【涼宮ハルヒ】谷川流 the 44章【学校を出よう!】

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1名無しさん@ピンキー
谷川流スレッド設立に伴う所信表明

我がスレッドでは、谷川流作品のSSを広く募集しています。
過去にエロいSSを書いたことがある人
今現在、とても萌え萌えなSSを書いている人
遠からず、すばらしいSSを書く予定がある人
そういう人が居たら、このスレッドに書き込むと良いです。
たちどころにレスがつくでしょう。
ただし、他の作品のSSでは駄目です。
谷川流作品じゃないといけません。注意してください。

■前スレ■
【涼宮ハルヒ】谷川流 the 42章【学校を出よう!】
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1172509636/

■過去ログ■
http://www9.atwiki.jp/eroparo/pages/210.html

■これまでに投下されたSSの保管場所■
2chエロパロ板SS保管庫
http://sslibrary.gozaru.jp/

■荒らしについて■
削除依頼対象です。反応すると削除人に「荒らしに構っている」と判断されてしまい、
削除されない場合があります。21歳以上なら必ずスルーしましょう。

PINK削除依頼(仮)@bbspink掲示板
http://sakura02.bbspink.com/housekeeping/
2名無しさん@ピンキー:2007/03/23(金) 21:20:25 ID:ckkZ7AoV
Q批評とか感想とか書きたいんだけど?
A自由に書いてもらってもかまわんが、叩きは幼馴染が照れ隠しで怒るように頼む。

Q煽られたりしたんだけど…
Aそこは閉鎖空間です。 普通の人ならまず気にしません。 あなたも干渉はしないで下さい。

Q見たいキャラのSSが無いんだけど…
A無ければ自分で作ればいいのよ!

Q俺、文才無いんだけど…
A文才なんて関係ない。 必要なのは妄想の力だけ… あなたの思うままに書いて…

Q読んでたら苦手なジャンルだったんだけど…
Aふみぃ… 読み飛ばしてくださぁーい。 作者さんも怪しいジャンルの場合は前もって宣言お願いしまぁす。

Q保管庫のどれがオススメ?
Aそれは自分できめるっさ! 良いも悪いも読まないと分からないにょろ。

Q〜ていうシチュ、自分で作れないから手っ取り早く書いてくれ。
Aうん、それ無理。 だっていきなり言われていいのができると思う?

Q投下したSSは基本的に保管庫に転載されるの?
A拒否しない場合は基本的に収納されるのね。  嫌なときは言って欲しいのね。

Q次スレのタイミングは?
A460KBを越えたあたりで一度聞いてくれ。 それは僕にとっても規定事項だ。
3名無しさん@ピンキー:2007/03/23(金) 21:21:30 ID:EpiYHcy5
>1乙
でも、忘れ物

【涼宮ハルヒ】谷川流 the 43章【学校を出よう!】
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1173451548/
4名無しさん@ピンキー:2007/03/23(金) 21:21:39 ID:ckkZ7AoV




  原 作 者 の 新 作 読 む と や っ ぱ 圧 倒 的 な 力 の 差 を 感 じ て し ま う 。


  こ れ は も う 如 何 と も し が た い ね ……
5名無しさん@ピンキー:2007/03/23(金) 21:24:16 ID:ckkZ7AoV
>>3
うわ、ほんとだ。すまんorz
6名無しさん@ピンキー:2007/03/23(金) 21:25:04 ID:9xoC06FC
>>1
乙と言いたかったが言わせてもらおう。
>>4はテンプレじゃねぇぞ。タブン。
7名無しさん@ピンキー:2007/03/23(金) 21:29:29 ID:SOqbnh+c
>>1
8名無しさん@ピンキー:2007/03/23(金) 21:32:57 ID:N1+70poP
いい加減ここから離れたらどうだ?
ちょっと離れてみたらいろいろ見えてこなかったことも分かるぞ。
おかしな事いってるかな?
つるやさんかわいいよ。
9名無しさん@ピンキー:2007/03/23(金) 22:09:01 ID:WbUqm50M
>>1大津
そしてキョンナガを待ち続ける俺
10名無しさん@ピンキー:2007/03/23(金) 22:12:41 ID:enJqBgSa
>>1

11名無しさん@ピンキー:2007/03/23(金) 23:14:26 ID:5ppjD7vv
新スレ移行乙。

とりあえず俺は「放課後はいつにもまして〜」シリーズの続編を期待している。
もう、なんというか中毒になってる。作者の人、ぜひ頼む。
12名無しさん@ピンキー:2007/03/23(金) 23:17:17 ID:+zPaULOY
>>11
あの人のほかのもみんないいからな。
やっぱマジメなのでいいのが書ける人はカオスなのもいいのが書けるのだろうか
13名無しさん@ピンキー:2007/03/23(金) 23:19:37 ID:yIoJWH+4
14名無しさん@ピンキー:2007/03/23(金) 23:20:26 ID:+zPaULOY
ところで前スレまだ490なんだけどおわり?
15名無しさん@ピンキー:2007/03/23(金) 23:35:38 ID:5ppjD7vv
>>12
真面目なの、というよりはストーリー構成がしっかりしたものが書ける人は
崩してもいいものが書けるという事では。
デッサンの基本がしっかり描ける人は、デフォルメもきちんとセンスよく描けるとか。
たぶんそんな感じなんだと思うよ。

…というか、あれはそういうのを超越しているような気もするのだが。
16名無しさん@ピンキー:2007/03/23(金) 23:43:17 ID:KGyiB/I4
にゃあにゃあにゃあ(東京スローダウン)も同じ人じゃないかな。どれも古泉の台詞が同じ感じにうまい。
あと、にゃあ〜も含めて、ループネタなんだよな。何かがループしてる。
17名無しさん@ピンキー:2007/03/23(金) 23:56:02 ID:80IEofh5
あれは違うとオモタ。雰囲気が。
>>15
そうなんだろうと思う。
18名無しさん@ピンキー:2007/03/24(土) 00:00:02 ID:7bpXcPbq
俺は三つの点から同じ人かなと思ったが、ま、書いた当人しかわからんよな。
19名無しさん@ピンキー:2007/03/24(土) 00:03:54 ID:hgC1Tu/E
前スレ765の続きマダ〜? 
20名無しさん@ピンキー:2007/03/24(土) 00:13:52 ID:btGfRF8y
 あれは九月だった。妖しい季節だった。――なんて古い歌を古泉が口ずさむのをBGMに俺達はいつものように早朝ハイキングコースを登校していた。
 何故朝っぱらから古泉と一緒に居るのかと言えば答えは簡単で、別に古泉は居ない。
 ただ今日が九月だというのは本当のことだ。本当は十月だが、俺が語るべきは九月のことなので今日は九月四十日だと思うことにしておこう。
 俺の部屋のカレンダーが八月なのは長門曰く情報の伝達に齟齬が発生したからだそうだが、八月は学校は休みであることは既定事項なので今は九月だというわけだ。
 だが俺は言い知れぬ不安を感じていた。
 ――本当は今は十一月ではないのか?
 だとすれば今日は九月四十日ではなく九月七十一日だということになる。
 それはまずい。それだけは避けねばならない。冷や汗が頬を伝う。
「我々がなんとかしなければなりませんね」
 古泉がそう言った。だがやはり古泉は居ない。当たり前だ。今は九月なのだから。
 それにしてもこの暑さの中この通学路はきつい。
 その時俺の視界に目を疑うようなモノが飛び込んできた。
「なんてこった……まさかこんなところに……」
 思わず声に出ちまったのも当然だと思って頂きたい。誰だってそうだろう?
 自販機なんてもんを見つけちまったらよ。
 震える手で百円を投入する。だが俺はここでとんでもないミスを犯しちまった。そう、二十円足らなかったのだ!
 万事休すか。それとも、これも既定事項ってヤツですか、朝比奈さん(大)?
「これを使って下さい!」
 古泉が二十円を差し出してくれた。その顔からは完全に笑みが消え、真剣そのものだ。
「間に合って良かった……危ないところでした」
 さすがだぜ古泉、やっぱりお前はSOS団副団長だ。念を押しておくが古泉はここには居ない。九月だからな。
 安堵したのも束の間、ボタンを押そうとしたところでまたしても問題発生だ。
 なんと殆どの商品が売り切れで温かいお茶しか残っていなかった。
(待てよ? 確か、前にもこんなことが……)
 強烈な既視感が眩暈をともなって俺を襲う。
『みくるちゃん、冷たいお茶は無いの?』
『あ、すみません、冷たいのは無いです』
 まさか……朝比奈さん? こ、こんなおいたわしい姿になってしまって! またお前のしわざか、ハルヒ……。
 俺は急いで古泉に電話した。
「古泉か? どうやら大変なことが起こったみたいだ」
『ええ、既に伝え聞いています。ですが僕も今別件を抱えていて身動きできません。そちらは貴方に一任します。なんとか頑張って下さい』
「わかった」
 俺は電話を切るとダッシュで部室に向かった。

 部室に行くと朝比奈さんが居たが、朝比奈さんは自販機にされてしまっているのでこの朝比奈さんはニセモノだと思うべきだろう。
 俺は団長席に座るとパソコンを立ち上げた。いつかのように緊急プログラムが発動するのではないかと考えたからだ。
 しかし、普通にOSが立ち上がってしまった。何がいけなかった? ――そうか、鍵を揃えなければいけなかったのだ!
 俺はメモ帳を開くと「YUKI.N>」とだけ書いて放置した。そして待つこと五分、ついに変化が現れた。
 突如として画面が暗転し、代わりに奇怪な幾何学模様が表示され始めたのだ。全く、お前の用意周到ぶりには感服するぜ、長門。
 ――俺は迷わずエンターを押した。
 画面が通常に戻った。どうやら俺は時間を超越したらしい。今は……十一月だ!
 ここにいる朝比奈さんは本物のようだが、それは今が十一月だからで、俺がこれから九月の朝比奈さんを元に戻すのだ。
 俺は部室を飛び出すと坂を駆け下りて光陽園女子へ行き、その足で戻ってくると一年五組の教室の扉を開けた。
 前の黒板と後ろの黒板を入れ替える。かなり大掛かりな作業だ。
 作業をするのに机が邪魔だったので片っ端から窓の外へ投げ捨てた。窓の外から古泉の悲鳴が聞こえた気がしたが空耳だろう。だいいち今はそれどころではない。
 作業が終わったと同時に激しい時空震が起こる。俺は九月に戻って来たんだ。
 部室に戻ると九月だというのに古泉が居た。朝比奈さんは――良かった、どうやら元に戻れたようだ。
「どうやら事無きを得たようですね。お疲れ様です」
「お前の方はどうだったんだ、古泉」
「正直に言いまして大変でした。あれほど心臓に悪い体験をしたのは初めてですよ」
「ほう」
 よく見ると古泉は頭に包帯をまいていた。大変なんだ、古泉も。俺もだが。ハルヒ、お前のおかげでさ。
 でもそれでいいのさ。古泉はSOS団副団長で、俺は団員その一だからな。


-End-
21名無しさん@ピンキー:2007/03/24(土) 00:16:37 ID:btGfRF8y
前スレで頂いた意見を踏まえて書いてみました。
が、若干本家を意識しすぎたかも知れません。


>本家の人
もし迷惑だったらやめます。
22名無しさん@ピンキー:2007/03/24(土) 00:55:20 ID:ni7a9God
>>1
>>20
ともに乙です〜
23名無しさん@ピンキー:2007/03/24(土) 00:55:53 ID:ni7a9God
あっ!俺神だ
連レス スマソ
24名無しさん@ピンキー:2007/03/24(土) 02:21:00 ID:LIvt3QEe
>>1
スレ立て乙です

>>20
本家を意識しすぎてテンプレートをなぞってるように見えた。舞台装置も「時間・自販機・事件」と類似かな、と
カオスでシュールなSSは、ストーリーラインが型にはまると味が薄れる気がする。もっと狂い咲きを!

今日は九月だが、もしかしたらジャムパンかもしれん。だが語るべきはアンパンなので八月を夢見ることにしよう。
まだ話してないが、さっき俺が言ったことを思い出して欲しい。そうだ、これから何を話そうかと考えてる事をだ。

……ごめん。俺には無理っぽい。咲きが欠けてる。なんだこれ?


前スレ埋めも乙です
埋めネタの「いきなり最終回」も GJ! 容量を気にしたのかアッサリだけど、埋めだと勿体無いくらいだったかも
SOS団全員が絡む事件を扱うと、セリフがあってもみくるが薄くなるようで、あらためて扱いに困る未来人なんだな
25名無しさん@ピンキー:2007/03/24(土) 02:56:11 ID:lizm7xVj
しかし、学校を出よう!の新刊はまだなのか!?
26名無しさん@ピンキー:2007/03/24(土) 03:25:09 ID:1u0JfnRs
ぶっちゃけシュール系SSはもういいよ……。
あれはたまに出るからこそおもしろいんだよ。こう連発されると…
27名無しさん@ピンキー:2007/03/24(土) 04:31:55 ID:BnERlGm9
>>26
話の大きな節目になるらしい新刊の発売日が迫ってる。書き手のあれやこれやも察してくれ。
28名無しさん@ピンキー:2007/03/24(土) 05:04:55 ID:91FtELJq
>>27
その中で前スレの埋めネタでアレを書いた作者に畏敬の念を覚える。精度たけぇよオイ。
過去にあった最終回物の中で一番好き。
29名無しさん@ピンキー:2007/03/24(土) 05:20:57 ID:6MJWwknI
前スレの「いきなり最終回」スッゲー良かった。
駆け足でクライマックスだけピックアップしたみたいな印象はあるけど、
原作もこんな感じのエンディングがいいなと思わせるほどに。埋めネタにするなんてモッタイナイ。
30名無しさん@ピンキー:2007/03/24(土) 11:14:39 ID:lW0ZUbLL
>>29
同意。

真剣に泣かせてくれた
31名無しさん@ピンキー:2007/03/24(土) 11:45:55 ID:OoIV4Za+
前スレ埋めはとてもよかった。

しかし三人には不思議属性を失って欲しく無い俺がいる
32名無しさん@ピンキー:2007/03/24(土) 11:57:24 ID:ahkBt84g
三人?
33名無しさん@ピンキー:2007/03/24(土) 12:08:54 ID:Odm/vMop
前スレラストの乙! 774の部分がいいね。
原作も三人まとめて残るかいなくなるかで終わると思ってる。
3432:2007/03/24(土) 12:16:38 ID:ahkBt84g
すまん、無視してくれ
35名無しさん@ピンキー:2007/03/24(土) 12:34:23 ID:lW0ZUbLL
もしかしたら前スレのラストを書いた人は未来から来た谷川先生で、
ひっそりと結末を教えに来たのかもしれない・・・

と妄想した俺乙
36名無しさん@ピンキー:2007/03/24(土) 12:37:17 ID:Mir4lcp/
>35
別に未来から来る必要は無いだろw
37名無しさん@ピンキー:2007/03/24(土) 12:55:55 ID:lW0ZUbLL
sage忘れすまん

>>36
いや、ハルヒがあと数年続くとしたら現在の谷川先生は正確な結末を知らないのかも
しれないじゃないか。

そうさ、俺はこんな結末を望んでいたんだ
38名無しさん@ピンキー:2007/03/24(土) 14:11:58 ID:7DBkUD+0
前スレの最後も良かった。ナイス!

だが後半のエロパロ板ネタの小ネタ3作もすげえ好きだ〜。
題名が欲しくなったが、ここで今言ってもしょうがないんだろうな。
何回か読みなおしてなんとなく思ったけど、あれって作者違うんかね?
39名無しさん@ピンキー:2007/03/24(土) 15:55:53 ID:7bpXcPbq
三つ目のは「あしなが……たかうじ?」でいいと思うんだ。でも作者じゃないからわからん。
40名無しさん@ピンキー:2007/03/24(土) 16:08:13 ID:J40PR3WP
俺は『You mind fly』みたいにさり気なくネタばらし、みたいなエンドがいいなぁと思う。
ほのぼの系。

小ネタバロは同じ人じゃね?
41名無しさん@ピンキー:2007/03/24(土) 16:36:38 ID:amq1dRGm
前スレ最後のミヨキチのやつの続きを密かに期待している俺がいる
42名無しさん@ピンキー:2007/03/24(土) 16:58:36 ID:j/wkL+oA
41
俺もいる
43名無しさん@ピンキー:2007/03/24(土) 19:42:01 ID:zY9CdHkl
最初にエロパロ板ネタ書いた者だが保管庫一緒のほうが良くね?
いや、続きが面白いから一緒にして欲しいとかじゃなくて、ね?
ほら、突然昼休みとか出てきても困るだろうしさ
44名無しさん@ピンキー:2007/03/24(土) 19:50:58 ID:7bpXcPbq
>>43
「「「「おまえか!」」」」
45名無しさん@ピンキー:2007/03/24(土) 20:39:44 ID:PuZSj1KI
前作埋めの人、読みました。
なんというか泣けました。マジで。
ありがとう。いいもん読ませてもらいました。

>>43
ははは、こやつめ。
46名無しさん@ピンキー:2007/03/24(土) 21:42:47 ID:/xwq3qmJ
いきなり最終回、いいね。読後もさっぱりした気分だ
47名無しさん@ピンキー:2007/03/24(土) 22:10:16 ID:FVyNGPk5
前スレの埋め読んだらなんか涙出てきた。
とってもよかったでつ。
48名無しさん@ピンキー:2007/03/24(土) 23:26:04 ID:TjvmsTgl
 何回か話題に出ている事なんだけども、ココの1レスの制限ってどのくらいなんだろう?どこかで1行64文字30行全1920文字が目安と書かれていたんだが、1行の最大文字数はもう少し長い気がするんだ。長めの物を書いたときに最大行数を調整するのは難しく





ど、






























よ。












り。






いる人は教えてくれるとありがたいです。
これはアラシではなくテストですごめんなさい。
49名無しさん@ピンキー:2007/03/24(土) 23:34:22 ID:Mir4lcp/
>>48
60行までいける
バイトでいうと4096まで。ちなみにこの書き込みは90Byte。
50名無しさん@ピンキー:2007/03/24(土) 23:40:12 ID:hTMmgkmB
>>48
専ブラ使えよ、ヌケ作
51名無しさん@ピンキー:2007/03/24(土) 23:44:35 ID:TjvmsTgl
1行122文字。59行。くらいだった。ちょっと雑だったから

『1行124文字60行』

くらいで、文字密度で行数が変化でいいのかな? お騒がせしました。
テンプレに入るようなキャラは……

Q投稿したいんだけど、書体のオススメは?
A「特に……好きに改行して。でも右端折返しは」「1にゃ124にゃあにゃぁ60みゃあ。にゃあにゃぁだぎゃあ」「……これは腹話術」

……もうちょっと考えてみる。

>>49 さんくす!

>>50 ごめん! ギコナビだけど使いこなせてないかもで、
 投下中に何回か慌てて改行してたからつい試したくて。めんぼくない
52名無しさん@ピンキー:2007/03/24(土) 23:46:07 ID:I2GFH5Sy




  原 作 者 の 新 作 読 む と や っ ぱ 圧 倒 的 な 力 の 差 を 感 じ て し ま う 。


  こ れ は も う 如 何 と も し が た い ね ……
53名無しさん@ピンキー:2007/03/24(土) 23:47:41 ID:sLZ3Ut77
>>51
Jane Doe Styleを使ってる人が多いみたいよ。
54名無しさん@ピンキー:2007/03/25(日) 00:22:22 ID:oWtlaYfv
>>49-50
ズレてるぞ。つまり「一列最大何文字まで行けるか?」だろ。
専ブラ使ってもコレはわからん。
55名無しさん@ピンキー:2007/03/25(日) 00:28:45 ID:PF8UWzJz
前スレ最後の続きがみたいと心底思う
無粋なのは承知しているが
56名無しさん@ピンキー:2007/03/25(日) 00:32:57 ID:xhRdbOIL
俺も漏れも
57名無しさん@ピンキー:2007/03/25(日) 00:34:07 ID:5fdkQtko
58名無しさん@ピンキー:2007/03/25(日) 00:50:56 ID:MUNVRzyd
>>57
一瞬「何でキョンの足にモモーイって書いてあるんだ?」
って思った。もう寝る。
59名無しさん@ピンキー:2007/03/25(日) 04:23:26 ID:TF8CUy1u
いまさらだが
前スレ埋めネタ>>771
素直に面白かった。
やはりこんな限りなくグッドに近いトゥルーな終わり方は良い。
60名無しさん@ピンキー:2007/03/25(日) 04:27:21 ID:BDhQmZI2
>>57
なにこれ?
61名無しさん@ピンキー:2007/03/25(日) 07:11:38 ID:k/trpu7h
ネイキッド・新川

 古泉の企画したふざけた殺人事件もどきも幕を下ろし、
後は帰るだけのハズだったのだが…嵐は元気ハツラツ、発情したみたいにその猛威をふるい続けていた。
「いやあ〜、困りましたね、これも涼宮さんが望んだことなんでしょうか」
 しらん。
「食料が底をついてしまいました」
 え
「この嵐では船を出すことができません」
 え
 これはピンチかもしれんね。
けっこうのん気してた俺も少し焦りはじめていた。
「しかたありませんな、動植物をキャプチャーしてきましょう、皆様はここでお待ちください」
 渋い声でサバイバルな発言をするのは新川さんだった。
動植物をキャプチャーだって?そんなセリフ、日常じゃまず使わないぜ。
「さすが新川さんですね、そこにシビれる!あこがれるゥ!」
 いかん、古泉が限界のようだ。新川さん、一刻も早くお願いします。
「まかせてください」
 そう言う新川さんの手には…げっ!狙撃銃が…
昨今の執事は銃も扱えるらしい。
「鉄橋にセットした爆弾ぐらいなら百発百中ですぞ」
 自信マンマンに言うからには、やったことあるんだろうな…どんなシチュエーションだよ…。
そんなサバイバルな執事を見送って、さて、俺たちはなにをすればいいのだろうか。
「では僕は建物の中を探索してきます、カロリーメイトか即席ラーメンがあるかもしれません」
 なんでそのふたつ限定なんだ…。まあ疲れてるみたいだからつっこまないでおくか。
とりあえず部屋にいるハルヒたちと合流して新川さんの意外な一面を教えてやろう。
「新川さんってサバイバルなのね!そこにシビれる!あこがれるゥ!」
 古泉と同じリアクションをするなーッ!!

 ややあって新川さんが帰還してきた。
キノコなどの山菜がほとんどだったが、ウサギや…マジかよ…
蛇も何匹かキャプチャーしてきたようだった。
「うまいですぞ!」
 そんなさわやかな笑顔で言われても…。
「新川さん、やるわね…」
「やあ、さすがですね!さすがですね!」
 おい古泉、落ち着け。
新川さんがキッチンでキャプチャーした動植物の調理をはじめるといい匂いがしてきた。
思ったより期待できそうだ。
「さあ、できましたぞ」
 蛇は丸焼きで原形そのままだった…。まじすか…。
しかし背に腹はかえられない…意を決して口に運ぶ。
そして叫んだ。

「うますぎるッ!!」

俺は叫んだね、ああ叫んださ。
62名無しさん@ピンキー:2007/03/25(日) 07:12:37 ID:k/trpu7h
つまらなかったらすいませェん。
63名無しさん@ピンキー:2007/03/25(日) 07:53:08 ID:Q0OjRcaF
ジョジョ1部と2部か
64名無しさん@ピンキー:2007/03/25(日) 10:44:22 ID:/kXyr5+V
>>60
激奏のやつの模写だな
65名無しさん@ピンキー:2007/03/25(日) 11:40:39 ID:SjI+iQfE
では投下行きます。
エロなし、22レスほどです。
66閉鎖空間に消ゆ1:2007/03/25(日) 11:44:09 ID:SjI+iQfE
 緩やかな春風が走り抜け、心地よさを感じる放課後の帰り道。
 立ち止まっていれば未だに寒さを感じるが、歩くに従って体がほんのりとした暖かさを
帯びてくる。
 虚ろな表情をしていた山肌も、徐々に命の息吹が萌えだし、今は梅の花が咲き誇ってい
て、行き交う登下校の生徒達を楽しませている。

 俺はその花を愛でながら歩いていたのだが、頭の中ではあらゆる思いが交錯し、周り
の人間からは小難しい面をしているように見えたらしい。

「キョン君、何考えていたの?」
 俺の隣にいる女生徒が立ち止まって、いたずらっぽい表情でそう尋ねた。
 今俺の考えていたことを言うわけにもいかず、口元を少し緩めただけで済ます。
「なに、つまらないことさ」
 俺はそう言って歩き出した。すると彼女もすぐさま隣に並んで歩き出す。

 唐突だが、俺はある女生徒と付き合っていることになっている。言っておくが、俺が告
白したわけでも彼女から告白してきたわけでもない。
 ある深い理由があってだな、俺の本意でこういう仕儀になったわけではなく、まあ、不
本意だというほどでもないのだが。
 ええい、俺はいったい、誰に対して言い訳しているんだ?
 とにかく事の発端から知ってもらうしかないな。




「……あなたにお願いがある」

 ある日の放課後、俺はいつもより早めにSOS団部室にやってきていた。すると、そこに
は長門がすでに京都にある古刹の仏像のように鎮座しており、静かに本に目を落としてい
たのだが、ふと顔を上げると、突然先ほどの台詞を淡々と紡ぎ出したのだ。
 珍しいな長門、お前が頼み事なんて……。
「いいぜ、お前にはさんざん世話になっているんだ。お金を貸して欲しいだとか、それと
も勉強を教えて欲しいだとか、あるいは解剖させて欲しいなんてこと以外だったら、大抵
のことは頼まれてやるぜ」
「そのどれでもない」
 だろうな、俺も冗談で言っているんだから。
「それで、俺は何をすればいいんだ? お前の部屋の掃除か? それとも飯炊き、洗濯、
薪割り、添い寝……最後のはともかく、まあ、とにかく何でも言ってくれ」

「……添い寝」
 俺はドキッとして長門を見つめ返す。
「本気か?」
「冗談」
 お前が真顔で言うと、冗談に思えないんだよ……。
 俺を見つめる長門の瞳は、業務用冷凍庫でサファイア並に硬く凍結されたマグロの目
のようにひんやりとしていた。
 そして、その潤いの感じられない瞳のままで、長門は俺に淡々と言った。

「涼宮ハルヒの精神を不安定にして欲しい」
67閉鎖空間に消ゆ2:2007/03/25(日) 11:44:51 ID:SjI+iQfE
「おい……どういう意味だ?」
「言葉のまま」
 ……おいおい、頼むぜ長門さん。それがわからないから聞き返しているんじゃないか。
「おれにもわかるように、説明してくれないか。いったい俺に何をさせる気だ?」
 すると、長門はそれには答えず、部屋のドアの先を見るように視線をそこ向けた。次の
瞬間、ドアがゆっくりと開き、その拍子に外からひんやりとした空気が舞い込んできた。
まだ3月を少し過ぎただけだから、部屋の内外の温度差を感じ、体をブルッと震わせる。
「やあ、もうおいでになっていたんですか」

 そんな声とともに、いい加減見飽きたニヤケ面の古泉が先に入り、我が麗しの天使、も
しくは天照大神の化身とでも言おうか、俺にとってもはや信仰の対象である朝比奈さんが
続いて入ってきた。
「キョン君、すぐにお茶の用意をしますね。でも、今日は制服姿のままでごめんなさい」
 いえいえ、あなたのお姿が拝見できるのであれば、俺はたとえ給食のおばさんのコスプ
レでも、はたまた虚無僧姿でもいっこうにかまいません。もちろん、制服姿も大歓迎です。
 朝比奈さんは「ふふっ、ありがとう」と言って、そそくさと給仕の準備に取りかかった。

 古泉は、コートを脱いで一度伸びをするとパイプイスに腰を掛け、おもむろに
「はて、なにかお話の最中だったのですか?」
 と言い、改めて俺と長門の間で視線をループさせる。そして、古泉は長門に向き直り、
糸目を少し開いた。
「長門さん、ひょっとして例の件に関してですか?」 
 長門が数ミリの首肯。この微妙なサインは、俺をはじめとするSOS団の連中にしか判別
できないだろう。まあ、自慢と言っていいね。
 しかし、古泉は長門の俺への願いについて、すでに知っているんだろうか?

「古泉、ひょっとしてお前は長門の言ったことを知っているのか?」
「ええ、長門さんがどこまで話されたのか僕にはわかりませんが……ですが、あなたは承
諾なさったのですね?」
 そう言って古泉は、少しの憂鬱さと、わずかな冷やかしを帯びた目で俺を見る。
「何のことだ? 俺はただ、ハルヒを不安定にして欲しいと言われただけだぜ。さっきか
ら詳しい話を長門から聞き出そうとしていたんだが……お前が知っているのなら、代わり
に説明してくれないか?」
 説明をできることがそれほどうれしいのか、古泉は幾分表情を緩めた。そして、わかり
ましたと言って、朝比奈さんから給仕されたお茶を口に含み喉を潤しおもむろに口を開く。

「では、最初にあなたに伺いますが、最近誰かに狙われた、若しくは狙われたと感じたこ
とがありますか?」
 何を藪から棒に……。
 やれやれ、お前がそんなことを言い出すから、思い出してしまったじゃないか。
「思い出したくもないことだが、俺は以前朝倉に命を狙われたあの事件以降は、他の連中
に狙われたこという記憶はないぜ」
 古泉は予想通りという表情を浮かべ、幾分真剣さを増して言葉を続けた。
「これは、長門さんからの情報で、恥ずかしながら我々も初めて知ったわけですが、実は
あなたは急進派が放った刺客により、幾度となく命を狙われているのです」
 
68閉鎖空間に消ゆ3:2007/03/25(日) 11:45:27 ID:SjI+iQfE
 ……何だって!?
「それは、本当……か?」
「……本当。あなたはこれまでに19回命を狙われている」
 これは長門の弁だ。しかし、衝撃の事実に俺は言葉さえ出ない。なんてこった、長門の
言うことがもしも真実なら、俺は一ヶ月に二度は命を狙われていることになるんじゃない
のか……? これはまさに、知らぬが花だ。こんなことを知ってしまったら、おちおち寝
られやしないぜ。いや、それより精神がおかしくなりそうだ。
「驚いているようですね。実は、我々『機関』はあなたの身の安全を守ることも任務の
一つなのですが、先述の通り、我々も長門さんに初めて知らされたという体たらくでし
て……」

 古泉はいつものスマイル顔はそこにはなく、こいつにはまるで似合わないしかめっつら
が浮かび上がっている。
「つまりですね……あなたは知らず知らずのうちに命を狙われ、そして全くあなたが知ら
ない間に、長門さんをはじめとするTFEIに未然に阻止されていたわけです」
 ……とんだサプライズだ。刺客から日々命を狙われるなんて、俺は時代劇の世界にでも
迷い込んだのか? それなら返り討ちにしたいところだが、あいにくと俺の腕っ節はか
らっきしでまるっきりだ。しかも相手は姿さえ見せない暗殺者ときた。もし長門たちが
守ってくれなけりゃ、ただ座して死を待つより他はなかっただろうよ。

 で、俺はいったいどうすればいいんだ?
「ええ、その前に、この度のミッションにおいて、重要な鍵になる方をご紹介しましょ
う」
 鍵……だと?
 古泉は視線を横に滑らせ、「お入り下さい」とドアの外へ声を掛けた。ドアが開くと、
静寂を保っていた廊下から上履きのゴム底が擦れる音とともに一人の女生徒がゆっくり
と立ち入った。
 その姿を見て、俺は驚愕のあまり不意に目の前がブラックアウトしそうになった……。

「キョン君、元気だった? あたし……今日この学校に転入してきたの。ふふ、クラスは
別になっちゃうけど、今日からまたよろしくね」

―――朝倉だ!

 朝倉は俺達に、にこやかな優等生スマイルを見せると、視線を長門の方に向け、まるで
目配せをするかのように一瞥した。しかし長門は朝倉を認識しているにもかかわらず、微
動だにしない。まるで、どうでもいいといった様子だ。朝倉は長門の態度も予想通りと
いったところなのか微笑を浮かべた。
「おい古泉、お前は朝倉が鍵だと言ったな。どういうことだ、朝倉こそ俺を狙っていた刺
客じゃないのか?」
「あー、キョン君ひどーい。あたしはあのときとは違うわ。今の私は敵じゃないの。むし
ろ味方だから……ねえ、信じて」
 そんなこと、にわかに信じられるかよ。何せ俺はお前に殺されかけたことがあるんでね。
69閉鎖空間に消ゆ4:2007/03/25(日) 11:45:59 ID:SjI+iQfE
「あなたが信じられないのも無理はありません。ですが、僕たち『機関』もかつての事件
は把握しています。その結果朝倉さんが消滅されたこともね」
 そこで、古泉はテーブルの上に置かれたままのすでに湯気の立たなくなった緑色の液体
を流し込むと、さらに説明を続けた。
「では話を元に戻して続けましょうか。朝倉さんは例の一件により消滅されました。そこ
で急進派の直接的な干渉が一旦収まった。しかし、最近それが活発化してきたのです」

 古泉の演説の途中だが、ふと気配を感じなくなって朝比奈さんに視線を向けると、彼女
はうとうとしてテーブルに顔を伏していた。朝比奈さんの幼い寝顔はまさにまどろみの天
使の姿そのもので、そのご尊顔には抗うことができない魅力にあふれていた。また、彼女
のごく一部年不相応にふくよかな部位が、テーブルで押しつぶされてややひしゃげたよう
になっているのも非常に魅惑的だ。このまま家に持ち帰って、神棚にでも飾りたいぜ。

「他派の情報統合思念体にとって、あなたの命を狙うという、急進派のあまりに直接的す
ぎる干渉は、迷惑以外の何者でもありません。なにせ、事と次第によっては涼宮さんが情
報統合思念体を消滅せしめることさえあるのです。急進派の暴発は、彼らにとってまさに
百害あって一利なし、なのです」
 古泉はさらに続ける。
「そこで他派の情報統合思念体は苦渋の決断をしたわけです」
 なにをだ?
 古泉はことさら神妙な面持ちで俺を見つめる。

「急進派の排除を、です」

 その『彼ら』に生み出されたTFEIである長門や朝倉はまんじりともせず、古泉の話を聞
き続けていた。

「しかしながら、彼らはいわば知性を伴った概念だけの存在とも言える立場で、彼ら自身
に急進派を消し去る力はないのです。そこで、彼らは一計を案じました。彼らは朝倉さん
の残滓をかき集め、急進派の影響力を極力排除した上で再構成し、復活させたのです」
 なるほどな。だが、それが、お前の言うミッションとやらにどう関係があるんだ?
「ええ、それをお話ししたいところですが、僕たちも実はそれ以上の詳しい話は長門さん
から聞かされていませんし、教えていただけません……」
 長門はまるで無表情だが、「それは禁則事項」とでも言いたげな瞳に見えなくもない。

 古泉は実に残念そうなスマイル顔だ。それでもふっと息を吐いて続ける。
「今わかっていることは、この度のミッションでは、僕たち『機関』と朝倉さん、そして
長門さんをはじめとするTFEIの方々、それに涼宮さんが閉鎖空間を生み出すことが必要だ
と言うことです」
 
 古泉の長々とした、まるで親戚の法事にでも行ってお経を聞いているような気分にさせ
る演説がようやく終了した。
 俺は堪能した。というか、その長広舌に満腹した。これは、長門の無口と古泉の饒舌を
足して2で割ったらちょうどいいんじゃないかと思ってしまうね。それでは、二人の特
徴が消えてしまいそうな気がするが、それでもこの二人の存在自体が奇矯じみているから、
多少はSOS団がまともになっていいんじゃないか?

 しかし、古泉は看過できないことを言った。
70閉鎖空間に消ゆ5:2007/03/25(日) 11:47:14 ID:SjI+iQfE

「ところで、お前はハルヒに閉鎖空間を作り出すことが必要だと言ったな? ……本気
か? そんなことになれば、俺はともかく、お前達も苦労することになるんだぜ」
 すると、古泉は苦笑を浮かべ、決して本意ではないといった様子だ。
「ええ、それは我々『機関』も承知しています。ですが、これも必要条件とあれば致し方
ありません。なにせあなたの命がかかっているのですから」
 それを言われると、俺としては沈黙せざるを得ない。
「そうか、納得はできないが、理解はした。それで最後の質問だが、俺は何をすればいい
んだ? 何をさせるつもりだ?」

「今も申し上げましたように、あなたには涼宮さんに閉鎖空間を生み出していただくため、
彼女の感情をかき乱す行動を取っていただきたいのです。具体的に申し上げますと……」
 するとそれを遮るように、長門が突如顔を上げ言った。
「涼宮ハルヒがあと30秒ほどでここに来る」
 長門、まるで予知能力者だな。いっそこれからはハルヒが問題を起こそうとするたびに
それを予知してくれるとありがたい。もちろん逃げることは叶わないだろうが、心の準備
ぐらいならできそうだ。

 程なくして、イノシシか、それとも獲物を追いかけるライオンのように騒々しい音が階
段を響かせ、空気を伝ってこの部室にまで轟いている。
 そして、近づいてきた。
「みんなー、おっくれてごっめーん!」
 ハルヒはドアを開け放つと、まるでブルドーザーとTGVを掛け合わせたような勢いで突
入した。しかし勢いは中々止まらず、団長席まで到達して、ようやく弾丸特急ハルヒ号は
止まった。
 今度、学校内の標語の募集に応募してやろうか、『気をつけろ、ハルヒは急に止まれな
い』なんてな。意外と採用されるかもしれんぞ。なんせ、こいつは良くも悪くも有名人だ。

 ハルヒは団長席にどっかと腰を落ち着けると、部屋に見慣れない人物がいることに気づ
き、そして驚愕の声を上げる。
「な、なんで!? あなた、朝倉さんじゃない。カナダへ行ったんじゃなかったの? ど
うしてここにいるわけ?」
 ハルヒは、落ち着いて座っていた朝倉に対して、まるで旅順要塞から日本兵をなぎ倒す
ロシア軍の重機関銃のように、のべつまくなしに質問を浴びせかけた。

 そこで古泉は朝倉をフォローするように、ハルヒに説明を行った。
「朝倉さんはご両親の仕事が早く終わったということで、彼女だけ早めに帰国し、今日こ
の学校に再び転入されたのです。ああ、それと彼女がここにいらっしゃるのは我がSOS団
にご関心がおありだそうで」
 聞いてみればどうと言うことはない理由だったのか、ハルヒは「ふーん、そう」と言っ
て、さきほどまでのツチノコでも見つけたような好奇心もどこへやら、今はネットの
チェックに勤しんでいる。

71閉鎖空間に消ゆ6:2007/03/25(日) 11:47:51 ID:SjI+iQfE
 そういえば、朝比奈さんだが、彼女はさすがに今は目を覚まして、いそいそとハルヒに
お茶の給仕を行っていたが、その対価だとばかりにハルヒのセクハラ行為を受けている。
 お茶くみスキルレベル向上の報酬が、ハルヒのセクハラとあっては朝比奈さんも報わ
れないだろうがな。
 しばらくの間、ゆったりとした時間が流れていたのだが、それまで団長席の近くにイス
を置いて座っていた朝倉は、イスを持って立ち上がると、俺の席まで近づき、
「キョン君、ここいいかしら?」
 と言うが早いか、俺の意志を聞くまでもなく、朝倉は俺の席の隣に自分のイスをピタリ
と寄せて座ってしまった。

「な、何をしているのあなたは!? キョン、あんたもデレッとしない!!」
「し、してない!」
 しかし、どういうことだ朝倉?
「なあに、涼宮さん。あたしがキョン君と、くっついているのがそんなに気に入らない
の?」
 といって、さらに当てつけがましく俺にくっつき、ハルヒにわざとらしく視線を送る。
「な、なんですってー? あたしはね、ただ、団員の風紀が乱れることを、団長として見
過ごすことができないから、こんなことを言ってんの! だから、離れなさい!」

 もはや、何を言っているかわからない。ハルヒ自身もそうだろうがな。しかし、風紀の
ことをお前が言えた義理か? 学内でバニー姿を惜しげもなく披露するお前がな。
 しかし、朝倉の攻勢はそれで収まらず、さらに追い打ちを駆けるようにとんでもないこ
とを言い出した。
「いやよ。あたしはキョン君と付き合っているの。だから、こうしていたっておかしなこ
とはないでしょう?」
「な、なんですって!?」
「な、なんだってー!?」
 二人の言葉が同時に部屋の中を駆けめぐる。
 「ちょっとキョン、なんであんたまで驚いてんのよ?」
 これは……だな、その……。
 俺は必死に古泉にSOSのサインを送った。ううっ、朝比奈さんの視線が冷たいぜ。

 すると、古泉は朝倉さんの言うとおりにして下さいと言うかのように、しきりに目配せ
をする。
 おい、いったいどうしろって言うんだ?
「キョン、あんたが彼女と付き合ってるってのは本当なの? さあ、答えなさい。真正直
にね!」
 ここに至って、俺は古泉が言った承諾するという言葉の意図するところがようやくわ
かった。つまり、
 ―――俺が朝倉の恋人のふりをするということか。

 それでハルヒが閉鎖空間作り出すのかどうかはわからないが、不機嫌になるのは今のハ
ルヒの形相を見れば間違いはない。
 つうか、この状況で俺が朝倉と付き合っているなんて言おうものなら……考えたくない
な。殺気のこもった視線だけで射殺されそうだ。
 結論、答えはノーだ。とてもじゃないが言えない。古泉や朝倉には悪いが、これだけは
言えん。
「キョン、どうしたの? 早く答えなさい!」
72閉鎖空間に消ゆ7:2007/03/25(日) 11:49:22 ID:SjI+iQfE
 しかし、俺はあわててハルヒに返答しようとするのだが、なぜか体が動かない。口を動
かすことさえできない。誰の仕業だ? って、考えるまでもないか……。朝倉、恨むぞ。
「どうやら、答えられないようね。ということは本当なのかしら?」
 ハルヒは、地獄の餓鬼でさえ逃げてしまいそうな視線で俺を睨め付ける。ああ、俺の人
生はこれまでか?
 もちろん、俺の意識の中では、頭を必死に左右にシェイクしているのだが、実際には身
動き一つできていない。
 しまいにはハルヒは俺から視線を水平に滑らせ、朝倉を見ると、俺へと再び戻し、
「そう、わかったわ……キョン、あんた意外に手が早かったのね。朝倉が前に学校にいた
期間なんてほんの少しだったのに……まさか、有希やみくるちゃんにまで手を出していた
りはしないでしょうね?」

 ハルヒのやつ、妙な誤解を始めやがった……。
 だが、幸いにも……かろうじて首が動き、必死に否定。あまりに振りすぎて、首がもげ
て飛んでいきそうなほどだ。
 それでも、口は相変わらず動かすことができず、ハルヒの誤解を解くことさえできない。
結局俺はなすすべなく、押し黙るしかなく、ハルヒは絶対零度の吹雪でも巻き起こしそう
なほどの不機嫌さでしばらく団長席に座っていたが、急に立ち上がると、
「あたし、帰る!」
 と、ハルヒは大股で床に足型の穴が開きそうなほど力を込め、踏みしめながら立ち去っ
た。
 俺は去って行くハルヒの顔を見なかった。いや見られなかった。理由は俺にもわからな
い……。

 後に残された俺たち。静寂が部屋を包む。窓の外に視線を向けると、そろそろ部活終了
の時間が訪れる頃合いで、窓から西日が赤く差し込み、部屋の色合いを複雑に変化させて
いた。
「おい、ずいぶんとやっかいなことをしてくれたじゃないか」
 やっと声が出せた。体も動く。
「そう? でも、これでよかったじゃない。むしろ好都合よね」
 どこが好都合だ。
「僕の憂鬱度は増していますがね。あの様子では、涼宮さんが閉鎖空間を生み出すのも時
間の問題ですね。いやあ、さすがはといいましょうか、あなたの女性問題は涼宮さんに覿
面の効果をもたらしますね」
 大きなお世話だ。

「そ、それでキョン君、本当に朝倉さんと付き合っているんですか?」
 朝比奈さん、安心して下さい。これはお芝居です。まごう事なき演技です。
 少しホッとしたような様子の朝比奈さん。嫉妬というわけじゃないんだろうが、それで
も少しうれしいぜ。
「さて、話も終わったことだし、キョン君、帰りましょうか?」
 何をいきなり言い出すんだ? しかも、お前と一緒に……か?
「そうよ。 だって、あたしたち付き合っているんでしょ? だったら、一緒に帰るのは
当然じゃない」
73閉鎖空間に消ゆ8:2007/03/25(日) 11:50:06 ID:SjI+iQfE
「そうは言ってもだな。今からじゃないとだめか? どうせなら明日からにしないか?」
 このような状況になっても、しかし俺は煮え切らなかった。俺に何か心のわだかまりが
あるのか? いや、きっと朝倉に対する警戒心の所為だな。俺はそう決めつけた。根拠は
なかったが、俺はそう思おうとした。
 俺は返答に窮して長門に視線を向けると、長門も俺を見つめ、わずかに首肯したように
見えた。朝倉の言うとおりにしろと言うことか?
 長門がそういう意見なら、やむをえない。それにこの作戦には俺の命もかかっている。
なるようになれだ。
「もう、キョン君。ほら行きましょ」
 そう言うと、朝倉は躊躇していた俺の手を引いて部屋を出て行った。



 部活動の時間が終了し、玄関は部活帰りの生徒達でにぎわっていた。
 今は夕陽がかなり傾きを増し、日差しが運悪く視線に入ってしまう時間帯である。
 そんな中、俺たちは学校中の注目を集めていた。
 そりゃそうだろう。朝倉は転入生とはいえ、かなりの人間が彼女を記憶しており、しか
も朝倉はクラスのアイドル的な存在だったのだ。その朝倉が俺の隣にいて、しかも俺の腕
に自分の腕を絡めている姿を惜しげもなく披露しているのだ。注目を浴びないはずがない。

 おそらく我が校の男どもにとって、俺の立場は羨望の的なんだろうが、俺にはとてもそ
の連中に対して優越感を得ると言うことはない。それどころか、ただただ落ち着かない気
分と、原因不明の罪悪感でいっぱいだ。肘に押しつけられているふくよかな感触を味わう
余裕もなかった。
 それでも、学校を後にするとさすがに周囲の嫉妬のこもった視線は落ち着いてきたが、
隣に朝倉がいるという事実は変わりようがなく、俺としては何でこうなったのかと自問自
答するしかなかった。

 しばらく歩いていると、ふと朝倉が口を開いた。
「キョン君、ちょっと聞いていい?」
 なんだ?
「涼宮さんのこと、どう思っているの?」
 藪から棒に、なんつうことを言い出すんだ……。
「ハルヒのやつは……そうだな、俺を自分の下僕だとばかりに思う存分振り回してくれる
傍若無人な団長様だな。それ以上の感情は持ち合わせていねえよ」

「へえ、そうなの……それにしてはキョン君、涼宮さんが部室を出て行った後のあなたの
表情、とてもそれだけには思えなかったんだけど……。どうなのかしら?」
「……」
「答え難いことを聞いちゃったかしら……? でもいいわ、あたしの思ったとおりだった
から、これ以上いじめないでおいてあげるわね」
 そう言って、朝倉は少しいたずらっぽい表情で俺を見た。

 この後のことはあまり憶えていない。よほど今後のことで思い悩んでいたか、それとも
心ここにあらずと言った状態だったのだろう。朝倉にほとんど連行のような形で、家まで
送り届けられたと言うことだけは、かすかに記憶に残っている。

 まるでフルマラソンを全力疾走でゴールまで到達したような、疲労度マキシマムの激動
の1日はこうして過ぎていった。しかし、この日のことは序章に過ぎなかったのだ。
74閉鎖空間に消ゆ9:2007/03/25(日) 11:50:55 ID:SjI+iQfE
 翌朝が来た。いや、来てしまったと言うべきか……。
 自然の理として、夜が過ぎれば朝が来るものなのだが、これほど望まない朝というのも
中々経験しないものだ。俺はいつものように学校に登校していたが、足がまるで鉛入りの
靴でも履いてしまったかのように、遅々として進まず、あわや遅刻かと言うところだった。
 それでもなんとか教室にたどり着き、教室に滑り込むと、入った瞬間、谷口と国木田が
蜜に群がるクロオオアリのごとく近づいてきた。

 どうも今の俺という存在は、刺激に飢えた有象無象にとって格好の好餌だったらしく、
どうやらクラスの男女問わず、かなりの連中が俺の動向を気にしているらしい。
 無論、俺と朝倉が付き合っているということについてだろう。
「ふう……」
 俺は盛大に溜息を吐き出した。
 俺がカバンをおいて、早くも疲労感を憶えながら席に着くと、谷口と国木田は、俺の席
の周囲でイスを持ち寄り陣取った。ちなみにハルヒはいずこかへ放浪の旅に出ており、幸
いにも後ろの席にはいない。

「キョン、聞いたぜ。おまえ、朝倉涼子と付き合っているんだってな。昨日、仲良さそう
に腕組んで帰ったそうじゃないか?」
「それにしても、朝倉さんが日本に帰ってきたのも驚きだけど、その朝倉さんとキョンが
付き合っているなんて、僕、想像もできないよ」
 なんて情報の早い奴らだ……。まるで近所の家庭状況を余さず知り尽くしているゴシッ
プ好きのオバサンだな。

「でも、キョン、涼宮さんのことはどうするの?」
 何でハルヒがそこに出てくるんだ?
「そうだぜキョン、お前、涼宮を捨てて朝倉に乗り換えたって言うのか? まったく、罪
作りなやつだぜ……」
「だから、なんでそこにハルヒが出てくるんだ? 俺とハルヒは何でもないんだ。お前ら
勘違いするなよな」
 俺は言ってやったね。すると、谷口・国木田ともに沈黙したのはいいとして、突如とし
て胃の中のものを全て吐き出したくなるような悪寒がした。会心の一撃を食らったはぐれ
メタルのような、そんな感覚……なんだ……?

「あら奇遇ねえ、キョン。あたしもそう思ってたところよ」
 そこには引きつった笑みを浮かべ、俺を焼き殺さんばかりの闘気を、源泉掛け流しの温
泉のように湧き出しているハルヒがいた。
 なんてお約束な展開なんだ……。ラブコメマンガもびっくりだぜ。
 恐れおののく俺を差し置いて、国木田が物怖じせずハルヒに尋ねた。
「ねえ、涼宮さん。キョンと別れたっていうのは本当?」
 どよめく教室。おい、みんな聞き耳立ててたのか……?

 お前はなんと言うことを訊くんだ……。
「ちょっ……何言ってんのよ? 別れるどころか、付き合ってさえいないわよ! 国木田、
あんたエロキョンやアホの谷口と違って頭いいんだから、つまらない勘違いはしない方が
いいわ。だいたい、考えても見なさい。あたしがキョンをそういった対象としてみるわけ
ないでしょ?」
 そのセリフ、そっくりそのままお前に返してやりたい。
「へえ、恋愛対象としてみてないんだ?」
「そうよ!」
75閉鎖空間に消ゆ10:2007/03/25(日) 11:51:34 ID:SjI+iQfE
「じゃあ、キョンが朝倉さんと付き合うことはOKなのかな?」
「……ぐっ、そ、それはダメよ。だって、男女交際は団則で禁止されているんだから……。
あたしはどうだっていいんだけど、団則に違反しているんじゃしょうがないわよね」
 そんな団則あったか? どう考えても初耳だ。
「だって。キョン、どうするの?」
 どうするったって……そこで俺に振るなよ。ハルヒだけでなくクラス中の注目を集めて
いるこの状況で、何を言えというんだ?
 もっとも、作戦上朝倉と付き合っていないというわけにもいかず、かといって付き合っ
ているとわざわざ言う気にもなれず、どうコメントしたものかと呻吟し、俺の顔には汗が
滲んだ……。

 だが、幸いにも1ラウンド終了のゴング、もとい、HRを知らせるチャイムに救われた。
 しかし、まるで不思議な踊りを見せられたように俺の精神力がかなり減ってしまい、今
は自爆呪文しか唱えられそうにない。



 日は変わってその数日後、放課後を迎え、俺がいつものようにSOS団アジトであるとこ
ろの文芸部室に向かおうとしたところ、朝倉によって、拉致同然に教室から連れ去られた。
 なんでも、ハルヒに対してより大きな影響を与えるため俺に自主的休養、つまりサボ
タージュを強いたわけなのだ。しかもおまけに、ハルヒの目につくようにわざわざ部室棟
下の中庭を朝倉に手を捕まれて連行され、衆目にさらす羽目になった。
 ……おい、なんて罰ゲームだ? いったい俺が何をしたと言うんだ? これでは、ハル
ヒがイライラを募らせる前に俺の神経がすり減ってしまって、今や極楽浄土から釈迦が垂
らした蜘蛛の糸のように、すぐにでも切れてしまいそうだ。

 しかもお約束と言おうか、ハルヒのやつはバッチリ逃さず、俺たちの姿を網膜に焼き付
けて、さらに夢にまで出てきそうなほどの笑みをニヤリと浮かべた。
 明日が思いやられる。
 ……やれやれだ。



 こうして、俺は護送されてゆく犯人のように、朝倉に連れられて帰路についた。これは
もはや日常の行事になりつつあるようだ。
 しかし俺という男は、ハルヒや朝倉のような強引きわまりない女に振り回される運命に
あるんだろうか? そう自問せざるを得なかった。

 その道すがら、朝倉は新しいクラスの様子や、学校での出来事などをさも楽しそうに俺
に語り、同じTFEIでも長門の『静』に対して、朝倉は『動』なのであると俺にあらためて
感じさせた。
 ただ、俺は朝倉との日常にやや馴染んだ感があったが、仮初めとはいえこのまま付き合
うにはわずかのためらいがあった。いや、ハルヒがどうということではなく、こいつが消
滅前に見せていた優等生然とした姿が、世を忍ぶための演技と言っていいものであり、そ
れが今のこの新生朝倉にも当てはまるのではないかと懸念しているのだ。そしてまた、朝
倉が突然襲いかかるのではないか……と。
 どうやら、俺は今もあの事件を引きずっているらしい。

 そんなことを考えながらなおも下校路を歩いていたとき、突然朝倉に手を引かれて、通
常の道を外れた。そして、
「キョン君、ここで止まって。それと、動かないでね」
 とささやき、俺が立ち止まったその刹那、目の前を『何か』が通過した。そして、
76閉鎖空間に消ゆ11:2007/03/25(日) 11:52:18 ID:SjI+iQfE

「ドガッ! バキバキ!!」

 見ると、電柱が袈裟斬りに切断され、音を立てて倒れつつあった……が、次の瞬間、電
柱の残骸は消え去り、同時に空間が歪んだ。
 ほどなくして、今俺の目の前に映っている映像が住宅街ではなく、宇宙の果てさえ感じ
させるような無味無臭で、広大な空間が広がった。
 これは、紛れもなく俺が朝倉に殺されそうになったとき、その場を支配していた空間だ。
 俺の脳裏にはあのときの記憶がよみがえり、それとともに戦慄した。

 しかし、今攻撃を仕掛けてきたのは朝倉ではないことは明白で、その朝倉は攻撃を仕掛
けてきたと覚しき方向に目を向けている。
 すると何かに気づいたのか、朝倉は高速呪文を唱え、それと同時のタイミングで再び何
かが走った。しかし俺は避けることもできず、ただ腕を交差させ、顔を守ることしかでき
なかった。
 だが、『何か』は俺の直前で、まるで壁にガラスのコップを投げつけたかのように弾か
れ地面へ落下した。どうやら、朝倉が防御障壁かなんかで俺を守ってくれたらしい。

「そろそろ姿を見せてもいいんじゃない?」
 朝倉がその方向に向かって言葉を投げかけると、一瞬その空間に輪郭がぼやけた姿が映
り、徐々にはっきりと人の形をなしていった。
 姿を見せたのは、長門や朝倉と同じく一見どこにでもいそうな少女だ。ただ、瞳には焦
点が定まらないような虚ろさが漂っており、長門達とは違い、俺を殺す目的で生み出され
た、ただの戦闘人形という印象だ。
 ―――こいつが例の刺客か……?

 俺は姿を現した刺客に慄然とし、まるで救いを求めるように朝倉に視線を向けると、彼
女は俺を安心させるように微笑み、向きを変えて、刺客の少女を見据えて言った。
「時が違えば、あなたもあたしの仲間だったのかもしれないけど……ごめんね」
 朝倉は申し訳なさそうにそう言うと、手を挙げた。
 次の瞬間、俺を狙ったその少女の四方八方に無数のナイフが現れ、朝倉が手を振り下ろ
すと同時にナイフが彼女を襲った。

 そして少女は、悲鳴を上げることもなく消滅した。

 まもなく空間は消え去り、俺たちは元の住宅街で佇んでいた。
 あまりのことに力が抜け、俺はその場にヘナヘナとしゃがみ込みそうになったが、朝倉
の前であるのでかろうじて耐えきった。
「キョン君、無事よね? ……これが長門さんが言ってた例の刺客よ」
 ああ、わかっていたよ。しかし、これだけ急進派狙われているとなると、俺は今後天寿
を全うできるのか? どうも、そこに疑問を感じるよ。
77閉鎖空間に消ゆ12:2007/03/25(日) 11:53:20 ID:SjI+iQfE
 そんな俺の嘆きを感じ取ったのか、朝倉はことさら優しげな笑みを浮かべ、俺に言った。
「大丈夫よ。あたし達がキョン君を守るから」
 ありがとよ。しかし、俺は朝倉に対する認識を改めねばならないな。
 もちろん、これだけで朝倉を全面的に信頼するというわけにもいかないが、少なくとも
俺は今朝倉を信じてみようと思った。

 その夜古泉から電話があり、ハルヒのエネルギーが最大限にまで蓄積され、暴発が間近
いことを知った。そろそろ総仕上げの時期だとも、古泉はかなり疲れを感じさせる口調で
言った。
 やっと、終わりか……。
 わずか1週間ほどしか経過していないが、俺には1年にも感じられる精神修養の期間
だった。 
 ただ、朝倉との恋人ごっこがこれで終わりかと思うと、多少惜しい思ったことは否定
できない。誰にも言えないが……。



 翌日、俺は登校したが、教室でハルヒと顔を合わせてしまうと、昨日の件に関して鬼
刑事も真っ青の取り調べが行われるに違いないと考え、だとすればそれをさけるべく、
朝は時間ギリギリで教室に飛び込み、授業が終わるたびに教室を飛び出し、といったよ
うにここは三十六計が示すとおり逃げ通した。
 見てくれ。この涙ぐましい努力を……そこ、決してヘタレとは言わないように。
 しかし、俺はこのまま逃げ通してやろうと考えていたのだが、やはり問屋は卸してく
れず、HRの終了と同時に、まるでUFOキャッチャーのツメに掴まれる出来損ないのアニ
メキャラのぬいぐるみのようにハルヒに首根っこを引っ掴まれ、そのまま部室まで引き
ずられていった。

 まるで市へ売られていく子牛のように助けを求める俺の視線にも、谷口・国木田はも
ちろんのこと、クラスの連中も応えてくれることはなかった……。
 それにしても、今のこいつのパワーならば、足場さえあれば日本列島をもう少し南に
引っ張ることも出来るんじゃないだろうか……? それより、その有り余る莫大なエネ
ルギーを発電にでも使ってもらえりゃ、さぞかし環境対策になるだろうよ。
 しかし、俺を引きずっている間ハルヒは一言も発さず、それでもラスボスの大魔王で
も復活したような、恐怖感満点の空気だけはひしひしと伝わってきた。
 ……つうか、俺は今日、生き延びることが出来るのか? 獄門台は勘弁だぜ。

 そして、しばらくハルヒに引きずられ部室に到着した。
 これから執り行われる軍法会議か、はたまた公開処刑のことに思いをいたすと、別段
寒くもないのに、ヒマラヤの頂上にでも登ったかと思えるような震えが無性に起こり、
空飛ぶ雲でも呼んで、そのまま飛び去ってしまいたい気分だった。
「さあ、ついたわ」
 ハルヒは部室の中に俺を引きずり込むと、団長席の前で立たせて皆の前で尋問を始め
た。
 しかし、そこになぜか喜緑さんがおり、彼女は俺に向けて微笑を浮かべた。だが、疑
問に思った俺が長門に視線を移すと、長門はわずかに首肯したように見えた。
78閉鎖空間に消ゆ13:2007/03/25(日) 11:54:39 ID:SjI+iQfE
 喜緑さんがここにいるということは、例のミッションとやらが大詰めを迎えているとい
うのか……?
 俺はこの部屋に横溢する切迫した空気を受け、先ほどとはまるで質の違う緊張感を感じ
ていた。
 だが、そういった雰囲気をまるで感じ取ることのないハルヒが俺を糾弾すべく、おもむ
ろに口を開いた。どうやら、喜緑さんのことはまったく視界に入っちゃいない。
「キョン、あたしが言いたいことはわかっているわよね? 昨日は活動をサボった上に、
朝倉と腕まで組んで……なんていやらしい。このエロキョン! これは、間違いなく打ち
首獄門ものよ! でも、一応弁明の機会を与えてあげるから、言いたいことがあったら
言ってみなさい」


 言いたいこと……ね。そりゃあ、もちろんあるさ。だが、本当は朝倉とは付き合ってい
ない、とか、なぜお前がそんなに怒っているのか、などとは言うわけにはいかないし、
言ったところで、さらにハルヒの怒りをさらに買うことになるだろうな。
 だが、俺がまるで口を開かないことを見て取ると、さきほどまで笑みを浮かべていたハ
ルヒの顔が徐々に怒りを帯びたものに変化していった。女面から般若面にメタモルフォー
ゼするような、そんな感じだ。
「ちょっと、キョン。何か言いなさいよ。このままじゃ、あんた罰ゲームをやってもらう
ことになるわよ」
 
 ハルヒはいったい、俺に何を言わせたいのだろうか……? しかし、どうせ弁明しよう
がしまいが、俺にその罰ゲームとやらをさせるつもりだろう? それなら、つまらないこ
とを言うよりは、沈黙を保つほうが得策だ。
 しかしハルヒはなおも執拗に返答を迫る。
 おい、長門、俺はいったいどうしたらいいんだ? そろそろお前の出番だろう。
 しかし、長門は本に目を落としたまま、こちらを見ようともしない。

「どうして何も言わないの? ひょっとして、あたし達に言えないようなことを朝倉と
してたんじゃないでしょうね?」
 おいおい、なんだその飛躍し過ぎて成層圏へ達してしまったような誤解は……?
 そもそもお前は俺の弁明というか、言い訳を聞きたかったんじゃないのか?
 それなのに、お前の論点は地震間際の太平洋プレートほどにずれまくっているぞ。

「涼宮さん、そろそろキョン君へのヤキモチを焼くのはやめてくれない?」
 そんな火に油を注ぐ発言とともにこの部室に入ってきたのは、朝倉だった。
 これで、俺の知っているTFEIがそろい踏みしたわけか……。
「なっ、誰がヤキモチよ!? あんた、勝手なことを言わないでよね! あたしがエロキ
ョンなんかに焼くわけないでしょ? いい? そもそも、恋愛感情なんてのはね……」
 すると、ハルヒのいつもの口上を途中で遮るように朝倉が口を挟んだ。
「涼宮さん、そんな言い訳しようとしても、今のあなたの剣幕では説得力ないわよ」

 一触即発のこの状況に、俺はどうしていいかわからず、救いを求めるように周りを見て
みたが、朝比奈さんはすっかりおびえきってしまっているし、長門はまるで態度を崩さず、
古泉や喜緑さんと言うと、内心はともかく表面上はほほえみを絶やさず二人のやりとりを
見つめている。だが、誰も助けてくれそうにない。
「言い訳じゃないわよ! あたしがアホでロリなエロキョンに恋愛感情を抱くわけがない
でしょ!」
 今どさくさに紛れて、不名誉な称号を色々と付け加えてくれやがったな……。
79閉鎖空間に消ゆ14:2007/03/25(日) 11:55:12 ID:SjI+iQfE
「それなら涼宮さん、あたしが彼に何をしても怒らないのね?
「何をしてもって、何をするつもりよ?」
 すると、朝倉は俺に視線を滑らせ、そして、
「キョン君、ごめんね」
 朝倉はそう言うと、俺の肩を押さえ、顔を近づけてきた……。
 俺は声を出すことも、それを拒絶することもできずに戸惑っていると、朝倉のつややか
な唇はさらに近づいてきた。
 そして、俺の唇に柔らかな感触が広がった……。
「…………!!」
 何が起こっているんだ? 俺の頭は混乱の極みにあった。
 そして、ようやく理解した。
 ―――俺は朝倉にキスされているのか?

「なっ……!!」
「ふぁ……!」
 ハルヒや朝比奈さん達が息を呑み、驚愕の表情を見せる。あまりのおどろきのためか、
まだ、何も考えられないようだ。
「あ、あんたたち……な、なにしてんの!!」
 しばらくして我に返ったハルヒが、臨界を迎えたウラン235に匹敵する核分裂さなが
らの怒濤のような怒りを俺たちにぶつけてきた。

 いかん、こいつ……とうとうキレちまったか? どうやら、朝倉が核のボタンを押して
しまったようだ。
 誰か、第三師団に出動要請してくれ。それからキティホークもだ。それとも、ICBMが必
要か? 
 ……いや、すまん。俺が一番動揺していたようだ……忘れてくれ。
 ハルヒの尋常でない様子を見た朝倉は、俺から体を離し、つかつかとハルヒに近づいた。
すると朝倉は、何を思ったかハルヒに顔を近づけた……。
「むっ……!?」

 ハルヒは呻き声を上げ、しかし今まで怒っていたことさえも忘れるほどに、自分の置か
れている状況が理解できない様子だ。まあ、無理もないが……。
 俺は目を疑ったね。なんつーか、まるでロケットが太陽系の外へ離脱したような、未知
の領域に踏み込んでしまった印象だ。
 つまり……だな、朝倉の唇がハルヒの唇に合わさって、いわゆる女同士のキスをしてい
るのだ。
 朝比奈さんは「ほぇ……」と声にならない声を上げて、真っ赤になってその行為を見つ
めている。
 俺たちはどうしていいかわからない、そういった空気のなかで、蝋で塗り固められたよ
うにしてただただそれを眺めていた。

 しかし、ほどなく俺は我に返り、何やら妙な空気を感じ、ふと後ろを振り返ってぎょっ
とした。というのも、長門と喜緑さんが高速呪文を唱えているのだ。それに朝倉の表情が
なにやら苦しそうだ 
 いったい、何が起こっているんだ?
「始まったようですね」
 そう言って古泉がこちらに近づき、いつになく真剣そうな表情を浮かべて視線を俺に向
けた。
「どういうことだ。お前は知っているのか?」
「いえ、あくまでも僕の予想だったのですが、どうやらビンゴのようです」
80閉鎖空間に消ゆ15:2007/03/25(日) 11:56:21 ID:SjI+iQfE
 そして古泉は突拍子もないことを言い出した。
「今回のミッションの要点は、前にも言ったように、涼宮さんの力を利用することにあり
ます。おそらく今、涼宮さんの力を借りることによって、朝倉さんとのつながりをたどっ
て情報統合思念体急進派を引きずり出しているのでしょう。そして……ここからは多少想
像が飛躍してしまいますが、引きずり出した急進派を、涼宮さんが生み出す神人と一体化
させるのだと思います。そこで、生み出された神人を僕たち『機関』の超能力者が攻撃し、
思念体もろとも神人を葬り去れば、めでたく終了というわけです」
 それが、朝倉が復活した理由であり、先ほどから朝倉が行っている一連の行為だという
ことか?

 しかし、あきれたね。もしそれが本当なら、統合思念体というものはなんという壮大と
言うか、それとも回りくどいことを考えるんだ? その回りくどさは、まるで、隣の家に
行くのに反対方向から地球を一周して行くようなもんだ。
 そんなことを考えるぐらいなら、俺たちを巻き込まずに彼らだけでケリをつけて欲しい
もんだ。
 すると、古泉は何かを感じ取ったように動きを止め、こう言った。
「……閉鎖空間の発生を感知しました……どうやら成功したようです」

 古泉は成功だと言っているが、これからさらにやっかいなことになるんだから、どちら
とも言えないな。
 俺はハルヒたちの様子を窺うように、視線をハルヒたちがいる方向へと移してみると、
ハルヒは全ての力を使い果たしたのか気を失っている。だが、どうやら規則正しく胸が上
下しているようで、無事らしい。

「では、我々も参りましょうか」
 古泉は、まるでひげを蓄えた副将軍とやらが、お供の者に声を掛けるように言った。
 そして、ハルヒを仮設ベッドで寝かせた後、俺たちは古泉に先導され、閉鎖空間が発生
した場所へと向かった。
 しかし、俺と朝比奈さんが行く必要があるのか? できれば俺は遠慮したいところだ。
 それとも、狙われた当人としては、事の顛末を見届けるべきなのか?
 ともあれ、俺たちは現地に到着した。

 そこは俺たちがよく知っている場所、北口駅前だ。
 それにしても、閉鎖空間の発生場所は一定しないな。ある時は大都市であったり、また
あるときは学校と、まさに気まぐれなハルヒの性格から出たチョイスだ。どうせなら、北
の某国にでも発生させてくれないか? それならむしろ世界平和に貢献するってもんだぜ。

 先導していた古泉は駅前の公園で立ち止まり、すぐさま長門達に視線を向けて目配せし
た。すると、長門と喜緑さんの口が素早く動き、一瞬目の前が真っ暗になった。
 次の瞬間、あの仄暗く生命の営みを感じさせない無機質そのもののような空間の中に俺
たちはいた。
 そこには俺にとって3度目になるのか、『神人』と呼ばれる青白い巨人が存在し、彼が
無邪気に腕を振り回すたび、人という知的生命体の作り出した構造物がいともたやすく残
骸と化した。
81閉鎖空間に消ゆ16:2007/03/25(日) 11:56:52 ID:SjI+iQfE
 そのすさまじいばかりの破壊劇は、この国を代表する怪獣映画を見ているようなもので、
まるで現実感のない映像だった。まるで、俺がこの場にいることさえ映画のようだ。
 ただ、神人の動きには知性は感じられず、情報統合思念体は一体化しているというより
も、神人に取り込まれ、その本来の能力を神人という枠の中に閉じこめられているといっ
た印象だ。
 だが、俺がぼんやりと神人の遊戯を見つめている間に、光り輝く球体と化した古泉をは
じめとする『機関』の能力者達が飛び立ち、神人に対して攻撃を加えていた。
 しかしながら、神人は彼らの攻撃に対してまるでダメージを受けていないようで、そ
の破壊活動は全く衰えない。

 ……まずい。これはどうやら、情報統合思念体主流派達の計算違いだ。以前俺が目撃し
た時は、古泉達があっさりと退治を完了していたのだが、今回はまるで歯が立たない。
 もしや神人の中に、統合情報思念体が存在しているせいで、はるかに強力になっている
のか? そうだとすれば打つ手がないじゃないか……。
 しばらくすると、光と化していた古泉が力なく戻ってきた。人の姿に戻ると、地面に手
をついて荒く息をしている。かなり疲労が激しいようで、しばらくは戦闘できそうにない。

「大丈夫か、古泉!」
「はい……申し訳ありません。少し、いえ……かなり予想外でしたね。我々の攻撃が全く
通じない、こんなことは初めてです。おそらく、情報統合思念体があの中に存在している
ことせいで、神人が強化されてしまったのでしょう……重ね重ね申し訳ありませんが、
我々『機関』の能力者は、しばらくは戦えそうにありません」
 ああ、しばらく休んでくれ。
 だが、誰が相手をする? それともここは長門に攻撃してもらうしかないか?
「それは不可能」
 なぜだ?

「われわれは、統合情報思念体を攻撃するようにできていない」
 そうなのか? だが、もし、あえてその意志を示したとするとどうなる?
「わからない……」
 長門は珍しく歯切れが悪く、困惑したような表情を一瞬浮かべた。
「あたしもできないの。ごめんなさい、キョン君」
 朝倉はそう言い、見ると喜緑さんまでもが首を横に振っている。
 ただ、朝倉の場合は元の創造主が相手だからさもありなんだが、長門でも無理とはな。
 これは、どうやら長門やその他のTFEIにもロボット三原則に相当するものがあるらしい。
だから攻撃することができないということか。

 だったら、どうすればいいんだ……? このままでは、急進派を葬るどころか、まさし
く世界の崩壊だ。
 ……まてよ?
 俺はあることに思いが至り、長門の元へと駆け寄りそれを提案した。
「……やってみる」
 そう言うと、長門は朝比奈さんの元へ歩み寄り、おびえている彼女を無視して、白魚の
ような二の腕に噛み付いた。
「ひぁっ!」
 朝比奈さんは小さな悲鳴を上げ、目を白黒させている。
82閉鎖空間に消ゆ17:2007/03/25(日) 11:57:26 ID:SjI+iQfE
 もうおわかりだろう。かつて映画の撮影時にハルヒによって発現した朝比奈さんの能力、
『ミクルビーム』だ。しかしそれは、長門によって無効化されていたのだが、打つべき手
がなく一か八かの策として、再び朝比奈さんにその能力が復活した。長門が封印を解除し
たのだ。
「いいですか、朝比奈さんよく聞いて下さい。あなたに今、『ミクルビーム』を撃つ力が
復活しました。それを使ってあの神人を攻撃して下さい」
 しかし、朝比奈さんはかぶりを振り、異を唱えた。
「だ、だめです! キョン君、未来の人間であるあたしが、過去で歴史を大きく変えてし
まいかねない事に関わることはできないの」

「しかし、このままではあなたのいる過去が、そして、あなたが本来いるはずの未来も消
滅しかねないんです。ですから朝比奈さん、お願いします。もう、あなたしか頼る人はい
ないんです」
「で、でもぉ……」
 そんな時であった。
「ドドッ、ゴァッ……!!」
俺が朝比奈さんを説得している間も神人は破壊行為を止めず、破片の一部が俺たちの頭
上を襲った。幸い、朝倉と長門の防御障壁によってかろうじて難を逃れた俺たちだが、も
はや一刻の猶予もなさそうだ。
「大丈夫? キョン君」

「ああ、すまん……ありがとう朝倉、助かったよ」
 朝倉に謝意を伝えると、朝倉は俺の無事な姿に安心したようににっこり微笑んだ。
 すかさず俺は再び朝比奈さんを見据え、説得を続けた。
 しかし、朝比奈さんは依然として首を縦に振らない。意外に頑固だな……だが、やむを
えん、ここは緊急事態だ。奥の手を使わせてもらう。
「しょうがないですね……朝比奈さん、もし協力してもらえないなら、ハルヒにあなたの
正体をバラします」

 それを聞くと、朝比奈さんはあからさまに動揺し、頬を紅潮させながら上目遣いで恨め
しそうに俺を睨んだ。
 朝比奈さんのこんな表情も、たまにはいいな。
「うぅ、キョン君、卑怯ですぅ……」
 すみません、朝比奈さん。これも輝ける美しい未来のためです。
 幸いにも、どうやら俺の真摯な説得(脅迫とも言う)によって、朝比奈さんは快諾
(?)してくれたようだ。

 時間がもったいないので、俺はすぐさま朝比奈さんの隣りに立ち、関羽に策を授ける孔
明のごとく攻撃目標を指し示す。
「朝比奈さん、あれです。あの青白い巨体を攻撃して下さい!」
 俺の要請を受け、朝比奈さんはあたふたしながらも、まるで教師に指名された小学生の
ように背筋を伸ばし、だが緊張感の感じられないポーズで攻撃態勢を取った。
「はいぃ、みっ、ミクルビーム!!」
 朝比奈さんは、左手をまるでフレミングの法則を表す指の形のようにして目の前にかざ
し、言葉を放った。
 すると、朝比奈さんの瞳が一瞬ピカリと光り、光の軌跡を追う間もなく、次の瞬間には
神人の肩に小さな丸い穴が空き、その向こうが見通せた。
83閉鎖空間に消ゆ18:2007/03/25(日) 11:58:07 ID:SjI+iQfE
 朝比奈さんの攻撃を受け、神人はやや動揺したようにその巨体が揺らめいている。
 だが、朝比奈さんの攻撃は確実に効いているものの、相手があの巨体では一撃で葬るこ
ともできず、このままではただ朝比奈さんをいたずらに消耗させるだけになってしまいそ
うだ。
 今のところ朝比奈さんは、まだ疲れを見せてはいないが、かといって油断もできない。
 すると、長門が近づき、俺にこう言った。
「先刻、朝比奈みくるの中に潜む涼宮ハルヒの因子の効果を増幅させる処置を講じてお
いた。そろそろその効果が発揮される。そうなれば、彼女の攻撃力は数倍に跳ね上がる」
 長門は液体ヘリウムの冷たさがら、液体窒素程度には暖まったような瞳で俺を見つめて
いた。そして、さらに続ける。

「ただし、その分エネルギーをより多く消耗する」
「何発も撃てないと言うことか……それで、必殺技は『ミクルビーム』のままでいいの
か?」
「どれでもいい。選択権はあなたに委ねる」
 と言って、いくつかの技を羅列する長門。その中には、鳥形に変形して敵に突撃する技
や、胸からミサイルが出る技など、妙にマニアックなものもあり、俺にはこの無表情の宇
宙人の嗜好がよくわからなくなった。だが、まあいい。
「わかった、俺が決めてやる」
 俺は躊躇することなく朝比奈さんを手招きすると、彼女は飼い主にまとわりつく子犬の
ように、小走りでやってきた。 そして俺は、朝比奈さんに彼女が解き放つべき言葉とそ
の動きを伝えた。
 朝比奈さんはやや戸惑いながらも俺の伝えた言葉を復唱し、改めて神人に向き直った。

 だが、それに気づいた神人は狙いを俺たちに絞り、辺りの建物を破壊することでその破
片を俺たちにぶつけようとしていた。
 しかし、長門と朝倉、そして喜緑さんのフォローにより、その攻撃は頭上で全て弾かれ
一片たりとも落ちてこない。それでも急がねばならない。

 俺はそこらに転がっていた棒っきれを拾い上げ、それを手渡すと、朝比奈さんは棒を振
り上げ、天井を突くようにして一度止めた。すぐさま必殺技を発動させるトリガーである
技の名を叫びながら、中華包丁で叩っ切るような仕草で振り下ろした。

「い、行きますよ、神人さん……ミクル・ダイナミック!」

 朝比奈さんの一閃とともに、巨大な光の刃が神人を目指して上昇し、それは神人の左腕
を音も立てずに切断すると、彼方へと飛び去った。

 残念ながら、神人に狙われた朝比奈さんが動揺したため狙いを外してしまい、惜しくも
左腕一本のみを奪ったに過ぎなかったが、俺は確信した。
 ―――勝てる。
「朝比奈さん、どうやら勝てそうです! この調子でお願いします」
「は……はひぃ、が、がんばりましゅ」
 しかし、朝比奈さんは一発しか必殺技を放っていないにもかかわらず、すでに呂律が回
らない状態で、表情には疲労の色が濃く消耗が激しい。今も肩で息をしている……おそ
らく、必殺技を撃つことが出来たとしてあと一度か……?
84閉鎖空間に消ゆ19:2007/03/25(日) 11:58:54 ID:SjI+iQfE
 これは、長門が言った通り、朝比奈さんに寄生するハルヒ因子の力を増幅させた必殺技
では、朝比奈さんにとっては負担が大きすぎるようだ。しかし、ということは神人を倒す
条件がまるで変わってしまうことになる。
 つまり、あと一発で仕留めなけらばならないのだ。もちろん、長門や朝倉のような常人
を遙かに超越した能力を持つ宇宙人なら問題はないが、なにせ運動能力に関してはまるで
期待できない朝比奈さんなのだ。しかも相手は動く攻撃目標の神人ときたもんだ。

 どうする? どうやれば神人を足止めできるんだ?
 だが、悠長に策を弄している暇はなかった。神人は俺たちを直接踏みつぶすため、なり
ふり構わず辺りを破壊し尽くしながらやって来た。
 しかも、左腕を失った影響はごく軽微で、その動きに変化はまるでなく、障害物などま
るであってないがごとくであり、かえって俺たちの行く手を遮り、逃走路に難渋しそう
だった。
「キョ、キョン君、どうしましょう?」
「ひとまず逃げましょう、朝比奈さん」

 俺は、やもすればしゃがみ込んでおびえそうになる朝比奈さんの手を引いて、駆けだし
た。もちろん、今も長門達のフォローは期待できるが、統合思念体と同化した神人の攻撃
力は尋常ではなく、朝倉、長門、喜緑さんの3人をもってしても、神人自身の直接攻撃に
どこまで持ちこたえられるかは未知数だ。
 また、さきほど体力を幾分か回復した古泉達が再び飛び立ち、神人に対して必死に攻
撃を行っているが、やはり効果はない。

 そういった古泉達の攻撃や長門達の足止めなど、今の神人にとってはうるさいハエが飛
んでいる程度にしか認識しておらず、それらを全て黙殺し、ひたすら朝比奈さんだけを
追い求めている。
 だが、いよいよ逃げ切る場所がなくなり、閉鎖空間の見えない壁に阻まれてしまった。
 おまけに朝比奈さんが瓦礫に躓いて転んでしまい、万事休すだ。
「いたぃ、ですぅ」
 俺は何とか朝比奈さんを抱き起こし、とりあえず抱きかかえようとしたが、そのとき神
人が俺たちを踏みつぶさんと足を高く上げていた。

 ―――やられる!!
 そう思った瞬間、すぐさま3人の宇宙人が俺の前に立ちはだかり、高速呪文の詠唱と供
に障壁が張られ、神人の足をはじき返した。
 しかし、神人はそんなことでめげることもなく、2度3度と執拗に踏みつけてくる。
 神人のこの連続攻撃には、さすがの3人も持ちこたえるのが精一杯だ。
 しかも彼女達には、統合思念体と同化した神人を攻撃することが出来ない。
 このままでは、神人が長門達の障壁を打ち破ることを待つだけか……?

 そんな時だった。突如朝倉が前方から外れると、神人の側面に回り込んだ。そして俺に
笑みを向けると、
「残念。でも、こうするしかないわね」
 すると、朝倉は高速呪文を詠唱し、神人を跳ね飛ばした。
 ……な、なにを!? 
 さらに朝倉は体をふらつかせながら呪文を唱え、以前長門に危害を加えたときに使用し
た無数の杭を出現させ、それで神人を貫き体の動きを停止させた。
85閉鎖空間に消ゆ20:2007/03/25(日) 11:59:26 ID:SjI+iQfE
「キョン君! 今よ、撃って!」
「お前……今にも倒れそうじゃないか!」
「いいから、早く!」
 わかった。
「朝比奈さん、お願いします」
 俺の指示に従って、朝比奈さんが再び棒を神人に狙いを定めて振り上げ、そして振り下
ろした。

「ミクル・ダイナミック!!」

 解き放たれたその言霊とともに、巨大な光の刃が飛び、今度は寸分違わぬ正確さで神人
の体を真っ二つに分かつ。
 ……そして、神人は消滅した。
 さらには、神人と共に情報統合思念体の急進派も滅びたのだ。
 ようやく……終わった。
 古泉達は地上に降り立ち、すでに人の形に戻って安堵の表情を浮かべている。朝比奈さ
んはヘナヘナと地面に座り込み、疲れた表情をしているが、しかしホッとしたような笑み
を浮かべてもいた。

 長門は無表情、喜緑さんは穏やかな笑みを崩さず、しかし俺にはわかる。いや、俺にし
かわからないだろうが、この2人は朝倉が神人=情報統合思念体に攻撃を加えたことで、
少なからず動揺している。それを数ミリたりとも表に出さないでいられるのはさすがと言
うべきか……?
 そして、朝倉に目を向ける。すると彼女は満足そうに微笑み、
「よかった」 
 崩れ落ちるように倒れ込んだ。
 俺はそれを見て、あわてて抱き留める。だが、朝倉の体は何とも軽々しく、まるで重み
を感じなかった。

 そして、体の輪郭がすでにぼけている……。
「朝倉! どうした。おい、しっかりしろ!」
「キョン君、いいの。あたしたちが情報統合思念体に刃向かえばこうなることはわかって
いたわ」
 だったら、どうして……?
「もともと、この作戦が終わればあたしは消えることになっていたの。それにあの場面、
あたしがああするしかなかったでしょ? だから後悔はしていないわ」

 すでに足下からその存在が消え始めていながらも、朝倉は話を続けた。
「あたしね、最初、長門さんの変化を理解できなかった。それは、あたしたちのあるべき
姿を逸脱していたから。だけど……あなたと短い間だけど過ごせて、今なら長門さんの感
情が理解できる様な気がするわ」
「おい、もうしゃべるな。お前、もう消えそうじゃないか」

「今更だけど、ごめんね」
 何をあやまっている……?
「あなたを殺そうとしたこと」
 それはもういい。恨んじゃいない。

「そう、よかった。これでもう、思い残すことはないわ。キョン君、あなたと過ごせて楽
しかった……ありがとう」
 朝倉は微笑みながらそう言った。
86閉鎖空間に消ゆ21:2007/03/25(日) 11:59:57 ID:SjI+iQfE

「まて、消えるな! 朝倉っ!!」

 だが、俺の叫びもむなしく、朝倉はその存在の全てを消し去った。
 ほどなく閉鎖空間が崩れ去り、元の北口駅前に俺たちは佇んでいた。

 ―――ようやく、終わった。

 だが、俺にはやりきれない思いでいっぱいだった……。



 あの後、長門と喜緑さんは関係者全員の記憶を操作したそうだ。特に『機関』に関わる
連中には念入りに……。
 そりゃそうだろう。昨日行われたことはすなわち、情報統合思念体を消し去る唯一の方
法なのだから。彼らの記憶を消しておかねば思念体にとって命取りになりかねない。
 ただ、俺たちSOS団の面々には長門の取り計らいで、記憶は温存された。
 もちろんハルヒは別だ。あいつには朝倉に関する記憶は余さず消去された。




 明けて翌日の放課後、俺はいち早く部室に到着すると、そこにはすでに古泉が将棋を準
備して待ちかまえていた。

「あまり機嫌が良さそうではありませんね。まるで失恋でもしたような表情です」
「大きなお世話だ。ところでな、古泉、俺には少しわからないことがあるんだが、いい
か?」
「なんでしょう? 僕が答えられることなら」
「ああ、たいしたことじゃないんだ。どうして、思念体はあの時、朝倉を俺の恋人にしよ
うとしたのか、ってな。こう言っては何だが、別に長門や朝比奈さんでもよかったんじゃ
ないか?」

 俺がそう尋ねると、古泉はくくっと笑った。
「いえ、すみません。そうですね、あなたはそういう方だ」
 なんだ、わけのわからんことを。
「では、お答えしましょう。なに、簡単なことです。もしあなたが長門さんや朝比奈さん
とお付き合いなさったとすると、涼宮さんはどうするでしょうか?」
 さあね、朝倉の時のように騒ぐんじゃないのか?
「いえ、違うと思います。涼宮さんは、あのお二方が相手だった場合は、おそらく身を引
いていたでしょう」
「……」

「……まさか情報統合思念体が、有機生命体の恋愛事情にまで通暁しているとは思いませ
んでしたが、賢明な判断でした」
 そういって、ゲームを続ける古泉。
 それにつられて俺も駒を打ち返す。
「ガチャリ」
 穏やかなドアの開閉音をたてて入ってきたのは、長門と朝比奈さんという珍しい組み合
わせだ。
87閉鎖空間に消ゆ22:2007/03/25(日) 12:00:28 ID:SjI+iQfE
 朝比奈さんは部屋に入ると、カバンをおいてすぐさまお茶の準備に取りかかった。
 長門はいつものように座席に腰を下ろし、本を開く。
「長門、昨日はご苦労だったな」
「いい。あなたには迷惑を掛けた。それに失敗した」
「失敗? 何のことだ」
「みんなー、遅れてごっめーん!」
 俺が長門に聞き返したその時、そのうちドアの修理代金を学校から請求されるじゃない
かと思わせる勢いでハルヒが飛び込んできた。

 ハルヒはカバンを団長席におくと、朝比奈さんからのお茶をほんの一瞬で飲み干し、や
おらニタリとした笑みを浮かべた。すると次の瞬間には席を飛び越し、俺のネクタイをつ
かんでいた。
「ハルヒ、お前いったい何をするんだ!?」
「なにをですって? ふん、しらじらしい! キョン。あんた、胸に手を当てて考えてみ
なさい……どう、思い出したかしら?」

「いや、いっこうにわからん」
「キョン、しらばっくれるのもいい加減にしなさいよ! あんた、昨日女とキスをしてい
たでしょう? どういうことなの? あの女はあんたとどういう関係か、さあ、吐きなさ
い!」
 あの女というのは朝倉のことか……?
 おい、長門。お前、ハルヒから朝倉の記憶を消してくれたんじゃなかったのか?

「キョン、ほらさっさと言いなさい! でなきゃ、とっておきの罰ゲームをさせるわよ」
 やめてくれハルヒ。お前はここで殺人事件でも起こす気か? いかん、首が絞まって意
識が朦朧としてきた……。



「……失敗した」
「それは、朝倉さんに関しての記憶ですか?」
「そうではない。涼宮ハルヒから、朝倉涼子の記憶を全て消すことには成功した。ただし、
彼がキスをされた記憶だけがどうしても消せなかった……とても興味深い」
「なるほど、あの場面だけは涼宮さんの記憶から消すことが、うしても出来なかったので
すか……。なるほど、涼宮さんの彼への想いは、それほどまでに強いのですね」

「こら古泉、何をそこでぶつぶつ言っているんだ。いいから早く助けろ!」

 こうしてSOS団には日常が戻ってきた。
 ……俺の生命の危機を除いては。

おしまい
88名無しさん@ピンキー:2007/03/25(日) 12:11:11 ID:SjI+iQfE
以上です。
89名無しさん@ピンキー:2007/03/25(日) 12:26:23 ID:UJidIoeO
>>88
久々に読みごたえある作品で面白かったです。GJでした。
「ミクル・ダイナミック」は・・・やりそうですねwww
90名無しさん@ピンキー:2007/03/25(日) 12:59:03 ID:LJ1KgDY9
出来れば「ミクル・トマホーク」とか「ミクル・サンシャイン」とか「真・ミクルスパーク」とかの方がry
91名無しさん@ピンキー:2007/03/25(日) 13:38:10 ID:3zU7THuG
朝倉が正義役という設定に惚れた。違和感が無いな
92名無しさん@ピンキー:2007/03/25(日) 13:41:05 ID:NuAC0tWn
俺はミクルバスt「ゲシッ!」ぁ痛っ!
もう言わないから蹴らないで下さい(シクシク)
93名無しさん@ピンキー:2007/03/25(日) 14:23:57 ID:w48+mHWi
み、ミクルダイナミック…!
脳内で渡辺宙明の戦闘シーン音楽が流れたのは、うん気のせいだろうw
鳥型になって突撃というのは、やっぱ超者じゃなくて勇者の方ですか。

朝倉は、帰ってきた日常風景の中には残れないんだね。切ないなぁ。
9440-355:2007/03/25(日) 14:38:13 ID:8MJLWtU7
投下します。
エロなし。10レス予定。

ハッピーエンドではありません。苦手な方は飛ばしてください。
95電気少女は幸せな未来を夢見て消える:2007/03/25(日) 14:39:35 ID:8MJLWtU7
Prologue.

 気が早いやつならフライングで春眠に落ちそうなくらいに暖かくなってきた三月初旬の夜の話になる。
 明日は麗しのハルヒ大閣下様(こう言っておけば満足だろうか?)のために早起きせねばならんというのに、ベッドの中で昔の思い出という名前の精神侵略型民族が俺の脳細胞に侵攻を開始してきやがった。
 何とも形容しがたいモヤモヤ感のせいでどうにも眠れなくなった俺は、真夏の夜の再現VTRのようにひたすら寝返りを繰り返していた。
 何も考えなければ良いのだろうが、たかが二・三時間足掻いたところで、無心などという悟りの境地に達せるはずもない。
 結局、凡人の俺にはこの憎きノスタルジアンどもの大軍勢を止める手立ては無く、それはつまり、今夜はしばらくこんな状態が続く、という事であるのだ。以上、証明終了、………空しい。

(………まあ、いいか)
 俺が日曜の疲れきった親父のごとく惰眠を貪ろうとしたとしても、どうせ明日起きる時間になったら妹が、キョンくん起きてー、とか言って俺に『兄を起こす』という免罪符つきの攻撃を、手加減無しで加えてくるだろうしな。
 来年は最高学年だというのにそんな子供っぽい行動をとる妹に兄として、また年長者として、若干の不安を覚えながらも、灰色の脳細胞に諦めという白旗と共にセピア色の旗がたてられていく感覚を味わう事にした。


 流れに任せてしばらくそうしていると、灰色とセピア色がいい具合に混ざり合い、ドドメ色の眠気となって俺の艦隊を再襲撃してきた。
 別に変な忠誠心を出して討ち死にする必要性もないだろう。そのまま眠気に全面降伏する。
 ………眠りに落ちる直前、頭の片隅に誰だか分からない誰かさんが浮かんできた。
 曇りガラスの向こう側にいる人のように、ぼんやりとしか分からないその誰かさんに、これまた何となく浮かんできた、自分でも意味がよく分からない言葉を投げかけた。


 ―――なあ、あんたは幸せ、だったかい?


電気少女は幸せな未来を夢見て消える


96電気少女は幸せな未来を夢見て消える:2007/03/25(日) 14:40:46 ID:8MJLWtU7
1.

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 カボチャはとっても『しあわせ』でした。
    ―――たしかにカボチャは『しあわせ』でした。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 何の問いに対してだかは分からないが、答えが返されたような気がして目を開ける。目の前には将棋盤、それといつものにやけ顔に30%ほど思案顔を混ぜた古泉がいる。………どうやら俺はこいつの長考中に少し眠ってしまっていたらしい。

 季節は春、窓から差し込む日差しが暖かく感じられるようになって来た三月である。
 学校へと続く坂道のきつさにうんざりするという地味目に最悪なスタートを切った俺の高校生活は、途中涼宮ハルヒというアクシデンタルタイフーン(適当な造語だ、聞き流してくれ)に巻き込まれながらも、わりかし平穏に二年目を終えようとしている。
 順調に低空飛行を続ける俺の成績さえ何とかなれば、来年には最高学年になる予定である俺達は、SOS団の活動という理由を隠れ蓑に部室でいつも通りまったりしているところだった。

 ちなみに将棋の件であるが、盤上の駒は完膚なきまでに古泉の負けを示している。9回裏2アウト100点差くらいの逆境を跳ね返そうとする古泉の長考は、実はここ数日間ずっと続いていたりするのだ。
「いえ、もう少しでいい手を思いつきそうなんですよ」
 いい加減あきらめろ。もうゲームセットだぞ。
「古泉くん、がんばってくださいね」
 そう言いながら古泉の前にお茶のお代わりを置く我が高校の誇るエンジェルであらせられるところであると俺が頑なに信じてやまない朝比奈さん。永遠の輝きですら霞んで見える華やかな笑顔が古泉に向けられる。………うん、古泉、お前は俺を怒らせた。
「キョンくんも、どうぞ」
 声とともに俺の目の前にも極上の甘露が差し出される。まあ、朝比奈さんに免じて今回は特別に許してやることにしよう。………しかしまあ、なんつーか、………適当だね、俺も。

 朝比奈さんは卒業も間近だというのに、まだこの何が起こるか分からない闇鍋カオス的団活動に参加してくれている。
 まあ、最近はハルヒの力もほとんどなくなっており、一般的というストライクゾーンから外れる事は多々あっても、そのままバッターとは逆方向のバックスクリーンに飛び込んでしまうような大暴投まではやらかしていない。
 それ自体は良い事なのだがそのせいか、もうハルヒの監視は必要ないとの理由から、もしかしたら朝比奈さんは卒業後、そのまま未来に帰る事になるかも知れない、という事態に陥っているらしい。
 キョンくん達に会えなくなるのは寂しいですけど、あたしはこの時代の人間ではありませんから、いつかは帰らないといけないんですよ、と朝比奈さんを未来に帰すまいと暴走しかかった俺を、彼女は優しく諭してくれた。
 こちらとしても朝比奈さんに会えなくなるのは思わず出家してしまいそうなほど寂しい事ではあるが、彼女が未来に帰る事を良しとしているのならば、俺にできる事といえば笑って見送る事くらいなのだろう。
 朝比奈さんのいないSOS団を想像し、俺の周囲も変わっていないようでも、やはり変わっていくものなのだなあ、と少しセンチメンタルな味になってしまったお茶を有難く頂いた。


97電気少女は幸せな未来を夢見て消える:2007/03/25(日) 14:41:38 ID:8MJLWtU7
「すみません。何日も待たせしてしまって」
 二杯目のお茶を飲み終わる頃、古泉が長考をわびてきた。
 別にかまわんぞ、と返す俺。まあ、こいつがこの勝負に何故か並々ならぬ情熱を注いでいるのは伝わってくるしな。
 その理由は分からないのだが、古泉が何かを言ってくるまでは、俺は何も聞かない事にしている。俺達に危害を加えるような目的じゃないだろうしな。
 不本意ではあるが、99%以上の確率でそうだと言いきれるくらいには俺はこいつの事を信用しているようだ。………不本意ではあるが、とあえて二回言っておこう。

 再度長考に入った古泉から視線を外し、この場にいる最後のSOS団団員である長門の方を見た。
 姿勢良く椅子に座り、目と手以外はほとんど動かさずに本を読む宇宙娘。最初にあった頃と見た目の違いは眼鏡が無くなった事くらいしかない。
 ………まあそれは一般人からの見た目であり、俺から言わせるとかなり表情を出すようになったし、中身は大分変わっているのだが。
「何?」
 どうやら俺の視線に気付いたらしい。特に意味は無いとか答えたら怒るだろうか?
「あー、何だ、お前は夢とか、見るのか?」
 長門が読んでいた本から適当に質問を捻り出す。この電気少女は一体どんな夢を見るのだろうか?
 長門がいつもの無表情に俺だけが分かる程度の隠し味として思案色を混ぜながら、俺の適当に発した質問に答えようとした時、
「あー、もう何よ! むかつくわねー!」
 と、顔に怒りマークを浮かべた我等が団長様がいきなり周囲に怒鳴り散らしながら入場してきた。………確か今日、こいつは進路相談で遅れていたんだったか?

「志望校を上げろ、とかいきなり言われたのよ。何様のつもりよ! あたしの人生はあたしが決めるんだって言うのに!」
 なるほど、それが理由か。しかし、俺には縁のない怒りだな、上昇気流はどこにあるんだろうね?
 ちなみにハルヒが受験しようとしている大学は俺と同じ大学であり、まあ、あまり良い大学ではない。………ほっとけ。
「まあ、そう怒るなよ。それはお前がそれだけ期待されてるって事なんだから。たまには人様の期待に答えてみたらどうだ?」
 とりあえずフォローを入れる。往々にして俺のフォローは火に油を注ぐような結果にしかならんのだが、気にしない事にしよう。
「じゃあ、あんたももうちょっと頑張りなさいよ!」
「………何でだ?」
「うがーーー!!!」
 いきなりキレて暴れだす理不尽怪獣ハルヒ。一気にパニックムービーの舞台と化す部室。
 本当、たまには期待に答えてくれよ、俺の。

 こうしていつも通りの、しかし確かに変わりゆく、そんな日の夜、俺は久しぶりに長門のマンションへと呼び出された。


98電気少女は幸せな未来を夢見て消える:2007/03/25(日) 14:42:33 ID:8MJLWtU7
2.

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
シンデレラは『ぶとうかい』があまりにもたのしかったので、とけいをみるのをわすれていました。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「あなたは涼宮ハルヒと付き合うべき」
「はい?」
 この万能宇宙人読書型は、うちの妹がもう寝ようかという夜遅い時間に人の携帯へといきなり連絡を入れて自分の棲家まで呼び出しておいてから、出会い頭にこんなセリフをはきやがった。俺が思わず聞き返してしまったのも無理はないだろう、………ないよな?
「あなたたち二人はお互いに素直になれていないだけ。本当は、」
「いや、待てって」
 俺の発した疑問文は無視ですか。コミュニケーションってやつは難しいね。
「あのな、長門、」
「聞いて」
 今度は長門が俺の話をさえぎる。最近の俺達二人にしては珍しくディスコミニュケーションである。
 ただ、まあ長門の言葉からこいつがいつもより真剣だという事は伝わってきた。二年間ずっと果汁100%程度には濃い密度の付き合いをしてりゃあ、これくらいの事は分かるようになるものなのさ。
「昼の、質問」
 ああ、お前はどんな夢を見るのか、ってやつか。………もしかして、こんな時間になるまで答えを考えてたのか?
 やべぇな、適当に言っただけとか正直に言ったら明日の太陽は拝めないかもしれん。
「………それなら明日でもいいと思うんだが」
「聞いて」
 口は災いの元、という言葉が浮かんでくる。
 分かったよ。早く終わらせてくれ。………こりゃ自業自得っていうやつだな、やれやれ。

「あなた達二人の幸せが、わたしの夢」
 そして長門は歌うように、自らの夢を口にする。
「いや、昼間に俺が聞いたのはその夢じゃあないから」
 将来の夢、ではなく眠る時に見る夢だぞ、と長門の勘違いを出来の悪い子を注意する先生のように具体的に訂正する。………先生は話を逸らしているわけじゃないぞ、断じて。
「知っている」
 知ってんのかよ、という俺のツッコミを無視して長門は話を進める。………学級崩壊か?
「ただ、わたしの希望を、未来への夢を、あなたに伝えておきたかった。………あなたは忘れてしまうだろうけど」
 忘れないよ、お前が望んでいる事ならな。………あー、ただまあ、実行するかどうかは保留って事にしておいてくれ。
「でも、あなたが忘れてしまったとしても、何かがあなたに残っているから。これはあなた達がわたしに教えてくれた事だから」
 俺の話を再度華麗にスルーする長門さん。………そろそろ泣くぞ、俺。

99電気少女は幸せな未来を夢見て消える:2007/03/25(日) 14:43:54 ID:8MJLWtU7
「というか、長門。おまえ自身の夢はないのか?」
 細かい部分は置いといて一つだけ、どうにも見過ごせない部分にイエローカードを出す。
「わたし自身の、夢?」
「ああ、俺やハルヒの事じゃない、お前自身の夢だよ」
 他人の事でなくおまえ自身への望み。それだったら俺も協力しても良いぞ。お前への借りなら破裂寸前まで膨れ上がっているしな。
「………夢というかどうかは分からないが、望みなら一つだけ、ある」
「何だ?」

 長門が口を開き、何かを伝えようとしたその時、急に俺の意識が遠くなっていった。

「わた……あ………家……な………」
   が何かを言っている。

 耳を澄ましても、もう聞こえない。

 手を伸ばしても、もう届かない。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 ―――『12じのかね』がなりました。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


 気が付いたら俺は見知らぬマンションの入り口に佇んでいた。時間を確認してみると、既に日付は変わっている。
 はて、どうして俺はこんな所にいるのだろうか?

 用事があったとか、誰かに呼び出されたとか、そんな記憶は、ない。

 容量の少ないマイ鳥頭を必死で回転させる。
 ………駄目だ、思い出せねぇ。三歩以上歩いたせいだろうか。
 夢遊病だとか痴呆だとかの脳疾患への不安に怯えながらも、疲れているだけだろうと無理矢理結論し、とりあえずは帰って眠る事にした。

 ―――夜空が雲一つ無く晴れ渡っていた事が、何故だか無性に悲しかった。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 『まほう』がとけたシンデレラは『まほう』にかんすることをわすれてしまいました。

  ―なくしてしまいました。

  ――ちからも。

  ―――ちしきも。

  ――――おもいでも。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


100電気少女は幸せな未来を夢見て消える:2007/03/25(日) 14:44:59 ID:8MJLWtU7
3.

 次の日の放課後、俺とハルヒは朝比奈さんが卒業と同時に海外へ移住する事になったという話を彼女自身の口から聞かされた。
 寝耳に水鉄砲を食らったような反応をする俺を見て、何故か、ごめんなさい、と謝りながら泣き出す朝比奈さん。
 ハルヒが、ここはあたしに任せて、と言うので先に部室へと向かう。水鉄砲の水が洪水を引き起こして俺の心を掻き乱しているのを感じながら部室のドアを開けた。
 部室の中では、珍しい事ににやけ面でなく素の顔をした、SOS団副団長がいつもの席に座り、将棋盤を眺めていた。

「朝比奈さんの事なら、もう聞いていますよ」
 俺の報告を遮って、古泉はそう言う。
「そうか」
「ええ」
 必要最小限ですらない短いやり取り、そして沈黙。多分だが、俺達は二人ともまだ気持ちの整理がついていないのだろう。急に掃除しなさいといわれても、何を捨てればいいかなんてすぐには分からないって事だな。

「この勝負はどうやら僕の負けのようです」
 永遠にも感じられた沈黙の後、古泉は将棋盤をさしてそう言った。
 ゲームセットだ、古泉の中で何かが終わったのだろう。
 ………こいつは、何を捨てたのだろうか?
「いいのか?」
「ええ」
 そして、また沈黙。無駄な比喩表現ばかり浮かんでくるこの頭は、こういう時には気の聞いた言葉一つ出しやがらない。

 ふと隣を見ると古泉が声も出さずに泣いていた。何とかしてやりたいのだが、そもそも泣く理由すら俺には正確には分からない。朝比奈さんの事だけではないような気がするんだ、何となくなんだが。
「理由、聞いてもいいか?」
「すみません。話せません、約束ですから」
「そうか」
 なら俺にできることは何も無いな。
「すみません、覚えていますから。………僕達は、覚えていますから」
 よく分からないセリフ。多分だが、俺に向けられたものではないだろう。
 俺は慰めのセリフをかけるでもなく、ただ古泉のそばにいてやる事にした。
 ―――違うか。

 ………俺にはそばにいる事しか、できなかったんだ。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 ネズミたちは、わすれないよ、とちかい、それぞれのすあなにもどっていきました。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


101電気少女は幸せな未来を夢見て消える:2007/03/25(日) 14:46:19 ID:8MJLWtU7
4.

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 あるひ、シンデレラはおしろで、くだけちったカボチャのカケラをみつけました。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 朝比奈さんお別れパーティーが終わった次の日、俺は一人部室で窓際族よろしく暇を持て余していた。ハルヒは掃除当番、古泉は知らん。いつもならここで朝比奈さんと二人きりになるのだが、もう彼女はここにいない。
 ………いなくなっちまった。
 少しでも気を抜いたらマントル層まで沈んでいきそうな気分をごまかすため、適当な本でも一冊読む事にした。一年の五月に俺たちが部員のいなくなった文芸部室を占拠してからおそらく一回も開かれなかったであろう本の中から適当に一冊を選び出す。
 本棚から本を抜き出した時、パラリ、と床に何かが落ちた。

 ―――栞、だ。

 心臓が一つ、大きく跳ねる音が聞こえたような気がした。
 俺はこの栞に見覚えがある。
 無い筈の記憶が、無い筈の泉からこんこんと湧き出てくる。
 このしおりの裏側にはやたら達筆な明朝体で呼び出しの文章が書かれてあり、そこで俺はあいつに、………あいつって誰だ?
 不明瞭な記憶達にやられ、くらくらする頭を無視して、体が半自動的に栞を拾い、裏返した。


 栞の裏には、
   ―――何も書かれていなかった。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 カボチャのカケラはひからびていて、いのちはどこにものこっていませんでした。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「ああ………」
 終わったんだ、と理由もなくそう思った。
「う、ああ……」
 終わっちまったんだ。
 なくしちまったんだ。
 ……何を?
 ………誰を?

「うあああ、うあっ……、うああ」
 自分の口から出ているとは思えない、うめき声にも似た嗚咽。
 何が終わったのかは分からない。
 誰をなくしたのかも分からない。
 ただ、感じるのは、圧倒的な喪失感。
 膝が崩れ、床に座り込む。膝を打ちつけた痛みが脳髄にまで響いてきて、思わず涙が出てきた。
 ………止まらない。
 止まらない涙が、床にしみこんで消えていく。

 ―――跡形もなく消えていく。

102電気少女は幸せな未来を夢見て消える:2007/03/25(日) 14:47:54 ID:8MJLWtU7
「うああああーーーーー」
 誰かが大声を出して泣いている。
 耳をすませるとその声は、どうやら俺の口から出ているようだ。

(………ああ、泣いているのは、俺か)

 元栓を閉め忘れたかのように流れ出ていた涙とか感情とかが、そう気付いた事で爆発した。
「うああっ、ごめん、ごめんな」
 意味のない謝罪の言葉を繰り返しながらただひたすら涙をこぼす、いつの間にか俺は、そんな壊れた機械になっていた。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 シンデレラはカボチャのカケラをむねにだいて、なきつづけました。
     ―――ただひたすらに、なきつづけました。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 泣いて、泣いて、泣いている自分を確認してまた泣いた。
 涸れそうな涙を無理矢理ほじくり出そうとして、自分の腕が動かない事に気付く。
 いつの間にか、俺はハルヒに抱きしめられていた。
「大丈夫。大丈夫だよ、キョン」
 優しい声が、温かい体が俺を包み込んでくる。
 あったかいな、ありがとう、ハルヒ。
 でも、大丈夫になっちゃ駄目なんだ。

「ごめん、………ごめん」
 壊れた機械は、大丈夫には、ならないよ。

 忘れないよ。………忘れちまってるけどさ。

 忘れちまったって事、忘れないからさ。

 お前をなくした事、忘れないからさ。

 この悲しみを、忘れないからさ。


 不透明な絶望と喪失感に溺れてしまった俺は、ハルヒの温もりにしがみついたまま、泣きながら座り込んでいた。
 ハルヒは俺が自分の力で立ち上がるまで、理由を聞く事も無くずっと抱きしめていてくれた。
 ―――ずっと、そばにいてくれた。

 ありがとう、ごめんな、ハルヒ。
  ごめんな、ありがとう、  。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 『かなしみ』がきえることはありませんが、きっとふたりは『しあわせ』になるのでしょう。

  そうだったらいいな、と、

    ―――そう、あたしも、ねがいます。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


103電気少女は幸せな未来を夢見て消える:2007/03/25(日) 14:49:23 ID:8MJLWtU7
Epilogue.

 何の力もない男がわめこうが暴れようが泣き叫ぼうが、時間はただただ過ぎて行くだけだ。それが残酷なのか優しいのかはその時を生きてきた人でないと分からないのだろう。………まあ、そう偉そうに述べる俺自身、まだ答えを出せてはいないのであるが。

「キョンくん、起・き・てー!」
 ドゴスッ!
「ぐはあっ!」
 朝のまどろみの中でそんな事を考えていると、心の暗雲を吹き飛ばすかのような底抜けに明るい声とともに、妹の両膝が五分の魂を踏み潰すかのように俺の腹に突き刺さった。
「ねえねえ、起きたー?」
 あには ばらばらになった、などとボケを返す余裕もなくベッドの上でもだえ苦しむ俺。
 というか、お前も来年からもう高校三年生なんだからいい加減こんな子供みたいな起こし方は止めなさい。お前だって同学年の子達にばれたら恥ずかしいだろう。
 それと、兄の内臓へのダメージがとんでもない事になっている件については、兄起こし担当大臣様はどう釈明なされるおつもりなんでしょうか?
「てへっ!」
 ………確信犯か。


 着替えるから、と言って妹を部屋から追い出し、さっきまで見ていた夢について考える。とはいえ、妹の攻撃のせいかどうかは分からないが、高校生の頃の話だったという事以外はほとんど覚えちゃいない。
(………高校生、か)
 終わりを考えられないほど楽しかったあの頃の事を、SOS団の皆の事を思い出した。

 朝比奈さんは海外を転々としているらしく、たまに手紙が送られてくる以外にはこちらには何の連絡手段もない。一度だけ手紙と一緒に良く分からない童話の改変ものが送られてきた。………本当にどんな仕事をしているんだろうね、あの人は。
 そういやこの前、久しぶりに『あなた』に会いに行きます、と書かれた手紙が来たので久々のご降臨を楽しみにしていたのだが、それから全く音沙汰が無いところを見るとどうやらお流れになったようである、………残念。

 古泉は親の仕事の都合とやらで高校三年生になってすぐ転校していった。しかし、こちらは朝比奈さんと違い電話やメールで連絡を取り合う仲である。たまに会って飯を食ったりもするし、お互い悩み事を相談しあったりもする。
 ………今、気付いたのではあるが、もしかしたら俺とあいつは『親友』というやつなのかもしれない、照れくさいから本人の前では絶対に言わない事にしておこう。

 最後に俺とハルヒについてなんだが、今年めでたく大学を卒業した俺は高校生の時から付き合っていた彼女、まあようするにハルヒだ、にプロポーズした。
 幸せにしないと終身刑だから、と、どっちにしろ一生一緒なのかよ、とツッコミを入れたくなるような返事と共に俺の胸に飛び込んできたあいつは真っ赤な顔をしていて、………なんだ、俺にしては珍しくストレートに表現すると、………めがっさ可愛かった。

 そして俺は今日ハルヒの家にご挨拶に行くことになっている。最も男が試されるであろう、娘さんを俺にください、というイベントだな。
 まあ、お互い家族ぐるみで顔見知りではあるし、うちだけでなく向こうの親御さんも結婚ついては既に了承済みである。
 そう考えるとなんだかすごく今更という感じがしないでもないが、ハルヒ曰く、こういう事は形が大事なのよ、との事だ、やれやれ。


104電気少女は幸せな未来を夢見て消える:2007/03/25(日) 14:50:37 ID:8MJLWtU7
 準備を終えて、玄関先で冷やかしてくる妹に、お前も早く彼氏作れよ、とクロスカウンターをいれながら家を出る。
 しばらく歩いた所で、むき出しの手に冷たい何かを感じた。
 見上げると季節外れの雪が降りだしたところだった。
 傘を取りに戻ろうか、とも思ったが、めんどくさいのでこのまま雪に降られながら行く事にする。

 何故だかは分からないが、この美しい結晶は俺たちの幸せな未来を夢見て消えていくのだ、と都合の良い幻想が浮かんできた。
 それと同時に、理由のよく分からない悲しみが襲い掛かってくる。
 手は冷たいのだが、ポケットに入れたりせず、姿勢を正して胸を張って、その悲しみを真正面から受け入れる。
 そうして、俺達の行く末を祝福するかのように舞い散る雪の花の中を、ハルヒの家に向かって進む。

   ―――幸せを誇るように、幸せへと向かって、歩く。

 歩きながら俺は、この世界に舞い降りた、美しく、そして儚い結晶に向けて、まるで久しぶりに会った旧友に対するように語りかけた。


 なあ、俺がなくしちまった誰かさんよ。

 俺達は、幸せになるよ。

 そっちはどうだい?

 あんたは、幸せかい?


  ―――幸せ、だったかい?


10540-355:2007/03/25(日) 14:51:17 ID:8MJLWtU7
以上です。
10642-902:2007/03/25(日) 14:53:09 ID:8MJLWtU7
ついでに特に意味の無い小ネタを、2レス。
107長門さんと愉快な仲間達:2007/03/25(日) 14:54:42 ID:8MJLWtU7
1. 涼宮ハルヒ

「有希、今あたし新入部員を集めるために我がSOS団のセールスポイントを箇条書きにしているところなんだけど、何かない?」
「あなたがいる」
「ま、当然よね」
「『彼』がいる」
「ふんふん」
「朝比奈みくるがいる」
「………えーと」
「古泉一樹がいる」
「………」
「………」
「………それで?」
「それだけ」
「………そっか」
「そう」

2. 朝比奈みくる

「ふえーん、また失敗してしまいましたー」
「そう」
「何であたしっていつもこうなんでしょうか? 頑張っているのに」
「あなたは………」
「はい?」
「あなたは、そのままで良い」
「………」
「そのままで、充分あなたは温かい」
「………あ、うん、ありがとうございます」

3. 古泉一樹

「やあ、長門さん。こんにちは」
「………」コクリ
「昨日は久しぶりに大規模な閉鎖空間が発生しまして、大変でしたよ」
「………大丈夫?」
「おや、心配してくれるのですか? あなたは僕より『彼』の方が、」
「それはあなたが大事ではない理由にはならない」
「ああ、そうですね。すみません、それとありがとうございます」

4. 朝倉涼子

「あ、長門さん、見つけたわよ。あたしあれからすっごく強くなったんだから。今放課後で誰もいないことだし、勝負よ、勝負!」
「………」トコトコトコ
「ちょ、ガン無視! 待ってよ長門さん。しょーぶ、しょーぶだってばー!」
「………一緒に帰る?」
「あ、うん」
「………」トコトコトコ
「今日、おでんでいいかな?」テクテクテク
「いい」トコトコトコ
「えへへ」テクテクテク

108長門さんと愉快な仲間達:2007/03/25(日) 14:55:44 ID:8MJLWtU7
5. 鶴屋××

「めがっさ、こんちわーすっ!」
「………」
「おやおやっ、有希っこだけかいっ!」
「………」コクリ
「んー、有希っこは今日も上機嫌だねっ!」
「………」
「それとも、不機嫌なのかなっ!」
「………」
「今日の有希っこは、DOTCH!」
「それはあなたが決めれば良い」
「にょろーん」

6. ××××の妹

「あ、有希ちゃんだー」ギュッ
「………」ギュッ
「えへへー、ねえねえ、たのしいー?」
「………」コクリ
「どこがー?」
「………あなたがここにいる事が」
「えへへー」ギュッ
「………」ギュッ

7. 喜緑江美里

「長門さん、少し質問があるのですが」
「何?」
「あなたは、その、人間と『私達』の違いについて、どう思いますか?」
「………」
「………長門さん?」
「そんな事、考えた事もなかった」
「あう」

8. ××××

「おう、長門。今日の団活動は休みらしいぞ」
「知っている」
「………じゃ、何で部室にいるんだ?」
「あなたが知らせに来るのを待っていたから」
「いや、自分から俺のところに来ればよかったんじゃないのか?」
「あなたを待つ時間は、嫌いではない」
「………」
「………」
「………あー、なんだ、一緒に帰るか?」
「………」コクリ

10942-902,40-355:2007/03/25(日) 14:57:09 ID:8MJLWtU7
以上です。
では、また。
110名無しさん@ピンキー:2007/03/25(日) 15:00:40 ID:LJ1KgDY9
スマン。泣いた。ガチで。
111名無しさん@ピンキー:2007/03/25(日) 15:09:46 ID:w48+mHWi
長門は去るときに、やっぱり自身の存在の痕跡を消してゆくのだろうか。
このモチーフを書いたSSは多いけれど、みんな悲しくて好きだな。
朝比奈さんが後日送ってきた童話を挿入しながら、って構成もいいね。
『あなた』に、ってのはつまり、朝比奈さんも(大)の年頃になったんだな。

>107
勝負だ勝負だと連呼して長門にからんでくる朝倉は、
グレタとサガみたいですな。ちくしょう可愛いぜ。
112名無しさん@ピンキー:2007/03/25(日) 15:14:55 ID:xhRdbOIL
長門はなんて言おうとしたんだろうな。(´;ω;`)
113名無しさん@ピンキー:2007/03/25(日) 15:17:30 ID:kcBI81PI
それも気になるが、古泉が将棋に拘った理由が俺の読解力では掴めなかった
114名無しさん@ピンキー:2007/03/25(日) 16:23:12 ID:EwPmsSGP
>>113
最後の勝負だから終わらせたくなかったとか
事前に消える事を聞かされていて、長考の振りをしてキョンに伝えるか悩んでたとか
まあいろいろ想像するのも楽しい
115名無しさん@ピンキー:2007/03/25(日) 16:24:28 ID:lPGZiOO8
「もう少しでいい手を思いつきそう」
古泉なりに、長門が消える事を受け止められずにもがこうとしてる意思表示。

それにしてもこういう文好きだ。GJ
116名無しさん@ピンキー:2007/03/25(日) 16:41:45 ID:BaBPjzN0
            ____
   n       /⌒  ⌒\
   | |    /( @) (@ ) \
  i「|^|^ト、/::::::⌒(__人__)⌒:::::: \   もはや政府転覆しかない
 |: ::  ! } |    /| | | | |      |   
  ヽ  ,イ \  (、`ー―'´,    /
117名無しさん@ピンキー:2007/03/25(日) 17:08:17 ID:ULNX+49Q
誤爆か?

>>109
118名無しさん@ピンキー:2007/03/25(日) 17:25:58 ID:vEoz5L1L
>>116
外山恒一自重しろ

>>109
マジ乙
119名無しさん@ピンキー:2007/03/25(日) 17:35:22 ID:UHew+DfV
>>109
超乙。泣いた。
120名無しさん@ピンキー:2007/03/25(日) 17:36:28 ID:7vsvycCJ
>>109
良かった。すごく良かったですよ。
乙。泣けます。
121名無しさん@ピンキー:2007/03/25(日) 17:41:19 ID:FEF+OXPw
最近は、エロありが少ないと思っているのだが、気のせいだろうか?
122名無しさん@ピンキー:2007/03/25(日) 18:07:51 ID:6GIKbHpA
>>121
エロパロは、何時にも増してハイレベル。
123名無しさん@ピンキー:2007/03/25(日) 18:09:17 ID:oWtlaYfv
元々エロは少ない。
いやあ良かったよ。
124名無しさん@ピンキー:2007/03/25(日) 18:12:54 ID:plH3NY8C
でもこの流れも嫌いじゃない
125名無しさん@ピンキー:2007/03/25(日) 19:19:42 ID:hJhZbnbp
俺はこういうのがあるからここを見るのをやめられん
本編の終わりをみたような悲しさだ

126名無しさん@ピンキー:2007/03/25(日) 19:33:40 ID:DqVljtBv
>>109
久しぶりに泣いてしまいました。

>>112
適当に三点リーダーを埋めてみる。
「わたしはあなたの家族になりたい」
127名無しさん@ピンキー:2007/03/25(日) 20:53:02 ID:xhRdbOIL
>>126
なんかしっくりくるな
128名無しさん@ピンキー:2007/03/25(日) 21:05:29 ID:Kucx+ZA2
>>126
なんと言う無粋…これは間違いなく読後感を削ぐ。

そこはぼかすのが良いんじゃないか。
129名無しさん@ピンキー:2007/03/25(日) 21:22:55 ID:xhRdbOIL
が何か言っている
って言うのはもうキョンの中では長門の名前を忘れているってことかな?
あと童話の改変(ryはつまり・・・〜・・・の部分だよな?
130名無しさん@ピンキー:2007/03/25(日) 21:40:43 ID:EwPmsSGP
そーゆーのはチラ裏で頼む
国語の試験じゃないんだから正解なんか無いんだよ
>>128の意味を考えてみなよ
131名無しさん@ピンキー:2007/03/25(日) 22:01:51 ID:AQf7nncj
>>109
乙です。
激泣でした。
132名無しさん@ピンキー:2007/03/25(日) 22:08:37 ID:xhRdbOIL
スマソ
133名無しさん@ピンキー:2007/03/25(日) 22:29:52 ID:HXKRmzNl
最近やたら流行ってたワカメブームに押され気味で実は人気無かったのかなぁ〜、みたいな流れをぶった切って現れた朝倉作品をもっと評価しようぜ
これじゃあ俺の朝倉がかわいそうだ
134名無しさん@ピンキー:2007/03/25(日) 22:35:51 ID:y3jMsQQP
>>133
キモ〜い
135名無しさん@ピンキー:2007/03/25(日) 22:36:22 ID:UJidIoeO
>>109
マジGJ。
作者さんの長門愛に感動した。
136名無しさん@ピンキー:2007/03/25(日) 22:45:04 ID:/kXyr5+V
「わたし、すごい言われようですね。申し訳ないですが、パーソナルネーム>>133を敵性と判断し、情報結合の解除を申請します」
137名無しさん@ピンキー:2007/03/25(日) 23:01:02 ID:xhRdbOIL
ワカメ自重しろ
138名無しさん@ピンキー:2007/03/25(日) 23:26:01 ID:gPCnQX1q
>>133
涼子様はアニメの時に相当プッシュされたじゃないか
ちょっとぐらいワッカーメ旋風が巻き起こってもいいと思う
139名無しさん@ピンキー:2007/03/25(日) 23:51:37 ID:+qjonIhA
>>109
GJ。
スゲェ感動した・
がんばってくださ〜イ
140名無しさん@ピンキー:2007/03/26(月) 00:39:08 ID:UGJCSNal
小ネタ好き もちろん長い方も
141名無しさん@ピンキー:2007/03/26(月) 00:46:47 ID:LEq7T6wl
幸せにしないと終身刑なんだから、の行がなんかいいな
どっかで使わせてもらおう
142勝手にアレンジ:2007/03/26(月) 00:55:59 ID:erg1Xiy2

風呂で頭を洗っていると、いきなり戸が開いた。
「キョン君、一緒に入ろー」
タタタ、ジャブン、と湯に飛び込む音。
「こらこら、お湯に入る前に体を流しなさい」
「だってーシャワー使ってるしー」
シャワー使うのかよ!とつっこむまでもなく、浴槽から上がってお湯をかける音がした。
それはそうと背中がスースーする。
「寒いから早く戸を閉めなさい」
「ごめんなさい、すぐ閉めます」
意外な声に思わず振り向くと、妹の同級生にして親友のミヨキチだった。
「失礼します」
かろうじて聞き取れる小さな声。
恥ずかしそうに腕を押さえながら浴室に入ってくる。
Why?これは夢?ほっぺをつねってみる…ギュ
痛い…夢ではないようだ……
「お兄さん背中を流してあげますね」

するとミヨキチは俺の背中を洗い始めた。
すると妹は風呂から出てきて
「あ〜ずるいミヨちゃん。なら私はキョン君の前を洗うね!」
ちょっまて!
143名無しさん@ピンキー:2007/03/26(月) 01:02:06 ID:1BarW7UP
なんの! スーパーアレンジ返し!
144名無しさん@ピンキー:2007/03/26(月) 01:03:34 ID:1BarW7UP
吉村美代子の異常な浴場

または私は如何にして心配するのを止めて友人兄妹を・愛する・ようになったか



風呂で頭を洗っていると、いきなり戸が開いた。
「キョン君、一緒に入ろー」
タタタ、ジャブン、と湯に飛び込む音。
「こらこら、お湯に入る前に体を流しなさい」
「だってーシャワー使ってるしー」
シャワー使うのかよ!とつっこむまでもなく、浴槽から上がってお湯をかける音がした。
それはそうと背中がスースーする。
「寒いから早く戸を閉めなさい」
「ごめんなさい、すぐ閉めます」
意外な声に思わず振り向くと、妹の同級生にして親友のミヨキチだった。
「失礼します」
かろうじて聞き取れる小さな声。
恥ずかしそうに腕を押さえながら浴室に入ってくる。



 友達に勧められるままお風呂をいただくことになりました。でもお兄さんが使用中ということで私は躊躇したんです。ホントですよ? なのに彼女が強引に脱衣所まで引っ張り、言ったんです。
「大丈夫だよぉ〜。あたしたち『小学生なんだから』。最近一緒に入ってくれないけど、全然『変じゃないんだよ』」
 公衆浴場は何歳まで異性の方に入れたかな? いえ、今考えるのはそうじゃないんです。彼女の言うとおりきっと変じゃないんです。
 変だと思うほうが変で、変なコトを考えるわたしのほうが――ダメダメ! そんなこと考えていません! 『あの人』がどんな反応をしてくれるのかなんてドキドキしたりはしてません!
 年長者と混浴できるのは子供の特権なのです。情操教育にもきっと良いハズ。たぶん性教育にも。
 彼女は忍者のように脱皮すると戸を開けて飛び込んでいきました。ルパンのように浴槽にジャブンです。
 『あの人』……お兄さんは、丁度髪を洗っているようでわたしに気付かず、彼女の無作法を嗜めています。
 わたしを見たら驚くかなぁ? とても恥ずかしいのに、心臓が頭の方に移動しちゃったみたいで、なにも考えられずに下着を脱ぎました。
 脱衣所の風が寒いのか身を震わせるお兄さん。
「寒いから早く戸を閉めなさい」
 あ、あわわ、なにか言わないと! ご、ごご、
「ごめんなさい、すぐ閉めます」
 たぶん普通に言えたと思います。お兄さんは少しキョロキョロしてましたが、
「あれ? きみも一緒なのか。どうしたんだ?」
 シャンプーが目に染みたのか、泡を流すことに専念しながら彼女に尋ねていました。
「うんとねぇ、うちに来る途中に雨が降っちゃって、ちょっと濡れちゃったからすぐ温まってきなさいって〜」
「そうか。じゃあきみも早いとこ湯船に入った方がいいな。二人ならなんとか入るだろうし。
 こら、お前は交代だ。さっさと身体を洗いなさい。」
 お兄さんは彼女の脇に腕を差すと抱き上げて洗い場に降ろし、そして浴槽の縁を跨ぎました。わたしは大慌てでかけ湯です!
 タイミングがずれたら大変です! お兄さんが湯船に浸かってしまったら、わたしはその目の前で縁を跨がないと――その場合、前と後ろ、どちらを向いた方が効果的なんでしょうか? いえ! そうならないように大急ぎです!
「ふぅ〜」
 向き合う形で湯船に浸かったわたし達。
 お兄さんは満足げに嘆息していますビバノンノ。えぇい、水面が波立って良く見えないじゃないですか。わたしより群生したワカメの陰にウツボが、きっと凶悪なウツボがっ!?
「ねぇ〜キョンく〜ん。久しぶりなんだから体洗って〜」
 は! 危ないところです。意識がすこし飛んじゃってました。
 お兄さんは「まったく、しょうがないなぁ」と浴槽を跨ぎ、わたしの目の前に凶悪な……あれ?
 ……そ、そうですよね。お兄さんにとってはわたしは妹の友人の『小学生』ですもんね。
 気付いてはいたんですがちょっぴりショックです。最近自信あったのになぁ、スタイルのメリハリ……。
 お兄さんはお兄さんのブラックジャックでわたしの頬を殴打することもなく洗い場にでました。
 タオルを泡立てて手際良く、面白味のない彼女の体を磨き上げるお兄さんの足の間のアナゴは休眠中です。ちぇっ。あぁ、でも、象さんじゃなくて亀さんだぁ……
「よし、おわりだ」
「キョンくん、こっちも〜」
145名無しさん@ピンキー:2007/03/26(月) 01:05:48 ID:1BarW7UP
「そこは自分で洗いなさい」
「ちゃんとキレイにしないとお母さんに怒られるんだよぉ〜」
 全身の泡を流した彼女が自分の……え? え?
 お兄さんが「やれやれ」とか言いながら、ボディーソープを少量取って泡立てています。大事な部分なので、よく薄めないとヒリヒリしちゃいますもんねって、え! えぇ!?
「大事なところなンッだからゆっくりね。んんっ」
「だったら自分でやれよ。まったく……」
 彼女の太腿が障害物になって良く見えないんですけど、そこって、そこってぇぇぇえ!?
 いいの? 小学生の特権なの? なんで声が跳ね上がってるの? なんで目を閉じてウットリしてるのお!? 
 そしてお兄さんはなんで時折ぴくっぴくってしてる彼女に気付いてないの!?
「あ、そこ! そこはもっとしっかり!」
「はいはい。ほら、これで終りっと」
 お湯を流す音で我にかえりました。彼女が湯船に戻ってきましたが、先ほどお湯から上がったときよりも全身が紅潮しています。
 トロンとした目つきは余韻に浸るようで、浴槽のヘリを跨いだ彼女の無毛の荒野の神秘の峡谷は、明らかに興奮を示すように、夕日に染まったグランドキャニオンも真っ青なまでに充血に赤く彩られて――
「ミヨちゃんも洗ってもらいなよ」
「おいおい」
「お願いします!」
 そんなことお願いできるわけありません! わたしは断固としてお断りを入れるべく、湯船から勢い良く立ち上がっては洗い場のイスに腰を下ろし、深呼吸で心の準備を済ませ、期待に胸を高鳴らせながら、あの人のタオルを待ちわびて……あれ?
 わたし……わたし、いま断わろうと……。
「ほんとにいいのかい?」
「ぜひ!」
 ……体育の先生も言ってました。考えるんじゃない、感じるんだホアチャァァって。きっとこれは自然の摂理なんです。
 だって、今はなにも考えられないし、タオル越しのお兄さんの手の感触に……とても感じるんですものホアチャァァ!
 わたしと入れ替わりに湯船に戻った彼女と目が合いました。いえ、合いませんでした。
 彼女は目を細めて何処か遠くを見つめながら浴槽の縁に顎を乗せ、ピクンピクンと……な、なにをしてるんですか? あ! いま大きく跳ねました! 余震に身をカクカクさせてるから湯面が波打っちゃってます!
 さ、さすがにお兄さんも、この様子を見たら……。
「ん? ああ、こいつの変なクセなんだ。お湯に浸かるとたまにな。
 居眠りしたシャミ――猫がピクピク痙攣してるみたいで変だろう? はは」
 などと笑っていやがります。さすがですお兄さん。手ごわいです。
 あぁぁ、胸は円を描くように擦り上げてくれたのに、お臍のあとは重要な場所を避けて太腿に移るのは焦らしですかぁあ。
 あ! そんな、足の指の間まで丹念に……あっはぁっ、これはこれで…ふくらはぎから太腿を鈍い痺れが這い登って、腰の辺りに熱い淀みがこもってきますんぁああ。
「よし、おわりだ」
 肩口から温かいお湯がかけられました。
 まって! まってください! もう少し! もう少しなんです!
 わたしは黙ってボディーソープのポンプを差し出しました。
「あ〜……それはちょっとマズイだろう?」
 お兄さんは目を泳がせて妹に助けを求めるようでしたが、さすが一番の親友です。彼女はわたしの心の友でした。
「差別は良くないんだよ〜。洗ってあげなよ〜」
「そういうもんなのかねぇ……」
「な、何事も経験ですからっ!」
 そうです、経験です、初経験です。そんな言葉があるかは知りませんが、いま確実に大人の階段に足をかけたのです!
 お兄さんが手を泡立てて、そっと……はあぁぁ、さ、さすがですお兄さん。すごいですお兄さん。お兄さんおにいさんオにイさン……。
 親友の長年の指導の賜物なんでしょうか? まるで洗浄行動だといわんばかりの無頓着ぶりなのに、性格を表すかのように繊細に、そしてたんねんになぶってきます。
146名無しさん@ピンキー:2007/03/26(月) 01:43:42 ID:ugcZJh8O
続きは?
147名無しさん@ピンキー:2007/03/26(月) 01:45:34 ID:7bydSs7x
「大事なところなんだからしっかりね」
 彼女がそんなことを言った気がしましたが、それどころではありません。
 お兄さんも「はいはい、わかったよ」なんて答えてましたが、ホントによく分かってます。
 ソノ部分の周辺を優しくこねるように揉み洗い、静かに溝に沿って擦り上げます。
 時折指を左右に揺らしては、堪え切れずに花びらが開いたところでほんの少し深く進入させ、形作り始めたばかりのヒダとヒダの隙間を丁寧になぞってくれます。ていねいにていねいに……ぁあ……。
 クレバスの最北端の隠された祠の周囲を散策し、入り口を発見した調査陣は残酷にも神秘のヴェールを――んっはぁぁああ! ヴェールをつるりと剥き上げて、無防備になったわたしの! わたしの――!!
「あれ? ちょっと石鹸が少なかったかな?」
 ああおあぁぁぁあ! もうちょっと、もうちょっとだったのに! お兄さんのイジワル! なんでここで手を止めるんですかぁぁあ!
 でも、お兄さんのせいじゃないんです……多分わたしの、その、愛え、バルトリ、か、果汁が、そう果汁が彼女より多かったんじゃないかなぁって。
「でも、ちゃんと洗えただろうし、体が冷える前にお湯に入っちゃいなよ」
 お、終りですか? わたしはお湯をかけられて湯船に戻されました。まるでサカっている最中に水をかけて追い払われたノラ猫の気分です。いえ、サカってません。ホントですよ?
 体はすでにポカポカですが、お兄さんの言葉に従って彼女の隣で肩まで浸かり、同じく顎を浴槽のヘリに乗せました。
 あ〜ぁ、もうちょっとで……んあ! え! あはぁ! え!?
「さすがに三人は入れないな。俺はもう上がるからちゃんとあったまるんだぞ。
 って、きみも同じ変なクセがあるんだな」
 ち、違うんです。ちょっとは余韻に浸ってましたけど、コノ子が! 隣のコノ子がぁ!
「あはは。学校で流行ってるのか? まあ、のぼせないうちにあがるんだぞ」
「はぁ〜い」
「は、はヒっ」
 お兄さんはサッっとシャワーで体を温めると、変化のないモノをブラブラさせて退場していきました。
 脱衣所でタオルを使う音を聞きながら、隣の親友に小声で問いかけます。なぜ浴槽の中でわたしの、その部分をいらっているのかを、んっ!
「な、なにを……? はっ、んん」
「だって、もうちょっとだったんでしょ? あたしのキョンくんは……良かった?」
 わたしは返事が出来ませんでした。普段の無邪気な笑顔とは違って、なんというかシットリとした艶を含んだ……もしかしたらわたしが思っていたよりずっと大人なのかもしれません。
 そんな微笑を浮かべながら耳元に囁きます。
「せっかくだから、トドメもキョンくんがいいかなぁ?」
 コノ子の将来が不安でイッパイです! イッパイイッパイです!
 わたしの心配をよそに、彼女は水面を叩き、大きな声を上げました。
「キョンくーん! たいへんたいへん! ミヨちゃんがのぼせちゃったあ!!」
 大丈夫です、と声を上げることは出来ませんでした。
「なんだって!」
 湯船の中で彼女に剥き出しにされて顔を出しているアノ部分を、キュッと摘まれてカクカクと湯船に沈み込むわたし。
 それを発見して、扉をあけたお兄さんもビックリです。もちろんわたしもビックリです。
 すごい衝撃に収まりかけた衝動を持て余しますブクブク。
 タオルを取りに戻ったんでしょうか、お兄さんが一度脱衣所に戻ると、彼女が耳を噛みながらまた囁きました。
「楽しんできてね」
 普段から元気イッパイの親友ですから、わたしを支えながら軽々と立ち上がらせると、やっぱり新しいタオルを持って戻ってきたお兄さんに引き渡しました。
 二人分の全身を洗わされてすこし疲れたのでしょうか? お風呂上りなのに微かに汗の匂いのするあの人の胸に包まれて、わたしは幸せな気分に浸っていました。ありがとう、心の友。
 でも彼女の言っていた意味は違ったのです。
 髪は濡らしてしまうと手入れが大変なので結い上げていました。お兄さんがわたし顔と首筋を拭ってくれます。
 そして次に胸を……気持ち良かったです。だから気付きました。『トドメ』の意味に。でも口からは荒い息しか出てきません。たぶん……わたしも期待してしまったんでしょう。はやく! はやく! と。
148名無しさん@ピンキー:2007/03/26(月) 01:46:52 ID:7bydSs7x
 お兄さんが、手もとのタオルを折りなおして乾いた部分を準備しています。これがトドメ――。
 全身をあらかた拭き終えて残された最後の部分に、大事に残されていた乾燥した部分を晒すタオルが、足を割って今まさに差し入れられようとしております!
 彼女によって剥き出しにされたままの、顔をのぞかせたままの、充血し膨張を保ったままのその頂点に、サラサラしたタオル表面が、ザラリと、撫で、上げ――!!
「だ、大丈夫か!?」
 今まで体験したことのない遥かな高みを体験したわたしは腰が砕け、慌てたお兄さんが支えてくれなかったら、どこまでも堕ちていったことでしょう。
「お、おい! タオル濡らして持って来い。冷たくして」
 あの人の声がどこか遠くから聞こえます。お兄さんの匂いが目の前に広がってるのにヘンですね?
 お兄さんからはわたしの背中しか見えていなかったと思います。だからわたしは安心して、よせてはかえす余韻に浸りながらこんなことを考えていました。
 お兄さんに支えられてぶら下がったわたしのオヘソから下が、別の生き物のように前後にガックンガックンと揺れ動いているのに気が付きませんように――
 そして、水気を拭き取ったはずなのに、内腿を伝うたしかな雫に気が付きませんように――祈るように考えて、考…え……て――

 ――目が覚めたら見知らぬ天井が目に移りました。
「あ〜、気がついた〜?」
 どうやら、お風呂と、お風呂以外にもイロイロとのぼせ上がったわたしは、親友の部屋へと運ばれて寝かし付けられていたようです。
「えへへ〜。すごく良かったみたいだねっ。でも中学生になっちゃったら、もうコノ手は使えないんだよねぇ」
「…………」
 うすうす察していましたが、これはもう確定です。恐ろしいコ!!
 親友という立場を考えなおさなくては。「どうしたらいいと思う〜?」なんてのんきに聞いてくる彼女のセリフを遮ろうと、わたしが口を開いた瞬間。
「どうだ、様子は? って、ああ、気が付いたのか」
 ささやかなノックの後に、ドアからお兄さんが入ってきました。
 わたしが体を起こしたのが見えたのでしょう。「よかった」と言いながらニッコリ微笑んでくれます。
「す、すみません! ご心配をおかけして!」
「大丈夫ならいいんだ。なにか冷たい、もの…っでも……」
 あぁ、優しいお兄さん。でも、どうして目を逸らすんですか?
「ミヨちゃん。オッパイオッパイ!」
 え…? きゃっ! 親友あらため悪友の言葉でわかったんですが、わたしはおそらく彼女のパジャマを身につけていました。サイズが合わなかったのか、大きく胸元が開いていて……慌てて腕で隠します!
 でも……お兄さんも、わたしのささやかな胸を目にしてしまって照れているんでしょうか? さっきまでお風呂をご一緒してたのに? ヘンですね? でも、赤くなって鼻の脇を掻いているあの人はとても可愛くて……正直たまりません!
「あ〜、冷たい飲み物でも買ってくるから、もうちょっと安静にしてなよ」
 そういって逃げるようにお兄さんは出て行きました。
 また二人きりになると、わたしは悪友あらため悪の手を取って言いました。今こそ決別の時です。

「わたしに出来る事があったらなんでも言ってね。心の友」

 さようなら、今までのわたし。こんにちは、新しいわたし。


 これがわたしと彼女が、親友と書いてマブダチとなった日の出来事でした。
149名無しさん@ピンキー:2007/03/26(月) 01:48:58 ID:7bydSs7x
オワタ。途中で落ちてたのか規制なのか書き込めなくて、遅れてごめん。
150名無しさん@ピンキー:2007/03/26(月) 01:59:58 ID:k9jIBHu3
ちょっとサーバーが落ちちゃってたみたいですね。

何はともあれGJです! 出来ればこのノリで本番も書いてほしいてすー!
151名無しさん@ピンキー:2007/03/26(月) 02:03:32 ID:qpY6Dgsp
エロイな
152名無しさん@ピンキー:2007/03/26(月) 02:06:11 ID:WKwBF41h
>>148
ミヨキチかわいいよミヨキチ

是非続編を希望しようではないか
153名無しさん@ピンキー:2007/03/26(月) 02:16:32 ID:Dvx5eH/y
GJ!!実にエロかった。ネタも面白い。
俺はまったくロリ属性はないんだが、ミヨキチには何故か萌えてしまうんだよな。
原作に「大人びてる」みたいな描写があるからかな。
154名無しさん@ピンキー:2007/03/26(月) 02:36:44 ID:CqION3nv
めちゃめちゃそっちの語彙がある小学生だな(笑)
155名無しさん@ピンキー:2007/03/26(月) 03:12:30 ID:ugcZJh8O
久々のエロはいいなw
ちょうどミヨキチ分が足りてなかった頃だったから良かった
156名無しさん@ピンキー:2007/03/26(月) 03:25:57 ID:aLHlSzw7
ああ立ったさ。
お礼とばかりに、キョンを洗うミヨキチが簡単に想像できる。
157名無しさん@ピンキー:2007/03/26(月) 08:00:49 ID:fPdgqyoz
>142-49
Great!!! ミヨキチかわいいよミヨキチ
しっかり反応してしまいました Ω


158名無しさん@ピンキー:2007/03/26(月) 08:12:19 ID:HDa4xb+k
>>149
ミヨキチ、ようしゃべるなwww
面白エロス、GJ!
159名無しさん@ピンキー:2007/03/26(月) 09:36:21 ID:BIMBHzBT
誰も書かないみたいだから
それにしてもこのミヨキチ、ノリノリである
160名無しさん@ピンキー:2007/03/26(月) 10:14:44 ID:btKV/i7q
独特のノリがまじでGJ。
このミヨキチは斬新だったな。
そしてフラグクラッシャーの面目躍如。
161名無しさん@ピンキー:2007/03/26(月) 10:17:04 ID:MAOyGEUJ
ていうか妹が黒すぎる(w
162名無しさん@ピンキー:2007/03/26(月) 11:19:41 ID:erg1Xiy2
次はキョン受けで決まりだね。GJ
163名無しさん@ピンキー:2007/03/26(月) 13:14:02 ID:KaDXeQPE
長門と国木田の髪の色が被ってる件について
164名無しさん@ピンキー:2007/03/26(月) 13:18:38 ID:BHsY3UmT
>>163
キミが何を言いたいのか判らないので、SSにしてもう一回言ってくれないか?
165名無しさん@ピンキー:2007/03/26(月) 15:17:14 ID:b4KXFhCH
なんか過去ログ読んでたら妄想が……。こんな風になんねえかな……





 俺がまっとうでない人生を過ごしている現在時間をさかのぼる事、三年前。七夕が少し前に過ぎ去った日のこと。
 朝日もまだ昇っていないうちから――

〜略〜

 人のシューズに画鋲を入れるという、無視するには微妙に大きすぎる後ろめたさをかき消すための笑いだった。
 なんか、みじめだな。

 カ〜〜ンカ〜ンカ〜ン こたえーはーいつもわーたしーのむねにーーーー♪

〜略〜

 そして、少女のタックルにより、柵の隙間から飛び出した谷口。 ちなみに、下は湖だ。
「あれえぇぇー」
 湖や 谷口飛び込む 水の音
 すまん。字余りだ。

 タッタカタカタカタカタカタカタカテッテレッテーーテッテレッテーーテーーテーーテン テン テン テテテ
 なぞなぞーみたいにー♪
 おーおきーな ゆめ すきでしょ♪


 テーレレレテッテ テッテテーレレレーレレレ
「次回! 涼宮ハルヒの消失、第14話!」
「違ーう! 涼宮ハルヒの消失、第11話。少年オンザグラウンドゼロ、後編」
「どうぞ、受け取って下さい。ミネラルウォーターの代金です」
「手を握るな息を吹き掛けるな顔が近い気持ち悪いっ!」
166名無しさん@ピンキー:2007/03/26(月) 15:35:46 ID:DYzoskTz
ハァ━━(゚Д゚)━━??
167名無しさん@ピンキー:2007/03/26(月) 15:43:28 ID:oNqjDsIH
これは・・・春か?春だからか?
168名無しさん@ピンキー:2007/03/26(月) 16:43:38 ID:TnMWr4Nd
あの話は
「奢りじゃなかったんですね」
に集約する

いや、別に
169名無しさん@ピンキー:2007/03/26(月) 16:59:25 ID:OplWQC3M
突如世界がジョジョ3部風に改変されてしまい、SOS団の面々が改変世界を元に戻すべくDIO役を倒す話でも書こうかと。
配役や展開の関係上、明らかに元ネタではありえないネタ、元ネタそのまんまなネタが生じまくりますが、そこは創作と考えてご了承を。
もちろん基本はキョン視点。
170涼宮ハルヒ その@:2007/03/26(月) 17:25:32 ID:OplWQC3M
2007年3月末、進級する前の余興、春休み。平凡に団活がある・・・はずだったのだが?
何かがおかしい。いや、団活についてはこれといって休みだとか言う連絡はなかったので俺は当然SOS団アジト、文芸部室にいた。
部屋には長門だけがいた。ハルヒ、朝比奈さん、古泉もじき来るだろう。もちろん、ここまでは俺としては別におかしいことはない。
ここからがおかしいのである。
いつまで経っても誰1人来ない。俺と長門以外誰も来ないまま夕方になる。
長門はページをめくる。何かが落ちた気がするが気のせいだろう。今は何の改変もない。3人とも急用でいないのだろう。・・・いや待て、他の2人はともかく、ハルヒに限ってこんなことはありえまい。まさか・・・?
こういったモノローグが流れる間にも長門はパタリと本を閉じ、帰っていく。やはり、何かが落ちていた。
それは栞だった。これが落ちたときは、決まって何かがある。花柄の栞の裏を俺は見る。
『家へ来て。すべてを語る』
そんな単刀直入な。それにここに書いてある『すべて』って何だ?しかし、この違和感に何らかのヒントがあると思った俺は帰宅後、再び外出し、長門の家へ直行した。
玄関入り口で708と押して、ベルのマークのボタンを押した。すぐに出た。
「長門、俺だ」
玄関のロックが解除される。
『入って』
扉をノックする。そして、長門が気配もなく出てきて、鉄の扉が開いた。
そして、俺は信じがたいことを耳にすることになる。
確か、こんな事だった。
171涼宮ハルヒ そのA:2007/03/26(月) 17:46:44 ID:OplWQC3M
俺が家に上がった後、長門は鍵を閉めた後いつぞやの電波話の時のように正座して、こう言った。
「時空間が複雑に改変された。また、一部人物の属性情報が改変され、能力が追加されている」
………は?三点リーダーが3連続で出た。意味が分からん。追加された能力だと?
「詳細を言えば、あなたやわたしなどに古泉一樹たち『機関』の者とは別種の超能力が発現している。また、世界的に時間が混乱している。おそらくは1989年に相当する」
1989年だと?しかし、お前は待機モードでない状態でそこにいるし、俺も健在だ。それに、どんな超能力なんだ。
「これは涼宮ハルヒがこういった展開を希望して情報を大幅に自らの能力で改変し、2007年の昨日現在のあらゆる存在・情報を残した状態でこの状態にしたというのが最も納得が行く。
また、涼宮ハルヒはその超能力の片鱗で危険人物らを必要以上に撃退、××刑務所に収監された。情報の照合から正当防衛と認められたが、悪霊だと言い出して不正に留まっている」
それじゃあ、まるで某漫画に多少似た…いや、俺達にも能力が発現していると来た以上、大いに似ている。そこへ明日行くと聞くと、
「分かった。だが、朝比奈さんと古泉はどこへ行った?」
「分からない。何らかの刺客として現れ、仲間となるといった展開かと思われる」
決まりだ。これは某漫画の展開をハルヒが望んで世界を改変した。これで合ってるはずだ。
「わたしの能力はこれ」
鳥っぽいのが出てきて火を出している。元ネタが確か、魔術師の名を冠していたので特に違和感はない。
「あなたのは?」
…元ネタにあった出し方を思い出して実行してみる。・・・元ネタが隠者の名を冠していた茨が出た。違和感ありすぎだろ。長門の超能力が出た時点で予想はしていたが。
「2人で明日、涼宮ハルヒを引きずり出す」
「ああ」
これで話は終わりだった。そして翌日。俺達はハルヒを牢獄から引きずり出すべく××刑務所まで向かっていた。
172涼宮ハルヒ そのB:2007/03/26(月) 17:55:55 ID:OplWQC3M
「ご友人さん、常人以上に無口ですなぁ」
「どうも」
「いやいや、褒めてるわけでもないよ」
で?ハルヒは何人くらい殺ったんだい?・・・とまあ、大げさに言っておくのがコツだ。
「いやいや、誰が殺したと言ったんだ」
「ケンカだよ」
「もっとも相手のレイパーどもはムチや危険なものを所持した4人ですが4人全部で15の骨折・・・タマタマも潰されて・・・おっと失礼。病院送りにしたけどね」
え。あいつどこ行ったんだか。
「しかし問題はその後。変わってるなぁ、おたくの友人さん」
来た。超能力というと混同する人があるかもしれないので、元ネタと同じ「スタンド」としておく。
スタンドの話が出たぞ。
「その声は・・・キョンと有希?」
聞きなれた声が聞こえた。
173名無しさん@ピンキー:2007/03/26(月) 17:56:48 ID:hlGQCK0d
書きながら投下はやめようよ。
書き上げてからまとめて落としてくだちい
174名無しさん@ピンキー:2007/03/26(月) 17:57:10 ID:OplWQC3M
書き逃げさせてもらうので、またよろしく。
ではノシ
175名無しさん@ピンキー:2007/03/26(月) 17:58:15 ID:OplWQC3M
>>173
了解。今後気をつけるよ。
176名無しさん@ピンキー:2007/03/26(月) 18:21:24 ID:Qj9vv62v
長門「巨乳は許可しないィィィィィィィィィッ!」
177名無しさん@ピンキー:2007/03/26(月) 18:57:01 ID:Bh8h838I
これでは長門が亜空間にばら撒かれる事になるじゃないか
178名無しさん@ピンキー:2007/03/26(月) 19:19:02 ID:LJwgnqdw
長門は不滅
179名無しさん@ピンキー:2007/03/26(月) 19:22:59 ID:KZGiNAZE
>>174 ( ´・ω・`)っ「つまらないモノですがお裾分け」

 次にお前は『キョン、あたし…あんたのことが、す……ハッ!』と言う
「キョン、あたし…あんたのことが、す……ハッ! ……ハッ!」
 ご丁寧に驚くところまで再現してから、さらに驚くハルヒ。他の団員たちもビックリだ。

「な、なに言ってんのよっ! そんなわけないじゃない! だいたい何の根拠があって……」
 やれやれだぜ。そんなことも解らないのかこのド○○がぁあ!
 自分の立場を教えてやらないとな。俺はひとつカマをかけることにした。
「知らなかったのか? 俺に惚れている人間は、タバコの煙を嗅ぐと、鼻に皺がよるんだぜ?」
「うそっ!?」
「ふえっ!?」
「……っ!?」
「やばっ!?」
 ……古泉? いや幻覚だ。もしくは三人娘を引っ掛けるために協力してくれたのかもしれん。

「そ、そんな引っ掛けには乗らないわよフゴ!」
 いや、鼻を押さえながらそう言われてもな……。
「そ、そうですよぅ、騙されないんですよフガ!」
 潤んだ瞳が可憐です。こんな花粉症なら世の女性たちも羨むでしょう。
「…………。……………だいプギ……」
 一度背中を向けてから振り向くのはちょっとアレだぞ。あと鼻を摘んだままだと台無しだ。
「で、ですが、このメンバーにはタバコを吸う人間は居ませんよ?」
 あわてて手を下ろしたな。名演技だったぞ。演技、だよな?
「そ、そうよ! 煙のないところで焼けボックイに火が立つわけないじゃないのっ!」
 いろいろと間違ってるぞ。
「……煙草の流煙を感知。その壁の陰」
「どこのバカよ! 再起不能のリタイヤにあげるわっ!!」

「んもぉ、タバコはダメです〜。はい、口が寂しい時の茎わかめ」
「すまなかったね、喜緑くん。愛しているよ」
「うふふ、好きですっ、会長。はい、胃が寂しい時の増えるわかめ」
「私は、大好きだ」
「あぁん、超スキです! はい、人肌恋しい時のわかめ酒」
「君のことが、メタ好きだ!」

メメタァ!

「オラ!」「オラ!」「オラ!」「オラ!」「オラ!」
「「「「「オラオラオラオラオラオラべっかんこーーー!!」」」」」

今日は、学校に何人かの声と拳が見事に調和した。
180名無しさん@ピンキー:2007/03/26(月) 19:29:23 ID:YaIgQsWW
( ゚д゚)、ペッ
181名無しさん@ピンキー:2007/03/26(月) 20:00:42 ID:Ywq+iV6q
現在、谷川スレおよび各ハルヒスレに荒らし警戒警報が出ております。
読み手、書き手ともども分裂発売4週間はカエルの体温並みの生暖かい目で見てあげましょう。
182続け〜っ!!:2007/03/26(月) 20:06:44 ID:Qj3fKFg5
暖かな風に誘われ、少しずつ芽吹いていく桜がいつ満開になるのか気になりつつも、
日に日に上がっていく気温から暖冬の名残は夏頃にどんな影響を及ぼすのかを真剣に考える今日この頃。
世間では小中高の卒業式も終わり終業式も無事すませ、またこの時期が来た。

そう、春休みが来た。

ま、大型連休でも言い換えられる気もするがな。

住民も心して対応しなければならない

183名無しさん@ピンキー:2007/03/26(月) 20:08:16 ID:Qj3fKFg5
住民って……
吊ってくる
184名無しさん@ピンキー:2007/03/26(月) 22:40:23 ID:qBLJHXvC
国木田の続きを待ってるのは俺だけだろうか……。
185名無しさん@ピンキー:2007/03/26(月) 22:49:56 ID:VGKt/+zo
>>20
いきなり全く関係ないが、とある板で俺が似たようなことをしたときにいただいたレスを紹介する。
無理して慣れんことすな。模倣レベル・習作レベルを他人様に読ますんじゃない。職人は人知れず苦労しろ。
あくまで俺が言われたことであって、君が言われたことではない。そこのところ誤解なきよう。

>>61>>172
若いせいか俺は半分くらいしか元ネタがわからない。そのため不条理系と大差がない。
他板はともかくSS専門板の物書きとして、(ベースとなる版権作品とは別の)元ネタに完全に寄りかかった作品はどうなのだろうか
……と思うものの、そういった小ネタをここだろうとどこだろうと何度となく書いてきてこれからも書くであろう言行which?な俺なので、心でつぶやくだけにしておく。

>>88
申し訳ない。1レス目を読んだところであまりにもアレな文章(「キョンらしくない」とは似て非なる基本的な要素のため)に、読むに耐えないと判断してしまった。
他の方々の感想を見ると、文章はともかくストーリーは面白いのだろう。早とちりと寝坊のせいで俺は人生の7分の6.1は損をしている。
いつか、気が乗ったら読んでみて、面白いと思ったらそのとき伏して非礼を詫びよう。今ただ一つ聞いてみたいのは、
地の文はともかく会話やモノローグは、一度声に出してみて違和感を覚えたら口語寄りに修正する、という作業をしてみるべきではないか、
……と素人の俺が書くのは果たしてアドバイスになるか余計なお世話かということだ。いや答えてくれなくていいから。

>>105
これを読んで賞賛すべきか批判すべきかと聞かれたら、俺は2時間半待ちでも賞賛の列に並ぶ。
だが4時間待ちのようだ。しおしおと批判の側に行くのを許してほしい。といって重箱の隅をつついて蛇を2匹出すくらいしかできないが。
構成。
現在→過去→現在を一人の主人公が語る、という構成であるのに、現在の彼は、その過去について断片的にしか覚えていない。
それでどうして過去を語れるんだ(「現在」語っているのではない、という言い訳をするならカタチにすべき)と感じてしまい、
作りモノ臭さ、「語り手以外の別の書き手」の存在に気付いてしまう。
そのため、例えば「何故だかは分からないが〜」という語り手の文句の裏に、ニヤニヤ笑っている書き手の影が見えてしまうことになる。
しかし、ではどうやって書けばいいんだと聞かれると、俺にも答えはない。
このプロットを、中編でならともかく、短編で書くのなら、長門は一切登場させないほうが良かったのではないか……
しかしそれでは、原作をまったく知らない人が読んでもそれなりに面白くあらねばならない、という二次創作の努力目標に反してしまう……
とにかく少なくとも、冒頭で意図的に誤解を起こさせる小細工にこだわるべきではなかったのでは、と俺は言えるのみなのだ。
(「現在」キョンが「過去」の彼を振り返って語るのならばこうした技法も「好んで」使うだろう。だが「現在」の彼は長門の最初の横棒も知らない彼なのだ!)
細部。
>101の流れは素晴らしい。まことに、まことに感嘆を禁じえない。たったここだけでも大人の階段上るドジっ子の創作童話を引用した価値はある。
(とはいえ、ここの他で価値があったかどうかは一考の余地ありだが……何か元ネタあるのだろうか)
だが、キョンが本を手に取った部分の、どうにも書き手の言い訳くさいくだりや、後半で自らの感傷をいやに冷静に説明するくだりは、
少々不注意だと感じる。いい場面だけに残念。ここらへんを初読みで文字を一つ一つじっくり追う読者は、なかなかいないと思われるが。
長々イチャモンつけたのも、それだけ良かったからこそ。ところでキョンはハルヒの家に着く途中で事件事故や戦争に遭わず済むんだろうな?

>>149
語彙や思想ともにいやに老けた小学生だな。こんな小学生いるのか?それ以上にこんな高校生いるのか?ついでに平気な親もいるのだろうか。
ょぅι゙ょ側に知識と快楽と自主参加の自覚がありファンタジー世界である以上性的虐待で責任はとらなくともいいのだろうが、
代わりに幼馴染み属性を植え付けたようなものだぞ。ちゃんと後腐れ無く解決しろよ。それとちゃんと手を洗えよ。
自分でもわけのわからない文章だが、どうにも据わりが悪くなってきて感想も何も思いつかないので、これだけ。
>>174>>179
今日分のストレスを>149で早く処理してしまおうとひたすらに忙しい俺なので、すまないが感想パス。どうせ若い俺にはわからないネタだろう。
ああ言い忘れた、>149氏ありがとう感謝する。じゃ。
186名無しさん@ピンキー:2007/03/26(月) 22:55:38 ID:0RiT9O+U
ここ、エロパロなのにエロ少ないよな…
187名無しさん@ピンキー:2007/03/26(月) 22:59:38 ID:Bh8h838I
>>185
あまりにも長いんで短くして見た

>>20
物真似ウゼエ
>>61>>172
元ネタわかんね。元ネタ知らんとわからん作品はヤダ。
>>88
読んでない
>>105
「現在の過去語り」に違和感。>>101辺りの長めの下りと独白に違和感。でも全体通して大好き。
>>149
考え方が老けた小学生。感想思い付かん。
>>174>>179
わかんねーから感想パス。
188名無しさん@ピンキー:2007/03/26(月) 23:01:16 ID:Ywq+iV6q
>>185
放課後 弓道場裏 雑木林 朝の事 怒ってないから 来るべし
まで読んだ。

>>186
つけっこう昔の過去ログ
189名無しさん@ピンキー:2007/03/26(月) 23:03:27 ID:BHsY3UmT
>>187
「長門の言葉を古泉が判りやすく言い直すスレ」を思い出した。
190名無しさん@ピンキー:2007/03/26(月) 23:08:54 ID:wtbdaWNU
長文感想ウゼェ→それ自体を小ネタと捕らえるとそれなりに面白い
→短くまとめてる人ので十分だな→まとめを待ってる俺ガイル、この気持ちは・・・
いや特に意味は無いんだすまない
191名無しさん@ピンキー:2007/03/26(月) 23:13:48 ID:W2GAqp0L
>>185
どうもひたすら自分が若いことを自慢したいらしいってことと、反論は許さんと言いたいらしいことだけはわかった
192名無しさん@ピンキー:2007/03/26(月) 23:17:24 ID:ympq+DPA
ある意味名物でもある。俺は読んでて楽しいけど。
まぁ、いつかここにSS投稿したときにこれでばっさり切られたら・・・

それはそれでいいかもしんないw
193名無しさん@ピンキー:2007/03/26(月) 23:28:15 ID:FI9bqT5N
長いだけの内容があるなら何の問題も無いんだが、
一言で済むことをうだうだうだうだ垂れ流すからうざいんだよ。
投下するための容量が減るじゃあないか。
194名無しさん@ピンキー:2007/03/26(月) 23:32:08 ID:BHsY3UmT
>>192
まあスルーされるよりはいいかなと、最近小ネタ埋めネタばっかりだからか
今のところ長文感想から全てスルーされている俺の感想。
195名無しさん@ピンキー:2007/03/26(月) 23:39:18 ID:KZMNZ1xL
前スレでハルヒがギターを教えるやつあったが、あれって完結した?
196名無しさん@ピンキー:2007/03/26(月) 23:58:13 ID:KZGiNAZE
>>185
今週末はけっこう豊作だったなぁ〜と思ってたから、
長文感想も期待してたんだけど、ちょっとアレだな。待ち構えてたのに……

「「「おま……」」」」

…………。

「「「「……おまえか?」」」」

 こんな気分。なんだか今日のはトゲが多い気がして、別人かと思った。
 こんなだったか? とゆうか、いつもの人とは別人だろう? 割りと内容に則した長文感想はデスマスだったし。

 ――原作をまったく知らない人が読んでもそれなりに面白くあらねばならない、という二次創作の努力目標――
 二次小説は、基本、原作を知ってる人間が読むもんだろう?
 まず知っている人間に面白いと思われるのが第一目標じゃないか。
 どんな名作SSでも、ハルヒ知らない人間にオススメしたら相手が困るだろうし。既読デフォじゃないか?
 「超能力? 呪文?なによこのトンデモ設定」「まず原作を読んでくれ」こうなると思うんだ。
 作品の完成度も重要だけど、キャラの詳細説明を好みで軽減できるのが二次小説の特徴でもあるし。

 『現在→過去→現在』の流れが、常に『回想』や『開陳』を伴った文体・形式とは限らないだろう
 時系列の入れ替えは演出としてありだし、効果的で、しかも目新しいわけでもないのに、なぜ読み取れなかったのかのほうが不思議だ。

>>195
 現在二話で、前スレの続きはまだっぽ。全四話予定だったか。
197名無しさん@ピンキー:2007/03/27(火) 00:06:13 ID:ZF+JI90t
>今日分のストレスを>149で早く処理してしまおうとひたすらに忙しい俺なので、すまないが感想パス。どうせ若い俺にはわからないネタだろう。


このスレは何時の間にか>185の発生する閉鎖空間と成り果てたようです。
早く●が来てこの状態を解決してくれたらいいのに。
198名無しさん@ピンキー:2007/03/27(火) 00:16:05 ID:eyGPnmwS
俺は長文感想は全部朝比奈さんだと思って脳内再生してるから、まったく問題ない。
199名無しさん@ピンキー:2007/03/27(火) 00:20:09 ID:8FFPmLTi
またずいぶん強者が現れたなw
やり方教えてくださいお願いします
200195:2007/03/27(火) 00:20:42 ID:7Dy30zOw
>>196
ありがとう
201名無しさん@ピンキー:2007/03/27(火) 00:34:24 ID:y78AuhRD
 ――と、そんなこんなでハルヒと付き合い始めたわけだ。
 SOS団でも公認となり、人前でベタベタするわけじゃあないんだが、尋ねられたら「付き合ってるわよ?」「まぁ、そういうわけだ」とサラリと流せるくらいにはなったのさ。

 当然二人だけの不思議探索……素直に言えばデートだが、これの回数も爆発的に増えたわけだ。
 だが、驚いたね。デートに行くたびに今までとは考えられなかった勢いで進んでいく関係にさ。
 どんな経緯を辿ったのかは、ちと恥ずかしいから簡略化させてもらうが、概ね以下のとおりだ。

 初デート→手をつなぐ→キス→キスキスキスキス→観覧車でディープキス、ペッティング。

「さぁ、次はセックスよセックスっ!」
 さて、この状況。すごい勢いでえらい乗り気のハルヒに連れられて初めてラブホ。もしくはブホ。
 とはいえ、さすがのハルヒといえどもラブホは初めてなわけで、フロントのお兄さんに事細かに料金システムを聞き、部屋の種類、設備、利用客層まで聞いていた。当然心霊現象のようなアレな事もな。調査熱心だが、恥じらいは欲しいぞ。
 最後に「で、部屋に入ったらまずどうすればいいのかしらね?」とハルヒ。
 ……お兄さん、ぼそっと「セックス」って言ってました。
 あ〜、そうだよな。そうなんだろうけど…なんていうか……そうだよな?

 俺たちの初体験は、まずシャワーを浴び、部屋の設備類から不思議現象の有無を散々調べた後、まず服を脱いでベットの上で正座し、あれこれ探り合いながらの教養主義的セックスにいたったのだった。


『ラブホとかビジホで焦った事を赤裸々に語るスレ』を読んでて見付けたレスをハルヒ脳で弄ってみた
とゆうわけで、だれか教養主義的セックスの詳細を頼む。ハルキョンか長キョンで。
202名無しさん@ピンキー:2007/03/27(火) 00:36:21 ID:8FFPmLTi
それは書いてみたいな。
一度もエロもの書いたことないんだけどw
203名無しさん@ピンキー:2007/03/27(火) 00:47:24 ID:lZ6AnDnI
>>202
かっこいい
204名無しさん@ピンキー:2007/03/27(火) 00:50:42 ID:8FFPmLTi
ずっとまじめなのを長門スレで書いてたもので。
それが終わったら、そういうのもいいかな、と。
205名無しさん@ピンキー:2007/03/27(火) 00:58:14 ID:eyGPnmwS
>>199
かんたんかんたん。
語尾に、ぅ、でしゅ、ひゃ〜い、とかを付け加えて読むのです。

原作の朝比奈さんは結構しっかりとした喋り方ですけどね。そこんとこは流すのがコツだ。
206名無しさん@ピンキー:2007/03/27(火) 00:59:30 ID:8FFPmLTi
>>205
他はわかるが、語尾に「ひゃ〜い」ってw
だが把握した。ありがとうw
207名無しさん@ピンキー:2007/03/27(火) 01:02:39 ID:7Dy30zOw
>>201
ブホって何?
208名無しさん@ピンキー:2007/03/27(火) 01:05:42 ID:q4IBIgdY
ブティックホテルじゃね?
209名無しさん@ピンキー:2007/03/27(火) 01:07:28 ID:8FFPmLTi
ラブホをさらに省略したもんだと思ってたよ・・・orz
210名無しさん@ピンキー:2007/03/27(火) 01:08:39 ID:2J/P/wNz
オラなんざビホかと思ってたよorz
211名無しさん@ピンキー:2007/03/27(火) 01:09:37 ID:8FFPmLTi
ビジネスホテルでのエッチはおすすめできない。
これは本当の話。最悪だった。
212名無しさん@ピンキー:2007/03/27(火) 01:10:39 ID:7Dy30zOw
>>208
サンクス。あってるかわからんが。
213名無しさん@ピンキー:2007/03/27(火) 01:19:41 ID:2xmZ08rZ
>185
オナニー乙
今度から自分の家の便所でね
214名無しさん@ピンキー:2007/03/27(火) 01:24:31 ID:lZ6AnDnI
その・・・なんだ・・・長門。オナニーは便所以外でするのがいいと思うぞ
215名無しさん@ピンキー:2007/03/27(火) 01:47:51 ID:OWXeqptY
公衆の面前でやってると漏れ無く臭い飯が食えるらしいぞ。
216名無しさん@ピンキー:2007/03/27(火) 06:38:25 ID:5x9GRcM0
キョンが見知らぬ女に町の案内を頼まれるっていう話のタイトルを誰か教えてくれないか?
たしかプリンじゃなくてエロパロだったと思うんだが見つからん。
217名無しさん@ピンキー:2007/03/27(火) 06:40:25 ID:x1mHK5tX
>>216
『空梅雨の気まぐれ』
『もうひとつの冬』
218名無しさん@ピンキー:2007/03/27(火) 06:43:45 ID:5x9GRcM0
>>217
それだ、ありがとう。
219名無しさん@ピンキー:2007/03/27(火) 14:11:21 ID:tqTAlZ74
>>208
仏チックホテル
220名無しさん@ピンキー:2007/03/27(火) 19:55:20 ID:1GYues2g
>>184
どっちの?俺はどちらかというと悲劇の方だけど。
221名無しさん@ピンキー:2007/03/27(火) 21:34:09 ID:k4FCarjy
>>220
どっちもだけど、あえて言うなら国木田がSOS団に入っている方かなぁ。
でも悲劇はエロ有りなんだよねぇ。やっぱりどっちもかな。
222名無しさん@ピンキー:2007/03/27(火) 23:38:32 ID:Z5xziSZe
>>214
「個室便所は自慰行為の場所としては悪くない選択。
 他人がそうそう入ってこない個室である為第三者の来訪を気にする必要が無い。
 大概に於いて換気する方法に長けている為、行為後の臭気を緩和しやすい。
 また行為後の後処理も容易。ペーパーを使用し流してしまえばいい。
 だが最適な場所とも言えないのも事実。個室特有の臭気と行為を補助するおかずと称される
モノの持ち込み、更に個室占有による第三者の介入が問題。
 よってわたしはあなたに個室よりも適した場所を斡旋する」
 ……なんで長門と自慰行為に適した場所探しなんて話になってんのかよく覚えていない。
 だが長門が適していると言うのなら適しているのだろう。あくまで知的探求の一端として聞いておきたい。
決して妹の乱入を考え扉にカギでもと考える反面、親に色々と勘ぐられたくないからではないぞ。
「わかっている」
 長門が小さく頷く。いや、そうあっさり納得されるとそれはそれで良心の呵責があるのだがまあいい。
 それで、その場所とは?


「わたしの家。あなたの妹を始めとした第三者の乱入もない。部屋に臭気はないし、
行為後のあなたの臭気もわたしは気にならない」
 ……。
「あなたはわたしがいる事によって一人では無いと考えているかもしれない。
 でもそれは間違い。わたしは確かにあなたが行為を行う間そばにいる。だがそれは」
 静かに語りながら長門が近付いてくる。そして既に長門のトレードマークとなっている
カーディガンに手を掛けるとゆっくりと袖から手を抜きはじめた。



「──あなたのおかずの為。今から試してみる?」
223名無しさん@ピンキー:2007/03/28(水) 00:13:41 ID:EslqK30U
新刊の予習復習に入っていそうなこの時期に怖いが、こっそり投下

ドタバタ系コメディ? 10レス前後 第1部
224名無しさん@ピンキー:2007/03/28(水) 00:14:24 ID:EslqK30U
『カシマシ・インフィニット』



 既にとっぷりと日も暮れ、歩道は街灯のささやかな明かりに照らし出されていた。
 ダウンストリームに押し潰されてミステリーサークルを形成する麦穂さながら、俺は決断という圧力にこうべを垂れつつ、重い足取りに鞭打ってのろくさと歩を進めている。
 ここが俺のグリーンマイルかと嘆息し、死刑執行までの時間を少しでも稼ごうとする囚人の心境で空を見上げたんだが……これは逆効果だった。
 視野の片隅。無常にも決断の時間が間近であることを主張する、街灯時計のデジタルな表示が目に入ってしまったからな。
 20:42。
 お前まで俺を急き立てるのか? 無粋に突っ立てるんじゃない。気温だけ表示してろ。
 ささやかな悪態とともにその朴念仁を握りつぶしたが、もちろん俺がなんらかの不思議な力を持ち合わせているわけもなく、僅かな間だけ視界から姿を消した無粋な街灯時計は、溜息と共に脱力した左腕の先に依然として聳え立っていた。
 そして右手には携帯電話。メールという名のデジタルな赤紙。
 最後通牒を伝達したそれは、閉じる事も読み直す事も拒絶した俺の掌の陰で、健気にもその文面を液晶に浮かび上がらせ続けていることだろう。
 だが、読みなおす必要はないのさ。なにしろ一度目にしただけで頭の中にこびりつき、季節はずれの羽虫のように俺の目の前をフラフラとさまよってやがるからな。

『――――最終期限は21時。貴方が拒否、または決断を遅らせた場合――――』

 しかし、なんでだろうな……。夢想したことが無いと言ったら嘘になる。だが実際渦中の人となるとこんなにも足がすくむとはね。いっそ火中の栗となっていれば弾けるだけの勢いを持てたかもしれない。
 誰か代わりたい奴がいたら名乗り出てくれ。俺の前に来て――回れ右して絶息するまで全力ダッシュで速やかに視界から消えろ。悪いが、代役がいないからと渋ってるわけじゃないんだ。
 そして俺自身がこの配役を誰かに譲る気はない。ないんだが……舞台はとても華やかで――眩しすぎた。
 最前列で暢気に鑑賞していたら、突然のスポットライトとともに主役から手が差し伸べられ、ビビって逃げ出した俺の背中で、静止像のパントマイムのように、動力の切れたオルゴールに鎮座する人形のように、手を差し伸べたままで待ちわびている。
 俺の下す決断を。
 俺が舞台に登るのを。
 俺がゼンマイを巻きなおすのを。
 煩悶する猶予は慈悲なんだろうか? 与えられた慈悲は、だが無慈悲にも期限付きだ。
 表示された数字を変える街灯時計が時間が絶えず流れ続けていることを主張し、そして時間切れは拒否と同じく扱われるらしい。
 悩む事。それが俺にできる精一杯の誠意だと信じていた。だからこそもっと時間が欲しかったんだがな。
 これが最後の悪あがきさ。
 俺は指定された時間ギリギリに到着するように、とろとろと決戦の舞台へと引き返していく。

 数分前に逃げ出してきた、長門のマンションへと続く道を。
225名無しさん@ピンキー:2007/03/28(水) 00:18:22 ID:EslqK30U


 事の始まりは週始め、いつもの日常の中から始まった。
 掃除当番のハルヒに一声をかけると、専属エンジェルから馥郁たる甘露を拝領すべく、俺は足取りも軽やかに部室へと向かっていた。
 あまりの軽さにお花畑で風に戯れる蝶々のような気分に浸っていたのだが、幸せな昂揚感なんてものは長く続かない宿命にあるらしい。
「やあ、奇遇ですね」
 部室棟への渡り廊下で、それこそ花畑が似合いそうなエセ貴公子と合流することとなり、脳内で極彩色の花を撒き散らしていた丘陵はただのドクダミ園へと降格した。嫌がらせか? 白馬にでも乗ってろ。
「まあ、そう邪険にしないでください」
「気にするな。ただの習慣だ」
「そうですか? いえ、僕の方がちょっと過敏だったかもしれませんね。
 ここ数日ばかり頭を悩ませている事柄が、すこしばかりやっかいでして……」
 これが普通の男子高校生の会話なら「家庭の問題か?」とか、谷口あたりなら「恋煩いかよ! 俺がアドバイスしてやっからよ! 大船に乗ったつもりで――」などと泥舟の乗船チケットを差し出したりもするんだろうが、
こいつが誰の専属折衝役なのかを考えれば、思い付く答えはそう多くない。
 最近はそれなりのイベントを、精力的にこなしていたから安心していたんだがな。
「ハルヒがらみか?」
 分かり切ったことを一応尋ねてやる。これも習慣だしな。
「ええ、涼宮さんがらみです。とはいえ世界崩壊の危機といった深刻なものではないのですが……」
 肩をすくめて周辺の気配を探るように左右を見渡す、古泉特有のジェスチャーだったのだが……。
 ん? なんだか妙な違和感を感じるな。ハルヒを除いたSOS団メンバーでは、否定したくとももはや日常ともいえる状況。とはいえ人に聞かれていい話題でもなく、節度は保たないとな、と本能で拒絶しながらも断腸の想いで一歩分0円スマイルに体を寄せたんだが……。
 古泉、今お前二歩離れなかったか? 失礼だぞ? 普段は俺が離れるんだが。
「これは失礼。ですが、出来ればこの距離でお願いできますか。ご説明しますので」
 幸い人影もまばらですしね。と古泉。
 深刻ではないと断言した割に、顔に貼り付いたインチキスマイルが陰ってるぜ。顔色も――顔色は良いな? 物凄く。うっすらと紅潮してるというか熱でもあるのか?
 無意識で熱を計ろうと額に手を伸ばしてしまったわけだが、古泉の反応には仰天するばかりだった。
「はあぅっくっ! や、やめてくらさい!」
 驚いたろう? 手を振り払って飛びすさり、貼りついた鉄面皮みたいな笑顔が消え、説明魔で饒舌さが売りの古泉が台詞を噛んだんだからな。
 俺が気付かないうちに、またもや世界は改変されちまったっていうのか? しかし古泉、お前では某眼鏡文学少女程の萌えインパクトは発生しないと思うんだが。ソッチの気は欠片もないわけで、むしろこの鳥肌をどうしてくれる?
「どうか落ち着いてください! 今からちゃんと説明しますから!」
 お前が落ち着けよとのツッコミを胸の内だけに留め、息も絶え絶えな古泉が話した内容は以下の通りだ。
 どうやら最近の機嫌の良さからは判別つかんのだが、ハルヒの奴はまたもやなにがしかのストレスを貯め込んでるようで、半ば無意識下で発生してるため対処の方針も決めがたく、機関でも手をこまねいているらしい。なんだ、概ね普段どおりじゃないか?
 俺の感想に、これまた珍しく深い溜息をついた古泉が「少しばかり複雑でしてね」と続けた。
「僕達能力者が閉鎖空間の発生を『なんとなく』感知できるのは説明しましたね?
 閉鎖空間以外にも『なんとなく』わかってしまうものが他にもあるのです。
 大規模な閉鎖空間発生の原因となったストレスの種類、と言いましょうか。何を感じてそれを生成したのかが頭の隅で理解できてしまうのです。
 ああ、安心してください。貴方が不快に思うかと話さなかったのは謝罪します。ですが、涼宮さんの思考を読めるのではありません。テレパシーではなくシンパシーの方が的確に表現できると思います。
 例えばヒドイ悪夢にうなされて閉鎖空間を発生させたとしましょう。原因が悪夢だとなんとなく知ることが出来ても夢の内容までは伺えない、ということです。箪笥の角に足の小指をぶつけても、我々には肉体的苦痛が原因としか分かりません」
 いやな発生原因だな……。そんなことで崩壊の危機にさらされるなんて、どんだけ安い世界だよ。
226名無しさん@ピンキー:2007/03/28(水) 00:20:40 ID:EslqK30U
「ストレスが大きいほどに度合いを増して、漠然とした感覚を否応なく共感し翻弄される。これが今回はかなり長期的かつ強烈に、発生直前の状態を維持し続けている為に能力者を悩ませているのです。
 これでも、こと神人退治に関しては場数を重ねているものですから、状況を改善できない場合には、閉鎖空間の発生が確定するまで安穏と待機するくらいの胆力は養ったつもりだったんです。
 ですが、この共感現象に関してだけは涼宮さんが基準となっているために、その度合いに慣れる事も無く、且つ本人は無自覚なのに、僕達には知覚できる状態で共感を強制させられているわけで……さすがに歴戦の同志達もヘコんでます」
 そ、そうか。としか言えない自分が不甲斐ないが、ハルヒ自身も無自覚ならどうやってストレスを発散し得るんだろうな?
 古泉をして言いにくい要因とは? こいつらしいのからしくないのか、原因に関しては未だハッキリと語らないわけで――あ〜、ハルヒも一応女性の末席の隅の端には席を連ねているわけで……その、月のモノ、とか?
「……いえ、女性の同僚がうらやむ程、月経に関しては良好のようですよ。
 重度の疼痛を伴う生理不順による閉鎖空間は、年に一、ニ度有るか無いからしいです。
 幸いにもその手のストレスには、僕を含めた男性陣はうまく共感できないので胸を撫で下ろすことしきりです。乙女の複雑な心情が働いているのかもしれません。
 ですが女性陣にはかなりの負担らしく、この場合の閉鎖空間の際には、幽鬼のような様相で、鬼神もかくやといった鬼気迫る活躍を――っと、話が逸れましたね。
 肝心の原因なのですが……ここまでお話したので是非聴いていただきます。ストレス、では若干ニュアンスが伝わらないでしょう。日本語に直してみてください。解消すべき、ストレス、を」
 わかったから頬を赤らめるな。流し目を寄越すな。熱い溜息をつくな!
 出来る事なら耳を塞いで絶叫しながら教室へと引き返したくなっていたのだが……。
 イライラとか心理的ナントカとか? まあ一番最初に浮かんだのは――
「……欲求、不満、か?」
 ヒントと呼べるか判らないが、欲求は満たすもので解消すべきことではないからな。
 だから、更に赤くなるな! 鳥肌が全身にまわるだろう!!
「ご名答です。……それも」
 なんだよ? 全力で聞き流してやるから間を取るな。
 慎まし気に目を逸らし、可憐な美少年は、
「…………性的な意味合いで」
 そう話を締めくくったのだった。
 ……俺にどうしろと?
 くすんだスマイリーを視界の隅に追いやり、「あなたにお願いしたいのですが」のような開戦のラッパを耳にする前に、手の届く範囲に近付かず相手を吹き飛ばす必殺技を会得出来ないものかと、俺は脳内で修行に励むのだった。  



 部室の前で長門1号2号と化した俺達だったが、相手が死ぬエターナルなフォースを伴った吹雪を発動させる事も無く、ついでにドアをノックする気力さえも失って、ただ壁に寄りかかっては三点リーダーを量産していた。
 物語を動かすのは概ねコイツだと実証すべく、急ぎ足でずんずんと向かってくる諸悪の根源。
 男二人が長々と話し込んでるうちに掃除を終わらせたのだろうSOS団団長が、自らのアジトへと凱旋するのは夏休みが遅滞無く終了するのと同程度の自明の理なんだろう。頼りない理だな。
「おっまたせー! な〜にしてんのよ?」
 いいや、なんにも。
 コイツがストレスを、ねぇ……いや! 変な想像はしてないぞ。谷口に誓ってだ。
 あまりにも悩みがなさそうに溌剌としたハルヒに、普段と違った様子を見つけられなかっただけだ。
「まあいいわ。はいりましょ。やっほー! 入るわよー!!」
 おいハルヒ。「入るわよ」より早くドアを開放したら声をかける意味がないだろ。既にSOS団の枠を超え、全北高規模で地上に降りた最後の天使と認定された朝比奈さんの着替えが済んでなかったらどうする。
団最大の良心を自認する俺としては、あられもないその肢体を目撃するような事態には断固として紳士的な――
「ふえ? はふわぁ!?」
 朝比奈ボイスを入電! 唸れデビルアイ! 索敵開始! ホーミングモード!!
「ああん! 少し遅れちゃったみたいね! みくるちゃんの生着替えを鑑賞しそこなったわ!!」
 俺は胸を撫で下ろしたさ。ホントだぞ?
 朝比奈さんは既にメイド服を着用済みで、最後の仕上げにフリルで彩られたカチューシャを装着なさってる最中だったらしい。無遠慮に開放されたドアに反射的に声を上げただけのようで、ちっとも残念だとは思ってない。
227名無しさん@ピンキー:2007/03/28(水) 00:22:58 ID:EslqK30U
「もお! 掃除なんて廃止しちゃえばいいのにっ!」
 お前は学校を薄汚れたスラムにする気か?
「でもね? みくるちゃん」
 なんだ? 団長席に向かいながらハルヒ特有のトンデモ演説を開演するするつもりかよ。
 甘かったね。
 コイツは小首を傾げた朝比奈さんの脇をすっとぼけた顔で通りすぎると――クルリと反転し、あろうことか背後からアコーデオン奏者みたいに、豊かな胸を揉みしだきだしたのだ!
 わお! メガ・マック! などと眼福に喜んだりはしないぞ。紳士だからな。
 しかし久しぶりだな、このパターン。古泉曰くのストレスの発露か? 朝比奈さんがいつもの如く嫌がってるじゃないか。揉むなら自分の胸をだな、その、家人が寝静まった自室で、こう密やかに……ゴクリ。
「…………」
 この三点リーダーは俺だが、唾を飲み込んだのは俺じゃないぞ。今日はいったいどうなっちまったんだ? 古泉。お前のキャラじゃないだろう。谷口イツキとでも改名するのか?
「失礼しました、ですが」
「はひっ、やややめてくださぁあふっ! あ、いっ、やでふぅ!」
「ふふふ、油断したわね、みくるちゃん! やっぱり大きくなってるじゃないのっ! 誤魔化そうったってそうは問屋の棚卸で開店休業中よ!」
「そんなこと、ありまひぅんっ! なないないですぅ〜」
「そんなこと言っても体は正直よ? それともあたしの手が縮んだのかしらね〜え?」
「ストレスの減少が見られます」
「あうぅ、ひっく! もう許ひてくだふわわ!」
「そうね! 型を取ってプリンを作って見ましょうか!
 先っちょに付けるのは普通のカラメルでイイ? 苺味がイイかしら? ねぇみくるちゃん?」
「どちらも嫌ひや、耳は噛まないでくださいぃ! 食べないでぇ」
「しばらく様子を見るということで納得していただけませんか?」
「ハルヒ! いい加減にしとけよ。朝比奈さん涙目になってるじゃないか!」
「バトルロワイヤル形式で優勝者に進呈するの! 勿論我がSOS団も参戦するわよ!」
 お前は学校をストリートファイト溢れるラストブロンクスにする気か?
 入室して僅か一分でこの騒ぎだ。『女三人寄ればかしましい』と言うが、無駄にエネルギーを蓄えたハルヒのことだ、一般女性五人分は騒がしいだろう。泣き叫ぶ朝比奈さんも勘定に入れるなら『2かしまし』。
 この騒乱の中でも読書にいそしむ万能人型インターフェースは、静かなる事風林火山の如しで員数外だしな。
 いや待て。危うく聞き逃しそうになったが、古泉?
「久しぶりにコーヒーでもいかがですか? 今日は風も気持ち良いようですし、奢りますよ?」
 お前達の厄介事の為に無垢な天使を生贄に差し出せというのか! お前と睦まじく魅惑のアロマを啜り込むくらいなら、俺はここで天女が羽衣を剥かれる様を鑑賞……もとい見守る方を選ぶぞ。体面上、苦虫を噛み潰したようなしかめっ面のオマケ付きでな。
「た〜はすけてへぇぇぁひっ! キョンきゅぅ〜ん……」
 朝比奈さんからの要望とあれば涙を飲んで……少し本心が漏れたか。
 しっかし、ハルヒ、お前のそのけしからん指捌きは一体なんだ? 掌で全体を回すように揉みながら、十本の指が独立してランダムにうねくってるじゃないか。どんな乱数表を使ってんだよ。無駄なところまで万能選手なんだな。
 胸を凝視していたわけでは断じてない。これは断言しよう。失礼を働かないよう焦点はお顔に向けていたからな。ただ猛禽類並の周辺視システムはフル稼働中で、ちょっと虚ろだったかもしれん。
「もう満足しただろ? 温厚な朝比奈さんだってブチ切れるかもしれないし」
「なによ。あんたも揉みたいの? じゃあしょうがないから右の方を貸してあげる。あたしは、ふふふ」
「だから止めとけって! 右手を下げるな! マジ泣きになってるだろうが」
 いつにも増して度が過ぎてるな。たしかに欲求不満らしい……性的な意味合いで。
 まぁ、左手の指先まで繊細な動きをこなすのは、ハルヒ的に左手が胸、右手が【禁則事項】といった役割分担の――いかんいかん。ここで身体の一部に血液の過剰供給が行われたら死を意味するな。
 煩悩よ去れ! だが我が煩悩は108個まであるぞ! 普通だろ、それ? ……よし収まった。
 なんとかハルヒを引き剥がすと――恐ろしいことに、最後に朝比奈さんから離れたのは耳を甘噛みしていた唇だった――朝比奈さんが肩で息をしながら「ブチ切れたりしないよぅ…そんなふうに思ってたんですかぁ……ふみゅう………」と小声で呟くのが聞こえた。
 あと長門、今舌打ちしなかったよな?
228名無しさん@ピンキー:2007/03/28(水) 00:25:09 ID:EslqK30U
 まあ落ち着けと団長席にハルヒを押しやりながら、朝比奈さんからそっと距離を取る。もう大丈夫ですよ朝比奈さん。嵐は収まりましたから、カミツキガメにでも噛み付かれたと諦めて気を取り直してください。
「なによ! 何で邪魔すんの? 女の浪漫は男の浪漫でしょう!?」
「お前馬鹿だろう」
 思わず断言しちまった俺に、
「!! なんですってぇ! アンタ団長様に向かって!!」
「まあまあ、涼宮さん」
 助け舟を差し出したのは意外にも古泉だった。
「可憐な女性たちの無邪気なじゃれあいも、僕達には少々目に毒でして……。
 どうかご理解いただけたら幸いです」
「なによ! 古泉君ま…で……うん、そうね、ちょっと刺激が強すぎたかもね」
 古泉にまで噛みつくかとヒヤヒヤしたが、なんとか矛先を収めてくれたようだ。このへんは副団長としての人徳の差なんだろうか? しかしナイスフォローだ古泉。さっきの利己的な発言は水に流してやろう。
 なんだハルヒ? 俺を睨みつけたかと思えば視線を下に降ろし、ってどこ睨んでんだよ! 努力の甲斐あって平常状態だよ!
「フン! 特に議題も無いから今日は先に帰るわ! 戸締りはよろしくねフン!」
 いーでーキョン! 謎の捨て台詞を残すなハルヒ。
 ほんと台風みたいな女だ。まだ部室に入って五分くらいだろうに。
 ドンドンと床を踏み鳴らし、竦み上がった朝比奈さんの脇を抜け、入り口に佇む古泉の前で一瞬の躊躇を見せてから、ハリケーンハルヒは部室から姿を消した。
 ……なるほどね。古泉の推察に寄れば、エキセントリックに過ぎても中身は意外と常識的で純情な乙女らしい。古泉への反論が尻窄みになるわけだ。さっき水に流したことを水に流していいか?
 目を向けると、えらいベタな前屈み古泉がそこに居た。今日は失態続きだな……。



「…ええと、どうにか一段落つきましたね」
 歯切れも悪く口を開いたのは古泉だ。自慢の爽やかスマイルもいまや所々ヒビ割れ、部室の空気はとことんまで重かった。
 ハルヒが帰宅し、俺と朝比奈さんの目を気にしてか、壁際に体を向けたぎこちない歩調で自分の指定席に向かう古泉を、冬の夜空みたいな瞳で無表情に観察していた少女が一人。
 椅子に腰掛けたまま目を落としていた書籍から古泉へと視線を変え、角度は床と水平に保たれていた。ドコ見てんだよ? 可愛そうだから勘弁してやれ、長門。
 古泉は羞恥に頬を染めながら自分の席に辿り付くと、無遠慮インターフェースの凝視から逃れようと椅子ごと廊下側へ体を向けたのだが、そちらからは無邪気な小悪魔が慈愛に満ちた甘露を運んできたわけだ。針のムシロとはこの事だろう。
 あわあわと動作不良を引き起こした朝比奈さんを俺が宥めると、古泉はげんなりした様子で廊下での説明を繰り返した。 語り終えて冷めたお茶を飲み下し、出てきたのがさっきの台詞だ。
「このような前例は無かったもので、おそらく涼宮さんも今までは定期的に手際良く発散していた、と推測できるのですが……失礼、これは失言でした」
 『紅は朱より出でて朱より赤し』なんて諺は聞いたことがないが、限界まで真っ赤になってお盆の陰に身を潜めた朝比奈さんに、古泉は言葉を切った。どうにも居心地悪いよな、この話題。
「この週末は不思議探索も無かったので物理的に距離を取ることで対応していたのですが、どうにも今日一日で僕の神経も随分磨り減ってしまいまして、閉鎖空間を発生させることでストレスが軽減するならば、今回だけは早々の発生を望んでしまうのですよ。
 他にも想定できる解決手段が無いわけではないのですが……。
 それと長門さん。あまり見つめないでいただきたいのですが」
 読書とは違った姿勢で硬直していた長門が顔を上げると、
「古泉一樹。あなたの身体は現在性的興ふ――」
「ながっ! 長門さん! すべてをつまびらかにすることが必ずしも美点ではないですよ?」
「……そう」
 短い返答を残して定位置定姿勢へと回帰し、この部屋の風物詩である読書体勢へと戻った。
 ……もしかして凝視してたんじゃなく、今までフリーズしてたのか?
 解決策は見つかっていないが、長門に求めるのはちょっとな……かといって朝比奈さんでも――まだ紅潮したまま、きょとんと首を傾げているが――荷が重過ぎだろう。
 でも、もしかしたらこの可愛らしいお顔に似合わず物凄い解決案や、ストレス発散の、その…オカズになるようなあれやこれやが――
「――そう」
「? 長門さん?」
 ポツリと漏らした長門の一言に反応したのは笑顔の残滓を顔面に貼りつけた古泉だった。
 俺はただ戦慄していた。
229名無しさん@ピンキー:2007/03/28(水) 00:27:14 ID:EslqK30U
 まさか心が読めたのか長門? ――縦にコクリ。
 今までずっと黙って読んでいたのか? ――横にフルフル。
 そうか、ホントは心なんか読めないよな? ――縦にコクリ。
 ……やっぱり眼鏡は無い方がいいな。有希っち。 ――伏し目がちに目を逸らす。
 キノコ促成栽培キットよろしく全身から三点リーダーを芽吹かせながら、俺は絶句するより無かった。
「……ジョーク」
 そ、そうか……腕を上げたな。でも、冗談は止めろ! マジ危ないって! それが本物じゃなかったとしてもビビるって! 意味が分からないし笑えない! いいからその危なっかしいジョークをどっかに封印してくれ!
 心胆寒からしめられたと同時に何故か脇腹までチクリと疼いたぜ……。汎用人型決戦インターフェースって怖いな……。
「どうかしたんですか? 何かのゲームか符号ですか?」
 内心穏やかでないらしく、古泉にしてはまったくらしくない余裕の無い詰問だ。端から見てたら、無言で俺と向き合った長門が頭を上下左右に動かして、謎のコマンドを入力しているように見えたのかもしれん。
「なんでもない。何か良い案がないか長門とアイコンタクトを取ろうとして失敗しただけだ。他意はない。本当だぞ。
 とりあえず俺のほうでも何か考えておくが、まああまり期待しないでくれ」
「あなたに一番の期待を寄せているんですがね。……冗談としておきましょう」
 殴るぞ? 今なら悠久なる理力のブリザードが出せそうだ。なにせ心胆寒いんでな。とう!
 俺の魂の中で炸裂した必殺技に気付きもせず、嘆きのエスパーマンこと古泉は肩を竦めた。
「どうも今日は頭のネジがいくつか緩んでいるようで、もう失礼を働かないように今日はお先に失礼させていただきますね。
 どうにも頭の中の靄が晴れなくて、少し風にあたってから帰ります」
 その靄はピンクなんだろうか?
 片手を上げてそれではと去っていく小泉に、
「お、おつかれさまでした。あっ! あわっ!」
 朝比奈さんが挨拶を返す。
 朝比奈さん、手で目を覆うのはいいんですが、指を開いたり閉じたりはいただけませんよ。古泉も話してる間に落ち着いたでしょうから、あれはただのズボンの皺ですって。多分。



 しかし今回の件では俺に出来る事はなさそうだ。
 朝比奈さんの視線から守るように古泉の送り出した際、
「パソコンの履歴に、涼宮さんの露出の高い写真の収まったフォルダを開いた形跡や、涼宮さんに似た女優の映像のある、いかがわしいサイトを巡回した痕跡でも残してもらえると、もしかしたら穏便に事が収まるかもしれませんよ。
 どうです? お願いできませんか? 一番良いのは貴方自身がいかがわしい行――」
 などと……ボロボロだな、古泉。俺以外は穏便かもしれんが、自分から雷雲に突撃するような趣味はないぞ。スマンが却下だ。
 本気で頭を冷やして来い。学校なら水道はタダだしな。ついでにカロリーオフだ。思うさま肺を満たすがいい。優しく背中を押して退室を促してやった。
 自分の席に戻って温くなってしまったお茶で喉と思考を潤すと、朝比奈さんがお代わりの確認をしてきた。
 ありがたくいただきますよ。今日は呑みたい気分なんです。
「ふふ。でも、どうしたらいいのかなぁ? 涼宮さんの事……。私が……我慢すれば?」
「いや! 朝比奈さんが犠牲になることはないですよ! ハルヒが満足するのに何時間かかるか分かったもんじゃないですし、古泉も言ってたように一番良いのはハルヒ自身が自、分…で……その、アレしたほうが……」
 くそっ! なんて議題を持ち込みやがったんだ。この場合恨み言をぶつける相手はハルヒか? 古泉か?
「え〜、その、今日みたいな事には強く拒絶した方がいいと思いますよ。調子に乗るとどこまでも遠慮のなくなるヤツですしね。嫌だったらバシッとやっちゃってください」
 それはそうなんだけど、う〜。と胸元にお盆を抱き締めてなにやら考え込んでしまう朝比奈さん。その程度のお盆では隠し切れていませんよ?
「涼宮さんだとなんとなく強く言えなくなっちゃって。少しくらいなら絶対にイヤとまでは……人前ではかなり恥ずかしいから許して欲しいけど……でも着替え中とかお風呂の時は、この時代の女の子なら当然のスキンシップだって鶴屋さんが言ってたし……」
 なに丸め込んでんですか鶴屋さん。
230名無しさん@ピンキー:2007/03/28(水) 00:31:27 ID:EslqK30U
「……もしかしたら私がいけないのかなぁ、なんて……この胸が…好きでこんなになったわけじゃないのに。それは、少しはくらいは誇らしくて、たまに鏡の前でポーズを……
でも、もうちょっと小さくても困らないと言うか、実際面倒なことも多いし、体を洗う時なんか色々目が届かなかったり、体育の時もちょっと走ると痛かったり、重心が……
ううん、運動が苦手なだけって言ってしまえばそれだけなんだけど……肩凝りなんか『ちっ』…………え? ひぃっ!」
 うん、最近耳掻きサボってたかな。幻聴が聞えた気がしたが気のせいだ。
 妙なツボに入ったのか一人独白愚痴大会に没入していた朝比奈さんが、幻聴に合わせて顔を上げたのも気のせいだろう。
 ただ、恐怖にゆがんだ可憐なお顔を俺の背後に固定し、全身がガクガクと震わせ始めたのは気のせいでは済まされない。
 ゆっくりと背後を振り返る。相変わらず読書に励む長門。ページを繰る乾いた音。
 すると窓の外にでも何か居たんだろうか? 逆さ生首とかな。いや、それなら朝比奈さんの意識は一撃で断ち切られていただろう。それに幽霊モノに関してはルソーの一件でクリアしてるから、まだ姿の見えていない異世界人か?
 窓の向こうにはまだ黄昏タるには早いらしく、まだ青く澄み切った空が何処までも広がっていた。ふむ。
 産まれたての雛鳥のようにプルプル震え続ける朝比奈さんに視線を戻すと、なぜか一段と震えがひどくなった。
 もう一度振り向く。今度は素早く。
 相変わらず読書に励む長門。ページを繰る乾いた音。そして青い空。
 また視線を朝比奈さんに戻す、と見せかけて振り向く。少し酔いそうだ。
 相変わらず読書に励む長門。ページを繰る乾いた音。
 ……今日はいつもより読書が進むようだな。長門。さっきまで手は止まっていなかったか?
 今度こそ朝比奈さんに向き直り、大丈夫ですから落ち着いてくださいと支えながら、頭の中でとある呪文を唱え始めていた。呪文を使えるのは宇宙人だけとは限らないんだぜ。知識では知っていても体験したことはないだろう? 
 だるまさんが・こ・ろ・ん――
「だ!」
 呪文の効果だろう。絶対零度の瞳から冷気を漏出させた宇宙人の姿を一瞬だけ視覚に捕らえ、次いで驚きに目を見開く無感動文学少女が、動揺も現わに連続してまばたきする様をも捕らえた。
 不思議な要素が複雑に絡み合ったこの部室が、すでに異空間化していると聴いたのはいつだったか。古泉要素が崩壊した分、今日はバランスが崩れているのかね? ピンク色の霧で。
 視線を本に戻しては頁を捲り、俺の顔を伺っては本に目線を落とし頁を捲る、そんな動作異常を繰り返す長門を眺めながら、俺はそんなことを考えていた。
 ――と、パタンと音をたてて本を閉じると、長門はすっくと立ち上がった。
 ビクッと怯えた朝比奈さんを背後に庇うのは、流石に長門に失礼だろうとそのままの姿勢で問い掛けてみた。
「どうした?」
「涼宮ハルヒは」
 うんうん。長門としても変な行動を取ってしまったことを誤魔化したいんだろ。まかせろ。お前の凡てを許容してやる! さあ来い。
「その成長過程で、同性異性問わず同年代との接触が希薄だったため、スキンシップに関していくつかの悩みを抱えていると推測される。おそらく渇望と方法と加減」
 悩みってことは――
「悩むってことは、自覚があるんですね?」
 と、これは朝比奈さん。
 彼女にも分かるように頷く長門。
「つまり、好意的な接触を試行錯誤したら、今日みたいに暴走してしまうわけか」
 ハルヒが過ごした普通人だった小学生時代や、孤立気味だった中学生時代に想いを馳せて、チクリと胸が痛んだ。
 独善的な行動ばかりが目を引くが、仲良くなったら即身内、そして身内には――なぜか俺だけ除外されるが――とことん甘いのがウチの団長である。根は真っ直ぐなイイ奴なんだが、なぁ。
「そう考えると涼宮さんって」
 隣の天使がクスリと微笑んだ。
「なんだか、すごく可愛らしいですよね?」
 後光が見えます。ああ、可愛らしいのはあなたですよ朝比奈さん。ここが植物園なら今すぐ全ての蕾が花開くでしょう。あのような狼藉を働かれても、微笑で流せるのはあなただけです。
 明日からハルヒには煎茶ではなく、あなたの爪の垢でも煎じた茶を出すのはいかがでしょう? 焙じて出すのも良いかもしれません。
 提供者の半分でも可憐さが身につけば北高の双璧として、いや感情を吐露する長門が含めればスリートップとして後世まで伝説を残すことは間違いなく……これはお世辞じゃなく本当に思ってるんだぞ。
 だから、その、心を読んでたりはしないよね、長門さん?
231名無しさん@ピンキー:2007/03/28(水) 00:31:47 ID:KO2K6Mq1
支援
232名無しさん@ピンキー:2007/03/28(水) 00:33:08 ID:EslqK30U
 俺が長門の視線における温度変化の観察に精を出していると、朝比奈さんの表情がまたもや翳りに沈み込んでいた。
「今日の様な事があっても、ちょっと拒否しづらくなっちゃったかなぁ。それに古泉君の言っていた件もあるし……」
「その処置は、古泉一樹の懸念事項に対して適切な処置とはいえない」
 どう言うことだ? 古泉は少しだがストレス解消になってるようだと言っていたが。
「その方法を選択した場合、涼宮ハルヒのストレスが半減するまでに要する時間は二時間五十二分」
「そっそ、それは困りますぅ! そんなに長くされてたらもげちゃいますよう!」
「――モゲロ――この行為が中断されると高確率でリバウンドを引き起こす」
 いま何か囁かなかったか? いや待てよ。するとさっきの状況はかなり……。
 こいつにしては珍しく、死期を告げに来た死神のように厳粛に、だが大きく頷いた。
「古泉一樹は……おそらく今夜がヤマ」
 こ、古泉ぃー!!
「次善策を一つ講じたが、現在私達に出来ることは事態が動くまで静観するだけ」
「……念の為聞いておくが次善策ってなんだ?」
「素直ではない気の強い幼馴染系同級生を拘束して【禁じられたワード】する動画の、内容説明とサンプル画像を配布しているサイト……を閲覧した痕跡をパソコンの履歴に配置した」
 …………。
「オマケとして、泥酔して反応の乏しい短髪美少女に【禁じられたワード】する連続写真を鑑賞できるサイトと――」
 泥酔できる年なら少女じゃないだろう。
「――愉快なほど豊満に過ぎる胸部を搭載したメス猫が【禁じ】のまま【られた】された上に【ワード】の限りを尽くされる、そんなテキストを掲載しているサイトを閲覧した痕跡も、パソコンの履歴に配置した」
 頼むから三つとも消してくれ。マジやばいって!! 朝比奈さんが赤くなったまま青くなったもんだから今の顔色は紫色だぞ!?
「特にテキストサイトは秀逸で、涼宮ハルヒの心の琴線に触れるだろう文体と、確かな筆力により内容は深層心理に刻まれ、以降何らかの情報爆発が発生した際、少なからぬ確率で実現するかと思われる」
 消せ。断固として消せ。おい長門、情報統合思念体の命令はたった今解除された。なんなら、その指令は俺が上書きする。朝比奈さんも居るんだ、消してやってくれ。「ぴぃっ」とか鳴いて動かなくなっちまったろうが。
 それと【禁じられたワード】ってなんだよ? 多分流行らないと思うぞ。
「……そう。履歴の消去を実行した」
 そんな悲しげな表情を見せるな。蘇生途中の朝比奈さんにはわからないようだが、俺にはなんとなく無表情系TFEIが拗ねてるように見えた。
 だが信頼してるぞ、長門。ただハルヒも居ないことだし、久しぶりに団長席にふんぞり返ってみたい気分だなあ。よっこいしょっと。
「あ……」
 どうした長門。なにを驚いている? パソコンの電源スイッチ付近で、日頃の勉学で凝り固まった手首の屈伸運動する度に、どうしてピクピクと反応している? 
「今、確実に消去を確認。信じて」
 いや疑ってないぞ? 絶大なる信頼を置いてるしな。お前が目を逸らしたから見えないだろうが、今の俺の瞳は純真さにキラキラしてるハズ。
 安心してくれていいですよ、朝比奈さん。
「古泉の件は、長門の言うとおり暫く様子を見るしか無いでしょうね。そのうち危険のないスポーツで対抗試合なんてのもいいかもしれません。
 ハルヒの狼藉に関しては、これはビシっと言ってやって下さい。俺も援護しますし、何よりハルヒの為に必要だと思いますよ」
 野生の肉食獣達は小さい頃のジャレ合いで、狩りの基本から同属へのスキンシップの加減までを学ぶというしな。ハルヒみたいにハンティングだけ超一流でも、世の中はうまく渡れないもんさ。
「その件に関しても私からの提案がある」
 息を吹き返した朝比奈さんの、そうですねという返答に重ねるように口を開いたのは、またしても長門だった。
「朝比奈みくる、あなたは胸部への過剰な接触を好ましくないと感じている。私には解決策を提供する用意がある。許可を」
 なぜ許可の部分だけ俺に求める? そこは本人に確認してやってくれ。
「……そう。……もしあなたが過剰な接触を好み、享楽的な姿を異性に晒すことを密かに望んでいるなら推奨はしない」
 なぜ部室の出入り口へと向かう? 朝比奈さんは「そんなことありませへぇん!」と半泣きだぞ。
「でも状況の改善を望むのなら、わたしはあなたの力になりたいと感じている。あなたは……大切な仲間」
 なぜドアの鍵を弄ってる? 申し出を受けた彼女の方は、感動と喜びに潤んだ瞳を震わせているぞ。 
233名無しさん@ピンキー:2007/03/28(水) 00:34:12 ID:EslqK30U
 カチャリという施錠の音を、殺し文句で相殺した長門の顔には、微笑みのようなものと呼べる気がしなくもない表情が浮かんでいたりいなかったり……スマン、今回はうまく読み取れなかった。
「ありがとうございます! 長門さん! ぜ、是非好意に甘えさせてください!! あ、でもどんな方法なんでしょうか?」 
「今から簡単な処置を行う。涼宮ハルヒが胸部への接触した際、心理的な違和感を想起させる為の遅延起動式ナノマシンを注入。これによって――」
「処置ってなんなんですかぁ? どんな違和感なんですかぁあ!? ま、まさか長門サイズにあひぇっ! ちが違います、ごめんなさいごめんなさい!?」
 それ地雷だと思います。あぁ捕まった……ドアには鍵が……。
「――コレこれによってテテ……あなたは黙るべき。
 この処置によって涼宮ハルヒが胸部への接触を希望する回数が劇的に減少。接触する際にもあなたの許可を求める状況を高確率で確立すると予測される。
 ……あなたが不安に感じている身体の外見的な変質・変形は無いと断言する。ナノマシンの効果維持時間は48時間。効果発動時間は10分。発動回数は1回に設定。肉体的にも健康的にも無害」
「そ、そうなんですかぁ〜?」
「そう。少なくとも目から破壊光線、胸から不気味ミサイル、耳から奇妙な汁を発射するより健全と断言する」
「そ、そんなモノ発射してませぇん! それでは、その、おおねお願いしま――」
「いい。既に許可は取ってある。その時点からあなたの意思は尊重されない。私がさせない。これより状況を開始する」
 ど、怒涛の勢いだな。長門。でもなんだって朝比奈さんの腕をベチベチを叩いてるんだ?
「この行為により血流を促進、血管の位置確認を容易にする」
 そうか。ナノマシンを注入するための準備ってやつか。にしても今までは一度もしていなかったと記憶してるんだが。
「ナノマシンは毛細血管からでも不備なく注入可能。この行為は儀式」
 …………。
「古来より概ね儀式自体に意味は無い」
 ガブリ、と聞えて来そうな勢いで、叩いたところを避けて噛み付いた長門を尻目に、
「ひぇ〜え……キョンく…ん、キョンくぅ〜ん〜あうっ」
 朝比奈さんの『哀らしい』声をBGMとして、ようやく赤く染まり始めた空を眺めていた。
 あぁ、明日も良い天気になりそうだ。
 こうして週明けの、日常と非日常の狭間にある一日が幕を下ろし、事件の幕が開かれたのだった。
234名無しさん@ピンキー:2007/03/28(水) 00:35:46 ID:EslqK30U
オワタ。第1部 完!
「名無しさん@ピンキー先生の次回作にご期待ください」
235名無しさん@ピンキー:2007/03/28(水) 00:41:54 ID:VJlOF/Nl
乙。第1部って事は2部があるのか?続きが楽しみだ。
236名無しさん@ピンキー:2007/03/28(水) 00:43:59 ID:N5evOdqG
wktk
237名無しさん@ピンキー:2007/03/28(水) 00:46:50 ID:qZ84wAv9
>>234
それは打ち切りの台詞だろww
まぁとにかくwktk
そして不覚にも鶴屋さんで吹いた
238名無しさん@ピンキー:2007/03/28(水) 00:47:30 ID:EslqK30U
投下に手間取って申し訳ない。支援感謝。
禁則文字を数え損ねてたり、改行処理し忘れてたりで
いくつか『1行が長すぎ』に引っかかってました。124文字はギリっぽいです。

頑張って完結目指しますね。「もうちょっとだけつづくんじゃ」
239名無しさん@ピンキー:2007/03/28(水) 01:27:04 ID:UisNOqZX
>>222
鬼才現る!

続きは?
240名無しさん@ピンキー:2007/03/28(水) 01:45:01 ID:+HQFUPCS
>>222
あー。
個人的な希望から言うと下着から脱いでくれた方がよりエッ(ry
241名無しさん@ピンキー:2007/03/28(水) 01:58:00 ID:otnSi9lM
>>234
面白かった。続きが楽しみだ。あと小泉は古泉に直してくれ
242名無しさん@ピンキー:2007/03/28(水) 02:49:47 ID:eK0iXJzQ
>233
「私がさせない」
かっこいい台詞の激しい誤用に吹いた
243名無しさん@ピンキー:2007/03/28(水) 14:47:55 ID:J6i8NXfJ
あまりに横長な文章でびっくりした。
244名無しさん@ピンキー:2007/03/28(水) 15:29:12 ID:60KSkKgN
「ハル…ヒ…?」
「…ごめんね、キョン……あたし…こんな体になっちゃった……」


とゆー夢想をしていっきに欝になった
245名無しさん@ピンキー:2007/03/28(水) 15:37:37 ID:zxOq3eio
どんな体かkwsk
246名無しさん@ピンキー:2007/03/28(水) 15:43:56 ID:5vdcJ12w
最終兵器か
247名無しさん@ピンキー:2007/03/28(水) 15:45:02 ID:60KSkKgN
そりゃもちろん最終兵器な彼女のつもりだったが…

まてよ…
宇宙人(笑)に捕まって実験されまくった上に変態的改造されたあげくの果てに脳と脊髄だけになってシリンダーで保管される……



ごめん、欝になった
248名無しさん@ピンキー:2007/03/28(水) 15:51:12 ID:zxOq3eio
あぁあれか
249名無しさん@ピンキー:2007/03/28(水) 16:05:40 ID:vtujFBjH
ハルヒが広帯域宇宙存在に浚われて、ソレを助けに向かうSOS団。
無数に立ちはだかる謎の奇怪モンスター。
なんとか撃退し、ハルヒの監禁された施設に到着したのだが……。

そこには、うつろな表情を浮かべながら

 「助けに来たぞ! ハル……ヒ?」

 培養液のなかで下半身を変容させ、

  「は…る………!?」

  モンスターの卵を産卵し続けるハルヒの姿が――。

   「……あ、あぁ、ぁぁぁあ――」

声が届いたのだろうか、視線をさまよわせ、茫洋としたまま微笑を浮かべるハルヒ。

 「…きょ……ん………きょ…ん……」

  「うああぁあぁぁぁあああ!!」


こんな内容のアニメが以前TVで流れてたと、どこかのテキストサイトで見た
250名無しさん@ピンキー:2007/03/28(水) 16:15:24 ID:eK0iXJzQ
うーん、それは凹みそうだから、書いてくれなくていいよぅ(;´Д`)
251名無しさん@ピンキー:2007/03/28(水) 16:32:07 ID:Q7X9PwR4
来るのか。シュールの次は鬱ブームが来るのか。
……それは、勘弁してくれ。
それならいっそ、もっとワカメブーm
252名無しさん@ピンキー:2007/03/28(水) 16:37:18 ID:sAxQQl1H
長文感想の要約人は見事だなw
253名無しさん@ピンキー:2007/03/28(水) 16:43:42 ID:FfAJGaxN
>249
アークザラッドだっけか
254名無しさん@ピンキー:2007/03/28(水) 16:57:02 ID:7Ax1gafi
途中に鬱要素あるのは許容できるが、オチまで鬱は勘弁。
>>252
ありがとう
255名無しさん@ピンキー:2007/03/28(水) 16:58:03 ID:vtujFBjH
たしかそう。アークザラッド2のTVアニメだったはず。『白い家』とか副題が。
レンタルでも見ないし、ようつべだと英語音声しかなかったからざっとしか見てないけど
テキストサイトの文章だけで胃がうああぁあぁぁぁあああ!!

切ない系はスキだけど、鬱系は、書こうとしたら胃に穴があくだろう!
256名無しさん@ピンキー:2007/03/28(水) 17:48:45 ID:+wQSNDIK
アークザラッド2は名作RPGと言われるが結構内容はキツいんだよな

怒濤の鬱展開から、無駄に体力だけあるラスボスへの戦いへ繋がれる様は圧巻
257名無しさん@ピンキー:2007/03/28(水) 17:49:29 ID:PqyakuF2
アークはゲームの1、2以外は真っ黒歴史なんで語らないであげてください
258名無しさん@ピンキー:2007/03/28(水) 18:03:46 ID:6la+8/at
とりあえずおまいらがこれまでに読んで泣いたSSを挙げてください。
参考にするから。
259名無しさん@ピンキー:2007/03/28(水) 18:05:31 ID:ih6il2Gb
ない。
260名無しさん@ピンキー:2007/03/28(水) 18:23:02 ID:lC7DGFKO
昔のは覚えてないし今携帯なんで保管庫見れんが一番最近は
非単調ラブロマンスはまどろまない(携帯変換できないorz
261名無しさん@ピンキー:2007/03/28(水) 18:24:15 ID:gsUsQjuz
>>258
校庭は、いつにもましてパーフェクト
262名無しさん@ピンキー:2007/03/28(水) 18:27:03 ID:60KSkKgN
キョンが失明するやつだけ泣いた
263名無しさん@ピンキー:2007/03/28(水) 18:37:42 ID:eK0iXJzQ
>258
>217のが泣けたぞ。あとタイトルが出てこないけど、
長門が消えるその日に、ケーキを焼いておいてキョンに託すやつ。
264名無しさん@ピンキー:2007/03/28(水) 18:55:26 ID:3KcdrtMP
初期の方の、朝倉が長門に消されるまでの数秒の間に、自分とキョンが付き合ってるって設定の夢をキョンに見せてたSSは泣けた
265名無しさん@ピンキー:2007/03/28(水) 18:57:22 ID:fqlS3jV/
>>262
二度目の選択だったかな?
266名無しさん@ピンキー:2007/03/28(水) 19:04:58 ID:/fx5Fc6O
267名無しさん@ピンキー:2007/03/28(水) 19:35:01 ID:W+Gx+R1E
 春休み間近の物憂い放課後だった。部室でめいめいの時間を過ごしていると団長から号令がかかった。
 凄い発見をしたかもしれないわ、皆、駆け足で集合しなさい、とハルヒが大きく手招きする。
 ひとまずボードゲームを中断して立ち上がる俺と古泉。切りのいい場所まで読み終え、本に栞を挟んでか
ら来た長門。そして湯飲みを布巾で拭いていた朝比奈さんが最後。ネットの海を徘徊しているうちに興味を
引く画像でも発見したのだろうか。さて何が映っているのかと確かめてたがブラウザは閉じられ、パソコンの
画面には味気ない壁紙のみが表示されている。ということはパソコンがらみじゃないのか。
 ハルヒは全員の顔を見回してから、唇の前で人差し指を立てる。
「小さく輪になって。もっと、もっとよ。互いの肩が触れるくらいに小さく小さく」
 素直に従うがどうも様子が変だ。あまりにもらしくない。コイツはいつだって人の都合なんてお構い無しにそ
の場で用件をまくし立てるだけの、まさに要求突きつけ魔なんだが、今だけはひっそりと内緒話をしたいと?
ここまでして一体どうしたんだ、と聞けば、絶対に内緒よ家族にも口外せず胸に秘めておいて、と前置きす
る。雰囲気から察するにこれは、少なくとも耳元で「わっ!」なんて戯れじゃなさそうだな。古泉も朝比奈さ
んも、長門さえも表情を引き締める。ハルヒは皆の頷きを確かめてから、心して聞いてねと言葉をつむぐ。
「皆、タクシーが給油している場面に遭遇したことある? あたしは、ないわ」
 人目を忍ぶように低く小さな声で喋る。表情は珍しいほど緊張に満ち、一言一言選びながら話している。
おっといけない、とハルヒは俊敏な動きで背後の開放されていた窓を閉める。カーテンを引いてしまえば運
動場から旧校舎まで届く運動部連中の掛け声も、吹奏楽部の時々音を外すパート練習の音も消えて、無
音の薄暗がりが部屋を覆った。ハルヒは闇に揺り動かされるようにまた一つトーンを下げる。
「無数にタクシー会社が存在して、あれだけタクシーが走りまわっているのよ。駅前なんて客待ちのタクシー
 であふれ返っているわ。個人経営のタクシーを含めれば一県だけでも相当な数にのぼるでしょうね。数千
 台は……ううん、大都市ならそれこそ数万数十万台のタクシーが走っているはずよ」
 ここまでは良いわね、そう、もしかしたら皆、薄々勘付いているかもねとハルヒは言う。
「……大丈夫、続けて」
 長門。
「車が走るためになくてはならないものガソリン。おかしいじゃない。もちろん見逃しだってあると思うわ。でも
 十数年生きてきてたったの一度もないの。数万台のタクシーが消費するガソリン。膨大な量でしょうね。
 それがどこから来ているのか。今の今までどうしてこんな単純な謎に気付けなかったんだろう。不思議なもの
 よね。日常の陰に隠れていた謎っていうのかな。今度の議題はコレ。もしかしたら結成以来一番の大仕事
 かも知れないわね。きっと、民間人のあずかり知らないところで秘密裏に結ばれた契約があって――」
「涼宮さん」
 もう耐え切れない、とでも言いたげに朝比奈さんが口を開いた。
 む、と顔をしかめるハルヒをまっすぐに見据えてから、
「タクシーはガソリンを必要としないんです。ガソリンスタンドでタクシーを見かけないのはそのためなんです」
「あのね、そんなわけないじゃない。じゃあ何を動力に奴らは街中走っているのよ。辻褄が合っていないでし
 ょう。いい?あたしが推測するところでは――」
「お願いします、信じてください」
268名無しさん@ピンキー:2007/03/28(水) 19:38:57 ID:W+Gx+R1E
 優しい、なんて言葉だけで包んでしまいたくない。優しいだけじゃなくて朝比奈さんは強い。ありきたりの
言葉で片付けてしまえば朝比奈さんという人間を取り違えたことになる。口火を切ること即ち、オブラート
で包んだとしてもちょっとばかり勘違いしていますよ、と真っ先に言ったのと同義だからだ。それに朝比奈
さんは真っ先に志願した。とてもじゃないが俺にはできやしない。
 だが聞く耳なんて持っちゃいない。奴の熱弁は続く。しかし。
 最初こそハルヒは強気の口調でありえないような持論を展開していた。秘密結社やCIAやKKKといった
単語が飛び交う。だが、俺たちの雰囲気で伝わったのだろうしだいに語気が弱くなり、終いには、弱く「あ
たしがガス欠になっちゃった」と言っていた。誰一人としてハルヒと視線を合わせようとしない。一縷の望
みをこめて見遣った相手は。
「ね、ねぇ古泉君」
 神様直々のご指名に、顔を上げてしかたなく、真一文字に結んだ口をほどく古泉。審判が下される。
「……本当です。ほとんどのタクシーは液化石油ガス、いわゆるプロパンガスを燃料として走っています。
 これはガソリンとは全く違う種類の燃料なんです」
「じゃあどうやって――」 落胆、失望、羞恥が入り混じった声。
「表通りで見かけることはほとんどありませんが専用のスタンドがあるんです。一般車両に混じって給油して
 いては、給油に手間取って、大事なお客様をお待たせすることになりかねませんから。税金の問題もある
 そうです。それに大規模なタクシー会社の場合、事務所にスタンドが併設されていることもあるとか」
「詳しいのね、古泉君」
「ええ、実は、僕の遠い親戚がタクシー会社を経営していまして」
「それってこの前の孤島の人と同じ人?」
「そうです」
 さらりと嘘をつくんだな。それが悪いなんて言えないが。
 古泉がカーテンを引き、朝比奈さんがそっと窓をそっと開けた。花曇りの天気の奥から淡い光が差して、温
い風が一陣吹く。またあの掛け声が戻ってくる。
 まあ気にするなよ、と苦笑しながら背中を叩いてやると、「どうせ心の中で馬鹿にしているんでしょ!? 悪
かったわね」の怒鳴り声と共に三倍四倍にして返された。制服の上から跡がつくかと思った。どうして善意を
仇で返すかね。団長様にとってお恥ずかしい結末となった今日の部活。あまりの的外れっぷりに周囲でも苦
笑いが絶えない。からかってやりたいところだがこのまま全てをやり過ごして何事もなかったように明日を迎
えるべきかね。皆同じ気持ちのようだった。それじゃまた明日。
 ゲームを片付けて鞄を持ち、部屋を出る。一番に退室した団長様は振り向くこともなく足早に去っていく。
おー、おー、ついには走り出したよ。そんなに恥ずかしかったか。
 施錠したところで長門が、今日見ていて思った、あなたと涼宮ハルヒはお互いに、とこぼした。
「俺とハルヒが互いにどうしたって」
「田舎道を走るタクシーもそう」 宇宙人の目が照り輝いている。
「その心は?」
「……とてもすいている」
 ――ぎゃふん。

 END
269名無しさん@ピンキー:2007/03/28(水) 19:42:16 ID:iqugM2QV
なんか、何を狙ったのか分からないSSだな。
270名無しさん@ピンキー:2007/03/28(水) 19:43:09 ID:eK0iXJzQ
ぎゃふん!
271名無しさん@ピンキー:2007/03/28(水) 19:48:48 ID:WaXLt65J
最近スレ内の感想でよく「泣いた」って書いてる奴がいるが、本当に泣いてるんだろうか?
いやまあ「抜いた」とか「(コーヒー)吹いた」と同じで賞賛表現の一つなんだろうけど。
272名無しさん@ピンキー:2007/03/28(水) 20:24:19 ID:otNUVxqS
俺は涙腺緩むのは少なくないがガチで泣くまでいくのは無いな。
273名無しさん@ピンキー:2007/03/28(水) 20:28:09 ID:eK0iXJzQ
その日の精神状態によっては、本当に涙がこぼれることもあるぞ。
まぁたいていは、「涙腺が緩む」どまりかな俺も。
でもたぶん鏡で見たら、立派な泣き顔になってる気がする。
274名無しさん@ピンキー:2007/03/28(水) 20:36:23 ID:yeZ//K88
深夜にのめり込んで読みふけってると、ジワリとくる時はあるなぁ。
ダバダバ泣いたのもあった気がするが、なんだったか……? 滅多にないが。

気分的に、『たまには泣いてみたい時』にかさなると、ありきたりな感動映画でも
泣いてしまうのと同じ感覚で、ジワリきてる自分を楽しんでるのかもしれないけどね。

「あのシーンで哀切を盛り上げるのが上手かった」
だと、無粋な気がして、「せつねぇー!」とかで済ませたりはしちゃう。

>>262,265 の「二度目の選択」はヤバイ
切ないとかそういう種類じゃない。夜眠れないんだのくだりは宇宙ヤバイ
だから「その人を連れていかないで」。話のわかるヤツだ。
275名無しさん@ピンキー:2007/03/28(水) 20:46:10 ID:+HQFUPCS
涙もろいんで、ここのを読んで泣いたことはいっぱいある。
個別スレのでも読んでて泣いたSSがあった。長かったけど。

「校庭はいつにもましてパーフェクト」は別次元の意味で泣いた。
その後腹が痛くて苦しんだが。
276名無しさん@ピンキー:2007/03/28(水) 20:52:45 ID:60KSkKgN
>>274
つか、泣いたのはその眠れない〜くだり
あれはヤバイ、銀河ヤバイ
毛色は違うけど朝比奈さんの踏み切りでの告白は切なさ爆発
277名無しさん@ピンキー:2007/03/28(水) 21:10:21 ID:MpuRti/0
このスレ女が多そうだな
278名無しさん@ピンキー:2007/03/28(水) 21:27:11 ID:ih6il2Gb
しいて言えば消失後半で泣きそうになったなぁそういえば。
279名無しさん@ピンキー:2007/03/28(水) 21:31:37 ID:ih6il2Gb
勢いで告白すると今出回ってる長文のほうの分裂バレ俺が書いた。つまりウソ。
280名無しさん@ピンキー:2007/03/28(水) 21:37:22 ID:sbpiGf59
アニメで泣いたのなんて帰ってきたドラえもんぐらいだ
281名無しさん@ピンキー:2007/03/28(水) 21:45:03 ID:zxOq3eio
長門の誕生日で古泉があえて蝋燭の数を間違えるのってなんだっけ?
282名無しさん@ピンキー:2007/03/28(水) 21:58:33 ID:Vlqnv1lc
>>263
「鼻歌とチョコレートケーキ」
283名無しさん@ピンキー:2007/03/28(水) 22:00:01 ID:IvLqxhyV
え、マジで抜いてるのって俺だけ?

ここには書ききれないけど、エロパロの作品には
うちの息子が大変お世話になっています。

284名無しさん@ピンキー:2007/03/28(水) 22:24:37 ID:gsUsQjuz
>>274
二度目の選択
今読んだけど、やばい。本当にやばい
夜眠れないのところでマジで泣けてきた。
285名無しさん@ピンキー:2007/03/28(水) 22:28:22 ID:1XkS7DA0
>>281
それって長門スレに投下されたやつじゃないか?
有希の誕生日っての
286名無しさん@ピンキー:2007/03/28(水) 22:31:56 ID:zxOq3eio
すまんそうだった。
記憶がぐっちゃになっててな。
287名無しさん@ピンキー:2007/03/28(水) 22:58:49 ID:VGsLeWS8
ここの鶴屋さん物で二番目に良い作品てなに?
一番は……ねぇ……
288名無しさん@ピンキー:2007/03/28(水) 23:02:49 ID:Vlqnv1lc
鶴屋さんと二人乗りするSSかな
タイトル忘れたが
289名無しさん@ピンキー:2007/03/28(水) 23:06:44 ID:QNf64dMI
>>287
鶴屋さん物を全部読んでみて、自分が2番目に良いと感じた物
ていうか、おすすめの作品とかならまだしも、1番2番と勝手にランキングするなんて失礼なマネをする人間はここにはいないだろう
290名無しさん@ピンキー:2007/03/28(水) 23:13:27 ID:+HQFUPCS
>>287
俺もそれはちょっとな、と思う。2番目ってのは…
人によって受け取り方はさまざまだと思うけど。
そういう意味では各キャラものでの俺的1番を挙げるのはアリかもね。

ハルヒもの
みくるもの
長門もの

こんな感じで聞いたらどう?
291名無しさん@ピンキー:2007/03/28(水) 23:15:01 ID:VGsLeWS8
すまん、自分の考えが浅はかだった
無礼を承知でオススメを教えて頂きたい
292名無しさん@ピンキー:2007/03/28(水) 23:31:08 ID:VTZgwb/r
「それは自分で決めるっさ!
 良いも悪いも読まないと分からないにょろ」
とご本人からの伝言です。

個人的に気に入ってる鶴屋さんのは『鶴屋さんといっしょっ!』かな。
293名無しさん@ピンキー:2007/03/28(水) 23:51:58 ID:sbpiGf59
全部読めばいいじゃん
294名無しさん@ピンキー:2007/03/29(木) 00:16:02 ID:6G/z84X4
古泉が鶴屋さんの家でのんびりする話が好きだ。
タイトル忘れたが。
295名無しさん@ピンキー:2007/03/29(木) 02:15:37 ID:2XJRKlFL
>>271
亀だが本当に泣いたことはある。
自分がみくるスキーだからかもしれないが11-226と43-70はガチで泣いた。
296名無しさん@ピンキー:2007/03/29(木) 02:32:33 ID:HDu85CZI
あー、一応鶴屋さんもので
『鶴屋家別荘の夜、もしくは羊の夢』
が好きかな。

キャラものもいいが、SOS団の日常を描いたものが好きなんだぜ!
とも言ってみる。
『日常:長門と古泉と雑談』とかね。
ほのぼのしてるのってよくね?
297名無しさん@ピンキー:2007/03/29(木) 02:32:54 ID:jQipOKQs
長門が一万二千年待ってるヤツ。
あれは泣いたな。
ハッピーエンドっぽいのもいい。
なんてタイトルだっけ?
298名無しさん@ピンキー:2007/03/29(木) 04:42:04 ID:I17k/Ejj
保管庫が6-61で切れてる気がするんだが・・・既出?
299名無しさん@ピンキー:2007/03/29(木) 04:58:48 ID:bmroIz5V
>>285
ちょ、長門スレなんてあったのか。
どこで読めるか教えてもらえんだろうか。
300名無しさん@ピンキー:2007/03/29(木) 05:07:15 ID:wcdxLlJF
>264
一秒の恋だったっけ?
おいらはこれで朝倉に嵌った記憶が…
301名無しさん@ピンキー:2007/03/29(木) 05:31:19 ID:7JJIQJC4
>>299
アニメキャラ板
302名無しさん@ピンキー:2007/03/29(木) 07:29:48 ID:fi74hUm6
>>299
長門有希に萌えるスレだな。今は83冊目。
SSだけを読みたいならそこのまとめwikiSS集に編集されてる。
ここでも話に出た「機械知性体たちの輪舞曲」とか置いてあるよ。
303名無しさん@ピンキー:2007/03/29(木) 09:06:25 ID:bmroIz5V
>>301,302
ありがとう、今日の面接さぼって読むよ!
本当にありがとう!
304名無しさん@ピンキー:2007/03/29(木) 09:25:55 ID:qteON7Pw
>>303
 いや面接には行った方がいいぞ。どこぞの百ワット団長と違って長門は逃げないからな。
 それに長門も自分のせいでお前が面接に行かなかったと知ったら落ち込むぞ。
 判りにくいかもしれんがあいつだってちゃんと落ち込んだりもするんだ。
 だから行って来い。むしろ面接のご褒美として帰ったら読むんだ。
 様々な長門がその澄み切った瞳を向けながら応援して待ってくれていると思えば面接なんて楽勝だろ?
 俺や他の団員も一応応援していてやる。ま、だから頑張ってこいって。
305名無しさん@ピンキー:2007/03/29(木) 09:29:53 ID:ipnXkhIM
キャラスレのノリをこっちまで持ち込むなよ気持ち悪い
306名無しさん@ピンキー:2007/03/29(木) 09:36:02 ID:CbtTCYDb
307名無しさん@ピンキー:2007/03/29(木) 11:05:50 ID:qV7WzaGB
カキコむ前にググることやページ内検索を覚えてほしいところだ。
305が一番気持ち悪い。
308名無しさん@ピンキー:2007/03/29(木) 11:42:01 ID:FULVM+o+
>>304はきっといい奴
309名無しさん@ピンキー:2007/03/29(木) 11:57:17 ID:ipnXkhIM
(゚Д゚)ハァ? 
なんで一つ書き込む為だけにぐぐったりページ内検索しなきゃいけないの?気持ち悪い
310名無しさん@ピンキー:2007/03/29(木) 12:19:25 ID:f8a41bPh
保管庫でSS見て久しぶりにスレにやってきた。コレコレこの電波。
>43-678様: 『校庭は、いつにもましてストライク』
>43-702様: 『通学路は、いかなる時もスパイラル』
ただ電波なだけじゃない。すごいハイセンス。
筒井康隆が全盛だったりした20-30年前なら文壇の寵児になってたかもしれないw

いやもちろん他のSSがあるから↑が際立つわけで、たしかにおれは
普段SSを読んでスレにカキコにくることなどあまりないが、だからといって
そちらの書き手さんたちへの絶え間ない不断のgjを忘れているわけでは決してないし
だからこそ定期的に保管庫をチェックする習慣がおれの中に根付いているわけで本当にありがとうございました。
311名無しさん@ピンキー:2007/03/29(木) 13:30:20 ID:QvAwoO/n
>>279
あんな浅いのに釣られる奴がいることに、ちょっと失望してた。
312名無しさん@ピンキー:2007/03/29(木) 16:24:20 ID:+s7S16jh
保管庫見てて思ったんだけどさ。
投下時系列順なら、完全に投下時系列順にして欲しいと思ってるのって俺だけかな。
ちょっと離れてる間に、喜緑さんの校内放送が完結してたのもなかなか気付けなかったし、
少女オンザの完全版なんてのがあったのも気付けなかった。
まあ、常駐してる人にとっては今のままの方がいいのかもしれないけど。ダメだろうか。
313名無しさん@ピンキー:2007/03/29(木) 17:49:31 ID:xvUPb3fl
>>312
確かに昔の続編が出たり、コテハンの作品を収録するとかなり上の方に収録されてしまって見つけづらいな。
今よりペースの速い時はさらに散らばって読むのが大変だった。

でも量が多すぎて(1000作品超えてるし)今更まとめ直せってのはきついんじゃない?
314名無しさん@ピンキー:2007/03/29(木) 18:17:52 ID:IKRA8/Cn
贅沢だなww
言いだっしっぺの法則でwikiでも作ったら?>>312
315名無しさん@ピンキー:2007/03/29(木) 18:21:44 ID:neLpp1RY
>>311
あれで今日あった本バレ事前回避になればいいと思ってやったってのが理由の四割。
実際確定情報なしじゃある程度ウソっぽくても本当に見えるものなのかもしれない。
まったく関係ない作品の嘘バレっぽいのが本バレだったことあったし。
316名無しさん@ピンキー:2007/03/29(木) 18:48:17 ID:GzyU0Yd9
あそこは、まとめ人さんの好意でまとめてもらってるからね。
提案するにも、あまり手間の増えない方法を考えないとだ。
そして、どこに陳情するのかは知らない……。

確かに連載作品とか、ちょっと前のコテハンの作品が更新されても気付きにくいけど、
まとめて読む時にツリー形式は便利なんだよね。
ツリーを維持したまま投下時系列順にも掲載すると、容量はともかくページが長くなりそうだし、
かといって、ツリーを解除すると「スレ番-レス番様の続編です」見たいな注釈つける手間や
まとめて読みたい時に探すのが大変になりそうだ。

技術がないので >>312 のwikiにはwktkしているっ
317名無しさん@ピンキー:2007/03/29(木) 20:09:35 ID:rJvoeBxv
>>316
あそこの管理人さんの手間をこれ以上に増やすのは無理だよ
こっちサイドでwikiを作った方が現実的だ
俺らの望むindexだけを作ってリンクは保管庫のページに貼るとか
318名無しさん@ピンキー:2007/03/29(木) 21:27:33 ID:rwXEB/hJ
まとめじゃなくてスレで読めば済むことですよ。
なにも難しいことはありません。
319名無しさん@ピンキー:2007/03/29(木) 21:38:49 ID:tD2D90gU
エロなしSS投下します
先週の木曜日、俺は部活仲間である長門有希に自宅に招待され、そこで自分は宇宙人でハルヒが進化の可能性だとかいう電波話を聞かされた。
女子高生と部屋で2人きりだというのに、色気のないことおびただしいったらありゃしない。

先週の土曜日、俺は部活仲間である朝比奈さんと心地よい日差しが降り注ぐ河川敷のベンチに腰を下ろし、そこで自分は未来人でハルヒが時間の流れをせき止めた張本人だとかいう電波話を聞かされた。
見目麗しい先輩と隣り合いながら語らうことは、もっと他にあるんじゃないだろうか。

週明けの月曜日、つまり昨日、俺は部活仲間である古泉一樹と共に屋外テーブルでコーヒーなんぞ啜りつつ、そこで自分は超能力者でハルヒが創造神だとかいう電波話を聞かされた。
その時のコーヒーはやつのおごりだったが、妄想としか思えない話を延々と聞かされる報酬としては安すぎる気がせんでもない。

そして、ハルヒの発言が毎度訳の分からんもんであることは今さら言うまでもなく、どうも世界は俺が知らないうちに、高校生たるものステータスとして電波話のひとつも言えないようではいけないものになっていたらしい。
症例4件のみでそんな判断をしてしまうのは危険だと思う方もおられるかもしれんが、高校に入学して出会った4人が立て続けにこういう人間であれば、こんな気分になるのも仕方がないだろう。
まさか俺の周囲だけが世間とずれているとは思いたくもないし、信じたくもない。


「じゃあさあ、たとえ話なんだけど、現状を維持するままではジリ貧になることは解ってるんだけど、どうすれば良い方向に向かうことが出来るのか解らないとき。あなたならどうする?」
今現在目の前でクラス委員の朝倉涼子が電波寄りの話をしているのも、きっとそれが世間の常識だからに違いない。
俺が自分の人生において出会ってきた人間の中でもトップクラスでまともな人物である朝倉でさえこれなのだから、いよいよ俺の仮説も真実味を帯びてきたと言って差し支えはないだろう。
今度国木田か佐々木あたりに確認してみようか。きっとあいつらなら俺の無知も笑ったりせずにちゃんと答えてくれるはずだ。いい友人に恵まれて俺は幸せ者だね。
俺もなんか電波っぽい話題を今から用意しておくべきか? 確かまだ異世界人カテゴリが余っていたはずだし。
「上の方にいる人は」とか「強硬に変革」とか、およそ高校生らしくない物言いを続けている朝倉を眺めながら、俺は脳細胞の半分くらいを割いて電波話のネタ出しに力を注いでいた。
いやはや、まるごと全部を振り分けていなくて幸いだったね。朝倉の次の発言を聞き逃さずに済んだんだから。


「あなたを殺して涼宮ハルヒの出方を見る」

次の瞬間、俺は朝倉の発言にギョッとして尻餅をついていた。体勢を崩す最中、俺の首があった空間を朝倉が手にしたナイフが通過するのを目撃する。
なんだ? なにが起こってる? マジか?
「冗談はやめろ。マジ危ないって! それが本物じゃなかったとしてもビビるって。だから、よせ!」
俺は床に接地していた尻を慌てて持ち上げながら朝倉に向かって抗議の声をあげた。
いきなりなんの脈絡もなく同級生にナイフで斬りかかるなんて電波な行動、優等生の朝倉がとるなんておかしいだろ。
もしかしたらアレか、変なところで生真面目な朝倉は、電波な台詞を言う人間は行動も電波的でなければならないのでは、と思いつめてしまったのかもしれない。
誰が考えたのかは知らんが、真面目なクラス委員をここまで追い詰めるような常識を制定したのは何者だ? 政府か? 俺は今、猛烈にそいつに対して抗議してやりたい。選挙権取得まで待ってられるものか!
「死ぬのっていや? 殺されたくない? わたしには有機生命体の死の概念がよく理解出来ないけど」
朝倉の言っていることがなにひとつ理解出来ない。ユウキセイメイタイ? 死の概念? それは、脳死は死と判定すべきかって議論とかの話か?
いや、そんなことを暢気に気にしている場合ではない。俺は今まさに流血沙汰の渦中にいるんだぞ。
仮にあのナイフがイミテーションだったとしても命中すれば相当痛いだろうし、万が一本物だった日には俺は座頭市の端役のような大量出血とともに地に伏すこととなるだろう。
実際、あのナイフの刃があと1センチ長かったらと思うとゾッとするぜ。
「あなたもそう思う? あたしもこのナイフは短すぎるんじゃないかって思ってたの」
そんな俺の内心を察知したのか、朝倉は自分の手にしたナイフをくるくると弄びながらそんなことを言った。
俺ってそんなに思ってることが表情に表れやすいタチだったっけ?
「やっぱり刃渡りはこれぐらいは必要だと思わない?」
そう言って朝倉がどこからともなく取り出したのは刀身が1メートルほどの湾曲した刃物、ぶっちゃけ日本刀だった。
いや、待て。つうか、お前それどっから出した?
朝倉の所属クラブは知らないが、もしかして手品同好会かなにかか?
などと考えている暇はなかった。朝倉はその日本刀を腰だめに構えて突進してきやがるし、俺はとっさに後ろへと跳びすさるのに忙しかったからだ。
それでも到底回避距離が足りているとは思えない。観念しかけたその時、突然天井が破砕して瓦礫の山が降ってきやがった。
今度はなんだ? 校舎の解体工事があるなんて聞いてねぇぞ。せめて立ち入り禁止の札ぐらいさげておけよな。
粉塵がおさまり、なんとか周囲の様子が見えるようになると、そこには俺の腹に到達する直前の日本刀を鷲掴みにしている長門の姿があった。


「一つ一つのプログラムが甘い。天井部分の空間閉鎖も、情報封鎖も甘い」
今だに自分の置かれている状況がよくつかめないが、とにもかくにも俺は予想だにしない闖入者によってどうやら命拾いしたらしい。
この時ばかりは頭の中がSF世界にどっぷりと浸かったみたいな長台詞を口走る小柄な背中も頼もしく見えたね。
まさに救世主、正面に回ってその姿を拝見したら後光がさして見えたんじゃないか。
「また届かないの? あと少しなのに」
朝倉がまるで朝の星座占いで12位になっちまったような軽い調子で、俺を仕留めそこなっちまったことを残念がっている。
物騒だな、この委員長さまは。すまんが長門、このクラス一の人気者をどうにかして正気に戻してくれないか。
俺はそう、長門の背中に向かって無言のエールを送っていた。
さて、俺の内心の声援が届いたのか、長門は朝倉から日本刀を無造作に奪い取ってそこらに放り投げると、次のように発言した。
「リーチに不満があるのであれば、ポールウェポンの使用を推奨する」
………
ポールウェポン?
あの、長門さん? あなたは一体なにをおっしゃっておられるんですか?
ポールウェポンってなんだっけ? 予選1位で通過すると獲得できるスタート位置?
「それ、ポールポジションでしょ。つまらないギャグね」
朝倉に鼻で笑われた。くそ、今日は厄日に違いない。
教室で刃物を振り回す委員長、日本刀の刃を素手で握る文芸部員、被害者。この内訳でいくと俺が一番の常識人になるはずなんだが、なぜ俺がつっこみを受ける立場に甘んじねばならんのだ。
「ポールウェポンとは端的に述べるならば長柄の武器の総称。近接戦闘において相手よりも長い間合いを確保できるという利点を持っている。
 中でも、あなたのイメージを考えると、特におすすめなのはこれ」
そうやって俺への解説も交えつつ、長門はどこからともなく自分の身長よりも長大なナニガシカを取り出した。
お前も朝倉に負けず劣らず、とんでもないことをサラッとやるなぁ。もしかして文芸部と手品同好会をかけもちしてんのか?
長門が片手で抱えるそれは、2メートルほどの鉄棒から直角に幅広の刃がのびた凶悪なシロモノだった。
「大鎌」
まさしくソレだ。
ほら、タロットカードの13番目の骸骨が持ってるやつ。それの実物がそこに存在していた。
「使って」
長門はその鎌を朝倉へと手渡し、それからまるで「こいつを斬ってみろ」とでも言わんばかりに手近な机を目の前の女子高生に放ってみせた。
「じゃあ、試し斬りね」
そう笑顔でつぶやいた朝倉は得物を一閃。
飛んできた机どころか、周囲の机五つほども巻き込んで真っ二つにしやがった。
自分が当事者でさえなければ拍手喝さいを送りたいほどの手練の技だ。実行してるのがセーラー服姿の美少女なのが、なおさら絵になる。
つうか、やっぱり本物なんだな、その凶器。さっきまでのナイフだの日本刀だのも多分。俺ってばマジで殺されそうになってるってことなんだな。
「どう?」
長門が使い心地を訊ねている。救世主だと思った感想は撤回させていただきたい。
「うーん、いまいち扱いづらいかな。あくまでビジュアルイメージ先行の武器ってかんじかしら」
いや、めちゃくちゃ完璧に使いこなしてたじゃねぇか。
なにやらピキピキと壁に亀裂でもはいっていくような不穏な音を耳にしながら、俺は呆れた視線を朝倉に送ってやった。


なんの前触れもなく重慶爆撃のような轟音とともに廊下側の壁が吹き飛んだ。
火薬使いすぎ! この撮影の予算はいくらなんだ!?
「では、これなどいかがでしょうか?」
朝倉のものでも、長門のものでも、当然俺のものでもない声があたりにこだまする。
コンクリートの成れの果てであろうろう白い粉が周囲を舞っているのは、まるでドライアイスを使った演出のようで、その奥から足音を響かせて近付いてくる人影はアイドル歌手を彷彿とさせる。
もはや教室としての原型をとどめていないこの空間に新たにやって来たのは……えっと、誰ですか?
俺達3人のところに歩み寄って来る人物はまったく見覚えのない北高生だった。
やわらかな笑みをたたえた清楚な感じの美少女だ。
ハルヒの笑顔を獲物を捕らえるサーチライト、朝倉の笑顔を室内を適度に照らすシャンデリアに例えるなら、この人のそれは寝室を静かに彩る行灯だな。目に優しいイメージだ。
だが、そんな彼女が手にしたブツは優しさとは無縁でいろいろな意味で危ないものだった。
「なにも実在の武器に限定することはないんですから。わたしならこれをおすすめします」
黒いブロックと筒状の物体を組み合わせたようなデザイン。外見を詳しく描写するのを躊躇わざるをえない外見で、思わずモザイクをかけてしまいたくなるソレ。
つまり、なんなのかと言うと
「ビームライフルです」
そう、連邦の白いヤツが持ってるビーム兵器だ。
「エネルギーCAPシステムの採用により、ジェネレーターを介さずに使用可能とした携行射撃武器です。
 その威力はムサイの主砲にも引けをとりませんよ」
やめてくれ。なんか加速度的に朝倉の武装がレベルアップしていくじゃないか。俺には味方がいないのか?
「でもそれ、弾数が結構シビアでしょう」
「メガ粒子を最大まで充填して、16発です」
「命中率がビームスプレーガンに劣るその武器で、そのウィークポイントは致命的」
なんか3人はビームライフルについてあーだこーだと議論を交わしている。もしかして揃ってガンオタなんだろうか?
「弾数が気になるのでしたら、こちらなんていかがでしょう?」
と言ってビームライフルを持ってきた少女が新たに取り出したのは、アルトリコーダーほどもありそうな銀色の金属棒。
これまた、どっかで見たことがあるような…
「ライトセーバーです」
また、ややっこしいものを…
その作品のファンは敵にまわすと機動戦士のファンよりも怖いんだぞ。軽はずみなマネはよしてくれ。
「アデガン・クリスタルを動力源とした光の刃はエネルギー切れの心配がありません。
 熟練者が扱えばドロイド兵の千や二千は軽くひねることが出来ます」
ブオンと特有の音を発して形成される刀身。受け取る朝倉。机を構える長門。笑う少女。そしてすっかり取り残されてる俺。
「はい」
長門の掛け声で朝倉に向かって放物線を描く誰のものとも知れない机は、軽やかに舞う光の刃に命中した途端にあっさりと両断される。
振る感触が心地いいのか、朝倉は机を斬るのにとどまらず、くるくるとライトセーバーを回しながら椅子やら教卓やらまでもその毒牙にかけていった。
「いいわね、これ。とっても軽くて振りやすいもの。これに決めるちゃおうかしら」
ブティックでお気に入りの靴でも見つけたような笑顔で朝倉は言った。

左手首と左足のない姿で。
「うわぁっ! 朝倉、なんだそれ!?」
よく見れば床に朝倉のボディーパーツがいくつか落っこちてやがる。怖ぇ怖ぇ怖ぇっつうの!
「あら、いつの間に」
そんな、肩にホコリが付いてたみたいな口調で言われても!
血、ダクダクじゃねぇか! 痛くねぇのかよ、っていうか死なねぇのかよ!?
「この武器の唯一の欠点は、刀身に重さがないことなんですよね。
 刃の長さを把握しづらいので、素人がうっかり使うとこのように自分の体を傷つけてしまう恐れがあるんです」
そんな危なっかしいものを渡すなっ! 三毛猫ホームズの主人公なら失神していそうなくらいのスプラッタ映像だぞ、これは!


その後、なんかさっぱりわからない理屈で体を治した朝倉。
俺はもうあれこれと気にするのはやめた。無駄に疲れるからな。きっと手品だ、手品。それでいいじゃねぇか。
そして五体満足に復活してからも、あんな武器、こんな武器をあれこれと3人で試しては、そのつど様々な理由でボツにしていった。
俺、もう帰っていいかな?

やがて
「キョンくん。もう遅くなっちゃったし、今日のところはいいわ。付き合ってくれてありがとうね。じゃあ、さようなら」
朝倉のその言葉をもって俺は解放された。
なぜかって? 試し斬りする机を使いきっちまったからだよ。
俺は我がクラスの委員長様がこんなに間抜けだったとは知らなかった。明日からの1年5組運営が心配になってくるぜ。
もっとも1年5組は教室そのものが粉々になっているわけで、今さら委員長のひとりふたりがおかしくなろうが大差ないんだが。


翌日、教室はなんの異変もなくそこに存在しており、俺はあの出来事は俺の脳内でのみ上映された夢だったんじゃないかと疑うハメになった。
昼間の日差しの強烈さのあまり、ふと脳裏に浮かぶ幻を白昼夢と呼ぶらしいが、アレも似たたぐいのものだったのかね?
夕方だったから、赤夕夢と名付けようか。
あんな夢を見るだなんて、俺はハルヒに振り回されてきたおかげで相当ストレスが溜まっていたらしい。
それともまさか俺には美少女に命を狙われてみたいなどという危ない願望があるのだろうか。それはあまりにも危険ではないか? いや、命ではなく精神が。
ただ、どうにも俺の夢だと単純に決め付けてしまうにはおかしな点がある。
それは

「これなんてどうかしら? 見て、青龍偃月刀。かの関羽が振るっていたという由緒正しい一品よ」
「鎖分銅。こういう単純な武器こそ信頼度も高い」
「単純というならこちらも捨てがたいですよ。コルト・シングル・アクション・アーミー、ピースメーカー。
 100年以上の実績を持つ質実剛健な拳銃ですよ」

あの夢? を俺が見て以来、朝倉、長門、そして喜緑さんというらしい上級生が文芸部室で頻繁に武器の品評会をするようになったことだ。
文芸部そのものも廃部になり、新しく『武器同好会』が発足したらしい。
そんなデンジャラスな部活動を認めるほど北高ってのが寛容な学校だったとはついぞ知らなかった。もしかしたら案外SOS団もOKなのかもしれん。今度本気で申請してみようか。
ところでちょっと気になったんだが、朝倉のさっきの台詞「これなんてどうかしら?」ってのは、まさか俺を殺す凶器の選択として「これなんてどうかしら?」って意味じゃないだろうな?
命を狙われるのは夢の中だけで充分だぜ…

「ねえ、キョンくん。この中だったらどの凶器で殺されるのがお好みかしら?」
どうやらそういう意味で正解らしい。アホか。好みもクソもあるか。
「もう…あなたの大事なことなのよ。もっと真剣に考えてよね」
なんだ、その結婚間近のカップルが式場のコースを相談している最中、テキトーな受け答えをする彼氏に不満を感じる彼女みたいな発言内容は?
「あたしとしては重火器は死亡に至るまで結構苦痛を感じる時間が長いから避けたいのよね。やっぱり、かわいそうじゃない?」
かわいそうだと思うなら、殺害計画そのものを白紙にしてくれ。
代わりに俺も明らかに銃刀法違反なこの数々の武器群を学校並び警察に報告するのを思いとどまってやるからさ。
「それならば大型の鈍器、あるいは極めて切れ味の鋭い刀剣類が望ましい」
「それでも苦痛を感じる間すらなく殺害を完了するのは大変難しいですよ。贅沢を言えばギロチンのような専用器具を使うことが出来たなら1番いいのでしょうが、持ち運びに不便ですしねぇ」
長門と喜緑さんもそんなヤマダ電機の5年間保証も顔負けな万全のバックアップ体制をとらんでもらいたい。
苦痛うんぬん以前に、義務教育を終えたばかりの俺はまだ三途の川のあっち側に行く気は毛頭ないんだからな。

「キョン…あんた、なにデレデレしてんの…SOS団団員としての自覚に欠けてんじゃないの」
なぜかハルヒのやつが、鏡のように磨き上げた盾を持っていなければ石化させられてしまうんじゃないかと錯覚してしまいそうな鋭い視線を向けてきやがるし。
涼宮、これがデレデレしているように見えるんであれば、悪いことは言わんから長門に眼鏡を貸してもらえ。

同室に『武器』同好会と『SOS』団が共存しているという、字面的にピッタリのようなそうでないような最近の日常。
どうにかしてこの非常識かつ心臓に悪い日常から脱却できる手はないもんかね?
いっそ広く一般に公募をかけてアイディアを募るぐらいのことをやってやろうか。優秀作品をお送りいただいた方には漏れなく、今の俺の立場を譲ってさしあげよう。


追伸。

古泉が緊急入院した。聞いた話によると過労が原因らしい。
こんな暇な部活に所属していながら過労で倒れるとは、普段なにをやってんだ? しっかりしろよ…
326名無しさん@ピンキー:2007/03/29(木) 21:47:04 ID:tD2D90gU
以上です
327名無しさん@ピンキー:2007/03/29(木) 22:26:29 ID:cyByid9D
ヤマダ電機も5年補償やってたのか、デオデオだけだと思ってた…

まぁGJ!!
328名無しさん@ピンキー:2007/03/29(木) 22:31:18 ID:f8a41bPh
シチュのおもしろさは伝わってきた。

でも肝心の武器羅列の部分でかなりひっかかった。
動きの素早いキャラが教室でナイフ使って何の不都合があるんだろうとか。
なんで空気中でビームうつん?そもそも体まで数十センチで放出したらまず自分が焼けるとか。
青龍刀は三国志の時代には存在してない、いや青龍刀もった関羽好きだけどねとか。

ネタで言ってるのはわかるけど、朝倉はともかく他の2人のイメージからしてちょっと違和感が。
文章丁寧なんで勿体ないと思った。
329名無しさん@ピンキー:2007/03/29(木) 22:42:46 ID:nciVvAb7
デオデオって初めて聞いた
330名無しさん@ピンキー:2007/03/29(木) 22:44:53 ID:w5c+TYNk
そこでキョンのエクスカリバーが出てくるのか


ついでに長柄武器と言ったら方天画戟は外せないだろう
331名無しさん@ピンキー:2007/03/29(木) 23:19:06 ID:JinheIXB
古泉がかわいそう。
332名無しさん@ピンキー:2007/03/29(木) 23:34:44 ID:izs/h8P6
>>326
 丁寧に書ききられているのが好感が持てます。
 投下形式としては、行の右端折返しにまかせた横長はとても好みで、ブラウザを自分の読みやすい幅で調整しやすいので自分的にグッドです。
 句読点の数に捕われない『一段落』としての長い行は、書き手さんの説明したい事象・視点のひとくくりとして、内容を理解する一助にもなりますから。
 ただひとつだけ言わせていただければ、段落初行一字下げを導入されてみてはいかがでしょうか?
 インターネット上の、特に掲示板という形態では、常に議論を伴う話題ですが、私個人としてはやはり横書きであっても文芸文であるならば、一字下げがより読みやすいものになるのではと考えてしまうのです。
 一定量の字数・行数・総量を持ち、内容も充実したものであればあるほど、一字下げによって『段落』が生きるのではと愚考したしだいです。

 内容なのですが、TFEI三人娘がとても活き活き描かれています。
 よくまとまっていますが、三人の特色を出すのに、各々の好みの武器の傾向を強調するのもよかったかもしれません。
 そして、もうすこし三人娘に翻弄されるキョンさんと、それを見てイラダツ涼宮さんを掘り下げて描写していれば、『追伸』の部分が更に活きてきたのではないでしょうか。
 総評として、題材をウマク料理し、高水準にまとまっていると思います。

長レスのまとめに手を煩わせないように短くしておいておきますね。
>>326 GJ!


>>262-263
 個人的見解ですが、小ネタでは『雰囲気』か『オチ』がモノをいいます。
 次点でパロディとして絡めた『ネタ(時事ネタやスレネタ)』でしょうか?

 この作品は、『タクシーのヒミツ』を開陳したいのではなく、最後の『オチ』を語りたいのだと思いますが、前振りがアッサリしすぎていると感じました。
 話題の導入95% : 前振り2% : オチ3% といった感想です。
 オチのインパクトが弱い時には、オチを読まれたり、ほのめかすことになっても、前振りで徐々に盛り上げて一気にオトす手法も一考ください。

 書体についてなのですが、見やすいようにと改行を揃えてくださってると思いますので、一行の字数に付いては何も申しません。
 ですが、一段落に詰め込みすぎの感がいなめませんでした。
 上記326とは逆に、描写の区切りでの改行・段落分けを行うと、より読みやすく深みも出てくると思われます。

長レスのまとめに手を煩わせないように短くしておいておきますね。
>>262 乙!

長レスのまとめに手を煩わせないように短くしておいておきますね。
>>234 可及的速やかに続け!

長レスのまとめに手を煩わせないように短くしておいておきますね。
>>222 続け!

長レスのまとめに手を煩わせないように短くしておいておきますね。
>>149 エロ!

長レスのまとめに手を煩わせないように短くしておいておきますね。
>>332 無理すんな!
333298:2007/03/29(木) 23:36:01 ID:I17k/Ejj
>>306
誘導サンクス。
でも何故か6-555の消失長門から先が切れてるんだよな・・・。
前はもっと先まであったと思うんだが。
気のせいかもしれないが調べてみよう。ありがと。
334名無しさん@ピンキー:2007/03/29(木) 23:43:02 ID:Eqi4DnN5
>>332
そして恒例の

義妹が恋人に嫉妬して拘束して脅迫

まで読んだ
335名無しさん@ピンキー:2007/03/29(木) 23:45:09 ID:qesiGELm
長文感想ktkr
336名無しさん@ピンキー:2007/03/29(木) 23:47:15 ID:EKf6u/LV
>>332
お前のまとめはまとめになってないからまとめてやる。
後、レス番色々間違えてるぞ。

>>326
でかい文の最初一字空ければ?もう少し掘り下げるとグッド。

>>267-268
前振りあっさりしすぎ。オチ弱い。一段落に詰め込みすぎ。
337名無しさん@ピンキー:2007/03/29(木) 23:48:24 ID:6G/z84X4
みくるちゃんktkr
338名無しさん@ピンキー:2007/03/29(木) 23:49:48 ID:izs/h8P6
>>333
リンクから飛んでも、お気に入りから開いても
16様〜43-743までちゃんと載ってた(PC)
なんでだろうね? がんばれ! 超がんばれ!
339名無しさん@ピンキー:2007/03/29(木) 23:50:27 ID:DId6Ykbt
朝比奈さんにお前はないだろw
340名無しさん@ピンキー:2007/03/29(木) 23:54:11 ID:neLpp1RY
>>336
何か痛快なヒーローに見える最近。
341名無しさん@ピンキー:2007/03/29(木) 23:55:36 ID:izs/h8P6
頑張ってみたのに、感想でレス番ミスとは致命的な……吊ってくる
「262。262-263」 は 「>>267-268」に脳内変換してこださい
342名無しさん@ピンキー:2007/03/30(金) 00:06:03 ID:ManqcUXC
>>332
長文乙!!一番下の332の安価で気付かずに一万五千七百二十六回ループした
343名無しさん@ピンキー:2007/03/30(金) 00:19:39 ID:pOsKroMq
長文書くならでしゅましゅひゃ〜い口調でいいよ
344名無しさん@ピンキー:2007/03/30(金) 01:07:08 ID:aaMCgR00
丁寧なのがぁ、い、いいでっしゅ。
改行わぁ、あのぅ……。ぶ、ぶらうざさんにおまかせできまっしゅ!
……だみゃ!……。……だゃ、段落のさいしょはひとつ下げてくだひゃーいっ!


長文自体いらn(ry
345名無しさん@ピンキー:2007/03/30(金) 01:12:45 ID:G37bm5u1
〜まで読んだでいいか。もう
346名無しさん@ピンキー:2007/03/30(金) 01:14:56 ID:aaMCgR00
いくら言われてもめげないしね
347名無しさん@ピンキー:2007/03/30(金) 01:25:47 ID:HhDpK2gj
最近気付いたんだけどさ、キョンって結構イケメンじゃね?
348名無しさん@ピンキー:2007/03/30(金) 01:31:02 ID:B30gj3wJ
>>347の方がイケメンだ。

ということで顔うp
349名無しさん@ピンキー:2007/03/30(金) 01:32:39 ID:gwVGkj4n
>>347
何をいまさら
350名無しさん@ピンキー:2007/03/30(金) 01:56:16 ID:Qj+yHIlh
キョンへの呼称を確認したいんだけど

涼宮「あんた:キョン!」
朝倉「あなた:キョンくん」
みくる「あなた(?):キョンくん♪」
古泉「あなた:キョンくん(?)」
鶴屋「キミ(少年っ):キョンくんっ」
森・新・多「あなた(?):キョンさん(?)」
長門「あなた;キョンきゅぅん(?)」

(?)が自信なくて、あってる? 貸した原作が戻って来ないんだ。
351名無しさん@ピンキー:2007/03/30(金) 02:02:31 ID:cjZbWvGG
>>350
本当に原作読んだことあんのか?
352名無しさん@ピンキー:2007/03/30(金) 02:13:36 ID:Qj+yHIlh
原作を読むのに費やした時間より、SSを漁っていた時間の方が
数倍長いかもしれないと思う今日この頃

新刊に併せてもう一組揃えるか

353名無しさん@ピンキー:2007/03/30(金) 03:02:07 ID:EFAArBuq
たまにSSを眺めてて見掛ける
古泉と長門の『キョン』は違和感がタラタラだ
354名無しさん@ピンキー:2007/03/30(金) 03:31:36 ID:G37bm5u1
>>350
こうだ
ハルヒ「あんた:キョン:ジュン」
朝倉「あなた:キョンくん」
みくる「キョンくん:ひゃ〜い」
古泉「あなた:あの野郎(性的な意味で)」
鶴屋さん「キョンくんっ」
機関3羽カ(ry「あなた1択」
長門「あなた1択(いろんな意味をこめて)」

そんな俺は鶴屋サンスキー
355名無しさん@ピンキー:2007/03/30(金) 03:43:58 ID:awvdVajG
>>354
>ジュン
それは流石に作品違いすぎだと思うぞ
356名無しさん@ピンキー:2007/03/30(金) 08:29:53 ID:NCFykpDh
ここに投下された中に、ハルヒじゃなくて実はキョンが神だった。みたいな終りかたするSS有りませんか?専用板もあるけど、こっちの方が速いと思って聞きます。
357名無しさん@ピンキー:2007/03/30(金) 08:32:33 ID:6MHcLFqj
【神様の本当の願い】

じゃないか?
358名無しさん@ピンキー:2007/03/30(金) 08:44:53 ID:OaxLvkWQ
遅レスだが>294の古泉と鶴屋さん話が気になる。
保管庫探してみたけどみつからねぇ…。
35942-902:2007/03/30(金) 09:55:45 ID:wXgL5VkS
特に意味の無い小ネタを、2レス。
360朝倉さんと愉快な仲間達:2007/03/30(金) 09:56:57 ID:wXgL5VkS
1. 涼宮ハルヒ

「お久しぶりね、涼宮さん」
「あれ、あんた………」
「ふふふ、驚きのあまり声も出ないってところかしら?」
「………誰だっけ?」
「って、忘れられてるー!」

2. 朝比奈みくる

「ここがSOS団の部室ね、たのもー!」
「あ、いらっしゃい。どちらさまですか?」
「ふふふ、部室をメチャクチャにして涼宮ハルヒの出方を見るわ!」
「………えっと、よく分かんないんですけど、とりあえずお茶です。どうぞ」
「あ、うん。ありがとう」ズズズ
「ど、どうですか?」
「んー、おいしいわねー、このお茶」
「そうですか。よかったです」ニコニコ
「癒されるわー」ニコニコ
「そうですねー」ニコニコ

3. 長門有希

「………何をしているの?」
「あ、長門さん。朝比奈さんがお水を汲みに行っている間、留守番を頼まれちゃったのよ。………って、何であたしが!」
「そう」
「そう、じゃなくって、あたしは」
「あなたが言いたい事は理解している」
「あ、そうなんだ」
「感謝の言葉を忘れていた。朝倉涼子、ありがとう」
「あううー、違うよー」

4. 古泉一樹

「うー、なかなか上手くいかないなー」
「やあ、朝倉さん、どうも」
「あら、あなたはあたしの敵なのにそんなに気安く話しかけていいのかしら」
「ははは、そうかもしれませんね」
「そうよ、あなた達は変なのよ」
「まあ、僕達はあなたの事を敵だとは思っていませんからね」
「むー」

361朝倉さんと愉快な仲間達:2007/03/30(金) 09:57:47 ID:wXgL5VkS
5. 喜緑江美里

「調子はどうですか、朝倉さん?」
「あ、喜緑さん。聞いてよ」
「何ですか?」
「何かほとんどの人があたしの事忘れてるし、覚えてる人もまともに相手してくれないのよ」
「誰だって最初は上手くいかないものですよ、難しいお仕事かもしれませんが、めげずにがんばってください」
「………うん、そうよね。ありがとう、もうちょっとがんばってみるわ」
「ちなみに皆さんの記憶を消したのはわたしなんですけどね」
「こんなところに本当の敵が!」

6. 鶴屋××

「いたた、あたしが喜緑さんにかなうわけないか。………うわ、もう、何か……ボロボロだ、あたし。………ヒック、グス」
「にょろっ、そこの人怪我してんのかいっ! だいじょぶかなっ!」
「うぇ、ふえーーーん」ギュッ
「うーん、体の怪我だけじゃないみたいだね。よしよし、よかったらおねーさんに話してごらんよ」
「あたしっ、……ボロボロで、一人で……、一人なんだ」
「うんうん」ナデナデ
「うう、……ヒック、ヒック」
「大丈夫、キミはキミが思うほど一人じゃないかんね! おねーさんが保証しよう」
「………ほんと?」
「うん、だってほら、もう今いきなり、あたしがそばにいるじゃないかっ!」

7. ××××

「うー、恥ずかしいところ見せちゃったなあ。………でも、嬉しかった」
「お、いたいた。おーい、朝倉」
「キョンくん、何で?」
「いや、長門や喜緑さんに頼まれてさ。夕飯だから早く帰ってこいだとさ」
「そうじゃなくて、あたし、キョンくんを」
「あー、何だ。難しい事は後で考えなさい」
「………いいの?」
「何がだよ。………ほら、一緒にいこうぜ」
「うん、………うんっ!」
36242-902:2007/03/30(金) 09:58:50 ID:wXgL5VkS
以上です。
では、また。
363名無しさん@ピンキー:2007/03/30(金) 10:22:43 ID:LDMH9ZeG
朝倉、いつの間にいじられキャラにw
364名無しさん@ピンキー:2007/03/30(金) 10:34:02 ID:Zy80AxvW
I want to be hereじゃないか?
間違いならごめん
365名無しさん@ピンキー:2007/03/30(金) 11:20:47 ID:0ctdnQpD
>>239
携帯で書くのはやっぱ辛いな。
そんな訳で2レス程度で>>222の続き。やっぱり寸止め。
366長門有希は躊躇わない:2007/03/30(金) 11:22:02 ID:0ctdnQpD
 長門の部屋でとあるごたごたを終えた俺は、今回を含む今までの労いもかねて長門が満足するまで
色々と付き合ってやる事にした。
 時々部室で遊びたそうにしていたオセロに興じつつ、寡黙な端末少女と言葉少ない会話に小さな花を咲かせていた。

 ……はずだったのだが。

 いつの間にミステリートレインに乗りこんでしまったのか、その行き先不明な会話は何故か自慰行為を
行うのに最適な場所と言う話題になった挙句、ついに長門が暴走し始めてしまった。

 長門はコタツから立上がると後ろを向いてショーツと紺のソックス以外の着衣を躊躇いなく脱ぎ捨てる。
 だがそのまま振り向いて何かを始めるのかと言う俺の考えに反し、長門は足下に落した制服の中から
最初に落としたカーディガンを拾いあげると、素肌の上から直接袖を通してその身に纏った。

「準備完了。後はあなただけ」

 襟元をただしこちらを振り向く。裸エプロンや裸ワイシャツの長門風アレンジ版、裸カーディガン状態の完成である。
 長門の白い肌に浮かぶなだらかな二つの丘陵が覗くもその登頂点はカーディガンによって巧妙に隠されている。
 なまじショーツとソックスだけ残しているのがまた何とも言い難く、正直言ってそういった属性が無いはずの
俺でも簡単に墜ちてしまいそうなぐらいその姿は淫靡な魅力を放っていた……とは言え、だ。

「取り敢えず落ち着け長門。俺の知る限り、自慰ってものは他人にどうぞと言われてはぁそうですかと
するようなものではない。わかるか? こういうのは精神的にむらむらっとして来た時に行うものであってだな」
 そんな俺の訴えは蒸留され不純物が取り除かれた水の様に透き通った瞳で俺の股間の変化をただ見つめてくる
長門によってあっさりと却下される。

「……むらむら?」
 あぁ悪かったな、まんまとお前の挑発に乗せられて俺の息子はスタンディングオペレーション状態さ。
 仕方ないだろ、タダでさえ最近妹の目を盗むのが大変で溜まってるんだ。そんな状態で長門の欲情的にして
刺激的な姿を見せられていきり立たない男など解脱した高僧か女性に興味がないホモか古泉ぐらいのもんだ。
 そして俺は高僧でもホモでも、ましてや古泉でもないので一般的な男子に習い興奮してしまう事を否めない。

367長門有希は躊躇わない:2007/03/30(金) 11:23:25 ID:0ctdnQpD

「あなたの情報遺伝子のフレアを誘発させる。わたしという固体もあなたには達してほしいと感じている」
 また妙なアレンジを聞かせた言葉を放ち、四つん這いになりながら俺に近付いてくる。その姿はまるで
毅然たる態度で塀を歩く猫のように感じ取れた。同じ猫でも家でいつも丸く転がっているシャミセンとは大違いだ。
「…………」
 余計な事を考えて冷静になろうとしている俺の思考を読み取ったのか、長門は何かを訴えるように
グレードDのダイヤモンドのような透明な瞳を桜の花びらのコンタクトでも付けたかのような色を付与して
俺の瞳と思考と四肢、いやこの場合は愚息を入れて五肢だろうか、とにかく行動を束縛してくる。
「待て、頼むから落ち着いてくれ長門。俺を束縛して何を始めるつもりだ」


「それはやはりナニでしょう」

 俺の悲痛な叫びに答えたのは目の前の長門ではなく、いつの間に現れたのか台所に立つ喜緑さんだった。

368長門有希は躊躇わない:2007/03/30(金) 11:26:13 ID:0ctdnQpD

「あ、どうぞお構いなく。ちょっと塩を切らしてしまったのでお借りしに来ただけですから。
 わたしの事はどうぞ台所に置かれた乾燥ワカメ程度に考えて気になさらないでください」
「わかった」
 いやいやいやいや、そこは流すところじゃないだろ長門。たとえお前が流そうとも俺が突っ込ませてもらう。
 何せこっちは貞操の危機に加え、あそこでさも当然のように緑茶をすする喜緑さんの前で公開羞恥プレイが
行われそうな勢い、この絶望的な空気を払拭できるのならどんな事でもしてやろうじゃないか。

「い──」
「ところで長門さん、少し宜しいでしょうか」

 出端をくじかれるとはまさにこの事か。俺の意気込んだ言葉に被るよう喜緑さんが口を開いた。
「…………」
 長門は視線だけ送り尋ねかえす。
「さしでがましい事ですが、わたしか見た感じでは彼は自慰行為に乗り気では無いように伺えます」
 意外や意外、青天の霹靂。まさか喜緑さんから助け船が出されるとは思ってもみなかった。
 藁をも掴む気分で喜緑さんの言葉に頷く。そうだ長門、俺は今自慰という気分では
「──これはわたしの勝手な憶測ですが、おそらく彼は長門さんにおかずになっていただきたいのではなく、
長門さんに直接手淫や吸茎などをしていただきたいのではないでしょうか」
 逆転サヨナラホームラン、何て斬新な学説でしょうか喜緑さん。信じた俺が馬鹿でした。
長門は喜緑さんの方に顔を向け、次に俺を見つめてから小さく頷くと
「理解した」
 そのままそっと手を俺の股間へと差し延べてきた。











ここまで書いて携帯メモリが満杯になった。じゃ!
369名無しさん@ピンキー:2007/03/30(金) 11:26:24 ID:BdRQbPiE
キョンと長門と古泉が長門の家で酒を飲むってSSの題名なんだっけ?
370名無しさん@ピンキー:2007/03/30(金) 11:39:17 ID:y8T0IkHV
ちょっと前にもでてたがまとめページ、続きが何処にあるかわからなくて困る。
まぁ書き逃げとかで続きがないものもあるのかも試練が。
371名無しさん@ピンキー:2007/03/30(金) 12:01:48 ID:9c+t5Wrm
(a) 投稿順にべたーっと並べるのと、
(b) 短編連作・中篇・長編を作品毎に整理したページと、
(c) 作者毎に整理したページと、
(d) 作品傾向・キャラ別等で整理したページ。

作品が大量にある現状では、ここら辺をちゃんと区別していないと
もはやまとめとは言い難いからなあ。
372名無しさん@ピンキー:2007/03/30(金) 12:06:09 ID:y8T0IkHV
bが見やすいと思う
373名無しさん@ピンキー:2007/03/30(金) 12:14:45 ID:G37bm5u1
please remember rule of 言いだしっぺ

意訳
言いだしっぺの法則を忘れないでください
374名無しさん@ピンキー:2007/03/30(金) 12:29:11 ID:NsCwTqFe
>>370-371
あそこは保管庫でまとめてるとは誰も言ってないし
このスレのことはこのスレで、ってちょい前にFA出てるじゃん。

ざっと見て谷川に続くのはシャナのpart18だった。このスレが特殊っていう事情もある。
375名無しさん@ピンキー:2007/03/30(金) 13:16:37 ID:9c+t5Wrm
>>373
これはまとめがどうのじゃなくて一般論として書くが、
言いだしっぺの法則は適材適所の原則を無視していることが多い。
ごり押しすると担当者逃亡による企画の途中崩壊やら
発言者の減少による陳腐化等の弊害を生むことも多いぞ。
ゆえに、言いだしっぺの法則の適用は、必ずしも妥当なものではない。
というか、あれが妥当であるのはかなり人材的に恵まれていると言える。
376名無しさん@ピンキー:2007/03/30(金) 13:24:22 ID:0ctdnQpD
まあこの場合は「言い出しっぺが作る」じゃなくて「欲しいものは自分で作る」だな。
誰かが作ってくれたらラッキーだが、基本は自分で作らない限りそれはできない、と。
377名無しさん@ピンキー:2007/03/30(金) 13:31:24 ID:CKMltcQd
「不便だ見辛い何とかしてくれ」
てなレスは読みたくもない。

「不便だ見辛い何とかしたい
 俺がやるからいいアイディアくれ」
ってんなら思いつく限りのレスはさせてもらう
378名無しさん@ピンキー:2007/03/30(金) 13:42:54 ID:wFvCm/HX
>>356
33-400様: 『リアル・タイム』とか

>>377
だよな。文句だけなら誰でも言えるもんなぁ。上でも言ってるけど、保管所だからね。
>>317の案が一番現実的かつ、お手軽じゃないかと思うが。
379名無しさん@ピンキー:2007/03/30(金) 14:17:14 ID:dXtFmNgQ
単純にクレ厨の我侭に見えるな
380名無しさん@ピンキー:2007/03/30(金) 14:56:15 ID:8v/TZ5D0
ハルヒ分裂
・佐々木 = 例の変な女
 自称「キョンの親友」、中学時代はキョンの自転車に二人乗りで塾に行く間柄
 キョンとは学校内外でつるむ回数がクラスメイトの誰よりも多かった
 キョンは否定するも傍からみるとどう考えても...
 古泉曰く「十人中八人が一見して目を惹かれる、実に魅力的な女性」
 恐るべきことに名実共にハルヒと対になる神的存在であることが明らかに

・橘京子 = 誘拐少女
 『機関』と対立する組織の中核メンバーで、予想通りの「能力者」

・周防九曜 = 広域情報意識製TFEI端末
 情報統合思念体が解析に全力を尽くすも未だ正体不明
 情報統合思念体陣営は、その広域情報意識を『天蓋領域』と呼称
 長門曰く「それは我々からみて天頂方向より来た」

・藤原 = 未来少年(パンジー
自称だが恐らく偽名
 「あんたが朝比奈みくるを朝比奈みくると呼ぶくらい無意味」
 
・閉鎖空間の頻発は佐々木に対するハルヒの嫉妬、のようなもの
 出現する神人は不気味なほど大人しく破壊活動せず呆然としているだけ
 ハルヒの深層意識ではモヤモヤをどう対応していいのかわからない為らしい

・物語中盤から、突然にαルートとβルートの並行世界へと分岐。
 どちらのルートもほぼ同一の内容だか時系列が進むにつれ微妙にズレが生じ始める
381名無しさん@ピンキー:2007/03/30(金) 14:57:47 ID:qp4KzuLt
まじで佐々木をNGワードにした
382名無しさん@ピンキー:2007/03/30(金) 15:02:55 ID:3Fz3P0br
読まないように気をつけながらNGした
383名無しさん@ピンキー:2007/03/30(金) 16:17:09 ID:EXNd3aJd
弥七郎スレのアレはやっぱ誤爆だったのか
384名無しさん@ピンキー:2007/03/30(金) 16:18:08 ID:cjZbWvGG






































385名無しさん@ピンキー:2007/03/30(金) 16:34:24 ID:LDMH9ZeG
>384
うん、俺もネタバレ視界から飛ばしたくてそれやろうかと思ったけど…
ちょっと大きすぎね?
386名無しさん@ピンキー:2007/03/30(金) 16:35:00 ID:cjZbWvGG
だが反省しない
387名無しさん@ピンキー:2007/03/30(金) 16:54:40 ID:G37bm5u1
専ブラはこういうときに真価を発揮するな
というわけで分裂と佐々木をNGに
388名無しさん@ピンキー:2007/03/30(金) 16:56:39 ID:p7/kgxvk
喜緑さんはワカメでは無く、とろろ昆布だと思ってるのは俺だけか?
389名無しさん@ピンキー:2007/03/30(金) 17:31:22 ID:yFbdm/uz
まあ確実にいえることは朝倉さんSS書きには新刊発売も特に影響はないってことだ


(´・ω・`)
390名無しさん@ピンキー:2007/03/30(金) 18:14:27 ID:0ctdnQpD
はっはっはっ。
書き途中のSSでパンジーを配置してた俺は現在転がり中さ。
タダでさえ発売が遅れる地域だというのに……orz
391名無しさん@ピンキー:2007/03/30(金) 18:53:28 ID:Zy80AxvW
買ってしまった…
392名無しさん@ピンキー:2007/03/30(金) 19:57:32 ID:G37bm5u1
俺は素直に明日まで待つんだぜ。
読み終わったら俺、書きかけのSSの続きをを書くんだ……
393名無しさん@ピンキー:2007/03/30(金) 20:14:30 ID:EFAArBuq
俺はきっと明後日まで待つだろう
394名無しさん@ピンキー:2007/03/30(金) 21:05:13 ID:mUe1UiHs
長文感想の人もSS書きって本当?
スゲー読んでみたいんだけど
395名無しさん@ピンキー:2007/03/30(金) 21:09:06 ID:y81bZjwy
俺も読んでみたいっス
396名無しさん@ピンキー:2007/03/30(金) 21:46:03 ID:0ctdnQpD
>>394-395
長文の人の作品は明日になれば書店で見られるよ。

とかだったらどうしよう。
397名無しさん@ピンキー:2007/03/30(金) 22:09:45 ID:ManqcUXC
上の文章あれバレなの?始めて目にしたんで読んじまったorz
398名無しさん@ピンキー:2007/03/30(金) 22:46:15 ID:m8RXNzQp
広域帯宇宙存在の端末の容姿が偶然過去に書いた長編と符号してたw
399名無しさん@ピンキー:2007/03/30(金) 22:54:45 ID:fnNDCHdr
もう皆で長文書けば良いよ。なつやすみの課題図書を思い出してさ。
1作品に付き、3行以上感想を書きなさい!みたいな。
400名無しさん@ピンキー:2007/03/30(金) 23:03:52 ID:aRBNepJu
長文感想を書く場合、1レスでもSSを書く。
とか
401名無しさん@ピンキー:2007/03/30(金) 23:06:39 ID:O7XeSOaN
SS書きのヒエラルキーがどんどん落ち込んでいくな
もうすでに長文感想のためのネタ提供者扱いかよ
奴隷かなにかとでも思ってんのかね
402名無しさん@ピンキー:2007/03/30(金) 23:10:54 ID:MgoYpDgG
401が何を言ってるのか、ちょっとよく分からない。
……落ち着こうぜ?
403名無しさん@ピンキー:2007/03/30(金) 23:18:24 ID:jGMVGW5B
主格についての認識の齟齬は日本語にはよくあること。
404名無しさん@ピンキー:2007/03/30(金) 23:47:00 ID:BqEJsDcm
404エラー
405名無しさん@ピンキー:2007/03/31(土) 00:01:41 ID:p5P0s87S
>>404
w
406名無しさん@ピンキー:2007/03/31(土) 00:02:51 ID:eT50gsPC
このスレ、44-223 の続き 『カシマシ・インフィニット』
ドタバタ系コメディ? 微エロ? 10レス前後 第2部

はじまるよ!
407『カシマシ・インフィニット』2:2007/03/31(土) 00:05:41 ID:4GkTw/9D


 明けて火曜日。
 何事も無く放課後であり、不運な割り当てで配分された区域の清掃活動を行う時間帯でもある。
 掃除当番は一週間毎に交代制なんだが、俺は豪雪地帯で交通ライフラインの確保を命じられたフル稼働する除雪車の如く、全力で机の運搬と整頓を行っていた。
 昨日は当番じゃなかったろうって? 簡単なことさ。ハルヒに押しつけられちまったんだよ。まあ、押しつけられたってのは正確じゃないけどな。
 先週は俺が教室掃除の担当だったのだが、歯医者に行くことになった妹に泣き付かれて、初診だけ付添う約束をしていたのさ。それを理由に部活を休ませてくれと、HRの終礼とともに
テイクオフ・スタンバイ・システムオールグリーンなハルヒに伝えたところ、「待たせたら可哀想じゃない!」と欠席の許可に加えて、掃除当番の代理まで名乗り出て気持ち良く送り出してくれた。
 ウチの妹もハルヒにとっては既に準団員の頭数と数えられているのか、実に寛容なことだ。その度量の広さを俺にも示してくれたら……まあ、なにも言うまい。
 歯科医院って所はいつ行っても恐怖が支配する特殊空間であり、毎日がエブリディの阿鼻叫喚の地獄絵図を展開しているわけだしな。頭一つ下げる分の感謝を支払い黙って妹孝行に励んだのさ。
 そういうわけで、俺としてはそのときのツケを支払っているだけであり、断固として深い意味があるわけではないんだぞ。そこの女生徒諸君。クスクスしない。
(なんだか掃除の仕方まで涼宮さんにソックリになってきたのね)
(そういうところから似てくるものなのかしら)
(4組の子が休日に、腕を組んだ二人が街を歩いてるの見たって〜)
 まて! それは多分不思議探索であってだな、単に腕を引きずられていただけだと思うぞ。
(でも、ひとつひとつの運搬があまいのね)
(涼宮さんだと机運ぶ時三人に見えるものね)
(しかもそのスピードで、机の中の物がコトリとも揺れないんだものねぇ)
 どんな下り最速豆腐配達車だよ。それと今の会話はどれが阪中だろうな? 
 聞えないフリを決めこむ。ツッコミもしないぞ。
 クラスの中での俺の立場は、ハルヒに付属――隷属でなければいいんだが……――してると認識されがちだが、それなりに溶け込んでると思う。
 ではハルヒはといえば、阪中を筆頭に数人の女生徒と会話する姿もたまに見られ、苦手だと公言してはばからない谷口をスケープゴートに、希少な男子生徒と稀に意思疎通を成功させることもないではない。
 腫れ物扱いというか安全装置の壊れた爆弾扱いは残るものの、ハルヒに向けられる視線は意外や意外、概ね好意的なものだった。ゴシップ好きが事件を期待してるだけかもしれないが、ハルヒも入学以来からいくらか成長してる……と信じたい。
 掃除終了までの自己最短記録を叩き出し――最速ラップはチーム涼宮だろうな――手持ち無沙汰で廊下でダベっていたクラスメイトが入室するのと入れ違い、俺は挨拶もそこそこに教室を出た。
 そこのカシマシ娘!
 行ってらっしゃい言うな! 素早く教室に逃げ込むな! アハハなのね〜、は無理があるぞ!
 阪中め! 代表で阪中めっ! お前の誕生日には無塩バターをプレゼントだ。意味深に目を逸らしながら進呈するからな。首とかいろいろ洗って待ってろよ。ルソーによろしく!

 おっと、それどころじゃない。早いとこ部室に向かわないとな。
 薄々でもいい、今の状況に危惧を抱いてくれるとありがたい。 
 ハルヒが飛び立ってから既に十分弱。
 疑うことを知らない純真無垢な朝比奈さんは、律儀にも寄り道せず部室に向かうこと大であり、無自覚という無責任さと桃色ストレスを満載したハルヒ前で、なんの危機感も学習能力も発揮せずに、姫君専用メイド服へとお召し変えなさることだろう。
 あなたの騎士がただいま参りますのでご自重を! なにとぞご自愛ください! 片眼鏡でハンカチを噛み締めながら、泣き崩れる執事姿の俺しか思い浮かばないのは何故だろうな。

408『カシマシ・インフィニット』2:2007/03/31(土) 00:06:56 ID:4GkTw/9D
 俺の杞憂で済めばいいんだが、掃除当番の交代を申し渡して飛び出したハルヒの後姿目にした時、頭に角、背中に蝙蝠羽、ケツに尻尾が生えてる気がしてどうにも落ち着かないんだ。
 長門の施した対抗措置も成果も気になる。昨日は、長門の噛み付きから開放されてからも放心を続ける朝比奈さんを介抱するのに気を取られていて、一体どんな効果を発揮するのか聞きそびれたからな。
 久しぶりに鶴屋さんでも一緒に居てくれたら少しは安心……いや、嬉々として参加しそうだ。
 『前門のハルヒ、後門の鶴屋さん』。付け足すなら、『鬼門にイエスマン』、『ナガモンに無口観察者』。
 ……逃げて、朝比奈さん! 逃げてぇー!! 俺の脳内では既に最悪の状況が構築され始めていた。くそっ! 急がねば! 奴らの手に落ちるくらいならいっそこの手で!
 油断するとNBAにスカウトされかねない華麗なステップで人の波をかいくぐり、トラベリングもなんのそのとスキーム音も高らかにセンターラインを突破した。まあ、簡単に言えば部室棟への渡り廊下に差し掛かったわけだ。
「やあ、奇遇ですね」
 偶然も重なれば必然らしいぜ? 若しくは故意だ。ここで捕まるのは何度目だと思う。
 これっぱかしも悪いとは思わんが、すまん、今お前にかかわりあってる暇は無い。
 片手を上げた挨拶だけでこいつの脇を通り抜けたのだが……俺は足を止めて振り返ってしまった。
「古泉? ……お前は誰だ?」
 古泉みたいな人物は、見覚えのある仕草で肩を竦めてくれた。ふむ。
「これはまた随分ですね。哲学的な質問ですが僕は僕です、としか答えようがありません。
 あなたの一番の親友を自認してるのですが、まだまだ精進が足りませんでしたか? 非常に残念です」
「いやすまん。お前は古泉だ。その……大丈夫なのか?」
「おや、気付かれてしまいましたか? 昨晩少し状況が動きましてね。その結果がこの有様です」
 これ、と言って古泉は目元を指したが、それだけじゃないだろう。一晩でいったいどんな目に会えばそうなる?
 髪はパサついてこけた頬に後れ毛がかかっている。かてて加えてそのクマだ。衰弱状態を記述する定型文的な表現だが、そのものズバリが目の前に居る。体も一回り細くなった気がするんだが……。
 無駄な爽やかさが売りの好青年が、一夜にして病弱な深窓の御令息になっていれば、相手が古泉であっても心配せざるを得ない。
 ひどい扱いだと思うか? これで咳きでもすればサナトリウム文学が一本書き上がるかもしれないぜ。つまり、やつれ果てていてもサマになってやがるのさ。同情も三割減だ。
「……あとは総白髪でパーフェクトだな」
「昨日、朝比奈さんの献身的な犠牲によって、状況が快方に向かうかと油断したところにズンッと来ましてね」
 俺のアドバイスは無視か? 
「リバウンドか……」
「その表現は実に…的確ですね。予想していたのですか?」
「まあ長門がな。半端な解消法だと反動が出る……あー、可能性があったらしい」
 言葉を濁しておく。俺が携帯で忠告することも出来たんだが、その後の騒動でちょっとな、失念していた。
「教えてくだされば、大変ありがたかったのですが……」
「お前が変なモノ見せるから混乱してたんだろうよ」
「……それは、長門さんも女の子ですし……忘れてくれるといいんですが」
 しょげ返った古泉に、永久保存どころか映像付で情報ナントカいう親玉に送信されて、全宇宙規模で絶賛配信中かもな、とは言わないでやった。
「それで、大丈夫なのか? 体調の方は」
「えぇ、まあ。なんといいますか……今日の状況は副次的な産物といいますか……」
「うん?」
「あなたとこのような会話をするのはもう少し後かと思っていたのでね、漠然とですが。
 その、お恥ずかしい限りですが……」
 えらく歯切れが悪いな。
「涼宮さんのストレスに触発されたと言いましょうか、僕の、いわゆる僕自身のストレスを発散させれば、いくらか状況が軽減されるのではないかと愚考しましてね。その、処理を試みまして……いや、妙な話をして申し訳ありませんが……」
 あー……それはまあ話しにくいな。この説明の付かないムズ痒さは我慢してやるから、そうモジモシするな。大っぴらにする話じゃないが、そこまで恥ずかしがらなくてもいいぞ。お前も男の子だしな。なんなら谷口秘蔵のDVDを回してやろうか?
409『カシマシ・インフィニット』2:2007/03/31(土) 00:08:40 ID:4GkTw/9D
「それで、幸いといいますか、長門さんの言われるリバウンドが起こったのが宵の口でしたので、遅い晩餐を口実に何人か知人をあたりましてね。どうにか約束を取り付けたのですが、そこに大きな落とし穴がありました」
 うん? 知人? 
 そういうのは一人で、家人が寝静まって、妹が乱入してこないような夜更けにだな……。
「行為に集中するあまり、自分の欲求と例のストレスがごちゃ混ぜになってしまって、体は限界を感じているのに、頭の中の一部が要求するのをやめてくれない…
…考えてみれば当然のことなんですが、涼宮さんの状況を改善しないことには消えない類の感覚だと、再認識したのはオールで朝を迎えてからでした」
 もしかして、俺は手袋を投げつけられているのか?
「彼女達には悪いことをしてしまったと後悔することしきりです。
 満足はしてくれたようですが、今朝家を出る時も幾人か失神したまま眠っていましたし……残りの皆さんも足腰が立たないようでして……」
 彼女『達』ときたか、古泉よ……。
「……あ、いえ! 違いますよ! 機関とは何の関わり合いのない、れっきとした普通の女性たちです」
 お前なんか干からびてしまえ! くそっ! 時間を無駄にさせやがって!
 俺は、ベラボーな超絶倫人でもあることを暴露した、変態超能力者から身を離すように部室へと駆け出した。
 古泉の裏切り者〜! などと涙が尾を引いたりはしなかったが、しみじみと思う。身近な人物から、こういった生々しい話を聴くのは、中々ショックもんだな。あぁ、古泉が遠い……。
「待ってください」
 待つか! そう答える前に俺の隣にはあっさりと古泉が並んでいた。
「なにか起こったようです。おそらく部室でしょう。はっきりとは言えませんが……様子を伺ってきます」
「わかるのか?」
 質問に古泉は返事をしなかったが、俺に向き直ると首をすくめて自分のこめかみを人差し指でトントンとノックし、一足先に部室へと駆けていった。
 『なんとなく』『わかってしまうんです』か。難儀な職業だな、超能力者ってやつも。
 いや、俺も走ってはいるのだが、情けない事にぐんぐんと引き離されていく。古泉、お前はどんだけ精力的なんだよ。



「どうにも妙な雰囲気です……開けます!」
 俺が部室の前に辿り付くと、壁に張り付いて中の様子を伺っていた古泉は、一つ頷いてドアを静かに開け放って三歩ほど後退した。
 お前は入らないのか? 古泉の行動に疑問を覚えたが中の状況も気になるので、入室の順番を押し付け合うことはせずに部室へと半歩踏み入った。ノック無しで入室した際の罵倒を受けるのは、俺こそがふさわしいとでも言うのかね。
 無難に挨拶でもと上げかけた右手が硬直したのは、まず目に入った長門の様子に気付いたからだ。いつもの指定席から立ち上がった直立不動の姿勢で固まっている。
 普段から無駄な動作などしないこいつだが、いつもより僅かに開かれた瞳に、小さく開け放たれたままの唇までセットとなれば話は違う。
 あの長門がだぞ、こんな風に驚く状況を一つだけ無理に挙げるなら、長門のパトロンである主流派の親玉が、初老の紳士姿で「やあ有紀、パパだよ。元気だったかい?」と目尻を下げながら姿を現したら、それはそれは今のように硬直するかもしれない。
 いやそんな妄想よりもだ、長門の確立した無感動キャラの立場を脅かすモノとは一体なんだ?
 長門の視線を辿り、視界に飛び込んできたのはいい年したおっさんなんかではやはりなく、ある意味想像どおりの光景だったのだが、それは違う意味では想像もしていなかった光景でもあった。
 メイド服を装着した愛くるしい書記兼副々団長。
 その背後から胸に両手を回して、不埒な狼藉を働いているのが自称神聖不可侵な団長。
 これを日常の風景と認めるにはいささか抵抗があるが、まあ昨日も見た。以前にもそれなりに見た。
 しかしハルヒのやつは無言であり、相手の様子を伺いながら困惑したような、あるいは混乱したような、らしくない面持ちである。手首と指先だけは謎の生物みたいに妖しく動いてはいたが。
 そして被害者たるたわわな胸、いや違った、朝比奈さんなのだが……。
 このような状況なら例外なく大きく身じろぎをして、『それはまるで聴く者全てを勇者に育て上げるような』そんな悲鳴を上げているはずなのに、声もなくただ焦点の定まらない瞳で床を眺めていた。
 いや、声はあった。部室を満たしているノイズに掻き消されそうなほど微かな声が。
「――んっ――ふっ―――んくっ―――んん―――」
410『カシマシ・インフィニット』2:2007/03/31(土) 00:09:54 ID:4GkTw/9D
 その声がノイズに紛れる事は無かった。無かったんだ。なぜならそのノイズも等しく朝比奈さんの口から漏れているのだからな。辛うじて聞き取れる意味を成さない声の合間は、不規則に乱れる浅く短く荒い吐息に埋め尽されていた。
 見える範囲の肌という肌が完全に紅潮し、加えて乱れた呼吸に虚ろな視線となれば、熱病にでも罹患したのだろうかと疑うところだが、団員思いのハルヒが病人相手に無理強いするわけもなく、
逆に保健室を通り越して自宅まで――おそらく俺が命令されて――担いで運び込むと、過保護なくらい看病に没頭するだろうことは想像に難くない。
 となると、ハルヒが手を出したのは常態だったからで、それゆえ朝比奈さんがこの状態になったのなら、それは……マズいんじゃないのか? なんというか、とても。
 なんだ? なにが起こっている? 考えろ。思い出せ。昨日、そう昨日だ。
 ハルヒは? 欲求不満? 無自覚だとしても、発散するためにやってるにしちゃあ、ちっとも楽しそうじゃないぞ。
 朝比奈さんは? 「私が我慢すれば」? 確かに目の前の光景はそう見えなくもない。だがハルヒのためにもならないとの俺の説得に頷いてくれたはずだ。
 長門は? 解決策の提案? 自分の処置と予測に自信に満ちていた。みたところ朝比奈さんの胸が狂暴な牙を備えて、冒険者たるハルヒの指に噛み付くことも無く、
鶴屋さんの語尾よろしくにょろーんと延びて、征服者たるハルヒにビンタをかます様子も無い。見た目の変化はないと断言していたしな。
 古泉は? ズボンの前に小人がビバーグ? テントの中は意気軒昂。今日の話だと盗人ではなく、超能力者猛々しいだな、体の一部が。そんなことはどうでもいい! 背後に古泉の気配を感じると発動する俺の防衛本能が、今はなにも知らせてこない。
 古泉は何処に行った? なぜ部室に入ってこない? 「とめましょう」と言ってくれたら「そうだな」とすぐにでも朝比奈さんに駆け寄り、「様子を見ましょう」と言いやがったら「そんなわけにいくか」とすぐにでも朝比奈さんに駆け寄るというのに!
 誰かがどこか違っていた、どころではない。誰もがどこか違っていた。すぐさま朝比奈さんを救助すべく行動を起こせなかった俺を含めて、な。
 事態が動いたのはゴンッという部室の壁を叩いた音だった。
 ドアの脇、廊下側から響いたそれは勿論俺がたてたわけじゃない。俺を含めた部室の中の四人が四人とも、身動き取れない状態だったからな。
 先ほど古泉がドアを開けて身を下げたあたりか? なに考えてやがるこの裏切り者! 俺に銀貨三十枚の価値はないし、一度死んで生き返る特技も無いんだぞ!
「!」
 音に反応したのは長門。そちらを見ていなかったが息を飲む気配を感じた。
 その気配をハルヒも感じたのだろう。怯えたように顔を上げると珍しいことに小さな声で問いかけてきた。
「キョ――キョン?」
 耳元で囁かれた声に、遅まきながら反応したのが朝比奈さんだ。
「――え?――ふぇ―――あ?――――」

 俺だけが停止した部室の中で――状況が――動き出す――――
 
「――ひョンく、ん――」
「キョン! これはキョン、これは!」
 いえ、それはミクルです。
 慌てだしたハルヒの手が止まったせいだろうか、朝比奈さんの瞳に精彩が戻ってくる。
 それは、それこそ熱病の類じゃないのかと疑いたくなるような、熱く、潤んだ瞳だった。

「――キョン、くん?――わた、し――?」
「違うの! これは着替えがみくるちゃんに手伝ってアタシを!」
 朝比奈さんの視線が俺を捕らえたのは短い時間。まるで幻でも見ているみたいに、形の良い眉を寄せ、またもや焦点のブレ始めた瞳は俺を透過するように、どこか遠く……はるか遠くを……。

「―みて?――なん―――ちがっ、みないで?」
「そう! 手伝っていたのよ! まだ終わってないんだから出て行きなさっ出てけっ!!」
 声を出して落ち付いたのか普段の調子を取り戻しかけたハルヒ。俺の視線から朝比奈さんを遮ろうと、おそらく元凶であるはずの腕を暴漢からシークレットサービスへと転職させ、大きく巻きつけるようにその胸を抱き込んだ。

「っい! ま――くる、きて、いや――きちゃう――」
「み、みくるちゃん?」
 大きく仰け反った小柄な天の御使いは、蜘蛛の巣に捕われた可憐な蝶を俺に想起させ、天井を眺めたまま小さく震え出した片翼の天使がどこかに羽ばたこうと――。
411『カシマシ・インフィニット』2:2007/03/31(土) 00:11:11 ID:4GkTw/9D
 予感――ハルヒも感じ取ったんだろうな……気不味い逡巡と混乱。
 それは確かに、どこかの高みへと至る転落の予兆だった。

「こんな――の、イヤ――て、なんで?――こないで――キョンく――」
「違うの! 違うんだってば! だってこんなの違うじゃない!?」
 震えが全身へと広がり、徐々にその度合いを強めると、既に揺れる自分の足では立っていられないのだろう朝比奈さんは、ハルヒに寄りかかるように体を支えていた。

 取り落とすまいと腕に力を込めたハルヒの顔が、既に痙攣としか表現できない震えを押さえつけようと、より強く抱き寄せた為に朝比奈さんの首筋に埋まり――、
 振り払おうとしたのか、身を竦ませただけなのか、油の切れたブリキ人形みたいにカクカクと首を動かして、自分の胸を覆った腕に、朝比奈さんが、手を、添え、て――。 

「あ……」

 誰の漏らした吐息なのか。
 これが、傾いたジェンガに載せられる最後の積み木。こめかみに押し付けた拳銃の引き絞られたトリガー。絞首刑の十三階段を登り切った後の残酷な、最後の一歩だった。

「ふぅあ、あぁぁ、はっ、ぁぁ ぁ あ あ あ あ あ っああ!」

 絹を裂く、ではなく真綿で首を絞めるような、胸中をざわめかせる悲鳴とも嘆息ともつかない声を上げ、オーシャンブルーの青い海からスカイブルーの青い空へと羽ばたくトビウオの群れのように、

 肌の色を艶やかな桜鯛へと変化させた、人魚姫こと朝比奈さんの肢体が大きく跳ねた――跳ね続けていた。



 俺達三人は中庭の片隅にある自販機コーナーへと重い足を運んでいた。
 あぁ……なんて言えばいい?
 嬌声をあげて、あられもない痴態を披露するハメになった朝……いやスマン。今のは忘れてくれ。
 漁場を知らせるカモメのような鳴き声で、陸揚げされた白魚のようにピチピチと跳ねていた朝比奈さんが、どうにかナマ板の……まな板の鯉状態にまで落ち付いてから、それまで肢体を支えていたハルヒが、
故郷の河川に鮭か鱒の稚魚を放流するかのような慎重さでもって、彼女を床に降ろしたのはどのくらい経ってからだろうか。よし。こんなもんか?
「ごめん…みくるちゃん……こんなつもりじゃ…ごめんね……」
 どこか虚ろな表情でへたり込んだ朝比奈さんの正面に廻り込み、抱き締めて小さな声で謝り続けるハルヒ。
 無表情のまま、まばたきで涙を払い落とした朝比奈さんがかすかに微かに唸り、洟を啜り上げると、嗚咽から号泣へと変化するのにたいして時間はかからなかったと思う。
 遅れに遅れて遅きに失した身体の自由を取り戻したのはこのときだったが、ゴールドラッシュの西部人並のやる気でもってしても掛ける言葉が見つからず、俺は一歩、ニ歩と前後左右にウロウロするばかりだった。
 そんな俺のマヌケなタップダンスに気付いたんだろう、
「あ! いっ、いつまで突っ立ってんのよバカキョン! 着替えさせるから――」
「ひっ!? うぇ…うぇっく……うわあぁぁあん!!」
 叫び出したハルヒの声に小さく悲鳴をあげる朝比奈さん。春の嵐のような号泣、再開。
 俺の存在を思い出したのか、我らがSOS団のクリオネはその呼称に相応しいサイズになろうと、最大の原因でもある母性に目覚めたコウテイペンギンの陰に身を縮こまらせた。たぶん、そのまま消えてしまいたいんでしょうね……。
「大丈夫だから、ね? 着替えるだけ……もぉヘンな事しない! 落ち付いたら、ここじゃアレだから、トイレで……着替えとか、ね。大丈夫……。
 もお! なにやってんのよアホキョン!! なんか甘いジュースでも買ってきなさいよ! あたしが後でちゃんと払うから、とっとと出て行きなさいっ!!」
 それでも部室に残していくのに躊躇して、ハルヒのらしくない瞳にまたもや硬直しかけていた俺を救ってくれたのは、右手に大きなガマグチを持ち、控えめにブレザーの袖を引いた長門だった。
「外に」
 ……確かに俺にできるのはそのくらいだろう。男が残ってたら朝比奈さんが耐えられないだろうしな。残る同性があいつだけっていうのは引っかかるが……。
 だがな、ハルヒ。俺の鍛えられた読眼術はなにも長門専用って訳じゃない。
 朝比奈さんの号泣に小声で織り込まれた、「バカ」とか「キライ」といったささやかな罵倒のたびに僅かに歪むお前の表情。虚勢で取り繕った俺を睨み上げる視線には、確かに一つの言葉が込められていたと思う。『たすけて』ってな。
412『カシマシ・インフィニット』2:2007/03/31(土) 00:12:49 ID:4GkTw/9D
「ああ、ちょっと行ってくる。ハルヒ……ちゃんと謝っとくんだぞ?」
 中学時代を一人で駆け抜けてきたお前が、そうまで拒絶に怯えるのはなぜだと思う? お前と朝比奈さんが、団長とその配下なんて味気ないカテゴライズじゃあなく、失いたくない、かけがえのない友人なのだとお前自身がわかっているのさ。
 なら全力で謝り倒すしかない。そうすればきっと許してくれるさ。だからそんなに怖がるな。
 そんな事しか思い付かない自分が歯がゆいし、相手の寛容さに付け込む様で気が引けるが、随分昔にバニーガールを強要して衆目の中に連れ出した時には、一日休んだだけで天の岩戸を開いてくれたわけで……。
 ……今度のこれは、一週間くらいで済めばいいんだがな。

「それで、これはいったいどういうことなんだ?」
 部室棟の全容が視野に収まるくらい離れると、俺と並んで歩く小柄な方に話を振った。
 さらに隣に古泉。こいつは俺達が部室を出ると廊下に寝転んでいたんで拾って来たわけなんだが、本気で大丈夫なのか? どうやら先程の壁を叩いた音は、ふらついて倒れ込んだ時に手を付き損ねて頭をぶつけたモノらしい。
 仕方ないので肩を貸して助け起こしたんだが、昨日みたいに拒絶されるかと思いきや、素直に寄りかかり、立ち上がるまでじっと俺を見つめてやがった。お前の視線と息が熱い分だけ俺の背筋が寒くなるんだよ!
 その場に残して行くわけにもいかず連行したんだが、古泉の方から長門を挟む形で距離を空けてくれたんでどうにか拳をおさめた。掌に爪の跡が残っていそうだ。
「さぁ? 僕の方は半ば意識を失っていたのでなんとも。一体全体、部室ではなにが起こっていたんですか?」
 言えるか! 今はお前に聴いてるわけじゃないしな。
 いつにも増して無口になってしまった対有機体用――いや、今は気を落とした女の子だな。ハタ目にも解るかもしれない微妙なラインで悄然と肩を落としている。
「……長門?」
「……違う」
 絶対的な信頼を置いている長門だが、今日はさすがに頷くだけでは終われないぜ。
 朝比奈さんの腕に噛み付いたのはまだ昨日の事だ。あれが大きく関わっているのは間違い無いだろう? 責めるわけじゃないが、なにが違うのか説明してもらわないとな。
「わたしの予測とは違う」
 どうやったら穏便に切り出せるかと眉をしかめる前に長門が口火を切った。
「前日に胸部への接触を中断された涼宮ハルヒが、近く同様の接触を謀ることを推察していた」
 それは当たっているんじゃないのか?
「障害となるあなたに清掃活動の代行を命じることも推察していた。
 今日、もしくは明日に状況が発生し、あなたが部室に到着する前に収束する……それがわたしの予測」
 それで、あぁ…効果維持時間、だったか? その時間が48時間だったわけだ。するとなにが長門の推理と違ったんだ?
 俺が掃除を早めに済ませちまったから、予想外にその場面に立ち会ったってことなのか?
 それにしたってあの様子だ。俺がノンビリ掃除に時間を割いたとしてもヘタリ込んだ朝比奈さんを目にしたろうから、やっぱり黙ってられない事態になったと思うんだが……。
 ん? 待てよ、俺が部室に現れなかったらこうはならなかったのか? 部屋に入るまでは随分と静かだったはずだ。それが俺の存在にハルヒと朝比奈さんが気付いたからこそ、あんな……大騒ぎになったのか?
 大親友の鶴屋さんを除外すれが、かなり親しい部類だと自認する俺は、枯れ木も山のニギヤカシとはいえれっきとした異性であることは間違いなく、ほんの数分ばかり到着を遅らせるなり、硬直せずに見なかったフリを決め込んでそっとドアを閉じていれば…
…待て待て! 俺が掃除を手早く済ませ息せき切って駆けつけるのも折り込み済みだったろう。その俺が部室に踏み込んだとき、昨日あれだけ自信に満ちていた長門まで硬直してたんだぞ。
 つまりその時点で長門も予想しない事態が既に発生していたのであって、その場面で俺が石化するのはごく自然な流れなはずだ。あの瞬間の部室の雰囲気ときたら、それこそメデューサもビックリな破壊力だったぜ。
 そういえばメデューサは三姉妹だったか。SOS団の女性陣も三人だな。天上天下唯我独尊にして傲岸不遜たるハルヒ。穏やかにして抜群の癒し系朝比奈さん。情けないことに俺の最後の頼みの綱たる長門。
413『カシマシ・インフィニット』2:2007/03/31(土) 00:14:24 ID:4GkTw/9D
 昔の神話っていうのは随分と曖昧なもんだが、俺の記憶だと「強い女−女王」のメデューサ、「広い海」のエウリュアレ、「力」のステンノ。うん、なんだか似てる気がしなくもない。
 陰険なアテナに目をつけられるまでは三姉妹とも美貌を誇っていたらしいが、外見だけならウチのかしまし娘だってタメを張れるかもしれん。アテナとペルセウスは誰だろうな。
 いや一番腹立たしいのはポセイドンか? 昔の神様は随分と色事を好んだようで、三姉妹全員と関係を持ったり持たなかったりと……えぇい! 忌々しい、あぁ忌々しい、羨ましい。俺の目が黒いうちはそんな無節操な輩に――
「どうでしょう、最初から状況の整理を行ってみては? 僕が持ち込んだ件以外でも頭を悩ませる事件が起こったようですし、関連性もあるのかもしれません。
 何が起こっているのかまだ理解出来ていないのですが、僕個人の感想を言わせていただければ、長門さんの予測を裏切る事態となると放置出来ない大事ではないかと。もしくはこれから大事に発展するのかもしれません」
 おっと、現実逃避なのか思考の迷路に落ち込むところだった。しかも本筋と違う方面に大爆走だ。助かったぞ、古泉。こいつは昨日の出来事を知らないんだったか。今日は今日で暢気に廊下で昼寝してやがったし……礼は取り消しておこう。
 しかし何が起こっているのか把握する必要はある。それも早急にだ。
 部室の二人は落ち付ける時間が欲しいだろうが、それでもジュースひとつ買うのに下校時間までかけるわけにもいかず、部室に戻るまでになにがしかの方策を立てておかないとな。
 ここで朝比奈さんが立ち直れずに部室に顔を出さなくなったらどうする? 朝比奈さんの欠けた部室なんてミルクの入ってないコーヒーみたいなもんだ。いやブラック派は今は関係無い。
 反省は重要だが、自己嫌悪に塞ぎ込むハルヒに至ってはコーヒーの入ってないコーヒーだ。カップの中は空でした。エアコーヒー? バカ言うな。あいつはいつだって煮えたぎってればいいんだよ。
 熱くても苦くても、文句を言いながら飲み干すのがSOS団流なんだろうさ。となればミルクは絶対必要だ。ミルク伝説だ。
 SOS団のロゴ入りカップのもと、縁の下から支えるソーサー長門に、折衝する仲介役のスプーン古泉もな。いや最初の映画も今は関係無い。ソーサラー長門に、スプーンマッガーレ古泉じゃあないぞ。
 ……消去法だと、俺が飲み込む役目を仰せつかるのか? だったらなおさらなんとかせねばなるまい。
 飲み終えて最初につく吐息は、やはり充足感に満ちたものにしたいからな。



 事態を改善するにはこいつの意見も必要だろうと、相変わらず扱いづらい話題だが古泉にも説明することにした。
 変態的な事件が起こらないよう紛糾する割に、いざ事が起こると原因やら経過やら結末の把握に一番熱心なのが古泉だ。
 超能力者的なイベントには斜に構えた態度を崩さないくせに、時間遡行のような未来人的、あるいは未知の意識存在のような宇宙人的イベントには、夢見がちな少年みたいなきらっきらした雰囲気が、
自慢のポーカーフェイスからはみ出していることに、本人は気付いているのかいないのか。まあ、説明魔の性分なのかもしれないが、今回の話題だとテカテカした谷口みたいな雰囲気だぜ?
 長門のほうがより詳しく説明できるんだろうが、今は落胆もあらわにいつもの寡黙少女だ。
 しかし……俺も説明できることは少ないな。
 とりあえず長門が細工したパソコンの件は除外して、朝比奈さんの胸を生贄にすると逆に悪化しそうなので、それに対する防衛措置を長門が提案し、朝比奈さんの同意の上で実行した旨を説明、ああ、例の噛付きでな、と付け足してやった。
「たぶんそれが関係してるとは思うんだが、今日の部室の有様は俺にはちょっと……説明が付かない」
「…………」
「長門さんの対策がどのような効果を発揮したのか気になりますが、現在が長門さんの予測を大きく逸脱している、そこが今回のポイントなんでしょうね。
 いえ、これは失礼しました。まず最初に長門さんの予測からお聞きするところでしたね」
 横入りしてすみませんと頭を下げる古泉。この辺はさすがだ。発言を渋る長門の三点リーダーを遮り、そこから論点をずらしてバトンを渡している。詐欺師の論理だな。
「……わたしは」
 何をしたかと問い詰められるよりも、どうしてしたかを尋ねられた方が長門としても有り難かったんだろうな。その証拠に、
414『カシマシ・インフィニット』2:2007/03/31(土) 00:15:26 ID:4GkTw/9D
「――私は涼宮ハルヒの性格から、朝比奈みくる本人の絶対的な拒絶以外では、誰の制止であっても接触行為を阻害しないものと判断した。
 しかし、朝比奈みくるがそのような言動および行動に至る精神的肉体的実行力は測定できず、古泉一樹の命運は春雷を伴った豪雨の中の風前の灯。
 だが涼宮ハルヒの秘匿された性質の中から、状況の改善に効果をもたらす素養も見出していた。それが羞恥。
 おそらく無意識下から発現する忌避的状況に抵触した、性的な意味を大きく内包した大仰な表現の発露が朝比奈みくるから発生することにより、行動を自粛し軽度のコミュニケーションに移行するものと思われた。
 これは涼宮ハルヒの持つ概念的な同性間接触から逸脱した感想の想起を伴った違和感を発生させるのに加えて、ある特定の異性個人に不穏当な刺激を提供しかつ関心を強める事に対する恐怖
およびそれを表層自意識で認知することを善しとしない心理的防壁によって選別選択された絶対的な禁忌として自発的抑止力を伴う楔となる……と予測した。
 対応策を考察するにあたって、年齢的近似範囲内の普遍的な男性が好む参考文献の検索を実行・閲覧し統計的に妥当と思われる一つの記述に着目――」
「待ってくれ――なんだかわからない」
 証拠に、口を開いてくれたが――ちょっと待て。思わず手を伸ばして遮っちまった。これは止めるだろう? わかる奴がいたらここに来て説明してくれ。
 あと息継ぎは忘れるな。明らかに吸い込んだ空気より排気量のが多いだろ。構造と燃料の違いか? ガソリンエンジンとジェットタービンだと各段に出力と燃費が違うらしいしな。回転数の微調整が利かないところまでそっくりか。
「なるほど」
 ここに解る奴がいたか。……別に拗ねてないぞ? 長門の通訳は俺の専売特許じゃないしな。ちぇっ。
「つまり、あのような破天荒な涼宮さんでも、内面は古式ゆかしい清純な乙女ですから、自分の行動で身近で親しい朝比奈さんがあられもない――いや、破廉恥な?――
――えぇと、はしたない……えっちな声なり反応を派手に見せ付けてくれるのに耐えられないだろう、と判断したわけですね?」
 いろいろと言葉に詰まっていたようだが吹っ切れたか……さすがだ古泉。こいつも長門の自発的な行動を少し嬉しく感じているのかもな。結果はどうあれ。コクリと頷く少女を随分と優しい眼で眺めてやがる。
「どんな参考文献かは置いておきましょう。ですがどんな記述を参考にされたのですか?」 
「……過度に発育した乳房は質量と表面積に比例して神経網が拡散、反比例して触覚器官としての反応を鈍らせる、との記述が多く見られた」
「……大きければ感度が悪い、という記述ですか? それは……迷信です。
 身体の大きな人でも針で刺されると痛がるでしょう? 恐竜くらい大きくなると別ですが」
 どんなサイズだよ。
「それは違う……恐竜は脳の容量と末端部からの距離から鈍感だと思われがち。しかし脊髄付近に小型の脳ともいえる昆虫のそれに似た神経節が配置され、痛覚による危機伝達に反射的行動を迅速に行っていたとの説もあり、これは――」
「ああ! 話が逸れてしまいました。すみません! 恐竜も置いておきましょう」
 さっきからの笑顔は変わらないのに、そつ無く軌道修正する古泉がなんだか……ちょっと怖いぞ?
「それで、いったい、朝比奈さんに、どんな、処置を?」
 詐欺師ではなく恫喝者だろう。微笑がそのままだけにえらい迫力だ。長門だってすっかり怯えて小さく――いやまあ普段の姿勢に無表情だが、明らかに目線をさまよわせて足もとの色付きレンガを数えてるじゃないか。
「ちょっとだけ」
 すこしばかり宥めた方がいいだろうかと古泉に腕を伸ばした俺が硬直したのは、珍しく指先で一センチくらいのなにかを摘むようなジェスチャーを添えた長門を見たからなのか、
「皮膚触覚から作用する自律神経系反射中枢の感度を高めた。ちょっと……最大昂揚時の30倍」
 この言葉に愕然としたからなのか、誰か判断してくれ。
 男は余り自分の胸に関心が無いしなぁ……ある方が特殊だと信じたいし、それゆえどの程度の威力なのかさっぱりだが……それでも30倍はやりすぎだろ……激辛レトルトカレーじゃないんだからさ。
「リミッターは設けていた……神経が焼き切れないように」
「し、しかし、それでも朝比奈さんが乱れた声をあげない可能性もあったのでは? 快感に翻弄される女性たちが必ずしも嬌声を漏らすとは限りません。純真な青少年の夢を壊すようですが――」
415『カシマシ・インフィニット』2:2007/03/31(土) 00:16:50 ID:4GkTw/9D
 一瞬だけ絶句した古泉だが、すぐさま復帰する。かなり語彙と表現が崩れてるぞ。大丈夫か?
 あと『青少年で』こっちを見るな。忌々しい。
「――無反応は自分の技巧の稚拙さと愛情の未熟を攻めるべきでしょう。ですが! 羞恥に指を噛んで声を押し殺す姿、これもまた風情です! 堪え切れずに溢れ出す熱を帯びた吐息に混ざるかすかな――」
 な、に、を、語ってやがるこの破廉恥野郎!
「大丈夫。わたしはそのタイプ」
 な、長門!? お、俺はなにも聞いてないぞ。聞えない聞えない。おい、また話題がズレたぞしっかりしろ古泉ぃい!
 あと『タイプ』でこっち見るな長門。ちいさく首を傾げるな。『どぉ?』じゃない。
「――それはまさに朝露に濡れた熱帯雨林の草花のように、曙光に煌き艶やかな彩りと確かな熱気を孕んだねっとりとした一陣の――いけません。そうでした。相手を誘う七つの定理第五章反応編の講義も置いておきましょう。
 問題は朝比奈さんでしたね。ええと……どうしましょう?」
 話題に加わったらいつもの古泉に復帰したかと油断したが、こいつはもう駄目だろう。今のが焼き切れる前のフィラメント。燃え尽きる直前の蝋燭だ。豪雨の中の灯火らしいしな……。
 誰か助けてくれ。ボケとツッコミとボケでは話が収束しないんだよ。
「朝比奈みくるは」
 よし長門! お前が頼みの綱だラプンツェル!
「観測された全ての状況において通常の会話を上回る音量での発声を確認」
 観測すんな! 気付いてもデータは破棄しろ! 
「音量比で122%。語彙表現ではわたしと比較して37倍もの語句を意識の昂揚に用いている」
 丹念に飼育された鯉の泳ぐ池で拍手を打ったことがあるか?
「居住地の防音設備を過信しているが、先々月隣室に越してきた濃密な蜜月を過ごす若夫婦の睦み事に、耳をそばだてる自分の姿を失念している。これは危惧すべき事態。いまそこにある危機」
 それはもう悠然と泳ぎ寄っては、こう口をパクパクとな。俺の前に来てみろ? 夢に見るくらい教えて差し上げるぜ。
「わたしと同様のインターフェースであるちみどろえみりからも、友人として助言を呈するよう進言されてはいるが、
これは全宇宙規模で驚異的なコミュニケート能力を発揮し、親友と呼べる大切な仲間を獲得した私に対する嫉妬から発案された明らかな奸計であるとも判断でき、決断するのに暫くの情報収集を――」
 いや待て! 待て長門! 話を広げるな敵を増やすな!! 北高ハイスクール赤裸々白書だけでもじゅうぶんマズいが、それはいろいろマズいだろ! 屋根より高いノボリになってる場合ではない。
 俺の記憶に間違いが無ければ、ちまみれえみりさんはお前の監視者だったはずだ。
 お前の能力が制限されるきっかけになったクリスマス直前の大ポカ以来、ささいなペケも見逃すまいと重箱の隅を突つくような、掃除直後の障子の枠をなぞる小姑ような、そんな監視に気も休まる暇も無いと愚痴を漏らしたのはお前じゃないか。
 だったらもうちょっと声を押さえてだな、いや、地球の裏側とか冥王星の果てからでも感知しそうだが――

「なにやら不穏当な発言が聞こえたんですが、気のせいですよね?」

 ――感知したらしい。
 いつのまに到着していたんだろう。目的地である中庭の自販機コーナーの陰から現れたのは、涼宮ハルヒの観察者にして暴走する長門有希の監視者。ちぬれのえみり――違った、喜緑江美里さんだった。
416名無しさん@ピンキー:2007/03/31(土) 00:18:27 ID:4GkTw/9D
オワタ。なんでかIDが変わってる
417名無しさん@ピンキー:2007/03/31(土) 00:40:22 ID:nq3S98oq
>>416
乙です。
面白かった。続き待ってる。
418名無しさん@ピンキー:2007/03/31(土) 00:45:20 ID:QB/XOu18
もっと改行した方がいいいいんじゃないの?
419名無しさん@ピンキー:2007/03/31(土) 00:45:24 ID:lWyov59W
なんか普通に長門にむかついた。
キョンはやり方がおかしいって長門怒れよ。つーか怒るだろ
420名無しさん@ピンキー:2007/03/31(土) 00:54:59 ID:01nvyzWx
詰め込みすぎ感が否め無いが,GJです
421名無しさん@ピンキー:2007/03/31(土) 00:59:47 ID:bYQhT2nY
読みにくい
422名無しさん@ピンキー:2007/03/31(土) 01:13:07 ID:vY8fY4W8
さて誰が佐々木ssの処女を奪ってくれるのかね?
423名無しさん@ピンキー:2007/03/31(土) 01:35:51 ID:T2tgFznk
>>416
キョンの語りが少々しつこ過ぎる気がする。
あと、各キャラの性格が崩壊してないかい?
第1部の時は読みやすかったんだが…
424名無しさん@ピンキー:2007/03/31(土) 06:21:08 ID:iBVhlg7a
新刊って、もう並んでるんですかね。あとで本屋に行ってみます。
さておき、久々の投下。SOS団のちょっとした日常。12レス予定。
425名無しさん@ピンキー:2007/03/31(土) 06:22:27 ID:iBVhlg7a

 いつもと変わらぬ気怠い午後の授業。中年の教師は、黙々と黒板を数字や記号で白く
塗り潰していく。書いては消されていく文字は、どこかクレイアニメに似ている。
 教師の動きがぴたりと止まり、こちらを振り向いた。やばい。慌てて下を向いて、ノートを
取る振りをする。しばらくそうやって嵐が過ぎ去るのを待ってから、そっと視線だけを上げる。
チョークを持った手で教師が指差した先には谷口がいた。谷口は落ち着きのない四十雀の
ようにキョロキョロと周りを見回した後、恐る恐る自分の顔を指差した。教師が肯定の意を
表すため、深く頷く。谷口は項垂れると、とぼとぼと黒板へと歩いていった。
 演習問題を解くのは谷口に任せて、窓の外を眺めた。校庭ではどこかのクラスが体育の
授業中で、ハンドボールに興じている。
 再び黒板に向き直ると、ちょうど谷口の書いた答えの上に、教師が黄色のチョークで大き
くバツを上書きするところだった。
 がっくりと肩を落とす谷口。校庭から、カキーンと間の抜けた音が聞こえてきた

 帰りのHRは、岡部は特に何を言うでもなく、いくつかの連絡事項が書かれた紙を配るだけ
で終わった。担任が教卓から離れると、生徒達も一斉に動き出した。肩を叩いて笑いあった
りしているのは一緒に部活に向かう奴らだろう。俺は鞄を掴むと、その合間を縫って扉へと
向かった。途中、国木田が手を挙げて挨拶してきたので、ひらひらと手を振り返す。
 さて、そろそろこの状況をどうにかしてもらいたい。何かにつけて不便で仕方ない。
 俺は足早に文芸部の部室へと向かった。
426名無しさん@ピンキー:2007/03/31(土) 06:24:10 ID:iBVhlg7a

 部室のドアをノックする。もちろん朝比奈さんのためだ。こうやってラブコメ的な着替え遭遇
シーンに続くかもしれない芽を律儀に摘み取っている。俺の紳士的な行動を称えて、どこぞの
王室が称号を授与してくれるのも、そう遠いことではないだろう。
 中からバタバタと慌てるような音がしたが、返事はなかったので大丈夫だと判断して、扉を
開いた。
「……………………!!」
 状況を確認し、慌てて扉を閉めた。いかん、すっかり失念していた。弁解させてもらうと、こ
れは間違ってもやましい気持ちで起こした卑劣な犯罪行為ではなく、過失による事故である。
だが仮に裁判沙汰になれば俺の死刑は免れないだろう。罪状は世界遺産冒涜罪だ。
 扉に背を預け気持ちを落ち着けていると、廊下の向こうから古泉が歩いてきて、俺の様子
を不思議に眺め、首を傾げた。
 俺が両手を広げて扉を死守する構えを見せると、古泉は少し考え、納得しましたとでも言う
ように微笑んだ。何が分かったのか知らないが、そのにやにや笑いはやめろ。
 文句でも言ってやりたい気持ちに苛まれていると、コンコンと部屋の中から控えめなノック
がされた。
 ガチャリとドアを開けたのは、顔を真っ赤に染めたメイド服姿の朝比奈さんだ。その顔を見
て、俺は先程の光景を思い出した。顔に血が上るのが分かる。そんな俺の顔を見て、朝比奈
さんは、ますます赤くなる。それを見て俺は……などという赤面のメルトダウンは、古泉が俺
の肩を叩いて止めなければ、いつまでも続いただろう。
 まったく、これもすべてハルヒのおかげ……もとい、ハルヒのせいである。

 件のハルヒは、まだ来ていない。部室の中には、いつも通り黙々と本を読む長門がいた。
うん、こいつだけは本当の意味でいつも通りだ。案外、読書に適したこの静かな世界を歓迎
しているかもしれない。
 俺の不躾な視線が気になったのか、長門は読書を中断して顔を上げると、「なに?」とでも
言うように首を傾げた。何でもない、とでも答えたい所だが、そうも出来ないので、代わりに
首を横に振った。まったく、不便なことこの上ない。
 さて、もういい加減うんざりだ。早いとこ、どうにかしてほしい。
 古泉の方を向くと、待ってましたとばかりに、鞄から分厚い紙の束を取り出して渡してきた。
ダブルクリップで留められたA4の報告書は、軽く見積もっても3桁に届く枚数だろう。どうやら
こいつの饒舌さは、紙の上でも健在のようだ。
 パラパラと捲ると、目次だけで3ページも使っている。もちろん、俺はこんなのを読みたいと
は思わない。だいたい目次を見れば分かるが、ほとんどは可能性や憶測などといった消極的
な内容で、事態解決の役には立ちそうにない。
 要旨だけ、ざっと目を通したが、言ってることは『おそらくハルヒの仕業である』ということと、
『原因・対処法は不明』ということの二点だけだ。それぐらい俺にだって分かる。
 興味なしをアピールするために、紙資源の浪費の産物を机の上に放り置いた。表紙には、
くだらないタイトルが書かれていた。
427名無しさん@ピンキー:2007/03/31(土) 06:25:51 ID:iBVhlg7a



                    『 涼宮ハルヒの沈黙 』
                 Silent Our Songs / touch the hearts


 さて、俺の認識が正しければ、事の起こりは今朝である。
 いつものように目覚ましを止め、睡眠と遅刻を天秤に掛けた二度寝チキンランをしていると、
部屋のドアが勢いよく開かれた。起きてこない俺に業を煮やした母親が使わした使い魔の類
に違いない。人に与する、小賢しいエルフだ。
 まぁ、これもいつものことで、次に来る展開も読めている。耳元での大音量の「おっはよー」
に備えて、掛け布団を頭を覆うように引き上げた。
 ……今考えれば、これが失敗だった。この愚行により俺は視覚という重要な外界認識手段
を失い、妹が取ったイレギュラーに対応できなかったわけだからな。
 とっとっ、と、小走り気味に駆け寄ってくる足音を布団越しに聴いていたが、タンッという音を
最後に数瞬の間が空いて、
 ──ぼふんっ
「〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っっ!!」
 声にならない叫び。警告一切無し、掟破りの真剣勝負(シュート)フライングボディプレスは
無防備に弛緩させていた腹部に直撃した。布団の中で悶えること、たっぷり数十秒。卵とじ
ならトロトロの半熟を逃し、完熟になってしまうほどの貴重な時間を無駄にしてから、ようやく
起きあがることが出来た。
 情けなくも涙を滲ませながら妹を睨み付けると、何が嬉しいのか、器用なことに声も立てず
にケタケタと笑っている。間違いない、エルフではなくゴブリンの類だ。近隣の善良で木訥な
農夫の方々に迷惑を掛ける前に、きっちりと人間界のルールを教え込むのが肝要だ。
「 … … … … 、 … … … … … … 、 」
 …………あれ?
「 … … 、 … … … … 、 〜〜〜 〜〜〜 、… … 」
 …………おい、冗談だろ?
 妹は、救いのない掬われ金魚のように口をパクパクさせる俺を不思議そうに眺めているが、
もちろん、そんなのに構ってる場合じゃない。
「 … … … … … …、  … … … … … … … … 、  … … … …!」
 なまむぎなまごめなまたまご、となりのかきはよくきゃくくうかきだ、ばすばすばすばす!
 疑惑を振り払おうと、意味もなく早口言葉を発しようとするが、肺から空気が漏れるだけで、
耳には一切の音声が届かない。必死になって他の言葉も出そうとするが、結果は一緒だ。
ぜぇぜぇと呼吸困難で苦しむまで試したが無駄だった。
 おい、洒落にならないぞ。
 肩で息をし、別に美味しくも何ともないマイナスイオン含有量不明の空気を肺に補給する。
そのまま二度三度と深呼吸をする。腹が空いていればイライラするのと同様に、酸素が足り
なければ思考もままならないってものだ。まずはゆっくりと呼吸を落ち着けよう。うるさい心臓
も、ようやくマナーモードに切り替わる。最後にもう一度、大きく息を吐き出した。やれやれ、
朝から取り乱したって仕方が無いじゃないか。
 しかし、多少なりとも冷静さを取り戻したせいで、逆に現状の認識が出来てしまった。
428名無しさん@ピンキー:2007/03/31(土) 06:27:22 ID:iBVhlg7a

 『声が出ない』
 事実を再認識した瞬間、喉元がきゅっと縮み上がった。付け焼き刃の落ち着きなど、スイカ
にかける塩のようなものだ。恐慌を引き立てる名脇役でしかない。
 先程の妹のダイブが原因か? それとも昨晩のキムチ鍋か? 新手の病気か? 何だ?
 必死に考えを巡らせていると、くいくいと裾が引かれているのに気付いた。視線を向けると
妹が心配そうに俺のことを見上げている。
「………………」
 無理矢理に笑顔を作って、大丈夫だとアピールする。痩せ我慢選手権の地区大会初戦くら
いなら通過できるだろう。
 ついでに頭を二三度ぽんぽんと叩いてやると、ようやく妹も安心したようだ。うむ、こいつは
詐欺被害者選手権の全国大会で上位入賞が狙えるな。多少ならず心配だが、なに、嘘吐き
に育つよりかはマシだろう。
 そのままシャミセンにやるように、わしゃわしゃと髪の毛を掻き回す。妹は口をもにゅもにゅ
と動かして、くすぐったそうな、嬉しそうな、何とも判断に困る微妙な表情をしたが、少なくとも
嫌がってはいないようだ。
 わしゃわしゃわしゃわしゃ……いかん、何だかこれは楽しいぞ。
 泥沼に陥りそうだったので、慌てて手を離し、終わりだとばかりに、もう一度、ぽんと叩いて
やった。妹は上機嫌になり、にっこりと笑うと、たたたっと一階に下りていった。
 足音を聞きながら、自分の心も穏やかになっていることに気付く。先程の付け焼き刃と違い、
しっかりと鍛造されている。うむ、どうやらアニマルセラピーも馬鹿にできないようだ。

 ふと疑問に思った。
 ……あいつ、なんで喋らなかったんだ?
 今朝は一度も妹の声を聴いていない。正確に言えば(言えないのだが)、あいつは一度も
喋ってないのだ。
 これが仮に長門ならば、まぁそういうこともあるだろう。だが普段あれだけ喧しい妹だ。それ
とも今朝に限って、ヘレンケラーに傾倒したとでも言うのか?
 ふと疑惑が湧いた。疑惑は台所で母親に会うことで確信に変わった。一言も喋らないまま、
態度だけで早く朝食を食べて学校に行けと言う。なかなか堂に入っており、昨日今日で身に
付いた技術ではないようだ。年期のなせる技だろう。
 つまり、『ここ』では『それ』が当たり前なのだ。
 いつもならここらで「やれやれ」とでも言うとこだが、それすらままならない。代わりに、はぁ、
と溜め息を吐いた。
 ……間違いない、ハルヒの仕業だ。
429名無しさん@ピンキー:2007/03/31(土) 06:28:58 ID:iBVhlg7a

 分かってしまえば、半ば『いつものこと』である。慌てたところで仕方がない。まずは長門に
でも相談しないと始まらない。
 と言うわけで、今に至る。本当は昼休みにでも相談したかったのだが、あいにく都合が悪く、
放課後まで延びてしまった。まぁ、幸いハルヒは何をするのか知らないが遅れてくると言って
いた(正確には授業中にノートの切れ端に書かれたメモを渡されたのだが、いちいちこういう
指摘をしていると、話がまったく進められないので、以下は割愛する)ので、作戦会議を行う
のに支障はないだろう。

 さっそく、長門に尋ねることにする。長門も心得たもので、俺がどうやって訊こうかと悩む前
に、気を利かせて回答を出してくれた。
 右、左と、ゆっくりと首を横に振る。日本では否定の意味で使われる一般的な動作だ。
 ……つまり、原因不明、対処法不明、か。
 これで長門を役に立たないと攻めるのは酷だろう。何せハルヒの起こした面倒だ。気紛れ
によるところも大きいだろう。そんな猫の目すべてに対するマニュアルなど、無くて当然だ。
 しかし、長門がダメとなると……
 視線を向けると、朝比奈さんはきょとんと不思議そうな表情をした。残念ながら意図は伝わ
らなかったようだ。
 とりあえず、口をパクパクと開きノドに手を当て、『声が出せない』ということをアピールする。
しかし朝比奈さんは困ったような表情をするだけで、伝わった様子はない。
 ダメか。なら作戦を変え、『声』を表現するため、口の前で手をパッパッと閉じたり開いたり
してみる。これならどうだ?
 朝比奈さんは胸元で手を打ち鳴らし、ぱっと花咲くような笑顔になる。よし、成功だ。
 しかし朝比奈さんは何故か少し恥ずかしそうな表情をすると、両手を頭の上に付け、まるで
ウサギの耳のようにピョコピョコと動かした。
 ……朝比奈さん、いったいあなたは俺のメッセージをどう解釈したんですか?
 もっとも、その動作は非常に愛らしいので、そのまましばらく続けてもらうことにした。
 ピョコピョコ、ピョコピョコ、ピョコピョコ……、ピョコ?
 朝比奈さんも、どうやら何か間違っていることに気付いたらしい。段々と不安そうな表情に
変わっていった。いいえ、間違ってなんかいません。それはある意味で大正解です。
430名無しさん@ピンキー:2007/03/31(土) 06:30:56 ID:iBVhlg7a

 さて、しかし長門も朝比奈さんも駄目となると進退窮まった感じだ。とりあえずハルヒの動向
を見て判断するしかなさそうだ。やれやれの代わりに、ため息を一つ。
 視界の端で古泉が自分の鼻を指差している。どうした、蓄膿症か? 早めに病院に行った
方がいいぞ。

 コンコンとドアがノックされた。噂をすれば、と思ったが、ハルヒならノックなどしない。
 誰だろうと疑問に思ったが、そんなのは開ければ分かることだ。一番ドアに近かった俺が、
訪問者を招き入れることにする。
 ドアを開けると、目の前にはハルスの描く肖像画のように生き生きとした顔で笑う上級生が
立っていた。説明するまでもないだろうが、鶴屋さんである。俺の顔を見るなり、さらに表情を
明るくして両手を上げた。バンザイ?
 とりあえず会釈をして、中へどうぞと道を譲る。しかし鶴屋さんはバンザイ姿勢のまま、そこ
から動かない。どうしたのか訝しんでいると、視線が俺の両手に注がれていることに気付いた。
何となく察して、両手を警察官を前にした犯罪者のように、だらしなく上げる。
 鶴屋さんは大満足というように大きく頷くと、
 ──すぱぁぁぁんっ!
 気持ちのいい音を立ててハイタッチをかましてきた。多少手が痺れたが、それ以上に鶴屋
さんの手の平の柔らかさに驚いた。
 やるねぇ、とでも言うような表情で俺の胸元をノックするように叩くと、次に古泉の所に行き、
またもやハイタッチをきめた。ふん、俺の方が良い音だったな。
 続いて奥に向かい、長門の頭をギュッと抱え込む。ハグというやつだろうか。羨ま……いや、
何でもない。長門の顔が見えないが、どんな表情をしているのか気になる。開放された長門
は、少しの間、鶴屋さんを見上げていたが、興味を失ったのか、また読書を再開した。そんな
長門を見て、鶴屋さんは再び笑い、頭をぽんぽんと叩く。長門はされるがままになっているが、
別に嫌そうな様子は見えない。むしろリラックスしているように見えるのは気のせいだろうか。
 最後に朝比奈さんの方へと向かい、おろおろと手を上げられた手に三度目のハイタッチを
すると、飛びつくように首元へと抱き付いた。
 …………いや、これはその、何というか。
 どうしていいか分からずに慌てた様子を見せる朝比奈さんと、それが楽しくて堪らないという
ように、抱き付いたまま、ピョンピョンと跳びはねる鶴屋さん。朝比奈さんは言わずもがなだが、
鶴屋さんも、なかなかどうしてなので、ここからでも形がふにふにと変わるのが見て取れる。
あの間に挟まることができるのなら、俺は神と悪魔を同時に敵に回してもいいね。
431名無しさん@ピンキー:2007/03/31(土) 06:33:25 ID:iBVhlg7a

 その後、五分以上に渡って、上級生二大美女による濃厚なスキンシップが繰り広げられた。
変な想像をしないように。いたって健全で濃厚なスキンシップだ。しかし声が聞こえないのを
これほど怨んだことはないぞ。この映像に朝比奈さんのミラクルエンジェルボイスが加われば
どれだけ魅力的だったことか。おのれハルヒめ。
 鶴屋さんは満足したのか、最後に再び俺とハイタッチをすると、大雨の中のワイパーのよう
にブンブンと手を振って去っていってしまった。けっきょくあの人は何がしたかったんだろうか。
なかば呆然と見送っていたが、ぽんという手を叩く音で我に返り、音の発生源に向き直った。
 ……なんだ、古泉か。
 にやにや笑いのまま、レクチャーするかのように指を立てる。おい、どうでもいいがウインク
はやめろ。
 古泉は手近な席に着くと、ペンを取り出し、最初に見せた報告書の裏に何やら書き出した。
当然のようだが、この世界で何か具体的なことを伝達しようとしたら、どうしても筆談になる。
面倒なことこの上ない。言葉がどれほど重要か身に沁みた半日だった。猿に生まれなかった
ことを心から感謝したね。
 近付いて紙を覗き込むと、『憶測ですが、』と書かれていた。古泉は試すような目付きで俺を
見上げている。椅子を引き寄せ隣に座り、続きを書けとアゴをしゃくる。古泉は分かりましたと
頷くと、ペンを手渡してきた。

『この半日で気付いたことがありませんか?』
『前置きはいらん。早く結論に移れ』
 ざっと走り書きする。古泉の苦笑の気配。
『喋れないと、当然、他の手段を用いることになります』
『?』
 おざなりに返答する。
『例えば今やっている筆談ですが、他にもジェスチャアや、表情など様々です』
 なるほど。思い出してみると、確かにそのような手段を用いている。だがそれがどうした?
 と、いつの間にか、後ろに朝比奈さんが寄ってきている。俺の後ろから覗き込むような体勢
のため、すぐ近くに顔がありドキドキする。古泉、結論はゆっくりでいいぞ。
『他にも増えたことに気が付きませんか?』
 しばらく考えるが、こいつの求めているような答えが思い付かない。
『しゃくだが降参だ。いったい何だ?』
 古泉はもったい付けたように、ペン先で紙を数度ノックする。
 さんざ焦らした後に書かれた文字に、俺はこいつの正気を疑った。

『鶴屋さんですよ』
432名無しさん@ピンキー:2007/03/31(土) 06:35:21 ID:iBVhlg7a

 睨み付けるが、古泉は涼しい顔のままである。すぐ横にいる朝比奈さんも、困ったような顔
をしている。
 鶴屋さんが増えた?
 馬鹿なことをと思いつつ、その状況を想像してみる。
 右にも左にも、前にも後ろにも、見渡す限りに鶴屋さん鶴屋さん鶴屋さん鶴屋さん……
 ………………うおっ、なんだか物凄く楽しいぞ、それ!
 朝比奈さんも同様だったのか、くすくすと笑い出した。普通、ハイテンションな人間が何人も
集まれば、げんなりするものだが、鶴屋さんなら幾人でも大歓迎だ。
 とは言え、これでは謎のままだ。そろそろハルヒが来てもおかしくない。結論に移れ。
 古泉も俺たちの反応に満足したのか、先程の文に吹き出しを付け加えた。予想していたが、
このスムーズな流れは確信犯に違いない。さて、加えられた文字はたったの3文字。
『鶴屋さん<の行動>ですよ』
 鶴屋さんの行動?
 先程のことを思い出す。ん、何か見えたくない結論が見えてきたぞ。
『お分かりのようですね』
『知った風な口を書くな』
 古泉が肩をすくめる。会話が出来ようが出来まいが、お決まりのジェスチャアだ。
 そして、ようやく古泉の出した結論が書かれる。それは先程の予測通りの言葉だった。

『増えたもの、それは【 スキンシップ 】です』

 わざわざ強調して書かれた文字を追う。
 先程の鶴屋さんとのハイタッチを思い出す。今朝の妹とのやり取りもそうだった。教室でも
国木田を呼び止めるのに、わざわざ肩を叩いたり、思えば今日はやたらと他人に触れる機会
が多かったと言えるだろう。
「………………」
 だからと言って、それがどうしたと言うんだ。俺たちが知りたいのは、別に現状認識ではなく、
即物的な解決案だ。
『いったいハルヒは何を望んでるんだ』
 古泉は「おや?」とでも言うように、わざとらしい驚き顔をすると、
『ですからスキンシップですよ』
 そこでいったんペンを止め、俺を意味あり気に眺めると、『もちろん、あなたとのです』などと、
笑えない冗談を書き加えた。
「………………」
 くだらん。古泉の与太話に付き合った俺がバカだった。
 クリップから、ここまでの筆談に使った一番上の紙を引き抜いて、クシャクシャと丸める。
 古泉はまるで幼子を見るような目付きで、俺の行動を眺めている。気持ち悪いからやめろ。
433名無しさん@ピンキー:2007/03/31(土) 06:37:51 ID:iBVhlg7a

 バン、とノックもなしにドアが開いた。
 振り向くまでもない、こんな登場をするのは、この高校中探したって、あいつだけだ。
 ハルヒはまるで縄張りの主張をするオランウータンのように、そのままバンバンとドアを叩い
て音を鳴らしている。この世界での、あいつなりの挨拶なんだろう。
 ……いや、あいつなら普段の世界でもやりそうだ。
 唐突にハルヒのドラミングが止まった。どうしたのかと見れば、ハルヒの視線はある一点に
注がれている。
 っっヤバイ!
 ハルヒは霊長類からネコ科の肉食獣になると、獲物を狙う目付きへと変わった。ターゲット
は俺。正確に言えば、俺の手に握られた紙だ。これを見られたら……!
『……ふーん。キョン、なんかおもしろそうな物を持ってるわね』
 そんな幻聴が聞こえてきた。もちろんハルヒは何も言っていないのだが、無駄に多く接して
いるために、言動パターンが読めてしまう自分が恨めしい。
 素知らぬ振りで紙を持った手を下ろし、逆の手で、よぉと挨拶をする。もちろん、そんなこと
で誤魔化されるハルヒじゃない。後ろ手に朝比奈さんに紙をパスしようとするが……ダメだ。
か弱いウサギさんは、プレデターに睨まれて怯えている。
『ふっふっふっ。キョン、大人しく渡した方が身のためよ』
 手をワキワキとさせて、ゾンビポーズでにじり寄ってくる。ヘタに逃げたところで、掴まるのは
時間の問題だ。かと言って素直に手渡すわけにもいかない。どうすりゃいいって言うんだ。
 そうこう考えているうちにも、ハルヒはすぐ近くまで寄ってきている。
 古泉は如才なく、何食わぬ顔で残りの紙束を鞄の中に隠すと、「あとはお二人で」とでも言う
ように離れていく。朝比奈さんも怯えながらも、いつの間にか、ちゃっかりと俺を残して部屋の
角へと避難済みだ。長門は……くっ、我関せずで読書の中断すらしていない。
『さぁ……観念しなさい!』
 ハルヒはさながら豹のように飛びかかってくる。なんて瞬発力だ。
 男と女とは言え、片や校内随一の運動能力を誇る女、片や日々をダラダラと過ごす今時の
駄目な高校生の見本のような男である。勝敗は初めから分かっている。
 唯一勝っている身長差を活かし、取られまいと紙を持った手を上へ下へと動かす。
『こら、キョン、早くそれを寄越しなさい!』
『ダメだ。いい加減に諦めろ』
『何言ってるのよ、団長に逆らうつもり!』
『横暴だ。団長は団員のプライバシーを尊重するべきだろう』
『違うわよ。団長は団員のすべてを把握するのが仕事よ!』
『どんな暴君だ!』
 何故か言葉を出していないのに、会話が成立している気がする。まさかな。
 だが今はそんなことを気にしている場合じゃない。どうする。このままじゃジリ貧だ。
 一か八か。このままここに居ても、いつかは取られるだろう。ならば無謀であろうとも、この
部屋から脱出するしかないだろう。まとわりつくハルヒの動きをかわし強行突破。ミレニアム
懸賞問題の方が、まだ勝算がありそうだが、他に手段はない。
 伸ばした腕の先に飛びかかろうとハルヒがジャンプしたタイミングに合わせ、バスケのターン
のように体を反転させる。よし、うまくいった。このまま扉を目指して……!
『こらっ、待ちなさ──え?』
434名無しさん@ピンキー:2007/03/31(土) 06:38:34 ID:iBVhlg7a

 すぐには何が起きたかは分からなかった。
 足に何かが絡まり、スローモーションで床が近付いてくる。
 後から考えれば、運動し慣れぬ俺がターンに失敗して、ハルヒを巻き込みながら転ぶところ
だったのだろう。そんな単純なことも、その時は分からなかった。
 咄嗟に思ったのは、***を守らなければ、ということだった。
 何を守ろうと思ったのか、その大切なところが抜け落ちている。
 とにかく無理矢理体を反転させ、***が床にぶつからないように、俺が下敷きに──

 ────
 ────────…………、
435名無しさん@ピンキー:2007/03/31(土) 06:40:48 ID:iBVhlg7a

 一瞬、意識が飛んだようだった。カラカラとハードディスクが回り、再起動が始まる。
 何だろう。腕の中に、何か暖かくて柔らかいモノが……
 目を開けると、誰かの頭のてっぺんが見えた。艶やかな髪だ。ポニーテールにしたら、さぞ
美しく映えることだろ……──ん?
 そこでようやくOSが立ち上がったのか、状況が脳に伝わってくる。後頭部がジンジンと痛む。
きっとコブになっているだろう。背中にある硬い感触は、俺が仰向けに倒れているせいだろう。
呼吸が苦しいので、ろくに受け身も取らずにぶつかったのだと考えられる。そして……
 しっかりと抱き締めていた。
 残念ながら対象は瞬間移動してきた朝比奈さんでも鶴屋さんでもなく、当然、長門でもない。
もちろん、まかり間違っても古泉でもない。そんなの想像するだけでぞっとする。
 では、誰だ?
 問うまでもないが、エラーウインドウがファイル名を確認することを拒んでいる。
 ゆっくりと腕の中の人物が顔を上げる。
 慌てて腕を放すが、時既に遅し。
「〜〜〜〜〜〜〜〜〜っ!!」
 ハルヒは顔を真っ赤にすると、

「このっ……な、何するのよ、バカキョン!!」
               、 、 、
 すぐ目の前で、大声で叫んだ。
436名無しさん@ピンキー:2007/03/31(土) 06:42:50 ID:iBVhlg7a

 さて、以上が半日で収束した、とある事件の顛末だ。
 なぜこんな事件が起きたのか、そして、なぜ事件が収束したのかは不明だ。
 古泉は色々と理屈を捏ねようとしていたが、既に終わったことに意味を付けたところで仕方
が無いだろう。興味もないので、聞く耳を持たなかった。
 そうして、今日も平穏な一日が始まる。

 部室に入ると、珍しくハルヒしか居なかった。団長の席にて、ネットでどこぞを巡回している
ようだ。俺が入ってきたことを一瞥すると、何も言わずに視線をモニターに戻した。
 鞄を下ろして椅子に座った。あとは手持ち無沙汰だ。背もたれに寄り掛かり、ぎしりと椅子を
鳴らす。

 ……静かだった。
 グラウンドから運動部の声が聞こえる。
 どこぞの教室から、吹奏楽の鳴らす楽器の音が聞こえる。
 しかし、どれもが遠くて、逆に静けさを感じさせた。
 カチカチというクリック音だけが、やけに部屋に響いた。

 何となく、魔が差したとしか言いようがない。立ち上がると、ハルヒの横まで歩いていった。
「おい、ハルヒ」
「何よ?」
 俺はそれ以上何も言わず、ホールドアップの体勢になる。ハルヒは不思議そうな顔をしたが、
俺の視線の先に気付くと、すぐに立ち上がり、どこか挑戦的な瞳で両手を上げた。
 にやりと笑った。
 ハルヒもにやりと笑った。
 なぜ笑ったのかは、お互いに分からない。
 そして────

 心地好い音が響いた。
437名無しさん@ピンキー:2007/03/31(土) 07:39:17 ID:yzI0X7vq
乙です。
そろそろエロが不足してきました。
438416:2007/03/31(土) 08:58:07 ID:zXpZ/JpW
>>436
乙です。自分も投下したばかりなので感想は後でコッソリと。

>>416
くどさをネタにしたら指が走る走る、語彙が枯れる枯れる。1行が伸びる伸br
悪ノリ……次は、キョン語りのクドさの調節と、読みやすい改行を心がけてみる。
キャラの暴走は今回か、次回あたりがピークかも(?)
内容への意見は……待て、次号!
感想・指摘サンクスです。

田舎だといつ新刊入るか不安だ。

あ、みなさん、おはようございました。
439名無しさん@ピンキー:2007/03/31(土) 10:31:15 ID:TEB+lbC5
>436
その〆かっこいいなぁ、爽快感がある。見習わないと。
440名無しさん@ピンキー:2007/03/31(土) 10:51:03 ID:hyiejCj7
文章のうまさを感じる
GJデス
441名無しさん@ピンキー:2007/03/31(土) 11:39:18 ID:UT/B78jG

>>416>>436
まとめてGJ!
おまいらの功績をたたえてこれを作ってみた
http://wiki.livedoor.jp/haruhiss/d/FrontPage?wiki_id=53661
後は頼んだ
442名無しさん@ピンキー:2007/03/31(土) 11:54:49 ID:WBxIOjYq
>>439
同意。うまいなあ。
>>441
いきなり荒らされてるぞ(笑……えねぇ
443名無しさん@ピンキー:2007/03/31(土) 12:19:51 ID:8FZKN9bC
>>436
乙です。
ただひとついいたいのは・・・ハンドボールってカキーンって音が鳴るスポーツか?
444名無しさん@ピンキー:2007/03/31(土) 13:04:15 ID:/1YExiN2
>>441
保管庫へリンク貼るだけじゃなく、まとめまでやるの?
負荷的に大丈夫なんだろうか
445名無しさん@ピンキー:2007/03/31(土) 13:06:51 ID:X/uqKpjy
>>444

>>後は頼んだ
>>後は頼んだ
>>後は頼んだ

投げっぱなしジャーマン
446名無しさん@ピンキー:2007/03/31(土) 13:49:27 ID:UrC2nYcW
一番最低なパターンだな
俺が作ったサイト、お前らが盛りたてろやwあ、手柄は俺のものねw
447名無しさん@ピンキー:2007/03/31(土) 14:04:24 ID:WBxIOjYq
つーか編集した人のIPとか見えない?
この際だから荒らしてるやつのIP晒そうぜ。
448名無しさん@ピンキー:2007/03/31(土) 14:29:21 ID:Wtynbjcu
明日はエイプリルフールか…
良い素材だけどプロットが浮かばんw
449名無しさん@ピンキー:2007/03/31(土) 14:37:16 ID:mFJlMPI4
>>424
いやぁ、このネタは思いつかなかった。やっぱ上手い人はキョン語り書いても嫌味がねぇもんだ。
シンプルな状況描写がそれを軽くしてたんだろうか。ご馳走様でした。
450名無しさん@ピンキー:2007/03/31(土) 14:41:50 ID:yARI+H6V
ハルヒ関連のスレを徹底回避して
ネタバレなしの新刊読み終わった。驚きまくり。
いやはや、面白かった。この先どうなるのかさっぱり判らん。

それにしても、新キャラ一気に増加して
SSのネタも増えそうで何より。
451名無しさん@ピンキー:2007/03/31(土) 14:46:18 ID:UbRISz0O
エイプリルフールと言えば
保管庫にある古泉の誕生日を祝う話が好きだ
452名無しさん@ピンキー:2007/03/31(土) 14:56:18 ID:4lXwePS0
キョン×佐々木で中学生時代のエロSSを書いてみようと思ったんだが
佐々木が男言葉なんで文章のみだと結構キツイ物になると分かった。

せめて不明になってる佐々木の下の名前が女の子っぽければな。
453名無しさん@ピンキー:2007/03/31(土) 14:56:56 ID:UT/B78jG
>>441
まとめはやっぱむりすかwあきらめるw
454名無しさん@ピンキー:2007/03/31(土) 15:00:17 ID:k/3KcMAV
「エイプリルフールですか……実は僕はあなたの事が殺しても殺したり無いぐらい嫌いでして」
 ほう、そうか。いや実に奇遇だな。実は……


 ピッピッピッポーン。


 ……俺もお前が嫌いなんだ。っとすまん、日付が変わってたみたいだ。

「……今、わざと時報をまちませんでしたか?」
455名無しさん@ピンキー:2007/03/31(土) 15:05:05 ID:X/uqKpjy
>>441
消えてるwww
456名無しさん@ピンキー:2007/03/31(土) 15:07:49 ID:NrP4r/te
ちょwwwWiki消えたw
457名無しさん@ピンキー:2007/03/31(土) 15:11:15 ID:yARI+H6V
>>454
キョンヒドスw
458名無しさん@ピンキー:2007/03/31(土) 15:16:51 ID:UT/B78jG
http://wiki.livedoor.jp/haruhiss/d/Frontpage
で御願いします
じゃあROMるよ多分
459名無しさん@ピンキー:2007/03/31(土) 15:20:40 ID:MJ0/rhGI
このスレ暇な奴が多そうだから
wiki形式ならすぐにちゃんとしたまとめサイトが出来上がりそうだな
460名無しさん@ピンキー:2007/03/31(土) 15:21:54 ID:X/uqKpjy
嫌、だからある程度、ID:UT/B78jG君が纏めろよww
461名無しさん@ピンキー:2007/03/31(土) 15:37:22 ID:60yaGbt4
このスレって、ノーマルの良作多いよね。
神の溜まり場かってんだよ!って位にさ。
462名無しさん@ピンキー:2007/03/31(土) 16:12:39 ID:4gw36xYl
>>450
驚愕が出るまでどれくらい創作されるか楽しみでもある
後輩=朝倉ネタとかは普通にありそうだな
463名無しさん@ピンキー:2007/03/31(土) 16:17:54 ID:MJ0/rhGI
新刊からは
「いつまでも眉毛なんかに拘ってないで、
黙ってワカメに乗り換えとけ」
って意図がぷんぷん伝わってきたぜ
464名無しさん@ピンキー:2007/03/31(土) 17:10:52 ID:P4H7/MZU
まとめの方、ちょっといじってみたが、よく分からんな。
本格的に使うんだったら、wikiに掲示板立てた方がいいな。
465名無しさん@ピンキー:2007/03/31(土) 18:32:30 ID:vwFhSkV6
新刊ネタバレSSって、いつから投下OKなのかな
466名無しさん@ピンキー:2007/03/31(土) 18:36:20 ID:R+7l3b0V
正式な発売日からでそ
でもできれば新刊ネタバレ警告をつけてくれると未読者には嬉しい
467名無しさん@ピンキー:2007/03/31(土) 20:16:11 ID:KSmwKUEV
新刊【涼宮ハルヒの分裂】のダミー出現!?秋葉原大騒ぎ
http://anime2.2ch.net/test/read.cgi/cosp/1175334254/l50

    これはひどい!見てはいけないものだ・・・
468名無しさん@ピンキー:2007/03/31(土) 21:23:57 ID:yzI0X7vq
もうみんな手に入れたよな?
469名無しさん@ピンキー:2007/03/31(土) 21:39:26 ID:bYQhT2nY
>>437
スラスラと読めた
非常に読みやすい文章だぜ。ネタもいい
470名無しさん@ピンキー:2007/03/31(土) 21:42:54 ID:k/3KcMAV
>>469
……437?w
471名無しさん@ピンキー:2007/03/31(土) 21:59:20 ID:UbRISz0O
なんというか…

原 作 者 の 新 作 読 む と や っ(ry

まぁ必ずしもそうではないですが
472名無しさん@ピンキー:2007/03/31(土) 22:37:18 ID:OLFuHqzl
カップリングだけでも相当増やせると思った。
主要人物倍になったようなもんだしw
473名無しさん@ピンキー:2007/03/31(土) 22:43:11 ID:Wvhi//fX
まだ読んでねぇよεε=ヽ( `Д´)ノ ウワァァァン
474名無しさん@ピンキー:2007/03/31(土) 22:46:54 ID:JKA1Dxzg
僕はちゃんと発売日に買うもん
…(。 。)
475名無しさん@ピンキー:2007/03/31(土) 22:47:23 ID:N3Y5l/Hx
苦労人な誘拐少女がかわいくてしかたない
476名無しさん@ピンキー:2007/03/31(土) 22:53:00 ID:YvNebg1f
だからな、正式発売までネタバレ我慢できんのかね?
もう少し他人を思いやる気持ちを持てるようにしないと
477名無しさん@ピンキー:2007/03/31(土) 23:11:00 ID:Ya1C1Qhd
禁則事項な禁則事項が禁則事項て禁則事項

解禁って明日?
478名無しさん@ピンキー:2007/03/31(土) 23:30:02 ID:5BrqPm7o
明日だね。あと30分
479名無しさん@ピンキー:2007/03/31(土) 23:30:40 ID:8Sy1G7K6
せめて発売日くらいまで待って欲しいところだ。
480名無しさん@ピンキー:2007/03/31(土) 23:31:11 ID:8Sy1G7K6
明日の24時だぞ?
481名無しさん@ピンキー:2007/03/31(土) 23:34:42 ID:5BrqPm7o
>>481
だなスマナイさっきまで一日後に時間遡航してたらしい
482名無しさん@ピンキー:2007/03/31(土) 23:35:03 ID:Wtynbjcu
あと30分か…
うはw何も思いつかないw
483名無しさん@ピンキー:2007/03/31(土) 23:38:34 ID:wAop42z+
ラノベ板とかだと、正式発売日の24時以降、つまり翌日以降が定番だね。
守らない人も多くて、「テンプレ読め」>「自治厨ウザ」になってたけど。

内容を語るのはそっちのスレもあることだし、SSの投下だけなら1日24時からで問題ないかと。
キャラバレ・ネタバレ・次巻予測的な物が目的だけのSSでなければ…

だが! エイプリルフールネタだろう、時節的にかんがえて
484名無しさん@ピンキー:2007/03/31(土) 23:40:18 ID:NdgUFOev
>>482
あと24時間と30分な
485名無しさん@ピンキー:2007/03/31(土) 23:42:46 ID:8Sy1G7K6
ネタバレじゃなく4月バカのことを言ってるんだろう。
俺もなんか良さげなのが降りてこない。丸一日ぼんやり考えて過ごすか…
486名無しさん@ピンキー:2007/04/01(日) 00:00:40 ID:1Vx552Ec
SS書きとしては、続刊が出るまでまともな話は書きにくい。
ササキョン中学時代のSSじゃ、まるでオリキャラになってしまうだろう。ボーイッシュスレで書いても違和感ないほど。
ただ、敵対勢力キャラがはっきり出てきたから、後先なしの一発ネタはむしろ書きやすいかもしれない。
自称本家が宗家+ワカメの誰かを拉致って犯すとかいう構図は、専ら同人誌でネタになりそう。特にラストシーンの続きとして。
レイパーにとって目の上のコブだった長門を圧倒できそうだし、あの髪はいろいろに使える。
487名無しさん@ピンキー:2007/04/01(日) 00:03:34 ID:Wvhi//fX
>>486
だから読んでない奴もいると何度言えば……
488名無しさん@ピンキー:2007/04/01(日) 00:07:19 ID:kW6xkxBi
>>487
こういうやつのSSはおそらく見るに耐えないものだろうから、相手しなくていいよ。
489名無しさん@ピンキー:2007/04/01(日) 00:12:18 ID:kRlFphcP
おめでとう、古泉
490名無しさん@ピンキー:2007/04/01(日) 00:16:55 ID:N6yVjXxQ
童貞でその上春厨の諸君!
がっつき過ぎで付け加えるに早漏なのは恥ずかしいことです。男子一生の恥です。
あと24時間くらいさえ辛抱できないなら部屋の隅っこで畳の目相手に好きなだけぶちまけてください。

はい次!
491名無しさん@ピンキー:2007/04/01(日) 00:26:01 ID:kRlFphcP
しかしだな、うっかりSSを読んでるような錯覚に陥る俺は
やはり病んでいるんだろうな
492名無しさん@ピンキー:2007/04/01(日) 00:44:45 ID:dQA83QpW
それはアレか? 文庫を読んでいて

「うはwオリキャラwしかも――」
「むはw設定作りすぎw逸脱――」
「たはw未完かよw早く投下――」

こんな感じか?
493名無しさん@ピンキー:2007/04/01(日) 00:47:26 ID:7YwJRlGT
ネタでとりあえずレイパーな同人書いてるやつがまだハルヒにハマッテるわけないだろう。

>>491
たまに混ざるとか言う人いるけど、混ざったこと一度も無いな。
やっぱSSは別物だし。
494名無しさん@ピンキー:2007/04/01(日) 00:48:03 ID:kRlFphcP
>>492
もしそうなら病院を考えたかもしれん
495名無しさん@ピンキー:2007/04/01(日) 00:56:36 ID:vuWzJ/F1
他のラノベはともかく、ハルヒシリーズはラノベ以上でもラノベ以下でもない。
いわばラノベの世界に迷い込んだ凡人の話。そう思って読むべし。
メタ・ライトノベル!
496名無しさん@ピンキー:2007/04/01(日) 02:19:28 ID:sHcPZ+QH
古泉にフラグが!
誰のとは言いませんが
497名無しさん@ピンキー:2007/04/01(日) 04:12:35 ID:YA/jMkGl
>>496
それはもしや死(ry
498名無しさん@ピンキー:2007/04/01(日) 05:46:14 ID:plM0+H9J
喜緑さんの絵は三回も使用っちゃったよ
499名無しさん@ピンキー:2007/04/01(日) 06:27:17 ID:N6UHnuYv
>>452
別にいいんじゃないか?行為の描写をしっかりやれば。
500名無しさん@ピンキー:2007/04/01(日) 07:05:26 ID:hrY3VAyl
そういや今日は四月一日だ、と気付いてあわてて作ったのを投下。
たぶん1レスに収まります。
501涼宮ハルヒの花見:2007/04/01(日) 07:07:07 ID:hrY3VAyl
「明日はお花見よっ!集合は九時にいつものとこ!」
言うだけ言って、電話は唐突に切れた。
まったくマイペースなヤツだ、前の晩に言うだけマシか。
年度末最後に聞いた声がハルヒかよ、とうとうこの一年は全部持ってかれちまったな…。


という訳で俺たちは今、花見の宴の真っ最中である。
いつものSOS団員五人に加えて、名誉顧問・鶴屋さんにうちの妹までオマケについた
にぎやかな席は、文句なしに楽しい。朝比奈さんとハルヒの作った弁当は美味いしな。
長門、花見にまでカレー持って来るのはどうかと思うぞ。いや、食うからそんな顔するな。

「さぁ、今日を指定した意味は分かってるわねっ?ではSOS団恒例・ホラ吹き大会〜!」
無駄に楽しそうだなハルヒ。昨晩いきなりの電話は、そういうことかい。
でもな、ホラと前置きしてやったら四月馬鹿にならんだろ?
「いーのよ、こういうイベントは大事なんだから!じゃあ古泉君から!」
「えぇ、実は僕、超能力者でして…」
「アウト!何それ、映画で使った設定そのまんまじゃない」
「えとえと、じゃあ私は未来からやって来ましたぁ」
「私は魔法を使う宇宙人、年はもうすぐ四歳」
「何なのよ、みんなしてもうー!」
「あっはっはっは!それよりハルにゃん、キョン君がみくるの作ったおかずばっかり
食べてるのはいいのかい?」
「何ですってぇぇぇぇ、こーらエロキョン!」
「鶴屋さん何てこと言うんです!ちゃんと均等に食べてますよ!」
「と、こんな具合にやるもんさっ。ハルにゃん、キョン君のこととなると食いつきいいねー」
「なっ……!べ、べつにこんなやつのことなんかっ、あたしは何とも」
「古泉君、こりゃ優勝者は決まったんじゃないかいっ?」
「はい、そのとおりかと」

古泉、お前が何を言いたいのか、俺にはさっぱりわからん。
「あっ、二位はキョン君だねっ!」
502名無しさん@ピンキー:2007/04/01(日) 08:45:48 ID:XHB9atXx
>>501
鶴にゃんトラップ発動したwww
面白いよGJ
503名無しさん@ピンキー:2007/04/01(日) 09:12:24 ID:ZGbIfU0l
両者1位だと思うが
504名無しさん@ピンキー:2007/04/01(日) 09:46:48 ID:0r6/QsM2
アニメや小説読んでない人もこのスレ見てるんだから
いまさら分裂のネタバレもなにも無いと思うんだけどな

>>486氏ともネタ交換したいんで、前置きする事で
分裂ネタ書いていいかな?
505名無しさん@ピンキー:2007/04/01(日) 09:54:30 ID:aUMyvlc1
>>504
まずは、人間の言葉をもうすこし勉強したらどうだ?
506名無しさん@ピンキー:2007/04/01(日) 10:13:45 ID:0r6/QsM2
>>505
どっちかと言えばそれは
「人間の言葉」じゃなくて「自分の都合を主張する人の言葉」だと思う。

でも基本的に書き込んでる人主体の意見でネタバレ解禁待ってると
書き込まずにスレ読んでる人がネタバレ反対派を
ウザがってるパターンあるんだよ。 
他のスレの話だけど。

実際にこのスレには分裂ネタを書きたいって人も既にいる。
情報交換して話したい人もいる。
だからあらかじめ前置きするよって言ってるんだけど?
507名無しさん@ピンキー:2007/04/01(日) 10:21:01 ID:x14ADOCV
ラノベ板にのっとって、今夜24時で解禁でいいんでねーの
508名無しさん@ピンキー:2007/04/01(日) 10:28:43 ID:aUMyvlc1
>>507
せめて公式発売日から一週間程度は開けてほしいところ。すぐに入手できる人ばかりではない。
地域によって若干の遅れもあろうし。
ラノベ板を見てみたが、そんなルールは書いてなかったぞ。ただただ無配慮だった。呆れた。
509名無しさん@ピンキー:2007/04/01(日) 10:49:03 ID:YA/jMkGl
>>508
ラノベ板のほとんどのスレでは新刊のネタバレ解禁は発売日の次の日の0:00から。
てか一週間はさすがに無理だろ。一日も待てずにネタバレする奴もいるっていうのに。
510名無しさん@ピンキー:2007/04/01(日) 10:53:57 ID:wME1LOYY
>>508
つNGワード
511名無しさん@ピンキー:2007/04/01(日) 10:54:09 ID:55UaQ8LB
あら? ラノベの谷川スレ130いくつかあたりまでは注意事項にあった気もしたけど。
今回は4/1の例付きで。フラゲッターのネタバレと煽りに飽きれたのは一緒だ。

ネタバレ自粛して欲しい派なのに、荒れ具合を見物に行った自分の馬鹿!

そして四月馬鹿! そんな投下。5レスくらい
512名無しさん@ピンキー:2007/04/01(日) 10:54:54 ID:55UaQ8LB
『四月。ある一日』

 春爛漫。天真爛漫。美酒爛漫。
 いや、最後のは関係ないんだがな。しかもここは神聖な学び舎で、俺も未成年だからな。
 このうららかな春の日差しに、暁どころか宵の口まで忘れて惰眠を貪りたいところだが、常に真夏の太陽みたいにギラギラしたこいつが許してくれるはずもない。
 北風と太陽じゃないが、今日も俺はサンサンと輝きすぎる太陽に布団を剥がされて、朝っぱらからいつもの面子と部室に集合している次第だ。
 春休みというのは、いつから休まない春の日々を指すことになってしまったのかね。
「ジャジャーンッ! これが対戦表よっ!」
 マス目の書きなぐられた紙を、未来タヌキの道具よろしく勢いよく掲げたのが『こいつ』ことSOS団団長、涼宮ハルヒその人だ。
 対戦表、ね。時節柄のイベント事には目を光らせるこいつのことだ。今日も、まぁやるんだろうなとは察していたんだが、
「なぁハルヒ。これからウソをつくと宣言しちまって、いったいなにをする気だ」
 そうだろう? これから言うことがウソだとわかってたら誰も騙されやしない。
 だが、いろんなモノと紙一重の人種は考えることが違うらしい。
「バカね! 勝負なんだから正々堂々やらないとダメじゃないっ!」
 いつぞやのコンピ研とのゲーム対戦のおり、挑戦の口上途中で蹴り飛ばしたのを覚えているぞ。問答無用だったな。
「だからね、個人戦で対戦するのよ。二人ずつペアになって騙し合うの。
 最後に一番すごいウソツキを投票して、少年オブ・ザ・オオカミイヤーを選ぼうって寸法よっ!」
 その壊れた称号は名誉なのか? それとも弾劾するのか?

 そんなこんなで暖かな春四月。初日早々騒乱の日常がはじまった。



 春休みのスケジュール表というよりも、カレンダーと化した日程表のもとに今日もせっせと学校に集合だ。
 我ながらアリンコ並のいじましさだ。
 部活動にいそしむ奇特な団体も少なからずあったが、おおむね敷地内は閑散としたもんさ。
 数少ない奇特集団である俺達も、ハルヒ自称の公式ルールに則ってペアを組んで校内に分散している。
 一回戦はハルヒと古泉。長門が休場で、俺は朝比奈さんと組になっている。
 麗しい上級生との短い逢瀬だ、役得と堪能したいところだが制限時間もあることだし、脳内でありったけの美辞麗句を組み立てるのは自重しておこう。
 なにしろ根が正直な俺だ。どんなウソをつくか考えてなかったからな。
「じゃあキョンくん、わたしからウソをつきますね」
 はい、お願いします。あなたのウソならどんなものでも天上のラッパとなって耳に響くことでしょう。
「えぇと、ウチの隣の家に、囲いが出来たんですよぉ〜」
 …………。
 ……え? 終りですか?
 朝比奈さんは大仕事を成し遂げたかのように大きく息を吐くと、腕を胸の前に揃えて期待に満ちた上目遣いで俺を見ている。
 男として、そして人として言わなければならないんだろうか? アレを……。
「へ、へぇ〜。カッコイーですねぇ……」
「うふふ、隣はマンションと道路だから、これはウソなんですよぅ」 
 お互いに意図がズレていると思うんだが……横で「よかったぁ」とか「えへへ」とか満足そうにしている朝比奈さんを眺めて、無粋なツッコミは封印することにしよう。
 さて、今度は俺の番なのか。まぁ、こんなもんだろう?
「うちのシャミセンなんですけどね、猫なのに花粉症なのか最近クシャミが多いんですよ。
 それが面白いことにワフン!ワフン! ってまるで犬みたいに」
 とっさに考えたんだから俺にもツッコまないでくれよ。
 だが朝比奈さんのツッコミならば甘んじて受け……るつもりだったのだが、
「面白いですねぇ〜。あ、でも、病気だったらちょっと心配ですね」
 彼女は部室に戻りがてらウソだと説明するまで、可憐な眉を寄せて不安そうにしていた。

 俺はあなたの将来が心配ですよ。



「誰が愉快な小噺をしろって言ったのよっ! わかってないわねぇ」
 そして第ニ回戦。朝比奈さんがお休みで、長門と古泉が騙しあい。
 俺はさっきの反応に気を良くして同じウソを使ったんだが、出てきたハルヒの台詞がこれだ。
513名無しさん@ピンキー:2007/04/01(日) 10:55:36 ID:55UaQ8LB
 予想はしてたがね。だが、そこまで言うからにはお前は自信があるんだろうな?
「あったりまえじゃないっ。まずファーストインプレッション、つまり出だしで注意を引き付けるの、それから――」
 いや、前説はいいから本題に入ってくれよ。五回戦まであるんだろ。
「うるさいわねっ! じゃあ、覚悟するといいわ!
 三年くらい毎晩うなされるようなスッゴイのカマしてあげるんだから!」
 まて、ウソをつくだけろう? 呪いでもかけるんじゃないだろうな。
「あんたはそこに立ってなさい! いい? いくわよ」
 廊下に立ち止まった俺を置いて、ハルヒがゆっくり進んでいく。
 掌を後ろで組んで、上半身を大きく揺らしながら、一歩、二歩と……ゆっくり。
 ど、どうしたんだ? らしくないが、カワイイ歩き方だぞ?
「ねぇキョン…? あたし、いつもこんな風だけど……」
 なななんだよ? その幼馴染がテレ隠しで拗ねている口調は。
「ほんとうはね…あんたのことが……」
 ハルヒの足が、ヒタリと、止まった。
 静かに振り返ったその表情が、
「あんたのことが――――」
 振り返った表情は、なんだかすごく神妙なものだったんだが……途中で凍り付いて固まった。
 かとおもえば、「あれ?」っと首を傾げたり、「アレがこうなって? コレがああだから」とか唸り始めやがった。
 なんだったんだよ、今のは?
「うっさいのよっ! いい? あたしはあんたのことなんか――――」
 さっきと言ってる事が違うぞ!
 しかも、また固まりやがったうえに、いきなり顔を紅潮させやがった。
「――こ、この、ウスラキョン!! なんてこと言わせんのよっ!!」
 なんだってんだ! 薄くねぇよ! 何がしたいんだおまえは!?
「あんたが最初に赤くなったのが悪いんでしょっ!!」
 あ、赤くなんかなってない! 断じてない! 真っ赤なのはお前だろうが!
 ぎゃあぎゃあぎゃあ、「赤い!」「赤くない!」と俺達の声が校舎の静寂を乱していく。
 いいがかりも甚だしい!
 部室に戻り付く頃、俺達はドローということで納得した。
 お互いの『顔が赤い』と言う『ウソ』の判定結果でな。

「あなたはいったい、なんてことをしてくれたんですか」
 いきなり真顔の古泉だ。レアだろう? 笑ってないんだぜ?
 やっとこさ三回戦。部室で唸り続けるハルヒに追い出され、部室から離れたらコレだ。
 早いとこ片付けてノンビリお茶をすすりたいもんだ。
 さっきから心臓の調子少しがおかしくてな。不整脈かもしれん。
「先ほど、ごく小規模ですが閉鎖空間が発生しました。
 僕は抜けるわけにもいかないので機関の者が駆けつけています。
 涼宮さんになにをしたんですか? いえ、怒ってませんよ?」
 俺は騙されないぞ。こうやって信じることを忘れて、人は大人になってゆくものなのだなあ。
「たそがれないでください。神人がらみでウソはつきません。
 しかし、そうですね……僕のときと同じなら、予想は出来ますが」
 なあ古泉、お前はなんて言われたんだ? キリキリ白状してみろ。いや俺も怒ってなんかいないぞ?
「まあ、簡単に言えば『付き合ってください』、ですかね。
 どうも今日の涼宮さんは、『ウソ』というものを『反対語』と取り違えているようです。
 人によってアレンジすると言ってましたが、あなたにはなんて?」
 いや、どこまで話して良いのかわからんが、そもそも最後まで言わなかったぞ。固まってたしな。
「……なるほどね。閉鎖空間の発生原因はおそらくそれでしょう。
 伝えたい事があり、だが、それを信じられるのも、疑われるのも耐えられない。
 そんな葛藤が大きなストレスになったのかもしれません
 むしろ、何もされなかった、あるいは何も答えて貰えなかったという――」
 ただのウソつき大会だろう。なんでマジにイライラしてんだ、あいつは。
 それと古泉。あまり長くなるようだと聞き流すぞ。
「あなたはウソというものを、どのようにお考えですか?」
 反対語でなければ、まあ、普通に騙すためつくモノだろう。
「ご明察です。ですが相手を騙すのにウソが必要でしょうか?
514名無しさん@ピンキー:2007/04/01(日) 10:56:16 ID:55UaQ8LB
 信じて貰えないのなら、真実を話すのでも問題ないはずです。
 なぜなら、話を聞いた際に下した自分の判断に『騙されている』のですから。
 たとえば、あなたは僕のことをどうお思いですか?」
 いろいろ思いつくが、ここで喧嘩を売るわけにもいくまい。
 今日の部活後はアルバイト確定のようだし、無難に言っておくか。
「まぁ、そんなに嫌いでもないぜ?」
「……それは、深い。実に深いですね……。
 これは侮っていました。そうきましたか……」
 何故か思考の迷路にはまり込んでしまった古泉。
 これは他人を素直に信じないと、自分が自分に騙されるというダメな大人の見本なんだろうか。
 真正直な人生を送ろうと密かに決心し、俺達は部室へと引き返していった



「……そう」
 さすが長門だ。
 俺が一生懸命考えて、二分で思い付いた『シャミセンのウソ』でも謙虚に聞いてくれる。
「……それは腹話術」
 いや、違うぞ。
 俺にとっての最終戦となる第四回戦。
 相手は、話の要点が何処だったのかと僅かに首を傾げている長門だ。
 あのな、エイプリル・フールってのがどんなものか知ってるんだよな?
「概念としては知っている。また先ほど古泉一樹からも説明を受けた」
 あいつの言うことはあまり真に受けるな。ちなみにどんな説明だ?
「ウソをついても良い日」
 意外に簡潔だな。
「ただ、人を騙すのに必ずしも虚言が必要では無い、とも言っていた」
 前言撤回だ。というか古泉の説明自体がヤツの『今日のウソ』のような気がしてきたぞ。
 四月バカの趣旨は、ささやかな虚言が許されるのであって、困惑するような欺瞞が許容されるわけじゃないんだがな。
「……優しいウソを最後までつきとおすのがオトナのオンナ、とも言っていた」
 あの空間の部室で立てた誓いは、まだ有効期限内だろうか? 『殴るぞ、おまえ』。
「……わたしは」
 古泉の意見は参考にしないでくれよ?
「この日、他者の言動の真贋に煩悶する精神活動こそが醍醐味であると判断した」
 まあ、そうだな。だが、ハルヒの主催したこの大会は、まずウソを吐いて、その優劣を競っていると思うんだが。
「それも考慮した。
 その説明を加えたのち、朝比奈みくるに発言したところ、彼女の帰属する時間平面にはこの風習が存在しないと推察した」
 あぁ、三回戦が長門と朝比奈さんだったか。さっき部室に戻った時ゼェハァと呼吸を乱していたが、どうしたんだ?
「わたしの発言を号令と誤認した朝比奈みくるに、今日が体育の日ではない事を伝達するのに手間取った。
 当該時点までの走行速度及び持久力の自己記録を更新。
 ただ、スタートダッシュの反応には遅滞が見られたが、これは武者震いと判断した」
 ……な、なんて言ったんだ? 聞くのが怖くなってきたぞ。
「……あたなの話は聞いた。今度はわたしの番」
 お、そうだった。もう時間も残り少ないしな。
 よしこい………………。
 …………………長門?
515名無しさん@ピンキー:2007/04/01(日) 10:57:02 ID:55UaQ8LB
「……いい?」
「あ、あぁ、スマン。始めてくれ」
 なんだか律儀だな。囲碁か将棋で対戦するかのようで、俺まで居住まいを正してしまう。
 コックン。珍しく大きく頷いてから口を開いた。
「それではウソをつく」
 朝比奈さんと一緒だな。こいつも正直なヤツだと頷きを返してやる。

「 わ た し の き も ち  あ な た が す き 」

 ――――――はっ!
 ブレザーの袖をひかれて我に返った。これが思考の迷路か……。
「お、終わったのか?」
 コックン。またもや大きく頷く長門。
 これはあれか? なんか哲学書とか思想書とかブ厚いSFとか、そんなものを読んでないと理解できないような、そういった難解なウソなのか!?
「……時間」
 もう一度だけ、かすかに袖がひかれた。
「なあ、ヒントをくれないか?」
 部室へと向かう長門に追いすがりながら、情けなくも助言を請う。
 ゆっくりと振り向いたその顔に、廊下の窓から木漏れ日が差し込んだ。

 静かに首を左右させる仕種にあわせて、

  不規則に揺れる光と影、その錯覚なんだろう――

   「悩むのも醍醐味」

    ――長門が楽しそうに微笑んでいた。



 待ち望んでいた休養時間であるはずの五回戦。
 俺は長門の希望どおり煩悶して過ごすはめになった。
 お茶にも手が伸びず、これはかなりの重症だ。
 だってそうだろう? あんな短い言葉のどこにウソを混ぜるんだ?

  好きの反対 嫌い? 好きじゃない?
 わたしの反対 あなた? 俺の気持ち? お前が好き?
たわし? もきち? アナグラム? ノイズ? な、なんだってー?
 まてまて 逆に考えるんだ キス刀 阿智茂木の下わ
  戦刀いと巫女に沙汰w どこの掲示板だ

 こんな調子で堂堂巡りだ。
 結局、回答に辿り付かないうちに第一陣の帰還を迎えることとなった。
「さすが有希ねっ! なかなかやるじゃないのっ!」
 ドアを開ける音でも判断できたが、戻ってきたのは上機嫌で賞賛を口にするハルヒ。
 そして、バシバシと背中をどやしつけられている長門だ。
516名無しさん@ピンキー:2007/04/01(日) 10:57:43 ID:55UaQ8LB
 俺の対戦とは違うセリフだったんだろうか?
「……一緒」
「あんた、わかんなかったの…………バカね」
 なんで一呼吸してからニヤリと笑うんだよ。悪かったな。
 続いて古泉と朝比奈さんが到着。
 長門を見てガタガタ震えるのはさすがに失礼だと思いますよ、朝比奈さん。



「古泉くんは先に行って場所を確保しといて。
 みくるちゃんと有希は、お弁当と飲み物をお願いね。
 キョン! あんたは鍵の保管担当ぉっ!!」

 さて、ハルヒがあれこれと指示を飛ばしているが、まずは投票結果の発表といくか。
 優勝は長門有希。こんな大会でも万能選手の面目躍如だ。
 古泉がハルヒに、長門が俺に票を投じ、残りが長門に集まった。
 以上だ。たいした大会でもないしな。

 長門の横でテレながら、お茶の入ったポット胸に、狼と並んで歩く赤頭巾メイド朝比奈さん。
 彼女謹製の昼食満載バスケットを大事に抱え、歩きながら中身を透視してるのがウルフ長門だ。前も見て歩けよ。
 朝比奈さんは投票前にハルヒによって部屋の隅へと拉致られ、何事かヒソヒソしていたかと思えば頬を桜色に染め、それ以来ニコニコしっぱなしだ。
 出来うる限り盗み聞いた範囲では
「――有希の―――だからね、わりと古典的な、
 ―――で、重要――ルール――始点と終点を――――」
 これ以上はハルヒに追い払われて聞き取れなかった。なんでだよ。
 厳粛な審査も終わり、優勝者にはネコミミ……ハルヒが言うにはオオカミ耳らしい、灰色の三角を二つ張り付けたカチューシャが大会委員長の手によって装着された。
 裏に『男はオオカミ』などど意味不明な文句を書き込まれたそれは、今も長門の頭から顔を出している。
 それであの大会名称だったのか? 優勝しなくて良かった。しかし優勝者は少女なんだが……。
 授与式もつつがなく終了。昼食の時間とあいなったんだが、これもハルヒの提案で外で食べることに決まった。
 これについては異論はない。風も弱く、日差しも気持ちよさそうだったからな。
 古泉が一足早く場所取りに向かったが、競争率はさほど高くないだろう。天気はいいが、それでも春休み真っ只中だ。
「あんた、まだ悩んでんの? みみっちぃわねぇ」
 回想しながら廊下に突っ立ってたせいだろう。部室に残ってゴソゴソしていたハルヒが声をかけてきた。
 そんなんじゃねーよと返しながら、突き出された紙コップの束を受け取る。
「ほんとバカキョンね」
 鍵をガチャつかせながら施錠するハルヒが、髪の毛をぴょこぴょこと揺ら――ピョコピョコ?
「なによ? 外で食べるんだから、風で邪魔にならないようにしてみたのっ! はい鍵!!」
 少しばかし長さは足りないが、後頭部の高い位置で結わえられた髪をつい目で追っていた。
 なに怒ってんだよ。さっさとよこせ。そんなに上目遣いで睨むな。

 俺が差し出した掌の上で、ハルヒが指に引っ掛けた部室の鍵が揺れている。

「ハルヒ」

 チャリ、と軽い音を立てて滑り落ちる。

「いや、なんでもないぞ」

 この言葉。大会の終了を、意味ありげに『宣言しなかった』こいつがどう受けとめるんだろうな。

「バカキョンっ! 早くこないと全部なくなっちゃうわよっ!!」
 そればかりは、いきなり全力疾走を開始した本人のみぞ知るだ。
 俺は馴染みの口癖を呟いて追いかけることに専念した。

 満開の笑顔を張り付けた、暴れ馬のシッポをな。
517名無しさん@ピンキー:2007/04/01(日) 10:59:47 ID:55UaQ8LB
オワタ。みどくしゃがんばれ。
518名無しさん@ピンキー:2007/04/01(日) 12:08:01 ID:UQPOc+AC
>>511

俺も読了したから谷川スレで、ネタバレって明日からじゃないのかって聞いてみたが。

どうやらあれはネタバレじゃなくて壮大なエイプリルフールらしいぞwww
519名無しさん@ピンキー:2007/04/01(日) 12:12:51 ID:VCAGV85g
>>518
お、俺はだまされないからな!
信じて谷川スレを見に行ったら酷いネタバレを見るに違いないんだ!
520名無しさん@ピンキー:2007/04/01(日) 12:31:52 ID:kRlFphcP
明日の日付変更に合わせてSSを用意するつもりだったのだが
なんとでもなるね
521名無しさん@ピンキー:2007/04/01(日) 13:37:00 ID:tk1H/LrV
3月30日 未購入
        ノ L____
       ⌒ \ / \
      / (○) (○)\
     /    (__人__)   \  ネタバレはイカン!
     |       |::::::|     |  みんながみんな公式発売日に手に入るとは限らないんだ!        
     \       l;;;;;;l    /l!| !
     /     `ー'    \ |i
   /          ヽ !l ヽi
   (   丶- 、       しE |そ  ドンッ!!
    `ー、_ノ       煤@l、E ノ <
               レY^V^ヽl

3月31日 購入済
       ____
     /      \
   / ─    ─ \      ネタバレ解禁でいいだろう、もう
  /   (●)  (●)   \      大半の人はもう手に入れられるんだし
  |      (__人__)    |        極一部の人に併せて規制するなんてナンセンスだよ
  \     ` ⌒´     /
522名無しさん@ピンキー:2007/04/01(日) 13:44:21 ID:BBO0eOZN
騒ぎたいだけのやつには何言っても無駄だからね…
523名無しさん@ピンキー:2007/04/01(日) 13:48:13 ID:8qn3BLxv
>>521
笑ったwww
俺は読んでなくてもネタバレウェルカム人間だから何ともないが。
524名無しさん@ピンキー:2007/04/01(日) 14:11:41 ID:HFDKc4Mf
ネタバレいくない
(・д・)




と言いつつ昨日のうちに読破した俺
525名無しさん@ピンキー:2007/04/01(日) 14:22:38 ID:ksWqMz6t
俺は読み終えるまでは来なかったぜ。

だから今は大丈夫。
526名無しさん@ピンキー:2007/04/01(日) 14:30:23 ID:XHB9atXx
昨日読み終えたのが嬉しいからって、未来から何回も書き込んじゃダメだろ、俺。
いや、俺たち。
527名無しさん@ピンキー:2007/04/01(日) 14:41:15 ID:ih7mFZ8+
>>515の長門の嘘がさっきからずっと考えてるんだがわからない…

誰か… ヒントを……
528名無しさん@ピンキー:2007/04/01(日) 14:51:46 ID:tk1H/LrV
>>527
それではウソをつく
529名無しさん@ピンキー:2007/04/01(日) 14:59:16 ID:ih7mFZ8+
>>528
わかった!
ありがとう。
530名無しさん@ピンキー:2007/04/01(日) 17:31:04 ID:xiOTm27l
何でここはエロパロなのにエロが少ないのか俺は終に気づいてしまったよ!
エロいことしてる分には別にハルヒである必要が無いからだ!
531名無しさん@ピンキー:2007/04/01(日) 17:34:45 ID:XALk2yHg
それなら「ハルヒでエロい事をする」までの過程に違和感が無ければ良作と言えるのかも知れんね
532名無しさん@ピンキー:2007/04/01(日) 17:34:53 ID:K6ryD7k4
>>508
確か132スレでフライングしてスレ立てした香具師が勝手に改変した
そこまでしてネタバレを正当化したいんだろうか
533名無しさん@ピンキー:2007/04/01(日) 17:37:53 ID:qaUTgHIh
>>528がヒントだろうというのはわかってるんだが
それでもまったく判らん……頭が固いのかもしれん……。
534名無しさん@ピンキー:2007/04/01(日) 17:41:54 ID:4k4kgNeG
エイプリールフールの日に嘘つくとは?もうわかっただろう? 
535名無しさん@ピンキー:2007/04/01(日) 17:47:49 ID:qaUTgHIh
……あれ? アレがこうなって? コレがああだから……
ああ! とSS内のハルヒのような呟きをもらしました。THX!
536名無しさん@ピンキー:2007/04/01(日) 18:05:48 ID:l1x9MGCU
まずいな……
新刊読んだら敵の超能力者の性格が自分の予想とは少し違うorz
久しぶりに止まってるSSの続きを書こうと思っていたのに……
537名無しさん@ピンキー:2007/04/01(日) 18:11:07 ID:ksWqMz6t
>>536
自分の場合は、広域帯宇宙存在の命名もそうだが、
まさか連中が人型端末作ってくるとは予想しなかった…

完全にSOS団と相対してるんだな。
538名無しさん@ピンキー:2007/04/01(日) 18:34:50 ID:kRlFphcP
誰が出てくるとかわかる内容は避けろよ
今日が終わるまで待てないのかバカがァーッ
539名無しさん@ピンキー:2007/04/01(日) 18:38:29 ID:ksWqMz6t
マジごめん・・・ 
ネタバレオーケーのスレから来てしまった。吊ってくる
540名無しさん@ピンキー:2007/04/01(日) 18:39:33 ID:LFVtM9UZ
待て待てまだ分裂をみんな入手してないんじゃないだろうか?しかも4/1ということもあいまって……
541名無しさん@ピンキー:2007/04/01(日) 18:44:11 ID:Le6X8JZH
珍妙な性格の神
無口無表情な宇宙人
小物臭のする未来人
飄々としてるようで苦労人な超能力者


現状把握ですよ?
542名無しさん@ピンキー:2007/04/01(日) 18:49:55 ID:djXuwVRC
続刊を読んでみないことにはわからないが、αルートとβルートが
どのように呼応してるのかが不明。
543名無しさん@ピンキー:2007/04/01(日) 18:58:08 ID:a8mnlVmD
>>539
氏ね。リアルで。帰ってくるな。
544名無しさん@ピンキー:2007/04/01(日) 18:59:01 ID:a8mnlVmD
>>542
おまえもネタバレか? だったら消えろゴミ。
545名無しさん@ピンキー:2007/04/01(日) 19:03:02 ID:gLoO5FVj
さて、分裂が発売されたことで
分裂ネタのSSを書く猛者はいるのだろうか?
546名無しさん@ピンキー:2007/04/01(日) 19:04:42 ID:a8mnlVmD
>>545
それはそれとして。なんでこんなにバカが沸くんだ? どっからきたこいつら。マジでむかつくんだけど。
547名無しさん@ピンキー:2007/04/01(日) 19:08:10 ID:9D4ytU02
>>545
まだキャラの特徴ははっきり掴めてないからな・・・
ってそうなるとあと二ヶ月待たなきゃいけないじゃん\(^o^)/
と言うよりあと一ヶ月は我慢しないとボコボコにされそうw
548名無しさん@ピンキー:2007/04/01(日) 19:28:38 ID:xiOTm27l
>>545
分裂ネタでSS書いてるとこなんだけど、つーかSSすら初めて書くんだけど
話の大筋とかは出来るのに、キョンのあの独特の言い回しが出来ないんだよ/(^o^)\ナンテコッタ
549名無しさん@ピンキー:2007/04/01(日) 19:30:49 ID:COkcPs+x
とりあえず、新作ネタ解禁は「驚愕」発売日翌日以降でいいのでは?
550名無しさん@ピンキー:2007/04/01(日) 19:35:27 ID:Le6X8JZH
>>549
2ヶ月も待つ必要は流石にないだろう…
今日の00:00からでいいんじゃない?
551名無しさん@ピンキー:2007/04/01(日) 19:47:49 ID:a8mnlVmD
>>550
どうやらおまえもネタバレしてたようだが。
俺は>>549でいい。それでいくぞ。明文化されたルールを消し去ったのが許されるのなら、基準の明文化
されていないこのスレにおいてルールを宣言することも自由だよな。自由な発言の許される掲示板だし。

「涼宮ハルヒの驚愕」公式発売日翌日から書かれた「分裂」キャラものには内容の感想を越えた文句はつけない。
それ以前に書かれたものには、相応の対応をする。
552名無しさん@ピンキー:2007/04/01(日) 19:50:42 ID:VTBQnmVU
自由の意味を履き違えている
553名無しさん@ピンキー:2007/04/01(日) 19:54:30 ID:n6X95dJV
涼宮ハルヒ:アザトースご本尊(機嫌を損ねると宇宙が崩壊するw)
※チャイナドレス→膨れ女でニャルラトテップも考えたが没
長門有希:名状し難きものハスター(あの図書館は実はセラエノにある)
朝比奈みくる:イスの偉大なる種族(未来人w)
古泉一樹:這い寄る混沌ニャルラトテップ(団長のパシリにして副団長、いつもスマイルw)
キョン:ランドルフ・カーター

朝倉涼子:風に乗りて歩むものイタクァ
喜緑江美里:シュブ・ニグラス
(風で適当なのが見あたらん)

シャミセン:バステト(土星の猫はデザインが気に入らないw ウルタールの猫でも可)
鶴屋さん:ウルム・アト・タウィル/ヨグ・ソトース(意味深なアドバイスをくれていつも見守ってる)
キョンの妹:イホウンデー?
ルソー:ティンダロスの猟犬
オーパーツ:銀の鍵

○○○:大いなる深淵の大帝ノーデンス
△△△:クトゥグア
□□:盲目のもの
××××:大いなるクトゥルフ
(ここらは対抗馬ということで)

閉鎖空間:宇宙の中心、沸騰する混沌の核、銀の鍵の門の彼方
※ドリームランドでも可

そう、SOS団とは外なる神を楽しませるための団体だったのだ!
機嫌を損ねると宇宙が崩壊してしまうぞ
554名無しさん@ピンキー:2007/04/01(日) 20:01:48 ID:SzFGrcR1
春に新刊が出ると変なのが沸くなぁ
555名無しさん@ピンキー:2007/04/01(日) 20:05:23 ID:kRlFphcP
新刊のネタバレ解禁は正式発売日翌日からだって暗黙の了解だろ
くれぐれも俺の一人よがりな提案じゃない
知らないならここで覚えてくれ

そして、SSスレもそれにのっとるのが一番角が立たない選択だ
宣言云々は悪くないが、あんたの意見はマイノリティに過ぎる
556名無しさん@ピンキー:2007/04/01(日) 20:07:14 ID:kRlFphcP
>>553
神殺しの旧神が入るスペースがないww
557名無しさん@ピンキー:2007/04/01(日) 20:09:44 ID:djXuwVRC
新キャラとの絡みが盛りだくさんのβルートのほうが、SSの素材としても
当面は人気が出そうだから、俺はαルート準拠でひとつふたつ書いてみよう
と思う。
558名無しさん@ピンキー:2007/04/01(日) 20:27:30 ID:a8mnlVmD
>>555
どうやら、ラノベ板で好き勝手やってるみたいだが。どうせそれの悪影響だろ。バカの書き込みは。

そういうのは最悪だ。俺は、ある意味ここで被害を受けた。
しかもすでに>>557もルートがどうこうと書きやがった。そんなの「憤慨」まで何もなかったぞ。
つまり、こいつの書き込みも新刊のネタバレだろうとわかる。「暗黙の了解」さえも破りつつネタバレされたわけだ。

文句があるなら「暗黙の了解」も守らない輩に言え。
559名無しさん@ピンキー:2007/04/01(日) 20:41:14 ID:4k4kgNeG
変な人が沸いていますねW
560名無しさん@ピンキー:2007/04/01(日) 20:44:13 ID:c8dMB9H+
春厨大発生中のこの時期に
新刊発売日が被ってしまった時点で
運が無かったというべき。
561名無しさん@ピンキー:2007/04/01(日) 20:50:48 ID:6/3tTPrR
驚愕が6月でよかった。8月とかだったら…ね。
まここで言うこっちゃないが。ちなみに俺はフラゲして読んでるけど、何も言わないぜ。
つかここはお子様はきちゃだめなんだぜ?
……すまん。スルーしてくれ。
562名無しさん@ピンキー:2007/04/01(日) 20:53:31 ID:dlFmQPSQ
驚愕発売後SSに矛盾が発生する可能性があるにしても、解禁は今日の24時でいいだろ。
驚愕を読まずとも一部の設定、イベントや台詞や過去の事象は使えるだろうし。

ID:a8mnlVmDは被害者かもしれんが、バカだの氏ねだのゴミだの言って
このスレの空気を悪くしてる加害者だと言うことに気づいた方がイイ。
563名無しさん@ピンキー:2007/04/01(日) 20:57:55 ID:YAplVXt9
515がまだ理解できない馬鹿な俺がいる
564名無しさん@ピンキー:2007/04/01(日) 20:58:06 ID:YVoxe2V7
>>507
amazonやbk1などの通販でさえとっくについたとの報告が上がっている。
いまだに入手できないのは当人の怠慢だと思われる。

普段本屋の入荷が遅いことがわかっている田舎ならば尚更事前の情報収集が不可欠。
まだ入手できないだなんだといってる香具師は自己責任だろ。

もちろん離島とかで入手できない香具師は別だがな。

君みたいな事いってたらいつまで経っても解禁できんぞ。
それこそ「香港に住んでるがまだ届いてない」とか言い出したらどうすんだよ。
565名無しさん@ピンキー:2007/04/01(日) 21:02:57 ID:Xh/JDqcd
そういうことじゃないだろうよ。
566名無しさん@ピンキー:2007/04/01(日) 21:03:32 ID:a8mnlVmD
そういうのは全部「暗黙の了解」を守らなかったカスにあてて書けよ。それがなければ俺は何も書いてなかった。
すべてそいつらが悪い。
567名無しさん@ピンキー:2007/04/01(日) 21:04:53 ID:5FD9Tfoe
>>564
で、さっきから何子供の屁理屈こねてんだ?

あと俺も含め
>>全員空気嫁
568名無しさん@ピンキー:2007/04/01(日) 21:05:55 ID:kRlFphcP
ネタバレ解禁は明日から

他人への文句とかいらないから、とにかく自分がネタバレしなきゃいいし、内容に触れなきゃいい
そんなに嫌なら見なきゃいい
569名無しさん@ピンキー:2007/04/01(日) 21:06:27 ID:vuWzJ/F1
>>564
ご自分がいかに幸せなご身分かを気付いてない人間の物言いにも聞こえるよ。
手に入れるまでの時間はもちろん、読み切るまでの時間もあるだろう。
誰もが一日の時間を自由に使えると思わないでもらいたいね。

俺は昨日のうちに読んだ。
でも考えてみれば、『分裂』を頭ひねって独自解釈して必死で書いても、2ヶ月の有効期限しかないんだな。
570名無しさん@ピンキー:2007/04/01(日) 21:10:18 ID:xHAlFaWA
>>558
被害者なのかもしれんが調子乗り過ぎ。
自治もいいが俺ルール発揮しすぎ。
何が言いたいかというとネタバレ嫌なら読むまで2chなんかすんな。
他の人はそれくらい考慮してるだろ。
まあネタバレはせめて今日終わるまでしないのが良策ではあるとは思うが。
571名無しさん@ピンキー:2007/04/01(日) 21:14:27 ID:BL8Rf6VR
単純にネタバレは24時でいいだろ。
2ヶ月待つとか>>564みたいな考えは異常
572名無しさん@ピンキー:2007/04/01(日) 21:18:34 ID:a8mnlVmD
>>561
あの、ひとつお尋ねします。貴方がフライングゲットなさったのは「涼宮ハルヒの分裂」ですか?
それとも「涼宮ハルヒの驚愕」ですか? 決して口外しませんのでこの点だけ教えてください。
573名無しさん@ピンキー:2007/04/01(日) 21:32:07 ID:UZOj3fbA
俺の場合、どうしてもネタバレ喰らいたく無かったら2chのその作品のスレは絶対に覗かないようにしてる。
ネタバレ喰らってでもいいから評判を聞きたい、というときはスレに行ってフラゲした人に聞くこともある。
「全て自己責任」
それが2chの使い方ってものじゃないのか?
574名無しさん@ピンキー:2007/04/01(日) 21:33:56 ID:17JPd7By
春だなぁ。
575名無しさん@ピンキー:2007/04/01(日) 21:35:43 ID:5FD9Tfoe
おk、何か敗走中に農民に討たれた明智光秀のような感じがするが、こうまでもめるんなら次からテンプレ増やそうじゃないか。
そうすりゃダラダラと無駄にレスを消費ことも少なくなるだろうし、新刊のたびにこういう事でもめるのは非常に度し難い。


Q新刊ネタはいつから書いていい?
A最低でも…………一般の――――発売日の…………24時まで――――待つ。
A一般の発売日の24時まで待ってもらえますか? 先輩、ゴメンナサイです。

だとか。



NGワード佐々木、ネタバレ、分裂、新刊

(´・ω・`)
576名無しさん@ピンキー:2007/04/01(日) 21:41:56 ID:gUELjzBz
まあSSでのネタバレも、大方の人が原作を読めるようになってからの方がいいんだろうね。
それでも文句言う人は文句言うんだろうけど。

と、陰謀ネタバレSSを書いて、文句っぽいことを言われた事のある俺が言ってみる。
あの時、それと知らずに読んだ人、すまんかった。
まさか、エロパロSS読みに来てる人が、発売されて九ヶ月も経ってる原作を読んでないとは
思ってもみなかったからさ。
577名無しさん@ピンキー:2007/04/01(日) 21:43:06 ID:0umYDTNM
春だねぇ。

あれだ。年齢制限がある板に>>564みたいなのがくると色々と切なくなるな。
やっぱ年齢=じゃないんだな。改めて思う。
578名無しさん@ピンキー:2007/04/01(日) 21:45:22 ID:9D4ytU02
この不毛な流れを変えるにはSS投下しかあるまいな
俺か?後二日待ってくれれば…
579名無しさん@ピンキー:2007/04/01(日) 21:53:43 ID:ArFU4yU1
新キャラの九曜は、ネタにしやすそうで実は難しい、という感じのキャラだな。
登場したばかりで、情報が少なく妄想の余地が乏しい、という点が大きいが。
580名無しさん@ピンキー:2007/04/01(日) 21:56:31 ID:LFVtM9UZ
上手いSS描きの人はよく研究してるよな、本物の文章読んでてもあまり違和感を感じないもん
ネタバレ云々でSS投下されてないけど改めてSS描きさんにお疲れ様と言いたい
話は変わるが俺は15P読むのに一時間かけてしまう
581名無しさん@ピンキー:2007/04/01(日) 21:59:45 ID:a8mnlVmD
こうして>>579のような者が現れる。おそらく成人であるはずだが弁えないバカ。

たとえば。おれ自身が「分裂」どころか「驚愕」の内容を知らないという保証がどこにある?
情報漏洩者のリスクを避けるいくらかの方法や技術も、すでに持っているかもしれない。
とっくに全部上がってる作品だぜ。そういう可能性は俺ならずとも転がってる。

「○○○○の結末では○○が○○○○しますが、○○の犠牲によって○○されます」

この場合、伏せるのは良心でしかない。それ以外にない。すべては良心にかかってる。
それをわきまえず情報弱者を省みない高慢な行為を「そういう場所だから」という理屈で行なう人は、駄目だ。
582名無しさん@ピンキー:2007/04/01(日) 22:14:27 ID:7nJvCMhq
ネタバレを肯定してる分けじゃないんだけど、ルールで決めたって書く奴は書くだろう
むしろ愉快犯的に狙ってやってる奴もいるだろうし
2chで良心を期待しても無駄だと思うんだが・・・
数日掲示板見るのを止められないほどの依存症なのか?
583名無しさん@ピンキー:2007/04/01(日) 22:23:14 ID:iIjkApJb
>>563
これって解説しちゃってもいいのかな? 書き手本人じゃないんだけどさ
584名無しさん@ピンキー:2007/04/01(日) 22:25:24 ID:17JPd7By
>>581
あんたいい加減にしたら?心狭すぎ。
ネタバレが嫌な人もいるだろうが少なくともあんた以外はうるさく言ってないだろ?
スレの空気悪くしすぎ。

まぁ既読者も2ch的ネタバレ解禁を守って発言すればいいと思う。
585名無しさん@ピンキー:2007/04/01(日) 22:28:12 ID:5FD9Tfoe
↓ここからβ1
586名無しさん@ピンキー:2007/04/01(日) 22:30:25 ID:DFV8fj9y
ネタバレ守れない奴が居るのは確かであり、それをルールと言って規制するのは不可能
よってネタバレを回避するために分裂読むまで来ないことを勧めるよ
だから空気嫁
587名無しさん@ピンキー:2007/04/01(日) 22:31:30 ID:hXcXMUYH
新刊読んで、書くネタ増えたぜ! と喜ぶ俺、参上!!
国木田と絡ませるには丁度良いぜ!!
でもこういう風に考えるのって自分だけだろか……。
588名無しさん@ピンキー:2007/04/01(日) 22:34:50 ID:djXuwVRC
>579
ネタにできそうなシーンはたくさんあったが(喜緑さんのところとか)、
イマイチ手を出しにくい感はたしかにある。
今回は続刊がはっきり予告されてることもあるし、「驚愕」が出るまで
待ったほうが無難かも。
589名無しさん@ピンキー:2007/04/01(日) 22:38:46 ID:BL8Rf6VR
ID:djXuwVRCは自覚症状がないの?
590名無しさん@ピンキー:2007/04/01(日) 22:45:00 ID:YE7qMuQJ
分裂のネタバレ解禁は、驚愕の公式発売日の24時をすぎてから。
嫌な奴は他へいけ。どうせそんな奴にまともなSSが書けるとは思えんしな。
591名無しさん@ピンキー:2007/04/01(日) 22:45:46 ID:5s80hvgH
>>515 で引っかかる人がポチポチいるね。
回答編みたいな短いSSを……状況のネタが浮かばない

始点 「ウソの含まれる発言」 終点

古典なのか有名なのかはよく知らないが、無口系はルールに従った状況を作りやすく、
饒舌さんは難しい。、解った時にピンと終始点が思い付くように、が特徴。
キョンの発言と、ナガトの仕種が『点』。どちらかか、両方。


って! まてまて! エイプリルフールネタは2つだけか!?
592名無しさん@ピンキー:2007/04/01(日) 22:49:46 ID:Le6X8JZH
とりあえず、空気悪くしてる元凶の一つである
a8mnlVmDの意見は却下したい。

明日以降は冒頭に
「分裂ネタバレあり」でいいんじゃない?
ネタバレ回避したい人はまとめサイトにいけばいい。

そもそも、こんなスレに来るヤツは重度のヲタだけだし。
発売日と同時がその前後で入手してるのがほとんどじゃない?
少数派のために、せっかくの新ネタを長期に渡り
使わないのはもったいなさすぎる。
593名無しさん@ピンキー:2007/04/01(日) 22:56:20 ID:YE7qMuQJ
>>592
どう考えても、空気を悪くしてるのはお前らネタバレ容認厨だろうに……
お前らがネタバレスレでも立てて出ていけば
スレの空気は良くなるよ。
594名無しさん@ピンキー:2007/04/01(日) 23:00:34 ID:BL8Rf6VR
>>593
分裂ネタバレを驚愕発売以降にする理由は何?
595名無しさん@ピンキー:2007/04/01(日) 23:00:47 ID:H/FSft72
あと一時間だな
596名無しさん@ピンキー:2007/04/01(日) 23:02:07 ID:nLZo+vK2
ていうか、長い間新刊が出てなくてようやく出た新刊について書こうとしている人を否定する意味がわからん。自分が読了するまでこなきゃいいじゃん。 分裂のSS楽しみにしてんだけどなぁ
597名無しさん@ピンキー:2007/04/01(日) 23:03:46 ID:vuWzJ/F1
>>582
程度の問題ではないか。
決めておけば20人中1人くらいにネタバレする奴を抑えられる。
決めなければ20人中で少なくとも過半数以上がネタバレする。

>>592
少数派を迫害すると、ある都知事候補に中指立てられるぞw

>>596
一応ここもコミュニティだからね。いろんな人間がいるってことさ。
598名無しさん@ピンキー:2007/04/01(日) 23:03:51 ID:tk1H/LrV
下らない議論でスレを汚してる奴は、自分の主張をSS化して投下しろ。
一番面白かった作品の主張に賛同してやるから。
599名無しさん@ピンキー:2007/04/01(日) 23:04:24 ID:l0ic3wO2
>>593
少なくとも、バカだのまともなSSも書けんだのと言って他人を攻撃してるのはあんた達だけだよね。
600563:2007/04/01(日) 23:04:29 ID:YAplVXt9
脳みそ弱い俺は、「これから嘘を言う」が嘘ってこと。と解釈してるんだが
601名無しさん@ピンキー:2007/04/01(日) 23:12:30 ID:wbsb9AIH
というか、分裂を実際に読んだ人でないとネタバレだと確認できないような発言にまで、しつこく噛みついてる奴は、いったいなんなの?
602名無しさん@ピンキー:2007/04/01(日) 23:18:22 ID:HhViJKxc
ネタバレ正当化厨もネタバレ過剰反応ももう少し自粛したら

いっそもうあと45分間誰も書き込まないようにしようや

この程度我慢できるだろ
603名無しさん@ピンキー:2007/04/01(日) 23:27:18 ID:DFV8fj9y
流れ無視して悪いが朝倉について確認させてくれ
古泉と朝比奈さんはどこまで知ってたのか? について
604名無しさん@ピンキー:2007/04/01(日) 23:28:40 ID:n5pZ/XMM
俺一週間ちょい前から長編書き始めてんだよなあ。
だから、分裂読んだけどこのまま書き続ける。
分裂ネタSSが殺到する中での投下になるかもしれんが、それが良いのか悪いのか。
目立つって感じならいいけど、浮くって感じだったら嫌だな……。
605名無しさん@ピンキー:2007/04/01(日) 23:35:08 ID:kRlFphcP
>>604
それは投下すべき
私見だが分裂は材料はかなり増えたが、材料どうしの繋がりがまだ不鮮明なので
『分裂』ネタとしては中々どうして爆発的には増えないと思う

まぁ後三十分もすればわかるさ
606名無しさん@ピンキー:2007/04/01(日) 23:38:50 ID:UjppSbKv
>>603
「特徴的な眉毛の方、でしたよね」
「太ももがむっちりしてた人ですよねぇ?」

いや、冗談。
個人的にはどちらも朝倉事件前だと「朝倉はインターフェース」だと知っている。
事件後なら「+事件の概要と急進派だった」ぐらいなのでは。

古泉は、『機関』が○○派だと詳細を知れるぐらいの情報網を持っているなら
「編集長」で喜緑さんについて「彼女は〜です」と断定してたと思う。

朝比奈さんは長門を初めて見てインターフェースと知っていた事から
誰がインターフェースで『機関』の人間かぐらいは知っているかと。
607名無しさん@ピンキー:2007/04/01(日) 23:43:54 ID:JnVosY18
皆が0時になって一気に投下して、話が混ざって混乱してしまわないかが心配だな
誰が何分頃に何レス分投下するのかを事前に宣言しておいた方が良いと個人的に思うのだが…
608名無しさん@ピンキー:2007/04/01(日) 23:44:52 ID:WpYd1w9T
>>604
自分も新刊前だから悩んだけど、新設定とかでても修正を放棄してカッ飛ばそうとキメた。
卒業後と未来系とかだと最終巻でたらイロイロひっかかこともあるんだろうから、
今、書きたいものを書こうとカッコ良く決めて逃避。

ふと思った。ミヨキチとかクラスメートを最初に題材にした人はスゴイ胆力だなぁ。
609名無しさん@ピンキー:2007/04/01(日) 23:46:04 ID:n5pZ/XMM
>>605
そうかありがとう。

俺も分裂読んだ直後は、興奮して続き書く気になれなかったよw
つい分裂ネタに走りそうになる。
ありゃかなりSS書きの心をくすぐる内容だ。
610名無しさん@ピンキー:2007/04/01(日) 23:47:11 ID:7YwJRlGT
ミヨキチってまだ回想以外で登場してなかったよな。そういえば。
611名無しさん@ピンキー:2007/04/02(月) 00:00:04 ID:Mso6EgQr
寡黙キャラが増えたけど、
長門と周防は↓のように沈黙表現の決定的な違いがあるからな。

長門→「…………」
周防→「――――」

みんな気を付けて筆を取るように!お兄さんとの約束だ!
612名無しさん@ピンキー:2007/04/02(月) 00:00:37 ID:sHcPZ+QH
解禁
613名無しさん@ピンキー:2007/04/02(月) 00:00:44 ID:n5pZ/XMM
要するに分裂の内容をまとめると、













橘 京 子 が 可 愛 す ぎ る 、ということだ。
614名無しさん@ピンキー:2007/04/02(月) 00:02:01 ID:6j0PhFQd
「分裂」から適当に拾い出した

ミヨキチの発育の速さに言及した後
キョン「なぜ俺はミヨキチの兄として生まれなかったのか・・・」
古泉「あなたの妹さんにも充分素質がありますよ」

キョンの中学時代の友人にあったハルヒ
「佐々木です。あなたが涼宮さんですね。お名前はかねがね」
「佐々木、なんでお前はハルヒのことを知ってる?」
「そりゃ同じ市街地に住んでいるんだし、目立つ人たちの噂はちょくちょく耳にする。
我々の中学から北高に進んだ生徒は、キョン、何もきみだけではない」
といってハルヒと握手する佐々木
その後ハルヒは佐々木のことが気になるようで、閉鎖空間連発

妹の次に風呂に入っているといきなり風呂場の扉が開いた。
「キョンくん!(以下省略)」

>>610αの電話ってもしかして・・・
>>611山口県の旧国名のほうが「・・・」でもう一人が「−」か、把握した
615名無しさん@ピンキー:2007/04/02(月) 00:02:29 ID:ksWqMz6t
解禁で良いのか?
なんか怖い人がいるから見てたんだけど・・・
616名無しさん@ピンキー:2007/04/02(月) 00:03:26 ID:Mso6EgQr
>>613
されには胴衣
初登場時あんなに酷薄キャラ押しといていきなり苦労空回りキャラに転換するとは
617名無しさん@ピンキー:2007/04/02(月) 00:04:10 ID:x14ADOCV
未来人オトコの名前が気に食わないのは俺だけじゃないはず
618名無しさん@ピンキー:2007/04/02(月) 00:06:23 ID:7d5Vp9SX
>>608
妄想で書くんだよ!
魂を込めて!俺は小ネタで書いたが…

619名無しさん@ピンキー:2007/04/02(月) 00:08:08 ID:47grJssk
>>614
宇宙人は山口県が好きなのか?長門も周防も山口だよな?
620名無しさん@ピンキー:2007/04/02(月) 00:09:23 ID:XkA06EFk
>>617
???パンジーって立派な名前のどこが気に入らないんだ?
621名無しさん@ピンキー:2007/04/02(月) 00:11:37 ID:Mso6EgQr
パンジー藤原とか最高にCOOLすぎるだろ
622名無しさん@ピンキー:2007/04/02(月) 00:12:26 ID:/VzWGvXM
>>613
陰謀の時はもっと冷酷で淡々としたイメージ(喋り方とか容姿のイメージ含め)だったんだが…
ギャップが凄くてツボった。そして俺の嫁sに仲間入りされました。早速ネタ考えてみよう
623名無しさん@ピンキー:2007/04/02(月) 00:16:43 ID:TYbYsdhK
藤原パンジー・・・・


略して藤パンか・・・


・・・なにいってんだろ
624名無しさん@ピンキー:2007/04/02(月) 00:16:44 ID:xHEXrRkC
結局、九曜周防ではなく、周防九曜でいいのか?
625名無しさん@ピンキー:2007/04/02(月) 00:19:20 ID:6pa5Ng6c
周防も戦艦なんだな無口キャラは戦艦名じゃなきゃいかんのだろうか?
626名無しさん@ピンキー:2007/04/02(月) 00:19:56 ID:73uimC0m
昼に読んだ勢いで、佐々木SS書いちゃったんですけど、
これ、もう投下して大丈夫なの?
627名無しさん@ピンキー:2007/04/02(月) 00:20:11 ID:7d5Vp9SX

俺的萌度
佐々木≧ハルヒ
橘>決して越えられない壁古泉
みくる>問題外パンジー藤原
長門>周防
628名無しさん@ピンキー:2007/04/02(月) 00:21:04 ID:Mso6EgQr
僕っ子、ツインテール、髪の毛オバケ、デコパンジー

/(^o^)\俺のツボに突き刺さりまくった
629名無しさん@ピンキー:2007/04/02(月) 00:21:39 ID:Iv8DrpEq
>>626
おkだろ。解禁だし。
630名無しさん@ピンキー:2007/04/02(月) 00:23:26 ID:6SKfCu50
>>614
かねがねって?
631名無しさん@ピンキー:2007/04/02(月) 00:24:03 ID:nU6xWt6z
長門vs周防か喜緑vs周防の戦闘SSは出てきそうだな。
632名無しさん@ピンキー:2007/04/02(月) 00:26:18 ID:518l964h
ただ問題は戦闘するようなものなのか・・・
雪山のあたりを見てると成立しないような気がするが。
633名無しさん@ピンキー:2007/04/02(月) 00:27:53 ID:TYbYsdhK
というか
ワカメとコンブの前哨戦はおわっただろ
634名無しさん@ピンキー:2007/04/02(月) 00:27:59 ID:hgPnP2hK
エイプリルフールの小ネタを、せめてもう1つ。

「偶然近くまで来たから遊んであげる」と朝っぱらから遊園地に引きずられて、
「別にデートなんかじゃないわよ」と観覧車でぐるぐる回され、
「疲れたから休むわよ」と近くの安ホテルに連れ込まれ、
「この部屋ちょっと暑いんじゃないの?」とエメラルドブルーの下着を見せつけられ、
「いっぺんやってみたいだけなんだから」とベッドに押し倒され、
「泣いてなんかない!」と腕の中でしゃくり上げられ、
「誤解すんじゃないわよ。あんたのことなんて何とも思っちゃいないから!」とアウトするとき叫ばれ、
「あんたとなんて過ごすんじゃなかった」と駅で別れ際に言われ、
「あたしはあんたなんて大っ嫌いなんだからね!」と夜、わざわざ電話で言われた。
わかったわかった。話があるなら明日にしろよ。もう12時過ぎてるぞ。
「※○★ ̄□T;▽×ちょ、ちょっと何でそれ早く言わないのよバカ!」
ガチャン、ツーツー……こんな音はしないんだけどな。
やれやれ。

翌朝。たいへんたいへんー、火星人が攻めてきたよー、と妹の叫ぶ声に目が覚める。こら、嘘つくんじゃありません。
「何言ってるの、今週はエイプリルフール週間だよ?」
おいおい。慣習的詐欺公認日を一週間に延ばすなんて法案、どの省が出して、誰の内閣が決めて、いつ発効したんだ?
思い出そうとしているとき、携帯が鳴った。
635名無しさん@ピンキー:2007/04/02(月) 00:28:16 ID:Mso6EgQr
>>630
「〜かねがね(聞いていました)」
っていう省略だるお
かねがね、っちゅう表現自体知らないんだったら検索でもして調べろとしか言えない
これくらい直感で読み取れないと小説読むこと自体難しいのでは……
636名無しさん@ピンキー:2007/04/02(月) 00:32:24 ID:hgPnP2hK
長門から見て周防はどっちの方角だっけ?
637名無しさん@ピンキー:2007/04/02(月) 00:35:12 ID:oZrA5BUr
>>630 お噂は「かねがね」聞き及んでおります。とか言う……よね。(前々から、かねてから)

ネタバレうんぬんよりも、新刊の感想や内容語るのはラノベスレじゃまいか?
「SSの設定だけど 『かくかくしかじか』 ってのはアリ?」とかは良いけど、
細かい打ち合わせとかはこのスレでも微妙に違うっぽくないっかい?
むしろ、模写にならないように料理して、『俺的解釈』全開で「投下します」のが潔い気が

魂の赴くままに書こうヨ
638名無しさん@ピンキー:2007/04/02(月) 00:38:30 ID:p8uZ6EiD
コンブとワカメのジャブり合いは中々

しかしどうしても病院坂黒猫
639名無しさん@ピンキー:2007/04/02(月) 00:39:00 ID:TYbYsdhK
佐々木の閉鎖空間で橘を……


寝てくるか
640名無しさん@ピンキー:2007/04/02(月) 00:42:08 ID:Mso6EgQr
>>639
おお妄想念レス成功した
641630:2007/04/02(月) 00:43:08 ID:6SKfCu50
サンクス。頭悪くてごめん
642名無しさん@ピンキー:2007/04/02(月) 00:43:36 ID:/VzWGvXM
> 「どう?佐々木さんの閉鎖空間。居心地いいでしょ?」
> 「…全く馬鹿な女だぜ、俺が朝比奈さんの事を許すとでも思ったのか?」
> 「ちょ、ちょっと…いやあぁ!!」

> 説教部屋と化す閉鎖空間

谷川スレから早速拝借コピペ…何だろう。これだけの短さなのに何かそそるものがある
643名無しさん@ピンキー:2007/04/02(月) 00:45:48 ID:a7IsxjCZ
あの閉鎖空間は格好の場所だよな
あの場面読んでる時は橘を襲うキョンの妄想が頭を離れなかった
644名無しさん@ピンキー:2007/04/02(月) 00:46:06 ID:+rSERUBy
分裂の話したけりゃラ板に行け。
645名無しさん@ピンキー:2007/04/02(月) 00:46:40 ID:KLu0B4ya
お前らもっと純粋な心を持てといいたいところだが実は俺も
646名無しさん@ピンキー:2007/04/02(月) 00:47:23 ID:hLeWpXCo
佐々木を初めとしたあっちの4人組だが、
どうして「キョン」に相当するキャラがいないんだろうな。

原作的にも、やはり「キョンは何者か」が最後の焦点になるのか?
647名無しさん@ピンキー:2007/04/02(月) 00:48:30 ID:dgXJvpa1
まずプロローグ長すぎww
パンジーカッコ良すぎ
648名無しさん@ピンキー:2007/04/02(月) 00:48:42 ID:+rSERUBy
だから分裂の考察とかしたけりゃラ板に行け。ここはSSスレだ。
649名無しさん@ピンキー:2007/04/02(月) 00:49:13 ID:47grJssk
>>646
キョンは共用何じゃないの?

          機関       誘拐
           │        |
     未来―ハルヒ・キョン・佐々木―パンジー
           |        |
          思念       天蓋

           世界を   世界を
大いに盛り上げるための   おとなしく見守る
       涼宮ハルヒの   佐々木の
              団   団
650名無しさん@ピンキー:2007/04/02(月) 00:50:19 ID:TYbYsdhK
>>648
で、キョン×橘を書いてくれるんだよな?
651名無しさん@ピンキー:2007/04/02(月) 00:51:12 ID:p8uZ6EiD
分裂

今まで世界の中心はハルヒだったのが
今回ので中心がキョンにシフトしたってことだろうな

もしくはキョンに対応する『何か』が焦点になるか
652名無しさん@ピンキー:2007/04/02(月) 00:51:53 ID:hgPnP2hK
>>639
閉鎖空間で性的行為を行うと、佐々木もそんな気分になるという設定とか?

似非クールな佐々木は、「やらないか?」「(くっくっ)いいよ」であっさり移行してくれそうな気もする。
それはツンデレのハルヒも同じだったんだけれども。
他、キョンや佐々木をダークサイドに落とすための調教とか、鬼畜系ならいくらも思いつくんだが……。
分裂の不完全な状況のまま、ストーリーまで作るとなると難しい。
ここで一発、周防を犯すネタを書こうという猛者は、現れないものか。
653名無しさん@ピンキー:2007/04/02(月) 00:52:29 ID:+rSERUBy
>>650
ああ、書いてやるからどっか行け。
654名無しさん@ピンキー:2007/04/02(月) 00:53:03 ID:wvndgQOK
この板って21歳以上限定の筈だよな……
最低限、板の使い分けくらいしっかりしろよ。
655名無しさん@ピンキー:2007/04/02(月) 00:53:32 ID:Mso6EgQr
うえーん昆布に絡まってうごけないよう
656名無しさん@ピンキー:2007/04/02(月) 00:53:50 ID:rT2ajzXh
キョン「……協力してやってもいいが」
たちばな「ほんと!?」
キョン「ただし条件がある」

キョン「一発ヤらせr(ry


ねーよ


>>654
残念、今は18斤なんだ。
657名無しさん@ピンキー:2007/04/02(月) 00:57:47 ID:wvndgQOK
18歳以上なら、板違いの雑談でスレを無駄に消費しない程度の分別はあるだろ。
6581レス小ネタ ◆8KfHmthVUo :2007/04/02(月) 00:58:01 ID:iEZanmHT
昨日、北高のSOS団行ったんです。SOS団。
そしたらなんか人がめちゃくちゃいっぱいで座れないんです。
で、よく見たらなんか垂れ幕下がってて、新団員募集、とか書いてあるんです。
もうね、アホかと。馬鹿かと。
お前らな、新団員募集如きで普段来てない文芸部室に来てんじゃねーよ、ボケが。
新団員だよ、新団員。
なんか萌えキャラとかもいるし。一年生11人で入団試験か。おめでてーな。
よーし俺質問しちゃうぞー、とか言ってるの。もう見てらんない。
お前らな、名誉顧問の腕章やるからその席空けろと。
SOS団ってのはな、もっと殺伐としてるべきなんだよ。
長テーブルの向かいに座った長門有希と朝比奈先輩でいつ喧嘩が始まってもおかしくない、
刺すか刺されるか、そんな雰囲気がいいんじゃねーか。部外者は、すっこんでろ。
で、やっと座れたかと思ったら、隣の奴が、団長の話に感激してやがるんです。
そこでまたぶち切れですよ。
あのな、映画制作なんてきょうび流行んねーんだよ。ボケが。
得意げな顔して何が、Episode00、だ。
お前は本当に映画を作りたいのかと問いたい。問い詰めたい。小1時間問い詰めたい。
お前、みくるビームって言いたいだけちゃうんかと。
SOS団団員その1の俺から言わせてもらえば今、団員の間での最新流行はやっぱり、
ツンデレ、これだね。
大盛りツンデレ萌え。これが通の願い方。
ツンデレってのはツンが多めに入ってる。そん代わりデレが少なめ。これ。
で、それに大盛り萌え(知的僕っ子)。これ最強。
しかしこれを願うと次から団長にマークされるという危険も伴う、諸刃の剣。
素人にはお薦め出来ない。
まあお前らド素人12人は、古泉一樹でも食ってなさいってこった。
659名無しさん@ピンキー:2007/04/02(月) 01:10:04 ID:f8oPuXYU
>>658
ちゃんと11人→12人に増えてるあたりが見事。

とりあえずワカメVS昆布が最初に出てきそうな予感。
あと、橘京子はこれまでの印象に反して、結構気弱で苦労人な
ところが結構萌えますた。
660名無しさん@ピンキー:2007/04/02(月) 01:12:39 ID:yfHlQGyV
萌え談義は板違いじゃないぞ?
661名無しさん@ピンキー:2007/04/02(月) 01:17:59 ID:TqS38p/3
催す奴は制服だろうが体操着だろうが催すのよ!

キョン「スマン、俺が催してしまったんだが何とかしてくれ」
662名無しさん@ピンキー:2007/04/02(月) 01:19:24 ID:hgPnP2hK
国木田女体化ネタの応用で、佐々木男体化ネタなんてどうだ?
663名無しさん@ピンキー:2007/04/02(月) 01:25:04 ID:4u4mVOTN
そこで絡む相手はハルヒ……と。
664名無しさん@ピンキー:2007/04/02(月) 01:27:50 ID:Mso6EgQr
そこは橘だろ
女体化キョンでも可だけど
665名無しさん@ピンキー:2007/04/02(月) 01:34:59 ID:rnPeJXA2
この流れで、新刊にはまったく関係ないSS投下しても大丈夫そう?

かしましなんだけども
666名無しさん@ピンキー:2007/04/02(月) 01:36:18 ID:mWQutByM
女の子も3人集まれば文殊の知恵
667名無しさん@ピンキー:2007/04/02(月) 01:39:06 ID:rnPeJXA2
時間もアレだし、感想とか指摘もちょっとは欲しいから、明日まで様子見た方がいいのかな?
レス無しで次スレに流れるとちょっとヘコみそうで悩む
668名無しさん@ピンキー:2007/04/02(月) 01:39:29 ID:UQPHqJoP
分裂ネタバレあります。
エロは…まだ無いです。
結構短めにいきます。
669名無しさん@ピンキー:2007/04/02(月) 01:39:43 ID:TqS38p/3
>>667
気にするなどんどんщ(゚Д゚щ)カモォォォン
670名無しさん@ピンキー:2007/04/02(月) 01:40:13 ID:UQPHqJoP
俺が中3の時だ。
見事な放物線をえがいて落ちていっていた俺の成績を見かねて、
ウチのお袋が俺を学習塾に入れた。もともと勉強なんて好きじゃ無かったが、
流石に俺も危機感を感じてそこそこ真面目に勉強をして今に至った。
この前再会した佐々木とは偶然塾でも学校でもクラスが一緒だったので、
自転車の後ろにのっけて途中まで一緒に帰っていた。
ある夏の日の事だ。
いつものように授業内容の7割ぐらいを頭に入れ、自転車を取りに行ってから
佐々木のところに行くと佐々木が上を見上げていた。
それにしても加湿器がついてるみたいに蒸し暑いな。
どうしたんだ?雨でも降りそうか?
「ふふふ。キョン、君は人が空を見るのは天気を知るためだけだ
とでも思っているのかい?」
クックックと独特の笑い方をしながら俺を待っていた佐々木はこう付け加えた。
「ほら、夜空を見てごらん。今日は三等星でもこんなにくっきりと
見えてるよ。どうやらアイドリングストップで少しは夜空に影響があったようだね。」
671名無しさん@ピンキー:2007/04/02(月) 01:42:03 ID:UQPHqJoP
今日は星空が綺麗だから歩いて帰ろう、というコイツの提案に
俺はこの時は何も考えずに賛成した。この後コイツの口から
古泉も仮面が揺らぐ様なことを言われるとは考えもしなかった。

佐々木が利用するバス停までは歩けばそこそこ距離があるので、30分程かかる予定だ。
10分程歩いたら、公園の前あたりで、佐々木が急に立ち止まった。どうしたんだろう。
仲間になりたそうな目でこっちを…じゃなくて、コイツが普段見せないような表情をしていた。
悲しみを隠すために作った笑顔、顔は笑っているが目は悲しんでる、
どうにかしたいのにどうしようもない、そんな顔。
街頭が寂しく照らす中、お互いに自然と数十秒間見つめ合っていたら、
佐々木が俯いて重たそうに口を開いた。
「ねぇ…キョン…君は僕が恋なんて精神的な病の一種だ、って説いたのを覚えているかい?」
あぁ、覚えてるが出し抜けに一体どうした?
「僕は、わかっているんだ。恋は精神的な病の一種だって。
所詮一時の気の迷いなんだって。頭では。だから今までそういう風に行動してきたんだ。自分の中に枠組みを作ってそれに自分をはめ込んでいたんだ。
でもね、キョン、僕はどうしようもないんだけどね…ホントに…
どうしようも…ないんだけどね…」
そう言って佐々木が俯いたまんま言葉を少しの間切ると同時に俺は公園のベンチに
672名無しさん@ピンキー:2007/04/02(月) 01:43:10 ID:UQPHqJoP
1人恐らく俺よりそこそこ上の年齢の女性が座っていた。
顔は見えないが栗毛の肩より少し下まで伸びている髪だった。
こんな時間に誰かを待っているのだろうか?
そして佐々木は顔を上げて言葉を続けた。
「それでも僕はね、キョン、君の事が好きなんだ。」
その時佐々木は、顔は笑ってはいたが、涙が頬を伝っていた。
「ホントはね、もっと女らしくして、女として見てもらいたかった
んだけどね、どうしても無理だったんだ。
君は…君はこんな僕をなんの抵抗も無く受け入れてくれた。
仮面を被ってまわりと接して、君と話す時だけ仮面を外して、でもいつからか
仮面が君の前でも取れなくなって…」
「…」
俺は笑顔なのに涙を流す佐々木の話を真剣に黙って聞いていた。「好きなのに、頭の中でそれは病の一種だ、って考えちゃって、
君を好きなのに、僕は自分でそこから遠ざかろうとしちゃうんだ…
ねぇ…僕は…一体どうすればいいんだろうね…キョン…」
佐々木は下を向いて静かに泣いている。
そう。コイツは疲れちまったんだ。理性だけで動こうとしたけど無理だったんだ。
こんな時に気の利いたセリフのひとつでも言えるのが男なんだろうが、
生憎俺にはひとつの事しか出来なかった。
抱きしめて、頭を撫でてやること。
子供の頃に泣いた時によく母親にされてたことだ。意外と落ち着くんだなこれが。
佐々木。お前は女で物知りで秀才な佐々木だ。
恋は精神的な病の一種?別に病ぐらいかかってもいいじゃないか。
お前の思うがままに生きろよ。」
673名無しさん@ピンキー:2007/04/02(月) 01:44:10 ID:UQPHqJoP
「キョン…うん。わかった。」
何がわかったんだろうな。もはや後半は俺も何言ってるのかわかんねえのに。
「ちょっと目を閉じてくれないか。少しの間でいい。」
「あぁ。わかったよ。」
言われた通りに目を閉じると、唇に柔らかいものが押し付けられた。
驚いて目を開けると、どアップの佐々木が笑顔で映っていた。
唇を離した後、佐々木は笑顔でこう言った。
「今年はどうやら願いが1日とたたずに叶ったよ。」
叶う?あぁ、そういうことか。
俺は今日の日付を思い出した。いわゆるラッキーナンバー2つ。
何光年か先にいるバカップルが結ばれる日。
そう。
七夕だったんだ。


続く?
674名無しさん@ピンキー:2007/04/02(月) 01:48:00 ID:rnPeJXA2
前の人と間がないけどゴメン。

このスレ、44-223 406 の続き 『カシマシ・インフィニット』
ドタバタ系コメディ? 10レス前後 第3部
675『カシマシ・インフィニット』3:2007/04/02(月) 01:50:18 ID:rnPeJXA2


「こんにちは。今日も良い天気ですね」
 明日からは崩れるそうですが、と不穏に添えて頭を下げてくる上級生に、俺はつられるように腰を折った。
 長門の台詞は聴かれなかっただろうか?
 あとじさる長門に確かな足取りで近付く喜緑さんの様子を伺ったが、木漏れ日のように暖かな微笑を湛えた表情はいつもどおりで捉え所が無い。
「……緋見鳥えみり」
「長門さん、変な字名を付けないでください」
「全身を血に緋く染めた犠牲者を楽しげに眺めながら夜空を旋回する様子から――」
「解説もけっこうです」
 強敵だな長門。ここは大人しく挨拶だけしてやり過ごそうぜ。
 俺はこの上級生の事をあまりキライではないんだが、時折見せる翳った微笑みの中に、なにもかもを巻き込んだ創造の事後処理をしてきたような倦怠感がのぞいたり、
皮肉を含んで「わくわくしたいと願えるのが素敵ですね」とか言った後に「叶えてくれません、誰もね」とトドメと溜息を織り交ぜそうな雰囲気がちと苦手なんだ。
「あなたはファックアップのはず」
「いいえ、バックアップではなく独自の観察とあなたの監視を――え? 今なんて言ったの? なんて言いました!?」
「……なにも。気のせい」
「言いました! このっ――待ちなさい。お酒もドラッグも二十歳からです!」
 単純に宇宙人的端末にトラウマができてしまったのかもな。TFEIとやらと密室に放り込まれたら断言してもいい、泣いてしまうかもだ。
長門なら別だぞ。会話が弾まないことを除けば、胃袋の限界までお茶を差し出されるだけで、なに、のんびり構えてればくつろいだ時間と呼んでいいだろう。
いや待ってください喜緑さん、ドラッグは年齢問わずダメです。
 片手で頭を鷲掴みにされた長門を見届け、自販機の前で考え込んでいる古泉に話を振ってやった。
「おい古泉。喜緑さんがどっちの用件で来たのかはわからんが、生徒会関係ならお前の領分だろう。
ミシミシいってる長門の頭蓋骨が違う音を立てる前になんとかしてやってくれ」
 えらく真剣に悩んでるようだが、ジュースの選択よりも状況をみてくれ。古泉の肩を小突くと暫くまばたきを繰り返し、今さら気付いたように喜緑さんに頭をさげた。
「ああ、これはどうも喜緑さん。挨拶が遅れてしまいました。こんにちは」
 良いお天気ですね、と添えて頭を下げた。なんだ、常に笑顔を崩さない人間は挨拶に天気を絡めるのがデフォルトなのか?
 そういえば英語圏とかそのあたりだと、支持政党の会話から始めて手袋を投げつけられないように、最初の会話は当たり障りない、誰の不利益にもならない天気から始めるのがマナーだと聞いたような気がするな。
譲れないものを胸に貯め込んでると、朝に晴れてても傘を忘れない人間になれるかもしれん。
「はい、こんにちは。もうすこし離れてくださいね。ナニか飛び散った時制服が汚れてしまいますよ?」
「これはご親切にありがとうございます。それで今日はどういったご用件でしょうか?
 生徒会の方は暫く通常の職務で忙しいように伺っていたんですが、なにか別の用向きでも?」
 俺は暴挙を止めて欲しいのであって、長門がぶちまけられてもいいように距離をとってどうする? 頑張れ折衝役。
「喜緑江美里。あなたは手を離すべき。危機が迫るとしたらまず古泉一樹」
「生徒会の会議が少し煮詰まってしまって、気分転換にたまにはお茶以外の飲み物でも振舞おうかと。ここでお会いしたのは偶然ですね。
 ふふっ、ちょうど長門さんにも早めに伝えたい事があったのを思い出しましたから、幸運な偶然です」
「ははは、それは偶然ですね。一生徒として今期の生徒会には期待してますのでがんばってください。応援させていただきますよ。
 おや長門さん、足が地に着いてませんがなにか嬉しいことでも?」
 だから止めろよ。微笑みの紳士淑女には『偶然』って言葉に別の意味が含まれるのか?
 買い出しするのになんで自販機の後ろから出てくる必要がある? 明らかに必然だろうがって、うぉあ! 振り払おうとしていた長門の腕がダラリと下がったぞ!
「ちょ! ちょっと、喜緑さん! 伝えたいことがあったんでしょう!? 相手がいなくなりますって!」
 慌てて喜緑さんと長門の間に割って入った。脇腹がなぜだかチクリと痛んだが今は構ってられるか。
676『カシマシ・インフィニット』3:2007/04/02(月) 01:51:40 ID:rnPeJXA2
「俺からも謝りますから、落ち付いてください。ほら長門! 白目むいてないでゴメンナサイしておけ。
 社会的には柔和な人格者みたいに振舞ってるんだから、形だけ頭を下げておけば何も出来ないはずだ。人目もあるしな。
 なんというか「人間ごときが」とか「制限端末風情が」とか腹に抱えてそうちょっと怖いが、確か穏健派だか陰険派とか呼ばれてるから表立って行動すること善しとしないんじゃないだろうか。
 そんなことを考えながら俺は長門の頭を押し下げた。よし、これで万事オーケーだ。
 とりあえずは今度の件について何か知っていそうだし、穏便にうまく聞き出してから退散していただくか」
「…………」
 なんだ? 沈黙が重いな……。一般人としての行動に間違いはないはずだが、まあいい。大丈夫か、長門?
「……大丈夫。喜緑江美里は本気ではない」
「そうですよ。仲の良い幼馴染のジャレ合いですから」
 そうなんですか? 口元を隠してクスクス笑っておいでだが、それにしては随分命懸けな気がしますよ……まあ、本気なら情報結合とやらの解除をするだろうし、それが実行されないならお互いに許容範囲なんだろうか。
「今はその恐怖の代名詞ともいうべき血に染まったバールのような物を所持していない」
「そんなものは随分前に処分しました!」
 も、持ってたんですか。さすがに古泉の笑顔も引き攣っている。怖いものでも…怖いものを見たような……見てしまった表情だ。
「ちなみに使用されたのは夏季休業時。繰り返された惨劇は3982回にも及び――」
「ち、違う、違います! アレはちょっとした心理実験で!
 相手はともかく私の了承と私への状況説明は滞りありませんから半数以上の同意を得ていました!
 しかも発案者は有希ちゃんじゃないの!?」
「対外的な自律活動中の愛称での呼称を警告。
 それに、わたしは提案していない。ただ長い夏休みを快適に過ごせるよう本を貸しただけ。
 あのような行動にでる事は想定外。私という存在が初めて恐怖した瞬間。隣人は静かに笑う」
「も、もお、有希ちゃんったら! お茶目さんなんだからぁ。情報データを良く確認してみて。最後の夏休みには何も起こらなかったの。ね? つまりそんな事は起こらなかったのよ?
 あ! あのとき借りた本を返してないから怒ってるんでしょう!! ほらほら、ちゃんと返しま〜す。染みは残ってませんよ〜」
「……ちなまぐさい」
「そんなことありません。この本は『そんな時間を』『経過して来なかった』『ことになっている』んですもの。
 早く受け取らないとメリ込んじゃいますよ?」 
「………………」
 なんだか小公女のように、古典的なヒロインとライバルの構図に見えて居たたまれなくなった俺は、長門の胸にグリグリと押しつけられている数冊の本に手を伸ばした。
 サイズも厚さもバラバラな書籍は少し生暖かったが、長門の胸を埋まっていたからと思うよりも会話から漏れてくる猟奇的なものを連想させて背筋を震わせた。
 落ち付け俺。どこにかはわからんが喜緑さんが持ち歩いていて温まっただけだ。
 ……呪われてないだろうな?
「俺が持ちますよ。俺達もジュースを買いに来ただけなので、そろそろ部室に戻らないといけませんし。
 なぁ、長門。そろそろ戻ってもいい頃合だろう?」
 受け取った本を長門に見せるように振ってやり、反対の手で髪の毛をそっと撫でてやった。
 深い意味はないぞ。少し乱れていたからな。喜緑江美里恐るべしだ。どうした長門? 顎を逸らせて無理に喜緑さんを見下ろして。なんだか勝ち誇ったように見えなくも無いぞ。
「そ、そうですね。わたしも会議に戻らないと行けませんし、わたしにも待ってる人がいますから!
 ジュースを買いましょうか。買いましょうか長門さん。長門さんがジュースを」
 怖いですよ喜緑さん。TFEIとか別にしても怖いです。しかも強請っているように見えます。
「……なぜ?」
 鼻先がくっつきそうなくらい顔を近づける喜緑さんに、長門は姿勢を崩さない。うん、ちょっと偉そうだ。
 普段の態度からは想像もつかないくらい負けず嫌いだしな。知り合いというには少しばかり深い仲でも、理由もなく、しかも強要されて飲料を振舞うことはなさそうだ。
677『カシマシ・インフィニット』3:2007/04/02(月) 01:52:45 ID:rnPeJXA2
 穏便にすませたい俺は、生徒会とSOS団の分を賄えるだけの金額が財布に残っていたかと軽い胸元を探ってみる。
「どうしてでしょう? わたしが買うよりあなたが買った物の方が美味しくいただける気がしました」
「それは詭弁。製造および輸送・保存の観点から誰が購入しても品質および味・量に変化がないのがこの販売保温機器の利点。強いてあげるなら、あなたが購入した際、鉄錆に似た風味が加味されることが懸念される」
 おい古泉。まだなにを飲むか選んでいるのか? いいから呆っとしてないでお前の財布の中身と生徒会の人数を教えろ。今日の俺の所持金は、紙幣の末端に位置する紙切れがかろうじて一枚だ。
「長門有希。わたし達は114時間12分前に表層情報域の同期によって情報交換を行いました」
「……そう」
「ひとつひとつのプログラムが甘かったですよ? 深層領域の擬似空間操作も秘匿情報封鎖も」
「……?」
「ですからわたしに気付かれたんです。進入して閲覧までしてしまいました」 
「!」
 ここでニッコリの喜緑さん。肉食獣が獲物の喉笛を噛み千切った後の表情を観察すれば、見られるかもしれない満足げな満面の笑顔だな。あとは食べるだけだ。
 知らない人がみたらファン急増、谷口ランキング急上昇間違いない。
 長門が身体を震わせなければ俺も魅入られていたんだろうが、この先スマイルが俺のトラウマに追加された日には、どうやって古泉を付き合おうかと頭を悩ませるだけだった。
「シークレットダイアリーとシミュレートライブラリーを少しだけ。
 ふふっ。特にシミュレートライブラリーの発生状況C−13『有希、無音、部室にて。』!
 これなんてもぉどうしましょう台詞の配置が少ないのにあんなに情感たっぷりでしかも長門さん自身が聖地だと感じている場所であんなあんな――」
 そのとき長門の姿が消えた。
 ひゅばっ! 風を切る音が聞えたかと思えば、チャリンッ・ガタコンッ・ガシャッ! と三つの音が重なるように同時に聞こえ、驚いて視線を向けた先では顎を支えて「ふむ、なるほど? もしかすると……」などと
自販機との意思疎通に成功した古泉の髪が舞い上がっており、なにが起こっているのかと頬に両手を添えてクネクネしている喜緑さんの様子を伺えば、その脇に小さな缶を差し出した長門有希の姿があった。マジ一瞬だ。
「……おすすめ。あなたは饗応をうけるべき。心の友」
 どうやら和解の調印であるらしい、ささやかな缶飲料のおかげでここは穏便に済みそうだが……朝比奈さんの事を忘れてやいないだろうな? 俺はそろそろ部室に戻りたいんだが……。



 そして俺達四人は近くのベンチにたむろして、おのおの喉を潤すなり缶を玩ぶなりしていた。
 急がないのかって? 喜緑さんがまだ話したいらしく長門を手放さないんだよ。
 その喜緑さんは長門が差し出した缶飲料を受け取らなかった。
 別に和平が成立しなかったわけじゃない。「ありがとう長門さん」と鷹揚に頷きながら手を伸ばしたからな。ただ途中で手を止めた、それだけさ。ちょっと好みの飲み物ではなかったらしい。いや、そもそも飲み物なんだろうか?
 その後、長門が新たに投入した紙幣から幾つかのジュース類を購入し、二枚目のなかばまで至って満足したのか戦利品をベンチに並べて腰を下ろし、その一つを開封した喜緑さん。
 彼女は、隣で内容物の吸引嚥下にいそしむ長門の髪を優しく撫でている。ここだけ見てれば、ちょっと毛色が違うが仲睦まじい姉妹に見えるんだがね。
 長門の好意で古泉もご相伴にあずかり、続いて俺も100%果汁と、少し悩んでホットココアを選択した。ハルヒと朝比奈さんの分だ。
 そこで半端な額となった残金が排出され、さすがに自分の分くらいはだすさと財布を取り出してる間に長門が素早く補充してくれた。
「悪いな。ご馳走になるよ」
 顔の前で拝む形で感謝の意を表そうとしていたのだが、その手は長門の指を押さえるのに使用した。
「……オススメ」
 すまん、今は冷たいものが欲しい気分なんだ。俺はコーヒーを選択した。
 大手飲料メーカーのロゴのない自販機というのをご存知だろうか? 大手数社の商品を混在して販売したり、聞き覚えのない会社の見覚えのない商品を販売する際に使われるアレだ。
 これには希に新規開発商品をテストケースとして陳列する場合もある。アンケートがあるわけでもないので、単純に一定期間内で売れるか残るかだけで判断されるらしい。
678『カシマシ・インフィニット』3:2007/04/02(月) 01:54:24 ID:rnPeJXA2
 つまり何を説明したいのかと言うと、長門が金銭を投入し、選択を迫るランプが点灯しているのがその珍しい自販機であり、長門がオススメと称して喜緑さんに差し出して拒否され、
同じく俺に饗しようとしたのが『あたたか〜い』の末席に、手書きでテスト品との札が添えられて鎮座している物体だったのだ。
 青春に全体力を傾ける運動部員が、息も絶え絶えに水分補給の目的で手を出したらまず死ぬだろう……いやいや、そもそもホットは選ばないのかもしれない。
 デザインも確定版ではないんだろうが、暗めの黄色地にブラウンのポップ体で『ス〜プ?』と大きく表記され、その右下部にターバンを巻いた明らかにインド人なデフォルメフェイスが張り付いていた。
 俺の選んだコーヒーも見覚えのないデザインだったが、幸運なことに炭酸が発砲していたりしなかったので、既に空となって空き缶入れとの親交を深めている。
 喜緑さんは時折長門の髪を撫でる手を休めては缶の底に手を添えて、長門はそれより頻繁に両手で缶を包み込むようにして、それぞれ容器を傾けている。なんだか満足そうだな。うまいのか、それ?
「…………」
 感想を聞こうと口を開くより先に長門の動きが止まった。
 いくぶん哀しそうな瞳で飲み口を見つめているんだが、はて? 快速イーターにしては珍しく、少しずつ堪能しているようだから飲み干すには早いと思うんだが、どうしたんだ?
「……ツブが詰まった」
 ……なんだって? 粒々入りか! ライスでも入ってんのか!?
「ジャガイモ……」
 具入りかよっ!? サンマ缶の隣かレトルトコーナーで売っとけ!! 自販機に混入するな!!
「ふふっ、可愛い盛りですよね。さっきのはちょっとした反抗期なのかもしれないですね」
 四、五才児を愛でるオバチャンみたいなことを口にした喜緑さん。自販機から吐き出された不思議缶詰はスルーなんですね。
 明らかに飲み口――この場合『食べ口』か?――より大きな具材を封入したらしい、知恵の輪みたいな缶食料と格闘する長門を、他意の無さそうな微笑を浮かべて見守っている。
 そうしているとまるで善人ですよ。
「否定はしませんけどね。それにしても、長門に教えたいことがあったんじゃないですか?」
 まさか、形だけでも年長者に対する礼儀を教えに来たわけではないでしょう?
「あらあら、そうでした。もうちょっとだけ待ってください。そろそろ……」
 軽い音をたてて缶を脇に置くと、スカートのポケットから携帯電話をとりだして?
 軽妙な電子音が鳴り響いた。すごいですね。予知ですか? もういいですか? なんで長門の肩に腕を回しているんですか? 右手のジュースがぬるくなって、左手のココアもぬるくなってきたんですが。
「電話に出てもよろしいですね? いえ、そのまま動かないでください。そのまま!」 
 脅さなくても待ちますよ。
 携帯電話といえば、遅くなればハルヒが呼びつけてくれるさと思い立ち、迅速に部室へ向かう事を放棄してみた。
 トイレで着替えるとか言ってたしな。部屋で待っていても、少し遅れて到着しても、顔を合わせたときに気まずい事には変わりはない。
「んっ、コホン。はい、喜緑です」
『喜緑くん! 君は今どこをほっつき歩いているのかね!』
「ええ、はい、みなさんに何か甘い飲み物でもと」
『ああ! それは聞いたよ。確かに聞いた。だが何分前のことだったか思い出すのも困難なほど時間が経ってしまっている。
 君は飲み物ひとつ購入するのにウィンドーショッピングが必要なのかね? 違うだろう?
 私の知っている喜緑くんは優秀な人材だったと記憶してるのだが、優秀な人材はそもそも重要な会議を放って置かないだろうし、議題があといくつ残っているのか把握してくれているはずだ。
 となると、君に対する認識を――』
 いやぁ、すごい剣幕ですね。そろそろ戻った方がよろしいんじゃないかと思いますよ。
 なにやら電話の相手は白皙の生徒会長みたいな口調で捲し立てている。声もどこかで聞いた気がするな?
 どうでもいいですけど音量、高くないですか? 明らかに着信音より響き渡ってます。
 喜緑さんも聞き苦しいんだろうか、携帯電話から耳を離して不快そうに眉をしかめて――  
「Shut a Fuck Up! Pochi!!」
 喜緑さんが通話口に鋭く囁いたのを聞いて最初は例の呪文かと思った。宇宙人魔法使い的なアレだ。
 なにしろ電話の相手のみならず、俺と古泉、非常糧食と格闘する長門まで凍り付いたからな。電話越しに心臓を潰す必殺技か?
679『カシマシ・インフィニット』3:2007/04/02(月) 01:56:05 ID:rnPeJXA2
 余談になるが後日国木田から聞いた生きた英語豆知識によるとだ、[Fuck up!]単体だと「くそったれ!」とか「しくじった!」といった感嘆詞になり、同じ言葉でも状況を
表す時は「ドラッグやアルコールをキメキメでベロベロ」となるらしい。[Shut a Fuck up!]だと「黙りやがれクソヤロー!」。テストには出ないから覚えないでね。でもファンキーにイこうよ! とのことだ。
 さて、喜緑さんの電話の相手がケニー・マコーミック並の壮絶な死を遂げたのかと心配になりだした頃、雰囲気と声量を大いに違えた、それでも生存を知らせる声が携帯電話から漏れ出した。
『――あ……喜緑くん?』
「コホン。はい、喜緑です」
『うん、いや…私が君に電話をかけたのだが……すまんが少し混乱してしまったようだ、今なにを話していたんだったかな? 記憶が曖昧になってしまってね』
「今、ですか? 買い出しに時間をかけすぎて、あなたから叱責を…みんなの前だからってあんなにキツク言うなんて……ちょっと泣いちゃいそうです。わたし、役に立とうと……」
 喜緑さん、音声だけならそれはそれは哀切な雰囲気を醸し出すんでしょうが、携帯電話のスピーカーをこちらに向けてチラチラ伺いながらわざとらしく洟を啜り上げても、俺にはどうして欲しいのかわかりませんよ。
 そういえば部室で初めてお会いした時はそんな感じでしたね。
『ま、待ちたまえ! こちらとしても悪意があったわけじゃあなくてだな、会議はどうでもいいんだがキミがちょっと遅いからアレしちまったっていうか、そんなつもりは無かったんだ、のだ。喜緑クン。
 ただポーズってもんがあってな、話したはずだろ? エミリンだから話したんだ。お前にだけは隠し事をしたくなかったからな。
 役職を被ってる間はそういうキャラを演じなきゃなんないが、こんな仮面を被ってる時に話すことなんて信じないでくれ。
 今だって心配になって…それにお前が側にいてくれないと、その、落ち付かなくてな、不安になるんだ…それでつい……ごめんな』
「ふふっ、可愛いこと言ってくれたから許してあげますっ。でも口調が崩れていますよ? カ・イ・チョッ♪」
 どうりで聞き覚えのあると思ったら、そのまんま生徒会長だったのか。
 あの生徒会長、演技とはいえ厳格な生徒代表、冷徹な生徒会筆頭のフリをそつなくこなすくらいだ、小悪党にも飽きて権益につられたんだと自嘲していたが、俺はえらい胆力と実行力をもつ才人なのかも知れんと感じていた。
 大学の推薦枠と成績の改竄を望むくらいだから勉学の方はわからんが、それを別として才覚と意気は並の人間じゃないだろう。
 その隠れた豪傑がこうもトロトロになるとは……恋愛の妙味に関心するべきなのか、悪女エミリンの手腕に戦慄するべきなのか、これは悩むところだな。
 『うむ、それは大丈夫。休憩を宣言したらなぜか全員部屋から出て行っちまったからな。今は俺だけ……エミリンは、喜緑クンは大丈夫なのか? 
 ナントカいうフザケタ団体の、いけすかないニヤケ野郎に付きまとわれてたりしないか?
 いや、冴えないトボケ野郎の方が気になるな。あいつがエミリンを見る目つきは自分を見てるようで気に食わん』
 冴えないトボケ野郎が誰だかわからんが、俺が喜緑さんを見るときに感じるのは、外面に対するささやかな賞賛と内面を察する居心地の悪さ、そして圧倒的な力への恐怖なんだがね。
「そんな事ありませんよ、一人です。男の子の嫉妬はカッコワルイですよ? ふふっ、でも嬉しい」
 喜緑さんが囁いた鋭い口調の台詞も気になるな。聞き取れたから宇宙的な呪文じゃないみたいだが、何かのキーワードなんだろうか? ポチ?
 ……あ〜、深く考えないほうが良いのかもな。どういうプレイに及んでいるか想像するには俺は幼いのかもしれん。バカップルに首を突っ込めるのはバカップルだけだ。
『んん、ゴホン。すまない、君を信じているんだが羽虫どもは輝きに群がる習性があるものだからな。
 それで喜緑くん、そろそろ戻ってきてくれるかね? エミリン成分が不足してきて落ち付かないのだが』
 というわけで、俺はもうツッコんだりしないとたった今決断したので戻ってもいいですか?
 まぁ、無理なんでしょうけどね。
 脳が蕩けてしまわないように防衛策として気を逸らしておくかと、なんの気なしにベンチの隅に置いた数冊の本に目を向ける。
 『エスキモー・初めてのソリ犬教育日誌(命令順位・絶対権威の確立)』
 ふむ、日本の飼い犬を躾るには動物愛護団体が黙っていない内容が書かれていそうだな……。
 この本を読んだことはないが、以前読んだソリ犬が題材になった漫画を思い出していた。
 極寒の地ではエンジンさえも凍りつくらしく、代わりに運搬の役を担うのが犬ゾリだ。
680 ◆8KfHmthVUo :2007/04/02(月) 01:56:05 ID:iEZanmHT
>>2chエロパロ板SS保管庫様

【連絡】
『国木田の憂鬱』は自分の作品ではありません。
681『カシマシ・インフィニット』3:2007/04/02(月) 01:57:36 ID:rnPeJXA2
 数頭から数十等の犬たちに牽引させるんだが、移動中に犬達が反抗したり造反したりすると、人間と犬の区別なく絶望的な生命の危機に陥るらしい。過酷な環境で活動できる品種の犬達でも食料や水分を自力で確保できない場所だしな。
 そんな事態を避けるべく犬たちの為にも心を鬼に、ヨチヨチ歩きの幼犬時代に暴力の限りを尽くして…命令に背かないように……恐怖を、刷り込む………?
 『サブリミナル・インプリント〜反復記憶:深層意識からの支配〜』
 『検証・吊り橋効果――逆転する愛欲と恐怖――』
 …………。
 バールのようなモノ…繰り返された夏休み……凄惨な血の惨劇………?
 あなたはいったいなにをしたんですか? 喜緑さん……?
 なにをしちゃったんですかっ!? なにやっちゃったんですかぁぁああっ!! 
「もおぉ、バカぁ…もうすぐ戻りますから大人しくしていてくださいねっ。
 人が居ないからってニコチンに浮気したらダメなんですよ?」 
『重々承知しているよ。君の帰りを待ちわびておくとするから早々にな、喜緑くん。
 ちなみに浮気したら、また私のシガレットをパッケージごと握り潰すのかね?』
「今度はあなたのシガーを握りつぶします、なんて、ふふっ、いやですねっ! 何を言わせるんですか、もおぉ」
『ゴホッゴホン! そ、その件についてはまた週末にでも、ふ、二人で協議を重ねるとしよう……それでは!』
「肌も重ねちゃうんですね。もぉバカバカっ! 切りますからね!」
 ホントにアノ人ったらぁ、などと小声で咆哮を発し、その禍々しくも短く整えられたピンクの爪を終話ボタンに突き立てた魔物は、耳にこびりつくピッという断末魔も消えやらぬうちに、その屍の生気の失われた液晶画面を長門に見せつけている。
 逃げろ長門! その海藻類は体重を気にする女性達の心強い味方に擬態しているが、そいつは、そいつは……。
「ふふん。どうですか?」
「……べつに」
 なるほど。長門はよく食べる方だが体重を気にしないからな。海産物に擬態した喜緑さんにも動じないらしい。
 だが長門、その缶はゆするたびにドプドプと精神衛生上よろしくない音をたてるから、もう諦めて廃棄してくれないだろうか。『もったいないオバケ』になって枕元に現れたら、そのときはライスを炊いてもてなしてやればいい。
「またまたぁ、羨ましいくせに」
「……羨ましくないフガ」
 確かにその携帯電話は小型で可愛いとは思いますが、目に入れても痛くない程ではないと思いますよ。ですから長門の顔にグイグイ押し付けるのは許してやって下さい。
「有希ちゃんは素直じゃないんだから! ねえ? どう思いますか?」
 ひぃっ! お、俺ですか? 俺は何も気付いてませんよ! 失礼な表現も考えてません! それに、その、
「なんと言うか、すごく…サイコ、うなカップルですね……」
 俺は生死を賭けたこの謎掛けに正解を答えたらしい。
「いやぁだ〜もぉお! 正直に言われちゃうと照れるじゃないですか、やめてくーだーさーいー!」
 この上級生が俺達を今まで拘束していたのは、なんの事はない、恋人との仲を見せ付けたかっただけらしい。
 特にこの、真っ赤になったスフィンクスにクネクネガクガクと揺さぶられて、器用にも無表情のままで不機嫌さを表現している、妹のような、親戚のような、汎銀河的同僚である長門に。

 なぁんてお気楽に考えてしまったのがまずかったんだろう。今回の騒動でもトップスリーに入る恐怖の衝動が俺に襲いかかったのはこの後だ。
 


 喜緑さんまでピンク色のハルヒウィルスに感染したのかもな、と単純に納得していたのは生徒会長との秘められたロマンスに意識を取られていたからだろう。
 ご両人とも表層人格を偽って学園生活を過ごしているもんだから、身近な人間に惚気たくて暴走しただけ……だと信じたい。
 俺の頭に浮かんでしまった怖い想像はあくまで想像に留まり、多分もうちょっとマシな状況で展開していたであろう事柄を伝達する際に、なんらかの齟齬が発生しただけなのさ。たぶん。そうであってくれ!
 『バールのような物』だって多分俺の聞き間違いで、もしかしたら真珠のような物かもしれないし、バァルのような……いかん、それは古い神様だ。イスラエル辺りの。
 ともかくだ、自分で自分を煽っていたほど喜緑さんに恐怖を抱いてはいなかった。ここまでは。
「用件はこれで済みましたよね? そろそろ戻りますんで長門を――」
682『カシマシ・インフィニット』3:2007/04/02(月) 01:58:24 ID:rnPeJXA2
 ハルヒに多少鍛えられているとはいえ、乱暴に揺さぶられては長門でも酔うかもしれないしな。フラフラする長門を見るのは図書館だけで充分だと、今だ捉えて離さない縛鎖のような喜緑さんから長門を開放するべく近付いて――
「捕まえました」
 気付いた時には俺の右腕は喜緑さんに、その喜緑さんの腕は長門にガッシリと掴まれていた。
 え? なんで?
「あなたは手を離すべき。喜緑江美里。説明を」
 長門の表情が無表情を通り越して無機質な、透明感を湛えたものに変化していた。なんていえばいい?
「いきなり臨戦体勢ですね、長門さん。
このままでいいですから、まず今日の用件を聞いてください」
「手を離すべき」
「長門さんは今、説明も求めたでしょう? まず聞いてもらいます」
 既視感を覚える微笑。ああ、これは喜緑さんの正体を初めて聞いたときに見た気がするな。
 それと長門、なるほど臨戦体勢だが、まずは話を聞いてみようぜ。俺も背中に嫌な汗が浮かんでるんだが我慢するからさ。
「落ち付け、長門。それで喜緑さん、会長との幸せな惚気話はだいたい聞かせてもらったと思うんですが」
「いやですね。あれは仲の良い幼馴染の意地の張り合いみたいなものです。
少し時間を稼ぎたかったので良い口実ができました」
「僕達が少しばかり厄介な事態に陥っていると、『あなた』ならご理解いただけると思うのですが、それでもなお、今でなければならないお話ですか? つまり、今回の件になにか関与していると?」
 自販機との対話は済んだのか。ちょっと頼もしいぞ。舌論を戦わせるのにはもってこいの人材といえる古泉だ。今度からは自販機よりましな相槌を打ってやるからな。
 ただ、あまり想像したくないんだが、ここで喜緑さんと対立することになっても手は出さないでくれよ。スポーツ万能かつあやしい機関で謎の訓練を受けているかもしれないが、それでも相手は遠い銀河の戦闘民族だ。
快活な委員長だと思ったらナイフ片手のスーパー通り魔に変身するような種族だからな。身のこなしを活かしてハルヒに泣き付きに行ってくれ。
「関与というほどの事でもないんです。ニつほど用件がありまして。
そのうち一つは先ほど終了したんですが、そのせいで用件が増えて三つになってしまいました」
「それは、なんです? 先ほど申し上げたように僕達は少し立て込んでいましてね。できれば急いで様子を伺いに戻りたいのですが」
 お前はさっきまで自販機と歓談にいそしんでいただろうが。
「それについてはまだ大丈夫です。やっと朝比奈みくるが立ち上がれるところまで落ち付いて、涼宮ハルヒが着替えを掻き集めています。これから着替えに場所を移すのでしょう。
 それで用件の方ですが、ひとつは朝比奈みくるについてです。長門さんの予測が外れた原因といってもいいですね」
「それは非常に興味深いですね。長門さんの予測と言えばラプラスやマクスウェルの悪魔達もかくやといった精度ですから。
 僕も今回の状況の逸脱には驚かされましたが、その原因をあなたが知っているのですね? そして教えていただける、と」
 うちの長門はそんな物騒なもんじゃないぞ。ところでなんだ、アプラスって?
「ああ、クレジット会社ではありません。物理学の想像上の存在でして、未来予測の――」
「いや、今はいい。話を進めてくれ」
 まだ喜緑さんに掴まれたままだしな。早く解放して欲しいんだ。
 古泉、薀蓄を披露できなかったからってそんなに残念そうな顔をするな。ではのちほど? 後でも不用だ。
「長門さんが予測を立てるのには不足していたんです。情報か、経験か、あるいはその両方が」
「そんなことはない。朝比奈みくるとは接触する機会も多く、相手にとって不足はない。親しい友好関係を築いている」
 そ、そうか? いや、そうだな、うん。でも、ちょっと表現が微妙だぞ。
「朝比奈みくるは昨晩、帰属する時間平面との通信を行いました」
「わたしも確認している。定期報告。喜緑江美里はしつこい」
「情報データの交換を行っていましたが、その中には個人宛ての書簡データも含まれていました」
「……プライベートには干渉しないほうがいいと判断した。喜緑江美里は悪趣味」
「内容まではわたしのほうでもすべては把握していませんよ。
 親しかった友人達からの、そうですね、お手紙みたいなものです」
「…………?」
 長門は斜めに首を傾げて沈黙してしまったが、俺にはちょっと理解できてしまった。なるほど……経験ね。
683『カシマシ・インフィニット』3:2007/04/02(月) 01:59:19 ID:rnPeJXA2
 喜緑さんは付け足される暴言にも動じずに透明な微笑で長門を眺めていたが、その微笑を俺に向けられて少しばかり寒いものを感じていた。表情ではなく、その内容に。
 朝比奈さんは未来人だ。これは疑う余地もない。任務としてこの時代に送られてきたんだが、もし完了した場合には何処に、いや、『いつ』に帰る?
 一週間だけ過去に飛んで俺と――鶴屋さんと――過ごし、誘拐みたいな物騒な目にあった事件では、出発した数分後のロッカーに帰還した。だが数年間に及ぶ任務の果ての帰還なら?
 派遣されていた期間の分だけ経験と成長を伴った彼女が、出発した時間平面のほんの数秒後に戻るとは考えにくい。
 時間移動は過去現在未来に大きな影響を与えかねない。そう聞いているからな。未来に於いても時間移動は気安く出来る事柄じゃあないんだろう。
 となれば、未来の就業年齢がいくつか知らないが、どこか遠くの任地についたことにするか、旅行なり引越しなりをしたことにして、帰還するのは彼女の変化が最小限の違和感に留められる、出発時期より未来になるんじゃないだろうか? 
 つまり、相対的に見れば朝比奈さんが居た時代では、ここで過ごしたのと同程度の時間が流れており、その実証になるのが友人からの手紙というわけだ。
 距離では計れない、もっと遠いどこかから運ばれてきた手紙を読んで、親しかった友人の近況に触れたとき、朝比奈さんは何を感じたんだろうか……それは――。 
「……ホームシック、でしょうか」
 同じ推測をしたんだろう。俺より早く結論に達した古泉がポツリと呟いた。それはまるで古泉が郷愁を感じてるかのような、哀切を含めた呟きだった。
 こいつにもあるんだろうな。隔絶した時間という壁と、その向こうに帰っていく朝比奈さんを想像したことが……。胸の奥に広がる冷たい波紋を感じたことが……。
「そう表現するのが妥当でしょうか。今日の朝比奈みくるの精神面にほんの少しだけゆらぎが発生していました」
「…………」
 瞳を俺に向けた長門の視線は「そうなの?」と問い掛けているように思えて、小さく頷いてやったんだが、複雑な構図で掴み合っている腕に視線を戻して黙り込んでしまった。
 俺も偉そうに語るほどの別離を経験したことはないんだが、まあ、あんまり気にするなよ。その手の感情に疎いのは仕方ないのさ。
 お前は今まさにその感情の礎となる思い出を積み重ねている真っ最中なんだからな。そのうち理解できるようになってしまうんだろう。たぶん、俺もな。
「朝比奈さんの心理は、確かに平常ではいられなかったでしょう。
 ですが、それがどのように作用したのですか? そのあたりが僕にはどうも……」
「簡単なことですよ。人恋しさが、人肌恋しさに変容するのに理由は要りませんから、ね? ね?」
 俺に聞かれても困りますよ。長門に聞かれてもたぶん同じです。
「この情報及び分析の結果と、わたしなりの注釈を添えたものを長門さんに渡すのがひとつ。
 そして、もうひとつ『だった』のが、長門さんの観察です」
「どうもはぐらかされている感がいなめません。もうすこし説明いただきたいのですが。
 それに彼を捕まえている理由もです。何か隠しておられるのでは?」
「この用件が完了すれば、長門さんが正しく推考出来ると思いますよ。情報の欠落や、いくつかの要素に不備が重なっただけですから。
 それと、捕まえている理由は簡単なんです。逃げられないように」
 もし手を離されても、逃げ切れる自信はありませんよ。だからですね――
「いえ、捕まえたのは長門さんです。あなたを置いては行かないでしょうから」
 比喩ではなく、背中に浮かびだした嫌な汗が不快な感触を帯びてきた。
 長門が逃げないように俺を押さえ込んで? 人質ってことか? くそっ、なんだかわからんが、長門、お前は喜緑さんから手を離して逃げる準備をしとけ。
 いや、しっかりと掴みなおすんじゃなくてだな……無言のまま「まかせて」と頷くな。アイコンタクト失敗。。
「外辺からの走査観測では情報が足りなかったので、接触観測に切り替えてみたんです。
 それを分析する時間も、ちょっとだけ必要でした」
 らしくないとは思ってたが、やたらベタベタしてたのはそのせいか……。
 にしても、やり方がおかしかないですか? 別に対立しているわけでもないんでしょう。
「長門さんが嫌がると思ったんですよ。拒否するんじゃないかなぁって。
 ……そうそう、急いでいるんでしたね。用件を済ませましょうか」
 背中の汗が、一塊に寄り集まって伝い落ちるのを感じた。
684『カシマシ・インフィニット』3:2007/04/02(月) 02:00:10 ID:rnPeJXA2
 ついさっき、通話中に考えた喜緑さんに感じる恐怖。
 正確には、大規模な情報操作を封印された長門を上回るだろう能力にではなく、長門の行動を監視してなおかつ生殺与奪権を握っている、その事実が耐えられないんだ。
 生まれはどうでも俺達と一緒に騒乱に巻き込まれ、感情を育て始めたこいつが呪文一つで存在しなかったことになる。そんな恐怖。
 そしてそれを阻むだけの力や手段が俺には殆ど無い。そんな絶望。
 柔らかな外見に賛辞を送るのは、掴めない内心に尻ごみするのは、恐怖に対峙する勇気が持てずに勝手に偶像化した『温厚で柔和な喜緑さん』ってやつに縋ってるだけなのかもな。偶像のままでいてくれ、と。
 だが、それでも今は言わせてくれ。
「長門さんに許容値を超えたエラーの発生と蓄積を確認しました。この情報の伝達が、増えてしまった用件のひとつです」
 嫌がることを人にしてはいけませんと教わらなかったのか? 宇宙の果ての親分さんに!
 エラーエラーって簡単に――!
「残るひとつは……もうおわかりですね?」
 簡単に言うな!
 それはな、長門が長門であるために必要なモノなんだよ! そんな言葉で――
「情報統合思念体からの許可がでました。これで長門有希の許可は不用ですね。では、処理の――」
 ――このっ!!
 一瞬で全身が熱くなり、視界が狭くなったが気にならなかった。このとき俺は相手が喜緑さん――宇宙産『とっても・ふしぎで・えげつない・いんたぁふぇいす』だって事もすぱっと忘れていた。
 忘れちまわないと動けなかっただろうからな。無慈悲に行動する時の彼女達の恐怖にすくんで。脇腹が疼きだしたが知ったことか!

 掴まれていない左手でそいつを突き飛ばすと、そのまま長門を背中に庇い、急いで距離をとる。
 解放された右手で威嚇するように指を突きつけると、俺は自分でも気付かずに怒声を投げつけていた。

『――――!!』

685名無しさん@ピンキー:2007/04/02(月) 02:00:57 ID:rnPeJXA2
オワタ。第三部、以上でうs
686 ◆8KfHmthVUo :2007/04/02(月) 02:04:24 ID:iEZanmHT
>>685
間に入ってしまった。ゴメン。
687名無しさん@ピンキー:2007/04/02(月) 02:08:36 ID:rnPeJXA2
キャラの暴走はこれがピークで収まる……予定。
右端折返しはそのままだけど、ちょっと改行に気を付けてみた。
改良点とかあったら指摘よろしくです。

>>686 いえいえです。

書き溜めた在庫が切れかけたので、続編はちょっと遅れそう。
なにしろ、 いまから新刊開封するっすぉおお!  読んでくる
688ネタバレ含有少々 注意されたし:2007/04/02(月) 02:33:04 ID:A8uSuE7e
>>670
概ねそんな感じなんだろうが、貴方が「あえて書きました」という臭いしかしない。沸いて出てきた幾人かと同じ香り。
試験的に書いたものか、ネタバレ(俺既読)したかっただけにしかみえないな。内容もとってつけた感じだ。
じっくり書けば良い物書けそうなのに残念。読みたい人も少なくないネタだろうに。

上手な方は、個別のキャラをしっかりと掴む。そこから壊したり、違和感無く作り上げる。
その為にプロットに準拠するメモの作成や、一つのSSを書き上げる方もいらっしゃる。これもそれの一つなんだろうか?
しかしまぁ佐々木のキャラは確かにそんな感じだろうね。ただ他己紹介をあなたが書く必要はない。タイミング悪かったかもしれませんね。

つうか新刊から角川儲臭が漂いすぎて真っ直ぐ読めない。過去こんなことはなかったんだが。後書で真意を読み取ろうとしたらないしな。

>>675
この空気でこの方向を投下する>>675には頭があがらん。
ノートでみると改行の位置が多少気になるが、17インチ程度のモニターなら気にならないみたいです。
コメディ好きなので、寝て起きて頭切り替えてからまた読ませてもらいますよ〜。
689名無しさん@ピンキー:2007/04/02(月) 02:52:16 ID:wj589/wL
>673
GJ 七夕には毎年事件がw
そして公園の先客ってやっぱり……

>685
GJ クレジット会社がちょっとツボったww
つか緊迫した状況に続きがwktk
690名無しさん@ピンキー:2007/04/02(月) 03:50:54 ID:xHEXrRkC
男体化佐々木×女体化国木田、この組み合わせをおもいついたは良いが、文才が無さ過ぎて書けぬ
691名無しさん@ピンキー:2007/04/02(月) 04:48:07 ID:hgPnP2hK
「おはよう、キョン。佐々木さんがとても楽しそうな顔してるんだけど、何かあったの?」
「あ、ああ……。国木田、絶対に誰にも言うなよ。
 実は、昨日の塾の帰りに、ほらあの公園の森ん中で、佐々木と……やっちまったんだ」
「へえ、本当? すごいなキョン。やっと佐々木さんとそうなったんだね。
 でも、そんなすごいことあったのに、キョンは元気ないみたいだけど?」
「それからずっと、尻が痛くてかなわないのさ」
692名無しさん@ピンキー:2007/04/02(月) 06:27:37 ID:a7IsxjCZ
「じゃあ僕もいいかな」
その時の国木田の笑顔に俺は恐怖を感じた。
693名無しさん@ピンキー:2007/04/02(月) 11:09:05 ID:on+kiWu3
>>673
とりあえず能無しらしい駄文だな。おまえに使われたキャラが気の毒だ。
694名無しさん@ピンキー:2007/04/02(月) 11:14:39 ID:T1mBPp9p
>>693
とりあえず能無しらしい駄文だな。おまえの今後が気の毒だ。
695名無しさん@ピンキー:2007/04/02(月) 11:33:56 ID:dKkamVL0
普通にヘタクソだ。
696名無しさん@ピンキー:2007/04/02(月) 12:32:15 ID:7d5Vp9SX
春ですね…
697名無しさん@ピンキー:2007/04/02(月) 12:42:14 ID:psq5sqOP
春よのぅ。昨晩は夜桜見物してきて、まだ余韻がはんなり。
698名無しさん@ピンキー:2007/04/02(月) 12:44:29 ID:2DtcR65i
このスレ酷いよ今w
あらゆる意味で酷いw当分離れる。
699名無しさん@ピンキー:2007/04/02(月) 12:47:57 ID:dgXJvpa1
話蒸し返すようだけど。次スレは、ネタバレ何時から?のテンプレ追加したほうがいいと思う?
このスレの明確な縛りが無いから両者の意見が食い違ってる(実際食い違うというより両者共に一方的だが)わけだし
本作品が続いているなら必要事項だと自分は思うんだ
でもどのキャラに回答させるかで揉めそうだからまだいいのかなぁ・・・
皆はどう思う?
700名無しさん@ピンキー:2007/04/02(月) 13:15:15 ID:Z0pIC9b7
佐々木SSの良作を発見。リンクフリーらしいのでアドレス載せとく↓

ttp://kobuneno.blog83.fc2.com/
701名無しさん@ピンキー:2007/04/02(月) 13:15:59 ID:xW1dwREY
普通は雑誌なり単行本なりが発売されたらネタバレ解禁だと思うが。
まあ小説でなくて漫画系のスレでの話だけどな。

発売前の話題はネタバレスレがあればそこで、
なければ本スレでもNGだから我慢する。
702名無しさん@ピンキー:2007/04/02(月) 13:40:24 ID:UufeG9OY
フライング販売や事前リーク情報などならいざ知らず、
発売日を迎えて普通に販売されている作品に対しての
ネタバレ云々は理屈に合わないよな。

「俺はまだ未入手だから」という主張には客観的な基準は
定められないのだから、気になる人はしばらく訪問を控えればいい。
それだけのことのはず。
703名無しさん@ピンキー:2007/04/02(月) 14:05:18 ID:p8uZ6EiD
いや、だから正式発売日翌日からだろ…
いい加減理解しろよ…
704名無しさん@ピンキー:2007/04/02(月) 14:23:18 ID:GzZNXHnN
正式発売日は、昨日の4月1日だっけ?
705名無しさん@ピンキー:2007/04/02(月) 14:48:54 ID:iPCeCcXt
テンプレに>>575を追加すれば済む話じゃね?
706名無しさん@ピンキー:2007/04/02(月) 14:51:15 ID:YW3+CP+N
リンクフリーと直リンは違うだろ、常識的に考えて……
707名無しさん@ピンキー:2007/04/02(月) 15:09:25 ID:m2crw8k0
708名無しさん@ピンキー:2007/04/02(月) 15:42:28 ID:/Ib4DGQa




  原 作 者 の 新 作 読 む と や っ ぱ 圧 倒 的 な 力 の 差 を 感 じ て し ま う 。


  こ れ は も う 如 何 と も し が た い ね ……
709名無しさん@ピンキー:2007/04/02(月) 15:52:23 ID:UufeG9OY
だから、発売日からさらに何日かおくなんて、それが1日であれ数日であれ、
合理的な理由も基準も無いだろう、ということだよ。

唯一確実なのは出版社の定めた公式の発売日(配本日)なのだから、
その当日になれば解禁、ということにすればよい。一番シンプル。
710名無しさん@ピンキー:2007/04/02(月) 16:07:55 ID:n5ezk8+l
>>709
解禁が発売日の翌日になっている理由をよく考えてみろ。
例えばお前の言うとおり解禁が当日だったとする。
つまり当日0時には解禁になる。
しかし実質的に発売日といったって0時に買える奴が居るか?フラゲしかないだろ。
だからそういうのも踏まえて、解禁は暗黙の了解で発売日翌日になっている。
それでいいじゃないか。
711名無しさん@ピンキー:2007/04/02(月) 16:17:42 ID:XzlmtBRk
もうさ発売日云々の話やめようよ
スレが無駄に消費される
712名無しさん@ピンキー:2007/04/02(月) 16:23:18 ID:hgPnP2hK
地方によっては書店は当日販売、通販で届くのも当日。
その場合、手に入るのはたいていその日の10時以降。事によると夕方かもしれない。
さらに、本に読破する時間がプラスされる。
休日ならともかく、平日なら、その日のうちに読み切るのはなかなか大変。
加えて、その日が年に貴重なネタ日や記念日であれば、
温めていたネタを書き上げて投下するために職人がスレにやってくる。
そういったことを考えれば、発売日の翌日0時に解禁、というのは最も合理的な妥協案ではないか?
713名無しさん@ピンキー:2007/04/02(月) 16:30:56 ID:COv/BQ28
いわゆる『暗黙の了解』ってやつだからね。
なんかいちいち明文化しないとダメってのは、なんだかなぁと思うよ。
とりあえず、この手の話はおしまいにしようぜ。
714名無しさん@ピンキー:2007/04/02(月) 16:33:34 ID:hgPnP2hK
そういえば、長門はとうとう携帯を持ったらしいな。
715名無しさん@ピンキー:2007/04/02(月) 16:52:30 ID:NOPo4bW8
>>706
直リンってのはトップページ以外のリンクを貼ることじゃマイカ?
716名無しさん@ピンキー:2007/04/02(月) 16:59:54 ID:pPwlLCww
直リン【ちょくりん】[名・他スル]
「直接リンク」の略。
ホームページのトップではなく、目的の情報が置いてあるページへいきなりリンクを張ること。
また、URLを「ttp://〜」とhをはずして書き込むことに対して、「http://〜」とすべて書くことを直リンともいう。
717名無しさん@ピンキー:2007/04/02(月) 17:01:43 ID:/nrv+bpw
>>712
職人ってのは新刊読まない人達なんですかねえ
718名無しさん@ピンキー:2007/04/02(月) 17:13:57 ID:Mso6EgQr
まあブログ記事への直リンに対してなんだかんだと言い出したら、トラックバックっていう機能の存在意義がさっぱりわからなくなっちまうがなあ
719名無しさん@ピンキー:2007/04/02(月) 17:27:59 ID:7lfCFAJw
>>700のサイトの人はここの住人だから
ここで晒す分には何の問題もないでしょ。
つーか、本人が文句を言ってるのなら兎も角、
無関係の第三者がギャーギャー騒ぐなよ。
720名無しさん@ピンキー:2007/04/02(月) 17:33:17 ID:hgPnP2hK
>>719
住人なのだからここで晒してもOK、というのはどうなんだ?
住人だからこそ晒してほしくないという職人もいるだろう。
721名無しさん@ピンキー:2007/04/02(月) 17:35:00 ID:2EZVzSr9
問題とか以前にマナーってもんがあるだろ
722名無しさん@ピンキー:2007/04/02(月) 17:37:14 ID:3YkvWddO
>>719
下二行に関しては甚く同意するが、上二行はおかしいだろ……
723名無しさん@ピンキー:2007/04/02(月) 17:44:04 ID:wj589/wL
724名無しさん@ピンキー:2007/04/02(月) 19:32:35 ID:xHEXrRkC
>>723
何がしたいんだ
「ほんとうにいいのかい?」
 塾からの帰り道でのことだ。
「なにが」
 とっさに思い出せずに聞き返した。
「キミの呼称のことだ。休み時間に話していた」
 ああ、その話か。
 不本意というのもまあそうなのだが、とっくに慣れてちまったというのも事実だ。
「別にかまわん」
 俺がそう言うと、佐々木は口元を緩めてみせ、それから空を進行方向の空を見上げた。
 ちょうど地球の子供の浮かんでいるあたり。
 光と闇で半分に切ったようなメイドオブアースをつられて見上げた拍子に、
俺は授業で中断されたきりだった小さな懸案事項を思い出した。
「あー、俺はなんて呼べばいい? ニックネームとか――」
 ククッと、それまで見知っていた友人の誰とも違う笑い方をする。……そんなに変か?
「いや、失礼。……そうだな、僕のことはね、"キョン"、」
 停留所の手前で向き直り、覗き込むようにして瞳のきれいな同級生が継げた。
「ふふ、もっと先ね」
 一瞬だけ、女子の前で話すときのような口調で俺に笑いかける。
「もっと先、キミと僕がまた違ったふうに出会うことがあれば、そのときには個人的な要望を
出すことにするよ。だから今は――」
 佐々木はその端正な唇で、本人曰く"次善の策"を披露した。
 以来、教室内でも塾の行き帰りでも、もっとも無難と思われる呼び名で、つまり名字で
新しい異性の友人を呼ぶことになった。
 異性といっても、別段それを意識していたわけじゃない。そんな雰囲気にはならない組み
合わせだったんだ。俺と佐々木じゃ。
 キョンなんつうけったいなあだ名で呼ばれていたのも、今ではいい思い出だ。


「……ふう」
 我ながらわざとらしい溜息だ。
 回想の翼を広げてここまできた。口の中がすこしだけ酸っぱい。
 そしてあいつの"最善策"を、俺はまだ聞いていない。
726名無しさん@ピンキー:2007/04/02(月) 20:57:21 ID:yiMqjpvY
某所のなのはSSスレでも地域別で放送時期違うからってネタバレ論争になってるな。
書く方はテンションが下がるから早く書いて投稿したいと言い
読む方はロクな物書けないくせにネタバレすんなと煽る。

NGワード設定してネタバレ読みたくない人だけは読まないようにできないのかな?
727名無しさん@ピンキー:2007/04/02(月) 20:57:56 ID:XqSmJ24N
ネタバレ嫌なら暫く見なければいいだけなのに。
結局火種転がして荒れるのを愉しんでるだけなんだよな。
728名無しさん@ピンキー:2007/04/02(月) 21:14:37 ID:uU88fH9B
ごちゃごちゃしてるから
次スレから解禁でよくねぇ?
729名無しさん@ピンキー:2007/04/02(月) 21:32:34 ID:8T0qsssn
こうしてエロパロ板に新たなルールが誕生したのであった…
スレの歴史がまた1ページ
730名無しさん@ピンキー:2007/04/02(月) 21:34:01 ID:vnIOF7PC
「アホキョン! あんたなんかもう知らないっ!!」
 声を張り上げて席を立ったのがハルヒだ。俺だって知ったことか。
「あたし今日は帰るわフン!」
 ドカンンンッと残響音を残すような勢いでドアを閉じて姿を消す。
 もうちょっと静かに閉めやがれってんだ、胸糞悪い。
「あなたは常識というものを知っていますか?」
 なんだ、喧嘩売ってんのか? いつもいつもハルヒの肩ばかり持ちやがって。
 なんなら今から、おもてに……いやオセロなら受けて立つぞ。なんか格闘技の心得とかありそうだしな。
「いえ、これは失礼しました。言いなおしましょう。
 常識というものをどう捉えていますか?」
 そりゃお前……じょ、常識的な考え方とか、行動とかだろう?
「こういう言葉があります。常識とは二十歳までに確立した偏見である、と
 先ほどの件なのですがあなたと涼宮さん、どちらがより常識的な意見だったのか?
 これも僕が口を出すことではありませんね。僕の裁量も、僕個人の偏見から来るものですから」
 なにが言いたいんだ? あと俺達はいちおう高校生だ。未成年だぜ。
「口論の原因ですが、あなたは先ほどあの掲示板にアドレスを載せましたね。フルアドレスで」
 あぁ、だがリンクフリーだったし、投稿もしている住人のサイトだった。
 しかも俺は良いサイトを広めようとだな――。
「なるほどあなたは好意で行ったわけです。善意でね。
 ですが、その行いが他の人間に、目にした人たちにどのように映るか考えて見たことはありますか?
 知識では知っているはずですよ。『h抜き』というものを、あなたも」
 知ってるさ。だがカビの生えたローカルルールだろう? みんながみんな守らなきゃならないわけじゃ――。
「そこで問題になるのはどのように受け取られるかですよ。
 大きな、そうですね、動画サイトなどならピンポイントでアドレスを貼るのもいいでしょう。
 ですが、個人のサイトとなると話はすこし違ってくるのです。
 あの掲示板の人たちも、ある意味涼宮さんを敬愛する、僕達の同志と言っても良いでしょう。
 あなたが好意を振うのもわかります。ですがこのように考える人も居ると言うことも覚えていてください。
 個人サイトへの直リンは『カウンターを稼ぎたい運営者の自演ではないか』、
 『好意的に紹介しているが嵐・炎上への煽動目的なのではないか』と、他にもいくつか上げられますが」
 そんな馬鹿な……俺はそんなとことは……。
「あなたの人柄を知っていますから、ええ、僕には他意がないことが解ります。
 ですが、凡ての人間がそれを承知しているわけではない。
 だからこそ形骸化してるとはいえ『h抜き』が、ささやかなモラル・マナーとして今も残っているのですよ」
 それであいつ……ハルヒがあんなに怒ってたのか……。
「明日でいいですから頭を下げていただけますね?
 涼宮さんも頭を冷やす時間が欲しいでしょうし、今のところアレは発生していませんから」
 わかった。朝一番で謝っとくよ。ありがとな、古泉。
「ふふ、偉そうなことを語ってしまいましたが実際のところ、僕も経験者なんです。
 指摘された時にはカッとなりましたが、運の良いことにそのスレには丁寧に説明してくれる人がいましてね」
 なるほどね。あ〜あ、明日はなんて謝ろうかね。
 お、そういえば、新刊のネタバレについても議論が紛糾していたな。
 参考までにこれについてはどう思う?
「それも同様の考えですよ。
 準拠するスレがあるのだからそれに沿うのが……まあ正しいとは断言しませんが、趣旨には相応しいのではないかと。」
 おおむね賛成だがな。しかしそう考えるということは、まだ読んでいなかったりするのか?
「いえ、機関の方から手を回しましたので、刷り上った翌日には読破しました。
 大事なのは、モニタの向こうにいる相手を思いやるモラルとマナー。それだけです」
 …………。な、長門はどうだ?
731名無しさん@ピンキー:2007/04/02(月) 21:34:32 ID:vnIOF7PC
「……今」
 ん、今読んでるのがそうなのか。内容を語っていたらヤバかったのかもな。
 いや、カバーを外して見せてくれなくても良いぞ。俺も買ったし、って! 
 待て長門! 『涼宮ハルヒの奔走』ってのは一体どこで手に入れた!?
「あれぇ? 涼宮さん帰っちゃったんですかあ?」
 朝比奈さん、ええ、お恥ずかしい話、その……喧嘩しちゃいましてね。
「だめですよぅ、ちゃんと謝っておいてくださいね」
 俺が悪いのは規定事項ですか? まあ、そうなんですが。にしても上機嫌ですね。
「そうですかぁ? うふふ。荒れてる荒れてる。かわいいですねぇ」
 席についた朝比奈さんは文庫本をノートパソコンの脇に置くと、どこぞの掲示板を眺めている、って!
 待ってください朝比奈さん! そのチラリとのぞく『涼宮ハルヒの驚愕』はどこから……。
 俺と古泉は、フンモッフ!とか斥力場ぁ!?では言い表せない、もっと恐ろしいものの片鱗を味わっていた……。

 明けて翌日。
 教室に入ると、俺の席の後ろで窓を眺めるポニーテールが一人。
 どういう心境かねぇ。てっきり敷居を跨いだとたん飛びかかってくるやもと怯えていたんだが。
「ハルヒ、昨日はすまなかった。俺の配慮がたりなかったようだ。ほんとに悪かったな」
 机に鞄をかけ、立ったまま頭を下げる俺。
 ちょっと体裁悪いが、教室の脇で谷口がなにやら国木田と口論しているおかげで注目されてはいまい。
「……いいのよ。あたしも言い方が悪かったんだし。ちょっとだけだけどね。だからチャラにしてあげる」
 この短いポニーテールは仲直りの証だったりするのか? だったら答えるしかないだろう。
 窓の外を向いたまま、横目で俺を伺うハルヒ。まぁ、催促までされたしな。
「ハルヒ。似合っ――――」
「だからぁ! 関係ねぇっていってんだろぉ?」
 空気を読まないこと三国無双。谷口の怒声によって遮られた……やれやれ。言いなおす気力はないぞ。

「直リンなんてどぉってことねぇーって! 脳の固まったジジィどもの――」
「ネタバレなんて今が旬だろう! ぁあ? 誰かより先に手に入れたら自慢しなきゃ損だろうが!?
 しかも、発売日はすぎてるんだぜ? もうバレでもねぇだろうが!?」
「これがもし最後の一行で真犯人がわかるミステリ物でも、俺なら躊躇わないんだぜ?
 これが漢ってやつだ、そうだろ!?」
 ……古泉が諭してくれなかった、俺もああなっていたんだろうか?

「……ねぇ……キョン」
 なんだハルヒ。もう言わないぞ?
「空を、空を見ないで欲しいの」
 え?
「SOS団のみんながいる空の下で人殺しを……だから」
 な、なにを? ユラリと立ち上がった背中のオーラが怖いぞ?
 待て! なんでイスじゃなく机を振りかぶってんだよ!
 だから待てって! 当たるのが谷口だとしてもマジ危ないって!!

 その後、静まり返った教室の中で、異様になまでに遅れて到着した岡部が顔を見せるまでの間、

「似合ってるぞハルヒ。似合ってるぞハルヒ。似合ってるぞハヒル。似……」
「そんなんじゃダメよ! もっと情感を込めてっ! 谷口みたいに転校したいの?」 
 教室の隅の血溜まりに転校した谷口を視界から閉めだし、
「ひっ!? にゃってるじょハルヒ! 似合ってるゾはルひ! 愛し――」

 実に15497回目で満足したハルヒが頷くまで、俺は壊れたファービーと化していた。
732名無しさん@ピンキー:2007/04/02(月) 21:37:19 ID:vnIOF7PC
こうですか?

あ、ネタバレなしです。
733名無しさん@ピンキー:2007/04/02(月) 21:50:20 ID:wliPHH5r
プリンスレかと思った。
734名無しさん@ピンキー:2007/04/02(月) 22:05:08 ID:3FK5kf/T
>>732
735名無しさん@ピンキー:2007/04/02(月) 22:12:00 ID:FRAhcJ8U
>>732
ラストが微妙にひぐらし入ってるw
736名無しさん@ピンキー:2007/04/02(月) 22:17:02 ID:aR+1BEYR
いや、別にスレごとにしたところで根本的な解決にはならないから。
今後のことを考えても最新刊正式発売日○日後とかにしないと。
新刊ごとにこの討論するのも嫌だし。
737名無しさん@ピンキー:2007/04/02(月) 22:18:46 ID:aR+1BEYR
おっと、アンカー忘れ
>>728
738名無しさん@ピンキー:2007/04/02(月) 22:22:40 ID:518l964h
ざっと関連スレを見渡したところ、ネタバレで争いになってたのは
このスレと原作スレくらいだったよ。
原作スレの方はまさに「分裂」というネタとしか言いようのない事態になってたが。
キャラ個別スレはどこもいたって暢気だったな。

事実上、ネタバレ解禁論争を続けてるのはこのスレだけ。
意味ないんじゃない?
739名無しさん@ピンキー:2007/04/02(月) 22:25:04 ID:yiMqjpvY
結局の所は「書く人」がいないと成り立たないスレなんだからさ。
ネタバレが嫌な「読む人」がNGワード設定するなり
最新刊正式発売日○日後まで来ない自分ルール作ればいいと思うんだが。

いつも面白くないとかツマラナイとか文句言うなら買わなきゃいいのに的な理論だけど。

740名無しさん@ピンキー:2007/04/02(月) 22:27:17 ID:yBzVa6g5
ネタバレスレがあればいいんだけどね。
発売日翌日00:00、ってラノベ板のルール準拠で
いいと思うんだけど。

っていうか、既にこのスレでは解禁状態だが。
741名無しさん@ピンキー:2007/04/02(月) 22:29:29 ID:TB+KxEgJ
エロパロ板でスレごとなんて提案が出来るのもここぐらいかね。
他でネタばれ解禁次スレからとかいったらすごいことになるw
742名無しさん@ピンキー:2007/04/02(月) 22:31:31 ID:518l964h
>>739
同意。
ログを見てびっくりしたのは「驚愕」発売まで待てとか言ってる人。
正直、それはないだろうと思った。
上下巻分冊というのが理由なのか知らないが、
だったらシリーズ完結まで来ない方がいいんじゃないかと思った。
743名無しさん@ピンキー:2007/04/02(月) 22:34:54 ID:vnIOF7PC
>>734 サンクス!(好意的に解釈した)
変なものに憑かれてたんだ。

どこの板でもスレでも、テンプレやルールの改定は紛糾するもんだし、
全員が納得する結論がでないのも特徴っぽい。好きなスレならなおさら。

今は待ちに待った新刊が出て未読も既読も祭り状態だし、
落ち着いてきたら次巻発売までに細部を詰めればいいんじゃないかな。
暫定ルールはラノベ準拠の >>575 辺りとかをテンプレ入りで。

あとは、投下者が >>725(新刊ネタ) みたいにちょっとのあいだ添え書する配慮。
読む人は、添え書を参考に回避する配慮。これ以上は難しいだろう。

自分の言葉だと、これくらいしか語れない……
744名無しさん@ピンキー:2007/04/02(月) 22:35:02 ID:aR+1BEYR
翌日0:00解禁
をテンプレートに入れておいたほうがいいかも。
喉元すぎればなんとやらで、放っとけば驚愕の時も論争が起きかねないし。
745名無しさん@ピンキー:2007/04/02(月) 22:36:58 ID:A8uSuE7e
>>732
教科書作成ほんと乙です。普通に楽しいんだけど、別の部分で切なくなってくるw
mixiが製作された意図と、繁栄の過程で頻出するようになったいくつかの馬鹿げた問題の発生までの流れを凝縮した時間が流れてる。
このスレに。
746名無しさん@ピンキー:2007/04/02(月) 23:04:19 ID:TqS38p/3
あー、ハルヒとエッチしたいYO
747名無しさん@ピンキー:2007/04/02(月) 23:10:13 ID:HOHGGw7K
個人的にはテンプレを弄るのだけは賛成出来ないな。
一方の主張を通してテンプレを変えちまったら、また荒れるだけだぜ?
これまで通り「ネタバレは個々人の判断に任せる。
どうしても見たく無い奴は、自分が読むまでスレを開かなければいい」
で良いと思うけどね。
748名無しさん@ピンキー:2007/04/02(月) 23:10:58 ID:dgXJvpa1
ネタバレ云々の話を振った>>699だけどちょいと身内に不幸があり
話題投げっぱなしの状態になってしまってすまない。今もやっと家に帰って来れたけど、
また直ぐ出なければならない。ので2ch及びこのスレには当分来れそうも無い。
皆さんへ。このスレの荒らし元みたいになってしまって本当にごめんなさい
749名無しさん@ピンキー:2007/04/02(月) 23:23:35 ID:aR+1BEYR
というか自己判断派にしろ翌日零時派にしろ、テンプレいじらないとまたこのような論争になるんじゃないかな。
750名無しさん@ピンキー:2007/04/02(月) 23:27:43 ID:hgPnP2hK
原作スレ:急進派と主流派に分裂、その後合流。
ハルヒスレ:翌日0時より解禁。
長門スレ:翌日0時過ぎても少々議論があるも、事実上解禁?
その他アニキャラ:最初からルール無しの解禁。
 なぜアニキャラに佐々木や橘のスレが!?
角煮スレ:事実上のルール無し解禁。でもあまり影響なし。
vip系:そもそもルール作るなんて不可能な無法地帯。

ルールの議論が起きるのは、分裂を買って読んで話題にする、という住人がスレにどれだけいるかじゃないか?
アニキャラスレは、原作は1冊も読んでないって人も多いからな。
751名無しさん@ピンキー:2007/04/02(月) 23:35:26 ID:3YkvWddO
・自己責任。
・ネタバレをして叩かれても泣かない。
・ネタバレを食らっても文句言わない。

これでどうだ
752名無しさん@ピンキー:2007/04/02(月) 23:35:37 ID:XkA06EFk
議論がおきるのは他の人のことを考えないやつがいるか、いないかの問題だ。
空気読める人間ばかりなら話すにしても控えめにして議論にもならない。
753名無しさん@ピンキー:2007/04/02(月) 23:51:10 ID:yiMqjpvY
>>751
確かにスレ的には自己責任ってのが一番いいかも。

さっきも同じ事を書いたけど、
いつも面白くないとかツマラナイとか文句言うなら買わなきゃいいのに的な理論。
754名無しさん@ピンキー:2007/04/02(月) 23:55:59 ID:hgPnP2hK
何を優先させるかによるな。
すべての住人に対して自己責任を強いるのか、
最大多数派のために最も良いルールを採用するか、
各派にそれぞれある程度の負担を強いる妥協案をとるか、
職人のために最も良いルールを採用するのか。
755名無しさん@ピンキー:2007/04/03(火) 00:27:15 ID:6SdI7S9/
まあ、それは“エロパロ”スレなんだから職人優先にすべきかと。
756名無しさん@ピンキー:2007/04/03(火) 00:28:07 ID:+so5r/uT
どうでもいいことで揉めてんなあ……

「恐ければ見るな」
一言で終わりじゃん。馬鹿だろお前ら?
757名無しさん@ピンキー:2007/04/03(火) 00:32:57 ID:eUxHXwLK
職人の意見優先ということで、
>>575を次スレからテンプレ追加で決定な。
文句のある奴は作品を投下してから発言するように。
758名無しさん@ピンキー:2007/04/03(火) 00:36:33 ID:5LJ7KK09
面白けりゃいい
つまらなかったら序盤だけ読んだらすっ飛ばすから、ネタバレも怖くない
じゃんじゃんやってくれ
759名無しさん@ピンキー:2007/04/03(火) 00:37:10 ID:ypAeKvvW
>>756
そうなんだけど「見たくないから書くな」って奴が多い
キャラ別スレでもSSなんて見たくないから投下するなとか意味不な主張してる奴もいるしな
自分が我慢するのは嫌でも他人にはそれを強いる
いろんな作品のスレ覗いてるけどハルヒファンに多いと思う
760名無しさん@ピンキー:2007/04/03(火) 00:40:34 ID:7K7XnrK8

・作品や小ネタのタイトルに「ネタバレ」という単語をつける
・未読者は「ネタバレ」をNGワード設定にする
自分は既読者ですが、この二つだけで十分かと

心配事は、作品・ネタに対する感想・批評の所がネタバレになってしまうことか

まあ、そこは自己責任?
761名無しさん@ピンキー:2007/04/03(火) 00:47:42 ID:p0mxrx9f
>>750
プリンもアナルも此処ほど荒れてたとは思えないがな。肝心の総合は見てないけど。
762名無しさん@ピンキー:2007/04/03(火) 00:51:31 ID:4FGBnTv6
VIPでルールを作ろうと考える事がありえないってことだろ
763名無しさん@ピンキー:2007/04/03(火) 01:01:29 ID:ziDg4MgX
うろ覚えなんですが
キョンの中に朝倉が入ってキョンを通していろんな事を見ている
なんてss覚えてる方が居たら教えて下さい
説明が下手ですみません
764名無しさん@ピンキー:2007/04/03(火) 01:09:21 ID:Ybgmfrrf
こうして議論し続けることで職人の投稿を妨げているのは承知していますが、
新キャラ紹介と伏線だけで続刊している『分裂』でこの大騒ぎですから、完結編『驚愕』はこんなものでは済まないでしょう。
6月前にネタバレ解禁ルールを作っておいたほうがいいと思います。
そしてその議論は今しかできませんよ、きっと。

職人優先のルールというのであれば、
まず、SSというのはテンションで書き出すものですから、
新作を読み切った瞬間(あるいは読んでいる最中)にインスピレーションが走ってキーボード連射マシンと化すことがままあります。
また、フラゲして、新作ネタSS一番槍を目指すというのも、職人としてモチベーションが上がる要素の一つになると思います。
しかし、発売日というのは、
このSSを書き上げたら俺新刊読むんだ……とか、
このSSを投稿したら、新巻DVD一気に見て仲間に早く追いつこう!とか、
そうした心構えで必死に仕上げている最中の職人も、いると思います。
やっと投稿にこぎ着けたのに、スレでうっかりネタバレが目に入ってしまえば、相当に凹んでしまいます。
(たいてい投稿の空気を読むために直前のレスをチェックしますから)
というわけで妥協案として、

「新刊の『話題』は発売日翌日の0時まで禁止。ただし、新刊の内容を含むSSの『投稿』は、前書きでネタバレ注意すれば、いつからでもOK」

少々面倒になりますが、これでいかがでしょうか?
解禁までは、せっかく投稿しても具体的なレスは貰えないということにはなりますが……。
765名無しさん@ピンキー:2007/04/03(火) 01:17:41 ID:i6LSfyQD
>>764
おおむねそれで良いと思うが。
というか、新刊読むまでここを覗くのを我慢すればいいだけの話だと思うんだがなぁ。

地方とか入手困難な奴の事情も汲めとか言われても、
公式発売日に普通に入手できる人たちも大勢いるわけでさ。
今から驚愕発売までネタバレするなとか、言ってること意味わからん奴までいるし。

俺は読むまでここを覗かなかったぞ。それでいいんじゃないの?

「ネタバレ怖いならこんなとこ来るな」

それでよくね?
766名無しさん@ピンキー:2007/04/03(火) 01:19:43 ID:qV4pzKu8
>>765
リクツとしてはそうかもしれんが、一応カイと巻とまた同じ事でもめるぞ。 特に二ヵ月後。

もうテンプレに>>575追加でよろしいかと

あと、度し難いってどういう意味?
767名無しさん@ピンキー:2007/04/03(火) 01:21:36 ID:Ybgmfrrf
>>765
俺は、あくまで職人優先のルールとして提示したまでです。
でも、自分が簡単にできることなんだから他人にも簡単にできるはずだ、というのはどうかと思います。
それに、「普通に」や「大勢」というのは、いったい何を基準に決められているのでしょうか?
768名無しさん@ピンキー:2007/04/03(火) 01:23:17 ID:i6LSfyQD
>>766
ぐぐってみた。

「度し難い」

「度し難い」という言い方は仏教から来ているようだ。
漢字源によると「度」は「済度」の「度」であり、これは「渡」に当てた用法とのこと。
またその意味は仏の教えによって彼岸に「度(わた)す」こと、つまり仏によって救われることだそうだ。
したがって「度し難い」の本来の意味は「救い難い」ということになる。
他には「納得させようもない」「どうやっても解らせようがない」(広辞苑)という意味もあるが、
これは「悟り」から来ているのかもしれない。

また広辞苑には載っていないが、最近では「許し難い」「我慢できない」という意味でも使われているようだ。
「度」の本義は「尺度」「程度」「態度」などだから、「度し難い」というと「はかり難い」つまり「限度を超えた」とか
「度量を超えた」という意味に取ってもよさそうに思える。しかし、上のように言葉の由来からすると
これは「度」違いであるらしい。

ただ、「あのバカは度し難い」を「あのバカさ加減ははかり難い」と言い換えても通りそうな気はする。

例えば、人間が行うことには必ずミスがあるという前提で、誤って扱うと危険なシステム
(機械だけでなく組織や社会の仕組みも含めて)を作るときにはフールプルーフ(fool proof)と呼ばれる
安全装置を何重にも組み込む。
「いくらなんでもそこまでのバカはいないだろう」というそれらの安全装置の限界を、
それでもしかしバカが超えてしまうとき、救い難いと同時そのバカさ加減ははかり難くもある。


ということらしい。
769名無しさん@ピンキー:2007/04/03(火) 01:27:04 ID:V4r988AG
『新刊の内容を含むSSの『投稿』は、前書きでネタバレ注意すれば、いつからでもOK』
『新作ネタSS一番槍を目指すという』

「オケ! 通販サイトに片っ端から注文・書店巡回して最速で手に入れたら
結末を詳細に絡めたSSで一番乗りしに来るぜwヒャホ〜〜イ!!」
770名無しさん@ピンキー:2007/04/03(火) 01:27:50 ID:+h+xT/Q3
寝たばれは●●までとか決めても無駄
そんなもんあっても荒らしや厨房は当然のごとく書く

ここが2chだってこと忘れてるやつ多すぎ、転んでも泣くな
771名無しさん@ピンキー:2007/04/03(火) 01:32:13 ID:i6LSfyQD
>>767

んーとね。
言葉はきつかったかも知れないけど相対的なものだと言うのなら、
入手しにくい人たちがいる反面、入手しやすい環境にある人たちも当然いるわけで。

公式発売日に入手できた人たちは、別にズルをしたわけでもなく「普通に」買ったわけ。
それも公式であるからには、相当数の新刊が流通している。
それを「大勢」というのは問題があるのかな。

もちろん発売日から1日経過してのネタバレ解禁制限を付けるのは問題ないと思うよ。
だけど、必要以上に「買ってない人たち」への配慮というのは問題があるのでは、と言っているわけ。
もし俺だったらネタバレが行き交うのが当たり前のこの掲示板なんか絶対に覗かない。
自分を守るためでもあるし、それを期待できる場所ではないことも知っているから。
発売日に買えなくてもそうしてたよ。誰に文句を言うわけじゃない。
自分が覗かなければ守られるんだから。

確かに不遇な環境の人には同情するが、だからといってその立場をそれこそ他の人たちに
押し付けるのはどうかと思う。

「俺が読むまでおまえら勝手に話をするな」と言う主張になりかねないから。

こういうのは違うのかなぁ。
俺が言ってることはそんなに変かな。

>>770の言葉に同意。
「ここは2chだ」
772名無しさん@ピンキー:2007/04/03(火) 01:32:13 ID:qV4pzKu8
…………春だな。
こんな空気じゃ職人さんも投下できないな……
もう引っ込んでおこう
773名無しさん@ピンキー:2007/04/03(火) 01:32:23 ID:q4P0y3Do
くだんねーことで長文書いて容量潰してんなよ
774名無しさん@ピンキー:2007/04/03(火) 01:34:17 ID:obbZc0t4
>>766
いままでこの板にもスレにもネタバレ禁止ルールなんか無く、
大きな問題もなかったんだから、
ネタバレ禁止ルールは不要と思うよ。
775名無しさん@ピンキー:2007/04/03(火) 01:35:48 ID:0OCuoEUH
二日三日黙っていることがどうして我慢できんのか。呼吸じゃあるまいに。
776名無しさん@ピンキー:2007/04/03(火) 01:38:00 ID:obbZc0t4
>>775
過去スレでネタバレが騒ぎになった事などほとんど無いのに
君は何を騒いでいるのかね。平地に乱を起こしたい荒らしさんかい?
777名無しさん@ピンキー:2007/04/03(火) 01:39:14 ID:0OCuoEUH
陰謀のときとは事情がことなる。そのくらい、わかろうほどに。
778名無しさん@ピンキー:2007/04/03(火) 01:43:02 ID:obbZc0t4
>>777
このスレ自体は変化もなく、大過もありませんよ。
不必要な騒ぎを起こしてスレを浪費するのはおやめなさいな。
779名無しさん@ピンキー:2007/04/03(火) 01:44:32 ID:0OCuoEUH
>>778
>>550-600あたり。嘘つきは嫌われるぞ。
780名無しさん@ピンキー:2007/04/03(火) 01:46:10 ID:krkNd0nn
>>770
新参やリア小中にとっては、2chってのは、
ちょっとアングラ風な雑談掲示板程度の認識だから。
『自己責任』とか『スルー力』なんて「何それ?おいしいの?」状態だよ。
781名無しさん@ピンキー:2007/04/03(火) 01:54:18 ID:Ybgmfrrf
変に単発IDが増えてきたのが気になるところではありますが……。

>>771
そう、確かに相対的なものなのですよ。

公式発売日に入手できなかった人たちは、別に怠慢だったわけでもなく「普通に」仕事したり学校行ってたわけ。
それも「大勢」というのは問題があるのかな。
発売日に買えて、発売日に読み切れて、発売日にその話題を書き込める。
確かにそういう幸運な人には同情しますが、だからといってその立場をそれこそ他の人たちに押しつけるのはどうかと思う。
「俺が話をしたいんだからお前ら我慢して聞け」という主張になりかねないから。

それから、考慮すべきは「買っていない人たち」ではなく「読んでいない人たち」でしょう。
あと一応。どうでもいいことですがここは2chではありません。閲覧と投稿には年齢制限がタテマエとしてかかっています。
それに2chにしても、各板各スレでいろいろなルールがあるものですよ。
「見なければいい」では、どんな書き込みも正当化されてしまいますからね。

なお、二度も書くようですが、俺は職人優先のルールを考えたのであって、
読んですぐ話題にしたい人をスレとして優先するのであれば、ルール無しに一票入れます。
782名無しさん@ピンキー:2007/04/03(火) 01:58:55 ID:JjaUtXeC
>>781
つーかさあ、お前みたいなのが一番邪魔なの。気付いてよ。

「騒ぐやつはほっとく。書きたいやつは勝手に書く」

一行で済むんだよ。ダラダラダラダラ無駄な議論しやがって。
お前も引っこめ。うざったい。
783名無しさん@ピンキー:2007/04/03(火) 01:59:41 ID:i6LSfyQD
>>781
鸚鵡返しレスありがと。じゃあね。
784名無しさん@ピンキー:2007/04/03(火) 02:00:27 ID:qV4pzKu8
>>782
落ち着け

とりあえず討論はここでおしまい
のこりの容量は職人さんに置いとこう
785名無しさん@ピンキー:2007/04/03(火) 02:02:42 ID:5LJ7KK09
こんな空気を変えるのは、いつも1つの良作です。そう、あなたの。
786名無しさん@ピンキー:2007/04/03(火) 02:04:41 ID:NBUeqsVN
>>780
揚げ足取るようで悪いけど、「自己責任」とか「スルー力」って言葉自体が便利な符号になってる気がするんだけどね。
「春だなぁ」とか「○○厨」とかも同じ。ついうっかり使っちゃうけど、ステレオタイプっぽくて実は一番2chっぽくないよなw
787名無しさん@ピンキー:2007/04/03(火) 02:10:28 ID:HBL35W8t
お前ら本当に18歳かという書き込みばかりだな。
どっちもどっち、ネタバレするな派もOK派もうるさい。
ラノベ板と同じで>>575でいいだろ、もう。
788名無しさん@ピンキー:2007/04/03(火) 02:10:46 ID:obbZc0t4
>>779
IDみたら数人程度が勝手に騒いでるだけで
大した騒ぎじゃないじゃん。
789名無しさん@ピンキー:2007/04/03(火) 02:12:25 ID:obbZc0t4
>>787
勝手にライトノベル板谷川スレのローカルルール持ち込まないで下さいな。
ライトノベル板やエロパロ板のルールでもないのに。
そこまでして荒らしたいのかね。
790名無しさん@ピンキー:2007/04/03(火) 02:15:31 ID:HBL35W8t
>>789
最初の方のネタバレ解禁はいつ?みたいな流れの時に>>575でよくね?みたいな流れだったと記憶していたが。
まあいつだって騒ぐのは数人だってことも解ってるよ。
荒らす気もないから、もう俺吊ってくるよ。それでいいか?
791名無しさん@ピンキー:2007/04/03(火) 02:17:50 ID:obbZc0t4
>>790
最初の方も何も、こちらでは大した騒ぎになってないのに
いちいち相手する必要もないでしょう。
ライトノベル板の騒ぎをこっちまで持ちこむ必要もないですしね。
792名無しさん@ピンキー:2007/04/03(火) 02:19:41 ID:4FGBnTv6
ネタバレされても、「未読なのに来てしまった自分のせいだな」
と自重出来る奴ばかりなら、ネタバレごときで揉める事なんてないんだけどな。
我慢できずに「許せん!ネタバレすんな」と書き込む奴がいるから下らない議論でスレが荒れる。
アニメ板やゲーム板ならそれも致し方ないかなとは思うけどさ。
お前らは未成年じゃないんだから、もう少し大人になろうぜ。
何でもかんでもルールルールって、義務教育の学校じゃないんだから。
793名無しさん@ピンキー:2007/04/03(火) 02:21:34 ID:qV4pzKu8
>>791
なんでそんなに必死になんのかと小一時間(ry
どうせ>>2を増やすだけで済むんだし、これ以上これで潰すのやめにしない?
794名無しさん@ピンキー:2007/04/03(火) 02:21:56 ID:Ybgmfrrf
俺は、職人にとってベストなネタバレルールを考えたかった。
ここはエロパロ板ですから。
その前提が、間違っていたのでしょうか?
795名無しさん@ピンキー:2007/04/03(火) 02:26:27 ID:6SdI7S9/
よく考えたら、勝手にネタバレする厨はテンプレなんか読まないから、
・職人さんには一応注意書きしてもらう
・ネタバレ厨は放置
・それを読んで楽しみがそこなわれたとかいう厨も放置。

ってな感じでいいんじゃない?

ほら、SSは注意書きしてくれればスルーして後で読むなりすればいいし、本当に問題なのはネタバレ厨だよ?
それも自己責任云々で読まなければいいだけだし。
796名無しさん@ピンキー:2007/04/03(火) 02:27:49 ID:6SdI7S9/
厨スルーでいいならそれでいいじゃん
797名無しさん@ピンキー:2007/04/03(火) 02:28:34 ID:krkNd0nn
>>ID:qV4pzKu8
なんでそんなにテンプレを変えることに必死なんだと小一時間(ry
>>570本人? SSを書けないから、せめて自治でスレに貢献したいとかかな
798名無しさん@ピンキー:2007/04/03(火) 02:32:07 ID:k1EwEgZA
この時間に普通にカラスが鳴きだしたーーーーーー
鶏とどっちがって話しだがw
799名無しさん@ピンキー:2007/04/03(火) 02:34:09 ID:k1EwEgZA
あがん
誤爆ったorz
800名無しさん@ピンキー:2007/04/03(火) 02:34:20 ID:Ybgmfrrf
>>795
ネタバレレスを、どうやって読まずに済ませるんですか?
ネタバレ厨にも注意書きしてもらうのでしょうか?
そうなると結局「来なければいい」という結論になってしまうのですが……。

俺が懸念しているのは、その日、未読の職人が投稿しに来なくなることなのですが。
801名無しさん@ピンキー:2007/04/03(火) 02:37:59 ID:4FGBnTv6
未読の職人が投降を控える
どこに問題があるんだろうか
802名無しさん@ピンキー:2007/04/03(火) 02:47:09 ID:5+NX2qxZ
よーし。なら、エロパロの他のスレのルールを参考にしよう。
と、谷川スレの次に多いだろう高橋スレを見てみたのだが……。
ここでもおおむね>575のルールを使ってるんだな。
803名無しさん@ピンキー:2007/04/03(火) 02:48:57 ID:6SdI7S9/
色々考えたけど、ネタバレしたい奴にはどんなルールを突き付けたってダメだと思うんだ。
>>2になんらかの文章を入れたところで、効果0とはいわないまでも、50%も見込めないと思うよ。
804前スレ48:2007/04/03(火) 02:50:39 ID:+7YtaxZ7
流れ完全無視で、ちょっと投下しますよ。

涼宮ハルヒの再会続き。なんか今回は上手くまとまらなかった感じ…ちょっと心残り。
分裂ネタバレは特になし。
前回、「おはぎに生クリームかけたような甘さ」みたいなことを書いた気がするけど
今回は、「おはぎの餡の下は激辛炒飯でした」みたいな感じの気もします。

20kbくらいだから大丈夫だと思うけど、途中で切れたらゴメンネ。
805名無しさん@ピンキー:2007/04/03(火) 02:51:02 ID:q0aI1G17
もうめんどくさいから、それでネタバレ反対派の気がすむのなら
テンプレに>>575追加すれば良いじゃんと思えてきた……。
806名無しさん@ピンキー:2007/04/03(火) 02:51:19 ID:HBL35W8t
俺としては暗黙の了解で>>575が基本。
もし何かあったら>>795でいいかと思う。
テンプレ云々は改変してもしなくてもあまり変わらないかと。
807涼宮ハルヒの再会:2007/04/03(火) 02:51:20 ID:+7YtaxZ7
2章〜crying bootleg〜



視界に入るのは……道路。
人も車も走る、ごくありふれた往来。
耳を劈く嫌な音がする──タイヤが地面を擦りあげる音だ。
まるで俺の耳を突き破るのが目的みたいに、その音が俺の周りを駆け抜ける。
視界を巨大な車体が覆い尽くしていた。
人くらいなら簡単に吹き飛ばせる鋼の巨体。

──うあぁあああああああぁああああああああーーーーーーーーーーー
惨劇を前にして、俺はただ叫ぶことしか出来なかった。




──!?
跳ね起きて、あたりを探ってみる。
どうやらありがたいことに、現在地は一面の花畑でも、脱衣婆の居る不吉な川辺でもないらしい。
頭に手を当てる。当然ながら、一昔前のコントでよく見るような額烏帽子の姿も見当たらなかった。

「……夢……なんだよな?」
口に手を当てて大きく息を吐く。
前に見た夢と全く同じ夢……
いや、違うな。
前よりずっと鮮明に、その記憶が、その感覚が服にまとわりついた蜘蛛の巣みたいに残っている。
──こいつは……どういうことだ?
同じ夢を何回か見ることくらいは、別にありえる事だ。大して問題は無い。
だけど、何度も非日常事態に巻き込まれてきた俺としては、弥が上にも疑っちまうね。
また珍妙な厄介事が起こってる。
──ってことをな。
808涼宮ハルヒの再会:2007/04/03(火) 02:53:21 ID:+7YtaxZ7
しかし、だ。
この夢はいったい何なんだ?
何度も繰り返される交通事故──だと思う──の夢。
何で俺がこんな夢を見るのか、この夢の意味は何なのか……
回らない頭を無理やり動かして、いくつか仮説を立ててみる。

──仮説その1.被害妄想
まあ、この可能性だってあるだろう。
いや、むしろこいつの確立が一番高いのかも知れない。というか、これであって欲しいもんだ。
現実問題、何も起こらないなら、それに越したことはないからな。
ただ、俺のそういった類の願いは高校入学以来聞き入られたためしが無いことを追記しておく。これに関して言えるのはそれだけだ。

──仮説その2.俺がいきなりアンビリーバボーなスーパーパワーに目覚めた
まあ、こいつもないだろう。
普通の人間のお墨付きなら、既に感想文でも書けそうなくらいの量を得ている。
俺は限定条件下でしか役に立たない超能力者でもなけりゃ、100円ライター程度の役にしか立たないEMP能力者でもない。
昔はそんな状況に憧れもしたが、今となっちゃ普通の人間であることは俺にとっての重要なステータスなのさ。

と、いうわけで……
──仮説その3.これは誰かの警告だ
未来人、あるいは宇宙人、超能力者もしくは、見知らない新たな存在が、理由は分からないけれど、俺に対してこれから起こる何かに対して事前に知らせている。
こいつは、なかなかありえそうだな。
今までも、俺は何度もハルヒの引き起こす事件に巻き込まれてきたわけだし、可能性は十分だ。
……まあ、事前に警告されたケースってのはあんまり経験がないが。



しかし……俺のこの仮説が正しいとすれば、これから夢で見たあの惨事が起こるということだろうか?
夢が全て真実を語っているのだとしたら、あの事件は俺の目の前で起こるのだ。
なんとか食い止める方法はないだろうか?
未来を変えちまうのは、朝比奈さん的にはまずいのかも知れない。けれど、なんとかならないだろうか?
そして、それ以上の問題は、どうやってあの事態を防ぐかだ。
どうしたもんだろうな…?一度、長門にでも相談してみるか。
809涼宮ハルヒの再会:2007/04/03(火) 02:54:25 ID:+7YtaxZ7
「……ん……キョン?」
顔を向けると、俺の布団の中で、ハルヒがもぞもぞと動いていた。
サイズの合わないワイシャツ──俺の制服なんだから、当たり前だ──で、眠たげに眦をこすりながらこちらを見ている。
なんで俺の制服なんか着てるかって?
単純明快。それが男のロマンだからだ。
「何でもない、気にすんな。ちょっとした考え事だ」
「ふぅん……深刻なら相談に乗ってあげても……ふぁぁ……いいわよ」
むにゃむにゃと眠たげに、大欠伸をするハルヒ。
俺以外には見せるなよ、それ。みっともないぞ。
「いや、本当に大したことじゃねえよ」
「ならいいわ。…………むー、まだ眠いわね」
ハルヒは、ぶんぶんと大げさに首を左右に振っている。
どうやら眠気を払っているつもりらしい。
まあ、昨日は遅くまで色々してたしな。
ナニをしたのかは……まあ、そこは察して欲しい。大した問題じゃないはずだ。
俺が眠気を感じていないのは、ただ夢の興奮から冷め切ってないだけの話だ。

「ん……ー」
色っぽい声と仕草でハルヒがのびをしている。
ぶかぶかのワイシャツから覗く、引き締まった身体が俺の劣情をビンビンと刺激する。
マジでヤバイ。男のロマンは伊達じゃない。
──時間、まだあるよな?
「ハルヒ」
「ん……?って…ちょっと、こら!何する気よ」
すまん。ナニする気だ。
「あ、こら……待ちなさ…ん……!!?」



810涼宮ハルヒの再会:2007/04/03(火) 02:55:30 ID:+7YtaxZ7





痛ぇ……
思うだけで言葉にはならなかった。
最も言葉に出したとしたら、「いふぇえ」とでもなるのかもしれない。
どうしてかって?
ハルヒの指が俺の頬を、これでもかとばかりに引っ張っているからだ。
「馬鹿!エロキョン!あんたのせいで遅刻じゃない」
まあ多少の予想もあったのだが、コトが終わった後、時計の針は普段の登校時刻を十馬身差のブッちぎりで過ぎていた。
文字通り『やり過ぎた』ってところだろうか。
──なんて、アホなことを言ってる場合ではない。100%遅刻だ。
「あたしは、先に行くからね!馬鹿キョン。あんたも早く行きなさいよ」
見事な早着替えを済ませたハルヒが、俺の部屋を駆け足で出て行く。
あ、クソっ……俺を置いていくのか?……薄情な奴め。




「ハルヒ?」
呼びかけてみる。
答えは返ってこない。当たり前だ。あいつはもういってしまった。
だけど、何故だろう?
俺には、まだあいつが傍にいるような気がしたんだ。
掛け布団を適当にたたんで、ベッドに座りなおす。
一人きりになったベッドはさっきよりずっと冷たかった。





811涼宮ハルヒの再会:2007/04/03(火) 02:57:06 ID:+7YtaxZ7
放課後、もはや完全に通いなれた文芸部の部室へと足を運ぶ。
右手の中指を使って部室の扉をノックする。なかなか小気味の良い音が廊下に響いてくれた。
「…………」
暫時3点リーダが流れたあとで、聞き取れないくらい小さい長門の声が返ってくる。
「…………どうぞ」
パイプ椅子に座り、いつものように本を読んでいる姿が目に入る。
文庫のカバーでよくは見えないが、その手にあるのは恋愛小説だろうか?
「よぉ」
声をかけると、本から目を離して頷くような軽い会釈を返してくれる。
「今日の活動どうするか、ハルヒから聞いてるか?」
少し首を振って、長門が否定の意を示す。
「あなたは?」
「いや、俺も何も聞いてねえよ」
「……そう」
それだけ言うと長門は視線を本に戻して、俺達の会話は途切れた。

「ああ、そうだ」
長門に聞かないといけないことが俺にはあったのだ。
「最近、変な夢を見るんだが、何か心当たりはないか?」
「…………」
長門は押し黙って小首を傾げている。
小首を傾げる──?俺の勘違いだろうか?
「ごめんなさい。私には、心当たりは無い…………でも」
席から立ち上がると、背伸びして本棚の一番上の辞典くらいの厚さの本を取りだす。
「よかったら」
不意に『あの時』の長門を思い出して、不覚にもかわいいなんて感じてしまった。
あとで、ハルヒに懺悔しよう。
──それくらいは許してくれるよな?
812涼宮ハルヒの再会:2007/04/03(火) 02:58:29 ID:+7YtaxZ7



とっぷり夜も更けて、一日の終わり。
ベッドに寝転がって、長門から手渡された本に目を走らせる。
まだ最初の数ページから先に進んでくれないが、どうやら夢分析について書かれた本らしい。
とりあえず目次だけ読んで、今回の夢と関連がありそうな所を探す。
なになに、『交通事故の夢は、現実に起こる出来事を予知している場合がある』ね……
あながち俺の予想も間違っていないのだろうか?

「交通事故か……」
独り言と共に思い返す。
今は懐かしき朝比奈さんとのデートもどきの思い出。
将来有望そうなハカセ風の少年。
彼も何者からか狙われていた。
これから起こる事も同じ連中の犯行なのだろうか?
いや、犯人は大した問題じゃないのかも知れない。
問題はターゲットだ。誰だ?誰が狙われている?

…………

クソ……全く持って思いつかん。そもそも、そんなこと俺に考えさせるのが間違いだ。
本を投げ出そうとして、寸前で借り物だったことを思い出す。
参ったな……
本を学生鞄にしまいながら、深く溜息をついてベッドに再度寝転がる。
犯人のことも、被害者のこともまるで検討がつきゃしない。
──借りるのは、犯罪心理学の方が良かったかもな。
なんて訳の分からないことを思いながら目を閉じる。

──とにかく、やれるだけのことはやってやろう。

813涼宮ハルヒの再会:2007/04/03(火) 03:01:03 ID:+7YtaxZ7









描くにも足らない、まるで無駄な学校生活が今日も終わりを告げ、俺は部室へと向かう。
「…………」
ノックをしても返事はない。
まあ、どうせ無口な宇宙人が中で分厚いハードカバーでも読んでいるのだろう。
「よお」
「…………」
パイプ椅子に掛けた長門有希が顔だけあげて、こちらを見てくる。
早々に本を返すか。

「これ、ありがとうな」
鞄を開けて、本を取り出……ないぞ?おかしい、確かに入れたはずなんだが…どこへ消えた?
「すまん、忘れたみたいだ」
「…………何を?」
「何って、お前に借りた本だろ?」
「…………」
目の前の宇宙人が、俺にだけ分かる程度に表情を変える。
「私はあなたに本を貸した覚えはない」
──なんだと?
昨日確かに俺はあの本を借りて……
そうだ、内容も覚えている。
「夢分析の本だ。知らないか?」
「分からない……」
「嘘だろ?」
長門が嘘なんかつくはずないことくらい俺が知っている。いや、むしろ一番理解してるんじゃないかと自称しているさ。
だから……
これはいったいどういうことなんだ?
「その本なら、ここにある」
長門が指差した本棚の一番上の棚。
昨日と寸部違わぬ同じ場所に、俺の借りた本がほこりにまみれて鎮座していた。
……悪い夢でも見た気分だ。
──どうなっている?





「…………はじまった……」
小さく呟いた長門の言葉を聞いてる余裕さえ今の俺にはなかった。

814涼宮ハルヒの再会:2007/04/03(火) 03:01:57 ID:+7YtaxZ7


「よお」
校門の所に見慣れた制服姿のハルヒが立っていた。
「遅いわよ」
開口一番、怒った声で俺を睨みつけるハルヒ。
「悪いな」
「あんたって、どうしてこう。いつも待ち合わせの時間に遅れてくるわけ?」
さあな。俺自身遅れるつもりは毛頭無いんだがな。
「そういうお前は遅刻しないですんだのか?」
「全力疾走するハメになったけどね」
そうかい。俺は思いっきり遅刻で、早朝課題の代わりに大量の宿題まで貰ったぞ。
「鍛錬が足りないのよ。あたしが鍛えてあげようか?」
悪いが、ご遠慮こうむろう。教えてもらうのは勉強と保健体育くらいで十分だ。
「部室、寄ってくか?」
「もう誰もいないんじゃないの?」
まあ、それもそうかもな。
結構遅い時刻だ。正当なる文芸部員の長門すらもう帰ってるかもしれない。
「ま、いいわ。たまにはあたしも部室にいかないとね」
そりゃそうだ。俺達は団長あってのSOS団だしな。
「分かってんじゃない」
そう言ってハルヒは不敵に素敵な笑顔で笑った。

815涼宮ハルヒの再会:2007/04/03(火) 03:03:18 ID:+7YtaxZ7
夕焼けの部室棟。職員室から借りてきた鍵で扉を開ける。
おっと入る前にはノックしないとな。
「鍵かかってんだから、誰もいないに決まってんじゃない」
先に来ていたハルヒが、馬鹿にするような声で言う。
ちなみに、職員室まで鍵を取りにいかされたのは勿論俺だ。ハルヒは部室の前でずっと待っていた。
「どうも癖でな」
「ふーん」
ノブを回してハルヒが扉を開ける。
「部室も久しぶりね」
そうだな。ここんところ、俺達二人は一緒に帰ってるが、部室に面子全員が集まることはあまりなかった気がする。
ハルヒはドアを入ってすぐの所で、腕を組んで部室を見回している。
長門用の分厚い本の詰まった本棚と、俺達用のパイプ椅子。すっかり旧型になったパソコン。
SOS団結成後、多少ものが増えたとはいえ、相変わらずあまりものがない部屋だ。

「あんた」
「ん……?」
ハルヒの方を振り向く、その視線は一点……俺を見ないでパソコンの方を向いていた。
「また、あたしの目の前からいきなり消えたりしないわよね?」
何の話だ?
「あたしにもよくわかんないわ……でも、なんでだろう。嫌な予感がするのよ」
ハルヒは暗い表情で、顔を伏せている。
こいつらしくない悲しげな顔だ。頼む、そんな顔しないでくれ。
「……大丈夫だ」
かける言葉が見つからなくて、俺は根拠もないのに呟いた。
「でも……不安なのよ。あんたは2度もあたしの目の前から消えようとした。中学校の時も……あの冬の時も……」
──ジョン・スミス。いや……「俺」は中学生のハルヒの前から姿を消した。期間限定の時間旅行だったし、ハルヒにもう一度会う為には俺は帰らないといけなかったからだ。
あの冬、変わってしまった世界でも俺はもう一度ハルヒに会う為に俺は奮闘した。
大丈夫。俺はハルヒの前から消えるなんて事はありえない。
「3度目の正直ってことにしてくれ」
寒さに震える子犬みたいに身を縮めたハルヒをゆっくりと抱きしめる。
それは小さくて、愛しくて、俺にとって一番大切なものだ。
「ジョン……」
漆黒の長いポニーテールを優しく撫でながら俺は言葉を続ける。
「大丈夫だ」
今度は言葉に力をこめた。
そうだ。俺だって今度は、ハルヒの傍にずっといると誓ったんだ。
──俺はハルヒの傍にずっと……
…………



「安心したか?」
「うん。御蔭様でね!感謝してあげるわ」

「さ、帰りましょ!」
差し出された手を握り返す。
──確かな温もりがそこにはあった。
816涼宮ハルヒの再会:2007/04/03(火) 03:04:24 ID:+7YtaxZ7

星がまたたく夜の帰り道、突然の音に振り向く。
鈍い音でほえるエンジンの音だ。
明らかに尋常じゃない速度で、何かがこちらに突き進んでくる。

──視界に入るのは……道路だ。
人も車も走る、ごくありふれた往来。
耳を劈く嫌な音がする──タイヤが地面を擦りあげる音だ。
まるで俺の耳を突き破るのが目的みたいに、その音が俺の周りを駆け抜ける。
視界を巨大な車体が覆い尽くしていた。
人くらいなら簡単に吹き飛ばせる鋼の車体。

白昼夢?
違う!これは紛れも無い現実だ。
どうする?どうすればいい?
咄嗟にハルヒの方を向くと、俺と同じような驚愕の表情を浮かべている。
──そうだ。ハルヒだ!
気が付いたのと、ほぼ同時で身体を動かす。
繋いでいた手を振り払って、あいつの身体を車の射線上から押し出してやる。
物事がまるでスローモーションみたいに進んでいるみたいだ。
こいつが噂に聞く火事場の馬鹿力って奴なのかもしれない。
ハルヒの体が俺から離れる。
その双眸が大きく見開かれる。
唇が何かを叫ぼうとして動くのが見える。



──
頭の中を目まぐるしく記憶のフラッシュバックが駆け回る。
走馬灯って奴だろうか?

『東中出身、涼宮ハルヒ。ただの人間には興味ありません。この中に宇宙人、未来人、異世界人、超能力者がいたら、あたしのところに来なさい。以上』
誰もが振り向いた自己紹介。
『気が付いた!』
白鳥座α星くらいの輝きをみせる両眼。
まとめても、ちょんまげみたいにしか纏まらない黒髪。
何ワットの電球よりも、夏の向日葵よりも眩しいその笑顔。
──
ドクンと心臓が脈打つのを感じる。
視界が真っ赤に染まる。
……真っ赤?




「……ョンっ!」
817涼宮ハルヒの再会:2007/04/03(火) 03:05:50 ID:+7YtaxZ7
気が付いた時、俺の後頭部は俺の意向を無視してアスファルトと熱烈なキスしていた。
少しだけ鈍痛があるものの、どうやら身体の異常はないらしい。
軽く頭をもたげて、辺りを見回すと視界の端っこに速度を落とさないで走り抜けて行く車の姿が見えた。
「馬鹿!……あたしを助けて死のうなんて100年早いのよ!!」
誰かの声がする。
顔の位置からすぐ真下から聞こえるその声は、怒りと悲しみの入り混じった不思議なものだった。
背中にひんやり冷たい道路とは違う暖かさがある。誰かの手だ。
どうやら、誰かが俺を組み伏せているんだ。
「ちょっと。ジョン?あんた、大丈夫?」
身体を起こすと、目の前の奴が声をかけてくる。


「誰だ?」
まるで自分のものじゃないような声が俺の口から発せられている。
「え……?」
「お前は誰だ?」
目の前にいるのは間違いなくハルヒだ。
そいつはどこからどうみてもハルヒの姿をしている。
だから、俺自身何を言おうとしているのか、よく分からない。
「あんた…何言って……?」
「違う。お前は……」
全身を、ワラジムシの大群でも見かけた時のようなイヤな感覚が走る。
異様な違和感が俺を支配していた。










耳を劈く嫌な音がする。タイヤが擦れる音だ。
視界を何かが遮る。巨大な車体だ。
────
惨劇を前にして、俺に出来たのは……

ハルヒが視界に入る。
その姿は鮮血で真っ赤に染まっている。
『大丈夫だ……俺はずっと……お前の……』
話したいことは数え切れないくらいあるはずなのに、上手く口が言葉を紡いでくれようとしない。
『せっかく……あんたが……』
大粒の雫がハルヒの目に光っている。
…………

オレハオマエノソバニズット……

────


818涼宮ハルヒの再会:2007/04/03(火) 03:07:30 ID:+7YtaxZ7

「いて……いてててって…いてぇーーーーーー!!!」
頬をおもいきりつねられて、俺の意識は強制的にトリップから戻される。
何をしやがるのかと、ハルヒの方に視線を向きなおすと、そのまま白く透き通った指先が移動して、今度は俺の耳をつまむ。
嫌な予感を感じる間もなく、万力にかけられたような痛みが走ったかと思うと、そのまま力強く引っ張られた。
「目は覚めたかしら?」
まだだな。
俺の知ってるハルヒはもっと優しいはずだ。
──なんてくだらないことを言わなくて良かった。
胸倉をつかまれて、脳天含めてぶんぶん振り回された。戯言を言っていたらこれだけじゃすまなかっただろう。
「あたしの名前を言ってみなさい!!」
お前はどこのジャギ様だ。
いいから、落ち着け。つかんだ胸倉を離せ。
「言わないなら、言ってあげるわ。耳の穴かっぽじって良く聞きなさい!」
ああ、もう騒ぐな。耳が痛い。
おまけに近所迷惑だ。
「あたしが、SOS団団長……涼m……ん……」
強引に顔を引き寄せて、口を塞ぐ。

……しょっぱい味だ。

「安心しろ。俺は大丈夫だ」
さっきの感覚なんて一過性の気まぐれだ。
現に今は違和感なんか消えちまったさ。あるのは……あー、えーと……恥ずかしいが、お前を抱きしめたいとかそんな気分だけだ。
「心配なのよ……」
頬を朱に染めたまま、ハルヒが小さく呟く。
「あんたがどっかに行っちゃうんじゃないかって」
何がハルヒをこんなに不安にさせるのだろうか?
俺には分からない。
だが今の俺に出来ることを一つあげるなら、それはこいつを抱きしめる事だ。少しくらいなら不安が減るだろう?
「大丈夫」
この言葉だけじゃ不満か?なら……
「SOS団の名にかけて誓ってやるよ」
それなら安心だろ?
「約束よ。絶対、ぜーったいだかんね!」
「ああ」
夕焼けの中、俺達は抱き合って、キスをして……
俺はハルヒの美しく纏められた髪を撫で続けた。



──初めて出会った時からずっと変わらない、風に揺れるそのロングヘアーを







〜to be continued〜
819前スレ48:2007/04/03(火) 03:11:52 ID:+7YtaxZ7
はい、今回はここまで。

なんというか、このSSのキョンはやたらとキスでハルヒを黙らせてるよなーと思うwww
yesだねとか言いそうです。
ところで、冒頭二人が居る場所はどこでしょう?俺にも分かりません。
家族の居る家でそんなことするとも思えないし、高校生が頻繁にラブホに行くとも(別に行くかも知れないけど)思えません。

まあ、つっこみ所は多々ありますが、ご容赦下さい。
820名無しさん@ピンキー:2007/04/03(火) 03:17:36 ID:vTgTBirv
ツッコム前に突っ込まれたw
眠い頭なので、イマイチ言葉がでない。ので短めに。
なんかだんだん続き読むのが怖くなってきた。
あとどうにも場面展開がややこしく思った。眠いからかもしれんが、というか俺が穿った読み方をしてるからかもだが。
821名無しさん@ピンキー:2007/04/03(火) 03:26:43 ID:Ybgmfrrf
容量が心配だったので勝手に急いで立ててしまいましたが、杞憂だったようですね。
【涼宮ハルヒ】谷川流 the 45章【学校を出よう!】
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1175537663/

>>819
ラブラブ度もミステリアス度もさらに増してくるとは……。
『分裂』に加え、こちらの続きも気になって夜も眠れません。
でも自分の作品に自分でコメントするのは控えたほうがよろしいかと。
822名無しさん@ピンキー:2007/04/03(火) 03:53:00 ID:CTKPNQZv
ゼロ魔のエロパロスレに一通り目を通してからここにくると


俺の驚愕
823名無しさん@ピンキー:2007/04/03(火) 04:20:49 ID:iARf0AoM
ああ、ルールルールって煩かったヤツっていつもスレ立てしたことをやたら偉そうに振りかざして
荒れる度に「>>2を読め」とかしつこいくらいに連呼して火にガソリン撒いていくあの天然馬鹿だったのか。納得した。
オールスルーでいいじゃん、と思った。
824名無しさん@ピンキー:2007/04/03(火) 04:39:31 ID:0ky04HQm
ageてまで憤慨して相手すんなw
825名無しさん@ピンキー:2007/04/03(火) 05:04:51 ID:I+Kbnphd
>>763
涼宮ハルヒの完結
826名無しさん@ピンキー:2007/04/03(火) 05:15:10 ID:Ybgmfrrf
自己弁護のため事実表明しておきます。
俺がエロパロ板に新規スレッドを立てたのは今回で2度目であり、
1度目は去年ですが、このスレではありません。
つまり谷川スレを立てたのは45章が初。誤解のないようにお願いいたします。
今回、名作を拝読させていただいているスレッドを一住人として作成する栄誉に浴し、感無量でございます。

>>823
以上が事実です。
スレを立てたことで奇特な人間だと思われたのかもしれませんが、
見当外れなレッテル貼りはやめ、どうぞ落ち着いてください。
今後、誤解されるのをおそれて必要なときもスレ立てを遠慮なさる人が増えるかもしれませんから。
それがあなたの目的なのかも、と思ってしまうのは、俺の考えすぎなのでしょうね。
827名無しさん@ピンキー:2007/04/03(火) 05:38:01 ID:Afn6sCsf
>>822
せんたいさんが凄すぎる
828名無しさん@ピンキー:2007/04/03(火) 06:25:05 ID:s4HpAi0j
そういやwikiってどうなってんだ?
829名無しさん@ピンキー:2007/04/03(火) 07:35:20 ID:0ky04HQm
作った本人が放置した為トップページ のみw
830名無しさん@ピンキー:2007/04/03(火) 07:57:25 ID:q/RhKxA9
>>441にあったやつだろ?
もう削除されてるよ
831名無しさん@ピンキー:2007/04/03(火) 08:06:41 ID:0ky04HQm
832名無しさん@ピンキー:2007/04/03(火) 08:20:18 ID:sl0b7Shq
そろそろ次スレ時期じゃね?
833名無しさん@ピンキー:2007/04/03(火) 08:48:42 ID:+nMrp3Yo
>>819
GJ!
てか最後にハルヒに起こされたキョンの夢はどこからどこだ?
834名無しさん@ピンキー:2007/04/03(火) 12:18:18 ID:eOpMupKt
>>832
もうあるよ
835名無しさん@ピンキー:2007/04/03(火) 13:19:23 ID:ziDg4MgX
>>825
ありがとうございます
836名無しさん@ピンキー:2007/04/03(火) 13:22:02 ID:+nMrp3Yo
>>600
無茶苦茶亀だが、俺はそう予想している。
837名無しさん@ピンキー:2007/04/03(火) 13:30:53 ID:OpS1hQuW
涼宮ハルヒの日常はまだ続いてるのか?
838名無しさん@ピンキー:2007/04/03(火) 19:50:16 ID:OMOI1ozx
test
839名無しさん@ピンキー:2007/04/03(火) 21:11:16 ID:HYviWaVh
  ※埋めネタ。HDの奥にあった発表したかどうか忘れた古いやつでも。

  「なぁ、ハルヒ……今更だが、なんで俺たちはSOS団と名乗っているんだ。ちょっとばかり変じゃないか?」
  「あのね、あんた自分の所属する団体の名前の由来くらいちゃんと覚えておいてよ。もう忘れたの? あたしが
   結成する時に言ったじゃない。『世界を大いに盛り上げるための涼宮ハルヒの団』 要所要所の頭文字を
   とってSOS団。ちぃーっとも変じゃないわ」
  「そこなんだよハルヒ。まさに俺が言おうとしているのは」
  「何よ回りくどいわね。言いたいことがあるんならさっさと言いなさいよ。」

  「――何故、副詞である『大いに』の頭文字をとるんだ? 普通は、動詞である『盛り上げる』からとるべきじゃないのか」
  「はぁっ?」

  「だってそうだろう。おかしいじゃないか。この場合、重要な語句は『世界』『盛り上げる』『涼宮ハルヒ』『団』だよな。
  5W1Hを習っただろう。なぜ(Why)、何を(What)、誰が(Who)、どこで(Where)、いつ(When)、どのようにして(How)
  全部の要素を盛り込めなんて誰も言っちゃあいない。しかし、だ。このネーミングは少しばかり世間のルールからはみ
  出しちまっている。そいつを修正していくべきなんじゃないのかハルハル? 俺たちはなんて名乗っている? SOS団だ。
  おかしいじゃないか。盛り上げる、がかけては文章として意味を成さないだろう。大いになんてどうでもいい。俺たちは
  SMSDであるべきなんじゃないか? BEATLESの『LUCY IN THE SKY WITH THE DIAMOND』だって略称はLSDなん
  だぞ。それとも何か? この『O』には隠された秘密――団員である俺たちにもいえないような――でもあるのか?
  キッチリ答えて欲しいもんだな、ハルハル」
  「……そう、気付いちゃったんだ。意外ね、あんたが、一番先にその疑問へ辿りつくなんてさ。てっきり古泉君か有希なん
  だろうな、って思っていたのに。でも気付いちゃったんならしょうがないか。そう、もちろんあるわよ。重要な理由がね。
  あとハルハル言うな」
  「ほぉ、それじゃあ早速教えて欲しいもんだな。その重要な理由ってヤツを」
  「それはね……」
  「そ、それは……」

  「…………ノリ?」
  「……」
  「……」
  「……」
  「てへっ」 コツンッ♪

840名無しさん@ピンキー:2007/04/03(火) 21:11:54 ID:HYviWaVh
  ○
    O 。

  ●「……その童女の様な仕草にはゾッコンLOVEしたあなたは涼宮さんに告白。返事はOK。めでたく二人は付き合いはじめ
  祝福する僕たち、というのが僕の2007年初夢、でしたね」 ニコッ……

  キョン「……ユ」
  みくる「……ニ」
  ハルヒ「……ー」
  長門「……ク」

841名無しさん@ピンキー:2007/04/03(火) 21:18:32 ID:Owl2yepj
「世界を」
「大いに→盛り上げる」
「涼宮ハルヒの→団」
でよくね?
842埋めツン:2007/04/03(火) 21:30:53 ID:dU/k1qMo



「というわけで、今週はツンデレ強化月間で行こうと思うの!」
「何がというわけでだよ。いい加減脈絡を考えるということを覚えたらどうだ」
「脈絡はあるわよ。あんたがついてこれてないだけ。あたしの言葉をきちんと聞いてない証拠よ。ちゃんと耳垢取ってる? 取りすぎるのもあれだけど、たまには綺麗にしないと腐って落ちるわよ。耳が」
「落ちねえよ……まあ、んな事はどうでもいい。さしあたって聞きたいのはだな、これまで存在した覚えの無い強化月間についてだ。大体何なんだよその、えーっと、つんでれってのは」
「え? ひょっとしてあんた知らないの? ぷっ、おっくれてるぅ〜。ツンデレと言えば、あんた、今一番流行の属性じゃないの! メガネとか猫の耳とか、ああいうのはもう古いのよ。遺跡よ遺跡。萌え遺跡ね」
「あのな、俺が知るわけねえだろ、そんな人生の本筋とまるで関係ない極一部の流行と衰退」
「ほーら、またあんたがSOS団の平均点を下げてるじゃない。団員たるもの、常にあらゆるところにアンテナを張り巡らせときなさいって、あれだけ口をすっぱくして言ったでしょうが」
「言ってねえだろ……けど、いいさ。俺が不勉強だったよ。で、結局何なんだ。つんでれってのは」
「そういう不勉強は今後もばしばし取り締まっていくからね。しっかり反省して次に繋げなさいよ。今回は特別にあたしが教えてあげるから」
「はいはい。ありがたく教えていただくさ」


「ツンデレってのは、そうね、例えて言うなら、一人の女子高生がいて、その子には気になる男子がいるとするじゃない?」
「まあ、そういうことは往々にしてあるだろうな」
「そう、往々にしてあるらしいのよ。あたしは納得できないけどね。そういう人は病院に行ったほうが良いんじゃないかとさえ思うわ。ま、あたしのことは今はいいんだけど。
でね、本題を続けるけど、その彼女は気になる男子の前だと、どうしてか『あんた馬鹿じゃないの?』とか『ほんっと気が利かないわね』とか『そんなんだからダメなのよ。ダッメダメ。ダメ属性ね』とかしか言えないの。ここまではOK?」
「いいけど。それだけだと、俺が男子に凄く同情するだけで終わるぞ」
「ふふ、甘い甘い。こっからが本番なわけ。いい? 普段そんな言葉しか言えない彼女だけどね、実は自分の家に帰ってから、
『もー、あたしの馬鹿馬鹿! あそこでもう少し優しい言葉をかけてあげられたら良かったのに!』
なんてことを言いながら鏡の前で自分の頭をぽかりとやったり、
『向こうから強引に来てくれたらこっちもその流れに乗って色々と』
とか考えながら休みの日に着ていく服を選んだり……」
「あ、なるほどなるほど。見えざるギャップって奴な。でもそれって、その男子の目の前でそういうとこ見せれないとまるで意味無いし、かえって嫌われそうなもんだけど……おい、どうしたハルヒ。何固まってんだ」
「……やっぱ無し!」
「はぁ?」
「これは無いわね、うん。痛々しいわよ何か。大体ツンデレって、何よそのネーミング。ほぼツンドラじゃないの。あー、寒い寒い。ほらキョン、ぼさっとしてないでストーブ出しなさい。じゃないと風邪引いちゃいそうよ」
「無いなら無いで、そっちの方が俺もいいけどさ、別にそこまで言わんでもいいだろ。伝わりにくいけど、結構可愛いじゃないか、そういうのも」
「うっ……うっさいバカ!! 別に可愛くなんてないわよ!!」
「へいへい。わかったから、んな怒鳴るなって」
「もう、アホみたいなこと言ってないで、早くしなさいよね!」



(涼宮さん、まんまだったんだ……)
(涼宮さん、まんまだったんですね……)
(涼宮ハルヒが昨日取った行動と全く同じ)





843名無しさん@ピンキー:2007/04/03(火) 22:10:28 ID:B0ykzm6K
再会の続きって、保管庫にあるやつの続き?
844名無しさん@ピンキー:2007/04/03(火) 23:20:28 ID:7UeXEmwu
>842
ハルヒが可愛いというより、むしろ不憫だw
845埋め:2007/04/03(火) 23:22:22 ID:HA7FRVOf

「キョン…。まえにお前に聞かれたときはつい否定しちまったが、実は俺……超能力者なんだ!!」
 な、なんだってー。おいハルヒちょっとこい!谷口がすごいこと言ってるぞ!
「なによ、もう。え?あんたが超能力者?………本当なの、それ。」
 谷口は当たり前だと言わんばかりに胸をそった。
「キョン!!これはすごい発見よ!!一見ただのアホな高校生がエスパーだったなんて!なんで今まで気づかなかったのかしら、もう!」
 おいおいハルヒ……そんなわけないだろうと言おうとした時谷口が、
「はっはっはぁーっ引っかかったな!俺がエスパーなわけないだろう!今日はエイプリルフールだから嘘をついてもいいんだ!ついでにアホは余計だ!」


「…なにいってるのアンタ。今日はもう三日よ?………このあたしを騙すなんて…」
 どうやら谷口はハルヒの逆鱗に触れてしまったようだ。にげろ!谷口!

「……え?そんなまさか、……あ…wawawa忘れ…」



 た に ぐ ち は く だ け ち っ た !




「………面白い人」
いつからいたんだ、長門。



846名無しさん@ピンキー:2007/04/03(火) 23:32:55 ID:gkdXlLFc
次スレは>>819
847名無しさん@ピンキー:2007/04/03(火) 23:33:30 ID:gkdXlLFc
まちがえた。
次スレは>>821
848長門の逆襲?:2007/04/03(火) 23:57:50 ID:sYntwbzZ
小ネタです。


俺はある日古泉をちょっとからかってみたくなったので、
長門にある事を放課後すぐに伝えて、それを実行してもらうことにした。
そして遂にその時がやってきた。


「いや〜この前このような事がありましてね。」
長々と話した後、古泉は三大どうでもいい種類の話をこうしめくくった。
「どうです?くだらないでしょう?」
と、1人で0円スマイルをしたところで、長門が作戦を決行した。
バタンッと凶器になりそうな厚さの本を勢いよく閉じて、キリッとこっちを向き、こう言った。

「つまらんっ!お前の話はつまらんっ!」
そして言い終わると平然と読者を再開した。
その日古泉は団活を早退した。
849名無しさん@ピンキー:2007/04/03(火) 23:59:41 ID:q/RhKxA9
>>848
なにこれパクリ? どっかで見たことあるぞ
850名無しさん@ピンキー:2007/04/04(水) 00:00:34 ID:gkdXlLFc
元ネタがあるなら書こうよ。臥竜岡乙。
851名無しさん@ピンキー:2007/04/04(水) 00:02:04 ID:WkcQq8fg
>>849
たしか、殺虫剤のCM
852名無しさん@ピンキー:2007/04/04(水) 00:07:00 ID:hgxEjcD5
某所のWEBコミックですね。
853名無しさん@ピンキー:2007/04/04(水) 01:33:41 ID:tpEuD2sP
854梅改変:2007/04/04(水) 01:51:30 ID:7Ze4zNzZ
「キョン…。まえにお前に聞かれたときはつい否定しちまったが、実は俺……超能力者なんだ!!」
 な、なんだってー。おいハルヒちょっとこい!谷口がすごいこと言ってるぞ!
「なによ、もう。え?あんたが超能力者?………本当なの、それ。」
 谷口は当たり前だと言わんばかりに胸をそった。
「キョン!!これはすごい発見よ!!一見ただのアホな高校生がエスパーだったなんて!なんで今まで気づかなかったのかしら、もう!」
 おいおいハルヒ……そんなわけないだろうと言おうとした時谷口が、
「なぁ涼宮。俺は、ち、超能力者として涼宮を守りたいんだ!だから付き合ってくれ!」


「ばっ、なっ、何言ってんのよ!・・・でも、べっ、別に付き合ってやってもいいわよ!」
 ・・・嘘だろハルヒ?
「……え?そんなまさか、…おっ、おう!わりぃなキョン!」

嘘だろハルヒ?嘘だと言ってくれ!俺本当はお前のことが・・・!

「あたしも好きだったわ・・・でもキョン・・・あたし達、縁がなかったのよ・・・」

 キ ョ ン は く だ け ち っ た !(心が)




「………大丈夫、あなたは私のもの」
いつからお前のものになったんだ、長門。

855名無しさん@ピンキー:2007/04/04(水) 01:52:14 ID:vSgD6tVt
生め
856名無しさん@ピンキー:2007/04/04(水) 01:56:53 ID:0KqR1wp4
そ、そうか!

『アホ(アホンダラ)』 > 『アホンダラゲ!』
『スカタン(アンポンタン:スカポンタン?)』 > 『スカポンタス!』
『マジ(デートじゃないのよ!)』 > 『遊んでたら殺すわよフン!』

このデータからノイズと主要事項を取り除くことによって隠された事実が現れる! つまり!!
『ばか(ばかたれ)』 > 『バカンダラゲ!』

だったんだよー!! щ(◎д◎щ)

大大大  「……」
857名無しさん@ピンキー:2007/04/04(水) 02:13:38 ID:ly7GB71p
埋め?
858名無しさん@ピンキー
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        /イl! /.|小从「}イ`Y′ ´j'-_「jハリ./イiハ: ト、
        ー'/ lハ小.ハ:V笊示ミ   '7筰:カラ.´} / .ハ:{ \
               /:l!|ハ トヽVュリ       辷ソ //}': /  ヽ
           /イ lハ :ヽト\   丶  イ/ムイ:/
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                   リ/´j!_}ムフ   /トl、
           ,、-、弋¨´:. :. :{__ __ __}:. :` ーァ-、_
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          }:..:..:..:.:..入    ' ト.Vリlj./ィ',.イ..:.|..:..:i:|
            ハヽ:.:.:.ノ.、:ヽ.__/トヽ! |'://..:..:..:|:.:..:l..l
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         【涼宮ハルヒ】谷川流 the 45章【学校を出よう!】
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