猫耳少女と召使いの物語11

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1名無しさん@ピンキー
ここは人間の住む世界とはちょっと違う、ケモノ達の住む世界です。
周りを見渡せば、そこらじゅうに猫耳・犬耳・etc。
一方人間はというと、時々人間界から迷い込んで(落ちて)来る程度で数も少なく、
希少価値も高い事から、貴族の召使いとして重宝がられる事が多かったり少なかったりします。

けど、微妙にヒエラルキーの下の方にいるヒトの中にも、例えば猫耳のお姫様に拾われて
『元の世界に帰る方法は知らないにゃ。知っていても絶対帰さないにゃあ……』
なんて言われて押し倒され、エロエロどろどろ、けっこうラブラブ、
時折ハートフルな毎日を過ごすことを強要される者もいるわけで……。

このスレッドは、こんな感じのヒト召使いと、こんな感じのケモノ耳のご主人様との、
あんな毎日やそんな毎日を描いたオリジナルSSを投下するスレです。


このスレッドを御覧のヒト召使い予備軍の皆様、このスレッドはこちらの世界との境界が、
薄くなっている場所に立てられていますので、閲覧の際には充分ご注意ください。
もしかしたら、ご主人様達の明日の御相手は、あなたかもしれませんよ?

それではまず>>2-4を見てください。
2名無しさん@ピンキー:2006/12/21(木) 16:54:57 ID:DrfF7uKk
【前スレ】
猫耳少女と召使いの物語10
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1161785657/l50

【過去スレ】
猫耳少女と召使いの物語 (03/02/21 〜 03/12/25)
http://www2.bbspink.com/eroparo/kako/1045/10458/1045800367.html
猫耳少女と召使いの物語2 (03/12/17 〜 04/08/14)
http://idol.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1071622872/ (以下すべてHtml化待ち)
猫耳少女と召使いの物語3 (04/08/16 〜 05/03/07)
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1092588111/
猫耳少女と召使いの物語4 (05/02/21 〜 05/05/14)
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1108911697/
猫耳少女と召使いの物語5 (05/04/13 〜 05/08/05)
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1113392192/
猫耳少女と召使いの物語6 (05/07/07 〜 06/02/04)
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1120675128/
猫耳少女と召使いの物語7 (06/01/06 〜 06/)
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1136475086/
猫耳少女と召使いの物語8 (06/05/17〜06/09/17)
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1147852863/
猫耳少女と召使いの物語9 (06/09/17〜06/10/25)
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1158458196/

3名無しさん@ピンキー:2006/12/21(木) 16:56:02 ID:DrfF7uKk
01:【こっちをむいてよ!! ご主人様】 一応完結!   <こちむい 1st-29>
02:【こちむいII あしたあえたら】   只今連載中!  <あしたら(=こちむい) 2nd-465>
03:【狼耳モノ@辺境(仮題)】     全1話完結?   <狼耳モノ@辺境(仮題) 3rd-78>
04:【放浪女王と銀輪の従者】     只今連載中!  <蛇担当 3rd-262>
05:【最高で最低の奴隷】       只今連載中!  <虎の子 3rd-476>
06:【From A to B...】          全1話完結?  <エビの人…もとい兎の人 3rd-543>
07:【狗国見聞録】           一応完結?    <692 3rd-754>
08:【岩と森の国の物語】       只今連載中!  <カモシカの人 4th-82>
09:【scorpionfish】           只今連載中!  <scorpionfish 4th-125>
10:【木登りと朱いピューマ】     一応完結!   <ピューマ担当 5th-566>
11:【こたつでみかん】         完結!      <5th-16>
12:【ネコとまたたび】         (+リレー)完結?   <5th-647>
13:【狐耳っ子と剣術少女】     只今連載中!   <6th-21>
14:【白熊の国】            連載中?      <6th-367>
15:【夜明けのジャガー】       只今連載中!   <ピューマ担当 6th-554>
16:【獅子国伝奇&外伝】      只今連載中!   <カモシカの人 7th-25>
17:【俺とクゥ】             只今連載中?    <◆vq263Gr.hw 7th-388>
18:【ペンギンの国】          只今連載中!    <ぺん 7th-459>
19:【金剛樹の梢の下】        只今連載中!   <◆/oj0AhRKAw 7th-633>
20:【狼の国】              只今連載中!    <白 8th-67>
21:【熊の国】              只今連載中!    <熊の人 8th-92>
22:【無垢と未熟と計画と?】     只今連載中!   <鼠担当? 8th-402>
23:【蛇足〜はみ出しモノ〜】     只今連載中!   <蛇足の人 8th-623>
24:【魔法少女ホーネットべすぺ】  只今連載中!   <9th-150>
25:【オオカミの騎士】          只今連載中!    <オオカミ書き 9th-349>
30:【『桃源郷』へようこそ 】      新規参入!    <キュンキュン ◆4hcHBs40RQ >
27:【山羊と歌うたい】          新規参入!    <10th-148>
28:【迷探偵クリフ=ヴァレンタイン】   新規参入!    <蛇足の人 8th-623>
29:【犬国奇憚夢日記】      新規参入!    <10th-194>
30:【イノシシの国】       新規参入!    <10th-344>
31:【愛し】                 新規参入!    <送り狼 10th-525>


ただいま投下停滞中の作品

【IBYD】         <180 2nd-189>
【華蝶楓月】      <狐耳の者 2nd-217>
【火蓮と悠希】     <(´・ω・`)へたれ猫 2nd-492>
【十六夜賛歌】    <兎の人 2nd-504>
【ソラとケン】      <◆rzHf2cUsLc 2nd-645>
【ご主人様とぼく】  <65 2nd-738>
【黄金の風】      <一等星 3rd-348>
【魚(・ω・)ヒト】     <魚(・ω・)ヒト 3rd-739>
【草原の潮風】     <63 4th-63>
【不眠猫のお嬢様】 <不眠症 5th-215>
4名無しさん@ピンキー:2006/12/21(木) 16:57:15 ID:DrfF7uKk
以上テンプレ。
抜けた所、付け足しなどありましたらよろしくお願いします。

ではごゆっくりお楽しみください。
5 ◆JxUJh2XJco :2006/12/21(木) 17:07:10 ID:qqBlahps
>>1乙です!
けど、抜けている所があるので↓

【SS保管庫・避難所】
エロパロ板SS保管庫 (当スレSSは『オリジナル・シチュエーションの部屋その3』に)
 ttp://sslibrary.gozaru.jp/
猫耳少女と召使いの物語 緊急避難所 (JbbsLivedoor エロパロ板SS投下専用掲示板 内)
 ttp://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/2051/1090513959/

【関連サイト】
猫耳少女と召使いの物語 まとめwiki (各作の人物紹介・世界観設定その他)
 ttp://g-space.jp/~nekopri/
猫耳少女と召使いの物語 半公式ファンサイト (世界観まとめサイト)
 ttp://www.geocities.co.jp/Milano-Killer/9811/world.html
6名無しさん@ピンキー:2006/12/21(木) 18:04:59 ID:sbzigXv7
埋め立ててきたんで、とりあえず報告を。

それと>>1乙 >>5にも感謝。
7名無しさん@ピンキー:2006/12/21(木) 19:34:13 ID:h235ZTJP
>>1-5 乙です。
8名無しさん@ピンキー:2006/12/21(木) 20:52:49 ID:b3jnR+0O
>>1-6
乙でございます。
とりあえずクリスマス頃(この土日)には投下できるかと。現在約25KB。最終で30KB程度になる見込みです。
9 ◆JxUJh2XJco :2006/12/21(木) 22:06:59 ID:qqBlahps
厨っぽい質問スマソ

TXTで小説の投下ってどうすればできますか?
10名無しさん@ピンキー:2006/12/21(木) 22:16:32 ID:SySNULSB
11名無しさん@ピンキー:2006/12/22(金) 15:23:25 ID:yZPQsHZX
>>10
サンクス
12名無しさん@ピンキー:2006/12/23(土) 00:21:02 ID:5GRTvqYK
そろそろwikiの登場したキャラの種族と名前リストに更新が欲しいな。
13名無しさん@ピンキー:2006/12/23(土) 12:34:39 ID:w80X1AT7
>>12
まあ、作者が更新すんのが一番確かではあるんだけどね。
正直自分のとこだけで精一杯です。
14名無しさん@ピンキー:2006/12/23(土) 13:55:10 ID:qeCdKtnW
前スレ>>790
GJ!
ライラ様、イイ感じ。
15名無しさん@ピンキー:2006/12/23(土) 16:29:27 ID:tHA5V6er
クシャスラキタコレ
一粒で三度GJ!!
16地図のヒト ◆JxUJh2XJco :2006/12/23(土) 18:31:58 ID:ioJRP6A7
うん、ごめんみんな。やっぱり地図描きたくなっちゃった。
※小説を読んで自分の中のイメージの大陸がいいと思う人は以下の文章はスルー推奨※

http://www.uploda.org/uporg627527.png.html
白いモヤはハッキリと分かっていない所です。
17名無しさん@ピンキー:2006/12/23(土) 18:57:16 ID:kW8QeKgq
>>16
うん、悪くはないと思う。
ただ、まとめwikiの「大陸について考えてみる」あたりにアド乗せると言う手もあるよ。
18地図のヒト ◆JxUJh2XJco :2006/12/23(土) 19:08:59 ID:ioJRP6A7
>>17
けど、勝手に載せていいものなのかな・・・?
19名無しさん@ピンキー:2006/12/23(土) 20:26:23 ID:kW8QeKgq
>>18
勝手に乗せるのならまずいかもしれないけど、まあ、もしまずかったら消されるだけだし、モノは試しで気軽にやったらいいんじゃないかな?
それと、このスレは基本的にageないほうがいいと思います。冬休みになると困った人もいますから。
20名無しさん@ピンキー:2006/12/23(土) 20:29:01 ID:WgTpJK9o
>>18
自由に編集できるからこそのWikiなわけで。
21地図のヒト ◆JxUJh2XJco :2006/12/23(土) 20:37:43 ID:ioJRP6A7
>>19,>>20
把握です。
ちょっと試してくる。
22名無しさん@ピンキー:2006/12/23(土) 21:55:20 ID:JUTXzBaK
埋め用の良い企画ですな>キャラと会話
作品の方も超GJ。
いやサトルが本当にカッコ良い。説教?の部分とか鳥肌立った。
普段は飄々としてて、でもセコい手使ってもなんか潔ささえ感じる。それでいて奴隷としての辛い運命を受け入れていて…。
正義の味方なんて呼び方は似合わないけどでもスゴくカッコ良い。サーラ様、クシャスラ、シャンティさんと次々とKOするのも納得。
そしてまた随分とアクの強い子が出てきたもんだ…w 第二話の陛下のスカートの中の件でのサーラ様のリアクションはコレが原因だったか。
彼女今後どうするんだろ。ひょっとしたら第二次アンフェスバエナ王朝3人目の国民となるのか…w
シャンティさん再登場に心の中でガッツポーズしたり、いきなり話に陛下が横槍入れに来たときはリアル吹いたり、そしてなにがアレってエロエロ。
もう盛り沢山で感想も支離滅裂。待ちわびただけあってヤバい楽しかった。もう一回超GJ!
23名無しさん@ピンキー:2006/12/24(日) 02:52:48 ID:rAFchaVs
蛇担当かっこいいwwwwww
キャラとの対談wwwwwwwwww
24名無しさん@ピンキー:2006/12/24(日) 07:19:11 ID:HIVU1Z6U
それじゃ、即死回避も兼ねて投下します。
けも×けもというか、実は今回の投下分、一行もヒトが出てきません。
では。
25岩と森の国ものがたり・14:2006/12/24(日) 07:20:44 ID:HIVU1Z6U
「すぅ……」
 気持ち良さそうに眠っているフィリーヌ。
 その髪をいとおしげに撫で付けていると、扉の方から声が聞こえた。
「お姫様はおねむしちゃった? リュナちゃん」
 そう言いながら、ベリルが部屋に入ってくる。
「なんとか。そろそろ僕も眠らないと身がもたない」
「ふふ、お疲れ様」
「誰のせいだ」
 そう言って、軽く睨む。
「あら、もしかして怒ってる?」
「僕のことはともかく、フィルを泣かせることはないだろう」
 その言葉に、くすりと笑うベリル。
「あらあら、優しいのねリュナちゃん」
「……ちゃんづけはよしてくれ」
「何いってんのよ。イヌだったらリュナちゃんなんて幼稚園児よ」
「……僕はカモシカだ」
「ふふ、拗ねた顔も素敵」
 そう言って、近づいてくる。
「リュナちゃんって、ほんと魅力的」
 熱っぽい瞳が、リュナを見つめている。
「リュナちゃんは、いつもそうやって、いろんな女の子を虜にしてきたのね」
「人聞きの悪いことを言うな」
「いつも一生懸命。いつでも前向き。誰もが夢物語としか思わないようなことでも、一人だけ本気で考える」
 そういいながら、リュナの首に手をかけ、真正面から見つめてくる。
「……酔ってるのか」
「そーね。リュナちゃんに酔ってる」
「……やれやれ」
 苦笑いしながらいう。
「こんなところ、フィルに見られたら蜂の巣になるぞ」
「リュナちゃんと一緒に死ねるのなら、それもいいわね」
「……この悪女」
「あら、ひどい言い方」
「明日は朝から会議があるんだ。できればすぐにでも眠って明日に備えたいんだけどな」
「じゃあ、一緒に寝ちゃう?」
 誘うような目つき。
「……そうやって、何人の男を虜にしてきたんだ?」
「私の質問が先よ。リュナちゃんは、そうやって何人の女の子を虜にしてきたの?」
「……言えるか」
「じゃ、私も答えない」
 言いながら、片脚を絡みつかせてくる。
「やめろって……フィルが起きたら、本当に修羅場になるぞ」
 困惑した表情のリュナと、口許に微笑を浮かべたベリル。
「ふふ、それもいいわね」
「こっちは良くない」
「私は楽しみよ」
 そういいながら、そのまま絨毯の上に押し倒す。
「ん……」
 もぞりと、フィリーヌが動く。
──やばいっ……
 この状況で目を覚まされたら、どう考えても言い逃れは出来ない。
「……んにゅ……」
 幸いと言うべきか、フィリーヌはそのまま寝返りをうち、そしてまた寝息を立て始める。
「よかったわね、リュナちゃん」
「……心臓に悪い」
「ここからが本番。スリルを楽しみましょ」
 そういいながら、リュナの服に手をかける。
26名無しさん@ピンキー:2006/12/24(日) 07:22:13 ID:HIVU1Z6U
「お、おいっ……」
 言いかけるリュナの口に、人差し指を当てるベリル。
「声を上げたら、フィルちゃん起きちゃうかもよ」
 そう言って、ウインクする。
「……」
 言葉が止まる。
「ふふ、リュナちゃんってやっぱりそうね」
「何が」
「フィルちゃんを傷つけたくないのね」
「……そりゃそうだろ」
「フィルちゃんを傷つけないためなら、どんな目に合っても抵抗しない」
 そう言いながらリュナの両肩を押さえつけるベリルに、リュナが言う。
「……それはどうかな。抵抗するかもしれないぞ」
「でも、今はしない」
「決め付けると危険だぞ」
「でも、絶対しない」
「なぜ?」
「リュナちゃんは、私も傷つけたくないから」
「…………」
「優しいのよね、リュナちゃんは。自分以外の人を、誰も傷つけたくない。だから、こうされるとどうにもできない」
 熱っぽく潤んだ目でリュナを見つめるベリル。
 リュナの上着のボタンは全て外され、細身だが鍛えられた上半身があらわになっている。
「誰も傷つけたくないから、自分を犠牲にすることを躊躇わない。自分が苦難に耐えられるくらいには強いけど、人に苦難を押し付けられるほどには強くない」
 いいながら、顔を近づけてくる。
「フィルちゃんも、私も傷つけたくないリュナちゃんは、だまって、私にされるがままになるしかない」
「…………」
「ふふ、この傷」
 つうと、指がリュナの胸の傷跡をなぞる。
「私がつけた傷ね」
 そう言って、いとおしげに何度か指でなぞる。
「リュナちゃんを、もっといじめたい」
「悪い冗談だ」
「本気よ」
 そういって、首筋を軽く噛む。
「っ……」
 かすかな痛みが伝わる。
「こうやって、リュナちゃんをいじめるのが大好き」
「……勘弁してくれ」
「ふふ。やっぱり、抵抗しない」
 そう言って、今度は唇を重ねる。
 腕を首に回し、舌を絡め、唾液を流し込んでくる。
 そして、満足げな笑みを浮かべて唇を離すと、上からリュナを見つめる。
「愛してる」
「……サディスティックな愛だ」
 そっけなく返事をするリュナ。
「それも愛よ」
「その気の趣味はない」
「我慢するのも愛よ」
「できるか」
「でも、我慢してる」
「……少しは我慢もする」
「ふふ」
 ベリルが、上から見つめながら微笑む。
27名無しさん@ピンキー:2006/12/24(日) 07:23:34 ID:HIVU1Z6U
「少しっていいながら、リュナちゃんはいつもずーっと我慢し続ける」
「……僕にだって限度はある」
「そんなこと言うだけ。リュナちゃんは私には何をされても抵抗しない」
「するかもしれないぞ」
「でも、しない」
「絶対にしないとは限らないぞ」
「でも、絶対にしない」
「……どうして、そう決め付ける?」
「リュナちゃんは、私より強いから」
 言いながらリュナの上に身体を預け、顔を近づけてくるベリル。
「リュナちゃんは、自分より弱い人に暴力をふるえない」
「…………」
「ほら、図星」
 そういって、ちょんと鼻の頭を指でつつく。
「リュナちゃんは、すごく優しいの。自分より弱い人に手を上げるなんて、自分の優しさが許さない」
「……気のせいだ。僕は、そんなに優しくない」
「強がってもダメ」
 顔を近づけ、互いの息がかかるくらいまで密着してくる。
「だって、今もリュナちゃんは抵抗しない」
「……それは、その」
 言い訳を考えようとするリュナ。それをさえぎるように、ベリルが唇を重ねてくる。
 情熱的なキス。首に両腕を回し、脚を絡め、全身を圧しつけてくるように身体を重ねてくる。
「言い訳しようとしてもダメ」
 唇を離すと、至近距離から見つめつつそう言う。
「…………」
「だって、リュナちゃんをそんなにしちゃったのは私なのよ」
「……鬼教官どのに優しさを教えてもらった覚えはないが」
 そう言って、押さえつけられたまま横を向くリュナ。その顔を両手で押さえ、無理やり正面を向かせる。
「そうね。リュナちゃんは始めて会ったときから優しかった。優しくて、泣き虫で、弱かった」
「……散々だな」
「だけど、可愛かった」
 もう一度唇を重ねながら、今度はベルトに手を伸ばす。
「っ……」
 さすがに、その手を止めようとする。
「あら」
 驚いたような声。
「リュナちゃんでも、抵抗するんだ」
「……するっていったろう」
 その言葉に、ベリルはふと気付いたようにフィリーヌの方を向き、そしてくすりと笑う。
「なるほど。フィルちゃんが起きたら傷ついちゃうわね」
「……ついでに、命の危険がある」
「あら、私のことも心配してくれてるの?」
「……悪いか」
 少しだけ表情が照れくさそうになり、そしてまたそっぽを向く。
「やっぱり、優しくて可愛い」
 そう言って、リュナの上から離れる。
「じゃあ、続きはリュナちゃんのお部屋でしましょ」
「……明日も会議があるんだけどな」
 服を着なおしながら、リュナが言う。
「知ってるわ。だけど、そんなのどうだっていい」
「よくない。今日一日かけて和議の取りまとめに頑張ってきたんだ」
「でも、まとめきれなかった」
「……それはそうだが」
「せっかく、リュナちゃんが生き残りの道を模索してるのに、ひどいわね」
 その言葉に、力なくかぶりを振る。
28名無しさん@ピンキー:2006/12/24(日) 07:25:23 ID:HIVU1Z6U
「……やむを得ない。二年も頑張ってきたのに、そう簡単に和議……降伏なんて選択肢を取ろうとは思わないだろう。……ましてや、相手がシャリアさまを殺した奴かもしれないとなれば」
「だけど、じゃあどうするの?」
「このまま決裂すれば終わりだ。シャリア様がいなくても、彼らは心の中の王を立てて徹底抗戦を唱えることになる。そうなれば先鋭化して、ただの殺人集団と化し、そのあとには……」
「ただの破壊集団として、殲滅の道しかのこらない。そして辺境でしぶとくゲリラ戦を続けられ、内乱は長引くことになるわね」
 ベリルの言葉に、無言で頷くリュナ。
「心配してるの?」
「しないほうがどうかしてる。内乱が一年続けばどれだけの犠牲と被害が出るか」
「やっぱり、優しい」
 そういって、腕を絡ませてくる。
 小さな仕草の一つ一つに、男を惑わせる色香を漂わせる。
「でもその先は、リュナちゃんのお部屋で。フィルちゃんに聞かれたくないこともあるんでしょう?」
 耳元で、小さくささやく。
「……何のことだ」
 無意識のうちに、声が小さくなる。
「どうして、リュナちゃんが王弟派に入ったか。リュナちゃんは、まだ本当のことを隠してる」
「!?」
 顔色が変わったかもしれない。そんなリュナの表情の変化を見逃さず、ベリルは続ける。
「だから、リュナちゃんのお部屋に行きましょ。ここで秘密をばらされたくないでしょ?」
「……悪魔め」
「あら、褒めてくれてるの?」
「最大級の罵倒だ」
「あら、傷ついちゃうな」
 流し目でしなだれかかってくるベリル。
「でも、軍人はみんなサディストよ。リュナちゃんが優しすぎるだけ」
「……優しいやつが、こんなことするものか」
 少しだけ自嘲気味に答える。
「だけど、必要なことだったんでしょ?」
「……まあな」
 リュナが考えていたこと。それは、この国のためには不可欠なことだったことだと今でも思っている。
「……どこまで気付いてる?」
「ここで言っちゃってもいいの?」
「……いや」
 正直、万が一にもフィリーヌには知られたくない。
「じゃ、行きましょ」
 ベリルが、腕を絡めたまま歩き出した。

 リュナの部屋。
 とはいえ、ただ単にあてがわれた部屋と言うだけ。部屋の備品なんかはほとんどない。
「殺風景な部屋」
「仕方ないだろう。酒も置いてないけど、我慢してくれ」
「大丈夫よ。リュナちゃんが一番私を酔わせるから。どんな美味しいお酒も、リュナちゃんにはかなわない」
「……飲まれるってことか」
「ふふ」
 甘えるような仕草を見せるベリル。どこまでが演技でどこからが本心なのか、どうにも判断がつかない。
「リュナちゃんは私が八年かけて、じっくりと熟成した特上のお酒」
 いいながら、ベリルは腕を絡めていない方の手で、軍服のボタンを外していく。
 上の軍服のボタンを全て外すと、赤い下着に包まれた二つのふくらみと白い肌が軍服の隙間からのぞく。
 軍人らしからぬ白い肌。実戦をあまり経験していない女の肌に見える。
「そして、ちゃんと私の理想通りのリュナちゃんになってくれた」
 正面から身体を預けて、上目遣いに見上げてくる。
「……理想通りの男、か」
「そうよ。全部、私の理想通り。優しくて、強くて、素敵で……」
「そして、やることなすことル・ガルの利益になるように動いてしまう」
 目をそらし、掃き捨てるようにリュナが言う。
29名無しさん@ピンキー:2006/12/24(日) 07:26:02 ID:HIVU1Z6U
 その言葉に、ベリルが微笑み、ウインクする。
「本人は純粋に国のためだと思ってたのにね」
「……自分で考えてやったつもりだったからな。気付いたときには暗澹たる気持ちになったものだ……いや、今でも立ち直れてないかもしれない」
「慰めてあげてもいいわよ」
「……誰のせいでこうなったと思ってる」
 その言葉に、ベリルは背中に腕を回しながら答える。
「言ったでしょう、軍人はサディストだって。……優しいリュナちゃんが、そうやって苦しむ姿を見るのが大好き。そして、悩んでるリュナちゃんを、優しく包み込んで慰めてあげるの」
「……本当にサディストだ」
「私のこと、憎い?」
 その言葉に、弱々しくかぶりを振る。
「……いや。自分で考えて、自分で国のためだと思ってやったことだ。ベリルのせいじゃない」
「そう言うと思った。リュナちゃんは、他人のせいに出来ない人。何でもかんでも、責任を背負い込んで、一人だけで傷つきたがる」
「……だったら何だっていうんだ」
「そんなところが、魅力的だって言いたいの」
 くるりと、体勢を入れ替え、そのまま絨毯の上にリュナを押し倒すベリル。
「リュナちゃんは悪くないのよ」
 男を惑わす瞳。
「金の大暴落と大インフレ。カモシカの民は商売上手なネコに土地を奪われ、みんな小作人に身を落とした」
「…………」
「カカオ、コーヒー、タバコ、香辛料……この国で生まれるさまざまな奢侈品を、ネコの商人は大農場で小作人を農奴のように働かせて作り、莫大な利益を上げていた」
「……ああ」
 ベリルが語ろうとするのは、リュナの過去。
 逃げられないように押し倒して、まだ癒えていない傷口をゆっくりとなぞるような、残酷な責め苦。
「リュナちゃんは、それを許せないと思った。そして、土地を取り戻すためにどうすればいいか、ずっと考えていた」

 数年前。
 先王ペドロY世が死亡し、生前の後継者指名通り、王女エリザベートが即位した。
 それに対して、先王に不満を持つ保守的な貴族層からは反発の声が起きた。彼らは先王の弟で、温厚な人柄で知られていたシャリアを擁立し、独自に王に即位させる。
 シャリアに野心はなかったが、貴族層の圧力に抗しきれず、やむなく即位することを選ぶ。
 その結果、国を二つに割る内乱が発生した。
 女王を支持するのは、前王の改革で奪われるほどの既得権を持たなかった下層貴族や、先王に取り立てられた新興の官僚層。シャリアを支持するのは保守的で各地に大きな領土を有する貴族層。
 リュナ、すなわちルークス家は、本来なら女王派に加わるはずだった。
 しかしリュナは、あえて王弟派に組することを選ぶ。
 人々は、リュナがシャリアに個人的な恩義があったからだと噂した。
 もちろん、それは事実だった。シャリアは温厚な慈善家であり、困窮するものへの援助は惜しまなかった。
 が、それだけではなかった。

「内乱を利用して、リュナちゃんはネコの大地主の一掃を謀った」
「…………」
 たまりかねて、目をそらすリュナ。しかし、また両手で顔を押さえられ、無理やり正面を向かされる。
「逃げちゃダメ。自分のしたことに、ちゃんと目を向けるの」
 そう言って、ベリルは再び話し出す。

 内乱の勃発。王弟派に属したリュナは、エグゼクターズとのコネや、裏の仕事をこなす中で手に入れた闇情報網を生かして地道な成果を上げてゆく。
 機先を制して摩天街道と透河の船着場を征圧したことで、多少の立場も得たリュナは、各地の大貴族にひそかに進言する。
『ネコの農場を襲って資財を手にしましょう』
 保守的な大貴族は、よそ者でありながらカモシカの国を我が物顔で闊歩するネコ、カモシカを酷使して利益だけを吸い上げるネコの地主達に好印象を持っていなかった。
 それまでの鬱憤もあり、大貴族達は面白いようにその甘言に乗せられてゆく。
 王弟派の軍は、ネコの経営する農場を次々と襲撃して農作物や金品を略奪する。
 身の危険を感じたネコは、次々と私財をまとめて国外へ避難していった。
 そうして、数十年もネコに支配されていた農場が、とりあえずはカモシカの手に戻った。
 ……もちろん、小作人たちの暮らしは、単に搾取者が変わっただけで、それまでと変わらぬ厳しいものであったが。
 ただ、自国の財が他国に流出する自体だけは止める事ができたし、それがリュナの目的でもあった。
30名無しさん@ピンキー:2006/12/24(日) 07:26:44 ID:HIVU1Z6U

「ネコの報復はないと、リュナちゃんは予測した」
「……彼らはなによりも利益を第一に考える。よその国の揉め事に軍隊を率いて介入するよりは、あっさりと引いて別の箇所で儲けたほうが有利だと見れば、見切りは早い。……同様のことは、前王に招聘されたネコの経済官僚にも言えるがな」
「そうね。内乱が起こるやいなや、彼らはさっさと退散した」
「税収の増加分から、彼らへのマージンは与えられるんだから、内乱で税収が減ったら残る理由はない」
「じゃ、ここまでは正解かしら?」
「……ああ」
「じゃ、その後のリュナちゃんについても話していいかしら」
「……聞きたくないな」
「ダメ」
 残酷な笑顔を浮かべて、ベリルは続ける。

 国家が国家の体裁を取り戻すためには、ある程度の暴力は必要だった。
 ネコの農場を襲撃し、国内からネコの地主を追放して農地を奪回する。
 摩天街道と透河の船着場には自国の関所を設け、適度な通行税を得る。
 どちらも、国力の回復には必要だが、他国、特にネコからは憎まれてしかるべきことだった。
 その汚名を、すべて王弟派に押し付けるのがリュナの思惑。
 王弟派にあらゆる悪名を着せて、そのまま戦いに敗れた反逆者として降伏させる。
 女王エリザベートは汚名をかぶることなく、王弟派が手に入れた利権をそのまま、降伏の手土産として手に入れる。
 つまりは、最初から恩人のはずのシャリアをスケープゴートにするつもりだった。
 もともと、王弟派のほうが勢力的には弱く、また大貴族の連合体であるために戦略の一本化が難しくまとまりに欠ける。リュナは、この内乱で王弟派が勝つ可能性はかなり低いと予想していた。

「それから二年。王弟派はすでに勢力を大きく減らし、かつネコの大地主はほとんどが逃亡。関所も完成した。リュナちゃんの目的は達成された」
「……だから、シャリア様を殺したのか?」
「それは、私じゃないわ」
「……でも、イヌだった。……ステイプルトンと言った」
「イヌだからって、みんなが同じ目的を聞かされて、同じ方向に動くとは限らないもの。にいさ……ステイプルトンとは直属の上司も違うし。ただ、結果的にはアレでよかったんじゃない?」
「……できることなら、シャリア様は助けたかった」
「無理よ」
 そっけなく言う。
「それに……」
 そして、顔を近づけて言う。
「シャリアは、あなたの策略を知っていた上で、あえて乗せられた。自分が捨て石になるつもりだった」
「……知っていた。最初から、女王の即位に抵抗する大貴族を一網打尽にするための捨石になるつもりで即位したんだ」
 小さな声で、リュナは答える。
「フィルやアルには言えやしない。あいつらにとっても、シャリア様は恩人だ。大貴族なんかはどうでもいいけど、ただあの人のために、アルもフィルも王弟派についた。……なのに、僕は裏切った」
「またそうやって、リュナちゃんは全部自分で背負い込む」
「自分以外の誰に責任があるって言うんだ」
「私よ」
 そう言って、こつんと額を当ててくる。
「リュナちゃんをそんなにしたのは私。リュナちゃんがどう考え、どう行動するか、全部最初から目的を持って教育したの」
 その言葉に、少しだけリュナの表情が険しくなる。
「……その結果がこれか」
「そうよ。リュナちゃんは、本当に優秀な教え子」
「……悪魔め」
 さっきと同じ言葉をぶつける。
「悪魔よ」
 そして、キスを重ねると。
「憎い?」
 ベリルも、さっきと同じことを問う。
「……いや」
 そして、同じ答えを返す。
31名無しさん@ピンキー:2006/12/24(日) 07:32:26 ID:HIVU1Z6U
「ふふ。どんなに利用されても、弄ばれても、リュナちゃんは私を憎めない」
「そうやって育てたから、か?」
 その言葉に、ベリルは微笑みで返す。
「どうかしら」
「正直、ベリルといると自分が情けなくなってくる」
「あら、どうして?」
「……まったく、どうしてもっと早く気付かなかったのか」
「気付かなくて当然よ。普通の人だったら、今でも気付いていない。自分の信じたことは正しいと思うはずよ」
「……慰めになってない」
「じゃあ、どうしたら慰められるかしら?」
「……大丈夫だ。自力で立ち直る」
「強いのね」
「強くなきゃ……これから先に耐えられない」
「耐えなくてもいいのに」
 そして、指がリュナの頬を撫でる。
「共存できるはずよ。私とリュナみたいに」
「……そこまで、僕は理想家じゃない」
「そうね。理想家というよりは夢想家。リュナちゃんは、口ではそんなこと言うけど、本当は未来のことを考えてる」
「……どうだか」
 そう言って、かすかに目を閉じる。
「いつから、考えてたんだ?」
「何を?」
「この計画……いや……そもそも、絹糸盟約の盲点にはいつ気付いてた?」

丘の、海の、砂の、森の、雪の、草の、谷の、山の、八方に置きて八監を為しや
ネコの瞳にサカナのヒレ。 ヘビの鱗とキツネの尻尾。 ウサギの耳に、トラの咆哮、ライオンのタテガミ、トリの羽根。
もちて暴狼の四肢をもぎ、縛りてこの地の央に封ず貪狼の、二度と月飲まんとせぬように――グレイプニール《絹糸の盟約》

 二千年の時を経て、再び大陸最強の軍事国家に上り詰めたル・ガル王制公国を、それでもなお他国に侵攻させない枷。
 当時の八大国が共同で結んだ盟約こそが、すなわち絹糸盟約……グレイプニール。
 東西を山脈に閉ざされた荒地に押し込められたイヌは、南進すればネコとぶつかり、北進すればオオカミとぶつかる。どちらも触れたが最後、即座に盟約が発動する。
 貪狼の牙をもいだはずの盟約に隠された盲点。
「南北に進めないなら、東西に進めばいい。誰かがそう思いついても不思議はない」
 リュナが、自分の思いを確かめるように言葉にする。
「峻険な山脈があるから大軍は動かせない。……だとしたら、少数精鋭の特殊工作員を送り込めばいい。だが東には虎と狐がいる。やはり絹糸盟約に抵触する。ならば西はどうか」
 そこで、いちど言葉を切ってから、リュナは言う。
「……絹糸盟約のどこにも、ただの一度として“カモシカの角”は出てこない」

 最後の数行だけが有名だが、本来はやたらと長ったらしい盟約文のどこにも、カモシカの民は名を連ねていない。
 無理もないことだった。
 シンチは壊滅し、敗戦に敗戦を重ねて一度は国土の最西端、パカリナの近辺まで押し込められたカモシカの民。その後、いくつかの奇跡的な出来事もあって国土を回復したとはいえ、荒廃した国情は、とても国と呼べる体裁を整えられる状態ではなかった。
 だが、それは見方を変えれば。

「イヌが西進してカモシカの国を支配したとしても、絹糸盟約は発動しない……そうだろ?」
 リュナの言葉に、微笑みで返すベリル。
「文章上はね。でも、それが各国の危機に直結するとすれば、どんな理由をつけてでも絹糸盟約を発動させる。たとえ二千年前の古証文でも、効果はまだ続いている」
「その『各国の危機』になるかもしれないのは、皮肉なことにぼくがたちが追い出したネコの地主や官僚だった」
32名無しさん@ピンキー:2006/12/24(日) 07:33:18 ID:HIVU1Z6U
「地主達がカモシカの国の内乱で土地を追われたとしても、それなら別のところで儲けようとする。官僚たちはこの国に出向するよりは本国で働いたほうが出世も利益も見込める。怠惰なネコの民は、戦争してまで他国の土地を手に守ろうとは思わない。それは確かに正しいわ」
「だけど、もしもイヌの侵攻で土地を失ったとなれば……話は別だった」
「イヌがネコを追い出して土地を奪ったりしたら、間違いなく絹糸盟約は発動する。だけど、そのネコの地主はもういない。カモシカの国は、ただの山の上にある“よそもの”の土地」
「……そうだな。とはいえ、いくら攻め込んでも問題がないとはいえ、あの険しくて荒れ果てた山道では大軍は送れない。送ったとしても、山脈超えで疲弊しきった軍隊で、しかも慣れない山岳戦をやってはいくら大陸最強の陸軍といっても損害はバカにならない」
「軍を送ったりしたら、兵站に決定的な不安がある以上、電撃戦以外の戦法は取れないわ。だから、余計に被害は増えざるを得ないわね」
「蜀の桟道を越えて北伐するようなものだからな。だから軍隊ではなく少数の工作員を送り込み、親犬派の政権……ことによると、犬の傀儡政権を作る。内戦でボロボロになった状況下なら、隙はいくらでもある」
「……そうね」
 ベリルが、くすりと笑う。
「だいたい正解よ。ほんの少し違ってる箇所もあるけど、それは知らないほうがいいわ」
「興味を持たせる言い方だな」
「もう少ししてから、教えてあげる」
「……手遅れになってから、か」
「そんな意地悪なこといわないの」
 リュナの唇に、人差し指を押し当てながら言う。
「リュナちゃんは、いつそのことに気付いたの?」
「たまたま、ヒトの歴史書を読んでいたとき。ポーランドという国の話だ」
「リュナちゃん、勉強家だものね」
「面と向かって言われると返事に困るな」
「ふふ、かわいい」
 ベリルが、そっと唇を寄せる。
「この国は、リュナちゃんが思ってるほど捨てたものじゃないわ」
「……そりゃあ、ル・ガルの荒野に比べたらな」
「攻めてくるだけの価値もない国……それは、ネコ地主に国の生産力を奪いつくされていたから。彼らがいなくなった今、外貨を稼ぐことの出来る特産品があるし、自給可能なだけの食料と燃料もあるこの国は魅力的よ」
「そういうものか」
「はっきりと言ってしまえば、アンセニウムなんていう、実用化に何百年かかるかわからない鉱石なんかよりも、目の前の食料と燃料、そして外貨獲得のできる特産品の方が大きいわ」
「そういわれると、こっちとしても奪われたくない土地に思えてくるから不思議だな」
 冗談交じりに返す。
「奪うんじゃないわ。一緒になりましょうって言ってるの。……ちょうど、リュナちゃんと私みたいに」
 ベリルの細い指が、リュナの頬を撫でる。
「リュナちゃん、夢があるでしょ?」
「夢?」
 問い返すリュナに、ベリルが尋ねる。
「今の大陸は、ネコの国にあらゆる富が集中している。その最大の理由は何?」
「……関税だな。大陸のあらゆる大街道と海の道は、全てネコの国を中心に放射状に伸びている。交易をするものは、おのずからネコの国に少なからぬ通行税を支払っている」
「正解。じゃあ、それは望ましいこと?」
「……いや。ネコの国が富み栄えるのと比例して、他国が疲弊している」
「じゃあ、どうすれば解決する?」
「……それは」
 望ましくないこと。許せないこと。だからといってネコ相手に戦争を起こしても、万に一つも勝てる見込みはない。大義名分もなければ、戦力も、援護もない。
 だとすれば。
「ネコの国を通らない道を作ればいい」
「どうやって?」
「山脈を桟道と隧道で貫通させて、東西に道を作る」
「つまり?」
「西のこの国から、東の虎の国まで続く大陸横断道。山脈を貫通させて、最短距離で大陸の東西をつなぐ。そうすれば、ネコの国にバカ高い関税を払うこともない。東西交流が一気に進む」
 いつごろからか、誰にも言わずに考えていた夢。それを、リュナは静かに口にする。
「できるとおもう?」
「……この二千年間における測量術と製鋼技術、そして魔法学の発展速度を考えれば、各国が力を合わせれば、たぶん今後200年以内にはなんとかなる……けど」
「けど?」
「それをやると、間違いなくこの国は滅ぶ」
「そうね。大陸最強の軍隊をさえぎるものは、もう何もなくなるものね。疲弊してさえいなければ、数と武装、そして将の差で100%イヌが勝つ」
33名無しさん@ピンキー:2006/12/24(日) 07:34:21 ID:HIVU1Z6U
「……そういうのを、全部考えてベリルは僕を教育したのか?」
「どうかしら」
「とぼけないでくれ」
「わからないわ。確かに、理論上は魅力的だし、一度くらいは誰でもそんなことを考えるかもしれない。けど、そんなことが本当に可能だと考えるのはリュナちゃんくらいよ。二千年間続いた憎悪も確執も無視して、それでも夢が実現するなんて考える人、普通はいない」
「……夢想家、ってやつか」
「そうよ。でも、だからリュナちゃんは素敵」
 鼻先を近づけてきて、匂いを嗅ぐように顔を寄せてベリルが言う。
「……喜ぶべきなのかな」
「数十年、この国の財を吸い取り続けたネコの地主階級をたった二年で追い出したのは、リュナちゃんよ。数十年、誰にも出来なかったことを、舌先三寸でやってのけた」
「おかげで、これから先は独力で国の独立を守らなきゃいけない」
「でもね、リュナちゃん」
「何だ?」
「イヌと仲良くするのは、悪いことじゃないわよ」
「……そう言われてもな」
「ネコの国に富が一極集中するのはいいことじゃないって、わかってるんでしょ?」
「……それは、な」
 しぶしぶ頷く。
「だったら、対抗軸が必要。そしてそれができるのは、ル・ガル王制公国よ」
「大陸全土を荒廃に導いた国に手を貸せと?」
「2000年前にリュカオン様がやろうとしていたことと、今フローラがやろうとしていることに、何の違いがあるの?」
「…………」
「一つの種族だけが大陸の富と繁栄を独占することは許せない。そうでしょ?」
 それは事実だった。しかし。
「……ネコの代わりがイヌになるだけなら無意味だ」
「一理あるわね」
「そうならないという保証はどこにもないだろ?」
「そうね。たしかに、そう考えてる人もいるわ。だけど」
「だけど?」
「リュナちゃんは、そんな野心さえ利用して操れる人よ。自分より、はるかに強い人の野心を利用して、自分の思うがままに操れる」
「僕が、か」
「そうよ。そうやって、リュナちゃんは不可能と思えるミッションをいくつもやりとげてきたじゃない」
「……それはそれで、やな奴だな」
「だけど、そんなところが魅力的」
「……だけどな」
 少し真剣な目つきで、ベリルを見上げる。
「だけど、何?」
「口ではそんなことを言いながら、心の奥では全然違うことも考えてる」
「話してくれるの?」
「話したら、嫌われそうだな」
「嫌われたくない?」
「まあな。だけど、話したい気持ちもある」
「じゃあ、話して」
「……正直、イヌがネコの国の対抗軸になることはありえないとも思ってる」
「どうして?」
「やっぱり、大戦のときのことを考えるとな」
「二千年も前のことよ」
「そうだな。二千年前……どうして、イヌの国は存在を許されたんだ?」
34名無しさん@ピンキー:2006/12/24(日) 07:35:07 ID:HIVU1Z6U
「どうして……って、国とは名ばかりのあんな荒地に押し込められたのよ」
「普通に考えれば、大陸全土を戦地にしたんだ。国の存在を許すどころか、種族全部が奴隷として各種族に分配されても仕方がない」
 その言葉に、少し驚くベリル。
「そこまでするかしら」
「少なくとも、ヒトの歴史上は敵国を破れば、その民は虐殺され、生き残った奴は奴隷となり、まちがっても国を与えられたりはしなかった。例え、どんな荒野だろうとも」
「……リュナちゃんは、どうしてだと思うの?」
「政治は、必然的に賤民を必要とする。国民は多かれ少なかれ、政治に不満を持つ以上、彼らの不満の捌け口が必要になる。そしてそれは、奴隷……つまりは“人間以下”の存在ではいけない」
「人間でありながら、なおかつ人間以下の暮らしをしている人々がいる。それを見せて、お前達はまだマシだと思わせるわけね」
「ああ。スケープゴートが必要だった。『あいつらを見てみろ。昔は威勢よく戦争ふっかけたりしてたが、今じゃ俺たちに土下座して物乞いしなきゃメシも食えねえ』とあざ笑わせることで不満を解消させる」
「……そんなことに」
「不可触賤民として、政治家が国民にあざ笑わせるために荒野に国を与えた……それがル・ガル王制公国なんじゃないかと、僕は思ってる」
 それは、イヌ本人の前で言うべきではないのだろう。それをあえて口にする。
 何が優しいものかと心の中で自嘲しながら、リュナは言葉を続けていった。
「…………」
「それから二千年。不可触賤民はいつの間にかとてつもない軍事力を手に入れた。……憎い。妬ましい。そして怖い」
「……よく思われるわけがないのね」
「だけど、こっちからイヌに攻め込めば確実に返り討ちにされる。だから妬みと憎悪だけが、手出しできない中で加速度的に高まっていく……二千年も前の古証文がどうしていまだに効果を持っているか、それがその理由だ」
「……リュナちゃんは、そんな風に考えてたんだ」
「……嫌な奴だろう、僕も」
 いびつな笑顔になったかもしれないと思いながら、リュナは無理に笑う。
「どうして?」
「どうして……って」
「リュナちゃん、優しい」
「優しいものか」
「優しいわよ。リュナちゃんは、そんなの許せないって思ってるのがわかる」
「どうしてわかる?」
「自分ではわかんないのよ。リュナちゃんは、自分では落ちついているつもりだろうけど、声がいつもと違う。苛立ちを隠せてない」
「…………」
「フィルちゃんを守り、ヒトを守り……理由もなく貶められてきた人を愛し続けてきたリュナちゃんが、イヌだけは別なんて思うはずがない」
「……それも、教育の成果なのかな」
「違うわ。それは、リュナちゃんの生まれつきの性格。とても優しくて、とても夢想家。リュナちゃんはきっと、イヌがそんな立場から抜け出す日のことを考えてる」
「…………」
「ほら、否定しない」
「……だけど、できるとは言っていない」
「リュナちゃんなら、できる」
 その言葉に、少し照れたような表情をして、そしてあわててベリルから目を背ける。
「ありがとう」
「ふふ。そんな顔されちゃうと、またリュナちゃんに惚れちゃう」
 そして、唇を重ねてくる。
「リュナちゃんって、ひどい人」
「……わかってる」
「ほら。そうやって、一つ一つの仕草で私を惑わせる。男なんて、所詮は上層部の指令を完遂するための駒のはずなのに、リュナちゃんだけはそんな気持ちにさせてくれない」
「そうやって、教えたからだろ?」
「人のせいにしないでよ」
「そっちこそ。ベリルの理想に近づけるように育てたなら、ベリルの好みになるのは当然だろ?」
「予想外よ。ただの操り人形のつもりだったのに」
「人間が人形になるものか」
「そうね。だけど、それじゃ困る人もいるの」
「そんなことで困られてたまるか」
「困るのよ」
 そういいながら、リュナの上着をもう一度脱がせる。
「リュナちゃんのせいで、夜も眠れなくなるのよ」
35名無しさん@ピンキー:2006/12/24(日) 07:35:54 ID:HIVU1Z6U
「僕のせいじゃないだろ」
「ううん、リュナちゃんのせい」
 そういいながら、ベリルはリュナの胸板に頬を寄せる。
「ねえ、リュナちゃん」
「何だ?」
「抱いて」
「…………」
 言葉を失う。
「ここなら、誰も見てないわよ」
「いや、しかしな……」
「フィルちゃんは抱いたくせに」
「いや、あれは……」
「言い訳はダメ。ちゃんと責任とって」
「責任って……」
「リュナちゃんは、先生をこんなにしたんだから」
「って、急に先生を気取らないでくれ」
「抱いてくれなかったら、あることないことフィルちゃんやリシェルちゃんに言いふらしちゃうわよ」
 唇の端から少し犬歯を見せて、くすりと笑うベリル。
「!?」
「どうするの? 抱いてくれたら、私はリュナちゃんのもの。抱いてくれなかったら、リュナちゃんは破滅するわよ」
「……そういう脅迫をするかい?」
「ふふ。リュナちゃん、困ってる」
「悪女め」
「悪女でいいわよ」
 そう言って、リュナの腕を軽く噛む。
「っ……」
「でも、リュナちゃんは私のもの」
 舌なめずりしながら、そう言って微笑む。
 唾液に濡れた牙が妙に艶かしい。
「初めての夜のこと、覚えてる?」
「……忘れられるか。年端も行かない少年兵を、いちゃもんみたいな理由で懲罰室にぶち込んだ鬼教官め」
「でも、ひいひい泣いて可愛かったわよ。鎖につながれたリュナちゃんが泣くのがとても可愛かったの」
「……そういうことは忘れてくれ」
「嫌。それに、いま抱いてくれなかったら、それも言いふらしちゃうかも」
「……人の弱みを盾にしやがって」
「ふふ。それでどうするの?」
「……底なし沼に飲み込まれるのって、こういう気分なんだろうな」
 言いながら、ベリルを引き寄せる。
「……それでいいのよ、リュナちゃん」
「……どうなっても知らんぞ」
「それでいいわよ」
 至近距離から、ベリルが見つめてくる。
「リュナちゃんの匂いって、いい香り」
 ベリルの熱のこもった息が、肌にかかる。
 その間に、リュナの腕がベリルの下着を背中ではずす。
 豊かな双丘があらわになる。
「リュナちゃんに見られるのって、いい気持ち」
「他の男ならどうなんだ?」
「利用してるだけだもん、何も感じない。ただの、男を惑わせる道具の一つよ」
「僕なら違うと?」
「そう言ってるでしょう」
「素直に信じたら痛い目に合いそうだな」
「あら、信じてくれないの?」
「……信じないとは言っていない」
 そういいながら、下からベリルの胸に手を伸ばす。
36名無しさん@ピンキー:2006/12/24(日) 07:36:59 ID:HIVU1Z6U
「あ……」
 驚いたような嬌声が、ベリルの唇から漏れる。
「だけど、何人の男に抱かれたんだ?」
「言わなきゃだめ? ……あっ、んんっ……」
「別に。ただ、気になるな」
「嫉妬? それとも、軽蔑?」
「どっちだと思う?」
「聞かないでよ。それに、そんなことの答えなんか聞きたくないわ」
「悪かった」
 言いながら、背中に腕を回して引き寄せ、体の上下を入れ替える。
 そして、ベリルを腕の中に抱きかかえるような格好で座る。
「“武器”の手入れは怠らないんだな」
 抱きかかえたまま、胸を愛撫しつつ言う。
「……そんな言い方しないでよ」
「違うとは言わないだろう?」
 そういいながら、左手でベリルの腰に止められたベルトのバックルをはずす。
「やっぱり、外されやすいバックルにしてるんだ」
 そういいながら、片手だけでベルトを外し、軍服の下を半分脱がせる。
 その下には、小さな赤い下着。
 あえてその上から、下腹部に指を這わせる。
「んっ……」
「ベリルは何人の男の腕の中で、そんな声を出してきたんだ?」
 表情を覗き込むようにして、わざと意地悪くたずねる。
 その質問には答えずに、ベリルは問い返す。
「……リュナちゃんは、そんな女は嫌い?」
「別に。ただ、ベリルのそんな表情は嫌いじゃないな」
「私を困らせたくて、わざと聞いたの?」
「お互い様だろ」
 そして、唇を重ねる。
「……リュナちゃんの意地悪」
「さっきは、優しいっていってくれたはずだけど」
「さっきはさっき。今のリュナちゃんは、とても意地悪」
「そんな僕は嫌いか?」
 さっきベリルがたずねてきたことを、逆に訪ねる。
「……そんなことを聞くのが、意地悪なところ」
 そう言って抱きついてくるベリルをかかえ上げると、リュナは彼女を寝台の上に寝かせる。
 そして、半脱ぎの軍服を脱がせて、下着だけの姿にする。
「ベリルには、夫はいるのか?」
「いないわ。早く見つけたいけど、仕事が仕事だしね」
「なるほどな」
「だから、身体が疼くの。夜な夜なリュナちゃんのことを考えちゃって」
「嘘付け」
 言いながら、リュナもベッドの上に上がる。
「嘘じゃないわ」
「騙されない」
 そう言って、ベリルを抱き寄せる。
「いろんな奴に抱かれて、いろんな奴に同じことを言ってるんだろう」
「違うわ。リュナちゃんだけ」
 そう言って、火照った肢体をすり寄せてくる。
37名無しさん@ピンキー:2006/12/24(日) 07:37:57 ID:HIVU1Z6U
「その割には動きが慣れてるな」
「……仕事で抱かれることは少なくないもの」
「だと思った」
「軽蔑する?」
「まさか。裏の仕事なら僕だって何年もやってる」
「リュナちゃんも、女の子を抱いたりもしたの?」
「任務上やむをえなかったけど、孕ませたことは三回、偽装結婚だって二回ある。国外での任務だったら、ターゲットの近親者や婚約者をレイプしたことが六回ある」
「ひどい男」
「ついでに言えば、任務遂行後は証拠隠滅のために相手を消したことも一度や二度じゃない。フィルは僕のそういうところも知ってるけど、さすがにリシェルには言えないな」
「……やっぱり、私の教え子ね」
「似たことやってきたのか?」
「私がベッドの上で殺した男は、20人より上よ」
「怖いな」
「うち二人は軍の関係者だけど。……それから二ヶ月以上謹慎させられて、その間に懲罰房で咥えさせられたモノの本数は覚えてもいないわ」
「……何があったかは聞かない方がいいのかな」
「聞いてもいいけど、同情されるのは好きじゃないから」
「同情してもらえるうちが華だぞ。僕なんか、やったことに同情してもらった覚えがない」
「同情してほしいの?」
「別に」
「じゃあ、いいじゃない」
「そうだな。堕ちた者どうし、傷を舐めあうのも悪くないと思ったんだけど」
 そう言って、ベリルの乳首に舌を這わせ、少し強めに吸う。
「んっ……」
 ベリルの口から喘ぎ声が漏れる。
 そっと口を離すと、ベリルの肌を舌で愛撫する。
 唾液が、ベリルの白い肌を汚す。
「はぁ……あふっ……」
 シーツをわしづかみにして耐えているベリルの身体が、時々ぴくんと反応する。
 舌を離すと、ベリルを抱き寄せ、鼻の先端にキスをする。
「リュナちゃんって……上手ね」
「まだ何もしてないだろ」
「だけど……すごく気持ちいい……」
「ベリルがそんな顔するなんてな」
「……変……?」
「いや。とても魅力的だ」
 そう言って、ベリルを後ろ向きにすると、抱くようにして後ろから胸のふくらみを愛撫する。
「自分では、すこしは上達したと思ってるんだけどな」
「自分からそんなこと言ってるうちはまだまだよ。本当に上手になれば、黙ってても相手から悦んでくれ……あっ」
「こういう風にか?」
「……そう……とても……いい……あっ、だめ、もっと……」
「こう?」
「あっ……んっ、そこ、ああっ……」
「ベリルの手が、じれったそうにリュナの手首を掴み、押し付ける。
「ああっ、お願い、もっと、リュナ、もっと……」
 そういわれて、わざと手の動きを緩める。
「……リュナ……ちゃん?」
「今、ちゃん付けしなかったね、ベリル」
「そ、そうだった……?」
「なんとか、子ども扱いされなくなったのかな」
「……ダメ。まだまだ、リュナちゃんなんて子供。悔しかったら、もっと私を感じさせて」
 そう言って、ぷいと向こうを向くベリル。
「やれやれ」
 苦笑いしながら、愛撫を再開する。
38名無しさん@ピンキー:2006/12/24(日) 07:39:37 ID:HIVU1Z6U
 しばらく両手で左右のふくらみを弄ぶと、片手をゆっくりと腰の辺りまで下ろし、下着の横を結ぶ紐を解く。
「あ……」
「いいだろ? そろそろ」
「そうね……このまま、後ろから入れて……」
 そう言って、ベリルが尻尾を摺り寄せてくる。
「じゃあ、あとは自分で脱いでくれるか?」
「いいわ……」
 手首を押さえつけていた腕が離れ、下着をするりと外す。そして、背後を振り向いてリュナを見つめる。
「獣のように、めちゃくちゃに犯してくれる?」
 その言葉に、少し驚きながら問い返すリュナ。
「……乱暴なのが好きなのか?」
「リュナちゃんに蹂躙されたいの。押し倒されて、気を失うまで責められたい」
 熱っぽい瞳が見つめる。
「その気があったってのは意外だな」
「だって私、これでも従順なイヌなのよ」
「ベリルの口から、従順なんて言葉が出るとはな」
 そう言って、きゅっと後ろから抱いて、優しく入れる。
「あっ……リュナ……ちゃん?」
「悪い、そういう乱暴なのはあまり好きじゃないんだ」
 そう言って、優しくリードする。
「……もう」
 拗ねたような声。
「言うこと聞かないんだから」
「声が嬉しそうだぞ」
「……それは……気持ちいいし……」
「ベリルは、泣きそうな顔よりそんな顔の方が美人だからな。泣き声より、喘ぎ声の方がかわいらしい」
「もう……そうやって、すぐに口説こうとする……あんっ」
 抱きかかえる腕の指がベリルの乳房の先端を軽くこすってしまい、ベリルがかすかに身悶える。
「感度いいんだ」
「軍人だもの」
「なるほど」
 言いながら、敏感そうな部分を愛撫する。
「ぁん……」
 甘い声。
 ベリルは背中からもたれかかるようにしてリュナに身をゆだね、愛撫と挿入のリズムに酔いしれている。
「やっぱり、獣みたいにされるほうが好き?」
「……ううん……リュナちゃんに、ずーっとこうしてほしい……」
「やっぱり、ちゃん付けか」
「だって……リュナちゃんはリュナちゃん。そうやって、優しくしてくれるうちはずーっとリュナちゃん」
「獣のようにやれば、ちゃん付けじゃなくなるのか?」
「でも、リュナちゃんはそんなことしない。だから、ずーっとずーっと、リュナちゃんはリュナちゃん」
「まいったな」
「でも、今のままのリュナちゃんでいてほしい」
「はいはい」
 言いながら、腰と指を動かす。
「……あぁ……」
 熱い吐息を漏らして、ベリルが少し目を閉じる。
「そういえば、リュナちゃんのエグゼクターズでのコードネームって“アピ・ニュニュ”だったわね……」
「……その名は忘れてくれ。むかしキンサ……いや、西の密林地帯に行ってた時、ある女に人前でそう呼ばれた時は本気で死にたくなった」
「うふふ……だけど、本当に素敵……このままアピ・ニュニュにさらわれちゃいたいくらい」

39名無しさん@ピンキー:2006/12/24(日) 07:44:05 ID:HIVU1Z6U

 一時間後。
「リュナちゃん……もう眠った?」
「…………」
 返事はない。
 時計を見ると、もう深夜の二時を過ぎている。さすがに、リュナも疲労が溜まっていたのだろう。
 そこに、唾液とともに流し込んだ薬が効いているのだろう。
「……お疲れ様、私のリュナちゃん」
 そう言って、そっと口付けを交わす。
 そして、すばやく軍服に着替えると、そのポケットから何かを取り出す。
「いいわ。リュナちゃんを確保して」
 そして、小声でそう伝える。
 一分と立たないうちに、扉が開き、複数の男が部屋に入ってくる。
 そして、手分けして行動を開始する。
 眠っているリュナの口許に、麻酔を嗅がせて起きないようにすると、手早く拘束し、トランクのようなものに押し込める。
 その間に、別の数名が部屋に立ち寄ったものがいないようにみせる偽装工作を行う。
 マスクで顔を隠した男たちの頭の上からは、三角形の尖った耳が見える。
「アルヴェニスとフィルちゃんの確保は完了してる?」
「完了しています。すでに屋外に移動させており、リュナ・ルークスの確保が完了すればすぐにライファスへと向かうことが出来ます」
「そう……ありがとう」
「今後の指令は」
「義兄さんの指示に従って。でも、当分は目覚めないように定期麻酔を続けてね」
「はっ」
 男たちは、すばやくトランクケースを隠すようにして部屋を後にした。
 残されたのは、ベリル一人。
「……ごめんね、リュナちゃん」
 ベッドを見ながら、そう口にする。
「でも、今はまだ内乱が終わったら困るのよ。リュナちゃんの言ったとおり、この内戦が泥沼になってくれなきゃ……私達は、正当な理由で軍を送ることができなくなる」
 情感の混じった声で、ベリルは続ける。
「そしてリュナちゃんは、これからもっと大きな舞台に出て行かなきゃいけない。リュナちゃんの力を、もっともっと発揮できる場所に。……だから、そのためには、こんなところにいちゃいけない」
 ゆっくりと、扉を閉め、そして暗い廊下をどこへともなく歩いてゆく。
「……ライファスで会いましょうね、私のリュナちゃん……」
40名無しさん@ピンキー:2006/12/24(日) 07:47:16 ID:HIVU1Z6U
今回はここまでです。
リュナ卿書くのは一年ぶりくらいになるかも。
41名無しさん@ピンキー:2006/12/24(日) 07:49:27 ID:HIVU1Z6U
……って、こんな日に限ってIDがHIVかよorz
42名無しさん@ピンキー:2006/12/24(日) 10:23:48 ID:h+54D/f4
レーマもたいがいだと思ったがリュナ卿も絶倫じゃのう。
ぐっじょぶ
43名無しさん@ピンキー:2006/12/24(日) 10:28:01 ID:yqOmqKuf
GARMの暗躍がすげえなあ…いつか最終戦争でも勃発しそうな勢いだ…

そしてエロい!GJ!
44名無しさん@ピンキー:2006/12/24(日) 11:06:47 ID:Sb5DuQZi
お届け物:リュナ卿
とりあえずトランクに「生物」と「クール」貼っておこう。

目を覚ましたフィリーヌがトチ狂わないかマジ心配。
そしてリュナ卿が苦労人で泣ける。胸が締め付けられる。彼の運命は如何に。
GJ。
45ピューマ担当:2006/12/24(日) 23:57:59 ID:+oQxnKet
スレ立てお疲れ様でした。

こちらはどうにかクリスマスイブに間に合わせることができましたかね。
避難所生まれのパラレル学園物でクリスマスネタを書いてみました。
フユキとシュナの主従モノです。
ttp://www.degitalscope.com/~mbspro/userfiles_res/database/index.html

それと、現在進行形で『木登り〜』の三人称リメイクを行っています。
まだまだ完結にまで至っていませんが、プロットだけで作中では描写しきれなかったものも含めて、
のんびりと完全版を進めています。
保管用の個人wikiを作成してみましたので、よろしかったらどうぞ。
ttp://wiki.livedoor.jp/kinsantinsuyu/d/FrontPage
46ピューマ担当:2006/12/24(日) 23:59:06 ID:+oQxnKet
リンク間違えました。連投すいません。
ttp://www.degitalscope.com/~mbspro/userfiles_res/database/521.txt
47名無しさん@ピンキー:2006/12/25(月) 00:28:35 ID:WuJV3dXJ
>>46
ドンマイ、そしてGJ!

良いクリスマスプレゼントをありがとう
48名無しさん@ピンキー:2006/12/25(月) 00:30:24 ID:WuJV3dXJ
>>46
ドンマイ、そしてGJ!

良いクリスマスプレゼントをありがとう。

Merry X'mas
49名無しさん@ピンキー:2006/12/25(月) 00:40:15 ID:yOrxhOXI
わざわざ言い直した>>48に萌えた
50名無しさん@ピンキー:2006/12/25(月) 01:09:26 ID:q+Qt/O0n
>>45
てか蛇担当の方、新作があがってたんですね。乙です。
またボケが増えた…ww
51名無しさん@ピンキー:2006/12/25(月) 07:21:17 ID:deIDgbpn
>>46
ローションプレイとはまたエロイ。GJ!
52名無しさん@ピンキー:2006/12/25(月) 11:58:34 ID:Anv8TmU6
なんでサトルはあんなにかっこよく見えるのか、クリスマス暇なので
ずっと考えていたのだが、「かっこつけようとしていない」からかもしれんと思った
粋ぶろうとした時点で野暮になる、の逆バージョンというか

それはともかくノーパンのシャンティさんだけでおかわり3倍は軽い。
心からGJ>蛇担当氏
53名無しさん@ピンキー:2006/12/25(月) 18:43:51 ID:q+Qt/O0n
おでん食いたくなった。
54名無しさん@ピンキー:2006/12/26(火) 16:39:29 ID:/BzE3C6s
リュナが本物のヒトよりヒトっぽく見えるw
55名無しさん@ピンキー:2006/12/26(火) 20:47:54 ID:Z6yTvcMq
避難所の次スレ
ttp://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/2051/1166859477/l50

もしかしたら、こちむい世界って一年=365日とは限らないというか、じつは一年=60日くらいだったらネコが600年生きても実際はヒトと同じくらいの寿命なんだなとか・・・
ごめんなさい、冗談です。
56名無しさん@ピンキー:2006/12/26(火) 20:54:49 ID:mBMJC0K5
それやっちゃうと、色んなところで不都合でちゃうなw
それはそれで楽しそうだが。
57名無しさん@ピンキー:2006/12/26(火) 21:01:50 ID:+6eZ3Y6u
>>54
あの人ぁ理想家でも夢想家でもなく強欲なんじゃねえかな、などとそれっぽいことを言ってみる。

>>55
一日=4時間という新解釈はどうだろう(よけい駄目だ)
58名無しさん@ピンキー:2006/12/26(火) 22:02:24 ID:WrvyNoVe
一日が四時間ってなるとこっちの時間の何倍の速さだ?
59名無しさん@ピンキー:2006/12/26(火) 22:12:45 ID:Z6yTvcMq
>>58
六倍……寝不足もいいところだな。
「ご主人様と夜通しえっちして三日寝込んだ」みたいなシチュエーションが毎日のように大陸のどこかで見られそうだけどw

60名無しさん@ピンキー:2006/12/26(火) 23:12:20 ID:3MUb+BFn
寿命は魔力の差なんじゃないかと考えてた俺。
ヒトも後天的であれど魔素を取り入れられるようになれば寿命が延びるのではと思ってた。
61名無しさん@ピンキー:2006/12/26(火) 23:41:34 ID:1VEO1i9f
>>60
そしたらウサギが最長寿ってことになるぞ
62名無しさん@ピンキー:2006/12/27(水) 08:32:09 ID:bEERYNeK
まあ寿命が伸びる≒種の進化が遅れるだったりするし、あまり寿命が長すぎるのもなあ。

……今年はあと何本のSSが読めるんだろうと、さりげなく夢日記の人にプレッシャーをかけてみるw
63名無しさん@ピンキー:2006/12/27(水) 17:04:31 ID:H+5p+N2x
でも寿命と魔力がなんの関係もないってワケでもなさそうだよね。
ディンスレイフ君やクユラばーちゃんは魔力のおかげで400過ぎても500過ぎても少年少女の外見なんだし。
それとも、見た目の老化が止まるだけで寿命にはあんまり影響がないんかね。
そして誰でもかれでも簡単に真似できるワケじゃ、なさそうだし・・・・・・
64名無しさん@ピンキー:2006/12/27(水) 18:01:58 ID:bEERYNeK
>>63
あの二人はなあ…
なんてゆーか、あのフローラ様さえ不老不死を求めてまだ手に入れていないというのに、やりすぎというかぶっちゃけ厨設定というか…
存在自体が例外的なんだから、あまり参考にはならない気がする。
65名無しさん@ピンキー:2006/12/27(水) 18:32:46 ID:bEERYNeK
ごめん、厨設定は言いすぎた。
謝る。
66名無しさん@ピンキー:2006/12/27(水) 19:08:59 ID:D3UHzLGn
魔力が高いと成長阻害で発育不良になるだけであって老化はしてるみたいな描写が二人にも

というかそもそもネコという種族からして
30〜500歳=ヒトの20〜35歳という設定
30〜500歳間は約31〜32年でヒトの1歳分老化ていうエルフモドキだからな
ネコ以外に「見た目子供、頭脳は数百歳」がいない事からも
同じ魔力が高いのでもここまで誤魔化しが効くのは多分ネコだけなんだろうと思われる

ちなみに上の設定でいくとディンスレイフたんの中身はそれでもヒトの32歳くらい
ばーちゃんの中身は35歳くらいだ、中身ジジババかと思ってたら意外と若い
67名無しさん@ピンキー:2006/12/27(水) 19:11:27 ID:jPVBfSef
不老不死といえば、草原の潮風のお嬢もそうか。
アレは呪いだが。
68名無しさん@ピンキー:2006/12/27(水) 21:18:09 ID:LyIwROTf
>>66
そんな怪物相手に、よくもまあリュカオン陛下は喧嘩売る気になったもんだよな……
しかも一度は優位に立っちまうし。
69名無しさん@ピンキー:2006/12/27(水) 21:50:21 ID:H+Ht9wvu
>>68
逆に言えばそんな怪物相手に喧嘩を売るような御仁だからこそ大陸制覇に近づけたんだろう

しかしネコもそうだが、イヌの底力も凄いものがあるな
70名無しさん@ピンキー:2006/12/27(水) 21:51:59 ID:/ihFDFbm
こっちの世界でも、飼い猫の寿命が15〜20年なのに野良猫の寿命は3〜5年。
あくまで寿命であって国民平均死亡年齢ではない以上、
イヌもネコも、都市部の上流階級でなら250や650まで生きられるおじいちゃんもいる反面で、
格差の激しい農村部や辺境部では結構バタバタ死んでそうな気がする。
コース全長がヒトの3倍、8倍な分だけ、
途中でのアクシデント(事故、病気、災害、戦乱)遭遇率&リタイア確率も増えるわけだし、
現実に650(ヒトの100歳)のゴールに到達できるネコがさて出生数の何%いるのか。
71名無しさん@ピンキー:2006/12/27(水) 23:15:22 ID:u42cMXTD
おまけに一番発展してるとは言え、治安は賊やら何やらがいるような平気でいるような状態だからな。殺人とかもこちらの世界より多いかと。
それに発展してるが故に、過労死とかストレスとかこちらの現代社会にもありそうな問題とかもあったりするんだろうか。
72名無しさん@ピンキー:2006/12/27(水) 23:44:41 ID:aNqsUW8r
俺的な結論でいくと、長生きするかしないかより、
どれだけ獣実、いや充実した生涯をおくれるかどうかだ。

ちょっと違うかもしれないが、まさに「量より質」だな。
73名無しさん@ピンキー:2006/12/28(木) 07:48:19 ID:fYMy3YLY
>>52>>57
書き手としてかっこいいかもと思うキャラは、会話文に頼らなくても行動で愛情が伝わってくるキャラ。
逆に、それがうまくいかなくて会話文に頼らざるを得なくなった場合は、自分でも描写に説得力ないなって思う。
個人的には、フェイレンさんやハダル様みたいなキャラがかっこいいかなと思ったり。
74名無しさん@ピンキー:2006/12/28(木) 10:19:18 ID:fY4d9KGq
>>72
ヒトが一番濃いい生涯を送るんだろうね。性的な意味で。
75名無しさん@ピンキー:2006/12/28(木) 14:17:14 ID:fYMy3YLY
>>74
だが三十路すぎたら地獄な悪寒w
マサミとまでは言わなくても、なにかご主人さまの役に立ちそうなスキル覚えていかないと老後が大変かもしれん。
76名無しさん@ピンキー:2006/12/28(木) 16:27:22 ID:XELQr2v0
大丈夫だ、いかせんペットゆえに、老化進行までに思いでたくさん作れば捨てられることはないさ。
まあ、家事とか、良くて執事ぐらいのスキルは身につけとくべきとは思うが。
77名無しさん@ピンキー:2006/12/28(木) 18:26:18 ID:4U6kRrMI
>>75
そういう部分を書いていきたいが第一話すら年内に間に合わない悪寒・・・
エロいシーンだけしか書いたことないとキャラを動かすのにとても苦労することがわかった
78名無しさん@ピンキー:2006/12/28(木) 18:37:06 ID:ByRz594t
まあ、向こうで長いこと召使いをやってれば、年取ってからも執事としてやっていけるさ。
もっと悲惨なのは、年取ってそこそこ成功してから落ちて、向こうで使えるスキルなしの場合だな。

79名無しさん@ピンキー:2006/12/28(木) 18:42:02 ID:yNvwsu+o
>>76
執事は普通に最上級スキルな気がw
そこまでいかなくても、せめてコロッケ職人とか探偵事務所の事務とか拳法道場の雑務一般くらいは出来るようになっておきたいところだな。
80名無しさん@ピンキー:2006/12/28(木) 18:55:28 ID:pDX/csvM
マサミの場合は職業がコーヒーショップの店長と言うこともあって、運営マネジメントの経験が役に立ってるんだろうな
社会人として世に出て、どんな仕事をしていたのかにも寄るんだろね

子供の時分に拾われて暗殺術と房事しか教えられなかったソラヤなんかは年を取ると悲惨な気がする
81名無しさん@ピンキー:2006/12/28(木) 19:02:09 ID:F83uLXdo
>>77
書き手に必要なスキルの水準がエロバナシだけ書いて楽しめる2次創作とは全然違うスレだからな。
実際、小説を一から書いていくだけでなく、その世界とかキャラクターの中身まで作らないと底の浅い話に感じちゃう訳で。
だから、エッチシーンだけ書きたい職人さんとか読者には居づらいスレだよな。
コチムイ世界を疑似体験したい読者にはパラダイスだけどw
82名無しさん@ピンキー:2006/12/28(木) 19:20:23 ID:GCHgtIO/
>>81
エロよりも他のパート分量が多い自作を振り返ってみるに、板的にどうよ、と思うことはないでもない。
まあ書きたいから書くのだけどね。
83名無しさん@ピンキー:2006/12/28(木) 19:21:07 ID:yNvwsu+o
>>80
ソラヤとかレーマとかの長期訓練者は、子供の頃から習い覚えた戦闘術だけでもある程度やっていけそうな気はするけど。
子供のうちから戦闘術を学んでるならハイティーンで落ちてきた落ちものと比べて基礎がしっかりしてるだろうし、年を取っても落ちもの向けの戦闘術指南とか需要はあるんじゃないかな。
まあ、アンシェル様は学問とかマナーもレーマに教えてたみたいだし、ミルフィ姫もソラヤきゅんにそれなりのことは教えてるんじゃないだろうかと。
男性陣よりも女性陣がかなり不安だな。
婚約者や職場があるミコトやミツキはともかく、これといった特技のないシロちゃんとか「あたし」とかどうするよ。
特にシロちゃんなんて記憶喪失なのに。
84名無しさん@ピンキー:2006/12/28(木) 20:09:01 ID:RqDg4+oR
”人間を飼ってる”ってだけでも、結構ステータスシンボルになりそうな気もするしなぁ
また、種族にもよるが、ご主人様:ペットの寿命比なんて、けっこうこっちの世界と近いところも多い気が
野良がほとんどいないかわり、”中古市場”が存在しそうなのが結構イヤだけど
85名無しさん@ピンキー:2006/12/28(木) 21:25:05 ID:fY4d9KGq
それそれ、中古なキャラを登場させたいと思ってたんだよね。
7〜8歳のときに落ちてきて、ロリorショタ趣味のご主人様に拾われてある程度成長したら売られたとか。
86鼠担当?:2006/12/29(金) 00:22:44 ID:nOs110Ma
思いっきり遅れました。
『無垢と未熟と計画と?』第3話・前編&オマケをお届けします。

ttp://www.degitalscope.com/~mbspro/userfiles_res/database/541.txt
内容としては戦闘シーンまでのタメの感じなので苦手な方はご注意下さい。
前後編なのにtxt投下ですが、ご容赦下さい。
オマケの方を先に読むといいかもしれません。

それでは、オマケである『ロレッタの一日……?』をどうぞ。
誤字脱字、文法がおかしい所があったらごめんなさい。
87無垢と未熟と計画と?1/4:2006/12/29(金) 00:23:18 ID:nOs110Ma


「ふぅ」
 にーさんとねーさんが、町の方へ行ってるのでしばらくはわたし一人。
 気楽ではあるのだけれど、やる仕事が倍増してかなり大変。
「えぇと……」
 頭の中のメモ帳を一枚ずつ開きながら、一番キツイ肉体労働の洗濯物の回収をこなす。
 にーさんがいるなら、物を持ってもらう事が出来るのに……と改めてありがたさをかみ締める。
 さてと、次はにーさんの部屋のシーツかな。
「……お邪魔しまーす」
 ノックを3回した後、私は泥棒さんの様にこっそりと部屋に入る。
 無論、こんな挨拶する必要も忍び足をする理由も無いが、にーさんの部屋に入るのは実は初めて。
「ありゃ?」
 いろいろ期待して部屋を見回すが、驚くほど物が無い。
 元々この部屋は来客が来て宿泊する際に使用する筈なんだけど、泊まる人は皆無。そして家政婦さんもいないので使われる事無く放
置されていたのをねーさんが割り当てたのだ。
 とはいえ、備え付けの棚やテーブル程度しか置いてなくて生活してるって雰囲気ががほとんどしない。
 ……まったく、もうっ!
「にーさんの、ばーか……」
 多分だけれど、いつでもこの部屋から出れるようにしているのだろう。
 理由は、この前議会でバッカス老が話したアレだろう。……なに言われたかはわからないけど、にーさんらしいといえばらしい。
 この約束のお陰で、ねーさんとにーさんを仲良くさせる企みを大幅に早める結果になってかなり強引なる上、リゼットねーさんへの
協力が欠かせなくなったのも痛い。
 ――それでも、わたしの全力をもって仲良くなってもらう。
「やめやめ、さっさとお仕事お仕事」
 あんまり突き詰めると、自分の内側にまで切り込んでしまう。それだけは絶対に避けたい。
 頭を思いっきり振って面倒事でいつか解決しなきゃならない事を片隅に押し込んで、ベットの上にあると思われるシーツを剥がしに
向かい、固まるわたし。
 なぜなら、にーさんらしくも無くベットの上はぐちゃぐちゃ。
 ねーさんに強引に連れていかれて、ベットメイキングする暇すらなかったからこんな状況になっているのだろう。
 んー折角だから、ベットの寝心地を調べてみよう。
「よいしょっと」
 わたしは、靴を脱いでにーさんのベットに寝そべる。
 もう何時間も前に行った筈なのに、にーさんの体温が残っているような気がする。
 体温だけじゃなくて、にーさんの微かな残り香が染み付いているみたいで、わたしは顔に手で丸めたシーツへ押し付ける
 ……本当に、本当にちょっとだけだけどにーさんの汗の匂いがする。多分寝汗なのだろうけどそれでも私にとっては大収穫。
「ん、ふ……」
 変態ちっくだが、わたしとしてはかなり幸せ。しかも誰も居ないからやりたい放題なのだからたまらない。
「ん〜♪」
 自分の服に匂いをつけるようにベットの上を転がるわたし。
 いつも通りに冷静だったなら"なにバカな事してるのよ"と突っ込みは入るとこだが理性はオフ。……だけど、数十分もしていると流
石に疲れてくる……けど、
88無垢と未熟と計画と?2/4:2006/12/29(金) 00:23:54 ID:nOs110Ma
「…………な、何してるのよ!?」
 思わず、胸の辺りを触っていた事に気付いて頭が冷える。
 じ、自分一人でした事は……実は一回だけ。すぐに怖くなって止めたけど。
 ここの壁は以外に薄くてそんな声なんか出したらねーさんに聞こえてしまう。って、今誰もいない?
「いやいやいやいやっ!」
 それ以前ににーさんを餌にそういう事するには抵抗があるというか、ねーさんに悪いというか……でも、ちょっとだけなら、いい、
かな? じゃなくてっ!
「はぁ、はぁ……」
 にーさんのベットの端から端まで何度も転がるなんていう慣れない運動の所為か息が簡単に切れる。
 本当に、最初だけなら……言わなきゃバレないよね……?
「んん…微妙……」
 自分の胸を揉んでみるがお風呂場で体を洗うときと大して変わらない。
 こういうのは、やっぱり餌か何かで自分の心をなんとかしないとダメらしい。
「あ……これは……」
 目に入ったのは人差し指の小さな傷。
 確か一週間以上前にねーさんと仲直りする為に料理を作ったときに作ってしまった傷だ。
 その傷を見ていると、心の何かがひび割れ、中から染み出てくる。
「わたしは……にーさんが、好き」
 痛い。
 たった、たった一言を言うだけで胸の奥がちくちくと痛くなる。
「……っ」
 もちろん、受け入れられたら嬉しい。
 にーさんが断るという可能性もあるけど、そんな事しない、と確証もないのに何故か思う。
 そうなったら……ねーさんは、どうなるだろう?
 それを思うと嬉しさが痛みへと変わって、わたしは答えを出せなくなる。
「……"にーさん"」
 けれど、今、この時は――"にーさん"はわたしだけのにーさん。
「あむぅ」
 "にーさん"にキスするように口に含み、唾液で濡らす。
 咥えた先から、あの苦いけどどこか甘みのある味がする気がする。
 ……そんな事を考えつつ、舐めるのに集中していたら、いつの間にか空いた片手が胸を優しく揉む。
「ん、ふぅ!?」
 たったひと揉みしただけでわたしの背筋にざわざわと何かが通る感触。……多分、これが"快感"というヤツなのだろう。
 (気持ちいいか、ロレッタ?)
「あふ、うん……っ。もっと…ふぁ、ん……」
 何故か聞こえるにーさんの声然したる疑問を持たず、もっと、もっと欲しいとお腹の奥が騒ぐ。
 それにわたしは、服のボタンを煩わしく思いながら外し、下着の紐を緩め、中の胸を外気に晒して応じる。
「あぅ、ん、んぁ……」
 ふんわりとした柔らかな感触がじわじわと熱っぽいものに変わっていく。
 その感触をいつも確かめてる筈なのにいつもより張っているような気がする。
 (ここ触るけど、怖い?)
「……怖いけれど……今は"にーさん"が居てくれるもん」
 にーさんのイメージが、照れ隠しのように荒っぽくわたしの頭を撫でる。……髪がくしゃくしゃになるまで撫でられてもう泣きそう。
 そう何分も撫でられていると、いきなり"にーさん"が軽く人差し指で ピンっと弾く。
89無垢と未熟と計画と?3/4:2006/12/29(金) 00:24:29 ID:nOs110Ma
「ふ、あ……っ!」
 不意を打たれたわたしは、素直に裏声が出てしまう。
 いきなりなんて、ひどいよにーさん……と、頬を膨らませるけど笑って受け流される。
「ん……んあっ!」
 今度は胸の頂の周りをなぞり、時折てっぺんを軽く弾く。
 そんなわたしの反応を楽しむように、焦らして緩急つける"にーさん"はちょっとイジワルだ。
 (ロレッタは胸が弱いのかな?)
「し、しらな、――にーさんっ! もっと、もっ、と……あぁっ!」
 さっきまで弄っていた先端をコリコリと摘んで、ビリビリとした痺れが小刻みに流れてがわたしの身体が小さく何度も跳ねる。
 ……身体が跳ねる度に、ぎゅ、ぎゅ、と抱きしめられてもう泣きそう。
「は、あっ、あ、あぅっ……?」
 突然、手を離す"にーさん"。
 なんで途中でとめちゃうの? と言いたかったけど、息も切れたわたしはそこまで言う気力はない。
 (こっち、どうしたのかなっ? ってね)
「え? やだぁ……っ」
 スカートを"にーさん"に捲り上げられて、白い下着の一部が内側から出る液体でしっとりと濡れているが見える
 (下着まで濡らしちゃって、そんなに胸がよかったか?)
「あ……ぅ……っ」
 恥ずかしくて何も言えないわたしは体を丸めることしかできない。すると、"にーさん"で下着の上から、つつっ、と濡れたシミをゆ
っくりとなぞる。
 「あっ…んぅ」
 胸を弄られた時とは違う甘い痺れ。
 それと同時に、得体の知れないものが纏わり付いた気がして怖くなる。
「ん……っああ!」
 目を閉じて恐怖をしのごうとするとすると、"にーさん"は胸の頂を摘んで、濡れた布の上から強く弄ってくる。
 ぬちゃぬちゃと音が立てれば立てるほど、嫌でも下着が湿ってくるの分かってシーツの端を"ぎゅぅぅ"と掴んでしまう。
「は、あ……んあっ!」
 そうやって一生懸命やり過ごそうと思っても、"にーさん"は下着をずらしてぷっくりと小さく膨れた豆なような物を軽く撫で上げる。
「にーさぁ、んっ……! やぁぁぁ!?」
 ただそれだけで背筋が異様に痺れ、跳ねる。
 もうわたしの身体は、伝えられた刺激に嬌声を返す事しか出来ない。
「ふぁ、あっ、あっ! ヤダっ……こわ、いっ、こわいよっ!」
 "にーさん"は弱点を見つけたかのように、そこを摘んだり弄繰り回したりと容赦なくもてあそぶ。
 今まで薄かった恐怖がまた絡み付いて、どこかへ引きずり込もうと強く引っ張る。
 それがとても怖くて恐ろしくて、助けを求めるわたし。
 (ロレッタ、居てやるから安心しろ)
 そっと耳元で優しく囁く声。そして瞼の裏には安心できるあの微かな笑み。……今のわたしにとっては全てが本物だ。
「う、うんっ、にーさ――!」
 不意打ちのように思いっきり押し込まれて、わたしの意識は落ちた――。
90無垢と未熟と計画と?4/4:2006/12/29(金) 00:25:03 ID:nOs110Ma



「ん……あ?」
 股の辺りが妙に涼しくて目の醒めたわたし。うぅ、日が暮れてる……?
「あ……っ」
 何をしていたか、何を考えていたかを思い出してすごい勢いで顔が火照る。
 あぁぁぁっ……ど、どうやって言い訳しよう? って誰も居ないんだから黙ってればいいんだろうけどあぁぁぁぁ!?
「ロレッタ、どこー?」
「隠れてないで、出てこーい」
 と、近くの方からネリーとクリスの声……って、マズイ!
「ん……ネリー、この部屋にロレッタ居るわね」
「……そうみたいだね
 な、何でばれてるのー!?
 そう思ったけど、罠かも知れないのでとりあえず沈黙しておく。
 それと同時に鍵を閉めようとして気づく。鍵が……壊れてる事に。
「ロレッター、隠れてるつもりなんでしょうけど洗濯物がおちてるわよー」
「ほんと、ちっちゃい体で何食べたら胸が大きくなるのかしら?」
「――ちっちゃい言うなっ!」
 しまった。
「そ、それにしても何であんた達入ってるのよ?」
 苦しい話題転換だとは思うけど、この隙に鍵の代わりを見つけようと部屋の中を見回すが、物が殆ど無いにーさんの部屋にそんな都
合のいいものは見つからない。
「何度ベル鳴らしても反応無い上に、鍵も掛かってないから心配して見にきた友達に言う台詞〜?」
 本当にいい友達だなぁ……平時ならだけど。
 しかし、今回ばかりは厄介だ。
「う……、今着替えてるから……」
 今のわたしの格好は、服は皺だらけな上に胸元のボタンも全部外れて恥ずかしい格好この上ない。
 とりあえず格好だけなら間違いじゃない。と、自分を納得させつつ、ドアの向こうへ言い訳する。
「……えーと、確かココ、リョウさんの部屋だよね……?」
 クリスの疑問の声であちらだけでなく、ドアを超えてわたしの所まで雰囲気が凍る。
「「……な、なにやってんのっ! アンタ!?」」
「だ、だからー」
 2人は思いっきりドアノブを引くが、わたしも全力でそれを止める。……こ、こんな弱み見せらないっ!
 あぁ、神様――この際何でもいいけど――わたしには悩む暇すらないのですか?

91鼠担当?:2006/12/29(金) 00:26:17 ID:nOs110Ma
これにて終了。
後編は間に合えば正月明けにでも。
92名無しさん@ピンキー:2006/12/29(金) 02:23:16 ID:arKAkYwh
ああ就寝時間が遅れてく…でもとまらねぇ。

いや、ラヴィニア様がかわいい。所々の仕草に殺されそうだ。りょーのモテモテっぷりにshit。
そしてダブルベッドなのにそんなコトにならなかった所に、信頼というか暖かさを感じた。
求め合う愛というより、お互いを支え合うような愛というか、そういうものを表現してくださったのがすごく良かった。
姉妹のご両親とかも出てきて、すごくあったかいやりとりとかあって…。
実は貴方様の作品のテーマは"家族愛"なのかとさえ思ってしまったり。
…女の子抱き締めていい子いい子。もう兵器だね(*´Д`)
…そしてきちんとロレッタちゃんがそっち方面のフォローをしてくださってww
あぁ、良かった。次も期待。もうGJ。



話は変わるが、魔素って空気中にある一種の気体みたいなものなんだろうか?
93名無しさん@ピンキー:2006/12/29(金) 04:15:57 ID:2NlyxUfs
>>92
見聞録以外の作品を読み返したら空気以外にも魔素は存在するから、気体というよりは、熱のようなものと考えた方がいいかも。
変温動物が地熱や気熱をエネルギーに変えてく感じ。

>>85
中古のヒトといえば、ミコトみたいに傷物にされて、どこか精神的に壊れてるのが多そうだな……(´・ω・`)
94名無しさん@ピンキー:2006/12/29(金) 09:14:36 ID:qZ3n/h7w
相変わらずあの姉妹はかわええのう。鼠さんGJ!!

にしても、もう100近いよ・・・
95名無しさん@ピンキー:2006/12/29(金) 10:17:50 ID:4R8mMq9p
CJ! ネズミかわゆくてえぇわ・・・・・

それはそうとwikiが更新されてたね。
ネット中毒 ニートに不覚にもワロタ
96名無しさん@ピンキー:2006/12/29(金) 10:30:34 ID:YQj4X++q
そもそも中古として売られる前に死んじゃうのも多そうだ……
97名無しさん@ピンキー:2006/12/29(金) 11:26:10 ID:KDqImG1I
捨てられるかが財政などの状況と愛着を天秤にかけたとき次第だからな。

すっからかんなだけなら、愛着が勝って「まぁお前がいれば良いか」
借金や守るべき家族などがいれば「本当は捨てたくないのに・・・!」

まぁ、あくまでヒトに愛情を持って接する人間のことだが・・・奴隷商人はシラネ
君だけは特別なんだ!ってケースも面白そうだがw
98名無しさん@ピンキー:2006/12/29(金) 11:33:52 ID:EjFv9Fum
ようく戻ってきてくれた! ラヴィニアだけかと思ったらちゃんとロレッタまで……GJでした。
99名無しさん@ピンキー:2006/12/29(金) 12:27:34 ID:eq6w1bsf
なんか少し考えちまった。
ヒトの女将がやってる娼館とか。
100名無しさん@ピンキー:2006/12/29(金) 20:05:15 ID:iESJock0
一週間で100か・・・このスレも立派になったもんだ
101名無しさん@ピンキー:2006/12/29(金) 20:56:45 ID:/3JTvC2D
>>100
少し前は投下されるのが月に一本とかだったからなw
102名無しさん@ピンキー:2006/12/29(金) 22:02:21 ID:/hK2XPcf
なでなで無限要求してくる子とか、小一時間ほどベットの上で転がり回る子とか、
なんだかネズミはヘンな子が多いなあ・・・










だがそれがイイッ!! GJ!!
103犬国奇憚夢日記:2006/12/29(金) 23:59:36 ID:G1kSBtrw
遅くなりましたぁ〜

言い訳そのいちぃ〜

 「あ〜きみきみ、関西某所の営業所で人不足だ、今から5日ほど応援に行ってきて」
 いきなりそう言われて23日の夜から応援に行ってました

言い訳そのにぃ〜

 「商品画像撮りたかったんですけどデジカメのCFが無かったんで夢日記さんのノートに刺さってたCF借りました」
 おめぇ普通は確認するだろうがぁ!・・・・・と言うわけで、データバンクに使っていたCFの中の幻の7話〜11話までが
 全部消えました、4話〜6話までは救済ソフトでサルベージしてますが、所々歯抜けなので記憶モードに再執筆してます。
 多少矛盾とかあるかもしれませんが、脳内補完を切に願いします

言い訳そのさ〜ん

 朝5時起床6時就業〜23時終業25時帰宅の生活が続きましたので、再執筆が進みませんでした
 マンパワーの欠乏です・・・・年は取りたくねぇなぁ・・・・・・

 そんな訳で、4話5話6話の一挙三話行きます。

第4話 http://www.degitalscope.com/~mbspro/userfiles_res/database/551.txt
第5話 http://www.degitalscope.com/~mbspro/userfiles_res/database/561.txt
第6話 http://www.degitalscope.com/~mbspro/userfiles_res/database/571.txt
104名無しさん@ピンキー:2006/12/30(土) 02:52:05 ID:2kkL055L
乙です。
チョコレートでちょっとひっかかりました。
まあ、多分大丈夫なんでしょうけど。
105名無しさん@ピンキー:2006/12/30(土) 04:44:45 ID:Mm3d//T8
さくーしゃ様方乙乙でございます
今から読みたいのだが、明日まで仕事なので我慢我慢
よんだら感想書きにまたきますね〜

明日も仕事のある人お疲れさーん!!
106名無しさん@ピンキー:2006/12/30(土) 06:16:44 ID:+2dWWWCU
>>103
待ってました!
年末は大変でしたようで……お疲れさまでした。
でもすごく面白くて読み耽ってました。
マサミ、あんたかっこいいよ。
普段は格好よすぎるキャラにはついつい引いてしまうんだけど、嫌味のない格好よさがある男はやっぱり読んでて引き込まれてしまう。
いやいや、本当にGJでした。
107名無しさん@ピンキー:2006/12/30(土) 08:54:15 ID:+zqmxjFO
夢日記の人、たいへん乙であります!超GJ!

マサミが目指してるのはイヌの国の近代化なんですね
ネコがPDA持っているのはショックだろうなぁ
なんか、ネコってイタリアみたいですな、真面目にやると良い物作るんだけど、でも基本的には怠け者みたいな
108名無しさん@ピンキー:2006/12/30(土) 13:27:16 ID:UbYCLIYj
ヘタリアで調べると、猫の歴史を考える上で、面白い記述がたくさん見つかりそうだなw
109名無しさん@ピンキー:2006/12/31(日) 10:17:35 ID:R9i+5Yks
>>103
大変楽しませて頂きました。良い仕事です。
無くしたデータはご愁傷様でした。
いや、辛いですよね。あれは、ほんと。

>精霊による占い
こんなの使える精霊出したっけな?
ああそうか、どっかの部族の秘伝か何かか。
念写精霊とか言う名前で紫色の蔦っぽいんだな。と一人で納得。
110犬国奇憚夢日記 特別編01:2007/01/01(月) 00:25:31 ID:0I/WXK4D
 「リサ、今年はあなたがかけてきなさい」

 アリス夫人はそう言うとリサに上等な毛布を一枚手渡した。

 「はい、奥さま。御義父様に・・・・」

 リサは毛布を受け取り、大ホール一番奥の椅子へ歩み寄った。

 「御義父様・・・・嫁のリサです、よろしくお願いします」

 リサはそっと椅子の上に毛布を被せた。
 その椅子の上。
 大ホールを見下ろす位置には、先代執事だったマサミの肖像画が掛けてあった。

 「マサミ・・・・今年もスキャッパーは平和でしたよ・・・・」

 アリス夫人はそう呟くと、無言で大ホールに集まっていたスキャッパー各界の著名人に退室を指示する。
 大ホールの中に居合わせた多くの者達は、先代執事の肖像画に一礼して大ホールを出て行った。
111犬国奇憚夢日記 特別編02:2007/01/01(月) 00:26:06 ID:0I/WXK4D


 ・・・・その日
 旧紅朱舘の大ホールは新年を迎えるに当たり、領主へ謁見する客でごった返していた。
 ヒトの世界から落ちてきた執事の尽力により、スキャッパーの改革が軌道に乗り始めて居た頃の話だ。
 領主とその夫は、所領の各界からやってきた実力者達との話で寝る間も無いのが慣例だった。

 順番を待つ実力者達は大ホールに並べられた、領主からの心ばかりの振る舞いと言える食事をとり、そしてワインを飲む。
 その接待をするのは執事夫妻の仕事だ。
 執事は順番を記録した紙を持ち、一人ずつ名前を新年の願いを聞いて記録する係りになっている。
 そして、執事の妻は夫と共に歩き、お客に少しずつのワインをサーブして歩いた。

 その年の大晦日。
 新年まであと15分と言うところで、ある事件がおきた。

 大ホール奥、領主夫妻の執務室前に置かれた執事の腰掛に腰を下ろした執事は、有ろう事か居眠りをしてしまったそうだ。
 こっくり・・・・こっくり・・・・

 次の客が入ってこない事を不思議に思った領主アリス・スロゥチャイム女公爵が大ホールに出たときは、お客の方から「シー」っと静かにするよう言われたほどだ。

 「カナ、静かに寝室へ行って毛布をとって来て」
 「はいアリス様」

 カナはそっと歩いて寝室に入り毛布を丸めてアリス女公爵へと手渡した。
 そしてそれをそっと広げ、執事の肩から被せると、無言で大ホールに集まっていた客へ退室を命じたのだった。

 「カナ、昨日の夜も搾り取ったんでしょ?」
 「う〜ん・・・・昨日は・・・・してない。一昨日かな?」
 「その割りにマサミは疲れてるわね」
 「アリス様じゃないんですか?。今日は朝から疲れてました」
 「え?あ、いや、昨日は・・・・私もしてないし、それに昨夜はポールが居たわよ」
 「じゃぁ・・・・」

 領主と執事夫人が訝しがっている先。
 執事はぐっすりと寝こけてしまった。

 「でも・・・・、マサミはいつも頑張ってくれてるから」
 「そう言っていただければ、主人も嬉しいと思います」
 「カナも大変でしょ」
 「いや、私はそうでも」
 「フフフ。早く子供が出来ると良いね」
 「アリス様も」

 女二人で笑う先。
 腕を組んで眠る男の双肩には重い荷が乗っているのだった。
112犬国奇憚夢日記 特別編03:2007/01/01(月) 00:26:38 ID:0I/WXK4D
 そんなエピソード以来、この紅朱舘では日付が変わる15分前に、大ホールをそのままにして出るしきたりが続いていた。
 今年の終わりは長男ヨシの妻となったリサがマサミの使っていた椅子に毛布を掛ける役になった。

 「リサ、早く子供が出来ると良いね」
 「奥様、頑張ります」
 「ヨシ君をあんまり絞り上げちゃダメよ?程ほどにね」
 「はい、わかりました」

 中に居たお客が部屋を出て行って静かになった大ホール。
 アリス夫人が最後にホールを出て人気の消えたその中。
 雪の舞う影が床に落ち、新しい一年が静かに幕を明けた。

 大食堂に場を移して続く新年の祝宴。
 領主長男の成婚に続き、執事の成婚となったスキャッパー。

 「皆、この一年が更なる飛躍の年となるよう、頑張りましょう」

 領主アリスの言葉に皆が拍手を送る。

 「ねぇリサ。あとでぼくらも頑張ろうか?」
 「うん!。奥様も早く子供が見たいとおっしゃってるし」
 「今年も一年、よろしくね」
 「はい、よろしくお願いします、旦那様」

 紅朱舘の新年は幸せの詰まった空間だった。
113夢日記の人:2007/01/01(月) 00:27:49 ID:0I/WXK4D
 そんな訳でして・・・・
 拙作と貧しいイヌの国ともども、
 新年もよろしくお願いいたします。
114名無しさん@ピンキー:2007/01/01(月) 00:56:54 ID:hgnau8X4
GJ!信頼と絆が伝わってくるようです、今年も楽しみにさせていただきます。
115名無しさん@ピンキー:2007/01/01(月) 00:57:39 ID:hgnau8X4
皆様、開けましておめでとうございます。
山羊と歌うたいの第三話です。

http://www.degitalscope.com/~mbspro/userfiles_res/database/601.txt

時間が掛かった割りにそんなに多くも濃くもなりませんでしたが、宜しければお付き合いください。
今年はもう少しエロ方面を頑張りたいと思います。
116名無しさん@ピンキー:2007/01/01(月) 01:35:22 ID:qkr5c2qQ
なんとなく見てみれば二本も投下されてて驚いた・・

とりあえず御二方ともGJです!
117名無しさん@ピンキー:2007/01/01(月) 08:16:53 ID:F/eRCDaa
>>115
ハダル様かわええなあ。
【そっちかよ】
118名無しさん@ピンキー:2007/01/01(月) 15:35:43 ID:CBy44bGe
>>115
バレリアもザルなのね……
【そこかよ】
119名無しさん@ピンキー:2007/01/02(火) 01:07:41 ID:3yE7AzVQ
あけましておめでとうございます。
新年早々、エロ無しでございますが、投下させていただきます。
120イノシシの国:2007/01/02(火) 01:10:10 ID:3yE7AzVQ


 丸太のように太い腕は、ヒトの少女を横抱きにするには寸足らずだった。
 丸みを帯びた肩では、少女を抱え上げるのにも、毛並みの上を滑っていきそうだった。
 手荒に扱うのも、衝撃を与えるのも、避けたい。バジは苦心して少女を運んだ。
 幸い、近くには水場があった。
 岩肌から清水が染み出し、小さな流れを作る。その苔むした岩場から少し離れて、ぐったりした少女を柔らかい下生えの上に慎重に降ろす。
 草の上に横たわった少女の顔は青白く、血の気がない。
 あちこち破れた着物の下から覗く肌は手足より白い。どうやら手足や顔などは日焼けをしているようだ。
 夏の日差しを思い出し、バジは少女が何処から逃げてきたのか、とふと考えた。
 追っ手の気配は今のところない。
 バジは縞合羽の下から、銀縁杯を取り出し、湧き水を汲んだ。縁の色は変わらない。十分ここの水は飲用に耐えうるようだ。
 それを確認してから、少女の身を起こし、水を口に含ませる。
 荒れた唇を湿らせた滴に、喉が鳴る事はなく。口の端から顎、そして喉元へと伝わり落ちていく。
 それを指で拭いながら、バジは暫し、思案した。
 気付けの一発を決めようにも、どのくらいの力をかけていいのやら、わからない。
 クナのように丈夫な体ならばいつもの通りで大丈夫だろう。
 だが、ヒトの少女は余りにも華奢で小さ過ぎた。
 縞合羽を脱いで、少女にかける。
 それから、少女を改めて見回してみた。
 縞合羽から覗く、すらりとした足。だが、脛やくるぶしには切り傷が見られ、その踵はひび割れている。履物はない。何度か転んだらしい膝は土と固まった血で汚れている。
 バジは念入りに少女の膝を湧き水で洗い流した。
 砂利の埋まった膝の傷を、丁寧に洗い流して、軟膏を塗る。
 それが染みたのか、少女の膝がわずかに跳ねた。
 バジが少女の顔に目をやると、ぼんやりと少女がまた目を開きかけていた。
 湧き水に手ぬぐいを浸し、汚れた顔を拭ってやる。
 その刺激に、少女は、はっきりと目を覚ました。
「ここは……」
「大丈夫だ、追っ手はいない」
 バジは短く返すと、湧き水の下流で、汚れた手ぬぐいを洗う。
 少女はしばらく驚いたように、バジの顔をまじまじと見つめていた。
 その無垢な視線が頬に痛くて、バジは手ぬぐいを絞ると向き直る。
 足を拭こうとすると、少女がさっと足を引っ込めた。
 仕方ないので、自分で拭くようにと、手ぬぐいを突き出す。
「これで、拭くか。それとも水を……」
「逃げた、のに」
 ヒトの少女は警戒するように手ぬぐいに手を伸ばさず、かすれた声で言った。
「何故、そのような……」
 やはり奴隷商人から逃げてきたのだろう。
 しきりと唇を舌で舐めている。唇が乾いて喋りにくいようだ。
 杯でもう一度湧き水を汲み、ヒトの少女に与える。
 ヒトの少女は、杯を受け取らずに、バジの顔を見据えた。
121イノシシの国:2007/01/02(火) 01:11:10 ID:3yE7AzVQ
「……俺が、ネコにでも見えるか」
 ヒト奴隷と言えば、ネコの商人が最も買いたがると聞く。
 だからそう、バジはカマをかけた。
「猫、には見えませぬ。されど、人の顔にも見えませぬ」
 身を起こそうと、横向きになりながら、少女は言う。
 こちらを睨んだまま。はっきりと言葉を選んで。
 妙な事を言うと、バジは思った。
 この世で人といえば、男はほぼケモノの顔立ちと決まっている。自分はどう見ても女には見えないから、マダラの多い場所にでもいたのだろうか。
「あの雷が落ちてから、なせは逃げた。だから、そのような猪の顔に」
 憤怒を纏っているから、そう見えるのですか。そう少女は言葉を続けた。
 言っている事がわからない。
 ただひとつ、なせというのは少女の名だろうか。
「おまえはナセと言うのか」
「聞き及んで、おりましょうに」
 なせは完全に身を起こした。その時痛みでも走ったのか、顔を歪めるが、気丈にも声は発しない。
「知らぬ。それにこの辺りには雷鳴こそあったものの、雷は落ちていない」
 バジの言葉に、なせは強く反応を示した。
 はらりと縞合羽が膝の辺りに落ちて、破れた衣の間から白い肌がちらつく。
「うそ。あんなに樹が白く光って、倒れ込んできて、気がついたらひとりで……」
 夢中で逃げてきたのに。と、なせは肩を落とす。
 『落ちた』?
 バジはその時ようやく、その可能性に行き当たった。
 先程の違和感。あれが『落ちた』時のものだとしたら。
 バジはどう答えて良いものか、迷った。
「……なせの眼が惑うているのか、夢を見ておるのか……」
 ややあって、なせが呟いた。
 なせは水辺に手を伸ばして、手前で止める。
 手が濡れてしまえば、手が冷たさを覚えれば、そこで夢が覚めてしまう、と躊躇うように。
 聞き及んだ事がある。
 落ちたヒトはその事を認めぬと。信じようとはせぬと。
 バジは水面で躊躇った小さな手の上に、自らの手を重ねて、水の中へと潜らせた。
 飛沫がはねる。
 その冷たさに、なせが驚いて身を引く。
「何をなさります、ぬしさま」
 と、ついに喉の渇きが頂点に達したのか、咳き込む。
 バジは重い口を開いた。
「バジだ。その呼び方は息苦しい」
 三度、銀縁杯で湧き水を汲み、なせへとすすめる。
 なせは杯から目をそらし、濡れた手を見つめる。そのまましばらく考え込んでいた。
 思いを巡らせる様を、バジは静かに見守った。
 躊躇いの後、ようやくなせは、杯を受け取り、少しだけ唇を濡らしてから、一気に飲み干す。喉がこくりと鳴った。
 口元を拭う。
「もう一坏か」
 なせの渇きが癒されるまで、それが数度繰り返された。
 ようやく一息ついてから、なせは放心していた。
 濡れた手を見て、もう片方の袖で拭い、口元に手をやる。
 吐息が、零れた。
 その俯いたうなじの細さに、バジは嘆息した。
 どうやって納得させればいいのだろう。
 そもそも、己自身が、それが事実か認め切れていないのだ。
 まだ、どこかの堀町から逃げだしてきたほうが真実味がある。
122イノシシの国:2007/01/02(火) 01:12:19 ID:3yE7AzVQ
 イノシシの国では落ちものが少ない。
 ヌシの領域である御山では、そのような事もあるやもしれぬ。だが、普通に獣道を歩いていて遭遇する事など、あり得ないといっても過言ではない。
 どこぞの国では、落ちもので被害が出たとか、落ちもので栄えたなどという話も聞くが、イノシシ達にとっては無縁の世界である。
 出入りのネコを筆頭とする商人たちの持ち込む珍しい異国の品、それが落ちものかもしれない事はあっても、身近に感じる事はない。
 『白膚』どもの存在があるせいか、ヒト奴隷の需要も少ない。己の事は己で済ます。といっても『白膚』たちの論理はまた別である。もしかすると、堀町の中にも囲われているヒト奴隷たちがいるのやもしれなかった。
「ぬしさま」
「バジだ」
 考え込んだバジを、引き戻すなせの声。反射的に声を荒げたバジは、怯えを固く結んだ拳に見てとって苦笑する。
「ばじ……さま?」
 なせの膝にあった縞合羽を、もう一度肩からかけてやる。
 それを手で押さえて、なせはバジを見上げた。
「何故?」
 ヒトの少女の尋ねる事はいちいちわからない。
 バジは腕を組んで唸った。
「……行き倒れを助けるのは当然だ」
 ようやく思いついたのはただそれのみ。
 だが、なせは、ほんの少しだけ、頬を綻ばせた。
 なせの手が伸びて、バジの腕にかけてあった手ぬぐいをするりと手に取る。
 それで、優雅に腕や手の汚れを拭うと、恥ずかしそうに笑んだ。
「どうかそちらを……」
「ああ」
 バジは言われるままに、体の向きを変えた。
 背中越しに、動く音。そして衣擦れの音。
 帯を解く音。着物が草の上に落ちる音。
「まあ、穴だらけ……」
 バジは振り向きそうになる自分をこらえ、荷の中から着替えを取り出した。
 着替えと言っても、ひとつしかない。今着ているものが濡れた時の予備である。
 帯は今なせが身に付けているものでなんとかなるだろう。
 それを肩越しに放り投げて、バジは湧き水の流れを見つめる。
「ありがとう存じます」
 なせの声が返ってきた。
 堀町には戻れない。
 無数の獣道を思い浮かべ、必死に考える。
 水の流れに混じって、衣擦れの音が響く。
 『冬』は近い。だが、まだ秋も始まりといったところだ。
 なのに。
 バジはまだまだ自分が若いと思った。
123イノシシの国:2007/01/02(火) 01:14:14 ID:3yE7AzVQ

 なせの着替えの間、ずっと考え続け、思いついたは隠れ里。
 この辺りで一番近いのは樹の民の棲む鞠の里だ。イノシシ達とは普段交じり合わなかった。
 イノシシの国では、こうした隠れ里が点在しており、特にイノシシたちも咎め立てはしていない。
 水場でのヒトの痕跡を消し、支度を整え、ひょこひょこと歩くなせを連れ、日が傾くまでひたすら歩いた。
「確か、この辺りに……」
 山深い森の大樹の前で立ち止まる。
 眼前の大樹には巨大な樹洞があった。中は暗い。
 その樹洞の入口は、バジの背より高く、幅はなせがようやく入れるほどだった。
 バジにはせいぜい、首を入れる事しか出来ない。
「ごめん」
 バジは大きな声で呼ばわった。
 しん、と静まり返る森。
 バジの声だけが、いつまでも樹洞に反響していった。
 その最後の木霊が消えかかった時。
『ここはどこの細道じゃ』
 樹洞から囁くような唄い声が降ってきた。
 なせがそっとバジの腰辺りにしがみつき、不安そうに辺りを見回す。
 バジは咳払いをした。
「鞠山衆の細道じゃ」
『御用のないもの通りゃせぬ』
「この子の……」
 とそこまで口上をいって、縞合羽に包んだ少女を見やった。
「この娘のことで御用あり」
『娘?』
 ざわざわざわっと、木の葉が鳴った。
 森がざわめくように、二人には聞こえた。
 気配が変わる。
 バジは片手をなせの肩に置いて構えた。
 大樹の枝から、幹から、木の葉の陰から。
 二人を狙う鈍い銀色の光。
 木漏れ日を受けて光るそれが無数に二人を狙っている。
『……イノシシの旦那衆とお見受けする』
 声は、樹洞より響いた。
 背丈はなせより低く、棒杖を手にしたネズミの老人が姿を現す。
 不思議な事に、ネズミの老人はさかさまに立って見えた。尾は長い毛に覆われている。
 樹洞の奥から姿を現した老人は幻なのか、現なのか、二人には一瞬見分けがつかなかった。
 ネズミの臭いは先程から無数にする。
 だが、老人のいる樹洞からは、樹の香が強過ぎて臭ってはこない。
「炭焼きのバジだ」
『何処の里の御仁か』
「生まれは……ここから西の『要』の麓だ」
『ほう。……それは。我らのわらべ歌をご存知なのも無理もない』
「鞠山衆よ。いつから、訪ね人を威嚇するようになった?」
『近頃は物騒になりましてな。赤膚や黒膚は無粋なのが多い』
「もうすぐ『冬』だ。そろそろ奴等も落ち着くだろう」
 なせは会話の意味がわからないのか、さらにバジの腰にしがみついてきている。
『冬は我らの眠りの時。その前に我らが警戒するのも道理でござろう?』
「うむ……」
 バジは、今さらながら、自分の選択に迷いを生じ始めていた。
124イノシシの国:2007/01/02(火) 01:18:08 ID:3yE7AzVQ
『それで何用か』
「この娘を……」
 バジはなせを前面におしやった。
 なせはいやいやをするように、顔をバジの腹辺りへと埋める。
『それは……ヒトの娘か!』
 老人の声に驚きが加わった。
 頭上から、ざわざわと木の葉がざわめく音がする。
「この娘を……」
『我らに捧ぐか。それはありがたい』
『冬の足しにしようぞ』
『……良い値で売れる』
 老人以外の声がざわざわと叫ぶ。
「いや、俺は」
(『冬』の前に足手まといだから、預けようと思った)
 そう言いかけて、バジは押し黙る。
 なせはいよいよ、バジにしがみついて離れようとしない。
「……か」
 なせがぶつぶつと呟いているのに気付いて、バジは耳を寄せた。
「やはりイノシシの姿でも人買いには変わらぬか」
 今まで視界に入っていなかったが、よくよく見ると、なせの足は震えていた。
(俺は……)
 バジは周囲を見渡して、深呼吸した。
 山深い森。『冬』になればこの辺りなら雪も降るかもしれない。
 そこに慣れぬネズミに囲まれて、いや、『冬』を眠ってやりすごす一族の中に放り込んで、自分は『冬』を堪能する。
 それは……。
 違うと思った。
「この娘に合う寸法の服を一揃い、いただきたい」
 懐から金子をとり出して、頭上にも樹洞にも見せびらかす。
『……今着ている物は旦那衆のものか。道理でヒトの匂いがしないはず』
 老人の溜め息の後。
 しばらく樹洞の奥で囁きあう声がした。
『これでよかろうか』
 ぱさり、と、バジの前へ小さな着物が一揃い落ちてくる。
 なせが屈んで、拾い上げた。
 赤い小袖。
「ちと目立ち過ぎる」
『見失わずにちょうどよかろう』
 笑い声がこだまする。
 バジはしぶしぶ対価を樹洞の中へ投げ入れた。
 落ちていく音がしない。
 吸い込まれたように静寂があった。
 老人の姿は消えていない。
 頭上から狙う銀色の光も消えていない。
 バジは金子を余分に投げ入れた。
 ネズミの老人がにやりと笑う。
 杖を振ったかと思うと、姿が消えた。
『通りゃんせ 通りゃんせ』
『行きはよいよい 帰りはこわい……』
 唄い声に見送られて、二人は早々に樹洞を後にした。
125イノシシの国:2007/01/02(火) 01:19:06 ID:3yE7AzVQ



 木陰から離れ、闇に浮かび上がる炎がひとつ。
 照らし出すのは、森と、その前に浮かび上がる小山のような影。そして、反対側に細く小さな影。
 木々と、影の間には距離があって。炎が草の影を揺らしている。
「ばじさま」
 焚き火の横で、俯いたなせが呟く。
 草叢に虫の声。焚き火のはぜる音。なせの声は意外に大きく響いた。
 二人とも、それまで無言だった。
 鞠山衆の唄い声が、いつまでも二人の後ろをついてくるようで。
 ようやくバジが今夜の寝床を決めても。
 そこから離れた場所で煮炊きを始めても。
 なせは小枝集めを手伝いはしたが、交わす言葉はなかった。
 小袖はなせの膝の上。身に付けようとはしない。 
「なんだ」
 バジは噴いた鍋から目を離さず、答えた。
 水場で汲んだ水を小鍋に入れ、五穀粉を振り入れる。それをぐるぐるとかき混ぜていけば、粥が出来た。
 味加減を決めるために、袋から塩の塊を取り出し、膝に置く。
「さじはひとつしかないぞ。先に食え」
 塩加減を決めぬまま、バジは粥を一すくいし、さじをなせへと差し出した。
「……いえ、ばじさま」
 意を決したようになせが顔を上げる。
「なんだ」
 バジは目を細めた。
 元々傷跡で開かぬ右目と相まって、それはどうにも脅しているようにも見えた。
「なせを、お連れくださいませ」
 動じず、きっぱりとなせが言う。
 バジは無言でさじの粥の出来加減を確かめた。
 が、火傷しそうになってむせる。
「ばじさま?」
 なせが中腰になって、水を、と探す。
 小袖が膝から落ちる。
「大事ない」
 そういって、焚き火近くに落ちた小袖を拾うように促す。
 なせは慌てて座り直した。大事そうに小袖を畳んで脇に置く。
 バジはさじを鍋に突っ込んで、今度はなせの口へと運ぶ。
「ほら」
 なせは息を吹きかけて冷まし、今度は身を乗り出して食べた。
「どうだ」
 なせはほふほふと、頬を染めて食べている。
「塩気が少のうございます」
「そうか」
 バジは塩の塊を削ってぱらぱらと鍋に振った。
「……食え」
「あの、ばじさま?」
「……食わぬと明日も歩けぬ」
「はい」
 なせは力強く頷いた。
 バジは何食わぬ顔で、さじをなせに手渡した。
 その後、なせにさじの粥を食わされるとは思わずに。
126イノシシの国:2007/01/02(火) 01:22:00 ID:3yE7AzVQ
イノシシ編 弐(了)


-----------------------

補足

鞠山衆
 マリネズミを想定しております。



------------------------

今年一年がこのスレにとって、皆さまにとってよい年でありますように。
では、次回、ヒト編にて。
(エロが入るといいなあ)
127名無しさん@ピンキー:2007/01/02(火) 04:59:02 ID:ltQ9Kp0w
新年そうそう今年の干支キター!
128名無しさん@ピンキー:2007/01/02(火) 10:28:45 ID:8bHb56x2
>>120
干支キター! GJ!

「ぬしさま」(;´Д`)ハァハァ
なんつーか「ご主人様」以外の呼称って変にグッとくるものがあるw
「旦那様」とか「御館様」とか萌えるw
129名無しさん@ピンキー:2007/01/02(火) 10:57:30 ID:DRZXkDF3
抑えた感じの文体が、心地よいですね。gjでした。
130名無しさん@ピンキー:2007/01/02(火) 17:34:22 ID:Dz2fZAkV
なんか、和風というか…もののけ姫?っぽい雰囲気なのがイイ。
てか、ひょっとしたら落ちヒトの彼女がが現代人では無いのだろうか。これは新しい。
GJ。次も楽しみ。手掛けられているもう片方の作品もすごく気になる。でも彼女のこととかぬしさまのこととかも気になる。

>>128…俺、いつレスしたんだ。「ぬしさま」イイ。
なんかこう、ネコミミなおなごに萌えているのか、普通のヒトのおなごに萌えているのか分からなくなってくる。
131名無しさん@ピンキー:2007/01/02(火) 19:17:41 ID:8bHb56x2
もしもスレ住人がヒト召使を飼ってる獣人だったとしたら、どんな呼ばれ方をしたいか聞いてみようかw

1.ご主人様
2.(名前)様
3.旦那様
4.御館様
5.ぬしさま
6.雑巾
7.あなた
8.おにいちゃん(おねえちゃん)
9.ますたぁ
10.名前呼び捨て
11.その他

6を選ぶ奴はいないと思うがw

132名無しさん@ピンキー:2007/01/02(火) 19:31:35 ID:r3iU6X4A
御館様ってのは夢日記の人のあの方だけっぽいけど、あれば紅朱館(なんて読むんだろう?)の主人だからだろうね。
館の主人と領主が別と言うネジレた環境故なんじゃないかと愚孝しますが、どうでしょうか?>夢日記の人
133名無しさん@ピンキー:2007/01/02(火) 20:38:30 ID:ltQ9Kp0w
>>131
旦那さまって、いいなっ!
134名無しさん@ピンキー:2007/01/02(火) 21:03:48 ID:Dz2fZAkV
>>131
1位 9
2位 5
3位 11(にーさん)
次点 6

…ごめんねアブノーマルで!!1!
135名無しさん@ピンキー:2007/01/02(火) 21:37:51 ID:B7TYI7x1
>131
10もしくは11で、「我が君(わがきみorマイロード)」とか「主(あるじ)」とか
……いつの時代から落ちてきたヒトなのやら。
しかし、こんな風に呼ばれるに値するご主人様でいるのは大変だろうなぁ。

136名無しさん@ピンキー:2007/01/02(火) 22:04:29 ID:8bHb56x2
>>135
ちょwマイロードてwww

とりあえずアレだ、おまいの横にはべすぺたんつけといてやる。
137名無しさん@ピンキー:2007/01/02(火) 22:48:26 ID:Dz2fZAkV
別に時代が古くなくてもご主人様が強要すればいいじゃ(ry
138名無しさん@ピンキー:2007/01/03(水) 11:35:36 ID:oUUferwV
「ご主人様、とお呼びすればいいんですか?」
「ふむ、その呼び方は堅苦しくていけないね」
「ではなんと?」
「おにいちゃん、だ」
「は?」
「おにいちゃん、だ」(死ぬほど力強く)
139名無しさん@ピンキー:2007/01/03(水) 13:59:47 ID:T4/xb72A
ドMでイヌのご主人様の場合
「……卑しいイヌとお呼びください」というわけか
140名無しさん@ピンキー:2007/01/03(水) 14:32:38 ID:oqVQ7XIg
>>138
頭にチョコレート詰めた犬探偵と鉄錆色した苦労症のジャガーを
足して2で割ったご主人様を幻視した。

男女が逆だと猫耳ご主人様に
「兄様と呼んでもよろしいですか?」(おどおどしつつも精一杯な上目使いで)
とか言われるわけかっ。
141名無しさん@ピンキー:2007/01/03(水) 15:12:51 ID:PZLWAMIN
>>138
あれ、何でこんなところにユパが(ry

>>140>召使いを兄呼ばわり
それじゃ某ネズミ姉妹の妹じゃないかw

でもそういう、「ご主人様が召使いを目上の人っぽい呼び方で呼ぶ」パターンもあるんだろうな。「ずっと兄が欲しがった」とか「死んだ兄さんに似てるの」とか。で、召使いが恥ずかしいけれど断るに断れない。仕方ない。みたいな。

…まぁ、わざわざモノであるヒトにそこまで愛着を持つこと自体、稀有な事なんだがな。
142名無しさん@ピンキー:2007/01/03(水) 15:54:01 ID:tYOPEvKU
>>141
教育係がヒトだった、とか。
それで「せんせぇ、せんせぇ」と懐かれたり。
143名無しさん@ピンキー:2007/01/03(水) 17:43:09 ID:kg9OB2Xv
>>142
それなんてフユキ?w
144名無しさん@ピンキー:2007/01/03(水) 20:51:40 ID:PZLWAMIN
生徒に懐かれるフユキ先生。
「ふゆきせんせぇ、だーいすき!」

…シュナ先生?ほらほら、相手は園児だから。妬かない妬かない。


と、続いて純粋無垢そのものである園児特有の言葉が。
「あたしね、しょうらいは、ふゆきせんせぇのおヨメさんになるの!」

…シュナ先生?あの、嫉妬オーラというか、なんかでてますよ?…もしもーし…



…ピューマ様、ホントにごめんなさいw
145名無しさん@ピンキー:2007/01/04(木) 00:06:12 ID:GguZ11T5
>>131
なんというか、
12人の御主人様と同居するアドベンチャーゲーム、とか妄想してみる。
146名無しさん@ピンキー:2007/01/04(木) 00:41:24 ID:gV+9jgCs
>>145
スレ違いなんだが、コイツを思い出した。

Brother (お兄ちゃま/花穂)、Big brother (お兄ちゃん/可憐)、bro-bro (おにいたま/雛子)、big bro (あにぃ/衛)、
dear brother (お兄様/咲耶)、brother dearest (兄チャマ/四葉)、brother mine (兄上様/鞠絵)、あと5つある。
BROTHERの呼名、一体どんだけ多いんだよ!!!?? (ペンシルバニア州 19歳 男性)

第2回:嫌いな日本アニメは?:シスタープリンセスの項目から
ttp://moonlight.big-site.net/misc/kirai2.html
147146:2007/01/04(木) 00:42:29 ID:gV+9jgCs
>>146
もし、非常に多産、もしくは、複数所帯がまとまって暮らす決まりのある種族がいたら、兄弟の呼称が素でこういう複雑なのものもありうるか?
昔の中国なんかの場合は、排行(はいこう)とかいって、同姓の一族の同じ世代(兄弟+従兄弟)の間で年齢順に、
太郎(たいろう)・二郎・三郎や大娘(たいじょう)・二娘・三娘と、ある意味シンプルに呼んだりしたらしい
大家族の場合、二十郎とか三十郎なんかもあったとか(w
148名無しさん@ピンキー:2007/01/04(木) 02:11:00 ID:vlDjHOM0
異世界自身に名前は無いのか?

たとえるなら「MAR」とか
「ブレイブストーリー」にも出ているようなやつ?
"こちら"を人間界としたら、"あちら"は獣魔界(獣人と魔法)とか
149名無しさん@ピンキー:2007/01/04(木) 02:16:38 ID:OGfvIzHA
行き来できるわけじゃないから、こちらとあちらという概念自体が薄いんだと思う。

そもそも俺は特に名称の無いこの世界に住んでいるので
世界自体に名前がある方が違和感感じるけどw
150名無しさん@ピンキー:2007/01/04(木) 10:09:02 ID:b2HemNLP
そういや俺のSS、舞台の国の名前をまだ決めてなかったw
いつまでも○○の国ってのも何だしなあ。
151名無しさん@ピンキー:2007/01/04(木) 13:36:39 ID:fs3TOCbo
国名……決めてる人は決めてるもんなぁ。
とりあえずカモシカの国は【ハトゥン・アイユ】、獅子の国は【杜】が国名と言うことで。
けど、正直な話、書いてるほうも堅苦しいと思うんで、今までどおり「カモシカの国」「獅子の国」でいいですw

そういえば猫の国って国名ありましたっけ。
152名無しさん@ピンキー:2007/01/04(木) 15:01:53 ID:fs3TOCbo
>>148
当分は「こちむい界」でいいんじゃないだろうかw
153名無しさん@ピンキー:2007/01/04(木) 15:30:08 ID:vc5hjMl0
遅レスだがイノシシGJ。
しかし干支か… 
子:もう出た 牛:出てない? 虎:もう出た 兎:もう出た
龍:突然超少数最強民族村の明るい龍人おねーさんと何故かBGMに「燃えよドラゴンズ」が流れるイメージが浮かんだ。
154名無しさん@ピンキー:2007/01/04(木) 16:50:50 ID:vc5hjMl0
sage忘れスマソ
155名無しさん@ピンキー:2007/01/04(木) 16:51:58 ID:UvxYDCxz
干支で出てないのは何だっけ…
猿をヒトと考えると、出てないのは牛,龍,馬の三つだけか?
156名無しさん@ピンキー:2007/01/04(木) 18:51:37 ID:qpjIVajj
『貧ぬー』だけど、やたら感度の良い牛姫様の小ネタならかなり以前に見た覚えあり
157名無しさん@ピンキー:2007/01/04(木) 21:43:56 ID:/K36UV+3
でも、龍は見聞録にて魔物(原型)扱いだったから人型はいない希ガス
馬もいろんな乗り物扱い(原型)だから牛だけかな・・・?

まぁ、個人の妄想だけどねw
もしかしたらシマウマとか、ヒポグリフとかいるかも
158名無しさん@ピンキー:2007/01/04(木) 22:27:20 ID:E1cZBr2z
猿ではないが、ヒヒなら出てたな。無の砂漠に隠れてた野党集団。
159名無しさん@ピンキー:2007/01/05(金) 17:53:50 ID:xb64ML/3
竜は強い生き物ってイメージだが・・・
こちむいワールドにおいては、魔法とか基礎体力が上の世界よりはるかに高いから、

一般人VS竜 ≒ 観光客VSゾウ
魔導師VS竜 ≒ 火器武装軍人VSゾウ

伝説級の竜以外は、上みたいな感覚でよいんじゃなかろーか。
軍人も魔導師もピンキリあるだろうし。

案外、「ふれあいドラゴン牧場」とかで草食竜がノソノソしてたりして。
そして猫の主婦が「最近はDSEで輸入が規制されて食卓の花が・・・」とかつぶやくとか。
(BSEのBってウシ亜科(反芻亜目)Bovinaeっていう、水牛やバイソン含むものらしい)
160名無しさん@ピンキー:2007/01/05(金) 20:51:07 ID:3slyJOSh
竜人族のツンデレ娘に萌える俺ガイル
161名無しさん@ピンキー:2007/01/05(金) 23:47:40 ID:y6n36WzA
寧ろただの竜に萌えちゃう俺は萌えドラスレの住人も兼任してまつ
162名無しさん@ピンキー:2007/01/06(土) 00:45:03 ID:wuiW8bDQ
寧ろただのツン(ry
163名無しさん@ピンキー:2007/01/06(土) 03:07:29 ID:knn9J9FG
寧ろツンドラ
164名無しさん@ピンキー:2007/01/06(土) 10:17:39 ID:0lW1Hrxz
ツンデレドラゴン・・・略してツンドラ?
165名無しさん@ピンキー:2007/01/06(土) 10:59:34 ID:xNn3P0Z0
竜がただのツンデレなんてヤダ。
ツンツンツンツンツンツンツンツンツンツン(中略)ツンツンツンツンデレぐらいが本当のドラゴンだよ。
166名無しさん@ピンキー:2007/01/06(土) 11:54:17 ID:Z+Xw2w9X
デレにたどり着く前に死ぬよそれwww
167名無しさん@ピンキー:2007/01/06(土) 12:03:08 ID:knn9J9FG
ライオンがデコピンで脳震盪起こせるんだから、
ドラゴンはビンタで頭蓋骨骨折くらい簡単だろうな
……こええ!
168名無しさん@ピンキー:2007/01/06(土) 12:23:44 ID:nKwqPmqU
いや、頭が飛ぶかもしれないぞ
169名無しさん@ピンキー:2007/01/06(土) 12:34:20 ID:wiLo/rd0
>165
それなんて巣作りドラゴン?
170名無しさん@ピンキー:2007/01/06(土) 15:11:53 ID:9a/W6/YP
頭を飛ばしても臓物をぶちまけても強力な魔法で再生してくれるに違いない

ぴぴるp(ry
171名無しさん@ピンキー:2007/01/06(土) 16:13:29 ID:BoQJxeHj
>>170
死をもってしても奴隷(召使い)から開放されないなんて・・・
ああ、ツンドラ恐ろしや
172名無しさん@ピンキー:2007/01/06(土) 16:49:55 ID:KSx+qKtS
>>169
服従のポーズ ○|_| ̄
173名無しさん@ピンキー:2007/01/06(土) 19:42:17 ID:Q9ex1kMh
ぎゃくにデレデレドラゴンというと、ドラゴンズ・ウィルを思い出すな。
174名無しさん@ピンキー:2007/01/06(土) 19:46:17 ID:PvIa2WqO
>>172
服従しようがきっと問答無用だろうなぁ
○))... |_| ̄
175名無しさん@ピンキー:2007/01/06(土) 20:59:53 ID:jQ2H28HB
数があんまりにも少ないんで、国が成立してなさそう
176名無しさん@ピンキー:2007/01/06(土) 21:58:49 ID:h7GdBhZa
大丈夫だって、一匹(?)で一国以上の存在感だからw

ぶっちゃけ。ネコでもイヌでも、それこそトラでも獅子でも国家単位で戦挑まれたって
全く歯が立たないくらいのほうがドラゴンらしいしw
177名無しさん@ピンキー:2007/01/06(土) 22:07:58 ID:CmU5R78e
>>176
ディンスレイフが倒して調子に乗ってた奴はドラゴンじゃなくただのでかいトカゲに過ぎなかったってくらいの圧倒的な強さか。
それはそれで怖いな。
178名無しさん@ピンキー:2007/01/06(土) 22:39:57 ID:MSZxFDSJ
絶対的な存在ゆえに脆く儚いヒトを愛する…か。
なんか良いな。
179名無しさん@ピンキー:2007/01/06(土) 22:41:03 ID:KEk+gqg/
無の砂漠の黒龍とか、かなり圧倒的な強さじゃないかと思った。
萌えないけどw

そんなことより、ドラ娘なら喉の下の一枚だけ逆向きの鱗が性感帯で、いじられたら力が抜けてふにゃんとかわいらしくなってほしい。
で、えっちの余韻を楽しんでいるうちに我に返って真っ赤になって大暴れしたりw
180名無しさん@ピンキー:2007/01/06(土) 22:51:28 ID:opxMCCXd
また頭吹っ飛び再生だなww

ま さ に 束 縛
181名無しさん@ピンキー:2007/01/06(土) 23:14:20 ID:9a/W6/YP
いつの間にか伝説の龍タンに萌えるスレと化してるなw素晴らしいw
182名無しさん@ピンキー:2007/01/06(土) 23:53:29 ID:h7GdBhZa
どっちかと言うと……

あ……あのね……実はね……
喉の下以外にもね……
げ……げき……逆鱗が……あるの……
探して……くれる?(上目使い)

183名無しさん@ピンキー:2007/01/07(日) 00:46:18 ID:t7eZwAkf
Hの時は弱気なドラゴン萌え
184名無しさん@ピンキー:2007/01/07(日) 12:01:59 ID:QewTeM+v
魚人(人魚?)が猫の好む海産物採ってる世界だから、
竜人が食用竜とか飼育してても問題ないような世界観かもナ。
でも、食用でも竜は竜。あばれると他種族には手がつけられない。
寿命も、猫より長くっても問題ない。

Q.竜族って猫族より寿命長いって事だと、猫が人間では最長寿って法則が崩れますが、いかがですかマナ姫?
A.あれはヒトとは逆ベクトルの意味で人外だから数に含めないのにゃ。
185名無しさん@ピンキー:2007/01/07(日) 12:16:53 ID:zudN6wLF
竜族は不老不死説を推定
死なないんだから寿命という概念がないw
186名無しさん@ピンキー:2007/01/07(日) 15:53:21 ID:67elT59W
久しぶりにここ来たら流れ的に竜萌えスレかと勘違いしたw

…実は不肖私、そこのスレ向けのSSを考えている最中、ここのスレを発見しまして。
…寝取られたというか何というか、このスレで竜(竜人)族のご主人様と落ちヒトの旅物語をやりたいなぁ、とまでは思っていたんですよ。
…ですが、実は蛇の国では"竜とは蛇族の遠い祖先"という扱いになっているので、そいつらが普通に存在するとなると蛇担当様の方にご迷惑になるのではないのだろうか…と思っていまして。
それに竜というとファンタジーモノや神話では最強の生物の内の一種という扱いがほとんど。(現に某大魔法使いがそのような事を述べていたり、某話では龍といわれてる存在がエラい恐ろしかったり。)
これらの血を持つ存在がゴロゴロいるとなると世界のバランスがあぼーんする事も無きにしもあらず。かといって種族自体が弱いのもイマイチ説得力が無い。
それに自分、このスレに数々の作品を投下されている作者様に比べ、実力も知識も底が知れてるような未熟者。そんな自分がこんなデカい存在の国を手がけるのは止めた方がベターかなぁ…と思いまして。
…ですからとりあえず、お箱入り。また蛇担当様の物語の運びを楽しみにしながら、自分は別の作品を作っていつか実力ついたらやってみたいなぁー。と思っています。
と、ここまでは今の流れに乗って自分が言いたかったことを勝手に言わさせていただきましたが、更にここで2つ質問する事をご容赦下さい。
一つは蛇担当様に。上に楽しみにしていると言いながら野暮かも知れませんが、あなた様の物語の中で"竜"は何か扱う予定はございましたでしょうか。
ネタバレとか内容に関わるなら黙秘でもokです。その場合明らかになるまで楽しみにしてますので、あなた様なりの考えを述べていただければすごく幸いです。
そしてもう一つ、これは皆様に。
……竜×人に、需要ありますでしょうか。もしあるなら国を出す前に種族そのものを出せるなら出したいなぁ…と考えています。
…超長文申し訳ないですorz
187蛇担当:2007/01/07(日) 16:19:50 ID:qe5rkDQB
ドラゴン出す気はないですよ。あれは、単にそういう祖霊信仰なだけです。
実際ドラゴンの子孫なのかは、神のみぞ知る。ってところで。
188名無しさん@ピンキー:2007/01/07(日) 16:31:34 ID:qe5rkDQB
あとは個人的意見ですが、たぶんドラゴンってのは「でたらめに強くてデカい非人型生物」におくる称号なんじゃないですかね?
だから、種族などなくそのすべてがただ一つの異形。
故に伴侶なく家族なく同胞なく、ドラゴンとして振る舞えるんじゃないですかね?
189名無しさん@ピンキー:2007/01/07(日) 17:35:56 ID:+LUw7X8W
申し訳ないですが、一人の読者としての意見として竜は出してほしくないような…
これまでの世界観を崩してしまいそうです。モンスターとしてならいいんですが…

190名無しさん@ピンキー:2007/01/07(日) 17:49:43 ID:jvzIj1Kq
竜を意味も無く最強レベルの強さをもつ種族として
物語に出すだけなら189と同意見。
でも竜×人の話自体は読んでみたいなとも思う。

現時点で各国の立ち位置が大分固まってきちゃってるから、
他国と絡ませるならかなり大変になりそうだけど、
……超小国家、極少数人数とか、
実は蛇の国の中で隠れて生きてたりとかの設定ならいけるか?
もしくは、最強レベルの力は持ってるけど使用条件があるとか。
191名無しさん@ピンキー:2007/01/07(日) 18:28:40 ID:67elT59W
>>188即レスしていただきまして本当にありがとうございます。
そうですね。セト教の教義というか、言い伝えみたいなもの…とwikiに書いてありましたね。了解しました。
それと貴方様の述べる"ドラゴンの定義"。正直、目から鱗モノでした。ドラゴンと呼ばれる生物が様々な外見を持っているのはこういう考えからなのか…。

>>189-190やっぱり世界観の崩壊を考えると竜ってのは厳しいですよね。現存しない生物だからイメージできなかったり、抵抗ある人もいるでしょうし…。
自分の考える竜族は、種族自体はやたら強いなんてことはなく、外見も基本はこの世界にある♂や♀のとかマダラとかケダマのような外見を持つ。
それに加え、種族の中にそれぞれ秀でた部分が存在する3つの族があって、
その3つの族がそれぞれ3竦み的な役割をはたす。その中で更に空を飛べたり、走るのが速かったり、水の中の方が動きが速かったり。
と、それぞれの個性が存在するような種族にしようかな。とまで思っていました。
外見が鱗がある爬虫類みたいなもの、毛がある獣みたいなもの、一方で鱗も毛もないつるつるのもの等、ドラゴンには外見にバリエーションがありますから、そこを活かしたいな、と。
…しかし、コレやるとなると個体数増やさない限り設定を持て余すだろうなぁ…。だが個体数増やすとマズい。
…国そのものを、本大陸からやや離れたいくつかの島からなる島国にする…。なんてことしたらやり過ぎ感がするような……

やっぱりここじゃやんない方が無難ですかね。(´・ω・`)
192名無しさん@ピンキー:2007/01/07(日) 18:45:39 ID:minbsp8O
>>191
うん。ぶっちゃけ人外スレでやった方が安全かと思う。
193名無しさん@ピンキー:2007/01/07(日) 19:07:51 ID:bn+Umsgv
ならいっそ竜族を
「高度な科学力を持つが故に滅びかけた稀少種」で
「科学力はあるが基本的な身体能力は以外と低い」的な感じでどう?
194名無しさん@ピンキー:2007/01/07(日) 19:27:17 ID:v7rmiaDi
一生懸命こじつけするよりだったら、別のスレでやったほうが自由に出来るかも。
まぁでも、こー言う話題って避難所向きじゃ?w
195名無しさん@ピンキー:2007/01/07(日) 19:50:03 ID:minbsp8O
コモドドラゴン娘という離れ業の解釈なら【ただのトカゲ娘になったという】
196名無しさん@ピンキー:2007/01/07(日) 21:22:40 ID:67elT59W
そうですねー。確かにほかのスレでやった方が無難かも。
それにそんなドラゴンなんか出さなくてもモデルに出来る動物まだまだいっぱいありますしねぇ。
…という事で、今までの自分の蘊蓄はスルーで。いつも通りにどぞー。

…とかいっときながら、竜も食える人ってどれくらいここにいるんだろう?見たところ某スレの住人さんも多いようなw
まさかこのスレでツンドラなんて単語聞くとは思わなかった。
197名無しさん@ピンキー:2007/01/07(日) 21:49:57 ID:8ZYmw7Z+
果たして、竜族の存在はこちむい世界を壊してしまうのだろうか?
なんだかんだで一日考えていたけど……

喧嘩を売るつもりじゃないが、竜族の存在程度でこちむい世界のイメージが崩れる程度の読者など
はっきり言ってしまえば全く必要無いし、むしろ、読まなくても良いから消えうせて欲しい程度なのでは?

作者の能力限界(本来、この表現も好きじゃないが)として、竜族の存在がこちむい世界のバランスを崩すようなら
それは全く不要な存在だろうけど、そうでなくて、こちむい世界における最高・至高の存在として龍族(竜に非ず)があり
その僕として、言い変えれば地上代行者的な存在として龍とその召使があれば、それは物語になるんじゃないかと。

だから、いつぞや出てきた、こちむい世界になじめなかった落ち物のヒトが、こちむい世界を放浪した末、
偶然巡りあった至高の存在との関係を基幹に据えるような物語なら、私は読みたいし、描いてくれる人を応援する。

言いすぎの傾向があるのは重々承知している。
ただ、最近の風潮として、あまりに事なかれ主義的な、アレはだめ!これもダメ!が蔓延ってる気がしてならないので、
あえてキツイ表現をとらせてもらいました。気分を害した方に心から謝罪しますが、主張は曲げません。
198名無しさん@ピンキー:2007/01/07(日) 22:26:46 ID:qUm7M+QW
なんだか面白げな議論の中すいませんが、ちょっとお願いがー
前スレのログをお持ちの方がいたらwikiに上げてくださると助かります。
199名無しさん@ピンキー:2007/01/07(日) 22:27:50 ID:UwMtCIc1
>>197
まあ、止めはしないから好きにしてください。
いい作品ならGJと書くし、地雷なら黒歴史にして存在ごとスルーするまでです。
200名無しさん@ピンキー:2007/01/07(日) 22:32:04 ID:YsMQoi3Y
>>199に同意。投下した後にボロクソ言われてもいいと思えるならご自由にという程度の話。
201名無しさん@ピンキー:2007/01/07(日) 22:36:44 ID:+dZ1pI2G
>>198
あ、俺上げる。ちょっとまってて。
202名無しさん@ピンキー:2007/01/07(日) 22:44:01 ID:+dZ1pI2G
>>198
おまたせー
203名無しさん@ピンキー:2007/01/07(日) 22:55:34 ID:qUm7M+QW
>>201-202
仕事早っ! ありがとう!
204名無しさん@ピンキー:2007/01/07(日) 23:04:15 ID:67elT59W
>>197お心遣い、本当に感謝致します。
確かにあなた様の仰るように、自分の考えているストーリーは、『大きい存在が小さな存在に対してどう接していくか』が根幹のテーマです。
しかし、それは果たして『龍』という設定を用いる必要はあるのか。
…あなた様が仰っている作品の作者様は、確かこう述べられた記憶があります。『自分が、そして読んでいる人が萌えられるかどうかで、設定はただの手段に過ぎない』と。
そして自分自身も、作品を書いていく上での何よりの励みは、読んでくださった方々の『良かったよ』などの感想をくださる事だと思っています。
だから自分はできるだけたくさんの人に喜んでほしいし、まして読んでくださる方を選ぶという事は、作品を出すという行為そのものを否定する。そう思っています。
だから別の設定を用いようと決めました。
…本当に、こんな自分の為にいろいろ考えてくださって、いくら感謝してもし切れません。
いつかあなた様の応援、そして皆様に喜んでいただけるよう作品を作れるように、未熟ながら精一杯邁進して参ります。

なんだか本当に空気を乱してしまった上に長文ばかりですみません…重ねてお詫び申し上げます…。
205名無しさん@ピンキー:2007/01/08(月) 13:17:48 ID:7jeDKUtx
種族はなんでも良いから、もっとエロイ話を書けよ
政治とか興味無いし、説教臭い話はどっか違う板でやれ
ウザイから
206名無しさん@ピンキー:2007/01/08(月) 13:31:42 ID:RXEQf7XE
>>197
……なにやら数ヶ月前の自分を見たような気がしてちょっと穴のなかに落ちたくなったw
207名無しさん@ピンキー:2007/01/08(月) 14:25:38 ID:0ta9j/Bc
エロ書きたいけど、ちゃんと物語にもしたいから
なかなかエロに辿り着けなかったりするよなぁ……
208名無しさん@ピンキー:2007/01/08(月) 14:42:59 ID:MbEpw4lY
読み手としては、なかなかエロに辿り着かなくてもいいけど
エロを入れることは大前提にしてほしいよね、やっぱ。
209名無しさん@ピンキー:2007/01/08(月) 14:51:23 ID:9fNbIEUI
遠慮なくエロ話に入れるエロパロ板であって、エロ話の義務化ってのは微妙だと思うよ、実際。
よその板だとエロ禁ってところがあるから、やむを得ずここに来ている訳でw
210名無しさん@ピンキー:2007/01/08(月) 17:38:33 ID:gwZVyTlz
ほかのスレをみてもわかるように、エロなしは以外とあるから
純粋に書きたいストーリーを書いて、そこにエロなりなんなりを加えたらどうかな?
211名無しさん@ピンキー:2007/01/08(月) 18:11:33 ID:RXEQf7XE
エロの有無に関わらずGJをいっぱいもらってる間はその路線で続けてもいいんじゃないか?
212名無しさん@ピンキー:2007/01/08(月) 18:33:13 ID:kDVZKHVw
叩かれる覚悟さえありゃ何書いたっていいと思うけどね。実際止めようもないわけだし。
まあスレをむやみに潰されたり荒らされたりするのは困るけどさ。
213名無しさん@ピンキー:2007/01/08(月) 23:49:36 ID:jx74G2lT
どんな話にせよ、完成して投下するまでは埒外ということだな。
エロ入れるどころか投下することすら義務じゃないんだし。
214名無しさん@ピンキー:2007/01/10(水) 09:50:08 ID:I9+Z6Vpw
冬休みも終わったし、エロエロ叫ぶ坊やも静かになるだろ
ぶっちゃけ、生々しいこちむい世界を希望しますんで、是非頑張ってるくだされ職人様がた
215名無しさん@ピンキー:2007/01/11(木) 09:31:49 ID:/T7XK0lt
そういえばこの世界って一般的に

女性≒男性>>>>>>>>マダラ≒ケダマ>>>>>ヒト

だっけ?
まぁいずれにせよマダラケダマヒトが相対的に少ないって事になってればそっから先の割合なんて曖昧でいいのかも知れんが
216名無しさん@ピンキー:2007/01/11(木) 10:04:48 ID:zHFg+BQ7
そげな感じ。
217名無しさん@ピンキー:2007/01/11(木) 10:42:42 ID:/skOS3fb
>>215
ケダマはマダラより珍しいんじゃなかったっけ?
まあそれでもヒトよりは多いんだろうけど。
218名無しさん@ピンキー:2007/01/11(木) 12:48:36 ID:UnHJepb/
マダラ比率は種族格差激しいからな。
ネコの0.2%からカモシカの40%まで、もう種族によってバラバラ。
ケダマは全体的に少ない。
219名無しさん@ピンキー:2007/01/11(木) 13:19:05 ID:HFEeYArZ
今更なんだが、イノシシ書き氏の作中で

>なんだか今うりぼうのような毛並みのまるっこいものがちらっと見えてすぐに姿を消したけど、あれはなんだろう。

この部分が気になった奴は正直に挙手汁。
220名無しさん@ピンキー:2007/01/12(金) 00:31:36 ID:PJweTobo
あー、その辺は作者さんの次を待ったほうがいいと思うぞ。
めちゃくちゃ重要な伏線かもしれないし。
221298:2007/01/12(金) 02:56:45 ID:uCCg9DTY

 小雨の中、山中に怒声と罵声、そして銃声と悲鳴が響いていた。

「―――――そっちに逃げたぞっ!」
「ちくしょう!ジム、ジムっ!しっかりしろっ!!」
「ヒトのくせに、なめやがってぇ!!」
「回り込めっ!!絶対逃がすなぁっ!!」

 正面の山道に不意に現れる犬面人身の化物に、榊原蒼馬(さかきばら そうま)は何の躊躇いもなくM16ライフルの弾丸をぶちこむ。
「ぎゃあああああ!!!!」

 弾かれたように吹っ飛ぶ化物の死体を踏み越え、妹の手を引きながら獣道をひた走る。
 何度も転びそうになりながら、妹の可憐は必死になってついてくる。正直、手を放した方が彼女にとっては走りやすい事は間違いないだろう。
 だが蒼馬は、その手を放す気はなかった。

 身長190センチの巨漢とも言える蒼馬と、150センチに満たない小柄な妹。
 彼が本気で走れば、可憐の小さな歩幅では蒼馬に並走できるはずなどない。
 だが、問題はそういうことではない。

 この異常な情況で、たった一人の肉親、いや、それ以上にかけがえのない存在であるはずの妹の手を放すなど、彼には少なくとも考えられなかった。

 そろそろ、残弾も少ない。
 この一時間で十匹以上は撃ち殺してるわけだから、当然といえば当然だ。
 あと、どれくらい逃げ延びられるだろうか?
 そう思った瞬間、後方で爆音が轟く。
 先ほど仕掛けた手榴弾のトラップに化物がひっかりやがったのだろう。これで少しは時間が稼げる。そう思った瞬間―――――。

「お兄ちゃん!危ない!!」
 左真横から風切り音が聞こえた瞬間、蒼馬は思わず後ろへのけぞった。
 寸前までちょうど顔面があった空間を、唸りを上げて矢が通過し、激しい音を立てて右の木の幹に突き刺さる。

 倒れながら足のホルスターからピストル(コルト・ガヴァメント)を抜き、敵がいるとおぼしき地点に盲撃ちを二射。全て反射行為だ。
「ぐあっ!!」
 化物は脚を撃ち抜かれ、木の枝から転がり落ちる。

 しかし、さすがは化物と言うべきか、落ちながらも腰の剣を抜き、立ち上がろうとする。
 その瞬間、蒼馬のコルトが火を噴く。弾丸は丁度、身構えた刀身に命中し、その長剣はざくろのように木っ端微塵になった。

―――――化物のクセに安物の鉄、使ってやがる。

 コルトをホルスターに仕舞いつつ、素早く駆け寄り、弓を蹴飛ばし、M16の狙いをつける。

「待ってお兄ちゃん!」
222298:2007/01/12(金) 03:02:18 ID:uCCg9DTY

「可憐!?」
「この人はもう戦意を失ってます。そんな人をこれ以上撃っちゃダメですっ」
「・・・・・・・・・・・お前、今の情況が分かって言ってるのか?」

―――――――確かに化物は怯えきっていた。

 小雨で濡れそぼった尻尾が、股間を通して腹部に張り付き、寒気以外のものがもたらす震えに全身を覆われていた。
 敵の眼前で負傷し、武器を失い、丸腰になった恐怖か。
 いや、それ以上に蒼馬の装備するM16自動小銃の凶暴な威力を、仲間の死体で充分すぎるほど知っているからか。
 とにかく、化物の眼は雨以外の水分で潤み、怯えと恐れ以外の感情は判別できなかった。

「お兄ちゃん!!」

「・・・・・・・・・・・両手を頭の後ろで組んで、ひざまずけ」
「やっ、やめろっ!殺すなっ、殺さないでくれっ!」
「五つ数えるうちに言われた通りにしろ!さもなきゃ撃つっ!!」
「妻と、妻と娘がいるんだよっ!」
「イチッ、二ィッ――――――」
「お兄ちゃん、ダメッ!!」
「ひいいいいっ!!分かった!分かったぁ!!」

 化物は撃たれた脚が痛いのか、表情を引きつらせたまま蒼馬が指示した姿勢をとる。背中をがたがた震わせながら。
 彼はこれでいいんだろ、と言わんばかりの表情で妹をちらりと見る。
「・・・・・・・・・・・・・・お兄ちゃん」

「助けて、助けてくれよぉ・・・・・・・・・・」
「これから俺が聞くことに正直に答えろ。そうすれば殺しはしない」
「ホントだな?ホントに助けてくれるんだな?」
「そいつはお前次第だ、化物」
 蒼馬は、この奇妙な犬人間から五・六歩間合いを外してライフルを構えている。これ以上近付き過ぎると、とっさの場合反応しきれない場合があるからだ。

 訊きたい事は山ほどある。と言うより、蒼馬の頭の中は疑問だらけだ。

――――――――ここはどこだ?

――――――――何故、俺たちを追い回す?

 そして何より訊きたい事。

――――――――お前らは一体『何者』なんだ?

 すでに蒼馬たちは、この犬顔の追っ手たちが、悪趣味な仮面を被った単なる武装集団ではなく、人間にあらざる『本物の化物』である事を確認している。
 この連中が、遺伝子操作によって誕生した、某国のバイオ兵士だとするなら、しかし、それでも納得はいかない。最新の科学で産み出されたはずの奴らにしては、装備があまりに貧弱すぎる。まるで百年前の屯田兵だ。
 しかし、そんな事を訊いている時間はない。

 幸い、この雨が自分たちの臭線をかなりの部分、消してくれるだろう。この犬顔連中の鼻が本当に犬並みだったとしても、その点は少し救いがある。
223298改め221:2007/01/12(金) 03:07:59 ID:uCCg9DTY

―――――――取り合えず、この場を逃げ延びるための質問が最優先だ。 

「名前は?」
「・・・・・・・・・めっ、メッサーラ」
「じゃあ、メッサーラ君、まず質問その一だ。お前らの人数と規模は?」
「きっ、規模?」
「変にすっとぼけたりしやがったら、その場で殺す。いいな?」
「こっ、国境警備局の兵たちが、だいたい一個小隊から二個小隊・・・・・・・・・」
「もっと具体的に言え!」
「にっ、二十人強!」
 
 二個小隊が二十人・・・・・・・・少ないな。編成の仕方が人間の軍隊とは違うのか?
 いや、そんな事はどうでもいい。どっちみち、この犬コロの言ってる事も本当かどうか分かったもんじゃない。だが、本当だとすれば(その怯えきった眼が嘘をついてるようには見えなかったが)、まだ充分逃げ延びられる数だ。
 蒼馬はもう、十人以上の追っ手をその手にかけている。つまり、残りは単純計算で十人ちょい。

―――――――いける。何とかなりそうだ。後は逃走のルートだが・・・・・・・。

「質問その二。―――――今お前、国境警備つったな。国境の方角はどっちだ?」
「え?」
「早く言え!」
「みっ、南だ!南に行けば川がある。そこを越えれば猫の国だっ!!」
「ねこのくにぃ・・・・・・・・・・・?」
 可憐が思わず眼を丸くする。

「ねこって・・・・・・・あの猫、ですか?『ニャ−』って鳴く、あの・・・・・・・・・?」
「それ以外に、どんな猫がいるってんだよぉ!」
「うるせえ、怒鳴るなワン公!」
「ひっ、すいませんっ!」
「・・・・・・・・・・・信じたくはねえが、犬が二本足でヤリ振り回してる世界だ。首から上が猫になってる国があっても可笑しくねえ」
「でも、お兄ちゃん・・・・・・・・可憐、まだ信じられません」
「信じたくねえのはお互い様さ。でも、今はそんなこと言ってる場合じゃねえ。―――――メッサーラ!」
「へっ、へいっ!」
「これが最後だ。おめえが持ってる食糧、現金、全部出せ」
224298改め221:2007/01/12(金) 03:13:48 ID:uCCg9DTY

「お兄ちゃん・・・・・・・・・・・・・!?」
「この場を凌いでからもゼニはいるし腹も減る」
「でっ、でも、それじゃあ可憐たち、ドロボウさんになっちゃうよっ!?」
「どのみち俺は十人以上撃ち殺しちまってる」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・俺だって、やりたくてやってるわけじゃねえ。分かってくれって言うのは・・・・・・・・難しいか・・・・・・・?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・お兄ちゃん・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・あの〜〜」
「何だよ?」
「昨日・・・・・・・給料日、だったんすけど・・・・・・・・・全額ってのは、勘弁してもらえませんか?女房に仕送りしなきゃあいけないんで」
「お前まさか・・・・・・・・・・・・・戦場にサイフ丸ごと持ってきてるのか?」
「どうも・・・・・・・・・・・面目次第もありませんが・・・・・・本部からの指令は国境地帯に紛れ込んだヒトのつがいをとっ捕まえろって聞いただけでして、こんな大事になるとは思ってなかったもんで・・・・・・・・仕事明けに仲間と一杯やりに行こうかってつもりで、その・・・・・・・」
「もういい分かった!万札の一枚くらいは残してやっから、ゆっくり取り出せ!」
「へっ、へいっ!」

「『ヒトのつがい』だと・・・・・・・・・・・・犬コロ風情が舐めやがって・・・・・・・・・ゆっくりだっ!ゆっくり取り出して、そうそう、・・・・・・・妹に放り投げろ。―――――可憐」
「はっ、はい」
「中身は?」
「結構、入ってます」
「金貨一枚残して、後はサイフごと預かっとけ」
「えっ、一枚だけっ!?」
 犬兵士が悲鳴をあげる。

「だったら二枚だ、二枚残してやる。これで文句ねえだろ!」
「・・・・・・・・・・・・ごめんなさいメッサーラさん。このお礼はいつかきっと・・・・・・」
「いま殺さねえのがその礼だ。一月分の給料で、命が買えりゃあ文句はねえだろ」
「―――――はぁ、そっすね・・・・・・・」

「後を向けっ!早くっ!」
「はっ、はいっ!!」
 蒼馬は、あたふたと後ろを向いたメッサーラの後頭部にライフルの銃把をイヤと言うほど叩きつけ、昏倒させた。
225298改め221:2007/01/12(金) 03:18:16 ID:uCCg9DTY

「とにかく南へ向かおう。国境を越えれば犬どもも簡単には追っては来れまいよ」
「でもお兄ちゃん、可憐が追っ手さんだったら、裏をかいて国境沿いに網を張ります」
「大丈夫だ。十人内外の人数で網をはれるほど短い国境線なんて、まず有り得ない。それにもし、万一網に引っ掛ったとしても、その程度の人数なら突破できる」
「でも、その人数が本当に十人だっていう保障はありません。そもそも、南にそんな国境があるなんていうのも・・・・・・・・・・・」
「いや、国境があるのは確からしい」
 蒼馬はにやりと笑う。
 その手には、たった今メッサーラの戦闘服から取り出したらしいマップがあった。

「この川が奴の言った国境線で・・・・・・さっき越えた峠がここだとすると・・・・・・・おいおい、ここからもう、そう遠くないぞ」
「お兄ちゃん・・・・・・・・・それじゃあ、可憐たち、助かるん・・・・・ですか・・・・・?」
 可憐の表情に少しだが、確実に希望の色が灯る。

 正直、まだそう言い切れるかどうかは分からない。この右も左も分からない世界では、東西南北の概念からして違うかも知れないのだから。

――――――だが、蒼馬は笑った。

 この、その名の通りの可憐な妹に、例え僅かでも希望があるなら、それを与えてやりたかった。

「大丈夫だ。お前は・・・・・・・・俺が守る」
「お兄ちゃん・・・・・・・・・・・・!」
 可憐が眼を潤ませる。
 いつもいつも、どんな時でも頼れる兄。彼女にとっては誰よりも強く、逞しく、それでいて優しい、唯一絶対の存在。

「行くぞ。雨がやむ前に移動しよう」
「はい!」
226298改め221:2007/01/12(金) 03:22:30 ID:uCCg9DTY

「お兄ちゃん・・・・・・・・・・!」
 可憐が息を飲む音が聞こえる。

 コンパスで方角を割り出し、正確に最短距離を移動し、やっと森が開け、川の音が聞こえたと思った瞬間、二人の顔色は鉛色に変化せざるを得なかった。

――――――それは崖だった。

 グランドキャニオンもかくやという程の、たっぷり100メートル以上はある、垂直な断崖。そして、その下を轟々と音を立てて流れる、これまた川幅数百メートルはあろうかという大河。

「お兄ちゃん・・・・・・・・・どうしましょう・・・・・・・これじゃあ可憐たち・・・・・・・・!」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・渡るしかねえ」
「お兄ちゃん!?」
「渡らなきゃあ、助からない。だったら渡るしかねえ」
「無理です!そんなの!そんなの絶対、可憐には無理です!」

「出来るさ」
「出来ません!」
「まず、この崖を降りる。そして向こう岸まで泳げばいい。一つずついこう」
「・・・・・・・・・・お兄ちゃんだけなら、もしかしたらこの崖を降りれるかも知れません。でも、でも、可憐には・・・・・・・・・・!」
「大丈夫だ」
 蒼馬は装備を詰めたザックを下ろすと、中から一本の紐を取り出した。

「こいつで二人の体を結ぶ。その上で、俺がお前を背負って降りる」
「そんな・・・・・・・・・ムチャクチャです!お兄ちゃん一人ならともかく・・・・悪くすれば二人ともまっ逆さまなんですよ!?」
「大丈夫さ」
「でも――――――!」
「可憐」
「・・・・・・・・・・・・・・はい」
「俺が今まで、お前に嘘をついたことがあるか?」
「お兄ちゃん・・・・・・・・・・・・」
「守るべき者がいる時、人はそれだけ強くなれる。―――――――『北斗の拳』の台詞だ」

「―――――くすっ・・・・・・・・・お兄ちゃんたら・・・・・・・・・・」
 可憐の表情が思わずほころぶ。
「こんな時に『北斗の拳』もなかったな。・・・・・・・・・じゃあ、行くか」
「・・・・・・・・・・・はい」
227298改め221:2007/01/12(金) 03:27:50 ID:uCCg9DTY

 その瞬間だった。
 背後の森から何本もの矢が飛んできたのは。

「可憐!」
 蒼馬は妹の手を引き、とっさに樹を盾にして難を逃れる。
 茂みの中から聞こえる息遣い、感じる気配・・・・・・・・・五・六匹。多くとも七・八匹。
 この状態から一匹ずつ奴らを狙撃できるか?
 手持ちの手榴弾で対処できるか?

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・無理、だな。

 しかし、ここでこうやって膠着状態を続けていてもラチがあかない。
 万一、奴らが援軍を前提とした足止め作戦をしているのなら、このままじゃジリ貧になるばかりだ。 

 唯一の救いは、ここが国境線である事だ。
 もしも化物どもの弓隊が、向こう岸の崖から狙撃を仕掛けてきたら、二人ともハリネズミになるしかない。
 だが、国境地帯である限り、その心配だけは必要ない。

―――――――と、なれば・・・・・・・・・。

「可憐、ここを動くなよ」
「お兄ちゃん、どうするんですか?」
「突っ込む」
「―――――!?」

「どのみち見つかっちまった以上、奴ら全員を始末しなけりゃあ、崖も降りれねえ。一匹でも残せば、頭上から矢を射掛けられちまうからな」
「・・・・・・・・大丈夫・・・・・・・ですよね・・・・・・・?」
「安心しろ。あんなショッカー怪人もどきなんざ、俺の敵じゃねえよ」
「――――うん、そうです、よね?」
「ああ」
「可憐はお兄ちゃんを信じてますから!」

 その瞬間だった。
 凄まじい速度で飛来した真っ赤な球体が、二人が盾にしている大木をかすめ、向こう岸の崖にぶち当たって大爆発を起こしたのだ。

―――――RPG!? 対戦車ライフル・・・・・いや、地対地ミサイル!?

「そこのヒト科のオスとメスどもぉっ!!次は外さん!死にたくなければ、今すぐ武器を捨てて投降しろっ!!」
228298改め221:2007/01/12(金) 03:32:50 ID:uCCg9DTY

―――――何だ!?何だ!?今の攻撃は一体なんだ!?

 いかに蒼馬でも―――――この人ならざる者たちが闊歩するムチャクチャな世界が、本当に現実だったとしても―――――いまの怪奇現象が魔法による『攻撃呪文』だとは、さすがに想像を絶した。

「・・・・・・・・お兄ちゃん・・・・・・・・・・・今の・・・・・・・・・・なに・・・・・・・・?」
 可憐が紙のような顔色で蒼馬を見つめる。

 だが・・・・・・・・この愛すべき妹の慄然とする表情こそが、逆に蒼馬をパニックから救い出すよすがとなった。

――――――しっかりしろっ!俺がうろたえてたら誰がこいつを、可憐を守るんだ!? 

 今の攻撃が一体なんだったのかは知るよしもない。
 だが、一つ言えるのは、あれを食らったら・・・・・・・例え食らったのが盾代わりにしているこの大木だったとしても、確実にあの世まで吹っ飛ばされるであろう、という予測。

 ならば次にわくのは、疑問。
 連射はきくのか?
 威力は今のが最大出力だったのか?
 今のを使える奴はあと何人いる?

――――――仕方ねえ・・・・・・・・。

「可憐」
「はい」
「少し危険だが・・・・・・・手伝ってくれ」
「可憐に、できる事があるんですか?」
「ある」
「可憐に手伝える事なら・・・・・・・・何でもします」

 蒼馬は、敵が潜んでいるであろう森から目を離し、ゆっくり可憐を振り向いた。

 今から彼が妹に頼もうと思っている事は、ハッキリ言って危険極まりない。できる事なら自分がやりたいくらいだ。だが、そうはいかない。何故なら、妹とは別に彼自身がやろうとしていることは、絶対に妹にはできない事だからだ。

「今から俺が指示したら、全速力でダッシュしてくれ」
「ダッシュ?どこに?」
「―――――――崖だ」

「・・・・・・・・・・お兄ちゃん・・・・・・・・・・・・!」
229298改め221:2007/01/12(金) 03:37:45 ID:uCCg9DTY

「俺を信頼してくれ、可憐」

 蒼馬の眼差しが、あまりに予想外の指示に呆然とする可憐を射抜く。
「・・・・・・・・・頼む」

 やがて、妹の瞳にも光が戻ってくる。
「――――――分かりました。可憐は・・・・・・・・お兄ちゃんを信じます」

「早くしろぉっ!あと五秒以内に両手を挙げて出て来ねえと、本当に焼き殺すぞっ!!」

――――――どっかで俺が使ったような台詞を使いやがる。

「やれるもんならやってみろぉ!この犬っころどもが!!」
 蒼馬は言うが早いか樹から飛び出し、M16を一斉射させる。

「行け、可憐!!」
「はい!」
 弾かれたように可憐が断崖に向かってスタートを切る。
「逃がすかぁ!」
 術者が空中に赤い球体を浮かばせる。

―――――――やっぱりな!

 例え、どれほどの速度で飛来しようとも、眼で追える以上は狙える。そして狙える以上は・・・・・・・・・!

 その瞬間、赤い球体が太陽光のごとき真っ白い光を放って弾け飛ぶ。
 蒼馬が、赤い球体の、まさにいま発射されようとしたその瞬間に撃ち抜いたのだ。

 蒼馬はというと、トリガーを引いたその瞬間に振り向き、可憐と同じく崖に向かってスタートを切っていた。そして五・六歩で可憐に追いつき、彼女の腰に腕を回し、最後の一歩をなんの躊躇いもなく空中へと踏み出す。
 その後方で起こる大爆発。恐らく追っ手の犬たちは、術者を含めて誰一人生きてはいないだろう。
 そして二人は、互いにしっかと抱き合いながら、逆巻く大河に飲み込まれていった。

――――――――――――to be continued.
230名無しさん@ピンキー:2007/01/12(金) 05:17:21 ID:N0nR2sBb
乙です。兄妹セット落ちですか。
どういう展開になるのか期待します。
(特に匿う人は男か女かとか。どういう関係になるかとか。)
231名無しさん@ピンキー:2007/01/12(金) 07:02:29 ID:7ABPi/Tu
とりあえず、なんでそう都合よく未成年がライフルやら手榴弾やら持っているか説明してくれ。
乙はそれからだ。
232名無しさん@ピンキー:2007/01/12(金) 07:22:50 ID:jDGCXKQ+
メッサーラでガンダムを思い出した。
233名無しさん@ピンキー:2007/01/12(金) 07:25:03 ID:fpjo8aR/
給料とられたイヌさんカワイソス
234名無しさん@ピンキー:2007/01/12(金) 08:53:12 ID:7bSkmTzu
>>231
自衛隊か何か訓練中だったのさ。きっと
235名無しさん@ピンキー:2007/01/12(金) 09:34:24 ID:jDGCXKQ+
>>234
妹も自衛隊の訓練中ですか?
236名無しさん@ピンキー:2007/01/12(金) 11:59:31 ID:QfF0P8oV
生まれた時からテロリストだった。
237名無しさん@ピンキー:2007/01/12(金) 12:08:16 ID:/IuN5Tor
自衛隊じゃM16は使っていないぞ。
まぁ特殊作戦群ならばM4とUSPを使っているという噂があるから、
それならばまだ頷けるんだが。

思うに、傭兵かもしくはグリーンカードを取得した日本人アメリカ兵なのかも。
それでも武装した兄と妹が一緒に落ちるというのは如何かと。
ま、そこんところの説明は作者さんを待つしかないと思うがな。
238名無しさん@ピンキー:2007/01/12(金) 12:32:47 ID:BU6SPW+v
イラク辺りから落ちてきたんじゃねーの
239名無しさん@ピンキー:2007/01/12(金) 15:15:02 ID:1vorScnA
兄妹でどっかのPMCに居たんだろ。
240名無しさん@ピンキー:2007/01/12(金) 15:32:07 ID:lDL7catV
いーじゃないの。こっちの世界で暗殺術学んで、それでこちむい渡るってのも。
ハラハラデスッ!続きに超期待してます!
241名無しさん@ピンキー:2007/01/12(金) 22:38:12 ID:gMhwznu3
これって>>146のネタが元?
242虎の子:2007/01/13(土) 02:12:59 ID:pavk15N/
え〜、非常にお久しぶりです。
「お前、誰?」とか言われそうですが、本日此処に返ってきました。
今度書き込む時は、話を上げる時と決心して早半年以上、本当なら秋に投稿するつもりだったのですが、遅れに遅れてこの時期になってしまいました。
自分が筆を遅らせている間に色々な人が出現して驚きました。
この板が活気ずくのは、投稿者としても読者としても嬉しい限りです。
一応原文は完成したので、修正を加えて明日の深夜には投稿するつもりです。
それでは最後になった上、時季はずれですがあけましておめでとうございます。
今年一年よろしくお願いします。
243名無しさん@ピンキー:2007/01/13(土) 02:14:21 ID:J4MKgpVR
キタコレ
244名無しさん@ピンキー:2007/01/13(土) 15:02:49 ID:pBIArj2N
正座して待つ
245298改め221:2007/01/14(日) 04:51:51 ID:JR5tU7bp

「んふふふふ・・・・・・・・・・・なるほど、この子が妹さんの方ですか。なかなか可愛らしいお嬢ちゃんじゃありませんか」
「がっはっはっはっは。いえいえ、何と言っても、まだ八歳でございますからな。我が子ながらもまだまだ調教途中の未完成品でございますよ。サイトウ様のお眼鏡にかなったのが奇跡のようなものでございまして・・・・・・・」
「ですからサイトウ様、この子に至らぬところががございましたら、思う存分ビシビシ躾てやってくださいまし。そのための道具も、こちらの方に各種取り揃えております」
「ほほう・・・・・・・・・・これはまた、なかなかの品揃えですなぁ」
「いえいえそんな。大したモノはありませんが、取り合えず、お好みに合わせてお使い下さい。どれもこの子の身体に馴染ませてあるモノばかりですからなぁ」
「分かりました。では、遠慮なく」

「可憐、このおじ様の言う事は、絶対に逆らっちゃいけませんよ。ママたちに恥をかかせるようなマネは、許しませんからね?」
「はい、まま」
「よぉし、いい返事だ。ちゃんといい子にしてたら、後でチョコレートパフェを食べさせてあげよう」
「ぱぱ、ほんとう!?」
「ああ本当さ。――――――――それではサイトウ様、私どもはこれで失礼させて頂きます」

 薄暗い部屋の中。
 可憐の父と母が扉を閉ざす。
 ガチャリという冷たい施錠音が、この寒々とした部屋に響く。
 
 いや、聞こえてくるのはそれだけじゃない。
 分厚いコンクリートの壁を通して、隣の部屋からかろうじて聞こえる少年の悲鳴、絶叫。それと一緒になって聞こえて来る、中年女性の嘲笑、怒号。

――――――――おにいちゃん、また、あのひとにいじめられてるんだ・・・・・・・・。

 そして眼前にいるのは、可憐が初めて見る、いかにも上品そうな初老の男。
「じゃあ可憐ちゃん、そろそろ始めようか」
 そう言うと、男はベルトを緩め、ペニスを取り出した。

「パパとママから聞いたよ。可憐ちゃんはとってもおしゃぶりが上手なんだってねえ?オジサンも一つ、気持ちよくしてもらおうかな」
「はい、おじさま。どうかかれんのおくちで、きもちよくなってくださいね」
「んふふふふ・・・・・・・・・本当にいい子だなぁ、可憐ちゃんは。オジサン嬉しくって、もうそれだけでイっちゃいそうだよ」
「おほめいただいて、かれんはとってもうれしいです。―――――おじさま?」 
「なんだい?」
「かれんのおくちまんこでおじさまがいったら、かれん、のんじゃってもいいですか?」
「ああ、いいともいいとも。好きなようにおし」
「はぁい」
 可憐が、異臭を放つペニスに手を伸ばす。その指先は、微かに、だが確実に震えていた。
246298改め221:2007/01/14(日) 04:58:17 ID:JR5tU7bp

「〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!」

 布団を跳ね除け、可憐が飛び起きる。

「はぁっ、はぁっ、はぁっ、はぁっ、はぁっ、はぁっ、はぁっ―――――」

 全身を冷たい汗が覆っている。寝間着が水を吸い、全身びちゃびちゃで、とても気持ち悪い。

―――――何でいまさら、あんな昔の夢を・・・・・・・・・・?

 もう何年も見ていなかった悪夢。
 思い出すだけで吐き気を催す記憶。
 もう、滅多な事で思い出す過去ではないが、しかし、思い出すたびに可憐は、あの頃の自分が何故正気を保っていられたのか、不思議でたまらない。

 実の両親によって幼い兄妹は客をとらされ、その収入によって、一家四人が生きていた時代。

 彼ら、つまり彼女の両親という名の男女にとって労働というものは、小金を持ったロリコンの変態どもに、我が子を抱かせるための営業行為と宣伝活動に他ならなかった。
 両親に逆らう、或いは客の不興を買うという行為は、その後で死んだ方がマシだと思えるほどの折檻を食らうという意味であり、客のオーダーが入らぬ晩は『調教』という名の、これまた死んだ方がマシだと思うほどのセックス・トレーニングが待っていた。

・・・・・・・・・アナル開発、乳首開発、野外セックス、長時間連続オナニー、SMプレイ、露出プレイ、薬物投与、飲尿、脱糞、獣姦・・・・・・・・・・・。

 なぜ発狂しなかったのか、自分でもわからない。だが、彼女にとっては、兄の存在こそが、正気を保つ大きな要因となっていたのは間違いない。
 自分と並んで、自分と同じように、いや、ことによったら自分以上に悲惨な目にあっていた兄。彼がいたからこそ自分は今ここにいることが出来るのだ。―――――
 可憐は心底そう思う。

「―――――お兄ちゃん」
247298改め221:2007/01/14(日) 05:02:33 ID:JR5tU7bp

 可憐は、我に返ったように周囲を見回す。
 殺風景な部屋。さっきまで自分が眠っていたベッド以外は、家具らしい家具すら置いていない。

―――――ここはどこだろう?

―――――兄はどこにいるのだろう?

 そして、可憐の脳中をかけめぐる一番の疑問。

―――――あれは、あの出来事は、はたして本当に夢じゃなかったのか?

 犬の頭部を持った奇妙な怪人たちに山中を追い回され、ようやく逃げ延びたと思ったらそこは百メートルはあろうかという断崖絶壁で、そして兄の指示のもと、自分たちはそこから飛び降りた・・・・・・・。
 飛び降りる寸前に腰に回された兄の腕の感触も、空中で頭を抱き寄せてくれた際に感じた兄の体温も、全てリアルな記憶として存在している。

 身体は・・・・・・・・・・動く。
 かなり重さが感じられるが、怪我らしい怪我はしていないようだ。
 だが、あの高度から飛び降りて無傷などということが、本当にあり得るのだろうか?

――――――ありえない。

 常識ならそう思う。
 しかし自分は無傷だ。
 ならば、あの山中での出来事はやはり夢だったのか。

――――――そうであって欲しい。

 可憐は切にそう願う。
 だが、そうだとするなら、この部屋はどこだ?
 この寝間着は誰のものだ?
 そして、可憐が一番考えたくない可能性。

――――――可憐が今こうして無傷でいられるのは、着水の衝撃を全部、可憐の分までお兄ちゃん一人が引き受けてくれたから、だとしたら?

 もし、そうだとしたら・・・・・・・・・・恐らく蒼馬はとても生きてはいまい。―――――

「いや!いや!いや!いや!いや!!!」

 可憐はその瞬間、全身を引き裂かれんばかりの絶望を覚えていた。
 こんな意味不明の世界で、最愛の存在を失い、誰一人頼る者もなく生き残ってしまった無力な自分。
 両親の性的虐待どころの話ではない。
 考えられる限り最悪の――――最悪すぎて今まで考えもしなかった――――情況。

「いやぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!」
248298改め221:2007/01/14(日) 05:06:39 ID:JR5tU7bp

 可憐はいかにも分厚そうな木製のドアに駆け寄り、ノブを回す。
 ドアには当然のように鍵がかかっている。

「開けて!開けなさい!お願い!開けて下さいっ!!!」

 ドアを叩く。
 当然のようにびくともしない。

「開けてっ!開けて下さいお兄ちゃん!!どこですっ!?可憐を独りにしないで下さいっ!!」

 どんどんっ!!どんどんっ!!

「お願いですっ!!お兄ちゃん!可憐が、可憐が悪かったんです!!ですから、ここを開けて下さいっ!ここを開けてお顔を・・・・・・・お顔を見せて下さいっっ!!!!」

 恐らく彼女自身、自分が何を叫んでいるかよく分かっていなかったはずだ。
 だがそんな事は、それこそ可憐にとってはどうでもいい事だった。

 このドアの向こうに兄がいる。しかし、兄はとても怒っていて、自分に姿を見せてくれない。
 何故か?

―――――――可憐のせいだ。

―――――――もし可憐がいなかったら、お兄ちゃんは死なずに済んだかも知れない。

―――――――可憐がいたから、可憐が足手まといになったから、お兄ちゃんは死んでしまった。だから怒って・・・・・・・・・・・・・・・。

「おにいちゃん・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 身体中の力が抜ける。
 へたり込む。
 股間になま暖かいものが溢れる。
 しかし可憐はもう何も感じていない。自分が失禁している事すら。

「おにいちゃん・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
 頬にも熱いものがはしる。
 しかし可憐は感じていない。自分が涙を流している事も。

 いや、それだけではない。
 今の可憐は何も見えず、何も聞こえず、全ての言葉を失い、ただ呆然とドアの前で座り続けるしかなかった。
 このまま、あと数時間もこの状態が続けば、可憐の精神は確実に砕け散ってしまったに違いない。
 しかし、結果から言うと、そうはならなかった。

――――――がちゃり。

「キミ、大丈夫かい?」

 ドアのロックが外され、入ってきたのは十五・六歳くらいの少年と、帽子を被った二十歳そこそこの女性――――――二人とも人間であった。
249298改め221:2007/01/14(日) 05:15:53 ID:JR5tU7bp

「全く、さっきからドッタンバッタンとうるさいわねえ、もう・・・・・・・・・」
「お嬢様!何もそんな言い方しなくとも・・・・・・・大丈夫?何なら鎮静剤を持ってこようか?」
「・・・・・・・・・・・・ぁぁ・・・・・・・・・ああああ・・・・・・・・・・!!!!!」

――――――人間だ・・・・・・・・人間がいる・・・・・・・・・・・ということは・・・・・・・・・・・!!!!

 可憐は、自分を心配そうな眼差しで見つめる、いかにも優しそうな少年に必死でにじり寄り、ろれつの回らない舌を渾身の力で制御して、やっとの思いで言葉を紡ぐ。

「・・・・・・・・・・・・あなたは・・・・・・・・・・人間、なのですよね・・・・・・・・・?」

 少年は、そう訊かれた瞬間、何とも言えない哀しげな眼をし、女性の方へ振り返った。
 女性は、そんな眼で自分を振り返る少年に、やれやれと言わんばかりの表情で溜め息をつくと、その視線を少年から可憐に向けた。

「いいえ、お嬢ちゃん。あなたには悪いけど――――」
「――――――そうです。あなたの言うとおり、僕は日本人で、渡辺誠といいます。あなたは?」
「可憐・・・・・・・・榊原可憐。―――――それじゃあ、それじゃあやっぱり、ここは日本なんですね!?あれは、あれはやっぱり夢の世界だったんですね!?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「よかった・・・・・・・・・よかった・・・・・・・・・ぐすっ・・・・・・・・・あれっ・・・・・・おかしいな・・・・・・・何だか・・・・・・・・・・・・安心したら・・・・・・・・・・涙が・・・・・・・・・・あれっ・・・・・・あれっ・・・・・・あははは・・・・・・・・止まらないよぅ・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 少年――――誠は答えない。沈鬱な表情のまま、泣き笑う可憐から眼を逸らしている。

「・・・・・・・・ったく」

 そんな彼を見ていた女性が、呆れたように再び溜め息をつくと、ポケットからハンカチを取り出し、誠を押しのけて可憐の正面に膝をつく。

「ほらほら泣かないの。こんな綺麗な顔してるんだから、もったいない。―――――って、ちょっとアンタ、ひょっとしておしっこ漏らしてんの!?」
「え?」
「冗談じゃないわよっ!このパジャマあたしのなんだからねっ、『ヒト』のおしっこなんかで汚されたら――――」
「お嬢様っ!!」

 誠が、さっきまでの優しげな眼差しから一転して『お嬢様』を睨みつける。

「なっ、なによ・・・・・・・・・どうせ隠したって、すぐに分かる事じゃないのよ・・・・・・・・」
「かく、す・・・・・・・・?」
「ああいや、何でもないんだ。気にしないで。それと、キミのお兄さんって、あの体の大きな人だよね?」
「え?あ、はい」
「無事ですよ。今日でもう三日も眠りっぱなしだけど、命に別状はありません」
250298改め221:2007/01/14(日) 05:24:18 ID:JR5tU7bp

「生きてるんですかっ!?兄が、兄が生きてるんですねっ!!??」
「ええ。それにしても寝言でカレン、カレンって言ってるから、どんな熱烈な恋人なのかと思ったら、まさか妹さんだったなんて・・・・・・・・。よっぽど仲のいい兄妹でいらっしゃるんですね」
「いえ、あの、そんな・・・・・・・・・・・・」

 可憐は耳まで真っ赤にしながら思わず俯く。

「全く、あれだけ体中ケガしまくっててよくもあれだけ動けたもんよね・・・・・・・・・。しかも、寝込んでからの回復力がこれまた『ヒト』とは思えないレベルだってんだから、呆れたト言うべきか、はたまた感動したと言うべきなのか、判断に困っちゃうわ」
「それじゃあ、あなたが兄を治療してくださったのですね?」
「いいえ。哀しいけど、まだあたしにはまだそんな権限はないわ。街から医者を呼んで治療をさせたのも全部お父様の指示よ。感謝の言葉だったら、お父様に直接言ってあげて」
「ああああ・・・・・・・・・・・もう、本当に、有難うございます!!兄に代わってお礼を言わせて頂きます!」
「いや、だから、あたしは何も・・・・・・・・・・・まあ、その・・・・・・・・・・アンタっていい子ね・・・・」
「あの、それで、兄は、兄は一体どこにいるんですか?兄のところへ連れて行って下さい!」

「ええ、分かってます。でも・・・・・・・・もう少し休まれてからの方がよくないですか?見たところ、体調の方もまだまだ万全じゃないように見えますし・・・・・・・」
「いえ、大丈夫です。早く兄のところへ連れて行って下さい」

 そう言いながら立ち上がる可憐に、もはや一分の疲れも見えない。
 兄が生きていた。兄に会える。その思いが、さっきまで彼女の精神を発狂寸前まで追い込んでいた絶望を雲散霧消させ、ナチュラル・ハイといっていい状態にまで彼女を回復させたのだ。

 だが、その瞬間、可憐はぎくりと表情を凍らせた。
 彼女の思考が当然、あるべき疑問に行き着いたのだ。

―――――――お兄ちゃんはケガをしてる。・・・・・・・・何故?何故お兄ちゃんはケガをしてるの・・・・・・・・・?

 およそ考えられる答えは一つ。
 可憐はおそるおそる二人を見つめる。

「誠さん、あの・・・・・・・・・誠さんは先ほど、御自分の事を日本人とおっしゃいましたよね?ということは、その、ここはまさか――――――」
「――――――『ニホン』じゃないわよ」
「お嬢様っ!!」
「どきなさいマコトっ!あなたは優しさのつもりでやってるのかもしれないけど、そっちのほうが、もっと残酷な事だってなんで分からないのっ!!」
「お嬢様・・・・・・・・・・・・」
「それじゃあ、それじゃあ、ここが日本じゃないって言うなら、一体どこだって言うんですか!?アメリカですか!?それとも北朝鮮ですかっ!?」
「あなたには可哀想だけど、そのいずれでもないわ」

 そう言いながら『お嬢様』は帽子を脱ぐと、首を振り回してその中に収まっていた長髪を、ばさりと解き放った。

「・・・・・・・・・・・・・・・!!!!!!!!!!」

 可憐は言葉が出なかった。
 その背まで伸びた、流れるような黒髪の中からピョコリと顔を出しているのは、帽子の中の熱気で蒸れたのか、ぱたぱたと風をあおぐ――――猫耳。

「ここはね、猫の国よ・・・・・・・・・!」
251名無しさん@ピンキー:2007/01/14(日) 09:23:09 ID:FA8XbGsy
最近淫語好きを思い出した自分としては、おくちまんこに不覚にも勃起した。
252虎の子:2007/01/14(日) 13:21:41 ID:NjUk4wgk
約束の時間から大分遅れてしまいましたが、嘲笑われた常識6投下します。
アップローダーは、初めてのため勝手が分からないので、おかしな所があったら指摘して頂けるとありがたいです。
http://www.degitalscope.com/~mbspro/userfiles_res/database/651.txt

少し長めですが、一応これでエリスの話は一段落です。

それと、話は変わりますが、この世界の交通事情はどうなっているのでしょうか?
場所によっては鉄道などが在るようですが、国同士を繋ぐ大規模な交通手段などは存在するのでしょうか――
話は色々読んでいるのですが、全ての設定を理解している訳ではないので知っている人が居たら是非教えてください。
次回作で使おうと思っている設定が、他の人と矛盾してないかどうか確認したいので―――

次回こそはもっと早く上げたいと思いますが実行出来るかどうか―――

それでは、本日はこれで失礼します。
253名無しさん@ピンキー:2007/01/14(日) 13:29:01 ID:IS5HjSnp
>>252
基本は馬と足でしょ。
シュバルツカッツェ城下の路面電車は都市内部だけだろうし。
汽車も国家間をつなぐようなものはできてないんじゃないかな?
254名無しさん@ピンキー:2007/01/14(日) 15:03:57 ID:FA8XbGsy
>>252
GJ 恋って強いね
255名無しさん@ピンキー:2007/01/14(日) 16:04:08 ID:84dMPl6k
軍人とか、一部の上流貴族にはテレポートポータルみたいな施設がありそうだな。
地脈の関係でテレポート魔法使えないエリアとかもあるのかなぁ・・・

ワイバーン空輸とかも面白いかも試練。値が張りそうだが。
「俺、いつか自家用飛竜を買う(飼う)んだ!」みたいな夢語ったり・・・

ディンスレイフ様とかなら、ポケットに魔力でちっちゃくなっちゃった飛竜(ビジュアル重視)とか仕舞ってそうな気がしてならないがw
256名無しさん@ピンキー:2007/01/14(日) 16:04:34 ID:fUidMmbS
エリス恐ろしい子…(笑)

行為自体はあっさりした(ンンジッカイモイカサレテアッサリトイウノカ?ワラ)感じだけど、彼女の内面(思考)とカラダの反応…
ん〜エロいッス

GJ!!
257鼠担当?:2007/01/16(火) 00:15:17 ID:x0o86NeL
すみません、遅れました。
『無垢と未熟と計画と?』第3話・後編をお送りします。
ttp://www.degitalscope.com/~mbspro/userfiles_res/database/661.txt

おもいっきり戦闘パートなので苦手な方、本当にごめんなさい。

前編の方の重要な所で誤字をしてしまったので修正版を
ttp://www.degitalscope.com/~mbspro/userfiles_res/database/671.txt

次の話で、『無垢と未熟と計画と?』を完結させます。

258名無しさん@ピンキー:2007/01/16(火) 17:07:06 ID:4DAZvrCo
わーいラビィニア様キター!!
ロジェ将軍かっこいー!
GJです。

次回最終回ですか。楽しみに待ってます。
259名無しさん@ピンキー:2007/01/16(火) 20:21:56 ID:5t3b+Kbi
GJ。代償を支払いつつの闘争。心躍るね。血が滾るね!
将軍の激。王の誓い。どちらも震えました。
あらためて言わせていただきます。GJ!
260名無しさん@ピンキー:2007/01/17(水) 00:31:07 ID:ZNHyZq30
>257
ロジェ将軍に死亡フラグキタ?

戦争前に「俺、この戦いが終ったら結婚するんだ!」的な発言をした人って
死ぬ確率が高いよね……ロジェ将軍のネズミ髭とか触りたひ。
261名無しさん@ピンキー:2007/01/17(水) 10:14:22 ID:nJx6bFFM
将軍の激も、粉骨砕身の攻撃も、王の誓いも、りょーの肘を庇いながらのピッチングも…。全てが燃える。熱い。熱いよ。
まさに 窮鼠猫を噛む の一言。
…そして…いやぁぁぁぁぁぁりょおぉぉぉぉぉぉじぬなぁぁあああああ゙あ゙あ゙。・゚・(ノД`)・゚・。
262名無しさん@ピンキー:2007/01/18(木) 19:05:49 ID:LPsoe3eY
りょうがいつその野球の技能を発揮するか凄く楽しみだっただけにヨダレモノですた。GJ!

肘がイっちゃいそうなのにナックルなんて負担のかかる球を投げちゃいけませんぜw
263名無しさん@ピンキー:2007/01/18(木) 20:10:15 ID:j4frIciJ
りょー「わしのナックルは百八式まであるで」
264名無しさん@ピンキー:2007/01/18(木) 23:37:26 ID:RDi1xEpB
ちょw そのりょーは無敵すぎるからNG!
265名無しさん@ピンキー:2007/01/19(金) 17:35:43 ID:iYTcsZUO
りょー「そのナックル、消えるよ」
266名無しさん@ピンキー:2007/01/19(金) 18:07:01 ID:aQeNJ45D
りょー「ほぅら、凍れ。」
267名無しさん@ピンキー:2007/01/19(金) 18:36:02 ID:bRVqcnwM
りょー「バーニング!! 波動球!!」

この手のパロディはついつい笑えちゃうよな。
他のキャラでもついつい考えてしまう。
「わたくし、残酷ですわよ」なクユラばーちゃんとか、
月よろしく「計算通り!」ってほくそ笑んでるリュナ侯とか。
268名無しさん@ピンキー:2007/01/19(金) 18:55:15 ID:tCLArtet
ラヴィニア「ダブルスでいくよ」
(後ろは妹)
269名無しさん@ピンキー:2007/01/19(金) 19:26:44 ID:TqjBvb6T
レナ「二人のこの手が・・・」
タチヤ「真っ赤に萌える!」
レナ「幸せ掴めと・・・」
タチヤ「轟き叫ぶ!!」
レナ・タチヤ「ばぁーくねつ、ゴットフィンガー・・・・・・石破ラァーブラブ天驚けぇーん!!」



男女の力関係が逆だッΣ
270名無しさん@ピンキー:2007/01/20(土) 15:09:17 ID:xEBfDyWY
マナ様「勘弁してぇにゃ……。腰が回転しとるやにゃいか」
ぼく「させてるんじゃないですか!」
271名無しさん@ピンキー:2007/01/20(土) 16:44:44 ID:xEBfDyWY
べすぺ様の新作が避難所に来てたので代理というわけじゃないけど貼り。

ttp://www.degitalscope.com/~mbspro/userfiles_res/database/701.txt

べすぺ「二人は――」
べすぱ「――○リキュア!!」
トール「……まあ、魔法少女っちゃあ魔法少女ですが」
272名無しさん@ピンキー:2007/01/20(土) 23:50:16 ID:mRHPRQgZ
>>271
どうも最近、俺的に若本ブームで、ついライオネルにキャスティングしちゃったよ。
273120:2007/01/21(日) 01:13:32 ID:jZ+RrWx8
どうもこんばんわ。避難所の120です。
避難所で予告していたものとは違う作品を投下します。
でも登場する人物が一部では同じだったりします。
プロローグ的なものなので凄く短いですが、次回はかなり長くなるかと。
今回と次回の投下で第一話分になると思います。

多分、『落ちる』主人公が四十代後半のガチムチな軍人の親父というのは
このスレでは初めての試みだと思うので、ちょっと(((゚Д゚)))です。
274120:2007/01/21(日) 01:17:33 ID:jZ+RrWx8
 Feldwebel

 <1>

 オーバル・ブラントは全く生きた心地がしなかった。
 ヴェルダンやソンム、東部戦線以上に彼はこれ程の絶望を経験した事はない。むしろ今の
彼は、自分の身に起こっている出来事と比べれば、二度の世界大戦など些事に過ぎなかった。
 悲しみに耐え切れない、と生体が判断した時、人間の心や記憶は一時的に飛ばされる事が
あるらしい。今のブラントがまさにその状態にあった。
 何があっても常に自信と余裕に満ち溢れた灰色の瞳に生気はなく、四十代後半になるとい
うのに一切の衰えを感じさせない程にまで鍛え込まれた上背のある肉体は弛緩し切っている。
 しっかりとした足腰で、どんな重装備を身に付けていても戦場を機敏に動き回る彼は誰か
らも頼りにされる最古参の兵士だが、今はその見る影もなく、力なく項垂れている。
 破壊され尽くした伯林の街並みは戦前の面影を全く残していない。とは言っても、一九四
三年十一月十八日と十九日の両日で、独逸民族の首都はその殆どを廃墟にされた。伯林の受
難の日々は今に始まった事ではない。
 ブラントは破壊され瓦礫でほぼ埋め尽くされた道路上に放置されたW号戦車の車体側面の
転輪に背を預け、地面に足を投げ出して座っていた。彼は二人の若い兵士を両脇に抱えてい
たが、どちらも顔は蝋燭の様に青白く、事切れていた。
 既に息絶えている二人の兵士はまだ子供といっても差し支えない年齢だ。あどけない容姿
に与えられた草臥れた軍装が似合わなかった。
 大き過ぎる軍服に貧弱な火器を与えられ、戦場に送り出された彼らは少年兵だった。まだ
年の頃は十代半ばで、決して死ぬ為に生まれてきた訳ではない。やりたい事が一杯あっただ
ろうし、夢だってあった筈だ。なのに彼らは大人達が勝手に始めた戦争で若い命を散らして
しまった。そして今はこうして、その幼くして天に召された御魂を慰める様に、ブラントが
その冷たくなった身体を両脇に抱えていた。
 ヒュルヒュルという榴弾の不吉な飛翔音が聞こえたか思うと、次の瞬間、彼の直ぐ近くに
落下し、轟音と共に火柱が空高く吹きあがった。
 大量の土砂と破片が降り注ぎ、軍服の裾が爆風に煽られるが、ブラントは無関心だった。
その間にも砲弾の嵐は一層強まり、周囲には鉄の雨が降り注いでいた。
 一体どれぐらい続いたのだろうか。周囲一帯は完全に砲弾で掘り起こされ、焼き尽くされ、
破壊され尽くしていた。だが彼は全くの無傷だった。目深に被っているヘルメットも山岳帽さ
えも飛ばされなかった。
 奇跡、だろうか。それとも単に彼の悪運が強いだけなのかもしれない。やがて煙の向うか
ら圧倒的な質量を持った鉄の塊が、五月蝿い排気音と履帯の音を響かせてやってきた。
 ソ連軍のT34中戦車だった。単体の強さはY号戦車ティーガーには劣るが、生身の歩兵
には途轍もない脅威だ。それがブラントの存在に気付かず瓦礫を踏み拉きながら進んで来る。


 

275120:2007/01/21(日) 01:18:52 ID:jZ+RrWx8
 このまま死んだ振りをしていれば彼らは気付かずに過ぎ去ってしまうだろう。だが、ブラ
ントの身体は鋼鉄の獣の接近を感知すると、今までの虚脱状態から嘘の様に立ち直っていた。
 絶望のどん底にある彼は死のうと思っていた。その思いは今も変らないが、方法を少しだ
け変える事にしただけだ。近くに置いてあった三個の三kg爆薬が詰まった二つの工兵用の
バッグを無造作に手繰り寄せると襷掛けにし、皿型対戦車地雷を胸に抱いて立ち上がった
 今まで死体だとばかり思っていた独逸兵がむくりと立ち上がると、T34の車体前面の機
銃が慌てて火を吹いたが、少しばかり遅かった。
 立ち上がったブラントは既にT34に向って突進していた。機銃弾が掠めるが、今の彼は
恐怖を微塵も感じていない。顔には出さないが、むしろ狂喜さえしていた。
 憎むべきは勝算のない戦争を全世界に向けて吹っ掛けたヒトラーだろうか。それとも彼を
権力の座に押し上げてしまった無能な大衆だろうか。勿論、その大衆の中にはブラント自身
も含まれている。戦争に駆り出される者、駆り出す者、どちらも被害者であって加害者だ。
 ヒトラーも加害者でありながら被害者だ。彼も凄惨な第一次大戦を経験した戦争世代の人
間であり、あの何時終るとも知れない塹壕戦で青春を散らしたのだ。若きアドルフの人生を
変えたのは墺太利・洪牙利ニ重帝国が起こした戦争だ。そして老いたオーバルと、その妻と
六人の息子と二人の娘の人生を変えたのも独逸第三帝国が起こした戦争だ。
 誰が善で、誰が悪だとかが問題なのではない。誰が始め、誰が終らすのかが問題ではない。
戦争にも問題がある訳ではない。既にこれは人間の長い歴史が実証する様に、自然現象の様
なものなのだ。避けられないのである。人間が生きる限り、避けられない問題なのである。
 本当に憎むべきは争わずにはいられない人間の生物としての性(さが)である。だがその
性がある故に人間は生物として成り立っているのである。
 この大いなる矛盾が、この老兵を遣る瀬無さの淵に追いやっていた。彼にとってはもう全
てが如何でも良くなっていた。だから死こそが彼に残された最期の癒しだった。
 ブラントはT34の車体側面に回り込むと、後部エンジングリルの上に攀じ登った。そし
て胸に抱いた対戦車地雷の信管を切った。信管がジューッという音を立てて燃焼し始める。
 あと数秒で爆発するだろう。砲塔ハッチが開いて、戦車長らしきソ連兵が拳銃を片手に顔
を覗かせた。自分の戦車に攀じ登った不届き者の独逸兵を排除しようというのだろう。
 だが手遅れだった。彼が顔を覗かせた瞬間、老兵が胸に抱いていた地雷が爆発した。貧弱
なエンジングリルの上で起こった爆発は、この鉄の怪物を黙らせるには充分過ぎた。
 爆発はエンジングリルを突き破ってエンジンそのものを破壊した。そして燃料に瞬く間に
燃え移り、搭載している砲弾をも巻き込んだ。
 死にたがりの老兵共々、鉄の化物は爆発四散し、廃墟と化した伯林にまた瓦礫が増えた。
276120:2007/01/21(日) 01:23:52 ID:jZ+RrWx8
<2>

 微かに香る刺激臭。これは、消毒液か何かだろう。
 深淵に沈んでいたブラントの意識はその匂いによって急速に浮上していった。
 目覚めたブラントは、見知らぬ部屋で寝かされていた。
 白い天井、白い壁、白いシーツ、白一色で埋め尽くされた部屋が病院の一室であると気付
くのにそう掛からなかった。
 対戦車地雷を抱いて自爆した筈なのに生きているとは、一体自分の悪運はどれだけ強いの
だろうか。縦しんば生きていたとしても、戦車を破壊するだけの威力を秘めている対戦車地
雷の爆発に巻き込まれたのだから、手足の一本は確実に吹き飛ぶ筈だ。なのに自分の身体は
外傷らしい外傷を負ってはいなくて、右腕に点滴が刺されているだけだった。
 訳が判らなかった。だが、何故、自分が生きているのかという疑問を抱く前に、自分が生
きているという事実にブラントは絶望していた。
 全てを終わりにしたかった。なのに終われずにいる。本気で自らの死を願ったのはあれが
最初で最期だった。薬莢に残った不完全燃焼の炸薬の様に燻っているこの想いを何処にぶつ
ければ良いのだろうか。
 ただ呆然と、ブラントは白い天井を見詰めていた。今の彼の魂は肉体から乖離していた。
だから近付く誰かの気配に気付かなかった。
「具合は如何かね?」
 いきなり目の前に現れたのは、犬の顔だった。それも典型的なジャーマン・シェパードだ。
ブラントは愛犬家で、特に黄褐色と茶褐色のニ枚毛のシェパードが好きだったが、この時の
彼は全くの無反応だった。
 ただ、ぼんやりとした目でシェパードの顔を眺めていた。
「おや、私の顔を見ても驚かないとは……変っているな」
 そう言ってシェパードの顔は視界外に引っ込んだ。ブラントは何気なくそれを目で追った。
 ベッドの傍に白衣の男が佇んでいるのが見えた。恐らく医者だろう。しかし、先程のシェパードは
一体何だろうか。そもそも病院へペットを連れ込むのは禁止されている筈だ。
 視線を上にずらすと、その医者がかなりの変り者である事が判ると同時に、シェパードの
謎も解けた。彼は如何いう訳か、シェパードの被り物を頭に被っていた。
 初めは犬が喋っているのではないかと思ったが、それは単に馬鹿げた錯覚に過ぎなかった。
犬が言葉を喋る筈がない。ましてや訛りのない、高い教養の片鱗を窺わせる様な完璧な発音
の独逸語を、犬が喋る筈がないのだ。
 だがブラントにそう錯覚させるだけ、その医者が被っているシェパードの被り物はよく作
られていた。毛並みの質感や黒く湿った鼻、瞳の輝きなどは本物そっくりだ。
「まぁ、落ち着いているのは良い事だ。これが小娘のヒトだったらギャーギャー騒いで、五
月蝿くてかなわんからね。君が成熟した男のヒトで、診る方としては助かったよ」
 シェパードの被り物をした医者は、そう言って白い絹の手袋を嵌めた手に持っていたファ
イルケースを捲り出した。
「身体の何処かが痛むとか、気分が余り良くなかったりするかね?」
 簡単な質問をされたので、ブラントは首を横に微かに振る事で答えた。
「うむ、結構結構。これなら落愕病の可能性も無い……明日には退院出来るな」
 満足そうに頷き、一頻りカルテに何か書き込むと、シェパードの医者はケースを脇に挟んだ。
277120:2007/01/21(日) 01:25:58 ID:jZ+RrWx8
「それでは、私はこれで失礼する。何かあったら其処に置いてあるベルを鳴らしてくれ給え」
 シェパードの医者は足早に病室を立ち去ろうとしたが、ブラントは彼を呼び止めていた。
「…………待ってくれ」
 シェパードの医者は立ち止まり、振り返った。勿論、その被り物をした顔からは何の表情も
読み取れなかった
「何だね?」
 一瞬、犬の被り物が怪訝そうな表情をしたのは気の所為だろうか。ブラントは構わず続けた。
「何故、ジャーマン・シェパードなんだ? 別に被るならば他の犬でも良いだろう?」
 自分の好きな犬種の被り物をしているこの奇妙な医者に、ブラントは少なからず興味を覚え
ていた。精巧に作られた犬の被り物をするぐらいならば、彼は犬が好きなのかもしれない。ま
さか犬という単語を聞いただけでも嫌悪する様な人間でもないだろう。少しは関心がある筈だ。
「アンタはジャーマン・シェパードが好きなのか?」
「……やはり君も他のヒトと同様だな」
 医者は何かに呆れた様子で、『やれやれ』と肩を竦める素振りを見せると、ベッドに引き返
した。ブラントは何事かと思ったが、彼はベッドの傍で跪いた。
「触ってみ給え」
 何を、と聞こうと思ったが、如何やら彼はこの犬の被り物を自慢したい様だ。余りにも精巧
に作られているので、その出来栄えの素晴らしさを直に触らせる事で教えようというのだろう。
 やはり彼は犬が好きな様だ。特にジャーマン・シェパードが。
 ブラントはそっと被り物の長い吻に触れた。毛並みは滑々としていて温かかった。鼻もちゃ
んと湿っており、健康的な犬の見本の様だった。瞳も綺麗に澄んでいて、年若い犬だと判った。
髭も綺麗に切り揃えられていて大変上品でよろしい。
「驚いた……よく出来ているな」
 余りの出来栄えの良さにブラントは感嘆しながらも被り物を触る手を休めない。一頻り長い
吻を撫でると、唇を捲り、その下の鋭く尖れた白い牙と桜色の歯茎を確かめた。虫歯は一本も
ないし、歯周病などの歯茎の病気もない。この被り物を製作するにあたって、如何やら余程優
れたシェパードを見本にしたのだろう。
 被り物だけでこれだけの熱意を感じ取れるのだ。この医者は無類のジャーマン・シェパード
好きと見做して間違いない。首筋まで作られており、其処も柔らかな毛並みに覆われていた。
「君は私の顔が被り物だと思っているのかね?」
 医者が言葉を発するのに合わせてシェパードの口が動いた。凄い、としか言い様がない。
「生憎と私のこの顔は被り物ではない。それが証拠に……」
 シェパードの口が大きく開いた。上顎と下顎にびっしりと綺麗に生え揃った真っ白な牙、垂
れ下がる赤い口蓋垂とその置くまで作り込まれているのだな、と思ったが、此処で大きな違和
感に気付くと、生温かい吐息が顔に吹き掛かった。
「………これで判ってくれたかな?」
 医者はすっと立ち上がると、白衣の襟元を正した。ブラントは信じられないといった表情を
浮かべており、『犬の顔をした医者』はそんな彼の様子を見て満足そうに唇の端を釣り上げた。
278120:2007/01/21(日) 01:27:42 ID:jZ+RrWx8
「私の名前はランディ・メイジャー。ヒト専門の『獣医』だ。君がジャーマン・シェパードと
呼ぶこの私の顔は、シュティファニッツ種独特のものだよ。覚えておき給え」
 ブラントは聞きたい事が山ほどあったが、ランディ・メイジャーと名乗る『犬の顔をした医
者』は颯爽と長身に纏った白衣を翻して病室から去ろうとした。
「そうそう。君に一つだけ忠告しておこう。この世界は君らヒトにとっては大変辛いものだ。
もし、この世界で生活するのが嫌ならば其処の引き出しを開けてみ給え。中には物凄く気持ち
良く眠れる薬が入っている。それを飲んで寝れば、君は永遠の心地良い眠りを楽しめるだろう」
 病室の扉を開け、閉める間際にそう言った。そして扉が閉まった。その閉まる音は意外と重
いものだった。多分、分厚い鉄製の扉なのだろう。人間の目線の高さ辺りに覗き窓らしきもの
と、下には小さな隙間が設けられていた。其処から食器などを出し入れしたりするに違いない。
メイジャーが出て直ぐ、鍵の掛かる様な音が聞こえた。
 ふと、窓辺に目をやった。白いレースのカーテンの向こうには、見るからに頑丈そうな太い
鉄格子が嵌っているのが見えた。
 それらからブラントは一つの結論に至った。此処は紛れもない病室だが、刑務所の医療病棟
か精神に何らかの異常を来たしている患者を隔離する為の特別なものに似ている。
 生憎と自分には自殺願望があるが、それは身も心も張り裂けんばかりの深い悲しみに襲われ
たからであって、自分の身に起こった出来事が他の誰かに起これば、必ずその誰かも自分の様
に死を熱烈に望むと思う。それ程の悲しい出来事があったのだ。断じて自分は精神を病んでい
る訳ではない。
 だから此処は精神病患者の為の病室ではない。ならば、負傷した捕虜を収容する為の病院だ
ろうか。だが連合国のみならず、世界中のどこを探してもあの様な『犬の顔をした』医者がいるとは
思えない。もしいたとしても、医者になるよりもサーカス団員になっているだろう。
 考えても答は出るものではなかった。結論を導き出すだけの諸要素が圧倒的に不足している。
それでは無理だ。アインシュタインだって零から相対性理論を考えついた訳ではない。
「……何が如何なっているんだ?」
 ブラントは溜め息をつくと、枕に頭を預け、瞼を閉じた。
 取り敢えず考えるのは後だ。今は色んな事で何も考えられない。直ぐに彼は微睡み、深い眠
りに落ちていった。
 既に彼は先程の奇妙なメイジャーの言葉を忘れ、つい先程まであった死への欲望が薄れてい
た。それに気が付く事なく、彼の意識は暗闇に霧散していった。
 それが果たして彼にとっては幸福なのかは誰も判らない。メイジャーの言葉を忘れる事無く、
素直にベッドの傍にある小さな机の上に置かれている小物入れの引き出しの中から、彼の言葉
通りの薬を飲んでから眠りに就いた方が良かったのかもしれない。
 その安らかな永遠の眠りに就く機会を逃した事を、オーバル・ブラントが後悔する日がやが
て来るかもしれないが、それは彼自身にも、誰にも判らない。
279120:2007/01/21(日) 01:29:28 ID:jZ+RrWx8
以上で今回の投下を終わります。
280名無しさん@ピンキー:2007/01/21(日) 05:05:34 ID:8ZfPSgKt
ガチムチおじ様ktkr!
自然と戦闘その他もろもろの知識あるだろうキャラ設定だし
純粋に日本以外の国のヒトにスポットがあたるのも珍しい。
今後にも期待
281名無しさん@ピンキー:2007/01/21(日) 14:16:43 ID:FanjkVIO
>>271>>279 GJ!!
ジャーマンシェパード来たかー。

ライオネルバッハ、蒸気機関だし動きが鈍いんだから
石炭切れ起こすまで逃げ回ってればタイムオーバー逃げ切り勝ちなんじゃないかと思ったが……

「否! 否否否、敵に叩きつけられた挑戦状、真っ向から受け止めずして何が魔法少女っ!」
「魔法少女の辞書に知恵と勇気という言葉はあっても姑息の二文字はありませんわ!」
282名無しさん@ピンキー:2007/01/21(日) 19:32:31 ID:gV3eIgri
>>257
>>271
>>279
三氏ともGJ!
283名無しさん@ピンキー :2007/01/21(日) 23:14:53 ID:PD+j3XTY
>>279
俺からもGJ!!
でも、元の世界で主人公がロシア戦線で戦う話を読みt(ry
284名無しさん@ピンキー:2007/01/22(月) 01:31:43 ID:d+yNcQk/
>>279
GJ!
続きが気になるー!
285名無しさん@ピンキー:2007/01/22(月) 23:53:56 ID:ltrrx6Id
ライオネルバッハ「我らタコ秘密教団の科学力はァァァァァァァァァァ世界一ィィィィィィィィィィィィィ!!」

>>271の後でドイツ軍人なんて聞いたらこんなの↑を思い浮かべてしまったではないか
286名無しさん@ピンキー:2007/01/23(火) 19:02:36 ID:nPEdJOcb
>>285
ほぼ正しくないか?その見解。
287名無しさん@ピンキー:2007/01/23(火) 22:56:21 ID:wuJ3jatl
>285
蒸気機関で満足しているタコが可愛くて仕方ないよ、トラ氏のSS読むと。
288我に牙を剥く世界。:2007/01/24(水) 01:36:18 ID:d5jx839V

 朝、目が醒める。
 
 三上幸村は左半身に感じる体温に眼をやる。
 あまい、かぐわしい髪の香り。
 少し生臭い汗の匂い。
 とくん、とくん、と伝わってくる健やかな鼓動。
 首筋にかかる寝息。

 彼が仕える女主人―――――クララ=ザマ=プライマリー。

 壁にかけられた巨大な古時計を見る。
 午前五時。
 部屋はまだ薄暗い。
 陽はまだ昇り切っていないらしい。
 スズメのさえずりが、窓の外から聞こえて来る。

 彼は、天蓋付きのダブルベッドからそっと脱け出す。
 隣に眠る、ワガママな主を起こさぬように。

 部屋にこもる朝の冷気は、昨夜の淫靡な行為の残り香を、あとかたもなく吹き払っていてくれる。
 同時に、夜から残る気だるい疲労に包まれた体も、しゃんとさせてくれる。

(まだ痛いな。)

 幸村は、部屋に散乱する二人分の衣装を集めながら、そっと、自らの首に手をやる。
 堅い、皮のざらついた感触。
 それは奴隷の証。他者の所有物の印。―――――首輪。
289我に牙を剥く世界。:2007/01/24(水) 01:40:29 ID:d5jx839V


 地下の私室に戻り、洗顔と着替えを済ませ、ロビーに顔を出す。

 すでに、そこには屋敷の使用人、給仕、メイド、などが執事のテキパキした指示によって働いている。
 勿論、全員がネコ族だ。

 この屋敷にいる非ネコ族の住人といえば、ヒト召使いの幸村だけである。
 幸村は、顔中を真っ白な体毛で包んだネコ族の老執事に、朝の挨拶をする。

「おはようございます、ボイド様」
「おはよう、今朝は遅かったなユキ」
「申し訳ございません」
「いやいや、構わんさ。お前が尽くしてくれた分だけ、お嬢様のこっちへのワガママが減るんじゃからな。大助かりじゃ」
「いえ、とんでもない。僕はただ、自分に出来る範囲の事をさせて頂いているだけですから・・・・・・」
「ふふふ、そんな困った顔をするでないわ。―――――取り敢えず、お嬢様の予定はいつも通りじゃ」
「では、いつもの時間にお目覚め頂く、ということで宜しいですね」
「うむ。頼んだぞ」

 このボイドという老人は、温厚篤実を絵に描いたような性格で、この執事と話す時は、幸村はいつも僅かながらの癒しを覚える。

 幸村は、他の使用人やメイドたちの仕事(主に屋敷の家族の朝食の準備)に合流すると、手を休めぬように朝の挨拶回りを続けた。
「おはようございます、リスティス様」
「おはよう」
「おはようございます、マイラ様」
「おはよう」
「おはようございます、パンドン様」
「おう、おはよう」

―――――その瞬間、ペニスとアナルに電流のような快感が走った。
290我に牙を剥く世界。:2007/01/24(水) 01:42:23 ID:d5jx839V

 思わず幸村は、手に持った食器を取り落としそうになったが、懸命にこらえ、立ち竦む。

(性感魔法!?アイツが帰って来たのか!?)

 そう思った瞬間、自分に向けて放たれたその声が、背骨に突き刺さる。

「あら、私には挨拶してくれませんの。ユキ」

 分かっている。
 わざわざ、振り返らずとも、その声の所有者が誰なのか、幸村は知り過ぎるほど知っている。
 しかし、それは有り得ない事だった。
 彼女は、この館の主であるプライマリー伯爵と共に、王城であるシュバルツカッツェ城に上っており、この館に帰ってくるのは、早くとも明後日以降になるはずと聞いていたからだ。
 しかし、現に彼女はここにいる。
 それは否定しても仕方がない事実。
 股間の刺激は未だに続いている。
 その場にうずくまりそうになるのを必死にこらえ、幸村は恐る恐る振り向く。

 その視界の先には、やはり、彼に向かって歩を進めるあの女がいた。
291我に牙を剥く世界。:2007/01/24(水) 02:13:24 ID:d5jx839V

「・・・・・・・・・・・・・・・おはようございます、ヒルダ様」
「昨夜も遅くまでお楽しみだったようですわね、ユキ?」
「・・・・・・・・いけませんか?」
「んふふふ、何もそんな顔をする事はないでしょう。それが、貴方のお仕事なんですから」
「・・・・・・・・・・・・・・・」

 その瞬間、彼の精神に大量の情報が入り込んでくる。

 眼前の女の意思。そして、フラッシュバックのような記憶の映像。
 彼女の肉体と魔法という手段が、彼の肉体と精神に、苦痛と快楽という情報を骨の髄まで叩き込んだ、あの調教という名の拷問の日々。

『どうせ我慢できなかったのでしょう?私の留守の間は・・・・・・。もう、貴方の身体はあのお嬢様相手では満足できなくなっているのですからね』

 幸村は、屈辱と羞恥で無意識に俯いていた。

『可愛い子・・・・・・・・。ホント、もう食べてしまいたいくらいですわ』

 さぞかし淫靡な視線が自分を貫いている事だろう。しかし、幸村はその眼光を跳ね返すだけの気力はなかった。
 彼女の言う通り、もう彼の肉体は、ヒルダの与えてくれる強烈な快感に逆らえなくなりつつあったからだ。

『待っていなさいユキ。貴方のお望みどおり、すぐに食べ食べしてあげますから』

 ヒルダは薄笑いを浮かべながら、何事もなかったように彼の横をすれ違って行った。
292我に牙を剥く世界。:2007/01/24(水) 02:16:10 ID:d5jx839V

「あれ、ヒルダ、どうしたんじゃ?お帰りは伯爵様と御一緒じゃなかったんかい」
「あっ、ボイド様大変です!伯爵様、今朝になって突然下城を許可されたんですって。ですから私は伯爵様の御帰邸を先に知らせて、ワシを準備万端整えて出迎えられるようにし
「何じゃと!?伯爵様が御帰邸なさるじゃとぉ!?」

「ボイド様、という事は」
「パンドン!シェフに伝えろ、大至急メニューを変更するとな!こないだ仕入れた舌ビラメはまだ残っておったな!?」
「申し訳ありません!あれは昨夜、アリア様が夜食にと御所望でして・・・・・・・・」
「むう・・・・・・・!」

「御心配要りませんわボイド様。こんな事も有ろうかと、城からの帰りに朝市に寄って、新鮮なロブスターを買い求めてまいりました。私の馬車の荷台にあります。―――――リスティス、聞いていましたね?厨房に運びこんで下さい!」
「はいっ!」
「おお、でかしたヒルダ!」
「有難うございます。―――――それと、伯爵様はとてもお疲れの様子でした。ワイン倉に言ってルルゴーニュの五五年物を開けさせましょう」
「うむ、手配しよう」
「あとは、お風呂でございますね。今すぐ大浴場に新しい湯を張って下さい」
「そうじゃな、確かにその通りじゃ。―――――マイラ!」
「はい、直ちに!」
「では、私は厨房で直接指揮をとりますわ。ボイド様は朝食の準備を進めて下さい」
「よし、では任せた」

 テキパキと仕事をこなすヒルダの物腰に、さっきの毒婦然としたイヤらしさは欠片もない。この屋敷の全ての者からの信頼を一身に負う、有能なメイド長。
 この館の中で、このメスネコの正体を知っているのは、自分だけかもしれない。
 そう思うと、幸村は寒気を覚えた。
293虹絹の乙女達:2007/01/24(水) 02:41:55 ID:icjfr/do
草原の中、俺は地面に大の字で寝そべって、空を見上げる。
やっと煩わしい受験も終わった。結果が返ってくるまで、自由。
まぁ、第一志望は無理のようだが、それは俺の努力相応の大学に、神様なり仏様なりが導いてくれるさ。

パソコンにかじりついてばっかの俺だけど、でも、この小さな、町外れの草原は大好きだ。
ここで横になって、時間の浪費をすることが至福の時。
たぶん、小学生のとき町を冒険して、見つけたときから。
目を閉じ、すぅっ、と深呼吸。

目を開ける。

――― 空に、2匹の鳥がいた。

――― 一匹は黒い。
――― 一匹は白い。

黒が、白を追いかける。
でも、鳥じゃない。そんな気がする。遠すぎで何か分からないが・・・
二匹は、時に追いかけ、時にすれ違いながら、美しい軌道を描く。
その軌道は平面的でなく、アクロバット飛行のような、複雑で優雅な線。

そして、黒が、白に追いつく。
真上に上った太陽が雲から顔を出し、ふたつの重なった瞬間に俺の視界を潰す。
・・・まぶしい。目を閉じる。そのまま、陽気と眠気に身を任す・・・



バキィィッってえええええええええええええええええええええええああああああああああああああ!!!!!!!
突如頭部に走る鈍器で殴られたような激痛に悶え草の上を転げ回る。

何?何事?ワッツハペン、この額の激痛はっ!!
俺の頭に十分硬いものが高い力積を保持しながら衝突したっ!!

正直泣きそうなのを堪え、ぐわんぐわんと響く頭部を押さえながら、状況の把握を試みる。

・・・卵?
294虹絹の乙女達:2007/01/24(水) 02:43:02 ID:icjfr/do
さっきまで俺の側に無かった、その白い球体。
いや、球ってか本当に卵型。
そして、小さくヒビが入っている。
そしてデカい。子供ひとり入るんじゃないか?
ダチョウの卵・・・?

もしかして、この卵が頭にぶつかった、とか?
いや、割れるだろ、フツー。
ってか、初速度は?初期配置は?むしろ誰が?
理系な受験漬けだった俺はそんなことを考えながら、目の前の物体Xをまじまじと見つめる。

パリッ

「お」

バリリィ

卵が、孵り始めた。

俺は、生物に限らず、何かが誕生する瞬間を見たことが無い。
せいぜい、料理の出来上がる瞬間の感動しか、知らなかった。
それが、目の前で発生している。
痛みを忘れ、目を、奪われた。

バリッ・・・

ヒビは、水平方向に卵を分断するように伸び、一週した所で止まった。

・・・1分経過、変化なし。

ふと、どこで知ったか分からない知識が頭をよぎる。
「卵からヒナが孵る時、殻を割ることを手伝ってはいけない。
 何故かは不明だが、手伝うとヒナが死んでしまう。
 自力で殻を割れないヒナは死んでしまうが、
 我々は見守るしか手段がないのだ。」

・・・増え始めた感動の芽が、徐々に悲しみに変化していく。
何だろう、見ず知らずの人でも、目の前で死んだら気分が悪くなるような。
そっと、卵の頭に、手を載せる・・・

バリィッ!

「のあぁ!?」
「のあー!」
卵の中から、何かが飛び出してきた!
295虹絹の乙女達 〜ノアとアズキと隊長と〜:2007/01/24(水) 02:44:25 ID:icjfr/do

たまごから ようじょ が あらわれた!
コマンド?
 たたかう
 なめる
→しらべる
 にげる

「はぃぃ!?」
「はいー!」

驚いて尻餅を突きながら、マトモな人語を出せない俺の言葉を繰り返す、
殻の中にこちらを向いてテディベア座りをしている女の子。
「何だぁ!?」
「なだー!」
舌ったらずらしい。

この少女は間違いなく、卵の中から出てきた。
真っ白な肌をしている。雪のように白い。

・・・驚愕に吹き飛ばされていた常識が、戻ってきたようだ。

雪のように白いと示したが、比喩ではなく本当に白い絵の具をぶちまけたような白さ。
そして、「シッポ」と「ツノ」がある。
ツノは後頭部から日本、人の両耳の後ろあたりから、それぞれ一本づつ、アゴと平行に生えている。
っていうか、耳がねぇ。
そしてシッポは、ニャンコでもワンコでもなく、爬虫類のそれ。

さらに、全身を調べる。ウロコがある。
その頭部には生まれたてにも関わらず、淡い青の頭髪がふさふさと生えている。
こーいうのを無造作ヘアってのか?
あ、眉毛もあるんだ・・・爬虫類っぽい目をしてるのに。
そして、何か頬のあたりからヒゲ?なにその突起ふざけてるの?

まあ、まとめると人外です。

「お前、一体何だ・・・?」
「お、ま。う?」
元気に俺の言葉を繰り返していた少女は、俺の言葉が難しいのか首をかしげてみせる。

そして、飛び掛ってきた!
「にーにー♪」「ぬおおぉ!?」
胸元に飛び掛られ、思わず押し倒される。
いや、実際はすごい軽い子なんだけど、驚いて身を逸らしたら、そうなった。
「にぅー♪」「ちょ、ちょっと・・・」
スリスリと顔を俺の胸元に擦り付けてくる。
「何?え?何お前!?」
「のあ!」
キラキラと目を輝かせながら、胸元から幼い顔が上目遣いに覗いてくる。

何だろう、確実に人外を目の前にし、懸念すべき懸案は山積みであるのに。
その一挙一動が、かわいらしく感じてしまう。いや、性的な意味じゃなくって、母性的な・・・
保護欲ってのか、こーいうの?
「はにゅー」
296我に牙を剥く世界。:2007/01/24(水) 02:44:31 ID:d5jx839V

「―――――ユキ、何をぼさっとしているのです!?」

(えっ?)

「早くお嬢様方を起こしていらっしゃい!もしも、あのお二方が寝ぼけ眼で伯爵様をお迎えしたなどという事になれば、その責任は貴方にいくのですよ!」

 そうだ、言われてみればその通りだ。

 ロビーの頑丈そうな扉の前で、腰に両手を当てて指示を飛ばすヒルダは、凛然としたメイド長の顔になったままだ。
 それは自分相手でも変わらない。
 そう思った瞬間、幸村は救われた気分になった。

「はい!分かりましたぁっ!」

 そう叫ぶと、手に持っていた食器を素早くテーブルの上に置き、クララの部屋に向かって走り出した。
 しかしロビーを出て、数歩も行かないうちに、彼の脳中に再びヒルダの声が響き渡った。

『ユキ、今朝はクンニ起こしをするのですか?』

(へっ?)

――――――クンニ起こし。

 幸村と、その主であるクララの間に約束された遊びの一つ。
 例えば、休校日などの時間に余裕がある朝などにする、クララの起こし方。
 クララの身体に火が点けば、そのまま朝の本番行為へと連動する。
 AVやエロ小説でお馴染みの、フェラ起こしの逆バージョン。

 ヒルダが拷問のすえに幸村に自白させた、主従二人だけの秘密。その一つ。

『質問に答えなさいユキ。するのですか?しないのですか?』
(するわけないでしょう。あれは時間がある朝だけのお楽しみなんだから)
『しなさい。これは命令よ』
297虹絹の乙女達 〜ノアとアズキと隊長と〜:2007/01/24(水) 02:45:54 ID:icjfr/do

服にしがみついて、体を擦り付けてくる可愛らしい妖怪?は、なぜか俺に懐いているらしい。
そのまま放置して移動するという発想は、もう俺の中から消え去っていた。
「えーっと・・・あ、こいつ一応、生まれたてなのか・・・」
ふと、赤ん坊に必要な物って何だっけなんて、全く興味の無かったことが頭をよぎる。
「あ、名前・・・そうだ、名前を決めなきゃ」
「のあ!」
そうだ、何事もまずは名前から始まる。ええと、この子は女の子か。股間にアレがないから間違いない。
当然ながらその子は素っ裸なのだが、この時の俺にそーいう趣味はないので、特に何も思わない。
「そうだなぁ、妖怪だから・・・日本的な名前?きな子とか?」
「のーあー!」
「いや、それは最近ウワサのダメカワイイじゃないか。むしろウゴァ!?」
「のーーーあーーー!!」
何か置きに召さないことが御座いますか、お嬢様。分かった、分かったから俺の胸を叩くなっ!
ビジュアル的には「ポカスカ☆」なんだけど、効果深度は「ドガッドゴッ」なんだよおおお!
「ゲホッ、ゲホッ・・・な、何が気に入らない・・・」
「ぶー!のあ!」
くそぅ・・・さりげなーく人外の出力してやがる。

・・・ん、もしかして?
「お前、『ノア』って名前なのか?」
「うにゃーーーー♪」
ぎゅーっと、抱きついてくる。そうか、『ノア』ってのか・・・
妖怪(暫定的)だもんな。生まれたときから名前が決まってても良いか。
なんてムチャクチャなことを考えながら、ノアの頭をなぜてやる。
「ふにゅー・・・」
そして、俺の胸の上で、寝息を立て始めた。
「やれやれ・・・」
298虹絹の乙女達 〜ノアとアズキと隊長と〜:2007/01/24(水) 02:46:42 ID:icjfr/do


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「・・・不作。」
カナは、その猫耳を片手で掻きつつ、今晩の獲物を探していた。
いつも旅先での食料は、現地調達だ。
無論、人里ならばそこで仕入れるし、保存食だってあるのだが、何分味がよろしくない。
しかしどうも、この一体の草原では獲物の気配がしない。
「あーあ、また不味い干し肉かよ・・・」
女性らしくない口調でガリガリと右手で後頭部を掻き毟りながら独り愚痴る。

踵を反してキャンプに戻ろうとした時、彼女は『気配』を感知した。
「・・・む」
2時の方向、およそ250単位。動物性生体反応、ふたつ。
ひとつは、大きな反応。もうひとつは、並みの反応。
距離が遠くて、それ以上は確定できないが
「何にしろ、確認する必要があるな。」
食料なら調達する。
野竜ならば、害獣として排除する。
人間なら、それがキャンプを攻撃する敵性か見極める。
何にしろ、私の背中にある大剣を喉元に押し付ける事には、変わりない。

彼女は、距離を詰める。
・・・200単位。
やや反応が確定。小さいほうは、二足歩行だ。
・・・150単位。
大きいほうは、ほぼ小さいほうに重なっている。生体兵器であろうか。
・・・100単位。
対象を目視。ただし月光に対し逆光のため、詳細不明。
・・・50単位。
こちらが背中を取った。
ゼロ。



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299虹絹の乙女達 〜ノアとアズキと隊長と〜:2007/01/24(水) 02:47:19 ID:icjfr/do
「もしもーし・・・ここどこですかー・・・」
ちょっと神様に電話してみただけだ。
最も、俺の携帯は家で充電中だが。
昨日はうっかり八べえでバッテリー入れ忘れてたからなー。

俺が寝そべっていた野原は、少なくともど真ん中で直立すれば、すべての端が見えるサイズのはずだった。
だが、歩けども歩けども、草原。

ノアは、相変わらず俺の腕の中で寝息を立てている。
いや、動き回られるよりは楽だと思うけど。
彼女は非常に軽いため、腕は全く疲れないのだが、
日が真上にあった時から歩き続けているためか運動不足の足がガクガクしてきた。
とりあえず、月の有る方角へ歩き続けてみたが、端が見えない。

―――俺、遭難した?

―――自分がいつもの草原に来ていたと思い込んでいただけで、実は別の草原だったとか?

「やれやれ・・・」
絶望的状況であることを、理解したくない自分が溜息を突く。

その時、背中側から。

ひゅっと。

えーと、マンガサイズの、アレですよ。竜切り?違うね。クレイモア。ほら、最近アニメ化する、あれ。

それが、喉元に固定されて。

何がおきたか分からなかったけど、同時に背中側に、むにっと。



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「動くな。」
私は、その人型の影を動けないように、喉元に剣を立てながら背中から自分の体を押し付け動きを封じる。
300虹絹の乙女達 〜ノアとアズキと隊長と〜:2007/01/24(水) 02:48:16 ID:icjfr/do

「・・・」
「・・・」
「・・・。」
「・・・?」
やけに反応がにぶ
「はいぃぃ!?」
あった。
妙な間に私の思考も停止してしまった。いかん、対心理戦の欠点となりかねんな。注意せねば。
「黙れ。切るぞ。」
「ひぃっ・・・!」
理解が早いな。そういう奴は嫌いじゃない。

マダラだな。でも声からして男。
ちょっと顔が近すぎて種族の確認は取れない。
まず、その胸元に抱えている生体兵器(未確定)を確認して・・・
え、おんなのこ・・・ウロコ・・・ん?

「・・・お前、人攫いか?」
「ち、ちが」
「ウソを吐くな。こんな夜中に幼女を草原に連れ込む輩は、人攫いかそれに準ずる者に違いない。」
「と、というか、これ人じゃないですよ!ほら、見てよ!肌が白いし、ウロコもあるし!」
「ただのヘビの子じゃないか。」
「ただのって・・・」
「まあ、良い」
私は、ガリっと自らの舌先を噛む。別に自殺する訳ではない。ただ、出血の必要があるだけ。
そして、対象の後頭部・・・脊髄に沿った場所に。
血の混じった唾液を、舌で擦り付けて。

「うひゃ!?」
そいつは身を震わせる。ふふ、やはり人が驚く姿は面白い物だ。
ややMッ気があると言われると、それは事実だ。否定はしない。
「な、に・・・を・・・」
ドサリ、と人攫い(ううん、知らないけれど絶対そう)は後ろに倒れこむ。
女の子は、眠ったままだ。

さて、顔の確認を・・・
「・・・あれ?」
耳がない。爬虫類系?
「・・・ありゃ?」
ウロコもない。つるっつる。
「・・・んんん?」
もしかして、これ・・・『ヒト』?
301我に牙を剥く世界。:2007/01/24(水) 02:49:20 ID:d5jx839V


(何を言ってるんだよ・・・・・・・・・・・急いでお嬢様を起こして来いって言ったのは、あんたじゃないか・・・・・・・・?)
『そうですわ。急ぐからこそ、朝クンニで起こしなさいと言っているのです』
(ヒルダ・・・・・・・・・?)

 彼女が何を言わんとしているのか、幸村にはまるで分からない。思わず彼は廊下で立ち往生してしまう。

『もし、お嬢様が朝食に間に合われなかったとして、その責を問われるのは貴方。その責を問うのは伯爵様。そして、その罰を実質的に与える事が出来るのは・・・・・・・この私』

(おい・・・・・・・・!)

『どのような厳しい、恥かしいお仕置きを貴方に科そうと、例え、お嬢様にも誰にも私を制止する権限はありません。ことに、その責を問うのが伯爵様ならば』

(おいおいおいおい・・・・・・・・・・・・!!!)

『お嬢様の前で死ぬほど辛い、恥かしい目にあわせてあげますわ。――――貴方の本当の御主人様は、あんな小娘などではなく、この私なのだという事を、再び骨の髄まで思い知らせてあげますから。―――――ふふっ、想像するだけで濡れてしまいますわ』

(何で・・・・・・・・・・・・・!?)

『ほら、立ち止まっている暇はありませんわよ。急がないと、ますます時間がなくなりますわ』

(何で・・・・・・・・・・・・!?)

『――――――安心なさい。もし貴方のテクニックが私の予想以上なら、ちゃんとお嬢様はお目覚めになるはずですわ』

(もう、やめてくれっ!!!)
302虹絹の乙女達 〜ノアとアズキと隊長と〜 中書き?:2007/01/24(水) 02:50:51 ID:icjfr/do



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まぁ彼女達の詳細は、後々ってことで。

それと、ちょっと将来使うであろう名前、予約しときます。
ご主人様の名称予定図
『カナ』『ココ』『ファナ』『ナナ』『ロナ』『アル』
奴隷君
『アズキ』
白子竜
『ノア』

その他
『イヌの剣闘士:ダンテ』
『ネコ?魔道士:ウィル』
『≪トリックスターズ≫機工士パンドラ』
ご主人達の名前は変更できても、
こいつら(その他)だけは譲れんっ!
実はご主人様たちより設定が深かったり(´・ω・`)

それと、「我に牙を剥く世界。」の作者様、タイミングかぶって御免なさい。
303我に牙を剥く世界。:2007/01/24(水) 02:52:42 ID:d5jx839V

『・・・・・・・・・・・・・』

(何でそんな・・・・・・・・・オレを・・・・・・・・オレばかり・・・・・・・・・こんな目に・・・・・・・・・!?)

『・・・・・・・・・・・・・』

(オレ、あんたに何かしたか?・・・・・・・・・・恨まれるような、憎まれるような・・・・・・・そんな何かをしたのか?)

『・・・・・・・・・・・・・』

(頼むよ!理由があるなら教えてくれよ!謝るよ!オレ、謝って済む事なら、済まない事でも、あんたの気が済むまで謝るからさ!だから――――)

『まだ、そんな事を・・・・・・・・おっしゃるんですの・・・・・・・・?』
(え?)
『・・・・・・・・貴方という方は、どこまで、どこまで愚劣な言葉を吐けば気が済むんですの?どこまで他者の心を踏みにじれば気が済むんですの・・・・・・・・・・・・!?』
(ヒルダ・・・・・・・・?)

 もはや幸村には彼女の血を吐くような叫びの意味など、全く分からない。
 この女以上に他者を踏みにじっている者がいるだろうか?
 その女が、何故、そんな台詞を吐く?
 それも、よりによって、当の被害者である、この自分に向かって。

『ユキ、貴方が私に許しを乞う絶対的な方法は、たった一つだけです』
(方法があるのか?)
『自殺なさい』

(・・・・・・・・・・・・・・・・ヒルダ)

『さもなければ、貴方は一生、未来永劫、私のものです。例え、どこに逃げても探し出します。私はもう貴方を許す気は完全にないのですから』

(・・・・・・・・・・・・・・・・)

『では、私の言いつけは以上です。もし命令に逆らってクンニ起こしをしなかっても、それはそれでお仕置きです。分かっているはずですよね。貴方はもう私に隠し事を出来ない身体なんだって事は?』
(・・・・・・・・・・・・・・はい)
『では行きなさい。朝食を楽しみにしていますわ』

 そう言うと、ヒルダは一方的に念話をうちきった。
 後には、半ば呆然となった幸村だけが残されていた。
304我に牙を剥く世界。:2007/01/24(水) 02:58:55 ID:d5jx839V
いえいえ、こっちこそタイミングかぶって申し訳ないです。
もう少し続くんで、もう少しだけ連投します。




――――――ばぁぁぁん!!

 思わず、その場にいた全員が彼女を振り向いた。
 何が起こったのか分からない者たちが大半だった。
 あの、常に冷静で、温和で、誰に対しても礼儀を忘れた事のないヒルダが。

 腰まで届く美しい銀髪。
 見事なまでの八頭身のボディ。
 スレンダーなラインに似合わぬ豊満なバスト。
 銀縁眼鏡の奥で、常に柔和な笑みを絶やさない理知的な眼は、単に顔の造型が整っているだけの美人とは異なり、傍にいる者を安心させるサムシングを纏っており、それが彼女の魅力を十倍にも二十倍にも高めていた。

―――――――その、ヒルダ=レウ=ファラオが。

 文字通り悪鬼のような形相で、厨房の鋼鉄製の扉を、拳も砕けよとばかりに撃ちつけたのだ。

(・・・・・・・・・・・・・殺してやる。)

「あ、あの・・・・・・・・・ヒルダさん?」

(絶対に・・・・・・・・・絶対に許さない・・・・・・・・・あいつ・・・・・・・・・あいつ・・・・・・!!)

「ヒルダさん!」
「はっ、はい!」

 その瞬間、ヒルダは我に返った。
 そして、自分を取り巻く周囲の目線の意味を瞬時に読みとると、たちまち、首筋まで赤面していくのが分かった。

「あっ、あらやだっ、私ったら・・・・・・取り乱しちゃって・・・・・・その、申し訳ありません!」
「いや、その・・・・・・ちょっと待って下さいよヒルダさん」

 うろたえながら、ぺこりと頭を下げる彼女に、厨房の者たちも逆に落ち着きを失い、頭を上げるように訴える。

「あっ、そっ、それじゃあ、メニューはさっき決めた段取りでお出しして下さい。よろしいですか?」
「ええ。――――大丈夫っすか?」
「あの、その、ゆうべ、少し眠れなかったものですから。――――マイラ、ここから先は、あなたにお任せしてよろしいですか?」
「はい。お任せ下さい。お疲れなんでしょう?ヒルダさんはもう休んで下さい」
「有難うございます。それでは、申し訳ありませんが、皆様の御好意に甘えさせて頂きます」

 そう言うと、ヒルダは、肩を落として扉の向こうに姿を消した。

「・・・・・・・・・すごいな。あんなヒルダ女史、初めて見るぜ」
「無理もないですよ。あれだけ、この家のために骨身を惜しまず働いていれば」
「そうですよ。今日だって、ほとんど眠らずお城で伯爵様のお世話をして、城から帰って休む事無く、伯爵様を迎える準備でしょう?普通だったら身体がもちませんよ」
「普通じゃないからヒルダさんなんだよ」
「そりゃそうだ」
「皆さん!手が止まってますわよ!」

 ヒルダから後事を託されたマイラ緩んだ雰囲気に活を入れる。

「あと、メイドが一人でもいる場所で、ヒルダさんの悪口は言わない方がいいですよ。ヒルダさんは、私たちは全員にとってのカリスマなんですからっ!」
305我に牙を剥く世界。:2007/01/24(水) 03:05:42 ID:d5jx839V

 そんな声が飛び交う厨房とは対照的に、メイド長としての私室に向かうヒルダの眼には、この家の者が誰も見た事がない、涙が光っていた。

 何故、彼は理解できないのだろう?
 自分の愛を。
 何故、彼は眼を向けてくれないのだろう?
 この私を。

 幸村の事を考えるだけで、全身がかぁっと熱くなる。
 体温が一気に二・三度上がったような気さえする。

 ヒルダは今でも覚えている。
 彼が、この屋敷へ連行されてきた時の、あの衝撃。まさしく心臓が潰れるかと思うほどの驚愕。
 六年ぶりに再会した、その「ヒト」は、初対面の時の幼さが抜け、すっかり大人びた容貌をしていた。

 彼女は自分を覚えているかと問うた。
 彼は、最初こそ思い出せないようだったが、やがて思い出してくれた。

 ヒルダはハイスクール(当然女子高)からメイドの高等養成所、さらにこの、プライマリー伯爵家一筋に仕えてきた。
 つまり、彼女にとって幸村との記憶は、ほぼ唯一に近い‘男性’とのプライベートな思い出であり、その後の屋敷での生活に於いても彼は、やはり唯一に近い‘男性’としての、よき理解者、相談相手となっていったのだ。

 そのうち、彼女は気付くようになった。
 自分の人生にとって、この男・三上幸村は、もはや必要欠くべからざる存在である事に。
 そして、それ以上に彼女は絶望せざるを得なかった。
 この男・三上幸村は、当家の令嬢であるクララに仕える「ヒト召使い」という名の性奴であるという現実に。

 許せなかった。
 認められなかった。
 いま、この瞬間でさえも、彼はクララの尻を舐めさせられ、嘲われているのかも知れないのだから。

 だから彼女は心を決めた。
 あの男を奪う、と。
306我に牙を剥く世界。:2007/01/24(水) 03:09:51 ID:d5jx839V

 この国に於いて、ヒト召使いの姦通は死罪である。

 従って、もし仮に、彼女が幸村と関係を結ぶ事が出来たとしても、彼の口からその事実が主家に洩れる心配はない。
 しかし、幸村の方から自分にアプローチが来るとも思ってはいなかった。
 彼の真意はともあれ、幸村がそんな迂闊なマネをするはずがなかった。
 つまり、二人が結ばれる為には、何らかの手段を講じる必要があった。

 そこでヒルダが考えたのが、性感魔法の習得だった。

 自分の感度を上昇させる術。
 相手の感度を上昇させる術。
 互いに性感を共有し、遠隔地であっても自在に性交できる術。
 相手の心を読み取り、責めて欲しいポイント、テクニック、タイミングを未然に知る術。

 最初は無理やりでもいい。
 だが、彼もすぐに分かってくれるはずだった。
 六年前から彼女が抱く想いの深さに。
 飼い主から五歳年長の、彼女の肉体の魅力に。

 そこに、性感魔法の技術が伴えば、まさしく鬼に金棒。クララ如きに負ける要素は一分もない。ヒルダはそう信じて疑わなかった。
 彼女は寸暇を惜しんで働き、その更に寸暇を利用して魔法を勉強した。

(今、この瞬間もユキは、クララの尻を舐めさせられている。)

 そう思うと、肉体的な疲労など気にもならなかった。

 そして、一年の独学の末、彼女は想いを遂げた。
 身に付けた魔法技術を存分に振るい、クララ相手では決して味わえなかったはずの快感を、それこそ骨の髄まで叩き込んだはずだった。
 しかし誤算が――――それこそ致命的な誤算があった。

 幸村が、それでもなお、ヒルダを振り向こうとは決してしなかったのだ。
307名無しさん@ピンキー:2007/01/24(水) 05:22:29 ID:TXkdJROz
すげえ、何このハードとほのぼのコラボ。しかも両方猫。
両氏ともGJ!
308名無しさん@ピンキー:2007/01/24(水) 07:13:40 ID:Tw2IoffD
すげぇ両方ともツボった
GJ
309我に牙を剥く世界。:2007/01/24(水) 07:38:20 ID:d5jx839V



――――――あるいは初恋だった、のかもしれない。

 ハイスクールでメイドとしての専門過程を選択した年、彼女が初めて見た「ヒト」。
 それが彼、三上幸村だった。

 ハイスクールでの初めての夏休み、帰郷中の出来事だった。
 彼女の実家はかなりの田舎で、一番近い鉄道の駅からでも歩いて二日はかかる。
 しかも、街道途中で大雨に降られ、駅馬車も全く通りかからず、やむなく雨宿りに彼女が飛び込んだ水車小屋にいた先客が、幸村だったのだ。

 ヒルダは初めて目の当たりにする「ヒト」の少年に好奇心と興味を抱いたが、彼から向けられた目線には恐怖と敵意と警戒心しか込められてはいなかった。
 もっとも、数日前に“落ちて”来たばかりで、その日の内から、奴隷商人に追い回されていた彼からすれば、無理もない話だった。

 雨は、その後三日間降りつづけた。
 初めのうちは、鋭い眼差ししか投げ寄越さなかった少年も、やがては打ち解け、口もほぐれ、そして、二人は退屈を忘れた。

 彼は自分の世界の様々な話を彼女に聞かせた。

 世界の事。
 社会の事。
 経済の事。
 文化の事。
 技術の事。
 戦争の事。
 政治の事。

 そして彼女も、うわさに聞く「ヒト」の世界の話を、彼が語る以上に聞きたがった。
310我に牙を剥く世界。:2007/01/24(水) 07:41:26 ID:d5jx839V

 宗教の事。
 犯罪の事。
 環境の事。
 地球の事。
 宇宙の事。

 彼は、少年っぽい外見とは裏腹に頭が良く、広範囲のテーマを、全く予備知識のない彼女にも理解できるように、巧みな説明と、多少オーバーな表現で聞かせていった。
 そして、彼女は当然、それ以上に彼の話を聞きたがった。

 学校の事。
 両親の事。
 兄弟の事。
 自分の事。
 友達の事。
 趣味の事―――――――。
311我に牙を剥く世界。:2007/01/24(水) 07:44:31 ID:d5jx839V

 やがて、彼女は、自分自身がとてつもなく残酷な事をしているのに気が付いた。
 彼の話を聞いた分だけ、ヒルダもやがてはこの世界の話をせねばならない。

 しかし、少年が胸を張って語る己の世界に比べて、この世界の、何という残忍な事か。
 ただ、腕力、生命力に欠けるというだけで、この世界に棲む「ヒト」たちは奴隷としての生活に甘んじなければならない。

 それもただの奴隷ではない。
 農奴でも、労奴でも、剣奴でも、戦奴ですらない。

 他者に尻を振り、身体を捧げ、ペットとして愛玩してもらう事で初めて生存権を得る事の出来る性奴。

――――――すなわち「ヒト召使い」。

 彼は泣いた。
312我に牙を剥く世界。:2007/01/24(水) 07:48:49 ID:d5jx839V

 最初は、余りの事に信じられない、有り得るわけがないという表情を崩さなかったが、やがて、呆然とし始め、脚が震え、肩が震え、そしてついに、泣き出した。

 無理もなかった。
 彼の話によると、(その当時の)彼はまだ、たったの十四歳であったという。
 その彼が語る、まさにユートピアそのものというべき「ヒト」世界から‘落ちて’きた先が、よりによってこんな世界であるとは。

 しかし、ヒルダは彼を慰める言葉を持たなかった。

 この国の話をしていた時、彼女は、少年が語った彼の世界と比較して、今まで何の疑いもなく生きてきたこの世界が、社会的にいかに野蛮で、未開で、理不尽と非合理に満ちたものであるか、寒気がするほど実感せざるを得なかったからだ。 

 そして彼は、四日目の朝、ヒルダが眼を覚ました時に姿を消していた。

 彼女は泣いた。
 ひたすら少年が哀れで仕方がなかった。
 泣いて泣いて、泣き疲れたとき、雨が上がっている事に気が付いた。
 そして、家路を歩みながらヒルダは確信していた。

 もはや二度と、あの少年と会う機会はないだろう、という事を。

 そして、その六年後、二人は再会し、そのさらに一年後、当時の少年は今や、彼女の手中に落ちた。そのはずであった。
313我に牙を剥く世界。:2007/01/24(水) 07:53:19 ID:d5jx839V



「お嬢さまっ!」

 クララの部屋に飛び込んだ幸村は、そのまま彼女のベッドに上がりこんだ。

(やるしかない。あいつの言う通り、クンニ起こしでこの場をクリアーするしかねえ!)

 ヒルダの眼は誤魔化せない。
 幸村は、もう充分すぎるほど知っていた。
 ヒルダは、その気になればいつでも好きな時に彼の肉体をモニタリングすることが出来る。

 いや、肉体だけではない。
 何を思っているのか。
 何を感じているのか。
 そんなレベルまで彼の心身を監視できるはずだ。
 何故ならば、幸村の身体には、『初めて』の晩にヒルダから、古代魔法文字の‘呪紋’を焼き付けられてしまっていたからだ。

「・・・・・・・・・・・うう〜〜〜〜ん」

 クララが寝返りをうつ。

 その乱れた寝相が、普段は漆黒の長髪で隠されて見えない彼女の横顔をハッキリとあらわにする。
 そこには、「人間」なら当然あるべきものが無かった。

 耳。―――――その器官は髪と同じ色をした体毛に包まれて、頭頂部からにょっきりと生えている。
314我に牙を剥く世界。:2007/01/24(水) 08:03:38 ID:d5jx839V

 時間が無いのは分かっている。
 しかし、やはり幸村は、胸を抉られるような切ない気分に、動きが止まってしまう。

 ここは「ヒト」の世ではない。
 猫、犬、猿、蛇・・・・・・・・・かつて人類が「畜生」と呼び、「獣(けだもの)」と蔑んだものたちの世。
 動物たちが二本足で闊歩し、人類は尻尾の代わりにペニスを振り、その動物たちにペットとして飼われる事で、かろうじて命脈をつなぐ世界。

(だめだ、やめろ、考えるな!)

 気が狂いそうになるのを必死に堪え、幸村は猛然とベッドの羽毛布団に潜り込み、極力乱暴にクララの下着をズリ下げた。
 ベッドの中は当然真っ暗だ。

 だが、一年にわたって彼女に仕えて来た幸村には、股間の位置さえ見当がつけば、後は、アナルもクリトリスも大陰唇も小陰唇も尿道も、掌を差すようにポイントはわかる。
 彼は、闇の中でクリトリスに飛びつくと、唇を使って包皮をめくり、優しく歯を立て、舌を這わせる。

「んあっ!・・・・・・・・・んんんん・・・・・・・」

 突然の刺激に、意識は無くとも肉体は敏感に反応するのだろう。
 さらに寝返りを繰り返して幸村の口撃から逃れようとするクララ。

 だが、当然幸村には逃がす気など毛頭ない。
 両の足首を掴み、無理やり広げ、舌をさらにクリトリスから膣孔そのものに進める。
 鼻の穴に勃起したクリトリスを埋め込み、そのまま首を使って振動を与え、さらに舌を膣孔奥に進める。
 鼻の奥がズキンと痛くなる。
 粘液が直接鼻孔の奥に入って、咳き込みそうになるのを、懸命にこらえる。

「はあっ・・・・・・・・・ぁぁぁぁ・・・・・・・・・くはっ・・・・・・!」

 お嬢様の息がだんだん荒くなってくる。
 愛液の分泌も秒単位で量が増してくる。
315我に牙を剥く世界。:2007/01/24(水) 08:06:17 ID:d5jx839V

「―――――あああっ・・・・・・・はぁああああ!!!」

 声もだんだん大きくなってゆく。
 寝返りのジタバタも加速度的に激しくなる。

「あああああああああ!!!!」

 ジタバタがやんだ。
 そう思った瞬間、クララの両手が容赦の無い握力で、幸村の髪を鷲掴みにする。

「っ!?」

 彼が、思わず足首を抑えていた手を放した瞬間、自由になったクララの両脚も、彼の頭部を股間にロックする。

 彼女はもはや、確実に性感に身を任せつつある。
 にもかかわらず、まだお嬢様は目覚める様子は無い。
 このままだと窒息の危険性すらある。
 彼女が覚醒してない以上、イキ切って一度脱力しない限り、クララの両手両脚が幸村を解放する事は無いはずだからだ。
 
 しかし、幸村はむしろ、そうなった事で意識の雑念が消えた。
 この理不尽な世界に対する怒りも消えた。
 自分に『死ね』と言い切ったヒルダに対する恐れも消えた。
 背中を焼き尽くさんばかりだった、時間に対する焦りも消えた。
 ただ眼前の(見えないが)女性器に対する、無限の愛しさが残った。
 己の舌技に無意識に感じてくれた、この主に対する嬉しさだけがあふれ出た。

 彼は笑った。

 そして、乳房に吸い付く乳児のごとく無心に、彼女の愛液を吸い上げた。

「んんんんんんんんん!!!!!!!!!!!!!」

 その瞬間だった。
 前立腺と尿道に電流のような刺激が走ったのは。
316我に牙を剥く世界。:2007/01/24(水) 08:10:05 ID:d5jx839V

『ほら!ほら!ほら!ほら!!何をしてるんですのっ!?そんなザマで愛しのスリーピングビューティを目覚めさせる事が出来るんですかっ!?そんなへっぴり腰で、王子様が勤まると、本気でおもってるんですかっ!!!』

 普段は絶対に耳にする事が出来ない、ヒルダの金切り声が、念話として鳴り響く。
 その叫びは、むしろ悲鳴のようですらある。

 股間の刺激がますます強くなる。

―――――――もぞり。
 
 アナルに、何かモサモサした太いものが侵入してくる感覚。
(これ、何だっ!?・・・・・・尻尾!?)

『そうよ、そうですわよ。これは私の尻尾ですわ!貴方はこれから犯されるんです!私に前後両方から犯されるんですっ!白雪姫の眼前で、王子様のくせに、女の子みたいに犯されるんですっっ!!!』
(やめろっ!やめてくれっ!!)
『やめて下さいでしょっ、何度言ったら覚えるんですかっ!?』

――――――ぬめり。

 その念を受信した途端、幸村の勃起が、何か生暖かいものに包まれ、その柔らかなモノの中で、彼のペニスはまるで雑巾のように絞り上げられる感覚。
 これは知ってる。何度も何度も味わっている。
 ヒルダの膣感覚だ。

(やめっ・・・・・・・・・・出るっ・・・・・・・・・出ちゃうよぉっ!!!)
『そうです!出しなさい!赤ちゃんみたいに白いオシッコおもらしして、ブザマなブザマな姿をお嬢様に見て頂きなさいっ!!』
(・・・・・・・・・・いやだ・・・・・・・・・・いやだよお・・・・・・・・・・)
『んふふふふ・・・・・・・いかがですか、自分の御主人様のおまんこ舐めながら、他人にイカされる気分はっ!?御主人様に御奉仕しながら御主人様を裏切る気分はっ!!?』

―――――――裏切る。

 その言葉が、幸村の胸を刃のように抉りまわす。
317我に牙を剥く世界。:2007/01/24(水) 08:14:11 ID:d5jx839V

 彼は、ベッドの暗闇の中で、さっきのクララ以上のもがきっぷりを見せる。

 しかし、クララの四肢は彼の頭部を放さない。
 暴れるクララの両足首を抑えて、愛撫を続けたさっきまでの彼とは、まるで逆だ。
 股間に奴隷を押さえつけた意思なき女主人は、幸村の動きに合わせて、あっちにゴロン、こっちにゴロンと、再び寝返りを打ち始め、彼の動きを制御せんとしている。無論、無意識の技だ。

(〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!!!!!!!!!)

―――――来た!

 幸村はエクスタシーで何も考えられなくなる以上に、瞼の奥が半鐘を鳴らしたようにガンガン鳴っているのを感じた。

 酸欠によるブラックアウト状態。

(・・・・・・・・・だ・・・・・・・・め・・・・・・・・だ・・・・・・・・・!!)

 意識が浮遊感に包まれ、ことん、と眠りにつくような、そんな心地の良さ。

『だめぇぇぇぇえええええええええええええええ!!!!!!!!!!!!!』

 その瞬間、股間からそれ以上の快感の塊が吐き出され、彼の意識を再び引っ張りあげる。

―――――がぶり。

「っっっぁぁぁああああああ!!!!!!!!!!!!」

 その瞬間、鷲掴みにされていた頭が突き飛ばされ、さらに物凄く堅い何かが素晴らしいスピードで、幸村の鼻っ柱を捉えた。

「〜〜〜〜〜〜〜〜」

 余りの激痛に悲鳴すらあげられず、敷布団ごとベッドから転がり落ちる幸村。

―――――何が起こったのか。

 酸欠によって意識が落ちる快感と、射精による快感。
 この二種の異なるエクスタシーを同時に浴びせられ、彼は思わず押し付けられたままの女性器に歯を立ててしまったのだ。
 そのあげく、クララの素晴らしい反射神経は、自身に激痛を与えた‘敵’に瞬時に反撃した。

 つまり彼は御主人様から蹴り飛ばされてしまったのだ。
318名無しさん@ピンキー:2007/01/24(水) 08:49:18 ID:he6lJS2i
書き込んだ方がいいんだっけ?
319名無しさん@ピンキー:2007/01/24(水) 09:11:54 ID:NbEhOWfw
>>318
YES。板の最新10回の書き込みの内、8回が同一IPからのものだと連投規制
一定時間内に何回もこれに引っかかるような真似してるとアク禁
レスの減る深夜1:00以降や日中に20レス以上のSSを投下する事は、故に危険
320名無しさん@ピンキー:2007/01/24(水) 09:37:58 ID:he6lJS2i
>>319わかりやすい説明ありがとう。

>>302ノアたんに超癒された。
白竜、ちっさい子、舌っ足らず、「はいー♪」だの「なだー!」だの。もうね、あんたどんだけ人のツボつけばいいのよと。ニヤけを禁じ得なかった。
1人称視点でアズキの方がギャグっぽい文体なのがいい。これからどうなるんだろ。
乙!次wktk!
321名無しさん@ピンキー:2007/01/24(水) 16:00:54 ID:qj7WVEMx
>>319
それが【支援】ってやつだね
音速で理解できたよ
さすが兄者
322名無しさん@ピンキー:2007/01/24(水) 19:32:33 ID:B3/6f0ZE
うほ!新作が続々!
でも、同時進行だと読みにくいから保管所の中のヒト
頑張ってください、よろしくおながいします
323名無しさん@ピンキー:2007/01/25(木) 00:15:38 ID:OAiYRY38
両者、乙。
だけど、ちょっと言いたい。
>>293氏、お願いだからsageを入れてくれ。
あと割り込みはともかく、せめて前の人が投下して一日なり空けないとかなりダメだと思う。
投下以前に、書き手の勉強して欲しい。

>>288氏も投下するなら間を出来るだけ空けない方がいいと思うし、…と!と―の長い連発は、
かなり台詞が安っぽくなるので注意。
あと、台詞だけで誰が何言ってるのか分からなくなる場面が多くて困る。

そこの所が引っかかって両方ともあんまり面白く感じなかった。
投下はチラシの裏ではなく皆が読む事を意識して最低限の基礎とマナーを身につけて欲しい。




324虹絹の人:2007/01/25(木) 01:13:45 ID:UbYCLIYj
なるほど(;´д`)
配慮に欠けておりました、以後注意します。

あと、書き手の勉強として、なにかガイドみたいなサイトとか、ありますか?
検索単語とかも全然思い浮かばないものでして・・・
325虹絹の人:2007/01/25(木) 01:14:53 ID:UbYCLIYj
そして即効sage忘れている俺しねばいいのに
326名無しさん@ピンキー:2007/01/25(木) 01:29:55 ID:Epqm7KwV
>>324-325
イ`w

こちむい世界の設定とかは、>>5 の wiki を見ると良いよ。
それ以外の疑問質問は、同じく >>5 に載ってる避難所で相談すると、もしかしたら誰かが答えてくれるかもね。
327名無しさん@ピンキー:2007/01/25(木) 01:30:20 ID:OAiYRY38
328虹絹の人:2007/01/25(木) 02:13:06 ID:UbYCLIYj
>>327
超ありがとう。これで今月の頭髪検査まで生きていける。
早速見てきます。
329我に牙を剥く世界。:2007/01/25(木) 02:54:30 ID:MNA+yQ8+



「ねえねえ、お父様、今度のアリアのお誕生日は何を買って下さるの?」
「これ、アリア、お食事中にそのような話をするのは、失礼ですよ?」
「だって、お母様、アリアだってプレゼントは気になります」
「そのような事を言っているのではありません。家族の食事中は、みだりに私語はしないというのが当家の家風なのですよ」
「だって、気になるんですもの」
「アリア、いい加減にしないと」
「はっはっは、いいじゃないかマリア。そんなに細かい事に目くじら立てなくとも」
「でも、あなた・・・・・・・・・」
「いいさいいさ。気に入らない物をプレゼントして、あとで嫌な顔されるよりも、直接欲しい物を言ってくれた方が、こちらとしても手間が省けるというものだ。そうだろう?」
「まあ、あなたったら」

――――――伯爵一家の朝の団欒。

 テーブルの上座に陣取る一家の家長、ギラス=ガオ=プライマリー伯爵。
 特徴のある錆びた声と、優しい眼差しで幼い末娘を見つめるその男は、その顔面こそ猫そのものだが、全身から貴族としての風格というか、気品というべきものがにじみ出ている。

 その家族は、彼をいれて四人。
 彼の右隣に座る貴婦人。伯爵の正妻、マリア=ピア=プライマリー。
 左隣に座る末娘、アリア=エル=プライマリー。
 そして、アリアの隣に座る少女。クララ=ザマ=プライマリー。

 部屋の壁際には、ボイドやヒルダを始めとする、使用人たちの中でも主だった者たちが居並ぶ。
 当然その中には、クララの召使いである幸村もいる。
330我に牙を剥く世界。:2007/01/25(木) 03:00:44 ID:MNA+yQ8+

(お嬢様、申し訳ありません・・・・・・・・)

 例え、強要された事とはいえ、ウィークデイの朝っぱらからあんな無礼を働いてしまったことに、彼の心は罪の意識でいっぱいだった。
 それは、ある意味当然であろう。了解も取らずに、主の股間を勝手にまさぐり、あげく噛みついてしまったなどと、気の荒い主人だったら、その場で殺されても仕方のない行為なのだから。

『何を俯いているのですユキ?そんな姿勢で、伯爵令嬢の召使いが勤まるとお思いですか?』
 ヒルダの念話が鳴り響く。

(ヒルダ!?おい、何をする気だ!?まさか?)
『まあ、何をするとは心外ですわ。朝方キチンとお伝えしておいたはずでございますよ?』

 ヒルダは青ざめた表情をする「ヒト」の青年をちらりと見ると、心中で呪文を唱える。

 ずくん、ずくん、ずくん、ずくん!

(くぅっ!!)
 アナルの中に、突然凶暴なウナギが出現し、直腸に向けてさかのぼって来る感覚。

『クンニ起こしをきちんと出来なかったら、それはそれでお仕置きを与える、とね』
(やめろっ、こんな、こんなところでっ!伯爵様までいるのにっ!)
『あら、それは大変。もしも“こんな場所”で貴方が独りで悶え狂っているのを伯爵様や御家族たちに見られたら、確実に懲罰ものですわね・・・・・・・ふふふ・・・・・・・』
(そんな・・・・・・・そんな・・・・・・・・・・)
『なんなら、御主人様にお伺いを立てられたらいかがです?
“お嬢様、あなたがお食事をしている間、ぼーっと突っ立っているのも時間の無駄ですから、ヒルダさんの魔法でヨガっていてもいいですか?”とね?』

(お嬢様・・・・・・・・・・・!)

 幸村は、卒倒しそうになるのを懸命にこらえ、所在なさげにパンをかじる少女を見る。

(お嬢様・・・・・・・・・・・!)
331我に牙を剥く世界。:2007/01/25(木) 03:04:47 ID:MNA+yQ8+

―――――クララ=ザマ=プライマリー。彼の本来の主。

 その風貌と体型はいかにも10代後半の少女のものだが、寿命が「ヒト」の数倍はある彼女たちは、必ずしも外見と年齢が一致しない場合が多い。この少女の場合は、それが、かなり顕著のようだ。
 いつもならば、まだ幼いアリアに負けない程度に騒がしい彼女なのだが、今朝は妙に大人しい。

(もおっ、ユキのやつ!休みでもないのにあんな起こし方するから、身体が疼いて仕方がないじゃないかぁっ!)

 ちらりと俯いていた顔を上げて、幸村を見る。
 顔面に、いかにも痛々しい青アザをくっつけた青年が、ピシリとしたスーツに身を包み、食堂の隅に直立不動の姿勢で待機している。
 青アザは、言うまでも無くクララの蹴りの傷痕だ。
 若干フラフラしているのは、おそらく蹴りのダメージが残っているせいだろう。彼女はそう思う。

(あいつ、あのあと必死で謝り倒してたけど・・・・・・・むしろ謝ることなんかなかったのにさ。ユキが我慢出来ないって言うなら、ボクはいつでもオッケーなのに・・・・・・・)

 クララがそう胸に呟く。
 しかし、その幸村と眼が合った途端、思わず彼女は真っ赤になって眼を伏せてしまう。

「何だ、今朝のクララは妙に静かだな」
332我に牙を剥く世界。:2007/01/25(木) 03:07:43 ID:MNA+yQ8+

「――――えっ、あっ、いえ、そんな事ありませんわ、ボクはいつも通りですよ」
「はっはっはっは、嘘をつけ。バースデイプレゼントがどうしたなんて話題、いつものお前なら、真っ先に飛びついてくるはずだろうが」
「そっ、そんな、お父様!ボクだって慎みというものぐらいあります!」
「まあまあ、クララの口から“つつしみ”なんて言葉が出るなんて。あなた、今夜は雪かも知れませんね?」
「お母様まで・・・・・もうボク知らないっ!!」
「ふふっ、そう怒るなクララ。――――で、アリアが結局一番欲しいのは何なんだい?」
「アリアねえ、アリアもねえ、ヒトを飼いたいのっ!」

 その途端、クララは飲みかけの紅茶を吹き出しそうになった。
 いや、クララだけではない。
 伯爵を含めた家族全員。さらに、その話を聞いていた屋敷の使用人たちまでが、ぎょっとした表情で、その幼女を見る。

 アナル感覚を必死になってこらえていた幸村でさえ、思わずアリアを見た。

「・・・・・・・・アリア、いくら何でも、それは少し早いんじゃないか?」
「だって!だって!お姉様ったらユキを独り占めして貸してくれないんですもの!アリアだってユキに色んな事をして欲しいのに、今朝だって、お姉様ばかり気持ちいい思いをして、そんなの、とっても我慢出来ないんですもん!」
333我に牙を剥く世界。:2007/01/25(木) 03:13:17 ID:MNA+yQ8+

「アリア!!!」

 首まで真っ赤になったクララが妹を睨みつける。
 しかし、アリアは少しも怯まず、幼い主張を続ける。

「アリアだって欲しいんですもん!ユキみたいな優しいのが欲しいんですもん!!」
「アリア!いい加減にしないとボクだって怒るよ!!」
「やめなさい二人とも!お父様の御前ですよ!」
「だってお母様、アリアが――――」
「クララ、妹相手にちょっと大人気ないな」

 今にも席を立ちそうな勢いで怒鳴り返す姉娘を、伯爵がやんわりとたしなめる。
「お父様・・・・・・・・・」
 悔しそうな表情でクララは父を見上げる。

「アリア、お前の気持ちはよく分かった。だがやはり、責任を持ってヒト一人飼うには、アリアには早すぎるとお父様も思う」
「だって、お父様、何でも買ってあげるっておっしゃったです!」
「まあまあ、アリアも最後まで聞きなさい。――――クララ?」
「いやですっっ!!!」

「おいおい、まだ何も言ってないじゃないか」
「皆まで聞かなくとも分かります!ユキを貸してやれっていうんでしょ!!絶対いやです!!」
「どうして?」
「アイツはボクのモノです!!ボクだけのモノですっ!!誰にも渡す気はありません!」
334名無しさん@ピンキー:2007/01/25(木) 03:15:14 ID:ma4U/bkf
335我牙の人:2007/01/25(木) 03:19:43 ID:MNA+yQ8+
色々、細かいご指摘有難うございました。
早速、次回の投下から参考にさせていただきます。
336名無しさん@ピンキー:2007/01/25(木) 04:13:57 ID:ma4U/bkf
 虹絹の人 &我牙の人 細かい事レスしてすまん
このスレも新しい書き手さんがどんどん参入してくれるのは喜ばしい事だ
それだけに上記を参考にし、これから新しく投下してくれる人の先導者になって欲しいと願う

できれば最低限
・会話文についての表現作法
・三点リーダーと中線、ダッシュの使い方の基本は押さえて欲しい
 「…」(三点リーダー)や「―」(中線、ダッシュ)は、必ずふたマスだけ使う。
 三点リーダーの出し方MS−IME、ATOKともに「てん」→「…」
 「だっしゅ」→「―」と変換

注)段落の先頭は、「必ず」ひとマス空ける。但し、「」や()などがつくときは空けない。
  これについてはWebの場合ひとマス必ずしもあける必要は無い
337名無しさん@ピンキー:2007/01/25(木) 05:17:58 ID:Ab2u4JGD
>>334
thx
338名無しさん@ピンキー:2007/01/25(木) 06:38:37 ID:TjehUvD7
GJ!
ぼくっ娘ktkr!
339名無しさん@ピンキー:2007/01/25(木) 07:15:13 ID:NaNFcxpU
ボクっ娘は素敵ね。
心に潤いをくれるよ。
340名無しさん@ピンキー:2007/01/25(木) 07:48:28 ID:9DSd3UDH
とりあえず整理。どっちかっていうと専用ブラウザ用。

我に牙を剥く世界。
>>288-292
>>296
>>301
>>303-306
>>309-317
>>329-333

虹絹の乙女達
>>293-295
>>297-300
>>302
341名無しさん@ピンキー:2007/01/25(木) 07:51:32 ID:VILoUqnN
>>340
ありがとう! これで読み始められる
342名無しさん@ピンキー:2007/01/25(木) 09:54:51 ID:Cb9+D4yS
すごいニアミスwwこんなん初めて見たwww

>我牙の人
昼ドラですかってくらい泥沼。ユキもまだ愛されてるだけマシなのかもしれんが。ボクっ子強姦、ご馳走様でした。

>虹絹の人
ロリ属性がある自分にはこの話でも抜kごめんなさい犯罪です。
あー、いつか来ると思ってたけれど、とうとうあの名前出てきちゃったかぁ。
自分の場合はその中の一つがとあるキャラの愛称にする予定だったんですが、まぁ名前なんてただの飾りだから別の考えますか。

両氏ともGJ!
343名無しさん@ピンキー:2007/01/25(木) 12:28:39 ID:iioV8iga
島流しからやっと帰宅してみれば・・・・
新作が増えてますね、うれしいです。
でも、作品の同時掲載は読みにくいなぁ
344虹絹の乙女達 〜キャンプにて〜:2007/01/25(木) 17:29:15 ID:UbYCLIYj



--------------------------------------------------



 …意外とヒトとは、軽いものだな。
 職務柄、気絶したゴロツキを地元の警備に突き出すために担いでいくことは多々あったが、
こいつはその半分程度だろうか。まぁ、ケダマはマダラの二倍重いと相場が決まっているのだが、
それを差し引いても軽い。私は、野生の兎(動物のほうな)でも担いでいるのかと、途中で錯覚したほどだ。
こんなつるっつるの兎は見たことないが。

 そして、少女のほうはもっと軽い。いや、少女より幼女のほうがしっくりくる大きさだ。
明らかに生体反応はこちらの方が大きい。しかし、どこにそのエネルギー…魔洸反応がこの体に入るのか。

 魔洸反応とは、平たく言えば魔法戦士の勘。相手の魔洸キャパシティを直感的に計測したり、特化の訓練をすれば遠距離から索敵できる。
自分より弱い相手ほど正確に、強い相手だと最低でも自分と同じ強さとしか分からない。自分の魔力と共鳴できる限度を調べているからだ。

 やはり、生体兵器と見るのが自然なのだが、ならば主は?主がヒトだとしても、守れよ。というか、無防備に眠らないだろ。兵器なら。
足の裏くすぐったら寝たまま「にゅふへへ」とか声出すし。
 ワケの分からん奴らだが、とりあえずキャンプまで担いでいく。
345虹絹の乙女達 〜キャンプにて〜:2007/01/25(木) 17:30:15 ID:UbYCLIYj



 キャンプとは、牛車…否、竜車の事。
私達は基本的に目的地周辺まではこの竜車を利用し、現地解散、各人単独活動に移る。
そして『隊長』である私は、竜車の保全も役目のひとつ。
これで仲間を迎えに行き、そして、互いの無事を確認し合う。
それが、生甲斐のひとつ。

 そして、その竜…『ロナ』は、岩盤のような肌をして四つ足で、腹這いになり両足をぐでーっと広げて目を閉じていた。
「こら、ロナ。だらしない。女らしくせんか。」
「ギャウ。」
 不満げな回答と共に体を起こし、お座りの体制を取る。
こいつも隊員だ。というか我々6人全員が、それぞれ曰く付きの体をしている。私もそう。
 彼女は竜に変化できる。いや、今となってはネコに変化できる、と言うほうが正しいかもしれない。
ほんの週に一日程度、体組織が安定した時にのみ、人の形を成す。
 ・・・私の体も、いつガタがくるかは、分からない。

「変なヒトと、人種不明を捕まえた。」
どさり、と地面にヒトを投げ出す。ノアは反対の肩にひっかかったまま。
―――あれ、その場で尋問しなかったの?

 彼女は人語を操れないが、対象の頭蓋骨に直接振動を送り、音を伝える。
ヒトの科学資料に興味本位で目を通したとき、『骨伝導』とかいう技術を見つけ、魔法に応用しているらしい。
おかげで普通に会話できる。しかも特定の相手にしか聞こえないことも利用価値がある。

「いや、暗くてヒトだとは思わなくてな…獣人規格で毒を盛って、昏睡状態だ。」
 私の血は、毒性を持たせることができる。私の意志で麻痺や睡眠、幻覚、臓器へのダメージなど調整できる。
…そう造られた。まだ機能はあるが、今は割合する。

 無論、自分の毒に中毒は起こさない。なお唾液などは普通のものも出せる。薄めるときに都合が良い。
脊髄の上に薄く即効性の麻痺毒を塗り、体を動けなくして尋問しようかと思ったが、
なにぶんヒトは獣人より対毒性、というか、この世界の病などに弱いと聞く。
獣人だと思って適量を超えてしまい、脳も麻痺して昏睡状態だ。

 …ああ、後遺症はない毒だ。都合の良い体なもんでな。

「とにかく、しばらく目が覚めないだろうな。」
 白ヘビの子をそっとヒトの横に寝かせながら、話を続ける。
―――どうするの?
「とりあえず、私達の『家』に寝かしておく。逃げないように見張る。」
―――そっか、分かったわ。外は私が見ておくね。
「…世話をかける。」
―――全然。
すっと、岩盤みたいな顔が、綻んだ。
最近では、竜と成ったロナの表情も読めるようになった。
それは、彼女が後戻りできないところに長くいることを示す。
…夜風が、冷たい。
346虹絹の乙女達 〜キャンプにて〜:2007/01/25(木) 17:32:25 ID:UbYCLIYj

「はにゅー…?」
 ああ、女の子が目を覚ました。
「…はにゃっ?」
 きょとん、とした顔で、ヒトの顔を見て、そして私の顔を見比べる。
夜風になびく淡い空色の頭髪と、黒い草原で白く輝いている肌が映える。
「…にゃーーー!!」
 ああ、状況を理解したらしい。
「大丈夫だ。何もしないよ。」
「にーにー!にーにー!」
 ヒトの体を短い手で揺するが、私の自慢の毒素でもうしばらくは思考できないはずだ。
「私の毒で眠ってもらってる。しばらくは起きない。」
 その子はビシっとこちらに指をさして、言い放った。
「ぶー!!おばにゃん、きやい!」

 私の中で何かが切れた。ってかキレた。
「よーし白ヘビにゃんこちゃん、 お・ね・え・さ・ん とあそぼっかぁ♪」
 先ほどのやさしい女性はどこへ行ったのか。『おねえさん』は、ノアを抱きかかえ、ぎゅーっと、骨よ砕けよと、胸に抱きしめた。
「ギニャーーーー!!!」

―――あーぁ。
 スイッチが入った彼女は、仲間の隊員にすら止められない。
その恐ろしさ、逆らったときしっぺ返しの大きさが、
彼女の合理的で仲間思いの性格以外の『隊長』たる威厳の要素となっている。
よってロナは、傍観以外の選択肢はない。
まあ、面白いものが見れるのだが。

「キライなら、スキにさせましょ ホトトギスゥ?」
 彼女はその手を緩め、顔を覗き込む。
「ふぇ、ふぇぇ」
 涙目だ。
やはり、女の涙目は可愛らしい。そして、幼いほど良い。
「んふー♪」
 その子をぬいぐるみの様に抱え上げ、

 唇を重ねる。
「〜〜〜にゅぅ!?」
 唐突な接吻にパニックを起こすその子を、顔を小さな両手で押さえつけられながらも、唇を割り込み、舌を絡める。
舌を噛まれ、私の血がその口に広がる。…私は舌の根を引っこ抜かれても再構築できる。頭や心臓は怖くて試していないが。
 また、多少は体の構造を短時間で一般獣人と異なる物にできる。
…今回は血液中の鉄分を固め、舌を引きちぎられないように強度を上げる構造体を造ってある。
「〜〜!?はふ…!ぅ…ゅ」
 そして、しっかり麻痺毒を送る。

―――それくらいにしたら?仮にも幼な子よ。
「ふぅ…ま、そうだな。」
 だらーんと、私の腕の中で体を仰け反らせて垂れる白ヘビの女の子。
唇を舐めながら、感想。
「制圧完了♪」

―――変なこと教えちゃって…



--------------------------------------------------
347虹絹の乙女達 〜キャンプにて〜:2007/01/25(木) 17:36:03 ID:UbYCLIYj



 …あー…
変な夢を見ていた気がする。

 体を少し起こす。
小部屋のような場所の床に寝そべっていた。

 足の方向に、月明かりが見える。窓じゃなくって、カーテンみたいな布で作られた入り口。
床は木目があるけど、壁や天井は布なのだろうか、アーチ上の構造をしており、カーテンではなくテントのように十分の強度を持っていそうだ。

 ノアがいる。
俺の左足元で、子犬が寝るその姿勢で丸くなっている。

 見知らぬ女性がいる。
俺の右手元に彼女の肩があり、二人の体の幅で、この空間の横幅は半分占められている。

「…夢なら良かったんだがなぁ」

 どうやら、俺はこの女性に捕まったらしい。つまり、俺の手足は縛られて……?っておぃ。
全然自由じゃんこれ。
俺は非常識的な方だが、さすがに捕獲した対象が逃げない様に多少の策は講じれるオツムを持つと自負している。

 だがこの女性はどうだ。
この部屋の中にはカーテンのせいで月明かりが入らず彼女の顔は見えないが、
それはそれは相当なブロンドに違いない。

 とりあえず俺は体を起こし、ノアをかついで、外へ…

「待て。」

 オキテラッシャイマシタカー…?!



--------------------------------------------------



 さて、このヒト。首輪もないし、それは『落ちてきた』ばかりと考えるのが、妥当なのだが。
 何せ、女の子――体を調べて直してみたが、ツノのあるヘビなど聞いたことがない。生体兵器らしくもない――を抱えて歩いていた。
 一体どのような状況で、主の無いヒトがこっちの人間を、抱きかかえて歩いているのか?

 私は胡坐を組み、肉切りナイフを指先で重心を支えて回しながら尋ねる。
「聞きたいことは多い。座れ。」
「・・・はい。」
 こいつは素直で良い。半端に気取ったチンピラより、弱くても立場をわきまえている奴のほうが美しい。
「まず、名は。」
「く「うにゅー」ずあき、です」
 ああ、女の子が目を覚ました様だ。
「はにゃっ!?」
「ノア…」
 ノア、それが名か。
白いヘビ?の子は目を見開いて、私を見つめて。
「にーにー!」
 ぎゅっと、ヒトの服の裾を掴んで自らの体を寄せた。
くく。軽くトラウマの様子だな。面白い顔だ。
348虹絹の乙女達 〜キャンプにて〜:2007/01/25(木) 17:40:36 ID:UbYCLIYj
家族帰ってきたから続きはあとd
349名無しさん@ピンキー:2007/01/25(木) 20:03:46 ID:64nmHYI9
>>348
通信簿に
人の話をきちんと聞かない

協調性がない

と書かれただろ?

続きはtxtでラストまで書き終えてからうpしてくれ

もういいわ…
350名無しさん@ピンキー:2007/01/25(木) 20:55:11 ID:lM+Xld8/
>>348
そのまんまフェードアウトしてくれてもかまわんがな!!
351名無しさん@ピンキー:2007/01/25(木) 21:14:16 ID:PO/BtYL6
そういう言い方はやめよう
もしかしたら慣れてないだけかもしれないし、ダメダメ連打じゃ始まらない
352名無しさん@ピンキー:2007/01/25(木) 21:28:17 ID:Ab2u4JGD
>>349.350
???
何をそんなにキレてんだ?
353名無しさん@ピンキー:2007/01/25(木) 21:34:29 ID:dqjvnCz9
>>351>>352
相手にしてやるな。
少なくとも去年の今頃は、こちむいスレには>>349-350みたいな言葉使いの悪い奴も俺様文法押し付ける奴もいなかった。
放置するなりNGワード入れるなりしておけばいい。

煽り厨はいろんなスレを(ID変えたり自演したりしつつ)巡回してるから、とにかく徹底放置しとけばそのうち捨て台詞吐いていなくなる。
354虹絹の人:2007/01/25(木) 21:53:29 ID:UbYCLIYj
ありがとう。今見て、ちょっとヘコんでました。

念のため見直してみると、
口姦持ってくために346までにいろいろ設定説明つけたけど、
説明が冗長になっちゃいましたね…

まだ説明を面白く後回しにして、
もっと文を軽くできたと思えてきます。
そーいうのを目指して今後も頑張ります。

うーん、書くって奥が深いな…

そして投下途中で止まり、
文章全体を見直してみたら、
未投下の文に致命的な間違いが発見できました。

これから修正します。
続きはもうちょっと後になります。
355名無しさん@ピンキー:2007/01/25(木) 22:02:28 ID:NUbrycxd
まあ投下に際する色々なマナーを指摘してあげることも大切だと思うけど、押し付けは良くないわな。
とりあえず書き手が楽しく書けるのがまず一番大事だし、
俺らは楽しませてもらってる立場として、アドバイスの範囲から出ないようにやっていこうや。
356名無しさん@ピンキー:2007/01/25(木) 22:02:49 ID:kEtcAeEq
>>354
とりあえず落ち着け。

区切りの良いところまで手元で書き上げて
書き上がったら一日寝かせて、
次の日にもう一度目を通してから
投下するようにした方が方が良いと思われ。
357虹絹の人:2007/01/25(木) 22:08:39 ID:UbYCLIYj
>>356
了解しました。
本当に見直すほど思うことが出てきますね…
細かいミスも、大筋も。
また、後日ということで。途中で申し訳ない。そして、ありがとう。
358名無しさん@ピンキー:2007/01/25(木) 22:10:41 ID:OofgKA+X
前にも話が出てるけど、ここでダラダラと20レス分とか使われると読みにくい人も居るので、
ある程度書き溜めたら、触りだけ1レス分書いて、あとはtxtアップをするのがスマートだと思う。
絶対その方が読みやすいし、それに保管庫の管理人さんも楽じゃね?
359名無しさん@ピンキー:2007/01/25(木) 22:21:12 ID:wjUDeMLY
>>354
書く以前の問題なんじゃないの?
半年ROMった方がいい

>>353のレスの方が喧嘩腰で煽りに見える
ちゃんと現実を見よう
360虹絹の乙女達 〜キャンプにて〜 :2007/01/25(木) 22:33:13 ID:UbYCLIYj
調べ直したら、残りは十分に短いので次の一連を最後の投稿とします。
次回からはtxtを試してみます。

あと、もしどのように改良したら良さそうだとか、
どこか悪いとか、そーいうのがございましたら、是非ともご指摘下さい。
できる限り精進致します。

あと、中の人が鈍いので、具体例を挙げて頂けるとありがたいです。
361虹絹の乙女達 〜キャンプにて〜 :2007/01/25(木) 22:34:56 ID:UbYCLIYj

「だが、何故恐れない?」
「…はい?」
「その子は…お前とは異なる生物だ。」
 そいつ…アズキとやらは、白ヘビの子…背中に隠れて、顔半分だけでこちらを不安そうに覗いているノアの方を、ちょっと見て。
そして、こちらに向き直り。
「かわいいと、思ってしまったから…じゃ、だめですか?」
「はぁ?」
「え、そ、その」
 …かわいい、から?



「ハハ…つまり、何だ。その子が、卵が孵るところを見て。感動して。そして、懐かれて。ほっとけなくなった、と?」
「はい。」

 さく、とナイフを床から抜いて
「死ぬか?」
 喉元の直前で止める。

「ちょ、えええ!?」
 ヒトは胡坐のまま、後ずさりする。
「にゃー!!」
 何故かノアも一緒に驚く。ああ、ヒトが動いたから轢かれそうになったんだな。
「常識的に考えて、卵をそのへんにほっぽりだす親がど・こ・に・い・る」
「えええ、だってアンタ、いや一言づつナイフで喉突付かないで、ノアは人外だって」
「ヒトデナシにも親がいるわ、バカモンが!」
「ひいいいごめんなさいいいい」

「だいたい、こっちじゃお前がヒトデナシで、私達が人間なんだッ!」
「はぃ!?それはどーいう…」
「はぅー…」



「…つまり、獣人に人権があり、ヒトは奴隷ってことなのか?」
「そうだ。」
 落ちたてホヤホヤ人間が聞くべきお約束の説明を受けているうちに、
取り乱していたこいつは、素が出てきたようだ。
「え、でもアンタも人間…ヒトなんじゃ」
「死にたいらしいな。」
「ごめんなさいごめんなさいナイフは勘弁してください」
「はにゃー、めー!」
 背中側にいたノアは、いつの間にかおなか側に回って抱きついていた。
うむ、主人をかばう幼子というのも、趣があるか。
…ん?こっちじゃ私達が主人だよな?
まぁ、どうでもいい。
362虹絹の乙女達 〜キャンプにて〜 :2007/01/25(木) 22:35:35 ID:UbYCLIYj

 それにしても、この華麗なるネコ族の私を、奴隷のヒトと混同するとは腹立たしい。
 …ああ、暗くて見えないんだろうな。ヒトは夜目が利かないと聞く。
「…私の顔を、見ろ。」
 部屋のカーテンを、手で押し上げる。

 月の光が、差し込む。
私の顔が映し出される。

 白い頭髪を、額にヘアバンドを巻き髪を上げ、左右に分けている。
ふと思ったが、ヘアバン無かったら私は、落ち物小説の、さだ子とやらの白髪Verだな。
 体格は、まぁ動きやすいように胸とかは控えめのサイズで固定している。

「…イヌミミ?」

 私の中で何かが切れた。ってかキレた。
「よーし、ちょっと首貸しな」
「ああああ何で何でさホワイ!何が悪かった!?いやナイフ痛いです首絞めながらかっ切ろうとしないであああ」
「下衆なイヌなんかと一緒にするな!私はネ・コ・だッ!!何でイヌごときと思った!えぇ!?」
「いやだって、仲間を大切にっていうか、家族は大事みたいなこと話してて何かそんな性格してるっぽいから、イヌかなーとおわああ」



 ナイフを下ろす。
「げほ…うぐ、きつ…」
 まあ、確かに、私は世話好きで、Mッ気があってもMでないのは、仲間を傷つけたくないからで。
そして、人一倍、家族ってモノが恋しいのも、本当で。

「確かに、私はネコの割には、イヌのような性格だ…」
認めざるを得ない。ネコよりもイヌが優れているところと合致している自分を。

だがしかしっ

「今度私をイヌと言ったら殺す。いいな。」

アイデンテティ…だっけ?難しい単語に興味はない。
とにかく自我は確保するッ

「…はい。」
素直で宜しい。
363虹絹の乙女達 〜キャンプにて〜 :2007/01/25(木) 22:37:00 ID:UbYCLIYj

「で、話は戻るのだが。」
「おう。」
「どこから卵盗んできた、答えろッ!」
「いや盗んでません落ちてたってか落ちてきたんだって俺の頭に!」
「何度も同じこと言わせるな、『ありえない』!!」
面倒臭い。本当に殺そうか。
「だめー!」
 ぼん、と私の胸に飛び込んでくる、白ヘビの子。
「にーには、にーにーなのーーー!!」
「こ、こら、ノア!!」
 ポコポコと、でも本気で、私の胸を両手で叩く。
「ごめんなさいごめんなさいこいつは悪くないんですいやノアはお願いしますダメです」
「きやーい!」

「…あーもう、分かったよッ!考えるだけ無駄…それが答えね。」
「はふゅぅ…」
「助かった…」

 はぁ、あんた助けられたわね、『妹』に。
女の子…ノアちゃんは、ほどほど知性も認められる行動してるし。
ヒトを嫌うどころか、とても大切にしている。
まあ、こいつも話してみると別にワルでもないし。
ウソを吐いている雰囲気じゃないし。必要もなさそうだし。

 第一、めんどくさいし。飽きてきた。そのへんは私ネコだし。
それに、こいつらの身体能力で私を振り切ることはできない。
面倒だから、明日に持ち越し。

「あたしは寝る。あんたも寝な。ああ、逃げようとしたら殺す!」
 最も、私はいつも仮眠以上は取れない体質なので、寝ているようで寝ていないのだが。
「にーに、ねむいー…」
 全く、ラブラブの兄妹だなお前らは。
「ノア、お前ものすごい勢いで、言葉学習してるなぁ…俺教えてねーぞ…」
「ふにゅー…」
 そして、女の子…ノアの寝付きは神速だ。
「…やれやれ」
364虹絹の乙女達 〜キャンプにて〜 :2007/01/25(木) 22:38:14 ID:UbYCLIYj

「…なあ、アズキ。」
「誰ですかアズキって。俺はく「はみゅ」ずあき、ですって。」
 
「長い。今日からアズキ。」
「分かりましたからアズキでいいですからその白い大剣を仕舞って下さい、断頭台みたいになってます…」
「なんで、その子を守ろうとした?
 この世界で、さっき出会ったばかりで、
 それだけなのだろう?
 なのに何故、私に切られそうに為ってまで、
 その子をかばった?」
「えっと…」

 静寂。
 草の音。
 風の囁き。

「この子は、俺を家族としたいみたい、です。」
 言葉を選ぶように、語り出す。
「確かに、俺に何のメリットも無いんだけど」
「ここで捨てたら、ヒトじゃない気が、したんです。」
 …人間らしく、か。
「…そうか。」
 十分な答えだ。


 程なくして、ヒトの寝息も聞こえてきた。
 聞いた話だと、動き慣れてないのに草原を歩き続けていたのだろう。無理もないか。



私も、緩やかな夜風の流れに耳を澄ませ、それを子守唄とした。
365虹絹の人 :2007/01/25(木) 22:39:31 ID:UbYCLIYj
これで一段落です。
次回も頑張ります。おやすみなさい。
366名無しさん@ピンキー:2007/01/25(木) 23:11:47 ID:urTAndYo
>>358
その時にも言った記憶があるけど、携帯から読めないからTXT投下は勘弁してほしいんだが。
ていうか、中にはまとめサイトからTXT投下する方法がわからない職人もいるだろうし、そういう奴を排除する権限が>>358にあるとはとても思えないわけで。
367名無しさん@ピンキー:2007/01/25(木) 23:16:44 ID:wjUDeMLY
>>366
それこそやり方がわかるまでROMれ、といわれるのが普通だと思う
元々携帯用のサイトじゃないし
368名無しさん@ピンキー:2007/01/25(木) 23:22:06 ID:VHtCpC/g
>>365
乙です。続きを楽しみにしてますね
>>366
2chはどのブラウザで見てるんですか?
べっかんこならtxtも変換して読めますけど
369名無しさん@ピンキー:2007/01/25(木) 23:23:08 ID:VHtCpC/g
上げてしまいました。ごめんなさい
370名無しさん@ピンキー:2007/01/25(木) 23:48:39 ID:OofgKA+X
>>366

脊髄反射かもしれないが、逆説的にtxtアップを禁ずる権限を>>366が持っているとも思えない。
大多数のユーザーに対し利便性と可読性の向上を旨とする手段としてのtxtアップを推薦してるつもりだが、どうだろうか。

システムとして、携帯で読むのではなく、携帯からも何とか見られる程度の冗長性程度を持たせれば、それ以上の物は
逆に必要無いと思うし、むしろ有るだけ邪魔だと思う。
携帯ユーザーの利便性として、作品掲載する作家さんのクロスアップを避ける為に、1日空けろだのナンだのと言うのも筋が違う。
作家は書きたいときに書き、アップしたいときにアップすればよい。
読者側は待つしか出来ないのだから、むしろ待つ側のモラルとして「俺が困る」を押し通すのは、建前だったとしても21歳以上の大人が来るここでは
失笑こそされても、賞賛の声は上がらないと思うけどな。

もういっぺん言うけど、大多数のユーザーに対し利便性と可読性の向上を旨とする手段としてのtxtアップを推薦してるつもり。
それだけ
371名無しさん@ピンキー:2007/01/26(金) 00:40:41 ID:0J4pWrNU
"大多数のユーザーの可読性"とか大仰なこといわれても。
>>370はどうやって大多数のユーザーの意見なんて判ったんだろう。
372名無しさん@ピンキー:2007/01/26(金) 00:43:25 ID:z5kBF3Nz
まぁ……txt投下は洒落にならない量(50kbオーバー等)とか好き嫌いが激しいネタ使用時とかに使う物で、
それを決めるのは書き手さんしだいって事だから俺らがなんだかんだ言っても仕方ないさ。
>>366>>370両氏の言い分も正しいと俺は思うけどね。

でも、アップの間隔だけは空けた方がいいと思うぜ、利便性抜きでも。
読む為のソリースには自ずと限界がある訳だし、同時に二つ来たら読むのが遅い人にはどっちもおざなりに
なっちゃう可能性もある訳で。
俺個人の意見としては、書き手さんが本気で書いた物をこちらも本気で読むのが礼儀かなと思う。

……正直適当な事言ってすまんかった。

373名無しさん@ピンキー:2007/01/26(金) 00:54:47 ID:KAQGuKPE
>>372
up間隔を空けるのはやっぱりマナーとして守っていただきたいってのに同意。
連続で投下されると、前のが流されたりなどの問題が発生する原因になるし。

txt投下かスレ投下かは職人さん次第ってのにも同意。
374名無しさん@ピンキー:2007/01/26(金) 00:56:59 ID:fElmQzcI
>利用者が増えるに従って、頭のおかしな人もそれなりに出没するようになって来ています。
>頭のおかしな人に関わるとなにかと面倒なことが起こる可能性があるので、注意しましょう。
>
>頭のおかしな人の判定基準
>
>・「みんなの意見」「他の人もそう思ってる」など、自分の意見なのに他人もそう思ってると力説する人
> 他人が自分とは違うという事実が受け入れられない人です。自分の意見が通らないとコピペや荒らしなど
> 無茶をし始めるので見かけたら放置してください。

"書きこむ前に。。。"より引用


>>370
そういう事だそうだ。
375名無しさん@ピンキー:2007/01/26(金) 01:11:06 ID:IZ0I+Ujm
>>370
オレだけかもしれんがtxt投下は割とスルーしてる。なんつーか読みにくい。
オレは君の言う「大多数」じゃあないんだろうな
376名無しさん@ピンキー:2007/01/26(金) 03:11:28 ID:k45/mbbh
直接投下はスレの華。
リロードしたとき、バーッと新着がのびるとワクワクするよ。
まあ、便利なのは圧倒的にtxtの方なんだが。
377名無しさん@ピンキー:2007/01/26(金) 06:38:57 ID:Bqqa4dad
>>372-373
投下間隔は控え室でも常にループしている話題だという事もある。
「何時間空ける」という明確な規定はないが、少なくとも先に投下した人がいれば
その人の投下の区切りがつくまでは待つのがマナーとされてるんじゃないか。
”読み手の気持ち”ではなく”書き手(先行投下した人)の気持ち”を考えろ
segeしろ
これが>>323の言いたい"最低限のマナー"じゃないかと思うけどどうだろう

>>323に対し>>324で反省しておきながら同じ事をやっている
普通なら袋叩きされるだろう

先に投下した書き手は気分がいいだろうか
過疎スレならいいが、賑わいのあるスレでは書き手同士暗黙のマナーというものも存在する
どうしても同時に投下せずにいられないならtxt投下すればいい
読みたい人は読んでくれるしそうでないのはスルーしてくれるだろうさ

そして色々悪いところを指摘してくれとレスしてるのに対し>>343
だったらきちんと区切りまで書き上げ、「推敲」してから投下すれば?という意見もちゃんと出ている

最後に>>353
初期のこちむいスレにはこういう初心者の暴走はなかった(それ程活発でもなかった)過去ログ参照
書き手が増えれば摩擦も生じる

読み手だけではなく書き手同士を尊重しあう事はスレの平和のためにも必要だと思う
慣れてない、知らなかったというのは「ROMってこい」と言われても仕方がないのが2chだろ
何のために避難所があるのかも考えてみよう
378名無しさん@ピンキー:2007/01/26(金) 07:14:01 ID:Bqqa4dad
>>343スマソ
>>348へのアンカーミスだった

379名無しさん@ピンキー:2007/01/26(金) 07:21:13 ID:Bqqa4dad
ついでに
>>370
>>374-375みたいな煽り厨も発生する要因となっている

「ああいえばこういう」
自分の意見は絶対正しい

それはレスしてる誰もがみなそう思っている事

過去荒れた要因が何だったかも過去ログ参照
380我に牙を剥く世界。:2007/01/26(金) 07:25:38 ID:TnJGtYiM



「ごめんねユキ、みんなのいる前であんな恥かしいこと言っちゃって・・・・・・」

 トマトみたいに真っ赤になったクララが、眼を潤ませながらボソボソと呟く。
 隣に座る幸村にだけ聞こえるような小声で。

――ガッタン!

「いっ!?」
 尾てい骨への振動に思わず幸村が声を上げる。
 二人を乗せた馬車が一瞬弾んだ。車輪が小石を踏んだようだ。

 クララが学ぶ王立高等法院。
 幸村は、毎朝クララの召使いとして、馬車に揺られて片道三十分の道行きを共にする。

「でも、キミだって悪いんだよ? キミが今朝、あんな真似しなかったら、ボクだってもう少し冷静でいられたのに」
「お嬢様」
「・・・・・・なに?」

 それまで俯きっぱなしで、ろくに幸村の方を見ようとしなかったクララが、ようやく顔を上げる。
 まだ赤くなった顔色は治まっていない。一度落ち着いてしまうと、よほど朝食での独占宣言は恥かしいものだったのだろう。
 そんな彼女を見るたびに、幸村はクララが愛しくてたまらなくなる。

「お嬢様のお言葉、僕は素直に嬉しかったですよ?」
「ユキ・・・・・・」
「僕は幸せ者です。お嬢様のようなお方にここまで愛して頂いて」
「ちょっ・・・・・・やめなよ、そういうこと言うの。何か照れくさいじゃないか」
「だって、嬉しいものは嬉しいんです。仕方ないじゃありませんか」

 ちらりと上目遣いに彼を覗くクララに、幸村も、はにかみながら笑顔を返す。

「もうっ、知らないっ!」

 そう言いながら、再び真っ赤になって下を向くクララに、
(ああ、ひょっとして、あれか。これが“萌え”というやつなのかな?)
 と、幸村も純粋に胸のうちを疼かせる。
381我に牙を剥く世界。:2007/01/26(金) 07:29:38 ID:TnJGtYiM

 実際、この彼の主は、非常に照れ屋で、はにかみ屋で、恥かしがり屋だった。
 いつもは明るく、元気一杯で、身体を動かす事が大好きなお転婆娘なのだが、ふとした弾みでスイッチが入ってしまうと、お地蔵さんのように、もじもじと動かなくなってしまう。

 そうなったクララは、可愛い。
 すごく可愛い。
 幸村は心底、そう思う。

 実際、クララの容貌だけを見るなら、彼女は少なくとも美人のカテゴリーに入る女性ではない。
 顔の造型や、スタイルを比較するなら、はっきり言ってヒルダの方が数倍美しい。

 しかし、クララの持つ天性の陽気さが、彼女の独特の愛嬌を生んでおり、その愛嬌と素直な性格が生み出すその魅力は、見るもの全てをホッとさせる可愛げに満ちている。
 ヒルダの魅力が外貌の美しさだとするなら、クララの魅力は内面からにじみ出る可愛さだ、と言えるだろう。

 だが、正直に言ってしまうと、彼とてクララの魅力に最初から気付いていたわけではなかった。
 実際、彼女に対する幸村の第一印象は、無駄に騒がしくて、わがまま一杯に育った世間知らずなガキ、というものだった。

 そして幸村は、この性的にはとても奥手な少女の性奴としてではなく、むしろ、遊び相手として買われたのだということを知った。
 彼は伯爵に感謝した。
 そして、伯爵の意に報いるため、最大限の努力をした。

 やがて、少女の信頼を勝ち得た彼は、活発な反面うぶな主の、夜の行為をも指導する立場になっていった。
 結果、宮中や高等法院で、わずらわしい礼儀作法に四苦八苦していた彼女のストレスは発散され、理不尽なワガママとして屋敷の者たちに猛威を振るっていたエネルギーは鳴りを潜める事となる。
 幸村は、不在がちな伯爵に代わって、唯一クララの手綱を握れる存在として、屋敷で存在価値を認められていった。

――しかし、だからといって当時の幸村が、本当の意味でクララを愛していたかというと、それはまた違う話であった。
382我に牙を剥く世界。:2007/01/26(金) 07:35:08 ID:TnJGtYiM

「お嬢様」
「・・・・・・」

 クララは、今度はもう返事すらしない。

「お嬢様、キスしましょう」
「・・・・・・・え?」

 眼を丸くするクララの顎を掴み、抱き寄せ、唇を奪い、舌を捻じ込む。

「んんんんん〜〜〜!!」

 数秒、抵抗しようとしたクララだったが・・・・・・やがて脱力し、さらには彼以上に情熱的に舌を絡ませ、両腕を幸村の背中に回し、背骨も折れよとばかりに彼を抱きしめた。

「んぐっ!?」
 ごきり、と悲鳴をあげる幸村の背骨。
 彼は思わず唇を放そうとするが、今度はクララがそれを許さなかった。
 のけぞろうとする幸村の後頭部をがっつり掴み、そのまま馬車のシートに彼を押し倒す。

「んふっ、逃がさないよ〜だ」
 互いの鼻息さえかかる距離。潤んだ瞳でそう囁くと、彼女は再度、幸村の唇にむしゃぶりついた。

 ごくっ、ごくっ。

 自分に覆い被さる女主人の、大量の唾液を飲み干す。
 甘い。
 とても甘い。まるで上等の果実酒だ。いつも思うがヒルダのものとは全く違う。

(ヒルダ・・・・・・か)

 そうなのだ。彼がクララの天性の魅力に気付いたのは、もとはと言えばヒルダに凌辱された事がきっかけなのだ。
 ヒルダによって地獄に突き落とされ、その時初めて、彼は無垢なる天使のような主の笑顔に癒されていた自分に気が付いたのだ。

「どうユキ、ボクの唾液おいしい?」
「はい・・・・・・甘くて、おいしい、です」
「そっか、おいしいんだぁ。んふふふふふふ・・・・・・・」

 クララは制服のスカートから、しゅるりとショーツを脱ぎ捨てた。

「お嬢様」
「キミが悪いんだからねユキ。キミが、キミがそうやって誘うから、ボクのアソコはぐちゃぐちゃになっちゃたんだ。ほんと、悪い子だよキミは」
383我に牙を剥く世界。:2007/01/26(金) 07:39:25 ID:TnJGtYiM

――悪い子。

 そう言われた瞬間、罪の意識で胸が張り裂けそうになる。

(オレは、お嬢様を騙して、裏切ってる・・・・・・!)
 許されるはずがない。
 こんなにも自分を想ってくれる主を。
 こんなにも無邪気で可愛い御主人様を。
 その想いを裏切り、踏みにじっている自分がここにいる。
 ヒルダの与えてくれる快感が圧倒的であるほどに、幸村のクララに対する罪の意識は増大し、彼女への後ろめたさが巨大化するほどに、彼の中でクララの発する輝きは、ますます磨きがかかってゆく。

「さあ、いれるよ! キミのおかげで、もう朝から欲しくて欲しくて仕方がなかったんだからね」

 クララは馴れた手つきで幸村のベルトを緩め、ズボンを下ろすと、そのペニスに股間の照準を定めた。

「しかしお嬢様、今から始めたら、途中で学校に着いてしまいますよ!?」
「いーの!そんな事キミが気にしなくてもいーんだよ!」
「しかし、伯爵様にお叱りを受けるのは僕――ぐぅっ!」

 ずぶっ、ずずずずず。

 クララは、はにかみながらも娼婦のような笑みを浮かべ、眼前に横たわる男の陽根に腰を降ろし、自らの花芯の奥へと導いていく。あの頃の奥手な少女が、まるで別人のようだ。

「・・・・・・あああああ・・・・・・・いい、よ・・・・・・いいよおおおおお・・・・・・!」
「ああああ、お嬢様・・・・・・」

 こつん、こつん。

「かはっ!?」
 最深部まで吸収された幸村のペニスが、クララの子宮口をノックする。
「ひぎぃっ!」
 騎乗位で幸村の腰にまたがっていたクララが、膣奥の刺激にたまらず抱きついてくる。

「ゆきぃぃ、ちゅーしてぇぇ・・・いいよぉ・・・ちゅーしてくんないと・・・・・・あああっ!!・・・・・・ボクっ、ボクっ、おかしくなっちゃうよぉ・・・」
「はぁっ、はぁっ、はぁっ、おっ、じょうさ、まっ!」
「んちゅーしてってばぁ!!」
384我に牙を剥く世界。:2007/01/26(金) 07:43:44 ID:TnJGtYiM
 
 その命令に幸村が応える前に、我を忘れたお嬢様は彼の唇に吸い付き、舌を絡める。

 ずちゅっ、じゅる、ぴちゃぴちゃ、じゅるる・・・・・・。

 一分近いディープキスを堪能したクララは、狂ったように、それこそ朝からのフラストレーションを一気に晴らすかのように、幸村の顔を舐め始める。

「はぁっ、はぁっ、・・・・・・おいしい。・・・・・・ゆきのつばも、かおも、くちびるも・・・・・・すっごく、すっごく、おいしいよぉっ」
「はぁっ・・・・・・ありがとう、ございますぅっ!」
「ぁぁぁ、すき、だいすき、だいだいだいすきぃ・・・・・・ボクもう、キミがいないと・・・・・・いきていけないよぉっっ!」
「お嬢様・・・・・・」
「すき? ゆきはボクのことすき? ずっと、ずっと、ボクだけのゆきでいてくれる?」


 何という質問をするのだろう。
 はい、と言おうとした瞬間、幸村の脳裡に浮かぶのは、自分を凌辱し、嘲う銀髪の女の顔、声、そして圧倒的なまでの性感魔法の感触。

『貴方はもう、お嬢様を裏切ったのです。この身体はもう、お嬢様だけのものでは無いのです。私のものでもあるのです。やがて貴方はお嬢様を抱く度に私の事を思い出すようになるでしょう』

(ちがう! ちがう! ちがう! ちがう!)
「好きです! 好きです、お嬢様!! 大好きです!!」

 幸村は何かを振り払うかのように、それ以上に増して腰を使い始める。

 こつん、こつん、こつん。

「ああああっ!ゆきっ、ゆきっ、うれしっ・・・・・・うれしいよおぉぉ!」
 亀頭の先が激しく子宮を突き上げる。クララはもう、ほぼ半死状態だ。
「いぐっ!いぐぅぅぅぅ!!」

 幸村は、クララの後頭部に手を回すと、さらに激しいキスをした。
 クララも幸村の意図を悟るや、彼に激しく抱きつき、二人の距離をゼロに縮める。

 彼女はイッた。

「はぁっ、はぁっ、はぁっ、はぁっ、はぁっ、はぁっ、はぁっ・・・・・・」
「・・・・・・ユキ」
「・・・・・・」
「・・・・・・イケなかったの・・・・・・?」
「・・・・・・申し訳ありません、お嬢様」
「気にしないで・・・・・・そんな日もあるよ・・・・・・」
「・・・・・・申し訳ありません・・・・・・!」

 絶頂を極め、それ以上に幸村から“好き”と言われて、幸せに満ち溢れた表情をするクララ。その反面、幸村の眼前には、一面の暗黒しか映ってはいなかった。
385名無しさん@ピンキー:2007/01/26(金) 07:44:29 ID:OHmmHHCP
>>377
まーそう小難しく理論展開しなくても…
今回は初心者同士のコラボなんだしさww
386名無しさん@ピンキー:2007/01/26(金) 09:17:09 ID:qRUECBzE
>まぁ、ケダマはマダラの二倍重いと相場が決まっているのだが

この部分なにが言いたかったのかよくわかんな
かったんですけど…
387名無しさん@ピンキー:2007/01/26(金) 12:14:57 ID:Xf7j8OCd
論議について逝けない漏れがいるwww
ようは精進してくれってことか?
作者ガンガレ(`・ω・´) ノ
388虹絹:2007/01/26(金) 13:07:48 ID:5DbHeBxm
「狗国」でジーきゅんの体重が100kgちょっと、ってありまして。
メスがヒトと同程度の重さならば、
端的に、オスはメスの二倍くらいの体重ってことになると思いました。

カナは100kg担ぐことは造作も無いこと、
…ヒッキーのアズキがデブじゃなくガリなことを示したかったんです。
389名無しさん@ピンキー:2007/01/26(金) 13:44:13 ID:kxNJSP/L
まあ結局。それぞれ出来る限り他に配慮していきましょうってことだろ?
書き手は読まれることを前提に、読み手は書いてもらっていることを前提に楽しくやろうや。
390名無しさん@ピンキー:2007/01/26(金) 14:24:45 ID:k45/mbbh
>388
ケダマとマダラの意味を誤解しているとお見受けした。
おそらく獣頭人身なら男女とわずケダマだと認識しているのでは
ないだろうか。

「ケダマ」=全身毛皮系獣人タイプの”女性”
「マダラ」=ヒト型+耳尻尾つきタイプの”男性”

のことだよ。
391名無しさん@ピンキー:2007/01/26(金) 17:09:16 ID:nV+TVh/P
携帯しかない自分には投下する時にtxtで出来ないから作品作りは諦めていたんだが、流れをみる限りいいんだろうかと思ってしまったり。
と、パソコンは実家+近くにネカフェどころかコンビニすらあんまり無い田舎に一人暮らしの人間が言ってみるテスト。
392名無しさん@ピンキー:2007/01/26(金) 17:43:50 ID:XThmHQjq
こうして以前からの良質なSSはtxt投下へと流れ
初心者の作文が本スレを埋めつくしてゆく素敵現象がデフォにw
393名無しさん@ピンキー:2007/01/26(金) 18:04:34 ID:plCy+KS/
>>392
恐ろしいことをいうなw
そんなこと言っちゃうと>>391さんがカワイソス
394名無しさん@ピンキー:2007/01/26(金) 19:10:38 ID:KMYs1oQm
ついtxt投下してしまう最大の理由は、時間が無いとき、コピペして書き込むのが億劫になるんだよな・・・・
395名無しさん@ピンキー:2007/01/26(金) 19:12:07 ID:MYn6PkTk
ここ三日来てなかったらエライ流れになってるな。

>我に牙を剥く世界。
ナイスどろどろ。心理責めSMエロス。
幸村はクリムゾンジェネレイター使用されても似合うね!

ヒルダ「ユキのお尻は私に開発される為に守ってきたんだもんね〜」
幸村(くやしい……。でも、かんじちゃうっ!)

いかん、洒落にならん。

>虹絹の乙女達
ノアがかわええのう。問題はこぶつきでどうエロスを展開するかということだが。
投下の方法についても文章についても少し焦りすぎなので、
ゆっくりと推敲することと過去作品の再読をお勧めする。
大丈夫。ここの住人は待つのには慣れている。
396名無しさん@ピンキー:2007/01/26(金) 20:51:16 ID:Emt1ba2h
http://sakura02.bbspink.com/test/read.cgi/pinknanmin/1146470649/l50

297 :名無しさん@ピンキー:2007/01/26(金) 11:36:04 0
>>294
>そして今猫耳少女と召使いの物語11スレが腐臭漂う腐スレと変身を遂げているwww

見てきたwww
すげーシナリオ作文ワロスwww
そのうち///とか使いそうだ('A`)
397名無しさん@ピンキー:2007/01/26(金) 21:07:53 ID:hlgmp15+
荒らし君が専ブラ使ってないことだけはわかったw
398名無しさん@ピンキー:2007/01/27(土) 09:03:43 ID:832dsEVm
なんか微妙に荒れてるね・・・・
これはちょっと新作投下しにくい雰囲気だなぁ・・・・
399名無しさん@ピンキー:2007/01/27(土) 09:20:20 ID:6BUJeQeq
>>396
ヲチられたり難民板とかで笑うだけならまだ無害だけど、舞台の上に乱入してくる観客は普通に困るな。

>>398
まあ、どうせなら少し待ってもいいんじゃないか? ヲチャーがきちんとヲチャーに戻ってくれれば元通りのスレになるだろ。
踊り子が見られてるのを恥ずかしがってたら仕事にならんぞwいやマジで。
400名無しさん@ピンキー:2007/01/27(土) 09:33:32 ID:VZn0kjHQ
>>399
ヲチャというより内輪の私怨嵐っぽいからしつこいかもね・・・・。
401名無しさん@ピンキー:2007/01/27(土) 09:41:48 ID:ViFfhlNm
>>398
俺は君のストリップ、いや勇気を待っているぞ。
402名無しさん@ピンキー:2007/01/27(土) 10:07:32 ID:JB7UEXsQ
該当するスレを斜め読みしてきたけど、なにがどう気に入らないのか、いまいちよく分からない。
新作投下を躊躇するなんて言ってないで、サクサク行っちゃいましょう!
期待してまっせ。
403名無しさん@ピンキー:2007/01/27(土) 10:46:50 ID:6BUJeQeq
そうそう。ヲチ板や最悪板からヲチられてるならともかく、よりによって難民板だw
404名無しさん@ピンキー:2007/01/27(土) 13:26:20 ID:xhvhZ/1w
・書き手には投下方法に関して自分の意見を押しつけない

テンプレに追加しなくてもわかりそうなものだがまだあの厨がいるようなら次スレのテンプレに追加した方がいいかなと
投下が中途半端で終わったからって騒ぐことはなかっただろうに
405名無しさん@ピンキー:2007/01/27(土) 15:32:06 ID:/ay/k8Fx
厨は人の話を聞かないから厨と呼ばれるわけだしな。
ましてや、わざとらしくageてまで自分の常駐スレさらして誘い受けかけるような構って君が相手となると・・・w
効果のほどはともかく、一行追加するくらいならいいんじゃない?
406名無しさん@ピンキー:2007/01/27(土) 18:34:18 ID:6BUJeQeq
>>405
その、誘いうけも常駐スレさらすのも勝手にヲチるのも、こちむいスレに乗り込んでさえこなければ無害だし別にいいんだが。
ただ、IDが出ない板にいると言うのがもうね、語るに落ちたというかなんというか。
407我牙の人:2007/01/27(土) 19:38:25 ID:dJp3zJRU
 わたくし、実を言うと、txt投下のやり方を知らない未熟者でして、
 しかもこの話、ラストまでもう少しかかりそうでして、
 いや、それ以上に、スレの流れが変化していったのも、オイラの駄作を投下してからだし、
 責任感じて、これ以上の投下は控えた方がいいのかなとか、ネガティブに考えてましたが、
 やはり、読んで下さっている方が一人でもいる限り、書きつづけるべきかな思いました。

「だらだらレスを使い潰してんじゃねえ!」

 と、思われた方。
 マジ、すいません。

「ちったあ、オレの苦労も考えろ!」
 と、思われてるはずの管理人さま。
 マジ、申し訳ございません。

 また、夜中に書き上げて、明け方にでもupさせて頂きたいと思います。
408名無しさん@ピンキー:2007/01/27(土) 20:06:39 ID:TWwEHU6U
>>407
txt 投下ってのは、どこかの uploader に文章を上げて、スレにはその URL だけを貼る方法。
ちょうど >>271 みたいな感じになるよー。
409名無しさん@ピンキー:2007/01/27(土) 20:30:52 ID:832dsEVm
>>407
txtアップの表紙はここ → http://www.degitalscope.com/~mbspro/cgi-bin/pt.cgi

で、Wordなりメモ帳なりで書いた原稿を適当に改行コード挟んで、上記のサイトに行って添付ファイルのアップをするわけ。
そんで、そこへの直リンをここに貼ると言うのが、便利で楽なんじゃないかと提唱する人物の推薦方法だ。
まぁ、好きにすれば良いんじゃね?
読む側は書き手側にあわせりゃ良いわけで、書き手は好きなときに書いて、好きなときに発表すれば良い。
410名無しさん@ピンキー:2007/01/27(土) 20:32:15 ID:832dsEVm
URL間違えた、こっちです → http://www.degitalscope.com/~mbspro/userfiles_res/database/
411名無しさん@ピンキー:2007/01/27(土) 22:29:55 ID:6BUJeQeq
>>407
うん、その、がんがれ。
誰でも最初は恥を書くものだからへこむな。
ついでに、他のスレはともかく、こちむいスレでの誘い受けはこちむい氏から代々の職人に伝わる伝統芸だから「誘い受けウザイ」見たいな書き込みは鼻で笑っちまえw
そのほうが観客の方も喜ぶw

ただ、夜中に書き上げて明け方に投下するのは危険だぞw 眠い頭で読み返しても推敲にならないから。
書き上げたらとりあえず寝て、起きてから読み返して、それから投下するぐらいでいいんじゃないか?
412名無しさん@ピンキー:2007/01/27(土) 23:33:22 ID:xTxrApTI
>>407今初めから読んでみたんだが、いい所をついていて素晴らしい作品だな!GJ!これからも期待してる!!
413虹衣の乙女達 〜ジャカジャカ〜:2007/01/28(日) 11:52:48 ID:gbTU5cml
 日が昇り、寒く暗い夜も陽気な朝へと変わりつつある。
俺は麻布のシャツの上に岩竜のなめし皮のコートを着込んで、
よくわからない生物が吐いた糸らしいジーンズで寒気を防ぐ。
朝食の準備をしている。

 全く、ご主人達はいつもサカナだ。
いや、ネコだからそれが普通なのだが…
野菜食いてぇ。雑草じゃなくって!!

 飯盒の中身が出来上がったことを確認して、
一つずつ降ろしていく。6人分作ってるんだよな?俺、六人分作ってるんだよな?
だけどなぁーんで飯盒が20個無いと間に合わないかって?
ご主人達は戦闘能力だけじゃなくって食欲も規格外なんだよ。
キメラだから組織が崩れやすいため多く食って新陳代謝に間に合わせるとか何とか、
小難しいこと言うが要は俺の仕事が増えることに代わりは無い。

「うにゅー…はぅ。おにーちゃん、おはよー…」
 おお、我が心のオアシスが目を擦りながら永き眠りよりお目覚めになられた。
俺の横で子犬みたいに丸くなって寝ていたのに。
 真っ白な爬虫類のウロコで覆われた肌、淡い空色のもふもふ頭髪。そして後頭部から突き出した二本のツノ。
獣人仕様の尾穴でも小さすぎるからヒト用ジーンズを前後に来てチャックからシッポを出している。

 こいつは卵の時からはじめてのあんよ、羽の生え変わりまで見て来た。
俺実質ヤンパパだけどパパって言うのも恥ずかしいから「おにーちゃん」だって。
そっちのほうが小っ恥ずかしいのだが、萌えるからよしとする。

「おう、ノア。もう少しで用意できるぞ」
 折り畳み机の上にまな板を載せ
その上で慣れた手つきで刺身を作って醤油に漬けて行く俺。
 こんなん半年前の俺じゃねえ。
…まぁ割と楽しんでるからいーけどさ。毎回死にかけるお約束付きで。

「そっかー、おにーちゃんもタイヘン…ノアが手伝うと、まな板割れちゃうもんね」
 そうさ、こいつも十分規格外なんだけど可愛さも規格外だから
断じてご主人様たちと同類ではない。混ぜるな危険。

「お前はザツだからなぁ。もーちょっと物を労われ」
「はぁーい…ふぅ」
 ぐーっと両手を上で組みながら背伸びをするノア。
釣られて背中の4枚の羽根…プテラノドンのアレみたいな構造の…が広がり、朝日を反射する。
 ちなみにノアの服は特注でシャツなどの背中側は開いており、それを上からホックでポッチン止めしてある。
簡単に外せないと、いざって時に飛べないし、いちいち破くワケにいかないからな。
 今日も我が妹は間違いなく美しいことを確認しつつ、
先に作った玉子焼きを片手で切りながら
反対の手で醤油に漬けた刺身を回収していく。
 …外道な料理法だが美味ければ文句言う人は、ここにはいない。
414虹衣の乙女達 〜ジャカジャカ〜:2007/01/28(日) 11:54:18 ID:gbTU5cml

「んぐぅー…♪今日も朝日だ、元気が旨い。」
 出た。我が主にして最強のサドネコ、『虹衣隊隊長カナ』。
カナ様と呼ぶべきかと思ったが、呼ばれなれてないから気持ち悪いので隊長と呼べ、との命を受けている。
朝は弱いらしく、軽く意味不明な言葉をほざきながら深呼吸している。
そのまま空気が喉に詰まっておっちんじまえ。
 思えば、落ちてきたときにコイツと出会わなければノアとラブラブ生活を…
送れてたのかなぁ。野垂れ死んでいた気もする。
まぁ仮定の話は無駄だから考えないでおこう。
 そいつが、馬車…竜が引いてるけど…の中から、とすんと飛び出てくる。

「アズキ、飯は?」
 桶に移したご飯withお酢を折り畳み団扇で扇ぎながら返す。
「まだです。もう少しお待ちください」
「遅い。罰金」
ビシっと指を俺の目の前で指しながら言い放つ銀髪のネコミミ。
勢いで前で二つに分けただけの雑な髪が揺れる。

 朝に弱いくせに今日に限って早起きなことを心底(笑)憎みつつ
フザけた返事であしらっておく。

「えぇー……ジャ○プ買えないじゃん」
 いっつも俺の小遣いはギリギリ。しかもこの憎たらしいネコの気分次第で上下する。
忌々しい。ああ忌々しい、忌々しい。

…ノアの「はぅ〜、後生です、許して〜」という声をBGMにしながら、エロ隊長に出会った日を思い出す。

  理不尽な世界にいるには、理不尽な理由がある。
 簡単に言うと俺は元の世界に返れないけど、
 元の世界からはこっちへ何かの弾みで『落ちて』くることがある。
 それは生物に限らず、路上に少年誌が落ちてたりロケランが落ちてたりするわけだ。

「こらぁ〜、あんまりアズキ君をいじめちゃダメだよぉ?」
 幼い声で隣のテントから出てきた小柄でサラサラ金短髪の猫人、『アル』が出てくる。
ちなみにテントは竜車に全員が寝られないから在るだけで、移動時はおしくらまんじゅうしてる。

「アル様、お早う御座います」
「おっはよ〜♪」
 にーっと猫だけど犬歯を覗かせてこちらにブンブンと手を振る。
本当は最年長らしいけど魔力の影響だとかキメラだとかで見た目は○学6年生。
これが身長と同じサイズの鉄のカタマリ持つんだもんな〜。世も末だ。
 いや、純粋な腕力ならクソ隊長が最強だけど。

 そんないつもの風景を流しつつ、
あらかじめ刻んでおいた、ノリとタマゴとネギを手コネ寿司の上にまぶす。

「ご飯ですよ〜」
 フライパンの底をおたまで叩くという、古典的手法でネボスケな他のご主人様たちを起こす。
「はうぅ!?」
 …ノア、毎日これしてるのに、何でいつも驚くわけ?立ち位置が俺の背後って近すぎ。
まー見返れば美人が常備なのは神様からのギフトに違いないので目を見開いたノアを堪能しておく。

「あらー、まー、できたの、ですのー?」
「…うるさい…静かに起こせ…」
 ノンビリしてるのが縁なしメガネの茶髪お姉さんなココ様。
朝に限らず不機嫌そうなご姉妹でそっくりなメガネなしのナナ様。
お二人とも豊満な胸をお持ちだがある意味作り物。
まぁ全身作り物っちゃーそうだけど、実際触っても全く分からんからいーけどさ。
415虹衣の乙女達 〜ジャカジャカ〜:2007/01/28(日) 11:55:27 ID:gbTU5cml

「あれー?、ファナはー、どこかしらー?」
「…先に起きていたと思ったが…」
 あれ、そういえばファナ様はどこに?
とか考えながらオカズのレンコンを切ろうと…あれ、切れてる。

「あぁ、ファナ様、おらしたんですか。」
「…」
 すぅっと、俺の隣の虚空から黒い長髪のファナ様が現れる。
この人は実体を持たない。いや、そのへんに分散して浮いてるんだけど見えない。
「…ぅ。」
 ちょっとだけ声を出して3ミリくらい頷く。
もう慣れたけど最初はとにかく心臓に悪い人だった。
だってそのへんから幽霊みたいに出てくるんだぜ?いや、幽霊みたいなもんだけど。

「さぁて、みんな飯だ。ノアも今日は、隊員としての初食事だな!」
 無駄に元気な隊長殿がノアの肩をボンボン叩きながら大声を出す。
「はぅ、よ、よろしくですー」
「あらー、もうずっと、つきあいは、ながいんだからー」
「改まらなくっても大丈夫だよ、ノアちゃん♪」
「…既に、仲間だからな…」
「…ぅ。」

 …ここらへんの経緯は非常に込み合っているので、割合する。
俺達の馴れ初めが気になるなら、そこに置いてある俺の日記を覗いてくれ。書きかけだが。
エロよりストーリー重視だぞー?
http://www.degitalscope.com/~mbspro/userfiles_res/database/721.txt

「アズキ、誰と話しているんだ?」
「お空の向こう」
「アホか」


----------------------------------------


 さて、俺は先ほどから独楽のようにクルクル回りながら
総じて鬼食いなご主人様達のオカワリに答えつつ、
合間を縫って自分用に確保した皿の中身を口に押し込む。
 …なにこの忙しい食事ふざけてるの?
これが日常だもんなー、俺って一体……

「げふぅ、美味かったッ!満腹!」
 女らしさを欠片ほどしか見せない隊長の下品なゲップをきっかけに、
「ひさしぶりに、おなか、いっぱいですー」
「…ご馳走様」
「はふぅ、おにーちゃんおつかれさまー」
「…ぃ…ぃ」
「また腕を上げたね、アズキ君♪」
416虹衣の乙女達 〜ジャカジャカ〜:2007/01/28(日) 11:56:35 ID:gbTU5cml

 隊長が自分の骨で作ったツマヨウジを仲間に配りながら
「しっかし、腹八分目に作れと言っただろう?ちょっと多いぞ。」
「…あ、俺、ロナ様の分も作っちゃった……!」

 空気が、重くなる。

 ロナ様は…もう、いない。

「…そっか。アズキちゃんは、ロナのこと、忘れてないんだね」
「…やさしい、ですねー」
 アル様とココ様が、俺にフォローを入れる。
「…お前は、お前のできる事をした。だから、良い…」
「…」
「はぅ、はぅー…」

 今でも、思い出す。ロナ様が、形を失った、最後の瞬間…

 この竜のコートが、その形見。

 気まずい沈黙が、続く。

「…さて、そろそろいつものアレ、するか?」
 隊長が話題を変えようと試みる。
「あ、あぁ、そうだったね!」
「わぁー、たのしみ、ですー」
「…クク…」
「…!」

「はぅ?いつものって、何ですか?」
 状況の急な転換を飲み込めないノアが、尋ねる。
「分かっているだろう?食後の『ジャンケン』だぞ」
「はにゃぅ!?ノアもですか!?」
「そうだぞ。お前はもう人権を認められ、そして隊員だ。これは隊員の義務だぞ!」
 ノアににやりと白い歯を見せ、そして俺を色っぽい目で流し見る。

 …どうかノアが勝ちますように。

「はぅ、でも、でも!」
「あきらめる、ですよー」
「…お前のおにーちゃんは、もうお前の『奴隷』だ…」
「状況を楽しまなくっちゃ♪」
「…ぅ。」
「さぁ、いくぞッ!」

『最初はグー!』

『じゃーん』

『けーん』

『ポン!』
417虹衣の乙女達 〜ジャカジャカ〜:2007/01/28(日) 11:57:11 ID:gbTU5cml
6分岐予定。作成中。

→竜妹『ノア』編

→隊長『カナ』編

→幼獣『アル』編

→触手『ココ』編

→明鏡『ナナ』編

→幽霊『ファナ』編
418名無しさん@ピンキー:2007/01/28(日) 12:14:44 ID:njTJ48wU
乙。

詰め込みすぎじゃね?いろいろ。
419名無しさん@ピンキー:2007/01/28(日) 19:36:09 ID:Yl4l+r0t
……それはやめといた方がいい。
そうやって失敗した奴が腐るほどいた。
いろんな所のSSとか本を読んでから、自分の文章を読み直してみてくれ。

何度も言われたろうが、何年でもROMれ。
420名無しさん@ピンキー:2007/01/28(日) 19:51:31 ID:J5Jw1obe
なんか読んでいて違和感みたいな物を感じた。ラーメンに例えるとスープの味は良いけど麺にコシがないというか。
421名無しさん@ピンキー:2007/01/28(日) 19:52:58 ID:DjENaMmJ
>420
中途半端って感じか?
422名無しさん@ピンキー:2007/01/28(日) 20:08:00 ID:njTJ48wU
>>421
意気込みが空回ってる印象はあるな。もっとじっくりプロットと推敲すべきじゃないかと。
423名無しさん@ピンキー:2007/01/28(日) 21:05:24 ID:4D4nBwwE
>>417
それでもGJ。
424名無しさん@ピンキー:2007/01/28(日) 21:46:33 ID:7A5JmpHZ
>>417
まだ乙としかいえんが、くじけずにがんがれ。
とりあえず、まずは自分の好きな作家を一人作ることをお勧めする。できればラノベ以外で。
で、その作家の文体を真似ることを意識しながら文章を書けば、少しづつ上手くなっていくと思う。

三点リーダーや句読点の使い方、あるいは行間開けの使い方とかは自己流でやるよりは、そのほうがいいと思う。
数行書いてすぐに一行開けて次の数行を書くというのは、読んでる側からすれば案外読みにくい。
425名無しさん@ピンキー:2007/01/28(日) 22:22:13 ID:PaNYTCc0
最近ここの存在に気づいたものです。
こんな楽園があったなんて(*´д`*)作者の皆さん応援してます!
426名無しさん@ピンキー:2007/01/28(日) 23:20:06 ID:H45kDmFH
>>425
ようこそ。
ここは職人を応援してるうちに、なぜか不思議と自分でも何か書きたくなるスレだからw
427我牙の人:2007/01/29(月) 01:41:42 ID:wBdnMcUS
さっき、txt投下に初挑戦してみましたが、モノの見事に失敗しました。
笑ってやって下さい。
428我に牙を剥く世界。:2007/01/29(月) 16:50:20 ID:wBdnMcUS
と、いうわけで、やはりこっちに投下します。



 高等法院の授業は退屈だ。
 実際のところ、クララにとってここは、屋敷で家庭教師を相手に予習した事を、ただおさらいする場に過ぎない。

 いや、それだけではない。
 早い話が、このクラスの級友たちとは、どうしてもしっくりこないのだ。
 無論、そんな本音を態度に出すほど彼女は子供ではない。
“明るく陽気な元気少女”という表情は、当然クララにとって一番自然な自分自身ではある。しかし、そこに演技の余地が全く無いと言えば、それはやはり嘘になる。
 貴族の子弟にとって、学校とは、決して知識や技術を学習するためだけの機関ではない。“人脈”という、後に宮廷に上がる身にとっては、必要不可欠なものを築き上げるための場所でもあるのだから。

「とにかく人間関係において、こういうポジティブな人格を演じている限り、一気に大多数の方から嫌われるという事は、ほぼありません。
・・・・・・まあ、よっぽど空気を読めないヘマをしない限りは、ですがね」

 幸村が少し寂しげな笑みを浮かべながらそう言った時、クララは自分の人格を演技だと言われているようで、腹も立ったが、しかし妙にその場では何も言えなかった。
 しかし、今なら理解できる。
 幸村はあの時、自分のことを言ったのだ。
 あの寂しげな笑みは、「ヒト召使い」という、主の寵愛のみを頼りに生きている、自分自身に対する自嘲だったのだ。

 話がそれた。

 あと数ヶ月もすれば、飛び級のための試験がある。それまでの我慢だ。
 クララは窓の外をそっと見る。
 校庭の先の雑木林で、一人で剣の素振りをしている幸村が見える。

 その、明らかに自分の体格に合っていない大剣を振るう彼は、一振りごとに体勢を崩してはいるが、一日ごとの進歩はむしろ明瞭で、クララは思わず微笑ましくなる。
 この学校に於いて、クララと同じく、毎朝の通学に「ヒト召使い」を同行させている生徒たちは多数存在するが、そのヒトたちに対する施設が、学内に完備されているわけではない。
 従ってヒトたちは、毎朝主人たちを学校まで送ると、馬車と共に一度屋敷まで帰宅したり、僅かなスペースの待機所で私語をしたり、適当に街をぶらついたりと、思い思いに時間をつぶす。

 で、幸村の場合はこれだった。

――素振り。

“万が一の時に、お嬢様を守る。”
429我に牙を剥く世界。:2007/01/29(月) 16:54:27 ID:wBdnMcUS

 かつてヒト召使いの身でありながら、彼がそう言い、剣を求めた時、伯爵家での反応は様々だった。

「ヒトにしては見上げた忠誠心じゃ、あっぱれよ」
 と、素直に評価してくれる者もいれば、

「ヒト如きに、クララお嬢様の警護の心配をされるほど、我らは落ちぶれておらぬわ」
 と、猛反発する者たちもいた。

 まあ、反発者の代表格だった私兵隊や伯爵家直属の属州兵たちも、剣を持った際の幸村のへっぴり腰にむしろ安心したのか、結果としては笑って剣を貸し与えてくれたが。

 しかし、クララは嬉しかった。

 伯爵個人、あるいはプライマリー伯爵家という宮廷勢力のために剣を振るう者はいくらでもいる。
 しかし、純粋に、クララ=ザマ=プライマリーただ一人のために剣を取る者など、今まで彼以外にはいなかったのだから。

(アイツ、頑張ってるな。――よし、今日の昼休みに、このボクが直々に腕の程を見てあげよう)

 眼前の空間を斬り払い、巧みに軸足を入れ替えて、くるりと振り返り、さらに剣を閃かせる。

(何故、こんなにもアイツの事が好きになっちゃったんだろう)
 遠目に彼の姿を見ながら、クララは独り呟く。

 取り立てて、美形というわけではない。
 取り立てて、有能というわけでもない。
 むしろ、第一印象は悪いほうだった。
 いかにも根暗そうな、陰気そうな、そんな印象をクララは抱いたものだった。

 そもそもが、自ら欲した「ヒト召使い」ではない。
 誕生日のプレゼントに、と、父からイキナリ贈られたのが、なれそめだった。

 しかし最初こそ、コミュニケーションの取り方が計れず、ぎこちない関係ではあったが、やがて、徐々にではあったが、彼女は幸村に心を許すようになっていった。
 その、彼の、一見ぶっきらぼうな態度(召使いのくせに)の底に、優しさと思いやりと忠誠心があることがわかってきたからだ。

 初めて彼と肌を合わせた夜、クララは幸村から告白された。
“自分は「ヒト」としては傷物である。興が失せたら、いつでも捨ててくれ”と。

 最初は、彼が何を言ってるのか分からなかったが、その意味はすぐに分かった。
 シャツを脱ぎ捨てた彼の肉体には、一面の凄まじい傷に覆われていたからだ。

 例えば、鞭によるミミズ腫れの痕。
 例えば、熱蝋による火傷の痕。
 例えば、トイレのいたずら書きのように、でたらめに刻まれた烙印。
 例えば、腹部や胸部に残る、無数のメスの傷痕
 左腕は、肩甲骨から肘まで生皮を剥がされ、召使用の白い手袋と靴下を脱げば、二十枚の爪は残らず存在していなかった。
 そして、それらの毒々しい傷痕を浮き上がらせるように存在する、きめの細かい、雪のように白い肌。
430我に牙を剥く世界。:2007/01/29(月) 16:59:58 ID:wBdnMcUS

「誰が! 誰がこんなひどい事をやったんだ!」

 その問いに彼は答えなかった。
 ただ、無言で寂しく笑っただけだった。

「主か・・・・・・? キミの前の主がやったのか!?」

 今から思えば、愚問だった。クララはそう思う。

「答えろ! 答えないか! キミの今の主はボクなんだぞ!!」

 例え、彼らがどんなにひどい主であっても、また、その主従関係が過去のものであったとしても、その主たちを軽々しく誹謗することなど出来るはずはない。
 いや、余人は知らず、幸村はそういう軽はずみなヒトではない。
 しかし、当時のクララは、そこまで彼を理解してはいなかった。
 幸村はただ、寂しげにこう言っただけだった。

「この世界に落ちてきた「ヒト」の宿命、というやつですよ。逆に言えばお嬢様」
「・・・・・・?」
「あなたがヒトの世に落ちてくれば、今の僕と同じ目に会わされたとしても、誰にも文句を言う事は出来ないのです」
「・・・・・・!」

 クララは慄然として、何も言う事は出来なかった。

 そして、そう言いきった彼の眼の奥には、深い“闇”があった。
 単なる陰気さや、根暗さなどではない。
 それは、数え切れないほどの地獄を見てきた者のみが持つ眼だった。

 彼女の周囲で、そういう眼をもった者は誰一人としていなかった。
 友人も、教師も、尊敬すべき父である伯爵本人も、槍一本で戦場を生き抜いてきたはずの警護兵たちでさえも、そういう深い眼をもった者はいなかった。

 その眼に引き込まれた瞬間、クララは真の意味で幸村に惹かれ始めた、と言えるのかも知れなかった。

 無論、幸村とて常日頃から、そんな暗い眼をしているわけではない。
 普段の彼は、あくまでも明るく、優しく、それでいて妙にズレた真面目さをもつ、そういう平凡な男に過ぎない。

 遊んでいる時は、子供のように楽しげな眼を。時には兄のように優しげな眼を。
 閨にいる時は、王のように傲慢な眼を。時には子羊のように怯えた眼を。

 彼女はいまや自覚していた。
 自分が、彼という存在に夢中になっている、という事実を。
431名無しさん@ピンキー:2007/01/29(月) 17:05:23 ID:gUZBD4b8
支援
432我に牙を剥く世界。:2007/01/29(月) 17:07:53 ID:wBdnMcUS

十一

 ジリリリリリリ・・・・・・。

 終業のチャイムが鳴った。

「いっけね!」
 幸村は、校舎の巨大な時計を見て、時間を確認する。

 昼休み。

 いそがねば。
 本来ならば、終業のベル――すなわち昼休み開始のベルまでに弁当を主の教室まで持参しなければならない。
 当然、昼休み開始と同時に、御学友とのランチを開始できるように、である。

 いつもなら、素振り自体を講義終了十分前ほどに終わらせ、余裕を持って校舎に行くのだが、今日に限って、時間を忘れてしまったのだ。

 特に体調が良かったわけではない。
 今朝の、色々あった出来事を頭の中から払拭しようと、必要以上に、意図的に没頭した結果だった。

(まずいな、こいつは下手したら、懲罰もんだ)
 幸村は、手早く捲くった袖を直し、上着を羽織った。
 剣を鞘に収め、弁当を・・・・・・。

 無い。

 弁当が無い。
 確かに置いたはずの場所に無い。

(うそだろ・・・・・・さっきまで確かにあったじゃねえか!)

「お探し物はこれでしょうか?」
 その声を聞いた瞬間、幸村の汗は一気に冷たくなった。

 そこにはメイド服を纏った銀髪の女――ヒルダがいた。
433我に牙を剥く世界。:2007/01/29(月) 17:17:44 ID:wBdnMcUS

「・・・・・・何で、お前が、ここに、いるんだ・・・・・・?」

「まあまあ、ことほど左様に恐がらなくともよろしいではありませんか。私はオニでもアクマでもありませんのに」
「何でここにいるんだ!?」
「お召しを受けたのでございますよ、お嬢様の担任の講師様から、成績の事で。おそらく今期の飛び級試験の話でございましょう」
「何でよりによって、お前が来るんだ!奥方様でもボイド様でもいいはずじゃないか!?」
「これはまた・・・・・・おかしな事をお訊きになるのでございますね。決まっているじゃありませんか」
「何が決まってるんだっ!?」

「貴方がおられるからですわ」


「・・・・・・」


 幸村は、もう言葉が無かった。
 いや、例え返す言葉があったとしても、口の中がカラカラで、もう何も話せなかった。
 ただ、腰から崩れ落ちそうになるのを、必死でこらえる事しか出来なかった。

「んふふふふ・・・・・・そんな事よりも、早くお弁当を届けないと、またお叱りを受けますわよ」

「っ!」
 幸村は全身の力を振り絞り、彼女の手からそれをひったくった。
 早くクララの元へ行かねばならない。
 いかに、コイツが大胆不敵でも、クララと一緒にいる場で、何かを仕掛けてくる可能性は低い。やけになった幸村が何もかもクララにブチまけたら、それでヒルダ本人も終わりだからだ。
 残った体力の全てを使って、校舎へ駆け出そうとした幸村の視界に飛び込んできたのは、彼の主その人だった。
434我に牙を剥く世界。:2007/01/29(月) 17:23:10 ID:wBdnMcUS

「ユキィィィィ、遅いよぉ!! キミがランチを持ってこないから、こっちから取りに来ちゃったじゃないかぁ!」
「おっ、お嬢様っ」

「あらあら、お嬢様いけませんわ、そのような大声を出されては。レディともあろう者がはしたない」
「あれっ、ヒルダ? どうしたの?」
「学校から屋敷の方へ、お呼び出しがあったのですよ。でも、それほど悪い話では無いと思いますが」
「ふ〜ん、何だろ? ま、いいや。で、ユキ、ランチは?」

 そう言われて、あたふたと幸村が弁当を差し出す。
「あっ、おっ、お嬢様っ、申し訳ございません、ただいますぐに教室の方にお持ちします!」
「いいよ、別に。ここで食べようよ」
「ここで? 外で、という事ですか、お嬢様?」
「うん。涼しくて気持ちいいよ。ねえユキ、テラスの方へ行こうよ」

 そう言うが早いか、クララは弁当を受け取り、駆け出そうとする。相変わらずの性急さだ。
 しかし、幸村の立場としては、はいそうですねと、ついて行くわけにもいかない。

「しかし、お嬢様、本当に宜しいのですか? 御学友の方々との御会食は・・・・・・」
「いーのいーの、たまにはねっ」

「お嬢様」

 背後から冷や水をぶっかけるような冷静さでヒルダが口を挟む。
「私もご相伴に預からせて頂いて宜しゅうございますか?」

 いや、違う。
「うん、いいよ! 一緒においでよヒルダ!」

 ヒルダの冷静さが冷や水なのではない。
「有難うございます。お嬢様」

 ヒルダの存在そのものが、この場における冷や水なのだ。
「それでは参りましょうか。ユキ・・・・・・」

「・・・・・・はい・・・・・・」

 ヒルダは、しずしずと歩を進めながら、隣にいる哀れな子羊に一瞥をくれると、今度は念話で話しかけた
『――ユキ』

(・・・・・・何だよ)
『性感魔法は、やっぱりお嫌かしら?』
(当たり前じゃないかっ!?)
『あらあら、でしたら、どうして――』

 ヒルダは再び、銀縁眼鏡の奥の淫靡な眼差しを幸村に向け、
『――どうして、あなたのここは、こんなにも堅く、大きくなっているのでしょうか?』

 幸村は、その言葉を聞いた瞬間に、思わず射精しそうになったのを、必死でこらえた。



今日はここまでです。
435名無しさん@ピンキー:2007/01/29(月) 18:28:52 ID:xE4fB7d/
>>428
ちょっと厳しいかもしれないけれど、まとめて指摘。
まず、初心者を自認するなら、他人が指摘を受けている時には、
自分にも当てはまる点が無いかどうかよく見直すこと。

・行間
行間を空けすぎです。
文章の区切りに適切に空白行を入れるのは読みやすくする工夫ですが、
あなたの文章では、空白を入れすぎて全体が散漫になっています。

・折り返し
長い文は、40文字くらいを目安に改行を入れましょう。
そうしないと、読む人の環境によっては非常に読みにくくなります。

・三点リーダー
「てんてんてん」は、普通、三点リーダー"…"を使います。
中黒"・"を3つ並べたものではないので注意が必要です。
これは"てん"の変換候補にあります。


何かあれば、避難所で。
436名無しさん@ピンキー:2007/01/29(月) 19:21:40 ID:h+xXLUDS
>>435
三点リーダーの使い方に関しては言われるほどウザく無いと思われ。
437名無しさん@ピンキー:2007/01/29(月) 21:01:50 ID:gUZBD4b8
おおGJ〜♪
最近はスレ速度が早いのう。
438名無しさん@ピンキー:2007/01/29(月) 21:59:31 ID:idIzS2/a
>>434
GJ!!俺は読みづらく感じないし、素直に素晴らしいと思ってる。
これからも皆さんのアドバイスとかをうまく取り入れていってな。

439虹衣の乙女達 〜ノアの毒〜:2007/01/30(火) 01:49:58 ID:sviZqm0d
ファーストタッチの続き。
上で直接投稿したものと視点、および展開方向を変更。
http://www.degitalscope.com/~mbspro/userfiles_res/database/741.txt
440我に牙を剥く世界。:2007/01/30(火) 19:41:53 ID:t8K2s8rX

十二

「あれ、ヒルダのやつは?」
「いや、今しがたトイレに……」

――ぴちゃっ、れるっ、れろろっ。

 テラスにあるボックスシート。
幸村をそこに待たせ、クララはトレイに二人分の紅茶を乗せて持って来た。
 無論ドリンクバーにあるのは、紅茶だけではない。
 種々のコーヒーのブレンド、紅茶の茶葉、さらには日本茶の類いまで、合わせて数十種類の飲料が完備されている。
 普通なら、そこからドリンクを注いでくるのは、当然召使いの役目なのだが、クララは、自分自身で選ぶ。
 その日の気分で、色々と選択の幅を広げるのが好きだったからだ。

――はぐっ、じゅぷぷぷっ。

「ふ〜ん。ま、いいや。もともとアイツ、邪魔だったしね?」
 そう言いながらクララは、幸村に、意味ありげなウインクをする。
441我に牙を剥く世界。:2007/01/30(火) 19:45:11 ID:t8K2s8rX

「……は、はは……、お嬢様って、ロコツっすね」
「なぁによ、その引きつった笑顔は? ボクとしては、キミと二人でランチを楽しみたかったって言ったら、そんなにおかしいかい?」

――じゅぷっ、じゅぷっ、じゅっくっ。

「たはは……、照れますな御主人様……」
「だぁめだよユキ、ボクの事をゴシュジンサマなんて呼んじゃあ。前にも言ったじゃない、ボク、その呼び名キライなんだよ」
 そう言いながらクララはテーブルにトレイを置き、幸村の向かいに座った。

――はむはむっ、ちゅうううううっ。

(あれ……?)
 心なしか、彼の顔色が悪い気がする。
 妙な汗もかいているようだし、指先も若干震えているようだ。
「どうしたのユキ? 何か気分でも悪いの?」

――ちゅちゅっ、ちゅっ、ちゅっ、……あむっ。

「あっ、いえっ、別にっ!」
「まあ、だったらいいんだけどね。――じゃ、いただこうか?」
「そう、ですね。せっかく淹れていただいたお茶が冷めないうちに」
「じゃ、いっただっきまぁす」
 そう言うと、クララは弁当に箸をつけ始めた。
 幸村も、購買部で買った焼きそばパンに手をつける。

――ちゅばばばっ、ちゅびびっ。

「ねえねえ、ユキ、さっき窓から見てたんだけどさ、キミの腕って、随分上達したんじゃない?」
「そんな……とんでもありませんよ。まだまだですよ」
「うん、まだまだだよ。このボクに比べれば全然だね」
「それはそれで、ひどいっすね」
 幸村は思わず苦笑いする。

――じゅぽぽっ、じゅぷっ、じゅぷっ、……かりっ!

 その瞬間、彼の眉間に、何かをこらえるような縦じわが走った。
 しかし、クララはそれに気付かなかった。彼女は自分の話に夢中になっていたからだ。
「でも全然って言っても、かなりマシになってることは確かだね。だからさ、後でこのボクが、上達の程を確認してあげよっかな〜〜なんてさ。…いや、かな…?」
 上目遣いにクララが幸村を見上げる。が、その瞬間――。

――かりっ、かりっ!

「っはぁっ!」
「ちょっとユキ、どうしたの!? さっきから何か変だよ?」
442我に牙を剥く世界。:2007/01/30(火) 19:47:50 ID:t8K2s8rX

「……いやっ、そのっ、お嬢様にお相手してもらえるなんて、下手すりゃ大ケガだな、なんて……」
「なぁんだ。だから、そんなに青い顔しちゃってるんだ。大丈夫だよ、何もコロしゃしないからね〜」
「…はっ、はははっ…」
「あれっ、何だよユキ、さっきからパンに全然手を付けてないじゃないか?」
「いや、その、あの、……何か、食欲がわかなくて……」

――れるるるる〜〜〜〜、ちゅっ、ちゅっ、ちゅっ。

「ふーん、そういや、やっぱり顔色悪いよね。大丈夫?」
 そう言うとクララは、自分の額に手を当て、同じように幸村の額にも掌を当てた。
「ん〜〜、熱は無いようだけど…イマイチよく分からないな」
 そう言うとクララは、席を立ち、幸村の傍までやってきた。
 幸村は相変わらず、顔を真っ赤にして、切なげに何かをこらえる表情をしている。
 テーブルクロスに隠された彼の下半身が、ふるふると震えているようだが、クララは当然見ていなかった。
「あの、お嬢様、何を…?」
「決まってるじゃないか。キミのお熱を診るんだよ」
 クララは、幸村の後頭部を片手で抑えると、己の額を彼の額に、そっと押し当てた。
「おっ、おじょうさまっ!」

――どぴゅっ、どぴゅぴゅっ! どくん、どくん、どくん、どくん!
――ごくん! ごくん、ごくん、ごくん、ごくん!
「!!!!」

その瞬間、クララはユキに抱き寄せられていた。
「ゆっ、ユキっ!?」
「……じょうさま……おじょうさ……」
 彼の心臓が破れんばかりに上下しているのが分かる。
 その全身はマラリアのように震え、歯の根が合わず、ガチガチと音がする。
「ユキ、一体どうしたの?」
「…し訳ありません……申し訳ありません……申し訳……くぅっ!」
 そのうめき声と同時に、幸村の身体から力が抜けるのがわかった。
 クララの背中に回した手を離し、テーブルに突っ伏した幸村は、半ば涙声になっているようだった。
 クララにはわけが分からない。さっきまであんなに元気に剣を振り回していたこの男に、一体何が起こったのか。
「ユキ、取り敢えず、今日はもう帰りなさい。キミは今、すっごく疲れてるんだよ」
「すみません……すみません……本当に、すみません……」
443我に牙を剥く世界。:2007/01/30(火) 19:50:36 ID:t8K2s8rX

「いいさいいさ、たまには早く帰って骨を休めなよ。何なら今晩の“お勤め”もオフにしようか?」
「いえっ、あのっ、そんなっ!」
「うんっ、そうだね、それかいい。じゃ、気をつけて帰るんだよ!」
 そう言うと、クララは慰めるような笑顔を残して、テラスを去っていった。

「……お嬢様……」
「んふっ! 本当にいい子ですよねえ、あのお嬢様ったら」
 幸村は思わず声のした方を睨みつける。
 ボックスシートに座った、彼の下半身を覆うテーブルクロス。
 それが、そっとめくり上げられ、そこには、ファスナーから引っ張り出された幸村のペニスと、それに舌を這わす銀髪の女の瞳が、淫蕩な光に輝いていた。
444我に牙を剥く世界。:2007/01/30(火) 19:54:28 ID:t8K2s8rX
今日はここまでです。
行間、改行、ともに上手くいってませんね。
これからも徐々にですが、そこらへんは改良してゆくつもりです。
445名無しさん@ピンキー:2007/01/30(火) 20:23:39 ID:ruLnMcs8
うはーい、ゾクゾクきますね。隠しフェラ。
意外とこういうシチュエーション(ご主人様に隠れてエロエロ)は無かった気がするので新鮮。
446名無しさん@ピンキー:2007/01/30(火) 21:37:55 ID:iiNb/RfN
GJ〜!執拗なまでのヒルダの行動が最高だ。続きが気になる〜www
447名無しさん@ピンキー:2007/02/01(木) 09:34:48 ID:tbPdCLwz
保守ついでに。
ちょっとスランプ気味で手が止まっていたけど、他の職人さんのエロパート読んでスイッチオン。w
前フリを書くのに1ヶ月かかっているが、同じ分量のエロパートを一晩で書いた漏れに自己嫌悪……
448名無しさん@ピンキー:2007/02/01(木) 10:07:05 ID:7A1kXCli
>>447
いや、おまえは正しい。
449名無しさん@ピンキー:2007/02/01(木) 11:00:29 ID:TXok2vTW
そうだ、君は正しい。
正しいから、早く投下しろ。
しろというか、して下さい、いや、して下さいませ!
って言うか、とにかく読みたいぞ!

俺も手が止まったままだから… orz
450虹衣の乙女達 〜ノアとアズキと隊長と〜:2007/02/01(木) 15:32:33 ID:jDLySFdz
何故かアップローダー使うと白紙になってしまうので、直接投稿します

「…そうだな。自己紹介がまだだったか」
 俺は蹴倒されて仰向けになり、かろうじて肘で上体を起こし、その女を見上げる。
「にゃ、にゃーーー!!」
 俺を守ろうとして女に飛び掛ったノアは、首を片手で掴まれて持ち上げられ、宙を泳いでいる。
 …ここで初めて気がついた。ノアって背中にアルビノコウモリみたいな羽があるのな。しかも二枚じゃねえ、四枚。
抱えて歩いているときは仰向けに持っていたから手が当たってもおかしくないのだが、何故気がつかない、俺。
肩の高さに背骨から左右に生えている。そして同じく腹筋と同じ高さだろうか、そこからも少し下を向いて生えており、
それが暴れる手足とともにハタハタと動く姿は駄天使の逆、そうドジ悪魔ちゃんみたいな?
 なんて危機的状況ほど思考が明後日に期待を寄せる自身を再確認していると、
女性はワゴンサイズの部屋を夜風から守るカーテンを、ちび白竜を掴み上げるのと逆の手で払う。

 …白い髪。キリっとした顔立ち。ヘアバンのようなもので額から髪を上げ、左右に分けている。
そして、皮のような軽装の鎧…ゲームでしか見た事無いやつ…を着込んでいた。
腰のベルトには、何本もの鞘に納まった、柄の無い真っ白な小刀がいくつも刺さっている。
 ついでに言えば、草原で俺の喉を冷やしたあの巨大な白剣は、部屋の奥に転がっていた。

「地方特殊治安部隊、部隊長カナ。隊長と呼べ。奴隷」
 小難しい単語を並べられても困る。…奴隷?
「そうだ、ヒト。私達ネコは、生まれながらにヒトを支配する権利がある」
 女性…カナとか言ったか、このアマは俺の人生におけるあらゆる権利を一行で否定した。
…ん、ネコ?
「…貴様の目はどこに着いている? 耳だ、耳。私の耳を見ろ」
「に゛ゅ〜!」
 ノアに腕を噛まれてもまるで痛くないかのように話し続けるカナ。
 耳ってアンタ、そんなもんピアスか羽根突きの敗者的勲章にしか特徴付けられない場所を…
えーと、コスプレ? アキバ近い? そのヘアバン。
「アキバとは何だ? 悪いが、地で生えている。後で触らせてやる」
 おお、そりゃどうも。俺は犬とか猫とかカワイイ動物の耳に目がない。あと肉球もな。

「まあ、話が長くなるから、シながら説明するか」
 おお、ついに尋問が拷問になるのか。でも俺を絞るくらいならミカンの皮絞ったほうが有益な気がする。
「そうだな。イヌ避けにはなるやもしれん」 
 我が家のトイプードルがコタツのミカンに興味を持って匂いを確かめては
情けない声を出して飛んで逃げたことを思い出し、イヌって柑橘系に弱いとか脳みそを無駄遣いしていると

 すとととん、と乾いた音が、俺の周囲からほぼ同時にして、
それが衣類の端をあの腰に刺してあったナイフで俺を昆虫標本のごとく留めたと理解するのにしばらく要した。
「天、地、猫。解毒逆行」
 カナは聞き取りづらい何かを発音し、
 ぐっと、体が重くなる。ああ、さっきの気を失ったときと同じ感覚だ…
「はにゃぅ!?にゃぅ…ぅぅ…」
 ノアも俺と同時に、全身を一瞬震えさせ、首をつかまれたまま人形のように動かなくなる。
 …何あんた、魔法使い?
「正解。最初にお前を眠らせた毒を復活させた。喋れる程度にな。貴様、意外と飲み込みが良いな」
 ありえねー。
「それが常識な世界だ。我々から見れば、魔法なしで生活する貴様らがありえない」
 ああ、カニバルな人々の言い分もそんなんだろうなぁ。食われる方は蹴り倒してでも逃げるべきだが。
「蹴られたくないもんでね」
 なるほど。

 …俺、危機的状況であるほど対応がアレだな。死にたがってるよな。達観してるみたいな?
451虹衣の乙女達 〜ノアとアズキと隊長と〜:2007/02/01(木) 15:33:13 ID:jDLySFdz

「さて、私が気になった点はだな」
 へい、身包み剥がれて全身麻酔状態なんで何でも聞きますよ。
でもミゾオチ踏むのは止めてくださいませんか。
「まず、お前が主人がいないクセにこの世界で生きていたこと。
 あそこの平原は野竜が出る。地元の住民ですら恐れる。
 一般人は数秒でエサになるからな」
 聞いちゃいねぇ。
 腹筋を踏んだまま、カナは姿勢を低くして仰向けに倒れた俺の目の前に迫る。
「そして、この子をお前が抱いて歩いていたこと」
 ずいと動けないノアを俺の目の前…頭の上に突き出す。
 よく見ると気を失っているのではなく、発声すらできないだけで
泣き出しそうな丸い目が俺のほうを見つめている。
「お前がこの世界に来たばかりで、『かわいい』とか適当なことを考えている場合じゃないだろう」
 いや、そーなんだけど。
「もっと自分の状況を認識しているはずだ。お前は十分冷静に振舞っている」
 どっちかってーとパニック過ぎて考えるの放棄してると言うべきか。

「最後に、この子竜自体。これは人造生物だ。それが…その卵がそのへんに落ちているワケないだろう」
 …待ってくれ、人造生物?
「そうだ。普通のヘビの変種かと思ったが、唾液の成分が異なる」
 どう異なる。
「催淫性物質。端的に言えば『ホレ薬』」
 はぁ?
「寝かすために悪戯…じゃない、私の毒を口移しで飲ませようとした。
 そのとき、この子の唾液を私も飲んだが、その効能を確認した」
 …哀れなノア、いっそのこと俺が生まれたての時に食っちゃえば良かったのか?
「それも正しかっただろうな。この子は、生まれて初めて見た人に『恋』をして、忠誠を誓うタイプらしい」
 マジかよ。そりゃ俺を知ったその時からノアの地獄に音楽が絶えないのなら、一生物だな。

「さて、最後に、個人的な意見…命令だが」
 へい、何でしょう。
「催淫性物質で、私の体が火照っている。お前、静めろ」
 はぁ?
「貴様らヒトは、我々獣人の『オトナのオモチャ』だからな。お前の役割を果たしてもらおう」
 にっと、持ち上げたノア越しに、白髪の女が笑う。
そして、またさっきの魔法と似た言葉を呟く。
「天、地、猫。破衣」
 その刹那、俺の衣類が派手にはじけ飛ぶ。
のおおお!?俺は数秒間の間にイリュージョナルに裸だ!
 ざんねん!わたしのはだかはみられてしまった!
とやたら難易度の高いRPG系ゲームの死亡フラグを思い出すと
「む…案外普通だな」
 何を見てってかナニを見て言われてるんですね。軽くショック。
「まあ、合格点だな」
「にゃ…にゃぁ…!」
 ノア、そうかお前に見られてしまったのか、俺の裸体。そして死にたい。
「…朝まで寝かせるつもりで毒を流したが、また解毒されたか。
 対応速度が異常に早い、やはり普通じゃないな」
 ああ、俺の知らないところで二人は人外してるのね。
「このまま、また寝かせるのも芸がないか…」
 ふむ、と俺の顔とぶら下がったノアとを見比べて、
 すっと、俺の視界からカナが消える。
ほとんど動かない体だが、力を振り絞って首を持ち上げて、下半身を見る。
452虹衣の乙女達 〜ノアとアズキと隊長と〜:2007/02/01(木) 15:34:06 ID:jDLySFdz
 俺の足元に仁王立ちしながら、ノアの両足を掴んで宙吊りにして…
「ふあ…あぁ…!?」
 カナの舌は、ノアの幼い縦筋を捕らえている。
まるで主人に足から捕まったニワトリのように持ち上げられ、
逆さ釣りのまま俺に見せ付けるように、舌をスリットに押し込んでいく。
反対の手でカナ自身の着衣…皮の鎧を解いて行く。
「にゃ、にゃああぁぁ……!!」
 いや、おい、ちょ、ノアに何を…!?
「何って、慣らしてやってるのさ。生まれたてなんだろう?」
 幼女に変なこと教えるんじゃねぇ!ってか何でノアに!?
「にーにー!にーにーぃぃ!!」
 俺の事を叫びながら、抵抗できないノア。
とりあえずこのアマをぶん殴りたいのだが、痺れる体は見ていることしかできない。
 …そして俺を呼びながら、涙を目に浮かべるノアと、
淫悦の表情で幼女の割れ目を開いていくカナを見て
俺の股間は情けなくも反応してきた。
「おぉ、起てばそれほど悪くもなさそうだな♪」
 上半身を脱ぎ終え、胸をこぼすカナ。小ぶりでその…微乳だった。
 上機嫌な目付きでこちら…のイチモツを見ながら、その舌は執拗だった。
こいつ、舐めながら話すなんて器用なことできるとは…慣れているのか?
「うむ。女隊員ばかりだが、スキンシップは欠かしてないぞ」
 ド外道だった。

「あぅあ、あああ……っ!!!」
 ノアは目を見開いて、がくがくと震え、くたっと抵抗を止めた。
 ほぼ同時にカナが下半身のレザー装束を脱ぎ終える。
…あそこの毛は剃ってあるらしい。
「…達したか、こっちの準備は十分だな。」
 一連の幼女と百合属性に不覚にも俺の体は、
それを否定する頭と反して反り返っていた。
「お前の準備もしないと、な…」
「ぎゃむぅ!」
 ぼとん、と乱暴に俺の胸の上に投げらてたノアが悲痛の声を上げ、へっちゃりと動かなくなった。
…ノアのウロコは、案外暖かい。人肌と変わらないだろうか。俺の股間に腕を伸ばしているコイツよりは暖かそうだ。
そしてカナは、獲物に飛び掛る寸前の猫のような姿勢で俺の股間部へと顔を近づける。
 片手で俺の根元を掴み、ふんふんと鼻を鳴らして俺の匂いを嗅いでいる。…鼻先がモノにつんつん当たる。
「ふぅん…童貞か」
 うるせぇ。最近のいろいろと過程すっ飛ばしてベッドイン目指す男女が普通なこの社会が間違ってるんだよ。
だから俺は高卒童貞彼女居ない暦イコールグレゴリウス暦だ文句あっか。
 しかしまあ、興味が無いわけじゃない。無論ウホッでもない。
そんな俺の聳え立っている我が息子に顔を押し付けて…舌を伸ばしているワイルドな女性に、
興奮を覚えていることは事実である。

「ん……まだ大きくなるかな……」
 ざらり、とヤスリのような舌がカリ首を擦る。
 スタンガンとか痛そうな経験はしたことないし、したくもないが、
電撃が体に走るってのはこーいうことか。背筋からぐっと、何か快感が伝わってくる。
前立腺液が麻痺した体で唯一元気なそこから溢れ出し、そしてカナが舌を這わせ上げる。
潤った下唇が舌の後から付いて俺を撫ぜる感覚がする。
「よし、なかなかイケそうだな」
 唇を離して、少し頭を下げて俺の陰茎を見下ろす。
「仕上げ」
 ぐっと大きく開いたアゴで、それをくわえ込む。
ズルリ、ズルリと舌が、俺を上顎に押し付けて、潤して行く。
 …もう腰が抜けて声も出ない。
 5、6巡ほどそこを絞ると、ぐぼり、と音を立てて口から抜き出す。
月の光を受けて、輪郭が白く、亀頭が闇に浮かんでいた。
453虹衣の乙女達 〜ノアとアズキと隊長と〜:2007/02/01(木) 15:34:54 ID:jDLySFdz

「じゃあ、そろそろ本番でいいかねぇ」
「はぅ…?」
 そんな俺の様子を見ながら、カナは俺の胸の上でばたんきゅーして
俺の腹筋上に愛液を零していたノアをむんずと掴み上げ、
俺の肉棒の上に右手で羽交い絞めにして、持ち上げる。
 …俺にとっては、二人は騎乗位。
二人にとっては、ノアが上の背面座位。
「にゃ…にゃぁ……!」
「さあ、ご主人様のハツモノ頂いちゃいな♪」
 そのままそっと、俺の剛直にノアを下ろして、
俺はノアを貫いてしまった。
「うにゃああぁぁーーーー!!!」
 空に吼えるノア。雪色の割れ目から俺へ血が……蒼い血が……伝う。
とてつもなくキツい締め付け。目がチカチカする。

二名の童貞と処女喪失を観察しているカナは、
右手だけで白竜の子を揺さぶりながら、
逆の手で自らの溢れ出す蜜壷に指を入れ掻き回している。
「いい見世物だ、あぁ男のハダカなんて十日ぶりかな、我ながら新記録♪」
 こいつは男も女も食っちまうらしい。
「ほら、忠実なシモベなんだろ? ご主人様を満足させてあげなよ、ノアちゃん?」
「にゃ、にゃあああ、いや、いやい、いやい!!」
 たとえお前の血が何色だろうと、舌ったらずだろうと、ノアに痛覚はあるようだ。
…クソ、未経験の俺でも涙を浮かべて痛がる女の子を慰める自信はあるのに、
この体は股間と頭部以外は、微動たりともしない…無念。
 白い羽根の生えた幼女を、ぐっと持ち上げるネコミミ女。
ずるりと引き抜かれ、しかし圧力で俺も引き上げられてしまいそうな感覚に襲われる。

 猫女は白竜の子に、そっと呟く。
「ご主人様、黙り込んじゃったねぇ? キモチヨクないのかな?」
「…!?」
 ノアがハッとしてカナを見つめ、すぐさま俺のほうへ振り向く。
俺の表情はきっと地獄の底でも見たように虚ろだったのだろう、
驚きの表情でこちらを見ていたノアの表情が、一瞬で悲しそうに変わる。

 …ノアは、生まれながらにして俺に恋するよう作られているらしい。つまり、この状況は…

 どすん、とノアが俺の剛直を飲み込みながら落ちてくる。
いや、正確にはカナが押し込んだ。ノアの体重だと俺は彼女を貫けない。
「ひぎぃっ…!!」
 痛みに白竜の顔がまた歪む。しかし、先ほどとは異なり耐えている。
がくがくと俺の上で震え、歯を食いしばりながら空を見ながら涙を目に溜めている。
耐えていた体を落ち着けるためか、はふ、と一呼吸した後、幼女はこちらを見つめなおす。
「…にーに、きもちいい?」
 涙で潤んだ目がこちらを一心不乱に向けられ、呆けている俺に質問を出す。
 …当然、既に俺の頭はお花畑に三回転半宙返りで頭からドボンと突入寸前なのだが、
そこで幼女を貫いている背徳心が空中で俺の脚を掴み、急に地中から現れた羞恥心が受け止める。
つまり、俺はフリーズしてしまう。
「…にーに、ノア、きやい…?」
 潤んでいた瞳の雫は今にも溢れ出しそうになり、
それによる罪悪感殿が背徳心さんと羞恥心くんをバックドロップなさり、俺はふっきれお花畑にダイブした。
 …キモチイイよ、ノア。
「にーに!」
 暗く闇に消え入りそうなノアの白い肌が、
カーテンから入るスキマ月光にぱあっと照らされたような気がした。
454虹衣の乙女達 〜ノアとアズキと隊長と〜:2007/02/01(木) 15:35:44 ID:jDLySFdz

「はい、よくできましたー♪」
 一瞬存在を忘れていたこのクソ猫は、
お絵かき上手にできた幼稚園児を褒めるような口調で言い放ちつつ
白い天使を俺の上で揺さぶり始めた。
「にゃ、あ、あ、あ、あ!!」
 どすん、どすん、と俺の竿半分で天井に達してしまうノアが息も絶え絶えに喘ぐ。
その表情は、ほんの短時間の間に屈辱と悲嘆の顔から快楽と歓喜のものへと変貌していた。
「にーに、にーにー!!」
 その声も最初にカナに貪られていた震える声ではなく、
暖かい何かを求める女性に変化を始めていた。
「ほらほら、最後まであんたの『おにーちゃん』を満足させてあげなっ!」
 親指以外を全て飲み込みその手を男児のセンズリのごとく
激しくピストン運動させながら、ノアと俺の交尾を全力で進めさせるカナ。
「にーに、にーちゃ! すきっ、すきっ!!」
 …俺も好きだ、ノア…っ!
もう頭の中は真っ白だ。そして、俺は完全な意味で童貞を喪失した。
「にゃあ、あ、あああっあああ♪」
 白濁を結合部から漏らしながらノアは俺と同時に達し、
歓喜の雄叫び…メスだから雌叫び?を放ち、俺の上に崩れ落ちる。
小さい体のため、繋がったまま失神しても俺のミゾオチまでしか頭が届かない。

「さて、やっと私の番かな♪」
 気を失ったノアを剥がし、俺の顔とノアの唇が重なる場所までどかし、
ついにカナが俺の上に来た。
 …すんません、楽しいもの見て心中お察ししますが、
さすがに初心者が二連射はキツいと思います…
「大丈夫だろ。この子の体液…しかも血液を直に浴びたんだぞ、お前のここは」
 ああ、そういやノアの体からはエッチな気分になる液がしたたるんだっけな。
自身のそれに酔っ払うため、最初に見た俺に恋をして付いてくるんだとか。
 …そのノアを破瓜させて蒼い返り血を浴びたのは、俺の分身君。
「感覚がないのか? まだ物欲しそうにヒクついてるぞ♪」
 少しだけ回復した腕の力を振り絞り、視界を埋めるノアのやらかそうな顔を
申し訳ないがすこし右にずらし、全力で腹筋して下腹部を覗く。
455虹衣の乙女達 〜ノアとアズキと隊長と〜:2007/02/01(木) 15:36:31 ID:jDLySFdz

 …その動作を終えたのは、確かに臨戦態勢を維持したままの肉棒を
カナの濡れそぼった肉壷が咥え込む瞬間だった。
「我慢できないよぉっ、こんな、こんなエッチなモノ見せられてぇぇっ!」
 カナの体はノアのウロコ肌と異なり、まさに普通の女性だ。
ただし、モデル雑誌における普通基準ランクの整ったラインをしている。
「お前達、卑怯だぞっ!
 生まれながらに愛されてて、しかも即日繋がってっ!」
 悔しいがモデル顔負けの猫耳女は、俺の上で跳ねるように俺を沈み込める。
 月明かりで見えてきたのは、赤いような茶色のような、
全身をかけ巡る幾何学模様。イレズミであろうか…
「お前らヒトなんか、ヒトなんか、
 あたし達のオモチャでしかないクセにッ!」
 キツいノアとは対照的に緩いが、それは優しく包み込むような包容力で、
締めるのではなく包んで濡らし
内壁は凶器のようだ。このヒダヒダが男を何人も昇天させたのだろう。
「なのに、なのにあたしをこんなに焦らして!
 濡れさせて!ひとりエッチさせて!」
 俺はその全身を紋で包まれた女性の指、首、腰、股間も、すべてを観察してしまい、引き込まれる。
 その間にも、…根元まで包み込まれて、そして初性交では無かった
ひねりとか、圧力の変化とか、男慣れってこういうことか、ってのを実感させられて。
「こんなに興奮させて、それであたしを満足させないなんて、許さないんだから!!」
 憎たらしくも淫妖な猫の中に、二発目を放ってしまう。
「にゃうぅぅ♪あったかぁぃ♪」
 びくん、と冷たい風に吹かれていたようなカナの尾は、一瞬伸び切った。
 はぁ、はあっ、と息を荒くする彼女は、射精直後で萎えてもおかしくないのに、
変な成分でそれを許されていない俺の上でピストンを絞り続ける。

「…ねえあんた、アズキ、本当に主人いないんだよね? そうだよね?」
 ふっと、ああ、これそーいえば拷問だったと思い出す。
「じゃあさ、あんたこの世界で、生きてけないよね。ヒト売りに捕まって、
 次の環境が幸せかわかんないよねっ!」
 休むことなく腰を前後させつつ、俺の上にかぶさってくるカナ。
「あたしが、飼ってあげるよっ。毎日ごはんもあげるし、服もきれいなの用意してあげるし、
 お小遣いで本とか買ってあげるし、ちゃんと世話をしてあげるからさっ!!」
 白髪の美女がペッティング宣言。ああ、こんな憎たらしい感情を抱く前なら
俺はホイホイついていった。間違いない。
 …てか、どうも質問の方向性が拷問として間違っている気もする。
「ノアちゃんも、ちゃんと幼児具とか買ってあげて!きれいにしてあげるからさっ!」
 俺から見て顔のすぐ右前で幸せそうに気を失っているノアの横に、ずいと顔を進めてくる。
…ああ、くそぅ、キレイだ。ワイルドな女性って好みだ。でも憎たらしいぞコンチクショウ!
「ひとりじゃ、この世界じゃ、生きてけないでしょ? ノアちゃんも養ってけないでしょ?」
 うぐ、確かにここは別世界と認めるべきだし、
この女の言うようにヒトが奴隷ってのもマユツバじゃなさそうだ。
「あんたは毎日、私とエッチしてれば、安全にしてやるからさぁっ!」 
 俺の胸に顔をぎゅっと押し付けながら、強気だった女性が腰を休めることなくどんどん崩れていく。
 …ちょっと待て、俺じゃなくってもそのへんの別の男でもいいじゃんかよ。
男の100人切りとかしてんだろ?誰でもいいんじゃないのか?
「ムリだよぉ!この『永遠の初恋薬』に、私もかかっちゃって!
 アンタ見てたら、もう欲しくてしょうがないのおぉ!」
 ああ、だから『ノアの毒』ね…
「よく出来たシモベだよ、敵まで魅了するなんてぇぇ!」
 いや、それはアンタの自業自得な気もするが。
「お願いだよぉ、一緒にいてよぉ、夜がさみしくなるよぉ!!」
456虹衣の乙女達 〜ノアとアズキと隊長と〜:2007/02/01(木) 15:37:04 ID:jDLySFdz

 天秤にかけたのは、俺の自由とノアの命。
別に、さっき拾ったばっかの意味不明な生物に情をかける必要なんて、無いんだけど。
スキになっちゃったからなぁ、兄としても、男としても。
 ここで守れなくっちゃ、男が廃る。
 守れる力もないし。
 でも、一番の決め手は。

「にー…ちゃ…すきー…」
 ノアの寝言は、そりゃもう天使の勅命さ。

 …俺とノアを養ってくれるって、本当か?
「ちゃんとするよぉ…だから、だから、どこにもいくなよぉ!!」
 何だかこのネコミミ女から、こんなにも熱烈アプローチを受けたら、
どうにも傾いてしまう。悲しいかな男の性。
 …分かった、お願いするよ。
「にゃああっ♪」
 …だけど、イキそうです。
「にゃ、私も、イクぞっ、イク、あああっ…!!」
 ドクン、ドクンと、精巣の底から最後の一滴まで送り出す。
それと共にカナの膣はキツく締まり、一滴たりとも種子をこぼさまいと吸い付く。
「はうあ、ああああん…っ」
 全ての精液はカナに飲み込まれ、そしてぽつり、と呟く。
「赤ちゃん、できちゃいそ…♪」
 …非常に困る。
「もぉ、雰囲気だせないヤツだなぁ…デキないぞ、ヒトとケモノの間には…ふぅん」
 …非常に助かる。
「あたしは寝る…アンタの寝な…ああ、逃げようとしたら…わかってるな?」
 語尾がマジでした。

 …確かにいろいろと契約して、俺は奴隷となる。
仕事は、エッチ。
報酬は、日々の安全と、お小遣い少々。

 …唯一の契約違反は、隊員の朝食を毎日俺が作るハメになるって、ことだ。
457名無しさん@ピンキー:2007/02/01(木) 17:04:11 ID:DLIZaGnD
テラGJ!
んもぅ最高ッスよ!

やべぇ、ノアかわいすぎる!
おにいちゃんウラヤマシス
458名無しさん@ピンキー:2007/02/01(木) 18:47:07 ID:f/ZxpnxT
生まれながらにしてエロイ生き物がいたものだ。
隊長もすごいですね。性的な意味で。GJ。
459名無しさん@ピンキー:2007/02/01(木) 20:26:58 ID:gbV4obrZ
>>444
>>450
ぶしつけですが、「虹衣の乙女達」作者氏も、「我に牙を剥く世界」作者氏も。
どちらも最終的には相当な長編になるようなので、
現在のように2〜3日おきに7〜8レスずつ切れ切れに投下するよりは、
2〜3週間おきにまとめてドンと投下した方がいいと思います。

SS保管庫の方へ収録されるのも半年に一度なペースの現在、
こんなハイペースで交互にちょぼちょぼ投下されると、
かえって混乱して話が追い辛く、全体としての話が読みづらくなっちゃってます。
460我牙の人:2007/02/02(金) 01:38:42 ID:xvy3dp9j
>459氏
 
しかし、それをやると、それこそ相当大量のレスを使わなくては、
投下できなくなりますが、よろしいのですか?
461名無しさん@ピンキー:2007/02/02(金) 01:49:08 ID:xloNJ7RP
>>460
459じゃないが、反論。

だから、うpロダ使えばいいじゃない。
「出来なかった」とか「分かりません」なんて言わず、ちゃんと使い方を勉強しようよ。
こういう言い方は嫌だけど、文章書く前に文字覚えるように、投下する前にPCとかネットの使い方くらい覚えよう。
462名無しさん@ピンキー:2007/02/02(金) 02:24:11 ID:XFvkdo1q
>>460
まとめて出したところでも、小出しにしたところでも、結局使うレス数は変わらないのでは?
ならば、まとめてもらったほうが読みやすい。

もう一点。ひどく下世話なことだが、レスを付ける側にだってネタ切れは起きることなので、
あまり細切れで投下されると、どうしてもレスを付けるネタ(そしてレス自体)が減る。
書く側としてそれでモチベーションが保てるのかと。
463名無しさん@ピンキー:2007/02/02(金) 02:55:43 ID:QL2V5GC5
>>460
>>459でも>>461でもないが言わせて貰う
一区切り50KBを超える場合、他の職人さんたちはうpロダを使っている
2chの1スレ容量は500KBまでしかない

>>461の言うように、SS書きの初心者はまだ仕方ないとして、
最低限PCやネットの使い方を覚えてから初めて長文を投下するべき
ここに来て過去ログやWiki、避難所を見ていれば先輩の職人さんたちがどうやっているか
わかるはず
「できません」「わかりません」と言い続けるようならやはり何年でもROMれと言われるのは仕方ない

皆が今まで我慢してくれていた事に感謝すべきだと思う
かなり親切にアドバイスしてくれてる人もいたのだし、それに応える誠意を見せて欲しい
464名無しさん@ピンキー:2007/02/02(金) 06:21:05 ID:boyuo5rx
エロパロ板には数百のスレがあって、俺が定期的に見てるスレだけでも軽く20スレ超えてるが、職人にうpろだ強制してるスレはここだけだなw
465とある長文職人:2007/02/02(金) 07:36:14 ID:CXzk91cz
スレの空気というものも確かにありますが。

ただ、あしたらさんが使ってないものを推奨するのはどうかにゃー。
と、ロダ使用派の私は思うのですよ。
466名無しさん@ピンキー:2007/02/02(金) 08:59:15 ID:1CJorrmD
>>464-465
釣りだろうけど釣られてみる

普通の職人なら言わない
二人とも初心者を申告し、既に40スレは越えて競演している
このスレがほとんどこの二人のSSで埋まりつつある状況
違う人が投下予告をしようが遠慮なく半端な投下を続ける
普通の職人ならそういうまねはしない

はっきり言ってしまえば、今回のの二人の中の人は
空気が読めてない
内容が拙すぎる
そろそろちゃんとしたSSを読みたい
467名無しさん@ピンキー:2007/02/02(金) 09:23:18 ID:eh0OCAVS
>>466
は言いすぎとしてもだけど

よほど過疎っているスレならまだしも、まだ連載中の作家さんたちが控えている中で
「虹衣の乙女達」作者氏も、「我に牙を剥く世界」作者氏の投下の仕方はやはり問題だね

既に作品に対するレスよりも内部の不満や外部からの口出しが多すぎる
こんな事スレが始まって以来なかったことだ
もう作品がどうのこうのいうレベルじゃない
このまま投下したいならこっちをお勧めする

【SS書きの修行場】 
http://jbbs.livedoor.jp/otaku/5301/ 
(SS投下&批評スレ 外部リンク) 

http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1161043643/l50
468459:2007/02/02(金) 12:57:05 ID:RPeD63m/
>>460 >>464 >>465
いえ、一気に40〜50レス分を投下する羽目になるのは確実に手間でしょうが、
それでも「うpろだは使わない主義」ってんなら、それはそれでいいんです。
過疎スレで、スレの職人が一人だけとかだったなら、今の投下方法でも別にいい。
比較的短期連載で、あと1〜2回で完結予定とかなら、同じく問題ないんです。

真に問題なのは、「人口過密スレで・だらだらと貸切・かつ長期連載状態」なこと。

双方ともこの投下ペースで、でもまだ全然完結の気配がない。
ならこのまま7〜8レス相当の話を1ヶ月に10回、3日おきに投下し続けるよりは、
35〜40レス相の話を1ヶ月に2回、15日おきに投下して欲しいと陳情しています。
469名無しさん@ピンキー:2007/02/02(金) 12:58:03 ID:boyuo5rx
>>466
いつの間に40スレもできたんだw
470名無しさん@ピンキー:2007/02/02(金) 18:36:00 ID:mXjQ8ly9
まあ投下方法とかは職人さんの自由だからさ、やりたいようにやればいいと思うんだよ。
ただ>>408の言うとおり、他に投下を続けてる職人さんがいるわけだし
あんまり細切れに投下されても読み手が追えなくて書き手はスルーされ現象が起こるだけだと思うんだよね。
471名無しさん@ピンキー:2007/02/02(金) 21:48:43 ID:uVGkVp7T
この空気の中であっさりと俺が投下したらスレが俺GJで埋まるんだろうかと根拠もない妄想をしたw
472名無しさん@ピンキー:2007/02/02(金) 21:55:27 ID:mJ/zm6/t
>471
釣られてみる。

だったら試しに投下してみれば?
まあGJのレスがついたとしても、それは違う意味でのGJかもしれんが。
473名無しさん@ピンキー:2007/02/02(金) 22:17:47 ID:boyuo5rx
>>471
今の二人以外なら歓迎するぞw
今なら「荒野のテンプルナイト」の続編でもGJつけるかもしれんw
474名無しさん@ピンキー:2007/02/02(金) 22:24:01 ID:Hud/heYA
>>472-473
乙乙
475名無しさん@ピンキー:2007/02/02(金) 23:03:46 ID:LofRrEO3
ここが噂に聞いた皮肉満載のインターネッツですか?
476名無しさん@ピンキー:2007/02/02(金) 23:53:30 ID:pZqKg7TX
まあまあ、みんな落ち着こうよ
ちょっとツンツンし過ぎてるよ(*´∀`*)
477名無しさん@ピンキー:2007/02/03(土) 00:05:39 ID:WJCN/sCm
デレッといこうよ
478名無しさん@ピンキー:2007/02/03(土) 01:48:48 ID:r1IAuyiL
ドロッとなら十分してるんだがな
479名無しさん@ピンキー:2007/02/03(土) 03:25:35 ID:MUaEsQHQ
というかそこまで見たくないなら読まないなりNGにブチこむなりしちゃえばいいのさ。

ログだけ取得する毎日になるけどなw
480名無しさん@ピンキー:2007/02/03(土) 07:12:04 ID:5rP5rX11
>>476-478
俺はぐにゃっとしてるな。
そろそろカチカチに堅くなりたいものだが。
481荒野のテンプラナイト:2007/02/03(土) 11:04:41 ID:Bd1FIJYW
「はらへったにゃー」
「言わないで下さい。悲しくなりますから」
 丸まった麦わらが転がる荒野に二人の人影がありました。
 背の大きい方の人影は、銀毛に縞模様の女性のネコでした。彼女は簡素な皮鎧に身を包み、
ネコネコ教団の聖印の入った槍を杖にしてのたのたと歩いていました。
「にゃんでこうなったのかのかにゃー」
「ニャンパラリ様が地図みて迷ったからです」
 一刀両断に切り捨てた小さい方の人影は、小学校高学年ぐらいの外見の三毛猫のマダラでした。
彼は簡素な麻布の服を身にまとい、大きなリュックを背負って主人の旅のお供をしているのでした。
「トッテンパラリがちゃんと教えてくれれば迷わなかったにゃー」
「『今度こそは迷わないにゃー』とかいって地図に触らせてくれなかったのはニャンパラリ様です」
 このニャンパラリとトッテンパラリというのは教団からの洗礼名なので気にしてはいけません。
「もう三日もサソリとネズミしか食べてないにゃー。飢え死にしそうにゃー」
「安心して下さい。僕は三日も水しか飲んでないのにまだ死んでませんから」
 明らかに年下の従者でしたが、泣き言一つ言わずに主人を励まします。発言内容は悲しすぎるものでしたが。
「トッテンパラリは身体がちっちゃいから燃費がイイのにゃ!にゃーはもうそろそろ何か食べないと
 死んじゃうにゃー!!」
「そうは言われましても……おや?あれは……街?」
「にゃんと!?」
 トッテンパラリが指した先の山裾には、建物の影らしきものが確かにありました。遠すぎてよくわかりませんでしたが。
「ご、ご飯だにゃー!!」
 どこにこれだけの元気を隠していたのでしょう。ニャンパラリは全速力でその方向に駆けだしていきました。
土煙すら上げて走り去る主人に、トッテンパラリはため息を一つついて小走りについて行きました。
482荒野のテンプラナイト:2007/02/03(土) 11:06:46 ID:Bd1FIJYW
 街をあらかた探索した二人は、酒場でため息を付き合っていました。
「誰もいないみたいですね」
「そんなことはどうでもいいにゃー!なんで食べ物もないのにゃー!?」
「どうやら廃棄された炭坑街の様です。引き上げの際に荷物はあらかた持って行ってしまったんでしょう」
「それでもにゃーのために酒樽の一つも残しとけにゃー!!」
 腹が減りすぎて怒りのベクトルが理不尽な方向に向かっていました。
「でも、水は補給できましたし」
「水だけで動けるのはアイアンキングと体内に常温核融合炉をもってるトッテンパラリだけにゃー!!
 にゃーは何か食べない限りもう一歩も動けないにゃー!!」
 自分の従者をハイテクサイボーグ呼ばわりして、ニャンパラリは拗ねきってしまいました。
 こうなると梃子でも動きません。トッテンパラリは困り果てつつも、立ち上がりました。
「じゃあ何か無いか探してきます。ここでお待ち下さい」
「にゃー……」
 さんざっぱら吠えて元気を使い果たしてしまったニャンパラリは、カウンターの奥にいく
トッテンパラリを見送りつつ眠ってしまいました。
483荒野のテンプラナイト:2007/02/03(土) 11:10:37 ID:Bd1FIJYW
 じゅー。という音を聞いたニャンパラリは目を覚ましました。気がつくとカウンターの向こうで
トッテンパラリが何か料理をしていました。
「にゃー!?なにか食べるものがあったにゃー!?」
「今しばしお待ちを、すぐに第一弾ができあがりますから」
「ばんざいにゃー!!」
 ほどなくして、トッテンパラリが何かをお皿に載せてやってきました。どうやら揚げ物のようでした。
「天にまします偉大な中略いただきますにゃー!」
 飛び上がらんばかりによろこんでニャンパラリが、感謝の祈りもそこそこに揚げ物にかぶりつきます。
 中身は食べられる野草やトカゲ程度の様でしたが、ふわふわかりかりの絶妙な揚げ具合、そして
久々に食べる温かさがとっても美味しく感じられました。
「おかわりにゃー!!」
「はいただいま」
 こんな調子で、久しぶりに満腹ならずとも食事が出来た二人は食後の白湯で一服しました。
「にゃー。しかし、良く揚げ物なんてできたにゃー」
「はい、キッチン下の倉庫に小麦粉がすこしと、ランタン用の菜種油が古くならずに残ってましたから」
「にゃー?ランタン油!?……まあでもうまかったのにゃ。褒めてやるにゃ」
「ありがとうございます」
 こうして荒野のテンプラナイトは更けていくのでした。

 おわり
484名無しさん@ピンキー:2007/02/03(土) 11:12:39 ID:Bd1FIJYW
と、いうわけで流れを変える為に>>473のご希望の「荒野のテンプラナイト」を書いてみた!!

ん?間違ったかな?
485名無しさん@ピンキー:2007/02/03(土) 12:04:26 ID:h4rvtXZf
おま・・・
火に油・・・

罰として続き書いてこいwww
486名無しさん@ピンキー:2007/02/03(土) 14:58:20 ID:303OkraA
ニャンパラリ様かわいいな、ちくしょう
487荒野のテンプラナイトの続き:2007/02/03(土) 15:11:19 ID:Bd1FIJYW
 廃屋には、持ち運べなかったのでしょうか、ベッドなどの家具が残っていました。その一つを借りて
トッテンパラリはすやすやと眠っていました。
 ところがそのトッテンパラリの眠る部屋に誰かが忍び込んできました。誰かはするすると自分の
服を脱ぐとトッテンパラリの毛布の中に入り込みました。
「にゃあ……お風呂入ってないからすっごく臭いにゃあ……」
 その誰かは興奮したように耳をピコピコ動かすと、ズボンの中からトッテンパラリのおちんちんを
とりだしました。まだ柔らかく皮を被ったおちんちんを剥いて、だれかは白いカスを舐め取っていきます。
「ん、んんっ」
 トッテンパラリは気持ちよくなっているようでしたが、まだ目を覚ましません。でも、誰かの舌が
入念におちんちんを舐めるたびにその幼い身体はぴくぴくと反応するのでした。
「もっともっと大きくなるにゃあ……」
 誰かがうっとりした声をかけながらおちんちんを可愛がってあげると、おちんちんはどんどん元気
にすくすくと大きくなっていきました。大きくなったといっても子供のサイズでしたが。
 ですが誰かはその大きさに満足したようで、舐めるのを止め口でくわえ込み始めました。元気だけど
ちっちゃなおちんちんは誰かの口の中にすっぽり入ってしまいました。
 誰かは舌や頬や喉や歯でたくさんたくさんおちんちんを味わいました。同時に右手はトッテンパラリ
のたまたまをやんわりと揉みほぐします。
 やがて、気持ちよくなったおちんちんがいっそう膨らみふるふると震え始めました。ここぞとばかり
に誰かはちゅうううっっとおちんちんを吸い込みます。
 それが気持ちよすぎて、トッテンパラリは口の中にたくさん射精してしまいました。
488名無しさん@ピンキー:2007/02/03(土) 15:14:03 ID:Bd1FIJYW
「ふああんっ!」
 射精と同時にトッテンパラリは女の子みたいな悲鳴を上げてのけぞりました。
 トッテンパラリが気がつくと、おちんちんに触られてる感触とこんもり盛り上がった毛布が見えました。
 トッテンパラリが毛布をめくると、其処には精液を飲み下したニャンパラリがいました。
「にゃあ……濃くてたくさんで飲み干すの大変にゃあ」
「な、なにやってるんですかニャンパラリ様!」
「美味しいご飯を作ったご褒美にゃ」
「そんなのはいらないです!早くお戻り下さい!」
「そ、そんなのとは何事にゃー!失礼にもほどがあるにゃ、お・し・お・き・にゃー!!」
「いやあああんっ!!」
 怒ったニャンパラリはトッテンパラリの服をめくり上げると肋の浮いた細い身体に覆い被さり乳首に
吸い付きました。同時にお腹におっぱいを押しつけ尻尾同士を絡み合わせます。
「やめて、やめてくださ……ああんっ!」
「にゃー、まったく女の子みたいな反応して、許せないのにゃ」
 許せないという割にはニャンパラリはとても嬉しそうでした。
 勢いに乗ったニャンパラリは身体をずらして乳首同士をくりくり合わせたりピコピコ揺れる三毛の
ネコミミをはむはむ甘噛したり尻尾の先でお尻の穴をいじったりしてトッテンパラリを可愛がりました。
 でもニャンパラリは決してトッテンパラリのおちんちんに触れようとはしませんでした。
 度重なるねちっこい愛撫にびきびきに堅くなったおちんちんをトッテンパラリが自分で触ろうとした
とき、ニャンパラリがその手首を掴みました。
489名無しさん@ピンキー:2007/02/03(土) 15:16:15 ID:Bd1FIJYW
「にゃー?この手はにゃにかにゃー♪」
「うっ……」
 涙目でトッテンパラリがニャンパラリをにらみました。
 ニャンパラリは余裕綽々と言った顔でトッテンパラリを見下ろしました。
「にゃーのご褒美よりもオナニーのほうが好きなのかにゃ?それだったら見ててやるからオナニー
 するといいにゃ」
「はうっ」
 もうおちんちんは辛抱たまらない状態になっていました。でも、ニャンパラリの前でのオナニーは
トッテンパラリには恥ずかしすぎるのでした。それを見透かしたようにニャンパラリはさらに言葉責め
をくわえました。
「きっと面白いにゃ、たっぷりじっくり観察して実況解説もしてやるにゃあ」
「そんなぁ」
 ただでさえ恥ずかしいのにそれを解説までされたら羞恥心で死んでしまうかもしれません。それに
さっきからトッテンパラリの目に入るニャンパラリのおっぱいはふるふる揺れて、おまんこもぐっしょり
濡れており、とても気持ちよさそうなのでした。
 ニャンパラリの女体をガンガン突きまわしたい気持ちでいっぱいになったトッテンパラリはついに
謝ってしまいました。
「お、おねがいですっ!ニャンパラリ様のご褒美下さいっ!!」
490名無しさん@ピンキー:2007/02/03(土) 15:18:16 ID:Bd1FIJYW
「よくできましたにゃー!」
 ニャンパラリはその言葉が言い終わらないうちに腰をトッテンパラリのおちんちんに下ろしました。
 実はニャンパラリももうとっくに我慢が出来なくなっていたのでした。
「ああっ、ニャンパラリ様の中、熱いですぅ……」
「こ、こんなにびきびきに堅くして、ひにゃっ、はしたない従者だにゃあ……にゃああんっ!」
 ニャンパラリはトッテンパラリを叱りましたが、ニャンパラリの方が激しく腰を動かしていました。
 おちんちんが抜けかけては全部突き込まれる激しいピストンが、あわい月光の中で何度も何度も
繰り返されました。ニャンパラリとトッテンパラリはお互いの乳首を痛いぐらいに抓り合いました。お互いに
尻尾でお尻の穴を撫でてあげたりもしました。たくさんたくさんあらぬ事も口走りました。
 そうこうしていると、トッテンパラリに限界が近づいてきました。
「にゃ、ニャンパラリさまぁ!ぼく、ぼくもう出ちゃいそうです!」
「出すにゃ!にゃーの中にたっぷり射精するにゃー!!」
「で、でも子供出来ちゃったら……」
「そんな先のことはどうでもいいにゃーっ!!いいから出すにゃーっ!!」
 叱られたせいでしょうか、それともニャンパラリが思い切り締め上げたせいでしょうか。トッテンパラリ
は引き抜けずにニャンパラリのなかにたくさん射精しました。
 その熱い精液を受けてニャンパラリも潮を吹いてイッテしまいました。
491名無しさん@ピンキー:2007/02/03(土) 15:21:33 ID:Bd1FIJYW
 次の日、二人は再び荒野を旅していました。
「にゃー、おなかすいたにゃー」
「しょうがないです。食べられそうなものは昨晩食べ尽くしちゃいましたし」
 今度は地図とコンパスをトッテンパラリが持っていました。
「でも安心して下さい。あと二日も歩けば人里にでれるみたいですから」
「あと二日も食べ物がなかったらにゃーは死んじゃうにゃー!!……あ、そうだにゃ」
 ニャンパラリは何かを思いついたようでした。トッテンパラリは背筋に寒いものを感じました。
「食べ物がないならトッテンパラリの精液をのめばばいいのにゃ!」
「僕が死んじゃいますっ!」
 二人の神の使徒の旅路はとても険しいものになるようでした。

 ほんとに終わり
492名無しさん@ピンキー:2007/02/03(土) 15:23:34 ID:Bd1FIJYW
>>485
書いたよー。
493名無しさん@ピンキー:2007/02/03(土) 15:45:47 ID:yVQ/w0Ny
>492 GJ
494名無しさん@ピンキー:2007/02/03(土) 18:53:07 ID:QtlvN18M
>>492
素直すぎるwwwww
…そしてGJ。
495名無しさん@ピンキー:2007/02/03(土) 19:11:38 ID:h4rvtXZf
おまwwwww
マジで書くとは思わなんだ
テラGJwwwwwwww
496名無しさん@ピンキー:2007/02/03(土) 22:30:39 ID:Bd1FIJYW
>>493-495
ありがとー、ありがとー。
方向音痴の巡回騎士とショタマダラの従者のネタは考えてたので、この機会に書けて幸せ。
でも続きかくのは嫌。誰か書いてくださいな。
497名無しさん@ピンキー:2007/02/03(土) 22:58:37 ID:DFuR9cjP
GJすぎますぜだんな!
498名無しさん@ピンキー:2007/02/03(土) 23:57:47 ID:8EAcnts2
すいません。最近このスレを見だした新参者なんですが
時代の設定は作品共通してますが、この世界における戦争って
一体どれくらい前にあったのでしょう? 狗国とまとめサイトしかまだ
見てないのでよくわからんです…。
499名無しさん@ピンキー:2007/02/04(日) 00:03:22 ID:BchgpET/
>498
約2000年前らしい。作品によっては時代が違うのでまちまちだが。
500名無しさん@ピンキー:2007/02/04(日) 00:47:49 ID:0sjGy9Tc
>499
お答えありがとうです
なるほど、獣人の長寿から見ても随分と昔なんですね
世界観は共通だけど、細かい設定があやふやな部分多いので
どうも脳内補完に限界が来てしまうが、その分妄想も広がって
楽しむのも一つの手かな(´ω`)
501名無しさん@ピンキー:2007/02/04(日) 21:25:30 ID:J7sGFZzU
なんかしばらく見ないうちにすっかりハードル高くなっちゃった
・・・のかな?このスレ。

職人がこちむいさんしかいなくてマターリしてた頃が懐かしい・・・・
502名無しさん@ピンキー:2007/02/05(月) 00:05:38 ID:9DSd3UDH
一時、ハードルが下がりまくってただけな気が。
人が増えれば色々変わる訳だし。
503名無しさん@ピンキー:2007/02/05(月) 00:06:09 ID:fSWPWELR
こちむいさん、こないかなぁ・・・・・・
504名無しさん@ピンキー:2007/02/05(月) 02:56:31 ID:UapPhG2P
とはいえ、こむちい氏しか投下してくださらなかったときと今とでは状況が違うからね。
職人の数が増えれば、やっぱ色々状況も変わるやね…是非はともかく。
505名無しさん@ピンキー:2007/02/05(月) 10:06:16 ID:NaNFcxpU
>>500
あやふやとか矛盾とかは次のネタなわけですよ。
506名無しさん@ピンキー:2007/02/05(月) 10:11:25 ID:N7aXE9Qs
蛇の人は矛盾点から1個話をひねりだしたしなw
507名無しさん@ピンキー:2007/02/05(月) 20:06:44 ID:NaNFcxpU
まあ、現に「荒野のテンプルナイト」なんて間違いで一話捻りだした奴がいるしw
508名無しさん@ピンキー:2007/02/05(月) 20:06:51 ID:vpAE3B0w
あれだ、こういう時はもう素直に座して待つべし
職人が作品を投下しやすいように無音の間を作るのもスレ住民の務め
三日に一度のレスでもこの板なら保守には磐石すぎるほど
509名無しさん@ピンキー:2007/02/06(火) 22:05:45 ID:V/M63LZ0
妙に荒れていて投下するタイミングを逸し、ならば推敲するかと見直していたら……
決定的な矛盾に気が付いてしまったですよあなた

どうしよう……
510名無しさん@ピンキー:2007/02/06(火) 22:35:23 ID:NHMnOtDp
気づかない振り
511名無しさん@ピンキー:2007/02/06(火) 22:37:31 ID:3c/MDIPR
矛盾はうやむやにしてもいいし
それが嫌なら矛盾が起きないよう書きなおしてもいい
512名無しさん@ピンキー:2007/02/07(水) 04:11:23 ID:pChiMFQC
一生後悔する羽目になるから書き直しをオススメする
513名無しさん@ピンキー:2007/02/07(水) 10:47:31 ID:FhPQ9JZo
矛盾点を解消する話を新しく書くとか
514名無しさん@ピンキー:2007/02/09(金) 09:44:00 ID:e2LlcZR6
静かだな
保守しておく
515名無しさん@ピンキー:2007/02/09(金) 21:52:10 ID:y+HzGPKL
荒らしが消えたら我牙の人も虹絹の人もいなくなったねえ。
516虹衣:2007/02/10(土) 00:23:40 ID:3gVQBdO5
書いておりますよ。ただ、以前より慎重に書いているので、時間が掛かっております。
517名無しさん@ピンキー:2007/02/10(土) 00:25:12 ID:y+LrxkY8
きっと書き溜めてるんだよ

次の投下が来るまでのんびりしてようよ(*´∀`*)
518名無しさん@ピンキー:2007/02/10(土) 01:18:04 ID:Qrx9hAgJ
>>516すっごい期待して待ってる
519名無しさん@ピンキー:2007/02/10(土) 15:16:50 ID:60cfrGvp
まああんだけしつこく文句を言われれば、どんな作者さんでも慎重にもなるし、書き溜めもするだろwww
520虹衣の脇道
あぷろだ鯖落ちして悔しい。

 ところで、ノア。
「にゃ?」
 背中に羽あるけど、飛べるのか?
「うぅ…」
 …ちっちゃいコウモリみたいな羽根が、ピクピク動いてる。
「ふえぇ」
 うん、おにーちゃんが悪かったから泣くな泣かないでごめんごめんなさいうおおおお