【処女】ボーイッシュ三人目【貧乳】

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425名無しさん@ピンキー:2007/08/16(木) 21:56:59 ID:6JCjMOva
>>424
え、みんな口に出さなかっただけで登場の時点から脳内変換住んでいたんじゃないの?
>フランシス=後の坂本ジュリエッタである
426サウラとアイル@ピーチドリーム:2007/08/17(金) 22:01:49 ID:sBbfQYY/
変なSF 長くてごめん
途中スレ違いエッチあり注意です
・・・・・・・・・・


 初めまして!
 ボクの名前はアイルハタファビエ・フライクヌフ・ロ−エンギオ・エバム…
 長いって?…まだ続くんだけどな。まあいいや。
 みんなはアイルって呼んでる。
 身長168センチ体重は内緒☆ちょっと細身だけどこの星系では標準くらいじゃない?
 チャームポイントはこのはちみつ色のショートヘア…巻き毛だから短くないと大変なんだ
 …そしてこの尖った 耳・た・ぶ・!

 …びっくりした?ふふ☆
 そう、ボクは今は亡きフェイラ星の生き残り…
 てゆうか、覚えている人もいるんじゃないかな。今から二年前、この星系にフェイラからの親善大使として
やってきた第三王女アイルハタファビエ姫とはボクの事。
 あの頃は今よりぽっちゃりしていたし髪も長くてわからないかもしれないけれど、本物だよ。
 ほら、これ証拠の…ゴソゴソ…王族のネックレス!ね、ここに「王族ローエンギオ第三姫
アイルハタファビエ」って刻印あるだろう?
 だから…あの日はびっくりしたねえ。親善記念式典最中に飛び込んだ、故郷の星「エバムフェイラ星」の爆発ニュース。
 ボクは一瞬にして、帰るところと第三王女の地位を失い、ただの………
 性欲処理用女奴隷になった。

 当時はぎょっとしたけど今から思い出すとおっかしかったなあ〜。
 さっきまで丁寧な対応でボクに恭しく神の言葉を伝えていた祭司達も、警備の兵士も、当然式典参列していた
この星系の王族も、急にボクに襲いかかって…四方八方から伸びたいくつもの手が四肢を押さえて、
身ぐるみ剥がされて。
 その様子は星系生中継で放送され今でも国会図書館なんかで見られるよ。
ぶっちゃけボクを取り合う形になり、ことには至らなかったんだけどね。みんなしてやったもん勝ちと
いうか…そんな気持ちが真っ先に芽生えて襲いかかったらしいけど、すぐに王様の存在に気づき慌てて
ボクを憤慨する王様に差し出した。
 親善大使として来たのにそのときからボクは王様の性奴…正確には性奴候補という賞品になったんだ。
なぜならボクが王様に差し出されてすぐ、王様は殺されたから。
 殺したのは王様の弟。
 すぐさま他の王族が名乗りをあげ、血みどろの王の座を争う骨肉の争いになったよ。


 え?なんでそんなにみんなお前を欲しがったのかって?
 性奴隷にしてはお粗末な身体だって?
 悪かったね、おっぱい無くて!
 だけどじゃあ君は知らないの?この広い宇宙、いろんな星にいろんな特徴を持つ人種がいることを。
ボク、フェイラ星人だけがもつ変身能力を…。
 ボクらフェイラ星人はね、つがうパートナーにとても愛されたい人種なんだ。
身も心も…末永く。だからね。
 一生に一度、初めてエッチする時、相手の思念を読み取って、なんと、
 …  相手の思い描く理想の姿に変身するのだあ!!! …
 貧乳だってブスだって男も女も関係ない。ヤったその相手が一番望む姿になる。つまり。
 ボクを手に入れるということは、男にとって世界一の美女を手に入れるということなのさ。
 王様達はそれでボクを欲しがり、奪い合いになったってわけ。
 なにしろフェイラ星は爆発してしまい、処女の生き残りはボクくらいだろうといわれてたからね。
人権なんてもはやなく、絶滅危惧種の性奴隷ってわけなのさ。

 そういうことで起こった血みどろの戦争は半年ばかり続いたけれど、戦いは治まるどころか他の星系にも
飛び火してけっこうな大混乱になっていた。
 みかねた宇宙連邦の統括皇帝、アンドロギュヌス様が半分強制でボクを引き取るということになり、
ようやく戦争が治まって(王族はしぶしぶだったけどアンドロギュヌス様には誰も逆らえないものね)
ボクは皇帝の住む星に移送されるために、迎えに来たこの宇宙船に乗ったんだ。この…
 宇宙連邦一いやらしい、とされるインデイーズAVレーベル会社の船、
 ピーチドリーム号に…ね!!
427サウラとアイル@ピーチドリーム:2007/08/17(金) 22:06:33 ID:sBbfQYY/

・・・・・・・
 画面はシュウッという音とともに宇宙空間に移り、キラキラと輝く発光群の中からいつもの色っぽい声と
ともに、ピーチドリームというロゴが現れ画面を占めた。
 タイトルロール
  最後のフェイラ星人アイルファタハビエ主演 
  魅せます!うわさの王女はじめてのえっち 
      変態してもイイかも 
 シャバダバシャバダバ〜ヒュウイッ(レーベルのテーマ)

 そこで画面は真っ青の何も撮ってない状態になった。
・・・・・・・

「…てな感じで、イントロ作ってみました。セルフ撮影のわりにはいいショット撮れてるだろう?
なにげにパンチラでさ。」

 リモコンでスクリーンを元の外部カメラに切り替えると、見渡す限りの星の海が広がる。
少し離れたところに流星がすぎるのが映った。うん、幸先いいねとアイルは得意げにカウチに座り、
隣で言葉を失っているサウラを斜めに見て言った。
「どう、ボス?宇宙一いやらしいピーチドリームの監督さん!」

「ボツ!!」

 ボスとよばれたほお骨のはった口ひげの男は、きかれたことに大きな声で即答した。
「まず長い!さらに暗い!!今から男が抜こうって時になんでまだ子供の女の不幸顛末記聞かされなきゃ
ならん。しかも自分の星が吹き飛んだ、悲劇の奴隷王女で戦争の原因の、だ!お前あの戦争で何人死んだと
思ってるんだ。まきこまれて死んだ身内のいるやつが見たら、おっ勃つどころか号泣か激怒だぜ?!」
 いっきにまくしたて、そして隣の少女を睨む。

「『うわさの王女はじめてのえっち』…だあ?」
「ひねりなさ過ぎ?」
 違うっ!と大きな声で怒鳴る。この男はもともと地声がでかい。滑舌もいいのでまくしたて怒鳴っても
重低音が響きオペラのようだ、とアイルはいつも思う。
「お〜ま〜え〜が〜主演ってとこだ!誰だこんな企画出したやつ!」
「ボク。」
「お前まだ16だろう!」
「何をいまさら。幼女淫行もの裏で撮ってるくせにボス。」
「あれは五年で一才分しか成長しないロリン星人だからいいんだよ!」
「ボクだってやったら16には見えない巨乳美女に変身するからいいんじゃないの?」
「アイル…」

 ため息まじりに頭をかかえるのは、この宇宙船の船長、つまりAVレーベル社長サウラだ。
連邦皇帝の命を受け、アイルの護送役についている。はじめは命令されて、今は敬意と親しみを込めて
アイルは彼をボスと呼んでいた。

「カムフラージュのためとはいえ、今となってはAVメーカーに護送頼まれてラッキーって感じ?」

 アイルはそういってカウチに横たわり、いつの間にか抱えていたチップスをあポリポリと噛み砕いた。

「とりあえず仕事はあるもんね。」
「お前…前向きだなあアイル。」
 クールな物言いに妙なところで感心する。
428サウラとアイル@ピーチドリーム:2007/08/17(金) 22:09:33 ID:sBbfQYY/

「前向きどころかボス、ボクは今初めて自分の人生を踏み出せる喜びに飛び上がって、未来を見ているのさ。」
「お前この事態が嬉しくないのか?」
「嬉しくない訳ないだろう。やっと性奴から解放されたんだ。昨日ボスが言ったんじゃん、
自由にしていいんだろう?だから…」
「だからこの船を降りて好きなところに行けと言ってるんだ。」
「だからその前に恩返しがしたいと言ってるんだ。フェイラ星人は義理堅いんだよ知らないの?」
「だからなんでそれがおまえがAV女優デビューって話になる!」

 抱えていた頭を意を決してぶん、と振り上げ、アイルを睨む。アイルもサウラを見ていており、
久々に目が合って一瞬見とれた。
 澄んだ鳶色の瞳。
 こうして正面から改めてアイルを見ると、今更だがまだ幼い少女だ。短く刈った髪に細く骨張った身体、
わざわざ見るまでもなく、その胸に隆起らしき曲線すら無い。
 そのせいかサウラはずっとアイルに弟のように接して来れた。
 連邦皇帝にこの仕事を命じられたときは、メソメソした没落王女のおもりなどうんざりだと思った。
だが、共に旅して一年半、少々斜にかまえて物事をクールに語るきらいはあるが、先刻語られた彼女の
複雑な生い立ちからは考えられない、アイルは明るい娘だった。
 ただどうしようもないのはその耳だ。
 フェイラ星人独特のその尖った耳たぶは、そのままフェイラ星人独特の変身能力を示す。
 つまりまだ変態以前の処女であり、抱けば自分の理想の女に変身する特別な人種。その証なのだ。

「ボスこそ本気でボクがこの船をおりて、一人で無事にいれると思ってるの?」
 その問いに黙るしかないのがサウラの答えでもあった。
「ボクを…」
 横たわったまま上を向いてチップスのくずを袋からザラザラと口に流し込む。
 行儀の悪い王女だな。とつぶやいたサウラに蹴りがとんだ。足癖も悪い、と笑う。
 アイルも笑った。

「ボクをそんな風に一人の人間として、ボクとして見てくれるのはボスだけだよ。」

 その言葉にサウラの笑いが消える。

「だから追い出さないで。ボクこのままボスとこの船で働きたい。」
「お前を雇う金も余裕もねえよ。」
 知ってるだろう、とサウラは昨夜と同じことを言う。
「アンドロギュヌスが死んだ。依頼主が死んで、俺は別にお前を移送する必要がなくなった。
俺も自分を守ってくれる庇護者を失いお尋ね者に逆戻りだ。」

 サウラがただのAV監督でないことはとっくに知っている。どういった経歴でエロレーベルの社長兼監督をしてるか
しらないが、連邦首長に依頼されるような輝かしい過去があるということだろう。頭の切れる策略家で緻密な計画を練り、
大胆に迷いなく行動する、何より強い。…たぶん元は軍部の上層階級だったんだろう。戦争のさなか、
その争いの種であるアイルを強奪し、宇宙首長の命を伝え従わせつつ、アイルを護送中未練たらたら追って来た
一群を巻きつつ、いろんなことがあった上で、アイルはそう判断している。

429サウラとアイル@ピーチドリーム:2007/08/17(金) 22:13:52 ID:sBbfQYY/

「だからボクAV女優になるっていってるんじゃんか。」
 横たえていた身体を腹筋で起こし、サウラの鼻先でにいと笑った。
「売れると思うよ。フェイラ星人の初エッチビデオ。宇宙に一つだもん。すごいお金になるよ。
ボクは戦争起こした有名人だし、恨んでるやつも買うだろうし、エッチなやつも、珍しい動物を好きなやつも、
宇宙中の生物学者も買うだろうよ。ボクはこんなだけど、こんな胸も尻もないボクだからこそ、絶世の巨乳美女に
変身するのって、見せ物として十分面白くない?そのまま元フェイラ王女の巨乳大作戦シリーズで儲けるだろ?
ボクをいまだに狙うやつにボクがもう処女を無くして変態済みと知らせる事にもなって一石二鳥…」
 意気揚々とまくしたてるアイルの鼻をつまんで黙らせる。
「ひとつ訊く。」
「にゃに?」
「お前を絶世の巨乳美女にするためには、絶世の巨乳美女が理想の女って男優がお前を抱く必要が
あるんじゃないか?」
「……」
「誰がお前を抱くんだ?」
「ボス。」
 再び鳶色の目がまっすぐサウラとぶつかって、すぐに少し照れたように瞳が泳ぐ。
「…ボスしかいないじゃん…。」
「…俺が…お前を…」
「ええと…。優しくしてね?」
 この日何度目かの深いため息とともにサウラはまたしても頭をかかえて座り込んだ。

・・・・・・・・

 この船に住んでいるのは二人。サウラとアイルだけだったが、撮影が始まると常時4〜6人が
泊まり込み出入りする。
 先週撮影が終わったばかりの『特撮ヒロイン大集合!シリーズ5 ファイターピンク危機一髪』は
たしか本日配給で、めずらしくすっかりオフのピーチドリーム号だった。

「あっビアンカが明日明後日中に来るって通信はいってたよ。」
 食後のデザートにカスタードのトライフルをガラスボウルによそいつつ、
アイルは思い出したかのように言った。
「ビアンカが?…おい、ちょっとそれ食い過ぎだろう。半分にしろ、半分に。」
 こってりとしたクリームにひたされたスポンジの量に驚いてサウラが止めにはいった。
この子供は甘い物に目がなくて、うっかりすると三食お菓子ですまそうとする。
「このあいだも夜中に吐いてただろう、バカが。…で、ビアンカは何しに?」
「知らないよ。」
 好物の摂取量に規制が入った事に口をとがらせ、アイルはしぶしぶ三分の一戻したトライフルを
大事そうに抱えて食卓に戻って来た。
 半分クリームに溶けたふわふわのスポンジをうまそうに口にいれると、とろけるような顔をして、
おいちいな、とかつぶやいている。アイルは部屋着であるショートパンツからまっすぐ伸びた脚を
折り畳んで隣のいすに引っ掛けて横座り、まことに行儀が悪い。タンクトップの脇からちらちらと
小さな胸を見せながら「給料少ないって文句でも言いにくるんじゃないの?」とつぶやいた。
 ビアンカというのはサウラの二番目の別れた妻で、女優で、ファイターピンクだった。
「おっかねえな…。」
 情けないつぶやきを漏らし、サウラはアイルのトライフルの甘い香りをつまみにブランデーを啜る。
 二人のいつもの食後の風景だった。
430サウラとアイル@ピーチドリーム:2007/08/17(金) 22:18:13 ID:sBbfQYY/
 口火を切ったのはサウラだった。
「どこか辺境の星で畑でも耕してのんびり暮らすのがいいんじゃないか?」
 アイルは手を止めずにクリームを口に運び続ける。
「耳さえ隠してればバレやしねえよ。ここに来てる奴らも気づいてないだろ?大丈夫だ。」
「インカム帽かぶったまま畑を耕すの?」
 それに、と続ける。
「バレてないのはフェイラ星人ってことじゃなくて、ボクが女ってことだから。そこんとこ間違えないで
ボス。トビーやクレイブがボクに興味を示さないのは、ボクを下働きの小僧と思っているからだよ。」
「まあ、どう見てもボーイだからな。」
 トビーもクレイブも気のいい男優なのだが、天然にスケベで女と知れば手をだすのが玉にきず。
 女優との間にトラブルは絶えないが、サウラとは長い付き合いで、アイルを親戚の子と聞いてああそうと、
すんなり受け入れておおいにこき使ってくれていた。
「ちなみにあいつらは嫌だからね。ラバーフェチとロリコンなんて。」
 どんな女に変態するかわかったもんじゃない、と毒づく。その点ボスは。
「今までの三人の奥さんを見ても、つまみ食ってる女優を見てもわかるように、グラマーで頭悪そうな
セクシーブロンド巨乳美女がストライクだろ?」
「頭悪そうって…ビアンカがきいたら殺されるぞお前。」
「でも当たりだろ。」
 アイルは鬼の首をとったかのように発見した事実をひけらかす。
 以前スレンダー美人とはめ撮りしてたやつ、やる気無いの見え見えでダレた、と。
 サウラは頭がくらくらしてきた。酔いが回るのは早すぎる…いや、酒が足りねえ。
「おまえ、うちのレーベルのビデオは18禁…。」
「だって処女だもん。勉強しとかなきゃあ。」
 すっかりからになったガラスボウルをテーブルに置き、指についたクリームを丹念に舐めとった。
紅い小さな舌がちらちらとサウラの目に入る。
「そういうのもビデオから覚えたのか?」
 え?とアイルが意外な顔をしたのでサウラは心で舌打ちした。
「今のちょっとえっちかった?そんなつもりじゃなかったけど、嬉しいな、ボクでもクるんだ。」
「こ・ね・え・よ・!!」

 思いがけず大声で否定してしまい、サウラは慌ててかぶりをふった。
「そうとも、俺の好みはセクシーブロンド巨乳美女、阿呆っぽくだらしない感じの女盛りの
三十過ぎくらいがど真ん中ストレートだ。」
 対面のアイルを見て「悪いか。」と開き直る。だから、
「お前のようなガキには勃ちませ…」ん、というかわりに、うおう、声をあげる。
 対面のアイルがテーブル下からサウラの股間に脚を乗せたからだ。いや、乗せたというか、
蹴りつぶしたというか。
「てめえっ!」
「ごっごめん!優しくなで上げるつもりだったんだけどっ…」
 緊張してやら脚が長くてやら足摺岬がやらつぶやいて、アイルはバツが悪そうに俯いている。
 誰だ、こいつにそんないらん知識を教えたやつは。いや、ビデオ学習か。
足摺岬は「愚息昇天!美脚女将の柔らかすぎる〜はあと」その足の裏編に収録されている技で、
そんなくだらないビデオを撮ったのは確か…俺だ。
 サウラは右手でごそごそと息子の位置を直しつつ、そんなアイルを見てげんなりしつつも胸が痛んだ。
 まだ少女なのに…。この子供は…まだ16なのに。
 自由にしてやると聞いても、まっさきに浮かぶ事がそれか。
 サウラは初めてアイルを見たときの、冥い瞳と腰の貞操帯を思い出し、無理も無いが、と思った。

431サウラとアイル@ピーチドリーム:2007/08/17(金) 22:21:31 ID:sBbfQYY/

「AV作ってる俺が言うのもなんだけど…。」
 ゆっくりと顔を上げるアイルと本日三度目の目を合わせて、サウラは自嘲しながら言った。

「セックスは好きな男とやるもんだ。」

 アイルの瞳が一瞬潤んだように光り、パチパチと瞬いた。

「おまえの特殊な能力や生い立ちがそんなだから信じろと言っても無理かもしれないが、世界のどこかに
お前が何星人でも、どんな生い立ちのどんな人間でも、今目の前にいるお前を大事に愛してくれる男が
きっといる。処女はそいつに捧げるべきだ。」
 断じて将来AV女優になるためにとか、打算的にセクシー美女になろうと、俺なんかとするべきではない。
 サウラの言葉にアイルの長いまつげが伏せられ瞳に影が落ち曇る。口端をゆがめた嫌な笑いを浮かべていた。
作り笑いかもしれないが。

「…そんなの、…そんな男いないよ。」
「いるさ、必ず。」
 サウラは右手を伸ばしかけ、引っ込めると、わざわざ股間を押さえなかった方の手にかえて、
俯くアイルの小さな頭をくしゃくしゃとなでた。
「このきれいなハチミツ色の髪をパツキンにすることもねえだろう、もったいねえ。」
 それから、来週辺境星系往きの船がでてるギャラクシーポートにつけるから、そこで船を降りろと言った。

「アイル、おまえは自由の身になったんだぜ?それが嬉しく思うなら、自分の人生ってやつに踏み出すのなら、
その特殊変態能力があるということからも自由になって、本当におまえの望む生き方を考えろ。
将来を見据えるそのときに、過去に囚われることはない。」

 そういう自由がおまえにはもうあるのだと、サウラの大きな手が不慣れな手つきで頭をなでる。
アイルはしばらくそのまま俯いて頭を揺さぶられるままでいた。

・・・・・・・・・・

 ハーレーダビッドソンのようなバイク型の小さな船が横付けされたのは、予告通り二日後の午後だった。
 バーンとドアをブーツで蹴り上げ入って来たのは、ピチピチのつなぎを着た巨乳美女、ビアンカだ。
 いつもと同じ登場に今更驚きもせず、自室のベッドに横たわったまま美女を迎える。

「なんだ、全然荒れてないわね、つまんないの。」
「おまえが来るとドアの閉まりが悪くなるのはどういうことかね。」
 自動のはずが閉まらない入り口にげんなりと目をやって、サウラはまた元の読書に戻る。
 締まりが悪いのは今に始まったことじゃねえが。とひとりごち、ビアンカの肘鉄を腹に受ける。
まあ、いつもの会話の切り口だった。ちびっこサムじゃあそう感じるかもしれないわね。
とサウラのジュニアを一瞥しふふんと鼻息で笑う。相変わらずの女だとサウラは思う。元妻だ。
 
「アンドロギュヌス様の国葬に行って来たから、ビデオ見せてあげようと思って。」
「嘘をつけ、連邦本部は何光年先だと思っている。」
「だから隣の銀河の中継葬よ。見たくないの?」
 サウラはビアンカを見上げて、その手にひらひらと小さなデータチップを認めると、
うすら笑って「今はいい。」と答え、そして「ありがとう。」と言った。

432サウラとアイル@ピーチドリーム:2007/08/17(金) 22:28:27 ID:sBbfQYY/

「まあ、驚いた!礼を言ったわ、この男!!」
 大げさに驚いてみせるビアンカの優しさに、見ていた本を横に置き身を起こすことにする。
「礼をいわなきゃならねえ事はまだある。初日完売だファイターピンク。ピーチドリームの看板女優は
宇宙で一番たくさんの男を興奮させてる女だぜ。ありがとう。」
「そういう礼は言葉じゃなく、銀行に振り込む数字で示してちょうだい。」
 今の言葉は笑って無視だ。

「何か飲むか?いいブランデーがあるぜ。」
「バスからバイクで来たの。飲酒運転はまずいわ。」
 つなぎの前ファスナーを下まで下げて上半身を脱ぐ。襟に巻き込み入れ込んでいた長い髪が
滝のようにばさりと垂れた。見事なブロンドだった。つなぎの下は下着と言ってもさしつかえない
短いハーフトップ一枚だ。はち切れそうな巨乳を小さい布に納めて深い谷間を強調している。
昔はこの谷間に自分の物を差し入れるのが好きだったと思い出す。若かったなあ、と今は感慨深い。
「飲むならシードルくらいにしとく。酔っぱらってあなたに優しくするのはしゃくだもの。」
 口端で笑って望む女の言う通りに、冷蔵庫から冷えたシードルを二本取り出しビアンカに渡した。
あなたは飲んでいいのに、と促すビアンカに、酔っぱらっておまえに優しくされるのはしゃくだからな、と返す。
二人で笑い合って乾杯した。炭酸の泡が心地よくのどに絡んで降りていく。

「大丈夫?」
 含みをこめてビアンカが言う。ああ、と答えてなんとかと付け足した。
「じじいが死んだのは正直驚いたが、結果としては悪くない。俺はただの連邦犯罪者、お尋ね者という自由の身に
やっとなれた。今後はしたくもない諜報活動や、AVにウイルスをまぜるような外道ななこともしなくていい。」
 俺のビデオで抜こうと喜んで買ってくれた愛すべきエロ青年達を軍事に利用するのは、もう終わりなのだ。
過去に犯した罪の追求から庇護してくれていたアンドロギュヌスには悪いが、サウラはずっとこの日がくるのを
待っていたようにも思った。
 皇帝の…父の死を伝える報を聞いたときは一瞬狼狽したけれど。
 所詮は私生児だ。

「そうね、これから連邦保安局から逃げ続ける生活になるとしても、あなたも……
アイルくんも自由になれたんだもの。よかったのかもしれないわね。」
 ガボッ、とシードルがのどで逆流し、ゲホゲホとむせる。
 サウラは驚きに目を見開いて、おかわりを取りに冷蔵庫へ向かう元妻の背中を凝視した。
「なんでアイル?あいつは関係ねえだろ…」
「ごまかさないでいいわよ。全部知ってる。」
 冷静を装うが、さっきむせたのどがちりいと痛んで声がかすれた。
「全部って、なんだ。」
「全部よ。元妻をなめないで。あなたに親戚なんかいないことくらい知ってる。
それからあの子が女の子ってことも、アンドロギュヌス様の命令で任務でこの船に乗せた事も…」
 シードルを取り出し、冷蔵庫を足で閉めながら振り返ると、すぐ目前にサウラが立っていて、
ビアンカは小さく悲鳴を上げた。

「それから?」
 サウラは笑みを浮かべて元妻に問うた。
 ビアンカはそんなサウラをにやにやと見上げる。
「あの子があの、フェイラ星第三王女、アイルハタファビエって事も。もちろん…」
「ビアンカ…」
「フェイラ星人の特異体質も。」
「それを誰かに言ったかビアンカ。」
 サウラの声は恐ろしく冷たく、もう笑ってはいなかった。
433サウラとアイル@ピーチドリーム:2007/08/17(金) 22:31:53 ID:sBbfQYY/
 だがさすがの元妻はひるむことなく、誤解しないでとかぶりを振った。
「あの戦争で私は確かに兄を失ったけど、別にあの子を恨んでなんかいないわ。
悪いのはあの子じゃない、色欲に狂ったバカ男共だもの。誰にも彼女の事は教えてないし、
これからも言う気はないって、さきに言っとくわね。」
 そう言って手に持ったシードルごとサウラの厚い胸を押す。元妻にこの距離は近すぎるわよ、と笑う。
 シードルを受け取り、サウラは息を吐きながら元のベッドに再び座った。ビアンカも後に続いて
サウラのすぐ横に席を同じくし、膝下の長いむっちりした足を組む。
 近すぎると、迫るサウラの距離を責めながらこれだ。あいかわらずだな、色っぽいいい足も、
その悪癖も。とサウラは思う。
 ビアンカは根っからの女王様気質で、日常でもベッドでも、あくまで自分主体でなければ嫌らしい。
結婚していたのはほんの半年だけだが、その間もその前も後も、サウラから迫って情事に至ったことは、
ビデオの中の二回だけだった。そのくせ大変巧みに男を誘う。こちらから押し倒しても絶対やらせねえくせに、
となりで男がじれているのが好きなのだ。まったく悪い癖である。
 別れた今はそんな悪癖の理解は親しさの範疇だ。みせてくれることでサウラは和んだ。
 悪かったと詫びた。それでビアンカも話を進める事を許した。

「私にそれを教えてくれたのは他ならぬアイルくんなのよ。」
「アイルが?そんなバカな…」
「AV女優になりたいんだけどどうしたらいいか、と聞いて来たときに白状させたのよ。」

 サウラは再びシードルをむせて噴いた。あらあら、とばかりにビアンカはサウラの
シャツのボタンを外して脱がしにかかる。
「いい話じゃないの。あの子の言う通り、間違いなく売れるわよ。歴史的な大ヒット間違いなし。」
 その言葉にむっとしてビアンカの手を振り払う。
「まさかお前の入れ知恵かビアンカ!」
「そんなわけないでしょう、あの子がそう聞いてくるまで男の子だと思ってたのよ!?」
 思いがけない怒りを含んだサウラの声に、ちょっとタイプだったのに、いつ手を出そうかと
思ってたのに、とビアンカも声を荒げる。
 そうだこいつは本来ショタだっけ。なんで結婚したんだ、俺と。 

「あなたはさっき私を、ピーチドリームの看板女優で宇宙で一番たくさんの男を興奮させてる女、
とほめてくれたけど。」
 ビアンカの手がシードルでべたついた胸を認めて、顔を寄せるとそれをなめとるように舌をはわせた。
「アイルくんがデビューしたら、男を興奮させるって点では間違いなくアイルくんが一番ね。抱いたら
理想の女になるんでしょう?」
 慣れた手つきでズボンのベルトをはずし、いきなり直に息子をしごく。
「なんで抱かないのサウラ?」
「俺がアイルをか…!」
 元妻の手慣れた刺激にむくりと肉が盛り上がる。されるがままにズボンを降ろされ、
むき身の肉棒が半勃ちのまま、だらしなく半開きの肉厚の唇に納められる。
「あんな子供に勃たねえよ!」
「あなた…鬼畜だからだあいじょうぶよ…ん…。」
 濃密な唾液を絡めじょぶじょぶと口中でしごかれて、サウラのモノはあっという間に固くなり、
くっきりと欠陥を浮き立たす。すっかり屹立させたそれを口から出すと、根元を握ってぶるぶると振って、
ほらね、と誇らしげに見せつける。

 スイッチが入ったのかビアンカは、すっかり女王様然とした笑みを浮かべて脱ぎかけて腰に絡んでいた
つなぎから足を抜くとハーフトップも脱ぎ捨てた。黒いレースの短いボクサーショーツ一枚でブルンと
大きな胸を震わすと、そのままサウラに股がりその谷間に棒を突き入れる。同時に口いっぱい貯めた
唾液をだらりと亀頭にたらし、それを潤滑液に、二つの肉塊を上下させサウラを刺激しはじめた。
「やったらあの子のおっぱいもこんなに大きくなるのかしら。」
 ビアンカはアイルのまったく控えめな、というより男の子と信じて不思議でなかった
揺れもない胸元を思い出して笑った。

434サウラとアイル@ピーチドリーム:2007/08/17(金) 22:37:24 ID:sBbfQYY/
「…ならねえよ。やらねえからな。」
 ひさしぶりの刺激にサウラは息を乱していった。
「あなたの好みは十分知ってるけれど…サウラ欲しくないの?自分の理想通りの女よ?
私より輝くブロンドの、私より妖艶な美女で、このおっぱいより…」
 ギュウと両手でおっぱいごと肉棒を締め付けながら、谷から突出したモノのカリのつぎめに舌を当てる。
そのままぺろぺろなめながら、時には鈴口からしみ出した透明な雫をからめとる。
「私も大きさとしっとりした肌障りは、最初の奥さんに負けるけど、アイルくんはそれ以上になるのよ?
おっぱい星人のあんたがそれに食指を動かされないなんてしんじられない。」

「あいつは…アイルは…あの本来の姿のまま自由になるべきなんだ。」

 十分に大きくなったそれをゆっくりとのど奥まで刺し入れ、そこで一度唾液をごくりと飲み込むと
サウラの顔が快楽に少し歪む。
「…でないとあいつの星が吹っ飛んだことや、家族や友人を失った事を悼む事が出来ねえだろう…」

 ビアンカのカタツムリの口は、熱い肉棒を吸い付きながらゆっくりと吐き出す。
「俺はそれは最後の生き残りのフェイラ星人としての権利だと思っている…そしてそれからじゃないと
あいつは自分が巻き込まれ、その特異な体質のため男の肉欲の対象になってることを悲しいと思えないじゃないか。
…みんな死んだが自分は生きてて…もっとひどい扱いをされてる星のやつもいる…だから悲しいなんて言ってられないと
……そんなの…可哀相だろう。」
 今度は大きく舌を出し、それを裏筋側に添えて根元から舐め上げる。さすがのテクニックだった。

「…あいつのフェイラ星人故の運命は変えられねえものだけど、それくらいなら
…悲しむ時間をやるくらいなら俺だってあいつにしてやれるし……おい、ビアンカっ。」
 ビアンカは両の手でやわやわと二つの袋をもみながら、じょぶじょぶと音をさせて顔を上下させはじめた。
慌ててビアンカの頭を引き離す。
「なんだ、今日はずいぶんサービスいいじゃないか。」
「可哀相、は愛の始まりだって、昔私にいったの覚えてる?」
 口端に泡を立ててビアンカは片手で自分の黒いショーツを引き降ろし片足を抜くと、サウラを跨ぐように
膝立ちになり自分で陰部を撫でさすりゆっくりと腰を落としていく。
「サウラ、あんたアイルくんが好きなのね…。」
「そうだな、この一年あいつと暮らしていつのまにか弟みたいに思ってた…。」

 素直に認めてサウラはこの一年を振り返る。ほとんど無口に俯いていた出逢った頃のあいつの痛々しさ…、
はじめて笑わせた日の夜はいいブランデーを一人開けて乾杯した。やもめの夜ににいつしか寄り添うように
甘いスイーツを抱えたアイルの姿が加わり、それを幸せと呼んでいいものだと気づいたのは最近だ。
アイルがフェイラ星人であることも、任務も、忘れていた。昨夜まで。

 亀頭に手を添え、ビアンカは自分で濡れ始めた陰部に押し付けぐりぐりとかきまわした。
「正直親父が死んで、依頼が消えてよかったと思ってる。」
「だったらこのまま一緒に住んでやればいいのに…。あの子にしてみても、フェイラ星人にかぎらず
16やそこらの女の子が知らないところで一人で生きていくのは不安よ。本人が望んでるんだから
抱いてやりなさいよ、こんなふうに…」
 ずちゅう、と一気に突き入れた。びくんと体を震わせ膣内の熱い固まりを堪能して、
ビアンカの目が潤み始める。サウラはしばらくじっとしていたが、思い出したかのように
そろそろと、両手をビアンカの腰に添えた。
「あんたの理想通りの女にしてさ、何作かAVに出てもらってさ、自分で働いて得たお金で
暮らせるようにしてあげるのも優しさよ?…そしたらこの宇宙のどんな環境でもしぶとく
生き抜けようになるんじゃないの?」
「おまえみたいにか、ビアンカ。…突くぞ。」
435サウラとアイル@ピーチドリーム:2007/08/17(金) 22:40:38 ID:sBbfQYY/
 くいっと腰を突き上げられビアンカが軽く嬌声をあげた。
「ん…はあっん。ダメよ、動いちゃ…私が…。」
 サウラはビアンカの声を無視して、両手で腰を固定すると、下からずんずんと乱暴に突き上げ始めた。
「ああっ…あん、あん、嫌っ!バカっ!自分で…。」
 ビアンカの体は感じて反応するが、顔は不機嫌さを増していく。
 わかっていた事だ。離婚の原因だ。なのに仕掛けて来たこいつが悪い。俺だって…。
 サウラは心中で毒づく。
 俺だって好きな女が降参するまで感じさせまくるのが好きなのだ。ああ、苛虐嗜好ですとも。
でなきゃあAV監督なんてやんねえよ。

 このへんだったかと、記憶を頼りにビアンカの感じるポイントを的確に突き上げる。
「あっあっ…イク…嫌あっイカされ…んあああっ…!」
 ギュウと中から締め付けがきつくなり、ビアンカはサウラの胸に爪を立て果てた。
 ひくひくとした余韻をしばらく味わい、では、とサウラは身を起こしてビアンカの両足を抱えこんで
対面に座位をとる。大きな張りのある尻肉を掴んであぐらをかいた足の間で円を書くように揺さぶった。
 怒ったような形相で嫌がってたビアンカだが、サウラの手慣れた愛撫に再び高みに持ち上げられる。
「ひあっ…ん…ああっ、ダメ…また…っ。」
 そのままサウラも昂りに身を任せ、ビアンカの熱い膣内に欲望を放った。びゅくびゅくと
中でイク元夫の逞しさに続けてビアンカも身を反らせ痙攣する。ああん、と甘い喘ぎを聞いて、
このときだけは可愛いのだが、とサウラは毎度苦笑する。

 ゆっくりと己を抜き絡み付いた粘液を拭き取りながら、ふと開きっぱなしの部屋の扉に
何かが動いた気がして目を止めた。気配の主に気づいてサウラは硬直した。
 なのにビアンカがはあはあと、まだ肩で息をしながら言ったのだ。
「どうだった?よく見えた?アイルくん。」
 ざあ、と血の気が引いた気がした。
 サウラはビアンカを心で三度はり倒しながらも、その控えめな観覧者がおずおずと
ベッドに近寄ってくるまでになんとかパンツをはいた。

 俺はまあ、いわゆる標準サイズと思うが、今は一仕事終えてささやかに身を横たえているし、
うちのAVはモザイクなしだ。処女があれを見て、うちの人気男優の皆さんの巨根をレギュラーサイズと
思ってたらたまらない。てなことはこの際どうでもいい!

「アイ…-----!!」
 怒鳴りつけてやろうと声を荒げかけ、サウラは絶句した。
「…ごめん、ボス。ボクどうしても見たくて、ビアンカさんに無理言って頼んで…
 ビアンカさんありがとう、な…なんとなく、わかった…よくは見なかったけど…」
 最後にもう一度サウラに向かってごめん、と言って、アイルはきびすを返して部屋を出て行った。
 壊れて開きっぱなしのはずのドアが自動に閉じた。
 部屋にはぽかんと口をあけたまま固まるサウラとビアンカの二人が残された。

「あらやだ、そうだったの…」
「言うなよビアンカ。」
 …あんなアイルは見た事無い。澄んだ鳶色の瞳を真っ赤に腫らして、
涙と鼻水で顔と両手をかぴかぴにし、かすれた声で謝罪をし、傷ついた顔で出て行った。
処女ゆえの潔癖さからだと信じたかった。なのにビアンカが、…言うなと言ったのにビアンカが、
今までの俺とアイルがうやむやにして来た事を、はっきり言葉にしちまった。

「可哀相にあの子、あなたが好きなんだわ。」
 可哀相に、は愛の始まりだぜ?と棒読みでつぶやいてサウラはビアンカに殴られた。

436サウラとアイル@ピーチドリーム:2007/08/17(金) 22:46:49 ID:sBbfQYY/

・・・・・・・・・・・
 
「…うぬぼれてたのかな、ボク…。」
 熱めのシャワーを頭からあびながらアイルはつぶやいた。
 
 最後のフェイラ星人だから、男が求めてやまない特異体質だから。
 どこかでサウラが断る分けないとタカをくくっていたのかもしれない。

 …あいつは…アイルは…あの本来の姿のまま自由になるべきなんだ。
 …でないとあいつの星が吹っ飛んだことや、家族や友人を失った事を悼む事が出来ねえだろう…
 
 頭を横から思い切り殴られたように思った。
 サウラの台詞を思い出し自分の愚かさを悔やむ。
 ああ、ボスは…やっぱりボスはすごい…
 胸の奥から沸き出すサウラへのその熱い想いを、今日まで尊敬や憧れだけと思っていた自分の幼さを呪った。

 抱いてくれとボスに頼むのはとても恥ずかしかった。
 だけど手っ取り早い保身のためのいいアイデアだと思ったし。
 最後のフェイラ星人として、自分は有名だし、顔もバレてるし、外の世界で自由に暮らせるなんて
よもや思えなかったし。どうせ身を隠して生きるにしても変身は必要だし。
 処女喪失の変態が逃れられない自分の体質なら、奪われるより望んでそうなりたい。 
どうせならセクシーで巨乳の金髪美女になりたい。
 だからサウラに抱いてもらうのが一番いいんだ。だってそうしたらボクはビアンカみたいに
サウラと組んで仕事ができるし、このままこの船でサウラと暮らせるし、
なによりサウラの最も好みの女になれば…
 
 ボスに愛してもらえるかもしれない。
 そう思ったんだ…。
 バカだ、バカだ…!
 
 シャワーに混じって熱い雫がまた瞳からこぼれだす。
 
 そんなことで女を愛したりしないのがボスなのに、わかってたのに。
 共に航行して寝食を共にして、アイルに指一本触れないどころか、フェイラ星人の特異性に興味も示さない
サウラにアイルは秘かに感謝していた。たとえそれが連邦皇帝のの命令に従っていただけだとしても、
自分を奴隷でも、フェイラ星人としてでもなく、一人のアイルとして扱ってくれたのはボスだけだったのだ。
確かに捕われ人と護送者の関係であるはずなのに、ボスと下働きの小僧という安心できる関係を作ってくれた。
アイルを好いてくれているのを誰よりアイルが知っていた。それは…
 弟みたいに、というサウラの言葉を嬉しく思う。
 同時に悲しくて胸が痛い。

 …俺はそれは最後の生き残りのフェイラ星人としての権利だと思っている…

 フェイラ星人の特異体質より、故郷の喪失に気持ちを寄せてくれるサウラを心から尊敬する。
 特殊な体質より目の前のボクだけを愛してくれる男が必ずいると、そう言った。
 そんな男、いない。探してもいないよ、ボス以外!いらない!
  
 ボスが出演してるAVを観て、目がかすむような混乱を覚えた。
 元妻で今はフレンドリーなセックスパートナーのビアンカに頼んで実際に見て、
アイルは自分の奥底に抱いていた欲望をはっきり自覚して、その浅ましさに泣いたのだ。
  
 ボクはただ、ボスに。普通の女の子と同じように。
 ただ好きな男に抱かれたかったんだ…。

437サウラとアイル@ピーチドリーム:2007/08/17(金) 22:52:18 ID:sBbfQYY/
 
 シャワーを出ると卓上のデイスプレイがちかちかとメッセージの受信を知らせていた。
 二通、ビアンカとボスからだ。
 先にビアンカの方を見る。
「おばかなアイルくん、私はあんたの味方よ。泣いても解決しないことはわかってるわね。
女が一人逞しく生きていくための知恵ならいくらでも教えてあげる。でも恋の悩みは…いい女なら
一人で解決するものよ。…また会えるといいわね。」
 サウラのことには一言も触れてない。素敵な人だとアイルは思った。さすがにボスの元妻だ。
 それから時間稼ぎにくしゃくしゃと髪を乾かし、おそるおそるもう一方のメッセージを聞く。
「…アイル。」
 ああ、ボスがボクの名前を呼ぶ。自覚したアイルはそれだけで胸が熱くなる。
「今週の当番はお前だろう。何時だと思ってんだ、バーカ!早く飯にしろ!!」
 いつもと同じく滑舌の良い、歌うような怒鳴り声。
 好きだよ。
・・・・・・・・・・
 
 夕飯はサウラの好きな手打ちのパスタにした。
 手間のようだが、慣れてしまえばゆでる時間も短く、早くテーブルに給仕できる。
 それからカジキを焼いて温かいタルタルを添えて、サラダとオリーブ。
 支度が出来たと呼びにいく前に、良い匂いだと部屋から出て来た。
 いつものように食前酒にシェリーを飲み、今日のパスタの出来を誉め、メインの前にタバコを吸いかけ
アイルに怒られ、食後のコーヒーを飲んでから、ソファーに移動してブランデーを注いだ。
 アイルは昨日食べ忘れていた残りのトライフルを大きなバットごと抱えて、いつものようにサウラの隣に
座った。二人のいつもの夜は、いつもと同じようでいて、まったく違う。

「クリーム系は食卓で食えよ、こぼすだろう。」
「こぼさないよ。」
 二日経ったトライフルは甘い香りもとんで、隣でサウラの飲むブランデーの香りに負けている。
「ボクもそっちにしようかな…。」
「お酒は二十歳をすぎてから。」
「じゃあボクがボスと杯を酌み交わす事は一生無いということか。」

 隣り合う二人の間に沈黙が横たわる。

「…明後日、ギャラクシーポートに船を止める。」
 アイルはまるで聞いてないように相変わらずクリームを口に押し込んでいる。
「だから、その…明日はどこか遊びにいこうか。すぐ先の星緯まで移動遊園地が来てたと
ビアンカが言ってた。おまえ以前行ってみたいと行ってなかったっけ?」
「思い出作りってやつ?」
「アイル…。」

 俯きがちに正面を向いて仏頂面で淡々とスプーンを運ぶ。そんな隣の少女の顔が見れないのは
サウラも同じだった。
「他にしたいことがあれば…。」
「ボスとしたい。」

 頭を抱えて俯くサウラの視界にあぐらをかいたアイルの足が飛び込んだ。ショートパンツの裾が
めくれていてきれいなブルーのショーツが見えている。あわてて目を逸らそうとしたとき、
ちょうどそこに白いクリームが落ちて来たので、ああ、と思わず声をあげた。
「ほら、言わんこっちゃない…」

 何か拭くもの、とダイニングに向かいかけたサウラの腰に、細い腕が巻き付いて引き止めた。
 ズキンと何かに突き刺されたようにサウラの胸が痛みに響いた。

「ボスとしたい…」
438名無しさん@ピンキー:2007/08/17(金) 22:56:21 ID:sqNVYNlj
紫煙
439サウラとアイル@ピーチドリーム:2007/08/17(金) 22:57:40 ID:sBbfQYY/

 アイルが繰り返す。
 声が震えている。
 腰骨に押し付けられた柔らかい頬に、巻き付いてしがみつく骨張った手に、意識が集中して
サウラは動けなくなった。
 着ていたシャツの布越しに温かい湿りを感じた。
 性奴隷として囚われてたときも、皇帝の命令で移送を告げたときも、
深夜のホラー映画を一緒に見て震えていたときも。今まで涙を見せた事ないおまえなのに、
そんな事で泣くのはずるいぜ、アイル。

 泣きたいのは俺も同じだ、と深いため息をついて、ええい、とアイルの手をほどいて振り返る。
 涙に濡れて大きく見開かれた鳶色の瞳がサウラを射抜いた。それでもう、サウラは自分の本当の気持ちに
気がつかざるを得なかった。
俺は、この少年のような骨張った身体の、はちみつの髪をした少女を。

 …「お前を変えたくない、アイル。」
 変わる姿も見たくない。だからそうだ。
 この姿のまま別れてくれ。誰にも抱かれず、どうかそのまま。
 そうすれば、俺の思い出の中ではそのままで永遠だ。
 こんな事を、言えるものか!!
 
 サウラは仁王立ちのまま少女の涙を拭ってやるのが精一杯だ。手が震えているのを
アイルに気づかれないように、乱暴に頬を拭う。作り笑いを浮かべてそうすることに
懸命になっている自分ががひどく滑稽だった。いくつ歳が違う!?こんな子供に!
「言っただろう…初めては好きな男とする自由が…」
「だからボスとしたいんだ。」
「お前はセクシーブロンド巨乳にそんなになりたいのか!?」
「ボスが抱いてくれるならなんでもいいよ!」
 股間にしがみついてしゃべるのはやめろ!

 小さな頭を両手で掴んで引き離す。痛いと叫んだが知った事か、こっちはそれどころじゃない。

「思い出作ってくれるってんなら、どうかボクを抱いてよボス。
どうせボクを見捨てるならそれくらいの情けをかけてよ。どんな姿になってもいいよ。
明日宇宙に放りだされて、即座に誰かに殺されたって、
好きな男に抱かれる自由を今ここで手にいれられたら、
ボクはボクの人生を可哀相だなんて思わない!」
 振りほどいて逃げるようにドアに向かう。

「あなたが好きなんだ、サウラ!!」

 声を遮るようにドアが締まった。
440サウラとアイル@ピーチドリーム:2007/08/17(金) 23:02:25 ID:sBbfQYY/

・・・・・・・・・・・
 
 自室に駆け込み服を着たまま、冷たいシャワーを頭からあびた。
 呆然と身動き一つせず冷たい水を浴びているから、よけいに早鐘のような鼓動にめまいがする。
 俺は、俺は、俺は…っ!

 今まで誰がサウラをこうまで取り乱せただろう。
 女優達のだれよりも、今までの妻の誰よりも、俺を震えさせる誘惑の悪魔。
 わかっている、俺を尊敬の眼差しで見上げ、敬意をを露にボスと呼ぶ。
 お前に手を出さないことでお前の信頼を得て来たのに、今更実は誰よりもその肉体に
みにくい劣情を抱いていたことを知られてたまるか!
  
 落ち着いて、シャワーを止め、びしょぬれの服のままサウラはさっき腰に絡んだ細い腕を思い返して、
今日のビアンカに感謝した。
 一発やってなかったら、己を止められる自信は無かった。
 明日はやはり、移動遊園地に行こう。なにがあっても二人きりにならないように、
何年か後に思い出した時、楽しかったような気に少しでもなるように。


・・・・・・・・・・・・
                 ここまでで半分です。すみません。
                 長いの恥ずかしくなってきた。一度切ります。


441名無しさん@ピンキー:2007/08/17(金) 23:15:03 ID:FzYBFUwk
GJ、GJだとも!
アイル可愛いなぁ。
続きはいつですか?
442名無しさん@ピンキー:2007/08/17(金) 23:26:07 ID:s0SRLl2Y
泣いた。興奮するとかそれ以前にサウラの漢気にアイルの純愛に。
そして所々散りばめられるギャグ。こんな作品中々ないはずなのに
これが乱立するのがボーイッシュスレクオリティ。

アイルを狙う奴がいたらバルキリーで迎え撃ってう、うわぁぁぁぁぁってなりたい
443名無しさん@ピンキー:2007/08/17(金) 23:26:23 ID:cmnLUgct
>440
GJ!
続きが気になるのにお預けなんてそれなんてイケズ?
444名無しさん@ピンキー:2007/08/18(土) 04:28:26 ID:JHwMJI9p
GJ!

しかし、ここまで強調されていると、初体験後の姿が想像できてしまう・・・
文章がちゃんとしているのも善し悪しですね。
445名無しさん@ピンキー:2007/08/18(土) 06:36:56 ID:1tVEMw0L
この手の変身ネタだと、「敵は海賊」シリーズの神林長平が書いてたかな。
後は外国だと名前忘れた人の「恋人たち」とか。
確か、どちらもアンハッピーエンドだった気がするので、是非ハッピーエンドになって欲しいもんです。
446664:2007/08/18(土) 10:02:23 ID:fMtwBEfx
流れを読まずに投下。
軍人モノ
アウラ、バルスラー、その他
色んなクロル
色んな意味でごめんなさい




俺の名前はバルスラー、俺の部屋は狙われている。

『極上☆軍人サークル』

「おい……お前ら、何で俺の部屋にいやがるんだ」
午後の訓練を終えて自室に戻ったバルスラーは部屋を開けた瞬間、憂鬱になった。
自室のテーブルを囲むようにドッグタッグをぶら下げ、タンクトップに迷彩の長ズボンを
履いた女が三人。 
そいつらがデザートに取っておいた桃の缶詰を勝手に開け完食した挙げ句、その缶を
灰皿代わりにウインストンとキャメルの吸い殻が山のように積み上げられていればもう十分であった。
「いや、何でって言われてもねぇ…」
「はい。」
「です。」
あら、いやだと言わんばかりに顔を見合わせる三人にバルスラーは言った。
「ねぇじゃねーだろアウラ。」
「まーまーいいーじゃないの。バルスラー、明日から休暇なんでしょ」
「そうだよ。テメェらが出て行けば、今日の夜からだよ。」
「溜まってるんですか?」
これも勝手に開けたであろう桃の天然水のボトルを片手に小柄な女性が言った。
「誰がだ!このミニマムボケが!しかも、クキ!俺のモノ勝手に!」
クキと呼ばれた女性、名は九鬼(くき)ミツコ。極東出身者の父に、ウォルンタリア人の母を
持つ二世である。先祖は遠い昔、極東の戦乱時代の『センゴクダイミョウ』であったとか、なかったとか。
「バルスラーさん、クッキーを悪く言わないで下さい。他人の欠点をあけすけ言う人は嫌われますよ。」
 九鬼の隣にいた女性が口を尖らせ言った。こちらの本名は、ティーナ=レコ。
凛とした顔立ちから同性の訓練兵に人気がある。ちなみに衛生兵で、
従兄弟はなんたら医療介護サービスの看護師だとか。
447664:2007/08/18(土) 10:06:30 ID:fMtwBEfx
「むしろ嫌ってくれ、つーか出てけ。」
「私は好きよ。バルたん。」
と九鬼の甘い声。
「だ、誰がっ!」
 顔を真っ赤にして怒るバルスラーに対して明後日の方向を向きながら九鬼は言った。
「冗談よ、このバカ筋肉ダルマ。」
「まぁまぁ…そこまでにしておいて。さて、バルスラー、私達がここにいるのは他でもないわ」
 改まった態度と口調に変わったアウラにさすがのバルスラーも身構えた。
「……な、何だってんだよ」
「そう…他でもない。新たな教官の同人誌を作るための集会を招集したのだ!」
「ハイル・アウラ!ハイル・アウラ!」
「アウラ万歳!万歳!万歳!」
「………」
騒ぐ三人にバルスラーは口から魂が抜けかけていた。
「とゆーワケでぇ…前回に引き続き、教官モノ同人誌の第二弾案をだしてもらいます。」
 何やら場を仕切り始めたアウラに我に戻ったバルスラーはあわてて言った。
「いや、だから…何で俺の部屋でやるんだよ!お前の部屋でやれよ!アウラ!」
「私の部屋ヴィクター教官の写真やグッズがたくさんあるから他人は入れない事にしてるの。
あの部屋の空気を吸っていいのは私とヴィクターだけだから」
平然と言ってのけるアウラにバルスラーはまたも口から魂が抜けかけていた。
「わお♪さすが『ヴィ君大好き狂(教)』の名は伊達じゃありませんね。ちなみにあたしの部屋は
害虫駆除の為に自家製殺人ガスを焚いているからダメです。」
「“自家製”で“人”じゃダメだろ、お前。」
「私の部屋も今はダメだわ」
「アウラやティーナはともかく…なんでテメーの部屋はダメなんだよ」
「友人に貸してるの。有料で。料金は1時間で―――――」
「ラブホかよ」
「いいえ。SMクラブよ、道具も揃えて上官も利用してるからとてもお金になるの」
「……お前らと同期って事にものすごく後悔してる。とにかく俺の部屋はダメだ、帰れ。」
「もちろん無料とは言わないわ。クロル教官のセクシー生写真10枚でどう?」
 アウラは訓練生時代に撮ったクロルの生写真をちらつかせた。
余談だがクロルが収集していた上官・下士官のデータは今はアウラが引き継いでいる。
「よし、暫定的に認める。そして俺も集会に参加する。ジーク・アウラ」

「あたしはクロル教官がSでヴッ君がM。クロル教官が主導権を握り、足コキとかパン屋の休憩時間にやってると思います」
「う〜ん、そうかな…クロル教官を破壊し尽くさんばかりにSなヴィクターの方がしっくりくるんだけど」
 バルスラーが用意したポテチを摘みながらティーナ続いてアウラが言った。
「それは前回やったじゃねーか、しかもウィルトスまで入れてよ。やっぱ純愛ボーイッシュ系だろ」
「前回が3Pだったから今回は異性物孕みバッドエンドか産卵で超鬱エンドがいいわ。はあはあ」
「ちょっと…クッキー、暴走しないで、抑えて、抑えて。」
 アウラが九鬼を宥めながら周囲を見回した。
「とにかくこれじゃ意見がバラバラだわ。とりあえずティーナから順に大まかな内容を話してくれる?
それで決めましょう。」
448664:2007/08/18(土) 10:13:43 ID:fMtwBEfx
「お…あ……ク、クロ…ル」
「ん?何?…どうしたのヴィクター……ふふ」
 今のこの時間、パン屋『リーベルタース』は昼の休み時間だ。表の看板には準備中とある。
その時間は約2時間、本来であれば仕込み、パンを焼く準備と昼食の時間なのだが……。
「いやならいいんだよ?ボクは追いかけもしないし、このままやめてもいい。」
 クロルの着している物はTシャツとショーツのみ、いつも履いているジーンズは脱ぎ捨て
蓋を閉めた洋式トイレの上に又借り、壁に押しつけたヴィクターの肉棒を足の指で挟み込んでいる。
「て…テメェ…卑怯だぞ。戦車牽引用の鉄線なんてどっから…」
 超獣並の力を持つヴィクターもこればかりは簡単には引きちぎれない。
両手をそれでぐるぐる巻きに拘束され、クロルにいいように弄ばれている。
「そんな事はどうでもいいんじゃないかな?ふふ、用はコレだよ」
「くっう!」
 グイと足の指でカリの部分を思いっきり挟まれ、ヴィクターは思わず呻いた。
「ははは、いいね、いいねゾクゾクするよ。この感覚…ボク、クセになっちゃうかも…ん…ふ」
 クロルは身動きが取れないヴィクターの肉棒を両足で責め、自らは手で己の秘所を慰めだした。
「く…クロ…覚えて…や…が…おうう!」
 痛いほどに勃起した肉棒をクロルの両足が這うように前後しだした。
「はっはっは、何だい、その情けない声は?ボクの足コキがそんなにいい?」
 手コキ程早くないにせよ、諜報任務で培われた性技は並ではない。足がまるで生き物のように
ヴィクターの肉棒を這い回り、時には食らいつき、快感とも痛みを交互に与えてくる。
「あ…ぐっク、クロ…おまっ…ぐっ!」
「まだ、まだだよヴィクター…ふふ、ふふははははっ!ヴィクターの主導権をボクが
握ってるなんて…ああ…ダメだ…ボク、ボクもうイッちゃ…ん、んん」
「クッソ…誰の主導権だっ―――!?」
 両眼をつむり、必死に耐えていたヴィクターが片眼を開け、精一杯の強がりを言おうとした
その時
「…舐めろ…ヴィクター」
 目の前には既に濡れそぼり、密を垂らすクロルの秘所があった。クロルがヴィクターの胸の上に
跨り、秘所を見せつけているのだ。上気し、完全に理性が氷解したクロルが上から己を見下ろしている
―――――支配の逆転―――――
普段なら、絶対にありえないシチュエーションにヴィクターもまた胸の鼓動が止まらない。
「舌だけで…ボクをイカせろ…いくら前戯下手なお前でも出来るだろ、それくらい?」
「ク、クロ…お、お前」
「クロル?クロル様の間違いだろ?くく…ははははーはっはっはっは!」
449664:2007/08/18(土) 10:17:34 ID:fMtwBEfx
「はっはっはっは―――――ていう女王様チックなクロル教官なワケです。どうですか皆さん?」
ティーナは皆を見回した。
「あ、終わり?じゃあ次、クッキーお願いね」
 何の検討も、感想もなく、アウラは無情にも九鬼に振った。
「え!?あ、あたしの案はどうなんですか!クロル様×ヴィクター教官の逆転劇は!」
「没よ。現実を素直に受け入れて冷静に対処なさい。」
 くいと桃の天然水を煽り、九鬼は言った。
「だな。俺も女王様系の絵は描く気なんかねェ。」
「そ、そんなぁ〜タイトルはまだだけど、このサークルの名前とかまで考えてたのに〜」
「あ………このサークル、名前とかまだ決めてないわね」
 そういえば…と九鬼が今更ながらに言った。
「いいんじゃねーの、誰も気にしねーよ。マーケットで売るワケじゃねーんだし」
「ティーナ、参考までに聞いておくけど…?」
 多少気になったのかアウラがティーナに向かって言った。

『ウルトラ★満子』

「………」
「………」
「うるとらまんこ?」
 何かこの世に存在してはならないような生命体を見るような目つきで二人はティーナを見た。
バルスラーはあまりわかっていないようである。
「な…何ですかその目は!?断じてあっちの読み方じゃないですよ!クッキーの名前を元に
閃いたんですよ!読み方はクッキーと同じ『ミツコ』です!『ミツコ』!」
「……マ×コ…」
「きっとすごい名器のコトだと皆、思うわね。」
 ボソッとアウラに続いて九鬼が呟いた。
「何ですかその×は!しかも名器ってアレじゃないって言ってるでしょう?」
「いいじゃねーか、うるとらまんこで―――おぼずっ?!」
「だから違うって言ってんだろ!この筋肉ボケ!」
 切れたティーナが救急箱をバルスラーに向かって投擲し、直撃、バルスラーは倒れた。

とりあえずこんな感じで書きたいと思いますが…
孕みとかそーゆーのは…スレチっぽいな…苦手な人多いだろうし…
450名無しさん@ピンキー:2007/08/18(土) 10:23:12 ID:XQLofWvA
GGGGGGGGJJJJJJJJJ!!!!!!

朝っぱらからなんつー罪作りなモノをリアルタイム見せ付けるのですか、アナタはーーーーっ!!!
あ、もーイイヤ
書きかけのSSゴミ箱→空にして、ちょっくら自家発電してきまーすノシ
451名無しさん@ピンキー:2007/08/18(土) 10:24:20 ID:Jn5Svg7A
孕み云々よりボーイッシュが出てこないからスレ違いかな。
アウラ達三人も、同人誌内のクロルもボーイッシュじゃないしなぁ。
452名無しさん@ピンキー:2007/08/18(土) 10:29:54 ID:5MgmV0ss
ああ、何かが崩れる音がする……。
バルスラー、桃好きだったんだ。
九鬼さんとティーナさんが面白すぎる。
アウラさんってこんな人でしたっけ?
ああ、何はともあれGJ!
ちなみに孕みとか触手凌辱とか私は平気です。
ですがやはりスレの趣旨に合わない、もしくは苦手な人も多いと思うので、
触手・怪物に犯されるSS 14匹目
ttp://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1187017100/l50

孕ませ/種付/受精/妊娠/妊婦/出産/HRネタ総合【7】
ttp://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1180199790/l50
に投下した方が良いかもしれません。
453名無しさん@ピンキー:2007/08/18(土) 16:27:26 ID:79lv+jvA
GJ!
おバカかげんがちょうどいい
こいつらが坂本フランシスの存在をしったらどうなるか…
>>451-452
クロルの変化形なんだから問題ないでしょ
まあ、妊ませとかは事前に断り入れれば問題ないのでは
454名無しさん@ピンキー:2007/08/18(土) 17:42:25 ID:K96HUCMQ
クロルスレでも立てたら?
455名無しさん@ピンキー:2007/08/18(土) 19:53:19 ID:eEoYmNVv
モモカンと聞くと、月に一度の爆安缶詰市を頼りに生きてた黒い人を思い出すな
456名無しさん@ピンキー:2007/08/18(土) 20:52:06 ID:8t9XNzF1
>>454
それは思ったwww
457名無しさん@ピンキー:2007/08/18(土) 21:12:50 ID:k719xfjq
立てた所ですぐ落ちるんじゃね?
猫耳少女スレみたく耳っこ属性で話を広げられるわけでもないし。
明らかに新規参入の書き手さんとかこないだろうし。
読み手だってボーイッシュスレに常駐してた奴以外はわけわからんだろ。

第一スレタイどうするんだ。最早軍人物でもないのにw
458名無しさん@ピンキー:2007/08/19(日) 07:23:42 ID:3aZWXZHb
アウラいいなあ
エッチじゃなくてもいいからアウラにもいい目を見させてやってくだせえ
459名無しさん@ピンキー:2007/08/19(日) 11:45:34 ID:mkG+eXYn
それをボーイッシュスレで書くのは何かと大変そうだがな。
460名無しさん@ピンキー:2007/08/19(日) 22:39:52 ID:kWh6zNI1
実際問題として、住み分けした方がいいかもわからんね。
明らかに他作者さん投下しにくいだろうし。
つーかこの空気だとエセ軍人系も投下しにくいだろ。
461名無しさん@ピンキー:2007/08/20(月) 01:41:00 ID:B7JKP952
サウラとアイルの続きを待ってる。
色々読めるほうが嬉しいから、職人さんにはあまり細かいこと気にせずに、投下していただきたいものだ。
462名無しさん@ピンキー:2007/08/20(月) 01:47:29 ID:CMtgRqC/
前スレラストの、幼なじみを待つお嬢様の話が読みたい。
あれが未完なんてもったいなさすぎる。
463サウラとアイル@ピーチドリーム:2007/08/20(月) 05:33:32 ID:fnFrsRQK
変なSF 長くてごめんね 440からの続きです
途中陵辱気味あり注意です
・・・・・・・・・・・・・

 移動遊園地は星緯30度上方の、惑星パブリック利用可の月にその船を止め、小さな月の半分を
ネオン輝く遊びの園に変えていた。ちなみにもう半分の地味な輝きの建物は、同じく移動カジノと
風俗で、もちろん大人は知ってて子供には伝えないようにしている。
 
「ボクあっちにいきたいなあ〜。」
「あっちはダメだ未成年。」
「女用ヘルスもあるんでしょ。男買って来てサクッと処女捨ててくる。」
「ふざけるな。」

 これが生まれて初めて遊園地に着いた最初の会話なんて記憶から削除だ。
 サウラはげんなりした気分を流し込むように、カップに入れる前から既にもうぬるくなったコーヒーを
一気に飲み干した。
 今朝起きてサウラは生まれて初めてお弁当なんてモノを作った。コーヒーをポットに入れて、
細いフランスパンにハムとチーズとレタスを挟んだだけのものだが、遊園地は大変混んでいて、
お弁当が無かったら二人ははらぺこに耐えかねて、とっくに帰っていたことだろう。
 午前のファストパス分をお互い無言で消化して、今は午後の時間待ちがてら、遊園地を見渡せる丘の広場で
サンドイッチを食べていた。アイルはピーチドリーム号を出たときから不機嫌に口を閉ざし、遊園地に来ても、
コースターに乗っても、フリーフォールなフィニッシュを迎えるお化け屋敷に入っても、一声ももらさず、
ただ黙ってサウラに手を引かれてついて行く。
 だがその様子はまるで拗ねた子供のまんまで、可愛いと思わずにいられない。
 なにしろ二人は今ウサギさんだ。
 遊園地に入ってすぐ、フェイラ星人とバレないように耳までかぶさるウサギの帽子をまず買った。
あご下でボタンで留めるタイプでそうそう脱げないし、ビデオ撮りの他人が来てる時いつもしている
インカム帽よりは、遊園地になじんでる。恥ずかしいと、嫌がったアイルに、俺もするからと白黒そろいで
サウラも買った。いい歳した口ひげのおっさんの方がよりによって白ウサギだ。
 だがサウラは別に恥ずかしくはない。キモイ姿も自分に見えなきゃべつにいいのだ。こちらを見るたび
アイルの口元がプルプル震えて笑いをこらえているのに、サウラは大変満足していた。理由はなんでもいい。
笑ってくれれば。一言も話さないが数度の買い物以外、宇宙船に閉じ込めた一年半だ。土の地面を
歩くだけでも楽しいのだろう、何度も足を踏みしめ俯いてにんまりしてるのにサウラは気がついていた。 
 ここ、丘の広場はサウラ達のようにファミリーでお弁当を食べるように作られた、花や木々を植えた
芝生のコーナーで、もちろんこれも移動遊園地の運んで来た人造の広場だ。だが土の香りがする。目の前で
花が風に揺れる。そのそよ風も人造であると、このほのぼのした景色がアトラクションの一つだと知っていても、
和む事には変わりない。そう思ってつれて来た。実はここが目的だった。サウラの出身である宇宙連邦の
首都の惑星は強い酸性の土地で、ほとんどが強化ステンレスで覆われているが、アイル生まれた
エバムフェイラ星は緑に溢れた辺境の田舎の王国だった。
 楽しいか?俺の黒うさちゃん…。
 心でつぶやいたことに気づき自分にげんなりする。
 おい、おっさん。疲れてるのか、気を抜くな。
 
の人ごみもさることながら、今朝あったことからサウラはすでにくたびれていた。
 部屋から出てこないアイルにしびれを切らせて起こしにいくと、アイルはとっくに起きていて、
なんとベビードールを着てベッドの真ん中に座ってサウラを待っていた。サウラは貧血で倒れそうになった。
もちろん下半身の急速な充血のためである。が、悟られないのが年の功だ。
「おはようさん、朝飯出来てるぜ。」
 普通に無視するとアイルの顔がみるみるふくれて赤くなる。
「似合わないならそう言ってよ。」
 思いがけず似合ってるから何も言いたくないのだが。
「これ、ボスの好みだろ。」
 発色のいい玉虫ブルーのチュールレースに芥子色のリボンが編み込まれている、下はブルマータイプの
ショートドール。俺の好みはそんなにわかりやすいのだろうか、ドンズバだ。
「中身が…」
 最後まで言わせずに枕がとんで来てくれたおかげで、オムレツ冷めるぜ、とその場を切り抜けられた。
 それだけだ。だけれども。
464サウラとアイル@ピーチドリーム:2007/08/20(月) 05:37:15 ID:fnFrsRQK

 全くないと思っていた二つの丘の傾斜が頭から離れない。その頂にある小さな赤いポッチが
チュールの間から見えたことを、サウラは一生忘れないだろうと思った。
 可愛い…可愛らしいあのささやかな胸を、***したり****たおしたりする自分の妄想に
取り付かれている。鼻息が自然に荒くなる。隣の黒ウサギの顔が見たいのに見れない。少年か、俺は?
 骨張っているが握ると柔らかい女の子の手を、今朝からずっと握りしめ歩いてる。
「迷子になるなよ。」「今の本当は怖かっただろう。」「親子に割引使えるかな。」なにか話し続けないと、
この手をもっと強く引き寄せてしまいそうなサウラだ。まったくこんなにくたびれる事は無い。
 
 さっきまで同じようにお昼ご飯を食べたり芝生に転がったりしていた家族連れが、いそいそと消えて行く。
午後のアトラクションの時間だろう。だがサウラはここがメインなのでわざわざ夕方の時間をキープしていた。
時間稼ぎが理由でもある。なるべく遅く帰って、即就寝となるように、だ。
 二人きりにはなりたくない。昨夜みたいに誘惑されたら今度こそ、きっと自分を押さえられない。
 広場には小さい赤ちゃんを連れた家族と数組のカップルが楽しそうに話したり、いちゃついたりしている。
 その様子を不機嫌そうに無言で眺めるウサギさんチームだった。が。
 
「もうやめた。」
 お弁当を食べ終えて、黙々とデザートの果物を口に含んでいた黒ウサギは、急に立ち上がりそう言った。
「おい言っとくが、キープしてるパスのアトラクション乗らずには帰らねえぞ。」
 意地でも夜までいるつもりのサウラだ。たとえアイルがどんなに退屈でも…。
「ううん。つまらないふりするのをやめるんだ。」
 耳を疑った。アイルは急にダッと走り出し、丘の緩やかな傾斜をころがるようにおりて行き、
下の花時計の花壇をぐるりとまわると、またサウラのもとに駆け上がってきた。逃げたかと慌てて
後を追おうと立ち上がりかけてたサウラの膝元に、四つん這いに滑り込む。
 ハアハアと息を切らした黒ウサギが、耳を揺らして「わん」と鳴いた。
「ウサギだろう。」
「だってウサギの鳴き声なんて知らないよ。ボス知ってる?」
「…チュウ、とかだったか。」
「あはは、ネズミだよそれ!」
 ぱあ、と花が開くように笑ういつものアイルだった。つられてサウラも笑った。だが心は泣きそうだ。
嬉しくて…愛おしい。 
 はは、は…と笑いが消えていき、鳶色の瞳がつやかに光ってサウラをうつした。
「…チュウ。」
 小さな唇を尖らせてサウラのそれにぶつけてきた。幼いキスに息がとまる。
「…これくらい、いいだろうと思って。」
 言い訳をつぶやきながら、かかか、と顔を紅潮させると、はずかしいのか目を合わさずに、
今度は体をぶつけてきた。今のキスと同じように、緊張に体を尖らせて、サウラの胸に顔を埋める。
鼻先で黒いウサギの耳が揺れている。…俺の黒ウサギ。

 身動き一つ出来ずに固まったままのサウラの胴に、アイルが腕を回し頬ずりする。
「ありがとう、ボス。つれて来てくれて。」
「…楽しいか?」
「うん。」
「そいつはよかった。」
「ボスと一緒ならほんとは何でも、どこでも楽しいんだろうけど。」
「……」
「一番したいのはエッチだったけど。」
「………」
「一番一緒に行きたいところはエバムフェイラだった…。」

465サウラとアイル@ピーチドリーム:2007/08/20(月) 05:39:43 ID:fnFrsRQK

 小さい背中に腕を回し肩を抱いてやると、アイルが声を殺して泣き始めた。
「声、殺さなくていいぞ。」
「…同じ事、はめ撮りのときいつも言うね。ツボなの?」
「阿呆。」
 ぽん、と頭を小突き帽子の上から撫でる。耳が邪魔だ、とサウラは思った。
 周りを確かめ、まばらの人影のこちらを見てない様子をたしかめると、サウラは返りをうって
アイルの頭を腕枕をして横抱きにしてやり、周りから隠すようにその身で覆うと、ウサギの帽子をとり、
現れた柔らかい巻き毛をくしゃくしゃとなでた。
 それを合図に、アイルが堰が切れたようにワッと泣き出した。
「…っう、ふっ、…ああっ、ん!」
 お父様、お母様、と小さく聞こえた。
 お兄様、お姉様、下のお姉様、妹達。ああ、第三王女だったっけ。
 弟達!…何人いたんだ兄弟…?
 それから従兄弟、親戚、たくさんの友達の名前を口にする。ああ、友達多そうだよな、こいつ。
 執事に使用人、町のパン屋から、果てはロバや犬猫、それからエバムフェイラの地名を思い出す端から
呪文のように唱える頃には、もう泣いてはいないようだった。
「…え〜と、ギエムホーン…はさっきも言ったっけ。あれ〜、北部の山脈、名前なんだっけ?」
 ボーなんとかッシュなんだけど、と俺に訊かれてもわからねえぞ、とサウラはすっかり泣き止んだ
アイルを見て苦笑する。
 いい子だ。だが、いい子すぎるぜ。俺にまで気を使わなくていいだろうに。
「…へへ、忘れちゃった。終わりっ!」
 赤くくしゃくしゃになった顔でえへへと笑って、ふうーと長い息を吐いた。土の匂いがする、と目を閉じた。

「エバムフェイラにいるみたい。」
「…そうか、俺も今そう思っていた。一緒に来れたな。」
 二人一緒にふふ、と笑った。
「ボクもう、自由の身なんだよね?」
「ああ。」
「この姿のまま、自由の身で、追悼終わったよ。」
「…そんな簡単に終わらすな。」

 横たわったまま二人の目が合った。アイルの顔はもう可哀相な子供のそれではなく、その目は力強かった。
「もちろんこれからも何度もエバムフェイラを悼むよ。故郷を無くした悲しみが、消える日が来るわけないだろう、
ボス。アンドロギュヌス皇帝の隠し子なんだって?」
 サウラが顔をしかめたのでビアンカにきいた、とアイルは続けた。
「お父さん死んじゃったね。悲しくないの?」
「そんな親子関係じゃなかった。」
「それがボクにわからないように、ボクのエバムフェイラを悼む気持ちもボスにはわからない。」
 ああ、この少女は…。サウラは自分の思ったことに、自分で煽られる。
 思った以上に、この娘はすでに大人だ。慌てて否定する。いや、まだ子供だ!
「弟みたいにでもいいんだ。ボクの事、好きでしょうボス?」
「……」
「一緒にいたらどうしてダメなの?どうして別れなきゃいけないの?何が迷惑なの!?」
「……」
「生活費ならボク稼げるって言ってるじゃん。この特殊能力はいい見せ物に…。」
「弟を見せ物になんて出来ない。」
「妻は出来ても!?ビアンカはっ!」
「あいつはもともとが女優だから…!」
「じゃあボク、他のAVで女優デビューして、ボスに売り込みにくる!」
「そんなの許さねえぞ、アイル!」
 二人して、にらみ合う。

466サウラとアイル@ピーチドリーム:2007/08/20(月) 05:46:04 ID:fnFrsRQK

「…言ってる事むちゃくちゃだよ、ボス。」
「無茶な事はいってねえ。お前は明日辺境惑星行きの船にのって、別の星でまっとうに幸せな人生を…」
「空港で見知らぬチンピラに犯されて即バッドエンドだよ。」
「それでも可能性はゼロじゃない。このまま俺の船にいたら幸せになれるチャンスもない。」
「ボクがいて…邪魔だった?」
 さすがにあからさまな嘘はつけないと、サウラは首を横に振る。
「楽しかったよ、アイルが来て…。」
「じゃあどうして…。」
「あの船は俺の人生のステージで、お前のじゃないからだ。」
「ふん、変わるのが怖いんだ。意気地なし!自由の身で追悼式しなきゃいけないのはボスの方じゃん!」

 ばっと腕枕を引き抜き身を起こす。急に枕を失いアイルは地面に頭を打った。サウラを見ると顔を青くして
怒りに唇が震えていた。こんな彼を見るのは初めてで、アイルは言ってはいけない事を言ってしまった事を知った。
 サウラはサウラで自分でも驚くほどの動揺に呆然としていた。
「あ…あの、ボク…。」
 風がざあ、と背後からふき、足下に脱ぎ捨てていた黒ウサギの頭が丘を転がりおちていった。
「ボク…拾ってくる……。」
 茫然自失のサウラに背を向け、さっき駆け下りた傾斜を、とぼとぼとおりて行く。サウラはアイルの視線から
逃れると、大きくため息をついてその場に座り込んだ。自分が大人である事を確かめるように口ひげをかりかりと
何度も撫でた。こんなもの、生やしていたって、自立した大人になった事にはならない。

 アイルに追いつめられなくたって、自論が破綻している事くらいわかってる。本当にアイルのことを思うなら、
皇帝に命じられた任務が解かれたところで、このまま一緒に今まで通り暮らせばいいのだ。それこそアイルが
自分から出て行きたいというまで、生活費が増えることなんてなんの言い訳にもならない。
 帽子は花時計の十一時の文字のあたりにとんでいて、それを取ろうとアイルが生け垣を大股開きで飛び越えるのが見えた。
短い髪を午後の陽に光らせて、長い手足がのびのびと動く。少年みたいだ。
 はは、おてんばめ。
 あの自由な四肢を押さえつけ、自分の欲望に拘束し、そのままで魅力的な肢体を、俺の腐った理想の性の対象に
変貌させるなんて耐えられない。変えるのは嫌だ。変わるのも…。
「…そうだ、怖い。俺を縛る血の拘束も、任務も,無くして、自由なお尋ね者になって…それで…。」
 隠して来た事をよりによってアイルに暴かれた。
「それでこれからどう生きればいいのかなんてわからない…!」
 父を恨んで生きて来た。軍の上層部の侵した罪をなすりつけられ、追われるかわりにしたくもない仕事を、
父親の命だからこそやってきた。重ねる罪と恨みが自分と父の絆を深める気がしていた!
 父親に愛されなくて傷ついていた自分を、認めたくない。あまりにも、滑稽だ!
 それに比べてアイルはどうだ。その身の特殊性を認め、受け入れ、自分の新しい人生に踏み出すのに
利用さえする、明日を畏れず欲しい物を叫ぶ。…幼く臆病な子供は俺の方だ。

 帽子を拾って頭に被る。黒いウサギがさっきと同じように生け垣を跳ねる。レンガの柵を越えて
やっと花時計から抜けたアイルがこちらを振り返り、戻ろうと踏み出す足を止め躊躇する。
大丈夫だ、怒ってねえよ、図星を指されてみっともなくて、落ち込んでるだけだと、力なく手を振った。
アイルの顔が安堵にほころび、駆け出そうと倒した体の後ろで、灰色のエアバイクが止まりアイルを抱き上げ荷台に引き入れた。
「アイル……っ!!」
 立ち上がり駆け出した時にはすでにバイクは遊園地の柵を越え、反対の大人の遊園地へ消えて行った。
 油断した…!!今のバイクは…!
 見覚えがあった。二年前、サウラが皇帝の使いでアイルを迎えに来た時に、高額を提示してアイルを捕らえていた
王族に、連邦国からの独立支援を申し出た、独立君主国。その諜報部が使うタイプFの低空走飛行機!
 くそっ、と舌打ちし、サウラはバイクが消えた方角を確かめると、きびすを返してその逆の、
自分の乗って来た移動船を止めてある遊園地のパーキングに走った。
 
467サウラとアイル@ピーチドリーム:2007/08/20(月) 05:53:06 ID:fnFrsRQK
 ・・・・・・・・・・・・・

 ほらね、やっぱりこうなるんだ。
 後ろ手に縛られ、帽子の上から猿ぐつわをされたアイルは、背中から押されるように地下のネオン街を
歩かされていた。地味な地上の建物からは想像できない派手なイルミネーションと、騒々しいまでの人の数。
 アイルを捕らえた細い長い蜘蛛のような男が、灰色の目にネオンを映し縛りながら言った台詞はこうだ。
「久しぶりだなお嬢ちゃん。俺様を覚えてるかな、ハニー。」
 覚えているとも。私の…。アイルは絶望に顔を歪めて思い出しかけた記憶を消そうと、何度も強く瞬きした。
「覚えてるようで嬉しいねえ。ファーストキッスの相手だもんなあ。」
 くっくっくっと、肩を揺らし笑うと、さあ歩けと後ろ手をぎりぎり引き締めて誘導する。逃げようとしても
無駄だぜ、どうせおまえの運命は一つ。そう言って片手でアイルの小さな尻に手を這わす。悪寒が背筋を駆け抜け
猿ぐつわを噛み締めた。二年前とまったく同じだった。
 蜘蛛男は大きな広間の脇を通り抜け、その奥の最上段の人だかりにアイルをつれて入って行った。
周りのSPらしき屈強な男達が蜘蛛男に頭を下げる。うやうやしく配された大きなパチンコ台に
夢中になっている男の前にアイル突き出された。男は苛立たしく振り返り、猿ぐつわをされた黒ウサギ帽の
色気も無い少年を興味無さげに一瞥し、またパチンコ台に向かったが、蜘蛛男になにやら耳打ちされて、
おお、とにこやかに振り返る。アイルをまじまじと覗き込み、ウサギ帽子に指を突っ込み秘かに隠れた耳を
確認すると、いやらしい笑いを浮かべて蜘蛛男にでかしたと言った。そのままあごで何やら示唆をして、
またパチンコ台にむかった。玉はまったく出てない様子だった。ひと玉4000もするのに酔狂な…、
やっぱ沼は…。そんな…ざわ…ざわしたざわめきの間を抜け、またネオンの通りに戻る。

「こっちだ。」
 おそらく男の根城になっているのだろう、黒服のSPがまばらに配置をとる小さなテント小屋につれてこられた。
おっさんが帰ってくるまで誰も近寄らせるなと言って、キリムの絨毯敷きの一部屋に乱暴に転がされる。
 重心を乱して一瞬足が大きく開いた。
「たまんねえな…。」
 気づけば男の息が荒い。あわてて閉じる細い足を、足首を持って軽々開き、尻が持ち上がるほど高く掲げられ
股間を凝視される。ハーフパンツの上からとはいえ、その淫猥な視線に鳥肌が立った。
「とっくにやられてると思ってたんだがねえ。」
 そのまま足の間に細腰の体を押し入れ、内股をれろれろと舐め回しながら上がってくる獣に、
アイルは我慢できず身をよじってうめいた。服の上から股間に顔を押し付けて、くんくんと匂いをかがれる。
さすがにしょんべん臭くはもうねえなあ、と下卑た事を言われ、否が応でも二年前の屈辱を思い出す。
にやにやしながら猿ぐつわとウサギの帽子をはぎ取られ、尖った耳たぶをわざわざ露にして、まだ処女とは…!と高らかに笑った。
「さすがにサウラのおっさん、女に不自由してねえな。理想の巨乳美女なんて飽きるほど抱いてるだろうしな。
アンドロギュヌスのじじいもいい人選してくれたぜ。おかげでおまえの賞品価値は二年前のまま、
宇宙一の高額奴隷で、……ひひひっ。」
 男がアイルのシャツのボタンをひとつひとつ、吐き気がするほど丁寧に外していく。
「おお、いい具合に育ったねえ。巨乳が好きなんてマザコン男共の気が知れねえぜ。俺はこのくらいが
一番の好みだね。手に収まる程度にほんのり柔らかく、さきっちょの小さないちごちゃんも…。」
 めくりがてらに布で引っ掛けつんつんと刺激する。顔をしかめるのは感じてるからじゃない、
不愉快だからだ。なのに男は嬉しそうに何度も何度も手も触れず嬲る。細やかな刺激に小さな胸が震えて、
ついに赤い先端が露になった。ひゃほーいと、おおげさに嬌声をあげ、男がすぐさま口にくわえた。
「いやっ…!!」
 思わず拒絶の声を上げてしまった。一声も漏らすものかと、歯をくいしばっていたのに、
アイルはされてる仕打ちより、こらえられなかった自分の失態に泣きたくなった。
 なだらかな胸の傾斜ごとべろべろと舐め上げられ、涎にまみれる胸をささくれた手がこね上げる。
痛々しく尖った乳首が左右交互に口に含まれちゅぱちゅぱ音を立て吸い上げられている。
「…うっ…っく…、…っ。」
 逃れようと身をよじっても、縛られた後ろ手がきしむばかりだ。
468サウラとアイル@ピーチドリーム:2007/08/20(月) 05:56:40 ID:fnFrsRQK
「ほおら、ちゅーしておくれよ。セカンドちゅー。」
 両の手で胸をこね回しながら首筋を男の舌が上がってくる。顔を背けて抵抗したがあえなく唇を捕らえられ
気持ち悪いぬめりが無理矢理押し入って来た。噛み切ってやろうと歯を剥いたあごを、片手で固定され
それもかなわず、ぐちゅぐちゅと口中をかきまわされた。二年前もこんな風に初めての口づけを奪われた。
 バーカ、セカンドキスは、ボスとしたよっ!と心で叫んで思わずそんな自分をあわれに思った。

 ううん、こんなのキスじゃない…、さっきした、あれがボクの初めてだ。そう思っていいよね、ボス。

 流し込まれる汚らしい唾液にげほげほと咳き込み、それでも黙して身をよじる程度の抵抗を見せるアイルに、
蜘蛛男は心底嬉しそうに体をすりよせる。固く勃起した彼の欲望が服の上から股間を上下する。
「ああ、たまらん、たまらねえ気の強さだねえ、アイルハタファビエ!おまえはいい、
そのまんまで俺の理想のボーイッシュお姫様だ。まったくフェイラ星人じゃなかったら、
このまま俺の物にするんだが。あいにくお前についた報酬の額は色欲を凌駕して魅力的だからなあ。
だが、まあ、要は入れなきゃ変態しない訳だし、こうして楽しむ分は…」
 ふいにひっくりかえされ下着ごとパンツが引き下ろされ、小さな丸い双丘があらわになった。
その片方にかじりつく。アイルはびくん、と身を縮め、だが同時に聞いた台詞に硬直した。
「…なあ、こっちの穴に入れる分にはどうなんだ?フェイラ星人。」
肉付きもひかえめだがつんと上がった形のいい尻肉を、両手でぐにぐにもむと男はにやあと笑って肉を広げる。
「…やっ!」
悪寒に声を上げ、両足をばたつかせるが、男の体に押さえつけられ逃れられない。
「おいおい、我ながらいい案じゃねえの!?要は処女のままならいいんだろう!?
ケツはいいんだろう!?ああ、お嬢ちゃん…ひくひくしていやらしいぜここ、なあ、誘ってるんだろう…?」
長い舌が伸びてつんつんと菊門をつつく。
「ひい…っ」
 さすがのアイルも戦慄した。そんな…!そんな、そんな、そんなとこ!?ああ、だけど確かにピーチドリームの
ビデオでも…、サウラはしてなかったけどもっぱらトビーが…、ああ、確かに変態はしないかもだけど!
「いやっ!いやいやっ!お願いっやめてーーー!!」
 声を限りの絶叫に興奮していきり立つ蜘蛛男だ。
「いいね、いいね、そうでなくっちゃ!へっへっへっ!」
うつぶせに後ろ向きのまま両足を抱えられ、尻を高く持ち上げられた。肩で体重を支えて
剥き出しの鎖骨が床に擦れた。腰骨を押さえつけられ引き寄せられる。
「あっ…あっ、やだっ、いやだ……っ、いやあ----っ助けて…ボス--------------っ!!」

 アイルの目から涙が吹き出し、光を受け目の前が白んでかすんでいく。
 そこにサウラの姿が一瞬移ったように思った。


469サウラとアイル@ピーチドリーム:2007/08/20(月) 06:00:31 ID:fnFrsRQK

 ああ、ボス…
 ほらね。こんなふうに人生は次の瞬間が予想できない
 さっきまで確かにボスとお花畑で幸せだったのに
 ボクのたった一言でボスをなにか怒らせたように
 エバムフェイラが爆発しちゃったように
 変わらない事なんて何も無い
 変わらずにいれる事も本当は何もないんだ
 だからボクは…
 だからボクらのいつものあの夜のささやかな時間の幸せを
 いつもの夜にしてくれたあなたと
 
 いつまでも変わらず一緒にいたい
 そのためならこの身が変わる事も
 そのためならあなた以外に抱かれたって…
 
「そう思ったけど、やっぱりいやだあ----------------っ!!」
 


 ……ーィッッシュッ!  ……ボーィッッシュッ!


 二発。消音した銃の鈍い音がして一瞬空白の時を感じた。
「うゲアアアアアああああっ!!!」
 背後に獣の絶叫を聞いて恐る恐る振り返る。
 精悍な体を仰ぎ見て、見慣れた口ひげに気づくより先にボスだと思った。
 部屋のライトがちょうど逆光でまぶしくてよく見えない。光が目をさすのを気にせず
大きく目を見開いてただその方向を見つめた。
 
 サウラは蜘蛛男の跪いた両の足を、的確に腱を狙って最初の二発を撃ち、アイルが見てる前で
その剥き出しの股間のいちもつにもう一発、失神寸前に絶叫する男の口から舌を引き出し、
口角からそれを引き千切るように最後の一発を撃った。どさりと男は白目をむいて倒れた。
「…やり過ぎじゃないの…?」
 以上を淡々とこなしたサウラにアイルが怯えてそう言った。
「死んでねえよ。再起は不能だろうけれど。」
 倒れた男を足蹴に転がし腰のエアバイクのキーを奪うと、忘れていた、と蜘蛛男の
両手のひらを重ねて撃ち抜いた。
「二年前にこうしてれば、おまえがこんな目に遭うこともなかった。」
 アイルは軽いめまいを覚える。これは…ボクのための制裁か…?
 縛られた後ろ手をナイフではずしてやり、赤く擦り剥けた手首を撫でた。
 アイルは大丈夫だよ、と手首を振り、サウラの視線に気づいて慌てて身を繕う。
「…どうやって…」
 アイルの問いをかき消すようにバラバラとヘリの音がした。ここは地下なのに?
470サウラとアイル@ピーチドリーム:2007/08/20(月) 06:06:19 ID:fnFrsRQK
 無言で抱き上げられテントを出ると、賭博の町はもうもうと煙を上げあちこちに炎が見える。
漏電と強引な踏込み捜査のためだろう。あんなにいた人の群れは見当たらず、ネオン街の天井に大きな穴が
あいていてそこから夕陽が見えていた。奪ったキーでバイクが動くのを確かめると、懐にアイルを抱いて
飛び立った。連邦保安局と書かれた大きなヘリが入れ替わるように降りて行く。その窓際にひかえめに敬礼する男が
見えたような気がしたが、無視して飛び去るサウラに、わざわざ聞かないアイルだった。想像でしかないけれども、
連邦保安局に皇帝の…サウラの身内か力になってくれる誰かがいるのだろうと思った。そしておそらくサウラは
自分のために彼らに頭を下げたのだ。…ああ、ボス。
 そのやり取りを想像してアイルは胸が熱くなり、サウラの懐で彼のためにこれだけは言おうと勇気を出して、
伸び上がって耳打ちした。

「ボス…ウサギの片耳焼けてるよ。」

 サウラはものすごい勢いで片手で白い帽子をはぎ取り、夕焼けの空に投げ捨てた。

・・・・・・・・・・・

 そのまま遊園地を後にするものと思ったアイルは、誰もいない柵の端にバイクを乗り捨て、
ずんずん歩いてくサウラの向かう方角を見てあきれたように言った。
「そんなに観覧車に乗りたかったの!?」

 移動遊園地の目玉でもある大きな観覧車のファストパスを握りしめ、長蛇の列を横目に乗り場へ向かう。
「連邦保安局がカジノに一斉取り締まりをしてるんだ。ここから逃げようとしてるやつらとそれを取り締まろうと
保安の連中で港は今ぐちゃぐちゃだ。わざわざ捕まるより、当初の予定通り遊んで帰ろう。」
 見ると今まさに並び始めた客を、保安局員らしき男達が怪しんで取り調べている。
こちらにきそうなところを遊園地の職員が、こちらのお客様は大丈夫です朝一番にとられたパスを
お持ちですから、と助けてくれた。不幸中の幸いだなあ、と二人でゴンドラに乗り込んだ。

 大きな大きな観覧車はゆっくりと空に昇って行く。大きい円なので隣のゴンドラも離れていて
せいぜい人影を認める程度にしか見えない。
 二人は対面に座り合って黙って外を見つめていた。外の観客から見えない位置にまで昇ったのを確認して
アイルはサウラにコーヒーはまだあるか聞いた。サウラは黙ってポットをよこした。
「言い忘れてた。助けてくれてありがとう、ボス。」
 サウラはうん、と言ったきりやはり黙っている。アイルはしばらくもじもじしていたが
意を決したように、あのね、ときりだした。
「ちょっとの間目をつぶっててくれる、ボス?」
「なぜだ、景色が見れないだろう。」
「すぐすむから。」
 そういってもう我慢できないとばかりにシャツのボタンを外し始めた。サウラが慌てて目を逸らす。
「おい、何を…。」
 
 アイルはシャツを脱ぎ捨てて、上半身裸になると、ポケットのハンカチにコーヒーを思い切り浸して、
それでぺちゃぺちゃと体を拭い始めた。
「臭いんだ。あいつの唾液が…。」
 顔を背けて目を閉じていたサウラのこめかみがぴくりと動いた。
「気持ち悪かった…手も口も…。」
 とにかく胸が気持ち悪いのか、何度も何度もごしごしと擦り、思い出したかのように
コーヒーでうがいをする。ぐちゅぐちゅぺっ、という音を三度きいて、耐えきれずサウラがアイルを呼んだ。
471サウラとアイル@ピーチドリーム:2007/08/20(月) 06:12:51 ID:fnFrsRQK
「こっちに来い、アイル。」
 目は固く閉じている。それならば、とおずおず近寄り目の前に立つと、腰に手を回って
すんなり膝抱きにされた。見えてるのかと思うくらい必要以上にアイルに触れずにふんわりと腕に抱かれる。
「泣くな。」
 そう言われて泣いてる自分に気がついて、コーヒーで顔を拭く。
「泣いてないよ。」
 見上げたおでこにサウラの唇が触れた。そのまま、まぶたに、頬に、小さな口づけは降りて来て、
尖った耳たぶにとまると、聞こえるか聞こえないかの声で、可哀相にとささやいた。  
「…っん。」
 その声があまりに甘く、優しいので驚いて身を縮めた。アイルは首筋に電気が走ったような気がして、
急にドキドキと胸がなる。その胸が今は剥き出しにさらされてるのが、自分がそうしたくせに
たまらなく恥ずかしくなり、胸を隠して立ち上がる。それを腰に腕を回してサウラが拒み、
また自分の膝上に引き寄せた。目が合った。
「目…目えつぶってって言ったよ…?」
「そうだったか…?」
 ふふ、とサウラが優しく笑い、またこめかみにキスをしてくれたのがアイルは嬉しくて、
でもいたたまれない気持ちに身を震わせた。コーヒーで茶色に染まったハンカチと小さな両手で胸を隠す。
その胸元の鎖骨のすりきずに気づいてサウラは思わずそこをぺろりと舐めた。
「あっ…。」
 急な行為に声を上げ身を固くする。
「あ…。」
 その様子に今度はサウラが声をあげ、苦虫をつぶしたような顔ですまんと言った。
「舐められて気持ち悪いといってるのにな…。」
 そう言って顔を離したサウラの頭を思わず捕らえて抱きしめる。ああ、ハンカチ外しちゃった、と思いながらも
アイルはドキドキと早鐘を打つ自分の小さな胸にサウラの顔を押し付けた。

「舐めて。」
 口をついて出た台詞に自分でびっくりだ。だけど一度発してしまった望みを押さえるつもりは毛頭ない。
「お願い、舐めて…せめて触ってボス…。あいつの手触りとか残すの嫌…。」

 嘘だ…!ただボスに触って欲しいだけのくせに、なんて浅ましいんだボク…!
 恥ずかしい、きっとボスはそんなこと気づいてボクに呆れてる。でも…、でもお願いだ!

「ボ…」
 がぶり、といきなり歯をたてる。
今にも消え入りそうにプルプルとささやかな肉を揺らしていたアイルに、
乞われる以上の積極さでサウラはそれにこたえた。
 両手で柔らかな肉を掴み手のひらでくるくるとかき回す。
 指の間から飛び出た小さな赤い尖りを何度も口に含んで転がした。
「…っあ、あっ、ああっ…っ!」
 高まる欲望にこらえきれずサウラの首筋に腕をまわした。
 顔を上げたサウラと目が合い、どちらからともなく唇をかさねた。
「んん…あっ、…っ」
 アイルは自分から舌を入れたつもりだったが、いつのまにか口中にサウラの大きな舌を感じて戦慄いた。
 ああ、ボス、好きだよ、大好きだ!ずっとずっと、こうしたかった!!

「こんなふうに口を吸われたのか…?」
 サウラが怒りを含んだくぐもった声で訊いた。
「ううん、もっと、もっとぐちゃぐちゃって…っ。」
「こうか…?」
 大きく口を開かされ、上あごから舌の付け根までべろでぐちゃぐちゃにかき回される。
 その間もサウラの手は荒々しく胸をまさぐり、時々思い出したかのように乳首をつまむ。
背中に回されたもう片方の手が腰から尻に降りて行き、柔らかい肉をなであげる。
 目もくらむ快感にアイルは立っていられなくて、座らされた膝から体を反らせてずり落ちた。
それをサウラが引っ張り上げ抱きしめる。
472サウラとアイル@ピーチドリーム:2007/08/20(月) 06:16:20 ID:fnFrsRQK
 小さな体がハアハアと息を乱しぐったりとサウラに体を預けるので、この持て余し今にも暴れだしそうな欲望が、
愛情なのか、肉欲なのか、ただの独占欲なのかわからなくなっていた。わかるのはここが観覧車の中で、
下についたら公衆の目があるということと、もう一つ、どうしても今すぐシャブリつきたい場所があるということだった。
サウラは外の景色を見て、やっと半分の頂上付近にいることを確認すると、だいじょうぶだ、やめられるから、と
自分に言い聞かせてアイルのハーフパンツに手をかけた。

 アイルが驚いてその手に自分の手を添える。
「まだあるだろう、あいつに舐められたとこ…。」
 はっとして、アイルがそこはいいと小さく拒んだが、サウラは聞かずに一気にずり下げた。
「やっ…」
 そのまま焦げ茶のショーツも続けて降ろそうとずらすとアイルがいやいやと首を振る。
 有無を言わさず腰を押さえて可愛いお尻を夕日にさらす。きれいな丸みに一瞬うっとり指を這わしたが、
片方の丘に赤く噛み付かれた後を見つけてサウラは苛立った。
 俺のアイルがあんなやつに。やはり殺してしまえばよかった。
 さっき助け出すとき見た光景が思い出されて焼き切れそうに嫉妬する。誰に?
アイルに劣情を向ける世界中の男にだ…!
 赤い跡に噛み付いて強くすいあげた。アイルが声を上げ腰をよじったが抱え込みさらにしゃぶりつく。
 すべすべの尻にいくつも赤い跡をつけ、それからやっと丘を開いてその奥できゅうっと締まる
小さすぎるアヌスを目で捕らえた。
 こんな聖域を侵そうとするなんて信じられない、変態め!
 サウラはわなわなと、震える手で思いきり左右に尻の肉を分け、おそらくあの男がしたであろう通りに、
舌先を尖らせて小さな裂け目を濡らした。

「いやっいやっ、ばかっ、ボス-----っ!!」
 アイルの羞恥の叫びに舌を引っ込めそのまま内股に這わせることにする。いつのまにか向かいのシートに
体を押し付け、アイルは二つ折りにした体をびくびく震わせて、突き出したお尻をサウラに嬲られていた。
それで終わらすつもりだったサウラだが、突き出された臀部側から柔らかそうなピンクの皮肉が光るのを認めて、
そのままそこに口づける。
「んやああんっ…!!」
 アイルがしんじられないほど可愛い声で啼くので、我を忘れて責め立てる。
 暴れる手足を背後から押さえつけて、クチュクチュと陰部を唇ですすりながら舌を伸ばすと、
コリっとした尖りが舌先に触れた。クリトリスだ。
「……ひああっ……っっ!」
 アイルの体がガクガクと震え、秘部からわあっと愛液が溢れて来た、とたん。

 …間もなく、地上、降り口は左側、本日は誠にありがとうございました…

 アナウンスに我に返り、慌ててアイルに服を着せる。アイルももつれる足でパンツをあげて、
帽子の変わりに持って来たバンダナを巻いて耳を隠す。お互い顔は真っ赤だった。
「ありがとうございました。股のお越しを。」
 また、という字が違って聞こえる。絶対バレてるだろうが、よくあることなのだろう、
顔も見ずそっけなく、というサービスで、観覧車の職員は二人を送りだしてくれた。


473サウラとアイル@ピーチドリーム:2007/08/20(月) 06:22:40 ID:fnFrsRQK

・・・・・・・・・・

 帰路は大変に長く感じた。
 当然のごとく何も話さないアイルと、ただ黙々と手を引き歩くサウラ。遊園地を後にすると、
お互い黙って宇宙船に乗っていた。
 二人に訪れた夜は、今朝と同じようでいて、まったく違う。
 
 夕食は帰り際に買ったテイクアウトのお好み焼きとコーラで宇宙船内ですませた。
 ピーチドリームに帰って来た時はもう夜も遅く、疲れたな、とつぶやくと、そうだねと返って来た。
 二人してシャワーを浴びてもう寝る事にする。おやすみ、と言い合ってそれぞれの部屋に消える。
 ブラボー!計画通りだぜ。

 明日も予定通り、朝食を作ってからあいつを起こし、ギャラクシーポートで最後の食事を一緒に取ろう。
それからどの方面に行くか決めさせて、銀行で降ろした選別を渡し、あばよ、達者でなと手を振るのだ。
 それでいい。
 これでいいんだ。

・・・・・・・・・・・

 …本当にいいのか?

 一度はシーツの隙間に身を埋めたサウラだが、予期していたとおりの感情の荒波に、降参して起き上がる。
 
 いや、いいんだ。俺が抱いてあの子を変な金髪女にするくらいなら…。
 他の男にやられちまっても?それを自分が知らないだけで、アイルが本来のアイルのままでいると、
本当にしんじられるのか?

 思考停止。本当は…。
 いやいやこんな夜はとにかく一発抜いてすっきりさせて、答えを出すのはそれからだ。
 だがだめだ、あいつで抜くのはだめだ!
 かといって、ビデオで抜く気にもならない。職業柄あらゆるニーズに応えるだけのライブラリーを
そろえるサウラだが、今日の気分を慰めるジャンルはまったく思いつかない。

 サウラはまるで十代の少年のような自分の夜に、自嘲せざるを得なかった。
 ごまかしても無駄だ。体が今日のアイルを覚えている。
 あの可愛い蜂蜜の頭をかき撫でて、可愛いささやかな胸に妄想通りしゃぶりついた。
可愛いお尻の間から濡れる陰部を見た時は、初めて女性器を見た時みたいに興奮して我を忘れた。
ああん、と戦慄いた、可愛い声。恥ずかしそうに「舐めて」と言って来た時は、自分の妄想が
幻聴を聞かせているのだと思った。口づけると小さな舌を差し入れてきて、ねぶると震える柔らかい唇。
 遊園地につれて来たサウラの思いやりをくんで楽しんでくれた。
 フェイラ星を悼んで泣いた。
 どうしようもない悲しみを歯を食いしばって乗り越える、そんなことをもう知っている。けなげだ。
 俺の幼いごまかしを見抜いて突きつけた、賢い子だ。傷つけたと自分も傷つく、優しい子だ。
 俺を好きだと叫ぶ。…ため息だ。
 …可愛い。
 あいつの何もかもが可愛くて、頭からむしゃむしゃ食べてしまいたい。
 手放したくない。
 誰にも渡したくない。
 変えたくない。
 そのままのお前を、その姿のまま愛している。
 本当は…今はもう、今日の事で嫌われたのではないかとそればかりがただ怖いのだ。

474サウラとアイル@ピーチドリーム

 落ち着くためにブランデーをとりに向かい、グラスに注いで匂いをかいだ。
「ボクにもちょうだい。」
 声に驚いてグラスを落とした。幸い割れずに転がったので甘い匂いが部屋にひろがる。
「あ〜あ。なにしてるの。」
「なにをしてる、はこっちの台詞だ。」
 声の主に振り返り、またくるりと背を向ける。
 このやろう…今朝のベビードールを着てやがる。
 サウラはタオルで床のブランデーを拭き取りそれをシャワールームに放り投げると、冷蔵庫から
シードルを取り出しこれくらいならと、アイルに渡した。
「それを飲んだら帰りなさい。」
「ゆっくり飲んでやる。」
 ポン、とあけた炭酸の小瓶をカチン、とあわせて乾杯した。何に?…二人の夜にだろう。

「待ってたのに来ないから来ちゃった。」
「俺がお前の部屋に行くとでも?」
「今日の事、話し合わなきゃ眠れないでしょ、ボス。」
 全くその通りで苦笑せざるを得ない。
「何を話し合う?」
 ちょっといじわるだが、アイルがどう出るか見てからだって遅くない。
 アイルはベッドの端に座っており、サウラは冷蔵庫の横に立っていた。どちらかが、動かなければ
二人の距離は縮まらない。それは二人の関係や心の距離も同じである。そしてなしくずしに近寄るなんて芸当が
まだ出来ない処女に、この夜の主導権をまかしているサウラは、ちびちびシードルをすすり
言いよどんでるアイルを辛抱強く待った。

 シードルが残り二口程度になっている事に気づいてアイルが慌てている。飲んだら帰れという台詞を
真に受けているのだろうか。全部を飲み干さず床に置いて、意を決したようにくるりとこちらを向いて座る。
「ボス…っ!!」
「うん…?」
「結婚して下さい。」
 ぶわっとサウラはシードルをむせて噴いた。あらあらとばかりにタオルを取って来てサウラの体と
トランクスを拭う。こら、どこを触っている、どこを…!
「おま…何言ってるかわかってんのか!?俺バツ3だぞ!結婚はこりごりだ!!」
「だって、結局まとめるとそうなるんだもん。」
「まとめず順番に言ってみろ。」
「ずっとここに住みたい。」
「なるほどな。」
「AV女優にならなくてもいい。」
「諦めたか。賢明だな。」
「ボスとえっちしたい。」
「……。」
「ボス以外とはしたくない。」
「……。」
「ボスを愛してる…。」
「…それだけか?」

 いじわるだろうか。だが俺は、おそらくおまえ以上に幼い俺は、お前が言った通り変わるのが怖い。
 愛されない恨みからどう生きて行くかのナビがなければ、自分の一歩を踏み出せない。

 見つめ合う二人の間の沈黙の重さが、かえって二人の動きを止めさせていた。
どうしていいかわからず、これ以上何を言えばいいのかわからずアイルは途方に暮れている。
みるみる瞳に涙が浮かぶ。だが泣いてそこで終わるなら諦めた方がいいのだ。だけどそうでないのなら。
おまえの次の言葉をくれと、涙を流して懇願しているのは俺の方だ!