「ジグロ、また降ってきたみたいだよ」
薪を持てるだけ持って洞窟の奥に作られた部屋に入ってきたバルサは、姿の見えないジグロに声をか
けた。
囲炉裏の傍にいないということは、中二階のような位置にある寝床で横になっているのかもしれない。
洞窟の中に作られた部屋は、所々岩が大きく出っ張っているところがあり、そのうちのひとつをジグロ
は寝床に使っていた。
そこで反応するような気配があった。
「冷えてきたから、もう少し薪をくべておくね」
黒く小さくなった炭を中央に寄せその傍に新しい薪をくべると、パチパチと音を立てて火花が小さく散った。
ジグロは寝床からそこから降りてくる様子は無い。
もしかしたら本当にもう寝ているのかもしれない、と、足音を忍ばせてジグロの寝床に近づくと、殆ど布
切れのような布団に大きな身体を横にして眠っている姿が見えた。
長く逞しい手足。
厚い胸板。
顎に無造作に生えた髭。
そっと近づき向かい合って横になる。
目の前にある胸に手を伸ばし、呼吸に合わせてゆっくりと揺れる厚い胸板に触ると、ジグロの命を感じ
ることができた。
685 :
雪の夜:2008/06/25(水) 20:57:27 ID:7jt9jHHV
最後に一緒に眠ったのは、もう随分昔のことだった。
あの頃は、一緒に歩いているときは届かないジグロの胸を、一緒に横になって触れるのが好きだった。
自分の胸に触れ、ジグロの胸に触れ、どちらも同じリズムで動いているのを感じることが好きだった。
下の囲炉裏の傍に置いた灯りがここまで届いて、ジグロの顔に薄く影を落としている。
出会った頃から十年以上が経った。
自分が少女から大人の女に近づいたように、この男の上にも平等に十年が通り過ぎていた。
その十年という長い月日が落としていった影のような皺に触れる。
胸の奥が痛んだ。
「別れよう」
そう言ったのは本心からだった。
もう自分のために彼に人生を浪費させたくない。
故郷も、家族も、誇りも何もかもを失わせ、今更遅いのかもしれない。
しかし彼にも彼の人生を生きる権利がある。
あの日彼に命を救われた自分のように。
だが、もうひとつの本心は、奥深くに潜む醜く自分勝手なもうひとつの自分は、彼に「否」と言わせたい
と思っていた。
自分がそう思うように、「一緒にいたい」と言って貰いたかった。
自分がそうであるように、自分を想ってほしかった。
想っていると言ってほしかった。
そんなこと、あるはずも無いのに。
バルサは起き上がり、赤い上着を脱いで薄明かりの下にさらけ出された自分の身体を見下ろす。
成長した「女」の身体。
長い手足は少し肉付き、大きく膨らんだ胸に自分で触れると、柔らかく指の形にへこんだ。
もう一度横になり、そっとジグロの胸に身体を寄せた。
「ジグロの子供を生んであげるよ」
そっと呟き、無骨な手を取って自分の胸に押し当てる。
触れた場所はかぁっと熱くなる。
その手が反応して、自分を嵐の中に巻き込んでくれるなら、どんなにいいだろう。
この手に激しく揺さぶられ、堕とされ、翻弄されたい。
この手に痛みと羞恥と快感とを与えられたい。
私の胸を揉みしだき、乳首を噛んで。
尻を激しく揺さぶり、両足を広げて、ジグロで私を貫いて。
痛くてもかまわない、何度も何度も貫いて、私が何も分からなくなるまで私を貫いて、私を壊して。
愛して。
ジグロの手の上から自分の手を押し当て、ゆっくりと動かす。
指が色の薄い乳首をこすった瞬間、火花が散るような感触。
もう一度、その指を乳首に触れさせると、今度は下半身が疼いた。
ジグロの手を開放し、自らの指をそっと下着の奥へともぐりこませる。
泉は蜜があふれ出し、指を動かすたびにぬちゃぬちゃと音を立てた。
空いているほうの手をそっと伸ばし、服の上からジグロ自身に触れる。
大きなそれは、それは眠っている本人を示すようにふにゃふにゃと柔らかかった。
ジグロは私を抱いたりはしない。
自分が一糸纏わぬ姿になって、彼の前で淫靡な姿を見せても、決して情熱を見せたりはしない。
そんなことは分かっている。
でも自分が望むのは、彼に言うことができない望みは…。
自分の泉にそっと中指を滑り込ませる。
思ったよりも簡単に入り込んだ指が、自分の意思を無視して激しく何度も奥へ奥へと往復する。
熱い。
気持ちいい。
この指は、ジグロの指だ。
ジグロのごつごつした指が、私のあそこに入り込んで、いやらしい動きをしている。
もう一本、薬指も私を犯し始める。
二本の指が私の中をぐちゃぐちゃに犯している。
中で鍵形にうごめかせ、快楽の壷を押し続ける。
指じゃない、この二本の指は、・・・ジグロの・・・。
そう思った瞬間、蜜が止め処なく流れ出た。
その蜜で濡れた親指でぷっくりと膨れ上がったつぼみに触れると、全身が雷に打たれたようになった。
ジグロが私のつぼみに触れている。
ジグロが私を犯している。
激しく、びちゃびちゃと音を立てて、私を壊そうと犯している。
もうだめ、我慢できない。
上り詰める。
もっと、もっと犯して。
もっと奥まで!
ジグロ!
ジグロ…!
688 :
雪の夜:2008/06/25(水) 20:59:23 ID:7jt9jHHV
ふと気がつくと、目の前で先ほどと同じようにジグロは寝息をたてていた。
立ち上がると、股を淫らな蜜が流れ落ちた。
急に気恥ずかしくなり、囲炉裏の部屋を抜けて、下着姿のまま狩り穴の入り口へ向かった。
雪は相変わらず全ての音を吸い込んで降り続き、世界は黒と白に染まっていた。
「ごめん、ジグロ・・・」
雪が自分も消し去ってくれればいいのに。
言えずに終わるであろうこの想いと一緒に、何もかも消してしまいたい。
「愛してる」
この苦しみも、憎しみも、愛も全て。
689 :
雪の夜:2008/06/25(水) 21:00:43 ID:7jt9jHHV
「バルサ、寝る前にお茶でも飲むかってタンダが」
元気な声を出して、チャグムがバルサを呼びにきた。
ふと十年の時を戻されたバルサの顔を、チャグムが不思議そうに覗き込んだ。
何もないよ、と、その頭に触れると、チャグムはうれしそうに小走りで部屋へ戻っていく。
あの冬と違い、今年の冬はなんて賑やかなんだろう。
穏やかで、暖かな日々。
風も無い夜に降る雪は、この世界の音を全て消し去る。
あとでチャグムに教えてやろうと、バルサは洞窟の奥へと戻っていった。
終わり
(´・ω・`)途中何回かタイトル入れ忘れたお
すまんかったお
リアルタイムで660たんキタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!!!!!
ありがとう!素敵なジグバル御馳走になるよ!
691 :
腕の中:2008/06/25(水) 21:37:50 ID:7jt9jHHV
(´・ω・`)
ジグロsideいくお!
小さく震えて、女が果てる。
いくらかの沈黙の後、やがて小さく寝息が聞こえはじめた。
快楽の後に訪れる眠気に負けたのだろう、そっと目を開けると女は下着姿のまま眠りに落ちていた。
俺が目を覚ましたらどうするつもりだったんだ、と少し呆れる。
こんなことをして、俺が目を覚まさないとどうして思えたんだ。
俺が目を覚ましていると、気づいていたのか?
それとも、そこに考えが及ばない程にお前はこんなことをしたかったのか。
下着の上から見える美しい身体。
出会った頃は棒っ切れのような子供だった。
この十年を全て受け入れ、今では誰が見ても女の身体だった。
柔らかな唇、大きな胸、なだらかなカーブを描く脇から腰、そして尻までのライン、美しく伸びた手足。
自分でもよく耐えたものだと笑いたくなる。
まさか触られると思っていなかったから、危ないところだった。
今更ながらにこの美しい身体が自分のために淫らなことをしたと思うと、年甲斐もなく身体が熱くなる。
いっそ応えられたなら。
手を伸ばし、この女を抱けたなら。
その髪も目も唇も、自分のものにできたなら、どんなにいいだろう。
いつかの老女の声が聞こえる。
「娶ってしまえばいいじゃないか」
何をふざけたことを言っているかと思った。
「あの子を鬼畜の道へ堕とすより、そのほうがいくらかまともってなもんじゃないか」
「親子程年が離れている」
「親子程年の離れた夫婦なんてそこら中に山程いるじゃないか。本当の親子じゃないんだし、あの子も
そう望んで」
「望んでなどいない。いるとしたらそれは間違いだ」
それは罪だ。
自分に娘を預けた友を裏切る。
その娘を守ることに全てを賭した自分を裏切り、その身を自分に任せたこの娘を裏切る。
何もかもを裏切るものだ。
咎人の最後の自尊心だった。
愛しいお前をこれ以上の罪に堕とさぬために。
愛しい娘。
こんなことをするお前も愛おしい。
お前の何もかもが愛おしい。
お前が思うより、あの老女が思うより、もっと俺はお前を愛しく思っている。
愛しい女。
693 :
腕の中:2008/06/25(水) 21:43:20 ID:7jt9jHHV
終わり。
(´・ω・`)
よりによって本文にタイトル入れ忘れたお。(´;ω;`)
そんでもってエロなしだお。
さっきのバルサ自慰書いて、ジグロが目を覚まさないはずないしって思ったんだお。
でもおいらの中のジグロたんはバルサたんに手を出す鬼畜にできなかったんだお。
吊ってくる〜
(´・ω・`)
GJ!
660さんのSS、タンバルもジグバルもどっちも切なくてすっっごい好みだ…!
やっぱりジグロにはバルサの庇護者としてのスタンスを
崩してほしくないっていうのがあるので
なんかもうすごい理想的なジグバルだったよ!
ありがとー!!
695 :
名無しさん@ピンキー:2008/06/26(木) 07:05:22 ID:v/+Xr/EQ
夏夜 雪の夜 腕の中
しっとりしてていいよ
あんたに惚れたよ
いいもの読ませてくれてありがとう
696 :
名無しさん@ピンキー:2008/06/26(木) 07:59:03 ID:HmxBJ98g
GJ
切ない系好き〜
>>660 立て続けに投下乙!
どれも報われなさがたまらんな
ようやく660たんの作品全部読み終えた!
ラストのジグロサイドがかなりキタですv
萌える作品をありがとう、求めていたよ!
すごいレス増えてるから期待して開いたら,
期待以上だったよ。
すごい。すごい。
えろくてもえた。
700 :
名無しさん@ピンキー:2008/07/05(土) 10:50:03 ID:Ht20nuMX
ほっしゅほっしゅ
701 :
名無しさん@ピンキー:2008/07/10(木) 20:12:29 ID:TOjDmjOa
神〜からタンダバルサの親密さがうなぎ登りなもんで吃驚した
花の守り人よりあとは、あからさまだもんなあ。
タンダよく耐えたよ、偉いよ
703 :
名無しさん@ピンキー:2008/07/14(月) 17:00:44 ID:8BsGqr8D
花の守り人×
夢の守り人○
でもなんか花の守り人って俺もよく間違えるわ。
704 :
名無しさん@ピンキー:2008/07/24(木) 05:38:51 ID:uY+T6Oqf
タンダ、バルサの健康さが萌えにつながってるよね
健康さ?
706 :
名無しさん@ピンキー:2008/07/25(金) 20:55:01 ID:pm51+Qsb
>>705 よこしまじゃないところ。
だから恋愛関係のエロスをより強烈に感じるような感じないような。
あー、そういう意味か。
確かに守り人の中で一番自然というか健全なエロが成立するのって
その二人かな<タンダとバルサ
お互いを少なからず意識している男女であればいつ一線を越えても不思議はないわけだし
実際原作だとそういう関係だとにおわしてるし。
原作にあまり罪悪感を抱かずにエロパロが書けるカップリングだと思うw
バルサ絡みでジグロやチャグム相手だと血は繋がってなくてもやはり父と娘、母と息子
って感じで何か近親相姦してるような背徳的なイメージもっちゃうし。
まぁ二次創作の場合はその背徳さが逆によかったりもするけどね。
708 :
名無しさん@ピンキー:2008/07/27(日) 18:06:27 ID:yLwxJ3O8
罪悪感持たないで妄想できるタンダバルサを好む漏れはかなりコンサバティブっつーことね
背徳さあってのカプのが燃えるのに・・・
世間はオフィシャル的な関係がいいのか、残念
タンバルが本命だけど
チャグバルもジグバルも着流バルも好きだ
別に自分の好きなように萌えればいいじゃないか
711 :
名無しさん@ピンキー:2008/08/05(火) 06:15:05 ID:1WbfCy4E
チャグム立派になって…
712 :
名無しさん@ピンキー:2008/08/13(水) 22:06:03 ID:/lCLwO8K
だったらageちゃえよ!
713 :
名無しさん@ピンキー:2008/08/21(木) 19:50:22 ID:Jtoqs7wz
再放送も佳境?
明日コミック3巻の発売日だね。
今日あたりどっかに並んでるかな。
714 :
名無しさん@ピンキー:2008/08/27(水) 15:29:38 ID:lI9ijE/Z
ノーマルも801も女体も好きな腐兄が通りますよ
いつもはタンバル・チャグバル好きなんだが
女体チャグム×ジンのCPをふと妄想して一人で萌えてたよ
まあ女体は好き嫌い分かれるからあまり言わないでおくよ
715 :
名無しさん@ピンキー:2008/08/27(水) 15:31:16 ID:lI9ijE/Z
ジン×女体チャグムのまつがいですた
でもチャグム攻めも萌える
716 :
名無しさん@ピンキー:2008/08/28(木) 22:46:49 ID:vB9hsJpK
チャグム×バルサ……子供の特権駆使してあんなこ(ry
717 :
名無しさん@ピンキー:2008/08/31(日) 19:24:49 ID:aLkFvHab
若者チャグムとバルサ(天と地あたり)でも萌えじゃないか
流れ行く者を読んだんだがラストのジグロの親っぷりに激しく燃えた
そしてアニメ版のロリバルサで想像してもっと萌えた
傷を調べる手が震えていたり悲鳴を上げるバルサを強く抱きしめたり
エロでもエロでなくてもこの二人はいいよね
背徳的な二人・・・たまりませんね!
エロも、混沌とした想いが募って、過ちの末という展開で想像できる。
ジン×バルサはないのか?
チャグムバルサ マダ〜チン
チャグム×サンガルの姫って無いのかな
724 :
名無しさん@ピンキー:2008/10/06(月) 21:08:36 ID:O5CNdHmt
もうここは私が書くしかないのか…?
725 :
名無しさん@ピンキー:2008/10/06(月) 22:09:30 ID:svds44/n
はい、そのようです。是非書いてください。
726 :
名無しさん@ピンキー:2008/10/16(木) 20:15:32 ID:/IG8GHXb
地上波終わってみんな忘れちゃったの?
狩穴にて
バルサ「…どうしたらいいんだろうね。あんた、いい薬持ってるかい?」
タンダ「おっ、おっ、俺の注射で(ry」
バルサ「…期待しておくよ」
タンダ(&チャグム)「えっ!?」
すんません、すんません、すんm(ry
728 :
名無しさん@ピンキー:2008/11/08(土) 06:05:06 ID:LHSgUr5a
あげ
アニメ板は盛り上がっているのにage
シュガ・ジン×チャグムCPに腐女子が入れ食いになると思ったのにならないな。狩人も食いつかないなんて信じられん。
腐な同人小説 読みたいよ。
来年1月から獣の奏者アニメ化するそうな。
自分はみてないからどうにも言えないけど、ココでエロパロOKにするのかな?
732 :
名無しさん@ピンキー:2008/12/06(土) 00:20:29 ID:PmChT8P3
上橋作品だし、全然おっけーでしょう。
733 :
名無しさん@ピンキー:
あげ