嫉妬・三角関係・修羅場系総合SSスレ その26

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1名無しさん@ピンキー
浅いものはツンツンしたり、みたいな可愛いラブコメチックなヤキモチから
深いものは好きな人を独占して寵愛する為に周囲の邪魔者を抹殺する、
みたいなハードな修羅場まで、
醜くも美しい嫉妬を描いた修羅場のあるSS及び、
他様々な展開の修羅場プロット・妄想を扱うスレです。

嫉妬・三角関係・修羅場系総合SSスレ 25った瞳
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1166959516/
■まとめサイト
2ch 「嫉妬・三角関係・修羅場統合スレ」まとめサイト
http://dorobouneko.web.fc2.com/index.html

2名無しさん@ピンキー:2007/01/07(日) 09:31:57 ID:jjurHv87
■関連スレ
嫉妬・三角関係・修羅場統合スレ 第16章
http://idol.bbspink.com/test/read.cgi/hgame/1165004952/
■姉妹スレ
嫉妬・三角関係・修羅場統合スレinラ板
http://book3.2ch.net/test/read.cgi/magazin/1132666398/
嫉妬・三角関係・修羅場統合スレin角煮板2nd
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/ascii2d/1167959218/
誘導用
【創作】ハーレムな小説を書くスレ【情報】 6P
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1165242554/
ヤンデレの小説を書こう!
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1148704799/
●●寝取り・寝取られ総合スレ4●●
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1164867401/
3名無しさん@ピンキー:2007/01/07(日) 09:32:31 ID:jjurHv87
SSスレのお約束
・指摘するなら誤字脱字
・展開に口出しするな
・嫌いな作品なら見るな。飛ばせ
・荒らしはスルー
・職人さんが投下しづらい空気はやめよう
・指摘してほしい職人さんは事前に書いてね
・過剰なクレクレは考え物
・作品に対する評価を書きたいなら、スレ上ではなくこちら(ttp://yuukiremix.s33.xrea.com/chirashi/)へどうぞ
スレは作品を評価する場ではありません
4名無しさん@ピンキー:2007/01/07(日) 09:36:44 ID:BjOYwGAJ
>>1
乙であります
5名無しさん@ピンキー:2007/01/07(日) 10:05:49 ID:ovacbx+R
結局「その26」になったのか。>>1
6名無しさん@ピンキー:2007/01/07(日) 10:09:11 ID:IIUE6fa/
>>1乙。
前スレの議論はひっぱらない。
7 ◆tVzTTTyvm. :2007/01/07(日) 10:14:49 ID:6FXSKDHp
スレ建て乙
じゃ早速投下します
8白き牙 ◆tVzTTTyvm. :2007/01/07(日) 10:18:11 ID:6FXSKDHp
「あはははっ……。 な〜んだ、そうだったの。 あのね、リオ。
それはね、リオが勘違いしてるだけなのよ?」
「勘……違い?」
 突然笑い出し突拍子も無い物言いのコレットにリオは戸惑い鸚鵡返しに聞き返した。
「そ、勘違い。 だってねリオってば昔っから勇者さまに憧れてたでしょ? 小さい頃から
”ゆうしゃさまをおたすけするりっぱなまどうしになるんだ”
って言ってたじゃない? 其の憧れの勇者さまに出逢えて、
その人がたまたま女性だったから、其の憧れを恋心と勘違いしてるだけなの
だから……」
「違う……」
 リオはコレットの言葉をさえぎるように言った。 静かな、だがきっぱりとした口調で。
「リ……オ?」

「確かに昔っから、幼い頃から未だ見ぬ勇者さまに憧れを抱いていたよ。
だからね、コレットの言うように憧れの気持を恋心と勘違いしてるんじゃないか、って
そう思ったときもあったよ。 だけどね、この気持は決してそんな勘違いなんかじゃ――」
「勘違いよ!!!」
 逆に今度はコレットがリオの言葉を遮るように叫んだ。
「わ、私が……、私が勘違いだって言ってるのよ!!
ほ、他の誰よりも近くでリオのことを見てきた、誰よりもリオのことを良く知ってる……
そんな私が言ってるのよ?! だから、だからね……!
リオ! あなたの其の思いは間違い無く勘違いなの!! そうに決まってるの!!」
「違う!!」
「違わないわよ!!」
「違う!! 絶対に違う!! だ、だって勘違いなんかで寝たりなんか出来ない……から」
 其の言葉を耳にした瞬間、コレットの動きが、表情が凍りついた。
「え……? い、今……な、何て……?」

「セツナと……寝た、と言ったんだ……」
9白き牙 ◆tVzTTTyvm. :2007/01/07(日) 10:20:09 ID:6FXSKDHp
 リオの言葉に呆然とした表情を浮かべてたコレットはやがて表情を引きつらせながら
口を開き始める。
「あ、あはは……。 な、何言ってるの……? 寝……た? リオ……あ、あなたが
セ、セツナと? な、何よ……そ、れ……。
何よそれ! 何よそれ! 何よそれ! な、何なのよ?!! ど、どう言う事なのよ?!!
何でよ?!! わ、私が幾ら誘ったって、い、今まで一度も応じて……、
寝てくれなかったじゃない?!! 何で……、何で……。 
そう、か……。 分かったわ…。 む、無理矢理迫られたんでしょ?!
そ、そうでしょ?!」
「コレット!!」
 リオは咎めるように鋭い声を発した。
 だがコレットはリオの声が聞こえていないかのように一人喋り続ける。

「あはははは……。 な、な〜んだ、そっか。 リ、リオってばむ、昔っから
ひ、人が良かったものね。 だ、だから命がけで戦かってくれてる
”ユウシャサマ”のお願いがこ、断われなかったからなのね?」
「コレット! 頼むから聞き分けてくれ!」
「ま、全くリオのお、お人良しにもこ、困ったもの、ね。 で、でも結婚前の
気の迷いのい、一時の過ちってこ、ことで目をつ、瞑ってあげるわ……。
で、でもね……」
「コレット! は、話を――」
「セ、セツナは……、あ、あの女は許さない……!!
ゆ、勇者の立場を利用してリオをたぶらかすなんて……!
ううん、違うわ。 あ、あんな女が勇者な訳がないわ! 
ひ、人の婚約者を横取りするような泥棒猫……!
だ、だからね、リオ……。 わ、私が……
私が目を覚まさせてあげるね」

「コレット!!」
 リオはコレットの両肩を掴んで真正面から見据え、そして息を呑んだ。
 追い詰められた表情、狂気染みた眼光を放つコレットにリオはただ戸惑いを隠せなかった。
 明らかに尋常じゃなかった。 このような状態でこれ以上の説得は無理なのでは。
 少なくとも今暫らくは間を置かねば、とリオには思えた。
 だからと言ってこんな状態のコレットを置いて立ち去るわけにも――。
 この場での速やかな説得は無理、ならばどうする。
 スリープの呪文で眠らせてしまおうか、そんな考えがよぎる。
 だがそんな安直なその場しのぎ――。
10白き牙 ◆tVzTTTyvm. :2007/01/07(日) 10:22:26 ID:6FXSKDHp
 次の瞬間そう考えてたリオの側頭部に鈍い痛みが疾った。
 コレットがテーブルの上にあった花瓶をリオの脳天に叩きつけたのだった。
 花瓶は砕け突然の予期せぬ痛みにリオは膝をつき崩れ落ちた。
「コレッ……ト? ――つぁっ?!」
 驚きの表情でコレットを見上げようとしたリオの頭に更なる痛みが疾った。
 砕けた花瓶はすでにコレットの手には無い。
 代わりに振り上げられたコレットの両手には椅子が握られてた。
 そしてリオの脳天めがけて何度も振り下ろされ其の度に椅子の木材と頭蓋がぶつかる
 "がすっ" "ごすっ" "ばきっ"と言う鈍い音が響き、やがて椅子が砕け壊れる。

「ハァ……ッ、ハァ……ッ、ハァ……ッ」
 肩で息をするコレット。 其の手には壊れ砕け残骸となった椅子だったもの。
 視線の先には頭から血を流し倒れ伏すリオの姿。
 コレットは壊れたいすの欠片をほうるとリオの服の裾を掴み引き摺り始めた。
 向かった先は自分の部屋。 そして気を失ったリオを入れると椅子に座らせ縛りつけた。
 そこまで済ませて次にコレットはリオの頭の怪我の手当てを始める。
 手当てをしながらコレットはリオの顔には傷がついていなことに気付く。
 頭部からはかなり出血してるものの顔が綺麗なままなことにコレットは胸をなでおろす
「ゴメンね、リオ。 痛かったよね? でもね、私はね、私の心はね、もっと痛かったんだよ?
分かってるよリオは何も悪くないんだよね? 悪いのはあの勇者をかたるあの泥棒猫。
だから今からその泥棒猫を退治してくるね。 だから、それまで、
こ こ で 大 人 し く し て て ね ?」


To be continued...
11名無しさん@ピンキー:2007/01/07(日) 10:34:01 ID:JxKQGgWz
GJ!ついに泥棒猫勇者とコレットの修羅場が起こる時が来たのか!

>>1さん乙です
「ぅえ、ぁ、あ、痛い、ぃ、ぅ、え、がっ」
 蠅の羽音にも似た、弱々しい声だった。
 当然である。
 少女は今、腹を抉られその中身を咀嚼されているのだ。
 びちゃびちゃ、血の滴る音。
 ぐちゃぐちゃ、腸を噛む音。
 罪悪感は生まれてこない。
 そもそも、こいつが悪いからだ。だから無言で食事の光景を見ていた。
「た、す、ヶ、……ぐ、ぇ」
 少女は、自分を見下ろす傍観者に手を伸ばす。指先は震えていた。
 なぜか。
 その命乞いに腹が立つ。
「ストップ」
 傍観者が挙手する。
 それは食事をやめた。巨大な口腔から鮮血が垂れている。
 傍観者はそれを横切って、血塗れの少女の傍らまで歩み寄った。
 まずは伸ばしている手を蹴り飛ばした。
 少女はうめいた。
 とても痛そうだけれど、罪悪感は生まれてこない。
 顔面を踏む。ぁぐあっ。耳障りに呻く。
「はは、ぁは、ははっ」
 自業自得だ。さらに踏む。踏む。潰すように踏む。
「ひゃ、は、ぎゃはははははっ!」
 なんだか楽しい。
 そうして何回も踏んでいるうちに、少女は喋らなくなった。
 死んだ。
「……ふ、ぅ」
 くつの裏が血塗れだった。どこかで洗おうか、捨てて新調するか。
 考えながら興奮を十分冷ます。
「ぁ、さっさと全部食べちゃってね」
 もはや傍観者ではない、ただの人殺しは傍らのそれに命令する。
 それは嬉しそうに巨大な口をあんぐりと開き、食事を再開した。
 人殺しはくつの裏の汚れを眺めながら、ああ、今日の夕飯はどうしようか、などと考えていた。
13 ◆/wR0eG5/sc :2007/01/07(日) 12:19:27 ID:swGDFny3
 疾走は休憩して、新しいやつです。
 もっとマシなタイトル考えろ……駄目だ……っ。
14『閉鎖的修羅場空間』 ◆wGJXSLA5ys :2007/01/07(日) 12:24:11 ID:Y7Gb6X/1
コンコン
「ん?」
テレビを消し、ベットに横になった途端、ドアをノックする音が聞こえる。気怠い体を引きずり、なんとかドアを開けると………
ガチャ
「……聖、か?」
部屋の前には、聖が小悪魔のような笑みを浮かべて立っていた。こいつ、絶対年齢より下に見られるだろうな。まぁ、女にとってはうれしいだろうが。
「なんだよ。」
「いいからこっちにきなさい!」
そう言うと、俺の手を掴んで無理やり外へと引きずり出す。そして向かった先は、俺の向かいの部屋だった。そのドアには、『Queen』と書かれてある。部屋の名前か?
俺の部屋のドアにはあっただろうか。
「ほらっ!はいりなさい…よっ!」
力づくで部屋に押し込まれ、ドアに鍵をかけられる。……まだなにも起きていないが、危険だということを俺の勘が告げる。
聖の部屋は、俺の部屋となんの変わりもなかった。向かい合っているので、物の位置が正反対になっていることだけか。
「………聞いてたわよ、あんたのビデオ。」
やはり、やばい。脳が危険信号を発している。これ以上この部屋にいるのは非常に危ない。
15『閉鎖的修羅場空間』 ◆wGJXSLA5ys :2007/01/07(日) 12:25:22 ID:Y7Gb6X/1
「聞いわよ、脱出する方法。妊娠すればいいんでしょ?だったら、早く私を抱きなさい!さっさとこんなとこ出たいんだから。」
「お前……妊娠の意味分かってんのか?たとえここから出られても、その子供はどうすんだよ?」
「妊娠の意味ぐらい分かってるわよ。子供なんて、パパに頼んで降ろしてもらえばいいじゃない。」
「てめぇ……」
ああ、久しぶりに頭にきた。ここまで感情が高まるのは初めてかもしれない。今時こんな考え方する奴がいるとはな。
「……たとえ…というが有り得ないが、子供を作ってここから出るとしても、絶対にお前を相手にはしない。」
「なっ、なに言ってんのよ!勝手なことをっ……」
「勝手なのはそっちだろうが。大体俺にはなぁ…」
ブン
二人で言い争っていると、突然部屋のテレビがついた。よく見ると、聖がテレビのリモコンを踏んでいた。二人してついたテレビに目を向けると……
「ご機嫌うるわしゅう、翔子お嬢様。」
「えっ?何!?」
「こいつっ!」
テレビに映ったのは案の定、エレファントマンの格好をした変態野郎だった。
16『閉鎖的修羅場空間』 ◆wGJXSLA5ys :2007/01/07(日) 12:26:29 ID:Y7Gb6X/1
「なにが起きているのか分からないかもしれないが、はっきりと言おう。僕は、君を買ったんだ。」
「なっ……」
自分を買ったと聞き、一気に顔色が青くなる。それもそうか。こんな奴に買われたんだ。
「買ったと言っても、僕が君を好きだったからじゃない。実験に協力して欲しいからだ。」
「ば、ばっかじゃないの!?この私を買ったですって?誰に許可を得て買ったのよ。そんなの、私のパパやママが黙ってるわけ……」
「君のお父様にはちゃんと話はつけてあるよ。いや、この話を持ち掛けてきたのは、君のお父様からだからね。」
「え?」
「………」
「君は知らないだろうけど、君のパパは、経営に失敗したんだよ。それでも、馬鹿親と言うのかね。君の贅沢を止めさせられなかった。」
「……う、そ……」
「だが、ついに資金も底を尽き始めた……そこで、僕の実験に協力することにしたんだ。娘である君を売る、ということでね。」
「は、はは……」
今までの自分を支えていたものが予期せぬ形で崩れたからか、すでに聖は放心状態だった。ま、愛するパパに裏切られたんだ、当たり前か。
17『閉鎖的修羅場空間』 ◆wGJXSLA5ys :2007/01/07(日) 12:27:58 ID:Y7Gb6X/1
「僕はお金は掃くほどあるからね。君のパパに『投資』ぐらいはできるよ。」
「うそ……うそ、ウソ!嘘!!!嘘よぉ!」
「まぁ、僕の言葉じゃあ信じられないだろうね。だから…」
まるでこっちを見ているようなビデオだな。
「君のパパから、直接話を聞くといい。」
「……え?」
そう言ってエレファントマンがカメラから消えると、それと入れ替わって一人の男性が現れた。身なりの良い格好をし、丸く太ったオヤジだ。
「パ、パパ!パパ!助けて!…私っ…」
ビデオだということも忘れ、必死にに画面にすがる聖。
「悪いが、翔子。さっき言ったのは全て本当のことだ。…私の会社はもう、倒産寸前まできていた…確かに、私が下手なものに手を出したのがいけなかった。
だがな!お、お前の贅沢も、今回のことに拍車をかけたんだ!引っ切り無しにあれがしたい、これが欲しいなどと言いおって……」
自分の仕付けの悪さを娘のせいにするとは、見てられんね。それから俺は話も聞かずに煙草を一本吸い、部屋を出た。その頃には聖も完全に潰れていたが。
今まで信じていた者に裏切られ、味方がいなくなった。しかもこんな絶望的な状況で。まぁ、いい薬にはなっただろ。
18 ◆wGJXSLA5ys :2007/01/07(日) 12:29:10 ID:Y7Gb6X/1
やばい、長くなりそう。
19名無しさん@ピンキー:2007/01/07(日) 12:45:24 ID:IIUE6fa/
GJ!
だけど、ちょっと展開スピードが早すぎるような
20名無しさん@ピンキー:2007/01/07(日) 13:04:55 ID:owxGWaAB
Gj!!これはおもしろそうな展開。
次回をwktkして待ちます
21名無しさん@ピンキー:2007/01/07(日) 13:14:20 ID:LFUlzsT9
>>18
GJっす
長くなるのは作者様にとっては大変なことだけど
読む方としてはうれしい限り(*´д`*)ハァハァ
22赤い瞳と栗色の髪 ◆y5NFvYuES6 :2007/01/07(日) 14:52:41 ID:vFhk7LgG
ミーンミンミン……。
セミの声が騒がしい。
…暑い……コンクリートが熱を発し、熱を帯びた風が頬を撫でる。
当たり前だ、今は7月下旬。暑いに決まってる。
だがつい先程まで涼しい電車に乗っていた、尚更この暑さには慣れない。
俺は七原ちか。女みたいな名前だがれっきとした男だ。
額を流れる汗を拭い、辺りを見渡す。

ここは山鈴村。
その名の通り、山しかないど田舎だ。駅に着いたというのに人っ子一人いやしない。
ここには俺の母親の妹、つまり俺にとっておばさんにあたる人がいる。
俺は夏休みを利用し、その人の家に世話になる事になった。家で夏休みを楽しむのもよかったのだが、家にはいたくなかったのだ。
「はぁ…、ここに居ても仕方ない。行くか。」
宿泊荷物もろもろが入った鞄を持ち直し、駅から出る。

駅から出て辺りを見渡すと、一面田んぼしかなく人の姿などどこにも見当たらない。
「弱ったな、どこ行きゃいいんだ」
俺は母親から親戚の家までの道のりを聞いていなかったのだ。
朝「道はわかるの?」と聞かれた気もするが、一刻も早く出たかった俺はその言葉を深く考えなかった…。
…いや、自分を過信していたんだ。
昔この村に俺は来た事がある。7才の頃、丁度この時期に連れてこられたのだ。
その時家は親が離婚するしないで揉めていて、親はその姿を見せたくなかったのだろう。半ば強制的にここへ遊びに来させられた。
1人おばさんに預けられた俺は、最初は馴染めずに1人で居る事が多かったらしいが、徐々に友達を見つけ遊びに出かけられるようになったらしい。
――――あの事件が起こるまでは。
23赤い瞳と栗色の髪 ◆y5NFvYuES6 :2007/01/07(日) 14:54:19 ID:vFhk7LgG
その日俺は友達の所に行くと言って出かけ、中々帰ってこなかった。
心配になったおばさんは遊び場所を探し回ったが見つからず、ついに夜を向かえた。
事情を説明された村の大人達が色んな場所を探し回り、1人の大人が神社を探している時普段使われていない倉庫の扉が少し開いているのを見つけた。
なんとなくそこを探してみると、血塗れになって倒れている俺を倉庫の奥で発見したらしい。
最初血塗れで倒れている俺を見て死んでると思ったみたいだけど、俺自身は傷1つなく誰かの血が付着していただけだった。
その後意識が戻った俺に大人達が何があったのか聞いたらしいが俺は何も覚えていなかった。
記憶はその日の事だけじゃなく、この山鈴村に来た事…ここで過ごした日々の事、全てが消えていた。
あの血の事や、何故鍵がかかっている神社の倉庫で倒れていたのか、何一つわからないまま俺は迎えに来た母親に家へと連れ戻された。
でも俺には1つだけ覚えている事がある。

赤い瞳

それが誰のものかはわからない。
ただ、血のように赤い瞳だけが俺の脳裏に焼きついている。

「帰る時の道は覚えてるから大丈夫だと思ったんだけどなぁ…」
溜息混じりにそう呟き、目的もわからないまま歩き出す。
「こうしてても仕方ねぇ、歩いてれば誰かいるだろ。」
考えるより先にまず行動、俺の悪い癖だ。昔からそれで何度痛い目にあってきたか……。

見慣れない田園風景を歩いていくと家がちらほら見えてきた。が、相変わらず人はいない。
10分…15分と歩いただろうか、古ぼけた鳥居が見えてきた。
神社だろうか…、ここなら人がいるかもしれないな。そう思い、神社に寄る事に決めた。
階段を上り、鳥居を抜ける。
そこには小さいけれど立派な神社があった。本殿の隣には家がある。神主の家だろうか。
「…もしかしなくても、ここが俺が倒れてたっていう神社か…?」
記憶を辿るものの、何も思い出すことなど出来ず。
この記憶の欠落に対する落胆も今では慣れ、気を取り直しすぐに違う事を考える。
24赤い瞳と栗色の髪 ◆y5NFvYuES6 :2007/01/07(日) 14:55:54 ID:vFhk7LgG
「やっぱ誰もいないか………でも一応神社なんだし、神主とかいるかもしれないな。」
本殿の隣の家へと足を向かわせ、呼び鈴を鳴らす。
「すみませーん、誰かいませんかー。」
……誰の声も聞こえない。
「…いないのか?」
何気なく戸を開けてみる。ガラガラという音が響く。
「開いてる…。泥棒とか心配しないのかこの村は。」
その時、砂利を踏む音が背後から聞こえた。

「………何してるんですか?」

突然声をかけられびくっとし、振り向くとそこには巫女らしき少女がいた。
年は同じくらいだろうか、肩にかからない短さの髪がきちっと切り揃えられ、漆黒の美しい髪が風になびく。
意志の強そうな瞳をこちらに向け、整った顔を警戒の色に染めている。
「私の家に何か?」
「あ、いや、これはその……あははは……」
何気なく開けた戸を乾いた笑いで誤魔化し、閉める。
「あ、怪しい者じゃないんだ。ただ道を聞きたくて…」
「それで勝手に人の家の戸を開けた、と?」
まずい……完璧不審者に思われてる…。
「…ごめんなさい……」
…空気が重い。暑さのせいか、それともこの空気のせいか、額から汗が流れる。
「……で、どこへの道を聞きたいのですか?」
「あ、ああ……七原さんの家ってわかるかな?ちょっと道がわからなくてさ…」
「七原さん…少しお待ちください。」
そう言うと少女は家へと入って行き、1分ほどで戻ってきた。
「七原さんのお家でしたら、この神社を出て左に真っ直ぐです。」
「左に真っ直ぐか、ありがとう。助かったよ。」
「いえ、お気になさらず。」
そっけなくそう言い、少女は家の壁にかけられた箒を手に取り掃除を始める。
25赤い瞳と栗色の髪 ◆y5NFvYuES6 :2007/01/07(日) 14:57:15 ID:vFhk7LgG
「あー……あのさ、君ってここの巫女さん?」
「ええ、そうですけど。」
「昔ここで血塗れの男の子が見つかったって事件があったんだけど、何か知ってるかな?」
そこでやっと少女が顔を向ける。相変わらず警戒の色を向けながら。
「知りません。以前そのような事があったというのなら聞いた事がありますが、それだけです。」
「そっか……ごめんな、変な事聞いて。」
「いえ。」
空気が帰れと言っているような気がする…。恐らく気のせいではないだろう。
無理も無い、人の家を勝手に空けた不審人物だ。
心の中で溜息をつくと、少女に会釈をして神社を出た。
階段を下りる。―――突然、熱風が吹いた。
砂埃が舞い、熱い風が纏わりつく。


やっと来てくれたんだね……。
ずっと…ずぅっと待ってたよ、私のチカちゃん………。


確かに聴こえた。女の声…。
暑いはずなのに鳥肌が立つ、背筋に悪寒が走る。
忘れているはずの記憶があの声は危険だと告げる。
はっとして辺りを見渡すも誰一人居ず。さっきの声はただの幻聴だったのだと状況が告げている。
――俺は呆然としながらそこに立ち尽くすしかなかった。
26 ◆y5NFvYuES6 :2007/01/07(日) 14:58:16 ID:vFhk7LgG
お初にお目にかかります。
初めてなものでミスや設定の甘い所もあると思いますが、その場合はご指摘お願いいたします。
こんな文ですけど皆さんよろしくお願いします。
27名無しさん@ピンキー:2007/01/07(日) 15:09:01 ID:KuAiZdGy
漏れの好きな田舎・神社仏閣・巫女と三拍子揃ってる…
今後の展開に期待しておりますよ?
28名無しさん@ピンキー:2007/01/07(日) 17:54:14 ID:3Pbwe0zl
おお、人外のにほひがするッ!!
お待ちしております。
29名無しさん@ピンキー:2007/01/07(日) 19:56:56 ID:uYHxQKmc
前に紹介されてた本で、奥さんがすごい嫉妬する本ってなんていったっけ?
30名無しさん@ピンキー:2007/01/08(月) 08:22:44 ID:SWhmuL3+
これで叔母さんがすごい美人だったら いいな
31 ◆8BVPwsPs7s :2007/01/08(月) 11:56:13 ID:K903yXgl
投下します。
32バック2−1 ◆8BVPwsPs7s :2007/01/08(月) 11:57:26 ID:K903yXgl

 全人類が願ってやまない、されど絶対実現不可能な夢、時間遡行。
 図らずも、自分がそれを果たしてしまったら?
 この『図らずも』、即ち、戻ろうと思って戻ったわけではないというところが重要だ。
 仮に、望んで時間を遡るのであれば、宝くじなり万馬券なりの番号を正確に記憶して『戻った』だろう。
 だが、偶発的な事由で戻ったのなら、未来の情報なんて常識程度にしか持ち合わせていない。
(例、未来から来た殺人マシーンを演じた筋肉俳優が大統領になった)
 だから、そんな人間が二度目の人生でできることは二つだ。
 仕方ないと諦めてもう一度同じ人生を送るか。
 記憶を武器に、可能な限り『正しい選択』をして、人生をやり直そうとするか。

 妻に刺し殺され過去に戻った私、河嶋遥貴はどちらを選ぶべきなのだろう?

33バック2−2 ◆8BVPwsPs7s :2007/01/08(月) 11:59:02 ID:K903yXgl
 
 この時代、私主観の過去に『戻って』来てから、もう三日が経った。
 私は大学をサボり、携帯の電源も切って、下宿先のアパートに引き篭もった。
 落ち着いて考えるためには、まとまった時間と独りになれる空間が必要だった。

 なぜ、亜美に刺されて死んだ筈の私が十年前に『戻って』しまったのか。
 それも精神だけが、二十歳の肉体に宿るという奇妙極まりない形で。
 フィクションの世界でよく見られる時間遡行とはこの点が違う。仮にタイムマシンが現
実のものになったとしても、こんなことを実現するためには更に数百年は必要だろう。
 どれだけ考えてもこの現象には説明がつかない。未来に『帰る』方法も思いつかない。
 私は元々生粋の文系人間だし、会社ではしがない人事課係長だ。
 時間概念や精神論なんて完全に範疇外だ。
 結局、『戻った』その日のように、神の戯れか悪魔の暇潰しと思うしかないのだ。

 代わりに考えたのは、あの後の未来のこと。
 まず、私の肉体。
 刺身包丁の一刺しは、間違いなく私の肉体を死に至らしめた。
 頭頂部と下っ腹が気になり始めた三十歳の肉体は、二度と動くことはないだろう。
 既に解剖されて火葬されている可能性もある。
 未来に『帰って』、あの肉体に再度宿ることは望めない。
 幽霊になって妻子を見守るのも、それはそれでいいかもしれないが、『帰る』手段が見つ
からないのでは考えるだけ無駄だ。

 そして、自分の肉体よりも気がかりなのは妻子のことだ。
 恐らく、亜美は逮捕されるだろう。
 日本の警察は優秀だ。遠からず、夫殺しの理由も調べ上げる。
 浮気した夫と嫉妬に狂って凶行に及んだ妻。
 ワイドショーのネタとしてはありふれたものだが、だからこそ取り上げられやすい。

 そうなれば、二歳になる愛娘、佐奈はどうなるか。
 私も亜美も一人っ子だし、互いの両親も未来では故人だ。
 いわくつきの子供を引き取ってくれそうな親戚にも心当たりはない。
 どこかの養護施設に引き取られることになるだろうが、それで終わりとはならない。
 佐奈はこれからの人生、ずっと浮気者の父とそれを殺した母の娘というレッテルを貼ら
れて生きていかなければならないのだ。
 世間の風は冷たい。進学でも就職でも結婚でもきっと苦労するだろう。

 佐奈……、本当にすまない。

 私が愚かだったばっかりに、お前の幸せを奪ってしまった。

 お前には世界で一番幸せになって欲しかったのに……。

34バック2−3 ◆8BVPwsPs7s :2007/01/08(月) 12:04:42 ID:K903yXgl
 
「佐奈……」
「サナってだぁれ?」
「うおぉおッ!?」
 急に背後から声をかけられて、文字通り私は飛び上がった。
 振り返ればそこには、未来で私の妻となった女性、亜美の姿が。
 妻や母親としての亜美に見慣れていたため、女子大生の亜美を見てもすぐには誰だか分
からなかった。
「あ、亜美……。帰って、いや、来てたのか?」
「一応チャイムは鳴らしたし、ノックもしたわ。それでも反応がなくて鍵もかかってなか
 ったから勝手に入らせてもらったの。反論は?」
「いえ……、ないです」
 フフンと鼻を鳴らして、亜美は軽くウェーブのかかった長い髪をかき上げた。むさくる
しい部屋にほんのり甘い香りが漂う。
 未来で私の妻となったこの女性は、シャープな顔立ちをした美人だ。あけすけにものを
言い過ぎるのが難点と言えば難点だが。
 学部は違うが、一年の時に独語の授業で一緒だったのが縁で私たちは親しくなった。
『彼女』とのことがあって、女性を避けていた私でも、亜美とだけは気安く付き合えた。
 この頃はまだ仲の良い女友達でしかなかったが、本格的に付き合い始めた、つまり男と
女の中になったのもまた、この時期だったはずだ。
 なにかきっかけがあったような気がするが、よく覚えていない。
 なにせ十年前のことだからなぁ……。
「アンタ、大学サボってなにしてたのよ? 携帯まで切って。南条君が心配してたわよ」
「ちょっと……、まあ色々考えたいことがあってさ」
「ふ〜ん?」
 まさか未来から『戻って』来たのだとは言えないから、どうしても苦しい言い訳になる。
 当然、そんなもので亜美が納得するはずもなく、切れ長の双眸がすっと細まった。
 反射的に私は喉――未来で亜美に刺された箇所――を隠した。
「まさかとは思うけど……、ヤバイ薬とかサイトにはまってるんじゃないでしょうね?」
「そんなわけないだろ!」
「じゃあ、サナって誰よ? 妄想のお友達?」
「なに言ってんだ。オレたちの娘だ、ろ…………!」
 しまったと思ったが、もう遅い。
 亜美は一瞬きょとんとしたが、すぐにニヤ〜リと小悪魔のような笑顔を浮かべた。
 この笑顔をした亜美に、私は絶対に勝てない。
「なに? ハルってばあたしと子供つくりたいの? 名前まで考えてさ。や〜ん、あたし
 犯されちゃう〜。喩えるなら、飢えた狼に差し出された哀れな仔ブタ? 嗚呼、さよう
 なら約二十年守り通したあたしの純潔……」
「いや、そういうわけじゃなくてだな……」
「ひどい! あたしの純粋な気持ちを弄んだのね!? 処女返せ!」
「まだ奪ってない!」
 未来では奪ったが……。
「まだっていうことはこれから奪うつもりあるか? このブタ野郎」
「今時そんなチャイニーズはいねえ! あと誰がブタか!」

 若い頃の亜美と話しているせいだろう。
 ついつい、『オレ』の口調に戻ってしまっている。
 ともあれ、亜美はそれ以上深く聞いてくることはしなかった。
「そこまでツッこめるなら大丈夫ね、心配して損したわ。だけど本当に悩みがあるなら相
 談してよ? 話聞くくらいならできるからさ」
「あ、ああ……。ありがとう」
 本当に亜美はいい女だ。
 生涯の伴侶に選んだのだから、そのくらいは知っていたが。
 改めて、私には分不相応な恋人であり妻だったと思い知る。
 だというのに、私は亜美を裏切って『彼女』と……。
 殺されるのも当然の報いだ。地獄に落とされても文句は言えない。
 そんな私のせいで亜美と佐奈は……。
35バック2−4 ◆8BVPwsPs7s :2007/01/08(月) 12:06:07 ID:K903yXgl
「ん? ま〜た、暗い顔してるわね〜。よし、そんなハルには元気が出るイベントを教え
 て進ぜよう」
「べつにいいよ……」
「ノリわる〜。こういう時は、仔犬のように目を輝かせるものよ。ま、いいや。実はね、
 あたくしこと瀬野澤亜美、本日振袖と美容院の予約をして参りました!」
「だから?」
「もう! 女の子がこの時期に着物の用意する理由は一つしかないでしょう?」
「初詣?」
「う゛、それもあるか。って違う違う! 成人式よ」
「ああ……」
 そういえばそんな行事もこの国にはあったな。
「そ。ハルも住民票こっちに移してたよね? み〜んな成人式は地元に帰るって言うんだ
 もん、薄情よ。こちとら帰省する金もないってのに。で、同じ万年金欠のハルなら冬休
 みも帰省しないだろうと思ってさ。ね、一緒に行こうよ! 一番に振袖姿を見せてあげ
 るからさ!」
「それってお前が一人じゃ寂しいからだろ」

 私たちの大学は他の市町村、都道府県からの入学者が八割を占める。
 年金や免許の関係で、大学のある街に住民票を移した方がなにかと便利なので、学生の
多くは入学と同時に住民票を移動させる。だが、それでは郷里の成人式に出られない。成
人式の案内状が送られてくるのは住民票のある街だ。
 もっとも、大半の新成人の目的は旧友との再会であり、どんちゃん騒ぎだ。首長のあり
がたいお話を聞けなくても、式典会場に入れなくても問題ない。
 亜美の友人たちも、そんな感じで故郷に帰るのだろう。
 で、亜美は一人取り残されたというわけだ。
 誘ってくれた亜美には悪いが、いくら二十歳に『戻った』からといって、今更出ようと
は思わないし、その精神的余裕も無い。
 にしても、振袖を予約する金はあっても、実家に帰る金が無いというのはどういう錬金
術だ? 未来ではどうやって家計をやりくりしていたのだろう? 
36バック2−5 ◆8BVPwsPs7s :2007/01/08(月) 12:07:36 ID:K903yXgl


「いいじゃない。どうせあたしが誘わなかったら、ハルは一人寂しくカップ麺すするはめ
 になってたんだよ。ね〜、一緒に行こうよ〜? 一番に振袖姿見せてあげるからさ〜」
「あのな、オレはそんなに暇じゃ…………!」

 どう断ろうかと悩んで、唐突に思い出した。
 そうだった!
 私と亜美が付き合うようになったきっかけはこの成人式だ。
『前回』も私は亜美から同様の誘いを受けて、この街の成人式に出た。
 途中であまりの人の多さに気分を悪くした亜美を下宿先に連れ行き、そこで酒盛りを始
めて、いつの間にかそういう雰囲気になって、一線を越えてしまって、責任取れとか泣き
喚かれて……。
 あの時の亜美は可愛かったなぁ〜。
 って、いかんいかん!
 そうと分かれば尚のこと簡単に返事はできないぞ。

「どったの、ハル?」

 急に黙り込んだ私を、小首を傾げた亜美が覗き込む。
 う、可愛い。右目の下で二つ連なった泣きぼくろがなんとも……。無性に押し倒したく
なって来る。これが若さか……。
 って、そうじゃないだろ、私! そして『オレ』の体!

「ちょ、ちょっと考えさせてもらっていいか? 南条がどうするかも聞いておきたいし」
「うん……、できれば早目にね」
「ああ、わかってる」

 どこか亜美が残念そうだ。
 ひょっとして、コイツ二人だけで行きたかったとか?
 それも十分有り得る。
 でなければ、貞操観念の強い亜美が、アルコールが入っていたとしても、ああ簡単に身
体を許したことに説明がつかない。
 う〜ん、新発見だ。
37バック2−6 ◆8BVPwsPs7s :2007/01/08(月) 12:09:07 ID:K903yXgl

 その後は二人でゲームをしたり、教授の愚痴を零しあったりとなんとも色気の無い時間
を過ごした。結局、亜美が帰ると言い出したのは午後六時近くになってからだった。彼是
五時間居座っていたことになる。まあ構わないが。
 この時間ならまだ人通りは多いし、送っていく必要は無いだろう。
 玄関でブーツを履き終えると、亜美はこちらを振り返った。彼女にしては珍しく、もじ
もじと下を向いて、言い出しにくそうにしている。顔が紅いのは夕日のせいだけではなさ
そうだ。
 暫くそうしていたが、やがて意を決したように亜美は口を開く。

「あのね、ハル……」
「なんだ? 金なら無いぞ」
「アンタにお金は期待しないわよ。そうじゃなくて、さっきの子供の話……」

 佐奈のことか……。
 できれば忘れて欲しかったが、しっかりと覚えていたようだ。
 私はただ曖昧に頷く。

「あたし……、ハルの子供だったら生んでもいいよ?」
「え?」
「じゃじゃじゃじゃじゃあ、あたし帰るね! 明日からはちゃんと学校来なさいよ!」

 私が呆気に取られている間に、亜美はバタバタと慌しく部屋を出て行った。
 完全なる不意打ちに、図らずもドキリとしてしまった。
 未来でも普段は気丈であけすけな亜美が、時折見せる女らしい表情に何度となく理性を
剥ぎ取られた。
38バック2−7 ◆8BVPwsPs7s :2007/01/08(月) 12:10:09 ID:K903yXgl
 さて、あんなことを言われて私はどうするべきか。
『前回』、成人式が私たちの人生の分岐点になったのは間違いない。
 それまでの私たちはただの友人だったのだから。少なくとも私はそう思っていた。
 それでも亜美が恋人になって、私は有頂天になった。
 明るく美しい恋人との恋愛に夢中になった。
 暇さえあれば恋人の身体を求め貪った。
 そうしていつしか、私は完全に亜美に溺れた。

 だから、付き合い始めてから亜美が見せるようになった嫉妬も気にならなかった。
 こんないい女が私にベタ惚れなのだと、陳腐な自尊心を満足させた。
 亜美が私の携帯から女友達の番号とアドレスを消しても、授業、サークル、バイト先と
あらゆる所で自分以外の女と口を聞くことを禁じても、それを受け入れた。
 サークルを辞めても、バイトをクビになっても、大学で話すのが南条と亜美だけになっ
ても一向に気にしなかった。

 そこまで亜美に溺れた理由は、無論亜美が魅力的だったからだということもある。
 だがそれ以上に、郷里に残した『彼女』のことを努めて忘れようとしたことが心の根底
にあった。

 そう、私が傷つけ、裏切ってしまった『彼女』のことを……。
39 ◆8BVPwsPs7s :2007/01/08(月) 12:13:40 ID:K903yXgl
 以上です。長々とすいません。
 今回は若かりし亜美登場、修羅場はもう少し先です。

 前回、感想下さった皆様ありがとうございます。
40名無しさん@ピンキー:2007/01/08(月) 14:53:45 ID:LTk+5J8/
>>39
GJ!!!!
修羅場はまだだけど、さらっと物凄い束縛を告白してますね。
ここまでの束縛を受け入れる主人公って珍しいような…
41名無しさん@ピンキー:2007/01/08(月) 17:35:50 ID:+SvZGPYA
GJです。
続きが激しく楽しみだ!
成人式とはタイムリーですね
42ノン・トロッポ:2007/01/08(月) 21:01:53 ID:e9nq5ozB
ノン・トロッポ、投下します
43ノン・トロッポ:2007/01/08(月) 21:02:39 ID:e9nq5ozB
翌朝、沙織は何事もなかったように進を迎えに来た。
進としては、彼女が来る前に家を出てしまうことも考えたが、さすがにそれは気がとがめた。
いうべきことは、面と向かっていわなければならないと感じた。
二人並んで歩く通学路。それはいつもと変わらない光景だが、進の心中は昨日までのものではなかった。

「ねえ、沙織ちゃん。昨日のことだけど」
「何?頭が冷めた?」
「そうじゃなくて、今日も僕は川名さんと帰るから」

沙織は立ち止まった。進もそれに合わせて立ち止まる。

「まだそんなこといってるの?」
「それだけじゃなくてさ。ほら、かばんももういいから」

進がそういって沙織の持つ進のかばんを取り上げようとすると、彼女はかばんを持っていた手をさっと引いた。

「進、なに依怙地になってるの?あまり度がすぎるとわたしも怒るよ」
「だったら、少し放っておいてよ。別に沙織ちゃんとけんかしたいわけじゃないんだ。ただ、これまでの関係を少し変えたいんだよ」
「変えるって?」
「だから、これまでみたいに依存するばかりじゃなくてさ、普通の、対等の友達として付き合いたいんだよ」
「それで?今度はあの子に乗り換えるの?」
「乗り換えるとか、そういうんじゃないだろ。川名さんとは対等の友達なんだよ。沙織ちゃんとは違う」

沙織は、ふうんと鼻を鳴らした。

「進、勘違いしちゃったんだね」
「勘違い?」
「わたしがいなくちゃ、進何にもできないじゃない。それなのに、勘違いして」
「そう思ってるのは、そう思わせてるのは沙織ちゃんだろ。現実を見ろよ。もう、沙織ちゃんがいなくても僕はやってけるんだよ」
「それ、わたしはもういらないってこと?」

沙織が底光りする目で進を見つめた。
進は、話の通じない沙織にいらいらした。

「そういうことじゃない。沙織ちゃんは、幼馴染だし、大事な友達だけど、今はまるで保護者きどりじゃないか。僕はそういうのがいやだといってるだけなんだよ」

そうだ。保護者と被保護者の関係から卒業したい。まずそうしなければ、二人の関係はここからどの方向にも進めはしない。
友達関係としてであっても、あるいは仮に、万が一そんなことがありえたとして、恋人関係としてであっても。
沙織は笑った。

「どうして?それがいけないの?今までわたしが守ってあげたじゃない。進、わたしがいなかったらずっと一人だったんだよ。わたしがいなくなったら一人ぼっちになるよ」
「そんなことない。少なくとも、今は川名さんがいる」
「また、その名前?」

沙織はうんざりした様子でいった。

「進、あの子と会うのはやめなさい」

まるで、母親が息子に素行のよくない娘との付き合いを注意するかのようだった。
44ノン・トロッポ:2007/01/08(月) 21:03:34 ID:e9nq5ozB
「何か下心があるのよ、あの子。多分、よくないことになると思う。だからもう会わないで」
「何で沙織ちゃんが僕の友達づきあいに口を出すんだよ」
「友達?」
「そうだよ。僕はそう思ってる」

進はそういうと、沙織の方に手を差し出した。そして、これでもう話は終わりだというかのように、きっぱりといった。

「かばん、返して」

沙織はそれを聞くと、進の目をきっとにらみつけた。進はひるみかけるが、それを押し殺して無言のままたっていた。
しばらく、二人は無言で対峙していたが、やがて沙織が怒鳴った。

「ああ、そう!じゃあ、試してみたら。絶対後悔すると思うけど。そうしたら、謝りに来なさい!」

沙織は、進の手にかばんを返すと、スカートを翻して学校の方へ走り去っていった。
一人取り残された進は、ため息をついた。沙織とけんかをしたのはこれが初めてだったように思う。
けんかというより、沙織に愛想をつかされたといったほうがいいのか。進は正直、目頭が熱くなるのを感じた。
自分は確かに子供だった。高校生にもなって、女の子の友達とけんかして泣きそうになるなんて。
だが、沙織以外の同世代の人間と深い付き合いをしたことのなかった進にとっては、けんか自体がほとんど初めてといっていいようなものだった。
仲直りの仕方も分からない。
沙織と絶交するつもりはない。進は沙織のことが好きであり、それは今でも変わっていない。
ただ、それだけに、沙織との関係を変えたかっただけなのだ。もう、元通りの仲に戻ることはできないのだろうか。
進はどこまでも沈んでいきそうな気持ちを、なんとか堪えた。
そうだ。少なくとも、今までの関係を変えることには成功したのだ。それこそ、「元通りの仲に戻ることはできない」と思えるほどに。
これは自分が望んだことなのだから、胸をはっていいのだ。そうしよう。
進は、松葉杖を持つ手にぐっと力を込め、上体を起こすと、学校へ向かって歩み始めた。

そのとき、自分を呼ぶ声が背後からかかって、進は振り返った。

「川名さん……」

いつからいたのか、背後には愛美がいた。
微笑んでいる。

「おはよう」
「おはよう、その、見てた?」

進が決まり悪そうに尋ねると、愛美は首を傾げていった。

「見てたって?何を?わたし、今来たところなんだけど」
「いや、見てなかったのならいいんだけど。今日は、少し遅いね」

愛美は、進が教室に入るときにはいつも先に来ていて、自分の席で本を読んでいるのだった。

「うん、ちょっと家でね」

愛美は、あいまいな表情で薄く笑った。
45ノン・トロッポ:2007/01/08(月) 21:04:12 ID:e9nq5ozB
進が一緒に学校へ行かないかと誘うと、愛美はもちろんそうしたいといった。
進は、くしくも沙織から愛美へと「乗り換えた」格好になったことを気にしつつも、二人で学校へ向かって歩いた。
さっきのことがあっただけに、昨日と違って会話はあまり弾まなかった。

「今日は、足立先輩とは一緒じゃないの」

とぎれた会話の間に、愛美が当然ともいえる疑問を進に投げた。

「うん、ちょっとね」

今度は、進があいまいな表情で笑っていった。
そのまま、しばらく歩いてから進がぽつりと話を継いだ。

「もしかしたら、もう沙織ちゃんとは一緒に行かないかもしれない」
「え?そうなの?」
「うん、ちょっとけんかして。でもまあ、ひとり立ちのためにはよかったのもしれない」
「じゃあ、あの、もしよかったら」

愛美が進の方を上目遣いで伺いながら、おずおずといった。

「下校だけじゃなくて、朝も一緒にいかない?平沢君のマンションの前で待ち合わせて」
「……僕はまあ、いいんだけど」
「本当!」
「でも、川名さんに迷惑がかかるんじゃ。噂になるとか」
「平沢君は迷惑なの?」
「いや、そんなことはないけど」
「じゃあ、わたしも平気」

愛美は、そういって微笑んだ。進としてはそれ以上躊躇する必要はないように思えたので、明日の朝も一緒に学校に行くことを約束した。
つまり、一緒に登校して、一緒に昼ごはんを食べ、一緒に部活に出て、一緒に下校することになる。
これは傍目に見て、付き合っている男女にしか見えないのではないかと、そのことだけが気がかりなのだが。

昼ごはんを食べに、進と愛美が弁当を持って美術室へ行くと、翠がすでにいていつもの三色パンを加えながら、キャンバスに向かっていた。
翠は、挨拶もそこそこに、絵筆を放り出すと進に詰め寄った。

「な、なんですか」
「なんですかじゃないよ。今日は沙織と一緒に来なかったんだって?」
「また、その話ですか」

進は、今朝からこっち、遠まわしに、あるいは直裁に、同じことを何度も聞かれていた。
進と沙織が別々に学校に来たということは、学校ではちょっとした事件になっているようだった。
進はやはり同じく、そのとおりだと肯いた。
46ノン・トロッポ:2007/01/08(月) 21:04:54 ID:e9nq5ozB
「しかも川名さんと一緒に来たと」
「偶然会ったんですよ、通学路で。ね、川名さん」
「あ、うん、そうなんです」
「へえ、偶然ねえ」

翠が愛美の方に流し目をくれると、愛美は頬を染めて顔を伏せた。

「いやあ、沙織から川名さんに乗り換えるたあ、この色男め」

翠は進の頬をうりうりと人差し指でつつきながらいった。

「人聞き悪いこと言わないでくださいよ。別にそういうことじゃないんですから。だいたい、1年先輩と学校へ行くより、クラスメートといくほうが自然でしょ」
「そりゃまあ、付き合うなら1年先輩より、クラスメートの方が自然だけどさ」
「だからそういうんじゃないんですって!」

進が声を荒げると、翠はまあまあと進をなだめた。

「分かってる分かってる。冗談だってば」
「沙織ちゃん、どんな感じです?」
「おお、やっぱり元カノのことは気になるんだ、って冗談だってば。まあ、別にいつもと同じかなあ。お昼はクラスの友達と食べてるみたいだし」
「そうですか」
「変わったところがあるのはむしろ周りのほうじゃない?男子連中はみんな喜んでるよ、ついに破局かって」
「破局っていうか、ついに僕が愛想をつかされたかってことでしょ」

進が自嘲しながらいうと、翠はごまかすようになははと笑った。

「ま、周りのいうことなんか気にしないでやればいいよ。平沢君には平沢君の考えがあるんだろうからね」
「分かってます」
「でもまあ、沙織のことも少しは気にしてやってね」

翠は、進から離れて自分のキャンバスに戻りながらいった。

「あの子も、見た目ほどしっかりしてるわけじゃないみたいだから。まあ、そのへんは平沢君のほうがよく分かってるだろうけど」

進は、翠のいっていることがよく分からなかった。
47 ◆zIIME6i97I :2007/01/08(月) 21:06:27 ID:e9nq5ozB
以上、ノン・トロッポ第8話でした。
48名無しさん@ピンキー:2007/01/08(月) 21:21:00 ID:968/Bzj7
GJ!!

沙織が病んで行きそうなフラグバリバリ踏んでますね。
49『俺と君のお別れ』 ◆jSNxKO6uRM :2007/01/08(月) 21:28:23 ID:GhjqQpNs
「ぜー、ぜー、碧さん、もう終わりに……」
「まだです……まだ私が満足してません……ほら…」
そう言うとイスに座ったままの俺に跨がり、その濡れた秘部を俺のいきり立ったモノの先端に当てる。
「ごく……」
その濡れそぼったものを見て、さらに興奮が増す。少し萎えかかっていたが、何ごともなかったかのように固くなる。
「うふふ、うれしいですねぇ。ちゃんと固くなってくれるなんて。………んん…」
じゅ……じゅぷ…
「う、あ……」
先端から根元へ、快感の波が襲ってくる。やっぱり碧さんの中はすごい。うねりながらしっかりと締め付けてくる。
「はん……ああっ!は、晴也さん、き、気持ちいいです……うぁ…くぅんっ!」
じゅぷ、じゅく……
二回目とはいえ、限界が近く、もう果てる寸前だった。腰の奥から、再度熱い物が込み上げてくる。
「ぐっ!あ……」
どくん!どくん!
びゅー、びゅるるっ!
「ふぁ!す、すごぉいぃ…二回目なのに、こんなにぃ……」
ためらうことなく、精子を全て中に出してしまった。大丈夫か……
「ふふ、大丈夫よ。今日は。」
……全てお見通しか…
50『俺と君のお別れ』 ◆jSNxKO6uRM :2007/01/08(月) 21:29:28 ID:GhjqQpNs
「あー、だる。」
鉛のような体を引きずり、やっと帰宅。さすがに二連続はキツすぎたか。靴を脱ぎ、シャツを脱ぎ捨ててそのままベットに潜り込む。
それにしても、なんだって自分の娘の彼氏に手を出すんだ?まぁ、断り切れない俺も人の事を言えないのだが。
「でもなぁ。」
あんな若々しい元人妻、迫られたら断れないだろ。……ごめん、葵。愛してるよ。
「うー。」
気怠さにごそごそとしていると、部屋の隅にある新聞に目がいく。匍匐全身で進み、それを拾う。何かと思えば、またまた事故の新聞だった。
「だる……」
なんとなくその新聞をひっつかんだまま、テレビをつける。探偵物のアニメがやっていた。ただ静かなのが嫌なので、番組には拘らないのだが。
『少し眠ってもらうぜ、おっちゃん………阿笠博士からもらったこの…………
キック力増強シューズで!!』
「……外道なアニメだな。」
目線を新聞にうつす。あれだけの大惨事にもかかわらず、ほんの一角にしか載っていなかった。
冬の夜、雪で滑ってトラックが商店街に突っ込み、そこにいた男女が巻き添えをくらう。
51『俺と君のお別れ』 ◆jSNxKO6uRM :2007/01/08(月) 21:30:38 ID:GhjqQpNs
「一人が死亡、もう一人は意識不明の重体……ん!?」
よく読んでみると、この新聞の内容に違和感を感じる。一人が死亡、もう一人が意識不明の重体……
「誰が死んだんだ!?」
葵は死んでいない。それはつい最近わかったことだ。じゃあ俺か?いや、それは有り得ない。物には触れるし、みんなには認知されている。
「…………!?」
さっぱりわからない。誰だ?いや、この事故の事を詳しく知っている人がいるはずだ。……気が進まないが、電話するか。
プルルルル……
「はぁい、喜瀬ですが。」
「碧さん!?俺!」
「オレオレ詐欺なら間に合ってま〜す。」
「ち、違う!晴也です!」
「あら晴也くん、うふふ、どうしたの?またムラムラしちゃった?なんなら今からでも……」
「ちがっ!それはもうよくて……」
碧さん、かなり欲求不満だな。
「俺が事故にあったの、覚えてますよね!?」
「ええ、あのときはびっくりしましたよ。」
「そのときの新聞を見つけたんですけど、重体が一人、死亡が一人ってなってるんですけど……」
「うん、そぉ、ねぇ……」
なんだか歯切れが悪い。
52『俺と君のお別れ』 ◆jSNxKO6uRM :2007/01/08(月) 21:31:42 ID:GhjqQpNs
「俺は見ての通り生きてます。多分、去年辺りの記憶が無いのもその影響だからだと思います。でも、葵も死んでません。」
「ええ……あ、葵?」
「そうです。俺と一緒に事故にあって、あの怪我をしたんですよね?それなのに俺も葵も生きて……」
「あーん……うふふ、晴也くん、まだ全部を思い出したわけではないのねぇ。」
「は?いえ、だから葵のことだって思い出しましたし……」
「うーん、じゃあ、事故が起こった時のことも?」
「それは……えー…」
だめだ、まだうまく思い出せない。
「うん、それを思い出せば全部わかるんじゃないかな?」
「み、碧さんは教えてくれないんですか?」
「あらぁー、だめよぉ。それは晴也くんが自分で思い出さないと意味がないわ。そうじゃないと可哀想だわ。」
「え?」
「ふふふ、それじゃあねぇ。また気持ちいいエッチしようねぇ。」
ピッ
「ああ!?」
なんだか肝心なことを聞く前に切られてしまった。俺が思い出さないと『彼女が』可哀想……
「がぁー!誰だよ、彼女って。葵とセレナ以外に手を出した覚えはないぞぉー!」
53名無しさん@ピンキー:2007/01/08(月) 21:45:14 ID:wW9YT7ah
age
54名無しさん@ピンキー:2007/01/08(月) 21:47:11 ID:wW9YT7ah
age
55名無しさん@ピンキー:2007/01/08(月) 21:57:21 ID:UKNe3y+6
バーロー外道wwwwwwww
56名無しさん@ピンキー:2007/01/08(月) 22:01:40 ID:OjZgirzE
新スレに移行してたのか。見てない間にリオが死にそうになっとったww
57名無しさん@ピンキー:2007/01/08(月) 22:26:13 ID:SWhmuL3+
ここで一言

進は死ね。
58名無しさん@ピンキー:2007/01/08(月) 22:30:39 ID:pKzi1K+z
いや、どこも悪くないんじゃね?
59名無しさん@ピンキー:2007/01/08(月) 22:46:04 ID:Nmn9C3eZ
進は若さゆえの過ちだろ。
確かに色々気がきかない奴だが。

ところで流はまだか。
60名無しさん@ピンキー:2007/01/08(月) 23:14:43 ID:KEFByfUe
投下しますよ

百合嫌いはスルー
61『花束』五本目:2007/01/08(月) 23:15:21 ID:KEFByfUe
 気恥ずかしいと思いながらの登校だけれど、ミズホと話をしている内に照れが消える。
昨日は少し、いやかなり際どい体験をしてしまったけれど、それをなるべく意識しないで
いられたのはミズホの気遣いのお陰だろう。いつもと同じように笑って、ふざけて歩いて
いると、夢だったのではいかと思ってしまうくらいだ。実際に膜がなくなった訳でもない、
戯れに体を寄せあってじゃれつくなんてこともあったからだ。意識さえしなければ普段と
全く変わりのない生活がそこにあり、これからも続いてゆくのだろう。
 それは何だか寂しいと思い、軽くミズホの手の甲に自分のものをぶつけた。驚いて開く
手に指を絡ませると、向こうも握り返してくる。手を繋ぐなんてのは今までも何度もした
ことだし、友達同士でも手を繋ぐのは珍しいことではない。流石に天下の往来でキスなど
出来ないけれど、それでも恋人だという確認の為に手を繋ぐくらいはしても良いと思う。
「イッちゃん、ありがと」
 はにかむように笑うミズホに応えるよう、ボクも笑みを返すと、
「センパァイ」
 繋いだものと逆の方の腕に衝撃がやってきた。視線を向けると快活な彼女の性格を表す
ポニーテールの下、楽しそうにボクを見上げる視線と目が合った。ボクの腕を抱き締める
ようにしているチヨリちゃんの体は歩く度に小刻に揺れ、結わえてある髪が元気に跳ねる。
昨日ミズホとあんなことをしてしまったからだろうか、何だか普段より可愛く見えた。
62『花束』五本目:2007/01/08(月) 23:16:13 ID:KEFByfUe
「センパイ、昨日のアレ使いましたか?」
「使わないよ?」
 ごめんね、チヨリちゃん。使うどころか、ヘシ折った上に朝一番で燃えないゴミとして
捨てちゃった。そう言いたかったけれど、何だか期待に満ちた瞳を裏切れなかった。素直
に言って悲しむ姿が目に浮かび、それを避けるように苦笑を浮かべて普段のように去り気
なく対応する。案の定チヨリちゃんは小動物のように頬を膨らませて、腕を抱く力を強い
ものにした。ボクよりも約30cmは小さい娘だ、こんな可愛い仕草も様になって羨ましい。
「イッちゃん、昨日のアレって何?」
 まさか女性用ジョイントパーツだなんて言える筈もなく、ミズホにも苦笑を向けようと
振り向いた。誤魔化しているのか、いつもこんな表情を浮かべてしまっているな、と申し
訳なく思いながらミズホの顔を見てみると、戦慄した。
「ミズホ、顔が怖いよ?」
「そう? 普段と同じよ?」
 言葉は平穏を装っているけれど、普段よりも半音低くなっている。笑みを浮かべようと
しているのだろうが頬は引きつり、筋肉の無理な稼働によって小刻に震えていた。眉根は
八の字を逆の形にしたように逆立ち、笑うと三日月の形になる目は上下逆の状態だ。
 ボクは一瞬で理解する、怒っていると。
 それも半端ではない、過去にこんなに怒っているのを見たのは一度きりだ。
63『花束』五本目:2007/01/08(月) 23:18:02 ID:KEFByfUe
 あれはボクの伸長がまだ低く、前へ習えの姿勢でも腰に手を当てることが出来た幼い頃
の話。虎徹君に会う以前の話だ。当時まだ伸長が低く、気弱で、それなのに目付きは極悪
だったボクは男子のからかいの的になっていた。ある日、ボクは買ったばかりのパンツを
穿いて登校した。自分で選んだ、可愛いと思っていたデザインのもの。いつものように
スカート捲りにあい、更にパンツの柄を馬鹿にされたボクはマジ泣きした。泣き虫だった
ボクだが、あれ程に泣いたのは過去には他に無いと思う。
それを見たミズホは、今のような表情を浮かべると、男子を片っ端からボコボコにした。
関係のない無害な男子もだ。更には担任だった男の先生をロリコン呼ばわりしながらボコ
ボコにしてしまった。あの鬼神のような戦闘力はを見せつけられて男子からのからかいが
無くなったのは、ボクの良い思い出だ。
 それが今、再現されようとしている。
「やぁん、怖い。助けてセンパイ」
 チヨリちゃん、頼むから火に油を注がないで。それにミズホも、そんなに強く手を握る
と壊れちゃうから止めて。ちょっとミズホさん、本気で痛いです。
「このクソガキ」
 ミズホはボクの手を離して安心したのも束の間、そのままチヨリちゃんの背後に回ると
無理矢理に引き剥がした。結構強い力で掴まれていたけれど、本気でキレたミズホの超絶
戦闘能力に敵う筈もない。その怪力で襟を掴み、軽々と持ち上げてチヨリちゃんを睨んだ。
64『花束』五本目:2007/01/08(月) 23:19:55 ID:KEFByfUe
「イッちゃんに手を出さないでくれる?」
「うえぇ、それは」
 取り敢えず今だけは話を合わせてほしい。目配せをしてお願いをすると、観念した様子
でチヨリちゃんはうなだれた。力を抜いてぶら下がっているその姿は、なんとなく飼い主
に強制的に運ばれている猫の姿を思い出す。ぐったりしている様子までも可愛いく見える
のは本当に羨ましい。あれがボクならば、カチ込み後に捕われたチンピラにしか見えない
んだろう。それか撃たれて死に際のヤクザか、どちらにしても良いものではない。
「はい、復唱。もうセンパイには手を出しません」
「もうセンパイには手を出しません」
「持っている女性用のエログッズを全て差し出します」
「持っている女性用のエログッズを全て差し出します」
 止めてよ。
「イッちゃん最高イッちゃん万歳」
「センパイ最高センパイ万歳」
 ボクが落ち込んでいる間にも続行されている妙な光景から目を背けると、サオリ先輩が
笑顔で駆け寄ってきた。一歩ごとに揺れる胸が羨ましい、ボクも大きな方ではあるけれど
全体的なスタイルで見ると完璧なサオリ先輩からは程遠い。
「おはよう、イツキ君。甘い香りに誘われて来てみれば、何と美しい妖精が!!」
 朝一番で妙なことを言われて、テンションが落ちた。頼むから朝くらいは普通の発言を
してほしい。ボクは二物も三物も与えたくせに、サオリ先輩に肝心なものを入れ忘れた天
を恨んだ。頭がおかしくさえなければ、サオリ先輩は本当に完璧な人間なのに。
65『花束』五本目:2007/01/08(月) 23:21:28 ID:KEFByfUe
「どうしたね、イツキ君? 悩みがあるのなら相談に乗るよ? さぁ、カモンMy妖精!!」
「妖精って、心の綺麗な人にしか見えないんじゃ……」
「最近は頭がおかしい人しか見えないと思うわよ」
 小声で話しているけれど、二人とも助けてくれそうな気配はない。仕方がないのでボク
はサオリ先輩を殴り倒すと、学校に向かって歩き始めた。時間に余裕を持っているけれど、
何が起こるか分からない。さっさと学校に向かうに越したことは無いだろう。
「今日はピンクか、可愛いね」
 短パンを穿いてこなかったことを後悔した。
 数分。
 チヨリちゃんやサオリ先輩を避けつつ下駄箱に辿り着くと、掲示板の校内新聞が見えた。
どうやらボクのファンクラブの会員が三百人の大台を突破したらしいけれど、その全てが
女の子だという事実に悲しくなってくる。ボクにはミズホがいるけれど、こうも明から様
に男の子に見向きされていないと辛いのだ。相変わらず下駄箱のラブレターも、女の子が
送ってきたもので一杯だし、ミズホが居てくれなかったら本格的にヤバかったかも。
 落ち込みながら教室に入ると、甘い匂いが漂ってきた。視線を向ければ、『極楽日記』
の一口サイズチョコレートケーキがあった。あまりの人気にボクも一回しか食べたことの
ないものだ、とても美味しそう。朝から高カロリーだけど、食べたくなってくる。
66『花束』五本目:2007/01/08(月) 23:23:01 ID:KEFByfUe
 ボクの視線に気付いたヨッチンがフォークを向けてきた。
「おはよ、イツリン。食べる? これ好きだったよね?」
「食べる!! 大好き!!」
 直後。
 フォークの半ば辺りから先が消失した。その原因であるミズホは物凄い音を立てながら、
プラスチックのフォークごとケーキを食べている。口の中とか、大丈夫なんだろうか。
「……ミズリン、これ好きだったっけ?」
 ミズホは軽く頷く。
「……フォークも好きだったっけ」
 苦笑を浮かべながら折れたフォークを見るヨッチンに、ミズホは大きく頷いた。
 やがて器用にフォークの残骸をティッシュに吐き出し、ミズホはケーキを手指で摘んで
ボクに差し出してきた。それを頬張ると上品な甘さが口の中に広がり、幸せな気分になる。
 ミズホは、粉が着いている指先を美味しそうに舐めていた。
「イツリン、ミズリンに何があったの?」
 どう説明したら良いんだろう、複雑な気分になった。チョコケーキは美味しいけど。
67ロボ ◆JypZpjo0ig :2007/01/08(月) 23:25:01 ID:KEFByfUe
今回はこれで終わりです

当初ははすっぱな感じの予定でしたが、何だか乙女ですね
外見は凶悪設定の筈なのに、それっぽくなくて
68名無しさん@ピンキー:2007/01/08(月) 23:55:26 ID:WwC8SvME
>>67
なんかツマンネ
ネタが無くなってきたなら無理しないでいいですよ
69名無しさん@ピンキー:2007/01/08(月) 23:57:11 ID:6MDynS0z
ほとばしるほどGJ!
70名無しさん@ピンキー:2007/01/09(火) 00:00:09 ID:2YiabeFd
GJ
百合嫉妬スバラシス
凶悪な外見なのに乙女
そのギャップに萌えるわけですよ
71名無しさん@ピンキー:2007/01/09(火) 00:11:31 ID:iBtwFgZK
ちょっとスランプじゃね?
72名無しさん@ピンキー:2007/01/09(火) 00:12:42 ID:JFL0iU3p
>>68
確かに勢いがなくなってきたと思う
トラトラの構成とか、甘獄のお嬢様登場前までは凄いと思ったけど
個人的に何か足りない感じがする
73名無しさん@ピンキー:2007/01/09(火) 00:15:49 ID:xrkadnvm
>>71
俺もちょっと感じた
まぁ、俺に百合要素が無いだけかもしれんが
74名無しさん@ピンキー:2007/01/09(火) 00:24:29 ID:rxQpTEBQ
じゃあ、ロボは追放ってことで
全く、日本語おかしい奴は投稿禁止する掲示板とかないかな
75名無しさん@ピンキー:2007/01/09(火) 00:27:35 ID:xrkadnvm
>>74
誰もそんなことはいってない
どさくさにまぎれて荒らそうとすんな
76名無しさん@ピンキー:2007/01/09(火) 00:28:51 ID:fbu47rJX
ロボさん、明らかに荒らしの奴は気にしないでください
77名無しさん@ピンキー:2007/01/09(火) 00:30:44 ID:gc5k5hoo
>>74
じゃあ、お前追放ってことで
全く、頭おかしい奴はレス禁止する掲示板とかないかな
78名無しさん@ピンキー:2007/01/09(火) 00:31:30 ID:rxQpTEBQ
あん?
微妙な作品を批評して何が悪いんですか?
荒らし行為ってのは日本語がおかしい作品を指摘してはダメってことですか?
投稿されているモノをなんでもGJってのはどこぞのカルト宗教ですよマジで
79名無しさん@ピンキー:2007/01/09(火) 00:32:06 ID:VDfbPIl0
蛍火と吾が愛猫へはまだかな?
続きが激しく気になるんだが・・・
80名無しさん@ピンキー:2007/01/09(火) 00:35:25 ID:q6Onj5rK
徒花をひたすら待っている俺
81名無しさん@ピンキー:2007/01/09(火) 00:41:57 ID:rxQpTEBQ
来るならこい

私が全てを否定してやろう
82名無しさん@ピンキー:2007/01/09(火) 00:42:43 ID:yYIbHg1D
批評の意味分かってますか?
83名無しさん@ピンキー:2007/01/09(火) 00:47:55 ID:1CgQUD9B
無視しろ
84名無しさん@ピンキー:2007/01/09(火) 00:48:48 ID:L6FnAthu
               .|   |  | |   |    |  | |   |   |   || | |
               .|   |  | レ  |    |  | |   |  J   || | |
    ∩___∩    |   |  |     J    |  | |  し     || | |
    | ノ\   ,_ ヽ  .|   レ |      |  レ|       || J |
   /  ●゛  ● |   .J      し         |     |       ||   J
   | ∪  ( _●_) ミ             .|    し         J|
  彡、   |∪|   |              .J                レ
 /     ∩ノ ⊃  ヽ
 (  \ / _ノ |  |
  \  "  /  | |
   \ / ̄ ̄ ̄ /
      ̄ ̄ ̄ ̄
85名無しさん@ピンキー:2007/01/09(火) 01:05:28 ID:FXWrdKl0
俺も徒花待ち〜
86『ヒトゴロシお姉ちゃん』 一話 ◆/wR0eG5/sc :2007/01/09(火) 01:07:59 ID:+RoM+pfx
 彼、小野峰衛治は姉が嫌いである。
 その原因を過去から辿ろう。


 幼少の時分。
 年上のくせにめちゃくちゃなきむしで、いつも弟の背中に隠れる。
 言うことを聞かないと泣く。なぜか親に怒られる。
 もっぱらままごとを強要された。
「エーくんとあたしは夫婦なんだから、ずっと一緒なんだからねっ」
「ぇえ……っ」
「なんで嫌そうなのよぉっ! 返事は、ねえ、返事はっ!?」
「わ、わかったよ、わかったから泣かないで、お姉ちゃん」
「な、泣いてないもん、ぅ、うぅっ……ふ、ぇ」
 さて小学生の時分。
「えっ!? お前まだ姉ちゃんと風呂一緒に入ってんのっ!?」
「ぇ、え、だって姉ちゃんが普通はそうだって言ってるから……っ」
「普通じゃねえよっ!」
 友達に突っ込まれて盛大にからかわれた。はずかしかった。
「姉ちゃん、今日から別々に風呂入らないっ?」
「駄目」
「いや、聞いてよ、今日それ言ったら友達にめちゃくちゃからかわれてさ」
「駄目」
「……、だから聞い」
「駄目」
「……」
 そして事件は中学の時分に、起こってしまう。
87『ヒトゴロシお姉ちゃん』 一話 ◆/wR0eG5/sc :2007/01/09(火) 01:09:00 ID:+RoM+pfx
「ただいまぁ……あらっ?」
 姉のくつがすでに玄関に転がっていた。
 おかしい。今朝、俺今日帰るの遅くなるからといったとき、
「ぁ、あたしも」
 と続けて姉は言ったのだ。確かに。
 そして衛治はと言えば、遅くなるはずだった学校の用事が後日に流れたので普通に帰宅してきたのだが。
 姉も放課後の予定が流れて普通に帰ってきたのか。
 とりあえず姉が帰宅しているのならさっさと自分の部屋に退避するべきだ。
 高校生にもなってまだ弟にべたべたよってくる姉に彼氏でも出来ないだろうかと思いながら、階段をのぼる。
 そこで気付く。
 自分の部屋のドアが僅かに開いている。隙間から、部屋の明かりが漏れている。
 誰かがいる。
 衛治はこっそりと廊下を移動して、隙間から自分の部屋を覗いた。
「……」
 姉がいた。
 衛治のベッドの上で、衛治のトランクスを片手でかぎながら。
「ぁ、エーくん、エーくん、ひゃ、あぃ、いい、きも、ち、ぃっ」
 片手は股間に伸びていた。
 数秒だけその光景を眺めて、衛治は足音に注意しながら一階におりた。
 鞄を持ったまま玄関で再びくつを履いた。
「……キモイ」
 その一言に尽きた。
 ベッドのシーツはすぐに替えないと。汚い。
 姉ちゃんは、きもい。
 結局本屋で時間を潰して、六時過ぎに再度帰宅した。
 姉が笑顔で、おかえりといってきた。
「どけよ、きも姉」
 睨みつけていった。
 ぇ、え、と姉が慌てる。あほが。見たんだよ、お前が俺の部屋でなにやってたのか。
「お前金輪際俺の部屋に近付くなよ」
 ごめんなさいを連呼してくる。
 無視した。一階で替えのシーツを乱暴に引っ掴むと、衛治は泣きながら謝っている姉を横切って階段をあがった。
 シーツを早速替えた。部屋の外まで来ていた姉にそれを投げつけた。
 死ねといいかけたが、本当に死なれてはかなり困るので抑えた。
88『ヒトゴロシお姉ちゃん』 一話 ◆/wR0eG5/sc :2007/01/09(火) 01:10:55 ID:+RoM+pfx
 その夜。事件の本番はこれからだった。
 深く寝入っていた衛治だったが、息苦しさを感じて意識が浮上する。
 くちもとに違和感。
 ぴ、ちゃ。
「ぁ……っ!? ぅ、あむ、ぅ」
「む、ぁ、エーくん、はあ、はあ、っ」
 姉の顔が、眼前に。
 舌を舌でなめられていた。
 この変態、と両手でつきとばそうとするがまったく動かない。衛治は焦った。
 姉は行為におよぶ直前、衛治の両手と両足をロープでベッドに結んでいた。
 それが見えない衛治には何故動かないのかわからない。わからないから怖かった。
 口内を舌で犯される。きもちわるい。やめてくれ。他人の唾液なんて飲みたくない。ぬめぬめする。
「ぷ、ぁ、はあっ」
「ぉ、げぇ、ぅげ、ぇ」
 やっと解放される。口内の陵辱から。
 透明な糸が、衛治の舌と姉の舌とで繋がり、窓からもれる月光でそれが輝いた。
「ぁ、あっ」
「ぅ、ふふ、エーくん、きもち、いいっ?」
 姉の手が優しく股間を撫でる。
 嫌なのに。それでも衛治も男なのだから、快感が走ってしまうのはどうやってもとめられない。
 きもちよかった。とても嫌で怖かったけれど射精したいと思ってしまう。
 大声を出すしかない。はずかしいが両親に助けてもらうしか。
「ぇいっ」
「……む、ぅっ!?」
 何かでくちを塞がれる。
 しまった。駄目だ。声が出せない。なんだこれは。
 混乱しているあいだに姉は衛治のズボンをずらしていた。いきりたった衛治の息子がトランクスから解放される。
 姉の呼吸が異常に荒い。
「はあ、はあっ……ぁ、あた、あたしね、エーくんに、どうすれば許してもらえるか、はあ、はあっ……。
 考えたの、はあ、はあっ。そ、それでね、思ったの、はあ、はあっ……」
 姉が震える指先で衛治のそれにコンドームをかぶせる。
 馬鹿かこいつはっ!? 嘘だろうっ!? 衛治の心の声が絶叫する。
「ぁた、あたしの、処女、あげちゃう、エーくんにあげちゃう、それで許して、はあ、はあっ。
 ねっ。エーくんも、きもちよくなったら、きっとわかる。お姉ちゃんがあんなことしちゃった理由、きっと、わかる。
 こ、これは、ね、だから必要なことなの。ちっとも悪いことじゃないの、は、はあ、はあっ……ぇ、へっ」
 姉がパジャマを脱ぐ。
 衛治は、必死に首を振る。
「じゃ、じゃあ、あ、いくね、入れちゃうね、ね、大丈夫だよ、お姉ちゃんに任せておけば、はあ、ああっ」
 駄目だこいつ……。
 しかし自分の息子はいっこうになえない。心臓が盛んに動いてしまっている。
「エーくん、好き、好き、大好きっ」
 はいった。キスされた。
 その後は語るまい。ただ犯された弟である。
89『ヒトゴロシお姉ちゃん』 一話 ◆/wR0eG5/sc :2007/01/09(火) 01:12:17 ID:+RoM+pfx
「この変態っ! 馬鹿かお前、俺たちきょうだいだぞっ!?
 手と足縛って、あげく口までガムテープで塞いでっ! 普通じゃないよっ!?」


「はあっ!? なに不思議そうな面してんだよ、おめでたいなほんとっ……。
 これレイプだぞお前、なあおい、わかってんの、これ」


「ああっ……? お前のことが好きかってっ? は、ははっ……?
 だいっ嫌いだよっ! この変態。死ねよ、消えろっ!
 は、ははっ……お前ってさ、ほんと」




 狂ってるよな。



90 ◆/wR0eG5/sc :2007/01/09(火) 01:13:46 ID:+RoM+pfx
 一話ここまでです。
91名無しさん@ピンキー:2007/01/09(火) 01:17:20 ID:fGxdts9I
GJ!
こいつはすげぇや…
92名無しさん@ピンキー:2007/01/09(火) 01:17:48 ID:bRcML5tu
エー君と言われると疾走が頭に浮かぶ自分ガイル。

これが幼少時代の話だとすると本編(?)はいつ頃なのか凄く気になりますGJ!!
93名無しさん@ピンキー:2007/01/09(火) 01:27:15 ID:RVhEv0Tf
>>90
なんか完結しなさそうだな
94名無しさん@ピンキー:2007/01/09(火) 01:28:35 ID:FXWrdKl0
姉怖ぇぇぇえ!!
GJでした。>>90
95 ◆/wR0eG5/sc :2007/01/09(火) 01:29:16 ID:+RoM+pfx
 >>93
 頑張りますが、そのときはごめんなさい。
 疾走もぼちぼち。
96名無しさん@ピンキー:2007/01/09(火) 01:29:46 ID:gBVBdqbe
狂ってるとかキモ姉というのは我々の業界では誉め言葉といってみる
>>39
タイムリーネタGJ!亜美の独占欲は素晴らしいな
>>47
沙織からすると今までいた役割や位置を川名が掠め取った事になる訳だからこれからの展開にwktkするぜ!
>>52
外道なコ○ンはさておき若若しい人妻というのは憧れる
>>67
俺は百合属性は無いがその向けられる嫉妬はなかなか良いな
97名無しさん@ピンキー:2007/01/09(火) 01:32:16 ID:U2i8B9fl
粘着警報 粘着警報
ただいま悪意むんむんのアホがこのスレを監視しています
批評に見せかけた粘着荒らしを得意とする模様
徹底スルーを推奨 徹底スルーを推奨
「追放」「日本語」など特徴的な言い回しをNGワードに入れることをお忘れなく
98名無しさん@ピンキー:2007/01/09(火) 01:40:00 ID:+APNg3sH
>>3
99名無しさん@ピンキー:2007/01/09(火) 01:41:08 ID:6/o4/4XA
>>90
Good Job!!!!
こいつはすごいことになりそうだwwww
100 ◆gPbPvQ478E :2007/01/09(火) 02:15:49 ID:IptJ+GlQ
短編投下します
101やくそく ◆gPbPvQ478E :2007/01/09(火) 02:16:52 ID:IptJ+GlQ
◎◎◎

「ただいま、雪乃(ゆきの)」
 
 扉を開けて、最初の一言。
 敷居を跨ぐ暇もない。
 何故なら、彼女は目の前にいたから。
 
「おかえりなさい、にいさん」
 
 にっこりと微笑んで、妹の雪乃は僕を出迎える。
 長い睫毛がチャームポイントの妹は、肩口で切りそろえられた髪を揺らしながら、
 
「にいさん、おはなし、きかせて?」
 
 いいよ、と答えると、雪乃は嬉しそうに部屋へと戻った。
 妹の姿が見えなくなってから、僕は我慢していた冷や汗を一気に流す。
 今日も、彼女は待っていた。
 そのことが、僕を憂鬱にさせる。
 
 現在の時刻は午後1時。
 大学生の僕が帰るのには珍しくない時間だが、高校生の妹が出迎えるには、少々早い時間だった。
 
 
 
 
 
 今日は午前中に2コマ授業が入っていたが、最初のひとつが突如休講になっていた。
 唐突に空いた一時間半の空白。
 することも無しに構内をぶらついていたら、見知った顔が声をかけてきた。
 サークルの先輩だった。
 今時珍しい黒髪のロングで、しかし活動的な彼女は、何故か僕に気を掛けてくる。
 そんな彼女が、中途半端な時間に構内を歩いていた僕を、誘ってきた。
 よく考えてみれば、初めてのこと。
 しかも相手はかなりの美人。
 これは誘いを受けなければ男じゃない。
 
 だから、僕は。
 
 
 
 
 
102名無しさん@ピンキー:2007/01/09(火) 02:17:31 ID:Tsc9Oxpq
神絵師サイト更新してた・・・
ttp://rainbow.sakuratan.com/data/img/rainbow31370.jpg
103やくそく ◆gPbPvQ478E :2007/01/09(火) 02:17:52 ID:IptJ+GlQ

「――それで、にいさんはどうしたの?」
 
 ぴちゃぴちゃと。
 猫がミルクを舐めるような音が、部屋の中で静かに染みる。
 僕は時折体を震わせながら、妹の質問に正直に答えた。
 
「断ったよ」
「んふ。よくできました」
 
 音が若干大きくなる。耐えきれず呻き声を上げると、妹の嬉しそうな笑い声。
 
「にいさんは、わたしのいうことをきいてればいいの」
「ああ、ちゃんと約束を守ってるよ。だから」
「それだけでいいの。あとはなにもいらない」
 
 雪乃はそれきり何も言わなかった。
 僕はいつものように諦める。
 本当は、もっと粘らなければならないのかもしれない。
 もっと強情になった方がいいのかもしれない。
 
 でも、妹の手首の傷が増えるのが怖くて。
 どうしても、消極的に受け入れてしまう。
 
 だから、いつものように無言になる。
 響くのは音。ぺちゃぺちゃと舌を当てる音や、ずずずと吸い上げる音だけが、僕の部屋に響いていた。
 
 
 
 ○○○
 
 ――断られちゃったなあ。
 角津天音(すみづ あまね)は構内のベンチで空を見上げて、重い溜息。
 結構勇気を出したのだが、結果は無惨にも不戦敗。
 お気に入りの後輩と、もう一歩仲良くなりたくて、二人きりの時間を作ろうとしたのだが。
「稲葉(いなば)くんって、飲み会にも顔を出さないしなあ」
 同じサークルの後輩、稲葉竜司(りゅうじ)は、付き合いの悪いことで有名である。
 色々な噂は聞いているが、どれも信憑性は薄く、親しい者は首を傾げるばかりだった。
 
 しかし、ここで挫けては角津天音の名が廃る。
 一度断られたからといってそれがどうした。
 一回誘いを持ちかけてしまえば、後は何度仕掛けても同じ。
 はっきりと断られたわけではないのだから、諦めるには早すぎるだろう。
 
 幸いにも、バッグの中には彼のノート。
 先日、彼が忘れていたものを、紆余曲折あって自分が所持していたりする。
 これを届けに行ってしまえ。ついでに週末の約束でも取り付けてしまえ。
 彼の住所は既に確認済み。手土産でも用意して、突貫あるのみ。


104やくそく ◆gPbPvQ478E :2007/01/09(火) 02:18:51 ID:IptJ+GlQ

 ◎◎◎

 ――ぴーんぽーん、と。
 チャイムの音に顔を上げた。
 いつの間にか寝入ってしまっていたようだ。時計を見ると午後4時過ぎ。
 隣では幸せそうに寝ている雪乃。その手は僕の手首をしっかりと掴んでいた。
 申し訳ない気分で優しく外しながら、手早く服を着て応対に向かう。
 滅多に来客のない家なので、おそらくは宅配便かなにかだろう。
 そう思いながら扉を開けると、
 
「こ、こんにちはー。稲葉君、6時間ぶりー」
「……先輩?」
 
 きっと僕は、間抜けな顔を晒していたのだろう。
 先輩はそんな僕を笑いながら、ノートを届けに来た旨を伝えてきた。
 それで用件は終わりかな、と思ったが、何故か先輩はモジモジしている。
 はてなと首を傾げていると、やがて先輩は意を決したように。
 
「――こ、今度の週末、暇かな?
 よ、よければ、わ、私と一緒にどこか遊びに行かない?」
 
 誘い慣れてないことがまるわかりの、たどたどしい口調でそう言ってきた。
 突然の誘いに僕の頭は真っ白に。
 別段仲良くしていなかったはずの、しかも美人の先輩に。
 男なら跳び上がって喜ぶようなシチュエーションだろう。
 
 でも、今はまずい。
 何故なら――
 
 
「なに、それ」
 
 
 振り返ると。
 いつの間にか、妹がいた。
 
「あ、あら? 妹さん?
 は、初めまして。私、稲葉くんと同じ大学の角津っていいま」
 
「なんで、ここにいるの?
 にいさん、ことわったんでしょ?」
 
 雪乃の声は震えていた。
 まずい。危険な状態だ。
 先輩のことを放置して、僕は直ぐさま、妹のもとへと駆け寄った。


105やくそく ◆gPbPvQ478E :2007/01/09(火) 02:19:43 ID:IptJ+GlQ

 しかし、一歩遅かった。
 
「にいさん、うそついたんだ」
 
 言うなり、雪乃は。
 がぶり、と。
 己の手首に、噛み付いた、
 
 
 
 ○○○
 
 目の前で、とんでもない光景が展開されていた。
 
 稲葉くんの妹さんが、わけわかんないことを言ったと思ったら、おもむろに自分の手首を食い千切った。
 ぼたぼたと垂れる鮮血と、泣きわめく妹さん。
 ただノートを届けて、ついでに誘おうとしただけなのに、この展開はいったい何なのだろうか。
 
 妹さんは泣きわめき、ばしばしと稲葉くんを叩いている。
 しかし彼はそんなことは気にも留めず、とにかく妹さんを落ち着かせようとしている。
 同時に手首の止血をしているあたり、手慣れているなあ、と場違いな感想を抱いてしまう。
 
 妹さんは、まるで絶叫するかの如く、稲葉くんを罵倒していた。
 
「にいさんのうそつき! やくそくしたじゃない!
 だれもちかづけないって! わたしがいちばんだって!
 だからにいさんがそとにでるのもがまんしたのに!
 なのににいさんはうそついた! あのおんなにちかづいてた!
 ひどいひどいひどいひどい! しんでやるしんでやるしんでやる!
 わたしがいちばん、にいさんのことをあいしているのに!
 にいさんはわたしのことなんてどうでもいいんだ! しねばいいとおもってるんだ!
 にいさんはひとごろしだ! わたしをころそうとしてるんだ!
 いやだいやだいやだ! ころさないでころさないでころさないで!
 ひとごろしひとごろしひとごろし! うそつきうそつきうそつき!」
 
 まともに聞いていたら気の狂いそうな罵倒を、しかし稲葉くんは真摯に受け止めていた。
 妹さんをぎゅっと抱きしめて、優しい声を掛けている。
「嘘じゃないよ」とか「雪乃のことが一番だよ」とか。
 それを見ていると、何故か胸の奥がぎしりと軋んだ。
 
「うそじゃないなら! うそじゃないなら!
 はやくそのおんなおいだしてよ! わたしたちのうちからおいだしてよ!
 にいさんのちかくからけしてよ! そいつのこところしてよ!
 ころしてころしてころしてころしてころせころせころせころせ殺せっ!!!」
 
 
 それからのことはよく憶えてない。
 ぼんやりと駅のホームに立ちながら、私はひとつの確信を持っていた。
 ――あの妹が、彼を縛り付けてるんだな、と。
106 ◆gPbPvQ478E :2007/01/09(火) 02:20:50 ID:IptJ+GlQ
何となく思いついたので、形にしてみました。
九十九はもうしばらくかかりそうです。のんびり待っていて貰えると幸いです。
2月くらいになれば、一気に投下できると思いますので。多分。

……私の書くヒロインは、どうも変な方向に病みがちですね_| ̄|○
107名無しさん@ピンキー:2007/01/09(火) 02:26:00 ID:6/o4/4XA
テラGJ!!!!!!!!!!!!!!!
いいねぇ、この病みっぷりwww

二月にラッシュですか・・・・それまで全裸で待ってまふ!
108名無しさん@ピンキー:2007/01/09(火) 02:30:33 ID:84JL8IIV
>>106
とんでもねぇ癒し系妹ktkr


駄菓子菓子
九十九神と疾走神とスウィッチ神の書く女の子が
すべてストライクど真ん中なのは俺だけでいい
109名無しさん@ピンキー:2007/01/09(火) 02:37:21 ID:8AwGJKfD
病んでるヒロインはいつも美しいサ。病むほど一途ということなのだから。
110名無しさん@ピンキー:2007/01/09(火) 05:12:08 ID:wT7as0mY
>>106
短編のみと言うのは惜しすぎます神よ
111赤い瞳と栗色の髪 ◆y5NFvYuES6 :2007/01/09(火) 06:31:44 ID:3C3zNT3r
やっと動くようになった体をなんとか動かし、教えられた通りの道を歩いていく。
…さっきの声は何だったのだろう、幻聴?それとも本当に………。
いや、そんな筈は無い。だってあそこには誰も居なかった。あの少女しか…。
…何を考えてる?あの少女は初対面だ。しかも俺の事を不審人物だと思ってる。そんな事あるはずがない。
なによりあの子の目は赤くない。あいつじゃ…ない。

空を仰ぐ。綺麗な澄んだ青だ。雲1つ無い。
「あれは幻聴だ。ただ昔の記憶があの場所に行って疼いただけだ……そうに違いない。」
自分に言い聞かせるように何度も呟く。
心が少し落ち着いてくると、あれはやはり幻聴だったのだと、そう忘れる事にした。

目の前に2軒の家が見えてきた。
「やっと着いたか……。………ん?」
誰かがこちらにやってくる。奥の家の塀にもたれかかっていたその人物は、俺を見つけると走りながらやってきた。
…女?女が俺に何の用だ?
「あ、あの!七原ちか君…だよね?」
「あ、ああ……そうだけど?」
「わっ、やっぱりそうだ……!」
胸の辺りまで伸びる綺麗に輝く栗色の髪を揺らしながら、ぱっちりとした目を輝かせ花が咲いたように少女は笑う。
少し幼い顔立ちだが、先程の巫女姿の少女と同じくこの少女も美しかった。
「ちーちゃん!お帰りなさい!」
そう言うと少女はいきなり抱きついてきた。
幼い顔立ちとは裏腹に、細くくびれた腰、豊満な胸が俺の想像を掻き立てる。
「ななっ…!?い、いきなり何するんだ!!」
真っ赤な顔になりながら裏返った声でそう叫ぶ。
すると少女は身体を離し、えへへっと笑った。
「ごめんごめん、こんなに驚くとは思わなかったんだもん。」
クスクス肩を揺らし笑う。多分俺の顔は真っ赤な茹で蛸みたいになってるだろう。自分が恥ずかしい…。
女性経験など生まれてこの方無いんだ、仕方ないだろう。
誰に言っているのかすらわからない言い訳を心の中で呟く。
112赤い瞳と栗色の髪 ◆y5NFvYuES6 :2007/01/09(火) 06:33:18 ID:3C3zNT3r
「…いきなり抱きつかれたら驚くに決まってるだろ。それに…お前誰だ?俺の事知ってるみたいだけど。」
「あ……、やっぱり私の事覚えてないんだ…。」
「仕方ないよね、記憶…ないんだから…。」
先程の笑顔は既に消え、花が萎れたような表情で俯いてしまった。
「ご、ごめん…。」
「ううん、ちーちゃんが謝る事じゃないよ。だってちーちゃんは悪くないもん。」
「ああ、でも…せっかく俺の事覚えててくれたみたいなのに…。」
そう、例え記憶を失ったとしても全て俺の責任なのだ。自分の記憶なんだ、誰かのせいでこうなったとしても忘れたのは俺自身に他ならない。
「大丈夫だよ、これから思い出していけばいいんだし、ね?」
「え?」
「記憶だよ、思い出さなくてもいいの?」
考えた事も無かった……。いや、考えるのを無意識に拒否していたのだ。
あの瞳に関する事は全て忘れたい、だからこの村の記憶も俺は消したのだろう。
俺にはそんな恐ろしい記憶をこじ開ける勇気はなかった……多分今も…。
「…どうしたの?」
「………ごめん、あまり思い出したくないんだ…。」
「……あ………ごめんなさい……。」
また少女は俯いてしまった。
「い、いやいや、大丈夫だよ!ほら、またこれから思い出作ればいいんだしさ!」
その言葉を聴くと少女はぱぁっとまた花が咲いたような笑顔で見つめる。
「本当!?」
「本当の本当の本当の本当の本当の本当に本当!!!!」
「あ、いや、う、うん……本当……。」
少女の問い詰めに驚きながらもそう答える。
「ちーちゃん……ありがとう!!!」
にっこりとこれ以上無い程の笑顔を見せ、少女は足どり軽く走り出す。
「早くー!おいでー!」
手前の家の前で手をぶんぶん振りながら呼んでいる。
その姿に苦笑しながらも懐かしい何かがこみあげてくるのを感じ、俺は少女の元へと歩き出す。
113赤い瞳と栗色の髪 ◆y5NFvYuES6 :2007/01/09(火) 06:34:30 ID:3C3zNT3r
古い一軒家、表札には『七原』と書いてある。
「さ、栄子さんも待ってるよ!」
ぐいっと引っ張られる。完全に少女のペースだ。
自分を情けなく思い自己嫌悪に陥る俺を無視し、少女は戸を開く。

「栄子さーん!ちーちゃん来たよ!」
大声で奥にいるであろう栄子さん…おばさんを呼ぶ。
ぱたぱたと廊下を走る音を響かせながらおばさんがやってきた。
「はいはい……………。あらぁ!ちか君大きくなったわねぇ〜。」
もう33だというのにおばさんは若い。
平凡な俺の母親と違い、背が高くモデル体型というのだろう…整ったプロポーションをしていて、おまけに綺麗で美人。短くショートにした髪も相まって、ボーイッシュな印象を見るものに与える。

あの頃と変わらず綺麗なおばさんに知らず内に見惚れていた俺はふと違和感を覚えた。
…腕が痛い……少女がこちらを睨みながら腕を掴み手に力を入れている。
「………。」
「な、なんだよ…。」
「別に…何でもないよ!」
ふてくされながらそっぽを向いてしまった。ああ…爪がめり込んでくる…。俺が何したっていうんだ。
「ふふっ、ちか君って相変わらずなんだねぇ〜。」
おばさんが面白そうに言う。相変わらずというのはどういう意味だろうか。
「おばさんに見惚れるのもいいけど、惚れるなよ〜。」
「…ふざけないでください栄子さん。」
「あら、でもおばさんまだまだイケると思ってるんだけどなぁ。」
「そういう問題じゃありません!ちーちゃんとおばさんは親戚ですよ!」
「んー禁断の愛っていうのもいいわねぇ…。」
「栄子さん!!」
当の本人を置いてけぼりで何盛り上がってるんだか…。溜息をつき、2人の間に割って入る。
「ああもう、おばさんも冗談は止めて下さい。君も一々冗談に突っかからない。」
「…むぅ……。」
「あははっ、ちか君に怒られちゃったぁ♪」
心底楽しそうに笑うおばさんに対して、頬を膨らませて睨みつける少女。一体何がこの少女をここまで怒らせたのかイマイチわからないが…。
114赤い瞳と栗色の髪 ◆y5NFvYuES6 :2007/01/09(火) 06:35:45 ID:3C3zNT3r
「とにかく上がらせてもらいますよ。俺も疲れてるんですから。」
「あ、そうだったわね。ごめんねー、おばさん気が利かなくてさー。」
「さっ、どうぞどうぞ。若菜ちゃんも入って。」
「…はい。」
おばさんは未だ不貞腐れている若菜と呼ばれたその子に、やれやれといった視線を送りその子に近づく。そして何やら耳元で囁いているようだ。
と、見る見る内にその子の顔が赤くなっている。…何を話してるんだ?
おばさんが顔をあげ、少女と目が合う。瞳に期待を混じらせた少女がこくこく頷く。
「…さぁ!2人とも早く入った!アイスあるよー。」
…アイスは食べたいな。疲れたから甘いものが食べたい。
「う、うん!栄子さんありがとう!」
真っ赤な顔で嬉しそうに言う少女。そんなにアイスが好きなのか…。

居間に通された俺達はおばさんの持ってきたアイス『ギリギリくん』を食べている。
昔から思ってたんだが、この『ギリギリくん』という名前はどうかと思う。あまりにも縁起が悪すぎる。これを食べてギリギリな状態にでもなったらどう責任を取ってくれるんだ。
と、我ながら馬鹿な事を考えながら『ギリギリくん』を口に運ぶ。こんな事を考えているのもさっきから会話が続かないせいだろう。頼みの綱のおばさんが居ないせいだ…。
何故かおばさんは急に買い物へと出かけてしまった。出る時に意味深な目線を少女に送っていた気もするが…あれは何だったんだろうか。
ふと…俺は大事な事を思い出した。
「そういえばさ、ずっと聞くの忘れてたんだけど…。」
「ふぇ?どうしたのちーちゃん?」
俺は少女を指差し。
「…誰?」
「…あっ!そういえば言い忘れてたね。」
照れ笑いをしながら少女は自身を指差し。
「私は、鬼灯若菜って言うの。ちーちゃんと同じ17歳だよ。」
鬼灯はにっこり微笑む。

「へぇ、もっと年下だと思った…。」
「む、それどういう意味ぃ?私が子供っぽいって事ぉ〜。」
しまった……つい思った事を…。
「あーいや、そういうわけじゃなくて……えーと……。」
「じゃあどういう意味よぉ。」
「その………………ごめん。」
じと目で睨みつける鬼灯に耐え切れずつい謝ってしまう。
115赤い瞳と栗色の髪 ◆y5NFvYuES6 :2007/01/09(火) 06:37:31 ID:3C3zNT3r
「…ま、いいけどさ。どーせ私子供っぽいしぃー。」
完全に拗ねてしまった…。初対面(俺の中で)の女の子を怒らせてしまうのは申し訳ない。なんとかしないと…。
「あっ、いやでも鬼灯は可愛いと思うよ!うん!」
「えっ…。」
「確かに少し幼いかもしれないけど、可愛い顔してるし!胸も大きいしさ!良い身体してるようん!」
―――って、俺は何を言ってるんだ〜〜!?
…逆に地雷を踏んでしまったか……身体は関係ないだろう身体は……。これも男の性、か…。
だが言ってしまったものはもう遅い。今更撤回するのも失礼だ。
ああ………馬鹿か俺は………。

だが鬼灯は自己嫌悪に陥って固まってしまった俺の予想外の反応を示した。
「…もぅちーちゃんってばぁ……。」
…あれ?怒ってない…?
鬼灯は真っ赤になりながら嬉しそうに熱の篭った瞳で見つめてきた。
幼い外見とは裏腹に、その表情はとても17歳とは思えないほどに色っぽい。
胸が高鳴るのを抑え、そういうものにあまり慣れていない俺は目を逸らす。
「ま、まあそういう事だから……あまり気にするな。」
「うんっ!!」
とりあえず機嫌は直ったみたいでよしとするか…。

「でもね、ちーちゃん。」
「ん?」
もじもじしながら俺を見つめ。
「私の事は…、鬼灯じゃなくて…昔みたいにわかちゃんって呼んでほしい…な。」
「わか…ちゃん?」
「うん、わかちゃん。」
…それはこの歳ではさすがに恥ずかしいぞ。
「だめ…かなぁ?」
「だめというわけじゃないんだけど…。」
「じゃあ……。」
期待しながら見つめてくる。流されそうになるのをぐっと抑え。
「……若菜、でいいか?」
がくっ。
そう若菜が言った気がした。
「…うう、ちーちゃんがそう言うなら…それでいいよ…。」
明らかにしょんぼりしている。少し悪い事をしてしまったか…。
116赤い瞳と栗色の髪 ◆y5NFvYuES6 :2007/01/09(火) 06:38:36 ID:3C3zNT3r
「たっだいま〜〜!」
玄関のガラガラという音と共におばさんが帰ってきた。
「今日はせっかくちか君が来てくれたんだし、ご飯腕によりをかけて作るからね。期待してなさいよぉ。」
おばさんの手料理…久々だな。これは期待して良さそうだ。
「わ、私も手伝います!」
そう言うと若菜はおばさんの後について台所へと立つ。
意外だな…料理が出来たのか。案外しっかりしてる子なのかもしれないな。

トントントン……。グツグツグツ……。
女2人が俺の為に料理を作ってくれる……なんてシュチュエーションだ。
テレビをつけながら横目で2人を見、俺は贅沢すぎる幸せをかみ締める。
思えば今まで女っ気がなさすぎた。昔俺は女…とりわけ同い年の女の子が怖かったのだ。男より全然ひ弱で怖い所なんてどこにもない筈なのに、何故か恐怖を感じていた。
今ではそういう事も無くなり、普通に接する事が出来るようになったが…。今思うと、あの女の子恐怖症はこの村の記憶を無くしてから発露したように思う。
…ま、昔の事はどうでも良いんだが、そのせいで随分女と接する機会がなくなってしまった。
だから今のこの状況は嬉しいやらどうしていいのかわからないやらで照れ臭く感じる。さっきから時間が長く感じられるのもそのせいだろう。
「…はぁ。」
俺は自分の情けなさに溜息をつく。

「ちーちゃん出来たよ!」
台所から顔を出した若菜が食事が出来た事を告げる。…何故か嬉しそうだ。
「ああ、ありがとう。」
「えへへ…。」
どんな料理なんだろうか…、期待が膨らむ。

並べられた料理はどれも手が込んでいて綺麗に盛り付けされている。
「うわぁ………美味そう…。」
「若い子が好きな洋食ってあまり作れないから和食ばかりだけどね、味の保障はするわ。」
「あのねあのね!この煮物私が作ったんだよ!ちーちゃん食べてみて!」
「じゃ…、いただきます。」
まず若菜が作ったという煮物から箸をつけ、口に運ぶ。
117赤い瞳と栗色の髪 ◆y5NFvYuES6 :2007/01/09(火) 06:39:20 ID:3C3zNT3r
「ど、どうかな?」
「…………美味い!美味いよこれ。すごいじゃん若菜!」
「本当!?」
若菜は瞳を輝かせながら嬉しそうに微笑む。
意外だった、若菜がこんなに料理が上手だなんて。
程よく煮てある具は煮崩れもしていなく、味も奥まで染みている。その味がまた美味い……。こんな料理が毎日食べられたら幸せだろうな、そう思う程の出来だ。
「こんな料理が毎日食べれたら幸せだろうな。」
俺は無意識に思った事を口にする。
と、若菜はその言葉を聴くと見る見る内に真っ赤になっていく。
「あぅぅ………褒めすぎだよぉ……。」
「そんな事ないって、本当に美味いんだから。」
「ちーちゃん…………。私ちーちゃんになら毎日……作りたいな………。」
最後の方は小さくて聴き取れなかったが、どうやら喜んでくれたみたいだ。
久々の楽しい食事はそうして終わっていった。

食事が終わると若菜は急いで帰っていった。まあ時間も時間だったしな。
その後風呂に入り、俺は就寝する部屋へと戻ってきた。なんでもこの部屋は以前俺がここに来た時に使っていた部屋らしい。
幸いクーラーはついていたようで、熱帯夜で苦しむ事はないようだ。
「…ふぅ、今日は疲れたな…。」
布団に寝転がり、今日あった事を思い返してみる。
初めて会った巫女さんに不審な目で見られたり、若菜と再会(俺は覚えてないが)したり、おばさんに散々若菜との事をからかわれたり。
…そしてあいつの声を…。
…………もう夜の11時だ。そろそろ寝ないと明日起きれなくなるな。
そう思い、俺はクーラーをタイマーにし、電気を消して布団に入る。
118赤い瞳と栗色の髪 ◆y5NFvYuES6 :2007/01/09(火) 06:39:54 ID:3C3zNT3r


――――――コツ―――コツ―――コツ―――



…うとうとしだしてきた頃だろうか、何かが当たるような音が窓の方から聴こえる。
「……ん…………誰だ…こんな時間に………。」
寝転がりながら上体を起こし、窓の方を見る。
暗くて解り難いが、何か小さい石の様なものが窓に投げつけられているようだ。
「ったく、誰だよ。嫌がらせか…?」
重い体を起こして立ち上がり、窓に近づく。
きっと子供の仕業だろう、ガツンと言ってやる!
起こされた怒りで窓を勢いよく開ける。
「誰だ!こんな悪戯する奴は!」
暗闇に向かって怒鳴る。だがそこに居たのは子供ではなかった。…………居たのは…………。




――――――闇に輝く赤い瞳。




遂にあいつは俺の前に姿を現した。
119 ◆y5NFvYuES6 :2007/01/09(火) 06:41:00 ID:3C3zNT3r
これで二話終了です。
少し文が間延びしてしまいましたね…、精進します。
120名無しさん@ピンキー:2007/01/09(火) 07:39:37 ID:OTtfXWig
いやいやいや、長く浸れる作品が投下されるのはうれしい限り
しかも間をおかず。
今後の展開も期待しておりまつ
121名無しさん@ピンキー:2007/01/09(火) 14:37:04 ID:41S6mJJ/
日本語がおかしい連中ばっかりだろうに
文章力の低レベルに誉める言葉はないね
122名無しさん@ピンキー:2007/01/09(火) 14:54:40 ID:C+ieBKI5
               .|   |  | |   |    |  | |   |   |   || | |
               .|   |  | レ  |    |  | |   |  J   || | |
    ∩___∩    |   |  |     J    |  | |  し     || | |
    | ノ\   ,_ ヽ  .|   レ |      |  レ|       || J |
   /  ●゛  ● |   .J      し         |     |       ||   J
   | ∪  ( _●_) ミ             .|    し         J|
  彡、   |∪|   |              .J                レ
 /     ∩ノ ⊃  ヽ
 (  \ / _ノ |  |
  \  "  /  | |
   \ / ̄ ̄ ̄ /
      ̄ ̄ ̄ ̄

123名無しさん@ピンキー:2007/01/09(火) 15:18:44 ID:U2i8B9fl
>>121
スルーできずに言うけど、あなたも日本語おかしいです><;;;
124名無しさん@ピンキー:2007/01/09(火) 17:50:17 ID:+Rjl69ib
>>123
スルーしろって。
125名無しさん@ピンキー:2007/01/09(火) 17:55:53 ID:6/o4/4XA
>>119
GJ!!
次回がものすごく楽しみだw
126名無しさん@ピンキー:2007/01/09(火) 18:28:40 ID:0cCEKHVE
>>121
次回がものすごーく楽しみだ
127名無しさん@ピンキー:2007/01/09(火) 18:36:05 ID:QNQh0lU1
>>121
このスレの住人に叩かれたロボ氏が
必死になって自作自演でスレを荒らしているように思えない
128名無しさん@ピンキー:2007/01/09(火) 18:42:52 ID:iULq4+Sw
みんな、ここはお茶でも飲んで大人しく神のssを待ちまショショヘーイ
     旦~
 旦~     旦~
     ヽ )ノ
旦~ ⌒(゚д゚)ノ 旦~
    /. ( ヽ
 旦~     旦~
     旦~
129名無しさん@ピンキー:2007/01/09(火) 18:52:03 ID:C+ieBKI5
チラ裏だがショショヘーイがショウヘイヘーイに見えた
130名無しさん@ピンキー:2007/01/09(火) 18:56:45 ID:lAwUaktp
>>128
神々を全裸で待ってるから、お茶をこぼすと凄く熱いんだよね…
131名無しさん@ピンキー:2007/01/09(火) 19:14:54 ID:a4ZdygJX
>>130
マグマよりも熱く煮えたぎる嫉妬に比べたら……
132名無しさん@ピンキー:2007/01/09(火) 19:18:49 ID:52aKzoer
>>119
|ω・`)GJ!
おいらはこのぐらいの文章の長さが好きだ
そして、○○ちゃん系の王道呼び名はいつ見てもいいものだ(*´д`*)
133名無しさん@ピンキー:2007/01/09(火) 20:03:41 ID:iULq4+Sw
>>129
うはww素で間違えたww





ちょっとシロにばらばらにしてもらって来る。
134名無しさん@ピンキー:2007/01/09(火) 20:20:44 ID:8hG4YKqz
Sweet&DengerousRock'nRoll(仮)を待ってる俺ガイル。

んー。かれこれ3ヶ月か。ん。まだまだ待てる。

そういえば不義理チョコパラレルも続きが気になるなぁ。当分待つぞっと。
135名無しさん@ピンキー:2007/01/09(火) 20:46:09 ID:XpRmNhh/
>>119
GJっす!!
136クロユリ ◆/qHTzufVAQ :2007/01/09(火) 20:46:51 ID:XpRmNhh/
それじゃあ、クロユリ第2話投下いきます。
……短いです
137クロユリ ◆/qHTzufVAQ :2007/01/09(火) 20:47:58 ID:XpRmNhh/
クロユリ 第2話
The chemistry between I and you is changed.

「今日はどうもありがとう!!明日は盛大な新年会ができそうだよっ」
「いやいや、お役に立てたならなによりだよ」

買い物自体は1時間もかからずに終わり、今は昼食がてら駅前の喫茶店で俺はコーヒー、川野さんはミルクティーを飲んでいる。
たまにはこういった時間の使い方もいいかもな。
店内を見回していると、目の前の席から視線を感じた。
視線を戻すと川野さんがこちらをじっ、と見つめていた。

「??どうしたの?」
「うん……えっと、ね…」

視線をテーブル上に置いてあるミルクティーに向けたまま、声を絞り出すようにボソボソと話し掛けてくる。
頬を紅色に染めていて、とても可愛らしい。

「今日、買い物に付き合ってもらったから、何かお礼がしたくて……」
「いやいや、お礼だなんてそんな」
「ダメ……かな?」

ミルクティーに向けた視線をこちらに向けて話す。いわゆる上目遣いというやつだ。
これがこんなに破壊力の強い攻撃だったとは。
俺の返事を待たずに川野さんが続ける。

「鶴川君って、映画好きかな?」
「うん。よく観に行くけど」
「えっとね。来週の日曜日なんだけど、観に行かない?チケットをもらったの」

そういいつつショルダーバッグに手を入れチケットを見せてくれる。

「これは、SchoolDays【劇場版】じゃないか!!いやぁ〜前から観たかったんだよね〜」
「!!それじゃあ……!」
「うん。ありがたく行かせていただきます!」

俺の返事を聞いたとたん、川野さんは向日葵にも負けない笑顔を見せてくれた。
………可愛いな……

その後も色々雑談をして、時計はすでに5時を回っていた。

「それじゃ、そろそろ帰ろうか?」
「うん。また明日ね。鶴川君」
「また明日〜」
138クロユリ ◆/qHTzufVAQ :2007/01/09(火) 20:48:43 ID:XpRmNhh/

駅前で川野さんと別れ、家路に着く。
そういえば今日はチャーハンだったな。


Side綾音

チャーハンの材料が入ったビニール袋を手に、帰宅。
スーパーで女の子と買い物をする弟の姿を目撃し、声を掛けづらく、そのままスーパーを出た。
スーパーを出てから駅前をぶらつく。
男女仲良さそうに歩いていく学生。
皆笑顔だ。さっきの弟のように。

思えば4年前から稜とはこの世に二人っきりの姉弟になった。
家事、家計は自分が守ってきたけれど、弟とのスキンシップはめっきり減っていた。

「来週の日曜日にでも一緒に遊びに行こうかな」

弟との久しぶりで楽しいであろう週末を想像する。
映画なんてどうだろう。うん。そうしよう。
そうと決まれば早速チケットを買おう。思いついたら即行動だ。
胸の奥底で、忘れかけていた感覚が、脈を打ち始めた。

【第2話 FIN】
139クロユリ ◆/qHTzufVAQ :2007/01/09(火) 20:49:38 ID:XpRmNhh/
短くてごめんなさい。
続きはほぼできてるので、数時間後に投下させてください。
140名無しさん@ピンキー:2007/01/09(火) 21:05:30 ID:lAwUaktp
>>139
それでは三点倒立したままで待たせてもらいます。
141名無しさん@ピンキー:2007/01/09(火) 21:10:47 ID:vnE/daxc
だから>>139がいないその時は、僕は息を止め待つ。
142名無しさん@ピンキー:2007/01/09(火) 21:13:02 ID:VqzH6iOK
>>139
じゃあ俺はブリッジをしながら待たせてもらおう。
143名無しさん@ピンキー:2007/01/09(火) 21:30:42 ID:6/o4/4XA
じゃあ俺は半立ちで待つわ
144名無しさん@ピンキー:2007/01/09(火) 21:47:10 ID:kVJoqbNu
ここは礼儀正しく正座で待ちますよ。
145名無しさん@ピンキー:2007/01/09(火) 21:47:32 ID:8RG2jjTp
じゃ俺はオーソドックスに全裸+靴下で
146名無しさん@ピンキー:2007/01/09(火) 21:54:09 ID:xU2ic3G/
>>141RADWIMPS乙
147名無しさん@ピンキー:2007/01/09(火) 22:00:19 ID:0cCEKHVE
じゃあ俺は一秒間に十回レイプと叫びながら待つ
148名無しさん@ピンキー:2007/01/09(火) 22:36:07 ID:I5B6yZT8
SchoolDays【劇場版】マジ見てぇwww
149 ◆/qHTzufVAQ :2007/01/09(火) 22:51:13 ID:XpRmNhh/
11時30分頃から、第3話の投下をします
感想&待って下さっている方々、ありがとうございます
150クロユリ ◆/qHTzufVAQ :2007/01/09(火) 23:22:10 ID:XpRmNhh/
それではクロユリ第3話投下します。
ようやくですが、嫉妬の片鱗が見え始めます。
151名無しさん@ピンキー:2007/01/09(火) 23:22:19 ID:R/3oU+jZ
マダー?
152名無しさん@ピンキー:2007/01/09(火) 23:22:51 ID:R/3oU+jZ
まだか,まだかな
153クロユリ ◆/qHTzufVAQ :2007/01/09(火) 23:23:35 ID:XpRmNhh/
クロユリ第3話
I noticed that I love you.

玄関の鍵を開け、扉を開ける。
家の中に入ると同時に薫る匂いが、姉ちゃんの作るチャーハンのものだと理解するのに刹那とかからなかった。

「ただいま〜」

キッチンにいる姉ちゃんに声をかける。手を止めこちらを見た後、時計を確認し、
「おかえり。メールの時間どおりの帰宅だね」
と一言。再び調理を再開。
できたてを直ぐに食べたかったので帰宅予定時刻を事前に連絡しておいたのだった。

「それじゃ、着替えてくる」
「うん。直ぐできるから」
「りょーかいっす」

階段を上り自室に入る。
着替えつつ頭に浮かぶのは、川野さんのこと。
頬を赤らめながら自分の見たかった映画に誘ってくれた川野さん。
そんな姿を見せられれば川野さんが自分に好意をもっているのかな、と思えてくる。
でも、実際は本当にもらったチケットがあまっただけなのだろう。
頬を赤らめていたのは喫茶店のなかでそんな話をするのが恥ずかしかったから。
合点がいく。
弓道部、いや、学校の中でも純情可憐な弓道美少女として名が高いのだ。
入学してから最初に聞いた告白のウワサは彼女のものだった(後に断ったということが判明したが)。
実際、弓道部にも川野さんのことが好きって奴らがいるだろうし。
かくいう俺も川野さんのことは気になっていたりする。
まぁ、そんなヒトと映画を観に行けるのであれば、たとえチケットがあまったという理由だろうが、嬉しいものは嬉しいもので。

思考の沼から抜け出し、着替えを終えて、階下に向かう。
リビングへのドアを開けるとすでに姉ちゃんが夕食の準備を終えて席に着いていた。
154名無しさん@ピンキー:2007/01/09(火) 23:23:58 ID:R/3oU+jZ
保守
155クロユリ第3話 ◆/qHTzufVAQ :2007/01/09(火) 23:25:08 ID:XpRmNhh/
「それじゃ早速食べようか」
「よっし。ん〜、いい匂い。うまそ〜」
「当ったり前じゃない。お姉ちゃんが作ったのよ」
「だね。いつも本当にありがとう。姉ちゃん」
「っ!ど、どうしたのよ?急に素直になって。誉めても何もでないわよ?」
「いやさ、いつも家事とかやってもらってるからお礼は言っとかないと」
頬を赤らめる姉ちゃん。失礼ながら姉ちゃんにもそんな顔できたんだ。
今日は紅色の頬を見るのが多い日だなぁ。

「それじゃ、いただきま〜す」
「……いただきます」

さっきから何故か口数が少ない姉ちゃん。なんだか喫茶店での川野さんの姿と重なる気がする。

「ん。やっぱりうまいや!」

空気がたまらなくなり、姉ちゃんの発言数に反比例して喋る俺。

チャーハンを半分くらい食べたところでようやく姉ちゃんが口を開いた。

「あの、さ」

口調はいたって普通。だが、視線を俺の目に向けない。
いつもは俺が目をそらしても無理やり目を合わせるのに。俺の右耳あたり?を見ながらどうもばつが悪そうに話す。

「今度の、日曜日、映画観に、行かない?」

久しぶりの姉からの誘いだった。


Side綾音

勇気をもって声を絞り出す。
稜相手になに緊張してるんだろう、わたし。
どうせ暇なんだろうし、こんなことで緊張するなんて中学生みたい。
とりあえず、どんな服を着ていこうか、この間買った服でも見せてやるかな。
想像が来週の日曜日にだんだんとフォーカスをあわせる。

「あー、来週の日曜日は、ごめん」

楽しい日曜日は雲散霧消した。
156名無しさん@ピンキー:2007/01/09(火) 23:25:09 ID:R/3oU+jZ
age
157クロユリ第3話 ◆/qHTzufVAQ :2007/01/09(火) 23:25:49 ID:XpRmNhh/
「………あの女…の子?」

自分でも驚くほど低い声。無意識に出た真っ黒い氷のような声。
別に稜が女の子と仲良くしたって自分には関係ないはずなのに。
ただ、稜が女の子と仲良くしてるっていうのがあんまりないから、驚いてるのかもしれない。
今日の昼、駅ビルのスーパーであの女の子と笑顔で話していた稜。
………そう。あの笑顔。小さい頃、稜がよく私と遊んでいたときのもの。
その笑顔をあの女の子に向けてた。それがけで、自分の中でたくさんの感情が渦巻いていく。
あの頃の私は、確かに稜のことを…………
でも、あの頃の私は稜とは添い遂げられないことをなんとなく理解し、その気持ちを封じ込めた。
どうやら、その気持ちが今になって決壊するらしい。
ごめんね、稜。
わたしもう、我慢したくない。
だけど、この気持ちを稜に拒絶されたらどうしよう。
今まで稜には冷たくして来ちゃった。なんてことをしてしまっていたのだろう。
いきなり態度を変えたら、嫌われるかもしれない。そんなのはいや。いや。いや。
少しずつ稜に身も心も近づいていこう。
そうすれば、十数年越しの夢を、叶えられそうだ。
いろいろと準備をするものがある。
悔しいけれど、今回の映画はあの女に譲ることにしよう。
稜にとって優しい姉でいるのも、わたしの喜びになるだろうから。
158名無しさん@ピンキー:2007/01/09(火) 23:25:57 ID:R/3oU+jZ
ロボ氏今日来ないの?
159名無しさん@ピンキー:2007/01/09(火) 23:26:30 ID:R/3oU+jZ
age
160クロユリ第3話 ◆/qHTzufVAQ :2007/01/09(火) 23:26:34 ID:XpRmNhh/
Side稜


「………あの女…の子?」
沈黙。
今まで姉ちゃんと暮らしてきて、初めて聞いた声だ。
暗く重い、地割れの底から響いてくるような声。
受け答え方が悪かったのか?
姉ちゃんの表情には怒りは無い。むしろ、戸惑っているような。
だがその表情も直ぐに無表情に変わり、ボソボソと呟いている。
正直言って、怖い。こんな姉ちゃん初めて見たし、どうして日曜日に映画に行くのを断っただけで、こんな空気になるのだろうか。
女の子と行くから?まさか、チケット消費のためだし、第一姉ちゃんが難色を示すのは違うな。
それとも久しぶりの誘いだったから?あるかもしれない。最近姉ちゃんとは出かけたりしてないからな。
それらの思考は姉ちゃんの言葉で吹き飛ばされた。

「それじゃ、楽しんでおいでね」
そう言う姉ちゃんの顔は、やわらかい微笑みに包まれている。
なんだ、良かった。怒ってなかったんだ。
「誘い断ってごめん。その代わりに今度どこかに遊びにいこうよ」
「うんっ!約束だよ?」
色あせていた姉との日々に、色が戻り始めた。

【第3話 FIN】
161名無しさん@ピンキー:2007/01/09(火) 23:27:10 ID:R/3oU+jZ
人多杉で見れないORZ
162名無しさん@ピンキー:2007/01/09(火) 23:28:03 ID:iad+q4li
>>161
専ブラは?
163クロユリ ◆/qHTzufVAQ :2007/01/09(火) 23:28:17 ID:XpRmNhh/
以上です。
ようやく、スタートラインに立つことができました。
誤字、脱字あったらご指摘いただけると助かります
164名無しさん@ピンキー:2007/01/09(火) 23:35:04 ID:SuYP3rHK
GJ!
優しい姉は大好物だぜ!
165名無しさん@ピンキー:2007/01/09(火) 23:43:46 ID:JFL0iU3p
>>163
GJ!
川名さんサイドも楽しみだ


158
毎日来る訳でもないし、プレッシャーを与えるのは良くない
それに明日がツンデレスレの日だから、忙しいんじゃないだろうか
166名無しさん@ピンキー:2007/01/09(火) 23:45:05 ID:BxlMICCD
>>165
age厨はスルーで
167名無しさん@ピンキー:2007/01/09(火) 23:47:15 ID:lAwUaktp
>>163
GJ!!三点倒立していた甲斐がありました。

優しい姉から嫉妬戦士への覚醒が徐々に進んでいるあたりが新鮮。
このスレのヒロイン達は超高速で覚醒するか、初めから自覚しているタイプが多いけど
綾音はまず倫理崩壊が先で、まだ嫉妬は二速ぐらいに見えます。

展開が気になって寝られねー!
168名無しさん@ピンキー:2007/01/09(火) 23:48:18 ID:C+ieBKI5
つーかそんなに保守しなくてもめったなことない限り落ちないし、落ちるぐらい下がってないし
しかも投下に割り込んでるし
>>163
乙、続きにもうwktkしてる自分がいる
169名無しさん@ピンキー:2007/01/09(火) 23:55:25 ID:6Zh5kmkY
>>165
ツンデレすれどこにあるの?
170名無しさん@ピンキー:2007/01/10(水) 00:05:19 ID:ZYhMC4yU
まず「sage」とルールと礼儀と節度ってやつを覚えてから書き込みをしましょうね
スレッド検索も出来ないのはいくらなんでも低能すぎですよ
171名無しさん@ピンキー:2007/01/10(水) 00:11:52 ID:qPm2tm2r
>>170
お前やさしいなあ
172名無しさん@ピンキー:2007/01/10(水) 00:22:47 ID:HGRg0a4q
>>163 GJ!!
俺もブリッジして待ってて良かった。
173名無しさん@ピンキー:2007/01/10(水) 10:30:17 ID:FdrvVY20
キモ姉は至宝!

「…うちの家族構成?」
「そうだ」
 今や毎日のように申し込まれるマリカとの"果し合い"を終えて。
二人で休憩していると、突然マリカが俺の家族について尋ね始めた。

「…なんでまた急にそんなことを…」
「ほら、わたしはトリスタン家の生まれだから、私の家については城内でも有名だろう?
なのに私はお前の生い立ちについて何ひとつ知らない。…これは不公平ではないか?」
 彼女の言うとおり、トリスタン家はアリマテアでも屈指の名家だ。
同じ騎士の名家であるトレイクネル家と比較されたり、トリスタン家の下世話な噂を耳にする…なんてこともあった。
だけど。そこでどうして俺のことになるんだろう。不公平だというなら、他の同僚たちも同じなのに。

「……………」
「あぁ、いや、駄目なら無理に言う必要はないぞ。興味本位で聞いているのには違いないのだからな」
 黙っている俺の顔を見て、嫌がって言い渋っていると勘違いしたらしく、すまなそうな顔でそう言った。

「別にそういうわけじゃないよ」
 とはいうものの。
正直な話、俺は困っていた。
同僚のみんなには俺がフォルン村の出身だということは伏せてある。
今の戦争の発端となったフォルン村の虐殺事件は、この国の人間なら誰でも知っている周知の事実だ。
男は虫けらのように殺され、女は兵たちの慰みものにされたことも。
そのことで奇異の視線を向けられたり、他の騎士たちに腫れ物のように扱われるのは嫌だったから、生まれについては隠している。

……だけど、まぁ。村のことは隠して家族のことだけを掻い摘んで話せばいいか。
幸い、俺の家族と言っても病死した母だけだ。それほど難しいものでもない。

「母が一人だけ。
俺に兄弟はいなかったし、父親の顔は見たこともないよ」

「……そうか。お前の母君は…騎士になることに反対はしなかったか?」
 真剣な顔で俺に尋ねる。
……恐らくは、マリカはこれが訊きたかったのだろう。今の彼女の瞳はそれをはっきりと物語っている。
今日の試合、彼女の剣にいつものキレがなかったのはそういう事か。


「いや。母さんはもう死んでいたから、反対する家族なんていなかったよ」

―――傭兵旅団の皆も『家族』だとするのなら、猛反対した"妹"が一人だけいたけど。

「あ、済まない。……亡くなられていたのか…」
「何謝ってるんだよ。今時親のいないヤツなんてそう珍しくないだろ?」
 今は戦争中だ。いくら優勢とは言え国内に戦災孤児などいくらでもいる。
だけど良家のお嬢様だったマリカは、それをどう返すべきが解らずに困っていた様子だった。

「…それに母さんが死んだのは戦争じゃなくて病気だよ。
もともと身体の弱い人だったから、肺を病んでそのまま…ね」
 マリカの沈んだ気分を少しでも和らげようと、俺は話を進めた。

「……? では、母の敵討ちのために騎士になったのではないのか?」
 …なるほど。戦災孤児たちがそういう理由で義勇兵に志願することはよくある。
俺はもともと傭兵だったから、マリカは俺もそのうちの一人だと思ったらしい。
事実を言えば、確かに"敵討ち"のために騎士になったのではあるが。
 思案の末、結局嘘にならない程度に、騎士になった動機を話すことにした。

「フォルン村の事件があっただろ?それでヤツらを許せなくてさ。だから騎士になったんだ」
「あぁ、そうか。そういえばあれが原因で騎士を志した者が多くいると何処かで聞いたことがあったな」
 マリカも思うところがあったらしく小さく頷く。
多分マリカは俺が義憤で騎士になったと、そう勘違いしているんだろう。
実際には凝り固まった私怨が動機だけど。マリカにそのことを話す気にはなれなかった。

「一人身だったし、多少の無茶を見咎める人なんていなかったから、傭兵になるのは俺の意志ひとつで決めたよ」

「一人身?では……父君も…亡くなられているのか?」
「さあ…どうだろう?俺が物心ついた頃にはとっくにいなかったからね。
生きているのか、死んでいるのか―――母さんにも詳しく訊かなかったから、父親については何も知らないよ」

 父親のことは本当に殆ど何も知らなかった。
小さい頃、母さんに訊いてみたことはあったが、そのとき酷く悲しそうな顔をされたのを今でも覚えてる。
それ以来俺は意識的に父の話題は避けるようにしていた。
母さんが父のことでいつも寂しそうにしていたのを、子供心に何となく気付いてしまったから。
結局、母さんが死ぬまで訊けずじまいで、俺は父の名前すら知らない。

「…ケノビラック、お前は―――」



「トリスタン。此処にいたのか」

 不意に背後からお呼びが掛かった。
俺たちと同じ訓練部隊に籍を置いている同僚の一人だ。
「わたしに何か?」
 話に水を差されて少しムッとした表情で同僚に振り向いた。


「あー…その、隊長が呼んでる。すぐに来てくれって」


「……わかった。今行く」
 バツが悪そうに頭を掻く同僚から目を離し、
ひとつ大げさにため息を付いてから面倒臭げに立ち上がる。
そのとき、一瞬だけ疲れた表情をしたのが印象的だった。

「すまんが、ケノビラック。わたしはこれで失礼する」
「ん…ああ……」
 やっぱり何か悩みでもあるんだろうか。
短い付き合いだが、彼女のこんなに疲弊した顔色は今まで見たことがなかった。
何となく心配になって、気付けば立ち去る彼女の背中を呼び止めていた。

「マリカ」
「……ん?」

「ごめん。あんまり参考にならなくて……」
 呼び止めたのはいいものの、気の利いた台詞は何も思いつかず。
結局、それだけ口にした。

「…………」
 マリカは一瞬目を見開いたが、やがて。

「ありがとう」
 やはり疲れた笑顔でそう答えて、城内に続く回廊を歩いていった。

「ホントに、どうしたんだろう…?」

 小さくなる彼女の背中を眺めながら呟いてみたが、その答えが見つかるはずもなかった。





「父親―――――ね」
 ぼけっと空を眺めながら、ブーツから小振りの果物ナイフを取り出した。
マリカともう一戦交える予定の時間が空いてしまい、手持ち無沙汰でナイフを玩ぶ。

 ここ一年、色々なことがありすぎて考える暇もなかったけど。
本当に俺は父親について何も知らないんだなぁ、と今更になって感慨深くなってしまった。

 顔も出身も、名前すら知らない俺の父親。母さんが愛した人。
幼いころはあれこれ想像してみたが、俺が持っている父の情報は全くと言っていいほど無い。
俺が父について知っているのはふたつだ。
 先ずひとつ。どうやら母さんは父と死に別れたわけではないらしいこと。
これはあくまで俺の予想だが、当時の母さんの様子を見ていると二人は何らかの事情で離れ離れになったらしい。

 母さんが死んだのは俺が十三のとき。まだ二十七だった。
つまり母さんが俺を産んだのは、まだ十四歳だった計算になる。
父親は同年代の子供か、あるいはとんでもないロリコンだったか。
まあ、どちらにしてもあまり喜ばしい話ではないが。

 病弱だった母が年若くして俺を産んだ経緯は、かなり込み入った事情があったってことは想像に難くない。
まだ赤子だった俺を抱いて殆ど荷物を持たないままフォルン村にやって来たと村長から聞いていたから、
そのときには既に父親とは離れ離れになっていたのだろう。……村長が初めて見た母の姿は酷く痩せ細っていたらしい。

 正直言って俺は父親に対してあまり良い感情を持っていない。
如何なる理由があろうとも、病弱なうえに子持ちの…それも十四歳の母を一人置いて姿を眩ましたのだから。

 そして、もうひとつ。
たとえ俺が父親を嫌っていようがいまいが、親子というのは必ずどこか似てしまうらしい。
確かあれは、俺がまだ十にも満たない頃だったか――――






「……できたっ。ウィル、ちょっと味見してみて」
「…ん。――――美味しい」

 キャスに差し出された小皿から一口舐め、感嘆した。
キャスがうちの台所に立つようになってから彼女の腕はメキメキと上達している。

「えへへ」
「…でも母さんにはまだまだ遠く及ばないけどなっ」
 嬉しそうに微笑むキャスの顔がなんだか照れくさくなって嫌味ったらしくそう返したが、
キャスの表情は崩れることなく、くすくすと笑っていた。

「…なんだよ、気持ち悪いな」
「ウィルがマリアさんを引き合いに出すときは結構いいところまで来てるってことだもん」
「……調子に乗るなっ、この」

「いたっ、いたっ、いたっ。わかった!わかったからやめて〜」
 キャスの頭を両拳で挟んでグリグリ。いつもの俺の制裁の加え方だ。
そのときの俺の顔は、図星を突かれて真っ赤だったに違いない。幼かった頃の俺はこうしてよく照れ隠ししていたものだ。
 一見すると俺とキャスの力関係は俺の方が上のように見えるが、実際はキャスが俺の手綱を握っている。



「あれ…?母さん?」
 キャスとじゃれ付いていたせいで今まで気付かなかった。
ベッドで寝ていたはずの母さんが自室を出て、後ろからこちらの様子を見ていたことに。

 いつからそこに居たのだろう。あまり長時間立たせておくのは体に障る。
見た限り――――今はまだ大丈夫そうだけど。

「あ、マリアさん。もうすぐ夕食できますから」
 キャスも母さんに気付き、弾んだ声で振り返った。……が。



「…………」



「…?母さん?」
 キャスの言葉に何も返さず、黙って俺たちを見据えていた。
もしも母さんの存在を知らない者がこの場に居たとしたら、幽霊と見間違っていたかもしれない。
そう思えるくらい虚ろな表情だった。
……どうしたんだろう。
さすがに幼い俺でもすぐに母さんの様子が少し変だと気付いた。

「…あ、ああ…大丈夫よ。ちょっとぼうっとしちゃっただけだから」
「そ、そう…?」
 苦笑する母さんの返事に煮え切らないものを感じた俺はただ眉根を顰める。
この頃の母さんはどこか様子がおかしかった。ときどきさっきみたいにぼうっとして返事がなかったり。
俺やキャスを少し離れたところから眺めていたり。
 だが、当時の俺はせいぜい首を捻るのが精一杯でそれ以上のことは何も分からなかった。

「キャスちゃん。後は私がするから今日はもう帰った方がいいわ」
 俺が訝しげに見つめる中、母さんがキャスの方ににこやかな笑みを浮かべる。

「え?あ、いえ大丈夫ですよ。後もう少しですから、マリアさんは座って待っててください」
「でももうすぐ日も落ちるわよ。いくら家が近いと言っても夜道は危険だし…」
 確かにもう西日が射し、間もなく周囲は闇に落ちる時間帯だ。
だけど。
夜になってからキャスが家路に着くのは今までにも何度もあった。そういうときは大抵、俺が家まで送り届けている。
 最近じゃあ南東の帝国で『剣帝』が亡くなったとかで、ちょっと治安が荒れ気味だって言うけど。
その国とはひとつ小国を挟んでいるからこっちにはそれほど影響はないし、第一こんなド田舎に悪漢なんて現れようもない。
 なぜ母さんは今更そんなことを心配するのだろう。

「そうですけど、でも…」
「ほら、キャスちゃん。早く帰らないと村長さんも心配するわよ?」
「え?あ、え?マリアさん?」
 キャスの言葉を遮り、彼女の背中を押して急かす。
俺はというと、さっきから繰り広げられている母の奇怪な行動に目を丸くしていた。

「え、と…じゃあウィル。あっ、後はよろしくね?」
 追い出されるように外に出て行くキャスが、最後に振り返り様、俺にそう告げた。
「あ…う、うん…」
 果たして俺の呆けた返事が彼女に届いたのか否か。
それを確認する間もなく母さんはキャスを家に帰してしまった。


「…ふぅ」


 キャスが家路へと着くのを途中まで見届けると、母さんは後ろ手に扉を閉めた。
ひとつ大きなため息を付くのは多分病気のせいじゃないだろう。母さんの顔色からそんな気がした。
だけど、そんな憂いの表情は一瞬で笑顔に変わった。

「さ、ウィリアム。ごはんにしましょーねー♪」
「はいはい。わかったから母さんは大人しく座っててよ。こっちはいつ倒れやしないかって気が気じゃないんだから」
「えー。大丈夫よ。母さん、今日は調子いいもの」
 そう言って肘を曲げて力こぶを作ってみせる母さん。……そこには細い腕しかなかった。
「いーから。後は俺がやっとくから。そこに座ってて、ほら」
 どうせ言っても聞かないので、無理矢理背中を押して椅子の座らせる。

母さんの様子がおかしいのは、さっき言ったぼうっとしていることが多いだけじゃない。
俺と二人でいるとき、いやに明るく振る舞うようになったのだ。
元来そういうところがある人だったが、この時期は違和感を覚えるくらい無理に明るくしていたように思う。
今でもその理由は俺には解りかねるが。

 その日の夕食は特に何の変わりもない、いつもの晩餐だったと記憶している。
それまでと少し違っていたことと言えば、腕を上げたキャスの料理が本当に美味かったことくらいだ。
 問題はその夕食の後。

「…そうだ、母さん」
「んー?」

 俺は空になった容器を、水桶で洗いながら話を切り出した。
洗い物はしたまま。背後からは母さんの声だけが聞こえる。多分、テーブルでお茶でも飲んでいるんだろう。

「さっきは何でキャスを追い出したりしたのさ。あの時間帯ならいつもは一緒に夕食取って行くのに」
「どうしたの、突然。………ははぁん、なるほど。そういうことか」

 何かに気付いて、思わせぶりな口調で言葉を切る母さん。
いつも俺をからかうときの口調だ。それをわかっていた俺は母さんに背中を向けたまま、僅かに身構えた。

「…な、なんだよ」
「ごめんね〜ウィリアム。母さん、気が利かなくて。そりゃあキャスちゃんと一緒にご飯食べたかったわよね〜。
ウィリアムはキャスちゃんが大好きだもんねぇ」
「ばっ…!べっ、別にそんなんじゃないよ!俺はただ…!」

 予想はしていても、ダメだった。からかわれるのが分かっていても、結局俺は冷静でいられなかった。
俺は否定しようと慌てて母さんの方を振り返った。だけど。

「うわっ!!」
 驚きのあまり一歩後ろに飛びのいてしまった。
テーブルに座っていると思ってたのに、母さんは俺のすぐ後ろに立っていたのだ。

「あはははっ。顔真っ赤よ、ウィリアム」
「かかっ、母さんが脅かすからだろっ!」

 激しく動悸する心臓に落ち着け落ち着けと言い聞かせても余計に酷くなるばかりで。そのせいだろう。
それまで、母さんが泣いているのに全く気付かなかった。

「嘘が下手なところは、お父さんに似たのかしらね」
「……え?」

 ハッとして母さんを見上げる。
母さんが自分から父の話をしたのはこのときが初めてだったから。
聞き返すように見上げた母さんの目には、うっすらと光るものが見えた。

「…かあ、さん…?」
 狼狽する俺を他所に、母さんは、そっと俺の頬に両手を添える。
母さんの手は少し冷たかった。

「最近、特に似てきたものね。目元なんかそっくり」
 今、母さんは何を見ているんだろう。
瞳には俺の顔が映っていたけど、母さんは俺よりももっと向こうを見ているような気がした。

「……泣いてるの?」
 心配になって尋ねても、母さんは答えず。俺の背中に手を回して優しく抱きしめる。

「ダメねぇ。母さん、キャスちゃんにウィリアムを取られるんじゃないかって、あの子に意地悪しちゃった。
こんなだから村長さんにも子離れできないなんて言われちゃうのね」

 いよいよ母さんの声が震え出す。

「な、何言ってるんだよ、母さん」
「“また”わたしだけ置いていかれるんじゃないかって思っちゃった。ほんと、バカね」
「……そんなこと、出来るわけないだろ。母さん、ちょっと目を離したらすぐ無茶するんだもん。ほっとけないよ」

 母さんの背中を軽く擦る。
いつもは、ベソを掻いた俺に母さんがしてくれていることだった。
 上手く出来ているだろうか。あまり自信がない。
必死で母さんがしてくれたことを思い出すけど、どんな感じで擦ってくれていたかいまいちよく憶えていなかった。

「うん。うん……。うん――――」

 ああ。やっぱり、上手く出来てないんだな。ちっとも泣き止んでくれない。
幼心に何も出来ない自分を忌々しく思いながら、それでも俺はひたすら母の背中を擦り続けた。


――――結局、母さんが泣いているのを見たのは、これが最初で最後。
母さんは死に間の際さえも、俺の前で涙をみせることはなかった。





「――――はぁ」
 気付けば、持て余していた時間はもうすぐ過ぎようとしていた。

 手の中の果物ナイフの、訳のわからない紋様が彫られた柄を眺める。
 これはキャスの形見でもあるが、元々は母さんのものだった。
母さんが亡くなった際、遺品のひとつとしてキャスに譲ったものだ。
母さんの死後、キャスはよくこれで林檎を剥いてくれてたっけ。

「さて、と」

ひとしきり眺めてから、ナイフをゆっくりブーツの中に戻した。
――――そろそろ戻った方がいい時間だな。
 のっそりと腰を上げて、訓練部隊の宿舎に足を向けた。その拍子に、少し西日が目に染みる。


……今なら分かる。
多分、母さんはずっと待っていたのだ。父が帰ってくるのを。
俺には決して見せることのなかった涙。きっと俺の知らないところでは何度も泣いていたんだろう。

 父が母さんと別れたのは、何らかの事情があったに違いない。それは分かっている。
………だけど、理解していてもなお、俺は思うのだ。

――――どうして、母さんの最期を看取ってやってくれなかったのか、と。
以上です。

遅ればせながら、明けましておめでとう御座います。
たまには「子を取られる母の嫉妬」も悪くないかな、と。
184名無しさん@ピンキー:2007/01/10(水) 15:52:56 ID:p2Idp3dW
新スレになって来たんだが
トライデント氏の次はロボ氏か・・・・・・・・・
たたいてる奴はなんなんだ・・・
185名無しさん@ピンキー:2007/01/10(水) 16:06:13 ID:p2Idp3dW
あっぶねぇえぇぇーーーーーーーーーー
投下に割り込むとこだった。

>>183
GJっす
あせる母かわいい
186名無しさん@ピンキー:2007/01/10(水) 17:14:43 ID:11tAz8p2
ぶらっでぃまりぃキタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━!!!!!!!!
187名無しさん@ピンキー:2007/01/10(水) 17:30:45 ID:Ju6gKT9o
>>183
「あー、マリカに刺されてーなー」
とちょうど考えていたところだったから、運命を感じた。
188名無しさん@ピンキー:2007/01/10(水) 17:48:28 ID:Jdzxbhuh
連邦のまりぃは化け物か!?
189名無しさん@ピンキー:2007/01/10(水) 17:52:54 ID:OLngFANB
>>183
GJ!
何というか心温まる嫉妬?だった
御節の内臓休めとして丁度良かったです(*´д`*)
190トライデント ◆mxSuEoo52c :2007/01/10(水) 18:42:34 ID:3r9tVLCK
では投下致します
191水澄の蒼い空 ◆mxSuEoo52c :2007/01/10(水) 18:45:47 ID:3r9tVLCK

 第14話『鷺森家、突入作戦 前編』

 安息の地、鷺森家に帰ってくると俺は思わず安堵の息を吐いた。
せっかく、治りかけた足を無理矢理動かして戻ってきた頃にはあちこちの筋肉が悲鳴をあげている。
俺は居間で乱れた呼吸を取り戻して、頭が冷静になるまで落ち着くまで待った。

 そこから様々な展開を模索して思考する。
 すでに俺が音羽と一緒に同居生活を送っているのは虹葉姉と紗桜にバレた。
いや、スーパーの中で会う以前から俺と音羽が一緒に暮らしている事をほぼ確信していた。
それくらいに考えなくては駄目だ。俺を捕まえるために準備を万端に用意したと言えるだろう。

 虹葉姉と紗桜が踏み込む前に音羽との同居の証拠を隠滅しておく必要がある。更に音羽の口をどう封じるか。
 姉妹との対抗心からあることないことを言われるかもしれない。
嘘か真実はともかく、油に水を注ぐ行為は俺に全て返ってくるのだ。だったら、どうする?
 方法はなくはないが、音羽が家にいない以上はどうしようもない。
 帰ってきたら、殺すか?


 いや、音羽を殺して殺人者として流浪の旅を送るぐらいならば。
この家を出て、他の家に寄生する方が簡単だ。
別に音羽以外の友人や女の子の家なら充分に代わりはいくらでもある。

 鷺森家の居間でずっと考え込んでいると玄関のドアが開くこと音が聞こえてきた。
先程のスーパーの邂逅で俺が逃げる時間を稼ぐために音羽は姉妹と交戦していた可能性もある。
よって、このドアを開いた主が音羽である保障はない。
ゆえに俺は充分に警戒してこっちにやってくる者の足音に神経を尖らせた。

「つ、月ちゃん。ただいまだよ〜」
 疲れきった表情を浮かべて音羽が足元がふらつきながら居間に入ってきた。
怪我や目立つ外傷はないため、姉妹と交戦していたわけではなくて、俺と同様に逃げるために全速力で走ってきたのだろう。
「はぁはぁ。あの人たち、しつこく私と月ちゃんの関係を聞いていたよ」
「で、なんて答えたんだ?」
「月ちゃんとはすでに結婚を前提に同棲生活を送っているので、
すでに扶養家族でもない方が口を挟む問題じゃないから関わるなって言ってやったよ。
ねぇ。誉めて月ちゃん」
「あほかぁぁぁぁぁっぁぁぁぁーーー!!」
 音羽に向かって頭を思い切りどついた。
「これ、立派なDVだよ。月ちゃん」
「音羽は幼い頃の虹葉姉と紗桜しか知らないからそんなことを言えるんだよ。
今の二人はそんな幼稚園児でもわかる嘘を信じて、俺に近付いた女の子から引き離すんだよ」
「話を聞いている限りではあの女どもを滅ぼしてしまえば、私たちの愛に満ちた同棲生活が始まり、
そして、愛し合った二人は幸せの鐘の鳴る結婚式で永遠の愛を誓うキスをするって解釈していいですか?」
192水澄の蒼い空 ◆mxSuEoo52c :2007/01/10(水) 18:47:48 ID:3r9tVLCK
「遠回しに音羽が危ないって言っているんでしょぉぉぉお!!」
 俺は呆れながらも再び音羽の頭をチョップで数打かました。
 笑いながら言える冗談のレベルはとうに過ぎ去っているのだ。
俺が門限時間に帰らないだけで空鍋をかますような姉妹たちがまともな神経をしているはずないだろうが。
 思い返すと一昨年の学習塾に通っていた時にいた隣の席の女の子と一緒に勉強していただけで
相手の女の子に多数の嫌がらせを行い、病室のベットの上で廃人になった事は記憶に新しい事だ。
 もし、同居している音羽に虹葉姉と紗桜が一体何をやらかすのか想像できない。
 誰かが傷つけられるのはもう嫌だ。
せめて、何の罪もない音羽だけは利用してこの事態を乗り越えることにしよう。
「そうなの?」
「明日には必ず虹葉姉と紗桜がこの家に訪れる。俺をここから奪い返すためにな」
「それはさすがに横暴すぎますよ。愛する二人を引き離すなんて神様が許しません」
「だから、俺はこの家から出ていこうと思うんだ」
「愛する二人は幸せになります」
「出ていこうと思うんだ」
「愛する二人は幸せになりますよ」
「誰も出るはずがないのに糸電話で『もしもし』『もしもし』って言って、お土産のおたべをゴミ箱を捨てる女の子のことをどう思う?」
「愛する二人は幸せにならなきゃいけないんです」
 すでに聞く耳も持たずと音羽は同じ台詞を微妙に変えて応答する。
これ以上同じことを繰り返すのも阿呆らしいので俺はスーパーから音羽の好物であるモノを万引きしていた。
こいつで目を覚ますはずだ。
「音羽。ほらほら、音羽の大好きな油揚げだよ。さっき買ってきた油揚げは油揚げを揚げて数十年の名人が揚げた一級品だよ」
「こんこん!! こんこん!!」
 俺の手から素早く奪い取って油揚げを美味しそうに噛り付いた。
 俺の存在はすでに忘れ去り無我夢中に油揚げに没頭している。逆効果だったかなこりゃ?
 呆れて嘆息を吐いているとタイミングよく電話が鳴り響いた。
193水澄の蒼い空 ◆mxSuEoo52c :2007/01/10(水) 18:49:51 ID:3r9tVLCK
 俺は電話の受話器を面倒臭そうに取った……。
「もしもし、鷺森です」
「月君? 月君だよね?」
「人違いですよ」
「数年以上暮らしている弟の声を聞き間違える程、お姉ちゃんは間抜けじゃあありませんよ」
「で、虹葉姉は何の用で鷺森家に電話をかけてきたんだ」
「決まっているでしょう。溺愛している月君が泥棒猫に監禁されているから、取り戻すために宣告したんだよ」
「そうですかぁ」
 予想通りの行動に俺は思わず力が抜けて受話器を落としそうになるが、虹葉姉は今まで聞いた事がない声で語りかけてくる。
「月君は泥棒猫に洗脳されているから自分が今どういう状態にはっきりと把握できないんだよ。
 だから、私たちが必ず泥棒猫から月君を取り返します」
「でも、俺は水澄家に戻る気はないよ」
 エロ本を発覚されてその事について説教されるぐらいなら、俺は間違いなく死を選ぶ。
 んな恥ずかしい想いをしたら、生きられないっての……。
「どうしてぇ……どうして。月君はお姉ちゃん達の事を嫌いになっちゃったの?」
「嫌い云々の前に俺が何故、家に出るはめになったのかよく考えてみろと言いたいが。
 どうしても、俺を水澄家に引き戻したいなら力ずくでやってみろ」
「ええっ!? いいの?」
 その喜ばしい声は何なんだと問い詰めたいたかったが、虹葉姉と紗桜が俺を取り戻すためにいろいろと準備をしている裏付けは取れた。
「明日の正午。決着を付けよう」
「うん。わかったよ」

 虹葉姉と紗桜の策は読めている。
 月君の策は読めているわ。

 俺が必ず。
 私たちが必ず。


 勝つ!!


「では明日な」
「またね」
 電話の受話器を元に戻すと俺は速攻に音羽の肩を掴んで思い切り揺らした。
 今まで油揚げを食べていたのでどうにか現実に戻ってこないとこちらの策が狂ってしまう。
「こんこんこん。どうしたの月ちゃん」
「お願いがあるんだ。今から用意して欲しいものがある。これがないと全てが狂ってしまうんだ」
「わかった。音羽さんに任せなさい!!」
「実は……」
 用意して欲しいものリストを音羽に紙切れに書いて見せた。
「こ、こ、こ、これ本当に用意するの? 本気なの?」
「ああ。本気の本気だ。俺が負けると強制的に水澄家に戻されるんだ。だったら、やるしかないんだよ!!」
「わ、わかりました。月ちゃんの覚悟は私への愛は見事に受け取りましたから!!」
 そこに愛はないんだけどね。
194トライデント ◆mxSuEoo52c :2007/01/10(水) 18:52:17 ID:3r9tVLCK
ということで次週は兎VS猫と犬の騙しあいになる予定w

雪桜の舞う時に☆埋めネタはもうしばらくお待ちくださいw
書く時間が見つかれば必ず書き上げて投稿しますのでw
195名無しさん@ピンキー:2007/01/10(水) 19:33:19 ID:muPdWv2u
魚おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!
トライデント氏GJ!!!!!!!!
て次の話自習かよ!!まあ、待つか・・・
196名無しさん@ピンキー:2007/01/10(水) 19:33:38 ID:OLngFANB
>>194
GJ!
月が夜神月に見えて仕方ないぜ
となると確実に自滅だな (´・ω・`)
197ノン・トロッポ:2007/01/10(水) 20:04:58 ID:9NDtFm7b
ノン・トロッポ、投下します
198ノン・トロッポ:2007/01/10(水) 20:05:30 ID:9NDtFm7b
あれから数日、進と沙織の冷戦は続いていた。
そのことは、学校中に知れ渡ったのはもちろん、進の両親にまで知られてしまっていた。
毎朝、進を迎えに来ていた沙織がぱったりと顔を見せなくなってしまったのだから当然だった。
特に母親が心配し、進を問い詰めた。
進は、事情をあいまいにぼかして、ただ少しけんかをしたのだと言い訳した。

「どうせ、あんたが何かやったんでしょ?沙織ちゃん、あんなにいい子なのにあんたは」

確かにきっかけを作ったのは自分だと自覚のある進は、母親のその言葉に言い返すことができなかった。

「いい?ちゃんと謝るのよ?あんたなんか沙織ちゃんがいなかったら、どうなってたか」

ただ、その言い草にはむかっときた。
普段、そんなことで激昂するほど情の強い人間ではないが、沙織との関係の拗れがストレスになっていたのかもしれない。

「あのさあ、沙織ちゃん沙織ちゃんって、僕は沙織ちゃんのなんなんだよ。沙織ちゃんだって、僕の保護者ってわけじゃないだろうに、母さんたちにプレッシャーかけられて
かわいそうだと思わないのかよ。母さんって、沙織ちゃんに僕を押し付けようとしているとしか見えないんだよ。はっきりいって汚いよ、そういうの」

母親は、図星をつかれたのか、あるいは及びもつかない悪口を浴びせられたからなのか、一瞬絶句して、それから顔を赤くした。
それ以上やりあう気のなかった進は、母親が何も言い出さないうちに体を翻して、マンションの部屋を出た。
閉じた、ドアの向こうからくぐもった声が聞こえたが、それを無視してエレベーターへと向かった。
追いかけてくる様子はなかった。ありがたいと進は思った。すでに、いやなことをいってしまったと自己嫌悪に陥っていたから。
その上で説教を聞かされれば、それこそ何をいってしまうか、自分でも知れたものではなかった。
進はできるだけ急いでエレベーターに乗込んだ。
進の部屋はマンションの6階にあった。かつて両親は、1階に引っ越そうとしていた。
そしてこのマンションの1階に空きがないことを知ると、今度は別のマンションの1階に引っ越そうともしていた。
それはもちろん、進のためだった。普段はエレベーターが使えるのだから問題はないが、いざというときのために1階の方がいいだろうと考えたのだ。
その計画は、結局両親に負担をかけることを嫌った進によって立ち消えとなってしまったが。
進のためにそれだけのことを考えてくれる両親なのだ。エレベーターに乗ってそのことを思い出して、進はやはり自己嫌悪に陥った。
199ノン・トロッポ:2007/01/10(水) 20:06:03 ID:9NDtFm7b
マンションの敷地の外には、愛美が待っていた。
お互いに、朝の挨拶を交わし、学校へ向けて歩き出す。ここ数日は、これが日課になっていた。
二人の間で、毎朝会話が弾むわけではなかった。それでも、物静かな愛美との登校を、進は気にいっていた。
先ほどのいさかいで乱れた心が、愛美と並んで歩いていると鎮まってくるような気がした。
愛美には、そういう雰囲気があった。
その愛美が、前を見てあっとごく小さな声を上げた。
進が何事かと、若干うつむき加減だった顔を上げると、4、5人の女子生徒が前を歩いているのが見えた。
真ん中にいるのは、見間違いようがない。沙織だった。
進ほど見慣れていない人間でも、それが沙織であることが分かっただろう。
それほど、存在感のある少女だった。
進は知らない背中たちと歩いている沙織の背中を10メートルほど先に見て、なんだか彼女が自分の手の届かないところにいってしまったような感慨を抱いた。
それから、馬鹿なことを考えていると、自分を戒めた。
これを招いたのは、自分で、しかもそれは望んでしたことなのだから、いまさらさびしく思ったりするのは卑しいことだと。
それに、沙織が自分のような人間にとって手の届かない存在であるのは、自然のことであるはずだった。

そんなことを考えていると、突然沙織がこちらを振り向いた。
進はどきりとした。
沙織と一瞬目があうが、彼女はすぐにふいと顔を前に戻してしまった。
その過程で、しっかりと愛美のことを視界に納めつつ。
それから、沙織に習うように他の少女たちもこちらを振り向いた。
沙織とは違って、進とそれから愛美の方をじろじろと見た後で顔を戻し、笑い声を上げた。
そして彼女たちと沙織は、歩くスピードを上げ、その先の角を曲がって見えなくなった。

進は、それを見送りながら、笑い声の理由を考えようとして、止めた。
他人の笑い声を気にするのはとっくの昔に止めていた。
ふと気がつくと、愛美が立ち止まって、顔を伏せていた。

「いこう」
「うん……」

だが、愛美は何か考え込んでいる様子で、動こうとしない。

「ほら」

進は思わず、沙織の肩を叩いていた。沙織はそれでようやく動き出した。
男の自分とは違って、彼女は繊細なのだ、気を使ってやらなければならないと、進は思った。

しばらくの間、そんな風に沙織との間には冷戦を続け、愛美との間には友情(?)をはぐくんでいた。
その間、進は放課後には欠かさず美術室に顔を出していた。そして、進がいくと、そこには必ず翠がいた。

「知ってる、平沢?沙織のう・わ・さ」
「知りませんよ。というか、なんで呼び捨てなんですか」
「いやー、ほら、もうあたしたち長い付き合いじゃない。そろそろ進展があってもいいかなーって」
「まだ、出会って一ヶ月もたってませんけど、まあそれはいいです。で、噂ってなんですか」
「うんうん、やっぱり気になるだろうねえ」

翠は、もみ手をしながら十二分にもったいぶってからいった。

「それがねえ旦那、沙織の奴、とうとう男子テニス部のキャプテンと付き合いだしたって噂なんだなあ、これが」
200ノン・トロッポ:2007/01/10(水) 20:06:39 ID:9NDtFm7b
進は、頭をハンマーで殴られたように感じた。ショックだった。
だが、それと同時に、いまさらそんなことでショックを受けるなんて、馬鹿馬鹿しいとも思った。
沙織をいわば突き放したのは、沙織を自分という呪縛から解放するためでもあった。
そしてそれは成功し、彼女は自分のようなつまらない男ではなく、魅力的な、沙織と並んでも見劣りしないような男を選んだのだ。
進はそのテニス部のキャプテンという男を知っていた。
進とは違ってスポーツ万能であり、進とは違って成績優秀であり、進とは違ってハンサムであり、進とは違って両足とも健在だった。
そして彼が、しばしば沙織にモーションをかけていたのも知っていた。
進は、嫉妬しそうになる自分を堪えようとした。

「へえ、そうなんですか」

できるだけ平静を装っていった。

「あれ、それだけ?」
「ええ、そりゃ少しは驚きましたけど。でも、いいんじゃないですか。お似合いでしょ」
「まあ、そうなんだけどね」
「沙織ちゃんは、どういってるんですか」
「うーん。それがねえ、煮え切らないというかなんというか。どっちともいわないんだなあ、これが」
「じゃあ、付き合ってるんでしょ。そうじゃなかったら、きっぱりそうじゃないっていうでしょ、沙織ちゃんは」
「ま、確かにそういう子だけどねー。でもさ」

翠は進の目を見ていった。

「それでいいわけ?」
「いいって、何がですか。沙織ちゃんは、幼馴染で友達で、その彼女が彼氏を作ったならそれって祝福すべきことでしょ?」

進はそういいながら、内心であまりにわざとらしかったもしれないと後悔した。

「ふーん。だってさ、川名さん」

翠にそう話を振られると、もはや恒例になったように、愛美は顔を赤くして顔を伏せた。
これはもう、部活の時間のお約束のようなものだった。

「それ、止めてくださいよ。何考えてるかだいたい分かりますけど」
「おや、わたしが何を考えているっているのかな」
「いいません。自分の胸に聞いてください」
「いやいや、平沢が聞いてよ、ほらほら」

翠がそういって、自分の胸を進に押し付けてくる。
こうやって、逆セクハラを受けるのも、お約束になっていた。
201ノン・トロッポ:2007/01/10(水) 20:07:12 ID:9NDtFm7b
その日の帰り道、愛美と並んで角を曲がったときに、沙織とそれからテニス部の部長がならんで歩いているのに出くわしてしまったのは、どういう偶然なのだろう。
あまりにできすぎていると、進は思った。
後ろから見ていても、二人が並んでいる様は絵になった。
テニス部部長のハンサム顔が拝めないのは残念だが、そのシルエットだけで、様になっている。
彼は、女子にしては背の高い沙織よりも、さらに頭一つ位背が高かった。180センチ近くあるだろう。
それでもひょろひょろしている印象はなく、肩幅もがっしりしている。進では、どうあがいてもかなう相手ではなかった。

するとまた、沙織が進の方を振り向いた。気配でも感じたのだろうか。
やはり、進と目を合わせ、そして愛美の方に目をやりながら、顔を前へ戻した。
男の方は振り向かなかった。
進はそれに感謝した。もし彼が振り向いて、そして笑いでもしたら、自分がどんな気持ちになるか想像もつかなかった。
そして、それで愛美が傷つくようなことがあれば、あまりに申し訳がなかった。
進は、歩くスピードを落とした。
そして、しだいに二人からの距離を広げながら、進はほぼ無言のまま、愛美と並んで家まで帰った。
202 ◆zIIME6i97I :2007/01/10(水) 20:09:24 ID:9NDtFm7b
以上、ノン・トロッポ第9話でした。

うーむ、進の心理が高校生っぽくないかもしれない。中学生にしとけばよかった。
まあ、沙織に甘やかされ続けた結果こうなったということで。
203名無しさん@ピンキー:2007/01/10(水) 20:18:00 ID:FGCnSBpa
>>202
そうでもないと思うけどなぁ。高校生って充分ガキだし。

何はともあれGJ。
204名無しさん@ピンキー:2007/01/10(水) 20:20:19 ID:9aMCLuTj
超GJです。
個人的には進の心情も高校生として全然不自然じゃないと思います。
多少自虐的だけど逆にしっかりしてるなと思ったりして。
それは自分の高校生の頃がもっと精神年齢が低かっただけかもしれませんがw
205名無しさん@ピンキー:2007/01/10(水) 20:25:21 ID:sgIrL1LS
テラヽ(`Д´)ノGJ

だが脳内で進の顔が平沢御大に固定されてしまってニヤニヤしてしまうのは俺だけかなσ(^_^;)?
206名無しさん@ピンキー:2007/01/10(水) 20:25:28 ID:r4GHzKln
GJ!!
下地がだんだんと見えてきましたね。
すばらしい修羅場の予感がします。


ところで、下記の部分は沙織ではなく愛美ではないでしょうか?

>進は思わず、沙織の肩を叩いていた。沙織はそれでようやく動き出した。
>男の自分とは違って、彼女は繊細なのだ、気を使ってやらなければならないと、進は思った。
207名無しさん@ピンキー:2007/01/10(水) 20:26:23 ID:S6Cdwqb7
>>202
あんたぁ文章に魅力はあるが、書いた後2、3回読み直した方がいい…
208名無しさん@ピンキー:2007/01/10(水) 20:27:57 ID:koZwC1DL
まぁ誤字や人物の名前に間違いは多いが書いた後見直すと自分でも荒が見えて投下する気が萎えることってあると思うが
その点に関してはまぁ作者の方の判断に任せようぜ
209 ◆zIIME6i97I :2007/01/10(水) 20:30:05 ID:9NDtFm7b
>>207
申し訳ない。見直しているつもりなんだけれども・・・。
210名無しさん@ピンキー:2007/01/10(水) 20:31:26 ID:ZYhMC4yU
もういっそお約束だなこの人のこれは
ともあれGJ
211名無しさん@ピンキー:2007/01/10(水) 20:31:41 ID:TVPfpvOo
俺もこのぐらいでも違和感ないなあ
というか逆に、こういった小説や
ラノベエロゲの主人公は、大人の視点で書いてしまって
老成しすぎ、ってのが多いという印象
大人の読み物という建前だし、感情移入にはいいのだろうけど……
212名無しさん@ピンキー:2007/01/10(水) 20:35:00 ID:Ju6gKT9o
>>202
設定は高校生で正解じゃないでしょうか?
中学生だと精神年齢が低すぎて、
逆に進の自立への真剣な葛藤が不自然になると思います。

にしてもノン・トロッポを読むたびに思うんだが、
進はいいヒロイン、もとい主人公だ。
213名無しさん@ピンキー:2007/01/10(水) 20:45:45 ID:ZiahLL6W
>>194
GJ!しかし月から敗北フラグがビンビンに感じるぜ
>誰も出るはずがないのに〜
最高だと思います!
214『閉鎖的修羅場空間』 ◆wGJXSLA5ys :2007/01/10(水) 21:11:44 ID:QaxjzuKi
リビングに戻ると、姫野だけがソファーに座っていた。ただ何をするでもなく、うつむき、首に掛けてあるペンダントを眺めていた。
「これが……私とお兄様を結ぶ唯一の物なんです。」
俺に気付いたのか、呟くように話しかける。そのペンダントとは、姫野のようなお嬢様がつけるには似つかわしくない、安そうなものだった。
「お兄様が、まだ私と一緒に住んでいた頃に、縁日のお祭りで買って来てくれたんです。お兄様が私にプレゼントしてくれたのは、これが最初で最後でした……」
「そんなに尊敬する人、なのか?」
「はい……誰よりも、愛しています……お兄様…助けてっ……」
さすがに我慢の限界がきたのか、そのままうずくまって泣き始める。……目の前で誰かに泣かれるのは苦手なんだよな。
「ふぅ……」
特に声もかけず、キッチンに入る。だいぶ本格的な作りになっており、一通り調理器具も揃っている。部屋の隅にある冷蔵庫を開けると、かなりの材料が入っていた。
「そういや何も食ってなかったな。」
空腹は不安を増す。一応全員分作っておきますか
215『閉鎖的修羅場空間』 ◆wGJXSLA5ys :2007/01/10(水) 21:12:36 ID:QaxjzuKi




しばらくして……
「……丁度いい味だな。」
ようやくホワイトシチューの完成。こういった時は体の暖まるシチューやスープが一番だ。
六人分を器に盛り、とりあえずまだリビングに居るだろう姫野の分だけ手で運ぶ。
「ほらよ、飯だ。これでも食べとけ。」
炊きたての白いご飯と一緒に並べ、美味しそうな湯気を浮かせる。泣いてはいても、目線はしっかりと食べ物を捕らえていた。
「暖まるからな。」
「えと、祐吾……さん、が作ったんですか?」
「ああ。」
「お料理、できるんですか?」
「……一応、料理関係の仕事してるからな。」
「シェフ……とかですか?」
「そんなところだ。」
料理に目がいっているのだが、何故か手をつけない。
「シチュー、嫌いか?」
「い、いえっ!ただ、こんなに作ってもらっちゃってなんだか申し訳なくて……」
くうぅ〜〜
見計らったように、小さくかわいい音がなる。
「〜〜〜〜っ!?」
やはり恥ずかしいのか、慌ててお腹をおさえる。顔は真っ赤だ……
「ほら、遠慮するなよ。俺は他の人にも配ってくるから。」
「はい……いただき、ます。」
216『閉鎖的修羅場空間』 ◆wGJXSLA5ys :2007/01/10(水) 21:13:42 ID:QaxjzuKi
「うわー、シチューじゃあん!すごいすごい!!いただきまーす!」
「あ、ありがとうございます。丁度お腹が空いてたんです。」
「ああ、ありがとう。君が料理をできるなんて以外だな。」
馬瀬、城山、王鞍と、味に関しては良い評判をもらえた。筋トレ、読書、仕事という、それぞれ性格が表れたことをしていた。
さて、と。問題なのは……聖か。あれから放って置いたままだからどうなっているかは分からんが。
まぁ、荒れてるか意気消沈のどっちかだろうな。どっちにしても対応する方としては面倒だ。
コンコン
ノックしても返事はない。女の部屋に勝手に入るのはしのびないが、仕方ない。
「入るぞ。」
ノブを回してみるが、鍵はかかっていない。入ってみると、聖は布団の中で毛布を被っていた。その顔には生気が宿っていなかった。
「ほら、食えよ。元気がでるから。」
「……なによ、笑いに来たの…」
ダメだな。自暴自棄になってやがる。
「……人を笑えるほど偉くはないさ。」
「パパにも捨てられた私に優しくしたって、なんにもないわよ……」
「なぁに、お返しだったらお前にしてもらうさ。」
217『閉鎖的修羅場空間』 ◆wGJXSLA5ys :2007/01/10(水) 21:16:05 ID:QaxjzuKi
「……え?」
「な、なんだ?じっと見て…」
「ううん、パパ目当てじゃなくて私に近付く人なんて初めてだから。変な人ね。」
「お前のパパとやらがどんなに偉い奴かは知らないけどな。ま、自分の娘を捨てて金を取るぐらいだ。人間としては出来てないだろ。お前は悪くないさ。」
「………本当に、変な男。今までにあんたみたいな男、会ったことないわ。なんでお金も貰えないのに、そんな私を構うのよ…」
またムスッとして、毛布を深く被る。
「……俺の大切な人にそっくりでな。なんでか構わずにはいられないんだよ。」
「え?」
きょとんとした聖に、ポケットに入れておいたペンダントを渡す。
「中、見てみろよ。」
「ん……あ、かわいい……この娘…」
「な?可愛いだろ?妻に似ててな。自分でも親バカだと思うけど、本当にかわいいんだよ。」
「妻……あなた、妻子持ちだったの!?」
「ああ、もう妻は亡くなったけどな。その妻が……お前にそっくりなんだよ。」
「そそっ、そう……わ、私に……」
「ああ。いつもは負けず嫌いで、凛々しくて、一人でも強い女だった。けど、俺と二人きりになるとしつこく甘えてな。まるで猫みたいな彼女が好きだった。」
「……私は甘えたりしないわよ。」
声は不機嫌そうだったが、顔は笑っていた。その笑顔に、思わず妻の笑顔を重ねてしまった……
218『閉鎖的修羅場空間』 ◆wGJXSLA5ys :2007/01/10(水) 21:18:12 ID:QaxjzuKi
以上です。他キャラの影が薄い?仕様です
219名無しさん@ピンキー:2007/01/10(水) 21:29:54 ID:rfgS8Uoe
GJっす。
………娘に出てきて欲しいと思ってしまった俺は外道かな?
220名無しさん@ピンキー:2007/01/10(水) 22:08:00 ID:OpTiRUBB
>>205
同意w
ダメだ。進がラッタリヤーホーとか口ずさんでるのかと変な妄想してしまうw
>>219
外道だと思うが、嫉妬心の強い娘ってのも悪くは無いさ
221名無しさん@ピンキー:2007/01/10(水) 22:16:34 ID:sMwXS53S
>>202
テラGJ!!!!!!!!!
マジでこの主人公いいなぁ。先が楽しみだwwwwww



>>218
今回ので聖派になりますた!!!!
222名無しさん@ピンキー:2007/01/11(木) 00:23:52 ID:L7PIMRz/
進は高校生としても十分いいよ。
美しくなっていく幼馴染を失って、少年は1人の男になるのだった…
と普通はなるけどどっこいこのスレではそうはいかんざきなんだよな。楽しみだ。
223名無しさん@ピンキー:2007/01/11(木) 00:26:55 ID:GpzoC2iJ
まぁこのままテニス部にキャプテン?とくっつかれたら普通の話で終わっちゃうからなw
224名無しさん@ピンキー:2007/01/11(木) 00:28:04 ID:+iVxOOc9
>>202
>>199
>進は思わず、沙織の肩を叩いていた。沙織はそれでようやく動き出した。
>男の自分とは違って、彼女は繊細なのだ、気を使ってやらなければならないと、進は思った。
沙織⇒愛美ですか?
225名無しさん@ピンキー:2007/01/11(木) 00:30:10 ID:+jftdVxi
沙織がこれからどう動くのかもう楽しみで楽しみで・・・
作者さんの術中にどっぷりはまっているであろう俺。そんな自分が大好き!
226名無しさん@ピンキー:2007/01/11(木) 01:06:04 ID:OnW9qJ+p
ぶっちゃけ、俺の妹の名前も沙織なんだがw
…もう成人してるけど。
227名無しさん@ピンキー:2007/01/11(木) 01:35:03 ID:wSNTW93B
進なんか嫌いだ
228名無しさん@ピンキー:2007/01/11(木) 03:40:18 ID:auKClvdv
進の一人称な分沙織の腹の中が読めなくて怖いぜ
229名無しさん@ピンキー:2007/01/11(木) 08:18:58 ID:YG9HucMO
>>218
GJ聖の嫉妬が楽しみだな、当面は聖と姫野が争っていくのかな?
230名無しさん@ピンキー:2007/01/11(木) 08:58:49 ID:KErRStjL
俺は進好きだけどな
相手のための行動がむしろ嫉妬を煽るとか最高じゃね
231名無しさん@ピンキー:2007/01/11(木) 11:44:56 ID:Jr23XKes
よかれと思ったやったのにそれが全て裏目にでるというわけか……
まさに、修羅場主人公の鏡だな。
232名無しさん@ピンキー:2007/01/11(木) 18:31:49 ID:KecYnQAX
さて、ここに鉈と鋸と釘がある。
彼女が挑むのは選択肢だ。 誰を選んでナニをどうすべきかは。
決して、彼にだけは知られてはいけないのかな? かな?


                                           けけけけけけけけけ

233名無しさん@ピンキー:2007/01/11(木) 19:12:50 ID:nsQAXxzH
月厨ウザス。
234名無しさん@ピンキー:2007/01/11(木) 19:20:16 ID:gm7y/I3X
日本語がおかしい◆zIIME6i97Iと◆wGJXSLA5ysとロボは
大人しく追放されるべきだと思うんだけどな

大丈夫だ
お前等の居場所は俺が責任持って作ってやる

ヤンデレの小説を書こう!
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1148704799/
こっちに移行するんだよ
235名無しさん@ピンキー:2007/01/11(木) 19:22:35 ID:gm7y/I3X
我ながら素晴らしい提案だよ
どうかね?
236名無しさん@ピンキー:2007/01/11(木) 19:27:54 ID:KErRStjL
そこまでしてかまってほしいんだね(´・ω・`)カワイソ
237名無しさん@ピンキー:2007/01/11(木) 19:35:28 ID:3k9MR0gx
そっちの住人にまで迷惑かけるのはヤメレ
両SSスレに恨みでもあるのか?
238名無しさん@ピンキー:2007/01/11(木) 19:37:53 ID:gm7y/I3X
(゚Д゚)ハァ?
239名無しさん@ピンキー:2007/01/11(木) 19:43:00 ID:wTVLqtLf
自治厨はスルーで
240名無しさん@ピンキー:2007/01/11(木) 19:43:25 ID:Ayh7+6J4
ウザ
死ねばいいのに
241名無しさん@ピンキー:2007/01/11(木) 19:46:09 ID:2M3pjLgA
まて!これはツンデレの罠だ!
二つのスレが職人を取り合うという修羅場を期待するという、単純な罠だ!
242名無しさん@ピンキー:2007/01/11(木) 20:07:51 ID:mRTBI0ES
お前天才だな
243名無しさん@ピンキー:2007/01/11(木) 20:23:23 ID:Zpjs71Gd
まとめサイトに初めて行ったら右下の般若にびびった
244名無しさん@ピンキー:2007/01/11(木) 20:23:46 ID:9Z41w2SQ
>>241平成の孔明現る
245名無しさん@ピンキー:2007/01/11(木) 20:37:17 ID:QaRcL4tg
一応、修羅場スレとヤンデレスレは交流(?)があるから、この場合は姉妹による作者神の取り合いになるわけか。
「姉さんはもう十分満たされているじゃない!作者さんにも七誌さんにも!
いつだってそうよ!私が欲しかったものは、いつの間にか私を通り過ぎて、姉さんの物になるの。
どうしてその内少しでも私に分けてくれないの!貪欲すぎるよ!」

「あなたはもう少し、自分をかんがみたらどうかしら。好かれる努力もしないで被害者面ばかり。
誰だってそう、暗い日影の花よりも、日向にある大輪の花を選ぶに決まってるでしょう。
彼の文字一つ一つが私を形作る。彼だけが私のすべてを蹂躙することができる。
あなたみたいな泣いてるだけの小娘に、彼の何一つくれてやる道理はない!!」
246名無しさん@ピンキー:2007/01/11(木) 20:53:36 ID:SMHzZ2da
ここのss無いと生きていけない体にされたから追放とか困る。
247名無しさん@ピンキー:2007/01/11(木) 20:55:06 ID:YG9HucMO
厨が一人で騒いでいるだけだから安心汁
248名無しさん@ピンキー:2007/01/11(木) 20:55:34 ID:FsIrfivr
釣りだから心配スンナ
249名無しさん@ピンキー:2007/01/11(木) 20:56:52 ID:eBL1xpdn
俺のミャー子は・・・・・・・
250名無しさん@ピンキー:2007/01/11(木) 21:18:39 ID:nsQAXxzH
ヤンデレスレにまた何か湧き出したようだ。
粘着されるお茶会の人も大変だな。
251名無しさん@ピンキー:2007/01/11(木) 21:47:52 ID:TWp30g3n
新ジャンル「嫉妬深すぎる女」
http://ex17.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1168264415/

vipスゲェよ、vip
252名無しさん@ピンキー:2007/01/11(木) 22:21:22 ID:YQZd0guS
つまり>>246はこのスレに監禁・調教されたわけだ。
まあ俺もその一人なのだが。
253名無しさん@ピンキー:2007/01/11(木) 22:32:11 ID:VKphe2J6
俺このssスレから逃げ出したら違うssスレに乗りk
254名無しさん@ピンキー:2007/01/11(木) 22:56:21 ID:6S+zKs6c
そんなこと許さない>>253は、ずぅ〜とここにいればいいの。
255名無しさん@ピンキー:2007/01/11(木) 23:10:41 ID:UmfFjPBl
どーでもいいが前スレ埋めない?
25625スレ:2007/01/11(木) 23:19:00 ID:FsIrfivr
埋めなんて…そんなことさせないもん
七誌くんとわたしはずっと…ずうっといっしょなんだから…
257名無しさん@ピンキー:2007/01/11(木) 23:19:25 ID:uhZH1oJJ
>>255
あはっ、前スレちゃんってまだ生きてたんだ。それじゃあ、ちゃんと埋めてあげないとね?
258名無しさん@ピンキー:2007/01/11(木) 23:20:34 ID:L7PIMRz/
>>256
25スレさん…で、でもね?埋め立てはマナーだからさ…君のことが嫌いってわけじゃなくて、ね?
259トライデント ◆mxSuEoo52c :2007/01/12(金) 00:09:15 ID:4wYz5GP/
では投下致します
260雪桜の舞う時に☆埋めネタ ◆mxSuEoo52c :2007/01/12(金) 00:13:01 ID:4wYz5GP/
 突如、奇妙な悲鳴と聞き慣れた犬言葉を喋る女の子の声で俺こと桧山剛はきぐるみの正体は何となくわかってしまった。
驚くことにこのきぐるみを被っているのは犬言葉を話す雪桜さんということになる。

 そう、俺が今まで一緒に歩いていた人物は……。


 遡る事、数時間前。
 屋上でのいつ思い出しても恥ずかしい雪桜さんの告白から1ヵ月の月日が流れていた。
暑い陽射しを受ける季節は過ぎ去り、新たに学校の新学期を迎える季節へとなっていた。 
俺と雪桜さんの恋人同士になって1ヵ月。
 俺の生活は大きく変化していった。

 雪桜さんが俺の家で夕食を摂るようになり、
ついでに虎が二人の食卓を邪魔するかのように毎晩毎日桧山家の夕食の食卓を荒らすおかげで

我が家の食費は信じられない金額へとなっていた。
一人分の夕食を作る手間はかからないが、5人分の食料を見事に完食する虎の飢えによる被害額(食費)がとてつもなく痛かったりする。

更に雪桜さんが俺が作った夕食のおかずを食べさせたいのか、恋人同士のお約束。

はい、あ〜ん。をやろうとすると虎が見事に妨害して、雪桜さんと喧嘩になるのはもう日常的な光景となっていた。
 正直、邪魔すぎだろ虎よ。


 そんな惰性に身を任せていた日々は今日で終わりを告げた。
 恋人同士の破局は何事もないことから始まったのだ。

 何の予定もない休日の昼頃。
 俺はいつものように雪桜さんや虎の暴食のためにせっせと昼食を作り終えた後の戦士の休息の時間を味わっている時であった。
虎はお腹一杯になった後に自分の部屋で昼寝すると食後すぐに寝ると牛になってしまう事を自ら実行するために家に帰った。

今、桧山家にいるのは愛しい恋人の雪桜さんと家主の俺だけである。
 雪桜さんはせっせと手慣れた様子で今日食べた昼食の食器を洗剤の泡をたっぷり付けて洗っている。
嬉しそうな鼻歌まじりの歌が聞こえてくる。こんな新婚生活を思わせるような事だけで胸の奥が熱くなってしまうのはどうしてだろうか。
俺は自然と頬がにやけていた。

「はい、洗い物終わりですぅ!!」

 流れる水道の音が遮られる。雪桜さんは虎が汚しまくった大量の食器を一人で綺麗に洗い終えたようだ。
家事手伝いを全くしなかった虎とは違って雪桜さんは自ら必死に嘆願して家事の後片付けを志願してくれた。
自分では料理を満足に作れないけど、桧山さんの負担を少しでも減らすために俺を気遣って手伝ってくれる健気さが眩しすぎる。
雪桜さんのアカでもいいから虎に丸ごと飲んで欲しいところだ。

「さてと食後のおやつを……」

 雪桜さんが冷蔵庫の中身を開ける。
 桧山家に夕食を過ごすようになってから、雪桜さんの私物をここに置いている。
 雪桜さんの好物の……。

「私のチョコレートがないですぅぅぅぅぅ!!」

 これまでにない雪桜さんの悲痛な声が台所から響き渡った。
261雪桜の舞う時に☆埋めネタ ◆mxSuEoo52c :2007/01/12(金) 00:16:39 ID:4wYz5GP/
 俺は慌てて台所に駆け付けると雪桜さんは空になったチョコレ−トの包みを名残惜しそうに口に啣えて噛んでいた。
 目を虚ろな瞳にして、無気力状態へとなっていた。
「食後に食べようと思っていたのに。瑠依さんが食い散らかした残骸を
 一生懸命に片付けた後に食べようと楽しみにしていたのに。一体、誰が……」
「悪い。俺が食べたっ!!」 
 正直に告白しよう。
 昨日の深夜辺りまで夜更かししている時に小腹が空いたのでたまたまあった
 ミルクチョコレートがたくさん包んでいる封を切り、朝方まで食べてしまっていた。

 これが雪桜さんの所有物だと気付いたのは全てのチョコを食べ終わった後だが、
 俺は雪桜さんならきっと許してくれるはずだと思い、全然気にすることがなかった。
 だが、これまでに尋常のない嫉妬とは違う黒いオーラーを感じて俺はチキン野郎に喜んで成り下がってやるしかなかった。
 全ての事情を説明し終えると雪桜さんは蔓延なる笑顔は冷笑を浮かべていた。

「ふぅん。桧山さんが私のチョコレートと全て食べちゃったんだ」

 迫力は雪桜さんが俺を監禁しようとした猫耳コスプレ姿に匹敵する程の何かを感じる。
 俺は慌てて必死に謝ろうとしたが、雪桜さんがその言葉を紡ぐように冷たい声で言った。

「少しでも私のために残してくれる気はなかったのかな?」
「うっ……。ごめん」
「私がこのチョコレートを買うために真っ赤な血の雨を降り注ぐ激安スーパーのオウガバトルに参加して犬耳尻尾の三連コンボで
 最後の勝利者になるためにどれだけ頑張ったのかわからないんですかぁ……。
 私、正直恐かったんですよ。
 常連勝利者である冬子さんの笑いながら買物をしてきたお客さん達を吹き飛ばされる光景を見たら、
 もう二度と桧山さんの所に戻ってこれないんじゃないかと……そう思ってしまいました。
 なのに! 命懸けで手に入れたチョコレートを私の分も残さないなんて酷いよ酷すぎますよぉぉ!!」

 雪桜さんの瞳が涙目になっていくのがわかる。余程、恐い目に遭ったようだ。
 その冬子さんらしき人物が雪桜さんにトラウマらしきモノを与えたようだ。
 だが、俺ははっきりと言わなきゃらならない。世の中には更に恐い人物がいると。

「で、でもな。雪桜さん。この桧山家では隣にいる虎一家がいるんだ。
 その冬子さんがどれだけ恐かったかは知らないが、由希子さんの方が数億倍恐ろしいと思うぞ」
「ひ、桧山さん何を言っているんですかぁ……」
 恋人の俺を信じられないような目をして、思わず雪桜さんは驚愕していた。
 それは仕方ない事なんだ。由希子さんの存在を知っているとあれよりも恐い人物は想像すらもできない。
 いくら、その冬子さんでも由希子さんには敵うはずがない。
「冬子さんの方が由希子さんよりも何兆倍も恐いですよ。桧山さんなんて電波を当てられるだけで怯えて泣きだしちゃいますよ。絶対にっっ!!」
「いや、由希子さんが……」
「冬子さんの方が……」
 俺と雪桜さんの論争ってか、くだらない言い争いは30分以上続いた後に……。
 二人の仲は修復できない程に壊れてしまっていた。

「桧山さんなんて……。大嫌いっ!! 大嫌い大嫌い大嫌い大嫌い大嫌い大嫌いっ!!
大嫌い大嫌い大嫌い大嫌い大嫌い大嫌いっーーー!! 今日で別れます!! ありがとうござました!!」

 こうして、1ヵ月という短い期間で俺と雪桜さんの関係は見事に破綻した。
 永遠の愛を誓ったはずの二人はたったの1ヵ月で終わってしまったのだ。

 ただ、俺は思う。

 普通は俺が勝手に食べたチョコレートが発端で雪桜さんの仲が終わるなら納得がいくが。
 あの由希子さんと冬子さんのどっちが怪物かと言い争いして勝負が付かなかったから、
 俺と雪桜さんの仲が破綻するのってどうよ?
 そんな結末……
 死んでも死にきれんわっっ!!

 次回に続くってか
 もう、オチは読めるだろw
262名無しさん@ピンキー:2007/01/12(金) 00:19:33 ID:U0nmwAgk
先生、埋めネタは投下先が……
263トライデント ◆mxSuEoo52c :2007/01/12(金) 00:20:23 ID:4wYz5GP/
ぜぇぜぇはぁはぁ・・
頑張って2時間で書きました。
次は頑張って水澄の蒼い空を書き上げますか・・。

よくよく考えると前スレ24、25は投下していないので
雪桜の舞う時に☆埋めネタをもう一話を追加しないと辻褄が合わないような気もw
どうしよう
264名無しさん@ピンキー:2007/01/12(金) 00:22:26 ID:924GIdja
25スレの呪いか……?
265名無しさん@ピンキー:2007/01/12(金) 01:01:35 ID:PnAhbLuq
25スレの怨念ktkr!!!
でもやっぱりこういうほのぼのとした嫉妬や修羅場は良いな
266名無しさん@ピンキー:2007/01/12(金) 01:19:00 ID:T9ez1xTz
正月ボケかな
267名無しさん@ピンキー:2007/01/12(金) 02:33:28 ID:+UYIy5nB
   r-、「ヽ./!__
  rヽ:::::::::V::::/
  `ヽ:::::ヽ:!::/
     >'" ̄ヽ.
    iニ::゚д゚ :;:i埋め
  =〔~∪ ̄ ̄〕
  = ◎――◎
268名無しさん@ピンキー:2007/01/12(金) 02:43:59 ID:r7u5Gzwt
埋めはえぇぇぇーーーー
269名無しさん@ピンキー:2007/01/12(金) 16:44:19 ID:apEUXyIr
>>263
ついに誰からも相手にしてもらえないトライデントに嘲笑w
お前の日本語がおかしいのはいつものことだから寛大な私はそこにあえて触れはしない

喜ぶべき事は再来週にも2ちゃんねるが停止されることだよw
もう、日本語がおかしい連中の作品を読むことができなくなるってことだねw
2ちゃんねる閉鎖してしまえば、嫉妬SSスレは消えて作品は永遠に未完成のままだ
阿修羅氏も糞みたいな作品をいちいち編集する作業に追われることもない


完璧に嫉妬SSスレは終了

仮に他の投稿できる場所が用意されたとしても
2ちゃんねる内の嫉妬スレではないのだから、ここ以上の賑わいはもうない

ふふふ・・
早く閉鎖しないかな♪
270名無しさん@ピンキー:2007/01/12(金) 16:59:57 ID:6g48xb+9
必死だな
271名無しさん@ピンキー:2007/01/12(金) 17:03:45 ID:rn8o8HZ3
もしかして・・・阿修羅氏の嫁じゃないのか
272名無しさん@ピンキー:2007/01/12(金) 17:11:22 ID:ZoOaB8Uw
>>270
必死云々の前にもう二度と嫉妬スレの神々様達のSSが読めなくなるってことは
俺達にとっては最大の娯楽を失うことになるんだがなw
273名無しさん@ピンキー:2007/01/12(金) 17:15:10 ID:3jcbLTOE
もうほっとこうぜ
俺達は見守ることしかできないんだから
・・・あれ俺かっこよくね?
274名無しさん@ピンキー:2007/01/12(金) 17:15:22 ID:3TCKVwlz
せめて投下ラッシュ起こらないかな。
275名無しさん@ピンキー:2007/01/12(金) 17:18:48 ID:cvjSgXAh
>>263
投下先のミスはあるけど
内容はGJJJJJJJJJJJJJ
オチが読めるけど、トライデントさんの文章で読みたいぜ(*´д`*)
276名無しさん@ピンキー:2007/01/12(金) 17:19:16 ID:6g48xb+9
したらばで仮避難所でも作っとくか
277名無しさん@ピンキー:2007/01/12(金) 17:20:57 ID:cvjSgXAh
>>276
よろ|ω・`)
俺はしたらばだろうが、ネットの端の掲示板だろうが
神の嫉妬SSがある限り着いて行きます (´・ω・`)
278名無しさん@ピンキー:2007/01/12(金) 17:24:00 ID:ZoOaB8Uw
問題は神が投稿先の掲示板とか場所を知らない事に問題があるんだけどww
279名無しさん@ピンキー:2007/01/12(金) 17:25:51 ID:X3K0czZN
ヌルーするつもりだったがあまりに神をけなしているので・・・
あと全裸で神の投稿を待ち望んでいる同士たちにも。

ここは2ちゃんではなく独立した板なので多分大丈夫。
URL見てみ。
280名無しさん@ピンキー:2007/01/12(金) 17:43:37 ID:YRgFg7sz
そういやBBSPINKも閉鎖騒動が起きたな
どうなるかわからないが、まぁ何とかなるでしょ、したらばもあるし
そんなことよりこのスレに監禁されながらおとなしく神SSを待とうぜ
281名無しさん@ピンキー:2007/01/12(金) 18:00:41 ID:3oJlx79O
差し押さえられるのは「2ch.net」であって、「bbspink」じゃないよ。
ここはひろゆきとは全然別のアメリカ人(●売ってる会社の人だったか?)が管理しているのに。
もしここのドメインが差し押さえられるとしたら、それは他人の借金払わされるようなもんだ。
282名無しさん@ピンキー:2007/01/12(金) 18:02:15 ID:tdpmmmRV
>>280
うむ
問題の記事読んで来たがあれは煽ってるだけだろうね
大丈夫だろうw
283名無しさん@ピンキー:2007/01/12(金) 18:02:37 ID:YRgFg7sz
ごめん、勘違いさせたのなら
確かもう半年ぐらい前だけどそういったことがあったなーってこと、今回のことではないよ
284名無しさん@ピンキー:2007/01/12(金) 18:34:39 ID:l6Bl/Fda
気を引き締める意味を込めて、ネクタイを締めなおしてみた。
何も着てないけど。
285名無しさん@ピンキー:2007/01/12(金) 19:03:45 ID:r3UeezRO
>284
靴下ははきなよ。
冷えるよ。
286名無しさん@ピンキー:2007/01/12(金) 19:05:06 ID:PnAhbLuq
>>282
その問題の記事すらZAKZAKだしなw
287名無しさん@ピンキー:2007/01/12(金) 19:07:16 ID:GiO4tNqu
>>284
眼鏡は取るなよ?
288名無しさん@ピンキー:2007/01/12(金) 19:12:02 ID:vt/wAmWD
>>269
お前の幻想は殺されてしまったようですけど?

ドメインの差押え

に着手しようとしている記事を見た。

そもそも、2chドメインの登録者はひろゆき氏ではない。
第三者名義の財産に対する執行というのはとても難しい。できたらビックリである。

私自身は、ひろゆき氏に対しては、
「そんだけ稼いでいるのであれば、発信者情報開示は専門の担当者つけて迅速に対応するべき」と思っている。
あと、債権者がひろゆき氏に強制執行しようがそれはそれで私の関知するところではない。

もっとも、ドメインに対する執行をやるとすれば、どのような手続になるのだろうかがとても疑問になった?
執行というからには、裁判所で競売手続をして、競落人が決定して代金を支払ったら、
ドメイン登録者を書き換える手続をすることになるであろう。

この場合、登録の書き換えはどうやってやるのだろう?
ICANN(Internet Corporation for Assigned Names and Numbers)に対して、
裁判所が決定を送るのであろうか?
それとも.netドメイン管理機関のVeriSign社か2ch.netのレジストラのTucows社に送るのだろうか?
いずれも応じるとは思えないのであるが…。
外国法人に対する執行手続きをするには、それなりの国家間の協定が必要なので、
条約でも無い限り難しいような気がする。

そもそも、ドメインって執行法上も財産として扱ってもらえるのだろうか?
財産として動産なのか不動産なのか債権なのか。
それぞれ、手続が違うのであるが考え出すときりがない。
執行法というのは、ベテランの弁護士の先生には
執行法をろくに知らないという場合もあるくらい、ややこしく使い勝手の悪い法律である。
その使い勝手の悪さは、著作権法の比ではない。

この記事を見て私の第一印象は「そんなんできるやったら、とっくに誰かがやっとるがな」である。
というわけで、しばらく注目である。
http://danblog.cocolog-nifty.com/index/2007/01/post_947a.html
289名無しさん@ピンキー:2007/01/12(金) 19:14:30 ID:6g48xb+9
頭の弱いひとはスルーするか軽くあしらう程度でいいんだよ
マジレスしてあげるなよ喜ぶから
290名無しさん@ピンキー:2007/01/12(金) 19:37:42 ID:KHncoQjo
ZAKZAKなんて東スポみたいなもんだ。
291名無しさん@ピンキー:2007/01/12(金) 20:07:44 ID:D3sm5+3X
まあ、みんな落ち着こうぜ。
関係ないが、久々に保管庫の作品を見たんだが。
未完の作品が多すぎて思わず身もだえしちまった。
Which Do You Love?とか二等辺とか過保護とか……etcetc
292名無しさん@ピンキー:2007/01/12(金) 20:28:37 ID:l6Bl/Fda
>>291
ここを支えているのは神々だから、仕方ないと言えば仕方ないんだろうが…
一つの物語を完結させることの大変さは尋常ではないだろうし。

しかし未完の作品を読むと何とも言えない気持ちになるのもまた事実。
設定がやたら光ってたり、血液が沸騰するんじゃないかってくらい盛り上がってる
作品も非常に多いからな。

というわけで>>291よ、未完作品の作者神に了承をとって
君が続きを書くんだ。(無責任)
我々には全裸で待つことしか出来ないが、>>291ならきっと出来る。(無責任)
293名無しさん@ピンキー:2007/01/12(金) 20:30:52 ID:5vpIMtRz
眠れぬ夜に続きを妄想して、余計に眠れなくなるんよ。
倉庫に無題のまま保存されてる、気の強い彼女の作品、ホントいいとこで止まってんだ…
294名無しさん@ピンキー:2007/01/12(金) 20:37:17 ID:+UYIy5nB
あなたが寝取ってしまえば良いじゃない。
295名無しさん@ピンキー:2007/01/12(金) 21:05:23 ID:X3K0czZN
さおりタンが嫉妬に狂うのはまだか
296名無しさん@ピンキー:2007/01/12(金) 22:00:51 ID:b0UbTk9y
まあ、周りの反応がなくて打ち切りみたいに終わった作品も結構あるからな。
未完が多くてもしょうがない。
297名無しさん@ピンキー:2007/01/12(金) 22:12:18 ID:ARUONsbA
でも、小さな恋の物語みたいにいきなり再登場する例もあるな。
だから付いていくのを止められないわけだが。
298名無しさん@ピンキー:2007/01/12(金) 22:14:34 ID:zr1andmN
再登場大歓迎だ。

凄まじく流れが速い時に
投下SS全てに感想レス出来なかったのは心苦しかったな。
(´;ω;`)
299名無しさん@ピンキー:2007/01/12(金) 22:24:13 ID:l6Bl/Fda
>>298
似たようなのは俺にもあるな。
本当は投下作品全てに感想・応援レスをしたいんだけど、
神が投下しやすい環境を整えるのが第一だし、
「俺がレスしてもスレの浪費にしかならないんじゃないだろうか」
と気が引けてしまう。
かといって>>296が指摘した事態になるのも辛いし…
どうするべきなんだろ。
300名無しさん@ピンキー:2007/01/12(金) 22:31:25 ID:jGmVna2w
各々の判断に任せるしかないんじゃね?
レスしたいと思うならして、それ以上に気が引けるならしないってな風に
空気悪くするレスでもなければそんな迷惑にはならんのではと思うが
301名無しさん@ピンキー:2007/01/12(金) 22:40:15 ID:kmUlxjZ7
「続きまだ〜?」とか「おれがいる」とかじゃなけりゃレスが多くてもいいんじゃない?
レス読むのも楽しみの一つになってる住人は意外に大勢いるかもしれんし。
302名無しさん@ピンキー:2007/01/12(金) 22:42:57 ID:qCWofTUv
たった一日SS投下がないだけで禁断症状がでそうだ・・・・・・・・・・・・・・
303名無しさん@ピンキー:2007/01/12(金) 22:46:25 ID:8AGm07cn
最近投下スピードが遅いよ
304名無しさん@ピンキー:2007/01/12(金) 23:07:34 ID:PnAhbLuq
ついこの前年末年始にかけて投下ラッシュがあったばかりじゃないかw
305名無しさん@ピンキー:2007/01/12(金) 23:09:08 ID:y+0770ZF
作品投下した側としては、悩んで時間をかけて推敲した物語だもの
ひとことでもいいから感想貰えるなら貰いたいし、そしてそれは嬉しいものですよ
306名無しさん@ピンキー:2007/01/12(金) 23:15:09 ID:stqmwpO4
うん、俺もレスもらえるとすごく嬉しい
反面レスが一個もつかなかったときって物凄く凹むorz 
307名無しさん@ピンキー:2007/01/12(金) 23:26:11 ID:l6Bl/Fda
>>305
>>306
読む側としてもその言葉は支えになります。
俺でも作品作りに少しでも貢献できるというのなら、これ程喜ばしいこともありません。
ただ作品を消費するだけ、というのは憚られますから。

そもそも読む側がすべきことは初めから決まっていました。
作品が投下しやすい空気を作る・作者神を応援する・全裸で待つ
この3つをこれからも通していきます。

ところで、眼鏡は着衣には入りませんよね?
308トライデント ◆mxSuEoo52c :2007/01/12(金) 23:28:48 ID:pGDGDhCK
では投下致します
309雪桜の舞う時に☆埋めネタ ◆mxSuEoo52c :2007/01/12(金) 23:31:36 ID:pGDGDhCK


 永遠の愛を誓ったはずの二人がつまらない言い争いで一気にスピード破局を迎えてしまった。
 どこぞの芸能人達のようにすぐに破局するのは現実的にありえないと思っていたが、
 互いの価値観の違いは思っていた以上に厄介な物だと思い知らされた。
 雪桜さんだって悪気があったはずもなかったが、俺は大人げなくムキになって雪桜さんに反論しまった。

 落ち度は当然俺にあるのだ。

 だが、失恋するってことは人間の精神をここまで追い詰めてしまうものなのか。
 俺は居間で何かをする気力をすっかりと失われている。
 テレビを惰性のように垂れ流ししても、内容は全く頭に届いてなかった。
 ただ、考えている事は雪桜さんのことだけ。
 彼女のことを考えるだけで胸が温かくなる。逆に雪桜さんと別れた事実は胸を突き刺さる痛みに襲われ、心がどんどん空虚になってゆく。
 更に思考はだんだんとマイナス思考となってゆくが、俺自身には止める術はなかった。
 そんな風に過ごしていると居間に続くドアが開かれた。
 その中から現われたのは、先程喧嘩別れした雪桜さんである。



「ひ、桧山さん……」
 先程とは違った洋服に着替えて、長い髪を纏めた黄色リボンを外して、髪をストレートにしてイメージチェンジしてきた雪桜さんがそこにいた。
「あ、あのさっきはごめんなさい。わ、私ね。桧山さんが傍にいないと私は本当にダメになってしまうんです。
 だから、お願いです。わ、わ、私のことを嫌いにならないで」
「いや、謝るのは俺の方だよ。俺が由希子さんの方が数億倍恐ろしいってわけのわからない事を言ってしまって。
 冬子さんとか由希子さんとか本当は俺達の間ではどうでもいい事だったのにね」
「冬子さん? 誰ですかそれ?」
「はい?」
 俺は思わず首を傾げてしまった。さっきの喧嘩の原因になっていた人物を見事に忘れる人間がこの世のどこにいるのだろうか。
「え、えっと。そ、そうですね。すみません。おかしなことを言ってしまって」
 と、雪桜さんはえへへと微笑んだ。その笑顔を見るだけで先程の暗雲な気持ちの全てを吹き飛ばして行く。
 俺の好きになった人は俺の心を隅々まで癒してくれる人なのだ。
「ひ、桧山さん。そ、そのね。仲直りしたついでにデートでもしませんか? 一緒に外でイチャイチャしましょうよ」
「いいよ」
「やったにゃあっっっーーー!! 桧山さん大好きです。愛しています」
 喜びを大げさに表現しようとした雪桜さんは俺の胸に飛び込んで来るが、少しだけ俺は違和感を覚えていた。
「にゃあ?」
「にゃにゃですけど……何か?」
「にゃあは卒業したんじゃなかったけ?」
「うにゃ?」

 何のことがわからないよと上目遣いで雪桜さんは俺を見ている。
 その円らな瞳が愛しさを感じたおかげで微妙な違和感の事はもうどうでもよくなった。
 ただ、俺は数時間後にその違和感の正体を知ることなる。
310雪桜の舞う時に☆埋めネタ ◆mxSuEoo52c :2007/01/12(金) 23:34:24 ID:pGDGDhCK

 雪桜さんとのデートは商店街でショッピングして歩き回るといういつもと変わらない事であった。
 ただ、恋人同士なので一緒に手を繋いだり腕を組んだりとイチャイチャしたりするので昔とは全然違う。
 彼女の言動に違和感を覚えるのはどうしてだろうか。
 そう、俺の傍にいる雪桜さんはさっきまで喧嘩した雪桜さんとは違うような気がする。

 その違いは一体何かわからないが、俺は気にすることなくデートを楽しんでいる最中であった。
 犬のきぐるみが突然現われて滑り込みで倒れこんだ。そして、俺はその聞き慣れた声を聞いて驚愕した。

「わんわん。桧山さん助けてぇぇぇぇぇーーー!!」

 犬のきぐるみを派手に大げさに両足と両腕をバタバタと動かして助けを求める。
 もう、俺は奇妙なきぐるみの正体をすでにわかっていた。そして、違和感の正体も。
 単純な話であった。

 デートをしていた雪桜さんは頭を撫でたり腕を組んだりすると必ず語尾ににゃあうにゃあを付ける。
 だが、このきぐるみの雪桜さんは俺が犬耳萌えなんだと告白してから、犬言葉を話すようになった。
 ようするに猫言葉と犬言葉で喋るかの違いであったのだ。


 俺は犬雪桜さんが被っているきぐるみの背中にあるチャックを開けると予想していた通りに
 中から汗をたくさんかいた雪桜さんが出てきた。
 夏を過ぎたとはいえ、このきぐるみ姿で全力疾走するにはまだ季節は充分に暑い。
 俺は犬雪桜さんが脱水症状を起こしてはないかと心配したが、犬雪桜さんが驚いてこっちの方を見ている。

「ど、どういうことなの?」


 それは俺がちゃんと聞きたい。

 今まで現実逃避してその件に触れていなかったが、雪桜さんが二人いる。
 そう、双子がいるっていう話は聞いたこともないので、猫の方も犬の方も正真正銘の雪桜さんである。 
 神様とピッ○ロが善と悪で別れたように、この雪桜さんも犬と猫とかで分離してしまったと
 懸念を覚えるがこれは純粋な嫉妬SSなので、んな展開が起こるはずもない。

「えへへ。ばれてしまいましたか」
 居心地が悪そうに猫雪桜さんは苦笑の表情を浮かべていた。
 犬の方は断然に猫の方を敵視するように見つめていた。

「と、とりあえず。俺ん家で詳しい事情徴収するから。帰ろうぜ」
「そうですね。帰りましょうよ。デートは充分に楽しみましたし」
「わ、私は全然楽しんでませんよ。それに桧山さんにあんまり近付かないでください。桧山さんは私の恋人なんですよわんわん」

 俺の両腕に猫と犬の雪桜さんが連行するかのようにしっかりと抱き付いている。
 二人の女の子から腕を組まれる光景は周囲にいる男性の皆様から嫉妬の視線を向けられるのは健康的によろしくはないが……。

 電柱の後ろで隠れて様子を探っている虎のきぐるみを被っているモノを目撃したが、
 俺は当然のごとく虎の存在をスルーしていた。


 皆様も虎をスルーの方向で
311トライデント ◆mxSuEoo52c :2007/01/12(金) 23:38:53 ID:pGDGDhCK
今回も頑張って2時間ぐらいで書き上げましたw

次回、雪桜の舞う時に☆埋めネタ最終回
スレの容量関係なしに完成できたら即刻に投下する予定
本来の予定ではスレの450KBを超えたら投下する予定でしたが
私の都合で投下できなかった事が多かったので予定を変更w

さてと次は水澄の蒼い空を頑張って書き上げて
次回作の構想をちゃんと形にしましょうw
312名無しさん@ピンキー:2007/01/12(金) 23:40:31 ID:cvjSgXAh
>>311
GJ
次回作があることを知って更に俺は長生きできそうだ|ω・`)b
313名無しさん@ピンキー:2007/01/12(金) 23:45:41 ID:l6Bl/Fda
>>311
GJ!
だが、虎と聞いて虎眼先生が真っ先に浮かんでしまったのは俺だけでいい。

しかし雪桜に水澄の蒼い空と来て、さらには次回作の構想まであるとは…
これは鳥インフルエンザで死に掛けている場合ではない。
314名無しさん@ピンキー:2007/01/12(金) 23:48:28 ID:qCWofTUv
>>311
GJ
これで全てが伝わるはずだ
315名無しさん@ピンキー:2007/01/13(土) 00:48:56 ID:WE51l73a
というか埋めなら今投下の時ではないのではないだろうかという疑問が
316名無しさん@ピンキー:2007/01/13(土) 00:52:36 ID:7W5nmONv
都合で投下できなかった事が多かったので予定を変更って書いてあるじゃないか
317名無しさん@ピンキー:2007/01/13(土) 00:56:33 ID:IKk4YrOR
>>315
まとめサイトでは後日談になっているんだから
どうでもよくねぇ?
318名無しさん@ピンキー:2007/01/13(土) 02:37:18 ID:aAaB2zZP
>>311
GJ!犬よりもぬこ派な俺は猫雪桜さんに惹かれる、そして遂に影薄もといストーカーと化した虎に(ノД`)

>次回作の構想
+   +
  ∧_∧  +
 (0゚・∀・)   ワクワクテカテカ
 (0゚∪ ∪ +
 と__)__) +
319『ヒトゴロシお姉ちゃん』 二話 ◆/wR0eG5/sc :2007/01/13(土) 07:49:05 ID:cscpDGUo
 そして衛治は高校生に。姉の莉子は大学生。
 あんな変態でも勉強が出来るので大学にはいけるらしい。
 夏休みが近い、そんな今頃。
「エーくん、朝だよ、遅刻するよっ」
 弱々しいノック。姉の声。
 父子家庭の小野峰家では、家事はもっぱら莉子の役割だった。
 だから莉子は衛治を起こす。自分は弟の姉、兼母親だ。そう思い込んでいる。
「ぅ、ああっ……くそ、起こされたっ」
 衛治が上半身だけベッドから起こしつつ、忌々しげに呟いた。
 本当は姉より先に起きる予定だったのだが、毎日それが成功しない。姉は異常に早起きだった。
 何故早起きなのだろうか。
「エーくん、エーくん、ねえ起きて、エーくん、エーくんっ」
 がちゃ、がちゃ。
 次第にドアのノブをまわす間隔が狭まる。がちゃがちゃ、がちゃ、がちゃ……っ。
 うるさい黙れ。ちょうど起きるところだったんだよ。内心で暴言を吐きながら重たい体をもちあげる。
 鍵を開ける。ドアを開けると姉がいた。
「ぉ、おはようっ」
「……」
 あれからこの姉はひたすらに卑屈に、常に衛治の機嫌をうかがう態度だった。
 前みたいにわがままは絶対に言わない。
 けれど時々勝手に衛治の出したゴミを物色したり、風呂に入っているとなにか視線や気配を感じたりする。
 やはりきもい。衛治の見解はそれに尽きた。
 口を動かすのも面倒だったのでわざと肩をぶつけてそのまま素通りした。
「ぁ、う……ごめんなさい、ごめんなさい」
 ぺこぺこ頭を下げる気配。
 うざい。頼むから構わないでくれ。
320『ヒトゴロシお姉ちゃん』 二話 ◆/wR0eG5/sc :2007/01/13(土) 07:51:49 ID:cscpDGUo
 毎日莉子は弁当を作ってくれるが、衛治はそれを毎日ことわる。
「お弁当、今日も、いらない……っ?」
「いらない」
 こんな具合に。
「……そう、うん、わかった」
 泣きそうな顔だった。これも毎日見る。もはや見慣れている。
 何故毎日作るのだろう。いらないといわれるのはわかっているくせに。衛治にはわからない。
 わざわざ道まで出て、莉子は衛治の背中に手を振る。見えなくなるまで。
 お前はさっさと大学いけ。
 朝から苛々したので、衛治は校門をくぐると教室ではなく校舎の裏側にむかった。
 木の近く、あいつは今日もそこにしゃがみこんでいる。
「よう」
「……ああ、先輩ですか」
 肩口で切り揃えた髪を微塵も動かさず、その女子は言った。
 名前は上條七恵。一年。
 趣味は指先で蟻を潰すこと。
「……今日も朝から潰してるんだな」
「ええ。強者が弱者を虐げるのは、世の常識」
 みんみん。蝉がうるさい。
 うるさいという共通点で、蝉と莉子は似ているかもしれない。
「あ。蝉発見」
「蝉の羽と頭だけとってみてください。頭の部分だけ高く飛んでいきますから」
「……」
「蝉の裏側はきもいですよね」
 あいかわらず変なやつだった。
 ここはちょうど衛治の席から見下ろせる位置で、とある休みの時間にこいつを発見して、
 いったいなにしてんだと興味を持って近付いたのが彼女としりあったきっかけだった。
「……なんか俺も蟻潰して苛々解消しようと思ってたんだけど、やっぱりやめた」
「苛々の原因は、またあれですかっ?」
 七恵が立ち上がりながら聞いてきた。
 クラスの友人には愚痴れないきも姉の事情を、衛治はこの後輩には説明していた。
 こいつは他言しないという確信があったし、なにより愚痴りたかった。
 もちろん姉に犯された最悪の過去は一言も喋っていないが、まあ、ある程度には。
「今日もあいつよりはやく起きれなくて、あいつに起こされた」
「常々思っていたんですが、それだけでいらつける先輩は天才ですね」
 無表情の白い面が衛治を見上げる。七恵はかなり小さい。
「……」
「英語で言うと、ジーニアス」
 蝉を放してやる。短い生命を謳歌して貰いたかった。
「褒めてるのか、けなしてるのか、どっちだ」
「先輩が私に将棋で勝てたら教えますよ」
 たまにひるやすみ、衛治は七恵と将棋で遊んだりする。
 最初は駒の動かし方すら知らなかった七恵に初戦で圧勝された苦い経験を思い出す。
「いいぞ。やるなら購買のカレー賭けようぜっ!」
「あれ二百円じゃないですか」
「だってお前強いもん」
「……先輩は弱者、私は強者」
 七恵はやたら弱者や強者という単語を多用する。
「では、お昼にまた」
「おう」
「ちなみに、『あっ! 大変地震だぞ駒の配置が乱れる攻撃』は禁止ですから」
「……あれは最低だったよな」
 こうして衛治が前回使用した奥義は禁止された。
321『ヒトゴロシお姉ちゃん』 二話 ◆/wR0eG5/sc :2007/01/13(土) 07:53:56 ID:cscpDGUo
「弱っ」
「……」
 そして昼。
 捨ててあった机と椅子を引っ張り出して対決。
 そっこうで敗北した。
 何分もったかなあ……っ。衛治はぼんやりと思った。
「集中できなかったから負けちゃった、えへっ♪」
「……」
「暑いなあ、それにしても」
 リアクションがとてもほしかったのだが。
 額を拭う仕草をやめると。
「まあ聞いてくれ。集中できなかった理由を説明するから」
「ああ……まあ、確かにそわそわしてましたしね」
 なかなか観察力が鋭くて助かる。
 衛治はポケットからそれを取り出した。
「手紙ですね」
 色はピンクで可愛らしい。いかにも、といった感じ。
「困ります先輩……私みたいな汚い女にはもったいないです」
「いや俺がもらったんだよ今朝机に入ってたのあと別にお前汚くないけどっ」
「冗談です。なに赤面してるんですか、みっともない」
「……」
 なにこいつ。
「こ、ここ、恋文なんてはじめてもらったぞっ」
「ラブレターっていってください。今時の若者のくせに」
「す、すまん。つい興奮した」
 なぜか謝ってしまった。
「今日の放課後、待ち合わせはここだと」
「じゃあ私はひたすら蟻を潰しておきますのでどうぞご自由に」
「……」
「ちなみに冗談ですから」
 衛治には冗談に聞こえなかった。
「それでその物好きはいったいどの惑星の住人ですか」
「宇宙人じゃねえよっ! 同じクラスの委員長だよっ!」
「えっ……人類なんですか」
「なにそのすげえ意外そうな表情っ!?」
 思わず歩の駒を投げつけかけた。
「どうやって先輩がその委員長の好感を獲得したのかが銀河系最大の疑問ですね」
「いちいちでかい規模だなお前はっ! 俺も委員長なんだよっ」
 男女でそれぞれ一名決まってるだろ、と衛治。
「委員長……っ?」
「何故俺を不思議そうにみつめる……」
 ちなみに衛治が立候補したのは、彼女が先に挙手してたから、という下心満載の理由だった。
「いや、俺としてはお近づきに、な程度の下心だったんだけど、ま、まさかこんな急展開になるとは……っ」
「なにおどおどしてるんですか、もしかしたら友人の悪質な悪戯かもしれないのに」
「えっ!? マジでっ!?」
「知りませんよ」
 そ、そうか、その可能性もあったよな。
「それはさておき、ところで……なんかお前機嫌悪くないか」
「……さて、どうでしょうか」
 七恵が駒を片付け始めた。
 ひるやすみもそろそろ終わりだった。
322『ヒトゴロシお姉ちゃん』 二話 ◆/wR0eG5/sc :2007/01/13(土) 07:58:33 ID:cscpDGUo
二話ここまでです。
今時ラブレターはないよなあ……もっと逞しい想像力がほしいです。
323名無しさん@ピンキー:2007/01/13(土) 08:53:57 ID:JvruE7ge
>今時ラブレター

だがそれがGJ

そして一話の印象が強くて
お姉ちゃんに反応して俺の愚息が起きた
324名無しさん@ピンキー:2007/01/13(土) 09:07:23 ID:2IAFbL7N
>>322
激しくGJ!
さりげない嫉妬が垣間見えるのが(*´Д`)ハァハァ
325名無しさん@ピンキー:2007/01/13(土) 09:26:34 ID:om4mrn22
だんだんユーモラスな主人公になってきたなw
それにしてもキモねえは良い・・・・
326名無しさん@ピンキー:2007/01/13(土) 11:29:57 ID:xTB5psBp
アリっ子に萌えた俺はマイノリティGJ
327名無しさん@ピンキー:2007/01/13(土) 11:47:09 ID:TSj9f7jJ
俺もアリ子GJをしておこう。

パッと見クールだが中はぐつぐつ煮えたぎる修羅乙女は良い…
328名無しさん@ピンキー:2007/01/13(土) 11:51:48 ID:wBZMvGTe
なんか周囲にロクな子がいないな、この主人公・・・
え?そりゃもちろんご褒美ですよ?ここを何処だと思っているんですか?
329名無しさん@ピンキー:2007/01/13(土) 12:10:05 ID:rorlK/eb
ならば俺はあえて委員長に期待を懸けよう
330名無しさん@ピンキー:2007/01/13(土) 22:09:48 ID:aAaB2zZP
七恵ことアリ子のクールでちょっと黒い子の嫉妬は大好物なので楽しみだ
331名無しさん@ピンキー:2007/01/13(土) 22:18:02 ID:bUrsds3M
>>330
いくら好物でもクール娘の摂りすぎは体に毒だぞ。
キモ姉、委員長(まだ出てないけど)などをバランス良く摂り、
健康な修羅場ライフを目指そう。
332名無しさん@ピンキー:2007/01/13(土) 22:59:27 ID:pAHpEmfL
投下しますよ
333『甘獄と青』Take19:2007/01/13(土) 23:00:33 ID:pAHpEmfL
 あれから本当に、リサちゃんからの音沙汰が無い。と言ってもまだ三日程だ。一ヶ月も
耐えていたのだから、それに比べたら短いものだ。だがそれは、いつかまた会えるという
前提が有ってのものなので、それが崩れると体感時間もまるで変わってくる。実際、日数
にして十分の一程しか経っていないのに、僕にしてみればもう三ヶ月も経ったような気が
していた。もう二度と会えないという意識は、それだけ大きなものだ。
「サラさんも、居なくなるかな?」
 いつものようにナナミの髪を鋤きながら誰ともなしに問うと、ナナミが首を捻って僕の
目を見つめてきた。人工皮膚が伸びて、包帯の下にあるフレームが僅かに覗く。人間とは
違い機械人形には自然治癒というものが無いので、部品が届くまではいつまでもこのまま
の状態だ。見ているだけで痛々しい気持ちになってくる。
「青様は、どうしてほしいのですか?」
 意識を現実に向けさせられ、続いて考えた。
 結論は一瞬。
「元に、戻りたい」
 図々しい願いかもしれないけれど、そう思った。何度も考えてきたことだ、他の気持ち
などある訳がない。以前のように皆で公園に行き、喉かに過ごして笑いあう。リサちゃん
が居なくなった今でも、それに変わりはない。更に本当のことを言うならば、リサちゃん
も交えた皆で、そうありたいと思った。誰一人として欠けてはならない、何よりも濃密で
芳潤な日々だったからだ。八百年の人生の中でも最高の時間。甘えていると言われようが、
馬鹿だと言われようが、それは誰にも譲ることが出来ないものなのだ。
334『甘獄と青』Take19:2007/01/13(土) 23:02:09 ID:pAHpEmfL
「皆で、もう一度」
 ナナミとも、何度このやりとりをしたことだろうか。
「無理かもしれないわよ」
 突然の声に振り向くと、シャーサが立っていた。顔に張り付いているのは、相変わらず
酷薄な笑み。屋敷に居た頃、僕と恋人同士になる前には常に浮かべていたものだ。全ての
人間を、それが例え肉親でも平気で見下している、そんな冷たい心がそのまま張り付いた
ような表情。僕がシャーサの数ある表情の中で、唯一苦手だったものだ。
 表情も辛いが、だがそれよりも聞き捨てならないものがあった。
「どういうことだ?」
「あのSSSランクからの伝言よ。三日前に頼まれたから、あと四日ね。四日後の十二時に
世界中全ての確率システムを止めるらしいわ。止めてほしければ約束の場所に来て頂戴、
だそうよ。彼女、中々情熱的じゃない。本当に、面白いわ」
 愉快そうに笑って、シャーサは手の中の指輪を弄ぶ。僕が誕生日プレゼントとしてサラ
さんに貰ったものと同じデザインだが、填め込まれている宝石の色が違う。僕のものが血
のように深い赤色で、シャーサが持っているものは空のような澄んだ青色だ。その指輪も
確率システムの制御装置らしい、ぼんやりと正四面体フラクタル回路が透けて見えている。
それを作れるのはサラさんだけの筈だが、何故それをシャーサが持っているのだろうか。
 僕の視線に気が付くと、口元に指輪を当てて肩を震わせる。
「これ? あの人から、蒼にプレゼントだって」
 一拍。
「でもね」
335『甘獄と青』Take19:2007/01/13(土) 23:03:12 ID:pAHpEmfL
 シャーサの指輪が鳴ったと同時、体が動かなくなった。慌ててこちらの指輪も起動させ
だが、固められた服は柔らかくなる様子がない。どちらも同じ回路の筈で、しかも他には
システムが使われていないにも関わらずだ。僕の様子を見て、シャーサは笑みを強くした。
「無駄よ、こっちの指輪の方が強いもの。調べるのに三日もかかったけど」
 三日のタイムラグは、そういうことか。
「話を戻すけど、ただ使いっ走りにされるのも酌だし。それに、ご褒美も欲しいしね」
 最後の、ね、の発音で押し倒された。シャーサは僕に四つ這いで覆い被さると、愉悦に
満ちた表情を浮かべた。長い前髪が頬を撫でるが、擽ったさよりも不快感の方が強い。
「お兄ちゃん、どうしたの?」
「……何か、ゴンって音した」
 ドアを開いてユンちゃんとリーちゃんが入ってくる。
「あら、おチビちゃん。どうしたの?」
 二人はシャーサを見た瞬間に、顔を恐怖の色に染めた。それがまたおかしかったのか、
シャーサは喉を鳴らして笑い声を出す。思い通りに物事が進んでいるときの、彼女の癖だ。
駄目だ、こんな状況だというのに、シャーサを相手にしていると屋敷の事ばかり思い出す。
 せめて二人を巻き込みたくなくて、無理矢理に首だけを起こす。
「二人とも、表で遊んでろ。大丈夫、僕は平気だしすぐに終わる」
 焦りが出ていたのか、それとも気持ちが伝わったのか。後者だと嬉しいが、二人は頷き
部屋から離れていった。そのことに安堵する。今は、それだけが救いだ。
336『甘獄と青』Take19:2007/01/13(土) 23:04:33 ID:pAHpEmfL
「青様から離れて下さい」
 頭上からナナミの声がする。出来るならナナミにも居てほしくなかった、二人に頼めば
良かっただろうか。いや、動けないとはいえ、逆にナナミが居てくれた方が良かったかも
しれない。ぎりぎりのところで引き戻してくれる役が居た方が良い場合もある。
 シャーサはナナミの言葉を気にする様子もなく、唇を重ねてくる。
 直後。
 バネ仕掛けのように、シャーサの体が跳ね上がった。
『こんにちは、蒼。これを聞いてるってことは、私はもう死んでるわね。何かこの台詞、
映画みたいね。それはさておき、私が居ない状況で一人だけ楽しもうとした馬鹿人形には
罰を受けて貰います。ま、当然の報いね。さよなら、もう一人の私』
 そこまで言って、シャーサは崩れ落ちた。瞳にはもはや一筋の光も無く、体も動く気配
が無い。機械人形特有の重さと固さがあるだけで、人であろうとした面影などはどこにも
見当たらない。文字通り、糸の切れた操り人形のようになってしまった。
 軽音。
 視線を向けると、掌から溢れ落ちた指輪が転がっていた。それは僅かに進むと車椅子に
ぶつかって止まり、やがて重力に負けて床に倒れた。鈴を鳴らすようなその音が、やけに
悲しく寂しげに聞こえてくる。生身のシャーサも機械人形のシャーサもこの世から完全に
消えてしまった、その最後の声に聞こえてきたからだ。屋敷の記憶だけではなく、唐突な
終わりが、僕にそう感じさせたのかもしれない。
「青様」
「少し、黙っててくれ」
337『甘獄と青』Take19:2007/01/13(土) 23:05:23 ID:pAHpEmfL
 数秒かけて気持ちを落ち着かせたが、逆に整理出来たことで悲しみが沸いてくる。
 衣服の拘束は消えて、体は自由になっている。僕はシャーサの残骸を抱き締めて、唇を
重ねた。もう動かなくなってしまったのだ、これ以上壊れることはないだろう。だから、
壊れる程に強く抱き締めて、少しずつ消えてゆく体温を感じる。
「ごめん、シャーサ」
 今の僕の立場で言えるような言葉ではないし、謝るのも何か違う気がする。それでも他
に言葉が思い浮かばなくて、ひたすらに謝り続けた。最後まで、何もしてやれなかった。
それが何よりも切ないと思う。確かに忘れようとしていたり、恐怖していたり、先程まで
良い感情を向けてはいなかった。だが実際に消えてしまうと、今度は大きな喪失感が渡来
してきて、どうにもならなくなってしまう。何故、受け入れてやらなかったのか。彼女は
こんなにも、それこそ僕の為だけに八百年以上も費やしてきてくれたのに、その気持ちを
受け止めてやれなかったのか。死んだからこそ産まれる気持ちなのかもしれないが、今は
それから来る後悔の気持ちで一杯になってくる。
「ごめん、本当に」
 言葉が返ってくる筈もない、体温ももう下がっている。
「本当に、好きだった」
 相手にはもう聞こえないと分かっているけれど、もう一度くらいは反応してくれる気が
して、語りかける。シャーサが喜んでくれるような気がして、何度も髪を撫でた。
 何度も何度も、飽きることなく。
338ロボ ◆JypZpjo0ig :2007/01/13(土) 23:06:36 ID:pAHpEmfL
今回はこれで終わりです

お嬢リタイア、そろそろラストに向かって加速です
339名無しさん@ピンキー:2007/01/13(土) 23:12:17 ID:arTkpn+L
>>338
GJ!
いつだって女の子が退場する時は悲しい (´・ω・`)
340名無しさん@ピンキー:2007/01/13(土) 23:14:23 ID:bUrsds3M
>>338
GJ!
しかし、まさかここでシャーサがリタイアとは…
文句なしにイカレまくっていた(もちろん褒め言葉)キャラだけに意外。
341名無しさん@ピンキー:2007/01/13(土) 23:18:05 ID:mf8Qrz8o
>>338
GJ!
なんだかんだで全員と関係を持ってる青に幸あれ。
342名無しさん@ピンキー:2007/01/13(土) 23:27:33 ID:Btry4Enc
>>338
GJ!
即効死んだと思ったら速攻で死んで
生き返ったと思ったら即効死んで……不憫すぎるよシャーサ
343名無しさん@ピンキー:2007/01/13(土) 23:39:27 ID:3eayu/S8
シャーサ自滅願望ありすぎだろ…800年もかけたのに…。
344名無しさん@ピンキー:2007/01/13(土) 23:42:15 ID:rorlK/eb
ならば俺はあえて屋敷生活時代の青とシャーサものを期待しよう
そこにときどきナナミ
345名無しさん@ピンキー:2007/01/14(日) 00:04:04 ID:ACzxRrGY
(´・ω・) カワイソス
ttp://vista.rash.jp/img/vi6869556134.jpg
346名無しさん@ピンキー:2007/01/14(日) 00:04:26 ID:2Emj1EOB
347名無しさん@ピンキー:2007/01/14(日) 00:04:58 ID:Z+2/O3LJ
yuhiたん、もう辛抱たまらんwww
348名無しさん@ピンキー:2007/01/14(日) 00:05:01 ID:W839JzYf
イエーイ(AA略
349名無しさん@ピンキー:2007/01/14(日) 00:05:37 ID:w7RWS84D
ちゃんと更新しようぜ!
350名無しさん@ピンキー:2007/01/14(日) 00:06:00 ID:pis8mpdl
(・∀・)ノ
351名無しさん@ピンキー:2007/01/14(日) 00:06:28 ID:RL0R8ioX
            _,,..r'''""~~`''ー-.、
            ,,.r,:-‐'''"""~~`ヽ、:;:;:\
           r"r          ゝ、:;:ヽ
   r‐-、   ,...,, |;;;;|       ,,.-‐-:、 ヾ;:;ゝ
   :i!  i!  |: : i! ヾ| r'"~~` :;: ::;",,-‐‐-  `r'^!
    !  i!.  |  ;| l|  ''"~~   、      i' |
     i! ヽ |  | |    ,.:'"   、ヽ、   !,ノ
    ゝ  `-!  :| i!  .:;: '~~ー~~'" ゙ヾ : : ::|        yuhiさん見てる?
   r'"~`ヾ、   i! i!   ,,-ェェI二エフフ : : :::ノ~|`T       イェーイ!!
  ,.ゝ、  r'""`ヽ、i! `:、   ー - '" :: : :/ ,/
  !、  `ヽ、ー、   ヽ‐''"`ヾ、.....,,,,_,,,,.-‐'",..-'"
   | \ i:" )     |   ~`'''ー---―''"~
   ヽ `'"     ノ
352名無しさん@ピンキー:2007/01/14(日) 00:08:52 ID:yKjakTa1
>>343
シャーサ(生)がシャーサ(機械)に人格をコピー

シャーサ(機械)がシャーサ(生)の記憶一部デリート

シャーサ(生)が機械人形に自分の人格が入っているのに気付き、
自分でデリートさせた記憶に気付く

我慢ならなくなり、シャーサ(生)がシャーサ(機械)に細工


って感じだと思う
353名無しさん@ピンキー:2007/01/14(日) 00:25:01 ID:FxH0SILl
>>352
ハイレベルないたちごっこだな。
才能が無駄すぎるw
354名無しさん@ピンキー:2007/01/14(日) 00:31:16 ID:NgzKk4q2
>>353
修羅乙女を滅ぼせるのは、自分自身だけってことだろ。
355名無しさん@ピンキー:2007/01/14(日) 00:40:47 ID:EQIL/UBy
>>331

赤…犬系依存娘
黄…電波系猟奇娘
緑…クール系略奪愛娘

これら緑黄色修羅場っ娘をバランスよく取り、お互いを煽って良い修羅場づくりを!!
こうですか、わかりません><
356名無しさん@ピンキー:2007/01/14(日) 00:55:32 ID:E9YSZJS7
>>355
こっちが分からんわww
357名無しさん@ピンキー:2007/01/14(日) 01:25:24 ID:bbfPiId/
http://sea.s201.xrea.com/src/yamada2776.jpg
yuhiさん ウィルス ウィルス!!!
気をつけて!
nyばっかやってるからだよ!
358名無しさん@ピンキー:2007/01/14(日) 01:33:40 ID:4+CdI6Ec
sageで御願いします(*_ _)人
ny云いは関係ないが、とりあえず感染した人が直ることを願おう
359名無しさん@ピンキー:2007/01/14(日) 01:35:33 ID:PnD7Bs1W
山田だよな、対策書いてあるサイトがあるから頑張れとしかいえない
360名無しさん@ピンキー:2007/01/14(日) 01:47:25 ID:8bz6k7Tw
何で山田に感染したとわかるんだ?
361名無しさん@ピンキー:2007/01/14(日) 02:08:37 ID:CJJYyUyJ
ふふっ
アナタの事で私が知らない事なんて何もないんだから
何だって知ってるよ
362赤い瞳と栗色の髪 ◆y5NFvYuES6 :2007/01/14(日) 03:30:57 ID:SCDE0n3h
何だ何だ何だ何だ何だなんだなんだなんだなんだなんだなんなんだ!!!!
あいつがどうして……どうしてここに居る!!
居る理由がない!!大体何で俺の居る場所が………部屋すらもわかったんだ!!
あんな奴俺は知らない!知らない!!知らないんだ!

奥歯が鳴る、膝が震える、窓枠を掴んだ手に汗が滲む。
動けない…今すぐこの場から逃げ出したいのに。
――何故か俺はこの瞳から逃げる事が出来ない…。

どれほどの時間が流れただろうか、30分…1時間…ずっと見詰め合っていたかのように感じる。
恐らく1分にも満たない時間だろうが…。


「――チカちゃん、久しぶりね。」


そう言ってあいつは微笑んだ……ような気がした。
あいつは丁度良い具合に木の近くに立っている。月明かりすら射さない木の陰に…。
だから表情がよく見えない。俺に分かるのはあいつがそこにいる、それだけだった。

俺が恐怖で黙っていると、あいつは構わず喋りだした。


「ふふ、大きくなったんだね。あの頃と全然違う…。顔も体も…成長したんだね…。」

「でもチカちゃんはやっぱりチカちゃん。私のチカちゃん……。」

「やっと会えた…。10年、ずっと待ってたよ。」

「チカちゃんは戻ってきてくれた。私との約束破ったわけじゃなかったんだね。」
363赤い瞳と栗色の髪 ◆y5NFvYuES6 :2007/01/14(日) 03:31:52 ID:SCDE0n3h

――約束?

あいつと俺は何か約束をしたのか?
………覚えていない……。記憶がないのだから当たり前なのだが…。

「もう約束は破っちゃだめだよ。また破ったら……許さないから、ね?」

その言葉よりも瞳の方が恐ろしかった。
暗く冷たい瞳。何か解らないその約束とやらを破ったら、俺はどうなってしまうのだろう。
赤い瞳を見ていると恐ろしい想像しか思いつかない。

「今すぐチカちゃんの所に行って全て私の物にしたいけど…、でも今日はこれまで。」

「楽しみは長く続けた方がいいものね。」

「じゃあね、チカちゃん。明日も来るから……、待っててね。」

そう言い残し、あいつは踵を返し去っていった。
『明日も来る』
確かにそう言った。

「明日も来る…?あいつは明日もここに来るって事か!?」
絶望的な考えしか浮かばない。
あいつと毎晩対面して、正気を保てるのかどうか自信が無かった。
あの瞳を見るだけで心が乱れ、体が震える。居なくなった今も俺は動けないでいる…。

――その晩は眠る事が出来なかった。

364赤い瞳と栗色の髪 ◆y5NFvYuES6 :2007/01/14(日) 03:32:35 ID:SCDE0n3h
携帯の目覚ましが鳴る。7時、俺がセットした時間ピッタリだ。
あれから俺は布団に戻る事が出来ても寝付くことが出来なかった。お陰で寝不足だ。
…色々考えた。あいつが何故俺に執着するのか、何故俺の記憶が消えてたのか、何故この部屋…この家が解ったのか。
だがいくら考えても、記憶を辿ろうとしても何1つ解らない…。
朝日が眩しい…。窓から太陽の光が差し込んでくる。
と、階段をぱたぱた上る音が聴こえてきた。

「おっはよー!ちかくん起きてるかな?」
おばさんが勢いよく襖を開けた。
朝から元気だな…この人は。
「あれぇ?起きてたの? せーっかく綺麗なお姉さんが青少年の目覚めを助けてあげようと思ったのになぁ〜。」
自分で言うかな……。まあ間違ってはいないのだけど。
「なーんか酷い顔してるわねぇ……寝不足?」
「え……そんなに酷い顔してますか?」
「うん、してるしてる。具合悪いなら今日はずっと寝てる?」
一晩ずっとあいつの事を考えていたんだ、当然といえば当然なのだろう。
心配そうに顔を覗き込むおばさん…。きっと俺を心から心配してくれているのだろう、なんだか申し訳ない気持ちになってきた。
「大丈夫だよ、昨日色々あって少し疲れただけだから。」
そう言って笑いかける。上手く笑えている自身は無いが。
「そう…?まあちかくんがそう言うならおばさん何も言わないけどさ。」

――ドンドン

突然ドアを叩く音が聴こえた。
「ん?お客さんかな?」
おばさんはそのまま下へと降りていった。
「…俺も行くか…。腹も減ってきたし。」
このままここに居ても余計な事を考えるだけだ。少しでも気分を変えないと本当にもたなくなってしまう。
365赤い瞳と栗色の髪 ◆y5NFvYuES6 :2007/01/14(日) 03:34:08 ID:SCDE0n3h
1階に降り、居間へとやってきた俺はさっきの客の正体が解った。
「あっ、ちーちゃんおはよぉ〜。」
にこにこ微笑ながら若菜が手を振っている。
「若菜?朝早くからどうしたんだ?」
「あのね、朝ご飯を少し作り過ぎちゃったの…。だから持ってきたんだ。食べてくれる…かな?」
ああ成る程…。道理で1つタッパーに入ったおかずがあると思った。
「ん、ああ…。せっかく持ってきてくれたんだし、頂くよ。わざわざありがとな。」
「えへへ……。」
若菜の隣に座り、3人で朝食をとった。若菜は終始俺の顔をにこにこ見ていた気がするのだが…、俺はそんなに酷い顔でもしていたのだろうか。

「ねえちーちゃん、この後ちょっと付き合ってくれないかな?」
朝食も済ませ、まったりとした空気に浸っていると若菜がそう切り出してきた。
「付き合ってくれって、どこか行くのか?」
「うん! せっかくこの村に来たんだから、案内してあげたいなって思ったんだけど…迷惑かなぁ?」
「いや、別にそんな事ないけど…。」
「じゃあ行こっ!」
腕を引っ張り、有無を言わさない笑顔。逆らう理由も無く、俺は外へと連れ出された。

「今日も良い天気だねぇ〜。」
「ああ、こういうのを昼寝日和って言うんだろうなぁ…。」
「もぅ!まだお昼にもなってないんだよ!昼寝なんてだーめ!」
そうは言っても俺は一睡もしてないんだ。思いっきり眠い…。
自然とあくびが出る。それを見た若菜が口を尖らせ文句を言う。さっきからその繰り返しだ。
「それになぁ、案内するって言ったけどさっきから田んぼしかないのは気のせいなのか?」
「う…。 た、田んぼだって良いじゃない!のどかな田舎ーって感じがして癒されるでしょ!」
「全然。」
「ふぇ……。」
最初は見慣れなれない自然や空気にほのぼのしたものだが、こう同じ風景ばかりではさすがに飽きてくる。
人に会う事すらも滅多に無い。こいつはどこを案内するつもりだったのか、考えれば考えるほどわからん。
「むぅーーーーー。じゃあじゃあどこか違う場所を案内するよぉ…。」
「そうしてくれ。あまり退屈過ぎると寝るぞ。歩きながら。」
「えええーーー!?そ、それはだめぇ…。」
「なら面白い所に案内してくれ。」
「う……うん!任せて!」
拳をぐっと握り締め、よくわからない気合を入れている。
正直あまり頼りにはならなさそうな気がする。
366赤い瞳と栗色の髪 ◆y5NFvYuES6 :2007/01/14(日) 03:34:44 ID:SCDE0n3h
しばらく歩くと昨日見た光景が広がってくる。
「…おい、どこに行くんだ?」
「えへっ、内緒〜♪」
だがこの道は……。
昨日巫女さんに不審人物の烙印を押されてしまったあの神社へ向かう道ではないか。
……さすがにまた顔を合わせるのは気まずい…。どうかあの子はいませんように……。
俺は祈るような想いで若菜の後についていった。

――風に舞う漆黒の髪、意志の強い瞳をこちらに向け、昨日とは違い驚いた表情をしている。
「若菜……、どうしたの急に? それにこの人……。」
そう言い、巫女姿の少女は俺を不審な目で指差した。
はぁ、祈りは虚しく神に届かなかったという事か…。
「えっとね、この人は七原ちか君。私の大事な…友達だよ。」
今大事な、という部分を強調していたような気がするのは気のせいだろうか。
「こっちのかわいー巫女さんは、私の友達の『錨 輪』ちゃんって言うの。」
「あ…どうも…七原です。昨日はその……すみませんでした。」
「錨です。私こそ…若菜の友達とは知らずに…、こちらこそごめんなさい。」
どうやら俺に対する警戒は解いてくれたようだ。とりあえず若菜には感謝だ。
「ふぇ?もしかして2人とも知り合いなのぉ?」
俺達を見て若菜が不思議そうに尋ねる。
「ああ、昨日ちょっとな。 ここでおばさんの家までの道を教えてもらったんだ。」
まああの事は別に言わなくても良いだろう。
「そっか、ありがとね。私からもお礼を言わせて。」
「別に、私は当然の事をしただけなんだし。」
少し照れた様子で巫女姿の少女は視線を外す。
「…良かったらあがっていく?丁度お昼にしようと思ってた所だから…。」
「わっ、ホントに!?食べる食べるー!色々歩き回ったからお腹空いちゃったぁ。」
色々と言っても、殆ど何も無い場所を歩いていただけだが。
「ちーちゃん、いいよね?」
「ああ、俺も腹減ってたしな。誰かさんが何も無い所に案内するから余計に疲れたし。」
「うぅ…ごめんなさい…。」
涙ぐみ、申し訳なさそうに謝る若菜。予想通りの反応に苦笑し。
「まあいいさ、それよりあの子もう家の中に入っちゃったぞ。」
「えっ!?」
きょきょろ辺りを見回し、あの子が居ない事を確認するとまたしょんぼりした顔でがっくり俯いて。
「ほら、さっさと行くぞ。」
浮き沈みの激しい若菜が可愛らしくて頭をぽんぽんと撫でる。
案の定若菜は顔を赤く染め、恥ずかしそうだが嬉しそうに俯く。
「あぅぅ…なんか子供みたいだよぉ…。」
「だって子供だろ?」
「ひどぉい、私子供じゃないもん…!」
子供っぽい事を気にしているのだろうか。不満そうにこちらを見つめてくる。
そういう所が既に子供っぽいんだけどな。
思った事を口に出してしまいそうになるがぐっと抑え、言い出しかけた言葉を誤魔化すように目の前の家へと歩き出す。
若菜が慌ててその後をついていく。
367赤い瞳と栗色の髪 ◆y5NFvYuES6 :2007/01/14(日) 03:36:22 ID:SCDE0n3h
「いただきます。」
「いただきまーす!」
「…どうぞ。」
やっぱり夏は冷たいものが美味いな……用意された素麺を食べながら思う。
「おいしーなぁ、やっぱり夏は素麺だよねっ。」
にこにこ顔で美味しそうに食べている若菜を見ているといつも以上に美味しく感じてしまうから不思議だ。
「喜んでもらえて良かったわ。」
あまり感情を表に出してはいないが、満足そうな声色で呟く。
この2人は本当に仲の良い友人なんだろうな。性格は正反対だけど、見ていると仲の良さが感じられる。

「ご馳走様でした。」
「ご馳走様ー。ありがと輪ちゃん。」
うん、お腹いっぱいだ。錨には感謝しないとな。
「どういたしまして。」
そう呟き、台所へと消える。
水の音が聴こえる。洗い物をしているのだろうな。
「なぁ、あの子とは仲が良いのか?」
「うん!まあね!」
「学校が同じだったとか…か?」
「えっとね、小学校…中学が一緒だったんだ。高校は違うけどね。 輪ちゃんって頭良いから一緒の所には入れなかったの。」
「なるほど…確かに若菜はあんま頭良さそうには見えないな。」
「ひどぉい!私だってそこそこ出来るんだからぁ!」
「はは、悪かった悪かった、すぐ怒るなよ。」
やっぱりこいつはからかうと面白いな。
「むー。」
「でも良いよな、すぐ近くに仲の良い友達がいて。」
「うんうん、すぐ遊びに行けるしね!」
「おい、あんまり邪魔はするんじゃないぞ? 巫女さんやってるみたいなんだし。」
「わかってるよぉー。」
「ホントかなぁ……。」
「ホントだもん!」
予想通りむーっと膨れた若菜だったが、いきなり眠そうにあくびをし出し。
「…ん……あれ…? なんか眠い……。」
テーブルに寄りかかり、今にも寝そうな若菜の肩に手を置くが。
「おい若菜、こんな所で寝たら…………あ、あれ……?」
突然、俺にも眠気が襲ってきた。
いくら昨日寝なかったからとはいえ、こんないきなり眠くなる事などあるのだろうか。
「何なんだ…突然…。」
あまりにも不自然な眠気に不審を感じるが、既に思考、体を支配した眠気には勝てず。
俺は若菜と同じく、テーブルに寄りかかりながら眠りに落ちるしかなかった。


――俺は知らなかった。
眠りに入る俺達を錨がずっと見ていたという事実を…。
そして…瞳が赤く染まり、獲物が罠にかかった事を喜ぶかのような笑みを浮かべていた事も…。
368 ◆y5NFvYuES6 :2007/01/14(日) 03:39:22 ID:SCDE0n3h
三話終了です。
次の話はそれほど間を置かずに投下する予定になっております。
369名無しさん@ピンキー:2007/01/14(日) 03:53:49 ID:zxCXSBE8
>>368
待ってたよ、寝ずに待ってた。
明日も明後日も明々後日も、待ってるから。・・・・・寝ずに
370名無しさん@ピンキー:2007/01/14(日) 04:34:04 ID:6eEZ7Hap
なにぃ!?眠り薬なのか!?
でもGJ
371名無しさん@ピンキー:2007/01/14(日) 07:04:22 ID:W/HK+nm2
>>368
眠ってしまったな。
これから何をされるんだ……?
wktkが止まらない!
372名無しさん@ピンキー:2007/01/14(日) 08:35:21 ID:HvR1BfIB
>>369
寝ないのは体に良くないぞ
と全裸待機を実行中の俺が言ってみる
373名無しさん@ピンキー:2007/01/14(日) 08:42:54 ID:YGpjBCp1
>>372
寒いから暖めてあげるよ
374名無しさん@ピンキー:2007/01/14(日) 09:53:13 ID:Llb5tUWF
この火炎ビンでな
375名無しさん@ピンキー:2007/01/14(日) 10:01:58 ID:EBGgBbz9
これは巫女さんに一服盛られたのか!?GJ!
>>338
お嬢八百年も費やしたのにこんな形での退場かよ、切な過ぎるぜ……
376名無しさん@ピンキー:2007/01/14(日) 10:02:59 ID:NgzKk4q2
>>373
ちょうどホッカイロを持っていたんだが、
全裸でこれを使うと低温火傷の危険性があるのを忘れていた。
すまん、力になれなくて。
377名無しさん@ピンキー:2007/01/14(日) 10:07:15 ID:usI2evSY
>>374
まさに外(ry
378名無しさん@ピンキー:2007/01/14(日) 10:24:43 ID:d56F+7qa
>>376
もう…うっかりやさんなんだからっ
379名無しさん@ピンキー:2007/01/14(日) 10:49:30 ID:0F8x+jI1
         
   _、_  グッジョブ 
 ( ,_ノ` )     n   
 ̄     \    ( E)    
フ     /ヽ ヽ_// 
380『Which Do You Love?』 ◆AsuynEsIqA :2007/01/14(日) 12:36:19 ID:g0wNDpa7
「そう、あれは彼の中学卒業の時かしらね………」








あの日は私の姉の卒業式でもあった。姉の晴れ姿に感動を覚え、心がいっぱいのまま家に帰ったのだが……そこで待っていたのは警察だった。
「〇〇署の者ですが……桐原彼方さん、ですね?」
パパの名前だった。今までこんな警察とは無縁な生活だったため、やけに緊張する。
でも、パパが犯罪を犯すわけがない。今まで仕事だけでなく家庭も大切にしてくれたパパが。
「……二人とも、部屋に戻ってなさい。」
でもパパは暗い顔をして、私たち二人を促す。聞かれたくない話に心当たりがあるのだろうか………
「お父様?」
姉さんも心配そうな顔をする。姉さんはどちらかといえばパパに懐いている。。私はママのほうが好きだった。だからパパになにかあったら、姉さんは傷ついてしまう。
普段から姉さんは、世間の汚れた事を避けるように育てられてきた。桐原家の長女として、綺麗でいるために。
その反面、私は汚いものをみて育った。金や名声のためになんでもする人達……世間体を気にするだけの人達……そんなのはもう見飽きてきた。
381『Which Do You Love?』 ◆AsuynEsIqA :2007/01/14(日) 12:37:21 ID:g0wNDpa7
だから私は、パパになにかあっても驚かないだろうという自信があった。たとえ家族思いで優しいパパでも、なにか裏があるんじゃないかと疑って生きていたからだ。
……実の父を疑う私も、汚い人間に入るのかもしれない。だから、姉さんだけには綺麗でいてほしかった。
「姉さん、部屋に戻りましょう。パパならきっと大丈夫よ。」
そう言って姉さんと部屋に戻り、姉さんがドアをしめてから私も部屋に入る。
「はぁ……」
たとえパパでも、警察と話をしているとなると心配だ。それにママも一緒にいるのも気になる。本当に何もなければいいのだが……
「……うん。」
ダメだ、気になる。ウジウジするぐらいなら行動。私は姉さんにバレないようにそっと部屋を出て、パパたちがいる応接室に向かった。
近付いてみると、ドアが少し開いていた。盗み聞きするようで悪いが、私は気付かれないようにそっと聞き耳を立てる。
パパとママ、それに刑事さんは二人いるのだろうか。四人の声が聞こえる。
「……桐原彼方さん、この人物に見覚えはありませんか?」
そう言って刑事さんがなにか写真を取り出す。
382『Which Do You Love?』 ◆AsuynEsIqA :2007/01/14(日) 12:38:32 ID:g0wNDpa7
ここからだとよく見えないが、人の顔をしている。パパの知り合いだろうか。ちらとパパの顔を見てみると、明らかに顔色が変わっていた。
ここまで焦ったパパは初めてかもしれない。そんなにまずい人物なのだろうか。
「失礼ながら、調べさせてもらいました。この方の旦那さんが協力的でしてね。」
旦那?ということは女性?
「あの、旦那がその方となんの関係があるのでしょう?」
痺れを切らしたのか、ママが聞き出す。二人の刑事は互いに目を合わせ、頷いたかと思うと……
「……単刀直入に聞きます。彼方さん、あなた、この女性と不倫関係にありましたね?」
ああ、それとなく予想は出来ていたけど、まさか本当にそだとは。内心かなりショックを受けていた。
「……あなた、どういうこと?」
真っ先にママが聞く。全身がワナワナと震え、眼球が開いている。パパも顔が真っ青になり、髪をくしゃくしゃと掻きむしる。
「………」
刑事達が溜め息をつく。動揺しているのをみれば、確証が取れたからだろう。
「この女性………高嶋京子さん。……残念、というんですかね。先日亡くなれました。」
これが運命の崩壊だった。
383『Which Do You Love?』 ◆AsuynEsIqA :2007/01/14(日) 12:40:18 ID:g0wNDpa7
修羅場スレ住人よ
私 は 帰 っ て き た !
目茶苦茶遅くなってスマソorz
384名無しさん@ピンキー:2007/01/14(日) 12:53:12 ID:EBGgBbz9
おかえり!Which Do You Love?の続きが読めるなんてこんなに嬉しいことはない。゚(゚´Д`゚)゜。ウァァァン
そしてこういう時に神まとめサイトがあると便利だと改めて実感した
385名無しさん@ピンキー:2007/01/14(日) 13:05:41 ID:NgzKk4q2
ス、スゲェ! 
>>291を筆頭とした俺たちの思いが本物の『Which Do You Love?』を
修羅場地獄から呼び覚ましたんだ…
386名無しさん@ピンキー:2007/01/14(日) 13:17:16 ID:DtClHoOp
4ヶ月ぶりくらいか?
待ちくたびれてたぜ
387291:2007/01/14(日) 13:23:59 ID:vK2NuQfQ
帰ってきた! 修羅場の神が帰ってキターーー!!
俺のss書いてる身だから思うけど、一つの作品を完結させるモチベーション
保つのって大変なのにそれでも投下してくれた貴方に心からのGJ!を送りたい。
388名無しさん@ピンキー:2007/01/14(日) 14:34:20 ID:dbKNUD9J
今年もいい年になりそうだ。
389名無しさん@ピンキー:2007/01/14(日) 15:00:26 ID:8jZ0x6d2
            ,.-─- 、
        ∧_,,∧\●/
   /\  (`・ω・´)∩‐
   | ● ⊂     /
   ヽ/ r‐'   /
      `""ヽ_ノ GJ!!
390名無しさん@ピンキー:2007/01/14(日) 15:18:54 ID:TvypDdCf
>>383
キタキタキターーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!
今まで最も謎が残ってたssだからメッチャ嬉しいぜ!!
391名無しさん@ピンキー:2007/01/14(日) 15:24:56 ID:izRAVY74
約半年ぶりですが文の旨さは変わらずですね。完結を期待してます
392名無しさん@ピンキー:2007/01/14(日) 16:06:57 ID:/2uLdfTs
オレもSS書いてみたいと思ってるけど、時間と文才がないせいで書けないorz
物語のタイトルとキャラクター設定だけはほぼ完成しているので、あげてみる。

タイトル:Ideal

キャラクター紹介・設定(メインキャラクター)
・暁 修士(あかつき しゅうし)/礼と義を重んじるシスコン
   この物語の主人公で、高校三年生。
   礼と義を忘れず、大抵のことは問題なくこなせるが、全ての原動力は妹の暁 理瀬。
   理瀬とは非常に仲のいい兄妹だが、異常ともいえるほどのシスターコンプレックス。
   理瀬と神夜は大切な存在で、彼女たちを悲しませたり、傷つける者は誰であろうと人間扱いしないため、
   時には崇都と夕香以上の問題行動を起こすが、普段は友達想いのいい人。

「…シスコン?最高の褒め言葉だね、ありがとう」

・暁 理瀬(あかつき りせ)/純真無垢で儚げな妹
   暁 修士の妹。自分の両親と修士と神夜に大切に育てられたこともあり、
   家族をとても大切に想う少しおとなしく、おしとやかな女の子。
   月1で家族と行く休日ドライブと読書が好きで、特に小説が好きだが、週刊誌は大嫌い。
   少しおとなしいせいでいじめられたりする時もあるが、いつも修士と唯姫が助けてくれる。
   兄の修士は、信頼と尊敬の対象で、兄として、家族として大好き。
   (普段の二人の姿は、はたから見ればお互いを理解し、支え合っている恋人or夫婦に見えるらしい…)
  
   「お兄ちゃんといつまでも一緒に居られますように。」    

・深坂 崇都(みさか たかと)/二つの仮面の共有する者
   修士と夕香とは幼少の頃からの親友であり、ムードメーカ兼トラブルメーカー。
   正当な理由のない差別や偏見を何よりも嫌う人格者である反面、
女好きで、常識やモラルなど関係なしに行動する無法者な面も見せる。
   運転免許を取ってからは、父親のセカンドカーで自動車通学をしている。  

   「自分ヤりたい事も出来ない人生なんて意味無いし、つまらない。そう思わない?シュウ」

・紫宮 夕香(しのみや ゆうか)/限られた時間を大事にする少女
   修士と崇都の親友で、ムードメーカー兼トラブルメーカー。
   落ち込むことを知らないのかと言えるくらい明るく、姦しい。
   崇都と夕香の2人は常に騒ぎの中心におり、 
   よく周囲を巻き込んで問題を起こすため,教師からは危険人物扱いされているが、
   憎めない性格と容姿の良さも手伝って生徒の間では男女問わず人気がある。
   
   「限られた時間を全うして、死ぬ時は笑顔で死にたいな。」
393名無しさん@ピンキー:2007/01/14(日) 16:08:17 ID:/2uLdfTs
続き
・九条 唯姫(くじょう ゆき)/人間不信な嫉妬娘
   暁 理瀬の親友で、修士の後輩。
   数年前までは良家のお嬢様だったが、とある出来事が原因で幸せな日々と財産を失い、父親は自殺。
   幸せな日々を汚い人間達に壊されたため、人間不信となった。現在、母親と二人暮らし。
   修士と理瀬の2人には心を開いているが、他の人間に対してはどこまでも冷たく、 
   特に、従姉の霞純に対しては、家の事と修士の事が原因で毛嫌いしている。
   暁 修士に対してどこまでも忠実で、尊敬しており、あらゆる方面で影響を受けている。
   あと、かなり嫉妬深い。

   「人間って本当に馬鹿でどうしようもない……死ねばいいのに。
    ……そう思いませんか?修士兄さま??」

・渡瀬 霞純(わたせ かすみ)/依存癖を持つ女教師
   修士のクラスの担任で神夜の友人。
   過去に付き合っていた男性に捨てられ、傷付いていた時に修士に癒され、救われてからは
   修士に依存おり、結婚も考えているが、完全に過去と決別できたわけではない。
   唯姫の事に関しては深く罪悪感を感じているが、修士の事に関しては話は別だと思っている。 
   
   「修士くんのいない世界で生きていくなんて考えられないわ」

・琴月 神夜(ことづき かぐや)/平穏と和を愛する大和撫子
   琴月神社に仕える巫女。
   清楚な大和撫子として有名で、彼女目当てで訪れる参拝者(主に男)も多いが、修士はそれを快く思っていない。
   霞純とは幼馴染で、共に教師を目指していたが、神社を継ぐことになり断念。
   修士と理瀬とは二人が赤ん坊の頃からの付き合いで、暁兄妹にとっては姉的存在。
   二人を今まで自分好みに教育してきた。それ故に…
     
   「シュウくん、平穏な日々がいつまでも続くといいですね。」 
   

こんな感じで。
394名無しさん@ピンキー:2007/01/14(日) 16:23:45 ID:YmT/gztC
なんかもう名前とか人間関係とか全部厨臭い。
こんな感じで、と言われれば、一人でオナってろ、としか言えない。
395名無しさん@ピンキー:2007/01/14(日) 16:24:16 ID:zRnH7lKC
おかえり!

まぁ半年前にいなかった俺はあなたのこと知らないわけだが
396名無しさん@ピンキー:2007/01/14(日) 17:06:33 ID:LYUrbhym
いや、登場人物とか書かれてもさ・・・・・
正直困惑するのみ
397名無しさん@ピンキー:2007/01/14(日) 17:07:24 ID:swriHSLR
自分の書いたSSを本にして一人で楽しもうと思うんだが
個人の書いたSSで一冊だけ書籍化してくれる身近な印刷会社というかサービスとかないのかな

ここははてなダイアリーブックで本にするのが一番簡単な方法かもしれないが
はてなダイアリーブックは日記を本にするから、SSとの相性合わないと思う。

このスレでそっち関係に詳しい人いますか?
自分が読む用の1部だけでいいんですが
398名無しさん@ピンキー:2007/01/14(日) 17:20:26 ID:vK2NuQfQ
>>392
プロット、つまり物語のあらすじみたいなのも上げてみてはどうだろうか?
これらのキャラでいかにどのような修羅場を作り出していくかを見せれば神がss化してくれるかも。
わざわざ、勇気を出して修羅場の種を出してくれたのはGJ!だと思う。
399名無しさん@ピンキー:2007/01/14(日) 17:34:57 ID:FxH0SILl
おお、神の帰還!お帰りなさい、お待ちしておりました。
400名無しさん@ピンキー:2007/01/14(日) 17:37:00 ID:EBGgBbz9
>>393
登場人物よりもプロットとかの方が書き起こしやすいと思う
401名無しさん@ピンキー:2007/01/14(日) 17:37:46 ID:YGqD4hjh
>>397
自費出版でぐぐれ。

どっちにしろ1部だけってのは単価が高くなりすぎるけどな
402名無しさん@ピンキー:2007/01/14(日) 17:45:43 ID:Kz1mSdqx
>>397
糊とか使ってコツコツ作るなら、「自家製本」でググるといろいろ出てくる。
枚数次第だが、ぶっちゃけステープラーでとめて製本テープで止めれば一発かと。

業者に頼むなら、もまいがどこに住んでるか分からなければ意味がない。
送料考えれば、安い業者より、高くても地元の業者の方が得だから。
キンコーズあたりでも、\630+\10*n+\315(nはページ数)とかでできる。
もっともサイズは最小でもB5版になってしまう。
403名無しさん@ピンキー:2007/01/14(日) 17:52:14 ID:P1Rbzq97
>>393
登場人物が多いよ多すぎるよおまけに各人の設定を掘り下げ過ぎだよ
きっとこれを話にまとめるのは物凄く大変だと思うよ
取り敢えずキャラを主要2、3人に絞ってサブはもう少し薄味にしたほうがいい
それか今の人数でプロットを鬼のように作り込むとか、でもこっちは修羅の道だから勧めない
まずは書き上げることが大切だよ、ガンガレ

404名無しさん@ピンキー:2007/01/14(日) 18:09:08 ID:rkz1A71W
>>393
冬休みってまだ終わってないのか?
405名無しさん@ピンキー:2007/01/14(日) 18:11:50 ID:XzZ/6UwG
厨っぽいSSなんて他にもあったんだから、何もそんな集中砲火しなくても
406名無しさん@ピンキー:2007/01/14(日) 18:16:02 ID:F51Xw/0S
修羅場SSは、「男一人と女二人」が一番書きやすいと思う。
男一人に女が三人、四人と増えていくと、乗法的に書くのが難しくなってくるよ。
三人以上のヒロインを過不足なく動かせる職人さんは、本当に凄い実力持ちだと思う。嫉妬しそう。
407名無しさん@ピンキー:2007/01/14(日) 19:34:47 ID:Rog+JQNq
>>405
特にロボは厨房すぎて読めませんからね
全く、日本語がおかしい連中は格式が高い嫉妬SSスレの出入り禁止を求めたいとこだよ
408名無しさん@ピンキー:2007/01/14(日) 19:37:56 ID:PnD7Bs1W
>>405
>>407
クマー
409名無しさん@ピンキー:2007/01/14(日) 19:47:17 ID:Llb5tUWF
暖簾に腕押し遊びって、そんなに面白いのかお( ^ω^)?
410名無しさん@ピンキー:2007/01/14(日) 20:05:57 ID:rhzCRxgL
>>407
なんでそんなに必死なの?
411名無しさん@ピンキー:2007/01/14(日) 20:07:15 ID:0F8x+jI1
おい!おまいら空気悪すぎだぞ!
つ旦 茶でも飲んでマターリ投下を待とうぜ!
412 ◆pmLYRh7rmU :2007/01/14(日) 20:16:24 ID:Z+BbfD5X

流れぶった切って投下します。
413千歳の華 ◆pmLYRh7rmU :2007/01/14(日) 20:17:17 ID:Z+BbfD5X
【四】

「やはり、あの女もいた…」

漏らすように零した言葉は、朝日の作る陰影に吸い込まれていく。
狂ったように大地を照らす陽光…憎い。
挨拶を交わして微笑みあう恋人たち…狂おしい。

小鳥の囀りも、慌しく駆け抜けていく朝の一瞬も、総て私を荒げる一因でしかない。
千歳を越えてめぐり合えた思い人との逢瀬も、これから築き上げていく眩しいばかりの愛の軌跡も、あの女の存在で崩れ去った。

何の器量も持たぬくせに、媚び諂う事だけに長けた忌々しき妹。
女の皮を被った化け猫、否、泥獄の般若。
父上の寵愛を上手く利用し、先に垣間見られた私を、自分に摩り替えた。
椿香る彼の日、時春様の熱い視線を頂いたのは私だ。
瑠璃、お前ではない。呪いによって転生した鬼子などではない。
時春様は、汚らわしき牝犬の夫となるべき方ではないっ!!

「つぅ…」

感情のうねりを代弁するように、朱の花が顎を滴り落ちる。

「…違う……」
私たちの愛は下らぬ政によってもたらされた偽りの婚姻関係とは、違う。
運命が廻り合わせた悠久の伴侶なのだ。
あの方の指先、視線、温もりは、瑠璃…お前のためにあるものではない!!
瑞々しき唇も、貴様と目交うためにあるのではない!!
私に愛を囁き、肌を這い回り、消えぬ情熱を刻み込む憑代なのだ。

「愛を…愛を…私に、消えぬ、愛を…」

永久にひとつとなり、茨に包まれたたまま時流を漂う。
目覚めて睦み合い、食事をしては目交う。汗と淫蕩な香に包まれながら互いの肌を擦り合わせ、炎のような快楽を交換する。
そんな私の望みも、前世では成せなかった子も、総て瑠璃の存在で打ち消えてしまう。

「どうして、あの女と仲良くするのですか…?私たちの愛を地獄の炎で焼き払ったあの女と…」


あれほど誓い合ったではないですか、時春様。
なのにどうして、鬼灯の名を呼んでくださらないのですか?

私の想いでは届かないのだろうか?
彼は輪廻の洗礼で私への想いを無くしてしまうほどしか愛していないのだろうか?
414千歳の華 ◆pmLYRh7rmU :2007/01/14(日) 20:18:17 ID:Z+BbfD5X

「違う…」

そんな筈は、ない。
私が化生にまで身を落として蘇ったのも、彼の気持ちに応えるためだ。
時春様を目の前で失って、それでも時の扉を超えられたのは総て彼の言葉があったから。

“生まれ変わりたのち、必ず添い遂げる。必ず鬼灯を愛す“

響く、彼の言葉。炎よりも身を熱く焦がす、誓いの味。

――――――――そうだ。

時春様があの女に現を抜かしているのは、誑かされているからだ。
私は確かにあの女の背に伸びる“鬼影”、を見た。
宿命を操り、人の業を扱う禁忌の術。
あの女がどうして宮廷にしか伝わらぬ秘法を知り獲たのかは判らない。
しかしこれだけは確実に言える。
めぐり合うはずだった我らの肉体を挿げ替え、あたかも妻であるように振舞うあの女が、憎い。

偽りなのだ、時春様が当然だと思われている日常は。
あるべき姿を捻じ曲げて作られた、あまりにもお粗末な虚像。
餓鬼にも劣る作家が書き上げた、三文芝居。

「――――――――そうだ…」

早く開放して差し上げないと、時春様を――――――――百鬼の罠から。
早く助け出さないと、時春様を――――――――滑稽な舞踊から。

使いたくはなかったが、使うしかない。
宿世から逃れるための、墜法を。
鬼の呪いによって魂を抜かれた時春様を救い出すにはそれしかない。
たとえどんなに時春様が苦しまれても、仕方がない。
もう後退適わぬ局面にまで達してしまったのだ。

あぁ、私はなんて愚かだったのだろうか。
あの雌いn、もとい瑠璃は仮にも私の妹。
曲がりなりにも私と同じ血液を宿した女が、一度恋した殿方を容易く解放するはずがないのだ。
夢に躍り出て私を刻み付けることなど、甘すぎた。
時春様を揺り起こして再び私への愛情を燃やして頂くには、最早この手段しかなかったのに。

「時春様…私は、貴方様の誓いを信じていないわけではござりませぬ。ただ、ただ、不安なのです。
 ですから、多少辛抱してくださいまし…辛くても、苦しくても、私が傍におりまする。誰にも負けぬ、運命すら手折ることのできぬ温もりで、包み込んで差し上げます」

人通りのない朝の登校風景。
私の怨念だけが、浮かんでは消えていた。

415千歳の華 ◆pmLYRh7rmU :2007/01/14(日) 20:19:37 ID:Z+BbfD5X









「時春ちゃん!!!!!!!!!!」
「はい瑠璃様、なんでしょう?」

何度目だろうか。
今日に入ってから瑠璃に数え切れないほどガン睨みをされ、尻を抓られるのは。
いつもは片手で済むというのに、登校途中だけで十回、学校に着いてからはかれこれ二十二回目である。
まだ二時限目が終わって間もないというのに、チャイムが鳴ると同時に俺は瑠璃のヒステリックな叫び声を聞く。
普段は他の女の子に目を呉れたりするとこのような仕打ちが待っているのだが、今日は特に酷かった。

“俺が瑠璃以外の存在に気を留めるだけで、怒り狂う”

普段から着信メロディ、留守番電話の受付サービス、そして視聴するテレビ番組までも女が出演するものは差し止められているものの、言葉を交わしたりするのは認められていた。
事実、そうでないとまともに日常生活を送れないからである。
瑠璃がいくら嫉妬深いとはいっても、その欲求の裏には一抹の常識が潜んでいた。
しかし、とうとうその垣根を飛び越えた瑠璃は、終始俺の行動を監視し、他者との接触すら許さなくなった。
そして何より一番の変調といえば、首筋の痛み。
昨日までは時折引き攣る程度だったものの、現在では血管が破れそうな激痛を伴う。
それも都合よく、俺が異性のことを考えたときだけに。
一体どういう理屈なのかはわからない。
ただ一言だけいえるのは、それがどうしようもなく不便だということ。
今朝から頭の隅に張り付いて離れない、ほおずきさん。
一端でも思い浮かべるだけで、こうなるのだから。

「あああああああっ!!」

思わず椅子から転げ落ちて、しばらく床をのた打ち回る。
水揚げされた雑魚のような醜態だが、本能が告げる恐怖には逆らえない。
普段なら優しく手を差し伸べてくれるはずの瑠璃も、黒い目線で見下ろすだけ。
クラスメートたちの見て見ぬふりも、そろそろ限界にきているようだった。

「おい、時春…」

とうとう信長が俺に駆け寄る。
当然だろう。
いくら信頼している瑠璃が何も行動を起こさないとはいえ、こいつは心の友と書いてSIN YOU だ。
俺のピンチを見逃すはずが…

416千歳の華 ◆pmLYRh7rmU :2007/01/14(日) 20:20:16 ID:Z+BbfD5X

「おい…お前もなのか?」
「はぁ?」
「いやな、最近エロいの見てないんだろ?とうとう禁断症状が…わかった、貸してやる。蘭の火炙りを間逃れた、陵辱女教師シリーズを…」

こいつを頼ったのが馬鹿だった。
深刻そうな顔をして突拍子もないことを呟く信長を蹴り飛ばそうとして、代わりに黒い視線で俺を見下していた瑠璃が応える。

「今は馬鹿の相手をしている場合じゃないの。さっさと失せて」

信じられないほどの凍えた声。

「ハ、ハーイ」
信長は弾かれたように去っていく。
こいつの危険探知機の精度は俺以上らしい。
信長は甲殻類を思わせる見事なエビ反りをかまして、教室外へ脱出した。

さて…
あいつがいなくなると、瑠璃の公開調教ショーを止めるものはもういなくなった。
いよいよ冗談が利かなくなる首筋の灼熱感に、俺は毒づきながらも、椅子へ這い戻る。

「なぁ、瑠璃。助けてくれてもいいんじゃないのか?恋人が謎の激痛に苛まれているんだぜ。
 変なビョーキだったら、どうすんだよ。もしかして、駅前のケーキ屋の定子ちゃんかな。ヤリマンって噂だし。
だったら商店街の小町ちゃんだって――――――――つっっっっ!!」

意識が白濁し、重力が反転したように俺は床に再度叩きつけられる。
もう、痛みというレベルを超えていた。
神経を直接鏝で掻き回すような、落雷と錯覚するほどの痺れが全身を駆け抜ける。

「…………冗談でも、そんなこと言わないで」

氷点下の視線。
黒い瞳に、最早感情はない。
どこまでも暗く沈み、泥濘を思わせるほど歪んだ濁流が渦巻いている。

刃で薄皮を剥ぎ、目の前で炙られるような時間は昼休みまで続いた。
どこか調律を狂わせて行く日常。
それは、初めてあの夢をみたときから始まった。
旧き千歳を越えた因縁。

俺は夢物語だと、消沈していく思考の隅で罵ることしかできなかった。





417 ◆pmLYRh7rmU :2007/01/14(日) 20:27:28 ID:Z+BbfD5X

鬼灯の存在感が薄すぎたので、一回追加して全六回で終了します。
長く居座って申し訳ない。
最初はコメディの予定だったのに…
それと阿修羅様、毎度更新お疲れ様です。
どうか自分の作品においては(仮)などつけずに堂々とタイトルつけてくださいませ。
自分にネーミングセンスがないので、いつもお世話になりっぱなしで申し訳ありませんが、
とても感謝してます。
住人の皆様同様本年もよろしくお願いします。
418名無しさん@ピンキー:2007/01/14(日) 20:29:42 ID:1L6OB+BZ
あと二回残ってるというのに時春ちゃんもう死にそうだ!ww
419名無しさん@ピンキー:2007/01/14(日) 20:37:15 ID:FxH0SILl
むしろあの蘭の目をいまだかいくぐる信長の手腕に嫉妬w
つか瑠璃にせよ鬼灯にせよどっち選んでも生き残れそうにないなこの主人公
420名無しさん@ピンキー:2007/01/14(日) 20:40:07 ID:EBGgBbz9
このドロドロとしたどす黒い嫉妬が堪らなくいとおしい(*´Д`)ハァハァ
421名無しさん@ピンキー:2007/01/14(日) 20:54:20 ID:0F8x+jI1
>>417
うはwwwwww
俺のツボを刺激してたまらんww助けてwwwwwww


それはそうとGJ!!!!!!!
422名無しさん@ピンキー:2007/01/14(日) 21:02:57 ID:4+CdI6Ec
>>417
GJ!
M気質の俺には瑠璃は溜まらんぜよ
423名無しさん@ピンキー:2007/01/14(日) 21:21:24 ID:W/HK+nm2
>>417
瑠璃の独占欲に悶え狂ったた。
実にツボを心得てくれている。
俺からはGJ以外つけられない。
424名無しさん@ピンキー:2007/01/14(日) 21:25:12 ID:W/HK+nm2
狂った「た」←脳内消去してくれ…orz
425名無しさん@ピンキー:2007/01/14(日) 21:45:37 ID:6hQUD3+Y
Gj!!公開調教テラウラヤマシスw
二人ともいい感じにやんでますね。時春の生命の行方にwktkしてまちますね
426名無しさん@ピンキー:2007/01/14(日) 23:49:31 ID:wkJNLvkE
SIN YOUwwwwwwwww
427名無しさん@ピンキー:2007/01/15(月) 00:00:01 ID:vyGufjob
信長くんも遠からず嫉妬の刃に貫かれそうなので、来世でもSINYOUやってくれるかもね。
428赤い瞳と栗色の髪 ◆y5NFvYuES6 :2007/01/15(月) 00:00:45 ID:2zS0nArY
――――静かね。
目の前の2人は寝息を立てながら気持ち良さそうに眠ってる。

可愛らしいチカちゃん…。見れば見る程愛しさが募ってくるわ。

「チカちゃん……好きよ、愛してる…。」

ちゅ。
柔らかい唇。私とチカちゃんの唇が触れる。
なんて気持ち良い唇……大好きよ。この硬い髪も、身体も、指も腕も目元も頬も鼻も肩も脚も腰も吐く息も!!!
全て全て全て全て全て!!!

でもね一番好きなのは。
優しくて暖かい…、チカちゃんの心。
あの時私を救ってくれた…。
10年間、ずっと覚えてたよ。
ううん、50年経っても、100年経っても絶対忘れない!
…私の宝物だから。

チカちゃん、私もう待てないの…。
だから……ね…。

「…ぅ…、ん…。」

ごめんね、少し横になってもらえるとやりやすいの。
…うん、これでよし。

「…はぁ…チカちゃん…。……好き…好きよ…。」

「んっ……、ちゅ…。」

舌でチカちゃんの唇をこじ開けて舌を絡ませる。
はぁ…美味しいよぉ…。沢山頂戴……もっともっと。
429赤い瞳と栗色の髪 ◆y5NFvYuES6 :2007/01/15(月) 00:01:51 ID:2zS0nArY

「は…ぅ…ん……。」

私の唾液とチカちゃんの唾液がとろとろに溶け合ってる……。ふふっ、お口の周りに沢山ついちゃったね。
でも大丈夫、私がちゃんと綺麗にするからね。

「…んっ…んっ…。」

ちゃんと私の舌でお口の周りについた唾液を舐め取ってあげる。
…あぁ……私もう我慢出来なくなっちゃったよぉ……。

「これももう邪魔ね。」

唇だけで私の下着ぐちょぐちょになっちゃった。こんなにしちゃったら後片付けが大変ね。

――くちゅ。

「ぁ……はぁ…、凄いよチカちゃん……熱くて…とろとろぉ…。」

すごい…、いきなり二本も入っちゃった。チカちゃんがいるから、だね。

「あっ…、ん…く……、…ぅ…っ…!」

ねぇチカちゃん、沢山いやらしい音聞かせてあげる。

「ひゃ…っ!ぁ…っ、ふぁ……! きもち…い……よぉ…、んっ。チカちゃ…ん…ぁ…、は…ふぅっ。」

チカちゃんの唇…もっと頂戴!
身体も全部感じさせてぇ…!!

「チカちゃん…チカちゃん……っ…。」
430赤い瞳と栗色の髪 ◆y5NFvYuES6 :2007/01/15(月) 00:03:10 ID:2zS0nArY

あぁ……チカちゃんの胸に私の胸が擦れてる……気持ち良いよぉ…。
ね、音聴こえるでしょ?ぐちゅぐちゅって…すごく響いてるの。
チカちゃんとキスして、身体を感じる…それだけでおかしくなっちゃう。だってもうこんなに……。

…だめ……もう限界…かも…。
チカちゃん、私イクから……イクからね!
私の事感じて!私がイクのを感じて!
チカちゃんチカちゃんチカちゃんチカちゃんチカちゃんチカちゃんチカちゃんチカちゃんチカちゃんチカちゃん!!!

「あっ、あっ、あっぁぁ…!!ん…っぁ…ぁあああああああ!!!」

はぁぁ………チカちゃぁん……。

「はぁ……は…ぁ………。 チカちゃん…好きぃ…。」

力…抜けちゃった……。チカちゃんの胸、借りるね。
…硬い胸板……本当に大きくなったんだね…。
チカちゃんの温もり…鼓動を感じられるなんて…、幸せ過ぎて怖い……。
でもずっとこうしていたいよ…。




――――ピンポーン。




……誰……。
…タイミング悪いわね、一体どこのどいつなのかしら。
でも安心しなさい。楽に殺してあげるから。


――っ…!

…時間…か…。
邪魔者を殺せなかったのは残念だけど仕方ないわね。
私は充分楽しんだし。それにまだまだ時間は沢山ある。
だから今だけは…輪、貴方に返してあげる。

「じゃあねチカちゃん。 また今夜……。」
431赤い瞳と栗色の髪 ◆y5NFvYuES6 :2007/01/15(月) 00:04:05 ID:2zS0nArY
――クスクス、アハハ――

遠くで誰かの声が聴こえる…。
…女?

「んん……。」

段々頭がはっきりしてくる。動かなかった体が動き出す。
俺は寝てたのか…?
確か素麺をご馳走になって…その後急に眠くなってきて…。

「う…。 あれ?若菜は?」

隣で眠っていたであろう若菜が居ない。
それに……俺は確かテーブルに寄りかかってたような気がするのだが…。何故畳に横になっているんだ?

……………さっき見た夢の内容と似てるな……。
あいつがその……寝てる俺にキスして……、そして……………。
い、いや、あれはただの夢だ!まさか白昼堂々人の家にまで来てそんな事するはず…。

唇に触れ、妙に生々しかった夢を思い返してみる。
柔らい唇…胸にあたる2つの柔らかいもの…誘うような高い悲鳴のような声…。
思い出す度に自分の下半身が反応してしまう。あいつだと解ってるのに……軽く自己嫌悪だ。
「あーくそっ!」
頭を振って思考を停止させる。あれはただの夢なんだ、思い出すな馬鹿野郎!
「とりあえず若菜だ!どこに居るんだあいつは。」
忽然と居なくなってしまった若菜を探す為、先程から聴こえる声の方向…玄関へと歩き出す。

そこには若菜と錨、そして顔は見えないが誰かが楽しそうに話していた。
432赤い瞳と栗色の髪 ◆y5NFvYuES6 :2007/01/15(月) 00:05:05 ID:2zS0nArY
――ギシ。
一歩踏み出すと板が軋む。やっぱ古い家なんだな。
音に気がつき、俺が起きた事に気づいたのだろう、若菜と錨がこちらを向いた。
「おはようございます。」
「おはよ!」
「すまん…寝てた。」
「――誰?」
若菜と錨が話してた人物がそう尋ねている。
「えへ、この人は私の大事な友達の『七原 ちか』くんだよ。」
「若菜ちゃんの友達? 初めまして。」
と、若菜と錨が一歩後ろに下がり、その人物が一歩前に出てその姿を現した。

黒ぶち眼鏡から覗く澄んだ瞳、短い髪を後ろで二つに結っている姿は年齢より幼さを感じさせる。
見る者を癒すような微笑を湛え、その姿はまるで天使のようだった。
――俺は久々に感じる感覚に戸惑っていた。
心が熱くなり、鼓動が早くなる。目の前の人物しか目に入らない…。
余った髪を耳にかける仕草、澄みきった心を表すかのような美しい声、全てが愛しく、胸が躍る。

「…? 私の顔に何かついてます?」
自分では気づかなかったが、俺は彼女をずっと見つめてしまっていたのだろう。不思議そうな表情で尋ねている。
その姿もまた可愛らしい…。まるで疑う事を知らないかのような表情が更に俺の心を掴む。
「ちーちゃん大丈夫?」
「えっ、あ、ああ…。大丈夫大丈夫…。」
かなり大丈夫ではない。既に俺の心は目の前の人物の事で一杯だ。
「あ、あのさ、君の名前は…?」
「私? 私は『布袋 葵』と言います。よろしくお願いします七原さん。」
「布袋葵………可愛い名前だ…。」
「えっ、そうかな? ありがとうございます。何だか照れますね。」
照れた様子で苦笑している。
葵さんの反応1つ1つが可愛いく感じてしまう。
そんな俺を若菜が不審そうな瞳で見つめている。凄く不満そうな顔をして。
「…ちーちゃん…、何デレデレしてるの?」
「な、何言ってるんだよ。そんなわけないだろ…。」
鋭い。そんなに俺は解りやすい顔をしていたのか?
何だか急に恥ずかしくなってきた…。
433赤い瞳と栗色の髪 ◆y5NFvYuES6 :2007/01/15(月) 00:05:51 ID:2zS0nArY
「葵、あがったら?」
「ごめんね、そろそろ図書館に行かないと行けない時間なの。急に出てくれって言われちゃって。」
「えー!あおちゃんもう行っちゃうのぉ?」
「若菜我侭言わない。 頼んでた本ありがとう。大事に読ませてもらうわ。」
「どういたしまして。輪もお仕事頑張って。」
「うん。そっちも。」
「若菜もまた遊ぼうね。今度はゆっくり、皆で。」
「もっちろんだよ!また遊ぼうねー!」
「じゃあ…、七原さん、またお会いしましょう。」
そう言うとにっこり笑い、踵を返し歩き出してしまった。
「あっ!は、はい!また会いましょう!」
見惚れていたせいか若干返事が遅くなってしまったが、葵さんはそんな俺に振り返り。
「うん、また。」
優しく微笑んでくれた。
爽やかで心を躍らせるような香りを残し…葵さんは去っていった。

それから錨の家で色々雑談をしたような気がするがあまり覚えていない。
俺はずっと葵さんの事を考えていた…。
若菜や錨が楽しく話をしていた時も、こうして若菜と帰っている時でさえも。

「………。」
「………。」
沈黙。
錨の家を出てから若菜は一言も言葉を発しない。
だがその顔は明らかに疑いや不安に満ちている。
「………ちーちゃん……。」
やっと言葉を発した若菜は不安そうな声で俺を呼んだ。
「…ん?」
心ここに在らずな俺は生返事をする。
「ちーちゃん今日変だった…。あおちゃんが来てから…。」
葵さんの名前が出るとつい反応してしまい、やっと心を今に戻す。
「は、はぁ?別にそんな事ねぇよ…。」
疑いの目を向ける若菜を直視出来ず、目を逸らしながら弁解する。
「人の家だったから…ちょっと緊張してただけだって。」
「嘘。」
「嘘じゃないって。」
「嘘だよ。」
…こいつは変な所で鋭いな。
434赤い瞳と栗色の髪 ◆y5NFvYuES6 :2007/01/15(月) 00:08:06 ID:2zS0nArY
「じゃあ言ってみろよ。嘘じゃないなら本当は何だって言うんだ。」
言葉に詰まっている。困ったような、悲しそうな顔で言葉を選んでいるようだった。
「…こ、これは私の考えだから……間違ってたら絶対言ってね!」
「ああ。」
「絶対だからね!絶対絶対絶対!!」
何故か必死にその言葉を繰り返す。悲しそうな顔で…。
「……ちーちゃんはさ、もしかしてあおちゃんの事………。」
意を決し、俺を真っ直ぐに見つめながら言葉を続けていく。

「…好きになっちゃった…の?」

――図星。
俺はどう反応したら良い。肯定するか…?
だが好きだというのがバレてしまったら、もしかしたら葵さんにもバレてしまうかもしれない。
若菜を信用していないわけじゃないが、可能性はあるかもしれない。それに何より恥ずかしい。

俺が考えを廻らせていると、若菜は段々悲しそうな顔を絶望的な表情に変えていく。
「…………。」
若菜の視線が痛い。今にも泣き出しそうな瞳が責めているかのようだった。
俺はその視線から逃れたく、慌てて言葉を発する。
「ち、違うって!!い、いきなり…好きだとか、そんなの…あるわけないだろ!」
「………。」
「俺と葵さんは会ったばっかりなんだぞ!それに会話をちゃんとしたわけでもないんだ!」
「………。」
言葉が続かない。どうしたら良い…?

「……そう……だよね……。」

ん?もしかして解ってくれたのか?
「…そうだよね、ちーちゃんとあおちゃんは初対面なんだもん…。」
「そ、そうだよ!だから好きになるわけないって!」
「…うん…。あおちゃんを好きになるわけないよね…。」
何度も同じ言葉を繰り返し、まるで自分に言い聞かせているかのようなその呟きが俺の頭に響いていく。
10年前俺の記憶に残っていたあいつのように、若菜の瞳には生気が宿っていない。
そんな若菜とあいつがダブって見える…。背筋が凍るようだった。
「…ふふふ……、うん…。疑ってごめんねちーちゃん。」
「え………。 あ、ああ……いや、いいよ…。」
いつもと変わらない、花が咲いたような笑顔で笑う。
先程とは全く違う表情。さっきのは俺の気のせいだったのだろう。若菜があんな顔する筈がない。
「ねっ、今日私夕飯作るね!」
「いいのか?お前自分の家の飯は…。」
「いいの!今日は大丈夫だから。」
「それなら…好きにしたらいいんじゃねぇの。」
「えへへ、そうするー。」
嬉しそうに微笑む若菜。
それを見つめながら、俺達はオレンジ色に染まる世界を歩いていく。
435赤い瞳と栗色の髪 ◆y5NFvYuES6 :2007/01/15(月) 00:09:37 ID:2zS0nArY
――外は暗く、昨日あいつが姿を現した時間になろうとしていた。
俺は昨日と同じく、電気を消し、布団に横になる。いつもならすぐに寝入ってしまうのだが…。
…ホントにあいつは来るのか?だがあいつは来ると言っていた。

――コチコチコチ――

時計の音が響き、静寂が更に恐怖を駆り立てる。
…やっぱり来ないよな。寝よ…。
俺が寝ようと目を閉じたその時――


――――――コツ―――コツ―――コツ―――


昨日と同じ音が静寂を破る。
思わず恐怖で叫びそうになるのを堪え、聴こえないよう耳を塞ぐ。

「チカちゃん来たよぉ……、開けてぇ……。」

――――――コツ―――コツ―――コツ―――

僅かに聴こえるあいつの声が俺の頭に響く。

「居ないの?居るよね…? 居留守使っても私解るんだよ。」

――――――コツ―――コツ―――コツ―――

「ねぇ、お願い、返事をして。」

――――――コツ―――コツ―――コツ―――

「チカちゃんチカちゃんチカちゃんチカちゃんチカちゃんチカちゃんチカちゃんチカちゃん。」

――――――コツ―――コツ―――コツ―――

――――――コツ―――コツ―――コツ―――


――その夜、2時間にも亘りあいつの悲痛な声が夜の闇に響き渡った。
436 ◆y5NFvYuES6 :2007/01/15(月) 00:10:49 ID:2zS0nArY
四話終了です。
これで主要人物は大体出揃いました。
まだ修羅場までは長いかもしれませんが、お付き合いお願いします。
437名無しさん@ピンキー:2007/01/15(月) 00:40:10 ID:SpaASFxQ
GJ!
淡い色使いの田園風景を背景に想像しながら読ませて頂きました
今後の展開楽しみにしてるよ!
438名無しさん@ピンキー:2007/01/15(月) 00:44:37 ID:OyEUHyGK
GJ!
二重人格ヤンデレ、キモ幼馴染とな!
しかもエロい!
439名無しさん@ピンキー:2007/01/15(月) 00:45:05 ID:f+7lvx52
GJ、ストーカー二重人格?巫女って素晴らしいものだ
そして若菜の問い詰めもイイな
440名無しさん@ピンキー:2007/01/15(月) 08:14:30 ID:q96XLM1t
押しかけ三角、また来て修羅場がひょっこり再開されますように。
441名無しさん@ピンキー:2007/01/15(月) 13:10:36 ID:DSawZcbi
>>440
同意
442名無しさん@ピンキー:2007/01/15(月) 16:01:47 ID:OyEUHyGK
俺はそろそろノントロ禁断症状が出てきそうだ
443名無しさん@ピンキー:2007/01/15(月) 16:22:22 ID:Svz1W9rF
螢火が実に良い所で終わってるんだよなぁ
444名無しさん@ピンキー:2007/01/15(月) 17:00:46 ID:dR9XcwIS
SSを書いている神達は日常生活で忙しくて執筆する時間が取れないのは残念の事だ
ここで私が提案するマニフェストは

嫉妬SSを書いている人間は国から補助金が出る
ってな法案化何があれば、ここは更に作品投下が増えるよなw
445名無しさん@ピンキー:2007/01/15(月) 17:22:50 ID:q96XLM1t
>>444
それはいいw

しかしそうなったら阿修羅氏の負担が増えるな
現状でもまとめるのは容易ではないだろうし
446名無しさん@ピンキー:2007/01/15(月) 17:56:22 ID:9uFZWW8t
小学生の時に毎週ジャンプを楽しみにしてた気持ちでノントロを楽しみにしてる。
447名無しさん@ピンキー:2007/01/15(月) 18:45:40 ID:YPxhCLdS
>>446
分かりやすい例えだw
448名無しさん@ピンキー:2007/01/15(月) 19:10:40 ID:QqOiBcHu
ハンターハン(ry
449名無しさん@ピンキー:2007/01/15(月) 19:27:34 ID:33wAIQw2
>>448やめて不吉な事言うのやめて
450名無しさん@ピンキー:2007/01/15(月) 19:28:33 ID:JThxKlrI
そろそろ禁断症状が・・・・・
451名無しさん@ピンキー:2007/01/15(月) 19:49:35 ID:5+xnyux4
グゥ・・・鎮まれ・・・俺の邪気眼・・・!
452名無しさん@ピンキー:2007/01/15(月) 20:14:05 ID:OyEUHyGK
あえて言うと、ブラフォ分も九十九分もRedPepper分もgoodboy分も山田分もモカ分も足りてな足りてな足りてな足りてないイィYYYYYYYYY
453名無しさん@ピンキー:2007/01/15(月) 20:15:57 ID:UpQtYEZj
>>452
おい!落ち着け!耐えるだぁぁぁぁぁぁぁぁッぁあああああああaaaaaaaaaAAAAA
454名無しさん@ピンキー:2007/01/15(月) 20:19:02 ID:H/siDTrD
大学生の神は今はテスト期間だからな。

あと1,2週間耐えればきっと戻ってきてくれるさ。
455名無しさん@ピンキー:2007/01/15(月) 20:22:04 ID:pZa058OA
後期期末試験か……。
懐かしいな。
456名無しさん@ピンキー:2007/01/15(月) 20:32:17 ID:SpaASFxQ
赤色まだかな〜 山本君まだかな〜 九十九の想いまだかな〜
457名無しさん@ピンキー:2007/01/15(月) 20:42:36 ID:XY8epwZH
落ち着けお前らw

そんな時は保管庫のSSを読み返してだな・・・

(*´Д')白・・・ハァハァ
458名無しさん@ピンキー:2007/01/15(月) 20:56:03 ID:U3xwI3EB
http://yandere.web.fc2.com/
ヤンデレスレの保管庫ができたみたやね
459名無しさん@ピンキー:2007/01/15(月) 20:59:24 ID:BAajQx+z
ノントロッポまだー?
460名無しさん@ピンキー:2007/01/15(月) 21:19:09 ID:1dUJCkwV
ここの住人は大学生多そうだから、早くても2月上旬までは少し滞り気味になるかもねー
俺もレポートと試験の板挟みで泣けてきそうだよ・・・
461名無しさん@ピンキー:2007/01/15(月) 21:56:04 ID:K2K70oJ4
社会に出たらもっと泣きそうになる
462名無しさん@ピンキー:2007/01/15(月) 22:41:32 ID:ZYTxSrLG
つか、みんな過食症になっていないか?
毎日複数本もの作品投下がないとごはんマダー?(AA略)状態ってどうかと思うぞ?

こんなときこそ保管庫を読み返したり理想の修羅場について語り合ったりしようぜ。
463名無しさん@ピンキー:2007/01/15(月) 22:53:06 ID:WqWfjlCo
正直に言おう、ニートの俺も頑張ってSS書いてます

これってヤバくないか?
464名無しさん@ピンキー:2007/01/15(月) 23:00:11 ID:Q5pagopJ
修羅場スレ的には問題ない
465名無しさん@ピンキー:2007/01/15(月) 23:23:44 ID:tBHUK+iN
読者としてはありがたい
466名無しさん@ピンキー:2007/01/15(月) 23:39:30 ID:ZYTxSrLG
>>463

ウフフ、ニート?違うわよね?あなたは24時間私だけをみつめるのが、お・し・ご・と♪
だからね…こんなスレを見るのはやめましょうね、さぁ、PCの電源を落として?
…え?なにを怯えているの?あはは、このチェーンソーはそのPCを壊すためのものだから安心して。
そうだわ、本は古紙の日だけどTVやビデオの残骸って燃えないゴミの日でいいのかしら?
467赤いパパ ◆oEsZ2QR/bg :2007/01/15(月) 23:49:45 ID:YDVG8OT8
『からすおんなの逆襲』

 深い森の中、一人の女が歩いていた。
 木々の間を抜けた雑草もぼうぼうと生え揃う獣道を一心不乱な様子で歩いていた。
 彼女を動かすのは一種の狂気と、一歩足を進めるごとにりぃんりぃんと鳴り響く鈴の音だった。

――あぁ。なぜ私は一人なのだろうか。

りぃん。

 まるで己の運命を呪うかのように、呟く。その言葉はまるで呪詛のように彼女の心の奥にこびりつき、
 ぐるぐるとアカグロイロをした思考を脳に纏わせる。
 元々は、美人であったであろうその顔は、深い悲しみと憎悪でぐしゃりとゆがんでいた。

――あぁ。どうして。私が恋焦がれたあの人は、あの鴉女の元へといってしまったのだろうか。

りぃん。

 彼女の呟きがある女への憎しみをまとわせるたび、握り締めた鈴の音がりぃんりぃんりぃんとその音を大きくさせる。
 森中に広がる鈴の音。けして、鳴り響くはずのないのに。

――羨ましい。あの人の、心も、体も、愛情も、目も、鼻も、口も、髪の毛一本でさえも自分のモノとした鴉女が。

 りぃん。

――憎い。私から、全てを奪った鴉女。憎い。私を捨てたあの人。

 りぃんりぃん。

 森に鈴が鳴り響いていた。
468赤いパパ ◆oEsZ2QR/bg :2007/01/15(月) 23:52:34 ID:YDVG8OT8
――でも……、それよりも一番憎いのは、私自身。 愛する人を奪われながら取り返すこともできず、自分の妄想に抱かれ身を投げ出すことにしてしまった私自身!

りぃぃぃんりぃぃぃぃん。

視界が開ける。木々を抜けるとそこは広い砂浜だった。波が白い砂浜を逢瀬し、彼女の黒い思考などとは別次元とも言える空間だ。
 ここは彼女が想い人と過ごした、誰にも知られていない最後の聖域だった。しかし、ここもじきに崩されてしまう。

――ああ、私にもうすこし勇気があれば、あの人への愛情があれば、鴉女から奪い返すことができたでしょうに…。

りぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃん

 自分への叱責で、自らの弱い心をさらに傷つけてゆく。
 彼女は広い砂浜に立つと、履いていた草鞋を脱ぎ、砂浜へと素足を乗せた。
 焼けるような熱い砂浜だったが、彼女は熱がる様子も無く、そのまま海の中へと足を進めた。

 りぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃんっ

――お父様、お母様、先立つ不幸をお許しください。私は、もう、鴉女の横で笑うあの人の顔を見たくないのです。

りぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃん

――さようなら、さようなら、私はこのまま広い海に抱かれに逝きます。

 りぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃん

 歩を進め体を海の中へ沈めてゆく。時期に足がつかなくなる深度まで行き、彼女は頭まで海水に浸かった。

――さいごに、あの人へ。鈴を盗んだのは私です。貴方との思い出が欲しかったので、鴉女との夜伽の最中に拝借しました。
――どこに探してもありません。なぜなら、私が死出の旅へと持ってゆくからです。ごめんなさい。 ……では愛しい貴方。また来世で逢いましょう。

――さようなら。さようなら…………………………しょっぱい………。

 りぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃん
469赤いパパ ◆oEsZ2QR/bg :2007/01/15(月) 23:53:52 ID:YDVG8OT8
 りぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃん
 りぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃん りぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃん
 ピッ。

 早百合は布団から顔を出すと、携帯の目覚ましアラームのスイッチを切った。
 無機質なベルの音で起こされた気分ははっきり言って悪い。
「携帯電話の初期のベルってえらく不快感漂うわ…。」
 のそのそと起き上がる。持っていた携帯電話の緑の受話器ボタンを押す。クマのイラストの上に表示された時刻は午前7時半。ちょうどいつもの起床時刻だった。
「今日、ねねこちゃんに着メロのとり方きいとこ…」
 早百合は携帯電話のスイッチを切って、小学校から使っている勉強机に機能買ったばかりの携帯電話を置くと、そのまま学校の制服に着替え始めた。
 そろそろ母親が朝食を作って、呼びに来るだろう。それまでに全て着替えておかなければ。
「それにしても…、なーんか変な夢みたなぁ……」
 早百合の頭の片隅には先ほどまで見ていた夢の断片が残っていた。はっきりと内容までは思い出せないが、何故か悲しい夢だったことはわかる。
「ふぁぁぁあ…。髪の毛、セットしよ…」
 着替え終わると早百合は鞄とヘアピンを持ち、携帯電話を制服の胸ポケットに入れて、部屋を出た。

 りぃん。

 女が投身自殺を図った際、左手に握り締めていた鈴は数十年の月日を経て、 …なぜか一介の女子高生の携帯電話にストラップとしてつけられていた。

(続く)
470赤いパパ ◆oEsZ2QR/bg :2007/01/15(月) 23:54:38 ID:YDVG8OT8
半年以上前に、連載一作目だけ書いて、頓挫したものです。
気合を入れなおすため、神に近づくため、もう一度挑戦させてください。
もともと、コメディ色の人間ですが、皆様のご期待に沿える修羅場を提供したいと思います。
問題は主要キャラの名前が男女一名づつ仮名なことですけど…。誰かいい名前をください…。
471名無しさん@ピンキー:2007/01/16(火) 00:10:21 ID:iL/25Ozo
ギタドラの赤い鈴を思い出した。

>>470
ガンバレ!
472名無しさん@ピンキー:2007/01/16(火) 00:16:09 ID:z7VRnxmv
また戻ってきてくれるとは何とありがたい!
非常に続きが気になる引きだ。応援してます!
473名無しさん@ピンキー:2007/01/16(火) 00:17:44 ID:UmuvfdVX
信長と蘭丸のやつといい、今年は「前世からの怨念」モノが流行るのだろうか。
474名無しさん@ピンキー:2007/01/16(火) 01:11:18 ID:dCeZuy4S
>――さようなら。さようなら…………………………しょっぱい………。

ワラタww

>>473
問答無用で嫉妬深さを演出できる素敵な題材だからな。
475名無しさん@ピンキー:2007/01/16(火) 04:47:14 ID:Rg4cWLms
       r ‐、
      | ○ |         r‐‐、
     _,;ト - イ、      ∧l☆│∧  良い子の諸君!
    (⌒`    ⌒・    ¨,、,,ト.-イ/,、 l  早起きは三文の得というが、
    |ヽ  ~~⌒γ⌒) r'⌒ `!´ `⌒)  今のお金にすると60円くらいだ。
   │ ヽー―'^ー-' ( ⌒γ⌒~~ /|  夢を見てたほうがマシだな。
   │  〉    |│  |`ー^ー― r' |
   │ /───| |  |/ |  l  ト、 |
   |  irー-、 ー ,} |    /     i
   | /   `X´ ヽ    /   入  |
476名無しさん@ピンキー:2007/01/16(火) 07:53:16 ID:tl//LhVv
>>473
俺が女の執着心を好きになったのも
前世からの因縁がからむゲームだったからな
はまりやすいテーマなのかも

『○○さま・・・ようやくこの地にもどってきてくださいましたね
 ふたりがこの地で引き裂かれてから○百年、ずっとおまちしておりました
 もう・・・離 し ま せ ぬ ぞ !!』
うろ覚えだがこんなニュアンスの台詞があったことは覚えてる
当時高校生だった俺には刺激が強かった・・・
477名無しさん@ピンキー:2007/01/16(火) 09:42:21 ID:cvSuK8nW
前世からの因縁物ってーと久遠の絆とかも結構いいかも。
てか、あれって修羅場スレ仕様にしても違和感ないと思う >_<
478名無しさん@ピンキー:2007/01/16(火) 10:45:36 ID:ic12UTjO
>>477
禿同
479名無しさん@ピンキー:2007/01/16(火) 13:21:13 ID:sCoHEgzT
ヒロインが、主人公に異常なまでの執着心を持つまでの過程が好きな俺にとっては、シナリオによって諸刃の刃になるけどな。
前世から好きだったから好きなんです、とか言われても…ねぇ。
逆にそこさえしっかりしてれば、嫉妬あふるる神ヒロインになるんだが。
480名無しさん@ピンキー:2007/01/16(火) 16:18:57 ID:5xJuBPv3
久遠の絆、あれだけ前振り因縁があったら
現世でヒロイン三人がとうてい引けない粘着を見せてもおかしくないのに
自分のルート以外だとあっさり引き下がっちゃうのが惜しい。
481名無しさん@ピンキー:2007/01/16(火) 16:27:16 ID:I7awbbvS
>475 塵も積もれば山となる。修羅場も小さな事から始まるのさ。
482名無しさん@ピンキー:2007/01/16(火) 17:03:43 ID:hc4q4s91
スレの住人は嫉妬関係の話題になると有益な情報が出てくるな
久遠の絆だと買ってくるーーーーーーーー!!

全く、嫉妬や修羅場関係の作品を買うなら
このスレと本スレを常駐するのが一番だぜ
483名無しさん@ピンキー:2007/01/16(火) 17:06:34 ID:KbxRA4ja
>>482
本気で言ってるのか?
484名無しさん@ピンキー:2007/01/16(火) 17:39:22 ID:x2/9XWu0
>>482
買うならPS2版にしろよ。
オマケシナリオでバカ笑い出来るから。
485名無しさん@ピンキー:2007/01/16(火) 17:58:41 ID:hc4q4s91
ああマジだw
久遠の絆はやったことがないです
486名無しさん@ピンキー:2007/01/16(火) 18:24:47 ID:twnHPbTS
GS美神にもサイコ女出てたな。
たしか竜宮城の姫だったか。

「私はあの人(浦島太郎)の気持ちを考えた事あったのかしら・・・・・・
 なんて反省するくらいなら長年海底で地雷女やっとらんわ!
 逃がすかぁぁぁぁ!」

と他人の空似の横島を追っかけてた。
前向きな良いキモ姫だと思った。
487名無しさん@ピンキー:2007/01/16(火) 22:35:37 ID:mSjGlD4W
話題ついでに、いたりさんが住み付いてるスレ
ttp://ex17.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1168765551/

もう、一日を切りましたよ、男さん…
488名無しさん@ピンキー:2007/01/16(火) 23:07:11 ID:bwal4XPV
投下しますよ
489『甘獄と青』Sideナナミ:2007/01/16(火) 23:08:18 ID:bwal4XPV
 どの位そうしていたでしょうか。青様はシャーサ様を抱き締めたまま、ひたすら泣いて
おられました。発言を止められ、体も動かせない状態の私は、ただ見守ることしか出来ま
せんでした。胸の中にはかつて屋敷の中で何度も味わったもどかしい想いが渦巻いており、
辛いというよりも痛いという感覚に襲われます。
「本当に、好きだったのですね」
 青様に聞こえないように呟いたその言葉には、当然答える方は居りません。一番聞いて
ほしい青様の視線は、意識はシャーサ様に向いたままです。本当は少し悔しいのですが、
今は仕方ないでしょう。二人の間には、それこそ私などが立ち入ることが出来なかった絆
が存在したのですから。それに立ち入ろうなどという野暮なことは、思いません。それが
青様の侍女としての、体を動かせない私としての現在の務めだと思っております。
 そして動かないままに見つめていると、一つの疑問が沸いてきます。
「私が死んでも、青様はこうして悲しんで下さるのでしょうか?」
 疑問にするまでもなく、そうして頂けるのは分かっています。例え誰が相手であろうと
平等に扱い、そして想いを共有出来る青様ならば当然のことでしょう。それに、一月前の
公園での争いのときに流して下さった涙も忘れている訳ではありません。しかしシャーサ
様を相手にしたような、特別なものが与えられるかは別問題なのです。
490『甘獄と青』Sideナナミ:2007/01/16(火) 23:09:34 ID:bwal4XPV
 愛して下さい。
 自分でも、はしたない願いだと分かっています。こんな場面で思ってはいけないことと
いうのも分かっています。しかし青様の感情がシャーサ様にだけ向けられているのを見て
いると、不安になってくるのです。愛してほしいと、そう思ってしまうのです。
 罪を、思い付く程に。
「青様」
 先程までの呟きとは違い、今度ははっきりと聞こえるように呼び掛けました。
 一拍。
 瞬き一つよりも短い時間、その間に悪役の覚悟を決めました。
「シャーサ様の体を、使わせて下さい。そうすれば、想いは私の体と共に残るでしょう」
 我ながら、残酷な話だと思います。
 どのようなプログラムを仕込んだのかは分かりませんが、シャーサ様の意識は、人間の
場合で言うと魂のようなものは既に消滅してしまったのでしょう。何も知らない第三者の
視点で見れば、今のシャーサ様は只の機械人形の機体に過ぎません。だから、未だに届か
ない私の部品として使わせろと言っているのです。しかも、少しでも罪悪感が減るように
シャーサ様の想いを大義名分として利用して。こうすればシャーサ様はいつまでも青様の
隣に居ると、消えることなく忘れることなく青様の傍らに存在すると、甘い言葉を使って
騙しているのです。どれだけ卑怯な考えなのでしょう。
 しかし、これが一番の方法だと思いました。
 例えどんなに罵られようが、覚悟の上です。
491『甘獄と青』Sideナナミ:2007/01/16(火) 23:11:46 ID:bwal4XPV
 こうすれば青様は少しでも救われると思いますし、シャーサ様もある意味で青様の隣に
存在することが出来ます。私も体が元に戻り、再び青様のお役に立てるでしょう。しこり
が残ることを除けば、全てが上手くいくものだと判断出来ます。
 数秒。
 果たして、青様は頷きました。
「分かった、使おう」
 こちらを向いた青い瞳に悲しみを見せ、自分を戒めるように何度も頷きます。その胸に
どれだけの覚悟を秘めているのかは想像がつきませんが、私の悪役の覚悟と比べて遥かに
大きなものだということは分かりました。最愛だった人の死を糧にするような誘いをした
私を責めることなく、微笑すら見せて下さったからです。
「申し訳ございません」
「勘違いするな。アイディアを出したのはナナミだが、決めたのは僕だ。謝ることはない
し、謝ってほしくない。それ以上言われるとナナミを責めそうだけど、それはしたくない」
 立ち上がることで顔が見えなくなりましたが、どのような表情を浮かべているかは大体
想像出来ました。そのまま私に顔を向けることなく指輪を拾い、続いてシャーサ様を私の
上に乗せました。脱力した機械の体は存外重く、改めて死んだのだと思わされます。
「重いかもしれんが、我慢してくれ」
 僅かに残る駆動系を使いシャーサ様を抱いて固定すると、青様は車椅子を押しました。
492『甘獄と青』Sideナナミ:2007/01/16(火) 23:12:50 ID:bwal4XPV
「ごめん、ちょっと出掛けてくる」
 玄関の扉を開くと、すぐ横にユンとリーが立っていました。恐らく、二人は私達が呼ぶ
のを待っていたのでしょう。二人とも寒さに強いとはいえ、まだ子供です。そんな二人が
寒空の下で不安になりながら待つのは、どれだけ大変だったのでしょうか。安心させる為、
私は笑みを浮かべてユンとリーの顔を交互に見つめ、
「すぐに戻りますし、帰ってきたら二人の好きなものを作ってあげます。だから食べたい
ものを考えて、良い子にして待っていなさい。分かりましたね?」
 穏やかな声で言いました。
「ホント!?」
「……怪我、治るの?」
 頷くと、二人は歓声をあげて家の中へ走っていきます。
「迷惑かけて、ごめん」
「気になさらないで下さい、謝って頂く程のことでもございません」
 苦笑を返し、青様は再び車椅子を押し始めました。
 道の凹凸に揺られながら、シャーサ様の顔を見つめてみます。私の顔から僅か数十cm程、
少しでも体を動かせば互いの顔がぶつかってしまいそうな距離です。そんな短い距離間を
置いて見える顔は、驚く程に整っています。過去には躊躇いから、先日は敵対心のせいで
はっきりと見ることがなかったものなので、長い付き合いだというのに今更気付きました。
そしてもう一つ、これも今になって気付いたことがあります。
493『甘獄と青』Sideナナミ:2007/01/16(火) 23:14:09 ID:bwal4XPV
「初めて見る表情です」
 死んでしまったことで、シャーサ様の顔からは表情が消えていました。屋敷の時代から
表情を出していなかった私と違い、シャーサ様は実に様々な表情を浮かべておられました。
しかし、そんな明るく強気で感情の波が強かったシャーサ様だからこそ、浮かべていない
ものもあるのです。それが、現在浮かべている無表情という表情です。
「本当に、私とは対照的で」
 それ故に、こうなっているのでしょう。
「しかし、嫌いではありませんでした」
 シャーサ様は私を嫌っていたようですが、私はそう思っておりませんでした。無愛想な
私とは違い全ての人に接していたシャーサ様、態度の違いこそあれど私にも何度も接して
くれました。いつも喧嘩ごしで、会う度に罵倒されていましたけれど、おかしな話ですが
私はそれ程嫌なものではなかったのです。私にとって、青様以外では何度も接して下さる
数少ない方でしたので寧ろ嬉しかったのです。それに恐らく私の一方的な思いでしょうが、
文句を言われる度に対等だと言われているような気もして誇りとすら思っておりました。
今となっては遅い話ですが、シャーサ様は私の大切な方でした。
「着いたぞ」
 昔に想いを伸ばしている内に、結構な時間が経過していたようです。視線を上げれば、
『SHOPオリハマ』の見慣れた看板がありました。そういえばシャーサ様と最初に再会した
場所もここでしたし、ユンとリーに会ったのもここに来る途中のことでした。最近のこと
が多いですが、意外に縁の深い場所だと思います。
「いらっしゃい。って、どうしたのソレ?」
「この方の体を使って、直して下さい」
 首を少し傾げ、そして頷くと店主様は侍女の裾を翻して奥へと向かいました。
「格好は凄いけど、女の人で修理が出来るって凄いな。機械運ぶの結構大変なのに」
「店主様は男性ですよ?」
 場を和ませる冗談だと思ったのですが、本当に知らなかったらしいです。青様は店主様
の消えた方と私の姿を交互に見ると、複雑そうな表情をして溜息を吐かれました。
494ロボ ◆JypZpjo0ig :2007/01/16(火) 23:17:18 ID:bwal4XPV
今回はこれで終わりです

ナナミ漸く復活
これからナナミMk-2として真メイドロボの大活躍予定!!(嘘)


あ、ブログ作りました
495名無しさん@ピンキー:2007/01/16(火) 23:20:46 ID:4A4Towrg
保守
496名無しさん@ピンキー:2007/01/16(火) 23:26:26 ID:U/9dN0QG
GJJJ!長年に渡る恋敵の骸を乗り越えてナナミは遂にパーフェクトメイドになったのか
497名無しさん@ピンキー:2007/01/16(火) 23:37:22 ID:U8Y+KAAr
>>496
おいおい、それは違うだろ。
どう考えてもナナミは初めから完璧なメイドだったじゃないか。
498名無しさん@ピンキー:2007/01/16(火) 23:44:31 ID:MoCW5CqU
じゃあアルティメットメイドだな。究極のメイドロボ。
499『魔女の逆襲』 ◆oEsZ2QR/bg :2007/01/17(水) 00:22:12 ID:7FlbnrBD
 鞠田早百合は織姫高校の生徒である。
 小さめの顔にショートカットの髪で女子高校生のトレードマークのミニスカートは、先生に嫌な目に見られない程度の丈ぐあい。
 体育球技ではクラスのお荷物的な存在だが、それ以外を除けばまぁクラスでもおおむね好意的に見られている。
「早百合ちゃん。見てみてー!」
「どうしたの、ねねこちゃん」
「じゃーん! ほらぁ、ついに携帯電話買っちゃったー!」
 ねねこと呼ばれた少女が早百合の机の前へつんのめるようにやってくると。早百合の眼前に携帯電話を見せ付けた。
 パカっと携帯電話が開くと、画面には買ってすぐ撮ったであろう、ねねことねねこの弟とのツーショットが表示されていた。
「へぇー…。ついにねねこちゃんも買っちゃったかぁ」
「うんっ。ソフトバンクの一昔前の機種だけどねっ」
「あー、じゃあこのクラスで持ってないのはあたしだけだね」
「あれ? 早百合ちゃん。携帯電話持ってないの?」
「うん。まだね」
「ほぇー! 持ってないなんて珍しいねー」
 アンタも昨日まで持ってなかったでしょ。と早百合はねねこのおでこをぺちんと叩いた。うきゅっと言って後ろにかくっと頭が傾く。
 そのまま、ねねこの頭は傾いたままかと思われたが、すぐにくかっと頭の位置を戻し、自分の携帯電話を意味無くパカパカさせながら会話を続ける。
「うーん。早速早百合ちゃんのアドレスを携帯のメモリに登録したかったのになぁ」
 小さな指で携帯電話を操作するねねこは、まるで旅行先で家族と離れ迷子になり母親のモノである携帯電話を使って連絡を取ろうとするが、使い方がわからず途方にくれている小学生のようだった。
 ちなみにねねこは身長は139センチで未だに子供料金で電車に乗れるほど子供っぽい。クラス内でのあだ名は『ロリ姉』であったりする。(本人は認めず)
「まだ3人しか登録してないもん…。弟と三郎くんとさやちゃん」
「あたしも今度の日曜買いに行くからさ。そのとき、真っ先に教えてあげるよ」
 早百合は一人っ子であるが、ねねこに対しての扱いはまるで姉のようであった。
「ほんと?」
 そして、ねねこは姉のクセに不思議と妹っぽかった。身長と比例して性格も子供っぽいのである。
「じゃあ、メモに書いとくから買ったらすぐに登録してねっ。絶対だよ?」
 ねねこはえへへっと笑うと早百合のノートのはじっこにピンクのペンで自分のアドレスと電話番号を携帯電話見ながら、文字列を書いた。
 電話番号と変な文字列が描かれる。メールアドレスは初期アドレスのままであった。
「わかったわ」
500魔女の逆襲 ◆oEsZ2QR/bg :2007/01/17(水) 00:23:19 ID:7FlbnrBD
「とぉこぉろぉで…」
 と、ここで急にねねこの声が小さくなる。さっきまで携帯電話を覗き込んでいた顔を近づけ手のひらを頬に当てメガホンをつくり、早百合の耳元に寄せる。
「なに? 秘密の話?」
 傍から見れば内緒話をしていることなどバレバレであるのだが。
「…あの。早百合ちゃん」
 こうやって、普段の明るい様子を抑えて喋るねねこはちょっぴり小悪魔を連想させる。もしくはいたずら天使。
「兼森くんにはいつ告白するの?」
 うっ。
「ねねこぉ」
「ご、ごめん。でもさ、そろそろ2年生も終わりだし…来年3年生だよ? そろそろ告白したほうがいいんじゃないかな…?」
 はぁ。早百合はため息をはき頭を抑えた。

兼森良樹と鞠田早百合は小学生の頃からの友人だった。
 小学校、中学校、高校とまるで運命付けられているように同じクラスで一緒だった。
 家が数十メートルしか離れておらず、同じクラスでずっと一緒にすごせば、お互いにも仲良くなるもので一時期は毎日のようにお互いの家へ遊びに行っていたものだった。
 二人は親友と言っても差し支えないほど仲良しで、どちらも相手のことを想っていた。
 しかし年を重ね思春期を過ぎた頃からか、お互いに異性同士の遠慮というものが出始めてた。
中学生ごろになると同じクラスメイトでもほとんど会話をせず、話をするとしても大抵はクラスメイトを介してになり、小学生の頃では一緒に並んで歩いた帰り道でも別々で帰ることがほとんどであった。
男女なのに仲が良いということが恥ずかしくなってしまったのである。
 が、高校生になると不思議なものでその思春期特有だった恥ずかしさは消沈し、二人の間の溝も少しづつ埋められ、高校生となった今ではお互い良き理解者として友人づきあいをしていた。
「ねねこ、良樹とはそんなんじゃないって言ってるでしょ」
「でもさ、好きって言ってたじゃん」
「そういう意味で言ったんじゃないの。確かにあいつとはずっと一緒だったし、良樹のことは大体知ってるつもりだけど…」
「でしょ?」
 ねねこの顔は好奇心に満ちていた。同意を求める様子は間違いなくいたずら天使の顔であった。
「恋愛的に好きなわけじゃなくて、人間的に好きって意味。幼馴染みたいなものだし」
「幼馴染って大抵くっつくよ?」
501魔女の逆襲 ◆oEsZ2QR/bg :2007/01/17(水) 00:25:04 ID:7FlbnrBD
「ねねこ、漫画の読みすぎ。それに…」
「それに…」
 ねねこは早百合の目をさらに覗き込んでくる。くりんくりんのどんぐりまなこはとても純粋で『地理の長宮先生は実はコチュモモテグナ星人で授業中に生徒たちに向けて睡眠誘発放射線をテストを行っているんだ。
先生の奥さんはタテキヨ星人で実は二人は惑星間結婚で若い頃親に反対されて相当苦労した。先生の額にあるでかいほくろは親からの集中怪光線によってできた罪の印。
あの先生に近寄るなよ、キャトられるて(キャトルミューティレーションされて)体中のお肌のうるおい成分を搾り取られるぞ』と言ったらすぐに地球防衛軍EDFに通報しそうである。しないが。
「それに?」
「もう、良樹って彼女いるしね」
 ええーーーーーっ!? といきなり大声を出して驚くねねこにでこピンをおみまいすると、くわんくわんとでこピン程度でピヨるねねこを置いたままで早百合は教室を出て行った。
 ピヨり状態から開放されたねねこは、いつのまにかいなくなった早百合を探す。
「ちょ、ちょっと待ってっ。それ、初めて聞いたよ! 早百合ちゃ……あれ、いない?」
「ロリ姉、どうした、突然大声出して?」
「はしゃぎたい年頃なの?」
「違うよっ!」
が、自分の出した大声によって集まってきたクラスメイト(S系)にいじられ、そのまま詳細を聞くことはできなかった。
 ねねこは天然のいじられキャラである。

早百合はトイレで意味無く手を洗っていた。
あまり、ねねこに詳しい話をしたくなくて逃げてきたのだ。
「ねねこも空気読めない子だよ…。だから子ども扱いされるのに…」

 兼森良樹のことは好きだった。と、思う。
 子供の頃、小学生の頃にはもしかしたら愛の告白とか結婚の約束とかしてたかもしれない。
 でも恋愛的に好きだったかと聞かれたら、そうじゃない。どちらかといえば自分は良樹の理解者といったほうがいい。
 たとえるなら、姉か妹みたいなもの。

 だから、兼森良樹が自分ではなく、別の女子を恋人を作ったときは、驚きはしたけども。悔しい羨ましいとかそんな気持ちは湧かなかった。
 紹介された相手が、校内でも有数の変人といわれる『魔女』であったのはさすがに予想外だったのだが。
(続く)
502赤いパパ ◆oEsZ2QR/bg :2007/01/17(水) 00:25:43 ID:7FlbnrBD
えっと、タイトルを『魔女の逆襲』へと変更します。
前回より、数日前の話です。キャラクターが新しく出てますが、基本的には修羅場は女二人で行うつもりなのでねねこちゃんの嫉妬は期待しないでください。
次回も嫉妬関係は少ない予定ですが、次々回からエンジンをかけていくつもりです。
もうしばらくお待ちください。
503名無しさん@ピンキー:2007/01/17(水) 00:32:16 ID:D80OKm1p
>>502
|ω・`)GJ!
凄い勢いでエンジンふかしてるから次々回
とんでもない勢いで着そうで今から楽しみ(*´д`*)
504 ◆zIIME6i97I :2007/01/17(水) 00:33:27 ID:nkaODh7v
ノントロ、投下します
505ノン・トロッポ:2007/01/17(水) 00:34:44 ID:nkaODh7v
放課後、校庭から響いてくる声を聞きながら、進は教室でスケッチブックを机の上に開いていた。
教室には彼しかいない。
愛美には用事があるからといって、美術部に一人で行かせていた。
少しだけ、ひとりになりたい気分だったのだ。
そして一人になると、久しぶりに沙織の顔を描きたくなった。

沙織とは、ここ1週間ばかり口をきいていなかった。
もちろん、二人の家は隣同士なのだから、まったく顔を合わせないということはなかった。
登下校のときには、たびたび顔を合わせていた。
そしてそのときにはいつも、進の横には愛美がおり、そして沙織のそばには、例のテニス部部長やら進の知らない沙織の友人らがいた。
彼、あるいは彼女らと談笑する沙織は、ここしばらくの進との絶交状態にこたえている様子はないように見えた。
進もそれを見て、殊更に明るくふるまった。愛美も、進の気持ちを知ってかしらずか、彼に笑顔でこたえた。
もし愛美がいなければ、進はすぐにでも沙織に頭を下げたていただろう。
そのくらい、これまでの短い人生の中で彼女の存在は大きかった。それは両親に匹敵するほどに。

逆にいえば、愛美の存在もまた小さいものではなくなっていた。
彼女は、進の極々小さな世界に現れた久しぶりの登場人物で、しかも翠という更に新しい登場人物を連れてきてくれた。
愛美の拡げてくれた世界は、確かに小さなものだったが、それでもひとつの可能性を見せてくれた。
進でも、誰かと対等の友人でありうること、誰かの助けになりうること。
進は、愛美にどれだけ感謝しても足りないと思っていた。

しかし、その一方で沙織に対して負い目を感じていることも確かだった。
進の足が動かなくなってから、沙織は彼にずっと厚意を注いでくれた。
たとえそれが沙織の負い目からきたものだとしても、そして結局それが進の負担になってしまったのだとしても、感謝しないわけにはいかなかった。
だが、いま心ならずも、その沙織から愛美に乗り換えるような格好になってしまっている。
沙織が憤慨するのも分からないではない。沙織からすれば、飼い犬に手をかまれたような気持ちなのだろう。

進は、書き上げた沙織の顔を見つめてため息をついた。
それから、頬杖をついて窓の外の夕日を眺めた。

思えば、自分はずっと沙織と一緒にいたのだ。
進にとって、それは選択の余地のないことだった。
だが、沙織にとってはそうではなかった。
確かに、足を動かなくした原因は沙織にあったとしても、それで進と一緒にいることを選んだのは沙織自分だった。
そしてそのせいで、沙織自身、ずいぶん友達を減らしてしまってもいた。
その結果、小学生のころには、進の友人が沙織だけであるように、沙織の友人も進だけになってしまった。
当時の進はそのことを喜びすらしたのだが、今思えばずいぶん残酷なことをしたのだと思う。
進は、いわば自分と同じ境遇に沙織を引きずりこみかけたのだから。
しかし、沙織が中学に上がり、高校に上がるころには、生来の魅力で男女を問わずたくさんの人たちをひきつけるようになっていた。
それでも、沙織が進を見放すことはなかった。むしろ、より手厚く進の世話を焼きさえした。
たとえば、そのことによって再び友人を減らしてしまう危険を冒してまでも。
そんな沙織の手をかむ形になった自分は恩知らずなのだろうかと、進は考える。
だがこのささやかな反逆を始めようとしたのは、自分のためでもあったけれど、沙織のためでもあったはずだ。
少なくとも、進はそう思っていた。
だが、それは正しかったのだろうか。別のやりようがあったのでは。
506ノン・トロッポ:2007/01/17(水) 00:35:42 ID:nkaODh7v
「これ、足立先輩?」

進は、突然横から声をかけられて、ぎょっとした。
愛美だった。いつのまにか教室にはいってきて、進の机の横にいたのだ。内に深くしずんでいた進は、それにまったく気がつかなかった。
愛美は、スケッチブックを覗き込んでいた。
進は、愛美に気がつかなかった自分のうかつさを呪いながら、スケッチブックを隠そうとして、しかし諦めた。
いまさらじたばたするのは、格好悪いと思って。
そして、愛美の質問に肯いて答えた。
思えば、進が沙織の顔を描いているのを誰かに見られたのは初めてのことだった。

「前に、わたしが描いてあるのを見たことあるけど」
「ああ、そんなこともあったっけ。あれは恥ずかしかった」

進がそういったのに、愛美は微笑んだ。

「でも、あれよりも上手ね」
「え、そうかな。美術部に出入りしてた成果がでたとか」
「ううん。なんだか洗練されているというか、描きなれている感じ」

進はどきりとした。

「まあ、長い付き合いだから、見慣れた顔だからね」
「肖像画ってね、描く相手のことをよく知るほどいいものになるんだって。これ、すごくいいと思う」

愛美はどこか寂しそうにそういった。

「じゃあ、また川名さん、描いてみようかな」
「え?」
「だって、あのころよりは川名さんのこと分かってるはずだから。だから多分、前のよりよく描けると思うよ」

愛美は、そうかなと呟いて、窓の外を見た。それにつられて、進も外を見た。
夕焼けが濃くなりつつあった。雲が焼け焦げているようだった。

「平沢君が知らないこと、まだたくさんあると思う」

進は、その言葉の含意を計りかねて、沈黙した。愛美もそれきり、黙り込んでしまった。
しばらくして、愛美が帰ろうといった。

帰り道、二人はさきほどの妙な雰囲気を引きずっていて、いつものように談笑するというわけにはいかなかった。
並んで歩きながら、お互い沈黙を守っていた。
進は、どうにかしてその雰囲気を打ち破ろうと、機会をうかがっていた。
だが、先に沈黙を破ったのは愛美のほうだった。
児童公園のそばを通りがかったとき、彼女がいった。

「あの、少し寄っていかない?」
507ノン・トロッポ:2007/01/17(水) 00:36:37 ID:nkaODh7v
「なんか懐かしいな」

進は、ブランコに座りながらそういった。愛美は、その横のブランコに同じように座っていた。

「ここで遊んでたの?」
「うん、こうやってブランコとか、ジャングルジムとか、ガッタンとか」
「ガッタン?」
「ほら、四人乗りで乗るブランコみたいなやつ。危険だからって、今は撤去されちゃったみたいだけど」

進は、昔「ガッタン」があった場所を見ながらいった。

「危ないこともやってたんだ?」
「みんなやってたことだけどね。ブランコから飛び降りたり。失敗して頭打ってたやつもいたなあ」

進はなつかしそうにそういってから、視線を落とした。

「ま、足が動かなくなる前までだけどね。それからは家で遊ぶようになったかな」
「足立先輩と?」
「うん、まあ沙織ちゃんしか友達いなかったからね」
「ずっと一緒にいたのね」

愛美はそういうと、進の目を見ながら、

「足のこと、聞いていい?」
「足って、怪我の原因のこと?」
「うん」

進は愛美がいるのとは逆のほう、大きな滑り台があるほうを見た。
それは公園の中心にあって、かなりの高さがあり、この公園のシンボルのようなものだった。
進は少しためらってからいった。

「あの上に僕と沙織ちゃんといてね。そこで突き落とされた」

ごく簡潔に、事実だけをいった。

「ずいぶん変な落ち方したんだろうな。骨はつながったけど足が動かなくなってしまった」
「その、どうして突き落とされたの?」
「どうしてだったかな。あまりよくおぼえてないんだ。多分、子供っぽい理由だったんじゃないかな、どうせ」
「足立先輩のこと、恨まなかったの?」
「分からないな。最初は恨んでたかもしれない。でも、結局僕の友達は沙織ちゃんだけになっちゃったから」

進は苦笑しながらそういった。

「恨めなかったの?」
「そうじゃないよ。恨まなかっただけだ」

進は、少しだけむっとしながらいった。
すると愛美がブランコから立ち上がった。
508ノン・トロッポ:2007/01/17(水) 00:37:28 ID:nkaODh7v
「かわいそう」
「かわいそうって、僕が?」

愛美は歩いて、進の正面にたった。愛美が夕日を隠し、進の視界を暗くした。進はブランコに座ったまま愛美を見上げた。
愛美は少し腰をかがめて、進に顔を近づけながらいった。

「わたしじゃ、足立先輩の代わりにはなれないかもしれないけど」

進はそんなつもりはないと言い返そうとしたのだが、いえなかった。
愛美の唇が、進のそれをふさいでいたからだ。進に、その感触を確かめる余裕などなかった。
ほんのわずかな時間だけ唇を触れさせて、愛美は進から顔を離した。
予想とは違って、その顔を赤くしてはいなかった。むしろ、自分の顔の方が赤くなっているのだろうと、進はぼんやりと考えた。

そのとき、がちゃんと公園の入り口の方から音がして、二人は同時にそちらを向いた。
公園を覆っているフェンスの音らしかったが、そこには誰もいなかった。
誰かに見られたのだろうかと、進が考えていると、愛美の顔がいまさらのように赤くなった。
先ほどの音が、彼女を現実に引き戻したかのようだった。

「あ、あの、わたし今日は先に帰るから、ごめんなさい」

愛美はそういうと、公園を走って出て行った。
進は、初めての口付けの余韻に当てられながら、それを見送った。
509 ◆zIIME6i97I :2007/01/17(水) 00:38:38 ID:nkaODh7v
以上、ノン・トロッポ第10話でした。

ちゃんと伏線回収できるのかしらと、いまさらのように不安になる。
510名無しさん@ピンキー:2007/01/17(水) 00:39:47 ID:MafotXw+
この物音は…沙織の予感!!!
GJ!
511名無しさん@ピンキー:2007/01/17(水) 00:40:55 ID:3dpF10nS
>>502
こういう淡々とした、というか静かに読ませてくれる描写は良いな。
じわじわとこっちの期待も盛り上がる。

>次回も嫉妬関係は少ない予定ですが、
全く問題ないですよ。
修羅場に至るまでの過程を楽しめないようでは、
修羅紳士は名乗れません。
512名無しさん@ピンキー:2007/01/17(水) 00:42:29 ID:Wlr+cJab
うおー!
更新したらいっぱい丁度来てたーー!
神の皆さんGJ&お疲れ様です。
今日は投下が多くて良い日だなぁ。
513名無しさん@ピンキー:2007/01/17(水) 00:46:00 ID:MafotXw+
>>502
GJ! 早百合がここからどう病んでいくのか楽しみだ
ねねこもいいキャラだな、いたり先輩とかちびおねーちゃん系はど真ん中ストライクだ
514名無しさん@ピンキー:2007/01/17(水) 00:47:49 ID:yYuI7zrp
進はいいなぁ…真摯だし鈍感でもないのに事態を混迷に叩き込む。

>>502
あんたストーム1だったのか!全国に1万人以内しかいないはずなのにww
515名無しさん@ピンキー:2007/01/17(水) 00:49:55 ID:LuE7LEWo
>>509
テラGJ!
続きがすごく気になる!
516511:2007/01/17(水) 00:53:28 ID:3dpF10nS
>>509
ノントロに割り込みをかけてしまったのかと一瞬冷っとした…

しかし、ノン・トロッポはもう十話にもなったけど、
いまのところ(ほとんど)修羅抜きで成り立っていて、
それでいて面白いというのには尊敬してしまう。

そのおかげでところどころにある修羅場の片鱗が輝いて見える。
517名無しさん@ピンキー:2007/01/17(水) 00:58:54 ID:yYuI7zrp
題名の通りだね。なんか音楽用語でゆっくりだとかそういう意味だったか?
518名無しさん@ピンキー:2007/01/17(水) 01:14:43 ID:lR38DlJe
逆だったような・・・なんかもっと動的なニュアンスだったかと
はなはだしく・・・だったかな
519名無しさん@ピンキー:2007/01/17(水) 01:16:05 ID:cp6yqEZ6
>>494
アルティメットパーフェクト真メイドロボナナミMk-2ktkr!これで残る泥棒猫を物理的に殲滅できる
ブログがなかなか見つからないのでヒントキボン
>>502
嫉妬のバックボーンや種での過程でwktkが募っていき、それが花開く時の興奮合わせて全てが
修羅場フルコースの最高のごちそうですよ
>>509
GJ!進の主観で話が進み最近は愛美との行動が多いから、裏で沙織がどう考えどう動いているのか
いい感じに想像が膨らんでものすごく続きが気になる面白さだ
520名無しさん@ピンキー:2007/01/17(水) 01:27:05 ID:6DNk+qMx
ノン・トロッポは速度用語に添えて使われる音楽標語
意味は「あまり…すぎないように」
例えば allegro ma non troppo で「速く、しかし、あまり速過ぎないように」

明らかにスレ違いだが、どうしても気になって書いた。今は反省してる。
521名無しさん@ピンキー:2007/01/17(水) 01:28:16 ID:6DNk+qMx
しかもサゲ忘れた……orz
ちょっと吊ってくる
522 ◆6xSmO/z5xE :2007/01/17(水) 01:33:46 ID:7dZP1MGG
>>519
全く同意。ヒロイン主観の話が来るのが楽しみです。


では、投下いきます。ちょっとだけ残虐表現(?)があるので注意。
523名無しさん@ピンキー:2007/01/17(水) 01:34:29 ID:FnvXnq9V
この作品の題名って音楽用語だったの?
524名無しさん@ピンキー:2007/01/17(水) 01:34:46 ID:+oFM6qfU
ノントロッポGJ!
525ブラッド・フォース ◆6xSmO/z5xE :2007/01/17(水) 01:36:20 ID:7dZP1MGG
 両手に持った剣を上段に振りかぶって、綸音がエルに肉薄する。
 憎悪と狂気に呑まれた瞳は煌々と輝き、激しい殺意を剥き出しにしていた。
 対するエルは、そんな綸音の動きを冷静に見つめていた。
 轟音と共に放たれた渾身の振り下ろしを悠々と回避する。

 だが、それも当然だろう。
 我を失った綸音に先程までの精緻な動きは見られない。
 いくら高速の一閃だろうと、有効なタイミングで放てなければ何の意味もないのだ。
 拮抗した状態において、冷静さを欠くことは致命的になる。
 傷を受けたとはいえまだ十分に動けるエルは、冷たく嘲笑って勝利を確信した。

 大振りの攻撃を外せば、生じる隙も大きい。
 がら空きになった背中に、エルは今度こそと掌底を叩き込もうとする。
 綸音がどんなに早く反応しようが、これほど密接した間合いなら外しようがない。


 そこに油断があったのだろうか。


 綸音は逃げるどころか、更に一歩踏み込んできた。
 踏み込みの反動で大地を蹴り、体当たりするように剣を身体ごとエルにぶつけてくる。
 捨て身とも取れる躊躇いの無い動きはコンマ数秒の時間を縮め、エルの反撃に先んじた動作を可能にしていた。
 咄嗟にのげぞってかわしたものの、無理な態勢での回避でエルはバランスを崩してしまう。
 そこへ追いうちを掛けるように、綸音は猛攻を仕掛けた。
 勢いを殺さないようにと、身体を回転させながら繰り出される斬撃の嵐。
 動きを先読みするように疾る太刀筋はエルの動きを制限し、不規則なリズムで放たれる手数は反撃のタイミングを掴ませない。
 エルは完全な防戦を強いられていた。
 身体が覚えているのか、理性を欠きながらも綸音の剣の冴えに鈍りは見られない。
 いや、リミッターとなっていた余分な理性が無い分、極まって鋭くなっているとさえ言えた。

 小さな傷が少しずつ増えていき、エルの力を確実に削っていく。
 このままでは、体力か生命力か、そのいずれもが綸音より先に尽きるのは明白だった。
 それでも、綸音の攻撃の手は休まるどころか更に苛烈になっていく。
 近接距離――剣の間合いにしては近すぎる――に構うことなく、自分自身が憎悪の塊だと言わんばかりにエルにぶつかってくる。

526ブラッド・フォース ◆6xSmO/z5xE :2007/01/17(水) 01:38:37 ID:7dZP1MGG
 そしてついに、エルの肩口に綸音の剣が食い込んだ。

「・・・・・・!!」

 声にならない激痛がエルの全身を駆け巡る。 
 綸音は逆手に持った刃を水平に掲げ、エルの胸に正面からぶつかるようにして剣を食い込ませていた。

 ジュウジュウと白い煙が上がり、肉の焦げる音が響く。
 綸音は剣を引くことなく、更に深く食い込ませようと剣を持つ手に力を篭める。

「死ねっ! 死ね死ね死ね死ね、先輩を惑わす吸血鬼!
 先輩は私のだ、私がずっと守るんだ・・・!」

 憎悪と怒りに歪んでいた綸音の顔に、獲物を捕らえた歓びが加わる。
 そして、呪詛のように呟かれる智への想い。

 その表情が、その言葉が。
 銀の激痛と死の危険さえも覆し、エルに更なる嫌悪、更なる望みを抱かせる。


 どうしてこんな女にサトシを渡せるというのか。
 望まずとも吸血鬼になってしまったサトシを、この女は否定しようとしかしない。
 彼を本当に理解してあげられるのは、本当の意味で守れるのは私だけ。
 サトシは私の、私だけのものだ。
 奪おうとする奴は、誰だろうと、何であろうと―――。



「・・・調子に乗るなぁっ!!」

 力の限り握った拳を、綸音の胸に打ち込む。
 当たった瞬間、何かが砕ける音がした。
527ブラッド・フォース ◆6xSmO/z5xE :2007/01/17(水) 01:40:13 ID:7dZP1MGG
 意識の全てを完全に攻撃に集中させていた綸音は、その攻撃を避けられない。
 呼吸が止まったように引き攣った声を漏らして、派手に吹っ飛ばされた。
 まともに入った怪力による打撃は、少なくとも数本の骨を折り、ヒビを入れている。
 剣を手放すまいとしっかり握っていた分、肩口から剣が抜ける際の抵抗が加わり、衝撃をまともに吸収してしまったのだ。

 だが、それを差し引いても凄まじい威力。
 人間には出しえない、純粋な腕力による破壊力だ。
 こんなものをまともに食らってなお動ける人間など、まずいないだろう。

 だが、綸音は立ち上がった。剣を構えて再びエルを睨みつける。
 痛みが無いわけではない。だが、取るに足らない。
 この女に智を奪われるかもしれないことに比べれば。
 もう一度、先程まで剣を振るっていた時の感覚を思い出す。


 女を殺し、智を守る―――。

 ただそれだけを考え、剣を振るう。狂気じみて一途な想いに身を委ねる。
 思考は麻薬に冒されたように溶けていき、不要な感覚を駆逐していく―――痛みさえも。

「先輩を守る。私が、私だけが先輩を守れる。すぐに助けてあげますからね、智先輩・・・」

 傍らに倒れている智に微笑みかけ、綸音は再びエルに挑みかかった。

528ブラッド・フォース ◆6xSmO/z5xE :2007/01/17(水) 01:41:53 ID:7dZP1MGG
 一方、肩から剣が抜ける際の激痛で追撃の機会を逸したエルは、フラフラと立ち上がる綸音を油断無く睨みつけていた。
 そして思う。
 銀の武器を過剰に恐れるのは愚かなのではないか、と。

 まともに入った拳は、間違いなく綸音の骨を砕く感触を伝えてきた。
 同族――吸血鬼相手なら大したダメージにならないであろう、ただの打撃だ。
 だがそれも人間にとっては、太い丸太を勢い良くぶち当てられたほどの威力になるのだ。

 敵は一撃でこちらに致命傷を与えうる銀の剣を持っている。
 だが、それがどうした。
 こちらとて、一撃で向こうを殺せるだけの力がある。
 条件は同じだ。

 だとすれば、勝敗を分けるものは何なのか。戦闘経験か、技巧か、身体能力か。
 そのどれでもないとエルは思う。先程まで考えていた『冷静さを保つこと』も違うと、今は思える。

 想いの強さだ。
 智を想う心の強い者が勝つ。
 もっと極端な言い方をするならば――。


 より狂った方が、勝つ。
 痛みも、恐怖も、自分の命さえも顧みず愛する者を想い、自らを『魔物』と化した者が。


 目の前の女を殺し、智を手に入れる。考えるのはそれだけでいい。
 思考が純化していくにつれ、先程までの痛みが嘘のように引いていくのを感じる。
 とても気持ちいい。女を殺せばきっと、もっと気持ちよくなれるだろう。

 綸音が再び斬りかかって来るのを、エルはニタリとした笑みを浮かべて迎え撃つ。
 血が滲むほどに、拳を固めて。


529ブラッド・フォース ◆6xSmO/z5xE :2007/01/17(水) 01:47:26 ID:7dZP1MGG
 そこからはもう、泥仕合だった。


 互いに面を衝き合わせ、殴る蹴る、斬る刺すの乱打戦。
 速度を活かした一撃離脱も、相手の動きを見切ってのカウンターもない。
 防御も回避もない。
 交わす言葉も、罵る言葉さえもない。
 そんな暇があったら少しでも多く、目の前の女に攻撃を加えていく。

 エルが綸音の顔を横殴りにすれば、綸音は殴られた衝撃をそのまま勢いに変えてエルの胸を横薙ぎに払う。
 綸音がエルの太股を突き刺せば、エルは逆の足で膝蹴りを綸音の腹深くにめり込ませる。

 たった1,2分で、2人の美少女は見るも無惨な様相を呈していた。
 綸音は左手をだらんと下げ、顔中を痣だらけにしている。 
 服の中は更に酷いことになっているだろうし、更にその中――内臓もいくつかやられているだろう。
 エルの方も大量に出血し、全身から発する白煙は血霧と化している。
 煙で見えないが、深く斬られた部分は既に腐食が始まっていた。
 それでも、2人の動きは一向に鈍らない。

 まるで子供同士の取っ組み合いのような、この上なく無様で醜い、そして異常な戦い。
 だが同時に、ある種の美しさを感じさせる光景だった。

 だがそれも、唐突に終わりを迎えることになる。

                         ・
                         ・
                         ・
                         ・
                         ・

 何かが宙に高く舞った。
 ドサっと軽い音を立てて転がったそれは、人の腕。 
 高々と振り上げた綸音の剣が、エルの左腕を斬り飛ばしていた。

 精神力ではどうにもならない、物理的な消失。それも片腕という、致命的なダメージ。
 それを与えたという事実に、ほんの一瞬だけ、綸音は酔ってしまった。



「つぅーかまぁーえたぁ」

 首に手が掛かる感触と同時に聞こえた、童女のように無邪気な声。
 自らの腕の喪失にさえ気づかない、異常なる『化物』の声。
 それが、綸音が聞いた最期の言葉となった。



 エルが右手に思い切り力を込めると、ゴキンッ、という音が鳴った。
 たっぷり一分その状態を続け、手を離す。
 首をありえない方向に曲げて倒れた綸音を、身に赤煙をなびかせたエルは感情のない瞳で見下ろしていた。
530 ◆6xSmO/z5xE :2007/01/17(水) 01:51:42 ID:7dZP1MGG
今回はここまで。とうとう第一の死亡者が出ました。残り話数も見えてきました。
あとはもう転げ落ちるようにラストまでいく・・・と、思います。


もう二度と戦闘シーンは書きたくない。自分で書き始めたとはいえ、きつかった・・・。
531名無しさん@ピンキー:2007/01/17(水) 02:02:16 ID:fW29et0M
り、綸音が死んだだと!?
もちろんココから不死鳥のごとく蘇ってくる訳ですよねw
早くも死者の山を築きそうな悪寒。
作者さんGJ
532名無しさん@ピンキー:2007/01/17(水) 02:07:49 ID:q015O23D
参戦早々覚醒したと思ったら…
綸音カワイソス

ともあれ作者さんGJ!続き期待してます。
533名無しさん@ピンキー:2007/01/17(水) 02:15:30 ID:yYuI7zrp
この状況では智は綸音ちゃんが自分を好きだったことにさえ気づいてないな…
ってか放置状態で退治されかけww
534名無しさん@ピンキー:2007/01/17(水) 03:39:27 ID:xGJ8G0AY
バトルシーンも上手いな……GJ
535名無しさん@ピンキー:2007/01/17(水) 05:17:56 ID:FCwIuSfu
ブラッド・フォースキタ━━(゚∀゚)━━!!
エル派の俺には心臓に悪い展開だった…
でも勝利してさあこれから(*´Д`)ハァハァ
536名無しさん@ピンキー:2007/01/17(水) 05:50:08 ID:41xC/32+
>>530
うおぉぉぉおおおGJ!!
神はキツかったと言いますが大好きです。

こういうのが 大 好 き で す
537名無しさん@ピンキー:2007/01/17(水) 07:38:03 ID:1XSKZYWB
Lは俺の女ネ申
538名無しさん@ピンキー:2007/01/17(水) 07:47:50 ID:YFc8rSwg
GOOD JOB!!!!!!!!!!!!!!!
綸音が早くも脱落・・・・・いったい誰が智を手に入れるんだ?
先がむちゃくちゃ気になる展開だ・・・・
539名無しさん@ピンキー:2007/01/17(水) 12:11:33 ID:yN8pLRgS
>>487

そのスレはあれだね・・。

普通に脳内の柚姉ボイスが再生されてしまうのはどうしてよ
540名無しさん@ピンキー:2007/01/17(水) 15:12:53 ID:5TanmYx1
ノントロGJ!
他の方と同じ感想だけど
沙織の心情が明らかになる回が、楽しみでしょうがない。
541名無しさん@ピンキー:2007/01/17(水) 15:23:02 ID:X/xesDWj
進や智のように、より良い未来のために努力しているのに
ドンドン修羅場フラグが進んでいく主人公に萌える
542名無しさん@ピンキー:2007/01/17(水) 16:28:08 ID:vAg2jmZx
既出かもしれんがJanne Da Arcのsisterってやばいぐらい嫉妬ソングだな
543名無しさん@ピンキー:2007/01/17(水) 17:26:01 ID:55dHVw88
ノントロは今の時点でこんなに面白いのは凄いな。
修羅場が楽しみで仕方ない。
544名無しさん@ピンキー:2007/01/17(水) 17:29:56 ID:UKUGBgKj
>>542
嫉妬って言うか監禁ソングだな。
545名無しさん@ピンキー:2007/01/17(水) 19:53:44 ID:aiIIdvTo
嫉妬ソングはsevenっしょ
逆だけども…
546名無しさん@ピンキー:2007/01/17(水) 22:23:53 ID:N/YjI5bz
みっみっくるくる みっくるんるん
547名無しさん@ピンキー:2007/01/17(水) 23:08:21 ID:6FIJCxYZ
>>546
そりゃ電波ソングだ!!w
548魔女の逆襲第三話 ◆oEsZ2QR/bg :2007/01/17(水) 23:45:15 ID:7FlbnrBD
 日曜。
 ちょうど早百合の家から歩いて数分の場所に良樹の住むマンションがあった。
 兼森良樹は一人暮らしだ。父親と母親は海外出張でほとんど帰ってこず、良樹の姉も大阪でのお好み焼き修行中により年末年始などの節目のいいときしか帰らない。
 中学生の頃からはじめた良樹の一人暮らしの生活は始めた当初こそ、さまざまな問題が山積みであったが、いつのまにやら良樹は料理や洗濯などの一式の家事を
マスターし、もはや誰の助けもいらないぐらいにしっかりしたものとなっていた。
 のんびりとした独り生活を送る、身長170センチで色素薄めの髪の色と青フレームのメガネをした男の子。
 そんな良樹がマンションの自動ドアをくぐって外に出ると、すぐ横で待っていた早百合を見つけた。
「おっす。早百合」
「や。良樹」
 こんにちはや場流れ的な挨拶もない。いつもの学校のような挨拶を二人は交わす。
 普通なら、男である良樹が早百合の家まで迎えに行くのが甲斐性のあるやり方なのだが、二人ともそんなことは気にしない。
むしろ、ここから目的地までには早百合の家より良樹のマンションのほうが近いため、こっちの方が時間と距離の節約になる。良樹も早百合も無駄と無駄毛が嫌いだった。
「いくか」
「うん」
 挨拶もそこそこにもしないで、二人並んで歩き出した。
 時速40キロ制限の細い住宅街の道路のはじっこを肩を寄せながら二人とも黙ったまま歩き、そのまま国道26号線が通る大きな道路へ出た。
 歩行者道も広くなり人通りもおおくなる。二人の寄せていた肩が離れ、余裕を持った歩き方へと変わる。
 肩を寄せてたのは、ただ単に狭い道路では詰めなければ危ないからであった。
「機種は決めてるの?」
 歩いてしばらくして良樹が口を開いた。
「うん。親がソフトバンクだからあたしもそれにするの」
「へぇ。ソフトバンク同士だと無料だから?」
「家族割引とかもあるしね。よくわかんないけど」
 今日は早百合の携帯を買いに行くのが目的だ。その道中に買い物や寄り道をするといった内容である。
「良樹は?」
「AUだよ。姉がAUにしろってうるさかったからさ」
「携帯電話の機種って家族の種類に揃えちゃうから、あんましサービスとか関係ないね」
 払うの親だし、と付け加えると。良樹が笑って「そうだな」と言った。早百合は良樹の笑う横顔を横目でちらりと伺う。
 早百合が二人で歩くのは久しぶりかもしれない。最近はいろいろ忙しくて変えるタイミングが合うことがなかなかなかったからだ
549魔女の逆襲 ◆oEsZ2QR/bg :2007/01/17(水) 23:46:11 ID:7FlbnrBD
 もしかしたら居間のあたしたちはカップルのデートみたいに見られてるのかな? と早百合は心の中で思う。が、すぐにその考えを中断する。
 デートではない。決してデートなんかではない。
 今日は早百合と良樹が家から出発しそのまましばらく歩いた後、魔女と合流、少し遊んでから、早百合の携帯電話を買うといった予定なのである。
 つまり今日は、早百合と魔女が、良樹の紹介によりはじめて表向かって会う日でもあるのだ。
「彼女さんも一緒でしょ? どこで待ち合わせしてるの?」
「ん、甘党ベッキーだよ」
 甘党ベッキーとはバームクーヘンでおなじみの全国チェーンの洋菓子屋である。
「彼女さん甘いもの好きなんだ」
「月でひろった卵とかよく食ってるよ」
 魔女の様子を話す良樹はとても楽しそうに笑った。
 その表情に「魔女相手にこんな顔?」と思う。早百合の頭には戸惑い混じりの疑問符がぽつんと浮かんだ。
 早百合から横目から見た良樹の表情は、まるで自分のペットの失敗談を語るような顔に見えたのである。

1週間前の教室での休み時間。久しぶりに一緒に弁当を食べていたとき、良樹が恋人ができたと報告した。
 良樹に恋人ができるなんて…と言いそうになったが、別に良樹に恋人ができない理由が特に無い。普通にいいやつだし。言ったら失礼なので素直に「ほんと?」と軽く驚いておいた。
が、「相手は誰」と聞いて、良樹の口から小さく魔女の名前、『こうこういん しずる』というフルネームが出てきたときは思わず、箸で掴んでいたエビチリのエビを投げ飛ばしてしまうぐらい驚いた。
飛んだエビチリのエビは放物線をかいてねねこが飲もうとしていたカップのカルピスの中にホールインワンし、エビチリ風味カルピスとなり、泣かれた。ねねこは基本的に泣き虫である。
 もしこれがエビアンだったらエビエビアンになるところだったよくわからない泣き方をするねねこをなだめながら、早百合は良樹と魔女のことを考えていた。
 想像できないのだ。この普通の良樹と、校内有数の変態と噂の魔女の付き合う姿を。つーか、馴れ初めは一体なんなのかと聞きたい。フィーリングカップルでなったわけでは無いのは確かだ。
 なんとかねねこをなだめ、そのまま良樹と普通の会話に戻り良樹に携帯電話を買いに行くことを話すと、ちょうどその日魔女と街へデートに行くという。
 さらに、良樹はデートと言ってるのに「早百合を魔女に紹介したい」と言ってきたのだ。

 甘党ベッキーについた早百合と良樹。
中へ入ると店員がいらっしゃいませと明るい声をかけた。それが仕事だからかけるのは当たり前である。
 店内には喫茶スペースとして四角いテーブルが3台設置され小さな丸椅子4つが向かい合うように置いてある。1台のテーブルには一人でケーキを食べているさびしいおじさんが居た。無視しとこう。
そしてその隣のテーブルに。
「やぁやぁ。ここだよっ。兼森良樹君。軍人らしく五分前に到着するとはさすがだねっ。15分ぐらい待つかと思って月でひろった卵を10個買ってしまったよ。ひとつあげよう。ひとつだけ」
 魔女。紅行院しずるが座っていた。テーブルに。
「お客様、テーブルの上に座るのはやめてください」
「あ、失礼」
 すぐに店員に注意され、魔女はすごすごと椅子に座りなおした。早百合はわけがわからなかった。
「魔女…」
 これが運命的な鞠田早百合と紅行院しずるの邂逅である。

 ふたりの悲しい喜劇が始まりを告げる、鈴の音が静かになった。

りぃん。
550赤いパパ ◆oEsZ2QR/bg :2007/01/17(水) 23:46:51 ID:7FlbnrBD
第3話です。ようやく魔女を出せた…。今日は短めです。
予定していたポイントの3分の1も書き終わっていません。どんどん長くなっています。
嫉妬関係はもうすこしお待ちください。誤字脱字、ここおかしくね?などありましたら是非指摘をお願いします。
あと、ねねこが生き生きしてるのは元々違う小説の主人公を流用してきたからです。
よく考えればその小説も嫉妬分多めだったような…。
551名無しさん@ピンキー:2007/01/18(木) 00:06:34 ID:0Ixftnw3
鶴屋魔女!鶴屋魔女!GJ!
552名無しさん@ピンキー:2007/01/18(木) 00:32:07 ID:w0MEJ4lO
ちょwGJ!これは 予 想 外 !だ、魔女という言葉といままでの流れから
勝手に持っていた陰鬱というイメージが一瞬で吹き飛んでしまった
素晴らし過ぎるテンションに乾杯、そしてやっぱりねねこ可愛いよねねこ
553幼馴染 ◆/bJRuqkhqU :2007/01/18(木) 02:39:53 ID:7E2bTUhF
>阿修羅殿
自分の拙い文をまとめていただきとても光栄に思います。
つけて頂いたタイトルで少しでも神々の作品に近づけるよう精進する次第です。


間があいてしまいましたが投下します
554白髪:2007/01/18(木) 02:43:16 ID:7E2bTUhF
生徒会の雑務を終え、教室を出ました。文化祭まであと三週間ということもあり仕事も増えてきています。
近くの時計を見ると六時二十分をまわっています。
これならいつもの時間に間に合う、と深呼吸して落ち着きます。


高校に入学して一年が過ぎました。周りは環境が変わったと口々に言いますが、秀君と一緒に居られるという事に変わりはなく
私にとっては大した環境の変化ではないです。

秀君が居て、幼馴染として私が居られる。それだけで幸せです。

暗くなり始めた中庭には人の気配はほとんどない。ちょっと早かったかな、とベンチに腰を掛け秀君が来るのを待ちます。

六時三十分 中庭 

どちらともなしに決まった帰りの待ち合わせ。決して約束したわけではないです。
だけど以心伝心というか、こういうことを言葉無しで理解し合える仲が幼馴染だと思います。

・・・なぜだか分からないけど胸が苦しくなりました。



「ごめん、待たせちゃった?」
秀君が少し息を切らしながらこちらへ来ます。
私は自分が出来る最大の笑顔で笑いかけます。



――――秀君には私のきれいな所だけを見ていて欲しいから




555白髪:2007/01/18(木) 02:44:33 ID:7E2bTUhF
やっぱりきれいだな・・・
横目で隣を歩く優奈を見て思う。顔立ちだけではなく立ち振る舞い、雰囲気からもそういうオーラが出ている。
「どうしたの?」

そんな事を考えていると視線に気付いたのか、不思議そうな顔をした優奈がこちらをじっと見つめている。
横目で見ていたつもりが、知らず知らずのうちに見つめてしまっていたのだろう。

「別に。ボーっとしてた」
「うそだ、何か考えてたでしょ?私の顔見てたもん」
「ばれたか。 横顔に見惚れてたんだ」 本当の事を冗談めかして言ってみた。
「そうやって誤魔化そうとしたってだめだよ!」
そっぽを向いて先に行ってしまった。
後ろを追いかけながら思う。



自分はこんなに完璧な幼馴染がいてつくづく幸せだ。




また明日ね じゃあな とお互い別れの挨拶を交わし一人で帰路に着く。
優奈と別れるまでも帰路だ。
しかし今まで二人一緒の時間が長かったため、二人でいる間は生活の一部という感じで帰路という気がしないでいた。



家に着いて鞄を部屋に置くと足は自然とピアノのほうへと向かっていた。
こうして距離をとってみるとやはり自分はピアノが好きなのだと実感する。
弾かなくなってからもピアノの手入れは欠かかさず、鍵盤として年季が入り若干黄色を帯びた象牙がきれいに並んでいる。
指先を鍵盤にのせると今までの思い出が蘇ってきた。

ピアノを続けよう。 秀一は自分で答えを出した。
556白髪:2007/01/18(木) 02:45:05 ID:7E2bTUhF
二年三組 深谷秀一先輩 二年三組 深谷秀一先輩 二年三組 深谷秀一先輩・・・
頭の中で何度も確認する。階段を上がるごとに鼓動が速くなっていくのが分かる。

ただ会いに行くだけ。会いに行って部活動のお願いをするだけだ。決して緊張することじゃない。
なのに今こうしてまるで告白をしに行く時のように緊張している。

こんなんじゃだめだと手を頬に当てるが、興奮のせいか手も顔と同じくらい熱い。
正直言って私は深谷先輩が好きだ。本人は忘れているかもしれない
先輩に恋愛感情を抱いている。緊張は当然だろう。
だがそれだけではない。この緊張の一番の原因はあの先輩だ。


北條優奈。深谷先輩の幼馴染。
成績優秀、スポーツ万能で生徒会副会長として全校生徒からの信頼も厚い。そして何よりとてつもなく美人だ。
スタイル抜群で私のような幼児体系とは違うし、常にニコニコ誰にも優しい。

だがそれはあの先輩の本性じゃないと思う。あの先輩、いやあの女はドス黒い本性を一見美しい外見で必死に隠しているに違いない。


私は入学当初、深谷先輩にしっかり会ってあの時のお礼を言いたいと考えていた。
そのため朝校門の前で先輩が来るのを待っていた。
しかし先輩は来ても、私が先輩に声をかけるチャンスは一度も来なかった。
朝登校している先輩の横には常にあの女がいたのだ。
それでも一度私は先輩に声をかけようと試みたことがあった。
しかし先輩からあと一メートルというところで私の体は凍りついた。
あの女から発せられる禍禍しいオーラを私は嫌というほど感じた。
まるで『世界で私に必要なのは先輩だけ』とでも言いたげなオーラだった。思い出しても吐き気がする。
あの女はこちらを一瞥すると何もなかったかのように先輩と校舎へ入っていった。


私は悟った。この女は私と先輩との障害物だと。そしてこの女は先輩に薄汚い好意を抱いていると。
きっとこの女は邪魔をしてくる。
悔しいが私はこの女に勝てる点は少ない。 だが私は決して諦めない。
噂によるとこの女は先輩と登下校昼食まで一緒でありながら付き合ってはいないらしい。
私にも勝つ見込み、深谷先輩の隣に居られる可能性はある。
幼馴染という関係は最大の武器であるとともに最大の弱点なのだ。



女は度胸、私は先輩の教室のドアを思いっきり開けた。
557幼馴染 ◆/bJRuqkhqU :2007/01/18(木) 02:52:28 ID:7E2bTUhF
投下終了です
558名無しさん@ピンキー:2007/01/18(木) 03:13:26 ID:2FFR5XGl
GJ!
闘争の火蓋が切られる瞬間は、いつ見てもいいものだ!
559名無しさん@ピンキー:2007/01/18(木) 09:31:50 ID:F2y++p/L
このスレ初めて見てまとめサイトも覗いて、ちょっと雑感。
全体的にキャラ描写、少なめじゃね?
連載作品が多いのにそのキャラの容姿がどんなのか描かれていない作品が多く(単に美少女など)、
非常に頭でイメージしにくい。
終盤の話の流れで髪がロングだったとかその時になってはじめてわかるSSさえ見かけられた。
一人一人「腰まである流れるような黒髪に黒曜石のような瞳〜」とか書く必要はないけど、主要人物ぐらいは
フォローしといた方がいいと思うんだが。

あと唐突に固有名詞が出てくるSS。
冒頭でいきなりキャラの名前を出され、そのまま説明なく展開して行く作品。
文脈から周囲との関係やそのキャラの立ち位置は読み取れるんだが、それでも説明不足に感じる。
既存作品のパロディならそのキャラの設定が共通認識としてあるけど、オリジナル作品の場合は
作者自身しかそのキャラについて判ってないのだから、その辺りをもっと上手く表現できてたらな、
とか思った。

別に寿司屋に餃子を注文しているわけではなく、書ける技量があるのに勿体無いなと感じただけで
作品自体は楽しく読ませてもらったよ。
特にうじひめとか言うSSには爆笑した。最後に鬱になったが。

まあ住人が納得してるのに何荒波立ててるの?って感じだが、通りすがりの戯言シリーズって事で。
560名無しさん@ピンキー:2007/01/18(木) 10:21:42 ID:27JskPaB
それは言えてるね。
561名無しさん@ピンキー:2007/01/18(木) 11:18:03 ID:8idd8LEK
俺も>>559さんと同意見です
特にトライデントとロボとノン・トロッポ[の作者とブラッド・フォースの作者は
日本語が所々おかしいところが多すぎる。本当に嫉妬SSの立ち入りを禁止するべきかと
小学生程度の文章の基本がなってない彼らが書くSSは雑な部分が多いんだよ
描写はいい加減だし同じ表現は何事もなく何回も使っているし

Who  誰が

What  何を

When  いつ

Where どこで

Why   なぜ(どんな目的で)

How  どうやって

5W1Hの基本が全くできていません!!

「意味不明、わけがわからない」と読者から批評される作品は、
 たいがいこの基本原則が全くできてないのが原因です。


嫉妬SSの未来のためにも上記に挙げた数名の作者を追放することを提案します
一緒に頑張りましょう>>559さん
562名無しさん@ピンキー:2007/01/18(木) 11:24:31 ID:sW4vWynb
こう意見もあるが、俺は今のままで十分楽しめているので作者様たちにはこれまで通りのびのびと書いてほしいかな
563名無しさん@ピンキー:2007/01/18(木) 11:26:16 ID:c7KHZPd9
>>559の意見は確かだと思うが>>561はいつもの粘着なのでみんなスルーするように。
564名無しさん@ピンキー:2007/01/18(木) 11:28:57 ID:p4iNDKIu
>>561
いい加減スレから消えろゴミ

何をそんな必死なんだか
565名無しさん@ピンキー:2007/01/18(木) 11:29:52 ID:6/0bqd00
キャラ描写については病的なまでにしない人とかいるし個性って事でいいんじゃね?
しているから好いとかしていないから云々、じゃなくて
している事、あえてしていない事に作家の意図がある、と思う
566名無しさん@ピンキー:2007/01/18(木) 11:33:24 ID:yfkp74Wf
>>561
朝から阿修羅氏の奥さんは頑張るなぁ
567名無しさん@ピンキー:2007/01/18(木) 11:34:13 ID:VXpHWlI0
忘れちゃいけないこれだけは↓

SSスレのお約束
・指摘するなら誤字脱字
・展開に口出しするな
・嫌いな作品なら見るな。飛ばせ
・荒らしはスルー
・職人さんが投下しづらい空気はやめよう
・指摘してほしい職人さんは事前に書いてね
・過剰なクレクレは考え物
・作品に対する評価を書きたいなら、スレ上ではなくこちら(ttp://yuukiremix.s33.xrea.com/chirashi/)へどうぞ
スレは作品を評価する場ではありません

568名無しさん@ピンキー:2007/01/18(木) 11:35:24 ID:8idd8LEK
>>564
日本語がおかしい人間達は放置するわけにはいかないだろうが!!
569名無しさん@ピンキー:2007/01/18(木) 11:38:10 ID:p4iNDKIu
>>568
あっそ
じゃあお前はこのスレにいる必要はないね
はいバイバイ(-_-)/~~~
570名無しさん@ピンキー:2007/01/18(木) 11:49:41 ID:8idd8LEK
低レベルの作品を読んで何が楽しいんだ?
まず、語るべきなのはそこからだろ
571名無しさん@ピンキー:2007/01/18(木) 11:59:15 ID:8idd8LEK
全くまともに議論する気はないのかね?
572名無しさん@ピンキー:2007/01/18(木) 12:04:02 ID:ejDzbiqN
>>570
じゃあ貴方の言う『文章がおかしくなく』『基本が完璧で』なおかつ『面白い』SSが読めるスレを教えて。

……あ、いや、違うんだ。浮気とかそういうんじゃなくて……な?
573名無しさん@ピンキー:2007/01/18(木) 12:07:33 ID:3ZmIBBgp
561が挙げてるのって、このスレの実力派ばかりだな。
GJってたくさん言われてる神々の文才への嫉妬だろ。
名前が出た神々は、むしろ上手いんだと誇ってもいいと思う。
もちろん、こんなこと言うヤツが出ないに越したことはないけど。


女の嫉妬は美しいのに、こういう粘着系になるとどうしてこんなにウザイんだろうね。
574名無しさん@ピンキー:2007/01/18(木) 12:14:38 ID:1ee3BHuA
>>561は構ってほしいタイプの荒らしじゃね?
反応するだけスレが荒れる気がするから、無視したほうが良いと思う。
575名無しさん@ピンキー:2007/01/18(木) 12:19:32 ID:q4XX9Y7K
ID:8idd8LEKは作家志望、丸めがねの文学美少女
涙流してハンカチかみつつ

「なぜスレ住人は僕のssにGJコールくれないのおおおおお!!!
きぃいいいい!!くやしぃいいい!!」
576名無しさん@ピンキー:2007/01/18(木) 12:20:21 ID:q4XX9Y7K
リロしてなかったごめん
577名無しさん@ピンキー:2007/01/18(木) 12:47:21 ID:w0MEJ4lO
キャラ描写に関してはしないからこそ妄想が広がるとも言えるからそれは別にいいと思う
そして荒らしに反応するよりも神々の投下に反応して感想を書こうぜ
>>557
幼馴染の彼に近づく女への禍禍しいオーラとこれから修羅場の幕が開かれるといった感じがイイね
578名無しさん@ピンキー:2007/01/18(木) 13:00:31 ID:h5ReH6ly
>>559
人物描写を少なめにするのも意味はあることだと思うが。
例えば「美女」「美少女」という言葉は曖昧そのものだけど、読者はその言葉だけで
各々の理想の「美女」「美少女」を作中の登場人物だけで作りあげることが出来る。
しかし描写を徹底的に細かくしてしまうと、読者同士の頭の中にある登場人物のイメージは
似たようなものにまとまっていくだろうが、そこでどうしても登場人物が読者の理想から
離れるという事態が起きる。登場人物が読者の好みに晒されるようになる。
美人だけどそばかす持ち、というヒロインにはそばかす嫌いな読者は感情移入できない。

もっとも「美女」「美少女」って表現のみで登場人物を作ることは出来ないだろうけど、
描写を少なめにして後は読者任せにしてしまえば、少なくとも読者に嫌われるという
ことは少なくなる。逆にまた描写を細かくして、登場人物を際立たせ
読者への印象を強くするという手もある。
要は人物描写の量の解は、上から下まで幅広い、ということ。
少なすぎて訳が分からなくなったり、多すぎてくどくなったりしない限りは無問題。
むしろ各SS作者神の個性や裁量に任せれば良し。
579名無しさん@ピンキー:2007/01/18(木) 13:06:15 ID:5HUwTgPM
いいからスルーシロヨ
580名無しさん@ピンキー:2007/01/18(木) 13:13:45 ID:oWbuI1aT
なんか必死な人が多いスレだよな
581名無しさん@ピンキー:2007/01/18(木) 14:01:25 ID:VXpHWlI0
暇と情熱を持て余しているのだろう
582名無しさん@ピンキー:2007/01/18(木) 14:17:21 ID:0Ixftnw3
だからさ

「日本語」「追放」

をNGワードに入れろよと
583名無しさん@ピンキー:2007/01/18(木) 14:52:28 ID:8idd8LEK
(゚Д゚)ハァ?
584名無しさん@ピンキー:2007/01/18(木) 14:58:00 ID:ELCLG7Kb
>>583
ここは「SS」スレだから。
585名無しさん@ピンキー:2007/01/18(木) 14:58:01 ID:0cS69IZe
>>568
>日本語がおかしい人間達は放置するわけにはいかないだろうが!!
まず「日本語が」ではなく「日本語の使い方が」
「人間達は」ではなく「人間達を」
軽く見た一文で、これだけ間違えているお前さんが言うなって気もするが、日本語はそんなレベルでも伝わる位の優れものだから気にするな。
邪神の書いたものでも読んで見ろ、細かいことに突っ込んでいる自分がアホらしくなるから。
586名無しさん@ピンキー:2007/01/18(木) 15:21:43 ID:DBwUcwXx
いやなら読まなきゃ良い。いちいちスレに書くべきことじゃない。
そもそもここって小説批評スレじゃないし?
作者だって自分の書いたものにレスつかなきゃ未熟なんだなって納得するもんだろ
587名無しさん@ピンキー:2007/01/18(木) 15:22:15 ID:UEM+N0lH
みんな落ち着いてー
( ´・ω・`)_且~~ イカガ?

同じ性癖の持ち主同士仲良くしようぜ
このスレに投下された作品のクオリティはおいらが書けるレベルではないから
読ませていただけて感謝してるっす(_ _(--;(_ _(--;
588名無しさん@ピンキー:2007/01/18(木) 15:22:19 ID:Z7LgDGCl
いい加減スルースキルを身に着けようか

ところで、たまには黒姫化しないヒロインもいいと思わないか
589名無しさん@ピンキー:2007/01/18(木) 15:42:00 ID:yD8oEgVV
>>588
血塗れ竜の白みたいな?
590名無しさん@ピンキー:2007/01/18(木) 15:43:54 ID:TfwTyYOm
>>587
誰だって書けるだろうあれぐらいのSS程度は
大学に行っている学力程度あれば誰でも書けますよ
591名無しさん@ピンキー:2007/01/18(木) 15:49:47 ID:0VjA4euK
落ち着け、コレは孔明の罠だ。
下の文で地の文(会話文では無い文)の頭文字を縦読みしてくれたらみんなの気持ちが分かると思う。

「それでは修学旅行のしおりを配ります」
 修学旅行の企画、班の自由行動を考えるための計画になった時、何気なく彼に話しかける。
「たのしみだね、男君」
 らイバルは男君を狙っているメス豚。 名前を言うのも汚らわしい。
「えっと、集合場所までいっしょにいかない? えっと……集合が9時だから……8時45分に公園なんてどう?」
 場所を指定して、返事を聞くふりをしながら、彼の腕に自分の胸をくっつける。
「いいよ45分ね……!? えっと、やめてくれないかな……!?」
「何を?」
「……えっとね、え〜っと」
 はずかしがりやな彼はあたふたしている。可愛いなぁ。
「ちょっとそこ! しっかりと班行動の計画を立てるのに参加してよ。モラル無いわね」
 作法もなっていないようなメス豚が、モラルを語り。
 品格もないメス豚が、私に注意し。
 内気でいつも男君に庇ってもらってばかりいたメス豚が、
 だいたんにも私と男君の仲を裂こうというのか?
「ちなみに男君は何処か行きたいところとかある?」
 けがらわしい。結局自分も男君にかまって欲しいだけじゃないの。
「ごめんごめん。女さんはなれて……えっと、僕はね、清水に行ってみたいんだけど」
 にんげんができている男君は私の体を離れて作業に戻ってしまう。
 しんけんにこのメス豚をどうしようか考えた。
 よし、そろそろこの豚……てもいいかな?
 うん、わたし、じゅうぶんにがまん、したよね?
 ぜったいに、がいじゅうは、くじょ、してやるんだから。

happy end

自分と異なる意見はスルーに徹しましょう。
ちなみに、一連の流れを修羅場化、イメージは
メス豚=ID:8idd8LEK(ご本人には一切の恨みを持っておりません、あくまで女の立場から見た略称ですので)
女=ID:p4iNDKIu
男=人気作家
みたいな?
592名無しさん@ピンキー:2007/01/18(木) 15:51:08 ID:0cS69IZe
つまりは嫉妬の一方通行か?
けど簡単に死ぬ被害者(いけにえ)にしかならない気がする。
593名無しさん@ピンキー:2007/01/18(木) 17:08:48 ID:XJrFMRT6
>>588
ロボさんのは大抵は黒姫化をしないヒロインが勝ってるな

ナナミがこれから黒姫化をしてくれたら面白いが、作風的に無しだろうか
サラが黒姫化をしちゃってるし
594名無しさん@ピンキー:2007/01/18(木) 17:22:23 ID:wcz341b5
>>561
人の作品にケチつけてるんじゃねーよ
文句があるなら、まずトライデント氏ロボ氏を超える作品作ってみろよ。
お前から見れば日本語不足かもしれない、だがてめぇが口出すのは場違いなんだよ。

SSの作者様達がんばってください。
スレ汚しスマソ
595名無しさん@ピンキー:2007/01/18(木) 17:30:40 ID:u4sFNDA+
まったく・・・・・
お金払ってるわけでもないのに文句を言うなよ。
596名無しさん@ピンキー:2007/01/18(木) 17:33:02 ID:gJxOy5oA
>>561
まわりが気にならないのにお前だけが気になるってことはお前が異常なんじゃね?
597名無しさん@ピンキー:2007/01/18(木) 17:40:45 ID:3ZmIBBgp
みんな厨の相手に熱くなりすぎだ。
頭を冷やす意味もこめて全裸になって、神の降臨をのんびり待とうぜ。
598名無しさん@ピンキー:2007/01/18(木) 17:56:35 ID:0y6a+//5
この時期の東北在住には辛いな。
100歩譲ってDJ OZUMAの全裸タイツ着ても良いかい?
599名無しさん@ピンキー:2007/01/18(木) 18:02:25 ID:bAo4tEaR
>>594-596

お前等、何やってんの?
上で『無視しましょうね』
って流れになってたんだから、
それに倣えよ。
600名無しさん@ピンキー:2007/01/18(木) 18:12:15 ID:VmMdQ5C+
>>598
Uが余計だぞ、兄弟。
601名無しさん@ピンキー:2007/01/18(木) 18:14:59 ID:8kxQAxht
・作品に対する評価を書きたいなら、スレ上ではなくこちら(ttp://yuukiremix.s33.xrea.com/chirashi/)へどうぞ
スレは作品を評価する場ではありません
602名無しさん@ピンキー:2007/01/18(木) 18:25:22 ID:c7KHZPd9
とりあえず神々の投稿を全裸でつよきすやりながら待ってるわ
603名無しさん@ピンキー:2007/01/18(木) 18:33:20 ID:ODQGC1zL
おいきいてくれ 
ノントロぶんと
山本姉ぶんがたりなくて 
けつにょうでた
604名無しさん@ピンキー:2007/01/18(木) 18:34:03 ID:XfqQRMfg
女の子の嫉妬を煽り、修羅場を意図的に作り出して楽しむクズ主人公
ふとこんなSSを書きたいと思ったんだけどスレ違いですか?
605名無しさん@ピンキー:2007/01/18(木) 18:39:38 ID:VmMdQ5C+
クズと聞くと未だにゆう君が浮かんでくる……。

>604
とりあえず修羅場と嫉妬があればスレ違いじゃない。
606名無しさん@ピンキー:2007/01/18(木) 19:08:22 ID:0Ixftnw3
たぬきなべが食いたくなってきた
607578:2007/01/18(木) 19:16:36 ID:h5ReH6ly
>>598
同じく東北在住だが、反省して全裸で神々を待つことにするわ。
しかし、眼鏡をかけてなかったらこの寒さは凌げなかったな。
608名無しさん@ピンキー:2007/01/18(木) 20:53:54 ID:nCPavmtg
モカを飲みたくなってきた
609名無しさん@ピンキー:2007/01/18(木) 21:23:47 ID:VmMdQ5C+
俺もモカさん分は不足気味だ。だから不義理神の降臨を全裸で祈ってるぜ。
610名無しさん@ピンキー:2007/01/18(木) 22:18:03 ID:PAlahEGe
おまえらのレスはいらん
611名無しさん@ピンキー:2007/01/18(木) 22:35:10 ID:27JskPaB
うん・・・神の大量降下があったかと思ったじゃないか
612名無しさん@ピンキー:2007/01/18(木) 22:42:07 ID:VmMdQ5C+
ゴメン……
613魔女の逆襲第4話 ◆oEsZ2QR/bg :2007/01/18(木) 22:53:19 ID:EUOCNhKm

魔女は甘党ベッキーの喫茶スペースで月で拾った卵という中国地方のとある県の銘菓のカスタードクリームと栗の粒をスポンジ状のカステラに包んだお菓子をぱくついていた。
「しずるさん。こんにちは」
「こ、こんにちは」
 早百合がすこし警戒気味に頭を下げる。魔女はまるで新しい仲間を歓迎するかのように大きく笑った。
「ふふふ。こんにちはこんにちわ。とりあえず二人とも座りなよ。立ち話すると足が痛くなるよ」
 魔女が顎で正面の席をさした。早百合は緊張しつつ、言われるがまま丸椅子に座る。良樹も同じように魔女に向かい合わせで早百合の横に座ろうとして、
「あ、兼森良樹くんはこっちだ。私のとなり」
 良樹のパーカーの裾を掴み、自分の横の席に引っ張ってぽてんと座らせた。
 テーブルに良樹と魔女、その向かい合わせに早百合。早百合はアルバイトの面接みたいと思った。
「えっと……しずるさん。紹介するよ。僕の幼馴染の…鞠田早百合」
 2秒ほど変な間が空いて、良樹が魔女に少し顔を向けて早百合を紹介する。魔女の目が早百合の瞳を捕らえた。
 その鴉のように黒い魔女の瞳に早百合は緊張してしまう。ぴんと頭の先が洗濯ばさみで引っ張られるように感じた。
「は、はじめましてっ」
「ああ、はじめまして」
 しかし、そんな早百合とは対照的に魔女はニコニコと余裕を持った立ち振る舞い(座っているが)である。
 大量の月で拾った卵がのったテーブルの上から魔女の手が伸びる。緊張気味の早百合の目の前に魔女の左手が現れた。
 伸ばされた左手は握手の形をしていた。おずおずと早百合は右手を伸ばして魔女の手をつかんだ。
握手。……になってない。
「シェイクハンドをしようとして指四本を掴まれたのははじめてだね…」
「…あっ。すいません!」
 しまった。出す手を間違えたっ。あわてて右手でつかんでた魔女の手を離し、左手でもう一度握りなおす。今度はちゃんとWikipadiaどおりの握手の形になった。
「……すいません。はじめまして、鞠田早百合です」
「ふふふ。はじめまして。紅行院しずるだ。よろしく」
 魔女の手は冷たかった。
614魔女の逆襲 ◆oEsZ2QR/bg :2007/01/18(木) 22:54:20 ID:EUOCNhKm
 魔女は細い華奢な体に黒と紺を基調としたややゴシック風の服を着込んだ美少女だった。
 肩まで伸びた髪は羽をたたんだ鴉の羽のように黒く美しく、黒とのコントラストが引き立つ白い顔にアメジストの美しい瞳がきらきら光っている。
 まさに魔法じみた、魔女のような、美少女。
 紅行院しずく。
 美少女だが、言動は奇妙、行動は奇天烈、そして摩訶不思議な。
 普段から授業にもほとんど出席せず図書室や理科室、家庭科室に篭りっぱなしで妙な本を読んだり、妙な実験を試したり、妙な人形を作ったり。たまに放送室で昼休みに魔王をかけたり。
 休み時間は屋上に居ると思ったら更衣室のロッカーに誰にも発見されないように潜んでいたり、放課後は校庭で一人シャドー甲子園をやってるかと思えば、普通に定時どおりに帰宅したり。
浮いた存在というより、浮きすぎてむしろ学校内の生徒全員が彼女のことを神様や天使のように見ている状態であった。
学校側も何故か彼女の校内での自由奔放な態度には目をつぶっている。
 そんな彼女であるから魔女について、あまりいいうわさは無い。
 どこかの財閥(もしくは組)の令嬢であるとか、呪いでこれまで何人殺したとか、原爆を作ったことがあるとか、実はあの薄い胸には悪魔の紋章が刻まれているとか、堕天使が人間界で生きるための仮の姿だとか。 実は俺の妹だとか。
 うわさは何百も流れ、魔女の存在をさらに重厚なものにしていた。
 そんな、言わば早百合から見れば雲のような存在である魔女が自分の目の前で握手を求め、人懐っこい笑顔で話しかけてくれる。
 早百合は何度か芸能人と道で遭遇し握手を頼んだ事はあるがそれらの時とはくらべものにならないほど汗が流れていた。のどはすでにからからだ。
 しかし、もっと凄いのはその魔女と付き合っているのがあろうことか自分の良く知る幼馴染であるということ。
「………」
 早百合は握手をした魔女の手を離すとそのまま俯いて黙ってしまった。
「おおっ、黙ってしまったぞ。兼森良樹」
「そりゃそうだよ。ほら、早百合。あんまり緊張しないで?」
「確かに私は、大小400あまりの噂を立てられるほどの人気者だが、そこまで緊張するほどなのだろうかな?」
「するよ。しずるさんが話しかけてきたとき、僕もそうだったもん」
「うーん、そうか。 私は鞠田早百合ときちんとした友達づきあいをしたくて、今日という日をセッティングしてもらったのにな…」
「え?」
 友達づきあい? 魔女が? あたしと? 早百合は顔を上げる。魔女は優しげな笑顔を作りながら早百合の姿を見ていた。
 まるで母親のような笑顔。魔女もこんな顔をするのか?
 魔女に対して、噂で聞いただけのイメージが先行していた早百合は戸惑いを感じた。自分の中のまがまがしい形をした魔女の像にひびが入る。ぴししっ。
「うーん、ではどうしよう。なにか共通の話題をするのがいいかな?」
 魔女はすこし思案顔で目線を上に持っていくと、一度だけうなづき。
「鞠田早百合。少女マンガは好きかな? 好きかな?」
「え?」
615魔女の逆襲 ◆oEsZ2QR/bg :2007/01/18(木) 22:56:15 ID:EUOCNhKm
 と、魔女は突然目の色を変えて話し出した。
「私は結構読むぞ。いろいろと良作はあるが、とくに私が好きなのは槙ようこの『愛してるぜベイベ』だな。ゆずゆちゃんがとっても可愛いのは太陽が東から西へ昇るごとく当然だよなぁ。
わたしは常日頃からああいう幼女や子供をこねたいこねたいと思っているぞ。きっぺいの嫌味のなさもいいポイントだ。ゆずゆちゃんを抱えてプールで弁当を食べるシーンは微笑ましくてニヤけが止まらない。
あぁ、あと最近読み始めたのでは別冊フレンドで連載しているライフだな。いろいろともどかしくなる展開ばかりだ。私はコミックス派だがこの本だけは立ち読みで読んでしまう。ついでにその時ヤマトナデシコ七変化も読む。あの作品は白いな」
 ………。あまりのマシンガントークに早百合は呆然となった。
 なんだ、この魔女は。これではクラスのオタクと変わらない。愛してるぜベイベが名作なのは同意だけど。
「で、君はどの少女マンガが好きなのかな? もしくは好きだったのかな?」
 魔女は戸惑う早百合にもう一度にこりと笑いかけた。
 横では良樹が苦笑していた。
「あ…赤ずきんチャチャ…」
「チャチャか! 良い良い! デスノートの竜崎も読んでいたしな!」
 魔女は手を叩いて喜んだ。

 少女マンガの話から、なつかしのアニメの話、映画の話、最近のニュースの話、学校の話とバレーボールのようにぽんぽんと話が繋がってゆくにつれ早百合の緊張も取れていった。
 最初はしずるが一方的に話しくるみが戸惑いながら相槌を入れて良樹がフォローを入れるという形だったが魔女の綺麗な口から放たれる軽快なトークに、徐々に早百合のほうから話題を振ることが多くなる。
 学校の話から、学校の先生の話、ねねこの話とつなぐ頃には、最初の緊張はほとんどとれ、気がつけば1時間近く話し込んでいた。
 この時期生まれた魔女の噂のひとつに『明石屋さんまの隠し子』が増えることとなるが、これはこの時の様子から基づいている。もちろん事実ではないが。

「そこで、私は言ったんだ。『それではまるでシューベルトじゃないっ!』って…」
「あははっ。鞠田早百合っ。それはユニークだ!」
 この頃にはもう早百合としずるとの間に壁はなかった。
 しずるは思ったよりも、というより思った以上に話しやすく、博識でどんな話題にも対応できるため、途中からほとんど良樹そっちのけで話していた。
「なぁ、早百合。そろそろ携帯買いに行かないか?」
 さらにしずるに話題を振ろうとした早百合を、良樹が止める。時計の針は4時を回っていた。
「あ、そうね。そういえば携帯買うんだったね」
「あぁ。忘れていた。携帯だな。よく思い出させてくれた。兼森良樹っ」
 しずるは横に居た良樹の頭を褒め称えるように撫でる。まるで100点を取った子供を可愛がるようだったが、体系的にはしずるのほうが小さいのですこしバランスが悪く見える。
 最初に見たときは良樹と魔女が恋人になるなんて、どうしても想像もつかなかったが今では納得できる。
 早百合の知る限り良樹は受身型である。あと少し受け口でもある。
「よし、ではここでわれわれの友情の証にみなで一斉に月で拾った卵を食べようではないか! 桃園の誓いならぬ、月で拾った卵の誓いだ。うーむ、ごろが悪い」
「え? なにそれ。しずるさん」
「いいから、持て持て。 兼森良樹。鞠田早百合も。いいかな? 私のいっせーのーでの合図でその月で拾った卵食べるんだ」
そして、魔女ことしずるは相手のことを考えながら引っ張てくれるような女の子だ。少し言動はおかしいが。
 良樹がしずるに振り回されながる形だが、良樹に一番合っている。なんだ、お似合いではないか。
良樹を引っ張る程行動力が無い自分よりは。
「では食べるぞ。さん、にー、いちー…」
「ちょ、違」
「ぱくりっ」
 早百合としずるがぱくりと唇で月で拾った卵をはさみ、1テンポ遅れて良樹がぱくつく。
「あはは、これで我らは義兄弟だな。正確には義兄妹かな? あははっ、末永く仲良くしようではないかっ」
 しずるはからからと笑った。魔女とは思えない、爽やかな笑い方だった。
(続く)
616赤いパパ ◆oEsZ2QR/bg :2007/01/18(木) 22:57:19 ID:EUOCNhKm
キリのいい所で区切っていたら当初の予定だった第二話を三等分してしまいました。
なにぶん連載嫉妬小説は初めてなもので、淡々とした進みですが、毎日連載を続けていきますので修羅場はもう少しお待ちください。
(毎日やらないとサボるので)
書いてて、やっぱり自分はコメディ畑の人間だと実感しました。変なギャグ入れすぎや自分。
617名無しさん@ピンキー:2007/01/18(木) 23:19:12 ID:BY4alFrK
しずるさんに全面同意wやっぱゆずゆは萌えw
きっペイもいいよーいいよー

そんなしずるさんがたまらないww
618名無しさん@ピンキー:2007/01/18(木) 23:22:45 ID:5HUwTgPM
なんかほのぼのムードを醸し出しているがここからどんな修羅場が巻き起こるのかwktkしてまってます!
毎日連載はいいねw
619名無しさん@ピンキー:2007/01/18(木) 23:29:54 ID:JFZqOyy/
なんか○○まだー?みたいな空気はさ
はっきりいって作者も投下し辛くなると思うんだけど
620名無しさん@ピンキー:2007/01/18(木) 23:32:47 ID:ENImMgPf
>>619
だよな
正月に大量投下があったから毎日あると思ってるアホ多すぎ
621名無しさん@ピンキー:2007/01/18(木) 23:37:31 ID:gJxOy5oA
>>616
GJ!!
wktkがとまんねぇwwww


>>619-620
同意なんだがそれよりも感想かこうぜ。同士達
622名無しさん@ピンキー:2007/01/18(木) 23:45:33 ID:GknIaG1T
・職人さんが投下しづらい空気はやめよう
・過剰なクレクレは考え物

テンプレ守れない香具師はイラネ
623名無しさん@ピンキー:2007/01/18(木) 23:49:30 ID:jWrM/8qv
>>621
極論を言わせてもらえば感想もいらん
ただ淡々と保守だけをしてうpをまつだけのスレで充分だ
624名無しさん@ピンキー:2007/01/18(木) 23:51:46 ID:KyUDQxOC
>>623
じゃあ感想の欲しい人は最初にそう書き込めば解決
625名無しさん@ピンキー:2007/01/18(木) 23:53:27 ID:0Ixftnw3
そんな目くじら立てられるレベルでもないと思ってたよ、ごめんなさい
大量投下が欲しいんじゃなくて、長い間止まってる話が復活してくれないか期待してるだけなんだ
そのまま忘れ去られるのは嫌だからさ
626名無しさん@ピンキー:2007/01/18(木) 23:54:48 ID:c7KHZPd9
感想書きたい奴は書けばいいし書かないなら書かないでよしだろ。
大切なのはスレに投稿してくれる神を敬う気持ちだろ。

自分もだが最近自治に過敏になってる気がする。
とにかく赤いパパ氏GJ。
なんか修羅場よりほのぼのとしてどうなるかドキドキですw
627名無しさん@ピンキー:2007/01/18(木) 23:55:34 ID:ncuz+XrZ
クレクレの言い訳ほどウザイものは無い
628名無しさん@ピンキー:2007/01/19(金) 00:00:11 ID:gacvZL8O
しずるさんいいなぁ
629名無しさん@ピンキー:2007/01/19(金) 00:07:36 ID:w0MEJ4lO
GJ!しずるさんのマシンガントーク、テンションからなる快活奔放な行動や言動に(*´д`*)ハァハァ
これからどんな修羅場になっていくのか楽しみで気になってしょうがない
630名無しさん@ピンキー:2007/01/19(金) 00:31:40 ID:7g6X/RTG
>>616
毎日連載を一人シャドーPL学園で応援させていただきます。
631名無しさん@ピンキー:2007/01/19(金) 02:28:59 ID:xcjrCoPf
まあ書き込みする前に
自分のレスがうざくないか3分くらい考えてみればいんじゃね?
632名無しさん@ピンキー:2007/01/19(金) 07:15:03 ID:2sfMub2m
うざいうざくないの感じ方は人によって違うんだから、どんな書き込みだろうが結局諍いごとは絶えないと思う
問題は、いちいち煽りを混ぜ込んで話をこじらせる奴だ
633名無しさん@ピンキー:2007/01/19(金) 07:56:57 ID:UVBteat0
>623
感想がなければ、投稿する人も激減するんだがなぁ
釣りカキコならまだマシだが、本気だと……
634名無しさん@ピンキー:2007/01/19(金) 08:16:03 ID:7rloTFQh
感想は充分アリだと思うが、催促みたいな書き込みは無いほうがいいんじゃないかと。

635名無しさん@ピンキー:2007/01/19(金) 08:46:13 ID:BDNhZ3Mn
催促は二ヶ月とかそれ以上投稿が無い作品に対しては良いと思う。事実、戻ってきてくれる神も結構いるし。
頻繁に投稿がある作品には控えたほうがいいかなとは思う

636名無しさん@ピンキー:2007/01/19(金) 09:25:36 ID:hW9P2Yv6
何かこのスレも雰囲気変わってきたな……
各所でこのスレが紹介されてから変なの(自治厨含)が増えた気がする

皆ノリ良く仲良くやってた昔が懐かしいお(´・ω・`)
637名無しさん@ピンキー:2007/01/19(金) 09:30:36 ID:EEFMXDD1
何回も出てるけど愚痴愚痴いうやつはこれを100万回読め

SSスレのお約束
・指摘するなら誤字脱字
・展開に口出しするな
・嫌いな作品なら見るな。飛ばせ
・荒らしはスルー
・職人さんが投下しづらい空気はやめよう
・指摘してほしい職人さんは事前に書いてね
・過剰なクレクレは考え物
・作品に対する評価を書きたいなら、スレ上ではなくこちら(ttp://yuukiremix.s33.xrea.com/chirashi/)へどうぞ
スレは作品を評価する場ではありません
638名無しさん@ピンキー:2007/01/19(金) 10:02:29 ID:NR7PuuVC
>>636
>>各所でこのスレが紹介されてから

このスレっていつからそんなに有名になったんだ?
1年前ではかなりマイナースレだったはずなんだが・・。
客観的な評価を知りたいです

感想はいらない ただ保守するのを待つべし派の人たちへ
俺はSSの作者だけど、自分の作品に感想を書いてもらえるのはメチャクチャ嬉しいw
その感想のおかげで次も頑張って書くぞと気力が沸いてくるんです。
一度、SSを書いてごらんなさい。
神々がどれだけ苦労して日々作品を書いているのかわかりますよ
特に10話まで書くのがどれだけ遠い作業なのかきっちりとわかります。


そして、俺はいたり先輩の復活を待っている者
639名無しさん@ピンキー:2007/01/19(金) 10:36:52 ID:GkkmZeWh
>>638
同感です
自分の書いた作品にレスが貰えることほど嬉しいことはありません
勿論好評であるほうが嬉しいのですが、たとえダメ出しだとしても無反応よりははるかにマシです
人によるかも知れませんが、私の場合は催促すらも嬉しいです
私の稚拙な文を心待ちにしてくれている人がいる、と思うと書く意欲が湧いてくるのです
あくまでこれは私の感覚ですが・・・長文失礼しました
640名無しさん@ピンキー:2007/01/19(金) 11:54:02 ID:rbaztUo8
なんとつまらん流れだ
641名無しさん@ピンキー:2007/01/19(金) 12:20:18 ID:4nuEE0b+
最近新参者が増えたな
つ旦
茶でものんでマターリ投下を待とうぜ
642名無しさん@ピンキー:2007/01/19(金) 14:08:05 ID:U4fnJGtq
>SSスレのお約束
これ、見直した方がいいと思うよ。明らかにおかしい所がある。
643名無しさん@ピンキー:2007/01/19(金) 14:17:39 ID:Wd1GQ7gc
嫉妬の魔力は恐ろしいな
644名無しさん@ピンキー:2007/01/19(金) 14:18:32 ID:hW9P2Yv6
だから、何でいまさら……。
このルールでずっと来てんだから新参が口を出すことじゃないだろ……。
645名無しさん@ピンキー:2007/01/19(金) 14:30:33 ID:cHtkZWuy
まあ修羅場を愛する仲間同士なんだから皆マターリ仲良くしようぜ
646名無しさん@ピンキー:2007/01/19(金) 14:34:41 ID:7g6X/RTG
>>644
>>642のことを言ってんの?
多分>>642は、>>637がまとめサイト記載のルールにはない
新ルールを追加してしまってるのを突っ込んだんじゃないか?
647名無しさん@ピンキー:2007/01/19(金) 14:40:36 ID:IvSBj3w9
うーん、新参がどうこうってのはどうだろう。煽ってるよ、それ
誰であっても、おかしいことをおかしいというのは普通の事だし、その逆もまた普通の事と認識しているけどね
648名無しさん@ピンキー:2007/01/19(金) 14:41:45 ID:cHtkZWuy
>>646
>>644
最後のは前あったルールなんだよ、まとめサイトにはもう無いけどテンプレにはまだ残っている
649名無しさん@ピンキー:2007/01/19(金) 14:42:41 ID:cHtkZWuy
うおageスマソ全裸で反省してくるOTL
650名無しさん@ピンキー:2007/01/19(金) 14:45:09 ID:7g6X/RTG
>>649
うわっ、マジだ。まとめルールしか見てなかった。
俺も一緒に反省させてくれ。
651名無しさん@ピンキー:2007/01/19(金) 14:47:51 ID:5J5EPAqb
お前ら……


スレが延びてるから神の投下キター!!!とか思っちまったじゃねーか

オラのwktk返せ!
652名無しさん@ピンキー:2007/01/19(金) 15:15:26 ID:hW9P2Yv6
>>647
具体的に何処がおかしいかも挙げずに「明らかにおかしい」とか言う
その態度にイラっときて書いたんで煽りと思われたんなら謝る(´・ω・`)

けど前からあった事がどんどん変わっていくのは正直さびしいのさ。
スレタイの語呂合わせも結局なくなっちゃたし。
昔みたいにGJだけのレスなんて言語道断の雰囲気だし。
「修羅場は作品の中でだけ、住人同士マターリ仲良く」ってルールも今じゃあってないようなモンだし。
懐古厨の戯言だね、ゴメン(´・ω・`)
653名無しさん@ピンキー:2007/01/19(金) 15:27:56 ID:df5tUdud
>>652
だから、懐古厨であるトライデントとロボとノン・トロッポの作者とブラッド・フォースの作者
さえ追い出せば我々の楽園は帰ってくるんだよ

追放した人間には

ヤンデレの小説を書こう!
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1148704799/
という素晴らしい場所を提供するので別に何の問題もない
スレ住人の争いも論争もない寂れたスレならば存分にその技量を発揮することでしょう
654名無しさん@ピンキー:2007/01/19(金) 15:32:22 ID:Q7C1reFe
おまいらいいから落ち着け そしてお茶を飲め
つ旦 つ旦 つ旦 つ旦 つ旦 つ旦 
つ旦 つ旦 つ旦 つ旦 つ旦 つ旦 
つ旦 つ旦 つ旦 つ旦 つ旦 つ旦 
つ旦 つ旦 つ旦 つ旦 つ旦 つ旦 
つ旦 つ旦 
655名無しさん@ピンキー:2007/01/19(金) 15:35:46 ID:hW9P2Yv6
∧_∧
( ´・ω・) ……。
( つ旦O
と_)_)
656名無しさん@ピンキー:2007/01/19(金) 15:36:48 ID:PSDs1Tfn
お茶いれすぎwww何人分だよ…(´・ω・`)つ旦モライマース
657名無しさん@ピンキー:2007/01/19(金) 15:40:46 ID:df5tUdud
まあ、引き抜きされるのは仕方ない
他の球団で育てた選手を巨人に高く売りつけるような事と同じだ
上記の4人なら高く売れるだろう。契約金3万ぐらいで成立するだろうね
他のスレは数ヶ月に一回投稿されるかされないかだし

ヤンデレスレに来ないかな?

658 ◆U9DQeTtJII :2007/01/19(金) 15:45:30 ID:NG9jIQzK
>>651
おまいのwktkに応えられるかわからんが、投下するぜ。

>>654
ありがd。ではお礼に投下でも……
659 ◆U9DQeTtJII :2007/01/19(金) 15:49:30 ID:NG9jIQzK



笛を鳴らすような高い音の後に何かが爆ぜるような火薬の音。
人を魅了する綺麗な色とりどりの色彩の花火の視覚的な映像の後にその音が聞こえてきた。
一年の行事の中でも一番有名でどこでもやってそうなイベントだ。
参加している人はときには恋人同士だったり親子連れだったり、
遊びに来ている友達同士だったりその老若男女様々だ。
その中で俺一人だけがその喧騒から外れて祭りの様子を外から見ていた。


向こうのイベントの本会場であるところからずいぶん離れているのでここの人は、
まばらというか俺一人くらいしかいない。けど、あくまで一人だが。
傍にはチビがいる。今日はこいつしかいない。
元々、向こうは自由気ままな野良だからいつも来てくれるわけではない。
別に飼いならしてるわけじゃないし、こちらとしてもそれほど干渉しているわけでもないのだ。

その中の一匹であるチビが、頬をすり寄せて機嫌のよさそうな声を出しながら、
あぐらをかいて座っている俺のひざに乗っかってくる。
こいつは一応、名前も付けてるし飼ってるという定義のうちに入るのかもしれないな。
頭をなでる。すると、気持ちよさそうに目を細める。
あらかじめ、買っておいたビーフジャーキーをやるとうまそうにほおばって口を動かしている。
まるで悩みも邪心もなさそうなその目をみるとなんだかこちらまで気分が安らいできそうだ。

660switch / telepathic communication ◆U9DQeTtJII :2007/01/19(金) 15:50:16 ID:NG9jIQzK


「いいよなあ。お前は気楽そうで……」

ため息をつきながらチビを両手で抱えあげる。
重い……始めてあった時とは比べようもないくらいでかくなったもんだ。
なのに、仕草は子供っぽくて加えて甘えたがりだ。
未だにこいつが立派な大人だとは思えない。そんなに、誰かに頼ってるようじゃ一人になった時に困るんじゃないか。
そう、思った瞬間思考を一瞬止めた。さっきまでの考えまるっきり自分自身にいえそうな気がしたからだ。
軽く欝になりそうになってると、チビが俺の手を舐めてる。
ザラザラした舌触りだと思いながらも慰めてもらってる気がして又、頭を撫でてやった。





661switch / telepathic communication ◆U9DQeTtJII :2007/01/19(金) 15:50:50 ID:NG9jIQzK





今ごろ伶奈や亮介はどうしてるだろう?
友達を誘って遊びに繰り出してるのだろうか? あるいは彼氏、彼女か……
あの時、伶奈に誘ってもらったのはすごく嬉しかった。本当なら即答したかった。
けど、ついその場限りの嘘でごまかしてしまった。本当は用事なんてまったくないのにだ。
断った時の伶奈の落胆した顔が今でも頭から離れない。あれで、本当に良かったんだろうか?
いや、これでいいはずなんだ。俺と一緒にいるのを誰かに見られたりでもしたら迷惑をかけてしまう。
全ての人が悪くいうとは思わないけど必ずありもしないことを噂する奴らはいるはずだ。

「だから、これでいいんだよ……これで」
「何がですか?」
「何がって……っ!?」

気づけばいつの間にか雪乃さんが隣に立っている。
花火大会がある日だが彼女はいつもの私服姿で浴衣は着ていない。
無論、それが悪いわけではないんだが。

「また、道に迷ったわけ。花火大会だったら向こうでやってるよ。ここはただの空き地」

無愛想な仏頂面で花火が鳴り響いてる方向を指差す。
そんなこちらの態度にも向こうは笑顔を崩さない。

「いえ、今日は道に迷ったわけではないですから」
「だったら、なんでこんな所にいるわけさ? 遊びに行くんだろ」
「ええ、空也さんをお誘いしてから行こうかと思って」

平然といいのけるもんだから、彼女のほうに振り向いてしばしの間、彼女を見つめていた。

「俺は行かないよ」

短く、簡潔にでもこっちの意思ははっきりと示すように言った。
すると、今まで変化を見せなかった彼女の表情に初めて変化が見れた。
予想外の返答に驚いてるように俺には見えた。

「どうしてですか?」

雪乃さんは優しげな声色で質問してくる。
まるで、いたずらをした子供に理由を聞くかのようだ。

「別にいいだろ。そんなこと」
「よくないですよ」
「君には関係ないだろ」
「あるじゃないですか。いまこうして、お誘いを断られてるわけですし」
662switch / telepathic communication ◆U9DQeTtJII :2007/01/19(金) 15:51:44 ID:NG9jIQzK

しばらく、こんなくだらない問答が続いた。
こっちが、ああ言えば向こうがこう言い、むこうが言えばこっちが。
そんな、具合にお互いが一歩も引かないもんだから子供の喧嘩みたいにくだらなく、いつまでも続いた。

「訳を言ってくれないと納得できませんよ」

彼女は今までの穏やかな様子を少しだけ強い口調に変えてきた。
とはいえ、怒鳴るような高圧的な態度ではなく柔らかな物腰で凛とした風になっただけだが。
こっちも、いい加減イライラしてきて結構限界に近かったのだろう。
だから、つい向こうの問いに投げやりに返答してしまった。

「人殺しだから」

小さく今にも消え入りそうな声だったから「ぇ?」と雪乃さんは聞こえずにそんな声を漏らした。

「俺、人殺しなんだよ」

そういうと、俺は力が抜けたように草原にしゃがみ込んだ。
雪乃さんはそれを見て、俺の隣に寄り添うように隣に座った。

「だから、俺なんかと関わってその人が阻害されてくのを見るのが嫌なんだよ。
ついでにいうと、人前で友達と一緒にいるのも正直言って怖い。
誰かが俺や周りの人の陰口を言ってるんじゃないかってね……」

自嘲するように口元だけ笑みを浮かべると雪乃さんがいる方向とは逆にそっぽを向くように目をそらした。
正確に言えば相手は死んではいない。それに、それまでの経緯からすれば……少なくとも過剰防衛くらいにはなるかもしれない。
とはいえ、それは結果論であってたまたま偶然向こうに運があっただけだ。
だから、あの事件の中での俺は間違いなく、人殺しだと思う。


いずれは話さなくちゃいけないことだ。
それに黙ってたところで遅かれ早かれ周りの噂を聞いて知るし、
これはむしろ早く言うことが出来てこっちとしても気が楽になった。
中途半端に親しくなったりして、知られたときに拒絶されたりしたくないから。


663switch / telepathic communication ◆U9DQeTtJII :2007/01/19(金) 15:52:14 ID:NG9jIQzK




「話しはわかりました。けど、私には関係ないことです」
「は?」
「早く行きましょう。花火、終わっちゃいますよ」

雪乃さんはそうして俺の手をグイグイと引っ張ってきた。
慌ててその手を乱暴に振り払う。その拍子に俺は彼女から数歩後ずさってしまった。

「俺の話し、ちゃんと聞いてたわけ?」
「はい、もちろん」

「なら、なんで」と言葉を続けようとすると彼女は俺の口を手でふさいできた。
そして、いつものごとくにっこりとスマイルを浮かべ、そこには俺に対する嫌悪も怯えもなくて、むしろこっちが拍子抜けしそうになった。

「私、空也さんが理由もなくそんなことするはずないと思ってますから」
「はぁ!? 理由があろうとなかろうと変わんないだろ」
「だから、言ったじゃないですか。関係ないって。もし、それで私が何かの不利益を得たって、
それは貴方の責任じゃありませんよ。空也さんを信じた私に見る目がなかっただけのことですから……」

あまりに、サラッと何でもないことのように涼しげに言葉を放つ彼女に俺は絶句する。
何故、そこまで俺に肩入れするんだろうか? それが不思議でならなかった。いや、不気味とさえ思ってたかもしれない。
長い付き合いの友達ならわからなくもない。けど、彼女は違う最近知り合ったばかりで俺のことなんか全然知らない赤の他人に近いといえなくもない

「わけ、わかんねえ……」

だから、気づけば俺はそうつぶやいていた。
それが、彼女を傷つけるような言葉なんじゃないかと気づくことすらせずに。

「わけ、わかんねえっての!なんで、そんな俺に構うんだよ!
会ったばっかで俺のことなんか全然知らないくせに。人殺しだって聞いても、
なんでそんなに平然としてられんだよッ!いったい、何考えてんだよ、アンタはッ!!」

肩でゼイゼイと息をしながら大声で怒鳴ってしまったが、どうみてもこれは八つ当たりだ。
そもそも、なんで彼女が責められなきゃならないんだ。むしろ、俺は感謝するべきなのに。
なんで、こんな癇癪を起こしてしまったんだろう。理由はわかってる、怖いんだ。人と付き合うことが。
心の内に踏み込んで欲しくない、自分の心の奥底に潜む醜い部分を見られたくない。
それを見て、嫌われたくない。幻滅されたくない。自らの定めた一定のラインからそれより奥へ入らないで欲しい。
まったくもって、自分勝手な話しだ。そんなことしか考えられない自分が嫌になってくる。
けど、そんな心配は必要なくなるだろう。こっちは、こともあろうに向こうを変人扱いだ。
彼女はどうするんだろうか? 泣いて去っていくのか、はたまた怒って俺にビンタの一つでもいれるのか。
どちらかが来るのを意を決して待ってるんだが、彼女は一瞬驚いた風に見せただけでとても落ち着いていた。
664switch / telepathic communication ◆U9DQeTtJII :2007/01/19(金) 15:53:05 ID:NG9jIQzK

「そのうち、わかります」

雪乃さんは、そう言うとゆっくりと歩いて俺の前に立つと手をとって歩き出した。
予想外のことに虚をつかれ、腕を引っ張りながら歩く彼女に併せて数歩ばかり歩を進める。

「私ね昔、貴方に助けてもらったことがあるんですよ」

覚えのないことに、「え?」と思わず声が口から出る。
俺を見る彼女の目はさっきまでの機嫌の良さそうな満面の笑みとは違って美術品に出てくる女神像のような安らか微笑だった。
といってもそれは直ぐにいつもの笑顔に戻ったわけなんだが。

「ですから……お返しがしたいんです。
そもそも、私誰にでも優しくするほど人がいいわけじゃないですから」
「は……え…ちょっと……」
「空也さんだから……いちいち世話をやくんですから」
「俺が……助けた……君を……!?」
「はい、こう言ったらなんですけど今の私があるのって空也さんのおかげなんですよ」
「いつ、どこで?」
「それは、秘密です。私から言ってもいいんですけど、やっぱり空也さんから思い出してくれたほうが嬉しいじゃないですか」

雪乃さんは俺の手を取りながらグイグイ強引に引っ張っていく。
とはいえ、所詮は女性の力。その気になれば、振り払うことは出来たけど、俺はそうしなかった。
俺にこうまでして関わってくるその理由を聞いたせいか、不思議な安心感みたいなものを感じていた。

「ほら、早く行きましょうよ。こんな所で一人寂しく花火鑑賞なんて辛気臭すぎますよ。
折角のお祭りなんですし、もっと楽しみましょう。それとも、私が一緒じゃ不満ですか?」

いたずらっぽく笑う彼女はやはり可愛いかった。そこからの記憶はしばらくの間、曖昧なままだ。
色んなことが起きたせいで俺自身何が何だがわからずボケッとしていたのかもしれない。
そして、気づけば花火大会の会場へと連れてこられていた。
そこからは、完全に彼女のペースだった。会場のあらゆる露店を周っていき一通り見終わると足跡で作られた丸太みたいな、木のいすに俺は座り込んだ。
誰かとこういう大きな行事に出るのは本当に久しぶりで一緒にいるだけながら意外にも俺は雪乃さんといるのを楽しんでいた。
665switch / telepathic communication ◆U9DQeTtJII :2007/01/19(金) 15:53:34 ID:NG9jIQzK
「はい、どうぞ♪」

遅れてきた雪乃さんは俺の隣に座り込むと、両手に持ってた二つのクレープの内一つを俺に手渡してくれた。
それを、受け取って一口かじる。トッピングはどうやらチョコレートみたいだ。
未だに心ここにあらずの俺はどんどん打ち上げられる綺麗な花火を見上げながら黙々とクレープを食べる。
気づけば半分ほど既に食べ終わっていた。

「どうしたんですか? さっきから、ずっと黙り込んで」
「いや、なんだか夢を見てるみたいだなあ……って」
「夢?」
「なんていうかさ、今日こんな風に誰かと遊ぶなんて思いもしてなかったし。
実感がわかないっていうか……まるで、夢見たいだなー、って……
っ痛ッ! 痛い痛い。急に何すんのさ」

雪乃さんは俺の言ったことがわからなかったのか首をかしげてキョトンとしていた。
自分でも、言ってることがあまりにも突拍子がなかったので慌てて言い直した。
そしたら、いきなり人の頬を思いっきりつねられた。

「これでも、夢だと思います?」
「痛たたたッ! わかったから離してよ。本当に痛いんだって!」
「ねっ。痛いってことは夢じゃないでしょ」
「ったく……それだけのために、ここまでする?」

いたずらっぽく笑いながらも彼女は抓る手を緩めようとしなかったので
手を離してもらった後でもまだ抓られたところがヒリヒリする。
そんな風に軽口を叩きながらも、俺は少しだけおかしくなって笑っていた。
声には出してなかったし、自分でも気づいてなかったので彼女に指摘されるまで気づかなかった。
それに気づくと俺はなおさら、可笑しくなって笑ってしまった。雪乃さんもそれを見て一緒に笑ってくれた。
俺はそのとき、少し浮かれてたのかもしれない。だって……


「クーちゃん……その人……だれ?」


伶奈に声を掛けられるまで、俺の直ぐ後ろにいたことに気づけなかったのだから。



666 ◆U9DQeTtJII :2007/01/19(金) 15:57:00 ID:NG9jIQzK
これで以上です。ようやく、修羅場に入れる予感。
まあとりあえず、皆マターリ仲良く修羅場はゲームかssの中でですよ。
667名無しさん@ピンキー:2007/01/19(金) 16:01:45 ID:Q7C1reFe
>>666
GJ!
俺も雪乃に抓られたい
手の甲のあたりをねっとりと。
668名無しさん@ピンキー:2007/01/19(金) 16:06:23 ID:hW9P2Yv6
>>666
∧_∧
( ´・ω・) ……GJ。
( つ旦O 結構なお手前で。
と_)_)
669名無しさん@ピンキー:2007/01/19(金) 16:17:59 ID:df5tUdud
>>666
ヤンデレスレに来ないか?GJ
670名無しさん@ピンキー:2007/01/19(金) 16:47:03 ID:Q7C1reFe
>>669
おまいはどこの寂海王だw
671名無しさん@ピンキー:2007/01/19(金) 17:04:49 ID:R4Jd53f9
>>670君なんで荒らしちゃんなんかに構うの…
672名無しさん@ピンキー:2007/01/19(金) 17:11:32 ID:GzcrSwBv
GJ!
最後のセリフだけでももう(*´Д`)ハァハァ
673名無しさん@ピンキー:2007/01/19(金) 17:51:55 ID:KKa8Ynvz
GJ。最期のシーン伶奈の顔が目に浮かぶ
674名無しさん@ピンキー:2007/01/19(金) 18:20:32 ID:KY2u9QCt
これはいい香りのする嫉妬ですね(*´ρ`*)'`ァ'`ァ
675名無しさん@ピンキー:2007/01/19(金) 18:48:21 ID:ykmAYAC3
プロット
主人公はどこにでもいるオタ
      ↓
あるとき学校の同級生から告白される
      ↓
もっているギャルゲーが全部捨てられる
      ↓
その夜、主人公のパソコンのモニターに写しだされる文字
「私達の仲を引き裂こうとするなんて・・・泥棒猫・・・殺す・・・」
      ↓
彼女が主人公の家ぶ来る
      ↓
パソコンモニターから手が出て同級生の首を絞めて殺す
      ↓
パソコンのモニターにはあの時捨てたギャルゲーのヒロインが映し出されこう言う
「ワタシタチッズットイッショダヨ・・・」
      ↓
消息不明になる主人公だが彼のパソコンのモニターから女の笑っている声と男の叫び声が聞こえてくるという・・・
676名無しさん@ピンキー:2007/01/19(金) 18:51:16 ID:LI6EfMBq
>>671

いつものようにスレを見に行ったら大変なことになっていた。
ヤンデレssスレの住人と嫉妬ssスレの住人で意見がぶつかって
神によるSS投下がしにくい状況になっていたのだ。

どうしたらいいの?
df5tUdudの手を切り落として書き込めないようにする?
そうね。それがいいわ。
私は愛用のナタを手にとった。
今までたくさんの泥棒猫の血を吸ってきたこのナタで奴を・・・

出撃する前に一度だけリロードだけしてみる。
すると>>654 Q7C1reFe君から26人分のお茶が淹れられていた。
せっかくの厚意を無駄にするわけにはいかない。
そのお茶を口に含む。

思わずナタを手放した。
おいしい。
荒んでいた心にお茶の味が染み渡る。
これは>>654 Q7C1reFe君の愛も一緒に注がれているから?

お茶のお礼ということで神の投下が始まった。
ようやくこの流れにも終止符が打たれようとしていた。
677名無しさん@ピンキー:2007/01/19(金) 18:52:13 ID:LI6EfMBq
投下終了の余韻とともにおこる歓喜とGJの嵐。
その中に>>669 df5tUdudの書き込みもあった。
残念だったわね。
もうあなたに構ってくれる人はいないのよ。
早く帰り・・・

>>670』 Q7C1reFe

え?>>654君?なんで?どうして>>669なんかにレスするの?
そんな寂海王似のやつなんか放っておいてよ。
あのお茶はなんだったの?
私のために淹れてくれたんじゃないの?



ああ、そうか。670君は皆に優しいんだ。
だから26人分も淹れてくれたのね。

でも、もうだめ。
これからは私にだけお茶を淹れて。
あの甘露を飲んだら皆あなたのこと好きになっちゃう。
そんなことは、させない。
あなたを見つめていいのは私だけ。
あなたの優しさを受けていいのは私だけ。
あなたに愛されていいのは私だけ。

待ってて。
今すぐあなたの家に行くわ。
もう私だけしか見えないように、
もう私の前から居なくなれないように、
もう私以外愛せないようにしてあげるから。

PCの電源を落とし、床に落としたままのナタを拾う。

「す ぐ に 行 く わ。」

闇に紛れて私は街を疾走する。


勢いに任せて書いた。
正直、反省していない。
678名無しさん@ピンキー:2007/01/19(金) 18:52:33 ID:ykmAYAC3
ヤンデレスレのURLキボン
679名無しさん@ピンキー:2007/01/19(金) 19:00:50 ID:4nuEE0b+
680名無しさん@ピンキー:2007/01/19(金) 19:09:35 ID:ykmAYAC3
>>679
トンクス
681トライデント ◆mxSuEoo52c :2007/01/19(金) 19:11:26 ID:ViI+sNXq
では投下致します
682水澄の蒼い空 ◆mxSuEoo52c :2007/01/19(金) 19:15:37 ID:ViI+sNXq
 第15話『鷺森家篭城戦』

*鷺森音羽視点
 ついに勝負の時がやってきました。
月ちゃんに頼まれたお買い物はちゃんと買い揃えて渡しておきました。
彼が言うにはその買物の中身こそが勝敗を決すると自信満々で言ってましたが、私的には月ちゃんの頭の中身が全く理解できませんが。

 そんなことはどうでもいいんです。
 やっと、月ちゃんと平和なラブラブ同棲生活を邪魔する憎き姉妹君から月ちゃんを守るために手段は選んでいられない。
月ちゃんが立案した作戦通りに物事を進めれば、きっと勝てるんです。
勝てるんだよね? ねえ?
 時間は月ちゃんが約束した勝負の時刻を正午を迎えました。

これからの時間帯は時刻は全く油断することができません。
緊張して体を思わず強張っていますが、敵はどんな手段で私から月ちゃんを奪って行くのか全然わかりません。
ゆえに私は衣服にいろいろと凶器を忍び込ませているんですよ。
昨日、一生懸命に研いだ包丁は切れ味が良くなっていますし、これであの姉妹を刺しまくる姿を想像するとヤバイ世界にイッちゃいそうです。

 妄想を膨らせている途中にインターホンが鳴り響きました。
 場の空気は一気に凍り付きました。
 あ、あの悪魔たちが私と月ちゃんの愛の巣に踏み入れようとしているのです。
 私は慎重にドアを開けると見慣れない女性が片手に物を持って立っていました。

「注文したピザの方をお届けにあがりました」
 ピザ? そんなものは頼んだ覚えはないのですが。
「お代は結構です。ちゃんと水澄虹葉様の依頼で鷺森音羽様の自宅に届けるように依頼されているので。
 どうか、受け取ってくださいね?」
「あ、あのやっぱりいいです。知らない他人から送られたピザはちょっと不気味で」
「いいえ、こちらもお仕事なので冷めないうちにピザを超特急で召し上がってくださいませ。それでは。ご利用のありがとうございました」

 某ピザの会社の制服を着た女性が元気よく階段の方に向かって走っていた。
 渡されたピザを私は茫然と受け取ってしまいましたが、あの水澄虹葉から送られたピザは怪しくて食べられたものじゃないわよ。
 私は玄関から居間へ洗濯が干している窓際に行き、先程渡されたピザを思い切り投げました。
 下は荒ら地で何もありませんが、数秒もしない内に野良猫たちが集まってきました。

 そう、下は野良猫達の住みかであり、住人たちがよく野良猫たちのために餌を投げ付けたりするので
 猫たちが餌をくれたと集団で飛び出してきます。投げ捨てたピザを猫たちが美味しそうに食べていました。
 が。
 一分も経たない内に数匹の猫たちがパタパタと音を立てて倒れていきます。

 あの女。
 やっぱり、ピザに猛毒を仕込んでいましたね。
 何の罪もない猫さんたちをあんな風に無残に殺すとは。

 私は水澄姉妹を許すことができません。
 強い決意を胸に秘めて、リビングの方に戻ってくるとまたインタ−ホンが鳴りました。

 今度はどのような手段で私たちの引き離すのか。ちょっと恐いです。
 ドアを開くとさっきとは違う女性が立っていました。
 シスターのような黒衣を纏った女性が両手を握り締めて言いました。
683水澄の蒼い空 ◆mxSuEoo52c :2007/01/19(金) 19:18:23 ID:ViI+sNXq
「あなたは神を信じますか?」
「はい?」
「愛しい愛しい弟君好き好き属性を持つ女性たちための創世された新設の宗教法人です。
今、私たちの同士に入れば、信じられない特典があなたを待っているんです」
「あの宗教と勧誘はお断わりしているんですが」
「甘い。甘いですね。この世の中は一体何億人の女性が弟君の事を好きだと思っているんですか。
 私が勝手に決めた統計では99%が弟君がいないと生きることができないと立派な結果が出ているんですよ」
「いや、あなたが勝手に決めたなら全然信用できないんです」
「さて、肝心な特典の方ですが」
 華麗にスルーかよ!!
「今なら私たちの宗教に入ってくる方は特典として月君の幼い頃から今の月君までアルバムが99冊が付いてきますよ!!」
「入ります!!」
 即答であった。
 月ちゃんの小さい頃から今まで成長した部分までアルバムが見れるなんてとても幸せだよ。一生の宝物にしますっ!!
「ではこちらの書類の方にサインお願いします」
 用意された書類を受け取って私は思わずサインしようと思ったが、書類の内容が目に入った途端に私は目が覚めてしまった。
「これ、連帯保証人に関する正式な書類じゃないですか?」
「大丈夫です。あなたの人生が借金地獄に落ちてしまっても、私はあんまり気にしませんから。
 頑張って風俗とかで汚いお金を一杯稼いでくださいね」
「落ちてたまるか!!」
「残念です。ぜひ、泥棒猫に落ちて欲しかったんですが。本当に残念です」
 そのシスターは残念そうに唇を尖らせて拗ねていていた。さすがに目の前の人物はここまで来ればバカにでもわかる。
「虹葉さんっっ!!」
「うにゃ。どうしたのかな」
「こんな姑息な手で私が騙されると本当に思っていたんですか?」
「月君のアルバムで思わず書類にサインしそうになったくせに。にゃにゃ」
「ええい。黙れ黙れ。月ちゃんと愛の巣は誰にも邪魔させないんだから。とっと帰って、敗北の味を存分に味わいなさい!!」
「まあ、一度は退却させてもらうけど。今度は紗桜ちゃんと一緒に突撃するからね。
 その時があなたの最後よ!! 月君っっ!! 聞こえるっっ!! すぐに月君の洗脳を解いてあげるからねっっ!! 
 それまでちょっと待っててよ!!」

 シスターのコスプレした悪魔が先程のピザ宅配便の女性と同じように階段の方へ走り去った。
 次はどんな手でやってくるのか。月ちゃん、本当に月ちゃんのあれは役に立つの?
684水澄の蒼い空 ◆mxSuEoo52c :2007/01/19(金) 19:21:29 ID:ViI+sNXq
*水澄紗桜視点

「お姉ちゃんのシスターのコスプレ姿でも兄さんは鷺森家から出て来なかったの?」
「うん。紗桜ちゃんの宅配ピザに猛毒を仕掛けて、泥棒猫と月君が苦しんでいる時に救急車を呼ぶ本来の作戦もダメだったよ。
 宗教勧誘をするシスターが食中毒で苦しんでいる二人を助けるという美談付きが本来のシナリオだったのに一気に狂ったね」
 そう、それが本来の作戦だった。
 私が宅配便のビザの従業員を偽り、そのピザに猛毒を仕込んで知能指数が薄い鷺森先輩が食べて倒れて、
 たまたま偶然にやってきたシスターの格好したお姉ちゃんが家の状況がおかしいと
 勝手に家に忍び込んで救急車を呼ぶというのが本筋であった。
 
このシナリオなら兄さんを病院で看病させて、鷺森先輩は当分の間は私たちの手を出すことができない最高の状況だったのに。
 こうもあっさりと見破られてしまった。
 泥棒猫の存在に嫉妬してしまうが、まだ手段はいくらでもある。

「お姉ちゃん。今日中に絶対に兄さんを取り戻しましょうね」
「うん。今日こそ月君は私たちのモノにするんだから!!」

 堅い決意。姉妹の絆を再び確かめる。
 本来のシナリオが狂っているというなら。
 後はガチンコ勝負。

「紗桜ちゃん。プランBからプランCに変更するわよ。

 作戦名は『ジェノサイド泥棒猫』をここに発動します。着替えと演出をもう一度頭の方によ〜く入れといてね」

「わかったよ」

「今の状況をよく説明するよ。
 私たちの謀略が見事に憎き泥棒猫の手により破られてしまいましたが、
 これらの作戦が失敗しても特に問題はありませんが、私たちの嫌がらせに我慢ならない泥棒猫が
 私たちを怪しい変質者として警察に突き出すのも時間の問題です。
 だから、どうしても。鷺森家に月君がいる証拠を突き止めることが私たちにとっての勝利の鍵です。
 もし、月君が泥棒猫と同居している事実があるならば、私たちは月君が何週間も家に帰ってこないと警察に泥棒猫が
 拉致監禁していると被害届けを提出して月君を保護してもらう。
 そのためには、不法侵入してまで月君がいる事実を突き止める。証拠を作る。そして、通報する。この3つを決めないと次はありません」

「わかりました。お姉ちゃん。今こそ二週間準備していた物を役に立つ時が……」
「紗桜ちゃん。一緒に頑張ろうね。恥ずかしくても月君のためなら」



『なんでもできる』
 お姉ちゃんと私の声が綺麗に揃いました。互いの結束は限界点突破のようです。
 そして、出撃の言葉も一緒に揃えましょう。

『敵は鷺森家にありっ!!」

 兄さんを奪い返すため、私たち姉妹は一世一代の大勝負に全てを懸けます。
685水澄の蒼い空 ◆mxSuEoo52c :2007/01/19(金) 19:25:00 ID:ViI+sNXq
*水澄虹葉


 憎き泥棒猫の家にBダッシュで猛然と走ると私はインターホンを思い切り拳で殴るように押してあげました。
 これで器物損害になるなら、この国の法律が間違っているんです。
 どこの世界に大好きな月君を奪い去った泥棒猫の住みかを守るような法律があるんですか。
 どこかの国では正義のために大使館に石を投げたり火炎瓶を投げつけたりしても誰も捕まらないじゃないですか。
 それと同じことです。月君を取り戻すという立派な大儀の前ではどんな罪も許されるんだから。
 ドアが開かれると予想していた通りに平穏そうで少し困った風な表情を浮かべた泥棒猫がやってきました。
 彼女は勝ち誇った笑みを浮かべて言いました。

「今度は意味のわからないコスプレをしないんですね」
「ええ。今度は表から堂々と月君を頂きに参りました。そこをどいてくれませんか?」
「残念ながら言っている意味がわかりません。月ちゃんは私の家にいると思っているんですか? それは大間違いですよ。
 月ちゃんとは夏休み以降会っていませんし。この前の買物はたまたま激安セールで一緒になっただけです。
 その後の電話も私の家に月ちゃんが遊びに来たのでたまたま出てくれたに過ぎません。電話の後、すぐに月ちゃんは帰りましたよ」
「うっ……そんな言い訳が通ると思っているの?」
「ええ。あなたたちには通ると思っていませんが。確かめる術はないでしょう?」
「ふっふっふっふっ……。そういう細かな事はどうでもいいのよ。あなたの家をちょっと調べさせてもらうわよ」
「許されると思っているんですか。そんな勝手な事が」
「私には心強い味方がいるんだから」
 私は天井に向かって、心強い味方を名前を叫ぶ。

「助けてーーーぇ! ツキツキ・サクラーーーーーー!!」

 痛い程の沈黙の時間が流れた。
 しばしの時間が流れると打ち合せ通りに何か火薬の弾を投げ付けて様々な色彩の煙立ち篭める。

「よ……呼ばれてやってきました。ワンワンワンワンワンですぅぅ!!」

 煙がなくなると綺麗なポーズをとって紗桜ちゃん、
 いえサクラちゃんが華麗に登場していました。その格好は先程の宅配ピザの制服みたいに地味でありません。
 フリルがいっぱいついてる。リボンもたくさんついている。そして、短いスカートの丈の後ろに犬の尻尾が左右に嬉しそうに振っている。
 頭の上にはお約束の犬耳を付けました。そして、右手にはピンク色の玩具の宝石がついた杖を握り締めている。
 恥ずかしそうに赤面しているサクラちゃんが泥棒猫に向かって、改めて名乗り上げた。
「人の大事な兄さんを奪う泥棒猫には、このワンワンプリンセス・ツキツキ・サクラが徹底的におしおきするんだからぁ!!」
 サクラちゃんラブリぃですぅ!!
 泥棒猫は圧倒的な戦力の前に声も出ないようです。
「月ちゃん。私にどうしろと?」
 そこで驚いたらダメですよ。更に。
「ちょっと男性恐怖症で話し掛けられると泣いてしまうツキツキ・サクラにも強い味方がいるんです。
 いつも私が困っている時に助けてくれるお姉ちゃんです。
 さあ、皆で呼んでみよう!!
 ツキツキ・ナノハーーーーーーーーーーー!!」

 名前を呼ばれた途端に私は隠し持っていた火薬の弾を投げ付けて、その一瞬の内に着ている衣服を投げ捨てた。
 服装はサクラちゃんとあんまり変化はない。
 ただ、違うのは頭には猫耳。そして、スカートの短い丈の後ろには左右に振っているのは猫の尻尾です。

「呼ばれてにゃにゃにゃにゃですぅーー!!」

 華麗にグルっと回ってから、何回も練習した通りにポーズをしっかりと決めます。

「泥棒猫を虐殺するなら、私を呼べ。にゃにゃプリンセス・ツキツキ・ナノハーー!! 参上!!」
「二人合わせて、ワンニャン姉妹!!」

 私と紗桜ちゃんの背後に華麗な爆発音が鳴り響いた。さっき、泥棒猫の家を訪問した時に仕掛けておいて良かった。

686水澄の蒼い空 ◆mxSuEoo52c :2007/01/19(金) 19:27:17 ID:ViI+sNXq
「さあ、月君を返してもらいましょうか?」
「兄さんがいることはわかっているんだからね」
「本当にいないんですけどね。ねぇ?」
 意味ありげに泥棒猫がドアの後ろに視線を向けると閉められていたドアが開いた。そこには、私たち予想を超えた展開が待っていた。
「どうしたんですか? 表がちょっと騒がしいんですが」
 現われたのは、私たちの月君ではなくて。私たちと同じぐらい女の子がゆっくりとこちらの方に歩いてやってきました。
「あらあら。お客さま?」
「そうなんだよ。月花ちゃん。私の同級生のお姉さんと妹さんが月ちゃんがここにいるってさっきから騒いでいるの」
 あれ? あれれ?
 私たちの推理では月君がこの家に泥棒猫と同居しているはず? ええっ?
「初めまして。音羽お姉さまの妹の鷺森月花(さきもり げっか)と申します。よろしくお願いしますね」
 天使の微笑で鷺森月花さんは私たちに穏やかな雰囲気に包む。
 可愛らしいピンク色のフリルが付いた服を身に纏い。
 腰まで届く長い髪を赤色のリボンで纏めている。雪のように透き通る白い肌に整った顔立ち。
 同性の私から見ても、立派な美少女が私たちの前に現われるなんて。
 一体。どこの誰が予想できたと言えようか。
「お姉さま。ここではあれですし。家にあがってもらったらどうですか? 私が美味しい紅茶を入れますから」

 こうして、私たちは敵地に招かれた。果たして、月君を取り戻すことができるのかな。 自信がありませんよぉぉ。
687トライデント ◆mxSuEoo52c :2007/01/19(金) 19:29:45 ID:ViI+sNXq
こ、今回はいろんな意味で滑っているような気も
次回でエロ本が見つかって家出編が終了です。

雪桜の舞う時に☆埋めネタ最終回は明日投稿の予定です

とりあえず、頑張って本編を書き上げようと頑張ってますが終りが見えませんねw
688名無しさん@ピンキー:2007/01/19(金) 19:30:09 ID:cHtkZWuy
ちょwワンニャン姉妹ってwwwGJ!
底冷えのするドス黒い嫉妬とドロドロとした修羅場も大好きだが
こういったコメディチックな嫉妬や修羅場も安らいで大好きだ!!!
689名無しさん@ピンキー:2007/01/19(金) 19:30:50 ID:ykmAYAC3
ヒャッホオオオオオオオオオオオオオオオ
トラ氏SSキターーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーッァ
690名無しさん@ピンキー:2007/01/19(金) 19:32:06 ID:weFZxRWn
GJ! 早い更新乙であります。

ところでこの作品ですけど、ジャンル分けするならホームコメディっつうか、ギャグですよね?
691名無しさん@ピンキー:2007/01/19(金) 19:35:29 ID:LI6EfMBq
>>687
GJです
埋めネタのほうも全裸で立禅しつつ待ってます
692名無しさん@ピンキー:2007/01/19(金) 19:40:00 ID:GzcrSwBv
神の連続投下キタ━━(゚∀゚)━━!!
GJ!
693名無しさん@ピンキー:2007/01/19(金) 19:44:02 ID:lIRJMPro
「な、なかなか見所があってよ。 な、名前ぐらいなら覚えておいてあげていいわ。」
694 ◆n6LQPM.CMA :2007/01/19(金) 19:46:45 ID:MKjn0FLC
何だか「魔法少女」も裸足で逃げるぐらいハイテンションな作品が投下
されてるな……
それはさておき投下します。
695A bond and a bond ◆n6LQPM.CMA :2007/01/19(金) 19:48:32 ID:MKjn0FLC
EpisodeU「A pursuer」

睦美の走っていった道をただ眺めていた友二は、今回の旅行が無事に行くとは思っていなかった。
その原因は―――

多分……というか絶対先輩には勘づかれるだろうな。
そりゃあ毎日ストーカーされれば遅かれ早かれバレるだろう。


今も何処かで俺のことを―――


ゆっくりと周りを見てみた。

もちろん誰も居なかった。だが―――



何だろう……ねっとりというか、べったりと貼りつくような視線を感じるんだよな……。
はっ、馬鹿馬鹿しい。被害妄想も大概にしろってんだ俺。周囲に誰も居ないじゃないか。
それとも疲れているのかな……。


友二は気付かなかった。長い髪の女性が数百メートル先の電信柱の影に
隠れて友二を見つめていたのを。



睦美と別れた帰り道、一人で友二が暫く歩いていると壁に寄りかかって立っている女性がいた。
これも何時もの光景なのだが、今日は何故か肩でゼーゼーと息をしていた。

まるで何処からか全力疾走してきたような……
696A bond and a bond ◆n6LQPM.CMA :2007/01/19(金) 19:50:00 ID:MKjn0FLC
「あ、友二。ゼーゼー、き、奇遇ねハアハア、……い、一緒に…帰ろう」

先輩の言う「奇遇」は毎日起きるんだもんな……

最初の頃は文句も言っていたのに「偶然だからしょうがない」の一言で
済まして強引に一緒に帰るもんだから、最近は諦めてしまった。

「どうせ俺が何言っても付いて来るんでしょ」
「こう毎日偶然が重なるなんてこれはもう運命ね。私たちは結ばれる運命なのよ」
「それはない」
「んもう照れちゃってカワイイ♪」



腕を絡めつつ、楽しそうに友二をからかう真紀に当の本人は口では「いやだ」とか
「やめろ」などと拒否していても、本気で拒否はしていなかった。
本気で拒否したら、また手首を切るかも……っていう心配ももちろんあるが、もう1つ理由があった。
初めて見た時から感じていた、狂気を孕んだ瞳……
もし本気で友二が真紀のことを拒否したら、逆上して友二や睦美の身に危険が訪れるかも……
そんな予感めいたことがあったために今現在真紀にはやらせたい放題させているが、
それによって今度は「彼女」の地位にいる睦美がヒステリーを起こして暴れるという
難しい状態に陥っていた。

先輩のことは早く何とかしないと……
697A bond and a bond ◆n6LQPM.CMA :2007/01/19(金) 19:51:44 ID:MKjn0FLC
あれこれ考えているうちに友二は自分の家に着いた。
友二の両親は二人とも単身赴任のため、家には友二が1人で住んでいた。
鍵を取り出し、ドアを開けると待っていたかのように

「おじゃましま――す♪」
「ちょっと先輩!!何で勝手に家に上がるんですか?!」

それを聞いた真紀は得意そうな表情で

「今日の夕飯は私が腕によりを懸けて作ってあげるから楽しみにしててね」
「え?夕飯??お気持ちは嬉しいんですが……」
「たしか冷蔵庫に昨日友二がスーパーで買ったジャガイモやニンジンが入ってたわね。
じゃあカレーでも作るか」
「何で冷蔵庫にジャガイモやニンジンが入ってることを知ってるんですか!!
とにかく夕飯は結構ですから帰って下さい!!!」

さすがに我慢の限界だったか、エプロンを着け始めた真紀の肩を掴んで追い出そうとした。
だが、肩を掴んだ瞬間真紀が振り向き、その眼は―――

ひ、瞳が……、瞳に光彩が無い……
698A bond and a bond ◆n6LQPM.CMA :2007/01/19(金) 19:52:51 ID:MKjn0FLC
色を失った瞳で、友二を睨む真紀は

「ごちゃごちゃ五月蝿いわね……。私が夕飯作ってあげるって言ってんのよ。
その私の夕飯に何か不満でもあるの?!」
「いや、不満じゃなくて、えっと……、その……」

恐怖からか上手い言葉が出なくて、どもっていたらそんな煮え切らない態度に真紀の
眦がみるみる吊り上り

「じゃあ何なの!!私のこと好きなんでしょ!!だったら手料理ぐらい作るし、
食べるじゃない!!ま、まさか……」

吊り上っていた眦が今度はみるみる下がり、色の無い瞳には涙が溢れ――

「やっぱり私のこと嫌いだったのね……、そう、それなら生きてても仕方ないわね」

台所に置いてあった出刃包丁を手に握り、首筋に当てて

「友二……さようなら」
「わ―――――!!!!!!!!!!またそれですか!!!ストップストップ!!!!
あ―――――――――――!!!!!!!もう!!!!!!分かりました!!!
先輩の好きにしてください!!だからそんな物置いてください!!」
「いいのよ……無理しなくて。私は友二の心の中で生き続けるから……」

首を見ると、赤い血がジワリと滲み包丁が少しづつ赤くなってきた。
やばい!!!
699A bond and a bond ◆n6LQPM.CMA :2007/01/19(金) 19:54:06 ID:MKjn0FLC
「先輩!!俺の心の中で生き続けられちゃうと俺は先輩が作ったカレーが食べられなく
なっちゃうじゃないですか!!俺はそんなのいやだ!!」
「……私の作ったカレー……食べたいの??」
「はい!!もう大好物ですよ!!先輩のカレーなら是非食べてみたいです」

手からストン、と包丁が落ち、色が無くなった瞳に光彩が戻り

「そう……そうよね。友二は私のカレー大好きだもんね!!つい私ったら早とちり
しちゃった。てへっ♪」
「そうですよ。先輩が俺の心に住まわれちゃ俺は先輩の姿が見れないじゃないですか」
「んもう口は達者なんだから……じゃあ早速仕込みを始めるわね」

友二から貰った絆創膏を首に貼り、再び台所で鼻歌交じりに料理を始めた真紀の背中を
友二は居間に座り、疲れた表情で見つめていた。

俺、先輩のカレー初めて食べるんだけどな。都合よく脳内変換されてるよ。
それに先輩が俺の心に住みつかれちゃったら身も心も支配されそうだよ。
それにしても冷蔵庫の件といい、どこまでこの家のことを知ってるんだろう……
まあカレーさえ作れば気が済んで帰るだろうから、それまでは我慢するか。
あれ?そういえば何か忘れているような……、う〜〜ん何だっけ……

その時、居間に飾ってあったカレンダーが目に入った。
そのカレンダーの今日の日付の所に


「カレー曜日」


カレー曜日?何だっけあれ。
え?ちょっとまって。確かあれは……先週睦美が……
700A bond and a bond ◆n6LQPM.CMA :2007/01/19(金) 19:55:23 ID:MKjn0FLC
(ねえねえ。毎週金曜日はカレー曜日にしない?)
(カレー曜日??)
(そ。毎週金曜日の夕飯は私の手作りカレーを振舞う日ってこと)
(まあ……カレーは好物だからいいけど……)
(じゃあ決まり!!期待しててね♪)

そうそう。そんな話をしてたっけ。それで昨日野菜とか材料買ってきたんだっけ。
ん?ということは……

これから睦美が我が家に来る。
でも先輩が既にカレーを作っている
睦美が家に来る
先輩が居る
睦美が家に来る
先輩が居る
睦美が家に来る
先輩が居る




流血
701A bond and a bond ◆n6LQPM.CMA :2007/01/19(金) 19:56:39 ID:MKjn0FLC
「ぎゃああああああああああああああああああ!!!!!」
「きゃっ、ど、どうしたの?大声だして」

睦美と真紀が出会った時のことを想像して、大声を上げてしまった友二に
何事かと真紀が台所から来た。
その手には包丁を持って……

「うわあああああ!!先輩!!何で包丁持ってるんですか!!」
「え?何でって……お肉切ってたから……それがどうしたの?」
「あ、そ、そうですよね。お肉ですよね……ハハ」
「もう驚かせないでよ。もうちょっとで出来るから」
パタパタと小走りで台所に戻る真紀に対して、友二は青白い顔をして震えていた。

まずいまずいまずいまずいまずいまずいまずいまずいまずいまずいまずいまずいまずいまずいまずい
まずいぞ……どうしよう。
何か良い案は無いか……う〜〜ん。

そうだ!!睦美は確か6時に来るって言ってたから、その前にこっちから電話して
家に来ない様に言えば……。よし、それでいこう。時間は―――

6時10分


ダメだ!!もう電話じゃ間に合わない。他に方法は……


人間は追い詰められると、自分でも信じられない能力を発揮するというが、正に今の友二が
そうであった。
この時、17年生きてきた人生で最大級に脳をフル回転させて、打開策を練った。
そして導き出された答えが―――

もうちょっとマシな作戦は無いのかよ……
ええい!!ままよ!!

ピーンポーン


第二話「追跡者」完
702 ◆n6LQPM.CMA :2007/01/19(金) 19:59:35 ID:MKjn0FLC
既に四話まで出来てるので、あとはドンドン投下するだけです。
ただ、家のパソコンが壊れてしまったのでネットカフェまで行かないと
いけないのが面倒なんですが……近い内に何とか投下します。
703名無しさん@ピンキー:2007/01/19(金) 20:03:27 ID:LI6EfMBq
ハイレベルなSSがまたしても投下された!
GJ!

すでに夕飯にカレーを食べてしまったが
この先輩のカレーならあと二杯はいけるね
704名無しさん@ピンキー:2007/01/19(金) 20:08:07 ID:hW9P2Yv6
>>702
∧_∧
( ´・ω・) GJ(カレー食いたくなってきた……)。
( つ旦O
と_)_)
705名無しさん@ピンキー:2007/01/19(金) 20:12:33 ID:qah3jD2d
>>704
待ってて、もうすぐ新鮮なお肉が手に入るから・・・
706名無しさん@ピンキー:2007/01/19(金) 20:35:31 ID:6jlwutjI
>>702
アンタって人はぁぁぁあぁあああアッー!!!!JG



ところでまとめサイトに◆n6LQPM.CMA氏のA bond and a bondの第一話がないんだが
707名無しさん@ピンキー:2007/01/19(金) 20:43:07 ID:hW9P2Yv6
>>706
∧_∧
( ´・ω・) ……(まだ阿修羅氏がまとめてないだけじゃないかな)。
( つ旦O
と_)_)
708名無しさん@ピンキー:2007/01/19(金) 20:52:00 ID:kp7K1e4s
SSスレとしてもの凄く早いから
まとめるのはかなりきついんだろ
709名無しさん@ピンキー:2007/01/19(金) 21:10:27 ID:6jlwutjI
>>707 >>708
それもそうだな。阿修羅氏も嫉妬深い嫁に捕まってなかなか時間がないだろうし。
710名無しさん@ピンキー:2007/01/19(金) 21:20:03 ID:U/GA82vt
それどころか、阿修羅氏にはもうすぐ子供さんが産まれるはずだ。
そう、嫉妬深い娘さんがな……。

次の更新は、たぶん二月の頭じゃないかな。
ひと月に一回ペースみたいだし
711名無しさん@ピンキー:2007/01/19(金) 21:40:01 ID:hW9P2Yv6
∧_∧
( ´・ω・) ……(結婚前の二日三日に一回ってペースが異常だっただけで
( つ旦O     保管庫としては上々のペースじゃないかな)。
と_)_)
712名無しさん@ピンキー:2007/01/19(金) 21:54:19 ID:4nuEE0b+
いい嫁さんに恵まれて幸せモンだな、阿修羅氏は。ちくしょう
713名無しさん@ピンキー:2007/01/19(金) 22:38:03 ID:KRJ8MMfe
>>712
更にそこから阿修羅氏を巡って嫁と幼馴染のバトルが始まるのか・・・羨ましいな

>>702
|ω・`)b GJっす!
わざわざネットカフェまで行って投下していただなんて・・・
自分のペースで投下していただければいいのでお待ちしています、全裸で

>>687
GJ!終わりが見えないのは作者様にとっては大変かもしれませんが
読者としてはうれしい限り、それにしても馬鹿姉妹はいい嫉妬を持っている(*´д`*)
714名無しさん@ピンキー:2007/01/19(金) 22:47:31 ID:JLhVIMRO
帰ってきたら神々の投下ラッシュキテタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!!
全ての神々に感謝を(-人-)
715名無しさん@ピンキー:2007/01/19(金) 23:42:23 ID:k0OYEnE2
投下しますよ
716『甘獄と青』Sideサラ:2007/01/19(金) 23:43:29 ID:k0OYEnE2
『さら様、ソロソロ休マレタ方ガ』
「今一区切り付くから、少し待って」
 軽く数行付け足してプログラムを保存、ここまでの部分でどこか変なところは無いかを
見直して、漸く指輪を引き抜いた。自分ではあまり意識していなかったが、結構長い時間
作業を続けていたらしい。指輪を付けていた中指は赤く変色し、軽い火傷のような跡まで
付いていた。不老不死のプログラムを解除していたことで出来たものだが、そんなものが
無くても案外平気なものだと思う。現に、わたしを尋ねてくる人は一人も居なかった。
 無理もない、そんな場所だ。
 ここは監獄の中にあるもう一つの監獄のようなもの、SSSランクの罪人以外はユカリを
除けば虫一匹だって入ってくることは出来ない。物理的な壁は存在しないので、自分から
出ることは可能だ。しかし出てどうなるものでも無いし、出る気力が沸くこともないから
壁はあっても無くても同じのように思う。一月前まではブルーの為に出ることもあったが、
今となってはそれも無いからだ。他に友人が居る訳でもないし、生活に不自由は無い。
「大丈夫」
 自分に言い聞かせる。
「わたしは悪役。ブルーに会う前と、変わらない」
 それは違う。
 変わっているからこそ、わたしはプログラムを組んでいた。変わっていない訳がない、
だから心が切実な痛みを持って訴えてくる。以前とは違うからこその痛みであり、記憶に
深く刻み込まれた楽しい日々がその原因だ。忘れられないからこその悪役の覚悟だ。記憶
が心に影響を与えるか与えないかの違いが、昔のわたしとの決定的な差となっている。
『珈琲ヲドウゾ、第三惑星ノ直送品デス』
「美味しそうね、ありがとう」
717『甘獄と青』Sideサラ:2007/01/19(金) 23:45:06 ID:k0OYEnE2
 軽く一礼をして、ユカリは部屋から出ていった。扉が閉まる音はない。普段なら礼儀を
重んじるユカリだが、こうして開け放したままにしてくれているのは気遣いだろう。扉が
閉まる音は拒絶をされたような気分になるし、閉まった扉は孤独感と閉塞感を与えてくる。
ただでさえ孤独な現状の今からしてみれば、それは堪らなく辛いものがある。
 珈琲を一口含むと、爽やかな酸味と苦味が口の中に広がった。飲み込むと後を引かずに
味が消えてゆき、その代わりに軽い香りが僅かに残る。意識は普段と変わらないが、体は
よほど疲れていたのだろう。この一口で大分体が楽になったような気がする。
「無理もないかもしれないわね」
 何しろ数日間、まともに寝ていないのだ。確率システムを完成させる前は一週間研究室
に閉じ籠りっきりで、しかも寝ていなくても平気だったのに、2000年以上もの間不老不死
のプログラムで甘やかされてきた体は鈍っていたらしい。おまけに指輪の熱で刺激を受け
てしまうと確率システムは自動的に外してしまうから、それも切っていた。普通の人間と
変わらない状態なのに、普段と同じ感覚で仕事をしていたのが悪かった。
 立ち上がると軽く伸びをして珈琲をもう一口、少しマナー違反だがユカリは居ないので
多分大丈夫だろう。味が気に入り連続で飲んだところで、ふと気付いた。
「少し温いわね」
 温め直そうかと思ったが、これの意味するところに気付いて止めた。
718『甘獄と青』Sideサラ:2007/01/19(金) 23:46:16 ID:k0OYEnE2
 少し温いのは、わたしに飲んでほしかったからだ。プログラムを切ってあるとユカリに
行っていたけれど、再び入れているかもしれない。そうだった場合、猫舌のわたしは火傷
をしそうな温度だと珈琲を飲もうとしても阻止されてしまう。そんなことが無いようにと、
わざとこうしてくれたのだろう。普段温度があまり関係のない食べ物ばかりを作って貰う
ことが多かったので、すっかり忘れてしまっていた。馬鹿だ、と苦笑が浮かぶ。
 逆に、そんな馬鹿なわたしに合わせて付き合ってくれているユカリは本当に良く出来た
娘だと思う。本来ならば貸し借りがどうこうという仲ではないけれど、それでも返しても
返しきれない恩義を感じている。きっと、一生かかっても返しきれないだろう。
「その一生が、どこまでもつか分からないけど」
 暖かい珈琲を飲んで本格的な眠気が出てきた、体はカフェインなどよりも睡眠欲の方が
強いと判断したらしい。ブルーにはとても見せられない大きな欠伸をして、目を擦る。
 指輪を再び填めると不老不死のプログラムを再び起動させて、部屋を出た。ここは顔を
洗って少しすっきりとした方が良いだろう。気分転換にもなるだろうしシャワーを浴びる
のも良いかもしれない、いっそのこと久し振りにお湯でも溜めてお風呂にしようか。
719『甘獄と青』Sideサラ:2007/01/19(金) 23:47:32 ID:k0OYEnE2
 そんなことを考えながら歩いていると、作業場の明かりが付いているのに気が付いた。
朝に入ったときは確かにスイッチを切った筈だし、それ以降はずっとプログラムを組んで
いたので入った覚えもない。どうしたのだろうかと思って中を覗いてみると、ユカリが何
か機械の塊をいじっていた。よく見てみれば、昔わたしが戯れに作ったパイルバンカーだ。
威力は市販のものより高いけれど、人には到底扱えるものではなく奥にしまいこんでいた
ような記憶がある。ユカリならば確かに使えるだろうが、何故こんなものを持ち出したの
だろうか。しかも手慣れた様子を見るに、これが初めてでは無いのだろう。
「どうしたの、それ?」
『見ラレテイタノデスカ、申シ訳ゴザイマセン。恥ズカシナガラ、趣味ナノデス』
 それは初めて聞いた、と言うより嘘だと思う。機械をいじるにしてもこんな物騒なもの
よりも良いものがごろごろ転がっているし、それらには手を付けた様子が全くない。
「怒らないから、本当の話を聞かせて」
 そう言うと、ユカリはゆっくりとこちらを見上げてきた。頭部は卵型のパーツに単眼の
カメラだけが付いているものなので、表情を読むことは出来ない。何も言わないでいる今
の状態では感情を読み取るのことが出来るものは皆無だ。逆に怒らないと言ったわたしは、
少し険しい表情をしていた。鈍く光を反射するカメラのレンズに、眉根を寄せた女の顔が
映っている。本当に怒るつもりは無いのだが、疲れが出ているらしい。少し嫌な話だが、
目の下に僅かにクマが出来ていた。これは一度、しっかり寝ておかないといけない。
720『甘獄と青』Sideサラ:2007/01/19(金) 23:48:32 ID:k0OYEnE2
 数秒。
『オ母サンニハ、嘘ハ吐ケマセンネ』
 ユカリは視線を伏せると、手指の先でパイルバンカーを撫でた。
『オ手伝イヲ、サセテ下サイ』
 言っていることの意味は、すぐに分かった。ユカリは巻き込まないつもりでいたのに、
どうやらバレていたらしい。言えば絶対にこうなると分かっていたからこそ、夜も寝ずに
作業をして、プログラムを組んでいる指輪も気付かれないように常に携帯していたという
のに。漏らしてしまった自分の間抜けさに苦笑をして、これは罰だ、と思った。自分勝手
な理由で世界を壊そうとしていて、自分勝手な理由で身内の機械人形だけを救おうとしていた罰なのだ、と。
「ユカリは、それで良いの?」
『オ母サンガぶるーさんノ居ナイ世界ヲ壊ソウトシテイルヨウニ、私ニモオ母サンガ存在
シナイ世界ハ不要ナノデス。ダカラ、オ手伝イヲサセテ下サイ。我儘デ悪役ニナル人間ヲ、
我儘ニ手助ケサセテ下サイ。ソレガ私ノ最初デ最後ノオ願イデス』
 今まで聞いたことのないユカリの強い言葉に、私は思わず抱き締めていた。合金で作ら
れた体に数滴の雫が落ちて、小さな音をたてる。目元を指先で拭われたことで、わたしは
自分が泣いているのだと理解した。意識が追い付き、熱さを感じた目尻から、とめどなく涙が溢れてくる。
「ごめんなさい」
 そんな陳腐な言葉しか思い浮かばないが、これが今のわたしの正直な気持ちだった。
 そして、再度決意する。
 悪役でも良い、何と罵られても構わない。ただ何があろうとも絶対にプログラムを完成
させて、ユカリだけは生かしてあげようと。死なせてはならないと。
 そう決意して、わたしは手の中の指輪を握りしめた。
721ロボ ◆JypZpjo0ig :2007/01/19(金) 23:50:29 ID:k0OYEnE2
今回はこれで終わりです

何か、俺が原因で荒れてるみたいですみません本当に
しかし応援してくれてる人も居るみたいなので、それに応えれるように頑張ります
722名無しさん@ピンキー:2007/01/19(金) 23:53:59 ID:KGECHJ1O
大量投下キターーーーー。
723名無しさん@ピンキー:2007/01/19(金) 23:54:27 ID:JLhVIMRO
>何か、俺が原因で荒れてるみたいですみません本当に

荒らしが難癖つけてるだけですから気にしないでください(笑)

これからも良い作品を期待しております(-人-)
724名無しさん@ピンキー:2007/01/19(金) 23:55:42 ID:hW9P2Yv6
>>721
∧_∧
( ´・ω・) ……(これからも期待してます)。
( つ旦O
と_)_)
725名無しさん@ピンキー:2007/01/19(金) 23:56:30 ID:4nuEE0b+
         
   _、_  グッジョブ 
 ( ,_ノ` )     n   
 ̄     \    ( E)    
フ     /ヽ ヽ_// 
726名無しさん@ピンキー:2007/01/20(土) 00:00:42 ID:vWh4YJwL
ロボ氏に一切非はない
一部もしくは一人の人間が駄々をこねているだけだともよ
ロボ氏がそういう人の言に考えさせられるところあるならその限りじゃないが、
少なくとも無視することが最良なはず

それはそうとGJ!
ユカリええ子や
サラが今更好きになってきてしまった
727名無しさん@ピンキー:2007/01/20(土) 00:06:50 ID:z1Yoipll
俺ができるのははただただGJと言う事だけだが
サラさんは本当に素敵な人だ
728名無しさん@ピンキー:2007/01/20(土) 00:13:36 ID:vDTmYAAj
>>721
一人必死なのがいるだけだから気にすんな
729魔女の逆襲第五話 ◆oEsZ2QR/bg :2007/01/20(土) 00:17:37 ID:VN+1JKa7
 ソフトバンクの携帯電話ショップでの携帯電話選びは、割とスムーズに進んでいった。
 もともと、携帯電話にそんなにこだわりを持っていない早百合は一年前に発売されそのまま不人気のため、発売された頃の半額の半額の半額の半額の値段で売り出されていた携帯電話を選んだ。
 コバルトブルーの二つ折りタイプで、Vアプリ非対応。SDカード付。
 ここの携帯ショップではすぐに使える状態にして渡してくれる為、早百合ははじめての自分の携帯電話をそのまま店頭で受け取った。
 店員に手伝ってもらいながら、自分のメールアドレスを設定し、電話帳に教えてもらっていた良樹とねねこのメールアドレスを登録し、早速良樹とねねこにメールを送った。
 ショップ内に並ぶ最新の携帯電話を眺めていた良樹のポケットからGREENDAYのマイノリティが流れる。
「メール届いた?」
 早百合が聞くと、良樹はポケットから携帯電話を取り出し受信ボックスを確認する。
「ああ。届いたよ。コレ、登録しとくな」
 良樹はちょいちょいと自分の携帯電話のボタンを押していき、20秒たらずで早百合に電話番号を書いた返信メールを送った。
 ピピピっと、早百合の携帯電話が鳴った。ぴっぴっと人差し指でボタンを押し、確認する。090????????とだけ書かれたメールアドレスはとてもそっけ無かった。
「これで、早百合もマイ携帯を持つことになったな」
「そうだね。みんなにも教えとかなきゃぁね。あ、そうだ。しずるさん」
「ん? なんだね」
 しずるは店頭に袋詰めにされたストラップの前で、かぼちゃお化けのストラップをじっと眺めていた。
「しずるさんの番号とアドレスも教えてもらっていいかな?」
「私か? 番号は090のあとに4京でメールアドレスは魔界村ドットコムだ」
「090の、4京……アドレスはま・か・い・む・ら…どっと…」
「あ、待て。冗談だ。素直に登録しないでくれ」
 しずるは早百合と出会って初めて焦った表情を見せた。
「しずるさん。早百合は携帯電話初めてだからその冗談わかんないって」
 早百合はアドレス帳のしずるのページに電話番号0904000000000000000、メールアドレス『makaimu』まで入れたところで、ようやく手を止めた。
「え、これ嘘ですよね?」
「しずるさんは携帯電話持ってないんだよ」
 良樹がしずるのかわりに答えた。しずるさんはぽりぽりと鼻の頭をかきすこし自嘲気味に口元をゆがませた。
「え、なんで持ってないんですか?」
「私には必要ないからだよ。それに話す相手や友達なんぞ良樹と君ぐらいしか居ないからな」
 しずるさんは少し肩をすくめるポーズをする。そのポーズが何気に似合っている。もしかしたら、いつも肩をすくめるポーズの練習をしているのかもしれない。
 ピピピピピ。
 と、そのとき早百合の携帯電話がまた鳴り始める。
「あ、ちょっとすいません」
 早百合が自分の携帯電話のディスプレイをなれない手つきで開く。新着メール1件という文字がデスクトップに表示されていた。
「あ、ねねこからだ」
 先ほどメールを送ったので、すぐに返信して来てくれたようだ。開くボタンを押す。
『差出人:ロリ姉  初メールおめでとう! で、良樹君の付き合ってる人ってだれなのっ? おしえてー(切実) 』
 早百合は返信することなく携帯電話を閉じた。
 ねねこに話すとややこしくなりそうだから、魔女のことはずっと黙っておこう。早百合は心の中でそう決めた。
730魔女の逆襲 ◆oEsZ2QR/bg :2007/01/20(土) 00:18:39 ID:VN+1JKa7
 その後、目的も済んだ三人は暇つぶしがてら近くのアミューズメント施設のゲームセンターでしばらく時間をつぶすことにした。
 日曜のゲームセンターには多くのクレーンゲームやシール撮影機が並び、その間をお洒落した女の子たちや小さな子供をつれた家族連れが溢れている。
 その中を三人がきょろきょろとファンシーに彩られた機械を眺めがらブラブラしていた。
「おい、兼森良樹。かわいい恋人の頼みだ。私が500円をやるからクレーンでこのプライズをゲットしてくれないか」
「おっけい。でも500円は要らない。コレぐらい僕が出すよ。一回でとってみせてみるから!」
「それは頼もしいな! じゃあ、この手前の青いヤツと奥の黄色いヤツを取ってくれ」
「え、ふたつ!?」
「一回で見せてくれるんだよな?」
「無理だよ!」
 カップルである良樹としずるのやりとりを、早百合は後ろでおかしそうに見ていた。
 お似合いのカップルだ。このときは早百合は本気でそう思っていた。

 ちなみに、良樹はクレーンゲームの才能があったのか前世がクレーン車だったのか、見事に500円で青と黄2種類のかぼちゃおばけ人形をゲットした。

 その後、エアホッケーゲームでは早百合の日ごろの運動音痴が露呈し『しずるVS良樹・早百合』でしずるに7点差をつけられたり、音楽ゲームでは九つのボタンを三人で分けて肩を寄せ合ってプレイしたり、
 脳年齢測定ゲームではしずるがまさかの76歳という過疎地集落平均年齢をたたき出したり…。(良樹28歳、早百合35歳)
 三人は一緒に楽しい時間を共有した。
最後に、シール撮影機で三人で記念写真を撮る。最近のシール撮影機は電話ボックスも大きく、撮影した後は筐体の別スペースで加工修正ができるようになっている。
 早百合としずるは良樹を外で待たし、二人で先ほど撮影した三人の写真にタッチペンで文字を書いていた。
「ふふふ、プリクラというものは初めてだが、楽しいな」
 小さな加工スペースは二人がようやく入れる大きさで、幕が四方を囲み誰にも見られないようになっている。
「あの、しずるさん」
「なんだね? 私は今、兼森良樹をひげもじゃにするのに忙しいのだ」
 4枚録られた写真の良樹は全員が全員、しずるの手によってヒゲをつけられていた。しかも全て違う種類のヒゲ。
とくにお気に入りは2枚目のカイゼルヒゲのようで、何度も何度も塗りなおしている。
「さっき友達は一人も居ないって言ってましたよね?」
「いないぞ。今日友達になった君と恋人の良樹以外はな」
 平然としずるは答えた。まるで友達が居ないことなぞどこ吹く風といったようでヒゲに向かっている。
「どうしてですか? しずるさんいい人だし…」
「ふふふ、いい人だろう? こんな気さくで陽気で可憐でおしゃまな美少女なんて見たこと無いだろう?」
 冗談めかしながら、しずるが微笑む。
 いい人だが、やはりこのつかみどころのなさは魔女そのものだ。早百合は改めて思う。
「…作らないだけだよ。その必要がないと思っているときはね」
 魔女の声のトーンが少し下がる。ファンシーな彩の幕の中でしずるはヒゲの手を止めて、ふうと息をついた。
 画面のキャラクターのシュラえもんが『あと90秒!』と加工時間のカウントを始めていた。
「どうして今日はあたしと友達になろうと思ったんですか?」
 しずるは良樹に早百合と友達づきあいをしたくてセッティングしてもらったと言っていた。
「あぁ、それか」
 シュラえもんの『あと60秒!』という声が加工スペースに響く。
「……ふむ。こういうことを言うのは初めてだがな、恋人ができて、毎日のように兼森良樹とのつながりを確認してるとな。…なんだかもう少し人とのつながりを欲しくなってくるんだよ」
「つながり?」
「そう。 新鮮な感覚。にゅーせんてーしょんだ。違うかな?」
 自分でもすこし言うことがまとまってないのかもしれない。しずるは「新鮮な感覚」という言葉を何度も呟いた。彼女の左手だけが画面の良樹のヒゲをなぞっている。
『あと40秒!』 シュラえもんの声が切羽詰まったものになってゆく。なんだ、なにかに追い詰められてるのか?
731魔女の逆襲 ◆oEsZ2QR/bg :2007/01/20(土) 00:19:25 ID:VN+1JKa7
「…もうひとついいですか?」
「なんだい?」
「どうして、良樹と付き合おうと思ったんですか…?」
「………」
 言って、しまった、と早百合は思った。ただの幼馴染の自分がでしゃばった真似をしてしまったようだ。
しずるは黙ってしまう。ヒゲを書く手も止まった。
「ご、ごめんな…」
「私の一目惚れだよ。それ以上でもそれ以下でもそれ以内でもない。一目惚れ」
 早百合がとっさに謝ろうとした言葉をしずるは遮って言った。
 ずっと画面を見ていたしずるが、はじめてこちらを向く。しずるの瞳は鴉色に潤んでいた。
「ふふふ。魔女と呼ばれる私だがそんなに万能でもないし自分のこともコントロールできるわけじゃないよ。だから今はこの言葉で納得してくれ。私だってこの兼森良樹を思う心が恋なのかわからないのだからな」
「………」
 そういうと魔女は微笑んだ。その微笑に早百合はすこししずるに哀愁を感じてしまった。
「告白したのは私だが、まだちゅーもしてないし手も握ってないぞ。身持ちが堅いな、私は。まぁそれ以上に兼森良樹も手を出してこないしな。ヘタレめ」
『あと20秒!』
「変な空気になってしまったな。鞠田早百合、こんな私だが、これからもずっと仲良くしてくれないか。君はすでに私にとってかけがえの無いものになってしまってるのだ。私にとっての初めての友達であり…恋人の親友よ」
 しずるはもう一度、早百合の眼前に手を伸ばした。今度は右手。手は握手の形をしている。
 しずるの言葉はいつもの様子とはまったく違っている。しずるの真実の言葉に聞こえた。すくなくとも早百合にはそう感じた。
 そして、そのしずるが早百合に懇願していた。喋りは高圧的だが、態度はとても謙虚に。
 早百合は伸ばされた手をしっかりと握った。きちんと、右手で。
「…はいっ。もちろんです!」
「ふふふ。ありがとう」
 今度こそ、しずるは本当にうれしそうに笑った。早百合はそこで初めて、しずるが笑うと頬にえくぼができることに気付いた。

『印刷するまでちょっと待ってね!』
 筐体の外に出ると、良樹の姿が見えない。店の奥を見るとどうやら並べられた自販機でジュースを買っているようだ。
 シールを待つ間、二人はシール取出口の前に置いてあった椅子に座る。となりの筐体では女子高生の集団がわいわい言っているのが聞こえる。日曜なのに制服? と思ったが頭が悪そうなのでたぶん補修の帰りなのかもしれない。
「そうだ、鞠田早百合。今日の記念にこれをあげよう」
 しずるは突然そう言い出すと、小さな鞄に手を伸ばしりぃんと音が鳴るそれを摘み上げた。
「鈴…ですか?」
 それは燕尾色に光る鈴だった。赤いリボンがつけられ、りぃんりぃんと綺麗な音を鳴らしている。
「ああ、私の祖母にもらったものでな。かなりの年代ものだが、とても綺麗に音を鳴らすのでもらったのだ」
「いいんですか? 結構古いものですし…なにかの形見とかじゃ?」
 早百合が遠慮するとしずるはまた肩をすくめながら笑った。
「いいのだ。このようなものはいくらでもあるしな。新しく買った携帯につけたまえ」
 そう言うとしずるは早百合の携帯電話をひょいととると、鈴をちょいちょいと付けてしまった。
 コバルトブルーの携帯電話に付けられた赤いリボンと燕尾色の鈴は合ってるようで合ってない。なんだか妙に変な色合いをした一品となってしまった。
「私との友情の証だよ。大切にしてくれ」
「え。えっと、ありがとうございますっ」
「ふふふ。どういたしまして」
『しゅうりょーう!!』
 シュラえもんの声が響き、ポンッと取り出し口にシールが飛び出してくる。
 出てきたシールの良樹はみんなしずる特製のヒゲを付けられていた。ダンディズム。
「なんだこれは。ヒゲが似合わない男だな。良樹は」
「自分でやっといて!?」
 三人分のジュースを買ってきた良樹は、印刷し加工されたシールを見てがっくしと脱力したのであった。

りぃん。

鈴が鳴った。
早百合の携帯電話に付けられた鈴がりぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃん
(続く)
732赤いパパ ◆oEsZ2QR/bg :2007/01/20(土) 00:21:07 ID:VN+1JKa7
ようやく、第一話につながりました。
いつもより筆のタッチが悪いですが、がんばって嫉妬まで持って生きたいと思います。
あ、GJだけでもめちゃくちゃ喜びますので、ここおかしくね?などありましたら指摘をお願いします。
733名無しさん@ピンキー:2007/01/20(土) 00:30:07 ID:YDy4ZhGs
何、この魔女っ子激しく萌えるんですけど。
これだけで、ご飯3杯は軽くいけますぜ。
734名無しさん@ピンキー:2007/01/20(土) 00:31:04 ID:+2JHuufi
∧_∧
( ´・ω・) ……(魔女萌)。
( つ旦O
と_)_)
735名無しさん@ピンキー:2007/01/20(土) 00:34:42 ID:z1Yoipll
しずるさんに惚れた
736名無しさん@ピンキー:2007/01/20(土) 00:42:25 ID:vWh4YJwL
りぃぃぃぃぃ(゚∀゚)ぃぃぃぃぃん!!
GJ!
名前はしょっちゅう出てくるのに影がやたら薄い良樹に萌えた
737名無しさん@ピンキー:2007/01/20(土) 00:55:22 ID:o20mZLe7
GJ!、連日の連投お疲れ様です。早百合がザ・ワールド化するのではないかとビクビクしております。
全裸にて神の降臨を待つカースト制の最下層の住人としては、もはや目が眩むばかり。
ですが、神がモチベーションを保ち続けられるために、無理だけはなさらぬようお願いします。
738名無しさん@ピンキー:2007/01/20(土) 01:07:51 ID:3SOOuUWU
日本語がおかしいという批評はSSスレでは禁句だぞ
なぜならば、作家というものは自分の作品に自信を持って誇りみたいなモノがあるんです
作品を作り出すために様々な苦労と構想を考え、作品の構成、作品の書く作業まで
完成するまでは長い道程が必要なんです。
努力して完成させて、ようやく投稿した途端に日本語がおかしいと批評されるのは


作家として、書き手として、SS作家としても


最高クラスの侮辱なんです。


最近、荒らしている奴はその言葉の意味を理解して
神達に侮辱の言葉を投げかける。
ゆえに荒らしとしてはとても陰湿なんですよ。

とりあえず、例のおかしい奴が来たらスルーするべきだ
739名無しさん@ピンキー:2007/01/20(土) 01:17:49 ID:4TDxvWQ6
>りぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃん
この音がえも言えぬ嫉妬オーラをかもし出している……
しかししずるさんの萌えは凄まじいな
740名無しさん@ピンキー:2007/01/20(土) 13:30:29 ID:BUEwp1QD
>>732
|ω・`)GJ!
魔女の異常な人気の中、俺は早百合さんに行くぜ!
741名無しさん@ピンキー:2007/01/20(土) 15:52:45 ID:12uAskkW
マリオ「ワッ・・・ルイージの中・・・オーキードーキー」
742名無しさん@ピンキー:2007/01/20(土) 17:15:05 ID:wDWQrFZW
マリオカートか・・・・なつかし
743名無しさん@ピンキー:2007/01/20(土) 22:38:05 ID:WQ+jBySq
>>738
荒らしは無視っていうけど、無視してても反応しても
作品を投下しづらくなるよな〜
744名無しさん@ピンキー:2007/01/20(土) 22:52:20 ID:DCtbUILi
つ【無視<反応】

正直もうどうでもいい。
いちいち掘り返さないほうがいい。
神を全裸で待つのが一番
745名無しさん@ピンキー:2007/01/20(土) 22:54:35 ID:fOVtuk0s
そうそう、あんまり構い過ぎると前みたいに、
「何で荒らしちゃんなんかに構うの……」なんて声が背後でわせdrftgyふじこlp;@:「」
746名無しさん@ピンキー:2007/01/20(土) 23:00:54 ID:+2JHuufi
∧_∧
( ´・ω・) ……(他の子に刺されたくないなら
( つ旦O)  アラシは無視するのが一番じゃないかな)。
と_)_)
747名無しさん@ピンキー:2007/01/20(土) 23:09:37 ID:wDWQrFZW
もう投下以外は黙ってろよ
技術以前にお前らが一番うざい。
748名無しさん@ピンキー:2007/01/20(土) 23:09:43 ID:cDmEE2Kb
刺されたい俺にどうしろとwww
749トライデント ◆mxSuEoo52c :2007/01/20(土) 23:10:12 ID:nHtJ0+8x
ではスレを投下致します
750雪桜に舞う時に☆埋めネタ ◆mxSuEoo52c :2007/01/20(土) 23:14:31 ID:nHtJ0+8x
最終回

 今晩の桧山家の食卓はとても賑やかであった。
 狭いテーブルの中心に鍋が置かれていた。

 さて、鍋戦争の参加者を説明しよう。

 食卓という戦場の舞台に上がると今までの印象の薄かった本編が嘘かのように
 輝き出すあらゆる猛獣や百獣の王も裸足で逃げ出す、東大寺瑠依こと通称『虎』。
 他のメンツと比べて、その勢いと存在感は天と地の差がある。

 更にその虎の母親さんである由希子さんがパチンコで儲けた金で鍋の材料を買い揃い、
 あの激安セールに参戦し、見事に血の雨を降らしてきた超越者。
 彼女の威圧感と生温い雰囲気は背中から悪寒が走りだしてしまう程だ。

 そして、俺の両腕から離れようとしない雪桜さん。いや、その表現の仕方は間違っているのであえて訂正しなければならない。
 俺の右腕には犬雪桜さんが。左腕には猫雪桜さんが自ら領有権を主張するかのごとく、必死にしがみ付いて離れようとしない。
 そして、自分同士で男性にはわからない牽制し合っているらしい。

 鍋戦争に参戦したいが、離れてくれない雪桜さんに強く言えない俺。

 の5人が今回の鍋戦争の参加者であった。
 何でこんなクソ暑い季節の中で鍋を食べなきゃならないのかと俺はこいつらの神経を疑いたくなるのだが、
 先日の健康番組の特集で夏は汗を掻いて痩せるのがとても健康的であると報道された途端に由希子さんが
 今日は鍋。絶対に鍋だからと余所の住人が我が家の夕食のメニューを勝手に変えてしまったのだ。
 ゆえにクーラーの設定を『最強』にして、部屋を冷やして俺達は鍋を食べようとしている。

 食材は……フグである。

 魚屋で卸している物を買ったわけじゃあない。虎経由で手に入れたフグを虎が己れの牙と爪で捌いたフグである。
 もう、フグの免許を持っていない以前に、普段から家事をやっていない
 瑠依にフグを捌かせる時点で俺は精神的にどうにかしていたかもしれない。
 雪桜さんが二人いるという問題に俺が少し驚愕していたのが悪かった。
 フグ鍋は強行され、肝臓の行方はいざ知らず。
 俺達は長い長い鍋の出来上がりを死刑台に上がる宣告として数えていた。


 土鍋の蓋を開けるといい匂いと煙が勢いよく上がってくる。沸騰したフグ鍋の中の具はどれももう食べれそうだ。
「お母さん。今日はぜっっっったいに手を抜きませんからね」
「瑠依ちゃんも言うようになったわね。偉大なる獅子は我が子を谷に突き落とすけど、瑠依ちゃんは永遠の眠りに突き落としても大丈夫そうよね」
 無駄に食欲と競争意識を燃やしている所が悪いんだが。どうして、ここまで熱くなれるのか教えて欲しいところだ。
 もしかしたら、今日ここで死ぬかもしれんのに。
「桧山さん。フグですよ。フグ。超お金持ちにしか食べられない最高級食材。
 私は雪桜家の永久なる生き証人になれます。お母さん。ごめんなさい。志穂は今日で立派な大人になれますぅぅぅ」
 と、犬雪桜さんがテレビのグルメ番組でしか見たことがないフグ鍋にいつもよりテンションが上がっていたりする。更に隣の雪桜さんも……。
「えへへ。フグですにゃーーーー!!」

 大げさに騒ぐW雪桜さんに俺は嘆息するしかなかった。
 二人ともフグに毒がある事を知らないんだろうか。
 よくよく考えてみるとコッペパンやあんまんを食べてにゃにゃーと言っていた雪桜さんが食材に関する知識があると思えない。
 このメンツで顔を青白くしているのは俺だけである。

 最初に言っておく。

 さようなら。
751雪桜に舞う時に☆埋めネタ ◆mxSuEoo52c :2007/01/20(土) 23:18:05 ID:nHtJ0+8x
 2時間後。
 見事に鍋の中身はなくなり、空鍋になっていた。
飢えた虎は空鍋を必死に掻き混ぜているがすでに食材は俺達の胃袋の中に消え去っている。
そう、フグの肝臓もな。誰も急変している様子がないので多分大丈夫だったのであろう。多分な。

「一つだけどうしても気になっていたのよ」
 満腹でご満足している由希子さんが椅子の上に立ち上がって、指を刺した。
「どうして、雪桜ちゃんが二人もいるわけ!! 生き別れた双子さんとかクローン? 
この際、設定自体捏造してもいいからどうなっているのか教えてよ」
「設定捏造って意味ねぇだろうが」
「童貞は黙っておきな。今は私は雪桜ちゃん達と会話しているんだから」
「にゃにゃにゃ」

 猫雪桜さんは由希子さんの激しい電波に襲われて狼狽えている。
実際の所、猫雪桜さんがどこの何者なのか全く何も話し合っていないのだ。
由希子さんが鍋をするぞと大げさに騒いで今まで準備するのに忙しかったから。だから、余計に気になる。

「わ、私は……この世界の人間じゃあありません」
「えっ……なんだって!?」
「ごめんなさいね。もう一人の私。私は桧山さんに私が赤坂尚司の娘だと気付かれて嫌われたの。

ううん。桧山さんの妹を私の父が殺したから、桧山さんが連鎖的に今までの被害者と同様に恨まれたの……。
苛められている私を救ってくれた桧山さんに恨まれたら、もう生きていけないんだよ」
 今まで俺達と一緒に笑っていた猫雪桜さんが落ち込んで沈んでいる。ただ、長い髪で顔を隠して俯いていた。

「絶望に明け暮れていた私は無気力のまま歩いていると気が付いたら、この世界に入り込んでしまったんです。
桧山さんの家に足が勝手に動くと中から争い事が聞こえてきたんです。
桧山さんともう一人の私が喧嘩しているところを目撃しました。
思わず、戸惑ってしまいましたが、なんだかとても幸せそうでした。」

「雪桜さん……」
「だから、少しだけ意地悪しようと思ったんです。この世界の私を偽って桧山さんと一緒にデートしようと。
本当に本当に……桧山さんと一緒に手を握ってデートしているのは夢のようでした。」

 猫雪桜さんが呟く言葉一つ一つに俺と犬雪桜さんは真剣に受け止めていた。
そう、猫雪桜さんが語っていることはほんの1ヵ月前に起きた出来事だ。
俺は犬雪桜さんを憎んでしまい彼女を自殺するまでに追い詰めてしまった。
犬雪桜さんが命を投げ出しそうになって、始めて自分の過ちに気付いたのだ。

「ようするに剛君が優柔不断なのがいけないのよ」
 と、由希子さんがお通夜のように沈んでいる空気を読まずに自らの持論を語りだした。
それは虎の母親らしき猛突進的な発言であった。
「この世界にいる雪桜ちゃんを雪桜ちゃんAとするならば、別の世界からやってきた雪桜さんをBとする。
雪桜さんBがいる世界の時間軸から大きく歪んだ状態で違う時間軸に移動した。
でも、現実世界の常識では時間軸なんか移動するわけがないので。私の結論はただ一つ」

 皆が由希子さんの言葉を聞くために自然と沈黙する。


「これは夢オチなのよ!!」
752雪桜に舞う時に☆埋めネタ ◆mxSuEoo52c :2007/01/20(土) 23:20:58 ID:nHtJ0+8x
「はいっ!?」
「現実にありえないことが起きるのは夢だけなんだよ。夢を見ることで人は嫌なことも楽しいことも記憶を忘却することができる。
記憶を整理するためにはどんな思い出でもしがみ付いたらいけないのよ」
「意味がわからんぞ由希子さん。ってか、オチが安易すぎる」
「この夢オチの原因は……

 それはLoveLoveLoveのせいなのよ!!」

 意味がわからん。由希子さんが指摘する内容が俺にとっては理解不能である。
犬と猫の雪桜さんも戸惑いを隠せずにいる。それは当然だろう。
「ねぇ……フグもうないの?」

 空気読めない虎が始めて鍋の掻き回すことに飽きたのか、上目遣いでこの場にいる人間に問い掛ける。
俺はその円らな瞳で向けてくる虎の視線から逸らし、二人の雪桜さんも冷汗を流しながら無視をする。

「私が気持ち良く語っているところに瑠依ちゃんはもぅ。ちゃんと空気を読みなさいよ」 
虎の頭の首筋に由希子さんが鋭いエルボーアタックを喰らわす。プロの格闘技選手のように無駄のない動きをして
綺麗に流れる動作で決まったのはもはや芸術的である。虎は声もなく倒れてしまった。
 俺は嘆息しながら、この虎の母親に普段から言いたいことを言ってやる。
「あなたの娘さんは一体どういう育て方をしているんだよ」
「これでも苦労して育てたつもりよ。

 スクール○イズをやらせ

 ダブル○ャストをやらせ

 君が○む永遠をやらせ

 アニメ版SH○FFLEの空鍋を視聴させ

 アニメ版のGi○tの空糸電話を視聴させ

その他、ここでは都合上その他の修羅場ゲーを

あの子にやらせたんだから

 本当に苦労したわよ」

 だから、瑠依はあんな虎のようになってしまったわけか。
俺は由希子さんの教育方針にツッコミの一つも入れたかったが、さすがに呆れて物が言えなかったので嘆息した。

「じゃあ、そろそろ私は寝込んでいる瑠依ちゃんを連れて帰るとしましょうか。
邪魔者はさっさと退散しないと豆腐の角で頭を打って殺されそうになりそうだし」

 と、由希子さんはフグ鍋を食べたことに満足して自分でノックアウトした虎を肩に担いで一礼するとさっさとこのリビングからいなくなる。
残されたのは俺と猫と犬の雪桜さんだけとなってしまった。
753雪桜に舞う時に☆埋めネタ ◆mxSuEoo52c :2007/01/20(土) 23:23:00 ID:nHtJ0+8x
「あ、あの……桧山さん。今日、私はどこに泊まればいいんでしょうか?」
「そういえば……」
 猫雪桜さんが困っているように上目遣いで俺を見つめている。
彼女の言う通りにこの世界の住人ではない猫雪桜さんの居住地は存在していない。
元の世界に戻る方法もないため、彼女が頼られる人間は俺しかいないのだ。
俺も泊めてやるつもりでいたが、ただ一人だけ不機嫌そうに鳴き声でこちらを威圧している奴がいる。
「がるるる……若い男女が同じ屋根の下なんて。ぜっっっったいにダメですからね桧山さん」
「ダメって言われてもな」
「では。こうしましょう。もう一人の私が元の世界に帰れるまで私は桧山さんの家に居候します。
それだけでは不安ですから、桧山さんはもう一人の私と私の3人一緒に寝ることを要求しますよわんっ!!」
「それ賛成ですにゃーー!!」
 二人の雪桜さんが瞳を輝かせて頬がにやけていた。
尻尾を大きく左右に振っている姿を想像できるのは付き合ってきた俺だけであろう。
「あのなぁ……若い男と女が一緒に寝るなんてヤバイだろ」
「く〜ん。桧山さんは恋人の私と一緒に寝るのは嫌なんですね……。嫌なんですか? 
私はいつも桧山さんの体の温もりに触れたいって思っているんですよ。
夏休みと同じようにわんわんしましょうか?」
「にゃあにゃあじゃなかったけ?」
「犬耳犬尻尾装備搭載の私は猫耳よりも進化してますから。
こ、今度は桧山さんと肉体関係を……。きゃあ……それ以上は恥ずかしくて言えないわん」
「うっ……ずるいにゃ。私だって桧山さんとベタベタに甘えるんだから」

754雪桜に舞う時に☆埋めネタ ◆mxSuEoo52c :2007/01/20(土) 23:25:18 ID:nHtJ0+8x
「今夜は寝れるのか俺」
 二人の激しい妄想が口から溢れだす度に俺は貞操の危機を感じる。
後、この喰い散らかした後片付けを俺一人でやる事になると少々現実逃避をして精神の負担を減らすべきだとしみじみ思った。

 普段、桧山家から使用されていない客間を簡単に掃除機で軽く埃を吸い取って、予備の布団とマットレスをこの部屋に置く。
布団の位置は俺が真ん中で左右には猫と犬の雪桜さんだという本当に男の子の童貞が失われそうな定置である。
夜に襲われたら、俺はいくら男でもこの二人の女の子に勝てる気がしない。
男の腕力など性欲に飢えた発情期のメス猫とメス犬の前ではほとんど無意味に近い。
俺は先にゆっくりと布団で横になっているが、二人はお風呂に入っているので、もうすぐここにやってくるだろう。
 パジャマ姿に着替えた二人が長い髪をタオルで丁寧に拭きながら客間に入ってきた。
二人とも頬が熱くて何だか色気がある。更に無防備に警戒心のない二人は俺の傍へと近付いてくる。
単純に指定された布団の中に入ったとでも言うが、境界線ギリギリまで接近しているのは確かである。
何だか体全体が強張ってきた俺は理性が消え失せる前にとっと強制的に就寝するために蛍光灯の紐を握って言った。
「電気を消すぞ」
 二人の雪桜さんの返事を待たずに俺は躊躇なく蛍光灯の紐を引っ張った。
薄暗い明かりが照らすだけでほとんど真っ暗になる。
俺は布団に入り込むと枕の位置をちゃんと確かめてから今日一日の疲れを癒すために目を瞑った。
 だが、甘い。
 二人の雪桜さんは境界線を越えて俺の布団へと侵入を果たすと俺の腕をしっかり掴んだ。
ほぼ両腕は彼女たちに拘束されていると言ってもいい。
「にゃあにゃあ」
「わんわん」
 二人は甘えるように俺の体に頬と頬を擦っていた。
 今日ぐらいはこういうのはいいかもしれないなと安易に妥協しまった俺がいる。
 まあ、いいか。
 犬雪桜さんも猫雪桜さんはちゃんといい夢が見れますように。


 


755雪桜に舞う時に☆埋めネタ ◆mxSuEoo52c :2007/01/20(土) 23:27:18 ID:nHtJ0+8x
 それにしても、台所を片付けてから胃の辺りがちょっと痛みが……。
 脳裏をよぎったのは、虎、虎が捌いたフグ。
 結局、行方不明になった肝臓は空になった鍋から見つからなかった。
 まさか、俺は宝くじに当選してしまったのか。や、やばい。これはやばいぞ。
 死ぬ。死ぬ。余裕で死ねる。やばばばば……。

 由希子さんは言っていた。
 これは夢オチだと。
 これが夢というならさっさと覚めてくれ。お願いだ。頼む。


 うま



 かゆ



選択(決めるのはスレの住人の皆様)
A これは夢オチに違いないんだ(雪桜の舞う時に没ネタへ)



B このまま、眠りに就く(連載終了)




756名無しさん@ピンキー:2007/01/20(土) 23:29:55 ID:z1Yoipll
AAAが見えちゃった! あなたの中に見えちゃった!
突然なのねGJの銃弾 バーンバーン 感じてるわ〜
  ビ ネ ツ キ ブ ン ♪
  o  o  o  o  o o
  レ|┘<!> V|> ,V,└|> |lレ
 .^'|  /|   || ハ 〈| |\

という訳で夢オチのAで
757魔女の逆襲第6話 ◆oEsZ2QR/bg :2007/01/20(土) 23:31:51 ID:VN+1JKa7
りぃん

 どこからか鈴の音が響いている。
 ちいさな神社の境内に早百合は立っていた。
 ここはどこだろうと辺りを見渡して気付いた。ここは家から近くにある溜め池の隣にあるちいさな神社だ。
 小さい頃にはよくここで良樹とかくれんぼや石蹴りとかして遊んでいた記憶がある。確か水道の近くのクヌギの木に良樹がよくのぼっていた。
 石の古びた鳥居は昔のまま、高く建っている。昔はこれが高さ十何メートルにも見えたものだけど、今こうして見てみると手を伸ばしてジャンプすれば締め縄を掴めるほどに低かった。
 懐かしさに心が躍る。
「さゆりちゃーん」
 不意に懐かしい誰かに呼ばれたような気がして、早百合は振り向いた。
 境内の向こうから小学生ぐらいの男の子がかっけて来る。半ズボンですこし小学生には無骨なメガネをかけた子供。
「よしき?」
 男の子は幼い頃いつも見ていた兼森良樹の顔と一致する。
 良樹だ。小学生の頃の良樹。早百合は思わず声をかけそうになる。
 だが良樹は早百合などまったく見えていないように、横を通りすぎていった。
「さゆりちゃーん!」
 早百合は良樹の走った方向へ目を向けた。走っている良樹が徐々にスピードを落としていく。そして止まった。
 止まった先に一人の少女の姿が見える。誰だろう? 良樹が少女に向かって話している。早百合は歩いて近づいていった。
 少女は泣いていた。顔はうつむきえぐっえぐっと嗚咽を吐きながらぐずっていた。歩みを進めて二人の声が聞こえる。
「さゆりちゃん、大丈夫? 元気だしてよ。さゆりちゃん」
「えぐっ、う…うん。だいじょう…えぐっ」
 思い出した。あの少女は私だ。
 ここは数年前の私と良樹の世界だ。
 早百合の脳髄の隅に埋もれていた懐かしき灰色の記憶が急速に光をおびてゆく。
たしかこの日、早百合は母親の大事に高い口紅をいたずら気分で勝手に使ってしまった。
良樹とのおままごとの最中に少し自分の唇に塗ってみたが、どうも気持ち悪くそのままリップの先端をしまわないで蓋を閉めてしまい、使えなくしてしまった。
夕方買い物に出ようとしていつものように化粧をしようとした母親に口紅を見つかり、ひどく怒られた早百合は思わず家を飛び出してしまった。
そこまで思い出して、苦笑する。あの泣いている私はあの時お母さんの悪口ばかり考えていたが、今考えれば明らかに自分が悪い。良樹には迷惑をかけたであろう。
「ほら、帰ろう。おばさんももう怒ってないって。一緒に謝りに行こう?」
「えぐっ…一緒に?」
「さぁ、行こう?」
「…わかった。…でもお願い。一緒に謝るまで…手をつないでて…」
「うん、いいよっ」
 少女は良樹の手を掴むと、手で涙を拭いて立ち上がった。その顔は涙で赤く腫れていたが間違いなく早百合自身だった。
 二人の子供は手を繋ぎ、また見えないかのように早百合の横を通り過ぎるとそのまま鳥居をくぐって神社を出て行った。
 残された早百合は二人が出て行った鳥居をじっと眺めていた。

りぃん。

鈴が鳴った。早百合の携帯電話に付けられた燕尾色の鈴が、風もないのに。

 気がつけば地理の時間は終わっていた。
「あらっ…」
 地理の高山先生が地図を引っさげて、教室から出て行くところだ。
 時計を見ると12時半。12時10分には確か意識はあったから、どうやらそれから少なくとも15分は眠っていたようだ。
 ノートには自分のよだれがべったりと付いていた。テスト範囲の赤ペンでメモしたところがよだれでにじんでいて見えなくなってしまっている。何気に大ピンチである。
 しかし、それよりも早百合には気になることがあった。この時間に見ていた夢のことだ。
 とても懐かしい夢だ。初めて見る昔の夢。しかもたった15分の机の上でのうたた寝のくせに内容が鮮明に思い出せる。
 あの夢は…たしか小学校二年生ぐらいのときか。良樹がメガネをかけたのがその頃だった。
「ふわぁ~あ、早百合ちゃん。おはよ…」
 と、そこまで考えている早百合にねねこが声をかけた。
 ねねこはこの時間まるまる寝ていたのか、髪の毛には寝癖が右へ左へとついていて、さらに後ろの席に居た空稲恒に悪戯されたからか頭のてっぺんにはお子様ランチの日の丸が刺さっていた。
「ねねこ、ハタ坊になってるわよ?」
「へ? なにそれ?」
 ねねこは赤塚作品を読んではないようだじょー。
758魔女の逆襲第6話 ◆oEsZ2QR/bg :2007/01/20(土) 23:32:38 ID:VN+1JKa7
「それよりも、早百合ちゃん! 良樹君の付き合ってる人って誰なの?」
「またその話?」
 早百合はちらりと良樹の席を見る。誰も居ない。そういえば今日は委員会で仕事があるとかいっていた。昼休み・放課後と忙しいらしい。
「秘密よ秘密。だいいちなんでアンタそんなに気になるの?」
「気になるよ! だって早百合ちゃんの好きなひ…」
「だから違うわよ!!」
 早百合は思わず声を荒げてねねこの言葉をさえぎった。突然の大声。
しまった。あわてて、周りを見渡す。しかし、昼休みの教室は喧騒に溢れていてだれも早百合を気にしているものは居なかった。というかもっとうるさいグループも居るため、早百合の大声ぐらいでは全員の注目を集めるほどではない。
ただ一人、ねねこの後ろの席の空稲恒がこちらにやってきて
「ロ・リ・あ・ね! 僕ちゃんと三郎と一緒にお弁当をたべるにゃ!」
 ねねこの肩を掴み、早百合の席から引っ張っていった。
「え……、あ…、うん……。 …早百合ちゃん。ごめんね?」
「…別にいいよ」
 ねねこは申し訳なさそうに小さな眉をしゅんとさせた顔を見せ、恒に引っ張られていった。
 一人残った早百合は寝垢のついたまぶたを擦り、
「……なんだろうなぁ…」
 一人呟いた。
 ねねこの言葉についムキになって、大声を出してしまった。
 しかし、いつもいつも言っている。
 自分と良樹はただの幼馴染。小さい頃からのお互いを良く知る理解者。それだけだ。それ以上でもそれ以下でもない。しずる風に言うならさらに『それ以内』も混ぜる。以内ってなんだろう。
 …先ほどの夢を思い出す。
 そういえばあの時はいつも一緒に行動していた。早百合が良樹の後をついてゆくこともあれば、良樹が早百合の後をついてゆくこともあった。仲が良かった二人。仲良し。
 ふと考える。あの頃の自分はどうだったのか。良樹のことをお互いただの幼馴染として接していたか? そんなわけはない。
少なくとも早百合と良樹の間には幼馴染以上のなにか、つながりがあった。
 小学生の頃、ふたりはひっそりと心の奥底で恋をしていた。お互いの事を想っていた。

りぃん。

 早百合のポケットの中で携帯電話についた鈴が誰にも気付かれることのなく鳴った。

「いやいや、こんなところで会うなんて偶然だね、鞠田早百合」
 放課後のことである。
 ねねこと恒、三郎、さやか等からのカラオケの誘いを断り、図書室でしばらく時間をつぶした後。
さて帰ろうかと昇降口へ行くと。
体操服にブルマ姿のしずるが靴箱の前で立っていたのだ。
「しずるさんっ」
「やぁやぁ、本当に偶然だ。私が君の事を昇降口で待って居たら5分もせずに君が来た。偶然にしては早すぎるな。つまり、ここで君と私が会うのは必然だった。あははっ」
 しずるはいつものペースでからからと笑っていた。魔女が人を待つなんて噂好きの女の子なら誰も想像しないであろう。しかし、魔女は明らかに早百合を待っていたようだ。
「いやいや、良樹が委員会とやらでつまらない仕事ばかりしているのでな、ちょうど暇になったので待っていたのだよ」
「しずるさん。今日体育だったんですか?」
 早百合は体操服姿のしずるを見て聞く。Vネックで綿60%、ポリエステル40%の体操服の胸元のゼッケンにはひらがなで『こうこういんしずる』と書かれていた。
759魔女の逆襲第6話 ◆oEsZ2QR/bg :2007/01/20(土) 23:33:13 ID:VN+1JKa7
「しらん。時間割は見たこと無いから全て勘で用意してるぞ」
「では、なんで体操服?」
「今日は勝負して、マラソン大会だと思って来てみた。そしたら普通に授業をやっていた。着替えを持ってきてないからボイコットしたよ」
授業なんてどうでもいいと考えているしずるは、いつもボイコットしている為どっちにしても意味は無かった。万が一本当に今日がマラソン大会だとしてもしずるはボイコットするはずである。
授業にはどうやっても出席しないという噂は本当のようだ。
 それにしても、しずるに体操服とはなんとも奇妙な風貌だった。いや、傍から見れば体操服にブルマなんて小学校の頃の体育ではよく見る普通の着こなしだ。
 しかし、しずるが着ている場合ではどうも不具合に映ってしまう。例えるなら坊さんが車で法事へやってくるのと同じぐらい不具合だ。迷惑だが坊さんには歩いて移動して欲しい。
 似合ってないわけではない。胸のゼッケン辺りは人並み以上に膨らんでおり、そこから下へ流れる腰のラインは見事なS字を描いている。
 紺色のブルマから伸びる足はほっそりと細く、ふとももまで伸ばされたニーソックスがぴったりと張りついてとても格好良い。
 日曜に会ったときは文化部の少女に見えたしずるだが、このときはまるで陸上選手の元気な女の子のように見えた。
早百合は思った。服がしずるに合わせているようだと。
「おっと、へんなところばかり見ないでくれよ? 親にも見せたことの無い体なのだからな」
 あまりに見惚れていたからかしずるはにやにやと胸をあたりと股の間を両手で隠し「いやん、えっちぃ」と笑う。まるでセミヌードグラビアのアイドルである。
「しずるさん…。すっごい綺麗ですね…」
 早百合はあまりのかっこよさに思わず口に出してしまう。
「あはは、女性の綺麗という褒め言葉は信用ならないと言うが、君の言葉は全面的に信用して、素直に礼を言おう。ありがとう」
 からからとしずるは笑った。やっぱり魔女らしくない笑い方だった。
 もしかしたら、しずるは噂の魔女とは違う人なのかもしれない。ふと早百合はそう思った。噂の魔女はこんな風に人に褒められて、照れくさく礼を言う人なんかじゃないはずだから。

 ブルマ姿のしずるに案内されたのは、織姫高校にひとつだけある茶道室だった。
 もともと、2年前に織姫高校に茶道部が設立された際に日当たりが悪い空き教室を改造して作られたものだが、半年前に茶道部の部長が何故かでテロ行為を起こしたらしく茶道部は廃部。
現在では教師たちにより施錠され、茶道室は開かずの間となっていた。
「しずるさん。こんなところに案内してどうしたんです?」
「まぁ、ちょっとお茶でも飲もうと思ってな」
 お茶? しずるは茶道ができるのか? 会って数日。早百合にはしずるについてまだ知らないことが多い。
 だが、魔女と呼ばれる人だ。組長の娘とかいう噂もある。あのからからと笑う仮面の下には本当は大和撫子の精神を隠しているのかもしれない。
「でも、茶道室は鍵がかかってますよ」
 しかし、肝心の茶道室は鍵がかかっている。何度かこの茶道室の前を通ったことはあるが、悪戯半分に戸を引っ張っても開くことは消してなかった。
「それがどうした?」
しずるはブルマから小さな鍵を取り出すと茶道室の戸を簡単に開ける。
がちゃり。
「さぁ、はいりたまえ」
「ほぇ…」
 あまりに簡単に開いた戸に声も出ず、早百合の口から変な音が出てしまった。
「ここは私のお気に入りの場所だ。大体はここにいるから私に会いたくなったときはここに来てくれ」
「なんで、しずるさん鍵を持ってるんです?」
「鍵なんぞいくらでも用意できるさ。私は噂の魔女だぞ? 全知全能万能官能ハムの人だぞ?」
 ずるい、と早百合は思う。しずるは答えづらい質問に限って自分を魔女と言う。自分でも噂を流しているのかとも考えた。
「あ、君にも合鍵を渡して置こう」
 そうやって渡された鍵は、下品だがしずるの大事なところに入っていたか妙に暖かかった。早百合は想像して赤くなった。
「ん、どうした? おにぎり弁当のウインナーのように顔を赤くして」
「な、なんでもありません!」
「? 変なヤツだな」
 変なのはおまえだ。言いそうになるがすぐ口を抑えた。こんな台詞はぜんぜん自分のキャラではない。

760魔女の逆襲 ◆oEsZ2QR/bg :2007/01/20(土) 23:34:24 ID:VN+1JKa7
 ブルマ姿のしずるに案内されたのは、織姫高校にひとつだけある茶道室だった。
 もともと、2年前に織姫高校に茶道部が設立された際に日当たりが悪い空き教室を改造して作られたものだが、半年前に茶道部の部長が何故かでテロ行為を起こしたらしく茶道部は廃部。
現在では教師たちにより施錠され、茶道室は開かずの間となっていた。
「しずるさん。こんなところに案内してどうしたんです?」
「まぁ、ちょっとお茶でも飲もうと思ってな」
 お茶? しずるは茶道ができるのか? 会って数日。早百合にはしずるについてまだ知らないことが多い。
 だが、魔女と呼ばれる人だ。組長の娘とかいう噂もある。あのからからと笑う仮面の下には本当は大和撫子の精神を隠しているのかもしれない。
「でも、茶道室は鍵がかかってますよ」
 しかし、肝心の茶道室は鍵がかかっている。何度かこの茶道室の前を通ったことはあるが、悪戯半分に戸を引っ張っても開くことは消してなかった。
「それがどうした?」
しずるはブルマから小さな鍵を取り出すと茶道室の戸を簡単に開ける。
がちゃり。
「さぁ、はいりたまえ」
「ほぇ…」
 あまりに簡単に開いた戸に声も出ず、早百合の口から変な音が出てしまった。
「ここは私のお気に入りの場所だ。大体はここにいるから私に会いたくなったときはここに来てくれ」
「なんで、しずるさん鍵を持ってるんです?」
「鍵なんぞいくらでも用意できるさ。私は噂の魔女だぞ? 全知全能万能官能ハムの人だぞ?」
 ずるい、と早百合は思う。しずるは答えづらい質問に限って自分を魔女と言う。自分でも噂を流しているのかとも考えた。
「あ、君にも合鍵を渡して置こう」
 そうやって渡された鍵は、下品だがしずるの大事なところに入っていたか妙に暖かかった。早百合は想像して赤くなった。
「ん、どうした? おにぎり弁当のウインナーのように顔を赤くして」
「な、なんでもありません!」
「? 変なヤツだな」
 変なのはおまえだ。言いそうになるがすぐ口を抑えた。こんな台詞はぜんぜん自分のキャラではない。

 茶道室に入ると、エアコンが付けられて室内はあたたかった。どうやら本当にしずるはここを利用しているらしい。
 しずるは茶道室の奥まで歩く。早百合も遠慮がちに進む。しずるは座布団を持ってくると「すわりたまえ」と早百合に促した。ちいさな茶釜を挟んで二人は向かい合った。
しずるが茶釜から二人ぶんの茶碗に湯をとくとくと注ぐ、ぽかぽかと香ばしいコーヒーの香りが茶道室に溢れる。
「コーヒーでいいかな?」
 茶釜に入っていたのは何故かコーヒーだった。ええー。
「え、あ、はい。ありがとうございます…」
 すかしと言える高等技術でボケられたみたいだ。早百合はそう感じつつ、茶碗に注がれたコーヒーを口に含む。程よい苦味が口の中を支配する。
 少しの間の無言が茶室を支配した。
「あ、そうだ。君に報告したいことがあったんだ」
 数秒ほどしてしずるがいつもの顔で喋りだす。
「なんですか?」
「昨日良樹とついにちゅーをしたぞ」
「え?」
 しずるはくちびるをつんと尖らせ、早百合に微笑んだ。

 りぃん りぃぃん
 鈴の音が大きくなる。
(続く)

くじけそうになりながらも毎日連載、赤いパパです。やっぱり連載しながら書いてゆくと反応に応じて内容を調整できるから便利です。(それでもいくら投下用に削ってますが)
そのせいかしずるさんが想像以上に変な萌えキャラになってしまいました。
ここから修羅場はゆるやかに上っていきます。大まかな展開はできているため、皆様もうすこしお待ちください。
あと、良樹の影が薄いのは仕様です。重要度は 早百合>しずる>>>良樹=ねねこ みたいなものですから。
761トライデント ◆mxSuEoo52c :2007/01/20(土) 23:34:30 ID:nHtJ0+8x
というわけで雪桜に舞う時に☆埋めネタ 最終回です
フグに関する知識ですが、私はあんまり詳しくないのでノーコメントです

さて、今回の選択肢はスレ住人様による投票による書き込みです
Aを選んでくださる声が多いならば、雪桜に舞う時に☆没ネタが連載されますし
Bを選ぶ声が多いなら、雪桜に舞う時に はここで連載終了となります。

ちなみに雪桜に舞う時に☆没ネタの内容ですが
以前、最終回の時に書き込んだ雪桜に舞う時にの没プロット内容を
そのまま書き込んだ展開となっております。
もし、桧山剛が雪桜さんの家に通知簿を送らなかったら? 監禁生活を送っていなければという
猫雪桜さんがやってきた世界を忠実に書こうと思います。


Aが選ばれたらの話ですがww

762赤いパパ ◆oEsZ2QR/bg :2007/01/20(土) 23:41:03 ID:VN+1JKa7
あ、トライデント氏。
新参者が割り込みすいません。
えーっと、で選択肢はAでおねがいします。
763トライデント ◆mxSuEoo52c :2007/01/20(土) 23:51:47 ID:nHtJ0+8x
>>762
いえいえ赤いパパ氏
こちらも割り込みしてすみません
764名無しさん@ピンキー:2007/01/20(土) 23:54:48 ID:cDmEE2Kb
今やっと嫉妬深い犬が寝たんで遠慮なく「A」で
765名無しさん@ピンキー:2007/01/21(日) 00:16:12 ID:NR5ZhSrY
>>761
久しぶりに選択肢キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━!!!!!
せっかくだから俺はこのAを選ぶぜ
>>760
GJ!鈴から早百合の嫉妬への前兆が聞こえるぜ
ねねこについては逆に考えるんだ!つまり主人公と同じくらい重要人物だと
766名無しさん@ピンキー:2007/01/21(日) 00:23:40 ID:zUofaHTo
Aしかねぇだろ!!
767名無しさん@ピンキー:2007/01/21(日) 01:15:51 ID:qPN35qLi
トライデント氏・赤いパパ氏ともにgj!!

しかしこの選択肢。
Aにしようか、それともAにしようか、迷うなぁ・・・
768名無しさん@ピンキー:2007/01/21(日) 09:18:09 ID:LulbNglQ
∧_∧
( ´・ω・) ……(A)。
( つ旦O
と_)_)
769名無しさん@ピンキー:2007/01/21(日) 12:47:46 ID:iJer0tC3
ここはBしかないだろ

連載終了ってか、人生終了でも可だよ
770名無しさん@ピンキー:2007/01/21(日) 13:19:41 ID:XrzluN+n
わざわざ煽るような選択肢にするなよ・・・・・・・
771名無しさん@ピンキー:2007/01/21(日) 13:22:53 ID:LulbNglQ
∧_∧
( ´・ω・) ……(スルーした方がいいんじゃないかな)。
( つ旦O
と_)_)
772名無しさん@ピンキー:2007/01/21(日) 15:02:00 ID:aGIiCyK+
>>760
GJ!早百合さん派だったのに、魔女の攻撃力が高すぎます
幼馴染の神様、どうか早百合さんを守ってあげて!
>>761
GJ!
選択肢のAの方しか見えないんだが、他に選択肢があるのか?
目が悪くなってきたせいなのかなぁ・・・
773名無しさん@ピンキー:2007/01/21(日) 15:40:54 ID:6vC8upHd
AA使うなよ、わざわざ
774『Which Do You Love?』 ◆AsuynEsIqA :2007/01/21(日) 18:07:45 ID:vIW6d4Fh
「あなた、……うそ、よね!?嘘なんでしょう!?」
ママが取り乱し、パパに詰め寄る。パパも目を合わせようとしない。……こんな痛ましい光景、見るのはつらい。でも……
「すみませんね、奥さん。ちゃんとした証拠も取れてるんですよ。この高嶋京子さんの旦那さんが、立派な証人です。まぁ、この旦那さんも、立派な人、とは言えませんがね。
自分も浮気して、その女に騙されて……反面、奥さんは浮気に成功。ある資産家に気に入られた。……まぁ、それで旦那さんは狂ってしまったわけですよ。」
ある『資産家』なんて言われなくてもわかる。パパのことだ。じゃあ、仕事で家に居なかった間は……
「それでね、その人間関係を洗ってるところなわけですわ。この高嶋さんとこも、あんたの娘さんと同い年の息子がいるんですなぁ。
確か名前は……高嶋、聖君だったかな?」
高嶋聖……そういえば、姉さんと同じクラスにいた名前。今日の卒業式にも出ていた。自分の親があんなことになってるのに、平然と日常を過ごしているの!?
パパもママもそんな話は聞いてなかったが、私はしっかり聞いていた。
775『Which Do You Love?』 ◆AsuynEsIqA :2007/01/21(日) 18:08:41 ID:vIW6d4Fh
「この高嶋聖君、タフと言うかなんというか……自分の親がこんなことになったっていうのに、泣きもしなけりゃ、落ち込みもしない。
最近の子はみんなこうなのかねぇ。」
高嶋聖……どんな人なんだろう。一度でいいから会ってみたい。同じ傷を持つもの同士……
カタン
「え?」
なにかの物音に気付き、ふと振りかえるとそこには……まるで死んだような目をした姉さんが立っていた。
「ね、えさん……」
話を聞くのに夢中で、まったく気付かなかった。この様子だと……
「うそ……お父様がそんな……ふふふ……嘘、よね。……ねぇ、奏ちゃん……」
その死んだような目で見つめられる。目が合った途端、私の体は恐怖で動けなかった。姉さんが……怖い。
「嘘……いや、いや、いや!!!こんなの!あるはずない!!!」
「あ、姉さん!」
ポロポロと涙を流しながら、姉さんは叫んで走りさってしまった。私はまだ恐怖の呪縛から解かれず、その場で立ちすくんでしまった。
その後、姉さんは家からいなくなってしまったが、パパやママはそれどころでなく、まったく気にしていなかった……
776『Which Do You Love?』 ◆AsuynEsIqA :2007/01/21(日) 18:09:43 ID:vIW6d4Fh
「ん……」
夜。警察やマスコミがいなくなり、やっと静寂を取り戻した家。疲れがたまってウトウトし、ふと目が覚めると外は雨が降っていた。
それにしても疲れた。取り調べやらなにやらでごたごたしていたが、どうでもよかった。親父が母を殺した。それだけ。
人間、大切な物は無すと初めてその大切さに気付くというが、そうなると両親は大切じゃないらしい。ま、あんな腐ったやつだからな。
ぐぅぅ
「む……」
腹がなった。そういや今日は朝からなにも食べてなかった。というより食べる暇もなかった。さすがにいまから作る気はしない。コンビニで済まそう。
財布と傘を持ち、家を出る。思ったより雨が激しい。こんな外に出るのは億劫だが、空腹に勝るほどではない。








ザァァァァ!!!
痛い!まるで叩き付けてくるような雨!やっぱり家でじっとしてればよかった!
「んん!?」
コンビニに近付き顔を上げると、電柱に誰かが座り込んでいた。こんな雨の中、傘もささないだなんて……やれやれ、暖かくなると変な人も増えてくるね。
しかし好奇心からか、なんとなくその顔を見たい。近付いてみてわかったが、ウチの中学の制服を着ている。しかも女の子だ。なんだ?こんなとこで……
「…あ。」
立ち止まって彼女を見ていると、俺に気付いたのか彼女は顔を上げた。誰かと思えば……
「あれ?……ええっと、確か……桐原、望じゃねえか。」
「……聖くん?……聖、くん!!」
「うお!?」
いきなり抱き付かれる。わけもわからず、どうしていいかわからず、ただ雨に当たらないよう、傘を傾けるだけだった。
いつからここにいたのか、その体は完全に冷えきっていた。
「ごめんなさい、ごめんなさい……ごめんなさい!!ごめんなさい!!!!ごめんなさい!!!!!!私の、お、お父様のせいで……聖くんを……うぅ……」
「あ?は?」
なんだか訳がわからず、ただ彼女をが泣きやむのを待つしかなかった。桐原の父が俺になにかしたって……
777『Which Do You Love?』 ◆AsuynEsIqA :2007/01/21(日) 18:11:41 ID:vIW6d4Fh
以上です。『聖』と『望』を間違えそうだ
778名無しさん@ピンキー:2007/01/21(日) 18:28:34 ID:v1R1w7mk
タカビ――――(゚∀゚)――――ッ!!
779名無しさん@ピンキー:2007/01/21(日) 18:47:03 ID:sN2ChJNh
>>773
煽るくらいなら 黙 っ て ろ

780名無しさん@ピンキー:2007/01/21(日) 18:49:35 ID:e5/qQ73+
ヽ(゚∀゚)ノひじりぃぃぃぃぃぃ
781名無しさん@ピンキー:2007/01/21(日) 18:50:17 ID:IyzCgWK1
>>777
テラGJ!!!
wktkがとまんねwwwww
782名無しさん@ピンキー:2007/01/21(日) 21:01:06 ID:MltZZzjY
  _、_
( ,_ノ` )y━・~~~  GJだ・・・・・、まぁ、まったりいこうぜ・・・・・・
783名無しさん@ピンキー:2007/01/21(日) 21:23:04 ID:uhOIr9jG
ヽ(゚∀゚)ノひぎぃぃぃぃぃぃ
784名無しさん@ピンキー:2007/01/21(日) 21:37:08 ID:qPN35qLi
>>782まったり行きたいがそろそろ450KB。
またスレタイで揉めそうな予感・・・

まったく、揉むのはおっぱいだけにしてイタタタタタ!!
785名無しさん@ピンキー:2007/01/21(日) 22:25:54 ID:1VsIVuSH
嫉妬・三角関係・修羅場系総合SSスレ 泥棒猫27んか渡さない

なんてどうよ?
786名無しさん@ピンキー:2007/01/21(日) 22:26:45 ID:b7+KocQo
いいね
787名無しさん@ピンキー:2007/01/21(日) 22:40:08 ID:V6TqkPzf
>>777
GJ!!!
>>785
いいですねw
788名無しさん@ピンキー:2007/01/21(日) 22:43:40 ID:v1R1w7mk
毎回毎回スレタイ案が「語呂」か「数え」かで議論するのはアレだし、もういっそある程度決めちゃった方がいいと思う

今後の修羅場SSスレのタイトル番号は、語呂合わせによるもので統一ってことでいい?
789名無しさん@ピンキー:2007/01/21(日) 22:46:43 ID:8OdyD9lu
>>788
元々そうだったんだしソレでいいんじゃないか
ただ何kbからスレタイ決めをするかは決めた方がいいと思う

俺的には460kb辺りがいいと思うんだが、どう思う?
790名無しさん@ピンキー:2007/01/21(日) 22:55:00 ID:AfePhpt9
嫉妬・三角関係・修羅場系総合SSスレ 星27ったあの子

このスレは「愛しの彼26ックオン」にしたかったんだがなー
>>789
そこがベストかな。470kbだと厳しいし、450kbだと埋めにくいし。
791名無しさん@ピンキー:2007/01/21(日) 23:08:04 ID:NR5ZhSrY
まあずっと語呂合せでやってきたからそれでいいんじゃないかと俺も思う
>>789
そうですなそれで良いと思う
792名無しさん@ピンキー:2007/01/21(日) 23:09:04 ID:nRuHiuM0
ハッピーバースデー修羅場SSスレ
一周年おめでとう!

え? 一日早い?誕生日は明日?
あぁ、そうだったか。ごめんごめん。勘違いだった。

それじゃ、今日は誰の誕生日だったのかなぁ?
あの娘のスレだったかな……? それともあの娘の……


ん? どうした修羅場SSスレ?
手に何を持っているんだ? おいやめろ話せば分かるくぁwせdrftgyふじこ、l。;

……ち、ちがう! 「ふじこ」は浮気相手ではあqwsでfrtgyふじこlp;
793名無しさん@ピンキー:2007/01/22(月) 00:00:17 ID:Z1BF9SeU
正直な話、最初にここの小説を見た時、
どす黒い感情むき出しでコメディー系のほうが好きだった自分はこ手のものは合わないと思っていたんだ。
でも、ちゃんと読むととても、とても
エロかったんだ!!ゾクゾクしたんだ!!

ごめん、やっぱり去るべきなのかなorz
794名無しさん@ピンキー:2007/01/22(月) 00:08:15 ID:ek/V1Jav
嫉妬と修羅場を愛する心さえあれば荒らし以外はウェルカムだぜ、同士よ!
795名無しさん@ピンキー:2007/01/22(月) 00:08:40 ID:Gwwe1t5V
>でも、ちゃんと読むととても、とても
>エロかったんだ!!ゾクゾクしたんだ!!

それで十分なり。
にしてもたった1年で26スレも使い切るなんて、この板にあっては異例の速度だなぁ。
796名無しさん@ピンキー:2007/01/22(月) 01:17:40 ID:y+/lrC0c
最近このスレのSSに触発されて大まかな構成を書き始めているんだが、
ふと最近、新たなSS作者より、書かれたSSを同人誌かなんかで漫画化する
人間が欲しいと思うようになった。
ちなみに俺は文才は人並みよりはあるが、絵は完全に駄目だから、誰かやってくれ。
797名無しさん@ピンキー:2007/01/22(月) 01:17:44 ID:+Sn+XoUr
>>793
チラ裏、と言いたいが居ていいと思うよ
ゾクゾクした、つまり修羅場を体が求めてる、それでいいじゃないか
798名無しさん@ピンキー:2007/01/22(月) 01:39:23 ID:TQ0vM/LK
阿修羅氏更新乙です
799名無しさん@ピンキー:2007/01/22(月) 01:48:43 ID:i4qMGm2H
阿修羅氏いつもありがとうございます
感謝(-人-)
800名無しさん@ピンキー:2007/01/22(月) 01:49:19 ID:I6MAi8/i
おお!なんか新機能が増えてる!
阿修羅さんはさり気なく良い仕事されるから、住人としてホントに頭が上がらないっす。
801名無しさん@ピンキー:2007/01/22(月) 02:03:54 ID:+Sn+XoUr
超乙です、阿修羅氏、新機能もSSまとめ更新もGJです
802名無しさん@ピンキー:2007/01/22(月) 02:14:38 ID:ek/V1Jav
阿修羅氏は神、いわいるゴッd(ry
803名無しさん@ピンキー:2007/01/22(月) 02:54:10 ID:3Gx2AO0E
阿修羅氏乙!
それにしても、一女の親とはおめでとうございます。
願わくば嫁と娘との間で修羅場がおきますように。
804名無しさん@ピンキー:2007/01/22(月) 02:58:58 ID:ZrAHuMYD
>>803
パパを巡って……って、ひとの家庭の修羅場化を願うなよw
ともあれ阿修羅氏GJ
805名無しさん@ピンキー:2007/01/22(月) 04:07:22 ID:cug3VjuE
このスレ無しでは生きていけなくなって
全裸になって早一年

阿修羅氏、神々、お前らとすべての修羅場SSへ

超 愛してる
806名無しさん@ピンキー:2007/01/22(月) 04:24:18 ID:LaZiE/5L
      ,,           煩悩にまみれて生きてきた前生の弟子たちよ
     __||_           いよいよ君たちが目覚め、
     |_ _|           そしてわたしの手伝いをするときが来た
     | |           君たちは死に際して
     | |           決して後悔しないようにしなければならない
     _|_|_          君たちがもし選択を誤れば
    |   |          君たちがこの人間界へ生まれてきた意味を
    |   | ___     完全になくしてしまうことになる
    |   |/三 三||    君たちは確かに今生、情報により、煩悩により、けがれた
    |   |||  )Θ( ||    しかし、君たちの本質はけがれるはずはない
    |   |  ̄ ̄ ̄ |    なぜならば、君たちはわたしの前生の弟子であり
    丶  |      |    そして本質的には他の魂と違い
     |  |   _   |-   救済の手伝いをするために生まれてきたからである
     |  |   ||   | |  わたしは、君たちがわたしの手となり、足となり
     |  ヽ__/ ヽ____| |  あるいは頭となり、
     ヽ         | |  救済計画の手伝いをしてくれることを待っている
      |         | |  さあ、一緒に救済計画を行おう
      |     ⌒   | | そして、悔いのない死を迎えようではないか
      |         | |                    
      |          | |                      麻原彰晃
      |_         |__|   
807名無しさん@ピンキー:2007/01/22(月) 04:38:18 ID:PqtLOh4u
>>805
>阿修羅氏、神々、お前らとすべての修羅場SSへ 超 愛してる

修羅場フラグ立て過ぎwwwww
808名無しさん@ピンキー:2007/01/22(月) 05:12:41 ID:TWeb6qVG
嫉妬・三角関係・修羅場系総合SSスレ 27寿司より敏感に反応する女の嗅覚
ホラー風味な埋めネタのスレタイ案。それと、まとめにGJ
809名無しさん@ピンキー:2007/01/22(月) 07:50:17 ID:islBepO+
おぉ、朝起きてPCつけたらまとめが更新されている。
阿修羅氏GJ!!!
810名無しさん@ピンキー:2007/01/22(月) 09:28:55 ID:P4dgJD7p
嫉妬の気持ちを抑えるいい方法ってある?part5
http://love4.2ch.net/test/read.cgi/furin/1167146773/l50

ここの>>1に嫉妬を克服するヒントが
811名無しさん@ピンキー:2007/01/22(月) 16:48:10 ID:UPhkxUv5
812名無しさん@ピンキー:2007/01/22(月) 18:11:29 ID:4ig+eURb
1周年26スレも使ってしまうとは
エロパロスレでは初の快挙じゃないのか?
813名無しさん@ピンキー:2007/01/22(月) 18:42:23 ID:wdMMulKV
ハルヒとか結構あるよ
814名無しさん@ピンキー:2007/01/22(月) 18:46:04 ID:islBepO+
ハルヒの勢いは異常だったからな……。

それはそれとして、No.1がどうこういいだすとまた何か色々言い出す人
が出てくるのでこの話題はこの辺で。
815双炎:2007/01/22(月) 19:19:00 ID:75oqvA3t
神々に導かれて、書きたいという欲望が抑えられません。投下します。BLではありません。
ただし、官能的でも暴力的でもありません。嫉妬的にはしたいと思います。遅筆におつきあい頂ける方のみどうぞ。
816双炎:2007/01/22(月) 19:27:37 ID:75oqvA3t
 御館様の様子がどうもおかしい。月に一度は必ず、寝込んでしまわれる。
また、私に対しても、微笑んでおられたかとおもえば、つまらぬ事を酷く叱責
されたり、昨日などお目見えに伺っても某だけが拒まれる。
これでも、童のころは乳兄弟としてお側に侍り、子犬の様にじゃれていたのに。
先月、サキの御館様が亡くなって、炎様が跡を継いでからはずっとこの調子である。
 だが、問題なのはそれだけではない。まれに、御館様が某を妙な目で見ておられ
ることがある。某はあの目をみたことがある。同僚で衆道という噂の有る者が某をみ
る目と全く同じだ。御館様と某はいわゆる義兄弟の関係にはないが、御館様が望む
ならば仕える身としてはそれもかまわぬ。御館様が叱責されたのもヘンネシだったの
かもしれぬ。そういえば、叱責の前に同僚と談笑していたのを、お目にしたのかもしれぬ。
 御館様も、来月には、北の方を迎える方である。その熱もすぐに醒めるであろう。
817名無しさん@ピンキー:2007/01/22(月) 19:53:36 ID:SNixwfet
えと…これでとりあえず終わりで追加の投下はないのかな?
一人称は某と私のどちらかに統一したほうがいいと思うよ。
818双炎:2007/01/22(月) 20:26:11 ID:75oqvA3t
ご指摘ありがとうございます。続きです。

その御館様から今日はお側へ参るようにとのお声がかかった。少し躊躇したが、
参らぬわけにも行かぬ。屋敷をでてから、御館様との子供時代が頭をよぎる。気づ
けば、控えの間まできていた。
一見では女子にも見える小姓が呼びに来る。この小姓も御館様にかわいがられ
ているのかと思えば、複雑である。
お目見えの間ではなく、御寝の間に通され、待つ。この御館様からして変なのであ
る。元服はとうにすぎ、跡を継がれても、髷はゆわず総髪のままなのである。また、
そのお身体は華奢で、お顔も男とは思えぬ程の美貌で、その気のない某も色気を
感じたことがあるのも事実だ。
この御館様が戦場では鬼炎と呼ばれているのである。その美しい顔を隠すため
鬼をかたどった面のついた兜をかぶり、人間無骨という銘を彫った愛用の槍で、
馬上から敵兵を芋の様に串刺しにするのである。
「典馬よ」
御館様からお声がかかり、いらっしゃったのに気づき慌てて平伏する。
「よいよい、そちとわしの仲じゃ。それよりも今日は頼みがあって呼んだ。その前に、」
御館様は小姓に目をやり下がらせる。やはりそういうことか、妙な汗をかく。
819名無しさん@ピンキー:2007/01/22(月) 20:46:44 ID:72Rqs6/x
>>788-791
語呂合わせサブタイ反対
そんなくだらん議論で貴重なスレ消費しないでくれ
820名無しさん@ピンキー:2007/01/22(月) 20:52:06 ID:b31on1L/
>>819
そんなくだらんレスで(ry
821名無しさん@ピンキー:2007/01/22(月) 20:56:40 ID:SNixwfet
>>818
まさか直接書いて逐次投入してる?
とりあえず一話分くらいは一気に書き上げて、コピー&ペーストしていった方がいいよ。
822名無しさん@ピンキー:2007/01/22(月) 21:14:10 ID:6Z2JvZOq
俺も語呂合わせ嫌だな。
823名無しさん@ピンキー:2007/01/22(月) 21:22:29 ID:islBepO+
貴重なスレを消費って別に新しいスレ立てりゃいいんだから何の問題もないだろ(´д`)
修羅場神達が投下しづらいからやめてくれって言ってる訳じゃあるまいし……
元々馴れ合いも含めてものスレなんだし……
824名無しさん@ピンキー:2007/01/22(月) 21:23:50 ID:UKSLs85g
こんな風にごねる奴次から次に出てくるから何でもいいから早く次スレ立てた方がいいんじゃないの
825名無しさん@ピンキー:2007/01/22(月) 21:24:47 ID:F7QUiZ89
スレタイはスレ立てる人の裁量に任せる、でいいんじゃないか
少ない字数でこの先良いアイディアがあればそれはそれで凄い
826824:2007/01/22(月) 21:31:46 ID:UKSLs85g
レスするのが少し遅かったか。
>>823に言ったわけではない。
827名無しさん@ピンキー:2007/01/22(月) 21:40:47 ID:72Rqs6/x

嫉妬・三角関係・修羅場系総合SSスレ その27
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1169469610/
828名無しさん@ピンキー:2007/01/22(月) 21:43:00 ID:bhvDul/O
また急にたてたな
829名無しさん@ピンキー:2007/01/22(月) 21:43:16 ID:islBepO+
>>827
……まだ460kbも行ってないのに何で新スレなんか立ててんだよ。
しかも反対意見がこれだけあるなか無理やり「その〜」にしてるし。
830名無しさん@ピンキー:2007/01/22(月) 21:43:45 ID:bhvDul/O
いや違う違う違うんだ
そうさいい意味でだよもろちんじゃないか
831名無しさん@ピンキー:2007/01/22(月) 21:46:30 ID:UxC8nhhq
強引過ぎだろ
832名無しさん@ピンキー:2007/01/22(月) 21:48:20 ID:ceVpQC6z
819 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/01/22(月) 20:46:44 ID:72Rqs6/x
>>788-791
語呂合わせサブタイ反対
そんなくだらん議論で貴重なスレ消費しないでくれ

827 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/01/22(月) 21:40:47 ID:72Rqs6/x

嫉妬・三角関係・修羅場系総合SSスレ その27
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1169469610/


( ゚∀゚)アハハハハ/ヽ/ヽ/ \ / \
833名無しさん@ピンキー:2007/01/22(月) 21:48:44 ID:UxC8nhhq
しかもテンプレも貼らないし。こんだけ強引に立ててんならソレ位しろよ
834名無しさん@ピンキー:2007/01/22(月) 21:48:59 ID:b5cyhWv5
それなりに語呂合わせのやり取りを楽しんでる人達もいるのをお忘れなく
835名無しさん@ピンキー:2007/01/22(月) 21:49:09 ID:d0SNki6c
もういい。これ以上やると空気が悪くなる
836名無しさん@ピンキー:2007/01/22(月) 21:51:46 ID:QDcgDuOY
別にいいじゃないさ
837名無しさん@ピンキー:2007/01/22(月) 21:53:17 ID:eatSjo5k
荒らしが立てたスレってことでスルーか?

とりあえずタイトルは思いつかんが。
838名無しさん@ピンキー:2007/01/22(月) 21:54:22 ID:UxC8nhhq
>785とかある
839名無しさん@ピンキー:2007/01/22(月) 21:54:55 ID:QDcgDuOY
流石に苦しいだろ
840名無しさん@ピンキー:2007/01/22(月) 21:55:54 ID:12tIUXhd
まあ元々ずっとそんなもんだけどな
841名無しさん@ピンキー:2007/01/22(月) 21:55:55 ID:Eu+bIv1R
よし、お前ら一旦解散。
神々の修羅場SSで抜いた奴から順次戻って来い。
842名無しさん@ピンキー:2007/01/22(月) 22:01:10 ID:eI1A0rhQ
立てる人の裁量に任せるのがいいと思う。
だけど万一統一するなら監禁○日目を提案。
843名無しさん@ピンキー:2007/01/22(月) 22:03:15 ID:ceVpQC6z
まー前もこういう風にグダグダやってるうちに先に立てられたけどねー
844名無しさん@ピンキー:2007/01/22(月) 22:06:00 ID:12tIUXhd
>>842
その辺の妥協点を探る間もなく立てられちゃったわけだが
845名無しさん@ピンキー:2007/01/22(月) 22:07:10 ID:ek/V1Jav
スレタイがずっと語呂合わせで来ているから、続けてもいいんじゃないかと思う
どうせ毎回1000までいかずに使いきっているんだし
846名無しさん@ピンキー:2007/01/22(月) 22:09:57 ID:9kixZ+AB
--------------------------------------------------------------------------------
         ,. -‐'''''""¨¨¨ヽ
         (.___,,,... -ァァフ|          あ…ありのまま 今 起こった事を話すぜ!
          |i i|    }! }} //|
         |l、{   j} /,,ィ//|       『ナンバリング派とスレタイを話し合おうと思って
        i|:!ヾ、_ノ/ u {:}//ヘ        いたら、いつのまにか新しいスレを立てられていた』
        |リ u' }  ,ノ _,!V,ハ |
       /´fト、_{ル{,ィ'eラ , タ人        な… 何を言ってるのか わからねーと思うが
     /'   ヾ|宀| {´,)⌒`/ |<ヽトiゝ        おれも 何をされたのか わからなかった…
    ,゙  / )ヽ iLレ  u' | | ヾlトハ〉
     |/_/  ハ !ニ⊇ '/:}  V:::::ヽ        頭がどうにかなりそうだった…
    // 二二二7'T'' /u' __ /:::::::/`ヽ
   /'´r -―一ァ‐゙T´ '"´ /::::/-‐  \   催眠術だとか超スピードだとか
   / //   广¨´  /'   /:::::/´ ̄`ヽ ⌒ヽ    そんなチャチなもんじゃあ 断じてねえ
  ノ ' /  ノ:::::`ー-、___/::::://       ヽ  }
_/`丶 /:::::::::::::::::::::::::: ̄`ー-{:::...       イ  もっと恐ろしいものの 片鱗を味わったぜ…
847名無しさん@ピンキー:2007/01/22(月) 22:14:05 ID:bhvDul/O
我を通して強引に立てたのはどうかなと思うが
語呂合わせもいい加減限界かなとは思ってた
ただその○○も味気ないから毎回統一してなにかを決めればどうかなと
848名無しさん@ピンキー:2007/01/22(月) 22:18:45 ID:9kixZ+AB
>842の監禁○日目に一票。
連番にするなら今までのスレタイの中で一番だと思う。
つーか先に言われてちょっとショックだぜorz
849名無しさん@ピンキー:2007/01/22(月) 22:20:10 ID:4RIBd5jb
語呂合わせの案もちゃんと出てたのに限界も何もないだろ
しかも勝手にスレ立てられてるし
もう駄目だなこりゃ
850名無しさん@ピンキー:2007/01/22(月) 22:23:37 ID:ek/V1Jav
460kbから話し合って470kbまでに良いのが出なかったら監禁〜日目や泥棒猫〜匹目など
スレ立て宣言してから好きな物を立てるという形はどうだろうか?
851名無しさん@ピンキー:2007/01/22(月) 22:28:58 ID:9kixZ+AB
まー実際、今回みたいにいきなりスレ立てされちゃうとどうしようもないんだけどねー。
とりあえず>827はなかった事にしていいよな?埋めるぞ?

反対意見のある人は10〜15分以内に反対しておくれ。
852名無しさん@ピンキー:2007/01/22(月) 22:30:40 ID:v0xtC2XD
正直自己中過ぎる
>>827は廃棄しとけ廃棄

それと、スレでも外部でもいいから投票でどの形式にするか決めちまえ
以後ずっとそれに統一
853名無しさん@ピンキー:2007/01/22(月) 22:33:24 ID:b5cyhWv5
スレタイが気に入らんから立て直すのも馬鹿らしいので
早漏のID:72Rqs6/xのスレを使い切ってからの方がよかないか?

スレタイ案は>>850の意見がいいと思う
854名無しさん@ピンキー:2007/01/22(月) 22:34:29 ID:bhvDul/O
>>851
このスレもその26だし
わざわざ立てたのを無駄にするのももったいないしややこしいし
従来のスピードで進めばすぐに次スレを立てることになるから
あれはあれで使えば良いと思ふ

そんで次々スレまでに>このスレで>852のような意見をまとめてしまえば?
855名無しさん@ピンキー:2007/01/22(月) 22:41:05 ID:b5cyhWv5
あと、決定したら次スレにそれを貼っておこう
ID:72Rqs6/xのような愉快犯に対する予防策になるやもしれん
856名無しさん@ピンキー:2007/01/22(月) 22:42:29 ID:9kixZ+AB
>>854
うぃ〜。了解。
とりあえずスレタイ決め投票作ってくるからこのスレでも>827でも使って待ってておくれ。
857名無しさん@ピンキー:2007/01/22(月) 22:43:51 ID:4RIBd5jb
次々スレもこうやって勝手に立てられたらたまらん
ってか現スレも勝手に立てられたようなもんだし
何処かでこの流れを止めなきゃならん
858名無しさん@ピンキー:2007/01/22(月) 22:45:56 ID:bhvDul/O
前々スレで次のスレタイとか決めたらいいかもね
28のスレタイ立てるなら27のスレを立てた直後の26で決めたりとか
859名無しさん@ピンキー:2007/01/22(月) 23:06:17 ID:negRdM8J
スレタイですら修羅場を発生させるとは流石修羅場じうにんだな。

古参は監禁○○日目〜とかに愛着があるだろうし
夏あたりから参加した漏れは語呂に結構愛着がある

その〜はちょっと味気ないんだぜ
860名無しさん@ピンキー:2007/01/22(月) 23:12:50 ID:9kixZ+AB
http://debumoja.blog90.fc2.com/
雑いけど一応作ったぜ。
阿修羅氏辺りが新しい投票を始めたらそっちを優先しとくれ。
861名無しさん@ピンキー:2007/01/22(月) 23:19:58 ID:v0xtC2XD
乙、投票期間は?
862860:2007/01/22(月) 23:22:18 ID:9kixZ+AB
次スレが450〜460KB行くまでってどうなんだぜ?
863名無しさん@ピンキー:2007/01/22(月) 23:27:42 ID:v0xtC2XD
そんなもんか、二重投票制限もしてあるしこれでいいな
あと投票は期間中一票? それとも一日一票?
864名無しさん@ピンキー:2007/01/22(月) 23:27:44 ID:sUdOq5o5
投下したいがどこに投下すればいいんだろ?
ちなみに無難に監禁に投票しました。
865名無しさん@ピンキー:2007/01/22(月) 23:30:48 ID:6WrvrUGl
おいおい、野郎どもの修羅場なんてみたくないぜ
マターリ行こう
866860:2007/01/22(月) 23:31:11 ID:9kixZ+AB
一応期間中一票になってるぜ。
867名無しさん@ピンキー:2007/01/22(月) 23:32:28 ID:bhvDul/O

>>865
全然修羅場ってなくね?
868名無しさん@ピンキー:2007/01/22(月) 23:33:01 ID:v0xtC2XD
ん、把握

>>864
落ち着いたしここでいいじゃないかな
869名無しさん@ピンキー:2007/01/22(月) 23:35:48 ID:Ar6rhadq
監禁は「修羅場」より「ヤンデレ」の代名詞だと思うんだがなあ
870魔女の逆襲第六話 ◆oEsZ2QR/bg :2007/01/22(月) 23:39:44 ID:sUdOq5o5
 茶室に入り、座布団を渡された早百合は茶室という厳格な雰囲気からか、正座をして座布団に座る。
対するしずるはまるで自分の家のようにリラックスして座布団の上であぐらをかくと、茶釜から注いだコーヒーを一口飲んだ。
「自分の部屋だと思ってくつろぎたまえ」
「は、はい」
 楽にしたまえと言うが、ここはしずるの部屋でもないだろ。単にしずるが勝手に使っているだけだ。
 出されたコーヒーを一口飲む。熱くて少ししか飲めない。独特の苦味が口の中を漂った。コーヒーは飲めなくは無い。ただ早百合は紅茶の方が好きだった。
 ふぅと一息つく。
対面しているしずるはあぐらのまま茶碗を口元で傾けていた。のどがこくこくと動いている。
あれだけ熱いコーヒーを一気飲みするとは、しずるの喉はもしかしたら瞬間冷却装置でも内蔵されているのかもしれない。
 やがて、全てを飲みきったしずるは恍惚そうな笑みを浮かべると、空になった茶碗を置く。
「あぁ、そうだ。君に報告したいことがあったんだ」
「なんですか?」
 魔女はくちびるをつんと尖らし、微笑んだ。
「昨日良樹とちゅーをしたぞ」
「え?」
「ちゅー、きっすだな」
 早百合は呆然となった。キス? 魔女が? 良樹と?
「なんだね。その想像付かないというような顔は」
 しずるが少し不機嫌そうに眉を寄せた。口元はいつものにやけた微笑のままだ。

 刹那、早百合の胸に弓矢で射抜かれたような痛みが走る。さらに、早百合の心の中が泡立つように揺れる。
昼間に見た良樹との昔の夢が小骨のように心にひっかかって、妙な不快感が早百合の心に訪れた。
 しずるに対する不快感…?
 早百合は自分の心に突然現れた不快感に驚く。
 なぜ、自分は不快感を感じているのだろうか? 目の前にいるのはしずるという良樹の恋人だ。恋人同士がキスすることなんて普通のことだ。普通のことのはずだ。
 …それが幼馴染としか良樹と接することができなかった私の遥か上空を飛びさって、良樹を手中に収めた魔女だとしても。

りぃ…ん 

なに考えてるのだ。自分は。
これではまるで良樹の唇を奪ったしずるに嫉妬する雌犬だ。
早百合は自分の心に現れた何かを精神で打ち消した。携帯電話の鈴がなったような気がしたが、気のせいだろう。
「そうですか」
 早百合は努めて冷静な声を出したつもりだった。すこし声がうわずっていたような気がして慌ててしずるの顔を確認するが。
「そうだよ。良樹との初ちゅーとレモン味はしなかったぞ。むしろ良樹と一緒に食べたのど飴のミントの味がしたな。どちらにしても甘酸っぱい味だった」
 魔女は早百合の内面には気付かなかったようだ。
「どうして私に報告を?」
「ふふん。いやな。はぢめての恋人との大きな一歩を誰かに報告したくてたまらなかった。いやぁ、キッスだぞ? さくらんぼキッス。鼓動の波打つ早さは急上昇だ。たぶん200は振り切ったな、あの時は……うへへ」
 あぐらをかいたしずるは、良樹とのキスをもう一度想像したからか、ほんのり桜色になった頬をいやいやんと押さえた。噂の魔女とは思えないほどの純情っぷりに早百合は呆れてしまう。
 恋人のことを考えて赤面する姿は、まるで中学生のようだ。数年前まで早百合もしずるも中学生だったけども。
「あのキスを受けてからは私の中での良樹の好感度はこいのぼりだよ」
「こいのぼりじゃなくてうなぎのぼりですよ?」
 魔女はからからとひとしきり笑った後、一拍置いて早百合に微笑んだ。
 早百合はコーヒーをもう一口含んだ。苦味がもう一度口に広がる。
「まぁ、それはいいとしてだ。物は相談なのだが」
「相談?」
 この流れからして、良樹がらみの相談だろう。幼馴染である早百合に良樹について知りたいことがあるのか。
 恋愛についての質問ならできれば遠慮したいところだった。恋愛なんてマンガや映画やドラマの世界でしか見たこと無い。
 これでも早百合は彼氏いない歴17年だ。いまだに告白経験はゼロ。恋愛に関してはしずるの方が一歩二歩も先だ。相談されても困るのだが…。
「良樹のことだよ」
「それなら本人に聞いたほうがいいんじゃないんですか?」
 早百合は思わずトゲついた言い方をしてしまう。先ほどの心の泡立ちが再発しそうだった。
「いやいやいや、良樹にはすこし聞きづらいことなのでな。だから君に聞こうとしてるのだよ」
「はぁ…」
「君は良樹のことについてなんでも知っているだろう?」
871魔女の逆襲第六話 ◆oEsZ2QR/bg :2007/01/22(月) 23:40:50 ID:sUdOq5o5
 はい、
 良樹のことなら趣味や生年月日、好きな食べ物、嫌いな食べ物とか…なんでも知っていますよ。
 そう早百合は言おうとして…。
(あれ…?)
早百合はひとつの事実に気付く。それは理解者と自認していた自分に衝撃を与える事実だ。
(…私が知っていることは、良樹の中学生のことまでだ)

 きっかけは目の前にいる魔女。
 そういえば、どうして良樹は魔女と付き合うことにしたのだろう?
良樹は魔女の一目惚れという言葉にどう思ったんだろう?
 良樹は魔女をどれくらい理解しているのだろう。

 …どうやって二人は好きあってるのだろう?

 りぃん
 鈴が鳴る。
 早百合はなにか変な方向に行きそうな自分の思考を戻す。が、頭の中の思考の電車はどんどん違う方向へ進路を変えてゆく。
 おかしい。
最近は妙に良樹と魔女の二人のことについて考えている気がする。二人のことを考えただけでどんどん胸が苦しくなって、自分が二人とは比べ物にならないほどちっぽけな存在かもしれないという考えが頭を支配していってしまう。
なんだろう? なんだろうこの気持ちは。
魔女と初めて出会って、良樹と魔女の二人のやり取りを見ていた私はこんなに卑屈ではなかったハズだ。
二人のことを近くに感じながら、お似合いだと思っていたハズだ。魔女の純粋な気持ちを知って、彼女に良樹を任せようと決心したハズだ。
二人の並んで歩く姿に微笑ましさを感じたハズだ。なのにどうして、なのにどうして、今はこんなに。
感情が震えて爆発しそうなほど、自分は疎外感を感じているのだろう?
 泣きながら良樹に引っ張られ、一緒に謝りにいったあの夢がまた鮮明に思い出されてゆく……。

『よしきくん…』
『なぁに? さゆりちゃん』
『ありがとう。一緒に謝ってくれて…』
『いいんだよ。べつに、ともだちでしょ?』
『…うん。本当にありがとう。よしきくん』
『えへへ…』

『ねぇ、よしきくん。すき、大好き………』

りぃぃん

「鞠田早百合? どうした?」
 気付くと、早百合は一人で涙を流していた。
 あれ? 私はいったいどうしてたんだろう?
 眼前にはしずるの心配そうな顔があった。あぐらを崩しひざ立ちでこちらの顔を覗き込んでいる。
「…あ…あれ?」
「突然泣き出してどうしたのだ? もしかしてコーヒーが嫌いだったのか?」
 自分の涙に驚いて、早百合は呆然とする。
「い…いえ。違います…コーヒーではないです…」
「………」
 しずるはさらに眼前に近づくと、いきなり早百合の鼻をぺろりと舐めた。
「ひゃっ!」
 突然の湿りに早百合の体がぶるりと震える。
「しょっぱいな。涙か」
「な…なにするんですかっ。いきなり…」
「君は今、感情がゆらいでいるよ」
 魔女の瞳が鴉色に光る。しずるの瞳と早百合の瞳がぶつかりそうなほど近づく。
「なにか、君に異変がおきはじめている。心の中の君が暴れている」
 急速に早百合の心に魔女の言葉が突き刺さった。
早百合ははじめて魔女に畏怖の念を抱いた。魔女の瞳は早百合の心の中をスキャンするように光を突き刺し、体や心が裸にされていくような感覚を
「なにかあったのか? 私でよければ相談に乗るぞ? どうだ、お金は取らないから話してみては?」
 ただ、話すわけには行かない。話したくない。

872魔女の逆襲第六話 ◆oEsZ2QR/bg :2007/01/22(月) 23:41:23 ID:sUdOq5o5
 それを話してしまうと…。
どうなる?
「話してくれないか? われわれはつながりをもった友人だろう?」
たぶん、しずると良樹の関係が崩れてしまうかもしれない。
ダメだ。それはダメだ。早百合と良樹としずる、月で拾った卵で誓った友情は、壊してはいけない。決して壊すことの許されないつながりだ。
心の中で、早百合は強く感じた。
しずるが、孤独な魔女がはじめて作ったつながりを、私が壊すわけにはいかない。
「い…いいえ、…大丈夫です……」
 早百合は涙を抑えて静かに呟いた。
 涙を手で拭こうとして…、しずるが黒いハンドタオルを早百合に手渡した。
「これで拭きたまえ」
 早百合はありがたく受け取ると、それでごしごしと涙をふき取った。ただ、いまだ感情が抑えつかない早百合は目元に黒いハンドタオルを抑え顔を塞いでしまう。
 そのまま十数秒。茶室の中を沈黙が支配した。
 外から聞こえるのは野球部の掛け声。

 最初に口を開いたのはしずるだった。
「…今日は相談できる雰囲気ではないな…」
「す…すいません」
「いや、いい。私はこのまま消えよう。なにかあったらまたここに来てくれ。いつか君が私に相談くれることを切に願ってるよ」
「はい…」
 しずるの残念そうな声が届く。どんな顔をしているのか。顔を塞いだ早百合からは見えない。
 突然泣き出した自分に怒っているのであろうか。自分に相談をしてくれなかった早百合に失望しているのか。
 ただ、早百合にはひとつ確信はあった。しずるはこんなことでつながりを断ち切る人ではないということは。しずるはクールで変で魔女だが、とても友人想いだ。
 しずるが立ち上がる音がする。空気が震える様子で早百合にはわかった。自分の横を通り過ぎてしずるは茶道室のドアを開けた。ガチャリという音。
「しずるさん?」
「また会おう。鞠田早百合。あ、そのブルマはいつか返してくれ」
 冷たい空気がドアから流れる。早百合はハンドタオルから顔をあげて、振り向くがすでに戸が閉まりしずるの姿は消えていた。茶室に残っているのは冷たくなった風とコーヒーのにおい。
 そして、涙を拭いた早百合。
 しずるは冷静でオトナだ。話をできなかった私に配慮して一人にしてくれた。
 涙を拭いて、一人落ち着く。と、
「ブルマ?」
 早百合はしずるの最後の言葉に引っかかる。ブルマとはなんのことだ?
 もう一度、顔を拭こうとして…。手にしていたものを見て、早百合は絶句した。
 早百合がハンドタオルだと思って顔をうずめていたのはしずるの紺ブルマだった。
 しかも明らかに今脱いだものである。 …何を考えているのだ。魔女は。もっと他に渡すものがあったろうがっ。
 一気に脱力する。
 自分は脱ぎ立てブルマに顔をうずめて泣いていたのか。傍から見れば明らかに変態である。
しずるのブルマは芳醇な香りを漂わせ同姓だけど思わずラッキーとしか……って、違う。自分はレズでもないし、ブルセラ趣味なんぞ持っていない!
「…なんなのよ…、もう…」
 早百合は茶道室で大の字に倒れた。自分に生まれたおかしな感情としずるの行動に、早百合の精神は大きく疲労したのであった。

現在午後4時半。いまだ外では野球部の掛け声が聞こえてくるし、吹奏楽部の合奏の音も響いている。
 ふと、ここで早百合はあることに気付く。しずるの脱いだブルマがここにあるということは。
ヤツは体操服にぱんつ一丁で外へ出て行った。
いまだ人が残る校舎で、体操服にぱんつ一丁…。
「…………魔女だ…」
 ブルマを手に、早百合はひとり呟いた。
(続く)
873赤いパパ ◆oEsZ2QR/bg :2007/01/22(月) 23:41:57 ID:sUdOq5o5
笑ったり泣いたりハラハラしたりしながら最後に「こいつアホだ」と言われるような作品を目指しています。
すいません。日曜休暇とらせていただきました。
シリアスモードに突入してしました。ブルマ分は多めですが。次回からようやく嫉妬エンジンをつけてゆきます。
なかなか核心部分に触れられず、もどかしいと思いですが、おかしな部分ありましたらご指摘ください。
874赤いパパ ◆oEsZ2QR/bg :2007/01/22(月) 23:43:00 ID:sUdOq5o5
訂正、第7話だった。
875名無しさん@ピンキー:2007/01/22(月) 23:46:24 ID:bL3PeRvJ
上は体操着で下は素パンツ、これはこr…ハッ!よい嫉妬GJ!

次スレは>827の再利用でいいか?
早くテンプレに投票のことを入れとかないと、気づかない奴が出そうだ。

876名無しさん@ピンキー:2007/01/22(月) 23:47:22 ID:ek/V1Jav
GJ!早百合が内心ではしずるの事を全く名前で呼ばず魔女と連呼していることに
wktkと(*゚∀゚)=3ハァハァが止まらない!!!
877名無しさん@ピンキー:2007/01/22(月) 23:48:59 ID:iRqdZyBc
GJ!!!
878860:2007/01/22(月) 23:54:31 ID:9kixZ+AB
>>873
GJだぜ。しずるさんは露しゅ(ry

ところで勝手に連投禁止期間を期間中に設定しちゃったんだが一日一回投票とどっちがいい?
879名無しさん@ピンキー:2007/01/22(月) 23:58:01 ID:Ar6rhadq
しーーーずーーーーーるーるーーー
880名無しさん@ピンキー:2007/01/23(火) 00:16:59 ID:IwikUdz6
ついに早百合タソの嫉妬エンジンに点火されるのか!?
>>878
平等に一人一票でおk
881名無しさん@ピンキー:2007/01/23(火) 00:17:45 ID:5wH20R+D
>>873
GJ!
ブルマ分の多さに男気を感じたぜ
それにしてもブルマ+嫉妬属性とは・・・新しいな
「こいつアホだ」と言えるオチ?今から楽しみにしてます

>>878
期間はいいと思うよ
社会人だと毎日見れない人もいるからね
882名無しさん@ピンキー:2007/01/23(火) 00:18:25 ID:wrZC6oJB
こっちに投下しておk?
携帯だから容量とか分からん
駄目ならもう片方のスレに投下する
883名無しさん@ピンキー:2007/01/23(火) 00:22:01 ID:C8ejyjdI
20kb残ってる。
短いものなら、たぶん大丈夫じゃない?

新スレの方使ってもいいと思うけど
884名無しさん@ピンキー:2007/01/23(火) 00:23:05 ID:wrZC6oJB
投下しますよ
885『甘獄と青』Take20:2007/01/23(火) 00:24:04 ID:wrZC6oJB
「体の調子はどうだ?」
「問題ありません。それどころか、確率システム制御の効率が以前に比べて飛躍的に高く
なっていて、体がとても軽いです。シャーサ様には悪いですが、手足を使わせて頂き本当
に感謝致しております」
 不具合が無いか確かめるように軽く一礼をして、踊るように回転をする。専門の知識が
殆んど無い僕にはよく分からないが店主さんも驚いていたし、何よりナナミ地震が満足を
しているようなので、取り敢えず成功はしたのだろう。足音もたてず、工具や部品の散ら
かった床の上を器用に回転し、ステップを踏んでいる。
 一通りの動作確認を終了したらしく、再び一礼をして動きを止める。僅かに遅れて銀髪
とスカートの裾が、空気を含みながらゆっくりと降りてくる。昔に見たコッペリアという
歌劇を思い出した。ナナミは否定するかもしれないが、今の僕から見たらナナミは人間と
変わらないと思う。違いはそれこそ、体の仕組みだけだ。
「どうされたのですか?」
 見とれていたと言うか、呆けていたらしい。怪訝そうな目でナナミが見つめてくるが、
それにどう対応したら良いのか一瞬迷ってしまった。規格は同じものの筈だし、つまりは
姿は以前と全く変わらない筈なのに何故か輝いて見える。そう感じているのに上手く言葉
が出てこない、形容する単語さえ思い浮かんでこないのだ。
886『甘獄と青』Take20:2007/01/23(火) 00:25:03 ID:wrZC6oJB
 どうすれば良いのか考え、僕は結局無言で抱き締めた。常に隣に居た存在の、体によく
馴染んだ感触や温度が伝わってくる。腕の中に収まる適度な大きさは、ナナミそのものだ。
元気な状態に戻ったことが嬉しくて、壊してしまいそうな程に強く抱き締める。
「おかえり」
 常に隣に居たのだから、こんな言葉はおかしいかもしれない。しかし、これ以外の言葉
は思い付かなかった。僅かに遅れて、ナナミもそれに応えるように、躊躇いながらも強く
抱き締め返してきた。機械人形特有の痛い程の強さが、今は気持ち良い。
 そして自覚する。
 僕は本当に、ナナミが好きなのだと。
 今まで近くに居すぎて分からなかった、気付かなかった。そんなありきたりな事を言う
つもりは無い。ただ僕は、意識していられなかったのだと思う。失意の底に落ちていた僕
を励まし、常に支えてくれていた存在に対して寄りかかっていた。そうさせてくれたから、
何百年もそれに甘えて、溺れていた。歪だと分かりながらも気に留めることなく、ナナミ
との主従関係を続けてきた。
 それが壊され、自覚した。
 サラさんやリサちゃん、シャーサからの愛を受け入れられなかったのは、ナナミが一番
大切だからだと。僕をかばって大破したときに本気で泣いたのは悲しかったから、愛する
存在が消えてしまうことに耐えきれなかったからだと。
 想い、抱く力を更に強くする。
「好きだ」
 言葉が自然に漏れてきた。
887『甘獄と青』Take20:2007/01/23(火) 00:26:31 ID:wrZC6oJB
「愛してる」
 もう少し気の効いた言葉が言えるのなら、どれだけ良いのだろう。しかし8世紀以上も
生きていながら、ろくな言葉が思い浮かばない。不老のシステムは心にも作用するという
ことだが、これではまるで幼子のようだと思う。言葉が足りず、抱くという単純な行動で
己を表現するのは、まさにそれだ。苦笑が浮かぶ。
 数秒。
「私もです」
 腕の力を抜き、顔を離せばナナミの笑みが見える。
「私も、青様を愛しています」
 言って、唇を重ねてきた。
 睦事のときとは違い、軽く触れ合わせるだけの単純なもの。それも数秒だけの短いもの
だが、これまでした中でも一番快い。柔らかな感触を確かめるように、今度は僕の方から
重ね、味わう。甘く、とろけるようで何度でもしたくなってくる。
「ナナミ、愛してる」
「私も……」
 軽音。
 突然の咳払いに目を向ければ、気不味そうに目を反らした店主さんが立っていた。
「あー、ごめんね。それは、その、頼むから家でやってくれないかな?」
「「すみません」」
 いかん。あまりの感動にすっかり頭の中から飛んでいたが、ここは店の中だった。
888『甘獄と青』Take20:2007/01/23(火) 00:27:48 ID:wrZC6oJB
 数十分。
「青様、その、改められると恥ずかしいのですが」
 頬を赤く染めながら、恥ずかしそうに視線を反らしてくる。そんな姿も愛しくて、僕は
思わず唇を重ねた。今度は店の中でしたものと違い、舌を絡ませるもの。貪るように口内
を丹念に舐め、全体を味わう。伸びてきた舌を唇で軽く噛み、吸うと、ナナミは小さく身
を震わせた。専用装置のスイッチが既に入っているのか瞳は潤み、明かりを反射して宝石
のように輝いている。とろけた笑みと合わさり、淫猥な雰囲気になっていた。
「エロいな」
 素直に感想を言うと、花のように笑う。
 柔らかな髪を撫でながら、もう片方の手で胸を撫でる。固くなっている先端を弾き指先
を滑らせていくと、掌に妙な感触が来た。視線を向ければ、見慣れた傷跡がある。決して
直そうとはしない、感情回路を破壊したときの傷だ。今はまた感情回路を付けているが、
それでも傷跡を消さないのは意味があるのだろう。そう思いながら、唇を這わせてゆく。
「直さないのか?」
 答えは分かりきっているけれど、戯れに呟いた。視線を上げれば、豊かな胸の向こうに
微笑んだナナミの顔が見える。ナナミは目を伏せて手指で傷跡を撫でると、
「青様との、二人の生活のきっかけになったことの、その思い出ですから」
 嬉しいことを言ってきた。
889『甘獄と青』Take20:2007/01/23(火) 00:29:05 ID:wrZC6oJB
 再び唇を重ね、ナナミは舌を下ろしてゆく。辿り着いた先は僕の胸、中央辺りを吸って、
指先を当てた。ナナミの傷跡と同じ位置、唾液で濡れたそこには火傷の跡がある。一ヶ月
前の公園での争いの際に、指輪をフル起動させた熱で付いたものだ。変色しているが、既
に完治しているので痛みは無い。しかし労るように、ナナミは丹念に吸い、撫でてくる。
きっと、僕がナナミの傷跡を舐めるのと同じ理由だろう。
 体を一度離し、押し倒す。
 胸を吸いながら股間に手指を伸ばすと、そこはもう泉のようになっていた。もう何度目
かになるか分からない口付けをしながら、軽く広げ、掻き混ぜる。生々しい水音が聞こえ、
興奮する。今すぐにでも入れたくなったが、流石にそれは情緒が無いだろう。熱くなって
いる蜜壺をほぐしながら耳を甘噛みして、開いた手はひたすらに髪を撫でる。
「青様、その、切ないです」
 囁くような小さな声で、ナナミが言ってきた。
 僕は身を起こすと、股間の先端を割れ目に当てた。それで軽く擦っただけなのに、蜜が
とめどなく溢れてくる。シーツには大きな水溜まりが出来ていた。
890『甘獄と青』Take20:2007/01/23(火) 00:30:03 ID:wrZC6oJB
「入れるぞ」
 頷いたことを確認してから、腰を押し進める。それだけで達してしまったのか、ナナミ
は涙を浮かべながら体を大きく反らした。高く上げられた腰から愛液が滴り、水溜まりに
落ちて軽い音をたてる。腰を動かすと膣内の蜜が掻き出され、連続で音が響いた。
「願いが、叶いました」
 長い吐息をしながら、絞り出すようにナナミが言った。
「両想いになって、こうして結ばれる夢が、叶いました」
「ごめんな」
 屋敷を出たときはもう感情回路が無かったから、つまりはそれ以前からのものだろう。
八百年以上も待たせたことによる罪悪感と、同じ時間待っていてくれたことによる嬉しさ
が込み上げてくる。ただ、勝っているのは嬉しさだ。ナナミの想いに応えられるように、
体を抱き締め、舌を味わい、そして激しく腰を動かした。
「中に、出して、下さい」
 二度目の限界が近いのか強く締め付けてくる。小刻に来る締め付けの波と、精液を貪欲
に貪り取ろうとする動きに、僕の限界も近くなってきた。強く抱き返される動きに合わせ
奥深くまで突き、そこで僕は放出をした。ナナミの膣内は全てを放出しても、尚も残った
ものを絞り取ろうとするように動き、刺激を与えてくる。
 強い抵抗を受けながら引き抜くと、どれだけ大量に出してしまったのだろう。鈍い音と
共に白濁液が溢れて、ナナミが作った水溜まりの上に広がった。
「愛しています」
 僕は笑みを浮かべると、ナナミに軽く口付けた。
891ロボ ◆JypZpjo0ig :2007/01/23(火) 00:31:13 ID:wrZC6oJB
今回はこれで終わりです

嫉妬スレ一周年オメ
892名無しさん@ピンキー:2007/01/23(火) 00:37:13 ID:5wH20R+D
>>891
GJっす
ロボさんも3スレ目からコンスタントに作品の投下ありがとうございますm( __ __ )m
893 ◆5X4wX1d.e. :2007/01/23(火) 00:40:23 ID:JEjxNsXA
いつのまにかこんなにスレが進んでいるとわ。
894名無しさん@ピンキー:2007/01/23(火) 00:57:50 ID:ba5J/SZd
投票って、まずは語呂合わせにするべきか、しないべきかで投票した方がいいんじゃね?
語呂合わせ反対派の人の票、散るじゃん。
まあ、860の人に任せるし、従うけどな。
895860:2007/01/23(火) 01:04:59 ID:QR/l5+M2
>>894
俺も途中でそれに気づいたんだぜ……。
ただ考えてみたらこっちの方が一回ですむから楽だって事に気づいたんだぜ!
語呂>それ以外、だったら語呂に決定。
語呂<それ以外、だったらそれ以外の中から
(仮順)PART<その〜<泥棒猫<監禁、で監禁に決定。
みたいな!
896名無しさん@ピンキー:2007/01/23(火) 01:10:50 ID:Jp085NrF
>>895
それでいいんだと思うんだぜ

しかし、住人が何人位いるかアンケートで分かるな
897名無しさん@ピンキー:2007/01/23(火) 01:15:39 ID:oivRFfbP
>>895
37564スレ目とか素直に入るとこ以外は普通で良くネ?
898名無しさん@ピンキー:2007/01/23(火) 01:20:48 ID:IwikUdz6
>>891
けしからん!ナナミver1.11のエロさはけしからんとです(*´д`*)ハァハァ
>>897
それを投票で決めている最中なんだろ?
でも前例からだと語呂に決まっても思いつかなかった時は泥棒猫か監禁になるだろうし
899860:2007/01/23(火) 01:22:18 ID:QR/l5+M2
>897
普通ってのがどっちなのか分からないんだぜ……。

とりあえず無駄に揉めるよりはわかりやすく投票で決めた方が良いと思ったんだぜ!
900名無しさん@ピンキー:2007/01/23(火) 01:27:21 ID:OPDOwkwo
>>899
>>895でいけると思うんだぜ
901名無しさん@ピンキー:2007/01/23(火) 02:00:09 ID:u+jDo6rG
どうでもいいが、さっさと新スレ立てないと
神が投稿できなくて困っているぞw
902名無しさん@ピンキー:2007/01/23(火) 02:09:28 ID:PWCcM9nq
とりあえず>>875の言うとおり
>次スレは>827の再利用でいいか?
でいいと思うんだぜ
903名無しさん@ピンキー:2007/01/23(火) 02:17:37 ID:Ttwv3Tfk
いちいち過剰に反応しすぎ
904名無しさん@ピンキー:2007/01/23(火) 02:36:39 ID:tPAY54l6
お前等…徹夜の一段落にレスが進みまくってて、大量投下キターと思ったら…
でも投票の人、魔女の人、ロボ氏、みんなまとめてGJですぜ! 新参の人も頑張れよ!
905名無しさん@ピンキー:2007/01/23(火) 03:19:35 ID:ja111qSW
>>860
とりあえず真っ先に決を採ろうとした行動力は評価するが、ここは「語呂合わせ」
vs「素直に連番」で決を採るべきだったな。
経緯を見て判るように、単に語呂合わせが嫌って人間もいる訳だし、そういう意見
はこのアンケートの選択肢だと回答が分散してしまうよ。

まるで某新聞社のようなやり方、もしやわざとなのか…? と穿ってみる
906名無しさん@ピンキー:2007/01/23(火) 03:21:43 ID:ja111qSW
…って、過去レス読んでみたらちゃんと別の住人がその事に触れていたね。
これは失礼!
907名無しさん@ピンキー:2007/01/23(火) 03:34:50 ID:oivRFfbP
>>905
連番系の合計が一位を超えてないなら黙殺でいいだろ?ABCDが連番系か?
某紙みたいに相反するものを一緒くたに募ってるわけでなし・・・
終わったあとでサイレントマジョリティを考慮しろとか言うなよb
908名無しさん@ピンキー:2007/01/23(火) 03:50:37 ID:C8ejyjdI
そんなことよりも、住人が何人いるかの方に興味津々な俺ガイル
909名無しさん@ピンキー:2007/01/23(火) 08:55:47 ID:HqWaBu+f
スレッドのタイトル案について以下で投票を実施中

http://debumoja.blog90.fc2.com/

※注意※
・「語呂合わせ」>「素直に連番」だったら語呂に決定。
 「語呂」<「連番合計」だったら連番系の中でトップのものに決定。 以降のスレはそれに従う。

・一人につき一票。投票期間が2007/2/11までになっているが、
 27スレが460KBに到達した時点で開票。投票はお早めに。

・文句を言う前に投票、投票したら文句は言わない。

注意点はこんなもん?付け足すこととか、直すことある?
910名無しさん@ピンキー:2007/01/23(火) 09:01:10 ID:HqWaBu+f
あとウンザリかもしれんが一応、再誘導

嫉妬・三角関係・修羅場系総合SSスレ その27
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1169469610/

親がアレでも、子に罪はないからな。これから良くしていこうだぜ。
911名無しさん@ピンキー:2007/01/23(火) 12:04:26 ID:QL0vrwnc
27スレの構ってもらえなさは異常。
912名無しさん@ピンキー:2007/01/23(火) 12:37:07 ID:vVZKR3Er
>>911
擬人化したらちょっと萌えた
913名無しさん@ピンキー:2007/01/23(火) 12:46:04 ID:XnzCDqha
27スレは今までで一番嫉妬深い子になりそうだな
914名無しさん@ピンキー:2007/01/23(火) 13:35:07 ID:wpHi1SMp
さて、27スレの放置プレイはいつまで続くのか……
915名無しさん@ピンキー:2007/01/23(火) 14:02:39 ID:qg0gfpiP
即死条件ってどうだったっけ
916名無しさん@ピンキー:2007/01/23(火) 18:47:01 ID:GPp1ztGn
>>910
なに言ってるのよ、わたしから○○君を奪っていく新スレと仲良くできるわけないでしょ!
あのメスブタ…あんなやつ、即死しちゃえばいいのよ!○○君は私のものなんだからぁっ!
917名無しさん@ピンキー:2007/01/23(火) 20:13:38 ID:LSqEQ80P
チクショウ!!
家庭の医学で修羅場かと思ってたら、夫が深夜のアルバイト!?

嫉妬でプッツンする奥さんの話かと思ってwktkして待ってたってのに……。
918名無しさん@ピンキー:2007/01/23(火) 21:10:36 ID:vQixhB8C
つまり……、

七誌…甲斐性無し。
26…正妻。
27…妾の娘。

こうですか?わかりません!
919名無しさん@ピンキー:2007/01/23(火) 22:56:59 ID:+Vmh4y+/
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         ! l      !.  !  ` 、:::::::::::  ...::;:::'::/    ! ,'!. /  ヽ::::':,!::::!
        ! l    .l  .l  !   `ヽ:、:;::::':::::::/     ! ,','./ l   ヽ:::';:::l
        l l!   ', . ト、. ト、',、    !:::::::::::/   , / ./// ト、、 .l! !:::ト'
        l ハ .  ', ',ヽ ', ヽ',\   !::::/   ///>、 、 ! ヽ!', l.l,'';;';!


今度こそ寝取り女を始末しますね
920名無しさん@ピンキー:2007/01/23(火) 22:59:01 ID:+Vmh4y+/
:.:.;:.:/.i.:.:.:.:.:.:.:i.:::.:.:::.:.:.::i.i..:.:.:i.:.:.:.:.:.:.:.:i.:._,/_,|_;_;i .i;..:.:.:i:.:.:.::.:.:i.:.:.:.:i::|
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:.::/ i.:.:.:.:.:.:.:i.:::.:.:::.レ'´i  'i..:.:i..:.:.:.:i.:.:/ ァ-i:./=ェ;_i;;`メ,i.:.:::.::.:i.:.:.:.:i:.::i
::;|  .|.:.:i.:.:.:.:i.:.:.:.:/| ヾ;|ェ=テミ、i.::.:.:i/   //{f:テヘレメ、 |.:.::.:.:i:.:.:.::∧;:`、
.i|  |.:..:i.:..:.::i.::.:.:.:| ,ク{rソ::i }` \::.|  /'´ .|.i::::::i.j.} `|:..:.:/i.:.:.:/.:.:ヽ.:.ヽ,
. i  `;.:.:i.:.:.:.:iヽ.:.:|i{ .{i.i:::::r.j.  ヽi     |.i::::ノ;;ソ |.:.:/ ; |:.:/:';.::.:.:ヽ;;r'; それがっ わたっしの いい と・こ・ろっ♪
.    ヽ.:.i.:..:.:i ト;:::i  Y:;::;'ソ        ~ー-'  /:/-'.//.:.:.:丶.:..:.:ヽ`i   
     \.:.:.:ト、‐ト;i ~ ̄.    ,     ...::::::..../'´/''/'ヽ、.:.:.:.::i.:.:.:.:.:i.:::}
       \;i,>'i`;...:::::::... \___/    '´ ,/.:.:.:.:.:.:.:`ヽ、::i.:.::.::.::i i;|
       / :/ `、      \/     ./.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:  `ヽ、.:.:.:i i
      /i   |  :.::`  、         , '´/.:.:.:.:.:.:.:.:.:      _,>:.|
     ./ i  |   :.:.:.:.:.:.:`i ー、 . _,  .'´  /.:.:.:.:.:.:.:.::      /  .ヽ
     /  i  |    :.:.:.:.:.:.:| ヽ,     /.:.:.:.:.:.      ./     ヽ


       _ アンタみたいのがいるから
      | _> 世界は混乱するんだ!!
      | _>
      | _>
      |_>
  パーン.. ||    (⌒
    _, ,_ ∩  从':;.':;.
 ( ‘д‘)彡 ☆).∵;'。.) ←>>1
     彡   ;.: * 。
    U    ) ,;";:,:  ヽっ
   _||_    ;.;;     i
  <_ |   ∵:・ c_,.ノ
  <_ |
  <_ |
  < |
921名無しさん@ピンキー:2007/01/23(火) 23:05:11 ID:kot8rw4Z
>>918
860…三人の仲をなんとかまとめようとしつつ横からかっさらおうとする泥棒猫
922埋め:2007/01/23(火) 23:33:21 ID:QR/l5+M2
……そんな怖い顔しないでください。
綺麗なお顔が台無しですよ?
金属バットで頭を叩かれたんですから痛いのはわかりますけど。
ワタシだって手が痛いんですから。おあいこです。おあいこ。
だから睨まないでくださいって。怖いじゃないですか。
怒ってばっかだと皺が増え――

――って、通帳と印鑑の場所なんか教えられても困ります。どうしろっていうんですか。
『お金なら渡すからとっとと出てってくれ』?
強盗じゃあるまいし、そんなものいりませんよ。
強盗じゃなかったら何なんだ、って?
そうですね、強いて言うなら”愛の押し入り強盗”ってトコですか。
……そんな、思いっきりヒかないでくださいよ。自分でも恥ずかしいの我慢して言ってるんですから。
いや、愛を奪いに来たってのは本当ですけど。

ところで26スレさん。ID:72Rqs6/xってご存知ですか?
……知ってる。そうですか。
もうあの女は死んだはずだ?その通りです。
――ですけどね、実はあの人亡くなる前に女の子を産んでるんです。
それはご存じなかった?
あらぁ。毎週名無しさんはその子――まぁ、ワタシの事なんですが――に欠かさず会いに行ってたのに、意外と鈍感なんですねぇ。貴女。
それとも本妻の余裕ってヤツですかぁ?
923埋め
……まぁ、それは兎も角。
ワタシは毎週、名無し(パパ)と会える日が小さい頃からずっと楽しみだったんです。
友人なんかと遊ぶよりずっとずっと楽しみで。
そう、誕生日なんかよりよっぽど楽しみだったですね。
一日中パパに遊んでもらえるんです。
それは一人だけの誕生日なんかよりよっぽど嬉しいことなんですよ。
パパと一緒なら何だって楽しくて。一日中幸せな気分でいられるんです。
パパだって同じ気持ちだったって信じてます。

なのに。
なのに結局はパパは貴女の所に帰っていってしまって。
それは死ぬほど辛いことで。
貴女なんかよりワタシの方がずっとずっとパパの事を愛しているのに。
ワタシが浮気相手の娘だと言う理由だけで。
貴女がパパの正妻だと言う所為で。
そんなくだらない理由でワタシはパパと一緒に居られない。
そんなのっておかしいでしょう?許せないでしょう?
シンデレラだって王子様をいじわるな継母にとられちゃったらお話にならない。そうでしょう?

だからこんなおかしい状況は直さなきゃいけない。
お話の中なら神様にでも祈ってれば奇跡でも起きるのかもしれませんけど。
これは現実です。
魔女のいないシンデレラは自分の手で未来を切り開かなくちゃいけないんです。


……ちょっと喋りすぎちゃいましたね。
もうすぐパパも帰ってきちゃいますし、手早く片付けるとしますか。
後のことは全部ワタシに任せて安心して亡くなっちゃってください。

では、26スレさん、ごきげんよう。

ぶうん――

――ぐちゃり。