったため、言った智恵理の方がドキリとした。 しかし、今の彼女には大佐の心中など察している余裕はなかった。 「あたしは今日まで文句一つ言わずに命令に従って──いえ、命令以上の働きをしてきたと自負しています」 そう言う智恵理の顔は青ざめていた。 「む、無論じゃ。開戦以来のそなたの功績は、ヒナを始め皆の認めるところじゃ」 答える大佐の顔からも血の気が引いていった。 「ですからご褒美を頂きたく思います。降格になっても構いません。今回……今回に限り、あたしに拒否権を与えて下さい」 智恵理はそう吐き捨てると荒々しくドアを開き、当直室から走り去っていった。 「先輩っ」 光は智恵理のただならぬ様子に異変を感じて、後を追いかけようとした。 「待てっ、追ってはならぬのじゃ」 そう引き留めた大佐を、光は怒りのこもった目で睨み付けた。 「その方らに言われるまでもない。きっとヒナにも言えぬ、ひとかどならぬ事情があるに決まっておるのじゃ」 大佐は我が身の無力さを思い知らされて悔し泣きしていた。 日頃一番頼みにしている部下が困っている時に、何もしてやれない自分が悔しかったのだ。 「今は、そっとしておいてやろう。きっと独力で立ち直ってくれる。ヒナはそう信じておる」 光は何か言いたそうに口をモゴモゴしていたが、結局大佐の指示に従った。
一人テラスに出た智恵理は西の空を睨んでいた。 「少佐のバカ。あなたが裏切ったりするから……大事な隊長とまで、気まずい思いをしなくちゃいけないじゃないの」 智恵理は仕方がなかったとはいえ、マリー大佐に逆らったことを後悔していた。 自分を思う大佐の心が手に取るように分かっていたからこそ、余計に後ろめたかった。 大佐が見せた青ざめた顔は、一生忘れられそうにない。 「少佐のバカァーァァッ」 智恵理は西のビル街に沈みかけた太陽に向かって叫んだ。 そしてガックリと前のめりになると、一人すすり泣きを始めた。 ※ 翌週に入っても、レッド・デビルを中心とする敵航空部隊の攻勢は続いた。 レッド・デビルは悪魔の本性を剥き出したように市街地を襲い、民間施設に対して破壊の限りを尽くした。 これに対する連合部隊は、本来の目的を見失ったかのようにレッド・デビル撃破に血道を上げ、徒に傷口を広げていった。 レッド・デビルによる被害が伝えられるたび、智恵理の胸は張り裂けそうに痛んだ。 しかし今の彼女に出来ることは、身を震わせてわななくことだけであった。 跳梁跋扈するレッド・デビルのため、倫敦上空はペイルウイングの墓場と化した。 損害によって開いた穴はスペアで埋めねばならず、人員不足は後方勤務の非戦闘員にまで及んだ。 そこで各種養成施設の生徒までが駆り出されることとなり、EDF幼年学校の卒業も繰り上げられた。 まさに子猫の手までも借りねばならない苦境に追い込まれたのだ。 「BBの奴、倫敦に来るってさ。第2部の下働きだって」 光は少しでも智恵理の気を紛らせればと、彼女が喜びそうなニュースを持ってきた。 あの超美少女ベアトリーチェが同じ参謀本部詰めになるというのである。 智恵理は少しだけ嬉しそうな顔を見せたが、直ぐに目を伏せてしまった。 それを見た光は深い溜息をついて天を仰いだ。
リアルタイムか?ともかく支援は任せろ!
終わったか…? しかしバルキリーの心情も知らずによくもまぁ無駄な損害を…。 陸戦隊が出ても機動力不足で全滅確定だしなぁ…。
第十一独立狙撃大隊で剣虎兵を思い出した いやしかし本当に許容も無く慈悲も無い戦いになってきたな 頑張れ智恵理
まったく出番のない伝説の男はどうしているのだろうか
団結式で士気が上がったのもつかの間、 さすがEDF2は絶望感が違った いつもながらGJ! 毎度のことだが読ませてくれるぜ。ライサンダーは劇中でも礼賛て言われてるのなw
>>565 存在しないことになってるっぽいし、「ライフルを持った渡り鳥」でもやってるんじゃないの?
あちこちのペイル・ウイングが引き抜かれた戦場を、転々としてるんじゃないか?
俺は今、猛烈にソルリングを授けたい衝動に駆られている
精鋭でここまで引っ張るとは思ってなかったなぁ。どんどん絶望感が… それでも今のところはロンドンだけの話なんだよね。奴なんて大気圏外から全世界中に無差別落下してくるんだから… 未出の敵は奴以外だと空爆、超爆、メカソラス、テラソラス、大蜘蛛、ギリオラか…そういや羽蟻ってあんまり出てきてない?
登場時点で死亡フラグが立っていた隊員たち乙
伝説の男ー早く来てくれー
>>570 ギリオラは少し前に…
ギリオしか出てなくね?
575 :
名無しさん@ピンキー :2008/05/27(火) 00:35:09 ID:MunjY6bF
ハヒルです
スターシップトゥルーパーズ見たらまた地球守りたくなって来た
「しゅんれいにい」だったっけ
>>577 We need heros!
EDFの勇士達は、各地で勇敢に戦い、侵略者を次々撃破している。勝利は目前だ!
しかし、敵の息の根を完全に止めてしまうまで、我々の戦いは終わらない。
今こそ君の協力が必要だ!
Join up now!
EDFに入隊すれば、一等市民権を手にする事ができる。
市民には投票権が与えられ、政治への参加が認められる。
素敵なあの子も、君に振り向いてくれるかもしれない…
ペリ子「待ってるから…」
HA-HA-HA-!(笑い声)
さぁ、君もEDFに入ろう!
もっと知りたいですか?→
地球防衛軍やりながらスターシップトゥルーパーズのメインテーマ流してみた。 ぼっきした
そういえばスタシトパ3やるらしいな
583 :
名無しさん@ピンキー :2008/06/04(水) 17:30:16 ID:fs1rsmhI
E!
D!
585 :
名無しさん@ピンキー :2008/06/04(水) 18:31:55 ID:jNlP0WC3
F!
絶対領域が…無いだと…?
GJ だけど絶対領域はほしいです><
>>586 笑顔がステキだな
皇国の守護者読んで思ったんだが、鹵獲したアリやUFOなんかをそのまま運用したりなんかは、やっぱり考えなかったんだろうか
独立捜索大蟻兵(グレートアンツ)とかそんな感じ
心証悪いだろうから無いか
蟻の死骸や蜘蛛の糸からアーマーの素材となる繊維が取れるとか、UFOの技術を転用した飛行ユニットとレーザーとか、 それぐらいの設定ならありそう。レア武器とかジェノ砲にインベーダーの技術を用いてって書いてあるし でも敵を味方にするっていう発想はないと思う ホラー映画とかスプラッター系で化け物を味方にしようとする主人公なんてまずいないよ 1000年も腐海に怯えてきたナウシカの世界観ですら、敵国の町を蟲に襲わせた程度だったし
>>590 ファイターUFOを運用する程度ならやっても構わない気がする
ドイツ軍も戦力不足からT-34を運用したりしたんだし、戦力が不足しまくりなEDFはむしろ積極的に敵兵器を捕獲運用するべきな気がする
…人が乗れれば、の話だが
短足ディロイに乗ってリバースしまくる隊員続出
>>590 >>1000 年も腐海に怯えてきたナウシカの世界観ですら、敵国の町を蟲に襲わせた程度だったし
コミック版だと、蟲を使役する”蟲使い”とか、腐海の中で共存している”森の人”とかいたが…
594 :
名無しさん@ピンキー :2008/06/12(木) 03:32:39 ID:VvNw9FXi
E
D
ふぇ
>>591 捕獲と言っても、あいつら耐久切れると皆爆散するからな・・・
そもそもあれって有人なんだろうか?キャリアーやマザーシップも無人なイメージがある。アダンは別だけど。
エルフ耳のインベーダ娘が乗っています 捕まると野蛮な地球の♂に凌辱されてしまうので自爆機能付きです
>>593 そう言えばいたわ、スマン。コミックとか懐かしいな…
UFOは無人だと思う。ディロイが無人っぽいし(大気圏外から投下ってのがラピュタのロボットっぽい)
あとダンゴは間違いなく無人だよね
久々にコミックス読み返した。内容ほとんど覚えてなかったけど、後半は利用するっていうレベルじゃねーぞ! 蟲も胞子も蜘蛛なんて目じゃないぐらいおぞましい…まさにバイオハザード… 生物兵器って一番怖いかも。インベーダーは毒ガスとか使わないだけマシなのかもしれんね
やったらゲーム成り立たないだろうに もしかしたら化学兵器という考え自体連中は思いつかなかったのかもな 自分たち自身や、今まで戦った相手に通用しなかったから、地球でも通用しないと考えたとか
まあ酸ならピュンピュン飛ばしてくるけどね 毒を撒いたら、征服後に自分達にとっても住みにくい土地になってしまうからかなぁ ジェノ砲も原理不明だけど放射能はなさそうな気がするし
>>600 一番怖いのは、蟲や腐海の植物、ひいては、あの世界にいるニンゲンたちも、かつての大戦争”火の7日間”による汚染された地球を浄化するためのシステムのひとつにすぎないってのが
>>599 ダンゴの中にハムスター型巨大生物がいるのかもしれないぞ
>>604 お前のせいでもうダンゴを倒せないじゃないか…
巨大ハムスターにはテレポート能力があるから撃破されると同時に離脱している 倒したときに出る緑の爆風がテレポートの衝撃波だ
ギリオラがマップ外に出るのはテレポート機能の故障か
E!
D!
F1
D!
E!
613 :
名無しさん@ピンキー :2008/06/22(日) 22:21:49 ID:7MNEytrO
F2!
E!
615 :
sage :2008/06/26(木) 00:49:30 ID:soyi1384
D!
F3R!
617 :
名無しさん@ピンキー :2008/06/28(土) 16:39:36 ID:v+4bv26s
E!
D!
F4!
こういう流れが10レス以上続くとスレの存続に危機感を覚える
もう324KBまできてるし、保守はなるべく少ない文字で保守するように俺はしてるw
PW物語書いてる香具師は正直どう思ってるのかな 楽しんで書いてるか気まぐれで暇潰し程度に書いてるんなら安心なんだけど、 ホントは忙しいのにやめるにやめられず…って感じで惰性と使命感だけで書いてるんならちょっと心が痛む 小説以外で全然見かけないから、今でもEDFが好きなのかどうかすら分からんしね
長期のアク禁に巻き込まれたようで、最悪あと2ヶ月は投下できない模様(ToT)
因みに、推敲前の粗書きなら、既に6回投下する分は書けてます。 「大群進撃」〜「火球落下」でロンドン撤退。 再起不能の重傷を負った大尉が復活を果たす地獄編「機兵の丘」まで。 EDF? もちろん今でも現役隊員ですよ。 広報部所属の二等兵ですけどね
ウホ、本人降臨 推敲してないとはいえ、そんなに書き溜めてたのか… 楽しんで書いてるみたいで安心したよ 広報部…ということは速報も書いてたりとか?
おお、本人きてるw 保守はなるべく短くしてて見た目さびしいかもだけど、楽しみにしてる奴はいっぱいいるぜ! たった2ヶ月なんて余裕で待つさ。なにせINF絶対包囲をクリアした真性のマゾ揃いだからなw
陸戦単騎は辛かった
俺なんてインポマンですよ IMP絶対包囲はホントにただの運ゲー
アレは運要素でかいね
@開幕ジェノ撃って前方の蜘蛛と近衛を壊滅 Aバイクで遁走、礼賛乙で近衛と蜘蛛倒ししつつジェノリロード Bドレッドノート残して第二波ボマー出現ポイントへ C礼賛乙でドレッド撃墜→出現と同時にジェノでボマー殲滅 Dジェノリロード完了までビルやバイクで逃げ隠れ、MAP端で詰まってるところを爆破 Eダロガを撃破→クリア @、Cが完全に運 Aの時点で逃げ切れるかどうかは腕次第でなんとかなる Bは出現ポイントの把握が難しい、ビルを目印に なんにせよバイクが壊れた時点でアウアウ
>>630 ヘリもあるよ
バイクと違って挙動が怪しいし処理落ちも酷いからあんまりオススメは出来ないけど
空爆は何も気にしなくていいってことだけがメリット
包囲突破さえ出来ればあとは根気でひたすら粘るだけ
ただ包囲突破が本当に運すぎる。何のテクニックも必要とせずただジェノ自爆
しかも後続の近衛速すぎ
INF峰の亀裂で詰まってる俺って…OTL
ハデストでイトダーはもう話になんねえってことかい・・・
俺はハードだからもっと駄目か・・・
INFが異常なだけでハデストも一般常識的なレベルから考えればかなり高い難易度だと思うよ
PS3版EDF4でペリ子復活おめー 追加装備でビキニアーマーもあるお
ガセか妄想か願望だと思う 3が箱のみで4がPS3って事はないだろうし……
ハードの売れ行き的に見て鞍替えすることもあるんじゃね?
やれるものならやればいーじゃん? どっちみち今年は無いってディースリー側が年頭に公言してるんで、 今そういうこと言う奴はその時点でお里が知れるってもんだが。
俺の心の本部である酸泥と、俺の心の聖書であるメディアビジョン(ワイルドアームズの会社)が、 新作を共同開発してると聞いて俺の心は飛び跳ねてます 名前はリゾートだっけ。まあ買わないけど
糞ゲー臭が漂ってくるんですが
エロパロ板で何を言ってるんだね君たちは
>>639 もうエンジン作っちゃったしあと二作位は箱だろうよ
いちいちPS3向けにエンジン作り直すなんて金のかかることは出来ないし、それで品質(敵の量)が落ちたら話にならんからな
>>644 4でも巨大ロボのどつきあいでもいいから早く出してくれまいか(w
646 :
名無しさん@ピンキー :2008/07/18(金) 10:55:50 ID:vN44hdnn
E
D
F!
D
E…
時ガ狂ッテイク
E
3!
に
新
作
発
売
中止
!?
661 :
名無しさん@ピンキー :2008/07/28(月) 20:03:46 ID:c1U6iW/B
最強痴女立花里子
「ペリ子…」 「陸男さん…」 「防衛軍は」 「弾が命」 「死ねぇマザー!ジェノサイドキャノンマキシマムシュー?!」 「リバイアサン発射!」 「よっしゃ、落とした!」 「やった!」 「ペリ子、勝利のメイクラブ、決めるぞ?」 「ゃん…陸男さんったら……」 「はっはは…ほぅれ………さ、酸だー!」
圧縮回避保守
バウバゥ!!
665 :
名無しさん@ピンキー :2008/08/05(火) 23:48:59 ID:Ql9oJuR3
孤独の猟犬ストーム1
保守
667 :
名無しさん@ピンキー :2008/08/09(土) 08:35:55 ID:gBk4Mbxk
コカミドプロピルベタイン・ラウロイルメチルアラニンNa
668 :
名無しさん@ピンキー :2008/08/12(火) 14:12:04 ID:+04ehQDE
E
D
F
!
672 :
名無しさん@ピンキー :2008/08/19(火) 23:50:45 ID:ocKlp1rM
ほ
り
674 :
名無しさん@ピンキー :2008/08/20(水) 11:02:00 ID:ap1j2Oo5
い
これってエロ以外書いても良いのか?
>>675 もうPINKじゃなくなるがネタもないのだからおk
>>676 じゃあ書いてみるよ
瓦礫が山と積み上がり、道路からは雑草が無秩序に繁茂する東京
既にかつての繁栄の面影の無い町の上空を三つの影が飛んでいた
地上の地獄を嘲笑うかのような突き抜ける青い空を小さな楔型を描いて三人のペイルウイングが飛んでいる
ユニットを使って一直線に飛び、たまに降りてエネルギーをチャージして再び空に舞い上がる彼女達は一つの任務を帯びていた
数時間前に連絡を断ったスカウト小隊の捜索が彼女達の任務であった スカウト小隊は五人の軽装陸戦兵と一台のエアーバイクで編成される 個々が通信機を持ち、何があっても最低一人は通信を遅れるようにされているのだが…何の連絡もなくビーコンも確認出来なくなってしまったのだ よほどの大部隊から奇襲を受けたか、待ち伏せをくらったか どちらにせよ隊員の生死と敵の存在を確認しなければならない、そのために本部は手隙だった彼女達を派遣した 「な〜んも無いわね…」 チャージのために地面に降りると、楔の右端に位置するペイルウイングが呟く そのペイルウイングはラインが大人しく黒の長髪をゴムで束ねていた バイザーに隠れたぱっちりした大きな目が如何にも暇だと物語っている
「何も無いって敵の事?それともこの町?」 答えたのは楔の左に位置するペイルウイングだった 背丈は低く、体の作りも細々した幼い雰囲気をしたペイルウイングに長髪のペイルウイングが返す 「両方よ。暇だし…なにより地元なのよこの辺り………とは言ってもなんも無くなっちゃったからただ地元としかわかんないけどね…」 「うるさいぞ、静かにしないか」 静かに叱責が飛び両端のペイルウイングは肩を竦ませた 楔の中央のペイルウイング…襟に中尉の階級証をつけている…は顔をしかめつつ振り返った
「失礼しました」 「すみません」 恐らくこのペイルウイングが隊長なのだろう、二人は小さく頭を下げた 隊長と思われるペイルウイングは俗に言う そそる 体系をしていた 細く引き締まった腰のラインとそこから伸びる引き締まった長い足 胸も大きく、小玉スイカを二つ貼り付けたかのようなサイズだ 艶やかなセミロングの茶髪をただ伸ばし、バイザーに隠れても色褪せない冷たい美貌を不機嫌そうに歪めている 「どこに敵が居るとも限らん、常に周囲に気を配れ」 そう言うと彼女は返事を待たずに飛び立った、二人も取り残されてはたまらないので慌ててついて行く 隊長の名前はジェシカ ホプキンス 西欧戦線の数少ない生き残りであり中尉と呼ばれている 軍とは隔絶された組織であるEDFで彼女が 中尉 等と階級で呼ばれるのは、彼女がEDFペイルウイング隊創設に辺り各国の軍や警察から引き抜かれたエリートであり創設当時からの愛称であるからだ
愛称になったのは彼女がそう呼ばせたからではない、訓練で最優秀の成績を納め他の隊員に教示するようになってからついた愛称だ 所以は軍隊調のキビキビした口調と動作、そして御守りに中尉の階級証を後生大事にしている事 別段嫌では無いので放っておいているが、いつの間に隊の中で定着したのか、ジェシカはそれだけが不思議だった 十分程無言で飛び続けると、スカウト小隊のビーコンが消えた地点にたどり着いた 結果だけ言うとスカウト小隊は全滅、辺りに蟻の酸を受けて見るも無残な姿になった隊員達の亡骸が打ち捨てられていた… 「なれないなぁ…この匂い」 右側のペイルウイング、藤川 絢音 は鼻をつまみ顔を歪める 辺り一面に人間が酸で溶けた際に発する気持ちの悪い焦げたような匂いが充満していた 「臭が濃い…やられてからさほど時間はたってないな…どこかに敵が………」 「隊長」 左のペイルウイング 中村 涼子 がジェシカに呼び掛けつつ、レイピアを静かに構えた…
ジェシカが見ると、1キロ程先に小さな黒い何かが見えた 何か、いや、間違なく巨大生物だろう 数は少ないがこの距離でも巨体が蠢くのがはっきりと見てとれた 恐らくあれは斥候だろう、巨大生物は単体では行動せず必ず群を作る、更に後方では大部隊が殺戮の時を今か今かと待受けているのだろう… 「仕掛けますか?」 絢音がガイスト2のセーフティを外しつつジェシカに聞いた 「やめておけ…何にしろ接近する必要があるし敵の大部隊が釣れたらたった3人のペイルウイングなんで砂糖菓子のように砕かれて終わりだ………我々の本来の目的は達した、さっさと引き揚げよ…」 言い終わるよりも先に、轟音が鳴り響き遥か彼方の巨体が血を噴出して崩折れた 轟音は2回 3回と続き、7回めで斥候が全て地面に倒れ伏した 狙撃…!! どこからだ、だが辺りには自分達以外人はおらず近くに一軒だけビルが残っている以外何も存在していない 一体どこから… ぐるりと周囲を見回し、視界にビルが入った途端…そのビルから金色の何かが落ちたのを見つけた
疲れた…今日はもう寝る
次からは先に全部書いてからまとめて書き込むようにしようね 久々のネタ投下だし楽しめたよ、GJ
誤字と誤用が多過ぎるぞ もうちょっと慎重に読み直しをすれば あと、句読点や空行はなんとかならないか?
>685 そこまで手厳しくしなくてもな〜 過疎なんだからさ、 つーかね、批評するのなら、ひとつくらいは褒め所も捜してやるのが紳士だろ。 ダメだしだけじゃ批評ですらない。 少なくとも一字で保守してるのよりは楽しめると思った。 つーか、ネタ無くても雑談できればなぁ
むぅ、空行多いのは少し読みづらいかな 後「あ(た)」「う(る)」での終わりが多いから単調でもあるな でも人物に説明的な台詞が無いのは語りに存在感がでてる さぁ寝てる暇は無いぞ、直ぐに続きを投下せよ
楽しかった、続きが楽しみだ
よーしパパも否エロ書いちゃうぞー …EDF3ネタだけど
↑期待
リバイアさんを投下しますた。
退避!退避!退避しろー!
「昆虫来ます!」 「撃て、撃てぇっ!」 東京は大混乱となっていた。 飛来した円盤、突如出現した昆虫型の巨大な生物。 レンジャー4に所属する俺は、仲間と共に迫りくる巨大生物を迎え撃っていた。 「うあぁっ!」 「ジョーがやられた!」 「俺より先に死ぬことは許さ…ぐわーっ!」 「隊長がやられた!」 「俺達だけでやるしか…ぎゃーっ!」 「誰か、指揮を!」 「自分でなんとかしろっ!」 巨大生物の吐き出す体液によって同僚は次々に倒れていく。それでも我々は戦い続け、救援に駆け付けたストームチームの支援もあり巨大生物の姿は無くなった。 しかしストームチームも激しい戦いの中消耗し、最後に立っていたのは俺とストーム1だけだった。 「ちょっと回収してくる」 ストーム1はそう言い残して駆け出していった。戦死した部下の認識標でも集めに行ったのだろうか? だとしたらなかなか部下思いな男だ。どうせこの損害では再編制するしかないんだ、これを機に彼の部隊に入ってもいいかもしれない。 そこまで考えると、眼前に黒い影が現れる。 咄嗟に持っていた銃を向け引き金を引くが、弾は出ない。 ちょうど撃ち切ってしまっていたらしい。全て倒したと思っていたので残弾を確認していなかったのだ。 巨大生物は体液を放つため尻をこちらに向ける。終わった…そう思った途端、巨大生物に銃弾が打ち付ける。 「大丈夫か!?今のうちにリロードするんだ!」 ストーム1の放つ銃弾を浴びながらも全く倒れる様子のない巨大生物。強力な個体なのかと思い慌ててリロードをすませるが、俺が攻撃すると意外なほどあっさり倒れた。 「ストーム1、さっきの奴は…」 「ああ、おかげで助かった。AF-14じゃ足止めぐらいしか出来ないからな」 「AF-14?なんでまたそんな旧式のを」 「何でって言われてもなぁ…これしか無かったんだよ」 「隊長ってのは演習や実戦での成績に応じて武器を支給されるって決まりじゃ…」 「演習になんか参加せず、いきなり実戦に来たからなぁ。…まあ、近いうちにまともな武器が支給される事を願おう」 その時の俺には、ストーム1が終戦まで生き残り、それどころか地球を一人で救う事になるなんて想像出来なかった。 いきなりINF「1.異邦人来たる」のネタでした ハデスト迄は演習、INFからが実戦だ!
>>694 いきなりだと開幕赤へうわなにをするやm
ストーム1こと伝説の男のそばにいてその戦いを見続けた男かな
>>694 乙
この男がストーム1伝説の生き証人になる訳ですね
ここから始まるストーム1の戦場伝説が楽しみだ
698 :
694 :2008/08/25(月) 18:27:06 ID:LqKha7rS
>>697 期待は許可できない
元々単発ネタなのでシリーズ化は予定していない、撤退する
撤退は許可できない 直ちに連載の準備を開始せよ
>>699 …了解、準備を開始する
文章は苦手…というかボロが出やすい性格だから慎重に行かせてもらおう
頼む… 誰かまとめのURLを教えてくれ…
702 :
名無しさん@ピンキー :2008/08/26(火) 21:51:22 ID:qF4Q/f6w
703 :
名無しさん@ピンキー :2008/08/26(火) 21:56:17 ID:B6kk5Zng
704 :
名無しさん@ピンキー :2008/08/28(木) 05:09:46 ID:w2UPyHox
一見さんのための、一目でわかる、竹島問題てなーに? のコーナー! 「現在」の韓国領は、終戦後三年たってから、サンフランシスコ条約で決定されました(ゆえに、六十年以上まえの領土の資料は、真偽に関わらず今の韓国には関係ない)→ →その際、草案の時点で韓国領であった竹島と対馬が、本番のSF条約で外されたので、この二島は「日本領のまま」と国際法上決定されました。→ →ゆえに、竹島は日本領になります。→ →然るに、竹島を自国領とする韓国は、バカ丸出しと世界中に今も宣伝しております。→ →一見さんのために、ここのコピペをたまに上げましょう!
だから、あれほどageるなと…
即NG 余裕
次の話しも楽しみに待ってます!
※ 2日後、パリ北駅発のユーロスター21号が、倫敦のセント・パンクラス駅へと近づいていた。 まもなく終点とあって、ユーロスターはゆっくりと減速していった。 その先頭車両に純白のドレスを着込んだベアトリーチェ・ベリーニの姿があった。 車窓から街並みを見る瞳は、嬉しさの余りキラキラと輝いている。 「もうすぐ大尉殿にお会い出来る。少しでもお役に立てればいいな……」 人事を担当する第2部勤務では、直接智恵理の助けになれそうにない。 それが不満であったが、どういう形でも何とか智恵理の役に立ちたいと思う彼女であった。 いきなりガタンという衝撃が来たのは、ベアトリーチェが手荷物をまとめ始めた時であった。 ギギィーという金属音と共に、急ブレーキによる慣性エネルギーが襲ってきた。 あちこちで悲鳴が上がり、ベアトリーチェも勢いよく席から投げ出される。 気が付くとユーロスターは停車していた。 終点駅に到着したのではないことは窓から見える景色で分かる。 「いったぁ〜」 顔をしかめて起き上がると、体のあちこちが痛んだ。 額を触るとドロッとした感触があった。 どこかに打ち付けたはずみに、頭部から出血したらしい。 速度が落ちていたのが幸いし、軽い打撲で済んだようであった。 回りを見るとそこら中に乗客が転がり、苦しそうに呻き声を上げている。 「いったい何が起こったの?」 ベアトリーチェは痛みをこらえて車窓に近づき、ヒビの入ったガラス越しに外を見回した。 「ひっ……」 彼女は上空に乱舞するUFOの編隊を認め、身を硬直させた。 なんとか20機までは数えることが出来た。 その編隊の中に一際目立つUFOがいた。 シルエットは他の機体と同じだが、真っ赤な塗装が施されている。 「赤い……円盤……」 その赤がベアトリーチェに血の色を連想させた。
乗客達に避難する暇を与えぬよう、UFOが一斉に襲いかかってきた。 急降下攻撃は執拗に続き、車両が次々に吹っ飛ばされて炎上していく。 ベアトリーチェはなんとか非常口まで這っていったが、その時隣の車両が大爆発を起こした。 「あぅぅぅ……」 線路上に投げ出されたベアトリーチェは、呻き声を上げて自分の腹を探った。 激痛と共に、指先がドロリとした異様な感触を捉えた。 「痛ぁぁぁ〜ぁぁッ」 絹を引き裂くような悲鳴が上がる。 それでも彼女はEDFの軍人であり、周囲に転がっている一般市民とは違った。 気丈にも立ち上がり、遮蔽物を求めて線路上をヨロヨロと歩き出す。 白いフリフリドレスは空中からでも目立ち、UFOたちの格好の目標になった。 UFOが超低空まで降下し、ベアトリーチェに向けて機銃を掃射する。 「ひぐぅぅぅっ」 風に舞い上がったスカートをパルスレーザーが掠めていく。 獲物をいたぶって楽しもうというのか、わざと狙いを外しているようであった。 「やだっ、死にたくない……死にたくないよぉ……」 まともに歩くこともできない少女に対し、円盤が集団レイプさながらに入れ替わり立ち替わり襲いかかる。 そのうちベアトリーチェの足元をパルスレーザーが掠め、つんのめった彼女は前に一回転して仰向けに倒れ込んでしまった。 「大尉殿、助けて……チェリーブロッサム大尉殿ぉ……」 動けなくなったベアトリーチェの真上を、UFOの群が不気味に遊弋する。 やがて赤いUFOが急降下を開始した。 ボディの前縁にズラリと並んだ銃口が、キラキラと赤紫色に発光する。 それがベアトリーチェがこの世で見た最後の光景となった。 知らせを受けた智恵理が王立病院に駆けつけたのは、それから6時間後のことであった。 くだらないとは言え、智恵理は公式な会議に出席していたのである。 そんな彼女に、民間列車が襲われたニュースなど伝わるはずもなかった。 息せき切った智恵理と光がICUの前に辿り着くのと、そのドアが開くのがほぼ同時であった。 なぜか戦技研のミラージュ技官がドアをくぐって出てきた。 智恵理は訳が分からず、ミラージュの顔を見て何度もまばたきを繰り返す。
「戦技研が発行したドナーカードを持っていたのです。もし自分が死ぬようなことがあっても、大尉と一緒に戦いたいと……」 ミラージュは手にしていたものを智恵理に差し出した。 小型のグレネードのように見える。 智恵理は震える手でそれを受け取ると、説明を求めるようにミラージュの顔を見た。 「支援兵器ヘブンズ・ゲートα……きっと大尉のお役に立ってくれるでしょう……」 その傍らをストレッチャーに乗せられた小さな体が運び出されていく。 スッポリとシーツに覆われていたが、それが誰であるかは聞くまでもなかった。 「ダメッ、先輩っ」 智恵理は光の制止を振り切り、頭に掛けられていたシーツを剥いだ。 そこに変わり果てたBBの姿があった。 自慢の巻き毛は剃り上げられ、包帯でグルグル巻きにされている。 「ここに運び込まれた時には、手の施しようがなかったそうです。本人の遺志を尊重して、体の一部を提供して頂きました……」 ミラージュは言い終わると、固く目を閉じて天を仰ぐ。 智恵理は呆然となり、手にしたグレネードとBBの亡骸を何度も見比べた。 「うわぁぁぁーぁぁっ」 叫び声を上げた智恵理は、拳を振るってミラージュを殴り倒した。 小柄なミラージュは簡単に吹っ飛ばされ、鼻血を吹き上げて昏倒する。 智恵理は肩でハァハァ息をしていたが、やがてその場から全力で駆けだした。 「先輩っ」 光が慌てて智恵理の後を追う。 そしてベランダの手摺りにしがみついた智恵理に追いつく。 「……せ……先輩」 何と声を掛けていいか分からず、取り敢えず肩に手を伸ばそうとした。 「来ないでぇーッ」 智恵理の絶叫が光の足を止めた。 光の背中に恐怖感が走り、その場から一歩も動けなくなる。 「今のあたしに……近づいちゃ……ダメ……」 智恵理には分かっていた。 今、自分が殺意の波動を放っており、近づく者の脳髄を片っ端から焼き切ってしまうことを。 「あたしのせいだ……あたしがBBを殺したんだ……」 自分がレッド・デビル討伐に名乗りを上げていれば、こんな残酷な未来はなかったはずなのに。 智恵理は自分を恨み、レッド・デビルを憎んだ。 もの凄い勢いで憎悪の念が湧き上がってくる。 「……それほど死にたいの、少佐……なら……望み通りにしてあげる……」 智恵理はヘブンズ・ゲートαを握り締めると、涙に濡れた頬に強く押し当てた。
※ 翌早朝、マリー大佐率いる親衛隊ペイルウイング第1中隊は、倫敦上空で敵の定期便と正面から激突した。 高度はペイル側がやや優位。 智恵理は敵の先頭に真っ赤な機体を見つけるや、いきなり高速で降下を開始した。 対するレッド・デビルも以前取り逃がした智恵理を認め、急上昇で接近してきた。 「タァァァァァーァァッ」 すれ違いざまにサンダーボゥをぶっ放したが、射線が上滑りしていたため敵を捕捉できなかった。 レッド・デビルもパルスレーザーを発射したが、こちらも急激な機動の最中だったため命中しない。 智恵理は降下の余勢をかって宙返りに転じ、ループの頂点で身をよじって体勢を変える。 鮮やかなインメルマンターンが決まった時、レッド・デビルは目の前で左旋回に入ったばかりであった。 すかさず智恵理はレッド・デビルの後ろ上方に食らいつく。 まさかこんなに早く尻を取られるとは思いもせず、レッド・デビルは緩旋回しつつ、下方にいるはずの智恵理を探している。 ダットポイントの中心にレッド・デビルが捉えられた。 トリガーに掛かった人差し指がカタカタと震える。 脳裏を少佐の笑顔が掠め、知らぬうちにダットポイントが機体中央から外縁部へとずれていく。 「違う、少佐じゃないんだ。あれはレッド・デビルなんだ……BBを殺した憎い敵なんだっ」 智恵理は自分に言い聞かせると、固く目を閉じてトリガーを引き絞った。 まともに照準をつけずに放たれた攻撃が命中するはずもなかった。 いきなりボディを掠めた稲妻で、レッド・デビルは智恵理の接近を察知した。 慌てて赤い機体を横転させると、背面ダイブで智恵理を置き去りにする。 「くそっ」 智恵理は自分の不手際を罵ると、敵と同じ機動で急降下に入った。 「むぅぅっ……」 強烈なGと風圧が、真正面から襲いかかってくる。 脆弱な肉体を晒しているペイルウイングにとって、急降下は苦手種目である。 突っ込み速度の不足と耐久力のなさは、ペイルウイング誕生以来の弱点なのだ。 「ダメだ……ついていけない」 智恵理は急降下での追随を諦めると、高層ビルの屋上目掛けブーストを上げた。
いったんPEユニットを緊急チャージに入れ、智恵理はビルの屋上に降り立つ。 屋上を走り抜ける間に、ユニットの冷却と再充填を済ませる。 最大のチャンスを狙って敵が急降下してくるが、あちこちに潜んでいる狙撃部隊がサンダースナイパーで追い払ってくれた。 「ありがとうっ」 聞こえるはずもない感謝の言葉を述べ、智恵理は再び大空へと舞い上がる。 呼吸を計ったように、レッド・デビルがパルスレーザーを全開にさせて降下してきた。 智恵理は体を捻ってそれを避けると、低空でのドッグファイトに全てを賭ける。 並のペイルウイングではついていけないような激しい巴戦が繰り広げられた。 智恵理は2基あるプラズマ噴射口の出力を微妙に違え、限界を超えた急旋回でレッド・デビルに食らいつく。 「負けるモンか……負けるモンか……負けるモンかぁ〜っ」 ジリジリと旋回半径を縮めていく智恵理の視界に、レッド・デビルの機体が入り込んでくる。 しかし、射程までもう少しと言う時、無情にもPEユニットが緊急チャージに入ってしまった。 今度は高度が低かったので、智恵理は地面まで降下する。 ウェストミンスター・ブリッジの左岸側に着地した智恵理は、いきなり横手からパルスレーザーの猛攻を受けた。 「やばっ」 研ぎ澄まされた超感覚でそれを捉え、身を投げ出してギリギリで避ける。 そして空中停止しているレッド・デビルに向け、お返しのサンダーボゥを膝撃ちでぶちかます。 レッド・デビルはほとんど瞬間移動に近い動きで稲妻を避け、今度は智恵理の背中側から正確な火線を送り込む。 反射的というより、生存本能の導くままに突っ伏した智恵理の頭上を、密度の濃い紫の雨が通り過ぎていった。 前転受け身の要領で素早く立ち上がった智恵理は、振り向きざまにサンダーボゥを撃ちまくる。 しかしその時にはレッド・デビルは位置を変え、彼女の頭上から襲いかかってきた。 智恵理は本能に従って頭上を掃射したが、稲妻が到達するより先にレッド・デビルは射線をかわしてしまっている。
敵の動きは智恵理の超感覚を越えていた。 機動力の高さもさることながら、情報を認知してから行動に移るまでの時間が異常に短い。 いったいどういう操縦システムなのか。 「なんなの、こいつ? 少佐なんかじゃなく、実は無人のロボット兵器なの」 人間にしては攻撃に情け容赦がなさすぎる。 だが、コンピュータにしては、攻撃を受けた時の反応が一々人間臭い。 矛盾の固まりのような兵器であった。 「ダメだ。地上戦では勝てない」 動きの素早い相手に、止まって戦うことの不利を悟った智恵理は、回復したユニットを使って大空の住人になる。 対するレッド・デビルも直ぐさまこれに応じ、再び壮絶なドッグ・ファイトが展開される。 何とか横の格闘戦に持ち込みたい智恵理だったが、一度手の内を見たレッド・デビルは乗ってこない。 敢えて危険を冒さず、パワーを利用した縦の格闘戦に智恵理を巻き込もうとする。 レッド・デビルが左の急旋回を続ける智恵理の下に潜り込み、腹側から急上昇で突き上げる。 やむなく智恵理が上昇機動に移ると、レッド・デビルはそのまま彼女を上空へと追い詰めていった。 敵の有り余るパワーに屈した智恵理は、そのまま不本意な縦の格闘戦に巻き込まれてしまう。 戦いのイニシアティブは完全に奪われた。 連続する急上昇と急降下が、智恵理の体からズンズン体力を削っていく。 そして何度目かの宙返りの頂点で、遂にレッド・デビルに背後を取られてしまった。 「むぅぅっ……」 智恵理は目から火花が出るようなGに耐え、体を左に捻り込んで頭を地上に向けた。 脳内の血流が止まり、智恵理は一瞬失神する。 それでも直後には立ち直ると、真っ逆さまの急降下で離脱を図る。 「うぐっ……むぐぅぅぅ……」 制限速度を超えた急降下が智恵理の全身を苛む。 レッド・デビルは智恵理の真後ろから追随し、ろくに狙点も定めずにパルスレーザーをぶっ放してきた。 土砂降りのような赤紫の光弾が智恵理の体を掠めていく。
「ひぐっ」 智恵理は体を横滑りさせて攻撃を避ける。 苦し紛れに振り返って反撃したくなるが、そんな挙動をとれば一瞬で距離を詰められて射殺されてしまう。 「ダ、ダメだ……BB、ごめん……あたしじゃ勝てない」 弱音を吐いた智恵理が、覚悟を決めて固く目を閉じる。 その途端、この世とあの世の境界が接近し、ベアトリーチェが死の間際に発した感情が脳内に流れ込んできた。 恐怖、憤怒、後悔、悲嘆そして絶望。 ベアトリーチェの絶叫が聞こえたような気がした。 「BB……」 怒りが智恵理を現実に引きずり戻した。 我に返った智恵理は、腰のハーネスに吊したヘブンズゲートαを手探りで掴む。 それを固く握りしめると、脳裏にベアトリーチェの顔が蘇ってきた。 『負けないで、大尉殿……負けないで……』 幻影のベアトリーチェが目をウルウルさせ、祈るように手を組んでいた。 「BB……」 自分はベアトリーチェの仇を討つために出撃してきたのである。 こんなことで諦めるわけにはいかないのだ。 智恵理の闘争本能に再び火が付いた。 急降下を続ける智恵理はサンダーボゥを構えると、何もない前方の空間に向けて2度3度とトリガーを引いた。 稲妻が虚しく大気を切り裂く。 その途端、驚くべきことが起こった。 智恵理の真後ろ80メートルを追随していたレッド・デビルが、いきなり身を翻して急反転を見せたのである。 いきなり前方に流れた稲妻を見たレッド・デビルは、それを自分の背後から放たれた外れ弾だと誤認したのだ。 まさか智恵理が意味のない射撃をしているとは思いもしなかった。 レッド・デビルは背後に別の敵が忍び寄っているものと判断し、反撃するため急速反転したのである。 空気抵抗のブレーキが掛かり、レッド・デビルが速度と機動力を大きく落とす。 最大の、そして最後のチャンスが訪れた。
「うりゃぁぁぁ〜ぁぁっ」 智恵理は雄叫びを上げると降下速度を利用して急上昇に入り、そのまま宙返りへ移行する。 限界を超えた激しい機動が、智恵理に全身の骨がバラバラになりそうなGを強いる。 ローラーコースター・アタックがピシャリと決まり、ループトップでモタモタしているレッド・デビルを捉えた。 「今ぁぁぁ〜ぁぁっ」 トリガーに掛かった指が目まぐるしく何度も屈伸する。 迷いのない稲妻がレッド・デビルの中央部に炸裂し、ガンガンと激しい火花を散らした。 同時に緊急チャージに入った智恵理が緩降下に入る。 「…………!」 智恵理が天を仰ぐと、レッド・デビルの姿が目に入った。 薄煙を引き、機動はフラついているものの、浮遊力は安定しているようであった。 「しくじった」 智恵理は軽く舌打ちし、敵の耐久力を見誤っていたことを悔やむ。 既に智恵理は機動力を失い、サンダーボゥのサーバーにはあと数発分のエネルギーしか残っていない。 つまり、今レッド・デビルに襲いかかってこられても、彼女には反撃する能力はないのである。 しかし、上空のレッド・デビルは緩旋回を続けるだけで、一向に逆襲してくる気配はない。 「どこか壊れたの?」 これ幸いと降下していく智恵理だったが、その時無情にも多数の赤い光点がレーダーに映り込んだ。 後ろ上方を振り返った智恵理は、そこに50機ものファイターUFOを認めた。 敵の第2陣が倫敦上空に到着したのである。 周囲を見回してみても味方の姿はない。 おそらく離れた空戦域で、敵の第1陣と激しいドッグ・ファイトを繰り広げているのであろう。 あるいは仇敵と心ゆくまで一騎打ちさせてあげようという、マリー大佐の心遣いが存在していたのかもしれない。 地上の3カ所くらいから援護のサンダースナイパーが放たれるが、余りにも多勢に無勢であった。 ファイターたちは無防備な智恵理を見つけると、格好の獲物とばかり一斉に急降下してくる。 「ごめんね、BB……今度こそお終いみたい」 やるだけのことはやったと、智恵理は一応の満足を得ていた。 後は1機でも多くの敵を道連れにしてやるだけである。 向かってくる敵の群を、智恵理はキッと睨み付けた。
思いもよらぬことが起こったのはその時であった。 上空でウロウロしていたレッド・デビルがいきなりダイブしてきたのである。 大事な獲物を他人に渡すまいという独占欲が働いたのか。 しかしレッド・デビルが取った行動は予想もしないものであった。 急降下してきたレッド・デビルは、味方編隊の上に被さったかと思うと予告も無しにパルスレーザーをぶっ放した。 全くの無警戒であったファイターは次々に被弾し、火を吹いては地上に落ちていく。 「…………?」 何が起こったのかも理解出来ず、智恵理は呆然と目の前の光景を見守った。 半数ほどの仲間を撃墜され、ファイターたちも流石にレッド・デビルの反乱に気付く。 そして血迷ったエースを鎮圧しようと一斉に矛先を向ける。 だが、レッド・デビルはやはりエース・ファイターであった。 群がり襲い来るファイターUFOを一旦引き離すと、有利な位置から必殺の攻撃を繰り返す。 最初50機もいた敵は、殺虫スプレーを撒かれたハエようにバタバタと墜落し、見る間に数を減らしていった。 「……はっ、少佐……少佐が正気に戻ってくれたんだっ」 智恵理の顔がパッと輝いた。 洗脳され、無理やり赤い円盤に乗せられていた少佐が、ようやく正気に戻ってくれたに違いないのだ。 そう理解するしか納得できない光景である。 喜んだのも束の間、智恵理の顔が再び硬直した。 最後の1機と正面から撃ち合ったレッド・デビルが、すれ違いざまに黒煙を吹き上げたのである。 「少佐ぁっ」 赤い円盤は、先ほど智恵理に撃たれた箇所から黒煙を上げ、地面に向かって急角度で墜ちていく。 「少佐ぁぁぁーっ」 智恵理は墜ちていく円盤に手を伸ばすが、推進力のない彼女は緩降下で追いかけることしかできない。 「あぁっ」 あわや激突という瞬間、エース・ファイターはなんとか頭をもたげた。 直後に失速し、浅い角度で地上に不時着する。 そしてアスファルトの上を滑走した末、ビルに激突して停止した。
やや遅れて、そこに智恵理が舞い降りてくる。 「少佐ぁっ、アイスバーン少佐ぁっ」 円盤から噴き上がる黒煙はいよいよ激しさを増し、今にも大爆発を起こしそうである。 一刻の余裕もない。 智恵理は円盤に駆け寄ると、コクピットへの入口を捜す。 「どこっ、どこなのよっ?」 智恵理はもどかしげに装甲板をガンガン叩く。 そしてハーネスに吊したプラズマソードの存在を思い出し、引き抜いてスイッチを入れる。 ハム音と共に淡いピンクのプラズマ刃が飛び出した。 それを使って慎重に大穴を穿つ。 偶然何かの回路を焼き切ったのか、装甲板の一部が脱落し、搭乗口が開放された。 「少佐ッ」 躊躇うことなく智恵理はコクピット内部に顔を突っ込んだ。 智恵理がそこに見たものは──── 「ひっ……」 そこにパイロットはいなかった。 理解不能な電子回路が所狭しとギッシリと詰め込まれ、毒々しい色のパイプやコードが内臓のように渦を巻いている。 その中心に大振りの金魚鉢ほどもあるカプセルが設置され、コード類が接続されていた。 金魚鉢の中身を凝視するうち、智恵理の心臓がドクンドクンと高鳴ってくる。 何かの溶液に浸された物体が、絶え間なく噴き上がる泡に揺れていた。 「な……なに、これ……」 ようやくその正体に気付いた智恵理が思考を停止させる。 「……ひぐっ?」 それは、なんと人間の脳であった。 「うげっ……」 思わず嘔吐感が込み上げてきて、智恵理は口元を押さえて真っ青になる。 あろうことか、侵略者は人間の生体脳を戦術用演算システムの中枢として利用していたのだ。 どんな精巧なプログラムより遥かにバリエーションに富んだ戦術ソフトとして、人の知能を活用していたのである。 絶対に許されない悪魔の所業であった。 「おげぇぇぇ〜ぇぇっ」 口元を押さえた指の間から黄水が溢れ出してくる。
『……テ…………シテ……』 智恵理の意識に、直接何者かの思念が流れ込んできた。 『……ロ……シテ…………コ……ロ……シテ……』 智恵理はようやく思念の源を断定した。 それは目の前の金魚鉢から発せられているのである。 『……コ……ロシテ……コロシテ……コロシテ……』 奇跡的に意思を取り戻した脳が、自らを殺してくれと智恵理に依頼しているのである。 「しょっ、少佐……ア、ア、ア……アイスバーン少佐なのですかっ、本当に」 断定する材料など何も無かったが、直感がそうだと告げていた。 でないと、命懸けで自分の窮地を救ってくれた理由が見つからない。 しかし、目の前の脳は少佐であって既に少佐ではなかった。 生きてはいるものの自我は無く、自らの意思で動くことも叶わぬ一個の肉塊に過ぎないのだ。 「少佐……あなたは、そんな姿になっても……あたしのこと忘れずに……」 金魚鉢の輪郭が涙にぼやけてきた。 少佐は脳だけになって、なお戦友愛を失わずにいてくれたのである。 偉大なエースが起こした奇跡に、智恵理は感動を隠せなかった。 だが、最期の別れの時は刻々と近づいていた。 機関部からの黒煙は益々激しくなり、ところどころから炎が吹き始めている。 智恵理は覚悟を決めると、エース・ファイターに向けてサンダーボゥを構えた。 銃口がカタカタと小刻みにぶれている。 もはや少佐を救う手立ては無く、また高潔だった彼女のこんな惨めな姿を人目に晒させるわけにはいかなかった。 第一、伝説のトップ・エースが敵に寝返っていたなど、どうして他人に漏らせようか。 サンダーボゥの銃口がピタリと止まる。 永遠とも思える沈黙が流れた。 「少佐ぁぁぁ〜ぁぁっ…………行きまぁぁぁ〜ぁぁすっ」 絶叫と共に稲妻放電が3度走った。 装甲板が捲れ上がる寸前、ガラスケースが割れて脳漿が飛び散るのが目に入る。 その一瞬後には炎が機体全体を包み込み、やがて機関部を中心に大爆発が起こった。 それが地獄の使者と恐れられた、レッド・デビルの最期であった。 爆煙が収まると、地面に手をついて前のめりになった智恵理の姿があった。 背中が小刻みに震え、時折肩が大きく上下している。 涙がポタポタと落ちて、アスファルトに大きな染みを作っていた。 「……少佐…………少佐…………」 智恵理の口から少佐の名が呪文のように漏れ出た。 「……少佐ぁ……少佐ぁぁ……少佐ぁぁぁ…………少佐ぁぁぁ〜ぁぁっ」
※ 智恵理が地上部隊に送られて親衛隊本部に帰還したのは、その日の午後であった。 既にレッド・デビル撃破の報を受け取っていた仲間たちは、歓声を上げて智恵理を出迎えた。 「流石はチェリーブロッサム大尉じゃ。その方なら、きっとやってくれると思うておったぞ」 「先輩っ、先輩っ。また先輩の不敗神話に花が添えられたね」 智恵理の心など知るはずもない仲間たちが、口々に褒め讃えてくれる。 だが、今の智恵理にとって、それらは鬱陶しいだけであった。 熱狂した戦友たちは、智恵理を担ぎ上げて胴上げしようとする。 「いい加減にしてぇっ」 遂に限界を通り越した智恵理は、自分でも気がつかないうちに怒鳴っていた。 浮かれていた戦友たちは、雷に撃たれたように硬直する。 「……レッド・デビルはね……レッド・デビルはね……」 ここで真実を口にするわけにはいかず、智恵理は拳を固く握って体を震わせた。 枯れたと思っていた涙が再び溢れ出してくる。 「もういいっ。アンタ達に話したって、分かりっこない」 智恵理は踵を返してその場から走り去った。 残された大佐たちは、気まずそうに黙りこくっていた。 「みんなが浮かれすぎるからいけないんですっ」 智恵理のライトウイング、セーラー伍長がピシャリと決め付けた。 「敵とはいえ、名のあるエースを撃破したんですよ。きっと我々には理解できない魂の交感があったんですっ」 その決めつけは、まるっきり外れているという訳ではなかった。 他の者もなるほどと、それで得心がいった。 本部庁舎の屋上には、冷たい風がひょうひょうと吹き荒んでいた。 智恵理は鉄柵を握り締め、冷え冷えとしたコンクリートの上にしゃがみ込んでいた。 ときおり痙攣したように肩を震わせている。 あれだけ願っていたアイスバーン少佐との再会であった。 しかし、それは智恵理にとって、これ以上は無いという残酷な形になってしまった。 これならば、あの時ウィンザーで少佐の遺体と対面していた方がまだマシであった。 「もう嫌だよ……こんな思いするなら、いっそ狂ってしまった方がいいよ……」 智恵理は何もかも嫌になってしまった。 もう今度こそ立ち直れそうになかった。
背後に人の気配を感じて振り返ると、知らぬうちにマーヤ大尉が立っていた。 マーヤは何も言わず、深い湖のような神秘的な瞳でジッと智恵理を見守っていた。 「マーヤ大尉……助けてちょうだい。ヨーガの秘術であたしの記憶を奪って……何もかも忘れさせてしまって」 智恵理は立ち上がると、八つ当たり気味にマーヤの襟首を掴み上げた。 「……やってできないことはないわ。あなたが本当に望んでいるのなら」 マーヤが眉間に皺を寄せ、ポツリと答えた。 智恵理はビクッと体を震わせ、彼女の襟元から手を放す。 そして怯えたように2、3歩後ずさる。 「……けど、あなたはそんなこと望んでいないのでしょ?」 マーヤの眉間から皺が取れる。 「それに、本当に辛いことは、自分の力で乗り越えてこそ意味があるのです」 マーヤは妹を諭すように優しい口調で言った。 「この悲しみを乗り越えた時、あなたはまた新たな成長を遂げることができるでしょう」 それだけ告げると、マーヤは智恵理の前から立ち去っていった。 残された智恵理は、いつまでも一人屋上に立ちつくしていた。 この日を境に勢いを取り戻した連合ペイルウイング部隊は、一気に雌雄を決するべく敵の主力に対して最後の決戦を挑んだ。 そして、壮絶を極めた戦いの結果、連合部隊は敵空軍に壊滅的打撃を与えることに成功した。 しかしペイルウイング隊が払った犠牲もまた大きかった。 作戦を通しての最終的な戦死者数は、全隊員の7割に達する空前の被害であった。 バトル・オブ・ブリテンを制した隊員たちは、同僚の待つ原隊へと帰還していった。 積もりに積もった疲労と恨みだけを手土産にして。 この勝利により、敵の航空戦力を一時的に壊滅させ、空母の動を封じ込めることはできた。 しかし各戦線に開いた味方の穴は二度と埋まらず、P1号作戦は長期的な目で見ると事実上の敗北であった。
お疲れ様! ぺリ隊員の数がどんどん減っていく…
ペイル物語続編キター、乙です!! 久しぶりの智恵理の決め台詞(?)が聞けて個人的に嬉しいw 続きwktkしながら待ってます
ロリ幼女がモブさながらに死ぬなんて…完全に予想外だった… 少佐も少佐で…今回泣いたわ…これはさすがに辛すぎる…
GJです! しかし少佐…… 悲しすぎる……
BBの死を確認してしまった所で心に猛烈な圧迫感、レッド・デビルの内部構造が予想通り過ぎて更に圧迫。 …でも、これから更なる修羅場が待っているんだろなぁ…orz
バイオニューラルデバイスか…。
ついに続編キテター。超GJ! ベアトはヘブンズゲートαの一部になったのか… それにしても全隊員の7割が戦死って、普通ならもうほとんど戦力残ってない状態だよね 「誰か…応答してください。誰か」の通信を思い出すけど、今の状況はまだそこまでじゃないんだよなw テラソラスってそろそろだっけ?2年くらい待ってるんだw
テラソラスどころかディロイすら出てないんだぞ ディロイ、空爆、大蜘蛛、龍虫復活、メカソラス…単体だけでも地獄のラインナップだなぁ…
インフェルノ後半相当の武装すらまだ殆ど 開発されていないような状況だしな…
乙&GJ略してZJ エースはある意味期待通りだったが まさかここでベアトリーチェが死ぬとは思わなかったぜ
絶対包囲に戦慄を覚えざるを得ない
ペリ子には灼熱の方がキツいと思う。
どちらかと言うと絶対包囲のほうがペリ子は楽だね まぁINF絶対包囲そのものがアレなんだけどもw 久しぶりにやってみようかな…。もうクリアできなくなってそうだ
楽しく拝見している自分もSSを書いてみましたので投下します。 初めてSSを書いたので、いろいろとお見苦しい点はあるかと思いますが、 お楽しみ頂けたらと思います。
1.予感 謎の侵略者との戦いで人類は勝利した。しかし、勝ち得た平和も長くは続かなかった。 フォーリナーことインベーダーの侵略から2年後、 巨大生物が再び出現、同時にインベーダーの侵略が再開された!! そして、開戦から4ヶ月が過ぎようとしていた。(郷里大輔風…) 日本のとある廃墟と化した街並みに1人の陸戦兵が佇んでいた。 彼は目の前の惨状にただ言葉を失っていた。 “見慣れているのに…、だめだな…、俺は…” インベーダーの攻撃により、目の前で死んでいく隊員、そして、破壊されていく街。 自分にもっと力があれば、多くの人や仲間を助けることができたのかもしれない… 彼はただそのことだけを悔み、己の弱さを呪っていた。 目の前で死んでいく仲間や人々の断末魔の叫び… 前大戦のときから、彼の心を苦しめていた… 助けることができずに殉職した仲間達。それが彼自身のせいではなかったとしても、強く責任を感じていた。 今回の出撃は黒蟻タイプの巨大生物の殲滅ミッションだが、 ペイルウィングチームの活躍により、陸戦部隊である彼の出る幕はなくミッションは終了した。 前の大戦で活躍した彼だが、それ以降、 EDF内であまり目立つ行動をしないようにひたすら後方支援に徹していた。 それは特殊部隊ペイルウィングの登場も理由の一つであった。 元々この地域では、ペイルウィングのウィングチームだけで充分に対処できていたため、 EDFの精鋭であるレンジャーチームやストームチームが表立って動くことはなくなったのだ。 彼の中では陸戦兵などという時代遅れの自分は、もう前線に立つ必要はない…、 エース部隊であるペイルウィングに全て任せていれば問題ない…、 そいう考えに至っていたのだ。 基地に戻った彼は武器の点検を手早く済ませて、すぐに自室に戻り、 ベッドに横になる。 「俺は何をしているんだ…」 何かの目的のためにEDFに入った彼は、すでにその事を忘れていた。 いろいろと考えごとをしているうちに、まぶたが重くなっていく。 「?」 彼は街の雑踏の中に立っていた。 「ここは?」 人々は皆笑顔で行きかっており、それは平和な時であることを表していた。 そして、彼は何かに導かれるかの如く歩き始めた。 「この感じは一体…」 歩いていくと前方に2人の男が何か楽しそうに話をしている姿が目に入る。 「?」 その瞬間、彼の視界は真っ暗になり、同時に意識が沈んでいく感覚に捕らわれる。
彼はベッドの上で目を覚ます。 「ゆめ…?」 上半身を起こし、時間を確認し、3時間ほど眠っていたことを知る。 「とうとうおかしくなったのか…。仕方ないか…、これが俺に背負わされた十字架なんだからな…」 そう毒づきながら、しばらくして、緊急召集の連絡が警報と共に流れる。 「また奴らか…」 愚痴りながらも着替えてブリーフィングルームに向かう。 この基地の規模はそれほど大きくなく、通常のEDFの基地にしては小さい方である。 他の隊員達に混じってブリーフィングルームに入る。 この基地の司令官が淡々と説明していく。 「今回の敵は、UFOファイターが多数だ。ま、ウィングチームが前線に立つから、 今回も我々は後方支援が任務だ。出撃は30分後。以上、解散。」 その言葉に何の異論もなく隊員達はブリーフィングルームを後にし、彼も準備に入る。 ただ、準備中、なぜか言いようのない嫌な予感を感じていた。 「司令官」 基地内の通信で司令室へ連絡を入れる。 「なんだ?」 「自分にライサンダーZの携行許可を頂けないでしょうか?」 「急だな…、どうしてだ?」 「なんというか…」 司令官は説明が上手くできないことを察したのか、 「許可する。」 「ありがとうございます!」 「ライサンダーZは威力が高いんだ、誤射をするなよ。」 「わかっています。」 「ならいい。ま、それなりの健闘を祈る。」 通信後、彼は愛銃のAF99STと格納庫の奥に保管されていたライサンダーZを携行する。 こうして、基地内のレンジャーチームとストームチームはウィングチームの後方支援任務に向かうのであった。 「奴がライサンダーを持ったということは…、本当に嫌なことが起きるのかもしれんな…」 司令官はオペレーションルームで小さく呟き、戦闘が開始されるのを静かに待った。 やがて、戦闘は始まり、不運にも彼の悪い予感は現実の物となってしまうのである。 作戦地域に辿り着いたレンジャーチームとストームチームは、 すでに戦闘を開始していたウィングチームを確認する。 「やっぱ、ウィングチームはすごいよな…」 「しかも、けっこうかわいい娘ばかりだからな、ハァハァ…」 「でも、あいつらは俺たちのことを見下しているからな、相手にもならないだろうよ。」 「おい!周囲の警戒を怠るな!」 無駄話をしていた隊員達は隊長に怒られる。そんな緊張感のない雰囲気の中、 彼はウィングチームが戦闘をしている地域を見回していた。
「おい、どうしたんだ?いいペリ娘でも見つかったのか?」 「揺れている…」 突然意味不明なことを言い出す彼に 「当たり前だろ。ここは戦場、しかも、激しい空中戦が展開されてるんだ。空気が揺れるのは当たり前だろ。」 隊員の一人が最もらしい説明をするが、 「いや、違う。地面がかすかに揺れている…」 その発言を通信越しに聞いていた司令官が口を挟む。 「どこが揺れているんだ?」 「ウィングチームが戦闘を行なっている真下です。」 「わかった、調べてみる。レンジャーチームはウィングチームの援護に回れるよう前進。 ストームチームはこちらからの指示があるまで現状維持せよ。」 「レンジャーチーム了解!」 「ストームチーム了解!」 返事と共にレンジャーチームは移動を開始する。 「ウィングチーム、戦闘地域での異常振動を確認した。詳しいことは現在調査中だが、充分に注意しろ。」 「異常振動ですか?」 ウィングチームの隊長らしき女性が疑問の返事をする。 「そうだ。有事に備えて、レンジャーチームを近くに向かわせている。」 「ウィングチーム了解!注意します。」 ウィングチームへの通信終了後、司令官は彼にプライベート回線を繋ぐ。 「これでいいのか?」 「ありがとうございます。」 「お前の第6感はずば抜けているからな。」 司令官は少しうれしそうだった、彼にはそんな風に聞こえていた。 2分後、レンジャーチームの配置が完了する。 「レンジャーチームより基地へ、配置完了しました。」 「了解。レンジャーチームは周囲を警戒。」 「レンジャーチーム了解!」 「基地よりストームチームへ、レンジャーチームの配置が完了した。周囲の警戒を続行せよ。」 「ストームチーム了解!」 司令官の指示が終了した同時に、オペレーターが声を出す。 「レーダーに巨大生物の反応!ストームチームの周囲に出現!」 「なに!!」 ストームチームが周囲を見回すと、赤色蟻タイプの巨大生物が取り囲まんとする勢いで迫っていた。 「赤い巨大生物だっ!!」 「ランチャー射撃用意!」 スティングレイM99を携行していた隊員達が一斉に射撃体勢に入る。 「攻撃開始!!」 隊長の言葉と同時に一斉に射撃が開始される。 彼もAF99STを連射する。 AF99STは弾数こそ20発と少ないものの、アサルトライフルの中では単発の威力は2番目に高く、 射程距離はトップの性能である。 最初のランチャー射撃が幸いしたのか、囲まれるという状況は避けることはできたが、 依然として赤色蟻は接近を続けている。そのとき、オペレーターが再び声をあげる。 「大変です!ウィングチーム戦闘空域の地面で巨大な何かが動いています!」 「巨大な何かとはなんだ!」 「全長40メートル!」 「なんだと!?」 オペレーターが読み上げた数字に全員が驚愕する。
「そんな巨大生物がいるのかよ!?」 だが、2人の男には覚えがあり、該当する巨大生物をいくつかに絞りこんだ。 「レンジャーチーム!ウィングチーム!一旦、離れるんだ!」 司令官の警告と同時に地面が大きく盛り上がり、咆哮と共に赤い巨体が姿を現す。 その光景はさながら怪獣映画のワンシーンそのものだった。 「ヴァラク…」 彼と司令官は同時に呟いた。 それはかつての戦いで多くの被害を出した巨大宇宙生物の1つであった。 突然の事態、そして、ヴァラクの姿を目の当たりにしたウィングチームとレンジャーチームは、 完全に戦意を喪失し、ストームチームも言葉を失っていた。 なぜなら、彼らは全員再編によって集まった新人であり、 巨大宇宙生物の存在は知識としては知っていたものの、実際に見るのは初めてだったからである。 「な…、なんなんだよ…」 「こんなに大きいなんて…」 「あんな奴倒せるのかよ…」 全員の士気が完全に下がる。 それを見計らったかのように、ヴァラクは咆哮と同時に口から火炎放射を照射する。 「うわーーー!火だっ!!」 「うわあーーーーー!!」 レンジャーチームは全員が炎に巻き込まれ、 同時に炎の勢いは空中にいたウィングチームも巻き込んでしまう。 「きゃあああああああーーーーー!!」 隊員達の悲鳴が次々と彼の耳に響く… 「うぅ…」 彼は思わずヘルメット越しに耳を塞ごうとする。 司令官はその様子を見て、再びプライベート回線で通信をする。 「お前の予感はこれだったのか…」 「司令官…」 司令官の優しい声に我に帰る。 「仕方あるまい…。私とお前以外の全員が前の戦いを経験していないのだからな…」 「…」 その言葉に彼は一瞬目を瞑る。 「お前が指揮を執れ!ストーム1!」 司令官の言葉に彼は目を開ける… かつての激戦を駆け抜けた時と同じく、鋭い目、ストーム1としての目になり、 巨大な敵ヴァラクを視界に映し、己の銃をより一層強く握り締めていた…。 「これ以上はやらせない…」 その顔は決意に満ちた表情であった。
今回は以上になります。 ご意見・ご感想等を頂けましたら、今後の参考にしたいと思います。
何だ、今までどこに行っていたのだ。 さあ早く続きを書く作業に戻るんだ
ペイルがいる、ヴァラクがいるだから3の後・・・4か いい加減作れよサンドさんよぉ
>>739 うおぁぁ、神がキテター!
3大好きなんで個人的にめちゃめちゃ嬉しいです
文も読みやすくてGJです、司令官カッコイイよ司令官
続きを楽しみにしてます
>>738 礼賛乙
「任務を続行せよ、繰り返す、撤退は許可できない、撤退は許可できない」
何故二回言うんだ本部
大事な事なので2回言いますたよ!
保管庫って満スレでまとめて保管するのか? それともただ止まってるのか? どっち??
保守
T
H
E
地
球(たま)
753 :
名無しさん@ピンキー :2008/09/16(火) 02:53:53 ID:DY3ywfsV
防
衛
群
4
保
安価ちょっとずれてるぞw
760 :
名無しさん@ピンキー :2008/09/22(月) 01:59:45 ID:3iulatdU
ニコチャン大王ってなに?
何という過疎
>>760 に世代の差を感じた…
ってここピンクなのにw
E!
T!
オペ子「作戦中の隊員の方!応答してください!」 (…誰もいないの…?) 「繰り返します!誰か応答を!」 (…グスン)
伝説の男はしゃべらない
ダイヤモンドは砕けない
削れないけど砕ける
770 :
名無しさん@ピンキー :2008/09/29(月) 09:07:37 ID:UtPQaBor
雨も降ってきたことだし朝からオナヌーしてみるべ。
インポ(ッシブル)ですね。わかります。
772 :
次回予告 :2008/09/29(月) 14:56:55 ID:I8/k4s3e
前回の作戦により、敵マザーシップは護衛艦隊を失った。 そのため敵はマザーシップ単機での都市部への特攻を仕掛けてきた。 マザーシップはキャリア以上の航空勢力と火力を誇る。 また、頑強な装甲は陸戰兵器はおろか光学兵器ですら傷一つ付ける事すらできない。 しかし、先の大戦でマザーシップは一度撃墜されている。 だが、奴を落とした者は不明で、マザーシップの弱点は未確認のままだ。 いつしか『伝説の男』と呼ばれるようになった”彼”がまだ生きているなら… 次回、The地球防衛軍2 『審判の日』。 諸君の健闘を祈る!
↑あまりに過疎なので保守的がてらやった。 反省はしていない。 つーか、作家神はまだでつか?
>>773 神だって?だったら俺の目の前にいるよ
さぁ五分後に再出撃だ住人に目に物見せてやれ
また巻き込まれ規制ですと しかも再々発だから永久規制妥当とか 実質どのくらいで解除になるのかな
なにやらかして規制なのか分かんないけど3ヶ月とか普通にあり得るから覚悟しといた方がいい
主題歌は「今がその時だ」だな
まぁ火力で言えば陸戦兵器>>>光学兵器なんだけどな。 INF皇帝をペリ子でやるとなんと面倒なこと。
志村ー逆、逆ー
火力ならペリ子だな 火力だけだけど
チラリズムもペリ子
戦闘は火力!!
弾幕はパワーってか?
785 :
名無しさん@ピンキー :2008/10/01(水) 03:15:38 ID:Iwt0WlUJ
最強の蟻ってやっぱりパラポネラかな?
EDF的に考えるとパラポネラは女王赤蟻になって弱体化 酸蟻はヤマアリ亜科になるのかね
女王赤蟻か…噛まれたら1発で死にそうだな
HPがヒル並になりそうなんだが
ふう…やっと通信回線がつながったか…。
790 :
773 :2008/10/02(木) 22:55:37 ID:joWxlTft
こちら
>>773 。戦闘中だった為、通信を規制されていた。
ようやく規制が解除されたので保守を再開する。オーバー。
791 :
新番組予告 :2008/10/02(木) 23:07:27 ID:RCCiVaWA
先の大戦「地球防衛戰」から数年後… インベーダーの先兵である蟻型巨大生物兵器が再びロンドンに姿を現した! 世界各地で治安維持活動を行っていたEDFは対侵略者に向けての再武装を開始した。 そして新鋭エリート部隊:ペイルウィングが戦場の空を舞う! 新番組 The地球防衛軍2 第1話 『英国の悪夢』! EDFよ再起動せよ!
792 :
773 :2008/10/02(木) 23:12:43 ID:RCCiVaWA
…という訳で改めて1面から再スタートです。 他の神作家さんと違ってキャラは書けませんので、スルー宜しくです。(^^;) あくまでも保守って事でどうかひとつ。
アニメ作るなら4クールくらいか?
全52話じゃちょっと足りないかもね。
被ってる面をスルーすれば52話でなんとか収まりそうな気もする
796 :
第2話予告 :2008/10/06(月) 11:54:22 ID:q8PW1y0U
先の作戦でビッグベン方面の敵を駆逐したEDFはロンドン市街地に侵入した蟻型巨大生物兵器の掃討に向かった。 不思議なのは、先の大戦では"蟻"はキャリアから投下されていたのだが、今回は本部のレーダーには航空勢力は確認されていないというのだ。 一体奴らはどこから来たのか…? しかし今は目の前の脅威を排除するしかない! 次回、The地球防衛軍2 『倫敦騒乱』 Destory them all !!
サクラ大戦思い出すなw
なんかグラディウス思い出した
>>797 『倫敦』と書くのが大正浪漫ですな。
>>798 最後の決め台詞が思いつかずに『ですとろいぜもー』をそのまま使ってしまいますた。orz
という訳で↓
800 :
第3話予告 :2008/10/08(水) 13:38:11 ID:jWGIokoC
ようやくロンドン市街地の蟻型巨大生物兵器を掃討したEDFは一旦補給に入った。 しかしその時、再びビッグベン方面に"蟻"が出現したとの連絡が入った。 偵察隊の情報によると、既に当該地区は市民の避難が完了しており、目標を失った敵は3隊に分かれて待機中のようだ。 おそらく最初の攻撃隊への増援だったのだろう。 また敵はアーマーをも溶かす強力な酸を放出する、通称”酸蟻”タイプに強化されているようだ。接近戦はより危険になる。 現在電波状態が悪い為、各分隊全てにこの情報が行き渡っているのか心配だ。 だが待機状態の敵なら重火器による奇襲も可能だ。 装備を見直して攻撃開始地点までは敵に気づかれない様に行動せよ! 次回 The地球防衛軍2 『広がる災厄』 全ての敵を殲滅せよ!
残念だが広がる災厄の舞台は東京だ
失礼しました。
>>800 はなかった事でおながいします。
m(_ _)m
気にせず頑張れ!目指せ全話予告w 走れ!光速のペイルウィング隊!唸れ。衝撃の伝説陸戦兵!
>>803 ついうろ覚えで書いてしまいますた。(^^;)
しかし早く神作家の規制が解けるとよいですなぁ。
805 :
第3話予告 :2008/10/09(木) 11:52:37 ID:PNbGvUJJ
ロンドンの蟻型巨大生物兵器を掃討した後も戦いが終わる事はなかった。 世界各地に"蟻"の出現が相次ぎ、ついにEDF極東支部にも東京に"蟻"が出現したとの連絡が入った。 偵察隊の情報によると、敵は3隊に分かれて行動しており、1隊は市民を襲撃中、残りは待機中のようだ。 また敵はアーマーをも溶かす強力な酸を放出する、通称”酸蟻”タイプに強化されているようだ。接近戦はより危険になる。 現在電波状態が悪い為、各分隊全てにこの情報が行き渡っているのか心配だ。 だが待機状態の敵なら重火器による奇襲も可能だ。 襲撃中の敵を殲滅した後は、待機中の敵の攻撃開始地点まで敵に気づかれない様に行動せよ! 次回 The地球防衛軍2 『広がる災厄』 全ての敵を殲滅せよ!
せっかくだからSSを書いてみました。 こんなかんじで物語を書くのは消防以来なので わかりにくいところもあるかもしれません。 でも、読んでいただけるだけでもうれしいです。
侵略者たちが地球を再び訪れてから、ちょうど一ヶ月が過ぎようとしていた。 「おい、右のほうにもいたぞ!」 とっさに右を向いた。見つけた。銃口を向けて、引き金を引く。 二つ の銃口から放たれた何十発もの玉が、蟻に似た巨大生物に飛んでいく。黒 くて、てかてかした甲殻に当たる。本物の蟻が上げないような気色悪い悲 鳴を上げて、黒い怪物は動かなくなった。 「虫はこれで最後か。」「俺は知らん。知りたきゃ、侵略者さんに聞くんだな。」 今日は、このエリアを放棄して撤退する。そのための作戦が発動される 日だった。まず最初に傷ついた兵士や逃げ遅れた民間人を輸送機で逃がす。 そのために、UFOファイターや、歩行戦車ダロガなどの対空能力のある 敵を潰す必要があった。作戦の第一段階は特殊部隊ペイルウイングの働き もあって、ほぼ成功した。敵歩行戦車は全滅、航空戦力もほとんど撃墜し てしまった。 だが、輸送機が一斉に離陸するタイミングを狙って、インベーダーの巨 大生物の群れが、なだれのように航空基地へ侵攻してきたのだ。 EDF側も馬鹿ではなかった。離陸直前を狙われることを想定して、基 地周辺に大量の爆薬を設置していたのだ。絶妙なタイミングでの起爆で巨 大生物は半減し、残った敵もほとんど掃討された。 「どうやら俺たちがやったのが最後のやつだったみたいだな。」 「これで今日はゆっくり眠れるな。」 「川崎、忘れてないか?今夜はトラックにすし詰めだ。あんな所じゃぐっ すりできないだろ。」 そう、輸送機が全部行った後、今度は俺たちが兵員輸送車で撤退する。川 崎が基地のほうへ歩いていく。俺も後から歩き出す。瓦礫の山がずっと続 いている中を歩いていく。つい最近まで、ここにも静かな町並みがあった はずだ。でも、そんなことは考えないようにしている。一つ一つ、戦いの 悲惨さを考えていってもきりがない。 基地に戻ると、すでに輸送機のほとんどが離陸してしまっていた。今、 最後の一機と、護衛の戦闘機が離陸しようとしていた。この作戦に使われ る護衛の戦闘機はこの一機だけだ。それでもまだいいほうだ。戦闘機なん て、つい最近まで世界中の空を飛んでいた。虫のやつらが地下から出てき たときも、攻撃機と一緒に対地攻撃に専念していたらしい。あのUFOフ ァイターが出てくるまでは。戦闘機隊の損耗率は、空軍が公表していない。 いや、できないんだ。それだけ壮絶な物なんだろう。 二期のスピードはがんがん上がっていく。滑走路は海の方へと伸びてい る。輸送機がすべるように飛び立った。護衛機も轟音を立て、離陸する。 川崎の顔には、満足感があふれていた。俺もたぶん、同じような表情をし ているに違いない。二つの機影がだんだん小さくなっていく。
輸送機の真下、海上から黒い煙のような物がスーッと上っていくのが見え た。双眼鏡で、煙の上った海面を見る。悪趣味な紫色の帽子みたいなもの が見える。「ダロガっ、ミサイルだ!」川崎が叫んだ。 俺にあのミサイルが打ち落とせたなら、迷わずそうする。だが、俺の持 っているアサルトライフルでは射程が短く届かないのだ。いや、たとえ対 ダロガ用のスナイパーライフルがあったとしても、生身の人間が銃でミサ イルなんて撃ち落せるわけがない。俺にはただ、ミサイルを双眼鏡で眺め ることぐらいしかできない。 ミサイルはぐんぐんあがっていく。輸送機に着弾するまで、もう10秒 もないだろう。護衛機は、UFOならともかく下からのミサイルは迎撃で きない。あの輸送機には、傷ついた兵士がたくさん乗っているのに、俺に はなにもできない。 輸送機の下側のハッチが開いていくのが見えた。何かが輸送機から飛び 出していく。特徴的なバックパックを背負ったペイルウイングの隊員だ。 何をしようとしているんだ。双眼鏡の視界の中で、彼女はミサイルに近づ き、体にミサイルが直撃しそうになる刹那、レイピアを・・・ 視界が真っ赤になった。双眼鏡を取ると、空の上で爆風が広がっていく。 ミサイルが爆発したんだ。数秒遅れて、響くような轟音が届く。 海上のダロガに向かって、沿岸の砲台が砲撃し始めた。口径280ミリ の巨大な砲弾が、たった1機のダロガに向けて降り注いだ。一発が直撃す ると、ボロ切れのようにダロガは吹き飛んだ。 ミサイルが炸裂したところの煙が消えていく。双眼鏡をもう一度のぞく。 遠くのほうに、二つの機影が見えた。輸送機は無事だった。 だが、あのペイルウイングは、どこを見渡しても見つけられなかった。あ んな距離でミサイルが炸裂したんだ。遺体すら残らないだろう。彼女は、 どんな覚悟で輸送機から飛び出したのだろう。俺にはわからなかった。 この日、俺たちのいたエリアよりずっと遠く、アフリカで大規模な戦闘が 行われた。結果、EDF欧州支部、北アフリカ支部に続いて、南アフリカ 支部も壊滅。戦線は着実にアジアへと迫ってきていた。 <完>
志村ー!改行ー改行ー! 地上戦力に比べてインベーダーの飛行戦力って強すぎるよね 何せ翼なしで浮いてるんだもん、機動力が物理法則無視しまくりでチートすぎる パルスレーザーもほぼ全方位に撃てるしさ
GJ!! バゼラートたんのガラスの装甲から考えて人類の航空戦力が弱いのもあるんだろうけど 敵航空戦力の攻撃力、蜘蛛や百足、歩行戦車も地対空攻撃してくることを考えると インベーダーに空から挑むのは無謀なんだろうな
バセラートたんはアイドル。あんなアイドルに乗って戦わされてるのは伝説の男だけ 人間が空飛ぶぐらいなんだから、超ハイテクの戦闘機ぐらい余裕であるよ。隊長の陰謀だよ
エアバイク作れたのに重力遮断ドライブを転用出来ないわけないか
ライフル一つで大群に喧嘩売って叩き潰すから良いんじゃないか
>>807 超GJだ兄弟
個人的にこういうサブストーリーは大好きだ
ゲーム中では語られてないけどこういう名も無き英雄達のエピソードがたくさんあるんだろうな・・・
と妄想が膨らむ
>>812 皆のアイドルたるバゼラードを自在に操る伝説の男は
まさにアイドルマスターという訳だ
「何を言ってるんですか! どうして私が休みの日にストーム1さんのことを……!」
F3R小出し撃ちのテクニックでとかちつくちてしまうわけですね
>>812 そういう超戦闘機は開発されたかもしれないが、機体があるかは相当厳しいかと。
現代の最新戦闘機でも1機1億$とかざらなのに、ハイテクどころじゃなくオーバーテクの機種じゃいくらかかるか・・・
個人携行サイズのペイル翼とかエアバイクとかならまだしも、戦闘機はなぁ。
まして戦闘機の開発にかかる期間考えると開発が終わったかも怪しいな。
既存の戦闘機でも機動次第で攻撃は避けられそうだな 敵撃墜は戦闘機に括り付けられた陸男が日輪でも持てばおk!
>>819 ソルリングの異様な射程の短さはどーにかしてからにしないとなw
>>819 アメリカのリノで航空ショー観て来た人によればラプターの機動が変態の域に達していたらしいし、ラプター並の機動性能があればいけるかもな
ただ、UFOもなかなかの変態機動だし、ドッグファイトになると難しいかも
リボンの騎士やネメシスみたいなエースパイロットがいればそこそこの戦果は出せるんじゃなかろうか
バゼラードは戦闘機なのに武装が貧弱過ぎ。ミサイルと爆雷くらい搭載しようよ それこそ日輪とC70積んで機関銃をAS100に換えるくらいはしてもいいと思うんだ ついでにバイクのブースタ付ければ機動性も確保出来て完璧
>>822 C70を大量に積んだ爆撃機を作った方がよくね?
C70で絨毯爆撃・・・都市が壊滅するなw
>>823 都市を壊滅なんて、いつもやってるジャマイカ。w
IDがハンドグレネード…。 ちょっと海でハングレ投げに行ってくる。
乗り物の燃料は無限なのに何でそれをペリ子のENに応用しなかったのだろうか
だいたいミサイルが遅すぎる 加速時間にもよるがだいたいは超音速のものだろ でも鈍亀なんか開発するようなバカ共だからなぁ
鈍亀は何故飛んでられるのか理解できない
重力遮断ドライブを応用
リバイアサンに至っては遅くするために高度な技術が使われるという始末
冷静に考えると爆破範囲が直径40mとか70mて兵器としては大したこと無いよな あとふと思ったんだが停泊ステージで核の一発でも落とせばそれで試合終了だったんじゃなかろうか
>>832 あくまでも個人用
というかでかいと打ち落とされるんだろうか
まあ、速攻潰されるか撃墜されるかしたんだろうな 確かめた事はないんだが、前に本スレで没ボイスかなにかで核が使われた描写が云々ってのは見たことがある
でも皇帝ならいざ知らず、あの時点の敵の戦力に戦闘機が落とせるとはとても思えないんだよなぁ。
核は本当に最後の手段だろ 一発撃ったら向こう数百年は土地が使いものにならないし、虫共に放射能がどれほど効果的かもわからない もし放射能が効かず、そこに巣を作られでもしたら、人類には手の出しようが無くなる 核を使うにはリスクが大きすぎる 最初の大戦では巣の存在こそ知られちゃいなかったが、臨時本部が東京にあったから、非核三原則の建前上核は持ち込めないだろうし 個人的に自称反戦団体は市街戦の横でシュプレヒコールやってるイメージがあるからなおさら 大型ミサイルのたぐいは空中で撃墜されたか小型UFOが体張って止めて本隊の被害を抑えるとかしたんじゃないかと思う 虫共には「個」の概念が無く「全」を優先すると思う
その割には女王を全く守らない蟻たち 酸蟻が成長したら女王になるのか、女王という固体が最初から存在しているのか… やつらは一体どういう環境の星の生物なんだろう EDF1はまず世界各地にジェノサイド砲→蟻投下だったから、 地球上の生物のサンプルを入手してインベーダーの科学力で巨大化・凶暴化させたと考えるのが一番か?
静かな夜の街に不釣合いな爆発音と、やつらの断末魔が響く。 どうやら先行した彼女は既に巨大生物と抗戦しているようだ。 僅かに残っていた市民の避難に手間取っていたとはいえ、やはり歩兵とペイルウィングの機動力には天と地ほどの差がある。 俺たちEDF隊員の移動手段は主に輸送ヘリを用いるのだが、やつら――インベーダーの高い科学力で作られた航空戦力は非常に強く、人類の作り上げた航空機は瞬く間に撃墜されてしまう。 それ故に、今回の作戦のように飛行部隊が存在する場合は、輸送車で近くまで移動し、そこから徒歩で現地へと向かう手筈となる。 そして現地に到達した後、作戦通りに展開し敵を殲滅する。 いつもはそうやって巨大生物と戦ってきたが、今回の作戦を共にする彼女は空を舞うペイルウィングであり、俺は地を這う陸戦兵。 機動力に開きがあるのは言うまでもなく、輸送車を降りてから現地へ先に到達するのは彼女であるのも当然のこと。 …まぁ、彼女は輸送車から降りた途端、レーダーを頼りに敵がいる方向へ一人で飛んでいってしまったんだが。 全く、腕に自信があるのは分かるが、これじゃ二人で出撃する意味がないだろうが… ペイルウィングは皆我が強い。少なくとも俺の知るペイルウィング隊員は気の強い女ばかりだ。 特に彼女は自身の腕に絶対の信頼を寄せているのか、作戦行動中にも独断先行がよく目立つと聞く。 それでいて幾つもの戦場を駆け巡り、その全てで生き残り、数え切れないほどの巨大生物を屠ってきたエースであることも知っている。 しかし、巨大生物の群れに単騎で挑むのはあまりにも無謀だ。 敵は圧倒的な科学力を持っている。だが何よりも恐ろしいのはその物量。 大気圏外から投下という派手な登場をしたアレは別格だが、いくらインベーダーが高い科学力を持っていようとも、単体ではそれほど脅威ではない。 やつらは群れで行動するからこそ恐ろしいのだ。 加えて、ここにはインベーダーの主力である航空戦力――ファイターだけではなく、あの忌々しい蜘蛛のバケモノ…凶虫バゥまでいると、出撃前にオペレーターが言っていた。 驚異的な跳躍力と、獲物を絡め捕る毒性の糸がやつらの武器。 今まで数え切れないほどの仲間が、やつらの糸の餌食となり、食われていった。 古来より空を制する者は有利だとか云われているが、やつらにかかれば空を飛ぶペイルウィングとてひとたまりもない。 それは歴戦のエースたる彼女とて例外ではない。 一刻も早く彼女と合流しなければ。 焦る気持ちを抑えつつ、彼女の現在位置と敵の戦力を知るために本部と通信を繋ぐ。
「こちら川上、現地に到着しました!」 即座に戦域情報が更新され、戦況の詳細を伝えられる。 さすが本部のオペレーター。たまにミスもするが仕事が早い。 彼女の元へ向かおうと俺が駆け出すのと、真っ暗な闇に一条の赤い光が走るのは同時だった。 途中で進路を変え、再加速する赤い光の刃。 あれは…サイブレード、だったか。 ペイルウィング専用の思念誘導兵器。 放たれる光の刃を自らの思念で制御し、敵を確実に仕留める強力な兵器だという。 思念兵器の原理はいまいち分からないが、扱いは難しく、使いこなせる者は少ないと聞いたが… 赤い光の刃が煌く度、巨大生物を示す赤いマーカーが見る間に減っていく。 噂には聞いていたが…彼女はまさしくエースだ。 やつらの親玉が現れてから人類側の戦力は減少の一途を辿っている。 このままでは人類が滅亡するのも時間の問題だろう。 だが、優れた武器を使いこなす優れた戦士がいる限り、人類に勝ち目はあるのだと、彼女の動きを見ていると思えてくる。 彼女だけは絶対に死なせるわけにはいかないな… そう固く決意し、ゴリアスを肩に担ぐ。 しかし、その決意はどうやら意味のないものだったらしい。 俺が現地に到着してから数十秒、彼女を取り囲もうとしていた赤いマーカーは残り僅かとなっており、最後に残った敵も彼女が接敵した直後に消えた。 …俺、居なくても良かったなぁ。 男が女より優れているなどと時代錯誤なことを言うつもりはないが、やはり男としての威厳というものがある。 作戦行動を共にしながら、全く役に立ってないことに意気消沈しつつも、彼女に労いの言葉を掛けようと一歩踏み出したそのとき。 ビルの隙間から不気味に光る眼が覗いていた。
まだ残っていたのか…! すぐさまゴリアスを構えるが、距離が近い。 これでは自分も巻き込まれる! その一瞬の躊躇が悪かった。 俺がライサンダーに持ち替えるよりも早く、多眼の凶虫は下腹部を持ち上げ―― 「うわあぁ〜〜〜〜〜!」
百鬼夜行で遊んでたらビルの隙間に挟まって動けない蜘蛛がいた 稚拙な文章なうえエロもないのに勢いだけで書いた 反省はしていない 現地到達から約23秒で殉職した川上隊員に敬礼!(`・ω・´)ゞビシッ!!
842 :
便乗 :2008/10/22(水) 08:30:13 ID:wbiwJJ7i
「ふう…虫共の百鬼夜行も、今度こそこれで打ち止めね」 案の定、本部はミッションフィールド間近に第二陣が迫ってきているのを事前報告しないというポカをやらかした。 しかし切り抜けた先と同じ布陣に、近接攻撃しか出来ない性質から黒蟻の酸を防ぐ盾とまで揶揄されている赤蟻が追加されただけの第二陣など、エースである彼女にとっては造作もなく処理出来る相手である。 新たな夜景を形成していたほどの紅点――蜘蛛の多眼とUFOのパルスレーザー――はどこへやら、バインザーに映るレーダーを埋め尽くしていた紅点も今や残り一つのみ。 しばらくしてもレーダーの紅点がぴくりとも動かないところを見ると、恐らく蜘蛛が路地裏か何かに挟まったか… 「よくあるのよねえ。しかしなんであんな狭いところに入りたがるかな…図体がデカくても蜘蛛は蜘蛛なのかしら」 それでも蜘蛛本体の目視こそしていないため、とりあえずの注意は払いながら戦場に散らばる「武器」を集め始める。 巨大生物に喰われたであろうEDFの仲間が、生前に使っていたであろう武器だ。消化されないまま巨大生物の体内から出てくることはよくある。洗って手入れをすればそのまま使えるものが殆どで、 人手も物資も足りていない今のEDFからの新武器支給を期待するぐらいなら、先人のお古を自分で探した方がてっとり早いのである。 「うわ、レーザーランスΣだわ!赤蟻を一撃粉砕するって噂は本当なのかしら!?」 試したい!でも今ここにいるのは身動きの取れないバゥバゥちゃんだけだ。 残念に思いながらも彼女は回収作業を終了した。Σが思わぬ戦利品だったことに変わりはない。あとは残った蜘蛛を倒すのみ… 紅点に辿り着いた彼女が見たものは、何とも形容しがたい奇妙な光景だった。 まず紅点の正体は蜘蛛ではなく赤蟻で、次にその赤蟻は路地裏ではなく大きなビルに隣接した小さなビルの屋上にいて、 そしてそれは…お尻を大きなビルの壁にめり込ませて?頭を小さなビルの柵にめり込ませて?宙に浮いた脚をばたばたさせながら、体全体が有り得ない超スピードで上下左右に振動している…? 「えッちょ、え、えぇっ?何よこれ…あ、今あたしに噛み付こうとしたわね。体全然こっち向けれてないけど」 噛み付く瞬間にだけ振動は止まったが、誰もいないビル屋上に噛み付いたあと、またゾンビウイルスにでも感染したかのようにタミフル振動を再開する。 今度は頭はめり込んでいない。お尻がおかしいのか。 時間が経つにつれて冷静さを取り戻した彼女は、とりあえず携帯を取り出し、カメラで動画を撮った。 「凄い、残像が映ってる…カメラのフレームより速いって何なのよ…」 ……… まあ、飽きてきたわね… その後、赤蟻がΣに吹き飛ばされたのは言うまでもない。
しかし、2の本スレの連中…狂ってやがるなw まさか、改造コードまで使って陸戦にペイルの武器orペイルに陸戦の武器で出撃していたとは…最近3方面軍しか見ていなかったから気付か無かったよ というかベガルタならペリ子のジェネ2,3個はつんで強化型ランス光の剣発動出来そうだし4早く出ないものかな。
ネタを練ってる途中にふと気になったんだけど、EDFって元々は21世紀初頭に全世界的に頻発した紛争に介入してPKO活動をするために設立されたんだよな? インベーダーとの戦いが終わったらまたPKOに従事して人間相手にドンパチするってことか? 人間相手にはオーバースペック気味なアレで? ……ちょっとコレでネタ考えて良い?
オーバースペックの武器を次々と開発したのも、後々厄介になりそうな陸男とペリ子を罠にはめたのも
インベーダーを退けてからEDFが世界の頂点に立つための布石だったと俺は考える
多分1→2の間で極東EDFの地位は限りなく頂点に近い位置に上昇したと思うんだ
2のED後は世界を牛耳る組織になっていてもおかしくはない
だから
>>844 よろしく
>>807 です。
いろいろな反応、ありがとうございます!
自己満足のため新作書いてます。
とりあえず予告だけ。
EDFが組織された目的。 それは「紛争の根絶」であった。 結果、陸海空三軍の活躍において、人類の歴史はかつてない平和をむかえていた。 だが、考えてもみてほしい。 EDFの敵とはテロリストやゲリラのような比較的小規模な武装組織であり、その主力は陸上戦力、 それもほとんどが生身の人間である。このような敵と常に正面きって撃ち合ったのも、EDFの歩兵部隊だった。 EDFの主役は陸軍だったのだ。それでも空軍はまだましなほうであった。 精密爆撃のため、基地から何度も出撃する攻撃機。空軍にも、それなりの予算がまわされた。 EDF海軍の中で最も活躍したのは輸送艦だった。 戦闘艦艇の仕事は、沿岸からの対地攻撃、極稀に海賊退治。その二つだけだった。 新型艦なんて必要なかった。旧式の駆逐艦を各国から譲り受け、対空兵器やレーダーなどの必要ない装備がはずされて、 軽量化・低価格化が進んだ。費用対効果でミサイルに勝る火砲が、海軍の主力火器として復権した。 船乗りたちには仕事がなかった。異星人たちがやってくるまでは。
いや、レーダーは要ると思うよ 普通に航行するだけにしても それに対空兵器も大概は対地兼用だし そんな船で何するつもりなのかな 海賊相手だって勝ち目はないよ 夜間知らないうちに取り囲まれてフルボッコ しかるのち接舷されて皆殺しだろ
>>844-845 EDFが世界を牛耳る間も無く新たなインベーダーが襲ってくるから大丈夫だよ!
皇帝「隊長殿、どうぞお受け取りください」 隊長「ふふふ、おぬしも悪のよう」 皇帝「いえいえ、本部の罠にはとてもかないません」 隊長「ふっふっふっ…」 EDFとインベーダーがグルだと考えたら自然とこんな場面が思い浮かんだ
毎週必ずペリ子の入浴シーンが放送されるんですね、わかります
ジェノサイドくらってピンピンしてる市民が相手じゃ、EDFが世界支配なんて無理の無理無理
あの市民は本部と同種なのでしょうか…?
お待たせしました。
>>738 の続きを投下したいと思います。
突然のヴァラクの出現に、劣勢に陥るEDF!! そんな中、一人の男が覚醒する!! その男はストーム1。前回の大戦で人類を勝利に導いた、あの伝説の男!! 彼は再び立ち上がったのである!!“千葉繁風…” ストーム1はオペレーターに呼びかける。 「オペレーター、被害状況は?」 「レンジャーチームは全員戦闘不能、ウィングチームは1名を除き、全員が戦闘不能です…。」 被害状況を把握したストーム1は再度確認をする。 「オペレーター、さっき、ウィングチームは1名を除きと言ったな?」 「あ、はい…、そう言いましたが…」 「ということは、そのペイルウィングは戦闘が可能な状態なんだな?」 「損傷軽微ですので、戦闘は可能なようです。」 「そのペイルウィングの通信コードを転送してくれ。」 「了解。コードを転送します。」 ストーム1は転送された通信コードから回線を開く。 「聞こえるか?」 「あっ…、えっ…、あ、はい、聞こえます…。」 突然の通信に戸惑いながらもゆっくりと返事をする。 「戦闘は可能か?」 「だいじょうぶですが…」 「レイピアは携行しているか?」 突然通信で話掛けてきた上に、武装について聞いてきた男に疑問を持ちながらも彼女は答える。 「え?携行していますが…」 返事を聞いた彼は笑みを浮かべていた。 そして、会話を聞いていた司令官は通信を全ての隊員に対して回線を繋ぐ。 「全チームへ。これより、全チームはストーム1の指揮下に入ること。」 ストーム1という知らない単語に隊員は戸惑いを見せる。 「ストーム1…?なんだそりゃ?」 「そんな奴いるのか?」 「まさか…」 ストームチームの何名かが彼の方に向き直る。 「そのまさかだ。彼がストーム1。伝説の男だ。」 その言葉に全てのチームが唖然とする。 「ストーム1、指示を出せ。」 「了解!」 ストーム1は周囲の状況を再度確認して指示を出す。 「ストームチームは赤蟻と戦闘をしつつ、レンジャーチームの救出に向かうんだ。」 「ほ、本気か…?」 「不可能じゃないけど、レンジャーチームの近くにはあいつがいるんだぞ。」 「やっぱり、無茶だよ…」 弱音を吐くストームチームの隊員だったが、 「俺が奴の注意を引く。その隙にレンジャーチームの救出をするんだ。」 無茶苦茶だという表情をする隊員達だったが、 「そいつは面白い!何もせずに死ぬよりはマシだな。その作戦、乗ったぜ!」 30代後半くらいのストームチームの隊長が声を上げる。 隊長の勇気ある言葉に隊員達も感動して奮起する。 「おお!隊長の言う通りだ!」 「そうだ!俺たちはEDFなんだ!最後まで戦ってみせるぜ!」 「EDF!EDF!EDF!」 ストームチームの士気は一瞬で高くなった。 「隊長、ストームチームの指揮をお願いします。」 「うむ。」 「レンジャーチームの救出の後、ウィングチームの救出もお願いします。」 「任せておけ、ストーム1。」 「俺が開始の合図を出したら、行動に移ってください。」 「了解した!」 ストーム1は再びウィングチームの方に向き直る。
「ペイルウィング、君の識別ナンバーは?」 「ウィング5です。」 「ウィング5、俺と一緒にヴァラクを倒す。いいな?」 「待ってください、いくら、あなたの命令でも、傷ついた仲間を見捨てる訳にはいきません!」 「なら、このまま黙って奴の餌になりたいか?」 「それは…」 ウィング5は途端に弱々しくなる。 「この場にいる全員が助かるためには、君の力が必要だ。それに仲間はストームチームが救出する。」 「…」 「ウィング5、ストーム1を信じろ。」 司令官の後押しもあり、ウィング5は決意する。 「ストーム1…、あなたを信じていいのですね?」 「ああ。だから、協力してくれ…」 「わかりました。あなたを信じます。」 ウィング5の声は最初こそ震えていたが、落ち着きを取り戻していた。 「作戦だが、まず、俺が奴の注意を引く。その間に君は奴の背中に乗り、ゼロ距離でレイピアを撃つんだ。」 「ずいぶんと思いきった作戦ですね。」 「この戦いに勝つためには、君の力が必要不可欠なんだ。」 ストーム1の言葉に心を動かされる。 「だから、俺の命、君に預ける。」 「了解!あなたの命、私が預かります!」 ストーム1はライサンダーZに持ち替える。 「作戦開始!!」 その合図と共にストーム1はヴァラク目掛けて走り始める。 「よし、皆、俺に続け!!」 隊長の叫びと共にストームチームも行動を開始する。 ストーム1はライサンダーZを撃つ。高威力の弾丸はヴァラクの首に命中する。 その痛みに雄叫びをあげながら、ストーム1を捉える。 「ウィング5、今だ!」 ウィング5はブースト全快でヴァラクの背中に向かう。 “なんでだろう…。彼の言葉を聞いていると、本当に勝てる気がする…。” そんなことを思いながら、ヴァラクの背中に接近する。 ウィング5の位置を確認したストーム1はライサンダーZの次弾装填が済んだのを見計らい、 素早くAF99STに持ち替えて、フルオート掃射を開始する。 ライサンダーZ、2丁によるタクティカルファイヤは瞬間的な威力は高いが、 次弾装填時間の関係から、AF99ST掃射の方が総合的に見てより高い威力を発揮できることを、 ストーム1は経験から知っていた。彼はAF99STの弾薬が尽きたのを確認しリロードに入る。 リロード終了と同時にライサンダーZに持ち替えて射撃という一連の動作を繰り返すことにより、 ヴァラクの注意を完全に自分に向けさせることに成功する。 だが、ヴァラクもただやられているだけではなく、火炎放射を放つ。 「あぶない!!」 ウィング5は思わず叫んでいた。しかし、ストーム1は火炎放射が来ることを計算に入れていたのか、 側転で難なく回避してしまう。 「うそ…、あんなのを回避できるなんて…」 「ウィング5、俺の心配はするな、接近を続けるんだ!」 「了解」 やがて、ウィング5はヴァラクの背中に辿り着く。
「これでも喰らいなさい!」 ウィング5はゼロ距離でレイピアを最大出力で照射する。 それを見たストーム1も攻撃を続行する。 2人の同時攻撃が開始してから10秒前後、ヴァラクは大きな悲鳴と共に倒れる。 「よくやったぞ!ストーム1、ウィング5!」 司令室では歓声があがっていた。 ウィング5は真っ先にストーム1の位置に向かい着地する。 「すごい!!私達2人で本当に倒しちゃったんだ!!」 ウィング5は完全に興奮していた。 「ストームチームよりストーム1へ。赤蟻を殲滅、レンジャーチームの救出に成功。 これより、ウィングチームの救出に向かう。」 「了解。」 ストーム1の言葉は安堵に満ちていたのをウィング5は感じ取った。 「みんなよくやった。すぐに救助部隊を送る。」 司令官も喜んでいるのがすぐにわかった。 ストーム1とウィング5は同時にヘルメットを外す。 ヘルメットの下から現れたのは、20代前半で、スーパートップモデルや女優とまではいかなくても、 抜群に整ったかわいい顔の女性であった。 「はじめまして、遊撃部隊ストームチームのストーム1だ。」 「はじめまして、ウィンググチームのウィング5です。」 ウィング5は笑顔で挨拶をする。 「ありがとう。君がいなかったら、全員やられていたよ。」 「そんな…、私なんて…。でも、うれしいです。伝説の男に褒めてもらえるなんて。」 彼女はストーム1を見る。おそらく自分と同じくらいの年齢だろう。 普通よりはそれなりにいい顔つきをしているのがわかる。 「本当にありがとう。」 ストーム1は握手をしようと右手を前にだす。 「こちらこそ。」 ウィング5も右手を出して、彼の手を握る。 “ああ…、これが英雄の手…。なんて暖かいの。” 挨拶の後、2人が握手をした瞬間、握手した手を通して、何か特殊な力がストーム1の脳に直接流れ込んでくる。 「うわああああああーーー!!!!!」 あまりの強烈な痛みに絶叫を越えた、悲鳴をあげる。 「えっ…!?ちょっと、どうしたの!?しっかりして!」 何が起きたのか、理解できないウィング5をよそに、ストーム1は地面に倒れて意識を失ってしまう。 とある部屋の一室だった。 2人の若い青年が楽しく話しをしていた。 片方の青年は手に写真を持って楽しそうに話をしている。 意識が途切れた刹那、そのような光景が見えていた…
ストーム1が目を開けると、基地内の医療センターにいることを認識した。 「おれは…、いったい…?」 記憶の糸を辿ろうとするが、少し頭が痛かった。 「気が付いたようね。」 医療センターの責任者である女医がそこにいた。 「せんせい…、おれはいったい?」 訳がわからない彼は女医に尋ねる。 「詳しくはわからないけど、ペイルウィングの装備はほとんどが兵士の思念で操作する物ばかり。 「なるほど・・・。そう言えばロンドンでの合同訓練の際に聞いことがあったな。」 「そう。それで、手を触れた際にウィング5の思念があなたの脳に直接流れ込んだんじゃないかしら。」 「…」 「そのため、あなたの脳は思念の力に耐えられず、結果、意識を失ったというところね。」 女医は彼の脈を測ったりして、簡単な検査を済ます。 「しばらく、安静にしてなさい。司令官も休むようにって、言っていたわよ。」 「あの司令官がそんなことを…。明日は大雪かな…」 そんな冗談を言いながら、日めくりカレンダーの日付が目に飛び込んでくる。 「えっ…?」 「どうしたの?」 焦りの表情が見てとれたのがわかった。 「俺は3日間も寝ていたのですか?」 「そうよ。」 「その間、何かありましたか?」 「ほとんど何もなかったわよ。」 「よかった…」 安堵の表情を浮かべ、寝る態勢に変えようとすると、 「そうだ、変わったことと言えば…」 「なんです?」 「ウィングチームの娘さんが毎日お見舞いに来ていたわよ。」 「本当ですか?」 「ええ。そこにあるお花も彼女が持ってきたのよ。」 彼の傍には小さな花が入った花瓶が置かれていた。 「もうすぐ、来る時間だから、ちゃんとお礼を言った方がいいわよ。」 すると、噂のウィングチームの娘が医療センターに入ってくる。 「あの…、今日も来ちゃいました…」 少し申し訳なさそうな表情で入ってくる 「丁度よかったわ、彼が目を覚ましたわよ。」 「えっ!?ほんとうですかっ!?」 彼女はうれしさのあまり、思わず叫んでしまった。 「こらこら、興奮しないの。」 「すいません…」 「少しの間だけなら、お話していいわよ。」 女医は空気を読んでいるのか、いないのか、部屋から出て行く。 「ウィング5?」 「はい。あの時はいろいろとありがとうございます。」 「あの時?」 「宇宙生物との戦闘です。」 「あれか…」 思い出したかのように話す。 「でも、ずいぶんとうまくペイルウィングの特性を利用した作戦じゃないですか。」 楽しそうに話す彼女の表情は穏やかであった。 「宇宙生物には、あれが一番いい効率的な倒し方だよ。」 「そんな戦術聞いたことありませんよ…」 「当たり前だ。」 「?」 疑問の表情を浮かべるウィング5に彼は至ってまじめな表情で答える。 「俺があの場で、思いついた戦術だからな。」 「…」 ウィング5は彼の発言に驚いた表情を見せたが、内心安心していた。 この人は私達と同じ人間なんだと。
「それより、毎日お見舞いに来てくれたんだって?」 「えっ…、はい。あなたは隊員全員の命の恩人ですし、それに…」 「それに…?」 「私の思念の影響で意識を失ってしまったんですもの…」 「心配してくれたのか?」 ウィング5は照れ出して、もじもじし始める。 「心配でした。あの時は、宇宙生物を倒すのに必死で全開にしていましたから…」 「なるほど…」 「でも、本当によかったです。こうして、意識が回復されたんですもの。」 彼女の笑顔がまぶしい…、彼は不意にそう思ってしまう。 「改めて、いいかな?」 「なんでしょうか?」 「握手して欲しい…」 「握手…、ですか…?」 お互いに顔を赤くする。 「ユニットを装備していない今なら、大丈夫だと思うんだ。だめかな?」 「いいですよ。」 2人は改めて握手をする。今度は思念が流れてくることはなかった。 「ほんと驚きです…。」 「何が?」 「かつての英雄がこの基地にいたなんて…。伝説の男はただの噂でしたから…」 伝説の男の話題になり、彼は少し考え、神妙な面持ちで話しかける。 「俺の話を聞いてくれるかな?」 「はい。」 「前の戦いが終わった後、俺に関する戦闘記録の一切が抹消されたんだ。」 「どういうことですか?」 「マザーシップを撃墜したのがたった1人の陸戦兵なんて、信じられると思うか?」 「それは…」 「上の連中というのは、信用とか立場を気にするから、そういったことが嫌いなんだ。」 「…」 「でも、俺はそれでいいと思っている。」 彼は同時に彼女から顔を背ける。 「どうして?」 「俺はそんな大した人間じゃない…。目の前で多くの仲間が死んでいった…、助けようとしても助けられずに…」 いつの間にか、彼は涙を流していた。 「そんな俺は英雄じゃない!!ましてや、伝説の男でもない!!」 「…!?」 突然の叫びに体を震えさせるウィング5。それでも、尚、彼の心の叫びは続く。 「だから、俺はロンドンでの悲劇の後、司令官と共にこの基地で静かに活動していたんだ…。」 「…」 彼女はただ黙って聞いているしかなかった。 「目を閉じれば聞こえてくる…、仲間の悲鳴…、俺に助けを求めてくる仲間が…」 小刻みに震えていた。そこにいたのは英雄ではなく、 己の背負ってしまった罪の重圧に苦しむ哀れな男であった。
「たとえ…、そうでも…」 ウィング5は彼の流した涙を優しく拭く。 「?」 「今、あなたはここにいる。あなたが生きているとういうことにはちゃんと意味があると思います。」 「…」 「だから…、そんな風に考えちゃだめ…」 彼女の言葉に彼女の方に向き直す。 「辛いかもしれない…。でも、それが生きる者の宿命…。」 「…」 「だから、人はお互いを支えあって生きているんだと思うの。」 そのときの彼には彼女の言葉が女神の言葉のように聞こえていただろう。 「今はあなたがいてくれたことに感謝しているわ。」 「おれは…」 何かを言いかけようとしたが言葉に詰まる。 「今は悲しい、辛いかもしれない。でも、いつか必ず本当の幸せが来る…、そんな気がするの…」 「本当の幸せ…。俺にもその幸せが来るのかな?」 「わからない。でも、諦めなければきっと来ると思う。」 ウィング5の言葉に自分を取り戻すストーム1。 「ごめんなさい…。体調が悪いのに、長話をしてしまって…。」 「礼を言うのは俺の方だよ。ありがとう、ウィング5。」 「如月真由美(きさらぎ まゆみ)です。2人だけのときは、お互いに名前で呼びましょう。」 突然、本名を言い出すウィング5。 「ありがとう、如月さん。俺は風間拓斗(かざま たくと)。」 「拓斗くん、これからもよろしくね。」 いきなり、下の名前かよと思ったが、それもいいかと思ってしまう。 「じゃあ、私は自室に戻るわね。また今度来るね。」 「ああ。また、次の機会に。」 真由美は医療センターを後にする。残った拓斗は彼女の名前にどうも引っかかるものがあった。 曖昧だが、どこかで聞いことがある…。 “失った記憶に関係があるのか…?” 不思議とそう思えてならなかった。 如月真由美というキーワードが自分の失っている記憶を取り戻すための手掛かりになるのかもしれない。 そう、EDFに入る前に事故で失った記憶に…。 彼はそう思いはじめていた。
今回は以上になります。 いろいろと諸事情により投下ができませんでしたが、 また近いうちに第3話も投下したいと思います。
なにこの台本? いや、読んでもいないから文句付けるつもりは無いが
礼賛乙 エロパロスレ的にはほぼ間違いなく和姦に突入する流れだったなw
864 :
名無しさん@ピンキー :2008/10/30(木) 22:19:59 ID:otkFc2tk
>>851 礼賛乙
GJだが、風間はいいとしても拓斗とした理由が不明確
しかも「拓斗くん」は対年下感がある、「拓斗さん」の方がよかったな
ん?まさか名前の由来はギャラク○ーエ○ジェルかww
865 :
864 :2008/10/30(木) 22:21:52 ID:otkFc2tk
sage忘れすまん絶対包囲に逝ってくる
866 :
名無しさん@ピンキー :2008/11/01(土) 13:33:36 ID:qmsnmsDV
ho
また秀作が来てるな。乙
ストーム1とペイルウィングの共闘熱い!続き待ってます。4はこんな感じもあり?…
869 :
名無しさん@ピンキー :2008/11/13(木) 18:09:58 ID:NLRmFrcW
保守
870 :
名無しさん@ピンキー :2008/11/19(水) 14:56:10 ID:BJUYiXts
保守
871 :
名無しさん@ピンキー :2008/11/23(日) 19:32:47 ID:2fwzWO9K
早く人間になりたい
ボッシュ
873 :
第4話予告 :2008/11/26(水) 00:40:47 ID:E1GHKmIZ
前回の作戦中に別の地区に展開していた偵察隊が消息をたった。 「奴ら進化してやがる!」という言葉を残して…。 別動隊の再調査の結果、市街地のど真ん中に巨大な岩の塔が出現しているのが確認された。 それには無数の穴が開いており、そこから蟻型巨大生物兵器が出現しているそうだ。 しかもその”蟻”の背中には羽根が生えており、飛び回りながら市民を襲撃しているらしい。 ”塔”の弱点はまだ解析されていないが、今は市民の避難が最優先事項だ。 羽蟻を牽制して市民を一人でも多く退避させよ! 次回、地球防衛軍2 『魔虫の塔』 全ての敵を殲滅せよ!
乙 なんだけど、まさかこれ71話までやるのか…?
>>874 予告は
>>792 にもある通り、ただの保守代わりでございやす。
過疎ったら気まぐれに書いてるだけですので、長い目でみてやっておくんなまし。
m(_ _)m
>>875 最終回の『皇帝都市』1時間スペシャルだなw
無論、最終回はオープニング無しでいきなり本編が始まるんだよな。
ここの作品読んでゲームやると燃えるわ 俺も色々妄想してる。自由なゲームは好きだ
鬼畜もサンダー!ただ無性に鬼畜を投下したくなった。 本当にごめんなさい。
第1話「ユキ」 まばゆい照明が、少女の白い肌を照らし出す。 ここは、地下深くにある研究施設の一室である。 少女の名は桜井ユキという。 17歳とまだ若いが、高機動精鋭兵士育成実験の被験者だ。 明るい室内で、ユキは後ろ手に手錠をされ、生まれたままの姿を晒していた。 マジックミラーの向こうからは、多数の研究者達の視線が注がれている。 しかし、長い睫毛の下の美しい瞳には、羞恥や恐れの色は全く見えない。 理不尽で過酷な実験を、ユキはもう何度となく経験してきたのだ。 正面のドアが開き、一人の中年男が入って来る。 その手には、先が二又に分かれた長い棒、そして鞭が握られていた。 「座れ」 男は乾いた声で命じた。 ユキは素早く、冷たい床に正座をする。 「立て」 「座れ」 矢継早に指示が飛ぶ。 「立て」「足を上げろ。下ろせ」 「後ろを向いて屈め」 少女は犬の様に、従順に従う。 「こっちを向いて座れ」 「足を開け」 男は丸椅子に腰掛け、床に座ったユキを見下ろした。 「久しぶりだなユキ。今日は鞭がいいか、それとも電気か。ククク…」
男の名は権藤という。 拷問の様な実験の目的は、ユキに最大限の苦痛と恐怖を味合わせることである。 感情を大きく揺さぶることで、ユキの持つ特殊な思念エネルギーは大幅に増幅されるからだ。 だがこの男は単に、無抵抗のユキを苦しめ、自分の欲望を満たすことしか考えていない。 「やっぱりこっちだな。ほら、お前が大好きな方だ。行くぞ。」 権藤は、先が二又に分かれた棒を構える。 ユキは唇を噛んだ。 棒の正体は、高電圧スタンガンである。 他の苦痛や屈辱には耐えられても、ユキは通電の激痛に慣れることがどうしても出来なかった。 5分と持たずに、涙と小水を流しながら赦しを請う惨めな自分の姿が目に浮かぶ。 だが、逃げることは出来ない。 「お願いします」 ユキの申し出に、権藤はさらに残酷な命令を下す。 「目を瞑れ。声を出すなよ」 少女は観念し、大きな瞳をゆっくりと閉じた。 強烈な衝撃は、まず左の乳房を襲った。 「・・・・・ッッッ!!!!!!」 「クックックッ」 声にならない悲鳴と、下品な笑い声が、室内にこだまする。 後ろ手に拘束されたユキは、心臓を直接焼かれる様な激痛に、身をよじらせて耐えるしかなかった。
「ハハハハッ、変だな、乳首が立ってきたぞ。」 白く柔らかな乳房は、権藤の恰好の標的だった。 執拗にスタンガンを押し付けられ、ユキは早くも精神の限界を迎えた。 悲鳴を上げれば、罰としてさらに電圧を上げられてしまう。 しかしこの男は、ユキが泣き叫び赦しを請うまで、決して拷問を止めはしないのだ。 意識が絶望に包まれる中、通電は更に脇腹や背中を断続的に襲った。 「・・あう・・・うぅ・・・くっ・・・・ぅうぁぁぁ・!!!!」 「ククククッ、どうした?いい声で鳴いてみろ・・そうかそうか、もっと電圧を上げてやるぞ」 「あ・・・ぁぁあッッ!!!ぁああああッッッ!!!!!」 「いい鳴き声だ。お楽しみはこれからだぞ。 後ろを向いて跪け。そうだ、そして尻を高く上げろ。もっとだ。そうそう、いい格好だ。クククク…」 朦朧としながら、ユキは屈辱的な姿勢を取った。 涙がとめどなく、冷たい床に伝わっていく。 ブーツで足首を踏まれるのを感じた。 「行くぞ。電気治療だ」 足裏に通電された瞬間、生まれてきたことを後悔するような激痛が全身を貫いた。 無意識に、喉から絶叫がほとばしり出る。 何度も失神寸前になるが、激痛で無理矢理現実に引き戻される。 ただただ、地獄の様な時間が流れた。
「そろそろ時間か」 鳴き叫び、失禁し、完全に屈伏したユキを見て、権藤はようやく満足した。 「一旦休憩だ。午後にまた始める。服を着ろ」 引き起こされ、手錠が外された。 全身に痛みが残り、力が入らない。 権藤は去り際に、汗ばんだユキの秘所をまさぐっていくことを忘れなかった。 「(死にたい…)」 ユキには最早、服を着る気力も残っていない。 「(私は何故、ここにいるの…)」 何度と無く繰り返される通電実験の障害で、ユキは既に過去の記憶を失いつつあった。 本部にとっては、実験体の記憶など、取るに足らない問題なのだろう。 ユキは懸命に、過去の記憶を辿った。 両親のこと、友のこと、故郷のこと…。 「マリア…」 全ては2年前、あの出会いから始まった。 (続く)
以上です。 ありがとうございました。
885 :
名無しさん@ピンキー :2008/12/02(火) 05:17:41 ID:TrJSLqCP
koreha kitai sezaruwo enai
リョナから始まる新連載期待
第2話「出会い」 「ユキ!!居残りだ」 テニスコーチが叫ぶ。 2年前、まだ15歳の桜木ユキは、どこにでもいる明るく元気な少女だった。 ある悩みを別にして。 「なんですか??」 「なんですかじゃないよ、先週も言ったろ」 ユキは先月から、父親に言われてこのテニススクールに通っている。 「ダブルスだよ、前に出すぎ。あと構えがおかしい!」 「ああー」 ユキはちょっと不満げに、愛らしい顔を横に向ける。 「まあ、覚えは早いし、練習ではちゃんと出来てたけど、試合形式は違うからね。基本が大事なの」 「でも・・」 「でも?何だ」 「いやっ、前に出たほうが返しやすいかなあって、それに構えもいちいち正面向かなくっても、、」 「バカ!たまたま勝ってるからって調子に乗るな。今は教えたとおりにやるんだよ」 「はーい・」 「(テニスつまんないなあ・・・)」 帰り支度をしながら、ユキは頭の中でつぶやいた。 「(あーあ、体操辞めてまで始めたのに・・・)」 「(球技って簡単すぎだけど、あんまり目立つのも嫌だしなあ)」 「(あんなの、打ち方さえ覚えれば、あとは球がどこに来るか分かるから簡単じゃん・・・って思うんだけどな)」 「それがあなたの力なのね」 「えっ!?」 耳元で突然話しかけられ、ユキは驚いて辺りを見回した。 近くには誰もいない。テニスコートの端にはまだ人がいるが、かなりの距離がある。 「気のせい・・・??」 そのときユキは、フェンスの外にいる一人の少女と目が合った。 「誰・・??私を見てる・・・」 年齢は10〜12くらいだろうか。金髪のツインテールで、真っ赤なコートに身を包んでいる。 日本人ではないようだ。 少女は、隣の大柄な男性に何か耳打ちし、そのまま立ち去って行った。
「何だったんだろう、、さっきの声」 ユキは不思議な気持ちを抱えたまま、夕暮れの帰り道を歩いていた。 12月、河沿いの道は寒く、人気も少ない。 「やっぱり私、ちょっと変なのかな」 ボールが弾む音がした。 見ると、河川敷の広場で、一人の少年がシュートを放ったところだった。 ボールは、遠く離れたゴールの一角に、綺麗なカーブを描いて吸い込まれた。 「わぁ、スゴイ」 ユキは、美しいシュートにしばし見入る。 少年はその後も、巧みにボールを操り、正確なシュートを決め続けた。 「ええ??あれ優斗じゃん」 ユキはその少年がクラスメート、宮崎優斗であることに気がついた。 「おーい!」 ユキが近寄ると、優斗も気がついた。 「桜井・・」 「帰り道こっちなの。優斗サッカー上手いんだね!」 優斗は何故か、気まずそうに横を向いた。 「いや・・たまたまだよ」 「ううん、ずっと見てたよ、すっごい上手かった」 「あー、そんなことないよ」 「学校では全然やらないよね、休み時間本ばっか読んでるし。サッカーってイメージ全然無かったよ」 「まあ・・うん、小学校でちょっとやってた」 優斗はいつも無口で、クラスでは目立たない存在だった。 「サッカー部入ればよかったのに」 「えー無理無理。俺そんな上手くないし・」 「絶対、吉川とかより上手いって!アイツいっつも出来ない人馬鹿にしてるけど。あ!この前優斗のことも馬鹿にしたじゃん、お返しに見せつけちゃいなよ」 「やだよそんなの、人前だと緊張するし、目立つの嫌なんだ俺」 「えー何それ、あはは」 「ははは」 つられて笑った優斗の表情は、思ったより可愛らしく見えた。
「まあ、あれだ、桜井には誰もかなわないだろうけど」 「何それ?そんなことないでしょ」 「いや、見ててわかる。昔はもっとすごかった。上手すぎっていうか、先生も言ってたけど、人間じゃないみたいだって」 「えええ、それはちょっと傷つくな・・・」 ユキの曇った表情に気付き、優斗は慌てた。 「あ!ごめん、そういう意味じゃなくって・・」 「別にいいんだけどさ、やっぱ私変なのかな。そういう風に言われるの嫌なんだ。だから、いつも遠慮しちゃう」 ユキは悩みを打ち明けた。 「そうなんだ・・・」 「うん・・」 「そんなことないよ、俺のほうが変だって!」 「何で?」 「いや俺、変なヤツじゃん。みんな結構そう思ってんじゃないかな」 「そんなこと無いよ」 「そうかな・・・」 「ひょっとしてヘン同士!?」 「アハハハ」 優斗はまた笑った。 「っていうか、今まであんま優斗と喋らなかったよね」 「そうだね、桜井いつも友達と喋ってるから・・」 「遠慮しないでいいのにー、じゃあ、今日から友達なろうよ」 「マジで?うん、よろしく」 「ユキって呼んで」
「うん」 「あっ大変、もうこんな時間、お母さん心配するから私帰るね!」 「うん、バイバイ」 「またね!」 土手を駆け上がったところで、後ろから優斗の声がした。 「ユキ!!」 「えっ、なに優斗?」 「いや・・あのー、あれだ。ユキ、全然変じゃないぞ」 「えええ???」 「ユキは特別なんだよ、だからさ、自信もって、思うようにやれよ」 「アハハハ、何それ、わかったありがとっ(やっぱちょっとヘンだな)」 軽く受け流したが、その言葉は何だか心に響いた。 ユキは帰り道を急いだ。 悲劇的な運命が、まもなく彼女を捕らえようとしている。 (続く)
第3話「死神」 「お帰り、ユキ」 家に着いたユキを、両親が迎え入れた。 「ただいま!遅くなってごめん」 父親が話しかける。 「ユキ、今日はどうだった?先週はちょっと心配したが」 「やっぱり今日も叱られちゃった」 「そうか、仕方ないな、ちゃんと言うことは聞くんだよ。辛いようならやめてもいいけれど」 「全然平気!私、これからは思い通りやってくことにしたの」 「そうかそうか、まあ、好きにしなさい」 「心配しないで、ちゃんとコーチの言うことは聞くから」 家族は温かい夕食を囲み、いつも通りの時間が流れた。 寝床に入ってから、ユキは今日の奇妙な出来事を思い出していた。 耳元で聞こえた不思議な声、金髪の少女、優斗・・・ 心地よい眠気に襲われ、ユキは眠りに落ちた。 だが、その目覚めは、心地よさとは正反対のものだった。 まだ真夜中、ユキは息苦しさを感じて目を開けた。 何かが部屋にいる。。 心臓が高鳴り、嫌な汗が流れた。 目だけを動かし、部屋を見回す。 暗い部屋の隅に、何かがいる。 恐怖のあまり目を閉じる。声も出ない。 動かなくては、逃げなくては!! しかし、ユキに出来たことは、かろうじてもう一度目を開けることだけであった。 部屋の隅には、もう何もいない。
だが突然、視界の反対側から、巨大な男の手が襲い掛かってきた。 恐怖で思考停止した頭とは裏腹に、ユキの身体は脊髄反射より素早く反応した。 ベッドの反対側に転がって飛び降り、男に向き直る。 面食らったのは大男のほうだった。 その隙に、ユキはドアへと駆け出す。 しかし、別の男がドアを開けて突入してきた。 男は鈍器を振りかざし、容赦なく殴りかかってくる。 ユキは反転してそれをかわし、開いている窓から庭へと飛び出した。 庭にいたのは、あの金髪の少女だった。 ツインテールの髪が月光を反射し、青い目の奥には妖しい光が宿っている。 「(おとなしくして)」 頭の中に、はっきりと声が響いた。 後ろからは、窓から出てきた男たちが駆け寄ってくる。 ユキは男たちの攻撃を振り向きもせずに回避し、安全な方向へ飛び出した。 だがなんと、金髪の少女が真横にぴったりと付いてくるではないか。 「(逃げられないわ)」 少女が素早く拳を突き出す。 何とか避けたが、次の瞬間、ユキの首に強烈な痛みが走る。 地面に叩きつけられ、ユキは自分の首と少女の腕が、手錠のようなもので繋がれていることを知った。 少女は馬乗りの体勢になり、布に染み込ませた薬品を顔に押し付けてきた。 ユキは意識を失った。
◇◆◇ <アメリカ合衆国 EDFワシントン本部> EDFとは、「The Earth Defence Force」すなわち地球連合軍の略称である。 世界全土の平和維持活動を目的として、国家の枠組みを超えて組織された超法規軍だ。 時に2014年、EDFは既に多数の国家・地域に支部を置く巨大な組織へと急成長を遂げていた。 「ウォレス少佐。モスクワ支部より暗号入電です。東京で2人目の確保に成功したそうです」 「やはり東京か」 ウォレス・バークリーの表情に笑みが浮かんだ。 「コルイマ基地の研究所へ移送されるようです」 「ペイルウウィング計画の重要な足がかりだ。私も直接見てみたい。すぐにシベリア行きの便を手配しろ」 「承知しました」
<東シベリア EDFコルイマ基地地下研究所> 「マリア・アドリアノヴナ・ベレゾフスキー、戻りました」 「よくやったマリア。これがそうか」 所長は満面に笑みを浮かべ、金髪の美少女の頭を撫でた。 「お前なら見つけられると信じていたよ。部屋に戻って休め」 「はい」 マリアを退室させ、所長はその戦利品を惚れ惚れと見つめた。 ユキは両手足を手錠で繋がれ、薬で完全に眠らされている。 「美しい・・・日本人にしては色白だな。イワン博士、どう思うかね?」 傍らの科学者が一歩前に出る。 「はい・・何とも探究心をそそられますな、検査結果が待ちきれません」 「よし、すぐに血液検査とCTスキャンだ。手錠以外は全て外せ。衣服もだ」 「薬はどうしますか」 「本部から少佐殿がお見えになるそうだ。意識の回復はそれを待ってからでもよい」 「承知しました」 ユキは何も知らぬまま、完全に捕われの身となった。 (続く)
以上です。 ありがとうございました。
乙 やっとエロパロらしくなってきたなw
第4話「流刑」 <ロシア共和国 EDFコルイマ基地研究所> ウォレス・バークリー少佐は、研究所に到着した。 地下深くにあり、暖房が効いているにもかかわらず、所内の空気は身を切るように冷たい。 一人の男が、ウォレスを出迎えた。 「ようこそ当研究所へおいでくださいました。私はここの所長のフランクと申します」 「ウォレス・バークリーだ。よろしく頼む」 「こちらこそ。ではミーティングルームへご案内いたします」 二人はそこから、エレベーターでなおも地下へと下っていく。 「ここが有名なコルイマの地下研究所か。深いな」 「はい。かつての金鉱山を改造して造られました。人目を避けるにはもってこいの場所です」 エレベーターは、ようやく最下層へとたどり着いた。 ウォレスは、奇妙な息苦しさを感じた。 「(・・・イラクのテロリスト共を殲滅するには、この研究所からの情報が無ければ不可能だった)」 「(テロ組織と繋がっているとの噂もある。一体ここにどんな秘密があるというのか)」 薄暗い所内を見渡しながら歩く内に、ミーティングルームに到着した。 「申し訳ありませんが、ここでしばらくお待ちください。調達したばかりの実験体2号が、まだ目覚めていないのです」 「そうなのか」 「現在、1号が接触を試みています。まもなく目覚めるでしょう」 「わかった。待とう。君たちに色々聞きたいこともある」 「了解しました。ではイワン博士も呼びましょう」 ◇◆◇
「(・・・・暖かい)」 「(・・・・・・ここは、どこ?)」 ユキの意識は、まだ夢の中を彷徨っていた。 「(・・・・ヘンな夢たくさん見ちゃったな)」 「(夢じゃないわ、起きなさい)」 突然、頭の中に再びあの声が呼びかけてきた。 「(誰!?!?誰なの??)」 「(私はマリアよ)」 「(マリア・・・ここはどこなの!?)」 「(さあね、起きたら教えてあげてもいいわ)」 「・・・・・」 「目を開けなさい」 ユキはゆっくりと目を開けた。 すぐ目の前に、大きな青い瞳があった。 「あああ・・・」 「おはよう」 少女は無表情でそう言った。 「・・・・あなたが、マリア??」 「そう」 ユキは、その瞬間、目の前の少女のことをはっきりと思い出した。 あの夜に自分を捕らえた、金髪の少女だ。
「!!!」 ユキはその腕を払いのけ、立ち上がって逃れようとした。 だが、またしても首に衝撃が走り、床に叩きつけられるように倒れた。 少女はまたも、ユキの首と自分の腕を鎖で繋いでいた。 しかもユキは、後ろ手に手錠をかけられ、あろうことか一糸まとわぬ裸であった。 「ちょっと!!何これ!?!?」 「見ての通りよ。暴れないで」 「そんな!!」 ドカッ!!!!! 少女は、履いているブーツで、ユキの鳩尾に強烈な蹴りを入れた。 「ぐはぁっ・・・・」 「口ごたえしないで。ここでは私が先輩よ」 「ひどい・・・」 荒い息をしながら、ユキは鈍い痛みに耐えた。 「言うとおりにしてくれたら何もしないわ。おとなしくしなさい」 「わ、わかったわ」 この状況では従うしかない。 「先輩って・・あなた幾つ?」 「12歳よ」 「年下じゃん!!」 「だから?」 「・・・ここは、どこなの?」 「シベリアの研究所よ」 「シベリア!?」 何故そんなところにいるのだろう。
「そうだ!父さんと母さんはどこ!?無事なの!?」 「無事よ。そのまま日本にいるわ」 「ほんとに??」 「ええ、必要なのはあなただけだもの」 ユキは少しだけ安心した。 「必要・・・あたしが?なんで??」 「知らなくていいわ。立って」 ユキは、ゆっくりと立ち上がった。足元がおぼつかない。 「・・・・寒い」 ユキは、寒さと不安で震えながらマリアを見た。 その表情は冷たい。 マリアは何故か、コートの前を開いていた。真っ赤なコートの下は、思ったより薄着である。 マリアは、無言のままユキを抱き寄せ、コートで包み込んだ。 ユキは驚き、戸惑う。 「(・・・・温かい・・・・)」 「(さっきまでこうしてくれてたんだ・・・)」 裸のまま、年下の少女に抱かれるのは、何だか変な気持ちだったが、寒さと緊張がいくらか和らいだ。 「家に帰りたい・・・」 「無理よ。私が許さないわ」 「・・・私、これからどうなるの?」 「実験体にされるの。私と同じよ」 「・・・・」 ユキは溜め息をつき、ゆっくりと目を閉じた。 (続く)
以上です。 ありがとうございました。
携帯の専ブラでレス数が急に伸びてたから、例の新作が来たかと思って開いてみたら、 本物のエロパロで電車の中でちょっと焦ったんだぜ。ここエロパロスレなのにね 何はともあれGJ!
903 :
「 :2008/12/05(金) 21:55:09 ID:2DR3b+TD
第5話「ペイルウィング計画」 「まず、あのマリアという少女の能力について詳しく教えてもらおう」 ミーティングルームで、ウォレス・バークリーは尋ねた。 少佐の問いに、所長のフランクが答える。 「マリアの能力は、思念エネルギーを感知できる能力です」 「思念エネルギーは、人や動物だけが持つものと考えられがちですが、実は世界中に存在する、全ての物体から放たれていることが分かっています」 「全て?その辺の草や石からもということか」 「そうです。我々が光や音を感知するのと同じく、マリアは全く別の、いわゆる第6感のようなもので、その特殊なエネルギーを感知します。 マリアの脳は、全ての物質から出る全ての思念エネルギーを、同時に感知し処理することが出来ます」 「何?」 「しかもその感知能力は、極めて広範囲に及びます。そして物理的情報のみならず、人の思念や行動パターンまで、全ての情報を正確に感知できるのです」 「馬鹿な」 ウォレスは一蹴したが、所長は構わず続けた。 「この能力は、一つの可能性を生みます。それは未来予知です」 「未来予知!?」 話が怪しげな方向へ進んでいる。 「天気予報と同じようなものです。 特殊な感覚で、現時点での全ての情報を正確に感知できるのですから、その行く先がどうなるか予測することも、理論的には可能です」 「・・・・・」 「そして、マリアの思念エネルギー感知の範囲は極めて広大です。非常に不安定ですが、ときには太陽系の外側まで飛ぶこともあります」 ウォレスは鼻で笑った。 「そんなことが出来るなら、未来は全てお見通しってことになるな」 「ところが、そう簡単にはいかないのです」 所長は首を横に振った。
「マリアが思念エネルギーを感知できるのは、かなり短い時間で、それは主に夢の中です。その範囲や位置もバラバラです。 我々の処理能力では、感知したエネルギーが何なのか、それが何を意味するのか、全てを正確に知ることはほぼ不可能なのです」 「・・・・」 「マリア自身、自分が感知したものが、ただの夢なのか、思念エネルギーが見せた映像なのか、判断が着かないことがほとんどです。 彼女がもっと幼い頃は、見た夢によって、自分の周囲に起こることを詳細に予告してみせ、悪魔の子と恐れられたのですが・・・」 「信じられん。まさか4年前の大規模テロ情報を入手できたのも、その小娘の予知だというんじゃないだろうな」 「あれは、本当に偶然でした」 所長は笑った。 「マリアは5年前、7日間続けて同じ夢を見続け、イラク周辺のテロリストの動きを正確に予測していました。 総帥がマリアの予知を信じ、作戦に取り入れてくださったおかげで、テロリスト組織を一網打尽にできたのです」 「本当か・・・あの大戦果が無ければ、EDFはただの傭兵集団で終わっていたかも知れん」 ウォレスは大きく息を吐いて言った。 「だが、正直言って期待はずれだな。総帥はかなり軍事利用計画に御執心のようだが。あまりに怪しげな要素が多すぎる」 所長は苦笑いを浮かべた。 「ですが少佐、思念エネルギーは実在します。総帥が求めておられるのは、思念誘導エネルギーの利用です」 「思念誘導?」 「思念エネルギーには、『感知』と『誘導』の2つの要素があります。 思念誘導は、ペイルウィング計画の最上位機密事項にあたるもので、詳しいことは言えませんが」 「うーむ・・・」 ウォレスは困惑した。 たしかに、上部から渡された極秘の計画書には、思念誘導についての記述があった。 「わかった。で、2人目の方はどうなのだ?」
丁度そのとき、ドアが開き、興奮した初老の科学者が飛び込んできた。 「所長!すごいデータですぞ!!見てくださいこのエネルギー感知の安定せ・・・」 「イワン博士、すぐ来てくれるよう伝えたのだがな」 所長は落ち着いて答えた。 「へ?ああ、すみません、データ処理に夢中で、それで・・・」 「こちらはEDF本部のウォレス少佐だ。総帥の特命を受けてわざわざお見えになったようだ」 「あ、ああ、どうもよろしくです」 科学者はペコリと頭を下げた。 「で、どうなんだ、2人目は。ユキといったな」 「はいはい、これがナンバー2のデータです。能力そのものは、マリアと同じです。ですが、性質が全く異なります」 「どう違う?」 「思念エネルギーの感知範囲が、10〜20m前後と、マリアに比べて極端に狭いです。 その代わり、22%以上の強力な覚醒状態を安定、連続して維持できるようです」 「それはすごい。戦闘タイプだな」 「どういうことだ?」 話が理解できず、ウォレスは口を挟んだ。 所長の代わりに、イワン博士が答えた。 「弾丸も避けちゃうかも、ってことです」 「なんだと?」 「いやいや、たとえばの話ですよ」 所長が慌てて弁解する。 「とはいえ、とんでもない能力です。戦闘シミュレーションを実施してみましょう。それを見れば、少佐も思念エネルギーの有用性をお認めになるでしょう」 「頼む。それを確認しに来たのだからな」 「では、二人のところまでご案内いたします」
◇◆◇ 数分後、ウォレスは二人の少女と初めて相対した。 赤い服の白人少女が、恐らくマリアだろう。 その少女に鎖で曳かれ、裸の姿で立っている少女がいる。 「(こいつがユキ・・・戦闘タイプだと?)」 ウォレスが一歩近寄ったその時、少女は突然顔を上げ、敵意の宿った眼差しでウォレスを見返した。 その大きく、澄んだ瞳に映る意志の強さに、ウォレスは一瞬たじろいだ。 「すみません少佐。まだ届いたばかりで、躾けはこれからです。これがナンバー2です」 所長は続けた。 「シミュレーションですが、プログラムをマリアのものから書き換えるのに、かなり手間取っているようです。現在大至急・・」 「いや」 ウォレスは笑いながら言った。 「それならまたの機会でも構わん。私はもうしばらくここに滞在する予定だ。それより、こいつは面白い。」 「はあ、そうですか。それでしたら宿舎の方へご案内いたします」 「頼む。ここは寒いな、服を着せてやれ」 ウォレスはユキの方へ向き直った。 「いい眼をしているな。将来私の部隊で使ってやってもいいぞ」 「ははは、それは光栄ですな」 (続く)
第6話「マリア」 ユキは、マリアに首輪で曳き回され、所内の狭い一室に連れ込まれた。 「何ここ???」 薄暗い無機質なその部屋には、粗末なベッドが一つと、トイレと流し台、小さなクローゼットなどがあるだけである。 「私の部屋よ」 マリアはそう言うと、無造作に首輪の鎖を壁のパイプ菅に括りつけた。 「ちょっと!!!」 犬のような扱いに、さすがにユキは憤慨した。 「何よ」 「これ、もう外してよ!逃げないって言ってるじゃない」 「ダメよ、うるさいわね」 「なっ・・・」 「あたし凄くイライラしてるの、なんであんたと同じ部屋に寝なくちゃならないのよ」 「知らないわよ!!」 ユキは叫んだが、マリアは意に介さない。 「ほんとうるさいわね。手錠だけ外すわ。朝までそうしてなさい。私の眠りは大切なんだから、邪魔したら絶対に許さないわよ」 「・・・・・(何よこの子、さっきはちょっとだけ優しいかもって思ったのに)」 マリアは、本気でイライラしているようだった。 「ああ、そうだ。あんたに服も貸してやれって言われたんだった。本当に冗談じゃないわ」 マリアはクローゼットから、ジーンズと白いダウンを取り出し、ユキに放り投げた。 「それ着なさい。下着はあげないわ」 「・・・・・」 ユキは最悪な気分だったが、これ以上マリアを怒らせても仕方がない。 ユキが着替えるのを待たず、マリアは着衣のままベッドに倒れこんだ。 何か、ヘアバンドのような機械を装着し、既に寝る体勢に入っている。
「あの」 ユキは言った。 「何?」 「私、起きてから何も食べてないし、お風呂だって」 「夕食は時間切れ。シャワーは週1回よ。慣れれば平気だわ。おやすみ。話しかけないでね」 「・・・・・・」 照明が落とされ、暗闇に包まれた。 ユキは仕方なく、膝を抱えて床に横たわった。 「(寒い・・・)」 ベッドから、丸めた毛布が投げつけられた。 ◇◆◇ 物音に気がついて、ユキは目を覚ました。 地下なのでよく分からないが、どうやら朝のようだ。 目の前にパンとスープ、紅茶のようなものが置かれていた。 起き上がり、部屋を見回すと、マリアが机に向かって一心不乱に書き物をしている。 「起きた?」 マリアが、こちらを向かずに尋ねてきた。 「起きたよ。これ、あなたが運んでくれたの?」 「そうよ。食べてていいわ」 昨日より機嫌はいいようだ。 「何書いてるの?」 「昨日見た夢よ」 「ふーん、どんな夢?」 「世界の終わり」 「・・・怖いね」 「ホントに来るわよ」 「ええ??」 マリアはそれきり黙ってしまった。 ユキは仕方なく、久しぶりの食事を始めた。
◇◆◇ ウォレス・バークリーは、パネルに写されたシミュレーションルームの映像を注意深く見守っていた。 「よろしいですか少佐。そろそろナンバー2の戦闘シミュレーションプログラムを開始します」 所長が尋ねた。 「始めてくれ」 「はい。ご存知だとは思いますが、これは戦闘シミュレーションと言っても、実際に弾を撃ったり避けたりする類のものではありません。 様々な刺激に対する脳波の反応を測定する仕組みで・・」 「無論知っている。私の部隊でも、定期的に訓練として実施しているよ」 「そうでしたか。非現実のシミュレーションには否定的な意見の方もいらっしゃいますので」 「兵士の素養と熟練度を測るには非常に適している。私の部隊では、一定以上のSRBSスコアをマークできなかったものは即刻クビだ」 「現場の士官の方に、そこまで信頼していただけると嬉しいです。では」 所長が指示を出し、すぐにプログラムが開始された。 ウォレスは、シミュレーションルームの中央で、様々な機器に固定されたユキの姿を見つめた。 「少佐、終了までは時間がかかります。もしよろしければその間に、マリアの最新戦闘データもご覧になりますか」 「ああ」 所長は分厚いファイルを手渡した。 ウォレスは、しばらく資料に目を通した後、言った。 「故障・・・ではないんだな」 「もちろんです」 「私の隊にもこれだけのスコアの奴はいない。これが12歳の少女だと・・・」 「戦闘訓練はしてあります。思念感知の範囲が異常に広いため、実戦ではこのデータを超える活躍が期待できます。 マリアの実力は、この一般的なプログラムでは測れませんよ」 所長は自慢げに言った。 「総帥がこだわる理由も理解できるな。超精鋭兵士の量産化計画・・・」 「ペイルウイング計画は、ただそれだけのものじゃありませんがね」
しばらくすると、次々に新しいデータが転送されてきた。 「ユキのデータです。まだ途中ですが」 「うん、、身体能力は平均的だな。射撃、格闘はまあ、状況判断、危険回避・・・・・何だこれは・・・・・・」 「これは・・・・すごい」 「化け物か・・・」 2人は息を飲んだ。 「これは、本当に弾丸を避けるレベルだぞ・・・・」 「強力な思念感知で、危険な状況を一瞬で判断しているのでしょうか・・まさかこれほどとは・・」 「よくこんな奴を捕まえられたな」 「マリアを使いました。戦闘訓練と先読みが役立ちました」 所長は興奮しながら続けた。 「ですが、ユキに戦闘訓練を施し、思念エネルギーを強化すれば、恐らくはマリア以上の兵士となるでしょう」 「思念エネルギーの強化だと?」 「マリアと同じ手段を使います。感情を正の方向に大きく揺さぶることで、思念感知は強化されます」 「正の方向?」 「快楽や喜びといったものです。そして・・・」 所長は声を潜めて言った。 「感情を負の方向、恐怖や憎しみの方へ揺さぶると、思念誘導の力が強化されます」 「思念誘導・・・昨日も言っていたな」 「これ以上は言えません」 (続く)
第7話「苦悩」 「う・・・頭が・・・痛い」 ユキがシミュレーションから解放されたのは、既に夜になってからであった。 「眠ってただけなのに、何で??」 手錠をされ、2人の兵士に両脇を固められながら廊下を歩く。 「ユキ」 突然、後ろから名前を呼ばれた。 「誰!?」 「お疲れ様。ユキ」 マリアだった。 心なしか、青い目が虚ろに見えた。 「マリア・・・」 「ユキ・・・会いたかった」 「え?」 今朝までとは違うマリアの様子に、ユキは戸惑った。 「私が連れてくわ」 マリアが告げると、兵士たちは去っていった。 「ユキ、疲れたでしょう。部屋に戻って休みましょう」 「う、うん」 「悪いけどこれは着けさせてね。しょうがないの」 「あ・・・・」 また首輪を着けられた。 ◇◆◇ 部屋に戻っても、マリアの様子は少しおかしいままだった。 「今日は私とベッドで寝て。昨日はごめんね」 「いや、別に・・・ありがとう」 「こうしておけばいいわ」 マリアはベッドの柱に鎖を固定した。
「服脱いで」 「ええ!?」 ユキは驚いた。 「何赤くなってるの。2人で寝るのよ、その方が暖かいの」 「で、でも」 「早く」 ユキは手早く服を脱がされ、またしても生まれたままの姿になってしまった。 マリアは、ユキの身体を遠慮なく見つめた。 虚ろな瞳に、怪しい光が宿っている。 「もう、恥ずかしいよ・・・」 「待って」 マリアはゆっくりと服を脱ぎ、ユキと同じ姿になった。 マリアの身体は柔らかく、甘い少女の香りがした。 二人はの少女は、そのままベッドに横たわった。 「こうして、抱きしめると、暖かいでしょ」 「・・・まあ・・うん」 マリアはユキを両手で抱きしめ続ける。 「ユキ・・・・」 「なに?」 マリアは、何かに耐え切れないように、頬を赤らめ、切ない表情を浮かべた。 「こうしてると・・・・・・その、エッチな気分にならない?」 本当に変なことを言う。 「ならないわ」 「・・・・そう」 「・・・・大丈夫?」 「あのね・・・・私を触って・・ほしいの・・・苦しくて」 マリアは、本当に苦しそうに言った。 「触るって?」 「わかるでしょ・・・その・・エッチなとこ」 「そういうの、よくないわ」 ユキは断った。
「わかってる、でも・・・苦しいの、お願い・・」 「駄目、やめて」 「ごめん・・・」 マリアは泣きそうな顔で言った。 しかたなくユキは、マリアの肩を抱こうとしたが、マリアはユキに背を向け、壁を向いて嗚咽した。 ユキはその背中を抱いた。 何か言わなくてはと思ったが、一日の疲れが再び襲いかかり、ユキはそのまま眠りに落ちた。 ◇◆◇ 翌朝、マリアはいつものマリアに戻っていた。 「おはよう、私はもう行くわよ」 「うーん・・・」 ユキは、まだ疲れの残る身体を起こした。 「新棟の方で長い実験があるの。私はしばらく戻れないわ」 マリアは手早く服を着替えながら言った。 「部屋は自由に使っていいから。食事は誰か運んでくれるわ。元気でね」 繋がれたままのユキを残し、マリアは振り返りもせずに立ち去った。
◇◆◇ 数日後、ウォレス・バークリーは、シベリアを出発する機内にいた。 「(全ての物質から放たれる思念エネルギー、それを感知し物事を先読みをする能力を持った少女・・・か)」 ウォレスはメモに目を通しながら、研究所での体験を思い返した。 「(それに思念エネルギーの誘導・・・・結局分からずじまいだったな」 まだ30台半ばの若い少佐は、知的好奇心を大いに掻き立てられていた。 「(あのユキという少女・・・)」 「(いずれ戦場でお目にかかる日が楽しみだな)」 ウォレスは目を細め、窓の外を見つめた。 (続く)
第8話「罠」 ユキが研究所に捕らわれてから、3ヶ月あまりが経過した。 「もう、疲れた・・・」 診察室のような部屋で、ユキは溜息をついた。 連日、様々な検査や実験、そして過酷なトレーニングが繰り返され、ユキの疲労はピークに達していた。 「いつまでこんなことが続くの・・・」 家族や故郷のことが思い出される。 「みんな心配してるだろうなあ」 唯一の話し相手であるマリアも、最近は殆ど姿を見せなくなっていた。 「誰でもいい、話し相手が欲しい・・」 ユキは孤独だった。 その時、ドアが開き、一人の白衣の女性が入ってきた。 ユキはわが目を疑った。 「お、お母さん!?」 そう呼ばれた女性は、驚いた表情を浮かべた。 「ええ?」 「あ・・・・いえ」 ユキは俯いた。 確かに母親に似ていたが、女性は白人だった。 「ウフフ、驚いた。マリアと同じことを言うのね」 女性の笑顔はとても魅力的だった。 「私の名前はリサ。心理学者よ。別にママって呼んでもいいけど、私まだ28歳なの」 リサはユキの手錠を外し、頭を優しく撫でた。 「まあ、お姉さんだと思って、色々相談して頂戴」 「・・・・」 「あなた、日本から連れてこられたそうね。可哀想に・・今まで寂しかったでしょう」 「あら、どうしたの?」 ユキの瞳から、大粒の涙が零れた。
リサはその涙を拭い、ユキを膝に抱いた。 「・・・・・」 あふれる想いをこらえきれず、ユキはリサに抱きついた。 自分がどれほど孤独だったか、いかに人肌のぬくもりを求めていたかを思い知らされた。 「よしよし、可愛い子。甘えんぼうさんね。あなたたち、ほんとに酷いとこにいるんだもんね」 リサは微笑みながら言った。 「何でもいいわ。あなたの話を聞かせて。たくさん聞いてあげる」 ユキは本当に嬉しかった。 故郷のこと、家族のこと、友達のこと、ここでの暮らし、全てをリサに話した。 「リサ・・・・」 ユキは言った。 「なあに、ユキ」 「私は日本に帰りたいの・・・わかるでしょう」 リサの表情が曇る。 「分かるわ、でもそれはできないのよ・・・」 「どうして!?」 リサは諭すように言った。 「それはね、あなたが特別な力を持っているからよ」 「力・・・?」 「そう。その力はね、みんなのためになる素晴らしいものなの」 「分からないよ・・・そんなの」 ユキは下を向いた。 「そうでしょうね。でも、今はここから出すわけには行かないわ」 「そんな・・・いつまで、ここにいなくちゃならないの?」 「そうね・・・あなたの力が完全に引き出されるまでは」 「えっ?」 「心配しないで。私が引き出してあげるから。マリアと同じようにね」 リサはそう言うと、ユキを抱き寄せた。
「痛っ!」 腕に僅かな痛みを感じ、ユキは叫ぶ。 「注射よ。すぐに終わるから」 「許して・・・・」 リサの小さな呟きは、ユキの耳には届かなかった。 注射の効果はすぐに表れた。 「え・・・・」 室内の景色が歪む。 鼓動が早くなり、身体が熱くなる。 「な、なんなのこれ・・・・」 床が歪み、プラスチックのように溶けていく。 地の底に向かって自由落下していくような、強烈な感覚。 「ああああ・・・・・・・!!!」 倒れそうになるユキを、リサが膝の上で支えた。 「大丈夫よユキ、いい子ね・・・すぐにキモチよくなるわ」 「ええっ・・・・・・キモチよくなんか、ああああっ!!!」 下腹部の辺りから、急激におぞましいほどの快感が突き上げてくる。 「いやああああっっ!!!!」 内臓を直接摑まれ、そのまま泥沼に引きずり込まれていくような気がした。 ユキは身を捩じらせ、必死に抗った。 「逃げないで・・・力を抜いて」 リサは耳元で囁き、そのままユキの耳に舌を入れた。 「んんっ!!!はああ・・・」 耳から全身に、甘美な快感が走り抜ける。 全身の力が抜け、ユキは快楽の波に捕らわれた。 「イヤ・・・・・・気持ちいいぃ・・・」 「気持ちいいのね、可愛いわ。ほらここ、赤ちゃんみたいに」 ユキがふと冷たさを感じ、自分の下半身を見ると、ジーンズの太腿までびっしょりと濡れていた。 「えええっ!!なんで・・・私、私・・・・」 「仕方ないのよ。マリアだってするわ。脱いじゃえば平気よ」
上下とも脱がされ、ユキは全裸になった。 「おいでユキ。まだまだよ」 リサはそう言い、再びユキを膝に抱いた。 慣れた手つきで、注射がもう一本追加される。 「あああああっ!だめええっ」 先程と比べ物にならないほどの、津波のような快感が突き抜ける。 「ま・・・また出るっ、出ちゃう」 下腹部を掻き回し続ける快楽が、出口を求めていた。 「いいわよユキ・・・そのまま出しなさい」 「ええっ!!そんな・・んんっ・・」 耐えることなど不可能だった。 「イヤッ・・・だめ、あ あ あ ・・・」 リサの白衣を、自分の尿が汚していく。 背徳的で甘美な排泄の快感に、ユキの頭は朦朧となった。 「キモチいいでしょう・・我慢しなくていいの」 リサはそう言い、手元のタオルでユキの内股を優しく拭った。 「あぁっ!!ぁ・・・ああ・・・」 「どうしたの?拭いてあげてるだけよ フフフ」 「……あっ…ぁ…ぁはあ…」 リサは優しく、ユキの秘所を愛撫しつづける。 「やっ・・め・・もう・・お願い・・ああ」 少女には耐えられない刺激だった。 「ダメよ。まだまだ・・」 リサは無情にも、今度は2本連続で追加の注射をした。 「お・・・願ぃぃ・・もう・・・・駄目」 突き上げる快感は、もはやユキにとって苦痛でしかなかった。 ユキは激しく嘔吐した。 (続く)
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ペイルウイング隊設立までの経緯か…いい着眼点
第9話「快楽」 ユキはしばらく意識を失っていた。 「う…ここは?」 部屋を見渡すと、いつものマリアの部屋だった。 服も、新しいものに着替えさせられている。 「私、どうしちゃったんだろう…たしかリサさんに…」 ユキは、不思議な体験を思い出し、頬を紅く染めた。 「今、何時なのかしら」 ユキはベッドから起き上がった。 「あれ???」 身体が軽い。 今までの疲労感が嘘のようだった。 洗面台の鏡を見る。 「何これ…私の顔??」 鏡に映った自分の顔は、今まで以上に瑞々しく、艶やかな白さに変わっている。 「綺麗…」 ユキは呟いた。 鏡の中のユキは、大人びた魅力と、健康的な美しさを放っていた。 ドアが開き、ユキは我に返った。 「マリア!」 「…ただいま」 マリアはユキを一瞥し、無表情のまま着替えを始めた。 「マリア…久しぶりね」 「そうね、元気そうじゃない。悪いけど私もう寝るから」 マリアは背を向け、上着とスカートを脱ぎ捨てた。 「(あ…れ…??)」 キャミソールから覗くマリアの白い肩を見て、ユキの中に何かが込み上げてきた。 「(やだっ…どうしたの私)」 下半身から、先程の強烈な快感が突き上げてくる。
「何?」 マリアがこちらを見ている。 「なっ、何でもないわ」 ユキは慌てて顔を背けた。 「…おやすみ」 マリアは気にも留めず、いつものヘアバンドのような機械を頭に着け、横になった。 ユキは寝るどころではなかった。 下半身の疼きは、とどまることを知らず、一層激しさを増してくる。 「マリア…あ、あのね」 「何」 「今日、リサって人に会ったんだ。あなたのことも…」 「何ですって?」 マリアは頭の装置を外し、体を起こした。 「だから、リサっていう女の人が来て、それで…」 「注射をされた?」 マリアは強い調子で尋ねた。 「されたわ…それで…」 「何てことを…」 マリアは溜め息をつき、哀しげな目でユキを見つめた。 「あれは麻薬よ、特別な麻薬」 「ええっ…麻薬」 ユキは絶句した。 「そう」 マリアは続けた。 「一度打ったら最後、定期的に打たないと、禁断症状が表れて、長くても半年で死ぬわ。調合方法は総帥しか知らないそうよ」 「そんな…なんで…」 ユキは、現実を受け入れられなかった。
「苦しいでしょう?」 「う…うん…何だかとっても」 ユキはもう、立っているだけで精一杯だった。 身体中が熱くなり、とめどない快感がじわじわと侵食を始める。 「出してきていいわよ、しばらくは楽になるから」 マリアはそう言って、むき出しのトイレを指差した。 「だ、出すって、何を??」 「知らないけど、触ってると、出ちゃうから。自分でしなさいよ」 「ええっ…な、何を言ってるの??」 「…しょうがないわね」 マリアはベッドから起き上がり、ユキを便器の前へ連れて行った。 「早く、下脱いで。座って」 「ああ……」 言われるままに、ユキは下半身を露わにし、便座に座った。 「楽にしてて。出させてあげるから」 マリアはそう言って後ろに回り、そっとユキの秘所に手を触れた。 「ああっ!!!やああ…ああああ」 ユキの反応に構わず、マリアは巧みに指を動かし、陰核を愛撫する。 「(やだ…何これ…キモチいぃぃ…)」 ピチャピチャという音がして、ユキは自分の性器が濡れそぼっていることを知った。 「はぁ…あぁ…あぁ……」 少女の滑らかな指の動きに合わせ、脳がとろけるような快感の波が押し寄せてくる。 「あぁ…ああ…ああっ!!マリアっ!もうっ…」 「そろそろ出そうね、遠慮しないで」 マリアは指の動きを速めた。 「はあんっ!!んっ!!んーーっ!!!」 マリアに導かれ、強烈な快感が出口を見つけだした。 激しい音を立て、膣口から透明な液体がほとばしり出る。 あまりの快感に、ユキは声を出すことも出来なかった。
「こうするの、わかった?」 頭の上から、マリアの声が響く。 ユキは荒い息をしながら、小さく頷いた。 「どう?まだ出そう?」 「わからない…まだ、ちょっと苦しい…」 「最後まで出さないと駄目よ」 「でも…もう出ないよ…」 「じゃあ、私を見て。見たいんでしょう」 マリアはそういうと、薄手の下着をするすると脱いだ。 「!!!」 白く柔らかい、少女の裸体が現れた。 甘い香りが、ユキの欲望を強烈に刺激する。 快楽の波が、再び押し寄せてきた。 「まだいけそうね」 マリアは囁くと、今度は前から手を入れてきた。 「あっ…あぁあああ…ひっ…」 マリアの白く細い指が、自分の中にゆっくりと入ってくる。 「…んっ…く…うぅ…」 何度も抜き差しを繰り返される度に、愛液が溢れ、身体中の快楽を引きずり出されるような感覚を覚えた。 「どう…キモチいい?」 マリアの青い瞳が、自分を見上げている。 指の動きが再び速くなった。 「はあっ…ああっ…はあっ…んっ…んんーーっ!!!」 ユキは2度目の絶頂を迎えた。 (続く)
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乙です。 新しい作家さんが出てきて嬉しい限りだ。 俺も予告書かなくて済むしw
第10話「苦痛」 翌日、イワン博士は興奮して所長に詰め寄った。 「所長!!一体ユキに何をしたのです!」 「博士。どうした。何があった?」 所長は落ち着いて答える。 「何があったじゃありません!見てくださいこのデータを」 所長はデータに目を通した。 「あれほど安定していた思念感知の数値が…今は滅茶苦茶です!」 「本当だな…」 「一体何があったのです??」 「SEPを大量投与した。上部の命令でな」 所長は気まずそうに言った。 「SEP…またあの合成麻薬を使ったのですか!?」 「そうだ」 「もしものことがあったらどうするんですか!マリアの思念認識が不明瞭になったのも、SEPが原因の可能性があるんですよ!」 「わかっている、しかしだな…」 博士の興奮は収まらなかった。 「どうしてくれるのです!あの安定した強力な思念感知フィールド…私の理想が…」 「イワン博士!いい加減にしろ」 所長も語気を強めた。 「副作用の症状が収まれば、思念感知も安定を取り戻すだろう。 それに見ろ。覚醒のSE最大値が30%を優に超えている。やはりSEPは思念感知強化に効果的なのだ」
「しかし…」 イワン博士は未だ不満気だった。 「いいか博士。SEP投与は総帥直々のご命令なのだ。 薬漬けにする以外に、我々が超能力精鋭兵士を飼いならす方法は無いのだからな」 「…わかりました」 博士は渋々引き下がった。 所長は笑いながら言った。 「喜ばしい数値もあるじゃないか。思念誘導の素養も、ユキはなかなか優秀なようだぞ。戦場に出すのが楽しみだ」 「私はもともと、軍事利用には乗り気じゃないんですがね」 イワン博士は不機嫌そうに呟いた。 「ハハハ、そう言うな。そうだ、日本から来た権藤という男がいたな。あいつにユキの調教を任せよう。思念誘導強化には適任だろう」 ◇◆◇
「(へへ…コイツは役得だな)」 権藤清二は、目の前の美少女を見て思った。 ユキは、その日本人らしき中年男に危険な匂いを感じた。 「俺は権藤っていう。日本人だ。よくわからんが、こんなシベリアのカビ臭い所に送り込まれて、いい加減嫌気がさしてたところさ」 男は、勝手に自己紹介を始めた。 「かと思えば突然、お前みたいな女を好き勝手いたぶって構わないとよ。一体上の連中は何考えてやがるんだか」 ユキは、再び手錠をかけられた上、上半身裸にさせられていた。 男がヤニ臭い息を吐きかける度、激しい羞恥と屈辱に襲われる。 「というわけで、これも仕事だ。悪く思うなよ。とは言っても、俺はこんな仕事ならいつでも喜んで励むがな、ハハハ」 突然、男はユキに強烈な平手打ちを見舞った。 「………!」 「何か言えよ、小娘」 ユキは頬の痛みをこらえ、真っ直ぐ権藤を見返した。 「ククク…いい眼だな。お前みたいな女は好みだ」 「跪け」 権藤は命じた。 「いいか、今日からお前は俺の玩具だ。少しでも逆らったら痛い目に合わせてやる」 ユキの中で、激しい憎悪の感情が燃えた。 「まあ、口で言っても分からんだろうから身体に教えてやる。ほら、これが何か分かるか?」 男はそう言って、一本の黒い鞭を取り出した。 「そう、鞭だ。動物の躾に使う。分かるな。床に伏せろ」 「(絶対に、コイツの前では泣かない…)」 ユキは悲壮な覚悟を決め、鞭打たれる体勢になった。 「そら、行くぞ…」
背中に焼ける様な痛みが走る。生まれて初めて味わう鞭の痛み、屈辱。 「フフフ・・・まだ序の口だ」 再び鞭が唸る。 「うっ……」 空を切る音と共に、更に激しい痛みが襲った。呻き声がもれる。 「ううっ!…」 想像を絶する苦痛だった。ユキの覚悟は、早くも揺らいだ。 立て続けに鞭が飛ぶ。 「ああっ!!くっ!!!いやああ!!」 「ハハハハハ」 身を捩り、涙を流すユキの反応を見て、権藤は暗い欲望を爆発させた。 「そうだ、お前、化け物なんだってな。人間以下だ。丁度いい扱いだろ」 不規則に、絶え間なく、強烈な打擲が続き、ユキの自尊心は完全に打ち砕かれた。 ビシィッ!!!!!! 「ぁああああああああっっ!!」 ユキはもはや、身も世もなく泣き叫んでいた。 「いい声で鳴く・・・たまらんな。 たっぷり時間をかけて、俺好みの女に調教してやる。感謝しろよ フフフ…」 ユキにとって、本当の地獄となる2年間が始まった。 第一章 完
本日は以上です。 ありがとうございました。
ソレナンテ=エ=ロゲ
2年後、そこには颯爽と現れる陸男の姿が!!
陸男といってもいっぱいいるぞ。 研究員を片っ端から狙撃する陸男から研究所を跡形もなく爆砕する陸男まで。
第二章 第11話「予兆」 2016年12月。ユキが捕らわれてから、2年の月日が流れた。 EDFは、世界各地の紛争に介入、鎮圧を繰り返し、完全に世界を掌握する組織となっていた。 だが、捕らわれのユキの生活には何の変化も無かった。 「寒い…」 ユキはようやく、服を着ることを思い出した。 権藤の度重なる通電実験によって失われた記憶は、殆ど取り戻せなかった。 「…私は、まだ死ねない」 17歳のユキは、痛みの残る身体に鞭打ち、立ち上がって服を着た。 生きる意味を見つけることは容易ではなかった。 繰り返される拷問、戦闘訓練、恐怖、苦しみ。孤独。薬漬けにされた肉体の禁断症状、麻薬の強烈な快楽に溺れてしまう精神。 故郷や両親のことなど、全く思い出せなかった。 「ユキ!!」 一人の女性が部屋の中に入ってきた。 「リサ……」 ユキは顔を上げた。 自分を麻薬漬けにしたのは、他でもないこの女性である。 憎んでも憎みきれない相手であったが、自分の肉体は快楽に尻尾を振る犬のように、リサに惹かれてしまうのだった。 「ユキ、辛かったわね」 リサはユキを抱きしめた。
◇◆◇ ウォレス・バークリー中佐は、2年ぶりにユキと相対した。 「(美しい…)」 少女は充分すぎるほど、大人の魅力を放っていた。 表情こそ虚ろだが、澄んだ瞳の美しさは少しも衰えていない。 「ウォレス中佐、いかがですか。久しぶりにご覧になって」 コルイマ研究所所長のフランクが声をかける。 「今すぐ私の部隊に欲しいくらいだ。訓練は怠っていないようだな」 「もちろんです」 所長は胸を張った。 「本部ではマリアの研究が進んでいる。未来予知能力の分野が中心だが、軍事兵器としての利用価値も申し分ない。 だがこのユキは、本当に凄い才能だな」 ウォレスは、戦闘データに目を通しながら言った。 「話は変わるが」 中佐は続けた。 「今回私が来たのは、ある重要な懸念について、上部から確認を依頼されたからだ」 「と申しますと?」 「本部では、マリアの思念感知を具現化し、識別する研究がかなり進んでいる。もちろん完全にではないが、ある程度の把握は可能になった。 予知能力の軍事作戦利用も、成功した事例がある。まあ、失敗が殆どなのだが」 所長は微笑んだ。 「そうですか、マリアの思念感知は不安定な上に、情報量が膨大ですからな。我々も相当苦労しました。作戦利用は一か八かでしょう」
「うむ、そのマリアの思念感知なのだが、このところ異常な様子を捕らえていてな」 ウォレスは声を低くして言った。 「単刀直入に伺おう。ここでマリアが、人類の滅亡について予言したことは無いか」 「それは…」 所長の顔色が変わった。 「何度かあります。夢の中で、確かに世界の終わりについて記録していた時期がありました」 「そうか…実はな」 ウォレスは真剣な顔で続けた。 「本部の研究所からの報告によると、何度識別を試みても、2020年以降、人類の持つ思念エネルギーが全く感知されないことが明らかになった」 「何ですって…」 所長は絶句した。 「原因は全く不明だ。麻薬によってマリアの感知能力が低下したためなのか、研究所の分析に問題があるのか。 ただ、自然災害や核戦争などによる、人類滅亡の危険が予測されている可能性もある。 マリアに関する全ての記録を、本部に持ち帰りたいのだ。もちろん極秘でな」 「わ、わかりました」 所長は言った。 「私の記憶では、巨大な火の玉が人間を焼き尽くす…そんな夢が記録に残されていたと思います」 「研究所の報告結果と同じだ。詳しいことはさっぱりわからん。とにかく全ての資料を頼む」 「了解しました」 所長は慌てた足取りで去っていった。
「さて、ユキ」 ウォレスはユキに直接語りかけた。 「マリアから、お前に伝言がある」 「マリアが…?」 ユキは目を見開いた。 「そうだ、世界を救うために力を貸して欲しい。お前にだけでも信じて欲しいと言っていた」 「私が…何をすればいいの?」 ユキは訳がわからなかった。 「それはマリアから聞くがいい。お前は今から、私と一緒に本部へ行くのだ。お前は軍属になる。これは命令だ」 「そんな…」 「それとも、ここにいたいか?任務を忠実にこなせば、いずれは日本に帰ることもできる。両親にも会いたいだろう」 「日本……ううっ!!…」 ユキは痛む頭を抱えた。 本当に何も思い出せない。 両親の顔も、友人の顔も… 「…優斗…」 「ん?何と言った?」 「…何でもありません」 「記憶が無いのか?」 「はい…でもマリアは…マリアに会いたい」 ユキは、哀願するように言った。 「ならば決まりだ。本部へ運んでやる」 後日、ユキは来た時と同じく、薬で眠らされ、2年ぶりにコルイマ研究所から移送された。 (続く)
本日は以上です。 ありがとうございました。 (ここって500KBまででしたっけ…)
>>939 GJ! いつも楽しみにしてます。
>容量
質問スレ見たら500KBくらいまでとありました。
次スレは…まだいいのかな?
スレ立てやったことないからタイミングがわからない。
>>940 ご回答ありがとうございます。応援までしていただいて恐縮です。
新スレで書けたら本当に嬉しいです。
もちろん、最後まで埋めたほうが良いようであれば、このまま投下します。
第12話 「再会」 目を覚ましたユキが見たのは、オレンジ色に染まった天井だった。 「う…ここは…?」 そこは病室のような場所だった。 窓があり、オレンジ色の光が射し込んでいる。 「ああっ!!」 ユキは叫んだ。 居ても立ってもいられなかった。 腕の点滴や、頭に着けられた装置をかなぐり捨て、ふらつく足取りで窓辺に駆け寄った。 「綺麗……」 2年ぶりに見る太陽だった。 紅く、大きく、今まさに西へ沈もうとしている。 ユキは涙を流した。 「おやおや、やっとお目覚めかと思ったら」 突然後ろから声をかけられ、ユキは驚いた。 「誰!?」 後ろには、軍服姿の若い女性がいた。
「あたしはジェシカ・ベイル少尉。中佐殿に言われて、あんたを護衛することになったチームの隊長だよ。よろしく」 「私はユキ。あの…」 「中佐から話は聞いてるよ。あんた、私よりSRBSのスコアが高いんだって?信じらんないね。まあ、実戦に出りゃわかるさ。 うちの小隊は凄腕ばっかだからね。あんたは今回出る幕無いよ」 ジェシカは、肩まである金髪をなびかせて笑った。 「今回?えーと…私何にも知らないんだけど」 ユキは首をかしげた。 「呆れたね。ドンパチに決まってんだろ。あと要人確保だっけか」 ユキが唖然としていると、ウォレス・バークリーが部屋に入ってきた。 ジェシカが素早く、直立して敬礼する。 ウォレスは答礼し、ユキに話しかけた。 「ユキ。ここはワシントン本部の研究所だ。お前に会いたがっている者がいる」 ユキはその後ろに、包帯をした少女を見つけ叫んだ。 「マリア!!」
マリアは微笑み、ウォレスに言った。 「中佐、二人きりにさせてください」 ウォレスは頷いた。 「1時間後にSI動作テストだ。遅れないように」 科学者らしき人物がそう命令し、全員が部屋から退出した。 ◇◆◇ 「マリア!大丈夫!?」 「ああ、これ?」 マリアは自分の両腕に巻かれた包帯を見た。 「大丈夫よ、訓練中の事故。もう治りかけ」 マリアはそのまま、ユキの肩を抱いた。 「あなたこそ大丈夫?酷い実験で、殆ど記憶を失くしたって…」 「ええ、大丈夫、少しは思い出せる」 「私のこと覚えてて、会いたいって言ってくれたそうね。嬉しかったわ」
マリアは少し大人っぽくなっていた。 懐かしい、甘い香りが、ユキの心をくすぐる。 「ユキ、二人でキモチいいことしたの覚えてる?」 「う、うん…」 「私、ユキにしてあげるの結構好きだったのよ。出しちゃうとき、可愛かった」 「マリアだって…」 ユキは頬を紅く染めた。 マリアの顔がゆっくりと近づいてくる。 二人は長く、甘い口づけを交わした。 「ユキ、キモチよくなりたいでしょ?」 「え…」 「言ってごらんなさい。いっぱい出したいんでしょ」 マリアの不自由な両手が、ユキの下半身を撫で擦る。 「ああ……でも…」 ユキの欲望は激しく膨れ上がった。 愛液が下着から溢れ、太腿を伝ってくる。 「分かってる。してあげるから、下脱いで横になって」 マリアは床を指差した。 「そ、そんな…」 「早く脱いで」 逆らえず、ユキは下半身裸になり、床に横になった。
「手が使えないから、これしかないわね」 マリアはユキの片足を支え、スリッパを脱いだ右足で、ユキの割れ目をそっとなぞった。 「んはぁあっ!!」 白い靴下が陰核をなぞる刺激に、ユキの身体はビクッと反応した。 「ビチョビチョになってるわ」 「んんんんっっっ!!」 マリアはぐりぐりと足指を押し付け、ユキの陰裂を愛撫した。 「ぁああああああんっ!」 マリアの美しく、すらりと伸びた脚。 それが自分に快感を与えてくれている。 被虐的な構図が、ユキの興奮を促進させた。 「靴下が湿ってきちゃったよ。私一人じゃ脱げないのに」 リズミカルに、こね回すような刺激が続く。 「ああっ!キモチいいっっ!んんんっ!!」 「こんなに湿っちゃったら、私は気持ち悪いな」 「ああっ…だって…」 「脱がせて」
突然、顔の前にマリアの右足が差し出された。 「ん……」 ユキは屈辱を感じながらも、靴下の先を咥えた。 じわりと、口内に自分の味が広がる。 「あんまり声出すと外に聞こえちゃうから、塞いじゃうね」 マリアは足を引き抜くと、その足で口内に靴下をねじ込んだ。 「んんっんーーーっ!!」 マリアは自由になった右足で、より一層強い刺激を与えてきた。 膣口に、親指の付け根まで深く挿入してくる。 「んんんんー…」 下腹部に甘い快楽の波動が押し寄せ、出口を求めている。 「出そう?いいよ」 マリアは今度は、足裏全体で陰核を激しく刺激した。 「んんんんーー!!!!!!」 ユキが絶頂を迎えそうになった瞬間、足による刺激が止んだ。 「!?」 マリアが恭しく跪き、自分の秘所に口づけるのが見えた。 「!!!!」 柔らかな唇の感触に包まれ、ユキはマリアの口に激しく愛液を放出した。 ◇◆◇
「ユキ、お願いがあるの。私の話を信じて」 マリアの青い瞳が、じっとユキを見つめた。 「信じるわ。なに?」 「近い将来、この世界にとても恐ろしいことが起こるの。何なのかは分からない。でも感じるの。地球がざわめいている。 あなたなら分かってくれる。感じたことがあるはずよ。草や木や動物、全てのものから声が聞こえるような感じ」 ユキは頷いた。 「私はユキより、それを感じる力が強いの。でももうすぐ、それが全部聞こえなくなってしまうわ。残るのは灰と怨念だけ。 地球が恐がってるの。お願い私を信じて…」 ユキはマリアの思念を、その痛烈な苦しみを強く感じた。 「信じるわ…私には、よく分からないけれど」 「ありがとう」 マリアは天使のような微笑を浮かべた。 「それで、何をどうすればいいの?」 ユキは尋ねた。
「それが…私にもはっきりとはわからないの」 「そんな!」 「でも、私たちには力があるわ。お互いに心を通わすこともできる。力を合わせれば、道が開けるかもしれない」 「私は…自分の力がよく分からないのよ」 「そうね…私たちの力は不完全だわ。でもまだ世界のどこかに、同じような力を持っている人がいる。 私があなたを見つけたように、あなたにもその人を見つけてほしいの」 ユキは困惑した。 「そんな…いきなり見つけてくれって言われたって」 「私は今、この研究所を離れられないの。でも、大体場所の見当はついてる。 ウォレス中佐が力になってくれるわ。EDFで私の話を信じてくれるのは、中佐しかいないの。総帥って人はよく分からないし…」 「マリア。時間だ」 ドアが開き、先ほどの科学者と、ウォレス中佐が入ってきた。 「ユキ!お願い。あなたを信じてるわ。また会いましょう」 「マリア!!」 マリアは寂しげな微笑を浮かべ、去っていった。 (続く)
本日は以上です。 ありがとうございました。
新スレ立て乙 だがちと早すぎと違うか?w
あと4KBだからなあ。 早いといえば早いけど。 実は容量オーバーで死ぬの見たこと無いわ
スレ立て乙です。 13話投下して埋めたいと思います。
第13話 「仲間」 「マリアから話は聞いたな?」 ウォレスはユキに尋ねた。 「はい」 「私だってあの話を頭から信じているわけではない。ただ、お前たちが持つ未知のエネルギーの存在は認めている。 それに、今回の作戦は私の利害とも一致するのでな」 ウォレスは続けた。 「マリアの思念感知によれば、3人目の能力者は、南米で1ヶ月前に起きた、麻薬組織による人質立てこもり事件に巻き込まれているようだ。 人質の中にいる可能性が高い。EDFとしても、テロリスト殲滅のために突入作戦を敢行しなければならない」 「それって、どういうことですか?」 ユキは不安げに尋ねた。 「我々が潰そうとしているテロ組織の中に、人質として思念エネルギー能力者が捕らわれているかもしれないということだ。 そしてお前の任務は、私の部下と共にテロ組織に突入し、能力者を生きたまま確保することだ」 「そんな!!無理です!」 ユキは叫んだ。 「心配するな。私の部隊で一番優秀な小隊を護衛に付けてやる。それに私は、お前なら必ず生きて任務を遂行できると信じている」
「………」 ユキは俯いた。 マリアの寂しげな表情、苦しみの思念が脳内に蘇る。 「(なんだかよく分からないけれど、マリアの力になってあげたい…)」 ユキは言った。 「一つだけ約束してください」 「何だ」 「もし、連れてくることができても、その人には…薬を使わないって約束してください」 「……」 中佐の目に、微かに哀れみの色が浮かんだ。 「約束は出来ない。だが、総帥に進言しておく」 ユキは頷いた。 ◇◆◇
翌日正午、EDF本部飛行場。 小型の軍用輸送機の前で、ユキは第21独立小隊のメンバーと合流した。 隊長のジェシカ・ベイル少尉を含め、そこに居たのは僅か6名の陸戦兵であった。 何も分からないユキに、ジェシカが一人一人チームを紹介した。 「あたしが隊長のジェシカ。昨日会ったね」 「こいつは狙撃手のレオン。腕は間違いなくEDF一だよ」 長身の若い狙撃兵は、ユキに軽く微笑んだ。 「こいつは突撃兵のアシュレイ。すばしっこくて弾に当たらないのが取り柄さ」 愛用のショットガンを撫でながら、アシュレイも挨拶を送る。 「このデカイのはブライアン。重火器専門」 大柄な黒人兵士は、ニッと白い歯を見せた。 「こいつはスコット。どんな武器も上手に扱える天才だ」 「あとはこの眼鏡のトビー。特殊兵器オタクの変態野郎だよ」 「ええっと…私はユキ。よろしく」 ユキは頭を下げた。 「あんた、銃は使えるね?」 ジェシカはそう言って、ユキに突撃銃AS-18を手渡した。 「訓練はしてるわ。でも、私戦争なんか…」 ジェシカは鼻で笑った。 「昨日も言ったろ。今回はあんたの出る幕じゃないよ。それ持ってあたしの後ろにいればいいの。さあ、乗って」 輸送機はユキたちのチームを乗せ、南米へと飛び立った。
◇◆◇ <パラグアイ シウダ・デル・エステ市郊外> 目的地に到着すると、宿舎でジェシカが全員に向けてブリーフィングを始めた。 「いいか。敵はジャングルの施設に篭城してる。人質の数は52人。敵は武装勢力6、70人ってとこだ」 「人質が一箇所に集められる夕食時を狙う。ブライアンがゴリアスで正門を爆破。反撃してくる敵主力をあたしが殲滅する。 アシュレイとスコットは食堂に突入し残りの敵を始末しろ。レオンは後方から援護。トビーは施設から敵を一人も逃がすな。以上」 「ちょ、ちょっと待って!」 ユキは叫んだ。 「この人数で突入するの!?いくらなんでも…」 ジェシカは笑った。 「うちの小隊は傭兵時代からこんな感じさ。大丈夫、EDFの最新鋭装備とあたしらの腕がありゃ、5分で片がつくよ。 あんたは安全を確認したら、人質の中からターゲットを探し出して、報告してくれりゃいい」
その日の夕方、ジェシカたちの部隊は密かにジャングルを抜け、テロリストのアジトに接近した。 「突入まであと少しだ。ビビらず付いて来いよ」 ジェシカがユキに小声で話しかけた。 ユキは緊張で混乱していた。自分は何故こんな所へ来てしまったのだろう。 「落ち着けよ。私がこいつで守ってやるよ」 ジェシカは自分の武器をポンと叩いて言った。 「不思議な銃…何ですかそれ」 研究所での戦闘訓練でも見たことが無い。 ライフルではあるが、まるで小型のガトリング砲を思わせるような造りだ。 「こいつはな、まだ世界に一本しかない。試作型のAS-20SSSだ。反動が凄すぎて、あたししか使いこなせないよ。 ウォレス中佐の部隊に居ると、こういう最新兵器が色々回ってくるんだ」
「ジェシカ、時間だ」 双眼鏡で敵を観察していたレオンから、無線で連絡が入る。 「オーケイ、ブライアン。派手にかませ!!」 ゴリアスDの轟音が響き渡り、施設の正門が数人の見張りと共に木っ端微塵に吹き飛んだ。 慌てふためいたテロリスト達が、施設から武器を携えてバラバラと飛び出して来る。 「行くぜ!」 ジェシカは物陰から飛び出し、無謀にも破壊された正門から正面突入していった。 「喰らいな!!!!!!」 ジェシカのAS-20SSS試作型が火を噴く。 その威力たるや、正に鉄の暴風だった。 無数の強力な弾丸が襲い掛かり、敵は反撃する間もなく死体の山となった。 鉄板や薄い壁までも貫通し、逃れようとした敵も次々に斃れ、迎撃に出た敵主力はあっという間に壊滅した。 「アシュレイ、スコット!突入しろ!」 SG-5とAS-18を装備した2人が食堂めがけて突進し、残りの敵兵を掃討する。 「行くよ!ユキ。気をつけて付いて来な!」 ジェシカも走る。ユキは慌てて後を追った。 食堂では大勢の人質が、床に伏せて震えていた。 「く、来るなっ、殺すぞ!!!」 生き残りのテロリストが、人質に銃を突きつけて悲痛な声で叫んだ。 だが次の瞬間、テロリストの頭は、窓の外からの正確な狙撃によって吹き飛んだ。 「ヒュー、さすがレオン。トビー!外はどうだ?」 ジェシカが無線で尋ねる。 「こちらトビー、5人蒸し焼きにした。逃げられた奴はいないぜ」 「こちらレオン、施設にもう敵の姿は無い」