1 :
名無しさん@ピンキー:
SSスレのお約束
・指摘するなら誤字脱字
・展開に口出しするな
・嫌いな作品なら見るな。飛ばせ
・荒らしはスルー
・職人さんが投下しづらい空気はやめよう
・指摘してほしい職人さんは事前に書いてね
・過剰なクレクレは考え物
・作品に対する評価を書きたいなら、スレ上ではなくこちら(
ttp://yuukiremix.s33.xrea.com/chirashi/)へどうぞ
スレは作品を評価する場ではありません
5 :
名無しさん@ピンキー:2007/02/26(月) 11:02:47 ID:6acRgU9B
〇SSスレの使用法
・作品投稿
・作品感想・誤字等の指摘
・ネタ・プロットの投稿
・アイデア・プロットの組み上げ
〇SSスレのお約束
読者諸兄へ
・作品や保管庫更新の過剰な催促はダメ
・職人さんが投下しづらい空気にするのはやめよう
・つまらないと思う作品はスルー、展開は見守りましょう
・作品批判や各個人への中傷は禁止
・作品に対する個人的な評価は、このスレでは不要です。評価・批判を書くなら
こちら(
ttp://yuukiremix.s33.xrea.com/chirashi/)へどうぞ
作者さんへ
・長編はトリップ使用を
・投稿の前後には「投稿します」「投稿終わり」の一言を(割り込み防止)
・作品に対して、何も指摘してほしくないときは事前に書いてね
・嫉妬・三角関係・修羅場系の範囲内で、人を選ぶような展開になりそうな場合は
最初に宣言するのを推奨(グロ、スカ、調教、NTRなど)
〇その他お約束
・sage進行でお願いします
・次スレは450KBの時点で立てよう(番号の付け方は立てる人の自由)
.........._________________________
||
|| お約束 【 荒らしは無視・放置 】 しましょう。
||
|| ★ 荒らしは放置されるのが一番苦手です。
|| → ウザイと思ったらそのまま放置!
|| ▲ 放置された荒らしは煽りや自作自演であなたのレスを誘います。
|| → 釣られてレスしたらその時点であなたの負け!
|| ■ 反撃は荒らしの滋養にして栄養であり最も喜ぶことです。
|| → 荒らしにはエサを与えないで下さい!
|| ☆枯死するまで孤独に暴れさせておくのが一番です。
|| ∧ ∧ 。
|| ( ,,゚Д゚)/ ジュウヨウ!! E[]ヨ
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ノ つ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
>>1 乙カレー
新スレは荒れなければいいんだが・・・
乙。だが、関連スレくらいは直してくれ
>>1乙。
で、だ。
皆は作者の方々の作品を読む用意はいつでもできているのか?
たぶん投下するタイミングを掴めなかった作者の人もいたと思うぞ。
やや地獄の作者、もう1週間も来ていないな。正直続きを楽しみにしているんだが。
作品自体は誰も文句を言ってないんだしな。
一週間でそんなこと言うなよ
そんなこと言いだしたら、赤い瞳だろうがノントロだろうが山本君だろうが…やめよう
一週間程度でどうこういうなんて……。
なんて、贅沢なんだ!!
他スレでベルゼブブ待ってるヤツらを考えてみろ。
まぁ、荒れるのは勘弁。温和に行こう
そういえば、2月に投下するっていう神々、いっぱい居たな
神が帰ってきますように・・
ってか、短編でいいからお前らも書け!!
つーか黙って待ってろ
/\___/\
/ / ヽ ::: \
| (●), 、(●)、 | / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| ,,ノ(、_, )ヽ、,, | < ま〜た始まった
| ,;‐=‐ヽ .:::::| \_______
\ `ニニ´ .:::/
/`ー‐--‐‐―´´\
荒らしはスルー、これに反応するやつも同じ荒らしと考えるべし
つーかここまで言っても荒れるから同一犯の可能性もあるからな
幸せ兎の一生
前のご主人様に捨てられて、私はダンボールの中に一人きり
雨が降って、私はずぶぬれ・・体中が寒くてたまらないの
もう、死んでしまうのかと思っていたのに
ふいに助けてくれた、秀樹さんの温かい腕。
私はずっとずっと忘れません。絶対に
秀樹さんは私に『ティセ』という名前を付けてくれました。
ティセは秀樹さんとずっと一緒に居られて幸せです。
秀樹さんのことは大好きです。本当に大好きなのですよ。
だから、神様。
ティセのお願いを聞いてください。
私、人間になりたいの。人間になりたいんです。
人間になって、秀樹さんに寄ってくる女を殺したいんです!!
私の大好きな秀樹さんの恋人である・・前のご主人様の首を
この手で切り裂いてあげたいんです!!
ねぇ?
前のご主人様・・
今度は、私があなたから大切なモノを奪います!!
23 :
名無しさん@ピンキー:2007/02/26(月) 19:12:38 ID:a4cEHzlz
WRYY
嫉妬スレSS開始と現在
,'´ `´ヽ
ノリ(((^^)))、
(((( T-Tノ(!
ノ!(つ旦と) .'´ ヽ
.../\ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄\ノj从/メ从ヾ
/+ \__(;゚;;) ____从つД`リゞ
〈\ + + + + + +とi .)
\ \___,/'´  ̄ ヽ _ ノヽ __ヽ
`、___ソl (从从)〉_(,, 〇)____〉
ヾ| l|TДTノl ヽ)ヽ)
,ノヽ)△cソし
__
|\____ヽ
| |====B=| < 住「神はきっと投稿してくれる。信じてるもん」
|\|___l__◎..|ヽ ……
.. | | ̄ ̄ ̄ ̄| 神「少しでもいいんです、ネタを恵んでください」
.. \| |〜
ttp://nov.2chan.net/24/src/1172402099959.jpg
25 :
名無しさん@ピンキー:2007/02/26(月) 20:57:41 ID:wjYLNdzt
せっかく来てもトライデントしか投下してないのは萎え。
こっちはおまえなど楽しみにしてないっての
私は何ていやな女なんだろう。
ある寒い冬の日、大好きだったお姉ちゃんが死んでしまった。 交通事故でした。
其の事で物凄く悲しいはずなのに、それなのに心の片隅で喜んでいる自分がいました。
何故ならお姉ちゃんは私にとってずっと越えられない壁でもあったから。
私には大好きな人がいます。
一つ年上の幼馴染のおにいちゃんで小さい頃からずっとずっと大好きでした。
でもおにいちゃんは私を幼馴染や妹みたいな存在としてしか見てくれませんでした。
何故ならおにいちゃんはお姉ちゃんの事が好きで
お姉ちゃんもおにいちゃんの事が大好きだったからです。
二人は恋人同士だったのです。
だから、私が入り込む余地なんて無かったんです。
身内って時に不便で不自由です。
いっそ赤の他人だったら憎む事も出来たのに。
でもお姉ちゃんの事も好きだったから憎む事なんて出来ませんでした。
そんなお姉ちゃんが事故で死んでしまいました。
大好きなお姉ちゃんが死んでしまって悲しい。
反面これで邪魔者が消えてくれたと喜んでる自分がいます。
我ながら酷い女だと思います。
そして、そう思ってたのはどうやら私だけではなかったようです。
おにいちゃんははっきり言ってもてます。
二枚目で優しくて成績も良くて、そんなおにいちゃんだから
お姉ちゃんと付き合ってたのに何度も告白されたりラブレターを貰ってました。
そして当然の事ながらそれらは全てきっぱりと断わってました。
だっておにいちゃんにはお姉ちゃんがいたんですから。
でも今お姉ちゃんはいません。 事故で死んでしまいましたから。
そしてチャンスとばかりに今まで思いを秘めていた女の子達は告白しました。
ですが私は焦りません。
だってどの女の子の告白も実りませんでしたから。
当然でしょう。 おにいちゃんにとってお姉ちゃんがどれだけ大きな存在だったか
誰よりも私は良く知っていたのですから。
更に言えば未だ喪が明けても四十九日も経っていないのですから。
そしてそれが過ぎてからもおにいちゃんは断わり続けました。
だから私は焦りません。
少しづつ少しづつ、おにいちゃんの心が癒されるのを待ちます。
幼馴染の、そして大切な恋人を――姉を失ったと言う共通の痛みを抱えると言う
アドバンテージを活かして少しづつ距離を詰めます。
焦らず急がず着実に……そうすればおにいちゃんの心は私のものです。
他のどんな泥棒猫がよってきたって焦る必要は有りません。
むしろ玉砕する様は見ていて胸がすきます。
諦めきれず強引に詰め寄っておにいちゃんの逆鱗に触れて怒鳴られた時など
其の泣き顔に満たされる思いです。
あの日もそうでした。
身の程知らずな雌猫が告白を断わられたのにしつこく詰め寄って
おにいちゃんに怒鳴り返されました。
そして自分が悪いくせに泣きべそかいて走り去っていきました。
いい気味です。
そう思ったときでした。
一人の女がおにいちゃんの前にやってきて問答無用でおにいちゃんの頬を引っぱ叩きました。
其の女は先ほどの雌猫の親友で、親友の告白が無碍に断わられたのが許せなくて
それで引っぱ叩いたらしいとのことですが知った事では有りません。
そんな身勝手な理由でおにいちゃんを傷つけるなんて許せません。
その場で私と激しい口喧嘩になりました。
結局チャイムの音になし崩し的にうやむやになってしまいました。
はっきり言って物凄く気分悪いです。
そして事態は不快と言うだけでは終わりませんでした。
翌日女は昨日の非礼を詫びにきました。
私は当然許すつもりなんて有りません。
ですが、おにいちゃんはあっさりと許し挙句頭まで下げました。
そして、嫌な予感が私の体を駆け抜けます。
今までの下心丸出しで近寄ってくる雌猫なんて怖くもなんともありませんでした。
ですが、この女は危険です。 危険な気がします。 危険な存在になりうる予感がします。
そんな危機感が私に例えようも無い不安な気持にさせるのでした。
スレ活性化のカンフル剤にでもなればと勢いだけで書いて投下しました
続きは未定です
続き書きたい方リファインしたい方
いらっしゃったらご自由に
>>29 いや、これは君が続きを書くべきだろう。常識的に考えて……
GJ!
なんというブツギリ…
続きが気になって仕方がなくなってしまった
このSSは間違いなくスレを活性化させる
良い流れですね
俺も投下しますよ
クラウンは軽く伸びをすると、ユマに手を差し延べた。
しかし、
「結構ですわ」
それを払い、自分で立ち上がる。儂がされた訳では無いが、礼儀知らずなこいつの態度
に腹が立った。こいつは昔からそうだった、何があろうとも他人の手を借りようとせずに
全て自分で解決をしようとする。まあ、儂もそうなので人のことは言えんが、見ていると
腹が立って仕方がない。それに先程の喧嘩の原因もそれだった。最近は魔物が増えてきた
から対策を話し合っていたというのに、こいつは自分一人でも充分などと抜かし、怒鳴り
つけてきた。それだけならいつもと同じだから構わなかったが、魔物の見方をする女など
と言われては後に引けなかった。確かにクラウンがチャクムとタックムを引き取ると言っ
たときには賛同もしたが、守護役として働いている自覚を持っていない訳でも、忘れた訳
でもない。それに、その後でユマは……いかん、思い出したら余計に腹が立ってきた。
「クリヤ、この後暇か?」
いきなり振り向かれ、問われて一瞬言葉を失った。
「ユマも、今日は休みだろ? 鎧着てないし」
言われて今頃気付いたのか、ユマは頬を赤く染めて下を向いた。普段から常に鎧を着て
いると思われたのが恥ずかしかったのか、野暮ったい私服の姿を見られたのが嫌だったか
儂には分からんが、どちらにせよ成人した女が簡単に見せて良いものではない。
それは置いておくとして、どうするかのう。
今日の残っている仕事といえば、急に魔物が現れでもしない限りは簡単な報告書だけ、
提出する相手も母上だから家に帰った後でも大丈夫じゃな。それにクラウンからの誘いも
珍しいし、蹴るのも惜しい。恋人ではないと言ってはいるが、ササの為に普段から忙しく
働いているこいつと何かをする機会は殆んど無い。
それに、過去に何をしていたのかも少し興味が沸いた。
最後の打ち降ろしによる一撃、あれを止めることが出来たのは信じられなかった。勿論
寸止めするつもりで力を少し抜いていたが、それでも手を抜くことはしなかった。だから
受け止めることは愚か、普通なら割り込むことも出来なかった筈だ。竜眼の力は基本的に
見切りと遠視、だがそれだけで解決出来るものではない。それは空を駆けるときに使う力
で、ここまで出来るものではないからだ。それに、色も気になった。普通の竜眼は深い緑
か青の筈だが、クラウンの眼は鮮やかな真紅に染まっている。
まるで、血の色のような。
「それじゃ儂は、奢らせて貰うとするかのう」
言ってユマを見ると、目を反らされた。
「仕方ありませんわ、予定も無いですし奢らせて頂きます」
素直なのか捻くれているのか、長い付き合いじゃがたまに分からなくなるのう。
「それじゃ、どこに行く?」
「『バンズヤン』で良いだろ、安くて美味い。量もある」
言いながらチャクムを背負うクラウンを見て、少し羨ましくなる。クラウンがではなく
チャクムが。儂も幼い頃、父上がまだ生きていた頃はユマと喧嘩をした後、力尽きた体を
背負われていた。厳しい注意とは逆に背中は優しく心地良くて、儂も父上に文句を言って
いたが内心は嬉しさで一杯だった。そう言えばクラウンと初めて会った日も最後は皆で竜
化をしたクラウンの背に乗ったが、あれが快かったのも思い出を重ねていたかもしれない。
思い出しながらクラウンを見つめていると、ササに睨まれた。ユマとは正反対で何とも
分かりやすい、会ってまだ幾らも経っていないのに何を考えているのかすぐに分かる。
「心配せんでも良い、取ったりなどせんよ」
思えば、初めて会った日からササは皆に嫉妬をしていたような気がする。
「なんとなく気になったんじゃが、二人はどんな感じで出会ったんじゃ?」
儂とユマが幼馴染みだということは母上達から聞いているらしいが、こいつらの関係を
はっきりと聞かされた覚えが無い。ササの竜害を何とかする為に二人で旅をしていたのは
ここに入るときに聞かれたが、それ以前の根本的な部分は全く知らない。書類の上では、
只の二人組ということになっている。夫婦でもなければ、兄妹でもない。クラウン本人が
恋人でもないと言っている以上はその線も無いと思うが、ならば何故こんなにも一生懸命
にササを助けようとしているのか。
集落などを組んでいるならば話は別だが、半竜はまず他人を気にしない。正確な表現を
するのなら、気にする余裕など存在しない。人間からも竜からも迫害を受けることが多く、
それを嫌がって野宿をすれば魔物に襲われる可能性がある。そうなった場合でも誰かが助
けてくれる筈もなくて、自分一人の身で退けなければいけない。旅をしていたからには、クラウンも例外である筈は
ないと思うが、しかし実際の行動は違う。
何が、あったのかのう。
「それは私も知りたいですわね」
儂とユマに見られ、少しクラウンを見た後でササは頷いた。
「あのね、私は昔用心棒をしてたのよ。学校にも行けなかったしまともに働けなかったし、
竜害が発症するのを覚悟でね。それしか生きる方法無かったし」
いきなり重い話だのう。
隣を見ればユマも真剣な顔をしているが、ササは気遣いをしたのか苦笑を浮かべ、顔の
前で軽く手を振った。空気を悪くしたくないらしく、儂もそれは同じなので先を促す。
「それでね、ガリヤ地方を旅してたときに山賊に出会した訳。大変だったわよ、合わせて
三十人は居たのかな? もっと居たかもしんない。追われたあたしは必死に逃げたの」
成程、あっちの方は異種族反対派の人間が多いし、本当に大変だったのだろう。半竜や
魔物は元より、竜族をも迫害をするらしいと聞いている。何故このギリィの町のように皆
仲良く出来ないのかと疑問に思うが、儂らには理解出来ないものがあるのかもしれない。
昔から言われている問題、竜族と人間の差だ。
「それでね、逃げてたらクラウンと鉢合わせして」
「何を話してるんだ?」
「クラウンと初めて会ったときの話。懐かしいわね、あのときクラウンも逃げてたのよね」
二人には悪いと思うが、その光景を想像して思わず吹き出しそうになった。二人で大群
に追われて逃げながら、正面衝突。本人達は必死だったとは思うが、何とも間抜けな光景
に思える。しかし、普通に出会うよりは余程こいつららしいと思った。
「あのときのササの台詞も面白かったな。自分も追われているのに、『追われてるのね。
どう? 今なら安く助けてあげるわよ?』だもんな」
「馬鹿ですわね」
ユマは苦笑を浮かべて、しかし楽しそうに言った。
「その後で二人で協力して山賊をシメて、あたしの竜害をクラウンが見付けて」
助けてやるって言って、と言い頬を染めてササは俯いた。何とも奇妙な出会い方だが、
羨ましくなる。儂はこの町から仕事以外で出たことはないから、そんな体験をすることは
まず有り得ない。出会う相手といえば、クラウン達のような旅人といった僅かな例外を除
けば魔物だけだ。それも一瞬で終わってしまう程の、つまらない縁にしかならない。
「ササは、恵まれておるのう」
「うん、あたしもそう思う」
本当の意味は分からなかっただろうが、笑みを返された。
そんな意味でも、恵まれておる。
心の中で呟いて、『バンズヤン』に入る。中は相変わらず人が少ないが、流行ってない
訳ではない。ここは半竜の集落にある店なので、人間や竜の集落に比べて人口が少ない。
三つの集落が隣接してギリィの町が成り立っているが、仕事以外では基本的に他の集落に
行くことが少ないからだ。集落同士の仲は良いが、文化や精神的な違い、という差がそう
させる。儂は気にしないが、そういったものは確実に存在すると実感した。
店主殿に挨拶すると、気が付いた。
竜角が生えてるのう。
先日は竜翼だけだったが、これが生えてきたということは竜害が発症したということだ。
これも半竜だけの持つ他の種族との違い、そして決して立ち入ることが出来ない差だ。
席に着くと、クラウンが目を細めて儂とユマを見つめてきた。
「さっきは何で喧嘩してたんだ?」
食事に誘われたのも珍しいが、こうして尋ねてくるのはもっと珍しい。普段はどんなに
ユマと喧嘩をしても訊いてこないのに突っ込んでくるということは、母上達から何か言わ
れたといったところか。こんな気遣いをするのは良いことだと思うが、しかし儂にも絶対
に譲れないものがある。
「こいつが悪いんじゃ」
「へぇ、何をした?」
赤い竜眼の効果なのか、一瞬言葉に詰まった。
「こいつが、儂を侮辱した。儂だけではない、竜族全てを侮辱した」
いかん、また腹が立ってきた。
「この馬鹿は言うに事欠いて、儂をトカゲ女と言ったのじゃ!!」
誇り高き竜の姿をトカゲなんぞと言われたときの怒りといったら無いだろう。
「貴方こそ、私をサル女と言ったじゃありませんか!!」
「ふん、人間なぞサルと同じじゃ!!」
いや、躾ればまともになる分サルの方が幾らかマシかもしれんのう。
「ちょっと、アンタ達」
「黙れ半端者!!」
「亞人は黙って頂けませんこと?」
ササのこめかみから、何かが切れたような音がした。
「何よ!! 半竜の何が悪いのよ!!」
どいつもこいつも煩い、皆まとめて消し炭してやろうか。
口の中に炎を溜め、
直後。
「黙れ」
口の中に強烈な苦味が走った、クラウンが強制的に薬茶を流し込んできたせいだ。この
不味さは絶対に好きになれないが、今はこれのお陰で少し頭が冷めた。何をしておるのか、
と思う。守護役でありながら、我を忘れて町を破壊しそうになって。
「落ち着け、良い女は絶対に怒らないもんだ」
良い女、か。
「すまなんだの、礼を言う」
「気にするな」
言ってクラウンは薬茶を口に含み、笑みを見せた。
それにしても、何故こいつはんな不味いものをを美味そうに飲めるのかのう。以前から
不思議に思うとったが、これも赤い竜眼の効果じゃろうか。
今回はこれで終わりです
え?
『花束』?
すみません、もう暫く待って下さい
GJ!
久しぶりに半竜が見れたな、花束も楽しみだ
>>1乙
お久しぶりです。
投下します。
(前編)
その時、私たちの眼前で寝息を立てていた妹さんが、ようやく眼を覚ましたようでした。
「あ……れ……?」
「元気してたか美百合(みゆり)、これ、差し入れのバームクーヘン」
「……にい、さん? 来てたんなら起こしてくれたら良かったのに」
そう言う彼女の寝ぼけ眼が、たちまち情熱に満ちた彩りを取り戻します。そんな妹さんを、柴田君は軽く制し、
「構うな、寝てろ。お前の寝顔を見ながら飲むお茶は、うまかったぜ」
「あ! また勝手にあたしの玉露なんか飲んで! それ高かったんだよっ」
そう口を尖らせて、可愛いオレンジのパジャマ姿をベッドから起こす妹さん。それを苦笑いしながら柴田君は、湯飲みを一口すすりました。
「何言ってやがる。もとをただせば、オレが持って来た茶葉じゃねえか」
「ぶっぶ〜〜。この茶葉は、もうその時の玉露じゃないも〜〜ん。あたしが下の売店に頼んで取り寄せてもらったヤツだも〜〜ん」
「でも、そのゼニはお前の小遣いだろ? その小遣いはオレのバイト代が化けたもんだから、この茶を飲む権利はオレにもある。異議は?」
「……ないっス」
「よろしい」
そう言いながら、彼は湯飲みを妹さんに手渡しました。
「え……?」
「何だ? いらないのか?」
「え? あの、でも、兄さんのは?」
「オレ? オレの茶は、また淹れる」
「だからぁ、そうじゃなくて――」
「要らなきゃ、返せ」
「……飲む。ありがと」
耳まで真っ赤にしながら、妹さんは受け取った湯飲みを大事そうに抱えると、所在なさげに湯飲みを、掌の中で、茶道みたいに回していましたが、やがて、ちびり、と一口お茶をすすった表情は、玉露どころか上等のワインでも飲んだかのような、うっとりとしたものでした。
――端から見ていた私には、彼女は湯飲みを回しながら、兄が口をつけた箇所を探していたようにすら見えましたが……、多分、間違いはないでしょう。
(なるほど。確かにこれは……)
柴田君から、妹はかなりの“ブラコン”だと聞いてはいましたが、彼女の態度は、確かに“兄妹”と呼ぶには、やや違いすぎるニュアンスが含まれすぎていました。
慣れているのか、柴田君はそんな妹さんの態度にも、全く動じる事もなく、むしろ飄々とした態度で、彼女をいなしている感じでした。
ここは、市内の総合病院。
今、私こと山口由利は、クラスメートの柴田遼太郎君と二人で、彼の妹である、美百合ちゃんの見舞いをかねつつ、彼女の本を借りに来たのです。
6人部屋の病室は暑苦しく、その一角でしかない彼女の区画は狭苦しいものでしたが、そこを更に狭く見せているのは、一見病室にそぐわないほど巨大な一個の本棚であり、そこに大量に並べられた蔵書の数々でした。
いや、それだけじゃありません。
本棚の横にあるのは、最新型のパソコンに、衛星チャンネル内蔵型のデジタルチューナー。どれもこれも、一つ10万以上は軽くする、高価なシロモノばかりでした。
そして、妹さんが眠っている間に聞いたのですが、これらは(本も含めて)全て、柴田君本人が中学生時代に年齢を誤魔化してバイトで稼いだお金で、購入した物なのだそうです。
入院中の妹さんに、少しでも退屈な、寂しい思いをさせないために。
それだけ聞けば、この柴田君自身も、充分シスコンの資格は持っていると思いましたが、あえて私は口に出しませんでした。
あれから――サッカー部での洗濯談義以降、私は柴田君と、急速に話をするようになりました。
私は(何度か本文中で触れたように)自ら認める“腐女子”ですので、マンガや小説を書いたり、読んだりするのは大好きです。
そして、そんな私の最大の悩みは(例の男性恐怖症はともかく)、同年代の女の子たちと話が合う話題が、ほとんど無い、ということです。
この年代の女の子たちの会話といえば、やはり1に恋愛、2にファッション、といったところだけど、そのいずれも、私にとっては不得意分野以外の何者でもありません。
また、それとは別に“他人の噂”という一大ジャンルがあるのですが、高等部以来の編入生である私にとって、彼女らの口から出る名前は、その半数以上が聞きなれない名前ばかりですので、やはり参加は困難でした。
ですから、女の子たちと会話している時は、聞き役に徹するか、第三者として客観的な意見を述べるかぐらいしかする事がなかったのです。
もっとも、男子が苦手な私が、恋愛の客観的な意見を述べるなんて、滑稽の極みですが。
で、話を戻すと、そんな私が唯一趣味を語り合えたのが、何とこの、意外な事に、柴田君だったのです。
彼の知識は豊富であり、昭和初期の少女小説から、SF、推理、ハーレクイーン、歴史、伝奇、萌え、その他様々なジャンルに於いて通暁しており、まさしく『私が知るものにして彼の知らざるは無し』というほどのものでした。
……さすがにボーイズラブは読まないようでしたが。
彼が言うには、死んだ両親が二人して読書家だったそうで、幼い頃に彼は、その大量の蔵書を読破しろと、母に言われ(言う方も言う方ですが……)、それを中一にして達成したという、折り紙つきの本の虫だったというのです。
妹さんも当然、そんな兄の薫陶を受けて、かなりの読書家だという話でしたが、なるほど、この本棚を見る限りは、嘘では無さそうでした。
そんな妹さんが、持っていると聞いたのです。
私が読みたくて仕方が無い作家にもかかわらず、もうどこにも売っていない“幻の長編”を持っていると。
で、私は彼に頼み込んで、彼女の入院先までついてきたというわけです。
「この人は山口さん。オレのクラスメートだ」
「あ、あの、山口です。はじめまして。柴田君には、いつもお世話になってます」
それまで、うっとりと酔ったような眼差しを、兄ばかりに向けていた彼女は、紹介されて初めて私の存在に気付いたようでした。
ピクニックの最中に、いきなり蜂に刺されたかのような表情で、私をまじまじと見つめ、一言ぼそりと、
「――カノジョ?」
と呟きました。
私は思わず寒気がしたのですが、やはり兄は偉大です。全く動じずに、
「いや、別に」
「だったら何で、二人だけなの? 付き合ってるからじゃないの?」
「いや、今日はお前にもこの人を紹介しようと思ってな」
「どういう事?」
「つまり――」
立ち上がった柴田君は、本棚から一冊の文庫本を取り出し、私に渡してくれました。
「こういう事さ」
その本こそが、私が読みたくて仕方が無かった一冊、平井和正の『アンドロイドお雪』でした。
「あっ、これっ!?」
思わず私は、声を立ててしまいました。
『アンドロイドお雪』
嫉妬、修羅場系の伝説の逸品。
主人公を心配する恋人を尻目に、ひたすら主人公を篭絡、破壊してゆく“お雪”の凄まじさや、クライマックスの、恋人と“お雪”の主人公を巡る修羅場は、一種の爽快感さえ与えてくれる救いの無さだと言われているという……。
「SF系だけじゃねえぜ。オレと『妖説太閤記』の話で、半日盛り上がれるヤツが、まさかお前以外にいるとは思ってもみなかったよ。……つまり“こっち側の人間”ってわけだ」
あっちゃぁ〜〜。
もうちょっと、言葉を選んでくださいよ。
ほら、見てる見てる。私いま、視線だけで殺されそうですよ?
“こっち側”って……そんな嬉しそうに言わなくてもいいじゃないですか、
そう柴田君に主張したかったのですが、ハッキリ言って、私は、長年探しつづけた一冊の内容が気になって仕方が無かったので、それどころではありませんでした。
「つまり……私の本を貸してあげてくれって……?」
「まあな」
「……」
「だめか?」
「……」
本を見た瞬間の、私の反応に嘘はないと思ったのか、妹さんは、ようやくさっきの、瞳孔の開いたような眼差しを、戻してくれました。
「……いいよ、兄さんがそう言うなら」
「あっ、有難うございますぅぅ!!」
気が付けば、柴田君が口を開く前に、私が直接、もう抱きつかんばかりに御礼を言っていました。
それにビックリしたのか、或いは気を良くしてくれたのか、彼女の態度は、急に軟化していき、30分もすると、私たちが3人でしている会話は、全くぎこちなさの無い、自然なものになっていきました。
「――あ、トイレ」
そう言って、柴田君が席を立ったとき、私と美百合ちゃんは、昨日の夜中に某民放で流された萌えアニメの話をしていました。
――が、兄を見送ったその瞳が、こっちに向いた瞬間、その眼差しは先程までの殺気を孕んだものに変わっていました。
(こっ、こわっ……!!)
前半は以上です。
後半も、もう少しで完成するので、それから投稿します。
51 :
名無しさん@ピンキー:2007/02/27(火) 00:57:02 ID:8dUy5Y1t
>>50 もうちょっと短くまとめたほうがいいと思うよ
>>51
禿同
自分はこれぐらいでもいいかも。
後半が楽しみだw
長いとは思わないけど、前後編になってるのが多いからじれったく感じるのはあるかも。
つまりそんなふうに思うくらい続きが気になるわけでして、次の投下を震えて待ってます。
>>50 GJ。コテハンつけないの?
>>21 住人を装って煽ってると思われ。自演粘着したくなる嫉妬スレの罪な魅力。
スレの勢いは落ちてるが職人が投下して住人がGJするだけ。
荒らしはいてもいなくても大差ないと思う。
作者に対するレスはGJのみに限定したほうがいいいな
下手に雑談とかすると入り込んでくるからな
スルーを徹底すれば大丈夫だよ。
他のスレだって出来てるんだから、ここに出来ないことはあるまいよ。
>>50 GJだぜ・・
頑張ってスレを盛り上げてくれ
>>56 ツンデレな書き込みは荒らしとしてスルーするべし
現れたら、(´,_ゝ`)プッで笑おう
そうなんだけどね
29スレはホント目も当てられない状況だったから出来るのか、と思って心配
>50
GJ!!!!!
この美百合がどんな事をやらかすのか気になって仕方が無い!
ではこちらも続けて投下します。
滲み出る汗が、生温い風でさらに気持ち悪く体にまとわりつく。
じっとりと俺を見つめる瞳が更に汗を滲み出させる。
やけに静かだ。
まるでこの世界には俺と若菜しか居ないみたいだ。
「もう一度聞くよ。 どこに、行ってたの?」
俺の心を見透かすかのような瞳を向けながら、もう一度同じ事を聞く。
「どこって……散歩だよ…、散歩。」
俺は当然嘘をつく。
図書館に行ったとバレたら葵さん目当てで行った事もバレてしまいそうな気がした。
そうすれば自然と俺が葵さんに抱いている好意にも気づかれてしまうかもしれない。
それは嫌だった。
俺はそういうのには慣れてない。バレたら多分、すごく恥ずかしい。
だから知られるわけにはいかない。
だが若菜は俺の言葉を聞いてもなお、同じ事を呟く。
「どこに、行ってたの?」
その言葉が重く、響く。
「だから散歩に………。」
「嘘!!!!!」
空気まで振るわせるかのような怒声。
若菜がそんな声を出したという事に驚いたと同時に、嘘をついた罪悪感が疼く。
「嘘つかないで!!!ちゃんとわかってるんだよ、ちーちゃんの事ならわかるんだから!!」
「だから、ちゃんと言って?」
まるで子供に言い聞かせるかのような、優しい声。
それが逆に恐ろしかった。
俺が黙っていると、若菜が近づいてきた。
逆光でわからなかった若菜の表情が段々見えてくる。
口元に微笑を浮かべながらも、目は決して笑っていない。むしろ悲しそうに見えた…。
昔、俺はこんな表情を見た事があるような気がする。
今にも泣きそうな赤い瞳―――。
記憶に無い筈なのに、目の前の若菜と重なる。
「言わないなら、私が当てようか?」
投下する
知っている。
俺が図書館に行った事は恐らくわかっているのだろう。
言い方に確信めいたものを感じた。
そして俺の予想は当然のごとく当たる。
「図書館に行ってたんだよね?」
やっぱり、若菜は知っていた。
少し考えればわかる事なのかもしれない。だが俺には恐ろしく感じた。
全てを見透かされているかのようで、俺は肯定すらも出来ず、ただ黙るしか出来なかった。
「ちーちゃん……答えて、どうして図書館なんかに行ったの…?」
「………夏休みは長いだろ? だから本を借りてきて読もうかと思って。
俺本とかって結構好きなんだよ。こう見えてもさ、ははは…。
ただそれだけだって。特に意味はない。暇潰しに本を借りに行っただけだ。
そんな事より足大丈夫なのか?裸足で歩いてくるなんて無茶だぞ。手まで怪我してるじゃないか。
ほら、送っていくから早く帰ろうぜ。」
早くこの話題を終わらせたかった。
これ以上話しているといずれ俺の気持ちにも気づかれてしまいそうだと思ったし、何より今の若菜をずっと見ていたくはなかった。
だが若菜は答えない。ただ、俺を悲しそうな瞳で見つめる。
「嘘、つかないでよ。」
悲しそうな声で小さく呟く。
「ちーちゃんの嘘ってね、わかりやすいんだよ。自分でわからない?」
「……………ごめん。」
自分本位で嘘をついた事が結果的に若菜を悲しませてしまった。
俺は自分の浅はかさを反省する。
若菜はそんな俺を未だ悲しそうな瞳で見ている。
「…どうしてなの?どうして私を置いていくの?」
やっぱり、言うべきなのかもしれない…。
全て、本当の事を。
これ以上若菜を悲しませてしまったら可哀想だ。
恥ずかしがっている場合じゃない。だから俺は………。
「俺は1人で行きたかったんだ…。 葵さんに、会いたかったから…。」
「ちーちゃん……?」
若菜は信じられないといった様子で顔を歪ませる。
「嫌……それってまるであおちゃんの事………。」
「…そうだよ、俺は葵さんが好きだ。」
最初からこう言えば良かったんだ。
これならきっと若菜もわかってくれる。そう、俺は思った。
だが若菜は…。
「嫌………嫌…………そんなの……認めない!!!!!!」
そう叫び、俺に掴みかかる。
「やだよ!やだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだ!!!!」
「お、おい!落ち着け!」
俺は慌てて若菜の肩を抱く。
「ちーちゃん違うよ!ちーちゃんが好きになっていいのはあおちゃんじゃないんだよ!!」
「な、何言って……?」
「ちーちゃん、昔言ってくれたんだよ。私の事お嫁さんにしてあげるって!」
「俺が…?」
全然覚えていない…。
まあ村の記憶は全て消えてしまったのだから、覚えているはずなんかないんだが…。
「ねぇ、どうして忘れちゃうの? でもね、忘れてもちーちゃんは確かに言ったんだよ。だから責任とってよ!!」
「責任って、何だよ。そんな事言われても俺…。」
「責任とってよ! ちーちゃんがあんな事言ったから私は今まで生きてきたんだよ!
沢山苦しんで、死にたくて、それでも生きてきたのはちーちゃんのせいなんだよ!!ちーちゃんの責任なの!!!」
「若菜…。」
若菜の絶望的な表情は俺の心を締め付ける。
今まで意識していなかったが、恐らく若菜は俺の事を……。
だがその気持ちには応えられない。
今俺が好きなのは葵さんだから…。
「…若菜…、ごめん…。」
「謝らないで!!謝るなら責任とってよ!!!」
「でも俺は…!俺が好きなのは!」
「いやぁぁーーー!!聞きたくない!!!」
そう叫びながら耳を塞ぐ。
「どうしてよ!!どうしてあおちゃんなの!!」
「俺にだってわからないよ!でも……一目見た時から…!」
俺を真っ直ぐ見つめる瞳から涙が零れ落ちる。
「あおちゃんは私の友達だよ…? 私、友達を恨んだりしたくないよ…。」
「若菜……。」
「ちーちゃんが好きになっていいのは私だけ。私が一番最初に好きになったんだよ?」
「でも…俺…。」
「わかってよ、ちーちゃんには私だけなんだよ?」
若菜は俺の首に腕を回す。
「それとも身体でわからせてあげようか? ちーちゃんになら私、いいんだよ?」
そう言い、吐息がかかる程顔を近づける。
若菜の整った顔が目の前に迫る。
「あおちゃんより私の方がちーちゃんを愛してる。幸せにしてあげる。だから…ね?」
流されそうになるのを必死に堪え、若菜の腕を掴んで断ち切るかのように思いっきり体を離す。
天下無敵号の食堂で、食事を終えたフェニキスはラーシュやソボルと共に雑談していた。
会話が段々とラーシュとソボルの幼い頃の話題へと移ってゆくのも、二人の付き合いの長さを考えれば仕方のない事だった。
「あの大会の時のラーシュ兄ぃの顔ったらなかったよ。」
「なにい!?」
「だって、あんなに悔しそうに思いっきり木なんか殴りつけて―――」
昔を思い出しながら楽しそうに話す二人の隣で、フェニキスは自然と無口になってしまう。
ソボルのことは友達として大好きだが、こういう話題の時はとても複雑な気持ちになってしまうフェニキスだった。
自分の知らないラーシュを知っているソボルが羨ましくて仕方が無くなる。
それはどうしようもない事だと分かっていても、人の心はままならない。
「・・・ん、小僧。どうした。」
ふいに声をかけられ、フェニキスはドキリとした。
慌てて心に浮かんだ想いを押さえつける。
「な、なんでも、ないよ。―――あ、僕ちょっと用事があったんだ。」
なるべく不自然にならないようにと思いつつ、席を立った。
「ごめんね、ソボル、ラーシュ。また後で。」
上手く笑うことができただろうか、と少し不安になる。
けれど、もう限界だった。
フェニキスが食堂から出ていってしまった後で、ソボルはひどく申し訳なさそうな顔をした。
気遣い屋な彼には、フェニキスのわずかな表情の変化から彼の気持ちを読みとっていたのだ
「あちゃー、フェニキスに悪かったなぁ。昔の話ばっかして。」
「ンな小せえ事を、いちいち気にするんじゃねェ!」
ラーシュは不機嫌そうに言い放ちつつも、先ほどフェニキスが去り際に浮かべた微かな笑みを思い浮かべる。
一生懸命、無理に微笑んでいたのは気づいていた。
「チッ」
思わず席を立ってフェニキスを追いかけたい気持ちを、ラーシュはグラスの水と共に飲み込んだ。
「ほんと、フェニキスって優しいよなぁ〜。」
部屋を飛び出していった少年の先ほどの笑みを思いだして、ソボルは呟く。
「健気だし・・・ラーシュ兄には勿体ないよ、まったく。」
「フン。そりゃ反対だ。」
「あのな〜、フェニキスってばモテるんだぞ。ラーシュなんか、きっとあっという間に捨てられちゃうさ。」
その言葉に、ラーシュは狼狽えて飲んでいた水を霧のように噴射してしまった。
「うわ、汚いな〜っ」
「な、なに言ってんだ!てめえっ!?んな訳ねェだろうが!!」
「さてさてどうかな〜?レナ見てみろよ、レナ。あの娘は絶対フェニキスに惚れてるぞ?」
「ぐっ」
いくら小さい頃の幼なじみだといっても、普通であれば危険な事にあのぐらいの年齢の少女が首を突っ込む筈がない。
フェニキスに対して特別な想いを抱いているのは確実だ。
「ニックも居るからなぁ。」
「・・・フン。」
確かにニックは、フェニキスとの間に何か特別な絆を感じさせる少女だった。
恋愛感情では無いようだったが、フェニキスはニックを気に掛けている。
ラーシュは腹立たしげに、コップの中の水を飲み干した。
「ちーちゃん?」
驚いた表情の若菜に罪悪感を覚える。が、流されていたらもっと罪悪感でいっぱいになっていただろう。
「若菜、俺は若菜の気持ちには応えられない。葵さんが好きなんだ。その気持ちは変わらない。」
若菜は涙を流しながらいやいやと首を振る。
「なんでぇ………どうしてわかってくれないのぉ………。」
「…ごめん…。」
若菜はしばらくの間同じ事を繰り返しながら泣いていた、が…。
「…ふふ……。」
「若菜…?」
「壊してやる……。」
「壊す…?」
「壊してあげるよ、全て…。私も、ちーちゃんも、あおちゃんも……みんなみーんな!」
「お、おい…。」
「だってさ、ちーちゃんはあおちゃんが好きなんでしょ?そんなの間違ってるもん。」
「間違ってるはずないだろ!そんなの若菜に決められる事じゃ…。」
「私が決めるの!! 私とちーちゃんは結ばれないといけないの!!!」
若菜は当然の事を言うかのように断言する。
「おい!正気に戻れ!」
俺は若菜の腕を掴み、真っ直ぐに見つめる。
「壊すなんて言うな!みんな悲しむ。俺も…若菜にそんな事はしてもらいたくないんだ!」
「でも、ちーちゃんがあおちゃんを好きなんて…耐えられないよ!!!」
「そんなの……、お前はまだこれからだろ!俺以外にも男は沢山いる!いつかお前にもいい人が見つかる!」
「いない!!!!ちーちゃん以上の男なんていないの!!!!」
「若菜!!」
俺は力を篭める。
「……ちーちゃんじゃなきゃだめなの……。私を救えるのはちーちゃんだけ………。」
若菜は地面に膝をつき、嗚咽を漏らしながら泣き続ける。
俺は何も出来ない……、ただここに居るだけしか出来ない。
どれ程の時間が経っただろうか。
夕日も沈み、電灯の頼りない光が闇を照らし出す。
若菜は泣き止んではいるが、先程と変わらず膝を付いて俯いている。
何を想うのか……俺には想像もつかない。
「ちーちゃん……。」
消え入りそうな小さな声だが、若菜がやっと声を発した。
「ん?」
「ちーちゃん……ごめん…なさい…。」
「…お前は謝るような事なんか何もしてないよ。」
俺は膝を折り、慰めるかのように若菜の頭を撫でる。
「…うん…。」
しばらくそうしていると、若菜は顔をあげる。
思わず撫でていた手を離す。
目の辺りは赤く腫れ、その姿が痛々しい。
「ねぇ、帰ろっか?」
「…ああ。帰ろう。」
俺の返事を聞き、若菜はいつも通りの花が咲いたような笑顔を浮かべる。
俺は、若菜の異変はこれで終わりだと思っていた。
もう大丈夫だと、あの笑顔を見てそう思っていた。
―――もし、俺がそう思わず、若菜に注意を向けていたら……あんな事にはならなかっただろう。
そう遠くない未来、俺はこの判断が間違っていた事を知る。
一方、食堂を出たフェニキスは胸に溜まった苛立ちを晴らそうと、甲板に向かって歩き出していた。
「フェニキス、待って下さい。」
優しげな声に振り返ると、オクタヴィアが静かに立っていた。
フェニキスと同様に食堂を去る所だったようだ。
「私も食事を終えたところです。ご一緒にお茶でもどうでしょう?」
「えっ、お茶ですか?」
「ええ。とっても美味しい紅茶があるのですけれど・・・」
そうして、オクタヴィアはにっこりと微笑んだ。
美しい女性の頼みにフェニキスはどぎまぎしつつ、コクンと頷いた。
断る理由もなかったからだ。
オクタヴィアが普段過ごしている部屋で、フェニキスはベッドに腰掛ける。
元々は海賊達の部屋だったのだろうが、今の部屋の主はオクタヴィアだ。
女性らしく整頓され、花などが飾られている。
普通なら男性を自分の部屋へ招くなど奥ゆかしいオクタヴィアは決してしないのだが、優しい顔立ちと性格のフェニキスは特別に扱っていた。
「あ、この花は―――」
「ええ。この前ソボルと貴方がくださったものです。」
「ソボルが、オクタヴィアさんは花がとても好きだって言うから・・・」
少し照れたフェニキスの前に、オクタヴィアは紅茶のカップを置いた。
「ありがとうございます、フェニキス。」
「ちょうどついでだったから・・・その、気にしないでくださいっ」
「ふふ。」
良い香りが部屋を漂う。
「ラーシュやソボルと、小さい頃からの付き合いなんですよね?」
「ええ。」
「ラーシュが一番仲が良かったのは、やっぱりダリオさんとソボルなんですか?」
「あら、やっぱりラーシュのことが気になるのですか?」
少し悪戯っぽい笑みを浮かべたオクタヴィアに、フェニキスは顔を真っ赤にした。
「そそっそんなんじゃありませんけどっ、あの、なんとなく―――っ」
恥ずかしさに耐えきれず、フェニキスは自分の足元へ視線を泳がせた。
「ごめんなさい。貴方があまりに可愛らしいから、ついついからかいたくなってしまって・・・許して下さいね。」
『か、可愛い!?』
ちょっとだけ傷つく、多感なお年頃なフェニキスだった。
「あの、ダリオさんの事を聞いても良いですか・・・?」
フェニキスはおずおずと、目の前の女性のもっとも大切な人の名前を口にする。
彼女と同じ世界のダリオは既にこの世にいない。
オクタヴィアの気持ちを考えると彼の名前を余り口にしてはいけないような気もしたが、思い切って聞いてみることにした。
「はい。何でも聞いて下さい。」
この異世界の少年が愛するダリオの魂を救ってくれたのだから、そんな事は造作もない事だ。
確かにダリオのことを思い出す時、胸に悲しみ故の痛みが走るのも事実だった。
けれど、オクタヴィアはダリオをいまだに愛している。
愛する人について話すのは、とても幸せなことだと彼女には思えた。
「小さい頃から、ずっと好きだったんですか?」
「ええ。大好きでしたよ。」
きっぱりと、誇りを持って肯定する彼女がフェニキスには眩しい。
「ずうっと、長い間好きになるって・・・どんどん想いが強くなるものなんですよね。」
「フェニキス。人の想いに時間など関係ないと、私は思うのです。」
いくら離れていても、たとえダリオが死んでいても、彼女の想いは変わらなかった。
「私の想いは、最初から同じ。変わらないのですよ。」
その言葉にフェニキスも思い出した。
胸が苦しくなる程のラーシュへの想いは、変わらない。
「それと、貴方はレナさんと幼なじみなんですってね?」
「うん、そうです。」
「ラーシュはそのことを随分と気にしているみたいですよ。」
「え、そんな風に見えないけどなぁ。」
フェニキスが目をまん丸くして驚いている。
オクタヴィアは何やら思い出しつつ、クスクスと笑った。
「私はラーシュとは付き合いが長いので、すぐに分かるのですよ。」
「へー・・・凄いや。」
フェニキスは素直に感心している。
「皆同じに不安なのです。ラーシュも、そう。」
「そんな、ラーシュが―――まさか。」
いつも自信に溢れ、強引なラーシュが・・・と、フェニキスは驚く。
「皆、好きな人のために喜んだり苦しんだり。忙しいことですよね。」
そう言って微笑むオクタヴィアが、フェニキスには眩しく映った。
オクタヴィアの部屋から出てきたフェニキスを認めて、ラーシュは酷く驚いていた。
『なんでオクタヴィアの部屋から小僧が出て来る!?』
フェニキスは可愛い顔をしていようが、一応男だ。
まさかオクタヴィアと・・・
などと恐ろしい考えが浮かんでしまう。
『なに馬鹿な事考えてんだっ』
慌ててそんな不埒な考えを吹き飛ばし、少年へと歩み寄る。
「オイ、小僧・・・さっきは、その―――」
じっと見上げるフェニキスの大きな瞳にどぎまぎしつつ、ラーシュは言葉を探した。
『妬いてたのか?』・・・ダメだ、これだと怒りそうだ。
『俺の許可無しに離れるんじゃねえ!』・・・って俺はコイツの亭主か!
などと言葉を探すが、見つからない。
唐突に、フェニキスはラーシュの背中に腕を回し、思い切りしがみつく。
そうして、ぽかんとしているラーシュに、小さな声で胸元で囁いた。
「僕の初恋の相手って、誰だと思う?」
「・・・知るかよ。」
少し不機嫌な声でラーシュは答えた。
子供のような態度に、フェニキスは笑みを浮かべる。
「はじめて好きになった人って、凄く特別だよね。」
フェニキスが珍しくも、意味深に笑う。
その笑みにラーシュの顔色が変わった。
両腕が翼のように大きく広がり、フェニキスの身体を捕らえる。
「うわ!?」
「誰の事を言ってやがるんだ!?」
痛みを感じるほどの強い抱擁に、フェニキスは思わずじたばたと暴れる。
しかしそんな抵抗は、ラーシュの前では無駄な事だった。
「てめえまさかレナが好きだって言うのか!」
「ち、違うって!」
「お前の初恋ってのは誰だ!?幼なじみのレナか?言いやがれってんだ!」
「ラーシュだよ!」
「・・・は?」
「ラーシュに決まってるじゃないか!!バカ!」
青い銀髪を一束掴んで、引っ張りつつフェニキスは叫ぶ。
「初めてだったんだ、こんな気持ちになるなんて!」
「小僧・・・」
「すぐそうやってガキ扱いばっかりして、僕を困らせて・・・」
小さく呟く胸元の声に、ラーシュは腕の力を少し弱めた。
「俺が、はじめての相手か。」
「はじめて好きになって、はじめて抱きしめられて・・・はじめて、された。」
「フェニキス・・・」
「レナも確かに好きだけど、ラーシュとは違うんだ。」
独占したい、なんて初めての気持ちだった。
「オラオラ、通行の邪魔だ。どけよ。」
呆れ顔のニックが、邪魔なものを払うように手をヒラヒラさせている。
「――!!」
瞬時に真っ赤になって、フェニキスはラーシュから飛び離れた。
「まったくお前ら飽きねぇのかよ、いつでもどこでもイチャつきやがって。」
「き、ニック!!」
全く動じていない少女は、二人の脇を通り過ぎてゆく。
ラーシュは流石にばつが悪そうな顔で、髪を掻き上げている。
「そういえば、な。」
くるりと振り向いたニックが言葉を続ける。
「オレを育ててくれた姉ちゃんが言ってたんだけどよ―――『幼なじみとの恋が成就する確率は低い。』らしいぜ。」
「・・・・・・!」
「その姉ちゃんも、そうだったんだとさ・・・変なことばっか覚えてんな、オレも。」
幼い頃の思い出で、なぜか印象に残っていた台詞だ。
余程何度も聞かされたのだろうか。
「だから安心しろよな、ラーシュ?」
にんまりと笑ったニックが、からかいを含んだ瞳でラーシュを見やる。
「て、てめえっ!聞いてやがったのか!?」
「聞こえるもクソもねえだろ。そんなバカでかい声でイチャつけば、船の外にでも聞こえるぜ。」
ラーシュはぐうの音も出ないで、ニックを睨んでいる。
「い、イチャつくって―――」
「自覚がねえ、なんて言ったら殴るぜ。フェニキス?」
「!!」
「オレは腹が減ってんだ。じゃあな!」
言い終えると、ニックは風のように去ってしまった。
その瞬間、腕が引かれてしまう。
ラーシュがフェニキスの腕を掴んで、歩き出す。
「ラーシュ?」
「部屋に行くぞ。」
前を向いたまま、そっけなく言い放つ。
しかし、腕を握る手の力は痛いほどに強い。
「まだ部屋に戻るには早いと思うけど。」
「うるせえ。」
だいたい、この天下無敵号の部屋といえば、ベッドしか置かれていない狭い部屋なのだ。
ラーシュの意図を察して、フェニキスの頬が少しだけ赤く染まった。
恥ずかしさに俯いて、よろよろとラーシュについて行くしか出来ない。
扉の前でラーシュはピタリと足を止め、ようやく振り向いた。
「30分でいい。おまえを俺の自由にさせろ。」
そんな乱暴な言葉に胸がときめいたりするのだから、かなり重症だとフェニキスも思った。
もっともっと、一緒に。
誰よりも長く、そう願っていた。
『30分じゃ、足りないよ・・・』
胸の中で、こっそり呟いたフェニキスだった。
期待していた方ごめんなさい、今回は軽めの嫉妬です。
重めは後々……。
>63さんすみませんでした。
それではまた来週か今週中にでも。
76 :
名無しさん@ピンキー:2007/02/27(火) 01:47:39 ID:A63riI2q
>>75 急がずゆっくりめにどうぞ
あんまり流血沙汰やヤンデレが好きじゃない住人もいるだろし、作者の自由だと思うので気にしないでいいと思う
プロット原案
登場人物
主人公
ヒロインA
ヒロインB
概要及び流れ
ヒロインAが片想いを抱いていた男性が他の女性と付き合うことになり、ヒロインAは失恋の痛みを感じて自暴自棄になる
ヒロインAと友人だった主人公は彼女を気遣い甘えさせるために一緒に居ることを決意する。居心地の良い場所に甘えて
いたいヒロインAは主人公の事を好きではないのだが、周囲に友人達の目の前で彼のことが好きだと断言する。
それは、主人公も彼女の本当の意図をわかったうえで擬似恋人関係を続ける。それは愛情ではなくて
失恋に傷ついているヒロインAに対する同情であった。
ある程度の時間を経つとヒロインAは主人公を騙し続けている罪悪感に襲われて、避けるようになる。
そんな時に、ヒロインAが想っていた男性とたまたま偶然再会して、彼女と別れて現在フリーであることを知った。
思わず、彼女はこれが最後の機会だと思って、男性に告白する。答えは当然OKの返事が貰い・・。
主人公には携帯メールでただ一言だけ送った。
「もう、あんたなんかいらないのよ」
その言葉を残して、ヒロインAと主人公の関係はあっさりと終わった。
唐突に別れを告げられた主人公を戸惑い、深い心の傷を負ってしまった。最初は同情心だったのが、それはいつしか愛情へと変わっていたのだ
ヒロインAに本当の気持ちを告げるために彼女が喜びそうなプレゼントを用意したのに・・。
主人公はあっさりと捨てられてしまったのだ。自分がヒロインAにとっては、傷が癒えるまでの道具だとわかっていたのに。
実際に破局を迎えると主人公は失恋したヒロインAのように落ち込み沈んでいった。
その影からヒロインBはずっと想っていた主人公の変貌に驚いた彼女は心配していた。勇気を振り絞って、彼に声をかけた。
最初は警戒心だらけの主人公だったが、健気で精一杯元気付けようとするヒロインBに心を開いてゆく。
失恋の痛みを癒すように主人公とヒロインBの幸せな時間が続いた。
そんなある日
ヒロインAは想っていた男性から罵声や暴力を振るわれて、思い描いていた理想と現実に苦しんでいた。
その男よりも自分に優しくしてくれた主人公こそが自分の好きな人だと悟って、彼の暴力から逃げるように飛び立った。
必死に謝れば主人公は許してくれるはず。今度は過ちを繰り返さずに主人公と幸せになるために
彼が住む場所へ訪れた。
そこで
ヒロインAが見てしまったのは、主人公とヒロインBが真剣に愛し合う行為であった。
↓以降ドロドロ修羅場
鳴海孝之並にヘタレな主人公がヒロインAやヒロインBの間にフラグ立てて修羅場的展開になる予定
ヒロインAを突き放すのも良し、ヒロインBを捨てて、元鞘に戻ってもいい。どちらに転んでも
ヒロインのどちらが狂うのは間違いありません。
誰かこの続きを書いてみる?
気に入らないならスルーが定石
とりあえず二人ともGJ
重なると混乱するな
>>80 まとめサイト行ってみたら?聞く前に自分で調べるくせを身につけた方が良いと思うぞ
たぶん未出だと思うが
>50
投稿します。
次回からはもう少しまとめます。
ご容赦を。
私とて、腐女子の端くれです。
この病院に来たのは(無論、本を貸して欲しかったというのもありますが)、柴田君の妹が、世にも稀なるブラコンだと聞いて、好奇心をくすぐられたのも事実なのです。
幼馴染みと同居するボクっ娘、というのも、かなり私の心をヒットしましたが、実の兄に萌える妹となれば、その実在のハードルは更に高くなります。と言うか、普通そんなヤバイ人っていませんからね。
――これは一見の価値がある。
と、そう思ったんですが……どうもヤバさ加減が予想以上だったらしく、現に今、私は眼だけで殺されそうになってるわけで……。
そう思った瞬間、美百合ちゃんの視線が戻りました。
「……まあ、いいわ」
「えっ?」
「あなたなら、まあ、及第点かなって……」
「……はあ、どうも……」
とんまな答えを返す私に、彼女は苦笑をもらし、
「少なくとも静香よりはマシみたいだしね」
「落合さん?」
「そう、落合静香。あの女に兄さんを渡すくらいなら、あなたの方が全然マシ」
「落合さんの事、嫌いなんですか?」
「当たり前でしょうっ!!」
そう声を荒げた美百合ちゃんの表情は、正視に耐えないほど怒りに歪んでいました。
「あなたは知っているの? あの女の一家が、私たちにした事を!?」
「……不幸な事があったのは知っています。でも、詳細までは、あまり……」
そう、彼女たち柴田家と落合家の間には、結構な因縁があるそうです。
同じ分譲マンションに住み、休日には、同じカトリック教会に通う二つの家族は、当然のように親しくなり、それぞれの家に生まれた3人の子供は、やはり幼馴染みとして、当然のように仲良くなっていったのだそうです。
静香、遼太郎、美百合の3人(敬称略)は、いつも一緒で、交代に互いの家に遊びに行き(何せ同じマンション内ですから)、交代に互いの部屋で“お泊り会”をし、3人共通の秘密基地が、近所だけで5、6箇所はあったそうです。
しかし、ある時、悲劇がこの二つの家族を襲います。
今から10年程前、落合家のワゴンで海水浴に向かった彼らは、そこで事故に遭い、柴田家のご両親は、二人とも亡くなられてしまったのだそうです。
いえ、当然落合家の方も全員無事というわけではなく、静香さんのママさんは即死、パパさんも重態だったそうで、無傷だったのは静香さんと遼太郎さんだけだったそうです。
そして美百合ちゃんも……やはり無事には済まなかったんだそうです。
>>83 全く気にするな
とは言わんがSSをこれから書いていくなら気にせずに行く位じゃあないとやっていけんよ
「あたしはあの事故で肝臓を潰されたのよ。だから二年に一度は定期的に入院しなきゃならない。しかも一ヶ月、二ヶ月単位でね。でもね、でも、でも、そんな事はいいの。我慢できるの。だってもう、仕方の無い事なんだから。でもね――」
二年に一度って事は、その都度、このパソコンとかは持って帰るんだろうか、などと瞬間思いましたが、口にはせずに、話の続きを聞く事にしました。
「でも?」
「あいつらは、あの一家は……、あたしと兄さんを“引き取った”……。これがどういう意味か分かる?」
「――いえ」
美百合ちゃんのコブシがぎゅっと音を立てます。
「あいつらは、父さんと母さんを殺し、その遺産まで奪おうとしてるのよっ!」
「……」
大声で、穏やかならぬ事を叫び続ける美百合ちゃんは、もはや、この病室の注目の的でしたが、私はその叫びの内容に、呆気に取られていました。
――なるほど、確かに。
もし、柴田家のご両親が、実子を受取人にして生命保険に加入していたとするなら、その保険金は、未だ18歳未満の彼らの手ではなく、むしろその保護者代理人の自由になるところが大きい。
それを目的として、落合家が彼ら兄妹を、正式に養子縁組したというのなら、これは立派な保険金略取……って、ちょっと待ってよ、火サスじゃあるまいし!!
「美百合ちゃん……それはさすがに、言い過ぎじゃないですか?」
私はやんわりとたしなめる。
「だって、そうでしょう? 柴田君は今年16で来年17。保険金目当てだとしたら、もう時期を逃したと考えるのが筋でしょう?」
「いいえ! いいえ!」
「取りあえず落ち着きましょう? かなりお声が大きいですよ?」
「分からないの!? だから静香は兄さんに近付いてるのよ! 養子がダメなら娘ムコって、そうやって兄さんを取り込もうとしてるのよっ、あの一家はっ!!」
「……」
肩で息をしながら、怒りに我を忘れた形相で美百合ちゃんが叫びます。
「私の兄さんを……、私の大事な兄さんを……、あいつらは……父さんと母さんを奪っただけじゃ足りないって言うの!? 兄さんまで私から取り上げようと言うのっ!?」
「……」
「許さない。絶対に許さない。……静香なんかに兄さんを盗られるくらいなら……!」
前スレ埋め立て終了
その瞬間でした。
「あっ、兄さん遅かったね? 今日のうんこは固めだったの?」
「っ!?」
「ごらっ、年頃の娘がうんこなんて単語を口にするなっ?」
彼女の余りの豹変振りに、一瞬、何が起こったのか分かりませんでしたが――どうやら、柴田君がトイレから帰ってきたようです。
それからまもなく、私たちは彼女の病院を後にしました。
「オレがいない間に、あいつに何か言われた?」
「……いえ」
「そか。……だったらいいんだ」
あの時、彼女は私に何を言おうとしたのでしょう。
静香なんかに兄さんを盗られるくらいなら……。
この手で静香を殺す、と言いたかったのでしょうか。
この手で兄さんをで犯す、と言いたかったのでしょうか。
それとも、私に兄さんを譲る、と言いたかったのでしょうか。
私には想像もつきません。
しかし、彼女は恐らく気付いているはずです。
落合静香の、柴田遼太郎に対する想いは、決してそんな、物欲まみれのものではないと。
だからこそ、ああいう被害妄想的な極論を落合さんにぶつけ、彼女の想いを汚そうとしている、そんな風にも見えました。
しかし、この柴田君は何故、あんな只者ならざる女性ばかり周囲に置いて、こんな眠たそうな顔が出来るのでしょうか?
……まったく、興味の尽きない人です。
取り合えず、今回は以上です。
>90
いえいえ、お気になさらずに。
ちなみに、前半で出てきた、平井和正の『アンドロイドお雪』は実在します。
嫉妬ものの名作です。
興味のある方は是非、御一読を。
この流れいいですね。
SSを投下してくれている神様は当然ながら
スルーを徹底してる住人のみんなもGJ!
住人が住人にレス返しをしなければ荒れることはない
住人に対してGJや感想を書いているのではなく、作者に対して書いているのだから
GJや感想は書き手さんに書いているものであって、読み手側は、それをどうこう言う立場にはないわな。盲点だった。
投下する前には新着レスを表示して割り込まないようにね。
それにしてもGJ!
阿修羅氏更新乙です。
ただ、
inラ板が旧スレのままですが・・・。
阿修羅氏更新乙です。
思ったことは一つだけありますが
あれほどの記載の多い作品をまとめるとして
HPの容量は大丈夫?
99 :
名無しさん@ピンキー:2007/02/27(火) 11:55:55 ID:/BSAZML7
ここまで微妙な更新は初めてだOTZ
とにかく阿修羅氏GJ
阿修羅氏乙!
新スレになっての大量投下GJ!全ての神々に感謝(-人-)
阿修羅氏と神々に感謝!
いつもGJの精神を抱き感謝しています
もう、30も経っているのか・・。
そろそろ、初心に戻って言葉様でも拝もうじゃないかww
____,......、_
,/´::::::::::::::::::`ヽ、.
,/´;::´;::::::;:::::,,;:::;;; ;,、:\
/;';/:::;/;/´フノ リ`゙i::::`、
,/レ/;/!/○ ノ 、_!::!::;;i,
,/:/:/::::/ ,、 ○ リ:;:| i!
,/::::/:::::/ i ヽ、_ |;ノi
,イ:::::;!:::::/| | フ /:::|
ノ,/::::/;::::::|:ヽ、 ヽ / /::|:::| 呼びました? キャハハハハハハハハハハ♪
/ /::::::::|:|::::::|::::::`メ、`___ ´,, イ:::::|:::ト、
/ /::;::::::|リヽ、|;/~ \|ヽ;::::::::::::::::::;|;イ `
ノ /::/::::::|::::::::/::::ヽΤ`+´`、:::::::::::::::リ;|
i::::|::::::::|::::::/:::::ノ:´゙レ、ノ、_ノ、;::::::::::::::|;|
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/;::||::::::;/:::::/;;;/::::::::::~::::::~::|::::|;、`メ;;::::|リ
レ´|:| !;;;;|::_;/_ソ;;::;:::;:::::;::::;:::::|:::;:i´~ー´:ノ
!j-ーイ_/,/,__|__|___|__|__|__|__ト;;;;/
''゙´"/'´`|\:::::/===/:::::::::::|===|
^~~ ` `ソ::::::::/::::::::::ノ|::::::::|
とりあえずヤマグチさんとキモウトには頑張って欲しい。
DQN糞女をかるーく〆ちゃってください。
105 :
名無しさん@ピンキー:2007/02/27(火) 16:07:29 ID:dH2C69p1
神の投下が無いな
夜が来るまで待とうぜ。
107 :
名無しさん@ピンキー:2007/02/27(火) 17:48:13 ID:dH2C69p1
戻ってきてくれてると良いんだが
神は浮気性だからな
若い女(ヤンデレスレ)のがいいのかもしれん
109 :
名無しさん@ピンキー:2007/02/27(火) 19:10:02 ID:A9PPlod3
>>98 阿修羅さんがあのスペースに保管庫以外のファイルを置いてないって前提条件があるなら、大丈夫。
FC2は無料の場合100MBまで置けるから、HTMLファイルが増える分には大したこと無い。
サウンドノベルは別鯖に置いてるみたいだし。やっぱり怒涛の流れを回収しきるのが凄い。
更新おつかれさまです。
>>110 今は容量は1Gになっているからかなり大丈夫じゃないのかな・・
テキストの4MでCLANNADやFateのような膨大な量だからね
埋まる頃には図書館のような膨大なSSが転がっていることになるww
112 :
名無しさん@ピンキー:2007/02/27(火) 23:34:39 ID:g3dossI6
ageてまでくだらん煽り乙
114 :
名無しさん@ピンキー:2007/02/27(火) 23:50:49 ID:g3dossI6
>>113 いや、そういうつもりじゃないよ
ただ阿修羅氏も嫉妬妻もいるし大変だろう、と思っただけ
シャラップしてウェイトしなマッシュボーイ
とりあえずsageてね
阿修羅氏乙ですー
阿修羅様、作者様方お疲れ様&GJです
( ´・ω・`)_且~~お茶でも飲んで英気を養ってください
>>111 うわ、君望に数ヶ月かかった俺だと、下手すりゃアキレスみたいなことになりかねんな……
保守
マッタリ投下します。
晴香姉さんと雨音ちゃんが私服なのは、いつも一度家に帰ってから喫茶店に顔を出すからである。
二人は僕がアルバイトでいない間に洗濯や夕食の下ごしらえといった家事を済ませてからこの店にやってくることが多く、二人が来るのはどんなに早くても夕方、季節によっては日が落ちてからやってくることもある。
僕としては先に夕食でも食べて家でゆっくりしていてくれてかまわないのだけれど、二人はそれを口にするといつも不機嫌になる。
夏場ならまだしもこれから寒くなる冬場の暗い道を年頃の女性二人に歩いて欲しくはないが、二人が大丈夫だと言い張るので僕は口を出さないことにしている。
おそらく口を出しても二人には敵わないだろうし―――。
店の時計は六時を回ったばかり。
いつもよりも早い来店である。
そして、二人の空気はいつもとは大きく異なっている。
普段ならば二人が居るだけで店の雰囲気まで華やかに変わるのに、今日はどうにも静かだ。
姉さんが雰囲気を盛り上げ、雨音ちゃんがそれを抑えるのがいつもお決まりのパターンで、店長夫婦やアルバイト、そして一部のお得意さんにとっても二人の存在はこの一年で店の名物になっている。
しかし、今日の二人は騒ぎ出すどころか会話の一つも交わしていない。
僕も店の皆も二人がこんな状態でいるのを見たことがない。
二人とも俯いたまま微動だにしないのだ。
一見すると落ち込んでいるようにも見えなくは無いが、そういう雰囲気ではない。
むしろ、分厚い壁の向こうに見え隠れする感情は――――抑え切れないナニカ。
何かがおかしい。
二人が店に来るまでに何かがあった。
「オーダー、取ってきてよ」
薄々異変を感じ取っているであろう店長がお盆に二つのお冷をのせて僕に差し出す。
お店に来ている以上、二人はお客様なのだ。
僕はお盆を受け取ると、意を決して二人の下へ向かった。
「いらっしゃいませ。御注文はお決まりでしょうか?」
できるだけいつもどおりにしてみたつもりが僕の口調もやや硬い。
どうやら無意識に身構えてしまっているらしい。
姉さんは淀みない仕草でいつもはめったに手に取らないメニューを開くと、迷わずに一つの商品を指差した。
「―――デラックスチョコレートパフェ」
「私はデラックスストロベリーパフェを」
普段の姉さんからは想像できないような感情の触れ幅の無い無機質な声。
雨音ちゃんはむしろ普段どおりの声。でも、どこか威圧的、高圧的な感覚を受ける。
こんな感じの声、いつか聞いたことがある。
でも、今はそんなこと関係ない。
「雨音ちゃん、確か甘いものはそんなに量が食べられなかったんじゃ―――」
「なんですか? この店の店員は客の注文に文句をつけるんですか?」
俯いていた雨音ちゃんが僕に睨みを効かせる。
有無を言わさぬ迫力にたじろいでしましそうになるが、踏みとどまる。
「いえ―――デラックスチョコレートパフェとデラックスストロベリーパフェ、以上でよろしいでしょうか?」
「「はい」」
なんとも言えない敗北感に苛まれつつ、二人の異常の原因が何も分からぬままキッチンまで戻ってきてしまう。
「どうだった?」
斉藤さんがデラックス用の容器を用意しながら背中を叩く。
「そう簡単には無理みたいです。バトンタッチしていいですか?」
僕が手を伸ばすと、
「うわ! そんな危険物振り回すな!」
後ずさりして避けられる。他のフロアスタッフを見渡すと皆いっせいに後ずさりする。
普段は喜んで代わってくれるのに……。
どうやら今のところは打つ手立てがない。
キッチンで組み立て中のデラックスパフェに期待するしかなかった。
ひたすら待つこと五分。
デラックスパフェの組み立てが終わる。
通常の2倍の容積を誇るデラックス用の容器にこれでもかと詰め込んだソフトクリームとコーンフレークでチョコレートまたはストロベリーの特製ソースを挟み込み、大量の生クリームをコーティング。
その上にパイナップルや苺、バナナといった人気の果物を乗せ、その上から再び特製ソースを垂らし、最後にサクランボを添えた当店の最大価格の一品。
これで少しは二人が落ち着けばよいのだが。
片手で持つと思わず肘から先が震えてしまいそうな重量感のパフェを受け取り、再び僕は二人の下へ向かう。
「お待たせしました」
デラックスパフェの容器は紙のコースターでは間に合わない大きさのため、軽食用の皿を下に敷きその上に載せる。
紙ナプキンの上にスプーンとフォークを用意する作業の合間に俯いている二人の顔を盗み見る。
姉さんからは覇気が感じられない。
雨音ちゃんは目が合うとツイと逸らされてしまう。
普通なら目の前にパフェを出されたお客さんの顔は綻ぶ。
女性なら尚更だ。
たとえそれが振られた腹いせの自棄食いであっても、少しは口元が緩んでいるのを以前見たことがある。
しかし、二人の表情は崩れない。
要するに今の二人にとってパフェはあまり眼中にないのだろう。
「ねぇ、今日はどうしたの? 二人ともちょっと変だよ」
「別に何もおかしいことなんてない!」
雨音ちゃんが声を荒くする。
これは珍しい。
怒っているときほど雨音ちゃんは静かになる。声を荒らげる場面なんて姉さんと喧嘩しているときくらいのものだ。
「やっぱりおかしい。なにがあったかは知らないけど、嫌な事があったなら僕が聞くよ」
「別になにもないって言ってるでしょう。用事が済んだのなら帰ってよ」
取り付く島も無い。
雨音ちゃんはああ見えて頑固だから、一度態度が固まってしまうとその殻を破るのには結構な時間と根気が必要になる。
いつもならこういう時の頼みの綱は姉さんなのだが、こちらは先ほどからほとんど反応すら返ってこない状況。
何かしらの反応を返してくれる雨音ちゃんよりも状況が悪い。
「―――ごゆっくりどうぞ」
デラックスパフェ二つに希望を託して、僕はキッチンに戻る。
いくら二人でもあのパフェを平らげるには時間がかかる。
僕のバイトが終わるのは午後8時。
流石にそんな時間までパフェで保つことなんて出来ないだろうけれど、多少の時間を潰せるだろう。
二人がフォークとスプーンに手を伸ばすのを確認して、ひとまず僕は仕事に専念することにする。
フロアに出るとおそらく仕事にならないので、斉藤さんに無理を言ってキッチンとフロアを交代してもらい、僕はさっそく食器洗いを開始する。
ちょうど夕食時を過ぎて、再びお客さんが入り始めた。
忙しさと単純作業にかまけて少しは気が紛れるものの、気を抜くとついつい二人のこと考えてしまう。
僕に異変の原因を明かしてくれないのはなぜなんだろう?
僕の信頼が足りないのか?
それとも二人の怒りの原因が僕に知られたくないことなのか?
本音では、僕はあまり頼りにされていないのだろうか?
だんだん不安になってくる。
「天野君」
手を止めて考え事をしていると、キッチンの奥で我関せずを決め込んでいた店長が僕に声をかけてきた。
「問題は解決したか?」
「いえ、まだです」
店長はげんなりした表情で僕の肩に手を置く。
「少し、休憩を取れ」
「でも、休憩ならさっき―――」
「天野姉妹は君の担当だろう?」
「―――はい、そういうことなら」
店長の意図を汲み取って、僕は再びスタッフルームで学校の制服に着替える。
こんなに着替えることはめったにない。
材料切れで商店街に買出しに出るときだって、この店のアルバイトのほとんどが制服を着替えないで出掛ける。
無論、僕もその一人である。
着慣れたYシャツに袖を通して、フロアに出る前に深呼吸を一つ。
気合を入れなおす。
勢い良くスタッフルームを飛び出し、その勢いのまま僕は姉妹の待つ四人掛けの丸テーブルにたどり着くと、対面して座っている二人の間の席に座る。
右側には姉さん、左側には雨音ちゃん。
奇しくもこの並びは僕らが登校するときと同じものだ。
「ねぇ―――」
話しかけてみる。
やはり姉さんからは反応が無い。
雨音ちゃんはおそらく意図的に無視を決め込んでいる。
「はぁ」
思わずため息が出る。
とりあえず、二人の機嫌を直して話だけでもできる状態にしなければならない。
よく甘いものは女の子を優しくすると言うが、姉さんの目の前のデラックスパフェの残骸を見る限りいささか火力不足だったようだ。
雨音ちゃんの方は姉さんとは対照的に半分以上を残して完全に手が止まっている。
左前方には溶け始めているデラックスパフェ。
そしてそこには柄の長いスプーンが突き刺さっている。
ふと、思い立つことがあった。
いや、しかしそれをやってしまってもよいのだろうか?
悪ノリにしても性質が悪い気がしないでもない。
道徳的にも問題はある。
雰囲気的にも今やるべきことではない気がする。
しかし、たとえ成功しなくとも二人の意識を少しでも外へ向けることが出来れば、突破口は見出せるかもしれない。
それはとても恥ずかしいが、二人のこんな姿を見ていられないし、見せ続けるわけにも行かない。
僕はスプーンを手に取る。
金属製のスプーンは柄の部分までひんやり冷たい。
僕はスプーンでパフェのソフトクリーム部分をすくい取り、雨音ちゃんの口元へスプーンの先を持ってゆくと――――
125 :
名無しさん@ピンキー:2007/02/28(水) 03:01:20 ID:BFg8SwQP
つまんないよ
「あ、あ〜ん」
場が水を打ったように静まり返った。
おそらく、あまり広いとは言えない店内のみんなの意識がスプーンの先に集中している。
恥ずかし過ぎてスプーンの先が震える。
溶けかかったソフトクリームがスプーンの裏側に白い露を作り出し、重力に引かれて今にも落ちそうだ。
いま、何秒くらい経ったのだろう。
顔から火が出そうだ。
そういえば、僕呼吸してる?
そろそろ、手先の震えが限界だ。
そして、白い露がスプーンから離れる瞬間――――
「な〜んちゃって!!」
僕はスプーンを容器へと引っ込める。
「これは普通、兄妹でやることじゃないよね!」
周囲の皆からはヘタレ野郎!! って視線が八方から突き刺さるけれど、しょうがないじゃないか。
あんな恥ずかしい思いをしても、結果は散々なもの。
もう、泣きたかった。
奥の手までもが空振りに終わり、もう用済みとなった容器を逃げるように下げようとした次の瞬間―――右の二の腕をがっちり掴まれた。
「お姉ちゃんには………試してみないの………?」
姉さんの指先に力が入ると腕の筋肉が軋む。
激痛というほどではないが、なかなか痛い。
雨音ちゃんに試してみたのは、残っていたのが雨音ちゃんのストロベリーパフェだったのと、雨音ちゃんからはなんらかの反応が期待できたからで、別に他意はない。再度、姉さんで試す気力が尽きてしまっていただけだ。
「お姉ちゃんには………試してみないの………?」
相変わらず俯いたままの姉さん。
しかし、先ほどのような無機質な声の向こう側に姉さんの期待を垣間見る。
容器を下げようとしていた手を開くと、姉さんの手も開く。
長い前髪で隠れた瞳の奥、そこには薄い意思の光が灯りかけていた。
姉さんの中の「お姉ちゃん」が甦ろうとしている。
いつも明るくて、何よりもやや暴走気味な姉さんが―――。
これはマズイ。
先ほどのはただの冗談である。
二人の嫌な雰囲気を変えようとして、突飛な行動を取ったにすぎない。
いわば、勢いで通した無理。
もう一度やれと言われても困る。
「あのね、姉さん……」
僕の声に反応して、俯いていた姉さんの顎が次第に上向きに変わる。
やや童顔の姉さんの斜め下から覗き込むような視線。
男心が大いに揺さぶられる。
「ね、八雲ちゃん……試してみて……」
お願い。
されると、断りきれない。
戸惑う僕を余所に、姉さんは僕から視線を離さずに顔を寄せてくる。
先ほどまでの影を感じさせないほど生き生きとした息づかい。
姉さんは姉弟でこういう事するのに抵抗はないのだろうか?
「ね、試してみようよ……」
至近距離で姉さんの濡れた唇が動いて、淡く甘い生クリームの香りが漂う。
誘われるまま僕はスプーンに手を伸ばすと、僕を覗きこむ姉さんの口元が嗤った。
まるで、蝶を捕らえた蜘蛛の様に、
――――『捕まえた』と嗤っている。
「姉さん、待って」
救いの声が聞こえた。
それは姉さんを抑えることのできる唯一の声。
霧のかかった意識が晴れて、僕は胸を撫で下ろす。
姉さんを鎮めるのは雨音ちゃんに任せればいい。
その分野に関して雨音ちゃんは僕よりも数段上手い。
雨音ちゃんは聡明な娘だ。
僕は安心して成り行きを見守っていればいいのだ。
今はなにより、助かった。
「私のが―――まだ途中です」
い や 、 そ う じ ゃ な く っ て 。
新人がいきなりトリって何様だよ
>>129 まぁ、これで消えるだろうしwほっといてやれよwww
「もぅ、雨音ちゃん。いいところで止めないでよ」
「寸止めなのは私も同じです。むしろ焦らされてます」
「お姉ちゃんに先を譲ってよ」
「駄目です」
「ね、お姉ちゃんの一生のお願いだからぁ〜」
「それ、一週間前にも聞きました」
「帰ったらお姉ちゃんのアイスあげるよ」
「私たち、今パフェを食べたばかりでしょ」
「じゃあ〜、どうすればいいの〜?」
「私が終わるまで、指でも咥えて待っていてください」
騒がしくなるテーブル。
いつの間にか嫌な雰囲気が消えて、いつもの二人が帰ってきた。
会話の内容と周りの視線は少々痛々しいものがあるけれど、僕は何よりもほっとしていた。
「あの、僕は仕事に戻るよ。まだバイト中だし」
「駄目」
「許しません」
立ち上がろうとすると両肩を摑まれ強引に引き戻される。
「バイトが終わった後でちゃんと埋め合わせするから」
「じゃあ、お姉ちゃんが先で決定!」
「どうしてそうなるんですか? 私が先に決まってます」
結局、僕はもう一度アレをやらされる事が決まっているらしい。
「二人とも、あんまり騒ぎすぎないでね」
二人が言い争っているうちに僕は席を立ちキッチンへと滑り込む。
洗い物が溜まった台所には仲間連中の鋭い視線と店長が仁王立ちで待っていた。
「天野くん。言い分はどうあれ、次に同じ事があったら―――わかってるよね?」
「――――はい」
一つだけ愚痴を言わせてもらえるのならば、
『女難の相』はまさしく二人の事を指しているのではないだろうか。
つまんなくはない、だが面白くも無い
ここまでです。
>>133 プロットとかちゃんと考えてる?
これじゃあ普通に駄文だよ
おお、続きが来た!GJです!
晴香姉さんいいよ晴香姉さん
>>133 外野がごちゃごちゃ言おうとも、漏れは面白いと思った!(=゚ω゚)ノ
今はまだ起承転結の「起」の部分だろうし、これからの展開にはすごく期待してるお!
つまんないと思ったらスルーを。面白いと思ったらGJを。感想を書きたいなら感想を。
作者に対して書かれたものに、作者以外のレス返しはいらないよ(お約束違反の時は可)
>>133 姉妹の今後が楽しみです。
GJ!!
143 :
名無しさん@ピンキー:2007/02/28(水) 07:03:04 ID:70tMTqwf
>>133 おもろかったお。姉妹に何かしらの兆候が見え始めてるな。
GJ!
続きも楽しみに待ってます!全裸で
いくらなんでもこんなあからさまな自演で騙されるような人間がいるもんかよ……常識的に考えて……
GJす〜
これからの展開にwktk
不自然なGJがあっても、自分に気に入らない感想があっても、レス返しはよくない。
と、いう私もレス返し…よくないね。
自演臭すぎでワロタwwwwww
>>133 この作品は俺の好物なのでwktkしながらまってるぜ!!
ほっといてやれよ、自演するぐらいしか脳の無い頭の可哀想な社会のゴミ屑なんだから
しかしまぁよくこれだけ自演連発できんな、仕事が無くてニートな人なんだろうきっと
いくら作品が良くても、朝からあからさまなGJ連発じゃ滅入る
本当に面白いのかよ、と
GJ連発なのは自演君が作者さんへ影響を及ばすのを防ぐためのフォローだろ
あなた様は
>>3を良く読み倒せ
防ぐどころか拡大してる。フォローじゃなくブローだ
荒らしは『臭い自演』と『住人になりすまし』で揺さぶりをかけてきます
ヌルーで
>>133朝からキテタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!
姉妹可愛いよ姉妹
二人に一体何があったのかこの先の展開にwktk!
レス返ししなければいいだけ。読み手も書き手もお約束を守ってれば何書いてもいいよ。意見の違いから煽るのは、お門違いだ。
>>133 転帰予報キタァー(゜∀゜)ーー!!!!
この姉妹も最高にいいGJ
いや、姉妹の嫉妬は癒されますね
朝から仕事に行く気力が沸いてくるものです
自作自演の荒らしが叩いているようですが
全然に気にしないで
これからも頑張ってください
>>133 おもろかったですーよっ続きに期待!
住人同士のレス返しはいらんって
朝っぱらから心ない人だらけですね…それだけ
160 :
名無しさん@ピンキー:2007/02/28(水) 09:57:32 ID:2Wx/CLji
まだ始まったばかりなんだからのんびり見守ろうぜ。
ただ、強いて言うなら独創性がほしいかも。
アビス氏、トライデント氏といい姉妹ネタは多いからな。
これからの姉妹狂いぶりを想像するだけで心が癒されるぜ・・
>>161 トライデント氏の作品よりこっちの方が面白いぞ
トライデント氏の作品はネタを重視すぎて作品全体構成が疎かになっている
皆はネタに大いに騙されているのであって、本来描かれるべき物語はちょっと(゚Д゚)ハァ?
なとこが多いです
ってか、ここの住人は欲張りすぎるだろう
エロパロ板の趣旨は何ヶ月に一つ投下されるのを待つのが信条のはず
最近の住人の態度は人としてどうかと思う
初めて聞いた>新庄
まぁ 他は大体そんな物だな
>>150 うん、そうだね!自演臭いね!
ほんっとうになぁ〜、自演の臭いがプンプンしてるんだよコラ。
遅まきながらGJです。
そもそも、GJの意味は何なのかと問い詰めたい
ちょっと意味がわからん
>GJ
釣り針の先にかかった餌が針の先から離れた瞬間を意味している
つまり、スレに投下してくれた素晴らしいSS(絵、ネタ、etc)を頂きましたありがとう
という意味である
ここ数日職人の投下が多いから困らない
>>165 他のスレに居着けば分かるよ
雑談イラネ
嫌ならスルー
153がうまいこと言った
黙って作品ネタプロットを待とうや
177 :
名無しさん@ピンキー:2007/02/28(水) 14:30:20 ID:vDPNIMVl
>>163 お前トライデント氏に粘着してるやつだろw
とりあえずageるのやめようや。あとつまんねーと思ったらスルーがお約束だろ?
ここの自演君はわかりやすくて困る。
179 :
名無しさん@ピンキー:2007/02/28(水) 14:49:54 ID:vDPNIMVl
sage信者ウザス
ウザさで言えばお前様の方が勝ります。黙ってろ下さい。
専ブラぐらい使えよ・・・
荒らしにレス返すな!! スルーしろ・・
>>3を読んでない奴はもうスルーしておけ
>>133 姉妹ネタGJ 心地良い嫉妬が毎晩遅くまで残業している俺の心を癒すぜ!!
その姉妹がどうして嫉妬するようになった根本的な原因とか
一人称の描写とか楽しみにしてるぜ・・。
俺は今週の土曜日まで大人しく嫉妬SSスレの欄を閉じておくことにしよう
外野は騒がずに傍観もせずに・・
休日になったら大量に投稿されているSSをニヤニヤして読むのが一番さ
/  ̄/〃__〃 /  ̄/ /
―/ __ _/ ./ ―― / /
_/ / / _/ _/ /_
/\___/ヽ
/'''''' '''''':::::::\
. |(●), 、(●)、.:| +
| ,,ノ(、_, )ヽ、,, .::::| スレの職人を叩くのはどうかと思う
. | `-=ニ=- ' .:::::::| + 大人なら投稿するなじゃなくてスルー汁
\ `ニニ´ .:::::/ +それとも作者の自演か?
,,.....イ.ヽヽ、ニ__ ーーノ゙-、.
: | '; \_____ ノ.| ヽ i
| \/゙(__)\,| i |
> ヽ. ハ | ||
185 :
名無しさん@ピンキー:2007/02/28(水) 17:37:08 ID:vDPNIMVl
>>180 175 :名無しさん@ピンキー:2007/02/28(水) 13:06:03 ID:/TABR8kB
黙って作品ネタプロットを待とうや
自分で行ったことも出来ないの?
ほんと民度落ちたな
別にここでいいじゃない
ここで神のようなアイディアを思いついた私が華麗に参上!
色々不満が溜まってる奴&作者?は新しいスレ立てちゃいなYO。ここで愚痴や文句言っても解決しないぜ?
スレが重複すると他にも迷惑だからスレタイも嫉妬、修羅場は抜きで立ててきてくれ。誘導も好きにやればいいよ、ここが過疎ってもかまわん!
どっちがスレ住人に必要なのかこれで不必要に揉めなくて済む。ただし誰もついてこなくても出戻りなんて小さい事はすんな。男ならでかいことしようぜ!
じゃあスレ立て&移住&二回位までの誘導(しつこい誘導は住人がわかりづらいから迷惑)、よろしくな、待ってるぜ!
190 :
名無しさん@ピンキー:2007/02/28(水) 17:58:59 ID:vDPNIMVl
>>187 角煮住人ってけっこうこのスレ知らんよ
前も山本君とお姉さんのキャラ紹介が張られてたが誰これ?って人が居たし
俺が荒らしだと思う奴は
>>189 >>185 ぐらいか・・。
昔の住人様は遠い世界に消え去ったようだね・・
>>186 元ネタはこのスレなんだから問題ないんだぜ
GJなんだぜ!
嫉妬キャラ萌えな俺にとって幼馴染の嫉妬もいいけど、メイドさんの嫉妬も捨てがたいのう。
おまいらは嫉妬キャラの属性は何が好きよ?
>>194 後輩だな。
「先輩!」と呼ばれるのが好きだ。
>>194 幼子の嫉妬とかかなぁ
精神的に未熟な分甘え方も嫉妬も純粋で悶絶モノですよ
血まみれ竜が連載してた頃はwktkが止まらなかった
我が生涯は常にキモアネ一直線ですぞぉぉx
198 :
名無しさん@ピンキー:2007/02/28(水) 19:24:03 ID:vDPNIMVl
>>192 荒らし認定キタ━━━━(゚∀゚)━━━━
あったら俺が見てぇよ。
メイドさんが主人を困らせるのは不味いだろ。
いや、美人のいいなずけにデレデレする主人に幼い頃から仕え思い続けてきた心が…
という展開ならば全然不味くは無い…はず
主人にばれないように嫉妬の炎を燃やすだろう。常識的に考えて……
ssまとめで言ったら「とある家政婦風景」あたりが該当するな
一話で終わっちゃってるぽいのが残念だが
ミスった
「とある家政婦の風景」だ
>>200 そんな常識に縛られておるからきさまは純粋に嫉妬修羅場を楽しめんのだぐわはは
夜だけは主人を困らせるメイド
小悪魔系メイド?
208 :
名無しさん@ピンキー:2007/02/28(水) 21:19:22 ID:yDSzyd0Y
トライデント以外はいいんだよなぁ、トライデントが空気読んで投下しなければマシになる
確かにメイドは良い。
しかし、やっぱり王道は幼馴染だろう!
幼女
幼馴染
キモアネ
後輩
家政婦(メイド)
許婚
残りはなんだ!
親友(隠れウホッ)
メイドという立場を考えると、姉・母のように甲斐甲斐しく主人公の世話をして、
何かと口を出したりするものの、やはり基本は従順であって根は依存しているという
妹的な側面を持つのが、このスレ風の解釈になるんだろうか。一粒で二度美味しいみたいな。
加えて言うなら敬語・丁寧語が付いてくるのが強みか。
ツンデレでヤンデレというのは無いのかと思索してたんだけど、
それってどんな感じになるんだろう。
妄想してみたがさっぱりだ。
恋人を殺しつつ
「べ、別にアンタが好きだから殺したわけじゃないからね!
ただこいつが嫌いなだけよ勘違いしないでよ!」
みたいな?
ツンデレからヤンデレにジョブチェンジならありそうだが
表ではツンデレ、裏ではストーカーみたいな感じかな
217 :
名無しさん@ピンキー:2007/02/28(水) 22:03:43 ID:ZM1i3Dro
test
218 :
sage:2007/02/28(水) 22:08:47 ID:ZM1i3Dro
sagetest
219 :
名無しさん@ピンキー:2007/02/28(水) 22:09:51 ID:dORoEtf6
そういえば赤川次郎の作品で、家政婦さんが旦那様(雇い主)に惚れてしまい、策略を用いて
旦那様の婚約者を自殺に追い込んでしまうものがあったな。
「自分とあの人は昔生き別れた兄妹だったんだ」と信じ込ませて。
ここで嘘から出た誠でそれが本当だったり、婚約者がそれでもなお旦那様を求めて一歩も引かず
家政婦さんと激しいバトルを繰り広げていればこのスレ的にオイシイ作品だったんだが……。
……話は変わるが、保管庫にある名レス・名シーン集のネタを元にSSを書くのはルール違反
になるのだろうか? いくつか使いたいネタがあるのだが。
>>208 同意
トライデントさえ投稿しなければスレは荒れない・・
もう、彼はNGに登録するべきなのでは?
水澄の蒼い空は打ち切りでいいですよ・・。
誰もお前なんか楽しみに待っていないしなwww
NGにしたいやつは自分で勝手にすればいいだけの話じゃないか
もはや住人同士の修羅場も楽しむ精神じゃないと駄目なようだな
テンプレに入れるか・・・
>>222 別にいいんじゃないかな
俺は支持するぞ
226 :
名無しさん@ピンキー:2007/02/28(水) 23:09:28 ID:A3QXFOhn
「たったひとつの修羅場見抜く、見た目は子供、頭脳はカタツムリ。その名はヤンツン!!」
なぜに頭脳はカタツムリ?
九十九の投下はしばらく先になりそうです。申し訳ありません。
ちょっと展開を考え直そうと思いまして、色々と調整中です……。
まあそれはそれとして。
前スレ669の「王子様を商品」というのが個人的修羅場ツボにはまってしまい、
ついカッとなってプロットやキャラ設定を立ち上げてしまいました。
血塗れ竜に負けず劣らずのトンデモ戦闘がメインになるっぽいです。
キャラ設定は以下の通り。
女騎士
A:大剣を用いた正統派剣術。型と威力を重視する。
B:主人公の幼馴染み。主人公のことが大好き。他は大嫌い。死ね。
護衛(姉)
A:杖を用いた制圧術。技巧派。
B:王の護衛隊長を務める。妹のことを応援しているが、気付けば妹にヤキモチを妬いてしまう。
護衛(妹)
A:剛槍を用いた槍術。スピード&パワー。
B:主人公の護衛隊長を務める。立場上主人公に想いを打ち明けられないが、いつも一緒にいられるので幸せ。
暗殺者
A:暗器を用いた殺害が得意。身体能力も高い。
B:昔、主人公暗殺に派遣された暗殺者だが、色々あって主人公のメイドになる。懐きすぎ。
奴隷
A:徒手空拳による体術。
B:奴隷闘技場の王者。物語開始時点では主人公と面識はない。でもお約束として惚れる。ツンデレ。
異国の剣士
A:刀を用いた異国の剣術。
B:腕試しに大会に参加する。物語開始時点では主人公と面識はないが以下略。
異能者
A:爪と牙を用いた体術。身体能力を別次元まで高められている。
B:国の研究所で作り上げられた最高傑作。主人公に依存。だっこしてー。
この娘らを、トーナメント方式でぶつけます。
7人分の修羅場。楽しみすぎて、想像するだけで黄色い汗が出てしまいます。怖い。
しかし、思いついてしまったからにはどうしても書きたくなってしまう修羅場魂。
対戦の組み合わせなどで、見てみたいものなどあればリクエストしてもらえると助かります。
黄金期はどこに行ったんだろうね・・?
まるでお通夜じゃないか
ごめんなさい。5秒差で割り込みました
ちょっと吊ってきます
書き忘れ_| ̄|○
Aは戦闘スタイル、Bは境遇やその他です。
色々な組み合わせを考えてはいますが、自分でも思いつかないものを書いてみたいので、
対戦の組み合わせの希望など、よろしければ聞かせて頂けると嬉しいです。
では、次は九十九の12話か↑の1話で。長文失礼しました。
住人が修羅場が好きなことには変わらない、それでいいじゃない
>>230 プロット乙です
九十九ですが、いろいろやっていくうちに迷うのはしょうがないことなんでゆっくり頑張ってください
また流達に会える日を楽しみにしてます
護衛(姉)vs護衛(妹)
は準決勝辺りかなあ……
このぐらいしか浮かびませんorz
魔女は現在難産です。
気分転換に>28の続きを書いてみようと思うのですが大丈夫でしょうか。
ぜひお願いします
>>230 組み合わせねぇ。槍vs徒手空拳とか。
徒手空拳だけ異能も武器もないのに圧倒的リーチの武器相手にどないすんねん!
って問題が出ておもしろい。俺が。作者は大変だろうけど。
大剣と杖もおもしろそうだな。受け止められないのにどうやって制圧すんねんとかね。
奴隷と主人公がセックスして強くなる展開が欲しい
>>235 トーナメントだと準決勝って言っても二回戦だよ。
さくっと一試合目でつぶし合ってほしいな。
ていうか4人目以降が全員イロモノっぽいのが気になる。
話的に女騎士がまともに勝ち抜けそうな気がしない。
28……?
あ、俺の書いたヤツかw(忘れてんじゃなェよ自分
OKです カモンカモンです
と言うか是非お願いします
直接戦闘より政治的な蹴落とし合いのがいいかも・・・と思ったりする
でもまあ書き手の好きなように書くのが一番いいですな
確かに大剣てなんか不利そうだな。徒手空拳の次くらいに。
刀と戦ったら、重い分小手先の加速が使いづらくて不利だったりするのだろうか?
怪物姉の攻城兵器っぷりに惚れたのだが・・・
体が弱く、病気がちな幼い男主人にはメイドさんが毎日世話をしていた。
そこに昔の幼馴染が乱入、メイドがキメイドへと変貌。
幼馴染を密かに殺して、キメイドはそしらぬ顔で男主人に世話をする。
こう妄想するだけでも、エンドルフィンがドバドバでて気持ちイィなぁもう!
やっぱ嫉妬最高だわ。
お待たせしました、一時間で書き上げました駄文ですが。>28の続きです。
お兄ちゃんが許して、私が許さないという我侭はできません。
そもそもこの女がお兄ちゃんをひっぱたき、それに私が口で応戦して大喧嘩になってしまったのですから。
つまり、私はお兄ちゃんのために戦ったわけであり、そのおにいちゃんが許すというなら私も必然的にこの女をゆるさなければならないのです。
お姉ちゃんの妹だったせいか、私はこれまで物分りのいい妹だと認識させられていました。
お姉ちゃんやお兄ちゃんに「お前は素直だな」と言われて頭を撫でられているときはとてつもなく幸せでした。
そのせいで、そのせいで私はお兄ちゃんの目を気にしてしまい、お兄ちゃんが頭を下げた後に、本心ではまったく違うのにこの女に謝ってしまいました。
女もこっちが悪いんだからと言って私に頭を下げました。私は本当です……という言葉をすんでのところで飲み込むことができました。
その日から、女はたびたびお兄ちゃんに会いに来ました。
女はいろいろとおにいちゃんと趣味があうらしく、女が来るといつもその話題で仲良く談笑し、私は一抹の寂しさを覚えました。
お兄ちゃんの趣味は学校ではあまり知られていませんが、ホラー映画の鑑賞です。
その映画の幅は心霊モノやサイコホラー、ゾンビ、パニック、スプラッタなどありとあらゆるホラー映画に精通し、
お兄ちゃんの部屋のDVD棚にはおどろおどろしいタイトルが山ほど並んでいます。
それを部屋のテレビでヘッドフォンをつけてポップコーンを頬張りながら見るのがお兄ちゃんの休日の過ごし方なのです。
私はなんどかお兄ちゃんの趣味に付き合おうと努力しましたが、その日の夢でゾンビとジェイソンとゴーストとバタリアンに追いかけられる夢を見てしまいました。
それ以降、私はお兄ちゃんのこの趣味を「お兄ちゃんの唯一の欠点」と認識し、これに関してはスルーを決め込みました。
(その後、事情を聞いたお姉ちゃんにこってりと油を搾られていたお兄ちゃんのしょんぼりとした顔は微笑ましかったですが)
その、私にとってお兄ちゃんの唯一の欠点であるホラー映画の趣味。
女が非礼を謝りに来た日、頭を下げた後の私の憮然とした顔に気付かず、女はお詫びだと言って私たちを放課後学校近くの喫茶店へ招待してくれました。
私は覚えていた危機感から行かないほうがいいと思い、お兄ちゃんも断ると思っていました。しかし、何故かこのときお兄ちゃんは女の招待に快く応じました。
私は行きたくないですが、お兄ちゃんだけで行くとなると今度は女とお兄ちゃんは二人っきりになってしまいます。私も行かざるをえません。
まぁ、軽く紅茶でも頼んで帰るだけ……この時の私はまだ楽観してました。女も別にお兄ちゃんが好きなわけではありません。
しかし、それが甘かったのです。私はこの時、我侭を言ってお兄ちゃんを女から確実に遠ざけるべきでした。
雰囲気のいい喫茶店でなんてことない話で談笑する二人。しかし、どうもぎこちなさは拭えません。
当たり前です。私は女と話をする気は無いので常に黙っていましたし、お兄ちゃんと女はほとんど初対面です。ふたりはすぐにどちらも無口になってしまいました。
私は自分に湧いた危機感をただの気のせいだったと結論づけ、そういえば家の牛乳が切れていたと思い出し、そろそろ帰ろうかとお兄ちゃんに話しかけようとしたそのときです。
お兄ちゃんは言うか言わないか迷ったように視線を右往左往させ、思い切ったように女にある外国の名前を言いました。
女はいきなり目の色を変えました。私の背中にもう一度、強い危機感が襲ってきます。その外国の名前は後で聞くとあるB級ホラー映画の監督の名前だったのです。
女は目ざとくもお兄ちゃんの趣味に気付き、自分もホラー映画好きなのだと明かしました。(この時点で私はこの女に対する評価を大幅に下げました)
これにはお兄ちゃんもかつて無いほどに目を輝かしてしまいました。
その後の二人の会話はまるで立て板に水。
二人は良い雰囲気の喫茶店で、周りの空気がアウター色に染まるほどホラー映画談義を始めたのです。
○○のシーンが最高だ、○○の血しぶきシーンは絶対あの監督の影響を受けている、○○な展開はがっかりだ、等等。
お兄ちゃんと女は水を得た魚のように生き生きと喋り、ほぼ初対面なのに、話が進むに連れてまるで何年も前から親友のようにどんどん親しげになっていきました。
もちろん私が二人の会話についていけるわけがありません。私はスパイダーマンの監督が死霊のはらわたという邦題だけで気分が悪くなりそうな映画の監督だということも知らないのです。
二人の肉や血や目玉といった単語が飛び交うテーブルでひとり寂しく赤い紅茶を啜ることしかできませんでした。
帰り道、お兄ちゃんは自分と趣味が会うホラー仲間をはじめて見つけたことに大喜びしていました。
お兄ちゃんのホラー映画好きは筋金入りで友達の仲でもホラー映画を好きなやつはいるが、B級の○○作品まで知ってるやつはいなかったと楽しげに言います。
私は「ふぅん」としか返答できません。
お兄ちゃんは自分の趣味とあう人間をようやく見つけたと何度も語りました。
嫌な予感は的中したようです。
翌日から、その女は屋上で私とおにいちゃんが一緒に弁当をつついているところに菓子パンを持ってやってくるようになりました。お得意のホラー映画トークと、レアモノらしいビデオを抱えて。
お兄ちゃんはすぐに歓迎し、私と二人っきりのはずの食卓に彼女を招き入れました。
お兄ちゃんは女との話になると、私なんて居ないかのように、いまが昼食時間だということも忘れたように、お弁当を食べる箸を止めて話に夢中になってしまいます。
そんな日々が毎日続きました。
私はどんどんお兄ちゃんからの疎外感を感じるようになってしまいます。対照的に女はどんどんお兄ちゃんと親しくなっていき、ついには二人はお互いのことを名前で呼ぶようになってしまいました。
お兄ちゃんはお姉ちゃんのことを忘れてしまったのでしょうか。否、違います。お兄ちゃんにとって女はまだ友達の域から出ていません。
しかし、女のほうはどうかわかりません。元々がお兄ちゃんに告白した雌猫の付き添いだったからと言って、女がお兄ちゃんを好きにならないということもないのです。
私はどうにかして、彼女を遠ざけられないかと考えましたが……、お兄ちゃんが女と話して喜ぶ姿を見ている以上、その笑顔を消すことになると考えるとなにもできません。
お兄ちゃんとお姉ちゃんによって作られた自分の素直という長所がここで枷となったのです。
お兄ちゃんがはいと言うなら私もいいよ……という風に、私は自分の我侭も言えずただ二人のホラー談義を見ながらお茶を飲むことしかできませんでした。
ある日のこと、いつものようにお兄ちゃんと一緒に昼食を食べるため、私は屋上へ向かっていました。
今日はたまたま授業が長引き、いつもより遅めになってしまいました。もしかしたらもう女が来ているかもしれません。私は焦っていました。
ようやく屋上にたどり着き、屋上のドアについている窓を覗いてみると、お兄ちゃんと女が二人で並んで座っているのが見えました。弁当をあけていません。どうやら待ってくれてたようです。
私は少し嬉しくなって、すぐにアルミ製のドアを開きました。
その二人が入ってきた私に気付くまでの瞬間、お兄ちゃんが言った一言が私の耳に入ってしまったのです。
お兄ちゃんは女にこう言いました。
「うちで映画見ないか?」と。
私の頭の中に警告音が鳴り響きました。
ここまで書きました。やべぇ、嫉妬が無い? あと自分の文章癖がめっちゃでてる。
続きは未定ですが、スレの活性化のためにここまでから続けられる人が居ましたらお願いします。
>>236 ヤンデレスレに行ってないでさっさと続ききぼんぬ
>>236 ヤンデレスレに行ってないでさっさと続ききぼんぬ
もう寝るOTZ
>>230 よーっしゃ、じゃあ今から全裸待機しちゃうぞーッ
>>248 一時間で書けちゃうその才能に嫉妬…ッ!!
でも(・∀・)イイ!!
>>248 嫉妬成分無いからスレ違いSSになったのが残念
ここでメチャクチャ叩かれていたトライデント氏が
ヤンデレスレで新作を投下してますよ・・
ムキッッッッ!!
私よりもあっちのスレがいいのねぇ・・
許さない絶対に許さないんだからっっ!!
覚悟しなさいよ・・トライデントの指を私が数えることに切ってあげる
「べ、別にアンタが好きだから切るんじゃないわよ!
ただヤンデレスレに投稿しないようにしているだけよ 勘違いしないでよね!」
256 :
名無しさん@ピンキー:2007/03/01(木) 02:29:59 ID:8nBQ8ovH
>>255 別にいいんじゃね
トラのキャラはどっちかというと嫉妬キャラつよりヤンデレキャラじゃない?
ツンデレスレでさえも2本SSが投下されているのに、このスレの現状と来たら…
テラカナシス
毎日一本の投下なんて、今までが異常だっただけ
30まで来て、ネタが尽きそうなのも現実
感想板作ろうぜ……
>>230 対戦の組み合わせ以外のことでの願望なんですが赦して下さい。
デスマッチもいいんですが、最低でも一試合か二試合は双方生きた状態で決着を付けて欲しいです。
セッちゃんの最期が悲惨過ぎたので……orz
ヤンデレSSは女の子の頭がおかしくなればいいから書きやすいといえば書きやすい
264 :
名無しさん@ピンキー:2007/03/01(木) 09:25:42 ID:YbqKVb84
保守
いや、ただたんに病んでるだけじゃだめだろ。異常なまでのデレがみそになって、その描写が
また難しいわけよ。
こんなところで『理想のヤンデレ論』を展開しないでください。
荒らしのせいにして逃げた作者も居るだろうな
赤いパパ氏みたい素直に難産といえるの難しい
もっと投稿しやすい空気にしようぜ
一呼吸置いたらすぐにそういう作者や住人批判始めるようなループは終わりにしてさ
主人公や、その彼女よりも強い、頭のおかしい女の子だったら、ほのぼの純愛が適当。
トライデント氏が荒らしを挑発するように投稿するから寂れたんだよ
全く、彼には責任を取ってもらいたいぜ
逃げた神は・・今頃泥棒猫と一緒に暮らしていて本命に刺されてそうだね
逃げたわけじゃねぇんだよ……リアルが忙しかったりネタが思いつかなかったり……
と、神の心境を代弁してみる
まあクレクレの裏返しだろうが、「逃げた」とかいやらしい言い方流行らすなよ
久しぶりに投稿しようとした神々が「逃げた」とか言われてて気分いいわけねえだろう
とりあえず、神を叩いている住人どもは氏ねとマジで思った
こいつら何様ですか?
>>270 お前という荒らしが勝手に過敏に反応しただけだろ?何人の所為にしてんだ。死ねよ。
とりあえず新たな投下がくるまで、全員黙ってれば?
この殺伐としすぎな空気にワロタ
マターリいこうぜ
静かに私は彼の胸に自分の包丁を突き刺した
私の想いをたっぷりと込めた一撃はきっと彼に届くであろう
俺には神は無理!!
もういい加減にしないと神々どころか阿修羅さんにまで愛想を尽かされちまうぞ
,,、,、、,,,';i;'i,}、,、
ヾ、'i,';||i !} 'i, ゙〃
゙、';|i,! 'i i"i, 、__人_从_人__/し、_人_入
`、||i |i i l|, 、_) 世紀末嫉妬修羅場に備えて
',||i }i | ;,〃,, _) この格好で待ってるのに!!
.}.|||| | ! l-'~、ミ `) 世紀末物の作品の投下マダー!!!!
,<.}||| il/,‐'liヾ;;ミ '´⌒V^'^Y⌒V^V⌒W^Y⌒
.{/゙'、}|||// .i| };;;ミ
Y,;- ー、 .i|,];;彡
iil|||||liill||||||||li!=H;;;ミミ
{ く;ァソ '';;,;'' ゙};;彡ミ
゙i [`'''~ヾ. ''~ ||^!,彡ミ _,,__
゙i }~~ } ';;:;li, ゙iミミミ=三=-;;;;;;;;;''
,,,,-‐‐''''''} ̄~フハ,“二゙´ ,;/;;'_,;,7''~~,-''::;;;;;;;;;;;;;'',,=''
;;;;;;;;''''/_ / | | `ー-‐'´_,,,-',,r'~`ヽ';;:;;;;;;;, '';;;-'''
''''' ,r'~ `V ヽニニニ二、-'{ 十 )__;;;;/
もう駄目だなこのスレ
緑猫氏をはじめ多くの作者が執筆中だ。正座して待ってろ。
終焉が始まったな
まだまだ大丈夫だ! 俺はネ申を信じる。
来てくれるさ!!
来てくれる…よね? (。。;)
雑談は極力避けた方がいいかもね。
現状で問題ないと思う。作品投下してくれる職人はまだ居るし、気に入らないレスはスルーで何とでもなるし。
欲を言えば住人の突発ネタとか妄想があまり無いからちょっと寂しいけど。
自演荒らしもスルーされて明らかに浮いてるし、議論すると荒らしが必死で紛れ込むし。
23話投下します。今回はちょっとクオリティ低めです。
りぃん、りぃん。
窓に投げた鈴を拾い上げ、早百合はにやりと笑う。
その鈴を握り締めると早百合の体の奥から底知れぬ力が湧いてくる。憎しみの力、独占したいと願う欲望の力。
鈴を握り締めると早百合は裸足のままでアスファルトの道路をひたりひたりと歩いてゆく。夜10時を回った住宅街はひっそりとしていて、人通りはどこにも無い。
その中で早百合はただひたすら歩を進めていた。
早百合の感情、意識、思想全てが淘汰され、ただ己の妄執のみによって突き動かされている。
「よしきぃ、よしきぃ……」
住宅街を右へふらり、左へゆらり、しかし確実にその歩は良樹のマンションへと向かって動いている。
しかし、速度はかなり遅い。
りぃんりぃん。
握り締めていたはずの鈴が鳴る。鈴を握り締めているのであれば、音を鳴らすわけが無い。音は空気の振動によって怒るもののはずだ。
しかし、何故か鈴の音は響いている。
りぃんりぃん
……早百合の頭の中で。早百合の頭の中で鈴は力を誇示するように、早百合を責めたてるように、早百合に妄言を呟くように、脳内に響く。
「あいしてるぅ……あいしてるぅ………」
何度も、何度もはねつけた鈴の力、それによって早百合の心の中の感情全てが破壊され残った執着。今の早百合にあるのはそれのみなのだ。
もし、彼女の心の中をルミネホールのように覗いてみればこのような文章が踊るはずだ。
良樹を独占する。良樹を奪い取る。しずるを駆逐する。しずるを排除する。しずるをしずるをしずるを殺す殺す殺す殺す殺す殺す死ねしねしね死ね……。
これでは大人も子供もお姉さんもやるべきではない。
「よしきぃ、よ、よ、よ、よしきぃ……よしきぃ、よしきぃ……」
呪詛ように良樹の名前を紡いでゆく。
もし、彼女が早々に鈴の魔力に屈していたらここまで廃人寸前ならなかっただろう。早百合が鈴の魔力に抵抗するたびに、鈴はその力の出力をどんどんと強くしていった。
害虫を駆逐するために殺虫剤をかければ次はその殺虫剤につよくなる害虫が生まれるがごとく、早百合の抵抗が鈴の力を増幅させる結果となったのだ。
そして、最終的に。早百合は狂った。
りぃん、りぃん。
彼女は幻覚も見ていた。それは自分のベッドの中で一人見ていた妄想とおなじもの。
自分が良樹に抱かれる姿。
それと、もうひとつ。昔の良樹と昔の自分のセピア色の映像。まるで8ミリカメラのように荒く暖かいあの映像。
すべて、すべて、早百合の都合のいいように編集されて脳内で麻薬のように繰り返しリピートされていた。
その映像が蘇るたびに彼女はその虚ろな目を扇形に細め、虚ろな口元から良樹の名前を呟くのだ。
りぃん、りぃん、りぃん、りぃん……。
り……。
音がやんだ。
同時に早百合の足が止まる。
「くふ、くふふ、くふ……」
早百合は俯きっぱなしだった顔を、生唾をためるように上へ向けて溢れる狂気を隠そうともせず笑った。その声にもはや早百合の面影は無い。
何か甘い砂糖菓子をを噛み潰すような笑い方をしながら早百合が視線を向けた先。それは良樹のマンション。
鈴を握る力がいっそう増す。この鈴は今や早百合の体の一部。握り締めるごとに心臓の脈動のごとくひとつふたつと魔の力が体中に供給され循環する。
「くふふ、くふふふふ、くふふぅうぅう」
早百合の笑い声は闇夜に響く。
実際彼女が良樹の部屋へ押し入ってどうするつもりなのか。それはわからない。ただ本人も鈴も今は良樹の姿を眼前まで持ってゆくことだけに集中していた。
マンションの入り口へ視線を戻す。粗末なガラス張りの玄関に大家さんの手遊びのように作られたガーデニングが並べられている。偶然にもプランターに植えられていた種はマリーゴールドだった。
もちろん花言葉は嫉妬である。
しかし、早百合はそれを見てナイスタイミングだと思う思考能力が無い。まぁ、元のままの早百合でも花言葉なんて知らないが。
「きたわぁ……くふふっ」
握っていた手を開く。燕尾色に光る鈴が早百合の行動を喜ぶかのようにりぃんと音を鳴らした。早百合はそれに目を細め、もう一度力を吸収するように強く手を握り締めた。
もうすぐだ。もうすぐで良樹の部屋へ行ける……。
そう思うだけで早百合の脳内は薔薇色に染まり、体中が心地よい快感でうずめられる。
鍵は胸ポケットの中に大事にしまっている。もし良樹が入れてくれなくても無理矢理押し入るつもりだった。
早百合がマンションの入り口へ笑いながら足を踏み入れた。 裸足のまま踏み出した足が玄関のタイル貼りの床に触れる。ひたり、ひたり。
と、そのとき。
「鞠田早百合」
りぃんっ。
いきなり両肩をつかまれ、早百合の体は強制的に止められた。 早百合はかまわず歩き出そうとするが、力を込められた両手に押さえつけられた体はビクともしない。
「鞠田早百合、私が分かるか?」
早百合はぎしりぎしりと頭だけ動かし、右へちょうど90度まで首を動かして。肩を掴んだ人間の顔を確認した。
「……し、ず、る?」
早百合の肩を掴み、ブルマにジャージのままの服装で真剣な表情で語りかける人物。
それは早百合に鈴を渡した張本人。紅行院しずるに他ならなかった。
「すべて私の責任だ。その鈴を返して欲しい」
しずるは、顔の右半分だけ見える早百合に向かって沈痛なおももちで言葉を紡ぐ。
「その鈴はある陰陽の家系の女が嫉妬の果てに入水自殺したときに怨念を封じ込めながた呪いの鈴だ。私がなんともなしに渡すようなものではなかったのだ」
「………」
「その鈴を持ってからの君は明らかにおかしかった。鈴の魔力に弄ばれていた。私はそれに気付くべきだった。人のつながりに浮き足立ってそれに気付くことができなかった」
早百合は必死そうに話すしずるの顔を右目だけでじっと眺めていた。
いつもの斜めから見たようなスカした表情ではなく、いまにも泣き出しそうなほどの必死な表情。そして、心の内面に語りかけるような純粋な瞳。
「……」
「その鈴は危険だ。わかるだろう、今の君にも。今の君は鈴に操られている」
「……」
「鈴を返してくれ。お願いだ」
「……しずるさん」
見たことも無い魔女の必死な様子に、早百合の淀んだ瞳はふるふると潤む。消え入りそうな声で早百合はしずるの名前を呼んだ。
「鞠田早百合っ」
「すいません、肩を放してください……。これでは渡すものも渡せません……」
「……わかってくれたか」
しずるは早百合の肩に乗せた腕をはずした。そんな細い腕からどうしてそれまでの力が出せたのだろうか。
早百合は首を元に戻し、体ごとゆっくりと振り返る。早百合としずるのお互いが向き合った。
「さぁ、鈴を返し……」
刹那。早百合の口元がにやりと笑った瞬間。
がぁつぅんっっ!
早百合のグゥで握られた鉄拳が、しずるの鼻頭に叩きつけられた。
一発。ストレートに伸びた早百合の腕。手加減などいっさい無い、全力で叩きつけられたこぶし。
早百合は虚ろな目で、撲ったしずるの顔を見つめてにぃたぁと口元をだらしなく開いた。闇のように真っ黒な口の中。そのまま早百合はにたにたと唇をゆがめ笑う。笑い続ける。
「……ふへへ、ふへ、殺すぅ、ころすぅぅ」
にたにた笑い声をあげる早百合だったが……。
突然、不快な笑い声を止めた。
「……ふん」
早百合が鉄拳を叩き付けたしずるの顔面。それがいまだ早百合のこぶしから離れていない。つまり早百合の握った手の甲としずるの頬はくっついたままなのである。
そう、しずるは早百合のストレートを顔で受け止めていたのだ。正面から堂々と早百合の拳を喰らっておきながら、しずるは倒れるはおろかよろけもせず、仁王立ちのまま堂々と立っていたのだ。
「……え……?」
「私がまいた種だ。一回は殴られなければ、許してもらえないだろうな」
そして、まるで殴られたことなど蚊にでも刺されたように無関心のまま、早百合をじっと見つめて言った。
「……こ、こ、ころすぅっ!!」
早百合は倒れないしずるを見て発狂する。魔女の顔面は鉄板か? たしかに殴ったときは肉の感触はあった。だが、魔女は倒れない。
しずるの顔面へ叩き込んだ腕を引くと、きぃぃぃと軋むように歯をかみ締め、両腕を鳥のように開くとそのままもう一度、しずるの顔面へ振り落とした。
「すまないっ! 早百合、君のためだっ」
対するしずるは、もう早百合に普通に説得しても無駄であると気付いていたのだろう。
用意が早かった。早百合に殴られた直後、しずるの腕はブルマの腰につけられていたある防犯グッズにいつでも手を伸ばせるようにしていたのだ。
しずるは早百合の行動……鈴の力の使い方を読んでいた。
早百合がもう一度叩きつけようと両手を振り出した瞬間、しずるは防犯グッズに手を伸ばしそれを掴む。バチリと光るそれを握り締め、早百合の体めがけてそれをしならせ叩いた。
それは、警防型のスタンガンであった。
そのスタンガンをしずるは早百合の脊髄に付属する部位、首元に叩きつける。まるで侍の居合い抜きの様な見事な一撃。
「ひぎぃぃぃぃっ!?」
「すまない! すまない! すまない!!」
50万ボルトの電圧が早百合の体内に走りまわった。しずるは何度も謝罪の言葉を口にしながらもスタンガンの攻撃の手をゆるめなかった。
りぃんっ。
早百合の手から離れ、鈴が悲鳴を上げるように音色を響かせ、宙へ放り出された。
その途端。
どさりっ。
早百合の体がまるで操り人形の糸が切れたように脱力し、アスファルトに倒れこむ。意識は無い。
「……やったか」
しずるは、どくどくと鳴る自分の心臓の鼓動をなんとか抑えながら、全てのことが終わったことを悟る。
このまま彼女が全てを忘れてくれればいいのに。いや、彼女は鈴により操られていただけだ。鈴をなんとかしなければならない。
そういえば、鈴は? あたりを見渡すと、あの憎き呪いの鈴は早百合の体からいくらも離れていない場所に転がっていた。
しずるは急いでそれを拾い上げる。あれほど凶悪に見えていた鈴も、持ち主の手から離れればなんてことはない、ただの古い骨董な鈴だ。しかし、この鈴が早百合をこんな状態まで変えてしまったのだ。
ううっ、としずるが唇を噛む。悔しげに、口惜しげに。
「……こんなものを考えなしに渡すなんて……私はなんて馬鹿なのだ……」
倒れた早百合と鈴。この両方に囲まれ、マンションの玄関前で、しずるは初めて涙を流した。自分の侵した罪を責めながら、おんおんと声をあげて泣き出した。
その泣き声は、何事かと良樹が部屋から降りてきて倒れて意識をなくしている早百合としずるの惨状に気付くまで続いた。
(次回最後)
修羅場スレをまた荒らすようなことになる展開かもしれませんが、次回でラスト更新です。
書いていくにあたって、>248の続きのときのように自分は修羅場そのものよりも修羅場に向かうまでの展開を書いていくほうが良いと自覚しました。
こんな作風ですが、もし皆様がよろしければ次回作も現在構想していますので、次回後もどうにかよろしくお願いします。
ところでプロト版としてメイドものを書いてみたいのですが、もしよろしければ皆様の電波をもう少し貸していただけないでしょうか?
>>292 GJ
気にせずにガンガン投下してくれ
後、許婚VSメイドの一騎打ちを見て見たいが女執事VSメイドというのも捨てがたいと思う俺
雑談するなとか感想書くなとか、ちょっとしたことでストップ呼び掛ける奴が空気悪くしてる。
嫌ならスルー。和やか進行が一番いい。
GJです!
僕は赤いパパ氏の作風が凄く好きなので
今後も沢山の作品を投下してくれたら凄く嬉しいです。
あと修羅場とか関係無しにしずるに萌えた・・・
>>292 GJ
次回、最終回なのは惜しいね
気が向いたらたまに外伝を書くのもいいかもしれないよ
メイドものお約束はライバルの泥棒猫は主人公の腹黒い許婚かな
主人公と婚約者の許婚の間にメイドが主人公を奪う展開とかモエス!!
>>292 おおスゲーGJです!やはりしずるさんはいい…
荒らすなんてとんでもない。全然気にせず投下してください
>>293 女執事とメイドとは……その発想はなかったわ
激しく、GJ!! ss連載するモチベーション保つのって大変なんだよなあ。
ss書いたことあるけど、ネタがあっても文章に出来ない。
とにかく続きをwktkしてお待ちしております。
しかし、私が書いたプロットネタがちゃんと保管庫に置かれている状態って
続きを書いた方がいいのか?
今すぐとは言わない。
楽しみに待ってるよ。
303 :
名無しさん@ピンキー:2007/03/02(金) 09:22:48 ID:uJI2Hd6w
保守
304 :
名無しさん@ピンキー:2007/03/02(金) 10:59:34 ID:uJI2Hd6w
保守
嫉妬スレ……。
おれには、奇跡は起こせないけど……。
でも、嫉妬スレのそばにいることだけはできる。
約束する。
嫉妬スレが悲しいときには、おれがなぐさめてやる。
楽しいときには、いっしょに笑ってやる。
おれは、ずっとここにいる。
もう、どこにもいかない。
おれは……。
嫉妬スレのことが、本当に好きみたいだから……。
306 :
名無しさん@ピンキー:2007/03/02(金) 13:17:49 ID:OYmo+Fd1
参った。
姉妹に追われた主人公が知り合いの女の子に匿ってもらって、
女装して姉妹の目を誤魔化そうとしたけど匂いでばれたって話・・・。
なんて奴だったっけ?忘れちまった。
ヒント:鷺森月花
>>307 一体どこのエロゲーの話なんですか?
俺もちょっと気になるから教えてくれよ
>>307 トライデント氏 の 水澄の蒼い空 の15〜6話あたり。
便乗で、私も探しているのがあるんですが
主人公が生徒会で一緒に下校できなくなってリスカして、病んだ主人公が共依存になり
キレたライバルの生徒会の女の子が窓ガラスの破壊や殺人予告をする
保管庫にあったと思ったんですが、どのSSでしたっけ…
あ、ごめん違ったかも
読み直してくる
あってるあってる
てゆーかお前ら、実は知ってるんじゃねーか?w
>>312-313 いえ、探していたのはその『二等辺な三角関係』でした。
ありがとうございます。
二等辺な三角関係か・・
連載再会してくれないかな・・いつまでも裸で待っていると寒いよ
俺は嫉妬プログラムがどうなったのかが気になる
>>318 ちょwww自演てwwwwありえなすwwww
わざわざ自演してまで話題を作らないといけないようになったか、このスレも
>>315 あ、合ってたんだよかった
続き読みたいねぇ
再開お待ちしております
自演はありえないだろwww
>>311 ワンニャン姉妹に吹いたぞ。エロゲーのヒロインですらありえないほどに痛かったぞww
自演とかどうでもいいよ
自演っていってる奴が自演なんだよ。
325 :
名無しさん@ピンキー:2007/03/02(金) 18:44:37 ID:k+cF+wmS
はいはい、分かったからいい加減スルーを覚えようね
なんという糞スレ・・・(ry
30も行けばネタも無くなるんだろうな、10ぐらいが職人さんも絶好調で一番よかった。
さようなら修羅場スレ
では投下致します
第27話『無価値』
キスマークの件の騒動から数週間の時が流れた。
季節は秋を通り越して、冬に変わりつつある。中間テストは赤点を取らなくて良かったと胸を撫で下ろす成績で終わり、
やる気のない文化祭は実行委員の紗桜が忙しそうにしていたので、兄である俺は妹の手伝いを必死にやっていた。
虹葉姉もちゃんと駆け付けて紗桜の手伝いを行なった。
文化祭の終了間際に行なわれるフォークダンスを姉妹で少し争っていたが、今回の文化祭は何事も幕を閉じた。
いろいろなイベントが終了しても、またまた次のイベントが控えている。
すぐに期末テストがあり、クリスマスという彼女いない歴=生まれた年である俺を苦しませるイベントが待っている。
彼女がいない人間を苦しませるイベントは大抵はクラス友人達と一緒に過ごしたり、家族と暮らすのが当たり前だろう。
俺は虹葉姉と紗桜の強い要請により、家族でクリスマスで過ごすのは習慣となっている。
だから、俺には彼女がいないのだ。
他のクラスの有人や知り合いたちは学生らしいクリスマスを過ごしている。
恋人同士で二人きりで過ごすクリスマスは俺がどんなに求めても手に入らない聖域である。
一度でいいからそんな空想に近い夢を見る権利は家族によってプライベ−トな時間を奪われた俺にだってあるだろ?
クリスマスを迎える前に俺は彼女を作って二人きりのイチャイチャな時間を過ごしたって文句はないはずだ。
それを、今夜の食卓で虹葉姉と紗桜の目の前で高らかに主張したのが。
今回の事件の始まり。
そして、俺が求めていた家族の絆が壊れる事件へと変貌してゆくのだ。
「今夜のニュースです。政府は月事に増えてくるヤンデレ症候群感染者による殺人事件の犠牲者数が5万人と発表致しました。
逮捕したヤンデレ症候群感染者を精神病院に強制的に配送させましたが、治療方法はないためベットに
強制的に縛り付けることで現状を何とか保っているってことです。12月の年末のクリスマスには
11月末を遥かに上回る犠牲者を予想されます。その犠牲者の数は都市部に核ミサイルを打たれた時と同規模の犠牲者が……」
テレビはずっとつけっぱなしにしていた。今、俺が言った事は例え余程の事情がない自殺志願者でも選択しない愚かなことである。
「く、く、く、クリスマスまでに彼女を作って一緒に過ごしたいなんて。そんなことはお姉ちゃんが絶対に許しませんからねっっ!!」
「そうです。クリスマスを恋人と一緒に過ごすなんて。兄さんは不潔です。変態さんなのですよっ!!」
姉妹は食卓のテーブルをガンガン思い切り叩いて精一杯に抗議の異を表明していた。
俺は嘆息を吐きながら、今度こそは絶対に成功してやると鼻息を荒くしている。
「俺のことはもういいから。二人ともいい加減に彼氏とから作ったどうなんだ?」
「にゃっっ!?」
「あぅっ!!」
「水澄姉妹ファンクラブの男性の中から好きなだけ選んだらいいじゃないか。
虹葉姉と紗桜に告白されたら断る男なんてこの世には存在してないぞ」
あのトチ狂った信者供なら絶対に姉妹を幸せにするとは思わないが、俺以外の男性経験を持つにはちょうどいい相手だからな。
「嫌。気持ち悪いよぉ」
紗桜が顔を青くして身体を震わせて怯えていた。男性恐怖症の紗桜からすると信者達は畏怖の対象かもしれない。
だが、家族として兄としては年頃の若い女の子がいつまでもブラコンで甘えてくるのは
先の将来まで杞憂に思ってしまうわけであって。
あんな連中でもいいから、一人や二人でもいいから彼氏を作って欲しいもんだ。
「俺の親友は花山田を紹介しよう。あいつは日頃からお前たちのことを紹介してくれとか、
姉妹丼を食べたいって言っていたから。ちょうどいいだろう?」
「よくありませんっっっ!!」
水澄姉妹が息の呼吸をぴったりと合わせて怒鳴り声が俺に向けられる。自分には今の中東問題を解決する並にいい提案だと思っていたが。
「そんなに嫌か?」
「あの人と付き合うぐらいなら、月君を襲って押し倒した方が100倍マシだよ」
「花山田先輩にはメスのゴキブリでも紹介すればいいんです」
人の親友をサンドバックで殴り放題のような暴言を連発するなと言いたい所だが、これもこの世界の絶対的な真実のために反論はできない。
花山田は普段の言動通りで小学生や中学生の幼気な女の子にたくさん手を出して、警察で補導されている話はよく聞くもんだ。
ってか、俺はそんな奴とよく親友でいられるなぁと自分で自分を誉めてやりたい。
「後は出会い系サイトで適当にどこのわからん馬の骨を見付けて、地道に恋愛フラグを立てるしか方法はないぞ」
「話を誤魔化さないでください。私達の彼氏候補はどうでもいいんです。問題は兄さんがクリスマスを恋人を作って過ごすってことでしょう!!」
ちっ、ばれたか。
「紗桜ちゃんの言う通りだよ」
「いや、まだ。恋人を作ってないし」
「月君は恋人を作っちゃダメっ。絶対にダメっですから!!」
「女の子に手を出すなんて不潔。絶対に不潔」
嫉妬の炎を背後に燃やす虹葉姉と紗桜の迫力に圧されるが、今度ばかりは引くわけにはいかない。
自分自身の命を犠牲にしてもクリスマスという甘いイベントを過ごすために恋人を作る。絶対に作ろう。その決心は見事に堅かった。
夏は花山田コレクションの隠し場所を姉妹の女の勘であっさりと見抜かれ。
逃亡先の音羽の家に偶然たまたま買いにいった激安スーパーの売場で鉢合わせし、鷺森家の篭城戦では俺の策が全く通じなかった。
匂いで相手を完璧に判別することができるのはうちの姉妹だけであろう。(たぶんな)
敗北後の負け犬に待っていたものは冬子さん主導による監禁生活であった。そこでも姉妹はべったりと離れずに俺の傍で監視していた。
思い返せば……俺の戦いは全て敗北ばかりだ。
だから、今度こそは……。
俺が勝つ!!
男に二言はない。
俺は覚悟を決めた。
クリスマスまでに恋人を作る宣言は姉妹に精神的なダメージを負ったせいなのか、
怒りと嫉妬のオーラーはこれ以上までない最大最強最高のレベルに達している。
夕食を食べた後にはべったりと俺の傍を離れずに就寝するまで
俺の部屋で恋人を作るなというプラカードを持って抗議活動を続けていた。
もう、好きにやってくれ。
俺は最近発売された売れ残ったゲーム機をオークションで捌く以上の労力で恋人を作ると決めたんだから。
今更、そんなことぐらいじゃあ決心は簡単に揺るぐはずがない。
ワンニャン姉妹を敵にする恐怖はあるが、物事を成し遂げた時は日本史の歴史上の人物の名前に俺の名前が新たに刻まれることであろう。
アポロ13号辺りが月に行ったことは人類の新たな一歩ならば、俺は地球上の生物の新たな一歩を踏み込むことになるんだからな。
と、演説に近い口調で後ろの席にいる花山田に長々と聞かせた。
「アホか。お前」
昼休みの時間に弁当を食べながら、花山田はうんざりとした表情を浮かべていた。ちなみに今は学校の教室にいる。
「クリスマスまでに恋人を作る? アホかっっ!!
てめえみたいな恵まれた人間が恋人を宣言するって聞いたときはドリルを持ってきて、その腹に穴を空けたくなる程に俺はムカツキを覚えた」
「うん?」
「てめえは学校で有名な美人姉妹と同居して、毎年毎年、凡人では辿り着けない桃色の雰囲気の中でクリスマスを過ごしているのによ。
恋人とイチャイチャしたいだと。ふざけんてんじゃねぇぞ」
ふざけてるんじゃなくて、かなりマジだがな。
「くっっっ。虹葉さんと紗桜ちゃんの姉妹丼をたっぷりと食べたくなってきたぜっっ」
「存分に喰ってもらっても構わんが、お前の人脈で合コンを開催する前にやってくれ」
花山田が業務用テーブルで殴り殺される前に前科持ちの家族となるまえに大人しい彼女の一人や二人ぐらい作りたいじゃないか。
「やだよ。俺の人脈っていうか、お前を目当てで来る女ばかりじゃねぇか」
「知らないよ」
「いいや。お前の他に数合わせに呼んだクラスのツレと他の女の子たちが盛り上がって、
俺は寂しく独りぼっちで部屋の隅の方でよろしくってのがいつものパターンじゃん」
「そりゃ……」
合コンに来た女の子たちに『ようこそ。俺の性奴隷たちよ』なんて初対面の第一発声がそれならば、
まともな常識人たちは誰だって警戒したり無視することであろう。
何事にも初対面は大切なんだよ花山田君。本人は一生気付くことがないと思うが。
「ちくしょっっ……今度こそ俺は新世界の神になってやるぜっっ!!」
「じゃあ。よろしくな」
そんな、昼休みの何気ない日常会話が盗聴されていたとは気付かずに俺と花山田は残っているお弁当を急いで食べ漁っていた。
「集まらないだって?」
「ああ、そうなんだよ。守山も榊原も殺されたくないからって理由だけで合コンは断りやがって。全く、男のロマンがわかっていないぜ」
「殺される? 誰に?」
「さあ? 合コンで知り合った女の子たちから好意を抱いて、
それでヤンデレ症候群の発症者になれば殺される可能性があるので泣きながら断っていたぞ」
「ヤンデレ症候群ねぇ……」
思い出されるのは秋頃の鷺森音羽によるヤンデレ症候群を発症してしまった出来事。
俺の予想を遥かに超える手段を選ばない戦法に命の危機にまで陥った。
常人を遥かに凌駕した独占欲は俺を束縛することを望み、手に入らないと理解すると相手を殺す。
好意を受け取ってもらえねば、ストーカーになり、黒化し、泥棒猫を始末し、そして、待っているのは絶対的な破滅である。
この病に感染した音羽は催眠術を解くとヤンデレ症候群を再発し、再び襲いかかってくるが
若干パワーダウンしているので再び5円玉催眠術でその記憶を消してしまえばいい。
他の感染者はどれくらい狂暴なのかは知らないが、一般人では交戦するだけですぐに殺されてしまうことであろう。
学園の男子生徒たちは発症した女の子たちに3割も殺されている異常事態。
だが、これは全国の学園平均では少ない方であり、
世の中には男子生徒が女子生徒で監禁されて、学級崩壊が起こってしまったとこもあるらしい。
社会問題となっている現象の中で合コンをしようとするのは命知らずか自殺志願者しかいないだろうなオイ。
「俺はこんなことで諦めたくない……花山田。頼む。
もう、独りぼっちは嫌なんだ。歳=彼女いない歴なんてプロフィールに書かれるなんてごめんだ」
「いいだろう。その覚悟を俺が受けとめた。
だが、お前に耐えられるか?
嫉妬した女性たちに集団ストーカに遭い、異なる時間に電話とメール攻撃。
そして、最終目的は燃え盛る女の業がお前の肉体を食い散らす。
腕、足、頭、目。毛の一本まで。
その果ては何も残らない。それでも、やるのかお前は?」
「結ぶぞ!! その契約っっ!!」
「あの、天草君、花山田君。ふざけないでちゃんと掃除してください」
あえて、教室の掃除に居残っていることを忘れて俺達はいつまでも堅い友情を確かめ合っていた。(今だけ)
以上 28話に続く
私が投稿した事によってスレが荒れてしまうのは仕方ないことですが
粘着や荒らしはスルーの方向へお願いします。
せっかくの嫉妬スレが寂れてしまうのは私も寂しいので。
残りの水澄の蒼い空を投稿後に新作投下の予定してますので
ぜひ、楽しみにしてください。
>>327 連載中の小説がまだあるのにネタ切れとな!
君という華の続きを楽しみにしてるんだぞ俺は。
335 :
名無しさん@ピンキー:2007/03/02(金) 23:30:55 ID:jDAbwHpj
最近は単発IDで煽るようになったのかね
>>336 最近は単発IDで煽るようになったのかね
オマエモナー
つかスルー汁
すいません、一話のびました。
というわけで短めですが魔女の逆襲第23話です。
ぐわんぐわんと頭が鈍器で殴られたような感覚が残る。ううっと頭を押さえようと手を伸ばそうとして、早百合は自分がベッドの上で寝ていることに気付いた。
あたたかい羽毛布団に包まれる感覚。目を開けると、いつもの自室の天井が見えた。
自分の部屋に居る……。早百合はそう自覚して、体を起こした。
もう、真夜中なのだろう。あたりはしぃんと静かで、開きっぱなしのカーテンから見える住宅の光もほとんど無い。
私はなにをしていたのだろう?
気を失うまでの記憶を思い出そうと改めて頭を押さえる。
と、そのとき。
「気がついたか? 鞠田早百合」
がちゃりと自室のドアが開けられた。ドアを開けた人物は早百合の起き上がった姿を確認すると嬉しそうに声を発した。
「勝手に入ってすまないな。気味の母親に一応の許可はもらってるのだが……」
そう言いながら、早百合へ近づいてくる女性。タオルと水差しをお盆に載せてやってきたのは、先日も早百合の家へやってきた魔女こと紅行院しずるだった。
いつもの体操服とブルマだが、今日はちゃんと学校指定の赤いジャージをはおり、きちんとファスナーを上まで上げていた。何気に正装のつもりなのだろうか。
「しずるさん」
「いやはや、早く気がついてよかったよ」
しずるはベッドに近づくと、早百合のおでこに手を伸ばす。反射的に早百合は目をつぶるが、ぺりぺりとおでこの熱冷ましシートが剥げられただけだった。
早百合はここで自分の額に熱冷ましシートがつけられていたことに気付いた。自分は風邪でも引いていたのだろうか。
記憶があいまいである。
たしか、今日は普通に学校に行って、家に帰って、電話を使って、あれ? それから……それから?
「どうして、どうしてしずるさんが私の家に?」
「……まあ、まずは一杯」
しずるは落ち着いた様子で水の入ったコップを差し出した。早百合はわけも分からずそのコップを受け取り、口の中へ流し込んだ。
相当に体が乾いていたのだろう。冷たい水はするすると胃へ流し込まれ、喉のすべりも良くなる。やはり自分でも気付いてなかったようだが、自分は相当喉が渇いていたようだ。
「どこから話そうかな……」
空になったコップをしずるは受け取ると、丁寧にお盆においてベッドの前にひざを落とし床に直接座った。ちょうど目線が早百合と同じ位置になる。
「鈴のことはわかるかな?」
「鈴、ですか?」
「そうだ。私が渡した鈴だ」
そう言って、しずるはジャージのポケットとごそごそと探ると、燕尾色に掴むそれを摘み上げる。
「これだな」
「……鈴……」
しずるは鈴を早百合に見せ付けるように出すと、自分で腕を揺らしりぃんと鳴らしてみた。
「もう何も起こらないか?」
しずるが聞く。早百合は首を横に振った。
このりぃんという鈴の音が響くたびに、早百合の心の奥から感情があふれ出していたのだが、持ち主の手を離れた鈴の音はもう早百合に効果をもたらすことはできず、ただ古臭い音色をあげるだけだった。
「いえ、大丈夫です……」
「そうか。よかった」
そういうと、しずるはハンカチで鈴を大事に包むとジャージのポケットにしまった。
早百合の記憶がだんだんとはっきりとしていく。記憶の水面を隠すようにうごく水の波紋が徐々に屈折を正していくような、そんな感覚だ。
「……わ、わたしは、わたしはなんてことを……」
早百合の唇がわなわなと震え、心臓の動機が跳ね上がった。私は鈴の音を聞いて……嫉妬に溢れ……良樹のマンションの前でしずるさんに向かって……。
「し、しずるさんっ。顔は、顔は大丈夫なんですか!?」
そうだ、たしか自分はしずるの顔面をグーで殴っていた! 自分の意思ではない。しかし、殴ったのは間違いなく自分の拳だ。
早百合は慌てて起き上がって、しずるに肩に掴みかかった。
「平気だよ。あれぐらい」
肩を掴んだ早百合に普通に微笑返すしずるは、本当に平気そうだった。顔には一切の痣や青こぶが無い。
「それよりも私は君のほうが大丈夫かと聞きたいが……」
「え? どういうことですか」
「ほら、私が君に向かって、すぱんすぱん」
そう言ってしずるは申し訳なさそうに表情をころりと変えると、右手で棒を振り回すようなジェスチャーをした。
「え……?」
「……そこは覚えていないのか?」
早百合が、警防型スタンガンによりべしりと叩かれたシーン。早百合の頭の中でそのシーンは都合よく忘れていた。
しずるはそれに気付くと、こほんと咳払い。
「まぁ、いい。説明をしよう」
「は、はい」
しずるは自分に都合の悪い部分、改造し犬でも気絶可能(しずる比)な警棒型スタンガンでばしばし早百合を叩いたということをうまく隠した。
しずるが体勢を改めた。そして真剣に早百合に向き合うと、しずるに鈴の真相を話し出した。
この鈴はある陰陽系の女が持っていた鈴らしい。
その女には幼い頃からの友人が居た。その友人は男で人当たりもよく、女は幼い頃から男のことを想っていた。
成長するに従い、女のその男に対する愛情はどんどんと肥大していき、男もそれに合わせるように女を愛し、なるべくして二人は恋人同士となったのだ。
しかし、人の心の色とは変わりやすいもの。
結婚の約束までもしていたはずの男は、ある日、陰陽系の女とは違う、別の女に恋をしたのだ。
男は陰陽系の女に一切の興味をなくし、新しくできた女に夢中になった。それでも、陰陽系の女はなんとか寄りを戻そうと男を慕い続けた。
しかし、そんな日が続き、最終的には陰陽系の女は男に全て拒絶させられた。新しくできた女との新しい生活をはじめようとする男を見て、女はしぶしぶながら身を引いたのだ。
そして、女は結婚の約束も、幼い頃からの絆もすべて破棄させられた。
陰陽系の女は絶望した。絶望し、絶望し、己のふがいなさと男への執着、そしてその男の新しい女への恨みの言葉の遺書を残し、ある海へ入水自殺した。
自殺した際に掴んでいた鈴。これは男が女が死んだことを知らされ、警察から遺品として渡されたものだった。全裸になって砂浜に流れ着いたところに発見された死体はこれだけ、後生大事に掴んでいた。
この鈴は元々陰陽系の女のものだったが、幼い頃男に女が手渡していたために、鈴は男の手へとまわったのだ。
それから一年。男と新しい女、そして家族。男と親しい人間。全て死んだ。原因は他殺。 突然錯乱状態になった女がナタを振り回し始め、男・家族・そして自分自身の体もすべて切り刻んだのだ。
その後、男の家は解体され、遺品は全て様々な寺の各所へと弔いのため移され、鈴だけはなんの因果かしずるの祖父の手に渡った。
その祖父が鈴をとある親戚に渡し、その親戚が違う親戚に渡し、さらにその親戚が親戚に渡し……この鈴のパストレードが何十年も続いた。そして、祖父も帰らぬ人となりこの鈴に関することがほとんど風化した状態に鈴が紅行院の元へ帰って来る。
それが、最終的に曲がりまがってしずるの手に渡り、呪いの噂もしらないまま早百合に手渡したのだった。
「私も昨日調べて、初めて知ったことだった。この鈴は他人に対する嫉妬心を増幅させ、人を内側から破滅させる呪いの品だったのだ」
しずるの引き締った声に、早百合はぐっと唇を噛む。まるで嘘のようなオカルト話だが、実際に操られしずるに殴りかかっていた自分がいい証拠である。
「そんな……」
「君が良樹のことを少なからず愛していたことは私もうすうす感づいていた」
「え」
「いやいや、戸惑う表情を見せないでくれ。どちらかといえば、いままで近くに居た人間が急に遠くの存在になるような、恋愛ともいえない微々たるものだと思う。ちょうど、姉弟の片方が結婚する時みたいなもの……」
しずるは、そこまで言って早百合のすこし困惑した表情に気付き、「私がきみの気持ちを代弁するべきではないのだが」と付け足した。
「……いえ、それは、その考えであってると思います」
「うむ、しかし。そんな些細な感情の揺らぎを鈴は大きくする。人との劣等感や差別意識、どんな些細なものも鈴は増幅させるのだ」
「……」
早百合は妄想と絶望がいりまじったあの夜のことを思い出していた。自分の歪んだ理想と歪んだ現実、鈴はその双方を見せて感情を煽っていた。
「そして、鈴は人を操り、攻撃させようとする。自分に劣等感を与えようとするものに、自分が……自分が嫉妬している相手に」
「……そうですか」
早百合が呟く。しずるの調べてきたこと、それは全て事実だろう。早百合はそう確信している。まさに自分が体験したから……という理由もあるが、やはり真剣に話すしずるの感情に打たれているのだ。
早百合が考えをめぐらして窓の外を眺める。暗い夜。少し離れた先に良樹のマンションがあるはずだ。良樹はこのことを知っているのだろうか。ふと早百合は思った。
「鞠田早百合」
窓の外に視線を漂わせていると、もう一度、自分の名前が呼ばれる。早百合は視線をしずるの元へ戻した。
自室の床、ベッドの前、早百合の目の前で。しずるは、魔女は、早百合に土下座をしていた。
手を床に伏せ、自らの額を接着剤でくっつけるようにぴたりと密着し、早百合に向かって頭を下げていた。
「ちょっと、しずるさんっ!」
「すまない」
土下座したしずるの見えない口元から出されたのは、謝罪の言葉。
重く早百合にのしかかる、低い低いしずるの声。
「君を危険な目に合わせてしまった。本当にすまない」
綺麗な、綺麗な土下座だった。いや、綺麗な土下座なんていままで見たことは無いが、しずるの真剣な謝罪の気持ちだった。
「しずるさんっ。顔を上げてください」
「君をこんな事件に巻き込んでしまった私は、本当なら一切これから君と良樹、それや君たちのクラスの者たちと顔も目も合わさず縁を断ち切るべきだ」
「いや、巻き込むって……そもそも元凶は私です」
「いや、鈴を渡したのは私だ。それ以前に、そもそも私と良樹が付き合うべきではなかった」
「……」
「いままで、なにも人とのつながりを持たずに居た私が、なんの努力もせずに良樹を手にいれ、起こした結果がコレだ……。私の罪はとても重い。
馬で市内を引き回されること請け合いだろう。いや、引き回された挙句ミンチにされて豚の餌にされて家畜の肥えとなってもまだ晴れることの無い罪だ」
それはさすがに重すぎだ。
「待ってくださいっ。しずるさんっ!」
土下座をしたまま、さらに自分を責める言葉を紡ごうとしたしずるを、早百合は肩を掴み引き起こす。
顔を上げられたしずるの顔は普段のにやにやとした微笑みからは考えられないほど、悲しみに歪んでいた。頬に小さな水滴が垂れていた。涙だ。
「……」
早百合はその涙に顔を寄せて、ぺろりと涙を舐めた。
「ひっ」
舌が触れた瞬間。しずるが小さく悲鳴を上げた。魔女もこんな声を出すのかと早百合はすこし、和やかな気分になる。涙は伯方の海かと思うくらいしょっぱかったが。
「しずるさん。私が泣いたとき、私の涙を舐めてくださいましたよね? そのお返しです」
ぺろり、ぺろり。
「ひっ、ひっ、ひぃっ」
もう一度、落ちる涙を掬うように早百合は涙を舐めた。その度にしずるの肩がぶるりと振るえ小さく悲鳴を上げる。
大人っぽかったしずるの顔が、舌が触れる度に幼い少女のようにいやんとくすぐったそうに表情を変える。ころころと変わるしずるの顔。なにか楽しい。
「や、やめっ。ひぃっ」
真夜中の部屋の中で、二人はまるで恋人のように顔を寄せ合っていた。早百合はしずるの流れる涙をひとつひとつ舐めとってゆく。そして、最初はくすぐったがっていたしずるも、時間が経つにつれ、それを受ける様に顔を早百合の口元に寄せた。
一瞬だけ、お互いの唇が触れあった。しずるの薄いピンク色の唇と早百合のぷるんとした唇が重なる。
「……」
「……」
唇が離れる。見つめあい潤んだ瞳がお互いの瞳の光を交換し合う。
もう一度、二人は唇を重ねた。一分間。二人は目を閉じて唇を重ねていた。
唇を離す。目を開けると先ほどまで唇を重ねていた相手の顔が見える。目元は潤み、頬は赤く染まっている。
しかし、なにか先ほどとは違う意味で戸惑った表情だった。
そのまま沈黙が数秒続き、しずるが口を割る。
「……なんで、キスしたんだ私たちは?」
「……たぶん……その場のノリで」
早百合も戸惑ったように顔を赤くして答える。
「……私は貞操概念が強いほうだと思っていたのだが……」
「……私も、ファーストキスが女の子かとは思いませんでした」
「……」
「……」
「………ぷっ」
「………ふふっ」
「「あはははははは」」
お互い、噴出し笑みを浮かべて、笑いあった。
笑って笑って、これまでのすべての罪を洗い流すかのように、笑いあった。
真夜中。良樹がなにも知らずにマンションで一人寝ているころ。
早百合としずるの二人は大きく笑い声を上げて、笑いあって、もういちどお互いの存在を慈しむように抱き合った。抱き合って二人でわんわんと泣きあった。
(次回本当に最終回)
書いてたら急展開。でもラストは最初から決めていた展開で行きます。一応、百合展開(最初に百合注意と書くべきでしたかね。コメディ要素で入れたんですが)はありません。
すいません、次回で本当に最後です。
途中で送信しちったrz
>>342 GJ!
ラストも期待してます
345 :
名無しさん@ピンキー:2007/03/03(土) 00:20:07 ID:kBUJ+flC
346 :
名無しさん@ピンキー:2007/03/03(土) 00:20:51 ID:kBUJ+flC
途中で送信しちったrz
>>342 GJ!
ラストも期待してます
>>342修羅場スレでは珍しいハッピーエンドの予感。
最終回、期待してます。
348 :
名無しさん@ピンキー:2007/03/03(土) 00:35:00 ID:3ws6iidn
GJ
ここも寂れてきましたね
1スレ目からいるけど27の途中から読んでないな
また今度また今度とログは残してるけど・・・
もうまとめ以外見る気にならない
「このGJは自演だ」「〜は逃げた」「終焉」「寂れてきた」うんぬんかんぬん
自演君は毎日毎日必死で手を換え品を換え私怨妄執の解消に励みますが
それでも全く効果が上がってなくてワロタwww
>>350 俺なんか荒らしが目立つ前の速度についていけなかったぜ
新作投下します。
とある小国。
人口は100万にも満たない、製鉄技術が外交を支えている王制国家。
およそ200年前より、大陸の大半を統べる大国の属国となっているため、
王にはそれほど大きな権限が与えられているわけではない。
王の仕事は、主国の定めた政治姿勢のもと、国内が無難に動くように務めるだけ。
それでも仕事は膨大な量となるが、半ば形式化したものも多く、
はっきり言うと、かなり暇なのが現状である。
さて。
そんな暇な王には一人の息子がいた。
名をクチナという。
幼い頃より体が弱く、一年の半分は床の上も珍しくなかった。
しかし幸いなことに、近年は体調も良好を保っているため、今後危篤に怯える可能性は低い。
そんなクチナは今年で齢が20となる。
近隣諸国の王子であれば、既に嫁を娶っていてもおかしくない年頃である。
――王子の体調が万全なうちに、嫁を決めておくのも悪くない。
暇な王が、こう考えるのはむしろ当然とも言えるだろう。
しかし。
――王子は体が弱いから、嫁は強い娘がいい。
という名目の下、国を挙げての武術大会を企画してしまうのは、
暇とかそれ以前の問題ではなかろうか、と王子は頭を悩ませる。
「前々から思っていたのですが」
「なんだ、クチナよ。唐突に」
「父上は馬鹿ですね」
「褒めるなよ」
「更にタチが悪いですね」
「否定してくれ」
「私も体のことで皆には多大な迷惑をかけました。
ですから皆を安心させるためにも、縁談を組むのは上策だと思います。
――ですが、武術大会って何ですか、武術大会って!」
叫んでから咳き込んでしまう。
控えていた護衛が慌てて駆け寄り、クチナの背中を優しくさする。
「無理をするな、クチナ。父としては、お前が怒る理由がさっぱりわからんのだが」
きょとん、と首を傾げながら、高齢親父が訊ねてくる。
本人が可愛いと信じて止まないこの仕草は、皆が目を逸らしてしまうくらいの威力を誇る。
「……普通、私のような立場の縁談でしたら、損得勘定で決めるのが基本でしょうに。
これを機に、周辺国とより強固な繋がりを築けるかもしれないというのに。
よりにもよって、武術大会の優勝者だなんて、国の利益は欠片もないじゃないですか!」
「そういったことは貴族連中に任せている。
むしろ王子の嫁は、何の繋がりもない方が公平性を誇示できて良いのだ。
我々の国が属国だということを忘れるな。出る杭は打たれるものだからな。
そこらのご令嬢が、武術大会に出場するなど不可能だろう? 素晴らしい考えではないか」
「……百歩譲って、強い女性を選ぶというのは否定しません。
ですが、大会の内容が極端すぎます!
厳格なルールに基づいた試合ならともかく、此度の大会は『何でもあり』ってどういうことですか!」
「つまり、殺し合いだな。女性がお前を取り合って衆人環視の下、命を取り合う、と。
……ふむ、これ以上ないくらいの修羅場だな」
「何をいけしゃあしゃあと……!」
王を厳しく睨み付けてから、王子はくるりと踵を返す。
「話は終わりか?」
父の問いに、息子は振り返らずに、
「話にならないことがわかりました。失礼します」
そう言って、王座の間を後にした。
* * * * *
「……クチナ様。御怒りは仕方ないかもしれませんが、
どうか気をお鎮めになってください。御身に障ります……」
私室へ戻っても、どこか苛々した様子のクチナに、護衛の少女が恐る恐る進言した。
それを聞いたクチナは我に返り、済まなさそうに護衛の少女へ微笑んだ。
「ごめんね、ユナハ。……別に父上に怒ってるわけじゃないんだ。
父上に対するアレは演技みたいなものだから気にしなくてもいいよ」
「え? ですが先程はあんな剣幕で……」
「父上は“悪役”になりたがってるみたいだったからね。
本当に悪いのは、上の連中みたいだし。あの場はアレで収めるしかなかったんだよ」
「上……? えっと……?」
首を傾げる少女の頭を、クチナは優しく撫でた。
「ちょっぴり面倒くさい話。父上もすごく迷ったんだと思う。
だからユナハも、あんまり父上のことを悪く思わないであげてね。
――嫁を娶れと言ったのは、きっと主国の貴族だよ。
僕の結婚をネタに、ひとつ大きなイベントをこなせば、
中央貴族からの覚えも良くなると踏んだんじゃないかな。
最近の主国では、闘技場とかで女性を戦わせるのが流行っているみたいだし」
頭を撫でられていて頬を赤く染めていた少女は、
王子の言葉に色を失い、やがて怒りを露わにした。
「そんな……! 酷いです!」
「仕方ないよ。属国としての立場を高めるには、主国の貴族に気に入られないといけないしね」
「ですが……それではクチナ様は」
「僕は別に構わないよ。父上を恨む気もない。
……あー、でも、お姫様が筋骨隆々な人だったら、それはそれで悲しくなるかなあ」
冗談を言って、笑い飛ばそうとするクチナ。
それを、少女は悲しそうに見つめていた。
「もう、そんな顔をしないでよ。ユナハは本当に優しい子だね。
……ユナハみたいな、優しくて可愛い人が優勝してくれればいいんだけどなあ」
冗談めかしたクチナの言葉に。
しかし少女は、ひとつの決意を胸に抱いた。
* * * * *
「――イクハ」
「……何でしょうか、メイラ王」
王子が去った後の部屋にて。
王とその護衛が、クチナの出て行った扉を見つめていた。
「今の話だがな。出場者は一定数以上をこの国から出さねばならぬのだ」
「募ればそれなりに集まると思われますが、やはり素性のわからぬ者は心配ですか?」
「それもあるがな、やはりクチナの嫁は、権力を欲する者ではなく、
――彼奴のことを、誠に好いている者に任せたいのだ」
「クチナ様はお優しいですから、大抵の方には好かれていますが」
「しかしそれらの者が確実に勝つとは限るまい。
強さと想いを兼ね揃えた者に、出場して欲しいのだよ」
「――思い当たる者が、2名ほど居りますが」
「私が出場して欲しいのは、そのどちらでもない。
……はっきり言った方が、いいのか?」
「――いえ。王の御心のままに。
親衛隊隊長イクハ、武術大会に出場いたします」
跪いて頭を垂れる護衛。
その唇の端には、紛れもない喜びが、浮かんでいた。
王の護衛もまた、王子のそれと同じく、見目麗しき少女だった。
しかもその容貌は――王子の護衛と、よく似ていた。
「すまない。妹と戦うことになるかもしれんな。
私のことはいくらでも恨んでくれて構わない」
「恨むことなどありません、メイラ王。
私と妹が殺し合うことはありません。
戦うことになったら、観衆を満足させる殺陣を演じてみせましょう」
「なら良いが……。
――その殺陣、勝つのはどちらの役目なのだ?」
王の問いに、護衛の少女は自信を湛えた笑みを浮かべ、
「――無論、私です。
王の御心に違えないよう、妹にも良く聞かせておきます」
そう、言った。
* * * * *
「――姉さん、私、大会に出ようと思うんだけど」
「……奇遇ね。私も出ることになったの」
官庁用宿舎の一室にて。
王子護衛隊の隊長を務めるユナハは、親衛隊隊長を務める姉に己の決意を述べていた。
そして次の瞬間、姉のイクハも己の状況を素直に伝えていた。
部屋の空気が固まった。
「…………」
「…………」
睨み合う少女二人。
仕事を離れ、鎧を脱いだ二人は、どこから見ても可憐な美少女。
絹のように滑らかな金髪は、それぞれ長さが違っている。
腰まで届く長髪は姉のイクハで、肩口で切りそろえられているのは妹のユナハである。
二人とも生まれたときから鍛えられ、齢10から護衛隊に所属している、生粋の武術家だった。
故に、ぶつけ合う殺気は、並の姉妹喧嘩の比ではなく。
心臓の弱い者がその場に居合わせたら、即死してしまいかねない。
「姉さんより私の方が近いんだから、いいじゃない。
――たまにお零れに与らせてあげるから。ね?」
「ユナハは護衛でいつも一緒にいられるんだからいいじゃない。
――妻の私の目を盗んで強姦なんてしたら速攻で縊り殺すけど」
ぎぎぎ、と部屋の空気が軋んでいた。
永遠に続くと思われた睨み合いだが、
二人は同時に殺気を解き、そのまま冷静に話し合う。
「まあ」
「どちらが勝つにしても」
「敵は決まってるわね」
「あいつだよね」
頷き合う。
この姉妹、両者とも常人離れした戦闘能力を誇る。
それ故の、親衛隊隊長・護衛隊長であるのだが、
この姉妹をして、無視できない存在が一人、いた。
* * * * *
「――大会? それでクチナのお嫁さんが決まるの!?」
がらがっしゃん、と豪勢な音が部屋に響いた。
部屋の主は、報告に来たメイドを容赦なく睨み付け、あっさりと気絶させてしまう。
「って、ちょ!? 気絶しないで! 詳しい話を聞かせて!」
慌てて駆け寄り、メイドの肩をがくがくと揺する。
目覚めたメイドは、主の顔が目の前にあることに驚き、再度気絶してしまう。
「ってこら! また寝るなー! あーもう! この子、普段は優秀なのにー!」
大仰に嘆いてみせる部屋の主。
齢は17に達したばかり。
周囲の貴族令嬢連中は花嫁修業をこなす中、
一人焦らず、剣の修業をこなしていた変人である。
深紅の長髪は、咲き誇る薔薇を連想させる、そんな豪勢な少女だった。
「でも、お嫁さん募集するってことは、クチナの体も良くなったってことだよね!
やったー! よかったー! 明日早速お見舞いに行こうっと!」
るんるん気分で立ち上がり、明日の予定を全て破棄する算段を立てる。
少女の立場は、想い人の国を支配する主国の貴族。
主国と属国という立場から、今までは思うように進展できなかったのだが、
そんな過去を吹き飛ばすような大ニュースが、少女の下へと飛び込んできた。
――武術大会で優勝した者が、想い人と結婚できる。
なんて素敵な大会だろう、と少女は思った。
想い人との仲を公に認めてもらえるだけではなく。
――邪魔な泥棒猫どもを、全員排除できるのだから。
「特にあの護衛姉妹は、絶対に斬ってやるんだからー!」
奇しくも、その護衛姉妹が警戒を新たにしているのと同時刻に。
相手の少女――ケスクは、想い人の国がある方向へ、叫んでいた。
まずは大会前のそれぞれの様子。
今回登場した選手は3名。
ユナハ(護衛妹)
イクハ(護衛姉)
ケスク(騎士)
ほとんど登場シーンのようなものなので、あまり個性を出せなくて残念です。
次回はこの三人の絡みと、+1名登場予定
まともに見える○○○は実は××××だったりします。乞うご期待。
>>186 搾り取る人だー!?
心の底よりGJ!!!
今作でも馬鹿姉みたいなキャラ出したいです。
選手の中には居ませんが_| ̄|○
>>333 相変わらず美味しいネタ満載で楽しすぎですGJ!
というかネタの選び方がにくいです。
>>342 これは良い、さりげない百合。えっちな百合。
GJ!
>>361 くっ・・・!!
この胃を鷲掴みにして雑巾絞りされるような修羅場のプレッシャー・・
たまんねぇな!!!!!
364 :
名無しさん@ピンキー:2007/03/03(土) 06:40:33 ID:pGQArPss
春だなww
>>361 これなんて血塗れ竜?、と思ったがセルフパクリなら文句は言えないな
367 :
名無しさん@ピンキー:2007/03/03(土) 08:00:18 ID:DuIN/h5X
>>361 これなんて血塗れ竜?、と思ったがセルフパクリなら文句は言えないな
連投&ageスマソ
「ユナハみたいな、優しくて可愛い人が優勝してくれればいいんだけどなあ」
そんなことを素で言える王子にむしろ萌えた。
>>361 GJ!
残りの一人も楽しみでオラワクワクしてきたぞ
ついにいつもの嫉妬スレSSに戻ってきたぜGJ
>>361 *******
。
〉
○ノ イヤッホォォ!
<ヽ |
i!i/, |i!ii ガタン
◎
◎ ◎
*◎*◎*◎*
◎ ◎ ◎ ◎ ティウンティウンティウン
◎ ◎ ◎
◎ ◎
◎
やっぱ、神域まで到達した作家さんが書く作品は格が違う。凄い。
神は問題ないんだが・・
最近の住人が厨房しかいないってのが嫉妬スレSSの衰退の原因だよね
投下してもスレを荒らさない作家は素晴らしい。良いものを書いてる証拠だから
>>361 昼間に覗いてたらktkr!!
。
〉
○ノ イヤッホォォ! GJ!!
<ヽ |
i!i/, |i!ii ガタン
378 :
名無しさん@ピンキー:2007/03/03(土) 13:52:08 ID:pNIBKqD6
GJの連発がまた自演くせーなw
荒らしに対抗してまでやらなくていいだろうにwww
379 :
名無しさん@ピンキー:2007/03/03(土) 13:59:41 ID:o0gC8xY8
スルー
GJ連発荒らしよりGJの嵐が吹き荒れるほうがいいわな
実は荒らしている奴は迫り来る30才の階段に現実逃避した
発狂したヒステリー持ちの女性じゃないのかな?
恋人がこのスレに夢中になっているので必死になって荒らしている姿は
この嫉妬スレ的には萌えだな・・。
まあ、リアル修羅場を体験した俺はチキン野郎になってしまった。
女同士の罵声の飛ばし合いはリアルだといい気分がしないね
投下します。
「で、だ。クーちゃん。依頼人の娘さんについての情報は?」
「はい。被害者の女性の名前は、北原彩音、今年で十七歳になります。学校においても人気があり、交友関係も広かったようです。」
「うん。」
「彼女が失踪した当日のことですが……彼女は塾に通っており、その日も塾の教室に行っていたようです。」
「塾の教室?今時珍しいね。ネットによるパソコンの通信塾が流行ってるのに。」
「はい。彼女はあまり家に居るのが好きでないらしく、この塾も自分から親に頼んだとのことです。」
「へぇ。それで?その日も教室には顔を出したの?」
「はい。学校から一旦家に戻り、家政婦に一声かけてから出かけたそうです。それから塾の方でも普通に授業を受け、帰ったそうです。いつもなら夜九時には帰って来るそうなのですが、その日は……」
「帰ってこなかった、か。んー、家族関係から聞けるのはそれぐらいが限度か。後は地道に聞き込むとしますか。」
「マスター。まずは塾のある建物まで行くことを提案します。」
「そうだね。そこから家まで辿ってくのがよさそうだ。」
それから歩くこと数十分。俺とクーちゃんはその塾とやらに着いた。一見普通の家なのだが、玄関に『石田塾』と、まぁなんとも平凡な看板が掛かっている。
「ここ?結構広いとおりにあるんだね。」
ちょうど商店街を抜けた先の住宅街に、その石田塾はあった。ここから北原宅に向かうには、商店街を通ることになる。
「それじゃ、とりあえず商店街の人達に話を聞いてみよう。」
「マスター。私は女性から話を聞きますので、マスターは男性から話を聞いてください。」
「え?なんで?俺だって女の子と話した……」
「このような聞き込みの際、異性よりも同姓の方が会話が円滑に、それにより効率的に進むと思われます。また、マスターの場合、女性と会話すると雑談の方が長くなるため、効率が30%ほど低下すると思われ……」
「わ、わかった!わかったら!女の人には話しかけないよ!男の人だけにします!」
クーちゃんが話す度に目が赤くなっていき、ついストップをかけてしまう。暴走するんじゃ?というぐらい、首元から蒸気も吹き出していた。 どうして女の子が絡むと命令無視するのかなぁ。
「はい、どうも。ありがとうございました。」
一通り商店街の店の人に聞いてみて、クーちゃんと合流し、互いの情報を聞くと、共通してわかることがあった。
「この北原彩音って子、だいぶ有名みたいだな。いっつもこの塾に行く時、商店街の人達に挨拶して歩いてるんだってさ。」
「そのようですね。お年寄りから若い人まで、皆さんに愛想良く振る舞っているそうです。」
失踪した当日も、行く時はみんな挨拶した覚えがあるというのだ、が。問題は帰りの時。商店街は途中でL字に曲がっており、その曲がり角から塾に向かう通りではお店の人はみんな挨拶したという。
それとは逆に、北原宅へ向かう通りでは誰一人挨拶した覚えが無いと言う。
「……となると、この曲がり角で何かあったってことか?」
「恐らくそうでしょう。ですが、ここで何者かに襲われたとしたら、叫び声を聞いた人がいるはずです。」
確かに、この曲がり角には店が無い上に見通しも悪いため、見た人がいないとしても、女の子が叫べば聞こえる距離に店はある。
「という事は……」
「ここが怪しい、ということになります。」
俺とクーちゃんは、曲がり角から繋る、狭い裏路地に目を向けた……
以上です。書くペースをはやくしていきます。
388 :
名無しさん@ピンキー:2007/03/03(土) 16:45:06 ID:3ws6iidn
GJ
>>387 GJ!
女の子と話すことさえ許さないクーちゃん可愛いよクーちゃん(*´Д`)ハァハァ
エピローグです。短めですがこれで魔女の逆襲は終わりです。
玄関でシューズをつま先をとんとんと叩いてかかとを滑り込ませる。
「今日は、早く帰るからなんか言ってくれたら買って帰るよー」
早百合が台所に向かって叫ぶと、エプロン姿の母親が台所から顔を出す。牛乳ーという言葉を聞き、早百合は大きく「はーい」と返すと、玄関のドアを開けた。
いつもの早百合の朝だ。
外は明るい。そろそろ2月も中旬を過ぎ、暖かな日差しでぽかぽかと気持ちいい。
そのまますこし歩き十字路を曲がると、良樹のマンションの前まで来る。マンションの前に、男女二人の姿が見えた。しずると良樹の二人だ。
「おはよう」
早百合がそう挨拶すると、しずるは目を細めて笑った。
「おはよう早百合」
「おはよう」
良樹も笑顔で返す。
いつものように、早百合の到着を待っていてくれたことに嬉しかった。挨拶を済ませるとそのまま三人並んで通学路を歩き出す。
しずるが話し出し、早百合が相槌を打って、良樹が笑う。仲良し三人組と言ったら幼稚臭いが、まさにこの言葉が似合うグループだった。
「おはようございますー」
「おお、おはよう」
後から体育会系の一年生が追い越していった。追い越す直前にしずるに挨拶していく。
「あの子、誰ですか?」
「ああ、あの子は最近仲良くなった七宮姉妹の妹だな。うちの学校に双子がいるなんて驚いて思わず声をかけてしまった」
「しずるさんらしいな」
そういって、からからと笑いあう。
しずるは最近、きちんと授業に出席するようになった。学校でも指定のスカートとブレザーを着るようになり、授業も真面目に受けている(らしい)。
それにともない交友範囲も広げていったようだ。以前まで魔女と言えば近寄りがたい変人……といったイメージだったのだが、しずるのもともとの人柄か、ここ二週間ほどで魔女のイメージは180度変化し、
いまでは、次期の生徒会長になるんじゃないかと言われるほど人望を集めていた。
魔女は死んだ。最近しずるがよく言う口癖である。良樹も以前までは魔女と付き合っていることで何かしらの中傷は受けていたが、魔女の評価が上がるに連れていまでは誰もがうらやむ、人気の人物となった。
女の子に告白されることも増えたらしい。しかし、すべて断っている。もちろん、恋人のしずるが居るからだ。
「そういえば、私にも弟が居てな」
「おとうと?」
早百合は良樹と目を合わせた。良樹は初耳だ、と呟く。
「ああ、隣の市に住んでいる可愛い弟なのだ。そういえばしばらくあってないなと思った」
「会いに行ってあげたらどうです」
「ふむ、そうだな。久しぶりであるし……。明日でも良樹のおもしろ話をたくさん持って行ってみるか」
「僕のおもしろ話!?」
「あははっ、なにかしたの? 良樹」
「知るか!」
あはは、と談笑しあう。早百合はコレまで起きた鈴のことや、魔女への憎しみ、全てを忘れて笑った。
「早百合。そういや今日なんか先生に呼ばれてなかった?」
良樹がふと思い出したように、早百合に言う。
「あ、そうだった。たしか、なんか出さなきゃいけないプリントを出して無くて、言われてたんだ」
「そうか。先に行っておいた方がいいんじゃないか?」
しずるが頭をかいて続ける。早百合は「うん、そうだね」と返事をすると、シューズのつま先をもういちど地面でとんとんと叩いた。
「じゃあしずるさん、今日のお昼にね」
「ああ、またな」
しずると早百合のクラスは別だ。だから、大体二人が落ち合うのは登下校のときと昼休みだけだった。
「それじゃあっ」
「後でなー」
早百合は走り出し、一度だけ二人に振り返ると笑顔で手を振る。しずると良樹の二人もそれに呼応して手を振り返し、早百合は前方へ視線を戻して走り出した。
走っている早百合は楽しげだった。
良樹が居て、しずるが居て、自分が居て、こんな楽しい友達関係。こんな楽しい学校生活。
幸せだった。とてつもなく幸せだった。これまでにない充実感を感じながら、早百合は学校へ走っていた。
「さてと、良樹」
「なんだい、しずるさん」
「話がある」
「な、なに……?」
「つい昨日、女子から告白されたそうだな」
「み……見てたの? たしかその時は早百合と一緒に甘党ベッキーに行ってたんじゃ……」
「ふん、美女から告白されてニヤニヤしとったな」
「ニヤニヤしてないよ」
「そして、女の子に一度だけ抱きしめてくださいといわれて簡単に抱きついかせた」
「なんで、見たことのように知ってんの……?」
「それともうひとつ、先ほど後輩の女が通りかかったとき、後輩の尻をしばらく眺めていた」
「な、眺めてないって!」
「嘘付け。視線は揺れる尻に釘付けだったぞ?」
「そんなわけないよ」
「私にはわかるよ」
「なんでさ!」
「まぁよい、今日は良樹の家でお仕置きだな」
「な、なにするの?」
「君が昨日買ってきたばかりのタンスの裏に隠されたやらしい本をすべて焼却する」
「え、ええー!?」
「私が居るのだ。必要ないだろ?」
「………なんで?」
「なにがだ?」
「なんで、しずるさんは僕のことを全部全部把握してるの……? いつもいつも、変な本買ってもすぐ見つけるし、どの女の子に話しかけたか全部知ってるし……」
「ふん……それはな」
りぃん。
「愛の魔法だ」
しずるの制服のポケットの中に仕舞われた燕尾色に光る鈴がりぃんと音をなった。
鈴の魔力を見事に使いこなすしずるが織り成す愛の物語はまだ始まったばかりだ。
(終わり)
というわけで、魔女の逆襲は全て終わりです。
今回の話はGJを下さった皆さん、まとめ管理人阿修羅さん、そして他のSS作家の皆さんの応援により何とか完結させることができました。
つたない文章ですがここまで読んでいただきありがとうございます。
次回はたぶん、メイドものに挑戦します。あと時間が空いたら>28のさらに続きも書いてみます。
おつかれ。1つの作品の完成を見るのは感慨深いよ。
良樹はスレの歴史でも珍しい、嫉妬劇の中心に自分がいたことを一切気づかなかった主人公になったね。
>>394 初めて気づいた。
だからこのスレでは珍しいハッピーエンドにつなげられたのかもしれんな
大体の主人公は自覚して行動するとドツボにハマっていくしw
とにかく赤いパパ氏お疲れ様でした
完結乙
一回目からずっと気になってたんだが燕尾色ってどんな色?
調べても今ひとつよくわからんのよ
琥珀みたいな色とか、ツバメみたいな色とか、小豆っぽい色とか
どれが正しいのか、それともどれも間違ってるのか
一体真相はどれなんですか?
完結GJ!
小百合は元の鞘に、しずるは深みへ。と、とても落ち着いた終わりでしたね。
赤いパパさんの作品は、ところどころに散りばめられた時事ネタや、キャラの内心でのぼやき描写の上手さとかが読んでいて好きです。
次の話も楽しみにしていますね。全裸で。
投下します
私の手に触れた冷たい物がはらりと下に落ちた
冷たい物の正体はただ一枚の写真だった
普通の写真ならここまで驚きがしなかっただろう
映し出された光景を見るまでは・・・・恐怖などなかった
怖いもの物などない・・・・
しかし、その自信はささやかなものだと自覚させられた
薄暗い屋根裏で対峙する宿敵を前に呆然と私は瞳を彷徨わせた
怖い!怖い、怖い、怖い!
全てが壊れ奈落に落ちる寸前の感覚
私は足元に残酷に現実を教える、写真を再び見つめた
それは、私は涼さんに調教を行っている姿が映し出されていた
少しでも私に反抗したり、愛している、という言葉に間があった時に行った行為だ
手の甲にナイフで切れ目をいれていく私の姿と拘束され、なにもできずに行為を受け入れる涼さん
「ストーカー規正法って・・・・知ってる?」
冷ややかな微笑で、ひざまずく私を見下ろす冬香・・・・
「この世界はね、弱者が有利になるように法律ってものがあるんだよ?」
その後ろから夏美が姿を現した
長い髪を片手で払うとまるで母親が子に教えるかのようにそう言う
「私は警告しましたよ?これ以上お兄ちゃんに近づくな・・・・と、ね」
まさかここまでうまくいくとは思っていなかった
親戚の家に行く前に私とお姉ちゃんはお兄ちゃんにこう言った
『もし、私たちがいない間にあの女が強行手段に出たら、すぐに連絡してね』
確信があった、なぜなら南条秋乃にはもう道がないからだ
私とあの女は似ている、だから面白いほどにあの女の考えていることが解った
お兄ちゃんから連絡があったのは一週間ほど前のことだ
ようやく拘束が解けたと、泣き声と共に来たお兄ちゃんの『助けて』の声だ
その電話にお姉ちゃんは冷静に対処していた
まず従順なフリをすること、信じ込ませることだ
そうすればあの女はお兄ちゃんを信じる、それこそ盲目的に・・・・
そして、油断が生じる、あとは簡単だった
その日の夜には家に到着し、私とお姉ちゃんは前もって用意してあったコテージに向かった
その日から面白いように、証拠が掴めた、数枚の写真とレコーダーに吹き込まれた声
嫌がる相手を監禁した、愛しのお兄ちゃんが陵辱させる様に耐えて得た物は大きかった
これだけではない、ストーカー行為もあるのだ、間違いなく有罪
もうこの女はお兄ちゃんに近づくことはできない
私は勝ったのだ、この前哨戦に・・・・耐えた
人生でここまで耐えたことはなかった
まずは南条秋乃を潰すことだけを考え、そして・・・・蹴落としことに成功した
私は次の相手に視線を向けた
―――――『冬香』
そうだ、これは前哨戦なのだ、涼ちゃんは私だけのもの、負けない・・・・
誰にも渡さない、南条秋乃にも冬香にも
私は嫉妬深い、そして・・・・一途なのだ
以前の私なら、その姿に嫌悪していた
けれど涼ちゃんはそんな私を愛してくれたのだ
強引な愛で征服してくれた
私は貴方の虜・・・・そして、貴方を私の虜にしてみせる
「この、泥棒猫!」
ああ、忘れていた、いけない・・・・今は目の前の敵に集中しよう
「涼さんは、私の事が好きなのに!あんたたちは横から奪った!」
正直付いていけない、
ああ、そうか・・・・これが負け犬の遠吠え?
初めて見たよ、ほんと・・・・バカな子
「あんたたちがなにもしなければ、普通に付き合って、週末とかにデートにいったり、誕生日とか、クリスマスとか、年明けとか、バレンタインとか、全部・・・・全部・・・何事もなく・・・・結婚して、子供が生まれて」
残念そんなのただの夢物語、そんなのはあんたの頭の中でだけだっての
少なからず可能性があったかもしれないけど、バカな子だから気づかずにその可能性を消してしまった
「殺してやる!」
殺意をむき出しにした、哀れなそれはもうヒトでなかった
飛び掛ってくる、あの女を冬香が教えつける、そういえば運動神経だけはよかったんだっけ?
まあ、いいわ、これからよ・・・・待っててね、涼ちゃん・・・・もうすぐだから
区切ります
「これはストーカーですね」
大きな目でパソコンのディスプレイに映し出された物を見てなんの躊躇いもなく風乃は言った
長く艶やかな、長く黒い髪が俺の頬に触れた
『普通』の男ならくすぐったさの中に感じる仄かな香りにノックアウトだろう
けど、俺は世間一般で言う『普通』とは少し違う
全身に廻る冷ややかな物に負け少し距離を取る
「・・・・・」
その瞳には多少の怒りが伺える
普段あまり感情を表に出さない、彼女の珍しく見せる感情
人間離れした美貌にしばし見惚れてしまいそうになってしまう
優華がさばさばとした美少女なら、今目の前にいる少女は純和風の美少女だ
中学の頃、二人と一緒に出かけると嫉妬の嵐に飲み込まれそうになることがしばしばあった
名は上島芹
付け加えるなら超大金持ちだ
そして、ここは俺の部屋だ、なぜそんな超絶美少女が俺の部屋にいるかと言うと・・・・
ヨズキ、最近俺のクラスの転校してきたこれまた超絶美少女のネットでの名
そのヨズキとのメールでのやり取りと、オンラインゲームでのログを見てもらっているのだ
優華に相談しても良かったのだが、親友だという話しだし・・・・
けど付き合いが長いので彼女の話をすると優華が不機嫌になるのがわかってしまう
それに加え、優華は嫉妬深い・・・・どんな攻撃を受けるのか想像するだけで身震いする
なので、芹に頼んだのだが・・・・
怒っている、なぜだか・・・・怒っている
話を戻そう、なぜログを見せているかと言うと・・・・・
ヨズキは男だと言って、俺に近づいて来たからだ
しかしリアルで逢ったヨズキは優華や芹に引けを取らない美少女
これは戸惑わずには入れない
そして、俺はログを見返して顔を真っ青にした
俺はヨズキは男だと信じて疑わずに女の人には言えないようなことを何度も相談している
もちろん、女体の神秘についても・・・・
最後のやり取りが最近『彼女』ができたことを伝える物だった
「訴えましょ!すぐに社会的に抹消しましょう!ついでに優華とも縁をきりましょう!」
普段大人しい子がこうも興奮しながら迫ってこられるとすさまじく怖いものがある
顔が整っているの余計にだ
「なんで優華が出てくるんだ」
「あ、いえ・・・・つい本音が・・・・」
本音?ま、いいか・・・・ひとまず保留だ
今回のはただ怖くて人に話を聞いて欲しくて相談したのであって月夜に報復するためのものではなかったからだ
不満げに頬を膨らませる芹をなだめて家まで送ると俺はすぐに部屋に戻り瞼を閉じた
『貴方を、私だけのものにしたい・・・・』
またあの夢だ・・・・そして、大きな音が俺を襲う
耳元に響くのは女の子の泣き声と近くの大人がざわめく声だけ
暗い視界が開く
「また・・・・か」
俺は起き上がるとなにもなかったように、制服に着替え学校に向かった
「和地〜〜〜!!!!!」
明るい声と共に背中に重みが加わる
ついでに柔らかな感触・・・・はわぁ〜
いかん、いかん・・・・・
なにをしているのだ俺は・・・・
「こら!抱きつくな!」
例によって女性恐怖症の症状はでない、月夜はそれをいいことに毎日このようなスキンシップを取ってくる
「ひぃ!」
振り返る俺の視線の先には月夜ではなく教室から無言で俺を見つめる優華の姿だった
俺がガクガクしていると、赤い液体が彼女の身体に降りかかった
んな!――――背筋が凍った
ち、血か?ちょっとまった!こんなときは110番だっけ?119番?
なんだっけ、あわわ・・・・
あたふたする俺に優華は引きつった顔で笑むと手に持ったトマトジュースのカンを振りかぶった
どうやら、握力だけで握りつぶしたらしい、中身が噴出すほどだから、完全につぶれているに違いない
あれ?あれれ?おかしいな・・・・カンが迫ってくるよ?
『カコーン!』と見事に俺の額に直撃するとカランカランと地面に転がった
あんた、メジャーリーグに行けるよ・・・・はは
『ふん!』と視線を反らす優華に俺は親指を立てた
我ながら惚れ惚れするほどの改心の出来だったと思う
ここまで読んでくださったかた、お疲れ様です。
ブランクがあるせいかどうも調子が悪いです。
まだまだ未熟で申し訳ないです。
私の作品は白×黒が多いので今回は全員黒で行こうと思います。
例によって他の方の作品を読めていません。
かぶっていたら、すいません。
407 :
名無しさん@ピンキー:2007/03/03(土) 19:18:44 ID:DCkHixKe
>>赤いパパ氏
終盤は勢い減ったけど完結したのはGJ
ちょっと離れた間に投下ラッシュキタワァ.*・゜゚・*:.。..。.:*・゜(n‘∀‘)η゚・*:.。. .。.:*・゜゚・*!!!!!☆
赤いパパ氏GJ!完結お疲れ様でした!
アビス氏もGJ!夏冬姉妹対決もあるのかwktk
愛娘の恋、まだ〜?(・∀・ )つ/凵⌒☆チンコチン
>>396 燕尾(えんび)色じゃなくて臙脂(えんじ)色の間違いだと思われ
燕尾はタキシードだな
神の後に駄文で申し訳ないんですが、投下行きます。
【前】
第一大陸の北西部に位置する小国ブランホールは、背後に霊峰トロワゾォを抱えるほかに大した観光名所や産出資源もなく、時折訪れる熱心な山岳家を除けば大した入国者もない寂れた所である。
ここ数百年、大した戦火にも見舞われず、文化や国力も大して変動がないブランホールは万物に精霊が宿るというアミニズム的な地域信仰の根強い、どちらかといえば極東に浮かぶ島国に似た国風を有している。
国民の半分は老年層に偏り農耕従事者や土着の技術者に労働人口が多い所為か、情には篤いものの、どこか封建的で閉鎖的な雰囲気が漂う、田舎を思わせる町並みが霊峰の麓まで繋がっている。
平穏であることに越したことはないが、ここ数代王家は賢君に恵まれていない。
橋を架けようとすれば半ばで崩れ、新たな国家事業を興せば、王が病没する。
ここまで来ると呪いと疑わずにはいられない家系だが、現ブランホール王ゼテマも例外ではなかった。
彼が二十歳を迎える頃、吟遊詩人が歌う英雄譚に憧れて出奔したが、城下で身包み剥がされた挙句町人の娘に助けられて一目ぼれ。
そのまま后にするという武勇伝を持った男である。
当然その後は妻の尻に敷かれ、その冴えなさはより鋭を失ったと噂されるほどであった。
だがそんなブランホール国王ゼテマにも、愛娘がいる。
今年で齢十六を迎える王女―――クローディア。
早くに病没してしまった亡后ジュリアに瓜二つの、この地方特有の蜂蜜に薔薇が差したような豊かなブロンドの美しい王女である。
だが美しき薔薇には当然、棘がある。
見事に亡后ジュリアの遺伝子を引き継いだ見事なまで美しく鋭い、棘が―――
「ねぇお父様、説明してくださらない?このお触れ、いったいどういう理由で出したのかしら?
一晩かかってもいいわ、一文字一文字“こども”のわたしにもわかるくらい、丁寧に説明して?」
「あぁ、それは、その…」
熟練の造詣師が全霊を賭して作り上げたような秀麗な面に、絹をそのまま貼り付けたような白磁の肌。
深く、沈みこむような光を含んだ大きなエメラルドに、綺麗な桜色をした小さな唇。
見事な艶と張りで綺麗にカールした長い睫毛は、薔薇の蜂蜜と同色―――若々しさと瑞々しさに溢れ、今にも零れ落ちそうな可憐さを発している。
少し切れ上がった目じりも現実離れした彼女の可憐さに拍車を駆け、精神的マゾヒストな人間にはたまらない魅力を有していた。
だが、遠目に見上げる谷間の百合が如く涼しげで、侵しがたい美貌を持った彼女の額には、赤龍もかくやという太い血管が浮かんでいる。
風が吹けば舞ってしまいそうなほど透明で薄い、クローディアの肌を青白い血管が生々しく押し上げ、零れ落ちそうなエメラルドはナイフのように炯炯と不穏な光を放つ。
綺麗な三日月を描く唇から覗く小さな八重歯は―――今にもゼテマに喰らいつきそうなほど剣呑であった。
「いいから、せ・つ・め・い、して!!」
怒気も露。
鼻面に寄った皺をそのまま父王に押し付けるようにしてにじり寄ったクローディアは、腰に両拳を当てて、ご立腹だ。
怒り狂う王女を諌めることも出来ずにひたすらオロオロする大臣達は、クローディアの背後に亡き后の影を見る。
その映像に激しくデジャヴを感じたのだろうか、ゼテマも最近老いの翳りが見え始めた額に大量の脂汗を浮かせた。
「お、お前が何度もお見合いを台無しにするから、しかたな―――ひっ」
カモシカを思わせる華奢でしなやかなクローディアの脚が、壁を蹴り砕く。
一瞬地震でも起きたかのように、城全体が激しく左右にぶれた。
「そ、そうだ!!元はといえば、クローディア、お前がいけないんじゃぞ!!十六を迎えるのに想い人の一人も作らず、毎晩武術の訓練に明け暮れているなんて!!」
一閃。
―――中天に煌く白刃は、流星だった。
見事な手刀がゼテマの背後を切り裂く。
「……?」
がらん…どすん、がつんっっ!!!…と、遅れて展示品の鎧が砕け散る。
「……」
青白いゼテマの表情から、更に血の気が引いていく。
死人と見紛うほど顔面を蒼白にして、彼はようやく観念したのだろう。
ずるずると玉座から尻餅をつき、クローディアに跪くように話し始めた。
『御前における武道大会の優勝者を、今年齢十六を迎える王女の婿とする』
という、なんとも間抜けた勅令の弁解を。
ちなみに賢明なる国民の諸兄はそのお触れを見た瞬間、即座に箪笥から喪服を引っ張り出したらしい。
“ゼテマ王の国葬は何時だ”、と各々に呟いて。
・
・
・
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・
・
・
小国ブランホールの目抜き通りは、百年に一度あるかないかの盛り上がりを見せていた。
決して広いとはいえない歩道には、商人ギルドの名だたる面々が露天を開き、少し奥に入った―――普段老婦が洗濯に使う古井戸の周りは、即席の賭博場に変わっている。
一言にするならば、“オトコクサイ”
それもそのはず。
ゼテマが国内に発したお触れは、気まぐれな風の精にでも運ばれたのだろう。
現在エレハイムと有事真っ最中の第二大陸―――神聖帝国ジェラールにまで響き渡ってしまったからだ。
津々浦々の若い男は、“百合のように可憐で咲き誇る薔薇のように美しい王女”の婿になろうと一念発起し、わざわざ霊峰を越えてここまでやってきたのだ。
片手に斧を携えたもの、腰に長物を挿したもの、背中に巨大な鎚を括りつけたもの…
誰も一様にその実力を信じ、王女を娶って一国の王を夢見ている。
あふれ出る野心は霊峰や山脈一つに搾り取れるものではない。
滾り、延焼した欲望は、飛び散った残りカスまで燃やし尽くそうとそこら中で燻っている。
どこか退廃的な空気を発していた国風は一瞬して塗り替えられ、今や若きリビドーの立ち込める異空間と化していた。
そんな野郎臭立ち込める通りの脇を、羽根つきの帽子を目深に被った少女が歩いている。
ブランホール地方伝統の木靴のヒールをカツカツと乱暴に鳴らし、岩の精を逆撫でるような大股で。
一目に、彼女は怒っている。と正常な人間なら理解できる。
だが、それでも空気を読めない悲しい人間は存在するのだろう。
「お姉さん、今時間だいじょう―――ぶっ!!!」
このように軟派目的で声をかければ、即座に脛を砕かれる。
無意識に男の骨を砕いたことなど歯牙にもかけず、少女は額に手を当てる。
(あぁ…最後の望みを探して城下に来てみれば、暑苦しい男ばかり…)
少女―――他ならぬブランホール第一王女クローディアは怒りながらも内心憂鬱という、なんとも器用な精神状態であった。
(せめて詩人が唄う様な、白馬の王子様は現れないかしら…)
呟いて、停止。暫し深い溜息を吐く。
なんとも聴く者を脱力させる、気の抜けた溜息だ。
この賑わいに便乗して大繁盛の屋台のオヤジも、商品を取り落とすほど。
まるで林檎の傍に置いた薔薇の花が高速再生で萎れていくように、少女の歩みは緩慢になる。
(はぁ、お父様は外国から来た客員の剣士にお願いしたみたいだけど…どこまで勝てるかしら、あの人…)
彼女の脳内に思い起こされるのは散々ぶちキレまくって城内を粗方破壊した後、父王が連れてきた城の別塔に滞在させていた女剣士と武道家の姿だった。
(武道家のほうはダメね…まるで気迫が感じられない。そもそもなんでお父様はあんな男を囲ったのかしら。雰囲気からしてだめなのに…)
頭の中の男に、再び苛つく。
武道家は許してもいないのにクローディアの手を取って、あろうことかキスをした。
反射的に顔面を叩き割ってやろうとしたが、隣の剣士が発する闘気に弾かれたのだ。
正直身構えるのを押さえるのに必死だったクローディアは、思わず剣士をガン睨みしてしまった。
しかし、“龍をも退ける”と国中で有名な彼女の殺気にも眉一つ動かさない女剣士は、悠長にも自己紹介までして見せた。
『わたくしは、シャルロット=イェクト=ラナ。帝国の聖騎士です。現在は密命でとある男を捜している最中でございます。
街道で暴漢に襲われていた大臣殿をお助けしたところ、このようにご厚遇をいただいている所存』
目と目を合わせ、可視の火花が散りそうなほど緊迫した空気。
その中でも堂々と腰を折って礼をし、それで視線を外すことなくクローディアを見上げる。
丁寧に結い上げられた蒼銀の御髪に、神が作り上げたような完璧の造詣を誇る面立ち。
宝玉を切り出してそのままはめ込んだようなアイスブルーの瞳は、涼やかなのに冷たさを感じさせない。
反身の刃のように研ぎ澄まされた存在感の中にも言い様のないほどの静謐さが隠れている。
そのまま固唾を飲み込むのを忘れて、クローディアは女剣士と視線を合わせ続けていた。
『厚遇のお礼として、わたくしが武道大会に出場して優勝を納めて見せましょう。先に城下の様子を見に行きましたが、所詮欲に目が眩んだ下衆ばかり。
大した使い手は数えるほどもおりませんでした』
鈴が鳴るように流麗で、仄かに揺らめきたつ湖面のような声色。
クローディアの甲にキスを落としたまま、武道家は聞き惚れていた。
やはり、あの時顔面を窪ませてやればよかった…とクローディアはこめかみを揉み解しながら思う。
『仮にも、聖騎士団で隊一つを率いていた身。そう容易く敗退することはないと思われますが』
跪いた姿勢からも解る。
オリーヴ色の行軍外套の下に隠れたしなやかな肉体が。
しかしそれでいて女性的な丸みは一切失われていない。
プレートの奥に押し込められた肉感と、綺麗なラインを描く脚線をより長く見せる引き締まった臀部はどれほどなのだろうか。
思わず、年にしては平坦な自分の体と較べて、クローディアは二重の憂鬱に浸った。
(はぁ…あれだけの存在感があっても、世界最強の帝国聖騎士様が、この気迫に呑まれないかしら…)
再度場面を移して、ブランホール城下の目抜きを見渡す。
スキンヘッドの大男。
酒場のウェイトレスに絡む下卑た目つきの男。
見るからに武人だとわかる、屈強な男…
(あ、やば…眩暈してきた…)
そもそも考えるよりは、拳を振るうほうが得意な彼女だ。
長考の果てに軽い立ちくらみを覚え、脚が縺れるまま小さなバーに入り込んでしまった。
途端、ぐしゃり―――と見ず知らずの男の顔面に肘を呉れてしまう。
逆境に不運なのは親譲りか、クローディアの一撃をモロに受けた男は、酒がなみなみ注がれたロックグラスを握り砕きながら立ち上がる。
取り巻きを含めると、六人。
クローディアの唇が不適に吊り上る。
「おう、姉ちゃん、俺様に肘呉れといて詫び一つなしかぁ?」
「五月蝿い、ゴミクズ。そんなところにお前の頭があるのが悪い。その前に、しゃべるな息吸うな。ブランホールの空気が淀む」
どう見ても、悪いのは彼女のほうだ。
しかし、長い王宮生活と一人娘として甘露の海に沈みこむような教育をされた彼女に、侘びという選択肢はない。
恨むなら、そんな風に彼女を仕立てた父王と、武術の基礎を叩き込んだ流浪の格闘家を恨むしかない。
まぁどちらも、そう易々掴まる者ではないが。
「譲ちゃん、元気なのはかまわないんだけどよ…世の中にゃあ、手を出しちゃいけねぇヤツってのがいるんだよ。それは―――――――――ぶっ」
一人目…
綺麗な弧を描いた回し蹴りは、男を酒場の反対側まで吹き飛ばしただけでは飽き足らず、お世辞にも頑丈とはいえない壁を打ち砕き、柱をへし折ってようやく停止する。
俄かに降りた沈黙。
吹き飛んだ男は首を奇妙な方向に曲げたまま俯き、完全に白目を剥いている。
死んではいないだろうが、重症なのは間違いない。早く看護を。
(二人目…)
心の中で数えるのと同時に、彼女は呼吸を整える。
幼少時に師匠から受け継いだ呼吸法にオリジナルを加えた格闘術だ。
あまりにも恵まれた才能がそれを殺人拳にまで昇華させてしまったが、彼女はまだスポーツだと信じて疑わない。
そこは触れないで遣って欲しい。
(しっ―――)
息を抜くと共に、二人目の鳩尾に大砲がめり込む。
肝を完全に破壊し、背中から抜ける衝撃が三人がけの丸テーブルを紙のように破り割る。
散った木片が地に付くより早く、三人目が蹲った。
鷹のように跳躍したクローディアの踵が音もなく項に降り立ったからだ。
そいつは言葉を発することもなく崩れ落ち、床に赤黒い染みを広げる。
たぶん死んではいない。いや、そう信じたい。
(あと三人…)
蛇のような細い呼吸音とともに、彼女の構えが変わる。
腰をゆっくりと落としながら左手を脇腹まで引き、逆の手を開いたまま正面に突き出す。
彼女が生み出した最速必殺の構え。
名づけて、“鴉”。
四人目、懐に投げナイフ。
五人目、背中に棍棒。
六人目、袖に…鉄棒だろうか。不自然な金属の塊。
(余裕…)
小悪魔のような笑みを浮かべ、クローディアは再度目を配らせる。
城下には大した男はいなかったけど、これはこれでスリルを味わえた。
最早武術大会と婿取りのことなど微塵も思い浮かべずに、彼女はひたすらにこの緊迫感を楽しんでいる。
荒らされた店の外には幾多の野次馬、気づけば黒い人だかり。
職務怠慢な官警は暫くやって来ないだろう。
なら…
と、薄く細く鞣した呼吸を集め、正拳突きを正面の男に見舞おうとして―――
横から現れた赤い風に、攫われる。
瞬間、床が轟音と共に爆ぜた。
落雷したようにすさまじい衝撃が全身を駆け抜け、恐ろしい速度で横に流れていく視界の端に微塵に砕けた木片が映りこむ。
―――
―――
「は…?」
「危なかった」
がたん…と、床に投げ出されてみると腰が抜けていた。
そして恐る恐る辺りを見渡すと、自分が片付けるはずだった男たちが音もなく倒れている。
神速の業。
自分でも視認することが叶わなかった光景に、クローディアはひたすら呆気に取られている。
「こいつが持っていたのは、鉄棒じゃない。よく似ているが、帝国製の新型銃だ。まさかこんな田舎で見られるとは思わなかったが…」
見上げると、印象的な赤い外套を纏った男がいた。
赤い烈風の正体、そして自分が瞬きをしているうちに三人の暴漢を片付けた手腕。
クローディアは興味と半ば畏敬が混ざり合った視線を男に向ける。
「助けは要らなかったかな?まぁ、怪我をするよりはましだろ」
低く、よく通る声で男は続ける。
褐色の肌にそぐわない彫りの深い顔立ち、笑みの形に細められた鳶色の瞳。
そして何より印象的な、複雑な印の絡み合った真紅の刺青。
差し出す左手にも及んでいることから察するに、左側面を全て覆っているのだろう。
痛々しいまでに精巧なそれを見ていると、思わず吸い込まれそうな感覚に陥る。
「あ…」
まだ呆けたまま手を取ってクローディアは立ち上がり、再び転びそうになる。
それを支える男と、再び視線が交錯した。
一見粗野に見える面立ち。
しかし、伏せられて鳶色にかかる長い睫毛と、顎から頬にかけてのラインは貴族にも珍しいほど整っている。
刺青の所為で表情がよく見えないが、悪い印象は一切感じられない。
クローディアは見開いたままのエメラルドを男に固定したまま、魅入られるようにしている。
「あ、りが、とう…」
「大丈夫とは思うが、ああいう連中には手を出さないほうがいい」
クローディアが礼を言い終わる前に、男は踵を返す。
翻る赤く染め上げられた鹿革のマント、腰に刺さった二本の剣。
――――――剣士。
「待って!!!」
予想以上の大声に、クローディアは思わず自分の口を手で塞ぐ。
男も足を止めて、ゆっくりと振り返る。
この角度からは刺青が邪魔をしてどんな顔をしているかわからないが、きっと呆気に取られているのだろう。
「あなたは、剣士、よね…?」
何故か心拍数が上がる。
動いたせいだろうか?いや違う。そんな柔な鍛え方はしていない。
じゃあどうして…
「まぁ、一応」
男は一瞬腰の剣に視線を落とすと、どこか寂しそうな表情をしたように見える。
「あの、わたしの、話を、聞いて…」
集まった野次馬の中、遅れてやってくる官警が踏み込む音を背景に、クローディアは言った。
・
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「なるほど」
苦めのお茶を啜って、その品のなさにクローディアは眉を顰める。
彼女の上品な舌に庶民の味は合わなかったのだろう。
「それで、あなたの名前は…?」
「リカル…いや、リコだ」
何か含むところがあったのか、男は言いよどみながらカップに残った茶を飲み干した。
彼の舌にも合わなかったのだろうか、苦虫を噛み潰したような表情でカップの底をにらみつけている。
「恰好から見ると、剣士みたいだけど…」
「あぁ、元・剣士だ。今は事情があって廃業中さ」
ところは変わって、ここは町外れにある小さな喫茶店。
先の騒動はこのリコと名乗る男が冷静に処理をした。
そのあたりの手際といい、只者ではない雰囲気を発している。
外套の上からも見て取れる屈強な体つき。しかし、それでいてしなやかな筋肉のつき方は、並の鍛錬では得られない。
確実に高度な戦闘訓練を受けた証。
それに、一瞬だけ見た足の運び方。
尋常じゃない。経験と実力、全てが混ざり合った理想とも言える戦闘スタイルだった。
クローディアは言葉を見失って、ついリコの顔を見つめてしまう。
顔半分を覆う刺青。腰に挿した二本の剣、赤い革の外套…
全てが新鮮な情報としてクローディアの脳に飛び込み、彼女の思考を乱していく。
(この人なら、優勝できるかも…)
だが、この場所で身分を明かすのか?と自問する。
もしリコが姫であることを知った途端、豹変したらどうする?
下らない不安が浮かんでは消えて行き、彼女はまた憂鬱に浸った。
(でも、悪い人には見えないし…)
一瞬にして危険を見破った熟練の目、まるで盗賊“ローグ”のような出で立ちだが、貴族を思わせるほど品のある面立ち。
この地方には珍しい黒髪が警戒心を掻き立てるが、クローディアはその気持ちがどんどん解れていくのを胸の奥に感じていた。
「刺青がうす気味悪いか?」
自分の顔を見つめられていることに気づいたのか、リコは指先を左顔面に走らせる。
無骨な指がなぞるのは、このまま動き出して喰らいつきそうなほど精巧な蛇の牙。
複雑に絡み合う二対の蛇は、互いを貪るように混ざり合っている。
「いや、そんなことは……ない、けど…」
「気を使わなくてもいい。この赤い蛇は、罪。緑の蛇は、罰の象徴だ。だから気味悪がられても仕方がない」
リコはカップを煽って中身がないことに気づき、苦笑した。
クローディアは何も言えなくなった。
「遠い、第二大陸。そこで剣士をやっていた。まぁ、すぐさまクビになっちまったが」
自分の頸部を掻き切るような動作を見せ、リコは再度口の端を歪める。
差し込む午後の光に映し出される彼の横顔は、男らしさの中にも、打ち消しがたい気品と美しさを備えている。
今まで何度も父王が設定したお見合いに従事したクローディアは、貴族連中にもこんな顔つきが出来る者はいなかったと思い起こす。
そして、何よりも興味が沸いた。
帝国出身の刺青の剣士。
黄色人種と白色人種が混ざり合ったような顔立ち。
立ち振る舞いに覗える打ち消しようのない、高貴な印象…
静寂が降りて、遠くむさ苦しい男たちの野音が響く。
しかしそんな喧騒の中でも、クローディアはリコから視線を外すことが出来なかった。
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まるで龍が通り過ぎた後のような惨状だった。
小国にしては豪奢な絨毯は破れ、地方特有の観葉植物は半ばで折れている。
ずらりと廊下の端に並んだ展示用の装飾鎧は無残にも破壊され、繊細な刺繍の施された天井は痛々しい骨格を曝している。
なるほど大した戦闘能力だ。と、細身の長身をオリーヴ色のマントに包んだ女性が呟く。
一見すると男性に見まがうほど堂々とした空気を持ち、まっすぐに伸びた背筋は一本の剣を思わせるほど。
先住民族にしか伝わらない魔法の糸を丹念に織り上げたような、蒼銀の髪が背中に流れていなければ、性別を持たない天原の戦士と錯覚してしまう。
(ひょっとしたら、自分で武道大会に出場したほうが早いのではないか?)
第一大陸の北西部の小国、ブランホールの王女クローディアの顔を思い起こして長身の女性―――シャルロットは呟いた。
あの疑いを孕んだ瞳。私の実力は認めてもらえたようだが、帝国出身という経歴もあってか完全な信用には至らなかったようだ。
姫の手の甲に口付けしたもう一人の武道家は、自分を口説こうとした瞬間に殺気を当ててやった。
すぐさま飛びのいてそのまま姿を見せないが、果たしてあの後どうなったのだろう。
(彼を見つけ出すまで、私に立ち止まることは赦されないのだが…)
二年前、帝国を揺るがしたクーデター。
穏健派を次々と暗殺した聖アーマーニの枢機卿たちは、自らの教皇までもその手に掛け、ジェラールの政権と教団そのものの実権を握った。
その際行われた宗教改革による、“悪魔狩り”と名づけられた異端審問。
思い出すだけでも気分が重くなり、足元が沈みこむような感覚に襲われる。
業火に包まれた町並み、絶え間なく夜空を染め上げる真っ赤な悲鳴…
(どうして彼が、騎士団を追われなくてはならなかったのだ…!)
今でも納得いかない罪状だった。
彼女が頭に思い描く男は、父を大陸北東部の少数民族に持ったことによって騎士の資格と“悪魔”の烙印を押されて都を追放された。
そしてまもなく、自分は聖騎士として別命を受けることとなる。
『“悪魔狩り”によって追放された男、何を間違ったか聖騎士団に所属していたようだが、彼奴はとんでもない災厄だ。
あの男は汚らわしい異教徒と、聖女ヒルダとの間に生まれた悪魔の子じゃ!!我々“箱舟の民”の皮を被っているが、見たか??あの褐色の肌!!
間違いなく穢れを孕んだ証!!我らの粛清にも屈しなかった“風の民”の汚らわしき血液が脈々流れている証じゃ!!』
口角に泡を浮かべ、発火しそうな怒りを浮かべていた枢機卿。
間違いなく盲目の信仰に心を侵された者の瞳だった。
シャルロットはぶり返す吐き気をこらえきれず、思わず穴の開いた壁に肘を着く。
『シャルロット!!貴様は確かあの男と同じ孤児院の出身だったな…ならば、貴様に命じる。咎人の証を背負い、滅びの烙印が刻まれたあの男を見つけ出し、殺せ…!!
さすれば貴様の罪は贖われるだろう。悪魔の子と、同じ糧を戴いた貴様の穢れもな…』
皺の拠った鷲鼻と、濁った瞳。
シャルロットは抗議することも出来ず、追い払われた。
突然神罰の代行者という任務を背負った自分を、呪うことも出来ずに。
(彼は、とても温かい人間だった…偏見の目にも負けず、ひたすらまっすぐな心を持っていた…)
同じ孤児として、物心つく頃から施設で共に過ごした彼。
幼馴染にして、手のかかる弟のような存在だった彼…
その彼が、悪魔の子であるなど、シャルロットは毛頭ほども考えたことはなかった。
下らない宗教論争の果て、エゴの元に切り捨てられた人々…
その犠牲者が、彼なのだ。
信じられなかった。まさか、自分が討手に選ばれるとは。
だが同時に、チャンスだとシャルロットは確信していた。
(私が討手ならば、彼の存在を見つけられるのは、この私以外にいない)
遠く第一大陸にまで逃げ延びたといわれる彼を、異国の大地で知っているのは私だけ。
彼の存在を認めて、優しく包んで上げられるのも私だけなのだ。
遠い日の思い出に心を馳せる。
幼いころから目立つ外見をしていた彼は、当然イジメの対象になった。
だがそんな彼を庇い、一つ年上であるが故、姉のように振舞うことが出来たのはほかでもないこの私!!
彼が聖騎士団に入ったのも、剣術を習ったのも、全て才能を見込まれてスカウトされた私の影響。
そして討手として彼の命を握り、圧倒的な盲信がもたらした孤独から救って上げられるのも、私しかいない…!!
汚濁のような視線を向けられながらも、枢機卿の命令に一言の異もなく従うことが出来たのは、それが故だった。
たった一人の彼の、たった一人の討手となれば、ずっと二人だけでいられる。
(ならば、一刻も早く彼を見つけ出さねばならぬ…)
彼女の暗い愉悦。
それは二年を経て、どうしようもないほどに美しく―――歪んでいる。
(早く、見つけなくちゃ…謂われのない罪を、この爪でこすり落として、優しく抱きしめてあげる。
あなたは少しも悪くない、悪いのは腐れた体制の帝国…
あぁ、早く抱きしめたい…!!赤子のようにこの腕に抱きとめて、氷のように冷え切った魂を暖かく溶かしてやりたい…!!
心を読んで、静かにそのまま一つになり、二年の放浪で刃みたいに尖ってしまった私の魂も、体も、混ざり合うように抱いて欲しい…!!!)
だから、こんな小国に長く留まることなどできない。
朝一番で城下に逃げた姫をさっさと見つけ出し、明後日に執り行われる武道大会で優勝しなくては…
気づけば、決して広いとは言えないバルコニーに来ていた。
漆黒の帳に真円の大穴を開け、白く微笑む。
不吉なほど美しい月を見て、彼女は女神のような慈愛を浮かべた。
片翼では上手に羽ばたけない。
遠い異国に堕ちた、愛しく孤独な対がなければ―――
リハビリがてらに前スレのプロットをお借りして書いてみました。
提供者の方、心より感謝しております。
長文ウザっと思ったらスルーしてください。
続きは反応をみて深夜にでも。
神作品ラッシュの中、失礼致しました。
リハビリはいいんですが・・
あなたは一体どこの誰なんですか?
>>424 ほんとどちら様ですか?
こんなGJな文章をお書きになさるのは
リハビリというお言葉を使うということは
もしや、名のある神ですかね・・
いや、連載するなら貴方は充分に神ですよ
なんというGJ・・・・・・!
これは間違いなく神の仕業・・・・・!
>>424 >神ラッシュ
今は投稿も減少してるので気兼ねせずどしどし投下してください。
すばらしすぎる!!!
是非ともつ続きをお願いします。
>>393 GJ!!!!!
楽しみにしていた作品が終わるのはちょっと寂しいですが、面白かったです。
まさかハッピーエンドとは……、このスレでは珍しいですが、ハッピーエンド好きな自分
としては良かったです。
次回作はメイド物とのことですが、これは去年さらっと書いた物です。
使える部分などが有りましたらどうぞ使って下さい。
「メイド・レヴォリューション!!(仮)」
カラカラ……、カラカラ……
人気のない館の天気の良い朝―――
1人のメイドが朝食を台車に乗せて歩いていた。
その時、ふと歩いていた廊下の窓から、朝日に照らされた庭を眺めていたら―――
(うん、やっぱり椛の淹れてくれたお茶は美味しいよ)
(有難う御座います、御主人様)
(あっ!!、また御主人様って言う……)
(こればかりは……御許しを)
(……そうだ!!僕こと鷹崎陵が木ノ下椛に命じる。僕のことを名前で呼べ!!……これならどお?)
(!!……わ、わかりました、陵様)
・
・
・
・
「ふふっ……でへへ」
数年前、庭でお茶を嗜んでいた時のことを思い出してつい笑みがこぼれていた。
陵の両親は飛行機事故で亡くなり、ただ一人残った陵は財産目当ての親戚に
殺されかけて、車椅子が欠かせない体になってしまった。
だが、弁護士が預かっていた遺書が残っていてそれによると
「財産は陵が18歳になるまでは後見人の林田橡(はやしだくぬぎ)が預かり、
18歳になったら陵に相続する」
と書いてあった。
後見人になった橡は、屋敷で働いていた使用人、自称親戚などを
全て屋敷から解雇、もしくは追い出してしまい
今、この屋敷にいるのは
当主の鷹崎陵(たかざきりょう)
後見人の林田橡(はやしだくぬぎ)
お世話をしている木ノ下椛(きのしたもみじ)
の三人だけだった。
唯、今の現状は椛からしたら不満があった。
橡の奴、屋敷にいた人間を追い出す所まではいいんだけど、陵様を
独占してるのは許せないわ!!
奴にしたらこの屋敷を陵様と自分だけが住むパラダイスにしたかったんだろうけど、残念だったわね。
ああ、今思い出しても私が屋敷に残るって聞いた時の奴の表情は最高だったわ。
後は、奴を…………っと考え事していたら着いちゃったわ。
「食堂」と書かれた扉の前に立つと、一呼吸置き扉をノックした。
コンコンッ
「御主人様、朝食を―――」
「入りなさい」
椛が言い終わる前に、扉の中から抑制の無い冷たい声が響いた。
ちっ、やっぱりいやがったか
「失礼します」
扉を開けて、中に入ると大きいテーブルの前に車椅子に乗った慈愛に満ちた目で椛を見ている陵と
まるで前世からの宿敵を見るかの如く、憎しみが満ち溢れている目で睨んでいた橡がいた。
ま、アンタとだったら前世どころか2,3世代前でも敵同士だったろうな。
「遅かったね椛さん。僕お腹空いちゃったよ」
「まったく、何処でサボってたんだか……早く準備しなさい!!」
うるさいわね、料理も出来ない木偶の坊は黙ってろよ
台車から、二人分のトースト、スープ、デザートなどを手際よくテーブルに
並べて朝食の準備を終えた。
「それでは終わりましたらお呼び下さい」
「うん!!ありがとう椛さん!!」
ああん、陵様貴方のその言葉だけで私は……私は……
「ちょっと!!終わったらさっさと出て行きなさい!!」
てめえ……人の幸せな気分を邪魔しやがって!!
私の特製スープをよ〜〜く味わいやがれ!!
くっくっくっ……
・
・
・
・
「ご主人様、あまりメイドを甘やかさないほうが宜しいかと思いますが……」
「橡さん」
普段は温厚な陵が少しだけ怒りの篭った声で
「椛さんは確かにメイドだけど、その前に僕の大切な家族なんだ。そんなふうに
悪く言わないでよ」
「…………失礼致しました」
必死に怒りを隠していた橡だったが、硬く握った拳が全てを物語っていた
「それでは朝食にしましょう。いただきます」
何でアイツの作った朝食なんか食わなきゃいけないんだか……
全ての使用人を解雇した時、アイツは一番に候補に上げたのにご主人様が
「椛さんはダメ!!」って言うもんだから……くそ!!
炊事洗濯など家事は完璧なんだけど、アイツのご主人様を見る目は普通じゃないわ
多分ご主人様が相続する財産が目的ね。
あんな財産目当ての女に騙されないようにご主人様にも忠告しないと……
私が……私だけが……この世で只一人ご主人様を守り、愛し、添い遂げるんです!!
何時もの様に食事を進めていた橡だったが、急にお腹に異変をきたした。
……うん?あれ?何かお腹が……うううううう、こ、これは?!
「橡さん?どうしたんですか?青ざめた顔でお腹を押さえて……」
「う、う、いえ、何でもありません。私、ちょっと用事を思い出し―――」
ぎゅるるるる
「はうううううう?!し、失礼します!!!!」
バタン!!
何故かお腹とお尻を押さえて橡は、部屋を飛び出していった。
「何時もは躾に厳しい橡さんが……食事中に部屋を出て行くなんて……」
くっそ―――――!!あ、あいつ一服盛ったわね!!
貴重なご主人様との語らいの時間を邪魔しやがって!!
ト、トイレまでも、もう少し―――
全速力で走れずに、お尻を押さえながら小走りでトイレまで到着した橡。
だがそのトイレ入り口に―――
「故障中に付き使用禁止」
膝から崩れ落ちた橡は、全てを開放した……
・
・
・
・
・
・
―――とある夜―――
スケスケのネグリジェを着て、椛は一路陵の部屋にスキップしながら向かっていた。
多分今頃一人寂しく夜鳴きしてるかもね。
まだ小さいころは夜一人で寝てると、突然起きてわんわん泣いてたっけな……
そのたんびに陵様と一緒に添い寝して落ち着かせてたわね。
寝付くと、何故かオッパイを吸う仕草をしていたから私のを口に当てたら
赤ちゃんのように吸ってたのは可愛かったわーー。
早く母乳が出るように陵様に協力してもらおうかしら。
暗闇の廊下を歩いていたら、陵の部屋までもう少しという所で、突然
空気を切り裂く音と共に、顔面を何かが掠っていった。
「!!!!!………あと半歩踏み出していたら、脳天に突き刺さっていたわね」
横の壁を見てみると、投擲された日本刀が深々と刺さっていた。
「全く……夜更かしは肌に悪いのよ、あ、もう気にする歳でもないか」
「まだ30未満よ!!」
椛の挑発に乗せられて、暗闇から橡がスーツ姿で出てきた。
「現れたわね、関東平野」
「だ、だれが関東平野よ!!やっとバストが70超えたんだから!!って違う!!」
肩でゼーハー、ゼーハーと息をしている橡に椛はさらに追い討ちを掛けた。
「大体アンタ、こないだトイレの前でピーーしたわね。後始末する身にもなりなさいよ」
「あ、あんた何で知ってるの?!」
あらあら、うろたえちゃってーー、かーーわいいーーププッ
「私は何でも知ってるのよ。そ・れ・に貴方放心状態でフラフラとどっかに行っちゃったから
気付いてなかったようだけど、私、運が良いことにあの時デジカメ持ってたのよねーー」
「!!!!!!!まままま、まさか?!で、でもあれはアンタがーーーーー」
「あ、そろそろ陵……っとご主人様と添い寝しなくちゃ。じゃ〜〜ね〜〜」
廊下の奥に椛が消えて行くのを黙って見ていた橡は、壁に刺さった日本刀を抜き、
強く握って
何時までも調子乗ってんじゃないわよ椛!!必ずこの刀の錆びにしてやる!!!
月夜の夜に月明かりを反射した刀は、橡の気持ちに反応するかのように不気味
に光っていた
続きはありません。実はこれ、「修羅サンタ」の元ネタです。
椛が三択に変えて、橡に凶暴さをプラスしたのが美紗になりました。
何かの参考になれば幸いです。
今月14日のホワイトデーに「修羅サンタ」投下します。
メイドはいいものだ
>>424 GJです。
スウィッチブレイドの人かな?
だとしたら相変わらず面白いですよ
>>438 マジでスウィッチブレイドの人?
こりゃ、復活が楽しみでたまらないっス!!
それにしても、怒涛の神の投稿・・
嫉妬スレは凄すぎる・・神ばかりだよ
GJです! 是非連載して下さい!!
ほかに投下がないようなので、後編行きます。
例に漏れず、長いです。
【後】
気づけば、クローディアは涙していた。
寝宿にまで押しかけて問い詰めたリコの素性、経歴。
そのあまりもの不遇さと、それを少しも悲観していない彼の強さに胸が軋む。
その光景は、彼女の心に焼き付いて離れない。
謂われのない罪の証、殺されるために流れ続ける宿命―――
日が完全に落ちきっても、彼女の涙が止まることは無かった。
粗末なベッドに綿が抜けて薄っぺらい毛布。
それだけでも、リコの視線に射抜かれているとどこか温かい。
彼女がこれまで感じたことがない、不思議な感情が洪水となってあふれ出る。
正面で困った顔をするリコを見つめても、涙はとめどなく零れ落ちる。
「クレア、そろそろ帰らなくて平気か?」
クレアとは、彼女が素性を隠すために名乗った偽名だった。
まさかリコが、こんなにも簡単に自分の素性を話すとは思ってもいなかったから、つい軽口でそう名乗ってしまった。
今はそのことに、後悔しかない。
して同時に、激しい羞恥心を覚える。
自分の小ささ。強いと感じていたのは表面だけ、中身はとても脆いことに。
「人間なんて、みんなそんなものだ。どんなに頑丈な鎧を纏って、体を鍛え上げたって、芯はいつまでたっても柔らかい。
みんな心にでっかい穴を開けてる。そしてその穴を埋めようとして、もがくんだ」
がしがしと彼女の髪を撫で、リコが立ち上がる。
彼はお茶の代わりを淹れただけだったが、クローディアはリコがどこかにいってしまう気がして、反射的に服の裾を引っ張ってしまった。
「………」
鳶色と正面から交わる。
僅かなランプの光に浮かび上がった、溶け落ちるように沈んだ刺青の暖色。
横顔は思ったとおり、とても優しい。
「リコは、悔しくないの…?自分の生い立ちだけで差別されて、謂われの無い罪を着せられて…」
「悔しいさ。とても悔しい。だがおれが悔しいと思う以上に、情けない。おれという存在の為だけに討手をとらせてしまったんだから。
だからおれは、この命に悔いが残らないように世界中を廻って、真っ赤な外套と刺青に相応しい死に方をする。この赤い外套は血の赤、炎の赤、怨嗟の赤、地獄の赤…
片方の剣は、闇を祓うため。もう一つは、決闘のために用意された剣だ。おれは戦って、死ぬ。
いや、おれは死ななくてならない。おれを殺さなくてはならない悲しい運命を背負った人のためにも」
鳶色を見開いて、リコは刺青に覆われた顔面を鷲掴みにする。
爪が褐色の肌を割って、鮮血を頬に伝えた。
まるで泣いているかのように、ゆっくりと伝う真っ赤な血。
ふと立ち消えそうなほど儚い存在感に、クローディアはリコを抱きしめる。
今日初めて出会った男。
それなのにずっと傍にいたような…昔日の思いと優しい鼓動に、彼女は深い安息を覚えた。
顔面に食い込んだ指をゆっくりと剥がし、胸に掻き擁く。
冷たく、凍りつくような指先。
孤独に震えて、折れてしまいそうな指先。
この人は、とても強い。
でもそれは、外側だけ。
中身は酷く脆い。
皮肉にもリコ自身が言っていたように、穏やかな人柄にそぐわない運命を背負ってしまったのだ。
自分には関係の無い罪を着て、何の怨みも持たない人によって殺される。
それも、この世で一番惨たらしい死に方を選んで。
それが唯一の贖罪の方法だと信じて、彼はどこまでも流れて行く。
「リコ…」
不思議なことに、リコはクローディアの腕を払いのけることが出来なかった。
自分を包む掌が、あまりにも温かすぎただろうか。
見ず知らずの少女に、子供のように甘えてしまっている。
信じられないように鳶色の瞳を大きく震わすと、そのまま彼は長い睫毛を伏せた。
もう少しだけ、このままでいよう。
これまで一箇所に留まることを知らなかった彼は、まるで母に抱かれるような安堵感をクローディアに覚えていた。
しかし温かい心の裏側には、鋭い不安がある。
―――去らなくてはならない。
こんな優しい少女を、いつか自分は傷つけることになってしまうから。
―――去らなくてはならない。
かつて自分を弟のように可愛がってくれた、彼女の元から去ったときのように―――
この鮮血色をした背中と体中に絡みついた蛇が、この幼い少女を傷つけてしまう前に。
だから、神様もうすこしだけ…
リコは自分を拒絶した神(モノ)に、縋るような嗚咽を漏らした。
―――――――――――――――――――――
姫が帰らない。
この世の終わりが来たような顔をして、ゼテマはとうとう泡を吹いた。
それは今朝の未明。
姫が見知らぬ男と共に安宿へ消えたという情報を町人から得たときだった。
ここまで来ると、シャルロットはゼテマに哀れみさえ覚えた。
まったく、どうしようもない姫様だ。
表情に現すことはしないが、内心溜息を吐いて彼女は瞳を閉じる。
どうやら本格的に自分が捜索に出なくてはならないようだった。
侍女が寝室を調べてみたところ、先日の武道家は姿を消していた。
おそらく自分が当てた殺気にとうとう耐え切れなくなったらしい。
ますます情けない。
シャルロットは半ば諦めたように二本の剣へ視線を落とす。
彼女が何よりも愛する罪人に一瞬思いを馳せると、静かにシャルロットは言い放った。
「明日に武道大会が迫っている状況で、商品の姫が不在とあらば町中に集った連中がどんな暴動を起こすか解りません。
私が本格的に城下を洗いましょう。これでもとある自分を追って第一大陸までやってきた身。
探し人には慣れているつもりですので」
「こ、これは頼もしい」
なぜ早く言い出さなかったのだ、と大臣は暗に示唆するような眼をする。
しかしそんな空気など微塵も察すことなく、彼女は踵を返した。
「今日中に私が戻らなければ、割腹してもいい。元より急がなくてはならない身。そう長くは留まれない。
そもそも軽い覚悟で追っているわけではないのだからな」
力が、漲った。
昨夜久しぶりに決意を確認したためだろうか?
切れ上がった彼女の印象は、より角度を増しているように見える。
一本の剣。
それが、二対に増えたようなオーラを振りまいて城を後にした。
・
・
・
・
・
・
・
ブランホール城下は愈々押さえの利かない熱気をあちこちで持て余しているものたちの喧騒で、蜃気楼のように揺らめいていた。
可視に値するほど燃え上がる闘気に、混ざり合う人々の思念。
どこか宗教的な気概を感じさせるほどに濃い空気が、シャルロットの半鐘を先ほどから鳴らし続けている。
(ほう、やはり先日とは違う。また異質な空気に変わっている)
前に彼女が散策したときは、どこかお祭り騒ぎ的な雰囲気が残っていたものの、さすがに明日に武道大会の期日が迫るとそうはいかないらしい。
シャルロットは具足の踵を石畳に鳴らしながら、報告があった安宿街へ足を向ける。
白銀のプレートと行軍外套に身を包んだ彼女は、物騒な人種で溢れるこの区画でも不思議なほど浮き立っていた。
(王女だが、まさかほかに思い人がいたとはな)
そう思うと、自然に笑みがこぼれる。
成る程、道理で怒り狂うわけだ。
思い人がいて、勝手に婚約者を決められては適わない。
私とて、同じ行動にでるだろう。
妙なシンパシーを覚え、地図に書かれた宿にやってくると、シャルロットは静かに抜剣する。
闇を払う、白の剣。
(相手の男だが…死んでもらうしかないかな。王の下へ連れて行っても、おそらく事を荒立てる原因になるだけだろう)
クローディアと宿に消えた男は、赤い服を着た長身だったらしい。
酒場で大立ち回りを演じた王女らしき人物を鮮やかに助けた手腕といい、並の使い手ではないが、おそらく彼女は自分の敵ではないと判断したようだ。
静かにフロントの人物に事情を話し、音も立てずに部屋へ向かう。
隙を突くような真似になるが、踏み込んで三秒、いや二秒か?
痛みも無く頸を撥ねてやろう。それが相手の男に用意したせめてもの慈悲。
シャルロットは扉の奥の相手に気取られぬよう、慎重に殺気を研ぎ澄ます。
右手で剣の型を作り、左を慎重にドアのノブへ…
(出来る。いや、この程度のこと。出来なくてどうする。出来なくては、彼を優しく救い上げてやることなど…!!!)
開け放ち、視界に入った男に斬りかかろうとして―――
剣を取り落とした。
―――
―――
―――
不意に訪れた殺気。
糸のように細く、空気のように薄く研ぎ澄ませてあるが、この男のセンサーは見逃さない。
彼を優しく抱きしめたまま眠りに落ちたクローディアを引き剥がすと、修羅の表情をする。
もとよりこの姿が本来であるように面から感情が消え、禍々しいほどの存在感を放つ刺青が、朝日に浮かび上がる。
落ち着いた動作で腰から抜剣する。
二本目、黒の剣。
とうとうこのときがやってきた。
覚悟と半ば諦めたような瞳をして、リコは構えを取る。
長すぎた。
彼にとっては長すぎた安息だった。
偶然であった少女はあまりにも温かく、柔らかい。
自分を抱く腕、触れる唇、絡みつく足腰。
全てが自分には相応しくない温かさ。
(これが、自分への最後の罰か)
自答して、最期の後悔をする。
これ以上ないほどの罰。
初めて自分に安らぎをくれた少女に、深い心の傷を与えてしまうこと。
ままごとでもいい、一度でも自分を愛しいといってくれた少女に深い傷跡を残してしまう。
――――――観念する。
相応しい幕切れではないか。
罪と罰の証を負った、穢らわしい悪魔の子には。
相応しい“罪”が与えられたではないか―――
最期に甘すぎる禁断の果実を貪った自分に。
相応しい“罰”が与えられたではないか―――
最期に、こんなにも優しい少女を、破壊してしまうなんて…!!!
諦念に歪んだ作り笑い。
その切れ端を頬に残したまま、彼はもう一度少女を振り返る。
「――――――」
無邪気な寝顔だ。
せめて、自分の腕の中などではなく、もっとよい男の胸で浮かべさせてやりたかった。
さてその罰、受け入れよう。
天を仰いで構えを解いたリコは、ゆっくりと入り口へ歩み寄る。
細い殺気を放つ人物が、せめて一撃で逝かせてくれることを願いながら、
最期に繋がったときの少女の面を思い浮かべ―――
瞳を閉じた。
* * * * * * * *
幕切れは訪れなかった。
正確にはリコが瞳を閉じて数秒。
暗く沈んでいくはずの世界は、未だ原型をとどめたままだった。
からぁぁぁ―――ん、と。
その代わり、床に剣を取りこぼす音がする。
乾いた音を立て、死を告げる凶刃とは正反対の弱弱しい声が耳朶を侵す。
「リカ、ルド…、いや、リ…コ…、リコぉぉぉぉぉ!!!!!!」
悲哀を切り刻んだような声。
その声色の儚さに驚いてクローディアが目を醒ますと、リコが一人の女に抱きすくめられていた。
咄嗟のことに思考が上手く働かない。
寝ぼけとあまりにも唐突過ぎる風景に、彼女は周囲を見渡して言い知れない感情を覚えた。
胸の奥、分厚く仕切られた心の壁が真っ黒に焦げ付いて、じっとりとした悪臭を放ちながら溶け堕ちるような感覚。
指先から血の気が失せ、変わりに腹の底が煮えくり返るような不快感を覚える。
強烈に喉が水分を欲し、掠れた呼吸が薄く開いた唇から漏れる。
「あ――――――」
意図せず発した一言。それがきっかけとなり、感情が暴走した。
なんだこの女よく見たらお父様が連れてきた女剣士ではないか気持ち悪いからあんたの顔で泣き顔なんでつくらないでようそくさいよ
どうしてリコはそんなおんなに抱きつかれて呆けているのはやく払いのけてよていうかその女リコを追ってきた討手じゃないの
どうしてそんな女に抱きすくめられてるのおかしいよちゃんと説明してよリコを抱きしめていいのはわたしだけなんだよ
それに昨日はわたしの初めてをあんなに情熱的に奪ってくれたじゃないこんなのおかしいよリコの罪をわかってあげて
優しく罰を払いのけてあげられるのはこのわたしだけなのにあれぇおかしいなぁ夢でも見てるのかな胸が燃え上がるみたいに熱
いこんな感情わたしはしらない感じたこともないありえないよ信じられないよどう考えてもおかしいよリコ、リコ、リコッ――――――!!
気づけば二人の間に割って入り、力任せに振りほどいた。
女がリコに抱きついた力は予想以上に強く、苦労した。
リコはといえば、未だに呆気に取られたまま、口を半開きにしている。
扉から現れた相手が、あまりにも予想外の存在だったためだろうか。
「シャル…シャル、姉さん…どうして、あなたが…」
尻餅をついて、力なくシャルロットを見上げるリコ。
反対にシャルロットは涙をぬぐおうともせず、リコを慈愛の表情で射抜いている。
そのまなざしの色。
リコの全てを知っているみたいに優しくて、どうしようもなくクローディアは苛ついた。
「リコっ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
耳を劈いて切り裂かんばかりの怒声。
慈愛の表情を消して、クローディアに向き直るシャルロットの表情は般若のように歪んでいる。
「どうして、貴様が、彼を、リコなどと呼ぶ…?それは、私だけが、ゆるされた、呼び名、なのに…」
立ち消えたはずの殺気が、膨れ上がる。
その密度といったら、ない。
龍三匹を正面だって相手するような、絶望とも言える量。
しかしそれにも怖じず、クローディアはシャルロットに視線をぶつけ返す。
「彼の罪は全部わたしが払い落としてあげたから。彼の罰も全部わたしが分かち合ったから。優しく抱き合って、燃えるようなキスを交わして…!!!」
シャルロットの表情が更に凄絶なものに変化する。
整った面立ちに女神の名残はない。
ひたすら殺気に塗り固められた表情は、筆舌にし難いほど。
「…私の大切な片割れ、大事な片翼、愛しい左半身…受け入れられるのは、私だけだったはずなのにっ!!…」
空気を震撼させ肝を直接握りつぶすような低い声は、猛る様な唸りを上げる。
シャルロットはリコに詰め寄り、激しく鼻腔を膨らませた。
「やっぱり、女の匂いだ…そうか…このメスに、穢されたのね…」
「姉さん…何を…??」
「私だけのリコ…こんなメスガキに誑かされるなんてね…」
まっすぐにリコを射抜くシャルロットの眼差しは、深く沈んでいる。
曇り一つないアイスブルーは嫉妬という濃い霧に飲まれ、淀んでいた。
「リコっ!!!」
不意にクローディアはリコを手繰り寄せ、その唇を奪う。
「約束。明日の武道大会、必ず優勝して。そしてこの薄気味悪い女をバラバラに切り刻んで!!!
そしてブランホール王女であるこのクローディアを、攫いなさい!!」
「…?クローディア?…きみは、クレアじゃあ…?それにどうして姉さんがおれの、討手に…?」
一人の男を置き去りに、熱気に滾るブランホールへ重い暗雲が立ち込める。
各々の願いを背負って、漆黒の舞踏が始まる。
罪と罰を釜の底で存分に煮詰めながら、死神が咍った。
了
これで終わりです、中途半端でごめんなさい。
意外にも皆さんが自分のことを覚えていてくれて、とても感激しています。
次は一月以上間隔あいていますが、連載のほうを投下したいと考えています。
あと前スレ666の方、勝手に設定を自分のものと被らせて申しわけございません。
実はこの後、軽い戦闘シーンがあったのですが、
緑猫さまがバトルssをかかれるようなので、畏れ多くも同じスレには投下できません。
ワードの40×40で25ページの話なので、長いですがお楽しみいただけたのなら冥利に尽きます。
ぬはぁー、リアルタイムで遭遇出来るとは何たる幸運、GJです! 連載も楽しみにしてます!
しかし普通のファンタジーとしても読めそうな雰囲気だったのに、あっという間に修羅場モノに……。
本当、修羅場スレでは油断出来ませんな! フゥーハハァーッ!!
452 :
名無しさん@ピンキー:2007/03/04(日) 01:14:27 ID:kub0IpbK
投下ラッシュはきたが嫉妬スレと関係無くね?
何を言うか
>>452 (;´Д`) シコシコシコシコ
_(ヽηノ_
ヽ ヽ
( ゚д゚ ) !!!!!!!!!
_(ヽっノ_
ヽ ヽ
( ゚д゚ )っ
(彡ηr しこしこしこ・・・・・
. i_ノ┘
⊂( ゚д゚ )
. ヽ ηミ)
(⌒) |しこしこしこ・・・・・
三 `J
すげぇ、神の投下ラッシュだよ!!
本当にGJです!!
>>452 言ってる意味がわからないッ!ポルナレフ…
うぐぅの声に返還すれば萌えます
GJです。
またゼノギアスの人名とか設定っぽいのが出ていて
ニヤニヤしてしまいました
半身が刺青とか褐色の肌とかの設定で
モンコレの草原の悪魔を思い出した。
続きがすげー楽しみだ。
461 :
名無しさん@ピンキー:2007/03/04(日) 03:58:04 ID:Lsuril8z
流れぶち斬るけどRedPepperって15以降まだでてないよね
神々の後で心苦しいですが、投下します。
流れを滞らせるのは嫌なので、つまらないと思ったらスルーしてください。
明くる日の朝、僕は山岡さんから学園祭の出し物の進行状況を聞いて愕然とした。
学園祭3週間を前にして、ほぼ何も決まっていなかったのだ。
ただ文化祭で喫茶店をやることだけが決まっていて、
その事実だけが宙ぶらりんになって一週間だけが過ぎているような状態。
山岡さんが泣きついてくるのも無理はなかった。
「文化祭での出展は私たちに懸かっています」
と、鼻息を荒くする山岡さん。
正直、僕をそこに加えて欲しくなかったが、僕も今まで何もしてこなかったのだ。
その責任を感じないわけでもなかったし、山岡さんの申し出を受けた以上がんばらないわけにもいかなかった。
その日の昼休みから、僕と山岡さんは空白の一週間を取り戻すべく学校中を走り回る事になる。
教室のレイアウトを考えたり、期限ギリギリの生徒会室に飛び込んで食料品を扱う許可を取ったり、
看板のデザインを考えたり……。
多少強引にでも決めなければならない事柄を片付けてゆき、
暇そうなクラスメイトに呼びかけて作業を分担してゆく。
文化祭3週間前で閉校時間の8時まで残っているのは、
学園祭の実行委員と僕と山岡さんの二人くらいのものだろう。
遅い帰宅の理由を姉さんや雨音ちゃんにあれこれと問い詰められたが、
正直に学園祭の用事が忙しいと言うと文句を言いながらも渋々ながらも引き下がってくれた。
そんな日々が3日目に入った日の放課後、ホームルームが終わると同時に山岡さんが僕のところへ駆け寄ってきた。
「えっと、放課後は空いてますか?」
「ごめん、今日はバイトなんだ」
「そうですか」
山岡さんは残念そうな顔をするが、アルバイトを休むわけにもいかない。
「――――ねぇ、今日も天野君のバイト先に行ってみてもいいかな?」
山本さんがこちらの様子を窺いながら尋ねる。
「バイト先に? 別にかまわないけど、出し物の方は大丈夫?」
「うん。天野君に手伝ってもらってから進行状況もすごく良くなって余裕も出来たし、
商店街に雑貨を買いに行くついでに、もう一度あの店に行ってみたいと思ってたから。
イメージなんです、あの店」
「そう、じゃあ早めに行って少しお茶してようか」
「うん」
ここ二日間で次第に息が合い始めた僕らは並んで校門を出た。
クラスの女の子と二人で学園祭の話をしながら歩く。
こんな日が来るなんて想像したことも無かった。
思い返すと、ここ数日で僕が山岡さんに対して持っていた警戒心や
文化祭に対する姿勢は変わってきたような気がする。
山岡さんは興奮すると多少周りが見えなくなるようなところがあるものの普通の女の子だったし、
自分の持っている技能が必要とされるのはとても気持ちの良いものだった。
学園祭の話をすると姉さんや雨音ちゃんはあまり良い顔をしないけれど、最近は充実しているような気がするのだ。
僕らがちょうど嫌な教師の話で盛り上がってきたところで古木の看板に辿り着く。
いつもの道程がやけに短く感じた。
カラン。
ベルを鳴らして店の中に入ると、僕を見つけた店長がこちらへ向かってくる。
「天野君――――少し、話がある」
「はい。わかりました―――ごめん、どこか適当な所に座っててよ」
「うん」
山岡さんに席を用意して、僕は店長の後に続く。
店長がくぐった扉の向こう、スタッフルームは妙な重苦しさがあった。
店長は自分で用意したパイプ椅子に座るとおもむろに口を開く。
「実はな、先日の件でお客様からクレームが出た」
「クレーム………そうですか………」
あれだけ騒いだのだ。無理もない。
「本来なら、あの場面は俺が直接行って注意すべきだったのかもしれないが、
この店の客はほとんどが顔馴染みで二人のことを知っている人も多い。
あの二人を目当てに店に来る客も増えたから少し甘めに見ていた。
しかし、今回はクレームが付いてしまった」
「―――本当に申し訳ありませんでした」
「俺は店長だからクレームには対処しなければならない」
「―――あの」
「なんだ?」
「―――僕は、クビってことですか?」
店長が僕を見据える。
早く否定して欲しい。
けれども、店長は何も言わない。
僕はしたくはない覚悟を決める。
「――――――それも考えた。けど、今回はそうしない。俺は一年間君の働き振りを見て、そう判断した」
「―――ありがとうございます」
自然と頭が下がる。
よかった。
給与の心配もあるけれど、僕はこの店が好きだったから。
「今回は1ヶ月店を休め。その間に二人にもきちんと言い含めておけよ」
「―――はい」
それでも1ヶ月の謹慎は心が沈む。
店長は禁煙のスタッフルームで煙草を点けると、一服して不味そうな顔をする。
「なぁ、天野君。一つ立ち入ったことを聞いていいか?」
「はい」
「一年間見ていて思ったんだが、君はあの姉妹二人に何か遠慮があるのかい?」
「ありませんよ!!」
突然の質問に僕は反射的に声を挙げる。
「じゃあ、どうして声を荒らげる?」
「そ、それは……」
つぐんでしまった口の奥、胸の中でくすぶっている悔しさ。
それは触れられたくない図星、僕の弱さを突かれたからだろう。
「―――これは俺の個人的な意見だけどな、君の二人に対しての接し方は家族のそれじゃないと思うぞ」
何も言い返せなかった。
だって僕は知らないのだ、店長の言う『家族のそれ』を。
「すまん、変なこと話した。今のは忘れろ。あと―――今日はもういいぞ」
「はい―――お疲れ様でした」
頭を下げて、僕は店長の前から逃げ出す。
見たくないもの、見せたくないものに触れられた気分。
今日はもう何もする気が起きない。
山岡さんには悪いけれど、さっさと帰ってふて寝したかった。
「天野君、ってすごい顔してるよ。どうしたの?」
「大丈夫。何でもないよ」
「あの、そんな顔して言われても説得力ありません」
「そんなにひどい顔してる?」
「うん」
山岡さんは何か口を開こうとしているが、僕の様子を見てすぐに止めた。
沈黙が重苦しい。
2、3分経った頃、しばらくコップのお冷を見詰めていた山岡さんが声を漏らす。
「えっと、もし、私でよければ相談に乗ろうか?」
「え?」
「ほら、私今回の事で天野君にすごくお世話になってるから、
少しでも恩返しが出来たらなぁ―――なんて、私じゃ頼りになりませんよね」
また山岡さんは静かになる。
でも、目の前の娘は本当に頼れないような人物だろうか?
この三日間、山岡さんといっしょに走り回ってきた。
行動を共にして、二人で遅くまで話をして、いろいろな山岡さんを知って、
不器用だけど一生懸命な女の子。
山岡さんのイメージは僕の中でそう変わっていた。
姉さんや雨音ちゃんとは違う女の子。
思い返してみると、僕は姉さんや雨音ちゃんに悩みを打ち明けたことがない。
それが、店長の言う遠慮なのかどうかはわからない。
でも僕は、自分の悩みを二人に打ち明けるのが怖かった。
「あの、聞いてくれるかな?」
自然と口が開いていた。
それから僕は山岡さんにいろいろなことを話した。
先日の話。今日の話。ここ最近のこと。
僕が二人に悩みを打ち明けたことが無いこと。
つい数年前まで二人との関係が上手くいっていなかったこと。
流石に僕が養子であることやいじめを受けていたことは伏せておいたが、
うっかり口を滑らせれば言ってしまっていたかもしれないくらいに
僕の内臓からはいろいろな言葉が溢れ出てきた。
こんなに自分のことを人に話すのは、初めてだった。
「そんなことがあったんですか……」
「うん」
「でも、少し納得できた」
「納得?」
「そう、女の子の間ではちょっと噂になってるんだよ。キミたち」
「どういう風に?」
「ほら、お姉さんや妹さんって、すごくモテるのに彼氏を作らないじゃないですか」
「うん」
そう。姉さんや雨音ちゃんは彼氏を作らない。
少なくとも二人が男子を連れて歩いているところを見たことが無い。
「だからね、二人はすっっっごいブラコンで、天野君はすっっっごいシスコンなんじゃないかって」
「僕はシスコンなんかじゃないよ!!」
「姉と妹に『あ〜ん』なんてことしてるのに?」
「それは……しかたなくて……」
グゥの音も出なかった。
「えへへ、どうでした? 身内に『あ〜ん』した感想は?」
「もう、そのネタはいいよ」
山岡さんはあからさまに残念そうな顔をすると、いつもよりもまじめな表情に切り替わる。
「でも、このままだと天野君だけじゃなく、お姉さんや妹さんも駄目になるような気がします」
「どうしてさ?」
僕にとって山岡さんのその言葉は聞き逃すことの出来ないものだった。
僕と二人が駄目になるだなんて。
「いい? 天野君。キミたちは兄弟なんだよ。
夫婦なら寄り添いあうのもいいかもしれないけれど、兄弟は付かず離れずくらいがちょうどいいんです。
今の話を聞いていると、天野君とお姉さんたちの距離は近すぎる感じがします」
僕と二人の距離、僕の二人に対する態度。
山岡さんと店長の話には共通する要因がある。
それは僕の抱える負の要因―――失うことへの恐れ。
「ねぇ天野君、今まで二人と喧嘩したことはありますか?」
頭の中を探ってみるがそんな記憶はどこにも無い。
「無いみたいですね」
「どうしてわかったの?」
「顔に書いてありました」
どうやらここ数日で山岡さんは僕の表情が読めるようになったらしい。
でも、あまり不快感は覚えなかった。
「一度、二人と喧嘩してみたらどうでしょう?」
「そんなの………勝てるわけないよ」
「別に勝つ必要はないんです。二人と少し距離を取って接してみるだけですよ」
「だったら、喧嘩なんてする必要は……」
「じゃあ、何の理由も無しに天野君は二人と距離が取れますか?」
「それは……」
無理だと直感でわかった。
何も理由が無ければ二人はきっと納得しない。
僕もきっと、二人をほおっておけない。
押し黙る僕に対して、山岡さんは次第に不機嫌になる。
「天野君、今日の事だけじゃなくてもいいです。二人に対して少しも憤りは無いんですか?」
少し考えて、
「―――ないよ」
僕はそう口にした。
「嘘です」
「本当だよ」
「嘘ですよね?」
「本当だって」
「もし、それが本当なら―――私はとても残念です」
そう言う山岡さんはとても悲しそうな表情で言葉を紡いでゆく。
「私は少し前まで天野君のことを『天野姉妹の弟』として捉えていました。才色兼備な美人姉妹のパッとしない弟。
それが私の―――いえ、おそらく学園中の皆も天野君の事をそう思っていました。
でも、天野君が私といっしょに学園祭の準備をすることになって、喫茶店に詳しい天野君を知って、
学園祭の準備に走り回っている天野君を見て、クラスの皆の天野君を見る目は少しずつ変わってきていると思います。
少なくとも、私の中では確実に変わりました。
でも、天野君がそんな状態のままで学園祭が終わってしまえば、
天野君はまた『天野姉妹の弟』に逆戻りです。
さっき話してくれましたよね?
二人に悩み事を相談したことが無いって!
二人にずっと気を使ってきたって!
二人の要求には従ってきたんでしょう!?
それって―――ただの奴隷じゃないですか!
このままだと、本当に天野君は『天野姉妹の弟』で終わってしまいますよ!
そんなの……そんなの、悲しいじゃないですか………」
最後の方はほとんど山岡さんの方が泣き声になっていた。
どうして山岡さんが泣いているのかわからなかった。
けれど、僕は申し訳ない気分でいっぱいだった。
本当は言われる前からずっと気付いていた。
僕はもう長い間、二人から逃げ続けてきた。
自分に自信が無かった。
血の繋がりが恐かった。
拒絶されるのが恐かった。
居場所を失うのが恐かった。
だから、自分を殺して天野八雲を演じた。
二人に好かれるような虚像を作り上げた。
「ごめんね」
声を出さないようにすすり泣いている山岡さんに声をかけて、フロアにいる斉藤さんを呼んで紅茶を二つ頼む。
待つこと数分。
タイミングがいいのか、気を使ってくれたのか、山岡さんが落ち着く頃にちょうど紅茶が届いた。
僕は黙り込んでしまった山岡さんの前で紅茶をグイッと一口飲む。
「僕、がんばってみるよ」
「え?」
「だから、姉さんたちに今日の事を含めてきちんと言ってみるよ。
喧嘩になるかどうかはわからないけど、きちんと話してみる」
山岡さんはうれしそうに頷くと、途端に申し訳なさそうな顔をする。
「あ、あの、すいません。さっき私すごく失礼なこと言ってました。ごめんなさい」
「いいよ。うん、いい薬になった」
「そんな、私……」
「本当にいいから。ほら、せっかく頼んだんだから飲んでよ」
「は、はい」
山岡さんは紅茶に砂糖一杯半とミルクを入れると、カップに口をつける。
山岡さんは何も言わなかったけれど、その表情はコーヒーの時とは真逆のものだった。
ここまでです。
次回ではないですが、そろそろ姉妹視点に移ります。
>393
赤いパパ氏。連載お疲れ様でした。
次回作も楽しみにしています。
>>469 リアルタイムキタ━━(゚∀゚)━━!!
GJ! 遠慮しないで下さい貴方も神ですよ!
一歩踏み出す決断をした主人公に対する姉妹の反応wktk!
471 :
名無しさん@ピンキー:2007/03/04(日) 07:31:54 ID:xSyGHhtH
GJ!
473 :
名無しさん@ピンキー:2007/03/04(日) 09:19:45 ID:Ve3vZIAt
このスレは毎日二つ三つ投下されてた時期があるから一日投下がないと不安になる。
冷静に考えれば贅沢な症状だ。
スレ番もかなり伸びてるしな
>>469 GJ!
この後姉妹がどんな行動に出るかwktk
>>469 GJ!
山岡フラグと同時に八雲死亡フラグも立ったようですね、さすが修羅場スレ
これから姉妹との過去という伏線が明らかになるようで、楽しみです
一夜明けたら
神たちのラッシュにびっくりです
では投下致します
第28話『妹想いの姉、姉想いの妹』
*水澄虹葉視点
ピーピーゴーゴーー
ゴーピーゴーピーピーピー
『じゃあ、よろしくな』
愛しい月君の声が受信機を通して聞こえてきた。昨日、月君の制服に盗聴器を仕掛けて本当に良かったと思っています。
うんうん。月君の暴走する若気の至りを抑えるためにお姉ちゃんとして阻止する義務があると思うんだよ。
だから、盗聴は犯罪じゃなくて、愛しい弟を正しい道に引き戻すための手段なんだから、すなわちこれは正義なのよっっ!!
月君の合コンを阻止する前に。お姉ちゃんに黙って合コンをしていたなんてぇぇ。
ちょっと、怒ってます。かなり、怒りたいけど……。
私の胸に突き刺さった刺のような痛みが疼く。月君が他の女の子と楽しい会話を繰り広げていることを想像するだけでお姉ちゃん。
ちょっと寂しいくて悲しいよ。
やっぱり、お姉ちゃんたちと一緒にいるのはヤダなのかな。
月君は水澄家に引き取られてから私達とべったりと一緒にいる。ううん。私達が一緒にいることを強要した。
その結果が月君のクリスマスまでに恋人を作る宣言だ。
月君だって彼女を作ってイチャイチャしたい。私達のことを放っておいて、幸せな生活を送りたいと望んでいる。
でも、私達は月君がいないと生きていけない。
だから、今回も私達は月君を独占する。月君が他の女の子たちに絶対やらないもん。
だが、一瞬だけ脳裏をよぎったのは私だけの月君。紗桜ちゃんとじゃなくて。
私だけの月君がずっとずっと私の傍にいること。三人じゃなくて、二人。それが本来の正常な状態であり、私が本当に望んでいること。
この社会で結局結ばれるのは二人だけ。三人なんて世間が絶対に許されるはずがないのだ。
「わ、わ、私は一体何を考えていたの?」
紗桜ちゃんを見捨てて、私だけが幸せになろうと考えていた。
それはとてもとても甘い誘惑であり、食べてはいけない禁断の果実であった。
「私はち、ち、違う……」
何も違わない。それが私が望もうとしていること。
所詮、幸せになれるのは冷酷に切り捨てた者のみである。
もし、いい姉を演じていた結果。
大切な弟を。大切な月君を紗桜ちゃんに奪われたら。 その想像は危険だ。
刻々と浮かび上がるのは幸せそうな月君の隣に腕を組んでいる紗桜ちゃんがいた。
私はその道から外れて羨ましそうに見ているだけ。私は一生独りぼっちになって。
ずっと、孤独の人生を送ってしまう。寂しい。恐い。一人は嫌だ。
ただ、紗桜ちゃんが私に振り返って意味ありげな笑みを浮かべた時。
私の中で大切だった妹の認識は改めて変わる。
「紗桜ちゃんも私から月君を奪う泥棒猫だったんだ」
私の中で大切な家族の絆があっさりと壊れた瞬間であった。
*水澄紗桜視点
「うん……わかった。じゃあ、今日一緒に兄さんを問い詰めましょうね」
と、お姉ちゃんからかかってきた電話の用件を伝え終わると切れました。
内容は兄さんが合コンという悍ましいものを企画している内容でした。私が思っている以上に兄さんの悪巧みは進行しているようです。
ど、ど、どうしよう……。
お兄ちゃんが他の女の人に取られちゃうよ。
その想像は考えるだけでも気を失ってしまいそう。
あの人に触れていいのは私と虹葉おねえちゃんだけなんだから。
男性恐怖症で気の弱い私は今になっても友人はできなかったりする。
それでも、私には温かくて見守ってくれているお兄ちゃんとお姉ちゃんが居てくれたから、今まで生きてこれたと思う。
少なくても、寂しい思いはしたことがなかった。
今まで絶対であった日常が崩されようとしている。
「お兄ちゃんが恋人を作るなんて言うから……」
そう、お兄ちゃんは私達に恋人を作ると宣言した。
どういう意図で言っているのか全然意味が理解できないけど。
あれは私達にもっともっと積極的なアプローチを仕掛けて来いって言っているんですか?
だったら、お姉ちゃんと一緒に襲いますよ。お兄ちゃんが誘惑するなら喜んで私は乗ってしまいそうです。
残念ながら偽りの兄妹の関係がある限りはちょっと無理ですが。
それでも、兄さんが兄さんが兄さんが他の女の子達に囲まれているであろう合コンで恋人作りのために
あちこちナンパもどきの口調で誑かせている姿に怒りを覚えてしまいそうですね。てやっ!!
って会場を乱入して金属バットで女の子たちを数秒で躊躇なく撲殺してそうで恐い。そういう展開になる自信はある。
「兄さんが天然ジゴロだから悪いんですよ絶対にっっ!!」
私の兄を想っている気持ちとお姉ちゃんが兄さんを想っている気持ちを全部知っているくぜに。あれ?
ふと違和感が走る。
お姉ちゃんも兄さんのことが好き?
その事に今まで疑問に覚えなかった。お姉ちゃんも恋する女の子。
お姉ちゃんが大好きな男の子は私はよく知っている。もちろん、兄さんだ。
兄さんの相手に相応しいのは、私よりもお姉ちゃんの方が相応しく思える。
これは姉が私の全てを上回っていることから来る劣等感を昔からずっと感じていた。
お姉ちゃんが兄さんと恋人同士になって結婚したら、私はこの広い世界の中で長い長い人生を独りぼっちで過ごすことになる。
そ、そ、そんなのは嫌だよ。
「寂しいのは嫌。絶対にいやだよぉぉぉぉ!!」
兄さんは……
私とお姉ちゃんとどっちを取るの?
というわけで第28話は終了です
姉と妹がライバル同士と認識してからお話が急展開を迎えますので
楽しみにしてください
新作も絶好調に書いています・・。
幼馴染同士の修羅場を元にしてお話を書いているので
こちらも楽しみに待ってください。
>>393 赤いパパ氏 連載お疲れ様でした。
次回作のメイドモノも楽しみに待っております
>>469 ◆JyN1LsaiM2氏GJです。
姉妹モノが大好きなので、応援していますw
482 :
名無しさん@ピンキー:2007/03/04(日) 13:05:55 ID:zIu28Ruf
483 :
名無しさん@ピンキー:2007/03/04(日) 13:13:29 ID:zIu28Ruf
誤爆スマソ
後で誤爆と言えば何を言ってもいいとでも思ってるのだろうか
>>481 GJ
姉妹が狂って行く様を楽しみにしております
嫉妬スレ住人総出でトライデントをスルーしているのに吹いたwww
何か問題でも起こしたのかな?
又は作品がつまらなすぎて誰もレスしないだけなのか?
圧倒的に後者が原因だと思いますね
488 :
名無しさん@ピンキー:2007/03/04(日) 13:52:17 ID:SOqJN/XS
>>469 普通に面白いぞ 次も頑張ってくださいね
ククッwww
日本語がおかしいトライデントは俺の計画通りに
スレ住人から無視スルーされるようになった。
少なくても、こいつが投稿するとスレが荒れると低知能な住人達にそう思わせる
ことができた。見事なイメージ戦略にはまってしまうとはww 単純すぎるねw
どうせ、誰からも相手にされてないから追放されても別に誰からも苦情は来ないだろうねwwww
次はロボか赤いパパ氏辺りでも叩きに走ろうか♪
日本語がおかしいSS作家は嫉妬スレを追放するのが俺の仕事だ
盤面に狂いはない
いずれ日本語がおかしい者は叩かれ
叩かれる作家はスルーされる。
皆 逃れようなく
もうすぐ、嫉妬SSスレは荒れに荒れる。
前スレよりも最悪な結末を迎えることであろう。
次、日本語がおかしいSS作家が投稿するまで
静寂な時間を楽しむがいいww
しばらくスレから離れてたから保管庫のSSがたくさんで嬉しい悲鳴。
続きが楽しみだぜハァハァ。長編SSはしんどいだろうけど頑張ってくれ。
>日本語がおかしいSS作家は嫉妬スレを追放するのが俺の仕事だ
紅茶吹いた
>>469遠慮せずにこれからもどんどん投下してください!姉妹がどんなリアクションを取るかwkwktktk
>>481こちらは遂に姉妹対決クル━━━━(゚∀゚)━━━━ !!???
続きを(*´д`*)ハァハァ して待っています
>>493 最低限の日本語くらい話せよ
間違いだらけだぞ
どう考えても暇人ニートな煽りです。本当に(ry
>>497 構うな、ますます調子に乗るぞ
無視し続ければ叩くのも空しくなるだろ
「あれ?行き止まり?」
「そのようですね。ここまで一度も分かれ道はありませんでした。」
しっかり調べながら来たが、ビルの入口や怪しい場所は一つもなかった。
「うーん、ここは違ったのかなぁ。また最初からやり直し……うわっ!?」
「マ、マスター!大丈夫ですか?お怪我は?」
帰ろうと振り返ると、何かにつまずいて思いっきり転んでしまった。クーちゃんにしては珍しく、言葉が詰まり気味になる。
「うん、大丈夫だから。そんなに気にしなくても……」
「いいえ、じっとしてください、マスター。念のために、医療キットを所持してきました。怪我をした部分をお見せください。」
「だ、だから大丈夫!ちょっと擦りむいただけだし……」
「いいえ、そこから悪化して行く可能性もゼロとはいえません。」
「ちょっ!?」
これまた強引に腕を引っ張り、擦りむいた腕に手当てを始めるクーちゃん。ああ、くそぅ。いい歳してこんなことされるなんて恥ずかしい。
「もう少し自分の体を大切にしてください。自分だけの体ではないのですから。……はい、これで大丈夫です。」
500 :
名無しさん@ピンキー:2007/03/04(日) 16:01:47 ID:0o3QFH9F
>>493 (゚Д゚)ハァ?
何こいつ、日本語荒らし?w
「う、うん。ありがと。」
腕には一枚の絆創膏がピトっと貼ってあった。はたしてこれを治療と言うのかは疑問だが、黙っておこう。
「それにしても何につまずいたんだ?」
自分が転んだ場所を振り返ってみると、マンホールが少し外れて浮いていた。
「ああ、これに引っ掛かって転んだ……って、あれ?なんで外れてんだろ?こんなとこ……」
マンホールに書いてある文字を見ると、どうやらこれは旧下水道のものらしい。一昨年、この街の下水道はすべて一新され、この旧下水道はそのまま放置されている。
それが黒い組織のアジトになってるだとか、地球外生命体の巣になっていると言う噂がネットで流れているが、まぁそのほとんどがデマなわけだが。
「……誘拐犯が篭るには良い場所かもしれないな。」
「入ってみますか?マスター。」
「そーだね。なんか見つかるかもしれないし、戻ってもまた最初からだし……クーちゃん、この下水道の地図、ダウンロードできる?」
「はい、了解しました。」
目をつむり、衛星から地図をダウンロードするクーちゃん。少し時間がかかりそうだ。
「さて、先に開けておくとするか。」
少しずれた所に指を入れ、マンホールの蓋を持ち上げる。思っていた以上に重く、ズルズルと引きずりながらずらしていく。……自分の筋力が意外と無いことに驚きだ。
「ふぅ……ん?」
ピリリリリリ……
携帯が鳴った。見てみると、依頼人の北原氏からだった。
「はい、もしもし?」
「あ、ああ、君か?実はな、犯人から電話があったんだ。」
「え?本当ですか?内容は?」
「会話内容は録音した、君のアンドロイドの方に送っておく。……よろしく頼む!」
それだけ言って切ってしまう。犯人から電話があったというのにいやに冷静だな。
「マスター、北原氏よりデータが送られてきました。再生しますか?」
「うん。」
「では、再生します……」
ピー
『北原清三か?お前の大切なものは預かった。返してほしければ一千万円を明日の夕方までに用意しろ。さもなくば、お前の大切なものは壊す。』
ピー
「はあ!?それだけなの?……なんというか平凡というか陳腐というか……ドラマや小説からそのまま取ったような脅迫だなぁ……」
割り込みスマソOTZ
「変声機を使っていたようですが、できる限りノイズを消してみますか?」
「ああ、頼む。」
「了解しました。」
『北原清三か?お前の……』
しかしこうしてみると、クーちゃんによる仕事への恩恵はでかい。クーちゃん無しではろくに仕事も出来ないだろう。……俺って役立ってるのかな?
「以上です。どうでした?マスター。」
「ん?ああ、声が女の人みたいだったね。まだ完全にノイズが取れてなかったけど。……ま、ここにいても仕方ない。下水道にいってみるか。」
「あ、あの……マスター?」
いざゆかんと梯子に足を掛けたところに、これまた珍しくクーちゃんが困った顔をして聞いてくる。
「なに?」
「もし……犯人が女性の場合……相手が反抗したら、取り押さえたりするわけですよね?」
「そりゃまぁね。ぼーっとしてやられるわけにもいかんでしょ。大丈夫だよ、それなりに戦えるから。」
「いえ、それはなりません、マスター。その場合は私が代わりに戦いますので。」
「いや、それはちょっと。さすがに女の子に戦わせるのは男としてまずいしね、」
「で、ですがっ!マスターが他の女の人に触るぐらいなら私が……」
「はいはい、いきますよー。」
「マスター!!」
なんか長くなりそうなので、軽く無視して梯子を降りていった……
以上です。対抗馬は……もう少し!
>>505 つ・投稿の前後には「投稿します」「投稿終わり」の一言を(割り込み防止)
>>505 GJ!!! やばい、クーちゃん可愛いよクーちゃん
ID:0o3QFH9F
アンカー付レスは削除依頼が通らなくなるので、しないように。
あははっ♪
三叉持つ女神は私の計画通り、那々志くんからシカトされるようになってきた。
少なくともあの雌豚が口を出してくると状況が荒れるって、少しだけ頭が弱い那々志くんににそう思わせることができた。あんな簡単にイメージ戦略にはまってしまうなんて………悪いけど那々志くん、単純すぎるよ?
まあ、そんなところも愛しいんだけどね。
あの雌豚は那々志くん以外、誰からも相手にされてないはず。そろそろ始末しちゃっても問題ないかな?いい加減、ウザくなってきたし。
次は忌ま忌ましい機械人形か、全身真っ赤に染めてる義母辺りでも叩きに走ろうか。出る杭は叩かなくっちゃね♪
那々志くんに近付く雌豚はみんな始末しちゃうのが私の仕事なんだし。
盤面に狂いはない。
いずれ雌豚はみんな駆除され、
いつしか誰も彼に言い寄らなくなる。
そしたらもうすぐ、彼は私のものになる。
その時まで私、がんばるよ。
だから那々志くん、待っててね?
私たちの幸せな未来はすぐそこにあるから。
あははははははははははっ♪
…………こう脳内変換される俺はもう駄目かもわからんね。
512 :
名無しさん@ピンキー:2007/03/04(日) 16:31:44 ID:nPoQIi8J
>>505 ◆EUlOX.LN.2
日本ががおかしいところが
文章自体が短すぎる・・
長文ならもっともっと長く書くべきだろうに
誤字脱字も目立ちすぎるぞ
スレ住人のGJGJで天狗になっているんじゃないのか?
あん?
>>505 ◆EUlOX.LN.2
そもそも、SSを書く暇があるなら
ちゃんと就職探したらどうなんですか?
まさか、無謀にも新人賞を目指しているオチだったら
さすがの俺も驚愕を隠すことができんぞ!!
ID:EkEPBqJz←スルー推奨
>>505 テラGJ
>>524 私はまともな意見を述べているのに過ぎないわけだが
君は日本語がおかしいんじゃなくて、頭の中にハエが沸いているのではないか?
特にGJとか言っている奴は単に荒らしとしか思えないけどな
感想の一言も書けないとは
所詮、◆EUlOX.LN.2のシンパは
頭のネジが一つ外れているようだね
全く、否定的な意見を言うと荒らしだというのは正直言うと間違っているだろ
世の中にはいろいろな主義や価値観を持っている人間がいるんだよ。
面白くもない作品を面白くないということがどうして私は荒らしているということになるのかね?
特にGJという言葉で省略するのはスレの住人が低知能だという証拠だよ
ちゃんと言葉にしないと相手に伝わるはずがないんだよ。
>>528 (´,_ゝ`)プッ
そうだもっと踊れ踊れアホども
見てて大変面白いぞ
>>525 〃∩ ∧_∧
⊂⌒( ・ω・) はいはいわろすわろす
`ヽ_っ⌒/⌒c
⌒ ⌒
∧_∧
⊂(#・д・) わろすって言ってんだろ!!
/ ノ∪
し―-J |l| |
人ペシッ!!
__
\ \
>>531 まともに反論の一つも言えないんですか?
これだから貧相民と戯れるのは嫌なんだよな
(´,_ゝ`)プッ
これが後にうたわれる「自演君vs日本語君二大粘着戦」である
お決まりのパターンなのでそろそろ飽きてきました
ID:EkEPBqJzは、かつてこのスレにSSを投下したがスルーされた。
一方で数多くの良作に贈られるGJの嵐。
彼女のなかで嫉妬の炎がメラメラと燃え上がった。
──私以外の書き手なんかいなくなればいい──
こうして一人の女によってスレは修羅場と化したのだった……。
これが後にうたわれる「自演君vs日本語君vs煽り君三大粘着戦」である
つかお前も煽ってないでスルー汁
正しい日本語をみんなで覚えましょう!!
・圧倒的に思いますね
・低知能
・謎の文章「日本語がおかしいSS作家は嫉妬スレを追放するのが俺の仕事だ」
・盤面に狂いはない
・謎の矛盾文章「日本語がおかしい作家は叩かれ
叩かれる作家はスルーされる」
・日本ががおかしい
・就職探す
・貧相民
一つだけ言っておいてやろう
おいコラぁ!! 神を叩いてやる自作自演よ
貴様は誰の許可を貰ってやっているんだ? ここは聖なる領域
新参者が荒らしていい場所ではないんだ
私はスレの住人の総意として文章が下手な作家を叩くことを容認された者だ
お前はIDをすぐに変えて作者を批判するチキン野郎だ・・。
ようするにIDを変えないと何にもできないってことだ・・。
黒化した言葉様に遥かに劣る。鋸で三秒で首を切られるぞ!!(世界は18秒)
神の前に自作自演君を排除することに決定した・・
私以外に神に批判する人間はいらないのだよ
以下
自作自演の必死な頑張り一覧
>>318 >>320 >>471 >>473 >>482 >>483 ちょっと吹いたww
ID:buPDkbjT=ID:EkEPBqJz
同一人物?
とりあえずあぼーんヨロ
正しい日本語集
・一つだけ言っておいてやろう
(→どう読んでも一つではない)
・神を叩いてやる自作自演よ
・許可を貰う
・神に批判する
>>540 お前、長文書くのやめろ
長いぶん日本語のおかしさが露骨に目立つ
545 :
名無しさん@ピンキー:2007/03/04(日) 18:15:46 ID:P1sVvPQd
レスしちゃだめだぞースルー汁
もういっそ鬼女板みたいに、スレ住民全員で荒らしが泣くまでぶっ叩けばいいんじゃないかと思えてくる
>>547 本気で作品叩いてる勘違い君には効果があるかもしれんが、
ただのかまって君には効果ないと思う。
スレが伸びてると期待して開いてみたら(ry
いい加減にしれ
SS投下は続いており、静観している住人も多い。餌を与えてるのは同類だろう。
問題はスレを無駄に消費することくらいだしスルーすれば問題ない。
荒れてるのが嫌なら削除依頼も考えたほうがいいかも。
hoshu
日本語おかしいのこいつにだけ反応してるのはおかしいと思わないか?
自演だと思うんだが、俺は
スレをこんな状態にする人も、させる人もどうかと思うけど。
レスをする、しない以前の問題だよ。
Really? Reallyをクリアして思ったことは一つだけ
稟と楓と桜の3角関係に修羅場があったら面白いのにな
これほど嫉妬SSスレ向けに相応しいネタはないと思うんですよ
主人公は幼馴染の家に同居しているが、幼馴染の母親を殺してしまった
原因が主に主人公のせいであり、幼馴染Aは主人公を憎んでいる(だが、本音は好き好き)
学園で有名な幼馴染は主人公が幼馴染を両親を殺した事を言いまくり、主人公はクラスで浮いた存在になる。
もう一人の幼馴染Bが主人公を元気付けるために常に傍に居る。親友である幼馴染Aとは絶縁。
所が何かした偶然で幼馴染Aと主人公は和解。
仲直りした途端に幼馴染Bはブチキレ
「幼馴染Aちゃんは○○君をあんな目に遭わせたくせに。どういう顔をして隣に肩を並べるのよ
そこは私の場所なんだよ!!」
って具合に主人公を傷つけていた幼馴染Aと一緒に居た幼馴染Bによる修羅場
と、プロットネタを考えたわけですが、他に面白い展開になる方法はないでしょうか?
555 :
名無しさん@ピンキー:2007/03/04(日) 21:08:00 ID:Q5zkye3x
>>554 トライデント氏が書いてそう、作品読んでないから分からんが
ネタギレで困ってる作者が増えてきてるから誰か書いてくれると思う
>>554 幼馴染Aと一緒に買い物の約束をしていたのに
幼馴染Bのデートを優先させる主人公とか
そういう幼馴染関連の修羅場はいろいろとネタは豊富だぞ
上手く使って修羅場にするのはセンスだね。
主人公はま(ry並に最低男にしておくだけで
修羅場は無限大に広がるぅぅう!!
別にな・・・
恋人を交通事故に遭わせて、何年も目覚めなくて主人公があっさりと捨てて
親友の彼女と付き合ってもいいんだよw(某大作の設定だが)
ネタをパクってきて、自分なりにアレンジを加えてオリジナル作品にしても
このスレの住人なら誰も文句は言わないと思うんだけど
↑のネタで私がアレンジを加えるならば
主人公は交通事故に遭わせた彼女を見舞いにも両親に謝罪もせずに
あっさりと捨てて、恋人の親友と付き合う。
それから何年後かに恋人が意識を取り戻して、主人公に会いたいと両親に懇願するが
両親が彼のことは忘れなさいと強く叱責される。
やがて、妹から真実を聞かされると親友の裏切りと主人公に捨てられたことに
精神的にどんどん病んでゆく
恋人の存在を忘れた主人公は自分の家が家具位置が微妙に変わっているを不思議に思うが
合鍵を渡している親友の彼女(以降泥棒猫)が自分が居ないときに入り込んでいると思い込む。
実はストーカー化した恋人が内緒に主人公の家に侵入して、空白の何年間についていろいろと
探っていたのだ。
それから
近所の皆様に泥棒猫の特徴とは違う新しい彼女の存在を噂されたり
ポストに離婚届が入ったりと不気味な事が主人公の周囲に起きる
そして、ある日。
アパートに出ようとしたら、上から花瓶が!!
ってな感じにアレンジを加えていたら面白いと思うけどねw
これで序盤設定を組み上げたから。最後は某大作の面影はなくなりそうだねw
>>554 確かに俺もReally? Reallyをクリアした後にモヤモヤ感が残っていた
桜はそこで嫉妬しろ ああどうしてそこでキレない桜!!
楓から寝取るんだ! もうすぐ、EDぅぅぅ!? 緑に宣戦布告されてるよぉ
なんでそこまで空気を読むんだ桜!!
ってな感じに修羅場にならないことは腹立っていた私は
このプロットを読んで
これなら俺の不満解消してくれるかと神にお願いしたくなってきた
ここで、流れをぶった切って投下します。
「まったく、なんでアンタはいつもこう……」
昨日の衝撃的事件から一夜、あれほどの騒ぎが嘘のように俺はいつもの生活を取り戻している。
いつもは、一緒ではないんだけど今日は何故か登校するとき真純が家のアパート前で待ち構えていた。
何事かと思いながらも学校へと歩き出したが開口一番に昨日の俺の楓花さんへの対応の助言もとい説教が始まった。
このまま、学校までこの話題でネチネチといたぶられるのも折角の清清しい朝の空気が台無しなってしまいそうだ。
「別にいいじゃないかよ。誰かに迷惑かけるわけじゃないんだし、なんでそこまで言われなきゃならないんだよ」
「私はあんたの心配をしてやって言ってるのよ」
それは、わかってるつーの。だから、こうして大人しく説教を受けてるんじゃないか。
「アンタっていっつもそう!」
半ばあきれ果てたように息をつきながら真純が言う。
「お人よしっていうか……困ってる人をほっとけないっていうか。
その悪い癖いい加減に治しなさいよね!!」」
さすがに、この一言にはムッときた。失礼な、誰かを気遣って助けることのどこが悪い。
この性格は、子供の頃に父さんと母さんに褒められてからずっと自慢に思ってることなんだっての。
「なんだよ、人助けすることのどこが悪いってんだよ! 別に悪いことしてねーだよ!」
「別に悪いとは言ってないじゃない。けど、アンタって単純でどこかぬけてるから心配なのよ」
真純はそれを見てますます、深いため息を吐いた。
それは、正に無鉄砲な幼児を心配する気苦労の絶えない母親のようだ。
17歳という若さながらその背中にはどこか哀愁を感じてしまうのは俺の気のせいか。
てか、そこまで言われるほど俺のオツムは単細胞なのだろうか?
「道を聞かれて案内しようとしてて、一緒に迷ったのはどこの誰?」
「ぐっ」
「カツアゲされてる子を助けようとして一緒にお金を脅し盗られたことのは?」
「ふぬっ」
「包丁で刺殺されそうになりながらも、被害届けも出さず無罪放免で見逃したのはどこのどいつ?」
「弁解の余地もありません。真純さま……」
真純のいうことは全て事実であり、俺は反論することすら許されなかった。
目の前の過去の事実に見事なまでに撃沈された俺はうなだれたまま言葉を発せずにいると、
真純は今までのきつい表情を少し緩めると小さな声でクスリと笑った。
俺は笑われたのが癪だったのか心の内はともかく体のほうだけは、ガクリとした格好をいつもの姿勢に戻した。
「真面目な話し別に他人に親切にするのは悪いとは思わないけどさ。
それも、時と場合と相手を見てからやったほうがいいわよ。マジな話し、あの時死ななかったからいいものの……
下手すれば大事件よ。向こうだって、またああいうことしないって言い切れるわけじゃないんだし」
「わかってるって、そのくらい」
真純の気遣いに俺は笑って答えた。それを見て、真純はまたため息をついた。
それに、俺は空笑いをしながら苦笑する。今回の真純はいつもよりも俺のことを心配している。
まあ、昨日のことがことだけにそう思うのも無理ないかもしれない。
真純はよくこうして俺に世話をやいてくれている。
彼女曰く、見てて非常に危なっかしいとか……まあ、さっきまでのやり取りからも丸わかりだが。
まあ、俺も一応ながら自分が他の人よりも要領が悪いことは少しは自覚してるつもりだ。
そのためか、結構問題ごととか悩み事とかがあったら真純に相談することがある。
真純は面倒見もよくて中学時代、空手部の主将という責任ある役職を務めていたせいか、
元々の性格とも併せて俺では思いつかないような的確な助言をしてくれたりする。
まったくもって、ありがたくもあり頼もしい奴だ。いつか礼がしたいもんだね。
「何よ、人の顔じー、っと見て」
真純の怪訝そうな声に、「何でもない」と答え俺たちは学校へと向かった。
で、学校の通学途中に校門付近をうろうろするThe・不審者を補足する。
着ている服がわが校の制服だということと、昨日出会ったばかりの女の子でなければ俺も華麗にその人物をスルーしていたことだろう。
だが、生憎俺たちは一応知り合いであり、彼女が昨日俺と約束した学校に通うという条項を遵守している以上、
こちらも普通の友達並みのお付き合いをしなければならないわけだ。
「おはよう」
「……ッ!!」
その怪しい子、藤堂楓花は声を掛けられるなりビックリしたのが、
驚きおののいて光の速さで俺から3mほど後ろに飛びのいて距離を取られた。
彼女もビックリだが俺はそれ以上にビックリした。だって、あれじゃないか!? 朝の挨拶をしただけでここまでびびるもんか普通。
「ちょっと、俺だよ俺」
「ゆ、ゆ、ゆ、優真さん……」
「早くしないと、遅刻するよ」
「はい……」
返事をするも何故かその声には元気がない。
俺と真純は先に教室へと行こうとするが彼女は校門周りを行ったりきたりするばかり。
一向に学校の敷地内へと入ろうとしてない、というより入りたくても入れないように見える。
「なあ、真純」
「何よ?」
「あれ、どうみてもおかしくねえか?」
「まあ、常識的に考えるとそうよね」
「なんか、学校に入ろうとしてるんだけどそれを躊躇してるように俺には見えるんだが」
「まあ、そう見えなくもないわね。一応、言っとくけどアンタ余計なお節介はやめときなさいよ。
下手に情けをかけて余計懐かれちゃったりしたら困るのはアンタなんだからね」
「まるで、捨て猫みたいな言い草だな」
「似たようなもんでしょ」
まるで切り捨てるようなキツイことを言う真純。なんだか、いつもの真純らしくない。
こいつは、相手に厳しく接したりすることはあっても突き放して見捨てるようなことをする奴ではないんだが。
突き放すだけならまだ厳しく接するという理解できる範疇にあるがこの見捨てるような冷たい態度はまったくもって真純らしくない。
いや、これは案外俺のことを心配してくれて言ってるのかもそれが結果として藤堂を乏しめてるのかもしれない。おそらく、俺の考えすぎであろう。
とはいえ、真純の言うとおりにこのまま見捨てるいうわけにもいくまい。仮にも友達くらいの付き合いはしてやる、といった身だし。
何よりこのままでは俺が昨日夜通しで考えた計画が台無しになってしまう。というわけで俺は楓花さんの元へと向かうことしたわけだ。
「おーい、学校に入らないの〜?」
「あ、あの……学校に入るのはちょっと……」
「ちょっと?」
「ぇっと、怖い……んです」
怖い、このことから俺的に彼女の心情を考察してみる。
まあ、詳しくは知らないけどまあなんらかのコンプレックスがあるのは間違いなかろう。
もしかしたら、いじめにでも合ってたのかもしれない。
それが、何か? を聞くのは遅刻迫るこの時間帯では困難極まる。
なので、今の最優先事項は彼女をいかに無理やりでなく教室に行かせるということにつきる。
「あー、なんとゆーか……うん、多分大丈夫だと思うぞ」
何が大丈夫なのかはここでは聞かないお約束だ。
そもそも、俺に交渉人のスキルはない。こんな、短時間で一人の女性の不安を取り払うだけの言語力などないのだ。
むしろ、ヘタレなりにも説得しようとする俺を褒めてもらいたいくらいだ。
「まあ、いざとなれば俺もフォローしてあげるしさ……」
「それ……本当ですか?」
おお、ようやくまともなリアクションが! ここで一気に畳み掛けるんだ俺!
「うんうん、幸いにも同じクラスだし。俺の友達とかも力になってくれるぜ、いやマジで。
ってわけで早く教室に行こうぜ。このままじゃ、遅刻しちまう」
そう言って、せかすように歩くと彼女もすごくゆっくりであるがついてきてくれた。
さすが、すごいぞ自分。見たかこの素晴らしき説得術、誰か俺を賞賛し褒め称えてくれたまえ!
などと思ってたら俺のシャツの腕の裾をいつのまにか楓花さんが摘むように掴んでいる。
「あの、少しだけ……教室まででいいですから。
このままでいていいですか?」
真純の下手に甘やかすな、という言葉がふとよぎったが、彼女のあのすがる視線に断ることが出来ませんでした。
やっぱり、僕はヘタレなんでしょうか、真純さま。
そう思いながら真純のほうを見たんだが、いつの間にか真純はいなくなっていた。
これにて、投下終了。
最近、他のスレ見てて書いてなか……くぁwせdrftgyふじこ
キキキキキター!
GJです
待ってました。
GJ!
567 :
名無しさん@ピンキー:2007/03/04(日) 22:46:49 ID:2mi5+nwd
gj
待ってたぜ!
やはり、キモウトに関するプロットを作り出すのが大切じゃないのかと
この嫉妬スレを盛り上げるためには必要不可欠だ
おや?この作品はまだ続いていたのか。保管庫では完結扱いになってるな。阿修羅さんのミスか。
>>564 GJ。真純の動向が気になるところだなw
>>564 待ってたよー!
再臨を願ってのお百度参りをした効果が現われたんだろうか?
全裸でやったから寒かったなー。
>>570 いや、最初はおバカネタがしたくてノリで書いたから続き書く気なかったんだ。
けど、唐突に続きが書きたくなってノリで書いてしまった。
そのせいで、阿修羅さんも修正とか混乱したんだと思う。ややこしくて、スマソ。
575 :
阿修羅氏:2007/03/05(月) 01:46:18 ID:qrF//dqk
>>574 いえ、続けてくれることはとてもありがたいです。
更新また例によって遅いですが・・・。
阿修羅氏キター
ご本人降臨!
乙ンヌ
579 :
名無しさん@ピンキー:2007/03/05(月) 08:06:33 ID:9PL0cZLB
読者は黙ってGJとはいえ
GJ多すぎワラタ
またGJ荒らしか、いいかげんにしろよ
まぁ待て、
変わった保守だと思ってスルーすればいいじゃないか。
ちゃんとした感想は既についてるわけだし。
>>587 GJはあくまでも神に対する賛辞
神が「GJイラネ」と言うならともかく普通の住人はスルーしておくべき
とマジレスしてみる
良い所を褒めれば、GJを使う必要がない。良い作品なら褒める所はいろいろとある。
と、いうか、GJだけを書いて沢山のレス使うなよ。感想一回書けば十分伝わるから。
普通に感想を書くだけで良くないか
一行だけでもいいからさ
592 :
名無しさん@ピンキー:2007/03/05(月) 10:42:32 ID:DO5Bmv2z
別にいいじゃん。
GJだけのレスなんてずっと前のスレからあったし。
GJ荒らしに何を言っても無駄。荒らしは荒らしだ。
GJで保守というが、このスレには、保守する必要性を感じないほどの人がいる。
感想書いた方が発展する。
一回書くのとGJ大量で荒らすのでは大違い。まずはそこから
まぁ、ちゃんと感想を言葉で書いてあげる方がいいけどね
安易にGJだけで済ませているとスレが衰退する原因となる
感想は作者に送られるものであって、読む側がどうこう言うことではない
そんなもんでレスを消費するならば
何かプロットとか考えたらどうなんだ?
◆U9DQeTtJII氏の作品が大量GJに値するとは誰も思ってないの?
ヒント
一週間前+時間帯
ここは、作品にGJを山のようにつけるスレじゃないし
先に同じ事を書いてあるなら、それでいいじゃないのかな
どんな形であれ、荒らしはよくないね
感想書けば違いも解るし済むことじゃん。もういいから感想書いとけ。
嫌な香具師はGJをNGにすればいいじゃんw
重箱の隅を突くような女々しい住人が多くなったな……
修羅場スキーなら堂々としてろ!
感想付けるかつけないかよりも、単発ってのが気になりますね。
ここまで俺の自演
じゃあもうGJ+何か一言でいいじゃん
>>598 いや、初期の頃はこんなもんじゃなかったぞ
それでも活気溢れてた
なんか「お礼は三行」の世界になりつつあるな
作品は面白いのに住人だけが劣化しているんだよな
批判・荒らしを抜きにしても、なんで感想やGJまで叩かれなきゃならないんだ?
皆疑心暗鬼になってるのかね?
たとえGJだけでも無反応よりは嬉しいよ
611 :
名無しさん@ピンキー:2007/03/05(月) 15:22:29 ID:YdlT38cx
GJぐらいほっといてやれよ
スレの不陰気悪くなったわけでもないし、むしろそのあと雑談の方が悪くさせてる
>>611 激しく同意。雑談とGJとかの感想に対するレスはもうやめれ。
今、殺しに行きます
近日、SSスレで連載決定!!
(⌒
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i' i' i i
私は泥棒猫を絶対に許さない!! 刻んで刻んで刻んでやるわ
ふっはははっはははっははははっは!!
*このSSはグロテスクな表現が含まれているので
心臓が弱い方電波を受信してしまう方はただちに読んで
あの世に行ってください 葬儀屋が儲かります!!
序盤だけですが投下します。
感想とかGJは一切要りませんので。
「あたしは絶対に! あんたを認めないからね!!」
さて、突然こんなことを言われたらどうするべきだろうか?
休み時間の教室で、他のクラスの女子生徒から、という状況も付け加えておく。
俺はこの女の名前も知らない。
そしてどうやらそれは相手もそうだったらしく、
教室に入ってきた彼女は開口一番に、「鳴瀬正紀という男子はいる?」と大声で質問し、
クラス中の視線を集めた俺の前までやってきて、
先ほどの文句を言ってのけたのである。
なぜ俺はこんな事態に陥っているのか?
原因を探るためには過去を振り返ってみよう。
といっても今朝からしか回想できない自分の記憶力に情けなさを感じつつ。
高校生の身でありながら、俺は一人で家に住んでいる。
理由は一人っ子なのと、親が離婚したのと、世界を飛び回る学者が父親だからだ。
目覚ましの音で目を覚まし、着替えて簡単な朝食を一人で食べる。
寂しさを感じていたのも昔のことで、今ではこっちの方が気軽だ。
いや、俺は寂しい境遇ではないのだろう。
なぜならすぐ近くに親しい幼馴染がいるのだから。
いつもの時間に家を出ると、門の外に見慣れた二人の女性が待っていた。
一人は右隣りの家に住む1つ上の先輩、島野由香。ユカネエと呼んでいる。
もう一人は左隣りの家に住む1つ下の後背、三原亜紀。アキボーと呼んでいる。
異性の幼馴染といまだに仲良くしているのも稀有だろうが、
たまたま気が合ったということなのだろう。
同じ学校に毎朝一緒に登校するのが日課になっている。
賢明でなくともわかるとおり、俺が2年、ユカネエが3年、アキボーが1年だ。
「おはよー、ま〜くん」
「おはようございます」
爽やかな笑顔を向けて挨拶をしてくれる二人。
ちなみに『ま〜くん』という恥ずかしい呼称の相手は俺だ。
子供時代そのままの呼び名で今に至れるのも幼馴染だからこそだろう。
「おはようさん。ユカネエ、アキボー。じゃあ行くか」
「最後に出てきたくせに偉そうだよ〜」
「1分も違わないだろ。俺が靴を履いているときにお前が出てくる声が聞こえたぞ」
「ふふっ、遅刻しないように早く行きましょう」
猫のように噛み付くアキボーに相手をする俺を横からみて微笑むユカネエ。
これが長年続いている3人の関係だった。
「まーくん、きちんとご飯を食べてるの? お風呂は毎日入ってる?
洗濯物は溜まっていない? 寝る前は歯を磨いている?」
「俺はどこの○学生なんだよ……」
「毎晩カップ麺だけで深夜までゲームをしてる学生でしょ」
「えっ、本当なの?」
「そんなわけねえだろ! アキボーはでたらめなことを言うな。ていっ!」
俺から見たらチビっこいアキボーの頭にチョップを落とす。
「ぃっ! あたしの毛根が死んで禿げちゃうじゃないの」
「ユカネエ、俺の心配することはないぞ。
きちんと社会的文化的生活は営んでいるからな」
「無理しなくてもいいんだよ。お腹が空いたらいつでも私の家に来ていいからね」
「俺はどこのミナシゴですか……」
「あたしをノケモノにするなぁ〜」
…………。
あー、まあ、いつも通りといえばいつもの朝だったな。
二人とは学年が違うから昇降口で別れてそれぞれの教室へ。
そして退屈な授業を受けて、休み時間になった現在に至る、と。
あれ? いつの間にかさっきの女子生徒はいなくなっている。
「なあ鳴瀬、あの女って何だったの?」
回想に浸っていた俺にクラスメイトが訝しげに聞いてくる。
「俺もわからん。誰だあいつは?」
素っ頓狂な返事だろうが、俺が一番困惑しているのだ。
親切なクラスメイトがさっきの女子の名前を教えてくれた。
2年4組の坂木舞。記憶にない、聞き覚えもない、いや本当に全く。
これまでの人生で関わりあったことはないはずだ。
俺が都合よく昔の記憶を忘れ去っていない限りは。
その後は何事もなく放課後をむかえた。
俺は帰宅部、ユカネエとアキボーは部活で青春の時間を過ごしているから、
帰りは一緒に帰ることはほとんどない。
悪友とゲーセンでも寄る日もあるが、今日の俺は早く帰って休息をとりたかった。
休み時間の意味不明な言動をした女子のことは忘れよう。
たぶん勘違いか人違いでもしたのだろう。
思い込みの激しそうな性格っぽかったし。
頭を切り替えて今日の晩飯は何を食おうかと考えながら自宅に入ると、
「あ……」
「え?」
見知らぬ女、いや、さっき忘れようと決めた休み時間の支離滅裂言動女がいた。
鍵のかかった俺の住む家の中に。
「失礼、帰る家を間違えたようだった。んじゃ」
「………」
パタン、とドアを閉める。
門の外に出て、表札を確認。確かにここは俺の住む家だ。
両隣りはお馴染みのユカネエとアキボーの家。
うーむ、だとすると、あの女はどうしてここにいる?
再び踵を返して家の中へ。
「いや、やっぱり俺の家はここで間違いなかったようだ」
「…………」
家に入るとさっきと変わらぬ立ち姿で、
玄関にいる俺をみつめている存在自体意味不明女。
いや、みつめているのではなく、『睨んでいる』な。
「なんだなんだ、その目は。
他人の家に無断侵入した上に、居直り強盗のように開き直っても無駄だぞ」
「……何を言ってんの? あんた馬鹿?」
「おつむが弱いかどうかは第3者に判断してもらうことにしよう。
えーと110番って、本当に1、1、0で通じるんだよな」
ケータイを取り出して警察に連絡しようとした俺に気づくと、
居直り泥棒女は血相を変えて近づいてきて俺の腕を掴んだ。
「むむっ! とうとう実力行使に出たか。
柔道剣道合気道を併せて5級の俺に立ち向かう気か!」
「何それ? 空手の黒帯よりも弱そうじゃない。
それよりも警察に何ていうつもりなの?」
「それはもちろん、お前がこの家に不法侵入したと」
「『家族』が自分の家に居ることが法に触れるわけないじゃない」
はぁ? 今、こいつは何を言いましたか?
『家族』だと? 最早すでにこの若い身空で親父一人しかいない俺に向かって。
呆れた感情を押し隠した俺に、女は『呆れたっ』と言い放ってきて、
「なんなの、あんた? もしかして何も聞いていなかったわけ?
これが演技とかジョークだったら本気で怒るわよ。
いい? あたしのママとあんたの父親が再婚したの。
だからあたしは今日からここに住むことになった。『家族』として」
ああん? 俺は日本語を解する能力が破綻したのか?
(短いですが、ここまでです。)
>>614 感想要らないんじゃここじゃなくてチラシの裏にかいたら?
>>618 見てはもらいたいんだろ?
作品が増えるのはうれしいし、別にいいだろ
Canvasの桜塚恋を連想させるな
>>615 GJ!期待してる。
幼馴染の反応が楽しみだw
本来は二次に使う言葉だけれど……。
思わず、『高CQ』という言葉が思い浮かんだぜ。
作品投下の頻度は減ってるのにレスが増えすぎな不思議
アンカ付きで書き込み間隔が不自然に短いからアレか
これは初めての人か?
嫉妬スレは出入り激しいから神の名前を覚えきれない
とりあえず、義妹VS幼馴染の構図がイイ!!
春満開なスレだな
そこら中の桜の下には何か埋めた後があるような春のことか?
梶井基次郎のレモン読んだんだけれどさ、結局桜の下には何が埋まってるんだ?
そのままの意味で死体?
そうだとしたら、何の?
「檸檬」じゃなくて「桜の樹の下には」じゃあなかろうか。
桜の樹の下に埋まっているけど、地面から手が出ているのはお約束ですか?
一体、誰の手なんでしょうか
>>629 いや、『檸檬』は狂った人がレモン持って町を練り歩く短編のタイトルでもあるけれど、
短編集の名前でもあるんだ。
過疎ってる本スレでヨロ
>>631 本当だ。早とちりすまん。
あの時代の作家のは大概青空文庫で済ませてしまうから作品集の名前まで知らなかったorz
636 :
名無しさん@ピンキー:2007/03/05(月) 20:36:39 ID:DqNq8J8v
>>617 GJや感想がいらんってことは何のために投下したんだ?
お前らそんなに悪い方向に解釈するなよw
ただ単にここ最近の流れでGJやら感想で荒らしだのなんだので空気悪くなってるからそうなるならGJとかはいらないってだけの話だろ
>>367-368 入らないっていってるのに、やめてやれよ。最低限のルールは守ってくれ
心のどっかに押しとどめとけ。
>>617 いらないといわれてもどうしても言っておきたいんだ
GJ!!
こういう時だけ尊重しないのはよくない。
何の為に前書きしてあるのかわからなくなる。
643 :
名無しさん@ピンキー:2007/03/05(月) 21:27:07 ID:iyGKuG9C
完全に嫌がらせじゃねえか。
最低だな
無法地帯だな、ひでぇ
648 :
名無しさん@ピンキー:2007/03/05(月) 21:59:14 ID:kK5UScb+
GJは作者にしてるから前書きしてあるからといってスレ住人が反応する必要は無い
反応して空気悪くしてるからスルーしとけ
649 :
名無しさん@ピンキー:2007/03/05(月) 22:07:48 ID:DytNPaBk
ていうか気にする方がおかしい
GJぐらいどうでもいいだろ。
しないで下さいって書いてあったからって
していけないという事はない。
うるせえ、もう神以外全員黙ってろ
荒れないように注意したつもりが逆に燃料投下になってしまったな
お約束があるから守って下さいって書いてあったからって
守らなければいけないという事はない。
あてはめたら迷言が生まれた。
どうしようもないな
投下します
人大杉に引っ掛からなければ良いのですが……
夜――昼間の事が尾を引いてるせいか空気が重たい。
予想はしてたがやはりすんなり解決できる問題ではなかった。
特にリオの落ち込みようは酷くあれからずっと沈みっぱなしだ。
私もかける言葉も見つからず、そして私自身もまた想像以上に堪えていた。
コレットの事なんて何とも思っていないつもりだった。
リオを手に入れると言う事は彼女から奪うと言う事。 彼女を傷つけると言う事。
彼女を傷つける事なんて何とも無いはずだったのに。
そういった事は全て折込済みで覚悟を決めてたはず、だったのに……。
それなのに今更思い悩むなんて。 我ながら細い神経をしている。
そして重苦しい雰囲気のまま食事を済ませ各自寝室へ。
その時クリスが声を発した。
「姉さん、リオにいさん。 何で別々の寝室に向かうの?」
そう、晴れて恋人同士になって以来私とリオはベッドも共にしていた。
でも……。
「クリス……すまないけど今夜は……」
「私も流石に今夜くらいは……」
今夜はそんな気分になれなかった。 私も、そしてリオも。
そんな私達の言葉を遮るようにクリスは口を開く。
「それはあの女に――コレットに気兼ねしてるってことですか……? 冗談じゃない!
何で……何で姉さんとリオにいさんがあいつに気兼ねしなきゃならないんですか?!」
怒りと、そして泣き出しそうな、そんな感情の昂ぶりを含んだクリスの声。
そんなクリスをなだめようと、私は歩み寄り抱きしめようとすると、
クリスの方から抱きついてきた。
そして私の胸に顔を埋めてくるクリスは其の手を――え? ちょ、ちょっと?!
「ク、クリス?! い、一体何を?!」
クリスは服の上からじゃなく私の服を捲り上げ直に私の胸に顔を埋めてきた。
「別にいいでしょ? いつものことでしょ?」
「そ、そりゃそうだけど……。 ひゃ、ひゃうっっ?!
ちょ……ちょっと、リ、リオも見て……あぁんっ!」
クリスは顔を埋めるだけじゃなくその舌を、指を這わせ……。
「リオにいさん? その気が無いヒトは放っときゃいいんだよ」
そ、そんなまだベッドの上じゃないのに……、やだ、ちょっと感じてきちゃ……
〜〜っ!!
「そう言う訳だからリオにいさん。
代わりにボクが今夜は姉さんを独り占めにさせてもらうから。
いいよね?」
私はクリスの指の、舌の、甘噛みの、愛撫の感触を胸に感じ、
蕩けそうになりながらリオに目をやれば――、
顔を真っ赤にし硬直してた。
そんなリオに向かい、クリスは私にしがみついたまま手を伸ばし其の手を掴むと
私達二人を捕まえたまま寝室に――ベッドに飛び込んだ。
「ク、クリス! で、ですから私は今夜は、……!」
声を上げようとするリオの言葉を遮るようにクリスはリオの股間に手を伸ばした。
「説得力無いよ? リオにいさん」
クリスの言葉にリオは益々其の顔を赤らめ押し黙ってしまった。
「ココまできたら言い逃れなんて見苦しいだけだよ?」
そう言ってクリスは服を脱ぎ始めた。
そして私とリオも観念し追って服を脱ぎ……。
<div align="center"><br><br>・<br><br>・<br><br>・<br><br><div align="left">
「リオにいさん完全にグッスリだね」
「仕方ないわよ。 私達二人を相手に頑張ったんだもん」
私は苦笑いを浮かべながらリオの髪をそっと撫でるとクリスは応えるように笑みを浮かべた。
「でもクリス。 今日はどうしちゃったの?
いつもはどっちかと言うと受身なのに今日は随分積極的だったじゃない」
「うん……まぁね。 イヤだった?」
「そんな、全然イヤじゃないわ。 うん、そういう積極的なクリスも良かったわよ」
「ありがと……。 あのね……」
「うん?」
「……二人の、辛そうにしてる顔。 見てるの嫌だったから……」
そうか。 このコなりに私達を元気付けようとしてくれたんだ。
「ごめんね。 元気ない姿見せてあんたに心配掛けさせちゃって」
「うん。 姉さんとリオにいさんの元気ない姿が辛かった、ってのもあるんだけど、
でもそれだけじゃなくて……」
「?」
「許せなかったんです。 こんな形――罪悪感や後ろめたさとは言え
あの女の事が、コレットの事がリオにいさんの心の中を占めてるなんて……!」
「クリス……」
「リオにいさんには……! リオにいさんにはいつも姉さんのことだけを考えてて欲しいんだ。
どんな形であれ他の女、それもコレットの事なんか毛筋ほども考えて欲しくないんだ!」
見ればシーツを握り締めるクリスの拳が震えていた。
「大丈夫……。 大丈夫よクリス」
私はクリスの手に自分の手をそっと重ね、そして抱きしめた。
To be continued...
前回から時間が空いた上短くてスマソorz
>>657俺はこの作品好きなんでチビチビとでも進んでくれて嬉しいよ
今度は言える。
>>657 GJ!
0.1進むのと0のままで止まるのでは大違いだよっ。
完結するのを楽しみにしてるよ〜。
661 :
名無しさん@ピンキー:2007/03/05(月) 23:32:26 ID:8L8Dsmps
662 :
名無しさん@ピンキー:2007/03/06(火) 00:01:20 ID:DT3IT1pS
>>657
GJ
ageスマソ
投下します
「職員室、ですか?」
「そうよ」
姫子先生に引きずられてやって来たのは職員室だった。
「なんでまた職員室なんかに?」
僕の隣でだまって頷く霞。
「あれぇ?忘れちゃったのかなぁ?生徒会長クン?」
にたぁりと笑みを浮かべる姫子先生
あ、あれ?何だか姫子先生の後ろに鬼が……
「さ、サッパリ何の事だか……」
「昨日、生徒会報のまとめ作業、手伝ってくれるって、
言 っ た よ ね !」
さ、さっきより遥かにハッキリ鬼が見える!
姫子先生は笑顔のはずなんだけど笑顔じゃないみたいだ!
「は、ハイ!!!」
「じゃ、これ宜しくね!」
思わずコンマ一秒ぐらいで頷くと、
ドサリ、じゃなくて、ドガッ、と音がするくらいの紙の束が机に置かれる。
ちょ……天井に届いてるじゃないですか!
「じゃ、後は宜しくね!」
そう言い残すと、姫子先生はどこかへ行ってしまった。
「……どうしよコレ……」
僕はこの圧倒的な質量の紙の前に頭を垂れるしかなかった。
「……尚」
後ろから制服の裾を引っ張られる。
ああ、圧倒的なペーパーモンスターに気を取られて、霞の存在を忘れかけていた。
「……それ、手伝う」
それ、と霞が指差したのは例のペーパーモンスター。
そうか!一人だと絶対的に無理だと思ったけど、霞が居てくれれば完遂は可能だろう。
でも女の子に手伝わせるのは……
でも霞がいないと……
「……よろしくおねがいします」
「……ん」
色々考えた末、素直に手伝ってもらうことにした。
「……どうやって、運ぶの?」
「ああ、そこにある段ボールに分けて入れて持ってこう。
今脚立借りてくるよ」
霞に近くにあった空の段ボール箱の山を指差して言った。
僕は事務員さんに訳を話して、脚立をかしてもらった。
脚立を紙の塔の隣に立てて、上に登る。
幸い、背が小さいわけでは無いので、一番上まで手が届いた。
上から一束ずつ、慎重に取って、霞に渡す。
霞はそれを手際良く段ボールに詰める。
それを繰り返す内に、塔の高さは半分以下になった。
その時突然衝撃があり、脚立がゆっくり倒れだした。
落下地点には霞。
危な────
危ない!と言う前に落ちたと思ったら、ぽふ、と顔が何か柔らかいものに────
「あ、か、かす、かすみ!」
そう、柔らかいもの────すなわち、霞のおっぱいだった。
と言うか、お姫様だっこ──脚立の一番上に腰掛けていた僕をキャッチすると丁度そうなるんだけど──をされていた。
霞って、柔らかいな……。
ついさっき、脚立から落下したと言うのに、僕は霞の腕や胸の感触に感動を覚えていた。
段々と冷静になってきて、自分が今物凄く恥ずかしい格好をしていることに気付いた。
「か、霞!下ろして!」
霞に降ろしてもらおうと身を捩るが、なぜか降ろしてくれない、と言うより、僕を抱える力が一層強くなった。
「……霞?」
怪訝に思って霞の顔を見ると、怒りの形相で倒れた脚立の向こうを見ていた。
霞の視線の先を追うと、腰を抜かし、顔を青くした外道がいた。
「す、すまんかった」
どうやら、外道が脚立にぶつかったらしい。
周りを見渡すと、職員室内のすべての人がこちらを見ていた。
誰一人として、お姫様だっこされている僕を笑ってはいない。
むしろ、みんな顔を青くして、霞を見ている。
そう、それ程霞から怒りのオーラが溢れだしていた。
右目には燃え盛る紅蓮の炎、左目には見るものを凍てつかせる絶対零度の氷
その両目に睨まれて平気でいられる者はそうそう居ないだろう。
僕は慣れているから平気だ。
いきなり、霞の僕を抱く力が強くなった。
同時に脚にも力が篭もるのが伝わってきた。
あ、ヤバい!外道を『蹴る』つもりだ!
霞の『蹴り』はヤバい、下手すれば死者を出す。
霞を止めるにはどうすれば……仕方ない!
僕は覚悟を決め、霞の首に手を回し……ほっぺにキスした。
「………!!!」
ドサッ
「ぅおっ!」
途端に霞は真っ赤になり、全身の力が抜け、床にへたり込んでしまった。
それと同時に支えを失った僕は床に思いっきり腰を打ちつけた。
その瞬間に、職員室内に広がっていた緊迫した空気は雲散霧消した。
変わりに、何か微笑ましいものを見る目で見られている……。
再び恥ずかしさがこみ上げてきて、霞の手を掴んで職員室を飛び出した。
職員室を飛び出してやって来たのは生徒会。
やっぱりここは落ち着くなぁ。なんとなくだけど、自分の部屋にいるみたいで。
「……な、尚!」
呼ばれて振り返ると、職員室からずっと走ってきたからか、顔を赤くしている霞がいた。
「どうしたの?」
「……その……あぅぅ」
何かを言おうとしてるのかな?
「その……何で、チューしたの……?」
「う……」
霞は今一番触れてほしくない話題を出してきた。
あれは僕の人生の中で五本の指に入るほどの恥ずかしい出来事にランクインしている。
今もし、タイムスリップ出来るならば、即座にあれを改竄しに行くほどだ。
下心がなかったと言えば嘘になるけど、あれは霞を止めるためにやったことだ。
下心があったと告げると、『何か』が変わってしまいそうで────
「あ、あれは……そのぉ……」
霞は僕から、紅と蒼の目をそらさない。
「その……か、霞を止めようと、思って……」
僕は『正直に』言った。
だけど、霞はあきらかにスッキリしていないようす。
「尚、ほんと────」
コンコン
霞が何かを言いかけた所で、生徒会室にノックの音が響いた。
「ど、どうぞ!」
僕は神の助けだと思って、即、入室を促した。
「し、失礼する」
ドアを開けて入ってきたのは外道を先頭にダンボールを抱えた教師数人だった。
中には姫子先生も居た。
順番にダンボールを積み上げ、外道先生と姫子先生を残し、あとの教師は退室した。
「そ、その……ヒッ!!!」
外道に対して、霞から先程と同質のオーラが発せられる。
しかし、先程よりはその量が少ない。
その証拠に、外道の隣にいる姫子先生は怯えていない。
「その、さっきは済まなかった!
その詫び、と言っては何だが、あの生徒会報をはこばせてもらった
本当に済まなかった!」
外道が必死に僕に────僕を守る霞に────謝る。
それに僕は酷い不快感を感じながら、告げた。
「ああ、僕なら気にしてませんよ。
ほら、怪我もしてないし。
ねえ霞?」
怪我をしていないとアピールするため、飛び跳ねながら霞を見る。
外道を幾分か恨めしそうに睨んだあと、ゆっくり頷いた。
「お、おおそうか!
それじゃあ、私は次の授業の準備があるので失礼する」
外道は霞にもう自分をどうこうするつもりが無いのを確認すると、そそくさと生徒会室を出ていった。
「……クソオヤジ」
外道が出ていった後、そう呟いたのは霞でなくて姫子先生だった。
これには、外道に呆れを通り越して軽蔑していた僕も驚いた。
「せ、先生……」
「だってそうでしょう?あの人は最後まで『神谷くん』に謝らなかったじゃない!」
ビックリしている僕をよそに、激昂しながら怒鳴る姫子先生。
そこまで感じ取って、僕のために怒ってくれることに感謝しつつ、
先生のその姿が霞と重なって、可笑しくて思わず吹き出してしまった。
「何がおかしいの?」
先生はいきなり吹き出した僕を刺すようにみて、そう言った。
霞も先生と同意見のようで、小さく頷いている。
「いや、先生と霞がちょっと似てるなぁと思って」
「どこが?」
先生は言葉で、霞は目でそう尋ねてきた。
僕が答えようと口を開いた所で、丁度昼休みの終了を告げるチャイムが鳴った。
「何となくですよ。
さ、教室に戻ろう霞」
早口にそう言って、霞の手を取り、先生を生徒会室に残したまま教室へと向かった。
外道が出ていった後、そう呟いたのは霞でなくて姫子先生だった。
これには、外道に呆れを通り越して軽蔑していた僕も驚いた。
「せ、先生……」
「だってそうでしょう?あの人は最後まで『神谷くん』に謝らなかったじゃない!」
ビックリしている僕をよそに、激昂しながら怒鳴る姫子先生。
そこまで感じ取って、僕のために怒ってくれることに感謝しつつ、
先生のその姿が霞と重なって、可笑しくて思わず吹き出してしまった。
「何がおかしいの?」
先生はいきなり吹き出した僕を刺すようにみて、そう言った。
霞も先生と同意見のようで、小さく頷いている。
「いや、先生と霞がちょっと似てるなぁと思って」
「どこが?」
先生は言葉で、霞は目でそう尋ねてきた。
僕が答えようと口を開いた所で、丁度昼休みの終了を告げるチャイムが鳴った。
「何となくですよ。
さ、教室に戻ろう霞」
早口にそう言って、霞の手を取り、先生を生徒会室に残したまま教室へと向かった。
今回は以上です。
姫子先生フラグが立ってしまいましたwwww
修羅場的展開はもうそろそろ……だと思いますww
生意気ですが、自分は以後『ガムシャラ』と名乗りたいと思います。
外道が出ていった後、そう呟いたのは霞でなくて姫子先生だった。
これには、外道に呆れを通り越して軽蔑していた僕も驚いた。
「せ、先生……」
「だってそうでしょう?あの人は最後まで『神谷くん』に謝らなかったじゃない!」
ビックリしている僕をよそに、激昂しながら怒鳴る姫子先生。
そこまで感じ取って、僕のために怒ってくれることに感謝しつつ、
先生のその姿が霞と重なって、可笑しくて思わず吹き出してしまった。
「何がおかしいの?」
先生はいきなり吹き出した僕を刺すようにみて、そう言った。
霞も先生と同意見のようで、小さく頷いている。
「いや、先生と霞がちょっと似てるなぁと思って」
「どこが?」
先生は言葉で、霞は目でそう尋ねてきた。
僕が答えようと口を開いた所で、丁度昼休みの終了を告げるチャイムが鳴った。
「何となくですよ。
さ、教室に戻ろう霞」
早口にそう言って、霞の手を取り、先生を生徒会室に残したまま教室へと向かった。
GJ!!
教師にも敵意を向ける霞の一途さに萌えた!!
俺も投下しますよ
>>673 GJ!
といいたいが何これwつまんえwww
夕食後、食器を洗い終え寝室に入ると、ササが髪を半端に濡らした状態でベッドに腰掛
けていた。手元にあるのは破れ千切れてしまったタオル、どうやらやってしまったらしい。
竜掌、正確には肘から先なのだが、それは竜の腕力を持つ。爪も鋭く、タオルがぼろぼろ
になるのはもはや殆んど毎回のことだ。昔はそれ程でもなかったと思うのだが、最近は特
に手加減が出来なくなってきているらしい。竜害の進行が早くなってきているせいだろう、
そのことを思って軽く辛い気分になった。これで残りの十ヶ月も保つのだろうか。
こちらを向いたササと目が合うと、俺は笑みを浮かべた。
「じっとしてろ」
「うん」
タンスから新しいタオルを取り出すと、背後に回り頭に被せた。そしてなるべく竜角に
触らないように髪を拭いてゆく。触られるのを本人が嫌がるから、という理由もあるが、
基本的には体の為だ。竜角の能力は空間からの魔力の供給、ササはそれを行うことで魔力
を補給して辛うじて健康を保っている状態だからだ。そのため、万が一傷が付いたりなど
してしまったら大変なことになる。
長い髪を包み込むようにして丁寧に水気を取ってやっていると、機嫌が良いのか竜尾や
竜翼を動かし始めた。体に当たってくるので少しうっとおしいが、元気な姿を見ることの
喜びの方が大きいので黙って行為を続けてゆく。
「ねぇ、クラウン?」
「何だ?」
「大好きよ」
体を反転させて、唇を重ねてきた。
これは珍しいことではないが、少し違和感を覚える。声は楽しく弾んでいるが瞳は真剣そのもので、それなのに全体的
な表情を見ると悲しそうに見える。全てが噛み合っていない状態で、いつものササらしさ
というものが全く存在しない。雰囲気でいえば、出会ったばかりの頃のようなものがある。
絶望して、運命を酷く呪っているような、孤独な者のものだ。
「どうした?」
「ん、クラウンが最近構ってくれないから」
そうだろうか、と少し考え、そうだった、と結論する。だが生きていく為には仕方ない
ことだと思う。まずは竜害の治療が先だし、飯を食わないで生きていける訳も無いから、
働くのは止むを得ない。無理を通せば道理が引っ込む、それは当然のことだ。
だが気持ちが分からない訳でもなかった。ササとはまだ恋人と胸を張って言えない関係
で、しかも竜害の問題が解決するまで答えはは保留ということになっている。答えも貰う
ことが出来ず、最近は仕事が忙しかった。嫉妬心が強いササからしてみたら女性の依頼人
の割合が多かったことに苛ついていただろうし、細かったのかもしれない。
「ずまんな」
「うん。それにね」
どうした、と尋ねる前にササはシャツのボタンに手をかけた。手が普通と少し違うので
大変そうだが、既に大分慣れたのだろう。最初は苦戦をしながらもボタンを外して、襟が
広げられると、見たくなかったものが視界に飛び込んできた。
679 :
名無しさん@ピンキー:2007/03/06(火) 00:32:34 ID:kOA2ORlQ
>>676
つまんね
逆鱗。
喉元に、新たな竜証が輝いていた。これで合計6つ目の竜証が現れたことになる。今も
人間に近い状態を維持していられること、それ自体が奇跡のようなものだ。普通ならば、
竜証は6つも出てこない。その前に竜害が本人の意思を食い破り、暴走している。
俺の、母親のように。
思い出しかけた記憶を振り払い、ササの肩を掴んだ。
「どうしたんだ、それ? いつからだ?」
「今朝、起きたら出てた」
何てことだ。
悲しいが、同時に腹が立ってくる。ササに対してではなく、今まで気付くことが出来な
かった自分にだ。今日一日側に居たというのに、何も察してやれなかった。油断していた、
とは違うと思う。ただ単に、見ていなかっただけだ。まだ大丈夫だとタカを拘っていて、
その結果がこれだ。もう少し見ていれば良かったと、後悔の念が胸を締め付けてくる。
「言い出したあたしの台詞じゃないと思うけど、そんなに思い積めないでよ。大丈夫よ、
まだ体にはそんなに影響無いし。それに、今はあたしのこと考えてくれてるじゃない」
慌てた様子でまくしたて、顔の前で大袈裟に手を振る。
でも、と言う前に再びササは唇を重ねてきた。
「悪いこと考えなくても良いから、その分愛して」
「……すまん」
「ほら、また謝ってる!!」
憤った後で小さく笑い、三度目の口付けをする。互いの背に腕を伸ばして、舌を絡めて
唾液の交換をした。小さく喉を鳴らして唇を離すと、俺とササの唇の間に細い端が架る。
681 :
半竜の夢:2007/03/06(火) 00:33:44 ID:LTbm5XfL
これは珍しいことではないが、少し違和感を覚える。声は楽しく弾んでいるが瞳は真剣そのもので、それなのに全体的
な表情を見ると悲しそうに見える。全てが噛み合っていない状態で、いつものササらしさ
というものが全く存在しない。雰囲気でいえば、出会ったばかりの頃のようなものがある。
絶望して、運命を酷く呪っているような、孤独な者のものだ。
「どうした?」
「ん、クラウンが最近構ってくれないから」
そうだろうか、と少し考え、そうだった、と結論する。だが生きていく為には仕方ない
ことだと思う。まずは竜害の治療が先だし、飯を食わないで生きていける訳も無いから、
働くのは止むを得ない。無理を通せば道理が引っ込む、それは当然のことだ。
だが気持ちが分からない訳でもなかった。ササとはまだ恋人と胸を張って言えない関係
で、しかも竜害の問題が解決するまで答えはは保留ということになっている。答えも貰う
ことが出来ず、最近は仕事が忙しかった。嫉妬心が強いササからしてみたら女性の依頼人
の割合が多かったことに苛ついていただろうし、細かったのかもしれない。
「ずまんな」
「うん。それにね」
どうした、と尋ねる前にササはシャツのボタンに手をかけた。手が普通と少し違うので
大変そうだが、既に大分慣れたのだろう。最初は苦戦をしながらもボタンを外して、襟が
広げられると、見たくなかったものが視界に飛び込んできた。
そしてベッドから降りてしゃがみ込むと、股間に顔を埋めてきた。口でくわえてズボン
を下ろし、俺のものを取り出すと舐め上げてくる。柔らかな舌と唇の感触で、竿は瞬間的
に固くなった。ササは目を細めると、それに吸い付いてくる。だが何回か顔を動かした後
で急に動きを止めると、不意に引き抜いて俺を見上げてきた。
「ごめんね?」
「ん?」
「ほら、色々してあげたいんだけど。あたしってクリヤみたいに胸が大きい訳でもないし、
ユマみたいに綺麗な肌でもないし。手に至ってはこんなじゃない?」
こんな、と言いながら竜掌を軽く開閉させた。確かに、これでは握ることも出来ない。
下手に掴んで上下に扱いてしまったら、その瞬間に根元から千切れてしまうだろう。胸も
小さくはないが、挟んで動かすのは物理的に不可能な大きさだ。形は綺麗だし、チャクム
やタックム、ユマと比べると大きいので悪いとは思わない。それに個人的に、大事なのは
色や質感、柔らかさだと思っているので、焼きたてのパンのように柔軟なササの胸は俺の
視点から見てみたら非常に良いものに思えてくる。体とのバランスも丁度良いくらいだし、
どこにも悪い部分などないというのが俺の正直な感想だ。
「クラウン、口から乳理論が漏れてるわよ?」
いかん、つい。
「ま、良いけどね。誉めて貰えるのは嬉しいし」
逆鱗。
喉元に、新たな竜証が輝いていた。これで合計6つ目の竜証が現れたことになる。今も
人間に近い状態を維持していられること、それ自体が奇跡のようなものだ。普通ならば、
竜証は6つも出てこない。その前に竜害が本人の意思を食い破り、暴走している。
俺の、母親のように。
思い出しかけた記憶を振り払い、ササの肩を掴んだ。
「どうしたんだ、それ? いつからだ?」
「今朝、起きたら出てた」
何てことだ。
悲しいが、同時に腹が立ってくる。ササに対してではなく、今まで気付くことが出来な
かった自分にだ。今日一日側に居たというのに、何も察してやれなかった。油断していた、
とは違うと思う。ただ単に、見ていなかっただけだ。まだ大丈夫だとタカを拘っていて、
その結果がこれだ。もう少し見ていれば良かったと、後悔の念が胸を締め付けてくる。
「言い出したあたしの台詞じゃないと思うけど、そんなに思い積めないでよ。大丈夫よ、
まだ体にはそんなに影響無いし。それに、今はあたしのこと考えてくれてるじゃない」
慌てた様子でまくしたて、顔の前で大袈裟に手を振る。
でも、と言う前に再びササは唇を重ねてきた。
「悪いこと考えなくても良いから、その分愛して」
「……すまん」
「ほら、また謝ってる!!」
憤った後で小さく笑い、三度目の口付けをする。互いの背に腕を伸ばして、舌を絡めて
唾液の交換をした。小さく喉を鳴らして唇を離すと、俺とササの唇の間に細い端が架る
ならば、もう少し誉めようと思いササの体を抱き上げてベッドに横たわらせた。ササは
体の構造上仰向けになることが不可能なので、横向きで抱き合う姿勢になる。
俺は一度唇を重ねると、舌を首筋に滑らせた。鎖骨を通り、胸の先端に辿り着くと既に
固くなっているのが分かった。自己主張をする桃色の先端を唇で挟み、表面をなぞり愛撫
する。この方法が一番気持ち良いらしく、視線を軽く上げると目を閉じて耐えているササ
の顔が見えた。抱きついてくることも出来ず、シーツを握ることも出来ない状態なので、
碌な抵抗も出来ずにひたすら耐えていた。
股間に手を伸ばしてみると、ざらついた固い感触がある。今度はそちらに目を向けると、
恥ずかしいのか、竜尾を太股で挟むようにして前方に回し、股間を覆っていた。今までも
何回も見たり触ったり舐めたりとしているので今更だと思うのだが、抵抗はやたらと強く、
引き剥がそうと思っても中々外すことが出来ない。元々は竜の力の結晶だ、人間の姿では
太刀打ち出来ないのも無理はないのかもしれないが『愛して』と言われた以上は最後まで
頑張るのが男というものだろう。それに、ササに俺をしっかり頼って貰いたいという意地
のようなものもある。次からは、安心して俺に全てを話せるように。
しかし困った、どうやっても動かすことが出来ない。
「ん?」
見ていて、一つ気が付いた。
「ちんこみたいだな」
「え!? ちょっと、変なこと言わないでよ!?」
そしてベッドから降りてしゃがみ込むと、股間に顔を埋めてきた。口でくわえてズボン
を下ろし、俺のものを取り出すと舐め上げてくる。柔らかな舌と唇の感触で、竿は瞬間的
に固くなった。ササは目を細めると、それに吸い付いてくる。だが何回か顔を動かした後
で急に動きを止めると、不意に引き抜いて俺を見上げてきた。
「ごめんね?」
「ん?」
「ほら、色々してあげたいんだけど。あたしってクリヤみたいに胸が大きい訳でもないし、
ユマみたいに綺麗な肌でもないし。手に至ってはこんなじゃない?」
こんな、と言いながら竜掌を軽く開閉させた。確かに、これでは握ることも出来ない。
下手に掴んで上下に扱いてしまったら、その瞬間に根元から千切れてしまうだろう。胸も
小さくはないが、挟んで動かすのは物理的に不可能な大きさだ。形は綺麗だし、チャクム
やタックム、ユマと比べると大きいので悪いとは思わない。それに個人的に、大事なのは
色や質感、柔らかさだと思っているので、焼きたてのパンのように柔軟なササの胸は俺の
視点から見てみたら非常に良いものに思えてくる。体とのバランスも丁度良いくらいだし、
どこにも悪い部分などないというのが俺の正直な感想だ。
「クラウン、口から乳理論が漏れてるわよ?」
いかん、つい。
「ま、良いけどね。誉めて貰えるのは嬉しいし」
おう、扉を開く魔法の言葉はこれだったか。
ササは驚きの表情を浮かべ頬を赤く染めると、慌てて太股の間から竜尾を引き抜いた。
俺はそこに手指を伸ばしたが、
「もう、濡れてる?」
「言わないで!!」
殺気に思わず腰を引くと、先程まで俺のちんこがあった空間を竜尾が薙いだ。あまりに
酷い仕打ちに血の気が物理的に引き、ちんこも少し固さを失って平常時の大きさに戻ろう
としていた。考えるだけでも恐ろしい、もし腰を引くタイミングが一瞬でも遅れていたら、
男としての生命が終わっていた筈だ。上手くいっても、暫くはカマ野郎になっていた。
「ご、こめん」
「気にするな、入れるぞ」
「え、いきなり?」
確かに何のムードも無い状態で入れるのは良くないかもしれない。こんな空気でササと
するのは毎回のことだが、少しくらいは雰囲気を演出しても良いだろう。例えば、音楽を
背景に入れるのはどうだろうか。だとすれば楽器は今手元に無いから、歌だろうか。
「ササ、何か歌ってほしい曲とかあるか?」
「え?」
ササは少し黙り、
「クラウンの故郷の曲、とかは?」
それは、どうだろうか。
俺の顔を見ると、ササは不安そうな表情を浮かべた。
「念の為に訊くけど、曲名は?」
「『猪追い歌』、狩りが盛んだったんだ」
「随分アグレッシブな村だったのね」
思い出すと、少し懐かしくなる。里を追われた半竜が集まって出来た村だったが、皆が
楽しく強く生きようとしていた。猪追い歌も、その前向きな気持ちの現れだった。歌詞は
方向性が間違っている感じで積極的だったが、少なくとも俺の故郷の歌だ。
「でも、良いわ。何も言わなくて良いから」
俺は黙ってササの乳を揉んだ。
「何か、それもやだ」
「じゃあ改めて、入れるぞ」
体に負担がかからないようにうつ伏せにすると、ササを割れ目に竿を当てがい、一気に
奥まで貫いた。刺激が辛かったのか竜尾で俺の胸板を連打してくるが、眼前で揺れる竜翼
を噛むと大人しくなった。特に内側が敏感らしく、強めに歯を立てると背を反らし、膣内
の締め付けが強いものになる。快感に呑まれないように意識をしながら腰を動かし、子宮
の入口をこじるように突いてやる。布を引き裂く音がして、目を向ければシーツが僅かに
引き裂かれていた。ササ本人も意識してない行動だろう、耐えるようにシーツを掴んで、
肩を上下に揺らしながら荒い吐息を溢していた。
「う、出る」
「うん、今日は、大丈夫、だから」
最後まで聞かずに、一番深いところで放出した。引き抜くと、痙攣している割れ目から
粘度の強い白濁液が糸を引いて垂れてくる。シーツに染みが出来るが、裂かれているので
変えようと思っていたし、問題はない。
ただ、少し心配になった。
「やっておいて何だが、体は大丈夫か?」
「心配しないでよ」
照れているのか、うつ伏せのままのササが竜尾で軽く叩いてきた。
688 :
ロボ:2007/03/06(火) 00:38:35 ID:DOrSFqQt
今回はここまでです。
今回はこれで終わりです
ササを何回かツルと書きそうになりました
691 :
阿修羅:2007/03/06(火) 00:51:33 ID:oklStAb+
>>689 お疲れ様です。
学校も卒業したので、毎日更新出来そうです。
>>691 ご卒業おめでとうございます!!
更新、無理なさらないでw
管理:阿修羅
管理人近況:私の名を騙るのは勘弁してください・・・・orz
まとめサイトにこのように書いてあるが…
ageてるし、荒しの騙りじゃないのか?
>>691 更新乙
確かにいつのまにか毎日更新されてますね
「さあ、ここが今日から君の家だ。
遠慮は要らないからね、自分の家だと思って、のんびりしておくれな」
上品そうなスーツを着こなした男性にそう言われた、ヴァイオリンケースを
持った少年は、戸惑っていた。
「自分の家みたいにって、これは…」
少年と男性が居るのは、映画の世界のような立派なお屋敷だ。
「ああ、そうか、響君はずっとホテルで暮らしていたんだっけ。
自分の家って言う感覚が無いのかもな」
「…いえ、そうでなく、この豪華さが…」
そう言って、響と呼ばれた少年はキョロキョロと屋敷を見回す。
本当に立派なお屋敷だ。
今日からここでお世話になるのか。
…まだ信じられない。
この冬、九歳になったばかりの響は天涯孤独になった。
両親は、日本よりも海外で名が通っていた音楽家の夫婦だった。
その両親が、事故で亡くなった。
両親以外に血縁関係者が居ない響の身の振り方に、周りの人間全てが頭を悩ましていると、
響の父親のパトロンが、名乗りを上げた。
そのパトロンは、響の父がまだ無名だった頃から、その音楽にほれ込み、親身になって
くれ、親友ともいえる人間だった。
また、彼が響の家族と同じ日本人だった事もあり、響はその男性に引き取られる事となった。
そうして、響は、その男性、清涼院幸一の屋敷で暮らす事になった。
「あら、お父様。ひょっとして、その人が、話をしていた…
…ええと、響、でしたっけ?]
とても可愛らしい声が聞こえ、響が振り返ると、そこにはとても可愛らしい
女の子が居た。
その愛らしさに、響は眼を奪われた。
長い栗色の髪。同じく栗色の瞳をいろどる長いまつげ。
白い陶器のような肌と、桜色の唇。
絵画で見た天使が現れたのかと響は思った。
呆然としていると、その子が微笑みながら近づいてきた。
「響君、紹介しよう。
こいつは、私の娘で、シヲンという。
君と同じ、九歳だよ.
仲良くしてやってくれな。」
シヲンを抱っこしながら、幸一はそう言った。
「それから、シヲン。
この子は、響君。急から新しい友達で、家族だ。
なかよくするんだぞ」
幸一の腕の中から、響を見つめると、シヲンは
「ええ。新しいトモダチね。
いいわ。きっと私、なかよく出来るわ」
天使のように微笑みながら、そう言った。
「ところで、お父様。さっきから古泉が探してましたよ。
なんでも、研究所で成功した、とかいって騒いでましたよ」
シヲンがそう言うと、
「何、ほんとうか!?
すまない、響君。
私は研究所の方に行かなくてはならなくなってしまった。
シヲン、すまないが、響君に屋敷を案内してやってくれ
じゃあ、すまないが二人とも、いってくるよ」
慌しく、幸一は出て行った。
>>691 GJ!
3/1から毎日更新キテター
つか高校生だったのか、受験or就活の合間の更新本当にGJです
シヲンと二人きりになってしまい、饗は落ち着かなくなってしまった。
とびきりに可愛らしい女の子が側に居るのだ。
こんな可愛らしい子は、見たことが無い。
…いや、そう言えば、ピアノの上手だったあの子も一緒ぐらい可愛かった気がする。
たしか、大きくなったら、一緒に演奏してくれるって約束したっけ。
……あの頃は、父さんと母さんがいたんだよな…
両親の事を思い出してしまい、響がうなだれていると、
「ねえ、あなた、父も母も死んじゃったんだったって?」
いつの間に近づいたのか、シヲンが耳元で囁いた。
あまりに遠慮も無く、しかも微笑みながらそんなことを聞かれて、郷は気分が悪くなった。
「…そうだよ」
顔をそらしながら、響が呟くと、
「あはっ!だから私の家に上がりこんできたの?」
「だって、幸一おじさんが、来てもいいって言ってくれたから…」
「私は良いって言ってない!!」
シヲンがニヤニヤと笑いながら響を睨みつける。
「でも、でも、この屋敷に来たいなんて、僕から言ってない…」
「ふーん?じゃあ、出てく?」
天使のような顔に、悪魔みたいな表情をのせて、シヲンが尋ねた。
自分みたいな子供が、一人で生きていけるはずが無い。
じゃあ、この屋敷から追い出されたら自分はどうなってしまうんだろう?
そんなことを考えると、怖くなってきた。
「ふふ、冗談に決まってるでしょ?
せっかく新しいトモダチをお父様が連れて来てくれたんですもの。
仲良くしてあげるに決まってるでしょう?」
先程までの、悪意を感じさせる口調と一転して、優しく話し掛け、響の
手を取った。
「それにね、私、ほんとはあなたが来てくれて嬉しいの。
今までお父様が連れて来てくれたオトモダチって、犬とか猫ばっかだったから。
そりゃ、犬も猫も、可愛いけど、やっぱり、人のオトモダチが欲しかったの」
握られた手の柔らかさと暖かさに、響はホッとしていた。
「だって、あいつら、私が何しても、ワンとかニャーとかしか言えないいんですもの」
え、と思うまもなく、響の腕にシヲンが爪を引っ掻いた。
「…っだ…」
反射的に立ち上がり、腕を見る。
血が滲んできた。
「あはははは!」
心底楽しそうにシヲンが笑う。
「痛い?痛い?」
「痛いに決まってるだろ!」
涙まで浮かべて、シヲンは喜んでいる。
その様子が余りにも憎たらしかったので、響はヴァイオリンケースを手に取り、
部屋から出て行こうとする。
響がドアの取っ手に手をかけたとこで、
「ああ、それから、響。
言っておくけど、あなた、この事お父様に言っちゃ駄目よ?
言えば…どうなちゃうのかしら?
解ってるわよね?」
シヲンが声をかけてきた。
用意されていた自分の個室にまで戻り、響はベッドに倒れこんだ。
これからの、自分はどうなってしまうのか。
シヲンに引っかかれた腕の痛みが、これからの自分を暗示している気がしてならなかった。
すいません、投稿の予告し忘れてました。
これにて終了です。
まだ嫉妬のシーンを出せませんでしたが、そのうちヒロインに
気が狂わんばかりの嫉妬をさせたいと思ってます。
>>702 リアルタイムGJ
今のままではムカツクがこれがどう狂っていくかを楽しみだ。
そしてまだ見ぬほかのヒロインはどんな奴なのかwktkしながら待ってるw
704 :
名無しさん@ピンキー:2007/03/06(火) 01:19:03 ID:ylShXknR
>>702 こっちこそ割り込みスマソです
嫉妬成分100%になってから読んでみます。
sage外れてたorz
もう寝る。
保管庫管理人の阿修羅です。一応、社会人やってます。
これまでは必要ないだろうと思ってトリップをつけていませんでしたが
つけることにしました。
575氏,691氏は私とは別人です。
ホント、騙りは勘弁してください・・・。
一応、証明のため、これから702レスまで更新して本日は落ちます・・。
作業をしつつ、すべての作品を楽しく読ませていただいています。
スレではみんな仲良くやっていきましょう・・・。
阿修羅さんお疲れ様です
頑張って下さい
そうだったのか。勘違いしてスマソ。
乙です、マターリやっていきましょうや
乙です
つーかまとめサイトにトリつけましたって書けば簡単に証明になるんじゃ…
乙です
乙です。
乙カレー
>阿修羅
乙にゃんダンス
>>一応、社会人やってます。
今月の1日からだろwww
しかし、粘着荒らしは本当にキモチワルイなぁ・・
どこの工作員だよ
阿修羅氏来てたのか。
いつもお世話になっております。感謝感謝
しかし、まとめサイトを見る限りでは
長編連載と短編連載は分けた方がちょっと見やすいと思うんですが?
保守
阿修羅さん毎回お疲れ様。トリップはつけたほうがいいだろうね。
ID:eJ/U0P68
↑こいつうざい
とりあえず、妄想を語りたい奴は本スレで語って来いと・・
ここは神が9割りで
残りは感想だけで
批判と誹謗中傷はいらないんだよ
ふふっ、GJを沢山もらっちゃったね♪
初めてなのにこんな待遇は贅沢かな。
わたし、ずっと忘れないよ、ずーっと。
もう、遅いからね。先に宣戦布告をしたのはそっち。
^^;;;
いきなり俺の家に転がり込んできた同級生が義妹になったことが判明して数時間後、
俺と坂木舞はテーブルに向かい合わせで夕食を摂っている。
青天の霹靂ともいうべき事態に陥ると、時間感覚がマヒするらしい。
不意にやってきた宅配業者が坂木の荷物を手際よく客間に運び込んで退散し、
呆れるほどに手遅れになった状態で、ようやく俺に国際電話をかけてきたクソ親父に
罵詈雑言を浴びせた後、
いまだにツッケンドンな態度をとる坂木から晩飯の弁当を買いに行くよう言われ、
状況に流されるがままになっていた俺はその命令に従うのみだった。
……しかし、段々と冷静になるにつれて、この理不尽な状況に怒りが込み上げてきた。
昨日まで俺の気軽な一人住まいだったこの家に、なんでコイツは主人のように居座っている?
せめてもっと控えめな居候のような態度をとっていれば、こっちも恐縮できるというものを。
そもそも学校でのあの発言はなんだ?
俺のことを認めない、と言った割にはさっき堂々と家族と言い張ったし。
「…………」
「…………」
あ゛ーーーー! 一人なら静寂でも落ち着くのに、目の前にこの女がいると気が休まらねえ!
「なあ、舞」
と呼ぶと彼女は口をモゴモゴさせて噴飯しそうになる。
それをなんとか押し止めて水を飲み、
「あ、あんたねえ! あたしのこと勝手に呼び捨てにするな!」
「いや、だって親が結婚したのなら名字は同じになったんだろ」
「違うわよ。夫婦別姓にしたんだから、あたしの名字も『坂木』のままよ。
やめてよね、気持ち悪い」
「ああ、そうだったのか。だったらそうしよう。
ところで質問なんだが、坂木の誕生日は何月だ?」
「……2月だけど」
「お、そうかそうか。俺は8月だ。つまり俺の方が長く生きていると。
これからは俺のことを『お兄ちゃん』と呼んでもいいぞ」
「ばっ……」
「ん?」
坂木はみるみると顔を紅潮させ、
「バッカじゃないの!! 誰があんたなんかを!
あたしは絶対にあんたを兄とは認めないからね!!」
すでに2つになっていた割り箸を景気よく4つに分解させ、テーブルを立った。
怒りっぽい女の逆鱗に触れてしまったか。
「これからシャワーを浴びるから!
もし覗いたりしたら、頭を叩き割って浴槽に沈めるわよ!」
ドシドシと床を踏み鳴らしながら洗面所へ向かっていく。
しかし俺が不用意な発言をしたとはいえ、あの怒りは過剰に思える。
嫌われているというより、感情的に反発しているだけだなアレは。
月のモノの最中か、環境の変化によるストレスか。
そういえばあいつはこれまで住んでいたマンションを
あいつの母親に引き払われてここに来るよう言われたんだっけ。
同級生の男子と2人で同居する羽目になって、それを仕組んだ親はいま地球の裏側でハネムーンを楽しんでいると思うと、それは正当な怒りであろう。
問題はその怒りを受け止めるのが俺だけだということだが。
それとあいつのいう『俺を認めない』とは、家族としてではなく『兄』としてだったのか。
まあ世の中に妹を欲しがる男はいても、兄を欲しがる女はいないということだろう。
カラスの行水を終えた坂木はすぐ部屋に引っ込んでしまった。
もう今夜は話したくないのだろう。
俺も続いてシャワーを浴びるために着替えをもって洗面所へ行く。
脱衣カゴの中を覗くと昨日の俺の下着があるだけだった。
何を期待していたんだろうね、俺は。
翌日。いつもの目覚ましの音で起きた俺は、いつものように着替えをすませる。
なんというか、坂木がいるからといって、これまでの生活リズムが崩されるのは嫌なのだ。
居間に行くと坂木は既に制服を着てトーストを食べていた。
「……おはよう」
ジロリと目だけを俺に向けて挨拶をしてくる。
「おはようさん。俺もトーストを食うかな」
昨夜と同じように向かい合わせに座り、黙々と食事を摂る。
視線はつけっぱなしのテレビに固定したままで。
「ねえ」
朝の占いが終わったとき、坂木の方から呼びかけてきた。
「ん? 何だ」
「あたしたちのこと、学校では伏せておくのよ」
「どうしてって、いや聞くまでもないな。こんなデンジャラシック・スキャンダルをわざわざ吹聴する馬鹿はいないよな」
「わかったのなら、外であたしに話しかけたりしないでよね」
「ああ、だけど昨日の件はどう周りに説明したらいいんだ?
ほらお前が俺の教室に来たことについては」
「そ、それはあんたの方で適当に言い訳をしておけばいいでしょっ!
それくらい自分で処理しておきなさい」
「へいへい。あっ、でも1つ問題があるぞ。同級生はともかく、お隣りさんにはどう説明する?」
「説明する必要があるの?」
「ああ、そうか。言ってなかったか。この家の両隣りに、俺の幼馴染が住んでいるんだよ。
ちなみに同じ学校の1年と3年。ユカネエこと島野由香と、アキボーこと三原亜紀」
「マジで? それ」
「マジモンなんだな、これが。で、毎朝俺はその2人と登校しているから、必然的にお前のことを説明しなくてはならないと思う」
それを聞くと坂木は嘆息して、
「あんたと一緒に登校する女子がいるなんて信じられないけど、
それが本当なら誤解のないように説明しておいて。
だけど絶対に他の人には言わないように念を押すのよ」
「わかった、そうしておこう」
これで話がついたのか、坂木は席を立つ。
「あたしは今から出るけど、あんたは10以内には外に出ないこと」
「はいよ、了解。いつものようにゆっくり食後のコーヒーを楽しむさ」
舌打ちをして坂木は玄関へ去っていった。
まあ、昨夜よりかは敵対心のない会話だったはずだ。
大体この年になって家族が増えるのが問題なんだ。
でもドラマの中の嫁と姑よりかは良好的な関係だろうよ。
坂木がいるからといってペースを崩すことなく、俺は昨日と同じ時間に家を出ることができた。
門の前には昨日と同じようにユカネエとアキボーが待っている。
「おはようさん、ユカネエにアキボー」
坂木と話していたさっきまでの堅さがほぐれていくのを感じる。
「おはよ〜、まーくん。ふふふふ」
「いい天気だね。あははは」
朝から満面といえる笑みを浮かべている二人。
「どうしたんだ、何かあったのか?」
「んーん、私たちには何もないよ」
「そうそう。だけどまーくんは、『何か』あったんだよね?」
あれ? もしかして既に坂木のこと知っているのか?
まあ昨日は宅配業者も来たし、坂木がこの家を出入りするのを見たのだろう。
「なんだ、これから坂木のことを言おうと思っていたのに、知っていたのか」
その言葉にユカネエは笑顔のまま首を振った。
「私は詳しく知らないよ。でも、まーくんの家から出てきたのは坂木さんっていうのね」
「で、まーくん。あの女はまーくんの何なのかな?」
なんだ、事情は知らないのか。
「ああ、実はこれは学校内ではもちろん、他の人には内緒にしてほしいんだが」
「……」「……」
固唾を飲んで俺の次の言葉を待つ二人。
「実は昨日から一緒に住むことになった」
「ぇぇぇ!!」
「っっどどど、どういうことなの!?」
「だって、仕方ないだろ。もう籍も入れちゃったみたいだし」
「にゅにゅにゅ入籍ぃぃー!?」
「無責任過ぎるよな。俺は親になったら子供を放任させることはしたくないよ」
「おおお親になる!?」
「まったく困ったもんだよ。自分たちはちゃっかりハネムーンを楽しんでるんだぜ」
「はははハネムーン!? って、どういうこと?」
「え、だから、俺の親父と坂木の母親が新婚旅行に行っているんだって」
「……」
「……ま〜くん♪」
「何? ユカネエ?」
「誰と誰が籍を入れたの?」
「俺の父親と坂木の母親だよ。さっきからそう言っているだろ」
「アキ検察官、被告人はこのように述べていますが、何か反論はありますか?」
「異議ありありです! 被告人の有罪を確信します!」
「な、なにを言って、ぐぅっ!!」
「被告人は発言を慎みなさい。判決、推定有罪。疑わしきは全て罰せよ。
この刑は即時執行される」
「これより執行開始〜」
アキボーが俺の背後から両手を首に回してぶらさがり始めた。
こ、絞首刑!?
「さてアキ検察官。残る共犯者の処遇についてですが」
「それについてはユカ裁判官、後日の鳩首会談にて裁定いたしましょう〜」
な、なんだってんだこの状況は!?
(To be continued...)
>>724 何を言ってるのかよくわからないのだが・・・。
とりあえずGJ?
>>728 ちゃんと文章が続いてるから、どうも偽者ではないみたいだな。
トリップは、コピペじゃ駄目なんだ。ちゃんとトリップに指定した数字を書かなきゃいけない。
◇の中身が白くなってるだろ?これで本物のトリップと偽者を区別できるようになってる。
中身の人はちょっと痛いよな
ワンニャン姉妹のトライデント氏よりはまだマシだがな
一体どんなチャリならこんなに長持ちするんだ?
>>733 ……え……?
名無し君……私、以外の、人のところに、行ってた、の……?
嘘、だよね……? ずっと、一緒にいてくれるって、言ってたもん、ね……?
737 :
名無しさん@ピンキー:2007/03/06(火) 21:08:52 ID:cIDpKNdV
女に嫉妬するんじゃなくて、架空のものに嫉妬するってのはどうだ。
ゲームやアニメのような二次元とか。そこで思いついた。
普通の男と、嫉妬はするがそれなりに普通の女。
↓
キャバクラ遊びか合コン等に行ってこってり女に搾られる男。
↓
だが、実は女は浮気していた。大喧嘩になり別れる二人。現実にある展開。
↓
そんな時に親友が、男にアニメやゲーム、同人などのオタクの世界に誘う。
↓
失恋の苦しみを二次元で癒す男。そんな男の変化に戸惑う女。
↓
やっと罪悪感を感じ、よりを戻そうとする女。男に謝る。
↓
二次元は自分を裏切らない、(自分のオリキャラ)だけが自分の恋人と拒絶。
↓
既に病んでる男。罪悪感とショックと絶望感で女も病み始める。
↓
女、男の没頭するオタクの世界に嫉妬し、男の所有するグッズを破壊。
↓
男、たとえ破壊されても作り直したり買いなおせるので、へこたれない。
↓
一度心に染み付いた架空の存在に勝てない事を知り、狂う女。
べつに男らしくなくても良いが、
あまりにも女々しい主人公は嫌だな
>>738 読者の存在を忘れてる
二次元に熱中するオタ主人公の描写はどう工夫しても多分キモイし
一途になっちゃったら三角関係じゃなくて一方通行だから展開しにくいと思う。
浮気するヒロインも支持を得にくいだろうし。
逆に、電脳世界の(超完璧)女性が男を魅惑していくような話は、
サスペンスやホラーでしばしばあったと思うけど。
「こ〜こはど〜この箱庭じゃ?」という作品を思い出した。
補完庫で作品の数数えたら200個以上あってビビッた
そして其の内完結作品が60以上……
新参者にはきつそうだなコリャw
>>744 三角関係といっても、男性が一途にも関わらず横から好きになるヒロインは今まで沢山あったと思ったんだけどな。
女→男←女
ならいいんだろうな
だがここに男がもう一人絡んできたりすると拒否反応出る人もいるから書くなら書くで前もって言えばいいと俺は思う
>主人公はツンツンな恋人に萎え気味。
>メル友に愚痴るうちに顔も知らない相手に恋心を抱き始める。
>恋人は主人公の心が離れつつあるのに気づき焦る。ツンデレに。
>原因はメル友にあると気づいた恋人激怒。アドレス、メール削除。主人公のアドレスも変更。
>すると主人公の周囲で不可解な出来事が起き始める……。
1、メル友は男友達エンド。アッー!
2、メル友は幼なじみなり同級生なり肉親なり適当。
3、メル友は恋人の別人格。
>>751 その場合ならメル友が来日して彼女と鉢合わせする修羅場コースがお勧めだね
>>751 メル友が実は前の彼女だったりしたら因縁を感じそう。
過去の女と今の女が未来を賭けて闘う、と。
755 :
名無しさん@ピンキー:2007/03/07(水) 00:18:23 ID:DPrdE6w4
なんかオマイラ飢えてるなw
ネタがなくなってきたな
保守
じゃあ、適当に思いついたネタを書き込んでおこう
物語
こことは違う異世界からやってきた二人の魔法使いの姉妹。
彼女達は異世界の掟に従い、人間世界から自分達の花婿を連れて帰るために
学園の生徒として潜入する。
魔法使いの姉妹は古い掟に意気消沈であった。こんな掟を守っているのは
魔法使いの家系の中で格式の高い一家のみが行っている儀式であり、
下流の人々は異世界の中で適当に相手を見つけている。
よりによって、人間世界の男は魔法なんて使えないくだらない性欲だけが
激しい生物であった。そんなものが自分達の伴侶になると想像するだけで
鳥肌が立ってしまう程の人間嫌いな魔法使いの姉妹。
当然、人間界の常識に馴染むはずもなく、クラスから孤立していた。
周囲から浮いている彼女達を面白くない連中が嫌がらせを行う。
自分の使っている教科書やノートをメチャクチャにされて、机には落書き。
鞄はどこかに隠されて、姉妹は散々な目に遭います。
魔法使いだとしても、心は立派な女の子。
そんな酷い目に遭ってしまえば、涙の一つや二つも流します。
もう、これ以上は人間界に居たくないよぉと姉と妹はお互いを慰めながら
度々の嫌がらせに絶えてゆきます。
所がそんなある日・・
嫌がらせをしていた主犯グループに囲まれて、人気のない場所に姉妹は連れて行かれる
気に喰わない二人に向けられるのは、罵声と誹謗中傷など。それは我慢ができるものではなくて、
堪忍袋の緒が切れた姉妹は異世界から強く禁じられている『魔法』を使おうとした時に。
一人の少年が姉妹を庇うように立ち塞がります。
彼は姉妹のクラスの委員長をやっている黒メガネをかけた男の子。
誰からも嫌われている姉妹を助けようとする少年の必死な姿に
姉と妹の心は大きくときめかせます。
彼こそが自分達が探していた異世界に連れて帰るべき『花婿』だと
で、プロローグは終了みたいな感じです。
きしめんを聞いて、思いついたネタですね
一応、キャラクターも適当に考えると
主人公 黒いメガネをかけている平凡な少年(貧乏くじを引き易い不幸体質)
魔法使い 姉 性格は大人しいが、裏では腹黒い(見た目は清楚 中身は黒い)
魔法使い 妹 内気で人見知りが激しいが(懐いた相手にはとことん心を許す)
泥棒猫 主人公と同じクラス委員長(実は魔女狩りした家系の末裔)
以上・・。
ネタは終り
これだけで普通にSSが書けることができますよwww
一度、姉妹ネタやってしまったから
もう、SSを書くことができないけどね
思いついたネタの設定をより深く考えたら
それなりに面白くなりそうだw
>これだけで普通にSSが書けることができますよwww
んなわきゃねー
>>759 そのプロット個人的には非常にいいわ〜www
是非とも筆をとってもらいたい
>それなりに面白くなりそうだ
自画自賛キメェwww
むしろ魔法を使ったところを見られたら、その者を婿にしなければならないとか。
某使い魔のように血と肉の契約を結ぶとか。古典な展開はどうよ。
コメディにしかならん気もするが。
765 :
名無しさん@ピンキー:2007/03/07(水) 02:16:17 ID:Y4pwQmd7
ツクール系のファンタジーSSはいらない
とマジレスしてみる
ちょっとした過去作品への疑問だが、『疾走』って奴。
あれ、最後に手首を切り落とされたけど、その後の生死は確認されてないよね。
どうなったんだろ。まあ、リストカットがあるぐらいだし、普通出血多量で死ぬか。
逆に生きてたら、手首がなくなった主人公を甲斐甲斐しく世話する事がで切るけど。
どうでも良いことに気が付いたが、まとめSS見て
時代が現代のと中世が主だな。近未来のは・・・無いな。
近未来の嫉妬要素はロボット等のメカ物に通信システムに、後は宇宙人かな?
俺だとこのくらいしか思い浮かばん。
近未来は世界観とか設定がめんどくさいってのが少ない理由かもな
中世とかは少し調べれば資料はたくさんあるし現代はいうまでもない
連レス失礼。
さっき妖戦地帯の一巻見てこんなの思いついた。
地球探索のために舞い降りた宇宙人が、一人の男をターゲットにして観察を始める
段々と人間という物を理解していき、次第に男に執着心が湧いてくる。
と、そこに男の恋人の女が宇宙人の正体を知り、男を巡っての近未来修羅バトル。
まぁ、スルー推奨で
自演臭い雑談イラネ
甘獄は近未来チックじゃね?
詳しい世界設定は分からんが
作られた命とかタイトルが伏せられたままのクローンのお話とかも近未来系の話じゃないか?
まあどちらも気になるところで止まってるけど・・・・先生…俺はいつまで裸ネクタイで待っていればいいんでしょうか?
スレの雰囲気を悪くしている人は一体何を考えているんだろうか
いちいちネタに投稿したぐらいで気性荒くレスを返す必要もないのにね
まだ、やおいSSを貼り付けた粘着荒らしの腐女子がいるんだろうか
ネタを出すなら出すで、スルー推奨とか言わなくても堂々としてりゃあ良いと思うんだ。
つまらなかったら住人側が判断してスルーするんだからさ。
所詮、ここは2ちゃんねるだからムキになっても仕方ない
他の創作系のサイトの批評や批判は辛口な人間ほど
そいつの作品は全然大したことがないのに他人に対して
よくそんなことが言えるなと感心したくなる。
まだ、2ちゃんねるDQNの方が書く側にとっては楽だよね
アホみたいな感想しか書けないからww
近未来と聞いて液体人間とかマタンゴとか思い出した
相手が好きで一体化したいので両方液体人間になって混ざり合う
なんてのはヤンデレになるな
そうだよなっ!!松っ!!
雑談は本スレでやれ、黙ってろ
>>758 魔法使いモノだと泥棒猫をカエルにして、牛乳瓶の中に閉じ込めて
主人公とヤッている姿を見せ付けるのもアリだな
書き込み禁止。
「GJならいいよね?」とか言うアホがいるけどいいわけないだろ。
心の中で言え
| Hit!
|
ぱくっ|
/V\
/◎;;;,;,,,,ヽ そんなエサで
_ ム::::(,,゚Д゚)::| 俺様が釣られると思ってんのか!!
ヽツ.(ノ:::::::::.:::::.:..|)
ヾソ:::::::::::::::::.:ノ
` ー U'"U'