ここは、キモ姉&キモウトの小説を書いて投稿するためのスレッドです。
○キモ姉&キモウトの小説やネタやプロットは大歓迎です。
愛しいお兄ちゃん又は弟くんに欲情してしまったキモ姉又はキモウトによる
尋常ではない独占欲から・・ライバルの泥棒猫を抹殺するまでの
お兄ちゃん、どいてそいつ殺せない!! とハードなネタまで・・。
主にキモ姉&キモウトの常識外の行動を扱うSSスレです。
■お約束
・sage進行でお願いします。
・荒らしはスルーしましょう。
削除対象ですが、もし反応した場合削除人に「荒らしにかまっている」と判断され、
削除されない場合があります。必ずスルーでお願いします。
・趣味嗜好に合わない作品は読み飛ばすようにしてください。
・作者さんへの意見は実になるものを。罵倒、バッシングはお門違いです。議論にならないよう、控えめに。
■投稿のお約束
・名前欄にはなるべく作品タイトルを。
・長編になる場合は見分けやすくするためトリップ使用推奨。
・投稿の前後には、「投稿します」「投稿終わりです」の一言をお願いします。(投稿への割り込み防止のため)
・苦手な人がいるかな、と思うような表現がある場合は、投稿のはじめに宣言してください。お願いします。
・作品はできるだけ完結させるようにしてください。
SSスレのお約束
・指摘するなら誤字脱字
・展開に口出しするな
・嫌いな作品なら見るな。飛ばせ
・荒らしはスルー
・職人さんが投下しづらい空気はやめよう
・指摘してほしい職人さんは事前に書いてね
・過剰なクレクレは考え物
・スレは作品を評価する場ではありません
あれだよね愛しい弟のためにポケットや鞄にGPSと盗聴器を仕掛けることによって
常に位置と状況を把握するキモ姉とかのSSが投稿されるスレだよね?
マジでw
そういうキモイ姉や妹が陵辱されるSSキボン
いや、逆に弟や兄は陵辱される方だと思うぞ・・
逆レイプオンリーでしょここ
でも、それだったら嫉妬・ヤンデレスレとかぶるよなぁ。
被らないなら最近過疎気味のいもうとスレと姉スレでも良い訳だし……。
うーん……。
ネタが必要だな・・
まあ、このスレが化けることを祈る
ヤンデレスレと完全にかぶってるでしょここ・・
キモ姉の出てくるエロゲきぼん><
ヤンデレスレで十分っすよwwwwww
ただでさえ無駄に細分化されてるのにこれ以上ばらつかせてどうするんすかwwwwww
12 :
名無しさん@ピンキー:2007/04/08(日) 19:10:39 ID:i1bwyC/Q
>>12 王道過ぎッスwwwwダダ甘系wwwwww
ていうかすずねえをキモ姉扱いするな殺すぞ
むしろキモ姉はお姉ちゃんにとっちゃ褒め言葉だろ
オリシチュ系スレはただでさえ細分化されすぎて乱立状態なんだから、
>>9や
>>11が言う通りにヤンデレスレで十分。
もしくは
>>2にある誘導先スレ。
キモ姉はいいぞ・・嫉妬スレやヤンデレスレのような病んだヒロインじゃないし・・・
甘えさせてくれる系は最強である!!
ヤンデレってずっとヤンキーでデレデレなのかと思ってた。
以前はそうだった。あれはあれで面白かったが
21 :
名無しさん@ピンキー:2007/04/08(日) 21:13:41 ID:9PE+3jtB
キモ母はアウト?
ここに投下したらヤンデレスレの作者さんが減りそう
おもっくそ叩かれそうなヤツはこっちに投下とか……?
それこそ、
>>5のようなのとか
25 :
名無しさん@ピンキー:2007/04/08(日) 21:33:26 ID:HxDYhLfA
>>21 S県月宮?????
ちょっとググってみる。サンクス。
sage忘れorz
スレ違いだが、山本君のお姉さんは良いキモ姉であったな。
とりあえず、職人の神を永遠に待ち続けようじゃないか
嫉妬や修羅場に突入することなく、病んでもいない、
デレのみのキモ姉&キモウトSSスレってことか?
他と区別するにはそうなるかな
案外良さげ…なのか?
正直嫉妬や修羅場抜きのキモ姉モノが読みたいけど、
ソレ書くなら姉スレかなぁ。
じゃあ、スレ削除の依頼を出すべきか・・
ここで俺たちの天国を築き上げるべきか
どっちがいい?
デレのみっていうのは、監禁とか、媚薬混入とか、ストーキングとかいうのも含むのか?
もっとライトなのがこのスレ向け?関節キスとか
折角だから、俺はこのスレに投下するぜ!(甲高い声)
とりあえず一番槍です。
このスレのルール・線引きがまだ定かではないので、内容については平にご容赦。
結婚するなら村のうち
もっといいのは近所同士
一番いいのは家のうち
南仏蘭西の古い諺だと云う。
僕は朝飯の準備をする妹――月ヶ瀬理理(つきがせ ことり)を見てそんな言葉を思い出した。
理理は良いお嫁さんになる。
それは、昔から言われていたことだし、僕もそう思う。
華奢で小柄な肢体。愛くるしい顔。柔らかなセミロングの髪という容姿も。
家事文武に秀でている能力も。
穏やかでおしとやかな性格も。
多分、妹は具現化した女性の理想像のひとつなのではないかと思う。
ただ、惜しいことに理理にはひとつだけ欠点がある。
兄思いなのだ。
それも度を越えた。
依存に近いブラザーコンプレックスの持ち主といっていい。
昔のことだ。
僕と理理は同じ部屋を使っていた。
寝食はもちろん、入浴も一緒。昔から仲が良すぎると云われてきた。
僕が中学に上がると、流石に部屋は分けたほうが良いと両親は決めたようで、食事の席で
そう告げた。僕はまあそんなものだろうと納得したが、理理は首を縦に振らなかった。
説得する両親にいやいやを繰り返し、僕に泣きながら縋り付いた。
困り果てた両親は僕に説得しろと命じた。理理は僕の云うことならば、何でも聞くからだ。
ところが、珍しく妹は承諾しなかった。同じ家の中なのに、お兄ちゃんと離れたくないと
泣き叫んだ。
結局、週に一度一緒に寝てあげると云う僕の案を呑んで解決したのだが、理理は勉強する
時も音楽を聴くときも、僕の部屋にいるので、あまり変わってないのかもしれない。なし
くずしてきに同じ布団で寝ることも多い。勿論、週一の「約束」とは別に。
理理は修学旅行に行ったことがない。
その日が来ると必ず熱を出すからだ。
普通、修学旅行の日が近づくとわくわくするものだが、妹は逆に沈んでいく。
「何日もお兄ちゃんと逢えなくなっちゃう」
そう云って落ち込み、精神的なものからか、必ず発熱→残留と云う形になる。
理理は友達も多くない。
元々大人しい性格なのに、放課後はまっすぐ家に帰り、家事に専念するからだ。
両親は仕事が忙しく、家事は兄妹で分担するのだが、年頃だというのに友人と遊ぶよりも
兄の世話を焼くことを喜んだ。
当然、彼氏もいない。
理理がもてることなんて、しょっちゅう紹介を頼まれる身としては嫌でもわかることだ。
勿論紹介なんてしないが、誰それが振られたらしい、誰々が狙ってる、なんて小学校の
時から何度も何度も聞いてきた。
けれど生まれてから現在まで、フリーである。理理がその気になれば、大抵の男は
落とせるだろうに。
つまり、本人にその気がないと云うことだ。
正直、兄貴としてはそれでは困る。
世話をしてもらうのは助かるし、慕ってもらえるのも嬉しい。理理に恋人が出来たら
寝込む自身もあるが、それはそれとして一人の人間として自立してもらいたいのだ。
家事万能で聡い理理ならば、能力的には充分だろう。となると、問題は精神だ。
両親などにはお前が甘やかすからいけないのだ、と度々叱られるが、僕だけの責任
ではあるまい。妹にいつまでも兄貴といられるわけではないと自覚してもらわなくてはいけない。
「僕が理理とずっと一緒にいてやる」
「大きくなったら、結婚しよう」
そんなことを云った男が昔にいたような気もするが、やはり問題は受け手による所が大きい
のではないか?
朝も早くから起き出して本格的な料理と手抜きのない弁当をつくり、心底嬉しそうに兄貴の
世話を焼く妹を見て、また複雑になる。
テーブルにつく僕の前にはなんとも美味そうな和食。
僕が和食党だから、らしいが、気合の入り方が違う。漬物を自分で漬ける高校一年生など、
そう多くないのではないか。僕が当番をしていたときは、シリアルとか、パンと紅茶とか、
たまに目玉焼きとか、そんなものしか用意しなかった。態々魚を捌いて刺身にしたり、
出汁から拘って吸物を作ったりはしなかった。
しかし、毎日がこうである。
家事は当番制のはずなのだが、いつの間にか炊事・洗濯・清掃は妹が一人でやるようになった。
僕がやることといえば、ゴミ出しと日曜大工くらいで、寄り掛かること甚だしい。
甘えるわけにもいかない、と手伝いを申し出ても、自分がやりたいのだとやんわりと、でも
確実に断られる。
僕が駄目な奴なのか。妹に問題があるのか?はたまたその両方か。問題は深刻である。
妹が僕の髪にブラシをかけ、ネクタイを結ぶ。弁当を持って、外に出る。鍵をかけるのも
理理の仕事だ。
向かう先は同じ高校。妹の学力ならばもう少し上も狙えたはずだが、両親や教師の反対を
押し切って兄と同じ場所にしたらしい。
「じゃ、いくか」
「うん」
声をかけて歩き出す。
「そういやもうすぐテストだなぁ。お前は大丈夫か?」
「うん。大丈夫だと思う」
まあ平均点が95を下回ったことのない妹には愚問だろう。
「家事に時間とられてないか?なんなら、俺が少しかわるけど」
「そっちも大丈夫だよ。心配してくれるのは嬉しいけど、私がやりたくてしてることだから」
そう云って微笑む。言葉には一切の嘘がない。
「友達とテスト勉強とかしないのか?」
「そういう話はなくはないけど・・・・家事もあるし、場所もないから」
「ばか。テスト中くらい家事はやんなくて良い。それに、集まる場所ならうちにすれば良い
だろう?」
「え・・・?家?」
「ああ、お前のグループって三人だか四人だか五人だか、そのくらいだろ?だだっ広い家が
あるんだから、活用すべきだ」
「家は・・・ちょっといや、かな」
妹は眉をハの字に変えた。あまり乗り気ではないらしい。
「なんでさ?」
問うと、理理は僕を見上げる。
「・・・・見せたく、ないから」
「見せたくない?うちは別に見られて困るようなもんもないだろうに」
「あるよ。見せたくないもの。獲られたくないものが、私にはあるから」
真剣な顔だった。妹がこんな表情をすることは多くない。
「おいおい。獲られるって、お前の友達は盗人ぞろいか?」
茶化して聞いてみる。理理は困ったように目を伏せた。
「違うと、思いたいな。でも、お兄ちゃんカッコイイから」
「何でそこで俺のご機嫌取りに走る?」
欲しいものでもあるのか?そう聞いてやると妹は手を振った。
「あはは。そうじゃないよ。でも、・・・ぼう猫になられるのは嫌だから」
「ぼうねこ?なんだそれは?」
「なんでもないよ。そう云う訳だから、家はちょっと、ね」
そう云う訳と云われてもどう云う訳かサッパリわからないが、妹が本当に嫌がってることだけは
わかった。
「・・・・そっか。じゃあ気が向いたら使うといいさ」
だからこの話はここで御仕舞い。理理は「そうだね、そうするよ」と頷いた。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――
「じゃあここでな。勉強頑張れよ」
お兄ちゃんは笑顔で手を振りました。私も手を振り返します。背を向け、自分の教室へ
歩いて行く様子を見えなくなるまで見送ります。これで昼休みまでお兄ちゃんに逢えません。
憂鬱で死にそうになります。追いかけていって抱きしめたくなりますが、我慢しました。
「おはよー、理理」
「おはよう。紗枝(さえ)ちゃん」
教室に入ると一応の友達の紗枝ちゃんが挨拶してきました。彼女はいつも早いです。
「もうすぐテストだよー。やばいねー」
席に着いた私に、紗枝ちゃんが話しかけます。こういった話題は年中行事なので、返す言葉も
変わりません。
「そうだね。頑張ろう?」
「理理は出来がいいから頑張んなくていいじゃん。それに、いざとなれば真理(まこと)さんに
教わればいいんだし」
真理。
私の、お兄ちゃんの名だ。
お友達とはいえ、紗枝ちゃんなんかが口にしていい単語ではないはずです。
「お兄ちゃんはお兄ちゃんのお勉強があるから、邪魔できないよ」
こういうとき、いつも笑顔を作るのには苦労します。
「邪魔になるかなー?真理さんの性格だと気にせず教えてくれそうだけどな」
だから、気安くあの人の名を呼ばないで。
「私もあんなお兄ちゃん欲しかったなぁ」
お兄ちゃんは私だけのお兄ちゃんなの。
紗枝ちゃんのものじゃないんだし、紗枝ちゃんなんかが望んでいい存在じゃないの。
あの人を兄にするってことは、あの人の妹になると云うこと。
それは私の居場所を奪うと云うことだ。
本当に不愉快な発言。
“あの女”を思い出す発言。
今も私の居場所を狙う『偽妹』を思い出す唾棄すべき言葉だ。
「理理は良いよね、優秀だし、素敵なお兄さんがいて」
「私はともかく、お兄ちゃんは優秀で素敵だよ?」
「あー。はいはい。ブラコンご馳走様。で、その“素敵なお兄ちゃん”はまた記録伸ばした
みたいね」
「記録?」
「そう。記録。理理、テニス部の峰屋(みねや)先輩知ってる?」
私は頷いた。私たちのいっこ上の先輩で、美人でもてると云う話。このクラスにも憧れている
男子が数名いるくらいだ。
「・・・真理さんにコクって、振られたらしいよ」
紗枝ちゃんは小声で云った。
「え」
私は、呆ける。
あの女、私のお兄ちゃんに手を出そうとしていたのか。
怒りがこみ上げてくるが、それを飲み込む。所詮は負け犬だ。お兄ちゃんがあんな女に靡く訳もない。
「この学園のアイドル達を悉く袖にするなんて普通じゃ考えられないもんねー。流石は“撃墜王”」
「撃墜王?なぁに、それ?」
「真理さんの異名。アタックする子がみんな叩き落されるから。ちなみにアンタは“不沈艦”。
難攻不落の月ヶ瀬兄妹の名は、他校にも知れ渡ってるからねえ」
「そういう渾名はちょっといやだなぁ・・・」
「でもさあ、ブラコンの理理はいいとして、なんで真理さんは恋人つくんないのかな?
もしかして、付き合ってる人でもいるのかな?」
「――いないよ。そんなの」
気分の悪くなる冗談を口にするな。目玉を抉るぞ。
「まあそうだよねぇ。彼女いたら、妹と戯れてる時間ないもんね」
紗枝ちゃんは笑います。
この娘は空気を読めないので、悪意なく失言を繰り返すんです。
死ねば良いのに。
レベルの低い教師による授業と、退屈な休み時間を耐えて昼休みになりました。
私はお弁当を抱えて中庭へ走ります。学校にいて一番楽しい時間がここなのです。
「お兄ちゃん」
「おう。おつかれ」
大好きな人が、そこにいます。
私の作った、私の混じったお弁当を広げて、お兄ちゃんが手を振ります。
二人だけで過ごす、一番幸せな時です。
雌猫達は、ここに同席したがります。
でも、そんなことは許しません。至福の時間を自分で汚す莫迦はいないでしょうに、
あの子達はそれがわからないようです。
お兄ちゃんはいつものように涼しげな笑顔で私を見てくれます。お兄ちゃんの顔って、
とっても綺麗なんですよ。
お兄ちゃんと話して、お兄ちゃんといただきますをします。
お兄ちゃんは私の作ったお弁当を美味しそうに食べてくれます。
私はその様子を見るのが大好きです。
(それは私の唾が入ったもの)
(それは私の血が入ったもの)
(それは私の皮膚が入ったもの)
(それは私の愛液が入ったもの)
一品一品、口に運ばれていくおかずを心で解説します。
ああ・・・私自身も食べて欲しいのに・・・・・。
「理理」
見つめているとお兄ちゃんが私を見ました。
「今日ちょっと遅くなるかもしれない。まあ、なるたけ早く帰るけど」
お兄ちゃんはお友達との付き合いがあると、帰りが遅くなります。多くの場合夕方には
帰ってきてくれますが、やはり寂しいです。でもお兄ちゃんを困らせるわけにはいきませんので、
了承しました。
これで夕方から夜まで、愛しい人に逢えなくなる訳です。
お兄ちゃんの「お友達」、少し数を減らしたほうがいいかしら・・・。
バランスを考えると、「間引き」って必要なんですよ。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――
メールがきたのは授業中のことだ。
『放課後 逢えますか?』
シンプルに、それだけ。
差出人の名前を見て、僕はやれやれと呟いた。
『おk』
そう送ると、駅前で待ち合わせ、と返ってきた。
それで、駅前に立っているわけだ。
『困り果てる両面宿儺』像は僕たちに限らず、待ち合わせで使われる。僕もそこにいるが、
相手がまだこない。学校からの距離を考えると、こちらのほうが早くなるから仕方ない。
ただ突っ立っているのは勿体無いので、本を読むことにした。
暫く目を落としていると、
「に〜いさん。おまたせっ」
甘い声が響き、腕に手を回された。
「ん。待ったぞ」
まだ五分と経っていないがそう云って本をしまう。
待ち合わせをしているであろう男たちが、皆こちらを、否――こいつをみている。
それはそうだろう。
名門私立の制服を着た、すごい美少女がいるのだから。
月ヶ瀬聖理(つきがせ さとり)。
父方平行従妹で、僕にとってはもう一人の妹だ。
小柄な理理よりも背は低いが胸は大きい。
あいつは垂れ目で、こいつはツリ目だ。
声質はややたかめのメゾソプラノで、歌が上手い。ちなみに理理はアルトである。
顔立ちは従姉妹だから似ているが、穏やかな雰囲気の理理と違って、聖理には明るさが
具備されている。
まあ一言で言うと、可愛い、のである。
「えっへっへ〜。にいさん♪兄さん♪」
ぐりぐりと腕に抱きついてくる。その度にグニグニとましゅまろが形を変えた。
「こら。離れなさい」
「や〜ですよ〜だ」
嬉しそうに纏わり付く。子供もころからまるで変わっていない。
僕は抵抗を諦めて従妹の少女に話しかけた。
「で。今日はなんか用があるのか?」
「ん〜?“にいさん分”を補給しに来たんだよ〜」
ごろごろと懐いて来る。悪い気はしないが、やっぱり流石に周囲の視線が痛い。
「ちょっとで良いから、離れてくれ・・・」
「駄目だよ。にいさんの体中に聖理の匂いをつけるんだもん。嫌な臭いを上書きしなきゃ」
「え!?俺、臭いか!!??」
すんすんと自分を嗅ぐ。体臭には気を使っているはずなんだが。
「にいさんは臭くないよ。近くにあるものが問題なの」
「は?近くにあるもの?」
僕は『困り果てる両面宿儺』像を見上げる。
「あはは。そっちじゃないよ。とりあえず、行こ?」
組んだ腕を引っ張って歩き出す。
「お、おい、どこ行くんだ?」
「デート。素敵なお店があるんだ♪」
そのまま連れ去られる。鼻面をとって引きずり回される、と云った方が近いかもしれない。
その後、あちこちのお店を回った。
なんだかんだ云っても聖理といるのは楽しい。
会話も面白いし、互いの好悪を知り尽くしている。何より大きいのは親族ゆえの気の置けなさ
だろう。
規律に厳しいはずの名門私立の制服を着たまま遊び歩く従妹に連れ回され、気づくと日も沈もう
という時間だった。
「聖理、そろそろ帰らないと」
「えー。久しぶりに逢ったんだから、もう少し遊んでよ」
「駄目だ。もう暗くなる」
僕は首を振る。
「じゃぁ・・・・」
僕の服をキュッと掴んで、上目遣い。
「聖理のおうちで、晩御飯食べていって?」
「無理だよ。理理を一人には出来ない」
僕がそう云うと、大きな瞳がじわりと歪んだ。
「ひ、酷いよぉ。にいさんはいつもいつもコトリ、コトリって、あの子ばかり優先する・・・」
「いや、そんなことは・・・・」
「聖理だって、にいさんの妹なのに、にいさんはいつも一緒の妹ばかり気にかけて、たまにしか
逢えない私のことは・・・全然・・・・」
ぽろぽろと泣き出す。
「あ、ああ、泣くなって。俺は聖理のこと大事にしてるだろう?」
「してないよ・・・!コトリ、コトリ、コトリ、コトリって、そればっかりだもん!たまのお食事に
誘っても、今日みたいにコトリ、コトリって・・・」
泣きながら抱きついてくる。
僕は頭を掻いた。
「わ、わかったよ。今日は聖理といてあげるから」
「ほんとう?」
目を輝かせて見上げてくる。
たまのことだし、仕方がない。
僕は頷くと、ケータイを取り出した。2回のコールで実妹がでる。
「お兄ちゃん、どうしたの?」
少し心配そうなアルトボイス。この時間では帰宅していることが殆どだから、気にしていたのだろう。
「あ〜、遅くなってごめんな」
「ううん。良いの。お兄ちゃんにも付き合いはあるだろうし、少しなら、我慢できるから」
早く帰ってきてね。言外にそう云っているのがわかった。だから、云いづらい。聖理に目をやると、
僕にしっかり抱きついて、服をぎゅうぎゅうと掴んでいる。
「晩飯のことなんだけど」
「うん。もうつくってるけど、何かリクエストがあった?」
「いや。悪いけど、晩飯は済ませてくるから今日は食べられない」
「――え?」
虚を突かれたような妹の声。それはそうだろう。僕が晩御飯までに帰らないことはまずないのだから。
「お兄ちゃん、どうして?」
驚くように問い返す。説明しようとすると、聖理が手を伸ばした。かわってくれということだろう。
「ちょっと待って理理。今、かわる」
「かわる?」
従妹に手渡す。
聖理はツリ目をキュッと細めて、ケータイを耳に当てた。
「こんにちは、コトリ。ううん。今晩はかな?」
(あれ?)
俺は首を傾げる。聖理の声って、こんなに冷たかったろうか。
「さ、さとり・・・・ちゃん?」
驚いたような妹の気配。聖理はくすりと笑うと、ケータイを持ったまま僕に抱きついた。
「うん。私だよ。久しぶりだねぇ」
「・・・・・・・・・・」
「どうしたの?挨拶もできないのかな?」
「・・・・・ひさし、ぶり・・・だね・・・・」
搾り出すような声。聖理はふっと笑う。
「いま私、にいさんといるの」
「っ・・・・・」
「そして、これからも、にいさんといるの」
「・・・・・」
「あれ?聞こえてないのかな?コトリ、聞いてる?」
「聞こえ、てる・・・よ・・・・」
「そうだよねえ。こっちには歯軋りの音がきこえたもん。いつも私が鳴らしてた音だけど、
貴女が鳴らすと格別だね。あははっ」
聖理は嬉しそうに笑う。
何だろう、なにか良くない空気が流れている気がする。
「・・・どうして、さとり、ちゃんがお兄ちゃんといるの?」
「どうして?私だってにいさんの妹だよ?デートくらいふつうでしょう?」
「・・・・デー・・・・・ト・・・・」
「そう、デート。今日一日、すごく楽しかったなぁ・・・・。にいさんとっても優しいから、
私凄く幸せだったよぉ。ああ、まだデートの途中だった。これからにいさんは私のおうちに
来るんだもの」
「・・・・・・・・・・」
「コトリ、今日は無口だね。どうかしたの?」
「・・・・駄目」
「駄目?何が駄目なのかな?」
「お兄ちゃんを、返して」
「返して?まるでにいさんが自分のものみたいな云い方だね。にいさんはコトリのものじゃないし、
にいさんの妹は貴女だけじゃないんだよ?それなのにいつもいつもにいさんを独占して、
私がたまにデートして貰うと“返して”?コトリは少し傲慢なんじゃないのかなぁ?」
ねえ、にいさん?暗い瞳で僕を見上げる。
何か良くない。
そう思った僕は聖理からケータイを取り上げた。
「そ、そう云う訳だから今日は晩飯いらない。なるたけ早く帰るから、悪いけど今日は・・・」
「嫌!待ってお兄ちゃん、いかないで、理理を一人にしないで!」
泣き叫ぶような実妹の声。
申し訳ないと思いつつも、聞こえない振りをして電話を切った。
(泣かしちゃったよなあ・・・)
なぜあんなに嫌がっていたのかはわからない。が、酷く罪悪感がある。
けれど、たまにはこちらの『妹』にも構ってやらねば、兄として公平ではないだろう。
「にいさんは、聖理を選んでくれたんだよね?」
嬉しそうに少女が云う。
「莫迦。どっちを選ぶとかじゃない。かわりばんこに相手するだけだ」
「かわりばんこ?ふぅん・・・・」
従妹はふっと笑った。時々、この娘には妙な色香がある。
「じゃあ、コトリと過ごして来た分の時間を、これからは聖理が貰っていいんだよね?」
そう云って頬をすり寄せる。
僕が呆気にとられていると、聖理は腕を回し、指を絡めてきた。
「行こう、にいさん。私たちのおうちに。まだデートの途中なんだから」
従妹は楽しそうに笑う。けれど何故だろう。僕は笑うことが出来なかった。
投下終了です。
続きはまたそのうちに
G.J!
修羅場スレだとこの後は血の雨が降りそうだけど
このスレ的にはどんな展開になるのか興味深い
なんという期待の新星・・
続きが気になるうううううううううううううううううううううううううううううううう
スレ立て2日で神職人が降臨するとは…
間が開いてもいいので是非とも続きをお願いします
これでこのスレが活気付いて定着してしまいそうだ
ヤンデレスレと合流したほうがいい気もするんだけど
時代はキモ姉の時代ですよ
キモウトって弟でも当てはまるよな
ブリジット好きの俺としてはショタキモ弟の話も読んでみたい。もちろん女装で。
>43
GJ!
こんな可愛い妹が欲しいなぁ。
初投下から神がキタァ!GJGJ!
GJ!
そういや、ヤンデレスレでも嫉妬があるんだから、ここで嫉妬があったらいけないってわけじゃないんだよな。
水族館にいるはずのペンギンが動物園にもいていいって感じ。
ていうかすげえはマジでこれ…続きが気になってしょうがない
キモウトとキモイトコが最高すぎる
キモウト最高wwwこれからどんな展開になるのかマジで楽しみ。
期待してます、GJ!!
>>54 ようするに水族館にいるシャークが金魚すくいの中にシャークが居てもいいと
同じ理屈だな
以下、つっこみ禁止!
↓
お姉ちゃんマダー?
つ 井上喜久子
最近のマイブームはシャーク
投下します。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――
膝を抱える。
こうしていると、いつもお兄ちゃんが話しかけてくれた。
「どうした?理理」
柔らかい笑顔で。低く澄んだ声で。優しい瞳で。
でも、今はそれがない。こうしていても、お兄ちゃんは来てくれない。
“あの女”
あの偽妹が、私の温もりを持って行ってしまった。
「理理は綺麗な声をしてるね」
昔、まだお兄ちゃんと同じ部屋にいたころ、あの人はそうやって褒めてくれた。
私はそれが嬉しくて、お兄ちゃんの前でだけ、歌うようになった。
「理理はほんとに上手だなあ。歌手にでもなれるんじゃないか?」
その言葉が嬉しかった。
将来はお兄ちゃんのお嫁さんになるから、歌手になるつもりはなかったけれど、私の歌で
あの人が喜んでくれる。私の歌で二人でいる時間が密になる。私の歌で繋がりが出来る。
それが嬉しくて、歌の練習もした。
それなのに。
私の真似をして歌を歌った“あの女”が、全てをぶち壊してくれた。
笑いながら私の歌を聴いていたお兄ちゃんは、“あの女”の歌を聴いてから、偽妹ばかりを
褒めるようになってしまった。
「聖理はすごいな!こんなに綺麗な歌声は聴いたことがないよ、なあ、理理」
興奮気味に私に話しかける。
ねえ、さとりちゃん。
それがどんな気分だったかわかる?
よりにもよって一番大好きな人が、一番大嫌いな人を褒めるの。
偽者の引き立て役にされた私の気持ちが、貴女にはわかる?
笑いながら頷くことが、どれだけ大変だったか。
それ以来、私は歌えなくなったんだよ?
私から歌を奪った偽者は、お兄ちゃんと逢うたびに、その行為で気を引いた。
偽者のくせに。偽者のくせに。偽者のくせに。偽者のくせに。偽者のくせに。偽者のくせに。
偽者のくせに。偽者のくせに。偽者のくせに。偽者のくせに。偽者のくせに。偽者のくせに。
偽者のくせに。偽者のくせに。偽者のくせに。偽者のくせに。偽者のくせに。偽者のくせに。
偽者のくせに。偽者のくせに。偽者のくせに。偽者のくせに。偽者のくせに。偽者のくせに。
偽者のくせに。偽者のくせに。偽者のくせに。偽者のくせに。偽者のくせに。偽者のくせに。
偽者のくせに。偽者のくせに。偽者のくせに。偽者のくせに。偽者のくせに。偽者のくせに。
私のお兄ちゃんを奪おうというのか。
私はお兄ちゃんが大好き。
だからお兄ちゃんに近づく女は許せない。
なかでもね、さとりちゃん、貴女は格別に許せない。
お兄ちゃんだけでなく、私という存在すらも奪っていこうとするさとりちゃんが、本当に許せない。
私はお兄ちゃんがいないと生きていけないのに、あのひとを獲ろうとするの?
私から歌を獲ったのだから、それで充分でしょう?
貴女は私たちの前に現れる度に、お兄ちゃんを奪っていった。
「聖理も大事な妹だからね。たまに会う時くらいは甘えさせてあげないと」
繋いでいた手を離し、偽者と寄り添う。
私は後ろから仲の良い偽の兄妹を見つめるしかないの。
さとり『も』?『も』ってなぁに、お兄ちゃん。
貴方の妹は、私だけだよ?
唯のイトコのくせに、妹として振舞う。
唯のイトコのくせに、あの人を兄と呼ぶ。
「にいさん」?
にいさん。にいさん。にいさん。にいさん。
なに、それ?
貴女は他人でしょう?
そんな風に呼ぶ権利はないのよ?
寂しいよ、おにいちゃん。
理理は暗くて冷たい籠の中にいるの。
私はお兄ちゃんという心の餌がないと、すぐに死んじゃうんだよ?
――――――――――――――――――――――――――――――――――――
月ヶ瀬聖理は暗い籠の中にいた。
父は有能な人で、無手から事業を始め、成功させた。
私が生まれるころには大きな家と、抱えきれない大量の仕事を手に入れていた。
母の為に働き、働きすぎて母に構えず、仕事の為に母をなくした。
物心ついた時から私は一人。
家族の温もりなんかなくて。
世話をするだけの人がいて。
寂しさがあたりまえの人生で。
自身の罪悪感を埋めるための、玩具と云う名の自己満足を押し付けられた。
しっていますか、とうさん。
玩具って、人と遊ぶためにあるんです。
どれだけあったって、一人じゃ意味がないんですよ。
私には家族がいなかった。
友達もいなかった。
父の意向で名門の幼稚舎に入った。
私は出会いを信じて門を潜る。
けれどそこにあったのは、新参を成金と蔑む冷たい瞳だけ。
子供たちの親が、そんな目で私を見て。
その子供たちがそれに習う。
出会いを信じたその場所は、何もないどころか蔑視と嫌がらせの楽園だった。
まだ、生まれて数年なのに、私、死のうとしたこともあるんですよ?
冷たいがらんどう。
暗い鳥籠。
私を囲むものはそれしかない。
そう、思っていた。
ある日、父の許を男が訪ねた。
父に似たその人は、父の兄――伯父だと云う。
何のようで来たのかは知らない。いや、それどころか、いままで親戚が「在る」ことすら
知らなかった。
何か難しい話をしていたが、私には関係ない、いや、関われないことだ。
なにもかわらない。そう思って、庭へでた。
そこに――あの人がいた。
笑顔。
あの人がくれたもの。
温もり。
あの人が感じさせてくれたもの。
家族。
あの人がなってくれたもの。
あの人は、私の人生に意味をくれたのだ。
「じゃあ僕が、今日から、聖理ちゃんのにいさんになってあげるよ」
その言葉に、どれだけ救われたか。
その言葉がどれだけ嬉しかったか。
あの人――にいさんは本当に優しかった。
『私』と云う存在を見てくれる。
『私』と云う存在を認めてくれる。
偉いねと私を褒めてくれる。凄いねと頭を撫でてくれる。傍にいてくれる。抱きしめてくれる。
にいさんと過ごす時間は本当に楽しかった。
父の用事で度々やってくるそのときがだけが、私の楽しみであり、全てだった。
コトリ。
にいさんの口から良く聞かされる『本物』の妹。
楽しそうに。誇らしげに。にいさんはその娘を語った。
多分、私はその娘に嫉妬していたのだと思う。
にいさんと一緒に暮らせることに。にいさんの心を占めていることに。
でも、でもね、期待もしていたの。
まだ見ぬコトリちゃんが、私の新しい家族に、大切な友達になってくれるかもしれないと。
はじめて三人で遊んだ。
コトリちゃんはとっても可愛くて、そして良い娘だった。
いや、そう見えた。
誰かがにいさんを呼び、私たちは庭で二人になった。
「何して遊ぼうか?」
にいさんを見送り、振り返った私に返ってきたものは、幼稚舎で味わっていた冷たい目と、
呪詛の言葉だった。
「偽者」
土を顔に叩きつけられ、頬を張られた。
「お兄ちゃんは、理理のものなの!お兄ちゃんの妹は、理理だけなの!
急に出てきて、妹を名乗らないで!お兄ちゃんとの時間を獲らないで!
偽者のさとりちゃんなんかに、お兄ちゃんはあげないんだからぁ!!」
屈んだ私を十三回も蹴りつける。
そのときになって、ようやく気がついた。
ああ、この娘は『敵』なんだなあって。
にいさんの実の妹なんだもの。良い子に決まってるって思ってた。
でもそうじゃない。
コトリは、私を冷たい籠の中に戻そうとするだけの『敵』だった。
だってあの時、泣き叫ぶ私を楽しそうに見ていたでしょう?
そのあと戻ってきたにいさんに助けを求めると、「いいつけるなんて」って、呟いたよね?
にいさんに怒られて謝ってきた貴女は、「どうして私が怒られなければいけないの?」って、
そういう顔をしていたよね?
「ごめんなさい、ごめんなさい」
あれは私に向けた言葉じゃないでしょう?
お兄ちゃん嫌わないで。
あのときの謝罪は、それだけしか感じられなかったもの。
『偽者』
貴女は事あるごとにそう呟いたよね。
私がどれだけ家族の温もりに飢えているか知ってるはずなのに。
『偽者』
その言葉で、お前なんか家族じゃないって、思い知らせてくれたものね。
貴女、私のことが嫌いでしょう?私もあなたのことが嫌いなの。
私の全てであるにいさんを、本物の妹という理由だけで奪おうとする貴女が。
コトリ、貴女は『本物』であることをいつも自慢していたよね。
だったら教えてあげる。偽者って必ずしも本物に劣るわけじゃないって事を。
だって、偽者だからこそ――あの人と結婚することができるんだから。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――
駅から一時間弱。
それで聖理の家に着く。
毎日学校までこの距離を通うのは大変だろうと思うが、サラリーマンの中には数時間かけて
出勤してる人もいるわけで。寝坊しても走れば間に合う環境にある僕には遠い世界だ。
いずれにせよ、移動時間を考えるとすぐに帰らないといけないだろう。
聖理の家は大きい。
屋敷と呼ぶほどではないが、並みの家屋とは比較にならない。庭も広い。
たしか親御さんは離婚しているはずなので、彼女の家族は叔父さん一人だ。
家の管理は何人かのヘルパーさんがやっているようで、残念ながらメイドさんはいない。
聖理の食事もヘルパーさんが作っている。今日の担当者は僕とも顔なじみの品のいいおばさんだ。
食事の後、だだっ広いリビングのソファーに座る。
飾りつけはされているのになんだかがらんとしていて寂しい気がする。
けれど従妹はそんなことを気にするでもなく、猫のように懐いてきている。
「にいさん、にいさん、にいさん、にいさん」
ごろごろ。すりすり。
「にいさん、にいさん、にいさん、にいさん」
すりすり。ごろごろ。
こんな感じで甘えてくる。
撫でてみると、
「んう・・・・っ」
と鳴いて目を細める。なんか可愛い。
理理の場合、僕の傍にいる時は静かに横にある。嬉しそうな、穏やかな顔で、延々僕を見つめている。
こういう部分も静と動な二人だなぁと思った。
「にいさん、にいさん、もっと撫でて撫でて〜」
すりすりすり。ごろごろごろ。甘えてくる。
「あ〜はいはい。これでいいか〜」
さらさらの髪の毛に手を滑らせる。良い匂いだし手触りも抜群なので、実はちょっと楽しい。
「えへへ〜。にぃさん大好き〜」
僕の胸に顔をうずめる。
「聖理はこんなに甘えん坊だったか〜」
「にいさんが聖理をこんな体にしたんだよ?責任とってくれなきゃ」
「ばっ・・・!人聞きの悪いことを・・・・!」
「あはは。にいさん慌ててる。かわいー」
「ええい、うるさい。そんなこと云う奴はこうだ!」
わしゃわしゃと乱暴に髪を撫でる。
「きゃー、やめてやめてー♪」
それでも嬉しそうにされるがままになっている。
その様子を、通りかかったヘルパーさんが見て笑った。
「貴方たちはほんとうに仲が良いのねえ」
品良く口元を押さえる。僕は赤面したが、従妹は気にするでもなく体を擦り付けた。
「そういえば真理くん、傘は持ってきた?」
「いえ。ないですけど。もしかして、降るんですか?」
訪ねると、ヘルパーさんは頷いた。
「あ〜。まずいなあ、早く帰ったほうが良いかも」
頭を掻く。
「大丈夫だよ、にいさん。うちに泊まっていけばいいんだもの。うん。それがいいよ!そうしよう?
聖理のお部屋で、一緒にお話して、一緒のベッドで寝ようよ」
目を輝かせて聖理は云う。が、僕は首を振った。
「それはできないよ。やっぱり家に帰らなきゃ」
理理を泣かせてしまったこともあるし。
「や」
聖理は大きな瞳を滲ませる。
「いっちゃやだ、いっちゃやだよ・・・!聖理、一人になりたくないよ・・・!!」
服越しに僕を掴む。凄い力だった。思わず声を上げそうになるくらい。
「にいさん、にいさん、にいさん、にいさん、お願いにいさん、聖理といてよ。聖理、
まだぜんぜん甘えたりないよ、こんな状況で帰られたら、寂しくておかしくなっちゃうよぉ」
従妹は必死に縋り付いてくる。僕はヘルパーさんと顔を見合わせた。
「聖理、良い子だから云うこと聞いてくれ。僕だってお前と居るのは心地良いけど、
帰らないわけにはいかないんだよ」
「やだぁ、やだよぉ・・・、にいさん帰っちゃやだぁ・・・・!」
ぶんぶんと首を振った。
(どう宥めるべきか)
思案に暮れていると、呼び鈴が鳴る。ヘルパーさんが応対に出て行った。
「真理くん」
泣きじゃくる従妹を宥めていると、ヘルパーさんが戻ってくる。
「どうしました?」
聖理の頭を撫でながら聞く。
「妹さんが迎えに来たわよ」
僕の腕の中のもう一人の妹が、びくりと震えた。
投下終了です。
次は少し間が空くかもしれません
72 :
名無しさん@ピンキー:2007/04/10(火) 21:34:18 ID:/UcKgESC
アルティメットGJ
両者ともずいぶんとてんぱってますなw
直接対決wktk
wktk
ひたすらwktk
まぁ、なんだ。
ふたりともうぜぇぇぇぇぇ&きめぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!!!!
だがそれがいい。
この世にある全ての賛美の言葉を伝えても全然足りない。
だからこの一言に全て以上の思いを詰めて言う。
GJ
当事者には絶対なりたくない可愛さだな。
>>79 お前はメンヘラの怖さを知らないwwwwwwwwww
現実と引き比べてどうすんだぜ
キモ姉キモウトの嗜み方をまるでをわかっていないようだぜ
「妹妹言うけど実際は本物の妹ってうざいだけだっぴよ」
とかわかりきったことをわざわざ抜かして疎まれるバカチニストと同レベルだぜ
「血の繋がった妹なんかいるわけないじゃないか」
しかし、リアルの話を聞きたくなるのは・・
リアルでもこんな女の子がいればいいという
願望なんだよ
いや、ホント二人とも可愛い。
続き待っています。
リアル女も一度惚れるとしつこいけどな
まあ新聞勧誘的なしつこさだからかわいくはない
>>80-81 いいんだよ!俺だってごろごろすりすりとかすりすりごろごろとかされたいんだよ!!
それに俺はかわいい人に殺されるならそれで本望だ
相当毒されちまってる…
だがそこがいい
すまん、87だが語弊があった
かわいい子じゃなくてかわいい姉or妹だな。skなんとか宮タイプのそれでも構わんから本気で来て欲しい
このスレって姉妹がキモ可愛かったら修羅場だろうがヤンデレだろうがほのぼのだろうが何でも良いの?
>>92 いいのかい?俺はキモ姉妹ならなんでも食っちまうんだぜ?
キモ姉姉妹なら喜んで投稿してくれ・・詳しいテンプレとかはまだ
全然決まってないし
とにかくキモ姉妹ならそれでいい
勿論義理でも良いよな?
私は一向に構わんッッ!!
,;r''"~ ̄^'ヽ,
./ ;ヽ キモ姉、キモウトが好きね奴は皆キモ姉妹スキーだ!
l _,,,,,,,,_,;;;;i
l l''|~___;;、_y__ lミ;l 実際にキモ姉、キモウトがいる奴はよく訓練されたキモ姉妹スキーだ!
゙l;| | `'",;_,i`'"|;i |
,r''i ヽ, '~rーj`c=/ ホント キモ姉妹は地獄だぜ! フゥハハハーハァー
,/ ヽ ヽ`ー"/:: `ヽ
/ ゙ヽ  ̄、::::: ゙l,
|;/"⌒ヽ, \ ヽ: _l_ ri ri
l l ヽr‐─ヽ_|_⊂////;`ゞ--―─-r| | / |
゙l゙l, l,|`゙゙゙''―ll___l,,l,|,iノ二二二二│`""""""""""""|二;;二二;;二二二i≡二三三l
| ヽ ヽ _|_ _ "l ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ |二;;二二;;二=''''''''''' ̄ノ
/"ヽ 'j_/ヽヽ, ̄ ,,,/"''''''''''''⊃r‐l'二二二T ̄ ̄ ̄ [i゙''''''''''''''''"゙゙゙ ̄`"
/ ヽ ー──''''''""(;;) `゙,j" | | |
_,,,,,,,,,ヽ、 ,,,,,r-'''''ーー'''| | | |
''" ヽ,,___,,,r‐''''''二__ |__| | |
\'''" / ノ | |
いくら訓練されてたって、手に入らないものがあるんだぁぁぁ!!
キモ姉妹ホシス
ビジュアル的にきもい妹が兄をなぶる
みなとそふとのキモ姉が凄すぎるわけだが・・・あれを元に誰かキモ姉を書いてくれ
>>96 悪いが俺は、認めん。
「父さん。今度、父さんの再婚で付いてくる女の子達、本当に姉ちゃんとか妹って思
わなきゃいけないのか?俺にとっての姉ちゃんと妹は、死んだ俺の母さんから産まれ
た本当の姉ちゃんと妹だけなんだよ!」
って気分なのさ。
わかってくれるかい?
>>96 俺は構わん。
元々姉が居て、昔仲良しだったが
母が死んでから色々ありあまりよろしくない。
無論、姉は弟依存だぞ、内心は。
で、父が再婚したことにより義妹が出来る。
母の事を引きずり、義妹を認めない姉、
傷ついた義妹を優しく包容する主人公
いつしか義妹は兄に恋心を抱くが、
それをよろしく思わない姉の嫉妬の魔の手が…
なんかどこにでもありそうな内容だな。
肝姉ってえと、やっぱ逆強姦かw
>>104 どこでにでもあってもいいぞ
それで書いてくれ!
あんた、あの日誓ったわよね・・・・
家族だって認めてもらう代わりに私のものになるって・・・・
じゃあ・・・・なんであの女の香りなんかプンプンさせてるのよぉっ!!!111
義理のキモ姉ってこうですか?><
叔父さん夫婦に引き取られて、従姉妹⇒義理姉妹に昇格
ってのもある
微妙な血縁があっていいかも
んで、従姉⇔実姉のバトル
キモ姉による素晴らしい監禁生活を送りたい人はいるか・・
リアル姉を持っている人間でw
ノシ
俺は監禁したい
どんだけされても従順なキモ姉。
755 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/04/15(日) 01:55:53 ID:IUJ4yuNU
春。
それは出会いの季節であり、別れの季節でもある。
今日から僕は全寮制の学校に入学して普通の学生として平穏な日々を迎えるために
ここへとやってきたのだ。桜が舞い散る寮までの道を歩くとこれまでの生活を感慨しく思えてしまう。
新たなクラスメイト、見知らぬこれからの同居人。
僕の人生は新たに始まったはずであったのだが・・。
「はーいー。巴ちゃん、こんにちわ」
「なんですと!!」
姉という存在から逃げ出すために僕は故郷の地を離れて、見知らぬ土地で進学したはずなのに
亡霊が僕の新たな人生の一歩手前である男子寮の前で立ち塞がっている。
「悲しい別れから7年後に記憶を失った雪の街から始まる植物人間となったお姉ちゃんと激しい
恋の物語の始まりだよ。えへっ」
「始まらない。始まらないし、てか、別の作品です!!」
「ふんじゃあ・・巴ちゃんがお姉ちゃんを探すために1000年の時を越えて旅を続ける永遠の」
「姉よ。どうして、お前がそこにいる?」
「それはお姉ちゃんがブラコンだからです」
気合の入った声で言わなくてもいいのにその姉は言い放った・・。
誰が聞いているのかわからないというのにさ・・
「ブラコンなのはわかった。果てしなくわかったから、血の繋がったようで血の繋がらない姉の元を
家出同然に飛び出したブラザーの居場所をどうして知っているんだ!!」
「それは・・巴ちゃんの机の置いてあったパンフレットを見たから」
これはとんでもない見落としだった・・
「僕を連れ戻しにやってきたのか?」
「ううん・・。巴ちゃんが真剣に悩んで考えて決めた事ならお姉ちゃんは文句は言わないわ。
例え、それが人気ゲーム機PS4の転売目的の並びのアルバイトだったとしても何も言わないよ」
「姉・・」
「これだけは忘れないで欲しいの」
「うん」
「お姉ちゃんと巴ちゃんは常に一心同体!! 傍を離れることはなく、ずっと長い人生を二人で
手を繋いで支え合ってゆくのが運命なんだよ」
「デスティニー?」
「正しくはお姉ちゃんと響き合うRPGというジャンルです」
「つまり、弟が傍にいないから後を追いかけて来たってことか・・」
「そうです♪」
「でも、後を追いかけて来たと言っても、姉はすでに大学生でここから通うのは難しいんじゃないのか?」
「大学? そんなもん、とっくの昔に辞めました。愛しい巴ちゃんの傍に居られないなら、そんなもん必要ありません」
「この学歴社会に何を考えてるんですか?」
「巴ちゃんが私をお嫁さんに貰ってくれるので大丈夫です」
全く、頭を抱えたくなる姉である。わざわざ進学先まで追いかけてくるとは尋常ではない。
「それに就職先はちゃんと決まっています。巴ちゃんが今日からお世話になる寮の管理人を期間限定の3年間の契約で
雇ってもらえましたから・・」
「はい?」
「住み込みで働くので今日から宜しくお願いしますね。巴ちゃん」
「マジで俺の後を追いかける来るとは正気かっ!!」
「大丈夫です。学園側に事情を話してお姉ちゃんと巴ちゃんはいつも通りに一つ屋根の下に暮らせるようにしてもらいましたし」
「姉よ。お前はどこのストーカーなんだよ」
「お姉ちゃんの辞書によると、ストーカーという文字は恋する乙女と読むんですよ」
もう、どうにもならない・・。
明日、退学届けを出して、北の大地に逃げ出してやるぅぅぅ!!
嫉妬スレから転載・・
こっちで書けばいいのにね
姉の数だけ夢がある。
妹の数だけ愛がある。
我らの数だけ妄想がある。
籠の続きを投下します。
広い玄関に出る。
扉は開け放たれており、その向こう。切り取られた景色の四角に、実妹が立っている。
いつもの、爽やかで大人しめの私服姿。手には大きな蝙蝠傘。
「お兄ちゃん、迎えに来たよ。帰ろう?」
放課後に教室にやって来るような気軽さだった。
電話口では泣いていたように感じたが、気のせいだったのだろうか。
ヘルパーさんはいない。聖理は僕の胴に手を回し、コアラのようにしがみついている。
「態々ここまできたのか?」
僕はちょっと驚いた。迎えにくるにしても、距離が距離だ。
「雨が降るって云ってたから傘を持ってきたの。街中を連れ回されて疲れている時に濡れたら
風引いちゃうから」
小首を傾げる様に笑顔。そして一瞬だけ従妹を見た。
「さ、お兄ちゃん。こっちに来て?」
妹は僕に手を伸ばす。その瞬間、従妹の腕が僕を後方に引いた。
「お、おい、聖理・・・?」
すっと、聖理が前へ出る。まるで立ち塞がる様に。
「コトリ」
「なにかな、さとりちゃん」
聖理の顔に笑みはない。対して理理は薄く笑っている。
「にいさんはここにいるの。貴女とは帰らない」
「――――」
驚いたように表情を消す。
その発言に僕が困ったような顔をすると、すぐに理理は笑顔を取り戻した。
「さとりちゃん。お兄ちゃん困ってるよ?」
亀裂のような笑み。
まるで嘲笑のような。
聖理は振り向くと、僕に縋り付く。
「帰らないよね、にいさんっ。にいさん“今日は聖理といてあげる”っていったものね!?
まだ『今日』は終わってないものっ。にいさんは、聖理を置いて帰らないよね!?」
「聖理・・・・」
必死にしがみついてくる従妹に無体なことは云い難い。けれどずっとここにいられるわけでもない。
「また来るから。な?」
「やっ!やぁ!いっちゃやだ、やだよ!にいさん、聖理との約束破るの?いやだよぉ、聖理を
一人にしないで!聖理、なんでもするからぁ!!良い子にするからぁ!だから、だからっ」
「――さとりちゃん、私のお兄ちゃんを困らせないでくれるかなぁ?」
狂乱の歌声を遮る穏やかなアルトボイス。従妹はピクリと揺れると、ゆっくり振り返る。
「コトリ・・・・・。私からにいさんを獲るの?」
低い――メゾソプラノにしては低すぎる声。
従妹はどんな顔をしているのだろうか、後方からは見えない。
「獲る?獲るってなにかな?お兄ちゃんは“私の許に”帰りたがっていて、私はそのお兄ちゃんを
迎えに来ただけ。獲るわけじゃないよ?ああ――『取り返す』には近いかもしれないね。
あ、さとりちゃん、そんな顔しないで?お兄ちゃんと離れる辛さはよくわかるから。“私が”
誰より、何より、お兄ちゃんと離れる寂しさをわかってるから、ね?」
困ったように、宥めるように理理は云う。
顔の見えない従妹は拳を握り締め、ぎりぎりと歯を鳴らした。
「良い音だね。やっぱり“それ”はさとりちゃんのほうが似合うよ」
くつくつと笑った。
「理理」
僕はたまらず声をかけた。
「そう云ういいかたはするんじゃない。聖理だってたまにしか逢えなくて寂しいんだ」
「お兄ちゃん・・・・」
呆けたような顔。
そしてすぐに聖理を睨みつける。
「理理」
「・・・・・はい」
「すぐに行くから、そこで待ってなさい」
「・・・・・・は、い」
俯く妹。
僕は聖理をつれて室内(なか)に戻る。
(なんだか剣呑な雰囲気だったなぁ。二人とも寂しがりだからか・・・・・)
溜息をひとつ。
僕は腰を落とし、従妹に目線を合わせる。
「聖理」
「にいさん・・・」
「残念だけど、家に帰る。でもすぐまた逢えあるさ。だから、我慢できるな?」
「そんなの、無理・・・・だよ・・・」
ぶんぶんと首を振る。
「にいさんは、聖理よりコトリの方が良いの?にいさんは聖理を一人にするの?」
「住む家がある。だからそこに帰るだけだ。お前を一人にしたいわけでも、理理のほうが
大事だからってわけでもない」
どっちも大切な妹だ。
「でも、でもっ・・・」
「仕方ない奴だな」
そっと抱き寄せ頬に口づける。
「――え」
「我慢、できるな?」
「え、え、にいさん、今の、え?」
「また来る。だから安心しろ」
「い、今、聖理のほっぺに、にいさんが、いま、え?ほっぺに、ほっぺ」
「我慢、できるな?」
「あ、う、・・・・うん・・・・」
焦点の定まらない瞳でコクコクと頷く。
子供のころ家を留守にしがちな両親に縋り付いた時、母が僕にやったこと。
「偉いぞ。聖理は良い子だな」
頭を撫でてやる。
「あ、う。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ほっぺ・・・・」
ぽんぽんと頭を叩く。
またな、と云って廊下に出る。聖理は気づいているのかいないのか、そこに立ち尽くしていた。
ヘルパーさんに挨拶を済ませ玄関へ。耳には雨音が響く。降ってきたみたいだ。
「おまたせ」
理理に云う。
「早かったね、お兄ちゃん。さとりちゃんは納得したの?」
「ああ」
「え」
妹は目を丸くする。
「なんだよ?」
「だって、あんなに取り乱してたのに」
「ま、そんなこともあるさ。帰るぞ」
「あ、う、うん」
驚いたままの妹を伴なって玄関をでる。
扉を閉めた。降り始めだというのに雨足は強い。
「理理、傘くれ」
「あ、あのね、お兄ちゃん、そのことなんだけど」
妹は苦笑いする。僕は理理の手の中を見た。
「・・・・一本?」
「うん。自分の分、忘れてきちゃった」
「ドジ」
「あぅ・・・」
しょんぼりと俯く。
「しょうがない、おっきめの傘だし、一緒に使うか」
「う、うん・・・・!」
妹は笑顔で頷くと、そっと寄り添った。
傘を開く。バネ仕掛けの雨具が、ぱん、と小気味良い音をたてた。
「やっぱり、置いてきて良かった」
「忘れたことを喜ぶな」
「うん。そうだね。忘れたの。忘れたんだよ」
あははと笑う。僕は一回だけ妹を小突くと空を見上げた。
「いくか」
「うん。帰ろう。二人のおうちに」
すでに暗くなった道を行く。妹は穏やかな顔でずっと微笑んでいた。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――
なんとかお兄ちゃんを取り戻せました。
あの偽者があれ以上駄々をこねるなら、傘の先で喉を突いてしまおうとも考えていたんですが、
私のお兄ちゃんは理理の許に帰りたがっていましたから、簡単に決着がついたんですよ。
帰りは相合傘でした。ううん。愛愛傘と云うべきでしょう。
世界で一番相性が良く、宇宙で一番仲の良い兄妹ですから、きっと絵になったはずです。
お兄ちゃんは私を愛してくれているので、とても気を使ってくれます。
雨はかなり強かったので、私が濡れないよう、傘を寄せてくれていたんですよ。
お兄ちゃんは昔から無言で優しさをくれるんです。
寄り添って歩くことのできる幸福。
そして手を伸ばせば掴める愛しい人の身体。
大好きなお兄ちゃんの顔を、ずっとずっと見て歩きました。
お兄ちゃんを見ていると、心がほかほかするんです。
ほかほかしすぎて、イケナイ気持ちになるときもありますが、今はまだ我慢します。
唯、一つだけ嫌なことがありました。
臭うんですよ、凄く。
大嫌いな臭いがプンプンしました。
お兄ちゃんには毎日毎日私の匂いを染み込ませているんです。皮膚と肉を通り抜けて、骨の髄まで。
ううん。心の底と、脳味噌の中と、心臓の中心まで、血の中まで、魂まで、匂いを擦り付けているはず
なんです。
なのに。
“あの女”の臭いが私の愛しいお兄ちゃんに纏わり付いていたんです。
それがとても許せなかった。
だって、あんなにしっかり臭いが付いているんですよ。
それってつまり、お兄ちゃんにずっとくっついていたってことじゃないですか。
そういえばお迎えに行ったときも“あの女”はお兄ちゃんに張り付いていました。
やっぱり喉を突いておけば良かったかな?
その女の臭いです。普段の私なら吐いていたかもしれません。
でも、臭いのもと――視線の先にはお兄ちゃんがいるんですよ。不快感を幸せが上回ったので、
戻すことはありませんでした。愛の奇跡でしょう。
でも、家に着いたらすぐにお風呂に入って貰いました。消臭・消毒のためです。
お兄ちゃんは優しいので、「お前も冷えただろう?先に入って良いよ」と云ってくれました。
でもね、お兄ちゃん。そこは「一緒に入ろう」が正解だよ?
私はお兄ちゃんを先にお風呂に入れました。臭いの件や、傘をずらしていたので私よりも
濡れているからっていうのも理由ですが、実は他にやることがあったんです。
後片付け。
それが最優先でした。
あの偽者に耳障りな声を聞かされ、お兄ちゃんをとられた後、気づいてみたら、調理中の夕御飯が
散らばっていました。どうやら食器や食材をそこかしこに叩きつけていたようです。
柱に刺さった包丁を抜き、割れ物を拾い、歪んだ鍋を洗って、床と壁を掃除する。
大部分はあの家に行く前にやったのですが、一秒でも早くお兄ちゃんを取り戻したくて、
途中で外に出たのでした。窓ガラスや食器棚を割らない辺り、私はかなり冷静だと思います。
お兄ちゃんが入浴している間にお片づけを済ませます。大切なお兄ちゃんに怪我でもさせたら、
私は発狂してしまうでしょうから。
お風呂から上がったお兄ちゃんとお茶漬けを食べました。私は晩御飯を食べていませんでしたし、
お兄ちゃんはあんな所で気も休まらなかったでしょうから、御飯を食べた気にならなかったしょうし、
ちょうど良かったです。
お兄ちゃんには私の愛情と愛液がたっぷり入った特別製を食べて貰ったんです。
「美味しいよ、理理」
私の『特別』は喜んで貰えたみたいです。
夜も遅くになったので、寝ることになりました。
私の寝巻きはお兄ちゃんのカッターシャツです。
子供のころからずっとずっと、お兄ちゃんのおさがりを着ているんですよ。それらを着ていると、
まるでお兄ちゃんに包まれているような気分になれるんです。でもやっぱり本物のお兄ちゃんの
身体が一番好きなので、寝ようとしていたお兄ちゃんのお布団に潜り込んでしまいました。
お兄ちゃんはやれやれって顔をしましたが、やがて「しょうがないな」と認めてくれました。
お兄ちゃんのお古を着て、お兄ちゃんのお布団に包まれて、お兄ちゃんと寝るんです。
きっと私は、世界一幸せな女の子なんだと思います。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――
雨はすでに止んでいた。
陽光は明るく、碧空には雲ひとつない。庭の草花が湿っていないところを見ると、夜のうちに
晴れたのだろう。
6時半。僕の起床する時間だ。ある程度の身支度を整えてキッチンへ向かう。途中からトントンと
小気味良い音がした。
「おはよう、理理」
「おはよう、お兄ちゃん。もう少しで出来るから、待ってってね」
制服姿にエプロンをした妹が振り返る。朝食を作っているところらしい。
「今日は味噌汁か。良い匂いだな」
「ここのところ、お吸物が続いたから、変えてみようかなって」
はにかむように笑う。妹は笑顔も穏やかなものが多い。
身体を戻してみつばを切る。どうやら味噌汁は豆腐となめこの模様。
着席して暫く待つと、あいも変わらず気合の入った和食が並ぶ。
「お兄ちゃん、ちょっと待ってね」
御椀に盛り付けた味噌汁を僕の前に置いた理理は、5センチ程度の小瓶を取り出す。
「いつものやつか」
「うん。隠し味」
微笑して、瓶の中の液体を混ぜ込んでゆく。
理理はこうして、僕の食べるものに『何か』を混ぜるときがある。自分のご飯には決して混ぜず、
僕にだけ“それ”を食べさせる。瓶は何種類かあるようだが、中身はいずれも不明である。
いつもは素直で僕に隠し事をしない妹も、小瓶の正体については教えてくれない。唯、小瓶の
混ぜられた品を食べると、理理はとても嬉しそうにする。
二人で『いただきます』をして、食べ始める。身内びいきかもしれないが、本当に美味い。
「今日のお勧めは、玉子焼きだよ」
「ふうん、どれどれ」
ほうれん草の玉子焼きを口に放り込む。
「うん。美味しいな、少ししょっぱいけど」
「え、しょっぱかった?ごめんねお兄ちゃん、ちょっと入れすぎちゃったみたいだね」
「ん?ああ、塩か」
僕が問うと、理理は答えずに笑った。妙に嬉しそうだ。
食事を終える。後片付けをしながら「今日もいっぱい『食べてくれた』ね」と理理は満足そうに云う。
その後、僕の髪にブラシをかけ、ネクタイを結びなおす。よくもまあ自分以外の人間の準備など嬉々
として出来るものだ。嬉しいが複雑だ。
「理理はさ」
「うん。なあに、お兄ちゃん」
兄貴の身なりを整えながら笑顔で僕を覗き込む。
「いや、何でもない」
兄貴離れしたほうが良い、そう云おうとして口を噤んだ。
(云ったら多分、泣くからなぁ)
時を経れば、自然と離れて行くだろうか?高校一年になっても今だベッタリな妹の姿を見て、
少し不安に思う。
「ふふっ。ヘンなお兄ちゃん」
ニコニコと笑う。理理は本当に楽しそうだ。
(こういうこともしなくて良いと云ったら、やっぱり泣くだろうな)
「はい、おしまい。うん、お兄ちゃん今日も素敵だよ?」
僕を整え終わった理理は満足そうに兄を見る。こころなしか顔が赤い。
「そうか。ありがとう。お前は今日も可愛いぞ」
頬を撫でてやる。理理は耳まで赤くして俯いた。兄貴相手だというのに、純な奴だ。
連れ立って家を出る。理理は度々僕を見上げていた。いつもと少し様子が違う。普段の妹は
ちらちらと見るのではなく、ずっと見上げているのだから。
「理理」
「なあに、お兄ちゃん?」
「なにか俺に云いたいことがあるのか?」
「わ、わかる、の?」
「何年兄貴やってると思ってる?」
「嬉しい、な。やっぱりお兄ちゃんは私のことを見てくれてる・・・」
心底より嬉しそうな顔をする。うっとりと表現したほうが正しいだろうか。
「それで」と聞くと、何度か目を伏せ、躊躇いがちに云う。
「あ、あの、ね」
「うん」
「その、今度のお休みの日に・・・・おにぃちゃん・・・と・・・・デ、デー・・・・お、お出かけ、
したいなって・・・」
「外出ねぇ・・・」
そうきたか。インドアな妹にしては珍しいおねだりだ。
(もしかして、昨日聖理と出かけたからか?)
小柄な血縁を見おろす。期待半分恐怖半分で僕を窺っている。
「まあ、たまにはそれも良いか」
「ほ、本当・・・・!?」
「ああ。こんなことで嘘は吐かないよ」
妹の頭に掌を乗せる。理理は何度も「ありがとう、ありがとう」と云っていた。
そんなに嬉しいものだろうか?僕はまた少し複雑になる。
兄離れさせる――そう考えると断ったほうが良かったろうか?
(いや)
邪険に扱うことが兄離れさせることとイコールではない。
僕は首を振った。
放課後になる。
いつもはなるたけ理理と一緒にかえるのだが、時間割が異なるときはその限りではない。
妹は7,80分待ってでも一緒に帰りたがるが、僕がそれを許さなかった。
買い物やら掃除やら、その時間で出来ることは多い。なによりいつも僕と帰ってばかりでは、
妹の環境にも広がりがなくなるだろう。
今日は僕が遅くなる。だから妹はすでに帰宅しているはずだ。
HRが終わり、帰り支度をしていると、先に教室を出たクラスメイトが駆け込んできた。
「お、おい、月ヶ瀬!」
「ん?」
息を切らす級友。彼は僕の肩を掴んだ。
「お、お前、か、彼女いたのか!!!」
「は?」
首を傾げる。何を云い出すのだろうこの男は。僕にはそんなものは居ない。
こいつが大きな声で問いただしたものだから、まだ残っていたクラスメイトたちがざわめき始める。
「なんだよ、やっぱ彼女居たのか」
「えーショックぅ〜、月ヶ瀬くん彼女もちかー」
「何だ何だ、“撃墜王”は撃墜されてたのかYO」
口々に勝手なことを云いやがる。僕は駆け込んできた級友をじろりと睨んだ。
「いきなり駆け込んできて、なんだそれは?あと手を離せ」
「いや、だって、今外に、超可愛い娘がいて、お前を待ってるって」
「よくわからないが、俺は今日待ち合わせなんかしてないぞ?あと手を離せ」
やりとりを聞いてるギャラリーたちがまたざわざわ。
「なんだよ〜、しらばっくれてんのかー?」
「いや、彼女じゃなくてコクりに来たのかもよ?」
「つまりまた撃墜されるのか」
うるさいなあ。僕は溜息を吐く。
「外に居るってことは、この学校の娘じゃないってことか?」
めんどくさそうに聞いてみる。彼は頷いた。
「ああ、違うね!それがなんと聞いて驚け!その娘の着てる制服は、あの光陰館(こういんかん)
のものだ!!」
おお〜!と、教室が唸る。
光陰館と云えば、この辺りでも有名な名門私立である。従妹の聖理も通っているところで、
清楚で可憐な制服が可愛いともっぱらの噂だ。近隣の高校の間では光陰館はステータスであり
ブランドでもあった。
(もしかして)
僕は鞄を掴んだ。
「なあ、その娘、もしかしてちっちゃいか?」
「おお、ちっちゃいぞ。こうぎゅ〜って、抱きしめたくなるくらいに。でもおっきいぞ。
いや、なにが大きいなんて、そんなこと云わせんなよ」
勝手に照れている。
「間違いないな」
僕は呟く。
「なあ、あの娘お前の何なんだ?マジで可愛いんだが。理理ちゃんとタメ張れるくらいの容姿だぞ?」
その言葉にもう一度教室がおお〜!と唸る。
「おいおいマジかよ、理理ちゃんクラスの娘なんて、テレビの中でも見たことないぞ」
「みてえな、見に行くか。よし、行って来る」
教室の中がうるさい。僕は級友を押しのけて校門へ向かった。
「メールは別にきてなかったんだがな・・・」
校門には人だかりが出来ていた。可愛いとか、綺麗だ、とか大きいとか小さいとか、色々な呟きが
耳に入る。光陰館、光陰館、と囀る人並みを抜けて校門へ。
そこには大きなツリ目の、とんでもなく可愛い少女が佇んでいた。
「聖理」
「にいさん」
呼びかけるのと、駆け寄ってくるのはほぼ同時だった。名門私立の制服を着たちいさな身体が
僕の腕の中に納まる。
「逢いたかったよぉ、にぃさぁん」
僕の体をぎゅうぎゅうと抱きしめる。こんなところではまずいだろうに。
周りがざわめく。
「うわー、月ヶ瀬のかよー」
「にいさんとか云ってたぞ?」
「光陰館だ、お嬢様だ」
「バカップル死ね。氏ねじゃなくて死ね」
雑音がうるさい。
「聖理、ちょっと移動しよう、ここは良くない」
慌てて云う。従妹はうんと笑って腕を絡める。周囲の視線がまた痛い。
僕は聖理を引っ張るようにしてその場を離れた。
多分そのときの僕は、酷く情けない顔をしていたことだろう。
駅前の大通りから少し離れた小さな通りにその喫茶店はある。
『Silurian Period』と云うのが正式な屋号だが、シルル紀と呼ばれることのほうが多い。
店内は一面硝子張り――いや、水槽張りと云うべきか。ともかく、来客者を囲むように
魚が泳いでいる。熱帯魚や観賞魚ではなく『甲冑魚』が。
デヴォン紀末に滅んだはずの古代魚が壁代わりの水槽の中で泳ぐ。
淡水性甲冑魚も海水性甲冑魚もいっしょくただ。肉食性とそうでないものも混泳している。
ペーハーの管理や捕食・共食いはどう防いでいるのだろう?
気にするときりがないが、その点に目をつぶればとても感じの良い店で、知る人ぞ知る隠れた名店
となっている。ただし、値段はちょっと高い。
その店で、聖理は紅茶を、僕は焙じ茶を飲んでいる。四人がけの席だが、聖理は向かいに座らず
真横に陣取り僕にすりついている。
「で、今日はどうしたんだ?」
お茶を啜りながら尋ねる。聖理もそうそう僕に逢いにはこれないはずだが。
「うん。今日ね」
身体を密着させる。
「一日中、ぽーっとしてたの」
「ぼーっと?授業中もか?」
「うん。頭に入らなかった」
「おいおい、大丈夫なのかそんなんで。お前の所、学力の低下に厳しいだろう?」
「それは大丈夫。一日分くらいはどうってことないから」
そういえばこいつは成績優秀だったな。
「でね、昨日からずうっと、にいさんのことばかり考えてたの」
「俺?」
「うん。にいさん。聖理の、にいさんのこと」
どこか潤んだ瞳で僕を見上げる。頬が蒸気している。
「にいさんのことばかり考えて、全然眠れなかった。学校でもそう。ずっとずっと、にいさんのこと
想ってたの。それで、気づいたらあそこに立ってた」
「なんでそこまで・・・」
「なんで?にいさんのせいだよ?」
潤んだ瞳のまま、僕の体を掴む。顔と顔が近い。
「にいさんが聖理に『あんなこと』するから、聖理、にいさんのことしか考えられなくなっちゃった
んだよ・・・」
うっとりとした顔で、自らの頬を撫でる。そこは昨日、僕がキスをした場所だった。
「聖理ね、わかったの。やっぱりにいさんは聖理を愛してくれているって。昨日だって、
帰りたくないのに帰って行ったんだって。だって、にいさん抱きしめてくれたもん。キス、
してくれたもん」
聖理の云うことに間違いはない。一人にして帰るのは気が引けたし、聖理のことは大事だ。
抱き寄せて頬にキスしたのも事実。
――なのに。
なのになんでだろう。何か彼女の表現には違和感がある。いや、僕との間に齟齬がる。そんな感じ
がする。
「にいさん」
身体を押し付ける。従妹の胸が形を変えた。
「おい、くっつきすぎだ」
すりついてくるのはいつものことだが、それすらも別種のもののような違和感がある。
「いいでしょう?だって、聖理とにいさんは好きあっているんだもの」
「それはそうだけど」
「聖理のにいさん・・・聖理だけのにいさん・・・」
周りに人が居ないからか、それとも僕しか見えていないからか。聖理は無邪気さの感じられない
甘え方をしてくる。
その時ケータイが鳴った。メールを着信したらしい。
『良い蛸が安く買えました。今日はお兄ちゃんの好きな酢の物を作ります』
妹からだ。
「コトリ?」
「ん?ああ」
聖理がケータイを覗き込んだ。
「ふうん。こんなことまで態々にいさんにメールしてくるんだ」
無機質に云う。
やっぱり今日の従妹は雰囲気が違う。
「にいさん、今日はうちに来てくれないんでしょう?」
「ん。まあ流石に、二日連続は無理だよ」
泣くかな?そう思って従妹を見る。聖理は不適に笑っていた。
「そう。じゃあ我慢してあげる。そのかわり・・・・わかっているでしょう?」
「え?」
ギュッと僕を抱きしめて顔を近づける。
「昨日みたいに、聖理を我慢させて?」
甘やかなメゾソプラノが耳朶を這う。
昨日のように。それはキスのことだろうか。
「あれはそう何度も何度もやる類のものじゃないだろう?」
「だめだよ」
聖理は首を振る。
「あんなに甘美な餌を聖理に食べさせたのは、にいさんなんだよ?そのせいで聖理はもう、
あれじゃなきゃ我慢できなくなったの。にいさんからやったことなんだから、責任をとって
あの餌を与え続けなければいけないの」
「でも」
「はやく」
有無を云わせぬ迫力だった。僕は仕方なく聖理の柔らかい頬に口付けする。
「ん・・・・。ほっぺ・・・」
満足そうに笑う。
「にいさんも聖理と離れるのは寂しいでしょう?だから」
頬にキスされる。いや、舐められたのだろうか。
「愛してるよ・・・にいさん」
耳元で囁く。聖理は何かが変わってしまったのだろうか。
僕は口を開くことが出来なかった。
日曜日。
僕は約束通り理理と遊びに出かけた。
朝食を済ませ、午前中から家を出る。
妹は自分から誘ったのに希望する場所は特になかったようだ。その結果、僕があちこちに
連れ回すこととなった。駅前の店を覘き、買い物をする。昼食を摂って、午後は海の見える
大きな公園を散歩した。
理理は終始笑顔で僕についてきた。とにもかくにも僕と出掛けられればそれで良かったようだ。
「こんなんで楽しいのか?」
「うん。凄く幸せ」
満面の笑み。真っ直ぐすぎて直視できない。
「・・・そうか」
海に面した遊歩道を歩き出す。
「お、お兄ちゃん」
妹に呼び止められる。
「ん?」
「その、手を、繋いでも・・・良い?」
顔を真っ赤にし、控えめに僕を見る。この娘は基本的に傍にあっても触れてくることがない。
よほど恥ずかしいのだろうか。俯いたまま動かない。
僕は無言で手を取った。
「あ・・・」
妹は驚いたように身体を震わせ。消え入るほど小さな声で「ありがとう」と手を握り返す。
ちいさくすべすべとした理理の手から伝わる暖かさは、幸せと呼んでも良いものだろうか。
穏やかに手を繋いだまま、道を歩いた。
「たまにはこういうのも良いかもな」
「本当?じゃあ、また一緒にお出かけしてくれる?」
「ん・・・。たまに、ならな」
妹が繋いだ手を強く握り締めた。
暫く無言で道を行く。すると、遊歩道の傍の芝生に露店がみえた。食べ物の屋台ではなく
アクセサリーを販売しているらしい。
「お兄ちゃん」
理理が僕を見上げる。
「見たいのか?」
「うん」
妹は頷いた。理理は基本的にアクセサリーを身につけることはない。唯、小物の類は好きなようで
部屋にはそういったものが飾り付けられている。そういえばブローチやコサージュも買うことだけは
好きだった。
店にいるのは外国人ではなく日本人だった。いつも思うのだがこういうお店は採算採れるんだろうか?
「いらっしゃい」
愛想の良い店員に会釈して、品を見る。値段の割には質が良さそうだ。
理理は商品をじっと見つめている。何か気に入ったのがあるのだろうか?
「お兄ちゃん」
「どうした?欲しいものでもあったか」
尋ねると、耳まで真っ赤にして僕を引っ張って行く。
「あのね、お兄ちゃん。・・・・お願いがあるの」
「買って欲しいものでもあったか?」
コクリと頷く。
「えと、ね。買って欲しいものもあるんだけど、それだけじゃないの」
そう云って指をもじもじ。
「私が・・・お兄ちゃんにも買ってあげたいな、って・・・」
不思議な提案だ。交換ということなのだろうか?
それは構わないけど」
「本当?」
赤い顔で見上げる。
「ああ、たいした出費じゃなさそうだしな」
「ありがとう」
そう云って露店のほうへ駆けて行く。店員と何か話し込んでいるようだ。
妹が手招きをする。
近づいていくと店員は何かを包んでいた。
「ほいよ、にいちゃん。彼女と仲良くな」
紙の包みを渡される。中身はなんだろうか。わからないが、とりあえず僕は理理の分を。理理は
僕の分の代金を払った。
「いこう、お兄ちゃん」
彼女といわれたのが恥ずかしかったのか、理理は僕を引っ張ってその場を離れる。
周囲に人の居ない遊歩道まで来て、僕は妹に聞いた。
「なあ理理、中身なんだ?」
「・・・・アクセサリー」
「いや、それはそうだろう。俺は種類を聞いたんだけど」
「うん・・・」
妹は俯く。
「えと」
僕に向く。
「このアクセサリー、ずっと身につけていて欲しいの?だめ?」
「ずっと?」
「うん。寝るときも、お風呂に入るときも、ずっと・・・・・」
真剣な目だ。よほどの願いなのだろう。
「・・・・わかった」
「ほ、本当!?良かった・・・」
理理は涙まで浮かべて喜んだ。
「そんなに嬉しいものなのか?」
包みを開ける。
そこにはシンプルなデザインの――ペアの指輪が光っていた。
支援、かな?
ごめん、間違ってたらほんまに失礼なんだけど
どっかで読んだことある気がする。
いいねぇいいねぇ、素晴らしいキモウトだ
なんていうかこれは名作だろ…
キモ従姉妹萌え
連投規制食らってました。
投下終了です。
続きはまたいずれ
GJ!!聖理がいい感じにパワーアップしてきてるwww
そしてこのおもしろさと量はすばらしすぎるw
次も期待してます
可愛い可愛い本当可愛い。
こんな妹と従姉が欲しいよ。
強烈ですね・・・だがそれがいい
ウチの姉は、酔っ払うと挨拶代わりにキスしてくる…。
旦那がいるし、子持ちなのにねぇ…。俺がガキの頃からだったけど。
今でも休みは俺の家(実家)に遊びに来るし、買い物付き合えって言うことも多い。
100%実話なんだけど、こんな姉はキモ姉かなぁ…。
>>132 もう一歩だ!そしてその一歩を歩かせるのは君だ!
アンファン・テリブルって漫画の妹が病んでて好き
>>128 GJ!!!
しかし、なんだ。
この主人公、鈍感だなwww
エロゲの主人公みたいだw
>>132 今度乳揉んでみたらどうよ?
こんなにレスつくとは思わなかった…。
>>133 姉が義理ならやってたかもね…。近親でヤる事ヤっちゃまずいという倫理観が俺を縛る。
>>135 ふと思い出したが、俺が酔っ払ってた時に揉んだ記憶がある。姉の反応は覚えてない…。
>>136 笑えねぇ…。俺は目茶苦茶酒に弱いからな…。
お姉ちゃんと飲んでお姉ちゃんが先に潰れた事は無い。もちろん潰れた俺の記憶はない。
記憶のアーカイブを掘れば掘るほど、際どい事をやってたんだな。ウチの姉弟。
…なんだか頭が痛くなってきた。
三次の話なんてどうでもいいお( ^ω^;)
まあエロパロスレでする話題じゃないな
モデルにしてSS書くとか言ってくれる神が現れない限り
エロパロやらFFDQの某スレでコテやってるし、暇なら書いてみるかな。
ただ、俺の場合はナマモノなので書けるかどうかは不安。期待はしないでね
>>139 馬鹿、これはレス形式で書かれたキモ姉SSなんだよ!
用語の確認までに。キモ姉/妹ってのは男兄弟を愛してるか欲情してれば条件を満たせるのかな?
それとも近親という以外にさらに病んでるとか嫉妬深いとかいった要素が必要?
基本的に上の行で条件は満たされてると思う
そこからの発展・派生として嫉妬とかヤンデレとかが付加してくるんじゃないかと
想いの深さ故の行為の暴走、行動の計算化とかかな
わざと兄の入浴時間に合わせて脱衣場で着替えする妹とか、
愛妻弁当ばりのハートマークつき弁当を幾度注意されても作り続ける姉とか
嫉妬、修羅場の要素はヤ匙加減が難しいな修羅場にヤンデレと専用スレがあるし
ただ好き、ってだけなら普通の兄妹恋愛になるが、
他者の存在に対して異常に排他的になるとそれっぽく見える
ストーカー女体験談とか読むと参考になるかも(゚∀゚)
>>146 >ストーカー女体験談とか読むと参考になるかも(゚∀゚)
ぜひ、その本を教えてくれ
部屋に隠しカメラを仕掛けるとか
机に酢こんぶを仕掛けるとか
なんというキモ姉・・・
作戦を見ただけでワクワクしてしまった
>>149は間違いなく墜ちる
座布団の下にブーブークッションを仕掛けるとか
妹しかいないオレは負け組み。
兄貴2人とマッチョ弟しかいない俺が天下一負け組み。
キモ姉による弟君監禁事件が多発するのは来週の金曜日あたりか
>>156 監禁?やだなぁ、何言ってるの?
お姉ちゃんとの『愛の逃避行』でしょ。
そんなに怖がらないで。お姉ちゃん達を離れ離れにしようとする悪い奴らはお姉ちゃんが追い払うから!
金曜日まで待てない!!
今から行こうか!
ずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずぅ〜〜っと一緒にいようね!
ウフフ……………………
158 :
名無しさん@ピンキー:2007/04/19(木) 21:06:39 ID:oGznKi5P
キモ姉 出 た ! ! !
キモ姉とキモウトを愛しいと思った俺は勝ち組
来週の金曜になにがあるかkwsk
>>160 ダ・カーポ2の音姉がキモ化する日じゃんw
>>145 >わざと兄の入浴時間に合わせて脱衣場で着替えする妹とか、
>愛妻弁当ばりのハートマークつき弁当を幾度注意されても作り続ける姉とか
着替えするのが姉だと良いと思っている
むしろ両h
俺は風呂に弱いたちで、すぐのぼせる。
出ようとすると、なぜか測ったようなタイミングで衣擦れの音がした。
弟 「ね、姉ちゃん!?」
キモ姉「あ♪ ただいま〜♪ なんだ、アンタ風呂に入ってたの♪」
弟 「…、あのさ、そこで着替えられると俺、風呂から出れないんだけどさ…」
キモ姉「なによ、みみっちいわね。ここはアタシの家で、アタシがどこで着替えていようが私の自由じゃない」
弟 「う、…じゃあ待ってるから早く着替えて脱衣所から出てくれよ」
キモ姉「なによ、アンタも勝手に出てくればいいじゃない。どーせ、すぐのぼせて気分悪くなるくせに」
弟 「いや、そーいう問題じゃないと」
キモ姉「んふふ〜ん♪ いーわねーお風呂♪ 決めた。今日は暑かったから汗だくだしアタシも入ろ♪」
弟 「うあっ! ドアを開けるなよっ!!」
俺の制止に聞く耳持たず、姉は浴室のドアを開ける。
下着姿だった。
しかも、なぜか扇情的な黒のレース。
弟 「ちょっ!! ブラ外すなー!!」
キモ姉「恥ずかしがっちゃってー。前はいっつも一緒に入ってたじゃない。何を今更」
…。ちょっとキモ姉のテンションが明るすぎたか…Orz
あたまでかいなおまえ
「巴ちゃん・・そこに座りなさい。大事なお話があるんです」
キモ姉の分類に入るであろう僕の某姉は畳の部屋で正座をしながら、静かに殺気を帯びていた。
尋常ではない空気に僕は大人しく姉の言う事に従う。
「巴ちゃん。これなにかな?」
姉が勢い良くテーブルに叩き付けたのは・・僕の秘蔵のエロ本であった。
「くらいやがれですぅ」
「姉よ・・人のプライバシーの侵害はさすがに酷いと思うぞ」
「いいえ・・他の女の子の裸を見て興奮しているなんて・・。
年頃の男の子とはいえ、これでは私の大切な巴ちゃんが将来は強姦魔になるかもしれないわ」
「30%なるわけないでしょ。何を考えているのよ姉」
「お姉ちゃん以外の女の子以外で欲情するのは不潔なのよ。
だから、今からお姉ちゃんが脱いであげるから・・巴ちゃんはデジタルカメラを持ってきて。
今日からその写真をおかずにして抜いてくださいね」
「うん。全力でお断りするよ」
「がびょん・・・・」
「普段から見慣れている家族とか妹か姉の姿に萌える人間は
リアルだろうが二次元だろうが当事者の僕には興奮しません。リアルでも萌えませんから!!」
「お姉ちゃんの裸で萌えられないからって・・幼馴染や妹モノや巨乳特集のエロ本ばかり集めていたのはそんな理由だったの?」
「肯定だ」
「ひ、酷いよ。巴ちゃん・・お姉ちゃんはどれだけ貴方の事を想っているのか知っているの?
実の両親を事故を装って生命保険目的で殺したり、巴ちゃんに近付いてくる女の子の顔に
一生に残る傷を付けたり、いろいろと大変だったんだから」
「何かとんでもない事を言っているみたいだけど華麗にスルーさせて頂きます」
ブラコンである姉が裏で腹黒いことを熱心に工作していたことを知っていたが、実の両親まで殺すか? 普通?
「女の子の興味あるけど、お姉ちゃんに興味がない=私と巴ちゃんのラブラブな生活の破綻の危機よ・・。
これは何とかして対処しなければなりません」
「姉よ・・。自分の愛液をご飯の中に入れたり、俺の部屋に差し入れのコーヒを持ってゆくような真似だけは簡便な」
「ええっっ・・どうして知っているんですか?」
「姉の味がした」
「えへへへっっ・・。お姉ちゃんの愛液の味まで判別できるなんて凄いよ。
これも日頃のお姉ちゃんが女の子の事をよく教えた成果だよね。もう、嬉しいよ」
単純に愛液を入れるところを目撃して背筋に悪寒が走っていたと姉の蔓延なる笑顔を見ていると真実を告げるのは酷である。
「で、姉よ愛液のことは目を瞑っていいからエロ本を返して」
「あははっはは・・これは処分させてもらいますね。
巴ちゃんにはお姉ちゃん以外の女の子の裸を見た罰を受けることになるわ」
「まさか、姉よ・・。あれをやるつもりか!!」
僕が逃げる暇もなく、姉は軽々と小柄な体で僕を押し倒してきた。
「巴ちゃんの体が温かくて気持ちいいよ」
僕の胸元に姉の頬が擦り付けるように甘えてきた。すでに舌足らずの口調で上目遣いで僕を見ている。
「あ、あ、あの一応、姉と弟のスキンシップには限度があると思うんだけど」
「限界の壁を軽く越える灼熱の禁断の恋は誰も止めることができないわ・・」
「た、た、タスケテェェ!!」
「巴ちゃん巴ちゃんお姉ちゃんだけの巴ちゃん巴ちゃん巴ちゃん巴ちゃん巴ちゃん巴ちゃん
巴ちゃん巴ちゃん巴ちゃん巴ちゃん巴ちゃん巴ちゃん巴ちゃん巴ちゃん巴ちゃん巴ちゃん」
こうして、僕は人として何か大切な物を奪われた・・。
ちょっと書いてみた。
>>167 おおこれはなんていいキモ姉・・
つい、お持ち帰りしたくなってきたぜ
リアルで萌えられないからエロ本には姉モノを持っていない巴ちゃんに吹いた
GJです
キモ姉が弟を襲うのはこのスレのスタンダードですか?
マジでキモ姉やキモウトに癒されたいですね
>>167 愛液をご飯の中に入れているって最高
キモ姉の王道だねGJ
Janne Da Arcのsisterを聞きながら読むキモ姉、キモウト小説は最高だね!!
歌詞を見てみるがいい。あれは監禁の歌だ。そしてタイトルが妹or姉・・・。
うえたベットで よごと〜 あなたににたこをやどすまで〜
最初、あなたに「たこ」をやどすまで、と読んでしまった。
似た子ね。似た子…
煮タコ……!!
キモ姉が出てるオヌヌメのラノベある?
>>182 ラノベじゃなくてマンガだけど、樹なつみの「八雲立つ」に出てくる主人公の姉さんがいいよ。
欠点はなかなか出番がないってコトだけど。
2週間で随分伸びたな
>>132です。
勢いだけで書いた、ウチのお姉ちゃんの事。
このSSの50%は実体験、30%は実体験を基にしたもの、20%は捏造です。
もしかすると、キモ姉じゃないかもしれません。それは…ちょっと不明です。
後、視点は完全に俺の方にあります。ニヤリとしてくだされば幸い。
俺の名前は中山明人。皆からはアキヒトと呼ばれている。
妙なあだ名を付けられなかったのはむしろラッキーかもしれないが、友達の間だと有名な事がある。
シスコンと呼ばれているのだ。元凶は、言わずもがなの俺のお姉ちゃん。
佐久間泉美。旧姓中山。何故か俺にばっかり甘える。
顔が全く似ていないので、街中を歩くと普通のカップルに見られることが多々。
でも、そんな変わり者の姉だが、結構愛すべき人柄なのである。
その辺りのことを、今回は書く。
自分とお姉ちゃんとの年の差は五歳。
二人姉弟なので、昔から二人で遊んでいた。
今思えば、俺への世話の焼き方はあの頃から変わっていないような気がする。
自分がまだ小学生だった頃、お姉ちゃんを起こすのは自分の役目だった。
その頃の自分は夜九時に寝て朝五時半に起き、軽くストレッチの後ランニングをするのが日課で、忙しい両親に代わってお姉ちゃんを起こしていた。
「アキヒト…もう朝なのぉ?」
「お姉ちゃん、しっかりしなよ。朝練遅れるよ?」
「うー…今日はサボりでよろしくぅ…。」
「バカ言ってないで、さっさと起きなよ。朝ごはん冷めちゃうよ。」
「…わかったよぉ。眠いからエスコートしてぇ…。」
当時姉弟で使っていた部屋は二階にあり、リビングは一階だった。
本当に眠そうなので、毎朝リビングまでエスコートするのが日課。
何度か階段を踏み外しそうになったこともあり、面倒だとは思っていてもやらない日はなかった。
そんなこんなで小学校の6年間を過ごし、自分はエスカレーター式の私立中学に入った。
ここには給食がなく、昼ごはんは弁当を持参するか学食しかなかった。
一年のときは何事もなかったが、二年からは辛かった。
お姉ちゃんが大学に入り、時間的な余裕が出来たため、自分の弁当と一緒に俺の弁当を作るようになった。
傍から見れば「何が辛いの?」って事なんだが、俺の場合は、お姉ちゃんが作った弁当を食べるのは嫌だった。
何せ、御飯には卵と肉のそぼろで大きなハートマークが描かれていたのだから…。
これを友達に見せるのは恥ずかしいからいつも隠して食っていたが、もちろんすぐにバレてしまい、
「姉貴とラブラブな男」としてシスコン認定を受けてしまったのである。
「…とまぁ、こんな事があったから、お願いだからあの弁当はやめてくれ、お姉ちゃん。」
「あっはっは!ずいぶんマセてるんだね、半分やっかみだろうし気にしないでよ、アキヒト。」
「お姉ちゃんが気にするな、と言っても俺は気にすんだよぉ…。」
「デカいナリして何言ってるのよ。何なら毎日学食にすればぁ?」
「…俺の財布が持たないって…。」
「作ってやってるだけでもありがたく思いなさい、アキヒト。」
「…俺をからかうのって、そんなに楽しい?」
「あんたほど飽きないオモチャはないよw」
…この調子である。姉貴が大学を卒業した後もこれは続き、高校卒業までの5年間、俺は昼飯の度に突っ込みを受けつつ過ごしたのであった…。
ちょうどその頃は、お姉ちゃんが車を買った時期でもあった。
俺が住んでる辺りは公共交通機関が絶望的な状況で、車が欲しいといえば買い与えることも多々ある。
これまた何が困るのだ、と傍から見てる人は思うんだろう。
けど俺が通っている学校は国道をちょっと入ったところにあり、お姉ちゃんの学校へと向かう道から十分もかからないのだ。
つまり、必然的にお姉ちゃんが俺の送り迎えをする事になった。
当たり前っちゃ当たり前だが、俺の交通費はかなり安くなるため、親は何も言わなかった。
結果として、「姉貴と超ラブラブな男」という評価になり、シスコン疑惑にさらなる拍車がかかることになった…。
そんなお姉ちゃんにも転機が訪れる。結婚である。
俺が二十歳のときに、姉は付き合っていた恋人と結婚した。
俺はやっとお姉ちゃんの呪縛から解き放たれると思い、狂喜乱舞。
だが、人生はそんなに甘いもんではなかった。
義兄は24時間働いて、24時間休むというような仕事をしており、義兄が朝から晩までいない日は、必ずと言っていいほど俺の家に遊びにきていた。
お姉ちゃんが我が家に来ると、まず俺が相手をさせられる。
お姉ちゃんはオヤジに似て酒豪であり、朝から飲むなんてザラにあった。
それに対して、俺は酒が好きなくせに弱いというある意味特殊な体質。
お姉ちゃんは酒が入ると、笑い上戸のキス魔になる。
「アキヒト。飲むぞぉ。」
「お姉ちゃん…お姉ちゃんには付き合えないって…二日酔いで何度死に掛けたか…。」
「生きてるから問題なし。よし、アキヒトのベッドの下に隠しておいた酒をもってこい。」
「…なんでそれを知ってるの?」
「何年アキヒトの姉ちゃんやってると思ってるの?」
「…持ってくるよ。」
心の中で泣く俺。
ベッドの下においてあるのは、愛してやまないターキー12年。
楽しみに少しずつ飲んでいたもので、まだ三分の二はゆうにある。
(さようなら俺のターキー…ありがとう俺のターキー…)
「…持ってきたよ。」
「うん。ありがと。グラスと氷は用意してあるから、飲もう。」
「あぁ…俺はズブロッカでいいや。ターキーはお姉ちゃんが飲んでくれ…。」
「いいの?高いお酒じゃないの?」
「それは勿論聞いてみただけだろ?前に飲んだときに、結局ボトル抱きしめて放さなかったくせに…。」
「流石に私の弟。よくわかっている。」
リアルで凹みつつ、ズブロッカをグラスに注ぐ。
俺は舐めるように飲んでいるのに、お姉ちゃんはハイペース。
ターキーをロックで、しかもあんなハイペースで飲む人はあんまりいない気がする。
見る間に減っていく、俺のターキー…。
そんなささやかな宴は過ぎていく…。
二時間もすると、二人とも出来上がっていた。
「アキヒトぉ…キスしよー。」
「わかったよ…ん…。」
いつもどおりのキス魔っぷり。そしてそれを嫌がらない俺。やっぱ酒って怖い。
とはいえ、俺らのキスはディープなもんじゃない…はずなのだが、その日は違った。
「アキヒト〜こっち向け〜…。」
「何だぁ…またかぁ…。」
目を閉じていると、温かい感触と…歯に当たる何か。
「ん?」
次の瞬間、俺の口の中に酒精の匂いが…。
「ぷは…。何やったんだ?お姉ちゃん…。」
「あははー。アキヒトの酒飲んじゃったからね〜。少しおすそ分け。」
「…酔っ払い方が半端じゃないよ、お姉ちゃん。もう寝よう?」
「わかったよ〜。お酒も切れたことだし。」
…ターキー。もっと味わう人に飲んでもらいたかっただろうに…。
俺はひたすらズブロッカで、実際のところはほとんど飲んでなかったからよかったが、
がっつり飲んだお姉ちゃんは、足元フラフラ。
「アキヒト〜。抱っこ〜。」
「…わかったよ。」
25の姉を、お姫様抱っこで抱える男はそうはいないんじゃないか、などと思う。
いつものディオールの匂いがやけに鼻をくすぐった。
次の朝、俺はいつも行く犬の散歩に出かけた。
変な姉だけど、そんな姉が嫌いじゃない俺もきっと変わり者なんだろうなぁ。
そして、いつもどおり。
「お姉ちゃん、起きなよ。朝だよ。」
「アキヒト…。姉ちゃん二日酔い…。」
「じゃ、もう少し寝てなよ。」
いつの間にか降っていた雨が水溜りを作っていて、真夏の蒼穹を写していた。
…まぁ、リアルのキモ姉なんてこんなもんじゃないでしょうか。
ちなみに、登場人物達は本人とイニシャルだけ同じです。
あだ名も同じにしようかと思いましたが、精神的にキツかったのでやめました。
それでは。
なんか、キモ姉というより、めちゃくちゃ仲のいい姉弟って感じだな。
まぁ、本人からしてみればキモイのかもしれないがw
つーか羨ましいぜコンチクショウ!!!
アキヒトって・・・俺かよ
いい姉じゃねえか。
しかしターキーはロックで飲むもんだろ。
バーボンのいいのを何かで割るなんて邪道だ。
なんかニヤニヤしたwいいなこれ
俺の姉は逆に避けてくる……
高校生ぐらいだったと思うけど、狭いところで物を取ろうとして
背中にちょっと触っちまっただけで変態扱いされた
なんか今思うと過剰反応しすぎでキモイ……
結婚してからは男慣れしたのか普通になったけど
家の姉は元々不細工で、何が起きたかしらんが
6年前の大学受験が終わってからスガシカオみたいな髪型になって
結果似合わず不細工さが極まった。
多分受験中自殺願望してた位だから、
精神に問題があるんだと思う。ある意味「キモ姉」
>>197 どっちかっていうとキショ姉じゃねぇ?
・・・いや、スマン。人の姉ちゃんをキショいって言っちゃあかんな。
違いの分かるブラザー、説明してくれ
キモ姉とキショ姉はどう違うんだ?
うちの姉ちゃん
風呂上りにセミロングの髪をオールバックにしてた
俺「小力に似てる・・・」
姉「ひどっ!ひどい!」
俺「切れた?」
姉「切れてないっすよ!」
でもマジ蹴りされた
>>202 俺そういうノリの奴大好物だ
紹介してくれ
>>201 俺の感じ的には、ある意味いい感じもするのがキモ、真性不快なのがキショ。
なぜならキモ姉キモウトのキモは気持ちいいのキモ、肝のキモでもあるからだ。
好意→キモ
嫌悪→キショ
でいいんじゃね?
好き過ぎて&きょうだいだから、っていう理由でツンになるパターンもあるんじゃね
ROOM NO.1301のホタルみたいに
そういや、ふと気になったんだけれどさ。
自分の子供達が近親相姦してるって知った時の親の気持ちっていったいどんなものなんだろうな?
ルームナンバーでは、父親→露骨に避ける。
母親→精神崩壊&記憶欠落だったけれどさ……。
親になったこともないし、これから親になる予定も無いから想像つかねーや。
親の反応で思い出したんだが
二宮ひかるの「初恋」って単行本に入ってるエンゲージって漫画が
なかなかこのスレ向きだと思った。特に双子の兄妹の方。
212 :
名無しさん@ピンキー:2007/04/25(水) 21:34:57 ID:4jcnQpK5
家の近所の小学生姉弟
姉が5,6年、弟3,4年くらいで手つないで登下校してる
オレは期待してるぞ!!!
kwsk
小三の妹から、友達の中に外でもキスする姉弟がいると聞いた……
正直吹いたね
キモ姉、キモウトは世間一般から見た度の過ぎたブラコンと俺は勝手に解釈している
そして俺がもっとも欲しいもの
>>208 むか〜〜〜し、そんなSS書いた記憶がある。
妹に逆レイプくらった兄貴が、親バレして、実家から勘当される話。
>>217 どう考えても兄貴が被害者なのに勘当かよ。
救いようのない話書いてるなお前・・・。
>>217 妹が精神的にドSで、実は兄が勘当されるように仕向けたのは
籠の鳥にするための陰謀だった展開を妄想した
「兄さん……これでもう一人っきりだよ……。
兄さんには、友達も、先生も、幼馴染も、両親もいらないの。
あたし以外は何にもいらないの。あたしだけ。あたしだけが兄さんを救えるの。
兄さんにあたししか残らなくなるまで、追い込んで追い込んで、破滅させてあげる……」
朝っぱらからヤンデレキモウト妄想で萌える俺はたぶん変態です
>>217 ていうかそれ読んだことあるな
嫉妬スレじゃないか?投下したの、あれはいいものdatta
>>219 いやいやいやいや、よくねえよ!破滅じゃねえか!!
まあ、兄が勘当されて家を出て行き、妹も出て行って兄のところに押しかけ、
これで二人っきりだね・・・なーんてしてくれれば最高ですが。
>>218>>222 うん。最初は俺もバッドエンドにしようと思ったけど、投稿途中で気が変わって、
兄妹二人が、兄貴勘当後の密会の段取りを組むっていうラストに変更した。
(後日談的に、数年後の逢引のシーンもいれといた。)
>>221 いや、嫉妬スレじゃなくて、妹スレ。
確かまだ、保管庫には残ってたと思う。
まさか「牡丹」と「雅」作者か?
「どこに入れて欲しい?」
「もうっ、お兄ちゃんの意地悪っ、ん…アソコ…アソコに入れて」
「アソコ?アソコってどこ?言ってごらん」
「言えないよぉ、恥ずかしい…」
「恥ずかしくないよ、さぁ言ってごらん」
「……こ…」
「何?聞こえないなぁ。もう一回どこに入れて欲しいか言ってごらん」
「……こ、公明党」
228 :
217:2007/04/27(金) 00:36:58 ID:qlRzY0zz
>>225 嬉しいなあ。タイトル覚えててくれた人がまだいたんだ。
「牡丹」に関して言えば、続編の構想もあったんだけど、
どう考えても、重くて暗くて堅苦しい話になりそうだったんで、やめた。
>>226 「妹大好きスレッド」の保管庫に、まだあったはず。
かなり拙作なんで、恥かしいんですが、気が向いたら読み飛ばしてやって下さい。
>>227 吹いたwwwwこれはキメェwwwwwwwwww
230 :
225:2007/04/27(金) 00:48:15 ID:6/4Tze/F
うわ、作者さんだったか。こんな所でお眼にかかれるとは……
あの作品を読んで私はSSを書く事に目覚めたんだよなあ。
>>227貴様はっ・・・・貴様は天才か!?
つニュージャンル
選挙に投票するキモウトがエッチになる瞬間に・・・・
>>228 ごめん、妹大好きでスレッド一覧検索しても見つからない。
もう潰れた?
ぼ、牡丹!?
牡丹って……あの兄弟を虐待する姉妹のスレにあった素晴らしくイカれた……
235 :
名無しさん@ピンキー:2007/04/27(金) 02:34:24 ID:v9FceTa6
兄弟を虐待する姉妹スレについてkwsk
sage忘れてた……orz誰かコロして……
>>235 兄弟の尿道にビーズの束を差し込んだり、後ろから尻穴をペニバンで突いたりしてたスレ。
いつの間にか消えていて、避難所も行方不明。
>237
アゲてしまった不作法者にも関わらず、なんと親切なお方……。スレが行方不明とはいえ情報、有難うございます。
>>224 いもうとスレか!そうだそうだ
あのいい具合に逝ってる感じがヨカタよ
よければまたかいてくr(パーン
なんだか流れ豚切りですが、一つ投下します。
「静かな暗さ」を目指してみました。たぶん3〜4レスぐらいです。
「お兄ちゃん、起きてよ」
ちょっとハスキーな声が、俺を覚醒させた。
「ん…吹雪?」
まだ焦点の定まらない目で見たのは、俺の妹。
「お兄ちゃんを『お兄ちゃん』って呼ぶのは私だけだよ」
…それもそうか。などとぼやけた頭で思う。
そういや、入院してる吹雪を見舞いに来たんだっけ…。
時計を見ると、すでに見舞いにきてから二時間近く経っていた。
くぁ…と小さく欠伸をして、眠気を払ってから妹の手を握る。優しく目を見る。
言葉はないが、一々言葉を交わさなければわからないほど浅い付き合いじゃない。
早く治ってくれ。その思いのたけを込めて、手を握る。
「お兄ちゃんの手、暖かいね」
「お前の手が冷たいんだよ」
精々、会話はこの程度。それでも、伝えたいことは伝わると信じている。
「本山さん、申し訳ありませんがそろそろ消灯の時間ですので、お引取り願えませんか?」
もうそんな時間か…と腕時計を見ると、八時半を過ぎていた。
本当は八時で面会を締め切るのだが、吹雪は精神的にいくらか怪しいところがあるので、特例となっていた。
「お兄ちゃん、もう帰るの?」
「…ごめんな、吹雪。本当はもっと一緒にいてやりたいんだけど、我が家のようにはいかないよ」
帰ると言うと、吹雪は必ず袖を掴む。離れたくないと。
もちろん辛い気持ちもあるが、そこは飲み込む。傷跡のある手をそっと振りほどき、騎士のように手へキス。
「じゃあな」
これが、いつもの別れ方。その後、吹雪は必ず頬を赤くして見送る。
…あの子だけは、傷つけたくない。そう思ってする、俺にできる精一杯の愛情表現
俺たちの生い立ちは、あまり幸福ではなかった。
両親は俺が中学三年、妹が小学五年のときに離婚。
俺は昔から喧嘩ばかりしていた両親を見ていたので、別に不思議には思わなかった。
妹もそんな両親を見ていたが、甘えたい盛りの年頃。どんなにショックだったかはわからない。
俺たちは母親に引き取られた。そこまではどこにでも転がっている話だ。
だが、母親は離婚から一年も経たずに再婚。相手も子持ちの男だった。
ここから先は、ありふれた悲劇。母親は相手の子ばかり可愛がり、俺たちには冷たく当たった。
とはいえ、衣食住に困るほどではない。それでも何かにつけて貶められた。
俺は一つ屋根の下にいる人間を『家族』と思うことはついに出来なかった。
妹もそれは同じようで、結局なじまなかった。
それだけならまだいいが、精神的にかなり辛かったらしく、自分の身体を傷つけることも多々。
そして、そんな手間の掛かる妹をさらに無碍に扱う実母と義父。
俺はそんな家にいるのが嫌で、必死に勉強して資格を取り高校卒業(就職)と共に家を出た。
妹に「来るか?」と一言聞けば、妹は何も言わずに荷物をまとめた。
それからもう5年。俺はその間にたたき上げの出世頭になっている。
出世自体に興味はないが、いかんせん養う家族がいる以上、金はいる。
今でも必死に仕事をこなしているが、段々妹と接する時間が減っていくのが目下の気がかり。
寂しい思いをさせたくないと思うが、時間にはどんな武器でも敵わない。
そんな事を考えながら、俺は病院を後にした。
…お兄ちゃんの寝顔を眺めている。
私の人生の中でも最も素敵な時間。
普段は無愛想な顔なのに、寝顔は素直であどけない。
目蓋に唇を落としてみる。可愛らしくうなった。
指を舐めてみる。清潔な石鹸の香りと、わずかな汗の味。
それがとっても美味しくて、指を無心に舐める。
視線がいやらしくなっていくのがわかる。頬が上気するのも。
「…私、変態みたい。」
そう呟いても、舌は止まらない。
お兄ちゃんはかなり疲れているみたいで、全く目覚める気配はない。
それどころか、ちょっとくすぐったそうにうなる。
そんな仕草が可愛すぎて、どんどんと行動を昇華させたくなるけど、こんな所じゃまずいよね?
気持ちを振り払って唇から指を離すと、微かな銀の糸。
それが何だか、私の気持ちを代弁してるみたいに見える。
お兄ちゃん…昔から、私にはお兄ちゃんだけだよ?
お兄ちゃんが居れば、私は何も要らないよ?
人を狂わせるお金も。
離れて暮らすことになる広い家も。
親もいらない。私の愛を邪魔するだけだから。
布団もいらないよ。お兄ちゃんと抱き合って眠れば、どんなものより暖かいから。
広い世界もいらない。お兄ちゃんの腕の中、それだけが私の世界でいい。
ただ、お兄ちゃんがいればいい。
ずっと一緒にいられるのなら、地獄にだって喜んで堕ちるよ?
私は弱い人間。
お兄ちゃんに寄り添わなければ、真っ直ぐ前を見て立っていられないから。
どんどん、お兄ちゃんに寄りかかっていくから。
だから、もっと強く抱きしめて?倒れないように、折れちゃうぐらい、ぎゅってして?
いっそ、私の命を呑み込んで。私をお兄ちゃんの一部にして。
恥ずかしがらないで?
今、この病室にいる限り、世界は二人だけのものだから。
私を、お兄ちゃんのものだけにして?
深い深い泥沼に、一緒に堕ちていこうよ。
底まで行ったら、真っ暗闇。そこにこそ、本当に二人きりの世界があるから。
誰にも邪魔されない、二人だけの世界があるから。
お兄ちゃん、誰かのものになっちゃいやだよ?
お兄ちゃんは私だけのものだから。誰にも渡さないから。
お兄ちゃんを奪おうとするのなら、神でも殺してみせるよ?
だから、私を愛してね?
深く、深く、深遠の闇より暗い愛で。
私が見えなくなるくらい、暗い愛で包んでね。
そうしたら、私の目にはお兄ちゃんしか映らないから。
他人からも、私は見えないから。
だから、私を愛して。お兄ちゃん。
退院まで、後一週間。一週間経てば、またお兄ちゃんと一緒に暮らせる。
どんなことをしようかなぁ?
暗い部屋で、二人でじゃれあおうかなぁ?
昼も夜もなく、一緒に遊ぼうよ。お兄ちゃん。
だから、早くお仕事を片付けてきてね?
「お兄ちゃん、起きてよ」
ずっと寝てないで、起きて私を見てよ。
私にお兄ちゃんを刻み付けるために。
お兄ちゃんに私を刻み付けるために。
永久に、永遠に、たとえ死しても、消えないように。
以上です。
一応一区切りですが、前半で長々と設定書いたので続きも書こうかと思ってます。
しかし、リアル妹はいないので前作よりはるかに書きやすかったです。
なかなかにすてきなキモ妹ですねwww
牡丹の人の新作も期待してます!!
あと籠の中の続きが気になってしょうがない
俺も籠の中の続きが気になって夜も眠れず昼寝する。
キモイとは思わない。
いい雰囲気だなぁ。
いいですねえ。ただ文章こそ長いものの
プロットをそのまま深皿に入れて、コンソメスープで
薄めて出されたような気もする。
と思ったら続きあるんですね。スンマソン。期待待ちです
がんばれ職人。そして、完結した暁にはこの乙を・・・
( ゚Д゚)っ
( つ 2/
( 。_。)っ
( つ 2/
(゚д゚ )っ
( つ 2/
( ゚д゚)っ
( つ 2/
( ゚д゚ )っ
( つ 2/
一つ言っておくが・・家庭教師のお姉さんもこのスレの範囲内だろうな?
義姉や義妹もスレ内だろうか・・
一度、議論しようぜ
近親である必要はない……よな?!
義姉や義妹はこのスレで当然よかろうが、
ただの年上の女性は姉でも妹でもないのでダメだろう。
せめて兄嫁ぐらいでなければ審議の対象にもなるまい。
偽物は認めん!!!
ヤンデレスレにでも行けばいいんでない?そういうのは
家庭教師のお姉さんと義姉は合法だ・・
この国は自衛隊を無理矢理な解釈でイラクに派遣したので・・大丈夫でしょ
せっかくのネタを取られるのもバカな話だしなw
義理のお姉ちゃんはいいとして、家庭教師のお姉さんはキモ姉とは違う気がするんだ
血が繋がってる繋がってないは別としてキョウダイ関係に絞らないか?
同意。「姉みたいな存在」ってのはなんか違う気がする。
まあ類似スレいっぱいあるしそっちで投下してくれればおk
今、地元のローカルテレビ番組を見てたんだが、地元のダンス姉弟の特集をやってて、ダンス披露した後に、二人がインタビューされてて、その時
「お姉さんの○○さんにとって弟さんはどんな方ですか?」
って質問がされたんだ。
したら姉の方が
「○○くんは優しくて頼りになって……生涯のパートナーです!」
って言ってた。
アナウンサーも弟も顔をひきつってたよ……
それを見て、キモ姉かと思った俺は重症?
いや。かなりキモイw
ダンスの相手役って……意味だけじゃないよな!?
>>260 虹に変換したら萌えた(*´Д`)ムハー こういうナチュラルなキモ姉もいいな
で弟のほうはなんと?
生涯のパトーナーの意味が違うんじゃあ・・・
でも、萌える
265 :
名無しさん@ピンキー:2007/04/28(土) 20:15:26 ID:5YX/DKl4
年齢にもよるな
理想のキモ姉というのは極度のブラコンであり、又はシスコンである。
まあ、弟や妹が可愛くて甘えさせている姉っているじゃんw
あの全て包み込むような優しさを持つのが一番上である姉って感じするのだが・・
>>260 どう考えても素晴らしいキモ姉
この設定使えるね!誰かSSを!
ダンス仲間の泥棒猫とか弟の同級生の泥棒猫とか…
DODのフリアエ
あれはキモウトだったな……
>>269 カイムのお兄ちゃんはアンヘルを選んでしまったようだがな・・・・・
救われる道は無い上に怪物化…
嫌なこと思い出させるなよ('A`)
272 :
名無しさん@ピンキー:2007/04/29(日) 12:22:16 ID:e4HS55q0
DODのストーリー勝手に変えちゃえば、SS書けんことも無い。
上手くいけばハッピーエンドになるんじゃね?
書かないけどな(だってクリアすらしてねぇしスレに合わなさそう)
ごめん下げ忘れた。
最後は戦闘機とエースコンバットばりにドッグファイトするあれか。
>>274 憧れのお兄ちゃんは
戦闘機に跨がって闘う事ができるんだぜ
DODといえば2にはキモ幼馴染がいたな
277 :
名無しさん@ピンキー:2007/04/30(月) 12:14:58 ID:pDbxSYOG
vvv
>>276 正直ヒロインより全然幼馴染のほうに萌えた。
まぁ小雪が嫌いってのもあるけど。
279 :
名無しさん@ピンキー:2007/05/03(木) 09:46:04 ID:UstTPsT+
DOD2は結構ライトで「普通」感があったのが嫌だったなぁ。
わが道を貫き通して欲しかった。
281 :
名無しさん@ピンキー:2007/05/03(木) 22:33:41 ID:8Sv4PDlV
俺、亀毛兎角よ
2イイのはカイム死亡のシーンだけ
1やってりゃ泣ける……
>>282 確かに…あの会話は今でも思い出せるよ。
「もう良いのか、カイム」
「あぁ、行こう、共に…。」
泣けてきた…。
正直カイム視点のサイドストーリーがあったらものすごく良作に変わってたと思うんだ
いい加減脱線しすぎでスレ違い板違いだぞ
続きを書かないと呪い殺す
マホカンタ
アストロン
完全防御
お、おまいらwwwいったいどこからwwww
リ、リフレクだもんね!俺今無敵だもんね!!
凍てつく波動
ATフィールド
ドローモンスターカード
ザムディン!!
超ウルトラグレートデリシャス大車輪山嵐
ダダドムゥ
あつしw
貴様等いいかげんにしろ!!!!
くらえ!メガンテ!!!
↓何事もなかったようにスレ再会
もうみんな消えろ
マ ダ ン テ
マジャスティス
なぁ
いいいかげん片付く気配がない姉に親が
「老後一人でどうする気や」って言うたら
「ええもん七史といっしょに暮らすもん!、なー」
って言われたんだが..俺はどうすれば...
ヤッチマイナー
そのキモ姉が29歳以下(処女)なら超うらやましい…
試しに「俺は婿に行く」と言ってみるとか
「俺が姉ちゃん嫁に貰うよ」って言って軽くあしらわれたらただの冗談
姉ちゃんがキョドったら・・・あとは分かるよな?
突 撃 あるのみ
襲うというか
犯 っ ち ま う
強引ヨクナイ
実姉なら勃たんだろ…。普通に考えて。
名前欄消し忘れました…。
俺ってこのミス何回やってるんだろう…。
籠の続きを投下します。
今回少し長いので、二回に分けます。
「大きくなったら、結婚しよう」
街のはずれの寂れた空き地。
すでに“蒼”と呼べる空は無い。
輝く七色を反射する星星は黄昏た曇天に呑み込まれ、静かな月は黒くて視えない。
穢れた大地に膝を抱える幼い少女と、その傍に立つ少年。
あの日、『彼』は確かにそう云った。
「僕が理理とずっと一緒にいてやる」
今にも涙が落ちてきそうな暗くて黒い空の下。
羽虫のたかる街灯だけが、惑った視覚を補償して、ぼやけた人工の輝きだけが、互いの姿を確認
させる。
『彼』の言葉に幼い少女はぴくりと震える。
球体を目指すかのように縮こまった身体を駆動させ、ゆっくりと首を持ち上げる。
「おにいちゃん・・・・・・」
少し垂れ気味の、大きな宝石に浮かぶ水質の光。
舌足らずな口からこぼれるコントラルトが今の言葉を確認させる。
「本当に・・・・理理と一緒に居てくれる?」
「本当に・・・・理理をお嫁さんにしてくれる?」
「本当に・・・・理理を愛してくれる?」
繰り返される相似した質問に、『彼』は「ああ」とだけ頷いた。
幼い少女は「嬉しい」と笑う。
乱立する電信柱の影法師が、籠の柵のように二人を囲んでいた。
唯、それだけの風景。
それだけの過去。
そして、たった今見ていた夢――
僕は目をこすりながら、指に絡みついた“銀色”を見つめた。
「これのせいかなぁ・・・・」
あんな夢をみたのは。
「何歳のときだっけか」
それすらも思い出せない。
追憶はいつも断片的だ。
手を移動して、口をぬぐう。
よだれでも垂らしていたのか。頬まで唾液でびしゃびしゃになっていた。
「みっともないなぁ」
汚らしさに苦笑する。
時計を見ると6時半。
いつも通りの起床時間だ。
布団の中に理理の姿は無い。多分、朝食を作っているのだろう。
再び視界は銀色へ
昨日――
理理は涙まで流して、この『プレゼント』を喜んだ。
上気した頬と、潤んだ瞳。耳まで赤くして、けれど躊躇無く。
円環を左手の薬指に嵌める。
「ずっと・・・大切にするね」
上目遣いに微笑んで。
「お兄ちゃんも、ここに嵌めて?」
僕の左手を握る。
『ずっと身につける』
そう約束した以上、破るわけにはいかなかった。
そして、僕には銀の約束が絡みついた。
本当に嬉しそうに。
本当に楽しそうに。
妹は兄の左手を見て笑い。
妹は妹の左手を見て笑う。
いつもと違い、兄に断ること無く手を繋ぎ、指を絡める。
傍に在るのではなく――寄り添うように。
傍で寝るのではなく――絡みつくように。
“銀色”を嵌めて後、幽かに理理の態度が変わった。
「一緒に寝ても良い?」
いつもならそう聞くのに。
それが自然であるかのように、僕の布団に潜り込んだ。
兄を見つめる視線は穏やかさよりも、もっと重い感情があった。
まるでこの間の聖理のような、無邪気さを失した視線。
理理は僕との約束を違えた事が無い。
僕もそうだ。
理理との約束はきちんと護ってきた。
でも。
飾られた仲の良い兄妹の写真を見る。
はにかんで兄と手を繋ぐ少女の姿。
先ほどの夢は、あれぐらいの時のことだったろうか。
「結婚しよう」
その約束は叶えられない。
そして、叶える気も無い。
子供のときにのみ輝く約束。
長じてからは叶えてはいけない約束。
あいつが今もそんなことを覚えているとは思えないが。
あの時の。
昨日の。
嬉しそうな姿を思い出す。
仲の良い兄妹がペアのアクセサリーをつける。
そこまでは良い。
けれど、それが指輪で、しかも左手の薬指というのはまずいのではないか。
今の僕の願い。
それは理理に自立して貰うこと。
指輪(これ)は、その目的を後退させるのではないか?
そんな風に思う。
あの時の約束。
何も覚えてなければそれで良い。
けれど、もしも覚えているならば――
僕は左手をぎゅっと握った。
「おはよう。お兄ちゃん」
身支度を整え、部屋に入ると理理は近くに遣って来た。
いつも通りのはにかんだ笑顔をし、いつもよりも赤い顔をする。
いやでも目に入るのは妹の薬指。
銀色の、約束。
僕の前まで来た理理も、僕の左手を何度も何度も覗き見る。
(やっぱり・・・・)
やっぱり“これ”はつけないほうが良かったか。
少し気が重い。
「ねぇ、お兄ちゃん」
挨拶を済ませ席に着くと、調理を再開した妹が弾んだ声で話しかける。
「今日ね、夢をみたの」
『小瓶』を取り出し、食事に混ぜる。
いつもよりも量が多いように感じるのは、気のせいだろうか。
「夢?どんな?」
自分のみた夢を思い出す。
「うん。・・・・・・あの、ね・・・・・」
照れたように目を伏せる。
「昔、夜の空き地で――」
ぶつぎりのアルトボイスが『同じもの』を語る。
僕が顔をしかめると、「どうしたの?」と問うてきた。
「いや」
僕は首を振る。
「俺も今日、その夢をみたんだ」
「本当・・・・・!?」
嬉しそうに目を見開く。
「やっぱり、お兄ちゃんと私は繋がってるんだね・・・・!相性が良いんだね。それとも――」
左手に目を落とす。
「“これ”のおかげかな」
円環をそっと撫でた。
――ああ、やっぱり覚えてる。
僕は肩を落とした。
いつも通りの道を往く。
それは変わらない。
なのに。
横にある少女の立ち位置が違う。
「お兄ちゃん・・・」
話しかけられたのではなく、ただ呟いているだけ。
僕の腕に抱きついて、頭を預けながら歩く。
いつもなら傍を歩くだけなのに。
家を出た瞬間から、妹は僕に腕を絡めた。
従妹のようにぎゅうぎゅうと抱きしめるのではなく、静に、でも力強く腕を抱く。
こういう行為にも性格は出るものか。
聖理は僕を引っ張るように、自分のもとに引き寄せるように腕を組む。
対して理理は僕に縋り付くように、兄のもとに寄り添うように腕を組む。
そんなことを比較する。
景色が変わり、学園に近づくほど視線が集まる。
それはそうだろう。
こんな風に腕を組んでいれば、嫌でも目に付く。ましてや理理は人目を引く容姿なのだ。
(指輪は、見られてないかな・・・・?)
そんなはずはないか。
無駄な希望だ。
一応、テーピングは持ってきている。
だから隠すことはそう難しくない。
外す――そういう選択肢もあるが、「ずっとつける」と約束してしまった。だからそれは出来ない。
外すときは、理理に宣言してから出なければならない。
そして、校門が近づく。
「まずいな」
僕は妹に視線を移す。
「理理」
「なぁに、お兄ちゃん」
「今日、身だしなみチェックがある。ほら、校門のところでやってるだろう?」
鞄を持った手を持ち上げて指を刺す。
そこには幾人かの教師と、その前に並ぶ生徒の姿。
僕や理理は引っかかったことなんて一度も無いが、今は違う。
指には銀色が絡みつく。
「指輪(これ)、外さないとまずいだろう?」
「いや・・・・」
即答だった。
妹は僕を掴む腕に力を込めて、ゆっくりと首を振った。
「でもな、見つかったら取り上げられちゃうだろう?」
「いやだよ。お兄ちゃん、約束、破るの?」
「・・・・今だけだよ、お前だって、買ったばかりでなくなるのは嫌だろう?」
「駄目っ・・・!」
再び首を振る。腕に篭る力が強い。
「私、この指輪外したくないよ・・・。死ぬまで・・・ううん、永遠につけてるの。はずさない、
絶対に外さないよ・・・・・!!お兄ちゃんのくれた指輪だもの。お兄ちゃんと交換した指輪だもの
・・・・・!!」
「理理・・・・」
僕はため息を吐く。
これは。
この理理の状態は、あの時と同じ。
僕と部屋を別別にするように云われた、あの時と同じだ。
理理は普段は聞きわけが良い。
僕の云うことなら何でも聞くし、そもそもからして我を通すことも無い。
だから。
だからその反動故か、一度云い出したことは決して曲げない。
このまま外すように云ったところで、妹は泣き叫ぶだけだろう。
(困った)
頭をかく。
持ち物にテーピングはある。だから隠すことは出来るだろう。
しかし、そういう意見を出して、この娘は納得するだろうか?
しないような気がする。
いや。
それ以前に僕ならばともかく、妹にテーピングは不釣合いだろう。
包帯でも持って来れば良かったか。
僕の腕を抱きしめる妹を見て、また吐息。
仕方ない。
「理理、こっち」
校門沿いに歩き、人気の無い道へ出る。
「お兄ちゃん、どうするの?」
「こっから入る」
壁の高さは一間半弱。助走をつけて壁をけりあがれば、充分乗り越えられる。理理は運動神経が
良いので、このくらいの高さなら問題ない。
「いけるか?」
「うん」
まずは僕から壁に駆け上がり、妹の鞄を受け取る。続いて理理が駆け上がり、僕の手を取って
壁上に跨った。
と。
「こらーーーーー!そこ、なにやってるかーーーーーー!!」
壁の外側、歩道の向こうから怒声がする。どうやら教師の一人が見回りをしていたようだ。
「走るぞ」
「うん」
飛び降りて走り出す。こちらからは教師の顔が見えなかった。つまり、向こうも僕らを特定は
出来ないだろう。
昇降口まで辿りつく。
「ここまでくれば捕まらないだろ」
「うん、ドキドキしたね」
息切れひとつしない妹は微笑んで再び腕に抱きついた。
(これからずっとこうなんだろうか)
妹と、そして銀の指輪を見て僕は眩暈に襲われた。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――
いつから私がお兄ちゃんを好きだったのかは、覚えていません。
物心ついたときには、あの人なしではいられない身体でした。
お母さんの話によると、赤ちゃんのときからお兄ちゃんが傍にいると喜んでいたみたいで、
引き離されると泣き叫んだようなんです。
つまり、今も昔も変わることなく、私にとって、お兄ちゃんはなくてはならない存在だったと云う
ことなのでしょう。
お兄ちゃんはとても素敵な人なので、昔から悪い蟲がたかってきます。
私のお友だちの中にも、人から蟲へかわったお莫迦さんが何人もいました。
害虫は駆除されるものなんです。
それを判っているのかいないのか、お兄ちゃんという最高の男性に何匹も何匹も蟲がたかります。
貴女達は蝿や蚊やごきぶりを叩き潰すでしょう?
だから私もそうするだけなんです。
「貴女、あの人の妹さんでしょ?私の後押しをして貰えない?」
だから、背中を『押して』あげました。
「真理さんのことを考えると、胸が苦しいの」
だから、『楽』にしてあげました。
お兄ちゃんという至上の蜜を味わっていいのは、私だけなんです。
だって、妹ですから。
お兄ちゃんのお世話をするのも。
お兄ちゃんに甘えるのも。
お兄ちゃんに褒めて貰えるのも。
私だけにしか許されていないことなんです。
お兄ちゃんだってそう思っているはずです。
だって、今まで彼女なんて作ったこと無いんですよ。
誰に告白されても。
どんな女でも。
あの人の心を動かすことは出来ないんです。
昔、一回だけ、お兄ちゃんに『自称・彼女』がいたことがありました。
酷い女でした。
優しいお兄ちゃんを騙して、付け入ったんですよ。
私はお兄ちゃんを騙すのはやめて欲しい、そうお願いしました。
でもその女――いえ、その『蟲』は首を横に振りました。
「彼のことを愛しているから」
抜け抜けとそう云ったんです。
蟲に人語がわかると考えた私が悪かったのでしょう。まるで言葉が通じません。
だから、お兄ちゃんにお願いしました。
お兄ちゃんは私を世界で一番愛してくれています。
だから、快く頷いて、その雌蟲を放り捨てたんです。
お兄ちゃんは優しい人です。
『蟲』と別れても暫くは落ち込んでいました。
人外にも慈愛を注げるなんて、凄いことだと思います。
でも、“それ”は私だけに注いで欲しいな。
私は沈むお兄ちゃんを出来る限り励ましました。
私だけが、ずっと傍にいるんだよって。
それからは二度と他の女に惑わされることも無くなり、二人で仲良くやってきたんです。
あ、勿論、最大の害虫は昔からチョロチョロしていましたよ?
でもそれは割愛します。
だって、不愉快になるじゃありませんか。あの偽者のことを考えると。
ともかくも、私達兄妹はずっと支えあって来たんです。
お兄ちゃんはいつだって私の味方です。
私を護ってくれているんです。
だから、今度は私の番。
この世界のあらゆるものから、お兄ちゃんを護ってあげます。
お兄ちゃんは優しいから、保護してあげなければいけません。
――籠です。
私は籠になるんです。
悪い蟲を近づけず、お兄ちゃんをすっぽりと囲む。
そんな籠になるんです。
指輪――これは、その一歩。
そのための絆です。
待っててね、お兄ちゃん。
すぐに居心地の良い最高の世界を作ってあげる。
貴方の居場所はここにあるの。
『私』と云う――籠の中に。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――
にいさん。
その単語を口にするたびに。
にいさん。
その言葉を思い浮かべるたびに。
私の表情(かお)は自然ととろけ、頬に手を当ててしまう。
右の頬。
私の家でキスしてくれた場所。
左の頬。
喫茶店でキスしてくれた場所。
思い出すだけで身体が火照る。
右。
左。
なら、次は真ん中だよね?
おなかが疼く。
にいさんは私のことを愛してる。
それは良くわかってる。
だから、私にキスしてくれたんだもの。
昔からそう。
にいさんは私を大切にしてくれている。
いつだって私を優先してくれていた。
家に遊びに来たときも、“あの女”より私を選んでくれるの。
「たまにしか逢えないんだから」
そう云ってコトリを宥めていた。
でも私は知ってる。
それは嘘だ。
毎日会えたって、兄さんは私を選んでくれるはず。
それが両想いってことだもの。
コトリ。
にいさんの妹。
私以外の、妹。
“あの女”はいつでも私達の邪魔をする。
この間、うちに来てくれた――ううん、私の許に帰ってきてくれたにいさんを連れ去った女。
あの日、“あの女”さえこなければ、にいさんは泊まって行ってくれた筈。
一緒にお風呂に入って。
一緒のベッドに入って。
好きなだけごろごろすりすり甘えることが出来たのに。
髪を撫でて貰って。
耳元で名前を囁いて貰って。
頬をすり寄せ合って。
一杯キスをして。
そして、一緒に眠る。
それを総て奪った女。
いや、それだけじゃない。
にいさんが世界で一番愛しているのは私なんだから、あの日だけじゃなく、毎日そういうことが
出来たはずなのだ。
『本物の妹』
たったそれだけの理由で、私のにいさんと暮らし、私とにいさんの時間を奪う。
「お兄ちゃん、もう帰ろう?」
にいさんは私の許にいたいのに、貴女はいつもそう云ってあの人を引っ張っていく。
帰りたいなら一人で帰れば良い。
もとから貴女なんて呼んでないの。
私のにいさんの袖を引っ張らないで。
どうしてにいさんはそこで頷くの?
いつもいつもいつもいつもいつも。
いつもそう。
好きあっているのに。
愛し合っているのに。
『本物の妹』に私達は引き裂かれた。
にいさんは囚われている。
“あの女”に。
コトリのせいでにいさんは私の許に来ることが出来ない。
コトリのせいでにいさんは私の許からすぐに去らねばならない。
にいさんは、コトリのせいで私のところまで羽ばたくことができない。
――籠だ。
“あの女”は、にいさんを閉じ込める籠だ。
破壊しなければいけない。
これ以上にいさんを閉じ込めようとするならば。
鉄柵をひん曲げて。出口を開いて。
にいさん。
逢いたいよ、今すぐに。
顔を思い浮かべると、また下腹部が甘く疼く。
にいさん。
名前を呟く。
声が聞きたい。
私は携帯電話に手を伸ばす。
それは、あの人に向けて手を伸ばすということだから。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――
とりあえず一旦ここまでです。
連投規制ってどのくらいで引っかかるんでしょうね。
続きは、とりあえず一時間くらい間を置いて投下してみようと思います。
それでひっかかるようなら、続きは明け方4時前後になると思います・・・・
GJ!!
どっちもキモス……
でもなんとなくコトリを応援してる俺
続きの投下をしてみます。
十分くらい何も無かったら規制に巻き込まれたと思ってください
「月ヶ瀬っ」
昼休み。
机の上を片付けていると、級友に肩を掴まれた。
「いきなりなんだ。手を離せ」
僕はクラスメイトに顔をしかめる。
「そんなことはどうでも良い!それより理理ちゃんはどうしたって云うんだ?あの娘、指輪
してたぞ。まさか、彼氏が出来たのかぁーーー!」
肩を掴んだままで叫ぶ。その言葉に、クラスの連中がざわついた。
「おいおい、マジかよ。理理ちゃん、兄貴が本命じゃなかったのか」
「あ、私指輪見た!銀色のシンプルなやつだよ。左手の薬指にしてた」
「左手!?薬指!?なんていやらしい!!」
あいかわらず噂好きで煩い連中だ。
僕は自分の左手を見る。銀の円環はテーピングに隠されて不可視だ。
理理の指輪が話題になっているならば、益益これを見せるわけには往かない。無用な騒ぎは避けたい。
「どうなんだ、月ヶ瀬。あれは何なんだ」
「知らないよ、そんな事。あと手を離せ」
態々買ってやった、などと云わない。
このクラスではどうやら僕はシスコンと認識されているらしい。傷口を広げるような真似はしない。
「あれだろ。月ヶ瀬は光陰館のお嬢様と付き合ってるから、理理ちゃんも兄貴離れしたんじゃ
ないか?」
「光陰館!?マジか!?」
「マジらしいよ。超可愛い娘と校門前で抱き合ってたらしい」
「でもその娘、“にいさん”て呼んでたぞ」
「え〜、なにそれ〜。月ヶ瀬くん、彼女に妹プレイさせてるの?」
「どこまでシスコンなんだ!ゆるせねえ」
「そんなことよりも、理理ちゃんは漸くフリーになったのか?それが問題だ」
口々に勝手なことを云う。聖理の件は火消しが面倒なので放って置くことにした。
「理理がアクセサリーを付けてたくらいで、そんなに血相をかえるなよ。あと手を離せ」
「いいや、変えるね!」
ガクガクと僕を揺さぶる。
「さっき噂で聞いたんだよ。半田(はんだ)の奴、負けたらしいって」
「半田?負けた?突然何を云ってるんだお前は。あと手を離せ」
半田と云うのはこの学園の体育教師である。ドラマや漫画の中にいるような熱血教師で、暑苦しい
ことを除けば概ね好評価である。
彼は古いタイプの人間なので、体罰も厭わない。むやみに暴力を振るう人間ではないが、必要と
あらば拳骨を飛ばす。
所謂『不良』と呼ばれる連中にも怯むことなく拳を下ろし、学園生活に必要ないものを取り上げる。
多分今朝の身だしなみ検査も彼がやっていた筈だ。
「理理ちゃん、廊下で半田とすれ違ったとき、指輪のことで注意を受けたらしいぞ」
「みつかったのか」
よりにもよって半田に。
ならば確実に取り上げられたはずだ。あの教師はそういったものを許さない。女子だからといって、
手心を加えることは無い。
「ああ、それでな・・・」
漸く手を離し、声を潜めるように顔を近づける。
「『それを外してよこしなさい』って、注意された理理ちゃんは『いやです』って首を振ったらしい」
「あの莫迦・・・」
拳骨でもくらっただろうか?少し心配になる。
「で、理理は指輪を取られたわけか」
「いや、それが・・・・」
クラスメイトは口をへの字にする。
「無理やり取ろうとした半田を、理理ちゃんがガン付けしたらしい。そしたらあいつそれだけで
ビビッて、すごすご逃げたってよ」
その言葉にクラスメイト達が笑う。「なんだ、あいつたいしたこと無いのか」と。
「・・・・・・半田って、睨まれたくらいで引き下がるタイプじゃないと思うんだけど」
僕は半信半疑だ。あの教師にそういうことをしても、逆効果のはずだが・・・・。
「それがなぁ」
云いながら腕を組む。
「『殺されるかと思った』って、云ったらしいぞ、半田の奴。理理ちゃんみたいな弱弱しくて
可愛い娘が迫力あるわけ無いじゃんなぁ!」
一同はまた爆笑する。
だけど僕は笑う気にならない。
大切なものを護ろうとするときの理理は、確かに鬼気迫るものがあるからだ。
「で。で。そんだけ必死になるほど大事な指輪ってなんなのかって話題になってんのさ。そういう
ことなら、兄貴に聞くのが一番早いだろう?」
「・・・・・・・・」
僕は答えない。
理理は。
妹はそこまであれを大事にしているのか。
テーピングを見つめる。
やっぱりこれは、あの娘のためにならないのかもしれない。
首を振った。
その時、廊下からざわめきが聞こえてきた。噂をすれば影と云うべきか。
僕と食事をするために理理が教室に入ってくる。
クラスメイト達が小さくどよめく。
理理の左手には、確かに指輪が光っていた。
「お兄ちゃん、迎えに来たよ」
いつも通りのはにかんだ笑顔。
弁当箱を抱くように抱え、妹は僕を見る。
「――え?」
理理の笑顔が消えた。
「お兄ちゃん、左手・・・・どうして・・・」
何故隠しているのか。
妹の瞳は無言で質する。
「そのことは良い。とりあえず移動するぞ」
僕はさっさと教室を出た。理理はよたよたと兄の後を追った。
中庭で理理と食事をする。
妹はずっと白の巻かれた左手を見ている。
「理理」
「あ、な、なぁにお兄ちゃん」
「今日帰り遅くなる」
「え」
再び表情が消える。
帰りが遅くなる。イコール、一緒には帰れない。
僕はそう云ったのだ。今までも何度か帰りが遅くなったことはあるが、それらはすべて別々に帰宅
する時だけだった。今日は授業終了が同時なので、一緒に帰れるものとものと思っていたのだろう。
「お、お兄ちゃん何で・・・・。今日、何か大切な用事でもあるの?」
「ちょっと呼び出されただけだよ」
「だったら・・・・ううん」
妹は首を振る。
「誰?誰に、何で呼び出されたの?」
「聖理に夕食に誘われた。だから晩飯はいらない」
「――」
妹の顔が驚愕に歪む。
「さとり・・・・ちゃん。また、さとりちゃん?」
理理は独り言のように呟いた。その目は僕を見ているのかいないのか。判断がつかない。
従妹から連絡があったのは授業中のことだった。
僕を知る人間は修業中に電話をかけてくることは無い。メールならば縷縷ある。
何か緊急の用事だろうか?
教室を抜け出し、画面を見る。
蠕動し続ける四角い機械に表示された名前は良く知った従妹のものだった。
こんな時間に直接かけてくるなんて珍しい。
ともかくも電話に出た。
その内容はいたって単純で、僕の声を聞きたくなったから・・・・だと云う。
(授業中だというのに)
叱ろうとも思ったが、寂しかったと沈んだ声で云われては強く出れない。仕方なく話をした。
食事に誘われたのはその時の事だ。
多分、普段の僕なら断っていただろう。
だが、昨日からどうも理理の態度がおかしい。
僕に対してくっつきすぎるようになった気がする。
勿論気のせいかもしれないし、一時的なものかもしれない。だがいずれにせよ距離を置きたかった。
今朝に見た夢もそのことに拍車をかけているのかもしれない。
僕は理理を見た。妹は首を振った。
「いや・・・・、いやだ、よ・・・・いかないで・・・・・」
どうして。
どうしてたったこれだけのことで泣くのだろう?
矢張りこの娘は僕に依存しすぎている。
やるせなくなった。
「理理」
声をかけると妹が顔を上げる。大きな瞳からぽろぽろと涙をこぼして。
「そのくらい、聞き分けてくれ」
「できない、できないよ・・・!お兄ちゃん、理理と一緒にいてくれるって云ったでしょう?
一緒にいて・・・一緒にいてよ・・・・理理は一秒でもおにいちゃんと離れたくないよ・・・」
「理理」
僕は妹の肩を掴んだ。
「あんまり聞き分けないと、お前のことを嫌いになるぞ?」
「――え?」
ぴたりと妹の動きが止まる。
その身体はガクガクと震えていた。
「・・・・お、に、・・ぃちゃん・・・・理理の、こと・・・・」
これ以上間を置くと、恐らく妹は狂乱するだろう。
だからその前に声をかけた。
「理理、俺はお前のことが大事だし、大切だ。だから『そういうこと』を云わせないでくれ」
「――ひ・・・・お、おにい、ちゃん・・・が、き、きら・・・・わた、わたし、を・・・・
お、に・・・ぃ・・・」
瞳が震えている。
焦点が定まっていない。
言葉が届いていないのだろうか?
「理理っ」
「ひっ」
びくりと妹が震える。
「俺はお前を好きでいたい。だから・・・・我慢できるな?」
妹はこわばった表情のまま何度も何度も頷いた。
「す、するからっ・・・・・が、がま・・・・・・する、か・・・・から、・・・・だ、だから、
わ、わたし、私のこと、き、き・・・きら・・・・き・・わ、わ・・・・・」
妹が縋り付いてくる。
身体に力が入らないのか、凭れ掛るように僕に触れる。
瞳孔は開いており、歯はがちがちと鳴った。
流石にきつく云い過ぎただろうか?
支える体はいつまでも震えていた。
「にいさんっ」
呼び鈴をならす。
出たのはヘルパーさんではなく、従妹の聖理だった。
「待ってたよ、にいさぁん」
僕に飛びついて、そのまま首に腕を回す。
聖理は小さいので、僕が抱きかかえる形になる。“だっこ”されるとそれが気に入ったのか、
従妹は益益身体を絡めた。
「えへへ。にいさん、にいさん」
頬を摺り寄せてくる。すべすべして、でも柔らかい感触が気持ち良い。
「とりあえず離れなさい。家にも上がれない」
「や」
嬉しそうに否定する。
「離れなさい」
「んふふ。にいさん、にいさん」
聞く耳待たない。
従妹はひたすら頬を擦り付ける。
仕方ない。無理やりに引き離す。
「あん。にいさん・・・」
「あとでな。とにかく中に入れてくれ・・・」
あいかわらずの大きい玄関を潜る。聖理は僕を居間ではなく、二階に在る自室へとひっぱて往く。
「お前の部屋に入るのも久しぶりだなぁ・・・・」
広い。
とにかく広い室内は品良く整えられている。女の子の部屋、と云うよりは、お嬢様の部屋と呼んだ
ほうが妥当だろう。控えめな豪華さと云うと矛盾するだろうか。ともかくもイヤミにならない高級感
で出来た部屋だ。壁や棚には賞状やらトロフィーやら盾やらの記念品が並べられている。
そういえば聖理はなんでも人並み以上に出来るから、こういうものも増えていくのだろう。
「にいさん、こっちこっち」
ばかでかいベッドに腰掛けた従妹がパムパムと横を叩く。
誘われるまま隣に座ると、
「えい!」
そのままベッドに押し倒された。
「えへへ〜。に〜いさん」
僕に覆いかぶさる。
「子供か、お前は」
「子供のころに甘えきれなかった分、今甘えるの」
ごろごろとすりついて来る。
「にいさん、頭撫でて」
「・・・・まったく。しょうがない奴だな」
さらさらの髪の毛を撫ぜる。
「んぅっ。にいさん。好きぃ」
「うおっ」
耳たぶを甘噛みされる。
「あはっ。にいさん可愛い」
「こら。こういう冗談はやめなさい」
「ふふっ」
聖理は僕の体をまさぐりながら、にやりと笑う。
「にいさん本当にかわいいよぉ・・・・レイプ、しちゃおうかな・・・?」
「は?」
身体が固まる。
「お前今、とんでもないこと云わなかったか?」
「云ってないよぉ?それよりにいさん」
聖理の小さな手が僕の左手を掴む。
「これ、どうしたの?つきゆびでもした?」
「ん?いや・・・?」
僕は云い澱む。理理を思い出して気分が沈んだ。
「怪我したんでしょう?聖理がなめてあげるね」
「待て」
静止よりもはやく、従妹はテーピングを外してしまう。
数時間ぶりに銀の円環は外気にさらされた。
「――なに、これ」
聖理の顔が歪む。
空白の驚嘆から、怨敵に出逢ったかのような憎悪へ。
「にいさん、これ、なに?」
「痛っ」
従妹が左手に爪を立てる。肉に食い込む感触に思わず声を上げた。
「なにこれ?指輪?ねえ?なにこれ?なんでこんなのしてるの?聖理の指には、まだ嵌めて貰って
ないのに、何でこんなの嵌めてるの?ねえ?なに、これは?」
「い、痛い、痛いって」
「答えて!答えてよ!!なあにこれは!!!にいさん!!!!!」
握られた左手に血が滲む。僕は痛みをこらえて聖理を引き離した。
「説明するから、まずは聞けって」
「・・・・・・」
睨んでいる。
僕と、左手を。
聖理はこんな顔もするのか。
「にいさん、早く説明して。納得できなかったら、おしおきだよ?」
「・・・・・」
僕はしぶしぶ説明を始めた。
「・・・・そう」
説明を聞き終えると、聖理はぽつりと呟いた。
その顔は怒気を孕んだ無表情。
「にいさん、手を出して」
「え?」
「左手!!早くっ!!!!!」
「・・・・・」
云われるままに差し出す。
「早く外して、こんなものっ!!!!!」
指輪をむしりとり、絨毯に叩きつける。円環は2、3度跳ねて、力なく転がった。
「お、おい、聖理」
「にいさん」
立ち上がって、僕を見る。
「にいさんは“こんなもの”つけたくなかった。そうだよね?」
指輪を踏みつけ、躙りながら僕に問う。
「コトリはにいさんに無理やりこれをつけさせた。そうでしょう?」
「無理やり、というのは少し違う。でも、まあ確かに兄妹どうしでするものではないと思う・・・」
僕が答えると、漸く聖理は笑った。いまだ怒気を孕んで、目元は冷たかったけれど。
「やっぱり。やっぱりそうだよね。にいさんがコトリなんかと指輪を交換するなんてあるはず
ないもの。にいさんに強要した結果がこれだもんね。可哀想なにいさん。左手、痛かったでしょう?」
僕に近づき、血の滲んだ左手をなめる。
「ごめんね、にいさん。でもこれは、コトリが悪いんだよ?聖理はこんなことしたくなかったの」
ぴちゃり。ぴちゃりと、傷口に舌を這わせる。
「ねえ、にいさん。にいさんはコトリが異常だって、思うでしょう?」
「異常・・・・?そこまでは云わないけど、少し、兄離れしたほうが良いとは思う」
「そうだよねぇ」
指をしゃぶる。そこは怪我をしていないのだが。
「にいさん。にいさんはコトリから離れるべきだと思う。コトリはアブナイ娘だから、きっと
にいさんから離れない。なら、にいさんからあの娘を引き離さなきゃ」
「俺、から?」
「そう。にいさんから。それがコトリのためだよ?」
ぴちゃりぴちゃり。
指の股も爪の間も、聖理の唾液で濡れそぼって往く。
「にいさん、聖理ほどじゃなくても、コトリは大事でしょう?だったら、あの娘をまっとうな、
唯の妹にしてあげなきゃ。血を分けた妹は、兄の傍にいてはいけない。それを思い知らせて
あげなければいけないの」
「俺だってあいつには兄貴離れして貰いたい。でも、どうやって・・・」
「どうやって?」
掌をなめ上げながら聖理が笑う。どこか淫蕩な笑み。
「じゃあ教えてあげる。コトリから逃れる方法を」
従妹は舌なめずりをしながら僕を見上げた。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――
お兄ちゃんに嫌われる。
考えただけで身体が凍える。
あの人がいなくなる。
思い浮かべるだけで心臓が破裂しそうだ。
どうして、お兄ちゃんは偽者の許に往ったのだろう?
どうして、私との絆を覆い隠していたのだろう?
わけがわからなかった。
今日はお兄ちゃんと一緒に帰って、一緒にお食事する予定だったのに。
それが私達の正しい姿だったのに。
なんでお兄ちゃんはここにいないの?
何でお兄ちゃんは一緒に帰ってくれなかったの?
なんで。何で。
どうして。なぜ?
指輪を見つめる。
これのおかげで、あの時の約束を夢にみれたのに。
あの時、どれだけ私が嬉しかったか、お兄ちゃんわかる?
あの時の言葉が、どれだけ私を支えてきたか、わかってる?
お兄ちゃん。
「逢いたいよ・・・・」
涙が流れてとまらない。
今頃――
今頃あの偽者がお兄ちゃんを独り占めにしているんだ。
なれなれしく抱きついて、赤の他人のくせに『にいさん』なんて呼んで。
一緒に食事をして、いっぱい甘えて。
許せない。
許せないよ、そんなこと。
――そうか。
思い浮かぶ。
きっとお兄ちゃんが冷たくなったのは、あの偽者のせいだ。
そうに決まってる。
だってお兄ちゃんは私を世界一愛してるんだもの。
きっとアレになにか吹き込まれたんだ。
ぎりぎりと音が鳴る。それは、私の歯軋りだった。
この音も。
この音も、本来はあの女が鳴らすべきもののはずだ。
幸せな私達兄妹をひとりぼっちの偽者が、絶望しながら奏でるべき音なのだ。
許せない。
殺してやりたい。
拳を握り締める。
顔の形が歪むくらいに殴って、包丁で目玉を穿り出してやりたい。
でも、あの女はここにはいない。
お兄ちゃんと。
私の愛するお兄ちゃんといるのだ。
「お兄ちゃん」
お兄ちゃん。お兄ちゃん。お兄ちゃん。お兄ちゃん。お兄ちゃん。お兄ちゃん。お兄ちゃん。
お兄ちゃん。お兄ちゃん。お兄ちゃん。お兄ちゃん。お兄ちゃん。お兄ちゃん。お兄ちゃん。
お兄ちゃん。お兄ちゃん。お兄ちゃん。お兄ちゃん。お兄ちゃん。お兄ちゃん。お兄ちゃん。
お兄ちゃん。お兄ちゃん。お兄ちゃん。お兄ちゃん。お兄ちゃん。お兄ちゃん。お兄ちゃん。
お兄ちゃん。お兄ちゃん。お兄ちゃん。お兄ちゃん。お兄ちゃん。お兄ちゃん。お兄ちゃん。
お兄ちゃん。お兄ちゃん。お兄ちゃん。お兄ちゃん。お兄ちゃん。お兄ちゃん。お兄ちゃん。
お兄ちゃん。お兄ちゃん。お兄ちゃん。お兄ちゃん。お兄ちゃん。お兄ちゃん。お兄ちゃん。
逢いたい。逢いたい。アイタイ。あいたいあいたいあいたいあいたいあいたいアイタイアイタイ
だめ。
あの女に対する憎悪以上に、お兄ちゃんに逢いたい気持ちが勝る。
お兄ちゃんに逢いたい。そればかりでむねがいっぱいになる。
そのまま、私は何時間も膝を抱えた。
「ただいま」
愛しい人の声。
私は玄関に走り出す。
「お兄ちゃん!!」
抱きしめようとして、動きが止まった。
無い。
指輪が無い。
お兄ちゃんに嵌っていたはずの、指輪が無い!
「お兄ちゃん、指、輪・・・は?」
声がかすれた。
最愛の人は包帯の巻かれた左手を見つめた。
「理理」
お兄ちゃんは真剣な顔をする。
凛々しくて、頼もしく見えるはずのその表情に、何か嫌な予感がした。
「俺な・・・・」
聞きたくない。
きっと、なにか嫌なことを云うつもりだ。
私は耳を塞ぐ。
けれど、それよりも早く。あってはならない言葉が響いた。
「俺、家を出ようと思うんだ」
とりあえず投下ここまでです。
なんとか規制食らわずにすみましたが、ちょっと長かったかもしれませんね・・・・
続きはまた、いずれ
ウホッ。
こ れ は キ モ イ !!
最高ですね。
GJ!!
あんた最高だよ!!
GJ!
最高です。
続き、期待してます。
聖理uzeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeee!!
この展開はコトリガンガレとしか言えないなwww
やべぇ、オッキした!
もう我慢汁で首までドロドロだぜ!
GJ!
次回コトリ発狂かw
>>336 おにいちゃん、それは異常だよ?
私が治してあげるね
ともあれGJ
待ってました!
そしてまた続きが楽しみだ!
この兄は白い液より赤い液を多く流すかもしれんね
この兄は白い液より赤い液を多く流すかもしれんね…
…あぁ、そのほうがオモシロいな
本当の地獄はこれからだ・・・!
どんな展開になるのかワクワクしてるぞー
怒濤の展開を頼むぜ!
両方kimeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeee!!!
だ が そ れ が 良 い
当事者にはなりたくないなwww
今思ったんだが
神羅のポラリスもキモウトの資質が
あるかもしれんな
GJです
めちゃめちゃ楽しみに待ってました!!
最高です!!
ふたりとも幸せになってほしい
待ってました!!
そして二人ともいい感じにキモっぷりを発揮してるなwww
次回も期待してます
>>330 G J !!
サトリもコトリもきめぇえええええ!
とにかくマコトガンガレ超ガンガレ
普通におっきしてGJと思った俺はきっと末期
二人ともきんもーっ☆
でもここまで愛されてみたいと思う俺ガイル
やっぱ嫌だwww
俺を愛してくれ!といいたくなるキモさだな
最後の部分SHUFFLE思い出したぜ
お兄ちゃん神経性胃炎5秒前って感じだな!
お嬢様好きな俺ですらサトリがキモく見える
だが、それがいい
最凶にキモいぜーー!!
だ が そ れ が いい
356 :
名無しさん@ピンキー:2007/05/07(月) 17:35:30 ID:hUxp7Riw
サトリがコトリをなんとかするとか言ってたけど、コトリがレイプされるような
ことだけはやめてくれ・・・
>>356 まあ展開は作者さん次第だからな
せめてそういう展開になるなら事前に書いておいてください
なんともあれGJ
サトリがコトリをレイプする に見えた(・∀・)
そしてレズに目覚める二人・・・
それは全然キモくない
レズがキモくないって言える俺らって一体・・・
俺らはじまったな
レズが嫌いな男なんていません!!!
俺は嫌い
男と女の絡みはもう食傷気味だ。
それにレズは正義って偉い人が言ってた。
>>365 家のばっちゃんも言ってたような気がする!!
レズは苦手ずら
食傷って・・・ご飯食い飽きた、みたいな発言だな
その通り飽きたんだろ、つーかよく使うんだが
レズはあまり・・・
レズは勘弁ずら…
百合板に帰れ
すまん余計なレスしてしまったな
さぁ気を取り直してキモ姉をうpする作業に戻るんだ↓
SS書きチャレンジしてみようと思うんだが誰かネタをくれないか
キモ姉が弟の部屋を掃除しているとベットの下からエロ本が発見される・・
なんと、姉モノのエロ本だったのだ・・。
以降以下略でwww
むしろ妹ものだったときの反応が見てみたい
一生懸命「お兄ちゃん、お兄ちゃん♪」と言って弟の気を引こうとするキモ姉
そしてキモがられる姉
そして二十歳過ぎにもかかわらずセーラー服、ブルマ、胸に名前の入ったスク水、スモックとコスプレを……
ごめん。趣味入った
かまってもらえなくて(´・ω・`)なスク水着たままの姉
そして突然ピンポン、遊びに来る姉の友達
あわてて着替えようとするがあたふたしてうまくできず涙目の姉
そんな見慣れない姉の様子に、不覚にもときめいてしまう弟
姉友参戦。弟の取り合いに…
その4日後に姉友が惨殺死体として発見。
背中には弟を誘惑するなと傷が刻まれていたそうな
ちょwwwwww
((((;゚Д゚)))ガクガクブルブル
傷メッセージで犯人確定タイーホ
…
えーと姉友参戦から仕切り直しで
姉が学校系なら姉友はメイド服等なのか?
なんかここまで来ると凶器の飛び交うコスプレ合戦になりそうな悪寒
更なる泥沼を期待したい所なので姉友の妹辺りでも出して弟大パンチ…もとい、ピンチキボン
姉友が面白がってスク水姿を撮影
姉友に逆らえなくなる姉
じつは姉友には潜在的にレズっけがあり、姉のことが気になっているのだが
しかし同性愛にはちょっと抵抗があるので姉と似ている弟のほうに関心が向いてしまう
後日、そんな姉友と弟がデートしているところをストーキングする姉
つけられていることを知っていながらわざと見せ付けて愉しむ姉友
「私のなのに私のなのに私の(ry
ついに姉VS姉友直接対決
色々あって明らかに成る姉友の真意
「わたしが本当に好きなのは姉ちゃんなぉ!」
あ、なーんだ、そういいことなら…イイヨ…
その代わり
ここに同盟が結成された!弟大ピンチ!
なんかこないだからやたらレズにこだわってるやつがいてキモイ。
頼むから巣に帰れ
こんなスレ見てる時点でキモイから問題無いぞwww
イカ臭くて薄汚いお前の部屋でも、ゴキブリが出現したら気持ち悪がって退治するだろ?
つまりはそういうこいった
>>391 間違えた
そういうこいった→そう優子は言った
おにいちゃん…優子って誰?
>>388 ひそかに弟に思いを寄せているクラスメイト登場。
「私と彼は結ばれる運命なんです!」
>>394 なるほど、そのクラスメイトは電波かヤンデレなわけだな?
どうせなら勝手にキモウト宣言して泥沼ってのも良いかもしれん。
「おにいちゃんどいて!そいつ殺せない!」
こうですか?わかr(ry
レズだローがホモだろーがショタだろーが炉リーダローが
おもしろきゃ文句はいわねーよ
SS初挑戦。難しい。
冒頭部分の投稿です。長時間書き込みない場合は連投規制。
トリップも初めて。これでいけるかな。
どの程度人格を作りこめるか…。
白沢龍彦
理想の女性はどんな人?
この質問をされたときの僕の答えは決まっている。
義姉と。
神は決して公平ではなく一人に二物も三物も与えることを僕は知っている。
身近にいるからだ。
腰まで伸ばした最上級の漆のような艶やかな黒髪、冷たい知性を感じさせる美しい瞳。
そして、平均より多少劣る身長と胸…これは口に出すのは死を意味する…
を除いて完璧な体型。運動も学業も万能であり、家事も出来る。
それを鼻にかけるわけでもない穏やかな人格。冷たいような雰囲気があるけど本当に優しい人だ。
勿論、もてるようだが彼氏はいないらしい。
それが僕の義姉、みゃー姉こと黒崎美弥子(くろさきみやこ)だ。
僕の両親は9歳のときに強盗殺人事件に巻き込まれた。
学校行事で宿泊していたお陰で僕は助かった。
最高の両親だったと胸を張っていえるけど、親戚からは結婚を大反対されていたらしく僕を引き取ってくれる親戚はいなかった。
そこで唯一の父の味方かつ親友であり、母の兄だった俊之叔父さんと街叔母さんが半ば強引に僕を引き取ってくれた。
法律家である叔父さんは必要な処理を全てし、財産を管理してくれているだけでなく、実の息子のように良くしてくれている。
そして、連れられた家で出会ったのが義姉だ。おどおどしている気の弱い僕に顔を近づけて義姉は微笑んだ。
あのときに感じた眩しさは時が流れた今でも色あせることがない。
「よろしく。龍彦君。私のことは本当のお姉さんと思って頼ってくれていいからね。」
黒崎美弥子
義弟の龍ちゃんこと白沢龍彦(しらさわたつひこ)は気が優しい。優しすぎる。
出会ってから数年がたった今、私は理解していた。
辛い思いを抱えた彼を支えるつもりだった私は今ではすっかり彼に甘えているように思える。
彼は幼いころから10年近く道場で武道を学んでいる。
師範によると、習っている年月に見合った強さはあるらしい。
才能がある上に努力家で後輩からの信望も厚いらしい。
だけど、そんなことを誰も知らない学校ではみんなの玩具扱いだ。
強いからこそ誰にも手をあげない。
殴られても蹴られてもからかわれても騙されても困ったように笑うだけ。
私はそんなゴミ共に殺意すら抱いているというのに…
そして、どれほど自分を邪険に扱った相手でも龍ちゃんは困っていたら自然に助ける。
どんな嫌な相手でもだ。
龍ちゃんの優しさをそんな奴らに見せる必要はないのに…
いつからだろうか、こんな風に考えてしまうようになったのは。
いつからだろうか、つい目で追ってしまうようになったのは。
いつからだろうか、彼を独り占めしたいと思うようになってしまったのは。
龍ちゃんは私を優しいという。
でもそれは違う。本当に優しいのは彼だ。
どれ程怯えても守ってくれる。どれ程悲しくても優しさを忘れない。家事をしていても勉強をしていてもこちらを向いてなくても気配りを忘れない。
そして、みんなに優しくあろうと努力している。
私は龍ちゃんの義姉。何故私は義姉になってしまったのだろう。
いつか彼に恋人が出来たとき、私は祝福できるのだろうか。
でも彼が本当に幸せになるなら認めてみせる。
そんな日は永遠に来なければいいのに…。
相沢祥子
あたしは本当の彼の顔を知ってしまった。
高等部に進学して暫くたった5月のことだ。
彼…白沢龍彦は気弱そうでいつも何されてもへらへら
笑っているような男だった。
初等部からの腐れ縁で彼がクラスメイトに玩具にされたときに
あたしが怒鳴って助ける、というのがいつもの日常だった。
「本当にほんとーに白沢君はしょうがないんだから。」
「ありがとう。相沢さん。助かったよ。」
毎日のように繰り返されるやり取り。へらっとした笑顔。
いらいらもするけどなんだか落ち着く、そんな不思議な笑顔。
あたしは呆れた振りをして肩をすくめる。
彼はあたしがいないとだめなんだ。だからあたしが助けなきゃ。そんな風に思ってた。
祥子は世話女房だねっと冷やかされるのも正直いい気分で嬉しかった。
ある日、校舎裏で彼が三人の不良たちに殴られているのを見たあたしは
助けるために声をあげようとしていた。でも、今日は先客がいた。
「…おやめなさい。」
凛とした声、白沢君の前に立って三人の男を睨んでいるのは部活の憧れの人、黒崎先輩だ。
口論を暫くした後不良たちは先輩の顔をはたいて無理矢理どかせた。
「おいおい、俺たちのストレス発散の邪魔す…。」
最後まで言い終えることなく、黒崎先輩の顔をはたいた男は殴り倒されていた。
そこにはあたしの知らない白沢君がいた。
いつもの優しそうな顔じゃない大事な人を守るための顔。相手を射抜くような目。残る二人もあっさりと倒していく。
なに…あれ…
あたしだけのものと思っていたのに。
あんな必死な目みたことない…
黒崎先輩に向ける笑顔…あんな本当に労るような笑顔みたことないっ!
あたしは何も知らなかった。彼にはあたししかいないって自惚れてた。悔しかった。
あれはあたしのモノなのに…モノのはずなのに…
同時にどろどろと煮え滾るような想いが生まれたのを感じた。
その正体が何かは解らなかったがあたしはその想いを何とか抑えて、
二人に近づいていった。
黒崎美弥子
「ご、ごめん。みゃー姉大丈夫?」
「こーらー?違うでしょ。学校じゃ美弥子先輩っ」
慌てて龍ちゃんが駆け寄ってきてくれた。他の人には絶対呼ばせない、二人だけの名前を呼ばれて内心、小躍りしたくなるくらい嬉しかったのだが頬を指で突っついて訂正する。
「白沢君、黒崎先輩っ!大丈夫ですか?」
部活の後輩の祥子ちゃんが駆け寄ってきた。ショートカット、勝気で活発そうな雰囲気の女の子。美人って言うよりはかわいい感じかな。胸は悔しいけど私より大きい。龍ちゃんのクラスメイト…クラスメイト…
「私は大丈夫。格好悪いところ見せちゃったわね。」
心配してくれた後輩に微笑んだとき、彼女の目を見て私は驚いた。視線が龍ちゃんに固定されている。
そこにあるのは…怒り?嫉妬?独占欲?
表面上はいたずらっぽく笑っているけど…。
「相沢さん。心配してくれてありがとう。」
「白沢君があんなに強かったなんて思わなかったよ。」
「暴力は嫌い。でも、美弥子先輩叩かれたら自分を見失ってね。情けないよ。」
「どうする?この人たち。今のうちに埋める?」
「ちょ、ちょっとそれはやりすぎだよ。」
彼女は龍ちゃんと楽しそうに話している。ようにみえる。
でも、私は確信した。
この後輩は…違う。大嫌いな親戚と同じ目。人を人と思わない目。
幸せにするんじゃないのに私から龍ちゃんを奪おうとしている。敵だ。
こんな女には絶対に渡さない。認めない。
「それじゃ、そろそろ帰りましょうか。龍彦君。」
「わかりました。今日はありがとうございます。美弥子先輩。」
「く、黒崎先輩。どうして白沢君と名前で呼び合ってるんですかっ」
私達が名前で呼び合っているのを聞いて、嫉妬が強くなっているのを感じる。
「えーと。それはね。むぐっ」
いらないことを話そうとした龍ちゃんの口を塞いでいたずらっぽく笑い、
「祥子ちゃんのご想像にお任せします。
屋上でいつも一緒にお弁当食べてるからよかったらいらしてね。」
「ちょ、ちょっと美弥子先輩っ?ご、誤解が!あああ、引っ張らないで!服が伸びる!」
敵とはいえ、かわいい後輩。穏便に済むに越したことはない。
これで諦めてくれればいいのだけど。
念のために龍ちゃんとはどんな関係なのか探って作戦を立てないと。
敵を知り、己を知ればってね。
とりあえずここまで。
表現力はもう少し精進します。
キモ姉、キモウト大好き。
ちょっぴり弱いが こ れ は い い
さあ、どう狂っていくかが今から楽しみですw
GJ!
全裸で続きを待ってる
おいおい、良作続きじゃねーか。
期待してるぜ!
やっとキモ姉さんが来たよ!!
続き期待してます!!!
たいがいこの手のスレは良作が多いな。
初挑戦とは思えない素晴らしい作品でした!!
GJ!!
続き待ってますNE☆
このスレ初めて見たけど最高だとオモタ
続き投稿。まだ弱い感じ。
テンションは徐々に上げていく予定。
白沢龍彦
雨の音が聞こえる…。
僕は夢を見ていた。雨の日に必ず見る夢。
実際には見ていないはずの両親を失う夢。
今は怖くない夢。
いや、
耐えることが出来るようになった夢。
雨は嫌いだった。悪夢を見るから。
今は結構好きだ。家族の優しさを感じることが出来るから。
叔父さんに引き取られてから暫くした雨の夜、夜中にノックの音が聞こえた。
「龍彦君、入っていいかしら?」
「うん。どうしたの?美弥子お姉ちゃん。こんな夜中に」
僕は、最近義姉になってくれた人を部屋に招きいれた。
「ごめんなさいね。お姉ちゃん、恥ずかしいんだけど一人で夜眠れなくなる
ことがあるの。」
枕を抱え顔を真っ赤に染めて恥ずかしそうに告白する義姉。
「そのとき一緒に寝てもらえない?」
僕は初め何も気づかず、しっかりした義姉の意外な一面に困惑しつつ
単純に彼女に頼られることが嬉しくて快諾した。
僕が真相に気づいたのは一年後、義姉が修学旅行で不在の日に雨が
降ったときだった。
隣の部屋の義姉は判っていたのだろう。雨の日に僕が苦しんでいることを。
中学生になった日、僕は貯めていたお小遣いで特大のぬいぐるみを
義姉にプレゼントした。
もう大丈夫、ありがとう。とメッセージを添えて。
僕は義姉のような優しい人になろうと努力している。
黒崎美弥子
「飽きないわ。本当にかわいい寝顔。」
朝、彼の目覚ましが鳴る前までの10分間は至福のとき。
私は二人分の朝ごはんとお弁当を用意して龍ちゃんの寝顔を
眺めるのが毎朝の日課だ。
雨の日の朝でも気持ちよく寝ている彼を見ると成長したんだなあと、
感慨深い。
龍ちゃんが一人で寝ることが出来ると宣言したとき嬉しかったけど…。
「ちょっと…寂しいよね。それに…」
その頃には一緒の布団で寝ていると身体が熱くなって、
龍ちゃんの匂いは催淫効果を私にもたらしていると信じていた。
龍ちゃんは一度寝ると絶対に朝まで起きないので、龍ちゃんの手で
自分を何度も慰めたこともある。始めてのときは触れただけで
イッてしまった。もし、このことがばれて離れたんだとしたら、
恥ずかしすぎて死ぬしかない。
もう少し続けていれば私は彼を襲ったかも。
そう…それもよかったかもしれない。
「そろそろ時間か…。残念。じゃ、今日も頑張りましょうか。」
目を覚ます前に、龍ちゃんの頬に軽くキスをする。
同時に目覚ましのベルが鳴り響き始めた。
「朝ですよ。龍ちゃん。起きないと遅刻しますよ。」
今日はきっと大変な一日になるから頑張らないと。
私と龍ちゃんが幸せになるための第一歩だ。
白沢龍彦
「そう、叔父さんと叔母さんはまだ一ヶ月近くかかるんだ。」
「少しこじれちゃったみたいね。暫くは二人っきりよ。」
よかった。いつもどおりだ。と朝食を取りながら僕は思った。
昨日、みゃー姉は思いつめたような表情をしていたから。
今日の朝食は和食。平日は朝昼をみゃー姉が、夜は僕が担当している。
姉の味噌汁を啜る。相変わらず絶品だ。僕も料理は得意だが、
どう材料を使ってもみゃー姉の味は出ない。
前に聞くと愛情が隠し味と冗談っぽく笑っていたが隠し味は僕の分だけらしい。
「ところで龍ちゃん。ちょっと聞いていい?」
「何を?」
「恋人っているの?」
僕は飲んでいた味噌汁を吹きかけた。
「ごほっごほっ!いきなり何をっ…びっくりしたじゃないか。何でそんなこと聞くんだ。」
「ほら、昨日いたじゃない。相沢さんとか。」
「あの子は…ただの幼馴染みたいなもんだよ。向こうもそう思ってるん
じゃないかな。みゃー姉と違って僕はもてるわけでもなし、
取り柄も無いから恋人なんて出来ないよ。そっちこそ恋人作らないの?」
何とか思ってることをいうとみゃー姉は微笑んだ。
作らない自然な微笑み。
「私は自分から好きにならないとダメだからね。龍ちゃんよりいい男は
今のところいないから。」
「からかうなよ。恥ずかしいし、僕よりいいやつはいっぱいいるよ。」
「恋人がいないなら龍ちゃんにお願いしたいことがあるんだけど。
聞いてくれる?」
「僕がみゃー姉のお願いを断るわけないだろ。」
「暫く恋人の振りをして欲しいの。」
「はっ?」
「最近ストーカー紛いの人もいて…一人だと少し怖いの。
彼氏がいるってことにすれば殆どの人は諦めてくれると思うし。ダメかな?」
「でも僕たち姉弟だし…釣り合わないから誰も信じないんじゃ…」
みゃー姉が目を潤ませて上目遣いで覗き込んでくる。僕はこれに弱い。
普段の凛々しい表情とのギャップが…。
「わ、わかったよ。どうせ寂しい一人身だし喜んでやらせていただきます。」
「ほんと?龍ちゃん大好き。姉弟って学校で隠しててよかったよかった。」
義姉には一生勝てそうに無い。
相沢祥子
通学路を歩きながら考える。昨日は最低の一日だった。
黒崎先輩は合気道部の先輩で、技も型も後輩の指導も上手い憧れの人だった。
大人っぽくて美人で優しくて賢くて強い。
まさかよりにもよって白沢君の近くにいるのがあの人なんて。
「はぁ…こんなことなら、強引にでも告白しておけば…」
白沢君のことは好きだ。自分に言い訳はしない。
元々、あたしはこの学校に来る学力が無かった。彼と三年間一緒に
過ごすために泣きながら努力してきたんだから。
彼を守るなんておかしな使命感だったけど一緒にいると楽しいし
優しい彼が大好きなのだ。
でも、相手があの人ならあたしも諦めたほうが…
「ちょ、美弥子先輩!わざわざ腕組まなくても!」
「ほらほら。これくらいで慌てない慌てない。恋人なら普通なんだから。」
どくん…
「うう、高校生にもなって恥ずかしいなあ…」
「これでも距離をあけているのよ。本当ならこうはぐっって感じで…」
黒崎先輩はあたしに気づいてる…見せてるの?
なんのために?
何故?あそこにいるのは、
何故、
あたしじゃないんだろう。
あたしじゃだめなのかな。
やっぱ諦めきれないよ。絶対に諦めない。
彼は誰にも渡さない。あたしが手に入れるんだ。
彼はあたしのものなんだから。
あの人が彼を盗もうとするなら、盗んだとしても取り返して見せる。
あたしは拳を握り締めると学校への道を早歩きで歩き出した。
とりあえずここまで。
土日も頑張ります。
(・∀・)イイヨイイヨ
今のところわりとふつーな微近親恋愛な感じ?
もっと、ぐにゃぐにゃねちょねちょした展開に期待っ!
姉モノはいいなぁ・・・・・・(*´Д`*)
修羅場、嫉妬スレ向けの作品に見れなくもないけどどうだろ
作品自体は面白いんだが
今は嫉妬スレに行かない方が良い
嫉妬スレ非難用に作られたんだったけ? このスレ?
キモ姉・キモウト好きの誰かが勝手に立てたスレ。
あっちのスレだとキモ姉妹単体のSSは投下しづらそうだしね
その点、ここだとキモ姉妹が出てくれば単体物も修羅場物も投下できるもんな
みゃー姉の作者さんGJ
弟のにだけ隠し味ってやっぱアレだよな
料理のできるキモ姉orキモウトの隠し兵器w
嫉妬、修羅場もいいですがキモ姉とキモウトが
それ以上に好きなのです。ですからこちらに投稿させていただいてます。
スレの皆様よろしくお願いします。
明日は昼ごろにまだちょっと薄いみゃー姉と祥子メインの
部活動短編を投稿予定です。内容はコメディ風味。
文章はもうできています。楽しんでいただけると幸いです。
白沢龍彦(しらさわたつひこ)だから龍ちゃんの読みは「りゅうちゃん」じゃなくて「たっちゃん」
でいいんだよね?
>>426 >文章はもうできています。
>文章はもうできています。
>文章はもうできています。
できれば、今すぐに…いや、なんでもない。
ワクテカして待ってる。
キモウト好きなんで書きました。
一話完結短編形式で気が向いたときに投下していきたいと思います。
いつエロくなるかわからんし、テンポ悪い文だけど、箸休めにでも読んでください。
支倉陽一はぐうたらと言われる兄、支倉綾はしっかり者と言われる妹である。
幼くして母を亡くし、父は仕事で家を空けていて、小学校の中ごろから家の中では二人で過ごすことが多かった。
現在に至っては父の出張で完全な二人暮しだ。
普段の暮らしでは二人協力し、困ったことがあったらお互い支え合いなさいと言われてきたのだが、今も昔もとにかく喧嘩が多かった。
兄の陽一は、そこまで好戦的な性格ではない。
いつの時も、最初に噛み付くのは妹の綾だった。
「ちょっと! いいかげんにしてよね!」
その日も、朝食を作っていた綾は、居間に姿を現した陽一を見て、きりきりと眉を吊り上げた。
「え? 何がだよ?」
「寝癖! 寝癖よ! ちゃんと直してから来るようにって言ってるでしょ! 毎朝毎朝毎朝! 同じことを言わせないでよ!!」
「朝から元気なやつだなあ……」
ため息をついて陽一は椅子に座る。
その、いかにも適当な返事に、綾は切れ長の目で陽一を睨みつけ、持っていたおたまで、思い切り味噌汁の鍋を打った。
「うぉ! おい、やめろよ。頭に響く」
「なら寝癖を直してらっしゃい。今すぐに」
「後で直すよ」
「毎日毎日そう言って、遅刻間際になって、結局ぼさぼさの頭で出て行くんでしょうが!」
綾はつかつかと陽一に歩み寄ると、ワイシャツの襟に手を伸ばし、ぎゅっと締め上げた。
「ちょ……綾、苦しい……」
「お兄ちゃん、知ってる? 人間って、頚動脈を押さえると三秒間で気絶するんですって」
「は、初耳です」
「私はね、寝癖もそのまんまのだらしのない人と、並んで学校には行きたくないの。そうなるくらいなら、いっそ気絶させて家の中に放っておいて、一人で学校に行った方がマシよ」
「わ、わかった。直す。直すから……」
「よろしい」
にこやかに頷いて、綾は襟首から手を離した。
頭を振って、何度か咳き込みながら陽一は立ち上がった。
「……日に日に乱暴になっていくな、お前は……」
「ええ、ええ。誰かさんのおかげでね」
「まったく。黙ってればかわいいのに……」
ぶつぶつと言って、洗面所へと消える。
実際、綾の容姿は相当なものだった。
十人に聞けば十人が美人と答えるだろう。
真っ白な肌、艶やかな黒髪、強気な眼差し、繊細な体つき――
どれもこれもが見る者の胸を高鳴らせる美しさを持っている。
「ふん……!」
陽一が洗面所に姿を消すと、綾はどこか悔しそうな表情で首を振った。
頭の両側で結んで流した髪が、ゆらりと揺れる。
「そう思うんなら、私の前でもちょっとは気を遣いなさいよね……」
呟いて、しばらくの間綾はじっと床を見つめていた。
陽一と綾の通う高校へは、最寄の駅から電車一本で行くことができる。
いつものように駅のホームに陽一と並んで立ち、綾はこれまたいつものように毒を吐いていた。
「う〜……もう! 何でこんなに人が多いのよ! 多すぎでしょ!」
朝のホームは学校に行く学生、会社に向かう社会人で埋め尽くされている。
電車の発着のたびに人が激しく行き来するが、一向に人の数は減らない。
綾は人の波に押されながら、腹立ち紛れに陽一のわき腹を肘で打った。
「うぐ! おい、何すんだよ」
「お兄ちゃんがもっと早く出てれば、もっと空いてる時間の電車に乗れたんだからね。責任とってストレス解消させてよ」
仏頂面で綾は陽一の腹を殴り、足を踏み、耳を引っ張った。
「イタイイタイ、痛いって!」
「あー、何か気が晴れてきたわ。いい感じ」
「お前どんだけ歪んだ性格してるんだよ。だいたい混むのが嫌なら、さっさと先に行けば良かっただろ」
綾はぎろりと陽一を睨んだ。
「へぇえ、そういうこと言うの。言っちゃうの」
さらに不機嫌さを増した声色に、陽一は思わず身を引く。
逃がさないとばかりに、綾は陽一の手を取り、爪を立てて握った。
「な、何だよ。今朝だって一人で行ったほうがマシだって……」
「へえー。お兄ちゃんは、可愛い妹が電車の中で知らない人たちにもみくちゃにされてもいいんだ。そうなんだあ」
「え?」
「若い女の子の体を漁るのが大好きな痴漢に、好き勝手に触られてもいいのね。そういう時はただ黙って身を縮こまらせて耐えてろって言うのね。助けてはくれないのね。ふーん……なら別にいいけどね」
「お前……痴漢に遭ったことあるのか?」
「ないけどね」
「何だ……驚かせるなよ」
安堵の表情を見せた陽一の足を、また綾は踏みつけた。
「何を安心してんのよ! 今日明日明後日が初めての痴漢遭遇日になるかもしれないのよ!? それでお兄ちゃんはいいっていうの!?」
陽一は慌てて言った。
「わかった。悪かった。それは良くない。絶対良くない」
「そう思うなら先に行けとか言うんじゃないわよ!」
再び勢いよく、綾は陽一のわき腹に肘鉄を食らわせた。
「け、結局殴るのかよ……」
「ふん……あー、ほら、電車がきたわよ良くないって思ってるんなら、ちゃんと守ってよね」
二人の立っていたホームに、電車が音を立てて入り込んできた。
車内には人がぎっちり詰まっているのが見て取れる。
陽一は綾に応じて言った。
「ああ。痴漢に何かされたりしたら、すぐに言えよ。兄ちゃんがとっつかまえてやるからな」
「そんなんじゃダメ。痴漢に手を出されないように、ちゃんと、ぎゅっと体を抱いててよ」
「え……えー? そこまでするのか?」
「今日はいつもより混んでるから、それくらいしなきゃダメなのよ!」
「わ、わかったから、怒鳴るなよ」
綾に押し切られ、陽一は綾を腕に抱くようにして電車の中になだれ込んだ。
正面から向き合い、綾の背中に手を回す。
綾も陽一の胸元に顔をつけ、身を寄せた。
車内は人に溢れ、電車が揺れるたびに右から左から押し付けられる。
いつしか綾も、陽一の背に手を回し、二人は抱き合うような姿勢になった。
「なあ、綾、これって意味あるのか? こんなに人がいると、抱いてようが何だろうが、思い切りもみくちゃにされるんだが」
「うるさい。黙ってそうしててよ」
「でも……ちょっと恥ずかしいんだが……」
「意味ならあるわよ。何も無いよりかは……まあ、安心するし」
綾は陽一の胸に顔をうずめているせいで、その表情は見えない。
しかし、背中に回された手に力がこもるのを、陽一は体で感じた。
抱きしめてみると、綾の体は本当に華奢だ。
こうしておとなしく身を寄せられると、陽一は兄としての庇護欲を大いに掻き立てられた。
「ま、いいか……」
結局二人は抱き合ったままで、満員電車の人ごみの中を過ごした。
いくつかの駅を通り過ぎ、下車する駅が近づくと、電車の速度が次第に落ちていった。
しばらくして、窓の外の光景が、立ち並ぶ家々から駅のホームに変わる。
「お兄ちゃん」
身を離しながら綾が小さく言った。
「ありがとね」
「ん? うん、気にするなよ」
綾は顔を上げて、陽一の首に手を伸ばした。
「おい、また首を絞めるのかよ」
「馬鹿、違うわよ! ネクタイ!」
満員電車の乗客にもまれて歪んだ陽一のネクタイを、綾は丁寧に直した。
「はい、これでよし」
「制服のネクタイなんて飾りのようなものなんだから、ちょっとずれてても誰も気にせんのに……」
「あたしが気にするのよ! ちゃんとしてよね、まったく……」
「お前ホントよく怒るよなあ……もう怒るために怒ってるとしか思えないぞ」
「ええ、ええ。どうせ私は怒らないと生きていけないわよ」
綾は再び足を踏みつける。
陽一が痛みに悶えていると、電車が止まって扉が開いた。
「ほら、お兄ちゃん! 早く!」
同じ高校の制服を着た男女が、次々と下りていき、陽一と綾も下りようと動き始めたその時――
「この人、痴漢です!」
一人の女子生徒が、大きな声をあげた。
陽一たちと同じ学校の生徒で、リボンの色から綾と同じ一年生だとわかった。
「え? お、俺ですか?」
高々と上げた少女のその手には、陽一の手が握られていた。
「この人痴漢です」
ということで、陽一は駅の事務室に連れてこられた。
「この人です! 間違いありません!」
騒ぎ立てる少女は、名前を高島美希といった。
「電車に乗ったときからずっと、お尻を触られてたんです!」
「いや、本当にやっていないんですけど」
陽一を痴漢だと決め付ける美希に、それを否定する陽一。
駅員も、駆けつけた警察も、どちらの言い分が正しいのかで迷ってしまったが、綾の言葉があっさりと決着をつけた。
「お兄ちゃんにそんなことができたわけないでしょう。ずーっと私と抱き合ってたんだから」
「ちょ……! お前、こんな人前でそんなこと……」
「何よ。痴漢に間違われたままの方がいいっていうの?」
綾は、陽一を見るときとは違った冷たい眼で、美希を睨みつけた。
「何をどう勘違いしたのか知らないけどね、お兄ちゃんは私の背中に手を回して、ずっと抱きしめてくれていたの。あなたのお尻なんて相手にしている時間はなかったわ」
それにね、と綾は続けた。
「うちの兄は、間違っても痴漢なんてする人じゃないのよ」
はっきりとした物言いに、駅員も警察も表情が和らいだ。
「なるほど、どうやら勘違いのようだね」
「でも……でも……」
納得のいかない様子の美希に、綾は追い討ちをかけた。
「自意識過剰なんじゃない?」
「な……!」
「お兄ちゃんがやっていないことを私はこうして証言できるけど、あなたが痴漢にあっていましたって言ってくれる人は誰かいるの?」
「何よそれ。そもそも痴漢になんて遭っていないっていうの?」
「さあね」
「だ、だいたい、あんたたちだって、ただ兄妹だからかばってるだけじゃないの? 兄妹で抱き合ってたなんて、そんなのありえないでしょ?」
「別に? 私はごく自然なことだと思うけど?」
「ま、まあまあ。君たちが喧嘩してもしょうがないだろう……」
不穏な雰囲気に、見かねた駅員と警官が仲裁に入り、二人は言葉を飲み込んだ。
結局陽一は無罪放免。
美希は恨みがましく二人を見て、歩いていった。
「ひどい目に遭った……」
がくりと肩を落とす陽一の背中を、綾はバシンと叩いた。
「こんなことで落ち込まない! 元気出しなさいよ!」
「だってなあ……俺ってそんなに痴漢っぽい顔してるのかと思うと……」
「痴漢っぽい顔ってどんなのよ、一体」
呆れたように言うと、綾は足取りの重い陽一の手をとって、引っ張っていった。
「ほら、急ぐ! 遅刻よ遅刻!」
もう完全に始業の時間は過ぎていた。
「綾、綾、あんたのお兄さん、痴漢で捕まったって噂が流れてるよ」
「はあ?」
級友の卯月小夜子がその話題を口にしたのは、お昼休みになってからのことだった。
「何よそれ。確かに捕まりそうになったけど、結局誤解だったわよ」
綾は朝のことを説明した。
「……とまあ、よくわからない女が勘違いしただけよ」
「あら、そうなの? 聞いた話とちょっと違うわね」
「聞いた話って?」
今度は小夜子の方が説明を始めた。
小夜子が言うには、どうも陽一が痴漢をしたという話は、もう既に学校全体に広まりつつあるらしい。
「まあ、あの子……高島さんだっけ? が、陽一さんを捕まえるところは、何人か見てる生徒がいたわけなんだけどさ」
「そこから噂が広まったの?」
「ううん。その高島さんが、あちこちで話してるのよ。痴漢に遭ったって」
綾が射抜くような視線で小夜子を見た。
「で?」
冷たい声で続きを促す。
その豹変振りに、小夜子は思わず身を引いた。
「あ、ちょ、ちょっと。私はただ聞いただけなんだから、怒らないでよね。落ち着いて聞いてよ」
「落ち着いてるわよ」
「……その高島さんいわく、何か色々あってごまかされたけど、陽一さんが犯人に違いないって……そういう風に言ってるのよ」
綾は、食べかけの弁当の蓋を閉じて席を立った。
「高島さんのところにいくの?」
「ううん。兄さんのところ。きっと、馬鹿みたいに落ち込んでると思うから」
綾にとって、優先順位は陽一の方が格段に上だった。
綾の予想通り、陽一はこの上なく落ち込んでいた。
すでに濡れ衣だったことを知っている級友たちは、噂について慰めてくれたが、時折廊下で感じる好奇の視線が何とも痛かった。
食欲も湧かず、昼休みはただぼんやりと机に寝そべって過ごしていた。
「ちょっと、お兄ちゃん。せっかく私が作ってあげたお弁当、生ゴミにするつもり?」
「何だ……綾か……」
「『何だ』じゃないわよ。せっかく心配して来てあげたのに」
いつものように背中を叩くが、陽一はぼんやりと寝そべったままで、体を起こそうともしない。
「あー、もう、情けない。たかが噂話一つで。もっとシャキっとしなさいよ。シャキっと!」
綾は時折陽一のクラスを訪れていたので、級友たちも慣れている。
そうだそうだと、周囲から声があがった。
「綾ちゃん、何とか言ってくれよ。こいつ授業中からずっとこの調子でさ」
「さっきの実験も、ガスバーナー倒すわビーカー割るわ、大変だったんだ」
すみません、と綾は陽一に代わって謝った。
「ほら、こうやってお友達も言ってくれてるんだから」
「お前なあ……廊下歩いて、見知らぬ下級生に『あの人が痴漢の人?』なんて言われてみろよ。半端なく落ち込むぞ」
「確かに、それはちょっときついかもしれないけどね……」
綾はごそごそと陽一の鞄をあさり、弁当箱を取り出すと、ドンと机の上に置いた。
「とにかく、私の作ったお弁当は食べなさい」
「食欲ないっての……」
「ん? 何? 私にアーンってしてもらわないと食べられない?」
にやりと笑って箸を取り出す綾に、しかし陽一は無反応だった。
「ちょっと、無視しないでよね」
「……」
「無視すんな!」
「悪い……今はお前の相手をする元気はないんだ……」
綾はため息をついて腕を組んだ。
「重傷みたいね」
「……」
「とにかく、お弁当は食べてよね。取るもの取らないと元気もでないわよ」
それだけ言って、綾は陽一の教室を後にした。
(イライラする……!)
綾は廊下を歩きながら、腹の底で煮えくり返る思いをひた隠しにしていた。
ちょっと気を抜くと、すぐ脇にある窓ガラスを殴りつけてしまいそうだった。
沸々と、沸きあがっては消えていくどす黒い感情。
原因はわかっていた。
(お兄ちゃん……私のこと無視した……)
先ほどのつれない態度が脳裏に蘇り、怒りと悔しさに握った手が震えた。
叩いても、冗談を言っても、怒鳴りつけても反応しない。
今はお前を相手にしている場合じゃないと言われた。
陽一が、自分の相手をしない。
自分以外のことに考えが偏る。
綾にとって、それはあってはならないことだった。
思い悩むなら自分のことであって欲しい。
気にするのは自分の言葉であって欲しい。
視界がどくんどくんと脈打つ。
自分が不安定になっているのがわかったが、どうにも抑えようがなかった。
(お兄ちゃん……)
おぼつかない足取りで歩きながら、窓の外を見る。
晴天だった空は、いつの間にか空は厚い雲に覆われていた。
午後になると霧雨が風に舞い、世界は灰色の情景となった。
学校が終わり、部活に行く生徒、家に帰る生徒が各々の場所へと散っていく。
綾はいつもは陽一と二人で帰るのだが、その日は用事があると言って陽一に先に帰ってもらった。
そして、傘を差して、校門近くの木の陰にじっと立って待っていた。
一時間、二時間と時間が過ぎ、やがて部活を終えた生徒たちが帰る時間になる。
もう日も落ちて、雨の滴る中に街灯がぼんやりと霞んで灯っていた。
七時を過ぎると、もう校舎から出てくる人影もなくなったが、それでも綾は立ち続けた。
雨はしとしとと降り続ける。
やがて、綾の待ち望んだ人物が昇降口から姿を現した。
教員に別れの挨拶をして、傘を差して歩き出すその少女は、他でもない、高島美希だった。
綾は気取られぬように後をつけた。
高島美希の青い傘と、綾の黒い傘が、暗闇の街路を静かに進んでいった。
駅のホームには、誰もいなかった。
元々高校の生徒や教員の乗り降りが大半の駅なので、登下校時のピークを過ぎてしまうと、何とも寂しいものだった。
傘をホームの縁に立ち、傘を閉じて携帯電話を取り出す高島美希の後ろに、綾はそっと近づいた。
「高島美希さん」
「え?」
突然の呼びかけに振り返り、そこに居た人物を見て、美希は顔をしかめた。
「何だ……あんたか」
「お久しぶり。今朝はどうも」
「……何か用?」
「お願いがあって、あなたに会いに来たのよ」
ぴちゃんぴちゃんと、古びたホームの庇から雨水の落ちる音が響いた。
「お兄ちゃんの噂を周囲の人に話したようだけど……明日にでも取り消してもらえる?」
「は?」
「自分の誤解だったって、言い直してもらえないかしら」
「何であたしがそんなことしなきゃならないの」
「だって、実際誤解だったでしょう?」
淡々と綾は言った。
「別に、あたしは自分が間違ってたとは思ってないし。わざわざ取り消す気も無いよ」
「どうしたら間違いだってわかってもらえる?」
「……しつこいね。本当にやってないんだったら、別にあたしが何を言っても堂々としてればいいじゃない。やっぱり後ろ暗いところがあるの?」
「私は……気にしてないし、放っておけばいいと思ったんだけどね。お兄ちゃんは……繊細な人だから」
「ふーん……」
美希は、鼻で笑った。
「またお兄ちゃんをかばいに来たんだ」
「……ええ」
「あんなぼんやりした男のために、よくやるね。あんた、どこかおかしいんじゃないの?」
「お兄ちゃんの悪口はやめてね」
どこか虚ろな目で、憑かれたように綾は言う。
その異様な雰囲気に、美希は思わず身を震わせた。
「……そ、それで、話はそれだけ? 終わったらとっととどっか行ってよ」
「取り消してはもらえない? 考えを改めてはもらえない?」
「無理。あたしはアイツが痴漢だって思ってるもん」
「取り消して」
無感情な声で、綾は反応した。
「取り消して」
「だから、その気は……」
「取り消して」
「取り消す気は無いって……」
「取り消して」
「……」
美希の返答などお構い無しに繰り返される、淡々とした呟き。
平坦で、どこか不調和な言葉。
「取り消して」
後ずさる美希を見つめて、綾は壊れたように同じ言葉を続けた。
「取り消してよ、取り消して、取り消して、取り消しなさいよ、取り消して取り消して……」
「な、何なの、一体……」
耐えかねて、美希は踵を返し、綾の前から立ち去ろうとする。
その瞬間、背後から白い手がすっと伸びた。
「え……」
二つの傘が、ホームに音を立てて転がる。
美希が背を向けたその瞬間に、綾は機敏な動きで後ろから美希の首に腕を回し、締め上げていた。
「な、何を……」
「高島さん、知ってる? 人間は、頚動脈を押さえると三秒間で気絶するんですって」
ぎゅっと、綾は腕に力を込める。
「お兄ちゃんは繊細だから……何かあると、私以外のことで頭が一杯になっちゃうのよね」
一瞬もがいた美希の体から力が抜け、がくんと腰が折れる。
「そうすると、私はすぐに嫌な気持ちが溜まって、何が何だかわからなくなっちゃうのよ」
美希に語りかけるように言うが、もう美希は何の反応も示さない。
綾は虚空を見つめ、嬉しそうに目を細めた。
「だから、何も無い方がいいの」
綾は鼻歌を歌いながら美希をホームの縁に寝かせた。
手に握られた携帯電話を引き剥がすと、無造作に線路に放り投げ、さらに傘もバッグもみんな、線路の上に投げ捨てた。
全部投げ捨ててから、綾はさらに念を入れて美希の首を締め、そのまま線路に落とした。
「これで、明日からまたしっかり者になれるわね」
嬉しそうに、本当に嬉しそうに、綾は美希に別れを告げた。
綾が家に着いたのは、八時半を回った頃だった。
「ただいまー……って、何やってるの?」
綾が家の戸を開けると、陽一が玄関に座って靴を履いているところだった。
「どこか出かけるの? こんな時間に」
「……こんな時間にって言ったな? 言ったな、おい」
「言ったけど、何よ」
ぺしりと、陽一は綾の頭をはたいた。
「こんな時間までどこをうろついてたんだお前は!」
「何よ、うるさいわねえ。用事があったんだから仕方ないでしょ」
「電話くらいでたらどうなんだ! 何のために携帯電話を持たせてると……」
玄関先で説教を始めた陽一に、綾は子供のように耳をふさいで反抗した。
「こら! ちゃんと聞きなさい!」
「あー、もう! どこからそんな元気が湧いてくるのよ。昼間はあんな陰気な顔してたのに。お説教はもういいから、布団の中で落ち込んでなさいよ」
「妹が夜遊びしてるかもしれんって時に、のんびり落ち込んでいられるか!」
「夜遊びなんてしてないって言ってるでしょう! そういうお兄ちゃんこそ、今からどこか行くんじゃないの!?」
陽一は履いていた靴をひょいっと脱いだ。
「……お前を探しに行こうと思ってただけだ」
「え?」
「……あっちの路線で人身事故があったって聞いて……まさかとは思ったけど……」
「なあに? 私が心配で、不安になっちゃったの?」
にやりと、綾は笑った。
「笑うなよ」
「まったく。どっかのお間抜けさんと違うんだから、そんな事故やら何やらで私が死ぬわけないでしょ?」
「間抜けで悪かったな」
「ふふ……誰もお兄ちゃんが間抜けだなんて言ってないじゃない」
綾が口元を押さえて笑うと、陽一は拗ねたように顔を背けた。
陽一に怒られて、心配されて、逆にからかって――イライラした気持ちが収まっていく。
綾は霧雨に濡れた髪を威勢良く揺らし、何度も頷いた。
「わかった。わかったわよ」
「何がだよ」
「今夜は何だか気が向いたから、豪華な夕食にしてあげる」
傘を置いて、綾は家に上がった。
すぐにエプロンを身につけ、鼻歌を歌い始める。
「そっかあ、心配しちゃったんだ」
「そりゃそうだろ。おまけに、人身事故、この辺の高校の生徒だっていうし……」
「そっか。それで心配してもらえるなんて、意外なおまけがついてきたわね」
「おまけ?」
身を乗り出して訊いてくる陽一を、綾はそっと居間へと押しやった。
「はいはい。いいから、テーブルについて待っててね」
くすりと笑って、綾は鍋に水を入れ、火を点ける。
そして、小さな小さな声で呟いた。
「やっぱり、殺して正解だったわね」
そうして綾は、心からの喜びに満ちた笑みを浮かべた。
結局同じ登場人物で書き続けるなら、それは短編じゃなくて長編なのか…?
ともかく小さいエピソードを適当に書いてきます。
今回は終わりです。
神! いいキモウトしてる!
美紀があれだけ痴漢に拘ったのには、何か裏があるのかとも思ったが…
死んだのかな? 死んでるよなぁ、やっぱり
ツンデレと見せかけて……だと…ッ
なんて高度な……
鼻の血管が爆発した
親の兄、姉→伯父、伯母
親の弟、妹→叔父、叔母
近所の→小父、小母
な
こええ っつーか キモウト っつーか もええええええええええええええ
あれ?
>>440 喪舞は間違いなく神。次も強気で小五月蝿いキモウト綾で頼むw
人身事故…((゚Д゚;)))
恐ろしやキモウト…
だ が そ れ が い い
>>440 神じゃ、キモウトの神が降臨なされたのじゃ!
が、我慢汁が…!
いや、今のSSはスレチだろ。
全然キモくないし、可愛らしくていい妹じゃないか。
…あれ?
お前らと一般人では遠い壁を感じる・・
俺はついに来てしまったのか、あちら側の世界へ
気絶したままで即死だったのかな?だったら残念だ・・・
こういうDQN女はレイプなりなんなりされて、身体的、精神的にもズタボロ
になってこの世のすべてに絶望しながら死ねばいいのに・・・
糞女ざまぁwwwm9(^Д^)でスカッとした
キモウトGood Job!
あれ?キモウトできめえええええwだがそれがいい!と思うよりも
キモウトいい仕事してますな!って思いの方が多かったかもしれんw
人死にが出てるなら通常はやりすぎだろキモウト…常識的に考えてってなるはずなのにこの爽快感は…
>>451 錬金術の絶対原則は等価交換だ
だが・・・キモ姉妹の世界は違う・・・得られるもののほうが大きい
GJ!
オナカイバーイ、エロ無しでもおK
兄貴がキモウトに釣り合ってなさげなとこがイイ!
次もお待ちしています!
,. -‐'''''""¨¨¨ヽ
(. _,,,... -ァァフ| あ…ありのまま 今 起こった事を話すぜ!
|i i| }! }} //|
|l、{G Jj} /,,ィ//| 『朝起きたらツンデレ世話焼きだと思ってた妹が
i|:!ヾ、_ノ/ u {:}//ヘ キモウト化して兄を痴漢と勘違いした女を線路に落としてた』
|リ u' } ,ノ _,!V,ハ |
/´fト、_{ル{,ィ'eラ , タ人 な… 何を言ってるのか わからねーと思うが
/' ヾ|宀| {´,)⌒`/ |<ヽトiゝ おれも何を見たのかわからなかった
,゙ / )ヽ iLレ u' | | ヾlトハ〉
|/_/ ハ !ニ⊇ '/:} V:::::ヽ 頭がどうにかなりそうだった…
// 二二二7'T'' /u' __ /:::::::/`ヽ
/'´r -―一ァ‐゙T´ '"´ /::::/-‐ \ 手料理に愛液だとか部屋中お兄ちゃんの盗撮写真でいっぱいだとか
/ // 广¨´ /' /:::::/´ ̄`ヽ ⌒ヽ そんなチャチなもんじゃあ 断じてねえ
ノ ' / ノ:::::`ー-、___/:::::// ヽ }
_/`丶 /:::::::::::::::::::::::::: ̄`ー-{:::... イ もっと恐ろしいものの片鱗を味わったぜ…
457 :
名無しさん@ピンキー:2007/05/12(土) 08:49:04 ID:IwUl23Y/
>>456 (誤)もっと恐ろしいものの片鱗
(正)もっと素晴らしいものの片鱗
キモウトこええええええええええw
物凄い満たされた気分。
というわけでこっち投下。20分以上音沙汰なしで規制。
多分いけると思うけど。
あっさり風味番外編。
どこの学校にも文芸部というものは存在していると思う。
しかし、普通このような部活はまじめにやるとつまらないと相場は
決まっているのである。
私こと黒崎美弥子は文芸部の部長である。
元々点数稼ぎのために入った部活であり、本格的に活動するとなると、
私の格好よくて優しくて全人類の中で一番の男、私の生きがいでもある
最高の義弟と話す時間が削られるので固辞したのだが
それが慎ましいと評価されてしまい、部長に任命されてしまった。
あの腐れデブ眼鏡前部長め地獄に落ちろ。
ついでに顧問も下剤入りジュースを飲ませてのた打ち回るところを
写真に収めて校内新聞に投稿してやる。
こほんっ
しかし、部長に任命されたからには部を盛り上げる責任がある。
「美弥子先輩。ポストの設置とチラシの印刷、終わりました。」
盛り上げるには順序というものがある。私は人数集めれば盛り上がるとか
考えているような馬鹿ではない。
まずは自分の知名度を利用し、文芸部の活動を広め、アンケートなどを
通じて顧客の名簿を作る。新しい企画を提案する。
部員などそれを実行できるだけの人数がいれば十分である。
幸い新入生の中でも相沢祥子という後輩はなかなか有能だ。
ショートな髪、かわいらしい外見、平均以上の背と胸。
私に無いものを揃えており、義弟と同じクラスなのは気に食わないが
情報を集めるには使えるだろう。
さて、新しい企画。
ザ・文芸部ぷれぜんつっ!
恋愛相談ポスト、あなたの恋を文芸部が完全サポートします。
「美弥子先輩…ほんとにほんとーにっ、これやるんですか?」
「ええ、面白いと思わないかしら?若者に文学なんて無理よ。
やっぱり興味があることでお客を集めないと。」
「文芸部の存在意義が…」
「祥子ちゃん、細かいこと気にしちゃだめよ。貴女だってこちらのほうが面白いと
思うでしょ?」
「だって、あたしも先輩も恋人いないじゃないですか〜。大丈夫なんですか?」
「あらあら。私は365日毎日恋をしているし、恋の作戦を考えてるわ。
ついでに、他人の恋で学んでおけば自分のときにやりやすくなると思うし。」
「な、なるほど。流石先輩。あたしも頑張りますっ!」
三日後
「先輩先輩先輩!!!早速着てますよ着てますよ!!!」
部室で復習しているとショートの髪が飛び込んできた。
どうやら早速恋愛相談の手紙が着たみたい。
「初投稿です読んでみましょうか。どきどきしますねー。」
「そうね。私も楽しみです。さてなになに…?」
拝啓文芸部様
始めまして、私は一年の渡瀬美香と申します。
恥ずかしながら自分では告白できないので文芸部様のお力を
お借りしたいと思い、手紙を書かせていただきました。
私には三年に兄がいます。兄と私は相思相愛に間違いないのですが
最近兄の周りに私との仲を嫉妬する泥棒猫が近づいているようなのです。
その泥棒猫を追い払い、私と兄の仲を完全なものにするためにお力をお貸しください。
敬具
「…せ、先輩これは…まずくないですか?やな感じがしますよ。」
「早速凄いのが着たわね…。取り合えずお話を聞いてみましょう。
一年だし祥子ちゃんはこの人を呼んでください。」
「うう、関わりたくないよぉ〜」
次の日
部室で、三年の渡瀬雄一に関して集めた資料を読んでいると、いつも元気な
ショートヘアーの祥子ちゃんが入ってきた。後ろには大人しい感じの…
いかにも図書館にいますって感じの三つ編み少女を連れている。
「こんにちは、貴女が渡瀬美香さんね。お手紙ありがとう。」
「こ、こんにちは。お噂はかねがね。間近で見ると噂以上に綺麗…
やだ、すみません。何いってるんだろ私。」
「有難う。依頼の件だけどね。一応引き受ける方向で検討しているわ。」
「えええええ!美弥子先輩―っ!まぢですか!!」
騒いでいる後輩をとりあえず無視し、美香ちゃんに真剣な顔を向けた。
「まず、先に言っておくわね。私は心に決めた人がいるの。それは貴女の
お兄さんじゃない。だから、私が彼と話をしても安心して欲しいの。大丈夫?」
「はい。」
「あ、美香さん。あたしも大丈夫だから。美弥子先輩と同じ理由で。」
「では、調べたことから。三年、渡瀬雄一。三年生テニス部。
県大会準優勝経験あり。貴女のいうところの雌猫…女子テニス部の同じく
三年、庄野菊花とは三年生内では交際しているっていうことになっているわね。」
「違いますっ!!兄はあの女にきっと弱みを握られて騙されているんです!」
祥子ちゃんはうわーって顔をしている。私も同感であるので頷く。
全くあんな男のどこがいいのやら。私の義弟と比べれば月と塵芥である。
「落ち着きなさい。女は男を手の内で操って初めて一人前なの。貴女はまだ
修行が足りないから雌猫に遅れをとっているのよ。まずは、冷静になりなさい。」
「な、なるほど…、でもどうすればいいんでしょう。」
「よく聞きなさい。例え仮に本当に庄野さんが彼女だったとしても、渡瀬君が貴女の
方を好きになれば貴女の勝ち。これは分かる?」
「はい。」
「美弥子先輩…ノリノリですね…」
「まずは攻め。渡瀬君に一緒にいてもらう理由を作るの。そう…頼るのがいいわね。
頼られて嬉しくない男はいないわ。男に迫られて怖いとか方法はなんだっていいわ。
重いものを運ぶからとかもいいわね。勿論頼るときは、目を潤ませて上目遣い。
決して強要しちゃだめ。失敗したら可愛らしく引くこと。」
「メモメモ…」
「次に守り。渡瀬君と庄野さんの仲を引き裂くこと。この場合直接、彼女に攻撃しちゃ
だめよ。周囲の人に噂をばら撒くの。渡瀬君が浮気をしているっていう噂を。
これはうちの役立た…三年にやってもらうわ。勿論浮気相手は貴女。
一緒にいる貴女を恋人と勘違いしたって方向で流してもらう。」
「えげつないですね。美弥子先輩…」
「祥子ちゃん。恋愛は戦争なのよ。戦争に卑怯なんて言葉は存在しないわ。どう?
美香ちゃん。」
「分かりました。お兄ちゃんに悪い噂が立つのは辛いけど…」
「ここまでやれば大分ぐらつくと思うわ。最後の止めは…渡瀬君とキスをして
その写真と手紙を庄野さんに送るの。文面は私が考えてあげる。できる?」
「…はい、お兄ちゃんのためでしたら。」
「最後にひとつ約束して欲しいの。もしここまでやって二人が離れなかったら…
そのときは妹として二人の幸せを認めてあげて欲しいの。正直、これは人道的には
ちょっとだけ酷い作戦…」
「…いえ、美弥子先輩、大幅に踏み外してます…。」
「これを耐え抜ける二人なら、二人は本気。想いの強さも本当。これで崩せないなら
手はないしね。渡瀬君のことが本当に好きなら美香ちゃんも耐えれるわね?」
「…わかりました。先輩。そのときは…諦めます。」
私は微笑んで美香ちゃんの労るように優しく頭をなでた。
真っ赤な顔をしてる。可愛いわねー。うんうん。やっぱり、後輩はこうじゃないと。
「いい子ね。貴女の恋が成功することを私は祈っているわ。」
二週間後
「美弥子せんぱーい。美香ちゃんから結果報告が来てますよ。
美香ちゃんてば、あんな暗かったのにすっかり明るくなってたなあ。
ファッションも変えて男の子にすごいもててるみたいですよ。」
「恋愛そのものは失敗したって聞いてるけどね。兄妹の恋愛は大変だわ。
ふっきれたんでしょ。早速。読んでみましょうか。どれどれ…?」
拝啓文芸部様
先日は、ご相談に乗っていただきありがとうございました。
作戦は残念なことに失敗に終わりました。私の初恋も…
ですが後悔はしていません。二人は本気で恋愛しているんだということも
わかりましたし、お兄ちゃんも庄野先輩もここまでした私を笑って許して
くれました。庄野先輩も落ち着いて話してみれば本当にいい方でお兄ちゃんを
安心して任せることができそうです。
今回の出来事を糧に、この先新しい恋を頑張っていこうと思います。
本当にありがとうございます。
敬具
追伸、文芸部に入部します。身も心も可愛がってください。
好きな人がいても恋は奪うものですよね。よろしくお願いします
お兄ちゃんと同じくらい大好きなお姉さま(はーと)
「………え?」
「み、美弥子先輩…ぷっくくくくく、お、お姉さま!あはははははははははは!!」
祥子ちゃんの笑い声を聞きながら私は背中に嫌な汗をかいていた。
全く笑えない。ま、まさか、こんな展開になるとは…あの偏執的な愛情が私に…
「祥子ちゃん!私は今日は早退っ!!後は任せ…」
そして、文芸部の扉が勢いよく開いた。無常にも。
以上です。ちょっとスレ間違ってる気がしないでもなく。
キモ姉所属の文芸部では恋愛相談をお待ちしております。
464 :
名無しさん@ピンキー:2007/05/12(土) 10:36:24 ID:2TjdnenN
これは良いキモウトですね
「巴ちゃん・・そこに座りなさい。大事なお話があるんです」
キモ姉の分類に入るであろう僕の某姉は畳の部屋で正座をしながら、静かに殺気を帯びていた。
尋常ではない空気に僕は大人しく姉の言う事に従う。
「巴ちゃん。これなにかな?」
姉が勢い良くテーブルに叩き付けたのは・・僕の秘蔵のエロ本であった。
「くらいやがれですぅ」
「姉よ・・人のプライバシーの侵害はさすがに酷いと思うぞ」
「いいえ・・他の女の子の裸を見て興奮しているなんて・・。年頃の男の子とはいえ、これでは私の大切な巴ちゃんが将来は強姦魔になるかもしれないわ」
「30%なるわけないでしょ。何を考えているのよ姉」
「お姉ちゃん以外の女の子以外で欲情するのは不潔なのよ。だから、今からお姉ちゃんが脱いであげるから・・巴ちゃんはデジタルカメラを持ってきて。今日からその写真をおかずにして抜いてくださいね」
「うん。全力でお断りするよ」
「がびょん・・・・」
「普段から見慣れている家族とか妹か姉の姿に萌える人間はリアルだろうが二次元だろうが当事者の僕には興奮しません。リアルでも萌えませんから!!」
「お姉ちゃんの裸で萌えられないからって・・幼馴染や妹モノや巨乳特集のエロ本ばかり集めていたのはそんな理由だったの?」
「肯定だ」
「ひ、酷いよ。巴ちゃん・・お姉ちゃんはどれだけ貴方の事を想っているのか知っているの? 実の両親を事故を装って生命保険目的で殺したり、巴ちゃんに近付いてくる女の子の顔に一生に残る傷を付けたり、いろいろと大変だったんだから」
「何かとんでもない事を言っているみたいだけど華麗にスルーさせて頂きます」
ブラコンである姉が裏で腹黒いことを熱心に工作していたことを知っていたが、実の両親まで殺すか? 普通?
「女の子の興味あるけど、お姉ちゃんに興味がない=私と巴ちゃんのラブラブな生活の破綻の危機よ・・。これは何とかして対処しなければなりません」
「姉よ・・。自分の愛液をご飯の中に入れたり、俺の部屋に差し入れのコーヒを持ってゆくような真似だけは簡便な」
「ええっっ・・どうして知っているんですか?」
「姉の味がした」
「えへへへっっ・・。お姉ちゃんの愛液の味まで判別できるなんて凄いよ。これも日頃のお姉ちゃんが女の子の事をよく教えた成果だよね。もう、嬉しいよ」
単純に愛液を入れるところを目撃して背筋に悪寒が走っていたと姉の蔓延なる笑顔を見ていると真実を告げるのは酷である。
「で、姉よ愛液のことは目を瞑っていいからエロ本を返して」
「あははっはは・・これは処分させてもらいますね。巴ちゃんにはお姉ちゃん以外の女の子の裸を見た罰を受けることになるわ」
「まさか、姉よ・・。あれをやるつもりか!!」
僕が逃げる暇もなく、姉は軽々と小柄な体で僕を押し倒してきた。
「巴ちゃんの体が温かくて気持ちいいよ」
僕の胸元に姉の頬が擦り付けるように甘えてきた。すでに舌足らずの口調で上目遣いで僕を見ている。
「あ、あ、あの一応、姉と弟のスキンシップには限度があると思うんだけど」
「限界の壁を軽く越える灼熱の禁断の恋は誰も止めることができないわ・・」
「た、た、タスケテェェ!!」
「巴ちゃん巴ちゃんお姉ちゃんだけ巴ちゃん巴ちゃん巴ちゃん巴ちゃん巴ちゃん巴ちゃん巴ちゃん巴ちゃん巴ちゃん巴ちゃん巴ちゃん巴ちゃん巴ちゃん巴ちゃん巴ちゃん巴ちゃん
」
こうして、僕は人として何か大切な物を奪われた・・。
>459
単独作品だよね?
前とえらい違うんだが...同じ話の中でこのギャップだとちょと萎える
>467
番外編、単独です。
前のと繋がってるわけではないです。
ちょっと気分転換に。
前からの続きは明日昼ごろ予定。
>>463 つうか俺文芸部に相談したい事あんだがw以下マジレス
拝啓、文芸部様。
はじめまして。僕はイナイ歴=年齢の童貞です。
早速ですが相談があります。
実はここ2年間、妙な電話がかかって来ます。
月2〜3くらいのペースで、非通知のワン切りが来るんです。
それも決まって深夜1時から早朝5時の間です。
電話に出ようとするとすぐ切れるため相手は誰なんだ、友達のイタズラか?と軽く気になっていました。
しかしこの間の夜、偶然メールを打っていた時にかかってきたので電話に出る事に成功しました。以下その内容です。
俺「もしもし」
女「……もしもし」
俺「はい…もしもーし?」
女「…こうちゃん」
俺「えもしもし?」
女「こうちゃん…?こうちゃん?…………こうちゃん」
俺「…だ誰ですか?たしかに僕の名前はコウイチですけど…あの番号間違えてません?」
女「……………」
俺「あの誰ですか?この時間によくくるんですk…」
ここで切れました。
僕の名前は確かにコウイチなのですが、未だかつて父さんと母さん、親戚以外に下の名前で呼ばれた事はありません。
電話の子は明らかに親戚の誰の声でもありませんでした。
その他周りの友人や知り合いは皆苗字か苗字をもじったアダ名で呼びます。
一体相手の子は誰なのでしょう。ちょっと不気味です。
しかし恐い反面、このスレや嫉妬スレによく来る僕ですから、2割くらいwktkしてるのも事実です。
僕には片思いをしてる子がいるのですが、もしかしたら生き別れた実のキモ姉から…とか
良い狂いっぷりの女ストーカーから、等と妄想すると電話の子に対する淡い期待と冷や汗が止まりません。
この電話はキモい人の脈アリと考えていいのでしょうか?
僕はこれからこの電話に対してどうするべきでしょう?
気にせず片思いの子と仲良くなるのに専念した方が良いでしょうか?
電話はあれからも同じペースで来続けています。ご返事待ってます。
チラ裏ですまん…。でもマジで軽く恐いんだ…。
>>469その妄想を土台にSSを書いて、君もSS職人になるんだ!
マジレスすると親とか警察に相談してください。
三次元のヤンデレさんは萌えなくて危険です。
YOU!監禁されちゃいなYO!!
お前姉スレにもいるなw
>468
勘違いスマソ
ただー次ぎはタイトルとかにそれと分かる様になにか入れてもらうと有り難いです。
携帯からだと間のレスはとりあえず飛ばして、タイトル頼りに続けて読むんで。
>469
にげてー!469にげてー!
474 :
名無しさん@ピンキー:2007/05/12(土) 17:05:30 ID:fQT9nTHS
…いくら
弟が可愛くても欲情はしないな…
私は、
有り得ない…
精々やるとしたら
ハグだよ…
後丸刈り頭を撫で撫でザラザラした感じが超良い
でも後で
怒られる
スルー推奨?
イクラちゃんがどうしたって
サザエ=キモ姉
ぬぇよ
このスレみてたら姉と妹レイプしたくなってきたじゃまいか!!
だがもしかしたら二人ともキモ系かもしれん・・・・
犯 っ て き ま す
それは無茶
レイプするんじゃない されるんだ
一日開いたけど続き投下します。
20分以上で連投規制。
白沢龍彦
今日の昼休みは酷いものだった。
「白沢!!お前二股かけてたのか!く〜てめええええ漢だな!」
「嫁さんいるのに美人の先輩と腕組んで登校なんて…夜道には気をつけろよ!」
「三人、三秒でのしたんだって!二股といいお前羊の皮をかぶってたんだな。」
僕の平和な日常は高等部生活一ヶ月で終わりを告げたらしい。
「待て。僕は誰とも付き合ってなかったのにどうして二股になるんだ。」
「クラス全員共通認識だと思うぜ。相沢も可哀想に。」
「勝手に僕とそういう関係だと思われたら相沢さんに失礼だろう。
明らかに僕とは不釣合いだ。彼女は幼馴染で僕が情けないせいで
面倒を見てくれてるだけだ。」
僕の発言を聞いた周りのクラス連中はこいつ馬鹿か…という表情をしている
気がしたが、問い詰めはしなかった。相沢さんが心配だったのもある。
朝からきょろきょろしたり落ち着きが無かったり挙動不審だ。
「相沢さん?どうした?」
「え、あ、いやっ!なんでもないよ!」
「やっぱり怖いよね。騙してたわけじゃないんだ。ごめんね。許せないなら
無視してくれてもいいから。」
「ち、違うよ!そんなんじゃないの。うん、大丈夫だから。
白沢君の性格はよくわかってるし。むしろ格好いいと思ったくらいで…。
そうだ!放課後時間少しあるかな。」
どうやら大丈夫みたいだけど、顔が真っ赤だ。風邪かな。
しかし、この針の筵のような生活はいつまで続くのだろう。
とにかく、みゃー姉との約束もあるし屋上に行こう。
「それじゃ放課後、昼食べにいってくるよ。またね。」
教室を出て行こうとしたとき、僕の親友である一日二回しかしゃべらない
倉沢君が肩を叩いた。
「…龍彦。女難の相がでている。生き延びろ…。」
相沢祥子
あたしは今屋上に向かって歩いている。
自分はさっぱりした性格だと思っていたけどどうやら違ったらしい。
諦めの悪い、粘着質な女。
白沢君とであったのは初等部に入ったころだった。
家が近所だったこともあり、一緒に学校へ通ったり遊んだりしていた。
あたしが彼をひっぱりまわし、後ろに彼がついてくる。
そんな関係だった。
事件があったのは9歳の頃。白沢君の両親が亡くなった。
優しかった彼の両親。
あたしはお葬式で泣きじゃくった。彼は親戚から両親の悪口を言われるのに
歯を食いしばって耐えながら、
「僕は大丈夫だから。ありがとう。」
とあたしの背中を擦ってくれた。逆じゃないといけないのに。
素直じゃないあたしはそれまでの関係を続けながら、
彼に片思いを続けている。
あたしはこれから見たくない光景をみるかもしれない。
それは素直になれなかったことに対する罰。
でも、どんなことにも耐えてみせる。
最後に勝つのはあたしだ。
覚悟してドアを開け、その光景を目にしたときあたしは笑った。
鏡が無くてよかった。きっと歪んでいただろうから。
黒崎美弥子
何回目になるかわからない、龍ちゃんとの二人きりの食事。
退屈な学校で一番楽しい時間だ。
色々調べてみてあの子と公認カップルと周りから認知されてたのは驚きだった。
今まで私と龍ちゃんが噂にならなかったのはそれがあったからだと知った。
私は自分をつくづく性格の悪い女だと思う。
昨日ああいったからには恐らくあの後輩は屋上を覗くだろう。
私は今まで姉弟という関係に縛られて素直にならなかったということの代償を
龍ちゃんや彼女にまで支払わせようとしている。
もし、神様がいてこの先私がすることを知っていたとしたら、間違いなく
地獄に落とすに違いない。
二人とも…私自身も悪くすれば再起不能になるまで傷つけるかも知れない。
それでも、不器用な私は…
龍ちゃんを諦めることはないのだ。
幸せを誰より願いながら、彼と彼の周りの人を不幸にしようとしている。
罪悪感はあるが彼に近づく女性に容赦はしない。
「龍ちゃん、今日のお弁当は美味しい?冷凍物使わず全部作ってみたのだけど。」
「うん。すごいね、今日の弁当。物凄く美味しいよ。」
「この小芋の煮付けも自信作。ほら。あーん」
「だから恥ずかしいって!あむ。美味しい。じゃお返しにみゃー姉にも。あーん。」
「こ、これは恥ずかしいわね。でも、食べさせてもらうと余計に美味しく感じるわ。」
照れながらも付き合ってくれる龍ちゃんに心で謝りながら笑顔を作る。
横目で屋上の入り口が少し開いているのを確認。
「ほら、口元。醤油がついているよ。」
心臓が早鐘のようになるのを感じる。顔を近づけるだけなのに。
今確実に顔は真っ赤になってるに違いない。
ゆっくりと顔を近づけ、口に近い彼の頬を舐める。
「ちょ、えええええええ、みゃー姉や、やりすぎだって!」
「くすくす…ご馳走様。」
龍ちゃんは真っ赤になって慌ててる。本当にかわいい。
今は姉弟の関係。そこから進めるためにこれから私は悪魔になる。
彼女は知らないことがまだたくさんある。そして私は全てを利用する。
彼は絶対に渡さない。
白沢龍彦
昼は驚いた。お陰で午後の授業の内容が全く頭に入ってない。
みゃー姉の過激なスキンシップは良くあることだが今日ほど驚いたものはない。
まだ、心臓がばくばくいってる。だけどあの人は姉、僕の家族だ。
家族を壊すわけにはいかない。これ以上はだめだ。
壊れやすいものなのだから。家族ってやつは。
それより今は相沢さんだ。放課後に教室で話があるということだから、
掃除を手伝い、今は二人きりで教室にいる。
夕日が逆光になっていて表情は読めない。
ショートカットでいつも活発そうな印象のある彼女は今日だけは
不思議な雰囲気をかもし出している。
「白沢君ってさ。黒崎先輩とどういう関係なの?まだ秘密にしてることがあるの?」
僕は悩んだ。先日、隠し事がばれたことに対して負い目はある。
長い付き合いで彼女が信用できる人っていうことも理解している。
悩んだ末、僕は答えを出した。
「他の人に内緒にしてくれるのなら全部話してもいい。」
「わかった。白沢君とあたしだけの秘密だね。」
そして、僕は説明した。両親が死んでからの生活、どのように生きてきたか。
みゃー姉にどれだけ助けられているか。包み隠さず。彼女は長い話を黙って
聞いていた。
「そういうことだったんだ。あの人がお姉さんか…。すごいよね。」
「ああ。僕の自慢の……姉だよ。」
夕日の残光が少しずつ消えていき、教室が少しずつ暗くなる。
「じゃあさ。恋人ってわけじゃないんだ。」
何を言ってるのかわからなかった。不意に感じる唇の感触。
理解できず、指で唇をなぞる。
「あたしこと相沢祥子は白沢龍彦君のことが好きです。幼馴染とか友達とか
そんなんじゃなくて一人の女として白沢君が好きです。返事は…明日でいいから。」
そこまでいうと彼女は教室から走って去っていった。
僕は暫く動くことが出来なかった。
相沢祥子
ついに言ってしまった。
今までの関係を終わらせる可能性すらある告白を。
時間を置けば確実に黒崎先輩は彼を本当に恋人関係にしてしまう。
それは嫌だ。
憧れたし尊敬もしているけど、彼だけは渡したくない。
あの人は、美貌も知性も兼ね備えている。姉という立場でいつも白沢君と一緒にいる。
恋人という立場だけは…
「返事は明日でいいから。」
あたしは、白沢君にそういうと慌てて外にでた。拒絶されるのが怖かった。
だけど、そこには今最も会いたくない人がいた。
先輩は普段のように微笑を浮かべている。しかし、目は…
激しい感情が揺れ動いている。あたしは気圧されないように必死で睨み返した。
「こんばんは。相沢さん。」
「先輩…覗きは趣味が少しよろしくないんじゃないですか?」
「屋上でこそこそ覗いていた貴女の言う台詞ではないわね。」
「っ!!」
あたしは怒りに目が眩みそうになった。やはりわかっていてやったのだ。
先輩は勝ち誇っている風でもなくただあたしを見ている。
「私も龍彦君のことが好き。理由があって踏み込めないのだけれども。
貴女は何も知らずに踏み込んでいくのね。羨ましいけど…
悪い子だわ。お仕置きが必要よね…」
そういうと先輩は不意に私の唇を奪った。
「間接キス…か。さよなら。私のかわいい後輩。」
先輩は去り、あたしは理解できないことに怯えていた。
今日はここまでです。
ああ、題名忘れた。携帯の人ごめんなさい;
龍ちゃんは(りゅうちゃん)って読んでます。
こんなスレがこんなに活発でいいのか!?
人はこういうキモイものに憧れを抱いているに違いない……。
とにかく職人さんたちみんなGJだー!!!
「GJ」と言わざるを得ない
みゃー姉と祥子がキモくなるのが楽しみですな
素晴らしいスレだ
コトリVSサトリも楽しみ
GJだけど修羅場スレ向けじゃね?ってこれは言っちゃいけないお約束なのか。
嫉妬描写とか修羅場描写とかヤンデレが含まれていようがキモ姉とキモウトが書いてあればいいんだって!
なんも問題ないでしょ?
うむ、問題ない
っていうか、
>>1がここに立てた時はメチャクチャ叩かれていなかったか?
文芸部ネタがおもしろかったんで、
これ使って話書いてみたいんだが、どうだろ?
作者さーん。
>496
構いません。どうぞ。
作品に関しては一切文句をつけないので
自由に頑張ってください。楽しみにしてます。
498 :
名無しさん@ピンキー:2007/05/13(日) 23:52:40 ID:47Kka+Ey
これからが楽しみだ。
続きにwktkしてます!
こ れ は き も い
GJ!!wktk
500 :
千冬と浩司:2007/05/14(月) 06:48:16 ID:PGpb2i+A
「お姉ちゃんゴメンナサイって千回言うのと、ここでいつもの格好でオナニーするのとどっちがいい?」
千冬(ちふゆ)はそう言い放った。
十秒以内に答えなさい、と。
オナニーは嫌だった。
それだけは嫌だった。
しかも千冬はいつもの格好と言った。
つまり彼女の、女子高生時代のセーラー服を着なければならないという事だ。
姉の制服を強制されての自慰行為となると、その羞恥は倍増する。
しかし、しかし、……千回謝罪の言葉を言いつづけるよりは、まだマシだった。
千冬は几帳面だから、本当に千回キッチリ言い終わるまで、自分を決して許してはくれないだろう。そうなると、今がもう夜中の二時だから、下手したら、明け方までかかってしまうかもしれない。
そう考えると、ぞっとした。
明日は学校で、苦手な科目の小テストがあり、部活でタイムを測る日であり、その後はアルバイトの初入店の日であった。
つまり、結論は一つだった。
「――お、おなにー、させて下さい。お姉ちゃん」
千冬の眼前で、弟が肩を震わせながらペニスをしごいている。
「はぁっ、はぁっ、はぁっ、はぁっ、はぁっ、はぁっ、……」
とは言え、そのペニスが彼女の眼前に露出しているわけではない。
姉は弟に女装させる際、つねに自分の脱ぎたてのショーツを着用する事を強制しており、その下着越しに勃起したペニスをしごかせるようにしている。
今回に限ったことではない。
姉曰く、その方がシルクのショーツの感触が気持ちいいだろう、という、彼女なりの親切心らしかった。
何より、勃起してもなお、ショーツからはみ出す事さえ出来ないペニスの矮小さを、弟に自覚させるための措置でもあった。
501 :
千冬と浩司:2007/05/14(月) 06:49:42 ID:PGpb2i+A
「ふふ……ほんっと小さいわよね浩司、あなたのおちんちんって」
その一言に浩司――彼女の弟――は、紅潮した顔をさらに赤く染めさせる。
千冬はソファから立ち上がり、浩司の背後に回りこむと、セーラー服に手を入れ、スポーツブラの上からそっと乳首をつまんだ。
「っっっ!!!」
「おちんちんは小さいくせに、おっぱいはこんなに大きくしちゃってるのよねぇ」
「〜〜〜〜! やめてっ、やめてよっ、お姉ちゃんっ!!」
しかし、千冬の指は、当たり前のように彼の胸から離れなかった。
そのまま彼女は、背後から乳首を弄りつつ、無言で弟の耳を甘噛みする。
(おいしい……)
「ひいいぃぃぃ〜〜〜」
もはや、浩司の下半身は力を失いつつあった。
膝が笑い、腰が震え、今にもその場に崩れ落ちそうになる。
――がぶり。
「っっっはあああっっっ!」
どくん、どくん、どくん、どくん!!
千冬が耳に歯を立てた瞬間、浩司は、その激痛のショックに、自らの腰を包むショーツの中に射精していた。
ぐずっ、……うっぅぅぅ……。
浩司はすすり泣きが止まらなかった。
膝には、もう一切の力が入らない。
彼は床に額をこすりつけ、全身を震わせて、泣いた。
精液でぐしゃぐしゃのショーツの感触が、いまの自分の情けない現状を、容赦なしに意識させてくれる。
姉が怖かった。
怖くて怖くてたまらなかった。
でも、それ以上に自分が怖かった。
姉から与えられる、羞恥と屈辱の極致ともいうべきこのシチュエーション。
だが、こんな常識では考えられない羞恥と屈辱の中で、かつて普段、一人で慰めていた頃の、十数倍から数十倍と言っていいほどの快感に酔っている自分がいる。
――慣れてきてるんだ。こんなひどい……ひどすぎる目に遭わされてるっていうのに……。
502 :
千冬と浩司:2007/05/14(月) 06:51:24 ID:PGpb2i+A
「顔を上げなさい」
千冬の声が聞こえる。
だが、浩司は無視した。
「泣きやみなさい」
その声も彼は黙殺した。
が、その途端、意識が吹っ飛ばされるような衝撃が、彼の脇腹を襲った。
姉が、浩司の横っ腹を、見事なまでに美しいフォームでキックしたのだ、とは彼は気付かない。
彼に分かるのは、胃袋がひっくり返るような激痛と共に、
(殺される)
と思わせるほど、姉が怒っているという事だった。
胃の内容物が、彼の腹部で攪拌される。
以前の浩司なら、ひとたまりも無く反吐を床に撒き散らしていただろう。
だが、今は違う。
――姉を本気で怒らせたら、命が危ない。
という事を、今の浩司は本能で知っている。
そして、少々の快楽や苦痛に任せて、彼女の許可を得ない射精や排泄、または嘔吐すらも、どれほど姉の怒りを招く結果となるかも。
浩司は喉元まで出かかった反吐を懸命に飲み込み、激痛おさまらぬ横っ腹を押さえて、姉を見上げた。
「どう、涙は止まった?」
「はっ、はひ……」
「笑いなさい」
「はい……」
浩司は懸命に口元を緩ませ、何とか笑顔を作ろうとしたが、その作業には、死に物狂いの努力を要した。
「いい子ね」
千冬は、そう言うと、眼前の愛する弟の頭を、よしよし、と撫でた。
「でも、浩司」
千冬の両手が、弟の両頬に、そっと添えられる。
確かにオナニーしなさい。私はそう言ったわ。でも……、
そこまで言って千冬の両手が、弟の頬から頸部まで下がる。
「誰が、勝手にイっていい、なんて言ったのかしら?」
――浩司の笑顔が、再度凍てついた。
503 :
千冬と浩司:2007/05/14(月) 06:53:42 ID:PGpb2i+A
千冬の様子が変わったのは、一週間前だった。
それまでの彼らは、仲が悪いとまでは言えずとも、それほどまでに仲がよい姉弟ではなく、互いに程よく無関心な、どこにでもいる只の姉と弟に過ぎなかった。
現に、浩司は、今までの千冬の男性遍歴を知らないし、千冬は、浩司が童貞であるという事すら知らなかったのだから。
また、彼らに親はいないという事も、二人の距離を適度に乾燥させる一因だった。
彼らの両親は、姉弟が子供の頃に離婚し、そのまま二人は父親に引き取られたのだが、父は典型的な仕事人間であったため、浩司より七歳年長の千冬が家事を引き受け、自然、二人の関係は姉と弟と言うより、母と息子といった方が近かった。
だから数年前、卒中で父が突然死した時も、残された二人の悲しみはともかく、生活的には大した変化は無かった。
教師であった千冬の月々の収入に、父の保険金を合わせれば、二人が暮らしていくには充分すぎるほどの額になったのだから。
しかし一週間前、二人の、――いや、少なくとも浩司の生活は劇的に変化した。
千冬が、数年来の恋人に、いきなり婚約を破棄されたのだ。
しかも、その婚約破棄の直接原因は、千冬の幼馴染みの親友による、略奪愛であったらしい。
そして、その日は――非常に間の悪い事に――浩司が初めて同級生から告白された日であった。
唯一無二の親友に将来を誓い合った恋人を奪われ、失意のどん底だった千冬にとって、残った最後の家族である浩司に、
「姉ちゃん、聞いてくれよ! やっと俺にも彼女が出来たんだよ! 永かった冬の時代がようやく終わりを告げてくれたんだよ!」
と、言われた時の心境はいかばかりであったろうか。
その日、千冬は暴力を持って弟の肉体を蹂躙し、彼の童貞を、文字通り奪い取った。
浩司も部活(水泳部)で体を鍛えてはいたが、柔道二段の現役体育教師の千冬が、狂気の如き怒りと共に振るう暴力の前には、ほとんど抵抗らしい抵抗はできなかった。
504 :
千冬と浩司:2007/05/14(月) 07:01:51 ID:PGpb2i+A
その日から、千冬の浩司を見る目が変わった。
それまでの千冬は、むしろ男性的な、細かい事にこだわらないサバサバした性格だったのだが、その日を境に、ねっとりとした陰気な、暗い独占欲にまみれた視線を浩司に送るようになった。
彼に告白したという同級生の家へは、千冬自身が直接出向き、衆人環視の中、その少女を徹底的に罵倒し、あやうく少女の家族に警察を呼ばれるところであった。
つまり、典型的な情緒不安定な性格に変化してしまったのだ。
腕力では敵わない。
そういう思いは確かにある。
しかし、それ以上に浩司は、今の姉が本当の姉ではない、時間が彼女の心を癒してくれれば、再び以前のサッパリとした姉に戻ってくれるはずだ。そう信じているからこそ、千冬の凌辱に必死に耐えているのだ。
が、もはや、千冬はそうは思っていない。
一週間前に浩司の肉体を味わった時、彼女の心に走った電流は、それまでの千冬の心を支配していた悲嘆と絶望を、一挙に180度逆転してしまったのだ。
千冬にとって恋人とは、確かに将来を誓い合った無二の存在ではあったが、どちらかというと、それほど体の相性がいい方ではなかった。しかし、それでも彼女は恋人を愛していたし、それ以上に尊敬していた。
だから千冬は、体の相性という事実をそれほど重視してはいなかった。
しかし、浩司の身体は違った。
違いすぎたと言っていい。
千冬にとっては、その恋人以前にも彼氏がいなかったわけではない。だが、この血の繋がった弟の肉体は、千冬が知る男たちの誰よりも、彼女に快楽を提供してくれたのだ。
――あああ、これが、これこそが、本当のセックスなんだ……!!
千冬は処女ではなかった。
しかし、この日、この瞬間に初めて“男”を知ったのだ。
短小包茎の、どう見ても世間的には評価されないそのペニスによって。
彼女は当初、自分の感情に大いに戸惑いを感じた。
無理も無い。
その日、突然彼女を襲った悲嘆と絶望、それ以上の憤怒。それらの大量の負の情念が、いきなり彼女の中で化学変化を起こしたのだから。
しかも、その相手は常識的にはまず考えられない、実の弟なのだから。
やがて、千冬は結論を下した。
これは“愛”なのだと。
例え、世間からどれだけ白眼を以って見られても、これは愛なのだと。
千冬は今では、かつての恋人や親友に、何の感情も抱いてはいない。
むしろ礼を言いたいくらいだ。
あの二人が自分を裏切ってくれたおかげで、千冬はかつて存在すら知らなかった快楽の世界を垣間見る事が出来る。
その桃源郷への水先案内人は弟。
だから、もう千冬は、浩司を手放す気は毛頭ない。
彼の体を支配するために、彼の心を屈服させるために、繰り返し、繰り返し快感と苦痛を、交互に与え続ける。
朝からスゴイのキターヾ(≧∇≦*)ゝ
506 :
千冬と浩司:2007/05/14(月) 07:03:37 ID:PGpb2i+A
「お仕置きよ」
そう言うと、首に添えた両手に力を込め、頚動脈を圧迫する。
「……お……ねえ……ちゃ……!」
「んフフ……苦しい?」
そのまま千冬は、浩司の唇を奪う。
舌を絡ませ、唾液を送り込み、彼の舌を前歯で甘噛みすると、そのまま自分の口内に吸引する。
当然その間、頚動脈を圧迫する両手は緩めない。
浩司のもがきが、本格化してきた。
このままでは、あと数秒しないうちに彼はチアノーゼ状態に陥るだろう。
そのギリギリのタイミングを見計らって、手を離す。
「ごほっ!! ごほっ!!」
フローリングの床に倒れ伏した浩司が、顔面を紫色にして、咳き込んでいる。
「ねえ、浩司」
だらしなく身体を震わせる弟。その股間を、姉の右足がちょんちょんとつつく。
「なにこれ?」
――え?
という表情で、浩司が顔を上げる。
「首を絞められて興奮してるの?」
本当、どうしようもない変態ね、あなたって。
千冬は言葉を続ける。
短小だわ、早漏だわ、包茎だわ、変態だわ、――ふふふっ、四冠王って言うより四重苦って言うべきかしら。
507 :
千冬と浩司:2007/05/14(月) 07:05:26 ID:PGpb2i+A
浩司は、羞恥と屈辱で顔も上げられない。
「変態坊やにはご褒美を上げないとね……」
そう言いながらスカートをめくり、千冬はカチカチになった弟のペニスを手に取った。
「ちっちゃいわ……。これで勃起してるつもりなの?」
罵りながら、浩司のペニスを、精液まみれのショーツの横から引っ張り出し、その上に自分の腰を据える。
「こんな変態が弟だなんて……お姉ちゃん、恥かしくて死んじゃいそうよ」
ゆっくり、ゆっくり、腰を降ろしてゆく。
すでに千冬の下半身を包む下着は無い。
そのショーツは今、浩司の腰で、彼のスペルマまみれになっているからだ。
――つぷッ……。
はいった。
「ああああああっ!! おねえちゃんっ!! おねえちゃんっ!!」
「ひいいいっ!! 気持ちいい? ねえ、浩司はきもちいいのっ!?」
「いいですっ!! いいですよぉっ!!」
「ごめんねっ!! ごめんねっ、こうじっ!! だめなお姉ちゃんでごめんねっ!! あんたをこんなへんたいにしちゃって、……本当に、ほんとうに、ごめんねぇぇっ!!」
浩司は、泣きながら自分を犯す実の姉を、とてもとても、美しいと思った。
(了)
投稿は以上です。
509 :
名無しさん@ピンキー:2007/05/14(月) 07:20:37 ID:VmzLsAVK
お姉さんコワス
これいろいろ肉付けしてって長編にしてほしいな
初めてのちょっと前からスタートしてお姉ちゃんだけでなく元?彼女とか果ては婚約者を寝取った女まででてきて〜の大円団
みたいな
おっぱい云々でふたなりと思った
続き投稿行きます。
黒崎美弥子
残念なことに、彼女は諦めてくれなかった。
この先に待つ道は二本しかない。一本は龍ちゃんが彼女の想いを断る道。
もう一本は彼女の想いを受け入れ、私がそれをずたずたにしてしまう道。
「龍ちゃん、部屋に入っていいかしら?」
「…どうぞ。どうしたの?こんな時間に。もう夜中だよ。」
「今日は龍ちゃんとお話しながら寝たい気分なの。だめかな?」
「わかった。何か理由があるんだろ。」
私は龍ちゃんの布団に潜り込んだ。正面を向くのが恥ずかしいのか彼は
背中をむいている。私はそこに顔をつけ話し始めた。
「こうやって一緒に寝るのも三年ぶりかな。」
「みゃー姉にはすっかり騙されてたよ。何年も。」
「随分と悩んでいるみたいね。」
「お見通しか。実はずっと友達…いや、親友と思っていた人から告白された。」
「それでどうしようと思っているの?」
「みゃー姉はどうしたらいいと思う?」
「貴方なりに考えて、貴方のいいと思うとおりに行動すればいいと思う。
私はどんな答えを出したとしても、龍ちゃんの味方だから。」
心にもない台詞…。後ろを向いててくれているのが本当に有難い。
嫉妬に狂いそうな今の顔は余り見せたくない。キスのことを思い出すと
煮えくり返ってくる。だけど、義姉の言葉を盲信して何も決めれない駄目な男には
したくない。それは私の望むところではない。
「でも、付き合うとなると恋人の振りはできないね。
楽しかったのだけど少し残念。」
「そうだね…でもいいの?」
「ええ。龍ちゃんがそれでもし幸せになるのなら。安心して。家族はずっと一緒だから…
私は消えたりはしないから。安心しておやすみなさい。」
出来れば断って欲しい。傷は少しでも浅い方がいいから…。
でも、どんなことになっても悪役は私が引き受けてあげる。
既に破滅の種は植え付けた。後は育つのを待てばいい。
白沢龍彦
眠れないかと思いきや、熟睡できたらしい。さっぱりした朝だ。
珍しく一人で起きるとみゃー姉は朝の準備を始めていた。
答えは決めていた。
一つしか年齢が変わらないのに本当に頼りっぱなしだと苦笑してしまう。
いつか僕は彼女を守れるようになるのだろうか。
今日は昨日と違い普通に並んで登校する。そういえば今まで並んで学校に
登校したのは昨日と今日だけだった。いつもみゃー姉は朝早くに出てた。
「みゃー姉。今日は昼、別で食べるから。」
「そう…。決めたんだ。じゃあまた後でね。」
義姉は今まで浮かべたことのない種類の表情、寂しそうな微笑を
浮かべて自分の教室へ去っていった。その顔が何故か心を抉った。
教室に入ると相沢さんの姿を探す。
「おはよう。相沢さん。」
「お、お、おはようっ!白沢君」
「昨日の返事。すぐに恋人らしくって無理かもしれないけど僕でよければ喜んで。」
そういうと相沢さんの顔が真っ赤に染まって、笑顔になる。
わたわた腕を振り回してあせっている姿は見ていて楽しい。
「で、でも、黒崎先輩は?」
「いいんだ。僕がいつまでも頼ってたら姉さんに迷惑だからね。」
「じゃあ、これから名前で呼び合うところから始めようね。」
彼女の明るい笑顔は本当にかわいい。
これでよかったのだと思う。
だけど、最後に見たみゃー姉の微笑を思い出すと、胸のざわめきは止まらなかった。
相沢祥子
嬉しい嬉しい嬉しい!
夢が叶った。あたしを選んでくれたんだ。
追い詰められたけどあたしがあの人に勝ったんだ。
何にも変えがたい幸せ。絶対に離したくない。
クラスの友人たちも祝福してくれた。
「龍彦君、一緒にかえろ?」
「あ、でも僕は晩御飯の食材を買って帰らないといけないから…。」
「じゃあ、買い物付き合うよ。」
少しでも一緒にいたいし、寧ろ嬉しい。
「そう、ありがとう。ああ、祥子さんがもし良かったらうちで食べてく?
二人分作るのも三人分作るのも変わらないしね。晩御飯は僕が作ってるんだ。」
どうしよう、龍彦君とは一緒にいたいけどあの人がいる。
出来れば顔をあわせるのは避けたい。
最後の別れ際は目を瞑ると今でも浮かんでくる。
何を考えているのか全然わからない。
「どうかした?やっぱり駄目かな。」
「ううん。龍彦君の料理の腕前をぜひ見たいっ!」
ま、いいか。先輩にもう彼はあたしのものだって見せ付けるのもいいかもしれない。
昨日の仕返ししなきゃ。
先輩にきっちり諦めさせないと。
恋人はあたし。わからせておかないとね。
黒崎美弥子
今日は流石に憂鬱な気分。
いつもなら龍ちゃんの作る夕食を楽しみにしながら授業の復習をしているけど
それも手がつかない。朝の態度を考えると恐らくは受けるつもりだろう。
この先に起きることは大体予想できる。私はそれを早めるように動けばいい。
問題は…
湧き上がる焦り、龍ちゃんへの欲情、奪われることへの怒り、その他諸々の感情を
抑えきることができるか…だ。自分の想いに焼き尽くされるのが先か、相手を
焼き尽くすのが先か。そういう戦いだ。冷静に冷静に。
家のチャイムがなった。どうやら龍ちゃんが帰ってきたらしい。
「ただいまー。今日はお客様連れてきたよ。」
「お邪魔しますー。」
っ!!??
龍ちゃんに続けて聞こえた声。一瞬で思考が焼ききれそうになる。
龍ちゃんのファーストキスを盗んだだけじゃなく私と龍ちゃんだけの聖域にまで
進入するなんて…この雌猫…保健所に連れてって駆除しなきゃ…
「姉さん、どうかした?」
心配そうに聞いてくる暖かい龍ちゃんの声でふと我に返る。頭で考えている以上に
これは辛いかもしれない。だけど安易に直接手を出すのは最後の手段だ。
目的は雌猫排除よりも龍ちゃんゲットなんだから。
「晩御飯の買い物ご苦労様。相沢さんもいらっしゃい。龍ちゃん、下ごしらえ手伝うわ。
ほんとは、私が一人で作ればいいんでしょうけど。」
「気を使わなくていいよ。でも助かる。さっさと作ろう。ああ、祥子さんには紅茶と
お菓子を出すな。暫く待っててくれ。」
「龍彦君ありがとう。私も手伝おうか?」
龍彦君……。名前で呼ぶなんて馴れ馴れしい。
今だけだから…そんなに勝ち誇っていられるのも。
「…いいのよ。貴女はお客さんなんだから。ゆっくりしてて。」
これ以上私の二人きりの楽しみを奪わせてなるものか。
私は龍ちゃんと料理をして会話を楽しみ至福の感情を感じながら、
この先の計画を練り始めた。
白沢龍彦
この食事会は失敗したのかもしれないと僕は思った。
祥子さんにはこれを機会にみゃー姉とは仲良くして欲しかったのが
すっかり当てが外れてしまった。
みゃー姉と二人で料理を作り終えるころには祥子さんはすっかり不機嫌な
様子だった。待たせすぎたかな?
「ごめん、祥子さん。おまたせ。今日は肉じゃがを中心に作ってみた。」
「料理作るの楽しそうだったね。」
彼女が何に怒っているのかわからないので普通に返答する。
「え、ああ。家事は結構好きなんだよ。料理とか食べてくれる人がいると思うと
特に楽しくてね。口に合えばいいんだけど。」
「うん、美味しいよ。あたし料理とか出来ないから…尊敬する。」
「料理を覚えたいなら私がいつでも教えてあげるわよ?」
夕食は和やかに進んでいるけど、祥子さんはみゃー姉と目を合わせようとしない。
みゃー姉は普段どおりなんだけど…合わないのかな。なんだか武道の試合のときよりも
空気が重い。やっぱりいきなり自宅って言うのはまずかったんだろうか。
「龍彦君ご馳走様。それじゃお姉さんも…失礼します。」
「ああ、送っていくよ。夜ももう遅いしね。姉さんいってくるよ。」
「ええ。気をつけて。ね…ゆっくり付き合えばいいのよ。ふふ…ずっと一緒に
いるんだから。」
その言葉は祥子さんに向けられたもののようだ。
みゃー姉は今日の様子を気遣ってくれてるらしい。相変わらず優しい人だ。
だけど、帰りの祥子さんの様子は上の空でどうにもおかしかった。
何かに怯えているような…?
今日は以上です。
そろそろねっとり頑張ります。
ゴクリ……
乙です。
月曜の昼間から何というキモ姉・・・。
現状は祥子ちゃん勝利なのに、全体的にはみゃー姉優勢ですね。
では、思いつきで書いたネタ的な短編行きます。
「はっ・・・はっ・・・はっ・・・!」
暗い、もう日もとっぷりと暮れた時間の夜道をひた走る。
追いかけているのはオレなのに、逆に追い詰められているような、逃げ出したくなるような不安を感じるのは何故だろう。
おかしい。
そう思い始めたのは、いつだっただろうか。
家の妹はちょっとブラコンの度がひどいんじゃないかと心配し始めた時か?
押入れの奥のエロ本に、買った覚えの無いものが混ざっているのに疑問を覚えた時か?
部屋にある、誰にも盗られるはずのない私物がなくなり出したのに気付いた時か?
妹の手料理に奇妙な味を感じ始めた時か?
洗濯籠に放り込んだオレの下着を、妹が異様な表情で手にしているのを目撃した時か?
夜中にふと目が覚めて、いつものように隣に潜り込んでいる妹の両手と太ももでホールドされた手の指先に湿り気を感じた時か?
そこそこ良い感じになっていたクラスメイトが、ある日突然、怯えるようにオレを避けだした時か?
その直後に、妹が何かとオレの女性関係に文句を付け出した時か?
こんなオレに告白してくれた女が、その日のうちに事故に遭った時か?
少しずつ、だけど着実に、行く先々でまるでオレを監視しているかのように妹の姿を見かけるようになった時か?
熱を出した妹の看病中に怖いくらい真剣に、何処にも行かずにずっと傍に居て欲しいと言われた時か?
久し振りに再開した幼馴染に酔った勢いで帰り際にキスされて、
その跡を見つけた妹が隙を突いてオレに手錠をかけ、呆然とするオレに恐ろしい表情で尋問を開始した時か?
そのことをアイツに話したら兄離れさせるべきだと言われ、
色々と実行してみたら妹に絶望したような顔で嫌いにならないでと土下座で懇願された時か?
数日後に上がらなかった成果を言いにアイツを訪れたら、
その日の晩に妹が裸で部屋に来てオレを押し倒しながら好きだと告げた時か?
あまりに唐突な妹の行動に怖くなり、家を飛び出した時か?
それとも。
家を飛び出した先で会ったアイツに部屋に上げてもらい、
今までの時間や距離や妹の妨害を越えてようやくアイツと結ばれて帰ったら、
泣きながらオレに抱きついた妹が凍りついた後によく分からないことを呟いて金属バット片手に飛び出した時か?
分からない。
オレが何時、何処で、何を、どう間違えたのか。
ただ。
オレに理解できるのは、アイツが危ないと言うこと。妹を止めないといけないということ。
だから、駆けた。
訳の分からない感情に突き動かされて、全身汗だくで足が動いてるのかどうか分からなくなるまで走った。
そして。
オレは間に合わなかった。
互いの昔を良く知る、だけど幼い日の別れが生んでしまった空白は大きくて、それを埋めるように惹かれ合っていた幼馴染同士。
その片割れが、転がっている。
越してきたばかりで、住み始めて一月と経っていない住居のドアが開いていた。
多分、アイツが自分で開けたんだろう。
今アイツの横に立っている妹を出迎えるために。
血に濡れた金属バット片手に心底愉快そうな笑みを浮べている妹を、迎えるために。
撲殺。
おそらくは金属製のそれが歪むまで何度も何度も打たれたのだろうアイツは、
もう昔の思い出のように遠い場所へ行ってしまった。
玄関に転がるそれに、原型は無い。特に念入りに打たれたらしい箇所は、既に顔の形をしていなかった。
オレの中で、何かの糸が切れた。
膝が折れ、地に手をつく。
「────────」
何か叫び声のようなものが遠くで聞こえる気がして、それが自分の声だと気付くのにしばらくかかった。
同時に、地に付いた手に影がかかる。
「あはっ♪ お兄ちゃん来てくれてたんだ。嬉しいけど、ちょっと残念かな?
あの害虫が泣き叫んでのたうち回るイイ所を見せてあげられなくて。
でも私、お兄ちゃんがあのクソ虫に犯されたって思うと、もう我慢できなくて。
つい一秒でも早くアレの呼吸を止めたくて頑張り過ぎちゃったよ。
使ったのがこれだったから、思いっ切りやった割には駆除に手間取ったけど。
跳ねたり痙攣しなくなっても生きてたし。本当、ゴキブリといい勝負だよね。
汚いし、生きてる価値なんてちっともないのにしぶとさだけはあるんだもんね」
見上げた先に、妹が立っていた。
笑っている。楽しそうに、嬉しそうに。
「でもお兄ちゃん。あの虫はいなくなったから、もう安心だよ?
クソ生意気にもお兄ちゃんのせーえきを搾り取った場所は念入りに壊したから、万が一にも幼虫なんて産まれないし。
あーよかった! 半分はお兄ちゃんの子供と言っても、あんな寄生虫みたいなのがぼこぼこ産まれる何て気持ち悪いしね。
ね、お兄ちゃんもこれで安心して私の傍に居られるよね?」
「・・・・・・ああ。そうだな」
そこにいるのが何なのか、もうオレには半ば分からなかった。
オレの知る妹ではないと思うし、だがやはりオレの妹のような気もする。曖昧だ。
見えるものも聞こえるものも、どこかぼやけている。
正常に頭に入ってこない。言葉も思考も何もかも、正常に頭から出て行かない。
「良かった! お兄ちゃんの役に立てて。あ、でもね?
今度のことで、私思ったの。お兄ちゃん、聞いてくれないかな?」
「・・・なん、だ?」
全身に力が入らないのに、ピリピリと指先から全身に痺れが広がっていく。
濁った視界が、眼球の端の方から黒く染まり始めていた。
何かがおかしいのは理解できるが、何もおかしいと思えない。
「お兄ちゃんと私が本当に結ばれるには、こうするしかないと思うの」
視界が揺れた。
触覚ではなく、視覚で体が横に倒れたことを捉える。
痺れた全身で、側頭部だけがひどく熱い。
目を下に向けると、妹がさっきまで杖のように地面を突いていた金属バットがなかった。
「私はお兄ちゃんを大好きだし、お兄ちゃんが私を大好きなのも知ってるけど、ね?
やっぱり、アレみたいなお邪魔虫はどこにでもいるから。
私がどれだけお兄ちゃんの傍で頑張っても、
誘蛾灯に集るみたいにお兄ちゃんに寄って来る羽虫は必ず居ると思うの。
万が一にでも、またアレみたいなのにお兄ちゃんが犯されるのは嫌だし。
お兄ちゃんも、一度でも私に悪い虫がつくのは嫌でしょう?
だからね。このまま、出来るだけ綺麗なうちにお兄ちゃんを殺して、私も死のうかなって。
いい考えだと思わない? お兄ちゃん。」
「・・・・・・」
段々と、視界が黒く、暗くなる。
奇妙な痺れもなくなって、まるで全身が無くなったように何も感じない。
口が動いたのか、何か声が出たのかも分からない。
「そうだよねっ! うん。じゃあ出来るだけ早く、痛くないようにやるから。
大丈夫。私もすぐお兄ちゃんの後を追うからね。
ないと思うけど、さっき殺したアレが地獄から這い上がってお兄ちゃんを追ってくるかもしれないし。
あははっ。
私はどうやって死のうかな・・・・・・そうだ!
お兄ちゃんが死んだ後に舌を噛んで、それでキスしながら死ぬのってどうかな?
舌を噛み切ったらでぃーぷなのは無理そうだけど、お兄ちゃんの体に折り重なってお兄ちゃんと両手の指を絡めて、
私の血と唾液をお兄ちゃんの中に流し込みながら死ぬの。
あはっ! 我ながらいい考え。そうしよっと・・・・・・考えただけで濡れてきちゃう」
妹の声も小さくなってきた。今はもう、微かな視界と何処かに遠ざかるような感覚だけがある。
アイツのように僕もココからいなくなるのだろう。
妹の手によって。
「うふふ────気持ちいい。あは、あははっ! あははははははははっ!
あははははははははははっはははあはははははははははははははははは────じゃあまたね、お兄ちゃん」
見上げる。
真っ黒になる視界の中、最後に見たもの。
それは、血に濡れ光る金属バットだった。
バット
ルートA キモウト 撲殺エンド
選択肢 A『ああ、愛してるよ』 B『いや、兄妹でその表現はおかしいだろ』 に戻りますか?
→ 『はい、キモウトに会いに逝ってきます』 or 『いいえ、キモ姉を探しに旅立ちます』
続かない。
むしろ続けて下さい。
投下終了。
バッドエンドをバットエンドと言い間違えたことから始まったネタです。
嫉妬・三角関係・修羅場系スレをほっぽって浮気してる私ガイル。
・・・ちょっと刺されに逝って来ます。皆様、ご機嫌よう。
((((;゚д゚)))ガクガクブルブル
G・・・GJ
るろうに剣心の志々雄真実を5連撃GJ
((((;゚Д゚)))ガクガクブルブル
528 :
名無しさん@ピンキー:2007/05/14(月) 16:50:12 ID:A2OZkd1U
>>510 おかしいな、こんなところに俺がいる。まぁ兎にも角にもGJ
529 :
名無しさん@ピンキー:2007/05/14(月) 17:01:31 ID:A2OZkd1U
>>528 しまった、時差ぼけしちまった。空気嫁なくてサァセン。そして変名氏GJ
そういえば、キモウトとキモ姉の定義ってもうかっちり出来てる?
キモウトが行きすぎたブラコン、
兄に依存しまくりだけど必ずしも他の女を殺さない(嫉妬しない)っていうなら一筆いこうかと思うんだが
>>530 涙流しながらwktkして待ってるwww
リアル姉妹がいる奴からすれば、近親恋愛ってだけでもキモイと
感じるらしいし、定義なんて作れないんじゃね?
リアル妹いるけど、創作と現実は別腹だな
あと、人物造形の幅を狭めかねないから、定義は不要だと思う
リアル姉妹が居る身からすると、結局は顔だと思う。
自分の顔にあまり似て無くて美人なら有り……そんな妹が居ないから俺はここにいる!
さておきGJ。選択肢のどちらを選んでも死にそうなのは気のせいですか?w
エロなし投下します。
ゴールデンウィークが終わった最初の土曜日。
温かい午後の日差しの中、綾は居間の窓際に寝そべっていた。
ぼんやりと頬杖をつき、片手は伸ばして指の先をちょいちょいと動かしている。
指の先には、一匹の白いウサギがいた。
「ほら、ほら。こっち来なさいよ」
指の動きにつられてか、ウサギは綾に近づき、擦り寄るようにしてくる。
にっこりと笑って、綾はウサギの背を撫でた。
「ふふ、シロはちゃんとなついてるわね。かわいがった甲斐があったわ」
真っ白な毛並みで、好奇心旺盛な赤い目をしたそのウサギは、数ヶ月前から支倉家に身を置く支倉家のペットである。
綾の友人の家で気付いたら増えていたウサギを、綾が貰い受けたものだった。
もともと飼いたいという意志があったわけではなく、名付けはそのまま「シロ」といいかげんなものだったが、数ヶ月もすると情が移り、こうしてそれなりに可愛がるようになっていた。
「それにしても大きくなったわね。あんまり家の中を噛んだらダメよ?」
そんなことを言いながら、また背を撫でる。
居間のテーブルについていた陽一は、その光景を見てため息をついた。
「何よ。ため息なんかついて」
「いや、落ち着いてるなあと」
「は?」
「来週から中間テストだってのに、どうしてそんなに落ち着いていられるんだ」
月の初めに生徒が事故で死んで、二人の通う高校は騒然となったが、それはともかく定期テストは予定通り行われることになっていた。
「逆に聞くけど、テストが近いからって何でそんなに焦るのよ?」
「それは……いい点数取らなきゃいけないしさ」
「普通に勉強してれば取れないわけないでしょ」
「それはそうなんだが……」
「ま、お兄ちゃんには無理か。いいかげんで計画性ないもんね」
「お前さ、仮にも俺は兄なんだから、もう少し柔らかい言い方してくれよ……」
「ん? 頭悪いからねって言った方が良かった?」
綾の遠慮ない物言いに、陽一はまたため息をついた。
「まったく……ウサギと戯れたりするあたりは、普通に女の子っぽくてかわいいのにな……」
「人のことどうこう言ってる暇があるなら、さっさと自分の部屋に行って勉強してなさいよ」
綾の険悪な雰囲気を察して、ウサギは小走りに逃げていく。
睨みつける妹の目をいつものこととばかりにやり過ごして、陽一は時計を見た。
「いや、ちょっと人が来るのを待ってるんだよ、そろそろ来ると思うんだけど……」
「人?」
時計がきっかり二時をさす。
と、玄関の方から呼び鈴の鳴る音がした。
「お、来たか」
出迎えに玄関に向かう陽一。
綾も頭の両脇に結んだ神を揺らして立ち上がり、それについていく。
玄関の戸を開けると、そこには一人の女の子が立っていた。
眼鏡をかけて、長い髪を三つ編みに編みこんだその少女を、綾は見たことがあった。
「あれ? えーと、お兄ちゃんのクラスの……」
記憶を探ろうとする綾を後ろに、陽一は少女を招きいれた。
「やー、ありがとう。来てくれて」
「まあまあ、級友のピンチとあったら来ないわけにはいかないよ」
ひらひらと手を振って、少女は笑った。
「これでも学級委員だしね」
支倉家を訪れた眼鏡少女は、名前を宇喜多縁といって、陽一のクラスの学級委員を務めていた。
面倒見のいい、さっぱりとした性格で、男女ともから人望がある。
陽一とは席が近いこともあって、特に仲の良い友人と言えた。
基本的に性能の高い彼女は、文武ともに秀でていて、級友から勉強を教えて欲しいと頼まれることもよくある。
この度支倉家を訪れたのは、追い詰められた陽一の頼みを快く受けた結果であった。
が――
「帰らせてよ」
そんな事情はお構い無しに、綾は縁が家に上がることを全力で拒否した。
「いや、もう部屋に通しちゃったし……そもそも俺が頼んで来てもらったんだし」
「じゃあ頼んで帰ってもらって」
縁を陽一の部屋に通し、二人は台所で向き合って話していた。
綾は半眼で陽一を睨みつけ、不快感を欠片も隠そうとはしなかった。
「私、あんな人が来るなんて一言も聞いてないわ。何で言わなかったのよ」
「だって……お前絶対に反対するじゃん」
「わかってるじゃないの」
綾は昔から、他人が家に上がるのを極度に嫌った。
兄の友人であれ、自分の友人であれ、家に来るのを歓迎することはまずなかった。
来たいと言う者は理由をつけて拒み、来たものは追い返す。
そんなことを、小さな頃からずっと繰り返してきた。
「……何でそんなに人が来るのを嫌がるんだよ。お前、もう子供じゃないんだぞ?」
「何でって、それは……」
一瞬綾は顔を赤らめて言葉に詰まったが、またすぐに陽一を怒鳴りつけた。
「あれよ……だ、誰がお客さんのもてなしをすると思ってんのよ! 私がお茶を淹れてお菓子を用意して、恥ずかしくないように家の中を綺麗にするのよ!? お兄ちゃんの勝手な都合でほいほい人を呼ばれたらたまったもんじゃないわよ!」
「ちょ、声が大きいって。宇喜多に聞こえるだろ」
陽一は慌てて綾の口を手でふさいだが、綾はその手にがぶりと噛み付いて振りほどいた。
「いて! お前、動物じゃないんだから、噛むなよ!」
「とにかく帰ってもらってよ」
「いや、今日は勉強教えてもらわなきゃまずいんだよ、本当に」
「お兄ちゃんならテストなんて軽くちょちょいのちょいよ。大丈夫。だから帰ってもらって」
「いや、さっきと言ってることが違うぞ、お前……」
「だいたいね、自分で考えずに教えてもらうなんて、それじゃ実にならないでしょ? 私はお兄ちゃんのためを思って言ってるのよ」
取り付くしまもない綾に、陽一はとにかく必死で頼み込んだが、やはり綾は首を縦に振らない。
やがて陽一はがくりと肩を落とした。
「……仕方ない……こうなったら宇喜多の家に行くか、喫茶店に行くかするしかないか……」
陽一の呟いた言葉に、綾は眉をひそめた。
「何? 外に行くの?」
「いや、だって、家がダメならどこか別のところに行くしかないし……」
「へえ……二人でお出かけ、ねえ……」
綾はますます鋭く陽一を睨みつけ、そしてこれ以上なく不愉快な表情のまま、
「……わかったわよ。そんなに勉強したいんだったらうちでしていいわ」
低い声で言った。
「え? いいのか?」
「そのかわり、安いお茶と不味いお菓子しかないからね」
綾は陽一に背を向けると、流し台に向かい、乱暴にやかんに水を注ぎ始めた。
「綾……ありがとう」
「あー、もういいからさっさと行って勉強してなさいよ」
しっしっと追い払うように手を振る。
陽一が去ってから、綾は、流し台に手をつき、やかんに溜まっていく水を見つめながら、気だるげに息を吐いた。
「あーあ……」
無造作に、視界に入ったコップを一つ掴む。
そのまま大きく振りかぶり、床に向かって勢いよくコップを投げつけた。
陶器のコップは割れて、台所に散る。
「……コップ、一つ無駄にしちゃったわね……」
淡い午後の光の中、綾はぼんやりと尖った破片を見つめていた。
陽一と縁は部屋の真ん中の小さなテーブルを挟んで向かい合い、顔をつき合わせて勉強していた。
とはいえ、教科書とノートを出しているのは陽一だけで、縁はただ教え役に徹している。
膝の上にはシロを乗せ、その背を撫でながら陽一にあれこれと教えていた。
「お茶をお持ちしました」
「あ、どうもありがとう」
盆の上に飲み物とお菓子を載せて部屋に入ってきた綾に、縁はぺこりと頭を下げた。
「あまりに突然だったので、たいした用意も出来ませんでしたが……」
「突然」の部分に特に力を込めて、綾は言った。
「や、そんな気を遣わずに。いきなり来ちゃってごめんね」
「綾、俺が伝えてなかっただけで、宇喜多は元々来ることになってたんだよ。さっきも言っただろ」
「あー、そうだったわね。ごめんなさい、宇喜多さん」
「いいのいいの。妹ちゃんにとっては、突然だったことに変わりはないんだから」
笑って言う縁は、綾の非難めいた言い方にも、あからさまに不機嫌な態度にも、動じた様子は無い。
鈍いのか強いのか。
綾は注意深く縁を見つめた。
「……どうですか、兄は」
「うん。頑張って勉強してるよ」
「すみませんね。お休みの日に、出来の悪い兄の面倒を見ていただいて」
「いやいや、いいのいいの。大事な友達のピンチだしね」
ぱたぱたと手を振って、縁はまた笑った。
なるほど、と綾は思った。
笑顔で隠しているのか、元々気にしない性質なのか、そもそも相手にされていないのか。
とにかく縁は、ちょっとやそっとで感情を揺さぶられる人間ではないらしい。
恥ずかしげもなく「友達のため」と言い切る姿は、見ていて清々しくもある。
いわゆる色っぽさや可愛さからは一歩退いた人間だが、見る人によってはそういった女の子らしさの部分を補って余りある魅力を有しているのではと、綾には思えた。
(お兄ちゃんは、どうなんだろう……)
兄を見ると、勉強の手を止めて、困ったように綾の方を見ていた。
「……何よ?」
「いや、勉強に集中できないからそろそろ……」
「出て行けっての?」
「別に、居てもいいけどさ。静かにしててくれよ」
綾は無言で部屋を出た。
そして、すぐに自分の勉強道具を持って戻ってくると、陽一の隣にちょこんと座った。
「えーと……綾?」
「ちょうどいいから私も勉強するわ」
戸惑う陽一を、綾はぎろりと睨んだ。
「何よ。私がいたら何か困ることでもあるの?」
「いや、そんなのは全然ないけどさ」
「ならいちいち変な顔すんじゃないわよ」
それから三人は黙々と勉強を進めた。
といっても、やはり縁は陽一に時折教えるだけで、自身の勉強をする様子はない。
実のところほとんど勉強することを残していなかった綾は、手を止めて縁に尋ねた。
「……縁さんは、テスト大丈夫なんですか?」
「ん? うん。私は昨日までで一通りおさらいしておいたよ」
「だったら、今日は本当に兄の都合だけで来たいただいたことになりますね。良かったんですか? 休日を潰してしまって」
「うーん……どうせほんの数時間だしさ」
「ごめん」
二人の会話に、陽一は気まずそうに謝った。
「あ、いいからいいから。そもそも嫌だったら断ってるしさ」
謝ったりしないでよ、と縁は手をぱたぱた振る。
そして膝の上に乗ったウサギを指差した。
「それに、私ウサギとか大好きだから。来て良かったと思ってるよ、うん」
「……そうですか」
「かわいいね、この子。名前、何ていうの?」
「シロです」
「へえ、ストレートでいい名前だね。よろしく、シロちゃん」
縁は嬉しそうにウサギの長い耳をくすぐりながら、陽一に解答の間違いを指摘した。
そうやって、日が沈むまで三人は勉強を続けた。
六時半を過ぎて、縁はそろそろ家に帰らなければと言った。
「ありがとうな。何とかなりそうだよ」
玄関で靴を出ようとする、陽一は感謝の気持ちを込めて礼をした。
「と言っても、明日の日曜日も頑張らなきゃいけないけどな」
「だね。このままじゃ半分取れるかってところだと思うよ」
「うっ……」
縁の素直な感想に陽一は軽く咳き込む。
くすくすと笑いながら、縁は、やはり玄関まで見送りにきていた綾に声をかけた。
「綾ちゃん、ありがとうね。お茶、おいしかったよ」
「いえ」
「ウサギちゃんも、ばいばい」
綾に抱かれたウサギは、耳をぴくりと動かしただけだったが、縁はそれが嬉しかったらしく、朗らかな笑みを浮かべた。
「ん、それじゃね。もしわからないところがあったら、明日電話くれればまた教えにくるよ」
ばいばい、と手を振って、縁は帰っていった。
「今日は何と言うか……迷惑かけたな」
戸の鍵を閉める綾の後姿に、陽一は声をかけた。
「……明日も呼ぶの?」
振り返らずに、綾が尋ねる。
「え?」
「縁さん、明日も呼ぶの?」
「いや、もしもわからないところがあったらってことで……多分大丈夫だと思うけど」
「わからないところがあったら呼ぶのね」
「あ……いや、まあ、明日は呼ぶにしても図書館とかその辺にするよ。あんまりお前に負担はかけられないしな」
表情が見えない分、かえって恐怖心を刺激され、陽一は言い訳するように言った。
「いいわ。別に家に呼んでも」
「え? いいのか?」
「……目の届くところに居た方が、まだマシだしね」
最後の呟きは陽一には聞こえなかった。
その夜綾は一人で本屋に出かけた。
目的はただ一つ、陽一が今日勉強していた数Uの参考書を買うことだった。
それなりにふところに響くが、お金のことを気にしている場合ではなかった。
目の届くところに居た方がまだいいが、縁が来ない方が圧倒的にいいに決まっている。
その日の夕食はお惣菜で済ませ、綾は早々と机に向かった。
勉強するのは先ほど買った参考書である。
一年の綾がこの度のテストで数Uを必要とするかというとそんなわけはないのだが、綾は寝る間も惜しんで、必死に勉強した。
「さすがに……間を抜いていきなり解くと難しいわね」
とにかく集中して、範囲を一通り終える頃には、明け方を迎えていた。
日曜日、綾がいつもより少し遅く起きると、陽一が廊下の電話の前で考え込むようにして立っていた。
「何やってんのよ」
「……察しはつくと思うが、電話をかけようかどうか迷ってる」
「縁さんに?」
陽一は頷く。
「……ちゃんと自分の頭で考えてみたんでしょうね」
「考えたけどさ。どうにも……」
「ほんっとに情けないわね! それで私の兄だなんて、よく言えたもんだわ」
綾は陽一の胸を拳でドンと叩いた。
「いいわ。私が教えてあげる」
「え? いや、無理だって。数Uだし。お前習ってないから」
「お兄ちゃんが困ってるっていうから、どんなものなのかってちょっと勉強してみたのよ」
「『してみた』って……」
「私が教えれば縁さんを呼ぶ必要もないでしょ?」
「いや、でも……」
「何よ、そんなに縁さんを呼びたいの? 人に頼ってばっかりじゃこれから苦労し通しよ?」
「お前に教えてもらうのも、人に頼ってることに変わりないと思うけど」
「私はいいのよ! 家族なんだから! んな細かいこと気にしてる暇があったら、さっさと勉強の準備をしなさいよ!」
綾は陽一を蹴飛ばすようにして、居間に追いやった。
二人は居間のテーブルで勉強を始めた。
さすがに時折詰まりはしたが、綾は陽一にきちんと問題の解き方を教えていった。
陽一が同じ間違いをした時には容赦なく罵声を浴びせる。
陽一の困った表情、真剣な表情、落ち込んだ表情――
それらを皆自分が引き起こしているのだと思うと、何とも高揚した気持ちになれた。
「はい、それじゃ次の問題よ」
実に生き生きと綾は陽一と二人の時間を過ごしていた。
しかし――
「こんにちはー」
お昼を過ぎた頃、玄関の呼び鈴が鳴り、訪問者の声が聞こえると、綾の顔は一気に曇った。
その声は、宇喜多縁の声だった。
「お兄ちゃん……電話……したの?」
「いや、してないけど……」
「じゃあ何で来るのよ」
「わからんけどさ」
ともかくも、陽一は玄関に出て縁を出迎えた。
「やっほー。ちゃんとやってる?」
「まあ、それなりに。……えっと……俺、電話はしてないよな」
背後から疑いの目で見てくる綾を気にして、陽一は縁に尋ねた。
「うん。ちょっと近くに買い物に来たから、ちょっと見に来たの」
「そ、そりゃどうも」
「あ、ううん。違うの。支倉君の勉強はどっちかっていうとついでなのよ」
「え?」
縁はちらりと綾の方を――綾の足元を見た。
そこにはウサギが、いつものように耳をぴくぴく動かしながら擦り寄っている。
「シロちゃんに、もういっぺん会いたいなって思って」
にこにこと笑いながら、縁は言った。
「そうか……よっぽど気に入ったんだな」
「うん。かわいいの大好きだから、私。でも会えて満足。それじゃ勉強頑張ってね」
ばいばいと手を振る縁を、陽一は慌てて引き止めた。
「お、おい、もう帰るのか?」
「ん? だってシロちゃんにも会ったし、勉強は大丈夫って話だし……」
「いや、もう少しゆっくりしていってくれよ。せっかく来てくれたんだし。というか、勉強をみてくれ」
「え、でもちゃんとやってるって……」
「自信を持てるほどにはちゃんとやってないんだ」
ピシリと、背後の空気が張り詰めるのがわかったが、陽一は半ば強引に縁を家に上げた。
「じゃあちょっと待っててくれ。お茶とか持ってくるから」
「うん。まあおかまいなく」
台所では、当然のように陽一は綾に締め上げれられた。
「ちょ、綾、苦しい、苦しいって」
「な、ん、で! わざわざ家に上げるのよ! もう帰ろうとしてたのに!」
「お茶もお菓子も俺が用意するから……」
「そういう問題じゃない!」
「いや、勉強を……」
「私が見てあげてたでしょうが! ダメ兄貴のために私が昨晩どれだけ……!」
「え?」
「……いや、いいわ。私が勝手にやったことだしね。でも、何で私が教えるんじゃダメなの?」
陽一は気まずそうに目を逸らした。
「……俺の気持ちもわかってくれよ」
「どんな気持ちよ」
「あのな、学年が下の妹に勉強を教えてもらうとなるとな、さすがに情けないと言うか……俺にだって自尊心みたいなものはあるんだよ」
「本当に自尊心があるなら、縁さんに教わるのもやめればいいじゃない」
「そうだな。でも、あまり悪い点数とると、カッコがつかないんだよ。出来のいい妹に」
「……!」
綾は押し黙ってしまった。
陽一の首を締め付けていた手から、するすると力が抜けていった。
「……わかったわよ。そのかわり、ちゃんといい点とりなさいよね」
「ああ」
「じゃあさっさと行けば?」
「いや、あとお前に聞いておきたいことがあるんだけど」
「何よ」
「宇喜多のこと嫌いか?」
綾はぴくりと眉を動かした。
「そんなこと聞いてどうするのよ」
「いや、昨日も今日も、ちょっと態度がアレだったからさ」
打って変わって厳しい口調の陽一に、今度は綾がたじろいだ。
「別に……嫌ってなんかないわ。昨日はいきなり来たから……」
「お前に伝えてなかったのは俺だし、今日宇喜多を連れ込んだのは俺なんだから、その辺の手際に関しては宇喜多は悪くない。俺の責任だ。怒るなら俺だけにしてくれないか?」
「……」
「宇喜多のことが嫌いじゃないなら、あまり邪険にしないでくれよ。俺の大切な親友なんだ」
「ふーん……」
しばらく二人は見つめあい、やがて綾はやれやれと頭を振った。
「わかったわよ。出来る限りのおもてなしをするわよ。それでいいでしょ」
「いや、お茶とかは俺が……」
「お兄ちゃんの淹れた不味いお茶なんて飲ませたら大恥でしょうが。もういいから、さっさと行って勉強してなさいよ」
「いや、でも……」
「さっさと行けっての!!」
やかんを振り上げられて、陽一は慌てて縁の待つ自室へ戻った。
台所に一人残された綾は、ぼんやりと居間のテーブルを見た。
先ほどまで陽一と二人で勉強していたテーブルの上には、もうノートも教科書もない。
何とも言えない喪失感に襲われ、綾は思わず涙ぐんでしまった。
胸で渦巻く感情を抑えるために、綾はうずくまり、唇を噛む。
ふと見ると、今のカーペットの陽だまりの中に、ウサギが気持ちよさそうに身を丸めていた。
「……あなた、今日はあの女の膝の上じゃなかったの」
ウサギはぴくりと耳を動かす。
おいで、おいで、と綾が指を動かすと、ウサギは小走りでやってきた。
自分の手にすりすりと身を寄せる真っ白な体を見つめて、綾は小さく呟いていた。
「……縁さんは……いい人だよね」
ウサギはまた耳を動かすが、答えるわけもなく、ただひたすら身を擦り寄せている。
「ほんの少ししか話してない私でも、いい人だって思うもの。やっぱり……お兄ちゃんにとっては大切な人なんだろうね」
悲しげに、綾は目を臥せた。
「もっと嫌な人なら遠慮なく殺せたのに……ううん、そもそもあの人は頭よさそうだし、高島美希みたいに簡単にはいかないか……」
綾の真っ黒な瞳と、ウサギの赤い目が合う。
ウサギは突如体を震わせ、跳ねようとしたが、綾はそれを許さなかった。
背を撫でていた手で床にしっかりと押さえつけ、もう一方の手でウサギの頭を掴んだ。
「あなたは可愛いね……」
もがくウサギに爪を立てるようにして、ますます強く床に押さえつける。
「縁さんは、あなたに会いに来たんだって。あなたが好きだから、会いに来たんだって。あなたが居なかったら来なかったのよ」
綾は頭を掴んでいた手を、くるりと回した。
手の中で細かく骨の折れる感触があり、ウサギはそれまで暴れていた体をぐったりと弛緩させた。
「今まで可愛がったんだから、許してくれるわよね」
光を失った赤い目に、冷たく笑う綾が映っていた。
土曜日とは違い、綾の縁への態度は実に友好的なものだった。
明るく笑い、兄をよろしくと頼み、さらには縁を夕食に誘った。
「昨日は大したおもてなしもできませんでしたから」
「んー、でもさすがに夕飯まで御馳走になるわけには……」
「いえ、是非とも。もう三人分の支度もしてしまいましたし」
綾の軟化に陽一もすっかり安心し、
「食べていけよ。これくらいしかお礼もできないし」
と後押しした。
結局縁は、支倉家で夕食をとって帰ることになった。
夕食は実に豪勢なもので、いくつものおかずがテーブルの上に並べられた。
それぞれ味付けも細やかで、普段から綾の料理を食べている陽一には、綾が全力をもってこれらの料理を作ったことがわかった。
「綾ちゃんって料理上手なんだね」
「そうですか?」
「うん。私のお母さんより美味しいよ、これ」
「まあ……普段誰かさんが全然家事をしてくれませんからね。おかげさまで上達したんでしょう」
「う、す、すまん」
そんな会話をしながら、終始和やかな雰囲気で食事は進み、メインの料理を口にする段になった時、縁は感嘆の声を上げた。
「わあ……これ、すごく美味しい……!」
「本当ですか? そういってもらえると嬉しいです。特に力を入れて作ったんですよ」
「うん、確かに美味いな。俺もこれまで食べたことがなかったけど……何て料理だ?」
陽一からも褒められて、綾は胸を張って説明を始めた。
「ふふ……ウサギのもも肉のシチューですよ。野菜をたっぷり煮込んで、甘味のソースで合わせてみました」
「え……?」
「ウサギ?」
陽一も縁も、食事の手が止まる。
「本当は一皿にもも肉を一本入れたかったんですけど、あいにく二本しかなくて……切って分けさせてもらいました。あ、ちなみにさっき食べてもらったのは、ウサギのパンチェッタ巻きローストです。しっとりとして、いい香りでしょう?」
嬉しそうに説明を続ける綾。
一方で、陽一と縁は黙り込んでしまった。
「ふふ……あら? どうしたのよ、お兄ちゃん。私の顔に何かついてる?」
「い、いや、ウサギの肉なんて珍しいなあと」
「何言ってるの。フランス料理じゃ当たり前よ」
「それはわかるけど、どこで買ってきたんだ? あんまり売ってるものでもないだろうに」
「何馬鹿なこと言ってるの、買う必要なんてないでしょ? せっかくうちにいたんだから」
綾の言葉に、縁は思わず口を押さえていた。
その様子を見て、綾は目を細めて微笑んだ。
「縁さん、シロが好きって言ってたし、ちょうどいいかと思って。喜んでもらえてよかったわ」
縁の顔がみるみるうちに青ざめていく。
陽一は綾に怒りの目を向けた。
「お前……どういうつもりだ」
「どういうつもりって? 出来る限りのおもてなしに好物を用意したんだけど……?」
きょとんとする綾を、陽一は思わず怒鳴りつけた。
「ウサギが好きっていうのは、そんな意味じゃないだろう!」
「あ、いいのいいの。か、勘違いは誰にもあることだし」
縁が慌てて割って入る。
「それに、すごく美味しかったのは本当だし……」
あははと笑いながらも、縁の顔色は変わらずに真っ青だった。
「でも、残りの料理は、ちょっとお腹一杯で食べられないかな……」
結局、陽一も縁も、それ以上箸をすすめることはなかった。
縁を送って行った後で、陽一は洗い物をしている綾を居間に呼びつけた。
「何よ」
「そこに正座しなさい」
「何でよ?」
「さっきのことについて話があるから」
渋々といった様子で、綾は居間のカーペットの上に正座した。
「お前な、何考えてるんだよ」
「何って?」
「『ウサギが好き』と『ウサギが好物』はどう考えても違うものだろうが!」
「そんなこと言われても……私はただ一生懸命縁さんをもてなそうと思っただけなんだけど」
「どう考えても、単なる嫌がらせだろ、あれじゃ!」
「嫌がらせ、ですって?」
綾は立ち上がると、陽一を思い切り殴りつけた。
「いて!」
「黙って聞いてれば……好き勝手言ってるんじゃないわよ! 態度が悪いだの邪険にするなだの言われたから、ちょこっと反省して頑張っただけでしょう!?
私にできるもてなしなんて料理くらいだから、だから精一杯やったのに……何でそこまで言われなきゃいけないのよ!! お兄ちゃんの大切な親友だって言うから、絶対満足してもらおうと思って頑張ったのに!!」
「う……」
「嫌がらせ? そんな気持ちで、どうして可愛いペットをさばけるのよ! お兄ちゃんのためだから殺せたんだから! 私がどんな気持ちであの料理を作ったと思ってるのよ!!」
綾は一気にまくし立てて、肩で息をしながら陽一を見つめた。
その真剣な眼差しに、陽一の胸の中に、妹を疑ったことへの罪悪感が湧き上がってきた。
「わかったよ。疑って悪かった」
「……」
「でも、宇喜多には一度謝ってもらえないか? 勘違いとはいえ、傷つけたことに違いはないんだからさ」
「……わかったわよ」
その夜、真っ暗な部屋の中に綾は立っていた。
目の前のベッドには、陽一が眠っている。
「お兄ちゃん……ごめんね」
安らかな寝顔を見つめて、綾はそっと呟いた。
「そうだよね。ウサギが好きって言ったからって、あんな勘違いするわけないよね。嘘ついてごめんなさい」
普段聞くことのない、素直な謝罪の言葉だった。
「でもね、嘘はそれしかついてないから。お兄ちゃんのためだから殺せたの。お兄ちゃんの傍に居るためなら、何でもできるから……」
言って、綾はそっと陽一に唇に口付けをした。
「でも、嘘をついたのは私が悪いから。だから、ちゃんと明日縁さんに謝るからね」
次の日、学校は中間テスト期間となり、午前中で終わった。
綾はテストを終えるとすぐに陽一の教室に向かい、縁に声をかけた。
「あの……昨日はすみませんでした。私とんでもない勘違いを……」
「あー、いいのいいの。そんなに気にしないでよ」
縁はあっけらかんと言う。
しかしその笑顔には、どこか活気が足りていない。
さすがに、可愛がっていたウサギを食べてしまったショックは尾を引いているようだった。
「……もし良かったら、またうちにいらしてください。今度こそ、美味しい料理をご馳走しますから」
「え……」
綾の言葉に縁は無意識に身を退いた。
「あ、うん。また機会があったら、遊びに行かせてもらうね」
あははと、いつもの笑いを浮かべる。
その笑顔に紛れもない恐怖の色を感じ取った綾は、
「来たくなったらいつでも来て下さい。楽しみにしていますからね」
どこか確信に満ちた声で、そう言った。
ちなみにテストの方は勉強した甲斐あってか、陽一はそれなりに良い成績が残せた。
縁はというと、月曜日の科目は軒並み点数を下げたが、それでも圧倒的な出来であった。
そして綾は、数Tのテストで、何と平均点を割ってしまった。
「どうして数Uができて数Tができないんだよ」
という陽一の問いに、綾は拗ねたように顔を背けるのであった。
今回のエピソードは終わりです。
>>547 これすっげえテンションあがるわwwwww なんだこのコワカワイイ妹はww
あと俺妹いるけどたぶん普通に食指動くぞ?残念ながら向こうは俺なんざ眼中にないだろうがw
>>547愛する兄のためなら昨日までの家族も括り殺す。
もうキモいって言うか怖い。そして萌える。
良いSSごちそうさま。GJ!!
>>548 ( ゚д゚)
_(__つ/ ̄ ̄ ̄/_
\/ /
 ̄ ̄ ̄
( ゚д゚ )
_(__つ/ ̄ ̄ ̄/_
\/ /
 ̄ ̄ ̄
>>547 寝る前にいいもん見せてもらった!!渾身の力を込めて
G J ! !
朝からいいもの読ませてもらった!!
今日一日頑張れるような気がするよ!!
GJ!!
553 :
名無しさん@ピンキー:2007/05/15(火) 11:20:20 ID:PHDG8Gjq
>>547 GJ!
このシリーズぜひ末永く続けて欲しいです。
そろそろ、マジで保管庫の用意を考えないといけない予感だ
>554
そうですね
それはさておいて、投下します。
書き上げること優先でろくに推敲もしていないので、クオリティ低し。
僕こと天野 隆二はとんでもないものを見た。
とんでもないことが起きる日には、それなりの予兆があるのかもしれない。
今日、部活で怪我人が出て、部活は中止となった。
そのせいで帰るのがいつもより早くなり、
何となく詰まらない気分のまま寄り道をする気にもなれずに真っ直ぐ帰宅。
本意ではないが、日常とは少し異なる行動パターン。
それがなければ、あんなものを見ずに済んだのだろう。
姉が居た。
それは勿論、既に故人であるという生存の過去形ではなく、単純に家に居た。
普段よりずっと早く家の扉を空けると、何かリズムに乗った声が聞こえてくる。
姉の声だ。
高めの、それでいて何処か間延びして甘く響く独特の声音。
姉は毎日毎日先に帰宅していて、僕が家に着くと同時にぱたぱたと足音を立てて出迎えてに来てくれるのだけど、
流石に今日みたいにアクシデントで帰宅が早まった場合は例外らしい。
歌声らしいこの声のせいで、扉の開閉の音が聞こえていないのだろう。
僕自身よりも僕のことを知っている姉が、さしあたってエスパーではないことが証明された。
何となく、本当に何となく、聞こえてくる楽しそうな声を途切れさせるのが憚られて音を忍ばせて玄関から上がる。
ゆっくり奥へ向かうと、音の正体がやはり調子っ外れな歌声であることが判明した。
「今日ははんばーぐ〜〜♪
隆ちゃんの大好きっなはんばーぐ〜〜♪」
姉は成績も運動神経も非常に、本当に非常に優秀なのだが、この鈍さというか普段のズレた所だけはどうにかして欲しい。
実年齢を10歳以上も退行させたかのような歌は、台所の方から聞こえてきていた。
「こねてこねて込めましょう〜♪ 滴るような愛情を〜〜♪」
どんな歌詞だ。作詞者はイカレているに違いない。
いや・・・もしかして姉だろうか?
僕の実名入りだし。
急に湧いた鬱な気分を否定しながら台所へ向かうと、扉の隙間から姉の背が見えた。エプロンをしている。
台所に居る以上当たり前だが、夕飯の準備中なのだろう。
ただ、揺れる背中の見せる動作は危なっかしくはないが非常に緩慢で、見ていて何とももどかしい。
歌の内容と肉の塊らしき物が容れられたボウルからするに、どうやらハンバーグを作ろうとしているようだ。
「うんしょ、うんしょっ!」
歌の合間に気合を入れて捏ね回している。
「ふうぅ〜。これくらいでいいかなあ?」
何とはなしに暫く観察していると、どうやら捏ね終わったようだ。
あの姉のことだから、結構な時間をかけて作業をしていたのだろう。
と、姉は奇妙な行動に出た。
「ふんふふんふふーん♪」
一旦奥に引っ込んだかと思うと、一抱えほどもあるガラスのビンを抱えてくる。
中には透明な液体が入っていた。どうも、少し粘性があるようだ。
姉はそれを置いてきゅぽんっと蓋を取ったかと思うと、
「滴るような愛情を〜♪」
だばだばと挽肉その他の塊に向けてぶちまけた。
瓶を両手で掴んで傾け、どばどばと中の液体をかけている。
これからハンバーグになる物体が謎の液体X塗れになったところで、瓶の傾きを戻す。
どん、と重い音を立てて瓶が置かれる。
「これでよしっと。でも、ちょっと使いすぎちゃったかなぁ。
どうしよう・・・ここで足しておこうかな?」
おや? と思った。
両親共働きの家庭で我が家の台所を預かる姉の料理は外食などで食べるものと違って変わった味がするのだが、
姉曰く、それは隠し味のせいだとか。
特にドレッシングやダシや漬物に使うらしいのだが、さっきの瓶の中身がそれなのだろう。
だが、そんなに簡単に作れるものなのだろうか。
どうするのかと見ていると、姉はごそごそと何かを取り出す。
ハンカチか何かと思ったそれは、よく見ると僕の下着だった。
────は?
目を擦る。見る。頬をつねる。見る。瞬きをする。見る。
間違いない。姉の手にあるのは僕が洗濯に出したパンツだった。
「・・・・・・えへぇ」
姉は、それを顔に近づけてにへら、と頬を蕩けさせると。
「くん、くん。んふうううぅぅぅ〜〜〜〜」
顔に押し付けて、匂いをかぎ始めた。
両端を握り締めて強く顔に、鼻先に当てて僕の、おそらくは最も汚らしいだろう部位の臭気を吸い込む。
「っはあああぁぁ〜〜〜〜」
そして吐いた。
一呼吸。僅か数秒の間に姉の顔は此処からでも見て取れるほどに赤く染まり、細かく両肩を震わせている。
普段から締まっていない顔の筋肉が一層緩み、それでいて艶を帯びていた。
呼吸のたび、姉の体は朱色を帯びていく。
不必要に大きな呼吸を繰り返す姿は、状況が違えば僕を心配させただろう。
だが、今僕は固まっていた。
「っ、あはぁ・・・隆ちゃん。隆ちゃん・・・っ!」
姉の体が蠢く。
上向きながら背を逸らせて顔に僕の下着を乗せたまま右手を下腹へ伸ばし、左手は胸を掴んでいた。
背の高い姉の両脚を覆う衣が不自然に揺れ動き、上着の布が背中から前のほうへ引っ張られてしわが出来る。
何をしているのかは明白だった。やけに長い時間、僕が動けないままでいると。
「んんっ! んぅううううううううう〜〜〜〜っ!」
姉の体が盛大に震え、一際熱い吐息と押し殺した声が漏れる。
姉の顔に乗った僕の下着が、手を触れてもいないのに動いていた。
食べている。
姉は果てながらそれを含み、噛み、舐めながら声を抑えていた。
これ以上ないくらい朱に染まった姉の頬が、内側から内容物と舌で押されて不自然に膨らんでいる。
一杯になっている口の代わりに、大きく鼻を膨らませていた。
やがて。
余韻に浸っていた姉が動き出すと、左手で口から唾液に塗れた僕の下着を取り出し、粘液塗れの右手を股の間から引き抜く。
「はあっ・・・はあ・・・はあぁぁ・・・これで、よしっと」
抜けそうになる腰を抑えて、例の瓶を掴むと床に置いた。
またぎ、濡れたスカートでそれを僕の視線から隠すと、また右手を下腹の方に突っ込みながらしばらく立ちっ放しになる。
時折、体を不自然に跳ねさせることしばし。
姉がどいた時には、随分と瓶の中の水かさが増していた。
それに蓋をすると、再び奥のほうへと消える。
ここまでなら、僕も見なかったことに出来たのかもしれない。
だが極普通の一弟が目撃するには刺激的、もとい衝撃的過ぎる光景だ。
脳がオーバーフローを起こしたまま突っ立っていた僕は、そのせいで更なる衝撃を受けることになる。
「あとは・・・んー、そうだ!」
奥に引っ込むこと三度。
さっきとは逆側の奥に消えた姉は、今度は極々普通の物を持って来た。
爪切り。どこの家にでも、爪の手入れに欠かせないものである。
脱力した。
そう言えば、最近爪が伸びてきたとか言っていた気がする。
料理に当たっても、まあ長いよりは短い方が良いのは分かるが。このタイミングで普通やるだろうか。
いや、内心で突っ込むより、いつもの姉らしい部分を見られたことに安堵するべきか。
緊張が抜けたのか、口から溜息が出た。
「大分伸びてきちゃったしぃ」
姉はそう言って、パチパチと爪を切り始める。
その表情はいつも通りの、能力は凄いくせにどこか緩い姉のものだった。
ぱちぱち。
小気味いい音が台所に響く。
一頻り切り終えると、姉は爪切りをしまった。
それはいいのだが、姉よ、切った爪のカスがまな板の上に散乱しているのはどうかと思う。
そんな僕の嘆息を他所に、姉は調理を再会する積もりのようだ。
すっきりした笑顔で包丁を取ると。
まな板の上の爪の切りカスを刻み始めた。
だん、と鈍く大きい音が台所を走る。
「えへへ。やっぱり、使えるものは使わないとね。
伸びるまで時間が掛かるのが難点だけど」
リズミカルに刃が踊り、姉の体から切り離されたそれらが細かくなって行く。
爪だったものが見る間に細分化されて行き、もう包丁では刻めないというサイズになった。
それを確認した姉が、流しの下をごそごそやって何かを取り出す。
ゴマを擂ったりするすり鉢だ。
それにまな板の上の物体を移し、棒を手に取った。
磨り潰す。
ごりごりごりごりと、姉は似合わない手早さで棒を回し、細かくなった爪を更に砕いていく。
「ごりごりごりごり、ごぉ〜りごりぃ〜〜♪」
さっきとは違うが、同じ様に調子が斜め上にすっ飛んだ歌がどのくらいの間続いただろうか。
姉の手が止まり、すり鉢を持ち上げると中身を移す。
ただ、最早粉末に近くなったそれはまな板の上に戻されることは無く、
姉の蜜が染みたハンバーグになる予定の物体へと振りかけられた。
「えへへぇ。下準備、殆ど終わり!」
姉は嬉しそうに、誰にともなくそう宣言する。
その顔には、何か不安とか疑問とかそういったものが全く無い。
今日も、僕が部活でずっと後に帰ってくると思っていて、
だから両親が共働きの家で誰に憚ることも無く、あんな奇行を行っていたのだろう。
躊躇いも無く、それはそう、日常の一部のような手馴れた手つきで。
今までも、それを繰り返してきたように。
日常の動作。いつも使われていた、あの瓶の中の隠し味。それはつまり────。
「じゃあ、仕上げをしちゃおーっと」
姉の声で現実に引き戻された。戻りたくはなかったけど。
姉の背中。もう、何処か遠くに感じるそれへと意識を戻す。
と、姉がまた奇妙な行動に出た。
右手を真っ直ぐ前に伸ばし、左手に包丁を握る。
包丁を握る左手の親指と人差し指は、姉が右手首に巻いている布の端を摘んでいた。
ここまで来て今更なこと甚だしいが、まさか、と思った。姉が、右手に巻いている布。
あの布は、幼い時に姉が負った怪我の跡を隠すためのもののはずである。
絶対に人前で解いたりはしない。事実、家族の僕ですらそれを外しているのを見たことは数回しかないのだ。
なのに。それはもう、ひどくあっさりと。それは解かれた。
はらりと布が床に落ちて、姉が隠し続けてきた場所の素肌が露わになる。切り傷があった。
リストカットは精神の安定のために行われるものだと聞いたことがあるが、
ならあれだけの奇行を取る姉の心はどれだけ不安定なのか。
そこには無数の傷痕があった。
指の数程度では利かない、でたらめな密度で横線が引かれている。
姉はそれを何ともいえない無機質な顔で眺めてから。
新たに一本、赤い線を引いた。
欠片ほどの躊躇も無く、さっと引かれた刃が姉の肌理細やかな、だけど全身でそこだけは醜い部分を切り裂く。
じぃっと、返したままの手首を姉が見詰めていると、薄く赤色の線が浮き上がる。
血が滲み、やがて少しずつ流れ出した。赤い線が雫となって滴り落ち、点となって弾ける。
落ちた先は、捏ねた挽肉の入るボウルの中だった。
昔、子供時代としては半ば当たり前のことだが、僕はハンバーグが好きだった。
だから、姉は僕によくハンバーグを作ってくれた。
ある程度僕が成長して物の味が分かるようになったころ、姉の作るハンバーグは生焼けが多いと言った事がある。
正確には、焼けてはいるが肉汁が妙に血生臭いと。
きっと、そういうことだったのだろう。
恐る恐る、僕は赤い雫の軌跡を辿るように視線を上げた。
「えへへぇ。今日も私を食べてね、隆ちゃん♪」
姉は笑っていた。
いつの間にかこちらに向けられた瞳に、呆然としている僕を映し込みながら。
ひっそりと投下終了。
書いてて、私はキモ姉よりキモウトが好きだと判明。
晩くらいから
>>530に取りかかるとして、何日かかりますやら。
・・・頑張ります。
きめえええええええええええ!
もはや「自分」を兄or弟に食わせることはデフォだな。
そのキモさがいい。
そのうち自分の肉を削いでハンバーグにしそうな姉GJ!
うはwwwなんというキモ姉www職人さんGJ!!
こ れ は き も い
キモウトキモ姉分が全力補給されました。
そしていつもより遅いけど今日の分投下。
どろどろです。
相沢祥子
顔を合わせるべきじゃなかった。心底そう思う。
一緒に料理を楽しそうにしていた先輩に嫉妬し、敵意の視線を送っても
あの人は普段どおりを崩さず、あたしに気配りすらしたのだ。
そして…最後…
今は焦らずとも最後には自分のものにするといったのだ。
どうすれば…いいのかな。
それから、追い討ちのようにおかしな出来事が増えてきた。
龍彦君の下駄箱にラブレターが頻繁に入っている。
龍彦君の机と周りがゴミだらけになっている。
龍彦君の机にカッターの刃を折ったものが大量に入っている。
龍彦君の机に下品な落書きがされてある。
「なんでだろ、急にもてるようになったみたいだね。」
「おかしいね。不思議…。どうするの?」
「名前があるものは読んで断りの返事は書くよ。時間指定のものは行って
断らないとね…。一応の礼儀として。」
「えええー。ほっといたらいいじゃない!」
律儀にもほどがある…そこがいいんだけど、他の人に向けて欲しくはない。
何故、龍彦君にだけこんな嫌がらせが増えたのか理由がわからない。
もし、あの人の仕業なら…あたしを狙うはず。
「なんか…怖いね。」
「中学三年以来かな。昔はこういうことはよくあったし、気にしていないよ。」
そういわれても不安は消えない。
何か見落としている…そんな落ち着かない気持ち。
そして、もうひとつの不安。彼は絶対に夕方6時までには帰宅する。
家族の一員として、自分の仕事はきちんとするというのがその理由。
朝は毎朝先輩と登校…。
「それじゃ、明日、日曜日昼1時。楽しみにしてる。」
デートの約束をし、付き合いは順調。
幸せなはずなのに心は晴れない。
白沢龍彦
今日は生まれて初めてのデートだ。そう思うと緊張して、準備に手間取ってしまった。
手には二人分のお弁当と映画の券。待ち合わせ場所には30分前に到着。
つきあうようになってから昔みたいな気軽な関係じゃなくなってぎこちなくなってる
し、今日は何とか楽しんでもらいたい。
「おまたせー。龍彦君。」
「祥子さん、こんにちは。今日の服装すごく似合ってるよ。」
「またまたー。おだてちゃって。でもありがとっ!じゃお弁当食べに公園にいこっ!」
祥子さんが15分前に来た。今日はどうやらご機嫌のようだ。
うちの近所にある公園はジョギングコースなどもある本格的な綺麗な公園で
散歩を楽しんでいる人、僕たちみたいなカップル、運動をする人など様々な人が
利用している。
「……………えっ」
「どうかした?祥子さんさっきからぼーっとして。」
「ううん。な、なんでもないの。」
食事が終わり、散歩を始めたころからまた祥子さんの様子がおかしくなり始めた。
街でのショッピング、喫茶店での軽い食事…会話がぎこちなく、気が僕にむかってない
ような雰囲気を感じる。体調が良くないのかもしれない。
「祥子さん疲れてるんじゃない?今日はゆっくりしたほうがいいよ。」
「えっ大丈夫だよ!」
「風邪は引き始めが大事なんだから。ほら、送っていくから。」
「うん…あたしから誘ってるのにごめんね。」
「仕方ないよ。また今度日を改めて遊ぼう。」
うーん、上手く行かない。僕が悪いんだろう。
どうすれば楽しんでもらえるんだろうか。そんなことを考えながら帰宅した。
「あれ。早いね。映画どうだったの?あれ私も興味あるから聞きたいな。」
「うん…祥子さんの気分がよくなかったみたいで、行かずに切り上げてきたんだ。」
「じゃあ、券もったいないね。うーん、折角だし一緒に行こうか。
たまには外食もいいでしょ。顔色良くないし…愚痴くらい聞いてあげる。」
悩んでいるのがばれたらしい。僕はそれほど顔に出安いのか。
姉との映画と外食は楽しく、憂鬱な気分が晴れたのは恋人のいる男としては
どうなのだろうか。僕は不実な人間なのかもしれない。
相沢祥子
判らない…理解できない…何もしてこない。ただ、微笑んで見てるだけ…
判りやすく嫌われているほうがまし!
「なんなのあれ…」
付けていたわけでは無さそう。後ろは結構気にしてたし、あの人は
美人だから目立つ。時間や待ち合わせ場所は龍彦君から聞いていたのかも
しれない。だけど…
何故行く先々で<前から>現れるのか。
公園でもそう。ショッピングに入った店でもそう。喫茶店も…
そして、何をするでも監視するでもなく私にだけ微笑んで去っていく。
どうやって正確に先回りしているのか判らない。店まで正確に。
結局、龍彦君に心配をかけてしまった。あの人の思い通りに。
きっと彼は気にしているはずだ。優しいから自分のせいだと考えて。
暗い部屋で私はひざを抱えて呟く。
「どうすればいいんだろう…。」
楽しいデートのはずだったのに残ったのは、邪魔された怒りじゃなく恐怖だけ。
このままじゃだめ!こんな調子じゃ折角恋人になれたのに…あたしは
絶対彼を放したくない。彼とちゃんと付き合える方法を考えなきゃ。
そう決意を新たにしたとき写真添付メールが届いた。写真には腕を組んでいる
龍彦君と先輩が写っていた。
From 黒崎美弥子
To 相沢祥子
こんばんは。途中で体調崩しちゃったんだってね。
映画の券を龍彦君用意してたみたいだけど、勿体無いからこれから二人で
楽しんでくるわ。風邪か何かわからないけど体には気をつけて。
あたしは本当に怒るということがどんなものなのか初めて知った。
黒崎美弥子
龍ちゃんから色々相談を受けた。義姉としては誠実に答えたと思う。例え相手に
塩を送ることになろうとも、私は彼を裏切らない。自分の気持ちに対しては誠実
とはとてもいえないだろう。
だけど、それも今日までだ。もう後戻りできないところまで足を踏み込んだ。
一気に決着を…つける。そう決意し、彼の部屋へと入った。
「龍ちゃん。夕食のとき、悩んでるなら断っても理由は聞かなきゃいけない。
相手のこと本当に理解するなら悪い部分も分かってあげないといけない…
っていったけど、龍ちゃんは私のことは分かってくれてる?」
今日も恥ずかしいのかベッドで背中を向けている彼に話しかける。
彼は少し悩んでから答えた。
「強くて賢くて綺麗で優しくて時には厳しい…自慢の姉だよ。」
「そう思われるように努力してきたし、それを後悔はしてないわ。
ね…大事な話だからこちらを向いてくれないかしら。」
そういうとこちらに顔を向けてくれた。間近で見た彼の顔は昔のまるで
少女のような面影はなく、男らしい精悍な顔つきになっている。それを見るだけで
顔が火照るのを感じる。
「本当の私を知ると貴方は私を嫌うかもしれない。それでも聞いてほしいの。いいかな?」
彼の瞳を見つめる。正直に怖い。私は怯えている。
「どんなことがあっても僕がみゃー姉を嫌うことはないよ。むしろ嬉しい。」
その言葉が続ける勇気をくれる。
「私は優しい人じゃないの。目的のためなら手段を選ばない。大切な人を守るためなら
それ以外の人は不幸にすることも厭わない残酷な女。」
「そう…。でも、僕は何度も助けてもらった。」
「父さんも母さんも優秀で優しい人。だけど、家にいないことが多くて寂しかった。
だから、龍ちゃんが着てくれて嬉しかったし助けられた。家族になりたいと思った。
年上の私は義姉として貴方を守ることを決意した。」
心底感じている本心。彼も真剣に聞いてくれている。
この先を言えば今までが全部無くなるかもしれない。でもいい。例えなくなったとしても
一から作り直せばいいのだから。私はもう恐れない。右手を彼の頬に伸ばして続ける。
「でもね…。いつからか貴方を一人の男として見るようになってしまった。」
龍ちゃんは驚いてるみたいだ。当然…。
「みゃー姉…」
「だめなお姉ちゃんだよね。女としての私は嫉妬深くて独占欲が強くて…自分でも思う
醜い人間なの。だけど、嫌われるのが怖くて。関係がなくなるのが怖くて…臆病なの。
おかしくなってたのは相沢さんだけじゃない。私も内心は狂いそうだった。
でも、恋人ができても貴方の姉であろうと頑張ってた。けれど辛いの。
そしていまさらこんな風に縋って…ごめんね。」
「謝らなくていいよ。気づかない僕が馬鹿なんだ。弱いところを見せてくれて嬉しい。」
「ね…相沢さんに好きっていったことはある?」
彼は暫く考えてから答えた。
「言ったことはない…な。」
「よかった。じゃあまだ大丈夫ね。はっきりいうわ。私は姉としてだけじゃなく、
一人の女として貴方が好き。愛してる。」
言ってしまった。胸がどきどきしてとまらない。明るいところで見れば顔はもう
真っ赤だろう。それでもしっかり、相手の目を見つめている。
「…僕は…まだわからない。でもありがとうみゃー…いや、美弥子。」
「ふふ…。初めて呼び捨てにしてくれたね。嬉しい。
返事は急がなくていい。でも、ちゃんと最後には決めてね。その前に…
私がどれくらい本気なのか証明してあげる…。嫌なら力で引き離しなさい。」
私は彼の上に体を乗せ、頭を抱え込むように抱きしめてキスをした。
そのまま舌を差し込む。
「…ん…ちゅ……ん……ぁ…」
寝巻きの上は背を向いているときに脱いでいる。
裸の胸を押し付け、抱きしめ、ずっと求めていた唇を貪り続ける。
私の覚悟は既に決まっている。今日だけは弟の気持ちさえも利用する。
絶対に逃がさない。
しまった。ごめんなさい。
ひとつ抜けが入りました。頭がぼけてる;
566と567の間です。
黒崎美弥子
この先必要になるかもしれない手紙を書きながら考える。
部屋にペンがノートに当たるコツコツという音だけが響く。最近家にいるのが辛い。
夕食をとりながら龍ちゃんとしゃべるのは嬉しいのだけど、あの女の話題が良く
上がるのは涙がでそうなくらい悔しい。
きっとあの女の顔を滅茶苦茶にすれば楽しいに違いない。
血の華にしてしまうのもいいわね…。
私は早朝に学校へと向かっていた習慣をやめた。
龍ちゃんと並んで向かう学校は本当に新鮮で嫌なことを全部忘れられる。
これがなければ耐えられなかったかもしれない。
龍ちゃんは実はもてる。物腰の優しい態度に細やかな気遣い。外見も悪くなく、
特に歩き方は修練の年月を感じさせ美しい。それでいて年上の庇護欲を誘う。
なのに、今まで一枚もラブレターやチョコをもらえなかった理由…。
簡単だ。私が毎朝きちんとチェックして捨ててたのだ。勿論、龍ちゃんに気がある
雌猫の名前のチェックは忘れない。
どうやら、あの後輩も誰かに好かれているのかもしれない。いつ頃からか龍ちゃんの机に
いたずらがされているようになった。それまで、龍ちゃんの体操服のにおいを嗅いで
幸福に浸っていた時間は龍ちゃんが気持ちよく過ごせるように机を片付ける時間に
なってしまった。
初めは手紙になんの返事も返さない女の逆恨みかと思った。だけど、よく考えると
それなら狙うのは相手の女のような気がする。
龍ちゃんが理由もなしに他人から恨まれるとは思えない。今のようなごたごたが
なければとっくに犯人を特定して縊り殺しているのだが利用させてもらうとしよう。
しかし、まだ弱い。
あの女を崩壊させる決め手が…。
チャイムが鳴った。
「ただいまー。みゃー姉。明日さ…」
ふふふ…来たわね。大きなチャンスが。
私は携帯電話を取ると、私に忠実な少女に連絡をいれた。
566と567の間の文章が571に入っています。
ミスです。読みづらくして申し訳ない。
ここまでです。
GJにございます。
みゃー姉コワカワイイよみゃー姉
トリ外し忘れました。申し訳ない。
それにしても、嫉妬しても冷静さを失わないキモ姉の恐ろしさよ
>>547 素晴らしくキモイんだが… 貴重なウサギ(´・ω・`)カワイソス
>>560 まさしく身を粉に……なんか違うw
>>576 素早いお仕事、ご苦労様です。
保管庫など私には無理ですが、僅かでも報いるためにキモウトを、
より一層のキモウトを書かねば・・・。
キモウトに刃物、これ最強。
なぁ、お前ら……。
このスレ、神すぎないか?
>>578は?何世界常識・・・いや銀河常識を言ってるんだ?
みんながそう思ってるぞ。
>>576お疲れさまです。ですが俺は携帯なので携帯で見れるようになりませんか?
無理ならかまいません。
>>580 ご苦労様です。
しかし「鋏」とはずいぶん凝った保管庫ですねw素敵です。
最近は職人様が増えて嬉しい限りです。
このスレと職人様方、そして管理人様と閲覧している仲魔達の多幸なるを祈っております。
583 :
名無しさん@ピンキー:2007/05/16(水) 06:53:55 ID:2ieS85HH
>580
GJ!乙です
メイド占い…見逃したSSかとオモタ
|ω・`)
>>580 保管庫GJ
これからも神作品が出て続けることを祈ってるw
>>580 乙に御座います。
これもまた一つの職人技ですね。
鋏・・・今度、持たせてみましょうかね。
>>580 保管庫乙です。
今日の分投稿。連投引っかからなければいいが…。
明日で終了予定。
白沢龍彦
全く現実感が沸かなかった。
凛としたいつも手の届かない場所にいた理想の女性。
いつも落ち着いた優しい眼で見守っていてくれたその人は、涙を流しながら
自分の胸を明かし、今は僕の唇を情熱的に貪っている。
抱きしめられているのを感じながら自由な両手で自分も抱きしめる。
柔らかい…そして華奢だ。肌は暗い部屋でも分かるくらい艶やか。
こんな小さな体の人だっただろうか。
僕はこの小さな人に守られてきた。
だけど、僕は今その恩人を滅茶苦茶にしたい衝動に駆られている。
「龍ちゃん…龍彦、正直にいいなさい。私でオナニーしたことある?」
みゃー姉が熱に浮かれたような瞳で、口は少し微笑みながら聞いてくる。
僕も頭が熱すぎて思考がまとまらない。口が勝手に開いていた。
「ある…。想像よりずっと綺麗だ。」
「私もあるの…ずっと昔から。ずっとこうやって抱きしめてもらって…
そして抱いてもらうのを想像しながら。」
理性をかき集めて冷静になろうとする。その試みも全てを吸い付くすようなキスで
霧散していく。気がつけば自分もみゃー姉の口を犯している。義姉の手は既に
僕の下半身に伸びている。
頭が眩むような快感と…義姉に欲情している自分への罪悪感。
義姉は艶然と微笑む
「ごめんね…。あまり体には自信がないから貴方を満足させてあげれないかも
しれないけど…苦しいの。私を楽にして…。」
「僕は…」
最後の理性が抵抗する。しかし、それも耳元の囁きで打ち砕かれる。
「…犯して。貴方の好きなように…」
そして、僕は獣になった。
「ごめん!」
上に乗っていた義姉と位置を入れ替え、押し倒し、今度は自分から唇を
合わせる。そして口の中に入っていく。それだけでさらに頭が灼熱したように
欲情で燃え上がる。名残惜しそうに舌を絡め、唇を離すと白い肌を下に向かって
唇を這わせていく。体に唇が触れるたびに義姉の体が敏感に反応する。
そして、乳房にまで到達する。
「…ぁ…ん……胸は…小さいから…ゃ…」
「気持ちよさそう…だね。その顔…もっと見せて…。」
義姉の反応を見ながら乳首を愛撫する。熱くたぎっているのに思考は冷たく、
鋭く、快感を求めている。普段の冷静さの微塵もない義姉の蕩けるような顔を
見るとさらに興奮するのを感じる。自由になっている手は下…よく見たこともない
秘部に伸ばし下着の上から快感を感じる場所を探す。
「う…龍彦…うまい…気持ち…いいよ…。下着脱がせて…もっとっ
指も入れて…いい…そ、そう。ああっ!」
「痛かったらいってくれよ。」
いいながら下着を脱がし指を入れる。
「…っん!くっ!!」
「濡れてる…。」
「恥ずかしいから言わないで…もう…いいよ。キスしながら…お願い。」
「恥ずかしがってる美弥子は可愛いよ。…いいの?」
「初めての人は決めてたから…龍彦のも貰う。」
「なるべく優しくする。」
微かな震えを感じると、大事にしたい気持ちと…荒く蹂躙したい征服欲が
湧き上がってくる。そして、自分のものを大事な場所にあてがう。
2度、場所が分からず、三度目…。
「…くうっ!!いっ…いたっ…ぅぅ…」
「ごめん…ゆっくりしようか?」
「ううん。大丈夫…最後までお願い。」
「いくよ…。初めて貰うね。」
何かが破れるような感触を感じながら奥まで貫く。熱く締めるような快感。
それだけでいきそうなきつさ。奥に突き入れたまま暫くじっとする。
涙を零す義姉に優しくキス。いたわるように。
「義姉と弟の一線越えちゃったね…。我侭してごめんね。」
「こういうのは男が悪いと思う。魅力的過ぎて我慢できなかった…」
「初めてなのに優しくしてくれただけでも嬉しいの。後は貴方が気持ちいいように
してくれていいから…。幸せな痛さをもっと感じさせて。」
「わかった。」
そして少し腰を引き、奥に突く。ゆっくりな動きで義姉を傷つけないように
意識をするがどんどん、そのスピードが速くなる。
「あっ…くっ……んっ…ふぁっ!」
「ごめん、我慢できない!」
激しく自分の全てを打ち付けるように腰を動かす。義姉は痛みを堪えるような
顔をしているがその顔がさらに劣情に火をつけ、ひたすら膣内を貪る。
「いっ!…龍…彦…ぅ…ああっ…痛い…けど…気持ち…いいよ」
「美弥子!もうそろそろ限界…出る!」
義姉は足を腰に巻きつける。離れないように。
危ないとわかっていても腰はまるでそこだけが生きてるかのように動く。
「えっ!ま、まずい。我慢…でき…」
「あ…う…私もっ…私もイケそう!…そのまま中で!お願い!」
「う、ああああああ」
「……ああああっ!…いい……はっ…ふぁあああっ!!!」
最後に、突き破るくらいの強さで奥まで突きいれ、白濁液を放出した。
同時に搾り取るかのように膣内が締め付ける。
力尽きるように義姉に覆いかぶさり、余韻を楽しむようにキスを交わした。
「はぁ…はぁ…。大丈夫?ごめん中で…」
「うん…初めてなのに…いけたよ。痛かったけど気持ちよかった…。
龍ちゃん上手だね。子供できたら…絶対産むから責任とってね。」
「みゃー姉…まさか、勢いじゃなくて全部初めから計算尽くか…」
「ふふ…女は男を手玉にとって初めて一人前なのよ。」
いたずらっぽく笑う義姉。なるほど、今まで綺麗な面しか見てなかった。
しかし、嫌悪感は感じない。確かにみゃー姉は狡猾で邪悪のようだ。
でも…義姉の計算はどうにも自分を中心にしているようだから。
それより、この先どうするのか。付き合ってる彼女がいながら、
他の女性を抱いた。立派な二股だ。けじめはつけなければならない。
次の日の朝、僕は相沢さんに別れを告げた。
彼女は心ここにあらずという状態でそう…とだけ呟いた。
相沢祥子
昨日は一睡も眠れなかった。
完全に嵌められた。自分の嫉妬心を利用し、理解不能な行動で
思考力を殺ぎ、あの先輩は不利な状況を覆した。
だけど手は読めた。もう動揺はしない…
From 黒崎美弥子
To 相沢祥子
おはよう。気持ちのいい朝ですね。
昨日は龍彦君がたくさん私を可愛がってくれました。
私から襲いました。恨むなら彼じゃなくて私を恨んでね
………私は何を勘違いしていたのだろう。
あの女がいる限り、彼はあたしのものにはならない。
心を読むような人には絶対に勝てない。
あれは化け物…きっと人間じゃない。
殺しても…いいはずだ。
このメールが本当なら彼は無理やり汚されたってこと…
それ相応の報いを与えてあげないと。
登校すると龍彦君が挨拶に来てくれた。
内容がよく理解できなかったけど、きっと恋人のあたしを慰めてくれたんだろう。
待っててね。龍彦君…すぐ自由にしてあげるから。
あたしが絶対に助けてあげる。
From 相沢祥子
To 黒崎美弥子
お話があります。
放課後屋上でお待ちしてます。
黒崎美弥子
生きててよかった…と思えたのは初めてのことで、隣で裸で眠っている
義弟を見るとその思いはさらに強くなってくる。
ついにしちゃった。
想像以上の痛さ、快感、幸せ…。
浸ってばかりもいられない。本番はこれからなのだから。
軽く伸びをして、シャワーを浴び、普段どおり朝の準備をする。
部屋の机の上に以前書いた手紙を置く。
使ってあげるつもりだったけど…これ、使いたくなくなったな…。
いつもと違うギクシャクした龍ちゃんの態度に笑ったりしながら学校へと登校する。
放課後屋上で待つ…か。まるで、告白みたい。
後輩を踏み台にして幸せになった私としては、受けざるを得ないわね。
神様から罰を受けるのか受けないのか。
受けるならそれもまたよし。龍ちゃんを一人にしちゃうのは辛いけど。
計画は自分の思い通り、計算どおりに動いた。
そして、人をどうしょうもなく傷つけた。
誰も傷つけたくない…それはそうだ。誰だってそうだ。
そんなのは奇麗事だ。自分と他人の欲しいものが重なったとき、絶対に
どちらかが傷つくのだ。
その責任から逃れるつもりはない。責任は全て私が負う。
放課後、龍ちゃんにメールを送り…。
そして、屋上の扉を開く。
相沢さんは屋上のフェンスから、空を見ていた。
手には…包丁が握られている。
「ごきげんよう。随分久しぶりね。右手のものは流行のアクセサリーかしら?」
距離を開けつつ、相手に対して半身になる。
「お久しぶりです…黒崎先輩。これは猫を殺すためのものですよ。他人の恋人を
寝取る…泥棒猫を。」
「酷いことをする人もいたものね。」
「どの口で…どの口でそんなことを!どうして…どうしてっ!!」
憎しみに満ちた目で私を見つめる彼女。目をそらさず見つめ返す。
私は冷静に答えを返す。
「彼に恋人なんていなかったわ。だって好きって言ってもらったことないんでしょ。
それなら片思いじゃない?」
「そんなこと詭弁です!あたしたちは付き合ってたんです!あたしの大事な恋人です。」
向こうはじりじりと距離を詰めてくる。
「私はね…貴女が龍彦君を幸せにしてくれそうなら姉でいようと思っていたの。
嫉妬して、怒りをぶつけるようには誘導したけどね。でも、それに貴女は乗った。」
「あたしは彼が好き!絶対に幸せにできた!それを邪魔する貴女に説教される
覚えはない!」
私はため息をついた。刃物への恐怖で流石に冷や汗が流れる。
「二週間で…しかも彼の生い立ちを知っている貴女がどうして何も気づかないのか。
彼を超人とか思ってない?彼は強い。そして優しい。でも完璧な人なんていないのに。」
「何を…」
「彼は弱いのよ。何故、付き合ってる時でもどうして私を優先したと思う?
私が好きだからじゃない。家族だからよ。自分が不在のときに両親を失い、
無意識で家族を一人にすることを拒んでるの。貴女が大切じゃなかったわけじゃない。」
「う、うるさい!それ以上しゃべるな!」
「聞きなさい!!彼はあなたが悩むから私に相談した。私はヒントを彼にたくさん与えた。
でも、結局無駄になった。彼に何も相談しなかったんでしょう。今日のことは自業自得。
独りよがりの貴女が自滅したのよ。」
「うるさいうるさいうるさい!もう邪魔しないで!死んで!」
包丁を腰に構えて突き出してくる。私はそれを半身のまま横によけ…
わざと左手の甲に包丁を突き刺させた。
痛い…。我慢できるかと思ったけどこれは無理かも…。馬鹿だったかな。
それでも歯を食いしばって笑いかける。気が遠くなりそうだ。
「気は…少しは済んだ?なんだかんだいって私が元凶なのは間違いないからね。
偉そうにいったけど、本当は嫉妬して私が好きで渡したくないだけなの。ごめんね。」
「う、おかしいよ!狂ってるよ…先輩…なんで…」
「…かもね。恋に狂ったの。女の子らしい理由でしょう。私らしくないかな?」
「うううう、うわあぁ!」
包丁を引き抜き、もう一度私に向かってくる。そこに龍ちゃんが割り込んできた。
前に立ちはだかった彼に刺さると思われた包丁は前に流され、腕がつかまれる。
そして、崩れを利用して思いっきり投げた。小手返しって技。私は飛ぶ方向に走り、
投げられる彼女を庇った。受身も取れず、左手を突いてしまう。
腕に二人分の体重がかかり…ぽっきり折れた。
「あ、みゃー姉!!」
「…こら…龍ちゃん。女の子に暴力振るったらだめでしょ…。ごめんね。祥子。
本当は今日、貴女に殺されてあげるつもりで遺書も用意したんだけど命が惜しく
なっちゃった。私のこともう顔も見たくないだろうけど、龍ちゃんが絡まなければ
嫌いなわけじゃないのよ。真直ぐな貴女は。」
右手で彼女を抱きしめる。こんなことするのはいつ以来だか。
「…っ…先輩…賢い人だと思ってましたが…ほんっとブラコン馬鹿ですね…っ。」
彼女は静かに泣いていた。
白沢龍彦
屋上で包丁を持った祥子さんとみゃー姉が口論している。
なんだこれは…。なんでこんなことに。
メールには、私の一番悪いところをを見せるから、屋上に来て隠れて全て話を
聞くことと書かれていた。
会話の内容に止めなければいけないはずなのに足が動かない。
しかし、みゃー姉が刺されたとき、思考がはじけとんだ。
二回目の刃物での凶行に対し、手加減なしに投げてしまった。
そして、みゃー姉はそれを庇った。庇われなければ下はコンクリートだ。
最悪頭を打って死んでいたかもしれない。
「みゃー姉。大丈夫か!」
「大丈夫…っていいたいけど無理。全然大丈夫じゃないわ。死ぬほど痛いって
こういうことをいうのかもしれないわね。でも先にこの子を。」
手の中にいる相沢は泣いていた。
「祥子さん…すまない。全部僕の責任だ。殺すなら僕を殺してほしい。」
「そんなこと…できるわけない…でしょ。それよりはっきりして。」
僕は深呼吸して言った。
「本当に嫉妬深くて計算高くて性悪で不器用で抱え込みたがりで真正の馬鹿だけど…
俺は姉としてじゃなく、女として美弥子が好きだ。」
学校からの帰り道。あれから保健室で応急処置をした後、病院に向かって
歩いていた。後ろに軽い荷物を載せながら。
「この年でおんぶなんて恥ずかしい。」
「みゃー姉。それじゃお姫様抱っこのほうがいいかな?」
「……ごめんね。」
「何が?」
「龍ちゃんの初恋滅茶苦茶にしちゃって。」
「確かにどっかの誰かのせいで恋愛はこれ以上ないくらいに滅茶苦茶にされたけど…」
「けど?」
僕は少し間をあけて苦笑しながら言った。
「初恋は実ったよ。」
以上です。
長くなってしまった。後はエピローグです。
やべぇ。
龍ちゃんに萌えたwwwww
よし、じゃあ脳内で性別をチェンジしてみよう
みゃー兄(シスコン池面)
祥太(幼馴染池面)
龍与(控えめ美女)
・・・・・・・・・・・・・・駄目だレディコミになっちまった
597 :
名無しさん@ピンキー:2007/05/16(水) 16:19:10 ID:UYoIL9wt
この手の話でハッピーエンドとは珍しい
いや、まだエピローグがあるからわからんぜ
599 :
名無しさん@ピンキー:2007/05/16(水) 19:27:54 ID:WoFmhmsB
こ れ は 美 し い キ モ 姉 で す ね
このスレマジきめぇw
GJとしか言い様が無いから、俺のキモウトを投下すんのが怖いしw
と言う訳で数レスお借りします。
本文中に同性愛者やロリコンを馬鹿にするニュアンスが含まれていますが本体はそんな事思ってません。
また、微妙にTS要素が有るのでちょっとだけご注意ください。
では行きます。
やぁ全国の女子高生の皆さんこん──しまった! 女子高生は年齢的にこんな所は見ていないし、登場人物は全て21歳以上であり、団体やら名称やら血の繋がりやらは架空の……ん? どうにも血の繋がりは架空の物じゃ無くて良いらしいね。
さて置き、僕はなんだかんだで兄なんて役職を背負ってる学生だったりする。
兄があればそこには当然妹がある訳で、それは体重の重い方が落下速度が速いのや、ダイヤモンドがとてつもなく硬いのと同じ位には当たり前な事だ。
今日は、僕の妹について、朝の貴重なパーソナルスペース・トイレにて考えたりしちゃったりしようかとも思ってたんだけど……
壁から妹が生えて来たので、勝手な都合で中止してしまう事をここで御詫びしたい。
「良いかい、那奈々(ななな)。僕としてはね、いくら他に話せる相手がいなくて暇だからって、人の排泄行為を観賞するのは趣味が悪いと思うよ」
「良いじゃん、減るもんじゃなし……むしろ減ってナンボのもんでしょ? わたしが暇を持て余してるのを理解しているなら、生理欲求の一つや二つ乗り越えてよ」
ごめんね、那奈々。お兄ちゃん、生理欲求を乗り越えるの無理みたいだ。悪い兄ちゃんでごめんよ。
そんな事よりも、
やぁ全国の女子高生の皆さんこん──しまった! 女子高生は年齢的にこんな所は見ていないし、登場人物は全て21歳以上であり、団体やら名称やら血の繋がりやらは架空の……ん? どうにも血の繋がりは架空の物じゃ無くて良いらしいね。
さて置き、僕はなんだかんだで兄なんて役職を背負ってる学生だったりする。
兄があればそこには当然妹がある訳で、それは体重の重い方が落下速度が速いのや、ダイヤモンドがとてつもなく硬いのと同じ位には当たり前な事だ。
今日は、僕の妹について、朝の貴重なパーソナルスペース・トイレにて考えたりしちゃったりしようかとも思ってたんだけど……
壁から妹が生えて来たので、勝手な都合で中止してしまう事をここで御詫びしたい。
「良いかい、那奈々(ななな)。僕としてはね、いくら他に話せる相手がいなくて暇だからって、人の排泄行為を観賞するのは趣味が悪いと思うよ」
「良いじゃん、減るもんじゃなし……むしろ減ってナンボのもんでしょ? わたしが暇を持て余してるのを理解しているなら、生理欲求の一つや二つ乗り越えてよ」
ごめんね、那奈々。お兄ちゃん、生理欲求を乗り越えるの無理みたいだ。悪い兄ちゃんでごめんよ。
そんな事よりも、色々な汚れが付着した状態を見られてるとか考えると、人間としての尊厳が云々とかが頭に浮かんで来てしまったが、那奈々と一緒にここから追い出しといた。
あー……疲れた。脳内姉が癒してくれなかったら今日は学校に向かうかも怪しかった。体液混入料理には妹を売り払ってでも永久購入したい。この際人体への影響なんて微々たる問題だろう?
こんな人目を憚らないで教室でべったりくっついたり擦り寄ったりするような妹よりは、いくらもマシな筈だ。ってか少しで良いから周りを気にしろよ!
「どうせわたしは誰からも見えないしー」
ああ成程、それは仕方ない。しかし物には触れたり触れ無かったり自分で選べて、その癖空は飛べるってのは凄いな。
「ふふん。羨ましいでしょ?」
自慢気に胸を反らすと、後で結んだ髪が跳ねる。そんな様子が微笑ましく、思わず頷きそうになるが……生憎そうなる予定はずっと先の事だ。
ふわふわ揺れる髪を見ていると重力について思考がスライド仕掛けるが、それよりも聞くべき事が有る。
「あのな、那奈々。いくら見えないからって、近付くヤツ全員に呪いを掛けるなよ。光とか風邪引いて一週間も寝込んじゃってるし」「だって暇なんだもん……学校じゃあまりお兄ちゃん構ってくれないし」
小さな体の小さな頬が空気(?)で膨れる。しかしあまり良い兄をしてない僕には、そんな表情が一々気になる繊細な【妹シス魂コン】的要素は持ち合わせて居らず、今日も一日妹以外と会話をする事も無く終わりを迎える事となった。
ふゃー……。今日も充実した一日だった。
お兄ちゃんとの密な一日、生きてた頃には堪能できない幸せがここに有る。
ベッドで「香澄姉ぇー」と寝言を立てながらすやすや眠るお兄ちゃんを見てると、幸せを実感……できない! 香澄なんて知り合いわたし知らないのに……これじゃ呪えないよぉ……。
もう……わたしにはお兄ちゃんしかいないんだから、お兄ちゃんにもわたししかいないべきだよね。むしろ要らない。
ってな訳でお仕置きターィム。わたしとお兄ちゃんがもはや一身同体所か全身同体だと体に刻み込んであげましょう。
お兄ちゃんの上下する胸に手を伸ばして、ゆっくりと中に侵入していく。この瞬間、わたしはお兄ちゃんと一つになる。
自分が自分でなくなって行く感覚は夢心地で、事実わたしは夢を見る。
それはいつも曖昧で、一瞬で、覚えているのは困難で、だけど、わたしは確実に何かを目にするのだ。
お兄ちゃんは例により朝寝坊だ。先人達の歴戦の記録を頼りにするわたしとしては、例によりお兄ちゃんを起こしたいのだけど、わたしはお兄ちゃんより朝に弱い。
朝から『な』を連呼するお兄ちゃんに優しく起こされると、胸の奥から体中に熱いのが広がってしまう。
べ、別にお兄ちゃんなら……やらしく起こしてくれても良いんだからね!
そんな話をオブラートに包んだ後影武者を代わりに用立てて友達に話すと決まって苦笑いをされちゃう。
やっぱりおかしいのかな? こんなにお兄ちゃんを想っている事を包み隠しちゃうなんて。
そう思うと頬が熱くなり頭の中にお兄ちゃんベスト千を高速並列再生し始めたわたし。そんなわたしの耳に信じられない言葉が届いた。
「あのさ、兄妹って結婚できないって知ってる?」
「やっぱり知らなかったんだ。良い機会だから言って置くけどね……」
メ○ドライブで頭を叩かれたかの衝撃でお兄ちゃんベスト千は既に霧散していた。そんな事より大事件だ。
兄妹で結婚できないなんて聞いた事も無い。お兄ちゃんはわたしと結婚するって決めたのに酷い妨害だ。
同性愛が認められないのはわかる。気持ち悪いもん。
幼女趣味が嫌われるのもわかる。良い大人が子供を性的対象に見れるなんておかしいもん。
だけど兄妹で何でダメなの?
男と女だし、年齢も離れてないし、親が一緒だからわざわざ挨拶する必要もないし、お互いを知り尽してるし、ちっちゃい頃から一緒だから長い時間をかけて愛を育める。最高じゃない?
「まぁ、お兄さんそこそこかっこいいけどさぁ」
「那奈々も兄離れしなきゃねぇ」
「そうそう、那奈々は安心して私の妹になってよ」
茫然自失してたわたしにかけられるくだらない言葉。とりあえず黙れ。そんで頭悪そうに死んで。
お兄ちゃんと釣り合うのはわたしだけで、わたしに姉は過去にも未来にも存在しない。存在して良い筈がない。
はうぅ……いくらなんでも友達に酷い事考え過ぎだよね。反省反省☆
それにしても困った……お兄ちゃんと結婚できないだなんて。光さんの余裕はあんな所から来てたのかな……
きっとこれからお兄ちゃんは誰かと付き合って、誰かと結婚して、そしてその人に操を捧げるんだ……
生きていれば良い事が有る。なんてとんだ綺麗事だよね。お兄ちゃんが誰かの物になるのをまざまざ見るのも、結婚しない相手と交わるようなお兄ちゃんを作るのも、周りの評価がわたしのせいで下がるお兄ちゃんも見たくない。
パンドラの箱に希望を残し、解き放たずに散って行く……お兄ちゃんの想出の中のわたしは、光輝けるくらいには綺麗なままかな?
光……そうだ、日記とか処分しとかないと。証拠として残っちゃうかもだし。
「ん、ん〜……」
愛しのお兄ちゃんの声が内側から耳に届いて失神しそうになるけど、起きたばかりでそれは時間の無駄だから耐える。
「生きていれば良い事が有る。なんてとんだ綺麗事だよね」
なんとなく頭悪そうに死んだ三人を思い出して、そう呟いていた。
死んだ事も無い人間が、死を否定するなんておかしくて笑っちゃう。現にわたしは、死んだからお兄ちゃんと一つになれた。
ぎゅっと大きめの肩をやっぱり大きめの手で抱きしめる。かたいのに何処か軟らかいお兄ちゃんの感覚に、ただでさえ速い心臓の音が、潰れそうな程はやくなって行く。
興奮のあまり隆起したアレが下着に締め付けられ、硬度を増して行く。
「し、しちゃっても、良いよね? ……ああ、那奈々の好きにして良いんだよ」
お兄ちゃんの調子で喋って見ると、女々しいのも陳腐なのも、素敵な台詞に聞こえて来る。お兄ちゃんって魔法は世界で一番の奇跡に違いない。
考えれば考えるだけアレが熱くなって来る。意を決してズボンと下着を一緒に下ろすと、頭をス―パー32○に叩きつけられた衝撃が魂に届き、わたしは気を失った。
608 :
名無しさん@ピンキー:2007/05/16(水) 22:25:34 ID:o+pzr0+B
GJ過ぎです!
とりあえず乙です。エピローグ楽しみにしてます。
ハローピーポー! 今僕は大変な事件に巻き込まれてるのさ!
朝起きたらなんとズボンとパンツが下ろされ、天へと伸び行く斜塔が臨戦体制になっている事を証明している。
香澄姉を思い浮かべて居たからだろうか? いや、正直これはないと断言できる。何故なら僕は鬼畜凌辱系か寝取られ系、または羞恥系以外では自分で処理できないからだ。
僕は香澄姉を愛しているからこそ、情動の捌け口にしたりはしないのだ。
これはこれで「正直これはない」と言われてしまいそうだが、誰も気にしたりしないだろう。僕は気にしない。
とりあえずトイレに入る。朝から生理欲求を跳ね除けられないお兄ちゃんのなんとふがいない事だろう。
だから姉をプリーズ。
「………………」
視線を感じた先に有るのは、不思議な妹でした。
……このフレーズ最高だな。僕は天才かもしれない。とりあえず那奈々、見られてると色々無理なんだけど。
「……昨日と全然違うし……む〜」
何か難しい顔をしている妹を、肛門から出たがっているアレと同様に追い出す。
さて、今日も一日を始めるとしよう。香澄姉と、ついでに那奈々と一緒に。
以上です。一読者に戻ります。
キモウトかキモ姉が欲しい! ではでは。
キモ兄はいらんかえ
ペンキで色付けて田舎のガキどもに売っちまえそんなもの
>>610 乙に御座います。
こ れ は 新 し い キ モ ウ ト !
しかし、姉は脳内っすかw
私ではキモ姉を贈れないのが残念。
そして書くキャラが三倍になると量が五倍くらいになって書けども書けども進まない不思議。
キモ母なら昔書いてたな
息子が初デートの準備してるのを見つけて、
下見とリハーサルと称して色々しちゃうやつ
キモ過ぎて保存せずにワード終了させたが
>>ID:Y18C70Yo
幽霊……なのか?w
ところで。
犬の散歩をしながら、他の家の犬の糞を飼い主の代わりに拾って
収集するというキモイ趣味を持った妹、というのを思いついたのだが、
これでどうやってSSを書けばいいのか解からない。
よく分からんが、その設定でお前は萌えられるのか。ツワモノだな
いやそれキモいの意味がこのスレの主旨と違う。
>>615 キモウトと痛い妹、キショイトは違うんだぜ?
犬の糞性癖は正直12人のクリーチャー妹に匹敵すると思う。
……キショイトで有り、キモウトで有るなら……
例えば「犬の糞を兄に塗りたくる趣味を持った兄と犬が大好きでいつか兄を犬にしたい妹」なら大丈夫なんじゃないか?
>>615 ヤンデレ系キモウトをベースに、収集したそれを、
兄に近づく女の家のポストに詰め込み、庭に敷き詰め、窓に投げつけ、
家の壁に「アンタの臭い、嫌い。だからこれで上書きしてやる。お兄ちゃんに近付くな」とそれで文字を塗り書く、
という方向に持っていけば不可能ではないかと。
違和感はありますが。
兄と部屋に二人きり、または暗くした部屋の中で独り無数の本棚に収集・陳列されたそれらの袋の山を背に、
「ねえ、お兄ちゃん。私ね、自分がキモチワルイ女だって分かってるんだ。私の趣味も、私自身も。
でも、お兄ちゃんだけは、私を分かってくれたよね?
ウンコ女って言われる私を、否定しないで抱きしめてくれたよね? あれ、本当に嬉しかったんだ。
だからね? 使うよ、これ。
私の宝物。お兄ちゃんの次に大切な私の宝物。
だから使う。全部使う。残さず使う。
お兄ちゃんの次に大切な物を、お兄ちゃんがもっと大切だから、お兄ちゃんだけがいてくれればいいから。
だから、ね?
あのクソ女に−−−−お兄ちゃんが誰のものなのか思い知らせてあげる」
みたいな。
・・・・・・正直、スレ汚しすみませんでした。私の腕ではこれが限界ですorz
ああ。犬の糞より、某自殺志願を口で持った鋏女妹が書きたい
>>615-620はぁはぁはぁはぁはぁ
ちょwwwwwww息できないwwww
だがむしろそれはNEWジャンルだ。
【ウンコ】尻からでる排泄物に萌える女でエロパロ【マンセー】
こんな感じで。
>>621 はぁはぁとは紛らわしい。
興奮しているのかと思ったぞ。
>>614 キモ母いいな・・・けどキモ母ってスレ違い?
ついでにスレ違いで書くけどほのぼのした母子相姦モノのSS投下スレってなくね?
馬鹿馬鹿しいネタにレスをくれるお前らが大好きだwww
試しにキモ母っぽいのを書てるんだけど
スレ違いだろうからここに上げるのは駄目かな?
一応それだけで終わるようにはしてるんだけど
ババアはいらんw
>601-610
妹に取り付かれると言うのは面白いと思うしキモ母よかココ向けなんだが。
文章がトビ過ぎW
あとな
>重い方が落下速度が速い
物理一からやり直してこいWWW
つまりこの流れは次スレがキモ親族スレになる前兆か
キモ母プリーズ
最後のエピローグいきます。
白沢龍彦
あれから一ヶ月が過ぎた。
付き合うようになってすぐに叔父さんと叔母さんにこれから正式に
交際することを報告した。呆れていたが認めてくれた。
今日は仕事先から二人が帰ってくるのでパーティだ。
みゃー姉は、病院を退院した後かぶっていた猫を脱いだ。
以前のような完璧さは見る影もなく、結構意地悪だったりもするが
無理をしなくなった自然なみゃー姉は本当に魅力的である。
お互いの気持ちを確認した後の二人きりの生活…
毎日二人とも倒れそうになるまでえっちしまくっている。
腕まだ完全に治ってないのに。
叔父さんたちが帰ってきた後自制できるかそれが目下の心配である。
「みゃー姉。この料理でラスト。後は…クラッカーでも用意しようか。」
「わかった。じゃあ帰ってくるまでえっちなことでもする?ふふ…あのとき
性格変わるわよね。強気に…サドなのかしら…後ろから…」
「だー!叔父さんもうすぐ帰ってくるからだめだって!」
ぴんぽーん
「「おかえりなさい!!」」
僕は大事な人と一緒に、大好きな両親になるかもしれない人たちを迎える。
黒崎美弥子
腕は全治二ヶ月。刺されたお陰で神経がおかしくなり、左中指が麻痺。
重症である。傷跡も残った。龍ちゃんにはかなり怒られた。初めてだ。
敵がいないうちに処置をせず、他人を巻き込んで傷つけた罰ね…。
他にも戻らないものもある。
一ヶ月が経った。
文芸部の部室には未だ、常勤の部員が一名欠けている。
「二度と許してはくれないわよね。流石に…。」
肩を落とし、仕事と今日の授業の復習を片付けていく。
そろそろ帰ろうかと思ったときノックが鳴った。
「どうぞー。」
そこにいたのは、二度と関わることがないと思っていた人だった。
「あ、お久しぶりです。久しぶりに入るのって勇気入りますね。」
「……相沢さん……。」
「落ち着いたので復部します。お世話おかけしました。」
私は思わず泣きそうになった。次の言葉がなければ。
彼女は人を食ったような笑顔で言った。
「えー。どんな方法を使っても勝てばいいというのはうちの部長の名言です。
そういうわけで明日龍彦君とデートの約束を取り付けました。
以前のお詫びに買い物に付き合ってもらうってことですが、実質デートです。
後輩としては先輩を見習って頑張りますね。色々。」
私は苦笑して言った。
「祥子ちゃんもいい性格になったわね。でも絶対彼は渡さないわ。」
相沢祥子
あたしは何をやっていたのか…。
何も理解せず、利用されて手のひらの上で踊り、逆上して人を傷つけた。
お陰で先輩は重傷。あたしは失恋した。
恋の戦いは苛烈だ。
あれから龍彦君とはかなりぎこちなくなった。
初めは無視して避けていた。それでも彼はめげずに話しかけてきた。
彼は空気が読めないのかもしれない。だけども、徐々に昔の冗談を
言い合えた関係に戻っていった。傷も癒されていった。
関係が修復してきたある日、あたしは彼に相談した。
どうも、最近見られてる気配がして気になっていたのだ。
そのことについて、あの事件の最中に彼は既に先輩からアドバイスと対処法を
貰っていたのだという。
当時に相談していれば…あたしが先輩の嫉妬も受け流して、大人な対応をしていれば
結果も変わっていたのかもしれないと、この時初めて思った。
そして一ヶ月…
「そうだ。龍彦君。一ヶ月前のあれ。デートの変わりに荷物もち付き合って
欲しいんだけど。」
「ええええー。なんで!」
「だってあの時、美弥子先輩のせいで何もできなかったわけじゃない?
あれは反則だよ。後輩まで利用して邪魔するなんて。」
何でも後輩にストーキングさせて、自分は連絡受けて先回りしていたらしい。
「それは姉さんに言ってもらわないと…。」
あたしは笑顔で言い切った。
「だめっ!はい決定ね。今度の日曜日。」
「う…わかりました。」
「叔父さん達帰ってきたのなら晩も大丈夫だよね。」
よく考えたら暗く生きるなんて格好悪い。
取られたら取り返す。やられたらやり返す。彼はともかくあたしはまだ
恋の途中なんだから。彼のことも理解して、美弥子先輩より強くなって
いい女になって今度こそ手に入れてみせる。
よし、早速宣戦布告だ!
そしてあたしは、…部室の扉を開けた。
というわけで終了です。
泥沼バッドも考えないでもなかったのですが…
なんとか終わりました。
長々とお付き合いありがとうございます。
GJ
清々しすぎるエンディングを迎えられて良かった良かった
もしかしたら鬱系エンドになるんじゃないかと内心ビクビクしてましたよ
乙です。
連日の投下、本当にご苦労様でした。
しかし、
何のかんので祥子引いてないw
以降の展開は脳内補完します。
GJ!
爽やかっぽい終わり方で面白かったです
この後のハーレムエンドは脳内補完しておきますね
>>◆x/Dvsm4nBI
GJという言葉は単純すぎてどうかと思うのだが……だが、GJ!!
他のSSに比べてキモ度は低めな感じだったが、まぁそうでなきゃ
こんな爽やかな終わり方にはならなかっただろうなぁw
これからの祥子タンの奮闘をあれこれ妄想しよう……。
>>634 初SS完投お疲れ様です。
おかげでこの数日楽しめました。
次の作品も期待しています。
人は回りくどい言い方で褒められるより
簡単でわかり易い言葉の方が嬉しいと思う。
GJ!!!
>>640がいいこと言った
ならば俺も簡潔に言おう
みゃー姉、祥子タソ(;´Д`)ハァハァ
GJ、綺麗にまとまってる
これは・・・GJしかないじゃないか!
644 :
名無しさん@ピンキー:2007/05/17(木) 23:13:30 ID:QoCIGW/s
GJです。
みんな幸せそうで良かったです。
キモ姉とアマ姉の境界線が分からなくなってきた
最初キモいけど途中から甘々でもありなのか?
ある種のお姉ちゃんは師弟愛と恋愛に区別を付けるなどという無粋な真似はしないのです
キモくないよ、精一杯に愛情を注いでるだけだよ
師弟愛? 師匠だったのか
つっこむなよぅ
>>646-648 姉が、剣匠(ソードマスター)で稽古の時は弟にビシバシ剣を仕込むが、普段の生活ではアマアマだったり
依存してきたり独占欲むき出しだったり・・・・ とかいう話を妄想した。
そう言えば。
ここって、
「こんな設定・プロット思いついた。漏れは忙しいから無理だが、誰か書けない?」
というのを投下するのもあり・・・ですよね?
カタカタとキーを叩きながら、キモウトの妄想を持て余します。
>>649 どうかそれを形に・・・。
>>646-648 649にキモイの期待してます。
自分でも師弟愛で短編書いてみた。
相変わらずキモ分薄めです。
水橋流古柔術は戦国時代から続く由緒正しい武術である。
先代である父は早くに亡くなったため、姉が当主として後進の指導を
行っている。基本的には男が当主を継承するものであるので、僕が
成長し技術を身につけたら当主の座を移譲することになっている。
そして、今、僕は姉さんと向き合っている。
姉は平均より少し身長が高い、綺麗な黒髪の和服の似合う華奢で綺麗な女性だ。
力だけなら男の僕のほうが強い。
しかし、正直姉に勝てるとは思わない…。だけど、父のためにもそのために道場に
縛られている姉のためにも僕は当主にならなければならない。
「姉さん…。よろしくお願いします。」
「ええ…本気でいらっしゃい。」
礼をし、先手必勝とばかりに突きかかる。二人しかいない静かで少し肌寒い道場は
僕たち二人の周りから空気が熱気をゆっくりと帯び始める。
「あらあら、積極的ね…。可愛い弟もすっかり男になっちゃって…。」
「いつまでも姉さんには負けてませんよ。」
軽口を叩きながら僕たちは戦う。お互いの手口は分かりきっているので
予定調和の組み手が続く。
「そういえば…貴方、彼女が出来たんですってね?」
「うっ!何故それ…しまったっ!!」
姉の言葉に動揺し、不用意な攻撃をしてしまう。そして、手を取られ投げ飛ばされて
天地をひっくり返すような衝撃を受けてひっくり返る。細い姉の手が僕の腕を逃がさない
よう、傷つけすぎないよう縛り上げる。背中に姉は乗り、僕の後ろから艶やかな
声で囁く。
「貴方は…姉さんのものよ…。そんな誰とも知らない女より貴方を愛している…」
「姉さん、何をいって…。」
「くすくす…汗の混じったいい匂い…ちゅ…ぺちゃ…」
姉が僕の首筋を後ろから舐める。その瞬間痺れる様な感覚が体中を走る。
逃げようとするが、体は完全に決まっていて動かない。
「姉さん…やめてくれ…。」
「貴方を他の女になんてあげない…。そんなことは許さない…。抱きたいときは
私を抱けばいい。子供だって生んであげる。」
欲情の篭った姉の声が耳もとに響く。耳を噛み、耳を舐める。
その間に姉の手が僕の股間に…
「ほら、体は喜んでいるわ。姉さんが欲しいって言ってる。」
体を決めたまま姉は自分の胴着を脱ぎ、僕の胴着と下着を脱がす。
「よくこれでやめてくれって…いえるわね…。」
「姉さん…本当にやめてくれ…僕には好きな人が…った!いたい!」
「泥棒猫のことを思い出したりしちゃだめ。今から気持ちよくしてあげるから…。」
そういうと姉さんは少し手を緩め、しごきはじめる。体を密着して僕の顔を覗き込み、
あちこちにキスの雨を降らせつつ、僕の気持ちのいい場所を見逃さない。
「あ…姉さん…やめて!ほんとまずい!」
「まずいことなんて何もないわ…。気持ちいいんでしょ?素直になりなさい?」
イきそうになったとき姉が手を止める。体への愛撫は続けていておかしくなりそうだ。
「…やめていいのかしら?」
「う……」
「続けて欲しいなら言いなさい。あの女より姉さんのほうがいいって…」
「姉さん……続けて…彼女より…姉さんのほうが…。」
「偉いわね。ご褒美よ。」
「うあああぁあぁぁぁぁ!」
頭が焼ききれるような快楽とともに、信じられないくらい大量の精液が道場を汚した。
僕は彼女を裏切り姉に…屈服した。
「次は貴方が私を気持ちよくして…。」
縛めはとかれても僕は人形のように姉の言葉に頷く。もう抵抗することもできない…。
姉と唇をあわせ、舌を重ね合わせる。姉の端正な顔は熱く火照っており、僕の劣情を
さらに燃え上がらせる。
姉の秘所は既に蜜で溢れていて指で触れると糸を引いた。既に受け入れる
体勢ができている。
「いいよ…。私を犯しなさい。あの女を忘れるまで…」
僕は姉に襲い掛かった。
「…っいたっ………」
膜を破る感覚がわかる。だけど、僕は一切の容赦もなく激しく突き続ける。
敵わない姉、常に上であり続ける姉が今組み伏せられて犯されていると
思うと歪んだ優越感を感じ、それがさらに激しく腰を動かせる。
「…っくうう………ぁ……」
姉の艶かしい声、痛さと快感が混ざった響き…
そして淫らな濡れた腰を打ちつける音だけが静寂の道場に響く。
「……中で……」
「…姉さん…姉さん!」
最後に奥に突き入れ、同時に姉さんの中が僕を締め上げる。僕は分身を放った。
「…っ……ぁぁぁぁぁっ!」
達しても僕は全然、終わりを感じなかった。
「姉さん、まだ彼女を…忘れられない…。今度は後ろから…。」
「忘れるまで…好きになさい。そして、今日からは姉さんを愛するのよ…。貴方は私のもの。」
道場に再び淫らな音が響き始めた。
姉は上の存在。決して僕は勝てない。
そして暫く沈黙します。
キモウト、キモ姉作品期待してます。
GJ!!
GJ! しなやかな筋肉で拘束されたい!
しかしソードマスター言われるとどうしてもこんなの思い浮かぶw
最終話 姉と共に すべてを終わらせる時…! ソードマスターキモ姉は、保管庫収録未定です。
姉「チクショオオオオ!くらえ泥棒猫!新必殺姉毒!」
泥棒猫「さあ来い姉ぇぇ!私は実はそんなに彼が好きじゃないぞぉぉぉ!」
(ザン)
泥棒猫「グアアアア!こ このザ・フジミと呼ばれる四天王の泥棒猫が…こんな年増に…バ…バカなアアアア」
(ドドドド)
泥棒猫「グアアアア」
後輩「泥棒猫がやられたようだな…」
先生「ククク…奴は四天王の中でも最弱…」
妹「姉ごときに負けるとは学校の面汚しよ…」
姉「くらえええ!」
(ズサ)
3人「グアアアアアアア」
姉「やった…ついに四天王を倒したぞ…これで幼馴染みのいる魔龍城の扉が開かれる!!」
幼馴染み「よく来たなソードマスター姉…待っていたぞ…」(ギイイイイイイ)
姉「ど、同棲してるなんて…!感じる…幼馴染みの執念を…」
幼馴染み「姉よ…戦う前に一つ言っておくことがある 彼方は私を倒すのに『トラウマを抑えた写真』が必要だと思っているようだが…別になくても倒せる」
姉「な 何だって!?」
幼馴染み「そして彼方の弟は私より彼方を選んだので家に返した あとは私を倒すだけだなクックック…」
(ゴゴゴゴ)
姉「フ…上等だ…私も一つ言っておくことがある この私に生き別れた妹がいるような気がしていたが別にそんなことはなかったぜ!」
幼馴染み「そうか」
姉「ウオオオいくぞオオオ!」
幼馴染み「さあ来い姉!」
姉の愛が世界を救うと信じて…! ご愛読、ありがとうございました!
持ってくるにこと欠いてそれかwww
「生き別れの弟があんたに攫われていたような気がしたけど別にそんなことはなかったわ!」
と根底を覆す改変かますと思ったが妹のままだったんだな
>>657 腹筋やられたwwwwwwwwwwwwGJ!
ソードマスターネタはコンスタントに何処でも受けるなw
それと亀なんだが
>>627重い方が落下速度速いのはキン肉マンじゃ常識なんだぜwww
ソードマスターは誰にでも何ともいえない懐かしさを感じさせるしな
663 :
名無しさん@ピンキー:2007/05/18(金) 21:52:04 ID:z5Za9H1u
ここで、
ソードマスターネタに和むお兄ちゃん達の背を見詰ながら嫉妬に歯ぎしりするキモウトの気分で、
空気を嫁ずに書く当てのないネタ(設定・プロット?)を投下してみるテスト。
仮題:「妹姫」
あらすじ
桜の春。
旅立ちと出会いの季節に風が運んできた手紙には、再会の兆しが薫っていた。
いつからかの探し人。
遠い過去に生き別れた、たった一人の妹。父と母を失った僕に、唯一残された血の繋ぐ家族。
暖かな予感が身を撫でて行く。
ただ。
僕と彼女の間が引き裂かれてより十と幾らか。
人の身に歳月は長く、永く。
辿り着いた先は国主の住まう城。
時を越えた再会の中で抱き締めたその体は、いつの間にか一国の姫となっていた。
彼女は笑う。
別れの年月が重くした期待に応えられない僕を、それでも大切だと苦笑しながら。
彼女は言う。
美化された記憶の姿を否定する僕を、それでも好きだと見詰めながら。
彼女は告げる。
身分も何もかも違いすぎる僕を、それでも離さないと手を握って。
────桜の下には死体がある。
かつて知恵を貸した剣客に、同じ畳の上で筆を取った同門の才女。
城下に降り積もる花弁のように連なっていく再会の中で、僕は儚い幸せに微睡んでいた。
家族だからこそ、妹の気持ちに気付けないまま。
兄妹だからこそ、妹の気持ちに応えられぬまま。
短く脆い幸福が、既に散り始めているとも知らずに。
城。
門に閉ざされ、堀に隔てられ、塀に遮られた領域。
その中で起きた惨劇を知らない民達は、いつしか彼女をこう呼んでいた。
妹である姫。
即ち『妹姫(まいひめ)』、と。
────────来年もまた桜が咲く。散った命を根で抱きながら、赤い赤い血を吸って。
しかしながら、
これ自体○-HIME見て思いついたネタという話。
あれは上手くすれば素晴らしいキモ姉ですね。
どちらにせよ、今やっているものも仕上げずには書けませんが。
誰かー、(これで)書いて書いてー!
まぁ、なんだ。
変名おじさんは雑談の時はコテを外した方が、余計な波風が立たなくていいぞー。
>>667 ご忠告痛み入ります。
では、次の投下までは名も無いキモウトスキーに戻りますので。
ご機嫌よう。
>>649のソードマスターのとこで何人か反応しただろうな〜とは思っていたが
まさか本当にネタにするなんてw
>>657GJ!
しかしこんなすばらしい漫画を打ち切りにするなんて馬鹿だなぁ
664を元に長編行きます。
初挑戦の三人称。全然進まない。
今回は序章のみ。次からは書き溜めてから投稿します。
春──久しぶりに帰り着いた故郷の城下町は昔と変らぬ賑わいを見せている。
国を離れて十余年、二度と帰れぬと考えていた故郷の地を地味ながらも涼やかな顔、
目に知性を感じさせる青年──八神清治(やがみきよはる)は踏みしめていた。
清治はこの国には戻れぬ事情があった。
先穂之国の当主であった父、大上清輝が逝去した際に本来ならば清治が後を
継ぐことになっていた。しかし、当時清治は体が弱く、国も不安定な状態で
あったために優秀な叔父である大上信輝が後を継ぐこととなった。
そうなると清治の立場は微妙なものとなり、幼子が謀反の生贄とされることを嫌った
叔父、信輝の手により死んだものとされ、懇意であった隣国にある智泉寺へと預けられた。
しかし、今年の春に国内の事情が変った。
叔父である信輝に嫡男が生まれず、高齢となったために清治に祖国への帰還が
求められたのだ。手紙には、謝罪と帰還の要請とともに妹からの手紙が添えられていた。
─────兄上にお会いできる日を心より楽しみにしております。─────
「再びこの国に戻るときがくるとは……ね。」
寺での生活には特に不満はなかった。住職である智水上人はあらゆる学問に
博学であり教えを受けていると退屈することはなかったし、住職を尋ねて様々な
客人が来ることもあった。
中でも先穂之国出身の才女とは、二年ほど滞在し机を共にして学問を学んだ。
彼女の鋭い視点は清治の考え方に大きな影響を与えた。
「叔父上、お久しぶりです。清治───ただいま戻りました。」
「よく戻った。長旅ご苦労だった。重臣たちにはお主のこと、伝えてある。
だが、暫くは大上清治ではなく八神清治としてわしの補佐をしてもらう。
後継者としてではなく、まずは一人の男として国のことを学んでくれ。」
「承知いたしました。信輝様。必ずやご期待に答えてみせます。」
国主の間において対面と挨拶を終えると、清治は城の門へと向かった。
そこは彼がこの国と一度別れを告げた場所であり──この国の真の主とも崇められている
国より遥か古い樹齢を持つ先穂之桜の咲く場所である。
そこには艶やかな黒髪、透けるような肌の美しい少女が立っていた。
そして二人は再会する。
「兄上様…お会いしとうございました。もう二度と…私は兄上様の側を離れませぬ。」
「舞か…いや、舞姫と呼ぶべきか。美しくなったな。」
十余年ぶりに再会した兄妹は咲き乱れる満開の桜の元、お互いを抱きしめる。
二人の意味の異なる抱擁…片方は兄妹への親愛の情。片方は恋しい人への思慕の情。
──────そして、狂った歯車は動き出す。
次は明々後日を目処に書き溜めます。
キモヒメもナイスだが才女が気になるぜ…
作者のみなさんGJです。
でも、たまにはお前さんといもうとのことも思い出してあげて下さいw
投下します
679 :
日記:2007/05/20(日) 03:31:21 ID:8c9pTDkA
好奇心。
人は皆、好奇心を持っているものだ。
目の前に日記が置いてあれば読みたくなる。
場所は妹・麻奈の部屋。
別にやましい思いがあったわけじゃなく、今日の夕飯をどうしようかと聞きに来ただけだった。
だが、部屋を覗いても妹の姿はなかった。
いつも夕方には家にいるはずなのだが、今日に限って。
部屋を出ようとすると机の上にある日記帳に目が入った。
日記帳は、妹が昔からつけてきたものだ。
人の日記なんて見るものじゃないが、何故か気になった。
俺は最低なことだと思いつつ最初のページをめくった。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――
680 :
日記:2007/05/20(日) 03:32:13 ID:8c9pTDkA
96ねん4がつ7にち
きょうから まなは しょうがくせい
だから きょうから にっきをつけてみました
しょうがくせいになって いちばんうれしいことは だいすきな おにいちゃんと
いっしょに がっこうにいけることです
きょう いっしょにてをつないで がっこうに いきました
・
・
・
97年5月11日
お兄ちゃんとおへやがべつになった。
まなはいやだって言ったのにお母さんたちが大きくなるからって。
ひとりでねるのはいや。お兄ちゃんといっしょがいい。
97年5月12日
きのうお兄ちゃんのおへやに行ったらいっしょにねてくれた。
やっぱりお兄ちゃんもまなといっしょがいいんだよね。
これからもいっしょにねようね、お兄ちゃん。
・
・
・
2000年3月15日
お兄ちゃん 卒業 いや
・
・
・
681 :
日記:2007/05/20(日) 03:33:11 ID:8c9pTDkA
02年4月9日
今日からお兄ちゃんと同じ中学校。
久しぶりにいっしょに学校へ行った。
手をつなごうとしたら恥ずかしいからいやだってお兄ちゃんは言った。
なんでだろ?
恥ずかしがる必要なんかないのに。
02年4月10日
今日お兄ちゃんとお風呂に入ろうとしたらもう中学生なんだからだめって言われた。
お兄ちゃんといっしょに入りたいのに。
いやだよ。
02年4月11日
昨日の夜いっしょにお風呂に入れなかったからいっしょに寝ようとお兄ちゃんの部屋へ行った。
でもそれもだめって言われた。
怖い夢を見たって言っても寝させてくれなかった。
わたしはお兄ちゃんとずっといっしょに居たいだけなのに。
・
・
・
03年3月18日
お兄ちゃん 卒業 いや
・
・
・
682 :
日記:2007/05/20(日) 03:34:33 ID:8c9pTDkA
05年4月7日
ようやく高校生。
これでまたお兄ちゃんと学校へ行ける。
今日は登下校中ずっとお兄ちゃんと腕を組んで歩いた。
またああしてずっと一緒なら、もう他に何もいらない。
・
・
・
05年4月11日
今日いきなり上級生に呼び出されて告白された。
クズに何を言われようがどうでもよかったが、たまたまお兄ちゃんに見られてしまった。
お兄ちゃんはこのことについて家で「彼氏でも作って高校生活を満喫しろよ」と言った。
お兄ちゃんは私が告白されて何とも思わないの?
私だったらお兄ちゃんが告白されたと知ったら告白してきた奴を殺しちゃうよ?
そのくらいお兄ちゃんのこと大好きなんだよ?
・
・
・
05年4月20日
今日 ありえない 聞いた
お兄ちゃん 付き合ってる
うそ そんなの
05年4月21日
見た 女を 売女
お兄ちゃんに触るな 見るな 消えろ
殺してやりたい
お兄ちゃん わたしのもの
683 :
日記:2007/05/20(日) 03:35:45 ID:8c9pTDkA
05年4月22日
明日からお父さんとお母さんは出張。お兄ちゃんと私、二人っきりだ。
明日はお兄ちゃんにたくさんいいことしてあげよう。
泥棒猫に惑わされたのは今までしてあげれなかった私のせい。
でも私、勇気を出してみる。
ちょっと初めてだから怖いけど、お兄ちゃんと一緒なら……
――――――――――――――――――――――――――――――――――――
……見てはいけないようなものを見た気がする。
頭が痛い。冗談であって欲しい。しかし日記にこんなこと冗談で書くか?
いや、冗談というレベルの文章じゃない。
たしかに麻奈には昔からブラコンだとは思っていた。
今もなお、一緒に風呂に入ろうとしたり、寝ようとしたり。
しかし、ここまで酷いとは……。
俺はこの場から早く立ち去ろうと思い、読んでいた日記帳を机に戻そうとした。
「お兄ちゃん」
日記帳を机の上に置いたと同時に背後から声がした。
妹だ。
「ひどいよ、お兄ちゃん。私の日記見るなんて。でも……」
妹は俺を背後から抱きしめる。
「うれしいな。私の全部、見てもらえて」
妹の胸が背中にあたり、妹が呼吸するたびに胸の感触が伝わってくる。
やわらかく、暖かい。と、同時に強烈な寒気がした。
以上です
昔書いていた没ネタをダイジェストにして投下しました
続きを書こうとしていたためか中途半端な終わり方でごめんなさい
685 :
名無しさん@ピンキー:2007/05/20(日) 03:57:36 ID:gnRM8zZ0
皆様GJで御座います。
さてさて、投下ラッシュに続かせていただきます。
今回も長いので、2分割。
二回目の投下は5時以降になるかと思います。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――
部屋の中は暗い。
まるで、籠の中のようだ。
ここは理理の部屋。
まるで飾り気の無い、気配のみが女の子の私室であると知らせる閉鎖空間。
ベッドの上では一人の少女が眠っている。
月ヶ瀬理理。
僕の――最愛の妹。
僕はその傍らに座り、その様子を眺めていた。
「お兄ちゃん・・・・」
妹の寝顔は悲哀に満ちたものだった。
お兄ちゃん、お兄ちゃんと何度も何度も呟いて魘される。
さっきからその繰り返しだ。
「俺、家を出ようと思うんだ」
つい先ほど、僕は妹にそう告げた。
その時の妹は、まるで世界そのものに絶望したかのような、呆けた顔をした。
「おにぃ・・・・ちゃん・・・・い、いま、なんて、云ったの・・・・?」
問い返す妹は、崩壊した笑顔。
莫迦なことを聞いた。そう信じようとして、失敗したような。
「ねえ、うそ・・・・だよね?聞き間違いだよね?お兄ちゃんが・・・・この家を・・・る、なんて。
何かの間違いだよね?おにぃちゃんが、私の許からいなくなるなんて・・・・」
よろよろと後ずさり、
「ねぇ・・・・?そうだよね、お兄ちゃん・・・・」
よたよたと僕の前に来る。
悲壮な。
どこまでも悲壮な表情。
慰めてやりたい。抱きしめてやりたかった。
でも、それは出来ない。
それをしてしまえば、妹はまた僕から離れなくなるだろう。
そんなことは駄目だ。
僕は理理を愛している。
だから、誰よりも幸せになって欲しい。
そのためには、兄離れさせなければいけない。
月ヶ瀬真理と云う籠の中から、巣立たせなければいけないのだ。
だから僕は首を振る。
精一杯の拒絶をつき付ける。
「理理。俺は家を出る。まだ父さんたちには云ってないけど、多分賛成してくれると思うんだ。
そしたら、可能な限り早く、この家を出るつもりだ」
「うそ・・・・」
「本当だ」
「どう・・・して・・・・?どうして、出て・・・・ぃく、なんて・・・」
「お前は俺に懐きすぎている。俺達はもっと距離をとるべきだ」
「いや・・・」
妹は耳を塞ぐ。
けれど僕はその腕を引き剥がした。
「や、・・・・・やぁ!!」
「聞くんだ理理。このままでは、多分俺達は駄目になる。だから、これが最良だ。辛いだろうけど、
我慢するんだ。お前ならきっと、それが出来る」
「やぁ、いやぁ!いやだよ!!そんなの出来ないよ!!!知ってるでしょう、お兄ちゃん!!!
理理、昔から一回だってお兄ちゃんのことで我慢できたことなんて無いよ!?お兄ちゃんが傍に
いても、我慢なんて出来なかったんだから!!!だから、だからもしお兄ちゃんがいなくなったら、
私、きっと『壊れ』ちゃおうよぉ!!!ねえ!ねえ、お兄ちゃん!いかないで!いかないでよ!!
この家から・・・・・理理のもとから出て行かないで!!!いなくならないで!!ね?ねぇ?
御願い、お兄ちゃん・・・・!!!!なんでもする、何でもするからぁ!!!!何でも云うこと
聞くから・・・・良い子に、する、からぁ・・・・お、おね・・おね、が、い・・・・っ」
最後の声は掠れていた。
すでに自力で立つ気力も無いのか、萎えた足は膝を着き、縋るように僕にしがみついた。
「理理、頼むから聞き分けてくれ。お前がそんなんじゃ、俺も安心できない」
「〜〜〜〜〜っ」
声にならない声をあげて、泣きながら首を振る。
「ぁ・・・!ぃゃぁ!!そん、なの、・・・ぃゃぁあああぁ・・・」
妹は痙攣しながら首を振った。そこにはいつもの穏やかな笑顔も。優しい面影もなかった。
「理理・・・・」
そこまで僕に依存しているのか。
だから。
だから駄目なんだ。
僕は拳を握る。
「理理」
僕はポケットに手を入れた。小さな硬い感触を掴む。
「これは、お前に返す」
縋りつく妹に差し出した。
銀色の円環。
約束の――集大成。
「――ひ・・・!」
理理はびくりと震えた。
声をあげたのではなく、空気がこぼれたのだろう。
「あ・・・・ぁ、ぁ、ああ・・・」
理理は蠕動する。
僕を見ているようで見えていないような。
幽かに首を左右に振って。
大きな瞳からぽろぽろと涙をこぼし、口からは唾液が垂れ下がっていた。
「俺はもう、お前とはいられない」
そして決別。
その言葉を口にする。
「ひ・・・・・ぁ・・・・・」
パクパクと妹は口を動かし、
「あああああああああァァァァァァぁぁあああああぁぁぁぁあああぁぁぁぁ!!!!!!!!」
獣じみた咆哮をあげた。
瞬間、僕の足に暖かい感触。
理理が縋りついている部位が、何かで濡れていた。
「理理、お前・・・」
驚いて目を遣る。
妹は――
理理は、失禁していたのだ。
糸の切れた人形のように弛緩する身体。
どさり、という肉の落ちる音。
妹はそのまま気を失っていた。
「・・・・ぉにぃちゃん・・・・ぉにいちゃん・・・・」
泣きながら眠る妹の頭を撫でる。
セミロングの髪はさらさらと腕を掠めた。
「お前は莫迦だ・・・・こんな兄貴に、依存する必要なんてないんだよ」
「ぃかなぃで・・・・いかないで・・・・理理、もっと良い子にするから・・・・良い子になる・・・
から・・・・」
「もっと早く、お前に分からせてあげてたら良かったんだな・・・・」
一番の莫迦者は――僕だ。
もっとずっと前から、理理を自立させてあげるべきだったのだ。
厳しいことを云ってでも、嫌われてでも、巣立ちを応援すべきだった。
僕にはそれが出来なかった。
理理と過ごす何気ない日常。
何も無くて、でも穏やかな繰り返しの日々。
それが暖かすぎて。
それが楽しすぎて。
甘えてくる妹を。
世話焼きな妹を。
兄想いの妹を。
僕自身が――駄目にした。
「理理」
頭を撫でる。
「ごめんな・・・」
云える事は、唯それだけ。
恨まれても良い。
憎まれても良い。
こんなに兄想いの良い子なんだから、幸せにしてあげなければ。
僕は天を仰ぐ。
窓からのぞく月白は、柔らかな光を注いでいる。
もしも神様がいるならば、ひとつだけ願いを聞いて欲しい。
僕はこの先どれほど不幸になっても良いから、その分、この娘に幸せを与えてください。
こんな風に泣かなくて済むように。
僕といた時よりも、もっと笑顔でいられるように。
穏やかなはにかんだ笑顔。
理理に似合うのは、いつだってその顔なんだから。
どれ程そうしていたろうか。
長くもあり、短くもある時間。
魘されながら眠る理理の頭を撫で続けていると、ポケットがぶるぶると震えた。
こんな状況ゆえか、それがケータイの着信であることに気づくのに、暫くかかった。
四角い液晶の中には、よく知った文字。
月ヶ瀬聖理
そう記されていた。
僕は理理の布団をかけなおすと、自室のベランダに移動した。
「にいさん」
綺麗な。
本当に綺麗な声。
聞きなれて、でも飽きることの無いメゾソプラノ。
その声に、僕は「どうした?」と返した。
「どうしたじゃないよ。にいさん、コトリにはもう云ったの?」
問う声は弾んでいる。
「云った?」
「家を出るって話。ねえ、もう云ったんでしょう?云ってくれたよね、にいさん?」
「・・・・・・」
僕は宙に目を馳せる。月白はここからは見えない。
理理は。
妹は今も魘されているんだろうか?泣いているんだろうか?
考えると、自然、声が重くなる。
「――ああ、云ったよ・・・」
「そう・・・!!」
機械の向こう側から、笑い声が漏れてきた。
「云ったの。云ってくれたのね、にいさん。で、どうだった?コトリはどんな顔してた?呆けてた
かな?泣いてたかな?それとも怒ったかな?――ううん、あの女のことなんてどうでも良いか。
・・・・ねえ、にいさん。いつ?いつ聖理の所に来てくれるの?」
「お前の所・・・・・?」
「そう。聖理の所。さっき云ったでしょう?あの家を出て、ここに住めば良いって。そうすることが
コトリの為だって。ねえ、いつ来てくれる?お部屋ならいくらでも空いてるよ?あ、それとも、
聖理のお部屋で一緒に暮らしてくれる?うん。それが良いよね!そうしよう?にいさん。聖理の部屋で
一緒に寝ようよ!ね。決まり。にいさん何時ごろこっちに着く?聖理、寝ないで待ってるよ?」
「ちょっ、ちょっと待ってくれ、聖理。俺はお前のところには往かないよ」
「――え?」
「確かに俺は家を出ることになるだろう。でも、それは今すぐじゃないよ。父さんたちに話して、
準備をしてからだ。それに、出来ることなら、理理にも納得して貰ってから家を出たい。
家を出るにしても、お前のとこに厄介になるわけにはいかないよ。多分、一人暮らしになるんじゃ
ないかな」
「・・・・・・・」
「あれ?おい聖理?聞こえてるか?」
突然の沈黙。
故障でもしたんだろうか。
僕は耳を澄ます。
会話をしているであろう従妹の周囲の空気の流れが伝わってくる。
壊れてはいないようだが――
「――なに、それ」
低いメゾソプラノ。
先ほどの・・・・。
従妹の家にいたときの。
指輪を見られたときの。
あの声。
「にいさん、なにふざけたこと云ってるの?にいさんは聖理の傍にいなければ駄目なんだよ?
折角聖理がコトリの呪縛から解き放ってあげようとしてるのに、“来ない”?ふざけないで。
そんなの許せるわけ無いでしょう?にいさんのすべきことは唯2つ!コトリと決別することと、
聖理を満足させること。そうでしょう?どうしてそんな簡単なことがわからないの?ねえ、
にいさん、聖理は今も待ってるの。だから早く来て!にいさんがここに来れば総てが丸く収まるの。
聖理たちは愛し合っているんだから、傍にいなきゃ駄目なのよ!?」
憤怒。
澄んだメゾソプラノから伝わる感情は、唯、それだけ。
(おかしい・・・・)
どうしたというのだろう。
僕が従妹の所へ往くと勘違いするのはまだ良いとしても、この口ぶりはなんだろう。
いつもの聖理なら、「ねえ、来てよ、にいさん」と、『お願い』してくると思うのだが。
今の聖理はもっとこう、何かが違う。
僕が往くのが当然で、そうならないことを怒っている。
聖理といい、理理といい、なにか最近は様子が変だ。
僕は機械の向こう側にいる従妹に「おちつけよ」と促した。
「落ち着く?何云ってるの、にいさん。にいさんが聖理の傍にいないからこうなってるのに!
にいさん云ってることがおかしいよ。ねえ、はやく・・・・早く来てよ。コトリなんかと決別してよ」
「聖理」
僕はケータイを強く握る。
「お前どうしたんだ?どこか変だぞ?大体、理理と決別なんて出来るわけ無いだろう?俺はあいつに
自立して貰いたいだけで、縁を切りたいわけでも何でもないんだから。兄妹って、そんなものだろう?
離れていても、支えあえる。それが正しいあり方だと思う。お前とだって離れていても、上手くやって
いけたじゃないか」
「違うよ!!」
怒声。
電話越しにメゾソプラノがびりびりと震える。
「聖理とにいさんは愛し合ってる。重要なのは、そこだけでしょう!?大切だから傍にいて、愛して
いるから、共にあるの。だからにいさんはここに来なきゃ駄目なの。“離れていても”?離れていたら
寂しいだけじゃない。おかしいじゃない。愛し合う男女は近くにいる。それが自然でしょう?」
違う。
僕と聖理の会話には、なにか決定的な齟齬がある。
まるっきりズレている。
そんな感じがした。
「聖理」
「・・・・・・」
「なんにせよ、お前の望む結果にはならないと思う。家をで、」
「――そう」
静かな。
先ほどの怒声とはうって変わって静かなメゾソプラノが言葉を遮る。
「そうなんだ。わかったよ、にいさん。にいさんはまだ、コトリに縛られているんだね」
「聖理・・・・?」
「それならそれでも良いよ。・・・・聖理にも、考えがあるから」
切れた。
一方的な決断。
一方通行な会話。
僕は沈黙したケータイを見つめた。
「怒らせちゃったのかな・・・・・?」
明日にでもフォローを入れておこう。
そう呟いて天を仰いだ。
掛け違えたボタンは、どこまで影響するものだろう。
かけがえの無い妹二人を想起して、唯ちいさく吐息した。
規制回避でいったん終了します。
5時半以降なら、大丈夫かなあ・・・・
ワクワク
さあいよいよキモくなってきました!
てんぱり具合が凄いねw楽しみ
うおおおおお刃傷沙汰の予感!!!
>>684 かゆうま期待してたのに・・・
まぁキモィからおkか、お疲れ
>>686 おまいもキモイwwwwwお疲れwww
では、続きの投下をします
目を覚ます。
6時半。
いつも通りの起床時間。
僕は身支度を整えてキッチンに入る。
妹は、そこにいるだろうか。
一瞬躊躇するが、意を決して入室する。
すると。
「あ、お兄ちゃん、おはよう」
出迎えるのは、妹の笑顔。
いつも通りの風景。
何百。
何千と繰り返された朝のやり取り。
「・・・・ああ、おはよう」
挨拶をして、席に着く。
よかった。
どうやら落ち着いてくれたようだ。
僕は妹を見る。
いつもと変わらない、今まで通りの――
否。
僕の動きが止まった。
理理はいつもどおり。
それはかわらない。
『まったく変わらず』、『その手には』、『銀色の指輪が』、『嵌っていた』。
「理理・・・・」
「待っててね、お兄ちゃん。今日は腕によりをかけてつくるからね」
理理は腕をまくる。
その言葉の通り、並べられた食材は朝食と呼ぶには妙に豪華であった。
妹の手には小瓶がひとつ。
見たことのない『小瓶』。
いつもいれる『隠し味』のそれとは、違う瓶。
理理は瓶のふたを開け、傾けて、そこで動きを止める。
「・・・・ねえ、お兄ちゃん」
「・・・・なんだ?」
僕の目には指輪。
唯それだけが映る。
「私、昨日とても嫌な夢をみたの」
瓶を傾け、止まったままの理理が云う。
ここからは表情が読めない。
「・・・夢?」
「うん。夢――ううん、悪夢、かな?」
アルトボイスは昏い。幽かに瓶を持つ手が震えているように見える。
どんな夢だ?僕はそう問おうとして、やめた。
昨日の――
あのことに類する内容だろうから。
「あのね」
「・・・・・」
「その悪夢って、お兄ちゃんがこの家を出て行こうとする夢なんだよ?おかしいよね、そんなこと、
あるはずないのに。一緒にいようって、お兄ちゃん云ってくれた筈なのに。夢の中のお兄ちゃん、
そんな変なこと云うんだよ?その中でね、私は云うの。『お兄ちゃん、往かないで』って。なのに、
なのにね、夢の中のお兄ちゃんは『出て往く』って云ってきいてくれないんだよ?酷いよね、
お兄ちゃんは、理理のお願いなら何でも聞いてくれてたはずなのに、理理が泣いていれば、必ず
慰めてくれていたのに。なのに、そのお兄ちゃんは理理を傷つけることばかり云うんだよ?
おかしいでしょう?」
「・・・・・・・」
妹の声には抑揚が無い。
淡々と、感情も無いように“悪夢”を語った。
支援
「理理」
僕は立ち上がる。
「理理、それは夢じゃない。そんなこと、お前だって判っている筈だろう?」
「――そう」
理理の身体の揺れが大きくなる。
これは――笑い?
妹は笑っているのだろうか。
「そうなんだ、本気なんだね、お兄ちゃん」
ぶるぶる。
ふるふる。
傾いた『小瓶』が揺れる。
「ああ、本気だ」
僕は云った。
それが最良だと信じて。
「――そっか」
妹は振り返る。
そこにあったのは、笑顔。
少し困ったかのような、穏やかな笑み。
「それじゃあしょうがないよね」
いつもの、妹の微笑だった。
「ごめんね、お兄ちゃん。私、今までお兄ちゃんの迷惑かけてたんだね。私はお兄ちゃんが大好き
だから、重荷になるほど甘えすぎてたんだね」
深々と頭を下げた。
「あ、いや・・・」
違う。
昨日とは違って、聞き分けの良い妹。
いつもの、穏やかで理解ある妹の姿。
「本当にごめんなさい。私、これからはもっと良い子になるね。お兄ちゃんに負担をかけないように、
距離をとるよ。お兄ちゃんがおうちから出て行くなら――寂しいけど、我慢する。それでお兄ちゃんの
心配事がなくなるなら、全力で応援するから」
「理理・・・」
不覚にも涙が出そうになった。
漸く。
漸く理解してくれた。
これできっと、僕達は以前のように戻れるはずだ。
妹が距離を取るのは少し寂しいけれど、それで良いんだ。
仲の良い、いつもの兄妹に戻れるんだ。
(理理が聞き分けてくれるなら、無理に家を出る必要も無いのかもしれない)
妹は微笑み、そして指輪をはずす。
「これは、もういらないね。だって、これは“永遠に傍にいる”って云う約束だもの。“永遠”を
誓った二人だけがつけるものだもんね」
にこにこと、何かを吹っ切たかのような笑顔。
憑き物が落ちたみたいに、理理の顔は晴れやかだ。
「それじゃあ、朝ごはん作ろうかな、お兄ちゃん、いっぱい食べてね?」
「ああ、そうするよ」
頷くと、理理も微笑み返して調理を再開した。
先ほどの『小瓶』。
いつもとは違う『小瓶』を混ぜて往く。
その姿を見て、僕は漸く安堵の息を吐いた。
身支度を整えに部屋に戻る。
いつもならブラシをかけるのも、ネクタイを結ぶのも、理理がやってくれていた。
けれど今日からはそれがない。
でも、それで良い。
寂しさと嬉しさが混じった、複雑な感情だ。
「よかった、本当によかった」
妹の自立。
それが僕の願いだった。
しっかりしているはずなのに、どこか危なげな理理。
その理理が自分の力で歩いて往けるようになるまで、傍にいてやるつもりだった。
だから恋人も作らなかったし、一緒にいてやることも多かった。
(でも、それは間違いだったんだな)
大切なのは、妹に自覚して貰うことだったんだ。
僕はホントに莫迦だ。
ずいぶんと回り道をした。
でも、これからはきっと上手く往く。
あいつがどんな人生を歩んでも、全力でそれを応援してやろう。
それが兄、貴・・・・と・・・し・・・・
「あ、れ?」
へんだな。
僕は支度する手を止める。
・・・・熱い。
なんだか、身体が熱い。
妙に火照る。
「これ、は・・・」
僕は荒い息を吐き始める。
これは、男としての、生理現象、の、ときの、火、照りか・ただ。
「なんで、きゅぅに・・・」
はぁはぁと息を吐く。
(やばい・・・・)
身体の一点に血液が集中する感覚。
異常に脈打った心臓が、ココロを揺さ振って往く。
「はぁ・・・はっ・・・なんで・・・・・」
急に、こんな・・・・。
(まずい、まずい、ぞ)
シタイ・・・・。
この欲望を開放したい。
その事しか考えられなくなる。
「くそ、こ、んな・じか・・・・んに・・・」
だめだ!
とにかく“これ”をなんとかしなければ!
(それにしたって・・・・)
「はんぱじゃ・・・・・な、ぞ、これ・・・は・・・」
無い。
今までに無いほどの、強烈な性欲。
シタイ・・・・。
シタイ・・・・・。
それだけが、頭に響く。
僕はその場にへたり込んだ。
ハヤク、早く、ださないと。
きっと僕は、気が狂ってしまう・・・・!!
引きちぎるようにズボンを下ろし、男のものに触れる。
「うっ・・・あ・・・・!!」
それだけで。
それだけでイキソウナくらいの快感。
敏感になり過ぎた身体。
とけて往く理性・・・。
(どうしたんだろう・・・?)
いや、どうでも良い・・・・!
とにかく。
とにかくこの欲望を――
「お兄ちゃん」
コンコン。
扉を、叩くおと・・・・。
「理、理・・・」
妹の声。
雌の、声。
ワクワク
(オンナだ・・・)
あの扉の向こうに、オンナがいる・・・。
「あ、う・・・こと、り・・・・」
「お兄ちゃん、入っても良いかな?」
ハイッテコイ・・・。
「駄目だ!!」
「――え?」
ハヤクハイッテコイ・・・。
「お兄ちゃん?どうかしたの?」
心配そうな妹(メス)の声・・・・。
(駄目だ・・・・!!いま、今入ってこられたら・・・・)
「お兄ちゃん、入るよ?」
「だ、駄目だっ!!」
くるな・・・・。
オンナ。
来ちゃ駄目だ・・・。
オンナ。
オンナ。
ホシイ。
「お兄ちゃん、もしかして、まだ怒ってるの?昨日のことは、謝るから、だから、だから・・・」
ちガゥ・・!そうじゃ・ない!
今は、(オンナ)まずいんだ。
「とに、かく・・・・あ・ちへ、いけ・・・・!」
はぁはぁと、僕の獣じみた息遣いが・・・・(オンナ)・・・。
「お兄ちゃん、もしかして、どこか悪いの!?」
「ヤメロ・・・」
そして、扉は開かれた。
「お、おにい、ちゃん?」
ハイッテキタめすは驚いている。
そレハソぅダロう。
ズボンを下ろしたまま、苦しんでいル兄貴をまのあたりにすれば。
「お、お兄ちゃん!?」
駆け寄って、僕の肩に手を添える。
良い匂いがした。
メスのにおいだ・・・・。
(柔らかい・・・・)
妹(メス)の手の感触。
「お兄ちゃん、どうしたの?しっかりして?」
さわったら(壊したら)、きっと、(キモチイイ――)
「ぁ・・・・うあ・・・」
「お兄ちゃん、お兄ちゃん・・・!!」
シタイ。
このメスと。
理理とシたい!!!
肩に乗った小さな妹(メス)のうでをつか、む。
「お、お兄ちゃん?」
(駄目だ・・・!)
僕は理理を突き飛ばす。
「きゃっ・・・!」
非力で軽い妹は簡単にしりもちをついた。
その刹那、スカートのなかの下着が目に映った。
ホシイ。
欲しい・・・・。
シタイ。
したい・・・。
「お、おにいちゃん・・・」
「で、出て往ってくれ・・・!」
力一杯叫んだ。
けれど、掠れた声は呻きの様に聞こえた。
全裸で待った甲斐があったぜ!
全力支援っ!!
「お兄ちゃん・・・・」
理理は立ち上がる。
そして、出口ではなく、僕のところへ遣ってくる。
「お兄ちゃん、苦しいんだね?」
ふわりと。
妹(メス)は僕を抱きしめる。
「ぅ・・・あ・・・ヤメ・・・・っ」
「良いんだよ、お兄ちゃん、無理しないで?」
天使のように囁いて、メス(妹)は僕をなぜる。
「苦しいよね?辛いよね?でも安心して?理理は、“お兄ちゃんの理理は”ここにいるんだよ?」
ふぅっと、メス(妹)は僕の耳に息を吹きかける。
「はぁ・・・・っ、はぁ・・・・」
おんな、オンナ。
女。
おんな。
女。
女。
「やめ・・・・・・てくれぇ・・・っ」
僕は(オンナ)泣いていた(シタイ)。
オンナ、オンナ、おんながここにいる。
「良いよ?お兄ちゃん・・・」
理理はそうして、僕の頬に口付ける。
「ぁ・・・・ぁあぁ・・・」
オンナ、おんな。女。
オンナ、オンナ、オンナ、オンナ、オンナ、オンナ、オンナ、オンナ、オンナ、オンナ、オンナ、
オンナ、オンナ、オンナ、オンナ、オンナ、オンナ、オンナ、オンナ、オンナ、オンナ、オンナ、
オンナ、オンナ、オンナ、オンナ、オンナ、オンナ、オンナ、オンナ、オンナ、オンナ、オンナ、
オンナ、オンナ、オンナ、オンナ、オンナ、オンナ、オンナ、オンナ、オンナ、オンナ、オンナ、
オンナ、オンナ、オンナ、オンナ、オンナ、オンナ、オンナ、オンナ、オンナ、オンナ、オンナ、
オンナ、オンナ、オンナ、オンナ、オンナ、オンナ、オンナ、オンナ、オンナ、オンナ、オンナ、
オンナ、オンナ、オンナ、オンナ、オンナ、オンナ、オンナ、オンナ、オンナ、オンナ、オンナ、
理理。理理。理理。理理。理理。理理。理理。理理。理理。理理。理理。理理。理理。理理。理理。
理理。理理。理理。理理。理理。理理。理理。理理。理理。理理。理理。理理。理理。理理。理理。
理理。理理。理理。理理。理理。理理。理理。理理。理理。理理。理理。理理。理理。理理。理理。
理理。理理。理理。理理。理理。理理。理理。理理。理理。理理。理理。理理。理理。理理。理理。
理理。理理。理理。理理。理理。理理。理理。理理。理理。理理。理理。理理。理理。理理。理理。
理理。理理。理理。理理。理理。理理。理理。理理。理理。理理。理理。理理。理理。理理。理理。
理理。理理。理理。理理。理理。理理。理理。理理。理理。理理。理理。理理。理理。理理。理理。
理理。理理。理理。理理。理理。理理。理理。理理。理理。理理。理理。理理。理理。理理。理理。
「ァ。あぁああぁぁぁああぁああっぁぁぁああぁぁあぁぁぁぁあぁあぁぁぁぁあぁぁ!!!!!」
叫んでいた。
僕は力任せにメスを押し倒し、制服を引きちぎった。
「お、おにいちゃん?」
「アアアアアアアアァアアアッぁああああ!!!理理!ことりぃぃぃぃい!!」
「い、いやぁぁあぁ!やめて!お兄ちゃん、やめてぇぇ!!!」
妹が――理理が泣き叫んでいる。
(泣き叫んでいる?)
泣き叫ぶって、こんなにウレシソウナかおをす・ルものだロウカ?
意識が性欲で塗り替えられる間際。
僕には理理が笑っていたように見えた――。
「う・・・あ?」
気だるさの中で目を覚ます。
身体に力が入らない。
(なんでこんなに疲れてんだ?)
部屋の中は暗い。
今は、夜だろうか。
僕は体を起こした。
「うわ!」
リアルタイム支援
自分の姿に驚く。
服を何一つ纏っていない。
(な、なんでこんな)
状況を思い出そうとして――
「あ・・・あああ・・・・」
僕は眩暈に襲われた。
部屋の中は饐えた匂いが立ち込めていた。
そこかしこには粘ついた液体がへばりついている。
月明かりの中で目に入る床には、ちぎられた衣服。
「あ・・・あ・・・・・」
それで。
それで僕は嫌でも思い出してしまった。
「こ・・・・理理・・・!!!」
僕は――
僕はなんてことを――!!!
(いや、そんなことより・・・・!!!!!)
記憶を失う瞬間に、泣き叫んでいた妹の姿を思い出す。
「ことりっ!理理!」
いない。
この部屋に、妹の姿は無い。
「う・・・あ・・・」
よろめきながら電気をつける。
「――ひ・・・!!」
そして、絶望した。
白濁した液体の中に。
真っ赤な――
真っ赤な純潔の証があった。
「あ・・・・・・」
僕はよろめく。
背中が壁にぶつかり、しりもちをついた。
ここで――
ここで妹は、実の兄に犯されたのか・・・!!
頭が真っ白になる。
視界がぼやけて、思考が狂う。
なんという――
なんという精液の量だろう。
いったいここで何時間・・・・どれほどあの娘は穢されたのだろうか?
「――うっ」
胃から何かがこみ上げてくる。
僕は慌ててベランダに出て、
「う゛ぇぇぇええええええ!!」
吐いた。
泣きながら何度も、胃の中のものを逆流させた。
はぁはぁと荒い息遣いで振り返る。
喉がひりひりと痛い。
見れば見るほど、この部屋の悲惨さがわかる。
胃はもう空っぽなのに、僕はまた嘔吐いた。
「こ・・・理理・・・・」
あの娘は。
妹はどこにいるのだろう・・・・。
実の兄に穢されて。
この汚物の中から、どこへ往ったのだろう。
乱暴に服を着て、よろよろと歩き出す。
一歩。
二歩。
歩くことは、こんなにも大変なのか。
部屋を出る。
すぐ傍には、妹の部屋が在る。
扉から光は漏れていない。
電気がついていないのだ。ここにはいないのだろうか?
僕はそれでも恐る恐るノブを捻った。
「――あ・・・・」
「来てくれたんだね、お兄ちゃん」
僕は呆ける。
妹は。
理理はそこにいた。
月明かりに照らされながら、椅子に腰掛ける妹は、純白のドレスに身を包んでいた。
いつだったか、余所行きのために両親が買ったドレス。
まるで花嫁衣裳のように繊細で、綺麗な白の装飾。
レースのヴェールを頭に乗せて、白いコサージュで飾りをつけて。
薄く化粧をして、微笑して。
あんなことのあとなのに。
理理があまりにも綺麗だったから、その姿に見蕩れた。
「こと・・り・・・」
僕はよろよろと妹の前まで歩き、がくりと膝をついた。
「理理・・・お、俺は、俺は、お前に・・・・」
思い出すと、吐き気と共に涙が出てくる。
理理は「うん」と微笑んで、僕の頭を抱いた。
「そうだよ、お兄ちゃん」
柔らかくて、とても良い匂いがする。
「私はね、お兄ちゃんに犯されたの」
「――っ!!」
身を竦ませる。
そうなのだ。
僕は妹を、この手で――
「初めてだったのに。止めてって泣いたのに。それでもお兄ちゃんは止めてくれなかったんだよ?
ねえ、今が何時かわかる?もう、9時だよ?お兄ちゃん、朝から晩まで、理理のことを攻め立てたの。
どれだけ苦しかったかわかる?どれだけ痛かったかわかる?一番大好きで、一番信じていたひとに
裏切られ、穢されたの。その意味がわかる?」
「あ・・・あああ・・・あああああぁ・・・」
僕は泣いた。
聞こえてくる妹の声はどこまでも柔らかい。
「一杯――いっぱい“だして”くれたよね。理理のなかに。朝からずっと注がれ続けたんだもの。
きっと、妊娠しちゃうよね」
妹はそう云って下腹部を撫でる。
「ねえ、お兄ちゃん。なにか云う事はないの?」
「あ・・・・お、俺、は――」
がっくりと手を床につけた。
慟哭ばかりが胸の中を渦巻く。
「お、俺は、お前にどう償えば・・・・・」
「償う?」
妹は呟く。
「ねえ、お兄ちゃん、わかってる?“償い”なんて出来ないんだよ?お兄ちゃん、自分がどんなこと
したのかわかっているの?」
「う、あ・・・」
理理は再び僕を抱きしめる。
「私、もうお嫁にいけないんだよ?そういう身体にされたの。お兄ちゃんが奪ったのは、純潔だけじゃ
ない。理理の未来も!幸福な人生も!なにもかも!全部駄目にされたんだよ!?」
「あ・・・・」
絶望する。
涙で総てが真っ暗になった。
「ことり・・・理理っ・・・。ごめん・・・ごめんよ・・・・。あ、謝って済むことじゃないって、
わかってる。お、俺は、お、お前に・・・お前に・・・」
一番幸せになって欲しかった肉親の人生を、僕自身が破壊したんだ・・・・!
「ゆ、許してくれ・・・。お、俺は、どうしたらお前のことを癒せる・・・?なんでも、なんでも
する・・・。今すぐ死ねっていうなら、そうする・・・。だ、だから・・・・」
「癒す?」
理理は僕をじっと見つめる。
「そうだね。理理は傷ついたの。一生癒えない傷をつけられたの。だったら、お兄ちゃんは責任を
とってくれなきゃ。癒えることの無い私の傷を、永遠に傍で舐め続けなきゃいけないの。それが
贖罪。それが断罪だよ?私はもう、結婚することも出来ないんだから、お兄ちゃんがかわりに
ならなきゃいけないの。“永遠に”“私の傍で”罪を償うのよ?」
僕は頷いた。
それ以外の選択肢はなかった。
「ふふっ。じゃあお兄ちゃん、これ」
妹の白い小さな掌の上には、二つのリング。
総ての発端となった、あの指輪があった。
「これ、は・・・」
「云ったでしょう?“永遠を誓う”“約束”だって。なら、その証をつけないと」
理理はひとつ。
指輪を僕に手渡した。
「お兄ちゃんには理理が嵌めてあげる。だからお兄ちゃんも理理に嵌めて?」
悠然と微笑んで、左手を差し出した。
僕もそれにならう。それ以外に無い。
「汝、月ヶ瀬真理は月ヶ瀬理理を生涯の伴侶とし
良しにつけ悪しきにつけ
富めるときも貧しきときも
病めるときも健やかなるときも
死が二人を分かってもなお
愛し慈しみ
貞節をまもることを誓いますか?」
「・・・・・・・誓い、ます」
妹の指にリングを絡める。
「私も、誓います」
僕の指にリングが絡まる。
「これでお兄ちゃんは“私のもの”だね」
理理は笑って僕に口付ける。
僕はたぶん、泣いていた。
泣きながら、それを受け入れた。
こうして、僕と理理の間には『永遠の約束』が結ばれたのだった。
投下ここまでです。
上手く纏まれば次回。そうでなければ次々回で終了する予定です。
それにしても、朝から人多いですねw。
支援多謝です。
ではまた、いずれ
いやっほおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおう!!
最大級の賛辞をあなたに!!
よっしゃぁぁぁぁぁぁ!
眠いの我慢して支援した甲斐があったぜ!
GJGJGJっ!
理理の大バクチが決まった…のか?
そして聖理はどう出る…?
しかし創作とはいえオンナって怖いな
俺が喪男なのはある意味幸せなのかもしれん
本当に読ませる文章を書くのが上手いですね。
GJです
GJ!!
徹夜明けの頭に、気持ち良くキマッッタ
(゚∀゚≡゚∀゚)ヒャヒャ
ヒャッハァ!GJ!
兄が良識有る一般人なおかげで妹が更にキモいw
この時間帯にこれだけの奴らがヒャッハーしてたのかよwww俺もだがw
おまいらwktkしすぎだろ…
とりあえず作者様ナイス! コトリキモイヨコワイヨキモイヨ!
GGGGGGGGGGGJJJJJJJJJJJJJJJJJJJJJJJJJJJJJ
朝からテンションあがってきたぜww
こ、こわいよぉ きもいよぉ
でも萌えええええええええええええええええええええええ
こええええええええええw
そしてGJ!!!
721 :
名無しさん@ピンキー:2007/05/20(日) 10:16:14 ID:UTMxujwy
こ れ は す ご い
神GJ!!!!
こ れ は キ モ い
でもニヤニヤが止まらないのはどうしてなんだぜwwwwwwwww
GJすぎるwww
兄カワイソスだけど変われるものなら変わりたいwww
GJ!
コトリがキモすぎて、マコト争奪戦は
サトリに勝ってほしくなってきてしまった俺は異端。
なんて高レベルな策士同士の争い!!
し、しびれるじぇ
実はコトリの…!?
昼からパソの前でにやけてる俺は確実にキモイ…
GJ!!
うほ
実は一番の萌えキャラはコトリでもサトリでも無くお兄ちゃんだと思うんだが、どうよ?
禿同
あらゆる賛辞をこの一言に込める。
コトリきめぇw
なんかもうね…… 三人とも死ぬというバッドENDしか想像できない……
なにはともあれ、作者さん今回もGJでした
735 :
名無しさん@ピンキー:2007/05/20(日) 17:58:52 ID:qpWFisOQ
あひ〜ん
>>734 そんなキモウトに萌える君の背中を刺すようなキモ姉の視線が
>>732 お兄ちゃんが最低の屑に覚醒する可能性だってある
真理「俺さ、理理と愛し合ったなぁ」
真理「粉をかけられたらすぐによってきたんだ」
真理 「いやさぁ、妹なんて自制にしてたさ。がね、いやぁ味わい深かったって感動したぁ・・・お」
真理「ハッハッハ!怒れよ!」
真理「普通こういう話はキモがるんだぜ?怒るっていう事の意味は分かるよなぁ?聖理には俺を刺す事はできない!」
真理「なら理理に聞いてみなよ。情熱を秘めた肉体・・・」
真理「可哀想になぁ、生きてたって辛いだろう?楽にしてやるよ。
心配するな、聖理だってたっぷり可愛がってやる。俺、包容力ってのあるつもりだからさ」
こんな感じに
それくらいの根性あればこんなにヤキモキせんでいいのに
うはwwwwwwww
みwwwwなwwwwwぎwwwwwっwwwwてwwwwきwwwwたwwwwww
>>737 それどこのジョナサン
……というか、依衣子姉さんも立派なキモ姉だよなぁ。
×立派な
○最高の
>>742 ユウゥゥゥゥゥゥゥゥゥーーーーーーー!!!!!!
キモ姉とキモウト(弟)、電波彼女と非人類の四角関係>ブレンパワード
仮にバッドエンドで終わらせるのなら、
その後でいいからハッピーエンド,verも書いてほしい。
コトリとサトリに束縛されながらも3人でラヴラヴな話希望。
GJ!!!
DJ!!!
>>747 DEAD JOB?
あるいは
DANGEROUS JOB?
>>744 プレゼントを買ってきてくれなかったママが(ry
コトリ、サトリの話、途中までしか読んでないけど、GJ。
話の展開も文体もツボです。
無形氏がいれば、我らスレ住人は十年は萌えられる
God Job
>>744 わかんない人の為のブレンパワード講座。
→=関係有or好き
主人公の母
↑↓
主人公の元同僚
↓↑
キモ姉
↓
彼女←→主人公←元カノ
↑↓謎の電波女
>>753 姉さんとジョナサンは肉体関係があったのかは不鮮明なんだよな
小説では完全にブラフ扱いされちゃってるけど
歴史モノ、本編投下します。
神作品の後は結構つらいww
清治は城に居を構えずに叔父が昔利用していた屋敷を譲り受け、城下に住まうことを選んだ。
城においての仕事をこなす分には不便ではあるが、町の噂や商人からの他国からの情報を
集めることなど、大上ではなく、八神の性を名乗っている現状では便利となることが多いことが理由だ。
「清治様、お客人が尋ねてこられました。」
身の回りの世話をしている若い女中の声で、清治は仕事の手を止める。
こちらの知合いはまだ殆どおらず訪ねてこられる理由も判らず、怪訝な顔をしたが
誰とでも話をする主義の彼は女中に部屋に通すように伝えた。
部屋に入ってきたのは物堅そうな雰囲気に刀を持った、長い黒髪の男性用の袴を着た
年の頃二十前半の中背の中性的な──女性である。清治にとっては旧知の人物である。
その人物は清治の顔を見ると笑顔を見せた。
先ほどまでの雰囲気ががらりとかわり、憎めない悪がきといった印象に変る。
「久しいな、清治。元気なようで何よりだ。国への帰還を祝いに来た。ほら、酒だ。」
「芳野か。よくここが判ったな。」
「芳之助…だ。住職に聞いた。某はお主に借りを返しに来たのだ。」
中世的な人物の名前は、沖田芳之助──寺にいたころの客人で剣の腕で生活をする
剣客だった。この剣客は仇を討つための知恵を上人に借りにきたのだが、生憎不在で
あったため、清治と当時共に学んでいた女性が知恵を出して協力したのだ。
「あれは芳之助が自ら仇を討ったのだ。自分達はただ独り言をいっただけ…借りなど
作った覚えはない。そんなものはあいつにだけ返してくれ。」
「では、友人として───お主に仕えに来た。要するに護衛だな。清治は知恵は回るが
力はあるまい。腕に自信がある某は役に立つはずだ。」
二人は少し微笑んで酒を入れた杯を交わした。
「俸給はあまりだせないぞ。今は一介の八神清治なのだから。」
「生活ができればそれでいい。後はそう……体で払ってもらおうか。
浮気をするなとはいわない。そういうのは男の甲斐性だからな。」
にやりと笑うと芳之助は清治に口付け、彼も嫌がる風はなく受け入れる。
「それではここに居を移す準備をするので失礼する。ああ、あいつも後日ここに
伺うといっていた。よろしくとのことだ。」
寺を去ってからも芳之助と親交があるらしいあいつ───同門の女性を思い出し、清治は顔をしかめた。
芳之助が去った後、請け負った仕事を終わらせた清治は城に報告し、城内の
内部の状況を調べていた。
(明らかに無駄が多い…。使うより稼ぎを多くすれば問題はないが、それと
同時に無駄を省く作業を行っていかなければ…さて…)
「お兄様、何をなさっているのですか?」
「うおっ!ああ、これは舞姫様。少しお城を豊かにする方法を考えていたのです。」
急に声をかけられた清治は慌てながらも答える。舞姫はかわいらしく頬を膨らませ、
不服そうに言った。
「敬語はやめてくださいませ。兄上様に敬語を使っていただきたくはありません。」
「わかった、わかったよ。だけど、人がいる前では敬語使うからな。今は八神清治なんだから。
で、何の用だ?」
清治が問い返すと彼女はさらに不機嫌になり顔を上向けて目に涙をため、
頬を真っ赤にして怒った。
「何の用だ?じゃありません!何故城に居を構えてくださらなかったのですか。」
「一言で言うとだ…。そう…便利だからだ。国に仕える者の仕事は城の中だけではない。」
「だけどこれじゃ、兄上様に中々お会いできないではないですか。うぅ〜。」
「ごめんな。折角もう一度生きて会うことができたのに。だけど、今の自分は
国のみんなを守らなくてはいけないんだ。判ってくれるな?」
清治がそういうと、舞姫は不承不承ながらも頷く。
「兄上様は変られました。昔のように私だけを守ってくださるという
わけではないのですね…。でも約束してください。私にもなるべく会うように
して下さると……兄上様は私にとって本当に…大切な方なのです。」
その美しい顔を赤くして必死に自分のことを見上げる彼女の頭を撫で、微笑んだ。
「舞は変ってないな。綺麗になっても相変わらず甘えん坊だ。だけど…舞は
自分にとってもたった一人の大切な妹だ。その約束は忘れないでおくから。」
「はい!必ずですよ?」
彼女は満開の桜のような華やかな笑顔を浮かべ、再び歩き始めた清治の手を取った。
清治は暫く舞姫と共に城内を調べ、全てを確認したころには夕刻に差し迫っていた。
名残惜しそうな舞姫と別れ、居所に帰宅する。そこで清治は衝撃的なことを女中に
聞かされた。奥方様がご到着になりました。お部屋のほうにいらっしゃいます…と。
清治はまだ独身である。
(こんなことをするやつは一人しかいない。)
木の廊下をきしませて『奥方様』の待つ、部屋のほうへを急ぐ。そこには、
清治の予想通りの人物がいた。十代前半の身体つきに、行動の邪魔にならぬよう女性にしては
短めにした髪。切れ長の瞳が印象的で、年齢どおりの体がもし備わっていたならば
絶世の美女となれたかもしれない。だが、清治より二つ上にもかかわらず若く見えすぎる
その身体つきでは少年と間違われかねない。感情を表情に出さないお陰で不思議な雰囲気を
纏っており少年と間違われることは無いが。
彼女───二年間共に学んだ仲であり先穂之国の才女と呼ばれている女性…
先穂之国の重臣九条春尚の娘、雪は芳之助の持ち込んだ酒を上品な手つきで飲んでいた。
「久しいな。我が愛しき人よ。一年と半振りか。君と離れている間は無限の時のように感じたよ。
君が元気そうで何よりだ。」
「雪…後日に挨拶に来るんじゃなかったのか?それと奥方とは何だ。」
「我が君にすぐに会いに来ない道理があるまい。それは君を油断させるためだ。
謀とは裏をかくのだよ。君が不在の間に荷物も運びこんだ。奥方は……
まあ、近い将来の確定事項といったところか。」
雪は清治にほんの僅か微笑みかけて続けた。
「君をここへ呼び寄せたのは我だ。父に働きかけてな。」
「そうか…それについては感謝する。だが、急に奥方というのは…。」
「ああ、判っている。君は将来の国主。結婚に政治が絡むのは百も承知だ。
だから側室でもよい。我は君を好いているからな。父も君の様子を見に寺へ
行けといったときは頭がボケたかと思ったものだが、今では感謝しているよ。」
「当事者を置いて勝手に話をいろいろ進めないで欲しいんだが…」
「…ふふ…ちなみに芳之助とは我が二日で奴が一日で話し合いはついている。
我の目を盗んで他の女を抱いていたとは君も中々に獣だな。」
「何で知ってる…じゃないっ…だから勝手に決めるなって!」
清治は雪が苦手だった。決して嫌いではないのだがどうにも感情が真直ぐ
すぎるのだ。真直ぐに自分を好いているといいそこに微塵の嘘も無い。
知性が高いうえに勘も鋭く、嘘も通じない。そして…。
「まあ、どうにしろ我はもう君以外に嫁には行けないからな。貰ってもらうしかない。
お互い初めての相手同士だ。仲良くやろう。」
この弱みがあった。三年前、この真直ぐな気持ちに完敗し以来幾度となく身体を
重ねていた。責任を取れといわれれば反論できない。それに恩もあるし、愛情とは別に
共に学んだことからくる友情も感じている。
雪はいつの間にか同じように酒を飲んでいた清治の胡坐の上に座っている。そうしていると、
子供がじゃれているように見える。しなやかな指が清治の顎に触れる。
「そうそう──桜が何故あれほど綺麗に咲くか知っているか?桜は本来白いもの
なのだそうな。それが血を吸ってあのような色になる…。」
「桜の下には死体が埋まっている…か。急になんだ?」
「今年の桜はまだ白いということだ。」
「血を欲している…戦争が起きるのか?」
「ご名答。理解が早い。さすが我が生涯の伴侶。間者の報告と商人の情報、様々な
物の売れ筋、人の出入りなどを考えると十日というところであろう。相手は隣国の
日羽之国だ。先穂之国が一つと半分はいるほどの強国だ。」
雪は清治に完全に身体を預けながら淡々と戦と政治を語る。まるで、世間話のように…
男女の恋焦がれる会話のように。熱い目で清治を見つめながら。
「ここで、手柄を立てろということか。 兵力は負けているが、地の利はある。
侵入経路がわかれば勝てるな。雪のことだから全て用意してあるのだろう。」
「もちろん。さあ、楽しい会話はここまで…。一年半我慢してきたのだから
我は一瞬でも早く君が欲しいのだ。この長い時間分慰めてもらう程度の余裕はあるだろう。
さあ………っん…………」
日が落ち蝋燭の光だけとなった薄暗い部屋の中、二人の影は遅くまで動き続けた。
城内において舞姫は身分が釣り合う同性がいないため、話す相手もおらず
空を見ながら考えにふけることが多かった。
特に月が好きだった。日に移ろい、そして元の形に戻る───兄との関係も
そうなることを彼女は望んでいる。
幼い頃、自らを守ってくれた兄──そして別れ──国を守るために変ってしまった兄。
そう、兄は変ったと舞姫は思う。
自分が想像していたのは幼い優しい自分を守る兄の姿。
今の兄は武骨ではないが力強く男らしい、厳しさとそれでいて昔の優しさも
持ち合わせている。
想像上の兄と違ったことに、舞姫は残念だとは思わなかった。
違っていただけにかけ離れていた時間のせいで兄と思うことができずにいた。
───しかし、
話すと優しさを感じて安心した。
手を繋ぐと幸せに満たされた。
抱きしめられると胸が熱くなった。
兄のことを考えると心臓の鼓動が早くなった。
兄と再会してからその想いは膨れるばかりで、衰えることが無い。
兄ずっと一緒にいたい。離れたくない。身も心も一瞬たりとも離れずに…
これは、舞姫にとって初めて感じる気持ちだった。
燃えるような激情…冷やしてくれる夜風は心地よかった。
(そう…月の満ち欠けのようにきっといつか私だけを守る兄上に戻ってくださる…)
月明かりしか見えぬ暗闇の中、美しい顔を少し曇らせて目を瞑りその日が早く
訪れることを彼女は祈った。
今回はここまで。
ちょっぴりほろ苦いキモウト話を目指します。
>>754 原作者兼監督が別媒体とはいえブラフ扱いしてるんなら、アニメでも実はないんでしょ。
武闘派や素直クールやらが出てきて、これからみんな揃ってキモくなりつつ
国取り(国の建て直し)モノになるのかー。
オラ、ワクワクしてきたゾ。
>>ちょっぴりほろ苦いキモウト話を目指します
なんとなくキモウトが更正しそうなよかんが……。
女剣士とロリ妻もどきがやけに物分りよさそうだが
これからキモ化していくかどうか楽しみです
キモウトは既に十分キモいので安心w
エロなし投下します。
中間テストの結果も出た五月の終わり。
綾たちが高校に入学してからおよそ二ヶ月が経とうとしていた。
梅雨前線の動向が天気予報で伝えられるようになったこの頃だが、支倉家のあるこの地には、今のところ長雨の気配はない。
空は晴れ渡り、放課後学校の終わる時間ともなると、地平線に沈もうとする赤い夕日が見えている。
その夕日から溢れ出る橙赤の光に照らされた渡り廊下を、綾は卯月小夜子と一緒に歩いていた。
「ふう……結構重いわね」
呟く綾のその手には、何冊もの分厚い本を重ねて持っている。
よいしょ、と本を持ち直し、いつものように綺麗に頭の両脇で結んだ髪が揺れた。
「ごめんねー、手伝ってもらっちゃって」
「別にいいわよ。これくらい」
「でも、買い物の用事があったんでしょ?」
「タイムサービスの時間はもう少し後だから。時間つぶしが出来て丁度良かったわ」
そう言って笑う綾に、小夜子は胸をなでおろした。
中学三年の頃、同じ学校を目指していると知って声をかけてから、一年と少し。
それなりに付き合いの長い彼女は、綾が放課後帰るのが遅れると、やたら不機嫌になるのを知っていた。
先生からの呼び出し、級友からの誘い――どんなものであれ、少しでも時間をとられると綾は気分を悪くする。
表面に出すのは余程の場合だが、他の人が気付かない微細な変化を、いつしか小夜子は肌で感じるようになっていた。
(自分の場合はどうなのだろう?)
好奇心と不安を抱きながら、この日初めて、小夜子は綾に委員会の仕事を手伝ってくれと頼んだ。
「あー、いいわよ」
あっさりと綾は頼みを聞いてくれた。
そして、今こうして二人は並んで歩き、笑っている。
(やっぱり、私は親友ってことなのかな……?)
ちょっと誇らしげな気分に浸りながら、小夜子は隣を歩く綾を見た。
西日に照らされた横顔は、同性の小夜子が見てもドキリとするほど美しい。
級友の中には化粧をする者もいるが、そういったものとは一切縁のない、生まれたままの美しさだ。
細い眉に、薄桃の唇、顔立ちも体つきも繊細で、瞳には凛とした強い輝きが宿っている。
(我が友人ながら、綺麗よねえ……)
一瞬見とれてしまった小夜子に、綾の目が合った。
「ん? 何よ、そんなに見て。何かついてる?」
「あ、い、いや、別に何もついて無いわよ」
「ふーん?」
「……その……綾って綺麗だなあと思ってさ」
小夜子の言葉に綾は転びそうになり、持っていた本が二冊、三冊と廊下に落ちた。
「ちょ……! へ、変なこと言うから落としちゃったじゃない!」
「え? 今の私のせいになるの?」
「そうよ! あなたのせい!」
綾は持っていた本を一旦下ろし、廊下に落ちた本を拾う。
小夜子も本を下ろして手伝った。
「てっきり、綾はこういうこと言われ慣れてると思ったけど」
「女子から言われるなんて、そうそうあるわけないでしょ」
「うーん……こんなに綺麗なのにねえ」
「ま、まだ続けるか……!」
ぺたぺたと顔を触ってくる小夜子に、綾は思わず身をひいた。
「ねえ、綾は恋人とかっていないんだよね」
「いないけど……何よ、いきなり」
「いや、もてるだろうに、不思議だなって思って」
「まあ私の場合は、性格がよろしくないからね。男の人も、良く見てるってことなんじゃないの?」
「ふーん……それだけなのかな? 告白されたことって無いの?」
「……一体何なのよ。いきなりこんな話して」
「ふと気付いたのですよ」
コホンと小夜子は咳払いを一つした。
「思えば綾って、自分の話を全然してくれないなあと」
「は?」
「それって友達としてどうなのよってわけよ」
呆れたように、綾は息を吐いた。
「何も恋愛話をすることが友達の証ってわけじゃないでしょう」
「まあそうだけどさ」
「それに、私の身の上話なんて、聞いて面白いものでもないわよ」
ドン、と本を積み直して、この話は終わりとばかりに綾は立ち上がる。
ちょっと不満げな顔をしながら、小夜子もそれに続いて立ち上がり、二人はまた廊下を歩き出した。
と、その背中に声をかける者がいた。
「あの、支倉さん、ちょっといいかな?」
「はい?」
振り返るとそこには、同じ一年生の男子が立っていた。
「何か用?」
「二人きりで話したいことがあるんだけど……」
「ふーん……」
綾は腕の時計をちらりと見る。
「手短にお願いね」
それまでの会話とは打って変わって、冷たい声で言った。
夕食時、綾は台所に立って晩御飯の支度をし、すぐ隣の居間で陽一はテーブルについて、テレビを見ながら宿題を片付けていた。
二人がこの数年間ずっと繰り返してきた宵の光景である。
包丁がまな板を叩く音、テレビからの笑い声、鉛筆がノートの上を走る音。
それぞれが時に重なり、時に解れ、家の中に響いていた。
「機嫌悪いな」
ふと陽一は手を止めて、先ほどから具材を切り続けている綾に声をかけた。
「んー? 別に、悪くもないけど」
「嘘つけ」
「何で嘘になるのよ。別に悪くないって言ってるでしょ」
「まな板を叩く音がいつもより大きい」
「……」
数年繰り返していれば、些細な変化にも気付くようになる。
他にも鼻歌を歌っていない、そもそも雰囲気がやばいなど色々あったが、とにかく陽一は綾の様子がおかしいことに気がついていた。
「何かあったのか?」
「誰かさんが、ぜんっぜん買い物も料理もしてくれないからねー」
「いや、それはもう今更って感じだろ……」
「今更だからって許されると思ってるんだ」
「……て、手伝おうか?」
「不味くなるからやめて」
ぴしゃりと言って、また黙々と具材を切る。
話しかけるなと背中が語っていたが、いつもは綾の癇癪を恐れる陽一も、こんな時ばかりはと食い下がった。
「あのな、もし困ったこととかあったら話してみてくれよ。これでも兄貴なんだしさ」
「私に解決できないことがお兄ちゃんに解決できるとは思えないけど」
「できる限りのことはするよ」
「ふーん……」
ようやく綾は振り向いて、陽一の方を見た。
「そこまで言うからには、ちゃんと役に立つこと言いなさいよね」
綾はすっと息を吸った。
「告白された」
「え?」
「告白されたのよ。一年四組の藤城って人に」
「……そ、そうか」
「で、お兄ちゃん、人生の先輩として、何かアドバイスはある?」
予想外の内容に、陽一は困ってしまった。
よりにもよって恋愛とは、陽一の一番苦手とする分野である。
異性の友達は居ても、恋人がいた経験や、告白をしたりされたりといった経験は陽一にはなかった。
「え、えーと……」
たじろぐ陽一を、綾はじっと見つめてくる。
「どう? どうしたらいいとか、どうして欲しいとか、ある?」
「……綾はどうしたいんだ?」
「それを言う前に、お兄ちゃんの考えを聞きたいんだけど」
「いや、恋愛となると、一番大事なのは本人の意思だし……」
「私は今のお兄ちゃんの考えを聞きたいって言ってるのよ。付き合った方がいいと思う? それとも付き合わない方がいい?」
できる限りのことをする、と言ったからには、それなりの答えを出さなければならない。
陽一は考えに考えた。
「……藤城君がいい人なら付き合えばいいだろうし、そうでないなら付き合わないほうがいいだろうし……」
「ふーん……それだけ?」
「まあ、今のところは」
「へえー、それだけ」
綾は目を閉じ、額に手を当て、小さく呻いた。
「あれだ。話したことでちょっとは気が楽に……」
「なるわけないでしょ! この馬鹿!」
綾の感情にあわせるように、背後で鍋が噴き出す。
慌てて綾は料理に戻った。
「あちち……!」
「ごめん。やっぱり役に立てなくて」
「……まあ別にいいわ。どうせもう断ったし」
「え? 断ったの?」
驚く陽一を、綾は鼻で笑った。
「私がいちいちそんなことで迷うわけないでしょ」
「じゃあ、結局なんで機嫌が悪かったんだよ」
「それは……」
綾は拳をぐぐっと握り締め、悔しそうに唇を噛んだ。
「その男のくだらない話に時間をとられて、長岡精肉店のタイムサービスを逃しちゃったのよ……!」
「そ、そうか。まあ、気にするなよ。いつも十分にやりくりしてくれてるんだからさ」
コーンと、綾はおたまで鍋を鳴らした。
「ええ、ええ。気にしてないですとも。今は新しい怒りが上書きされたしね」
その日の夕食は相変わらず美味しかったが、少しだけ塩味がきつかった。
次の日の昼休み、綾はいつも通り小夜子と教室で昼食をとっていた。
「もったいない……」
「小夜子、それ今日何度目よ」
「だって……もったいない……」
小夜子は朝からずっと、休み時間の度に、「もったいない」を連呼していた。
「だってさ、藤城君、一年女子の間じゃ一番人気よ? 美形で何でもできるオールマイティー。それを振っちゃうなんて……」
「ふーん。すごい人だったのね」
「何が不満だったの?」
「んー……不満って言うか……」
もとより綾には選択肢は一つしかありえなかった。
「……私にも色々あるのよ」
「ん? ん? その辺詳しく聞きたいわね」
「はいはい。また今度、気が向いた時にね」
綾は笑って小夜子の追究をかわす。
小夜子はぶちぶちと文句を言いながら、綾と弁当のおかずの交換をした。
和やかな雰囲気で昼食は進んだが、しばらくすると来訪者があった。
「えーと、支倉さん、こんにちは」
「……こんにちは」
やってきたのは、購買のパンを持参した藤城だった。
「また何か用? 昨日返事はしたはずだけど」
綾は努めて表情を変えずに尋ねる。
小夜子は興味津々といった様子で二人を見た。
「うん、その、話がしたくて……」
「何の話よ?」
「色々と。友達からでいいから……仲良くなりたいんだ」
近くの席に腰を下ろし、藤城は持ってきたパンをかじりつつ、綾たちに話しかけた。
藤城は綾のクラスにも友人が多く、また女子も自然と集まり、綾と小夜子の机の周りはいつになくにぎやかになったが、綾は内心この上なくうんざりとしていた。
周囲の目がある手前、殴りつけるなんて論外だ。
何とか心を平静に保ち、綾は藤城の話に微笑みながら相槌を打った。
結局藤城は昼休み一杯まで綾たちのクラスで話して、満足気に帰っていった。
藤城が教室を出て、集まっていた面々が各々の席に散ると、綾はがくりとうなだれた。
「な、何なのあの人は……」
「積極的な人だね」
「どうして昨日の今日で来られるのよ。気まずくないのかしら。理解に苦しむわ」
「それだけ綾のことが好きなのよ」
綾は机に伏せて、深く息をついた。
「それこそわからない。どうして私なのよ」
「そりゃあ……綾は美人だし、なんていうか、同じ年の子たちに比べて芯の通った感じがするし。魅力的だと思うよ」
「芯の通った、ね……」
昼休みの終わりを告げる鐘が鳴る。
あと二つ授業を受ければ放課後だった。
「……あの人、放課後も来るかしら」
「一緒に帰ろうって言ってくると思うよ」
「……はっきり言わないとだめなのかしらね……」
綾は、机の上に流れた自分の髪を、ぼんやりと見た。
放課後、綾は家庭科室に一人立っていた。
窓の外には少し強く風が吹き、帰りの女子生徒がスカートを押さえる姿が見受けられる。
空気が動いたせいだろうか、夕日はいつにもまして赤く見え、教室を真っ赤に染め上げていた。
綾が窓の外の景色を眺めていると、背後で引き戸を開ける音がして、人が入ってくる気配がした。
「いらっしゃい」
振り返って、綾は笑う。
笑顔を向けた相手は藤城だった。
「支倉さん……」
「よかった。来てくれて」
「来るに決まってるじゃないか」
藤城は手に手紙を握って言う。
綾の出した、呼び出しの手紙だった。
「それで、話って? ひょっとして付き合う気になってくれたとか……?」
「ううん、逆よ。あなたに諦めてもらおうと思って」
「諦める?」
「もう話しかけたりしないでほしいのよ」
淡々と言う綾に、藤城は動揺して問いかけた。
「僕は……その……嫌われてしまったかな?」
「まあ、正直不快にはなったわね。それに、いつまでも騙しているのは申し訳ないし」
「騙すって……」
窓の外からは、部活にいそしむ生徒たちの声が時折聞こえてくる。
綾は、ほんの少しの沈黙の後、口を開いた。
「あのね、聞きたいんだけど、私のどこが好きなの?」
「え……どこって……」
藤城は照れたように頬をかいた。
「その……何ていうか、凛とした、他の人にはない雰囲気があって……強い感じがするし……」
「そういうタイプの人が好みなの?」
「ま、まあ、そういうことになるのかな」
「あのね、私、あなたが思っているような人間じゃないのよ」
綾はため息をついた。
「全然強くなんてないのよ。どうしようもなくわがままで、いつもぎりぎりの人間なの」
「……」
「普段考えてることと言ったら、自分のことばかりで、何かあるとすぐに腹を立ててるのよ。もう笑っちゃうくらい短気で、自己中心的なの」
「そうは見えないけど……」
「そう見えないように、適当にごまかしているのよ。それであなたも勘違いしちゃったんでしょうね」
藤城はにわかには信じられず、何とも言えない顔をしていた。
「というわけで、私は全然あなたの好みの女じゃないから。諦めてちょうだいな」
「……君がどんな人間であれ、それでも一緒に居られたら幸せだって言ったら、諦めないでもいいかな?」
「私はあなたと一緒にいても何も嬉しくはないからね」
「絶対……絶対後悔させないから!」
藤城は綾に歩み寄ると、その肩をがしりと掴み、叫んだ。
綾は冷たい目で藤城を見た。
「何言ってるの?」
「君を喜ばせてみせる。君を幸せにしてみせるよ」
「どこからそんな自信が湧いてくるの? 私の幸せが何だかわかって言ってるの?」
「それは……今はわからないけど……」
「それでも、そんな確信を持って言えちゃうのね。藤城君は、余程自分に自信があるのかしら」
挑発めいた綾の物言いに、綾の肩を握る藤城の手に力がこもった。
「自信とかじゃなくて、それだけ僕の気持ちが強いってわかってもらえないかな」
眉目秀麗な少年は、真っ直ぐに綾の瞳を見て熱く語りかける。
普通の女子生徒なら、その情熱にひょっとしたら胸を高鳴らせてしまったかもしれない。
しかし、綾の心中はただ乾いた風音が響くだけで、何の感慨も湧かなかった。
「あっはっはっは。粘るわねー。ストーキングも強姦も、色男がすれば犯罪じゃないっていうのは、少女漫画の中だけよ。藤城君、その辺わかってる?」
「そんなこと言わないでくれよ。本当に、君が好きなんだ」
「あなたは……人に拒絶されたことがないから、意地になってるだけだと思うんだけどね」
やれやれと、綾は笑った。
「穏便に済まそうと思ったけど、面倒になっちゃったわね」
「……」
「あのね、私が必要とするのは、私を支えてくれる人、私を全力で守ってくれる人、私を苦しみから救ってくれる人なの。あなたじゃないわ」
綾の言葉に、藤城はますます強く綾の肩を掴んで、ぎりぎりまで顔を寄せた。
「だから……僕はその支えになりたいんだよ!」
「あなたには無理よ」
「どうしてそんなことが言えるのさ!? 僕は……僕は、君のためなら何でもやってみせるよ!」
「そんなに言うなら試してみる?」
「え?」
「あなたに私が支えられるか、試してみる?」
肌が触れてしまうのではないかというほどの近さで顔をつき合わせ、二人とも互いの目を見る。
やがて藤城は静かに頷き、綾の目がにこりと笑った。
「……っ!」
腕に焼け付くような痛みを感じて、藤城は綾の肩から手を離した。
数歩下がって、自分の腕を見る。
左手の肘から手首にかけて、ワイシャツが切られ、その下の肌に赤い線が走っていた。
「え……?」
ぷつぷつと血が球になって溢れ出る。
呆然と綾を見ると、その右手には、鋭く光る小振りの包丁があった。
「あの……支倉さん?」
「例えばね、私の今の苦しみは、あなたを殺すことで解決できるって言ったら、あなたは喜んで死んでくれるかしら」
「え……?」
綾は一足飛びに藤城との間を詰め、握った包丁を振り抜く。
慌てて後ろに跳ねた藤城だが、体をかばうように上げた右の手の平が横一文字に浅く切れ、また血が滲んだ。
「あら、避けたわね。おとなしく死んでよ。私のためなら何でもできるんでしょ?」
「ちょ、ちょっと待って……意味が……」
「私を支えてくれるって言ったじゃない。私が安らかに過ごせるように、さっさと死んでよ」
銀色の刃がきらめく。
藤城はまた身をかわし、今度は包丁は空を切っただけだった。
体勢を整えて綾は藤城に歩み寄り、その分藤城もじりじりと後ろに下がる。
「ね、ねえ、冗談だよね、支倉さん」
「まさか」
藤城の背が壁に当たり、後退していた足が止まった。
「あ……」
「残念。もう逃げられないわね」
夕日を受けた刃が、赤い線となって一直線に藤城の首筋に向かう。
藤城は横に飛びのいてこれもかわしたが、身を起こすよりも早く、綾が藤城の体に飛び乗った。
「ぐっ……!」
仰向けに床に転がる藤城。
綾はその上に馬乗りになり、包丁を両手で握ると、高く頭上に振り上げた。
「ね、ねえ、支倉さん、本気なの? 本気で……」
「試してみたいって言ったのはあなただから」
「殺すって……犯罪なんだよ? 君も捕まるかもしれないし、やめた方が……」
「黙れ」
綾は包丁を振り下ろした。
「ひっ……!」
情けない声をあげ、藤城は上体を丸める。
包丁は、藤城の体を貫くことは無く、首のわずか右の床に、鈍い音を立てて刺さった。
息を切らし、がくがくと震える藤城を、綾は静かに見下ろした。
「……ほらね? 無理だったでしょう」
「う……」
「というわけで、諦めてお帰りください」
「……」
「帰れっつってんのよ」
藤城のみぞおちに綾のつま先がめり込んだ。
藤城は何度も咳き込み、目に涙を浮かべて、転がるように家庭科室を出て行った。
しん、と静まり返る教室。
綾はほっと息をついた。
「やれやれ。終わった終わった」
「行っちゃったね」
綾の背後、家庭科準備室の中から、小夜子がぴょこんと姿を現した。
「ええ。やたらしつこいわりに全然ダメだったわね」
「いや、仕方ないと思うけどねえ……」
苦笑しつつ、小夜子は床に刺さった包丁を引き抜く。
刃には微かにだが、藤城の血がついていた。
「うわ、こりゃ凄いね」
「……びっくりしたでしょ。私、こんな人間なのよ」
自嘲気味に笑って漏らす綾に、小夜子は少し考え込んで、
「……まあ、綾が変な人間だってのは、とっくの昔に知ってたし」
今更、という風に返した。
気が強く、芯の強い親友。
小夜子は、その親友の瞳の奥に不安定な情念が揺らめくのを感じることが時折あった。
だから、むしろ今回の発露で、妙に納得した感があったのだ。
「それより綾、どうするのよ。こんなことして。変な噂立っちゃうよ、多分」
「かまわないわよ。鬱陶しいのが来なくなるだろうし」
「ひょっとしたら問題になるかも。怪我させちゃったから」
「その時は犯されそうになったって言うわ。ま、大丈夫でしょう。あんな腰抜けに何かできるとも思えないし」
言って、おかしそうに綾は笑う。
つい先ほどまで刃物を振り回していた人間とは思えない、朗らかな笑顔である。
小夜子はほう、とため息をついた。
「それにしても、綾と付き合う男は、包丁で刺されてもおっけーじゃなきゃいけないのねえ。こりゃ難易度高いわ」
「あのね、断っておくけど、別に何でもかんでも刺したいわけじゃないわよ? ただ、私のために命をかけてくれる人じゃなきゃ、私は……安心できないから……」
「綾って意外とわがままだよね」
「だから自覚はしてるっての」
小夜子はうーむと腕を組んで考え込んだ。
「ちょっと理想が高いんじゃないかなあ……高校生で命を張るなんて、普通いないよ、そんな男」
「いるわよ」
「んん? はっきり言い切っちゃってるけど、今までそういう人に会ったことあるの?」
「会ったことがあるって言うか……」
綾は一瞬黙り込み、視線を床に落とす。
しばしの逡巡の後、口を開いた。
「……私の母親は、ちょっとよろしくない人でね」
「え?」
「小さい頃はひどい目に遭ったわ。色々と」
「ひどい目って……」
「包丁を突きつけられたこともあったわ」
「……」
「でもね、守ってくれる人がいたのよ」
陽一と綾の母、支倉澄は、美しい人だった。
ちょうど今の綾のような、瞳に宿る強い光と、儚げな微笑。
才色兼備の、良き妻、良き母だと、周囲の誰もが憧れの目で見る女性だった。
夫は仕事で留守がちだったが、支倉澄は一人で家を守り、周囲には包み込むような優しさで接した。
ただ一人、自分の娘、綾を除いて。
誰にでも優しい澄だったが、綾が生まれて成長するにつれて、次第に綾を疎んじるようになった。
初めは幼い綾の訴えを時折無視する程度だったが、次第にそれは酷くなっていった。
うっすらと笑みを浮かべながら、冷たい目で綾を見て、ことあるごとに暴力をふるった。
綾が笑うと、殴って泣かそうとする。
綾が泣くと、笑うようにと言ってまた殴る。
食事を食べさせず、部屋の中に閉じ込めることもあった。
綾は体のどこかにいつも青痣をつくり、体もやせっぽちで、家の中の限られたところしか歩かせてもらえず、決して外に出ることは許されなかった。
綾の幼年期の記憶は、母からの暴力と、ひもじさに壁にもたれかかり、何をするでもなく過ごした狭い部屋の光景が大半だった。
苦しみと痛みに満ちた、虐待の日々。
それが幼い綾の人生の全てだった。
父が仕事で居ない家で、澄の支配は絶対だったが、そんな中、陽一はことあるごとに妹の綾を守った。
兄としての義務感といったものが、まだ小さな陽一にあったかどうかは疑問である。
しかし陽一は一つ年下の妹が打たれていると、泣いて母にやめるように懇願し、綾の身を守るようにして綾を抱きしめた。
母に殴られてついた傷の手当てをしたのは陽一だった。
部屋に閉じ込められた綾に、密かに食事を差し入れたのも陽一だった。
ぐちゃぐちゃに形の崩れたおにぎりを持ってきて、ぼんやりと壁に寄りかかる綾に差し出し、
「ごめん。お兄ちゃん、こんなのしか作れなかった。ごめんな」
謝りながら、自分で腕を上げることもできない綾に、おにぎりを食べさせた。
綾は虚ろな目で、呼吸をする以外動きは無く、まるで人形のようだった。
咀嚼もうまく出来ず、口の端からぽろぽろとご飯をこぼす妹の姿に、陽一は涙を流さずにはいられなかった。
不恰好で塩の付き過ぎた、お世辞にも上手とは言えないおにぎりだったが、それが無かったら、綾は狭い部屋の中で死んでいたことだろう。
そして何より、そのおにぎりは、綾の心を救った。
もはや反応する気力も無く、お礼を言うことも出来なかったが、壊れかけた綾の心を繋ぎ止めたのは、他でもない、陽一の温かさだった。
澄は陽一に対しては、母が普通に子供に対するのと同様に、大いに可愛がった。
その息子が綾を守るのが気に食わないのか、陽一が綾をかばうと、その場は退いても、後でますます逆上して綾を打った。
結果として綾の体につく傷はより深刻なものになったが、幼い綾の心が陽一の存在でどれだけ救われたか、綾本人にすら計り知れない。
陽一は澄にどんなに怒鳴られても、脅されても、包丁を突きつけられても、綾を抱きしめてかばい、綾はともすればバラバラに砕けそうになる精神を、かろうじて保ったのである。
綾が小学校に上がる頃になると、澄からの虐待はますます重いものになり、ついにある日、それは起こった。
「ちょうど今みたいな、夕日の光が綺麗な時間だったわね」
目を細めて、赤く染まる西の空を見ながら、綾は言った。
「殺してやるって言われたわ。お母さんに。鬼のような形相でね」
小夜子はどう反応していいかわからない。
綾は感情のこもらない声で話を続けた。
「その時も、その人は逃げなかったの」
ぎらつく包丁が、綾の前に立つ陽一の肩越しに見えた。
「陽一、どきなさい……! その女……その女を殺さなきゃ……!」
澄は美しい顔を歪ませて、血走った目で綾を睨みながら、自分の娘を「その女」と呼びつけた。
包丁を握る手は震え、時折狂ったように頭を振って、長い黒髪を振り乱した。
「殺してやる! 殺さなきゃだめなのよ! だめなの! だからどきなさい!」
包丁を陽一の眼前に突き出して、澄は叫びをあげる。
陽一はビクリと体を震わせたが、それでも綾の前から動かなかった。
「陽一……どきなさい。どいて。どかないとあなたも殺すわよ」
「……嫌だよ」
「お願い、どいて。陽一はいい子でしょう? お母さんの味方でしょう?」
「……」
「陽一、包丁で刺されるとね、とっても痛いのよ。死んじゃうの。死ぬと、美味しいものも食べられなくなるし、お友達とも遊べなくなるのよ。そんなの嫌でしょう?」
母の問いに、陽一はこくりと頷く。
そして、はっきりと言った。
「痛いのも、死んじゃうのも嫌だよ……嫌だから、綾がそうなったら可哀想だよ……」
「……お兄ちゃん」
「それに……綾がいなくなるのは痛いのより嫌だよ」
陽一の言葉に、綾はぽろぽろと涙を零した。
数年間、澄に殴られるのが怖くて、綾はどんなことがあっても涙を見せなかった。
しかし、この時ばかりは、こらえることができなかった。
陽一の背にすがり付いて、綾は息を詰まらせて泣いた。
その姿を見た澄は、ますます声を荒らげた。
「陽一、どきなさい!」
「嫌だ」
「どけって言ってるでしょ!」
「嫌だよ」
「本当に刺すわよ!? 本当にあなたも殺すわよ!?」
陽一は決然と澄を見て、綾の前に立ったまま動こうとしなかった。
「あ……」
澄は喘ぐように口を動かし、
「あああああああああああああああああああああ!!!」
大声で叫びながら構えた包丁を前に突き出した。
――呻くような陽一の声。
呆然と腹を押さえ、陽一は床に尻餅をつくようにして倒れた。
「……お、お兄ちゃん?」
陽一の服が、みるみるうちに赤く染まっていく。
「お、お兄ちゃん……」
「おい、綾、泣くなよ」
「お兄ちゃ……わ、私……ご、ごめ……ごめんなさ……」
次々と涙が溢れて言葉が紡げずにいる綾に、陽一は苦しそうに顔を歪めながら微笑んだ。
「大丈夫だよ」
「で、でも……」
「兄ちゃん、綾の兄ちゃんなんだから、謝るなよ」
痛みに意識が朦朧とする中で、陽一は言葉を搾り出した。
「綾が痛くないなら、兄ちゃん平気だよ」
「お兄ちゃん……」
「兄ちゃん、綾の兄ちゃんだから、これぐらい大丈夫……」
声は抑揚無く、次第に小さくなっていく。
「お兄ちゃん……! お兄ちゃん!!」
綾の呼びかけに、陽一は小さく「大丈夫」と頷く。
刺された腹を押さえて座り込み、焦点の合わない目で宙を見ながら、「大丈夫、大丈夫」と呟いた。
カラン、と音がして、綾は母の方を見た。
澄は包丁を落として、床にへたり込んでしまっていた。
「あ……あ……私……何てこと……陽一……」
かすれた声で、澄は陽一の名前を呼んだ。
「ま、そのお母さんも、今は居ないけどね」
「居ないって……?」
「死んだのよ。自殺して」
そう、自殺ということになっている。
綾は窓の外を見たまま、決して小夜子の方を向こうとはしなかった。
鋭い友人に、表情を見られるのが怖かったから。
お兄ちゃん――
その瞬間、綾の頭の中で何かが爆ぜ、綾は床に転がった包丁を掴んでいた。
大切な大切な、たった一つの支え。
自分にとって世界の全てであり、何者にも代えられない存在。
それを害した女。
お兄ちゃんをよくも――
六歳の少女は、渾身の力を以って、床にへたり込む母の首に包丁を突き刺した。
鋭い切っ先は思いのほか簡単に柔らかな皮膚を突き破り、肉を裂き、血管を切った。
「あ……?」
呆然と、自分の首に刺さった包丁を見て、澄は奇声を上げた。
「ああぁぁああぁあああアアアァあァア」
慌てたように突き刺さった包丁の柄を掴み、引き抜く。
次の瞬間、水音とともに大量の赤い血が床を叩き、澄は静かに床に倒れ臥した。
目からは完全に光が失われ、血溜まりの中でぴくりとも動かない。
綾という少女が、初めて殺人を犯した瞬間であった。
一分もせずに警察官がやってきて、陽一は病院に搬送され、綾も保護された。
澄の叫びを聞いた近所の住民の通報によって駆けつけたものだった。
「支倉澄は心神耗弱状態で息子を刺し、その直後、自ら喉を切って自殺した」
陽一は意識が朦朧としていて前後の状況を覚えておらず、綾の説明と発見時の状況から、そういうことになった。
そう、支倉澄は、自殺したのである。
「……とまあ、つまらない身の上話終わり!」
綾はぱんと手を打って、話を終えた。
「ともかくも、私の理想の人は確かにいるわけよ」
「……綾」
「ん?」
「ごめん……無理に辛いこと思い出させちゃって」
小夜子は涙ぐんで謝る。
綾は軽く手を振った。
「いいから、そんな謝らないで。小夜子に話したくなったから話しただけで、本当に嫌なら絶対話さないし」
「本当……?」
「ホントよホント。当たり前でしょ」
二人は包丁をきちんと洗って家庭科準備室に返し、学校を出た。
「……つまりはさ、綾の理想の人って、陽一さんなわけだよね」
校門に至る道のりで、小夜子がぽつりと言った。
「は、はあ!? 何でそうなるのよ!」
「だって、陽一さんが守ってくれたって……」
「いや、そういう人が居たとは言ったけど、お兄ちゃんとは一言も言ってないでしょ!?」
「毎日家に居て守れる人っていったら、お父さんか陽一さんしかいないじゃない」
「ぐっ……!」
言葉に詰まる綾に、小夜子はくすりと笑った。
「隠すこと無いのに……」
「……お兄ちゃんには言わないでね。調子に乗るから」
「わかってるって。見つかるといいね。陽一さんみたいに、素敵な人」
「まあね」
返事をしながら、そんなことはあり得ないと、綾にはわかっていた。
(結局あの頃から、私は何も変わっていないのよね……)
陽一が世界の全て。
陽一が居なくなった時、陽一に想われなくなった時が、綾にとっての世界の終わりだ。
だから綾は、陽一を害するものは何であれ許さない。
自分と陽一の世界を壊そうとするものは、絶対にその存在を許さない。
(お兄ちゃん……)
あの頃のことは、陽一も綾もお互い口にすることは無く、のんきな兄のことだから忘れているのかもしれないとも、半ば本気で綾は思う。
しかし綾は忘れない。
血まみれで微笑んだ兄の顔を。
命をかけて自分を守ってくれた最愛の人の姿を。
「あ! 綾、そういえば……」
小夜子の声に、綾は我に返った。
「何よ」
「もし藤城君が包丁をかわせなかったら、どうするつもりだったの?」
「その時は、あなたに手伝ってもらってどこかに埋めたわ。いざって時には頼りにしてるからね、親友」
「……綾が言うと本気に聞こえるから怖いね」
二人は顔を向き合わせてクスクスと笑う。
親友という言葉が、小夜子には何とも嬉しかった。
キモウトに歴史あり。
流石躊躇なく人や兎を殺ってるだけはある…GJ!
綾が家に帰ると、居間には陽一が寝ていた。
疲れていたのだろう、寝転がってテレビを見ていたらそのまま眠ってしまったらしい。
綾はテレビを消して、寝ている兄の傍らにそっと座り、その顔に触れた。
家事は苦手だし、テスト前になると大慌てするし、痴漢には間違われるし、とにかく鈍い。
他の人から見たら情けないところのある人間なのかもしれない。
そんな陽一だが、これ以上ない優しさと勇気を持った人間なのだと、綾は知っている。
「お兄ちゃん……私、お兄ちゃんのためなら何でもできるからね」
語りかけながら綾は陽一の頬を撫ぜたが、陽一は静かに寝息を立て、反応しない。
「寝てる、か……」
確認するように言うと、綾は制服のままで、陽一に重なるようにして身を横たえ、陽一の胸に顔をうずめた。
「お兄ちゃん……」
呟いて綾が目を閉じたその直後、
「ん?」
陽一がむくりと起きて、綾は陽一の胸の上からずり落ち、床にごつんと頭をぶつけた。
「お前……何やってるんだ?」
「お、お、お兄ちゃん、起きてたの?」
「いや、何か重いなと思って、今さっき目が覚めたんだが……」
寝ぼけ眼で頭をかく。
「何してるんだよ、人の上に乗っかったりして……」
「あー、あれよ、その……えー……こ、転びました」
弱々しい声で言い訳する。
陽一は、あっさりとその言葉を信じた。
「そっか。気をつけろよな。もう子供じゃないんだから」
綾の頭に手を置き、よしよしと撫でる。
兄の温かい手の感触に、綾はちょこんと正座して、おとなしく身をゆだねるのであった。
今回の投下は以上です。
一話一殺を目指していたけれど、さすがにそうそう殺しはできんということで、今回は目標放棄しました。
(一応回想の中で殺してますが)
いつエロくなるかというとわからんけど、綾もそういうことに興味がないわけではないので、いつかエロくなるはずです。
それでは。
割り込みすまん。RTだった;
そしてあらためてGJ。
GJぇぇっ!!
ちょっと本気で創作意欲がわいた。
だけど目の前で溜まっている(持ち帰りの)仕事に涙した。
俺はくじけず……
エロを書こうと思う(仕事なんてないないない)
>>783 GOOOOD JOBです! 素晴らしい。
>>761 拙い妄想を形にして頂いて多謝。
人物が(多分)そろって、次からの修羅場への移行を楽しみにさせて頂きます。
で、SSが書き進まない傍ら思いついたネタ(プロット?)を懲りずに投下。
仮題:「兄を訪ねて三千光年」
あらすじ
ある日、妹は空からやって来た。
十五年前、当時まだ三歳だったオレを残して光の中に消えた親父。
奴はUFOに連れられて宇宙の遥か遠くの星で、異星人と子供こさえて戻って来やがった!
親父の子供。
つまりオレの妹。
『星人』と呼ばれる彼女は異星からオスを連れて来て子供を産む、女性のみの種族なんだとか。
そんな種族であるからには当然男が産まれるはずもなく、彼女達にとって兄や弟と言うのは凄く貴重な存在らしい。
で、通いなれた学校からの帰り道、いきなり上空に現れた未確認飛行物体。
三千光年の距離をワープでかっ飛び、未知の輝きをバックに地球へと降り立った異星人。
初めて会った我が妹は、開口一番こう言った。
「兄さん、私と結婚して下さいっ! さもないと母船で地球を滅ぼします!」
正直、たまげたね。
しかもだ。
男が存在しない『星人』にとって夫の共有は珍しくないとかで、
妹には親父とは別の男が母親とこさえた十二人の妹がいるらしい。
オレとは完全に血の繋がらない彼女たちだが、何でも妹とオレをくっつけてオレの義妹になろうと画策中だとか。
出会い頭に爆弾発言をくれた、母親以前に星が違う妹。
裏で何やら怪しい動きを見せる、十二人の義妹予備軍。
拝啓 親父
冗談ってレベルじゃねーぞ!
>>783 綾ああああああああああああ(´Д⊂
綾シリーズ最高!!!次の作品も涙流しながらwktkして待ってる!!
最後に渾身のGJ!!!
>>786 父親の星が違う12人の義モウトか・・・
体型とか、肌の色とか全部違うんだろうなぁ。
・触手がある
・きょにう、または、ちちが1ダース
・スライム、ガス状とか
など
>>786 なんかなぁ・・・それって別に兄のことが好きだから結婚してくれって言ったわけ
じゃないんだろ。ようするに誰でもいいってゆうかなんて言うか・・・
プロットだしいくらでも変えられる気がしないでもないが
母親も陽一に対してキモママだったのかな
(゚∀゚)ソレダ!
ママンも息子がとられちゃうと思ってたんだ!
>>793 陽一!!どいてそいつ殺せないッ!!ってやつか・・・綾には悪いがキモママに萌えてし
まった・・・
>>789 会いに来るその日まで妄想を膨らませていたとお考え下さい。
父親から(幼少時の)話を聞いて、とか。
まあ、どなたかが書いて下さるなら、改変も自由ですし。
>>783の◆5SPf/rHbiE 氏のように。
舞姫ちゃん最高、剣客と才女エロス
>>788 軟体っぽいぷるぷるお肌のスライム妹、などもですね。
まあお好みで何でもありでしょう。
書く方のさじ加減次第です
失礼。
上は
>>783ではなく、
>>761の名無し@ピンキー ◆x/Dvsm4nBI氏の間違いでした。
またVIPPER?
>>802 なんでもかんでもそれで済ますのはよくないと思うぞ
嫉妬スレから流れてきたんだろ
ついに嫉妬スレを壊滅状態に追い込んだ自作自演のつまんねーがキモ姉スレにまで来たか
そいつはIPを変えて自作自演したり、投稿している時に同じ作品をコピペして妨害したりします
*スルー推奨
彼が躍起になって自演をするのは、その分だけ良質ってことなのよー
まだまだ殺るべき泥棒猫がいそうだな…
藤城くんが一番キモイと思ったのは俺だけかな?
同性でもこんな奴いたらたぶん殴る一歩手前ですわ
要するにだな、言いたいことは
GJ
個人的には荒らしが出来ることは谷口のようにツインテールで女装するしかないような予感
まあ、このスレを立てた私にとっては思い通りかな・・
嫉妬スレやヤンデレスレで荒らしていたバカをここに誘い込むために
このスレを作った。ここが賑やかになれば、こっちに荒らす・・。
まさに荒らしは阿呆だと自ら証明してくれて嬉しい。
ただ、予想外だったのはキモ姉&キモウトスレに素晴らしい作品が
投下されたおかげで楽しみが増えたことだねw
>>812 すみか(でしたっけ?)を妨害していた彼ですか。
あそこの住人の方々は、やはりここと重複しているのですかね。
>>813 ご本人でしたらGJ、と。
えるしってるか
このスレには神がいる
そう言えば、あの作品妹いましたね。
>>813 ∩___∩ /)
| ノ ヽ ( i )))
/ ● ● | / /
| ( _●_) |ノ / こいつ最高にアホ、基地外
彡、 |∪| ,/
/__ ヽノ /´
(___) /
自作自演の荒らしちゃん。
私たちのスレをこれ以上荒らさないで。
そう…
そういう態度をとるのね。
でもね、キモ姉スレは私達スレ住人のものなの。
荒らしちゃんのような泥棒猫の入る隙間なんて1ミリもないの。
もうこれ以上近づかないで。
え?私もキモ姉スレを愛してる?
それはね。勘違い。幻想。
動物の本能と何もかわらないの。
私達だけがあの子をわかってあげられる。
愛してあげることができる。
だって生まれたときからずっと愛し続けているのだから…。
ふふ…諦めない?
そのときは泥棒猫の荒らしちゃん…貴女を全力でスルーしてあげる…。
容量的にそろそろ次スレかな。
立て方が判らないので判る方申し訳ないですが
よろしくお願いします。
そうだな、関係を深めすぎる前に距離を置かないと…
いつもみたいに前スレが嫉妬するからなぁ…
合流してもいいと思う
つか重複スレだし
>>783 一話一殺って、おまwwwww
だがGJ!!!
つーか、綾タンには幸せになってほしいのう。
陽一よ、早く気づいて人の道を説いてやってくれwwwww
>>818 嫉妬スレじゃねーからそのノリ止めてくれる?
>>783 アルェー 殺人未遂をキモがるはずが虐待話で同情してる自分ガイル…
>>817 自分の作品に対しての「面白くない」の感想は荒らし扱いすんの?
少しは意見を真摯に受け止めたほうがいいんじゃない
偉そうなこと言うからには真摯な態度で感想を述べろ
本当におもしろくないとか感じてる奴ははなから感想なんて書き込まんよ
つまらなく思うのは勝手だから読まなくていいよ
自分がつまらないと思うものを無理やり読むなんて自虐にも程がある
俺はめちゃくちゃ楽しく読ませてもらってるけど
あと感想と中傷は別ものだ
個人的にお前のは中傷にしか見えない
本当に感想が書きたいなら、誰からも荒らしだと思われない書き方にしたらいいよ
なぜスルー出来ない
かまってる奴も馬鹿だからだろ
荒らしを構っているようではこのスレも衰退するのが見えているな
正直に言おう、荒らしの自作自演の煽りにマジレスしている奴はアホだと
職人擁護のレスをまったくしないと、それも職人が消える原因になるから。それが狙いなんだろうが
いつまで引きずるつもりですかー?
いやっほぉぉぉぉぉぉぉぉう!
投下ラッシュきてたああああ!!!
>>761 嫁もどき可愛いよ嫁もどき
ここはキモ姉妹スレなのに肉親以外に萌えるとは、おにいちゃん失格だ。
でもツボった。ごめんよ、妹
>>783 綾きてたあああああああああああ!
GJGJGJGJGJ!
普段から壊れてて最高すぎる妹ですなw
なにげに大して動じてない友人が凄いと思う
一話一殺期待してますw
>>786 宇宙人か。この発想はなかったわw
真面目一辺倒な作品だけじゃなくてもいいわけだしな!
読んでみたいw
保管庫ももう更新されてる。管理人サマ乙です!
まとめに現行スレのリンクはって欲しい
12人もキャラを出したら死ねる気がするので
流石にその宇宙モノはパスw
姫様の続き投下。
翌日、清治は戦の対策を行うために芳之助を伴って城を訪れていた。日和之国と
先穂之国の間には平手川という川が走っているため、渡河のできる地点それぞれでの
戦術を叔父である国主である信輝に進言し、戦には自らも出陣する意思を伝えた。
準備を終え、今は二人で城内を歩く。
「それにしても、清治…昨日は随分お盛んだったようだな。少し匂うぞ。
今日は某なのだから体力は残しておいてくれよ。」
くっくっくといたずらっぽく笑いながらからかう様な声で芳之助は言う。
清治は戦に行く前に衰弱死するかもしれないと馬鹿なことを考えて苦笑しつつ、
「帰ったら既に部屋にいて後はなし崩しだった。昨日聞いたお前と雪の協定って
冗談じゃなかったんだな。あいつは嫉妬心とかないのか。」
芳之助は彼に呆れたような顔を向け、大げさに手振りなどを加えながら言った。
「そんなわけなかろう!雪はそんな冷めた女じゃない。某にはこう、ぼーっ!!と
燃えさかる雪の嫉妬の気が目に見えるぞ。今も二人でいることに我慢してるんだきっと。」
「ははっ、確かに目に見えそうだ。芳之助はそれでいいのか?」
「某のはただの本能だ。だが雪には悪いが、他の男はいやだしな。」
肩をすくめる大げさな身振りに清治が笑い、今度は芳之助が苦笑する。
そしてふと芳之助が真剣な目になる。
「そこに隠れておられるのは何方か。」
「ああ、芳之助。そのお方は妹……舞姫様だ。初めてお主を見るから
人見知りしてるのだろう。でておいで。舞にも紹介しよう。」
いつの間にか近くに来ていた舞姫に声をかける。彼女はとことこと小走りで
駆け寄って清治の腕を取った。軽く睨むように芳之助を見つめている。
芳之助は真昼の太陽のような暖かい眼差しでにこやかに笑い、頭を下げる。
「某は沖田芳之助。八神清治殿に仕えて護衛をしている。舞姫殿、
今後ともお見知りおきを。まー清治殿に近づく悪党は全て某が
一刀両断にするので安心してくだされ。
……っとですが八神殿であるうちは某の仕事もございません。舞姫様、清治殿を
よろしくお願いいたす。今日は城に泊り込むそうですので。」
「おいおい、芳之助!おまえ勝手に…」
詰め寄ろうとした清治に芳之助は指をまっすぐ突きつけて、
「人はいつ命を落とすか判らぬ。今日は妹姫殿に兄として付き合って差し上げよ。
某は友とゆっくり酒でも飲んで愚痴でも言い合うとしよう。」
「芳之助様…よろしくお願いします。それと…ありがとう。」
「よいよい。それでは。」
舞姫は清治の腕を掴みながら、表情を和らげて芳之助を見て微笑んだ。
それをみて芳之助は頷いて豪快に笑いながら去っていった。
二人になった後、彼らは城内を散歩しながら歩いていた。
肌寒い空気と雲ひとつ無い空の太陽が心地よさを生んでいる。
「不思議なお方ですね…。兄上様、あの方、女性…ですよね?」
「寺にいた頃に出来た友人だ。色々あって男として育てられたらしい。」
「もしかして、恋人…?」
その質問の際、舞姫は自分が想像以上に冷たい声を出していることに驚いていた。
だが、彼女の兄は気づかなかったらしく笑って答えた。
「違う、友人だ。信頼しているし友情もある、美しいとも思うが恋心は無いな。」
「そうですか…。」
気持ちが落ち着くのを感じ、安心感が胸に広がる。
「まだ日は高い。何かやってみたいことはないか?」
兄からの提案に舞姫は少々考え、
「兄上様と城外を…一度歩いてみたい。私は外を見たことがありません。
もし叶うなら…。兄上様と外を歩くのが私の夢でしたから。でも、無理ですよね。」
「それくらいならお安い御用だ。だが、その格好では無理だな。そのような着物では
すぐばれてしまう。女中に服を借りるとしよう。」
「え、いいのですか?兄上様にご迷惑が…」
「叔父上には一筆書いておくさ。たまにはよかろう。大事な妹のためだ。」
そう笑うと一度舞姫の頭をなで、女中の詰めているところへと去っていった。
「兄上様と外で…。」
彼女は自分が外にでることなどありえないと諦めていた。それを簡単に破った兄と
出歩ける緊張と嬉しさで頬を染め、落ち着かない気持ちで戻るのを待った。
「これが外…兄上様、賑やかで人がたくさんいますね。」
「ああ。商人だけでなく職人、芸人…様々な人が城下には住んでいる。」
清治は、舞姫に女中の服を着せ城下を散策していた。彼女は女中の服を着ていても
その物腰を損なうことは無く、その美貌は周りの視線を集めている。
はぐれないように手は清治にしがみつくように絡め、大通りをゆっくりと二人は歩く。
(ど、どうしよう。動悸が止まらない…。楽しい…嬉しい…)
「どうした?舞。大丈夫か?」
「えっ!あ、はい。色々珍しくてすごく楽しいです。兄上様ありがとうございます。」
「そうか、それはよかった。ついでに何か食べるか。城の食事は冷めてて美味くあるまい。」
「食事とはそのようなものでは?」
何もかも新鮮な物事を楽しみながら町を歩く。まともに会話する相手もいなかった
彼女にとって人生で最も楽しい時間のように思えていた。
浮かれつつ清治と歩き一軒の店に入る。いきつけの店のようであり店の主が気安く
挨拶してきた。
「よー!これは八神の旦那。今日もなんか食っていくかい?」
「ああ親父さん、二人分、熱い蕎麦をくれ。」
「にしても、旦那〜こんな別嬪な女中さん雇ってるなんて羨ましいね〜。いや、
こんな昼間から二人で腕組んでるってことは……旦那の恋人ですかい?」
「いや、彼女はいも…「恋人です!!」」
説明しようとした清治に被せる様に立ち上がって舞姫は叫んだ。次の瞬間、
羞恥で真っ赤になって座り込む。清治は困惑顔である。そんな彼に舞姫は上目遣いで、
「お、おい舞…。」
「い、いいのです。今日は一日兄上様と自由に過ごせと芳之助様もおっしゃってました。
私も一度物語りの様な…その…恋人のような一日を過ごしてみたいのです。だめですか?」
「わかったわかった。今回だけだからな。」
清治は呆れたように肩をすくめる。しばらくすると二人分の蕎麦が置かれ、
湯気を立てるそれを舞姫は興味深く見つめ、
「兄上様これはなんですか?」
「蕎麦だ。この麺を箸ですくって食べる。熱いから火傷しないようにゆっくりな。」
「あつっ!!!あ、でもこれはおいしゅうございますね。」
「城の料理も本来は温かいものだ。だが、叔父上や舞への料理は常に毒見役が
毒の有無を調べてから料理を出すからな。それであんな冷めた料理になるのだ。」
「私はあれが当然のことだと…ふふ…兄上様には知らぬことばかり教えていただいてますね。」
「寺に預けられたとはいえ、好き勝手に生きてきたからな。実は城の生活など性に合わぬ。」
蕎麦を食べながら関心と尊敬の念を込めて見つめられ、清治は苦笑した。
「─────いっそ、私と二人で逃げますか?」
「そうもいかん。皆が困るからな。まあ、人柱みたいなもんだ。」
彼女が半ば本気でいっていることを、目をそらして食べていた清治は気づくことはなかった。
その目が兄を見る目ではなく異性を見る目になっていることも。
そして夕刻、日が落ちる前に二人は城へと戻ることにした。影が伸び始めるのに合わせて、
店も徐々に閉まっていく。清治は一軒の装飾の店で足を止めた。
「舞、少し待っていろ。すぐに戻る。」
暫くして、戻ると優しく舞姫の頭に触れた。
「これは…櫛?」
「…今日は舞の恋人らしいからな。恋人は出かけた後は贈り物を贈るものだ。」
「ありがとうございます。兄上様…大事にします…。」
「お、おい。それくらいで泣くな。まったく…。」
静かに泣く舞を宥めながら二人は暮れる城下を歩いていった。
少し長くなりそうな予感がひしひしと;
プロットは出来ているのでどんな出来になろうと完投だけはします。
良いね、GJ
お前らモン・スールをどう思った?
>>840 GJです。
スレ住人に理想のキモウト像を聞けば、
十二人くらいはすぐにキャラ上がりそうですが。
ま、ネタ投下は提案であって執筆要求ではなく、書くにせよ改変自由なので無問題。
しかし、舞姫ちゃんがうぶ過ぎて萌え死ぬと言いますか、
その分他の二人がエロく見えるから困りもの。
彼は背後から刺殺されるのか、いつの日か腹上で死ぬのか。
しつこいようですがGJ!
>>どんな出来になろうと完投だけはします。
gdgdになるぐらいなら完結しなくてもいいわw
スレが違えばルート分岐すら可能な程キャラが出来てますね。
プロットも既に完成しているとの事で、安心して読みすすめられます。
これからも頑張ってください。
>>840 GJ! 徐々にキモウトがキモウトたる所が出てきたぁ。
そろそろ次スレか?
>>840 つまんね、つかお前自意識過剰の匂いがするNE☆
>>848 「僕はこのスレの神になる」みたいなやつかww
うん、荒らしは消えろ
煽りの方がうざいしw
スルー推奨
ID:K7n4fMnf
まあ、荒らしが来るのは注目されている証ということで。
荒らしも嫉妬しているのだと思えばこのスレ的には可愛く・・・無理か。
職人の方々は気になされませぬよう。
煽りね、うーん
>>856 キモ姉とキモウトが弟・兄の目を惹くアイツに嫉妬・・・と脳内補完を。
しかし、確かにスレ違いすいませんでした。
|\___/|
| .|
| Θ Θ | / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| .| < パペットマペット
∈AA∋ ∧∧ \_______
(゚‥゚ ) ( ゚Д゚)
∪∪|___⊃ ⊃
/|__.| |__|\
| | | | \_|
| ノ ノ \_|
\_ノ| |
朝。
「ん・・・んん、、んんんんんっ! ぐ────────ぶはぁっ!?」
オレこと水木 大地(みずき だいち)は酸欠で目が覚めた。
頭が回るより早く上体を起こし、布団を跳ね飛ばして呼吸する。
「きゃっ!?」
布団のついでに何かを腹の上からどかしたような気もするが、
今はそれより何より酸素が欲しい。
「はぁっ・・・はぁ・・・はぁ・・・はあ。っすぅぅぅうううう〜〜〜〜〜〜」
心臓がバクバクいってる。
おまけに全身汗だくで、酸素不足も手伝って思考がはっきりしない。
「はああぁぁ〜〜〜・・・」
しばらく短い間隔で呼吸を繰り返し、最後に深呼吸を一つして漸く落ち着いた。
朝の爽やかな空気の中で、汗の臭いと濡れた服が肌に張り付く感触がひどく不快に感じる。
随分と最悪な目覚めだ。
「ふみぃ・・・痛いよぅお兄ちゃーん」
横からの声に目をやると、
そこにはどうやら朝っぱらからオレにデンジャラスな一時をプレゼントしてくれたらしい物体Xが転がっていた。
ぺたんと床に尻餅をつき、両手を頭に当てて痛そうに涙を浮べている。
栗色のツインテールに、くりくりとした茶色の瞳。
学校の制服に包まれた体は子供の背伸びを疑いたくなるほど小さく、
落ちた時にめくれたらしいスカートからはいかにもガキ臭い下着の端が除いている。
水木 火風(ひかぜ)、オレの妹だ。
「痛いじゃねぇっ!
ったく、朝一番にオレを殺しかけやがって。
危うく別の意味で眠ってしまうところだったわ! ・・・うぅっ」
落ち着いたばかりか寝起きだからか、怒鳴ると気が遠くなる。
汗で濡れた額に手をやると、かなり冷たくなっていた。
「殺そうとなんてしてないよー。
ただお兄ちゃんがお寝坊さんで、お兄ちゃんが寝てる顔は可愛いからずっと見ていたいけどぉ、
でもでもこのままじゃ朝ご飯の時間がなくなっちゃうから仕方なく起こしただけだよー」
馬鹿にしたように甘ったるく間延びした声が怒りを助長してくれる。
文句の一つも言いたくなるが、頭が痛くなってくるので止めた。
「ったく。お前どんな起こし方したんだよ?」
しかし、起きた瞬間に酸欠で視界が遠くなっていたとは穏やかじゃない。
鼻と口を塞いで呼吸でも止めたのか。
それにしても加減をしろと言いたくなるが、
実年齢を二桁近く引き下げたようなぽけぽけぼけぼけの我が妹なら、
間違って息の根くらいは止めそうで恐ろしい。
実際に生死が関わったので、怒声の代わりに睨みつけてやる。
「それはねぇ? えへへー」
が、妹は堪えた様子もなく、そこだけは可愛らしく笑って見せた後ベッドへと上がってくる。
もどかしいトロさでのそのそやってからスプリングを軋ませると、
上目でオレを見詰めながらはにかんで見せた。
ちょいちょいとオレを手招いて、更に近寄ったオレの耳に口を寄せて囁く。
「べろちゅー」
ぱっと身を戻した我が妹は、出した舌をれろれろと動かして見せる。
オレが慌てて口元を拭った袖は、汗だけにしてはやけに濡れていた。
加えて、起き抜けにしては奇妙に湿った口内と喉。はっとして硬直する。
「でねー。今度はぁ、おはようのちゅー!」
そしてこんな時だけ機敏な妹は、いきなりで反応が遅れたオレの唇をあっさりと奪ってみせやがった。
そんな、休み明けの月曜日。
百年の眠りからも叩き起こされるような悪夢。
二度目の舌の侵入だけでも防いだのは、正直褒められてもいいと思う。
次回 水木さんちの朝御飯へ続く・・・?
・・・・・・しまった。
投下宣言を忘れてました。
容量限界近くで誰も見ていないのを祈りつつ、投下終了。
進まない筆休めに思いつきで書きましたが、
それだけに水木さんちの〜シリーズとして続けるかどうか。
そもそも、これがキモウトと言えるのかが問題。
ネタばかり投下してるわけにもいきませんが・・・。
>>861 おまえは某スレの妹尾兄妹を馬鹿にしたな?!
863 :
名無しさん@ピンキー:2007/05/22(火) 23:57:16 ID:GuGpCGKo
理理も聖理もキモカワイイんだけど、できれば理理との空白の一日の詳細がよみた(ry
まあ兄貴と理理がくっついたところで聖理は俺が頂きますね
>>862 どこかで見たような。嫉妬スレ・・・?
>>834 いつの間にか保管庫に現行スレへのリンクが。
管理人氏、仕事が早すぎますな。
これもまた一人の職人、これもまた一つのGJ。
投下ラッシュの中、宇宙人妹の初投下って名誉を頂きに参りました。
プロローグ的なものなので、軽め……な筈です。
では行きます。
この物語はフィクションである。地球はそう貫き通すのだろう。
俺には幼馴染みがいる。幼い頃に両親が居なくなった俺は、その幼馴染みの家に養われて育った。
見返りも無く俺を育ててくれたその家族には、感謝してもしきれない。
そんな感謝は今でも有る。有るからこそ、俺は遠い高校へ入学した。あの家族とずっと一緒にいれば、一生あの家のもう一人の息子として生活する事ができただろう。
幼馴染み以上で、兄弟未満で、そして親友。そんな代えがたい人物も存在した。
それでも……いや、だからこそ俺は離れる事を選んだのだ。人の良心で、俺の良心が擦り切れてしまうよりずっと良い。
そう結論付けた俺は、もしかしたら俺が思っている以上に卑怯な人間なのかもしれない。
人生に置いて大きな分岐点になる高校の選択。この時点では俺の思考の大多数を支配していた問題だった。
だが、そんな何処にでもある問題は何処にでも有るが故に結局は大した問題では無かったのだと、遠くない未来に思い知る事になる。
何故なら、高校を選ぶ理由となった家族の事を、ほとんど思い出さない時期が訪れるからだ。
例えば夜空を見上げて、居なくなった人の笑顔があの星の何処かに有ると思えば、全ての星が笑っているように見える。
味気の無い引用と改編だが、俺は割と気に入っている。ただ一つ気になるとすれば、星を見る度この事を思う俺は、あまりにも滑稽じゃないだろうか?
一人暮らしが始まって三年目。平凡で無い事を目指そうとも平凡を心掛けようとも平凡としかなれない事を悟る位には自分を知り、それでも未来を諦める気にもなれない俺は、平凡な成績を修め、帰宅部を平然とこなしていた。
淡々と進む日常に取り残された様な、どうでもいい寂しさ。
そんな感情を、半額のシール付きパックに入れられた暖かみの無い惣菜を手提げ、帰路で抱くのだ。
夕方にもなればしなければならないものも無く、自己の為に何かするにはやる気が足らず、暇を潰せる娯楽もなく、かと言って眠れるかと言えばそうでもない。
仕方なしに取った行動と言えば、広がる空を見たり、父親の唯一残した丸いペンダントを眺める程度の物だった。
モラトリアムという単語に格好が付いたのは、はていつの事だろう。少なくとも今この時、俺の状況は間違いようも無くモラトリアムだ。
だが、まぁアレだ。一時停止なんてのはやっぱり一時的な物でしか無い訳で、となれば当然再生する事態が起り得る訳で、俺の視界を、突如光が満たした。
兄は産まれた時は兄じゃ無かった。しかしそれを忘れないでいる兄は少ない。
目がくらむ……とかは、不思議と無かった。光しかない空間に俺はいた。
ついでに言えば、何で、とか、どうして、とかは、こんな状況への疑問では無く、目の前に現れた中年へと、熱量が有ったら貫いてしまいそうな程注がれていた。
「久しぶりだな」
知らない声だ。こんな顔の知り合いもいない。にも関わらず、俺が何も言えない程に胸が詰まるのは何故だろう。
「と言っても……最後に会ったのは三歳の頃だからな……覚えて無いのも仕方ない。それでも、俺はおまえを思わない事なんて一度も無かった。
……口にすると、安っぽいが……まあ事実だからしょうがない」
なんとなく、なんとなくなんだが、このオヤジは、俺の親父なのかもしれない。根拠も無く、照れ臭そうに名前を呼ばれた瞬間にそう思えた。
「実はな─────」
要約すると、今まで三千光年離れた星で新しい妻を見付けてよろしくやってて、腹違いの妹が一人此方に来るらしい。
一人っ子の俺としてはまぁ喜んでやろうじゃないか。
そしてその妹の父親違いの妹が12人いるんだとか。因みに妊娠してから出産までの速さが違うとか聞いたがこれは関係ないだろう。
「じゃあ、妹を頼んだぞ」
それだけ残して去ろうとする親父。言いたい事も聞きたい事も山ほど有るが、まぁ目を瞑ってやる。やろうと思えば、きっといつでも連絡は取れるんだから。
不意に光が弱くなって行く。きっと気付けば見慣れた場所に戻るんだろう。
「兄さん、私と結婚して下さい! さもないと地球を母船で滅ぼします!」
ほんとうにだいじなのはいつだってめにみえないもので、きょうだいのきずなは、なかでももっともとうといものだろう。
君は誰だ。
「片岡・エリ……かな? 一番日本語に近い発音だと」
そうじゃなくて……
「兄さんの妹ですよ? ……でも、お嫁さんでも有るの。キャッ」
……いやいやいや。冷静に考えろ俺。この俺と同じ苗字を持った女は妹らしい。それは良いだろう。
体付きは俺の三つ下の同年第日本人平均と大差無い……もとい大きく上回っている。
服は何か形容し難い程に前衛的だが許容範囲だ。大きい目もエメラルドみたいに淡く輝いている。
銀色の長い髪がクセもなく腰まで伸びてるのもまぁ良いだろう。
触手が生えてるとかクリスタルが埋まってるとかもなく、地球人となんら変わりがないみたいだ。で……
「それとも……星屑を増やしますか?」
オーケイ。ちょっと待ってくれ。もうちょっと考えよう。俺には生まれてからこの方彼女は居らず、今は好きな人もいない訳で、彼女の外見は好きな部類に入る。
普通なら喜んで踊り出したい気分だ。
とすれば何が問題かと言えば兄妹って事だろ。よし決定。無──
「……やっと兄さんの星で話せると思ったのに……残念だけど60億人程……」
他の同じもののようにしか見えなくても、妹にとっての兄は、どうしようも無く特別で、愛しさに繋がる。
そも、何故いきなり結婚なんだ。
「あの、ね。私の妹が、兄さんと義理の妹になりたいって言うから……」
……つまり、俺では無く兄が必要、と。
「? なんで?」
いや、だって話聞く限りじゃ君の兄が俺じゃない誰かだったとしても、結婚を迫ったんだろ?
「? 兄さんは兄さんしかいないのに?」
……まぁ良いや。気にしてもしょうがない。真っ直ぐに俺を見つめる視線を正面から受け続けるよりは、そこは妥協するのが正しいんだろう。多分。
気の無い相槌に何を思ったのか、彼女は語り始める。多分、俺を選んだ理由だろう。
「私、物心ついた頃には兄さんがいるって父さんから聞いてて、その時からずっと兄さんとお話したくて……」
親父から話を聞いた……って、三歳の頃までしか親父は俺を知らないだろ……俺もだけど。そう思った。けど、口には出さなかった。
「だから、今日は兄さんと話せて凄い嬉しい」
言って、嬉しそうに笑う妹を見てると、野暮な事は口に出さなくて良かったと、俺は思えた。
「いつも見てた通りだった。だぁい好きな兄さんを、私はずっと見てたの」
聞くと、親父の残したペンダントは、映像や音声を、漁師なんたらしてタイムラグなしで全世界の何処にでも発信できるものだった。
別れが悲しくなるのなら、仲良くなんてしなければ良かった。
妹でお嫁さんな私は、絶対に兄さんから別れませんがね。
俺は、今の今までを三千光年先へと送っていたペンダントを掌に乗せて眺めていた。
肌身離さず持っていたそれを疎ましく思うのは、初めての事だった。
「と言う訳で、兄さんの事なら何でも知っているのでそのつもりで」
どんなつもりだ。しかしここで余計な事を言おう物ならロクでもない事が起こるのは目に見えている……。ってか、兄妹での結婚は三千光年離れてたら良いのかよ。
「…………愛が有れば、多分何の問題も無いと思うんだけど」
愛なぞない。そして妹相手に愛が芽生える予定も無い。
「短い滞在期間だったね……行こう、兄さん。この星は時期になくなるよ」
勘弁してくれ……そう思って見上げた空には星が瞬いていて、その星全て、クソ親父が嘲笑っているかに思えた。
以上です。あと最低12話程続く筈ですが、どうなるかはサッパリです。
それでは義妹を12人程探して来ます。一人見付かるまで暫しの別れを。
一番槍マンGJ!!
wktk
うぼぁー!
もう490KBじゃないですか。
次スレまだですよね?
立ててきます
チャレンジャーな無形氏GJ!そしておつ。
一人一話形式か。なるほど。
>>874 何と言うチャレンジャー・・・。
設定もきっちり補強されていて一話一義妹が待ち遠し過ぎるGJ!
三千光年の彼方から盗撮・盗聴してた妹さりげにキモイGJ!
コテハンを名乗られては?
とにかく、乙にございます。
>>876 乙にございます。
スレ消費に一月半・・・出だしは好調ですね。
投下じゃないときはコテハンやめろって。
ねぇ、名無し兄さんは私のことは放り出して2スレ姉さんのところに行っちゃうの?
どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?
あんないきなり現れて、「名無しちゃん、お姉ちゃんと一緒に行こう?1スレちゃんは無視して」
なんてあつかましいことほざく脂肪から生まれたような奴に……………
許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す
大丈夫、お兄さんは弟じゃなくて私だけのお兄さんだから
ウフフフフ、ウフフフフウホッ
というわけで新スレ乙
キモオトだな
梅
松坂先生乙
埋めに俺の知る限りの姉を書きます。ここに無くておすすめの姉さんが居たら教えてくれ
千砂姉さん
依衣子姉さん
山本君のお姉さん
オウカ姉さま
雪代巴
これで限界だったorz
>>887 千砂は羊のうたか?
だとしたらお前さんとは心友になれる!!
つ[杉澤恵麻]
つ[カチュア]
つ[寧子]
そういや山田君のお姉さん3って、もう投下された?
誰それ
>>892 まだだよ
てかあれまだ続編でるんだなww
山田?
山本じゃなかったっけ
よく見たら間違えてるなw
山本でおk
早く続き出ないかな…山姉…
作者さんは何してんだろ?やっぱ忙しいのかな?
そもそもここに投下されないしな
899 :
名無しさん@ピンキー:2007/05/25(金) 20:55:18 ID:gBF5NLX1
ムシウタの薬屋千晴
900 :
名無しさん@ピンキー:2007/05/26(土) 12:28:18 ID:KCCM3fmt
ume
UMN
902 :
名無しさん@ピンキー:2007/05/26(土) 15:13:51 ID:6jI6XGD/
膿め
兄の子を産め
世界中の全ての姉は、弟のみを生涯愛し、弟の子種を宿し、そして弟との子を産め!
いや、産んで下さい!
これだけ書き込んでも、まだ産まらないものなのね、5KBって。
まったく
キモ姉キモウトスレは難産型だな
5000まで数字数えたら埋まるんじゃね?
おちつけ…こんなときは素数を数えるんだ
0
0は2で割り切れるぞ?w
2
ネタにマジレスするやつってなんなの?
5 * 1024 / 2 = 2560文字だったっけ?
ごめんね、お兄ちゃんごめんね。
私のお尻安産型じゃなくてごめんね。
今からでも安産型に矯正するから、私のこと見捨てないでね。
まだギリギリ成長期だし、ダメな場合は工具を使って成型するよ。
チェーンソーとか痛そうだけどお兄ちゃんの子供を産むためだもん、私がまんするよ。
だから遠慮しないで私を抱いて、沢山、たっくさん、たぁぁぁぁぁっくさん!私に注いでね。
お兄ちゃんのためなら5人でも10人でも、子宮がボロボロになるまで産んであげる。
ううん、私が産みたいの。だからね、お兄ちゃん…
今夜から、そこに転がっている人間の形をした冷たい肉じゃなく私を愛してね。
>>914GJ
夜毎あなたに似た子を宿すまで〜♪を思い出した
ところで最近嵐が出てるけど、どうしたらいいんかね?
つかスルー出来ないやつは何のつもり?頼むからシカトしてくれよ。
ほんと頼むからこれ見た人はスルー覚えて下さい…。
んでこれからはスルー出来ない奴もスルーして下さい。
嫉妬スレの二の舞はごめんだ…
キモ姉が泥棒猫をスルーするのはとても難しい…
青少年、心と体の電話相談室 ファイル070526917
−−はい、もしもし。こちら青少年心と体の電話相談室です。年齢と男女、それとニックネーム、お住まいの県名をお願いします。
「えと、たくや、17才、男、東京都です」
−−相談をどうぞ。
「……あの……実は……姉さんに……犯されてるんです。……毎晩です」
−−大丈夫なら続けてください。言いにくいことは言わなくて構いません。
「……その、初めは、朝に、あれが……起たなくなったんです」
−−あれ? あなたの性器のことですか?
「……はい、そうです。姉さんが離婚して戻ってくるまでは、その毎朝、起っていて、……オナニーもしてたんです」
−−構いません。あなたの年なら普通ですよ。
「はい。でも、姉さんが戻ってきてから、夜になるとやたら眠くなったんです。そしてなんか変な夢ばかりみるようになって」
−−続けて
「起きたら、腰が抜けるような感じがして。それが続くようになったです」
−−それでどうしました? 誰かに相談しましたか?
「はい。父に相談して、病院に行きました。検査もしたんですが、異常ありませんでした。精神科の先生はストレスのせいじゃないかって」
−−だけど納得いかなかった?
「はい。別に志望校には推薦でいけそうでしたし、ストレスと言われても思い当たるものがなくて。
精神科の先生は、姉さんが帰ってきて、環境が変わったことが無意識にあるんじゃないかっていったんです」
−−で、どうしたんです?
「出された薬をのむと余計に眠たくなったんで、飲まないようにしました。でも薬の効き方が、なんだか夜の眠たさと同じような感じがしたんです。
なんかすごくだるくなって、起きるときの引きずり方がそっくりな気がして」
−−でもそれまで薬を飲んだ記憶はなかった?
「はい。だから変な感じがして。……今までは夜に強かったんです。深夜番組とかみてたぐらいです。なのに夜に寝ても朝も眠くて。
薬を飲んだときの眠さに似てる感じがしたんです。それで食べているものに眠くなる成分があるのかなって思って」
−−調べてみた?
「インタネで調べたんですけど、あり得ないって言われて。それで毎日一品ずつ変えて残すようにしたんです」
ーー眠くならない時が出てきた?
「はい。味噌汁を飲まない時に、眠気が来ないんです。だけど……」
−−どうしました?
「その夜起きていると、姉さんが部屋に来て、コーヒーをくれたんで飲むとまた眠くなって」
−−変に思った?
「はい。それでよく見てみると、姉さんが味噌汁を作っていて……」
−−それで?
「姉さんが作ったものを口に入れないようにして、そして布団で寝たふりをしてたんです。
そしたら、姉さんがやってきて、パジャマの下を脱がして、トランクスも脱がして」
−−お姉さんに抵抗したんですか?
「はい。起きて、騒いだら、首にすごい衝撃が来て。あれ、スタンガンです。
そして、次に気がついたら、縛られてました。そして姉さんが僕の上に乗っていて」
−−お姉さんは何か言っていましたか?
「僕が忘れられなかったって。次に騒いだら父さんや母さんに犯されたって言うって」
−−詳しく話せますか?
「姉さんは昔も寝ていた僕にいたずらをしていたそうです。……理由は、僕の事が好きだから、らしいです」
−−たくやクンのことをお姉さんが好きだと?
「はい。姉さんはとても優しくて喧嘩もしたことがなかったんです。……僕から見ても美人だと思います。
ただ、姉さんはやたらと僕にくっついてきたり、結婚前でも一緒にお風呂に入ったりして、今から思えば少し変でした。
それと僕が女友達を連れてくると、後ですごく泣いていて。その時は全然理由がわからなかったんですけど」
−−でも確かお姉さんは結婚されてましたよね
「はい。母さんが渋る姉を無理矢理説き伏せて結婚させたそうです。……その時はなんでそんな強引な事をするんだろうって思ってました。
でも今から考えると、母さんはひょっとしたら姉さんの変さに気がついてたのかもしれません。
結婚前に、僕とくっついている姉をよく叱ってましたから」
−−話を戻しますが、お姉さんに脅されてどうしましたか?
「姉さんは笑いながら、今の行為をカメラにとっているっていいました。そして誰かに話したら、インタネでばらまくって。
そして、どうせ僕といられないのなら、父さんも母さんも僕も、破滅においやるって。
ものすごく怖い目をしているのに、そのくせ僕を愛してるって何回も言うんです」
−−つらければもういいですよ
「いえ、大丈夫です。姉さんは僕さえ黙れば、いつでもSEXをさせてやるって言うんです。中に出しても良いって。
その代わり恋人を作ったら、父さんと母さんに、ばらすって。毎日犯されて子供まで出来ているって言うって」
−−それで誰にも言わなかった?
「言えるわけないです。姉さんが離婚して、母さん落ち込んでますし、父さんも本社に残れるかの瀬戸際みたいですから」
−−関係はまだ続いている?
「父さんも母さんも味噌汁飲んで寝てますから。姉さんはすごく幸せそうに笑いながら、僕を舐めるんです
でも、……僕、告白された人がいて、もう姉さんとこんな関係やめた……」
−−どうしました? もしもし? 答えてください! もしもし!
「……そう、泥棒猫……」「姉さん! もういやなんだ!」「もう逃げられないのに、馬鹿なタクヤ……」
ガシャン、ツーツーツー。
本日未明、板橋区の三村さん宅から原因不明の出火があり、住宅一棟を全焼し、焼け跡から三村省吾さん48才、
妻の里江さん45才、長女、利香さん21才長男卓也さん17才の家族全員の焼死体が発見されました。
なお長男卓也さんは生前何者かに胸を刺された形跡があり、警視庁では殺人と放火事件とみて捜査に当たっています。
では次のニュースです。