サムライうさぎでエロパロ

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840うさぎの子はうさぎ 6:2008/11/30(日) 16:22:00 ID:NFCnkO7b
月が照らす屋敷の縁側で、夫婦はしばらく座り込んでいた。
夜風の寒さが、より隣の人の体温を感じさせる。

「こうして二人になるのも、久しぶりだね」
「…うむ」
何気なく呟く志乃に、伍助がうなずく。
えへへ、と唇から欠けた歯を覗かせて、志乃が笑う。

夫婦の誓いをしたあの頃に戻ったような、屈託のない笑み。
良い笑顔だな、と伍助は思った。


仄かに香る椿油の香りが、その存在を確かめさせてくれる。
こんなに近い距離で志乃の顔を見ることもいつぶりだろうか。
久しぶりに間近でみる妻の顔は、あどけなく、それでいて美しかった。

「志乃」
「なあに?」

改めて、腕の中にいる妻の名を呼ぶ。
長らく呼ぶことの無かった、大切な人の名前を。
その響きを口にするたび、目の前にいる女性をたまらなくいとおしく感じる。

志乃が振り返ると、普段と様子が違う伍助の表情があった。
いつしか笑顔もなくなり、目の前にいる人の顔をただ見つめる。
心なしかその表情も熱っぽい。

月明かりの下で見つめあう夫婦の姿。
自然と二人の距離が縮まっていく。
「…あ……」

気が付けば、無意識に唇を重ねていた。
口付をほどき志乃を見れば、その眼差しはどこかぼんやりとしている。
そのまま志乃の背中に腕を回す。

自分の胸の中にじわりと生まれつつある相手への思慕。
この想いを身体越しに伝えられれば。
志乃を抱く腕に自然と力が入る。
841うさぎの子はうさぎ 7:2008/11/30(日) 16:22:40 ID:NFCnkO7b
優しい感触に包まれ、志乃は胸の奥から溢れ出るものを感じていた。
やがて志乃も、伍助の背中に腕を回す。

「今日…いつもと違うね」
「すまぬ。驚かせてしまったか」
「ううん…そういうわけじゃないんだけど…」

「何だか急に、抱きしめたくなってしまった」
「……」
「ミツキにばれたら、娘が家を出る日に何をしてるんだと、きっと怒られてしまうな」
伍助は自嘲気味に語った。

「…部屋に行こうか?」
伍助の衝動を拒むでもなく、志乃は言う。
予想していなかった相手からの提案に、伍助は息を呑んだ。

「きっとあの子も今日ぐらいは、許してくれるよ」
いつになく甘く聞こえる志乃の声。
伍助の頭は段々と、理性が働かなくなっていた。

「きゃっ!」

伍助は、座っている志乃を身体ごと前に抱きかかえて立ち上がった。
そのまま一直線に寝室へと向かう。
志乃は振り落とされないよう首にしがみ付く。
より互いが密着するような体勢になり、それが伍助の気持を一層逸らせた。

寝室に到着してすぐ布団の上に座り込み、二人は向かい合う。

己の鼓動が聴こえてしまうのではないかと思う程、伍助は興奮していた。
志乃の表情もまるで伍助にあてられたように上気づいている。
再び口付を交わす。
842うさぎの子はうさぎ 8:2008/11/30(日) 16:23:20 ID:NFCnkO7b
「……む、はっ……んぁ…」

唇の隙間から漏れる声が、互いの炉に薪をくべる。
水音と息遣いが、二人だけの濃密な時間を作り出す。

「ぷはぁっ……っ…はぁ…」

勢いが収まってくるのも束の間。
志乃の胸に伍助の手が重ねられる。

「…あ……」

衣服の上からやがて中へと、伍助の手が進入してくる。
志乃はなすがままにそれを受け入れる。
寝巻の前だけをはだけさせ、志乃は布団の上に横たえられた。

「…どうしたの?」
志乃に覆い被さった体勢のまま、伍助はただ志乃を一心に眺めていた。
行灯の明りに映える白い肌。控えめだが形の整った乳房。すらりと伸びた身体。
いつの間にか、女子から一人の女性へと変化を遂げていたことに気付く。

「そんなに……見ないで……。恥ずかしい…」
夫のいつになく熱い視線に堪えられず、つい言葉を漏らしてしまう。
「…オレに見られるのは嫌か?」
「そうじゃ、なくって…。なんだか、ムズムズする……」

既に二人の間には子供が居るにも関わらず、
初めて素肌をさらけ出すような気恥ずかしさを覚えてしまう。
先ほど名前を呼びあってから、二人ははかつて結婚したばかりの頃、
お互いの事ばかり考えていた頃の気持ちを想い出していた。

伍助は志乃の乳房に舌を這わせる。そして己の武骨な手で、すべらかな妻の肌に触れた。
志乃は夫の所作から感じる声を必死に抑えようとしている。
843うさぎの子はうさぎ 9:2008/11/30(日) 16:23:51 ID:NFCnkO7b
「……あっ、やあっ、…んっ!」
「……もっと、…声を聞かせてくれっ……」

「だ、って……部屋の外、に、漏れちゃ……」

「今は…オレと、志乃しか、おらぬ」
「は、あっ!!や、ひぁんっ!!」

理性の壁を突き崩され、志乃の嬌声が部屋に響いた。
夫に触れられる度、身体が理性と共に蕩けて行く。
よもや周りなど見えず、自然と大きな声を上げてしまう。

「…ごっちん……はやく……」
「もう、いいのか?」
「うん……ちょうだい………」

ねだる志乃の声。自分を抑えることが出来ないほどに、志乃は昂っていた。
伍助は己を濡れた秘所に当て、そのまま押し分けるように志乃の中へと入っていく。

「ひゃ、あ、ああっ!」
強張りが埋め込まれた途端、志乃の身体が跳ねる。


普段の落ち着きはなく、ただ貪欲に相手を求め、抽送し続ける。
互いに何を言葉にしているのか分かっていない。
意識の向こう側で、声と体温と匂いが混じり合い、相手の存在を認識する。



「…ごっ…ち…、ん…!ごっちん……!」
「し……の……っ……」
朦朧とする中、息も絶え絶えに互いの名を口にする。

程なくして、二人は達した。
伍助が志乃の中へ熱い滾りを放ち、志乃はそれを奥底で受け止めてゆく。

「は………ぁ、…あ………」
相手の脈動を感じながら、二人は暫くそのままの体勢で動かなかった。
844うさぎの子はうさぎ 10:2008/11/30(日) 16:24:16 ID:NFCnkO7b
事を終えた二人が、一つの布団に入っている。
契りの後の充足感と気だるさに包まれ眠りに落ちようとした時、
そっと聞こえてきた妻の声に伍助は呼び起こされた。
「ごっちん」
「…どうしたのだ?」
大切な人が、親しみを込めて呼んでくれる呼び名。
この言葉の響きだけで、何故こんなにも満ち足りた気持ちになるのだろう。

「…何でもない」
そう言いながらもどこか嬉しそうに、志乃は身体を寄せてくる。
その様子を見て、伍助は妻への愛しさを募らせる。

「…ミツキも、いい旦那さんに巡り会えるといいね…」
小さな声で零される志乃の言葉。伍助はどきりとした。

――オレは志乃のよき夫に成れていると、自惚れてもいいのだろうか?――

「志乃…」
返事はない。代わりにすうすうと寝息が聞こえてくる。
そのとても安らかな音と寝顔を起こさぬよう、そっと見つめる。

志乃と一つになり、伍助はふと思った。
思えばこれまでずっと、志乃に支えられてきたのだと。

志乃が笑顔を見せることのない日は一日とて無かった。
不器用だった自分は、どれだけ彼女の笑顔に助けられてきたか。
あの時摂津殿から縁談を持ち掛けられることが無ければ。
今となっては想像することすら出来ない。

「……オレは幸せ者だ」
妻の長い髪を梳きながら、伍助は独りごちる。

「あたしもだよ……」
寝ている筈の妻から声が聞こえ、伍助は慌てて腕の中を見る。
そこには目を閉じたままではあったが、優しく笑っている志乃の顔があった。



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――後日、
のちの旦那さん候補を家に連れてきたミツキと伍助との間で
一悶着が起こることになるのだが、それはまた別のお話。
845名無しさん@ピンキー:2008/11/30(日) 16:24:36 ID:NFCnkO7b
おわり。
親子の会話が書きたかった。
あと最終巻の大人志乃とミツキ可愛すぎ。
846名無しさん@ピンキー:2008/11/30(日) 22:10:39 ID:Sbq1v/d1
GJ!ミツキに叱られるごっちんかわええw
旦那さん候補すごく気になるぜ
847名無しさん@ピンキー:2008/11/30(日) 23:40:48 ID:2hlp9NTi
GJ!
大人志乃色っぽいな!!
子供も大きいのに新鮮で初々しい二人に萌えた。
声を上げさせようとするごっちん、エロいなー。
848名無しさん@ピンキー:2008/11/30(日) 23:45:40 ID:SyGd35HK
ごっちんかわいいよごっちん
849名無しさん@ピンキー:2008/12/01(月) 23:47:47 ID:8OUdwl+c
あぁ和む!じけっス!
やっぱりこの二人はいいなぁ・・・幸せで何よりだ
850名無しさん@ピンキー:2008/12/03(水) 16:51:19 ID:Ka4XrQf6
ところで次スレどうする?
容量が470KB超えたし
500KBになると書き込みが出来なくなるんだっけ
851名無しさん@ピンキー:2008/12/03(水) 18:04:34 ID:nA1WQUyA
へー、知らんかった。
でも建てても書き手がいてくれるならいいけどなあ。
良作品ぞろいだしここのも誰か保管庫作ってくれるとうれしいけど。
なんだろ、ジャンプ総合みたいなスレとかはない?
あったらそっちで、のような誘導するのもいいんじゃないか。
852名無しさん@ピンキー:2008/12/03(水) 21:21:02 ID:c5u1RglM
9割方完成している話があるので、次スレができたらそちらに投下したいです。
ちょっと長くなってしまったので、投下途中で間違って埋めてしまったら申し訳ないし、
半端に2スレにまたがるのも読みにくいと思うので。
とりあえず新スレの即死は防止できると思いますが、どうでしょうか。

補完庫>>505
853名無しさん@ピンキー:2008/12/03(水) 21:46:57 ID:nA1WQUyA
おお。補完庫見落としてた、ありがと。
まだ書いてくれる人がいるのならぜひ次スレを。
たのしみにしてる!
854名無しさん@ピンキー:2008/12/04(木) 02:40:37 ID:eVEgbErD
だな。次スレ欲しいな
自分もなんか投下してみたいし
855名無しさん@ピンキー:2008/12/04(木) 20:32:44 ID:mgW3WbER
もともと、レイプもの系がすきなので
ダークな反キクにがたまらんかった。

なので、自分でも反キク萌えしたので書いてみた。
ラブっぽいのにしようとして撃沈。orz
反キクエロ無し。
8巻「その後」時間軸でキクもある程度成長済。

次スレまで持ち越すほどのものでないので埋めがてら。
このスレで収まるといいんだけどもしダメだったら次スレに。
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「お前の顔を見るのもアキたんだけどな」
キクが金の取り立てにウチに通うようなって数ヶ月。
まとまった金が入る事もあるから、その時はどんと景気よく返せるが
ものの数日でまた借りに来るため、常に借金がある状態だ。

「あっちいなー、今日は!」
日が落ちかけているとはいえ、夏の盛りで風もない。
キクは言いながら手ぬぐいで首の汗を拭う。
「月末には返すって言ったじゃねーか、わざわざ来るなよ」
「アンタそう言っていっつも月末に家空けてどっか行っちまってるだろ。
オレだってこんな汚い家、来たくねえっての。
女が寄り付かねえのも分かるよ。
まったく、ちゃんと風呂には入ってんのかい?」
言いながらキクは手ぬぐいを投げてよこした。
ふと、手ぬぐいについた汗のにおいが俺とはちがっている事に気付いた。
「…なにやってんだよ、アンタ」
856名無しさん@ピンキー:2008/12/04(木) 20:34:00 ID:mgW3WbER
気がつくとキクの顔が目の前にあった。
くんくんと嗅ぎまわる俺を睨みつけている。
「タダでさえ暑っ苦しいのに、むさくるしい顔近付けんなって」
「香とかじゃねえよな…アレはキツくて大抵の女はあの匂いがして
嫌いなんだが、お前のは何だコレ?」
「…オレも香とかは嫌いだから何にも付けてねえよ」
「そうなのか?俺と匂いが違うから、ホラ」
俺は前をはだけてキクに嗅がせようとずいとつき出す。

キクは怒ったような困ったような顔をして俺の顔と俺の胸に目を往復させる。
「な、なんだよ、それ、嗅げってのか?」
「おう、匂ってみろよ、違うんだよ」
「アンタ…バカじゃねえの?」
そういいながらキクはすいっと顔を胸に近づけた。
「…汗臭え」
「な?お前とはちがうだろ?」
言いながら自分の胸元に顔を寄せるキクのうなじが目に入った。

白いうなじからばんだ肌がちらちら覗き、よりいっそう
甘ずっぱい匂いが立ち昇っている。

「嗅いだよ。もういいか?」
離れようとするキクの肩をつかむ。
「お前のももっと嗅がせろよ」
「…何いってんだよ」
覗きこむ俺と目を合わせないように
目をきょろきょろさせながらキクは真っ赤になっている。
首筋に顔を近づけ、すうと息を吸い込むと甘い香りが鼻をくすぐる。
うなじから耳の後ろ、耳をなぞるようにあご、首筋をたどる。
「分かんねえ…女ってのはこんな匂いがするもんなのか?」
俺のつぶやきの息が首にかかってくすぐったいのか、
キクはぐっと目をつぶってふるふると震えている。
「キク?」
真っ赤になって固まっているキクの首筋につうと汗が流れるのが見えた。
「汗が甘いのか?」
俺は反射的にその汗を舌で舐めた。
「…やっ」小さくキクが声を上げる。
「しょっぺえ。」
857名無しさん@ピンキー:2008/12/04(木) 20:34:34 ID:mgW3WbER
キクの肩から手を離して自分の腕についた汗を舐める。
「ヘンだなあ、汗はオレと変わらねえ気がするんだけどな。
なあ、キク、なんか、匂いの付くモン食ってんのか?」
ぺろぺろと自分の腕を舐めながらキクを見ると
キクが真っ赤になって肩を震わせている。
「どうした?」
「…気が済んだのか?」
「ああ、やっぱ分からねえってのが分かった」

「そうかい…そりゃ、よかったね…オレはアンタが分かんないよっっ!!!」
キクはそばにあった志乃の作ったうさぎの面を俺に投げつけ
引き戸が壊れるほどの音を立てて飛び出していった。
声をかける間もありはしない。

「お、おい、金の取り立てはいいのかよ…」
オレは呆然と出て行ったあとを眺めていた。

おわり。
858名無しさん@ピンキー:2008/12/05(金) 00:33:32 ID:gFoUF6Gu
GJ!だけど「埋めがてら」ってのは次スレ立てて誘導が終わってからするもんじゃないかなー
まだ余裕あるから大丈夫だったけど、心配なら何KB書いたか確認してから投下した方が安心だと思う
859名無しさん@ピンキー:2008/12/05(金) 02:49:29 ID:FwRRxKXQ
女心を何もわかってないのが反蔵らしいっスね!
860名無しさん@ピンキー:2008/12/06(土) 01:48:23 ID:DCmWlFJ0
自分含めまだ書きたい人がいるみたいなので立てた
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1228495642/l50
861名無しさん@ピンキー:2008/12/06(土) 03:01:10 ID:7iN71Ck2
乙であります
862名無しさん@ピンキー:2008/12/07(日) 14:01:00 ID:N2G7IdgE
863名無しさん@ピンキー:2008/12/07(日) 22:19:29 ID:Ir9lr/nz
マサツネ×ミツキを書こうかと思ってるけど、
1ミツキがマサツネに丸め込まれる
2ミツキがツンデレしながらせまる
どっちのがいいかなあ?
864名無しさん@ピンキー:2008/12/07(日) 23:51:20 ID:dsToMBSD
人に聞かず主が書きたい物書いてくれ

1は皆思い付きそうだからオレだったら2を書く
865名無しさん@ピンキー:2008/12/08(月) 00:14:45 ID:OulnrDp8
ツンデレ!ツンデレ!(AA略

その前にこっち埋めちゃいますか
866名無しさん@ピンキー:2008/12/08(月) 19:49:43 ID:tQ7U3jTR
伍助「うへうへ」
志乃「あんあん」
867名無しさん@ピンキー:2008/12/11(木) 23:34:05 ID:9jTmgsZ/
ごっちん1
ごっちん2
ごっちん3
ごっちん4
ごっちん5
ごっちん6
ごっちん7
ごっちん8
ごっちん9
ごっちん10
ごっちん11
ごっちん12
ごっちん13
ごっちん14
ごっちん15
ごっちん16
ごっちん17
ごっちん18
ごっちん19
ごっちん20
ごっちん21
ごっちん22
ごっちん23
ごっちん24
ごっちん25
868名無しさん@ピンキー:2008/12/11(木) 23:35:30 ID:9jTmgsZ/
869名無しさん@ピンキー:2008/12/11(木) 23:36:16 ID:9jTmgsZ/
870名無しさん@ピンキー:2008/12/11(木) 23:37:15 ID:9jTmgsZ/
871名無しさん@ピンキー:2008/12/11(木) 23:39:41 ID:9jTmgsZ/
872名無しさん@ピンキー:2008/12/11(木) 23:40:11 ID:9jTmgsZ/
873名無しさん@ピンキー:2008/12/11(木) 23:41:41 ID:9jTmgsZ/
874名無しさん@ピンキー:2008/12/12(金) 10:13:26 ID:inI3cd3b
キクちゃんて5歳だよね?
反蔵のは入るのだろうか
875名無しさん@ピンキー:2008/12/12(金) 12:37:23 ID:OmCny6Ul
創作ならば何だってできます><
876名無しさん@ピンキー:2008/12/13(土) 00:12:35 ID:Ax4kdgff
はいるんじゃなくて、いれるんだよ!ケツに手つっこんで奥歯ガタガタいわs
子供の細腕ならケツに手腕を入れられるかもなー
877名無しさん@ピンキー:2008/12/23(火) 22:17:09 ID:LhtCxJTs
878名無しさん@ピンキー:2008/12/26(金) 07:04:10 ID:o0xvdwPU
879名無しさん@ピンキー:2008/12/30(火) 22:55:29 ID:SteR3ujs
880名無しさん@ピンキー:2009/01/05(月) 20:16:44 ID:85Na4EOp
881名無しさん@ピンキー:2009/01/07(水) 15:50:42 ID:w9emKAPT
882名無しさん@ピンキー:2009/01/23(金) 20:03:26 ID:mwHFfH/a
883名無しさん@ピンキー:2009/01/24(土) 15:15:03 ID:KK17X05u
884名無しさん@ピンキー:2009/02/06(金) 03:01:26 ID:ZVnA1JnG
885名無しさん@ピンキー:2009/02/07(土) 22:48:35 ID:ISHotYVY
随分長いこと書き込めなかったけど、辛うじて規制解除されたみたいなんで
投下してみる。
886うさぎのきもち 一:2009/02/07(土) 22:49:29 ID:ISHotYVY


本日も晴天なり。
元々寝付きも寝起きも大層良いミツキは、朝から上機嫌で部屋の掃除を手早く済ませてしまうと
食事もそこそこに出掛ける支度をしていた。
父親と同じように道場を開こうと一念発起して以来、街中の道場を回っては腕試しとばかりに試合
を挑むこと数十回。生意気な小娘だと思われて邪険にされることも慣れた。その中で試合に応じる
道場があれば少しでも腕を磨き、実力を知らしめることが何よりも重要なことになっていた。
これはミツキが自分で決めたことなのだから、既に世の中を変えた英雄扱いされている父親の名
前を出す訳にはいかない。
それだけを唯一の矜持にして、今日も約束を取り付けている道場に出かける予定にしていた。

「さ、これでいっか」
お天道様はもう高い。
土間の脇の桶から水を掬って一口飲むと、気合いを入れる為にぴしゃっと頬を叩いた。
「…まぶしっ」
引き戸を開けると、途端に眩しい日差しが目に飛び込んでくる。今日もいい日になりそうでわくわく
した。
「あ、おはよーミツキちゃん」
すっかり身支度を整えているミツキとは逆に、今起きたばかりのような寝惚け顔を出してきたのは
隣に住むマサツネ。父親同士には何かと因縁があったらしいが、そんなことはもう昔の話だし二人
とも知らないことだ。
887うさぎのきもち 二:2009/02/07(土) 22:50:24 ID:ISHotYVY
「おはよう、なんか昨日は遅くまでごそごそやってたみたいね、また夜なべして頼まれものでも縫っ
てたんでしょ」
「んー…急ぎ仕事でもないんだけどさ、早く終わらせたくてさ。明け方までかかってた」
「へえ、頑張ってるねー」
「で、まだ日が昇らないうちにぶらぶら散歩してる途中でそこの角の家の隠居に捕まってさ。以前
ちょっとした繕い物請け負ったことがあったんで色々話してたら小屋の鶏が産んだ卵くれた。二個
貰ったんでひとつやるよ」
と、事も無げに言うなり寝巻きの袖から卵を取り出した。突然のことにびっくりして思わず辞退した
ミツキだったが、実は卵が大好きだった。両親はミツキが生まれた頃から庭に鶏を飼っていて、そ
の卵は時々口に入るだけの御馳走だったのだ。
「え、いいよいいよ。アタシ」
「だーってさ、最近ミツキちゃんも忙しそうだし禄に飯食ってないみたいだったから気になってさ。そ
の辺の煮売りの惣菜だけじゃ力つかないぜ」
「う…」
「遠慮なんて、らしくないって」
もじもじと袖から出ている手が取られ、半ば強引に卵を握らされた。ずっと袖の中に入っていたのか
ほんのり温かい丸みが何だか嬉しくなった。
「んー…じゃあ有り難く」
「そ、ミツキちゃんはそうやっていつも元気でいればいいよ」
にかっと笑う顔が朝日に映えて眩しい。もしかしたら卵を渡す為だけに起きてきたのかと少しだけ申
し訳ない気持ちになった。



「…何かいつも励まして貰ってばっかりだね。アタシ情けないなあ」
「なに言ってんの、そんなことないって」
俯きかけていたミツキの顎がぐいっと上げられた。驚いて目を見開くとマサツネの顔が近付いてきて
唇がちょっとだけ触れた。
「今の、何?」
卵を落とさないようにしっかりと握ったまま、固まってしまったミツキは心底それがどういうものなの
か分からなかった。両親でさえしているところを見たことがない。マサツネもあまり良く理解していな
いようできょとんとした顔をしている。
「ウチの親から西洋の挨拶…って聞いた。なんかミツキちゃんにやりたくなってさ」
「あ、そ、そう…挨拶ね。ならいいや」
顔が赤くなる暇もないほど色々考えたのが馬鹿みたいで、ミツキはぶんぶんと頭を振って気持ちを
切り替えようとした。
「あー…そろそろ行かなきゃ。卵ありがとね」
「ん、そだね。行ってらっしゃい」
さっきのことが特に何でもないことのように、マサツネは軽く手を振った。やはりそう深く考えることで
もなかったのだと思うとちょっと残念だったのは、気のせいなのだろう。
「じゃ、行くね」
照れ隠しに乱暴に言い放って駆け出すと急に頬が熱くなったが、それは見られずに済んだようだ。
もしかしたらもしかして『ろみおとじゅりえっと』みたいなものかなと知識的に多少間違っていることを
考えたりもしたのだが、それもすぐにこれからの試合のことで頭が一杯になってしまった。
ミツキにとってはまだ色々と早いことが多過ぎる。



終わり
888名無しさん@ピンキー:2009/02/07(土) 22:57:28 ID:ISHotYVY
途中の☆は気にしないでくれ。
個人的な段落の印なんで大した意味はない。
これまで何度か投下してたけど、数ヶ月規制があったんで何も出来なかったのが
もどかしいばかりだ。
889名無しさん@ピンキー
おおおGJ! ほんのり気味な作品が。
やわらかいふたりの感情がいいなあ。
マサツネもいまいち理解していないwのが憎らしくてイイw