嫉妬・三角関係・修羅場系総合SSスレ その33

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1名無しさん@ピンキー
浅いものはツンツンしたり、みたいな可愛いラブコメチックなヤキモチから
深いものは好きな人を独占して寵愛する為に周囲の邪魔者を抹殺する、
みたいなハードな修羅場まで、
醜くも美しい嫉妬を描いた修羅場のあるSSを扱うスレです。

■前スレ
嫉妬・三角関係・修羅場系総合SSスレ その32
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1174106977/

■まとめサイト
2ch 「嫉妬・三角関係・修羅場統合スレ」まとめサイト
http://dorobouneko.web.fc2.com/index.html
2名無しさん@ピンキー:2007/03/28(水) 23:47:19 ID:RxmH2HFS
■関連スレ
嫉妬・三角関係・修羅場統合スレ 第17章
http://idol.bbspink.com/test/read.cgi/hgame/1169657507/
■姉妹スレ
嫉妬・三角関係・修羅場統合スレinラ板 その2
http://book4.2ch.net/test/read.cgi/magazin/1172035731/
嫉妬・三角関係・修羅場統合スレin角煮板2nd
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/ascii2d/1167959218/
誘導用
【モテモテ】ハーレムな小説を書くスレ【エロエロ】7P
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1168178299/
ヤンデレの小説を書こう!Part4
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1172332198/
ほのぼの純愛 9スレ目
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1171372657/
●●寝取り・寝取られ総合スレ4●●
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1164867401/
3名無しさん@ピンキー:2007/03/28(水) 23:48:03 ID:RxmH2HFS
SSスレのお約束
・指摘するなら誤字脱字
・展開に口出しするな
・嫌いな作品なら見るな。飛ばせ
・荒らしはスルー
・職人さんが投下しづらい空気はやめよう
・指摘してほしい職人さんは事前に書いてね
・過剰なクレクレは考え物
・作品に対する評価を書きたいなら、スレ上ではなくこちら(ttp://yuukiremix.s33.xrea.com/chirashi/)へどうぞ
スレは作品を評価する場ではありません
4名無しさん@ピンキー:2007/03/28(水) 23:53:54 ID:6QF4FaO9
>>1
乙!
5名無しさん@ピンキー:2007/03/28(水) 23:59:26 ID:ze8whDje
>>3
更新
〇SSスレの使用法
・作品投稿
・作品感想・誤字等の指摘
・ネタ・プロットの投稿
・アイデア・プロットの組み上げ

〇SSスレのお約束
読者諸兄へ
・作品や保管庫更新の過剰な催促はダメ
・職人さんが投下しづらい空気にするのはやめよう
・つまらないと思う作品はスルー、展開は見守りましょう
・作品批判や各個人への中傷は禁止
・作品に対する個人的な評価は、このスレでは不要です。評価・批判を書くなら
こちら(ttp://yuukiremix.s33.xrea.com/chirashi/)へどうぞ

作者さんへ
・長編はトリップ使用を
・投稿の前後には「投稿します」「投稿終わり」の一言を(割り込み防止)
・作品に対して、何も指摘してほしくないときは事前に書いてね
・嫉妬・三角関係・修羅場系の範囲内で、人を選ぶような展開になりそうな場合は
最初に宣言するのを推奨(グロ、スカ、調教、NTRなど)

〇その他お約束
・sage進行でお願いします
・次スレは450KBの時点で立てよう(番号の付け方は立てる人の自由)
6名無しさん@ピンキー:2007/03/29(木) 00:02:40 ID:uBJQTFNu
>>1
乙カレー
900行ってたし>>950ぐらいが立てても良かったかもね
7名無しさん@ピンキー:2007/03/29(木) 00:03:32 ID:ccjIKQbq
>>1に乙して良いのは私だけなんだからぁ!!

あと誰か削除依頼スレのURL張ってくれまいか。
8名無しさん@ピンキー:2007/03/29(木) 00:05:41 ID:oAF6hJTF
eroparo:エロパロ[レス削除]
http://sakura02.bbspink.com/test/read.cgi/housekeeping/1157053553/

前スレ>>231は貼らなくていいの??
9雨の音  ◆tTXEpFaQTE :2007/03/29(木) 01:54:16 ID:beFIoH9G
投下しますね。
10雨の音  ◆tTXEpFaQTE :2007/03/29(木) 01:55:47 ID:beFIoH9G
雨の音   第8回


ゼッ、ゼッ、と苦しげな呼吸をしながら響はまどろんでいた。
体の表面は熱いのに、芯の方は冷えた感じがする。
全身がだるい。
頭がぼんやりする。

そのまま、まぶたが重くなり始めた時、頭にひんやりとした物が
乗せられた。
その心地良さに、意識が戻ってくる。
目を開けると、清華が心配そうな顔で覗き込んでいた。

「さ、やか、さ、ん…?」
響がよびかけると、
「ヒビ君!?よかった、気がついたの?
 …ああ、良かったあ」

ぐすん、と鼻を鳴らし涙を拭う清華。
「そうだ、ヒビ君、お腹は空いてない?
 何か食べない?
 モモ缶?おかゆ?オートミールは?果物もあるよ?」
清華が色々と進めてくれるが、正直、食欲は全く無い。

「でもでも、何かおなかに入れとかないと、治りが遅いよ?
 …せめて、オレンジジュースだけでも飲んでよ、ね?」
響が、それ位なら何とか、と思い頷くと清華は響を抱き起こし、
オレンジジュースを入れたコップを渡してくれた。
が、今の響にはコップを持つことさえ億劫だった。

コップを口元まで運んでも、響は飲もうとしない。
「ほら、しんどいのは解るけど、頑張って!」
声をかけても響は、うー、だとか、あー、といった返事しかしない。

溜息をつき、清華は響からコップを取り、もう一度横にならせた。
そして、
(この子、ファーストキスは済ませてるかしら?)
そんな事を思いながら、オレンジジュースを口に含み、
響の唇に自分の唇を近づけていった。

11雨の音  ◆tTXEpFaQTE :2007/03/29(木) 01:57:21 ID:beFIoH9G
「風邪?ヒビキが?」
響が風邪で寝込んでしまった事を、シヲンは自分の専属のメイドから聞かされた。
「ええ、なんでも、昨日の雨に当たられてしまったようで、熱が引かなくなって
 しまわれたそうです。
 昨日からずっと清華が付きっ切りでいますが、一向に良くなってくれなくて…」
メイドが自分の髪を梳かしながら話し続けるのを無視し、シヲンは爪を噛んだ。
爪を噛む癖が、行儀が悪いと叱るメイドの声が聞こえたが、それも無視する。

…ふん、やっぱりあの子、バカだったみたいね。
あんな雨の中、ずっと庭に出てたら当然風邪もひくわよ。
あんな指輪一つ、どうして必死になって探す価値があるもんか。
バカの報いよ。
そのままこじらせて死ねばいいのに。
死ねばいいのに。
そうすれば、このイライラも治まるのかしら。

シヲンは、響が来てから湧き上がるようになった、このイライラが嫌いだった。
このイライラは、これまで彼女が経験した事のない不快感だった。
妙に粘度があり、ズグズグになった傷口のように、彼女を苦しめた。

しかも、ただの怒りの感情のように、発散させれば治まるものでもなかった。
いくら、このイライラの発生源の響を痛めつけ、一時的にスッキリしても、
何かあれば、すぐに彼女の心を侵食してくるのだ。
響をたたく以外に、もっと根源的な解決法があるような気がするのだが、
それが何なのかは解らなかった。

とにかく、シヲンはそのイライラを発生させる響のことが、嫌いだった。

―――嫌いなのに、
「お、お嬢様!
 まだ御髪、梳き終えてません!」
「もういい、後にして」
頭の左だけにリボンをつけ、もう半分はまだ何もされてない中途半端の
状態のまま、シヲンは部屋から出て行った。
向かうのは、響の部屋。

イソウロウの癖して、屋敷の皆に心配かけるなんて、ホント、迷惑なヤツ。
ここじゃ皆、あいつがお客さんだからって遠慮してるからダメなんだ。
ここで、少しオシオキが必要ね。
風邪ひいてようが無かろうが関係あるもんか。
いたぶって、叩いて、引っ掻いて。
そう考えると、口端が少し吊り上るのがわかった。

12雨の音  ◆tTXEpFaQTE :2007/03/29(木) 01:59:07 ID:beFIoH9G
「ヒビキっ!!!」
どうやって響を痛めつけようか、と考えながら勢い良く響の部屋のドアをあけ、
部屋の中を見やる。
幸い、清華の姿は見当たらなかった。

響のベッドに近づき、手を振りかざす。
何処を叩いてやろうかしら?
顔?
おなか?
手?足?

決めた。顔。決定。
勢い良く手を振り下ろす。

つもりだった。
しかしシヲンの腕は途中で止まっていた。
何故止めてしまったのか、自分でも解らなかった。

「…反応しないんじゃ詰まんないわね」
シヲンは響のベットに腰掛け、寝ている響の顔を覗き込んだ。
汗で髪が瞼に張り付き、鬱陶しそうだ。
何で私が、と毒づきながら、髪を払ってやった。
そのまま、シヲンは何となく髪を撫で続けた。

飽きることなく、響の顔を見つめ続けた。
13雨の音  ◆tTXEpFaQTE :2007/03/29(木) 02:01:40 ID:beFIoH9G
投下終了。
赤色の続きはこの話が終わってから書かせてもらいます。
しばらくはこっちの話にお付き合いください。
14名無しさん@ピンキー:2007/03/29(木) 02:36:30 ID:wb2t1I3u
GJ!!!
作者乙、次回にwktkしてる
この作品一番好きだww
15名無しさん@ピンキー:2007/03/29(木) 02:37:29 ID:wb2t1I3u
上げちまった
下げるわ
16名無しさん@ピンキー:2007/03/29(木) 11:35:44 ID:5vQQn4Df
>>13
投下乙、響君が良い子で好感持てます
これからシヲンがヤンデレになっていく様にwktkです
17名無しさん@ピンキー:2007/03/29(木) 14:13:10 ID:ZQj2V37c
清華が口移ししてるところにシオンが入ってきて
SYURABAになるものとばかり・・・・
18名無しさん@ピンキー:2007/03/29(木) 18:27:51 ID:+XSqTc5q
何も言うまい
19名無しさん@ピンキー:2007/03/29(木) 19:35:11 ID:CVwZk+hW
>>1

20名無しさん@ピンキー:2007/03/29(木) 19:41:52 ID:Imu9GcfL
>>13
GJ!
21名無しさん@ピンキー:2007/03/29(木) 19:42:18 ID:XWv2JCHr
前スレが荒らしに埋められた・・これは絶対に許せない横暴なやり方だね
22名無しさん@ピンキー:2007/03/29(木) 19:54:52 ID:T6ceI0PE
僕はわかっていたんだ・・

荒らしがバカでマヌケでマザコンだということに!!
今、現在で荒らしているのはニートの赤いパパだろうね

だって、ニートは暇な時間があるからついつい嫉妬スレを荒らしている時間ができてしまうしwww
23名無しさん@ピンキー:2007/03/29(木) 19:57:22 ID:nCQyjrys
荒らし乙

一体、どこまで荒らせば気が済むんだ? お前たちは
24名無しさん@ピンキー:2007/03/29(木) 19:58:10 ID:G4/b+7CT
もういいやこんなスレもう要らない
25名無しさん@ピンキー:2007/03/29(木) 19:59:25 ID:wGFgiU0z
ついに終焉がやって参りました
26名無しさん@ピンキー:2007/03/29(木) 20:01:30 ID:wQYbsROM
多分彼らが気が済むことはまずないと思うよ
期待できるのは彼らがこんなつまらない自己満足とは比べものにならないような娯楽を見つけるか、そもそもこんなことやってられないほど忙しくなるか

多分どっちも彼らには有り得ないだろうからより絶望的
27名無しさん@ピンキー:2007/03/29(木) 20:01:32 ID:wGFgiU0z
ホント住人のレベル下がったな、これは荒らしも出るわけだ
何処が荒らしだよ、これぐらい別にいいじゃないかって言っただけだろ
それで有無も言わさず荒らし扱い、ふざけるなよ
あぁ、なるほど荒らし荒らしわめいてる奴が荒らしなのか
だとしたらそれに憤ってこう反応してる俺はバカを見ただけだったな
28名無しさん@ピンキー:2007/03/29(木) 20:06:27 ID:SqMOlntF
前スレでコピペしてたのは春厨か?
29名無しさん@ピンキー:2007/03/29(木) 20:07:13 ID:vD1dZsFJ
>>13
GJ!!シヲンの可愛さはヤヴァイですなwww
これでもう一人の女の子が出てくる時が今から楽しみw
赤色も今からwktkして待ってます
30名無しさん@ピンキー:2007/03/29(木) 20:20:29 ID:+P+K16ef
ふらりと立ち寄ってみたけど、随分と荒らされてるスレだな
俺が以前いたスレも、荒らしにめちゃくちゃにされた事があって、
こいつは許せないってんで住人が運営に通報したんだけど、ここもそうすれば?
すげーのな、誰がどのカキコしたとか、そいつの所在地とかまで判明しちゃうの
31名無しさん@ピンキー:2007/03/29(木) 20:27:08 ID:udk5H7Kx
450KBが過ぎ去ると埋めネタや住人が考えたプロットとかで埋めるのが暗黙の了解になっていたが
春厨のおかげでそれすらもできない状況だ・・。全く、埋めネタを考えるのが俺の唯一の楽しみなのに

誰だよ無意味に埋めたのは?
32名無しさん@ピンキー:2007/03/29(木) 20:48:38 ID:gkmuSCtJ
>>30
良ければそのときのやり方とか教えてくれないか?
削除依頼だけじゃおっつかん。
33名無しさん@ピンキー:2007/03/29(木) 20:55:18 ID:cAdauQss
削除依頼とかは逆に刺激するだけだろ
なんとかなるなら荒らしに潰されるスレなんか無い
ここはスルーするのがスレ住人の基準だよ
34名無しさん@ピンキー:2007/03/29(木) 21:12:30 ID:wrcyqiwe
住人が必死こいてスルーしてても、住人を装った単発が騒ぐからなぁ……。
35名無しさん@ピンキー:2007/03/29(木) 21:29:12 ID:+P+K16ef
>>32
いや、その時は「俺に任せろ」と男前な宣言をした人がいて、
その人が一人でいろいろとやってくれたもんだから、
俺ら他の住人たちは黙って事の成り行きを見守ってただけだった
要するに、詳しい方法は俺はわからないんだわ。力になれんで悪いな
あの時に方法を教わっときゃよかったよ

ただ、この手の荒らしはいくらスルーしても調子に乗るだけで、止む事は絶対ないぞ
ならこっちも徹底的に馬鹿をぶっ潰してやればいいんじゃないの、と思ったんだ
36名無しさん@ピンキー:2007/03/29(木) 21:29:47 ID:Imu9GcfL
>>33
別に刺激もしないだろ。
削除依頼してもしなくても荒らしは来るんだしさ。
それならまだ依頼出した方がましだろ?
37名無しさん@ピンキー:2007/03/29(木) 21:30:44 ID:dQaKiL+h
>>30
運営への通報の仕方を教えてくれまいか。
38名無しさん@ピンキー:2007/03/29(木) 21:35:00 ID:dQaKiL+h
>>35
分かった。色々と調べてみるわ。
39名無しさん@ピンキー:2007/03/29(木) 21:43:57 ID:gkmuSCtJ
>>35
そうか、じゃあ自分で調べてみる。dクス
40名無しさん@ピンキー:2007/03/29(木) 21:47:18 ID:9b1Y40Uq
初代からいるが今一番空気悪いな
41名無しさん@ピンキー:2007/03/29(木) 21:51:49 ID:kjDZ0o23
前スレの埋めネタが死ぬほどGJ!!
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1174106977/966-969
いきなり蝙蝠にされてしまったイチルたんがどうなるか怖いような楽しみなようなw
さぁ!これからどんな素晴らしい修羅場が繰り広げられるかってところで
続きませんだなんて生殺しイヤンww

あ〜でも七戦姫も楽しみだからアレコレ手出しして欲しくないと言う気持ちもあって
すごく心中複雑ですわw

とにかくいつも素晴らしい作品を投下してくださることに全力で感謝してます
42名無しさん@ピンキー:2007/03/29(木) 21:59:41 ID:+P+K16ef
>>38 >>39
心から応援してるよ
俺はこのスレの住人じゃないけど、荒らしの憎さはよくわかるからね
それに良質のSS書きもいるんだし、彼らのためにも頑張ってみてくれ
43名無しさん@ピンキー:2007/03/29(木) 22:03:24 ID:9b1Y40Uq
ID:+P+K16ef
なんか新手の煽りのような気がしてきた

病んでるな、おれorz
44名無しさん@ピンキー:2007/03/29(木) 22:06:02 ID:wrcyqiwe
ラ・ラ・ラ・疑心暗鬼〜〜♪
これをネタに、小話書いてくれる職人さんは居ないものかのぉ。
45名無しさん@ピンキー:2007/03/29(木) 22:13:30 ID:q5koRX96
ここに限らず2chのあちこちで何人も
荒らしが発生しているんだよな。
軍板も新・旧シャア板もそうとうな物だよ・・・
46名無しさん@ピンキー:2007/03/29(木) 22:14:16 ID:+P+K16ef
さて去ろうかな、と思ってたら

>>43
ちょ、待ってくれ、俺は断じて煽りなんかじゃねーぞ
…でも、まあ、言われてみれば煽ってるように見えるのかも
俺のカキコを見て気分を害したのなら、すまない事をしたよ
47名無しさん@ピンキー:2007/03/29(木) 22:17:46 ID:9b1Y40Uq
>>46
分かった
ならいっしょにROMっとこう
48名無しさん@ピンキー:2007/03/29(木) 22:18:20 ID:6gZMvJjg
まあなんだかんだスレが荒れても職人さんはコンスタントに投下してくれてるよな。
ありがたいことですわ。
4939:2007/03/29(木) 22:23:17 ID:gkmuSCtJ
とりあえず↓に質問として書き込んできた
http://sakura02.bbspink.com/test/read.cgi/housekeeping/1162933617/
幸いこのスレには投下してくださる神々も居るし、とりあえず推移を待とうかと。
50名無しさん@ピンキー:2007/03/29(木) 22:50:51 ID:MDrf/yKi
むしろ、神の投下と作品の質の事を考えるとエロパロスレレベルで投稿しているのが
勿体無いと思うのは俺だけか・・?

やはり、小説投稿サイトみたいのをレンタルしてきた方が良いのではと最近思うのだがww
51名無しさん@ピンキー:2007/03/29(木) 23:11:30 ID:wrcyqiwe
閉鎖的な集団はすぐに腐る。


って、今年あたり定年らしい教授が当時言ってた。
気がする。
52名無しさん@ピンキー:2007/03/30(金) 00:28:38 ID:zFUzyPSr
>>50
別に小説投稿サイトがエロパロスレより高レベルということは無い。
それにそっちに移ったかて荒らしを避けられるわけでもなし。手間ばかりで割に合わない。
53名無しさん@ピンキー:2007/03/30(金) 00:37:57 ID:nEd5TPeo
>>1
54名無しさん@ピンキー:2007/03/30(金) 00:54:42 ID:IUhoDK5g
>>51
まあ10スレくらいまで閉鎖的ではあったな。今は開放的になった。悪い意味で
55名無しさん@ピンキー:2007/03/30(金) 01:18:26 ID:6KT+fOWN
>>1

56名無しさん@ピンキー:2007/03/30(金) 01:28:32 ID:q7OFoDoZ
スレとして、ではなく個として閉鎖的になるべきだろうね
他者のレスに一々意見とかしないとか
57名無しさん@ピンキー:2007/03/30(金) 01:29:48 ID:6KT+fOWN
だからSS以外のレスはほとんど作者宛なんだから住人が反応する必要は無い
58阿修羅 ◆a/4J9L3aM6 :2007/03/30(金) 01:39:14 ID:KxvVYAlQ
保管庫管理人です。
新しいスレに移行したばかりでこういうことをいうのも
どうかとは思うのですが、いわゆる避難所の設置を検討しています。
具体的な運営方法などはおろか、そういったものを私などが管理してもよいものかどうかも
判断しかねている部分もあり、実現の可能性も含め、ほとんどが白紙の状態です。


ただ昨今の状態があまりにも目にあまる状態にあり、
避難場所がほしいという声もあがっているのも事実です。

避難所を作る=元々は荒れていた場所であるという先入観を与えてしまいかねないのも問題でしょう。
避難所というのが書き手の方にとって心地よい場所といえるのかどうか疑問ですし、
また運用方法で揉める可能性もあります。
スレ住人の皆さんのご意見を聞かせていただけないでしょうか。

アンケートフォームなどを用意できればよかったのですが
現在時間的な余裕がないため、保管庫掲示板を使いたいと思います。
この場ではなくそちらに賛成OR反対を表明していただければと思います。
詳細はこのあと掲示板に掲載します。

場所
ttp://bbs9.fc2.com/php/e.php/dorobouneko/

スレ汚しすみませんです。。
59阿修羅 ◆a/4J9L3aM6 :2007/03/30(金) 01:41:02 ID:KxvVYAlQ
sage忘れた・・・orz
60名無しさん@ピンキー:2007/03/30(金) 01:44:05 ID:X6EmusIk
乙です、阿修羅さんの修羅場スレに対する愛が伝わってきたよ
61名無しさん@ピンキー:2007/03/30(金) 01:49:08 ID:nw1kKIUT
阿修羅氏、忙しい中ほんとに乙です。
62名無しさん@ピンキー:2007/03/30(金) 01:53:13 ID:uHCJ12Jj
阿修羅氏乙です。
またーりいきましょうまたーり
63名無しさん@ピンキー:2007/03/30(金) 01:59:09 ID:8VvWHMPQ
>>59
ageてまで宣伝乙
まとめの管理人が出しゃばるスレはほんと末期だな
64名無しさん@ピンキー:2007/03/30(金) 03:12:54 ID:SVgX+aKG
…( ゜Д゜)

(つд⊂)ゴシゴシ

……( ゜Д゜)

(つд⊂)ゴシゴシゴシゴシ

(盆)
65名無しさん@ピンキー:2007/03/30(金) 03:24:03 ID:cznRPqVQ
>>1

66名無しさん@ピンキー:2007/03/30(金) 06:07:40 ID:4cKeMl7K
おいおい反応するなと言うが>>63←こんなのまで出はじめたぞ。

阿修羅氏が気にしないでいてくれればいいが
67名無しさん@ピンキー:2007/03/30(金) 07:19:37 ID:uCsk+/31
>>ID:8VvWHMPQ
お前の意見なんか誰も聞いていない
これ以上家族を悲しませないように首でも吊ったら?
68名無しさん@ピンキー:2007/03/30(金) 07:36:56 ID:fHz8OsQr
この前 男→女←男 を提案してみた俺だけどやっぱり男の嫉妬は需要ないのね(´・ω・`)
婚約者M子みたいな修羅場とか先の展開を想像しながら読んでるとゾクゾクしてたまらないんだけど
69名無しさん@ピンキー:2007/03/30(金) 09:06:05 ID:o23H0y9w
勝手にゾクゾクしてろマヌケ
70名無しさん@ピンキー:2007/03/30(金) 09:24:56 ID:5fWjK8m2
まあ過去に出たレスだが、結構女も見てるってことじゃねえの
71名無しさん@ピンキー:2007/03/30(金) 09:49:24 ID:46sKetTH
>>68
お前は寝取られスレにでも行って帰ってくるな。
72名無しさん@ピンキー:2007/03/30(金) 10:21:32 ID:+hs4QKOS
何という風当たりの強さ……
間違いなくこのスレはピリピリ
73名無しさん@ピンキー:2007/03/30(金) 12:09:46 ID:eLnGtaHt
ようするに荒れている原因の根源は寝取られ話題だったような気もしなくはない
トライデント粘着とは別に住民を偽っている単発が寝取られ肯定派だったような・・

余所のスレでも粘着に荒らしていたし・・SS作者の成り損ない

が荒らしだと思うね
74名無しさん@ピンキー:2007/03/30(金) 12:10:38 ID:kCiRUT4o
避難所立ててたらもっと過疎るがね、阿修羅氏はこのスレ潰したいのかな?
それとも自分が管理したいのか
75名無しさん@ピンキー:2007/03/30(金) 12:15:41 ID:eLnGtaHt
>>74
荒らし乙!!

私的には阿修羅氏の提案に反対も賛成はしないが
その言い方は明らかに現状を考えないバカの言い分だと思います。

76名無しさん@ピンキー:2007/03/30(金) 12:19:22 ID:SxyGakAn
乱暴な言葉使いと嫌味ったらしいくらい敬語の使用は避けようぜ。
77名無しさん@ピンキー:2007/03/30(金) 12:20:42 ID:3l2cbCcR
>>75
荒らし認定厨乙!!

避難所立てたら確実に作者はそっちに行く
こっちのスレは保守だけのスレになる気がする
避難所も新規の作者は開拓出来なくなるだろうからそのうち過疎ると
中立でこまめにチェック出来る人間がやればいいとは思うが
78名無しさん@ピンキー:2007/03/30(金) 12:24:13 ID:eLnGtaHt
>>77

>>避難所立てたら確実に作者はそっちに行く


   当 た り 前 だ ろ う ! ! 

原因がスレ住人にあるのだから・・荒らしに煽ったりスルーしなかった責任は
ちゃんと負うべきだと思いますよ。

徹底的に荒らしの書きこみの削除をやるべきだった
79名無しさん@ピンキー:2007/03/30(金) 12:58:46 ID:Ge+7Y/ZH
なあ、お前らさ、傍から見ても馬鹿にしか見えんのだが。
幾ら顔が見えないからって調子に乗り過ぎ。
もうちょっとマナーってモノを考えようぜ?
荒らしだと思うならスルーすればいいんだからさ。
一々他人の言い分に噛み付くのは幼児〜小学生、厨の特権だぞ?
少し落ち着こうぜ、な?
80名無しさん@ピンキー:2007/03/30(金) 13:44:04 ID:dXtFmNgQ
春休みはもう終わるからな
それまで我慢しようぜ
81名無しさん@ピンキー:2007/03/30(金) 13:51:34 ID:RnpxG/so
とりあえず避難所云々はここで言うな
反対の理由ならttp://bbs9.fc2.com/php/e.php/dorobouneko/で言え
82名無しさん@ピンキー:2007/03/30(金) 14:08:34 ID:+hs4QKOS
悪女退散 悪女退散
寝取られ間女困ったときは
どーまんせーまん どーまんせーまん
すぐに読みましょ 修羅場スレ レッツゴー!!
83名無しさん@ピンキー:2007/03/30(金) 14:49:02 ID:f8YJzcqd
http://bbs9.fc2.com/php/e.php/dorobouneko/
阿修羅氏は管理したいだけだろ
最近web拍手や管理人質とかなんでこんな前に出たがりなったんだか
前みたいに黙ってSS更新してるだけの方が男らしくて良かった
84名無しさん@ピンキー:2007/03/30(金) 15:13:24 ID:i1DM/JPo
トライデント氏、ロボ氏、赤いパパ氏と来てついに阿修羅氏か。分かりやすいわ
そんなことよりプロットの話でもしようぜ
85名無しさん@ピンキー:2007/03/30(金) 15:38:54 ID:jx1yyfl1
>>84

ようするにキモ姉が弟の性欲を解消するために誘惑する頃から始める
新たな嫉妬SSの連載を書けってことなのかな?


問題点は・・このスレの神の作者達が書く姉キャラは・・

ツンデレ風味のアネゴキャラなんだよな・・。萌えがないってというか・・


「私は上杉美鳩。ブラコンです。よろしくお願いします」

みたいなブラコンを世間に隠せない程に堂々と言えるキモ姉が望ましい。

弟にファーストキスを捧げましたっ!!


って感じでOK?
86名無しさん@ピンキー:2007/03/30(金) 15:39:42 ID:PACILi15
トライデント氏、ロボ氏、赤いパパ氏

実はこいつら同一人物じゃね?
87名無しさん@ピンキー:2007/03/30(金) 16:03:06 ID:zFUzyPSr
>>85
Ok兄弟。俺はお前のSSに期待しているッ!
88名無しさん@ピンキー:2007/03/30(金) 16:03:11 ID:+SUH25fF
>>85
甘いな・・キモ姉というのは家でもペアルックを強要したり・・
お風呂に入っている時に問答無用に背中を流してくる人のことを言うのだ!!
89名無しさん@ピンキー:2007/03/30(金) 16:05:16 ID:+hs4QKOS
血縁や……モラルなど……どうでもよかろうなのだァーッ
90名無しさん@ピンキー:2007/03/30(金) 16:07:07 ID:i1DM/JPo
この変態という名の紳士どもめ!
まあ一回ぐらい見てみたいけどな、変態クールな姉さん。
91名無しさん@ピンキー:2007/03/30(金) 16:13:50 ID:hau6NWtX
>>88

キモ姉よりもキモウトの方が可愛いぞ!!

兄の下着を盗んでパジャマ代わりにしたり、温もりに浸っている姿だけで
僕らは約束された理想郷に旅立つことができる。甘えん坊で寂しがり屋だから
いつでも大好きなお兄ちゃんの隣を独占することができる。

キモ姉にできん芸当だな
92名無しさん@ピンキー:2007/03/30(金) 16:16:22 ID:RjIhTRfJ
姉キャラが甘えられない理由は・・ただ一つ
お姉ちゃん属性を奪われないようにするためだよ

甘えられるよりは甘えて欲しいというお姉ちゃんの気持ちを
弟には理解して欲しいと思っている違いない・・w
93名無しさん@ピンキー:2007/03/30(金) 16:22:36 ID:oRMQJfiF
>>85

お前は責任をとらなければならない。キモアネの責任を!
94名無しさん@ピンキー:2007/03/30(金) 16:29:23 ID:4cKeMl7K
お姉ちゃんの場合は、普段自分を頼りにしてくれてた弟がある日自立するようなことを言い始めて
情緒不安定になっていく様を見ているのが萌えるのだよ。実は依存していたのは姉のほうですたみたいな
そしてその原因であるメス猫を・・・

まあキモウトの情緒不安定っぷりもいいけどね(;´Д`)ハァハァ
95名無しさん@ピンキー:2007/03/30(金) 16:30:32 ID:pKnfX3Rc
変態はいい
心が洗われる
96名無しさん@ピンキー:2007/03/30(金) 16:57:01 ID:h/aSr7SA
小学生の頃は姉に頼っていた弟が成長するにつれて姉の手から離れることに
不安を覚えた姉がデレモードで誘惑しまくり・・だが、弟は・・・・・・・・


ヤンデレフェチだった・・


97名無しさん@ピンキー:2007/03/30(金) 16:57:24 ID:hNX5hfn4
98名無しさん@ピンキー:2007/03/30(金) 16:58:36 ID:CNB+WZYk
>>94
そのシュチュエーションはめちゃくちゃ好きだわ
>>85>>94は俺を興奮させた責任を取ってくれ! 
99名無しさん@ピンキー:2007/03/30(金) 17:12:09 ID:bIogXIeq
愛しい弟がそろそろ女の子に興味を持つ年頃なので
お姉ちゃんのわたしが女の子ことをいろいろと教えてあげようと思います。
これは仕方ない事です。愛しい弟のためなら身に付けている衣服も
脱ぎ捨てて生まれたままの姿になっても、それは望むところです!!

で・・。

そんな、決心をしていたのに・・。

愛しい弟は近所に住んでいる幼馴染とラブホから出てくる所を確認・・


あ、あの私は一体どうすればいいんですか?

泥棒猫を皆殺しに・・・

いえいえ・・殺生する程の甲斐性は私にございませんからね
もう、躊躇する暇はありません。

お姉ちゃんがとことん教えてあげようと思います。

愛しい弟の心と体が一体誰の者なのかはっきりさせてあげますね!!
100名無しさん@ピンキー:2007/03/30(金) 17:15:05 ID:CNB+WZYk
>>99
これは・・・続きを期待!
101 ◆kNPkZ2h.ro :2007/03/30(金) 17:49:40 ID:ZY24aTRf
昨日埋めネタ投下しようと思ったんですが諸事情により出来なくなり、
気付いたら前スレが埋まっていましたので、こちらに投下します。
102不成立三角形 ◆kNPkZ2h.ro :2007/03/30(金) 17:51:02 ID:ZY24aTRf
 時は早朝、しかし真夏日和とあって暑さが常に纏わりつき、それが汗という形に転換し肌を気持ち
悪く伝わっていく。
 純白の半袖制服を汚すそれを気にする事もなく、二人の女と一人の男が寄り添うように並び合い
ながら、楽しく談笑していた。
 しかし………
「ちょっと亜衣っ! 離れなさいよっ!」
 突如一人の女の怒声が静かな通学路の静寂を切り裂いた。
 その声と共に『亜衣』と呼ばれた女―――腰まで届く長い黒髪をそのまま垂らしていて、その美貌
を大きな黒縁眼鏡で隠している少女が、もう一人の少女に腕を引っ張られた。
 亜衣は引っ張られた事によって、もう一人の少女がいた場所に強引に移動させられてしまった。
 体勢が崩れそうになるのを寸でのところで堪えながら、その衝撃でずれた眼鏡を控え目に直す。
 そしてもう一人の少女と目を合わせず、顔を伏せたまま肩を震わす。
「ご、ごめんね…。麻衣ちゃん…」
 心底申し訳なさそうに謝ったにも拘らず、『麻衣』と呼ばれたもう一人の女―――肩口で揃えてる
茶髪に可愛らしいブローチを取り付けている少女は、亜衣を上目線から睨みつけている。
「麻衣、何でそんな事するんだよ?」
「五月蝿いっ! 私と魁は付き合ってるのよ!? なのに私が触れてないところで他の女が自分に
 触れている事に関して抵抗もしないなんて変でしょ!」
 亜衣と麻衣の二人が織り成していた重苦しい空気に無理矢理入り込もうとした『魁』と呼ばれた
男―――僅かに髪を逆立たせていて、二人の女とは比べようもない程の高身長を有している男は、
頬を掻きながら困ったように笑っている。

 麻衣が何に怒っているのかと言えば、それは簡単な事だ。
 要は、隣り合っている彼氏である魁と亜衣がほんの少し触れ合ったという事が許せないのだ。
 麻衣と魁は付き合っているから、本来魁の隣という特等席は彼女である麻衣の指定席だ。
 その指定席に土足で割り込んでいた亜衣の事を、麻衣は許せなかったのだ。

「あんたも、魁に限らず男に近付かない方がいいわよ。あんたみたいに陰湿そうな文庫少女、誰も
 相手になんかしちゃくれないわよっ!」
 麻衣は眉毛を釣り上がらせながら、俯いている亜衣を指差して罵声を浴びせる。
 その言葉に亜衣は俯いたまま、肩の震えをより一層大きくしてしまう。
「お前! 言い過ぎだろっ!」
「いいのよ………亜衣なんか放っておいてさっさと学校行くわよ」
 亜衣から視線を外した亜衣は、そのまま暑さでじりじりと焼けている道を堂々と突き進んでいく。
 自分の言葉をまるで無視している亜衣見つめながら、魁は笑顔でその背中を追いかけていった。
 亜衣はその二人に無言でついて行きながら、魁の大きな背中を眼鏡越しに静かに見つめていた。
 二人に気付かれないように、下から覗き込むように、静かに切なく見つめていた。
103不成立三角形(Side 魁) ◆kNPkZ2h.ro :2007/03/30(金) 17:52:21 ID:ZY24aTRf

          ―――――――――――――――――――――――――          

 今日も麻衣は亜衣に嫉妬していた。
 怒りながら早足になっているその背中を追いながら、今日はどうやって宥めてやろうかと考える。

 俺と麻衣と亜衣の三人は、いわゆる幼馴染というやつだ。
 生まれた時から三人一緒だった。
 活発な麻衣に、おとなしい亜衣、そしてその二人を引っ張るリーダー役の俺。
 控え目の亜衣を麻衣が引っ張っていき、それを行き過ぎないように俺がサポートしてやる。
 俺たち三人の関係は、本当にバランスいいものだった。
 しかし、俺は自らその均衡を破った。
 何年も恋焦がれていた麻衣に告白したのだ。
 麻衣は快く了承してくれた。
 最初こそ、俺からの告白ともあって飽きられないように色々努力しなければと意気込んでいた。
 しかし、それは不必要だった。
 付き合い始めてから、麻衣の俺への独占欲が強くなったのだ。
 発端は俺と亜衣が話していた時、付き合う以前は当たり前だった光景をいきなり麻衣は壊した。
 俺と亜衣の会話に割り込み、強制的に俺を連行し、二人きりになったところで言ってきたのだ。

 ―――「私が彼女なんだから、亜衣とは話さないで」

 …快感だった。
 亜衣が俺と話しているだけで嫉妬している、その事実が気持ちよく背筋を伝わった。
 そんな些細な事にすら嫉妬する程、麻衣は俺の事が好きなんだと分かって幸福感を感じた。
 その日以来、俺は何かと亜衣と触れ合う姿を見せ、麻衣の嫉妬する様を楽しむようになった。
 「亜衣と話さないで」、「亜衣に近付かないで」、そんな言葉は俺の彼氏としての自尊心を満たし
同時に、麻衣の俺への好意を再確認する要因にもなった。
 その為に亜衣を利用しているのは胸が痛かったが、麻衣との幸せな時間に比べれば他愛のない事。
 勿論今日もわざと亜衣と密着しているところを麻衣に見せてしっかり嫉妬する様子を楽しんだ。
 麻衣は声を荒げ、亜衣に罵声を浴びせていた。
 その声が大きければ大きい程、それに比例して麻衣の俺への愛も大きくなる。
 こんな風に常に遠回しに愛を囁いてくれる麻衣を、俺はますます好きになっていく。

 麻衣、俺はお前が好きだ。
 だから、お前は俺の為に、これからも嫉妬してくれ。
 麻衣が嫉妬する様を見て俺はますます麻衣を好きになり、麻衣を慰める事によって麻衣はますます
俺の事を好きになっていく、最高の循環じゃないか。
 それは、俺たちの関係を維持する為の、最も有効な手段じゃないか…。

 俺は胸の奥底で微笑みながら、嫉妬してくれた麻衣を慰める為の文句を今日も考え続ける。
104不成立三角形(Side 亜衣) ◆kNPkZ2h.ro :2007/03/30(金) 17:53:07 ID:ZY24aTRf

          ―――――――――――――――――――――――――          

 今日も麻衣ちゃんは魁くんの隣を独占していた。
 心配そうに駆け寄っている魁くんに対して幸せを感じる事もなく、当たり前のように歩いている。

 あたしと麻衣ちゃんと魁くんは、いわゆる幼馴染だ。
 活発な麻衣ちゃんに、リーダー役の魁くん、そしてその二人について行くだけの陰気なあたし。
 控え目のあたしを麻衣ちゃんが引っ張ってくれて、麻衣ちゃんが暴走しないように宥める魁くん。
 あたしたち三人の関係は、本当にバランスいいものだった。
 しかし、魁くんがその均衡を破った。
 幼馴染という関係だけだった筈の麻衣ちゃんに、魁くんが告白したのだ。
 麻衣ちゃんは快く了承してしまった。
 正直あたしは魁くんが好きだったから、二人が付き合う事を知って結構ショックを受けた。
 でも、あたしは幼馴染なのだから、二人を祝福してあげないと必死に平生を装った。
 しかし、そのショックは上乗せされた。
 二人が付き合い始めてから、麻衣ちゃんがやたらとあたしに突っ掛かるようになったのだ。
 あたしが魁くんと話すだけで物凄く怖い目で睨んでくる。
 確かに魁くんの事を諦め切れてはいなかったけど、別に二人の仲を壊そうだなんて思っていない。
 それでも、何かにつけて魁くんとあたしを引き離し、触れ合えないようにしてくる。
 『幼馴染』としての付き合いすら、麻衣ちゃんは許してくれなくなってしまったのだ。

 正直言って、麻衣ちゃんが凄く憎かった。
 あたしが今まで好きだった魁くんの心を独占し、『幼馴染』としての関係すら断とうとしてくる
麻衣ちゃんが腸が煮えくり返る程憎かった。
 今でも憎くないといえば嘘になるが、あたしもけじめをつけられるようになった。
 魁くんと付き合う事が出来るのは麻衣ちゃんであり、あたしじゃない。
 その事実を受け入れた上で、『幼馴染』としての関係を取り戻せばいいじゃないか。
 魁くんへの恋は脆く崩れ去ってしまったけど、元の関係に修復する事は出来る筈。
 二人の顔色を伺いながら、あたしが魁くんが好きな事を悟られないようにしつつ許しを乞う。
 その為ならば、たとえ憎き麻衣ちゃんに何をされようとも構わない。
 魁くんとの距離を元に戻す為ならば、どんな事にも耐えてみせる覚悟がある。

 ―――『麻衣ちゃん、魁くんは譲るから…せめてこれからも幼馴染でいさせて…』

 今日も言葉には出せない懇願を胸に秘めながら、二人の背中を追い続ける。
 いつか、また三人で笑い合える日々が戻るの信じて…。
105不成立三角形(Side 麻衣) ◆kNPkZ2h.ro :2007/03/30(金) 17:54:10 ID:ZY24aTRf

          ―――――――――――――――――――――――――          

 今日も魁を騙し、亜衣を傷付けてしまった。
 罪悪感から二人を直視出来ないので、私は逃げるように先頭を切っていった。

 私と亜衣と魁は、いわゆる幼馴染だ。
 私たちを纏めるリーダー役の魁に、物静かな亜衣、そしてその亜衣を引っ張っていく私。
 消極的な亜衣を私が積極的に手を差し伸べ、転ばないように魁が抑えてくれる。
 私たち三人の関係は、”表面上は”バランスいいものだった。
 しかし、魁がその均衡を破った。
 幼馴染という関係を越える為に、魁が私に告白してきたのだ。
 告白された時の私の心境は、『困惑』だった。
 正直言って、私は魁を幼馴染以上にも以下にも見ていなかったし、これからも見る事は出来ない。
 何故なら、”私が好きなのは『亜衣』だから”だ。
 勿論幼馴染、ましてや同姓同士で、こんな想いが許される筈がないとは分かっていた。
 それでも、ずっとずっと好きだったのだ。
 だから、私は幼馴染という関係の崩壊を覚悟して魁からの告白を断ろうとした。
 だが、断ろうとした瞬間、私の頭の中で”悪魔が囁いた”。

 ―――『魁と亜衣、二人の気持ちを利用すればいいではないか』

 私は亜衣が魁の事を好きなのを知っていた。
 亜衣が魁の事を遠目から愛しそうに見つめている度、胸が張り裂けそうな思いを味わってきた。
 いつもどうにしかして亜衣の中から魁の存在を消したかった。
 しかし、私の中の同性愛という感情を気付かれる訳にもいかない。
 気付かれたら幼馴染としてすら亜衣は私と付き合ってくれなくなるのが分かっていたからだ。
 そう、”直接的に”は感情を露呈出来ない………、なら遠回しにすればいい。
 私が魁と付き合えば、亜衣は魁を諦めざるを得ない状況に陥る。
 更に、それでも亜衣が簡単に魁を諦められない事を利用して他の男との交流もさせなければいい。
 その想いが今日も言動に顕著に出てしまった。

 ―――「あんたみたいに陰湿そうな文庫少女、誰も相手になんかしちゃくれないわよっ!」

 そう、男なんか亜衣の事を相手にしてはくれない。
 亜衣を受け入れてくれるのは、私だけなんだ。
 その事に気付いてくれる日々が来るまで、私は亜衣を『教育』し続ける。

 二人の気持ちを利用している事でいつも良心の呵責に苦しめられるけど、好きな人を手に入れる為
ならば、喜んでその苦しみ受け入れようではないか。
 そんな事を思う程、私の亜衣への想いは取り返しのつかないところまで来ているのだから…。


106 ◆kNPkZ2h.ro :2007/03/30(金) 17:55:20 ID:ZY24aTRf
投下終了です。
「両手に嫉妬の華を」の続きは明日・明後日辺りに投下します。
107名無しさん@ピンキー:2007/03/30(金) 18:05:25 ID:BvkfqKGI
嫉妬も修羅場も表面でしか発生してないのか。おもしろいな。
誤字の指摘を一つ。>>102の後半部分、亜依が多い。
108名無しさん@ピンキー:2007/03/30(金) 18:38:40 ID:E1YScX1V
>>106
つまんないね

109 ◆kNPkZ2h.ro :2007/03/30(金) 18:45:30 ID:ZY24aTRf
>>107
ご指摘ありがとうございます。
この場で訂正を。

>>102
32行目の
「亜衣から視線を外した亜衣は」
  ↓
「亜衣から視線を外した麻衣は」

33行目の
「自分の言葉をまるで無視している亜衣見つめながら」
  ↓
「自分の言葉をまるで無視している麻衣を見つめながら」


名前に統一感を出そうと思ったのが仇になりました…。
この他にもありましたら申し訳ありません。
110名無しさん@ピンキー:2007/03/30(金) 18:51:00 ID:bIogXIeq
>>109
両手に嫉妬の華を楽しみに待つ・・。風の辿りつく場所で


ちなみに荒らしの阿呆に新たなる名称をここに宣言致します
粘着荒らしや自作自演単発の荒らしの総称をこれからは


「のび太」と名づけます

これからはのび太が現れると

のび太、テストはまた0点か
のび太、今日も虐められてきたのか
のび太のくせに生意気だぞ

と、徹底的に痛めつけることが可能です



111名無しさん@ピンキー:2007/03/30(金) 18:55:29 ID:j55yddiY
コードギアスのオナニーナみたいに変な顔をするヒロインのプロット作りでも始めようか・・
やはり、やめよう。気持ち悪くなってきた・・あの顔は人の顔ではないね。
112名無しさん@ピンキー:2007/03/30(金) 19:00:00 ID:2ll2H5LQ
むしろ、マナマナの後継者を作るためのプロットから入った方がいいだろう・・。

顔は陰気系でそばかすあり
丸いメガネに黒い三つ編み・・

ごめんなさい。トラウマが発動したのでこれ以上の書き込みは不可能です
113名無しさん@ピンキー:2007/03/30(金) 19:04:29 ID:j5VbyVRL
:::::::::::/  |   }   }::::::::::::::::::::://  /   \ 丶:::::ヽ:::::::::\::::::::::::::::::::::::::::
:::::::く   l   l   /::::::::::::{>x_{ , ィ'  ヽ\ ヽ、\:::\:::::::::\::::::::::::::::::::::
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::::::::∧ / /   /:::> '  ∠_/ ̄ ¨¬- ,ヽ  jヽ ヽィ::::ノ jj へ::::::::\::::::::::
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ヽ::::::::}   ヽ   i    /   7/        リ  \       ー'r‐}:::::::::::}:::::
 {:::::〈ヽ        {   //ヽ\     /    ヽ       {´:::::___ノ::::::
 `ー、::>         ヽ. { {   ヽ≠=彡/     }=z、ィ=≠<___人/::::::::::
.    \\        V弋    ) 「 ー '     / //     ヾ \  ヽ:::::::::
      iヽ         丶 ¨ - .」( ___ / / j/   (;) / / ヽ  〉::::::
_____/{:::{\         ヽ   /ノ          { /     __' /ヽ\ }/::::::::
:\   /:::::\ヽ          } // ,  '     -‐ ' 弋 ヽ/  ¨ ーx'::::::::::::::;
ヽ::ヘ V:::::::::::ハ ',         / //ァニニニミx    {r―< , ― 、 / }\;;;/
 ' ,:::ハ ヽ::::::::/ }       /イ{´ヽ    ):}}   ヽ―‐'>、__./ /
  V:ハ  >::::>-' 、     } ∨::::::`ーrr‐'/       /      /
   V∧/:¨丶  ヽ、 人ィノヾニニム}/  __ ... - '  /     /
    }/:::::::::::::::::ヽ、 `く-v\    , ィ::':「    , - '     /
  ./::::::::::::::::::::::::::::::\ \  }ヽ-≦::::::::::ハ   {       /
114名無しさん@ピンキー:2007/03/30(金) 19:22:56 ID:eivzXTU9
>>110
よう、のび太
春休みも終わるぞ、宿題やったかw
115名無しさん@ピンキー:2007/03/30(金) 20:43:25 ID:vxuUtIHI
>>113
この顔はまじでやばいwwwやりすぎだよなこれww
116名無しさん@ピンキー:2007/03/30(金) 20:52:26 ID:i1DM/JPo
ある地味な娘が彼を射止めるためにハデになって帰ってきたら、
その男は実は昔の地味な彼女が本当は好きだったので別の地味目の子と付き合っていた―

そんな展開を想像した。
117名無しさん@ピンキー:2007/03/30(金) 22:03:23 ID:CNB+WZYk
>>116
俺もつられて妄想した。
ってことで書いてね!
118トライデント ◆J7GMgIOEyA :2007/03/30(金) 22:04:34 ID:zIlPjSpd
では投下致します
119名無しさん@ピンキー:2007/03/30(金) 22:05:49 ID:+hs4QKOS
ほとんどが雑談で早くも100来ちまった
俺含め自粛しようみんな
120水澄の蒼い空 ◆J7GMgIOEyA :2007/03/30(金) 22:06:38 ID:zIlPjSpd
 最終話『水澄の蒼い空』

 白い白い雪がゆっくりと粉のように舞い散ってゆく。窓から見える光景はただ白一色に染められた世界。
 冷たい空気、白い息を吐くはしゃいでいる子供たち。家の前であちこち作られる雪だるま。
 積もりに積もった雪は……銀色世界を作り出した。
 刹那。
 たくさんの鞄を背負った少女は何ヵ月も住んでいたアパートを見上げた。
 この街に来る目的は長年想い続けていた少年と再会するため。
 ずっと胸の中で温めていた約束を果たすため。
 そのためだけに生きていた。ずっとずっと独りぼっちな少女に残されたたった唯一の約束。
 それを彼は先程……約束の破棄を申し出た。
 仕方ないであろう。
 その約束を最終的にメチャクチャに壊してしまったのは愚かな私。
 一時の温もりに浸るために彼を自分のだけのモノにしようとした。
 彼の気持ちなんて考えずに心に巣食う悪魔に囁かれて、彼を襲おうとした。
 本当にどうしようもないことだ。
 約束を、生きる目的をなくした私はこの街にいるのは辛い。
 出ていこう。
 ここにあった楽しい思い出の全てを置いて……。

「さようなら。月ちゃん」

 少女はこっそりと街を出て行くつもりであった。
121水澄の蒼い空 ◆J7GMgIOEyA :2007/03/30(金) 22:09:01 ID:zIlPjSpd
 雪が深々と積もって行く。家のあちこちまで積もった雪を見て、俺はうんざりと嘆息した。
外はこんなにも寒いのに後で買物に出掛けるなんて雪を少しを気を遣って降らせと高らかな声で叫びたかった。
 虹葉姉と紗桜と結ばれてから二週間の月日が経った。
周囲はクリスマス気分で賑やかなお祭り騒ぎと言ったところであろうか。

今日は12月24日でクリスマス・イヴなら尚更仕方ないと思う。
一年で唯一働くであろう赤い派手な服を身に纏った白い髭のジジイが日本の国債並みの予算で
子供たちにタダ同然に気前良くプレゼントを配りまくっているであろう。
ちなみにこき使われるトナカイさんはジジイに時給を上げてくれと交渉しても、

トナカイカラーエゼディクションが施行されたおかげでいくら残業しても残業代は0だと歎いて、
動物愛護団体に動物虐待だと集団で訴えるぐらいに今日は忙しい。
 冬子さんの思い付きで始まったホームパーティは日時を今日に変更されて、大いにあの年齢不詳は騒ぐつもりでいるらしい。

そりゃ、恋人と過ごすと俺は断言した騒動は最終的に虹葉姉と紗桜というちゃんとした恋人できたおかげで目的は達成されたもんだが。
 水澄家にとって冬子さんという存在は絶対的な力の象徴であり、虹葉姉や紗桜や居候の俺ですら逆らうことができない。

「やっぱり、冬はこたつにみかんだよな」
「コラァ。一人だけサボっているんじゃないの。今日は皆でパーティをするんだから。月君はさっさと買物に行くの」
「はいはい。わかりましたよ」
 家の中をクリスマスのツリーに飾りを付けている虹葉姉から頭を軽く叩かれた。
パーティの料理をするのは俺なんだけどなと呟きながら、コートを着て玄関に向かう。
「兄さん。私も行こうか?」
「別にいいよ。大抵の買物は昨日の内に買ってきているし、予約していたクリスマスケーキを取りに行くだけだし」
「そうなんだぁ。早く帰って来てよね?」
「わかってる」

 玄関を開けると白一色に染まった世界に凍える風が吹いてくる。
思わず、身を縮めて震えたくなるが、俺は見送ってる紗桜の前では格好いい姿を見せたかったので大きな一歩を踏み出した。
122水澄の蒼い空 ◆J7GMgIOEyA :2007/03/30(金) 22:11:32 ID:zIlPjSpd
 予約していたクリスマスケーキを取りに行った後は真っすぐに家の帰り道を早足で歩いていた。
寒さに弱い俺は一分でも外に居たくなかったので自然と動きは早くなってゆく。
その道を歩いていると俺は偶然顔見知りの人物と出会った。

「月ちゃん……」
 たくさんの荷物を背負った鷺森音羽と偶然にも遭遇してしまったのだ。
どこかにお出かけというレベルではなくて、この街を去って行きそうな雰囲気である。

「もしかして、音羽……」
「わ、私はこの街を出ていこうと思うの」
「やっぱり、俺が約束を破棄をするって言ったせいなのか?」
「もちろん。そうだよ」

 虹葉姉と紗桜と結ばれてから俺はヤンデレ症候群の再発することも恐れずに全てを告白した。
二人と付き合ったこと、過去に約束した音羽をお嫁さんに貰うことの破棄を。
音羽は目尻に涙を浮かべて、無理矢理に笑顔を浮かべて、たった一言だけ『わかった』と。
 ヤンデレ症候群を再発はなかった。一度発症しているので最大限の警戒をしていたが、
女の子の心は海より深いのか男の俺では全く見当がつかなかった。

「そんな急に街から出ていかなくても」
「もう、決めたんだよ。約束が私にとっては全てだったから。
月ちゃんの事を想うだけでこの心の闇がどんどんと深まってゆく。
今は自我を保っていられるけど、想いが暴走したら月ちゃんを殺してしまうわ」
「ヤンデレ症候群は催眠術で対処できたぞ」
 虹葉姉や紗桜はヤンデレ症候群をすでに超越してデレモードに入っているから全く効かないけどな。
「そういう問題じゃないよ。月ちゃんを傷つけてしまったから。だから、私はちゃんと責任を取らないといけないわ」
「責任なんか取らなくてもいい。親しい知人がいなくなるとそれはそれで寂しいぞ」
「ありがとう。月ちゃん」
 微笑する音羽が俺に手を差し出す。
「最後にもう一度だけ約束しましょう。今度はこの広い世界のどこかでまた再会をしましょう。
それまでには私の内に眠る悪魔を飼い馴らしてみせますからね」
「ああ。約束しよう。またどこかで会おう」
「はい。会いましょう」

 しっかりと手を握ってお互いに笑顔を浮かべたまま、二人は背を向いて別々の道を歩いた。

俺は水澄家へ。

音羽は自分の悪魔を追い払うための旅と言ったところだろうか。
数年ぶりに再会した幼なじみとの別れは呆気なく終わりを告げたのだ。
123水澄の蒼い空 ◆J7GMgIOEyA :2007/03/30(金) 22:14:07 ID:zIlPjSpd
 家に帰ってくると嬉しそうに出迎えてくれているのは、猫と犬。
いや、失礼。虹葉姉と紗桜であった。
俺は二人に予約したクリスマスケーキを渡すとコートの上で積もっている雪を取り払った。
「月君月君。ほらほらっ。紗桜ちゃんと一緒にクリスマスの飾りを付けるの頑張ったんだよ。誉めて誉めて」
「あぅぅ。お姉ちゃんばかりせこいよ。私だって頑張ったもん」
「はいはい。二人ともケンカしないの」
 尻尾を振っている虹葉姉と紗桜の頭を優しく撫でてやると俺は靴を脱いで家に上がった。
リビングに向かうとクリスマスの飾りが見事に完成していた。
「おおっ……飾りをすると今年もクリスマスがやってきたって感じがするなぁ」
「そうでしょそうでしょ。お姉ちゃんが心を込めてにゃあにゃあしたんだから」
 そのにゃあにゃあとは一体何かね? 
と尋ねることができない俺のヘタレさは歳を重ねる事に増しているのは気のせいだろうか。
ソファーに少し座り込んでから買物に出掛けた時に虹葉姉と紗桜にわからないように買ってきた品物。

つまり、クリスマスプレゼントを二人に渡そう。
 音羽との別れ……。
 幼い頃にたっぷりとお世話になったのに俺は恩返しすることができなかった。
約束していたのに音羽のお嫁さんに貰う約束はそれよりも大切な虹葉姉と紗桜を選んだ時点で破棄してしまった。
そのことに罪悪感を覚えていたと言えば嘘ではない。少しだけ胸の奥に引っ掛かりを感じていた。

 だが、偶然に音羽に会って、彼女は自分自身で答えを見付けだしていたようだ。俺と交わらない道を突き進むだけ。
 ならば、俺も自分の信じる道を進む。虹葉姉と紗桜に幸せにするということ。
 これはそのための誓い。
 想いを込めたプレゼントは思い出の中に置き忘れた物にこそ相応しい。

 俺は少し緊張していたので息を思いきり吸って吐いてから。二人の名前を呼んだ。
「虹葉姉……紗桜。大切な話があるんだ」
 真面目な表情を浮かべて俺は虹葉姉と紗桜をまっすぐな眼差しで見つめた。
普段の俺に似合わない顔に二人は何事かと狼狽えながらも耳を傾ける。
「渡したい物があるんだ。クリスマスプレゼントって奴だ……」

 俺はクリスマスケーキを囮にして隠し持っていた包装された手提げの箱を二人に差し出された。

 3つの袋……。

 一つは、虹葉姉。

 一つは、紗桜。

 最後の一つは、俺自身に当てたプレゼント。

「月君。中を開けていい」
「兄さんからのクリスマスプレゼントって何かな」
 年頃の女の子にプレゼントするような物じゃないってことは充分にわかっている。
虹葉や紗桜も若い女の子が欲しがっている物を欲しいと思っているはずだ。
でも、俺はあえてそうしなかったのは原点に戻ってみたかったのだ。
 俺と虹葉姉と紗桜が初めて三人で笑い合った最初の思い出を。

 綺麗に包装された紙を破って、そこから出てきた物を見て、虹葉姉や紗桜は思わず絶句していた。
そこには二人が予想すら出来なかった物があるのだから。
「月君……これは」
「もしかして……兄さん」
「これは俺が虹葉姉と紗桜に送るプレゼント」
 二人が取り出したのは……。
 
 猫と犬の人形であった。
 手にはみ込んでよく三人で遊んだ俺にとっては大切な思い出。
 俺は自分の分を取り出して、兎の人形を動かしていた。
124水澄の蒼い空 ◆J7GMgIOEyA :2007/03/30(金) 22:16:42 ID:zIlPjSpd
「昔、これでよく遊んだよな。確か、紗桜が男性恐怖症で俺に近付けられなかった頃にね」
「わ、忘れるはずないじゃない……」
 虹葉姉は愛しそうに猫の人形を大切そうに抱き締めていた。
紗桜に至っては瞳が潤んで今にも泣きだしそうになっていた。
「今でも私は大切に保管しているよ。月君と紗桜ちゃんの思い出だもん」
「虹葉姉……」
「私は兄さんとお姉ちゃんが貰った犬の人形のおかげでどれだけ心を慰めてもらったかはわからないよ。
今も大切に使ってる。これがないと男の人と喋れないんだから」
「ごめんな。本当はもっといいプレゼントを贈るべきなんだろうけど。
虹葉姉と紗桜と恋人になった最初のクリスマスプレゼントはこれしか浮かばなかった」
「ううん。これ以上のプレゼントなんてないよぉ。ありがとう。月君」
「お姉ちゃんの言う通りだよ。兄さんとお姉ちゃんと過ごした日々はお金で決して買えることができない幸せなんだよ。
ありがとう。大切な事を思い出させてくれて」
 二人とも涙を流しながら猫と犬の人形を被ってお互いにじゃれ合っている。
 原点の回帰。
 変わらない想い。大切な家族の絆がここにあると確認をする。

「久々に月君と紗桜ちゃんと私で人形劇でもしましょうよ」
「それいいアイデアだよ。お姉ちゃん」
「その前にご馳走を用意しておかないと五月蝿い人間が一人やってくることだし」

 ピンポ〜ン。

 噂をすると絶対的な支配者が家にやってきた。やれやれ。
 お互いに嘆息しながら、三人でお迎えに行く。そうしないと冬子さんは拗ねるし。
 玄関の扉を開けると勢いよく入ってくる冬子さん。年齢不詳のご婦人はクリスマスイヴのおかげでテンションは高くなってる。

「ねぇねぇ……さっき商店街で福引き券を引いたの。当たったの。特賞の温泉旅行三泊4日の4名様ご招待。
うわっ。これは私の中で遺伝子が騒ぐわ。年末はそっちで過ごしましょうね? いいでしょう。いいでしょ」
「冬子さんは……それはちょっと」
「どうしたの? 虹葉ちゃん。蛙のように顔色を緑色にしちゃって。
もしかして、私に黙って月さんの奢りのご馳走を勝手に食べたの?」

 冬子さんが指摘する通りではないが、虹葉姉の顔色が少しだけ真っ青になっている。
無理もない。二人の両親は今と同じ温泉旅行の途中で飛行機を墜落して死んだのだ。
どうしても、忘れ去った痛みが戻ってくるのは仕方ない。

「喜んで行こうぜ。年末は温泉旅館に過ごすのも悪くないだろ? 虹葉姉、紗桜」
 虹葉姉と紗桜の肩に手を回して、励ますように力強く言った。
「大丈夫。俺がちゃんと付いているからな」
「月君」
「兄さん」
 過去はいい加減に振り切らないと駄目なのだ。

音羽が長年待ち望んでいた約束を忘れるためにこの街を旅立ったように。

「よしゃあっっ!! 決まりね。3人とも26日から行くからちゃんと準備しておきなさいよ。
その前に月さんの奢りのクリスマスを楽しみましょうね」

 やれやれと嘆息をする。

 人の心の闇はいつか必ず晴れる。
 そう、澄み渡った蒼い空のようにな。


 水澄の蒼い空 完
125トライデント ◆J7GMgIOEyA :2007/03/30(金) 22:19:04 ID:zIlPjSpd
投下終了です

ようやく、水澄の蒼い空も完結することができました。
今まで読んでくださった方々もどうもありがとうございます。
今回は姉妹モノというどこでも転がっている題材で嫉妬修羅場モノを書こうとしたら、
思っていた以上に長くなってしまいました。これは少し反省w


水澄の蒼い空に関してはやり残したネタが少しあります。

本編エピローグ後おまけ(温泉旅行編)
文化祭編
夏休み監禁編
水澄の蒼い空in雪桜
など。

本編で描かれなかったエピソードがいろいろとあるんですが
書く時間があんまり作れずにネタだけメモ帳に書かれている状態です。



さて、今後の展開としては新作を投下する予定でしたが・・
少し多忙のために作品の投下の活動は休止することにしました

最近の私の嫉妬スレの投稿後の荒れた現状を見てしまうと少しは自粛した方が
いいんじゃないかと思ってしまうわけでして・・。これはちょうどいい機会かもしれないので間を少し空けようと思います。


次回作の構想としては
幼馴染モノ+主人公が住んでいるアパートの住人たち
による嫉妬三角修羅場になる予定です。


では。今まで読んでくれてありがとうございました。

126名無しさん@ピンキー:2007/03/30(金) 22:21:40 ID:m2iMjMy6
トラ氏乙です!!
次回作期待してます。
127名無しさん@ピンキー:2007/03/30(金) 22:27:47 ID:dB2J0NSz
>>125自分の好きな作品が完結するのは嬉しくて寂しいねぇ……
そんな気持ちを込めたGJ&乙!
128名無しさん@ピンキー:2007/03/30(金) 23:00:59 ID:NHUvln+T
>>125
GJ!
お疲れさまでした。
今はゆっくり休んで、次の三角関係物にwktkしてます!!
129名無しさん@ピンキー:2007/03/30(金) 23:02:35 ID:eivzXTU9
>>125
まだ、投下するのかorz
130名無しさん@ピンキー:2007/03/30(金) 23:47:19 ID:Ps0lo+Hr
>>125
ごくろうさんでした。


そろそろ量より質にこだわった作品も書いてみたら?
次の作品もまた同じノリっぽいし、毎度同じだといい加減飽きる。
トライデントさんの現状は、自分の看板にこだわってるというより芸の無さを露呈してる感じにしか見えない。

そこらへん、ロボさんや緑猫さんを見習ってみて欲しい。
131名無しさん@ピンキー:2007/03/30(金) 23:52:48 ID:APd8+EAa
>>106
これは確かに不成立ですねw
主人公が刺されそうな気配がぷんぷんする…
両手に嫉妬の花をの方も楽しみにしてます。

>>125
お疲れ様でした。
みんな幸せになれたようでなによりです。
次回作も待ってます。
132赤いパパ ◆oEsZ2QR/bg :2007/03/31(土) 00:30:52 ID:4d9/ZNG9
トラ氏。完結お疲れ様です。
前スレでありました、姉妹が兄(弟)のエロ本を発見するが……から受信した短編を投下します。
133姉妹仁義 ◆oEsZ2QR/bg :2007/03/31(土) 00:31:53 ID:4d9/ZNG9
お兄ちゃん、ご飯食べたんならさっさとお風呂はいっちゃってよ。ちゃんと相棒はCMカットで録画しておくから。
てゆうか、予約録画の仕方早く覚えなよ。お兄ちゃん。
もぅ〜、お兄ちゃん! ほら、着替えそこにあるから部屋に持ってって、本当お兄ちゃんてあたしが居なきゃなんもできないんだからー。

ほら、お姉ちゃんも何か言ってやってよ。
ん、なに。お姉ちゃん。こっちこい? なになに、内緒話? ごにょごにょごにょ。
え、用がある? じゃあ洗いものが終わったら……、え、いま? お兄ちゃんがお風呂に入ってる隙じゃないとダメ?
一体なんなのお姉ちゃん? ついてこい? なになに。

とと。お姉ちゃん。ここお兄ちゃんの部屋だよ。
ダメだよ、勝手に入ったら。お姉ちゃん、なに、本棚をあさってるの! 勝手にいじったらまずいって!
え、なんでって……。なんでって言われても。えーっと、お姉ちゃんだって勝手にお兄ちゃんに部屋に入られて物弄られたりしたら嫌じゃない?
……嫌じゃないの!? 下着とかさ、荒らされたら……いいの!? わけわかんない。
姉弟だから大丈夫? そういうものなのかなぁ。うーん。でも、お姉ちゃん。何がやりたいのか分からないけど、やっぱりやめよう。
ほら、外出ようよ。 ……お姉ちゃん、やけに手際がいいね。何度もここに入ってるの?
え、あたし? あたしはそういえばお兄ちゃんの部屋に入ったこと無いかも……。辞書とかはお姉ちゃんの持っているヤツが詳しいし……。
なに。その笑み。なんか優越感って、どういう意味よ! 勝った気分って言われても……、別にあたしは負けた気はしないわ。だから、そのへんな笑いかたやめてって!

もう、あたし洗物残ってるから戻るわよ。
待って? まだなにかあるの……? ん、なに。その本棚の奥から取り出した色とりどりの本は。
え。なにこれ。女の人が表紙だ。
ファッション雑誌かしら? お兄ちゃん、こんなの読んでいるイメージ無いけど。
それにしては全ページ肌色ばっかりね、肌色、肌色、肌色、肌色、たまにピンク……。って、
これえっちぃ本じゃない!!
きゃあ、あ。しまった。思わず投げ飛ばしちゃった。お姉ちゃん見事にキャッチありがとう。
なになになになに!? はじめて見るわ。なになに!? お姉ちゃん、これなに!? えっちな本、うん、見れば分かるから!
うわぁ、いろんなページに綺麗な女の人がおっぱいやら下のほうとか出したグラビアがたっくさん! わっ、この女の人なんてあたしの担任の先生そっくり……!
お姉ちゃん、この女の人と男の人、なんか変な道具を持ってるけどこれなに……? ごにょごにょ……、うわぁ、なにそれ! 変態だわ。
うわー、いやー、うぅん……。
え、お姉ちゃん。また本棚ごそごそして……まだ何冊もあるの!? きゃっ、本当だ。うわぁ……。あたし、こんなん知らないわよ。

どうしたのよ、これ。お姉ちゃん。 まさか、お姉ちゃんが買ってきたの!?
……ごめんなさい。うん、冗談だから、そのページ見せつけないで! やめて、やめてってば!
まぁ、そうよね。確実にお兄ちゃんのよね。
なんで、こんなの見つけたの? え、今日の朝お兄ちゃんが出た後にいつものようにエロ本持って無いかと探したら発見したの?
ガサ入れして本当に見つけたんだ……。ていうか、お姉ちゃんガサ入れ常習犯じゃない! 今度からやめなよ。
嫌です!って即答かよ。 ……ガサ入れしてるところお兄ちゃんにチクっちゃうよ。多分、お兄ちゃんお姉ちゃんのこと嫌いになるだろうなぁー。
あ、やめる? お兄ちゃんの名前出すとスゴイ素直になるね。お姉ちゃん。
もう、いいかしら。あたし洗い物を片付けに……。今度は何? え。この中身? いや、あんまり興味は無いかな。
お姉ちゃんにやにやしてどうしたの?

え。お兄ちゃんがどんな女の人が好きなのか知りたくないって?

…………………い、いやー……………えと、別に知りたくないような……知りたいような……。どっちでもいいけどぉ、さぁ。
……その笑いかたやめてよっ。
どっちでもいいわよ、どっちでも!
そりゃ、お兄ちゃんのことは兄として……そのうん、好きだよ。兄としてだよ! 兄として。兄としてだって!
そんなお兄ちゃんの好きな女の人……って言われると、でも、やっぱり、ちょっと気になるかなぁー……?
にやにやしないでって言ってるでしょ! お姉ちゃん!
もうー。
134姉妹仁義 ◆oEsZ2QR/bg :2007/03/31(土) 00:33:36 ID:4d9/ZNG9
ん、突然、真剣な顔してどうしたの?
このえっちな本の内容について。なんなのなんなの。
え。お兄ちゃんは微乳好き……? な、なんですってー!?
どどどどど、どういうことなのお姉ちゃん! なななななななんでなんでなんで!?
あたし、ブラDカップだよ!? お姉ちゃんはEだし! なんなの! あたしの友達の早苗ちゃんは「男は絶対、巨乳好き」って言ってたよ!
なんで、お姉ちゃんお兄ちゃんが微乳好きだって言うの!?
お、落ち着いてるわよ! 落ち着いてるって。すーはーすーはー。ほら、落ち着いた!
だからなんで、そんなこと言うの!?
このえっちな本のジャンル? えっちな本にジャンルなんてあるの?
わっ。きゃぁ。本当だ。出てくる女の人みんなみんなみーんな、あたしたちより胸が小さい人ばかりだぁ。
これなんてタイトルからして『ロリ胸ちぇき』だって……。これも、これも、これもだ。きゃあ、これもしかしてあたしより年下!?

そ、そんなぁ。お兄ちゃんが微乳好きだったなんて……!
あたし、この大きく育ったおっぱいに感謝してたのに。友達だってみんなこのおっぱい羨むんだよ!
だから凄い自慢だったのに。早苗ちゃんに男は巨乳好きって教えられたときも凄く嬉しかったのに。

お姉ちゃん……。
うん、そう……。 あたしはおにいちゃんのことが好きよ!
お兄ちゃんだけど、好きで好きでたまらないの!
このおっぱいだって! お兄ちゃんが好きだと思ったから……自分でも誇りをもてたの!
でも……、お兄ちゃんが微乳好きだったなんて……。

………なぁに。お姉ちゃん。
やっと本音を言ってくれたねって?
……ごめんなさい。ごめんなさい。お姉ちゃん。
あたし、お兄ちゃんを好きになっちゃったの。理由なんてないもん。お兄ちゃんがすきなのぉ。
本当の兄妹なのに、変だよね……。えぐっ……。ごめんなさ……。

お姉ちゃん?

いいの……? え、「お姉ちゃんも一緒だから」……?
え、まさか。お姉ちゃんもお兄ちゃんの事。 あ、う。
そ、そうなんだ……。そうだったんだ。小学生の頃から、ずっと。じゃあいっつもべたべたしてたのは?
そうだったんだ。うん。うん。うん。
そうだよね。お兄ちゃん優しいもんね。好きになっちゃうよね。姉弟だったらなおさらだもんね。
ライバルになるのかな……。お姉ちゃんとあたし。
え、違う? むしろ仲間?
敵は違うところに居る? どういうこと、お姉ちゃん……。

えええええええええええええええええ!?
お兄ちゃんに告白した人が居るの!? 嘘っ嘘っ嘘っ!
そいつ、おっぱいは!?
ぺったんこ!? お姉ちゃんの見立てでは? 『A』! 微乳か!
135姉妹仁義 ◆oEsZ2QR/bg :2007/03/31(土) 00:34:56 ID:4d9/ZNG9
そんな! お兄ちゃんが微乳にとられちゃう!!
え、あ。まだ付き合っては無いのね。あー、びっくりしたぁ。え、でもまずは友達からだって……?
じゃ、じゃあ付き合うのは時間の問題じゃない!

え?
「これから二人でお兄ちゃんを元に戻す」?
……うん。うん。

なるほど。あたしたちが協力してお兄ちゃんを巨乳の魅力に気付かせれば……。
お兄ちゃんの目はおのずと私たちのほうに向くってわけね。
で、巨乳が好きになったお兄ちゃんはあたしたちが気になりはじめれば……、貧乳

じゃあ、このえっちな本は全部要らないよね!
お姉ちゃん、手始めにこれ燃やしちゃお! 燃やしちゃお! 資源ゴミ? いいの、いいの! ぜんぶぜーんぶ燃やしちゃえ!
だって、これからあたしたちの手でお兄ちゃんを巨乳好きにするんだからっ。あたしたちに振り向いてもらうんだから!
だからこんな貧相な胸の女なんて消し炭にしちゃったほうがいいもんねっ。これ見てまた微乳好きになっちゃったら困るもんねっ。
というか、あたしたち以外の女なんかの裸なんて見せるものですか! お兄ちゃんが見ていいのはあたしたちだけだもんっ。
お姉ちゃんもそう思うでしょ?
え? そうだね! さすがお姉ちゃん。いいアイディア! この本を処分して、代わりにここにはあたしたちの水着の写真を置いておきましょうっ。
たしかお姉ちゃんあたしの際どい写真を抜いてたよね? あれ使おうっ。あ、そうだ。こんどあたしたちでエッチな写真作ろうよ! どうせお兄ちゃんにしか見せないんだし!
もう一目見ただけでお兄ちゃんの瞳がおっぱいになっちゃうぐらいの過激なヤツっ。一緒に撮ろうね! うんうん。
なに。お姉ちゃん。あたしがいきいきしてるって? そうかもね。うふふ。
よーし、燃えてきたわ! お姉ちゃん、頑張ってお兄ちゃんを振り向かせましょ!

えいえいおー!

(終わり)
136赤いパパ ◆oEsZ2QR/bg :2007/03/31(土) 00:36:04 ID:4d9/ZNG9
以上、投下終わりです。
またなにかいい姉妹妄想ネタがあったらこのノリで書いてみます。
137名無しさん@ピンキー:2007/03/31(土) 00:44:47 ID:ernYTw6D
>>130
はいはいどこの評論家様でございますか
138緑猫 ◆gPbPvQ478E :2007/03/31(土) 01:09:21 ID:H9B03goz
投下します
139七戦姫 4話 ◆gPbPvQ478E :2007/03/31(土) 01:11:03 ID:H9B03goz

 * * * * *
 
 主国には、奴隷闘技場というものが存在する。
 主国における奴隷とは、犯罪者であったり、最底辺の人間であったり、様々である。
 それらの中から戦闘能力に優れたものを選出し、観衆の前で殺し合わせる。
 主国は領土も人口も大陸一のため、そういった人間が不足することはなく、
 奴隷闘技場は公営事業として立派に成り立っていた。
 
 今日はそんな奴隷闘技場のひとつに、クチナたちは訪れていた。
 
 主国の中でも一際大きな闘技場。
 辺境領に位置するものの、奴隷の質は主国一ともいわれている。
 毎日のように試合が組まれ、興行収入は領地予算の1割に達するとのことである。
 
 この闘技場を参考に、此度の妃を決める武道大会の設営を行うからである。
 
 訪れたのは王子クチナと父王メイラ。
 護衛としてユナハとイクハがそれぞれの主の後ろに控えていた。
 そして、もう一人。
 親の代理として、竜騎士ケスクが、闘技場の見学に訪れていた。
 
「――なるほど、それで私の闘技場を参考にしたいと。
 ええ、構いませんよ。メイラ王とそのご子息に観戦して頂けるのであれば、
 うちの奴隷どもも喜び奮戦することでしょう」
「ご協力感謝します、ネキツ公爵。
 突然の申し出を快く受け入れて下さり、父に代わって御礼申し上げます」
「竜騎士殿、頭を上げて下さい。
 貴女の噂は辺境まで届いております。
 飛竜を従える令嬢が我が領地に訪れて下さるのであれば、
 闘技場の一つや二つ、差し出しても惜しくはない」
「そう言って頂けると幸いです。
 ――メイラ王、クチナ王子。ネキツ公の許しが得られましたので、中の見学はご自由に。
 メイラ王には父直属の護衛隊を案内に付けます」
 
 クチナと二人きりの時とは違う、
“小国を管理する貴族”としての顔で、話を進めるケスク。
 
「クチナ王子は……わ、私が案内します。
 護衛の方は、申し訳ありませんが別室で待機していて下さい」
 
 それぞれの国の関係上、この条件は仕方がない。
 主国の領地内で、護衛が提供されるのにも関わらず、手持ちの護衛を連れ歩くことは許されない。
 しかし。
 イクハとユナハは見逃さなかった。
 竜騎士ケスクの口の端。
 僅かに浮かんだ、勝者の笑みを。


140七戦姫 4話 ◆gPbPvQ478E :2007/03/31(土) 01:12:05 ID:H9B03goz

 * * * * *
 
「……あー、腹立つ。あんのトカゲ女、思いっきり勝ち誇っちゃって」
「まあまあ姉さん。試合を観戦させて貰えるだけでも感謝しなきゃ」
「……ゆーなーはー。アンタは落ち着きすぎ。
 今頃、トカゲ女はクチナ様と試合観戦デートだっていうのに」
「…………私だって、クチナ様と一緒に見たかったけど、でもちゃんと我慢できるもん」
 
 試合場を見下ろせる、賓客用の個室にて。
 イクハとユナハは、クチナとケスクのことが気になって悶々としていた。
 個室の中には彼女ら二人しかいないため、素のままでいられるのは幸いだったが。
 やはり、意中の人物が泥棒猫と一緒というのは、精神衛生上よろしくなかった。
 
 よって、二人は落ち着きなくそわそわと。
 今ひとつ集中できない状態で、闘技場の試合を観戦していた。
 
 が。
 
「――姉さん」
「……ん。あの子……」
 
 ぼんやりと眺めていたひとつの試合。
 観客の盛り上がりは最高潮の中。
 一人の少女が、戦っていた。
 
 女性が戦っていることがおかしいわけではない。
 先程までの試合でも、老若男女問わず、様々な者が戦わされていた。
 
 しかし。
 その少女の戦いは、他の奴隷達とは、どこか違っているように見えた。
 
 鈍色の髪の毛が肩胛骨の辺りまで伸ばされていた。
 手入れは全くされていないようで、伸び放題荒れ放題のぼさぼさ頭。
 瞳は暗闇でも輝きそうな黄金色。野生の光を灯したそれは、どこか肉食の猛鳥を連想させる。
 体には薄汚れた布が巻かれているだけ。服と呼ぶのも烏滸がましい。
 手には革製のグローブが装着され、足には頑強なブーツが履かれている。
 手足の品だけは、高級品と見て取れた。
 衣装は半裸に近いただの布なのに対し、手と足にはしっかり金をかけている。
 
 そんな少女が、屈強な男奴隷と戦っていた。
 相手は岩をも砕きそうな拳を、目にも留まらぬ速度で振るっている。
 一撃で戦闘不能にされてもおかしくない攻撃。
 
 それを、何度も何度も、少女に当てていた。


141七戦姫 4話 ◆gPbPvQ478E :2007/03/31(土) 01:12:59 ID:H9B03goz

 一見、少女はひたすら殴られてるだけのようである。
 男は一度も攻撃を受けておらず、少女は無抵抗に殴られるがまま。
 ただ何となくその光景を眺める者には、少女がいたぶられているようにしか見えないだろう。
 打撃を殺しているわけでもなく、ただ純粋に“殴られている”。
 一撃に上半身が大きく揺れ、鮮血が飛沫となって辺りに散る。
 
 ただの、なぶり殺しにしか見えない。
 このまま少女は殺されるしかない。
 
 だというのに。
 
 歓声は止まず、対戦相手は殴り続ける。
 
 それは、異様な光景だった。
 常人なら何度死んでもおかしくない打撃の雨に晒されながら。
 
 くすんだ銀髪の少女は。
 一度も倒れず。
 ゆっくりと、腕を、上げ始めた。
 
 
 歓声がより一層大きくなる。
 
 
 男奴隷も目に見えて焦り始め、防御のことなど完全に忘れ、ただひたすら殴り続ける。
 頭蓋を割ろうとして拳を叩き付け、
 鼓膜を破ろうとして平手を放ち、
 鎖骨を折ろうと肘を突き刺し、
 内臓を破壊しようと膝を押し込み、
 とにかく動きを止めようと、滅茶苦茶に蹴る。
 
 
 それでも、少女は、倒れない。
 
 
 腕はゆっくりと上がり続け、
 やがて、少女の頭上でぴたりと止まる。
 
 剥き出しになった脇の下に、男奴隷は全力の拳を叩き込んだ。
 常人なら、肋が折れて肺に突き刺さってしまうだろう。
 しかし、それにも、少女は、
 
 
 唇の端を歪め、耐えていた。


142七戦姫 4話 ◆gPbPvQ478E :2007/03/31(土) 01:13:41 ID:H9B03goz

 少女が耐えに耐えて耐え抜いて、男奴隷の猛攻は終わりを告げた。
 幾度となく叩き込まれた致命的な攻撃は、しかし少女を止めるには足りなかった。
 
 振り上げた拳は後頭部の上。
 肘の角度、肩の開き、体幹の傾き、全身の捻り、全てが理想的なまでに整えられていた。
 それは、まるで大砲に弾が込められたかの如く。
 少女は“構え”を完成させた。
 
 瞬間。
 
 完璧に作り上げられた発射台から。
 鉄よりも硬く握り込まれた渾身の拳が。
 一直線に、相手に向かって。
 
 それを捉えられた人間が、この会場に何人いようか。
 母国随一の腕前を誇る護衛姉妹にすら、それは鮮明ではなかった。
 
 
 拳撃の音には似つかわしくない、
 風船の破裂したような音が、響いた。
 
 
 
 
 
「……ユナハ、今の、見えた?」
「はっきりとは見えなかった。
 上から見てあの速さだから、目の前にいたら閃光にしか見えないんじゃないかな」
「――とんでもない一撃ね。硬い人間の頭蓋が、焼き菓子みたいに砕けてる」
「…………姉さんなら、あれを逸らせる?」
「防御に専念できるなら、何とか。でも、あいつの場合はちょっと難しいわ」
「こっちが攻撃している途中で、撃ってくるもんね。常人の耐久力じゃ不可能な戦法だよ」
 
 試合を見ていた護衛姉妹は。
 見始めたときの浮ついた気分を完全に消し、
 戦闘者として、少女の強さを、冷静に見定めていた。
 主国には、こんな人間もいたのか、と。
 驚き半分、畏れ半分の面持ちで、二人は少女を見下ろしていた。


143七戦姫 4話 ◆gPbPvQ478E :2007/03/31(土) 01:14:48 ID:H9B03goz

 * * * * *
 
 ネキツ主催の奴隷闘技場王者、サラサは勝者への歓声を全身に浴びていた。
 
 大陸一の大国で、最も大きいとされる闘技場。
 その王者を務めるのは、若干21歳の女性だった。
 21歳といっても、身長はそれほど高くなく、幼い顔立ちのため、
 実年齢より5つは若く見られてしまうのが悩みの種だったりする。
 まあそれはそれとして。
 
 サラサは、もとは海賊だった。
 
 中堅の海賊で産まれたらしいが、そこを潰した大手の海賊が、サラサの育ての親である。
 海賊にとって赤子など、邪魔者以外の何者でもないため、
 普通なら拾った赤子は海の神に捧げる名目で魚の餌にするのが習わしなのだが、
 サラサの場合は、拾った首領が信心深い奇特な輩だった。
 その首領の出身地では、処女を犯すと性病が治るという迷信が広まっていたので、
 サラサは首領の常備薬として手元に置かれることになったのだ。
 
 サラサが初めて犯されたのは4歳のとき。
 奇跡的に彼女は死なず、そのまま首領に飼われることになった。
 
 その後は、海賊船の雑用をこなしながら、皆の性欲を受け止める日々。
 殴られた回数も、犯された回数も、数え切れない。
 人間扱いされた記憶など無いため、己の境遇に疑問など覚えず、サラサはひたすら生き続けた。
 人外の血が混じっていたのか、頑丈な血統だったのか、サラサ自身にもわからないが、
 彼女は一度も壊れることなく、12歳まで生き延びることができた。
 
 12歳になり、人並み外れた頑丈さを持つサラサに、戦闘頭が殴り方を教えてくれた。
 彼女が人から何かを教わったのは、それだけだ。
 他は全て、生きるために自然と身に付いたものか、海賊達の生活から自分で学んだものである。
 
 殴り方を教わったが、それ以外は教わっていないので、サラサは戦い方を知らない。
 ただ耐えて、構えて、殴る。
 それだけだ。
 
 
 殴り方を覚えてから一年後。
 サラサを飼っていた海賊達が、大国の海軍に壊滅され、生き残ったサラサは奴隷となった。
 最初は女奴隷として何処かの貴族に遣わされる予定だったのだが、
 言葉遣いどころかナイフの持ち方も知らない小娘は、ひどく物覚えが悪かった。
 船虫の捕まえ方は知っていたが、箒の使い方なんて知らなかった小娘である。
 一から覚え込ませるよりは、一発ネタで楽しむ方が有益だろうと、サラサは奴隷闘技場での生贄役に選ばれた。


144七戦姫 4話 ◆gPbPvQ478E :2007/03/31(土) 01:15:38 ID:H9B03goz

 命じられたのは、非常に単純なこと。
 
「真ん中に立って、相手を殴ればいい」
 
 そう言われたサラサは、その通りにした。
 命じた者は、きっとサラサに無駄な抵抗を演出させたかったのだろう。
 少女のか弱い攻撃をものともせず、無慈悲に潰す殺戮者。
 少女はそのための生贄であり、殴っても疵ひとつ負わせることはないだろう、と。
 サラサは同年代の少女と体格こそ同じだが、筋肉は引き絞られ、少なからず厚みを持っていた。
 しかしそれは海賊暮らしが長かったからだろう、と気にされず、サラサは言われたとおり相手を殴った。
 
 結果、相手は胃が破裂して死亡した。
 
 戻ってきたサラサを出迎えたときの、主催者の間抜けな表情は、
 あまりにも滑稽だったため、サラサの記憶に鮮明に残っている。
 
 その後、サラサは奴隷闘技場で生活することとなり。
 その名は主国に広く知れ渡り、ネキツ公爵の奴隷闘技場へと移されることになった。
 
 
 そして、いつの間にか、王者になっていた。
 
 
 ひとつしか知らなかった殴り方は、並ぶ者のない破壊力を誇るようになり。
 対戦者の生存率はゼロという、恐るべき大砲へと進化していた。
 
 
 
 
 
「……さて。今日のお勤めも終わり、っと」
 
 控え室に戻るなり、気の抜けるような大きな伸びをしながら、サラサは明るい声を出した。
 全身傷だらけ。数カ所骨にヒビも入っている。
 しかしそれでも、彼女はまるで何事もなかったかのように振る舞っていた。
 
「んー。晩ご飯まですることないんだよなあ。
 今日はメインイベントじゃなかったから結構時間早いし。
 ……ネキツ様は戦いを引き延ばせるならもっと良い扱いにしてくれるって言うけど、
 あれ以上受けてたらボクの体が壊れちゃうしなあ……」
 
 取り留めもないことを呟きながら、てぺてぺと控え室を後にする。
 生来より頑丈にできているサラサは、多少の裂傷と骨折では、医務室に行かないのが常である。
 
「てけとーに散歩でもしようかなー……」
 
 勝率最高の王者には、それなりの権限が与えられているので、サラサは闘技場の敷地内を自由に歩き回れる。
 故に、奴隷が歩き回っても咎める者は居らず、逆に敬礼する者までいたりする。


145七戦姫 4話 ◆gPbPvQ478E :2007/03/31(土) 01:16:23 ID:H9B03goz

「――っと、そういえば」
 
 呑気に進めていた足を、ふと止めて。
 サラサは、ひとり思案顔。
 
「上から覗いてたあいつら、何だったんだろ?」
 
 試合中に気になっていたこと。
 普段は貴族連中の特等席として、高級そうな服を着た連中が見下ろす場所に。
 サラサより年下に見える二人の女がいた。
 最初は、何処ぞの貴族の娘かとも思ったが――遠目からでもわかる、あの視線は、貴族令嬢のものとは思えなかった。
 
 ――あの視線の鋭さは、正直、戦っていた相手よりも怖かった。
 
 離れた距離からでも、きっと自分を殺せていた。
 そんな怖さが、連中にはあった。
 一体何者なのだろうか。
 普段は食事のメニューしか気にならないサラサだったが、
 あの金髪娘二人組は、何故か気になって仕方なかった。
 
「あいつらは、きっと強い。
 ……それと、なんだか――」
 
 ――ボクに似てる、気がする。
 
 そう、思った。
 思ってから、思わず吹き出してしまった。
 闘技場の特等席に上がれるような人物と奴隷の自分とでは、身分に差がありすぎる。
 まさか貴族の賓客が、自分のように海賊の玩具だったはずがあるまいし。
 きっと錯覚、そう自分に言い聞かせながら、しかし胸の辺りはモヤモヤと。
 
「……あー。せめて有名どころの貴族だったら、ネキツ様が私を紹介してくれると思うんだけど。
 …………。
 …………ゆうめい、どころ?
 ……あれー……なーんか忘れてる気が……」
 
 立ち止まり、サラサはその場で考え込む。


146七戦姫 4話 ◆gPbPvQ478E :2007/03/31(土) 01:17:09 ID:H9B03goz

「今日は……なんかあったような……。
 ……確か……朝……何か言われたような気がするけど……」
 
 朝。
 ネキツ公爵の使いが個室に来て。
 何か、言伝を――
 
「――ああああああああああああっっっ!!!!?
 しまった! 今日は竜騎士様が来るんだった!!!」
 
 特にやるべきことはないが、非礼の無いように、とのことだった。
 
「やっば、こんなことしてる場合じゃない!」
 
 国の英雄とも言える“竜騎士”は、
 奴隷達の間にもその名は広く伝わっている。
 
 曰く、上位竜すら屠る強者だとか。
 曰く、騎手は竜より強いだとか。
 曰く、その強さは闘技場王者すら足元に及ばない、だとか。
 
 折角、間近で竜騎士を目にすることができるのだから、この好機を逃す手はなかった。
 
 
 
「有名どころを迎えるんだから、普通の応接室じゃないはず。
 最上階の特等席には、さっきの金髪二人がいたから違うし……。
 ……あ、3階の来賓喫茶室かな? あそこ結構豪華だしっ!」
 
 階段を駆け上るのももどかしく、
 壁を蹴って三角跳びの要領でぐんぐん上へと昇っていく。
 流石は闘技場王者といったところか。その運動量は常人の枠を大きく外れていた。
 
 今のサラサは、竜騎士を間近で見る期待に溢れていた。
 
 海賊の間で顔色を窺って生きていたサラサは、人を見る目に自信があった。
 遠目からでもじっくり見られれば、相手がどれくらい強いのかはわかってしまう。
 自分より強いと言われている竜騎士。
 その強さはどれほどのものか、その立ち居振る舞いだけでも見ておきたい。
 そんな風にワクワク気分で、しかも壁を蹴って進んでいたサラサは。
 
 当然の如く前方不注意で。
 
 三階に達し、手すりを飛び越えそのまま廊下へを駆け出そうとしたところで。
 ちょうど、死角から進んできていた人物に、ぶつかりそうになった。


147七戦姫 4話 ◆gPbPvQ478E :2007/03/31(土) 01:17:59 ID:H9B03goz

「――のひゃあっ!?」
「うわっ!?」
 
 間抜けな悲鳴を上げながらも、何とか衝突は免れようとするサラサ。
 しかし、相手は驚いて足をもつれさせてしまったらしく、そのままサラサとは逆方向に転ぼうとしていた。
 
「危な――」
 
 咄嗟に手を伸ばし、相手が倒れるのを防ごうとする。
 ――しかし、脳髄を白く染める直感に、サラサは思わず手を引いた。
 刹那。
 サラサの手が伸びようとしていた空間に、目にも留まらぬ剣閃が煌めいた。
 ――速く、そして何より綺麗な剣閃だった。
 己の腕が斬られようとしていたのにもかかわらず、サラサは感嘆の溜息を吐いてしまう。
 
 再び剣閃が煌めこうとして、サラサは慌てて後ろに跳んだ。
 打撃はともかく、斬撃を今の体で受けるのは厳しかった。
 ぶつかりそうになったのはこちらなのだから、平身低頭して、許しを請うほかないだろう。
 
 そう思い、改めて、相手の方を見た。
 
 目の前の女性――貴族らしい華美な衣装と、それに似合わぬ大剣を担いでいる。
 手に持つ小剣は真っ直ぐサラサの方を向いていて、一分の隙も見当たらない。
 紅い髪は剣を振った余韻で揺らめいて、まるで闘志が燃えているようにさえ見えてしまう。
 
 サラサは直感した。
 ――この人が、竜騎士だ。
 
 剣を持たない手は、先程サラサがぶつかりそうになった相手を支えていた。
 ……あの一瞬で、斬撃を放ちながら人――男性を受け止めるとは。
 その技量に、思わず背中が粟立ってしまう。
 
 ――と。
“竜騎士”が、口を開く。
 
「一国の王子に危害を加えようとは――その命、惜しくないのね?」
 
 その瞳には、冷たい炎が燃えていた。サラサは、あれれ、と首を傾げる。
 言ってる意味はさっぱりだが、相手が怒っているのはよくわかった。
 
 
(……ひょっとして、これって、結構やばい状況だったりする?)
 
 
 人気のない通路にて。
 竜騎士と闘技場王者が、対峙していた。


148緑猫 ◆gPbPvQ478E :2007/03/31(土) 01:18:58 ID:H9B03goz
サラサ登場編。
……ホントは次話と合わせて4話にするつもりだったのですが、予想以上に長くなってしまったので、一旦分けます。
無駄に長くなってしまってすみませんorz
5話は明日投下します。サラサ純情編。乞うご期待。
149名無しさん@ピンキー:2007/03/31(土) 01:22:27 ID:66pz4b5B
>>148
くっ…なんというボクっ娘…

思わず事務所で萌え転がってしまった…ありがとう…ありがとうッ!!
150名無しさん@ピンキー:2007/03/31(土) 01:37:33 ID:OdA3tQSY
>>136
GJ! 俺、こーゆーライトなノリ好きだわー
ちなみに俺は根っからの巨乳派

>>148
こちらもGJ!
タイトルからすると、今回までで6人のヒロインが登場したわけだ
残り一人がどんな娘なのか、今からwktkですわ
151名無しさん@ピンキー:2007/03/31(土) 01:44:01 ID:bnH1DXDj
>>130
同意だ・・同意すぎる
トライデントさんの作品には質がない。そう作品の深みがないってことだ・・
パロネタばかりをやっていたおかげで住人から飽きられたりするのは当然な結果だと言える
まあ、作品の構成がメチャクチャになっているし、描写関係も手を抜いている・・。

ロボさんや緑猫さんを見習えというのは、パロネタをやらずにまともに作品を作れと
遠回しに抗議をしているのだねw

問題は、トライデントさんの作品自体が手を抜いて書いているように思えるんだけど
仮にも3つの作品を長編を完結させているんだから、文章構成がおかしくても結構書ける人だと思うよ
この人に文章や描写関連を鍛えてくれる師匠の人が付けば、少しは伸びるはずだ!!


さて、次回作品が前作と同じノリだったら、飽きられますね完璧に。
152名無しさん@ピンキー:2007/03/31(土) 01:51:52 ID:FeFkrpDz
>>125
完結、お疲れ様でした。爽やかに終わってよかった
>>136
GJ!
自分でオカズ作ろうとする姉妹に笑い転げた
>>148
GJ!待ってました。
このボクっ娘はいいボクっ娘だw
153名無しさん@ピンキー:2007/03/31(土) 02:00:34 ID:QPR49O9w
>>148
イヤッホオオオオオオオオオオウ!
154名無しさん@ピンキー:2007/03/31(土) 02:26:03 ID:8k+oHhpk
>>130
>>151
気に食わないなら読み飛ばせよw
構って欲しいんなら「三回廻ってトラ氏サイコーっ」て言ってみなwww
155名無しさん@ピンキー:2007/03/31(土) 06:26:54 ID:xDFnlakx
>>154
のび太、さっさと新学期にむけて準備しろよw
156名無しさん@ピンキー:2007/03/31(土) 06:28:53 ID:iv0b9ANN
>>155
ジャイアン、お前もそう変わらんだろ
157名無しさん@ピンキー:2007/03/31(土) 06:30:39 ID:ELGID/Of
>>125
長い間お疲れ様でした
ああ、ずっと読んでいた作品が終わってしまうのは何とも言えない寂しさがある……
次回作も待ってます!

>>148
GJ!素晴らしいボクっ子だ!しかも連日投下とは
残り一人も楽しみでならない
158名無しさん@ピンキー:2007/03/31(土) 06:40:20 ID:6j6y2MNf
>>136
正直いままで赤いパパ氏の作品は読み飛ばしてたけど、これは期待!!
こういう軽いノリの嫉妬もいいわー。

>>148
ボクっ娘かわいいよボクっ娘
159名無しさん@ピンキー:2007/03/31(土) 07:04:00 ID:sMyhHO6o
>>148
九十九を完結させろ、話はそれからだ
160名無しさん@ピンキー:2007/03/31(土) 07:05:37 ID:CkXMOF/O
>>148
ボクっ子ってwまたステレオタイプなキャラだな
ネタ無いのがバレバレwww
161名無しさん@ピンキー:2007/03/31(土) 07:07:47 ID:xwdbRSaS
>>148
自己紹介SS飽きたー
お前それだけで量稼ごうとしてない?
キャラ全員登場させたらまた新作投下するんですか?
162クワトロ大尉 ◆vL7xCB9lAs :2007/03/31(土) 07:10:36 ID:y6+iIBFs
>>148
.......悪くは無い
でもこれといって良い所も無い
信者のGJばかりに目を向けて慢心してるゾ?
163名無しさん@ピンキー:2007/03/31(土) 07:14:14 ID:+PzppicA
>>159>>160>>161>>162
激しく同意
164名無しさん@ピンキー:2007/03/31(土) 07:18:23 ID:6j6y2MNf
>>136
正直いままで赤いパパ氏の作品は読み飛ばしてたけど、これは期待!!
こういう軽いノリの嫉妬もいいわー。

>>148
ボクっ娘かわいいよボクっ娘
165名無しさん@ピンキー:2007/03/31(土) 07:23:57 ID:63F2baph
158 :名無しさん@ピンキー:2007/03/31(土) 06:40:20 ID:6j6y2MNf
>>136
正直いままで赤いパパ氏の作品は読み飛ばしてたけど、これは期待!!
こういう軽いノリの嫉妬もいいわー。

>>148
ボクっ娘かわいいよボクっ娘

164 :名無しさん@ピンキー:2007/03/31(土) 07:18:23 ID:6j6y2MNf
>>136
正直いままで赤いパパ氏の作品は読み飛ばしてたけど、これは期待!!
こういう軽いノリの嫉妬もいいわー。

>>148
ボクっ娘かわいいよボクっ娘

自演失敗乙w
166名無しさん@ピンキー:2007/03/31(土) 07:28:55 ID:mM6zEpuX
自演バレバレっスよピエロ君w
短時間に連続して書き込んでるから一発で分かるってw
自分で自分に「同意」とかレス付けんの空しくないっスか?www
あっ、友達居ないんスねwサーセンwwwww
167名無しさん@ピンキー:2007/03/31(土) 07:41:24 ID:63F2baph
ID:mM6zEpuX
↑こいついつもの煽り君。またーりとしたい人は登録必須
168名無しさん@ピンキー:2007/03/31(土) 07:53:58 ID:ub/2eiVF
正直九十九の方が面白いです
169名無しさん@ピンキー:2007/03/31(土) 08:01:46 ID:iv0b9ANN
もうお前ら消えろ
トライデント氏とともにな。
170名無しさん@ピンキー:2007/03/31(土) 08:40:05 ID:mM6zEpuX
うっわまだやってるしw
よっぽど生きてて楽しい事無いんスねw
こんだけ性格悪けりゃ友達居ないのも当たり前っスねwww
171名無しさん@ピンキー:2007/03/31(土) 09:53:53 ID:Zbb91tIV
このながれがきもい
172名無しさん@ピンキー:2007/03/31(土) 10:17:07 ID:0qSDYBA+
何言ったって荒れるだけだろうに
何でスルーという言葉を理解しないのか
お前らスルーの意味解るか?
173名無しさん@ピンキー:2007/03/31(土) 10:32:18 ID:FQ1863oK
>>172
もちつけ。ほとんどの住人はスルーしてるはずだ。
現に作者さん擁護をしようとする奴は一人もいないしな
174名無しさん@ピンキー:2007/03/31(土) 11:07:33 ID:hjeQYCDJ
とりあえず、トライデントのせいでまた荒れたのはいい加減にして欲しいよね
175名無しさん@ピンキー:2007/03/31(土) 11:30:17 ID:hmdLq5jB
>>148
誰も指摘してないが…君、もしかしてFF5好きかね?
176名無しさん@ピンキー:2007/03/31(土) 11:30:56 ID:zeP1I8g9
実際に荒らしてるのはお前らだけどな

177名無しさん@ピンキー:2007/03/31(土) 11:59:30 ID:3dsxugvR
>>85 がでがで!?君ある!?
178名無しさん@ピンキー:2007/03/31(土) 12:01:00 ID:8k+oHhpk
学習能力無いのか・・・誰がとはあえて言わんが。
179名無しさん@ピンキー:2007/03/31(土) 12:54:38 ID:QPR49O9w
この中に犯人がおる!
お前やろ!
180名無しさん@ピンキー:2007/03/31(土) 13:05:12 ID:prlOM07n
流れをぶった斬って投下しますよ

欝・レイプ苦手な人はスルー推奨
181『ドラゴン一人乗り。』:2007/03/31(土) 13:06:11 ID:prlOM07n
 煌びらやか調度品が並ぶ寝室、その中央で少女はせわしなく歩き回っていた。普段人前
に出るときの姫としての装いを完全に消しており、落ち着きは欠片も見えず、ひたすらに
歩き回っている。 この場に世話係が居たならば幾らか彼女の行動に苦言を発しただろう。
だが今は彼女の指示により、部屋の内部どころか周辺にすら人影は無い状態になっている。
 軽音。
 厚い樫の扉を叩く音がして、そこで漸く足を止めた。
「入れ」
「あいよ」
 間違っても一国の姫に対して使って良い言葉では無いのだが、少女は気にすることなく、
寧ろ嬉しそうな表情を浮かべて扉に向いた。その行動だけで、彼女が彼をどれだけ待ち
わびていたのかが知れるだろう。
 扉を開いて入ってきたのは、二十代半ばの青年だった。骨太の長身には鍛え上げられた
筋肉が張り付いており、それを無骨な鎧が覆っている。刈り込まれた単髪は炎のような赤、
それが彼の一番の特徴だ。周囲の者に『赤竜』と呼ばれる所以である。
 そして少女は彼を見た途端、白滋のような頬を薔薇色に染め、絹糸のような金髪を跳ね
させ、ドレスの裾を翻しながら、はしたなくも駆け寄った。
「おいおい姫さん、危ねえがら走らないでくれよ。万が一があれば」
「良いのだ」
 彼の言葉を遮るように言い、
「それよりもザック、妾のことはミリィと名前で呼んでくれと毎回言っているだろう」
「ですがね、姫さん。毎回言ってるように、俺は騎士であんたは王女だ。その辺りくらい
は守らんと、俺もおまんまの食い上げなんでさ。分かってくれよ」
 逆にそれ以外は全く守っていないと判断出来るようなことを言い、彼、ザックは溜息を
吐いて頭を掻いた。実際、彼は王女であるミリィを姫と呼ぶこと以外は規則を全く守って
いなかった。今とてミリィを『姫様』ではなく『姫さん』と、従者が使うには少々不味い
呼び方をしているのである。普段の行動も窺い知れようというものだ。
「それで、今回の御用は何ですかい? 俺に出来ることなんざ、大して無いですよ」
182『ドラゴン一人乗り。』:2007/03/31(土) 13:08:30 ID:prlOM07n
「うむ」
 軽く頷き、ミリィは姿勢を正してザックを見た。先程までの少女然とした雰囲気は消え、
本来の立場である王女の姿になる。小柄な体からは他者を圧倒する程の気迫が溢れ出し、
ザックは頭二つ分も低い場所からの視線であるにも関わらず見下された気分になった。
「今から言うことは絶対に他言無用だ、良いな」
 頷くザックに一歩近寄り、
「正式な発表は三日後になるが、今の内に伝えておきたくてな。ザック、そなたは先の戦
で敵の大将首を取ったであろう? その功績が認め、爵位を授けることになった。つまり
そなたは、貴族の仲間入りをすることになる」
 一息吸って、
「立場上は入り婿になるのは仕方ないが、妾を妻とする権利を得たのだ」
「いやいや、それは絶対にねぇでしょう」
 ミリィに苦笑を向け、ザックは頭を掻いた。困ったときや面倒なときの、彼の癖だ。
「例え爵位を貰っても、それは無茶ってもんです。何てったって俺ぁ貧民街出身っすよ?
それが貴族になるってだけでも無茶苦茶なのに、姫を嫁になんで馬鹿な話はねぇですよ」
 平和が長く続いていたことにより、騎士団が弱まっている。それは珍しい話ではなく、
この国も当然例外ではなかった。そのような状況で起こった大戦、慢心が不安へと変わり
慌てて軍備を固めようとしても兵は一朝一夕強くなるものではない。そこで考えられた案
が国内から腕自慢を集めての即席の傭兵部隊。時間稼ぎにしかならないが、何もせず手を
こまねいているよりは幾らかはマシだろうということで戦場に派遣されたのだった。
 だが嬉しい誤算があったのだ。
 貧民街出身であるザックが予想外の働きを示し、更には俯抜けになった騎士団をも率い
敵軍の大将をも討ち取ってしまった。そのお陰で国は勝利し、現在に至るのである。
183『ドラゴン一人乗り。』:2007/03/31(土) 13:10:30 ID:prlOM07n
 確かに自分の功績は少なくないとは思ったが、しかし結婚までは飛躍しすぎだとザック
は思う。今は幾らか近付いたと言っても、権利を得たのだとしても、元は大きな身分の差
があったのだ。平和なままだったなら、それこそ交わらない並行線のようなものだった。
爵位を授かったからといって、簡単に埋められる溝ではない。
「姫さんが俺を良く思ってたのは、なんとなく知ってやしたよ。ですがね、無理なもんは
無理なんです。はっきり言いやす、諦めて下せぇ」
「だが!!」
 ザックは首を振り、吐息を一つ。
「それに、嫁にしたい相手が居るんですわ。だから、例え結婚が認められても無理ですわ」
 ミリィは俯き、背を向けた。
 一歩、また一歩と進んで窓に寄り、窓枠に手を掛ける。
 よもや飛び降りてしまうのではないかと一瞬不安に思ったが、それは杞憂だったようだ。
振り返った顔に浮かんでいるのは辛そうな表情だが、姫としての雰囲気は崩れていない。
日の光を背景に立つ姿は、表情こそ違うがいつものものと変わりない。
「そなたの意思は分かった。だが一つだけ頼みがある」
 何だ、と思った瞬間にミリィが浮かべたのは強い笑み。
「そなたの生まれたという貧民街とやら、案内致せ」
 あまりにも唐突な頼みにザックは目を丸くしたが、ミリィの心中では既に決定している
もののようだった。鼻唄混じりに城下町を見下ろして、たまにからかうようにザックに目
を向ける。瞳に宿っているのは無邪気さと高慢さ、残酷さがブレンドされた意思の光だ。
「どうした? そなたに断る権利は無いぞ?」
 舞踏のステップを踏むように軽やかな足取りでザックに近寄ると、唇を耳に寄せた。
「もし断りでもしたら、どうなるのだろうな? ここで悲鳴の一つでも出せば、そなたは
謀反を働いたとして罪人扱いじゃ。島流しかのう? それとも」
 囁きながら首筋に細くしなやかな手指を伸ばし、
「打ち首かの?」
 撫で、爪で弱く掻くようにして腕を引っ込める。
「分かりやした、分かりやしたよ。案内しやす。全く、姫さんには敵いやせんよ」
 やけになったのか、叫ぶように言う。諦めと疲れが強く滲んだ今の表情を見れば、この
男が国を勝利に導いた『赤竜』と同一人物だとは誰も思わないだろう。他国から畏怖の念
を抱かれているこの男も、こうなっては形無しである。
「よし、ならば早速行くぞ!!」
 張り切るミリィを見て、ザックは頭を掻いた。
184『ドラゴン一人乗り。』:2007/03/31(土) 13:11:34 ID:prlOM07n

 ◇ ◇ ◇

「おい、何だか臭うぞ?」
「しゃあないっすよ、ここは城じゃありやせん。香水どころか、風呂にも碌に入れねぇ奴
がごまんと居るんすから。水ってのは、生きるのに一番大切なんです」
 先程から、ずっと今のような調子であった。正体を隠す為に渡した使い古しのローブを
見ては汚いと文句を垂れ、馬車を使わずに歩いてゆくと言えば嫌がり、白では見たことが
ないような珍しいものを見るとザックの制止もどこへやら、好奇心の赴くままに動くのだ。
そして貧民街に入ってからは、汚いだの臭いだのと文句ばかりであった。
「それより気ィ付けて下さいよ。こんな若い娘が勝手したら、マワされますから。あんた
が姫さんだって知れたら、それはもうエラいことになりやすからね」
「マワす? 曲芸でもするのか?」
「集団で犯される、っつう意味です」
 なんと!?、と驚くミリィの手を引いて、ザックは小さな家の前で止まる。塗装は剥げて、
下のレンガ地も風雨に晒されて何箇所か崩れていた。お世辞にも綺麗とは言えない、小屋
と言っても信じてしまいそうな建物。それを見て、ミリィは首を傾げた。
 ザックは躊躇いもなくドアを開くと中に入り、ミリィも恐る恐るそれに続く。中は簡単
な作りでリビングとキッチンが一体化をしたようなものだった。寝室くらいは分けられて
いるようだが、外から見た規模で考えると、そちらも大して広くないのが推測出来る。
「今帰ったぞ。モリス、居るか?」
 呼び掛けに応えて、奥のドアから髪の長い女性が出てきた。ザックと同じ赤い髪をした、
長身の女性だ。細められた目元が特徴的な柔和な顔付きで、ミリィとは違い、豊かな胸や
そこから下に続くラインなどが女性の持つ曲線を描いている。大人の女性、という表現が
ぴたりとはまる。モリスと呼ばれた女性はミリィを見ると、にこりと笑った。
185『ドラゴン一人乗り。』:2007/03/31(土) 13:13:41 ID:prlOM07n
「あら、新入りさん? よろしくね、私はモリス。ザックもね、久し振りに帰ってきたと
思ったら随分と素敵なお土産を持ってきたわね。また家族が増えて嬉しいわ」
 勘違いをしているモリスの言葉に、ザックは小さく笑った。ミリィの着ているローブの
フードを外して、頭を掻く。モリスはミリィの姿を見て息を飲み、ザックに視線を向けた。
「本物だよ。どうしても下に来たいってきかなくてな、暫く相手をしてやってくれ。お前
だったら安心だ。それじゃあ姫さん、俺は少し出てくるんで大人しくしてて下せぇ」
 一方的に言うとザックは背を向けて家を出て、結果二人きりとなってしまった。
「あの、姫様」
「ミリィで良い」
 適当な椅子に腰を下ろし、ミリィはモリスを眺めた。美人だという訳ではないが、人に
好かれる種類の人間だと思う。会話も先程の簡潔なものだけだが、物腰や表情を見ている
だけでも分かった。ミリィとて王女である、常に貴族や他国の王族の顔を見て生きてきた
彼女は、並の大人よりも遥かに高い知能と観察眼を持っていた。
「ザックはどこへ?」
「共同墓地です、昔の家族は皆そこですから。それよりミリィ様、本日は一体、どのよう
なご用件でしょうか? 正直、こちらには見るものなど」
「いや、来たのは下らん好奇心だ。……下らなくもないか」
 それより、と前置きして、
「そなたは、ザックの兄弟か?」
「似たようなもの、ですね」
 言われて、理解する。
 そうか、この者か、と。
 新しい家族と先程モリスが言ったが、それは貧民街に捨てられた子供を保護しているの
だなと判断した。もしかしたら一人で行っているのではなくコミュニティを作っているの
かもしれないが、どちらでも良い。要は、血の繋がりが無い者が集まっているのだろう。
ザックもそうだろうし、彼女も家族のようなものと言ったからには彼女もそうなのだろう。
そして今は騎士の宿舎に住んでいるが、若い男女が一緒に住んでいたとなればどのような
関係かは予想がつく。モリスが、ザックの言っていた女性なのだと。
186『ドラゴン一人乗り。』:2007/03/31(土) 13:14:53 ID:prlOM07n
 結論し、ミリィはモリスを見た。
「そなたはザックと一緒になりたいと思っているか?」
 直球で尋ねると、モリスは案の定頬を染めて俯いた。小さく頷き、
「ザックは、私の一番大切な人なのです。まだお互い言葉にはしておりませんが」
「諦めよ」
 短く吐き捨てた言葉に、空気が凍った。
 驚きに見開かれた瞳を見てミリィは口の端を吊り上げ、冷たい視線を持ってモリスの顔
を覗き込む。立ち上がると、わざと大きく踵を鳴らして近寄り、
「三日後には、ザックは貴族になる。兵を率いて敵国を打ち破った大英雄だ、王の器とも
認められようぞ。貴様らの言葉で言うなら天上人か、つまり手の届かない場所へと行く」
「そんな、まさか」
「王族の言葉に、嘘があると申すか?」
 滅相もございません、と蚊の鳴くような声で呟き、モリスは膝を着いた。小刻みに肩が
震えて、溢れ出した涙が床を打つ音が静かに響く。すすり泣く声は、激情の温度だ。
「安心せよ、ザックは妾が幸せにする。だから心おきなく見送るが良い」
 モリスを冷たく見下ろし、続いて窓の外を見た。ザックが来るのを見ると急いで家から
出た。一瞬にして冷徹さは消え、恋をする乙女の顔に戻っている。
「ザック、待ち侘びたぞ!!」
「姫さん、早くフードを被って下せぇ。何かあったら飛ぶのは俺の首じゃなくて、この国
なんですぜ? せっかく勝ったのに全部パァになりまさ」
 すまんすまん、と言いながらフードを被り、顔を隠す。
 浮かんだのは、先程の冷たい笑みだった。
187『ドラゴン一人乗り。』:2007/03/31(土) 13:17:26 ID:prlOM07n

 ◇ ◇ ◇
 それを聞いたとき、ザックは耳を疑った。
 きっかけは貧民街の物盗りの一人が、偶々城下町の見物に来ていた貴族の息子を殺した
という事件だった。鼠を見掛けたら、その何十倍も居るものと思え。薄汚い溝鼠だったら、
それは尚更だ。生かしてはいけない、あいつらは国の害悪だ、殲滅しろ。そのような運び
で決議され、貧民街の住人を一掃する計画が始まったのだという。
 ザックも貧民街出身だが、国を救った大英雄の『赤竜』は数々の貴族に愛されていた。
誇り高さ、勇ましさ、強さ、それから来る厚い人望。今や、ザックを貧民街から出てきた
ゴロツキとして見る者は居なくなっていた。爵位の授与も先日終わっており、完全に貴族
として上流階級扱われていたのだ。だからこの話を敢えて教える必要はない、寧ろかつて
共に生きた仲間が死ぬと知ったら悲しむだろうし、止めにも来るだろう。それは不味いと
判断され、知らされることは無かったのだ。
 だが話というものはどこかに穴があるもので、少なからず漏れてしまう。だからザック
の耳に入ったのだが、それは知るには遅すぎた。既に騎士団は城下町へと繰り出しており、
辿り着いたときには無数の死体が転がっていた。
 対応が遅れた。
 悔やみながら、ザックは馬を走らせる。
「モリス!!」
「案外早かったのう」
 扉を開いた先の光景に、愕然とする。
188『ドラゴン一人乗り。』:2007/03/31(土) 13:19:44 ID:prlOM07n
 モリスが数人の騎士に犯されていた。前から後ろからも貫かれ、口も犯されている。瞳
には生気が宿っておらず、表情のない顔には涙が乾いた跡が見えた。どれだけ中で出され
たのだろうか、生々しい音を発する結合部からは大量の精液が溢れ出している。
 そして何より、
 何故、ミリィがここに居る?
「事情が分かっておるなら、手出しは無用じゃ」
 妾は止めたのだがのう、と言いながら小さく笑い声を漏らす。
「お前らも、何やってんだ!!」
「すいません、ザックさん。でも俺らにも、家族が居るんです。ここで命令を無視したら、
今度は俺らの家族が生きていけなくなるんです。悪いことだと分かっていますが、でも、
分かって下さい!! こうすることしか出来ないんです!!」
 モリスを犯している数人の騎士の内、一人が叫ぶ。他の者も、皆泣いていた。
 何故、このようなことになったのか。ミリィはモリスを気に入ったのではなかったのか。
『貧民街は楽しかったっすか?』
『うむ。特に、モリスには有意義な話も聞けたしの』
 貧民街からの帰り道、楽しそうに言っていた言葉は、全て嘘だったのか。
「これでザック、そなたも諦めがつくだろう。『赤竜』の隣に立つのは、妾一人で良い」
 言い終えると同時に、騎士の一人が達したようだった。逸物が引き抜かれた尻穴は完全
に開ききっており、暗い穴がぱくぱくと力なく開閉している。ごぽり、と溢れた精液が床
に大きな、白く汚れた水溜まりを作った。
「ミリィ、あんた俺の気持ちを分かったっていったじゃねぇか」
「おぉ、初めて名前で呼んでくれたのう」
「良いから答えろよ!!」
 はは、と笑って椅子に腰を下ろすと頬杖を着いてザックを眺め、
「分かったとは言ったが、納得するとは言っとらん」
 呆然として立ち尽くすザックを見ると、再び笑い声を漏らす。
189『ドラゴン一人乗り。』:2007/03/31(土) 13:20:57 ID:prlOM07n
 ミリィは近くの騎士の腰にあった短剣を引き抜くと、
「これで、しまいじゃ」
 犯していた騎士を押し退け、胸に突き立てた。
「モリス!!」
 騎士を引き剥がし、ミリィを突き飛ばし、必死に抱き締める。ザックの服も瞬く間に紅
に染まったが、気にしている場合ではない。何度も、何度も、反応するまで呼び掛ける。
 不意に、瞳に光が戻った。
「ごめんなさい、ザック、もう、駄目みたい」
「死ぬな。こんな場所で死ぬんじゃねぇ!!」
 せっかく貴族になって、堂々と結婚を宣言出来ると思ったのに、裕福で楽しい暮らしを
させてやれると思ったのに、これでは全てが無理になる。出世しても金持ちになっても、
これでは意味が無い。孤児院を作って一緒に貧民街の子供達を助けよう、と出兵の前の晩
に誓いあった。その為に頑張り、ここまで来たというのに。
「死ぬな、死ぬな!!」
 死ぬな、と馬鹿のようにそれだけを繰り返し、叫ぶ。
「無理よ、自分の体のことは、自分が一番、分かってるもの」
 血を吐きながら微笑み、ザックの頭を撫で、泣き虫なのは変わらないわね、と軽い調子
で言う。穏やかな、いつもと全く変わらない様子で。
「ザック、今まではっきり言えなくてごめんなさい。あなたのこと、愛してるわ」
「俺もだ、絶対にその気持ちは変わらねぇ!! だから死ぬんじゃねぇ!!」
 胸に顔を埋め、ザックは泣き叫ぶ。
 だから、気付けなかった。
 ミリィは見る、自分に優越の笑みが向けられたのを。
 ゆっくりと、声を出さずに、
『わ・た・し・の・か・ち・よ』
 そう、呟いたのを。
 『赤竜』の悲しみが響く中で、モリスが死にゆく中で、ミリィは立ち尽くしていた。
190ロボ ◆JypZpjo0ig :2007/03/31(土) 13:23:44 ID:prlOM07n
これで終わりです

本当は姫リンカーンも入れようとしたんですが、話のバランス取りや
文が倍の量になるなど問題があるので止めました
本当に残念です、畜生!!
191ロボ ◆JypZpjo0ig :2007/03/31(土) 13:33:05 ID:prlOM07n
>>185

ミスりました
正しくは↓

ザックもそうだろうし、彼女も家族のようなものと言ったからには、当然そうなのだろう。


です
すいません
192名無しさん@ピンキー:2007/03/31(土) 13:34:38 ID:SNnYdnCd
オチの形のせいかNTR凌辱分のほうが大きく補給された気がする。
個人的に姫リンカーンは入れるべきだったと思うんだぜ!
193名無しさん@ピンキー:2007/03/31(土) 14:19:52 ID:2jIvWaiw
姫ムカつくなぁ・・・
194名無しさん@ピンキー:2007/03/31(土) 14:26:58 ID:oi71lgjW
>>191
姫うぜぇ
つうかスレ違いもいいとこ
195名無しさん@ピンキー:2007/03/31(土) 14:35:58 ID:hmdLq5jB
>>190
GJ。男の全てを子供のように手に入れる女って構図はいいな。
196名無しさん@ピンキー:2007/03/31(土) 14:48:07 ID:G9keUqgZ
>>190
最初に断っておけば何書いてもいいってもんじゃねーだろ
197名無しさん@ピンキー:2007/03/31(土) 14:54:19 ID:/h/PYfoM
193に同意だし194の言うことも一理あるとは思うけど・・・。

いろんな系統の話にチャレンジするロボ氏はやっぱりGJです。
これからも期待してます。


個人的にはヤミィ・ヤミィが一番好きだったなぁ・・・。
198名無しさん@ピンキー:2007/03/31(土) 14:56:19 ID:FQ1863oK
>>190
また黒い姫が出てきたなw
でもGJ
わがまま言ってしまえばもっと嫉妬分が欲しかったぐらいか
あと姫リンカーンも読みたかったw
199名無しさん@ピンキー:2007/03/31(土) 15:41:17 ID:j0KhjVYv
嫉妬・修羅場要素がメインなら基本何書いてもいいですよ
ジャンルや展開が人を選ぶんならちゃんと前書きすれば問題ないわけで

前書きしてあるのにわざわざ嫌いなジャンルを読んで文句垂れるマゾヒストがいらっしゃるようですね
200名無しさん@ピンキー:2007/03/31(土) 15:51:47 ID:XGj2txoN
>>199
ハイハイ、ワロスワロス
201名無しさん@ピンキー:2007/03/31(土) 16:02:40 ID:29ba0At+
それ以前にちゃんと作品を完結して欲しいけどねww
202名無しさん@ピンキー:2007/03/31(土) 16:06:25 ID:hNBi8I49
だよな。どんな作品でも完結させる人は凄い。
中途半端で途中で飽きて投入しない奴ほどいらない人はいない。最初から書くなと
203名無しさん@ピンキー:2007/03/31(土) 16:27:50 ID:i89DtYW1
>>202
書きもしないで文句たれるお前の方がいらないと思うがな
204名無しさん@ピンキー:2007/03/31(土) 16:36:53 ID:29ba0At+
>>202
作品を完結させるのは難しい・・それはテーマを嫉妬・三角関係・修羅場に
限定された作品やオンライン小説や新人賞に送る作品でもね

思いついたネタを最後まで仕上げるってのは
日記を毎日更新するぐらいの根気が必要であり、
作品を完結させるためには真っ白な原稿用紙を活字で埋めなきゃならないわけだ

それに比べて批評は楽だ。楽すぎる・・
適当に数行を読んで、面白いつまんないだけ書き込んだらいいんだから



205名無しさん@ピンキー:2007/03/31(土) 16:39:36 ID:QVOTbk9Y
とりあえず、作者さんを名指しで批判したあげく、
荒れた原因をも作者さんのせいにする奴は注意書きを読んでこのスレから出ていけよ。
誰もお前に読んでもらおう何て思ってないから。
206名無しさん@ピンキー:2007/03/31(土) 16:44:39 ID:BGniPU0/
何気に荒らしが住み着いているおかげで神作品のSSが減ってきたな
問題は、煽りと単発の排除かな
207名無しさん@ピンキー:2007/03/31(土) 16:45:15 ID:xFlyknRq
>>204
それじゃあ批評家なんて仕事は何のためにあるんだろうねw
>>205
作者さんに当てたレスなんだからお前が反応する必要無し
出て行けというお前が出て行けよwww
208名無しさん@ピンキー:2007/03/31(土) 16:47:23 ID:t20bsDfQ
>>206
単発単発五月蝿いな
お前も単発じゃねーかw
209名無しさん@ピンキー:2007/03/31(土) 16:49:18 ID:hNBi8I49
なんでこんなに釣られる奴多いんだ?常識的に考えておかしいやろ。
例えば嵐に釣られると削除対象から外れるのも知ってるんだろうな。
便乗嵐なんだよな。
210名無しさん@ピンキー:2007/03/31(土) 16:51:09 ID:BGniPU0/
>>207
批評家の仕事をやっている人とこのスレ住人が同レベルじゃないからw
神の作品を批評する内容が具体的な部分がはっきりとしない
どうせ、荒れるなら感想だけにしておけってことだ
211名無しさん@ピンキー:2007/03/31(土) 16:56:35 ID:ZiLJa/0Z
>>208も単発w
>>210
>感想
>物事について、心に感じたことや思ったこと。

つまんないも感想になるね、これからはビシバシ駄目SSを叩けるなw
212名無しさん@ピンキー:2007/03/31(土) 16:58:11 ID:aohmu7/7
>>209
釣られてるのも煽ってるのも荒らしなんでしょ。
まともな住人は感想書いてあとはみんなROMってるとおもう。
213名無しさん@ピンキー:2007/03/31(土) 16:59:14 ID:irzblhE1
>>212
>まともな住人は感想書いてあとはみんなROMってるとおもう。
自分でキチガイと認めちゃったよw
214名無しさん@ピンキー:2007/03/31(土) 17:00:17 ID:Z2Ju/67f
>>211>>213
お前等天才w
215名無しさん@ピンキー:2007/03/31(土) 17:02:55 ID:j0KhjVYv
なんという一人相撲…
216名無しさん@ピンキー:2007/03/31(土) 17:04:35 ID:BGniPU0/
いい加減にまともな会話も出来ない煽りと荒らしがうざくなってきたな
嫉妬SSのプロットも書くことができない、話題も提供できない非生産的な
単発DQNはIPを変えて自作自演しているのは丸分かりだよ

誰もお前なんか相手していない事ぐらいに気づけよ
217名無しさん@ピンキー:2007/03/31(土) 17:07:08 ID:J1iWZVtH
>>215
ハイハイ、ワロスワロス
>>216
煽り乙カレーライス
218名無しさん@ピンキー:2007/03/31(土) 17:09:06 ID:BGniPU0/
>>217
キモチワルイ
219名無しさん@ピンキー:2007/03/31(土) 17:11:44 ID:F2ZYHOT2
BGniPU0/
↑まさに>>212に書いてあるとおりの奴だな
220名無しさん@ピンキー:2007/03/31(土) 17:16:48 ID:BGniPU0/
>>219
>>217
自作自演丸分かりなんだけどね・・wwwwwwwww
お前、昼頃に何やっているんだ? マジで
今だけじゃないぞ・・嫉妬スレで投下される度に一番先に書き込んでいることは
リアルタイムで監視しているってことだろw どこのストーカーなんだ?

221名無しさん@ピンキー:2007/03/31(土) 17:16:57 ID:i5ax/Si3
             __  __
            , ' ´     `ヽ_))
         _r=く          Y》j
         〈\ニノ  i i ! i |、| ハ! |
       r〜∨ j |i l |」⊥lハ T 7 }|
      r':::r〜} / /| i |´j ! | j }ノ/レ'ノl|
    (´::/ノ:::// /_」 i | , - 、  ((必j〈l|
     ){{::::// /(__l | ,,   _'`~´ 八|
   (_::::V// 〈_:::::::! !   ヽ ノ ィ^\\
   }\〈// ,  }〜ヘ ≧=ァ‐≦〜ヘ.\\\
   /:::// / /::ム::::∨::::`iー'´\::::::\\ ヽ)
   ゙7 / / ノヽ::::::}ヽ:::\_ノ  「l  Y、:::::ヽ く
.  く く (´ `'ー‐′ \:::ヽァ⌒l-{r〜ヘノ ) )
   >_)ノ        ム:::ノ__ノJ  ゙ー ' \(
   ((´               \ V スルー \
                      \  推奨_.. -‐゙
                       ` -‐ ´
222名無しさん@ピンキー:2007/03/31(土) 17:42:01 ID:M1GVrW9i
なぁ、例えばの話だよ?
姉を巡って実の妹と義理の妹が修羅場る
百合チックな嫉妬ってのはありか?
「あの人をお姉ちゃんって呼んで良いのはあたしだけよ!」
みたいなノリで
223名無しさん@ピンキー:2007/03/31(土) 18:00:28 ID:w+qmuguV
>>222
個人的にはありありだぜ!
224名無しさん@ピンキー:2007/03/31(土) 19:04:25 ID:SKFjpgyU
なんか>220とか見れないレスがあるんだけど?
225名無しさん@ピンキー:2007/03/31(土) 19:04:36 ID:Q5EvxfB4
>>222
おいおい・・・それは・・・



ありだな。
226名無しさん@ピンキー:2007/03/31(土) 19:10:52 ID:/eIz0vBY
>>222
修羅場があればおkだろ。
227名無しさん@ピンキー:2007/03/31(土) 19:52:30 ID:JXxOrcUF
ま、ありなんだろうな。
個人的には異常性愛に病むっていうか没頭するとキモさ倍増だが。
228名無しさん@ピンキー:2007/03/31(土) 20:03:57 ID:SKFjpgyU
>>222
百合スレ池
でもこれはいいね、姉を兄にしたらもっとありじゃね?
229クワトロ大尉 ◆oBBxq09ido :2007/03/31(土) 21:19:14 ID:TgN9O6uE
やれやれ・・俺の仲間達はまだここを潰していないのかね?
230名無しさん@ピンキー:2007/03/31(土) 21:26:24 ID:i5ax/Si3
             __  __
            , ' ´     `ヽ_))
         _r=く          Y》j
         〈\ニノ  i i ! i |、| ハ! |
       r〜∨ j |i l |」⊥lハ T 7 }|
      r':::r〜} / /| i |´j ! | j }ノ/レ'ノl|
    (´::/ノ:::// /_」 i | , - 、  ((必j〈l|
     ){{::::// /(__l | ,,   _'`~´ 八|
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   }\〈// ,  }〜ヘ ≧=ァ‐≦〜ヘ.\\\
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.  く く (´ `'ー‐′ \:::ヽァ⌒l-{r〜ヘノ ) )
   >_)ノ        ム:::ノ__ノJ  ゙ー ' \(
   ((´               \ V スルー \
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231名無しさん@ピンキー:2007/03/31(土) 21:37:41 ID:TXpnrX6E
>>229
誰こいつ?
232名無しさん@ピンキー:2007/03/31(土) 21:42:23 ID:j0KhjVYv
カツレツ食いながらポーションうめぇな
233名無しさん@ピンキー:2007/03/31(土) 22:02:18 ID:Iv7czgBF
>>232
つチラシの裏
234名無しさん@ピンキー:2007/03/31(土) 22:22:46 ID:Ly6ltAxr
恐らく、ノントロの作者も嫌気がさしていなくなったんだろうな
235名無しさん@ピンキー:2007/03/31(土) 22:55:20 ID:MqhwnSqE
>>234
ノントロはネタ切れだろ
嵐が来る前から投下ペースは落ちていってたし、最後の投下は1月半ばだろ
荒らしが活発になったのは2月終わりぐらいだから関係ない
236名無しさん@ピンキー:2007/03/31(土) 23:03:19 ID:jFA9WYHV
しかし、どうしてこんなにもキモ姉とかキモウトの嫉妬とか独占欲とか依存とかヤンデレ化って萌えるんだろうか。
嫉妬スレに来てからさらに思うようになりました。
237名無しさん@ピンキー:2007/03/31(土) 23:04:23 ID:jFA9WYHV
下げ忘れすまん
238名無しさん@ピンキー:2007/03/31(土) 23:18:34 ID:UW/zLGo0
まーたお得意のage荒らしか
239名無しさん@ピンキー:2007/03/31(土) 23:30:08 ID:oQvC/0P7
>>236
それはお前が俺達と同じ変態紳士だからだ
世間的にはマイノリティーと分かっていてもな!
240名無しさん@ピンキー:2007/03/31(土) 23:52:12 ID:3bCS4qol
>>236
実生活じゃあ女性に愛されるということが無いから妄想の中では嫉妬されるぐらい愛されたいんだろw
241名無しさん@ピンキー:2007/04/01(日) 00:39:35 ID:m+FKzwbd
>>238
すまん本気で忘れてたんだ。

>>239
そうだな。世間の理解は不要

>>240
たしかにそうだが、そんなに悲観はしてない。
242名無しさん@ピンキー:2007/04/01(日) 00:47:21 ID:3Q+JGD9h
さすがに監禁されてもいいと思うほどリアルに絶望は……
ぁあでも美少女ならなぁちょっとぐらいいぃいかもなぁ……そのぐらい夢を見
243赤いパパ ◆oEsZ2QR/bg :2007/04/01(日) 01:10:10 ID:bBWrJ1As
短編投下します。(アンビエイト・ダンスは現在執筆中)
「姉が弟の服を着て眠る…」妄想から受信しました。
244姉妹仁義 ◆oEsZ2QR/bg :2007/04/01(日) 01:10:55 ID:bBWrJ1As
お姉ちゃん、部屋はいるよー。
あ、もうベッドに入って寝てるの? 布団に包まって、まだ10時だけど……。
よいしょ。まあいいや、お姉ちゃん。ちょっと辞書かしてくれないかしら? いい? 机から勝手に取るよ。
うんと、和英、和英……、あった。これね。
じゃあ、持って行くからお姉ちゃん……。
ん? お姉ちゃんベッドの中でハァハァしてどうしたの一体? 離れたここまで荒い吐息が聞こえてるんだけど。
そういえば、お姉ちゃん。お兄ちゃんが最近自分の下着とか体操服とかが無くなってるらしいんだ、なにか心当たりはある?
まさか、男物下着を狙う下着泥棒なんていないわよねぇ。気持ち悪いし……。
え、心当たりはある? どういうこと……。え、布団を剥いで……。
って。あああああ!

お姉ちゃん、それお兄ちゃんの体操服じゃない! なんでお姉ちゃんが着てるの!?
ちょっと拝借? 泥棒だよそれって! お兄ちゃん新しい体操服もう2着も買ってるんだよっ。なにやってんの!
わっ、しかもこれよれよれじゃない。洗濯する前のヤツ、パクったんだ。うわぁ、しかも泥だらけ……。
お兄ちゃんが体育でサッカーやった日に手に入れてブツだって? なんでそんなものを。え、お兄ちゃんの汗を体操服が一番吸ってるからその日にしたって?
ああ……。なるほど、お姉ちゃんらしいわね。
でもなんで、着てるの?
え、こうやって眠るとお兄ちゃんに優しく抱かれてみたいだから?
お兄ちゃんの汗のにおいにまみれて眠れるなんて素敵? なに言ってるの!
脱いでっ。脱ぎなさい! ええー、じゃないのっ。お兄ちゃんのなんだから、お兄ちゃんに返さなきゃ!
せめて、もう一日? ダメだよ。お兄ちゃん明日から二日連続で体育なんだから……。
お姉ちゃんよだれ垂れてるよだれ垂れてるっ。じゅるりじゃないって!
ほらほら。脱いだ脱いだ!
それ、渡して。

え、最後に一息だけ吸わせてくれ?
なにするの? あ、お兄ちゃんの体操服を、脇の辺りに口元当てて……。すぅすぅはぁはぁ?
……もう、わかったわよ。一息だけだよ。ほら。
すぅぅぅぅって。えらく勢いよく吸うわねぇ……。お姉ちゃん、じゅるじゅると音まで言わせちゃってるし……。
………………。

お姉ちゃん? ちょっと、
ちょっと、でいいから。あたしもやってみていい? あたしも吸ってみていい?
いや、べつに。ただお姉ちゃんがおいしそうに吸ってるからあたしも興味あるなぁー……って。お兄ちゃんの香り……。
無理ありすぎ? わかってるわよ! 無理言ってるわよ! あたし!
お姉ちゃん。あたしにもそれやらせてよ! お兄ちゃんの匂いをあたしも感じたいの! すぅすぅはぁはぁしたいの!
いただきっ。よーし、すぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ……。
245姉妹仁義 ◆oEsZ2QR/bg :2007/04/01(日) 01:12:27 ID:bBWrJ1As
…………。
お姉ちゃん。お兄ちゃんはまだ二着体操服あるから、もう一着ぐらい無くなってもいいよね。
うんうん。とりあえずこの体操服はおねえちゃんにあげる。あたしは明日バスケで汗かいたおにいちゃんの体操服をちょっと拝借することにするから。
え、明日のヤツは前から狙ってたブツ? バスケは体育館でやるから泥が付いていない純正のお兄ちゃんの体操服が欲しかったのって?
……ダメ! 明日はあたしがもらうの! お姉ちゃんはそのサッカーの後の体操服があるんでしょ! いいじゃない。あたしは持ってないんだから。
あたしだって、お兄ちゃんに優しく抱かれながら寝たいの! お姉ちゃんみたいにそれを持ってすぅすぅはぁはぁしたいの!
だめ! 明日のはあたしの! 絶対あげないんだから!
ズボンだけでも絶対だめぇぇーー!

 ………。

お姉ちゃんー……。うえぇーん。
どうしたの……って。えっとね、えっとね。今日、帰ってきたお兄ちゃんにね、使った体操服を出してもらおうと思ったら、思ったらだよっ。
あの女が、あの憎たらしい貧乳女が洗濯するって言って持ってちゃったんだって!!
うわぁぁぁん。あの女めぇぇ! いつのまにあたしからお兄ちゃんの妻役奪いやがってぇぇー!
お姉ちゃん、聞いてよ。いつのまにかお兄ちゃんとあの女、割れ鍋に綴じ蓋って言われてるしぃぃぃっ! お似合いカップルって言われてるしぃぃ!
絶対、あの女。持って帰った後洗濯しないですぅすぅはぁはぁしちゃったり、寝る前に着こんですりすりしちゃったりするんだぁ! あたしがやるはずだったのにぃ!
うわぁぁぁんっ。もうあの女が触っちゃったから、あの女の後なんていやだようっ!
えぐっえぐっえぐっ……。

ん、お姉ちゃん。なぁに……。わぁっ。これは……。お兄ちゃんの体操服?
え、これ泥付きだし、お姉ちゃんのやつじゃ……。え? 今日だけ、貸してくれるの? ほ、本当!?
うん、うん、ありがとう。ありがとぉぉ!
でも、お姉ちゃん。これあたしに貸しちゃったらお姉ちゃんがすぅすぅはぁはぁできないじゃん。
だからさ……、えへへっ。お姉ちゃんっ。今日は一緒のベッドで一緒にすぅすぅはぁはぁしながら寝ようよっ! えへへっ。ナイスアイディアでしょ?
お姉ちゃん、まだまだあの貧乳女との戦いは始まったばかりだもんっ。こんなことで負けちゃあダメだもんねっ。
うんっ。そうだね、お姉ちゃんっ。今度に逆にお兄ちゃんにあたし達の服を着せちゃおう!

(終わり)
246赤いパパ ◆oEsZ2QR/bg :2007/04/01(日) 01:13:42 ID:bBWrJ1As
投下終わり。
なにか、いい姉妹ネタがあれば続けてやってみようと思います。なにかリクエストなどございましたら。
247名無しさん@ピンキー:2007/04/01(日) 01:18:13 ID:IgTjpFr4
>228
まぁ修羅場をヤるのなら異性同士の方が萌えるしな。
それに同性同士じゃなんか感情移入できないしね。
248名無しさん@ピンキー:2007/04/01(日) 01:22:47 ID:okuC43W+
>>246
やはり、エロ本が発見されてしまい、その内容が姉妹モノだった場合における
姉妹の異常行動と動物本能で何故か脅える主人公など

ネタはたくさんあるが・・

これは下ネタ満載だね・・

萌えが一つもないので、読んでいて胸が温かくなるようなお話を作ってください

下ネタと萌えは全然違うのですよ
249名無しさん@ピンキー:2007/04/01(日) 01:23:04 ID:iSg1F7hf
>>246
GJ。こういうライトなのもいいですね。
…と思ったが兄の服の匂いをかぎながら寝るのが「ライト」だと思う辺りが嫉妬スレの住人の由縁かw
よろしければ>>85のような姉キャラも見てみたいです。
250名無しさん@ピンキー:2007/04/01(日) 01:27:11 ID:hCYSqdUS
>>246
とりあえず、少女漫画でも読め!!
そうすれば、女性の描写表現力が少しでも上がると思うよ
251名無しさん@ピンキー:2007/04/01(日) 01:27:55 ID:FRyGPpEg
同級生もののエロ本を発見してクワッとなる姉妹とか。
252名無しさん@ピンキー:2007/04/01(日) 01:30:01 ID:/rvt04IX
>>246
この姉妹本当に仲いいなw
どんどん姉に染められていく妹が最高!
そしてそろそろ彼女の方も気になる。
253名無しさん@ピンキー:2007/04/01(日) 01:48:48 ID:SN1CHq6O
>>246
いや、まずアンビエイト・ダンスを投下するべきでは?
期待してるのえ早く投下汁
254名無しさん@ピンキー:2007/04/01(日) 02:13:01 ID:nD+Oxaop
とりあえず、ノントロ・白い牙・九十九が連載されてればそれで良い
255名無しさん@ピンキー:2007/04/01(日) 02:20:00 ID:WR2kTa9Z
>>246
こういう爽やかなのすごく好き、短編だから読みやすいし
主人公や彼女を表に出さず、姉妹のやり取りのみってのも新鮮。
256名無しさん@ピンキー:2007/04/01(日) 02:35:08 ID:d3OccFBr
ロボすわ〜ん、耐性の無い俺は即死寸前。
257名無しさん@ピンキー:2007/04/01(日) 02:37:23 ID:j6zz3agj
>>255
>>246を「爽やか」と言えるお前に惚れたw
258緑猫 ◆gPbPvQ478E :2007/04/01(日) 04:02:08 ID:NjxJlVbq
投下します
259七戦姫 5話 ◆gPbPvQ478E :2007/04/01(日) 04:03:17 ID:NjxJlVbq

 * * * * *
 
 竜騎士ケスクと女奴隷サラサが対峙したのと同時刻。
 闘技場の一角に設けられた応接室にて、メイラはネキツに呼び出されていた。
 
 周囲に護衛の姿はない。
 しかし、ここはネキツの闘技場の中。属国の王としては命を完全に握られている形となる。
 
「――それで、枠が余っているようでしたら、
 是非とも私のサラサを大会に出場させて頂けないでしょうか」
 
 ネキツ公爵はにこやかに、メイラ王に“お願い”をした。
 その笑顔は一分の乱れもない完璧なもので、まるで能面を連想させる。
 管轄の違う貴族なれど、メイラ王に断る権限はない。
 名目上はただのお願いだが、これは強制以外の何ものでもなかった。
 
「私の方としましては、ネキツ様の推薦であるならば、喜んで歓迎いたします。
 主国一の闘技場、その王者ともなれば、優勝候補の一角とみて間違いないでしょう」
「ありがとうございます、メイラ王」
「しかし――よいのですか?」
「? 何のことですか?」
「あの少女……見たところ、武器を使わないようですが。
 当方の大会には、あの御竜騎士様も出場なさりますが……」
 
 メイラ王の、当然といえば当然の配慮に対し。
 ネキツ公爵は、くつくつと可笑しそうに笑いを零した。
 
「構いませんよ。サラサが首を落とされるのであれば、それはそれで。
 私としては、大会を盛り上げる要員さえ提供できればそれで満足ですから。
 ただ――」
 
 ネキツはそこで一旦言葉を切り。
 はじめて、能面のような笑みを外し。
 深く深く、唇の端を吊り上げた。
 
 
「――あの女奴隷なら、竜騎士相手にも良い勝負をするでしょう。
 殺すのは無理かもしれませんが、手傷を負わせられるのは間違いない」
 
 
 それで充分なのですよ、と公爵は嗤った。
 王は何も答えられず、老狐のような深い笑みを、ただ見つめるしかできなかった。


260七戦姫 5話 ◆gPbPvQ478E :2007/04/01(日) 04:04:03 ID:NjxJlVbq

 * * * * *
 
「――見たところ、ここの囚人のようですが。
 クチナ王子に狼藉を働いた罰、その身に受けて頂きましょうか」
 
 小剣を構えるケスクの口調に迷いはなく。
 目の前の少女を斬り殺すつもりだということが、嫌でもわかった。
 
 ケスクの言葉を聞き、少女はぽかんと口を開いて、
 クチナの方を間の抜けた表情で見つめてきた。
 
「……おうじ、さま?」
 
 ここで「はい、そうです」と答えるべきかクチナは迷い、
 そもそもそんな場合じゃないことを思い出し、改めてケスクの方を見る。
 
 主国随一の戦闘力を誇る竜騎士は、殺気を隠すことなく女奴隷に相対している。
 自ら護衛を名乗り出て、すぐ傍にいたにもかかわらず、接触を許してしまったことが、
 ケスクの自尊心をいたく傷つけ、酷く殺気立っているのだろう、とクチナは判断した。
 実際に相手が此方の命を狙う刺客であれば、ケスクを止める必要なんて欠片もないが、
 ケスクを前に間抜けな表情を晒している少女の場合は、ただぶつかりそうになっただけで、
 クチナには、彼女が殺意や害意を持っているようには見えなかった。
 
 ――要は、こちらの前で良い格好をしたがってるだけなのだ。ケスクは。
 
 溜息混じりに項垂れて、頭を上げたときにはクチナの決心は固まっていた。
 幼馴染みの不手際は、自分が拭うのが筋だろう。
 そう思い、あとで色々言われるんだろうなあ、と覚悟しながら。
 
 クチナは、ケスクと少女との間に割って入った。
 
「――ケスク様。彼女は通りがてら私とぶつかりそうになっただけです。
 それだけで御剣の錆とするのは些か厳しすぎるのではないでしょうか」
 
 あくまで一国の王子として。
 失礼になりすぎないように、かつケスクの体面を汚さぬように。
 気を付けて、そう進言した。
 
「く、クチナ! どいて! 危ないよ!」
「って、こっちが体面気にして丁寧に言ってるそばから……」


261七戦姫 5話 ◆gPbPvQ478E :2007/04/01(日) 04:04:44 ID:NjxJlVbq

 とにかくケスクを落ち着かせなければ、と思ったクチナは。
 一歩近づき、ケスクの方をじっと見る。
 
「う……」
 
 すると不思議。ケスクは顔を赤らめて、そわそわし始める。
 じーっと見つめ続けるクチナ。
 やがて耐えかねたケスクは、真っ赤な顔を正面から逸らした。
 そこへすかさず声をかける。
 
「ケスク。お願いだから剣を引いて。
 この人は僕を狙ってなんかいない。だから、ケスクが剣を振り回しちゃ、だめ」
「…………ず、ずるいよクチナ……。
 ……わ、私の方が偉いんだからね!」
「……それは重々承知しています。
 ですが、無実の方に罪を着せるのは見過ごせません。
 どうか剣を引いて頂けないでしょうか」
「あ……やめ、だめ……! 言うとおりにするから!
 だからさっきみたいに気さくに話して!」
 
 真っ赤な顔で懇願してくるケスク。
 それに頷き、ケスクの頭を優しく撫でる。
 
「……ありがとう、ケスク」
「こ、こんなこと許すの、クチナだけなんだからね!?
 これだけじゃ誤魔化されないんだからね!?」
「わかってるよ。あとで何でも言うこと聞くから。だから、剣を収めて」
「……うん……」
 
 手を戻すクチナ。
 それをぽーっと見つめながら、ふわふわした挙動で小剣を収めるケスク。
 
 これでもう大丈夫かな、と安心したクチナは。
 振り返り、改めて少女の方に顔を向ける。
 
「――あの」
「は、はいっ!」
 
 何故か背筋をピンと伸ばし、上擦った声で返事をする少女。
 
「すみませんでした。此方の不注意でご迷惑をお掛けしました」
「い、いえ! ごごご迷惑だなんてことは!
 ボクの方こそ、ちちちちゃんと階段を上らずに、壁を駆け上がってしまって申し訳ありませんでした!」
 
 鯱張って答える少女。何故にそこまで畏まるのかわからずに、クチナは首を傾げてしまう。


262七戦姫 5話 ◆gPbPvQ478E :2007/04/01(日) 04:05:28 ID:NjxJlVbq

「……あの、どうしてそんなに畏れているのですか?
 私のせいで貴女に剣を向けさせてしまったことは本当に申し訳ありませんが、
 それ以外に何か気の障るようなことをしてしまったのでしょうか?」
「い、いえ! そそそんなことはありません!
 こっちこそ、王子様だなんて知らずにぶれーなことをっ!」
「……?」
 
 王子とはいっても属国の王子なので、
 主国の臣民に比べれば、立場は下手すれば下の筈なのに。
 まるで目の前の少女の態度は、主国の王子に対するもののようで――
 
「――あ。勘違いさせてしまったのでしたら申し訳ありません。
 私はこの国の王子ではありませんよ?
 ケスク――御竜騎士様に気安く話しかけられるのは、あくまで個人的な関係があったからで、
 私自身は大したことのない、属国の王子ですので、そんなに畏まらなくても結構ですよ」
「……へ? ……そうなの?」
 
 再び間抜けな顔を晒す少女。
 それに笑顔で頷き返すと、少女はへなへなとその場にへたり込んだ。
 
「……なんだ。驚かせないでよー……。
 不敬罪で死刑になっちゃうんじゃないかって本気で怖かったんだから……。
 今までにないくらい頭使って、丁寧に話したのが馬鹿みたい……」
「あはは。すみません」
「あー、でも、竜騎士様を止めてくれたのはありがとう」
「いえ。私としても彼女が無闇に人を傷つけるのを見たくはありませんので」
 
 先程までの緊張した空気は何処へやら。
 クチナと少女はすっかり和みきった様子で、つい談笑してしまった。
 
 それを気に食わない者が、約一名。
 
 
「――ちょっと! 貴方!
 御子ではないとはいえ、一国の後継者に対してそのような無礼な振る舞い、許されると思ってるの!?」
 
 うがー、と食ってかかるケスク。
 先程までの殺気はないが、それでも敵意はてんこ盛りだった。
 ケスクとしては、クチナと仲良く話す女は須く敵、という信念がある。
 故に、斬らないまでも窘めておくつもりだった。
 相手は女奴隷。貴族であるケスクに対して、逆らう権限など何処にもない。
 とりあえず気の済むまで土下座させ、クチナにこの女の惨めな姿を見せつけるつもりだった。
 
 しかし。
 
 
「――あ、ごめんなさい竜騎士様。
 大好きなクチナ王子、しばらく貸して下さいな」
 
 
 あろうことか。
 女奴隷は、ケスクのことを挑発してきた。


263七戦姫 5話 ◆gPbPvQ478E :2007/04/01(日) 04:06:12 ID:NjxJlVbq

「……よく、聞こえなかったのですが」
 
 すらり、と自然な動作で背中の剣を抜き放つケスク。
 その瞳は鋭く、挑発してきた女奴隷を見据えている。
 殺気は先程までの比ではない。
 竜騎士ケスクは、れっきとした上位貴族。
 女奴隷が無礼な振る舞いを行える相手では、ない。
 この場で斬り殺しても、誰もケスクを咎めないだろう。
 
「――自己紹介が遅れたね。
 ボクはサラサ。この闘技場で、一番強いよ」
「お山の大将が粋がるのは勝手ですが。
 その結果、首が落ちようとも文句は言わないで下さいね?」
「……言うねえ、竜騎士様。いいよ。斬ってみなよ。
 ただ、一撃で即死させないと――あんたが死んじゃうよ?」
 
 言いながら。
 少女――サラサは、ゆっくりと腕を上げ始めた。
 
 それだけで。
 通路の空気が、変わった。
 
 ぐにゃり、と空間がねじ曲げられたかのような錯覚。
 ケスクは冷たい眼差しで女奴隷を見据え、
 サラサは小馬鹿にした笑いを竜騎士に向けていた。
 
 
 そしてクチナは。
 落ち着いて、ケスクの方に歩み寄り。
 剣を握る手を、優しく、両手で包み込んだ。
 
「……クチナ、離して」
「だめだよケスク。落ち着いて。君らしくもない。
 ――彼女の狙いは君だよ。わざわざ乗る必要なんてない」
「……私?」
「うん。そうでしょ?」
 
 訊ねながら、サラサの方へと視線を送る。
 サラサは、既に腕を上げ終えていた。
 
「王子様。そこ、危ないよ」
 
「ケスクの実力が見たかったんだよね。
 だって君、声が震えてるから。挑発なんて、慣れてないでしょ」
「…………」
「だけど、残念だったね。
 ――竜騎士ケスクは、そんな挑発には乗らないよ。
 彼女は冷静で、常に周りのことを考えられる、僕の自慢の幼馴染みだから」
「…………むー」
 
 自信満々に言い放つクチナを見て。
 サラサは毒気を抜かれたように、構えを解いた。


264七戦姫 5話 ◆gPbPvQ478E :2007/04/01(日) 04:07:03 ID:NjxJlVbq

「あーもう、いい機会だと思ったんだけどなあ」
 
 サラサは溜息を吐きながら、肩を竦めて背中を見せる。
 ケスクの方は、クチナにべた褒めされた手前、大人しくせざるをえなかった。
 
「でもまあ、噂の竜騎士様が、まさか男に骨抜きになってるとは思わなかったよ」
「――ほ、骨抜きなんかじゃありませんっ!」
 身を乗り出して、しかしクチナの手を振り払えない状態で、ケスクはサラサに抗議した。
 しかし竜騎士の叫びなどどこ吹く風、サラサは可笑しそうに笑いながら振り返った。
 
「でも、王子様――えっと、クチナ様?」
「うん。君はサラサでいいのかな」
「いいよー。クチナ様、よく、ボクが緊張してたってわかったね。
 これでも一応、怖いのとか辛いのとか隠すのは得意な方なんだけど」
「みたいだね。
 でも、なんだかわかっちゃったから」
 
 あっけらかんと言い放つクチナに。
 サラサは、再びぽかんとした表情に。
 
「――あははははは! クチナ様、面白い人だね!
 また、会えるかな? 私の試合見に来てよ!」
「く、クチナはここから離れた国の者ですから、二度と来ることはありません!」
「竜騎士様には聞いてないよ。
 クチナ様に止められなかったら、今頃酷いことになってたのに」
「――そちらの方こそ、クチナが止めなかったら、首と胴が別れていたのに」
 
 再び、険悪な雰囲気になる二人。
 クチナはもはや、溜息を吐くしかなかった。
 
 しかし。
 サラサの態度には、やはりクチナは首を傾げてしまう。
 ケスクの実力は、クチナもよくわかっている。
 闘技場で一番強いとサラサは自称していたが――言っちゃ悪いが、“その程度”では相手にもならないだろう。
 なのに、この自信。
 相手の実力を読めない未熟者――ではなさそうだ。
 最初の衝突以後の立ち回りといい、ケスクの挑発の仕方といい、
 サラサは、相手の雰囲気を読むことには長けているように見える。
 なのに――自殺願望があるとしか思えない、この振る舞い。
 
 まさかとは思うが。
 
 間近で竜騎士ケスクを見て。
 
“これなら勝てる”と確信したとでもいうのだろうか?


265七戦姫 5話 ◆gPbPvQ478E :2007/04/01(日) 04:07:57 ID:NjxJlVbq

 そんなはずはない、とクチナは思った。
 大体、装備からして差がありすぎる。
 防具に関しては、ケスクも今日は華美な軽装のため、大差ないとしても。
 ケスクの大剣に対し、サラサの方は素手である。
 何やら高級そうな革製のグローブを付けているようだが、竜騎士の剣を防ぐのは難しいだろう。
 
 不思議な女性だな、とクチナは思った。
 
 ひょっとしたら、見た目通りの年齢ではないのかもしれない。
 クチナは、見たところ4〜5歳年下と思ったが。
 自分と同じくらいの年齢なのかもしれない、と感じた。
 
 ――単純そうに見えて、なにか読めない歪みがある。
 
 ああ、そうか。と、クチナは唐突に気付いてしまった。
 ――似ているのだ。自分のよく知る少女と。
 気付いてしまったから。
 つい、後先のことを考えずに、訊ねていた。
 
「サラサ。ひとつだけいいかな?」
「んー?」
 
 
「――今は、昔と比べてどうかな?」
 
 
 サラサの動きが、止まった。
 そして、探るような瞳で、クチナのことを見上げてくる。
「クチナ様は、私の過去を知ってるの?」
「知らないよ。でも、少しだけ気になったんだ。
 別に、過去のことは何も言わなくていいから、問いにだけ答えてほしい」
「…………」
 
 クチナの言葉に。
 サラサは真剣に考え込み。
 
 
「わかんない。
 大して、変わらないから」
 
 
 そう、答えた。


266七戦姫 5話 ◆gPbPvQ478E :2007/04/01(日) 04:08:43 ID:NjxJlVbq

 その答えは。
 クチナを動かすには充分だった。
 ケスクが止める間もなく、サラサのもとに駆け寄るクチナ。
 そして。
 
「また来るよ。
 そのときも、会ってくれるかな」
 
 サラサの両手を強引に掴み。
 真剣な表情で、そう言った。
 
「え……あ……うん」
 
 サラサの方はわけもわからず。
 ただこくこくと頷くのみ。
 
「いつになるかはわからないけど――絶対。約束する」
「ぼ、ボクとしては別にいいんだけど……どうしていきなり」
「……サラサは、奴隷なんだよね?」
「へ? そうだけど、何を今更」
 
「じゃあ、僕がサラサを買うよ。
 闘技場で一番強いっていうのなら、少し値が張るかもしれないけど……。
 絶対に、いつかお金を貯めて、君を買うよ」
「……? ……?」
 
 サラサの方は大混乱。
 ケスクは後ろで何やら喚いている。
 それを全くもって気にせずに、クチナは。
 
 
「だから、それまで元気でいて」
 
 
 そう、言った。
 サラサは何度目かわからない、間抜けな顔をクチナに晒し、
 ――ふと、得心がいったかのように、大きく頷いてみせた。


267七戦姫 5話 ◆gPbPvQ478E :2007/04/01(日) 04:09:32 ID:NjxJlVbq

 * * * * *
 
 クチナたちと別れてからしばらくして。
 ふらふらと彷徨い歩いていたサラサは。
 唐突に、その顔を大きく崩した。
 
「……っ!」
 
 泣いていた。
 ぼろぼろと、涙の粒がこぼれていく。
 
 胸の奥がぎゅうぎゅうに締め付けられ、目から全てか絞り出されていく。
 はじめてだった。
 生まれてから、はじめてのことだった。
 
「……“元気でいて”だって……あはは……」
 
 泣きながら、空笑いが漏れてしまう。
 今までの人生、命令や強制、叱責は数え切れないほど受けてきた。
 ――船の掃除をしろ、股を開け、立って殴れ、試合を盛り上げろ。
 ――やり直しだ、ふざけるな、このくらいのこともできないのか。
 全部、ぜんぶ、“今すること”か“過去にしたこと”に対してだった。
 どうせ奪った赤子だから、と。
 どうせ身寄りのない奴隷だから、と。
“これから先”には欠片も期待せず、道具として機能することだけを求められていた。
 しかし。
 
「はじめて……私の“これから”を心配してくれた……!」
 
 漠然とした未来への気遣い。
 誰にだって、心配してくれる家族や仲間、あるいは利害関係の一致した者がいるはずで。
 それらの者から当たり前のように与えられるものなのかもしれない。
 でも。
 サラサにとっては初めてで、とても、嬉しいものだった。
 それは、21年間、サラサを形作ってきた何かを壊し。
 暖かい何かを、生み出してくれた。
 
 
「……えへへ。ボク、予約されちゃった……」
 
 ひとしきり泣いた後。
 今度は浮き足だってふらふらと。
 サラサは、闘技場の通路を彷徨うことになった。
 
 
 
 浮きに浮かれたサラサが部屋に戻り、ネキツ公爵の出した命令を知るのは。
 ――もう少し、先だった。


268緑猫 ◆gPbPvQ478E :2007/04/01(日) 04:10:34 ID:NjxJlVbq
サラサ純情編。ケスクも純情編。
どうも私は、歪んだ女の子が好きなようで。
あと陰謀とか騙し合いとかも大好きなようで。
ついつい多く書きすぎてしまいました。
毎度無駄に長くて申し訳ありませんorz
 
これで6人。あと1人。
最後の1人は趣味に走ります。鬱設定が苦手な人は今から注意。
 
>>190
GJ! こういう腹黒い応酬って大好きです。
主人公の言葉遣いも新鮮で良かったです。
 
>>246
GJ! キモウト&キモ姉のコンボが素敵です。
妹がふにゃーっとした感じで萌えました。
 
>>236
私もよく思います。異常なはずなのに心揺さぶられるなんて、と。
でもまあ萌えるからどうでも良し! 修羅場万歳! といつも叫んでいます。どう見ても駄目人間ですねorz
269名無しさん@ピンキー:2007/04/01(日) 06:34:00 ID:2V0Y59Dx
>>246
姉妹同士の仲はいいんだなw いっそ貧乳女と兄が結婚して義姉妹になれば、
3人一緒に共有できるんじゃね?スレ違いだけどね。サーセンwwwwww
270名無しさん@ピンキー:2007/04/01(日) 09:03:14 ID:Ci+8Sxkn
ステキな女の子ばかりだ
けど彼女たちが戦ったら、勝っても腕の一本くらいなくなりそうだけどそれでも結婚できるのか?
271名無しさん@ピンキー:2007/04/01(日) 10:08:30 ID:qTWXafcp
サラサには幸せになって欲しいものだ
272名無しさん@ピンキー:2007/04/01(日) 14:06:50 ID:nD+Oxaop
>>263
そろそろ九十九の続きが見たいぜ、次こそ頼む
273名無しさん@ピンキー:2007/04/01(日) 14:21:11 ID:GLlWBo/C
↓↓↓↓↓↓↓これより単発IDによる作者叩き開始↓↓↓↓↓↓↓
274名無しさん@ピンキー:2007/04/01(日) 14:26:58 ID:bysMuOW1
             __  __
            , ' ´     `ヽ_))
         _r=く          Y》j
         〈\ニノ  i i ! i |、| ハ! |
       r〜∨ j |i l |」⊥lハ T 7 }|
      r':::r〜} / /| i |´j ! | j }ノ/レ'ノl|
    (´::/ノ:::// /_」 i | , - 、  ((必j〈l|
     ){{::::// /(__l | ,,   _'`~´ 八|
   (_::::V// 〈_:::::::! !   ヽ ノ ィ^\\
   }\〈// ,  }〜ヘ ≧=ァ‐≦〜ヘ.\\\
   /:::// / /::ム::::∨::::`iー'´\::::::\\ ヽ)
   ゙7 / / ノヽ::::::}ヽ:::\_ノ  「l  Y、:::::ヽ く
.  く く (´ `'ー‐′ \:::ヽァ⌒l-{r〜ヘノ ) )
   >_)ノ        ム:::ノ__ノJ  ゙ー ' \(
   ((´               \ V スルー \
                      \  推奨_.. -‐゙
                       ` -‐ ´
275名無しさん@ピンキー:2007/04/01(日) 14:31:38 ID:WhVdItnD
>>273
プ
276名無しさん@ピンキー:2007/04/01(日) 14:40:52 ID:n7+5Lray
4月1日・・エイプリルフールの日に送るネタ

主人公、友人達と×ゲームを賭けた戦いで敗北してしまい、×ゲームを受けることになった。
その×ゲームの内容とはクラスにいる女子に告白するという卑劣的な内容であった。
条件は厳しく設定されて、美人である優等生や人気のある女の子の告白は禁止・・

あんまり目立たない女の子と告白すること

主人公の頭の中で陰気で人見知りが激しくて友達もいない女子に告白する
当然、今日はエイプリルフールなので後で嘘でしたと言えば問題は解決するはずであったが

「ありがとう、私の事を好きになってくれて」

嘘の告白を本気にした少女はその日から主人公の事をストーカーのように付き回すようになる



以上 思いついたネタでしたw
277名無しさん@ピンキー:2007/04/01(日) 15:35:27 ID:qfvIPPjM
なんかなぁ・・・それだったら告白したのが主人公じゃなくて他の男でもそうなってた
みたいでなんか嫌だな。女の子は前から主人公のことが好きだったとかならありだけど
278名無しさん@ピンキー:2007/04/01(日) 15:36:31 ID:qfvIPPjM
sage
279名無しさん@ピンキー:2007/04/01(日) 15:43:31 ID:deOiAHAX
>>278
お前確実にわざとだろ
280名無しさん@ピンキー:2007/04/01(日) 16:23:14 ID:bX6xqp3g
>>277
とりあえず、監禁されてくれ
281名無しさん@ピンキー:2007/04/01(日) 17:07:43 ID:7syK+rH9
そこで
「な、なんであんな女が○○君の告白受けてるの?!」
と、もう一人のヒロインが嫉妬の炎に身を焦がす、ってか?

エイプリルフールと言えば丁度一年前<シロウはわたしのものよ!>と『義姉』が始まったんだよな
282名無しさん@ピンキー:2007/04/01(日) 17:57:45 ID:P3j944WI
>>268
GJです!
サラサはいい子だねぇ…。最後の一人が楽しみであり不安でもある
283名無しさん@ピンキー:2007/04/01(日) 18:19:13 ID:COP2GsA+
>>276
それなんてone?
284名無しさん@ピンキー:2007/04/01(日) 18:39:31 ID:2V0Y59Dx
>>276
×ゲームの告白って聞くと、中学生の頃に読んだ雑誌の読者コーナーを思い出す。

ある女子が×ゲームで男子に告白した。それで、男子騙して付き合っていた。
ある日、男子にネタバレをすると、男子はこういった。
「×ゲームであることは知っていた。だからあえて俺もお前をからかっていた。っていうか俺彼女いるし」
とんでもない男である。

このスレの皆はこれを聞いて、どんなプロットを思いついてくれるだろう。
285名無しさん@ピンキー:2007/04/01(日) 18:59:02 ID:ExRBZeEE
そういえば今日はエイプリルフールだったな
去年はKOTONOHADAYSとかあったけど今年は……
286名無しさん@ピンキー:2007/04/01(日) 19:30:15 ID:wFF5y9m/
おおGJです!
サラサはかわいい子ですね、もっと粗暴な子だと思ってました。
最後の一人も楽しみです・・・でも鬱展開 orz
287286:2007/04/01(日) 19:31:44 ID:wFF5y9m/
安価忘れた
>>268 さんへのレスです。
288 ◆8WEVcVrsT6 :2007/04/01(日) 21:31:44 ID:is+NmD18
続き投下します。
289僕と姉さんの日常ごっこDの1 ◆8WEVcVrsT6 :2007/04/01(日) 21:32:51 ID:is+NmD18
「ああ、今日って」
桜もピークを過ぎ始めた頃、居間でダラダラとテレビを眺めていると騒がしいだけの芸人がそう喚いていた。
「嘘をついていい日か」
つまりエプリルフール。どういう日かはともかく、もう高校生にもなってそういうものではしゃぐのもバカらしい。
だから僕はそのままソファに身をうずめ、テレビの続きを何とはなしに観ることにする。別段変わるようなこともな
い。いつもの高校生の春休みだ。
ふと、春休みなど関係のない社会人のことを思う。そういえば姉さんはどうしたんだろう。
そう思ったときには、元からぼんやりとしていた意識は既に底の方へと沈んでいた。

意識が覚醒して瞼を開けると姉さんの顔が目前に迫っていた。
「フフ。そーちゃん、ただいまぁ」
「もう姉さん、近いってば」
ラブコメの主人公ならばここで慌ててみせるのが常であろうけれど、悲しいかな、慣れてしまった僕は不満そうな姉
さんを避けて体を起こす。少し体が重い。ちょっと寝すぎたみたいだ。
290僕と姉さんの日常ごっこDの2 ◆8WEVcVrsT6 :2007/04/01(日) 21:34:34 ID:is+NmD18
「そーちゃんって結構ボーっとしたり居眠りとかするのが悪いんだよ?」
何が悪いのかよく分からないけど、言い返すのも何なので台所の方へと歩く。けれどその一歩目で後ろから姉さんに
袖を引っ張られた。
「お水でしょ? はい、用意したから。どうぞ」
「うん。ありがと」
コップを受け取り一口飲む。ぼんやりとした頭に冷水がよくしみた。
そこでやっと姉さんが仕事着のままに気づいた。既にテレビは消されている。
「姉さん、仕事から帰ったばっか?」
「うん。ちょっと今日はバタバタしてたから」
ふぅん、と残りの水を飲み干しながら頷く。飲み干したのを見届けた姉さんは僕の手からすぐにコップを取ってし
まう。本当に僕は姉さんにおんぶで抱っこな状態だ。しかも、なんだかんだ言ってその状態に甘えきっている。
そうして少し自己嫌悪に浸っていると、ああそうそう、と流しでコップを洗い終えた姉さんがこちらに振り向く。疲
れているはずなのに満面の笑みを浮かべて、まるで今日の仕事の疲れなどなかったかのように。
「どうしたの? ねーさん」
「フフ」


「あのね、そーちゃん。さっきね、如月さんって子、うん、あの女の子だよね? その子から電話がかかってきてね。
そーちゃんの携帯だから悪いかなと思ったけど出ちゃったの。そしたらねそーちゃん、あの子、早くそーちゃんを出
せってすっごい態度だったの。女の子なのに乱暴な言葉遣いだったし。あのねそーちゃん、そーちゃんがどんな友達
と仲良くしてもお姉ちゃんは別に良いと思うけど、それでもああいう女の子と一緒にいるのはお姉ちゃん、そーちゃ
んのこと心配になっちゃうな。うん。うん、それでね。ちょっとお姉ちゃんも頭にきちゃったから、今日ってエイプ
リルフールじゃない? だから、だからね、如月さんにこう言ったの。じゃあそーちゃんを起こしますからいつものキ
スしますねって。そしたらあの子ったらおかしいんだよ? いきなり黙っちゃって。何にも言わずに切っちゃった。な
んか変な子なんだね。ね? そーちゃんもそう思うでしょ?」

カチリと、姉さんの背後で時を進めた壁掛けの時計に目が行く。
既に午前二時を回っていた。
291僕と姉さんの日常ごっこDの2 ◆8WEVcVrsT6 :2007/04/01(日) 21:35:35 ID:is+NmD18
今日はここまで。
最近、忙しいのでちょっと短め。

そろそろ如月さんの反撃?
292名無しさん@ピンキー:2007/04/01(日) 21:41:21 ID:0sydcjTA
お姉ちゃんはわ、わるくないよ…ね?
だってエイプリルフールだもんね?

GJ!
293名無しさん@ピンキー:2007/04/01(日) 21:48:03 ID:VjswOdrC
エイプリルフールに冗談で結婚しようとか付き合ってとか言うと
後々の災害になりそうだなw
294大滝秀治 ◆zfcao9zCWc :2007/04/01(日) 22:39:55 ID:ZAO1xmzC
>>291
つまらん、お前の話はつまらん
295名無しさん@ピンキー:2007/04/01(日) 22:41:06 ID:7gq1TWUD
じじいは消えろ
296大滝秀治 ◆Pzn2.y/16A :2007/04/01(日) 22:50:53 ID:VjswOdrC
だが、もんじゃ焼きと彼女をどちらかを選ぶとするならば
俺はもんじゃ焼きを取る。その際にもんじゃ焼きが彼女の手によって、グシャグシャに
切り裂かれるのは仕方がないことだ・・タバスコで赤く染まってもんじゃ焼きに
この泥棒猫めが!! って叫んでいる姿はどうといえない
297名無しさん@ピンキー:2007/04/01(日) 22:59:42 ID:qfvIPPjM
>>296
じゃあ俺はお前の彼女を寝取らさせてもらうわ
298名無しさん@ピンキー:2007/04/01(日) 23:08:41 ID:ZAO1xmzC
うはっ、ほんとこのスレの住人は阿修羅氏のときといいトライデント氏のときといい他人のコテ騙るな〜w
全く勘弁してくれよ
299恋と盲目 ◆IOEDU1a3Bg :2007/04/01(日) 23:23:41 ID:r0Z8rJrm
『浅野骨董品店』

明治時代から度重なる修理と共にこの町に居座り続ける古い家屋……
その出入り口の上には、確かにそう書かれた看板があった。
やや立て付けの悪い引き戸を開き、古木の匂いのする店内を覗く。
次に目に入ったのは、狸の残骸、穴の開いた屋根、焼けた柱、エトセトラエトセトラ……
ついでに壁を見ると、いつもより五割増しの張り紙。

『店内での戦闘はご遠慮ください』

はぁ……と、ため息が漏れていた。
変わらない風景に安堵するべきなのか、変わり果てた風景に呆れるべきなのか。
「……で、今回は何があったの?」
横目で床の修繕をする一人の少年を見ながら訪ねる。
「乱闘」
変わらない……本当に変わらない風景……
前回も前々回も前々々回も前々々々回も……考えてみたら、結構ここに顔を出している自分が居ることに気づく。
無事な店内を覗いたのは、もしかしたら開店直後の一回きりだったのかもしれない。
「もしかして、狙ってやってるのかしら?」
そうでも考えないとやっていけない。
「狙ってない」
その少年……不肖の弟にして宮間の血脈を最も色濃く受け継ぐ者、
浅野巧(あさの たくみ)は振り向かずに答えた。
トンテンカンと金槌を振るい、黙々と床に釘を叩きつけながら。
「直りそうなの?」
「大丈夫」
手を休めないまでも、返答はしっかりとしてくる。
詰まる所……いつもの巧だ。
しかし……何かが足りないような気がする。
再び店内を見回してみる……
思い出した。
何かが足りないと思ったら、看板娘の姿が見えない。
「あの娘は?」
……聞いてみた。
「買出し」
やっぱり振り向かずに答える。
最後に会った時から一年近く経ても、弟の無愛想は相変わらずみたいだった。
近くに転がっていた椅子を立て、腰を落ち着ける。
「もう少しお姉ちゃんとの再会を喜んだらどうなの」
「………………」
……あら?返事が返ってこない。
同時に槌音も途絶える。
私が状況を理解するよりも早く、巧は正座を保ったまま向き直る。
「ありがとう、会いに来てくれて」
不覚にも……ドキッとした。
完全な不意打ちをくらった。
忘れてた、巧はこういう台詞を真顔で言う事を。
私が女の子だったら惚れてるわよ……あ、女の子か。
300恋と盲目 ◆IOEDU1a3Bg :2007/04/01(日) 23:24:30 ID:r0Z8rJrm
そのまま無言の業が続く事、おおよそ10分。
床の修繕作業の大半が終わった時の事だった。
「たっだいま〜。巧、私が居なくて寂しくなかった?」
……と店中に響いた無駄に元気な声。
「げぇ、緑」
そして響いた無駄にムカツク声。
どうしてこうもあからさまに不満そうな声をあげるのかしらね……
義妹になってほしくない人物、堂々の第一位。
浅野骨董遺品店の看板娘……アヌビス(流石にこれに読み仮名は必要ないだろう)。
巧に拾われた時に自分で自分につけた名前らしいけど……それで神様の名前を詐称する辺り、かなり恐れ多い事をしていると思う。
見た目は10代後半のインド人っぽいこの女の子、何故か日本語はペラペラ。
私は信じちゃいないけど狐言語もマスターしてるとか。
……どこまでも胡散臭いこの娘、今は巧の(自称)恋人一歩手前だとか。
そしてこの娘、何故か私を敵視している節があるのだ。
「アヌビス、謝る」
「……ごめんなさい」
これ以上無い程に簡略な巧の指示に従って、これ以上無い程に眉間を皺を寄せて謝る。
「なんで謝る?」
「いきなり『げぇ』だなんて言ってごめんなさい」
さらに不機嫌そうな謝り方を見せてくる。
見方によっては恐喝にさえ見えてしまいそうだ。
「……で、何でここに来たの?この……」
「アヌビス」
「……このお義姉様」
巧が途中で止めなかったら一体何て呼ぶ気だったのかしら?
個人的にはお義姉様と呼ばれるのも勘弁してもらいたいけど……もういいわ。
こんな所で時間を無駄にしたくはない。
「刀頂戴」
「うん」
所要時間……1秒。交渉成立。
理由さえ聞かずに了承する巧に潔ささえ感じる。
「ちょっと巧、もしかしてタダであげちゃう気なのっ!?
せっかく巧が精魂込めて打った剣なんだから、こんな下衆野郎にはもったいな……」
「アヌビス」
「……こんなお義姉様にはもったいない」
「いいわよ別に無理して言い直さなくても」
……正直に言って、さらにムカツクわ。
「巧ぃ……うちだって慈善事業やってる訳じゃ無いのよ。家計だってそんなに楽じゃないし」
しつこくアヌビスが食い下がる。
「天井壊したの、アヌビス」
「だってあいつが巧になれなれしくするからっ!」
「お客さんに手を出したら駄目」
「巧ぃ……」
「そんな顔しても駄目」
そう言われるとアヌビスはみるみる内に萎んでいく。
そんな姿は見ていて面白くさえ感じる。
301恋と盲目 ◆IOEDU1a3Bg :2007/04/01(日) 23:25:19 ID:r0Z8rJrm
「この下衆緑……もといお義姉様が来ると急に饒舌になるんだから……
そんなに近親相姦が好きなら駆け落ちでもなんでもしたら良いじゃないっ!」
「いいの?」
「嘘です、ごめんなさい、やめてください、捨てないでください」
狼狽するアヌビスと割と本気の眼の巧。
一瞬、ゾクリッ……と身の危険を感じた。
(私を含め)宮間の血族の者は本当にやりかねないから恐ろしい。
基本的に(私を含め)近親しか愛せないのが『宮間』なのだ。
……一応、釘を刺しておこう。
「言っておくけど。私は貴方と駆け落ちなんて御免被るわよ」
「大丈夫」
「……本当に?」
「義兄さんから姉さんを盗るのは駄目」

 ……ビキリッ!!

「……姉さんっ!?」
一瞬……意識が真っ黒になった。
漫画表現でなく、目の前に星が飛んでいる錯覚を覚える。
「アヌビス……今私に何かした?」
アヌビスはブンブンッと首を横に振る。
片膝を床に着けていた事に今更の様に気がつく。
なん……だろう?
今の感覚、前にもどこかで……いいえ、前に何度か経験したいたような気がする。
「姉さん、大丈夫?」
巧が青ざめた顔をして私の方を覗き込んでくる。
原因探しは後にしよう……弟に変な心配をかけさせちゃいけない。
頬の筋肉を総動員させて……笑顔を生み出す。
「大丈夫……ちょっと目眩がしただけよ」
「アヌビス、布団敷いて」
「大丈夫だって言っているでしょ。寝不足で目眩がしただけ、本当に大丈夫よ」
「ちょっと……寝不足だったらなおさら少し休まなくちゃ駄目じゃない。
癪に障るけど、今布団敷いてあげるから待ってて……」
「いやだから大丈夫だって言っているでしょ」
珍しくアヌビスまで私を気遣い始めた。
そんなに顔色悪いのかしら?今の私って。
それでも私はなるべく笑顔を維持しつつ、元気なように見せる。
「義兄さんには連絡するから、休んで」

 ……ビキッ!!

また……嫌な頭痛。そして嫌な汗。
「何を言ってるのよ。巧以外に兄弟なんていないわよ」
反射的にそう答えた。

その言葉が……巧とアヌビスの眼つきを変えたのだった……
302シベリア! ◆IOEDU1a3Bg :2007/04/01(日) 23:27:08 ID:r0Z8rJrm
何かの冗談のように気疲れの多い日々の中、なんとか更新。
次回、宮間家に血の雨が降る……かもしれない。
走れ忍(リハビリ)の続きは……もう少しだけ待っててください。

以下、チラシの裏。
「月が真上に見える場所」でググると……
303名無しさん@ピンキー:2007/04/01(日) 23:33:07 ID:7gq1TWUD
ミカゲのやつでしたっけ?
投下御疲れ様です。
304緑猫 ◆gPbPvQ478E :2007/04/02(月) 01:39:13 ID:0WfiPsEt
投下します。
鬱グロ設定要注意。
305七戦姫 6話 ◆gPbPvQ478E :2007/04/02(月) 01:40:01 ID:0WfiPsEt

 * * * * *
 
「……ふむ。やはり、この国も、か」
 
 大通りにて串焼きを頬張りながら、呆れの混じった溜息を吐いたのは。
 幻想竜の年若き雌にして、辺境にその名を轟かせる流れの刀使い、ヘイカである。
 
 彼女が見上げているのは、現在滞在している小国の公的機関、その建物である。
 一月後に開かれることになった武術大会で優勝し、王女になる気満々のヘイカとしては。
 この国はどのような国なのか、色々知っておくべきだと思い、国中の様々なところを見て回っていた。
 幸いなことに、前の国である程度稼いでいたので、
 のんびり旅行気分で、各地の美味珍味を味わいながら、ヘイカなりに国の状況を観察していた。
 
 今、ヘイカが見上げているのは。
 小国の、比較的王都に近いところに位置する、主国の技術提携を受けている研究所だった。
 表の看板には『王立難病研究所・フトクロ支部』とある。
 建物の外観は白く染められ、一見すればただの医療施設以外の何物でもない。
 
 しかし。
 ヘイカの嗅覚は、嫌でも“それ”を感じ取ってしまう。
 
「――竜の匂いがだだ漏れだ。近寄るだけで吐き気がするぞ。
 脆弱な人間が我々に憧れるのはわからなくもないが、さりとて容認する気には、なれぬな」
 
 我が王女になったら即刻取り潰させようか、などと考えながら、ヘイカは建物を見上げていた。
「……入ってみるか?」
 ふと、中を見てみたい衝動に駆られてしまう。
 しかし、辺りを見回してからヘイカは思い留まる。
 ――周囲の警備状況が並ではない。
 捕まることこそないにしても、騒動になってしまうのは間違いない。
 雲隠れするのは簡単だが、それでは大会に出場できなくなってしまう。
 重要度としては、武術大会の方が圧倒的に上だ。
 今、無理して覗く必要はないだろう。
 
「……それに、王女になれば、このような処、好きなところに入れるだろうしな」
 
 やはり無茶をするのは止めておこう、と。
 自分にそう言い聞かせたところで、ふとヘイカは、研究所の入り口に、一人のメイドが立っているのに気が付いた。
 
「……? 研究所の使用人か?
 しかしそれでは、あんな所に立ちつくしているはずもなかろう」
 
 メイドは誰もが見とれてしまいそうな美しい姿勢で。
 入り口の脇に、まるで完成された彫刻のように突っ立っている。
 ただのメイドではない。少なくとも、それなりに格の高い家に仕えているメイドだろう。
 そんな輩が、何故あんな所に控えているのか、ヘイカはとても気になった。
 彼女はまだ341歳。気になるものを確かめずにはいられない年頃である。
 故に、串焼きを食べながら、呑気に使用人の方へと歩み寄っていった。


306七戦姫 6話 ◆gPbPvQ478E :2007/04/02(月) 01:40:44 ID:0WfiPsEt

 * * * * *
 
「――すまん、そこの使用人よ」
 
 王城に仕えるメイドにして、過去にクチナの命を狙っていた暗殺者、ツノニは。
 小さな女の子に突然声を掛けられて、少しばかり驚いた。
 しかもかなり変な口調で。この辺りの方言かしらと、つい首を傾げてしまう。
 建物の入り口に立っているツノニに声を掛けてくるということは、この研究所に用があるのだろうか。
 しかし、女の子はどう見ても10代前半。王都に近いこの場所で、一人で歩くには少々危ない。
 見たところ、近くに保護者の姿はない。
 ならば迷子だろうか――そう思い、できるだけ優しい声色で女の子に応対する。
 
「どうしたの、お嬢ちゃん。ひょっとして迷子かな?」
 
「別段道には迷っていない。少々聞きたいことがあるのだが、良いか?」
 
 なんというか、見た目の割には随分と老けた口調である。
 少々面食らいながらも、どうせ暇だから、とツノニは少女に笑顔で答える。
 
「お姉さんに答えられることなら、何でもいいよ。何が聞きたいのかな?」
「助かる。――いやな。お前のような使用人が、何故此のような場所に突っ立っているのだ?
 それがどうしても気になってしまってな。つい聞きに来てしまったのだ」
「ありゃ、やっぱし目立ってたかな……。
 あー、えっとね、お姉ちゃんはご主人様の付き添いでね、ここまで来てるの」
「ならば、共に中に入れば良いではないか」
「んー。お姉ちゃんはあくまで使用人だからねえ。こういう場所には入れないのよ」
 
 ツノニがそう言ったとき。
 少女の瞳が、妖しく輝いた。
 
「――ふむ、それは何故だ?
 ここは普通の医療施設だろう。使用人が立ち入りを禁じられる類のものではないはずだが」
 
 む、と。ツノニは眉をひそめてしまう。
 普通の女の子の言葉とは思えない。
 ――まさか、間者か?
 奇妙な言葉遣いも、言語体系の違う異国から訪れたのであれば、当然のことである。
 
(……んー。でも、潜入調査する輩って大抵、言語は死ぬほど叩き込まれるはずだけどなあ)
 
 間者は疑われないようにするのも仕事のひとつである。
 目の前の女の子の場合、全身からして疑って下さいと言っているようなものだ。
 このような者を間者に使う国はないだろう。
 ――では、いったい何者なのか。


307七戦姫 6話 ◆gPbPvQ478E :2007/04/02(月) 01:41:25 ID:0WfiPsEt

「えっとね、中では色々怖い病気について研究しているから、一般の人は立ち入り禁止なのよ。
 だから私は、ここでご主人様を待ってるの」
「なるほど。つまりお前の主人は医療関係者ということか?」
 
 ツノニは、ここで何と答えるべきか少しだけ迷った。
 ――中にいるのが王子と知られなければ、問題ないだろう。
 そう判断したツノニは、言葉を選びながら口を開いた。
 
「えっとね、お医者様ってわけじゃないけど、中の患者さんにお知り合いがいるのよ。
 ご主人様はそのお見舞いでここに来てるの」
「患者……? 中には人間がいるのか?」
「? 医療施設なんだから、患者さんだっているわよ?」
「そんなはずは……。……まさか人間も含めた研究を……?
 ……しかし、こんなにきつい匂いの中に、研究者以外の常人が……?」
 
 何やら小声でぶつぶつ女の子は呟くが、
 あまりに小声だったのと、聞き慣れない発音が混じっていたのとで、その内容はツノニには届かなかった。
 ――もし、ツノニが女の子の言葉を明瞭に聞き取れていたら。
 きっと、彼女を逃がしはしなかっただろう。
 ツノニの訝しむ気配を察したのか、女の子は呟きを止め、何事もなかったかのように顔を上げた。
 
「色々ありがとう。とりあえず、お前がここに立っている理由はわかった。
 ――時間を取らせてすまなかったな。それでは我はこれで失礼する」
「へ? ああ、別に構わないけど……。
 ……ねえ、私、そんなに目立つかな?」
「我が気に留める程度にはな。
 せめて、近くに椅子でも置いて、座って待てばいいと思うが」
「……あー。確かにメイドさんが立ちっ放しってのは絵的にアレよね……。
 通りがかる人に変な目で見られてたのかなあ、やっぱり……」
「まあ、我からの言及はこれ以上は避けておこう。ではな」
 
 そう言って、女の子はその場を立ち去った。
 変な女の子だったなあ、と。ツノニは彼女の背中を見送った。
 この辺りでは見かけない珍妙な服装に、腰に差していた“刀”。
 女の子の軽い足取りから、おそらく玩具だとツノニは判断したが、それは果たして正しかったのか。
 今から少女を追いかけて、有無を言わさず捕縛した方がいいのではないか。
 
「……ま、間者を見つけるのまでは私の仕事じゃないし。
 今の私はあくまでただのメイドさん。余計なことはしない方がいいか」
 
 そう呟いた後、手近なところで大きめの岩を探し、
 ツノニは立ちっ放しを止めて、その上に腰を下ろすことにした。
 
「んー……今頃くっちー、優しくしてあげてるんだろうなあ……。
 ……いいなあ……。ヌエちゃん、羨ましいなあ……」
 
 空を見上げて溜息を吐く。
 主が帰ってくるまで、ツノニは一人、待つしかなかった。


308七戦姫 6話 ◆gPbPvQ478E :2007/04/02(月) 01:42:06 ID:0WfiPsEt

 * * * * *
 
 竜の研究は、大陸の各国が挙って力を入れている分野である。
 人間に持ち得ない強大な能力を備え、中には意思疎通な種族まで存在する。
 医療や軍事の分野では、竜の生命力や戦闘能力が特に活かされるため、どの国も一番力を入れている。
 
 それは、主国でも同じこと。
 最も有名なのは竜騎士で、大陸一の戦力と言ってもいい。
 それ以外でも、主国は竜の研究に余念が無い。
 属国にも様々な研究施設を建てさせ、多角的な研究を目指している。
 主国が属国に行わせる研究は、主国内では危険とされているものが多い。
 しかし、属国という立場上、何処も断ることができず、主国の言うなりに研究所を設立する国が大半である。
 
 クチナの国にも、それは強制された。
 この国で行われている研究は、特に問題のある研究である。
 何処の国も手を出したがらない分野、その中枢を任されている。
 主国内の人権派が嗅ぎつけたら、大問題となってしまう可能性が高い。
 
 しかし――メイラ王は自ら率先して、研究所を設立した。
 
 研究所が設立されたのは15年前。
 王子の体が致命的に弱いと断定され、まともな手段では健常な体になれないとわかった頃。
 当時の王は、藁にも縋る思いで、その研究に手を出した。
 結果として、クチナ王子の治療に役立つことはなかったが。
 特に危険な研究を率先して行ったことにより、何の取り柄もない小国は、一躍その評価を上げることとなった。
 
 ――もとは、クチナ王子の健康のため。
 そんな私的な動機により作られた研究所は。
 今では、何処よりも非人道的な研究の最先端として。
 主国の貴族に、高い評価を受けている。
 
 皮肉だなあ、とクチナは来るたびに思ってしまう。
 
 自分のせいで作られた研究所。
 そこに、同情心で通い詰める、自分。
 研究の“成果”を目にするたび、心がざくざくと切り刻まれる。
 しかし、どうしても、目を逸らすことができずに。
 せめて自分にできることを、と。
 痛む心を必死に隠し、クチナは研究所に訪れていた。


309七戦姫 6話 ◆gPbPvQ478E :2007/04/02(月) 01:42:46 ID:0WfiPsEt

「――くちな、どうしたの? へんなかお」
 
 ぷに、と頬をつつかれた。
 慌ててクチナは笑顔を作る。
 ――安っぽい同情心は隠し通せ。
 自分にそう言い聞かせ、クチナは声を掛けてきた少女に向き直った。
 
「なんでもないよ、ヌエ。ちょっと最近、色々あってさ。疲れてるんだ」
「そーなのかー。じゃあ、いっしょにねよ。ねればつかれもとれるよ、きっと」
 
 そう言って、少女はクチナに抱きついてくる。
 胴に押しつけられる柔らかさには、つい顔を赤らめてしまいそうになるが――
 
「痛い痛い。ヌエ、つの、角が当たってる」
「あ、ごめんー」
 
 頬にぐりぐりと押しつけられていた硬い“角”が、ひょい、とどけられた。
 角。
 人間には持ち得ないはずの、部位。
 それが――目の前の少女から、生えている。
 
 薄い蒼色の中に、やや緑がかった頭髪。
 その額の生え際に、大きな角。
 装飾品の類ではない。角は少女の頭蓋と一体化しており、皮膚も血管も繋がっている。
 完全に少女の“器官”として、存在していた。
 
「くちなー」
 
 角の生えた少女――ヌエは、角がクチナの顔に当たらないよう気を付けながら。
 クチナの胸に耳の後ろをぐりぐりと押しつけている。
 微弱だが臭腺が付いているので、人間には嗅ぎ取れない微かな匂いをクチナに擦り付けているのだ。
 もっとも、本人にそんな意識はなく、ただ本能の赴くままに“好きなもの”にくっついているだけなのだが。
 
 ヌエはクチナへ耳の後ろを擦り付けるのに夢中で、一緒に寝る、という提案は既に忘却の彼方の模様。
 
「ヌエ。角の方は、最近調子はどう?」
「んー? つのはね、もうびりびりーってしないよ。
 ひっこめるのはまだできないけど、かたくしたりはできるようになったー」
「そう。ヌエは頑張り屋さんだもんね。偉い偉い」
「えへへー。つの、さすってー」
「はいはい。お姫様の望むがままに」
「んー。きもちー」
 
 研究所の一室にて。
 クチナは、研究所の最高傑作――“竜と人間の合いの子”である少女、ヌエと。
 相手の望むがまま、のんびり落ち着ける時間を、過ごしていた。


310七戦姫 6話 ◆gPbPvQ478E :2007/04/02(月) 01:43:29 ID:0WfiPsEt

 この国における研究所では、主に“竜と人間の融合”について研究が進められていた。
 内容は言葉の通り、竜の能力を宿した人間を作り上げるためのものである。
 竜の有する能力は、どれをとっても人間の科学を凌駕するものであり、
 それを如何に活用するかが、最も重要な課題となっている。
 竜そのものを調教し、思うが侭に操るというのが、現代の主な方向性だが。
 それでは、上位竜の能力を扱うのは難しいため、代わりに考えられたのが、竜と人間の融合である。
 
 竜の能力を人間に宿らせるには、様々な手段が考案されたが。
 どれも実現が難しく、実際は失敗の連続であった。
 そして、研究者達はひとつの手段に辿り着いた。
 
 ――人間に、竜の子を産ませる。
 
 竜と人間のハーフは、竜そのものより遙かに人間への臓器移植が容易であることが判明したのだ。
 あとは、ひたすら産ませて記録を取る作業だった。
 生まれる子の形質は母胎側に強く影響されることが過去の研究で明らかになっていたため、
 人間の女性――様々な条件の者に竜の精子を受精させ、生まれた子を選別した。
 外見が人間と著しく異なる者は、生まれたそばから廃棄し、
 人間に近い外見でも、生存が難しい個体が多く、1年以上生きられない赤子がほとんどだった。
 それでも、数百人に一人の割合で、成長しうる合いの子は生まれてきた。
 合いの子の臓器は、人間のそれと比べ、かなり上質なものなので。
 特に主国の健康志向の貴族に対して大人気となり、
 大抵の子は臓器を移植できる5歳前後で解体されるのが常であった。
 
 実験には人間が必要とされるため、流れの移民や貧困層の人間などを捕らえ、献体とすることが多かったが。
 その程度では数は足らず、国内では人身売買が当たり前のように行われるようになってしまった。
 主国では絶対に許されることのない、非人道的な研究である。
 しかし、王自らの積極的な協力により、研究は軌道に乗っていた。乗って、しまっていた。
 
 
 そんな中、生まれてきたのが、ヌエである。
 
 
 彼女は、血中抵抗力の弱い他の合いの子とは違い。
 様々な竜の器官を、その身に移植することができた。
 これは貴重な実験材料になる、と研究者達は判断し、彼女を売買の材料とはせず、大事に育てることにした。
 現状では、主国で捕獲可能な12種の竜の器官を移植されている。
 下位竜6種、中位竜5種、上級竜1種の計12種である。
 他にも竜の器官を移植された子どもは大勢いるが、ヌエほどに受け入れられた個体は皆無だった。


311七戦姫 6話 ◆gPbPvQ478E :2007/04/02(月) 01:44:15 ID:0WfiPsEt

 今では、より効率的に特定の竜の器官を移植させることが主流となってきたため。
 研究者達にとって、ヌエはもう不要な存在となりつつあった。
 今では戯れ程度に、移植された竜の器官を活用する訓練を受けている。
 
 そして、現段階でヌエは、6種の竜の能力を使えるようになっていた。
 
 もっとも。
 研究者達にとって、ヌエという特殊な個体がどれだけ強くなろうとも、
 それはあくまで例外であり、研究の対象とはなりえないので。
 ヌエは、どれだけ頑張っても、報われない生活が続いていた。
 
 
 そして。
 彼女は、クチナと出会った。
 
 
 クチナの体のために作られた、属国の中でも特に異端としての評価を受ける研究所。
 最初は単なる好奇心で、クチナは研究所を見学した。
 そして、そこで目にした現実に、彼は絶望した。
 
 犠牲となった献体の数は、クチナが初めて見学に訪れた6年目の段階で、2万を超えていた。
 飼い慣らした竜や薬品で操作した竜に人間を犯させ。
 生まれた子供を選別し、不要と判断されたら挽肉にする。
 その挽肉は竜や献体の餌とされ、食育実験まで行われていた。
 献体の女性達は、犯されては異形を産む繰り返しのため、短期間で精神を壊す。
 子どもは人間といえないものが多く、外に出られる者は一体もいない。
 
 クチナは、目を逸らしたかった。
 
 でも、できなかった。
 
 自分のために始まった研究ならば。
 それで国が栄えるのであれば、自分もできる限りのことをしよう。
 
 クチナはそう決心し、勉強がてら、成長した個体の話し相手になっていた。
 そんな中、特に仲良くなったのが、ヌエである。
 彼女は研究所内でも古株なので、最初はおっかなびっくり接していたクチナとも、
 今では親子や兄妹のように、非常に近しい関係となっていた。


312七戦姫 6話 ◆gPbPvQ478E :2007/04/02(月) 01:45:02 ID:0WfiPsEt

「――そんなわけで、一ヶ月後に、みんな戦うことになっちゃったんだ」
 
 クチナは、最近の武術大会に関する流れを、愚痴混じりでヌエに聞かせていた。
 彼としても、ヌエの天真爛漫さは、澱みがちな精神に良い影響を与えてくれるため。
 彼女のことを信頼して、様々な話をするようになっていた。
 よって、あまり口外できない内容も、気軽に話してしまうことが多かった。
 
「…………」
「……? ヌエ? どうしたの?」
「……くちな、けっこんするんだよね」
「うん。大会で優勝した人とね。たぶん、ケスクになると思うんだけど――」
 
「――わたしも、でる」
 
 クチナはぽかんと口を開き、間抜けな顔でヌエを見る。
 竜と人間の合いの子は、泣きそうな表情で、クチナを見ていた。
 
「わたしも、くちなのおよめさんに、なりたい」
「だ、駄目だよヌエ! 君も――君まで出るなんて、絶対に、駄目だ!」
 
 慌ててそう言うクチナ。
 主国から出された“自国から一定数の選手を出す”という条件は、現時点で既に満たされている。
 これ以上、自分の近しい人を危険に晒したくはなかった。
 ――しかし、ヌエの決意は固かった。
 普段ならクチナのお願いは何でも聞き入れる少女は、彼に対して、初めて首を横に振った。
 
「やだ! くちなのおよめさんになれば、くちなとまいにちあえるんだよね!?」
「い、いや、結婚したとしても、必ず毎週会いに来るから! だから――」
「まいしゅうじゃ、やだ!
 まいにち! まいにちがいいの! くちなのいないよるはもうやだ!
 くちなと、ずっと、ずっと、ずっと、いっしょにいたい!」
「ヌエ……」
 
 
「くちなは、わたしのいちばんだから。
 わたしも、くちなのいちばんになるの!」
 
 
 そう叫ぶ少女の瞳には。
 迷いは欠片も存在しなかった。


313緑猫 ◆gPbPvQ478E :2007/04/02(月) 01:46:14 ID:0WfiPsEt
これで、七戦姫全員が出揃いました。
あとは誰かが勝ち残り、王子を手に入れるだけです。
大会まで数話の準備期間を挟んだ後、血みどろの殺し合いを描きたいと思います。
 
なお、七戦姫は展開予想大歓迎です。
感想のついでに、誰が勝ち残るか、誰が生き延びるか、なども気軽に書き込んで頂けると嬉しいです。
また、誰と誰の戦いを見たいかなども、お聞かせ頂けると幸いです。
その通りにできるかどうかはわかりませんが、今後の参考とさせて頂きます故。
修羅場SSを書く上で、住人の皆様の意見は、大きな活力源となっています。
本当に、ありがとうございます。これからも「修羅場万歳!」の精神で頑張ります。
 
 
とりあえずメインヒロインを全員出し終えたので、あとは九十九と七戦姫を交互に投下していこうかと思います。
次は九十九の13話。流さんにはそろそろ頑張って貰います。
314名無しさん@ピンキー:2007/04/02(月) 02:02:08 ID:lXTaXmoY
イヤッホオオオオオオオオオオオオオウ!

九十九も大いに期待して待ってるよ!
315名無しさん@ピンキー:2007/04/02(月) 02:05:01 ID:3xt9oyzc
>>313
一段落ついたようですね、ご苦労様です、
エンディングはマルチエンドにしてくれるとありがたいんですが無理ですかね。

展開予想としては、個人的お気に入りのケスクさんが、表の優勝候補だけに
華々しく散ってしまいそうな予感がしてたまりません。
316名無しさん@ピンキー:2007/04/02(月) 02:06:10 ID:Qdx5xNSq
前夜祭とかで七人の絡み見てみたいな
317名無しさん@ピンキー:2007/04/02(月) 02:16:52 ID:XKB/ZFO3
血みどろの前夜祭になるな
318名無しさん@ピンキー:2007/04/02(月) 02:24:09 ID:qQCtUoyX
まさか全滅ルートは無いでしょうね……?
319名無しさん@ピンキー:2007/04/02(月) 02:49:26 ID:fcC/aJxt
>>313
覚悟完了

白の末路に未だに泣くキモい俺はどうしてもサラサ派だけど…

この先の戦いに生き残る奴なんているのかね
320名無しさん@ピンキー:2007/04/02(月) 03:04:08 ID:dS6PP/vx
九十九待ち侘びたてました!!
321名無しさん@ピンキー:2007/04/02(月) 03:27:25 ID:tx58jwm0
全滅エンドが目に浮かぶぜ…

暗黒面に堕ちるのはやっぱりケスクかな?それとも護衛姉妹か
希望薄だろうけど個人的にはハッピーエンドが…ないですよねごめんなさい(´・ω・`)
322名無しさん@ピンキー:2007/04/02(月) 06:57:25 ID:i0AbTpLM
21通りの組み合わせのうち、6試合しかないのはもったいないなぁ。
試合の順番で負傷状態とか変わるから、やりだしたらきりがないけど。

王子の体が弱いという伏線からして、そして誰もいなくなったエンドでしょう。
王国壊滅に10ユメカ。

でも全員無傷のハーレムエンド希望 < ありえない
323名無しさん@ピンキー:2007/04/02(月) 07:25:31 ID:xneWrgp4
GJ!
ついに全員が出揃ったか!出来れば全員生き残って欲しいもんだが難しそうだなぁ
とりあえずツノニ生き残ってくれ
九十九と七戦姫、両方とも楽しみに待ってます!
324名無しさん@ピンキー:2007/04/02(月) 10:23:57 ID:LgvvlkvA
ちょいプロット
主人公はスクールカウンセラー
      ↓
毎日様々な様子の生徒が訪れてくる
      ↓
生徒の一人が主人公を好きになる
      ↓
生徒主人公に告白
      ↓
だが断られる
      ↓
生徒主人公を監禁する
      ↓
   結婚END
      
325名無しさん@ピンキー:2007/04/02(月) 10:43:27 ID:MLw35mIC
しかし、久しぶりに嫉妬SSスレ以外の作品に創作意欲が沸いてきたってことは
このスレとお別れを意味をしているのかな
326名無しさん@ピンキー:2007/04/02(月) 10:48:27 ID:8FRQfLxn
そのプロットだけだと嫉妬も三角関係もないためヤンデレスレ向けだという罠
327名無しさん@ピンキー:2007/04/02(月) 13:00:15 ID:uFod7Rfz
>>313
7人目ktkr
出来れば全員生存ENDが良いです……駄目ですかそうですか(´・ω・`)
328名無しさん@ピンキー:2007/04/02(月) 14:41:33 ID:DcWueTtW
初っ端で人数を減らすために全員でバトルロワイアル。


ないかな?
329名無しさん@ピンキー:2007/04/02(月) 14:56:07 ID:LgvvlkvA
>>328
それなんて絶望先生?
330雨の音  ◆tTXEpFaQTE :2007/04/02(月) 15:14:45 ID:rJVBjje6
投下いきます
331雨の音  ◆tTXEpFaQTE :2007/04/02(月) 15:16:29 ID:rJVBjje6

雨の音  第9回


「お嬢様、お嬢様。
 病人の近くでお昼寝してたら風邪移されちゃいますよ?」
清華は響のベットで横になっている少女に声をかけた。
その少女は、起こすのを躊躇うほど穏やかな寝顔をしていた。

最近、清華はこの少女―――シヲンの不機嫌な顔しか見ていなかったが、
こうやって体を丸めて無垢な表情で寝ているシヲンを見ると、
彼女の可憐さに思わず見とれてしまった。

決め細やかな肌。
桜色のくちびる。
長いまつげ。
すらりときれいな形の手足。
そして、闇夜に浮かぶ、月の光を閉じ込めた様な黒髪。
ああ、きっとこの子は美人になる。

このまま寝かせてあげたいな、
そう思ったが、やはり風邪を移されるとまずいだろうし、
何より、シヲンは響を抱きかかえるように寝ている。
響の胸の辺りに頭を乗せ、片足は響のおなかの上に乗っている。
響を見れば、明らかに表情がうなされている。

「ほら、お嬢様、起きてください。
 起きてーくーだーさーいーよー」
シヲンの体を揺すりながら声をかける。

体を揺すられ、シヲンは眼を覚ました。
どうやら、響の顔を見ているうちに眠ってしまったらしい。
「う…ん…」
むくり、と体を起こす。

「あ、起きられました?
 ダメですよー、病人の側でお昼寝なんて。
 風邪移されちゃ、つまんないですよ?」
シヲンを起こすと、清華はベッドから離れ、机の上に置いてあったオレンジをむき始める。

オレンジを剥きながら、シヲンのほうを見ると、
「ふふ、お嬢様、ヒビ君と仲よろしいんですね」
と嬉しそうに言った。

私が?この子と?冗談じゃないわ。
私はこの子のこと、大嫌いよ。

声を出さずに毒づき、ベッドから降りる。
すると、妙に右手が重い。
何かしら、と思い右手を見れば、響の手を握っていた。
全くの無意識だった。
恐らく、寝てる間からずっと握っていたのだろう。

332雨の音  ◆tTXEpFaQTE :2007/04/02(月) 15:17:17 ID:rJVBjje6


何だか顔が赤くなるのを感じ、慌てて清華を見れば、
彼女はオレンジに目を落とし気付かなかった。
響を見ると、こちらは相変わらず眠り続けている。

繋いでいる手を掛け布団に隠し、シヲンはベッドにもう一度腰掛けた。
繋いだ手が清華にばれないか、もう一度確認。
…これなら解らないわよね。

なぜ、響と手を繋いでいるところを見られたくないのか、
いや、そもそも何故響と手を繋ぎ続けていたいのかは解らなかった。
ただ、そうしたかった。
響の事、嫌いだと思っているのに。

握った響の手をモゾモゾと触りながら清華を見ていると、
彼女はオレンジの皮を剥き終えるとジューサーにかけ、ジュースにした。
オレンジを何個か使ってようやくコップ一杯分が出来上がった。
それを小型冷蔵庫に入れる。
こうしておけば、響が起きたとき、すぐにオレンジジュースを飲ませてあげる事が出来る。

「さ、そろそろお嬢様はお部屋にお戻りくださいな。
 これ以上ココに居て風邪引かれたら、私が怒られちゃいますよ」
「…勝手に怒られとけば?」
そっけない態度でシヲンは返事を返す。

「もう、そんなこと言ってほんとに風邪引かれたらどうするんですか。
 ヒビ君がやっと直った頃に今度はお嬢様が寝込んでたら、一緒に遊べませんよ?」
…一緒に遊ぶ?
その言葉を聞き、シヲンはフフッと笑った。
この鬱陶しいヒビキのメイドは何も知らないのか。
何も聞かされていないのか。
偉いじゃない、ヒビキ。誰にも言ってないようね。
私があなたにやってる仕打ち。
あなたの体につけた傷。
あれは私たちの秘密ね?
そうね、早く風邪治しなさい。
そしたら私、またあなたあそんであげるから。
だから…早く、良く、なりなさい。

最後に響の頬から首筋にかけてゆっくりと撫でると、シヲンはベットから
立ち上がり、
「清華、ヒビキの事頼むわね」
それだけ言うと、振り向きもせず部屋から出て行った。

「ふう、お嬢様にも困ったものねえ」
シヲンが居座ったおかげでヨレヨレになったベットをシーツを清華が直していると
「あら、これ、お嬢様の落し物かしら?」
赤いリボンが落ちていた。
どうしようか、届けようかな、と思ったが、
まあ外に行ったときのついでに渡しとけばいいか、
と思い、リボンをテーブルの上に置いた。

そのリボンの赤は、まるで血のように鮮やかな赤色だった。

333名無しさん@ピンキー:2007/04/02(月) 16:25:39 ID:YuCR29pw
えっと、投稿終了かな?
334雨の音  ◆tTXEpFaQTE :2007/04/02(月) 16:30:38 ID:rJVBjje6
あ、投下終了言い忘れてました。
すいません。
335名無しさん@ピンキー:2007/04/02(月) 17:04:31 ID:TWB/4/k9
超GJです!
段々シヲンのデレが出てきましたな。
こっから修羅場ってくのを想像したらたまらんですタイ。
336名無しさん@ピンキー:2007/04/02(月) 17:06:53 ID:pPwlLCww
春休みが終わったら静かになったなw
337名無しさん@ピンキー:2007/04/02(月) 17:23:32 ID:yeSd4f4K
>>313
九十九だけに集中しろよ
338名無しさん@ピンキー:2007/04/02(月) 17:29:25 ID:NuW7b0w4
>>302
あまりの駄作ぶりと宣伝のせいでスレ住人皆にスルーされてワロタwww
339名無しさん@ピンキー:2007/04/02(月) 17:32:21 ID:ub64K74D
>>338
>>303もSS自体をほめてるわけではないしなwwwwww
340名無しさん@ピンキー:2007/04/02(月) 17:35:42 ID:YTyegS3Q
>>337
あー、俺もつまらかったね
341名無しさん@ピンキー:2007/04/02(月) 17:37:08 ID:T5HgvOBm
雨の音って誰が読んでるんだろう?
まじで駄作なのにそれが分かんないな〜
342名無しさん@ピンキー:2007/04/02(月) 17:37:56 ID:QbB9yc3f
>>341
一部の信者だろw
343名無しさん@ピンキー:2007/04/02(月) 17:49:07 ID:6FpCIcin
>>334
GJ!
シヲンかわいいよシヲン。
344名無しさん@ピンキー:2007/04/02(月) 17:50:34 ID:HZL7tKM/
>>334
基準守れない作者はイラネ
それとつまらねぇSSしか書けない作者もイラネ
345名無しさん@ピンキー:2007/04/02(月) 17:50:37 ID:pa62wC43
またむきになっちゃって
346名無しさん@ピンキー:2007/04/02(月) 17:55:34 ID:r2hbUn2p
>>336-345
ここまで単発自演だからスルー推奨
347名無しさん@ピンキー:2007/04/02(月) 17:56:24 ID:qShrwrgZ


ってか、荒らしって低知能すぎるよな
まともな文章を書き込んでくださいね♪
348名無しさん@ピンキー:2007/04/02(月) 18:07:50 ID:6FpCIcin
>>346
おれも巻き込まれてる('A`)...
349名無しさん@ピンキー:2007/04/02(月) 18:11:33 ID:PRcuCqOS
水を得た魚のように暴れまわる単発ズにワロタ

マジレスすると、荒らしってやってるヤツが一番惨めだけど、その惨めさに本気で気づけてないとしたらもっと惨め。
やめるなら今のうちだとちょっと真面目に心配してみる。


>>313
>>334
どっちもそろそろ本格的に動き出しそうだな・・・。
前フリが長かった分、これからの展開でどう魅せてくれるか楽しみだ!
350名無しさん@ピンキー:2007/04/02(月) 18:23:42 ID:HyOPM1wx
>>334
GJです。
結局、清華は響にキスしたんですかね?
351名無しさん@ピンキー:2007/04/02(月) 18:56:19 ID:Y/SzUoRR
>>334
GJ
清華さんはまだお姉さんって感じですね。ここからどう修羅場っ娘に変貌するか楽しみです。

そして、ツンデレシヲン(* ´д`*)ハァハァ
352名無しさん@ピンキー:2007/04/02(月) 19:22:33 ID:0jbUuMsL
うわぁ……早いとこシヲンが、ツン→デレへ移行するところを見てみたいな。
そのあとでエロシーンへ突入したらそれこそハァハァですよ。



誤字(?)発見。

>>332
>そしたら私、またあなたあそんであげるから。

そしたら私、またあなたとあそんであげるから。
               ↑

「と」があるほうが自然じゃないか?
353名無しさん@ピンキー:2007/04/02(月) 19:24:16 ID:0jbUuMsL
誤字じゃねえや、脱字だ。スマソ
354名無しさん@ピンキー:2007/04/02(月) 19:33:59 ID:Qdx5xNSq
>>351
清華は修羅場らないと思うな、シオンの一人相撲な気がする
355名無しさん@ピンキー:2007/04/02(月) 19:36:53 ID:SMdp+ixe
ttp://bbs9.fc2.com/bbs/img/_166100/166037/full/166037_1175509827.gif
上から、
ユナハ イクハ
ケスク
ツノニ
ヘイカ
 
エイプリルフールネタなので実現はしないです
あと雑誌名は気にしてはいけない
356名無しさん@ピンキー:2007/04/02(月) 20:26:47 ID:ZYDCHGhc
貴様、双葉の(ry
357名無しさん@ピンキー:2007/04/02(月) 20:41:26 ID:OFIyEJl6
>>355
凄く…読みたいです…
358名無しさん@ピンキー:2007/04/02(月) 21:38:34 ID:M4A537u1
そして、俺はトライデントさんの新作を裸でずっと待ち続ける
大丈夫さ。夏はもうすぐだから風邪はひかないさ
359名無しさん@ピンキー:2007/04/02(月) 21:52:32 ID:r2hbUn2p
>>355
ちょっと読んで無かったから読んでみるかな
360名無しさん@ピンキー:2007/04/02(月) 22:11:52 ID:24IW9Uo4
>>334
GJ!!シヲンが覚醒するためにはやはりもう一人の登場が必要ですねw
こういう自分の気持ちに気づかずつらく当たってくるヒロインもいいなwww
361名無しさん@ピンキー:2007/04/02(月) 22:54:29 ID:9i7Y9PSb
>>334
つまんね、もう投下するな
362名無しさん@ピンキー:2007/04/02(月) 23:20:28 ID:wt8EyJ0S
>>361
つまらないなら俺みたいにスルーしとけ
363名無しさん@ピンキー:2007/04/02(月) 23:47:04 ID:GZ69J9JG
>>362
禿同
スルー出来ない香具師はまとめサイトだけ見とけと
364名無しさん@ピンキー:2007/04/02(月) 23:55:25 ID:s3fSU7O+
サルに餌を与えないでください
365名無しさん@ピンキー:2007/04/03(火) 00:02:31 ID:1ZxEVOGT
いや自演だろ、責め方変えただけだよ
366名無しさん@ピンキー:2007/04/03(火) 00:16:59 ID:rpmY/ioN
>>313
なんか主人公のヘタレ具合にがっくし
ちょっとは研究やめさせようとかしないのかw
367名無しさん@ピンキー:2007/04/03(火) 00:24:17 ID:gpefqp25
禿同とつくだけで自演と分かる件
368名無しさん@ピンキー:2007/04/03(火) 01:20:49 ID:UshWYBTj
主人公は発言権の無い王子なんだろ?
大体親である国王が自分を助けようと始めたのがきっかけでもあるし
主国の貴族が気に入った実験をそんな立場にある王子が止められる訳ないし、下手したら親の方に責任とかいくだろうからな
極悪非道の実験をした国王、という烙印を押されるかも知れない事をわざわざするか?
だから実験に関して主人公ができる事はせいぜいヌエの側に居てやる事ぐらいだろ
体弱い癖にちゃんと前を向く精神の強さは俺的に好印象
369名無しさん@ピンキー:2007/04/03(火) 01:34:04 ID:3EaRrTCd
何でもかんでも自演というお前らに絶望した
370名無しさん@ピンキー:2007/04/03(火) 01:52:06 ID:rpmY/ioN
>>368
説明してもらってよりはっきり思ったw
反吐が出る偽善と保身にしか感じられないwwwww
つか雑談ごめんよ作者さんがんばって!
371名無しさん@ピンキー:2007/04/03(火) 02:00:11 ID:RZJLd5IO
つか、荒らし諸君はその作者以上のSS書けるという自信があるから文句が言えるのか?
まずそれを聞きたい
教えてくれ荒らし諸君
372名無しさん@ピンキー:2007/04/03(火) 02:35:39 ID:WuWkSOpG
>>370
反吐が出る偽善と保身とかいうけどさ、暗黒面が確実に存在する組織の中で
全体のバランスを考えながら自分が正しいと思うことをできる限りするのと、
自分のエゴをぶちまけて全部壊しちまうってのはどっちが正しいかってことだよな

この研究をやめさせるには、王家の中で働きかけても無理なのは火を見るより明らかだし
そうなったら世間に訴えてぶっ潰すしかない。そうすると色々問題もあるだろ


俺はそういう風に動く王子だったら
ただの名誉欲しさの無責任なスタンドプレーヤーだと軽蔑するけど
373名無しさん@ピンキー:2007/04/03(火) 03:07:54 ID:lQdAvuTW
主人公がヘタレってのは修羅場にはいいスパイスなのよって昨日病院で会ったメガネかけた緑色の髪のおばちゃんが言ってたよ
374名無しさん@ピンキー:2007/04/03(火) 04:18:24 ID:JyJ5WyyE
彼の場合、偽善と言うより責任感・保身と言うより苦渋の選択って思うけどね。
主国のバカな貴族が続行させようとしてる以上、止めさせようとしても無理だろう?
王子達が研究を放棄・停止しようとしたらバカが介入してくるだけ。
主国内では危険ってのは、言い換えれば責任の掛からない属国はどんどんやってくれって事なんだろうし。
研究所を主国で徴収して責任は属国に押し付けたまま成果を横取り、そして研究は続行。
そんなオチだよ。つまり、属国が研究を止める=主国が属国を隠れみのに研究を続ける。
社長(主国)に逆らえば待ってるのはクビ、そしたら養う家族(国民)をどうすれば良い。
サラリーマン(属国)は辛いやね、つまりはそう言うこと。

まぁ、内部から研究の非道な部分を抑えようと努力してるのかしてないのか分からないのは確かにヘタレだけど。
375名無しさん@ピンキー:2007/04/03(火) 06:26:47 ID:jD37m5Hh
その理屈はおかしい。
非道な研究、という主国にとって使い勝手の良い価値を失って困るのは王族だけだろ?

「クビ」になっても国民は国民、領土は領土で当たり前に生産力があるのだから
どこの国の統治下でも国力にはなりえるし、国民としては支配者が誰でも変わらない。

民族対立があって他の属国の統治下に移れば奴隷にでもされてしまうというほど
険悪な対立状況・世界観には見えないし
植民地、というなら、おそらく既にほとんど植民地なわけで
376名無しさん@ピンキー:2007/04/03(火) 06:39:38 ID:M/zjBcoO
>>370
スレチだけど最初の3行ってコードギアスのルルーシュとスザクそのまんまだよなw
個人的には全部壊すってほうにうごいてほしいなー。


しかしここまで作品で議論されるんだから作者さんもうれしいんじゃないのかw
377名無しさん@ピンキー:2007/04/03(火) 06:40:18 ID:M/zjBcoO
アンカー間違えた>>372ねw
378名無しさん@ピンキー:2007/04/03(火) 07:02:25 ID:E2LmBTYf
>>375
主国内で高い評価を受けている研究ってのがミソじゃないかな
そこまで研究が進んでるならやらせた貴族もやめさせたくはないだろうし、
一応国益にもなっているそれを壊して発生するメリット・デメリットを考えると、

メリット:検体が助かる・非道な実験が「この属国内では」止まる
デメリット:王族の破滅・主国の貴族が損をする・国政に混乱が生じる

主人公的には 検体<王族 ってことなんだと思う
王族としての教育も受けてるだろうから、そっち側の考えになるのは仕方ないと思うし

長文スマソ
好きな作品だからつい口を出してしまった
結局は読み手がどう思うかだから、一意見として聞いてもらえると助かる
あと、クチナもユウキみたいなヒロイン臭がするのは俺だけだろうか
379名無しさん@ピンキー:2007/04/03(火) 07:48:27 ID:jD37m5Hh
>>378
俺のレスは>>374の「国民のため」という理屈はおかしい、というものだよ。
元々国勢的な必要性にかられてのものえはないのだし。

今までは鼻につき難い、いいひと主人公が多かった作者さんの
ラノベ風ファンタジーだからといって
封建制度の王族が現代人のモラルでいいひとでなくてもいいと、俺も思うけどね

俺は>>378のようにまで計算してる主人公とは思わなかったけど。そこまで考えてるなら
「主国貴族ヒロインを、どんな手段使っても優勝させて結婚する」
までやらないと方針として一環していないと思うな。

ちなみに
>>「この属国内では」止まる
>何処の国も手を出したがらない分野
>主国内の人権派が嗅ぎつけたら、大問題
>しかし、王自らの積極的な協力により、研究は軌道に乗って

380名無しさん@ピンキー:2007/04/03(火) 08:10:24 ID:stJImJEm
国がどうとか言い出したらケスクで当然、で終わってしまう話だからな
舞台背景程度に考えてあげれ

個人的に主人公が潔癖すぎるのもあれだ。
メイドつまみ食いくらいはして欲しい。
381名無しさん@ピンキー:2007/04/03(火) 08:38:14 ID:UshWYBTj
>>379
いや、国民の為になるだろ
戦争が起きた時たかが小国が生き延びられる訳ないじゃん
クビになるっつー事は、主国である大国との繋がりが消えて、後ろ楯が無くなってあっという間に壊されちゃうよ
今の日本がアメリカの武力に守られてる様にね
382名無しさん@ピンキー:2007/04/03(火) 09:04:29 ID:jD37m5Hh
ん?
主国が圧倒的な権力をもつ中で、王族のクビだけがすげ替えられる、ってニュアンスの話だったから
俺もそれに対してレスをしたのだが
だから元レスの>>374も、あくまで国民を「養う」という話をしている。

俺も、今までの情報なら、国になにかあれば
それこそ逆らいようもなく、速やかに主国に統治されるようになり
直轄されるか他の属国に委譲されるか
他の支配者にすげ替えられるかというニュアンスで読んだのだが。

情報が明らかでない以上、近辺に主国関連以外に狙うような国があるのか
暗殺者がどこからきたのか、にもよるから戦争あるかどうかはわからないが
少なくとも俺がレスしたのは>>374の考えだからなぁ。
383名無しさん@ピンキー:2007/04/03(火) 09:07:13 ID:/QaTAFMA
まあどんな手段であれ大国の押し付けたものに逆らうとなれば向こうの感情を逆なでするのは否めないだろうしな
384名無しさん@ピンキー:2007/04/03(火) 09:13:33 ID:jD37m5Hh
>>381
それと。国が割れたらどの程度の混乱かはともかく、現状がこうなんだぞ?

>実験には人間が必要とされるため、流れの移民や貧困層の人間などを捕らえ、献体とすることが多かったが。
>その程度では数は足らず、国内では人身売買が当たり前のように行われるようになってしまった。
385名無しさん@ピンキー:2007/04/03(火) 10:05:01 ID:PPqSZg36
荒らしは専ブラでも使ってあぼーんしろ
386名無しさん@ピンキー:2007/04/03(火) 14:35:36 ID:w5w+UrXk
なんだこの社会討論は!?
このスレでこんな真面目に話し合うおまいらのことが俺は大好きだーーーーーーーーー!!
ところで俺が女だったらこの主人公に惚れてたな、うん。

ともかく嵐は無視。それしかないって
387名無しさん@ピンキー:2007/04/03(火) 14:37:10 ID:c7g+4C7I
保管庫どうした!応答しろ!保管庫!?ほかんこーーーーーっっ!!
388名無しさん@ピンキー:2007/04/03(火) 14:57:23 ID:p7/cXoYX
また監禁されたか……
389名無しさん@ピンキー:2007/04/03(火) 16:31:23 ID:QaHWN1ad
「あなた、私の後に続けて言って。『私は妻を裏切りません』」
「私は妻を裏切りません」
「『妻以外の女に興味を持ちませんし、妄想もしません』」
「妻以外の女に興味を持ちませんし、妄想もしません」
「『サイトの運営もしません』」
「さ、さい・・・と・・・のう、うぅっ」
390名無しさん@ピンキー:2007/04/03(火) 16:54:05 ID:Tyn7/DQl
完全に神達は逃げ去ったか・・荒らしと住人のせいで
391名無しさん@ピンキー:2007/04/03(火) 16:59:48 ID:mwBTKbPi
避難所に移ればいいじゃん。向こうでの神の投下を待ってるんでしょ。管理人さんと住人は
392名無しさん@ピンキー:2007/04/03(火) 17:00:58 ID:mwBTKbPi
管理人と住人からしたら移ってください!と言える立場じゃないし神の自発的行動を待ってると
393名無しさん@ピンキー:2007/04/03(火) 17:26:21 ID:v1l6TDU8
1日投下がないだけで何言ってんだ、こいつら?
とりあえず雑談やめてROmって待ってろよ
394名無しさん@ピンキー:2007/04/03(火) 17:51:36 ID:Yv0KflzY
パっと浮かぶだけでも九十九、七戦姫、雨の音、ブラッド、アンビエイト・ダンスと、
上手いうえコンスタントに投下される作品がこれだけあるのだから
わがまま言ってはいかんよ。
話が書けないならプロットでも考えるべし。


人外好きの自分としては、雪女ネタとかいいなと思う。
惚れた男を氷付けにして永遠に・・・とか。
昔遭難してたのを助けた男に再会したが、男にはすでに彼女がいた・・・とか。
ベタだけど、だからこそ好きだ。

395名無しさん@ピンキー:2007/04/03(火) 17:57:37 ID:F4n2Dc7r
>>394
×上手いうえコンスタントに投下される作品
○下手だがコンスタントに投下される作品
396名無しさん@ピンキー:2007/04/03(火) 18:05:56 ID:0ky04HQm
397名無しさん@ピンキー:2007/04/03(火) 18:09:26 ID:PPqSZg36
>>396
ちょwwww俺が角煮でうPした奴じゃねえかwwww
398名無しさん@ピンキー:2007/04/03(火) 18:18:19 ID:M/zjBcoO
>>396
koeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeee!!!!!!!
一枚目で素でぞっとしてしまったw
399名無しさん@ピンキー:2007/04/03(火) 18:28:11 ID:JyJ5WyyE
確かに、>>384の言う通りトップが変わっても国民に問題は無いっぽいし、
研究を止める分には益も無くなるが損失も余り無いな。
そこは俺が論旨を間違えてたわ、うむ。
じゃあ、別口から考えてみよう。

さっきは、逆らったらクビになる。
と言ったがその逆で、逆らっても無理矢理片棒担がせられるって方向は無いかな?
「どこの国も手を出したがらない」ってのが、言い換えれば「責任をなすりつけられるならむしろ積極的に行う」ってのは「大陸中で広く研究が行われている」「主国は直接行わず属国に行わせてる」って事から否定は出来ない。
「穏健派に知られれば大問題」ってのは「属国」での研究を助長する理由にこそなれ止める理由にはならない。
王様が積極的だったのは………息子の病気を治すためだったよな?成果が無いと分かった今、内心では止めたがっているかもしれない。恥ずかしながら読み込みがあやふやだからここらは推測でしかないが。

結局、主国の貴族からしてみれば今が一番良い状況なんだよ。
他人の手を汚して自分達は濡れ手に粟なんだから。
だからその状況を長続きさせたい、嫌だと言っても無理矢理やらせる方法は幾らでも有る。権力も経済も上なんだし。

研究を止めさせるとしたら穏健派にリークするぐらいしか無いと思うが………
そうしたら、自分の脛の傷を探られたくない人間は必死に揉み消しに掛かるんじゃないかな?それこそ証拠を全部灰にするぐらいは。
400名無しさん@ピンキー:2007/04/03(火) 19:21:11 ID:lQdAvuTW
>>396
増殖しやがったwwwさすが楓
401名無しさん@ピンキー:2007/04/03(火) 20:01:49 ID:zjbFcaXi
>>396
怖すぎるw
402名無しさん@ピンキー:2007/04/03(火) 20:05:13 ID:rpmY/ioN
何万人もの救われなかった混血児達と、
恐らくそれに匹敵する人数の、
犯され妊娠出産を強制された女達の絶望に目をつぶり、
しかもまだそれは続いているのに、
たった一人の混血児の遊び相手をしてるだけかと言いたかっただけです。
他の難しいこととかどうでもいいw

ごめんまじこれで最後w 作者さんがんばってください!
403名無しさん@ピンキー:2007/04/03(火) 20:27:37 ID:/QaTAFMA
>>クチナはそう決心し、勉強がてら、成長した個体の話し相手になっていた。
ここを見る限り相手はヌエ一人に限らないようだが?何がたった一人の〜だよ。
目を瞑れるでもなし、大国の思惑がある限り止めれるでもなしの中でのせめてもの努力だろうってことは俺程度の読み手でも察せるモンだがね。
荒らしってのはろくに読み込みもせずにレスをするんだな。

何はともあれ、作者さんには雑音を気にせず頑張ってほしいもんだ。
404名無しさん@ピンキー:2007/04/03(火) 20:31:42 ID:QmRM364/
>>396
角煮スレがあるんだから角煮にいけよ
405名無しさん@ピンキー:2007/04/03(火) 20:35:31 ID:lQdAvuTW
>>404
角煮にもとっくに出没してたぜ
406名無しさん@ピンキー:2007/04/03(火) 21:00:43 ID:1teEYGps
スレ違いはほどほどに
投下を全裸で待とうぜw
407名無しさん@ピンキー:2007/04/03(火) 21:08:01 ID:NcGBP0n1
服着ながらじゃダメ?風邪引いちゃうんだけど・・・
408名無しさん@ピンキー:2007/04/03(火) 21:09:29 ID:E2LmBTYf
だな。やるなら感想か展開予想か
俺はヘイカがどんな風に惚れるのか凄く気になる
そして惚れた後ロリ300歳がどんな行動に出るのか楽しみだ

元の姿に戻って王子を誘拐するのに200セツノ

本戦では同じ竜のヌエに負けるのに500セツノ
409名無しさん@ピンキー:2007/04/03(火) 21:12:02 ID:w5w+UrXk
陰謀と策略により国王が競技場に落ち、巻き込まれて死ぬに800セツノ
410名無しさん@ピンキー:2007/04/03(火) 21:21:25 ID:dFCAjcUv
つうかいい加減「七戦姫」についての雑談うぜーからやめろよ
作者も迷惑だろ
>>407
sage進行
411名無しさん@ピンキー:2007/04/03(火) 21:27:56 ID:oj18FLX/
>>410
雑談は荒らしよりましだろ。
勝手に作者も迷惑とか決めつけんな。
412名無しさん@ピンキー:2007/04/03(火) 21:30:40 ID:P5/5zKIq
はいはいワロスワロス
413名無しさん@ピンキー:2007/04/03(火) 21:34:35 ID:E2LmBTYf
緑猫氏も展開予想は大歓迎って言ってるしな
他の神の投下が始まったら邪魔にならないよういったん止めればいいわけだし
書き込む前に更新してチェックすれば無問題かと思う
414名無しさん@ピンキー:2007/04/03(火) 21:39:51 ID:dFCAjcUv
雑談してると投下しにくいのは常識だろ
415名無しさん@ピンキー:2007/04/03(火) 21:50:03 ID:NcGBP0n1
SS待ってる間にドスファンゴ倒してくるわ
416名無しさん@ピンキー:2007/04/03(火) 21:54:52 ID:NcGBP0n1
負けました
417名無しさん@ピンキー:2007/04/03(火) 21:58:32 ID:Dqa6BGEr
ドスファンゴ「私の素材を使った装備を、なんで使ってくれないの…」
ドスファンゴ「なんであんな火球を出すメス竜の装備を、使っているの…」
ドスファンゴ「そんな装備、この牙で突き壊して…!」
ドスファンゴ「私、そんな装備は認めないんだからっっっ!!」

>>416 はクエストに失敗しました。
418名無しさん@ピンキー:2007/04/03(火) 22:53:34 ID:UDwbWu53
↑天才
419名無しさん@ピンキー:2007/04/03(火) 22:54:47 ID:IazwsJ+h
>>414
荒らし野郎どものノイズ(音量大)が鳴り響くスレより、よっぽどましだよ。
420名無しさん@ピンキー:2007/04/03(火) 22:56:01 ID:0ky04HQm
どうしてスルーできないんだ?
421名無しさん@ピンキー:2007/04/03(火) 23:05:19 ID:M84es03j
スレ住人の悪いところは
スルー出来ない
なんでも荒らしと決め付ける
未完の作品をいつまでもクレクレする
この3つだな
422名無しさん@ピンキー:2007/04/03(火) 23:15:30 ID:RJKxuIEK
     /  /               l     \ ヘ ヽ   \
   /   /             /   l       \ }     \
\/./   /  /        / /   ∧   、    ヽl      \
./ /    /  /         / //  ∧ i.   i     ',      /
l i    i  /       ///./  / ', i   i     i    /
| ハ    .ト L___ ェニ ァ/ 人 /   ヽ i  _l     |  /
i い    | ィー‐,ニニ三/   / / ーェ、___,>r '´ | i   i |/
. V∧   |∧/ /フr::。}ヽ ./´   "^,rこニ;;、`ヽェi i   i |
 ∧ i.ヽ  lレ'  {::リー'::ソ  "      {rイ::::゚リ } // /   /ハ 
./  {\  iト、 ,〃ー―    ,      ヾこ.゙ソ  / /   // .|
'    } \ i ヽ""       `     ` ー‐" /イ   .イ /  l  ヤムチャと呼ばれるキャラクターこそが 
    ヽ  ト、     ,へ、___,,   〃/ /  ///  i  l  作品の人気を支えていることを
.    r‐|i  i.>、.   /:::::"   ゛"::::::ヽ    / / /   i  l  いい加減気づきやがれですぅ
   _,.レ┴ニ ~ \   {::        :::}  イ 「___ ノ‐┐  i. l
  / /  / >、  } ` 、 ̄ `' ー ―‐ '´ .イイ^ヽ  `ト- {.   i l
. / / /  /  _.>、{    `;- _ _, -‐ ' ´, へ ヽ \ | 〈 ヽ  i l
" i    '  ´  }  /二コ T_\   |   `     } .〉 ',  i l
  i       イ'レ'´/  /「H. \\  }       ./ ./   } 
423 ◆tVzTTTyvm. :2007/04/04(水) 00:26:03 ID:TwxzDsMn
投下します
424白き牙 ◆tVzTTTyvm. :2007/04/04(水) 00:27:32 ID:TwxzDsMn
 コレットは泣いていた。 彼女以外誰も居なくなった一室で。
 沸き起こる悔しさに溢れる涙を留める事無く泣いていた。
 最愛の人――リオを奪われた悔しさ。 リオを取り戻さんと講じた策を邪魔された事。
 格下と侮ってた相手に見返され見下された事。
 そして何より、そんな憎々しい相手に対し悔しさ、妬ましさ以上に、
恐怖し身が竦んでしまった自分が許せなかった。
 とめどなく沸き起こる悔しさに身を振るわせ泣いていた。
 そして時間の感覚がなくなるほど泣き続けてたその時――。

『力 ガ 欲 シ い カ ?』
 突如闇の中から聞こえた声にコレットは反射的に振り返る。
 そこにはいたのは漆黒のローブに身を包んだ人影。 だがそれは人に似て人に非らざるもの。
 ローブの奥から覗く妖しく光る瞳が、ローブの上からでも分かる歪な体型が、
其の体から発する異質な気が、それらが物語ってる。
 この人影が人ではない――魔性の類である事を。
 だが其の人影にコレットは恐れも脅えも感じなかった。

「誰……?!」
 影は答えない。 ただ、もう一度口を開く。
『力ガ欲シくはナいカ ? 憎キ相手ヲ排除シ、大切ナもノヲ取リ戻セる力ガ』
「あなたが……そんな力をくれると言うの……?」
 コレットが問い返すとローブの奥の瞳が妖しく光る。

『貴様次第ダ。 本当ニ取リ戻しタいト欲シ、ソレ以外ノ何モノモ要ラぬト言ウのなラ
我ハ貴様ニ力を貸ソウ』
「ええ! 取り戻したいわ! リオを! 私の最愛の人を!
その為だったら他に何も要らないわ! リオさえ取り戻せるのなら!」
 影の問いかけにコレットは叫ぶように答えた。
『ナラバ其ノ覚悟見セてみヨ』
「覚悟?」
『手ヲ出セ』

 コレットが言われるままに手を出すと中空から何かが落ちてきた。
 まるで羽根のようにゆったりと落ちてきてコレットの掌に納まったのは、
それは一振りの禍々しい黒い装飾の施された小振りな短刀だった。

「これ……は?」
『求メるモノの為ニハ他ニ何モ要ラなイ。 そう言ッたナ。 ナらば其ノ短刀デ我ニ奉ゲヨ。
己が両親ノ命ヲ』
 影の発した言葉にコレットは其の表情に驚きの色を露わにする。
「な……?! 何で?! 何でお父様とお母様を?!」
 影はコレットの驚きにも意に介する事無く言葉を続ける。
『言ッたデあろウ。 覚悟ヲ見せロ、ト』
「そ、そんな……! だからって! 人としてそんな真似……!」
 言いかけてコレットを口をつぐんだ。 そうだ、自分が今話してる相手は人ではない。
 人に非らざる魔性のもの――魔族なのだ。
 その様なものに縋るのに人間の理屈が通じるわけが無いのだと。

 そんな事を考えながらコレットが再び視線を向けるとそこには既に魔族はいなかった。
 物音一つ立てずに掻き消えた其の様は、始めからそこに魔族など居なかったかの様。
 今見たのは幻だったのでは、そんな風にすら思えてしまう。
 だが、コレットの手の中に残された短刀――それが物語る。
 今コレットが体験したのは紛れも無い現実にあった事なのだと。


425白き牙 ◆tVzTTTyvm. :2007/04/04(水) 00:29:35 ID:TwxzDsMn
(……一体どうしたら……)
 あれからコレットは自分の部屋に帰りつき一人こもっていた。
 あまりにも多くの事が頭の中を駆け巡り自分でも収拾がつかなくなっていた。
 最愛の相手に――リオに婚約の破棄を告げられた事。
 そして奪い返そうと報復を目論むも一蹴され木阿弥と化してしまった事。
 傷心に打ちひしがれた所に差し伸べられた思わぬ手。
 其の手の主は人に非ざる魔性のもの――魔族。
 人類にとって敵であるはずの忌むべき存在であったが、そのときのコレットにとっては
救いの御手にすら思えた。
 何せコレットが相手にしようとしてるのは人並みはずれた力の持ち主。
 彼女が認めようと認めまいと相手は紛れも無い勇者と呼ばれるに足る力を持った者達。
 生半可などころか屈強な猛者たちを揃えても対抗しきれない。
 それは先ほど彼女自身が実を持って味わっていた。
 そんな者達に対抗しようと言うのだ。
 魔性のものにでも縋らなければ到底敵わない、そう思わせるそんな相手である。

 だがその手に縋る事は人として許されぬ選択でも或る事。
 そう。 例え幾らほかに選択肢が無かろうと受け入れるべきではない。
 魔族に縋るなど。 何しろ魔族がコレットに求めた契約の代償。 それは――。

《 ナらば其ノ短刀デ我ニ奉ゲヨ。己が両親ノ命ヲ 》

 頭の中に魔族が言った言葉が蘇える。
 そう。 コレットに彼女の両親の命を差し出す事を求めたのだ。
 決して受け入れられない言葉。
 そんな言葉受け入れられるものかと、こんな短刀は捨ててしまうべき。
 なのに――。
 短刀は依然コレットの手の中にあった。
 手の中の短刀は未だ断ち切れぬ思いをそのまま表してるかのようだった。



 深い森の中の沼の淵にコレットは来ていた。
 そして沼に向かい勢いよく腕を振りぬいた。
 ややあって沼に水音を立て沈むは黒塗りの装飾の施された短刀。

(これで……コレでイイのよ。幾ら何でもお父様とお母様の命を魔族に差し出すなんて……)
 そう。 コレットが悩みぬいた末に出した結論。
 それは魔族からの誘惑への拒絶だった。
 確かにリオのことは諦めきれない。
 セツナと、そして彼女に組し自分の邪魔をしてくるクリスに対する嫉妬と憎しみは
依然として彼女の心を占めていた。
 その為なら何だってしてみせると思っていた。 リオ以外に何者も要らない。

 だがそう思ってた彼女にすら受け入れられない事だった。
 ヒトとしてのモラル、親に対する恩義――。 いや、そんな理屈ではない。
 コレットは二人が――父と母が大好きだった。 自分を可愛がり大切に育ててくれた両親。
 喧嘩したり仲たがいした事もあったが、それでも大好きな父と母。
 そんな大切な二人を其の手に掛けるなどコレットには選べなかったのだった。



 家に帰りついたコレットはそのままその身をベッドに投げ出す。
 今回の一連の出来事は彼女にとってあまりにも衝撃的で重すぎて、
考え悩みぬいた彼女の神経は極限まで磨り減っていたと言えた。
 そして其の疲労に身をゆだね深い眠りに落ちていった。


426白き牙 ◆tVzTTTyvm. :2007/04/04(水) 00:30:42 ID:TwxzDsMn
 そしてどれくらいの時間が流れたのだろう。
「もうこんな時間……」
 コレットは身を起こし窓の外に目をやりながら呟いた。
 空には煌々と月が輝いていた。
 コレットは気だるげに体を起こすと部屋を出る。
 そんな彼女の耳に話し声が届く。 彼女の父と母の声。
 コレットは声のする方に向かい足を止め聞き耳を立てる。

<今回のリオ君とのこと。 わしは破談になってかえってよかったと思っとるのだよ>
<あなた……!>
<まぁ聞け。 大体お前も以前からわしが反対だった事は知っとるだろう>
<でも結局婚約を許してあげたじゃないですか>
<確かにリオ君は好青年だ。 彼のしようとしてる事はとても立派な事だ。
魔王討伐、大いに結構ではないか。
だが生きて其の使命を果たして帰って来れる保障がどこにある?>
<確かにそれはそうですが>
<そうなってしまえば結局辛い思いをするのはあの子だ。 あの子も何れ分かるだろう。
コレでよかったのだと>
<でも……>
<それにだ。 彼が選んだ相手は勇者さまだぞ? 敵う訳なかろう。
お前もコレットを大事と思うならわしの言う通りにしてれば良い>
<でも、だからってそんな直ぐお見合いだなんて……>
 ――お見合い。 其の言葉を耳にした瞬間コレットは愕然とした。
<何を言っとる。 相手は伯爵家だぞ?! これ以上の相手がドコにおる。
それにこの縁談が上手くいけば我が家だってもっと大きくなれるんだぞ?
それも以前断わったのにこうして申し入れてきてくださったのだ>
<そうですね……。 確かに長い目で見れば其の方があの子の為なのかもしれませんね>

 両親の言葉にコレットは俯き奥歯を噛締める。
(な、何よそれ……! 破談になってよかった? お見合い? 縁談? 伯爵家?
そんなものが私の幸せ?! 何よそれ!
結局……、結局お父様もお母様も私の事何にも解ってくれてないんじゃない……!)
 怒りに肩を震わせながらコレットが握り締めた、其の手には――。
 其の手にはあの黒塗りの装飾の施された短刀。
 投げ捨てたはずの其の短刀が何故コレットの手に再び納まってるのか。
 だが今コレットに其の事に対する疑問は無かった。
 ゆっくりと鞘から刃を抜き放ち面を上げたコレットの其の目は、
まるで全てを呑み込むような月の無い夜の昏い海のような、或いは――
底なし沼を思わせるような淀み濁った虚ろなものだった。

To be continued...
427名無しさん@ピンキー:2007/04/04(水) 00:37:04 ID:TwxzDsMn
投下終了

七戦姫ではヌエたんがかなり気になります
素直で無邪気で甘えん坊な性格と半人半竜な外観がかなりツボです
あと竜好きな自分としてはヘイカも外せません
生き残って欲しいのは護衛姉妹ですね
クチナに死なないでとお願いされれば勝てなくともギブアップとかして生き延びてくれないかな―とか妄想してたりします

どのような展開になるかも含めて続き楽しみにしてます
428名無しさん@ピンキー:2007/04/04(水) 01:05:38 ID:UjAZJ2uA
白き牙キタ━━━(゚∀゚)━( ゚∀)━(  ゚)━(  )━(  )━(゚  )━(∀゚ )━(゚∀゚)━━━!!

そのままハッピーエンドかと思いきゃまた一波乱…
429名無しさん@ピンキー:2007/04/04(水) 01:34:19 ID:7KNy/B9A
>>403
一人じゃなきゃ何人だ?100人だろうが偽善だろ
せめてもの努力って言われてもね
被害者達はありがとうございました^^とでも言うのか?
430名無しさん@ピンキー:2007/04/04(水) 01:37:22 ID:XEkItIco
コレットが最後に振り絞った自制心も結局無駄に…
431名無しさん@ピンキー:2007/04/04(水) 01:43:09 ID:UjAZJ2uA
>>429はどうしてそこまで主人公が嫌いなのか分からんね
というかウザくなってきたからいちいち感情オンリーで返すのやめてくれよ
432名無しさん@ピンキー:2007/04/04(水) 02:29:20 ID:Gfvc6OY5
>>410は叩かれてたが>>429を見ると雑談止めたほうがいいね
>>429は便乗かもしれないが
433名無しさん@ピンキー:2007/04/04(水) 06:17:02 ID:aCH5DjRu
>>421
未完だからクレクレなんだろ?さっさと完成させろと。
434名無しさん@ピンキー:2007/04/04(水) 08:00:44 ID:KKKL7kX6
>>427
GJ!
さて、どうなることやら・・・。

>>432
いや、雑談しているのと荒らされているのを比べたら、
どっちが神が作品を投下しやすいかは明らかだろ?
435名無しさん@ピンキー:2007/04/04(水) 08:02:12 ID:Sno2SDLD
己が話相手になる程度のことが、努力で善行になるってのも
どんだけ自信過剰なんだ、て話だが

こういう話だから、主人公にメロメロのヒロインは喜ぶだろうがw
436名無しさん@ピンキー:2007/04/04(水) 11:39:31 ID:m1shhhk+
ねぇ、あなたのSS読んでからそのことしか頭の中を回らないの。
言ってること、わかるよね?どうして投稿してくれないの?
え?
リアルの方が忙しい、悪いとは思ってる?
だったらどうして投稿してくれないの?!
リアルなんてどうでもいいじゃない!!ここに投稿することだけ考えてればいいのよ!!
リアル………そう、あいつが邪魔するの?
わかった、私が消すわ。掲示板からあなたを遠ざける泥棒猫は私の真っ赤に燃える手で跡形もなく消すわ。
だから投稿のことだけ考えて?



いや、他意はないんだ。ちょっと思いついたから書いたネタだもん。
俺もここには投稿したことがないが、たまに投稿する。けっこう大変なんだぞ?俺だけが時間配分が下手なのかもしれないが…
作者の皆様には自分のペースで頑張ってほしいと思う。
437名無しさん@ピンキー:2007/04/04(水) 12:37:01 ID:wrKjwcyX
どっちの言い分もそれなりに正しくはあるし
どっちの言い分もそれなりに理解しているだろう

つまりもっとどっしりと構えてだな、こう、ナイフを腹で受け止めてやるくらいの気概を(ry
438名無しさん@ピンキー:2007/04/04(水) 12:56:12 ID:lYE8XNXW
お父さんは言ってた。
男はな、刺された回数分だけ、男っぷりが上がるんだ、とな。
439名無しさん@ピンキー:2007/04/04(水) 13:09:01 ID:m1shhhk+
>>438 お父さんはホモなうえに受けなの?
俺男っぷり0だ orz
440名無しさん@ピンキー:2007/04/04(水) 14:19:33 ID:97EgZD2Y
ホモだって入れねーよ
しゃぶるだけ
441名無しさん@ピンキー:2007/04/04(水) 15:49:30 ID:FVMIoh8U
いたり先輩ぐすん
442名無しさん@ピンキー:2007/04/04(水) 19:24:35 ID:6UkdA22z
白い牙

力がほしいかって....

この作者あほか パクリが市ね
443名無しさん@ピンキー:2007/04/04(水) 19:33:36 ID:FDXaJE+J
内容はどれも文句ないんだけど
途中で中断して新作に手出してない
いつか完結するならいいけど永遠に放置だと思うと気になる
444名無しさん@ピンキー:2007/04/04(水) 19:39:32 ID:lYE8XNXW
>>442
ジャバウォックさん、なにやってんですかこんなところで
445名無しさん@ピンキー:2007/04/04(水) 21:31:00 ID:Te2Mw4eQ
もう最近は作品が投下されればなんにでも噛み付くんだなこの荒らしは
446名無しさん@ピンキー:2007/04/04(水) 21:35:12 ID:m1shhhk+
>>445 まぁまぁ
一番はヌルーだろ?
447名無しさん@ピンキー:2007/04/04(水) 21:50:18 ID:qaEFNvZi
避難所に投下すれば神も嫌な気分にならんじゃん。
なんで白き牙の人もこっちに投下するんだ?煽られるの分かっているのに
448名無しさん@ピンキー:2007/04/04(水) 21:54:33 ID:PNxzaUaF
避難所はまだ設置されてないのでは?

っていうか、避難所は投稿しやすいシステムを運用することを希望するが・・
449名無しさん@ピンキー:2007/04/04(水) 21:58:08 ID:m1shhhk+
悪い、避難所ってなんだ?
450名無しさん@ピンキー:2007/04/04(水) 22:26:33 ID:vg7CCIU8
まだ避難所できてないよー。
まとめサイトでアンケート取ってる段階。
451名無しさん@ピンキー:2007/04/04(水) 22:29:17 ID:0G1i/1JC
いかん、そいつには手を出すな
452名無しさん@ピンキー:2007/04/04(水) 23:35:02 ID:mHsKRz71
完璧に神達は逃げましたね・・新規参入もないとは・・
凄い凄すぎるぜ!!
453名無しさん@ピンキー:2007/04/04(水) 23:57:09 ID:rIcqirz0
俺つい最近来たんだけどさ……全然>>3とか守られてなくね?
454名無しさん@ピンキー:2007/04/04(水) 23:58:31 ID:i5VstDCs
>>452
避難所出来たら新規作者はもっと増えなくなるだろ
もちろん荒らしが消えたら駄文でも投下してみようというスレ住人が出てくるかも試練
455名無しさん@ピンキー:2007/04/05(木) 00:11:03 ID:pYC/fDKd
作者に文句付けたり「神は逃げた!」とか大声で叫ぶヤツ=荒らしが出てきたのは最近のことだからしょうがない。
長い目で見て、収まるまで待っていてほしいなと新規さんには申し訳なく思うよ。
こういうことを言ってると「住人の態度が悪くなったから云々」とかすかさず単発で煽ってくるやつがいるかもしれんがな。
456名無しさん@ピンキー:2007/04/05(木) 00:17:16 ID:mXmVgzbI
いや、実際に住人の態度が悪くなりすぎているのは事実だろw
ちゃんとマナーを守ってない奴がいるからこその避難所の設置だろ
457名無しさん@ピンキー:2007/04/05(木) 00:28:32 ID:emF1Fam5
>>453
まずsage守れよw
>>455
荒らし認定はスレが荒れるもとだから勘弁
458名無しさん@ピンキー:2007/04/05(木) 00:29:26 ID:jp+SlvaG
てか>>3って更新されて今>>5でんがな
459名無しさん@ピンキー:2007/04/05(木) 00:31:16 ID:SMJGasYR
取りあえず思い出してみよう


このスレは何のための場所なのか
俺たちはこのスレに何を求めているのか


あくまで楽しむための場所なんだからさ
460名無しさん@ピンキー:2007/04/05(木) 00:34:38 ID:536ehDBc
>>5はまだ保留だろ
作った香具師が入れろと騒いでるだけ
461名無しさん@ピンキー:2007/04/05(木) 00:39:04 ID:PKZg+mtR
>>5にもいいのはあるがだめっぽいのもあるしなー
462名無しさん@ピンキー:2007/04/05(木) 00:54:44 ID:S0IdtBKS
まぁあれだよ、以前の隆盛が恋しいのは分かるけどさ。
他スレ見りゃ一目瞭然だろうが、かつての方こそこの板にしては異様な盛り上がりだった訳で。
みんな待つ心を思い出そうぜ。ちょっとぐらい投下が遠のいたり荒らしが来たぐらいで反応し過ぎ。
過疎スレの住人に笑われるわ。
463名無しさん@ピンキー:2007/04/05(木) 01:02:50 ID:SY/5ygVu
今だって投下が無いわけじゃないし、過疎とかいう住人は好きな作品が投下されなくなったから文句いってるんジャマイカ
464名無しさん@ピンキー:2007/04/05(木) 01:04:55 ID:PKZg+mtR
荒らしと乗っちゃった一部の住人じゃないか?
465名無しさん@ピンキー:2007/04/05(木) 01:17:11 ID:Tfj6q6qw
とりあえずみんな黙って待ってれば何も荒れはしないと思うよ^^
466名無しさん@ピンキー:2007/04/05(木) 01:24:50 ID:7pxgBqcn

「お姉ちゃん・・巴君に言っておきたいことがあるんです」
「何だよ」
「どうして、巴君はお姉ちゃんの部屋に夜這いを仕掛けて来ないの?
 全国の弟の皆様は問答無用にお姉ちゃんを襲うために布団に入り込むのに」

「いい歳して姉の寝床に入り込む人間はいないだろうが」
「そんなのダメですぅ!! 巴君は若い性欲を受け止めるのは世界でただ一人だけなのよ
 他の女の子に痴漢やレイプすれば、亡くなったもとい、弟と夢の二人暮らしのために
 謀殺したお父さんとお母さんに顔向けすることができないわ」

「いや、ちょっと待て。数秒待て・・。今、とんでもないことを言わなかったのか」
「そ、そ、そんなお姉ちゃんのことを性欲に飢えた狼の瞳で見つめないで
 恥ずかしすぎるぅぅぅよぉぉぉおぉぉ!!」
「華麗にスルーしやがった・・このクソ姉」
「巴君・・乱暴な言葉遣いしないの・・。さあ、お姉ちゃんがベットの中で
 大人の保健授業を教えてあげるから♪」
「うん。全力でお断り致します」
「そ、そ、そ、そ、そんな。実の姉、義理の姉、血の繋がらない姉に欲情しない
 弟は不潔よ。不潔よぉぉ!! 巴君はそんな悪い子じゃないよね?」
「残念ながら・・最近、嫉妬スレやヤンデレスレを見て悟ったことがあるんだ」
「何かな?」
「キモ姉というのは弟の事を考えずに激しい独占欲と嫉妬心で檻に閉じ込めるのがスタンダードらしい。
 これはあるある捏造なんてレベルを遥かに超えている都市伝説なんだけど・・
 
 姉は違うよな?」

「・・・・檻に閉じ込めるなんて・・そんなことは全国にいるお姉ちゃんなら誰だってやっていることじゃない!!」

「((((;゜Д゜)))ガクガクブルブル」

「愛しい弟に近付く泥棒猫から守るためには家から一歩に出さないわ。プライベートも巴君の自由な時間すらも
 お姉ちゃん権限で全て管理してあげるよぉ・・。ずっと、お姉ちゃんは巴君の傍から離れないわ」

「ま、ま、まさか。キモ姉は実在していたのか・・」
「うふふふ・・巴君巴君巴君・・お姉ちゃんだけの巴君・・」

「ちょっと待ってよ・・本気で俺を檻に閉じ込めるのか?」
「お姉ちゃんの布団で肌と肌を重ね合うように抱きしめてくれるなら
 檻に閉じ込める件については保留してもいいですよ」
「保留かよ!!」
「嫌なら今すぐにこの時のために作った地下牢の中に閉じ込める」
「ううん・・俺も今すぐにお姉ちゃんと一緒に寝たかったんだよ」
「やったぁーーー!! じゃあ、お布団の中に入ろうね」

 結局、キモ姉を持っている弟は絶対に逆らうことができないだろうと
 俺は姉の暖かなゆりかごに包まれながら、意識は遠くなって行った


 キモ姉SSをちらりと書いてみた
 今は猛烈に反省している
467名無しさん@ピンキー:2007/04/05(木) 01:28:37 ID:VQKaSSk0
>>466
俺は最初から最後(ry
いきなりだからヤンデレSSになってるけどポイントは掴めてると思う
そこまでの過程を書けばいい嫉妬SSになるかと
468名無しさん@ピンキー:2007/04/05(木) 01:33:18 ID:S4ZL7y3W
>>466
ほう…

これはいい我が家の長女ですね。
469名無しさん@ピンキー:2007/04/05(木) 02:01:06 ID:WpBzkMy1
俺も優しい姉が欲しかったよ・・・いや、優しいのは優しいんだが俺の姉DQNなんだよな・・・勉強教えてくれるような姉が欲しかったorz
470名無しさん@ピンキー:2007/04/05(木) 02:05:20 ID:651GD+aY
もうすぐ春休みが終わる
471名無しさん@ピンキー:2007/04/05(木) 03:34:26 ID:5dgWroEn
全てにおいて手つかずじゃ、あんまり関係ないと思うけど。
472名無しさん@ピンキー:2007/04/05(木) 05:39:25 ID:5lRL2Fmz
>>469
勉強なんて自分で頑張らんか。何贅沢いってるんだ。ちねい。
473名無しさん@ピンキー:2007/04/05(木) 08:25:16 ID:dnWfbCsV
>>466
…俺もこんな三食キモ姉付きの暮らしがしたかった…

キモ姉と俺だけの世界が欲しい
474名無しさん@ピンキー:2007/04/05(木) 08:39:17 ID:4xBz1KzQ
>>473 お前、病んでるな!
まぁ、俺も欲しいんだけど…
475名無しさん@ピンキー:2007/04/05(木) 09:15:48 ID:Ie/vW01/
まあショートギャグだからあれだけど
いくらなんでも弟が客観的すぎる。

こういうのがおまえら好きなんだろう?あ?
という作者の黒い部分がうかがえる。

よって氏ね

476名無しさん@ピンキー:2007/04/05(木) 09:23:30 ID:pYC/fDKd
下手を打てば監禁・調教される世界を望むお前らに惚れた
477名無しさん@ピンキー:2007/04/05(木) 10:01:57 ID:Qm98JzkY
>>475
そういうのは今のアニメ業界全体に言ってくれ
いやマジで頼むから
478名無しさん@ピンキー:2007/04/05(木) 10:13:14 ID:HsryTF/w
>>475
文句があるならお前が書け
479名無しさん@ピンキー:2007/04/05(木) 11:15:10 ID:VA8OCwHX
>>477
アニメで思い出したんだが、良い修羅場アニメって無いかな?
18禁じゃなくても良いんだ。
480名無しさん@ピンキー:2007/04/05(木) 11:19:32 ID:pYC/fDKd
楓様が居るジャマイカ
481名無しさん@ピンキー:2007/04/05(木) 11:22:39 ID:Qm98JzkY
>>479
シャッフルぐらいしかシランネ
482名無しさん@ピンキー:2007/04/05(木) 12:48:50 ID:P/1T/oBV
>>479
修羅場は無いけど男を寝取られ嫉妬に狂って魔女になった女の子がラスボスの赤ずきんとかどうだ?
…まぁぶっちゃけそんなに面白くも無いけどね・・・・
483名無しさん@ピンキー:2007/04/05(木) 15:23:23 ID:9w1zXTJA
>>479
逆襲のシャア
ララアをめぐってアムロとシャアが。
シャアをめぐってナナイとクェスが。ついでにギュネイも
484名無しさん@ピンキー:2007/04/05(木) 15:27:07 ID:72QNe1Nh
鍵姫物語とか・・・漫画のほうがなんかいろいろすごいけど。
485名無しさん@ピンキー:2007/04/05(木) 15:47:44 ID:WPIh03Lk
>>483
いや正直修羅場を期待するなら楽しめんだろ・・・・CCAは・・・・・・・
486名無しさん@ピンキー:2007/04/05(木) 16:40:51 ID:fsAVuNdT
SSと関係ないアニメの雑談は本スレでやれよ
本スレの方がもっとレス付くだろ

487名無しさん@ピンキー:2007/04/05(木) 16:47:18 ID:Nm2hibut
ちょっとアンケート。
Q.「自分にとって理想のキモ姉とはなんぞや?」
みんなの意見を聞きたい。
488名無しさん@ピンキー:2007/04/05(木) 16:57:50 ID:ZSflysQN
>>486
××は本スレでっていうのときどき見るけど、実際問題として
あんまり住人重なってないしこっちだけしか見てない人間多いんじゃないか?
もはや関連スレではあっても、あっちが本スレとは言えないだろう
489名無しさん@ピンキー:2007/04/05(木) 17:00:01 ID:PKZg+mtR
ここはエロパロスレであって雑談スレではないんですよ
490名無しさん@ピンキー:2007/04/05(木) 17:08:42 ID:ZSflysQN
>>489
投下の間の住人の雑談にいちいちつっかかる人間が出るのなんて
この板でもこのスレくらいなんだが、SS読みの控え室の流れとかみてみ
491名無しさん@ピンキー:2007/04/05(木) 17:23:24 ID:fsAVuNdT
空気悪くしてゴメソ
過疎ってるなら過疎ってるこそ本スレでしたほうがいいと思う
>>487
アンケートも本スレでどーぞ
492名無しさん@ピンキー:2007/04/05(木) 17:38:28 ID:ZSflysQN
>>491
いや過疎ってるかどうかじゃなくてな。あっちのスレは基本的にこのスレと無関係だろってこと
SS読みの控え室で話題が出たときの書き込みではこの板のスレに雑談はあったほうがいいって
意見が大半だったんだよ、書き手もネタを拾えることがあるし。上のアンケートなんかはそうだろ?
このスレのテンプレにも雑談やネタ談義をするなとは書いてないんだから、
勝手に禁止扱いしたり他の板に誘導するのは控えないか? 空気悪くなるから。
493名無しさん@ピンキー:2007/04/05(木) 18:22:35 ID:51/QxQMW
ここで『雑談イラネ つチラシの裏』と書き込めば、簡単に荒らすことができそうだ。
そして実際に、奴はそうやってあちこちのスレを荒らしてきたんだろうなぁ。

雑談の何がいけないかというと、職人が投下するタイミングを図りにくいからだな。
住人が雑談に一生懸命になりすぎて、職人が入り込めなくなってしまう。
スレタイ論議にしても、やはり問題の本質はそこに由来する。

逆に言えば、投下しやすい雰囲気に持って行くための雑談ならば、まぁオッケーではあるまいか。
今のように口を開けば職人を罵ってしまう環境では、雑談があった方が職人も投下しやすいかもしれない。
494名無しさん@ピンキー:2007/04/05(木) 19:14:36 ID:d6uxsywX
>>SS読みの控え室で話題が出たときの書き込みではこの板のスレに雑談はあったほうがいいって
意見が大半だったんだよ

ソース無しの意見出た
スレ住人の総意(ryぐらい信用出来ないね
495名無しさん@ピンキー:2007/04/05(木) 19:25:56 ID:UKiA7YXi
SS読みの控え室って、やたらと暴論かざすヤツ多くね?
ソースにされても、あそこを読んでる人から見たら全く信用できないぞ。


ただ、雑談はあったほうがこの板らしいけれどな。
496名無しさん@ピンキー:2007/04/05(木) 20:05:16 ID:BeqI5RbE
>>3に雑談禁止と書いてないのだから、雑談容認と解釈すべき。
497名無しさん@ピンキー:2007/04/05(木) 20:13:11 ID:Z3ZavDmw
>>496
スレ住人の良識次第だな。
雑談禁止と書いてないといっても、モノには限度があるし。

一応大人向けのスレなんだから、権利と屁理屈の違いくらい察して書き込めってことだな。
498名無しさん@ピンキー:2007/04/05(木) 20:23:40 ID:+p2S720x
俺が言うべきことはエロゲーやライトノベル関連やアニメの話題は
本スレでやってくれぐらいしか言えないな・・

まだ、本スレでプロットを書いた方が喰いつきがいいんだけどww
499名無しさん@ピンキー:2007/04/05(木) 20:41:28 ID:5lRL2Fmz
よくわからん流れになってきたが、地獄彼女と赤い瞳の続きまだ〜?
500名無しさん@ピンキー:2007/04/05(木) 21:24:10 ID:8hmwzOYa
雑談はいいが、○○の続きまだーは激しくいらん
501名無しさん@ピンキー:2007/04/05(木) 21:39:52 ID:hEG0cDwR
こんな時は、過去の作品を読み返し新たな神の投下に備えるのがいいね ちなみに俺は、姉貴と恋人とか初期の頃の嫉妬姉系の作品を読み返してる
502名無しさん@ピンキー:2007/04/05(木) 22:09:44 ID:xzah/80R
>>499
クレクレ禁止は>>3に入ってるよ
503名無しさん@ピンキー:2007/04/05(木) 23:44:11 ID:5lRL2Fmz
>>502
これが守れてないのにか?
・嫌いな作品なら見るな。飛ばせ
・荒らしはスルー
・職人さんが投下しづらい空気はやめよう
504名無しさん@ピンキー:2007/04/06(金) 00:19:46 ID:sw30S7Aa
必死だなぁ〜
505名無しさん@ピンキー:2007/04/06(金) 00:20:15 ID:fGQutLsW
>>503
他人は他人、自分は守ろうとする気概ぐらいは持とうぜ
506名無しさん@ピンキー:2007/04/06(金) 00:58:26 ID:V6WEsOky
みんな黙って待てばいいんじゃないの
なんで最近になって急にそれができなくなったんだろこのスレ
荒らしの影響で住民総入れ替えになっちゃったのかな
507名無しさん@ピンキー:2007/04/06(金) 01:27:46 ID:0UVZovnp
皆黙ってたらかえって「職人さんが投下しづらい空気」になっちゃうだろ?
普通に雑談とかしていれば良いんだよ。
508名無しさん@ピンキー:2007/04/06(金) 01:28:32 ID:Lj9glFke
逆だ、逆
って荒らしさんでしたか、こんばんは
509名無しさん@ピンキー:2007/04/06(金) 01:52:36 ID:ocOtQTiW
今ヤンデレスレを見てきたらレス数と容量がほぼ同じだった
対してこのスレはレス数が容量の倍・・・


なんだこの差は
510名無しさん@ピンキー:2007/04/06(金) 02:15:20 ID:o+5gZZom
荒らしが粘着したおかげで一気に空気が悪くなった
誰も自分の分身のような作品を貶されてまで投稿しようとは
普通は思わないだろうに

これが正論です
511名無しさん@ピンキー:2007/04/06(金) 02:39:24 ID:0hGcohxi
空気悪くしてるのは「荒らし」と「クレーマー」。
雑談だの何だのはどっちでも良い事。
雑談があったって問題無いスレは問題無いし、このスレも以前はそうだった。
問題は少しでも気に食わない事があると文句つける人。

荒らしはスルーするのみ。(当たり前の事を今更だが)
中傷された作者さんへのフォローはいいけど荒らしに対しては何もレスつけない。
512名無しさん@ピンキー:2007/04/06(金) 02:44:04 ID:0UVZovnp
皆ちゃんと>>3読んでからレスしような。
513名無しさん@ピンキー:2007/04/06(金) 06:53:39 ID:zzY1EtXx
>>3じゃなくて、今は>>5だよ。何もかも放置と命令口調じゃスレが持たない
514名無しさん@ピンキー:2007/04/06(金) 07:49:40 ID:0UVZovnp
>>513
だから勝手に>>5にすんなって。
まだ十分議論もしていないし、更新が決定された訳じゃない。
515名無しさん@ピンキー:2007/04/06(金) 07:49:53 ID:vSRlIAxr
ずいぶん荒れたなぁ。荒らしが何故かヤンデレスレにリンク張ってた頃が懐かしいな。
516名無しさん@ピンキー:2007/04/06(金) 08:24:36 ID:3STBnFEM
現状>>5で、>>3しか認めない懐古がいるんでしょ。
それか、その時いなかった人か。
517名無しさん@ピンキー:2007/04/06(金) 08:48:51 ID:Wdjyei4N
変えたものを、わざわざ蒸し返す必要はなし。只でさえ現状こんなだし。
それより、この状況をなんとか汁
518名無しさん@ピンキー:2007/04/06(金) 09:16:39 ID:lJYV34vd
507 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/04/06(金) 01:27:46 ID:0UVZovnp
皆黙ってたらかえって「職人さんが投下しづらい空気」になっちゃうだろ?
普通に雑談とかしていれば良いんだよ。

512 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/04/06(金) 02:44:04 ID:0UVZovnp
皆ちゃんと>>3読んでからレスしような。

514 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/04/06(金) 07:49:40 ID:0UVZovnp
>>513
だから勝手に>>5にすんなって。
まだ十分議論もしていないし、更新が決定された訳じゃない。

反対してんのは例の人っぽいしテンプレは>>5でいいかと。
519名無しさん@ピンキー:2007/04/06(金) 09:20:26 ID:2wz1lpcb
本スレ行けとか雑談イラネとか更新は認めんとか、共通するものを感じてしかたない。
520名無しさん@ピンキー:2007/04/06(金) 09:28:44 ID:iT1IQyBo
批評なくしては書き手は成長せんだろ
オナニーたれながされてもはた迷惑だ
いいものいい、悪いものは悪い
それでいいんじゃないか
521名無しさん@ピンキー:2007/04/06(金) 09:49:47 ID:dzuS8Sa8
>>520
は荒らし確定・・

お前、トライデント氏ヤロボ氏とかに粘着した荒らしだろ
オナニー垂れ流しとか批評なくしては書き手は成長しないとか
完璧に荒らしの手口じゃないか

おかげで神の投稿はここの3日間はないのはスレの住人が
空気を悪くしていること他ならないわけだが・・

どう、責任を取るんだお前は?
522名無しさん@ピンキー:2007/04/06(金) 10:01:53 ID:kMb6HsPZ
成長とかは望むもんでもないからどうでもいいけど、世間に出す以上は、いろんな意見が出るんだから、作品には修羅場を、聞く耳には幅を。これが大事
523名無しさん@ピンキー:2007/04/06(金) 11:29:46 ID:rYbHkaep
>>396見そこねた……orz
524名無しさん@ピンキー:2007/04/06(金) 12:03:45 ID:iT1IQyBo
>>521

はあ?そんなんしらねーよ
おまえみたいなデブキモヲタがオナニーたれながしを容認してるからこうなったんだろ。
トライデント氏ヤロボ氏等が書いてるのはそういう輩が喜びそうな話だしな。
作者と信者でオナニーか?おめでたいやつらだな。

はじめから、批評OKにしとけばそういうアホ作者は淘汰されていくんだよ、そこんとこわかれよアホが。


525名無しさん@ピンキー:2007/04/06(金) 12:10:50 ID:wP2+pi59
おまいら、餅搗け!
3日間くらいがなんだ!
俺達にはそれを克服する精神力が……あるよ、な?
526名無しさん@ピンキー:2007/04/06(金) 12:17:25 ID:lJYV34vd
>>524
こうまで分かりやすいバカが居ると逆に哀れだな
527名無しさん@ピンキー:2007/04/06(金) 12:23:41 ID:Lj9glFke
>>525
荒らしはもっと長い期間いるぞ、反応してる住人は投下が無かったからいらいらしてるわけじゃないと思うんだ
528名無しさん@ピンキー:2007/04/06(金) 12:59:19 ID:fJviN4V/
>>525は何か根本的な勘違いをしているようだ。
529名無しさん@ピンキー:2007/04/06(金) 13:38:47 ID:v3oUFUAC
いっそSS投下したやつだけが批評OKとかにしちゃえば?
そうすりゃ自分は何もしないくせにバカみたいに能書き垂れるだけの変態もいなくなるだろ
530名無しさん@ピンキー:2007/04/06(金) 14:11:17 ID:0pbaZKge
今書き込んでる奴は
嵐と空気よめない子
531名無しさん@ピンキー:2007/04/06(金) 14:49:33 ID:fzKGMA9N
今の状況でだれがSS投下したいって思うだろう。

他人がイヤだと思うことはしない、という人間の初歩を思い出せ。
皮肉でなくそう思うぞ。
532名無しさん@ピンキー:2007/04/06(金) 15:10:23 ID:xis/hqLJ
このスレはニコニコスレに統合されました^^
533名無しさん@ピンキー:2007/04/06(金) 15:26:44 ID:L05o5Aqx
俺は待っているぞ・・トライデント氏が新作を投下してくれることに期待している
534名無しさん@ピンキー:2007/04/06(金) 15:45:12 ID:xis/hqLJ
トライデント=実は荒らしの自演
535名無しさん@ピンキー:2007/04/06(金) 16:02:40 ID:LagX4HC5
ロボ=実は荒らしの自演
536名無しさん@ピンキー:2007/04/06(金) 16:33:30 ID:cjJjpjUJ
ほんとちょっとはROMって待ってられないのか?
作者も春休みが終わって忙しくなっただけだろう
537名無しさん@ピンキー:2007/04/06(金) 16:53:23 ID:mZF0dTKn
投下があるまで、とりあえず保守でいかないか?みんな
538名無しさん@ピンキー:2007/04/06(金) 19:04:51 ID:V6WEsOky
保守なんぞしなくてもスレは保つわい
539名無しさん@ピンキー:2007/04/06(金) 19:11:18 ID:sRfnxOSl
やれやれ、なんでわざわざ噛み付くんだ?
540名無しさん@ピンキー:2007/04/06(金) 19:36:56 ID:uVB1qxWa
これだからゆとりは・・キモイ
541名無しさん@ピンキー:2007/04/06(金) 21:17:04 ID:wD3a2I9x
トライデントさっさと黒の領域終わらせろ
542名無しさん@ピンキー:2007/04/06(金) 21:27:24 ID:FkjBvFGN
>>541
とうに打ち切られてるよ。


嫉妬が好きなのか、修羅場が好きなのか、わからなくなってきた。
543名無しさん@ピンキー:2007/04/06(金) 22:19:54 ID:BL+RVCcS
荒れてるってレベルじゃないですねこれは・・

阿修羅様・・早く避難所の設置をお願い致します
544名無しさん@ピンキー:2007/04/06(金) 22:40:33 ID:oKsZ0FHK
>>542
ヤンデレスレの書き込みを見て言っているのであれば、それは勘違いだ。
あれはトリップ漏れしたトラさんのヒミツの暗号を使って荒らしが書き込んだものだ。
545名無しさん@ピンキー:2007/04/07(土) 00:29:53 ID:RASyGi3T
人が居るだけマシじゃないか……
546名無しさん@ピンキー:2007/04/07(土) 02:34:24 ID:X6a/CGyy
さぁ、もっと荒らすのだ!
職人などいなくなってしまぁぁぁえええええええええええええええええええ
547名無しさん@ピンキー:2007/04/07(土) 03:46:29 ID:feAtQKze
   _________________________
   ||
   || お約束 【 荒らしは無視・放置 】 しましょう。
   || 
   || ★ 荒らしは放置されるのが一番苦手です。
   ||   → ウザイと思ったらそのまま放置!
   || ▲ 放置された荒らしは煽りや自作自演であなたのレスを誘います。
   ||   → 釣られてレスしたらその時点であなたの負け!
   || ■ 反撃は荒らしの滋養にして栄養であり最も喜ぶことです。
   ||   → 荒らしにはエサを与えないで下さい!
   || ☆枯死するまで孤独に暴れさせておくのが一番です。
   ||          ∧ ∧   。
   ||          (,,゚Д゚)/ ジュウヨウ!!      E[]ヨ  
    ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ノ  つ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
548名無しさん@ピンキー:2007/04/07(土) 06:56:32 ID:TStWeWet
こういうときはアレだ。他スレと若干被るの覚悟で雑談だ。

WA5のレベッカが割と地雷系幼馴染らしいんだけど、どんな感じ?
549名無しさん@ピンキー:2007/04/07(土) 07:10:03 ID:zq+iGJuZ
知らない
550名無しさん@ピンキー:2007/04/07(土) 07:26:33 ID:JZkh7eRL
まず、WA5とやらが略称なのか正式名称なのかを説明汁。

そして、媒体はなんだ?
ライトノベルなのか、小説なのか、アニメなのか、漫画なのか、あるいはゲームなのか。








…………ところで話は変わるが、
『空から降ってくる銀髪の女』って完璧メインヒロインじゃね?
551名無しさん@ピンキー:2007/04/07(土) 07:41:47 ID:eoEjm7Yy
>>548
おま、雑談で荒れて職人が遠ざかってるんだろw
552名無しさん@ピンキー:2007/04/07(土) 11:39:20 ID:hQBhqQwk
嫉妬した少女から胸倉を掴まれて路地裏に連れて行かれた奴は
果てしない監禁生活に胸を躍らせた4月の出会いの季節に参加することなく
人生終了した・・・

ご愁傷様

553名無しさん@ピンキー:2007/04/07(土) 12:21:18 ID:eluqyYWH
>>552
・入学式直前で前の学校からの知り合いの嫉妬少女に拉致された
・しかし受験・合格発表のときに彼に一目惚れをしていた少女が不審に思う
・手練手管を尽くして彼の家を探り当てた一目ぼれ少女と嫉妬少女が鉢合わせ
どうも短編で終わりそう
554名無しさん@ピンキー:2007/04/07(土) 12:26:31 ID:buSIV2W3
プロット
主人公は若手の心理カウンセラー。新しい治療法を積極的に取り入れ、患者の為の医師としてやってきた。
そんな彼の元に一つの依頼が舞い込んで来る。
その内容とは、とある事件の真相を知るであろう少女を治療し、話ができる状態まで回復させ、見たことを聞き出すことだった。
自分は警察では無いと堅く断る主人公だが、依頼主のあまりのしつこさに会うだけならと了承してしまう。
依頼主の豪邸に案内された主人公は地下室へと連れて行かれる。
何枚もの厚い扉と複雑な鍵の向こうにいた少女を見て主人公は思わず息を飲んだ。
ほとんど家具の無いその部屋は壁一面に奇妙な絵が描かれ、
その真ん中に座り込む空ろな目の少女は、彼がこれまで見たことがいほど美しかったから。
会うだけのつもりだった主人公も、目の前に居る患者を見捨てることはできず少女を治療することにする。
だがやはり一筋縄ではいかず、主人公は彼女を変えてしまった事件について調べ、
彼女の目の前で兄が惨殺されたことが元凶であると知る。
主人公はここである治療法を実践することを思い付く。
555名無しさん@ピンキー:2007/04/07(土) 12:28:02 ID:buSIV2W3
まず、自らを兄とし、少女を妹にするように催眠を掛けて、疑似的な家族を作り、彼女の精神を外に向けさせる。
その後ゆっくりと催眠を解き、兄の死を理解させるといったものであった。
リスクの高さを承知で主人公はその治療を行い、結果、少女の精神は回復に向かい始める。
主人公は少女の語る兄の姿を模倣し、兄として少女と話をする、それの繰り返しによって学校に行けるまでになった少女。
そろそろ催眠を解く段階に進もうとする主人公。
だが自らの精神に起り始めている異常にまだ気付いてはいなかった……。
556名無しさん@ピンキー:2007/04/07(土) 12:36:44 ID:buSIV2W3
所変わって主人公の診療所には一人の助手がいる。
幼少時から主人公を慕うものの、言い出せず離れることも出来ないので、とうとう助手にまでなってしまったメガネクール美人。
もちろん優秀で冷静な出来る助手を演じているが中身は独占欲の塊なので、診療所にいる女性スタッフは彼女だけである。
助手は今回の件に対する主人公の入れ込みように危機感を募らせており、彼の変化も敏感に感じ取っていた。
自分も治療現場に連れて行って欲しいと頼む助手に対し、ほとんど回復しているからと許可する主人公。
豪邸で始めて見る少女にはらわた煮えくり返る助手であったが、KOOLであれ、と堪える。
だが、少女は後ろの助手など目に入らない様子で一言
「兄さん、いつものあれ、お願い」
その言葉に主人公は反応すると、助手などいないかのように少女とディープキスを行った。
主人公は少女を救うはずが、逆に取り込まれていたのである。
どうする助手!?

前にあったスクールカウンセラーネタより
557名無しさん@ピンキー:2007/04/07(土) 12:54:45 ID:RASyGi3T
おう兄弟。その少女の病状、最初若しくは途中からは、仮病にすることを提案するぜ。
558名無しさん@ピンキー:2007/04/07(土) 13:21:15 ID:Njuivcrx
>>550
ワイルドアームズ5ていうPS2のRPG
559名無しさん@ピンキー:2007/04/07(土) 13:44:06 ID:QrQETluW
>>557
想像してみた。

イイ、実に素晴らしいぞブラザー…
560名無しさん@ピンキー:2007/04/07(土) 13:57:38 ID:axquQX9r
職人ども早く作品をあげろよ
批評できんだろうが
561名無しさん@ピンキー:2007/04/07(土) 14:04:24 ID:eoEjm7Yy
>>556
グッドな展開だが、所詮代用な愛で病まれたり奪われたりするとあんまいい感じがしない。
ただ>>557を考慮すると、途中で直ってるにも関わらず、
一人の男として愛情を持ったので主人公を騙して兄にする事以上を求めているっていうのならあり。
562名無しさん@ピンキー:2007/04/07(土) 14:38:43 ID:y901iv4D
>>560
お前みたいな猿に読ませる文章はあるまい。
そんなに批評したきゃ本屋で何か買ってこいよ。

ま、ニートにゃ満足に本を買う金もないんだろうがね。
563名無しさん@ピンキー:2007/04/07(土) 15:18:00 ID:hQBhqQwk
神の領域に到達した
http://www.getchu.com/brandnew/372125/c372125package.jpg

報われない少女は寝取られた愛しい人を見つめるために・・
時を越えて、老いる事もなく隣の家に住み着いて・・

ずっと、見守っていた・・。

いつ寝取られ返されるのか心配していたヒステリー持ちの泥棒猫
想い人が朝の出勤の度に隣の家から見送ろうとする者

てな3角関係修羅場SSを考え付いてしまう私はもう病気だな

564名無しさん@ピンキー:2007/04/07(土) 15:25:22 ID:a+N5+iAd
>>563
ドリームキャスト乙
565560:2007/04/07(土) 15:49:22 ID:RTwuQlj9
べ、別にお金が無いわけじゃないんだからね!
ただ…こっ、ここならっ!タダで読めるし!
そっ、それに…職人さんのssが…
なっ!なんでも無いわよ!
566名無しさん@ピンキー:2007/04/07(土) 15:53:11 ID:DQNwTlOB
やっぱ荒れてると投下しづらいもんなんかな?
2ちゃんでそんなこと気にしても仕方ないと思うけどなぁ。
全て職人の自由意志に委ねるのは当然だが、「始めた以上は終わらせる」
だけはギリギリ義務だと思っている。放棄するなら、それを告知すべきだと。

まぁ俺は気長に楽しみに待ってます。
567名無しさん@ピンキー:2007/04/07(土) 15:56:59 ID:RTwuQlj9
荒れてる今だからこそ言うか…
>>566
お前のその痛々しいID、
早めに忘却の彼方へ投げ捨てとけ。
568名無しさん@ピンキー:2007/04/07(土) 16:01:02 ID:DQNwTlOB
うは、本当だw
まさか自分がこんなIDになる日が来ようとは。
569名無しさん@ピンキー:2007/04/07(土) 16:03:07 ID:axquQX9r
批評が怖いってどんなもの書き屋だよ
そんなやつはちらしのうらに書いて自分で読み返してしこっとけよ
570名無しさん@ピンキー:2007/04/07(土) 16:07:56 ID:hQBhqQwk
>>569
それで格闘ゲームが衰退したと同じ論調で嫉妬スレSSを衰退させてどうするのかと
嫉妬SSを一日一回読まないと発狂するこのスレの住人は飼い馴らすことができないぞ
571名無しさん@ピンキー:2007/04/07(土) 16:09:46 ID:RTwuQlj9
批評が怖い職人…

お、お兄ちゃん…
ひ、批評がこわいよぉ…
一緒に寝ようよぉ…

ふぃ〜、ほぼ三連投
572名無しさん@ピンキー:2007/04/07(土) 16:18:06 ID:OLxgmuaa
くだらん荒らしまがいの批評なんざイラネ
573名無しさん@ピンキー:2007/04/07(土) 16:24:57 ID:RTwuQlj9
そんなことよりこのスレのツンデレっぷりを見てくれ、
こいつ等をどう思う? 
574名無しさん@ピンキー:2007/04/07(土) 16:25:10 ID:RCvVPf0f
商業作品とは意味が違う。
商品として金貰ってる訳じゃないんだから
「読みたい奴だけ読め。文句ある奴は読むな」ってスタンスでOK。
ボランティアみたいなもんなんだから、1人でも需要があればそれで良いんだよ。
書きたい人と読みたい人以外はスレに不要だ。
それ以外の人間にはどれだけレベルが低く見えても
それを書きたい人と、それを読みたい人の為のスレなんだから。
つまらないオナニーSSより、下らないオナニー批評のほうが余程スレに有害だ。
575名無しさん@ピンキー:2007/04/07(土) 16:28:27 ID:xpAyvsYf
まがいっていうかただの荒らしだから放置汁。
ところでここに投下するときは一回大体どれくらいの長さが適度なんかね?
どうも分量が長くなりそうで
576名無しさん@ピンキー:2007/04/07(土) 16:28:31 ID:RTwuQlj9
不死身か!?こいつ等!
577名無しさん@ピンキー:2007/04/07(土) 16:35:39 ID:RTwuQlj9
>>575
Sorry.ほぼ被った。
お詫びにアドバイス。
今の状況下じゃ量より質と時間帯の問題だな。
できるだけ荒らしが少ない時間帯に、
高品質な物を少な目に押さえて一気に投下しろ。
その後の批評は無視しろ
578名無しさん@ピンキー:2007/04/07(土) 17:04:20 ID:xpAyvsYf
>>577
d
579名無しさん@ピンキー:2007/04/07(土) 17:04:26 ID:O8Mzqa84
お前ら少しぐらい黙ってられないのか?
580名無しさん@ピンキー:2007/04/07(土) 17:30:20 ID:axquQX9r
高品質(笑
581名無しさん@ピンキー:2007/04/07(土) 18:13:11 ID:fgKdTXsB
アンカー付けるのを止めろ。
582名無しさん@ピンキー:2007/04/07(土) 18:17:49 ID:X6a/CGyy
2日投下なしオワタwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww
583名無しさん@ピンキー:2007/04/07(土) 19:52:43 ID:SVjK1eOB
避難所ができるしそこで一斉投下だろうね。
嵐は終わりだな。
逆に避難所荒らしたらISP経由でアボーンだしな
584名無しさん@ピンキー:2007/04/07(土) 21:03:10 ID:pOVuXPIP
専ブラのほうが見やすいから正直避難所は・・・
585名無しさん@ピンキー:2007/04/07(土) 22:06:46 ID:8FWgGhh6
避難所できたらこのスレは感想雑談板として利用
586名無しさん@ピンキー:2007/04/07(土) 23:05:48 ID:V5escJaH
ぶちゃけ避難所いらね
587名無しさん@ピンキー:2007/04/07(土) 23:14:34 ID:RCvVPf0f
どうせまた避難所作る作らないで揉めるんだから(で、それを利用して意図的に荒らす奴が出てくる)
荒らしモドキが何と言おうと作るだけ作っちゃえば良いんだよ。
で、避難所で上手くいけばそれでいいし、必要無かったら必要無かったで構わないだろ。
とにかくウダウダ言ってても皆が納得する答えなんて出てこないし
荒らしが便乗してきて、不毛なだけだから
ここで議論なんて期待しないで作っちゃう事を薦める。
588名無しさん@ピンキー:2007/04/07(土) 23:44:43 ID:JZkh7eRL
>>584

したらばだったら専ブラで見れるよ。
589名無しさん@ピンキー:2007/04/07(土) 23:52:38 ID:O8Mzqa84
避難所作ることの是非は正直どうでもいい
だが、避難所はあっても困ることはない
590名無しさん@ピンキー:2007/04/07(土) 23:57:19 ID:xpAyvsYf
しかし肝心の神々の意見なしに避難所論議していいのか?
591名無しさん@ピンキー:2007/04/08(日) 00:06:40 ID:cWLSR8cN
>>590
赤いパパ氏みたいに投下以外はしないって方も居るから、
住民で議論しても良いんじゃないかな?
もちろん神々に議論に参加してくれても構わないとも思っているけど。
592名無しさん@ピンキー:2007/04/08(日) 00:13:45 ID:tt0e+MEc
ブログやれば?
皆好きな作者のとこ行けばいいんだし
それぐらい人集められる人がそろってると思うよ、俺は
593名無しさん@ピンキー:2007/04/08(日) 00:37:24 ID:PSgqoRPc
>>592
お前は何でそんな荒らしみたいな工作をやっているわけ?
594赤いパパ ◆oEsZ2QR/bg :2007/04/08(日) 00:39:35 ID:7uJPPdGI
流れをぶったぎって投下します。
595姉妹仁義 ◆oEsZ2QR/bg :2007/04/08(日) 00:40:59 ID:7uJPPdGI
 お姉ちゃん。こっちこっち。居た居た。
 ほら、お兄ちゃんとあの貧乳女。どこって、アレよアレ! あの桜の木の下! よく見てっ。
 黄色いピクニックシートに座ってるじゃないっ。見つかった? 居たでしょ? そう。それそれっ。
 くぅ、お兄ちゃん。クラスメイトとお花見だなんて嘘ついて……っ。やっぱりあの貧乳女とデートじゃないっ!

 やっぱり、お姉ちゃんの言うとおり様子を見に来て正解だったわっ。
 ナイスよ、お姉ちゃん。でも正直その変装用のサングラスは似合ってないからそろそろ外そうね。逆に目立つから。 めちゃくちゃ不満そうね……そんなに気に入ってたの?

 それよりも、問題はお兄ちゃんだわ。
 あたしたちとの今年のお花見さえまだだって言うのに、あの女め!

 見てよ、お姉ちゃん。あの女。あんなに気合の入れたお弁当なんか作って……!
 ああっ、お兄ちゃんの口に忌々しいあの女が作った卵焼きが運ばれていくわ……っ。やめて、食べちゃダメ! 絶対まずいに決まってるわっ。あたし以外の女が作ったものなんて吐き出しちゃって!
 ぺってやってよぉ。うわっ、ゲロマズって正直に言ってよ! こんなもの毎日作ってるの? 君の指で? こんな生ゴミのようなものを作る指を持っている女なんて汚くて一緒に居たくないよ、帰ってくれる、とか罵倒してよ!
 ああ、お兄ちゃん飲みこんじゃった……。
 あ。今度はエビチリだわっ! やめてよっ。犬の餌以下のごはんなんて食べないでよぅ
 エビチリなんて、帰ったらあたしが生態系を狂わすぐらいの量のエビチリを作ってあげるから、食べないでぇ! あー、あー……。ぱっくんしちゃったぁ。
 ぐすんっ。お兄ちゃん……。
 お姉ちゃんっ。許せないね! あの貧乳女っ。いつか、あの貧乳をえぐってやる!

 それにしても、どうしてお兄ちゃんはクラスメイトたちとお花見だって嘘ついたのかしら……。
 え、なにお姉ちゃん。ごにょごにょ……クラスメイトは全員敵っ? どういうこと……?
 ええーっ!? お兄ちゃんの友達は、お兄ちゃんとあの貧乳女との仲を応援してるってっ!? なにそれなにそれっ。
 あの女はお兄ちゃんのクラスでも人気者? クラスでは誰もが貧乳女の味方? あんなマシュマロをストーブで焼いて食べてそうなポイント薄の貧乳女がそんなに人気なの。
 信じられないわ。大方あの女、貧乳を武器にクラスメイト達に媚売ってお兄ちゃんの外堀をどんどんどんどん埋めてったに違いないわ。
 とんだ、淫売ね。お兄ちゃんの相手としたら不合格中の不合格だわっ!
 でも、クラスメイトを味方につけるというやり方は凄いわね。ぶっちゃけ、あたしたちに至っては誰も恋を応援してくれないしね……。

 あっ、……ごめんなさい、お姉ちゃん、友達に変って言われちゃったこと思い出させて。だから涙は流さないでっ。
 お姉ちゃんはぜんぜん変じゃないよ! 正常正常! 普通! 常識人!
 あるナイスな人が言ってたもんっ。全国に居るお姉ちゃんは、愛しい弟の為に近付く泥棒猫から守るためには家から一歩に出さないんだって。プライベートの自由な時間すらも 姉妹権限で全て管理してあげるものだって!

 ……そこはひくなよ!
 なんで、あたしのフォローに「そんなヤツいねぇよ」ってな顔を向けるのよっ! あたしが変な人みたいじゃない!

 それよりも、どうするぅ?
 このまま帰るのも癪だし、これ以上あのふたりがいちゃいちゃするところを見たくないし……。
 ん。お姉ちゃん。なに用意してるの? がちゃがちゃと……。そういえばさっきから気になってたけど、そのおっきな手提げ袋は……。
 がちゃがちゃ……。
 ひゃあっ! なにそれ!

 スナイパーライフル…………のモデルガン?
596名無しさん@ピンキー:2007/04/08(日) 00:41:13 ID:PSgqoRPc
荒らしをさっさと排除するには削除しまくるしかないだろうね・・w
批評バカと日本語おばけとか・・惨め過ぎて嘲笑の対象になっていることに
気付かないのって・・現実でも普通に空気を読めないんだろうね
597姉妹仁義 ◆oEsZ2QR/bg :2007/04/08(日) 00:41:48 ID:7uJPPdGI
 それどうしたの!? え、メッセで友人から中古をもらったの?
 あ、もしかしてアレ? この前届いたやたら大きい宅配便。ラベルにフィギュアって書かれてたから、てっきりお兄ちゃんがついにフィギュア趣味に目覚めたのかと思ってたら、お姉ちゃんのヤツだったアレ。
 アレはこれを隠すためのカモフラージュだったのね!
 ……え、そのフィギュアもあるの? じゃあ、それとは別!? お姉ちゃんなにやってんの……。
 それより。スナイパーライフルでどうするつもり……。まさか、これであの女の脳髄をぶち抜くとか! ぶちまけみたいなことになるわけっ!?
 あ、殺傷能力は無いのね。あったら銃刀法違反だもんね。お兄ちゃん残して両手ガチャンだもんね。それは嫌だよ、あたしも。
 えっと、なになに、ゴム弾? ゴムでできた弾が飛んでいくんだ。 これをあの女に向かって……ばきゅん。
 威力はどのくらい? 当たっても悶絶する程度……。 うーん、あのお兄ちゃんをたぶらかす貧乳女に与えるダメージとしてはちょっと低いけど、それでもあの空間をぶち壊すぐらいはできるわねっ。
 よーし、お姉ちゃんっ。やっちゃえ。やっちゃえ!
 あの憎き雌犬が形成する空間をお姉ちゃんの狙撃でぶち壊しちゃえ!

 それにしても、お姉ちゃん。改めて見ると、この満開のピンクの桜の中でその銃は無骨だよ……。
 あ、あの女っ。
 お兄ちゃんに「あーん」しようとしているわっ!
 お姉ちゃんっ。あいつの箸を狙撃して阻止するのよ!

 いっけぇー!

 あー、なんか後ろに居たおっさんに当たっちゃった。倒れこんでるよ。まぁ、でもべろべろに酔っているから痛みは薄いから大丈夫だよね。多分。誰も自分が狙撃されたとも思わないよっ。
 でも、お姉ちゃん。ちゃんと箸を狙撃しないと。ほらぁ、あの女っ。自分の箸でお兄ちゃんに「あーん」したわっ。しかもそれを自分の箸として使ってる!
 間接キスだわ! あの貧乳! 腐れ外道!
 
 ……まぁ、でも今はいいわ。なんたって、あたしたちは二人で夜中台所で二人して隠れてお兄ちゃんの箸を舐めあったこともあるもんねぇ。
 それに比べたらアンタのその間接キスなんてフレンチよフレンチ。あたしたちのディープディープディープキッスには勝てないわよ!
 
 よーし、気を取り直して頑張って、お姉ちゃん! 今度はあの女の脳天めがけてやっちゃえー! 二発っ。三発っ。四発……。
 もう、お姉ちゃんっ。へたっぴっ。ぜんぜん当たらないじゃない。それ、あたしに貸して!

 よいしょっと。
 よーし、あの女の脳天めがけてぶちかますぞー。ととと、調整が難しいわ。
 お姉ちゃん、ごめん。すこし、時間かかりそう。 でも安心して、必ずあの女の脳天をセガサターンばりに直撃させてみせるから。
 あたし達の怒りのゴム弾をうけるがいいわっ。そして、突然悶絶してお兄ちゃんに珍妙な目で見られるがいいわ!

 ん。お姉ちゃん肩叩かないで、照準が狂っちゃうでしょ。
 もうっ、わかったから今は黙って! あの女の眉間に合わせてるんだからっ! 肩を強く叩かないでよ!
 お姉ちゃんっ。お姉ちゃんっ。もう、いいかげんにして………。

 あら、お、姉、ちゃ、ん、じゃ、な、い?
 黒い服でがっしりとした肩幅。白い手袋で帽子は一昔前の学生帽のようにきっちりとしている。そして腰元には叩いたら痛そうな棒……。
 ありゃ? この格好の人、小学生の頃の派出所見学で見たことあるよ?
 さっきから肩を叩いていたのは、おまわりさんでしたか。わんわんわん。

 お姉ちゃんは……!?
 ……………あー、もう豆粒ぐらいになってる。お姉ちゃん、5キロを1時間半かけて走る(歩く)ぐらいマラソン苦手なはずなのに、もうあんなところまで逃げてるわ。
 ……えっと、なんですか? おまわりさん。あたし別になにもしてませんよぉ?
 銃? いえいえ、この黒いモノはちょっぴり無骨な携帯電話です。けしてゴム弾が飛び出すスナイパーライフルではありません。本当です。
 え、なんですか。ちょっと、交番まで来てくれ?
 それは………えーっと…………。

 ぱきゅんっ。

 やったわっ。ちょうど股の間に当たったわ! さっきのおっさん以上に悶絶してる!
 お姉ちゃんは男の人に襲われそうになったら股間を狙えって言ってたけど本当だったのね! ありがとう、お姉ちゃん! いまは多分200メートルぐらい先まで逃げてるけど!

 えーっと、逃げろ!
 銃が重い! こんなの捨てちゃえ! ぽいっと。
 お姉ちゃん待ってぇぇーー!! つーか、さっさと逃げんなぁぁぁぁぁ!!
(終わり)
598赤いパパ ◆oEsZ2QR/bg :2007/04/08(日) 00:42:54 ID:7uJPPdGI
馬鹿系なお話もお好みでしょうか。
599赤いパパ ◆oEsZ2QR/bg :2007/04/08(日) 00:43:39 ID:7uJPPdGI
投下終了です。(描き忘れ
600名無しさん@ピンキー:2007/04/08(日) 00:43:41 ID:PSgqoRPc
乱入スマソ・・

久々の投下キタァー(゜∀゜)ーー!!!!
601名無しさん@ピンキー:2007/04/08(日) 00:50:10 ID:DomK8vq0
やっぱりこういう気軽に読める話はいいね。
GJ!
602名無しさん@ピンキー:2007/04/08(日) 00:51:56 ID:oAI/JAfy
赤いパパさんGJ!
キャラが立ってるので軽めのSSも面白く読めます。

この投下を機会に、以前のように良い空気に戻るようにしましょう。
603名無しさん@ピンキー:2007/04/08(日) 01:23:22 ID:Vb5oVzqT
GJ!!
このお姉ちゃんが素晴らしい
604名無しさん@ピンキー:2007/04/08(日) 01:23:51 ID:cWLSR8cN
>>599
GJ!
こういう系統の話も好きだぜ!
605名無しさん@ピンキー:2007/04/08(日) 02:07:00 ID:tt0e+MEc
>>593
また荒らし認定?
もうそのパータンも秋田

>>599
軽めもけっこうイケルw
606名無しさん@ピンキー:2007/04/08(日) 02:25:05 ID:a9GxiEC/
GJ!
ひんぬークラスメートか…不覚にもおっきした俺はどうみても変態
607名無しさん@ピンキー:2007/04/08(日) 05:14:04 ID:v85lzZEU
GJ!
なんか姉妹の仲がよすぎると不自然なので、
これを期にどんどん姉妹同士で対立すると嬉しい。
608名無しさん@ピンキー:2007/04/08(日) 11:53:55 ID:DsFQ/MYX
短編はいいね。連載なのに投下が短いのはあれだけど
609名無しさん@ピンキー:2007/04/08(日) 14:12:24 ID:1dESeidI
短編は難しいからな・・ネタ勝負です
610名無しさん@ピンキー:2007/04/08(日) 15:17:56 ID:w3N6oz1/
罪のないお巡りさんがかわいそうだ………………………………きっともうおっきできないんだろうな〜
と考えて吹いた
GJ!
611名無しさん@ピンキー:2007/04/08(日) 16:36:34 ID:0+lgzImK
キモ姉&キモウト小説を書こう!
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1176013240/

612名無しさん@ピンキー:2007/04/08(日) 18:04:32 ID:Ub43KuDQ
実際こんなキモ姉やキモ妹なんて存在せんねんけどね

613名無しさん@ピンキー:2007/04/08(日) 18:11:48 ID:vyOgJWfr
>>612
何をいまさらwww
そんなのあたりまえだろ。
元と成るような人たちは大抵ろくなことになってないからな。

主人公(ターゲット)とのハッピーエンドなんて、
空想の上でしか成り立たないからwwww
614名無しさん@ピンキー:2007/04/08(日) 19:42:40 ID:VupEDF3z
>>599
サザエさんみたいで凄く面白い
615名無しさん@ピンキー:2007/04/08(日) 20:06:48 ID:8usag1kq
由良タン萌え
616名無しさん@ピンキー:2007/04/09(月) 00:38:07 ID:GSY1Kohr
>>614
姉=サザエ
妹=ワカメ
男=カツオ
貧乳=カオリちゃん
深夜にサザエとワカメがカツオの箸をペロペロか・・・
なんか精神的にキツイわw
617名無しさん@ピンキー:2007/04/09(月) 00:38:28 ID:zeS96Sdd
>>610逆に考えるんだ。
彼は今回の事件を期に新たな性癖に目覚めた。
こう考えるんだ。
618名無しさん@ピンキー:2007/04/09(月) 00:57:33 ID:Gc8f8pUU
今「リボンの剣士」を読み終えた。
どちらのルートもバッドエンド(多分)って作品は意外と珍しいと思う。
なんか鬱になってしまった。
でも面白かった。作者さんありがとう。
619名無しさん@ピンキー:2007/04/09(月) 03:05:48 ID:zx7qIi+s
阿修羅氏、乙です!
620名無しさん@ピンキー:2007/04/09(月) 13:26:44 ID:uDWXNDm0
>>616
貧乳=カオリちゃん×
貧乳=花沢さん○
621名無しさん@ピンキー:2007/04/09(月) 14:32:23 ID:tkIqVqTo
阿修羅氏、まとめサイト更新乙です
622名無しさん@ピンキー:2007/04/09(月) 14:48:40 ID:lSHBaL87
>>598
亀だが軍オタであり銃オタの俺はうれしかった
623名無しさん@ピンキー:2007/04/09(月) 15:02:50 ID:DCt0RFbR
阿修羅氏更新お疲れ様です。
624名無しさん@ピンキー:2007/04/09(月) 17:00:17 ID:G474rpgH
更新乙とかこのスレじゃなくてweb拍手で言えばいいだろ
スレ違いもいいとこ
625名無しさん@ピンキー:2007/04/09(月) 17:09:59 ID:tkIqVqTo
>>624
それもそうだなスマソ
いつもこうやってたからつい
626名無しさん@ピンキー:2007/04/09(月) 17:10:56 ID:0jEf/5MI
>>624
そっちのほうが励みになるか
627 ◆6xSmO/z5xE :2007/04/09(月) 22:29:51 ID:qEfpsTCz
投下いきます。ちょっと長いです。
628ブラッド・フォース ◆6xSmO/z5xE :2007/04/09(月) 22:32:11 ID:qEfpsTCz
 ドン・・・

 智の言葉に呼応するようにエルの手が千早の首から離れ、音を立てて床に崩れた。
 顔を真っ青にした千早はピクリとも動かず、智の中で最悪の可能性が過ぎるが、胸がほんの僅か上下したのを見て安堵する。

(気絶しただけか。よかった・・・)

 だが胸をなで下ろしている暇は無い。すぐに千早から目を離すと、呆然とした面持ちで見つめてくるエルに注意を戻す。



 エルが千早を離したのは智の言うことを聞いたわけではなく、この現状への混乱から手の力が抜けただけのこと。
 歓喜とも恐怖ともつかない曖昧な表情で目の前の智を見つめる。
 千早の存在は、既に彼女の意識からは除外されていた。

「サトシ・・・どうして?」

 分からないことが多すぎて、漠然とした疑問しか出てこない。
 だが智は淀みなく、一番大切な理由を思い浮かべる。
 エルに向けていた銀刀を下ろし、鋭かった目付きを幾分和らげ、口を開いた。

「あなたに千早を殺させたくなかったから」

 ドクンっ、と心臓が強く鳴るのをエルは聞いた。
 智の口調に気負いはなく、表情はとても穏やかだ。こうして現れたのが当然だと言わんばかりに。
 ふと智の左腕を見ると、ポタポタと血が零れ落ちているのが目に入った。
 更に映るのは、短くなった腕、拘束したはずの鎖、青白い顔色、銀刀にこびり付いた同じ匂いのする血。
 それらから思い至った一つの推測は、エルに激しく殴りつけられたような衝撃を与えた。

(そんなにこの小娘が大事なの? 自分の腕を斬り落としてでも駆けつけようと思うくらいに・・・)

 浮かんだその疑念は、肯定せざるを得なかった。
 少なくとも智は、千早を自分自身より大切なものだと思っているということなのだから。

 更に強く心臓が鳴る。目が眩み、視界が揺らめく。まるで白昼夢でも見せられているように感じる。
 その感情―――嫉妬の対象である千早は未だ足元に転がり、苦しげにか細い息を吐き出すのみ。

 いっそ踏み潰してしまおうか。力を込めずとも、体重分の重みを胸に与えるだけで十分致命傷になるだろう。
 今の千早は赤子にも劣る弱者だ。殺すのは容易い。

 内心の混乱を拭えぬまま、エルは半ば衝動的に足を上げる。
 だがそれが踏み下ろされる前に、智が口を開いた。


「俺はエルさんのことが好きです。だから、もう誰も殺して欲しくない」

629ブラッド・フォース ◆6xSmO/z5xE :2007/04/09(月) 22:35:13 ID:qEfpsTCz

 好き。
 その単語がエルの時間を止める。踏み下ろそうとした足は中空で止まり、程なくして元の場所に戻った。
 傍目にはただ足踏みしただけのように映っただろう。当然、千早を踏み潰すこともなかった。

 全身の血が瞬く間に沸騰する。酷く熱いのは同じなのに、嫉妬心を抱いた時のような焦げ付くような不快感は微塵もない。
 ときめきを知らない田舎娘のように心臓が高鳴る。
 幸せすぎて苦しいなんてことが、実際にあるなんて信じられなかった。
 この幸せを胸に抱いたまま死んでしまいたいとすら思う。
 そんなエルの様子を知ってか知らずか、智はぽつぽつと話し始めた。
 照れは引いたようで、表情は元の穏やかなものに戻っている。

「沢山の無実の人の命を奪った上で生きてる奴の台詞じゃないかもしれないけど。
 エルさんの100年の苦しみを知らない、ガキの言い分かもしれないけど。 
 それでも人を殺すのはダメなんだ。それが大切な人なら尚更に。
 だから―――うわっ!?」

 エルがいきなり智に抱きつき、言葉が強引に遮られた。片方しかない腕をもどかしげに背中へ回し、身体を密着させる。
 静かな声で話す智の言葉も、今のエルには半ば素通りになっていた。
 いつもは低い体温が熱を帯び、心臓の早鐘が彼女の激しい高揚を伝えてくる。

「これからはずっと一緒なんだよね? 嬉しいなぁ、やっぱり私を選んでくれたんだ。
 うん、私もサトシのことが好き。大好き。
 サトシとだったら100年だって200年だって寂しくないよ。
 一緒に色んな国を見て回るのもいいかもね。
 サトシはどこに行きたい? 私はどこにでも着いていくよ」

 智の言葉を強引に引き継いで、満面の笑みで喋り始めるエル。
 幸せな未来予想図を朗々と語るその笑顔に、智は胸に鈍い痛みが走るのを感じたが―――悲しげな瞳で首を振り、告げた。

「俺は―――あなたと一緒に行くことはできません」


630ブラッド・フォース ◆6xSmO/z5xE :2007/04/09(月) 22:36:53 ID:qEfpsTCz
「え・・・」


 笑顔のまま、エルの表情が凍りついた。
 拒絶されるとはこれっぽっちも考えてなかった脳内は、予想外の返答に処理が追いつかない状態になっている。

「エルさんなら分かるでしょう、精気の尽きた俺の身体が崩れかかっているのが。
 俺も感じるんですよ。こう・・・存在が希薄になってるって言うのかな。上手く言葉に出来ないけど。
 自分の身体はもう保たないって、はっきりと分かるんです」

 何かを諦めたような表情で話す智。見ていられなくて、エルは遮るように大声を上げた。

「そんなの大丈夫よ! これまでみたいにまた人間を狩れば・・・」
「殺すのはダメだって言ったでしょう。これ以上誰かを犠牲にするのは、例え俺が死ぬことになっても嫌なんです。
 それに、もう普通に吸血する程度では追いつかなくなっていますしね」

 そう。綸音に刺されて以来精気を受け付けなくなってしまった智の身体は、もはや通常の吸血では殆ど精気を補充できない。
 エルがしてきたように致死量まで血を絞り取ることによって、ようやく一握りの精気を得ることが出来るという有様だ。
 生きるためには、これからも沢山の人間を犠牲にしていかねばならないだろう。
 そんなこと、智には耐えられそうになかった。

 しかしエルは納得できない。彼女にとって智の命は、世界中の人間全ての命より重いのに。
 なのに智は、生きるための手段を否定する。それは即ち、エルとの未来を否定することだ。
 つまり―――。


(私の気持ちを否定するんだ・・・サトシは)

 ガタンと音を立て、何かが零れ落ちた。それは、エルの心を繋ぎとめる最後の歯車。
 ただでさえ不安定な状態だったうえに、極端すぎる感情の乱高下は、彼女にとって唯一無二であった智の色さえも霞ませてしまう。

631ブラッド・フォース ◆6xSmO/z5xE :2007/04/09(月) 22:39:48 ID:qEfpsTCz
「嘘、ついたんだ・・・」
「・・・エルさん?」

 一転して地の底から響くような声が胸の中から聞こえた。
 鋭い爪が背中に食い込み、明確な痛みを伝えてくる。
 キッ、と顔を上げたエルの濁りきった瞳は、強い決意を持って来たはずの智さえ飲み込むほどに暗かった。

「私が好きだなんて、本当は嘘なんでしょ? 最後に同情のつもりで言ってみせただけなんでしょ?
 怖くて醜い化物だって、心の中で蔑んでたんでしょう!?
 やっぱりサトシも私を否定するんだ! 誰も私のことなんか愛してくれないんだ!!」

 狂乱のエルは智から逃れるように身を捩るが、それに矛盾して爪は彼の背中に食い込んだまま。
 もはや本人にも自分がどうしたいか分からないのだろう。結果的に智の背の肉が抉られていくばかりだ。
 智は苦痛に耐えながら声を張り上げるが、エルには届かない。

「違うっ! エルさん、俺は・・・!」
「もうやだっ、何も聞きたくない! もういやああああぁぁっ!!」

 目の前の少年が怖い。自分を狂わせる存在が怖い。
 暴れた拍子に右手が智の背を離れた。その腕を、エルは衝動的に振りかぶる。
 そして―――。



「がはっ・・・!?」

 音はしなかった。或いは単に聞こえなかっただけかもしれない。
 けれど、右手に感じる生暖かい感触と智の吐血が現実を物語っている。
 狂乱に任せ手加減無しで繰り出された手刀が、智の胸を貫いていた。
 吐き出された血がエルの肩口を赤く染める。

「あ・・・」

 智の吐血に我に返るエル。自分のしでかしたことに気づき、その顔が激しく歪む。
 それは、本当に取り返しが付かないことをした者だけに浮かぶ絶望の表情だった。
 これまで見たどんな表情よりも見ていられない悲しい顔。胸の痛みよりも強く智の心を揺さぶってくるほどだ。

 けれど、もうどうしようもない。唯一の拠り所だったものを、自らの手で傷つけてしまった。
 仮に智が軽傷で済んだとしても、智がエルを許したとしても、もう彼女の心は救えないだろう。
 取り返しが付かないとはそういうことなのだ。

 だから智は覚悟を決める。
 右手の銀刀をぐっと握り締めると、震える肩をいからせて剣を構え―――。


 エルの胸へ、一思いに突き入れた。


632ブラッド・フォース ◆6xSmO/z5xE :2007/04/09(月) 22:42:30 ID:qEfpsTCz
「うぁっ・・・!?」

 刃が身体に沈むと共に、ジュウという耳障りな音。聖なる銀が魔の吸血鬼を焼く音だ。
 身を貫く衝撃にエルの口から短い息が漏れ、エルの身体から肉を焦がす白銀の煙が立ち込める。
 深々と打ち込まれた銀刀の一撃は、間違いなく致命傷だった。絶望の表情のままエルの意識が混濁し始める。
 だがそのまま沈みはしなかった。闇に差し込む一筋の光のように、智の声がエルの心に染み渡っていく。
 

「ずっと苦しかったですよね。辛かったんですよね。
 なのに俺、何もしてあげられなかった。あなたは俺の為に自身の正気さえ投げ出してくれたのに。
 今だってエルさんにそんな顔をさせてしまって、それをどうにかしてあげることも出来ない。
 だからせめて―――俺の手で殺してあげます。これ以上、あなたを苦しませないために」
 
 人を刺すという生々しい感触を、智は歯を食いしばって耐える。
 声の震え、身体の震え、心の震えに、もう少しだけ収まっていてくれと願いながら。

「殺す・・・。私、死ぬの? 死ねるのね・・・? それも、サトシの手で・・・」
「・・・そうです。殺すのはダメだって言ったけど、エルさんだけはこうしなきゃ救えない」
 
 そう言ってエルを抱きしめようとして、智は左腕が無いことに今更のように気づく。

(こんな時に抱きしめてあげられないなんてな・・・)

 格好がつかないというか、ままならないというか。こんなことになるまで何も出来なかった罰かもしれないと智は思う。
 だがエルの表情は穏やかだ。銀刀がより深く刺さることも気にせず、智の分までというように右手で強く抱き寄せてきた。

「ううん、いいの。独りで生き続けるのは疲れちゃったもの。
 それに、これでもう・・・」


 ―――これでもう、あなたはわたしのもの。

 死に行く者とは思えない穏やかな声音で、エルの小さな囁きは智の耳にはっきりと聞こえた。
 しかし、そこに狂った歓喜が渦巻いていることまでは隠せない。何故なら、これでエルは智の特別になったのだから。

 殺人を厭った彼にとって、おそらくエルは最初で最後の犠牲者だ。
 エルを殺した事実は永遠の楔となって、彼が死ぬ日までその心を縛り続けるだろう。

 それは『一生貴女を想い続ける』という智の決意。
 まるでプロポーズのように思えて、エルは嬉しくなった。
 婚約指輪は無く、代わりが胸を貫く銀の剣。けれど、血塗られた自分たちにはこんな形が相応しいのかもしれない。



「愛してるわ、サトシ・・・永遠に」

 そう言って、ゆっくりと口付ける。
 唇に触れるだけのキスだったが、エルはこれまでで一番の満ち足りた笑顔を浮かべた。少なくとも智にはそう見えた。
 そして―――。




 エルの身体は灰となり、一瞬にして崩れ去った。

633ブラッド・フォース ◆6xSmO/z5xE :2007/04/09(月) 22:45:17 ID:qEfpsTCz

 支えとなっていたエルの身体が消えたことで、銀刀がカコンと音を立てて床に転がった。
 長い時を生きた吸血鬼は死ぬと灰になるのだが、それを知らない智はエルが居たのは夢だったのかと一瞬錯覚する。

(そんな訳ないだろ・・・)

 胸を穿つ痛み、人を刺した感触、剣から滴る血、全て本物だ。
 何より心が、絶対に彼女のことを忘れない。


(それにしても・・・)

 ふと気づいて、智は思い返してみる。
 エルとちゃんと言葉を交わしたことは、よく考えると殆ど無い。
 初めて会った日に多少話したが、大半はセックスしたか気絶していたかだった。
 ここ10日ほど共に過ごしたものの、その間智はほぼ意識のない状態だった。

 なのに何故、こうまでエルが気になったのだろう。
 同じ吸血鬼だから? 確かにそれはある。けれど、それだけではない気がした。
 吸血鬼がどうとかいう事情は抜きにした、もっと単純な理由―――。


「ああ、そうか・・・」

 自然と声が漏れる。思い至れば簡単なことだった。多少恥ずかしいが、今なら素直に認められる。
 あの日、チンピラを追い払った後。後ろから抱きしめてきたエルに動揺し、文句を言おうと振り返った時。

 智はエルに一目惚れしていたのだ。その美しさに一瞬にして心を奪われていた。
 更に身体を重ね、彼女の弱さを知り、心から彼女の力になりたいと思うようになった。

 恋愛感情だとはっきり言うには、智の想いは幼いものだったかもしれない。
 実際、先程彼女を好きと言った時は、ここまではっきりと自分の気持ちを自覚していたわけではなかった。
 それに、千早と比べて、藍香と比べて、エルへの想いはどうだったかと言われても分からない。
 けれど、智はエルのことが本当に好きだったのだ。エルに殺された名も知らぬ数十人の命より、彼女の方が大切だと思うほどに。

634ブラッド・フォース ◆6xSmO/z5xE :2007/04/09(月) 22:47:08 ID:qEfpsTCz
 そして結果として、智はエルを殺した。それが本当に正しかったのかも分からない。
 だが永い孤独に磨耗しきっていた彼女の心を目の当たりにして、生き続けろと言うことは出来なかった。

 だから、全てが零れ落ちる前に終わらせる。
 こんな救いの道しか見つけられなかったけれど、智は正しいと信じることにした。
 何故なら、エルは笑顔で逝った。
 彼女が最後まで縋った愛情を否定させずに済んだのだ。自分が死ぬ前にエルを殺せてよかったと思いたい。

 ならば、今だけでも胸を張っていなければと思う。
 エルの最期の笑顔に応えるように、智は精一杯の虚勢を張って笑顔を作った。



「さよなら・・・エル」

 俺を好きになってくれてありがとう。
 美しい女吸血鬼の横顔を思い浮かべながら、智は心からそう思った。
635 ◆6xSmO/z5xE :2007/04/09(月) 22:49:52 ID:qEfpsTCz
今回はここまで。またもや長くてすいません。
当初からの課題だった文章のスリム化は、最後まで克服できないままだったなぁ・・・。


後は最終話とエピローグで完結です。
636名無しさん@ピンキー:2007/04/09(月) 23:05:01 ID:n1U9vWtz
>>635
GJ!!
いい終わり方しそうで良かった
637名無しさん@ピンキー:2007/04/09(月) 23:23:23 ID:cnelEl6V
まだ先輩が残ってるぜw
638名無しさん@ピンキー:2007/04/09(月) 23:35:06 ID:/w1Mnz81
エルゥゥゥゥゥ!!

いや、GJです!後は千早と先輩の一騎打ち?なのか。楽しみにしてます。
639名無しさん@ピンキー:2007/04/09(月) 23:40:53 ID:fjhdQIsY
ちょww先輩どうなるんだよwwwwむちゃくちゃ気になるww
640名無しさん@ピンキー:2007/04/10(火) 00:07:12 ID:DPKE8z8X
>>635
う、嘘だろ?エルが死ぬなんて・・・嘘と言ってくれぇぇぇーー!!
641名無しさん@ピンキー:2007/04/10(火) 00:09:27 ID:CLkK/W2f
落ち着け月!
642名無しさん@ピンキー:2007/04/10(火) 00:53:51 ID:56D9XT2A
が…ま…
643名無しさん@ピンキー:2007/04/10(火) 01:22:17 ID:hbJKNpjI
投下しますよ
644『半竜の夢』Take6:2007/04/10(火) 01:23:30 ID:hbJKNpjI
 今日も何も手掛りが掴めず、落胆して家に戻る。もうこの街に来てから二ヶ月にもなる、
簡単に見付かれば苦労しないのは分かっているがヒントくらいは見付かっても良さそうな
ものなのに。しかし竜害の治療法は已然として見付からないまま、その事実が心を焦がす。
今もササは苦しんでいる、もう大分末期なのだ。次の治療儀式まで後十ヶ月もある、だが
もう竜証は六つもあるのだ。それまで保つかどうか、楽観出来るような状況ではない。
 肩を落として玄関の扉を開くと、面白そうに本を読んでいるササの姿が見えた。
「あ、おかえり。これね、ユマが持ってきてくれたんだけど凄く面白いの」
 タイトルは『ギリィの成り立ち』で、内容は見なくても大体分かる。恐らく、この街が
出来るまでの過程を綴ったものだろう。俺達半竜の立場からしてみれば、誰にも迫害され
ない街が出来た理由というものは非常に興味深いものだ。
「このギリィって名前、街を作った人の名前なんだって。この人も半竜らしいよ」
「後で読ませてくれ、それまで楽しみにしたい」
「あ、そんな読み方もあるんだね、そう言えば」
 感心したような顔をして、ササは何度も頷く。読書歴が極端に浅いササにとって、本の
読み方が複数有るというのは新鮮だったのだろう。だから、貪欲に本を読んでいるのかも
しれない。今まで出来なかったことを、普通という行為にするために。
645『半竜の夢』Take6:2007/04/10(火) 01:24:52 ID:hbJKNpjI
 初めて会ったとき、ササは文字を読めも書けもしなかった。半竜という立場上、それは
大して珍しいことではない。基本的に竜族からも人間からも嫌われているので、文化的な
ものに触れる機会は滅多に無い。言葉などは自然と他人の会話から覚えることが出来るし、
生活の手段も生きていれば身に付いてくるものだ。それで不自由はしないし、そのことを
気にする余裕など殆んど有りはしないのだ。ササに字の読み書きを教えることが出来た俺
のような奴の方が珍しく、出会っていなかったら一生文字を読まずにいたかもしれない。
「あ、それと何か手紙を渡されたよ。何か大事な話みたい」
 手紙には、今夜協議会場にまで来て欲しいとだけ書いてあった。最後にマルスティさん、
つまりはユマの親父さんとキルマさん、クリヤのお袋さんの署名がしてある。筆跡も以前
見たものと同じだから本人からのものであることに疑問は感じないが、時間が何とも妙だ。
 何か、人に聞かれたくない話でもあるのだろうか。
 そのパターンのとき、意味は二種類ある。後ろめたいことがあるときと、その内容自体
を漏らしてはいけないときだ。どちらにせよ、良いものではない。
 だがそれぞれの集落の長からの直々の呼び出しだ、無視をする訳にもいかないだろう。
それに旅の者である俺達を置いてくれているのに、そんな自分勝手をしたらバツが悪い。
追い出そうとするような器の小さい人でないことは分かっているが、だからこそあの人達
を蔑ろにするのは心が痛む。面倒臭いが、応じるしかないだろう。
646『半竜の夢』Take6:2007/04/10(火) 01:26:46 ID:hbJKNpjI
「ほら、ミリアおいで」
 キルマさん達にプレゼントされた極楽鳥を肩に乗せると、ササに振り返り、
「すまん、少し出てくる。飯はタックムに作って貰ってくれ」
「うん、早めに帰ってきてね」
 再び本に目を落としたササに笑みを向け、協議会場に向かう。『極楽日記』も協議会場
も三つの集落の中心に近い場所だ、歩いても幾らもかからないのだが今は逆にそれが辛く
思えてしまう。思考をまとめる時間が足りない、助けを求めてミリアを見ても何も考えて
いないような玉虫色の瞳で見つめ返されるだけだ。どうしたものか。
「これ、そんなに暗い顔をするな」
「幸せが逃げますよ」
「つってもだな、気が重いって言うか」
 待て、今の声は誰のものだ。
 振り向くと、マルスティさんとキルマさんが立っていた。どうやら色々と考えている間
に到着してしまったらしい。まだ何も覚悟が決まっていないというのに、残酷な話だ。
 中に通されて二人に付いて行くと、広い会議場に出た。無数の椅子が墓標のように並び、
それが俺を圧倒してくる。あと四ヶ月もしたらギリィの誕生を祝う祭りが開かれるのだと
以前ユマに教わったような気がする。そうなれば、ここは満席になるだろう。その光景を
想像して、軽く身震いをする。人の意思と言葉は、単なる熱量の塊ではない。
「ま、適当に座っとくれ」
647『半竜の夢』Take6:2007/04/10(火) 01:27:58 ID:hbJKNpjI
 手近な椅子に腰を降ろすと、二人はじっと俺の目を見つめてきた。顔を見るのではなく
目を見るということは、俺の場合は竜証である竜眼を見られることでもある。二人とも、
それが分かっていて敢えてそうしているのだろう。むず痒さを覚え、適当に目を反らす。
「のう、クラウンよ。真面目な話をするぞ」
 何だろうか。
「何でマルスティさんが娘の前で『ですわよ』とかカマ言葉を使っているのか、とか」
「違います」
 冗談は通じない状況らしい。
 キルマさんは咳払いを一つ、
「お主、ユマと儂の娘をどう思っておる?」
「クリヤは乳も大きいし全体的にエロい雰囲気で、しかも普段から半裸状態なので俺的に
見れば堪らないものがあります。ユマも乳は小さいですが肌も白くてスタイルが良いので
またクリヤとは違った良さが有って何だか抜群風味ですよ!?」
「今は真面目な話をしているのですよ?」
「お、俺は超真面目ですよ!!」
 目を反らされた。これで大丈夫なのかという話声が聞こえてくるが、今の発言にどこか
問題でも有ったのだろうか。俺は真剣に二人の評価をして、それぞれの良い部分を言った
つもりだったが少々気に食わない部分があったらしい。こちらにちらりと向けられる半目
は猜疑心を多分に含んだもので、クリヤやユマがたまに向けてくるものと瓜二つだ。
「ではクラウン君、娘を嫁にと言ったらどう思いますか?」
「それは無いですよ、だって子供は」
「半竜になるからのう」
 あまりにも率直な物言いに、一瞬、言葉を失った。
648『半竜の夢』Take6:2007/04/10(火) 01:29:30 ID:hbJKNpjI
 キルマさんが言ったのが、その理由だ。ササが居るとかという話の以前に、俺は人間や
竜族の者を嫁にするつもりは無い。余計な重荷を背負う者は、一人でも少ない方が良い。
 人と竜が交わって出来た子供は半竜になる、だがそこで話が終わる訳ではない。半竜と
交わって出来た子供は、例え片方の親が人間や竜族でも必ず半竜になってしまう。これが
俺達半竜が他の者に迫害をされる一番の理由だ。集団として馴染むのは良いが、その部分
から先、子を成すという所まで来ると問題が発生する。種の境目を考えずに子作りを進め
てゆけば、この世界の者は全てが半竜になってしまうのだ。つまり竜族と人間が全滅する
ことになる。それだけではない、半竜には竜害という問題もある。この街で行われる竜害
治療の儀式がどのようなものかは分からないが、それなりにリスクもある筈で、他の街に
広がっていないことを考えると簡単に出来るようなものではないと結論出来る。そうした
ものの積み重ねで、最後は全員死んでしまうだろう。
 だから半竜は忌み嫌われる、迫害を受ける。
「それでは次の問題です、今の状況で何か違和感を感じませんか?」
「一人、足りないことですね」
 二人は頷いた。
 これは問われるまでもなく、以前から不自然に感じていたことだ。本来居るべき筈の者
なのに、見当たらない人が居た。半竜の集落の長、その人は今の場所に居なければ駄目な
筈なのに、何故か居合わせていない。それどころか、今まで一度も見たことが無い。仕事
で人間の集落に行ったり竜族の集落に行ったりするが、二人の顔を覚えてからは意識して
人を見るようになり、姿を度々確認することがあった。だが俺の住んでいる半竜の集落の
中ですらも、こちらの長を見ることは無かったのだ。注意をして見てみても、それらしい
人物に会ったことはない。そこだけ穴が空いている。
649『半竜の夢』Take6:2007/04/10(火) 01:31:31 ID:hbJKNpjI
「彼女、数えて23代目の長ですが、その人は既にこの世に存在しません。それ以来、半竜
の長は空席のままなのです。この意味は分かりますか?」
 居るべき者にしか、その座を与えてはいけないということだろう。そのくらいは分かる。
だが俺が呼び出された、ということに疑問を感じた。つい最近ギリィに入ったばかりの俺
が長に指名されている、そうとしか考えられないからだ。元々こちらに住んでいる半竜も
数多く居るし、寧ろそちらに長の役目を負ってもらうのが当然の筈なのに。それなのに、
何故俺が長に選ばれなければいけないのだろうか。あまりにも、不自然だ。
「最後まで分かったみたいですね。そう、貴方を長に指名します」
「待って下さい、何で」
「『時語り』というものを、知っておるか?」
 聞いたことはある。この世界は何度も同じ歴史が繰り返されていて、それは時の記憶と
いうものに刻み込まれているのだという。その時の記憶を読むことが出来る者を『時語り』
と呼ぶらしいが、これも『賢者』と同様に眉唾ものの話だと思っていた。
「先代は『時語り』での、そのせいか捻くれ者で……いかん、思い出したら腹が立った。
後で墓に落書きでもしてやろう。それでの、そのマァサという名の馬鹿は、死に際に一言
残していったんじゃ。赤い竜眼の馬鹿が来るから、そいつを長にしろ、と」
 馬鹿はどうか分からないが、確かに赤い竜眼を持つ半竜は俺くらいの者だろう。今まで
他に竜眼を持つ奴を何人か見てきたけれど、赤いものを持つのは俺だけだ。そもそも俺の
目が赤いのは生まれが特集だからで、そうそう同じような者が出てくることは滅多に無い。
「マァサが言うには、成すが儘にということじゃ。結果は変わらんから本人の意識で過程
を好きにしろ、ということらしいが、どうする? まぁ、儂は無理強いをする気は無い」
「彼女には何が見えていたんでしょうねぇ?」
 成すが儘に、か。
 俺が返答をする前に、二人は会議場を出ていった。
650ロボ ◆JypZpjo0ig :2007/04/10(火) 01:32:26 ID:hbJKNpjI
今回はこれで終わりです

ペースは落ちますが、連載再会です
651名無しさん@ピンキー:2007/04/10(火) 03:34:26 ID:3POJgPZt
あらびっくり
652名無しさん@ピンキー:2007/04/10(火) 04:41:33 ID:PKGopth0
このスレつまんねつまんねつまんねつまんね
  <⌒/ヽ-、___ このスレつまんねつまんね
/<_/____/ このスレつまんねつまんね
このスレつまんねつまんねつまんねつまんね

     ∧∧
やっぱ( ^ω^)おもすれ━━━━!!!!
    _| ⊃/(___
  / └-(____/
653名無しさん@ピンキー:2007/04/10(火) 08:25:13 ID:T0TOFT5f
ねんまつ
654名無しさん@ピンキー:2007/04/10(火) 08:32:17 ID:gZl8D3Jl
起きてスレ見たらエルが……エルが……。・゚・(ノД`)・゚・。
でも智の心を奪った勝利者ではあるのか
655名無しさん@ピンキー:2007/04/10(火) 10:59:02 ID:J5OLF/58
うおお、ブラッドとロボさん来てるー!!GJ!!
656名無しさん@ピンキー:2007/04/10(火) 16:32:48 ID:9jBB63c3
やっとこさこのスレも復活したな
職人さんGJ!!
657名無しさん@ピンキー:2007/04/10(火) 17:57:37 ID:x4gA/xKM
エルって作者的にはアルクエイドをぱくったんだろうな
先輩といい、パクリまくりなんだよ。


パクリはさっさとしねよ
658名無しさん@ピンキー:2007/04/10(火) 18:05:34 ID:fg5aGPeP
いい作品のいい部分をパクるのはある意味当然。月姫だって元は何かをパクったものだし。
んなこと言ってたら世の中の漫画の全ては手塚治のパクリで全てのRPGはDQとFFのパクリってことになる。
悪ノリでない程度ならむしろガンガンパクっていくべきなんだよ。


要するに、書けもしないヤツの嫉妬は見苦しいっていうかしね。
659名無しさん@ピンキー:2007/04/10(火) 18:12:05 ID:LIP3Yfkf
( ゚д゚)


月厨の俺でも、この作品からは月姫のパクリ要素があんま感じられない件について。

660名無しさん@ピンキー:2007/04/10(火) 18:26:16 ID:rqFERMGb
つおい吸血鬼の女=アルクェイドのパクリ?
そんなキャラ腐るほどいるわ
ってことはどんだけパクられてんだよアルクェイドwwwwww
661名無しさん@ピンキー:2007/04/10(火) 18:29:27 ID:coJAkc59
月厨の俺から言わせてもらうとアルクエイドっていうのはありえん。アルクェイドだカスヤロウ。
662名無しさん@ピンキー:2007/04/10(火) 18:32:44 ID:wV6UlN3K
作者の心は作者にしかわからない 作者にならないとわからない

しかし、修羅場SSは難しいな… 作者の気持ちはわからんが苦労はわかるぜ…
663名無しさん@ピンキー:2007/04/10(火) 18:34:39 ID:UXzbU/0+
自演のプロから言わせて貰うと自演にしか見えない
どうでもいいが
664名無しさん@ピンキー:2007/04/10(火) 18:36:20 ID:UXzbU/0+
665名無しさん@ピンキー:2007/04/10(火) 19:08:14 ID:KjWQq3vh
はいあがりました
666名無しさん@ピンキー:2007/04/10(火) 19:26:09 ID:RBYrLGuO
月厨って死ねばいいのにね。
667名無しさん@ピンキー:2007/04/10(火) 19:38:20 ID:+563xTiT
早く避難所の設置が必要ですね
668名無しさん@ピンキー:2007/04/10(火) 19:42:46 ID:VtEVjebf
アンチ月の人が居るようだが、琥珀ルートでの秋葉は嫉妬で三角関係で修羅場だぞ?
ぶっちゃけ秋葉ルートの秋葉よりデレ分が増してかなり良い。
669名無しさん@ピンキー:2007/04/10(火) 19:45:57 ID:rqFERMGb
アンチ月じゃなくてアンチ月厨です
自重しましょう
670名無しさん@ピンキー:2007/04/10(火) 19:58:39 ID:jAa2jYt2
>>668
「この泥棒猫、殺しておけばよかった。」

秋葉最大の名台詞だったな。


さ、姉妹日記読み返そっかな
671名無しさん@ピンキー:2007/04/10(火) 20:21:17 ID:n7aZP8f9
こんなところにまで
672名無しさん@ピンキー:2007/04/10(火) 20:41:07 ID:WpEHuBdG
このスレの速さはどうにかならないものか
673名無しさん@ピンキー:2007/04/10(火) 21:04:16 ID:Zn9sFx57
月厨もアンチもスレ違いだから消えろ
674名無しさん@ピンキー:2007/04/10(火) 21:06:17 ID:fs6idElz
固有結界もどきの設定をパクってこのスレ風のネタに仕上げると

お姉ちゃん結界

となる。

その内容は・・弟のあらゆる個人情報や小さな頃の記憶を保存する
以下略です
675名無しさん@ピンキー:2007/04/10(火) 21:19:34 ID:crcvLdd3
さすが三大厨の一つだけあって害虫みたいにわいてくるなwwww
676名無しさん@ピンキー:2007/04/10(火) 21:20:58 ID:ZR3wN87b
>658
>全てのRPGはDQとFFのパクリってことになる。
てめーは全国1億3千万のwizファンを怒らせた

ところでノントロまだー?
677名無しさん@ピンキー:2007/04/10(火) 21:40:07 ID:Zn9sFx57
春厨消えたと思ったら今度は月厨かorz
678名無しさん@ピンキー:2007/04/10(火) 21:58:18 ID:Maomdgyd
月よりも鍵のほうが好きだ
679名無しさん@ピンキー:2007/04/10(火) 22:25:00 ID:ip8TEu+k
パクリは非難されてしかるべきだろう
680名無しさん@ピンキー:2007/04/10(火) 22:26:46 ID:up7mX4AG
ノントロは前フリで終わったちゃった感じだけど
設定っつーか素材として、このまま放置しとくのはもったいないくらい良い感じなんで
誰かに続きを書いてほしいくらいだ。

まあ、常識的に無理だろうけど
せめて作者さんの許可とかを頂けんかのぉ。
681名無しさん@ピンキー:2007/04/10(火) 22:34:18 ID:7xjrjKpT
全く同意だ。すごく気になる引きで止まってるぜ。
他にも続きが気になる作品いっぱいあるなぁ。
数ヶ月も止まってるのはもう放棄なんだろうなぁ。
682名無しさん@ピンキー:2007/04/10(火) 22:37:10 ID:9PgnvC5I
683名無しさん@ピンキー:2007/04/10(火) 22:40:44 ID:1eG11gkP
ようするに見た目は大人、頭脳は子供、スルーできない迷宮入りの迷探偵ってことかな
684名無しさん@ピンキー:2007/04/10(火) 22:42:46 ID:up7mX4AG
>>682
こめんよ。
まあ厳密に言うと直接的なクレクレではなく
未完の作品の続きを、別の誰かが書く2次創作的な試みが出来ないかと言う事を言いたかった。
もし作者さんの許可があれば可能性が広がるんじゃないかなと思って
軽い気持ちで書き込んでみただけなんだけど、まあもう止めとくよ。
不快に思ったら申し訳ないね。
685名無しさん@ピンキー:2007/04/10(火) 22:44:36 ID:9PgnvC5I
>>684
作者以外が書くと反発する人も多いと思う
特にノントロは俺を含めて信者が多いから
686名無しさん@ピンキー:2007/04/10(火) 22:45:53 ID:up7mX4AG
>>685
そうだな。
考えが足りなかった。
もし作者さんの許可があっても
そういうのは自分のHPとかでやるべき事かな。
忘れてくれ。
687名無しさん@ピンキー:2007/04/10(火) 23:00:25 ID:1eG11gkP
同人なら許されるはずwww
688名無しさん@ピンキー:2007/04/10(火) 23:05:04 ID:wpVmwXGJ
じゃあ俺、血塗れ竜の二次創作書くよ!
白とのらぶらぶなアナザーとか
 
・・・ごめん俺じゃ無理
689名無しさん@ピンキー:2007/04/10(火) 23:44:39 ID:NZyoGVFC
俺はただノントロと力のある新人を待ち続ける
690名無しさん@ピンキー:2007/04/11(水) 00:14:54 ID:jMWMO4L1
>>689
待つのはお前の勝手だがクレクレはチラシの裏で頼むわ
691名無しさん@ピンキー:2007/04/11(水) 00:18:59 ID:DnLsXr3o
死んでクレクレ
692名無しさん@ピンキー:2007/04/11(水) 00:20:14 ID:0B3EMRDf
正直クレクレに対する過剰反応もうっとーしいぜ
693名無しさん@ピンキー:2007/04/11(水) 00:31:38 ID:qT4sY1wy
みんながもう少しだけ優しくなれば世界は平和になるのに・・・







って誰かが言ってた。
694名無しさん@ピンキー:2007/04/11(水) 00:44:36 ID:Luye/cAZ
>693
修羅場スレでそれは無理だな
695名無しさん@ピンキー:2007/04/11(水) 00:46:19 ID:iPqeGzBU
人に優しく〜してもらえないんだね〜
696名無しさん@ピンキー:2007/04/11(水) 00:48:51 ID:ra7JiapO
みんながもう少しだけ嫉妬深かったら世界は修羅場になるのに…




って俺が思った
697名無しさん@ピンキー:2007/04/11(水) 00:50:46 ID:1Hlvp1Z1
ヤワな精神だと毎日言葉様のような鮮血ENDのニュースが流れて
アスファルトに血がたくさん染み付いているような日常はちょっとな
698名無しさん@ピンキー:2007/04/11(水) 00:51:30 ID:EfP8eD0h
>>696
いいこと言った
699名無しさん@ピンキー:2007/04/11(水) 01:00:31 ID:ra7JiapO
>>698 嬉しいこと言ってくれるじゃないの。
地道に書き進めた初の修羅場物語
地味に長かったりdocファイルだったりするけどお一つどうぞ。

ttp://kasamatusan.sakura.ne.jp/cgi-bin2/src/ichi84532.doc.html
700名無しさん@ピンキー:2007/04/11(水) 01:06:49 ID:4DTu1QLz
その昔、高校の先生に源氏物語で誰が好きか、って問われたとき、
とっさに「六条の御息所」と言ってしまった(まだ途中までしか読んでなかったし)

変な目で見られた。



いいじゃねぇぇか年上女の嫉妬ぉぉぉぉっ



>>698
ざっと読んだ限りだが、名前でミスリード狙ったな? 変な想像が頭から離れねぇぞOTL
701名無しさん@ピンキー:2007/04/11(水) 01:09:16 ID:4DTu1QLz
アンカーミスった。>>699じゃないかよ。
702名無しさん@ピンキー:2007/04/11(水) 01:09:23 ID:iPqeGzBU
>>699
イヤッホオオオオオオオオオオオオオオウ!
703名無しさん@ピンキー:2007/04/11(水) 01:10:42 ID:ra7JiapO
さァ… 私には何が何やらわかりませんなァ…

ヌゥハハハハハハ!
704名無しさん@ピンキー:2007/04/11(水) 06:35:26 ID:DwY+RYEG
>>700
あ、俺源氏じゃ北条政子が好きだから。
何ね、敵と味方で恋愛とか、熱愛の果てに駆け落ちとか、

熱愛したものの夫が浮気したから浮気相手の家放火とか。
705名無しさん@ピンキー:2007/04/11(水) 12:14:51 ID:DdumH6zd
源氏ちがいだけどな
706名無しさん@ピンキー:2007/04/11(水) 13:54:09 ID:q6JcnTT2
なんという勘違い!!

>>704殿勘違いはここに極まりました・・ry
707名無しさん@ピンキー:2007/04/11(水) 18:58:21 ID:WbPOk2RZ
>>699
めっちゃGJ!!
最初読んだときレックスさん男だと思ってたよ・・・
やっぱり先入観はいかんね。続きも期待してますぜ!!
708名無しさん@ピンキー:2007/04/11(水) 19:10:36 ID:DwY+RYEG
まあ源氏物語読んだことないからワザトっすけどね。
709名無しさん@ピンキー:2007/04/11(水) 20:04:38 ID:fybvfhLJ
ひさしぶりにかなりウザイ雑談来たな
710名無しさん@ピンキー:2007/04/11(水) 20:07:19 ID:iPqeGzBU
 あーっとここでスルー!!!
        r'::::::::i
         トーf/__
      /  イ| 、ヽ
      //_〉 l_l i_ノ、
\\ (_ニノ 〉____〉〉 〉
      /    } /             ,_-‐、
     /\/,ー 'ヾ          i"_Y 〈i
     〈  < /              ゝ^-'"
     \i"ヽ、  \\     //
     ├ i\i カ      ,、
      |_,,i ノ_ソ    )     ゝ
711名無しさん@ピンキー:2007/04/11(水) 20:24:36 ID:g44f/buK
    /´ ̄ ̄ ̄`丶-‐z__
    /            ≦、     ちょっと待て…!
   ,'          /ニヽ、ゝ
   |       ,ィ/レ'\_, >``       
   |    r=| | ̄=。==~「|        この流れは…
   |    |ニ| | u `二´ U\
   |    ヾ,U    __ノ┌_ \    AA使っただけのクレクレ厨の愚痴のはけ口スレになってないか……?
   ,.|    /ヽ /==-┬` ̄
 / \/   ヽ u ⊂ニ.\       ………
'" \   \   `ー┬‐r┘ /
   \   \_/l L_  /      ……念のためだ
      \_ \| |/ |ェェェェ|
       /  |く/|  |
712名無しさん@ピンキー:2007/04/12(木) 11:05:51 ID:aemutSM7
零れ落ちた鋸が嫉妬修羅場SSスレの復活することであろう
713名無しさん@ピンキー:2007/04/12(木) 20:34:25 ID:mToWV5+a
>>699
いや、飽きもせず嫉妬スレ覗いててよかったわ
普通に続編期待させてもらうぜ、GJ
714名無しさん@ピンキー:2007/04/12(木) 23:19:11 ID:kFQoaudV
平穏になってきたのでそろそろ頑張るとするか
715名無しさん@ピンキー:2007/04/12(木) 23:36:09 ID:AX+lUZCJ
不義理チョコの投下をずぅっと待ってるおいら
716名無しさん@ピンキー:2007/04/13(金) 07:31:33 ID:dX/rMsUm
大丈夫さ、この世に男と女が居る限り修羅場は不滅だ。
717名無しさん@ピンキー:2007/04/13(金) 11:40:31 ID:sLTu92sO
修羅場スレは今にも滅しそうです><
718名無しさん@ピンキー:2007/04/13(金) 12:43:28 ID:yo3xBn9r
ねえ赤色のキモウトマダ?

ヤンデレスレとキモ姉キモウト小説スレのおかげですっかりキモウトに嵌ってしまった
719名無しさん@ピンキー:2007/04/13(金) 14:28:53 ID:O+/zTHc5
ちょっとは遠慮して発言しろよ
「まだ?」じゃねえだろ
720名無しさん@ピンキー:2007/04/13(金) 15:46:54 ID:N5lIV95+
すっかりと寂れてしまいましたね・・1年しか持たなかったというか荒らしさえいなければ
今まで通りの更新が出来たはずなんだけどねww
721名無しさん@ピンキー:2007/04/13(金) 15:55:36 ID:MKS72W+A

とりあえず荒らしのせいとかいっているアフォ発見

休みが終わっただけじゃん
722名無しさん@ピンキー:2007/04/13(金) 18:18:47 ID:5hH9uNIc
>>721
なんの休み?
723名無しさん@ピンキー:2007/04/13(金) 19:28:00 ID:WU0QxjcV
春休み〜♪


ていうか職人は何も心配することはないのよ・・・

邪魔な物は僕が全部排除してあげるから・・・ね?
724名無しさん@ピンキー:2007/04/13(金) 19:57:25 ID:5hH9uNIc
>>723
ショタっ子想像して萌えた
725名無しさん@ピンキー:2007/04/13(金) 20:07:20 ID:VvjwjqJ1
ひっそりと、避難所の設置が告知されてる・・・

嫉妬・三角関係・修羅場系総合SSスレ@二人目の子
ttp://www2.atchs.jp/test/read.cgi?bbs=dorobouneko&key=3&ls=50
726名無しさん@ピンキー:2007/04/13(金) 20:56:45 ID:FgX3yUA8
>>725
カチューシャ2chプラウザでは書き込めなかった。
IEではいけたけど
727名無しさん@ピンキー:2007/04/13(金) 21:15:14 ID:dZHIPuSp
>>725
not found
728725:2007/04/13(金) 21:38:59 ID:VvjwjqJ1
スマソ、IEだとさっきのアドはだめなんだね。知らんかった。
ギコナビなら書き込みもできるらしいよ。

IEとかならこっちでたぶんいけるかと
ttp://www2.atchs.jp/dorobouneko/
729名無しさん@ピンキー:2007/04/13(金) 22:59:13 ID:dZHIPuSp
>>728
めっちゃサンクス!!
早速ブックマークするわ!
730名無しさん@ピンキー:2007/04/13(金) 22:59:29 ID:GVJWVrW+
ん、早速宣伝?
731名無しさん@ピンキー:2007/04/13(金) 23:35:07 ID:CyiBNNsh
宣伝丸出し
732名無しさん@ピンキー:2007/04/13(金) 23:45:19 ID:dZHIPuSp
>>730
>>731
負け惜しみ乙
733名無しさん@ピンキー:2007/04/14(土) 00:21:25 ID:C6PlU0wb
負け惜しみとか意味不明
734名無しさん@ピンキー:2007/04/14(土) 00:50:10 ID:DAr5OMwy
さて、荒らし共も避難所行っても頑張って荒らしてくれ
735名無しさん@ピンキー:2007/04/14(土) 00:55:19 ID:kA9PQ4m/
避難所を荒らしたら・・IPアドレス晒し決定だろww
736名無しさん@ピンキー:2007/04/14(土) 01:07:05 ID:isTTD7mO
>>733
せっかく阿修羅氏が避難所立ててくれたのを宣伝とか言うからだろ・・・
737名無しさん@ピンキー:2007/04/14(土) 01:46:31 ID:XRDqNrMt
まあ宣伝とか言ってるほうが意味不明だよな。
738名無しさん@ピンキー:2007/04/14(土) 03:04:56 ID:DAr5OMwy
氏とか付けてるゆとりは全部自演
739名無しさん@ピンキー:2007/04/14(土) 08:33:11 ID:crX1YT71
じゃあここまで全部俺の自演な
740名無しさん@ピンキー:2007/04/14(土) 10:25:09 ID:sbBOsMOM
>>738
もうちょっとした事でも噛みつくのか、この馬鹿は…
せいぜいあら探しでもしてろよ、それ位しか出来ないんだしwwwww
741名無しさん@ピンキー:2007/04/14(土) 12:09:34 ID:crX1YT71
なんでわざわざ藪蛇つつくのん?
742名無しさん@ピンキー:2007/04/14(土) 12:45:43 ID:3dsjDT57
誰も投稿しなくなったマジでww
743名無しさん@ピンキー:2007/04/14(土) 14:23:28 ID:qaaJ6zUV
ttp://kasamatusan.sakura.ne.jp/cgi-bin2/src/ichi84890.doc.html

なんという過疎… これは間違いなく空気を読まない投下
docですがどぞー
744名無しさん@ピンキー:2007/04/14(土) 14:39:47 ID:PqSuSEJ2
普通に投下してくれるとありがたい
読みにくくてかないません
745名無しさん@ピンキー:2007/04/14(土) 14:42:54 ID:qaaJ6zUV
では次からはそうすることに―…
でも書き込みの用意とかで投下スピードが遅れることがあります
どうみてもものぐさSS書きです。本当に(ry
746名無しさん@ピンキー:2007/04/14(土) 14:42:55 ID:7U4afUzh
>>743
イヤッホオオオオオオオオオオオオオオオウ!
747名無しさん@ピンキー:2007/04/14(土) 15:05:44 ID:isTTD7mO
>>743
GJ!!
俺はやっぱりレックス派ですな。
あと、トリップを付ける事をお勧めするよ。
748名無しさん@ピンキー:2007/04/14(土) 15:16:57 ID:qGNI+uiA
749修羅場魔法少女 ◆qj8aj1j2zQ :2007/04/14(土) 17:04:30 ID:rvcYNdTs
2レスほど借ります。SSじゃなくてネタでもなくて単なる妄想ですけど。
>>743氏みたいのは書けないんで、勘弁してください。

嫉妬魔法少女(四クールもの)

第一話 えっ?私が魔法少女?

ヒロインは、突如として現れた謎の存在から魔法少女に選ばれてしまう!
だが魔法少女になる為には強い愛が無ければ変身できなかった!

第二話 ヒーローは只の少年

ヒロインが変身できなくて怪物に殺されそうなときに、少年(ヒーロー)登場!
ヒロインは彼に惚れてしまう。その恋のパワーで敵を撃破!

第三話 怖くて優しい?ヒーロー君!

ヒーロー君は、真面目で何時も一生懸命な彼。ちょっと喧嘩しちゃったけど、
仲直りして、お昼を一緒に!

第四話 新しい仲間!恋してるのは自分?

新しい仲間を探して町中を駆け巡るヒロイン。
だが、新しい仲間は自己愛主義者の超タカピーお嬢様だった!

第五話 〜 第八話 仲間探しの探検(タイトル略)

第九話 最後の仲間!は彼の何?

突如として現れた、五人目の仲間!
誰彼女も、ヒーローを愛していた!

第十話 〜 第二十六話 なんか普通の話続く
750名無しさん@ピンキー:2007/04/14(土) 17:07:15 ID:u31Z3RD4
刃物怖いよ刃物
俺もレックスさん派
751修羅場魔法少女 ◆qj8aj1j2zQ :2007/04/14(土) 17:07:21 ID:rvcYNdTs
第二十七話 敵か味方か!謎の黒仮面

幹部の一人をぶちのめし、なんとか一息つく少女達!
唐突に現れる転校生。しかもなんかヒーローに気があるっぽい?

第二十八話 〜 第三十六話 なんかドロドロの四角関係

第三十七話 彼が魔王?暗黒の救世主!

ヒーローの正体はなんと魔王の転生体だった!
彼が完全な覚醒を迎える前に使い魔達に封印されてしまう!

第三十八話 失われた力!彼にもう一度会いたい!

ヒロインはすっかりやる気を無くしてしまい、戦えなくなってしまう。
そこに襲い掛かる敵達!ヒロインは主人公ともう一度出会うため封印の場所へ向かう!

第三十九話 復活の魔王!最強最悪の敵!

封印を自らといて魔王として復活するヒーロー。
もはや彼の記憶を無くしてしまった事にヒロインは泣く

第四十話 〜 第四十九話 魔王宮突破!

第五十話 裏切りの転校生!怒りのアイアンクロー

転校生がその目的を打ち明ける。自分は彼のことなんてこれっぽちも愛していない。
彼への愛はこれっぽちも持ってない。
そんな彼女に変身を解除してのアイアンクローが炸裂!

第五十一話 魔王逃亡!究極たる進化たる物!

魔王登場、なりふり構わず逃げようとする魔王。魔王の目的は生き延びる事だった。
そのために部下を犠牲にし、ヒーローの中に隠れ、そして地球から逃げるための準備をしていた。
宇宙船に乗って逃げようとする魔王、そしてその後を五人の魔法少女達が追いかける!

第五十二話 最後の戦い!そして地球へ!

逃げまくる魔王、追いかけるヒロイン達、宇宙船の中で戦いを続ける。
互角の戦いを続けるが、魔王は結局負ける。
が、最後の悪あがき。三十七話で封印されてる前のヒーローを復活させて言う。
「私を本当に殺すのであれば、この少年を殺してみろ!」
と言って息絶える魔王。絶対に殺させないと誓うヒロイン。
そして、主人公と一緒に5人で地球に帰還する。

これで完結です。読んで頂きありがとうございました。
752名無しさん@ピンキー:2007/04/14(土) 18:24:02 ID:GuECTgLI
>>751
なんかギャグ漫画日和思い出した
内容じゃなくてソードマスターヤマトを
753名無しさん@ピンキー:2007/04/14(土) 21:23:37 ID:rbIiEdCo
>>752
アレは秀逸
原作もそうだけどアニメも最高
754名無しさん@ピンキー:2007/04/14(土) 23:52:54 ID:0UFkqE0H
俺はヤンデレ属性のカレナ派だな

>>751
なんだか分からんが最後の一文に吹いたw
755名無しさん@ピンキー:2007/04/15(日) 01:55:53 ID:IUJ4yuNU
春。
それは出会いの季節であり、別れの季節でもある。
今日から僕は全寮制の学校に入学して普通の学生として平穏な日々を迎えるために
ここへとやってきたのだ。桜が舞い散る寮までの道を歩くとこれまでの生活を感慨しく思えてしまう。
新たなクラスメイト、見知らぬこれからの同居人。
僕の人生は新たに始まったはずであったのだが・・。

「はーいー。巴ちゃん、こんにちわ」
「なんですと!!」
 姉という存在から逃げ出すために僕は故郷の地を離れて、見知らぬ土地で進学したはずなのに
 亡霊が僕の新たな人生の一歩手前である男子寮の前で立ち塞がっている。
「悲しい別れから7年後に記憶を失った雪の街から始まる植物人間となったお姉ちゃんと激しい
 恋の物語の始まりだよ。えへっ」
「始まらない。始まらないし、てか、別の作品です!!」
「ふんじゃあ・・巴ちゃんがお姉ちゃんを探すために1000年の時を越えて旅を続ける永遠の」


「姉よ。どうして、お前がそこにいる?」
「それはお姉ちゃんがブラコンだからです」
 気合の入った声で言わなくてもいいのにその姉は言い放った・・。
 誰が聞いているのかわからないというのにさ・・
「ブラコンなのはわかった。果てしなくわかったから、血の繋がったようで血の繋がらない姉の元を
 家出同然に飛び出したブラザーの居場所をどうして知っているんだ!!」

「それは・・巴ちゃんの机の置いてあったパンフレットを見たから」

 これはとんでもない見落としだった・・

「僕を連れ戻しにやってきたのか?」
「ううん・・。巴ちゃんが真剣に悩んで考えて決めた事ならお姉ちゃんは文句は言わないわ。
 例え、それが人気ゲーム機PS4の転売目的の並びのアルバイトだったとしても何も言わないよ」
「姉・・」
「これだけは忘れないで欲しいの」
「うん」

「お姉ちゃんと巴ちゃんは常に一心同体!! 傍を離れることはなく、ずっと長い人生を二人で
 手を繋いで支え合ってゆくのが運命なんだよ」
「デスティニー?」
「正しくはお姉ちゃんと響き合うRPGというジャンルです」

「つまり、弟が傍にいないから後を追いかけて来たってことか・・」
「そうです♪」
「でも、後を追いかけて来たと言っても、姉はすでに大学生でここから通うのは難しいんじゃないのか?」
「大学? そんなもん、とっくの昔に辞めました。愛しい巴ちゃんの傍に居られないなら、そんなもん必要ありません」
「この学歴社会に何を考えてるんですか?」
「巴ちゃんが私をお嫁さんに貰ってくれるので大丈夫です」
 全く、頭を抱えたくなる姉である。わざわざ進学先まで追いかけてくるとは尋常ではない。
「それに就職先はちゃんと決まっています。巴ちゃんが今日からお世話になる寮の管理人を期間限定の3年間の契約で
 雇ってもらえましたから・・」
「はい?」
「住み込みで働くので今日から宜しくお願いしますね。巴ちゃん」
「マジで俺の後を追いかける来るとは正気かっ!!」
「大丈夫です。学園側に事情を話してお姉ちゃんと巴ちゃんはいつも通りに一つ屋根の下に暮らせるようにしてもらいましたし」
「姉よ。お前はどこのストーカーなんだよ」
「お姉ちゃんの辞書によると、ストーカーという文字は恋する乙女と読むんですよ」
 
 もう、どうにもならない・・。
 明日、退学届けを出して、北の大地に逃げ出してやるぅぅぅ!!
756名無しさん@ピンキー:2007/04/15(日) 01:58:43 ID:IUJ4yuNU
キモ姉SSをちらりと書いてみた
今は猛烈に反省している
757名無しさん@ピンキー:2007/04/15(日) 02:01:26 ID:ptsCAEC5
>>756
キモ姉スレなら別にあるからそこで投下したら?
まぁ、細分化しすぎだと思うが嫉妬分もないからそこの方がいいと

758名無しさん@ピンキー:2007/04/15(日) 02:12:15 ID:47JlMWlr
>>756
こういうのは俺は好きなんだが、
スレタイの「嫉妬」も「三角関係」も「修羅場」もないからな・・・。
少しでもそういう成分を入れてくださいね><
759名無しさん@ピンキー:2007/04/15(日) 02:15:58 ID:+0kM+Pf1
>>756
話は面白そうだが・・嫉妬修羅場三角関係の内容を入れればいいかもねw
760名無しさん@ピンキー:2007/04/15(日) 02:44:45 ID:ptsCAEC5
過疎ってるな
761名無しさん@ピンキー:2007/04/15(日) 06:39:52 ID:J41D59Q7
おい、オマイラノントロが来たよー
http://www2.atchs.jp/dorobouneko/
762名無しさん@ピンキー:2007/04/15(日) 11:28:18 ID:aJYi9tgO
>>761
そうやって期待させてガッカリさせ、避難所の印象を悪くさせようって腹だろ?
まったく馬鹿のやることは何でこう稚拙なんだかwww
763名無しさん@ピンキー:2007/04/15(日) 15:24:50 ID:tPlo66FB
いちいち反応すんな単細胞
764名無しさん@ピンキー:2007/04/15(日) 15:30:15 ID:5+R56fM5
まーまーいいじゃねーか
嵐はもうそのくらいしかできないんだからなwww
マジざまあwwww
765名無しさん@ピンキー:2007/04/15(日) 15:49:47 ID:fbTm+Rx/
          / ,. -、`r― 、`ヽ、     
         _,イ   ヤ┴┴- 、\ ヒー 、_  
        r'/ /   |     ヽ. ヽ∨ ノYi、
        { |  | イ / /     ヽ イ     ソ
        i_∨ !(从し   ー- ヽ{ソ   ソ  
         `Kゝ{ ◎    ◎   ! ゝ-イ'    
            || リ⊃ 、_,、_, ⊂⊃イイ‖| 虐殺です♪   
        /⌒ヽ|| |ヘ  ゝ._)   イ/⌒i‖l  
        \l Y`||yー>、_ イァ/ _ ./ | |  
          (~   ||//(@) \_/Y /フ i |
        `ハ |l ___  __ソ 、__イ | l |
        / ,l|ミl    Y    `l, {' ||ミ| \
766名無しさん@ピンキー:2007/04/15(日) 18:20:18 ID:d50XTO6b
荒らしをスルーできない香具師はここをお気に入りから外して避難所だけに池
767緑猫 ◆gPbPvQ478E :2007/04/15(日) 19:15:09 ID:bPpTnEBy
投下します
768九十九の想い 1−13 ◆gPbPvQ478E :2007/04/15(日) 19:16:01 ID:bPpTnEBy

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
 
 一歩。
 ほんの一歩が、踏み出せなかった。
 
 ぎちぎちと脳が軋んでいる。
 歯が上手く噛み合わず、つい顎に力が入ってしまう。
 それでも表情は崩さぬように、と必死になり、結局顔は歪んでしまう。
 
 ぞわぞわと。
 胸の裡を逆撫でする、黒い靄。
 うっかり口を開いたら、思わず吐き出してしまいそうで。
 言葉を発することすら難しい。
 
 
 目の前には、驚きを隠せていない少女が一人。
 その瞳は恐怖に染まり、震える子犬のように弱々しかった。
 ――なにか、声をかけてやらなければ。
 彼女のことはよく知っている。
 とても強いが、心はまだまだ不安定。己の在り方を上手く決められていない幼子だ。
 本来の使われ方をされずに心を宿したのだから、有り様は歪んで当然である。
 そんな彼女だからこそ、酷い目に遭わされても尚、信じてあげたい気持ちになった。
 
 そう。俺はこいつのことを信じている。
 
 なのに。
 
 
「……い、郁夫、さま……?」
 
 一歩。
 ほんの一歩、目の前の少女が踏み込んできた。
 
 気付いたときには既に遅く。
 俺は、一歩、退いていた。
 
 瞬間。
 その顔に刻まれたものを見て。
 どうしようもないくらい――自分を殺したくなった。


769九十九の想い 1−13 ◆gPbPvQ478E :2007/04/15(日) 19:16:47 ID:bPpTnEBy

 初めて会ったときは、単に気の食わない奴だった。
 しばらくしてからは、可愛いと思うようになり。
 ついこの間までは、信頼できる師にして相棒だった。
 
 
 ――流。
 
 
 お前が俺を刺して。
 俺の心を弄った後でも。
 お前のことは、どうしても憎めなかった。嫌いになれなかった。
 親しみは色褪せることなく、気の迷いは笑って許してやろうとさえ思ってた。
 
 
 はずなのに。
 
 
 何故だろうか。
 今は、お前のことが、とても――
 
 ――やめろ、それ以上考えるな。
 
 頬の内側を強く噛む。
 痺れる痛みと、鉄錆の味。口の中に鮮血が広がった。
 今更遅いとは思いつつも、心を必死に押さえつけ、俺は流に一歩近付く。
 笑ってみせる。今度こそ。今度こそ、自然な笑顔を浮かべられたはず。
 目の前の少女は、謹慎をくらう前と何一つ変わっていない。
 とても強くて、信頼できる、刀の付喪神だ。
 だから。前のように接せられるはず。
 
「――悪い。いきなりすぎて、びっくりした。
 今日、謹慎が解けたんだっけか。またこれからも、よろしくな」
 
 流との距離を縮めるために。
 一歩踏み込む。
 それだけで、どうしてか背筋がじわりと湿る。
 気にせずもう一歩。
 いつの間にか、拳を握り込んでいた。
 気付かないようにしてもう一歩。
 流のいるところまで、あと十歩はかかりそうだ。
 
 とても、遠い。
 
 遠すぎる。


770九十九の想い 1−13 ◆gPbPvQ478E :2007/04/15(日) 19:17:27 ID:bPpTnEBy

 それでも何とかもう一歩を踏破しようとしたところで。
 流がこちらに向かって、一歩詰めた。
 
 耐えろ。
 逃げるな。
 後ろに下がる理由なんて何処にもない。
 
 でも、
 でも。
 
 体は自然と身構えて。
 
 目の前の、泣きそうな顔をしている少女を。
 
 俺は――
 
 
 ◆ ◆ ◆ ◆ ◆
 
 
 流は、郁夫に向かって近付こうとした。
 彼女が踏み込むたびに、愛しき相手は遠ざかろうとしてしまう。
 それが、とても痛くて。
 一歩踏み出すたびに、大事な何かがガリガリと削られていく。
 それでも。
 それでも、郁夫に近付きたくて。
 流は、潤んだ瞳を郁夫に向けた。
 
 と。
 
 まるで、そんな流を嘲笑うかの如く。
 流は、最も見たくないものを、目の当たりにすることに、なった。
 
 
「――おお、郁夫。帰っておったのか」
 
 
 流の背後。
 虫酸の走る声が、流を通り越して、郁夫に投げかけられた。
 
 流は、振り返ることができなかった。
 何故なら、前方を凝視していたから。
 流の目の前。
 久方ぶりに会う刀の付喪神を前にして、子犬のように怯えていた少年。
 それだけでも、酷く心を傷つけられたのに。
 
 郁夫は、流の後方より聞こえた声に。
 
 救われたような顔をして。
 流には見せてくれなかった、心からの笑顔を。
 流ではない、後ろの輩に向けていた。


771九十九の想い 1−13 ◆gPbPvQ478E :2007/04/15(日) 19:18:08 ID:bPpTnEBy

 ――郁夫様。それは、どういうことですか。
 
 心がぎちぎちと軋みを上げている。
 砕けてしまいそうなものを必死に押さえ込み、それでも隙間からこぼれてしまう。
 
 おかしいな。
 自分は、幸せになるはずだったのに。
 郁夫は自分のことしか持てないはずなのに。
 他のものなど、いらないはずなのに。
 
 なのに。
 どうして。
 
 流の脇を、鈍色の長髪が通り過ぎた。
 衝動的に、掴んで引き千切りたくなってしまう。
 何故なら。
 横を通り過ぎる一瞬。
 その顔は――嗤っていたから。
 
 
「た、ただいま茅女」
「寄り道しないで帰ってきたようじゃの。ふふ、愛い奴め」
「べ、別にお前のために早く帰ってきたわけじゃ――」
「照れるでない。それとも、催促しているのか?」
 
 艶めかしい笑顔を浮かべて。
 包丁の付喪神が、郁夫にべったりと張り付いていた。
 
 なんだこれは。
 なんだこれは。
 
 信じたくなかった
 信じられなかった。
 
 郁夫は自分のものなのに。
 自分だけのものなのに。
 そう、弄ったはずなのに……!
 
 息が荒れる。
 胸が苦しくなる。
 拳が握り締められて、爪が掌を破っていた。
 
 
 ふと、振り返った茅女と、目が合った。
 
 
 瞬間。
 流は、悟った。
 こいつのせいだ、と。


772九十九の想い 1−13 ◆gPbPvQ478E :2007/04/15(日) 19:18:53 ID:bPpTnEBy

 茅女は枯れかけの朝顔のように、醜く郁夫に絡みついている。
 恥ずかしげもなく指を絡め、爪が掌を擦っていた。、
 郁夫はそれに対し、特に嫌がる風もなく、茅女の行為に任せるまま。
 有り得ない光景に、流の頭の中がぐちゃぐちゃにかき混ぜられる。
 これは異常だ、と流は思った。
 茅女のせいで、こうなったのだ、と。
 方法はわからない。
 しかし、何らかの手段で、茅女は流の努力を踏みにじり、血涙が出そうなほど羨ましいものを、手に入れていた。
 
 許せない。
 許せるはずが、なかった。
 
 ――茅女は、幸せを壊す害虫だ。
 
 流の中で、その認識は確固たるものとなり。
 謹慎明けだとか実力差だとか、些事は頭の中より消え去って。
 目の前の妖怪を縊り殺すことに、欠片も躊躇いを覚えなかった。
 
 もう、こんなやつ、いらない。
 ころしてやる。
 
 どう戦うか、どう殺すか。
 そんなことすら全く考えずに、流はただ殺意のみで、一歩踏み出した。
 
 その、瞬間。
 
 
「……ッ!?」
 
 
 踏み出そうとした足が固まった。
 指先がぴくりとも動かなくなる。
 周囲の空間が歪められたかのような錯覚。
 粘性の空気に全身を固められていた。
 1ミリでも動かそうとすると、硬い電撃に焦がされそうな、そんな感覚。
 
 ――覚えのある、感覚だった。
 
 殺気や敵意とは全く違う。
 妖怪にすら不可解な、視線に特化された一点集中。
 それに捕らわれたら、如何なる妖怪でも、逃れることは叶わない。
 気付いたときには既に遅く、不可解の恐怖に絡め取られていた。
 
 
 瞳が。
 
 郁夫の瞳が、流を捕らえていた。


773九十九の想い 1−13 ◆gPbPvQ478E :2007/04/15(日) 19:19:33 ID:bPpTnEBy

 先程までの恐怖とは、比べものにならない、圧力。
 郁夫の視線に射抜かれて、全身を押し潰されそうな圧迫感。
 体の端から、ぎじぎじと引き千切られているような錯覚。
 紛う方なき、浦辺流瞳術だった。
 動き出そうとしていた流を。何の容赦もなく、制圧しようとしている視線だった。
 
 ――どうして。
 
 それは、浦辺の家が、長い年月を掛けて完成させた異能の極み。
 
 ――どうして、郁夫様は、そんな目で。
 
 対象を見つめ続けることのみで、あらゆる怪異にすら対抗しうるものへと昇華した。
 
 ――私を、見るのですか。
 
 浦辺流瞳術が。
 流をその場に、縫い止めていた。
 
 
 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
 
 目の前には、驚きを隠せていない付喪神が一体。
 その瞳は困惑に染まり、尻尾を巻いた野良犬のように惨めったらしい。
 ――こんな奴、この場で消し去ってしまいたい。
 彼女のことはよく知っているが。
 だからといって、情けをかけてやろうという気には、どうしてもなれなかった。
 茅女に不躾な視線を送りやがったのだから、今すぐ殺されても仕方ないはず。
 だか、腐っても長い付き合いである。今回だけは軽くお灸を据える程度に留めてやろう。
 
 まったく。茅女と比べるにも値しない、腐りきった付喪神である。
 
 なのに。
 
「――これ、郁夫。斯様な眼で其奴を見るでない。
 妾は特に気にしておらぬ故、許してやれ」
「……まあ、茅女が、そう言うなら」
 
 言われて、渋々、瞳術を解いた。
 あんな殺気を向けられたのに。
 茅女は気にすることなく、あっさり許してしまっていた。
 器の違いがよくわかる。流のような小者に今まで懐かれていたことが、今では恥としか感じられない。
 見つめ続けるのも吐き気がする。早く視界から消えて欲しい。


774九十九の想い 1−13 ◆gPbPvQ478E :2007/04/15(日) 19:20:15 ID:bPpTnEBy

 しかし。
 瞳術を解かれて自由になった付喪神は。
 何故か目に涙を溜めて、必死そうにこちらに駆け寄ってくる。
 
「……郁夫様! どうして、どうして――」
 
「近付くなよ、なまくら」
 
 汚らわしい手が触れようとしてきたので。
 強引に振り払い、ありのままの気持ちをぶつけてやった。
 すると、どうしたことだろうか。
 付喪神は、その場に立ちつくし。
 両の目から、ぽろぽろと涙をこぼし始めた。
 
「――なんだよ。
 刀として使われなかった出来損ないが。
 今度はいっぱしに人間の真似か?
 気持ち悪いから、さっさと消えてくれないか」
 
「い、いく、郁夫様、
 ど、どうし、どうして、そんなこと」
 
「近寄るなよ。穢れる。
 そもそもお前は、研修を終えてる身なんだから、この家にいる必要もないはずだろ?
 なのに我が物顔で居座りやがって。迷惑なんだよ。さっさと出て行け」
 
「で、で、でも、わ、わたし、
 郁夫様に、け、剣を――」
 
 言いながら、再びこちらに縋り付こうとする。
 ウザかったので、腹を蹴って突き放した。
 そして、隣の茅女を抱き寄せる。
 
「――ああ。もう、お前に教わる必要なんかない。
 これからは、茅女が俺に教えてくれるからな。
 茅女の足元にも及ばないなまくらは、さっさと消えて野垂れ死ね」
 
 そう言って、顔に唾を吐きかけた。
 付喪神は、何故か傷ついたような表情を見せた。


775九十九の想い 1−13 ◆gPbPvQ478E :2007/04/15(日) 19:21:02 ID:bPpTnEBy

 ――苛々する。
 ――頭の奥が、じんじんと疼いていた。
 
「郁夫。そう怒るでない。
 とりあえず其奴も色々と考えることがあるだろうて。
 今は放っておいてやれ」
 
 茅女に言われて我に返る。
 そうか、俺は怒っていたのか。
 何故怒っていたのかはよくわからないが、頭の奥が疼くのは、そのせいだろう。
 
 茅女と繋いだ手のひらで。
 小さく柔らかな指先が、こちらの指の股を撫でてくる。
 それだけで、気持ちよかった。
 温かな感触が、手から全身に伝わっていく。
 その温かみが、頭の中のノイズを綺麗に一掃してくれる。
 
 
 刀の付喪神が。
 未練がましそうな目で、こちらを見上げていた。
 
 
 虫酸が走る。
 目の前の、泣きそうな顔をしている付喪神を。
 
 俺は、心の底から、殺してやりたいと思っていた。

776緑猫 ◆gPbPvQ478E :2007/04/15(日) 19:22:14 ID:bPpTnEBy
久しぶりの九十九です。
 
流頑張れ。
超頑張れ。
777名無しさん@ピンキー:2007/04/15(日) 19:24:09 ID:d50XTO6b
>>776
やっぱ九十九の方が面白い
こっちだけに集中して欲しいね
778名無しさん@ピンキー:2007/04/15(日) 19:27:58 ID:X9eazpB0
>>776
お疲れ様です。
いつも楽しみに読ませてもらっています。
779名無しさん@ピンキー:2007/04/15(日) 19:31:42 ID:DwJffYxg
>>776
GJ!
流がそうとうキてますね。
描写がだんだんとおどろおどろしくなってきてます。

それにして、やっぱり茅女も郁夫の心を弄ってたのか……。
このままだと、郁夫も壊れていきそうなヨカーン。
780名無しさん@ピンキー:2007/04/15(日) 19:31:56 ID:Xq+m85Sd
>>776
これは流タンカワイソス。・゚・(ノД`)・゚・。
流タンガンガレ!
でも郁夫のこの変わり様は……
あの時茅女に心を必要以上にいじられたのか?
781名無しさん@ピンキー:2007/04/15(日) 19:34:46 ID:TtTtPU8a
>>776
GJ
こんなこと言うのは失礼かと思うが…
俺も>>777に近い。
まぁ七戦姫は一旦休止して、
九十九を先に完結させて欲しいという意味だが。
782名無しさん@ピンキー:2007/04/15(日) 19:40:47 ID:pKPNivTc
>>776
しかしこの状況下で、こっちに投下とは敵対心ばりばりだなw
783名無しさん@ピンキー:2007/04/15(日) 20:01:51 ID:1K52aBWP
>>776
待ってたGJ!
でも一瞬だれか違う人間が書いたのかと思った
外道の郁夫。今度は茅女が弄ったのか?ちょっと予想と違う展開に激しく今後が楽しみ

>>777>>781に同意
こんなこと言うのは失礼だと判っているが・・・
お願いだから九十九を優先で。
でないと緑猫殿の他の作品を楽しめない
784名無しさん@ピンキー:2007/04/15(日) 20:07:42 ID:C1tGAywr
いーやー流タソがー。郁夫はやっぱりやられてましたか。
やっぱりここは一発ガツンと流にやってもらうしかないですねwww
785名無しさん@ピンキー:2007/04/15(日) 20:12:26 ID:aJYi9tgO
>>776
めっちゃGJ!!
見捨てられた流がどうなるのかwktk!!
786名無しさん@ピンキー:2007/04/15(日) 20:32:07 ID:ZMrktNJ5
これぞ、嫉妬。
これこそ、三角関係。
これが、真の、修羅場!

以上の言葉をまとめ、GJを送らせて頂きます。
GJッス!
787名無しさん@ピンキー:2007/04/15(日) 21:04:03 ID:hIjocsoK
>>776
GJ。スナック感覚で心を弄られる郁夫には同情の念を禁じえないw
788名無しさん@ピンキー:2007/04/15(日) 21:13:23 ID:4o05ubdK
いい修羅場っぷりだ(゚∀゚)流タン頑張ってくれ
789名無しさん@ピンキー:2007/04/15(日) 21:30:52 ID:1Ef2FOjp
やっぱ九十九はいいなぁ
GJ
790名無しさん@ピンキー:2007/04/15(日) 21:32:14 ID:U6L1fOMN
GJっていうのはいいが自演GJはやめれ
791名無しさん@ピンキー:2007/04/15(日) 21:35:12 ID:kiUe+SOA
>>776
超GJッス。
ヤバい。流が可哀相すぎてこっちがヘコむ。
流頑張れ。
792名無しさん@ピンキー:2007/04/15(日) 22:11:43 ID:Fnpf7QGw
>>790
お前が何を言っているのか、意味が分からない。
793名無しさん@ピンキー:2007/04/15(日) 22:21:37 ID:/Pus/7rG
多分、彼はエスパーなんだよ
794名無しさん@ピンキー:2007/04/15(日) 22:26:53 ID:fRALr/DR
>>787
スナック感覚の一言に吹いたww
795名無しさん@ピンキー:2007/04/15(日) 22:27:10 ID:tPlo66FB
「自演GJだ!」と「この投稿は他スレに対する敵対心によるものだ!」の陰謀論な人はどういつじんぶつだってESPでつきとめたよ
796お嬢様物 ◆qj8aj1j2zQ :2007/04/15(日) 23:07:46 ID:akzmw0WE
街歩いてたら妄想神が降臨したので書いてみます。
弱い嫉妬、三角関係無し、修羅場と言うよりギャグものだったりします。
797お嬢様物 ◆qj8aj1j2zQ :2007/04/15(日) 23:09:32 ID:akzmw0WE
「お嬢様、春香お嬢様、お目覚めの時間です」
そう言って、私の目を覚ましてくれるのは執事で幼馴染の秋原君。
「何時もありがとう」
そう言って目を擦って目を覚ます私。
小さい頃から、真面目で勉強好きでちょっと優柔不断で……私の成績が落ちた時も一生懸命勉強を教えてくれた。
ちょっと嫌な事は私の事を恋人と見てくれないことだ。只のお嬢様と執事……そんな関係で終わるのは私は嫌だった。
彼が何故家で執事をしているかと言うと……実は私の成績が終わった事に関係していた。
私は小学6年の時勉学への意欲を失っていた。はっきり言って、何もしたくない、そんな状態になっていたのだ。
そんな時、彼がそんな私を見かねて勉強を教えてくれるようになったのだ。
彼との勉強は楽しかった。両親はそんな私を見て微笑んでいた。彼の両親は私達の会社の大株主で、
他にも色々な事業を支援している人材だった。
でも彼の両親は死んでしまった。事故だったらしい。相手は酔っ払いだったらしい。
金はある。でも住む場所が無い彼を引き取ったのが私の両親だった。
彼は、只で住ませて貰うのは悪いと言う事で、雑用係を引き受けている。
まあ、彼のそばにいれるので私は断っていない。
彼が私の手伝いをしてくれたら彼のそばにいる機会も多くなる。そう思ってた。

だが、それはもろくも砕け散る。あの雌狐によって。

学校が終わって放課後、私は彼の様子を見に行った。そこで私は信じられない物を見たのだ。
「ねえ、あなた春香ちゃんと付き合ってるの?」
甘ったれた女の声。私は気になってそっと覗いてみる。
そこには、彼と私とは別の女がいた。美川夏絵。超巨乳の頭悪そうな女の子。
「付き合ってません!彼女とは只の使用人の関係です!」
「へー、だったらさあ、私と付き合わない?」
そう言って彼女は服を脱ぎだす。
「ねえ、こんな状況で私が誰か呼んだら、皆どう思うかしら?」
彼は顔を真っ赤にしながらあたふたを回りを見渡してます。
798お嬢様物 ◆qj8aj1j2zQ :2007/04/15(日) 23:11:05 ID:akzmw0WE
駄目です。あんな雌狐に誘惑されちゃ駄目です。
「……この、おっぱいだって自由にして良いんだよー」
ぽよんぽよんと揺れる胸。私だって少しはあるもん……。彼は慌てて逃げようとしますが彼女は蛇のように睨んでいます。
「あんな、わがまま娘なんかよりずっと良いでしょう?」
「………お嬢様の悪口を言うな………」
静かに響く声。はっきり言って悪役声です。でも良いんです。あの雌狐の驚いたような顔!ひとまず誘惑されてませんね。
でも、このままでは不味いです。このままでは彼は彼女に奪われます。そうしたら彼女は彼を食い尽くすでしょう。
駄目です。それだけは避けなければいけません。

がちゃがちゃとドアを開けようとする。
「ねえ、秋原く……秋原、ここにいると聞いたんだけどいるかしら?」
「はっ、はいなんでしょうお嬢様!!」
あはははははははははははははははは!正直者ですわね秋原は……。
部屋の中で『チッ』と舌鼓の音と『誰かに喋ったらあること無い事言いふらすぞと』
……うふふふふふふふふふふ。もう許しませんわ。帰ったら執事長に言って彼女の事を調べないと。
「一人で帰るのは寂しいんです。秋原と一緒に帰りたいんです」
甘えたような声、あの雌狐への思いはこれっぽちも出さない。
「かしこまりました!掃除が終わったら、直ちに!」
……学校の仕事優先か……秋原らしいけど、ちょっとむかっ腹が立つ。あの女がいなければもっと早かったんじゃないの?
決めた、あの女が彼に手を出せないようにしよう。その為には彼女の事を知らないと。

だが、事件は思わぬ方へと向かう。

「『ハニートラップ』?」
執事長の言葉を私は鸚鵡返しする。
「はい、その可能性は高いと思います。彼女の会社も彼の株で成り立ってるような物ですからな。」
私はわなわなと体を震わせた。許せない。あの女だけは許せない。
「……これを回避する手段は一つしかございません」
私は執事長の声に耳を傾ける。
「春香様が、秋原様とねんごろになり御婚約すれば宜しいかと」
「!!!!!!」
「お二方の意思もございますが、彼が成年となれば我等の大株主になるのは確実ならば、反対する理由はございません」
「でも、父や母が何というか」
「御安心を。御両親はお二方の結婚を公私にわたって期待なさってます。」
799お嬢様物 ◆qj8aj1j2zQ :2007/04/15(日) 23:15:38 ID:akzmw0WE
私はその日の夜、彼を自分の寝室に呼び寄せた。
「今日の掃除の時間の件、一部始終見させていただきました」
多少怒った様に言う。
「……申し訳ありません」
素直なのは美点だし、それなりの美形だ。だからもう自分の物にしてしまおう。お父様達の許可は貰ったような物だ。
「もしかして、あの女に欲情しましたか?」
「いっいえ!決してそんな!」
「だったら、何故謝るんです?」
押し黙る彼。
「だったら、私の体に欲情した事は?」
意地悪そうに聞く。
「…………あります」
「!!!!!!つまり、私の体を見てこっそり自慰をしてたの?」
「違います!只、寝てる時のお嬢様がキレイで……その……」
私は胸の奥から笑い声がこみ上げてきた。後一押しだ。もはやあの雌狐に与える時間は与えない。

その頃、執事長は資料を読んでいた。危険性Lv80。108まであるセキュリティランクのうち上位に属しており、
『即刻排除』の案件だった。自ら出るしかない。執事長はそう決断すると、着替えを開始した。
そう、この服こそ、一子相伝の真拳『執事真拳』後継者の証だった。
そして、今執事真拳の超感覚で屋敷に近づく黒い影達を感知した。それと共に、お嬢様と彼の唇が合わさった事も。
「ふっ、彼を執事真拳の後継者にしたかったのだがな」
執事長は寂しそうにそう言うと、モニタールームから出て行った。

「執事真拳奥義地天逆転撃!」
その台詞と共に重力が逆転し黒い影を吹き飛ばす。
「執事真拳……だと?まさかあの伝説の奥義をこの目でうぎゃー!」
その台詞と共に黒服達が吹き飛ばされる。
「貴様、何故それだけの力を持ちながら執事の身に甘んじている!」
「執事だからです」
「「答えになってねー!」」
800お嬢様物 ◆qj8aj1j2zQ :2007/04/15(日) 23:17:57 ID:akzmw0WE
突っ込みを無視してさらに技を放つ。
「執事真拳奥義、敵意感知怪光線!!」「執事真拳奥義、一人ダイヤモンドフォーメーション!!」
「執事真拳奥義、竜巻旋風波動!」「執事真拳奥義、片手千手観音!!」
「うわー駄目だー」
忽ちの内に吹き飛ばされる黒服。
「やっぱり、黒服だけでは駄目か」
そう言って、木陰から出てくる夏絵。
「なるほど、彼を奪いにきたということですな」
「くくくくく、だって彼、私のところの大株主よ?それを手に入れたら色々できるじゃない」
「なるほど、ならこの戦い我が主の分身がお相手いたしましょう」
その言葉と共に、執事長の体から黒いオーラが噴出する。
「なっ何これ?」
「これぞ、執事真拳超奥義『主人精神力場』です。そしてこの黒いエネルギーこそ、彼女の嫉妬心」
「あの子の嫉妬心?笑わせないでよ。あんなポヤポヤお嬢様の嫉妬なんて」
次の瞬間に、夏絵の体が宙に舞う。
「彼に罪を被せ様として!」「彼を好きでもないくせに!」「彼の好きでもない体で誘惑して!」
「好きでもない体で誘惑して?」
「春香様はどうやら結ばれたようですな。彼はどうやら慎み深い胸が好みのようですな」
「変態性癖の持ち主め!」
そう言ってショットガンを放つ彼女。
「執事真拳…只の防御!!!」
その瞬間に、全ての弾丸が動きを止めた。
夏絵がモードを切り替え、次々と弾丸を射撃する。飛来する無数の弾丸。
「フン!」
気迫で全て吹き飛ばされる。
「哀れですな」
「何?」
「武器と金しか信頼できる物が無く、しかもその銃にはなんら思いが溜まっていない。
 そんなもの奥義を使う必要すらなし!」
「ひいいいいいいいいいいいっ!」
「あなたを殺すのには1秒もかからねど……只殺しては禍根が残る……我が最終奥義で粉砕してあげましょう!」
そう言うと、執事長の体内に黒いオーラが蓄積される。
「執事真拳・最・終・奥・義・!」
そう言うや否や、黒いエネルギーが執事長の体内に蓄積される。
「時空・湾・曲・絶命波ぁぁぁぁ!!」
時空湾曲絶命波。それは主人の怒りのエネルギーを凝縮し、敵の存在を過去から根本的に『消滅』させる凄い技である!
そのエネルギー波の後は何事も無かったような場所だけが残った。
801お嬢様物 ◆qj8aj1j2zQ :2007/04/15(日) 23:19:08 ID:akzmw0WE
エピローグ

僕は今、春香と付き合ってる。
優しくて、可愛くて、ちょっと嫉妬深いけど僕の事が好きな春香と。
でも時々思う。春香の相手は僕で良いんだろうか?もっと女の子にモテモテな美青年の方が春香に合ってる様な…。
それでも、僕に甘えまくって、御飯を食べさせてくる彼女を見てると頑張らなきゃと思う。
「あの、婚約の件ですけど」
「本当に、僕なんかで良いの?」
「秋原君じゃなきゃ駄目です。私をしっかり支えてくれたの秋原君だけだったから、秋原君を私が支えます」
にこりと笑う彼女。………あの、一つだけ謝らせてください。その笑顔だけで……失礼ですが勃起しました。

END

これで完結です。
802名無しさん@ピンキー:2007/04/15(日) 23:21:07 ID:steuGEwS
>>776
イヤッホオオオオオオオオオオオウ!

好きにかけばいいと思うよ!おもうよ!

>>801
GJ
グミ吹いた
803名無しさん@ピンキー:2007/04/15(日) 23:28:48 ID:cVONe1Wn
>>やおい
乙GJ!ていうか執事長が主人公みたいだ〜。吹いた〜




春香をチュニャンと読んでしまった俺はCLAMP板行ってきます
804名無しさん@ピンキー:2007/04/16(月) 00:06:15 ID:/F4x+jEF
>>801
つまんえー
805名無しさん@ピンキー:2007/04/16(月) 00:21:20 ID:xBcac9Cc
>>やおい
一人ダイヤモンドフォーメーションww
806名無しさん@ピンキー:2007/04/16(月) 02:00:05 ID:i2jPzW9R
いいのよ・・・うるさいスレ住人の戯言なんて私が全て排除してあげるから
貴方(職人)はいつものように私を喜ばしてくれれば(投下)それでいいの
807名無しさん@ピンキー:2007/04/16(月) 03:28:27 ID:VeNXDo9c
馬鹿だ
後半の展開は実に馬鹿だ


だが、愛すべき馬鹿だ。いいぞもっとやれ! GJ!
808名無しさん@ピンキー:2007/04/16(月) 10:27:49 ID:HZH03a7h
いまはやりのアニメの設定パクリか

まったくパクリ以外やることないのか

作者死ね
809名無しさん@ピンキー:2007/04/16(月) 10:53:14 ID:HNybwLjQ
>>808
君も君の両親の劣化コピーなんだから死んだ方がいいよ
810名無しさん@ピンキー:2007/04/16(月) 11:22:07 ID:+og4ov6N
>>808
神より面白い作品を作れてから物を言ってくれないか?
どうせ、小学生並の物語しか作れないんだろwww
こいつ、おもしれぇぇぇぇwwwww
811名無しさん@ピンキー:2007/04/16(月) 14:13:55 ID:c8rrR0QO
>>809
なかなか洒落た言い回しだなソレ
今度使わせてもらおう
812名無しさん@ピンキー:2007/04/16(月) 15:35:17 ID:sx2p3oli
>>811
同意。
意味深な感じがGOOD
813名無しさん@ピンキー:2007/04/16(月) 15:46:54 ID:0h41IoCa
コピーというより、雑種だな。混ざってるから。
下手したら、コピーより劣っている可能性もある。
814名無しさん@ピンキー:2007/04/16(月) 16:14:56 ID:HNybwLjQ
「君も」と書いてしまったが、作者さんはそのまま頑張って下さい。
こういう肩の力を抜いて読める物は俺も大好きなんで

815名無しさん@ピンキー:2007/04/16(月) 16:48:37 ID:EQVFLYJU
>>796-801
イイネイイネー(・∀・)b
816名無しさん@ピンキー:2007/04/16(月) 16:59:46 ID:wT8s9O0q
米軍 女性兵士が同僚男性の妻を射殺
http://hobby9.2ch.net/test/read.cgi/army/1176709951/
リアル修羅場キタ(゚∀゚)ッツ
817名無しさん@ピンキー:2007/04/16(月) 18:53:13 ID:cUe+dGVx
>>816迷うことなくクリックして浅はかな己を恥じた
818名無しさん@ピンキー:2007/04/16(月) 18:57:33 ID:4eVkAhyR
http://www2.atchs.jp/dorobouneko/
雨の音が向こうにいったw
神と駄文垂れ流し作家の住み分けにはやっぱり避難所は必要だねwww
819名無しさん@ピンキー:2007/04/16(月) 18:59:18 ID:wjTnZat8
はいはい、クマー
820名無しさん@ピンキー:2007/04/16(月) 19:30:32 ID:kYK2SVK2
孤独の工作員が必死すぎて鼻血出た
821名無しさん@ピンキー:2007/04/16(月) 20:20:41 ID:4PpR4sB1
>>817
恥じることはないさ。
俺も押したぜ。
今回はガセネタだったが、いつかは本物が来るかもしれない。
その時までは、待っていようぜ……




全裸でな
822名無しさん@ピンキー:2007/04/16(月) 21:31:47 ID:dY9+FiDB
>>819
>>820
いい加減に自作自演はやめてくれないか?
823名無しさん@ピンキー:2007/04/16(月) 21:41:51 ID:4eVkAhyR
・・・・・・・w
824名無しさん@ピンキー:2007/04/16(月) 21:49:58 ID:dY9+FiDB
>>823
ってか、作品を投下したらどうだ? 人の作品を駄文垂れ流しの作文と言っているんだから
お前は相当な作品を書けるんだろうな? まあ、真面目に創作活動も出来ないお子様は
リアルでも2ちゃんねるでも相手にされないんだけどね・・wwww
825名無しさん@ピンキー:2007/04/16(月) 21:50:29 ID:0PvqZNOg
荒らしが自作自演認定するこんな世の中じゃ・・・
826名無しさん@ピンキー:2007/04/16(月) 22:18:47 ID:86Fh2vn/
ジェラシー
827名無しさん@ピンキー:2007/04/16(月) 22:19:31 ID:0EtL3dIr
            、 ヽ i /
          ,' / ヽ/「t~~Vヽ  {
         ,'/   \_/ ヽi:':'|
          /   ,,--'  ヽ\ ヽ:':'}     ,,-'~
       /   /  ,__ヽ |l ト'  ,,--'~~
     ./   / /'  ̄ ̄\i|/ ,/´
~~\ /   /ノ /    ミ  `ヽ~
  `r{   / ミ /   ,、 ,≡≡, ,,ヽ
    `ヽ、{  ミl    ヽ,,':-…-〜' ).|
    ノ i  ,,,,i      `'``',三,,,'`~ ヽ、
   { ':': l {: : }  ,    `'~~(~~'}   ヽヽ
    ) :':イ`iヽ: :iヾ:´    丶 ; | ,,  ト:}    逆に考えるんだ
   ):':':':':|'人 }: :i    ,ニ、ヽ, ; |丶ニ .ヽ)
  く ':':':':':i.V'人ト  ぇ,-Fテ`,/}}}`f士 ,|´,,_ 「避難所に誘導乙」
  /':':':':':';='ミ\‐-ニ,, ̄-<´{~`ヽ-一ミ,_,';';)
 ~くミ川f,ヾヽ ヾ~ヾヽトシヽ| }': ,〈八彡'';')   と 考えるんだ
  >,;;``       ヽ丿川j i川|;  :',7ラ公 ,>了
  ~)        〃ヽヽ` `;ミ,rffッ'ィミ,ヽWiヽミ
   ゝ   ,,〃ヽヽ```  ``'' ,彡'~\リ}j; fミ
   ~~`{ ;;``           彡彡  i 、S`
     \_,         三彡/-v'`~
       '--‐冖,___,--'
828名無しさん@ピンキー:2007/04/16(月) 22:35:31 ID:4eVkAhyR
>>824
822 :名無しさん@ピンキー:2007/04/16(月) 21:31:47 ID:dY9+FiDB
>>819
>>820
いい加減に自作自演はやめてくれないか?

必死だなーw
829名無しさん@ピンキー:2007/04/16(月) 23:09:59 ID:vO5y9OIE
(´,_ゝ`)プッ
830名無しさん@ピンキー:2007/04/16(月) 23:10:31 ID:vO5y9OIE
(´,_ゝ`)プッ
831名無しさん@ピンキー:2007/04/16(月) 23:17:35 ID:4XN5dTqC
ID:vO5y9OIE
荒らし乙
832名無しさん@ピンキー:2007/04/16(月) 23:21:45 ID:khULoewo
だって、もうここは神は投稿しないでしょw
新規の方も昔の方も逃げた事ですし・・

まだ、ヤンデレスレの方が勢いあるよwww
833名無しさん@ピンキー:2007/04/16(月) 23:27:53 ID:4XN5dTqC
本スレ荒らして避難所に誘導させる作戦なのではないかと疑心暗鬼
834名無しさん@ピンキー:2007/04/16(月) 23:29:31 ID:c8rrR0QO
ある意味修羅場だけど
誰と誰が誰を奪い合ってるのかがわからん
一体何のために戦っていると言うのか
835名無しさん@ピンキー:2007/04/16(月) 23:32:47 ID:GeHe0aQ3
「お前は何のために戦っている!」
836名無しさん@ピンキー:2007/04/16(月) 23:35:01 ID:aBaqD0zq
「あの艦には仲間が……友達がいるんだっ!」
837緑猫 ◆gPbPvQ478E :2007/04/16(月) 23:40:42 ID:ILbp3DsH
投下します
838七戦姫 7話 ◆gPbPvQ478E :2007/04/16(月) 23:42:03 ID:ILbp3DsH

 * * * * *
 
 ――何故、こんなことになったのか。
 
 クチナは自室の中央で。
 頭を抱えて悩んでいた。
 
 体調は悪くないはずなのに。
 何故か全身を寒気が襲っていた。
 冷や汗が滴り落ち、時折頭痛がガンガン響く。
 
 風邪でも引いたのかなあ、と現実逃避したくなってしまうが。
 それを許さないのは、周囲の見目麗しき少女たち。
 
 
 右を見る。
 剛槍片手に控える護衛、ユナハ。
 切り揃えられた金髪が美しい少女だが、その顔はへの字口に涙目だった。
 むすーっとしながらクチナの方を見つめている。怖くはないが胸が痛くなる。
 
 
 右前方を見る。
 棒を壁に立てかけ腕を組んでいる親衛隊隊長、イクハ。
 流れるがままの金髪は星の流れを連想させる少女だが、その唇は尖っている。
 こちらも機嫌悪げにクチナの方を見据えている。普段は気さくな少女なだけに、思わず背筋が寒くなる。
 
 
 正面を見る。
 しかし、怖くて直視できない。
 下方には突き立てられた大剣。って刺さってるー!?
 ここは一応王子の部屋なので、そんなことができるのは一人しかいない。っていうか怖い。
 
 
 左を見る。
 主国の奴隷闘技場王者、サラサ。
 ほとんど半裸といってもいい格好だが、何故か風格漂う雰囲気を纏っていた。
 客人用に用意された椅子に腰を下ろし、クチナのことをジト目で睨め上げている。
 
 
 左後方を見る。
 扉の傍で静かに控える使用人、ツノニ。
 その表情はどこか冷たく、氷の刃物を連想させる。
 何故かフォークを片手で弄んでいた。くるくる回る銀食器が、妖しい輝きを放っていた。
 
 
 背後にちらりと視線を送る。
 床に胡座をかいている幼き傭兵、ヘイカ。
 この少女だけは、クチナだけではなく、そのすぐ隣を複雑そうな表情で見つめていた。
 ふと目が合うと、何となく背筋が粟立ってしまう。まるで猫の前に置かれた魚のように。


839七戦姫 7話 ◆gPbPvQ478E :2007/04/16(月) 23:42:49 ID:ILbp3DsH

 そして。
 
 クチナの隣。
 というか脇にべったり張り付いているのは。
 
 
「くちなー」
 
 
 くるる、と喉を鳴らしながら、至福の表情で微睡んでいる、半人半竜の少女、ヌエ。
 いつもだったら、こんな彼女を見ていると、哀しさと愛おしさが混ざった複雑な感情に囚われるのだが。
 今日に限っては、どうしてか、とんでもない恐怖と困惑に囚われていた。
 
 
 どうして、こんなことに、なったのか。
 
 
 * * * * *
 
 
 朝、目覚めたときは、とても爽快な気分だった。
 血の巡りもよく、食欲もあった。
 これならツノニの用意してくれる朝食を、半分は食べられそうだな、と思っていた。
 
 そんなとき。
 
 けたたましい音を響かせて。
 
 
 クチナの寝室の窓が、ぶち破られた。
 
 
「ッ!?」
 
 突然のことに、声にならない悲鳴を上げ、その場に固まってしまうクチナ。
 窓を破った物体は、そのまま部屋の中央を突っ切って、反対側の壁に激突した。
 
「ぐぎゃっ!?」
 
 蛙の潰れたような悲鳴が上がった。
 蒼色の髪が床に広がる。どうやら、年端もいかない少女のよう――
 
「――って、女の子!?」
 
 クチナ、2度目の驚愕。
 寝起きの王子の寝室に、幼い少女が飛び込んでくるだなんて、非常識を通り越している。
 あまりの事態に、呆然とするしかなかった。
 飛び込んできた少女は、頭をさすりながらのっそりと立ち上がる。


840七戦姫 7話 ◆gPbPvQ478E :2007/04/16(月) 23:43:35 ID:ILbp3DsH

「痛たたた……。知己の空竜に放り込んでもらうのは、良い手段と思ったのだがな……。
 まったく、加減を知らぬのか、あの馬鹿は……」
 
 何やら愚痴りながら立ち上がったのは。
 クチナは初めて見る、蒼色の髪の少女だった。
 
「……はー。まあ、無事に目的を果たしたから、良しとするか」
 
 少女は朝日に輝く長髪を振り、硝子の破片を床に落とす。
 そして――部屋の主、クチナの方に視線を向ける。
 
「おい、お前」
「え? あ、はい」
「お前が王子だな?」
「えっと――」
 
 クチナが何と答えようか迷った瞬間。
 少女の姿は、クチナの目の前まで移動していた。
 
「なに。別に狼藉を働く気はない。
 少しばかり、頼みたいことがあるのだ」
「いや、っていうか、こんな風に押し入ってる時点で狼藉な気が……」
「気にするな。窓は後で弁償しよう。
 ……妙に高そうな硝子だが、値段は普通のと大して変わらぬよな?」
「えっと……」
 
 突然飛び込んできたくせに。
 妙に深刻そうな表情で訊ねてくる少女に、思わず吹き出しそうになってしまう。
 ふと、硝子の値段を考えようとし、
 そもそもそんな場合じゃないことにクチナが気付いた、瞬間。
 
 壊れそうな勢いで扉が開かれ。
 護衛の少女が、突入してきた。
 
 
「クチナ様、今の音は――」
 
 
 割れた窓。
 不審な少女。
 クチナのすぐ傍に。
 
 ユナハが即断するのに、一刹那もかからなかった。


841七戦姫 7話 ◆gPbPvQ478E :2007/04/16(月) 23:44:37 ID:ILbp3DsH

 狭い室内で、しかし何の躊躇いもなく槍を振る。
 半回転した剛槍は、そのまま穂先が少女に向かって流れていく。
 常人なら指先ひとつ動かすのすら困難な時間。
 ユナハは、既に攻撃を放っていた。
 
 空気を切り裂き、少女の首へと穂先が迫る。
 クチナの目には、銀光が瞬いたようにしか映らなかった。
 蒼髪の少女が只の刺客だったのなら、首が千切れ飛んで終わっていただろう。
 
 しかし。
 
 銀光は二条。
 少女の首を狙っていたものと。
 それを跳ね上げる、鋭い一閃。
 
「――なッ!?」
 
 驚きの声を上げるユナハ。
 王子護衛隊隊長の彼女は、その剛力には絶対の自信があった。
 それだけは誰にも負けない。たとえ相手があの竜騎士だとしても、純粋な力勝負でなら圧勝する自信があった。
 その剛力で突き出された槍は、どんなものにも阻まれない。そう自負していたのに。
 
 少女の振り上げた刀に、あっさり軌道を変更され、その狙いを外していた。
 
 呆けたのは一瞬。
 しかし、それは度し難い隙だった。
 
 銀光が切り返される。
 頸を狙った一閃に、慌ててユナハは柄頭を合わせた。
 朝日の中、火花が散った。
 
「チッ、鉄製か……!」
 
 少女の舌打ちが響く。
 木製の柄だったら、そのまま斬り通すつもりだったのだろう。
 手に残る感触から、ユナハはそう確信した。
 
 ――何者かはわからないが、強い。
 
 そう確信したユナハは、とにかくクチナを守るべく、立ち位置を強引に少女とクチナの間に割り込ませた。
 再び銀閃。柄で防ぐ。
 今度は先程より力が込められ筋が通っていた。黒鉄製の柄に切れ込みが入る。
 
(あんな小さな剣で、この槍を斬るつもり!?)
 
 並の膂力、並の技術では不可能だろう。
 しかし、少女の膂力は見た目通りのものではなく、おそらく技術も一級品。
 先程の防御も、ユナハの力を巧く上に流したのだろう。
 ユナハの知る限り随一の近接戦闘技術を誇るイクハにすら肉薄する。


842七戦姫 7話 ◆gPbPvQ478E :2007/04/16(月) 23:45:25 ID:ILbp3DsH

 ――今、私が相手しているのは、姉さんと同格の刺客なんだ。
 
 大会が近いので、怪我をしないようにと慎重に戦うつもりだったが。
 そんな甘っちょろいことを言っていられる相手では、ない。
 そう認識したユナハは、相手が再度攻撃に移る前に、攻め手に転じる。
 
「……せいっ!」
 
 気合い一閃。
 左手だけで、剛槍を一回転。
 手首が砕けそうな勢いで回したそれは、室内の空気をかき回す。
 風圧で、寝室の窓が全て砕けた。
 柄と穂先の軌道に、それぞれ少女の急所があったが、それは難なく避けられる。
 
 そして、少女が剣閃を滑り込ませようとした、瞬間。
 
 ユナハは、強引に槍の回転を止め。
 右手も加えて。
 
 強引に、逆回転させた。
 
 左手の筋が悲鳴を上げる。
 関節の軟骨がガリガリと削られるのが自覚できた。
 
 果たして、剛槍は予想も付かぬ角度・速度で。
 
 ――少女の急所を、狙い打った。
 
 
 
 
 少なくとも。
 クチナには、そう見えた。
 目も開けていられない激戦を、それでも何とか伏せて耐える。
 彼の護衛は、いつも通り、少しの無茶をしながらも、主のことを守っていた。
 
 が。
 
 相手は、そんなユナハを、組み伏せていた。
 
 何が起こったのか、クチナには理解できなかった。


843七戦姫 7話 ◆gPbPvQ478E :2007/04/16(月) 23:46:10 ID:ILbp3DsH

「――ふん。手こずらせおって。
 まあ、流石は王子の護衛といったところか。死を覚悟したのは久方ぶりだ」
「……ぎ……ぎぎ……ッ!」
「無駄だ。この極めは、お前の怪力でも外せぬぞ。
 相手の力を利用して、より極まる型だからな。力が強ければ強いほど、外すのは困難となる。
 けったいな爺が教えてくれた技だが、威力は我で実証済みだ」
 
 ユナハの肩が、みしみしと軋みを上げる。
 常人離れした怪力が、強引に少女の極めを外そうとしている。
 しかし、少女の言葉通り、その極めは外れそうもなく。
 ユナハはその場で、震えるのみ。
 
「さて、王子よ」
 
 ユナハを押さえ込んだまま、少女がクチナに顔を向ける。
 
「別に我は、お前に危害を加える気はない。
 もとより、頼みたいことがあって来ただけだ」
「……頼みたい、こと?」
 
 訝しげな視線を、クチナは少女に向けた。
 護衛が倒されてしまった絶望的な状況のはずなのに。
 どうしてか――少女のことを、怖いとは思えなかった。
 
 
「うむ。此度行われる武術大会のことなのだがな――」
 
 
 少女が、更に言葉を続けようとした、瞬間。
 その口が、ぴたりと止まった。
 
 
「――どうしたの? 続きは言わないのかしら?」
 
 
 少女のこめかみに、木製の棒が突き付けられていた。
 棒を持つのは、つい今しがた組み伏せられたユナハの姉。
 王をあらゆる危機から護る、親衛隊隊長、イクハだった。
 
「好きなことを言ってもいいのよ?
 王子の寝室にまで侵入して、言いたいことがあったのでしょう?
 今ならきっと、クチナ様も聞いてくれると思うわ」
 
 イクハの唇の端が。
 きりきりと、吊り上げられる。
 
「――まあ、言い終わったら、殺すけど。
 よくも可愛い妹を虐めてくれたわね。
 ……私、殺すのも得意だから安心してね?」


844緑猫 ◆gPbPvQ478E :2007/04/16(月) 23:47:52 ID:ILbp3DsH
次回に続きます
845名無しさん@ピンキー:2007/04/16(月) 23:51:28 ID:r2/f5rn1
>>844リアルタイムキタY⌒Y⌒(゚∀゚)⌒Y⌒(。A。)⌒Y⌒(゚∀゚)⌒Y⌒Y !!
GJ!
姉妹そして泥棒猫(?)とこれからの戦いが待ち遠しい!
846名無しさん@ピンキー:2007/04/16(月) 23:55:05 ID:yqoKc/zO
>>844
ぬう…
面白いんだけど、もっと一気に読ませて欲しいな、なんかページ数の少ない
週間漫画読んでるみたいで、ストレスがたまる。
847名無しさん@ピンキー:2007/04/16(月) 23:58:35 ID:nSBo5hE9
さあ、この修羅場にどう出る王子ッッ!!!?
848名無しさん@ピンキー:2007/04/17(火) 00:10:19 ID:o5WsBKKp
>>846
6レス分で足りないなんて・・・そりゃお前さん贅沢ってモンだぜ。
何にしても緑猫氏頑張ってください!!
849 ◆y5NFvYuES6 :2007/04/17(火) 01:07:49 ID:MNP3HlgR
お久しぶりです。投下します。
850赤い瞳と栗色の髪 ◆y5NFvYuES6 :2007/04/17(火) 01:08:50 ID:MNP3HlgR
「はぁ…っ、はぁ………。」
「な、七原さん大丈夫ですか?」
全身から汗が噴出し、膝は小刻みに震えている。
そんなかっこ悪い、疲労困憊といった様子の俺の肩に手が添えられる。
優しく、暖かい掌。
黒ぶち眼鏡から覗く澄んだ瞳が心配の色に染まる。
「すみません葵さん、遅れましたか…?」
息も絶え絶えに、俺は葵さんに尋ねる。
「いいえ、私も今来た所ですから。」
にっこりと優しい微笑みを返してくれた。どうやら気を遣ってくれたわけではなさそうだ。
「はあぁぁ………よかった……。」
安堵と同時に、どっと疲れが押し寄せてきた。
俺は尻餅をつき、熱いアスファルトに手をつける。
「ホントに大丈夫ですか?辛かったらこのまま帰っても…。」
「いえ、大丈夫ですから安心してください。ただちょっと疲れただけです。」
心配そうに顔を曇らせる葵さんに力なく笑いかける。
「朝少し色々あって、それで遅れそうになって…………あっ。」
その時、バスが走る音が聴こえてきた。
「丁度来ましたね、行きましょう葵さん。」
俺はずっと休んでいたい気持ちを抑えながら立ち上がる。

田園風景が流れていく。
バスには相変わらず人は殆どいない。
まるで俺と葵さんの貸切バスみたいだ、などと気恥ずかしい事を考えてしまう。
そんな気持ちを紛らわすように隣の葵さんへと視線を移す。
――目が合う。
それだけで俺の心臓は早鐘のように鳴り響いた。
「もう大丈夫ですか?」
「え…は、はい。もう大分落ち着きました。」
成る程、そうか。ずっと俺の事を心配してくれていたのか。
葵さんの優しい心遣いに胸が温かなる。
「よかった、心配したんですよ。」
「すみません、心配かけちゃって。」
「いえいえ、大丈夫ならそれでいいんです。」
相変わらず足は痛いけど、葵さんの柔らかい微笑みを見ているだけで癒される。
851赤い瞳と栗色の髪 ◆y5NFvYuES6 :2007/04/17(火) 01:09:35 ID:MNP3HlgR
…そうだ。
「葵さん、昨日絵本見させていただきました。」
「どうでした?何か記憶に繋がるものは見つかりました?」
「残念ながら……何もわかりませんでした…。」
「そっか、まああれはただの絵本ですから…。何か見つかるわけない、かな。」
「でも俺は、そんな事よりも嬉しかったんです。あれが…葵さんの思い出の絵本なんだって思うと、なんか無性に嬉しくて。」
葵さんの大切なものを共有出来た。
些細な事だけど、俺はそれが堪らなく嬉しかったのだ。
葵さんは少し照れた様子で頬を掻くと。
「………うん、大切な、思い出なの。」
懐かしさと嬉しさが籠められた、小さな呟きを漏らす。
「七原さんは大切な思い出ってありますか?」
「大切な思い出ですか…。」
記憶を辿ってみる。
…楽しい事や辛い事、沢山あったけど…。
大切というと、よくわからないのが本当のところだ。
それに俺は何か大切なものを忘れているような気がする。
今朝見た夢、内容はよく覚えてないけど、何か大切なものだったような気がする…。
俺にとってそれが大切な思い出なのだろうか…。
「…あの…、大丈夫ですか? 私何かまずい事でも…?」
どうやら俺は真剣に考え込んでしまっていたらしい。
葵さんが心配そうにこちらを見てくる。
「あ、大丈夫ですよ。中々思い出せなかっただけですから。」
そう言って明るく笑ってみせる。
葵さんもつられるように微笑み、それから俺達は会話に花を咲かせた。

俺達は終点に着くまで色々な話をした。
そして葵さんの事も少しだけではあったが、事情を知った。
葵さんは転勤の多い親とは離れて暮らしているらしくて、行く行かないで随分揉めたそうだ。
何度も説得されたみたいだが葵さんは頑なにこの村に拘った。
大切な友達がいるから離れたくない、その一心で。
その時の事を語る葵さんの目は誇らしげで、輝いて見えた。
852赤い瞳と栗色の髪 ◆y5NFvYuES6 :2007/04/17(火) 01:10:33 ID:MNP3HlgR
「じゃあここで。」
「はい、仕事頑張ってください。」
「うん、ありがとう。」
そう言って葵さんは図書館の裏口へと向かう。
「さて…どうするか…。」
時間は9時半。
仕事中の葵さんに話しかけるわけにもいかないし、ずっと見ていれば多分気づかれる…。
桃太はまだ来ないだろうし…。
…でもこのまま何もせずに桃太を待つのもなんか嫌だな。
「入るか…。」
まあ何か面白そうな本でも探してみるかな。

「よぉ、ちか。」
不健康そうな容姿にはあまり似合わない、陽気な声と笑顔。
「な、何で居るんだ!?」
ついさっきこんな時間に居る筈がないだろうと思っていた人物は、ごく当然のように昨日と同じ机に本を散乱させ、眼鏡の奥からニヤニヤとした表情を俺に向けている。
「何でって、来たから居るに決まってるだろ?」
だが確か、あのバスは俺が乗ってきたので始発だった筈。
…こいつはどうやって来たんだろう…。
唖然とする俺にからかうかのような視線を向けながら、桃太は向かいの椅子を手で薦める。

「で、今日の朝はお楽しみだった、ってわけだな。」
「!?!??!!」
俺は思わず硬直し、一瞬で顔が沸騰したかのような感覚が襲う。
「アハハッ、俺が知ってるのが意外か?」
「あ、当たり前だ!!誰にも言ってないんだぞ!」
「言わなくたって解るさ。お前の昨日の態度といい、今日の態度といい…。バレバレ。」
「ぐっ……。」
バレバレ………。そんなに俺は解りやすいのか。
「ま、存分に青春を謳歌しろよ。俺の分まで、さ。」
「…自分の分位自分でしろ。」
「そりゃそうだな。」
終始おどけた様子の桃太に多少の苛立ちを覚え、少し乱暴に椅子へ座る。
「で、そんな話しにきたんじゃないだろ。」
「はいはい、わかってるって。」
そう言うと、先ほどの意味深な笑みは消え、真剣な顔つきで静かに言葉を紡いでいく。
853赤い瞳と栗色の髪 ◆y5NFvYuES6 :2007/04/17(火) 01:11:36 ID:MNP3HlgR
「ハッキリ言うと、特に目新しい情報は無かった。
殆どが既存の資料ばかりでな…。
まあ、蔵の方も調べてみれば何かみつかるかもしれないが、その場合だと結構時間かかるぞ。」
「いや、時間がかかっても構わない。頼む…。」
「ああ、蔵は立ち入り禁止だったんだが、俺ももう18だ。そろそろ…平気だろう。」
「お前18だったのか!?」
「言ってなかったか?」
言われてみれば、俺より幾分か大人っぽい気がするが…。
てっきり同い年だと思っていた俺には意外だった。
「18になって、やっとちゃんとした跡取りとして見られるようになったから色々やりやすくなったよ。」
「じゃあ蔵に入れるのはそれのせいか?」
「ああ…、何せ鍵は代々頭首が持つって決まりがあるらしくて、昔は色んな手を使って手に入れようとしたんだけどどれもダメでなぁ…。」
どこか遠い目をしながら語る。
昔から蔵へ入りたかったのだろうか。さっきから桃太は蔵の事となると目が輝いているような気がする。
「ま、とりあえず期待して待っとけ!」
「ああ、期待してる。」

ぱたん。と、桃太は開いていた本を閉じる。
そして今までの真剣な表情を崩し、ニヤニヤと意味深な笑みを浮かべる。
「真面目な話はこれで終わりだ。次はお前が喜ぶ話をしてやろう。」
「喜ぶ話?」
「明日、布袋は休みだ。」
「そりゃ休みもあるだろう。」
「…はぁ、お前な、好きな子が何も予定が無いって事実をもう少し喜べよ。」
「い、いや、そんな事言われてもな…。」
「予定が無いって事は、もし遊びに誘ったら了承してくれるかもしれないだろ。」
人差し指を俺の目前に突き立て、桃太は続ける。
「つまりだ!デートが出来るかもしれないって事だ!」
「なっ!?」
デートだと!?
俺があの葵さんとデート!?
今までデートの1つもした事の無い俺が葵さんと!?
俺は混乱した頭をどうする事も出来ず、ただ唖然とし、固まってしまった。
854赤い瞳と栗色の髪 ◆y5NFvYuES6 :2007/04/17(火) 01:12:47 ID:MNP3HlgR
「そこまでビックリする事でもないだろ。」
呆れたような、だがどこか微笑ましいものを見るかのような表情の桃太。
「だ、だって…あの葵さんと………。」
「いいじゃないか。俺から見たら布袋も満更じゃ………。」
桃太はチラリと時計に目を落とすと。
「布袋はそろそろ来るんじゃないか?もうすぐ昼休みだ。」
「えっ!?」
「好きなんだろ? だったら、ちゃんとその気持ち大事にしろよ。」
「あ、ああ…。」
デートに誘う、か…。
葵さんは優しい、もしかしたらOKしてくれるかもしれない。
だがそれは葵さんの優しさに付け込んでるだけな気もする…。
…でもせっかく桃太が教えてくれたんだ、覚悟…決めてみるか。
俺は1つ深呼吸をし、乱れた心を落ち着かせる。
「…ありがとう。来たら、誘ってみる。」
「頑張れよ。 …っと、来たみたいだな。」
桃太の視線の先に目やると、二つに結った髪を揺らしながら早足で駆けてくる葵さんがいた。
「お疲れ様です葵さん。」
「お疲れ。」
「2人ともありがと。」
葵さんはにっこり微笑み、俺の1つ隣の席に座る。
俺は意を決し、葵さんに話しかける。
「あ、葵さん!」
「え、はい?」
「明日、何か予定はありますか?」
「予定ですか? 特にこれといったものはありませんけど…?」
「あの………。」
「はい?」
胸が苦しくなる程に高鳴る。
「なんでもないです。」と言いたくなる衝動を必死に抑え、言葉を続ける。
「明日、一緒にどこかに行きませんか!!」
「…はいっ!?」
一瞬で真っ赤になる葵さん。
恐らく俺も同じような顔をしている事だろう。
855赤い瞳と栗色の髪 ◆y5NFvYuES6 :2007/04/17(火) 01:13:45 ID:MNP3HlgR
「よかったらでいいです。嫌でしたら遠慮なく断ってくれても……。」
「え、そ、そんな嫌というわけではなくて……ただ………。」
「ただ?」
「……それって、デート…でしょうか…?」
小さな、搾り出すかのような呟く声。
葵さんも俺同様、恥ずかしいのだろうか。
「…そ、そういう事に…なりますね…。」
緊張のあまり、ぎこちない返事しか出来なくなってしまった。
「で、デートは…その……。 そういうのは………。」
葵さんは俯き、小声で「ごめんなさい。」と続ける。
「い、いえ、謝らないでください。 元はと言えば俺が変な事言い出したんですから…。」
そう言うしかなかった。
わかってはいたんだ、葵さんが俺なんかとデートする筈ないって。
でももしも、もしかしたらデートしてくれるかもしれない…。その気持ちをとめることが出来なかった。
俺は深く後悔しながら、無理に笑顔を作ってみせる。
「…七原さん…。」
「だから気にしないでください。葵さんが気にする事じゃありませんよ。」
「………あのですね、七原さん。」
「は、はい…。」
「私、確かにデートは…ちょっとあれですけど。でも友達として遊びに行くくらいでしたら………いい、ですよ。」
「え……?」
一瞬、意味が理解できずつい聞き返してしまった。
「ですから、デートじゃなくて…、遊びに行くのでしたら、行かせてもらいますという事です。」
「そ、それ…ホントですか…?」
「はい…。」
頬を染めながらそう葵さんは呟く。
例えデートじゃなくても葵さんと2人っきりで出かけられる。
それを葵さんが了承してくれた。
…未だに信じられない。
「な、七原さん?」
固まってしまった俺を葵さんは心配そうに見つめる。
「あ…………よ、よろしくお願いします!!!」
俺は勢いよく頭を下げ、その声は図書館中に響き渡った。
856赤い瞳と栗色の髪 ◆y5NFvYuES6 :2007/04/17(火) 01:14:59 ID:MNP3HlgR
…明日、9時にバス停。
葵さんは本が買いたいとの事らしいから、本屋巡りを予定している。

暖かい湯に浸かりながら、未だに夢ではないかと頬を抓ってみる。
痛い。多分夢ではない。
家に帰ってからも、ずっと明日の事ばかり考えていて何もかも上の空だ。
…流石に熱くなってきた。出よう。

風呂から上がり、扉を開ける。
脱衣所の洗濯物が入ったカゴの前に栗色の髪。
「…な、何してるんだ?」
「え、ちーちゃん!?」
若菜は慌てて俺の方を振り向く。
「…うわぁぁぁ!!!」
「きゃぁぁぁぁ!!!」
俺達はお互いに叫び声を上げ、若菜は顔を真っ赤にしながら走り去ってしまった。
…見られた、のだろうか…。
「はぁ…。」
深い溜息をつく。
ふと、疑問が湧いてくる。
「あいつは何してたんだ?」
脱衣所に用があるとも思えないし…、それに振り向いた時に何かを後ろに隠したような気が……。
……まあ気のせいだろう。
女の子には色々あるのだろう、恐らく、多分。
俺は深く考える事はせず、タオルを手に取った。

居間には案の定、決まりの悪そうな表情の若菜が居た。
俺も見られてしまったという恥ずかしさからか、話しかける事はせずテレビに目を向ける。
おばさんは風呂に入っている。
気まずい空気の中、テレビの音だけが部屋に響く。
「……ちーちゃん。」
沈黙に耐えかねた若菜が口を開く。
「な、なんだ?」
「…ちーちゃん、今日帰ってきてから変だったよね…。」
さっきの事を言い出すのかと思ったら、突然突拍子も無い事を言い出した。
857赤い瞳と栗色の髪 ◆y5NFvYuES6 :2007/04/17(火) 01:16:02 ID:MNP3HlgR
「変って、どういう意味だ?」
確かに今日はずっと上の空だったかもしれない。
でもその理由を言う気にもなれず、そっけなく言葉を発する。
「変なのは変だよ。だって、私が話しかけてもずーっと違う事考えてるみたいだった…。」
「そ、そんな事ないって…。」
相変わらず若菜は鋭い。
「私が、間違えると思うの?ちーちゃんの事で。」
何も読み取る事の出来ない、暗い瞳で見つめられ、俺は背筋に寒気が走るのを感じる。
「私が間違えるわけないじゃない、ちーちゃんの事なんだよ?
私が一番よくわかってるの、他の誰でもない、私が一番なの。
そんな私が言ってるのに、否定するの?
ちーちゃんは私を信じてないの?
信じてるならちゃんと答えてよ。どうして今日変だったの?
私ずっと気になってたの。気になりすぎてご飯も喉を通らなかったんだよ?
だから教えてよ、私を安心させて。
どうして?どうしてなの?何を考えてたの?私との会話以外に何を優先させていたの?」
「う………。」
その声は静かなものだった。
けど、何か得体の知れないモノを感じ、思わず汗が頬を一筋流れる。
「………どうせ、あおちゃんの事なんでしょ……。」
どこか冷ややかな声で言い放つ。
「ど、どうしてそうなるんだよ…。」
若菜に気圧され、声が裏返ってしまった。
「…明日、あおちゃん休みなんだよね。ちーちゃん知ってた?」
「さ、さあ…知らないな…。」
白々しい嘘をつく。
若菜に嘘をつくのは何度目だろうか。
「じゃあ明日は私と出かけられるよね?」
「それは………。」
「ダメなの?何か予定が入ってるの?どんな予定、なのかな?」
何もかもお見通し。そんな微笑を湛え、試すかのように聞いてくる。
「………。」
「また黙っちゃうのぉ?ちーちゃんって相変わらず。」
クスッと微笑むと、若菜は立ち上がる。
しばらくすると玄関のガラガラという音が聞こえてきた。
「なんだったんだあいつ…。」
若菜は意味深な瞳で俺を見つめた後、出て行ってしまった。
「…まあいいか…。」
とりあえずこれで危機は脱した筈だ。
ほっと胸を撫で下ろし、畳に横になる。
858赤い瞳と栗色の髪 ◆y5NFvYuES6 :2007/04/17(火) 01:18:19 ID:MNP3HlgR
「はぁ〜、いい湯だったわぁ〜♪」
何時にも増して色っぽさの増したおばさんが冷蔵庫を物色している。
「ん〜?何も無いわねぇ…。」
「何探してるんですか?」
「明日休みなのよぉ。だからお酒でも飲もうかなーって思ったんだけど…。」
「…無い、ですか?」
「…うん。」
おばさんは心底残念そうに肩を落とす。
と、その時―――。
「栄子さぁ〜ん!」
玄関が開く音と共に、先程出て行った筈の若菜がやってきた。
「あら、家に帰ってたの?」
「はい、これ、持ってきたんです。」
若菜はそう言うと、手に持っていた大きな瓶をおばさんに見せる。
「こ、これは…!」
「おばさんの大好きなお酒、持ってきましたぁ。」
「若菜ちゃん…!」
「今日は私も付き合いまぁす。お酒は飲めませんけど、おつまみ位でしたら作りますよぉ。」
「うん!ありがとう!」
…なんかよくわからんが、若菜はお酒を持ってくる為に家に戻ったって事なのか?
それなら…別にさっきの事はもう気にしてないって事だよな。
俺は一安心し、嬉しそうなおばさんに声をかける。
「よかったですねおばさん。 じゃあ俺はそろそろ…。」
時計の針は8時を指している。
ちょっと早いけど、明日は寝坊するわけにはいかない。
俺は立ち上がろうとする――――が。
「どこ行くのかなぁ?今日はせっかく若菜ちゃんがおいしーお酒持って来てくれたんだから、当然ちか君も付き合うのよねぇ〜♪」
「ええっ!?」
おばさんは俺の腕をがっしり掴み、座らせる。
若菜が手早く三人分のコップを持ってくる。
「さっ、じゃんじゃん飲むわよ〜!!」
「お、俺未成年ですよ!?」
「いいのいいの、固い事言わないのぉ。」
俺の前に置かれたコップに透明の液体が注がれる。
お酒独特の臭いが、俺に飲めと言っているかのようだった。
「若菜ちゃん!どんどん料理出して!」
「はぁ〜い♪」
「さあ………飲むわよちか君!!!」
「う、うわぁぁぁぁ!!」
俺は無理矢理酒を飲まされ、意識は混濁していった。

これが誰の策略だったのか、それともただの偶然なのか。
考える余地すら与えられないまま、一方的な宴は何時間にも亘り続いた。
859 ◆y5NFvYuES6 :2007/04/17(火) 01:23:13 ID:At4C4c63
また無駄に長いですけど、今回はこれで終了です。
では、また。
860名無しさん@ピンキー:2007/04/17(火) 04:14:33 ID:CjeGwO0H
若菜ガンガレ!超ガンガレ!
861名無しさん@ピンキー:2007/04/17(火) 06:54:46 ID:/0QzRp1c
>>859
しかし反阿修羅派って今のところ二名か・・・
折角避難所作ってくれたのに、今の時期に当て付けるようにこっちに投入して恥かかせちゃまずいだろ
862名無しさん@ピンキー:2007/04/17(火) 06:56:07 ID:YI9TnOve
荒らしはよくないと思うよ

それと、避難所に投下しなきゃいけないなんて決まりはないからさ
863名無しさん@ピンキー:2007/04/17(火) 07:07:37 ID:/0QzRp1c
すぐに嵐認定して人の心が分からんのか?あんたは
筋から言って今まで功績がある阿修羅氏が折角避難所作ってくれたのに
避難所使いたくない職人も最初だけは投入するべきか一言断るべきじゃないの?
自分が阿修羅氏の立場だったらどう思う?
864名無しさん@ピンキー:2007/04/17(火) 07:18:31 ID:YI9TnOve
阿修羅氏だって好意で避難所建ててくれるのは分かってるさ
緑猫氏も◆y5NFvYuES6の人もそれは分かってると思うよ

けどどこに投下するかは作者の自由だし
荒らしって言ってしまいたくなるほど気になったのは
それだけで反阿修羅派なんて言い方をするのはどうなのかと思うよ
865名無しさん@ピンキー:2007/04/17(火) 07:20:37 ID:/0QzRp1c
すまん言い方悪かった
866名無しさん@ピンキー:2007/04/17(火) 07:23:56 ID:YI9TnOve
まあご本人たちが本当はどう考えてるのかは分からないですけどね
867名無しさん@ピンキー:2007/04/17(火) 08:47:49 ID:FV4K2gyg
春は終わったのに名残がひどい。
868名無しさん@ピンキー:2007/04/17(火) 08:47:52 ID:i6yDBl+6
避難所は飽くまでも避難所であって、
避難するほど荒れてもいないのに避難所に投下しなきゃならんつう話はないな
869名無しさん@ピンキー:2007/04/17(火) 09:25:08 ID:0keHLbGN
>>861の必死さにワロタwwww
870名無しさん@ピンキー:2007/04/17(火) 09:46:34 ID:No5ipOPM
>>861=阿修羅氏
871名無しさん@ピンキー:2007/04/17(火) 10:15:36 ID:0ci/HxYB
>>867
まだ春休み気分が抜けないんだろうよ
872名無しさん@ピンキー:2007/04/17(火) 10:29:58 ID:0keHLbGN
ってゆうか、ただのニートだろw
873名無しさん@ピンキー:2007/04/17(火) 10:34:27 ID:o5WsBKKp
>>870
何でそういうときだけ嬉々として阿修羅氏の名を出すのか・・・
なんでも氏ってつければ荒らしじゃないとか思ってる?
あ、日本語の使い方のおかしい人かw
874名無しさん@ピンキー:2007/04/17(火) 10:36:43 ID:ETGpvHKk
荒れてる荒れてるという香具師がいるが、一時期に比べたらかなり普通
これぐらいが駄目なんじゃあ2chはやれないよ
875名無しさん@ピンキー:2007/04/17(火) 12:09:32 ID:i6yDBl+6
何でか知らんがいちいち煽る奴がいるんだよな
逆効果だっつうのばあろう
876名無しさん@ピンキー:2007/04/17(火) 13:15:05 ID:hyCir9Dr
俺… さ… 昔、栄えてたSSスレに居たことがあるんだ… でも…

「俺が投下し始めたら急激に衰退を始め、1ヶ月で避難所生活」になったんだ…

どうやら俺は何かに憑かれているらしいぜ…ッ ここはそうならないでほしいものだッ…!
877名無しさん@ピンキー:2007/04/17(火) 13:42:06 ID:y6FUxKwf
>>876
ふふ、そう、そうなんだ。
でも安心して。私は怖がったりしない。
そう、アナタみたいな疫病神を引き受けられるのは私だけよ。
だから…ね、見せて頂戴?
アナタだけの物語を、私のためだけに…
878Dr.Crazy ◆PJOP2CE.Sg :2007/04/17(火) 14:07:42 ID:hyCir9Dr
ttp://kasamatusan.sakura.ne.jp/cgi-bin2/src/ichi85496.doc.html

修羅場展開という物はかくも難しくあり…

そして狂は急いでいるため、本当に申し訳ないですがdocでお送りいたします
879名無しさん@ピンキー:2007/04/17(火) 15:07:30 ID:tATvVl7C
docマジかんべん
880名無しさん@ピンキー:2007/04/17(火) 15:15:33 ID:0keHLbGN
見事に嫉妬スレは衰退してしまったね
881名無しさん@ピンキー:2007/04/17(火) 15:52:28 ID:0keHLbGN
衰退した理由は・・鋸を丸呑みしなかったからだ・・
今から泥棒猫の首筋に鋸で切り裂いて来い
882名無しさん@ピンキー:2007/04/17(火) 16:43:10 ID:YI9TnOve
面白いのに残念です

正直、時間ができてから投下してもらったほうが良かった
883名無しさん@ピンキー:2007/04/17(火) 17:13:18 ID:o5WsBKKp
>>878
キタ━━━(゜∀゜)━( ゜∀)━(  ゜)━(  )━(゜ )━(∀゜ )━(゜∀゜)━━━!!!!!
まさかカレナが二重人格だったとは・・・
色々過去の話も出てきて次の展開もwktkして待ってます!!

>>880
>>881
おいおい;
884名無しさん@ピンキー:2007/04/17(火) 17:28:22 ID:wverpbut
>>878
書くのはいいがdocは本気でやめてくれ
885名無しさん@ピンキー:2007/04/17(火) 17:44:55 ID:+CKc4LiS
>>859
GJ!!
若菜かあいいよ若菜

つか風呂場の近くで若菜は何をしたんだ…?w
886名無しさん@ピンキー:2007/04/17(火) 17:57:10 ID:y6FUxKwf
>>879
>>884
違うでしょ?
あれは駄目、これは駄目、否定するばかりじゃ何も始まらない
嫌なら嫌で、重いなら重いで、他に言いようはあるもの
例えば…「次からはtxtにして頂戴」と、そう言えばいい
887名無しさん@ピンキー:2007/04/17(火) 18:02:56 ID:jAOVH98f
連投イヤッホオオオオオオオオオ!


>>886
まったくだ

zipでくれ                            .exe
888名無しさん@ピンキー:2007/04/17(火) 18:18:02 ID:0keHLbGN
>>887
死亡フラグ+某秘密工作機関による嫉妬修羅場極秘ファイルの流失キタァー(゜∀゜)ーー!!!!
889名無しさん@ピンキー:2007/04/17(火) 18:19:21 ID:trrN1mi9
いまだに
ヤンデレスレ住人=修羅場スレ住人
っていう認識の人がいるから困る
890名無しさん@ピンキー:2007/04/17(火) 18:23:58 ID:FV4K2gyg
>>878
レックスがある意味キモ姉的な位置に立ってるんですねwww
年上スキーの自分としては、レックスに頑張ってもらいたいですww



>>886
ところで、docって重いか?
おれの2007はサクサク動くけれど……。
891名無しさん@ピンキー:2007/04/17(火) 18:44:43 ID:LEUBmmT0
重いとかでなく、テキストで済ませられる内容なら
使わないのがマナーなんでね
最近は減ったけど、ウイルスの危険もあるし
容量も大きくなるし、環境によって表示も異なる。
892名無しさん@ピンキー:2007/04/17(火) 19:21:54 ID:QilhF4PJ
このスレの利点はブラウザで見れる事だろ
893名無しさん@ピンキー:2007/04/17(火) 19:28:18 ID:i6yDBl+6
メモ帳ワードパッドで十分やないか母ちゃん……
894名無しさん@ピンキー:2007/04/17(火) 20:32:57 ID:S080Bpng
叩かれるのが嫌なんじゃないのかな?
だからdocでうpするんんじゃね、避難所でやりゃdocだろうが文句付けるやつはいないと思うからそっちでやればいい
895名無しさん@ピンキー:2007/04/17(火) 20:40:09 ID:o5WsBKKp
>>894
そういう高圧的な言い方はどうかと思うぞ?

>避難所でやりゃdocだろうが文句付けるやつはいないと思うからそっちでやればいい
今ここに投下すれば必ず非難(又は文句)を言ってくるやつは居るんだから、
すぐに避難所避難所というのはおかしい。
896名無しさん@ピンキー:2007/04/17(火) 20:52:57 ID:i6yDBl+6
>>894
docで投下=叩かれない
お前さんのこの理論がよくわからんな
ちょっと英語で言ってみてくれんか
897名無しさん@ピンキー:2007/04/17(火) 21:01:59 ID:KgVIo+jn
見るのが面倒だからだろ
俺も見ないし、ワード入れてない人もいるだろう
実際感想もなんもない
898名無しさん@ピンキー:2007/04/17(火) 21:11:45 ID:SkG/ZAju
>>897
これに乗じて荒そうとしてんのか?
ちゃんとあるだろ
899名無しさん@ピンキー:2007/04/17(火) 21:24:06 ID:Yk31ajnN
面白かったGJ
ファンタジー物は数あれど主人公が鍛冶屋と言うのは独創的で良かった
ヒロインたちも姐御、幼馴染、ツンデレ貴族と素晴らしい
でも出来たら普通の投下にしてくれた方が読みやすいし嬉しいのも事実

まぁでも一番大事なのは完結させてくれる事だな
放置プレイはイヤよ
900名無しさん@ピンキー:2007/04/17(火) 22:22:05 ID:FV4K2gyg
ワードがプリインストールされてないPCなんてそんな無いんじゃね?とか思った。
てか、無いならOOo使えば良いじゃない。

>>891
あー、そういえばウィルスなんてのも有ったなぁ……。
avast入れてから何の警戒もしなくなってた……。

901名無しさん@ピンキー:2007/04/17(火) 22:30:51 ID:0keHLbGN
普通に.exeで配布すればいいのに
902名無しさん@ピンキー:2007/04/17(火) 22:32:20 ID:0keHLbGN
感染したら姉や妹や恋人や奥さんがいる家庭は発狂して嫉妬深くなったり
寂しい孤独な生活に送っている人にはストーカーが窓から顔を出しているとか
そういうウイルスとかどこかに開発されてないかと真面目に問い詰めたい
903名無しさん@ピンキー:2007/04/17(火) 22:35:42 ID:PUAdcF6U
>>900
世の中にはメーカー製以外のPCだってあるんだがな。
それに有る無しの問題でもないと話題に出てるだろ
重い重くないとか、そもそも話や受け取り方がズレている。

おまいさんに問題があるかどうかでなく、
そもそもTXTに比べ癖のあるDOCを使う必然性が全くないんだからさ
つか、作者さんを擁護したいのなら蒸し返してもしょうがないと思うが

>そして狂は急いでいるため、本当に申し訳ないですがdocでお送りいたします
作者さん自身は改善すると予告してるわけだし
俺の>>891もおまいさんの>>890宛だ
904名無しさん@ピンキー:2007/04/17(火) 22:48:49 ID:5XKuQ1Zb
docのレスはdocでうpしてやればいいじゃんw
そうすりゃ全部解決するだろ
905名無しさん@ピンキー:2007/04/17(火) 23:09:22 ID:i6yDBl+6
>>904
奇才現る
906名無しさん@ピンキー:2007/04/17(火) 23:29:24 ID:S0VIGADc
>>844
GJ!!
お姉ちゃんもいいな…
907名無しさん@ピンキー:2007/04/17(火) 23:44:53 ID:bUFqFzJL
投下しますよ
908『半竜の夢』Take7:2007/04/17(火) 23:45:58 ID:bUFqFzJL
 目覚めの悪い夢を見た気がする。
 ベッドから出て居間に行くと、台所から軽快な包丁の音が聞こえてくる。タックム達が
朝食の用意をしていて、何かと無器用なチャクムは皿を並べていた。今日の当番は確か俺
の筈だったのに、何故二人が料理をしているのかと疑問に思った。窓の外を見ても太陽は
まだそれ程高くない、寝坊ではないようだ。
「あっ、おはようございます!! もうすぐ出来るんで、ササさん起こしてきて下さい!!」
 手際良く皿を人数分テーブルに置きながら、チャクムは笑みを向けてくる。食器棚へと
ターンする際にスカートと髪が翻り、陽光を反射して輝いた。
「何でお前らが作ってるんだ?」
「あ、いやー、何か昨日帰ってきてからお疲れだったみたいなので。迷惑でしたか?」
 普段のハイテンションからは想像も着かない程、気不味そうな顔をして頬を掻く。器に
野菜の煮込みを盛っているタックムも、どこか俺を心配しているような視線を向けてきた。
自覚は無かったが、そんなに疲れた顔をしていたのだろうか。確かに、キルマさん達から
聞かされた話は驚くものだった。一晩経った今だって、きちんと話の整理が出来ていない。
「何か、あったんですか?」
「それがな」
 言おうかと思い、しかし止めた。俺が集落長になるというものは、身内であるこいつら
にも深く関わってくる話だ。一人で決めるつもりは無いが、せめて自分の中である程度の
結論が出てからの方が良いと考える。下手に話して話が妙な方向に行くよりも、そちらの
方が建設的だ。特にササがどうなるか分からない今は。
909『半竜の夢』Take7:2007/04/17(火) 23:47:40 ID:bUFqFzJL
 取り敢えず二人の頭を撫で、ササを起こしに行こうとすると、玄関の扉をノックする音
が聞こえてきた。こんなに朝早くから誰だろうか、と思いながらそちらに向かう。クリヤ
達ならば問題無いが、それ以外の相手だったらチャクム達を向かわせる訳にはいかない。
普段は魔力の消耗を抑える為に、魔物状態のままだからだ。壁に角が刺さって慌てるドジ
な姿を先日目撃してしまったので、仮に変身が完璧でも完全に安心は出来ない。タックム
達が魔物だとバレてしまったら二人とも殺されてしまうし、俺もササも、ギリィから出て
いかなければならなくなる。今追い出されたら、それこそ一巻の終わりだ。
 悪い考えだ、と思いながら玄関を開く。朝早くの来訪者はクリヤとユマだった。二人が
揃って来るのは珍しいことではないが、二人が同様に難しい表情をしているのは珍しい。
 その表情の理由に、俺は心当たりがあった。
「集落長の話か?」
 頷く二人に居間に行くように促し、俺はササを起こしに向かう。逆鱗が出来ているのを
見たときは心配になったが、最近は比較的体の調子も良いらしい。勿論健康な者と比べて
みれば酷い状態だが、楽しそうに家事を行ったり本を読んでいたりする姿を見ていると、
このまま余裕で儀式の日まで持つのではないかと錯覚させられそうになる位だ。さっき俺
が起きたときだって、隣で安らかな寝息をたてていたのだから。
 寝室の扉を開くと、ササはもう起きていた。着替えを済ませて髪を鋤いている。
「あ、おはよ」
「おう、おはよう。メシが出来てるから、食うぞ。それと、大事な話がある」
910『半竜の夢』Take7:2007/04/17(火) 23:49:40 ID:bUFqFzJL
 首を傾げるササを背負いながら、居間に向かう。過保護かもしれないが、近くに居れる
時間はなるべく体にかかる負担を肩代わりしてやりたい。ササも楽しそうに鼻唄を歌って
俺の首に腕を絡めてきた。こちらに完全に体重を預ける姿勢なので、背中て胸が潰れたり
掌に尻の感触が当たっていたりと中々楽しい状況だ。
「や、そこは駄目」
 尻の肉を揉むのは良いが、穴の方をいじるのは禁止らしい。子作りのときの関係で半竜
が生まれないように尻ですることは割合ポピュラーだが、俺以外を相手にしたことがない
ササは抵抗があるらしい。びくりと体を強張らせ、抱きつく力を強くしてくる。その様子
が可愛くて、何度も尻の穴をこじっていると、
「良い加減にしなさい」
 首を絞められた。
 居間に入ると、家の主である俺を差し置いてユマとクリヤが勝手にメシを食っていた。
濃い出汁の匂いが美味そうなタレを遠慮なくおかずに垂らしクリヤは豪快に、ユマは優雅
に口に運んでいる。俺の記憶が正しければ、こいつらは俺が集落長になることについて話
をしに来たのではなかったのだろうか。少なくとも、メシが目的ではなかった筈なのに。
「あ、ササさんもおはようございます。お先に頂いておりますわ。このタレ、後で作り方
を教えて貰えます? とても気に入りました」
「いや、それはチャクムが作ったやつだから。料理するの下手なんだけど、味付けは凄く
上手いのよね。正直、これより美味しいのは食べたことないわ」
911『半竜の夢』Take7:2007/04/17(火) 23:51:16 ID:bUFqFzJL
「おぉ、凄いのう。片方は頭が良くて、片方は料理の味付け上手か。増々魔物にしておく
のが勿体無いのう。どれ、今度儂にも教えてくれんか? 最近は母上の好き嫌いが酷くて」
 誉められて照れ臭そうに笑いながらチャクムは頭を掻こうとしたが、手に角が刺さった
らしく小さく悲鳴をあげた。全くどこまでも締まらない奴だ。そこが長所だが。
「で、あんたら何しに来たの」
「おぉ、忘れておった」
 忘れたら駄目だろう、仮にもギリィの未来がかかった話なんだから。食欲の前に失せる
など、あってはいけない話だ。ギリィが平和だという証明でもあるが、二人とも実か馬鹿
なのではないかという疑問もある。以前から薄々感じていたことだ。
 だが一瞬で表情を真面目なものに変えると、主観的な意見を交えながら昨日俺がされた
ものと同じような話を開始した。野菜の煮込みを食いながらである、という状態なので、
やはりどこか馬鹿っぽいと言うか真剣身が足りなく見えるのが難点だ。椅子に座ってパン
をかじりながら、ササも真剣に聞いている。チャクムとタックムは、何故か目を輝かせて
何度も相槌を打っていた。俺はと言えば、どうするのかを考え中だ。
 話が終わるとチャクムは立ち上がり、
「つまり経過をすっ飛ばして言うと、クラウンさんが偉くなって美味しいものが食べ放題
でウッハウハの大満足エブリディ状態なんですね!? 良いじゃないですか!!」
「それは無いですわ。意外と普通のお給料ですの」
912『半竜の夢』Take7:2007/04/17(火) 23:52:55 ID:bUFqFzJL
 イェイとハイタッチをしていたチャクムとタックムは、ユマの一言で分かりやすく肩を
落とし、同時に溜息を吐いた。勝手にしたものではあるが期待が大きかっただけに、その
悲しみは大きいものだったらしい。個人的には精一杯の努力はしているつもりなのだが、
好き放題食べさせられなくて何だか申し訳なく思う。
「それで、どうするの?」
 ササの言葉に俺は頷きを一つ、
「やってみようか、と思う」
 騙された訳でも流された訳でもない、ただ俺に出来るならやってみようかと思ったのだ。
『時詠み』の言葉がどうとかじゃない、嘘だと思っている訳ではないが、少しでもササに
良くなってほしいと思ったからだ。負担はそれなりに増えるのだろうが、集落長になれば
なったでその分のメリットは少なからず有る筈だ。
 沈黙。
 数秒の無言の後で、ユマが笑みを見せた。
「これから、毎日一緒に仕事ですのね」
 気が滅入りますわ、と言いながらも頬は緩みっ放しで、隣のクリヤは何か化物でも見た
ような顔をしてそれを見つめていた。俺も意外に思った。いつも酷く不機嫌そうな表情を
浮かべていて、笑みを見せるときもどこかしら影があったよな感じがしていのに、こんな
表情も浮かべることが出来るのか、と。とろけるような熱を瞳に湛え、はしたなくも鼻唄
まで歌いだす彼女の姿は、正直に綺麗だと思った。
 そんなに嬉しいのか、と俺も笑みを浮かべそうになり、
「待ちなさいよ」
913『半竜の夢』Take7:2007/04/17(火) 23:54:05 ID:bUFqFzJL
 鈍音。
 テーブルを叩き、地の底から響くような低い声でササが呟いた。
 驚きに振り向いた俺が見たものは、これまでに一度も見たことの無いような酷く歪んだ
形相だった。俺の竜眼にも引けを取らない程に眉根を寄せた、鋭く凶悪な目付き。口唇は
震えながら捲り上がり、牙を見せる表情を作っている。噛み締めた奥歯は悲鳴が上がり、
強く握られた竜掌は鋭い爪が食い込んで鮮血を垂らしている。
 怒っている、なんてものじゃない。
 激昂している。
「これ以上クラウンを働かせて、あたしから離して、次はどうするつもりなのよ?」
「おい、落ち着かんか。竜害が加速するぞ?」
 うるさい、と睨んで、血に染まった爪を突き出した。赤い雫が先端から伝って落ちて、
テーブルの上に赤い染みを作る。怒りで昂ぶった魔力を多分に含んだそれは表面を焦がし、
鼻に付く臭いが辺りに漂った。爪を向けられたクリヤも事の深刻さに気付いたのか、俺に
困惑した視線を送ってくる。だが俺とて、解決方法が思い付く訳ではない。嫉妬深いササ
の相手を何年も続けてきたので、ある程度のラインまでならは対処の方法を心得ている。
だが、ここまで来ているのは初めてなのだ。
「すまん。謝るから、まずは手をどけてくれんか?」
「そう言って油断させて、後でクラウンを取るつもりなんでしょ!?」
914『半竜の夢』Take7:2007/04/17(火) 23:55:16 ID:bUFqFzJL
 傍目から見れば、言い掛かり以外の何物でもないと思うだろう。だが俺は知っている。
度合いが違うとはいえ、普段は温厚で、何だかんだ言いながらチャクムとタックムの世話
をするような優しいササが怒るときの原因はいつも一つだ。俺と離れるかもしれない、と
不安と恐怖を掛けたことによる暴走だ。
「ササさん、お、落ち着いて下さい」
「あんたが一番怪しいのよ!! クラウンが集落長をやるって言った途端にヘラヘラして、
笑って笑って、だらしなく牝犬のような顔をして!! もう皆嫌い!! 大嫌い!! 死ねば」
「駄目です!!」
 余程怖かったのだろう、涙目になりながらチャクムが立ち上がった。恐怖に小さな体は
震え、力のあまり入っていないように見える腕で辛うじて体を支えているような状態だ。
それでも一歩、また一歩と歩き、ササとの距離を詰めてゆく。
「あたしは馬鹿だから、細かいのとか分かりません!! でもクラウンさんは悩んで悩んで、
きっとササさんのことを考えて、それで一生懸命苦しんで、それで決めた筈なんです!!」
 だから、と大きく息を吸って、
「そんなに、そんなに我儘言わないで下さい!!」
 そして何を思ったのか、おもむろに竜角に噛みついた。頬をすぼめた途端にササの体が
崩れ落ち、大きな音をたてて床に打ち付けられる。目を閉じたまま、その体はぴくりとも
動かなかった。チャクムを見ると、悲しそうな瞳で見つめ返される。
「大丈夫です、ちょっと魔力を貰っただけですから死んでません」
 タックムを見ると、頷きが来る。ササの唇に耳を近付ければ、確かに呼吸があった。
「悪い、やっぱりさっきのは保留にしといてくれ。明後日には答えを出す」
 ユマとクリヤ、二人揃って複雑そうな表情で頷いた。
915ロボ ◆JypZpjo0ig :2007/04/17(火) 23:57:31 ID:bUFqFzJL
今回はこれで終わりです
916名無しさん@ピンキー:2007/04/18(水) 00:03:48 ID:BU+WO+ti
。・゚・(ノД`)・゚・。 ササかわいそう
917 ◆y5NFvYuES6 :2007/04/18(水) 01:20:27 ID:cHnwACBh
ちょっとした短編を思いついたので投下します。
またもや前後編構成となっております。
918小さな恋の嫉妬物語・前編 ◆y5NFvYuES6 :2007/04/18(水) 01:22:02 ID:cHnwACBh
ランドセルを背負った影が3っつ。
男の子が1人。
その両脇に女の子が2人。
仲良く並んで登校…遠目から見たらそう見えるであろう。

「ちょっと!引っ張らないでよ!」
右の女の子が左の女の子に向かって怒りをぶつける。
「そっちこそ!くっつき過ぎなんじゃないの!」
左の女の子が右の女の子に向かって怒りをぶつける。
「……はぁ。」
真ん中の男の子は溜息を吐き出し、がっくりと俯く。
男の子の右腕にしがみ付いてる女の子は、髪をツインテールにして、きつそうな印象を与える女の子。
男の子の左腕にしがみ付いてる女の子は、髪をショートにした、活発な印象をあたえる女の子。
どちらも与える印象は違うが、よく似た顔立ちをしていた。
恐らく双子であろう。
双子は互いに腕を引っ張りあいながら歩き。
男の子はその様子を諦めたかのような沈んだ顔で見ようともせず、ただ溜息をつく。

「大体なんであんたがいるの!早く起きた方が一緒に登校するって勝負したじゃん!」
「起きた時間は同じだったでしょ!」
「嘘言わないでよ!私の方が2秒早かったんだから!!」
「いーえ!本当はあんたより先に起きてたけど布団から出られなかっただけだもん!」
「この嘘つき!!」
「そっちこそ!!」
終始そんな調子で、教室で先生に怒られるまで双子は喧嘩を続けていた。
919小さな恋の嫉妬物語・前編 ◆y5NFvYuES6 :2007/04/18(水) 01:22:45 ID:cHnwACBh
男の子は「相葉巧」
ツインテールの女の子は「北条有香」
ショートの女の子は「北条美香」
3人はどこに行くのにも一緒の、産まれた時からの幼馴染。
3歳まではただの幼馴染という関係だった。
それが崩れたのは6年前。
3人が3歳になった頃。
ある時、相葉家で飼っている犬が双子に噛み付いてきた。
元々双子には懐いてなかった犬だったが、その時は機嫌が悪かったのか、いきなり強い力で噛み付いてきたのだ。
双子はあまりの痛さに泣き喚く。
犬は大型犬、まだ3歳の女の子は身を守る術すら知らず、ただ恐怖と痛みに泣くしか出来なかった。
丁度両親達も不在。
双子はあまりの恐怖に固まり、もうダメだと覚悟した――――その時。
「いじめるの、ダメ!」
双子と犬の間に割って入り、精一杯の勇気で立ち向かう巧。
その時から、双子の恋は始まった。

それ以来、双子は常に巧にべったりくっつき、今ではどちらが一緒にいるかで喧嘩するのが日課となっていた。
だがその双子にも最近注意しなければならない相手……つまり『ライバル』と呼ばれる者が現れたのだ。

「にいたんにいたん!!」
「ただいま、遥。」
小さな女の子が開いた玄関目掛けて走り、嬉しそうな表情で巧に思いっきり抱きつく。
その様子を双子は巧の後ろから睨みつける。
そんな双子には目もくれず…というか、最初から居ないかのように全く気にしていない様子の女の子。

相葉巧の妹、相葉遥。
弱冠4歳にして、双子にライバルとして認識されている(双子にとっての)危険人物である。
920小さな恋の嫉妬物語・前編 ◆y5NFvYuES6 :2007/04/18(水) 01:25:31 ID:cHnwACBh
「にいたんにいたん。」
「なぁに?」
巧は遥と目線を合わせる為、しゃがみこむ。

「(あ、あんなに顔を近づけて…!)」
「(私だってあんなに顔近づけた事ないのに!)」

双子は揃って唇を噛み締める。
遥は小さな手を開き、小さな輪っかを巧に差し出す。
「ゆいわ!作ったの!にいたんのよ!」
「お兄ちゃんに作ってくれたの?ありがとう!大事にするよ。」
にっこり微笑み、巧は嬉しそうに遥の頭を撫でる。
「ゆいわかして!はるかがにいたんにつけゆの!」
そう言い、巧の手から指輪らしきものを取り上げる。
「うん。じゃあお願いするね。」
双子に嫌な予感が走る。
「えへへ…にいたんとはるかのだいじだいじのゆいわ〜♪」
そんな歌を歌いながら左の薬指に指輪をはめていく。
「つぎはにいたんがはるかにゆいわつけて〜。おんなじとこによ。」
はいっとお揃いの指輪を渡し、にっこり微笑む。
「はいはい。じゃあつけてあげるね。」

「「(これってまさか…!?)」」

双子の嫌な予感は的中した。
これは俗に言う、結婚式ごっこというやつだ。
巧はどうやら気づいてないようだが、遥はわかっていてこれをやっているのだろう。
双子はなんとしてでも止めようと、2人に駆け寄る。
だがそこに白い影。
「ワンッ!」
「「ひっ…!」」
昔、双子を噛んだ犬だ。
双子は噛まれてからというもの、この犬が大の苦手になってしまったのだ。
犬はまるで2人を守るかのように門番の役割を果たす。
そうしている内に巧は遥の小さな指に指輪をはめようと、遥の手をとる。
「「あああぁぁ〜〜〜!!!!」」
指輪は遥の左の薬指にはまる。
それを嬉しそうに、子供とは思えない程『女』の表情を浮かべて喜ぶ遥。
「こえでにいたんとはるかはずっといっしょなのよ。」
「そうだね、お兄ちゃんはずっと遥の傍に居るよ。」
巧は遥の頭を優しく頭を撫で、愛しそうに目を細めて見つめる。
その姿はどこからどう見ても仲の良い兄妹にしか見えなかった。
――が、そうは見れない者が2名。
双子は握り拳を作り、悔しそうな目でそれを見つめながら逃げ去るかのように玄関の戸を閉めた。

その様子を俯きながらも横目で見ていた遥は。
口の端を吊り上げ、双子を嘲笑うかのような微笑を湛えていた。
921小さな恋の嫉妬物語・前編 ◆y5NFvYuES6 :2007/04/18(水) 01:27:53 ID:cHnwACBh
「なんなのよあの子!!!!」
有香はベッドにあったクッションを掴み、思いっきりドアへと叩きつける。
その反動でツインテールの髪が揺れる。
「ああーーーー腹立つ!!絶対あいつ見せ付けてた!」
美香は机を強く叩き、悔しさを露にする。
「何も知らない私の巧君にあんな事して………!!」
「…ちょっと、今聞き捨てなら無い言葉が聞こえたんだけど?」
「気のせいじゃない?」
しれっとシラを切る有香。
「言っておくけど、巧君は私の物なんだからね!あんたの物じゃ絶対ないから!っていうかありえないから!」
美香も負けじと言い返す。
「何よこの男女!あんたみたいな女巧君が相手にするわけないじゃない!」
「なっ…!なんですって!私とあんたなら、巧君が相手にしないのは蟹女の方でしょ!」
「蟹言わないでよ!この髪型気に入ってるんだから!」
そう言い、有香は2つの髪の束を掴んで睨む。
「何度でも言ってやるわよ。この蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹!!!!」
「言うなって言ったでしょーがーー!!」
思わず掴み掛かろうとするが、はっと先程の光景を思い出し。
「…こんな事してる場合じゃないじゃない!」
「それもだったわね…。」
双子は真剣な表情で黙り込む。
「……いっそあんな子、居なくなっちゃえばいいのに…。」
ボソっと、美香が呟く。
「…!?」
有香が何かを思いついたかのような表情をし、まるで悪戯を思いついたかのような笑みを浮かべ。
「それよそれ!」
「は?」
「あの子が居なくなればいいんだ。そしたら巧君は安全になる!」
「それはそうだけど、でもあの子が勝手に居なくなったりするわけないよ。」
「そんなの私だってわかってるもん。だからさ…。」
双子は顔を近づけ。
「あの子をどこかに置いてきちゃえばいいんだよ…。」
「ええーーっ!?」
思ってもみなかった有香の言葉に、美香は若干の戸惑いを覚えるが。
遥が居なくなった時の事を考えると、それもいいかと思い。
「…いいアイディアかも、それ。」
双子は互いの顔を確認し合うかのように見つめ、固い決心を秘めた目で頷き合う。


さて、双子は愛しい彼を泥棒猫の魔の手から引き離す作戦を思いつく事が出来るのでしょうか。
922 ◆y5NFvYuES6 :2007/04/18(水) 01:28:41 ID:cHnwACBh
後編は明日になります。
では、また。
923名無しさん@ピンキー:2007/04/18(水) 01:49:34 ID:3GBZwSqX
イヤッホオオオオオオオオオオオオオオオウ!
「携帯食料はちゃんとお持ちですか?」
「うん」
「異動命令書など、書類は忘れておりませんか?」
「…ん、大丈夫」
「蹄鉄の確認はしましたか?」
「あ、乗馬は苦手だから馬車で」

 最後に騎士らしからぬ発言をしつつ、荷物を確認する。
大して大荷物というわけではないが、国境沿いの駐屯地までの短い旅には違いない。
忘れ物がないかしっかり確認しないと。

「………それでしたら―――」
「ははっ。大丈夫だってば。
シャロンちゃん、今日はなんだか母さんみたいだね」

 俺が茶化して笑うと、シャロンちゃんは無表情ながらも、
やや不機嫌そうに――彼女のこの辺の機微は最近やっと解った――口を噤む。

「急に旅立つことが決まったのですから、何か抜けてるところがないか心配するのは当然のことでしょう」
「ごめんごめん、はははっ…」

 非難するような視線に謝罪。
荷物整理に付き合わせてしまっている負い目もあって、俺はただ苦笑するしかなかった。


 明日の早朝。
俺は王都を旅立つことになっている。
勿論、配属先である第零遊撃隊と合流するためだ。
本当は訓練部隊の解散まではまだ日にちがあるのだが。
何でも戦姫のたっての申し出ということで他の皆よりも早く王都を出ることになった。

 そういうわけで、こうして荷物の整理に追われてるわけなのだけど。

「―――そうそう。シャロンちゃん?」
「なんでしょう?」

 一点の曇りもなく俺を見つめるシャロンちゃんの瞳が。

「訓練部隊も間もなく解散だけど、シャロンちゃんはその後どうする予定なんだ?」

 微かに揺らいだ気がした。

「―――予定、と言いますと?」
「だってほら、皆はそれぞれ部隊に配属になるだろ?
給仕係のシャロンちゃんとか、俺たちを世話してくれた他の使用人さんたちは何処の仕事場になるのかなって」

 考えすぎだろうか。
シャロンちゃんは何かを言いたげに、だけどそれでも言ってはいけないかの如く固く口許を結んでいるように見受けられる。

「ゎ……私が次に何処にお仕えすることになるのか、まだ決められていないそうです。
解散までそう日もないですから、数日中には辞令が来るかと思うのですが……」
 シャロンちゃんにしては珍しく、少しだけ声を詰まらせて答える。
少し変だな…と首を傾げたものの、俺が知る限りでは彼女はいつもの表情だった。

「……そう。でも、まぁ……王都でやってる限りはまた会うこともあるかもね。
戦姫の部隊が王都に戻ってくることはそうそうないから、戦争が終わるまではどの道無理だろうけど……」
 無論、それは俺がこの戦争を生き延びられれば――の話ではあるが。

「そう、ですか……」
「ま、縁があったらまた会うだろうし」

 再会の約束なんてのは出来そうにない。
これが家族であれば願いにも似た、ある種の儀式的な意味で再会を誓い合うものなのだろうが……。
幸か不幸か、俺にはそういう人物はもういない。おかげで後ろ髪引かれるような気分にもならずに済みそうだ。


「………」
 僅かの沈黙の末。


「――これでよし、と」
 全ての荷物の確認を終え、俺はバシッと膨らんだバッグを一叩きした。
とりあえず準備は完了だ。後、王都を出る前にしておかなくちゃならないことと言えば―――。

「シャロンちゃん、ちょっとマリカに挨拶してくるから、悪いけどこれで……」
「…そうですか……」
 やはり。
シャロンちゃんは何かを言いよどんでる気がする。
彼女とは短い付き合いだし、確証もないが。
何となくそう思った。

「シャロンちゃん?今日はちょっと変じゃない…?」
 頭の中で考えたって埒が明かない。
わからないことは本人に直接訊くのが一番だ。
…と、軽い気持ちで尋ねたのだが。

「……ウィリアム様」
 彼女の声は酷く真剣だった。
そもそも差して声色の変化するような人物ではなかったけど。
表情もいつもと変わらない、仏頂面ではあったのだけれど。
 ただひとつ、違うとすれば。真っ直ぐに俺を見つめる瞳の奥には彼女なりの"真剣さ"みたいなのが窺い知れた。
だからだろう。いつもと違う声色に聞こえたのは。

「な、何?」
「どうか―――ご武運を」

 たった一言。
その一言だけだったけど、彼女の気持ちは嫌というほど伝わってきた。
死地の真っ只中に送り込まれることも珍しくない、第零遊撃隊。
これが俺と彼女との、最後の会話になるとしてもおかしくないのだ。

「………今日は本当に。
――母さんみたいだよ」
 その彼女の気持ちにはとても応えられそうになかったから。
俺はまた、茶化して誤魔化した。




―――――――――・・・・・




「………マリカ」
 シャロンちゃんと別れてから、俺は城中を捜し回った。
捜して捜して、捜し回った挙句の、陽ももうすぐ落ちようかという頃。
彼女はそこに独り立っていた。

「……墓参りかい?」
「ケノビラックか………いいのか?旅支度は」

 近づきながら声を掛けると、彼女は俺に振り向くことなく一点を見つめたまま答えた。

「それならもう済んだよ」
 彼女に倣い、その視線の先に目をやる。

雑多に置かれた墓石。そのどれにも名は刻まれていない。
城の一角で此処は最も薄暗く、特に用事がなければ先ず訪れることがない場所。

――無縁墓地。
戦中に様々な理由によって名を明かせない者たちが、殉職の末眠る場所だ。
此処に眠る者たちは、諜報活動をやっている――まぁ有体に言えばスパイが殆どなのだが。

そういう者たちの中に交じって一人、騎士の爵位を受けた者が此処に眠っている。

 エリオット=ジュダス。
王国騎士に選ばれながら、マリベル王女暗殺を目論んだ敵国のスパイ。
……そして、同僚のマリカに殺された男。

 本来なら彼の遺骸はゴミのように捨てられる定めにあったのだが。
マリカの強い要望で今はこの墓地に埋葬されている。
多くの騎士たちから諜報部員たちを冒涜する行為だと猛反対を受けていたのだけど。
それでも彼女は意見を曲げることなく、果ては彼女が最も忌み嫌っていたトリスタン家の力を使ってまで
半ば強引にエリオットの遺体を此処に埋めさせたのだ。

「昨日……な」
 不意にマリカが口を開く。
すこし疲れているようにも見えたが、彼女の瞳にはまだ輝きが失せていなかった。

「……ジュダスの遺族に会った」
「え?」
 彼女の視線はまだ墓に注がれたまま。
俺だけ驚いて彼女の横顔に目を向ける。

「……どうもあいつは北の貧しい農村生まれらしくてな。
件の顛末と、彼の死を報告しに行ったのだが………とんぼ帰りだったせいもあって少し疲れた」

 ふぅ、と肩を落としてため息をひとつ付く。
なるべく重荷ではないことを示すように、わざと大袈裟にため息を付いているのがすぐに解った。

「……それで?」
 マリカはきっと誰かに話しておきたいのだろう。
数日前の、あの事件のときの落ち込みようは尋常ではなかったし、これくらいは力になってあげないと。

「彼の両親はまぁ、なんとか解ってくれたのだが……妹の方がな……」

 何処を見つめるでもなく顔を上げ、苦い顔をするマリカ。

「妹……?」
「ああ。ジュダスには年の離れた病弱な妹がいたんだが……その彼女に張り倒されてしまった。
――兄を返せ、と。
本当はベッドから出られない身体なはずなのに、飛び起きてわたしに掴みかかってきたよ」

 そういえば。
エリオットは割と口数が多かったはずなのに、今思い返しても彼から昔のことを聞いた覚えがない。
せいぜい実戦経験があった、というくらいで何処の傭兵部隊にいたのかすら、俺は知らなかった。

「よく……家族に会おうなんて気になったね」
 自分が殺した者の家族と面会しようなど、相当の勇気が必要だったはずだ。

「……まぁ、自分への戒めかな。
わたしは騎士を続けると決めたのだ。これから先のことを考えれば、こんなことくらい――…と。
 話を削いでしまったな……。で、本題の方だが。
………彼らに会ったとき、そこでジュダスの父親から聞いて初めて知ったんだが……。
つい先日、大量の銀貨が彼らの家に送られてきたらしい。それまでの生活を充分立て直せるほどの大金がな」

「それって……」
「――ああ。間違いなく"報酬"だろう。
企て自体は失敗したというのに、律儀なことだ。いや……成功・失敗の如何に関わらず送られる前金だったのかも知れないが。
ともかく、これでヤツがなぜ敵国に身を売ったか、理由は解ったわけだ」

 それでもマリカの顔が晴れるはずもなく。相変わらず苦い顔で墓石を眺めている。

「……よくある、話だよ」
 それだけ、俺はマリカに返した。
……そう。よくある話。
貧しい家族。病弱な妹。彼らを養うため。
こんなご時世だ。そんな話はそこら中に転がっている。
同情するつもりはない………が、かといって彼の行動を非難する気もない。
俺とて、それが必要なことだったとすれば、きっと―――。

「わたしは、姫様の命は救ったが……その代わりジュダスの家族を不幸にしてしまったのだろうな。
遺族に彼の遺体を引き渡すことすら叶わぬとは……。彼らにとって、わたしは疫病神に他ならない」

 辛いわけでもなく、悲しいわけでもなく、無表情にただ淡々と呟く。
エリオットの家族には大金が入った。生活には困らない。マリカのおかげで国から糾弾されることもないだろうが……。
それでも売国した者の家族としてずっと罵られるだろう。きっとこの国には居られないはずだ。

「………だけど、そうしなきゃ……あそこで代わりに転がっていたのはマリカだった」
「……そう、だな……」

 戦争なんて、そんなものだ。
どちらかが不幸になるだけ。かと言って、不幸にならなかった方が幸せになるわけでもない。
俺たちはこれから――いや、俺の方はもうどっぷり浸かっているか――そういう世界に足を踏み入れようとしている。
彼女が騎士を続ける道を選んで、果たして正解だったのかどうか……今はまだ解らない。

「大丈夫だ、これくらい。
そんな顔をするな。………覚悟はもう、ついている」

 俺の表情に苦笑すると、再び視線を墓に戻し呟く。
俺はそれを黙って見つめていた。

「それよりも。
ケノビラック、お前に渡す物があるんだが」

 何かに気付いたように、俺の方へ身体を向け歩み寄る。
暗がりだったせいで今まで気付かなかったが、彼女の手には麻布にくるまれた長い筒らしきものが握られていた。

「……俺に?」
「…まぁ、そんなところだ。いいから受け取れ」

 自分を指差しながら尋ねる俺から目を逸らし、ややぶっきら棒にその麻布を突き出す。
少し面食らいながら乱暴に突き出されたそれを受け取ると、その拍子にずしりとした重みが二の腕に伝わった。
どうやら結構な重量の品物らしい。

「それじゃあ………って、これ――」
 麻布が解かれ、その中にあったものが姿を現す。
 黒光りする鉄の長筒。それが二本。
それは見るからに質のいい鋼鉄製の鞘だった。長さは騎士団に支給されているものよりも少し短い。
……間違いなく、俺の剣に合わせて作られたオーダーメイド品だ。

「お前ときたら騎士になってもまだ、そんな安物の革製をぶら下げているからな。
王国騎士たる者、身だしなみくらいはちゃんとしろ」

 説教するように腰に手を当て、そう言うが。
それにしたって……こんな良質な鉄、刀身にだってそうそう使われるものじゃないぞ。
俺じゃ眩暈がしてしまうほど高価な代物のはずだ。

「いや……だけど、さ……」
「つき返されてもわたしには使えないぞ、それは。
お前の剣に合わせて作られた物だ。わたしの剣には合わん」

 今腰にぶら下げている鞘は、傭兵時代からずっと使っているなめし革の鞘だ。
騎士が使っている支給品の剣とは剣幅も刀身の長さも違うため、サイズが合わずやむなく引き続きこれを使っていた。
それも縫い目が解れて、そろそろ交換どきだったから丁度いいと言えば丁度いいのだが……。
だとしても、この鉄鞘は俺が持っていいような品物じゃないだろう。分不相応すぎる。

「なんだって急に……」
「本当は部隊の解散式のときにでも……と思ったのだが。お前の転属が早まったからな、今日中に渡しておこうと思って。
それに丁度いい。事件のとき助けてもらった礼もしたかった」

 手持ち無沙汰らしく腰の剣柄に手を置き、口早に答えた。
どうやらこういう贈り物には慣れてない様子で、右足、左足にと交互に重心を移して落ち着きなくもぞもぞしている。

「礼って言ったって、俺はなんにもしてないじゃないか。
マリカのところに行ったのだって全部終わった後だったし……」

「だが、その後で色々わたしを励ましてくれただろう?それだけでこの鉄鞘では相殺できないくらいの恩だ。
こちらとしては、わたしの未来がそんな鞘程度の価値しかないと思われやしないか不服なくらいなのだがな」

 一瞬の間。

「それに……あのとき、お前の顔が浮かばなければ……今頃――――」

 そこまで声に出してマリカは口を閉じた。
その様子を訝しく思って彼女を見つめるが、暗がりのせいで顔色は良く解らない。

「とにかく、だ。
お前がそれを受け取らなくてもゴミ箱行きになるだけだ。
……ならば、建設的に利用した方が得策だろう?」

 少し声のトーンを上げて、仕切り直しとばかりに肩を竦める。
……まぁ、彼女がそう言うんであれば受け取らない方が失礼ってものかもしれない。

「……わかったよ、そういうことなら有難く受け取ることにする。
それじゃあ―――」
 そう言ってベルトの留め金を外し、革製の鞘と彼女の贈り物を付け替える。
彼女が固唾を呑んで見守っているのが気になって、少しモタついてしまう。
なのに傍から「グズ」「ノロマ」とヤジが飛んでこないのは拍子抜けだったけど。
静かな城内の一角を、カチャカチャと鉄の擦れる音だけが響いていた。

――あー……この気分、あのときと似てるなぁ。
村の豊穣祭の衣装をキャスに仕立ててもらったとき。初めて袖を通したときもこんな感じだったっけ。
食い入るような視線に邪魔されて上手く服を着れなかったのを、今でもよく覚えている。

 マリカの視線を誤魔化すため、昔のことを思い出しながら対の剣を鉄鞘に挿し換える。
刀身が完全に鞘に仕舞われる瞬間、カチンと小気味良い音と感触が伝わってきた。安い革物では味わえない感触だ。

「……と。ど、どうかな?変じゃない?
…やっぱり鉄製はいいね。すっぽり剣が収まる感じがする」

 彼女に背を向け、腰の部分で交差されている鞘を見せる。……なんだか少し気恥ずかしかった。

「………」
 それを堪えて尋ねてみたというのに。
マリカはぼうっとしていて返事を返して来なかった。

「あ、あれ?マリカ……?付けてみたんだけど……おーい?」
「え?…あ、ああ。まぁ悪くは、ないぞ。少しは騎士らしくなったかも知れないな」

 そんな生返事の後、目線を逸らしてコホンとひとつ咳払い。
……なんでマリカが恥ずかしがるんだ?

「そ、それより、重さはどうだ?
いきなり鉄製に変えたんだ、動きを阻害される感じがする……なんてことはないか?」

「いや、ちょっと違和感あるけど、これくらいならすぐ慣れると思う」
 鞘に収まる感触が心地よくて何度も抜き挿しする。
カチンカチンという音にしばし陶酔。

「……?何をしている?」
「いやぁ……この抜き差しが凄く気持ちよくて……クセになりそうだなって」

 剣を抜いて。
シュッ。
 挿して。
カチン。
 抜いて。
シュッ。
 挿し―――

「……マリカ?どうしたの?なんか顔が赤いけど……」
「……やかましい」

 マリカが少し紅潮した顔で剣柄を眺めていたので、不思議に思って尋ねたのだが。
なぜか怒られてしまった。

「まあ、ともかく。おかげでいい門出になりそうだよ。
大切に使わせてもらう。ありがとう、マリカ」

「ふっ…。あぁ、是非そうしてくれ」
 俺から麻布を受け取り、彼女は微笑む。

「さて、と。明日は早いからそろそろ部屋に戻るよ」

「確か、早朝出立だったな?すまないが見送りはできんぞ?」
「ん、大丈夫だよ。部隊はまだ解散してないんだ。そっちを優先した方がいい」

「……代わりと言ってはなんだが。
ウィル、ちょっとこっちへ」

 ちょいちょい、と指で俺を招き寄せるマリカ。
その仕草がかなり優しげだったのが、正直言ってかなり不気味だ。

「な、なに?」
 おっかなびっくり、首を竦めつつ彼女に近づく。
話をするには近すぎるその距離。こちらの鼓動が向こうの耳にも届きそうだ。
拳が飛んでくればとても避けられる自信がない。
でもこの距離なら剣を抜かれることはないから斬りかかられるよりはマシか。
というか、そもそも俺はマリカに殴られるようなことしたっけ、いや待て、ついさっき怒らせたば―――

 そんな風に割と失礼なことを考えていたら。

「あ……」

 マリカが俺の背に手を回していた。
少し驚いたけど、彼女が着てる鎧のおかげで変にマリカの"女の子"の部分を感じなかったのは幸いだった。
……なんとか声が上擦るだけで済んだ。

「……ちょっと、あの、マリカ?
これはいったい……なんの……うっ!?」

 前言撤回。
彼女の髪が俺の首筋を撫でた。ぞわりと気持ちいいような、気持ち悪いような鳥肌が全身を走る。
 こういうときはホントに困る。
普段は甲冑と男勝りな性格の陰に隠れて見えない、彼女の女の部分。
それが不意打ちまがいに表に出てくると、何でもないはずの事でも妙にドキッとしてしまうわけで。
早いところ彼女を引き放さないと俺の心臓がもたない――そう思って、凝り固まった両腕を彼女の肩に掛けようとした瞬間。

「―――貴公に、ヨセフの加護があらんことを」

「……え?」
 俺に抱擁したまま、マリカはこの国を建国した初代国王の名を囁いた。
兵士となった家族を見送る際、この国でよく使われる祈りの言葉だ。
残された者が、旅立つ者の無事を祈る言葉。

「お前のことだ、このようなしきたりの類は何も済ませていないのだろう?」
 背中に回された彼女の手に、僅かに力が篭る。辛うじて聴こえる彼女の囁き声はほんの少し掠れていた。
「ま、まぁ……そうだけど」
「まったく…このうつけが。こういうことは大事だと、いつも言っているだろう」
 やっぱり彼女の声は、少し掠れていた。

「元気でな、ウィル」
「……うん。マリカも」

 シャロンちゃんといい、マリカといい。少しナーバスになりすぎだ。
知り合ってたった一月ちょっとの人間に。
おかげで俺も少し―――。

 なんだかんだで結局後ろ髪を引かれる気分になっている自分に気付いて。
それを誤魔化すように、俺もマリカの背中に手を回した。
今回は以上です。
934名無しさん@ピンキー:2007/04/18(水) 03:28:57 ID:zh573g32
投下ラッシュが来たから立てておいた
嫉妬・三角関係・修羅場系総合SSスレ その34
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1176833744/
935名無しさん@ピンキー:2007/04/18(水) 03:34:31 ID:wHWIxvHK
>>933GJ!!
やっぱりあんた最高だぜ!
936名無しさん@ピンキー:2007/04/18(水) 03:44:19 ID:GuXhYDnx
ひさびさの投下ラッシュktkt
937名無しさん@ピンキー:2007/04/18(水) 13:59:06 ID:kWMngpSI
投下はいいが駄作ばっかじゃなー
938名無しさん@ピンキー:2007/04/18(水) 14:10:12 ID:3GBZwSqX
イヤッホオオオオオオオオオオオオオオオウ!


ウィリアムエロいよウィリアム
939名無しさん@ピンキー:2007/04/18(水) 15:19:25 ID:PGUgNwA+
>>937
日本語がおかしいですよ
940名無しさん@ピンキー:2007/04/18(水) 17:25:06 ID:8dq8Eham

                   γ⌒丶    I don't know, but I've been told
                  / =O=ヽ     Eskimo  pussy is mighty cold!
                  ̄(,,゚Д゚) ̄   Mmm good! Feels good!
                   /”つ C′    Is good! Real good!
                  人 Y        Tastes good! Mighty good!
             (( (( (__(__)         Good for you! Good for me!

                   ____    ____    ____    ______o
                  L__o__|_ L__o__|_ L__o__|_. /      /
  Haa Haa Haa        (,, ´∀`)  (,, ´∀`)  (,, ´∀`)  /____/
    ____         _( つΥ⊂_( つΥ⊂_( つΥ⊂   ____   ./
    L__o__|_      L__o__|_ L__o__|_ L__o__|_   L__o__|__/
 〜 ( ;´3`)    (( (((,, ´∀`)  (,, ´∀`)  (,, ´∀`)   (,, ´∀`)./
 〜( つ ⌒ つ     _( つΥ⊂_( つΥ⊂_( つΥ⊂    (  つ つ
 〜 人  Y       L__o__|_ L__o__|_ L__o__|_     人  Y
   (__(_)   (( (((,, ´∀`)  (,, ´∀`)  (,, ´∀`)    (( (__(_)
             ( つΥ⊂ ( つΥ⊂  ( つΥ⊂
  >>937↑         人  Y    人  Y   人  Y
        (( ((  (__(_)   (__(_)   (__(_)
           ZUM!  ZUM!  ZUM!
941名無しさん@ピンキー:2007/04/18(水) 17:43:34 ID:Zzm1I1b4
>>934
明らかに早えよハゲ
942名無しさん@ピンキー:2007/04/18(水) 17:55:55 ID:RxfskdRx
>>937
>>941
せっかく投下が来てるんだ、皆絶対に手を出すなよ!!
943名無しさん@ピンキー:2007/04/18(水) 20:13:21 ID:zWbYE+1K
テンプレ改変までやるとは姑息な。ガン無視放置でOKだっけか、こういう場合。
944名無しさん@ピンキー:2007/04/18(水) 20:27:34 ID:fMWSdikt
別にイイジャナイ

まあ、今更かもしれないけどテンプレ書き込みしとけばいいだろうよ
945名無しさん@ピンキー:2007/04/18(水) 20:35:12 ID:XJNxObI1
”なるべく”ってのがはいってるからそこまでギャーギャーいうほどでもないだろ
946名無しさん@ピンキー:2007/04/18(水) 21:00:39 ID:RxfskdRx
誰かここに正規のテンプレ貼ってくっれないか?
お願いします。
947名無しさん@ピンキー:2007/04/18(水) 21:05:13 ID:XJNxObI1
>>3みろ
948名無しさん@ピンキー:2007/04/18(水) 21:15:47 ID:RxfskdRx
>>947
いや、>>3なのか>>5なのか迷ってるんだ・・・
よかったら教えてくれまいか
949名無しさん@ピンキー:2007/04/18(水) 21:22:28 ID:YKzJ9wuf
両方使っちゃっていいと思うよ
重複する部分も有るけど

あと君は941に謝っとけ
950名無しさん@ピンキー:2007/04/18(水) 21:37:10 ID:RxfskdRx
>>949
有難う。ちょっと今から必要だったもので・・・

あと>>941
疑心暗鬼になって馬鹿なこと書いてしまって本当にすいません。
951名無しさん@ピンキー:2007/04/18(水) 21:51:45 ID:RxfskdRx
今回のスレ立てでは色々と批判・非難が出ていたようなので、こちらに来て頂ければ幸いです。
一応まだ作者さんは来ていない様なので・・・

嫉妬・三角関係・修羅場系総合SSスレ その34
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1176900238/l50

952サイコロ ◆CM02jdYOrY :2007/04/18(水) 22:00:40 ID:RxfskdRx
身分証明です
953名無しさん@ピンキー:2007/04/19(木) 21:33:29 ID:QoyljwK3
滑稽だな
954名無しさん@ピンキー:2007/04/19(木) 21:36:13 ID:1OGQLC+4
ウコッケイだな
955 ◆y5NFvYuES6 :2007/04/20(金) 00:39:25 ID:WDy9haoV
申し訳ありません。
予想より長くなってしまった為、一日遅れました。
後編投下します。
956 ◆y5NFvYuES6 :2007/04/20(金) 00:40:11 ID:WDy9haoV
二段ベッドの下段にショートカットの女の子。美香。
2つ並んだ勉強机。その1つの椅子にツインテールの女の子。有香。
部屋はペアになっている物が多く、2人の少女のそっくりな容姿と相まって全てがペアになった不思議な空間となっている。
今この女の子らしい可愛らしい部屋には似つかわしくない空気が漂っている。
それは部屋の主である2人の少女の真剣な眼差しと、その背後から滲み出ているかのようなどす黒いオーラによるものであろう。
先に口を開いたのはツインテールの女の子だった。

「で、どうやってあいつを巧君から離すかだけど…。」
「うーん、正当にいってもあいつ結構頭いいから…。」
「こういう時は作戦を考えるのよ!」
「作戦………。」
有香と美香はそっくりな顔で暫く宙を仰ぎ、考えを巡らせていた。
と、美香がゆっくりと口を開く。
「…こんなのはどう?」
「なになに?」
有香はわくわくしながら顔を近づけ、美香の思いついた言葉を待つ。
「今度巧君と出かける約束あったでしょ?その時に、あいつだけ違う電車に乗せるの。」
どうだ!と、自信満々に言い放つ。
だが有香の表情はどこか不満そうだ。
「…つまんない。」
「はぁ?」
「つまんないわよそんな作戦!」
「つまんないってあんたねぇ……。」
「そんな作戦却下!だ〜い却下!」
腕で大きくバツを作り、断固拒否の意志を貫く。
美香は呆れの篭った大きな溜息をつく。
「じゃああんたは何かいい作戦思いついたの!」
「ふんっ、当然じゃない。」
「言ってみなさいよ…。」
不満気な顔でベッドに座りなおし、腕を組む。
「聞いて驚くんじゃないわよ……。」
「う、うん…。」
ごくりと生唾を飲み込み、何を思いついたのかワクワクしながら言葉を待つ。
957小さな恋の嫉妬物語・後編 ◆y5NFvYuES6 :2007/04/20(金) 00:41:06 ID:WDy9haoV
「あいつをダンボールに入れて、誰かに拾ってもらうの!」
「……。」
美香は呆れと落胆の表情で有香を見つめる。
「な、何よ、『拾ってください』って書けば誰か拾ってくれるでしょ!」
自分を見つめる目に呆れが篭っているのに気づいたのか、慌ててフォローする。
が、逆効果であったらしく、美香の呆れの色は益々濃くなる。
「…あんたばっかじゃないの。」
「なっ!バカにバカって言われたくない!」
「犬猫じゃないんだから、そんなのに引っかかる奴いるわけないじゃん。」
「う…、でももしかしたら拾ってくれるかもしれないじゃない!」
「ありえない!」
「そんな事無い!」
2人はそっくりな顔を近づけ、互いに睨みつける。
「……じゃあいいわ、妥協してあげる。」
「妥協って………まあいいけど。」
このまま喧嘩を続けていても平行線になるだけというのは互いによく解っているらしく、喧嘩は中断する事となる。
「あとは、あの子を教会に預けるとか!」
「教会?」
何故教会が?と、美香が疑問を持つのも仕方が無いだろう。
それ程有香の発言は意味不明だった。
「漫画とかでよくあるじゃん。教会で拾われた子が施設で育って〜…っていうやつ!」
「あんたさぁ…。」
今回二度目の、大きな溜息を吐き出した美香であった。
「これなら文句ないでしょ!」
美香とは対照的に、胸を張って自信満々の有香。
「文句っていうか、どこから突っ込んだらいいのかわかんないよもう。」
「む、それどういう意味よ。」
「その通りの意味!あんたの作戦どれもダメ過ぎ!!」
「なっ、なんですってぇ!」
「どれも実行したら警察に保護されて終わりでしょ!」
「…そ、そう?」
「そう!!」
途端に自信がなくなったのか、有香はしょんぼりして心なしかツインテールの跳ね具合も悪くなったような気がする。
「もう私の作戦に決めるからね。」
「な、なんであんなパッとしない作戦なのよぉ…。」
「文句言わない!あんたの作戦は穴だらけなんだから私の使うしかないじゃん。」
「……むぅ……わかったわよぉ……。仕方ないから妥協してあげるわ!」
不満そうにフンッと鼻を鳴らし、美香の立てた作戦に同意せざるおえない現実を受け入れる。

かくして、双子の作戦は決まったのであった。
958小さな恋の嫉妬物語・後編 ◆y5NFvYuES6 :2007/04/20(金) 00:42:09 ID:WDy9haoV
数日後―――。

「巧君早く〜!」
「早く来ないと置いてくよー!」
「ま、待ってよぉ……。」
「にいたんまってまって!」
有香、美香、巧、遥の4人は電車の改札を走りながら通っていく。
美香の手には可愛らしい袋がぶら下がっており、買い物をしてきた帰りだというのが窺える。
だが4人が駆けるのにはまだ若干時間が早い。
まだ電車が発車する時間ではない筈だが…これこそが、双子の立てた作戦の一端であった。

「もー、早いよ2人とも…。」
走るのが遅い遥を抱えながら、階段を駆けてきた巧は息を切らし、その様子を遥が心配そうに見ている。
「にいたんいじめるのだめ!」
頬をむっと膨らまし、双子を睨む。
双子はそんな遥には目もくれず、目当ての電車を目で追う。
双子の目が1番線のホームに止まっている電車で止まる。
どうやらこれが目当ての電車のようだ。
「ほら、電車来てるよ。」
「早く乗ろうよ。」
双子は互いの顔を見合わせると、巧の腕を強引に掴んで電車へと乗せる。
そのすぐ後から遥がとてとてとついてくる。

4人は一番前の車両に向かう為歩いている。
それは作戦の為であった。
車内には人が殆ど居ず、巧はその様子を見て首を傾げる。
「ねぇ、ホントにこの電車で合ってるの?」
双子は動揺を表に出さぬよう勤め、笑顔を浮かべながら。
「「気のせい気のせい。」」
なんとか巧を安心させようとする。
巧は2人の動揺に気づきもせず、言われた事を鵜呑みにして安堵の表情を浮かべる。
「そっか、僕の気のせいだったんだね。」
双子はほっと胸を撫で下ろす。
959小さな恋の嫉妬物語・後編 ◆y5NFvYuES6 :2007/04/20(金) 00:43:13 ID:WDy9haoV
「…ああぁぁぁ〜〜〜〜!!」
突然、有香が少々わざとらしいすっとんきょんな声を上げる。
その声は車内に響くが、そもそも車内に人影はあまりなかったせいか、注目される事も無く。
ただ、巧、遥を除き、その声に驚く者はいなかった。
「有香ちゃんどうしたの?」
「あ、あのね、私の買った物がないの……もしかしたらどっかに落としたのかも。」
確かに有香の手にあった可愛らしい袋はいつの間にか無くなっている。
「大変じゃない!急いで探そう!」
「そうだね、折角買ったものだし。」
3人は落としたであろう物の話題でいっぱいだったが、1人興味なさそうに持参したお菓子を食べ始める遥。
「ねぇ、もうすぐ電車出ちゃうから3人で探しに行かない? 遥ちゃん可哀想だし…。」
「それもそうだね。 遥、ちょっとの間待っててくれる?」
遥は巧に話しかけられるとやっと3人の方を見て。
「うん、はるかまってゆよ。」
にっこり、可愛らしく微笑む。
巧はその笑顔を見て安心した様子で。
「じゃあ待っててね。すぐ戻ってくるから。」
遥の頭を優しく撫でる。
双子はその様子を内心憎らしく思いながら、作戦実行の為にさっさと歩き出す。
2人を追うようにして巧もすぐ後ろからついていく。

3人は車内をくまなく探すが、目当てのものは一向に見つからなかった。
それもその筈、その袋はホームに有香が置いてきたのだった。
これこそが双子の作戦。
電車が発車するギリギリに袋を発見し、それを取りに行くと電車のドアは閉まり。
残された遥1人だけが家の反対方向に行く事となる。
双子は小声で会話をする。
「ねぇ、この電車どこに行くの? 遠くじゃないとあいつ戻ってきちゃうかもよ。」
有香がツインテールを揺らしながら囁く。
「その辺に抜かりは無いわ。 山鈴村って辺鄙な村に行くみたいだからこの電車。」
美香がショートに切り揃えた髪を揺らしながら囁く。
「ふふふ…あいつの泣き叫ぶ声が聞こえるようだわ…。」
「巧君を独り占めした罰よ…。」
双子は10という歳には似つかわしくない黒い笑みを浮かべながら、想像の中の泣き叫ぶライバルを嘲笑う。
「そろそろ時間ね……いくわよ美香!」
「いつでもいいよ…有香!」
そして、作戦決行の時がやってきた。
960小さな恋の嫉妬物語・後編 ◆y5NFvYuES6 :2007/04/20(金) 00:44:06 ID:WDy9haoV
「あああーー!」
有香がホームを指差す。
「どうしたの有香!」
少しわざとらしく美香が駆け寄る。
「あったー!あったよ巧君!」
「よかったね有香!巧君、行こう!」
2人は後ろに居た巧に向かって振り向く。
――が、そこには後ろに居たであろう巧は居なかった。
2人は目を丸くし、固まる。
だがその2人をもっと驚愕させるものが目に映る。

「おーい!有香ちゃん美香ちゃん!」
巧の声が背後から聞こえ、2人は急いで振り向く。

何故かホームに居る巧の姿と…その手には探していたはずの袋。
そして、その隣には罠に嵌めようとした筈の遥の姿が…。

プルルルルルル―――――。

扉が閉まるベルが聞こえ、2人を乗せたまま電車のドアは閉まり、目的に地に向かう為電車は走り出した。
その間2人は固まったままだった。
2人が現実を理解したのは電車が走り出してからであった。
最後に見たホームの2人は、1人は慌てた様子で電車に駆け寄ろうとし。
もう1人は可憐な、歳相応の笑顔を浮かべ、双子に向かってその小さな手を振っていた。

「「なんなのよぉぉぉぉーーーーーーーーーー!!!!」」

双子の絶叫は車内に響き渡った。
961小さな恋の嫉妬物語・後編 ◆y5NFvYuES6 :2007/04/20(金) 00:44:49 ID:WDy9haoV
その後、山鈴村に到着した双子は泣きながらホームの周りをうろつくが、人一人来る事は無かった。
日も暮れ、辺りがオレンジ色に染まってくると1人の女性が彷徨っている双子に気づいた。
その女性は双子に事情を聞き、警察へと連絡を取ってくれた。
そして双子はその女性から色々な話を聞いた。
泥棒猫の撃退方法、好きな男の子への誘惑方法等等…。
およそ10歳の子供では理解できないであろう内容ではあったが、2人は真剣に耳を傾けた。
警察が到着し、別れ際にその女性はこういった。

「大丈夫だよ、男の子は女の子の身体には弱いの。だから2人とも、女の武器はちゃんと使うんだよ。」

その言葉は双子の頭にしっかり刻み込まれた。
女性は花のような笑顔を浮かべ、栗色の髪を揺らしながら振り向く事無く帰っていった。


家に帰ると両親にこっぴどく怒られ、翌日には学校中に知れ渡る事となっていた。
誰か……恐らく遥が流したであろう噂話は、双子をしばらく笑い者にさせたのだった。

だが双子は諦めてなどいなかった。
巧を遥から引き離す、その心は忘れず。
2人はいつもの、喧嘩の耐えない日々へと戻ったのであった。
962 ◆y5NFvYuES6 :2007/04/20(金) 00:46:18 ID:WDy9haoV
最初に題名を入れるのを忘れていました…申し訳ありません。
では、また。
963 ◆y5NFvYuES6 :2007/04/20(金) 00:58:53 ID:WDy9haoV
すみません、誤字発見です…。

×美香の手には可愛らしい袋がぶら下がっており、買い物をしてきた帰りだというのが窺える。
○有香の手には可愛らしい袋がぶら下がっており、買い物をしてきた帰りだというのが窺える。

本来はこうでした。
申し訳ありません…失礼いたしました。
964名無しさん@ピンキー:2007/04/20(金) 01:11:57 ID:QoMzoQYC
しょーもねー話だな。
一回死んでこいや
965名無しさん@ピンキー:2007/04/20(金) 01:23:05 ID:d7AE/jq1
>>962
GJ!
wktkしながら続きを待つぜ
966名無しさん@ピンキー:2007/04/20(金) 01:40:18 ID:xGfmEyOX
>>964
まだ、やってんのか? いい加減に呆れて物が言えないな
967名無しさん@ピンキー
こういった短編物もいいな、また次も書く時も期待してるよ