456 :
r:
はじめましてrといいますよろしくおねがいします
457 :
r:2007/11/27(火) 21:01:53 ID:EwLamyIN
突然なんですが冬樹オスと小雪を書いてください
458 :
名無しさん@ピンキー:2007/11/28(水) 12:14:13 ID:LNa73KWb
僕は冬樹と桃華話か冬樹♀と桃華のどちらかを
>>456-458 ここはガキの来る所じゃねぇ。帰れ。もしくは死ね。氏ねじゃなくて死ね。
460 :
r:2007/11/29(木) 15:58:26 ID:0Wxgasln
ガキじゃありません汚い言葉を使わないでください先輩
なんか凄い気色悪い奴が沸いてきたな
スルースルー
意外とエロパロ板でもこう言う厚顔無恥な奴って現れるもんなんだな
463 :
r:2007/12/01(土) 17:16:22 ID:9Y1gX0W2
ほかの方々もスルーしないでください
では00作戦可決ということで。
465 :
r:2007/12/01(土) 23:08:19 ID:CsxUZzjj
ぼくもそれでいいです00作戦可決で
466 :
r:2007/12/01(土) 23:09:04 ID:CsxUZzjj
ぼくもそれでいいです00作戦可決で
467 :
r:2007/12/01(土) 23:11:49 ID:CsxUZzjj
すいません同じ事2回も言って
冬休みにはまだ早い
誰かアク禁依頼してきてくれ
469 :
r:2007/12/05(水) 15:15:06 ID:VQmF0UhF
ところでさっき凄い気色悪い奴って言ってましたけど誰の事ですか
池沼が住み着いたせいで一気に過疎ったな
472 :
sage:2007/12/08(土) 11:18:51 ID:j5FnKXE7
8−−
軍曹の誕生日を祝おう。
おめでとー軍曹! ついでにケロ美ちゃん!
なんか早いな、一年。あっという間だわ
475 :
r:2007/12/09(日) 20:56:56 ID:siJGrvoS
ほんとですね
>>474 ケロ美って女体化軍曹?
なんにしてもおめでとう軍曹。
だれかこいつを幸せにしてやってくれ、エロパロ板らしく性的な意味で。
477 :
r:2007/12/14(金) 21:27:39 ID:8pWqyz/k
あのー急に人がいなくなったのは僕のせいですか邪魔なら出ていきますが
自覚あるならさっさと出ていけ
479 :
r:2007/12/16(日) 17:52:10 ID:wEHjUlaD
はいはい言われなくてもそうしますよ
おっと忘れてた
235,257も忘れずに
さすが精神障害者 早く病院に隔離されなよ
夏美くすぐり小説ってフェチかな・・・
このスレじゃダメかな・・・
イケイケGoGo!!
486 :
名無しさん@ピンキー:2007/12/26(水) 18:11:45 ID:Tx7DoUL4
ほ
487 :
名無しさん@ピンキー:2007/12/26(水) 22:59:15 ID:QD9te078
保守ageですぅ〜
保守
489 :
プリティウィンター・番外編:2007/12/29(土) 17:58:22 ID:nyVEsOey
2008年1月13日日曜日、
軍曹はまた懲りずに変ないたずらをしようとしています。
冬樹「軍曹、やだよ!!
どうして僕が振袖を着なきゃいけないの?」
ケロロ「初詣のとき夏美殿は振袖を着て神社へお参りに行ったではありませんか…
しかし冬樹殿には振袖どころか和服すら着てなかったであります。
これどう考えても理不尽でありますよ!」
冬樹「あれはママと姉ちゃんの希望があったから…」
ケロロ「夏美殿ではありきたりで意味がないのであります。
冬樹殿なら夏美殿の30倍の好感度があるでありますよ…」
冬樹「そんな…第一僕用の振袖なんか用意できるわけ…」
ケロロ「そこは大丈夫でありますよ。
クルル曹長特製CPUで冬樹殿にもっとも似合う振袖を作ったでありますから…」
クルル「この特製振袖を着れば自動的に女の冬樹になれるスグレモノだ…
夏美以上にすごいぞ…」
ケロロ「さあ、着てみるであります!」
冬樹「やだよー!! 軍曹いい加減にやめてよ!!」
夏美「ボケガエル!なにやってるの?」
ケロロ「実は冬樹殿に振袖を着てもらおうと思うのでありますよ…」
夏美「またあんたたちは変なことを…
って、その振袖…」
クルル「冬樹が着るとすげー似合う振袖だ。
こいつを着ると冬樹はこないだみたいに女になれるんだぜ」
夏美「へぇ〜、そりゃすごいわね…冬樹…
あんたちょっと着てみなさいよ…」
冬樹「姉ちゃんまで…どうしてそこまで…」
(中略)
夏美「す…すごい…こ、これ冬樹なの?
わたしよりきれいじゃないの…」
ケロロ「しゃ、シャレになっていないであります…」
冬樹「ちょっと…軍曹…姉ちゃん…じっくり見ないで…
僕恥ずかしいよ…こんな姿ママがみたら…」
秋「あら…それは困ったわね…」
491 :
プリティウィンター・番外編:2007/12/29(土) 18:41:43 ID:nyVEsOey
ケロロ「ママ殿!!ごめんなさいであります!!
つい出来心で冬樹殿を…」
秋「あら、冬樹…今度は成人式の格好?
そうか…明日は成人の日なのよね…
そうだ!せっかくだから夏美も振袖着て、
記念写真を撮りましょうよ!!」
夏美「ちょっとママ…いきなり何言い出すの?
これはボケガエルたちのお遊びなのよ…」
秋「だって…こんなこと一生に一度あるか無いかなのよ…
それだったら、あした成人式会場で撮りましょうよ…」
夏美「ちょっと…ママ…私たち14才よ…6年早いわよ…
私はともかく、冬樹に成人式の振袖はおかしすぎるわよ…」
秋「クルちゃんに頼めば20歳の夏美と冬樹にするなんて簡単でしょ!」
クルル「俺の手にかかれば20歳の女の冬樹の振袖も簡単に作れるぜ。これは見ものだな…」
冬樹「ちょっと…ママたち本気なの?
僕はやっぱり遠慮しとくよ…大勢の人前で恥ずかしいよ…」
夏美「あら、冬くん…お姉さんはOKなのに、あんたはNG?
ママにあのことばらしちゃおっかな…」
冬樹「ねえちゃん…やるよ…やれば…」
小雪×桃華を考えるのは俺だけでいい
おう 是非考えてくれ
そして書け
いや書いてくださいおながいしますこのとおり
小雪→桃華 は呼び方判るんだけど(桃華ちゃんだよね?)
桃華→小雪 がわからない…
絡み無いよな。こいつら。
でも小雪は攻めで桃っちは受けだから書いてみたくなった
>>494 お互いターゲットは別々なれど日向姉弟ということで、
色仕掛けの攻略法を互いに研究してるうちにゴニョゴニョとか...?
桃華→小雪は、冬樹と同じく「東谷さん」で良いと思う。
>>494 ドラマCDでは「小雪さん」と呼んではいたが、そこは制作者本人さんにおまかせします。
じぶん的使用法…
小雪殿←ケロロ、ドロロ、ポール
小雪ちゃん←夏美、秋、秋奈、タママ、プルル、サブロー、さつき、やよい
小雪さん←モア、桃華
東谷さん←冬樹
(東谷)小雪←ギロロ、クルル
桃華殿←ケロロ、ドロロ
桃華ちゃん←夏美、秋、秋奈、サブロー、プルル
桃華さん←モア、小雪
桃華(お嬢)さま←ポール
ももっち←タママ
西澤さん←冬樹、さつき、やよい
(西澤)桃華←ギロロ、クルル
498 :
◆zYSTXAtBqk :2008/01/05(土) 00:55:11 ID:HxUX1vp+
桃華「てめえら!!何冬樹くんと親しく話してんだ!!」
やよい「きゃあ、西澤さんよ!」
さつき「なによあんた!いまわたしたちは冬樹くんと大事なお話してんのよ!!」
桃華「うるせえ!!
モブキャラ無勢が調子乗ってんじゃねえぞ!!」
さつき「モブキャラってなによ?
わたしたちは夏美の友達として大事なポジションになってるのよ!
あんたこそ最近出番減ってるくせに何言ってるの?」
桃華「てめえらよりはマシだ!!
夏美や小雪の出番が増えてもお前らはオレよりキャスティングは下なんだよ!!
さっさと冬樹くんから離れろコラア!!!」
冬樹「西澤さん、落ち着いて…血管が切れるよ…」
さつき「西澤さんなんかお嬢さま学校に転校すればいいのよ!」
さつき「夏美!西澤さんを何とかしてよ!!
昨日も冬樹くんのことで殴りこんできたのよ!!」
夏美「だから桃華ちゃんはああいう子なんだって言ってるでしょ。
あんたたちが本気になればなるほど桃華ちゃんは凶暴化するんだから…」
さつき「もう、いいっ!!
夏美は西澤さんの味方するんなら絶交よ!!」
500 :
名無しさん@ピンキー:2008/01/05(土) 11:12:13 ID:s8ff0QRv
せめてSS投下するときは投下予告と終了を言ってほしい…
SSとは呼べんだろ
504 :
名無しさん@ピンキー:2008/01/12(土) 22:12:39 ID:wYATYq7o
サブローと♀冬樹のエロパロきぼんぬ。
久々に投下させて頂きます。ギロ夏でタイトルは「仇花」です。
おげふぃんネタからシリアス展開になりますので、御容赦下さいませ。
尚今回は私では珍しくエロ成分が含まれております。
毎週夏美が楽しみにしている623の『俺ラジオ』。今週も夏美はいそいそと
コンポの前に座り、電源を入れた。今週は葉書職人が考えたり知っていたりする
替え歌の特集で、夏美もきちんとネタを考えて投稿していた。
夏美は秋の務めている出版社からお歳暮で去年は新巻鮭を丸ごと一匹貰い、
それを捌いたり消費するのに苦戦したことから、簡単ではあるが鮭ネタを思い付き
投稿していた。普通の中学生ならば鮭など捌かないが、夏美は一流の主婦でもある。
だが思いのほか鮭は難敵である。あの大きさや柔らかさと格闘して、身の一部は
マリネ、尾の部分はムニエル、他の部位は焼き鮭と三種類も作ったのは流石と
言えよう。しかしそれ故に人一倍年始には鮭に憎悪を抱いていた。
『623の俺ラジオ〜♪今回も沢山投稿を有難う!今週は替え歌特集〜!
スタッフがきちんと歌うよ!最初のお葉書はラジオネームなっちーさんから♪
『幸せなら手を叩こう』の替え歌だよ!
幸せならシャケ叩こう♪
幸せならシャケ叩こう♪
幸せなら態度で示そうよ♪
ほらみんなでシャケ叩こう♪
いいねいいねなっちーさん!しょっぱなに相応しい替え歌サンキュー♪』
「よ…読まれた…。これで苦労が報われたわ!」
そう、夏美は鮭など見るのも嫌になっていた。食材を粗末にする事は出来ないが、
出来得る事ならば鮭など殴ってやりたくなっていた位夏美は鮭にうんざりして
いたのだった。だが番組内で真っ先に紹介され、623から褒められた事で鮭の事は
良いネタ作りに貢献してくれたわ、と許す気になった。
『さてさて、ここからはどんどん紹介していくよ!次のお葉書は…』
ここからは取り立てて面白くない、地味で皆が知っているメジャーな替え歌が
どんどん紹介され行き、番組が終了する前のトリを飾るラストがやって来た。
ここは夏美レベルの葉書職人では到底辿り着けない、かなりレベルの高い未開の地。
今回はどんなコアなネタが紹介されるのか、夏美はうずうずしながらCM開けを
待っていた。
『さーあ、いよいよ最後の替え歌!ラジオネーム大艦巨砲主義さんからの
凄ーくエッチで懐かしい替え歌!フルコーラスでいっちゃうよ!あの懐かしい
『時をかける少女』の替え歌で、タイトルは『マスをかける少女』いっちゃおう!
お客さん私のあそこを 突然舐めたりしないでね♪
そんな事したら私 貴方の息子口に入れて♪
私は 私は 笛吹き人になる〜♪
口でいかせる少女 一分でいかせてあげる♪
バックも正常位もSMもOKだから お金頂戴〜♪
昨夜の夢は懐かしい あの頃遊んだ遊び♪
偶然机の角に あそこが触れた時感じて♪
私は 私は 一人あそこを濡らしたの〜♪
マスをかける少女 いつも右手が動く♪
あそこにメンソレ塗って擦るやり方がお気に入り〜♪
金を稼ぐ少女 ホテトルマントル何でもやるわ♪
年寄りでもお金沢山くれる人ならば サービスしちゃう〜♪
皆ラストにはビックリしたかな?大人には内緒だよ♪では来週をお楽しみに!』
「ちょっ…ちょっと何なのよこの展開!エッチ過ぎるわよ!…大艦巨砲主義?…って事は
あのあいつがこんなやーらしい替え歌知ってたか作ったって事!?」
夏美は顔を紅潮させながらすっくと立ち上がり、走ってリビングまで駆け降り、硝子戸を
勢い良く開けた。
ギロロは『俺ラジオ』を基本的にチェックしている。夏美が葉書職人である事を知り
自分も投稿の楽しみを知ってしまったせいもあるが、夏美のネタをチェックする為でもある。
お気に入りのプロシード2800型宇宙通信機で毎週ほぼ欠かさずオンエアーを待ち、冒頭のポエムで
夏美のネタが流れた時等は祝杯の代わりに加糖緑茶を一杯やらかして就寝に就くのが癖になっていた。
今週は替え歌特集でポエムこそ無かったが、一発目の替え歌ネタで夏美が採用され、そう言えば
年末に美味いマリネを食わせて貰ったな、と思い出しながら緑茶の用意をした。今週は替え歌なので
なよなよした愛だの恋だのといった歌が無く、非常に珍しくギロロにも聴きやすい番組構成と
なっていて、ギロロも安堵していた。
「ペコポン人のネタもなかなかやるな。俺達がガキの頃にも替え歌が流行ったもんだ。
ケロロ等はかなり無理矢理なネタを作って、クラス中を湧き上がらせていたな…。」
等と呑気に緑茶をすすっている。普段侵略侵略と騒いでいる割に、この男もケロロと大差無い呑気さを
持っている。まあそうでなければ緊張感で潰される事を知っている所がプロの軍人であろう。
しかし、予測不可能な展開が彼を待ち受けていた。ラストで自分のラジオネームを騙り、かなり
卑猥な替え歌を投稿した奴がいたのだった。最初は
「ん?俺は今回投稿してないぞ?しかもペコポンの歌でまともに知っている物など殆ど無いが…。」
と一瞬思ったが、聴いてビックリおげふぃんな内容でギロロは通常の三倍どころか256倍
真っ赤に変色した後、これを夏美に聴かれたかと考え、赤と青が入り混じった、言うなれば顔の
表面だけを兄ガルルの様な紫色に変色させた。
「な、なんじゃこりゃあ…!お、落ち着け俺、まさか夏美も俺のラジオネームは知らんだろう。
それに実際に俺の投稿では無い。もし詰問されてもきちんと説明出来る。大丈夫だ!」
と甘い考えを持っていた。
「ギロロ…あんたって奴は…!」
案の定夏美がリビングからギロロのテントにやって来た。それもそうである。奥東京市に大艦巨砲主義
等と御大層なラジオネームを付ける軍事マニアは人口の0.0001%もいない希少種である。そんな奴が
軽薄に感じるであろうラジオにあの様な猥雑な投稿等する筈も無い。やるとしたら家の居候では無いかと
夏美は考えたのだった。
「ちょ、ちょっと待て夏美。何か、用か…?」
「とぼけるんじゃないわよ!ラジオのラストの大艦巨砲主義ってあんたでしょ!知ってんだから!」
「い、いや俺じゃない!確かに俺はあのラジオネームだが、あんな投稿はしとらんぞ!第一俺は
ペコポンの歌等殆ど知らんし、替え歌が作れる訳無いじゃないか!」
とギロロは非常に真っ当な説明をしていたが、夏美から意外な反応が返って来た。
「あんた…戦場にいたのよね…。その、なんて言うか…慰安婦とか、いた?」
「な、何を言い出す…!子供が訊く話じゃない!部屋に帰ってもう寝ろ!」
ギロロは予想外の質問に戸惑いを隠せずまるで昔堅気の父親の様な答えを返したが、夏美の
「もう子供じゃないわよ!」
の叫びにぴくりと反応してしまい、
「語っても良いが…つまらん話だぞ…。」
と悲しそうな表情をした。
二人はいつものブロックに腰掛け、焚き火に当たりながらぽつり、ぽつりと話し始めた。
「…最初に言っておくが、俺は慰安婦を買った経験は無い。それだけは…信じられるな?」
「うん…。」
「結論から言うと慰安婦はいた。だが強制徴用では無かったぞ。皆正規のルートから雇用した
プロの売春婦だ。彼女達は生命の保障があったから、俺のいつもいた前線にはいなかった。
それに死ぬか生きるかの瀬戸際で女を抱ける度胸がある奴等いやしないしな。」
「…何か、悪い事訊いちゃったわね…。ごめんね、ギロロ…。」
と夏美が珍しく項垂れる様を見てギロロは慌て、
「な、何も悪くなんかないぞ夏美。所詮俺は一山幾らの機動歩兵だ。ただ、それだけだ。」
と更に夏美を悲しませる逆効果な台詞を吐いてしまっていた。
だが、その台詞が禍転じて福を成した。夏美の腕がギロロの身体を抱き締めて来たのだ。
柔らかく、だがきつくギロロの身体を夏美は抱いた。
「な、夏美…。」
「少し黙ってて…。こうしたいの…。」
暫く二人は焚火の前で抱き合っていたが、ギロロが
「そう言えばさっき子供じゃないと言っていたが、もしやお前サブローと…?」
と逆に質問し始めた。幸福感から逆に嫉妬の炎が燃えて来た。だがそんなギロロに
「馬鹿ね、そんな訳ないじゃない。あたしは単なる片思いをしてるのよ。好きだけど仕方ないわ。
それに、今は…。」
くすりと笑いながら夏美はギロロから身体を少し離し、ギロロの傷痕に軽く口付けて囁いた。
「あんたが、いるもの…。」
それは最初同情であったのかも知れない。だが燃え盛る焚き火の炎を前に夏美は何故かギロロが
愛おしくなっていた。この異星人の悲しみを、例え侵略者であっても癒したいと心底思った。
自分を捧げるのも、もしかすると戦いの一つと感じたのかも知れない。
「…あたしの部屋に行こう、ギロロ。流石にここじゃ嫌だわ。最初位はまともな所でしたいもの。」
「な、夏美…?一体何を言っているのか判らんぞ?」
「ニブチンねあんたって。まさか女から全部言わせるつもり?…まあ良いわ。サービスできちんと
言ってあげるわよ。あんたとしたいって言ってんの。まさか嫌とか?」
と夏美が言うと、とんでもないとギロロは首をぶんぶんと横に振った。とんだ瓢箪から駒である。
この好機を逃しては駄目だ、とギロロの頭のアラートが鳴りまくる。
「わ、判った夏美、そ、そんな事に気付かんで済まん!」
顔を4096倍真っ赤にしながらギロロは夏美の手を取り、二人はどちらからともなく歩き出した。
夏美の部屋に着くとギロロが
「俺はムードとか知らん男だが、出来るだけ頑張ってみる。ペコポンでは誓いを立てる時には
どうすれば良い?」
と夏美に問うと、以前から憧れていたのか夏美は映画のワンシーンの様に
「そうね、誓いながら手の甲に軽くキスしたりするわ。ってあたしったら乙女チック…。」
ぽおっと頬を染める夏美の手を取り、ギロロが
「俺は夏美に苦痛を与えない。それだけは誓う。」
たった一言だけであったが、それだけ誓いながら口付けた。
夏美がベッドに横たわると、ギロロは着衣の上からそっと夏美の柔らかく発達した乳房を下から上へ
撫で上げ、掌で包み込み人差し指で乳首を探し出して転がしてみた。ぴくりと夏美の身体が反応し、
乳首が徐々に硬く弾力を見せる。それを確認するかの様にベストのボタンを外し、シャツを捲り上げて
色付いた乳首に吸い付いた。
「やっ、あっ…ギロロぉ…やっぱり恥ずかしくなって来ちゃった…。」
「誘ったのはお前だぞ、夏美…。最後迄、苦痛以外では根を上げるな…。」
手をゆっくりと脇腹に逸らせつつ、乳首を甘噛みしてギロロが囁く。その低音の声が甘く夏美の耳を愛撫
していた。そしてまたゆっくりと手を乳房に上げながら、ギロロは夏美に口付けた。
「んっ…んっ…むっ…。」
唇、舌同士がまぐわっているかの様な深いキスで夏美は溶けてしまいそうになっていく。只のキスと
簡単な愛撫だけで夏美が陥落していく様をギロロが見逃す筈も無く、次の愛撫に移った。はあはあと息を
荒げる夏美から唇を離し、下半身の辺りに移動して閉じられていた太腿に割り込み、内側の目立たない
部位に軽くキスマークを付けながら、柔らかな手で優しく擦った。だがギロロは一向に性器には触れず
執拗に脚への愛撫を黙々と続ける。
「夏美、したくなったら自分から指示を出せ…。でないと俺は指先迄舐め上げるぞ…。」
ギロロが脅迫めいた事を興奮した声で言うと夏美はうっとりとした表情で
「判ったわ…もう、あんたとしたいわ…。あたし限界…。」
と甘く堕ちていった。
ギロロは普段どこに隠しているのか判らない大きさの性器を夏美の性器の上からショーツ越しに
突き付けて、ぐり、と軽く突いた。濡れ、充血している事をきちんと確認する為にギロロは
夏美のショーツを脱がせ、脚を開かせた。
「ちょっ…そんなトコ見ないで…!」
「駄目だ、初めての苦痛を与えたくないからな…。」
夏美のぬかるんだ性器にギロロは指や舌先で丹念に刺激を与えた。夏美の身体が羞恥と快感でひくつき
白い肌が花開く様に染まる。指を三本挿入され、夏美は最初の内は違和感と圧迫感で息がし辛かったが
やがてそれにも慣れたのか、自ら
「多分、もう大丈夫よギロロ…。今なら痛くないと思うわ…。」
と羞恥を堪えつつ囁くと、ギロロは柔らかく夏美を開かせていった。
夏美の言った通り、最初の苦痛は全く無かった。逆に受け入れた時に快感を覚えて夏美は驚きつつ
甘い声を堪えていた。
「うっ…あぁ…、あん…っ…!」
「痛くないか夏美…?」
「だ、大丈夫…よ…、あんたこそ、だ、大丈夫なの…?」
気丈にも夏美が問い返す。緩やかな腰使いでギロロは快楽を味わいながら
「俺もまだ大丈夫だ…何とかな…。」
と言い夏美を深く突き上げた。和合は時間を忘れさせ、時間は和合を終焉へと導いていく。夏美がひくりと
痙攣の様な動きを見せ、己の指を噛みながら絶頂の息を激しく吐いた。
「んむうぅ!んーっ…!」
「良く頑張ったな夏美…!俺も、もういくぞ…!」
夏美の絶頂を見届けたギロロが腰を激しく振り立てながら、暴発した。
二人は、元は咲いてはいけない仇花であった。だからこそ咲いて咲いて、尚も咲き誇った仇花になった。
「そう言えばギロロ、あんたの投稿じゃ無かったら、あれ誰だったのかしら…?」
「知らんが、あれは本当に誰なんだ?…まあ良い。判らなくてもな。」
と二人はリスナー同士で静かにピロートークしていた。真相を知るのは623と、ネタ提供者のみである。
今回はこれで終了です。長々とおげふぃんを書き失礼致しました。
宜しければまたネタ投下させて下さいませ。
◆WmrBvhgrh2キタ――!いきなりの伸びに来てみたら凄まじいクオリティのSS投下!
GJ!超GJ!相変わらずのテンションだよあんた!
俺的にこのスレの女神認定してやるよ!また頼むぜ!
訂正させて頂きます。
替え歌の『マスをかける少女』の二番の歌詞に誤りがありました。
×あの頃遊んだ遊び
○幼い頃に遊んだ遊び
これできちんとまともに歌えます。下ネタOKのスナックとかで
歌うと楽しいです。保管庫に格納の際には宜しくお願い致します。
>>505 GJですぅ〜!
なんか久しぶりにこの板にきてドキドキしました。
どうもありがとう!
>>506-509 凄いの一言につきる。コアなネタと繊細な文章。
乙の嵐です。替え歌もきちんと歌えるのはびっくり。
久々にギトヌルしました。
>>506-509 深い・・・。中にある小ネタも文章もかなり深い。
少しフェチ心をくすぐる構成が上手いとオモ。流石の力量に
GJと言うしかない。もっと評価されてもいいとオモ。
乙でした!
さげsage
>>509 伍長優しいし、女性を抱く時はまさにこんな感じなんだろうな
って思っちゃうね
はぅぁ〜私もこんなふうに伍長に抱かれてみたい
って思っちゃうのは変態ですかそうですか(*´д`)ウットリ
◆WmrBvhgrh2嬢の素性判明!
ヒントその1:ご近所さん
ヒントその2:キャプテン・ブラック・ダーク・クリーム
一発で見付かった。メールだけじゃなく
電話もおkだって。俺話したけどおもろい姉ちゃんだった!
519 :
名無しさん@ピンキー:2008/01/23(水) 20:09:48 ID:W6lrGYBy
ケロロ「冬樹殿、ゆうべはお楽しみでありましたなw」
夏美「!!!」
冬樹「ひどいよ軍曹!!」
520 :
名無しさん@ピンキー:2008/01/29(火) 11:12:00 ID:BO2Xmg4Z
保守
保全
522 :
名無しさん@ピンキー:2008/02/01(金) 20:00:05 ID:8/E61usH
326と冬樹の腐きぼんぬ。
腐は巣にカエレ
_,,. -ー-- ..、
,.::'-- 、-- ★. ヽ、 ケロッケロッケロ ふふんふ ふんふ〜ん♪
, -''/;' r:::, lー-、, =、 ヽ , - 、
/ /~ヽ`"_ノ ;' γヽ }ヽ l / )
l !  ̄ 、 `ー'' ノ l lノ!_.ノrっ-、
ヽ ! `'''''"ヽ l l Lブ├'~
`(ヽ `i入_, .l/ l '__.ノ
〉 ト、 し' ,.. - 、_,.ノ~ /‐'~
/ ノ-''"`/ r''/ー―'"
`'''" l ノ‐'
525 :
名無しさん@ピンキー:2008/02/10(日) 22:00:05 ID:sn+f9BcU
冬モアの需要はあるのか?
あるお
冬モア…マイナー中のマイナーですな(期待度∞)
王道とは逆カプになって申し訳ないけど
夏ギロ希望
観世桃と桜タマは一度は読んでみたい
530 :
名無しさん@ピンキー:2008/02/15(金) 05:58:37 ID:6iO7gSbQ
桃華&小雪書いて・・・
最近、催促ばかりだけど冬アリ(アリ冬?)希望
夏美エロイなぁ
保守
冬樹 出来ちゃった婚? であります
ある夜の日向家
「西澤さん、おやすみなさい」
「はい、また明日。」
「モモッチ〜早くしないと超空間ゲート閉めちゃうですぅ」
「あっ、タマちゃん待って〜」
ゲートが閉まると冬樹の周りに何人か詰め寄ってきた
「冬樹殿、おみやげおみやげ!」
「ああ、食べちゃって良いよ」
「で、何か収穫はあったのか?」
「うん、○○山の◇◇が・・・(以下省略)」
「クックック・・・俺の作った野宿キットは最高だったろう」
「うん、西澤さんも喜んたよ。ありがとうクルル」
ヒュー「(どうやら桃華ちゃんは上手く行ってる様ですね)」ドロドロドロ
そこに怒りながら近づく姉が一人
wktk
「冬樹!あんた3日もどこほっつき歩いてたのよ!しかもアンチバリアまで使って・・・ママもポールさんも心配してたわよ」
「ごめん・・・でも僕達だけでやってみたかったんだよ」
「そのセリフ、もう九度目であります」
「しかもだんだん行動時間が長時間化してますし。てゆーか、職権乱用?」
「クックッ・・・本当はオカルトじゃなくて別の収穫だったりしてな」
「そ、そんなことしないよ!ににに西澤さんは友達でオオオオカルトクラブのメメメンバーでそんなエッチな関係じゃあないよ!」
「ク〜ックックック、誰も肉体関係があるとは言ってないんだがなあ、ク〜ックックック」
「も〜!!!」
「は〜いそこまで、冬樹、明日ポールさんに謝っとくのよ。ボケガエルはお米研いどいてくれる?」
「は〜い」
「了解であります!」
とりあえず、この日と翌日は無事に過ごせたのでした・・・
三日後
西澤邸―
桃華とタママのティータイム
「・・・でね、冬樹くんが華麗なオカルトさばきで狼の群れを追い払うんですのよ。もう私しびれちゃいましたわ!」
(その場の親衛隊全員)「(オカルトさばきって何だよ・・・)」
しかしタママが桃華の話を聞いていないことに気付くポール
「おや、どうされましたタママ殿」
タママは桃華をまじまじと見つめている
「どうしたのタマちゃん、私が何か?」
「モモッチ、少し太った?」
「んだとタマ公〜」
裏桃華登場。タママに邪影拳を叩き込む
「ふむ・・・確かに桃華様は少しふくよかになられましたかもしれませんな」
「ポ・ポールまで」
「ほっほっほ、心配には及びません。桃華様はもとからかなり痩せぎみだった故、それくらいがちょうどいいのです」
「そ・そうですか」
「ささ、ケーキが焼き上がったようですぞ」
タママと共にケーキを味わう桃華
「(確かに多少ふくよかになられたが何かが違う・・・第一、顔や腕・足は以前と変わりが無い・・・)」
「うっ・・・おえっ」
「モモッチ!」
「桃華様!」
しばらく別の映像をお楽しみ下さい
「モモッチ?大丈夫ですぅ?」
「ま、まさかこれは・・・」
フユ王のテーマ
日向の国で〜 産まれた僕は〜
霊感皆無〜 ルールーララールー
心霊スポット(search on!)
捏造野郎は (fuck you!)
日向の国から来た男〜
たーだのー オカルトー
マーニーアーでーすー
フフユフユフユ
フーユーキーンーグー
つづけ
ナニコレ
何かと思ったらそげキングか。
それから二時間後の日向家―
「合い言葉は〜アフロとケロ・・・
「うらぁ〜!!フッキー出てくるですぅ。そして男の責任を取るですぅ」
タママが窓ガラスを破って突入
破片がいくつか読書中のケロロに刺さる
「うぎゃ〜!い、痛いでありますタママ二等!!」
「はっ、軍曹さん大変ですぅかくかくタマタマで・・・」
「なんですと〜!桃華殿が妊娠?」
「はいですぅ。ポールがいうには『つわり』とかいう症状があるんでそうじゃないかってことなんですぅ」
「なるほど、それで冬樹殿を探していたわけでありますな」
「はいですぅ」
「12で出来ちゃった婚なんて人生真っ暗だな、ク〜ックックック」
「クルル、そんなにまずいでありますか?」
「まずいなんてもんじゃないぜ隊長、冬樹だけじゃなく日向家全員日の当たるとこなんざ一生無理だぜぇ」
「ゲロォ・・・そ、そんなに・・・」
「聞いてるんだろ?ドロロ先輩、この国の文化に詳しいあんたなら分かるはずだ」
ドロロ、ようやく登場
「拙者のいた忍びの里で良家の者はこのような事態を起こすと座敷牢に入れられたと聞いたでござる」
「座敷牢ってなんですかぁ?」
「早い話家の暗いところに生涯閉じ込められるということでござる。桃華殿はおそらく・・・」
「エ〜ッ?ドロロ先輩、クルル先輩、どうにかならないんですかぁ?」
ケロロもスレあったんだ
とりあえず保管庫の読んできたけど、女体化まであるとは…
擬人化は意外と読めたけど、女体化は厳しかった
801と同じ感覚の寒気がw
「対処は後回しにして、まずは冬樹殿を見つけるのが先決であります」
「そうでござるな」
ブルルルル・・・
「やはりタママ殿はここでしたか」
ポールがヘリコプターでタママを追いかけて来た
「医師に調べさせましたところ実は桃華様は妊娠は妊娠でも想像妊娠だったのでございます」
「ゲロ?」「タマ?」
「思い込みと強いストレスから来る症状だぜぇ、冬樹との外泊のインパクトが強すぎたんだろうな」
「左様でございます」
「治るんですか?」
「はい、実際に妊娠してないと自覚すれば治まる故心配は不要にございます」
「西澤さん、無事で良かったよ」
「そうでありますなあ冬樹殿。っていつの間にぃ!?」
「実はポールさんに途中で乗せてもらったんだよ」
「ではわたくしはこれで失礼させていただきます」
「ボクのせいで皆さんに心配をかけてすみません。」
「いえいえ、私共のことはお気になさらずに、それよりも桃華様のお見舞いには是非いらしてくださいませ。桃華様もさぞお喜びになりましょう」
「はい!」
「え〜今回の一件は直接日向家や桃華殿に影響は無いものの、変にうわさになったりするのはよろしくないであります。故に小隊内に箝口令を敷くであります。この場の隊員全員、不用意に話すことは慎むであります!」
「「「了解!」」」
「軍曹、皆、ありがとう」
「しかし冬樹殿、不純異性交友とは感心しないでござるな」
「せめてゴムだけは着けろよな、ク〜ックックック」
「だからそんなことしてないってばあ〜」
冬樹の絶叫がこだました
数日後
西澤邸、桃華の部屋―
部屋には椅子に座る冬樹とベッドに横たわる桃華の二人
その表情は冴えない
症状が治まっているはずの桃華だがその腹部は成体ケロン人の半分ぐらいの大きさにまで広がっており
普段は贔屓目に表現しても「板」が適切な胸も膨らんでいた
それを外から覗くケロン人二人
「じゃあ桃華殿の想像妊娠は悪化しているわけでありますか、タママ二等?」
「はいですぅ。医者によるとモモッチは特殊な二重人格のせいで自覚するだけじゃ無理みたいですぅ」
重い空気の中、桃華が今にも泣きそうな声で口を開く
「わ、私バカみたいですよね。あかちゃんも居ないのに勝手に妊娠してしかも治らないなんて」
「西澤さん・・・」
「冬樹君、迷惑ばかりかけてごめんなさい。ごめんなさい・・・」
うつむきながら何度もごめんなさいと繰り返す桃華を見て、冬樹は何か意を決してベッドへと近づいた
「西澤さん、僕も・・・僕も手伝っていいかな」
「えっ?」
「こうなったのは僕にも責任があるし、西澤さんは大切な友達だってのもあるけど・・・」
冬樹の顔が赤く染まって行く
「?」
「西澤さんが僕の赤ちゃんを産みたいって思ってくれる程僕を好きでいてくれるのがうれしいんだ」
「冬樹君・・・」
「だから・・・西澤さんが嫌じゃなければ元に戻すのを手伝わせて欲しいんだけど。どうかな?」
「はい、よ・喜んで」
桃華の目から涙が溢れてくる
「(やったぜえ〜!これって冬樹君と相思相愛ってことじゃねーか!)」
裏桃華は歓喜につつまれている
「実は軍曹が万一のことを考えて資料を集めてくれたんだ。まず、これを試してみようよ」
「お、お願いします」
「(あいつらのプランで本当に大丈夫なのかよ・・・)」
外では―
「さすが優しさと気配りの人軍曹さんですぅ。ボク、改めて尊敬しちゃいました」
「ゲロゲロリ、ちょうど今ハマッている本に良さげな対処法が載っていたのであります」
「医学書ですかぁ?それとも心理学ですかぁ?」
「いや、夏美殿のエロ本であります」
「・・・」
かくして桃華治療作戦が展開されるのであった
書きながら投稿?
ほとんどセリフだけ・・
>>冬桃のエロパロ作者様
折角作ってくださる作者様に文句を言う筋合いは無いけれど、
やはり、一通り完成させてから投稿したほうが良いと思いますよ。
まとめサイトにまとめる時にバラバラだと手間がかかるだろうし。
翌日
西澤家所有の南の島―
冬樹と桃華が裸で水遊びをしている
「開放的になることで桃華殿にかかる二重人格による潜在ストレスを解消するであります」
というケロロの作戦である
しかし、この作戦には初歩的な欠陥が存在した
そもそも内気な二人をいきなり裸にして近くに置いたものだから
二人とも活動が消極的でもじもじしたままなのである
「冬樹殿、もっと楽しく遊ぶであります!」
日向家にある地下基地から超小型無線を通して冬樹に檄が飛ぶ
「そ、そんなこと言われても恥ずかしいよ・・・」
恥ずかしさのせいか冬樹のペニスは勃起したままで、先端から粘液を垂れ流し続けている
桃華も同じようで想像妊娠によって膨らんだ乳房は先端が少し白みを帯びていた
「軍曹さぁん」
「うーむ、この状況に慣らすには時間をかければよいのでありますが学校を休んでおりますしなあ」
「ふーん、目のつけどころはいいけど決め手に欠けるかしら?」
「その声はママ殿?」
>>548 すみません迂濶でした
残りは纏めて書き込みします
>>550 返答感謝です。
万人が納得するSSの作成は困難だと思いますが、頑張ってくださいね。
個人的には久しぶりの冬樹×桃華の話なので、凄い楽しみにしています。
これから展開されるであろうエロ展開に期待しておきます。
552 :
名無しさん@ピンキー:2008/02/23(土) 10:47:40 ID:I05vYOPB
>>550 なかなかの作品でしたよ。
裸で水遊びする冬桃、絵で見てみたいですね。
続きも楽しみです。
保守
保守
ほ
す
そして華麗に556ゲッツ
557 :
名無しさん@ピンキー:2008/03/05(水) 07:53:22 ID:ZzCSQOnH
夏美「ねえ冬樹…初体験はどこがいいの?」
冬樹「姉ちゃん…何言ってるの?僕たちまだ中学生だよ…」
夏美「そう?わたしね…
初体験は冬樹の部屋がいいな…
サブロー先輩は大好きだけど、初体験は冬樹としたいの…」
冬樹「もう姉ちゃん!僕たち姉弟だよ。
できるわけないじゃない!」
夏美「そんなことないわよ…避妊すれば大丈夫よ…」
558 :
名無しさん@ピンキー:2008/03/05(水) 12:00:47 ID:njAoYj0O
クルルと秋ママが読みたい、誰か書いて。
「もうっ!ケロちゃんったら、ママだけのけ者だなんてずるいわぁ」
「マ・ママ殿、これは・・・」
うろたえている内に秋がケロロの椅子に迫ってくる
そしてケロロの持つ通信機を取り上げると
「冬樹〜!男の子ならうじうじしてないでガツンといっちゃえ〜!」と桃華に聞こえてしまうくらいの大声で叫ぶ
さらに「『据え膳食わぬは男の恥』よん」と追加エール(?)
大声とその内容にたじたじになる冬樹だが「据え膳食わぬは男の恥」この言葉が頭から離れなくなってしまった
「冬樹君」
「西澤さ・・・ってぇ!どうしたの?」
桃華は冬樹の手を引っ張って小さな森の方へいってしまった
「タマ?軍曹さん二人がいなくなっちゃったですぅ」
「クックッ・・・本来の予定にない作戦だからなあ、カメラの数が少なくて守備範囲外にいっちまったぜぇ〜」
森の入り口の辺り―
「西澤さん、こんなところに来てどうしたの?」
「冬樹君・・・その、あの・・・ここに来てからずっとそこを大きくしてるし、息が荒いし・・・」
「・・・うん」
「開放的になるために来たのに私だけよくて冬樹君が溜め込んでいたら不公平ですし・・・」
桃華は近くの大きな木に両手を付けてお尻を向ける
「わ、私でよろしければ・・・」
その先の言葉は恥ずかしくて口に出せない、代わりにお尻を冬樹に見えるように高く上げて左右にふりふりしてみる
「(据え膳食わぬは男の恥、据え膳食わぬは男の恥、据え膳食わぬは男の恥、据え膳食わ・・・)」
普段なら自身の恥ずかしい状態を指摘されたならば否定する冬樹だがやはり常に挑発された状態なので本来の目的を見失っていた
言葉もなく桃華の尻を上から掴むと桃華のヴァギナに挿入を始めようとする
が、勢いが激しすぎるのか狙いが定まらないのか、なかなか挿入に至らない
桃華の尻や足の付け根に当たったり滑って桃華の体をなぞるだけの動作が続く
そうこうしている内に亀頭が擦れた感触で射精にしてしまった
「あ・・・うあ・・・」情けなさで冬樹の顔が赤くなる
「冬樹君、も、もう少し落ち着いて・・・」
「う、うん!」
今度は少し落ち着いて桃華の入り口に自分のペニスをセットする
「い、行くよ」「お願いします」
ぐにっ、ずぷっ――挿入は完了した
「うっ、ふあぁ・・・」
桃華は冬樹と交わったという喜びと交わりから来る快感に酔いしれているが
「うっ、うあぁ・・・」
冬樹は挿入直後に射精してしまった
桃華の膣の入り口は冬樹の精液と桃華の破瓜の血液が交じり合って少しずつ紅白からピンク色の部分が増え始めている
「(は、速っ)」
珍しく呆れともいえる感情で裏桃華に交代してしまい、挿入されたまま冬樹の方を振り返ってしまった
「にっ、にしざわしゃ・・・ご、ごめ・・・僕、は、初めてで・・・」
冬樹は恥ずかしさのあまりもう泣き出している
「は、初めての方にはよくあることと聞きますわ」慌てて表桃華が戻り、その場を取り繕う
「それに―冬樹君・・・まだ大きい・・・」
二度の射精はあったものの初めての挿入の感触が強く、冬樹のペニスはまだ勃起したままであった
「だからこのまま抜かないで・・・お願い」桃華がつぶやく
そのセリフに触発されたか冬樹は何も言わずに腰を動かし始めた
射精のあとで亀頭が敏感になりながらも今度は長く続いた
冬樹は感覚が良く掴めないので入り口から出し入れを繰り返しながら少しずつ侵入してゆく
そして冬樹のペニスが動く時間が長くなるにつれ、桃華が受ける快感も大きくなっていく
まだ冬樹のペニスが半分程しか入っていないのだがそれまでより少し深めに挿し込んだとき
「あ、ああああああっ」桃華が大きくのけ反る
「に、西澤さん?」問いかけてみるが返事はない
もう一度同じところを突いてみる
「ひゃっ!」
桃華の反応がこれまで以上にいい。冬樹にもそれは理解できた
「ひょっとしてここがGスポットなのかな?」
「Gスポット?」
「女の子が気持ちよくなるところらしいよ。西澤さん、ここが弱いんだ」
二度も先に射精し、男の尊厳を傷つけられた(?)冬樹は桃華をイカせようとして腰を振りはじめた
桃華の膣が痙攣をはじめ、冬樹のペニスを強く締め付けてくる
「あっ、あっ、冬樹君・・・私もう・・・あああっ!」
桃華がオルガスムスに達した。その息は荒くヴァギナは愛液を滴らせている
「ぼ、僕もまた・・・」
程なくして冬樹も再び桃華の膣内に精液をぶちまける。二人ともそれを自身の生殖器が受ける感覚で感じ取り、かつ噛み締める。
ずっと立ちっぱなしだったこともあって、一度座って休憩することにした
冬樹は木によりかかりあぐらをかく、そしてその上に桃華を乗せて向かい合った
大きなお腹のせいか抱きしめるのはできないが桃華がもたれかかってくるのでさほど気にならない
二人とも少し気が抜けていたのかしばらくそのままぐったりしていたが
体は次第に再び相手を求めるように反応していった
無意識の内にだろうか、冬樹は硬さを取り戻しつつあるペニスを桃華の下半身にすりつけている
同じように桃華の方も自身の乳房を冬樹に強く押し付ける
ふいに桃華は自身の現状を思い返した。そしてそれを利用したあることを冬樹に提案してみる
「冬樹君、私のオ・・・オッパイ飲んでみませんか?」
「えっ?」
「私、一応妊娠中ですから・・・今だけオッパイからお乳が出るんです。
どうせオッパイをあげるあかちゃんもいませんし、このまま捨てちゃうくらいなら・・・」
これは冬樹にとっては少々微妙な話であった
知っての通り日向家は母親一人で二人の子供を育てていて小さいころから子供達だけで大部分の生活を行ってきた
その反動で冬樹には潜在的に母性本能へのあこがれがある
しかし、その一方でアブノーマルなプレイであることもさながら同級生の前での幼児退行に等しい行為には大きな抵抗感を持ち合わせていた
率直な話もっと交わっていたい、そんな直情的な感情が冬樹を支配していたのだが
先程から自分に押し付けられている桃華の胸の鼓動と帯びている熱から桃華が期待しているのではないかと判断し、自己の支配感情を少し押し止めた
「じゃあ」
冬樹は桃華の大きくなった胸の右側のほうにしゃぶりつく
少しぬるいホットミルクを飲んでいるようでほんのり甘い
同時に左側の胸を揉んでみるがこちらも乳液が分泌されているようだ
桃華の顔を覗くと常に微弱な刺激が与えられているようで目がとろんとしてきている
女の子は胸も弱いんだと確認した冬樹は桃華を気持ちよくさせてみようと思い強く吸いはじめる
「き、きもちいい・・・もっと、もっと搾って!」
その言葉に応じて吸う力揉む力共にエスカレートされていく
「気持ちよすぎて桃華、もうイっちゃううぅ!!」
びゅるううっ――
両の乳首から勢い良く乳が噴き出した
それはすぐさま冬樹の口腔を満たし、さらに流れ込んでくる
飲みきれなかった分と揉んでいる左胸の分がこぼれ、二人の体と目の前の地面を白く染めていく
「あ、ありがとうございます。気持ち良かったです」
溜め込まれた乳が放出されてスッキリしたのか桃華はぱったりと後ろの方へ倒れこみ、仰向けの状態となった
そして冬樹は口の中のものを飲み込んだあと
桃華の方に目をやってみる
大きなお腹のおかげで下半身はほとんど肌色のままのためかヴァギナから未だに垂れ流れている自分の精液が目に付く
桃華が呼吸する度に溢れ出してゆっくりとお尻の方へつたっていく様はなんとも生々しく冬樹を煽る
お預けを食らっていたこともあり冬樹の我慢と理性は限界に達した
無意識の内に己のペニスを握りしめながらゆらりと両ひざをついたまま立ち上がる冬樹―
「きゃあっ?」
油断しているところに奇襲をかけられた桃華
いきなり挿入され出し入れを行われる
一端すっきりしてしまったため、心身共に状況に適応しきれない
「く、苦しいです」
「・・・・・・」
冬樹からは返事がない
ただ息を荒くしたまま無言で出し入れが繰り返される
先程のドギースタイルとは違い、今度は正常位で行われている
したがって桃華の膨らんだお腹が抑え付けられ圧力がかかる
冬樹は自分が気持ちよくなろうとするあまりできるだけ深い挿入を試みるも、お腹がつっかえてあまり入らない
結局射精に至るにはそれほど時間はかからなかったが、中途半端な刺激で放出してしまったため勃起した状態が継続されてしまった
ペニスが挿入したままの状態で冬樹が上半身を上げる
桃華はお腹にかかる圧力が無くなったためようやくまともに息が出来るようになり、安堵の笑みを浮かべる
しかしそれも束の間、深呼吸する桃華の体はぐるっと90度回転させられた
「・・・・・・」
「冬樹君?」
言葉を発することもなく粛々と行われる行為に桃華は怯え始めた
怯えている桃華の心に奇襲をかけるかのように再び冬樹の腰が動き出す
今度は側位でお腹が邪魔にならない分正常位のときよりもずっと挿入しやすく、ついに冬樹が膣奥まで到達するまでになった
既に大部分が侵入、受ける刺激も格段に激しいものとなったため、ここにきてペニスはさらに充血・拡大していく
刺激を求めて強いストロークでペニスを打ち付けるその様は性行為というよりは獣の交尾といった表現のほうが適切だった
もっとも桃華にしてみればたまったものではない
ぱんっ!ぱんっ!
肉と肉のぶつかり合う音が響き渡る
片足を抑えられて体を固定された状態でペニスが膣壁に突き当てられていく
「ひぎぃぃぃ・・・い、痛い・・・!もっと・・・あうっ!や、やさしぃぐぅぅ」
体の中から殴られるような痛みに懇願するも聞き入れられることもなく続く交尾
息の荒さからも目の前の雄が収まる気配は無く、桃華には必死で耐える以外の選択肢は無かった
ところ変わって日向家地下の秘密基地――
秋の表情が焦りの色を見せている
映像は送られてこないが冬樹に取り付けられている小型通信機によって音声は通じるため現場の状況がある程度推測できたからだ
「このままじゃモモッチが危険ですぅ」
「ケロちゃん、私をあそこに送って、今すぐ!!」
「ゲ、ゲロ〜わかったであります」
ぐにゅう――
擬音化すると桃華の体内でこんな感じの鈍そうな音がしそうな変化が起こった
子宮口が押し広げられ、亀頭が進入してきたのだ
「あ、あがぁっ・・・」桃華が白目を剥く
新たな感覚の到来によりペニスは限界まで肥大化する共に射精に向けて震えだした
あと少しでペニスが全て入りそうになるため本能的に押し込もうと冬樹の腰が動くが、桃華の体が反発したのか押し戻される
どくんどくんと精液が流し込まれる
子宮口は冬樹のピンポイントのようでこれまでの中では最大の射精だった
直接子宮に流し込むことはならなかったものの、がっちりと子宮口を捕らえて放さない
冬樹の口はだらしなくよだれが止まらず、桃華の体にかかる度にびちゃとびちゃ汚らしい音をたてていく
数十秒程は経ったのだろうか?
桃華は既に意識が朦朧としていて、それでもなんとか自分の現状を把握しようとしたのがそれよりも早く視界が浮き上がった
残った力で手足を動かしてもわずかに宙を舞うだけに過ぎない
自分のお腹に手が当てられていること、未だに自身に挿し込まれているペニス、背中にかかる液体
自分は持ち上げられているのだとおぼろげに理解した
首を少し傾けてみると土と雑草と4本の足が見える
そして、それがこの過酷になってしまった初体験で桃華が目にした最後の光景だった
冬樹が遂に自身を完全に挿入させたのである
締まろうとする力を無視して亀頭が完全に子宮内に侵入し、それを引き戻す
気絶した桃華の体を前後に動かすことでそれを繰り返す
冬樹のほうも意識はからり薄れていて、傍から見ていると壊れたおもちゃが動いているかのような雰囲気を醸し出している
桃華の手足がメトロノームのように触れる中そのリズムに合わせるかのごとく冬樹はあっさりと射精に達した
今度は子宮に直接精子が送り込まれる。流石に限界なのか妊娠で広がっているとはいえ子宮を満たすどころか壁を染め上げるだけの量も無かったに違いない
とはいえ既に6回も射精しているのにまだ冬樹のペニスは挿入され続けている
血走った目で冬樹はさらに目の前の肉壷に向けて獣液を蒔こうとした
しかし―
「そこまでよ」
ぎゅぽっ
これまで桃華を蹂躙し続けたそのペニスが無造作に引き抜かれ別の穴に放り込まれた
それと共に冬樹の体全体が180度回転する
とっさの事態に驚くも頭が十分に反応しない冬樹
「ほひおきよ(お仕置きよ)」
「(三輪咲き<収穫>!!)」
右手で睾丸を揉みながら持ち上げ、左手をアナルに差し込んで前立腺を刺激
精液が尿道を通るところを一気に口で吸い上げる
「・・・」声が出ない
哀れ少年は無理やり射精させられた上に刺激を倍加され、あっさり気絶に追い込まれた
じゅるっ
「冬樹ったら、女の子には優しくしてあげないとダメってママ言ってるでしょ?」
一時間後―
何か自分の体をざらざらしたものが這っている
「う、う〜ん」その感触で目が覚める
大量の湯気で遮られたその空間で秋の巨乳が飛び込んできた
「冬樹、気が付いた」
「ママ?なんでここに?」
驚く冬樹に対し秋はきょとんとしている
「あら覚えてないの?そんなにママのテクニックすごかったかしら?」
秋は近くにあった椅子を引き寄せ、冬樹を座らせた
「まあいいわ、先に体を洗いましょ」
ゴシゴシと背中から首筋を洗われる
「ママ、西澤さんは?」
「ちゃんといるわよ、ほら」
後ろを振り返ると倒れている人影が一つ
「よかった」安堵の笑みを浮かべる
「後は自分で洗えるわね」秋は背中を軽く叩いた後、桃華を抱えて風呂に入る
頭を洗い終わり浴槽に入った冬樹が胸元に引き寄せられる
秋の腕に抱えられ冬樹と桃華が密着し、冬樹の顔が緊張する
「どう、楽しかった?初エッチ」意地悪そうに語りかける
「ママ?」
「ちょっと乱暴がすぎたわねえ。あれじゃ壊れちゃうわ、それに気持ちよくならないし。」
「うん・・・ごめんなさい」
「あやまるなら桃華ちゃんにしなくちゃ。ほら、抱きしめてあげなさい」
「う、う〜ん」桃華が意識を取り戻す
「桃華ちゃん、大丈夫?」
「冬樹君・・・それに冬樹君のお母様も、私一体・・・?」
ぎゅうううっ
桃華の体は強く抱きしめられる
「西澤さんごめんね、本当にごめん。僕自分のことしか考えてなかった」
桃華の目には少しの恐怖、冬樹の目には少しの涙
互いに見つめ合うもいたたまれなくなって顔を背けてしまう冬樹、その顔はくしゃくしゃになっていた
ちょん、ちょん―
肩を突かれて顔を元に戻そうとする冬樹
その唇が別の唇に捕らえられる
「あら〜」秋の顔が赤くなる
冬樹と桃華のキスがゆったりと続く
「ぷはぁっ。うふふ、冬樹君のファーストキスもらっちゃったぁ」
「に、西澤さん?うわっ」
抱きしめている中から桃華に抱きつかれる
「いいんです、冬樹君も初めてで仕方ないでしょうし、それにわ、私・・・」
そう言いながら頬が赤く染まっていく
「「?」」
「激しいの、病み付きになっちゃうかも」
「あ、あはは・・・」
「(あらあら、これから大変ね)」
「あ、そうだ、せっかくだし・・・冬樹君が反省しているって言うんなら、私のお願いを一つきいてくださいませんか?」
「うん、何でもいいよ」
「じゃ、じゃあ・・・
『桃華』って呼んで下さい
いいですか?」
「それじゃ・・・桃華ちゃん、これからもよろしくね」
「はい!」
「これで一件落着ね。ママも安心したわ」
「(そうね、ついに冬樹君とも結ばれたし、これでよかったのよねえ。・・・?ねえ・・・ねえ・・・あれ???」
桃華の顔が青ざめる
「あ〜!!!い、いない。もう一人の私がいな〜い!!!」
数週間後
吉祥学園、昼休み―
オカルトクラブの部室には二人
一冊の雑誌を広げて読んでいる
「きゃ、きゃ〜」
「学校でエッチしちゃう人もいるんだね・・・」
桃華の体はすっかり元に戻り、胸も元の板という表現が適切になっていた
「ふ、冬樹君」
「?」
「私たちもやってみませんか?」
「ええっ?」
桃華が体を寄せてくる
「今日の冬樹君、午前中から溜まってそうだったし、授業に集中できてなかったようですから」
苦笑するも少し期待している冬樹
「(おい表!あんまりハメはずすんじゃねーぞ!また消えかかるのはゴメンだぞ、ったく!)」
「(わ、私はただ将来西澤グループを継いでいただく冬樹君にしっかり学業に励んでいただこうと)」
「(とってつけたような嘘つくんじゃねえ!)」
そんな中、緑色の物体が飛び込んでくる
「ゲロ〜冬樹殿〜!」
「ぐ、軍曹!」
「夏美殿の本を持ち出したのがバレてカンカンでありますよ!」
ドカァン!!!
「タマ〜、軍曹さん助けて〜」
「コラ〜冬樹!ボケガエル!覚悟しなさい!」
夏美が瞬獄殺のモーションでこちらに向かってくる
「に、逃げよう桃華ちゃん」
「は、はい!」
「冬樹殿〜我輩を置いてかないでほしいであります〜!」
「まてコラ〜」
「(あ〜あ、せっかくのお昼休みでしたのに
「(ちぇっ、せっかくのお楽しみだったのに
まっ、いいか
どうせ時間はたっぷりとあるんだから)」」
終わり
569 :
駄文でしたが:2008/03/07(金) 17:50:57 ID:EAfF792B
書くといっておきながら長いこと空けてすみません
ではこれにて失礼いたします
>>569 お疲れ様です。
二人の不器用な行為が面白い反面、後押しをする秋ママがちょっと過激かな?
とか思ってしまいましたが。
ともかく冬樹×桃華のエロパロを堪能させてもらいました。
面白かったですGJ!
どうなるのかハラハラしましたが冬桃幸せでよかったです!
テレビ東京で超劇場版ケロロ軍曹2放映中
保守であります
保全
575 :
名無しさん@ピンキー:2008/03/15(土) 21:51:36 ID:hW7C/jKQ
何もないけど一応あげ
日向家って近親相姦の臭いが濃厚だな
ともかく、日向秋の熟女の性欲はどうやって解消しているのか謎だ
>>577 クルルが関係しているのは間違いない
16巻で桃ママ迎撃するために発明品で操ってたしな
>>577 ていうか、旦那とは死別なのか離婚なのか。
旦那の影も形も見えない。
>>579 古いおもちゃが閉店する話で、それらしい影はでてるね。
>>580 ×:おもちゃ
○:おもちゃ屋
だね。すんまそん。
過去に戻った冬樹がそれとしらずに秋を孕ませ、
出来た子がなっち
>>580 あったけ?
覚えてないくらい影が薄いな…
>>578 秋ママもクルルの事は妙に気に入ってるみたいだし、
別に洗脳などする必要も無く、割り切った大人の関係を
築けそうな間柄のように思える。
割り切れなくて本気になっても、それはそれでよし。
でもあんまり見ないんだよなあ、クル秋。
アリサ冬樹モノも見ないな
アリサちゃん暴走してレイープとかありそうなもんだが
「フユキっ…ハアァッ、ッア…アッ…フユ…キっアアッ、フユキ、フユキッフユキぃ」
『……私もいるんだがな…』
って事になると思うんだが
コミック第2巻の第拾壱話に出てくる、漫画研究部のポニテの女の子×冬樹とかでもいいのかな。
名前も無く、マイナーなキャラだからだめかな?
>>589 それはそれで読んでみたい。
先週の雨宿りのエピソードで小ネタ
誤字・脱字についてはご容赦くださいませ
雨はなかなか止まない。
壊してしまったママのマグカップと同じものが見つかったのは良いけれど、
ツイてない時ってほんとにしょうがなくて、その帰り道、ばったりボケガエルに遭遇しちゃった。
一緒に雨宿りっていうのは仕方ないけど、
私がママのマグカップを壊したって知ったら、また
「家事当番代わって」とか「家の中のどこでガンプラク組立てても、文句言うな」
とか言われそうで嫌だな。
え?何よ、その疑いの眼差しは!
わ、私は私の買い物をしてきただけなんだから!
そうだ!
こういう時は、この場の雰囲気を柔らかくするような話題を出して…
「ねえ、ボケガエルは、おでんのネタ、何が好き?」
あ、ボケガエルのヤツ、話に食い付いたわ!
へぇ…、宇宙人のクセに、おでんに詳しいんだ…
え!?何よ!他の人が好きなネタに文句付けんじゃないわよ!
そうなの!?「糸こん」と「しらたき」の違いってそんなもんなんだ…
案外、物知りなのね。ちょっと見直しちゃった。
でも…
こうやって、何でもない話してる時って、ボケガエル、案外いいヤツだよね…
雨、なかなか止まないな…
「雨、止まないね…」
「そうでありますな。
でも、暖かくなっていて良かったであります。
これが雪だったら、我輩、とても寒くてやりきれないでありますよ。
でも、雨だけならはわれわれケロン人にとっては嬉しいものではありますが」
「そうね、でも、まだやっぱり寒いわ…」
そうだ、ちょっと、ボケガエルの隣に座って、びっくりさせてやろうかしら。
「ねえ、隣に座っていい?」
「構わないでありますよ」
何よ!
『ええー!ど、どうして夏美殿が、わざわざ我輩の隣にー!!』
とか、びっくりしないわけ?
ま、いいわ。
よいしょ、と。
でも、ボケガエルって、
何かあると「侵略、侵略」ってとんでもないことばっかりするけど
普段は二言目には「ガンプラ、ガンプラ」ばっかりで、
今だって、おでんのネタであんなに熱くなっちゃって、
ほんと、大人なのか子供なのか、よく分かんないわね…
今だって、こんなちっこい身体のクセに、いっちょまえにカッタルそうに足なんか組んでるし…
なんか、ちょっと、ちょっかい出してみようかな…
「寒いの、嫌なんでしょ…?
じゃあ、二人でもっとくっ付くと、温かいわよ?」
「はぁ…、そうでありますな。
確かに、この薄ら寒い中、少しばかり身体が冷えて来たであ…」
ボケガエル、目をまん丸にしてる!ま、アイツの目はいつだって丸いんだけどね。
「エェ〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!!」
うふふ。動揺してるしてる!何だかいつものお返しをしてるみたいで面白いな。
「何よ。寒いの、嫌なんでしょ?
それとも、私のことがそんなに嫌いなの?それとも、私が怖いのかしら?」
「いやいや! そういうことではなくてでありますな。
なななな、何も、わざわざ、我輩の、と、と、隣に隣に座らなくても…。
ほ、ほ、他にも夏美殿が腰を下ろせる場所はいくらでも…」
大慌てね!このまま一気に押し捲っちゃえ!!
「アンタの隣がいいのよ。風除けにもなるしね!」
「え!?『風除け』でありますか…。はいはい、どうぞ!であります!!」
あら、ふてちゃったわ。勿論、『風除け』なんてウソ。もっと変な事してやるんだから!
「じゃ、座るわね」
「どうでありますか?我輩が風除けになってるおかげで、
夏美殿は肌寒さを凌げて、さぞかし結構なことでありましょうな!」
嫌味を言ってられるのも今のうちよ。これならどう?
「身体をくっ付ければ、二人とも暖かくなるわよ」
「またまた、我輩をからかうのも大概にするでありま…」
アイツの腰に手を回して、ぎゅっとこっち側に引っ張ってやったわ!
これで二人の身体が密着したわね。どうよボケガエル、もっと動揺なさい!
「ね?温かくなってきたでしょ?」
「…た、確かに…。しかし、でありますな、夏美殿…」
「ん?何よ」
「もし、こんなところをギロロ伍長に見つかりでもしたら…」
「大丈夫よ。ギロロがこんなとこに居るはず無いんだから。
ははーん。アンタ、モアちゃんのこと、気になってるんでしょ?」
「いや、それは、でありますな…」
「いいわよ、隠さなくたって。モアちゃん、アンタ一筋だもんねぇ」
「アンタさ、モアちゃんのこと、ほんとはどう思ってるのよ。
いつまでも宙ぶらりんじゃ、モアちゃんが可愛そうよ」
「…まいったでありますな…」
「それとも、他に好い人が居るとか?」
「プルルちゃんかなー?」
「うう…」
「それとも地球人?」
「うむむむ…」
「まさか、あたしじゃ、ないわよね…」
アイツのちっちゃな身体に、そっと体重をかけて、と…
「な、夏美殿っ!大人をからかうのも大概にするでありますっ!!」
「あら、何よ。やる気!?」
あっ!いけない!!ボケガエルがいきなり立ち上がったせいで
せっかく買ってきたマグカップが膝の上から落ちちやう!
「おおっと!!」
アイツも、横に置いておいた小さな包みを地面に落としそうになってる。
「あ〜!!」
「きゃー!!」
二人が同時に自分の小さな包みを拾おうとしたものだから、
バランスを崩した身体同士がぶつかっちゃった。
「痛てえ〜」
「痛ぁーい」
気が付いたら、あたしは仰向けに尻餅を付いてて、
アイツは、ちょうどあたしに覆いかぶさるみたいになってた。
「なななな、夏美殿ごめんであります」
「ううん、あたしも悪かったわ」
と、その時
「…ケ、ケロロ…、これはいったい、どういうことだ…」
ギロロの声だわ!
なんか、辺りがものすごく嫌な暑さになってるんだけど…
「ケロロッ!!
貴様が書類の整理を放り出したままいなくなったから探しに来てみれば…
さあ、この状況を説明してもらおうか。貴様が口を利ける、今のうちに…」
やばい、ギロロが銃を構えて仁王立ちでこっちを凄い目で睨んでるじゃない!!
「ギロロ!これはボケガが悪いんじゃないの」
「そうであります、これは我輩と夏美殿の二人の…」
「ななな、夏美と、ケロロの、二人の合意の上の事だと…」
ギロロってば、説明を最後まで聞きもしないで、
泣きながら走って帰らなくてもいいじゃない。
しょうがないわ。帰ったら、ビターチョコ使ったチョコレートケーキ焼いてあげようかな…
>>595 乙であります!
ギロロもケロロもかわいいな
タママ「ねえねえ、軍曹さ〜ん」
ケロロ「ん?何かねタママ2等」
タママ「モモッチにはオトンとオカンが居るじゃないですかぁ?」
ケロロ「あ・・・あのおそろしい桃華殿のママ殿とパパ殿ね。それがどしたの?」
タママ「今まで聞いちゃいけないと思ってあえて触れないようにしてたんだけど・・・」
クルル「く〜〜くっくっくっく。判るぜ〜〜おめえの言いたいコト。
そいつあオレ様も触れなかった禁断の話題だぜ?」
ギロロ「・・・またつまらん話をしおってからに〜!貴様ら侵略はどうした侵略は!」
タママ「フッキーとナッチーのパパさんって、どこいったんですかね?」
続きを頼む
今までたまにアニメを見てたケロロ軍曹
先日初めて原作を読んだ
タママって男だったのかorz
ボクっ娘萌えとか思ってた自分オワタ
タルタマとかドロタマとかケロタマとか書きたかったけど、果てしなく萎えた
こんな奴が自分以外にも5人はいると信じてる
何の為にクルルがいると思ってんだ
クルルズラボなら女体化の一人や二人
保守であります
雨宿りみたく夏美視点で見るケロン人の描写が好きだ
泣きながら走って帰った伍長が可哀想で好きだ
ウェットルマンが秋ママorなっちをを超絶クンニ責め展開希望
いつの間にかモア殿が黒ソックスになっている件
>>603 漫画では雪合戦の話の時点ではパンストだね。いつからソックスになったんだろう。
605 :
名無しさん@ピンキー:2008/04/06(日) 08:17:11 ID:YXgEVDoj
クルルの悪趣味が冬樹を姉を越え母に近づく身体に・・・
秋ママ35歳なんだよな?
夏美が15だから、すくなくとも20歳の頃にゃ種を仕込まれていたことになるな
若い頃はヤリマンだったのかw
607 :
名無しさん@ピンキー:2008/04/07(月) 10:51:14 ID:leQ2tk8t
レディースかな?
過去スレで擬人化ギロロと夏美というカプで名作がいくつかあったので、
それからアイディアを借用しています。嫌な方はスルーしてください。
「こ、これでいいの?」
「ああ、オーケーだ…」
怪しげな雰囲気がどんよりと垂れ込めるクルルズラボの中。
中央に据えられたリクライニング機構が付いた大きな椅子型の高機能診察台には、
電極が無数に装着された厳ついヘルメットを被った夏美が、なんとも居心地悪そうにちょこんと腰掛けている。
その横には、いつもの薄笑いを口元に浮かべたクルルが白くて小さなリモコンを持って立っていた。
「よし、全身の力を抜いて、楽な姿勢で腰掛けてな。それからもう一度言うが、
俺がオーケー出すまで、絶対にヘルメットを脱いだり、それに付けてある電極やそのコードを抜くんじゃねぇぞ!」
「わかったわよ!いいわ」
「じゃ、いくぜー…」
クルルが、リモコンのスイッチを押す。ピッと小さく作動確認音が鳴った。
夏美が被っているヘルメットの配線が束になって接続されている大きめの白い箱状の機械が、静かに唸り始める。
今から約30分前。
「あーッ!そのチケット、どうしたのよ!?」
「これか〜?あんた、興味があるんじゃねぇかと思ったんでね…」
クルルが指先に摘んで夏美の目の前で思わせぶりにヒラヒラと振ったのは、
指が痛くなるくらいリダイヤルしても、冬樹にも頼んでPCニ台で二人がかりで応募しても、
とうとう購入できなかった超人気アーティストのライブ・チケットだった。
「で、いくらなの?」
「何がだ?」
「そのチケットよ。どうせあたしに高く売りつけるつもりなんでしょ?ほんとは、そういうのってよくないんだからね」
「いや、タダでいいぜ…」
「はいはい、わかったわ…。じゃあ、タダで…。…って、タダっていったい、どういうことよ!!」
「俺のちょっとした実験の被験者になってもらいたいんだが…」
「嫌よ!絶対にイヤ!!アンタにしちゃあ、どうも話がスムーズに進み過ぎると思ってたわ。
そんな、何されるか分かったもんじゃない実験受けろだなんて…。そういうのは、まず自分で試しなさいよね!」
「いや、こいつは被験者がペコポン人じゃないと意味がねぇんだよ。それに、別に痛くも痒くもねぇ…」
「しつこいわね!お断わりったらお断りなの!!
いくらチケットを只で貰っても、くだらない実験なんかでもし身体がおかしくなったら大変だわ!もう結構よ!!」
「あ〜あ…。勿体ね〜な〜…」
「ふんっ!」
「この席…、623の隣りなんだがなぁ〜…」
「えっ…!」
「623にも、『このチケットは夏美にくれてやるつもりだ』って言ってあるんだが…」
「うう〜…」
こうして、夏美はクルルの実験の被験者になることを−渋々ではあったが−承諾したのだった。
傍の機械は余り快くない音で唸り続けるが、クルルの言うとおり、夏美は、ヘルメットを被っている頭部にも、
その他の身体の部分にも、何の変化も異常も感じなかった。
クルルかが説明するには、
この実験は「ペコポン人の精神構造を体系的に調べるため」の手掛かりになるのだそうで、
頭皮に接した電極で読み取った生体の電流を“ケロン人の基準で”分析・解釈するだけであり、
この実験によって被験者の精神に負担が掛かったり、
それに異常を来たしたりすることはこの装置の構造上も理論上も有り得ない、とのことだった。
「しゃべってもいい?」
「いいぜ」
「今気が付いたんだけどさ、こうやって、アンタの実験に協力することって、地球にとっては善くないことよね?」
「ああ、広義の『利敵行為』ってことになるだろうな。
だが、それを言うなら、ペコポンを侵略するって公言してる俺たちを居候させてるってこと自体、
『敵を匿ってる』ってことになるんじゃねぇか?」
夏美は、今の自分の行為について自分から質問を始めてしまったことをちょっとばかり後悔した。
そこで、心にチクリとくる地球への申し訳なさを少しでも和らげようと、
この実験がそれほど重大なものでないという確言をクルルから引き出すべく、質問を続ける。
「ねえ、この実験てさ」
「あ?」
「『実験の実験』みたいなものなんでしょ?」
クルルは、ピコピコと歩いてその装置の後ろへ回りこみながら答える。
「ああ、そうだ。
俺は『ペコポン人の精神構造の解析に必要なデータを効率よく収集すること』に関心があるんだ。
今は、そのための『効率よくデータを収集する方法』を決めるための実験をしてるのさ」
夏美の良心が、小さく安堵の溜息をつく。
如何にプラチナチケットとはいえ、
本来ならば、それと地球の安寧とを引き換えにしてよいはずなどないのだから。
「だが…」
いつも通りの厭らしいクルルの声音にギクッとした夏美がハッとして振り返ると、
どこからいつの間に取り出したのか、クルルの手には、
地球の動物をその特長を強調しつつ人型の戦士に変身させる地球動物兵士化銃が握られており、
しかもそれは、太いケーブルで夏美の脳波を収集している白い装置と繋がっていた。
勿論夏美はその銃の詳細など知る由もないが、
しかし、クルルの様子から、直感的に何か面倒が起こりそうだと判断する。
「ちょっと、何よそれ!そんなの使うなんて聞いてないわよ!!」
「ああ、安心しな。お前さんに使うわけじゃねぇよ」
「あたしにじゃない、って、それじゃ誰に使うのよ!」
「今、来るぜ…」
クルルが、銃口をラボの入り口へ向ける。
その時…
「…つみ…、…なつみー…」
扉の向こうから、微かにギロロの声が聞こえてきた。
「おっさん、喉から血が出るほど怒鳴ってやがるな。特殊装甲のこっち側にまで聞こえるぜ。
愛の力は偉大だってか…?」
ギロロの必死の叫びを鼻先であざ笑うクルルに、事態の緊迫を察知した夏美が慌てて問いかける。
「何でギロロがここに?まさか、ギロロにその銃を使うの!?」
「まあな」
口元に手を当て、いつものクックックッという薄笑いを浮かべるクルル。
「止めなさいよ!なに考えてるのよ!!」
「そんなにあのオッサンの事が心配かい?」
「ち、違うわよ!変な物使ったら、また変なことになるでしょ!!」
この時、夏美は確かに動揺していたのだが、
それは、また何時も通りの大混乱が起こりはしないかという強い憂慮ばかりでなく、
『オッサン(ギロロ)のことが心配か』という問い掛けに対してちょっと動揺した自分に対してもであった。
「クルル、いるんだろ!!夏美を、夏美をどこへやった!!出て来い、クルル!!」
この時、装置のブザーがピリリリリッと鳴った。
「ヘルメット、外していいぜ」
サッとヘルメットを脱いだ夏美は、診察台から飛び降りると、クルルの元へ駆け寄る。
「とにかく、その変な銃を使うのを止めなさい!それから、扉を開けてあげて!今すぐ!!」
自分を睨みつけながら、片方の腰に手を当て、
もう片方の手をスッと上げて入り口を指差す夏美に、クルルは、やれやれといった風に溜息をつく。
「へいへい。仕方ねぇ。ご注文どおりに致しますかねぇ」
ウィーンという軽い唸りを上げながら、入り口の装甲扉が開く。
それと同時に、ギロロが愛用のライフルを構えて部屋に飛び込んできた。
「クルル!貴様ッ!!夏美ッ!怪我は…」
ギロロがせりふを言い終わらぬうちに、クルルが銃の引き金を引いた。
ビュルルルルルッ…
銃口から出た怪光線がギロロを直撃する。
「うわぁッ!!」
叫び声を上げながら、ポムッと湧き上がる白い煙に包まれるギロロ。
「アンタ!使うなって言ったのに!!」
クルルの胸倉を掴んでグッとその身体を持ち上げた夏美が、クルルのグルグル眼鏡の奥をキッと睨みつける。
「アンタ、あれ見てどう思う…?」
用心深くクルルの様子を横目で見つつ、夏美はクルルが顎でしゃくった方に視線を移していく。
さっきまで、ギロロが居た所。
そこには、軍服を着た一人の人間の男が、ライフル銃を横抱きにしながら、ポカンとした表情で尻餅をついていた。
今回は、以上です
>>614 wktk wktk つづき! つづき!
>>614 何という焦らしプレイ…wktkが止まらない!
>>614 ずっと待ってるであります!いつまでも待ってるであります!
>>613から
「…えっ…?ちょっと…」
「クックックックッ…」
「あの…。どちらさま…ですか…?」
夏美は、クルルの身体を片手で吊り上げたまま、目を点にしてその軍服姿の男に恐る恐る声をかけた。
男は、ちょっと目を閉じると頭を軽くニ、三回横に振ったあと再び目を開け、夏美を見上げた。
「ああ…、夏美…」
その声は、間違いなくギロロの声だった。
「えっ!ギロロなの!!」
夏美は、目をまん丸にして、クルルを掴み上げた格好のまま、その場で固まってしまった。
「もうそろそろ降ろしちゃくれねぇか…?」
「…、あっ…、ごめん…」
謝るべきは夏美の真っ当な指示を無視して銃を使ったクルルなのだが、
混乱している夏美は素直に謝ってしまう。
こうした心理的駆け引きの巧みさこそが、クルルの真骨頂だった。
やっと床に降ろしてもらえたクルルは、さっきまで強く握られていた胸元を軽くパンパンと叩いた。
この状況を見ていたギロロ−今はすっかり人間の姿になっていた−は、
ライフルを巧みに片手に保持したまま素早く立ち上がると、
それをクルルに向けて構え直し、腹から響く声で宣告する。
「クルル。すぐに夏美から離れろ!それから、すぐに夏美の大きさを元に戻せ!」
「ギロロ…」
夏美は心配になった。
今、ギロロは確かに「夏美の大きさを元に戻せ」と言ったが、勿論、この私の身体にも精神にも何の変化も無い。
だから、本当に『元に戻す』べきはギロロの身体の方なのだが、
ギロロは私の身体の大きさが変化したと思っている。
もしかしたら、クルルの銃がギロロの精神に何らかの悪い影響を及ぼしたのかも知れなかった。
「オッサン、よーく見な…。アンタの背が高くなってるんだぜ…」
呆然と立ち尽くす夏美の前に傲然と突っ立つクルルに油断なく視線を配りながら、
ギロロは、クルルの言葉に尚も半信半疑な様子で自分自身の身体を点検していく。
だが、クルルの言葉を聞いた夏美は安心した。
ギロロが自分の身体に起きた変化をまだ正確に認識していないとすれば、
彼の口からそうした言葉が出ても、少しもおかしくはないからだ。
「ぬおっ!こ、これは…!!」
驚きの余り、ギロロは一瞬クルルへの警戒を忘れて驚愕の叫びを上げた。
でも、夏美はその叫びを聞いて安心した。
今の自分の『身体』が“おかしい”ということが正確に認識できるなら、その『精神』は“おかしくない”からだ。
「き、貴様!いったいこれはどういうことだ!!それと、夏美!お前は大丈夫なのか?」
ギロロの口調は厳しかったし、その銃口はまだクルルに向けられてはいたが、
よく見ると、引き金から指が外されている。一応、最悪の危機は去ったようだ。
自分の身体に尋常でない変化が起きたのに、それでもこの自分を心配し続けてくれるなんて…
ギロロの言葉を聞いた夏美は、何だかとっても嬉しくなった。
そう、一刻も早くギロロを安心させなくちゃ!
「うん!大丈夫よ」
「なら、いい。で、クルル。これはいったい何のつもりだ…」
ゆっくりとクルルに歩み寄ったギロロが、
クルルのヘルメットのクルクルマークにライフルの銃口を押し付けながら、ねっとりとした口調で尋問を開始する。
ただし、ライフルまで地球人仕様になっているから、誰が見ても決して笑えない絵面だ。
「クーックックックッ…。俺がオッサンの質問に答える前に、嬢ちゃんの答えを聞かせてもらおうか…?」
クルルの言葉に、夏美は真っ赤になって俯いてしまう。
「貴様!やはり夏美に何か…」
「違うの、ギロロ」
「しかし、お前。そんなに赤くなって…」
「いいのよ!」
夏美は必死に話の進行を阻止しようとするが、
その努力もこの騒動の張本人であるクルルによってあっさりと無に帰してしまう。
「俺は、夏美に『あれ見てどう思う…?』って聞いただけだぜ…」
「夏美、『あれ』とは、何だ…?」
「いいんだってば!!」
夏美の剣幕の激しさに更に疑念を募らせたギロロが、夏美に対して次の質問を発しようとした瞬間、
クルルが、ギロロのライフルの銃身を手の甲で除けながら会話に割って入ってきた。
「オッサンよ。アンタ、これ、知ってるよな…」
「ああ。以前、ケロロがペコポンの動物を戦士化しようとして失敗した、あれか…」
「ただお蔵入りってのも勿体無いんでね。ちょいとイジッてみたのさ…」
「ほお…」
「(やっぱり!クルルのヤツ…!)」
夏美の心は激しい後悔に波立ったが、やはり気になるのは自分の脳波とその銃の効果との関係である。
夏美は、『私にはそんなの関係ないわ!こっちは変な騒動に巻き込まれて、とっても迷惑してるんだから!』
という顔を作って、そのままその場で話を聞くことにした。
ところが、その夏美の計画に勘付いたのか、またもクルルが余計なことを言う。
「おっと、忘れるとこだったぜ。ほらよ、約束のチケットだ」
ギロロの視線を痛いほど感じながら、夏美はクルルが突き出すチケットをいかにもバツが悪そうに受け取る。
どうやら、ギロロも少しばかり事態の流れを理解したようだった。
「エヘヘヘ…。ギロロ…、ごめん」
「ま、よかろう…。で、その銃の、どこをどうイジッたって?」
「地球生物兵士化銃のエンジンってのは、その生物を構成している物質を再構成することで、
まぁ、外見だけなんだが、一応、任意の他の生物に変えることが出来るって代物だ…」
「(何よそれ!それだけだってメチャクチャややこしそうな物なのに、
それが私の脳波を計ってた機械にくっ付いてたっていうの!?)」
夏美は心の中で悲鳴をあげたが、
動揺を顔に出せばまた間違いなくクルルに突っ込まれるので、必死に小難しそうな表情を維持する。
「地球生物兵士化銃じゃあ、その再構成結果を『ペコポン人型の兵士』に設定したんだが…」
クルルはそう言いながら、その銃をニヤニヤと眺め回す。
「これの場合、『アニマ』または『アニムス』に設定してある…」
クルルは、銃が繋がっている問題の白い箱状の装置に歩み寄ると、
夏美にジトッとした視線を送りながら、それをポンポンと叩いた。
「で、この装置には、被験者の『アニマ』或いは『アニムス』を解析する機能も持たせてあるってワケだ…」
『アニマ』と『アニムス』
夏美は、その単語に聴き覚えがあった。
冬樹が言うには、それらはカール・グスタフ・ユングという心理学者が提唱した概念であり、ごく簡単に言えば、
『アニマ』は男性にとっての理想の女性を、『アニムス』は女性にとっての理想の男性を表す言葉だという。
冬樹によれば、それが世界各地の神話の共通性とやらと密接に関係するらしいのだが、
詳しいことは、とうの昔に忘れてしまった。
こんな聞きかじりの知識が、まさかこんなところで役に立つとは、と夏美は変に感心したが…
「(ちょっと待ってよ…。じゃ、あたしの『アニムス』ってのがあの装置で分かっちゃって、
その姿に変身したのが今のギロロだっていうの…?)」
つまり、今のギロロは、夏美にとっての“理想の男性”に変身していることになる。
とんでもないことになってしまった。
『男性の好み』などというものは、
年頃の女の子にとっては一番興味がある事柄であると同時に一番触れたくない事柄でもある。
夏美としては、ギロロがこの姿のまま只単にみんなの前に出る事だって心中穏やかではいられないのに、
その上、クルルに「これが夏美の『理想の男』ってやつだぜぇ」なんて言いふらされた日には、
こっちがみんなの前に出られなくなってしまう。
幸いなことに、ギロロの素振りからすると、『アニマ』と『アニムス』についてよく分かっていないか、
自分が夏美の“理想の男性”に変身させられたのだ、ということに気が付いていないかのどちらかのようだった。
元来行動派の夏美は、ここで後悔に身体を強張らせるより、積極的に打って出ることを選ぶ。
「ま、まあ、あれよ…。怪我人が出なくてよかったわ!その機械、侵略に使うんじゃないわよ!
じゃあ、私たちは、これで…。さ、行きましょ、ギロロ…」
「え…、あ、ああ。だが、まず、この格好を…」
目も当てられぬほどにしどろもどろだが、夏美はとにかくギロロの腕を引っ張ってラボを出て行こうとする。
ギロロは激変した身体を元通りにしてもらいたかったのだが、夏美に引っ張られるまま、二歩、三歩と歩き出した。
勿論、こんな突っ込みどころ満載な回避行動をクルルが見逃すはずはない。
「おやおや、そんなにお気に召しましたか?お嬢さん!もう、元のケロン人体型になんて戻したくないと?」
夏美は、心の中でギュッと握った拳をもう一方の手の人差し指一本でググッと上から押さえ付け、
引き攣る笑顔と震える声で返事をする。
「せ、せ、せっかく地球人体型になったんだから、この際、ギロロには、アンタたちの代表として、
普段私たちに迷惑かけてる分、家の手伝いとかいろいろと役に立ってもらわないとね…。アハハハハハ…」
「日向家の家事を手伝うのは構わんが、しかし…、この体型は、やはり…」
「いいから!早く!いくわよ!!」
夏美は、大いに戸惑っているギロロの腕をグイグイと引っ張り、逃げるようにズンズンと大股でラボを後にする。
今回は、以上です。
>>617 有り難うございます。よろしくお願い致します。
>>623(◆K8Bggv.zV2さん)
了解しました。早速申請しておきました。
今度の新作である擬人化ギロロ×夏美のSSのほうは未だ申請していませんが
どうしましょうか?完結してから改めて申請するということでいいでしょうか?
>>624 残念ながら、現在の作品がいつ完結するかは現在のところ未定ですので、
完結後に改めて申請をお願い致します。
では、
>>622の続きです
ドキドキと激しい鼓動を抑えつつ、夏美は何とか日向家のリビングに辿り着く。
「まあ座って!何か飲む?全く、毎度毎度アイツの性質の悪い悪戯にもホントに困ったもんだわ!」
夏美は、無意識に、ペラペラと喋り続けることでギロロからの質問を封じようとする。
「夏美、改めて言うまでも無い事とは思うが…」
それを知ってか知らずか、ソファーに腰を下ろしたギロロが、少し咎めるような口調で切り出す。
「あいつから何かをタダで貰ったら、後でその100倍取られると心得ておけよ」
「わかってるわよ!あ…、ごめん…。でも…、さっきは、ありがとね!助けに来てくれて…」
「ああ、さっき、冬樹から電話があって、お前宛の伝言を預かったんだ。
それでお前を探していたら、ケロロが、お前がクルルに連れられてあいつのラボへ行ったと…」
「そうなんだ…。で、冬樹は何て?」
「うっかりバスに乗り遅れてしまったので帰りがかなり遅れるから、
今日の買出しには間に合わないかも知れない、と…」
冬樹は、先日、東京西部の山間部に落下した隕石の調査のために、
交通の便の悪さも省みず、同地に朝早くから出かけていたのだった。
「えーっ!今日の買出し、二人で行かなきゃとても持ちきれる量じゃないから前から頼んでたんじゃない!もう…」
悠長に冬樹を待っていては、タイムセールが終わるか、その前に商品が売切れてしまう可能性があった。
冬樹が帰ってこられないのなら、今すぐスーパーへ行ったほうが賢明だ。
しかし、購入予定の商品の量からすると、どうしても二往復する必要がある。
「夏美…。もし、よければ、俺が…」
片方の手を腰に、もう片方を額に当てて如何にも困った様子の夏美の様子を見て、
ギロロが、自分の胸元に手をやりながら立ち上がった。
「え…?あ!あ〜…」
「お前、さっき、俺に家事の手伝いをしてもらうと言ってたろ?」
「そりゃ、そうだけど…」
夏美の動転をよそに、話はどんどん進んでいく。
「ならば決まりだ。マイバッグと、それから財布は持ってるな?では、出発だ」
ここで、夏美にチャンスが巡ってきた。
ギロロはそれを当然のことと思っているが、今のギロロは、上下ともモスグリーンの如何にも機能的な戦闘服で、
おまけに地球人仕様の−つまり、地球人が使っているのと同様の外観と大きさの―ライフルを肩に担っている。
このままの格好で表に出れば、運が良ければサバイバルゲームの帰りだと思ってもらえるかも知れないが、
もしも警官に出会ったら、職務質問を受けることは必至である。
そんなことになれば、ただの『一大事』などではとても済まなくなることは火を見るよりも明らかだった。
よし!それを指摘して…
「あ、あ、ありがとう。でも、スーパーに行くのに銃を担いでっていうのはねぇ…。
そ、それに、そんな本格的な軍服着てったら、お店の人も他のお客さんもびっくりしちゃうわよ…!
着替え、無いんでしょ?だったらさ、できれば、お留守番をお願いできないかなぁ…?なんて…」
その時、リビングの入り口のドアを軽くノックする音が…
「(また、アイツか…!)」
凄い勢いで入り口を振り返った夏美の予感は的中しており、
入り口のドアのガラスの向こうには、小さい黄色い影が一つ…
「アンタねぇ!もう、今日は、地下から出ないで大人しく…」
「オッサン用の着替えだぜぇ。
この家にゃ、すぐに使用可能な状態でペコポン人の成人男性用の洋服が保管されちゃいねぇからな…。
これで、家事手伝いもバッチリってか?ク〜ックックックッ…」
少し開いたドアの隙間から、丁寧に折り畳まれた男物の衣類が数着、そっと差し入れられる。
ギロロはそれを拾い上げると、銃を仕舞って着替えてくる、と言い残して庭のテントへと向かった。
一人リビングに残された夏美は、あ〜あ、と頭を抱える。
しばらくすると、着替えを終えたギロロが再びリビングに戻ってきた。
この時ギロロが選んだのは、この季節に相応しいごく一般的なベージュ色のシャツとスラックスだが、
クルルが持ってきた服のセンスは夏美の目から見てもまあまあであり、
デザインが巧みなのか、軍服っぽさと爽やかさが微妙なバランスを保っていた。
幸か不幸か、これで外出に関する障害が取り除かれたので、
夏美は仕方なく、ギロロを連れてスーパーへと向かう。
自動ドアが開き、店内に歩み入る二人を心地よい冷房が包む。軽快なBGM。
「夏美、これとこれは品名が同一なのに、なぜ値段が違うんだ?」
「え…、あ…、ああ、それはね、こっちはすぐに使えるように細かく切り分けてあるからよ…」
店に入ってからというもの、夏美は、ずっと不思議な感覚に戸惑っていた。
いつものスーパーでの、いつもの買い物。
夏美が“お供”を連れているとすれば、それは背丈も年齢も自分より下の冬樹であるはずなのだが、今日は違う。
夏美の今日の“お供”は、喩えその正体が大きなカエルみたいな侵略宇宙人だとはいえ、
背丈も、おそらくは年齢も、自分より遥かに上の普通の地球人の男性だ。
そしてなにより、
今、自分が、自分の“理想の男性”の姿形をした人物と一緒なのだということが夏美を非常に戸惑わせていた。
ギロロが今の姿に変身させられて以来、夏美はギロロの顔をまだ一度もきちんと見たことが無かった、
いや、正確に言えば、あらゆる意味で“見られなかった”のだが、
夏美は、どうした訳かこの場でいきなり、ギロロの顔をチラ見してみたい強い誘惑に駆られた。
食材を一生懸命に比較しているギロロの横顔。
ギロロと目が合わぬように細心の注意を払いながら、その顔に、横目でチラッと視線を走らせる。
「!」
その整った顔立ちと真剣な眼差しに、夏美の胸がキュン!と切なく音を立てる。
その、キュンと鳴った胸の音の意外な大きさにびっくりして、夏美はサッと俯くとそのまま真っ赤になってしまった。
「(…もしかすると、今のこの状況って、他の人から見ると『お買い物デート』に見えるのかしら…?)」
少し落ち着いてきた夏美は、そっと顔を上げると、
夏美から渡されたメモを片手に、慎重に一品一品吟味しながら買い物を続けるギロロを見る。
背は、他の成人男性よりほんのちょっと高め。広い背中。服の上からでも、体格がいいのが一目で分かる。
少しウェーブの掛かった艶のある深い緋色の髪を後ろへ撫で付け…
と、ここまで観察したところで、ギロロが夏美の視線に気付いて振り返った。
「どうした?夏美…」
「え…!う、うん!何でもないの…!さ、急いで残りを買っちゃいましょ!」
心臓が飛び出しそうなほど動転した夏美は、咄嗟にギロロの逞しい腕に自分の腕を絡めた。
「な!夏美ッ!!」
ギロロの動揺も一方ならぬものがあるが、夏美の動揺はギロロの動揺を目の当たりにしたことで更に倍化され、
ともかくも喉元に上がってきた言葉を、必死に呼吸を整えつつ、
如何にも秘密の指示を伝達するように声を潜めてギロロに囁いた。
「慌てないの!こうしていれば、他の人にアンタが宇宙人だってバレないわ!」
「(ええーッ!私ったら、なに言ってんのよ!!)」
だが、もう遅かった。
「そ、そうか…。分かった…」
スーパーの中でこんな美丈夫と美少女のカップルがイチャついていれば嫌というほど目立のだが、
しかし、それでもギロロは夏美の言った事に大人しく従う。
「(何で私、咄嗟にギロロと腕を組んだのかなぁ…。それに、あんなことまで言って…)」
夏美は自分自身の行動の根拠が全く分からなかったが、
『根拠が分からない』ということが分かってもなおギロロの腕を離そうとしない自分自身の心の内の方が、
もっと分からなくなる。
「洗剤なんだが、お前のメモに書いてある銘柄よりも、こちらのほうが安いぞ」
「入ってる量が、こっちのほうが多いの。グラム単位にすれば、こっちの方が得なのよ…」
夏美は努めて平静を装ってはいたが、
ギロロの口から『お前』という単語が出る度に、胸をギュッと締め付けられるように苦しい。
そういえば、夏美のことを『お前』と呼び、また、夏美自身がそう呼ぶことを許している者は、ギロロだけであった
「(どうしてこんなに胸が苦しいの…?)」
夏美は自問自答を幾度と無く繰り返すが、その答えは、容易には見つかりそうにも無かった。
レジの列に並ぶ。
なぜか、周囲の視線が痛い。ちらりと見上げたギロロの顔は、真っ赤になっている。
夏美たちの番が来て、商品がいっぱい詰まったカゴをカートから降ろす段になって、
初めて夏美は、自分がそれまでずっとギロロの腕にしがみついていたという事を自覚した。
夏美は、自分の身体が自分の心の制御から独立してしまっていることを、いや、
自分の心が、身体を制御しようという意志をほぼ完全に放棄してしまっているという事実を見せ付けられ、
愕然となった。どうなっているのかも、どうしたらいいのかも、分からなかった。
時折小さく溜息をつきながらトボトボと歩く夏美の後ろを、
山ほどの買い物が詰まったマイバッグを両手に下げたギロロが、しっかりとした足取りでついていく。
「どうした?夏美。さっきから、なんだか元気が無いが…」
「…、あ…、う、うん。何でもない…」
もう、クタクタだった。
普段、冬樹のオカルトの講釈を聞き流している夏美も、
今ばかりは流石に人間の『深層意識』とやらに少し関心を持ったけれど、
それを思い出したり深く考えたりすることすら、酷くくたびれた。
家に着く。
ダイニングのテーブルの上に買ってきたものを並べ立てると、
ギロロは、一つ一つ丁寧に夏美に尋ねながら冷蔵庫や収納棚にそれらを納めていく。
夏美には、ギロロと二人きりという状況が酷く落ち着かないものに感じられて仕方が無かった。
玄関のチャイムが鳴る。
「ただいまー!ごめーん、ねーちゃん!!」
冬樹の声だ。
「ギロロ、ごめん…。後、お願い…」
そう言い残すと、夏美は、覚束ない足取りでダイニングから出て玄関へと向かった。
「姉ちゃん、ごめん!」
夏美の姿を認めた冬樹が、大声で謝りながら廊下を小走りに近付いてくる。
「いいわよ…」
「本っ当に、ごめん」
「いいって言ってるでしょ…。キッチンにいるの、ギロロだから…」
「どうしたの?姉ちゃん…」
「後、お願い…」
不安と心配が入り混じった表情の冬樹をその場に残し、夏美は、ふらふらと二階の自室へと上がっていった。
部屋へ辿り着いた夏美は、ベッドに崩れるように倒れ込む。
ごろりと仰向けになると、定まらぬ視線を天井へと向けながら、ポツリと呟いた。
「あたし、一体、どうしちゃったんだろう…
これから、あたし、どうなっちゃうんだろう…」
今回は、以上です。
>>617と
>>624の中の人です。
◆K8Bggv.zV2さんの作品は雨宿りのみを申請しておきましたよ。
今度の新作は完結後に改めて申請することにします。
ドキドキする夏美が可愛いですね。続きを楽しみにしていますよ。
>>643 中の人様、この度はお世話になります。
住人の皆さん、いつもお読みいただき、また、応援のレスを頂き、有り難うございます。
職人としては、大変励みになります。
さて、当方、現実世界において急遽少々手間の掛かる仕事に取り組まねばならなくなってしまいました。
ストーリーが「これから」という箇所で真に申し訳ありませんが、
ここ暫くは仕事に専念致したく、次回投下まで多少のお時間を頂戴する事に致しました。
ご迷惑をお掛けしますが、どうかお許しください。
>>636 楽しみに待っております
最近になってこのスレにきて保管庫みてきたんだが
神がたくさんいらっしゃいますね
ギロ夏好きなんで主にそれ見てるんだが実にいい
641 :
名無しさん@ピンキー:2008/04/21(月) 14:44:42 ID:5qCk7QgD
久しぶりにゲーセンに行ったら「オトメディウス」と言うゲームがあった。
ケロロにゲストで出ないかな?
>>632の続きです。
大変お待たせしたのに、H成分が全く無いです。
でも、『会社のPC』+『フロッピーディスク』のコンビだと、ここらが限界なんです…
次回からは、イチャイチャ&激情展開を目指したいと思います。
>>632の続きです
「(あたし、いつの間に眠っちゃったんだろう…)」
ぼんやりと開けてくる視界に映る、ちょっと薄暗くなりかけた自分の部屋。見慣れた天井。
あれだけの突発的な心労に曝されれば無理もないといえるが、
夏美は、あれから本当にぐっすりと眠り込んでしまっていた。
「姉ちゃん、夕ご飯が出来たよ。
買出しに間に合わなかったお詫びに僕が作ったんだけど、またハンバーグが焦げちゃって…」
ドアの外から、如何にも申し訳なさそうな冬樹の呼びかけが聞こえる。
「わかった。今行くわ…」
夏美は、ふぅっと一つ溜息をついてベッドから身を起こす。
階段を降りる夏美の足取りは重い。
ギロロに会うのは気が重かった。今日これからギロロに対してどういうふうに接すればいいか分からなかった。
昼間の買い物のときの自分の支離滅裂な態度を思い起こすにつけても、
それが、普段からギロロがこの自分に対して寄せてくれている
ただの好意以上の感情に触発されたものだという事がはっきり分かっていただけに、
その気まずさは一通りのものではなかった。
とうとう、階段の一番下の段を降りてしまった。
仕方なくダイニングに入る。
テーブルについている一同を見渡すと、
クルルは夏美の到着を待たずに食べ始めており、
ケロロは、昼間の事について既に誰かから知らせを受けたようで、曖昧な作り笑顔を夏美に向けつつ固まっている。
そして肝心のギロロはといえば、すっかり完全に元の姿に戻っていた。
だがしかし、夏美を見遣るその視線にも、少し強張ったその表情にもとても複雑なものが浮かんでいる。
夏美のすぐ後に従ってダイニングに入った冬樹は、
『姉の様子を窺う』という素振りを見せずに夏美の動静を窺っていた。
勿論、時たまそれが夏美の神経を逆撫でして無用な八つ当たりを招く事もあったけれど、
しかしこれが、こういった極めて微妙な事態が発生した場合の冬樹一流の対処法であった。
夏美は自分でもそうとは気付かぬまま、
ダイニングの入り口に突っ立って、元の姿に戻ってしまったギロロを暫しぼんやりと眺めていたが、
この時、その心の中では、二人の夏美が同時にそれぞれの思いを吐露していた。
「ああ、よかった…」
「えー!つまんない!」
真っ向から対立する二人の意見。早速、言い合いが始まる。
「『よかった』って何よ!あたしの好みの男に変身したギロロの顔、まだよく見てないじゃないの!
それとも、あんたは見たくないの!?」
「ちょっと待ってよ!あたしの好みの男の姿でウロウロされたんじゃ、気が休まる暇が無いわ!」
共に自分自身の内奥の声だけあり、その言い分はもっともだ。“相撃ち”になった結果、黙ってしまう二人。
だが、これが少し落ち着きを取り戻させたのか、
夏美の心に、昼間のギロロの一連の言動を思い起こすだけの余裕が生まれた。
そう…
ギロロは、冬樹からの言伝を伝えるために自分を探してくれて、
クルルの所にいた自分のところに駆け付けてくれて、
突然変身させられてしまって、
買出しに付き合ってくれて、
私が腕を組んだせいで恥ずかしい思いをさせてしまって、
でも、それでもギロロはあたしのことを一言だって責めなかった…
夏美は、ギロロがこの自分に対していかに真剣に、思い遣りを持って接してくれたかを改めてはっきりと自覚した。
夏美の心の中心に生じたとても温かくて優しい波動が、静かに、だが確実にその隅々にまで広がって行く。
ギロロの顔は、
スーパーでチラッと垣間見たときに比べれば真にコミカルこの上ないいつものそれに戻ってはいたけれど、
今の夏美にとって、ギロロの姿形の別など、どうであっても構わなかった。
ただ、『ギロロ』という人格が、この自分をとても大切に思ってくれているということ、只それだけで十分だった。
夏美は、自分の頬がつい今しがたまでの冷たい強張りから解放されて、やさしく緩んでいくのを感じた。
夏美に対する気遣いを湛えたギロロの瞳に、夏美が視線をそっと合わせる。
「ギロロ…」
ギロロの名を呼ぶ自分の声が自分自身でも驚くほど優しくて、夏美はちょっと驚いた。
「身体、どこもおかしくない?」
ギロロと目を合わせたまま、夏美は自分の椅子にゆっくりと腰を下ろす。
「あ…、ああ、大丈夫だ」
急に優しく緩んだ夏美の表情に、ギロロは半分照れ、また、半分戸惑いつつ、ドギマギしながら言葉を返した。
「よかったわ!」
心から嬉しそうな夏美の返事を聞き、事態の好転を悟った冬樹が、ギロロが元に戻ったときの様子を話し始める。
「ほんと、びっくりしちゃったよ!
姉ちゃん、『キッチンにいるの、ギロロだから』って言ったけど、
何でわざわざそんなこと言うのかなって思ってキッチンに行ったら、大人の男の人がいてさ。
『ギロロなの?』って声をかけたら、次の瞬間にギロロの身体から白い煙がボンッて出て…」
まだ少しばかりぎこちない冬樹の言葉を聞きながら、夏美は、クルルとケロロにちらりと視線を走らせた。
相変わらずクルルは我関せずとの雰囲気を全身から漂わせながら黙々と握り箸で器用にご飯を口に運び、
一方、夏美と視線がかち合ったケロロは、ビクンと飛び上がって忽ち怯えた表情になった。
『トラブル&アクシデント』を身上とするクルルが今ここで何の反応も示さないのは、
下手にギロロや夏美を弄るような発言をして非難の矛先が自分に集中するような事態を招くより、
今のこの場の、真剣にポーカーをプレイしているようなかなり微妙な雰囲気を楽しんでいるからに違いない。
だがいずれにしても、このクルルの“だんまり”は、その場の全員にとって極めて好都合だった。
そんなこんなで、
いつもの夏美であれば、この場ですぐに、クルルについては直接の下手人としての、
ケロロについてはクルルに対しての監督不行き届きの責任をそれぞれ取らせる段取りをつける、
いや、正確には、問答無用で処分を言い渡すのだが、今回の問題は複雑微妙を極めるので、
後ほど、冬樹に気付かれぬように地下の基地に乗り込んでたっぷりと油を絞ってやることにした。
その意味も込めて、夏美はケロロににっこりと微笑みかけ、
今までの数々の経験からその微笑の意味を理解したケロロは、更に硬くした全身から滝のように冷や汗を滴らせる。
夏美は、事態の一応の収束に小さくほっと溜息をつき、
姉の様子をそっと観察していた冬樹も、いつもの笑顔に戻って姉の前に配膳を始めた。
一安心した夏美は、ギロロにまだ昼間の買出しに付き合ってもらったお礼を言っていない事に気付く。
「昼は、買出しに付き合ってくれて、ありがと」
「あ、ああ。役に立てたのであれば、嬉しいが…」
「ええ!とっても助かったわ!」
ギロロとしては、夏美に褒められることはとても嬉しいのだが、
しかし、ケロロたちの前でとなるとさすがに気恥ずかしかったし、
何より、そうした手伝いが出来たきっかけは、クルルのどうしようもない“悪戯”が発端だっただけに、
その表情は、少々複雑だった。
だが、そんなギロロの心中を知ってか知らずか、食事中も夏美はギロロに優しい視線を注ぎ続けた。
その後は、いつも通りの時が流れた。
入浴し、みんなでお菓子を摘みながらテレビを見て笑い、明日の予定の確認をして、
そして、「おやすみなさい」の挨拶。
だが、さすがにギロロは、テレビを見ていた最中、
「武器の手入れがある」とかなんとか言って、テントに引き上げてしまったが…
夏美の部屋。
夏美は、ベッドの上に仰向けに身体を投げ出し、今日一日のことを思い出す。
思わぬ昼寝をしてしまったので、意識は冴えていた。
クルルのラボに飛び込んできたときのギロロの顔色。
スーパーでの買い物のときのギロロの横顔。
ギロロ、とっても優しかったな…
それに、ちょっと、カッコよかったかも…
ふんわりと熱を持ち始めた頬をそっと掌で押さえる。
その感触から、夏美は、今、自分が自分で自覚している以上に微笑んでいるのだという事を知った。
「うふふ…」
ギロロのことを考えながら幸せに微笑んでいる自分自身が、何だかとても嬉しい。
あたし、ギロロのことを、本当はどう思っているんだろう…?
『好き』なのかな…
いいえ、それは無いわ。
うん…、それは無いと思う…。たぶん、だけど…
それじゃ、この気持ちは、一体何…?
あ!そうよ、そうだわ!
あたしは、ギロロのことを『頼り』にしているのよ!!
事実誤認もいいところであった。
夏美は、自分の憧れの対象は326だと思っていた。
それはそれで間違いではないのだが、しかし、それは年頃の少女の“当然の選択”だった。
或いは、『消去法的な選択の結果』と言い換えてもいい。
確かに326はとても魅力的な人物であり、しかし、だからこそ、
年頃の少女が、
『同性でなく、年齢が離れておらず、カッコ悪くない』という当然ともいえる条件で恋愛相手を選択する場合には、
その候補となって当然の存在であった。
だが、これがギロロの場合は全く違っていた。
ギロロは『同性』『異性』の別を問う前に『異星人』であり、年齢は不詳だが明らかに完全な大人で、
身長約56cmの半蛙人(?)の姿形をしているだけでなく、そのコミカル極まりない顔には派手な傷跡まであるのだ。
つまり、ギロロはそもそもの始めから、夏美にとって恋愛の対象になりようがない無い存在なのだった。
そんな存在が、これほどまでに良い意味で『気になる』という事はどういうことなのか、
その意味するところをちょっとでも考えてみれば、
自分にとってのギロロという存在がどのような意味を持つものなのかについて分かりそうなものなのに、
夏美はそのことに気付こうとはしなかった。
そしてこのことが、後刻、夏美に激しい心理的動揺をもたらし、
その“被害”はギロロに、そしてその影響は地球の命運にまで及ぶ事になるのである。
だが、そんな事になるとはまだ知る由も無い夏美は、胸元に枕をギュッと抱き締めながら、
この『頼り甲斐のある存在』を何とかもっと自分の身近に置く方法は無いものかと企みを巡らせていた。
「そうだ!あいつらの星の軍隊から、私がギロロを獲っちゃえばいいのよ!
そうよ、それがいいわ!いつだってギロロは、私の味方をしてくれるんだから!!
それとも…」
夏美は、一度も見たことが無いケロン星を想像すると、それを自分の部屋のいつもの見慣れた天井に投影した。
そして、それに向けてぐっと腕を伸ばし、軽く握った指のうち親指と人差し指を立てて拳銃の形を作る。
「ケロン星…、覚悟ッ!」
片目を瞑り、天井に描いたケロン星の真ん中に照準を合わせると、
口で「ばん!」と発射音を鳴らしながら、手首をクイッと上に捻った。
粉々に砕け散るケロン星。
「これで、ギロロは私のものよ!」
夏美は、とても愉快そうにアハハハッと笑った。
そして、幸せな眠りに堕ちていった。
今回は、以上です。
次回投下まで、また、少々お時間を頂く事になってしまうかもしれません。
期待せずにお待ちください(←無責任…)。
>>649 プレッシャーになるかも知れないから、期待せずに待ってるよ。
いつまでも待ってるよ。
651 :
名無しさん@ピンキー:2008/04/29(火) 17:53:54 ID:J4sipbOk
トモキ
タママ女体化のタマ→ケロ←モア前提モアタマ……とか書いてもおk?
モアタマというかモア←タマなんだが。
>>652 とりあえず書いてみると良いんじゃないかな?
小出しにすると保管の時に面倒なので、
ある程度段落毎にまとめて投稿したら良いと思いますよ。
おまえら知ってるかあ?
日向夏美はウンコするんだぜえ〜、クーックックック!
だ、、、大地震が来る前に続きを、、続きをーーーーっっっ
657 :
名無しさん@ピンキー:2008/05/17(土) 19:23:40 ID:z+oS/+YN
くぎみゅ
っていうかボケガエル!
660 :
◆K8Bggv.zV2 :2008/05/28(水) 20:58:51 ID:vZLRMV3J
>>648の続きです
翌朝。
夏美は、とても爽快な朝を迎えた。
小鳥のさえずりさえも、今の夏美の耳には天使が囁いているように聞こえる。
今日の家事の当番は夏美だ。初仕事は朝食の支度。
「そうだ!ギロロに聞いてみよう!」
リビングから庭への出口となっているサッシをカラカラと開ける。
サンダルを履いて、朝露と草いきれが心地よく香る庭に出る。
「んっ、ん〜ん…」
夏美は、両手の指を組み合わせて腕を天に向けてぐいっと突き上げ、
蒼い空に真っ白く輝く太陽に両の掌を見せ付けるようにして大きく伸びをした。
朝露の乾きかけた芝生を、ギロロのテントに足取りも軽く歩み寄る。
「ギーローロッ!お、は、よっ!」
夏美の朗らかな呼びかけに、ギロロはテントからひょっこりと笑顔を突き出した。
「おはよう、夏美。なんだか嬉しそうだな?」
「んふふふ…。今日は私が当番なの」
「そうか。それはご苦労だ」
「でね、ギロロ。今日一日のメニューは何がいい?」
「ん?俺の食事…?」
夏美の質問の真意が分からないギロロは、少し怪訝そうに夏美の顔を見上げる。
それに対して、夏美は満面の笑みで答える。
「そう!何か食べたいもの、ある?あるんなら遠慮なく言ってよね!
今日一日の献立は、ギロロの好きなものを中心にして組み立てるから」
「うーん…。ないわけではないが、しかし、冬樹たちの希望も聞かなくてよいのか?」
「いいのよ!今日の当番は私で、その私が、『ギロロの好きなものを作るんだ』って決めたんだから!」
「しかし、それでは…」
夏美は、ギロロの目を見詰めながら両腰に手の甲を添えて、
腰から上を、ギロロへ向けてぐっと折り畳むように近付けた。
「軍人は、身体が資本なんじゃない?だったら、食事の管理は重要よ!」
その台詞や口調はキッパリしていたが、夏美の表情は、とても優しい。
「そうか、それならひとつ、お願いするとしようか」
その表情は優しいけれど、好きな献立をギロロから聞き出すまで諦める様子のない夏美の態度に、
夏美の“頑固さ”を熟知しているギロロは、
当たり障りのない、冬樹やケロロたちにも美味しく食べられるような普通の(?)献立を夏美に注文した。
661 :
◆K8Bggv.zV2 :2008/05/28(水) 21:02:37 ID:vZLRMV3J
「えーっ!そんなんでいいの?遠慮しなくていいのよ」
「いやいや、同じものでも、冬樹が作ったものとお前が作ったものでは微妙に違うのだ。
俺は、夏美が作ったものが食べたいと…」
「えっ…」
「あっ…。その…」
「…」
「…」
二人は、真っ赤になって俯いてしまった。
ギロロとしては、
夏美と皆のために、『作るのが簡単で皆が美味しく食べられる献立を』と考えての提案だったのだが、
これではまるで、『夏美が作ったものならば、何でも美味しい』といっているようなものであった。
「と…、とにかく、だ。俺は、今言った料理が食べたいのだ。よろしく頼む…」
「うん…。わかった…」
「じゃあ…、支度が出来たら、呼ぶわね…」
「あ…、ああ…」
いかにも気恥ずかしげにそそくさと家の中へと戻っていく夏美と、
真っ赤に染まった顔をあさってのほうに向けながら返事をするギロロ。
こうして、二人の、そして地球の運命を変えることになる一日が始まった。
662 :
◆K8Bggv.zV2 :2008/05/28(水) 21:03:48 ID:vZLRMV3J
ケロロたちを交えての美味しくて楽しい朝食が無事(?)終わり、
ギロロは、お礼に夏美の食器洗いを手伝う。
「拭いた皿は、ここへ重ねておけばいいのか?」
「うん!ありがと」
仲良く並んでシンクに向かうギロロと夏美のいかにも楽しげで幸せそうな背中。
冬樹は、それを、微笑ましく思いながら、そして、二人を邪魔しないようにそっと見守る。
ピリリリッ!ピリリリッ!
「ん?誰からだろ…」
浴室の掃除を終え、リビングで冷たい麦茶と煎餅で一息入れていた夏美の携帯が鳴った。
「ママから…?」
「はい。ママ?どうしたの…?」
『夏美!ごめん、ちょっと頼まれてくれないかしら…』
秋の口ぶりには普段の鷹揚さは全く無い。
秋によると、日向家の二階の“日向魔窟”に収納されている秋のもののなかに、
秋が勤めている出版社が発行している雑誌の特集号があるはずだという。
もし無いとすれば、田舎の秋奈のところに送ってしまったはずだから、
すぐにでも秋奈のところにとりに行かねばならない。
箱の色と大きさを伝えるから、
それに該当する箱が魔窟の中に有るか無いかの見当だけでも付けておいてくれとの事。
これには、夏美もピンと来るものがあった。
実は、まさにその秋が編集者として関わっている少年漫画誌に連載を持っている人気漫画家が、
突然、ライバル誌への移籍の意向を示したことで、業界が大騒ぎになっていたのだ。
今の秋の突然の依頼も、そのことに関係あるに違いなかった。
「わかったわ。とにかく、見てみる」
『有り難う、夏美。でも、無理はしないでね。荷物が崩れると危ないから』
「うん。じゃあ、見つかったら、すぐ電話するわ」
秋は、「助かるわ」と「ありがとう」を何度も何度も繰り返して、電話を切った。
「困ったわ…。どうしよう…?」
大好きな母からの一刻を争う依頼に気持ちは焦るものの、なんといっても、魔窟での“発掘作業”である。
薄暗くて狭苦しくて蒸し暑くて埃っぽいのは何とか辛抱できるとしても、
とにかく様々な大きさの重い段ボール箱の小山まで辿り着くには、
まず、複雑に立て掛けてある長尺の物を掻き分ける必要があった。
いかにスポーツ万能の夏美でも、このような魔窟の深くて暗い無秩序(カオス)には怯まざるを得なかった。
だが、やるしかない。
意を決した夏美が魔窟のドアノブに手をかけようとした、その時…
663 :
◆K8Bggv.zV2 :2008/05/28(水) 21:04:56 ID:vZLRMV3J
「お嬢さん、お困りのようですね…」
夏美の内心の焦りと不安を見透かしたような、クルルの声。
もうこれ以上事態がややこしくなっては堪らない。
夏美は、その声の方へゆっくりと振り向きながら、トーンを少し落とした声で答える。
「余計な事はしなくていいから」
「オッサンを地球人に変身させて使うかい?
隊長は急に軍本部に呼び出されて今日から暫くの間留守になるんだが、
昨日の騒ぎの埋め合わせかたがた、
自分の留守中、アンタの手伝いやら何やら、よろしく頼むって言われててな…」
何時もであれば、「ボケガエルのヤツ、他人に手伝いを押し付けて!」とか一言毒づくところだが、
しかし、現在の状況からすれば、正に『渡りに船』である。
それに、ギロロを地球人姿に変身させるってことは…
もう一度、ギロロの地球人姿が見られるんだわ!
今度は、しっかり見なくっちゃ…!!
だが夏美は、そんな嬉し恥ずかしの内心をクルルに悟られまいと、
必死に表情を取り繕いながら可能な限り素っ気無く返事をする。
「じゃ、じゃあ、しょうがないわね…。
そういうことなら、ギロロにはボケガエルの分まで働いてもらうからね!」
「あいよ。で、どうする?」
「え?どうするって、何がよ?」
「オッサンを地球人姿にするのはいいとして、その顔形なんだが、
昨日のデータをそのまま使うのか、それとも、今のアンタの心の中を反映させるのか…」
「出来るの?そんなこと!」
夏美は、思わず表情の制御をきれいさっぱり失念して大声を出しながら身を乗り出してしまった。
「(ああっ!しまった…)」
自分の慌て振りにハッと気付いた夏美はクルルからの冷やかしとせせら笑いを覚悟したが、
意外にも、クルルはサラリと答える。
「モチコース!で、どうするよ?」
「そ…、そうね…。あ、あたしの心とかはどうでもいいんだけど、力仕事を頼みたいから…」
視線を泳がせ顔を赤くして四苦八苦しながら返答する夏美の言葉を最後まで聞かず、
クルルはあっさり結論を出す。
「よし。じゃ、一緒にラボに来な。もう、オッサンはスタンバイしてるぜ〜。ク〜ックックックッ…」
「え〜!何よそれ!!」
夏美は、そもそもの最初から自分の心をクルルに見透かされていたようで、
えらく恥ずかしくて、そして、ちょっと腹が立った。
664 :
◆K8Bggv.zV2 :2008/05/28(水) 21:06:07 ID:vZLRMV3J
地下基地の長い廊下。行き届いた空調と煌々と照り輝く照明の中を、
夏美とクルルは、彼等しか乗っていない自動スライド式のフロアに乗って進んでいく。
ここでは、地上に満ちている「節約」や「エコロジー」の掛け声も虚しいだけだ。
ギロロに逢ったら、なんて言えばいいのかな?
それより、まず、どんな顔でギロロに逢えばいいの?
ドキドキ、ソワソワ、ワクワクを抑え切れない夏美を従えて、クルルがラボに入る。
クルルの話どおり、部屋の中央には既に例の装置が据え付けられ、
その横には、ギロロがいかにも所在無げに佇んでいる。
「夏美…」
「ギロロ…」
思わず目を合わせたまでは良かったが、しかし、その後、言葉に詰まってしまった二人を、
クルルの無遠慮な指示が救う。
「じゃあ、お嬢ちゃんは、昨日と同じにここに座ってこのヘッドギアを着けな。
ギロロ先輩は、そこら辺に適当に立っててください。クックック〜」
「『クックックッ』って、何よ!」
「『そこら辺に適当に』とは、何事だ!」
クルルという“共通の敵”が出来たことで、
夏美とギロロの間に漂っていたぎこちなさがすんなりと消失した。
夏美は、昨日と同じく高機能診察台に寝そべってコードの束が装着されているヘッドギアを被る。
ギロロは、壁を背に足を少し開いて立ち、怪光線の照射の衝撃に備える。
「ギロロ、ちょっと我慢してね!」
「うむ、心配は無用だ」
「じゃ、いくぜー!」
これまた昨日と同様、クルルの構える光線銃の銃口から発射された怪光線がギロロの身体を包み、
その身体から吹き出た薄桃色の煙が、ギロロの姿を一時的に覆い隠す。
「ヘッドギア、もう脱いでもいいぜ」
待ってましたとばかりの勢いで夏美がヘッドギアを外しながら診察台から起き上がる。
壁際を覆うように漂っていた薄桃色の煙が晴れる。
そこには、地球人の姿になったギロロが立っていた。
665 :
◆K8Bggv.zV2 :2008/05/28(水) 21:08:13 ID:vZLRMV3J
「ギロロ…」
その姿を見た夏美の口から、思わず、呟くように、囁くように、そっとギロロの名が洩れる。
これが、『あたしの好みの男』なんだ…
第一印象は、昨日のそれと余り変わらない感じだ。
背丈は175cm前後。体躯は普通の人に比べれば明らかにがっしりとしているが、
しかし、ムキムキマッチョというわけではなく、身長とのバランスが取れている。
肌は健康的な小麦色に焼けていて、深い緋色のサラサラの髪を後ろへ撫で付け、
スッと美しく伸びる細い眉の下にある少し大きめの目には“目力”があって目付きもやや鋭いが、
その眼差しはあくまで優しく、軍人の誇りと大人の余裕に満ちてキラキラと輝いている。
鼻筋はすっきりと通り、鼻も、一見無骨な造りに見えるが、しかし形も、他の造作とのバランスもなかなか良い。
頬には無駄な脂肪も余計な筋肉もついておらず、浮き出ている尖った頬骨が精悍さを演出していた。
左の瞼の上から頬にかけては、それほど目立たないながらもギロロのトレードマークの縫い傷がある。
唇はほんの少し大きめで、赤みはそれほど強くは無いがいかにも練達の軍人らしくキリリと引き締まり、
その下の顎も、がっしりとして逞しいながらも下縁のラインはすっきりと研ぎ澄まされていて、
先端の尖り具合も程よい。
耳の大きさも形も好ましく、もちろん、首筋から鎖骨にかけて余計な脂肪など全く付いてはいない。
服装は、上下共にモスグリーンの戦闘服。
両肩の階級章止めには、野戦で目立たぬように黒線で表された伍長の階級章が取り付けられており、
両の胸元には大型でフラップ付きの収納力が高そうなポケットが付けられている。
その上の方にはケロン軍の徽章を始めとしていろいろな記号や番号の入ったタグが、
そして、袖の二の腕の外側部分には、
目立たないように工夫された配色ながらもなかなか洒落たデザインの、
所属部隊を示すワッペンが縫い付けられていた。
また、首には、顔写真入りのIDカードを入れたネックストラップがかけられている。
ズボンは、いわゆるカーゴパンツタイプで、腿の横などに大きなポケットが複数付いており、腰には、
やはりモスグリーンの幅広の布製の編み込みベルトを締め、そこに拳銃のホルスターが下がっている。
足元は黒い半艶の頑丈な編み上げ式の半ブーツだ。
「へー…」
かっこいい…、かも…
あっ…!いけない!!
ギロロを見つめていた自分が、
その姿の凛々しさに我知らず感嘆の声を上げてしまったということに気が付いた夏美は、
見る見るうちに首から上を真っ赤に染めて下を向いてしまった。
それに気が付いたギロロも、耳たぶを真っ赤にして、
さっきまで夏美の瞳に合わせていた視線を宙に泳がせる。
666 :
◆K8Bggv.zV2 :2008/05/28(水) 21:09:15 ID:vZLRMV3J
このぎこちない空気を打破したのは、またもクルルの一言だった。
「お嬢ちゃん、俺がアンタにしてやる“手伝い”はここまでだ。
ギロロ先輩、日向家の“お手伝い”、しっかり頼みましたぜ…。ク〜ックックックックッ…」
「日向家の家事の手伝いといっても、今回のそれは隊長命令によるものだ。
お前に言われなくても、手抜きなどせん!」
「だから、その『クックック〜』っていうの、何とかならないの?もう…」
それぞれ自分の立場からの文句を言う二人に、クルルはチクリと反撃する。
「へいへい、そりゃあ申し訳ありませんでしたね。
で、お嬢ちゃんは、秋から、何か頼まれ事があったんじゃないのかい?」
「あっ!そうだったわ!!ギロロ、一緒に来て!二階の“魔窟”にあるママの荷物を探したいの」
「わかった」
「あ!そのブーツだけど、家の中では脱いでね」
「了解!」
夏美は、クルルに早口で「ありがとう!」と言い残すと、
ギロロの戦闘服の肘の辺りをちょいと摘んで引っ張りながら慌ただしく小走りにラボから出て行く。
「毎度あり〜」
その後姿に、クルルはニヤニヤしながら意味有り気に声をかけた。
「いやはや、何とも仲の御よろしいこって。ク〜ックックックックッ…」
片方の手を口に当てながらせせら笑いを漏らすクルルがもう一方の手で壁のスイッチを押すと、
かすかな唸りを伴って床が開き、診察台と装置一式が静かに床下に降下していった。
667 :
◆K8Bggv.zV2 :2008/05/28(水) 21:10:33 ID:vZLRMV3J
日向家二階の納戸、通称“日向魔窟”の中はもちろんクーラーなど無く、また、
換気扇も備えられていないので、中の空気はとても蒸し暑い上にカビと埃の臭いが澱んでいた。
天井に取り付けられている蛍光灯の乳白色のカバーも薄汚れ、
実際には光量は十分なのだが、なんとなく薄暗い感じだ。
そんな中、夏美は蓋を開けた沢山の段ボール箱に囲まれて床に座り、
ギロロは、夏美の指示に従って段ボール箱の山を軽々とさばいていく。
「これでもないわ…」
「違うのか?」
「うん、ごめん…」
「気にするな。次はどれだ?」
「ありがと。じゃあ、あの『○○みかん』って書いてある箱の上の二つ、とってくれる?」
「よし、任せろ」
ギロロからあれこれと箱をとってもらって開くけれど、なかなか目的のものが見当たらない。
いかにも申し訳なさそうにうな垂れる夏美を、ギロロが優しく励ます。
魔窟で“発掘作業”を開始した当初は、夏美もギロロの横顔をチラ見する余裕を持っていたが、
しかし今では、そんな余裕など全く失せ果てていた。
目指す箱が見つかるまで狭苦しい魔窟の中でギロロと一緒に過ごせるということは嬉しかったが、
ここまで発見に手間取ると、
発見を待っている秋にも、箱を取り出してくれるギロロにも申し訳が無かった。
「これと、これだな」
「ありがと」
戦闘服の袖を捲り上げ白い軍手を付けたギロロの逞しい腕が、
重そうな段ボール箱を二つ、軽々と夏美の前に丁寧に据える。
期待を込めて開けてみる。
また、違った。
「これも違うわ…。どうしよう…」
目的のものを発見できないもどかしさが募り、じわじわと増す蒸し暑さに、思わず苛立ちの呟きが漏れる。
「ここはだいぶ蒸してきたから、お前は一旦外に出て、少し休め。
その間に、今までに調べた箱を向こう側に積んで、それらしいものをここへ持ってきておくから」
ギロロ、優しい…
ギロロがいてくれて、本当に良かった…
夏美は、黙々とダンボールの小山を積み直すギロロの逞しい背中に熱い視線を送る。
668 :
◆K8Bggv.zV2 :2008/05/28(水) 21:12:45 ID:vZLRMV3J
「うん。じゃ、冷たいものでも持ってくるね」
「ああ」
振り返って微笑みかけるギロロに、夏美もニッコリと笑顔を返す。
そして、よいしょ、と立ち上がろうとしたが、しかし、狭いところに永いこと座っていたせいで、
その足がふらりと縺れ、開いた段ボール箱の蓋に爪先が引っかかって大きく身体のバランスが崩れた。
「キャッ!!」
「よっと!」
軽い掛け声と共に、ギロロは、微妙な角度と方向に倒れかけた夏美の身体を、その胸元に抱き留めた。
「あ…、ありがと…」
「大丈夫か?」
「うん…」
夏美は、ギロロの胸元に身体を預けたまま、彼の顔を見上げた。
心配そうな表情で瞳を覗き込むギロロの眼差しが、とても嬉しい。
背中を支えてくれるギロロの逞しい腕に程よく込められている力も、
服地を通して伝わってくるギロロの温もりも、とても心地よい。
ギロロの匂いを、それと意識しながら、初めて身近に感じた。
とても、暖かい匂い…
何でだろ…?
こうして抱かれていると、とても安心する…
669 :
◆K8Bggv.zV2 :2008/05/28(水) 21:14:05 ID:vZLRMV3J
「わあっ!」
「ひゃあっ!」
次の瞬間、二人は首から上をパアッと蛍光ピンクに染め上げると、
足場が悪いのにもかかわらず、針で突かれたような勢いでお互いの身体からサッと離れた。
「ほ、ほ、本当に、だ、だ、大丈夫か?足とか…、ひ、捻ったりは、していないのだな?」
「う、うん!だ、だ、大丈夫よ…!ちょっと…、バランス…、崩した…、だけ…」
調子の悪い合成音声のような遣り取りが、自分たち自身でも滑稽だ。
「つ、冷たいもの、持って来るね…!」
夏美は、逃げるように魔窟を出て、風のように階段を駆け下りる。
開けっ放しの入り口のドアから聞こえてくるその足音を聞きながら、
ギロロは、今まで我知らず詰まらせていた喉を開放して、大きく溜め息をついた。
そして、さっき起こった出来事の内容とその重要性をまだ十分に認識できぬまま、
腕と胸元に残っている夏美の感触と、鼻腔が感じ取った彼女の匂いをそっと想い起こした。
とっさのこととはいえ、この腕に、この胸に、夏美を抱いたのだ。
ケロン人姿では、決して出来ない体験だった。
「夏美…」
特にどういう意味を込めてということでもなかったが、
さっきまで夏美が座っていた場所を見つめながら、ギロロは静かにその名を呼んだ。
「あっ!いかん!!」
夏美が帰ってくるまでに、これまでに点検を終えた分の段ボール箱を片付けて、
これは、と目星を付けた段ボール箱を夏美が点検しやすい位置に並べておく約束だった。
ギロロは、戦闘服の袖を更にキリキリと捲り上げ、
半ばニヤけた顔にふんっ!と気合を入れなおすと、未踏の段ボール箱の小山に立ち向かっていった。
670 :
◆K8Bggv.zV2 :2008/05/28(水) 21:15:10 ID:vZLRMV3J
「これ…、かなぁ?」
ギロロが新しく出してきた段ボール箱の一つを開けて中を覗き込んだ夏美が、半信半疑に呟く。
「ん?それらしいものが、あったか?」
夏美にもらった冷たい麦茶のコップを空けたばかりのギロロが、静かに尋ねた。
「そう…、そうだわ。『月刊少年アルファ』の200□年の□月号…。
これよ!あった!あったわ!!ありがとう!ギロロッ!!」
箱の中から取り出した一冊の少年漫画誌の表紙をとても嬉しそうに見詰めながら、夏美が叫ぶ。
「そうか!良かったな!」
ギロロも、精悍な顔立ちをふわっと緩めて喜びを表情に表す。
「うん!早速ママに電話するわね!」
夏美はショートパンツのポケットから携帯を取り出し、カチャっと開いて素早くダイヤルボタンを押す。
トゥルルルッ…、トゥルルルッ…、トゥルルルッ…
『はい、もしもし、夏美?』
「ママッ!『月刊少年アルファ』の200□年の□月号、あったわ!!」
『有り難う、夏美!助かるわ!!ほんとに有り難う!!』
「ううん。ギロロが段ボール箱の移動を全部やってくれたの!私一人じゃ、絶対無理だったわ!」
ギロロは、夏美たちの遣り取りの中で自分の名が出たことにちょっと驚いたが、
しかし、夏美の口調から、自分の働きが役に立ったことが確認できたので、とても嬉しくなった。
秋は夏美に、ギロロに電話を換わってくれるように言い、携帯がギロロの手に渡される。
秋の深甚な感謝の言葉に、ギロロは控え目で誠実な言葉を返す。
携帯が、ギロロの手から夏美の手へと戻ってくる。
「わかったわ。今からバイク便の業者さんが取りに来るのね」
秋がバイク便を手配したようだ。
「え…、それは…。ママが帰ってきた時に説明するわ。直接会えれば、わかると思うし…」
それから一言二言の遣り取りの後、夏美は、「お仕事がんばってね」と言って電話を切った。
他人の電話に聞き耳を立てるのはマナー違反だが、
しかし、夏美の口調にも態度にも、明らかな動揺が感じられる。
秋が帰ってきた時に直接説明しなければならないような、何か新しい問題が起きたのだろうか?
671 :
◆K8Bggv.zV2 :2008/05/28(水) 21:17:19 ID:vZLRMV3J
「どうした?何か不都合があったか?それとも、新しい探し物でも?」
「ううん…。それは、大丈夫なんだけど…」
「ん?」
「ママがね、『ギロちゃん、段ボール箱と同じくらいの身体の大きさなのに、
重い箱をたくさん積んだり下ろしたりして、とても大変だったでしょう?』だって…」
なるほど…。それが『直接会えればわかる』に繋がるというわけか…
ケロロのヤツが軍本部から帰ってくるまで、日向家の家事の手伝いはこの姿でやることになるのだから、
今度、秋が帰ってきた時に変身状態であれば、その時が、この姿を“お披露目”する良い機会だろう。
ともかく、探し物を発見でき、そして、それを秋に連絡できたのだから、まずは一安心だ。
ピンポーン ピンポーン
発見した雑誌を夏美が丁寧に厚手の模造紙でくるみ終えたちょうどその時、バイク便が集荷に到着した。
「こんにちは!△△急配です!」
「はーい!」
「よろしくお願いします」
「はい、有り難うございました!」
魔窟の中のダンボール箱の整理を終えたギロロが階段を降り始めたのと、
配送員が夏美に見送られて玄関のドアを出たのがほぼ同時だった。
672 :
◆K8Bggv.zV2 :2008/05/28(水) 21:18:45 ID:vZLRMV3J
クーラーが程よく効いたダイニングは、魔窟とは全くの別天地だ。
「はい、どうぞ!」
「ああ、すまんな」
夏美は、テーブルについているギロロの前に食べやすく切り分けたスイカが乗った皿をコトリと置くと、
自分もギロロと向かい合うように席に着いた。
「ギロロ、ほんとに、ほんとに、ありがとね!」
夏美が、ギロロの精悍な顔を見詰めながら改めて真剣に感謝の気持ちを伝える。
「あ、その…、先ほどの行動は、日向家の者を遺漏無くサポートせよ、という隊長命令に基づくものでだな…、
つまり、任務を遂行したまでのことであって…、当然のこと、というか…」
しどろもどろに返事をするギロロの表情はキリッとカッコよく引き締まってはいたけれど、
その健康的に日焼けした頬は、明らかに赤く染まっている。
そんな、全く恩着せがましい素振りを見せぬばかりか御礼の言葉に照れるギロロを、
夏美は、とても可愛いと思った。夏美の顔から、思わず笑みがこぼれる。
「ウフフ…」
「な、何か可笑しい事でもあるのか?」
「ううん」
「…」
別に何も可笑しい事など無いと言いながらも、
こちらの顔を小首を傾げて微笑みながら覗き込む夏美に、ギロロは大いに戸惑った。
「ギロロ…」
夏美が、囁くようにギロロの名を呼ぶ。
「ん?どうした?」
ギロロは、生真面目に、食べかけのスイカを口元から離して顔を上げ、夏美の瞳に視線を合わせる。
別に何かはっきりとした理由などは無かったが、無性にギロロの名を呼びたかったのだ。
いや、本当は、ギロロに自分の方を見て欲しかったからなのかも、
そして、ギロロの声が聞きたかったからなのかも知れなかった。
もしそうであるのならば、夏美の、いかにも年頃の少女らしい試みは、まんまと成功を収めたことになる。
「ねえ、もう一つ頼みたいことがあるんだけど、いいかな?」
「ああ、構わんが」
「ありがと!」
夏美は、昨日行ったスーパーに、買出しの続きに行きたいのだという。
もちろん、ギロロはすぐに同意する。
673 :
◆K8Bggv.zV2 :2008/05/28(水) 21:20:01 ID:vZLRMV3J
軽くシャワーを浴びて、二人はスーパーへと出かけた。
青く晴れ渡った中天に真っ白く輝く太陽は地上の万物をジリジリと焦がし、
湿気を含む大気はじっとりと肌にまとわり付く。
こんな時は、出来る限り熱源となる存在から離れて過ごしたいものだが、
夏美は、とても嬉しそうにギロロの隣にピタリとくっ付いて歩く。
ギロロにとっては幸いなことに、ちょうど今の時刻、通りに人影はまばらだった。
「こっちよ」
夏美は、スーパーがある大通りに出る直前の道を、スーパーとは逆方向へ曲がる。
「…?夏美、スーパーはこっちの道だろう?」
「いいのよ!こっちで…」
夏美が「いい」というのならいいのだろう。ギロロは、夏美のリードに黙って従う。
少し歩くと、路傍の道標の表示は二人が今いる場所が超井の頭公園に近いことを示していた。
行き付けのスーパーとは方角も正反対なら距離もかなり離れてしまっていることになる。
夏美は歩調を緩める気配を見せない。
夏美の真意を測りかねていたギロロは、距離的にも時間的にもそろそろ潮時と見て、尋ねた。
「違うスーパーに行くのか?」
ひょいとギロロの側から離れた夏美は、タタッと身軽にステップを踏みながらギロロの前に回りこむと、
ギロロと向かい合ったまま手を腰の後ろで組み合わせて後ろ向きに歩きながら“衝撃の事実”(?)を告げる。
「ううん。スーパーには、行かない!」
「!?」
夏美のことが大好きなのだがどうにも女心に疎い−女心を学ぼうとしない−ギロロは、大いに戸惑った。
実は、『スーパーに行く』と言ったのは、ギロロを誘い出すための方便だった。
「公園の近くにね、美味しいアイスクリームの移動販売車が来るの」
「アイスクリームなどどこでも買えるだろう?確か、家にも幾つか買い置きがあったはずだが…?」
「とっても美味しいのよ!ギロロもきっと気に入るわ!」
ギロロからのアイスの買い置きについての指摘を軽くかわした夏美は、再びヒラリと身を翻してギロロと並ぶと、
首をちょこっとひねってギロロの顔を見上げながら楽しそうに話を繋いだ。
そう、夏美がギロロを連れ出した本当の目的は、デートだった。
674 :
◆K8Bggv.zV2 :2008/05/28(水) 21:21:03 ID:vZLRMV3J
超井の頭公園の近くに来ると、さすがに人通りが多くなる。
なんといっても、公園を含めたこの周囲一帯は文化園や美術館などを含む緑地帯として整備され、
四季折々のイベントなども催されて周辺住民のよき憩いの場となっていたから、それも当然であった。
二人は、公園に沿って設けられている広い遊歩道に出た。
さっき入った甘味処の感想を大声で話し合う、日傘を差した熟年婦人の一団。
大きなバックパックを背負い、首からカメラを提げた外国人旅行者。
かわいい日除け帽子を被った孫を連れた、涼しげな作務衣姿の初老の男性。
そして、若いカップルたち。
「ギロロ、手、繋ごうよ」
夏美が、まっすぐ前を向いたまま、呟くように囁く。
「え…!てって…?て!?手!!」
例によって、首から上を蛍光ピンクに染め上げて激しく狼狽するギロロ。
「そ、手」
「な、な、な、なぜ、お、お、俺とお前が、て、て、手を、つ、つ、つ、繋がねば、な、な、ならんのだ…!?」
「手を繋がないと、私たち、仲が悪いんじゃないかって思われちゃうわ。そんなの、私、嫌だな…」
「いや…、そんなことは…、ない…、んじゃないか…」
だが、見れば、二人の周りのカップルは、そのほとんどが手を繋ぐか指を絡めあっている。
もちろん、ギロロだって夏美と手を繋ぎたいのは山々なのだが、
しかし、言われるままにホイホイと手を繋ぐのはいかにも軽々しいし、
何より人前で手を繋ぐなど恥ずかし過ぎるではないか。
「し、しかしだな、我々は…、別に、交際しているというわけではないのだから…」
「…」
夏美の横顔が、とても寂しそうに、とても哀しげに、曇る。
さっきまで身体全体に漲っていた溌剌とした気が、見る見るうちに抜けていくのがはっきりとわかる。
夏美の激しい消沈に、ギロロは顔色を失った。
「あ…、いや…、その…」
必死に話を繋ごうとするギロロに、俯いたままの夏美が呟く。
「だめ…、なの…?」
675 :
◆K8Bggv.zV2 :2008/05/28(水) 21:21:57 ID:vZLRMV3J
「…『だめ』というわけでは…」
「イヤ、なの?」
「ちょ、ちょっと待て!嫌なわけが無いだろう!どうしてそうなるのだ!」
夏美からの全く予想外の問いかけに対して、ギロロは思わず大声で応じる。
『戦場の赤い悪魔』の異名を縦にする歴戦の勇士も、この“奇襲”は全くの予想外だった。
どれほど巨大な戦力を擁する戦闘集団も、完全な奇襲に対しては瞬間的にせよ全く無力となる。
それはギロロの場合も例外ではなく、大声を出したのは二重の意味で失敗だった。
一つは、周囲の視線を自分たちに集めてしまったこと。
もう一つは−こちらの方が余程重要なのだが−、
敢えてこのような質問を“しなければならなかった”夏美の心情を理解する努力を怠った挙げ句、
形だけとはいえ、怒鳴りつけるようなかっこうになってしまったこと。
「じゃ、どうして、手を繋いでくれないの…?」
ギロロの顔をそっと見上げる夏美の眼差しは、
決してギロロを責めても怒ってもいなかったが、しかし、耐え切れぬ程のやりきれない切なさに満ちていた。
ギロロの心の中で、とても優しくて暖かいスイッチが、パチン!と軽やかな音を立てて入った。
すっと伸びてきたギロロの手が、力なくだらりと提げられている夏美の指先をキュウッと握り締める。
「あっ…」
「す、すまん。痛かったか?」
「ううん…」
「そうか…」
夏美の頬が鮮やかな血色を取り戻し、その表情からも、身体からも、嫌な強張りは去って、
完全に普段の健康的でさわやかな雰囲気が戻ってきた。
だが、頬は、いつもの鮮やかな肌色を回復してからも、更に赤くなり続けた。
「ギロロ…」
「ん?」
ギロロの逞しい指に握られていた夏美の指がキュッと丸められ、逆にギロロの指を握り締める。
「ありがと…」
「ああ」
「とっても、嬉しい…」
「そうか…」
ギロロは、夏美に握られている指をちょっと動かして、夏美の指をそっと握り返した。
夏美は、その指を握り返しながら、とても幸せそうにギロロの顔を見上げる。
ギロロは、照れながら、チラリと横目で夏美の表情を窺う。
二人の目が合う。
ギロロは恥ずかしがって、慌てて視線を逸らしてしまう。
676 :
◆K8Bggv.zV2 :2008/05/28(水) 21:23:00 ID:vZLRMV3J
「ウフフフ」
夏美は微笑みながら、指先に込めていた力を一旦抜いた。
ギロロも、それに従って指を緩め、夏美の細い指先を解放する。
次の瞬間、力が抜けて間隔が疎らに空いたギロロの指にさっと夏美の指が複雑に絡み付くと、
そのままキュッと優しく締め上げた。
「ギロロの手、大きいね…」
「そうか…」
ギロロは、自分の顔を一心に見上げる夏美と敢えて目を合わせようとはしなかったけれど、
しかし、その横顔はとても優しく微笑んでいる。
と、ここで、夏美が大切なことを思い出した。
「あ!そうだわ!」
「どうした?」
「アイスクリーム!!」
「ああ!そうだったな…。だが…」
「?」
「な、夏美と、二人で食べるなら…」
「あたしと二人だったら…?」
「何処のアイスクリームでも…」
「何処のアイスでも…?」
「最高に旨いと思うぞ…」
「ギロロ…」
耳の先まで蛍光ピンクに染まり切ったギロロの横顔を、夏美は、夢見るような眼差しで見上げた。
677 :
◆K8Bggv.zV2 :2008/05/28(水) 21:24:16 ID:vZLRMV3J
「ウフフ」
「…」
「ねえ、こっち向いてよ…!」
「え…、あ…、歩くときは…、ちゃんと…、前を見て…」
「あ〜あ、こっち見てくれないと、あたしたち、仲が悪いんじゃないかって思われちゃうかも…」
「えー!なんだそりゃあ!」
「だ、か、ら、こっち向いてよ!」
「こら…!お…、大人を、からかうもんじゃ、ないぞ…」
もう恥ずかしさでいっぱいいっぱいのギロロはしどろもどろで、その声は完全に裏返ってしまっている。
「あ!あったわ!ほら、あの薄いブルーのきれいなワゴン車がそうよ。早く行きましょ!」
「ちょっ、待っ!そんなに引っ張るな!」
夏美がぐいぐいとギロロの腕を引っ張ってアイスクリームの移動販売車に小走りで駆け寄るその姿は、
誰がどこから見ても、紛れも無く、付き合い始めたばかりの恋人同士だった。
その後二人は、アイスクリ−ムを食べながら公園内を一通りそぞろ歩いたが、
残念ながら、緊張のためにアイスの味は殆んど分からなかった。
日差しは、『西日』と呼ぶべき位置に傾きつつあった。
もうそろそろ帰らないと、冬樹が心配するし、食事の支度に差し支えるだろう。
「そろそろ帰ろっか」
「り…、了解…」
ギロロが今、何よりも聞きたかった一言が、ようやく夏美の口から出た。
もちろん、ギロロだっていつまでも夏美と一緒にいたいのは山々だったが、
余り戦い慣れない“心理戦”に不意打ちで引き込まれた挙げ句、終始相手のペースでの戦いを強いられて、
さすがの歴戦の勇士も、今や全身はじっとりと嫌な汗に塗れ、心身ともにくたくたに疲れ果てていた。
夏美に導かれるようにして家路を辿るギロロは、何処をどう歩いてきたのか覚えていなかったが、
とにかく日向家に帰り着いた。
ピンポーン!
「はーい!あ、姉ちゃん、お帰り!ギロロも…、お帰り…」
家に帰った二人は冬樹の出迎えを受けた。
冬樹は、ギロロのくたびれ加減と夏美のウキウキ、ソワソワした様子から瞬時に大体の事情を察したが、
特にギロロの様子を見るに、自分からはそのことに触れないほうが賢明だとの結論に達した。
ギロロの変身が解けたのは夏美が夕食の支度に取り掛かったのと同時だったが、
夏美は、ケロン人姿に戻ったギロロに、つい今しがたまでと全く変わらぬ態度で接した。
この日から夏美は、チャンスを見つけてはギロロと一緒にいる時間を作るようになった。
冬樹が家事当番の時に予期せぬ用事でその帰宅が遅れた場合など、自分に時間的な余裕があれば、
冬樹に代わって、ギロロと一緒に食事の支度や庭掃除などをして過ごした。
もちろんギロロはケロン人姿のままだったが、外見など、今の夏美にとってはどうでもいいことだった。
だが…
678 :
◆K8Bggv.zV2 :2008/05/28(水) 21:25:30 ID:vZLRMV3J
そんな一週間が過ぎた日、夏美はクルルズ・ラボを訪ねた。
そう、地球人姿のギロロに再び逢うために。
「ねえ、クルル」
夏美の呼びかけに、クルルがセンターコンソールの椅子をくるりと回して夏美のほうへ向き直る。
「どうした?アンタがわざわざここまで来るなんて珍しいな。
おっと!俺たちゃ、何にもしてねぇぜ。隊長は、まだ軍本部から戻ってきちゃいねぇし、作戦の指示もねぇ」
「文句言いに来たんじゃないわよ…」
「ん?だったら、何だ?」
「ギロロのことなんだけど…」
「オッサンが、どうかしたのかい?」
クルルの口元が瞬く間にいやらしくニヤリと歪み、
その口調も声音もあからさまに何時ものからかい半分のヘラヘラしたものになった。
それでも夏美は、怯むことなく話を続ける。
「千円で、いいのよね…?」
「ん?何が?」
「ギロロを変身させるのに、タダってわけにはいかないんでしょ?」
「ほう…。今日も、オッサンとどこかへ出かけたい、と…?」
予想通りの、厭らしい質問。
だが、こんなことで怯んでなどいられない。
昨日から徹夜で考えた尤もらしい理由だって用意してあるし、
何より、ギロロを変身させることを拒めば、最終的に困るのはケロロたちなのだ。
679 :
◆K8Bggv.zV2 :2008/05/28(水) 21:26:20 ID:vZLRMV3J
「違うわ。地球人姿のギロロの方がボケガエルなんかよりよっぽど役に立つから、
アイツが帰ってこないうちに、ギロロに手伝ってもらってやってしまいたいことが沢山あるのよ」
「(どうよ、この完璧な理由付け!)」
「ま、地球人の手伝いをするには、地球人の姿のほうが都合がいいからな…。
了解だ。オッサンを変身させてやるよ」
「(あら、あっさりしたものね…。『案ずるより産むが易し』って、昔の人はよく言ったもんだわ!)」
「じゃ、千円ね」
「いらねーよ」
「言ったろ?『日向家の手伝いをしっかりやれ』って隊長からきつーく言われてるって」
「あ…。え、ええ。この間、聞いたわ」
「ま、そういうことだ。だが、その代り…」
クックックッと含み笑いを噛み殺すクルルに、夏美は、恐る恐る尋ねる。
「な、何よ…」
「アンタが自分で、オッサンをここへ連れて来るんだ。俺は今、手が離せないんでね…」
『今、手が離せない』なんて言ってはいるが、誰がどう見ても、クルルが今、全く暇なのは明らかだった。
「わかった。連れてくるわ」
夏美としては、もう、恥も外聞もあったものではなかった。
ケロン人姿のギロロも決して悪くは無かったが、
しかし、『“中身”がギロロ、外見が“自分の理想の地球人男性”』という黄金のコラボに敵うものは無かった。
「よし…」
クルルは、コンソールのシートからひょいと身軽に飛び降りると、
白い小さなリモコンのスイッチを押しながらわざと夏美に聞こえるように独りごちた。
「じゃあ、『地球人なりきりセット』の準備をしますかねっと…」
いったん開き直ってしまうと、そんなクルルのあからさまな冷やかしすら返って心地良く感じられるから不思議だ。
「すぐに連れてくるから!」
汎用人型決戦兵器を使用しての戦闘を指揮する軍装の麗人さながら、
夏美は、クルルに毅然とした態度と口調で言い放つと、さっと身を翻してラボを出て行く。
パシュッという軽い音と共に自動式の装甲扉が完全に閉まったことを横目で確認すると、
クルルは、誰にも聞こえないような小声で今度は本当に独り言を呟いた。
「一週間、か…。年頃のお嬢ちゃんにしちゃ『よくがんばった』というべきか、
普段強がってる割には『あっけなかった』というべきか…。だが、ともかく、第一段階、クリアー…」
680 :
◆K8Bggv.zV2 :2008/05/28(水) 21:27:25 ID:vZLRMV3J
南中の太陽が肌を刺すような日向家の庭。
夏美は、ギロロのテントに呼びかける。
「ギロロ、いる?」
「ああ。どうした、夏美」
テントから、ギロロがひょっこりと顔を出した。
「あのさ、地球人姿になってくれるかな?」
「あ、ああ。構わんが…」
「じゃ、あたしと一緒に来て」
「よし」
ギロロの声に少し元気が無かったが、
この暑さじゃ無理も無いわね、と、心の中で夏美はそれを気候のせいにした。
だがそれは、とんでもない間違いだった。
夏美たちがラボに入ったとき、クルルは既に例の装置のウォームアップを完了していた。
「面子が揃ったな。じゃ、始めるぜ…」
夏美はヘッドギアを被って診察台に寝そべり、ギロロは壁を背にして立つ。
「いいわ」
「こっちもだ」
681 :
◆K8Bggv.zV2 :2008/05/28(水) 21:28:23 ID:vZLRMV3J
ここで、ギロロの表情の硬さに気付いていたクルルが、探りを入れるために“問診”を始める。
「先輩。現在、肉体に異常は無いですね?たとえば、骨折、激しい打撲、捻挫、あるいは風邪…」
「ああ、大丈夫だ」
「精神面も?」
「問題ない」
ギロロの声のトーンが、明らかにいつもと違う。元気が無いというべきか、少しばかり上の空なのか…
「(ああ、こりゃ、何かあるな…。もちろん医学上の疾病じゃなく、あくまで気分的なもんだろうが…。)」
「念のためにもう一度言っとくが、この装置の構造と作動原理上、
被験者の精神および肉体に悪影響が及ぶということは全くありえねぇ」
「わかってる。大丈夫だ」
診察台の上では、夏美がちょっと上半身を起こして、二人の遣り取りを少し不安げに見守っていた。
それに気付いていたクルルは、夏美が中止や延期を申し入れる前に、と、
わざと景気の良い掛け声をかけた。
「なら、いくぜ!」
怪光線がギロロを包み、ギロロの身体から発煙。そして、その煙がゆっくりと晴れていく。
一刻も早く“地球人ギロロ”の姿形を見たい夏美は、ヘッドギアを着けたままの頭をひょいと持ち上げた。
それを横目で見ていたクルルが夏美に声をかける。
「あ、それ、もう脱いでもOK!」
「ギロロ!」
ヘッドギアを外した夏美は身軽な動作で診察台から降り、とても嬉しそうにギロロの元に小走りに走り寄る。
夏美の身近にいる人物の中で、こちらの秘密を知られると一番厄介なのはもちろんクルルなのだが、
夏美は、そのクルルの見ている前で、いや、クルルに見せ付けるようにギロロに走り寄ったのだった。
最早、夏美は、ギロロとの関係を誰にも隠し立てするつもりは無かった。
「ありがと!クルル」
「ど〜いたしまして!」
抱き付かんばかりにギロロに身を寄せた夏美は、身体をぐっとひねってクルルを振り返って礼を述べ、
それに対してクルルは、きわめて慇懃に頭を下げた。
「行きましょ、ギロロ!」
「ああ」
夏美に腕をとられてギロロはゆっくりと歩き出すが、その表情はやはり冴えない。
「お幸せに〜!!…って、おやおや…」
クルルは、今まさにラボを出ようとする二人の背中に呼びかけたが、全く無視されてしまった。
「『ありがと、クルル』か…」
その場に一人残されたクルルは、ポツリと、さっきの夏美の口調を真似た。
装置がクールダウン態勢に入り、冷却ファンの作動音が一段と高まる。
「実は、有り難いのは、こっちだったりしてな…。クックックッ…」
クルルの呟きは、冷却ファンの騒音に溶けていった。
682 :
◆K8Bggv.zV2 :2008/05/28(水) 21:29:15 ID:vZLRMV3J
基地の自動スライド式の廊下に乗って進む二人。
「ねえ、腕、組んでいい?」
ギロロにピッタリとくっ付いている夏美が、ギロロの精悍な顔を見上げながら、その腕をねだる。
「夏美…」
「何?」
夏美の願いを聞き入れず、逆に夏美に呼びかけるギロロの少し沈んだ顔を見上げながら、
夏美は心の中で自問自答する。
「(機嫌が悪いわけじゃなさそうだけど、どうしたのかしら…。やっぱり、暑さのせいかな?
それとも、あたしがいろんなお手伝いを頼みすぎて、疲れてるのかも…)」
「話があるんだ…」
「うん…」
「(何だろう、改まって…。なんか、不安だわ…)」
夏美の“勘”は、当たっていた。
もしギロロが夏美に「好きだ」と告白したい、または、これからそういう告白をする、というのであれば、
いつものように耳の先まで真っ赤になって俯きっ放しになるはずだった。
だが、今のギロロの顔色はそんな“幸せの赤”とは程遠く、どちらかといえば少し青褪めていた。
ここ一週間全く無かった、
いや、ギロロと夏美が出会って以来一度も無かったような冷たい沈黙が、二人の周囲に漂っている。
ゆっくりと歩くギロロの後ろに夏美が従う形で、二人は日向家のダイニングに入った。
どちらからとも無くソファーに腰を下ろすと、ギロロが重い口を開いた。
「夏美」
683 :
◆K8Bggv.zV2 :2008/05/28(水) 21:30:09 ID:vZLRMV3J
「何?」
「夏美が俺のことを慕ってくれるのは、とても嬉しい…」
「うん」
「今更こんなことを言うのは、かえってお前の心を惑わすことになるかも知れないが、しかし、聞いてくれ」
「うん…」
「俺は、お前のことが、好きだ」
「あ、ありがとう!!」
この状況での、『告白』というには余りに深刻すぎる告白に、それでも、夏美は嬉しさを隠せない。
「だが、この気持ちというのは、冷静に考えれば、『所詮、地球人とケロン人は結ばれるはずが無い』
という大前提の下での、“火遊び”のようなものだったんじゃないか、と思うんだ…」
「え?それって、どういう…」
夏美は、『結ばれるはずは無い』『火遊び』という単語に、激しい衝撃を受けた。
話が本筋に入ったのか、ギロロの顔が青白さを増し、話しにくそうに、何度も何度も両の唇を湿らせる。
「つまり、俺たちは、どれほど親密になろうと、侵略する側とされる側、
その立場は変わらないし、その相違は決して乗り越えられない、ということだ」
ギロロは一言一言を区切りながらゆっくりと話したが、
夏美を傷付けまいとの配慮から直截的な言い回しを避けたため、
不安に苛まれ混乱している夏美は、かえって、その内容をすぐ正確に把握できなかった。
だが、ギロロの言葉が二人の離別に関係しているということだけは直感的に理解した。
「それ…、どういうことよ…」
「俺たちは、もう、これ以上親しい関係にならないほうが、お互いのためなのではないかと思…」
「な、何よそれ!?どうしてそうなるのよ!!」
ギロロの言葉を遮って、夏美が悲鳴に似た声で反問する。
どうしてそうなるか−つまりその“理由”については直前にギロロが述べたばかりなのだが、
混乱の窮みにある今の夏美に対して、もしもそのことを指摘する者がいるとするなら、
その者は大怪我をするに違いなかった。
684 :
◆K8Bggv.zV2 :2008/05/28(水) 21:31:23 ID:vZLRMV3J
「どんな時だって、ギロロはあたしの味方をしてくれたじゃない!!」
「そ…、それは…」
そうなのだ。
問題はそこにあり、ギロロにとっては、夏美の身の安全や地球人として立場を護るためならば、
ケロロの命令を無視したり、その作戦を妨害したりすることなど何とも思ってはいなかったし、
あのガルル小隊による侵攻の一件以来、
夏美専用パワードスーツの起動用リモコンは夏美に預けっぱなしになっており、
先日の、氷山を改造した半潜水基地を用いた作戦の際には、夏美はパワードスーツで出撃し、
あろうことか、クルルが開発中だった新兵器でその基地を融解して作戦を失敗させていた。
これらは、何処の誰がどう観察しても明白で重大な利敵行為に他ならず、
もしケロロが謹厳な性格であれば、ギロロは今までに何十回も銃殺刑に処せられているはずだった。
「ほら見なさい!ギロロは、あたしのことが好きなのよ!あたしだって、ギロロのことが大好き!!
だから、もう、『一緒にいても、どうしようもない』みたいな事は言わないで!!」
「しかし、俺はケロン軍の軍人であって、
俺がここに来たのは、この地球(ペコポン)をケロン星の支配下に置くという目的を達成するためだ」
「そんなこと、わかってるわよ」
「だが、お前は、この地球を守ろうとする。もちろんそれは当然のことだ。
もし、俺がお前と同じ立場に置かれれば、お前と同じ、いや、それ以上の行動をとるだろう」
「…」
「だから、侵略する側の俺と、それを排除する側のお前は、どうしても相容れぬ存在、立場が正反対…」
「立場が反対でも!水と油みたいでもッ!!」
「…」
「でも…、あたしたち、遠い遠い星で生まれて、でも…、こうして出逢って…」
「…」
「大好きになって…」
夏美の美しいガーネットの瞳から、小粒の真珠のようなきれいな涙がぽろぽろと幾つも零れ落ちる。
685 :
◆K8Bggv.zV2 :2008/05/28(水) 21:32:18 ID:vZLRMV3J
「夏美…」
ギロロは、すっくと立ち上がると、
別離を切り出して夏美を哀しませた我が身には最も相応しくない行動とは知りながら、
夏美のすぐ隣に座りなおす。
夏美は、ギロロの胸元に縋り付くように両の掌を押し当て、その掌にぎゅっと力を入れる。
「…だが、俺た…」
「いいから、あたしの傍にいて…!」
「しかし、夏…」
「あたしの傍にいなさいよ!」
「夏美、落ち着いてよく考…」
「うるさい!黙って、わたしの傍にいてよ!!ずっと、ずっと、私の傍にいなさいよ!!!」
「お願いよ!ギロロッ!!」
感極まった夏美は、ギロロにしがみつくように抱き付くと、ギロロの胸で激しく慟哭した。
ギロロは、その広い掌で、激しく震える夏美の肩先を宥めるようにそっと包む。
夏美は、ギロロの胸の中で何度も何度も大きくしゃくりあげ、喉を詰まらせる。
ギロロの掌が、夏美の背中を何回も優しく撫でた。
夏美の様子が少し落ち着いたのを見計らって、ギロロは再び説得を試みようとする。
「夏美」
「うん」
「お前の気持ちは、本当に嬉しい」
「うん」
「だが、やはり、俺たちは…」
ギロロが説得を諦めていないことを知った夏美は、
ギロロの胸元に埋めていた顔をさっと上げ、ギロロの黒曜石のような漆黒の瞳をキッと睨み付ける。
そして、ギロロの身体を突き放すようにして、それまで密着させていた上半身を離すと、
ネックストラップでギロロの胸元にぶら下がっているIDカードが入ったクリアホルダーを掴んだ。
そして、次の瞬間、その手を自分の胸元へと思い切り引き付けた。
「!」
クリアホルダーの上の取付金具がピン!と弾け飛び、
ネックストラップの紐だけがフニャリと力なくギロロの胸元へと戻っていく。
夏美の手には、IDカード入りのクリアホルダーだけがしっかりと握られている。
「アンタみたいな、たった一人の女の気持ちを受け止められないような意気地無しに、
大事な任務なんて、上手くこなせるはず、ないわ!!」
686 :
◆K8Bggv.zV2 :2008/05/28(水) 21:33:33 ID:vZLRMV3J
夏美は、ギロロの瞳を睨み付けながらケースからIDカードを摘み出す。
そして、ケースを横にポイと捨てると、カードの真ん中あたりを両手の親指と人差し指で固く握り、
両肘を外側にグイッと張った。
そのまま夏美が両腕に力を込めて捻れば、IDカードはひとたまりも無く破れるか、無残に折れ曲がるだろう。
反射的にギロロはカードを取り戻そうと手を伸ばすが、夏美は素早く身をかわす。
「ちょっと待て!夏…」
「いいえ!待たないわ!アンタみたいな腰抜けで役立たずの兵隊がいると、
他の立派な兵隊さんが凄く迷惑すると思うの!だから、こうしてあげる!!」
夏美の両腕に、ぐっと力が入れられようとした、その瞬間…
「違うんだ!IDの裏側には、お前の写真があるんだ!!」
ギロロの切ない叫びに、夏美の身体全体がフリーズする。
「本当だ。裏を見てみろ…」
夏美が、細かく震え始めた指でカードをそっと裏返すが、自分の写真は無い。白い無地だ。
「…?」
「…『裏』というか、IDの“後ろ側”に、だ…」
言われたとおり、カードを持っている指を少しずらしてみる。
すると…
あった。
カードの裏側にピッタリと重なっていたから分からなかったのだ。
今は裏返しになっている、少し指の圧迫痕が付いてしまった写真を、恐る恐る裏返す。
確かに、自分の写真だった。
687 :
◆K8Bggv.zV2 :2008/05/28(水) 21:34:37 ID:vZLRMV3J
どういう状況で撮影されたのかは定かではないが、
学校指定のカーディガンを着て、
いかにも小生意気に眉をちょっと吊り上げて左目でウインクをしている表情を、
左やや下から撮影したようなその写真は、紛れも無く夏美のものだった。
写真を見たまま再びフリーズしている夏美に、ギロロが優しく説明する。
「その写真は、俺がいつも肩から掛けているベルトのバックルの中に、“お守り”として入れているものだ」
「(あたしの写真を、“お守り”に…)」
いつも無茶ばかりしているギロロ。
真っ先に危険な場所に飛び込んでいくギロロ。
平和なこの国で暮らす平凡な中学生の自分には戦場の本当の危険さなんて分かりっこないけど、
兵隊さんていうのは、命ぎりぎりのところで働く職業だってことくらいは分かる。
そんな、生きて帰れるのが不思議なくらい危ない所へ行く時の心の支えとして、
あたしの写真を、いつも肌身離さず持っていてくれたんだ。
もし、ギロロに万が一のことがあったときには、
あたしの写真が、最後までギロロと一緒にいて、最期にギロロを看取ることになるんだ。
そんなにまでこのあたしのことを思っていてくれるギロロのこと、あたし、ひどい言葉で罵った…
夏美の身体が、ガタガタと震えだす。
ガーネットの瞳から止め処なく溢れ出る熱くて綺麗な涙が、絶え間なく頬を伝い落ちる。
「ごめん…」
「夏美…」
「あたし、ギロロのことを『意気地無し』って、言った…」
688 :
◆K8Bggv.zV2 :2008/05/28(水) 21:36:03 ID:vZLRMV3J
「いいんだ」
「『腰抜け』って、言った…」
「気にするな…」
「本当に、ごめん…」
「夏美」
「本当に、本当に…、ごめんなさい」
ギロロは、夏美の傍にそっと座り直した。
それと同時に、二人は、どちらからともなく腕を伸ばして、互いの身体をとても愛しげに抱き締めあった。
「ギロロ…」
「ん?」
「あたし、ギロロがいないと、だめみたい…」
「俺も、やはり、夏美がいなければだめなようだ…」
ギロロだって、夏美を悩ませ泣かせようとして好き好んで将来の別離を話題にしたのではなかった。
今、わざわざこうしたことを話題にしたのは、もちろん、ギロロ自身の心を整理するためもあったが、
しかし、将来必ず訪れる凄まじい“矛盾”から夏美を守ろうとしてのことだったのだ。
だが、それを夏美に告げた結果、
誰あろうギロロ自身が、夏美無しでは生きられなくなっていたことに気付かされたのだった。
また、ギロロにこのタイミングを選ばせたのは、ギロロの『戦士の第六感』だった。
ケロロが軍本部に出頭してから一週間以上、そして、クルルが肝心な場面で妙に親切…
異変が起きるとすれば、それは近々中で、しかも相当大規模なものとなるだろう。
だが、自分自身の命令違反やケロン軍の武器の夏美への不当貸与などの利敵行為について、
今まで何とか軍中央に発覚せずにすんでいたのだ。これからだって、上手くやれるに違いない。
今日これまでの夏美との遣り取りを通じて、
ギロロは、ようやく、これからの人生を夏美のためだけに生きていく覚悟が出来たのだった。
689 :
◆K8Bggv.zV2 :2008/05/28(水) 21:37:06 ID:vZLRMV3J
「ギロロ」
夏美が、ギロロの胸元を掌でゆっくりと撫でながらその名を呼んだ。
「ん?」
ギロロが、夏美の艶やかな赤い髪に顎先を埋めながらそっと返事をする。
「今まで、頼れる大人の男の人がいなかったの…」
「うん」
「そういう男の人が欲しかったの…」
「うん」
「やっと、見付けた…」
ギロロが、夏美を抱く腕にぎゅっと力を込める。
それに応えて、夏美も、ギロロの胸元にいっそう深く頬を埋めた。
「夏美」
「何?」
「俺は、お前の期待に応えられるような男かどうかは分からない。
だが、お前に寂しい思いをさせたり、哀しませたりするようなことだけは、しないつもりだ」
「ありがと、ギロロ…」
「夏美…」
「ギロロ…」
愛しげに互いの名を呼び合う二人の声が途切れ、柔らかな沈黙が訪れる。
ギロロは夏美の身体を優しく抱いていたが、しかし暫くすると、夏美の身体が少し重くなったように感じられた。
その呼吸も、静かに、規則正しくなっていた。
690 :
◆K8Bggv.zV2 :2008/05/28(水) 21:38:10 ID:vZLRMV3J
「夏美…?」
返事が無い。
ギロロがそっと夏美の顔を覗き込むと、
幸せそうにふんわりと微笑んだ頬に涙の痕を残したまま、夏美はギロロの腕の中で寝入ってしまっていた。
無理も無かった。
平凡な中学生の女の子が、ほんの数時間のうちに、
恋愛の歓喜と地獄を体験し、その上、宇宙規模の問題にまで結論を出すことを強いられたのである。
その精神的負担は計り知れないものであったに違いない。
「夏美…」
その甘酸っぱい匂いを鼻腔いっぱいに感じながら、
ギロロは、自分の腕の中ですやすやと健やかな寝息を立てている大切な大切な女にそっと囁きかけた。
「お前を、必ず、護るから…」
691 :
名無しさん@ピンキー:2008/05/28(水) 21:42:00 ID:vZLRMV3J
今回は、以上です。
だいぶお待たせしたのに、何だか、
新聞の一番最後のページの中段少し下に掲載されてる連載小説みたいになっちゃって、
すみません。
次回は、ギロロと夏美をイチャイチャさせてみたいと思います。
694 :
名無しさん@ピンキー:2008/06/04(水) 19:13:50 ID:XOjuIo/1
ギロ夏SSの続き、密かに楽しみにしてる
695 :
名無しさん@ピンキー:
トモキリン