1 :
名無しさん@ピンキー:
2 :
倉庫寒理人:2006/11/10(金) 19:32:33 ID:YJXgZMvg
スレ立てついでに、2件お願いがあります。
1.
前スレの男装少女萌え【7】ですが、11/2(木)の696までしか
ログを取得できていません。
696以降があるのか、その場合696以降のログを提供して
いただける方は、ぜひ御連絡下さい。
2.
また、萌え倉庫ですが、
最近タイトル不明の作品が多く、目次ページを見ても読み返したい
作品がどれだったか、ぱっと見に分かりにくくなっているので
仮タイトルをつけたいと思います。
今のところ、仮タイトルはカッコ書きでメイン登場人物の名前を
配したいと考えています。メイン登場人物の名前であって
男装少女とその恋人の名前を記すわけではありません。
(仮:上杉謙信)
(仮:上杉謙信、武田信玄)
このような形になると思います。
仮タイトルは、作者さまからの申し出があれば変更や取り下げを行います。
他に仮タイトルで良い案がありましたら、是非ご意見をください。
男装少女に萌えつつ、上記2件よろしくお願いします。
1乙。
696が最後だよ。
IEでスレ開いてみな。
4 :
倉庫寒理人:2006/11/10(金) 20:23:35 ID:YJXgZMvg
5 :
名無しさん@ピンキー:2006/11/10(金) 20:23:42 ID:ByOShlLk
>>1乙
倉庫管理人さんもいつもお疲れ
>(仮:上杉謙信、武田信玄)
どうでもいいがこの例にちょっと笑った
>>6 上杉謙信女性説があるんですよw
何でも戦場に生理用品を持っていったとか何とか。
男装少女でなければ、ただのヘンタイさんです。
毘沙門天大好きな男装少女と思うと・・・(*´д`)ハァハァ
ジャンヌダルクもそうですが、禁欲的な美少女は萌えです。
上杉謙信女性説は割と有名な話だと思っていたけど。
柳生十兵衛も女性説あったよね。
あと沖田総司が女って設定の映画があるって聞いた。
10 :
名無しさん@ピンキー:2006/11/11(土) 15:40:16 ID:0ILIqo8m
>>9 牧瀬里穂が総司で、渡辺謙が龍馬のやつだね。幕末純情伝。
つかこうへいの原作の方が面白いしエロい。
田舎者土方歳三のナンパした相手が、何を間違ったか
自分より強くて一途かつ淫乱な総司だったことから歴史が作られたという
つか版幕末史。
想う男はひとりと決めつつ、身体は別の男に慣らされる総司もいいが
土方の、自分で自分に歯がみする情けない男の純情がいい!
映画のコピーが「沖田総司はBカップ」で、
小説のキャッチが「ひとたび女が恋に狂えば、歴史なんてひっくり返るわ」
だったかな。ウロ。
>柳生十兵衛
>上杉謙信
結婚しない男にはあらぬ噂がつきまとったんだろうなあ。
身につまされる。
実際に男装していたジャンヌダルクもいいよな
そういえばジャンヌは捕えられたあと女ものの服を着せられたが
レイプされて男ものの服に戻ったんだっけ?
12 :
名無しさん@ピンキー:2006/11/11(土) 21:18:49 ID:+ju2J3iW
>>11 当時女性が男性の服を着るのは罪だった。
囚われたジャンヌは罪を認めるが、再び男性の服を着たことで
改悛していないとして火あぶりの刑。
男性の服を着たのは着替えの最中に暴行されそうになったため。
その時、女性用の服は隠されて男性用しかなかった。
ジャンヌを火あぶりにするための罠だったと。
小説「傭兵ピエール」がジャンヌ・ダルクの話
傭兵といっても強盗団みたいなこともしていたんである日貴族っぽい騎士を襲って身ぐるみ剥いだら美少女だった。
レイプしようとしたら「私は神の使いだから純潔を守らなくてはいけない。目的を果たしたら処女を捧げる」と言われてその場は解放。
戦場で再会して共に戦う、という話。
(ネタバレ)
捕らえられたジャンヌは魔女裁判にかけられる。
「悪魔との契約」(ようするにセックス)をしたかどうか産婆立会いでなんとか侯爵夫人が確認したのは史実にある。
小説ではその後ジャンヌは牢番にさんざんに殴られ、輪姦される。
それは火刑の前夜まで続いた。
ジャンヌ救出の依頼を受けたピエールは僧侶に化けて牢に侵入して再会。
ジャンヌは汚されたことを告白する。
で、ある女を身代わりにしてその女の服を着せてジャンヌと逃亡。
声の出なくなる薬を飲まされた女が何か言うと「十字架を欲しがってる」とか「ジーザスと言ってる」と解釈され、民衆は聖女と崇める。
その後ピエールとジャンヌはジャンヌ派の貴族ジル・ド・レェの屋敷で保護を受けるがジルが子供を殺害・レイプしていることを知る。
最終的にはいろいろあってピエールは貴族になり、「妻ジャネット」と暮らす。
14 :
名無しさん@ピンキー:2006/11/14(火) 22:27:11 ID:AQE0CyWJ
規制解除記念保守。
一応ageときます。見失った人のために。
過疎だなぁ…
SSが読みたいです
昔、図書館で実在の男装した女性の話を集めた本を読んだ。
うろおぼえなんだが、その中の一つ。
ルイ十五世時代のフランスの地方貴族で美貌の娘がいた。
彼女は野山を駆け回り狩をする事が好きで、父親の不興をかったため
親戚の家に身を寄せ、そこで男装して学校へ通った。
人望も厚く親友も出来たが彼が暴漢に襲われ、助けた時に女だとバレてしまう。
一時修道院へ入れられるが(そこでは尼さん達にモテモテだったらしい)、
父親が死去し兄が後を継いだので故郷へ帰る。
そして相変らず狩ばかりしていたが、美貌の彼女に求婚者が殺到し
決闘騒ぎまで起こったので嫌気がさした彼女は男装して軍隊に入隊する。
順調に軍人生活を謳歌していたが、男だと思い彼女に惚れていた宿の娘が
同じ軍の兵士に襲われそうになったのを助け、私闘を禁じる軍紀を乱したとして
裁判にかけられそうになる。
その時、彼女は以前暴漢から助け今では爵位を継いだかつての親友に
連絡をとる。
彼の力によって無罪放免となり、彼からプロポーズされ迷うが
自分には普通の女の生活は出来ないと軍隊へ戻る。
やがて戦場で深手を負い死期を悟った彼女は親友に連絡し、
駆けつけた彼の腕の中で息を引き取る。
本当の話なのか? と疑問に思ったが、著者は歴史学者で本当らしい。
>>16 なにその萌え小説w
作者このスレに召喚しようぜ
ここはやっぱり、
教皇ヨハンナの出番ではないだろうか。
16です。
題名もうろおぼえなんだが確か「男装する女性の世紀」だったと思う。
著者は男性。
amazonで調べ直した。
「冒険する女の世紀 男装の女性史」だった。スマソ。
事実は小説よりryってやつだな。
読みたい。
鶴姫伝説の話も、男装少女としては中々の物語だよな。
木原敏江の「夢の碑・紫子」のモデルではないかと思う。
瀬戸内の島で死んだ兄の変わりに戦場に出て、
女ながら甲冑に身を包み、途中恋人を亡くしながらも戦い続け
最終的に龍になった恋人が迎えに来て二度と戻らなかった、とか言うのだったか。
中国ではムーランか。
ここの人は男装物としては古典のとりかへばや物語は読んでる?
>>23 ざ・ちぇんじならw
とゆーか、教皇ヨハンナに反応ないのがショックw
シティハンターの中にも男装美女が登場=単行本17巻、文庫版9巻で登場する『柏木圭子』(男装時は『柏木圭一』と名乗る)
うる星やつらの竜之介は?
>24
ヨハンナは過去スレで話題になってる
>>10 >>柳生十兵衛
>>上杉謙信
>結婚しない男にはあらぬ噂がつきまとったんだろうなあ。
>身につまされる。
てかその当時から衆道って当たり前だったから独身でも別に珍しくなかったんじゃ?
でも沖田にしろ義経にしろ美形だったって言われてる歴史上の人物の男性は女性化のネタにされやすいよね。
柳生と上杉は女性と見まがうほど美形だったかどうかは知らんが・・
>>30 上杉謙信は、死因が婦人病って文書もあるそうな
「女信長」は萌えなかった
ホモは武士の習いだったらしいけど
独身は超異常だったのでは?
特に長男や家柄が良い場合は。
>>32 それだけの想像力を持つ者が
この世にいたのか。
チビハゲな女の子なんて嫌だw
なら女曹操ネタもあるのかもね。
>>33 電撃「マ)王 に連載されてる
新三国志 雷霆の如くっていう漫画が確か女曹操。
作画の人がウェブコミの人でわりといい絵を描く。
まだ読んだことはないけれど単行本でたら買う
>>33 女信長、男濃姫というラノベもあるぞ
人間の想像力には限りがない
「女信長」は新聞に連載されていたので毎日読んでいたが男装娘好きの俺でも萌えなかった
佐藤に萌えを求めるほうが間違い
39 :
ボクの彼氏:2006/11/26(日) 22:03:58 ID:xrZyDni+
ボク、木下有紀、男の子、16歳、今日から高校生。
ボクはずっと我慢してきた夢を今日叶える決心をしたんだ。
え?どんな夢かって?それは、女の子として、学校に通うって言うこと。
ほら、新しいセーラー服も買ったし、下着もそろえたよ。
胸はちょっとしかないけど(?)、スポーツブラも買ったんだよ。
ちょっとルーズなソックスも、体毛がほとんどないボクには、ちょうどお似合い。制服のスカートも思い切って短めにしちゃった。
だって、昔から、男装(?)しているとき、学ラン着ていたって、「ねえ、あの娘、かわいい!」って言われてたくらい、ルックスには自信があるんだ。
わあ、もう7時半、そろそろ家を出ないと・・・。
「いってきまあす」返事がない。
あっそうか、今日から一人暮らしなんだ。
学校に着くと、新入生はクラス発表の掲示を見て、それぞれのクラスに移動していた。
ぼくのクラス、どんな人がいるのかなあ?かっこいい男の子、いるかなあ(なんちゃって)
教室のドアを開けて、ボクの席は・・・一番奥の席かあ。
隣は・・・あっかっこいい。
思わず顔が赤くなってしまうような、イケメン、やったね。
動けなくなっちゃった。
髪は茶髪のちょい肩上、すらっとして175cm位かなあ(ちなみにボクは155cm42kg)。あっボクを見てる。
あいさつしなくっちゃ。
「あっこっこんにちは。ボク、木下有紀っていいます。どうぞよろしくおねがいしまあす。」
「あっよろしく、有紀ちゃん、かわいいね。彼氏いるのかな?オレ、如月涼、よろしくな。ただ今、彼女募集中、どうぞよろしく。」
やったね、楽しくなりそう。
彼女募集なんて言ってたけど、ほんとかな?
あんなにかっこういいし、きっと彼女いるよね。
っていうか、すごいもてるのかも、彼女何人もいたりして。
ボクはその日、涼くんばっか、見て過ごした。
ずいぶん観察した。なんだか初日からストーカーみたい。
学ランの上からもわかる、力強い筋肉質な背中。切れ長の目。
少し悪ぶった仕草・・・学ランのボタンを2つはずしている・・・。
全部ぼくの好み。
なんか、一目惚れしちゃったみたいだよお、ボクどうしよう?
女の子初日なのに。
男装少女のマンガの元祖は『リボンの騎士』のサファイア姫ではないかと
41 :
ボクの彼氏:2006/11/26(日) 23:52:04 ID:xrZyDni+
放課後、運動場で涼くんを見た。
サッカー部なんだ。
すごいドリブル、上級生にもあたり負けしないし、わあ、指示まで出している。
すごいなあ。
あっ、涼くんがボクに気づいた。
わあ、手を振っている。
これってもしかすると、もしかするし・・・。
休憩時間になって、涼くんがボクの所に来た。
「よお、サッカー好きなのか?オレは、サッカー一筋、三度の飯よりサッカーだ、なんてね。なあ、有紀、お前、サッカー部のマネージャーになんねえ?お前が一緒だと、オレ、もっと力が出せそうな気がするぜ。」
え?また?これって、告白にも近いじゃん。
ひょっとしてひょっとして、ボクのこと、涼くん・・・。
「それにオレも、同じ女がサッカー部にいると何かと助かるし・・・」
え?今?なんて言ったの?よく意味がわかんない。
同じ女?同じ女?え?涼くんって、女の子なの?
そんな、背も高いし、筋肉質だし。
現に今、サッカーウエア1枚なのに、胸なんか出てないし。
「オレが女に見えねえ、っていいたいんだろ。じゃあ、触ってみろよ。」
涼くんは右手をつかむと自分の胸へと引き寄せた。
あっだめだよ、なんだか、おかしいし、緊張するう。
あれ?何もない、男の子の胸板じゃん。
「そうだよな、オレ、胸ねえもんな。でもようく触ってみろよ。」
筋肉質な胸板とも言うべき所にかすかに乳房と感じられるような突起があるような気もする。
でもそういわれないとわからないかすかな・・・。
これじゃあ、ボクの方が胸あるよお。
「じゃあ、こっちはどうだ。」
ボクが身構えるまもなく、かわすまもなく、涼くんは、ボクの右手を自分の股間に引き寄せた。
だめって、そんなことしちゃあ、
「あれ?ない?なにもない。」
ボクは男の子のあれを想像したのだけど、涼くんの股間にそれはなかった。
ショック!女の子としての初恋の相手が女だったなんて!
なんてことだろう。
ボクが期待したバラ色の高校生活は一転して、真っ暗な闇へと吸い込まれていくよう・・・。
ボクは家に帰ると、簡単な食事をして、早めにお風呂に入った。
そして、ボクはすごい夢を見た。
42 :
ボクの彼氏:2006/11/26(日) 23:53:30 ID:xrZyDni+
ボクは涼くんと体育倉庫にいた。
誰もいない放課後みたい。
涼くんはボクにこう言った。
「有紀、お前、俺に惚れてるんだろ。お前の顔見りゃわかるぜ。そして、お前がやりたいことはこういうことだろ?」
涼くんはおもむろに、ボクの肩を抱き寄せると、キスをしてきた。
「ちょっと、涼くん・・・ボクたちまだ、出会ったばっか・・・それに、涼くん女の子・・・」
ボクはこれ以上しゃべれなかった。
涼くんが舌を入れてきたからだ。
涼くんの激しいキスに、ボクは目の前がとろけそうな気がした。
長いキスのあと、涼くんは学ランを脱いだ。
「ちょっと、涼くん、こんなところでだめだよお・・・」
ボクの言葉がそこで止まった。
美しい筋肉質の体、暑い胸元、締まったウエスト、日頃からしっかり鍛えているんだなあってすぐわかる体つき。
ボクのイメージ通りだ。
とても女の子に見えないよ。
上半身裸になっても男の子だよ。
涼くんはボクに唇をあわせてきた。
唇をあわせながら、右手がボクの肩からウエストラインをさぐる。
左手はボクの胸を弧を描くようになでている。
「あっそんなしたら、感じちゃうよお。」
右手がボクの股間へ・・・あっそこはだめだめ、ボクが男の子ってばれちゃう、止めないと。
「あん、涼くん、だめだよお、まだ早いよお。」
ボクは止めようとするけど、力が全然かなわない。
涼くんの右手はボクの腰からおへそのあたりをなでて、股間へと近づく。そのとき、涼くんは思いがけないことを言った。
「へえ、だめだと言いながら、体はこんなに敏感じゃねえか。ここ、こんなに濡れているぜ。」
え?そんな、だってボクの股間には男の子のあれが・・・。
ない?あれ?ボクの股間のあれは?どこへ行ったの?
「さあ、2人で楽しもうぜ。」
涼くんはボクの股間に指を入れてきた。
あん、そんなところをかき回したら、ボク変になっちゃう。
「どうだあ、入れたくなっただろ。」
そんなこと言ったって、涼くんは女だから、無理だよ、そんなことできっこないよ・・。」
あれ?学生服の黒いズボンを脱いだボディワイルドのスポーツトランクスの股間がふくらんでいる。
ふくらんでいるって言うより、びんびんにふくれあがっている?
え?涼くんって女の子じゃあ?
「さあ、オレの息子をしゃぶってもらおうかな?」
カンブリア紀層から発掘された断層の麗人
44 :
名無しさん@ピンキー:2006/11/28(火) 07:25:19 ID:boj/RoZ3
新作乙age
いいところで寸止めとは、やってくれる!
続きに期待!!
おおっ、しばらく来ないうちに良作が!
犬坂毛野が本当に女だったらと何度思ったことか。
わかってないな馬琴め。
新の方の毛野はアンドロギュヌスだし。
>>47 映画の志穂美悦子は別に男装じゃないが萌えた(*´Д`)
49 :
ボクの彼氏:2006/12/01(金) 22:21:31 ID:d+Vg5dVS
ボクはおそるおそる、でも、ずっと前から待ちこがれていたものを手に入れるかのように、涼くんのアレに、しゃぶりついた。
ボクは一生懸命、涼くんのアレを頬張り、そして、舌をはわせた。
涼くんは気持ちよさそうに、ボクの耳のあたりでボクの頭を優しく抱えると、上下に少し動かした。
ボクは涼くんの手の動きにあわせて頭を上下した。
「有紀、うまいじゃねえか。オレ、すごく感じてるよ、びんびんになってるぜ。」
「お前のアソコの準備はいいのか。」
涼くんは舌をはわせて、ボクのアソコへと、顔を近づける。
そして、舌を中に入れて、荒々しく、舌でかき回した。
「あん、そこは・・・。ああん、感じちゃう、声が出ちゃうよ。」
「感じてみろよ。思いっきり声を出していいんだぜ。」
「さあ、もういいようだな。ではいくぜ。」
ボクは、もう何にも深く考えなかった。
ただ本能の赴くままにと言うか、体が感じるままに、そう、涼くんにすべてをあずけて、ボクは、涼くんに抱かれていた。
涼くんのあれはボクを何度も貫いた。ボクは何度も何度も絶頂に達した。
朝の光で目が覚めた。
あれ?涼くんは・・・?いない・・・。そっか、夢だったんだ。
やっぱりね。
だって、ボクが女の子で。
涼くんは男のだったもんね。
そんな事ってあり得ないし・・・そう思った瞬間、いや、むしろそっちの方がいいなあ、って思うボクがいた。
ちょっとお、今日学校で、どんな顔して涼くんに会えばいいの、もう。
続きマダー?
51 :
名無しさん@ピンキー:2006/12/08(金) 09:22:54 ID:sqhkR/mf
捕手
52 :
名無しさん@ピンキー:2006/12/08(金) 17:37:47 ID:VqCbG6H4
よしながふみの「大奥」2巻に将軍である父の代役にされた少女が出てくる。
存在自体が秘密なので小姓の格好をしていて、女として生きることを許されない。
萌えた。
54 :
ボクの彼氏:2006/12/10(日) 15:19:56 ID:hi0MSBeG
(遅くなっちゃいました)
ボクが涼くんに会ったときのことをシュミレーションするまもなくそのときはやってきた。
「よお、おはよっ、有紀!」
登校途中のボクの肩を後ろからたたいてきたそれは、涼くんだった。
「あっ、おはよ・・・涼くん。」
夢だとわかっていても、あんなことあったから、まともに涼くんの顔見れないよおっ。
そんなボクの心を見透かしたように、涼くんは思いっきり、顔を息づかいも聞こえるくらいボクの顔に近づけてきて言った。
「今日、部活、来てくれよ。もうマネージャーが来ること言ってあるんだから。」
そう言うと、涼くんは急ぎ足で先に行ってしまった。
放課後、ボクは、別に引き受けたというわけではないのに、でも、断る気もないみたいに、ただ、当たり前のように、サッカー部のグラウンドへ足を運んだ。
ボクがマネージャー?女の子として、みんなを励ましてあげたい・・・。そんな気持ちが、ふっと沸いてきた。なんかこれって、女の子の幸せ、かな?
「ボ、ボクが、今度マネージャーをさせていただきます、木下有紀です。よろしくお願いします。」
それだけで、精一杯。サッカー部って、かっこいい人多いなあ。
もう緊張してこれだけしかしゃべれなかった。
「かわいいねえ、彼氏いるのかな?」
そんなありきたりの質問に、どぎまぎしてしまった。
そして無意識に、涼くんを見ちゃった。
涼くんも、こっちを見ていた。
「木下有紀ちゃんは、涼の紹介だそうだ。いったいどういうことだろうな、なあ、涼?」
キャプテンのよけいな補足にボクも顔を赤らめていると、涼くんは言った。
「いえ、特に・・・友だちですよ。」
でもその言い方には、愛があるって感じたのはボクだけ?
部活が終わるとそれぞれに着替えて、部室を出てくるみんな。
「有紀ちゃん、おつかれ!」
そう声をかけて、帰路につく、サッカー部のみんな。
「あれ、まだ、帰んないの?あっそうか、涼、待っているんだ。」
ボクは飲料水やタオルの洗濯を終わらせて、部室の前で待っていた。
待っていたって、涼くんを待っていたわけじゃないよ。
道具を部室に片付けなくちゃいけないから・・・。
「おおい、有紀!中は入れよ。オレだけだから。」
「うん。」
こんな呼びかけに応えられるはずないのに、応えられるのは、涼くんは、女の子だから。
でも、ボクは本当は男の子だから、やっぱいけない気はするけどね。
「入るよ、涼くん。」
ボクは、部室の扉を開いた。
そういえば俺の地元の熊本県ゆかりの偉人の天草四郎時貞は女性という説がある
=来年天草市の方でその節を元にしたミュージカルをするらしい
日本版ジャンヌダルクってとこか
激しくwktk
58 :
名無しさん@ピンキー:2006/12/16(土) 00:16:39 ID:eoKqX8/q
天草四郎が女性説は赤城穀も小説のネタに使っていたな。
あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ
61 :
名無しさん@ピンキー:2006/12/17(日) 01:09:23 ID:mvVLgYlT
九ちゃん、ビコ、どろろ
唐突ではあるのだが、現代物の男装少女は下履きが女物(ショーツ、パンティ)というのがなぜか多い
うむ。それはやはりリアリティをとるか萌えをとるかの問題だな
いやしかし、だぼだぼのトランクスの裾から見えそうで見せないというのもエロス
トランクス・ボクサーはいいけどブリーフは…
下着に残る乙女心というのは捨てがたい萌えだ
最近は女性向けブリーフというのも出てるらすぃ
↓ちょいと派手めだけどこんなの(音が出るので注意)
ttp://www.mikera.jp/ それとやはり上はサラシor貧乳の場合だとノーブラがデフォなのだろうか
ブラつけてたとしてもせいぜいスポーツブラぐらいか?
女性向けはあくまで女性向け。男装ではないなー
そしてブラは無理だろう
Aカップだって男の胸には見えないぞ(デブ除く)
>>67 知り合いに男にしか見えないぐらい胸板が薄い奴がいるんだが
胸板なんて言ったら可哀想だろw
そもそもどのくらいが貧乳?
見た目ぺったんこは俺の周りにはいないなー
BとかCでも痩せてる子だと小さく見えたりするけど
A以下が貧乳だとおも
Bが平均サイズだし
個人的にはC位の娘がさらしで胸を隠しているのが萌え
73 :
ボクの彼氏:2006/12/26(火) 06:06:41 ID:YpPdLHWa
薄暗い部室、いつもはいっているのに、なんだかどきどきする。
「涼くん、入ったよ。何処にいるの?」
「おお、ここだよ、奥だ」
奥の更衣室から声がした。
シャワーを浴びて、タオル1枚を腰に巻いた涼くんが出てきた。
引き締まった体つき。
絞ったウエスト、逞しい肩幅・・・。
裸なのに、男の子に見える、その体。
やっぱり、男の子みたいだよ、涼くん。
「なんだ?オレの体に何かついているか?」
「ううん。ただ、かっこいい体だなあって思っちゃった。」
「あれ、ひょっとして、オレに抱かれたくなったのか?なんちゃって」
もう、どきっとするこというんだから。
でも、なんだか、この雰囲気・・・。
「よお、有紀、こっち来いよ。」
ボクは言われるまま、涼くんの横に座る。
すごく、緊張する沈黙、なんか言わなくっちゃ、でも言えない。
隣の涼くんから、すごい男のにおいがする、涼くんホントは女の子なのに。
「有紀?」
「ん?」
次の瞬間、ボクは涼くんの逞しい腕に引き寄せられていた。
拒否するとか、声を出すとか、そんな暇もないくらい、と言うより、涼くんのすごいキスで、ボクの頭の中は真っ白になっちゃう。
涼くんの舌が、ボクの舌に絡みつく。
ぐいぐいと、ボクの中に入ってくる。
ああ、そんなにされたらボク、おかしくなっちゃうよお。
涼くんの右手が、ボクの背中からウエストを伝って、前に回ってくる。
夢と一緒だ。
でも夢と違うのは、ボクが男の子だってこと。
やばい、やばいよお、ばれちゃうよお。
ウエストから前に回ってきた涼くんの右手は腰のラインをボクの股間へと進んでくる。
「ああ、だめだよお。涼くうん。」
だけど、気持ちいい。
このまま、ああ、このまま。
でも、もう限界、ばれちゃうよお。助けてえ。
続きwktk
75 :
ボクの彼氏:2006/12/27(水) 03:34:49 ID:LccAVGXN
涼くんの右手がボクの股間のものへとたどり着いた。
ばれる・・・やばい。
涼くん、怒るかなあ。
「へえ、なんだあ。」
あれ?軽いリアクション?
「有紀、お前、男の子だったのか?」
「うん。ごめん。言わなくちゃって思ったんだけど、言いそびれて。」
「あやまる必要ねえよ。似たもの同士じゃん、オレたち。」
「オレが女で、お前が男。まあ、オレはどこからどう見ても男にしか見えなくて、お前は、有紀はどこから見ても女にしか見えねえ。」
「これで、思いっきり、お前を愛することができるぜ。」
そう言うと、涼くんは、今まで以上の強い力で、ボクを抱き寄せてキスをした。すごい、涼くんの舌が、ボクの口の中で暴れてる。
んあああっ。
ボクは自由がきかない。
涼くんの指が、ボクの体を這い回る。
声が出ちゃう、気持ちいい。
涼くんに犯されてる・・・そう思った。
ボクも、がんばらないと・・・男の子だし(?)
ボクは、涼くんの厚い胸板(乳房?)に舌を這わせる。
筋肉質で固いその胸はまるで男の子。
きれいなきれいな男の子の体。
「んああ。うまいじゃねえか、有紀。」
「もうがまんできねえよ。」
そう言うと涼くんはボクを、押し倒す。
ボクのセーラー服のリボンを抜き取ると、セーラーの上着を脱がせようとする。でもうまくいかないみたい。
涼くんは力任せにボクのセーラーを剥ぎ取る。
ビリビリッ。
ボクのセーラーが涼くんに破かれて、ボクの乳房があらわになる。
「ああん、涼くん、乱暴にしないでえ。」
「はあはあ。何言ってんだ。もうビンビンだぜ。興奮してんだろ。」
涼くんの息づかいが聞こえる。
興奮しているんだ。
犯される、ぼくはそう思った。
ボクは、女の子にしか見えないホントは男の子のボクは、男の子にしか見えない女の子の涼くんに犯されるんだ。
「そろそろ入れようか?有紀。」
76 :
暗愚丸:2006/12/27(水) 11:16:03 ID:QnLIysIj
……こっそり投下してみます。
篠原学園一年C組の若村雄一は空手部道場のど真ん中でただ一人座禅を組んでいた。
二枚目半といった顔立ちが、眉間によった深いしわのせいで三枚目に変わっているが、それも詮無いことだった。
何しろ雄一は、地獄の底の更に底を突きぬけるほどに深く悩んでいたからだ。
「……ふぅ」
深い溜息をつきながら、閉じていた目を開く。
ゆっくりと立ち上がって大きく体を伸ばす雄一。
一七九センチという身長に、空手着の上からでも解る鍛え上げられた体。
それが、年齢に似合わない強烈な威圧感を感じさせる。
自然体で立った状態から、軽く息を吐きながら上段回し蹴りを放った。
そのまま元の体勢に戻る。
今度は、ろくに構えも取らず、手首のスナップを効かせるような打ち方で、顔面めがけて軽く正拳を放つ。
通常の空手ならまず許されない行為なのだが、喧嘩の時はこの方が確実に相手をたたきのめすことが出来る。
だが、そんな風に体を動かしたところで、悩みがはれるわけがない。
悩みの原因自体は、思春期の少年少女なら誰でも一度は経験したことがある事。
いわゆる恋の病と言うものだが、その相手が問題だったのだ。
「あれ、雄一? 今日は部活なしで上がるって言ってたよね?」
不意に、ひょこっと道場の入り口から一人の少年が顔を覗かせた。
雄一の同級生にして親友でもある篠原真雪(まさゆき)。
ぱっちりとした大きな目にすっと通った鼻筋、愛らしい小さな唇と、どこから見ても美少女にしか見えない顔立ちで、肩くらいの長さの髪を後頭部の下側で一本にまとめた真雪を見た瞬間、心臓が高鳴った。
「あ、あぁ、他の連中が全員揃って、他校に遠征行って来るから留守番してくれって、顧問に言われたんだよ」
声が上擦るのを抑えきれなくて、気づかれないように真雪から視線をそらす。
「あ、そうなんだ。じゃ久しぶりにあがらせてもらおっと」
ひょいっと手早く道場に入ってくる真雪。
一六〇センチ台と小柄な上に体も全体的に華奢で、ユニセックスな服を着れば確実に少女と間違われる。
そんな雰囲気を持っている真雪が、とことこと雄一の正面まで歩いてきた。
そのまま、雄一の隣に来ると粗野な態度で床に腰を下ろす。
あぐらをかきながら見上げてくる真雪に、雄一もおとなしく床に座った。
気づかれないよう深呼吸して、心を落ち着ける。
「いや〜、やっぱ畳の上ってのは安心するね〜」
「そりゃ、お前さんはそうだろうよ」
篠原学園理事長の末っ子であり、この学園のある篠原町の大地主にして和風の大邸宅に住んでいる真雪なのだ。
幾度か篠原邸にお邪魔させてもらったことのある身として、その言葉には共感できる。
のだが、そう言いながら「んーっ」と背伸びをする真雪の仕草にまた胸が高鳴った。
慌てて視線をそらす。
自分にはそんな趣味はないのだと必死で言い聞かせるために。
雄一と真雪の友人づきあいはまだせいぜい半年ほどのものでしかない。
篠原学園入学式が終わった後、そろそろ絶滅危惧種な、見るからに不良と言った十人ほどの群れに連れて行かれる真雪を見かけたのだ。
数にあかせて一人をいたぶるような連中は、吐き気がするほど嫌いな雄一だ。
当然のようにその後を付けて、助けに入ろうとした。
……が、校舎裏の影に入った連中と真雪の後に続こうとした雄一の目の前を、不良の一人が空を舞って通り過ぎた。
慌てて飛び込んだ流石に絶句した雄一。
一呼吸の時間で、地面に叩き付けられたのが三人、投げ飛ばされたのが一人。
結局、手助けする必要が欠片もなかったのだ。
ただ、ソレが縁となって自然と連(つる)む様になった。
あれからいつの間にか、真雪は雄一にとって数少ない親友になっている。
「雄一、最近変だよね?」
ぽつりといきなり話しかけられて、慌てて真雪に視線を向ける雄一。
少し伏し目がちの憂いを帯びた瞳に見つめられて、また頭に血が上ったことを自覚する。
「いや、そんなことないぞ?」
「何言ってるんだよ、そんなことあるぞ?」
そう言っておどけてみせる真雪。
その横顔に一瞬見とれてしまって、必死でその意識を押しのける。
「ボクたち友達だろ? 悩みがあるなら何でも聞くって。悩みって言うのは、人に言うだけでも大分軽くなるじゃないか」
そう言って笑う真雪に、雄一は答えを返すことが出来ない。
否、出来るはずがない。
……男が男に恋慕する。そんな異常な性癖は雄一にはないはずだったのに、気づけば真雪を好きになっている自分がいた。
そんな悩みを当の真雪自身に言えるはずがない。
「あーだから何でもないって」
「む、なんかむかつく!」
言った瞬間、真雪が立ち上がって背後からスリーパーホールドをかけてくる。
首に回された細い腕の感触に、僅かに薫る甘い香りに、雄一の心がはぜそうになる。
「チョークチョーク!」
慌ててぽんぽんとのど元に入っている真雪の腕を叩く。
背中に感じる温もりがやばかった。
体が反応しそうになる。
ソレを必死で押さえて、雄一は何とか立ち上がった。
「お、おぉ?」
背中で上がる真雪の驚きの声に応えず、何とか喉から真雪の腕を引きはがした。
「かはっ! ごほっごほっ! ……っはぁ。ったく、マジで入ってたぞ今」
思わず文句を言いながら振り返る雄一。
少し困ったような表情を浮かべる真雪が、手を伸ばしてきて喉に触れてきた。
「あーゴメン、ちょっとやりすぎたかな?」
「やりすぎたかな、じゃねぇだろ」
そう言いながら、どくんと心臓の鼓動が強くなったことを、雄一は自覚した。
のど元をさわさわとくすぐる細い指。
心が折れそうになる。
「あとついちゃったね。ゴメン」
そう言いながら軽く頭を下げる真雪。
その細い首と白い項が見えた瞬間、ぷつんっと何かが切れる音がした。
「真雪」
「なに? っ!?」
呼びかけに応えて真雪が顔を上げた瞬間、雄一は抱きしめながら唇を重ねていた。
柔らかい感触に心が震えた。嫌われて早く抵抗して欲しい。軽蔑して欲しい。
そんな雄一の思いとは裏腹に真雪の体からは力が抜けて、逆にぎゅっとしがみついてきた。
理解できない。
男にキスされているのに、抵抗するどころか受け入れようとする真雪の気持ちが理解できない。
それでもその甘く柔らかい感触に心がとろけていく。
どれだけそうしていたのか、ゆっくりと唇を離す。
はふっ、と、真雪が名残惜しげな吐息を漏らして、自分の唇を右の人差し指でなぞる。
その光景が異様なまでに淫靡に感じて、雄一は体の疼きを覚えた。
だけど、その疼きよりも真雪の漏らした言葉の方が、雄一の動きを縛った。
「…………雄一、気づいてたんだ」
「あー、気づいてたって何がだよ」
嫌われてもおかしくないはずなのに、嬉しそうに笑う真雪が理解できなかった。
だから漏らした問いかけに、がくりと肩を落とす真雪。
「……え〜と、マジで気づいてないわけ?」
「だから、何が」
どこか飄々とした真雪の様子に、わけもなくいらだってくる。
そんな雄一を見つめてくる真雪が、どこか困ったような笑みを浮かべた。
「雄一って、もしかしてホモ?」
「違うっっ…………て言いたい、けど……お前に惚れてるのは事実だし…………そうなのかも」
自分が異常な変態だと想ってしまった瞬間、心のどこかが折れる音がした。
がくりと肩を落として雄一は畳を見つめる。
「じゃぁ、ボクは相手にならないよ?」
そのどこか憂いを感じさせる声に、訝りながら顔を上げる雄一。
少し下にある真雪の顔に、真剣な表情が浮かんでいることに気づいた。
「だって……、ボク女だから」
…………オンナダカラ
…………おんなだから
…………女だから
一瞬、頭の中でその言葉がリフレインした。
「……は?」
「家庭の事情でこんな格好してるけど、ボク、ホントは女なんだよ」
僅かに潤んだ瞳で見上げられながらつぶやかれた言葉。
その言葉の意味を理解した瞬間、雄一はがくんと膝を崩して畳にへたり込んだ。
「ちょっ、雄一!?」
慌てた様子で見下ろしてくる真雪。
ソレを見ながら、安堵の吐息と涙が零れた。
「あ、安心したら、腰が抜けた」
真雪の顔を見上げながら雄一はぽつりとつぶやく。
「ぶっっ! ……っく…………」
思わず吹き出してから慌てて笑みを堪えようとする真雪を、雄一はじろりとにらみつける。
「……何が可笑しいんだよ」
声に険が籠もるのはどうしょうもないこと。
そんな雄一を見つめてくる真雪はやっと笑いの発作を堪えたのか、口元に僅かに笑みを残したまま、それでも普段の口調で話しかけてくる。
「だってさ、雄一は一人で十数人相手に喧嘩するような無鉄砲じゃないか。ソレなのに、ボクが女だって知っただけで腰抜かすなんて、らしくないって」
その言葉を聞いた瞬間、頭に血が上った。
「悪かったなっ! 言っとくけど本気で俺悩んでたんだぞ! 男なのに男を好きになったなんて異常すぎて洒落にならないって本気で凹みまくってたんだ!
ソレこそ朝まで寝られないなんて事もざらだったんだぞ! なのに衝動的にキスしてしまったら女でした? 安心しすぎて腰が抜けてもおかしくないだろうが!!」
一息でそれだけの言葉を吐き出して、げほげほと咳き込んでしまう雄一。
そんな雄一の隣にぺたんと腰を下ろした真雪が、ぽんぽんと背中を叩いてくれる。
「あー、ゴメン。そりゃ確かにそうなってもおかしくないね……、ってか、マジゴメン。きっとボクのせいだね」
何とか呼吸を整える雄一の耳に、どこか困ったような憂い声が聞こえてきた。
「真雪?」
「……きっと雄一がボクのこと好きになってくれたのって、ボクが雄一の事好きだったからだと想うんだ」
その真剣な声に引っ張られるように慌てて隣に視線を向ける。
真雪がじっとこちらを見つめていた。
「ボク自身気づかないうちに雄一に秋波を送ってたのかもしれないしね」
「あー、と」
その言葉に、何となく自分が真雪を好きになったきっかけを、雄一は思い出す。
梅雨入りしてすぐの頃だったと想う。
たまたま傘を忘れた雄一は真雪の傘に入って帰っていた。
ただそれだけだったのに、時々こちらを見上げて来る真雪の視線が妙にこそばゆくて、同じように隙を狙って横顔を見た時、心臓がとくんっと跳ねたのだ。
その少し寂しげで構って欲しそうな横顔。
そんな顔をさせたくない。そう想ったのが、きっと恋の始まり。
「で、もう一度最初から言っても良い? ボク、雄一のことが好きだよ。誰よりも何よりも大好きだ」
そう言って、目を潤ませて見上げてくる真雪。
鼓動がやけにやかましい。
そんなことを想いながら、雄一も真雪をしっかりと見つめる。
「俺も……俺も真雪のこと好きだ。絶対に離したくない」
そう言いながら、思わず真雪の肩に手を伸ばして胸元に抱き寄せる。
その華奢な感触に暴走しそうになって、雄一は心を落ち着けさせて深呼吸する。
真雪が嬉しそうに、だけど困ったような笑顔で見つめてくる。
「嬉しいんだけど、一つだけ言わせてくれる? ボクのホントの名前は『まさゆき』じゃなくて『まゆき』なんだ。そう呼んで欲しいな」
その可愛らしい笑顔に、我慢できなくなる。
「真雪」
不思議なほど、すぐに『まゆき』と呼びかけることが出来た自分に苦笑して、身をかがめるようにして口づけを交わす。
甘い香りが鼻腔を擽り、触れ合った柔らかさが心を熱くする。
しばらく触れ合うだけのキスを続けて、不意にぬるりとした感触を受けて、雄一は目を見張った。
目を閉じたままの真雪が、唇を開いて舌をつきだしてきたのだ。
そのことを理解するより早く、強引に唇を割って舌が入ってきた。
歯列を舐めてあごを開けてと催促する舌に、抵抗するすべも知らずに雄一は口を開いた。
間髪入れず入ってくる真雪の舌。
ソレが頬の内側や歯と歯茎の裏側や口蓋部分を舐めてくる。
その感触に背中を押された。
おずおずと伸ばした舌が真雪のモノと触れ合う。
もっとも弱い部位を互いに絡め合わせる感覚は、背筋にぴりぴりと来るほど気持ちよく、気がつけば夢中になっていた。
最初は真雪からの攻撃だったが、いつの間にか雄一の方が真雪の口腔に舌を突き入れていた。
思う存分に舐めしゃぶる。
甘い唾液の味が広がり、頭がくらくらとしてくる。
ふんふんっ、と必死に鼻で息をする真雪がとても可愛かった。
雄一の方も呼吸が限界に近くて、名残惜しいけれどそっと離れる。
ちゅぽんっと言う音と、つっと走った銀糸に、体が反応した。
空手着の上から解るほど昂ぶる陽根。
ソレを隠すように、真雪をそっと胸元から離した。
「その、なんだ。今日は帰るとするか」
真雪の方には視線を向けずつぶやく雄一。
はぁっと桃色の吐息をはいている真雪。その顔を見てしまえば、きっと止められなくなる。
それが解っていたからこその言葉。
「……え〜、此処まで来てやめるなんて、男らしくないぞ〜」
何故か非難の声を上げる真雪。
あくまで視線はそっぽを向いたまま、雄一は溜息を漏らす。
「いや、男らしくないってのは、関係ないだろうがっ!? な、何してる!!」
いきなりさわりと股間をなで上げられて、思わず真雪をにらみつける雄一。
だが、当の真雪はにやにやとスケベな笑みを浮かべつつ、雄一の股間から手を離そうとしない。
「何ってさわってるだけ。いやー男のこれって、ホントに堅くなるんだね〜、なんか不思議だ〜」
……なぜかいつもと性格が変わってるように思えて、雄一の額に汗が浮かぶ。
「えと、真雪?」
「ん?」
空手着の上からとはいえ、好きな相手にさわられている感触に、雄一の陽根は限界まで立ち上がっていた。
ソレを愛おしそうになでている真雪が、どこかとろんとした瞳で見つめてくる。
「あー、そのなんだ、良いんだな?」
何がと言わなくても伝わることくらい雄一にだって解っていた。
こくんと頷いた真雪が、身をよじって雄一から離れる。
そのまま音もなく立ち上がって、雄一の真正面に来る。
「それじゃ、脱いじゃうね」
そう言いながら半袖シャツのボタンを一つ一つはずしていく真雪。
ごくりと唾を飲み込みながら、雄一はじっとソレを見つめる。
シャツの下に着込んでいるタンクトップ、その更に下に何かを着込んでいることに気づいて、雄一は口を開きかけた。
だが、ソレよりも早く、真雪がタンクトップも脱ぎ捨てる。
その下からチョッキに似た形の妙なモノが出てきた。
「……なんだソレ?」
雄一が思わず漏らした疑問に、苦笑を浮かべた真雪がそのチョッキのようなものの、中心のファスナーに手を伸ばす。
「コレは和装ブラって奴だよ。普通の和装ブラだとカップがAくらいになるんだけど、コレは特注品で完全に平らになるようにしてるんだ。……でも、ボクの場合胸が結構大きくて、脇の方に肉が逃げてくるのがちょっと鬱陶しいんだよね」
「……ああ、そんなの付けてるから、体育とか水泳とかずっと休んでたのか」
「うん。ホントは体育くらいなら大丈夫だと想うけど、水泳は流石に、ねぇ?」
意味不明な同意を求めてくる真雪に思わず苦笑を浮かべる雄一。
だが、その苦笑はすぐに消えた。
真雪がファスナーを下ろしきった瞬間。
ぼろんっと言う擬音が似合いそうなほどの勢いで、かなり大きな胸がまろびでたのだ。
目測で言えばCくらいだろうか。窮屈に押し込められていた状態から、急に解放されたせいか、ふるんと小さく震えた。
真っ白なふくらみの先端に、そこだけぽつんと淡い桃色の色彩が乗っている。
漫画や写真では幾度か見たことがあるとは言え、実際に目の前で見たソレに雄一は生唾を飲み込んだ。
……下手なAV女優なんかよりもつんと上を向いた綺麗な形をしていたのだ。
ソレを今からさわることが出来る。そんな期待感を抑えることが出来ない。
「その……、胸見られるのって、やっぱ恥ずかしいね」
僅かな羞恥に掠れた声を受けて、雄一は慌てて視線を上に向ける。
同時に、ぞくりと背中が震えた。
目尻に涙を溜めた真雪が、恥ずかしそうにしながら、それでも嬉しげな笑みを浮かべていたから。
真雪がゆっくりとベルトに手をかけてズボンを下ろす。
その下から覗いたのはブリーフくらいの裾丈のスパッツ。
ぴったりと肌に張り付いているそれのおかげで、ほっそりと引き締まった太股や障害のいっさいないなめらかな下腹部と股間も、余すところなく雄一の目に収まった。
お互い何も言わない。
真雪がゆっくりとスパッツに指を入れて、少しだけ下ろす。
真っ白な肌が雄一の目を焼いた。
昂奮を必死で押さえようと何度となく唾を飲み込む。
しばらくその体勢で止まっていた真雪が、一瞬だけこちらを見つめてきて、一息に全部脱ぎ捨てた。
なだらかな股間をうっすらと陰毛が飾っている。
その初めて見る部分から、とろりと蜜が零れた。
「……ぁ」
一糸まとわず、体を隠そうともせず立っている真雪。
その立ち姿はあまりにも美しすぎて、神々しささえ感じられた。
同時に、その柔らかそうなふくらみの先端が堅くしこっていることも、内股をとろりと液体が伝うことも、淫靡さを感じさせて屹立が激しさをます。
「……えとさ、ボクばっかぬぐのって不公平だと想うけど?」
だから、唇をとがらせる真雪の呟きに、雄一は慌てて立ち上がって空手着を脱ぎ捨てる。
上も下も適当に投げ捨てて、真正面から向き合う。
「うわぁ、やっぱ本物って違うねぇ」
そして、目をきらきらと輝かせて見つめてくる真雪に、思わず肩を落とした。
「あのなぁ、いくら何でももう少し恥じらいってもんを」
「それじゃ座ってくれる? 両足開いて背中そらし気味にしてさ」
「あ、あぁ」
好奇心いっぱいといった様子の真雪に気圧されるように言われたとおり、座って大きく足を開く。
手を後ろについて少し背中を反らす雄一の足の間に、ぺたんと座る真雪。
かと想うと、不意に俯せになって……雄一のモノをその豊かな胸で挟み込んだのだ。
「っ!? な、何を! っく!」
柔らかく暖かい固まりに余すところなく包み込まれる感覚は、漫画やビデオで見て創造していたモノとは比べモノにならないくらい気持ちよかった。
あまり上下に動きはしないが、左右からぎゅっと圧迫される感触だけでも、かなり来るモノがあった。
「んっ……んっ…………こんなの、どう? れろっ」
「くっ! お、お前なぁ」
先端を軽くなめ回された後、裏筋をちろちろとくすぐられ、雁首をゆっくりとなぞられる。
ゾクゾクと背筋が震える程気持ちよくて、それでも何というか、あまりにも手慣れた様子の真雪に、違和感を感じた。
「んー――――ぷはっ! ……もしかして、ボクが初めてじゃないとか想ってたりする?」
ほとんど間髪入れずに告げられた真雪の言葉に、冷や汗を浮かべつつ頷く雄一。
「ま、そう想われてもしょうがないけどさ。元はと言えば雄一のせいなんだからね」
「……俺のせいって、何でだよ」
むすっとした表情で見上げてくる真雪。
そんな表情も可愛いなと想いながら雄一は問い返す。
「……忘れたわけ? ボクにエロ漫画とかエロビデオとか貸してくれてたの雄一だろ」
言われて、思わず口を閉ざす。
確かにその通りだったから。
「最近の少女漫画だと結構Hシーンあるけど、やっぱ男性向けのエロ漫画とかの方が男が感じる場所ってかなりしっかり書いてるし、テクの参考にはなるんだよね」
何というかあっけらかんとそう言われては、雄一にも返す言葉が見つからない。
「ソレに、雄一の趣味もよくわかったしね〜。雄一パイズリ好きだもん、ねぇ?」
……確かに、真雪に貸したことのある本やAVは巨乳モノが多く、当然パイズリが多かったのも事実。
とはいえ、ソレを知られているという現状も流石にどうかと想いながら、雄一は真雪をじっと見下ろす。
「あー、だけどなぁ」
「いいじゃん、雄一のやりたいって想ってたことは全部出来るし、ボクだって雄一が感じてくれると嬉しいんだからさ」
そこまで言いつのった真雪が、またぬろりと舐めあげてきた。
「っ! い、いや、確かに気持ちいいが……」
何となく負けたような気分になりながら、雄一は左手に体重を預けて右手を自由にする。
その自由になった右手で、優しく真雪の頭をなでた。
「んっ……んっ……ちゅっちゅぷ…………んんんっっっ」
気がつけば、いつの間にか胸の谷間からぬちゃぬちゅと卑猥な音が聞こえ始めた。
見るまでもなく、真雪の唾液が胸の谷間――と雄一自身――に絡んでいるのだと気づく。
徐々に真雪の動きが早くなっていく。
「っっ! 真雪!」
左右から圧迫されているだけだったのが、いつの間にかごしゅごしゅと上下にもこすられ始めていた。
その柔らかさと温もりと粘つく感触に、悲鳴が上がりそうなほどの気持ちよさを雄一は覚えていた。
「んっっ…………れろっれろれろれろ…………」
加えられた先端部分を激しく舐めあげられて、雄一は早くも限界に近づいていることを自覚する。
「まゆ、きっ! やばっ! やばい、もう俺!」
頼むから離れてくれ。
そう言おうとするよりも早く、真雪が更に激しく胸を動かして吸い上げてきた。
「ちゅっちゅっぢゅるるる…………」
「くっ! 悪い!」
そう叫ぶのが雄一にとっての精一杯だった。
びゅるっと真雪の口内へ精液を吐き出してしまう。
普段の倍以上の勢いと早さで飛び出す液体を、真雪が舌で受け止めて口内にため込むのが解った。
ゆっくりと真雪が股間から顔を上げた。
口の端から白い液体がひとしずく垂れて、こくんっと喉が上下に動く。
「え、えへへ、いや〜ほんと変な味だね〜」
じっと凝視していた雄一に気づいたのか、照れくさそうな笑顔を浮かべる真雪。
垂れた雫も指ですくって口中に含む。
その姿は淫靡そのもので、萎える間もなくまた堅くなるのを雄一は感じていた。
「でも……、雄一のだとおいしいって言う気もするかな?」
「……エロ漫画じゃないんだからそんな事言うな。恥ずかしいだろうが」
そっぽを向きながら返した言葉に、真雪がにやりと笑ってみせる。
「何言ってるんだよ、その方が気持ちいいじゃない。ソレに雄一だって言われて嬉しいくせに。もうこんな堅くなってるよ?」
また左右の胸が動き始めて、慌てて真雪の頭を軽く叩く。
動きを止めて見つめてくる真雪。
苦笑を浮かべて雄一は真雪を見つめた。
「今度は俺の番だろ、俺だってお前を気持ちよくさせたいんだぜ」
そう言いながら雄一は真雪に笑いかける。
同時に、顔を真っ赤にした真雪が見上げてきた。
「……うん、でもさ。準備はもうOKだから、一気に本番に行きたいな」
その表情は反則的なほどのかわいらしさ。
潤んだ瞳でじっと真雪が見つめてくる。
「前からと後ろからとボクが上に乗るのと、どれが一番いい? やっぱり上に乗る方が良いよね?」
雄一の好みはと言えば、確かに騎乗位だった。たゆんたゆんと震える乳房を思う存分に見ることが出来る体勢だから。
だけど、今は。
「そんなの前からに決まってるだろうが。ほら、俺の空手着下に引くからおとなしく横になれって」
「……えと」
困ったように笑う真雪を無視して、立ち上がる雄一。脱ぎ捨てていた自分の空手着をシーツ代わりになるよう畳の上に引く。
そのまま、すとんと空手着の横に腰を下ろして雄一は真雪を手招いた。
「でも、ホントにボクの事なんか気にしなくて良いよ? 雄一がやりたいようにやってくれたら」
渋々立ち上がった真雪が空手着の上に寝そべる。
畳の跡が僅かに残る腹や足をみて、それから非難の表情で見つめてくる真雪をにらみ返す。
横になっても綺麗な形を保っている胸に一瞬視線を投げかけてから、雄一は深い溜息をついた。
「アホ」
そして、投げ捨てた言葉に真雪が唇をとがらせる。
「俺ばっか気持ちよくても意味ないだろが。こういう事はどっちも気持ちよくならなきゃやる意味がないってんだよ」
それだけを口にして、柔らかそうな左右の胸に優しく両手を乗せた。
ふにゅっとした感触に暴走しそうになる意識を抑えて、雄一は出来るだけ優しく胸を揉み始める。
最初は軽く触れた部分から震わせるように。
「……んっ! で、でもっ! ふぁっ!」
まだ何か言いたげな真雪を無視して、少しずつ力を強くしていく。
あまりにも柔らかく手のひらから逃げていく感触。
雄一は壊れ物を扱うように優しく優しく手を動かす。
「んくっ! ひぁっ……あ、あのっ! あんっっ!」
指の間を大きくあけて、わしづかみにする。その際、ソレまで避けていた桃色の乳首に、指先を走らせた。
「ふぁぁぁっっ!! や、そこ……ダメだ……ってばぁ」
あっという間にとろけた表情を浮かべる真雪が、切なげな目で見つめてくる。
その扇情的な表情に我慢など出来るはずがなかった。
体を倒して真雪に覆い被さる雄一。
右の乳首に吸い付いた。
「ひゃふっっ! ちょ、やだ、やだってば!」
堅くしこった乳首に舌をはわせる。僅かな甘酸っぱさを感じて、激しく舐めしゃぶっていく。
「も、もう! バカ! ボクの事なんて、気にしなくて良いのに! あひっっ!?」
まだ聞き分けのないことを言う真雪、左の乳首をぴんっと人差し指ではじいて甘い声を上げさせた。
甘い薫りを放つ真雪の体を組み敷いている。愛している相手が自分の動きで甘い声を上げている。
そう感じるだけで昂奮が増す。
「バカ……」
真雪の悔しげな声が耳に届いて、次の瞬間雄一は動きを止めてしまった。
体を浮かせた真雪の太股が、雄一の陽根に押しつけられたのだ。
その滑らかな肌の感触と男にはあり得ない柔らかさに、背筋が震えた。
だから、雄一は一度真雪の上から離れる。
「もう、来るの? っっ!? ダメ、ダメだよ雄一!!」
一瞬不思議そうに問いかけてきた真雪が、雄一の動きを見て顔を真っ赤にする。
その様子を無視した雄一は、真雪の足の間をわり開いて座り込んだ。
「バカ! バカバカバカ!! 見るな、そんなじっと見るなっ!!」
今にも泣き出しそうな声でわめく真雪。
ソレが可愛いなどと聞かれたら怒られそうなことを考えながら、じっと其処を見つめる。
複雑なカタチの其処から、とぷんっと液体がこぼれ落ちるのが見えた。
「……本当は、見られて喜んでるんだろ?」
ぽつりとつぶやいて、雄一は真雪をじっと見つめる。
実際、口では文句を言いながら、真雪は足を閉じようとはしないのだ。
「〜〜〜〜〜〜〜〜!!」
何か言いたげな表情の真雪をじっと見つめたあと、雄一は右手を伸ばす。
ぴくんっと全身を震わせた真雪が見つめてくる。
ニヤリと口の端をあげて笑った雄一は、秘所に行くと見せ掛けた手をいきなり右膝の裏に当てて、ぐいっと押し上げた。
「ひゃっ!?」
驚きの声を上げる真雪。その花弁が綻んで、また蜜を溢れさせる。
間髪入れず体を倒した雄一は、左腕で真雪の左足を押さえ込んだまま、其処に口づけた。
「あんっっ! ちょ、雄一!?」
生ぬるいスポーツドリンクのような味の蜜をなめとり、覆い隠している柔らかな唇に舌を差し入れる。
「ふゃっ! んーーー!! ヤダ! ヤダヤダ! あふっっ!」
ふにふにとした柔らかな感触に心をたぎらせる。
舌を伸ばして一番上の皮に包まれているクリトリスを舐めあげた。
「っっっ!!!」
びくんっと足を突っ張らせる真雪。
それが達した証拠なのだと雄一に理解できて、我慢できなくなる。
今度は舌を堅くとがらして、真雪の中に差し入れた。
「やっ! イッてるの! ダメ、入って来ちゃダメ!! ひぐっ!」
きゅっと舌が締め付けられる。その強さに中に入ったときの甘美さを想像して、雄一の背筋が震えた。
だが、今はもっと真雪を感じさせたい。
まだ殻を保ってる真雪の全部を自分の前にさらけ出させたい。
その思いが強くなって、右手を大きく伸ばしながら真雪の膝を肩に担ぐ。
「ひゃんっ…………あぁっ……いいよぉ……気持ちいいよぉっっ!? そんな同時になんて、ふきゅっっ!」
伸ばした右手で、真雪の豊かな胸をつかんだ。
人差し指と中指の間で堅くしこっている乳首を刺激し、くにゅくにゅと強すぎず弱すぎない刺激を送り込んでいく。
押し込めば簡単にカタチが崩れる程の柔らかさ、指の力を抜けば即座に押し返してくる張り。
幸せを形にして手のひらにのせればこんな感じになるだろうかと、そんな他愛もないことを想いながら雄一は更に真雪を責め立てる。
「っ、うそっ! ボク、イッちゃう! 今イッたばっかりなのに、もうイッちゃうよ!」
せっぱ詰まった真雪の声、きゅうきゅうと舌を締め付けてくる其処、気のせいか一回り大きくせり出した感のある乳房。
確かに限界なのだと伝えてくる。
だから、ソレまで遊ばせていた左手で、きゅにっとクリトリスをつまみあげた。
「っっ! っっぁぁぁ! ひぁぁぁああああああっっっっ!!」
真雪が達した瞬間、ぷしゅっと舌を押しのけるほどの勢いで液体が飛び出してきた。
明らかに愛液とは違う、無色無臭のさらりとした液体。
「……潮吹いてる」
実際にその光景を目にして、雄一の昂奮は頂点に達する。
すぐに何も言わず真雪を蹂躙したい。この中に自分のモノを押し込んでいきなり限界まで速度を上げて、思う存分中に吐き出したい。
そんな事を想いながらも、雄一は顔を上げた。
耳まで真っ赤にしている真雪と目があった。
「も、もう、良いよね? ……ねぇ、早く。早くちょうだい…………、ボクのおまんこに雄一のおちんちんはめて欲しいな」
その身も蓋もないおねだりに抗することなど、雄一に出来るはずがなかった。
ぬちゃりと先端にぬめりが走り、くっとはまった感覚があった。
「ここで、いいか?」
「うん、そこ」
真雪の両足をM字状に開く。
恥ずかしげな表情の真雪がとても可愛くて、心が震えた。
少しだけ前に進める。先端が堅く閉ざされた入り口を開いていく。
「つっ!」
それだけで、辛そうな声を上げる真雪。
だが、雄一はその動きを止めようとしない。
此処でやめたところで、いつかはやることに代わりはないのだ。
下手に長引かせても意味がない。そう想った。
「真雪……、しっかり掴まってろ」
「うん」
密着するほどに体を倒して真雪の耳元でささやく雄一。
首に両腕を寄せて真雪が必死に縋り付いてくる。
その様が愛おしさを増大させた。
「一気にいくぞ……、辛いかもしらんが、我慢してくれ」
「うん……ボクなら……大丈夫」
苦しげに眉を顰めながらも、頷いてくれる真雪。
その姿に内心で謝りながら、雄一は勢いを付けて一気に真雪の最奥まで自身を送り込んだ。
「っっっっっっっ!!」
ぎゅぅっっ、と真雪が渾身の力で雄一の首に縋り付いてくる。
痛いだろうに腰が引き気味になっているのに、両足を雄一の腰裏に回してくる。
への字になっている口元が、閉じたまぶたからぽろぽろとこぼれ落ちる涙が、真雪の痛みを雄一に伝えてくる。
それでも、雄一はゆっくりと動き始めた。
動かないでいる方が真雪の体には良いのだと解っていた。
それでも、動かないでいれば真雪の心には辛いと言うことも解っていたから。
「ぐっ! 痛っ! んふっ!」
真雪の口から喘鳴が漏れる。
まともに呼吸するのさえ辛いほどに痛みを感じているのだろう。
なのに、一言もやめてと、動かないでと言わない真雪が愛おしい。
余すところなく包まれる感触は、
ぎゅうっっと強く締め付けられる感触は、
先端がゴムの固まりの様なモノに触れる感触は、
思わずよだれをこぼしてしまいそうなほどに気持ちよくて、だからこそ少し辛い。
痛みを必死で堪えている真雪と違って、既に気持ちよさを感じている自分自身に、雄一は申し訳なささえ覚えていた。
「……真雪」
「ゆうい……ち?」
痛みで意識がもうろうとしているのか、とろんとした目つきで見上げてくる真雪。
委細構わず唇を落とした。
「んっっ!」
そのまま舌で唇をわり開いて口内を蹂躙する。
真雪の舌と自身のソレを絡め合わせる。
空いた手で真雪の胸やその先端、クリトリスを愛撫しながら、腰を動かしていく。
そんなことを続けている内、真雪の中の感触が少し変わった。
ソレまでは強く締め付けてくるだけだった肉の隘路が、僅かに柔らかさをもって優しく締め上げてきたのだ。
中の潤いが増したことも感じ取れた。
「っぷは。真雪、気持ちいいか?」
だから直接ぶつけた素朴な疑問に、顔を赤くしながら真雪が頷く。
「う、うん、変だ、よね。初めて、なのに……、ボク、感じてる……、漫画だとよくあるけど……ひぁぁっっ!」
真雪のその言葉を聞いた瞬間、雄一は真雪の最奥をノックした。
それだけで背筋をのけぞらせる真雪。
「お……おなか、おく……あたって……いい」
じっと潤みを帯びた瞳で見つめてくる真雪。
口元が快楽に緩んでいるのが見えた。
雄一のたががはずれてしまう。
「悪い、真雪」
そう告げると同時、雄一は一気に腰を激しく動かし始めた。
「ひゃっ! ふぁっっ! ひぁぁぁぁああああっっっ!! ちょ!! 雄一!! ダメこんないきなりっっっひぐっっ!!」
ぱんぱんと肉と肉がぶつかり合う音と、ぬちゃぬちゅと粘膜が絡み合う音が響き渡る。
「ああっっ! ひぁあぁっ! いいよ、雄一! 気持ちいいよぉ!!」
とろけるような瞳で見つめてくる真雪。
雄一の腰裏に足を絡めて自分で腰を揺さぶっている真雪。
左手で必死に首に縋り付き、右手の人差し指を鉤状に曲げて唇を押さえる真雪。
愛おしさで胸がいっぱいになる。
「真雪、真雪っ!」
「雄一、ゆういち、好き、好きぃっっ!!」
ぎゅうっっと、また真雪が強く締め付けてくる。
「ひゃふぅっっ! や、うそ! ボクイく!? イッちゃう!?」
びくびくと全身を痙攣させる真雪。
「あ、ああ、俺ももうすぐだ!」
「いっっ……しょに…………一緒に!!」
「ああ、解ってる!」
本当はいつ達してもおかしくないことを、雄一自身解っていた。
唇を噛んで堪えながら激しく腰を打ち付けていく。
先端が最奥に当たるたび、腰をのの字に動かして膣壁をこすりあげるたび、甘い甘い声を上げる真雪。
もう、我慢も限界に近い。
「はっ! んぐっ! ゆう……い……ちぃっっ!!!」
今まで以上に激しく抱きついてきて、強く締め付けてきた。
「イ…………く………………イッちゃうっっっっっっっ!!!!!!!!」
「真雪ぃぃっっっ!!」
真雪の背中に手を回して強く抱きしめながら、どくんっと中へ精を放った。
「……ぁ…………あつ……い」
ぴくんぴくんっと注ぎ込むたびに小さく痙攣する真雪。
愛おしさを伝えるために、雄一はその唇に触れるだけのキスをした。
「雄一〜〜」
「なんだよ」
制服に着替えてきた雄一の隣に座る衣服を整えた真雪。
その真雪が雄一の肩に頭を預けて甘い声で呼びかけてきた。
「ん〜〜、呼んだだけ」
そう言いながら見上げてくる真雪の表情に、今まで感じたことのない女の艶の様なモノを感じて、どきんっと心臓が高鳴った。
「そういえばな」
「ん?」
その表情を見ているとまた疼きそうで、視線をそらしたまま疑問に想っていたことを口にする雄一。
「何で真雪は男の格好なんてしてたんだ? ……あ、応えにくかったら別にいいけどさ」
ちらりとみた真雪の表情が不満そうに歪んでいる事に気づいて、雄一は慌てて言葉を付け足す。
「ん、別に答えにくいって事はないけどね。……ウチって無駄に歴史だけはあるんだけどさ、先祖代々伝わる古武術があってね」
「……もしかして、ソレを受け継げるのは男だけで、真雪のところはみんな女だったからとか……、いやまぁそんなわけないよなぁ、あははは」
思わずつっこみながら、そんな想像をした自分に笑ってしまう雄一。
だが、苦笑を浮かべる真雪が頷いたのをみて凍り付いた。
「このご時世に何言ってんだって話だよね。でもまんまその通りなんだよねぇ」
「……マジかよ」
流石に呆れながらの呟きに、真雪が不機嫌そうに唇をとがらせた。
「うん。で、ウチの古武術って基本的に家系伝承で外から門弟とかも取ってないんで、ボクにソレが押しつけられたんだ。一応、姉さん達が婿取りしてその相手に伝える事になったら女に戻って良いって言われてたんだよ」
そのすねたような口ぶりに、雄一は思わず苦笑を浮かべていた。
四姉弟……、いや四姉妹の末っ子の真雪。
三人の姉は、上からプログラマー、考古学者、商社マンと結婚して家を出てると、聞いていた。
「全く姉さん達はボクのことなんてどうでもいいって想ってるんだよ」
むーっとふくれっ面を浮かべる真雪の頭をぽんぽんと軽くなでる。
「そんな事言うなって、真雪だってお姉さん達好きなんだろ? お姉さん達もきっと一緒だよ」
「……まぁね」
不意ににへらっと笑う真雪。
なんだかんだで真雪が可愛がられていることは雄一だって知っているのだ。
「でもさ、ホントのこというと、ボクが一番ショックだったのは、自分が女だって解ったときかな」
その何気ない一言に、雄一は呼吸を止めた。
しばし何も言わず真雪を見つめる。
いつの間にか視線をそらした真雪の横顔だけが視界に映る。
「ボク、子供の時から男として育てられてたんだ。だから、女だって解ったときは凄くショックだったんだよ。もう一週間くらい部屋に引きこもってたくらい」
「あーと、お姉さん達とかに聞いたことなかったのか?」
「うん、姉さん達もその話題には絶対に触れるなって、じいちゃんに釘さされたんだって」
ふくれっ面のまま、あさっての方向を向いてる真雪。
ソレが少し寂しくて、雄一は真雪の肩に腕を回した。
「あ…………、ま、そう言うことなんだよね。でも、自分がホントの意味でオンナだって気づかされたのって、実は雄一を好きなってからだったりするんだ」
そう言いながら不意に顔を上げた真雪が嬉しそうに笑う。
その笑顔は正直反則的なかわいらしさで、思わず顔が真っ赤になった。
「あ、ああ、そうなのか」
「うん。でも、雄一には迷惑かけることになっちゃうけど、平気?」
どこか寂しげな声の真雪に、雄一はただ首をかしげる。
「ボクさ、気持ち隠せないよ。雄一の側にずっといたい、こうしてべたべたしていたい。けど、校内でそれすると雄一ホモ扱いされちゃうよ?」
「あ……、あーあー、確かにそうか」
確かに周りから見ればそうなるなと、そんなことに今更気づく雄一。
「ボクはオンナだし、どういわれたって構わないけど、雄一辛くない?」
「アホ」
つんっと空いてる手で真雪の眉間を軽く押した。
不思議そうな表情で見つめてくる真雪に、雄一は笑顔を向ける。
「人にどう思われようが関係ないさ。確かに俺自身悩んでたのは事実だが、その原因がないんだから悩む必要もないし、周りなんて無視するさ」
真雪のあごに指を当てて少し上向かせ、軽くキスする。
「……はふ……、んー、ま雄一がそう言うんならボクはソレで良いけどさ。あ、あと、ボクとつきあうって、ちゃんとボクのこともらってくれるんだよね?」
その言葉が意味するところを読みとって、僅かに顔を赤らめながら頷く雄一。
Hまでしておいてふったりするなんて、考えることすら出来ないほど古いのが雄一なのだ。
「でも、雄一空手できなくなるよ? ボクと一緒になるって事は、ウチの古武術継ぐことだし、ウチは基本的に試合とかそんなのもしちゃいけないんだよ。それでもホントに良いの?」
「当たり前だろうが」
段こそ取ってないモノの、周囲からは期待の新星と呼ばれる雄一。
真雪の心配はある意味当然のことで、だけどそれは雄一からすればあまりにも的はずれなもの。
「俺は、強くなりたかっただけで、たまたま近くにあったその手段が空手だっただけだ。だから空手と真雪を天秤にかけるなら、真雪の方が重くなるってもんだ」
「言っててハズカシくない?」
頬を紅潮させて見つめてくる真雪。
「当然、ハズカシいに決まってるだろうが! そんなことより今日は帰ろうぜ」
慌てて視線をそらしながら、真雪の肩から手をはずす雄一。
そんな雄一を、じっと真雪が見つめてくる。
「今日はいつものゲーセンか喫茶店でもよってくか?」
ひょいっと立ち上がって、真雪に向かって手を伸ばす。
その手にすがって立ち上がった真雪が、苦笑を浮かべて首を左右に振った。
「あー、今日はパス。……なんて言うか、動きづらいし今日は早く帰りたいかも」
すこしがに股状になっている真雪。
その理由に思い至って顔を赤くする。
「何せ、珈琲缶くらいの太さのが股の間に入ってたんだからさ」
あっけらかんとした真雪に、思わず苦笑が浮かぶ。
「ま、数こなせばなれるだろうけどな。じゃ、肩かしてやるから、今日はまっすぐ帰ろうぜ」
「うん、ありがと雄一……んっ」
雄一の右肩に左手を乗せた真雪が、不意に背伸びをして頬にキスしてきた。
「じゃ、帰ろっ!」
むやみやたらに元気な真雪に、苦笑しながら雄一は歩き出した。
これから色々と騒がしい日常が始まる事に、僅かな不安と大きな期待を抱いて。
89 :
暗愚丸:2006/12/27(水) 11:26:50 ID:QnLIysIj
ってことで、ちょこっと軽めのH話書いてみました。
まぁ、無駄に長い気もしますが、ソレでは失礼。
か、神様がいらっしゃったぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!
GJ!!
こうゆうの待ってました!
GJ!GJ!GJ!GJ!!
GJGJ
そういえば、鎌倉時代辺りて出てくる白拍子って、
男装した女性が舞ったりあれこれしたりってのらしいね。
まあ、男装って言っても昔のだけど…
93 :
ボクの彼氏:2006/12/28(木) 14:01:02 ID:uRL/+DOi
涼くんはボクの両足を大きく開こうとした
ボクは抵抗したけど、力で叶わない。
ボクの股間は涼くんからまる見え状態になっちゃった。
「ああん。恥ずかしいよお。」
「こわがんなよ、ほら、力抜いて。」
涼くんがボクの両足を広げたまま、股間を近づけてくる。
「ほら、入れるぞ。」
「あああん。」
ボクはもう、声にもならない状態。
ぬぷう・・・。
「ほうら、奥までずっぽりだ。どうだ、気持ちいいか。」
「声出してもいいんだぜ。」
ボクが、ボクのアレが、涼くんのアソコに入っているはずなのに、まるで逆みたいな錯覚に陥っちゃう。
ボクの中に、涼くんのアレが入ってきているみたい、そうしか思えない。
「有紀、少し動くぞ。」
涼くんがゆっくりと腰を動かす。
腰で突いてくるような動きはまるで男の子。
ボクは涼くんの動きにあわせて、声が漏れちゃう。
「あああん、すごくいいよお。涼くん、もっと、もっと。」
「ううっ。いいぜえ、有紀。すごく締まるぜ。」
何を言ってるの?涼くん、それ逆だって。でもなぜか逆に思えない。
ボクが、ボクが突かれている?
ああん、いいよお、涼くうん、たまんない。
ボク、女の子みたい。男の人に犯されてるみたいだよお。
「ねえ、涼くうん。もっともっと、ほしいよお。」
「ああ、オレも最高に気持ちいいぜ。おら、有紀、もっと声出せよ。」
涼くんの動きが激しくなる。ああ、涼くん。そんなに動いたら、ボク、こわれちゃうよお。
「あん、あん。ああん。」
「有紀、そろそろいいか?オレもいきそうだ。」
「いいよお、涼くん、いってえ、いってえ。ああん。」
「はあはあ、もうがまんできねえ。いくぞ。おら、おら。」
「ああああん、もうだめえ、ボクも、ボクもいっちゃう。」
「いくぞ、有紀、中に出すぞ、ううっ、うううう。」
しばらく、頭も真っ白のまま、ボクは、サッカー部室に横になっていた。
いったい何があったんだろう。
とにかく、気持ちよかった。
ボクが男の子で、涼くんが女の子なのに。
ボクが入れてるのに、涼くんに入れてるのに。
ボクの中に、涼くんのアレが入ってきてた。
そしてボクを激しく突いていた。
その感覚が気持ちよかった。
ボクは確かに、涼くんに犯されていた、そんな気持ちになってた。
「よお、目が覚めたか?」
涼くん・・・。ボクは恥ずかしくて、目を合わせないまま、涼くんに抱きついた。
「最高だったぜ。」
「ボ、ボクも。」
「今日から、有紀はオレの女だ。いいよな?」
「う、うん。」
なんかどちらかと言えば女装少年向きな気がする
95 :
名無しさん@ピンキー:2007/01/02(火) 14:05:17 ID:GCShqMu0
あけましておめでとうです!!
おめでとうございます
97 :
名無しさん@ピンキー:2007/01/03(水) 18:16:26 ID:aA5JwGIc
おめれろうごらいまふ・・
男装兵士モノが読みたいです…
『少尉殿!』などはいかがか。
女子禁制の場(男子校とか男性のみしか入れない騎士団とか)にいた男装少女が
その少女が気に食わない男に性別がばれてしまってその男に凌辱されるものとか見たいな
保管庫にあったナタリーシリーズに今更萌えた
続編もう来ないのかな
姫スレの保管庫に行ってみ
主従スレの保管庫にもひとつあるでよ
でも続編はどうかな
別の世界に嵌っちゃってるみたいだ>作者さん
そうなんだ。
息抜きにでも書いてほしいなあ。
今が聞くチャンスだな。
自分もナタリーの人すごい好きでせっせと追い掛けてはSS保存してるんだけど
あの人が投下したことあるのって男装、姫、主従、女兵士、TRICK
以外になんかある?
女兵士のところでも書いてたのか
いつも見てるのに気付かなかったorz
>106
書いてらっしゃらないと思うよ
ていうか本人ブログで保管してなかったっけ?
>>108 えっ、ご本人さんがブログやってるんだ。
知らなかった。いいこと聞いたな。
珍しいブログじゃない事を祈ろう…。
>女兵士
イヴァンの妹姫に仕えてる
近衛騎士が主役の話を書いてるよ。
>109
それは勘違い。
妹姫の名前も細かい設定も違う。
あのスレでも最初指摘があったが違うという事で話は終了したはずだ。
ブログの一般公開は終了した模様。復活の気配無し。
111 :
名無しさん@ピンキー:2007/01/09(火) 20:47:20 ID:+THgSCco
俺は実験屋さんとアヒルさんの新作と続編が見たい。カムバック!
>110
ブログ一般公開終了か…淋しいな
また新たな神が現れることを祈ろう
ナタリーの神はあと確かマクロスでも書いてらしたよね?
一時期さすらいの修行人をやってたのはナタリー神なんじゃないかと思うけど確信はない。
投下待ち
銀英伝スレのラインハルトとヒルダ書いたのもあの人ではないかと思う。
保管庫で見ただけでスレの流れとか全然知らないので確実とは言えないが。
作品スレだと原作知らない場合十分に楽しめないからつらいね。
TRICKもマクロスも知らないんだよな。
いっそこれを機会に原作いっちゃうか。
アーレントとシトウェルの人こないかな。
そうだね。良かったから続きが読みたい。
8838氏の降臨を待ってます
続き読みたい・・・
↑同じく1年待ってるよ。
>>119 激しく同意
あれだけの大作が未完で良いはずがない!
ココロの底から待っている!!
同じく
自分も書きかけてて話の筋は決まってるんだがエロまでが遠い……
もう一度あの黄金期を復活させたいなぁ
123 :
名無しさん@ピンキー:2007/01/15(月) 20:09:02 ID:uMQF7B5Z
神々の未完作が多いからね。再降臨していただきたいものです。
|ω・`)……
|〃サッ
フェイント…( ´・_・`)
真とユウが結ばれるまで待つ
127 :
名無しさん@ピンキー:2007/01/17(水) 23:30:05 ID:FPn4Twm0
>>122 個人的にはぶっちゃけエロはなくてもおけ。
男装がバレるまでの葛藤とか流れが重要。
そのへんでおおいにモユルWWW
こんな良スレがあったとは!
「奉教人の死」のしめおん×ろおれんぞに萌えてたのを思い出しました。
>>128 読んできた。
萌えというかこれは……泣いた。
最後悲劇ですしね。
ろおれんぞがしめおんに娘との密通を問いただされる場面での、
「私は貴方にまで嘘をつきそうな人間に見えるのですね」なんていって、ぷいっと部屋を飛び出した後、
その言葉に動揺するしめおんの首に急にしがみついて、涙ながらに喘ぐような声で
「私が悪かったのです、許してください」とかにうっかり萌えてしまいました。
本屋に注文していた傭兵ピエールが届いた。
小説も漫画探し回ったけれど全然無かったよ。
読むのが楽しみだ。
133 :
名無しさん@ピンキー:2007/01/31(水) 11:03:13 ID:X1spR6HW
ほ
134 :
名無しさん@ピンキー:2007/02/01(木) 20:25:01 ID:aVah1Uhp
し
ひ
と
少々古い話題になるが『ランペイジ』の劉備はどうだろう?
138 :
名無しさん@ピンキー:2007/02/02(金) 19:32:13 ID:mMzgGEFp
男装の女性史を図書館で検索したら
備考に 異常性欲 ってかかれてたw
いかなる学問においても学者さんは、自分の研究している題材を何でもセンセーショナルな方向につなげたがるもんだからさ。
>>138 書いた人および検索したあなたの傾向のことではないだろうか。
143 :
138:2007/02/02(金) 22:23:55 ID:mMzgGEFp
138だが何だかうれしくて写真までとってしまったw
>>143 図書館で社目はよろしくないぞ
まあ、いいからうp
145 :
138:2007/02/02(金) 23:58:01 ID:isBl0yvQ
カサマツさん なるアップローダの
ichi73144.jpgがそうです。
>婦人−伝記 異常性欲
何だ、この表記www
データの入力者が一番異常性欲なんじゃないか?w
検索キーワードじゃね?
>>138 男装って冷静に考えたら女装の逆パターンだからなあ。
それに合わせる形で書かれてたのかいわゆるオナベと混同してるのかはわからんけど(厳密には違うんだが)
随分昔だったらその類の物は同性愛とも混同されてたみたいだし。
150 :
138:2007/02/06(火) 20:17:37 ID:1qDl+UCw
冒険する女の世紀を買ってしまったw
赤さんは本当に外道だ
東風吹かば
匂い起こせよ男装少女
投下無きとて萌えな忘れそ
155 :
名無しさん@ピンキー:2007/02/15(木) 01:03:27 ID:9nS9lv0b
何かネタはあったりするのか?
シチュが現代向けだったら書いて見たいんだが
156 :
sage:2007/02/15(木) 01:04:20 ID:9nS9lv0b
すまん、上げてしまった…
名前欄ではなくてメール欄にsageと入れないと下がりませんぜ。
何はともあれ、書いて頂けることはありがたい。
期待して待つ。
>155
男子校に好きな人に会うためだけに転校してくる男装少女ってネタはいかがでしょ?
まぁ、こんな戯言は無視してくれて良いんで、期待してるっす。
>>155 更に、最初は男装少女はただの喧嘩相手目的で転校してきた
しかし奥底には恋心が…
とかいうネタが好きだ、と戯言を言ってみる。
>>155 前にもちょっとだけ話題になってたんだけど
とある男子校に転校した主人公、
だがそこの生徒は全員、それぞれの理由で男装している「女子生徒」だった…と言うネタ。
主人公の性別はお任せする。
「パタリロ!」の一エピソードだっけ
パタリロの部下タマネギの妹で
少年愛に憧れるやおい好きボーイッシュ少女が
肉体を少年化できる道具をパタリロに発明してもらって
全寮制のいかにもそれ系の男子校に入校したあげく
いろいろドタバタがあって
実はこの学校はパタが一枚噛んだ実験校で
生徒全員が、パタの発明品で男性に変身していた少年愛嗜好の女の子たちだった、
という真相が判明
憧れのお兄様だったはずの二人の先輩が実はお姉様、
しかも変身を解いても百合の関係という状態で
タマ妹が腰を抜かすというオチ
ほとんどの生徒がそんな事とは露知らず、
男装がばれやしないかとハラハラしながら学校生活を送っててもいいな
表面上はまったく普通の男子校なのに、雰囲気と言うか「匂い」が違うとか
全生徒が実は男装少女の男子校ってパッと見はBLにありがちな全生徒が美少年の男子校みたいになりそうだな
学校や軍以外で、女の子が男のふりして潜り込むシチュエーションてなにかないかねえ?
>>163 現実の女子高が美少女の集団じゃないんだから全員美少年ということはないだろう。
>>166 そこはほら、夢なんだよ。突っ込んだらだめだ
>>165 いいか、このスレで男装しているのは全員美少女なんだ。
それ以外はありえないんだぜ。
体育の時間など、どうやって着替えるのだろう
体育の着替えをどうするのかって?逆に考えるんだ。最初から制服の中に体操服を着て、着替えは制服だけを脱げばいいんだ!
体育の時間に変身ベルt
いや何でもない
保管庫にあったス・ロゼのメルはそのあとどうなったのか
尼院に行ったのか、そのまま残ったのか
それともナタリーの侍女になったのか
気になる
tesuto
173 :
かよ:2007/02/18(日) 21:27:10 ID:hICgRmqt
純愛ものも良いが、男装しているのがばれてレイプ為れるが良い…
誰か書いてくれないかな…神さま
174 :
さる:2007/02/20(火) 01:05:40 ID:2PJemN3N
ためし。
175 :
さる:2007/02/20(火) 01:06:46 ID:2PJemN3N
それはとある12月――……
例年通り、大嘘つきの天気予報のとーり、雪は全く降ってこないものの、
確かに通り過ぎる冷たくて凍える季節――吐いた息は全て白く空に舞う冬の寒空の中で
一人の青年になりかけている少年は――
――不思議な出会いをしたのだった
少年……というにはいささか大きすぎる学蘭の男が、冷たさゆえに耳まで赤くさせて
そこにある冷たい空気を切り裂くかのように走っていた……
176 :
拾った者は…:2007/02/20(火) 01:09:27 ID:2PJemN3N
茶色に色落ちしたサビとコケだらけのボロボロの校門をさっさと見送って、
俺はその先、校門を出てすぐのところにある歩道橋をカマイタチのように素早く駆け抜けた。
はっ、はっ、と自分の吐く規則正しい息が白い霧となるも次々に空に溶けていく。
どこか哀愁というヤツを感じさせるような光景だったが、今の俺にはそんなことはどーでもよかった。
段数の少ない階段は気が付いたらのぼり終わっており、
さらにそこから伸びる向こうへとつながるコンクリートの道をそれまでより少しペースを上げて走る。
ハッキリ言って、体育でやる意味のイマイチ分からんマラソンの授業の時よりも今の俺は飛ばしている。
そりゃあもう、箱根駅伝とかにでても一位が取れるかもしれねぇ……いや、そりゃ言いすぎかな?
もう充分にご理解いただけるであろーが俺は今、めちゃめちゃ急いでいる。かなり焦っている。
――それも、非常にだ…………
と、突然で申し訳ねぇが、自己紹介しとこう。
俺の名前は『山内 康介』。読み方は『やまうち こうすけ』
……なんて捻りのねぇ名前だ、自分で言うのもなんだがこいつぁ些かふつー過ぎるぜ。
まぁ、俺はその名前の通り普通の人間、一般人だ。
成績は学年で中の中、力は人十倍あるが、そのせいか足がやたらと遅ぇ。
休みの日にゃー、ふつーに友達とカラオケ行ったりボウリングしたりする、
上背が190近い事を除きゃー“(出来れば年上の)彼女募集中”のいたって平凡な高校二年生(17成り立て)だ。
『※↑これ重要』
さて、では何でそんな普通人の俺が、こんなにも一生懸命に冷たい風を切り裂いて走り抜けているのかと言うと、
別に何てこと無い、至極単純で明快な理由だ。
俺はこの歩道橋を渡ったすぐ隣に建っている、青い看板が目印の『コンビニ』に行きたい、
……もっと正確に言ゃあ、コンビニで今日発売されている週刊誌を立ち読みしたいのと、このコンビニで売ってる
一日限定100個の『ゲキウマぴりぴりから揚げ(一ヶ80円)』を食いたいからだ。ただ、それだけだ。
あっという間にくだりの階段へとさしかかった俺の目に、
手すりのさらに奥に取り付けてある透明なカベ越しにコンビニの青々とした屋根が見えてきた。
177 :
拾った者は…:2007/02/20(火) 01:10:16 ID:2PJemN3N
「おっ!」
瞬間、俺はそれが少し嬉しくって、俺の胸が知らず知らずのうちにワクワクうるさい期待を増幅させた。
気分が右肩上がりでぐんぐん良くなった俺は、一度に降りる段数を一段から二段に増やし、
更なる速度をもってコンビニへの道を跳ね進んだ。
――そして、このときの俺はそんなハタから見ると「キモッ!」と一言で切り捨てられそうな考えに脳を溶かせ、
最高に間の抜けたアホヅラで、コンビニばっかに目がいってたから気が付かなかったんだ――……
「おうっ……うおあぁ!!?」
るんるん気分で最後の二段を跳び、カラフルなアスファルトタイルに10点満点の着地をしてやろう、
などと馬鹿なことを考えて自分でクスリと笑った時、まさに俺が両足をそろえてかっこよく降り立とうとした
場所に、その場所を覆いかぶさるかのごとく、一人の子供が躍り出たのだ。
その事実は頭中の意識の半分以上が別世界にワープしかけていた俺を、しっかりとこの世界に呼び戻してくれた。
――さあ、こっからどうしよう?
そう思って、とりあえず脳内で目に見える現状を確認してみた。
一つ、俺は既に空中に放りだされた鉛よろしく今のところ宙にいる。
一つ、その目と鼻の少し先に子供の後頭部がある。
一つ、一向にこっちを振り向かねぇ様子から、多分俺には気付いてない。
一つ、このままじゃ、確実に俺はこの子の頭を踏み潰してしまう。
……何とかして避けなくては!
と、そこまでは僅か0,1秒で行き着いた。問題はこのあと、つまり避ける方法。
一つ、空宙移動で避ける…………飛んで俺はスーパーマンでも鶴仙流でもねぇから空を飛べん。無理!
一つ、カベ蹴りによる落下軌道の変更…………たった今、俺をあざ笑うかのようにカベがナナメ後ろに移動した。無理!
一つ、叫んで、気が付いた子供に避けてもらう…………この距離じゃ叫んだ瞬間にアウト! 無理!
くそったれぇ! と心の奥底で叫んでやったが、それで状況が良くなることなんてありえるはずもなく、
とうとう俺は手足を引っ込めた亀みたいに丸まってた子供の上に、覆いかぶさるように倒れこんでしまった。
「イッッ……! ってオイ! 大丈夫か?」
俺は念のために、つっかえとしてた両腕に力を込めるとすぐさま身体を起こし、
冷たいであろう地面にうつ伏せになってぺチャリとつぶれている子供の隣にかがみこんだ。
軽く肩を揺さぶってやるが、一向に力の入らない小さな命を感じて
俺は途端に体中から恐怖と不安をごちゃごちゃに織り交ぜたような強力な電気が
身体の芯を貫いたことを実感した。
膝が笑い出し、マユがハの字に動いて眉間にいくつかのシワをつくる、
正直、今すぐにでもこの場から逃げ出したい衝動に駆られた。
……が、そんな轢き逃げ見たいなマネ、俺には実行する勇気が無かった。
ふと、子供を仰向けにして顔を見ようと思い、恐る恐る、小刻みに震える腕の中で子供を転がした。
ごろり、とやはり抵抗の力が一切無く、子供は簡単に向きを変えられた。
「――――――――ッ!!」
子供の顔を見て、俺はなにか言葉らしきものがのどにつっかえた。
178 :
名無しさん@ピンキー:2007/02/21(水) 23:39:01 ID:77zNfRyB
早く続きみたい
179 :
名無しさん@ピンキー:2007/02/22(木) 06:33:54 ID:sT3ApRRS
ヴィジュアル系はもともと女装やユニセックス系の衣装が多いから
男装って感じにならなさそうな気がする
梨園はどうなんだろう。女形やっちゃうと男装にはならんよね。
ヴィジュアル艶歌
いやなんでもない
チータみたいなのは若ければ男装少女に入るんか?
はじめてですが、よろしくお願いします。
何かありましたら、ご指導・ご教示頂けると幸いです。
とある男子校の昼休み。旧校舎の空き教室。
聞こえてくるはずのない声が、微かに響いていた…
「ん…あぁ…そこ…は…」
その声に導かれるように、1人の生徒が空き教室へ向かっていく…
「なんだよ…女連れ込んでる奴がいんのか…?」
教室の戸を少し開け、覗き込む。
中では、学ラン姿の生徒2人がキスを交わしており、1人の生徒が
もう1人の生徒の学ランの中に手を入れている。
「あ…だめだ…よ、授業始まっちゃう…」
「あぁ?今更なんだよ…冷めるようなこと言うなよ」
言いながら、また唇を重ねる2人。
「なんだよ…ホモだったのか、あいつら…」
覗いていた生徒【和田 貴章・わだ たかあき】は少しの落胆と共に、
大きな好奇心に駆られていた。なぜなら、その2人はクラスメイトだったからだ。
「ふ〜ん。あいつらそういう関係だったのか…まぁありえなくはないか…」
貴章は、ある意味納得しながら2人の行為を眺めていた。
2人とは、【柴田 凌・しばた りょう】と【阿部 啓太・あべ けいた】
この2人は普段から仲が良く、よく一緒にいる。どうやら幼馴染らしい。
貴章とは、仲の良いグループが違うので、仲が良いわけでも悪いわけでもない。
柴田は、線が細く女顔で声も高い。しぐさもあまり男らしいとは言えず、女装
すれば女で十分通るだろう。逆に阿部は長身で筋肉質、いかにも「男」という感じ。
普段の仲の良さと、この2人の容姿。普段付き合いのない貴章でも、この2人なら
ありえない話ではないと思うのも無理はなかった。
「あぁ…だめぇ、声…でちゃ…あぁ!」
「ここなら少しぐらい平気だよ、な?」
「そ…んな…やっぱやめよ…ね?まずいって…」
阿部の体から、離れようとする柴田。しかし、がっちりとした腕がそれを許さない。
「んだよ、ここまで来てやめられねぇよ!いいだろ?」
言い終わると同時にまた、口付けを交わす。今度は先ほどより熱く、深いキスだ。
柴田の体から抵抗する力が抜けていく。貴章から見ても分かるほどだ。
「ん…もう…しょうがないなぁ…」
打って変わって従順になる柴田。自分から学ランを脱ぎ、Yシャツのボタンにも手を掛け始める。
「…すげぇ…」
貴章はいつの間にか2人に見入っていた。2人が男同士だということは理解していたが、
2人、特に柴田の醸し出している雰囲気が、貴章に妙な興奮とともに、1つの疑問を芽生えさせていた。
「あいつ、本当に男かよ…」
貴章が感じたその疑問はあっさりと解決してしまった。阿部が待ちきれずにYシャツを剥ぎ取った瞬間に。
「え?」
貴章の目に飛び込んできた柴田の体のラインは、明らかに男のものではなかった。
「あぁ…そういうこと…ね…」
貴章はその瞬間、意外なほど冷静に事態を受け止めた。しかし、数秒後、安心と衝撃の入り混じった
妙な気持ちに襲われ、興奮もいつの間にか冷めてしまっていた。
と同時に、今更ではあるが、見てはいけないものを見てしまった気がして、逃げるようにそこから去っていった…
生殺し…orz
まだかなぁ…
>>187 昭和初期の文学はさすがに敷居が高いなあ
何か学校の古文読んでる気分になった。
192 :
拾った者は…:2007/02/25(日) 18:41:02 ID:xG+PL1H2
子供は、どうやら美少年のようだ。
予想通りの童顔、小さな身体に対してみても小さい顔、
整った鼻、小さな唇の整った顔立ち。
大きな目が半分だけ開いて眠そうな表情で俺を見つめていた――……ん?
「よ、よかった!! 目が覚めたんだなあぐぁぁあ!!?」
少年の顔をよく見ようと顔を近づけた矢先に、少年の素晴らしいノーモーション・アッパーが俺の顎を撃ち抜いた。
「いててて……」
しゃべっていた途中に喰らってしまったために不覚にも舌を噛んだらしい、じわりと血の味が口の中に広がる。
喰らった顎を軽く押さえて気付く。少年が俺の腕の中から消えていることに、
「あれ? どこいった??」
半ば呆然とした顔で少年を探すため左右に首を振る。
探しごとが嫌いな俺だったが、意外なことに、あっけなく少年を見つけることが出来た。
せめてきりのいい所までまとめて書いてくれ…orz
194 :
名無しさん@ピンキー:2007/03/01(木) 06:45:49 ID:rIMXj/Ab
ホス
男装少女の立ちションに萌える
やらねぇだろ
やらないか
お前ここは初めてか?
力抜けよ
ほんの僅かばかり前まで白布に覆われていたソコから、勢い良く、先を硬く尖らせたモノが飛び出て来た。
――――――――――――その数、二つ。
男装少女にしては異端なほど男前だったからな。
如月涼のチャック開き立ちションに萌える
立ちションネタはNGですか?
>>203 NGとまでは行かないが、どうせテンプレに入れたのを読まされるだけと思うと期待度激減
如月涼の立ちションならOKだな
男勝りの女の子じたいがあまり好きでは、ない…
男装少女の立ちションに萌えるけど、如月涼のような男前ではなくて顔だけは可愛い少女がいいな
でも、そもそもサオもないのにどうやって・・・
>>208 真っ直ぐ勢い良く一本線で綺麗に飛ばすのだよ
波乱万丈等の番組で良く体験談とやらを見るが、うまく飛ばないらしいぞ。
>>209 そこを上手に飛ばすのが男装少女の魅力なんだよ
個人的には家のしきたりとかで男子校に転校してきた可愛い系の男装少女が
ふとしたきっかけで学校でも指折りの不良にバレて
いじめの一環で不良達の目の前で強制的に立ちションさせられるのがイイナ♪
緊張と恐怖でなかなか尿が出なくて今にも泣きそうな男装少女に向かって
「どーしたー?はやくだせよー」とかはやしたてたり
>>212 それ良い!!
もちろんそのあとは、レイプだよな!
なんかチンコ立つてきた
保管個の更新に今頃きずいた
このスレの作品は好きなのでまた賑わって欲しいなぁ…
216 :
名無しさん@ピンキー:2007/03/13(火) 03:43:18 ID:DSWgl5s0
期待アゲ
俺も期待
如月涼の立ちションは萌える?
萌えません。
立ちションはもう勘弁してくれ。
やるならよそでやって。
その言い方は良くない。萌える人もいるかもしれないし。
同じスレの住人でも好みはそれぞれなんだから、嫌いなモンは主張しない方がいいんじゃね
222 :
219:2007/03/16(金) 01:17:21 ID:uNYLfgxJ
>>220 そうか。ちょっと言い過ぎたかもしれない。
ごめんなさい。
暇だにゃ((( ⊂⌒~⊃。Д。)⊃
ならば投下しよう。
ていうか、みんな忘れてると思うけど保管庫にある「常緑」の続き
いや、書いてるほうも忘れてた
エルヒアの館の周囲は非常に環境がいい。
木々は活き活きと葉を茂らせさわやかな風にこずえを揺らし、小鳥のさえずりに重なって耳をくすぐる。
陽射しを適度にさえぎった木陰に腰を下ろして、アルトは真っ赤に売れた果実にかぶりついた。
木の根元にはふかふかしたコケが生い茂り、本当に環境がいい。
「けど、やっぱ」
口を手の甲でぬぐって、アルトは舌打する。
「……いけ好かない。どいつもこいつもしけたツラしやがって」
せっかくの美声で呟いて、種と芯だけになった果実を投げ捨てる。
見かけるエルフたちは皆たおやかな衣を身にまとい、実に優雅に館の中を、あるいは森を歩いている。
美しいとしか形容できない彼らの所作はアルトには見慣れたものではあったが、好ましくもなかった。
僅かに口元に浮かぶ微笑や、自分の行儀の悪さに目を見開く様子、侮蔑を含むひそやかな会話。
「……フン」
慣れている。だが、それでもやはり気に障る。
立ち上がり、森の中を歩く。何か面白いものはないかと真紅の瞳が動き、とがった耳が音を拾う。
たん、と乾いた音が聞こえた。
聞き覚えのある音だ。獲物を取るための道具の音。野伏せりの生活に慣れたアルトはそう判断した。
ただしこの乾いた音は、獲物をしとめた音ではなく、そのための修練の音。
「あの見回りの奴らか? 」
自分を捕らえた武装したエルフの姿を思い出し、ちょっと冷やかしてやろうと足を向ける。
弓の扱いなら慣れているし、実践で鍛えた腕には自信がある。
髪をくくろうと頭に手をやり、昨日自分で切り落としてしまったことに気付く。
「……くそ」
そして思い出すのは、エルヒアのキザったらしい言い様。
思わず眉間に皺を寄せ、わけのわからないわだかまりを発散しようと修練所と思しきところに足を踏み入れる。
話し声は聞こえず、ただ矢を番え、放つ動作の音だけが聞こえる。
一人なのだろうか。
そう思い目をやると、そこには美しい衣の上に胸当てをつけた――
「エルヒア」
呟いたアルトの視線の先で、矢が的の中心に吸い込まれた。
吸い込まれたと、そう感じた。
「……あぁ、客人。昨夜はよく眠れたかな? 」
いつの間にこちらに気付いたのだろう、エルヒアが笑みを向けている。
「――まぁな。久方ぶりのベッドはそれなりに気持ちよかったけど」
惚けていた。その羞恥が肌に出にくい種族でよかったと、心底思う。
「けれど? 何か不満があったかな? 」
歩み寄るエルヒアに、口のはしを吊り上げてみせる。
「ホワイトローズの匂いは邪魔だな。むせるようだった。アンタの趣味か? 」
「あぁ、妹が好きなのでな。気を利かせたつもりだったのだが、気に入らなかったならすまない」
優雅なことだ、と言いかけて、アルトは話題を変えた。
「妹がいるのか? 」
「年は離れているがな。ロスエルというんだ。機会があれば会ってくれないか?」
微笑みかけるエルヒアの表情はどことなく今までとは違うようだった。
そんな顔をさせる妹を見て見たいと、思わないでもなかったが。
「……俺みたいな奴とアンタの妹じゃ、話が合わないんじゃないか?」
しり込みするアルトに、エルヒアは変らず微笑を浮べて話し続ける。
「いや。あれは外に興味があってね。君のように旅をしている人間なんかは格好の餌食だよ」
そう言われては、特に断る理由もない。
もともとあまりの待遇のよさに、少々居心地が悪くも感じていた。
一つくらい頼まれてやってもいいだろうと、手を組んでそっぽを向く。
「フン……別に、暇だし付き合ってやってもいいけど」
なら頼もう、と弓矢を片付けながらエルヒアは言い、その姿にアルトは改めて違和感を覚える。
けれどそれが何なのかはよくわからないまま、彼女は白い館の一際美しい部屋へと足を踏み入れた。
ゆるくウェーブした腰より長いプラチナブロンドが、ベッドの上に優雅な文様を描いている。
細く長い睫毛に縁取られた鳶色の瞳はきらきらと輝いてアルトを見つめて、薄紅の唇が動く。
「それで? そのお魚はどうなさったの?」
その声はか細いソプラノで、フルートの音のように響く。
「どうって、そりゃ食ったさ。適当にコイツでさばいて、焚き火で焼いてね」
アルトが手元の使いこまれたナイフをくるりと回すと、ロスエルは大きな目をさらに大きく見開く。
「まぁ! そんな大きなお魚じゃ、一人じゃ食べきれませんでしょう?」
「余った分は塩漬けにして干物を作るんだ。いい保存食になる」
天蓋つきのベッドであぐらをかいて笑うアルトの言い様に、ロスエルは気恥ずかしそうにうつむく。
「私、本当に何も知りませんの。そういったことは全部、お話や本から知るばかりで」
「いーんだよ、それで。あんたにゃここが似合ってるし、外は危ないし」
こんなデカイ虫がでるんだぞ、と身振りを交えて脅かすように言うと、さらに目を瞬かせる。
「でもアルトは、一人で旅をしているんでしょう?」
「ま、そりゃそうだけどな」
どこか得意げなアルトに、ロスエルは心底心配そうな表情を向ける。
「危険なことがたくさんあるんじゃありませんの? 最近はオークもよく現れると聞きましたわ」
「オークねぇ……奴らの寝床はだいたい決まってるからな、近付かなければどうってことはない」
実際、アルトは長旅の中でオークの寝床がありそうな場所には近付かなかった。
相手が一人なら負ける気はしなかったが、群れに立ち向かうのは確かに危険だ。
それを避けて通らなければならない自分の弱さがはがゆく、眉間に皺がよる。
「そうですの? でしたら安心ですわね」
しかし心底ほっとした声を出して胸をなでおろすロスエルに、笑みを向けてみせる。
「あぁ。あんたのオニイサマが心配するほどたいしたことじゃない」
どこか棘のある言い様に、ロスエルは一瞬目線を落とし口を閉ざす。
オークに襲われるのではないかというエルヒアの過ぎた気遣いへの不満が声に出てしまった。
しまった、と口を開きかけたアルトより先に、ロスエルは顔を上げる。
「そう、お兄様は心配性なんです。私のことを大事にしてくださるのは嬉しいけれど……
私が沢に下りるのさえいちいち報告させて、誰か人をつけなければ気がすまないんです」
薄紅の頬を膨らませて、弱弱しい声をほんの少し荒げて言うロスエルは。
「……ぷっ」
申し訳ないが、可愛らしい。少しも怒っている感じがしない。
「アルト! なんで笑ってますの。ひどいですわ」
「いや、悪い」
言いながらもアルトは自分の口を覆い、肩を震わせている。
頬を膨らませたままのロスエルは、視線を落とし、不機嫌そうに黙り込んだ。
それは子供の仕草のようで、アルトは一瞬エルヒアの気持ちがわかったような気がした。
彼女はどこまでも愛らしくて、子供のようで、保護欲をかきたてられるのだろう。
じっと鳶色の瞳を見つめると、ふいに見つめ返されて、たじろぐ。
「な、なんだ」
「アルトこそ。人の目をずっと見て」
「いや、怒ってるのかな、と、思って」
真紅の瞳が泳ぐ。
だが、視線を泳がせても映るのは慣れない繊細な装飾の施された部屋で、落ち着かない。
「怒ってませんわ。ただちょっと、残念に思っただけです」
今度は鳶色の瞳が泳ぐ。それを、真紅の瞳が追う。
「残念?」
「そう。アルトなら、私の気持ちをわかって、手伝ってくださると思ったのに」
横を向いてクッションを抱いたロスエルの瞳が、ちらりとアルトの様子をうかがう。
とがらせた桃色の唇は、同性から見ても充分愛らしい。
そうして、保護者の口出しに抗いたい気持ちもわかる。
「あー……手伝ってやらなくもない、ぞ。俺に出来ることならさ」
+ + + + +
以上。エロまで長いよ!一年くらい待ってくれ!
おもしろいから許す
任せろ、待つことにもう成れてしまった
気長に待ってます
あなたの作品を待っていたんだ。いつまでも待ってるよ!
亀レスだけどGJ!
保守投下
男装少女のひとりH
内面かなり乙女入ってます
***
敏感な部分を嬲られ舐られ好きなようにされている。
「あっ…、はぁん……、やぁ、っ……」
ぼくはただ自分じゃないみたいな声を出したり時々いやいやするみたいに体を捻ったりするのがやっとで
何も考えられなくなってきている。
どうしてこんなにぼくの感じる所がわかるんだろう。
乳首もクリトリスもちょっとつつかれただけで甘く痺れてしまう。
ああ、もう恥ずかしい。えっちでいやらしい子だって思われてるかも。
「っ……、あ、んっ……!」
脚の間にある頭をどけようと掴むけれど腰に回された腕の力が強くてびくともしない。
片手で胸を弄られてまた仰け反ってしまう。
「やぁ…っ、ああん…あん……っ」
顔の下からいやらしい音が響いてそこから熱いものが何度も背中を上がってくる。
這い回る動きはもっと激しくなってぼくを追いつめてゆく。
「もぉ、だめ…、きて……ぇ」
こんなこと言って嫌われたらどうしよう、いや、恥ずかしくて死にそう。
裸にされて全部見られているだけでもどうしようもなく体の中が熱くなって気が遠くなりそうなのに
あんなことやこんなことされておかしくなってしまう。
今すぐ逃げ出したいけど……もっともっとして欲しい。
あなたでないと静まらない。
少し探っている気配があったけど、ゆっくりと侵入してきた。
ぼくの中を、あなたが埋めていく。
「俺のこと……、好き?」
根元まで入れるとそっと囁いてきた。こくこくと頷く。声が出ない。
「今、きゅっと締まったよ。中気持ちいい」
そんな恥ずかしいこと言わないで。
「…んっ、あ、っ…あぁっ……あっ、あっ…」
動かされて声が漏れる。頭も体も痺れてきて快感以外わからなくなってくる。
「すごく素敵だ。……好きだよ」
一層激しく打ち付けられて腰が揺れる。も…う、だめ……。
「あっ――っ っ!」
中でびくんと震える感覚。あ、あなたもイったなんて、嬉しい……
ぬるりと引き抜いて糸を引く指を見つめる。
「…………」
まだ火照りの残る体で深く息をつきながら思う。
……あなたの指だったら。
……あなたの唇だったら。
あなたの、……だったら……
意識し始めてから、いけないと思っていても、つい指が動いてしまう。
自分で慰めることをやめられない。
明日も顔を見たら赤くならないように気を付けないと。
絶対、絶対明かせない秘密。
だけど心のどこかで、あなたにだけは分かって欲しい、気が付いて欲しいと願ってる。
もし、受け入れてくれたなら……
***
以上です
他職人さんの降臨を待ちつつ失礼しました
234 :
名無しさん@ピンキー:2007/03/26(月) 01:52:56 ID:aOo+HxLQ
ハァハァ(´Д`)
とりあえず、生存報告
一年ほったらかしてたので文体がヘタれてたり、中身滅茶苦茶かもしれませんが、書き上げたら続き投下します。
鳥テスト
233です
続きめいたもの投下
双方優等生だが不器用系で
「雨宿の席、いいなあ。窓際の一番後ろはベストポジションだろ?」
お調子者な――良くいえばムードメーカーの市原が茶化してくる。
「替わってやる気はないが、理由は?」
「まず寝るにも内職するにもってこいだ。次はやっぱコレだろ」
手の平サイズのデジカメを取り出す。新聞部でも無いくせに常に携帯して情報通を気取っている。
「そこの体育館に向かう女子を撮るのに絶好の場所なんだよ。
歩いていく後ろ姿!薄い汗をかいて戻ってくる正面姿!アングルも距離もバッチリなんだここ!」
俺の肩を叩きながら、からからと笑いながら言う。
当女生徒達が聞けばセクハラだと訴えられそうなものだが、悪い噂は聞かない。
「聞いたからには譲る気はゼロになったよ。いい情報をありがとう」
俺は読みかけの本を開いて続きに視線を走らせる。
「……で、本当に女の子に興味あるんか?」
「男より探求心も愛護心も持ち合わせているように見えないか?そのファインダーは曇っているんじゃないのか?」
案の定席がどうのこうのと言うのはカマかけだっだ訳だ。
「オレのカメラは真実しか映さないんだ。男とか女じゃなくてヒトに興味ないって顔してるよ」
「それなら俺の次の台詞は分るな」
「ネタになって面白ければそれでいーんだよ。フツーのヤツを映したってつまらねえ。
対象としちゃあ二本指だからなあ、オレにとってアンタ――雨宿松月と新珠燐ってのは」
新珠燐。初めて一緒のクラスになった男に今だけは同情する。
尤もこの学園で彼を知らない人間はいない。入学式の答辞に立って以来、その他人と明らかに異なった容姿と頭脳は常に人目を引いている。
被写体ならば完璧だ。そこに俺を並べるのが不思議だが拒否しても我が道を進んでくるのが明白なので面倒だ。
「邪魔しなければ好きにしろ」
「ありがてえ。サンキュ」
「おはよう。市原、君は自分の席が不満なのか?」
話題の主が奴の後ろから声を掛けた。市原が座っている俺の右斜め前の席は本来彼のものだ。
「新珠。今日も美人だな」気にもせずにやにやとシャッターを切る。
その言い草に始業式当日は反論していたが、10日間繰り返しても相手が全く堪えないので諦めて溜息をつく。
「雨宿?この男に関わるのはやめておくよう忠告するよ」
「もう遅いな。ちゃああんと許可をもらったからな」
「本当に?」
「余計な事はするなと言ってある」
以降のやり取りは無視する。授業開始までにこの章を読み切るのだ。
ベルが鳴り授業が始まる。開始10秒前に読破した章に栞を挟み込み机に仕舞うと手早く準備をする。
斜め前の二人は俺が無視を決め込んでからも1分程度喋っていたが市原が笑って席に戻り新珠はまた溜息を残して決着がついた。
お前には同世代の友人が必要だと骨を折って世話をしてくれた虎尾教授には申し訳ないが、
人付き合いより勉強に興味を持つ俺に感情で友人と呼ぶ相手を作るのは無理がある。
俺に関わって愛想を尽かしていった人間は何人もいるが、市原はそれなりに切れる男という事だ。
奴に目をつけられたもう一人の可哀想な人間。
教壇に目を向けると必ず視界に入る。
成績は入学以来ほぼ首席で実技系も上級クラス、体育だけは肌が弱いという理由で屋内授業の一部のみ参加している。
すっきりと整った綺麗な顔立ちに腰まである髪を束ねて、
手足が長く華奢な体つきは宝塚の男役のような中性的魅力で女生徒(と一部男子)からは物腰の柔らかさも相まって絶大な人気があった。
その存在が誰からも好感を持たれる故に男女とも特定の相手と付き合うことはなかった。
ただ一人幼なじみという中学生でも通用する童顔眼鏡の奥丁字が弟のように一緒にいた。
俺とは反対の理由で彼は人を遠ざけていた。住む世界も反対で関係の無いことだった。
初めて会話をしたのは1年時の学園祭前の11月、図書室のことだ。
珍しく一人で書棚の最上段に手を伸ばして取り辛い格好だったので代わりに抜き出した。
シェイクスピアの十二夜。
「ありがとう」
受け取る手にはもう一冊抱えている。とりかえばや物語。
「男女入れ替わりね、」
どちらも男が女装、女が男装した結果で起こるトラブル話だ。ふと口に出すと
「古典から愛される設定だが君はどう思う?」
返ってきた。
「男だ女だと言うのは見た目の問題だろう?本質は変わらない」
くすりと彼は笑った。
「じゃあ君は、ぼくが好きだと言ったら愛してくれるかい?」
「行為なら入れるところが少しズレるだけだろう?問題は好きになるかどうかだ」
「……予想斜め上の答えだ。ふふ…ははは……。ごめん、笑ったりして。気に障ったなら謝るよ」
予想外の質問をしたのはそちらだろう。頭の良い奴は何を考えているのか判らない、不思議な男だ。
「呆れられるのは慣れているから気にするな」
「ふふ……わかった、気にしないでおくよ」
以来今日まで挨拶程度しか言葉を交わしたことはない。
たまに、ふっと抜けたような遠い目をしているのをこの席になってから知った。
後ろからだと良く判るけぶるように長い睫毛が見える。
それが?
それだけだ。
休み時間にその様子にたまたま行き当たり、たまたま見ていると気が付かれて目が合った。
「ぼくも優等生で疲れることがあるのだよ。君は無い?」
台詞とは裏腹に表情は明るい。
「俺は優等生でないから葛藤は無いよ」
「自分を卑下するのは自らの価値を認めていないことだよ。ぼくのライバルは君しかいないのに」
「成績順争いだけで認められるライバルなんてお手軽で気持ち悪い。順位や優劣は他人が決めた結果の測りで俺には関係ない」
「判断材料が他にない場合、測りは重要だろう?多くの人間は自分自身に確固たる基準を持たないことも多い」
「あんたが基準を持たないとは考えられない」
「買いかぶりすぎだよ。ぼくは弱いからね」
「嘘だ」
つ、と目線をそらして一瞬寂しそうな顔をした……ように見えたかもしれないと思うほどその表情は束の間だった。
「君がそう言ってくれるなら、悪くない。……だけど、負けないよ」
そっちこそ買いかぶりすぎだ、と言おうとして微笑まれた。言葉を呑み込む。
窓からの日差しが不意に強く当たり瞳が煌めいてその笑顔を際立たせた。
時が止まる。
バイトの上がり時間が押して門限間際に寮の玄関に走り込んだ。
さすがに息が切れてエレベーター内で6階に着くまで壁にもたれて休む。
突き当たりの手前の部屋にたどり着き、鍵を差し込むと心なしか入りが悪かったがくるりと回してノブを引く。
中が明るい。電気を点けて出かけたっけ?
ああ、だがもういい、早く寝たい。このまま倒れそうだ。家に着いた安心からか激烈な睡魔がやって来た。
ベッドへ倒れ込もうとして、見慣れないグリーンとベージュのアクセントに目を疑う。家具は備え付けで全部屋同じデザインだがファブリックは各部屋当然違うものだ。
エレベーターで階数を確認した記憶が無い。そういえばシャワーの音も聞こえる。
何気に本棚を見ると各教科の参考書や辞書に加え社会学や心理学、小説類が並んでいる。専門分野のものは俺も幾つか目にしたものがあった。
このレベルを読みこなす頭の人間はそう多くないと知っている。思い当たる相手など……
水音が止まった。慌てて玄関へ向かうがコートを脱ぎ捨てていたのに気が付き取り戻って出ていこうとする。
が、運悪く玄関横の浴室の扉が開いて行く手を阻まれる。部屋の主はバスタオル片手に現れ頭に巻いていたタオルを外すと長い長い髪が身体の上を舞った。
風呂上がりだから当然全裸だ。
白い肌にまだ水滴が残り所々流れている。なだらかな肩から胸の谷間、ウエストから腰、太股のいかにも美しい曲線、伝う滴がぞくりとさせる。
…………待て、
こうして考えを巡らせられるほど、お互い目を合わせたままたっぷりと固まっていた。
アーモンド型の大きな瞳、通った鼻筋、形の良い桜色の唇、下ろしているが腰まで届くサラサラの長い髪は紛れもなく同級生でクラスメイトの新珠燐だ。
男子しか居ない学年の。
だが、首から下には掌にもやや余りそうな柔らかそうで触って確かめたくなるふくらみに唇と同じ桜色の先端が付いたものがふたつ並んでいる。
内臓が入っているのか疑うほど細いくびれの下にはなだらかな丘と繁みの先には何も無い。
――――――――
――――――――
じっくりと観察してしまった後、深呼吸をして言う。
「部屋を間違えた。申し訳なかった」
平然を装い目を逸らし脇をすり抜けて玄関へ出る。ノブを回して音がした時に新珠がドアの前にするりと駆け寄って遮った。
「誰にも、言わないでほしい」
今までと変わらない意志のある瞳で俺を見据えて、言った。
「言わない」
言えるか。余計な話をする相手は初めからいない。市原に話題を提供する義務も喜ばせる友情なぞも無い。
「ありがとう」
目の緊張がわずかに緩んだ。湯上がりで白い肌がうっすらと色付いて艶めかしい。呼吸をする度に胸のふくらみが上下して石鹸の匂いが立ち上る。
片手にバスタオルを持っているものの申し訳程度にしか隠れていない。
……裸を見られても声一つ上げずに冷静に対処する様は見事と言う他無いが、俺も一応、男だぞ?無防備を通り越している。
「じゃあな」
「帰るのか?」
訝しげに見上げる。まるで茶でも飲んでいかないかと言わんばかりだが自分の置かれている状況を認識してないのか?
あるいは男として見られていないか。
男装している位だ。自分が女だとの意識が薄い可能性も高い。
「……お茶を出してくれるのなら服を着てくれないか。目のやり場に困るんだが」
「ああ、すまない。……見せられるような身体じゃなかったな。もう少し肉付きも良ければ自信が持てるんだが」
自分の身体を見回して残念そうに言う。そういう問題では無いだろう?
「君はどう思う?」
聞くな。
「……男の振りをするなら、もう少し男心を勉強したほうがいい。その態度は誘っている様にしか見えないからな。重々気を付けろ」
「こんな身体でも?」
「体つきの話じゃ無い!男なら裸の女の子が目の前にいたら、思春期のアホ男子なら想像しただけでもどうしようもなくなるものなんだ。
押し倒して色々したいとかやらしいことをな。俺だって今考えてる。
……それに、その身体は……充分魅力的だから自信を持て」
何故ここまで晒さなくてはならないんだ。もう少し嫌がるとか恥じらってくれたらすぐ逃げ帰る事が出来るのに、最低だ。
手で顔を覆って視界を遮る。
「じゃあ男心を教えてくれ。ぼくの身体で、君が」
「!?」
「明日の予習もあるから早くすませてもらえると助かる」
そう言うと俺の手を取って部屋へと入っていった。
何故この展開になる?
人間嫌いとは言っても別次元で欲情するのは男の悲しい性の部分だ。
さすがに無差別では無いが、その、新珠の姿は俺の理想に嵌りすぎた。
今までの俺の全てを根こそぎ持っていかれて頭の中が真っ白になった。
かろうじてそこから戻って来られたのは新珠の瞳の強い光。
薄汚い欲望を打ち消す理性の光。
……のはずなのに、止めるどころか煽って炎上させようとする。
本質が変わらなければ男も女も関係ないとほざいた癖に、女と判った途端に豹変する馬鹿に幻滅するのが筋だろう?
違った。幻滅は元々評価が高い場合に起こるものだ。俺の評価など初めからゼロだ。
「…………早くしてくれと、言ったのだが。さすがにこのままでは恥ずかしい」
ベッドに横たわった新珠が見上げる。腕を交差させて軽く胸を隠しながらうつぶせになる。絹糸のような髪が流れた。なめらかな背中が露わになる。
「無理に判ろうとしなくてもいいんだぞ」
こっちも全部脱いで上から見下ろしている状態で、この期に及んでだが、本能だけで押し切っていいのか。新珠の意志に関係無く。
「君こそ女心がわかっていない。もっと勉強することだ」
「自覚があったのか……」
「ぼくは女だぞ」
唇に指が触れる。普段の態度はどうなんだ、行動と言動が合ってない。
「……」
撫でる指が頬に移動する。かすかに震える指先から初めて見た目ほど落ち着いていないことに気が付く。
その手に俺の掌を重ね再び口元へ戻してくると手の平にゆっくりとキスをした。
続きは明日の夜
申し訳ありません
245 :
名無しさん@ピンキー:2007/03/28(水) 11:38:51 ID:HUnC28dm
久しぶりの新作乙であります!(≧Д≦)ゞ
246 :
名無しさん@ピンキー:2007/03/28(水) 14:06:56 ID:XU8gD34M
乙!
期待age
遅くなりました
続き投下します
そのまま腕の内側に口づけながら上ってゆく。もう片方の手で胸を優しく包んでごく軽く揉む。
まだ風呂上がりの熱の残る肌はしっとりと心地よく適度に弾力があり俺を押し返してくる。
「や…、……」
平気な振りをしながら唇を噛みしめて身をよじる姿に、つい脇や胸の周りを舐め回す。石鹸の残り香が鼻孔をくすぐる。
指先で胸の突起に触れると小さく声をあげた。すぐに表情を戻すが頬が赤い。
「……後ろから、してくれるか?」
「ん?」
「見られたくない」
……要望通り後ろから抱き締めると柔らかな髪や肌がより密着する。
俺の腕の中にすっぽりと収まってしまう華奢な躰はどこをなぞっても女の子のそれで、あのむさ苦しい野郎どもの中に居たことが信じがたい。
耳朶を甘噛みしながらやや手に余る大きさの胸は掌全体で揉むと動きに合わせて呼吸が熱くなってくるのが判る。
時折先端を指先で擦るとぴくりと躰が反応するのでだんだん尖ってきた部分を指先でこねる。右手で左を、左手で右を同時に刺激すると振り向いてきた。
「やめて……あの、さ、もう、いいだろ…」
切なげに眉を寄せて至近距離で請う。胸を触られながらも背中や肩はまだ強張った感じが残っている。同時にじんわりと熱さが腕に体に伝染していくのが心地良い。
「いいって……何を?」
「入れて、早く……」
「…………」
言うか?
もう少し触らせてくれてもいいだろ? それとも濡れやすいのか。
脚の間に手を滑らすと反射的に慌てて力を入れて阻もうとするが繁みをかき分けて到達すると、僅かに指先を濡らした。
「まだ早いだろ」
「……、だって、入れたら気持ちよくなるんだろ……?早くして…、くれよ……」
「――――入れてもいいけどな、今だと絶対に痛いぞ。…初めてだろ?」
「処女でもすぐ感じちゃって痛くなくなるって皆書いているよ」
「どーゆー本ばかり読んでいるんだお前」
「もう、触らなくて、いいから、さ……それより、早く…」
辛そうに目を逸らして呟く姿に、得体の知れないモノが体の中で生まれた。
とりあえずその要望は無視してお構い無しに体中を触る。ついでに後ろからの注文も却下して前から唇で胸を弄る。
口に含んで舌でつついてみたり、転がした後に全体を存分に舐め上げる。こりこりに固くなった所で今度は指先で摘んで擦り合わせる。
が、すぐにくすぐるような動きに戻し先端を舌先で刺激する。
自分でも判らない感覚が胸の奥に渦巻いている。最初はごく小さい染みだった濁りは流れに乗って徐々に広がってゆく。
急な責めに焦って聞いたことの無い声で抵抗する。先刻までの余裕ぶりが嘘のような狼狽ぶりだ。
「あ……、ぁんっ、だから…っ、やめ……」
「嫌なのか。まあ、そうだな。俺が初体験なんて不運極まり無い」
「ちがっ……、いや…あ……っ!」
胸元の柔らかい部分を強く吸うと紅く痕が付いた。鎖骨や首筋の辺りまで幾つも印を散らす。
「それとも……、こんな振りして何人もたらし込んでいるのか?口封じに」
「違う!そんなこと……っ」
うっすらと汗が浮かび上気した顔で息を荒げながらも、心底驚いた風に目を見開いて俺を見つめる。
「ぼくは……」
悲しげに顔をゆがめたかと思うと、自分から視線を外して目を伏せた。
その姿を見ても黒い思いは変わらない。かえって一層その濃さを増して俺を満たす。
「入れたら分るけどな。その前に散々触って弄らせてもらうから」
脚の間に膝を割り入れ脚を閉じさせないようにする。右手で膝下を持ち上げて女の部分を露わにさせると左手で何度も上下になぞる。
「…や…、触るの……っ、ぁあ…みないで……はぁぅ、」
徐々に溢れてくる愛液を上の方、繁みの辺りまで擦り付けて全体にまぶしていく。五本指で丹念に触れるように撫でていくと小刻みに震えてきた。
濡れて光りながら充血して膨らんできた部分を人差し指と薬指で挟んで剥き出しにすると腰をよじらせた。
「だめ、だ……、あ……っ、つ!」
中指でごく薄く掠めるように触り続ける。指先の動きに合わせてびくびくと体が動き声が漏れる。明らかに快感の混じる喘ぎに変わっている。
蜜はとろとろと溢れ出して脚の間を伝いシーツにいやらしく染みた。
「気持ちいい?感じてるのか?」
そんな姿を見られたくないのか俺を見たくないのか、両手で顔を覆って表情を見せまいとする様だが逆効果だ。
「もう……や、めて…ぇ…、これ以上、は……っ。だ、め……」
「まだ先は長いんだよ」
奥に指を突き入れる。くちゅりと音が立って思ったよりすんなりと第二関節まで埋まったが、取り巻く襞は締め付けて抵抗してくる。
この狭さは確実に処女だ。ゆっくりと指を折り根元まで出し入れしながらもう一本を入り口付近になじませるように刺激して広げてゆく。
汗と蜜でぬらりと熱くなった部分に顔を寄せる。濃密な女の匂いとひくつく花芯が男を誘う。すすり泣きにも聞こえる声により嗜虐心が増す。
熟れきったそこを舌で舐め上げる。舐める音と水音が新珠の耳にも響くように嬲る。唾液と愛液にまみれ艶めいた部分を更に吸い上げる。
「あっ、ぃや、ぁ…っ…あ…――っっ!」
背中を仰け反らせて下半身をがくがくと震わせた。足の指を突っ張らせてシーツに皺を寄せた後長く息を吐きながら弛緩した。
誰も見た事が無いであろう女の顔で。
「イったんだな。そんなに良かったか?」
「……ぁ……、」
とろけた瞳が光を取り戻し始める。だらしなく涎を垂らしてゆるく肩を上下させながら快感を全身で受け止めている。
「嫌がってても体は反応するんだよな、…そりゃ、生理反応みたいなものだから。諦めろ」
抜いた指にまとわりつく愛液を舐め取りながら目を合わせずに言い放つ。
「俺じゃなくてもこうなるんだよ。……ほら、お前の味だ」
蜜が残る俺の指を銜えさせる。泣き出す一歩手前の顔をしながらも受け入れる。
「ん…、やぁ……ちが…………、」
反発しながらも挑んでくるような舌の動きに指にもかかわらずぞくりとする。気が変わった。
「じゃ、入れるぞ。これが男のモノだ。これがあそこに入るんだ」
「…………っ!」
張りつめたものと俺の顔を交互に見比べ明らかに怯えている様子で後ずさりする。
「や…、だめ……、おおきい…」
思わずぐらりと揺れそうになったが――、そう見たこともないだろう、し、な……
「指よりは大きいな。触ってみろよ」
手を取って触れさせる。細く白く長い指がおそるおそる震えながら当ててくる動きはかえって昂ぶりを増してやばい。
「ちゃんと握れよ」
掴ませて上下に擦らせる。嫌そうに眉をしかめながらも教えられるままに両手で固く脈打つものを、俺のものを握っている。
擦り上げられるたまらない刺激に先端から透明な滴が垂れてきた。
「これ……?」
「男も気持ち良くなると出てくるんだ」
「きもちいい、のか……」
そう言って真っ赤な顔で凝視されるとちろりと舌が舐めた。嘘だろ。
「君に、されたから……、おかえし…だ……」
ぬるぬるした液体を舌で広げる。俺がしたように。指と違って熱く熱を帯びて粘質に這う動きの、あまりの良さにうっかり吐き出しそうになる。まだだ。まだ早い。
初めてなのか?これで。
「そのまま銜えて、奥まで入れるんだ…歯は立てるなよ」
ぐるりと舐め終わって先に戻ってきた所で逡巡する素振りを見せたが、そのまま従って徐々に口に含んでいく。
「…ん…はぁ……ちゅぶ…」
柔らかく包まれる感覚に舌や唇が触れるたびに背筋に電流が走る。フェラってこんなに気持ちいいのか。
10ヶ月前に1ヶ月、4ヶ月前に17日間1年生の女の子に告白されて付き合ったことがある。
「頭が良い先輩が好きです」とか言われたな。「先輩は私より本のほうが好きなんですね」と、あっさり振られたが。
えっちな事にも及んだが当然両手で数えられる回数しか経験は無い。今日の展開は自分でも想定外の外だ。
恥ずかしさと嫌悪感で耳まで真っ赤にしながら涙を溜めて奉仕する顔に汗で髪が一筋張り付いている。
あの、新珠燐に口でされている、たまらない征服感と優越感。快感が高まってくる。
「はむぅ…ちゅば…ん……、んんっ、っ!!」
「俺もイかせてくれ」
頭を抱えて激しく上下させて揺する。
「むぐっ…ん…んーーーっ」
無理矢理動かされて息も出来ず苦しがる様子を見下ろしながら満ちてくる
頭の中が真っ白になり欲望を吐き出した。
一瞬緩んだ俺の手と射精された振動で、銜えていたものから解放されて辛そうに咳き込んだ。
「う…、ごほっ…、嫌……っ、のどきもちわるい……」
おそらく少しは飲んでしまったに違いない、頬や喉元に垂れる白濁液と流れ落ちる涙が行為の汚さを物語っている。
最低だな、頭が冷めて罪悪感が一気に襲ってきた。
「ねぇ、…本当にこれが気持ちいいの…?」
潤んだ瞳で咎められて嘘はつけない。
「いい。男は挿入と同じ位、……口でされるほうがいいって奴もいるみたいだ」
「そうか……、あの、アイスを舐めるみたいにって読んだから……って、今時の恋愛小説でもこの位載せているからな」
照れ隠しか口調が強気な元のペースに戻っている。しかし見た目は裏腹に俺に汚されたままのギャップが堪らなくいやらしく刺激する。
現金に復活したモノにゴムをかぶせると、もう終わったかの素振りをしそうな背中を襲う。
「俺は、入れるほうがいいな」
「え…、だって、やぁ、……ふぁんっ!」
押し倒してすぐ間近で見つめ合う。
……綺麗だ。
あくまで真っ直ぐ正直に俺を見つめ返す瞳には迷いは無く、ただ俺を映している。奥底まで見透かされるような色から逃げられない。
また決意が揺らぐ。どうして抱かれようとしたんだ、どうして俺なんだ。
問おうとした時再び唇に柔らかいものが触れた。今度は指でなく、――同じ唇。
「やはり読むだけじゃだめだな。実際に経験しないと、全然違う」
「俺を巻き込むのはやめて欲しいんだが」
「ぼくのライバルは君しかいないと言っているのに」
…………
今は考えない事にする。分らないことはいずれ分る時が来る。
彼女の口腔を味わいながら切ない息遣いと交わす唾液の響きに互いの躰が再び熱くなるのを感じていた。
すみません
251は以下に修正
「…ん…はぁ……ちゅぶ…」
柔らかく包まれる感覚に舌や唇が触れるたびに背筋に電流が走る。フェラってこんなに気持ちいいのか。
10ヶ月前に1ヶ月、4ヶ月前に17日間1年生の女の子に告白されて付き合ったことがある。
「頭が良い先輩が好きです」とか言われたな。「先輩は私より本のほうが好きなんですね」と、あっさり振られたが。
えっちな事にも及んだが当然両手で数えられる回数しか経験は無い。今日の展開は自分でも想定外の外だ。
恥ずかしさと嫌悪感で耳まで真っ赤にしながら涙を溜めて奉仕する顔に汗で髪が一筋張り付いている。
あの、新珠燐に口でされている、たまらない征服感と優越感。快感が高まってくる。
「はむぅ…ちゅば…ん……、んんっ、っ!!」
「俺もイかせてくれ」
頭を抱えて激しく上下させて揺する。
「むぐっ…ん…んーーーっ」
無理矢理動かされて息も出来ず苦しがる様子を見下ろしながら満ちてくる思いに任せる。
頭の中が真っ白になり欲望を吐き出した。
一瞬緩んだ俺の手と射精された振動で、銜えていたものから解放されて辛そうに咳き込んだ。
「う…、ごほっ…、嫌……っ、のどきもちわるい……」
おそらく少しは飲んでしまったに違いない、頬や喉元に垂れる白濁液と流れ落ちる涙が行為の汚さを物語っている。
最低だな、頭が冷めて罪悪感が一気に襲ってきた。
「ねぇ、…本当にこれが気持ちいいの…?」
潤んだ瞳で咎められて嘘はつけない。
「いい。男は挿入と同じ位、……口でされるほうがいいって奴もいるみたいだ」
「そうか……、あの、アイスを舐めるみたいにって読んだから……って、今時の恋愛小説でもこの位載せているからな」
照れ隠しか口調が強気な元のペースに戻っている。しかし見た目は裏腹に俺に汚されたままのギャップが堪らなくいやらしく刺激する。
現金に復活したモノにゴムをかぶせると、もう終わったかの素振りをしそうな背中を襲う。
「俺は、入れるほうがいいな」
「え…、だって、やぁ、……ふぁんっ!」
押し倒してすぐ間近で見つめ合う。
……綺麗だ。
あくまで真っ直ぐ正直に俺を見つめ返す瞳には迷いは無く、ただ俺を映している。奥底まで見透かされるような色から逃げられない。
また決意が揺らぐ。どうして抱かれようとしたんだ、どうして俺なんだ。
問おうとした時再び唇に柔らかいものが触れた。今度は指でなく、――同じ唇。
「やはり読むだけじゃだめだな。実際に経験しないと、全然違う」
「俺を巻き込むのはやめて欲しいんだが」
「ぼくのライバルは君しかいないと言っているのに」
…………
今は考えない事にする。分らないことはいずれ分る時が来る。
彼女の口腔を味わいながら切ない息遣いと交わす唾液の響きに互いの躰が再び熱くなるのを感じていた。
「ん…、んっ、痛……っぁ、っつ……」
半分しか入ってないが背中に廻された腕は時折掴まる場所を探すようにもがいている。
気休めにしかならないが長い髪ごと肩をかき抱いて耳元にキスを続ける。
こっちも実は強く押すと折れそうでなかなか進めない。
「ま……だ、?…ぁ……っ」
滲む涙を唇でぬぐって答える。
「後少し、我慢出来るか」
「うん…だいじょ、ぶ……」
ぎゅっと抱き締め返す体を頼りに腰を掴まえて一気に押し進めた。
「――っ!」
指に力がこもって息を詰める気配の後に大きく吐く。
「は……ぁっ」
「全部入ったよ」
「――ん、そう、か……。あ、っ…これが……、ぁ…」
浅い呼吸を繰り返しながらゆっくりと確かめている。
俺は締め付けらるきつさと同時に温かさとそれまで感じたことのない妙な――敢えて言うなら安堵?充実した気分を味わっていた。
入れているだけなのに心地良い。
「気持ち良くなったか?」
「う…っ、あ、熱くて……いた、いのか……よく、わからない……っ」
真剣に悩む顔をする。何だか可笑しくて、
「じゃあ動いてみようか」
ゆっくりとぎりぎりまで抜くと再び奥まで入れる。繰り返す度に体が揺れて離れそうになる互いを逃さないように抱き留めた。
「あ、いたっ……、ぃ、あ…、やぁっ…」
やはり痛いらしい、爪を立てられるが新珠の痛みに比べられるものでは無い。
止めてやりたいが、その切ない声やしがみついてくる体の熱さ、泣き出しそうな表情に意外な程早く追いつめられていく。
「ごめん……、持ちそうにない」
細かく突く動きに変えると一層辛そうな顔をしたが繋がった部分が擦れ合う快感は増していく。
響く音も蜜や汗の匂いもより濃密に絡みついてくる。
「あ、……あまや、ど…っ」
涙を溜めて唇を求めてくる彼女を受け止めると俺の理性は完全に飛んだ――
身支度を整えて俺の部屋の鍵を手元で弄びながら忠告する。
「他の男が入ってくる確率があるぞ、取り替えておけよ」
「寮でこの一番奥の部屋に人が居るのは6,7Fだけだから。ぼくの部屋の隣も無人だし、その隣は奥丁字だから安心していいよ。
今月から寮に入るって言ったら父様が心配してね、家に居ると五月蠅くて集中出来ないから押し通したけど」
当然だ。年頃の娘が男集団の中に居るだけで大変なのに寮生活となれば、何かのはずみでばれてしまえば…、現にあっさりと暴露されている。
学園長が知れば半殺しに退学の道が頭に浮かぶ。もちろん拒否する気も無いしな。
「ここに居るほうが危ない。俺が言う台詞じゃ無いが、きちんと周囲に守ってもらえ」
「君が守ってくれたら問題ないじゃないか」
さも意外そうに、当たり前のように言う。
「ぼくの処女だけでは不満?」
「……新珠、お前……」
強烈な仮定が脳裏をよぎったが証明するのが怖い。
「今日ほど人心に関して勉強不足だと痛感した日は無いよ」
「学生の本分は勉強だろう?いいことだ」
「帰る……」
たかが20年も生きていない人生で何かを知った気になって浮かれている脳をぐちゃぐちゃに掻き回された一日だった。
「ひとつ聞くけど」
ドアの前で振り返って、ベッドの上で上半身をシーツで隠して座り込んでいる彼女に疑問をぶつける。
「どうして男装しているんだ?」
「内緒」
っ、突っ込む前にまたしてもあの笑顔で阻止された。
瞳も髪も存在自体が煌めく幻に錯覚させる程の純粋さ。
全てを投げ出せる覚悟を即座に決めてしまえる強制力を持った最終兵器。
ロックオンされた時期も撃墜タイムも検討するだけ無駄だ。
考えるものじゃなく、初めから落ちるものと決まっている。
「じゃあな、また明日」
金縛りから脱出して声を絞り出すと退散する。これ以上顔を見ていたら朝まで居座ってしまう。
戻っても明日は睡眠不足だな、と苦笑しながら階段を降りた。
以上です
後半時間がかかり申し訳ありません
伊集院やウテナみたいに凛々しくて真っ直ぐな男装少女が
内面は乙女なギャップが大好きだ
書いているうちに彼女の乙女度が下がって
男のヘタレ度が上がった……
また機会があれば続きでも
失礼しました
GJ!
GJ!
とりあえず勢いでやっちゃった前半、乙女部分は後半でより発揮されるのではないかと
期待しております。
ところで登場人物の名前の読み方にいまひとつ自信が持てません
主人公は「あまやどり まつづき」か「あまやどり しょうげつ」、
ヒロインは「あらたま りん」あたりでしょうか?
258 :
257:2007/03/29(木) 14:18:15 ID:QhZB2ZIL
すみません。ここから後半があるのかと思って誤解しておりました。
今回はこれで完結なのですね。続編もぜひ!
職人さんGJです
少し鬼畜な攻めもイイ!
>>257 とりあえず雨宿のほうは新珠の台詞から姓は「あまやど」と読むのは分かるけど他はどう読むのだろう?
名前の読みは
雨宿松月(あまやど・しょうげつ)
新珠燐(あらたま・りん)
幼なじみは奥丁字衣黄(おくちょうじ・いこう)
ネーミング苦手で桜の品種名から付けた
読みは本来違うかもしれないが響きの良さで
混乱させてすみません
燐は木偏で?と書きたいのだがエロパロ板で表示可?
レスありがとうございます
続き、ヘタレ坂を転がり落ちる男の姿しか orz
SS初めて書いて楽しかったが
やはり読むのも好きだから待ってます
名無しに戻ります
失礼しました
表示無理みたいですね
重ねて失礼しました
職人さんGJです。
雨宿の冷静なようで冷静じゃない態度に萌えました。
新珠の男装の理由も気になるので続編ぜひお願いします。
男装少女に素直クールが…まさに一粒で二度美味しいですね!!
本当にGJです( ̄ー ̄)
保守
今期のアニメで男装少女が出てくるのは
ロミオ×ジュリエットだけ?
ドナタカ情報求ム
ロミジュリ結構萌えた。
今期はクレイモアくらいじゃないか
男装じゃないけど、男っぽい格好をする女の子が出てくるのは。
今期でなくて悪いけど、お伽草子にも男装出てくるんだよな。
見ようか迷ってるんだが、萌えるか?
>>265 D.C.S.S.
……すまん、聞かんかったことにしてくれ
続き煮詰まり気味で合間話投下
エロ無し
***
窓に叩き付けられる雨音は次第に大きく強く、窓枠が時折軋み風圧でガラスが揺れている。
「帰るに帰れないな」
「様子を見よう。幸いぼく等にはすることがあるだろう、雨宿?」
担任の地学教師から準備室の掃除を押しつ…頼まれて俺と新珠は地球儀や天気図、望遠鏡やらが詰め込まれた部屋にいた。
物臭な江戸先生は出席番号1番2番で頼むなぁ〜、と言い残し鍵を置いて自分は早々に帰ってしまった。
課外の半ばから降り始めた雨は準備室に辿り着いた頃から急激に勢いを増し、5月には珍しい悪天候に発展している。
幸か不幸かどちらも適当に誤魔化して済ます事を善しとしない性分で、黙々と作業を続けている。
…………
雨音に遠雷の響きが混じる。
まだ距離は離れているが外を見るとこのままでは収まりそうに無い。
新珠は入り口近くで机の上に乱雑に重ねられていたファイルを揃え棚に戻している。
稲妻が奔った。
間を置いて、落雷。
近づいて来ている。こうなると屋内のほうが安全だ。
それに、寮以外で二人きりになるのは初めての事で現在の天候と裏腹に浮かれる気持ちも確かにあった。
かと言って好かれたいとは思わない。決めるのは新珠だからだ。
変わらぬ日常を繰り返しながら、互いの領域は侵さない。
再び光。衝撃。
ぴく、とファイルを並べ掛けていた新珠の手が反応し、止まる。
瞬きもせず、表情を動かさない様子に……
――閃光・空を裂く轟音
「いやっ!」
ほろりと表情を崩した彼女の泣き出しそうな顔が見えたかと思うと束ねた後ろ髪が舞った。
飛び込んできた衝撃に2,3歩後退って背を壁に支えられる。
轟きの残響のなか、新珠は全身を震わせて俺にしがみついている。
まるで見なければ全てから逃げられるかのように頑なに目を閉じて。
握り締めた指は長い睫毛と共に絶えず揺れて必死に恐怖と戦っている。
肩を支えると短い安堵の息が漏れた。
雷光と一瞬遅れた頭から足の先まで突き抜ける衝撃音が世界を覆う。
「…、や…怖い…!いやぁ……っ」
漏れる怯えと嗚咽の息遣いが肩に当たる。
見なくてもいいように頭を抱え込んで外の景色から遠避ける。
左手で両腕ごと背中を強く引き寄せて抱き締める。
制服の上からでもこうして接すると、いかに男離れした体格であるか明白に感じ取れる。
細い肩と腰、希有な存在感、強さと脆さ、輝きと陰りが只一つの新珠燐を形作っている。
伝わってくる戦きが俺の中で温もりに変わり、また彼女に戻っていけばいい。
一千秒にも思えた時間は実際には十分の一程度だろう。
そっと頭を撫でると顔を擦り寄せて応えた。
白くなるほど襟を掴んでいた指を徐々に開くと、そろそろと確かめるように俺の背に手を回した。
僅かに乱れた呼吸を整えるように身を預けている様子から落ち着いてきたのが分かる。
急速に最高潮に達した嵐は遠ざかる雷鳴に伴われて瞬く間に止んでゆく。
砂を流すように降り落ちる水音と不規則に聞こえる雨だれが、あっけなく訪れた静寂に色を差す。
「ありがと……」
はにかみながら体を離した新珠は、やや潤んだ瞳で視線を合わせずに呟いた。
制服姿でこんな顔をされると、いたたまれない。
「もう平気か?」
こくんと頷いて尚も照れくさそうに俯いていたが、一言。
「誰にも、言わないでほしい」
――前にも聞いた台詞だな。
「嫌いなものがあるのは恥じる事じゃない」
「じゃあ、口止め料だ」
背伸びをされてふっと視界が遮られる。触れるだけのキス。
「お釣りはいらない」
「……」
男の姿での行為は二重の意味でリスクが高いだろ。
「一人の時は呼べよ。先払いで受け取ったからな」
「呼ばないと来てくれないなんて、本当に高いと思ってる?」
「用も無いのに行くのは変だろ」
「……馬鹿」
彼女は床に散乱したファイルを拾い上げ作業を再開した。
「新珠」
「ん?」
「読みたくて探している本があるんだが、お前の部屋に並んでいたのを今思い出した。貸してくれないか?」
「ん――、どうしようかな」
口元に指を当てて検討している。
「そうか、ならいい」
「あっさり諦めるんだな」
「他の手を考える」
「読みたいんだろう。目の前にあるのにどうして遠慮する?」
「扉を閉められたよ」
「なら開けろ、と叩けばいいだろ、一度で駄目なら二度、君は執着心がなさ過ぎる」
「効率を上げているだけだ。そもそも、閉める理由は何だよ」
新珠と話していると展開に付いていけない、相手が何を求めているか判らなくなる事がままある。
執着心?
あるよ。おそらく。充分に。
「…………、あのさ、君のバイト先のお店の隣、ケーキ屋さんだよね」
言われてみればそうかも知れない。甘い物には興味が無いから気にした事が無かった。
「ああ、そうだ」
と思う。
「美味しくて結構有名なんだ。特にカスタード系が評判らしい。プリンとシュークリームは外せないかな。
一人で入るには恥ずかしくて」
俺には一人で苦手なスイーツの店に行けと。野郎二人だともっと怪しいがな。
「でもロールケーキも好きなんだ」
ふふ、と鼻を鳴らして微笑む。見上げる瞳は明らかに悪戯好きな光が宿っていた。
最後に机を拭き上げると戸締まりをして廊下に出た。
「鍵は返しておくから。奥丁字が待っているだろ?」
「そうだね、ではお先に」
髪を翻して歩き去る後姿は平素誰もが目にする新珠燐だった。
窓の外は夕暮れ前の光を取り戻し、濃く色を増した木々の葉を照らし、残った水滴がガラス窓を伝い流れてゆく。
下校する生徒達。変わらぬ光景。
「――待ってるから、な」
誰も居ない事を確かめて振り向いた、あれから毎回何処か誤魔化されているような釈然としない、だが不思議と満たされる笑顔。
向けられるのは俺だけだと自惚れたい誘惑は叶うはずも無いからこそ密かに胸の奥に住み着いて離れない。
日常に埋もれながら時折思い出したように胸を差す。
軽く手を振って応えると今度こそ先の角に消えた。
見届けて足早に職員室に向かいながら俺は知らず知らず駆け出していた。
以上です
行数ギリギリで焦った
ショーケースの前で固まる男の姿は想像で
失礼しました
>>266 お伽草子は男装してるのは前半の平安編だけ
話はつっこみどこれが多いが光さまはかわいいぞ
最後の裸ロケットは色んな意味で伝説だw
ちなみにジュリエットと中の人が同じw
>266
どうせなら×箱のO・TO・GI〜百鬼討伐絵巻〜を勧めとく。
安倍晴明が男装の麗人だぞw
昔は単独スレもあったものだが。
続編投下
時系列では1.5話の前
さるさん規制避けで、まず5レス投下
続き1時間後に来ます
動き回る気配、揺れる香り、時折触れる体、想像が妄想へと発展してゆく。
柔らかいものが時々腕や背中に当たるんだが。恐る恐る聞いてみる。
「新珠……服着てるか?」
「お風呂に入るのに服を着たままだったら変だろう?」
「…………」
どうして何も見えないんだ今の俺は!!
「ふっふっふっ」
にやついた瞳をしている市原――絶対に何かを企んでいる目だ。彼が新珠燐(あらたま・りん)……君につきまとうのは始業式の日から気を付けていた。
今までと違う様子があればすぐ飛びつきそうな危険な目だ。
『衣黄(いこう)、いつもずっと有難う。今年は最後だからなるべくぼくの自由にさせてくれないかな?君も好きにしたいだろう?
もちろん君が近くにいてもいいと言うなら構わない。父様は五月蠅いしね。だからこれはあくまで希望だけど』
男だらけの中で寮生活を始めると言い出して猛烈な反対をものともせずに押し通した彼女は何時になく強情だった。
表向きは変わらず、でも奥底で誰にも曲げられない意志の強さを感じさせてあの学園長もたじろいだ。
くれぐれも目を離さないようにと釘を刺され、もとい脅迫そのものの形相で頼み込まれた直後に
当の本人からは好きにさせてくれと遠慮がちに伏し目で言われてしまっては、体が二つ欲しくてたまらない。
(ああ、この男にだけは気付かれてはいけない)
――いつからか、彼女がふと寂しげでそれでいて優しい目をして遠くを見つめているのを知った。
3年生になりその視線が追う先を奥丁字だけは気が付いた。それはごく微かな他人とは違う変化であったから。
雨宿松月(あまやど・しょうげつ)。
入学以来新珠と順位上では常に首席を争っている相手、ただ彼女と違い運動能力はかなり低かった。
それでも背は180p近くて線も細め、顔も悪くない生活態度も真面目とあらば普通の女の子なら惹かれてもおかしくないが
新珠のような完璧主義の人間が興味を持つには分不相応に見えた。
……いや、だからこそ、彼女も只の女の子だったということなのか。
「なんかさあ〜、七日前から変な訳よ、どっか」
それぞれ自分の席について本を読み、話題の二人は会話をしている訳でもなく接点もないように見える。
衣黄にも分からない変化を感じているのか、それとも単なる勘違いかハッタリか。
「僕は一応ずっと新珠君を見てきているんだよ。その僕が変じゃないと言ってるんだよ……」
「新珠だけじゃねぇ、雨宿も変だ。二人揃ってって、なんかあるなこりゃ」
ひゃひゃひゃと嬉しそうに嫌みたらしく笑っている。
「なんかある、んじゃなくて、君がそう思いたがっているんだろ?そーゆーの迷惑だからやめてくれよ」
「迷惑って言われてねーし」
「市原がしつこいから言わないだけだよ。だから僕は言うから! や・め・て・く・れ! 」
「なんでそーアンタがムキになってんだあ。新珠『くん』だって周りにとやかく言われたくないだろーに」
カメラをしまうと長めの前髪をかき上げて口元を歪めてにやりと笑った。そのまま二人の側へ歩いていく。
「おーい、暑いから窓開けていいか?」
「ああ」
すたすたと市原が雨宿の後ろに回り込んで窓を引くと、よどんだ教室の空気を掻き混ぜるように一気に風が吹き込んできた。
「うわわ〜」
「市原君、気を付けてよっ」
しまった、という顔をして衣黄が走り寄る。
「――っ、!」
本の頁やカーテンを巻き上げた春の風はすぐに収まったが、窓の一番近くにいた雨宿は目頭を押さえている。
「埃が入った。洗ってくる」
「あいよ、行ってらっしゃいー」
「余計なことばかりするな、君は」
新珠がかすかに眉を寄せて睨んだ。
釣った魚に餌はやらない。
いや、やっぱりここは「私の体だけが目当てだったのね」と言うべき?
あの日から一週間経ったけれど彼のぼくに対する態度は以前と変わらない。
だからといって責めるつもりもないし、外見は男同士でべたべたするのも変だし、何か違う。
「Hしたら世界が変わっちゃったv 」なんていうのは乙女なお話だけのことなんだなぁ。
次の日の腰の鈍い痛みと歩き辛さを気取られないようにすることだけがリアルで。
彼との関係が変わることを期待していなかった訳じゃないけど、ぼくにとっても事前事後の自身の有り様の変わら無さに驚いた。
最中はそれどころじゃなかったけれど……
彼の指が声が体が唇がほんの少し触れるだけでどうしようもなく胸が高鳴って息が出来なくて気が狂いそうだった。
恥ずかしくて何でもない振りをしようとしたけど、かえって勘違いされて怒らせてしまった。
元々嫌われているんだから……彼がぼくのことを何とも思っていないことくらい分かる。
男の振りをしていても、処女でなくなっても、本質は変わらない。
彼の言葉は自分の道標で、だからこそ負けたくない、恥じない人間でありたいと思い続けてきた。
同じ目標を持たなくても肩を並べて二人で前を向いて歩いていけたらそれでいい。
次の時間は移動教室なのに彼は戻ってこない。
教科書をまとめて見に行くと洗面台に手を付いてうつむいていた。
「雨宿」
「新珠? 次は実験室だったな……」
顔も水で濡れて珍しく所在なげな表情でこちらを見ている。その眼差しに胸がきゅんと締め付けられる。
「見せて」
ぼくはもう無意識のうちに彼の顔に手を寄せてのぞき込んでいた。
「……、いいから、大丈夫だ」
軽く手を払われるけど妙に慌てて本当に珍しい。
「目、赤いよ。保健室に行く?」
「そうする」
素直にうなずいた。何だか――かわいい。
「コンタクト流すなんテらしくないネ、何考えてタ?スペアや眼鏡すら作ってないとは呆れるヨ」
「毎月の生活費のやりくりがあるんですよ。今後検討します」
「相変わらず意識が希薄だナ――
新珠くン、この子、裸眼視力かなり悪いから手伝ってやってくれヨ、病院には連絡してあるからネ」
「はい、分かりました」
「新珠?何故まだ居るんだ、授業に行かないのか?」
「君の様子を報告するために待ってるんだよ」
「松月、教授も心配していルんだからオトモダチに甘えてみるんだネ。彼を困らせたら全校生徒から恨まれるヨ?」
保険医の嶺先生は生まれも育ちも普通の人なのになぜだか面白い喋りかたをする。
……でもどうして名前で呼ぶの!?色々知ってるみたいだし?
「そういうことだ。じゃあ早く戻ろう」
「は? ……あ、新珠っ?」
ぼくは強引に彼の手を握って廊下に出た。嶺先生は大人だし眼鏡の美人だし才女だし巨乳だし当然男子人気もとても高いしそれにそれに……
「……手が痛いんだが……」
「あ、ああ、すまない」
夢中で気付かなくて少し力をゆるめたら熱っぽさが引いていった。すう、と彼との間に風が通る。
「離してくれよ」
「駄目だ。頼まれたことを途中で投げ出すことなんてぼくにはできない。
今日は――、君とずっと一緒にいる」
新学期になって17日目、教室の隅の席にも慣れた。
朝一に誰も居ない校内の静謐さを味わいながら式を叩き込む時間、歴史に思いを馳せる午前、
昼下がりに揺れる葉桜を横目に英文スペルを繰り返す午後、知識に囲まれる図書室での至福の放課後。
入学以来変わらぬ空気とも言える日常が卒業まで続くことに何の疑問もなかった。
視界の隅の涼しげな後姿も、そこに居ることが当然の景色になっていた。
……見た目では。少なくとも頭の中では。
新珠の様子は一見変化無く見えた。整った横顔、眼差しの強さ、光の中に佇む美しさ。
成り行きとは言え最後までやった責任は俺にある。何時処分を受けても構わない。
思いやりのある人間だと人が考えるのは自分が無関係か、相手に期待をする時だけだ。
負けず嫌いの彼女は張り合おうと意地になっていただけで好意からじゃない。
勘違いするな。
目にかかる長めの前髪をそっと払ってやりたいとか、あの笑顔を守るためにどうしたらいいか、とか
考えるのも、可笑しいだろう?
「えええ、新珠先輩が男と手つないでるーーーーっいやあああっっ!!!」
「落ち着いてよ、コンタクト落として見えないから手伝ってるんだって? 優しいよねー」
「私も落とすー! 手をつないで送ってもらうのーっ」
「あんた両目とも2.0じゃなかったっけ?」
女生徒が騒いでいる、当然の反応だ。
「素晴らしいわ。美味しいわ。絵になるわ。やはり女は相応しくありませんわ」
「鷲尾学園高等部最後の男子学年に咲いた麗しい薔薇ですもの。わたくし達の心の泉」
「絵画的には相手の華の足らなさが口惜しいわ。とは言いましても燐様と並べられる存在など許さないのですわ」
「この感動を余すことなく紙の上に表現するのがわたくし達の使命です。さあ行きましょうアトリエへ!」
思考回路を分解して解明したくなる。理解は出来るが認めたくない。
この状況では新珠がどう考えているのか伺うことすら出来ず、繋がった指先だけが存在を意識させる。
正直に言うと人や物がそこにある事はわかるが表情は掴めない。何色のモノがあるか、という位だ。
それでも他の感覚器官や記憶、日常の癖で1日を乗り切るのは実際成せば成る。文字が読めない事だけが辛い。
手伝われる事そのものは有り難いが、相手は新珠だ。……調子が狂う。
「ぼくもね、他人からの評価を気にするのはやめたんだ。変わらないと分かったから」
遠ざけようとすると細い指がさりげなく、だが確かに甘く拘束する。
「新珠先輩と横の野郎のツーショット写真1枚100円!授業中のマル秘ショットもあるぜ〜っ!早いモノ勝ちぃ〜!」
「いーちーはーらーッ!!」
あの突っ込みは奥丁字だ。悪いが今日は完全に任せた。
病院やあちこちに寄って寮に帰って来たら、もう8時を廻っていた。
「有難う新珠、助かった。もう慣れてきたから大丈夫だ。部屋の中は目を瞑っても分かる」
――――
朝までのぼくだったら、このまま帰っていたかも知れない。
でも、自分でも不思議でしょうがないけど、何時間もそばにいて彼を見ていると――
つないだ指の余韻が残って離れたくない。
「夕食をもらってくるから、待ってて。一緒に食べよう」
食堂から二人分の食事を運んできて彼の前にトレイを置く。
壁際の勉強机は椅子がひとつしかないしテーブルもないので、床にそのままだけど仕方ない。
「部屋で食事をする事は無いし机があれば充分だ」
飾り気のないシンプルな部屋、というより必要な物だけの室内でベッドシーツの青色とカバーの白が唯一のコントラストで彼らしい。
ただ個人の趣味や思い出がわかるような写真や小物もなく、本棚も半分くらいしか埋まってなくて意外だった。
並べてある本には全部同じ色のカバーがかけられていて、タイトルはなくアルファベットや数字がマークされている。
「……手を付けないんだ、判りにくい?それとも嫌いなものがあるのか?」
「違う……、……猫舌なんだ」
ちょっと困ったように手に口を当てて照れる。
「そうなんだ。じゃあ――、」
彼の顔をじっと見つめて言う。初めて知った、気にされずにこうして見ていられるのは、嬉しい。嬉しい。嬉しいんだ。
「ふー、ふー、……大丈夫かな、うん、口開けて」
「気にするな! お前は自分の食事をしろよ」
「見張っていないとファーストフードやビタミン剤しか摂ってないように見えるんだ」
「――栄養補給出来れば充分だからな。あー……、猫舌は本当」
しまった、という顔をしてあっちを向いた。
「今日は全部食べるまで許さないからな。……それとも本当に食べさせてほしい?」
トレイを返して戻って来ると、彼はベッドにもたれてヘッドホンで何かを聴き入っている。
「教科書とノートも持ってきた。どこで勉強しても同じだからね」
気が付いて驚く所に、ぼくが先に言ってしまうと諦めて髪をかき上げる。どきりと胸が高鳴った。
机を借りて今日の復習をしながら、そっと盗み見する。
首筋も喉仏も手首や甲に浮く血管や筋も全部、ぼくには無い彼だけの表情。
節ばって背が高いのに合わせた長めの指。さっきつないでいた時にも感じたけれど、指先が触ってるだけなのに心がふわふわしてしまう。
この前はあんなに見られて触られて指どころじゃない一番恥ずかしい部分でつながってたのに、
それでもどうしてこんなに動悸が早くなるんだろう。触れられてもいないのに、つい目が追ってしまう。
この指でぼくの全部を触ったんだと思うと顔に血が昇る。
自分でした時と全然違う、指先に何かえっちな薬でもつけているんじゃないかと思うくらいに溶かされた。
どこを触られても熱くなって胸も……あそこも気持ちよくて痺れて声が出ちゃうのが恥ずかしくて恥ずかしくて恥ずかしかった。
なのに、触れたい、触ってほしい。また。
彼が目を閉じたままなので、こっそりそばに寄ってみる。
「新珠?」
「は、はわっ、……何っ!?」
「気配が無いから帰ったのかと思った。……、いや、そろそろ寝るから。今日は本当に済まなかったな」
「お風呂も手伝うから」
「小さい子供じゃ無いからさ、もう気にするな」
「何度同じこと言わせるんだ?いい加減学習してほしいな」
離れてくれ、これ以上くっつくな、頼むから。……抱きつくな!
新珠相手だと何故またこんな展開なんだ。普通の状態なら大歓迎だが今回は間違い無く拷問だ。
7日前の出来事が生々しく甦るが脳裏にだけだ、極上の感触と最悪の視界。
全体的にスレンダーでしなやかな体つきなのに意外と胸はある。Bか、Cは確実にある。
体中の血液が頭と下半身の一部分に集中して倒れそうだ。
タオルで背中を擦りながらこっそり素手で触れる。
彼の背中、彼の腕、彼の体。直に感じる今日はちゃんと意識して覚える。
あまり見えていないと分かっていてもやっぱり恥ずかしいから、後ろから手を回すと距離が近くなる。
背中に胸が当たってつぶれる感覚。…嶺先生みたいに大きかったら、いいのになぁ。触るほうも楽しいんだろうな。
ぼくはあんなに揉まれて舐められて気が変になりそうだったのに、不公平だよね。
彼の肩に顔を寄せてそっとキスする。抱きしめるとあったかくて、こうして触れ合っていると何も不安じゃなくなる。
分かるかな? 女の子は嫌いな相手とは髪の先や服の端がちょっとかすめるだけでも嫌なんだよ。
反対にね、
「ほら、先に温まれ」
抱きついてた腕を掴まれて外される。
「ん、……雨宿、顔赤い」
「そ、りゃ、あ、風呂場の中だし熱くて赤くも、なる。きっとお前も赤いぞ。いいから、湯船に浸かっておけ」
体を離すとちょっとほっとした様子なのが見えた。
やっぱり、嫌なのかな、そうだよね、この前も今日もぼくが勝手なことしてるだけだから。
ごめんね。
でも、
最後の学年では、たった一人の前では素直になろうって決めたんだ。
恥ずかしくてちゃんとは見れないけれど、大きくなってる彼のものに手を伸ばす。
「っおい、どこ触って……!」
「黙ってっ!!」
「…………」
えーと、胸の谷間ですると気持ちいいって、読んだ。
両手で寄せて挟んでみるけど、たっぷりと埋まるほどにはならなくて恨めしい。
ちょっと痛いしやっぱり駄目かもしれない。
「あ、新珠…あの、な…………」
「ごめん、無理みたい」
ぼくは諦めて胸を離して両手で握ると先っぽにちゅっ、とキスした。
「そういう事じゃなくて……っ!」
手の中でどくんと脈打って硬くなった。うん、こっちのほうが気持ちいいんだね。
「違う、しなくて、いいから」
「文句言うと噛んじゃうよ?」
「……すみません」
指先でこすりながら軽いキスを上から下へ繰り返す。
頬ずりして今度は舌で舐めていく。なるべくゆっくりとねちっこくと、うん。
「ん…、ちゅ、っ……」
筋に沿って少しずつなぞって刺激しながら先へ戻る。
ぬるぬるしてきたから口で銜えて段のところをぐるりと舐めてから吸い上げた。
ぴくんと震えてまた熱くなった気がする。
感じて、くれてるのかな。ちらっと見上げると困ったようにやや眉をしかめて視線をさまよわせている。
その、ちょっと顔を赤くして不安そうに息を吐いているのが昼間の時みたいにかわいい。
どきどきして、また一杯キスをした。
本当はね……、ぼくも熱い。
そっと右手で脚の間を触ってみるとどうしようもないくらい濡れていて。
「は…、ぁ……」
指が勝手に動いてしまう。
太股にまで垂れてるのが分かって、すくい取って流れてきた所に押し込む。
でも全然追いつかなくて溢れては伝って手の平にまで落ちていく。
見られてたら絶対こんなことできない。もし気が付かれたら恥ずかしくて死んでしまう。
また声が出そうで彼のものを銜えて抑える。のどの奥まで入れると苦しくて息が上がってくるけど本当に辛いのか分からなくなってくる。
だって気持ちよくても息ができないから、どちらも今のぼくには変わらない。
自分でかき回しながら奥から襲ってくる快感のままに口を上下させる。
なんてひどくて恥ずかしい女なんだろう、あんなに彼にしてもらったのにまた自分に都合のいいことだけ考えてる。
舌を動かしてると濡れてるものがぼくの唾液でもっと濡れて滑って音を立てる。
ぼくの耳にはもう指の音なのか口の音なのか判らない。お風呂場の熱気の中で、どちらもいやらしく響いて頭をおかしくさせていく。
体の中も外も触れてるものも全部熱く疼いてあふれ出しそうに――
つ、と優しい指先が頬に触れて、気が付いた。
「そこまでで、いいから」
「や……、でも…」
まだ、どっちも――
「俺にも触らせて?」
―――――――
「だ、だめだめ駄目ぇっ!今日はぼくの言う通りにしてっ」
「俺ばかりで、悪い」
今触られたら自分でしてたってばれちゃったら死んじゃう。嫌われちゃう。だめだってば!
見えない見えない見えない……
やらしい音やたまらない感触だけが鋭敏に響いてくる。
新珠の乱れる顔も躰も認識出来ない生殺し、いっそ殺してくれ……は無しだが。
女の子に目隠しをしてえっちをする話は耳にするが、男はどう興奮しろと言うんだ。
一方的にモノだけ責められても気持ち良くなってしまうのが情けなくなるが、俺だけ中途半端にヤられてもすっきりしない。
せめて触らせてくれ。あの時を思い出すだけでは足りない。存在を、もっと確認させてくれ。
……顔にかかる吐息、しっとりと濡れた肌が覆い被さってくる、彼女の重さ、やっと俺の腕の中に。
受け止めようとした時、握られたモノの先に当たる、ぬちゃりと粘ついた音、肌より熱く柔らかい、
――っ!?
じわりと押し拡げられて中に入ってくるのはまだちょっと違和感があるけれど、あれだけ痛かったのは嘘みたいで。
彼の熱さ、硬さを今度はちゃんと感じる。直に伝わってくるよ、動いたらぼくも動く。一緒に震えてる。
これが、松月。雨宿松月。忘れたりしないから。
彼の上に腰を下ろしてしまうと前より奥まで入ってるみたいで先が、当たってる? って言うのかなこれが、くすぐったいような……
「おいっ…! な、何も付けて無いっっ、待て……っ!!」
あわてて抜こうとするので足に力を込めて首にしっかりと抱きつく。だめ、だよ?
「いい。……今日は、大丈夫。
嫌、……?」
「まだ痛むんじゃないのか」
「平気、へい、き……、いい、…い、いっ……ぁっ!」
ほんとはどうにかなりそう、我慢してるけど声がうまく出ない、話せない……ぼうっとしてくるよ。
腰をよじったら余計に中でこすれて気持ちいい、いいって…、あ、耳舐めないで…っ。やだ。
抱きついてしまったから背中や胸をいいように触られてしまう。逃げられない。あちこちに火をつけられる。
体中がぞくぞくしておかしい。どうしていいか分からない。動いちゃ、う……っ、はずか、しいっ。
つい逃げようと体を浮かしたら少し抜けて、引っかかったところがすごく感じて一瞬飛んでしまう。
また腰を落とすけどもう一度あの感覚がほしくて繰り返す。何度も、たぶん。
声、でちゃう、もう何言ってるかわからない。何してるかわかんない。
つながった所にもう一つ心臓が出来たみたいで、そこからの鼓動が体中を駆けめぐってますます熱くなる。
最後に頭の中で何度もくり返し響いてぐらぐらしてくる。目の前がぼやけて見えなくなる。
動いて動かされてかき回してかき回されて入り口も奥も足も腕も腰も胸もあなたの感触しか要らない。
全部全部ぜんぶあなたでいっぱいにしてほしい。もっと、もっともっとほしいほしいほかはなにも
あたまのなかもそともさわってるところもさわられてるとこもあそこもあつくてとけてしまとけるとけてまっしろでしろ
のみ、こ…まれ、て……
ぜんぶはじけ、
――――――――
引き抜こうとした瞬間に一足早くきゅきゅっと締め付けられて限界を超えた。
只でさえ直接色々された上に、口とか生とか性質の悪い麻薬だ。経験の少ない奴が嵌ると抜け出せなくなるだろ、やばすぎる。
彼女は全身で甘く深い呼吸を繰り返す。
そのとろけた表情を堪能出来ないのが畜生何をしたって言うんだ俺が。……分っているさ解っているさ。
見えなくても感じている。濡れた唇が触る羽の様な息遣いが、藻掻きながら夢中で掴み所を探す指先が、互いの汗と石鹸の泡とで滑って擦れ合う躰が、
吐息と湯気が混ざり合って肌を濡らしていく密室の粘ついた空気が、立ち上る蠱惑的な匂いが音が、絡みついて離れない柔肉のぬめりと温さと心地良さが、
霞む視界が他の感覚を痺れさせ狂わせてゆく。
間違えない、たった一人の相手を、腕の中の、新珠燐を。
「……、あー、雨宿……?あ、の…、中で……え、と」
「抜こうと思ったけどもう一回しよう」
「ぇ、やぁんっ、あ……っ、そんなに突い、…ちゃ……、ぁあっ!」
階段の踊り場に立つと4月の夜風はちょっぴり肌寒くて、小さいくしゃみが出たので急いでぼくの部屋に帰った。
ベッドに横になる、とろりと溢れたものがゆっくりと伝って流れるのが分かった。
まだ想い……出せない、恥ずかしくて顔から火が出そう。絶対呆れられてる。明日の朝はどうしよう、いつもの振り、普段通りに。
『朝御飯持ってくるからな』
『コーヒーは飲んでる』
『胃を壊すよ?何か口に入れないと』
『……検討する』
『おやすみなさい』
『お休み』
今日は知らなかった彼のことを色々見れた気がする。もっと、もっと知りたいって、思う。昨日までと同じじゃ、足りない。
そしてもしも振り向いてくれたら、一緒に歩いていけるなら……
ぼくは嬉しさと幸せの中を漂っていて。
だから、彼の領域を侵し始めていることに全く気付いていなかった――
以上です
彼女視点、挫折
難しい
失礼しました
GJです
GJです
二重カキコorz
スマソ
おお、投下が。良い仕事です。
神が降臨するスレは此所ですか?
的な保守
暇があったら拙くて異色なSS投下するかもです……
293 :
290:2007/04/23(月) 00:24:22 ID:T8sf6G/V
どうも、スレの発展に微力ながらもお力添えさせて頂きますm(_ _)m
※1:当方は、携帯厨なのでかなり分割しております。御容赦下さい。
※2:当方は、他の神職人の足下にも及ばぬ駄文遣いでございます。御容s(ry
※3:出来れば、当方の投下した文の要修正箇所を挙げて頂けると嬉しいです。
※4:最後に、当方の文は本格的な物ではありません。一般的な小説の枠をぶち破る表現(顔文字等)が登場する事がありますが、御(ry
294 :
290:2007/04/23(月) 00:25:59 ID:T8sf6G/V
やあ、皆さん初めまして。
僕の名前は西園寺詩音、『しね』じゃないぞ『しおん』だぞ。
まあ、自己紹介とかそんな事は置いといて……今、僕はとんでもない状況に立たされている。
どんな状況かって? それは……
「で、私を妹にして頂けないかという件についてですが……」
……ありのまま、今の現状を話そう。
目の前には、長い黒髪をポニーテールにした小さな女の子(多分中学生ぐらい。見た感じだが)が、ちょこんと座っているんだけど……
その娘が突然押し掛けて来て、いきなり僕の所に来て発した第一声が『妹になりに来ました!!』なんだ。
ははは……普通、こんな状況に遭遇する事があると思うかい?
事実、僕は陥っているんだ、うん。
「あのね……僕に妹は必要ないし、欲しくも無いんだよ」
このやり取りは何度目かな……もう飽きたよ。
相手は子供だし、僕も強く出る気は無いんだけど―――しつこい。
もんのすごくしつこい。
一体、どうしてそんなにも僕に固執するんだ?
住所も年齢も言わないし、分かったのは『北城純』って名前だけ。
北城……何か聞き覚えがあるな……まあいいか。
―――よし、意を決しよう。
このまま同じ問答を続けて無限回廊に突入! じゃ埒が明かない。僕は単刀直入に聞くことにした。
「で、北城さん? 君はどうして―――」
「純とお呼び下さい!」
「……純さん、君は―――」
「もう一越えッ!!」
「…………純、き―――」
「グッジョォォブ!!」
「………………」
親指立てながら鼻血出した。
何だこの娘。
「コホン……で、純、君はどうして僕の妹になりたいんだ?」
これなんだよ、何でいきなり押し掛けてまで僕の妹になりたいのか。
……おい、そこ、最初っから訊けよとか言うな。
295 :
290:2007/04/23(月) 00:28:52 ID:T8sf6G/V
「それは勿論! 私が詩音さまLoveだからです!! あ、後お仕事でー」
何だよその理由。
思わず失笑してしまった。
僕、見ず知らずの人間に慕われる程人格者だったっけ?
違うとしても、この娘とは何の面識も認識も無いし、僕にそんな魅力があるとは―――
―――ああ、そうか、【財力】、か。
遊ぶお金でも欲しい……そんな所なのかな。
それでこんなにも僕に媚びて……成程ね。
まあ、少しぐらいなら別に構わないな……適当に金をやれば帰ってくれるだろ。
「……それで? どれぐらい欲しいんだ?」
もう面倒だ。さっさと引き取って貰わないと、僕が困る。
だけど、彼女は……
「ほえ? 欲しい……? んー……そうですねー……詩音さま全身全霊の愛を頂ければ……」
……全く、ふざけてるのか、この娘は。
嬉しそうに頬を赤らめて、まるでそれが本音のように言いやがる。
演じなくても、別にいいのにさ。
「君が欲しいのはお金なんだろう? ……あげるよ」
「え……?」
目の前の娘が、北城純が、目を丸くして素っ頓狂な声を上げた。
そりゃそうだろうな、何もせずにお金が手に入るんだから。
「別にそんな媚びな
296 :
290:2007/04/23(月) 00:31:53 ID:T8sf6G/V
くてもさ、資産ならそれなりにあるし、一週間遊び通せるお金ぐらいは―――」
「……要らないですよ」
「…………は?」
耳を疑った。
....
要らないだって?
「……いい加減にしろよ」
段々イラついて来た。
そもそも、何で僕はコイツの相手なんかしてるんだ?
適当にあしらって帰してしまえば良いだけなのに……何故、出来ないんだ。
オカシいな……。
「本気でそんな事言ってるのか? ……違うだろう。欲に生きるのは人間……いや、生物として恥ずかしい事じゃ―――」
そこで、僕は言葉を切った。
彼女が、北城純が、僕を見つめている。
何も言わず、僕の瞳を覗き込む。
何だよ、僕をそんな眼で見るな。
そんな、濁りも汚れも裏も無い様な瞳で見据えるな。
「私は、詩音さまの妹になりたい……ただそれだけなのです」
フッと、北城純は目を僕から逸らす。
くそっ、何なんだコイツは。
何なんだよ、僕にどうしろっていうんだ。
「……一応、聞こう。本気か?」
「……! 本気です! 本気なのです! 『本気』と書いて『マジ』と読みます!」
「………………」
297 :
290:2007/04/23(月) 00:32:49 ID:T8sf6G/V
そうか、そうかい……面白いじゃないか。
―――僕の心に、一つの遊び心が芽生えた。
「……分かったよ、妹にはしてやれないが、君を雇おう、この屋敷で。それならどうだい?」
僕は言葉を続ける。
「ほ、ほほほほほほ、ホントですかー!? マジなのですかー!?」
「ああ、本当さ。……ただし、条件がある」
条件? と、北城純が首を傾げた。
その覚悟が、上っ面でないか、試してあげるよ。
「はっ! まさか、夜の相t「髪を切れ」
何か不穏な単語が聞こえて来そうだったので、取り敢えず遮っておいた。
「髪を……ですかー?」
きょとん、と僕を見つめる。
「ああ、そうだ。それと、一人称は『ボク』……僕だと被るからね。んでもって、着る服はスーツ。後、語尾を延ばすのも止めろ」
「ほえぇ……?」
「その『ほえ』とかも禁止だ。ついでに、僕の事は詩音『さま』じゃなくて詩音『様』と言うんだ。漢字の方が見た目厳格そうだし」
「え……えと……?」
「まあ、平たく言えばアレだよ、男装しろと言っているんだ。それで、僕専属の執事になって貰う」
「はあ……」
ぽかーん、と僕を見つめる。一気に喋り過ぎたかな?
まあいいや、その覚悟が本物なら、これぐらいどうって事ない筈だ。
ほら、どうだ? さっさと音を―――
「……分かりましたのですよ、詩音様!」
上げろよ。
本当に、マジで何なんだこの娘。
「……本気か?」
「本気っす!」
即答。
そして、当たり前の様に鞄から鋏を取り出して(何でそんなもん持ってるんだよ)、躊躇無く、抵抗無く、問題無く、バッサリと髪を切り裂いた。
298 :
290:2007/04/23(月) 00:34:32 ID:T8sf6G/V
唖然、としていたんだろうか、僕は。
悉く、北城純は僕の予想をぶっ飛ばして行く。
「……予想外だ」
「はっ! ソフトバ○ク!」
「古いネタを引っ張り出すな!」
……思わず突っ込んでしまった。
「コホン……で、本当に良いのか? 給料も出さないんだよ?」
「はい、詩音様が望むなら!」
「家の雑務も、全部君の仕事なんだぞ?」
「はい! 花嫁修行の一環です!」
嫌な顔一つしない。
ここまで彼女を突き動かすのは、一体何なんだ?
「……念の為言っておくが、君は仕事を辞めるまで、この条件で生活しなきゃならないんだぞ?」
「はい!! どんな苛めにも対応できます!! 万能型なのです!!」
「苛めって……君、僕の事何だと思ってるんだ……十八歳ですが……?」
「………………」
いやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやコレはないだろ。
どう考えても小学生か中学生です、本当にありがt(ry
……コホン、まあ、良いだろう、十八歳って事にしておいてやる。
性別は、言わずもがな女……じゃなくて男。
条件だしね、後、何かと面白いかもしれないし。
「出身は?」
「生まれは日本、育ちはフランスです!」
へぇ……帰国子女って事なのかな。
「後は……はいコレ、ここに拇印でもサインでも、自分の証明になる物を……何で印鑑持ってるんだよ。……え? 必要な時に困るから? ……用意周到過ぎて、何らかの作為を感じるな……」
「気にしないのが一番ですよ、詩音様!」
「気にするだろ、普通……」
ぼやきながら、書き終わった書類を二つに切り取り、半分を純へと突き出した。
「それを持ってれば、君は僕公認の執事だ。無くすんじゃないぞ」
「は……はいっ!!」
純は心底嬉しそうにソレを受け取ると、大事に大事に折り畳み、懐へとしまい込んだ。
そんなに喜ぶ事なのか、コレ。
299 :
290:2007/04/23(月) 00:35:33 ID:T8sf6G/V
まあいい、未成年だし、労働基準法に則って、八時間丁度ピッタリこき使ってやる。
嫌と言うまで、辞めると言うまで、続けてやる。
僕を、西園寺詩音を、嘗めるなよ。
「それじゃ」
「それでは」
『宜しくお願いします』
青年は不敵に微笑み、少女は無邪気に微笑えんだ。
300 :
290:2007/04/23(月) 00:39:46 ID:T8sf6G/V
以上、異常に長い投下文でしたorz
途中、分割ミスしてるのは見逃して下さい(・ω・`)
>>300 乙ですー
時代はメイドより執事な設定がイイ
文章は詳しくないから判りませんが、ボケとツッコミで面白く読めました
続きがあるなら気になります
>>301 リボンの騎士(アニメ)と不思議の国の千一夜が
男装萌えの原点だったなそういや
303 :
290:2007/04/24(火) 16:08:58 ID:BeMeWpCK
うわぁぁぁぁぁ!!ミスってるぅぅぅぅ!!
……すいません、
>>298の修正版↓に投下します
>>301 >>302 どうもです
現在第二話製作中……頑張りますよ(`・ω・´)
304 :
290:2007/04/24(火) 16:24:38 ID:BeMeWpCK
唖然、としていたんだろうか、僕は。
悉く、北城純は僕の予想をぶっ飛ばして行く。
「……予想外だ」
「はっ! ソフトバ○ク!」
「古いネタを引っ張り出すな!」
……思わず突っ込んでしまった。
「コホン……で、本当に良いのか? 給料も出さないんだよ?」
「はい、詩音様が望むなら!」
「家の雑務も、全部君の仕事なんだぞ?」
「はい! 花嫁修行の一環です!」
嫌な顔一つしない。
ここまで彼女を突き動かすのは、一体何なんだ?
「……念の為言っておくが、君は仕事を辞めるまで、この条件で生活しなきゃならないんだぞ?」
「はい!! どんな苛めにも対応できます!! 万能型なのです!!」
「苛めって……君、僕の事何だと思ってるんだ」
いかん…何かペースを持って行かれてる感じがする。
「とにかく、君を雇う手続きをするから質問に答えて」
「は、はいっ!!」
何故か身構える純を取り敢えず無視しておいて、誓約書を取り出した。
305 :
290:2007/04/24(火) 16:26:08 ID:BeMeWpCK
「君の名前は?(知ってるけど)」
「北城純です!」
「年齢は?」
「えーっと……今年で十八になります!」
聞き間違いか……?
「……もう一度聞こう、年齢は?」
「えと、十八歳ですが?」
「………………」
いやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやコレはないだろ。
どう考えても小学生か中学生です、本当にありがt(ry
……コホン、まあ、良いだろう、十八歳って事にしておいてやる。
性別は、言わずもがな女……じゃなくて男。
条件だしね、後、何かと面白いかもしれないし。
「出身は?」
「生まれは日本、育ちはフランスです!」
へぇ……帰国子女って事なのかな。
「後は……はいコレ、ここに拇印でもサインでも、自分の証明になる物を……何で印鑑持ってるんだよ。……え? 必要な時に困るから? ……用意周到過ぎて、何らかの作為を感じるな……」
「気にしないのが一番ですよ、詩音様!」
「気にするだろ、普通……」
ぼやきながら、書き終わった書類を二つに切り取り、半分を純へと突き出した。
「それを持ってれば、君は僕公認の執事だ。無くすんじゃないぞ」
「は……はいっ!!」
純は心底嬉しそうにソレを受け取ると、大事に大事に折り畳み、懐へとしまい込んだ。そんなに喜ぶ事なのか、コレ。
ホント下手すぎてorzですが投下します。
「通信士の歌」
青白い月影が、四角く切り取られて床に落ちていた。
飴色の木目に、長い年月を経て刻まれた大小様々な凹凸が散らばっている。
古びた長い廊下は、夜になれば行き交う人々も少ない。
突き当たりにある、オフィス兼寝室へ向かいながら、彼____クレメンス・ハインリッヒ大尉は腕時計を見た。
蛍光塗料の塗ってある短針が、ぼんやりと光って11時の数字に重なるところだ。
ほの暗い廊下に、彼の足音だけが廊下に響く。
月光に照らされたドアノブが浮かぶ彼のオフィス。
いつもならば帰るたび、窒息しそうな閉塞感にうんざりするはずだ。
だが今日は違った。
今日は―――いい玩具がある。
大尉は笑いをかみ殺しながらノブを握った。
ギュッ・・・・
油の足りない、耳障りな金属音が響く。
重厚な造りの金属のドアは、いつものように軋んで大尉を出迎えた。
電気をつける。
裸電球の黄ばんだ光に照らされて、いっそう殺風景なオフィスだ。
鼠色に塗装された棚や、書類が散らばる机。
コーヒーの飲み残しが干上がって、カップのそこに茶色い輪ができている。
間続きの寝室には、パイプベッドとサイドテーブル、それにウイスキーの瓶とランプしかない。
まるで逃亡者の住居のようだった。
―――うんざりするな。
檻のようなこの部屋は、通常の軍隊生活よりもさらに人間味を奪っている。
それはここが、機密の保持、防諜を目的とした建物である事に由縁していた。
買い取った古い洋館を諜報・情報戦の本部としてここに設置し、互いの任務を秘めた人間達を働かせているのだ。
壁は厚く、防音性に優れていたし、ガラス窓はごく小さい。
閉鎖的なのは建物の構造だけではない。
ここで働いている人間は、互いの仕事を詮索しないのが不文律である。
だから、隣の部署が何をしているのか大尉は知らない。
隣の部署も、大尉が何をしているのかは知らないし、詮索しないのだ。
それは楽でもあるが、同時に息苦しくもある。
特に、大尉のように通常の軍隊生活を経験した人間にとっては。
大尉は襟を少し広げて息を吐いた。
黒の軍服は、灰色の襟がついており、そこに階級章が縫い付けられている。
そして右胸には鷹のパッチ、ボタンは艶消しの金のもの。
膝下まである黒の長靴や、上着の上から締められた革のベルトなど、凝った意匠は兵士を精強に、スマートに見せていた。
欧州の小国でしかないこの国の、独裁政権は軍事に力を注いでいる。
その力の入れぶりが、軍服にも現れているというわけだ。
大尉は短く整えられた金髪を掻き毟り、あくびをした。
―――下らない。
情報部員として働く彼は、―――いや、彼らは、この国を囲む列強国がどれほど強いか知っている。
独裁者や軍部の盛んな国威掲揚が、どれほど空しいか知っているのだ。
勝つために国威高揚は必要だが、逆は必ずしも真ではない。
少なくとも彼は、この独裁者に忠誠を誓っているわけではなかった。
大尉はにんまりとする。
馬鹿真面目に仕事に没頭することはない。言われた事だけをやればいい。
それを上司も望んでいるんだ。
さて―――そろそろ約束の青年が彼のオフィスを訪れるはずだった。
「失礼します」
声と、ノックの音が来訪を告げた。
「入りたまえ」
立ち上がって応える。
すうっ、とドアが開き、細身の青年が姿を現した。
「エーリッヒ・マイヤー曹長であります、大尉殿」
帽子を小脇に抱え、青年は直立不動で名乗った。
癖のあるプラチナ・ブロンドをオールバックに撫で付けた、まだ幼さの残る青年だ。
「ご苦労。まぁ、なんだ。緊張するな、掛けたまえ」
パイプ椅子を出すと、大尉は曹長に勧める。
青年は、礼を言って座った。その間も、大尉はじっと曹長を見る。
「君は電信員で私の部署で働いてくれているね」
「はい」
曹長は背筋を伸ばしたまま返事をした。
彼は電信員―――つまり、モールス信号による無線通信を行う通信士である。
大尉の部署を担当しているが、曹長の能力は精鋭揃いのここでも抜きん出ているとの評判だった。
その上、かなりの美青年で、ひときわ目を引く。
惜しむべくは、彼がやや小柄であることくらいだ。
磨き上げられた大理石のような肌、美しい額、すっと通った余分なもののまったくない鼻筋、左右に整った眉。
その上、緑の靄がかった灰色の瞳は切れ長で、うっとりするほど長いすだれ睫で彩られている。
顎はすっきりと造形され、唇は凛々しく締まっていた。
モールスを打つ指先までもが、長く美しいのだ。
美形過ぎて冷たい印象も受けるこの青年だが、実際のところはかなり控えめな優男である。
「君の評判は実に素晴らしいよ。君のモールス信号は美しい、まさに芸術的な正確さだ」
伏せた目をちらりと大尉に向けて曹長は答える。
「光栄であります」
感情を感じさせない口ぶり。
この青年は、今まで取り乱した事などあるのだろうか―――大尉はふと思った。
「君を見込んで話があるんだ。といっても、君本来の仕事ではないのだが・・・気分を害さないでほしい」
手元の書類を見るふりをしながら、大尉はごくごく真面目な顔をし、切り出した。
「ある男を連れ出して、情報を聞き出したい。かなりの女好きなんだそうだが」
曹長はかすかに眉を顰めたが、何も聞き返さなかった。
「君が盛装して、彼の気をひいて連れ出してはくれまいか。なに、何もする必要はない。どこかの小路にでも誘い出せばいいだけだ」
大尉は、さも、本気で頼むかの様な口調で言った。
「心苦しいのだが、君なら必ず彼をおびき寄せられるはずだ」
苦笑いを浮かべながら、曹長を見る。
百戦錬磨の情報部員である大尉は、曹長の灰色の瞳にわずかに動揺が走ったのを見逃さなかった。
一瞬、指先を強く握った曹長は、それでも感情を表さない。
「・・・自分は、通信士であります。そのような仕事はお受けできません。その様な訓練も受けておりません」
平坦な口調で曹長は答える。
しかし、その瞬間、瞳は落ち着きなく周囲に視線を巡らしていた。
異常なほど発達した大尉の嗅覚―――彼の諜報の武器とも言える―――には、アドレナリンを含んだ汗の臭いを感知した。
「どうしても?」
「自分は美女ではありません」
伏目がちに、静かに答えた青年は少し、眉根を寄せた。
しばらく難しい顔をしていた大尉は、残念だ、と呟いてから頷く。
「そうか」
大尉は立ち上がり、手を後ろに組んで部屋の中を歩き始めた。
曹長の、抑えた不審の目が大尉を追う。
蛇のような目をしている男だ、と曹長は思った。
尖った鼻、ぎょろっとした鋭い目。情の薄そうな唇。
親愛そうな表情をしているのは欺瞞だと、皮膚で感じる。
「命令ではなく、君の了承を得てから頼みたかったんだが」
大尉は息をついた。
「仕方ない。諦めるしかないだろう」
「申し訳ありません」
その答えに内心安堵した曹長はしかし、すぐにこの部屋の不穏な空気に気付いた。
大尉の足音が曹長の後ろで右往左往する。
何かがおかしい。鼓動が再び早まる。
曹長の頭の中で警報が鳴っていた。
ふと、足音が離れる。曹長はわずかに体をねじって、大尉を顧みた。
大尉は、ドアノブに手を掛けていた。しかし、ドアを開けるのではなく、―――鍵を閉めた。
その顔は、影になって見えなかった。
「―――何を」
・・・おかしい。
曹長がはっきりと危険を感じたときには、もう遅すぎた。
大尉は、曹長に歩み寄った。そして、肩に手を置いた。
彼の唇は歪んでいる。
「生理は、終わったのかね、エーリッヒ?」
「・・・何を、言っているんです?」
わずかに目を見開いた曹長―――エーリッヒの喉が生唾を嚥下する。
「無駄な嘘をつく努力をしなくてもいい」
出口を塞ぐようにして立つ大尉の目には、蛙を狙う蛇の眼光が宿っていた。
「一昨日まで、血の匂いがしていたよ。それに、女の匂いがする。君自身のね」
一瞬、曹長の表情が固まる。そして、思わず、怯えと驚きの目で大尉を見返した。
全身の血が凍ったようだ。
ざーっ・・・と、血の失せる音がした。
そして、最悪の事態―――あるいは予感が頭をよぎっていた。
「君が女なら、さぞかし美しい女だろう、と思ってはいたが―――」
白く滑らかな首筋を、大尉が撫でる。
「まさか、本当に女だとは思わなかったよ。盲点だった」
曹長の、大尉が額に述べた手を追う眼球だけが動いている。
撫で付けられた、曹長の銀髪を大尉はそっと崩した。
「何を―――、馬鹿なことを」
「では、その、『馬鹿みたいに当然』のことを証明できるかね?」
指先で梳かれると、細い絹糸のような髪はさらさらと崩れていく。
顎にかかる位の長さの銀髪が落ち、緩やかにカールした癖毛がふわりと頬を覆う。
凛々しい青年は、それだけで少年のような少女のような、不思議な雰囲気を宿した。
金縛りに遭ったように、凍ったまま動けない「彼」はようやく我に返った。
「僕に、僕に―――これ以上近寄るな!!」
弾かれた様に大尉の手を払い、立ち上がって後ずさりする。
蒼白な表情で、睨みつけるその表情には氷のような冷たさがあった。
毒蛇。その言葉が曹長の脳裏をよぎる。
嫌だ、嫌だ嫌だこんな男には―――相変わらず嫌な笑みを浮かべているこの男は。
薄ら笑いを浮かべてはいるが、その面の皮の下には獣性が透けて見えているではないか。
「大尉殿、あなたは―――」
「そう怖がることはないよマイヤー曹長」
絡みつくような視線で、大尉はほっそりしたエーリッヒの身体を上から下まで舐め回す。
「道理で君の経歴は一切抹消されている筈だ。射撃の成績がすこぶる良かった事くらいしか記載されてなかった」
エーリッヒは無意識に、かぶりを振る。
彼の背中に、後ずさりを阻む壁の感触がした。
ああ―――これが絶望の感触なのか。
彼はもはや、籠の中の小鳥と同じである。
「いい顔だ」
世界がゆっくりと崩れていく。
へたり込んだエーリッヒに、大尉はゆっくりと歩み寄った。
子供をあやすように、その滑らかな顎を撫でる。
瞬きすることを忘れた、淀んで凍結した瞳がまっすぐに彼を見返す。
何もかも嘘だ―――大尉の、「女装」とやらも、真面目に考案したものとは思えない。
恐らく、こちらを出方を伺う為のブラフに違いないのだ。
エーリッヒはもう一度、ギュッと大尉を睨む。
その表情こそが、大尉を猛らせるのだと彼は知らない。
「・・・どうして」
吐き出すようなその問いは、誰に向けられたものでもない。
大尉はゆっくりと傍らにしゃがみこむ。
もはや構うことなく、その手を胸元の釦に伸ばした。
エーリッヒはその手首を掴んで抗うが、それも空しい抵抗だった。
「制服を破られたいのかね?」
ニヤニヤと笑いながら大尉はエーリッヒの手首をひねり上げ、したたか壁に打ち付けた。
「・・・っぁつ!!」
痺れる様な激痛が骨を揺さぶる。
痛みにあえぐ声が、獣をますます煽らせた。
堪えきれなくなった大尉が、エーリッヒの肩を壁に押し付ける。
「心配しなくていい、利き手とは逆の手だ」
「やめっ・・・」
そしてそのまま、大尉は、貪るように唇を奪った。
閉じられた唇を無理やりこじ開ける。
ふっくらと張った唇を甘咬みし、蛭のような舌で舐め回す。
そのまま、顎から首筋へと舌を這わせ、喉元に歯を立てた。
「ひぁっ・・・や、止め、て」
哀願するような声はもはや、毒蛇を喜ばせる以外の効果はない。
エーリッヒの、首筋の脈の柔らかな鼓動を唇で楽しむ。
すすり泣きの声と、柔らかな震え。哀れな餌食の呻きだ。
その間もエーリッヒの上着の釦を外し、ベルトの金具を除く。
それが終わると、大尉はその細い腰に腕を回し、軽々と彼を担ぎあげた。
外されたベルトががちゃん、と床に落ちた。
驚きで身を固くする彼に構いなく、間続きの寝室へと入る。
「・・・やだっ!僕は・・・嫌だ」
床にぽとり、と涙が落ちた。
美しい青年だった女は、もう羽を切られたカナリヤも同然だ。
ああ、いい声で啼く小鳥だ―――大尉はほくそ笑む。
パイプベッドにエーリッヒを降ろすと、そのまま彼―――彼女にのしかかった。
彼女は涙に濡れて歪んだ顔で見返す。
上着ははだけて、シャツ一枚に覆われた胸は呼吸に上下している。
凛とした美青年の顔は怯えた美女に変わっていた。
「エーリッヒ・・・いや、エーディット?」
彼女は名前を呼ばれて顔を背ける。
「経歴が抹消されていても、家族の氏名から身元は割り出せるんだよ。マイヤー曹長、君の兄には弟はいない」
きつくまぶたを閉じたエーディットの横顔。
大尉はその横顔を食い入るように見つめた。
うなじや、眩しいほど白い首筋が堪らなく扇情的だ。
それだけではない。
シャツの釦を外すたびに、滑らかな蝋に覆われた皮膚がまた露になる。
繊細な鎖骨、肺のふくらみにあわせて上下する鳩尾、しなやかな腹筋に覆われた腹部、そして余分なものがそぎ取られている腰。
温かく、柔らかそうな肉はやはり期待した以上の価値はありそうだ。
慌てて襟元を寄せて、胸元を隠そうとするエーディットを、大尉は許さなかった。
息が徐々に荒げていく。非力なか細いエーディットの手首を掴み、顔を寄せる。
「いいね・・・いい抵抗だ。もがく子猫のような」
・・・や、いや、と、無意識にエーディットは呟き続ける。
その声は誰に届かない。恐らくは、彼女自身にも。
まだ痺れているはずの手首を、容赦なくひねりあげる。もう片方も、彼の腕力ではたやすい。
そのまま、彼女の両手首を、大尉は自分のベルトで締め上げた。
「何をする!・・・や、やめて!!」
顔を真っ赤にして叫ぶエーディットの耳までが熱い。
上半身を捻って抵抗する様は、尚の事大尉をそそった。
エーディットのシャツを捲り上げる。
琥珀色に照らされた、しなやかな裸身が晒されて―――
本当に控えめな、柔らかくて小さな膨らみが覗いた。
「――――あーっ・・・うっ・・・」
思わず、声が漏れる。
今まで、全てを隠し通したのに―――
エーディットは、全てが壊れていく気がして絶望のうめき声を上げた。
まさか、こんな男に陵辱されるなんて・・・
「心配するな、仕事に楽しみを与えてやる」
太い、骨ばった手指が彼女の小さな胸を押しつぶした。
指先で転がすと、柔らかなその先端が膨らみ、こりこりとするのが分かる。
何度も激しくもみ上げられると、すっかりその薄紅の蕾は屹立しきった。
「んんん・・・っ」
否応なく反応する身体が、憎くて惨めだった。
丁寧で、思いのほか優しいが、やはり執拗なその愛撫は、エーディットの精神と身体を剥離する。
上着とシャツがはだけ、ズボンとブーツを履いたままのその姿は不思議な、そして猥らな格好だった。
未だ、本当にどこか青年のような中性的な雰囲気がある。
ひどくその容姿は倒錯しているのだ。
その顔は美しく歪んで、おぞましいほどの色気があった。
熱を持ったその頬や、苦しそうに呼吸を繰り返す肉厚の唇、零れそうに潤んだ瞳。
屈辱にまみれながら、一方でその愛撫の感触を確かに感じている。
「やっ、めてぇ・・・、大尉、殿ぉ」
身を貫くほどの不快感。
そして、微弱な、快感の電気信号が全身の皮膚を這う。
脳では不快を感じながら、その蕾は刺激に快感を感じつつあるのだ。
指先で先端を弱く刺激し続けながら、大尉は首筋に吸い付いた。
刹那、エーディットの吐く息が熱く擦れた。
刺激には敏感な女であるらしい。
刺激を感じるその度、彼女はわずかに腰を浮かせる。
エーディットは、吐きそうなほどの嫌悪感に襲われながら、一方で腰が蕩ける様にむずむずとし始めたことに愕然とした。
そんなことは、認めたくなかった。
体中の血がざわざわと逆巻いている。
彼女にとっては、体験したことのない未知の感覚のはずだ。
「違っ・・・!はあ・・・ぁぁん」
彼女は悶えながら、返事にならない呻き声を上げる。
ちゅ、じゅるっ・・・
わざと音を立てて、その膨らんだ蕾を吸い上げると、指がぴくぴくと震える。
むわっとする様な女の匂いを、大尉の鼻腔は捕らえた。
「そうか、縛られるのがいいのか」
「違うの、ちが、違うっ・・・!」
否定する語尾は震えて、喘ぎと混じりあっていた。
朴訥に仕事に打ち込んできたこの男装美女は、今まで身体を開いたことが無かったのだろう。
毒蛇の歯牙に掛かっても、成すすべが無いのだ。
切なそうな呻き声を上げ、潤みをたっぷりと抱いた瞳で大尉を見つめ返す。
縛られて感じる、というのもあながち間違いではなさそうだ。
ふと、大尉は、自身の痛いほどの高まりに気付く。
気付いた瞬間暑くなり、上着とシャツを毟るように脱ぎ、床に投げ捨てた。
目立つ為の筋肉というよりも、実用のために絞り上げられた褐色の肉体が現れる。
そのまま、一旦エーディットの上から退き、彼女の両脚の間に滑り込む。
彼女の長靴も乱暴に抜き、ズボンに手をかけた。
強い拒絶の意思でエーディットが叫ぶ。
「もう許して!やめて!」
脚をばたつかせるが、腰が抜けて力が入らない。
「もう?まだ何もしちゃいない、曹長」
ズボンの釦を外し、強引に引き抜く。
「いやぁぁぁ、ぁぁぁああああ!!!!」
悲鳴とともに、白く滑らかな、美しい脚が零れた。
細いだけではない、よく鍛えられた、引き締まった脚だ。
床にズボンを投げ捨てる。
大尉は舌なめずりした。残っているのは小さな下着だけだ。
飾り気の無い青の下着には、じっとりと湿った染みが広がっている。
「嫌という割には、随分気持ちいいみたいだな?」
わざと大仰に、下着の上から指先でそこを撫でる。
「っ・・・ぅん、やぁっ―――」
堪えた嬌声が上がる。
下着越しにでも、そのたびに溢れてくる生ぬるいヌルつきがはっきりと感じられた。
肉の襞を何度も強くこする。
「ひ、ひぁっ」
下着とそこの間には、もはや彼女自身でも分かるほど、熱いとろみが溢れていた。
わずかな刺激に反応して、腰がびくびくと反っている。
中はさぞかし気持ちいいのだろう―――大尉は生唾を飲む。
慰み物にするだけのつもりだったが、こいつはしばらく手放せなるかもしれない。
あの、取り乱したことのない美青年の同僚を犯している―――その背徳感が一層興奮を高めた。
普段の、冷静で無口で、冷め切った目で大尉を見ているあの青年は、どこにもいない。
あの、輝くばかりに美しく、湖のように冷たく静かで、何もかもに恵まれている、憎らしい青二才が、こうやって喘いで組み伏せられている。
その優越感、支配感は彼を酔わせた。
「君は素晴らしいよ、エーディット」
下着越しに嬲りながら、大尉は満足げな表情で呟いた。
エーディットは目の縁を赤く腫らしながら、それでも尚灰色の瞳で大尉を睨みつける。
大尉は彼女を更に絶望させたくて、力任せに、下着を引き裂いた。
ミリミリミリッ・・・と音を立てて、左腿の付け根の生地が破れる。
後は、適当にずり下げてしまえば行為の邪魔にはならない。
大尉は彼女が、絶望におぼれていくのがはっきりと分かった。
柔らかく、薄めなその繁茂に包まれた肉の襞が現れる。
エーディットは、絶望に、今度ははっきりと嗚咽した。
そっとその襞を撫で上げると、透明な蜜がとろりと指につく。
赤く色づいたそこは、彼女の意思とは裏腹に、雄を誘ってやまなかった。
「―――んっ!あぁ」
嗚咽に短く喘ぎが混じる。出したくないのに声が出てしまう。
「我慢しなくていいんだ、エーディット。ここは角部屋で、隣は機械室だからね」
身体を屈め、エーディットの耳元で大尉は囁いた。
人差し指をその秘部に差し入れ、くにゅくにゅと肉を弄る。
本当はすぐにでも、中にねじ込みたかったのだが―――それでは、処女の「彼」が余りに憐れだ。
大尉は見当違いな心遣いをしながら、指で中の蜜を掻き出した。
粘性の高い雫が、指を伝ってシーツに落ちる。
隠し切れない快楽の声が、悩ましくエーディットの唇から零れた。
「はぁ、はぁ、あぁぁぁん」
腰をくねらせる。
恥辱と、罪悪感と、憎悪を弾けそうなほど抱きながら、エーディットは、隷属する快楽に目覚めつつある自分に戦慄した。
肉体は、彼を迎合している。
「とんだ淫乱だな?曹長。気持ちいいんだろ?」
「い、いや、いや」
大尉は、伏して大腿の付け根に強くキスをした。
真っ白く、血管の透けるような皮膚に、赤い痣が残る。
この女に最初に踏み込んだ証だ。
そのまま、舌先で蜜を舐めとる。
新たな刺激に、エーディットの脚がびくんと跳ねた。
肉の間に舌をねじ込ませると、ぎゅっとキツい圧力が彼の舌を締め付ける。
「だ・・・めぇ―――やめ、てぇ」
舌先で肉壁をこねくり回すと、エーディットの両脚が行き場なく伸縮した。
粘膜同士がこすれる感触に、彼女はすでに限界近い悦楽を感じている。
腰全体から大腿までが熱く、血が逆流しているようだった。
「っ、―――はぁああぁ」
上ずった声が溢れ出す。
舌先で秘部を攻める大尉の舌先に、蕩ける様な蜜が触れる。
痙攣したように、彼女の脚が硬直した。
小さな頂を迎えたのだ。
大尉は、その小造りで美しい秘部に、そっと口づけする。
そして、激しく呼吸するエーディットの腰に手を回した。
もう我慢がならなかった。
「犯してやる」
放心状態のエーディットに聞こえたか聞こえないかは分からない。
だが、そんなことにお構いなく彼はズボンと下着を下ろした。
既に我慢を重ねたそれは、痛いほど赤黒くそそり立って脈打っている。
彼は、絡みつく蛇のような手つきで、エーディットの上半身を抱え上げた。
まだ、エーディットは放心したままだが、そんなことはどうでもいい。
呼吸も荒くなり、もはや一刻の猶予もないというような風情だ。
互いに、座ったまま抱き合うような姿勢で身体を密着させる。
エーディットの腕の間に頭を通し、大尉は彼女の尻肉を掴む。
そのまま彼女の身体を持ち上げ、自身の先端でそっと襞に触れた。
「・・・・っ!」
いやいやをして、わずかに抵抗するエーディットを顧みず、彼はそこに狙いを定めて突き立てた。
肉が裂けるような、巨大な異物が割って入ってくる激痛に、思わずエーディットは悲鳴を上げる。
「は、ぁっ!い、痛い!や、めて!出して!」
その鋭い痛みで意識が戻ってきたエーディットが、身体を捩じらせて暴れる。
だが、彼女の自重は容赦なく身体を沈め、遂に全てを銜え込んでしまった。
「い、た、―――ぃぃい」
新たな涙がまた溢れて零れた。
呼吸で膨らむ大尉の下腹が、粘液と交じり合った血でぬらぬらと汚れている。
「ぁああ、・・・いい子だ、エーディット」
微かに喘ぎながら、大尉は彼女の名前を呼んだ。
毒蛇の牙は、柔らかなカナリヤの身体に突き刺さり、毒は牙から回り、いまやカナリヤは全身が毒に蝕まれている。
「ふ、ふぅ、あぁ」
エーディットの大腿が、痛みのやり場を求めて大尉の胴をぎゅっと挟む。
とろとろと蕩けるような粘膜の壁は、きつく彼のモノを締め付けていた。
身体と心に穿たれた熱と痛みに、エーディットは俯いてぽろぽろと涙を流す。
「酷い、酷い・・・、ひどい」
エーディットは、何もかもを一度に失くしてしまった気がした。
今のエーディットは、有能なマイヤー曹長でもなく、美青年のエーリッヒでもなかった。
ただ無力さをかみ締める、一人の乙女なのだ。
「問題ない、今に良くなる」
向かい合ったエーディットの、その薄く閉じられた瞼に大尉はキスをする。
その後もう一度彼女を抱きなおし、結合を深くした。
触れ合った皮膚と皮膚の下には、互いの血潮がこれ以上なく盛んに流れている。
揺するように、大尉が腰を動かし始めた。
最初はゆっくりと、柔らかく前後させる。
「んっ・・・!」
ぐちゅっ、と卑猥な音が響く。
壁を擦るそれを、エーディットははっきりと感じた。
泥を踏みしめたような湿った音が、部屋に響き始めた。
吸い付くような肉の壁が、男根と絡み合う。
「ど、うだ、曹、長」
焦らすように緩やかな出し入れをしながら、大尉は彼女の表情を見た。
耐えるように唇を噛み締め、虚ろな目でエーディットは大尉を見ている。
明らかにその表情は快楽に呑まれつつあった。
「ん、ぁ・・・ふうっ」
問いかけに返す言葉はもうない。
膣全体が熱を持ち、今にも腰自体が蕩けてしまいそうだ。
結合部からは、粘性の雫が絶えず溢れていた。
脳の中枢までもが融けているようだ。
エーディットの表情を確認すると、大尉はピッチを上げ始めた。
「ん、ぁ、ぁ、あ、ああああ」
徐々に激しく揺さぶられながら、はっきりとエーディットは歓声を上げる。
ぐしゅ、ぐしゅっ、と子宮を掻き回される度に、加速度的にその熱はエーディットの身体に拡がった。
「あぁ、いい、いいぞ、とんでもなく淫らだ」
突き上げながら大尉は思わず上擦った。
波打つ下腹が烈しくぶつかる音が響く。
繰り返し強くなる淫楽にエーディットは仰け反った。
縛られて、行き場のない手は固く握り締められている。
「は、ぁ、ぁ、あ、あ、あ、あ、ん」
突き上げるリズムに合わせて嬌声が波打った。
「こ、ん、なの、ダ、メぇ、ぇっ」
全身が痺れるようだった。
「何が、ダ、メな、んだ、この、淫、乱が」
エーディットは、はっきりと自分から腰を動かしていた。
沈み込むたびに、互いの喘ぎが漏れる。
まるで、膣の中で二人の粘膜が融け合っている様だった。
快楽を貪る女の表情が、目の前で揺れている。
もう限界も近い。
下腹部や大腿までもが混じりあった粘液で濡れていた。
「あぁぁぁ、ん、大、尉殿!」
切ない声でエーディットが呼ぶ。
「エー、ディ、ット!」
大尉は、膣の中へ渾身の力で押し込んだ。
「――――ぁぁああああああ!!!」
張り付くような粘膜に、男根が絞り上げられる。
「ん、あ、だめぇぇえええ――」
エーディットの、絶頂の声が上がるのを聞きながら、大尉は中で果てた。
震える手で釦をかけながら、「マイヤー曹長」は泣いていた。
唇を咬み、憎しみに燃えた瞳で一点を見つめる。
後ろでは、乱れたシーツの中でハインリッヒ大尉が寝転がっていた。
すべてを、彼に否定された。
有能な軍人、秀才の通信士、そしてエーディットである自分をも。
ただ、女であるというだけで。
滾る殺意が、自分と大尉に向けて暴れている。
逃げるように部屋を出ながら、彼女ははっきりと、大尉に向けて言った。
「あんたを殺してやる。必ず」
―――殺さなければ、目覚めかけた「女」を葬ることができない気がした。
それから、彼女は、部屋に帰って叫ぶように泣いた。
以上です。
自分でもまだまだ拙い文で申し訳ありませんorz
GJです!
雰囲気のある文章だと思います
秘めた背徳さと相まって、良かった!!
GJです
GJ!!!!
素晴らしいです。
が、陵辱苦手なので一言書いておいて欲しかったな……
>>324 うわわわわ、失念しておりました。本当に申し訳ありませんorz
>>321-323 力不足の作品に、もったいないお言葉ありがたいです。
>>325 いやいや普通にGJ!!!!だと思うぜよ
もっと自信持っても大丈夫だと思うぜよ
GJ
軍人物は初めてだったので楽しませてもらいました
もし続きがあったらみてみたいです
スレ占拠申し訳ありませんorz
>>326-327 本当にもったいないお言葉ありがとうございます。
パソコンが急逝してしまい、少し間が空きますが、稚拙ながらまた投下させて頂きますのでよろしくお願いします。
ほしゅ
職人様もGW?
「なあ、お前男の制服とか着たら似合うんじゃね?」
ある日の、何気ないアイツの言葉。
……真に受けたわけじゃないのよ? 絶対違うんだから。
ただ、ちょっと、その、何というか……自分の可能性、みたいな?
そういうものを試してみたくなっただけというか、好奇心猫を殺すというか、
認めたくないものだな自分自身の若さ故の過ちというものをというか……。
「これ……あたし?」
アイツの制服をこっそり拝借。
髪は後ろで一つにまとめ。
覗いてみたよ鏡の中を。
いつもツインテールにまとめている、ちょっと自慢な長い髪をまとめるだけで。
いつもと違う男ものの服を着ただけで。
そこにはあたしじゃないあたしがいた。
「……むっ」
ちょっと凛々しそうな表情を作ってみる。
「……あはっ」
ちょっと爽やかそうな笑顔を作ってみる。
まごう事なき美少年。
「って私ゃナルシストかっ!」
……ツッコミをしても一人……だと思っていたら。
「ほほぅ」
「なっ!?」
振り向けば奴がいた。
「な、な、な、な、な、な」
「いや、ちょっと辞書借りようと思ってさ」
「い……いつも言ってるでしょ、ノックしろって!」
「したけど返事なかったし。いないかと思ったらこんな事してるしさ」
「………………いつから?」
「『これ……私?』から」
最初っからかいっ!?
「じゃあ、辞書借りてくぞ」
「ちょっと待ってよ!」
「なんだよ」
「な……何か、言う事は無いのっ!?」
「何かって……」
「べ、別にアンタの為に着たわけじゃないし、特にアンタに言われたから着たくなったわけでも
無いし、単に何となく着たくなったから借りて着ただけだけど……見ちゃったからには
アンタには感想を述べる義務があるわっ!」
「ん。そうだな。やっぱり思った通り似合ってると思うぞ」
ぼっ。
顔に火がつく音が聞こえた気がした。
「じゃぁな。明日着てくんだから、早めに返してくれよ」
「……ば、馬鹿ぁっ! 返してなんかやらないんだから!」
扉の向こうに消えるアイツに、あたしは手近にあった枕を投げつけた。
次の日。
「……あのねぇ」
「いや、だって仕方ないじゃん。お前俺の制服返してくれないし。」
そこには美少女がいた。もとい。美少女っぽいものがいた。
「だからって……何であたしの制服着てんのよ!」
アイツがあたしのセーラー服を着て、立っていた。
当然、あたしはアイツの制服を着て、その横にいる。
美少女と美少年。ただし性別が逆さま、みたいな。
アイツの髪はご丁寧にいつものあたしのようなツインテール。
軽く化粧までしている辺り、何がやりたいんだコラ。
……なんかあたしよりセーラー服似合ってないか、コイツ?
「ま、俺は気にしないし。このまま行こうぜ」
「行けるかぁっっっっっ!!!」
……結局、その日あたし達は遅刻した。
ありがちなのにオチ読めんかったw
こういう軽いのもいいねぇ。
GJ!
続編キボン。
なんか甘酸っぱくていーね。
夏季文化祭なるものがある我が高校。
その開催の、何週間か前。
「仮装喫茶ぁ?」
「そ」
文化祭の出し物と言えば、定番なのは喫茶店かお化け屋敷。
まあ、ただ単に定番をそのままやったんじゃ芸が無い、ってんで
ひとひねり入れるわけだけど……ひとひねりいれた結果も、また定番に落ち着くのよね、大体。
「……コスプレ喫茶、って事?」
「言葉をオブラートに包んだ結果、仮装喫茶」
「ぺらっぺらのオブラートね……」
別に何やろうとも異論は無いけど。そもそもクラス違うしね。
「あ、そういえば言い忘れてたけど、お前うちのクラスに借りたから」
「へ? 何よそれ?」
「だって、うちのクラスレベル高いのあんまいないし」
「え、あ、う」
な、何よ……い、いきなり、そんな、まるで、あたしがレベル高いような、そんなみたいな事を
言ったりしてくれちゃったりなんかして……ま、まあ別に嬉しくなんか無いけどさっ!
「構わん?」
「べ……別に、いいけど……でも、うちのクラスは舞台劇を」
「あ、お前さえ良ければ後は問題ない。もう了解取ってるし」
「………………はあ!?」
「担任にも、そっちの実行委にもOK貰ってる。あとは当人の承諾だけだったんだが、よかったよかった」
「……なんで人の与り知らぬ所で話がまとまってるわけ?」
「さあ?」
さあじゃねえだろコラ!?
「ま、そういうわけで、よろしく」
明日級友問い詰めるのはケッテーね。
「……わかったわよ。手伝ってあげるから感謝しなさい」
「うん、感謝感謝。そういうわけで、お前にはウェイターやってもらうから」
「ウェイトレス? やっぱりメイドみたいな格好したりするわけ?」
「え? ウェイトレスじゃないよ。ウェイター」
「……どゆこと?」
「この前俺の制服着てたのエライ似合ってたしさ」
ドキン。心臓が大きく高鳴った。
「ちょ……こ、この前の事は忘れなさいって言ったじゃ」
「嫌ぷー。というわけで、はいこれ」
手渡されたのは、いわゆる男用の給仕服。女の子のそれのように、余計な装飾が付いていない、
実用一点張りの機能的な服。
「……これ、着ろっていうの?」
「そ、俺がバイト先で使ってる奴だけど、多分サイズは合うだろ。この前もバッチリだったし」
「アンタの、なの?」
それを意識した瞬間から、どんどん鼓動が早くなるのがわかった。
思わず悲鳴を上げてしまいそうな程に。
「そ。何か問題でも?」
なんで、こんな……緊張? ドキドキして……。
全然わけがわからない。わからないまま、あたしは頷いていた。
「……い……いいわ。着てあげる。だけど」
「だけど?」
「着たら……まずアンタが見てチェックしてよね。変な所があったら、他の人に見られたら恥ずかしいし」
「そんくらいならお安い御用」
「へ、変な意味で言ってんじゃないんだからね! もうアンタには恥ずかしい所見られてるわけだし、
毒食わば咲良までというか、アンタになら見られてもいい……わけじゃなくて、誰かに見てもらわないと
チェックもできないし、仕方なくよ仕方なく! わかった!? OK!? 無問題?! って……」
……もういないし。
いつの間にかアイツは自分の部屋に帰ってしまっていたようだ。
「………………ふぅ」
あたしはため息をつくと、アイツに渡された服を胸に抱きしめた。
「……アンタに、見てもらいたくて着るわけじゃ……無いんだから」
笑みが漏れたのも、ちょっとだけ鏡の向こうの美少年に会えるのが楽しみだったからってだけで、
他意はないんだからね!……ってやっぱりあたし、ナルシストの気があるのかな……?
夏季文化祭、その当日。
「………………」
ウェイター服に身を包んだあたしは、固まった笑顔を振りまいていた。
今回は男っぽく見えるように化粧まで施し、ツインテールの髪はカツラの中に押し込まれている。
教室の外から、度々こちらに視線が送られてくる。それも好奇の視線ではなく、なにやら熱のこもった視線が。
それなりに、化けられてはいるんだと思う。
実際、アイツもまた褒めてくれたし。って別にそれが嬉しかったってわけじゃなくて、そう評価してもらえるだけの
器量が、男の格好したあたしにはあるって事であって――
ま、まあいいのよ、そんな事は!
「五番テーブル、指名入りましたー」
問題は――アイツだ。
「はーい、ただいまー」
呼ばれて飛び出て、アイツが駆けて行く。
どこからどう見ても、可憐な美少女が。
「………………」
痛むこめかみをもみながら、それでもあたしは固まった笑顔を絶やさない。
そんなあたしの前を、愛想を振りまきながら、メイド風給仕服に身を包んだアイツが走り回っている。
「……こんなオチよね、どうせ」
――結局、アイツのクラスは文化祭売り上げ第1位を記録した。主にアイツ目当ての客で。
何というか……別にあたし要らなかったんじゃ……?
軽く鬱になりつつ、複雑な感情に頭をぐるぐるさせながら、あたしはいつものセーラー服で帰途についた。
「あ、一緒に帰ろうぜー」
ええい、その格好で帰るなっ!
このスレで知った傭兵ピエール。
すごい引き込まれて一気に読んだが、ジャンヌよりピエールに萌えてしまった…orz
結婚後のジャンヌはもっと優しくあって欲しかったよ…エロシーン多いのにびびった
偶然。自分も今日読み終わったところだ。結構時間かかったけど。
ジャンヌはあれでよかったと思うよ。
ラスト近く、結ばれる直前のジャンヌが一番萌えたけど。
そして
>>333GJ!
月下桜園3話目投下
今回は前編
「さ、いくよ。……いち、に、さんっ、…………
どうして合わないんだ!雨宿、もっと早く!」
「お前が早いんだよ新珠……、はぁ、はぁっ、……俺は無理だ……」
「これ以上遅く走ったら勝てないよ? 全力で勝つ。ぼくの主義だ」
「クラスで五本指の俊足と運動音痴年中補欠が二人三脚という設定がそもそも有り得ない……」
「決まったことだ。泣き言を言うなんて君らしくない。さあ、もう一度!」
「13回目だな、……」
五月最後の週末に行われる体育祭、2年間補欠扱いで逃げおおせていたのだが、
この3年クラスは人数が少なく学園生活初の運動競技に出る羽目になった。
しかもまた出席番号で頭から4人で二人三脚? 雨宿新珠市原奥丁字と嵌められた気分だ。
「今日中に組み合わせ考えろってさ、オレと奥丁字、雨宿と新珠で決定っとな、終わり〜」
「20pも身長差があってどう走るんだ? 近い者同士で組むのが自然だろう? 183,178,167、163で、俺とお前、新珠と奥丁字だ」
「運動音痴と走りたくねえーよー、決まり! じゃーなー、今日はチアガールの撮影だぜひゃっほう」
市原は、いかにもこれ以上の討論は無用とばかりに、俺と新珠の背中を叩き浮き足だって出て行った。
誰からともなく3人の間から溜息が漏れた。
「奴の言う事を聞くことは無い、合理的なのは身長順に変わりない」
「……でも、市原が結局押し通してしまうから、僕は大丈夫だよ。雨宿君よりちゃんと努めてみせるから。走りには自信あるよ、これでも」
にこにこと受け入れる童顔の眼鏡少年が俺より速く走る事は確実に分かっている。
しかしだな、新珠と俺の顔を見比べながら落ち着かない素振りをして言われても困る。
「ぼくは二人三脚は初めてなんだ。一緒に練習してくれる?」
机に両肘を付いて、にいっと笑う新珠、ほっとしている奥丁字、一人で頭を抱える俺。
「勝ちたくないのか、おかしいだろこの組み合わせ……」
腰まである艶やかな髪をひとつに束ねて覗く項にはうっすらと汗が浮かんでいる。
腕に背中と細い肩、間近に迫る綺麗な横顔――色気のある状況では全く無い。
そんな事に気を回す余裕も有りはしない。
「……バイトの時間が近いから終わりにしてくれ……」
28回目で俺は完全に根を上げた。
「そうだね、ぼくも組対抗の応援合戦の練習に行きたいんだ。後輩達が頑張っていてね、もう2週間も前からやってるんだ」
「ああ、じゃあな」
「体育祭まで5日間、二人で頑張ろう!」
涼しい顔をした新珠と対照的に、息が上がって肩を落として歩く俺は同年代かと疑わしい。
努力云々以前に問答無用に向いてないんだ、体力ものは。
意志の強さを表す大きな瞳でいつも前を見ている――新珠燐。
背筋を伸ばして凛々しく周囲の視線を受け止める、学園内で知らない者はいない美少年が、
校内一の美少女である事を知っているのは家族と関係者以外ではおそらく俺だけだ。
3年で初めてクラスが同じになり何故か俺をライバル視する奴がひょんなことから女だと知り、
違う世界の人間だと考えていた相手と交錯した。
1日経ったが事態に変化は無かった。
「どうして上手くいかないんだろう……?」
「原因は明白だがな……」
更に翌日。
「もしかして、ぼくたちは気が合わないのか?」
「本来接点があると思っていた?」
「よし! 一緒に生活したら波長が合うに違いない」
「何だその超展開っっ!!」
『お帰りなさい、ご飯にする? お風呂? それともあ・た・し?』
部屋に帰ったら成績優秀容姿端麗性格…良好な憧れの娘が出迎えてくれる……
ベタ甘なお話で定番ネタだが、いや、実際こんなシチュエーションは困惑するだけだが心情では正にこれだ。
勿論眼前の彼女は、おたまを持ってフリル付きの裸エプロンで満面の笑みなどでは無く、
ベージュのシャツにブルーグレーのストレートジーンズの出で立ちで当惑する俺を訝しげに見つめている。
「本当に来たのか」
「ぼくの部屋の方がいいと思うんだけど、君、来ないかもしれないじゃないか。それじゃあ意味ないし」
21時半にバイトから帰ってきた所をさも当たり前の様に出迎えて、俺の机で本を広げている。
「無駄な努力だと思うぞ」
「する前から諦めるのは良くないよ」
「どうやって部屋に入ったんだ」
「ん?ここの鍵がぼくの部屋に合うってことは、反対も然りだろう?」
「……せめて机を開け渡してくれ」
場所を取り戻して自分の体勢を整えると幾分平常心が帰ってくる。
新珠もおとなしくベッドに腰掛けて読書を続けている。
長めの前髪と伏せた睫毛が整った顔に彩りの影を落とす。小振りな唇が時折ほころんでいる。
新珠燐だけが持つ、本質も外見も男でも女でも無い、彼であり彼女である奇跡。
二人の息を合わせるという目的に合った対処かは、判断しかねるが、こうして互いに邪魔をせずに視界に留める分には、
普段と変わらず密かな占有感に満足する事も叶う、――悪くない。
授業の内容や他愛の無い会話をして12時を廻った所で風呂に行く。
出て来れば居なくなっているかと思ったが、ちゃっかりとパジャマに着替えて待っていた。
「じゃあ、お休み、」
「どうしてベッドで寝ないんだ?」
「狭いだろ、俺はいいから」
「なら、ぼくも床で寝る」
「……寝不足になるぞ。ちゃんと寝ろ」
「君と一緒なら」
平穏に一日が終わると考えていたのが甘かった。
最終的に傷つくのは彼女なんだ、これまでも成り行きでHしてしまったが何度も振り回される訳にはいかない。
「ぼく寒がりなんだ。あったかいほうがよく眠れる」
「5月も終わろうとしている時期にか?」
「女の子には関係ないんだ」
こんな時だけ主張されてもな。
「襲うぞ「いいよ」」
あっさりと即答され脱力する。聞いた俺が馬鹿だった、しかも藪蛇だ。
「意志疎通に体を重ねるのは基本だと思うんだ」
「男に言うな」
「女の子相手に言う趣味は、ぼくにはないよ」
「そっちの方が平和かも知れない……」
澄んだ瞳が覗き込む。今はろくに見えないが、見つめられて虜にならない者は存在しない眼差しは心に焼き付いている。
細い指があの時と同じように頬を滑り、惑わす。
「……横にも来ないのか、……………………いくじなし」
言いたい放題言ってくれる、どれだけ我慢しているか分かって無いだろうっ。
「何、も、しない、から、な」
電気を消してベッドに潜り込み背を向けて横になる。
「……おやすみ……………………」
微かに呟く声が聞こえた。
体は泥に浸かった様に重くて休みたがっているが、頭は背後の事で冴えて仕方が無い。
確かに双方の体温で暖かい。触ればもっと、いや…………今日は負けないからな。
徐々に慣れて、ようやく眠気に襲われた頃に背中に強烈な衝撃が来てたちまち覚醒した。
腕が当たったレベルじゃない、正に力任せに殴ったが相応しい攻撃だ。
思わず振り向いた所へ腹に蹴りが入った。
寝相悪すぎだろ、咳き込む俺の気配にも気付かずにすやすやと寝息を立てているのが聞こえる。
見えないが、さぞ平和な顔をしているんだな。
と隙を付いて体当たりされ見事に転げ落ち頭をしたたかに打つ。
「〜〜〜〜〜〜〜〜っ!」
今やベッドの上に大の字になり我が物顔で占領して一緒に寝ようも無いもんだ。
復帰を諦めて床に寝そべりながら彼女の野望を遠く感じる。
「朝食は一日の基本だよ。しっっっかり食べてね」
危険防止に据え付けられているコンロ代わりの電子オーブンレンジが調理に使用されたのは初めてだな。
昨夜俺が帰る前に持ち込んでいたという食材で、10分で作り上げてしまった。
トースト、サラダ、スクランブルエッグ、コーヒー、
食事に対して全く興味が持てないから、およそ一人では縁の無い品揃えだ。
「普段も自分で作ってるのか?」
「これくらいすぐに出来るよ。ご飯とおみそ汁が欲しいときは食堂に行くんだ。さ、どうぞ」
朝日より眩い笑顔で、にこやかに脅迫されている。直に監視付きで逃げるのは無理……か。
「凄いな、有難う」
食べる食べないは置いておいて素直な気持ちだ。
本来なら彼女と朝食とは憧れの光景なのに床で眠った反動で背中が痛い。つられて首や後頭部も重くのしかかる。
「よく眠れたか?」
「うん、二人だとやっぱりあったかくていいね。ありがとう」
一時間しか横に居なかったんだが、指摘するのも馬鹿らしいので止めておく。
当然あれから寝付ける訳も無く、うとうとしながら夜明けを迎えた。様子を伺う度彼女の頭の位置は壁際や枕元、果ては反対側まで移動していた。
あれだけ動いて疲れないのかと場違いな心配をしてみるが、新珠は爽快そのものの顔でサラダを頬張っている。
平気らしい。
早朝7時の教室でようやく安寧の時間を手に入れる。
あと2日我慢すればいい、新珠に合わせて寝不足さえ乗り切れば時間は経つ。
悪い事ばかりでは無く彼女が傍に居る、俺だけに向けられる笑顔は何者にも代え難い。
しかし、この状態で体が昨日より思い通りに動く訳が無く、一向に進展しない二人三脚の練習を渋々終えて、
昨日と同じく21時半にドアを開けると予想通り新珠が居た。
形ばかりのキッチンにはグラスや皿が複数並べられ、折り畳みテーブルも持ち込まれている。
「少しでも快適なほうがお互いのためだ、明後日には元に戻すから。
洗濯物をたたんで仕舞っておいたよ、たんすを無断で開けてごめん。片づいていたほうが帰ってきた時に落ち着くと思って」
「……駄目だとは言わないから先に一言断って欲しかった、それだけだ」
ざわりと苛ついたが悪意を持ってやったんじゃない、新珠なりに考えた結果だ。
そう思い込む事にする。
「うん、わかった。……この棚の本見てもいい?」
「ああ、どれでも構わない」
「ありがと」
どうやら昨晩と同じ様にやり過ごせそうだ。
今夜は互いに無言で1時間が経った。読む事に夢中になっているのか? どの本だろう。
視線が気付かれたらしく、つと新珠が顔を上げた。
「ね、何か飲む?」
「気にするな、新珠が飲みたいものがあれば一緒に入れてくれ」
「ん、じゃあ、ホットミルク、どう?猫舌用にするし、甘くしないから」
「自分用には熱くして砂糖を入れるのか?」
「美味しいよ、すっごく」
そう言った時の顔が堪らなく幸せそうで、内心の焦りを誤魔化す為に言っただけだったが、つい気持ちが揺らいだ。
「……お前と同じ様に作っていいよ、飲んでみたい」
彼女は嬉しそうに頷いた。
「あつっ!」
マグカップを持つだけでも熱い、白い液体を僅かに口に含んだだけで舌先が燃える。
「大丈夫! 雨宿っ、だからぁっ」
幸か不幸か熱さで麻痺して味はまるで判らなくなった。
「冷ましてから飲むよ、手間かけてすまない」
「これでも少しぬるめに作ったんだけどね、ごめん。もうしないから」
つい舌を出して冷やしていると顔が寄って来て、ぺろっと先端を舐められた。
「おい…っ!」
「早く治るようにおまじない」
心配げに見つめる潤んだ瞳が間近に迫る。待てっ、不意打ちは反則だろ。
今日も何事も無く我慢すると決めていたのに、こんな所で流されるのか……頭が回らない。
頬に触ると彼女が眼を閉じるのがうっすらと見えた――
携帯の呼び出し音が鳴る。
こんな時に、いや、こんな時間に? ――発信者は、嶺枝垂(みね・しだれ)。
「はい、」
新珠に背を向けて離れる。
『門限も過ぎてルからどうしたものかとネ、思ったのだがネ、連絡だけでもネ、悪くないと……』
「勿体ぶってどうしたんですか、用も無く掛けてくる嶺先生じゃ無いでしょう」
背後で息を呑む気配。……油断した。
『虎尾教授が倒れて入院した。意識はあるがネ、高齢だから』
「――――そうですか。そうですね。連絡有難うございます」
『千島も付いてる。まア、性格はアレだが腕は立つ男だ。ワタシも今夜は付くが明日の朝は戻る』
「はい。では、お願いします」
『……そういう子にしたのハ、教授とワタシの責任なのかネ……』
「俺は俺ですよ。感謝しています。」
『――有り難う』
電話を切る。
いわば親同然の相手に対して冷たすぎるか?
どんなに想っても焦がれても抱いても欲しがっても無くすのは一瞬で呆気無い。
一度手を離れたものが戻ってくる事は有り得ない。もはや意味が無い。
結果が同じなら経緯の差は必要無い。
「嶺先生と仲がいいんだ」
「仲……なあ、」
状況を説明して態度が変わる新珠でない事は認識しているが、自分の話をするのが面倒で嫌だ。
「何? 人に言えない関係?」
上目使いで睨んでくる。
「阿呆、入学前から知り合いだっただけだ」
「いつ? どこで?」
「医者だから病院に決まっているだろう、行きつけ先に居たんだよ」
「どうして? 何かあったの? 教えて」
「患者でとは限らないし、何故そこまで聞きたがるんだ。――関係無いだろう」
しまった、と思ったがもう遅い。実際俺の事を知った所でどうなる?
「――もっと君を知りたいんだ。そ、そのっ、呼吸を合わせる、ために……」
「じゃあ、新珠の事も話してくれるのか、男装の理由は?俺にばかり聞いて不公平と思わないか?」
「! ……それは……」
「誰だって話したく無い事があるだろう、終わりだ。」
「でも……」
尚も言いかける新珠の唇を口で塞ぐ。
瞬間反射的に肩を震わせたが強引に舌を割り込ませて絡め取り、内側をなぞっていくと彼女の体から徐々に力が抜けていく。
もう細かく組み立てて説明出来る思考力なんて残ってない。
1ヶ月振りに触れる彼女の肌は一層艶やかさを増し吸い付く様な感触で俺を酔わせる。
さらしを外した跡がまだ赤く残る胸を鷲掴みにして荒々しく揉み上げる。
「あ、そんなに…っ、しないで」
まだ柔らかい先端の輪をぐるりと舐め真ん中を舌先で弄り口腔で尖らせてゆく。
「……だめぇ、駄目、はぁっ…」
口では拒絶しながら俺の頭をかき抱いて離さない。腕に残るシャツの衣擦れの音が絶えず聞こえる。
固くなった突起を吸うと跳ねて反応するが、同時に更に強く抱き締めてくるので顔を押し付けられて、柔らかい頂に埋もれる。
鼻や頬に心地良い弾力が来る、奥から激しく打つ鼓動が熱さを伴って響く。
俺の心臓も同じように聞こえるんだろうか、口に含んで夢中で愛撫するうちに何だろう、
いい匂いがして妙に安心する。髪の間を滑る指がやたらと気持ちいい。
「待、て……息出来ない……っ」
名残惜しいが顔を外して酸素を確保する。
熱くしっとりとして薄く染まった双丘は唾液が垂れる程濡れて、俺の荒い息がかかると恥ずかしげに揺れる。
「……君の、せいだろ…」
彼女は軽く咎める様な拗ねた瞳で見下ろしながら、腰や脚をもどかしそうに動かした。
「脱がすのは初めてだよな」
いきなり裸からのスタート続きで手間が省けた感もあるが、1枚ずつ脱がしていく期待と高揚感は堪らない。
前をはだけたシャツを外し、下のファスナーに手をかけると急に思い出したように慌て始めた。
「い、いい! 自分で脱ぐ!触らないでくれ」
俺の体を押し戻そうとするが敵わない、体力は無いが一応体重を掛ければ男と女の差は出る。
「全部見てるのに?」
「そうじゃなくて、っていうか、……やぁんっ、! だめ!」
左腕で細い腰を抱えて浮かせて一気に脱がすと、手で押さえられる前に脚を開いて組み敷く。
「見るなっ、嫌ぁ、」
子供がいやいやする様に手や首を振って声をあげる。
「翠色か。下はちゃんと女の子物なんだ、脇にレースが付いて可愛いな。新珠の趣味?」
「あっ、あの、その、それ、はっ、あのっっ、ええっと……」
裸を見た時より余程動揺して今にも泣き出しそうだ。
顔も耳も首や胸元辺りまで、すっかり朱に染まって焦る姿は、そそる。
「これ見られたく無かったのか?裸より?」
上から軽く撫で回すと、正に「ぽかぽか」という擬音が当て嵌る叩き方をされた。
「ばかぁ……っ! 女の子の、舞台裏、は、見せないもの、…だろうっ」
こんな事態でもそういうものか?
「男物穿いていても、らしいかなと思ってたが、これはこれでいいんじゃないか?」
「や、だか…、ら、っ、そそそ、そうなん、だ、けど……っ、」
「折角だから穿いたままするか?こう、ちょっとずらして」
「あぁっ、やぁっ……! だめぇ!」
ゆるゆると指を持っていくと形が分かる程濡れて透けていた。
布地の脇から強引に剥き出されたそこは不自然な形で露わにされ、ちょんと触れただけで快感に震える。
つるりと指先で撫で上げると甘い吐息と匂いが漏れた。
入り口を探ると既に熟れきった部分が愛液と共にまとわりついて準備が整っていることを主張する。
わざと音を立てて二本指で掻き回して弄ると両手で顔を覆って目を逸らした。
「聞こえる?」
「ば、か、…っぁ」
「先月お前も色々したからな」
言葉で答えは無かったが指先に絡まる襞が締め付ける。
「思い出した?」
「……言う、なぁ、やだ……」
「で、今更だけどな、脱ぎたい? それともこのまま? あるいは、自分で脱ぐ?」
「何を言い出すんだ君は」
一瞬素に戻ったぞ。
「俺はどれでもいい、新珠の好きにしていい」
意地悪く言ってみる。だが最初の時の昏い感情で無く子供じみた心なのは、どうしようも無く駄目駄目な証拠だ。
「どうする?」
指を抜いて目の前で擦り合わせると複数の糸が引いた。一本ずつ舐めながら待つ。
「…………………………………………脱ぐ」
「新珠が?」
「見るな」
「無茶言う」
この期に及んでというか、恥じらう姿は非常に新鮮で劣情を刺激するが、以前にも恥じるべき時はあっただろうと内心突っ込んでおく。
俺と眼を合わせない様に伏せた瞳はそれでも涙が溜まっているのが分かる。堪えて噛みしめた唇は余計いじらしく思う。
俺の下から抜け出して体を起こすと体操座りの体勢をとって、そのままベッドの頭枠にぶつかるまでにじり後退る。
くるりと反対を向くと背中を丸めて両端を掴む。
躊躇っていたが意を決して腰から外すと膝を通って下りていくのが見えた。
右、左と足を動かして脱ぎ終わると、さあ、どうする?
左手を横に突いて体ごと擦り動く。そんなに体を丸めて団子虫かお前は。右手には脱いだものを握り締めているに違いない。
端まで来て先に脱いだ服の下にもぞもぞと隠した。当然最後まで見えない様に両手で隠して。
そうまでして見せたくない女心はやはり不明だ、一生かかっても理解不能だな。
だがパンツ1枚脱ぐ光景だけで目が回る男心は、良く、分かる。たったいま、身に染みた。存分に。
良く判らない安堵の溜息を吐いて振り向こうとする躰を背中から羽交い締めにする。
「きゃっ、…あん!」
「悪い、今日は…もたない」
桃の様とはこの事だ。丸く手触りがいい尻を掴んで、割れ目の間の熱く濡れた中へ狙いを定めて突き入れた。
勢いよく粘膜と粘液とが擦れ合い刺激が脊髄を駈け昇る。
左手で枠を支えにしてもたれかかり、右手はシーツを握り締め四つん這いになって俺を受け止めた。
美しい弓なりの背中と肩の先に、突かれる衝撃や快感にせめぎ合う横顔が見える。
もう口を塞ぐ術を持たず形の良い唇から喘ぎが漏れる。
「あぁぁ…、あんっ…はぁ……やぁん、」
脳髄も痺れて融ける、最初より次より動かす度に際限無く呑み込まれていきそうだ。
「やっ、あぁ……そん、な…っ、あっ!……奥…っ、はあっ…ああぁん!」
次第に快楽に溺れてこちらの動きに合わせて腰を回してくる。
「あ…っ、だめ…もうだめぇ…こわれちゃ、う…っ、あぁ…いぃ…っ……いいのぉ」
分かっているのかいないのか、らしくなく悦楽に満ちた言葉を吐かれ益々昂ぶらされる。
ずるずると枠から頭が落ち、俯せになって腰だけを抱え上げられて挿入される形になる。
後ろのもう一つの穴が一緒にひくひくと収縮しているのも良く見える。
混じり溶け合わさった液体が脚を濡らし、彼女の下半身もいやらしく汚れる。
「気持ちいい?」
のしかかり気味で囁く。届くか?
「……い、いぃっ、…いいよ、ぉ、……あぁぁあ、…もう…、もっと…ぉ…」
背中や腕、シーツの上にも落ちる髪を揺らしながら譫言のように呟く。
吐く息が合わさる。熱と動悸が重なる。ベッドの軋む音すら共鳴する。
「はぁぁ…っ、あっ!…ああ…あぁっ!、…ああぁっっー!!」
より激しく強く打ち付けた先に、微かな戸惑いと充実感が染みて体内を巡り、互いに果てた。
珍しく彼女がそのまま眠ってしまったので軽く拭いてやってシャツを着せておく。
下は……、あれだけ頑張って隠匿したものに手は付けられまい。
やることやってしまうと頭も体もすっきりと晴れてしまったのは、……つくづく男は単純な生き物だな。
体だけは誰よりも――比べられる経験も数回しか有りはしないが、相性が良いのかと錯覚しそうになる。
心が伴っていないなんて最低の関係だ。
無論根本的な解決には至っていない、思考のすれ違いは俺がやり過ごせば終わると考えているが違うのか?
だが、彼女の心を手に入れられる男、……人間なんて存在するのか。
その時彼女はどんな顔をするのだろう。
今夜もベッドでは眠れないし変に醒めてしまった。
電話の件が柄に無く引っかかったのか、Tでナンバリングしてある本を棚から抜き出しデスクランプだけを点けて頁をめくる。
虎尾教授の著作で続編が期待されているが重要課題の研究が7年前から中断しているので、この本自体の部数は極小だ。
教授を筆頭に数人が参加していた。嶺先生も関係して無くはない。
間に合うのか。俺が追いつくまでに。内容を改めて辿れば辿る程絶望的に遠い事が解ってくる。
数十年は追い越せなくても数年なら追い越せると、初めて読んだ時は愚かに思ったものだ。
「ん、……」
背後から寝言が聞こえる。
新珠が俺だったら、どう考えるのか。
『追い越せるんじゃなくて、追い越すんだろう?』
眩しすぎる笑顔。正論は時に反発を生む。
お前が思ってる程俺は強くない。
朝6時を回り、熱めのシャワーで脳の奥まで極力刺激を伝える。
眠気よりズキズキとこめかみで疼く痛みが強く響いて邪魔をする。
「――!――っ!」
扉の外か?蛇口を締めて応えると新珠が携帯を差し出した。
「電話だよ」
受け取りながら反対の手でバスタオルを腰に巻いて部屋に出る。
『ワタシだ、大事無いようなのでネ、そっちに戻る』
「そうですか。安心しました。先生も気を付けて』
『おヤ珍しい、――彼女の所為か?』
「――っ!彼女!?ちがっ…」
頭の血が沸騰する。「彼女」? 訂正する間も無く通話が切れた。
つい呆気に取られて携帯を手にしたまま画面を見つめる。
「…………勝手に出たな、言わないうちに何故そんな事をする?」
俺の様子に驚いて新珠はびくっと体を固くし意外そうな目で見た。
「君がなかなか返事をしないから、切れたらいけないと思って出たんだ。話はしてないよ」
「着信履歴に残るから掛け直せる。放っておけばいい」
「次があれば気をつけるよ。…………そんなに、知られるのが嫌だなんて、よほど…」
「人にばれて困るのはお前だろ。俺相手で男同士でも変な噂を立てる奴もいる」
「誰が言ってる?誰に言われても関係ないよ。君が教えてくれたのに」
「俺は、自分が何を言われても気にしない。だがお前は違う。秘密もあれば人望も才能もある。
周囲への影響力が桁違いに大きい。特別な存在だ」
「同じだ!君とぼくはおんなじで君だけがライバルで横に並ぶ相手なんだ」
「いい加減に止めないか、俺は並ぶべくも無いと繰り返してる。誘惑するのも傷付くのはお前だ」
「どうして分からないんだよ……っ」
「こっちの台詞だ」
頭痛が止まない。苛々する。何も言うな。放って置いてくれ。
……ああ、この痛みも、元はお前の所為じゃないか。
「ぼくは、……ぼくは君が」
「う、る、さ、い。出て行け」
睨んで言い放つと、気合いに押されてたじろぐ色が見えた。この際ぶちまけてしまえ。
「部屋に押し掛けられるのは大迷惑だった。
一方的にそっちのやり方を通して我慢しろ、というのが意志疎通とは到底思えない」
「努力を放棄するのは卑怯だ。でも言ってくれれば、無理強いはしなかった」
「即座に拒否しなかったのは謝る。受け入れられると考えてたが器量が狭いのが分かったよ」
「……そんなに、迷惑だった……?」
「一緒に寝ようと言う割にはベッドから蹴落として悠々と占領してな、おかげで2日間ろくに寝てないな。
朝も食欲が無いのに無理矢理食べさせようとしたな、
持ち込みも家捜しも跡から謝ればいいってもので無いはずだが?
俺がどう思ってるか考えてたか?」
お前がどう考えてるかも知らないな、他人だから。
言葉を受け入れるのに時間がかかっているのか、大きく目を見開いたまま身じろぎ一つしない。
「――――」
「……新珠」
「ぼく、
―――― ……っ!」
不意に表情が崩れて涙が零れ落ちる。
「ち、ちが、違う違う違う違う!!!」
慌てて否定する彼女は、何が違うんだ。
「違うんだ、――ぼくは!」
駆けて出て行った彼女の居た場所に変わらず朝陽が差し込んでいる。眩しすぎて目を細める。
――――――――
――――
オーブンレンジが鳴った。
食パンが2枚いい具合に焼けている。
服を着てトーストをかじる。
味気無い。
インスタントコーヒーを作って流し込む。
どうにか全部収めた。
冷めた牛乳の入ったカップが残っていた。
捨てるか。
…………
一気に飲、
「――っつ!」
表に張った膜が邪魔してこぼれた。
派手に。
制服のシャツと、
開きっぱなしの本に。
拭いてもこれじゃ跡が残るな。
元には戻らない。
零した牛乳も。
本も。
…………
頭蓋骨を直接打たれる様な痛みが繰り返し襲う。
泣き顔が澱になってこびりつく。
明日は、体育祭だったか。
それにしても、今朝の日差しは目を灼く。
以上です
行き詰まる内容だと書いてるほうにも移りそうで困った
後編は一週間程度先かと
失礼しました
切ねぇ・・・一週間悶えながら待つぜ。
だがこれだけは待てない
GJ!
これは・・・これはなんともwktkさせられる展開。
GJ!
なあ同志たち。
ロミオとジュリエットのアニメがあるんだが、
「男装の麗人。身分を隠すために男子として育てられ、女性であることを
知る者は少ない。悪政に虐げられた民衆を救うためさらに仮面をかぶって
変装し『赤い旋風』として戦う」
というジュリエットの設定を見たときに、自分はこのスレを思い出したよ。
残念だがガイシュツ
でも自分はあんな女の子らしい娘であるジュリエットが男装しているのに萌えながら見てるよ
そろそろアゲ
356 :
名無しさん@ピンキー:2007/05/17(木) 21:55:30 ID:U9x6A8dy
エーリッヒの人の続編期待あげ
続き投下
後編でなく、中編です
申し訳ありません
どうして涙が出てきたんだろう。
嫌だ、嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ。
彼を責めてることになってしまう。そうじゃないんだ、違うんだ。
独りよがりで自分の思考ばっかり押しつけて彼がどう思ってるか考えていなかった。
彼のこと全部知りたくて一緒にいたくて抱いてほしくて、そうしたら、振り向いてくれると勘違いしていた。
迷惑にも負担にもなりたくない。そんなことは絶対に嫌だった。
なのになのに、実際はどうだろう。
素直になるって免罪符にして彼を追いつめてるのに気が付かないで、
呑気に喜んでいた自分が嫌で嫌いで、
消えてしまいたい。
もうあの瞳で見られることもない。
間近に寄ると濃い茶色の中に藍色の影が潜んだ不思議な色彩で、きっと誰も知らない、ぼくだけの、秘密。
涙が止まらない。どうして、どうして、泣きたいのはぼくじゃない、彼のほうが、泣きたいはず。
これじゃあ駄目だよ。泣くなんて、卑怯だ。
止まれ、とまって……
「……、ぅ…、! …」
お腹が痛くて立っていられなくなる。下半身に重しを付けたみたいな鈍くて引きずられる痛み。
ずるずると座り込みながら腰に覚えのある感覚がする。
明日は体育祭なのに、まだ先のはずなのに、普段は痛みもないのに、
こんな時に限って、……
「10分位デ効いてくるからチョット我慢してナ、ゆっくり寝ておいで」
「……はい」
鎮痛剤を切らしていて、先生とは顔を合わせたくなかったけれど、保健室に行ったら強引に寝かされてしまった。
「収まったらすぐに行きます。ごめんなさい」
「平時が無理してるからネ、頭じゃ気が付いていないケド体が悲鳴あげてたりするのサ、明日も見学しといデ」
「それは駄目です。体育祭には出ます。平気です絶対出ます。無理なんてしてません! ――っ、!」
「してるヨ、ホラ、女の子は無茶すると大変だヨ?10代のうちは安定してないカラ、こうして精神状態が響くのサ」
「こんなのは当たり前です。女も男も関係ありません、大丈夫です」
誰にも迷惑をかけたくないのに。もう、わがままを沢山言っているから。
「困った子だねぇ、君モ」
先生は呆れた顔でため息をついた。
「大人しくしていないト、学園長に報告するヨ? イイかい?」
「そ、それだけは止めてください! ……雨宿は悪くなくって、ぼくが勝手にっ……!」
必死になるぼくを見て、にやっと笑う。
「先生っ!」
「体調のコトだったんだケドね。あはは、午前中はいい子にしておいで。ワタシも仮眠を取りたいカラ」
頭を撫でられて昇った血が顔に集まってくる……
「松月を選ぶなんて、まア、――似てるんだか似てないんだか、どっちも人付き合いの成績は最下位だネ。
大いに悩んで学ぶのが、学生の本分だ。気楽に頑張レ」
「先生、名前で呼ばないでください」
いくら美人でも才女でも年上でも…胸が大きくても……雨宿のことを知っていても……
……彼が言わなかったことは聞けない…許せない……
お腹の痛みが薄れていくのと同じに、意識が遠くなってゆく――
「……――」
「〜〜〜〜……」
「――体が痛…ら薬、……だろ…ウ」
「正し……、で、…んせい、」
嶺先生と誰かが話してる?、カーテンの影で分からない。
「彼女は違いますから。新珠は…、只の――」
ちょうどベルが鳴って先が聞こえない、でも、声は。
――雨宿!! 途端に体中の目が覚めた。
ぱんっ
乾いた音がする。
「ついでダ」
「……失礼します」
只の、友達?ううん、只のクラスメイト。只の、ただの……
「…り、……、燐さ…、君……」
「……い、こう?」
「新珠…君、大丈夫?」
いつの間にか横に衣黄が立っている。
「うん……」
まだぼんやりしてる、けれど、また心配をかけてしまった――
昔からずっと傍にいてくれて許してくれる存在で、感謝なんて言葉で尽くしても全然足りない。
3年になってからはますます不安にさせることばかりしているけれど、言葉でしか返せない。
「平気、ちゃんと休んだから」
口元を上げて目頭を下げて、ほら、いつも通り笑ってるだろう、何ともない。
何ともないよ、うん。
彼にはっきりと拒絶されて、気持ちが分かって、ほっとした。
やっぱりぼくが思っていた通りだった。振り向いてくれることなんてない。
頭はすっきり晴れ晴れとしている。
ベッドから這い出て伸びをすると体も気持ちよい。
「先生、お世話になりました。おかげで痛かったのも嘘みたいです。ありがとうございました」
「念のため、薬は幾つカ渡しておくカラ。奥丁字君、よろしくナ」
「本当にいつもありがとう、ごめんね、衣黄」
衣黄が振り返り振り返り先生を見てたけど、もう元気だから気にしなくていいよ。
お昼休みの校内、廊下や食堂で午前中休んでいたのを知って、何人も声をかけてくる。
『心配してくれてありがとう、大丈夫だよ』
いつものようにいつも通りに笑って答えることを何度も繰り返した。
だって、みんなお芝居のように、どこかスローモーションで同じ動きをしているから、
ついぼくも真似をしてしまうんだ。
目の前に薄い紗みたいな、もやがかかってるみたいだ。ぎこちなくて、嘘っぽい。
でも楽だよ、何も考えなくていいから、不思議なくらい、平気。…平気って、何に、何だっけ?
「病み上がり? そーでもないみたいやな。新珠いねえと華が無くてつまんねー、助かったー」
「半日いない位でそんなにありがたられると、気持ち悪いな」
「男クラに潤いの有る無しは最重要だろー」
相変わらずな市原を受け流して自分の場所へ向かう。
席に着く時に机の脚に靴をぶつけて変だな、と思った。
つま先から膝が震えてきて背中は寒いのに、手の平はじわじわと熱くてペンが上手く持てない。
ノートを取りたくても真っ直ぐな線が書けなくて斜めになったりぐねぐねと曲がっていく。
おかしいな。
なんで思い通りにいかないんだろう。
頭も目も耳も感覚がぼやけてる。
ちゃんと薬をもらって痛みもなくなったのに、どうしちゃったんだろう、ぼくの体。
「……珠、新珠…、」
「あ、うん、何?」
休み時間に入って、雨宿が声をかけてきた。昨日までと何ら変わらない、みんなと同じ普通の様子で普通に答える。
「今朝、な――」
「新珠ーーっ! 2年の奴が呼んでるー!」
「先輩が具合悪いって聞いて……、今日の応援練習の事です。自分たちだけでやれますから。
明日に備えて早く帰ってください」
「もう最後なのに何を言ってるんだ?気にしなくてもいいんだよ」
「でも、」
「そう、俺等でやれるよなぁ。新珠無理すんなぁ」
近くにいたクラスメイト達も合いの手を入れてくる。
「みんなでぼくを除け者にするの?そんな風に思われていたなんて心外だよ」
「あわっ、違いますよ!!「そりゃ罰当たるって」」
「言ってみただけだよ。あれだけ頑張ってきたからどう仕上がるか見届けたいんだ。
横で見ているなら構わないだろう?」
「それならば、はい……」
「じゃあ、放課後すぐに始めよう。1年生にも伝えておいてね」
6時限開始のベルが鳴って後輩は走って戻っていった。
「律儀な奴だなぁ。息抜きしてもいいんじゃないかぁ」
「当たり前のことだから」
頭で考える前に不思議な位?自然に言葉がすらすらと口をついて出てくる。
ばらばらだな、と思わないこともないけれど……何がばらばらなのか分からない。
戻るついでに雨宿に断ると、自分も用が出来たから、と話した。
「平気なのか?」
雨宿は首をかしげているように見えるけど、瞳には何の色も見えない。
「? 自分のことは、ぼくが一番よく知っているよ」
「そうか、……」
何を言っているか聞こえないよ?
「よおーし、気合入れて行けー! 1.5倍で行けーっ、ただし本気は明日まで取っておけよー」
「本気じゃないのに1.5倍っすかー、おかしくないっすか」
「本番で100パーセントを出すには練習を1.5倍の力で向かうもんだ。過信するんじゃないぞ」
「キビシーっ」
まとめ役の御車(みくるま)の指導も熱がこもる。
ぼくら3年生にとっては最後の体育祭、明日で最後、今日までの結果が現われるみんなの晴れ舞台。
明日のために。
…………
……
「先輩、そんなに心配そうな顔しないでくださいよう、
――いい感じでしょ? それとも僕達信用ないですか?」
休憩に入ってたみたいで色んなざわめきが聞こえ始める。全然気づかなかった。
「そりゃあへなちょこな後輩どもが心配じゃない上級生なんておらんね」
「御車先輩から見たら全員もれなくヘタレでしょうけど……」
「ここまで来てみんなの息も合ってきて、とってもいいよ、嬉しい。明日が楽しみだよ」
「と、新珠先輩は優しいからこう仰っておられるが、甘えるなよ」
「はい。皆わかってます! 新珠先輩は何の種目に出るんですか?
去年の対抗と400メートル、どっちもトップで僕感激しましたよ、カッコよかったです」
「今年は得意種目じゃなくて全員参加するほうを優先したから、くじ引きになったんだよね。
だから今年は二人三脚。組対抗の得点では頼りにならないかもしれなくて申し訳ないけど」
「わぁ、勿体ないなー」
「安心しておけ、対抗リレーは決まってるさ。二人三脚の相手は誰だった?」
「……雨宿だよ?」
名前を言うと何でもないはずの胸の奥がきりっと痛んで、霞んでいた意識が少し動いた。
「じゃあ市原と奥丁字が組むのか? 妙なことをしているな」
「雨宿なぁ、あいつ運動神経ゼロだしなぁ、明らかに足手まといだよなぁ」
「それは、雨宿のせいじゃないよ。参加することが第一、だろう?」
「何考えてるか分かんないし正直苦手だなぁ、合わせてやってる新珠は凄いよなぁ。
昨日練習してんの見たけどなぁ、やる気あるのか? って思ったよ」
「先輩が頑張っているのに? 何ですかその人」
「ち、違うって…」
「頭いいんだけどなぁ、自分のことも話したがらないし、面白見は無い奴だなぁ」
「そんな人が新珠先輩に迷惑かけるなんて許せませんよ僕。この応援練習にも来たことないでしょう?
自分勝手なだけじゃないですか?」
「俺はお前らとは違うって、空気はあるかなぁ」
「やっぱり!それで新珠先輩に嫉妬してるんですよ。嫌な人ですね」
「違う!! 雨宿は君たちが思ってるような人じゃないっ! …勝手なことを言わないで!」
2年3組の教室内が静まりかえった。
――ぼくは大きな声を出していたみたいだ。
「博、後輩、言い過ぎだぞ」
御車が二人の頭を軽くつついた。
「あぁ、ゴメンな。まぁ、俺等も頑張ればいいんだからなぁ」
「すみませんでした。……先輩が浮かない顔をしているのは、その人のせいかと思って」
えっ――、気づかれた!?
「責任感が強いから相当気にしているんでしょう?」
「ありがとう、でも、本当に彼は悪くないんだ。ぼくが……」
「どうしてそんなに自分を責めるんですか?」
「――っ!」
「しつこいぞ。新珠も知らんが互い――」
「やあーっ、待たせたなー、ベストショットはオレに任せなー。今日はリハをやらせてもらうぜーっ」
「わはは、来たなぁ市原。誰も呼んでないけどなぁ」
「せんぱーい、カワイク撮ってくれなきゃダメですよー」
「じゃあ最初から通してやるぞー、全員並んで位置につけー」
最後の練習を終えて充実感と一体感に包まれて誰もが明日の成功を確信していた。
「3週間も頑張ったんだから、ちゃんと成果は上がるよ。大丈夫」
「新珠先輩がそう言ってくれると、本当になりそうで心強いですよ!」
「事実だよ。自分を信じて」
「はい! やります! 先輩も言うこと聞かない奴なんて無視して引っ張っていけばいいんですよ!」
「あは…、それじゃあ二人三脚にならないよ?」
「コラ、蒸し返すな」
「先輩みたいな優秀で格好いい人には、その権利がありますって」
違う、違うんだ、と叫びたい。
ぼくは……ぼくこそ、みんなが思ってるようなかっこいい人間じゃない。
みんなの為を思ってたんじゃない。
彼の為を思ってたんじゃない。
今もこうしていられるのも、みんなが無意識にでも許してくれてるおかげだから、
ぼくに出来ることをするのは当たり前で、褒められることじゃないんだ。
「でもでもクラスメイトをかばうセンパイは優しくってやっぱ素敵」
嘘だよ。彼のことを悪く言われたから許せないだけだ。他の人のことで怒ったりしないんだ。
優しくとも何ともない。
「先輩が怒るトコ見るの初めて見て、私達と同じとこあるんだってわかって、ちょっとうれし」
だって、彼は違うから。
こうして話せば話すほど、彼だけが、他の人と違う。どうしようもないほど。
特別なひと。
みんなと同じ相手に、只のクラスメイトなんて、やっぱり考えられない。
「雨宿と上手くいってないのかー、仲がいいほど喧嘩するってな、ひゃはは」
「市原君、そーゆー誤解を招くような表現はやめてくれよ……」
「曲解してんのはオマエじゃんか、やーらーしーなー。お年頃だなー、奥丁字」
「っ……、ああ言えばこう言うんだ。……新珠君、気にしないでね。
さっき自分で言ってたよね、頑張ったんだから成果は出るって、その通りだと思う」
「正しい方向に向かっていれば、ね」
自分のことは、とても信じられない。
「そりゃーそうだ。力入りすぎて、噛み合ってないんだな。合わせてやってるって空回りしてさ、
雨宿も珍しく余裕ねーし、いつ奴がキレるかと思ってたぜ」
市原椿は普段通りに笑いながらさらりと言い流した。
「……市原、気付いてたのか?」
「オレのカメラは伊達じゃないぜ」
「どうして言ってくれないんだ!」
「そのほーがおもしれーっつーか夫婦喧嘩は犬も食わ、…もががっ!」
「だから言い方をっ…、ね、ねえっ、新珠君っ」
「――君は、もしかして…………、いいよ、放っておく」
相手にするのはまた今度、今はそれどころじゃないんだから。
ずっと彼のことを想ってきた日々は、今までの想いは消せない。消したくない。
だからぼくはきちんと謝らないといけない。泣いてるだけじゃ駄目だ。
彼がどう思ってるかは関係なく、やっぱり自分の気持ちを押し付けることしか出来ないけれど、
ぼくは他のやり方を知らない。
5月の終わりだと7時半を過ぎても薄明るくて、街中の人通りは昼間と全然変わらないように見える。
鷲尾学園は寮も施設も、繁華街から車で15分位のちょっと静かになった所にある。
一人でこんな時間にこんな所にいるのは慣れなくて緊張してしまう。
ガラス張りのコーヒーショップでロイヤルミルクティーを注文して、端の席に座って外を眺める。
道路を隔てたお向かいには、レンガの外観が可愛いケーキショップがあって、
右隣には彼のバイト先のお店がある。
一旦部屋に帰ったけど、待てなくて来てしまった。
早く、早く会いたい。
謝って気が済むのは、ぼくだけで、彼はぼくの顔なんて見たくもないに違いない。
最後まで自己満足の固まりだけど嫌われているんだから怖くない。…怖くないさ。
それにしても、高校、中学生くらいの子も沢山歩いている。
友達同士や…カップルも一目で分かる様子で楽しそう、特に女の子はみんなキラキラしてる。
流行りみたいな服を着て、私服の娘はもちろん制服の子達もお化粧してたりして、可愛い。
校内では女の子達を見ても特別な思いはなかったのに、
外に飛び出したところで間近で見てると、ひとりひとりから溢れる体の中に収まりきらない輝きがまぶしい。
「…………いいなぁ」
ぽつんと口から出て意外な言葉に焦ってしまう。誰かに聞かれてなかったか、と思わず店内を見回した。
何人かの女の子が顔をそむけた、みたい……、大丈夫、だよね…。
今まで同世代の女の子達と仲良くする機会が少なくても、寂しく思ったことはなかった。
父様や母様、衣黄や高砂もいて、男の子と一緒にいるほうが多くて楽しかった。
別に女に生まれたのが嫌だったとか、家のしきたりだったから男装しているとの理由でもなく、
その、きっかけはあったけれども……男の子のように行動するのは自然な流れだった。
意識して振る舞い始めたのは中学生になってからだ。
どちらでもあるけど、どちらでもない。仲良くするかわりに、仲良くならない。
勉強も運動も趣味も好きなように好きなだけ集中出来る、都合のいい世界。
だけど高校になって、それまで悪い虫が付かないから良しと笑ってた父様も、うるさく言い始めて
母様はかえって女の子として目覚めるかも、なんて言ってたしなめてた。
確かに男の子ばかりの生活に息が詰まってきていた。
やっぱり、違いを感じることも増えてくる。外見も体力も中身も……
もう、無理かなあ、って思ってた時に、彼の言葉がぼくの心を軽くした。
それまで順位表の名前でしか知らなくて顔も見たことがなかった彼が、ぼくの思いを変えてしまった。
2年生の秋に、彼が1年の女の子と歩いているのを見て吐きそうに――実際、吐いてしまった。
あれから心の中でこっそりライバル視して支えにしていた彼を、それだけじゃない想いで見てたって気付かされた。
その日の夜、初めて自分で自分を慰めた。
8時に近くなり、やっと日暮れて外灯が目立ち始める。
心なしか手をつないだり肩を抱いている二人連れが増えているようだ。
ちょうど通り過ぎるカップルを彼と自分に置き換えてしまう。
……もし、男装していなかったら、彼は…………
ううん、意味がないよね。
それに今さら似合わないし、変だよ。
スカートもすっごく短くて見えそうじゃないか、恥ずかしくないのかな、恥ずかしいよ絶対っ。
あんな格好出来ないよ、胸も開いてるし、可愛くって自信がないと絶対できないっっ無理無理っ!
恥ずかしくて死んじゃうよ。
熱くなる顔を手で覆って隠す。
――本当は、したくないと言ったら、今は嘘になる。
「――!」
彼が出てきた。店の脇から自転車を持ち出してくる。
急いで飛び出して向かおうとして、閉店準備で外に飾っていた花鉢を抱えたケーキショップのお姉さんに
つかまってるのが見える。
そのまま店内に連れていかれてしまう。
車道を挟んでしばらく様子をみる。行き来する車や人の流れで時折隠れてしまうけど、明かりが照らしているから分かる。
……まだかな、何しているんだろ。
ケーキ屋さんだから、ケーキを買ってるんだよね。当たり前でしょ?
遠目だけど黒いワンピースと白いエプロンでメイドさんみたいだった、綺麗なお姉さんで…
今度こそ出てきてショルダーバックを背負い直している。
行かなきゃ。
行って謝らないと。
今すぐ。
ほら、そこにいるから。
――――
――――
冷たく突き放した瞳が甦る。
足の裏が地面に張り付いて動かない。
もし無視されたら?
呼べば届くところにいるのに。
息を吸う音ばかりで喉が詰まる。
嫌いだ、と面と向かって言われたら?
そんなこと初めから知ってる、分かってる。
自転車にまたがって、早く、早くしないと。
顔も見たくないと言われたら?
車の音も歩く人のざわめきも聞こえない。
ずっとここで待ってたのに、今、行かないと、声を出さないと、
気持ちがしぼんでしまう。
行ってしまう!
凍ってしまったぼくの体、動いて、動け、動け!動けっ!!
すうっと、左手に進んでいく、まだ、間に合うから、
今じゃないと――!!
「あま――」
思い切り振り絞って前に動いたぼくの体は、もっと強い力で後ろに引き戻された。
「――!!?」
目の前を車が通り過ぎていく。途端に周囲の音と景色が一気に頭の中に流れ込んできて、くらくらした。
走っていく車の風圧が頬をかすめる。
「ちゃんと前を見ないと危ないよ。――――お嬢さん」
はっ、と振り向いたけれど、人混みにまぎれて分からない。
今の、声は――。
……ありえない…………
気を取り戻して前を向き直した時には、当然、彼の姿はなかった。
掴まれた右腕が痛い。跡が残るかもしれない。
悔しくて悲しくて泣き出しそうになる気持ちを必死で押さえながら、帰り道を急いだ。
以上です
さっくり仲直りのつもりが終わらなかった
近日中に上げる予定ですが
投下予定の職人さんがおられたら
気にせずどうぞ
失礼しました
続き待ってます!!
GJ!!
拙いですが投下します。
若干陵辱風味なので苦手な方はお気をつけ下さい。
むっとするような湯気の匂いが漂っていた。
それに混じって、柔らかな石鹸の香りがクレメンス・ハインリッヒ大尉の鼻に知覚される。
石鹸素地の原材料臭に、配合されているオリーブの濃い香り。
胸いっぱいに吸い込むと、その心地よい穏やかな香りが体中に充満する。
―――「彼」は、大尉がまるで当然のごとくそこにいることなど知らず、暢気にシャワーを浴びているはずだった。
その湯気は溢れて、ガラス扉の隙間から流れ出ている。
換気装置は粗末なものだったし、勿論熱は湯気と一緒に部屋に伝わっていた。
ふと感じた肌にまとわり付くような湿気に、大尉は上着を脱いでシャツ姿になる。
―――どこもひどい部屋ばかりだ。
大尉は呟く。
下士官用の狭い部屋は、真っ白な壁が牢獄のような閉塞感を帯びていた。
奥のシャワー・ルーム、その手前にあるベッドと机、小さな書類棚、ロッカー。
必要最低限のものだけが詰め込まれたその部屋は、持ち主の性格を反映してか、無駄なものが一切ない。
立ったまま、大尉は部屋を不躾に観察する。
鼠色の本棚には通信―――モールス、暗号機「エニグマ」の教範(教科書)や、軍事用語辞典、兵学校の教範まで、きちんと高さ別に分けられて収納してある。
壁のフックには、灰色の襟がついた黒い軍服が吊るされ、ロッカーの上にはヘルメットとゴーグルがいつでも使えるよう置かれていた。
ゴーグルは、無線や電話が使えない場合のバイク伝令の為に支給されたものだろう。
机の上には唯一の私物らしい、缶に入った小さなクリームと整髪料らしい紺色の瓶がある。
それを除けば、この部屋に私物らしい私物は見当たらなかった。
大尉はその小さな、銀色の缶を手に取る。
紙の小さなラベルには、緑色の唐草模様と製品名が控えめに印刷されていた。
どうやらそれは、指でとって塗るタイプのリップクリームのようだ。
爪先で蓋を開ける。使い込まれて中央から凹んでいる乳白色のクリーム。
鼻を近づけなくとも、異常に発達した彼の嗅覚はその香りを嗅ぐことができる。
香りから分析すると原材料は植物性油脂、それにユーカリ、ペパーミントの精油が配合されているだろう。
いつも、「彼」の周囲に漂っている―――常人には到底知覚できない程だが―――その香りだった。
大尉は納得する。あの「彼」が纏っている香りはこれだったのか。
いかにも皮膚の薄そうな「彼」の唇は、確かにこの建物の乾燥した空気には耐えられそうもない。
それに、それはあの繊細な青年には似つかわしい香りだった。
僅かに唇の端を吊り上げて大尉は笑う。
形良く膨らんで張ったその唇の、男を誘う色艶を大尉は思い浮かべた。
そして、対照的に色の抜けた肌の眩しさを思い出す。
北欧からの移民という戸籍の記録を裏付けるかのような、あの肌の白さ。
穢れない雪のような真っ白な肌は水分をいっぱいに抱え込んで、強く触れる大尉の指に吸い付くようだった。
そこに造りこまれた秀でた額、無駄のないすらりとした鼻、左右対称の整った眉。
濃い灰色の瞳にはかすかに緑が滲み、その切れ長の瞳を長い長い睫が彩る。
要するに、まるで、野蛮さや醜さの要素をすべて取り去ったかのような顔だった。
到底兵隊には見えない、美しい男だ。
初めて見た瞬間から、大尉の注意を引き寄せて止まないほどに。
最初のそれは、雪が30センチ以上も積もった日の朝だった。
施設の周囲に広がる針葉樹林を、大尉は散歩していたのである。
雪は大変に積もっていたが、隊列が歩いた後の真新しい足跡を辿れば歩くのは用意だ。
―――そいうえば、今日は通信隊の野外戦闘訓練だったな。
この施設の各部署にいる通信士は、一括して通信隊から配置されている。
練度維持のため、定期的な戦闘訓練が通信士にも義務付けられていた。
今日も、何人かが招集されて戦闘訓練を行っているのだろう。
大尉は、ふとした気まぐれを起こして、少しその様子を覗いてみようと思った。
恐らくは、この先の開けた野原で訓練を行っているはずだ。
針葉樹林の、心地よい香りを肺の隅々まで吸い込みながら、大尉は隊列の足跡を追った。
外套の襟を立て、空を見上げる。
雪の降りつくしたその曇りない青さは冷たく冴えている。
なんだか空気が澄み過ぎて、大尉は少し頭痛を感じた。
ずいぶんと久々にきれいな酸素を吸ったような気がしたので。
少し歩くとその一団は、すぐに見つかった。
教官が、兵士たちの塹壕やら蛸壺やらを点検している。
大尉は木の陰からそっと様子を窺った。
あるものは小銃を構え、あるものはその半端な隠れ方を教官にどやされ、そして―――大尉の目はある一点に釘付けになった。
皆と同じようにくすんだ緑のヘルメットを被り、防寒用に黒い襟巻きをし、白い戦闘服を着たその兵士は何ら特異な装備をしている訳ではない。
ただ、蛸壺から胸から上を出し、機関銃の照準したその一点を見据えた横顔があまりに整っていたのだ。
雪の照り返しに光るその真っ白な肌はハレーションを起こし、まるで彼が雪から出来ている風に思えた。
まだ若く幼いその兵士は、募集ポスターでしか見たことのない、凛々しく美しい騎士のような兵士だったのだ。
大尉は今まで、男に「天使のような」という形容詞を使ったことがなかった。
そして、この先も彼以外にそれを使うことはないだろう、そう思った。
彼だけが、神が特注で作った芸術品に見えたのである。
その美貌、その神々しさは大尉の何かを掴んで放さなかった。
―――まさかその時は、その彼を抱くなどとは夢にも思いはしなかったが。
むせ返るような強いオリーブの香りがして、ガラス戸が開いた。
大量の湿気が吐き出され、細い裸身の影が現れる。
籠の中にきちんと畳んで置かれたタオルを掴み、頭を拭こうとした瞬間、その影が凍ったように停止した。
その瞳はまっすぐ大尉を認めて、無機質に固まっている。
青年はあの雪原の時と変わらず、美しい。
「・・・マイヤー曹長」
大尉は、ゆっくりとその名を呼んだ。
そして、その薄い肩、ごくわずかに柔らかく膨らんだ胸、筋力によって括れた腰、柔らかな茂みや引き締まった肢体を見た。
顎まで伸びたそのプラチナ・ブロンドが額や顎に張り付いている。
何かを否定しようとして、柔らかく膨らんだマイヤー曹長の唇が動いた。
しかし、唇からはただ、わずかに空気が漏れただけだ。
一度、すでに無理やりこじ開けられたその記憶がエーリッヒ・マイヤー曹長―――本当はエーディット・マイヤー曹長を封じていた。
「マイヤー曹長」の本当の姿を知っているのは、大尉ただ一人だ。
彼女の肌がいかに柔らかく、「彼女」の肉がいかに潤っているかを、彼自身が無理やりに確かめた。
「今度は、命でも奪いに来られたのですか」
一見何の感情も込めない声で、曹長が尋ねる。
その灰色の瞳の、はっきりとした憎しみがまっすぐ大尉の瞳に突き刺さった。
メスの刃先のようなその視線にしかし、大尉は臆することはない。
「誤解だよ、曹長。私は君には目をかけているつもりだが?」
ぬけぬけと言い放たれた大尉のその言葉は、挑発なのだと曹長は気付かない。
怒りに、曹長の腹の底がすっと冷えた。
バスマットの上に立ち尽くしたままの彼の指が、握っていたタオルに食い込む。
その蒼ざめた顔色は、凍てつくような怒りによるものだ。
「あなたは」
はっきりと、努めて冷静に、曹長は言った。
「私の何もかもを奪ったと思い上がっている」
強靭な精神力で抑制されたその声をしかし、大尉は鼻で笑う。
そして大尉は黙ったまま、彼に歩み寄るマイヤー曹長を見ていた。
血の気の失せたその表情。
おもむろに引きちぎるような勢いで、曹長は机の引き出しを開けた。
我を失ったその引き金に迷いはない。
「あ、あんたは何も奪えやしないッ!」
叫ぶように曹長が言った。
否定というより―――それは彼の願いであったが。
曹長は、大尉に拳銃をぴたりと照準していた。
その照準は正確であったし、確かにこの距離なら外れるはずはない。
そして、ひどく焦燥した曹長は今にも引き金を絞りかねなかった。
だが、しかし―――
「よろしい。では殺してみたまえ」
大尉は相変わらず、余裕の笑みを浮かべている。
その態度に一瞬、曹長は虚を突かれた。
このお人よしの曹長は、技能こそあれど実際に戦線に投入されたことはない。
人を殺す任務に従事したこともない。
最初の引き金は、誰にとってもそう簡単なものではないのだ。
大尉は、それをよく知っていた。
「安全装置は解除したかね?」
笑いを含んだ声で大尉が問いかける。
「無駄口を叩くな!今すぐ、今すぐ殺してやる!!」
迷いを圧するように曹長は叫んだ。
目を見開いたその表情は、まさに戦場の最中といったところだ。
「可愛い新兵だな、まるで」
しょうがないな、というような口調で大尉は呟く。
「君は、曹長にもなって満足な人殺しも出来ないのかね?」
その一瞬、
―――曹長は何かを言い返そうと反応してしまった。
我に返った0.1秒後には全てが手遅れで、大尉の銃剣のごとき爪先が真っ直ぐ拳銃をめがけて浮いていたのだ。
「―――」
頑丈なその長靴の爪先は、鋭い弧を描き、精緻さを以って飛んでくる。
それは余りに早く、まるで時間の止まった中でそれだけが動いているようにも見えた。
横殴りの衝撃は拳銃をいとも簡単に吹き飛ばし、その拳銃は回りながら飛んでいる。
曹長の手は骨の芯から音叉の様に痺れた。
拳銃が床に落ちる音が響く。
そして、その瞬間には既に、骨太で傷跡のある手が彼の手首を掴んでいた。
その手首はいかにも手馴れたように曹長の腕を捻り上げ、ぐいと彼の体を引き寄せる。
その瞬間になってようやく、曹長は全てを後悔した。
抗えない力によって、小柄な身体はすっぽりと収まるように後ろから抱きすくめられる。
「最後まで抗戦するその戦意は素晴らしい」
「うるさい黙れ!」
抗えない何かに曹長は必死に抗う。
「・・・曹長」
何も纏わないその身体に直接響くようなその囁き声。
見なくても、その口許が笑っているのがわかる。
「それでは、淫蕩の血と君自身の意志、どちらが強いか見せてもらおう」
反射的に振り向いた曹長が目を見開く。大尉は彼女が、身体を硬くしたのが感触で解った。
「母親は北欧一の高級娼館の、しかも名うての娼婦だそうじゃないか」
「・・・・・」
曹長は返す言葉を失ったまま、立ち尽くしている。
母と同じ、娼婦なんかにはなりたくなかった。
そう願い、女であることを嫌悪し続けたせいか、胸の発育はほんのわずかで止まっていた。
その胸を、何も知らない骨ばった手が今まさぐっている。
「やめて」
怯えたように目を閉じて懇願する。
曹長でもなく、エーリッヒでもないその表情。
一番恐れていた自らの魔性が、密かに息づいていることを彼女は知っている。
母と同じ、毒のような淫蕩の血筋が。
「・・・曹長、快楽は罪か?」
後ろから回された右手が、彼女の僅かに張った胸を掴み上げる。
左手はエーディットの顎のラインをそっと撫でていた。
濡れそぼった美しい銀髪に顔を埋めながら、大尉はまるで恋人のように優しく、彼女を愛撫する。
祈るように閉じたまぶたが、その愛撫のたびに柔らかに震えた。
緩やかなふくらみを無骨な手が触れるたびに、先端からくすぐったいような感覚が広がる。
その浮き立つような感覚を、曹長は必死に抑圧した。
「・・・僕は、あと何度あなたに殺されればいい」
虚脱した表情で、「マイヤー曹長」がつぶやく様に問うた。
大尉の手がわずかなまろみを掴んで持ち上げる。
「殺す、だと?」
もう片方の手で唇を撫でながら大尉はぽそりと呟いた。
「君は死なせない。・・・あの地獄の戦線には向かわせない」
無意識に、胸を捏ねる手に力が入る。
何も語らない大尉の目はどこか遠くを見ていた。
不意に強く摘まれたエーディットの先端に痛みが走る。
「・・・っ!」
食い込んだ指先に、膨らんだ先端が赤く染まった。
「大尉殿」
怪訝そうに振り向いたエーディットは、死んだように無表情な大尉の表情を見た。
ガラス玉のようなその瞳に釘付けになったエーディットは、そのまま一瞬封じられてしまう。
体に大尉の体重がのしかかり、抗えぬまま細い体はベッドに押し倒された。
覆いかぶさる大尉はまっすぐにエーディットを見ている。
「・・・・!」
「それ」は、まるで死者だった。
大尉の瞳は光の差し込まない深海のように静かな死の世界だ。
黒々とした、際限のない闇がエーディットを見つめている。
その極小の深海は、今にも彼女の瞳をも呑み込んでしまいそうだ。
(今にも、沈んでしまうのではないか)
なだれかかるその重さが不意に増したように感じられた。
言い知れぬ恐怖がエーディットの中に走る。
黒々とした蒼の瞳と、薄灰の瞳は、互いに相対したまま沈黙した。
「・・・おれは」
感情の抜け落ちた顔で大尉は呟く。
「亡者だ。あの戦場でおれは死んだ」
大尉はそして、エーディットに沈み込んだ。
両腕を押さえつけ、彼女の唇に無理やりに吸い付く。
顔をしかめるエーディットに構いなく、唇を抉じ開け舌で舌を犯した。
唾液が絡まりあい、舌同士がぬちゃぬちゃと音を立てる。
生温い粘膜が互いに触れ合うあの感覚。
「うっ・・・・んんっ!」
前回よりも激しく、大尉はエーディットを貪る。
まるで瀑布にさらされたかのように呼吸が苦しかった。
頭の芯まで酸素が絶えて、涙目で大尉を見る。
蒼い瞳の深海は、冷たい北海のうねりに変化してエーディットを見返す。
まるでエーディットは、錆色の海の荒波に揉まれているかのような感覚に襲われた。
薄れ行く意識の中で彼女は解した。
大尉は、冬の死の海だ。
「はぁあ!」
ようやく唇が離れると、肺が急速に酸素を取り込む。
「いいか、こんなもの殺す、なんて範疇には全く入らないんだ」
片手で毟る様にシャツのボタンを外し、サスペンダーを下ろす大尉がぼんやりとかすんで見えた。
腰に乗られた状態ではどうすることも出来ないまま、彼女はその様を見つめる。
シャツを脱いだ大尉の逞しい体は、この状況にあってもなお美しいとしか言いようがなかった。
盛り上がった胸筋や肩、引き締まった腹筋はガチガチのものではなく、適度な脂が乗ってその持久力を高めている。
よく灼けた褐色の肉体は、真っ白なエーディットの肌と絡まると尚のこと鮮やかだった。
エーディットは、開放された右手でそっとその胸板を押し返す。
「いや・・・来ないで」
頭を振った大尉はその手首をきつく掴んだ。
細い指が震える。
「なぜ、もう一度あんたを犯したくなったのか解った気がする」
もう一度エーディットに沈み込んだ大尉は、今度はその肩を強く吸った。
「・・・・っう!」
大尉の前歯がその柔らかい肌に喰い込む。
真っ白い肌に赤い斑が浮かび上がった。
「お前の体は戦場を知らない。・・・死の臭いも、火薬の臭いも、油や血のにおいもしない」
今の大尉はどこと無く制御を失っているように見えた。
「いやだ」
震える声でエーディットは拒否する。
しかし、両手を封じられてしまえば、彼女はもうどこも身動きを許されなかった。
直に肌を重ねながら、大尉は彼女の洗い立ての香りを肺いっぱいに吸い込む。
・・・豊かなオリーブの芳醇な香り。
彼女の、震える体温と涙の感触が伝わる。
あるいは、あの戦場で見たように、何もかもを切り裂きたいのかもしれない。
夕暮れから夜に変わる瞬間の、真っ青な光が部屋に満ちている。
少しずつ増していく呼吸だけが、そこに響いていた。
彼女を体重で圧しながら、大尉は片手でズボンを下ろす。
それに気づいたエーディットは思わず叫んだ。
「ダメ、お願いだから・・・・!ダメ・・・」
涙がいっぱいに膨らんだ瞳は、哀願するように大尉を見上げた。
「怖いか」
むき出しになった大尉のそれが大腿に触れる。
熱い血潮や脈がはっきりと感じられて、エーディットはもがいた。
最初に味わったあの屈辱と、そして強い快楽がはっきりと思い出される。
「あぁあああぁああぁぁぁああ」
内奥のマイヤー曹長は渾身の力でそれを否定して、一方で女の魔性は受け入れようとしている。
エーディットはひどく混乱し、気づけば涙が次から次へ溢れていた。
これ以上ことが続けば心が分裂してしまう。エーディットはそう思った。
「エーディット―――」
絞り出すように大尉が名を呼ぶ。
その手は彼女の膝に掛けられていた。
容赦ないその力で、彼女の脚はいとも簡単に持ち上げられてしまう。
彼女は息を呑んだ。
局部が剥き出しになり、それをどうすることも出来ない。
「・・・ないで、見ないで!」
どうしようもなくて、自らの顔を覆い隠し、エーディットは嘆く。
まだ湿ったままの柔らかい茂みに、薄く整った陰唇がぬらりと光った。
擦れあった自分の粘膜が、確かに潤みを増しているのが感じ取れた。
「―――うっ」
しゃくりあげながら、彼女は自分の魔性が鎌首をもたげていることを知った。
その潤みの濃い臭いは、すぐに大尉の鋭敏な嗅覚に探知される。
持ち上げられた両脚が、今度は無理矢理開かれた。
細くすらっと伸びたふくらはぎ。筋肉で引き締まった太腿、そして丸見えになったそこは、芸術品のような完成度と卑猥さだ。
透明な粘液で覆われたそこは、美しい桜色をしている。
「体は正直だな」
そっと触れた太い指先がその襞を撫でる。
肉はくにくにと生暖かく、表面にはぬるつきが触れた。
半ば虚脱しながら、エーディットは唇を噛む。
涙を流しながらも、それでも彼女は大尉を睨んだ。
「すまんな」
そのつやのある襞に、大尉はいきなり自身の先端をあてがった。
感触に気付き、エーディットは体を起こそうとする。
「だめ、いやだ!」
しかし、前触れなしに突き刺された茎が彼女の膣口に侵入した感触のほうがそれよりも先だった。
「・・・・!!」
ずぶっ、と内部に侵入してきたそれが狭い肉の壁の中を進んでくる。
前回のような痛みはないが、それでも内臓を直接かき回されるような圧迫感だ。
エーディットの、思わず大尉の肩を掴んだその指先が皮膚を破る。「ん、んん、ん!」
その摩擦に粘膜が刺激され、潤滑さが増す。
先日まで処女だったにしては、その適応力は驚異的だ。
前戯なしのせいか、まだ充分とはいえないが、じきに問題なくなるだろう。
優秀な生徒だ。
歯を食いしばって、溢れそうな声を抑える彼女の健気な表情を大尉は見下ろす。
「悔しいか」
静かに問うたその声に彼女は反応した。
陵辱されながらも顔をゆがめて大尉を睨み付けるその表情は、かえって艶かしい。
強引にねじ込んでいる大尉はその表情に猛り、笑った。
「・・・いいな。あんたはおれを生者に呼び戻してくれる」
ずぶずぶと押し込められた肉茎が、すっかり彼女の中に収まる。
息苦しさに喘ぐエーディットの鳩尾が激しく上下していた。
きつい壁に圧された彼の茎はすぐにでも快感で爆発しそうだ。
たまらず、大尉はすぐに腰を動かし始めた。
「あはっ!」
その圧力に思わずエーディットは声を漏らす。
自分の入り口がこすれる。
中から、くちゅくちゅとした粘液が分泌されるのを感じた。
堅い筋肉の太腿が柔らかな腿の内側に何度もぶつかる。
その擦れ合いの熱が、急激に全身に回る。
生温いぬめりが結合部から溢れた。
「―――っあぁ――いいな、いい具合だ」
大尉の声が思わず上ずった。
「ううっ!」
エーディットの、伏せられた濃く長い睫毛が震える。
のしかかる体重に捻じ伏せられる快感が、エーディットの脊椎を這っていた。
(・・・そんな、そんなはずない!)
その快感を否定しようとしているが、屈服している屈辱を思えば思うほどエーディットの感度は増していた。
ぞわぞわと湧き上がるようなそれは、身体に絡みつくように拡がる。
子宮の奥から熱くなるような、そして脳髄を蕩かす様なその性感に彼女は戦慄した。
もうじき、理性など簡単に破られてしまうだろうという予感がよぎる。
あの時のように。
「んはぁっ・・・・!」
潤んで拡張した瞳で大尉を見つめる。
一度目覚めた魔性は、満たされるまで求めることを止めない。
「・・・どうした、曹長?感じてるのか?」
わざと腰を止めて、大尉は聞いた。
「んっ!」
「そんなはずない筈だな?あれだけ抵抗した癖に」
エーディットの半ばでそれを止めながら、自らも震えた声で問う。
いつの間にか自由になっていたエーディットの手が、大尉の短髪を掴んだ。
「ぅうううーーー・・・違う、・・・違う」
半泣きで必死に抵抗するが、彼女の腰はもぞもぞと蠢いている。
「じゃあ何でこんなにイヤラシイのが溢れてるんだ?」
大尉は腰を持ち上げると、奥にまっすぐ突き刺した。
「はぁぅっ!」
透明な蜜が糸を引いて、シーツに垂れる。
抵抗する力もなく、為されるがままエーディットは突かれた。
かくんと揺れるその身体を更に苛める。
「お前みたいな荒淫は懲罰だ」
一度身を引くと、たっぷりと濡れたその内奥を再び激しく突き刺した。
脚が、それにあわせてまっすぐに伸びる。
ぐちゅり、と突かれるたびに淫靡な音が響く。
「あ、ああ、あうう」
大尉の腰をしっかりと両脚で挟みながら、彼女は自分の奥を打ちつけた。
波打つそのたびに、大尉の背中に回された細い指先が食い込む。
何度か皮膚を破ったその爪先は大尉の赤い血が染みていた。
熱いぬるつきで満たされた子宮を突くたびに、大尉の顔は仰け反った。
がくがくと揺さぶられるままに、エーディットは喘ぐ。
「ひぃ、ぁぁ、ぁあ」
大尉の海に溺れながら、思わず声が上擦った。
「んんぁぁ、いいぃ、気持ち、いいぃ」
首を激しく左右に振る。
大尉は、彼女の理性の牙城が再び崩れたことを知った。
激昂した大尉は、激しく彼女の中にピストンし始める。
ぱん、ぱん、ぱんっ!
「ああぅぅぅ、やめて、ぇぇぇ」
部屋中に肉のぶつかり合う音と、絡まりあう喘ぎ声が響いた。
「はぁ、あ、感じてる、じゃないか、曹長?」
大尉は卑猥な言葉でエーディットを攻め立てる。
もはや返事も出来ず、彼女はただ叫ぶだけだ。
「いっ、いっぃいいい、い!もっとぉ!」
淫らな女の匂いは部屋中に充満している。
大尉のモノは締め付けられ、限界寸前だ。
互いの肉の擦れ合いに、身体の隅々までびりびりと電気が走る。
「んんんん、もう、だめぇ、ええ!」
背中を弓なりに反らせながら、エーディットは叫んだ。
呼応するように大尉は強くストロークする。
「うぉおおお、おお」
その瞬間、快感の波が全身を強く捉え、絶頂が来た。
「はぁあ、あぁぁ、ぁーーー!!」
エーディットの全身が痙攣する。
放出された白濁を、彼女の胎内はすっかり受け止めた―――
硬直し、気絶したその身体に大尉は沈み込む。
突き刺さった茎も抜かぬまま、彼はエーディットの額にそっとキスをした。
もうすこし、その「生」の感触に、触れていたかった。
以上です。
なんか色々上手くいかないもんですが、投下してみました。
失礼致しました。
続編キタ!
張りつめた濃密さが好きです
GJ!!
GJ!!!!
軍モノ好きにはたまらん
>>382-384 携帯をレストランに忘れてwwwレス遅れました。すみません。
暖かいレスありがとうございます。
「」の位置間違えたり、萌え所のない内容ですが、また投下させていただきます。
エーディットの人、続編お待ちしてます
男子校に通う男装少女がヒロインの「花ざかりの君たち」へがドラマ化決定らしいね。
ドラマ化するってのは驚いたが、台湾でドラマ化されてたとかいう話はもっと驚いた
間違いなく、見ないけどな…
女優が嫌いなんだよ
原作もイマイチだったしな。途中から展開意味分からん
花君、一応読んだけど、あの男装少女には全く萌えられない。
>>388 台湾版のものはYoutubeで『花様少年少女』で検索するとドラマ全話揃っている
393 :
392:2007/05/23(水) 17:48:42 ID:QN/IAdco
>>381 GJです!鬼畜な大尉がイイ!!
続きを楽しみに待ってますよ。
>>393 見てみたけどヒロイン役の女優ブサイク杉・・・orz
まるでオナべみたいだし日本の方がまだマシに思えるよ
続き投下
後編です
エロ無し
道路が混んでいてバスが来るまでの待ち時間が10分、学園下のバス停に25分、そこから坂道を歩いて10分。
寮まで帰り着くと9時に近くなっていた。
自分が情けなくて、決めていたはずなのに、なぜ思うように動けなかったのか、……悔しい。
……それに、右手の指を動かすと、二の腕の筋の部分が痛む。
どうしよう。
自室のドアに左手を突いてもたれかかって、考える。
今すぐ階下に降りて彼の部屋に行かないと――、頭ではそう思っているのに、脚が震えている。
行かないと。だけど、でも。
追い返されるのが
怖い
嫌われてもいいのに、嫌われたくない。
二つの反対の思いが渦巻いて。
また、ずしんと腰が重くなる。
嫌だ、嫌だ嫌だ嫌だ。
こんな自分、嫌いだ。
彼の傍になんか、いられない。居たら、いけない。許せない。
左手の非常階段で影が動いた。
――――
間違えようのない、さっき見た姿と同じに近づいてくる。
細いストライプのTシャツにグリーングレーのシャツジャケット、色褪せたジーンズ。
表情は、……よく、分からない。目を上げられない。
肝心な時に言うべきことを言わないと時を失う。
こんなに不甲斐なかったなんて、駄目だ。駄目だ。駄目だ。
顔を上げたとき、横から抱きすくめられた。
「――――!」
息が止まりそう。
彼の腕、彼の体温、彼の匂い。会いたかった、会いたかった、会いたかった。
嫌な悪い嫌いな気持ちがみるみる塗り替えられてしまう。
温かな優しい心地いい思いが全身を駆け回って、ぼくを甘やかす。
「……新珠」
彼の声、何日も聞いてないような錯覚が起こって、それだけで体中の力が抜けそう。
迷惑なら放っておいて。でないと甘えてしまう。
でないと勘違いしてしまう。舞い上がってしまう。
離れないといけないのに、いけないのに、いけないのに。
体が動かない、動けない。動きたくない。
「ごめんな。俺も言い過ぎた」
耳元から一語ずつ伝わってくる言葉がゆるやかに全身へ染み通っていく。
……頭が目が熱い。ああ、もう、言わせてしまった。先に、言われてしまった。
彼は何も悪くないのに、ぼくが早く言わないから言いたくもないことを言う羽目になってしまっている。
「……ううん、ぼくが――」
溜まっていた思いを吸い込んだ息と一緒に吐き出す。
いつ破裂してもおかしくない位に胸の奥に詰め込みすぎて、もう収まりそうにないから。
ごめんなさい。
だけど、あなたが――
――話し声がする。エレベーターから誰か出てくる!
慌てて鍵を開けて、先に彼を押し込んでから追って入ろうとすると、呑気に見とがめられた。
「おぉっ新珠の私服姿撮ったり〜」
「新珠君、おかえり。病院に行ってた?一人だった?大丈夫?」
身長差20センチの衣黄と市原が現れる。
ぼくを見つけると衣黄はすぐに目の奥に心配げに伺うような、いつも向ける表情になって走り寄ってきた。
ドアを背にして、ぼくもいつもの顔に引き締めて答える。
「うん、元気だよ。……市原は自宅通いだろう、どうしてここにいるんだ?」
「こいつの部屋のパソコンとプリンター、オレのより高ぇんだ」
「衣黄、迷惑な時は嫌だとはっきり断らないと、この男はどんどん調子に乗るよ?」
……衣黄なりに市原を見張っているつもりなんだろうけど……お人好しにも程がある。
「今日限りと約束したから。……新珠君も聞いているからね、破らないでよ」
「おう、ってー訳で丁度会ったんだ、新珠のお部屋訪問で騒ごうぜ」
「…は、っ!?なななん何言ってる、そんなことは出来ないよ」
「いちはらっ!学校の外まで彼を詮索するのはやめてくれと言ってるだろっ!」
「どーせ明日もお祭りなんだから前夜祭によー、付き合いわり。雨宿も住んでんだろ?奴のとこ行くか〜」
ちょっと待って!
「雨宿は門限の22時ぎりぎりにしか帰ってこないよ。それから勉強だし――
…………って、聞いたんだ。邪魔なんかもっての外だよ!」
「ふーーーーーん。そーかあ。まー、今回は仕方ねーなあ」
とんでもないことを言い出すから、明らかに焦りが出てしまう。
いかにも見逃してやっていると言わんばかりに薄ら笑いなのが憎らしい。
衣黄が袖を引っ張りながら二つ隣の部屋の鍵を回している。
「ほら、市原君、今日の撮影のチェックをするんだろっ、あと1時間で終わらせないと玄関が閉まるよ!
新珠君、大丈夫だから、明日も頑張ろうね。おやすみ」
「おうよ、雨宿と仲良くなー、じゃーなー」
――っ!え、まさか!?
開くドア越しに振る手しか見えなかった。また衣黄が文句を言うのが切れ切れに聞こえて閉じられる。
「聞こえた……?」
「市原は声が大きしな、この近い距離だと」
完全に静かになるのを待ってから戻ると、玄関脇に立って苦笑いをしながら髪をかきあげて彼は答えた。
学生寮ではあるけれど、構造はきちんとしている。ドアを閉めれば中も外の音も漏れにくく作ってある。
「気が付いているのかな……?」
「聞いても変わらずあの調子なのが見えてるからな。良くも悪くも『見たまま』の事しか言わない奴だ」
「…………」
「差し入れ」
白い折箱をぼくの目の前に掲げる。お店のロゴ入りシールで封かんされていて、何が入っているかはもう、…分かってる。
「朝からの体調も治ってないだろ?……俺が言う資格は無いが、無理するなよ」
受け取ると結構重い。
「雨宿、あの……」
「新珠の努力は誰もが知っているから、いつも相手の事を気に掛けているのは皆認めているよ」
「ま、待って!」
出ていこうとする彼の服の裾を慌てて引っ張る。
「どうしてそんなに優しくするんだよ……、ひどいことをしたのは、ぼくのほうなのに……
謝らなきゃいけないのは、ぼくなんだ。君は、悪くない……」
「――ああ、お前が悪い。……同じだけ、俺も悪い。どちらもだ。」
静かに断言する。でも朝の冷たい様子ではなく、その通りお互いに言い聞かせるみたいに話すから、
胸が詰まる。鼻の奥が、つんと痛くなる。駄目、涙が出るとまた誤解される。
「じ、じゃあ、謝らせてよっ、自分だけ言いたいこと言って、ずるいじゃないかぁ」
思わず袖にすがりついてしまいそうになって、あわてて離す。
でも、負けられない。
もう一度ジャケットの端を掴んで一息吸ってから、彼の目を見つめて言葉を出す。
「はじめに悪いのは、ぼくなんだよ?
…、……
………………、
―――――――― …、」
「君の気持ちにお構いなしに自分勝手で押し付けてばっかりで……
どうして思い通りにしてくれないんだろうって、雨宿なら分かってくれるって、思い上がってたんだ。
負担になるなんて、考えてなかった。本当に自分のことしか頭になかった。
ごめん。ごめん、なさい。、……ごめんなさい」
声がだんだん震えてくる。彼は、じっとあの不思議な色の瞳でぼくを見てる。
本当は抱きついてもっと思いきり叫びたいけれど、最後の最後で勇気が出ない。
「――――俺も同じだから」
たまらなくなって下を向く。唇もまぶたも膝も震えはじめて、もう限界かもしれない。
「ごめんなさい。ただ……」
彼の服をつまんだ指先が力を入れすぎて白くなっているのだけが見えてる。
「……泣いてるのか」
「!、 泣いてないっ!――ひゃっ!」
頬に手を当てられて上を向かせられる。
「俺がライバルの役目を果たせば、泣かないのか」
「…………」
「俺が横に立てば、泣かなくて済むのか」
「そんな強制されて無理にするようなこと、してほしくない!」
重荷になんてなりたくない。だから泣くなんて嫌なんだ、相手の気持ちを無理矢理ねじまげるなんて卑怯で浅ましい。
「今まで散々言ってきた癖に?」
「ぼくの希望と、君の意志は、違う」
「そう、強制かどうか決めるのは俺だから、新珠は今まで通り言い続けていいんだよ」
「また君を怒らせるなんて、嫌だ」
「又、泣いたらいいだろ?」
こつんとぼくの額に頭を当ててちょっと意地悪そうに笑う。
「そんなこと繰り返してどうするんだよ、ば、馬鹿じゃないか。学習しないの?」
彼はくっくっと笑ってる。さっきからずっと顔が近くて恥ずかしい。嬉しいけどっ…
「涙が女の子の秘密兵器って本当だな。怖いよ、落ちない男は居やしない」
「……っ、え!?」
「何でもする、何でも出来る気にさせる魔法だよ」
改めて真面目な顔をされて胸が高鳴る、あごに指を添えられて、思わず目を閉じる…
不意に電子音――雨宿の携帯の呼び出し音が鳴って心臓が飛び出しそうな位に跳ね上がる。
互いに弾かれたみたいに体を離した。彼の顔が真っ赤になっている。きっとぼくも。
「……嶺先生…?」
小さく伺うと目で頷きながらあっちを向く。頭を掻きつつ応えてる。
「はい。………………………………
………………………………人違いです。間違いですよ」
妙に不機嫌な顔で、うるさそうに電話を切った。
「先生じゃ、ないの?」
「只の間違い。いいんだ。……で、…」
さっきのやり取りを思い出して顔が熱くなる。だって、あの、もしかして、だって、あんなこと――
「あの、な……、そう、ほら、ケーキは冷蔵庫に入れておけよ」
「う、うん、わかってるっ。ありがとうっ」
どきどきするのが収まらない。目を合わせるのが何だか恥ずかしくて急いで冷蔵庫に収めた。
「じゃあ、……帰るよ」
照れくさそうに彼も目線をずらして言う。
あの言葉の続きが気になるけれど、ぼくから聞ける訳もないし、
――そうだ!
「雨宿?君の都合のいい時で構わないから、本、貸してくれないか?
三段目の棚に並んでた、えっと、Tって付いてた……」
「T…?」
「筆者の虎尾泰山さんの頭文字なんだよね?途中までしか読んでないけれど、
…面白い発想で、続きが……気になるんだ、け、ど……」
みるみる彼の表情が曇って嫌そうに唇を噛みしめる。
「ごめん!大事な本なんだね!もう、貸して、なんて言わないから忘れて!!」
そんなに辛くて泣きそうな顔をしないで、本っ当に、ぼくはなんて考え無しなんだろうっ。
「そうじゃないんだ、新珠。今朝、汚してしまって……、読めなくなった部分があるんだ。
刊行数も少なくて代わりを用意出来ない。すまない……」
それだけの理由にしては、あまりにも切ない様子で心配になる。
「あの本自体も、まだ続きがある。何時になるか分からないが…………
――必ず、絶対に、新珠には一番に見せるから。約束する」
真剣な眼差しで、よほど気にしているみたいだ。安心させないと。
「わかったよ。楽しみにしてるね」
頷いて笑うと、彼はもう一度目を見開いて瞬きもしないで、じっとぼくを見ている。
また的外れなことを言ったのかな…
「雨、宿?」
「有り難う」
笑いかけられて、息が止まっちゃうかと思った。
――こんなに優しく笑えるんだ、そんな風に嬉しそうな顔をされたら、あなた以外見えなくなる。
彼はお構いなしに、ぼくの頭に手をやって軽く梳きながら続けた。
「新珠、俺はお前の事が――」
二度目の着信音が鳴って露骨に嫌な顔をしながら彼は電話を受けた。
「はい?…………しつこいですよ。……間違いです。
……………………さあ、知りません」
いつも冷静な彼が珍しい程不快な感情をあらわにして話している。
「ごめんな、気にしないでおいてくれ」
苦笑しながら携帯をしまう。ぼくもつられて笑う。
「今度、」
みたび鳴って、そのままの体勢で固まって肩を震わせてる。
そして仕方なさそうに取り出して、音が鳴り続けるそれをしばらく睨み付けていた。
「出ないの……?」
首をかしげて伺うと、観念したみたいにキーを押して勢いよく怒鳴った。
「五月蠅いんだよっ!馬に蹴られ……、え…………ぁ、先生……
――――はい。すみません。…はい、よろしくお願いします。
……っ、いや、…?、……!、…………嘘だ…ろっ――」
手にしたまま画面を呆然と見つめている。
はあぁ、とため息を吐いたところで体がぐらりと揺れて、壁に頭がぶつかって結構派手な音がした。
「あああっ!大丈夫!?どうしたの?……こぶが出来てるよっ、冷やしたほうが」
「――いや、今更大したことない。新珠に撫でられる方が効く」
「そう、…か?」
壁にもたれて腰を落とした彼の頭は、ちょうどぼくの首のところで、いつもとは反対の位置。
治るならいくらでも撫でてあげる。
「もう邪魔は入らない筈だが、すまない。今日は勘弁してくれ……」
彼はひどく疲れた様子で、ぼそりとつぶやいた。
えーと、ね…、気に、なるけど……うん。
期待しても、……いいの、かな?………………………………しちゃうよ?
「約束して」
う、と返事に詰まって考えこんだ後、少し身を起こして目線を同じ高さにして、
――ぼくの唇をそっと舐めた。
「ぁ、…っ!」
わずかな刺激なのに甘い電流が全身に走る。
優しく撫でるように口元から下唇に滑らせて反対側まで舐めてから、
上唇を細かくつつくように舌先で触れられる。
何度も繰り返されて体の奥がぞくぞくと震える。
口の周りが彼の唾液で濡れてきているのを、温い感触で感じる。
もっと、触れて欲しいのに……
唇の内側を少しだけ舐める、ちゅっ、と音がして恥ずかしくなる。
…口なのに、……下を、舐められてるみたいで…っ!
なかなか舌を入れてくれない、でも柔らかな痺れはだんだん強くなって
動きに合わせて疼いてくる。息が熱い。
「焦らさないで、よ…」
彼はかすかに笑って、返事をする代わりに、口を開けておねだりするぼくの中に
やっと入ってきた。
さっきまでと反対に激しく絡められ吸われてねぶられる。
息が出来ない…、けど、もっと……もっとほしい。
好きなままに中を犯す彼の舌を追いかけて、はぁはぁと息をしながら必死に絡めて吸ってねぶる。
唾液を幾度も流し込まれて夢中で飲み込む。彼の、味。沢山、ほしい。
お互いに貪るように求め合って、本当に中を掻き回されてるみたいで目眩がしてくる。
キスだけなのに、どうして、こんなに…熱くて、…溶ける……
「……はぅ…、あ…ぁ、ふぅ……」
ようやく唇を離して呼吸を取り戻しながら彼の瞳を認めると、
いつのまにか壁に背中を押し付けられているのは、ぼくのほうだった。
「きちんと、話す…、から。……いずれ…全部、」
「…ん。……」
彼の指がぼくの口元をぬぐう。ぼくは彼の唇をゆるゆると指先でなぞって答えにした。
…同じ、だよ。ぼくも、ちゃんといつか……
「今度こそ帰るよ、――もう眠くてふらふらする。明日は迷惑掛けるが、よろしくな」
「迷惑かどうか決めるのは、ぼく、だよ?」
「はは、お前なぁ……、…お休み」
「おやすみ」
まだ火照りの残る息を残しながら見送る。
行ってしまったら、すっかり力が抜けてぺたんと座りこんだ。
今日は色々ありすぎて、朝から何日も経ってしまったみたいな気がする。
あなたの横にいられるように頑張るから、それがぼくの願い。
傍にいさせて、欲しい。ずっと――
窓から差す眩しい光が今日一日の晴天を告げている。
熟睡した充実感と3日ぶりに独り占めをするベッドは変に広く感じられて居心地がむず痒い。
24時間前からの状況と心境の移り変わり様を思い出して笑いを零す。
干渉されるのは嫌だが手の届く場所には居て欲しい。
彼女の涙が身勝手な要求と苛立ちを押し流した。
あんな悲しみに満ちた顔を初めて見た。させたのは俺だ。
もう一度笑って欲しい。
――それは俺の考えの押し付けで彼女自身の願いは誰にも分からない。
彼女の心は彼女だけのものだから。
二人きりの時に見せる感情はあまりにも切なく甘い。
俺が僅かでも支えになるのなら、本当にライバルと認めてくれているのなら、新珠の中の「雨宿松月」を目指してみるのはどうだ。
戻らないからと諦めるには、当の昔に不可能だった。結果は同じでも足掻きたい、後悔してもいい。
虎尾教授、嶺先生、千島医師、ケーキショップのお姉さん……
そして新珠。部屋に押し掛けられるのも家捜しされるのも勝手に片づけられるのも食事を出されるのも、正直うっとうしい。
だからな、少しずつだ、少しずつ。
普段は耳の後ろでまとめているだけの長髪を三つ編みにして、味気ない紺と白線上下の体操服姿すら
初夏の爽やかな空と風の中、やはり彼女は際立って輝いて、綺麗だった。
ふと、通り過ぎる下級生の女の子二人。丸首の半袖シャツは男子と変わらないが……
「さあ、次が出番だからね、行くよ」
紺色ジャージを履いた彼女に背後から声を掛けられて、ぎくりと背中が冷える。
揺れる三つ編みの後を追って歩くと、あちこちから声を掛けられ視線が集中する。
無論、新珠燐に。
「参加することに意義があるんです!結果がどうなっても僕らは応援しています!」
「気合い入れてやれよなぁ、特に雨宿、まぁ何とかなるだろ」
「お二人ともきっとだいじょうぶですよおー、ふぁいとー」
期待しろとは足手まといの俺が嘘でも言える筈がないが、この、走る前からのフォローの嵐は……
「新珠、……昨日?何かあったのか?」
「……き、気のせいだよっ、組応援が盛り上がってるって、いいことだろっ。
ほら、急がないと」
誤魔化すように足早に入場口へ走って行く。良くも悪くも注目されるのは一緒に居る以上、仕方が無い。
「いやあああ、新珠先輩が男と密着してるぅぅぅ、」
「落ち着いてよ、二人三脚だってば」
「来年、来年には必ず先輩とーーーー!」
「卒業しちゃうってば」
自分の右足と俺の左足を結んで準備完了、と頷いて彼女は拳を握り締めた。
「くれぐれもお手柔らかにな、突っ走られると、死ぬから。性急過ぎるんだよ、お前」
「うん、分かってるよ。仕方ないなあ」
ここでそんな小悪魔みたいに笑うなよ、皆見てるだろ。
「俺以外なら一番を狙えるのにな、ごめんな」
「二人でゴールするのが目的だからね。それが一番大切なこと。
…もし負けても、頑張ったよね?ぼくたち」
煌めく瞳が抱き締めたい程愛おしい。肩を抱く腕に力を込める。
『位置について――』
目の前に白いゴールテープが見える。
それ以外に立ちはだかっているものはない。
新珠となら、出来るかもしれ……
「――!」
「きゃ!」
つまずいた…………
「わっ、悪いっっ」
「ば、ばか!」
どう見ても押し倒している体勢で、焦って立て直そうとして更にバランスを崩す。
「あーはっはっは!決定的瞬間撮ったああああ!オマエらやっぱ期待裏切らねえっっ」
「市原っ!今度は僕達が走るんだよ、何してるんだよっ」
「やだあああああああ、あの男殺すーーーー!!!」
「素晴らしすぎますわ、目眩がしますわ、二人の世界ですわ」
散々だった。
形勢の怪しくなった3組だが、応援はかえって挽回しようと勢いに乗っていた。
なかでも3学年は、入学の翌年から共学になり普段男だらけで過ごす鬱憤を、
この時とばかりに晴らそうとせんばかりに異様な熱を帯びてきていた。
「逆境こそ本望、逆転こそ最後の花道だあー」
「やはり3年がまともに選手選択をしなかったのが招いた結果ではぁー」
「それはそれ、これはこれ!女子達もあんなに頑張っているんだ!
あれを見て何とも思わないのか!男なら漢を見せろ!」
「ブルマいいっすよねー……留年しよっかなー」
「君たちっ!見る所違うだろっっ!!」
思わず頷く一同に俺もつられて納得すると、新珠がもの凄い勢いで睨んだ。
怖すぎる。
最後の組対抗リレーで、アンカーの新珠が4位からの大逆転という絵に描いた様な展開をやってのけ、
当然のごとく総合優勝を勝ち取った。
出走後に閉会式、片付け打ち上げ諸々、彼女はずっと沢山の人間に囲まれて賞賛を浴びていた。
部屋に持ち込んでいた私物を引き取る口実で訪ねてきたのは23時を回っていた。
「明日で良かったのに、疲れてないか?」
「それより、君に手伝って欲しいことがあるんだ。君じゃないと、駄目なこと」
「今日の償いだ、何でもするよ」
「本当?――昨日のケーキ、7個も入っていたよねえ。昨日の夜と今朝2個ずつ食べたけれど、
まだ残ってるんだ」
「食べてしまえばいいじゃないか、あと3個だろ?」
「全部すっごく美味しかったけれど、太っちゃうよ。ぼく――女の子なんだよ?」
嫌な予感がする。
「君が持ってきたんだから、責任取ってよね」
「甘い物は駄目だと言ってるだろ。給料前で痛かったんだぞ」
「何でもするって言ったくせに。嘘つき。」
頬を膨らませて拗ねてみせる仕草で脅迫してくる。限りなく勝率は低い。
「なるべく甘さ控えめの奴で協力するから、……後は頼む」
「だめ。全部食べてくれないと、口移しだから、ね」
「はぁ……っ!?」
「やっぱり好き嫌いは良くないと思うんだ。食べることも楽しまないと、勿体ないよ」
「それはそうだが、なに、箱持って構えてるんだ?それ、生クリームに幾層も重なって如何にも甘そう、
おい、そんなに寄るな、口移し前提かよっ、ま、待て…っ……、」
甘い。果てしなく気が遠くなりそうに甘い。味がどうのというレベルじゃない。
どんなに甘ったるいお菓子でも、キスより甘いものは無い事を思い知った……
新珠の傍に居る事が、俺は無論、周囲を徐々に巻き込んで変えていく。
定められているのかそうでないのか、知る術もなく――
以上です
男が告白したら終わり
Hもキスもしてるのにな
もう少し続く予定
今回長々と申し訳ありません
失礼しました
おお、新作が。
またしてもいい仕事ですな、期待してます。
後書きの書き様が変でした
3話はこれで終わり
全体の着地点が告白エンドの予定です
失礼しました
早く完成するのを待っています、頑張ってください
411 :
名無しさん@ピンキー:2007/06/05(火) 05:10:42 ID:E4XFU1F+
とりかえばや物語
>>411 確かにとりかえばや〜は古典とは思えないくらいエロかも。
女装の王妃×男装の女騎士なんて設定はここでは駄目かな?
女装スレがあればそっちに投下しようかと思ったらもうなかった…
>>413 それは王が男を女装させて王妃にしたってこと?
男装している王とか王子(女)とかならともかく、
女装する王妃(男)って何なんだろう…
王がウホッって人なのか?
普通は世継ぎが必要とかで女を男装させるわけだが、
男を女装させる必要がある場合というのも考えられない事は無いな。
代々女が世継ぎになる風習のある国とか。
>>412 現在残っている「とりかえばや」はまだ過激度を低く抑えてある方で、
書かれた最初の時点ではもっと過激な内容だったらしい。
後から別の書き手によって過激度を押さえる改稿がされたようだ。
旧「とりかえばや」は中世に散逸してしまって、現在では他の文献による間接的言及で
内容のヤバさを推し量るしかないとのこと。
「とりかえばや」はマリみてでもネタにされてたよね。
>>417 そう考えると現代的にアレンジされた「ざ・ちぇんじ!」なんて原典に比べればはるかに生易しいんだろうな・・・
まあその分萌えがいはあるけど。
デルフィニア戦記にいる<女装王妃
女装王妃かw
確かにあのキャラはそうなんだけど。なんというか…
それにしてもデル戦なんて懐かしいものをw
そういえば男装の女騎士も二人いるな。
「とりかえばや」と似てる設定の多い「有明の別れ」結構好きだがマイナーだなぁ。
図書館で南条範夫版借りて読んだらめっさ萌えた。
某残酷無惨時代劇のように文庫版を復刊してくれたらいい。
>>413 男装の女の子が入ってればここに投下していいと思うよ。
注意書きして女装モノ苦手な人はスルーしてもらえばいいし。
「とりかえばや」にしても「有明の別れ」にしても、
何百年も前に男装の少女に萌えていた人がいるかと思うと嬉しいよ。
むしろ昔は衆道が割りと普通だったからなぁ
男装の女なんて珍しくもなかったのかもしれん
月下桜園待ち保守
エーディットの続編、期待しています!
男装した少女が正体を見破られた時に思わず胸の膨らみをつかんでしまったりさらし越しに撫でてしまうというシュチュエーションはありなんだろうか?
あり
萌える
430 :
名無しさん@ピンキー:2007/06/20(水) 00:00:46 ID:Sdda0R0R
age
>>428 というか、見破られる切欠がそれ、というのがいいな。
「おま……胸?」
「ばっ……ばかぁっ!」
ドガゴゲスラボゲン
「はっ!?」
「……」
「だ、大丈夫かっ!?」
「……アナタノオカゲデ……ダイジョウブジャアリマセン……」
「ね、寝るなっ! 寝たら死ぬぞ!」
こんな感じ……で? あれ?
何か間違ったか?
イイヨイイヨー
胸ネタに便乗してバカップルな合間話
「ふーん、巨乳が好きなんだ……雨宿……ふうーん」
「ちょ、何見てる!? 勝手に家捜しするなって言っただろよ!!」
「マットの下からはみ出ていたよ。ちゃんと隠しておかないと駄目じゃないか」
「女の子としては『きゃあH』とか言わないのか」
「可愛くてスタイルのいい女の子が好きなのは男なら当然なんだろう? ぼくには無いものだし」
「――本気で言っているのか? 気にしなくても充分……」
「……胸だってちいさいし」
「BかCはあるだろ、一般的に卑下する程の大きさか?」
「測ったことないから知らないよ」
「……お前本当に女か?」
「さらしでぐるぐる巻いてできあがり」
「今は関係無いが将来形が崩れるぞ、後悔したって知らないぞ。帰ってきて人に会わなくていい時位ブラジャー付けておけ」
「……雨宿って、詳しい?」
「何故そんな目で見る?思春期男子として正常だぞ俺はっ! ……測ってやるから、そこ座れっ」
寮の自室で男装少女のバストを測る男。何してんだ俺は。
まあ内心突っ込みつつでないとこんな芸当は出来ない。
シャツをはだけて、さらしを外した部分はまだ淡く跡が残っている。
大人しく測られている新珠も新珠だ、男にさせるか普通。
女友達も居ないまま年頃になった所為か分からないが、恥じらうポイントが常人と明らかにずれている。
「下が67で上が82な。差が15cmだからCだよ」
「そうか、ありがとう。Cで買えばいいのか」
「…………その辺はお母さんに聞け。今まで何も言われなかったのか?」
「洋服は着ないのに可愛いのを一杯買ってくるよ。下着は……、その、他人に体を触られるのは苦手だったから……」
「最初に言え! 何故黙ってた」
苦手な癖に俺に散々弄られて我慢してたのか? 好意的に考えれば克服の為と言えるが。
「むかしっ、昔の話だよ、今は平気だからさ、全然大丈夫」
「無理するな」
「君に、今改めて、裸を見られて、……触られて、文句を言えと?」
「お前はいつでもその権利があるよ」
新珠は、ふう、と仕方無さそうに溜息を吐いて目を逸らして呟いた。
「どうして、君は……こうも馬鹿なのかな。えっちなことする時は、結構強引なくせに」
「こう言っては何だが襲わせている責任はお前にもあるぞ」
「君にも拒絶する権利が当然あるじゃないか、――――で、今日はどうするのかな?」
囁きながら俺の首に腕を回す。最近会得した小悪魔風の笑みと既に熱っぽく潤んだ瞳が覗き込む。
「ん……、や、……」
それぞれの指で代わる代わる刺激しながら胸を持ち上げるように両手で揉みしだく。
手の平全体で感じる弾力に満足する。実際に触る時に大きさは気にならない。
このサイズで不十分とは確実に何割かの女子から殺されるぞ。
両腕にシャツを引っ掛けたままベッドに腰掛け、跪く俺と視線が合うと唇を噛みしめながら目を伏せる。
自分から誘う癖に平静を装う顔と切ない表情がない交ぜに現れるのが彼女の魅力だ。
本人は強気を維持したいのだろうが余計に劣情をそそる。
掌に胸の中心を固定して軽く押しつぶすように円を描く。左右同じに、逆に、上に、下に。
徐々に息を荒げて長い睫毛が揺れてくる。先端が尖り始めたので僅かに擦りながら揉み続ける。
「ふぁ…、……っ、っ!」
熱を帯びてきた膨らみは柔らかさを増し突起は更に固くなった。
強めに手の平で擦り上げると、仰け反って白い首筋を見せる。
引き寄せられてそのまま鎖骨から舐め上げていく。
「んっ……」
互いに舌を絡め合う。指で強くこねると強く吸い合い、優しくなぜると周囲を舐め回った。
唾液を交換し胸を揉み上げながら口を離すと名残の糸が引く。
そのまま俺もベッドに腰掛け、脚の上に彼女を斜めに座らせると、どちらともなく再び唇を合わせ思うままに吸う。
俺はやはり胸を掌で好きなように形を変えて揉む。
両方を摘むと背中を仰け反らせるが後ろから抱きかかえてキスをされているので思うように動けず、
彼女の指先や舌がもがくように切なく走る。
その仕草が堪らずに繰り返し人差し指と親指で掴まえると、唇を振り解いて喘いだ。
「そん、な、の……っ、だ、めっ…、もぉ……」
「嫌なら、止めるよ。我慢しなくていいから」
そう聞いた時の新珠の顔は羞恥や困惑より思ってもみない事を言われて落胆する子供そのもので、
俺は途端に苦笑しながら負けを認めてしまう。
「嘘だよ」
「ば…、ぁかっ、意地悪するな……、ん…」
抱き締めて顔を擦り寄せるとくすぐったそうに身をよじる。
「脱ぐか? 脱がされたいか?」
「君を、脱がせる選択肢はないの?」
「全ーーーーく、そそられないな」
「ぼくは、どきどきしちゃうよ」
くふん、と鼻を鳴らして胸に顔を埋めながら俺の服を脱がしにかかる。
負けじと胸を掴むと荒く息を吐きながらもその細い指でボタンを外すのを止めない。
素肌で直に触ってるのに強情だな、変な所で本当にお前は。
既に体全体が熱を帯びて吸い付く様な肌触りと匂いが満ちて。
ジーンズのファスナーを下ろし左手を差し入れながら、右手で胸の尖った先端を軽く引っ掻くと、
報復とばかりに首筋に歯を立ててきた。
「痛っ、噛んだだろ、やめろ」
「ぼくにだって、させてよ」
「無駄に張り合ってどうするんだ……」
結局交互に脱がせ合いながら触ったりキスしたり舐め合ったりとじゃれつきながらした。
最後の一枚をどちらが先に取るかとじゃんけんになるわ、
体育祭から一週間、周囲や新珠の視線が妙にくすぐったい。
端から見れば紛れも無く市原の思惑通り仲の良い、……恋人同士になるのか?
「あは、ちょっと痕がついたかな? さっき噛みついたところ」
「俺の血は不味いぞ、不健康で中身もガタガタだ」
「……――になれば、いいのに」
「? 、今何て言ったんだ」
新珠は変わらず喉仏や首筋を指先で撫でながら耳元に口を寄せた。吐息がかかる……
「――自覚があるなら、ちゃんとしなよ!馬鹿!」
「大声で叫ぶな!聞こえてる!」
耳を押さえて反射で言い返す。
「聞く耳を持たないと変わんないよ。何度も言わせないでね、それとも、わざと言って欲しいとか?」
「人の学習スピードにまで口を出すなよ、急かすな」
「待ちくたびれる前に来てほしいな」
「……検討はする」
そしてまたキスを繰り返した。
「ところで不思議に思ってたんだけど」
「何だ?」
「普段でも外でもゴム持ってるの? どうしてだ? 皆そうなの?」
「……………………お守りみたいなもの、か?そういう事にしておいてくれ」
「ふーん、じゃあ、ぼくにもちょうだい」
「……女の子も割と持っている話だからな」
「――えーと、」
「読まなくていい!」
「んー、でも、ぼくが付けてあげてもいいんだよね、口とかで」
「お前の知識絶対偏っている……」
>>437 新珠可愛いよ!可愛い過ぎだよ!そしてGJ!
月末を楽しみに待ってます!
>>437 もう流れてる……
甘ったるいバカップルGJ!
>>440 うはwww可愛いwww
上手くイメージを描けてウラヤマシス。
442 :
寒理人:2007/06/26(火) 00:12:36 ID:8LMAzcKJ
>>440 更新、遅くなって申し訳ありません。
>画像の収納は無しでお願いします
了解しました。
・・・だが、俺のHDには保存させてもらったぜ!!!
もうこのイメージでしか読めなくなったw
保守
続編投下します
8レス
梅雨明け間近なこの時期が終われば颯爽と開く向日葵の鮮やかな季節がやって来る。
その輝く笑顔を持ちながら白く眩しい肢体は覆い隠して過ごさなければならない理不尽さに
勝手な怒りともどかしさを感じるが、俺が苛立つのもおかしい話だ。
実際に本当の姿で現われたら完全に蚊帳の外に追い払われると決まっている。
ばしゃ。
「――!」
「どうした、君がよそ見なんて珍しい」
水溜りに右足を突っ込んでズボンの裾が靴ごとびっしょりと濡れた。
新珠は俺の左側を歩いていたので幸い巻き添えを食わずに済んだ。
「そんなに離れてるから濡れちゃうんだよ? 傘はひとつしかないのに、もっと傍に寄ってよ」
「男同士で寄り添っても気持ち悪いだけだ」
「そうだった。忘れてた」
「忘れるなよ……」
まるで反省する様子も無く上目使いに柔らかく微笑む彼女に傘を掲げて歩き出す。
「あいつら堂々と二人で帰りやがって。公認カップルだな完全に」
「だからねえ……」
帰り際に雨が降り始めて、傘を持たない雨宿松月に新珠燐が相合い傘に成功したという所?
男子生徒が並んで下校してるだけなのに……、僕らだってそうじゃないか。誰もそんな邪推はしないよ。
確かに体育祭が終わってから、あの二人を認める空気が何とはなしに流れている。
授業の課題やクラス内のまとめ、新珠が一人で、もしくは個別での行動だったのが、
雨宿と互いに協力するようになって、流れが格段に良くなった。
僕は……そっと、見守りたいんだ!そっと!
「またいい値で売れるぜ、あっはっは」
最近の市原は二人のツーショット写真に命を懸けているのではと思うくらいだ。
売る方も売る方だが買う女生徒達もどうかしてる……
判断不能な周囲の思考回路に苦しみながら今一歩阻止する手をためらうのは、この状況を新珠が嫌がっていない事実に他ならない。
それにこの邪推が歯止めになっているのか、これ以上の秘密に興味を持つ気はないらしい。
最強最大のスクープの目くらましなら、やむを得ないのではないか。不甲斐ない状況を無理矢理納得させようとする。
ああ、学園長に勘づかれませんように……、それだけが気がかりで悩みの種だ。
実際は当に雷が落ちても不思議はないだけに、音沙汰がないのが怖すぎる。
「お、奥丁字?」
「何だよ」
悩みの一端を担う相手につい声を荒げる。
「後ろ頭のここ……、ハゲてねえか?」
「えええっ! うわああああん!!!!」
バイトから帰ってくる頃には雨は止み浅く点々とする水溜りを避けながら自転車を停めていると、
一台の車が後ろを走って出て行った。……こんな時間まで来ている保護者? は珍しい。
通り過ぎる間際に派手に水はねをしてくれてまたもやずぶぬれになりかける。
風呂でざっと汗を流すと気を取り直してノート型PCを立ち上げる。
――着信音。
新珠だ。
『制服乾いたから今から行くよ』
夕方は夏服の右半分を上下共ずぶ濡れにして帰り着いたが一晩干しておけばまあいい。
料金制だが食堂横の乾燥機を使う手もある。
そう考えていたら「帰ってくるまでに任せて」と強引にひっぺ返された。一応玄関の内だったが……
「有り難う。……って、その当のシャツを着てくるな。意味無いだろ」
「すこーし生乾きだったから着たら乾くと思って」
「その事態ならアイロンを掛けるよ。そのまま脱いで帰るなよ」
「だから別のシャツを貸してよ、長袖がいいな」
溜息を吐き言い返す事は取り止めてなるべく汚れていないものを見繕って渡すと、
早速着替え始めたので画面に集中する。
「雨宿、パソコン買ったんだ」
「借り物だよ。バイト代で生活しているのに買えるか。早晩山(いつかやま)さんの私物だな、色々弄ってある」
「いつかやまさん? 誰?」
「嶺先生の旦那。知らないか?」
「結婚してるなんて初耳だよ! 若くて仕事出来るけど恋愛には興味がないと思ってた」
目をぱちくりさせて意外そうに覗き込んできて俺の腕を掴む。
「早晩山さんは虎尾教授の研究室メンバーでは若手のリーダーで嶺先生とは同級生なんだ」
「ふうん、そっか、結婚してたんだ……、そうなんだ。うん。へえー」
妙に上機嫌で嬉しそうに繰り返している。理由は分からないが踊り出しそうな勢いだ。
「俺が知り合った頃は発表した論文が認められたらプロポーズすると公言していて、
『二十代で結婚出来なかったラ貴様ヲ殺ス』と脅迫されていたな、」
「え? 嶺先生って20代後半か、30歳そこそこだろう?」
「今年で35…………、
「うそ! 絶対そんな年には見えないよ!!」」
――新珠の様子に油断して墓穴を掘った。吐いたとバレたら千島医師と組んで殺されるな。
「今の言葉は忘れてくれ。俺の命が危なくなる」
只ならぬ様子を察したのか女性同士年齢の件には敏感なのか、うん、と納得した風に頷いた。
が、それも束の間、至近距離でにんまりと笑う彼女の口元から予想通りの言葉が紡がれる。
「それはものすごく困るよ。――だから、口止め料が欲しいな?」
「……ん、はぁ……、ぇ……っ」
尚も続けようとする唇を引き離して断りを入れる。上気した顔が名残惜しい。
「制服は世話を掛けたな、明日の朝までに書き上げるから今日は相手に出来ない。御免な」
「ぼくに手伝えることはないの?」
残念そうな甘えた瞳で見上げて未練を引きずるだけで無く、とんでもない格好で居る事に今更思い当たった。
男物のシャツは痩せた俺の物とはいえ彼女にはやや余り、袖口から細い指が覗いている。
胸のボタンを一応止めてはいるものの先刻所々触れた柔らかい感触は明らかに生乳だ。
で、何故また生脚なんだ? 先刻脱いだままか? その下はいくら何でも履いているよな?
裾から伸びる太股や見えそうで見えない部分へうっかり誘われてしまえば終わりだ。
眼前の課題より難題を出してどういうつもりだ、阿呆。
「頑張れと言ってくれるか。上手くいけば教授に紹介する」
振り切る為に一度深呼吸をし改めて答える。
俺の様子をじっと見つめていた新珠はおそらく彼女に出来得る最善の眼差しで応えてくれた。
「――ん、……頑張って。雨宿なら、出来るよ。
その言葉と笑顔で、俺は、「…………ぼく、帰らないから。今日は……したいんだ。だから待ってる」
「……っ!?」
「急がないと寝ちゃうからな!」
言い捨てるとベッドで薄手の毛布に頭からくるまって丸くなったまま動かない。
「…………、
発情期じゃ無いんだからよ……」
思わずぐったりと頭を抱えた。顔に火が点いてあやうく良からぬ言葉を叫んでしまいそうだ、
新珠、お前なぁ……分かってるのか、自分が何を言ったのか。
PCとデータを渡されたのが29時間前、確認や論点の絞りに手が掛かって、残り8時間で上げて嶺先生に渡すのが条件だ。
『高遠(たかと)から預かり物ダ。
夏休み中の空き時間に研究室に来るのハ構わないがネ、雑用でも使い物にならない、デハ困るんだヨ。
その気があるナラ、この件について書いてくるんだネ』
『これを?』
『卯月 楊が7年前に造った案件だよ。楽しみにシテル』
PCに向き直りキーを打ち始める。
Enterキーを押して完成、ファイルを閉じる。4時37分。
脳内ではまだ単語や繋がらない文章が巡って収まってくれる様子は無い。
コンタクトを外して目を洗い眼鏡に掛け直すと椅子にもたれてようやく息を吐いた。
「あ、ま……やど……」
ぎょっとして振り向くと人のベッドの上で平和に熟睡する新珠が目に入る。寝言か。
羽織っていた毛布も何処へやら相変わらず素晴らしい寝相で目の毒だ。
ボタンはいつの間にか二つ三つ外れ胸の谷間は丸分かりで、呼吸に合わせ小さく揺れている。
見事にはだけた下半身はショーツの皺まで確認できる。
「んっ……あ……」
悩ましげに身をよじり唇が開く。脚を摺り合わせて、やらしい夢でも見ているのか……
したいと言っていたからな。
…………
頭は興奮してもうこの時間から眠れる筈も無い、期に乗じて悪戯させて貰う事にする。
ぎし、とベッドが軋む音や彼女の上に形作られる自分の影に後ろめたさを感じつつも、
閉じた瞼にキスを落とし規則的な小さな寝息を頬に感じながら掌で体中をそっと愛おしむ。
目を覚ます気配は無い。
脇腹をさすり上げる様に撫であげてそのまま二つの膨らみに辿り着く。
大きく開いた襟元から揉み込む自分の指が見え隠れする。
彼女の息はほとんど変化は無いが掌の下はじわりと汗ばみ突起を軽く弄るとあっけなく固くなった。
「ふぁ……ぁ……っ」
声が漏れ一瞬動きを止めるがそれきりだ。右胸を露出させ吸い上げるとぴくりと反応する。
べっとりと濡れるまで幾度も胸全体を埋めるように舐める。
唾液と彼女の寝汗と体の匂いが立ち、水音に似た淫靡な音が聞こえ始める。
幾分荒くなった様に感じる呼吸に密かに弁解すると、下着を脱がせた。
片方の足首に引っ掛けたままで押し開く。奥に軽く触れると既に濡れて露が光る。
そのまま指を割れ目に沿ってなぞり上げると、みるみる膨らむ花芯を剥いて爪先でつつく。
「あ……ぁ、ん……」
切ない吐息は夢か現実か。やや紅潮しただけの何も知らない寝顔と裏腹に熟れた秘所は俺に弄られてひくついている。
気付かれたら怒るか拗ねるか、もう少し強く掻き回してやるか、胸や耳を噛んでやるのもいい。
溢れる愛液は繁みを伝い、へその付近まで流れている。舐め取ってやりながら尖る胸の蕾を摘んで潰した。
「んん……っ!」
体が跳ねたが覚醒するまでには至らない。
意識の無い彼女とする……興味はあったが、俺はやはり直に反応を返す新珠がいい。
「おい、起きろよ……、するんだろ?」
なるべく優しく囁きながら再び桜色の突起を挟み強めにこね回し荒々しく中を指の腹で擦りつける。
「……はぁ……、っ、や……あっ!」
息を吐きながら体をよじり表情を歪める。あと少しか。
「新珠……、……だよ……」
耳の奥を舐めながら聞こえない呟きを伝える。声には出していないはずなのに一瞬体が強張った。
「あ……、は……ぁ、……あん、……あま……や、ど……?」
イッた後のような蕩けた瞳を覗かせて呼吸をゆっくりと繰り返した。わざと意地悪く嗤って返事をする。
「夢のなか、気持ちよかったか?」
「…………?……え……、?」
まだ焦点がぼやけて判っていない。本当にイッたんじゃ無いだろうな。
左手に残る蜜を伸ばして糸を引かせて見せつけながら、右手で彼女の手を取って足の間へ誘う。
熱く溶けた自らの部分に触れさせて、くちゅりと蜜壺の音を響かせる。
「寝てる間にこんなにするなんて、やらしいな。相当激しかった?」
「!! や、ばか! 違うっ!」
正気に戻った彼女は出来る最大限の力で俺を突き放してベッドの端へ逃げた。
狼狽と羞恥とまだ残っているだろう快感の名残で最大級に全身を紅くして。
「き、君がしたん、だろっ? ……あ、パンツこんなにしてっ、えっち! すけべ! へ、変態っ!」
「……したいって言っただろ……、つっ、……本気で突き飛ばしたなー、痛っ……」
椅子の脚で頭を打った。ベッドの上から飛ばしすぎだろお前。
「一人でヘンなことするからだよっ! 馬鹿馬鹿! 二人でしたかったのにっ、もう知らないっ」
頬を膨らませて怒る様子が余りに可愛くて、つい笑いを零すと蛸の様にますます膨れた。
「ぼくは、怒ってるんだよ?」
「そうだな、頭の上に角が見えるよ。これは怖い」
「〜〜〜〜〜〜、早く謝らないと、本当に知らないから」
「ゴメンナサイモウシマセン。…………ああ、分かった。御免な、これきりだよ」
口を尖らせて泣き出す寸前にまで拗ねた新珠に白旗を揚げて、ベッドに乗り上げると抱きついてくる。
「忘れさせないで、君を……」
「?、どういう……」
互いの答えは塞ぎ合った唇の中に消えた。
既に火が点いていた彼女の躰は少し優しく舐るだけで熱っぽく香る。
そんな自分の痴態に翻弄されて戸惑う姿が余りにも蠱惑的で劣情が増す。
「やぁ、はぁんっ、だめ、そんなのっ、……あぁん、はや……早くぅ……っ、もう」
形の良い胸を弄びながら弾き蜜を啜りながら転がす。その都度淫らに声を上げ体が跳ねる。
俺の愛撫を全身で感じて悦んでくれるのを目の前にして、やはりかなわない。
がちがちに硬く反り返って今かと主張する俺のものを両手の平で包んで上下にさすられる。
彼女の奥にまで入れた中指を折って襞の間を撫でる様に刺激しながら人差し指で入り口を小刻みに擦る。
お互い相手がどうすれば悦ぶか知っている。向かい合わせに座り性器を弄り合って快楽に堕ちていく様子に、
恥ずかしさを誤魔化そうと口腔を貪り合う。
「あ、あふん……っ、……ぁ、して……き、てぇ……っ、」
待ちきれず細い指で握ったまま柔肉の奥へ導こうとするのを制す。
「ちょ、待ってくれっ、もう生は駄目だと、」
「いいよ、このまま、して……」
潤んだ瞳と半開きの唇で請われてごくりと唾を呑みこむ。以前の甘美な麻薬が甦り、彼女の手の中で
あの記憶に震えて爆発しそうだ。ああ、そのほうがいいかも知れない……
「違うだろ、……そ、そう、新珠、お前が着けてくれよ」
「ん…………、…………わかったよ……」
切ない瞳を見ないようにして、たどたどしい手つきで装着してもらいながら、
罪悪感ともどかしく触れる指先に度々なけなしの理性を反故にされそうになる。
「これで、いいよ、ね……?ああ、もう……待てないよぉ……」
恍惚とした表情で貫かれる期待におののきながら蜜の溢れる場所を自ら進んで指で広げて迎い入れた。
中に押し入って拓いていくと同時に飲み込まれる感覚。
この一緒になる瞬間の甘さと火花が散りそうな昂揚は何度抱いても修まることはないだろう。
「はっ、はあ、ああぁ、あついの、ぁあっ、」
言葉より正直に合わさった部分から熱く煽動され、ただ求める事しか考えられなくなる。
抱き合って密着しているせいで新珠の指や吐息、しなる身体の一つ一つが高みへと誘う。
腰を抱えて突き上げると合わせて全身がびくびくと胸同士が擦れ合う。
「あっ、あっ、あっ、あは、っ、あん、あ、あま、やどぉ……っ」
「……はぁ、……っ、新、珠……?」
上下に動く衝撃と汗で首に回した腕が外れそうになるのを今一度掴み直して涙声混じりに喘ぐ。
「も、う、だめぇ……、いきそう……、いっちゃ、う……っ」
必死にしがみつきながら腰を揺らして自分でもより悦楽を求める。
呼応して首筋に感じる荒い息と粘る水音に伴われて遠くない頂点へ追い上げられる。
「いっしょ、に、いって……、いきたい……っ、あああぁぁ、あ、だめ、あぁああぁぁっ、」
激しく抽送を繰り返し襲ってくる締め付けは互いの意識を麻痺させていく。
彼女の内側から細かい痙攣が始まる。
「ああぁぁ、あ、あまやどっ、いくぅっ、いくよぉっっ! 」
「俺も、だ……、新、珠……っ!」
熱い海の中で強く搾り取るように錯覚する収縮の波に攫われ、背筋を駈け昇る甘い痺れに任せて、
堪えきれなくなった熱情を放った。
その度に力を失った彼女の体が、俺の腕の中でがくがくと揺れる。
「あ……、感じる……っ、いま、……はぁっ、……ぼくも……、嬉しい……」
顔を擦り寄せて冷めやらぬ熱に浮かれた息をしながら嬉しそうに呟く彼女を愛おしく抱き締めた。
「気は済んだか?」
「――ん、……忘れない……」
目を伏せて胸元で囁く声にまた違和感がした。
薄く空が白み始めている。自業自得だが認識すると眠気が襲ってくる。
欠伸をして溜息を吐くと横でくすっと首をすくめた。
「課題は出来た?」
「お陰様でこうして夜明け前に終わったよ。……有り難う」
「頑張ったのは君だよ? お礼は自分自身に言わなきゃね」
ちゅ、と頬にキスをされる。
……無性に、顔が火照り背中がむず痒く落ち着かない。先刻より激しく動悸が耳内に響く。
「新珠……」
隠していた言葉が漏れそうになる。
「そうだ」
新珠は髪を結んでいる赤い紐を解いて軽く頭を払った。
広がる刹那に肩にさらさらと振り落ちる絹糸は途端に雰囲気を息を呑む美少女へと一変させる。
「シャツの代わりに、あげるよ」
俺の左手首に一巻きして蝶々結びにする。
「……糸なら、いいのにな」
微かな声で良く聞き取れなかったが、そう呟いた気がした。
「新珠?」
「ねえ、ぼくがもし女の子の格好だったら、相手をしてくれた?」
「っ…………」
何故か一瞬返事に詰まる。唇を噛む俺の戸惑いは咄嗟に彼女にも伝わった。
「あはは、そうだよね。……だけどね、こんな風にこっそり会うんじゃなくて、堂々とキスしたり、
手を繋いだり、したい時に抱き合ったり出来たのかな、……普通に」
様子が変だ。部屋に来た時から何処か空元気で無理をしている様に見えた。
かと思えばやたらと絡んでくる。別れた夕方から夜までに何かあったのか。
「俺とお前が普通だと思えば、これが普通なんだ」
縋り付く瞳をした彼女にかろうじて絞り出すように答えるが、言うべき事は違うと繰り返し警告が脳内を走る。
だが目の前の美少女に対してどうしても語句が告げられない。
「寮にね、……いられなくなったんだ。父様が来て、母様の具合が悪いって言われたんだ。
せっかく羽を伸ばせたのに悔しいけど、心配だから後悔したくないから、戻ることにする」
「――――!」
からりと表情を変えて明るく一息で喋ってしまうとその艶やかなベールを翻して去っていく。
「じゃあね」
彼女に答える間も無く送ってしまった自分に、胸の中でまた機はあると言い訳をした。
こうして体を重ねる機会は無くなっても、結果を出し自分自身に納得出来てからでも、遅くない。
時は流れていくものとは、まだ他人事に考えていた。
「転校生が来るんだってなぁー、職員室の前通ったら話してた」
「高3の夏休み間際に奇特な奴だな。進路はどうするんだ?」
「男かー、女かー、って、はい。3年なら男だよな。つまんね。潤いがほしーよ」
朝課外の後にもたらされた季節外れの話題で、1時限前の短い休み時間は否応にも盛り上がっていた。
俺は眉間を押さえて眠気を堪えつつ訳有りの生徒でも受け入れてくれる校風故の事だと一蹴する。
「新珠、奥丁字、学園長から聞いてねーのかあ、どーゆー奴なんかよー」
「ぼくはここでは皆と同じ一生徒だからね、市原、君の勘のほうが詳しいかもしれないね」
数時間前の秘事を悟られない様互いに普段の振りで受け答えて流す。
「すかした色男としかわかんねーな」
「やっぱり君はっ、どこで見たんだよっ!、…………あ」
口を滑らせたらしい奥丁字を俺を含め三人一斉に凝視する。
「衣黄? 誰のことを言って、」
立ち上がって訝しげに眉をひそめて問い詰めようとする新珠に、及び腰で焦って両手を振っている。
「僕も今朝聞いてびっくりしてるんだ。まさか、……」
言い掛けた矢先に江戸先生が入って来る、クラス中がその後に続いて現れた人物を注視した。
背は高く180cmは越えている。やや彫りが深く陽に焼けた顔や締まった腕はいかにも好青年で、
爽やかなスポーツマンの印象を与える。
「今日から皆の仲間になる〜、秩父高砂君だ」
「秩父です。卒業まで半年ほどの短い間ですが、よろしくお願いします」
低く落ち着いた声で挨拶をすると一瞬の沈黙の後にざわめきや囁き声が教室全体に木霊する中で、
声も出さず身じろぎもせずに見つめている、時を止めた存在があった。
斜め後ろからの視線でも彼女の驚き様は感じ取る事が出来た。
秩父高砂は新珠の存在を認めて目を細めると明らかに彼女だけに向かって笑いかけた。
「燐、戻ってきたよ。きみに会いにきた」
「――――高砂。」
一層どよめく外野の声など全く介せず、新珠は小さく呟き金縛りが解けた様に肩の力を抜いて、
右手の二の腕にそっと手をやった。
二人の間だけを流れる空気を目の当たりに嫌という程感じて俺は軽い目眩を覚えた。
続きは2日の夜に
途中で行数を見誤って9レスになってしまった…
うわ、とうとう物語動き出しますか。
いずれにせよ相変わらず良い仕事です。
続き投下します
9レス
「雨宿君。きみとは仲良くしたいと思ってるんだ、よろしく」
「申し訳無いが俺と友人になっても楽しくは無いよ」
「損得でしか考えられない関係は寂しいね。では……好敵手はどうかな」
「生憎と必要無い。器じゃない」
「残念だな。僕としてはこれは、――――宣戦布告なんだが」
「…………預かっておく」
秩父高砂は転校翌日に俺を敵視する行動を取ったがそれきり何の素振りも見せはしなかった。
一週間が経ちクラスに総じて打ち解けた秩父は勉強も優秀で運動神経も抜群、
5年間の海外生活帰りな新珠燐の幼馴染み、と女生徒達の話題の提供にも事欠かなかった。
入学時からそうであったかの様な自然な振る舞いで常に新珠の隣に居た。
「すっかり新珠を取られちまったなー、どうするよ。雨宿」
「どうもしないが。市原こそあんな絶好の被写体を撮らないのか? 俺との時は随分と騒いだ癖に」
「面白くねーんだよなー、なんかつまんね。女の子追っかけてるほーが燃えるぜ」
「そ、そう……良かった」
「奥丁字、言いたい事があるなら聞くが?」
「あ、何でもないんだ、雨宿君。……というか、……ごめん……」
「謝られる覚えも無いよ」
「僕が、ごめん」
「必要も無いのに謝るな」
申し訳なさそうな、何処か憐れむ様な視線を投げてくる。
「気持ちは分かるけどな、八つ当たりもそんくらいにしといてやれや」
「八つ当たり? 俺が?」
「見え見え」
――単に隠し通せていると思っているのは俺だけか。
あれから俺と目を合わそうとせず電話も掛からなくなり、本来の彼女が誰を選ぶかは明白だ。
「悪かったな、奥丁字。すまない」
「雨宿君が遠慮……「衣黄ー、いいかな?」あ、分かった、新珠君。
……大丈夫だから、じ、じゃあ」
奥丁字を見送って照準を改めて俺に合わせると口元を吊り上げて詰め寄ってくる。
「奪取計画なら乗るぜオレは。そーゆーの大好き、腕が鳴るぜ〜」
「万が一計画してもお前は誘わないから存分に妄想だけしていてくれ」
「ノレよノレよ、せーしゅんなんて楽しんだモン勝ちさ〜」
「楽しんでいるよ、有り難くな」
これが日常で、何も問題は無い。
「高砂が帰ってくるなんて、ひとっことも言ってなかったじゃないか、父様」
「叔父さんは悪くないよ、驚かせたかったんだ。そんなに怒らないで? 本当に燐は変わらないね」
「君は見違えちゃったね、かっこ良くなったよ、高砂」
「5月の終わりには戻っていたんだけれどね、家のこともあってね、遅くなった」
……あの時止めたのは、声変わりしていたけど、聞き間違いじゃなかった。
未だにおぼろげに跡が残ってる。
「さあ、今日は高砂と燐が二人共この家に揃った久々に良い日だ。皆で食事をしながらゆっくり話そう」
父様は昨晩やつれて鬱蒼とした顔で戻ってこいと訴えてきたくせに。母様が病気だっていうのも嘘だった。
どれだけ、ぼくがどれだけ胸が張り裂けそうだったか、母様と、雨宿とを選ぶことが辛かったか、わかってない。
絶対相手になんかしてあげないんだから。
「燐、叔父さんの話をもう少し聞いてあげないと?」
「普段からこんな感じだし? ね、衣黄」
「あ、……う、うん。家と外を混同するのも嫌がるんだよ、燐、君は」
「我儘娘だが頼むよ、高砂君」
「なぁに、それ、高砂はお目付なの? 父様は人の迷惑をいつも考えないで、無理ばっかり言うんだ」
「はは、お目付ね。そうだよ、これからはずっと一緒にいるよ」
「お前も年頃だからな、私もこれで安心だ」
満足そうに笑う父様を見て、やっと意味が分かった。
どこまで気づいてるのか分からないけれど、気に入らないんだ、邪魔なんだ、彼が。
……でも、負けないから。
それから一週間、寮の部屋もすぐさま片付けられてしまうし、携帯も取り上げられて、
教室にいる時すら雨宿と話せる機会が全くなかった。
父様に従う必要なんてないのに、絶対わざと邪魔してる。
真面目な性格だったけれど、ここまでしなくてもいいのに。
そして今日、ようやく隙を見つけて屋上に来た。
明日は終業式だけどまだ図書室か情報室にいるはずだから、衣黄に伝言を頼んだ。
梅雨明け間近の空は、ほとんど夏の雲が浮かんでいるけれど、風が強い。
流される髪を押さえながら、ぼくは彼を待った。
ぎい、と重い扉が開いて現れたのは、――高砂だった。
「たか、さご……?」
「随分と意外な顔をしているけど、誰か待っていたの?」
優しく笑う高砂を見てると自分が何でも出来ると思い上がってた心が甦る。
ぼくの考えの先を見通して整えてくれる道は、心地よくてとても歩きやすかった。
突然いなくなった時は悲しくて幾日も泣いたけれど、もう道に迷ったりしないと決めてからは、
ちゃんと歩いてきたつもりだ。
そしてまた、高砂が戻ってきた。
衣黄と同じでいつも見守ってくれる姿に、どれだけ感謝しても足りない。
ぼくの言うことを何でも聞いてくれて頼りになる幼馴染み。
――だけどもっと楽しいことを見つけたんだ。
二人で道を造っていく面白さと嬉しさと、辛くても一緒に乗り越えられる喜びがどんなに幸せなのか、
喧嘩しても仲直りができると教えてくれた世界にお礼を言う。
少しずつでいいから彼と並んで歩いていく毎日をずっとずっと繰り返したい。続けていきたい。
雨宿松月と、新珠燐で。
「うん、君でな――「僕も燐と二人きりで話したいことがあるんだよ、」」
ぼくの言葉を遮って続ける。かすかな違和感に戸惑う。
「いまだに男装しているんだね、どうしてなんだい?」
「どうしてって……、君だって知ってるだろう自然と男の子の格好のほうが好きになって……」
「自然に? だけどまだ僕がいた頃はお呼ばれや皆で集まるときはドレスを着ていたね。
5年経って、さぞきみは美しい女性になっていると期待していたのに、お母様が嘆いているよ」
言う割には全然残念そうに見えない。目は笑っているけれど低くなる声になぜか身震いする。
「期待外れで悪いけど、」無意識に後退って給水塔の金網に背中が当たる。
「はは……、この学園は本当のきみの魅力に気が付かない馬鹿どもばかりだ」
高砂は手を伸ばして、ぼくの髪留めの紐をするりと外した。
「――っ!?」
「その瞳も鼻も唇も綺麗な髪も予想通りだよ、この白い肌も……」
髪を絡めた指で頬に触れ耳元で囁く。様子のおかしい高砂から思わず逃げようとすると、肩を掴まれる。
「燐……」
「離して? ……どうしたんだ……?」
「可哀想な燐、きみは誰にも言わず一人で耐えてきた。8年間も、男装することでその苦しみから逃げてきた。
……だが僕がいるよ。もう僕が守ってあげるから、恐れずに本来の姿に戻っていいんだよ」
「…………苦しみ? なんのことを? 思い違いしてるよ、ぼくには何も――」
じっと覗き込んでくる瞳が有無を言わせない力でどこかへ引きずり込もうとしてる、目を逸らせてくれない。
「もう一度聞くよ。きみが男装を始めたきっかけは何だったかい?」
「それは……」
きっかけは、あったけれど些細なことで忘れてしまった。思い出さないくらいだから大したことじゃない。
なぜ高砂はこうも拘るんだろう。
「言えないのかい? それとも、言わない事にしている? 言えば家族に迷惑が掛かるから?
優しい娘だよ、昔から、きみはずっと」
分からない。高砂の話す言葉の意味がまったく分からない。
「8年前の、夏休みを覚えている? 15日前の蒸し暑い夜に、新珠の家の離れで、きみは」
覆い被さるように視界を遮られて、間近に迫る高砂の瞳だけが輝く。
暗闇のなかで見据える目だけが爛々と光っている。
『誰にも言ってはいけないよ』
呪文のように木霊して捕らえられて動けない。
いつのまにか服の下に手を入れられてた、
駄目だ、これ以上は、だめ。だめだめだめだめだ、絶対。
指が張り付くように動き回る。お腹や背中に、首や胸にぞろりと這って気持ち悪い。
――逃げたら、怖い目に遭うよ。
はあはあと湿った息をそこかしこに吹きかけられて怖気立つ。
――おとうさんおかあさんに話したら、とっても悲しむからね。
低い声で恐い顔をして、でも笑いながら。足が震える。……こわいこわい怖いよ!
……逃げないと、怖い目に遭う。
「きみはあの夜、ある男に悪戯された」
高砂は、低く暗い声で囁いて真っ黒な底へ続く扉を開けた。
その昏い瞳で先導してぼくを奥深く連れてゆこうとしている。
何故、どうして? なぜ、高砂が?
駄目だ、これ以上は、だめ。だめだめだめだめだ、絶対。
「固く口止めされて、途中で首を絞められて意識を失ったせいで恐怖心だけが残ったんだろう。
次の日から無意識に他人に触れられることを嫌がり、男の子の格好を好むようになったきみ……
僕はずっと傍で見ていて胸が張り裂けそうだった」
暗い昏い奥底に――
「な……ぜ……?」
「僕が知っているかって? ――その男は僕の父だからだよ」
暗闇の中で瞳だけが爛々と輝いている。
それが誰なのか、ぼくはどこにいるのか、昏い世界に呑みこまれて、意識がかすれてゆく――
「父は外では大変有能な人間であったけれども、家の中では最低だった。
暴力を振るい暴言を吐いた。母と二人で毎日地獄だった。
誰にも助けを請えない、だって誰ひとり信じてはくれないからね。
『あんな立派な人間が非道い事をするはずがない』って。きみのお父さんでさえそう言った。
服に隠れる部分にしか傷は作らなかったし、その狡猾ぶりは見事だったよ」
指先さえ動かせない。昏く何も映さない瞳が闇を広げてゆく……
「でも、僕もまだ子供だったから母と必死に我慢した。そして、何よりきみがいた」
ふっと、表情がやわらいだ。
「燐、きみといる時間だけは、辛い事も全部忘れられた。きみの事を考えると痛みが薄らいだ。
僕の傷を癒してくれたのはきみなんだ」
高砂の瞳に悲しみと辛さが仄見える、息も出来ないほどの恐怖が、崩れかけた足下が、
わずかな支えを手がかりに正気へ返っていく。
「だからこそ、父がきみにした事を許せるはずはなかった。後で来る暴力が怖くて、僕は止められなかった。
あの時の自分を一生許す事はできない。きみを守る力が欲しくて、僕は傍を離れる事にしたんだよ」
怒りと、決意の光が黒き世界を打ち消した。
もう射抜くような恐ろしい目じゃない、今まで通りの優しくて頼りになる高砂に戻っている。
噛みしめていないと、まだ歯がかたかたと鳴ってしまいそうだ。
8年前の恐怖が入り混じって幻を見せていただけなんだ。ぼくを守る、と言ってくれたじゃないか。
肩を支えてくれる力強い腕が温かい。
「怖かった、誰にも、言えなくて……恐かったんだ、とても……」
震えながら絞り出す自分のか細い声に驚きながら、ぼくは勇気を出して扉の奥を見る。
ちゃんと見えるようになるまで時間はかかるだろうけれど、大丈夫、きっと、だいじょうぶ。
暗闇にも光がある。優しく導く輝きがそこにはある。いつまでも昏いままじゃない。
「――思い出したくなかった。恐くて、……今でも、怖い。
でも、高砂も苦しんできたんだね、ずっと気が付いてあげられなくてごめん」
「いや、僕こそ辛い思いをさせたね。だけど、僕の願いは本当のきみに戻って欲しい、それだけなんだよ」
「今のぼくが、本当のぼくだよ。心配しなくても、ちゃんと言える。男の姿でも、ね」
まだこわばる指を自分で握り締めて隠して答える。
高砂の瞳が再び昏くきらめいた。何故だろう。また、寒気がする。
一旦甦ってしまった恐れはなかなか消えないから、背中を汗が流れているんだ。
「ふふ……、きみは他人が自分をどう見ているかまでは分かっているようだけど、
奥でどんな感情を持っているか、そこまでは思い当たらないみたいだね。そんな所も変わっていない」
「?…………」
「覗くのが怖かったんだろう? またあんな恐ろしい思いをするなら見えない振りをしようと、
ひたすら太陽の光の下を求めて、ずっと気が付かないようにしてきたんだね」
「そうだね……、でも、もう、これからは、」
「だから同じように知らない振りをしていた相手に惹かれた。……当然のことだよ、燐は悪くない。
お互い無意識に傷を舐め合っていただけなんだから、恋愛でも何でもない。
ただ、じゃれ合っていたんだからね。僕はまったく気にしていないよ?」
低い声で怖い顔をして、でも笑いながら。
高砂はそう言った。
抜け出したと思った暗闇に、実は取り囲まれていたんだと、悟った瞬間に世界が傾いた。
「…………、……なにを……言う……、」
ざわざわと皮膚が粟立つ、膝が揺れて倒れ込んでしまいそうだ。抱き留める高砂の腕が体を撫で回す。
「そんな、の……っ……違う……」
「相手のことを分かっているつもりでいたのは、自分の鏡を見ていただけなんだよ」
低く暗く囁かれる吐息が耳朶に当たる。いつのまにか服の下に手を入れられてた、
さらしの間をじわじわと指が蛇みたいに這い上がってきて触れられる。
こんなの、高砂じゃない、優しい高砂じゃない。
「ちがう……、どうして、……君……に、そんなことが、分かる……っ、」
「きみのことは、僕が一番良く知っている。昔も、今も。
再会して確信したよ。燐、きみは8年前のまま時を止めてきたんだ。
けれど体は大人になりだんだん心と矛盾してくる。双方が引きずられてちぐはぐな反応を返しても、
当たり前に受け入れるようになってしまった。……ああ、可哀想な燐。きみは何も悪くないんだよ」
胸をゆっくりと嬲る掌から呪いの言葉が染みこんでくる、逃げないと体の中が埋め尽くされてしまう。
駄目だ、これ以上は、だめ。だめだめだめだめだ、絶対。
「恋に憧れる女の子の、よくある気の迷いだったんだ」
違う、違う、ぼくの気持ちは間違いじゃない……絶対に、ちがう!
はだけられた首に肩に唇が触れる。ざらついた舌に犯される、嫌、いや、いやだ……
「や……離……、せっ、いや……ぁ、っ」
指先で弄られると声がかすれる。足が竦む。もっと抵抗しないと、早く早く逃げ、ないと、駄目、だ。
「全て周りが悪いんだ。きみが汚されていたとしても気にしない。僕が全て清めてあげる」
唇を重ねられて舌が入ってくる、逃げようとしても強引に蹂躙される。荒々しく、いたぶるように。
指も舌も腕も体も無理矢理に襲ってくる。――――あの時みたいに。
ぼくに触らないで、彼以外、誰も触らないで! ……助けて、あ、ま……
「嫌、いやだっ、はなして!」
「僕が優しくしてあげる。大丈夫だよ、きみに悪さをする者は僕が排除してあげる。もう怖がることはないんだ。
女の子に戻っていいんだよ」
そんな風に戻りたくない。もがくぼくを押さえようと大きな掌が首を包んだ。
「父の時はしくじったけれど、もう失敗しない。間違いなく仕留めてみせる。
誰であろうと、今度こそ、僕の手で息の根を止めてあげるよ。きみの目の前で、」
「あの男を殺そう」
――――――――
言の葉が言霊になって全身に絡みついてぼくの力を吸い取っていく。
心臓を鷲掴みにされて、動けない。動けない。動かせない。
頭の中をぐるぐるぐるぐる毒が回って回って、くらくらと目眩がする。
「きみがあの男と一緒になることを、お父様は決して認めはしないよ」
首を掴まれて頭が朦朧としてくるさなかに、高砂は最後にずるりと奈落へ引きずり落とす呪文を吐いた。
「入学時の資料を読めば、すぐに解るよ。
新珠 貴(たかし)は、……雨宿松月を絶対に許さない。あいつは人殺しだ。自分の両親を、殺したんだ」
暗闇の中で瞳だけが爛々と輝いている。
それが誰なのか、ぼくはどこにいるのか、昏い世界に呑みこまれて、意識がかすれてゆく――
薄れゆく意識の端に、何かが軋む音がした。ぼんやりと目を向けるとそこには……
「!?」
「――!?」
目が合った。一瞬息を呑んで横を向いたけれど、またこちらを見つめて、真っ直ぐに歩いてくる。
揺るぎないその不思議な瞳の色に、ぼくは自分を取り戻した。
精一杯力をこめて高砂を突き飛ばすと、反動でよろけて座り込んだ。とっさに乱れた服の前を隠す。
「雨宿……っ!」
「……受けさせてもらう」
傾いだ高砂の顔をめがけて彼は左手で殴りつけた。
肩掛けした鞄の重さと、殴った勢いに振られてよろめいた彼は、体勢を立て直して睨み付ける。
「喧嘩もした事のないお坊ちゃんに殴られても、全然効かないね」
口元をぬぐいながら、言葉通り高砂は余裕の表情で応えた。実際そのように見える。
「学習すれば、いいんだよ」
鞄を投げ捨てて挑みかかる彼を軽く受け流しながら、高砂自身は手を出そうとせず煽ってばかりだった。
体格も力も経験も明らかに差がありすぎる……
二人を止めないと。どうしよう、どうすれば。
息の切れてきた彼にむしろ同情するような視線を向けて、更に挑発する。
「そんなだらしのない、不良品みたいな体で燐を守れると思うのかい? 笑わせるよね。
仕方ない、本当の喧嘩を教えてあげるよ」
腰を据えて体重を載せようとする腕と反対に、ポケットに伸びる指の先で何かがきらりと輝いた。
『あの男を殺そう』
思い出すより早く体が動いてた。高砂の背中にしがみつく。
「やめて! 高砂!!……雨宿もっ!、誤解だからっ……」
「誤解……?」
彼はいぶかしげに荒い息を吐きながら驚いた顔をする。
「そう、誤解なんだ……、雨宿……ごめん……」
背中から手を離すと高砂は振り向いてぼくの後ろに回った。背を向けたままで、誰からも顔は見えない。
ぼくは彼と正面から向き合った。
この一週間、顔も会わせられなくて辛かった。
『男だけど男だけど、秩父先輩なら許せるかも……あの二人ならヨコシマでもいいっ!』
『あなたの夢を叶えますわ、正に楽園がありますわ、さあ、わたくし達とともに』
また女の子達が変なこと考えてる……市原が動いていないのは意外だけれど。
どんなに周りが噂をしてもいい、嘘を言われてもいい、皆を騙しているのはぼくだから。
今までも、これからも騙し続けていくのだから。
だから、彼にだけは嘘を付きたくない。誤解されたくない。本当のことを言いたい。
今の彼に、今のぼくの気持ちを。
そう思って、ここで待ってた。
他の校舎からは影になって見えにくい、いつもは鍵をかけていて出入りできないようにしてあるけど、
ちょっとだけ特権を使わせてもらって、先月から時々、お昼休みや放課後を一緒に過ごした。
寮以外で二人だけで話せる秘密の場所。こっそり、キスもした。
恋人同士みたいに、誰にも内緒で。
「今までありがとう、雨宿。もう、いいんだ。……高砂がいるから」
ひときわ強い風が吹き上げて舞う髪をかき上げてる間も、彼はじっとぼくを見つめていた。
その瞳をただ受け止めながら、語句を繋げた。
「君には今まで沢山の迷惑を掛けた。」
「…………」
「ぼくの我儘が原因と分かりながら、つい甘えてしまった。ごめん」
「新珠……」
「本当のことを言うとね」
「誰でも、良かったんだ」
誰でもない誰でもない選んだのはただひとり
「独りで気持ちが揺れていた時期に、たまたま行き当たって目を付けてみたんだ」
初めて話した時から少しずつ気持ちを育ててきた考えるだけで心が躍った
「……………………
――――――――君である必要は最初から無かった――――
――――今まで、ぼくは、ずっと、」
誰かを想う幸せを教えてくれた心も体も全部これからもずっとずっと
「…………嘘をついていた」
この想いは本物だと信じてる
「君を特別に思ったことなんて、一度も、無い」
あなたを想っていますあなたを見ていますあなたのことが、
舞い上がったぼくの髪が一瞬視界を遮った。
『好きです』
彼の瞳の色は変わらない。
――もし、この気持ちが伝わるのなら。
「だから、まあ、そういうことなんだ。今日呼んだのも、一応釘を刺しておくつもりでね、
分かっているだろうけど、ずっと変な勘違いをされても困るしね。
君には見せておきたかったんだ――――、ぼくと、高砂の関係」
勿体ぶるように出来るだけゆるやかに慕う視線を背後に投げて、冷ややかに意地悪く伝わるように。
軽蔑してほしくて、彼を見る。
――お願いです。ぼくのことを嫌ってください。
「……っ!」
さっと紅潮して目をみはった彼の手が振り上がり、頬をめがけて飛んでくるのを唇を結んで――、
彼は眉をひそめて俯きながら、広げた指を震わせて肩ごと力を抜いて落とした。
「そうか、そうだな。……悪かった。秩父も、殴ってすまなかった。邪魔したな」
「初めから解っていたことだから、これくらい構わないよ。――行こうか? 燐」
横に並んだ高砂に肩を抱かれ促されるままに歩かされ、すれちがう。
絶対に振り向いては、いけない。
「新珠、誤解させた側も責任はあるから正せよ。悪い癖だ」
「きみに言える責任があるのか非常に疑わしいな、聞く必要もないよ、燐」
「……うん、」
そのまま目を合わすこともなく、階下へと続く重い扉を開いて薄暗く見える中へと、入る。
「いい子だね、燐。そうだよ、僕がずっと守ってあげる。きみは僕のものだ」
高砂は見慣れた顔で、今まで通りに、優しく嗤った。
風が流れ頭上の雲は激しい速度で駈けてゆく。吹き流され綿菓子のように千切れては、
新たな固まりを形作る。
赤い紐を取り出して、指に絡めて遊ぶ。端同士がもつれ外そうと出来た輪を指先から離した瞬間、
あっけなく俺の手を離れて向かい風に攫われていった。
咄嗟に屋上の柵に足を掛けて追うが届くはずも無い。
みるみるぼやけて薄くなる赤い影をせめて目で捕まえようとするが適うはずも無い。
空を仰ぎ、ただ雲を追う。
「――――不戦敗、か……」
「……〜〜!……は、・・禁〜……!〜〜っ!!」
向かいの校舎の教室から誰だか判らないが先生が叫んでいる。
……この屋上は立入禁止だったな。新珠と二人だけの場所だった。
奥丁字が呼びに来て、何を期待した、頭に血が昇って見えなくなった、左手の痛みは何だろうな、
あまりに滑稽で笑いすらも出てこない。
鞄から先週の預かり物に紛れていた煙草を取り出し、隙間に突っ込まれていたライターで火を点ける。
初めて吸い込んだ煙に咳込み投げ捨てたくなるのを堪えて咥え続ける。
懐かしい匂いだが、どこが美味いのかさっぱり分からない。
短く燃え尽きて更に新しい煙草を叩き出した時、やっと扉が開いた。
「立入禁止の区域に侵入し、喫煙していたのは本当かね?」
「はい。事実です」
「今日は終業式であるし、休み明けに処分を持ち越すとしても、だ。
課外授業への出席を停止しても、君には意味があるまい。だが、一応形式として」
学園長は顔の前で肘を突き直すが俺の方は見ようとしない。入学前に挨拶をした時から変わらない。
一度も、目を合わさない。
「先に虎尾先生から申し出を受けていてね、君を終日研究室に呼びたいと。
僭越だが私から夏休み一杯そちらに任せたいと言っておいた。先生も心配しておられる。
君にとっても授業より遙かに実のある事だと思うが、どうだね」
「有り難うございます。しかし違反を犯した自分に配慮して頂く必要はありません」
「事故で亡くなったご両親は私の後輩でもあり、よく知っていた。君自身も生死を彷徨い二人の事を覚えていないのは、
私も大変心を痛めている。実の子供の様に思っているよ。だからこそ、期待している。頑張って欲しい。
――卯月……松月、君。」
初めて俺の目を見据えて新珠燐の父親である人物は一語ずつ噛みしめるように告げた。
瞳の奥には俺の知らない誰かを捉えて映し続けていた。
じりじりと陽の刺す熱さが目を灼く。
追い立てられる毎日は何も考えなくて済む。
瞬く間に夏は過ぎ一週間遅れの新学期が始まった――
以上です
失礼しました
GJ!
ハッピーエンドで終わりますように……
続きが楽しみだ
相変わらず良い仕事です。
期待して座してます。
駄文かつ長文になってしまい申し訳ありませんが、投下させていただきます。
何だか純粋なスレの趣旨と違うかもしれませんので、今後ご指摘があれば移動いたします。
〔Never Let Go〕
60センチほどの高さの、湿った縦穴の中で、青年はじっとその時を待ち続けていた。
ヘッドホンを装着し、無線で飛び交う情報にじっと耳を傾ける。
灰色と緑の迷彩野戦服を着て、ヘルメットを目深に被っていてもその青年の美しさは一目でわかった。
ほんのりと桜色を帯びた真っ白な肌のきめは細かく、生肌の発光するような艶がある。
すっきりとシェイプされた輪郭には、弓なりの切れ長な瞳が寸分の狂いもなく配置されていた。
緑色のオーロラがかかったような灰色の瞳は鋭く、軍人らしい鋭さを湛えている。
彼の所属する諜報部隊―――中央軍情報部の中では、目立つほど小柄であったが。
無線、とくにモールスの並外れた技量を評価されて、彼は軍中枢に配置された。
そして今日も、その職務に従事している。
それで、外は明るい春の野原だというのに、新米将校と無線機と共にこの蛸壺に押し込まれているというわけだ。
隣の、情報部に配属されたばかりの新米将校は少し青ざめている。
ライフルを握る手を緩めないまま、彼は時折祈るように目を閉じていた。
新米将校に、彼―――エーリッヒ・マイヤー曹長は、ひそかに同情した。
初めて現場に出たときは、震え上がるほど緊張したものだ。
もっとも、新米将校―――シュヴァルツ少尉は、マイヤー曹長と違い、万が一の場合は対象と戦わなければならない。
対象が逃げた場合、抗戦してきた場合は、彼も包囲網の一部となる。
貴族の出だというが、確かに彼にはそのような面影があった。
鼻が長いせいか、全体的になんとなく間抜けな、にゅっとしたような印象を受ける顔だ。
あと1年もすれば、それでも情報部らしい精強な顔つきになるのだろう。
脇目でちらりとシュヴァルツ少尉を見やりながら、マイヤー曹長はモールスの送信機の調子を確かめた。
《カラス、こちらツグミ 我の感度どうか》
《ツグミ、カラス 感度よし 感度どうか》
《感度よし》
他所に配置されている通信士との回路を確かめる。
「カラス」はマイヤー曹長の上官であるクレメンス・ハインリッヒ大尉の配下にある。
丸顔で人懐っこい「カラス」―――ウェーバー3等軍曹は、現場慣れした頼もしい通信士だ。
彼だけではない。音声による交信ができなくても、ここには技量の高いモールス通信士が配置されている。
マイヤー曹長は深く息を吸い込んで天を仰いだ。
重なり合った春の空の縦深は長い。それでいてどこまでも澄んでいる。
狭苦しい穴蔵の中にいても、草の流れる音や風のにおいは芽吹きの季節を全身に感じさせる。
こんな仕事でなければ、春の野原を思いっきり駆け回りたいほどだ。
今回の任務は、ここを通るはずの敵国諜報員の車を襲撃し、彼らを捕獲することだった。
それができない場合は、射殺する。
この山道の両脇にはそのために、無数の情報部員たちが潜んでいる。
あたかもそれは、輸送船団を狙った潜水艦による奇襲攻撃―――《群狼作戦》に似ていた。
実際の襲撃部隊である、大尉達は顔に緑の塗料を塗り、偽装のためヘルメットに草や木を纏っているだろう。
それは赤銅色の、鍛え抜かれた逞しい体躯にはよく似合うと思われた。
穏やかな春の野原には、彼ら狼達の息遣いが満ちている。
シュヴァルツ少尉の出番はなさそうだと、マイヤー曹長は踏んだ。
個人的には大嫌いだが、軍人としては優秀だと認めざるを得ない大尉の顔をマイヤー曹長は思い浮かべる。
度重なる彼の「襲撃」に、マイヤー曹長はなすすべもないのだ。
「おいで、エーディット」
作戦の2日前、満月の夜、ハインリッヒ大尉はいつものようにマイヤー曹長―――エーディットは本名である―――を襲撃した。
マイヤー曹長の本当の名前と姿を知るのは、大尉だけだ。
一見青年に見える、優しげで美しいこの兵士の体を、彼が占領して久しい。
毎回の抵抗も、赤子の手をひねるように潰えさせられるのだ。
ただ単に、押さえ付けられるだけでなく、彼の行為は彼女の理性まで奪ってしまう。
幸か不幸か、蕩けるほどに身体の和合性が高いのだ。
一旦彼を受け入れてしまえば、彼女の体はすぐにでも歓喜した。
私物のほとんど見当たらないエーディットの部屋は殺風景だが、本物の男のような汗の臭いがしない。
ただ、ベッドには彼女と大尉の入り混じった匂いが染み付いているが。
エーディットは部屋の隅に、てこでも動かないといった風情で立っていた。
部下の部屋だと思って、いつも勝手に侵入しては蹂躙していくこの男を、今夜もエーディットは睨みつけた。
上着を脱ぎ、ベッドに座ってすっかりくつろいでいる。
黒いズボンにブーツ、シャツにサスペンダーという格好が妙に板についているのがまた憎らしい。
「来いと言われて行く敵なんて見たことない」
腕を組んで大尉を見据えたエーディットが呟く。
下着の上に黒いTシャツ一枚の、その姿はひどく扇情的だ。
ほっそりしているが、筋肉で引き締まったその肢体は野生動物に似ている。
ふくらみはほとんどないストイックな体だが、生白い肌は間違いなく女のそれだ。
「実力行使よりも話し合いのほうが建設的だと思わないのかね?」
北海のような冷たい蒼の瞳がエーディットを見る。
少し目尻の下がった、鋭い一重の目。
顔全体のパーツが鋭角的なせいもあり、まさに軍人らしい顔立ちだ。
「ふざけるな、どうせ『実力行使』するくせに」
いつもより機嫌の悪いエーディットは、思わず机の上のペンケースを掴んで投げた。
意識するより早く、さっと避ける大尉はさすがの反射神経だ。
バシン!と音を立ててペンケースが壁にぶつかる。
普段無口で冷静なこの曹長が、こうも感情を露にするのは二人きりのときだけだ。
撫で付けている銀髪を下ろし、緩やかなウェーブが顎まで覆っている。
「帰れ!」
「撤退しろといわれて撤退する敵がいるかね?」
鼻で笑う大尉は余裕綽々だ。
むしろ彼女の抵抗を楽しんでいる節がある。
「バカかあんたは」
吐き捨ててそっぽを向くエーディット。
男に混じって兵務に服してきた故の強気さがその横顔から窺える。
おそらくわざと、乱暴にしている言葉遣いや仕草は反抗心故だ。
大尉は、こういう彼女を屈服させるのが好きだった。
力ずくでも、その秀でた拘束術でも、易く彼女の自由を奪うことができる。
だがそれだけではつまらない。
「疲れたな、休ませてくれ」
おもむろに大尉は言い放った。
そのまま返事も待たずに、しなやかな長躯をどさりとベッドに投げ出す。
シャツの襟元のボタンを外すその仕草はごく自然で、だからこそ腹立たしい。
当然のように寝転がるその姿に、エーディットは怒りを通り越して呆れるしかない。
眉間を揉み解しながらうつむく、彼女の困り顔を見るのが大尉は好きだった。
彼女は、怜悧ではあるが、演じているほど冷酷でも薄情でもない。
大尉に困らせられるたびに内心おろおろしている様子は、大変に彼の嗜虐心をそそった。
「・・・あんたの手には乗らないからな」
この厄介な大尉が、エーディットが射程圏内に入ってくることをじっと待っているのを彼女は感づいていた。
エーディットは、きゅっと大尉を見据える。
何が何でも、この大尉には負けたくない。
《モズ、ツグミ、こちらカラス》
「カラス」の呼び声がマイヤー曹長を現実に呼び戻す。
《こちらツグミ、送れ》
《モズ、送れ》
モズ―――ハイネ2等軍曹と、マイヤー曹長がウェーバー3等軍曹の、聞き取りやすいはっきりとしたテノールに応答する。
いけない。心の中でマイヤー曹長は呟いた。
大尉のことを考えると、何だか集中できなくなる。
胸がかき乱されるような、息苦しい感じがするのだ。
《作戦開始時刻訂正、0937》
「モズ」と「ツグミ」が、すぐに了解を送る。
手元の作戦進行予定表の時刻を訂正し、マイヤー曹長はシュヴァルツ少尉に声をかけた。
「少尉殿、時間変更であります。作戦開始0937」
長い睫が影を落とす、マイヤーの目元をじっと見るシュヴァルツ少尉。
はっと我に返ると、彼は慌てて返事をした。
「ああ、分かった」
マイヤー曹長は、内心ああまたかと思う。
最初は、よくその長い睫、不思議な色合いの瞳に注がれる視線が疎ましくて仕方がなかった。
今となっては、気づかないふりをすることにも慣れたが。
口の悪い連中からは「男女」と揶揄されていることも知っている。
体格の良さ、強さを誇りとする、特に作戦部―――特殊工作部の荒くれ者集団―――の連中は、特にマイヤー曹長にちょっかいをかけてくるのだ。
確かに細身で小柄、真っ白な肌の美形とあっては、彼らからすれば揶揄の対象になりかねない。
だから、無口な青年であることで、彼は影のような存在になろうとした。
「曹長は・・・、出身は国内なのか?」
シュヴァルツ少尉が恐る恐る聞いてくる。
少し笑ってマイヤー曹長は答えた。
「自分は、どうみえるのですか?」
庇の陰の下で、少し細められたその瞳の色合いにシュヴァルツ少尉はどきりとする。
(―――なに、男にドキドキしてるんだ俺は)
顔立ちにはまだ僅かにあどけなさが残っているのに、一方で引き込まれるような、落ち着いた存在感がある。
新米の将校は、情けないながらも、彼のその落ち着きが頼もしいと思った。
「何だか、―――違う」
「自分はイワン(露助)じゃありませんよ」
ロシア近隣の北欧ですがね、と苦笑いしてシュヴァルツ少尉を見るマイヤーの表情は少し複雑だ。
その風貌を、そう揶揄されることも多いのだろう、と少尉は感づく。
「ひどいな」
心のそこから、ぽつりと呟いたシュヴァルツ少尉にマイヤー曹長は頭を振る。
「仕方のないことです」
無線に耳を傾けながらも、春の匂いをいっぱいに吸って彼は息を吐いた。
青年らしくない、妙な落ち着きにシュヴァルツ少尉は苦笑する。
天蓋から注ぐ真っ直ぐな光が、マイヤー曹長の瞼に突き刺さった。
「おいおい、何だか随分な老兵に見えるぞ」
シュヴァルツ大尉の問いをフン、とマイヤー曹長が鼻で笑う。
彼の僅かにゆがんだ唇が陽光に照らされて、妙に妖艶に映った。
柔らかく、瑞々しく膨らんだその唇はまるで女のように繊細な造りだ。
(こいつ、まさか男に掘られたりしてないだろうな)
あまりの妖艶さに、一瞬よぎった心配―――ある意味当たっている―――を、シュヴァルツ少尉は慌てて振り払った。
飛び交う電波をじっと傍受するマイヤー曹長の横顔。
少なくとも、彼のその行動や様子は全うな普通の軍人に見えた。
ちらりと横目でシュヴァルツ少尉を見、マイヤー曹長は呟くように訪ねる。
「少し、ほぐれましたか?」
びっくりしたような表情をするシュヴァルツ少尉と顔を見合わせ、マイヤー曹長は笑った。
そういえば、少し話している間に、手の震えもだいぶ治まったようだ。
顔色もよくなっている。
大丈夫ですよ、とでも言いたげにシュヴァルツ少尉を見るマイヤー曹長の表情。
やれやれ、星(階級)より飯の数(年数)とは本当だな、とシュヴァルツ少尉は思わず勝手に納得する。
「頼んだぞ、曹長」
しっかりと頷くマイヤー曹長と、シュヴァルツ大尉は拳をぶつけ合った。
「ええ、こちらは任せてください」
座り込みを決め込み、何となく教範を読んでいるうちに、すでに40分以上が経っていた。
冷たい床に体育座りして、我に返ると尻が痛くなっている。
エーディットは、ベッドを占領している大尉にちらりと目をやる。
大尉は、目を閉じてゆっくりと呼吸していた。
(・・・眠ってる?)
まさか、彼一流の演技だろう、とエーディットは思い直すが、彼女のほうを伺っている様子は全くない。
時折、ピクリと指先が動く。
考えれば、連日遅くまで仕事があったり、神経が昂ぶったり、大尉だってだいぶ疲れているはずだった。
寝転べば眠くなるのは当然だろう。
じっと観察していると、僅かに眉間にしわを寄せたり、少し唸ったりしている。
さすがに、眠っている間は疲れが表情に出ていた。
張った筋肉に包まれた鳩尾が、ゆっくりと呼吸に合わせて上下している。
柔らかな足裏で、エーディットは足音を殺しながらそっと近づいた。
用心深く、顔を覗き込んでみる。
整って先端のとがった鼻梁、削ぎ落とされたような頬、眉間から深く彫られた目元。
死んだようにぴっちりと閉じた瞼の下には、あのどこか排他的で冷たい蒼い瞳。
軍人特有の、締まっていながらも筋肉で膨張した体躯が今は静かに沈んでいる。
その傍らに、エーディットは音を立てないよう、そっと腰を下ろした。
(今なら、その気になれば殺せるかもしれない)
そんな考えがふと頭をよぎる。
白い指先がそっと、彼の頸へ伸びた。
彷徨うような指先は、触れるか触れないかの感触でそっと彼ののど仏をなぞる。
大尉の瞼がピクリと動き、慌ててエーディットはその手を離す。
一瞬乱れた呼吸が、元に戻って、彼女がほっと息をついたその瞬間―――彼女のその手首を、何かが掴んだ。
はっと我に返ったときにはもう遅く、万力のようなその手が彼女の自由を奪っていた。
「寝首を掻かれるのはどうにも気分がよくない」
薄く瞼を開けて、見慣れた皮肉屋が笑っている。
「主演男優並みの演技だな」
「演技じゃない。体が反応するんだ」
そのまま手首をぐいっと引き寄せられて、エーディットの体が大尉に重なる。
真っ直ぐに目を見る互いの瞳と瞳がかちあった。
何事もないかのような表情で、大尉はエーディットの顎を掴む。
思い切り挟まれた顎の肉越しに、歯列の感触が伝わった。
逸らせない、刺すような大尉の瞳を睨み返してエーディットは吐き捨てる。
「疲れてるんじゃ、ないのか」
ん?といった表情で大尉は返す。
「部下に疲れを見せる上官がいるか?」
「今はそういう関係じゃないだろう」
憎々しげに方眉を吊り上げるエーディット。
ククッ、と大尉は笑って、こいつぁいいや、と呟く。
「そういう関係なら、こういうことをしたっていいだろう。ん?」
掴んだ顎を左右に揺さぶりながら、彼は軽口を叩いた。
彼女の苦しそうな表情が堪らない。
「いつか殺してやるからな、覚えてろよ」
苦し紛れの涙目でエーディットは吼えた。
そして、こうやって刃向かう彼女が大尉は好きなのだ。
「いつも『殺されてる』のはどっちなんだ?」
手首と、顎を掴む手が離れる。
はっ、と息をついた刹那、今度は剥き卵のような白い尻肉を掴まれる。
「―――ぁっ!」
びっくりして目を見開いたエーディットの素の声。
大きな掌全体で、マシュマロを揉む様に肉を捏ねる手つきは手馴れている。
堪えるように唇を咬む彼女の顔は、さっと紅潮した。
下着越しに弄ぶその手が、尻肉をなぞる。
「・・・・んっ!」
声を殺すエーディットの表情を見上げる。
すっと目を細めて大尉は、エーディットの耳に息を吹きかけた。
「!」
生ぬるい刺激に、彼女の全身にぞくりと電流が走る。
体がピクリと動き、思わず彼女は大尉から目を逸らした。
白い腿に触れる彼の楔は、すでに膨らんで硬さを帯びつつあるのが服越しに分かる。
なぜかその感触が決まり悪く、エーディットはそのまま俯いた。
「マイヤー曹長、どうした?」
わざと耳元で低く囁く大尉。
その声は、アンテナに伝わる周波数のように、体の芯に響く。
細かな共振は漣のように、体の隅々まで拡散した。
「んっ・・・!あんた、・・・根性、悪だな」
大尉を見つめる灰色の目は潤んでいる。
その表情は、囁きに明らかに動揺していた。
白魚のような指先がそっと大尉の胸板に触れる。
一度入ってしまった魔性のスイッチは、尽きるまで止まらないことを彼女は知っている。
《作戦開始10分前》
マイヤー曹長は、無線を傍受し応答した。
《ツグミ了解》
マイクのトークボタンから指を離し、傍らのシュヴァルツ少尉を見る。
「10分前です」
端的にそれだけを告げると、かちりと視線を合わせて頷きあう。
湿った土のあなぐらのなかで、なぜか奇妙な連帯感が生じていた。
見てくれは頼りないが、この少尉はいい指揮官になるかもしれない。
マイヤー曹長は心の中で一人呟いた。
少なくとも、士官学校出の尉官に多い傲慢なタイプではない。
野戦服の着こなしや、髪の毛のかっちりした分け目、神経質そうな仕草から見れば真面目で優秀、どちらかといえば参謀に向いているタイプだ。
性悪大尉のような古狐ぶりは、あといくつ現場をくぐれば備わるのだろう。
《コマドリより全局、対象(オブジェクト)ポイント32を通過》
慌しく通信を処理しながら、マイヤー曹長はぼんやりと考える。
それとも、彼には古狐の素質はないのだろうか。
無意識に眉間を揉み解しながら、頭の上澄みでそんなことを思った。
残念ながら、誠実な軍人であるだけでは、ここで生きていくことはできないだろう。
人間としてすべきでないこと、愚劣な行為を時に強いられるのだから。
マイヤー曹長にとって、善悪の境界線は限りなく曖昧で、広い。
緊張で少し汗ばんだ若い少尉を横目に、体と分離した思考をマイヤー曹長は繰り返していた。
そんなマイヤー曹長の心中も知らずに、シュヴァルツ少尉はただじっと通信を処理する彼を見つめていた。
微弱な電流が流れているかのような緊張感が、春の野原全体に流れている。
空気は針のように、そこにいる人間を刺す。
その命を失うかもしれない人間。
一生に渡り、体の自由を奪われるかもしれない人間。
その彼らを失うかもしれない、人間。
不確定な未来が、ひたひたと喉元まで迫ってくる。
つるりとしたシュヴァルツ少尉の額が、脂汗で光る。
《作戦開始5分前》
氷のような眼差しをしたマイヤー曹長の、険しい表情。
シュヴァルツ少尉はふと、白い彼の首筋を注視する。
土を払った拍子に、襟元から一瞬、わずかに覗いた痣。
痣というよりは内出血のような、赤い斑点―――。
キスマークだろうか。
(彼も一人前に、男なのだな)
乱れる様子がどうしても想像がつかないその冷たい美貌を窺いながら、意外なモノを見た驚きを咀嚼する。
確かに、小柄でこそあるが、女には不自由しない風貌だ。
―――狼の喧嘩のような、激しい交合の真実をまさか彼は知る由もない。
「ンッ」
大尉は思わず呻き声を漏らした。
不意に、頸の付け根に痛みが走る。
獣が肉を千切るように、唸り声を上げながらエーディットが咬みついている。
吸い付く、というような生易しいものではなく、完全に表皮に歯を立てているため結構痛い。
グゥゥゥ〜〜〜、と唸りを上げる生意気な白金色の狼に大尉は苦笑した。
可愛がり甲斐のある狼だ。
上目遣いで彼をにらむその獣の顎を、思い切り大尉は両手で掴んだ。
額関節に指が食い込み、割れるような痛みにエーディットは思わず口を離す。
それでも、エーディットはキッと彼をにらみつける。
自分の上に乗っている姿勢のエーディットの肩を、大尉はおもむろに掴んだ。
そのまま、起き上がって反対側に彼女を押し倒す。
足許を掬われるようになった上、いきなりの重力の変化。
エーディットは抵抗するまもなく、今度は組み伏せられた。
めちゃくちゃになり、剥がれかけたシーツに、絹糸のような髪の毛が散らばる。
「いいか、ボスはおれだ」
こめかみを掌で押さえつけ、エーディットに飛び込むとそのまま首筋に咬み付く。
「ん、んんーっ!」
犬歯や前歯が食い込む感触と、千切れるような激痛にエーディットは小さく叫んだ。
隅々まで発達したしなやかな褐色の身体が、エーディットを覆う。
その体を押し戻そうとする白い手は、むなしくその重量に阻まれただけだった。
ようやく首筋から大尉が離れたると、加減はしたものの小さな傷口が首筋に残っている。
歯形はくっきりと残り、唾液に混じって滲み出る真っ赤な血。
ぜぇぜぇと息をするエーディットの瞳はしかし、自由意志を失ってはいない。
ぎらりと横目で大尉をねめつける。
首筋に、今度は生温かな舌先が触れた。
優位性を誇示するかのように、尖った舌先がとろとろと首筋をなぞる。
ぴくん、と体を震わせたエーディットは、眩しそうに目を細めた。
琥珀色の灯りの下、生温い空気がゆるゆると部屋に流れる。
エーディットは、傷口に沁みる痛みがなぜか、甘美な刺激に感じた。
ぞくぞくと這い上がるむず痒い様な電流は、耳の裏にその舌先が這ったときに一気に爆ぜる。
「あっ・・・!」
思わず漏らした声と、びくんと跳ねた指先。
潤んで蕩けそうな灰色の瞳にそっと大尉は指を添える。
エーディットが熔ける瞬間に見せるその瞳は、大尉が愛してやまないものだ。
顎先をそっと掴むと、柔らかな耳朶を唇でそっと挟む。
ふかふかしたその感触を楽しみ、舌先で舐ると、掠れたような甘い声が彼女の唇から漏れた。
「はぁぁっ・・・ダメぇ・・・」
ちゅぷっ・・・と唇が離れると、大尉はそっとその灼けた額を重ねる。
「ダメ、だって?こんな目をしてお前は何を言っているんだ」
小さく優しげに、そして悪戯っぽく呟く大尉。
とろりとした女の湿りの匂いが、ふわりと彼の鼻を突く。
事の後で、強烈な嫌悪感、そして後悔に襲われると分かっていても、快楽の海に飛び込まずにはいられない優しい体の匂い。
「他の男に盗られるなよ」
黒いシャツの下にそっと手を這わせると、柔らかい皮膚越しに、肋骨と脈を感じる。
エーディットの、羽根のような長い上睫毛と下睫毛がそっと重なった。
「よしてくれ、・・・・男なんかもう沢山だ・・・・あんっ!」
なだらかな膨らみのその頂が、きゅっと摘まれる。
エーディットの腰がびくんと跳ねて、少尉の腰にぶつかった。
「ぁあっ・・・」
決して激しくはないが、大尉の愛撫は要所を執拗に責める。
首筋をちろちろと舐りながら、冷たいエーディットの肌を指先でなぞった。
すべすべの肌は、しっとりと水気を含んでいて吸い付くようだ。
胸をもみながら彼女のシャツを捲り上げ、片手でサスペンダーを下ろす大尉。
組み伏せられ、弄り回されたエーディットはすすり泣く様な喘ぎ声をあげていた。
身じろぎした彼女の、湿った下着が擦れるくちゅっという音。
薄く充血した、ピンク色の頂を刺激されるたびに押し殺したような嬌声が響く。
「あんっ」
顎をのけぞらせ、女の顔になったエーディットを見遣りながら、大尉は身を起こす。
シャツのボタンを外しながら、彼は彼女の瞳を見つめて言った。
「いい加減俺の前で意地を張るのはやめろ」
《コマドリより全局、対象(オブジェクト)ポイント35を通過。総員、攻撃準備》
小鳥の囀りだけが野原に響く。
《カラス了解》
《モズ了解》
《ツグミ了解》
続々と各無線機から応答が流れた。
腕利き通信士達の電波は、精緻な蜘蛛の巣のように密接している。
息を潜める獣たちを待ちながら、マイヤー曹長はぱちぱちと瞬く。
大きく肺に息を送り込み、高ぶる神経を鎮めた。
やがて、自動車のエンジン音が遠くから響いてくる。
《対象、ポイントAを通過。攻撃開始10秒前》
そして無意識に、祈りを呟いた。
「神様、どうかお護りください。命を繋ぐ、力を下さい」
この指先が、いつでもこの作戦の神経でいられますように。
小さく十字を切り、ゆっくりと瞬きをして、前を見据える。
潜む沢山の兵士が、そうしているように。
血液の波打つ、ドク、ドクという音がひどく耳障りだ。
ギリッ、と眉根を寄せてただ、マイヤー曹長、そしてシュヴァルツ少尉はその時を待った。
長い、そして張り詰めた20秒。
そのエンジンの響きは、すでに充分に近いように感じられ、そして―――
《コマドリより全局、攻撃を開始せよ》
マイヤー曹長はなぞらえて復唱し、シュヴァルツ大尉を見据えた。
「繰り返す、攻撃を開始せよ」
バララララララララ!!と、その語尾に銃声が被る。
引っ張るようなブレーキの悲鳴、それにガンガンガン、と金属を叩くような音が被る。
銃声の輪唱は重なり合い、それに混じって悲鳴が響いた。
マイヤー曹長は、すぐに入るはずの、「制圧」の交信を待つ。
バババババ、と重なる仲間のものより重く遅い連射音は、敵が少なくとも応戦していることを示している。
誰かがしきりに何かを叫んでいるのが遠く聞こえた。
《・・・よりツグ・・・・ ・・答せよ・・・》
銃声にかき消され、かろうじてツグミ、と察せる程度にしか聞こえないその受電にマイヤー曹長は応答する。
《ツグミ、そちらどこか》
ひどく慌てふためいたウェーバー3等軍曹の声が、今度は明瞭に飛び込んでくる。
《カラスよりツグミ、対象1名そちらへ向かって逃走中。至急戦闘体勢に移行せよ》
《逃走1名こちらへ前進、了解。これより戦闘体勢に移行》
復唱したマイヤー曹長の言葉に、シュヴァルツ少尉の表情が凍りつく。
一気に吊り上ったマイヤー曹長の目が、ガチッとシュヴァルツ少尉と合う。
頷きあい、マイヤー曹長は腰に吊るした拳銃を抜き、弾倉を抜き出す。
弾は満タンの10発、よし。
弾倉を戻すと、ガシャン!とスライドを引く。安全装置解除。
一気に体温が氷点下になったかのような錯覚。
息が荒く、薄くなる。
断続的に拳銃の銃声が聞こえる度、心拍数が跳ね上がる。
シュヴァルツ少尉と、マイヤー曹長は蛸壺の壁に張り付いたまま、血が沸騰するような思いで敵の姿を待った。
やがて、遠くから草を掻き分ける足音を二人の鋭敏化した聴覚は捕らえた。
ドッドッドッ・・・と高まる心音が煩わしい。
無線に飛び込んでくる慌しい交信を無視しながら、握り締めた手を緩めぬまま彼らは前を睨む。
ザッ、ザクッ、とこちらに気づかぬまま近づいてくる足音。
「クソッタレ」
シュヴァルツ少尉が、そう呟いて蛸壺から身を起こす。
半身を乗り出して、ライフルを構えた彼の瞳がぎゅっと収縮したのをマイヤー曹長は見た。
肩に食い込んだライフルの木製の床尾。
嗅覚の鋭敏な大尉でなくても、ツンとした男の汗のにおいを知覚できる。
陽光が溢れこんでくる彼の瞳は透けたガラスの破片のように、鋭く光った。
「神様」
そう小さく呟いたのが、聞こえたのか聞こえなかったのか、ただ聞こえた気はする。
彼の、訓練でぼろぼろになった指がグリップを強く握り、祈るように引き金を絞ったのがスローモーションで見えた。
一瞬のオレンジ色の閃光が走った。
同時に空間を衝撃波が突き抜ける。
衝撃波は、同心円状に空気を抜けていき、マイヤー曹長の鼓膜を突き刺していった。
同時に、硝煙を含む高圧なガスの臭い―――アンモニアの、ツンとする臭いが拡散する。
そして、目を極限まで見開いたシュヴァルツ少尉は、息を止めたまま固まっていた。
思わずマイヤー曹長は蛸壺から身を乗り出し、その視線の先を追う。
4、5メートルほど先だろうか。周囲の草は衝撃による霧状の血液で赤く染まり、草の間から倒れた人間の膝が見えた。
「・・・!」
マイヤー曹長は無意識に唾液を飲み込んだ。
生きているのか・・・死んでいるのか。
釘付けになったまま、しばしマイヤー曹長は彼を見つめる。
「はぁっ」
呪縛が解けたかのように息を吐き、シュヴァルツ少尉が乱暴に銃を降ろした。
肩で息をし、それでもグリップを強く握ったまま、自分が撃った人間から目を離さない。
ひどく蒼ざめたその顔には、脂汗が浮き出ている。
奇妙な光景だった。
暖かいお日様が注ぐ、若草の原。柔らかい風。
霧状に飛び散った血と、倒れた男と、マネキンのようにぎこちない二人の兵士。
砲声も、空襲もない、穏やかな日常に突如として口を開ける戦場。
報告も忘れたまま、マイヤー曹長は拳銃を握りなおした。
頭の中に、何か湿った綿でも詰まっているかのように重苦しい。
以上に冷たい指先は、意味のわからない焦燥感、恐怖、緊張によって震えている。
「・・・しましょう、確認」
青い顔を見合わせ、やっとのことで言葉を発するマイヤー曹長。
極度の緊張で、口元の肉がピクピクと痙攣している。
シュヴァルツ少尉が、無表情に―――というよりは、表情も動かせない―――頷いた。
「よし」
二人は、蛸壺から出た。張り詰めた中、草を踏む足音だけが響く。
草の陰からのぞく、折り曲げられた膝は時折ピクリと痙攣した。
用心深く、全ての刺激に対して神経を過敏にしたまま、二人は歩み寄る。
シュヴァルツ少尉は肩に銃をつけ、マイヤー曹長は両手で拳銃を構えながら。
草の間から徐々に男の顔が見え、スーツを着た体が見え、そしてマイヤー曹長を見る彼の瞳を、認めた。
生きている。
左肩は射抜かれて真っ赤に染まり、そして右手には拳銃を握り、―――マイヤー曹長にゆっくりと向ける。
「――――!」
慌てて引き金を引こうとしたシュヴァルツ少尉の引き金はしかし途中で止まる。
弾薬詰まりだ、よりによってこんなときに。
血の引いていく音。長い長い1秒。
シュヴァルツ少尉は、その瞬間マイヤー曹長の剥き出しになった灰色の瞳が男を捉えたのを見た。
ううううぁぁぁぁぁぁ
奇妙な呻きが、マイヤー曹長の唇から漏れる。
永遠のような一瞬。
精悍なその美貌を歪ませて、彼は引き金を、引いた。
三度、銃声は轟く。
直後に駆けつけた大尉率いる制圧チーム本隊が見たのは、心臓を射抜かれた死体と、二人の青年だった。
ライフルを手に、ただマイヤー曹長を見ているシュヴァルツ少尉。
体中に硝煙の臭いを染み付かせ、抜け落ちたように無表情に立ち尽くすマイヤー曹長。
その口元の肉だけが痙攣しピクピクと動いている。
能面のようなその表情、そしてただの外界への節穴となっている瞳。
立ったまま死んでいるかのように、拳銃を持った手をぶらりと垂れている。
初めて生きた人間を殺した。
それが、どういうことなのか理解できない、まだ飲み込めない。
「おい、しっかりしろ」
大尉は、マイヤー曹長の肩をしっかりと抱いて揺さぶる。
「よくやった。もういいんだ」
ヘルメット越しに、戦友がそうするように、額を重ねる。
青年は泣くことも、吐くこともしない。ただ、黙って澄んだ瞳で大尉を見ている。
大尉はそっと、彼の手をとる。
静かに、言い聞かせるように囁く。
拳銃を仕舞え。もういいから。
不思議そうな顔で、マイヤー曹長は大尉を見る。
「私は大丈夫です。ええ、何も問題ありません」
そして、震える指先でぎこちなく拳銃を仕舞った。
大尉の、悲しむような目にマイヤー曹長はひどく違和感を感じた。
「あの時」の大尉は、そんな目をするような人間には見えなかったから。
大尉は、まどろっこしくなってエーディットの下着を強引に破って剥いだ。
「ちょっ・・・やめっ・・・!!」
驚いて身を起こそうとするエーディットの右足首を掴んで持ち上げ、彼女を掬う。
筋肉で滑らかに締まった太もも、そこから無防備にパクッと開いた秘所が丸見えになる。
「やっ・・・!」
真っ赤になって俯く彼女を見下ろしながら、大尉は無意識ににやりと笑った。
すでに十分すぎるほど潤っているその血色のいい陰唇は、彼女の表情とは裏腹に、彼を受け入れる準備が整っている。
花芯は膨らみ、蜜は太腿の付け根をぬらぬらと濡らしている。
蕩ける様なそこは、大尉を中へと誘う様だ。
指先でなぞる様に触れると、全身がピクリと弓なりになる。
「んっ」
蕾が開くようにピンク色に染まるその身体。
のけぞった滑らかな首筋の白さが艶かしい。
「素直ないい子だ」
クチュッと指先で中をかき回すと、熱い滴りは中から溢れ出る。
濃い牝の香りで、くらくらするようだ。
シャツを脱ぎ、ズボンの釦を外した大尉のそれは昂ぶり、エーディットを求めている。
彼の鍛え上げられた身体に組み伏せられた、彼女の理性は今すぐにでも切れてしまいそうだ。
彼女の目は潤んで大尉を見上げ、彼を求めていた。
「ん・・・はぁあん」
息を吐いて、高まる快感に耐えるその姿が悩ましい。
細いプラチナ・ブロンドを乱しながらしなるエーディットに大尉は耐え切れなくなる。
息を荒くしながら、大尉はズボンと下着を膝まで降ろした。
グロテスクなまでに屹立したそれは、血管が浮き出ている。
ぐいっと脚を開かせると、身体を割り込ませる。
「や・・・ぁん・・・だめ」
意味を成さなくなった彼女の拒否をキスで封じ、大尉は脈打つ楔をぴたりと彼女の割目に押し当てる。
舌を絡ませると、溢れた唾液がエーディットの顎を伝った。
大尉は楔を押し入れる。
ずぶっ・・・ちゅぷっ、と音を立てて、その滾る熱は女の胎内へ侵入した。
とろとろになった粘膜の締め付けに、彼のモノはすぐにでも爆発寸前になる。
「ん!んーんんーーー!!」
舌を絡ませながらも、呻き、よがる彼女の肩を押さえつける大尉。
すっかり根元を銜え込むまで、わざとゆっくり大尉は挿入した。
「んぁっ、はぁっ」
唇を離すと、たらりとガラスの糸が垂れる。
泣く寸前の顔で唾液を拭うエーディットの眼差しは、ひどく嗜虐心をそそった。
「はぁ、・・・っ感じてるんだろ?」
「違っ・・・、ああんっ」
激しく一突きすると、エーディットは悲鳴のような嬌声を挙げる。
「・・・ほら、言ってみろよ。私は上官に突きまくられてよがる淫乱です、ってな」
快感に揺さぶられながらも、歯を食いしばって彼女は抵抗した。
「ふざけ、ないでっ!はぁっ」
睨みつけようとする彼女の目はしかし、大尉を力なくねめつけるだけだ。
もう一突きして、さらに彼女の奥をグチャグチャとかき回す。
「は・・・ぁああん―――!」
耐え切れず舌を出して喘ぐエーディット。
ゆっくりと奥を擦ると、切なげな呻き声が裏返った。
小さいが確かにある、ふるふるとした柔らかな膨らみの蕾を抓る。
ぴんと膨らんだそれは、腫れたようになっていた。
「・・・言ってみろ」
「あ、ああふっ」
ツンとした顔を快感でやや仰け反らせながら、大尉は男根の付け根で秘所を擦る。
痺れる様な快感に、エーディットはもはや成す術もない。
きゅっと締め付ける膣口からは、どろどろの分泌液が溢れていた。
「言えば滅茶苦茶になるまで突いてやる」
もうどうしようもない。
ついに、エーディットは腰を悶えさせながら彼の命令に従った。
「は、はぁ、私はぁ・・・上官にぃ、突きまくられてよがる、・・・い、淫乱ですぅ、早くぅ・・・」
溢れそうな瞳で、彼女は大尉を見た。
「よし、いい子だ」
大尉は彼女の腰を抱き上げ、力一杯楔を打ち込んだ。
思わず悦びの声をエーディットが挙げる。
「ああああんっ!」
エーディットの細い腕が大尉の太い頚部に絡まった。
脚は彼の腰を挟んで、更に身体を密着させる。
「いいぃー、ああんっ」
悩ましげな泣き顔は、完全に快楽に溺れる女のそれだ。
冷徹な曹長。生意気な部下。どれとも違う。彼女は自分から腰を打ち付けてくる。
その様はまるで淫魔の様で、大尉はぞくぞくとしながら思わず我を失いそうになった。
じゅぶっ、ズブッ、とみだらな音、荒い息遣いが部屋に響く。
そしてパシパシと腰のぶつかる音。
「あ、ああぁあ、もっとぉ」
締め付けが根元からしごく。今にも爆発しそうなそれを大尉はどうにか堪える。
互いに腰をぶつけ合い、内奥と熱の塊を擦りあう快感。
突き上げられる身体の揺さぶりが激しくなる。
「うう、うぐっ」
大尉の荒い息。鍛えられた腹筋、背筋を駆使して彼女の内奥まで揺さぶる。
子宮まで甘く痺れて、エーディットは正気が保てない。
「あん、あんっ、あんっ、ダメぇ、イくぅっ」
彼女がこんなに痴態をさらけ出すのは初めてだ。
突かれる度に愛液を溢れさせながら、彼女は泣いていた。
「アッ、あッ、い、ぁぁ、あ」
「そろそろ、出、す、ぞ」
激しく揺さぶられたフラスコの中の水のように、高まりは加速度的に激しくなり、溢れそうだ。
肌の擦れ合いすらビリビリと性感になる。互いの限界が近づいてきた。
「はぁっ、エー、ディット――」
大尉は名を呼ぶ。
応えるようにするように、首が絞まるほど激しく、エーディットが大尉を抱いた。
そして、頭の中が白い炎で一瞬焼き尽くされる。
「あっ、大、尉ぃ」
ビンと硬直するその身体の中に、彼は熱い愛欲の塊を吐き出す。
「あ、っァァぁぁぁ――――」
滾りを受け止めたエーディットの細い腹が、大尉のそれに密着した。
一瞬時間が止まり、ベッドに崩れ落ちる二人。
まだ荒い息と、快感の余韻だけが残響している。
二人はそのまましばらく唇を重ね、互いを貪りあっていた。
「おい、マイヤー曹長」
夢うつつの中、自分が呼ばれたのを知った。
ノックの音。
呼ばれているのに起き上がれない。―――身体が、鉛でできているようだ。
「・・・・はい」
シーツに包まったまま、彼はおぼろげな返事をした。
よく知っている声、足音の持ち主が部屋に入ってくる。
鋭敏な嗅覚の持ち主である彼なら、ドアの外からでもアルコールの臭いを嗅ぎ分けられるかもしれない。
虚ろな瞳で、マイヤー曹長は彼を見た。
「大・・・尉、殿」
無表情に、しかし深海のような瞳に悲しみを湛えながら、大尉はマイヤー曹長を見下ろす。
ベッドサイドには黒い酒の瓶。それも、希釈して飲むような度数の強いものだ。
初めて人間を殺した人間が、その衝撃と恐怖を内部に押し殺したまま持て余している。
かつて自分も、初めての戦場でそうだったように。
「マイヤー曹長、・・・異常、ありません。まだ、戦えます・・・」
うわ言の様に、曹長の顔で大尉に笑いかける。
その瞳はひどく酔い、彼を見ていない。
いつもの黒い制服姿の、大尉は帽子を脱ぎ、何も言わずマイヤー曹長の横に座る。
髪の毛を乱し、下着姿のまま横たわる姿はエーディットであったが、今は大尉にとっては違う。
慰めに来た?違う。
肯定しに来た?そうではない。
何もできないのを、大尉は知っていた。
結局は、悲しみを分かつことしかできない。
自分の力で、順応し開き直るまで、誰も助けてやれない。
大尉はそっとその白く細い手を握った。
そして額をそっと重ね、軽く上唇にキスをする。
握った手を、不意に強く握り返された。
「大尉殿」
夢うつつのまま、焦点の合わない瞳でマイヤー曹長は大尉を見た。
黒い制服に身を包んだその姿を見ると、何故だかひどく安心する。
「行かないでください・・・もう少しだけ」
マイヤー曹長はふらふらと上半身を起こし、ベッドの柵に寄りかかる。
「おれはここにいるから、安心しろ」
大尉はそっとその小さな身体を胸に抱きしめ、すっぽりと覆った。
戦友同士が、抱き合うように。
彼らがそうやって、痛みも悲しみも喪失も、何もかもを分つように。
以上です。長くなってしまい申し訳ない。
あと、今更ですが、以前感想へのレスを行ってしまい、スレを荒らす原因になるような行動をしてしまったのをお詫び申し上げます。
毎回大変ありがたく感想をいただいております。今後気をつけますので、これからまたよろしくお願いいたします。
GJ!
このシリーズ大好きです。設定も萌えるし端整な文章だと思います。
大尉と曹長の仲に結末がつくまで描き続けて欲しいなあ。
こちらこそこれからも宜しく頼みますぞ。
戦闘描写もしっかりしていて完成度たけぇなオイ。マジでGJ
>>485 GJ
だが投下時に少し誘い受けっぽいレスするのが気になるかな
キャラも背景とかもうまく書かれてて良いからもっと自信もって投下してほしい
それに誘い受けは嫌われるぞ
>>485 新作首を長くしてお待ちしていましたーーGJ!!
エロ部分も萌えますが他も描写が丁寧に書かれていてすばらしい。
二人の関係は微妙に変わっていくんだろうか?
次作も楽しみに待ちます。
作者さんここまでの文が書けるなら謙遜はしなくていいと思う。
489さんとかぶりますが自信をもって投下してくださいな。
>>485 スーパーGJです!続編ずっと待っていました!
素晴らしい作品を読むことができ、嬉しいです。
今後の展開、楽しみにしています。
492 :
寒理人:2007/07/10(火) 01:23:42 ID:TJlw8Q2B
>>488 たいへん遅くなって申し訳ありません。
>の間を、空白もしくは*等で区切って収容していただいてもよろしいでしょうか?
通常、倉庫に収容させて頂く作品は、レスごとに区切りを入れているのですが、
今回、その区切りを見えなくし、場面転換が入る部分のみ表示させました。
ttp://www.usamimi.info/~dansou/ss/erich/08_470.html アスタリスクも試したのですが、レスごとの区切りが入ると
見づらくなってしまうので、上記の方法にしました。
区切りを表示させたのは、以下の通りです。
>>471と472の間
>>472と473の間
>>474と475の間
>>475と476の間
>>477と478の間
>>483と484の間
ただ、この方法は、レスごとの区切りをスタイルシートで表示/非表示を
コントロールしているだけなので、閲覧者がブラウザ設定で
スタイルシートを切っていたり、ページをテキスト保存すれば
ただのレスごとの区切りがあるのみで、場面転換の区切りが分かりません。
申し訳ありません。ご了承下さい。
具体的にこんな風に場面転換の区切りを入れて欲しいなどありましたら
遠慮無くおっしゃってください。メールでも結構です。
>大尉は、こういう彼女を屈服させるのが好きだった。
大尉GJ!
>>492 管理人様
わざわざご確認頂き、申し訳ありません。
収容&編集ありがとうございます。このような形式で大丈夫です。
お手を煩わせてしまい済みません、ありがとうございます。
このスレと関係ないけど、アイマスの菊地真にはまった・・・
「はじめての甲子園」の緑は需要ないー?
497 :
寒理人:2007/07/12(木) 00:28:50 ID:5HuY/SQD
>>493 うわ、すみません、区切り入れ忘れました。
>>481の13行目と15行目の間に区切りを追加しました。
申し訳ありませんでした。ごめんなさいっ!
エーディットの人、いつもながらGJであります!
保守
500 :
495:2007/07/15(日) 13:54:57 ID:jiBWloFv
というわけで、「はじめての甲子園」で書き始めてはみたんだが。
そもそも男装ではなく第1話の最後で女であることがバレていることを考えるとスレ違い?
はじっこ読んでるけどそのばれるまでの期間にやっちゃえばおk
>>500 もし書き手がスレ違いだと思うんなら、「はじめての甲子園」スレに投下で、
こっちは投下のお知らせでもいいじゃない?
503 :
501:2007/07/15(日) 23:25:33 ID:udWsAD9h
504 :
495:2007/07/15(日) 23:48:11 ID:jiBWloFv
おぉ、はじっこスレあったのか
マイナーでスレないと思いこんでた。無駄レスしてすまん。と、教えてくれてありがとう
書けたらはじっこスレに投下して、こっちにもお知らせさせてもらうわノシ
505 :
名無しさん@ピンキー:2007/07/19(木) 21:55:57 ID:H7eafFd5
あげ
倉庫が細かい部分でも更新されてて驚いた
作者別ページやあらすじまで他にも色々と
管理人さんGJ!
そして本当に乙です
圧縮回避保守
ニャ━━━━ヽ(゚∀゚)ノ━━━━ン!!
どうしたww
土曜日に圧縮祭があったんだよ。
だもんだからどこも保守音頭がすごかった。
夏だからもう一回くらい祭があるかも。
保守
職人様方、倉庫管理人様、御体にお気をつけてお過ごしください。
落ちなくてよかた
男装小説読みたいです
全部じゃないけど投下してもいいですか?
問題ないです。期待しています。
515 :
名無しさん@ピンキー:2007/08/07(火) 01:32:30 ID:Ej8FoGaQ
落ちなくてよかった?
ageればいいのか?
>>515 sageでも書き込めば保守扱いになる。
夏厨扱いされるの承知で書くが
8838氏の続きはもう来られないのだろうか…
>>517 IDが物凄い勢いで毒づいているように見えるが、待つしか無いよ。
大尉殿とエーディットのその後が非常に気になるのだが、これで完結とは残念。
番外編とかあれば是非! そして新作にも期待!
管理人様、倉庫更新お疲れ様でした。
本当に有り難いです。
>>519 一話完結という意味だと思うので、続編は投下されるのではないでしょうか?
折れも大尉とエーディットの続きが読みたい。
無理せず頑張って欲しい。
ところで、男装して男達に混じってスポーツをやる物語はOK?
ぜひ読んでみたい
>>522 「うわさの翠くん!」がちょうどそういう話だな。
サッカーの得意なヒロインが男装して男子高のサッカー部に入るって話。
ただ、連載してるのがあの少女コミックなんで好き嫌いが分かれるかもしれんが・・・
わりと古いが「フェアプレイス(矢也晶久)」もだな
高校野球だけど
あと上に上がってたはじめての甲子園もそうだね
サンデーでやってたLOVEっていうテニスの漫画もなかった?
LOVEは男装少女モノとして悪くないけど最終話でポカーンとしたクチだな。
主人公がもう少し髪長くて萌え絵柄だったらエロ妄想が止まらなかっただろうなー
最終話も酷かったがその少し前、正体バレあたりからしょんぼり感あったな
もうちょっと劇的な正体バレを期待していたから
天才少女が圧倒的な男女差の壁に挑む基本コンセプトは好きだったけど
保守
要注意。微塵のエロも無し。
=======================================
俺は知っている。
広瀬は女だ。
ひょんなことから、広瀬が性別を偽り男子として入学したことを知った。
黙っていてくれと頼まれたので黙っている。
俺は知っている。
広瀬は猿だ。
2限終わりのチャイムと共に、広瀬が教室を飛び出て行く。正確には2階の窓から飛び降りる。
目的は購買の焼きそばパン。
俺たちの教室は東校舎にある。ここから購買部へは校庭を斜めに突っ切るのが最短となる。
広瀬は更に近道し、教室のドアではなく窓からすっ飛んで行く。文字通りの一直線だ。
俺は知っている。
広瀬には色気がない。
秘密をネタに、脅してヤっちまおうなんて不埒な妄想も引っ込むくらい、どうしようもなく色気がない。
競争率の高い焼きそばパンを手に入れたと、小躍りしながら戦利品を俺に見せつける。
「アキオ、食いたい? これ食いたい? やらねーよーーーだ、はっはっはー」
いや別に。俺おにぎりでいいし。
俺は知っている。
広瀬には最近気になる女ができた。
こいつに性別をわきまえろなど、今更言うだけ無駄なことだ。
「あのさあアキオ、―――ってどう思う?」
広瀬が口にした名前は、校内一の巨乳ちゃん。
巨乳。なるほど。人は己に無いものを求めると言うからな。
焼きそばパンにかぶりつきながら広瀬は続ける。
「結構カワイイと思わね? カワイイよな? うん、カワイイ。地味っつか、大人しめだけどさ、なんつーの、すげー女の子〜って感じするっつーか。そいでさ、なんか分かんねーけどすげーふわーってしてんの。アキオさあ、そういうの良くね? ん?」
俺に同意を求めるな。突き出た乳しか印象にない。
「あとさ、あとさ、やっぱ女の子だしさ、おっぱい大きいっつーのもポイント高くね?」
もちろん乳は重要だ。
俺は今日、新たに知った。
広瀬には焼きそばパンより大切なものがある。
「あの、広瀬くん……」
教室の入り口には、くだんの巨乳ちゃんの姿が。
頬を染めてもじもじしながら――その度に乳がぷるぷる揺れる――こちらを見ている。
いかにも「恋する女の子です」という表情に、クラスの連中がはやしたてる。
乳ほど肝っ玉は大きくないのだろう、巨乳ちゃんは顔を真っ赤にして俯いてしまった。
「おめーら、うるせーよ」
冷やかしを軽くいなし、広瀬は巨乳ちゃんをうながし外へ出た。
涙ぐんでいる彼女の背を抱くようにして。
そんな風に馴れ馴れしく女の子に触れられるのは、同性ゆえの気安さなのか、気持ちが通じているからなのか、俺には判断が付かない。
後に残されたのは、食いかけの焼きそばパンが一欠け。せっかくだからいただいた。
評判ほどにもない味だった。
俺は甘かった。
広瀬の、焼きそばパンにかける情熱をあなどっていた。
「あれ? 焼きそばパンは? オレの焼きそばパンは?!」
はい、俺が食いました。ごめんなさい。すみません。
「オレの焼きそばパン、焼きそばパン、焼きそばパン〜〜〜〜〜!!!」
前言撤回。
広瀬は焼きそばパンも大切にしている。
「明日買って返せよな! ちゃんと買って返せよな! すぐに売り切れちまうんだからな! すっげー少ないんだからな! でもだからって、オレがめちゃくちゃ傷ついたって事実は変わらないんだからな! アキオさあ、反省してんの? ホントにホントに反省してんの?」
はい、反省しています。
「じゃあさ、放課後、オレに付き合って」
放課後、広瀬に連れられやって来たのは購買だった。
既にシャッターは下りていて、焼きそばパンはおろか人気すらない。
俺は気付いていた。
広瀬が緊張している。
さっきからとりとめもなく意味のないことをベラベラと喋り続けている。
それだけなら普段と変わりないが、いつもならしつこいほどに相槌を求める広瀬は、今、俺に口を挟ませないよう一方的に喋り立てていた。
会話ではない。言葉でもない。
自分の気まずさを気取らせないよう、ただ音を発しているにすぎない。
広瀬。明日の2限にならなきゃ購買にパンは並ばない。男なら、言いたいことははっきり言え。
「アキオさあ、……今付き合ってる子とかいる?」
何を突然。
「あのさあ、アキオと―――ってお似合いじゃないかなーって」
巨乳ちゃんと? 俺が?
「うん、いいじゃん、すっげーいいじゃん、んとさ、なんかさ、オレがアキオの話するとすげー楽しそうなんだよ彼女、アキオの誕生日とか聞かれてさ、血液型も聞かれてさ、そいでさ、色々アキオの話聞きたがってさ、
すげーイイ子だしさ、おっぱい大きいしさ、アキオおっぱい好きだしさ、今日の放課後アキオをここに呼び出すからって約束しちゃってさ、もうすぐ来るはずなんだけど、オレがいたんじゃやっぱ邪魔じゃん、うん、そゆことだから、てなわけで、じゃっ!」
一気にまくし立てて、俺と目を合わすことなく広瀬は逃げた。
逃げやがった。
翌日、俺は2階の窓から飛び降りた。
2限終わりのチャイムと共に、購買までひた走る。
こんな障害物競走を毎日のようにやっているのか、あいつ。やっぱ猿だな。ああ、猿だ。
だから、惚れた女の恋の仲立ちなんて、損な役回りを引き受けるんだ。
バカだ。アホだ。間抜けな猿だ。
俺のことを、友達が惚れた女相手でも、平気で乳繰りあえる奴と見ていたか。
なめるな猿の分際で。
人だかりを力ずくで掻き分けて、焼きそばパンを掴み取る。
どこがレアアイテムだって? 3つだ3つ。ざまあみろ。
帰りの渡り廊下で、広瀬が俺を待ち伏せていた。
無言のまま、真っ平らな胸ぐらに焼きそばパンを押しつけて通り過ぎる。
「アキオ。待てよ。何で朝から喋らねーんだよ。アキオ?」
泣きそうな声を出しても無駄だ。俺は今怒っている。
「アキオ、なあ、アキオってば! 無視してんじゃねーよ! なあ!」
右肩に軽い衝撃。ぶつかって床に転がったそれは、いましがた渡した焼きそばパン。
コラ猿。食い物を粗末にするんじゃない。
「何なんだよ、女の腐ったみてーな怒りかたしやがって、っ、てめーオカマか糞ったれ!!」
怒鳴りながらしゃくり上げるものだから、つい振り返ると、涙をこぼす広瀬と目が合った。
俺は知っている。
広瀬は男ではない。
男ならこんな風に泣かない。
非常階段へと場所を移したが、一旦堰を切った広瀬の涙はなかなか収まらなくて、俺はどうしたらいいのか分からない。
おそるおそる広瀬の頭に手を乗せてみたらますます激しく泣き出して、やはりどうしたらいいのか分からないまま、俺は広瀬の頭を撫でつづけた。
俺は知っている。
広瀬の背中は小さい。
俺は知っている。
広瀬の肩は細い。
俺は知っている。
広瀬の首筋は白い。
俺は知っている。
広瀬の髪はやわらかい。
怒っていた理由を聞かれたので、広瀬が惚れている女とは付き合えない、そう答えたら、きょとんとした顔で俺を見返してきた。
鼻水が垂れている。
「アキオってバカだろ? なんでオレがあの子好きになんだよ? アキオ知ってんじゃん。
オレ、――おんなだよ?」
俺ははじめて知った。
こいつ、自分が女だって自覚あったのか。
もう、とうに3限に入っている。
泣いたら腹が減ったからと、広瀬が焼きそばパンを食いはじめた。
焼きそばパンを口いっぱいにほおばる広瀬は幸せそうだ。
広瀬はいつも美味そうに飯を食う。こいつと飯を食うのは嫌いじゃない。
俺は知っている。
女は乳だ。
俺は知っている。
だけど、理屈じゃないんだよな。
=======================================
以上。
焼きそばパン食べたい?
∩___∩ ∩___∩
♪ | ノ ⌒ ⌒ヽハッ __ _,, -ー ,, ハッ / ⌒ ⌒ 丶|
/ (●) (●) ハッ (/ "つ`..,: ハッ (●) (●) 丶
| ( _●_) ミ :/ :::::i:. ミ (_●_ ) | ねぇ、食べたい?
___ 彡 |∪| ミ :i ─::!,, ミ、 |∪| 、彡____
ヽ___ ヽノ、`\ ヽ.....::::::::: ::::ij(_::● / ヽノ ___/
/ /ヽ < r " .r ミノ~. 〉 /\ 丶
/ /  ̄ :|::| ::::| :::i ゚。  ̄♪ \ 丶
/ / ♪ :|::| ::::| :::|: \ 丶
(_ ⌒丶... :` | ::::| :::|_: /⌒_)
| /ヽ }. :.,' ::( :::} } ヘ /
し )). ::i `.-‐" J´((
ソ トントン ソ トントン
GJ!
神がキター
これだけの短い間に無駄なくまとまってる!すげぇ!
GJ!
萌えた!
なんつーか、センスがいいなあ
GJ!
神様、助けてください
やっと遅い盆休み貰って、エロパロ板を縦断していたら
お気に入りが鬼のような速度で、肥大していく一方です
死にそうなぐらい、幸せです……こんなんで良いのか、俺っ!!!
こんなスレがあったとは。
ククルカンのつばさ・すももも(ryの進太郎・FF5のファリスが自分の中で鉄壁
ベルばらは面白かったけど、あまり萌えんかった。
保管庫のイヴァンとナタリーマジで萌えた。
自分の求めていたエロいシチュエーションだ。
最初拒絶してた女の子が段々惹かれていくっていうのがいいな。
イヴァンの鬼畜ぶりとか、老王夫婦のほのぼのやりとりも良い。
唐突ではあるが男装少女って生理の時どうしてるんだろうと時々思うんだが
生理がきっかけで女とバレるってシチュってアリなんだろうか
どうしてるって、男でも大の方に入る事あるだろうし
タンポンという物も有るし、もっと突き詰めればピルだって有る
生理でバレる事を心配するぐらいなら
水泳の授業時は皮膚病とかなんとか理屈つけて、パスしてるだろうし
柔道なんかは、体が弱いので勘弁と言うのが、理由になるんじゃまいか?
まぁもっとも世の中には、人より少々嗅覚の鋭い個体もいて
アノ時の女の臭いを嗅ぎ当てるという、ちょっと警察犬っぽい
告白もあったりするけど、そもそも其の時の臭いがアレなのが
解るのは彼女か姉or妹持ちじゃないと、無理だと重我
風光るではちゃんと生理時の対策が描かれていたな
やっぱり褌状の下着を装備して、布をいっぱい詰めるとか。
痛みが酷い時には何だかんだいって休むとか。
男装がばれるのは入浴時とか怪我して服を脱がされた時ってのが多い希ガス
>>541 アレは一度嗅ぐと忘れられない臭いだよ…
保守
>>533 けったいな事するヤツがいるなぁと思ったら本人かw
うめぇw
某所に投下したものを大幅に焼き直しした駄文です。
エロって難しいな畜生。
あの惨事が起こったのは私が7つに満たない時だった。
邸に帰る途中の、叔母上と従兄の乗っていた馬車が崖の崩落に巻き込まれた。
叔母上は頭を潰されて即死。従兄も岩の下敷きになり、下半身不随で今も歩く事ができない。
代々医者をやっている我が家に運ばれた時のことを今でも鮮烈に覚えている。
そこは代々武勲で名を馳せた名家だった。
叔父上は先の騎士団長。従兄も将来を嘱望されて、父親から直々に幼い頃から武術の訓練を受けていた。
妻を喪い、ただ一人の息子への希望も閉ざされたショックからか、子種ができなくなっていた。
子供はその従兄と5つ違いの妹だけだった。
息子が使い物にならないと嘆いた叔父上は家を存続させるために恐るべき手段を講じた。
まだ3歳の実の娘の髪を切り、彼女のドレスを全て処分し、兄がかつて着ていた服を身に付けさせた。
そして優秀な騎士として活躍できるよう、容赦ない訓練を施した。
お陰で彼女は試合で10回に7回は勝てるくらいの男にも引けを取らない戦士に成長した。
レンシュバルト王国はセエスタ湖の南に位置し、交易の中継点として栄えている国である。
しかし最近、昔から争いが絶えなかった隣国アンガル共和国が鉄鉱石を周辺国から買い付けているとの情報があったため、
いつか当国に攻め入るかもしれぬと警戒した国王が国の若者に徴兵令を出し、一定期間国境警備に当たらせている。
私は医者であるため、衛生兵として砦に駐屯している。
>>546続き
国境警備と言っても、交代で砦の城壁の上で相手国側の領地を睨みつけるのが仕事である。
炎天下の中鎧を着て槍を持った装備をし、乾いた城壁からの熱の反射もあるので暑さで頭がおかしくなりそうになる。
こういう苦行は新人兵士の仕事である。
熱気とと自分の汗での湿気にぼせ上がりそうになった頃、ようやく階段から足音が聞こえてきた。
「畜生、スティーブ、交代だ。」
同じ班のマクセルが苦々しげな表情でやってきた。
「頑張れよ、ヨラウ。前みたいに倒れて吐くんじゃないぞ」
「わーったよ。班長様。今回はちゃんと水を飲むよう気をつけるしな。暑さ対策ばっちりだぜ」
ヨラウは幼い頃ここよりやや北の国からやってきた移民で、まだこの国の気候に身体が慣れていなかったらしい。
この前は交代で来たスピオドが仰向けにうんうん唸って倒れている彼を見て仰天し、身体を起こそうと介助したら胃の中のものをぶちまけられて大変なことになった。
確かにこの季節の暑さは生粋のレンシュバルト人でもきつい。
私は涼を取ろうと、中庭の井戸へ向かった。
塀の向うから訓練に勤しむ別班の同僚の声が聞こえる。
洗面器に水を注ぎ、浴びるようにして頭を突っ込んだ。
>>547続き
今の時間は病人怪我人が運ばれてくることはそうそう無いので、砦の中をぶらぶら散歩するのが日課である。
砦の者も承知してくれているので、もし急病人が出たら櫓の鐘を2回だけ叩いて知らせてくれることになっている。
いくら衛生兵でも医務室で籠りきりだと自分が病人になってしまう。
中庭に出ると見慣れた姿を見つけた。
私の従弟に当たるスティーブである。
見張り番が終わって涼んでいるところらしい。
彼は濡れた頭で井戸の側の木陰の下で寝転んでいた。
「スティーブ!」
彼は私の声だとわかったらしく、起き上がって手を振った。
私は彼のそばに歩み寄った。
彼は座りながら少年らしい笑顔を私に向けて見上げた。
「見張りは終わったのか」
「ああ、ヨラウが今やっている。前みたいにぶっ倒れなければいいがな」
「大丈夫だろう。アレだけ派手にやらかしたんだから懲りただろう」
「ははは、違いない。あれの後始末をしなければならなかったスピオドも災難だったな」
私は側へ座り、彼の背中に手を回した。
服がぐっしょりと汗で濡れている。
「お前も大丈夫か?凄い汗だぞ?」
「ああ、そろそろ着替えようと思っていた。手伝ってくれるか?」
―「手伝ってくれるか?」―
当たり前だ。こいつの秘密を知っているのは私しかいない。
「今は部屋には誰もいないはずだ。替えの布も用意してある。」
「クルスがわざわざこの砦に来てくれて本当に助かったよ」
徴兵に当たり、彼が新人兵士としてこの砦に派遣される期間に合わせて、私もこの砦への配属の希望を申し上げた。
衛生兵は貴重な人材なので、どうせどこも人手が同じくらい足りないのだから、と、希望はすんなり通った。
こいつとは幼い頃から馴染んでいて、親戚関係にある家同士の結束も固い。
武家の名家の子息という事でこいつは周りからの羨望を集めているが、実際は血の滲むような努力をしている。
叔父上からのしごきで体中は傷痕だらけだ。
家が断絶しないようにその身で男児を産むという使命も背負っている。
相手は・・・私だ。つまり私たちは周りに絶対に明かすことができない婚約者だ。
>>548続き
医務室には運良く誰も来ていなかった。
入り口に鍵をかけ、カーテンも閉め、彼女は上の服を脱ぐ。
胸のふくらみを隠すために巻いているサラシもぐっしょりとしている。
そのサラシの結び目を解き、身体から解いていく。
用意してあったタオルで汗を拭き、ベッドの縁に座ったので、私も洗濯したてのサラシを彼女の身体にあてがう。
身体に巻きつけようとしたその時、胸の淡い果実に目を奪われた。
傷だらけではあるがなめらかな肌の曲線、汗の匂いに混じる芳しい匂い。
砦にいる間だけでも女として意識しないようにと努めていたが・・・そのときばかりは自制が利かなかった。
私も暑さでどうかしてたのだろうか。
「ステラ・・・」
口から彼女の本名―女としての名前が思わず口を突いて出た。
「クルス・・・?」
彼女もいつもと違う私に気付いて、不安げな表情を浮かべた。
「その名前で呼ばないでっていう約束が・・・」
「ステラっ!」
私は彼女の肩を押さえてベッドに押し倒した。
そして彼女の唇に吸い付き、彼女の口から分泌される甘い唾液を貪った。
>>549続き
くちゅくちゅと液体の弾ける音をさせながらクルスの舌はステラの奥に侵入した。
そして自分の口内の液体をステラの中に流し入れた。
ステラにはこの急襲を防衛する余裕などなかった。
彼の唾液を飲み下すしかできなかった。
ごくり、と音がすると彼は糸を引きながら唇を離した。
「ん・・・はぁっ・・・」
口を塞がれて開放されたステラはクルスの豹変をしばらく受け入れることが出来なかった。
あのいつもお堅い身のこなしのクルスがこんな―
「クルス・・・!どうしたんだよ!おかしいよ!どうして・・・!」
「どうして・・・?お前はいつまで私を待たせる・・・?私たちはこういう事をする仲なんだ。
それにお前があまりにも綺麗だったから・・・」
「やめろ!今すぐやめろ!私たちまだ・・・早い・・・んー・・・ふ」
言葉を遮るようにクルスは再度ステラの唇を塞いだ。
そしてそのまま下に移動し、日に焼けてなおなめらかな首筋に吸い付いた。
「やだ!助平!!!クルス!!!!お前なんか嫌いだ!!!」
拒絶の叫びを上げているステラの口を手のひらで塞ぎ、もう一方の手で彼女が身に付けている男物のベルトのベルトを解き、一気にズボンを引き下ろした。
それを床に放り、ベッドの脇にあったガーゼの包帯で丸裸になった彼女の両手首を縛り、ベッドの柵に固定した。
口を押さえていた手を放した。彼女は口を開けたまま黙った。
足首を押さえて、もう一方の手でそのまま彼女の腰の上に手を這わせ、彼女のあらわになった茂みに指を挿入した。
「あっ・・・・!」
ステラの背中が一瞬浮いた。
一度指を離し、もう一回挿入する。繰り返し繰り返し往復を続けた。
「ひっ・・あ・・・・やっ・・・!」
ステラは涙を浮かべて背中を何回も浮かす。
「そんなところ・・・やめ・・・いや・・・あ・・・!」
ぴちゃぴちゃと水音がしてきた頃、クルスは往復をやめ、ステラの腰の上に跨った。
マントを脱ぎ、彼女の上に覆いかぶさった。
ステラはもう、声を上げない。
>>550続き
心配になったクルスは彼女の名を呼んだ。
「ステラ・・・」
目を反らして押し黙ったままだ。
「ステラ」
今度は肩を抱きかかえるようにして、彼女の耳元で囁いた。
「クルス・・・」
彼の首筋に額を当てるようにして抱きかかえられてるステラは、消え入りそうな声で呟いた。
「クルスはいつも・・・私を見ながら、こうしたいと考えていたのか?」
震えている。いつかはこうなるはずだったとはいえ、彼女の方はまだ心の準備が出来ていなかったのだろう。
「ごめんよ・・・」
そう呟いて彼女の栗色の頭を撫でた。
ステラが落ち着きを取り戻したようだ。
ステラを放そう腕を緩めた時、ステラの足がクルスの腿にからみついてきた。
クルスは驚いてステラの顔を見た。
ステラの方からクルスの唇に吸い付いてきた。
「クルスが・・・したいならしようよ。国境警備が終わったら忙しくなるから、次はいつ逢えるか分からないよ・・・?」
潤んだ瞳で見つめ返しながら彼女は言った。
「ステラ・・・」
そう呟くと彼は彼女の手首に巻いていたものを解き、彼女を抱き寄せた。
ステラはクルスのローブの紐に指を回し解き始めた
クルスはステラを労るように、背中や腰を愛撫した。
ステラがクルスのローブの紐を全部解くと、クルスもそれに応じ自らのローブをはだけ床に落とした。
二人共一糸纏わぬ姿になった。
「クルス・・・これ・・・」
屹立したクルス自身に驚きを隠せないでいる。
ステラがそっとそれに触れるとそれは更に上えと突き出した。
たまらなくなったクルスはステラの唇に吸い付き、続いて首、肩、胸と貪るように口を付けた。
彼女の胸の果実を咥え、味見をするように軽く齧った。
>>551続き
「あ・・・クルスっ・・・!」
ステラは痛みとも快感ともつかない感覚の行き場を求め、クルスの肩に爪を立てた。
そのままクルスは彼女の上に覆い被さり、細い腰に移動し、茂みに到達した。
先ほどの行為でまだしっとりと濡れている。
クルスは蜜の出所を探り当てようと舌を這わせた。
「あ・・・やだ・・・そんなところ・・・」
そのまま奥へと沈んでいくと、より深く分け入るところを見つけ、そこをつついた。
「ひ・・・・」
どうやら泉を見つけたらしい。
そこを舐めたり吸ったりすると、肉の奥から蜜があふれ出た。
「あ・・・・いあああ・・・」
「ひゃん・・・は・・・・」
ステラの息が上がってきているのが腹の動きを見て分かる。
自らの唾液とステラの愛液で口元を濡らしながら、クルスは名残惜しそうに泉の探索をやめ、ステラの片脚を持ち上げ、自分の肩の上に担ぎ上げた。
ずっと勃ちっぱなしで待たせていたものでステラの入り口を軽くつついた。
「い・・・」
一度引いて、もう一度つついてみた。
「あ・・・」
先端に液体が糸を引いた。
ステラの肌は既に上気し、赤く熱を帯びている。
「入るよ・・・ステラ・・・!」
肩に担いだ脚を引き寄せ、腰を持ち上げ、彼女の身体に自身を食い込ませた。
>>552続き
「ああああああっ!」
まだ狭い入り口に無理やり侵入された痛みにステラは叫びを上げた。
「まだだっ・・・ステラ・・・!」
もっと奥へ侵入しようと自らの腰を引き、再び深々と貫いた。
「あ・・・いやああああ・・・!」
「まだ・・・!」
「だめ・・・あああああああ!」
何回も往復を繰り返し、熱を帯びた透明な液体と血が彼自身をぬらぬらと包み込んでいた。
ステラはシーツを掴み息を弾ませながら、彼の侵入に耐えていた。
「これで・・・最後・・・!」
より一層深く貫き、そして熱いステラの体内に自身の欲望をはじけさせた。
「いや・・・!来る・・・!どうしたらいいの・・・!クルス・・・!ああ・・・!」
クルス自身を放さないようにするかのようにぎゅうぎゅう締め付けてくる。
彼女はのけぞり、それから熱い吐息を吐きゆっくりとシーツに身を沈めた」
彼も自身を引き抜き、そしてステラを抱くようにして横になった。
日課の終わりの鐘が聞こえる。
カーテンを開けると夕日が差し込んだ。
着替えが終わったスティーブは兵士で賑わう食堂へと駆けて行った。
クルスは彼の背中を見送り、何事もなかったかのように見せるためにベッドのシーツを取り替え始めた。
終わりです。
設定が色々突っ込みどころ満載でスマソ。
投稿してから間違いに気付いたorz
>>547 >同じ班のマクセルが苦々しげな表情でやってきた。
同じ班の「ヨラウ」ね。
初期設定の名前がマルセルだったもんで。
GJ
>>554 GJ。
ただ、いちいち頭に「>>〇〇続き」って入れる必要は無い。
40〜50字前後て改行を入れた方が読みやすいし。
それと、ステラがあまり他のキャラと絡まなかったからか、男装分がかなり薄く感じた。
>>551下から三行目の「上え」など、誤字脱字もあるので、そこが残念。
が、改めて言うが、十分GJな作品だから、気を落とさずに頑張ってください。
ところで、ケースの一つとして男性しか後をつげないために娘を男として育てるというのもあるが
>>554 GJ
主人公が医者
つまり、続きでは医療器具やら薬やら使ってあれやこれやがあるわけですね
559 :
名無しさん@ピンキー:2007/08/23(木) 23:46:15 ID:CgDPt0Ok
その発想はなかったわ
活発で明るい男装少女×内気な男装少女の
百合が見たいと思う俺は異端ですか
1に百合が×とは書いてないが、通常この板で特にそうと書いていない時は
男性×女性が想定されているので住人の需要は微妙かと
俺は注意書きに(百合)と入れておいてもらえばかまわないが
百合専用のスレでやれという意見は出てくるかもね
( ´w`)<異端の人がいたんですね ナンチテ
まあ、何でも食べる俺からしたら、何でも書いて貰って、
アレなのは読む方でスルーでいいんじゃないかなと思うぞ。
注意書きとかはして欲しいけどな。
そんな異端を、ずっと昔に投下した俺参上。
…はい
異端の話をしてるのに井端が回収に来ない。
ピルグリム・イェーガーに出てくる男装少女が何気なく(・∀・)イイ!
569 :
狂介と有紀:2007/08/28(火) 15:23:21 ID:gms8wQ5A
「うぅぅ・・・32点か・・・」
有紀は目の前の現実にため息を吐くしかなかった。
『教科書は最高の参考書』
キーンコーンカーンコーンと言うお決まりのチャイムが鳴り昼休みが始まった。
「有紀、メシ食いに屋上にって・・・どうしたの?」
狂介は机にうつぶせになったままの有紀を怪訝そうな顔で見つめた。
「今日帰ってきたテスト・・・赤点でした。」
「ほほう。」
狂介は有紀が持っていた答案用紙を奪い取るとじっくりと内容を見せてもらった。
「あっ!!コラ何するの・・・かえせ〜〜!!」
必死に答案用紙の奪還にかかる有紀。しかし、頭を軽く抑えられて先に進めない。イメージがわかない人は
池乃めだかの一連の流れをご想像ください。
「・・・ここは公式が間違ってるな。」
「え?」
一通り答案を見て狂介は一つ一つ問題を解説し始めた。
「それに、ここは先に分母の計算をしないといけないんだ・・・って・・・今度は何?」
有紀は目を点にしながら狂介を凝視していた。
「有紀?ゆ〜〜う〜〜き〜〜?」
目の前で手を振っても、猫だましかけてもビクともしない有紀、狂介もさすがに心配になってきた。
570 :
狂介と有紀:2007/08/28(火) 15:25:06 ID:gms8wQ5A
「どうした?具合悪いのか?」
「・・・・・・・・・んで?・・・・・・」
「ハイ?」
狂介が聞き返そうと顔を近づけたその時・・・
「何でそんなことが分かるんだよ!!」
有紀は狂介の首を正面から思い切り締め上げた。
「グエッ・・・!ちょ・・・ちょっと・・・ゆう・・・き・・・苦し・・・」
「そういう狂介は何点なの?答案見せてよ!!」
「こ・・・こ・・・これ・・・」
今なら泡が吹けると確証を持ちながら落ちそうな意識をフル稼働させて狂介は有紀に自分の答案を渡した。
「どれどれ・・・」
半分に折られた答案を見るとソコには0の数字が・・・
「なんだ、0点じゃないか・・・狂介らし・・・・・・」
二つ並んでおり、その左隣には数字の1が、そして下線は二つあった。
「100点!?」
571 :
狂介と有紀:2007/08/28(火) 15:26:46 ID:gms8wQ5A
「ハー・・・ハー・・・死ぬかと思った。」
「ちょっと・・・!これ本物?狂介100点なの?」
ネックホールドから開放された狂介を今度はゆすり攻撃が襲う。
「アゥ・・・アゥ・・・グェ・・・」
「ふざけてないで!狂介教えてよ!」
「ま、まずは落ち着こうよ。ね?」
遠心分離機にかけられた気分になった狂介。やっとの思いで有紀を引き離す。
「あっ・・・ご、ごめんね?」
冷静になった有紀は素直に謝った。
「ハァ・・・死ぬかと思った。」
「それで狂介、これ本物?」
そう言って満点の答案を狂介に返す有紀。
「そうだよ。今回のテストはムズかったね。」
答案を返してもらいながら、有紀の頭をポンポンと撫でる。
「100点の人がそういうこと言ってもムカつく、っていうか実力?」
「さすがにそれは失礼でないかい?」
「だって・・・」
有紀の疑いの眼差しが狂介に刺さる。・・・と心外とばかりに狂介は机をあさり出した。
「ホレ・・・見てみなさい。」
そこには中間や期末、以前行った様々なテストの答案が出てきた。みれば全てが満点かそのテストの
時の平均点を大きく上回るものだった。
572 :
狂介と有紀:2007/08/28(火) 15:29:13 ID:gms8wQ5A
「知らなかった・・・・・・狂介頭良かったんだ。」
「何気に傷つくな・・・」
両手を重ねて人差し指をイジイジと回す狂介。
「昨日、今日の付き合いじゃないだろうに・・・」
言いながら有紀の髪に手を当てて髪をすく。
「だって・・・」
「良かったら勉強教えようか?」
「ホント?」
「俺のやり方で覚えるって言う確証はないけど・・・」
「ありがとう狂介!!」
そう言って有紀は狂介に抱きつき・・・
「ちょっ・・・ヒソヒソ・・・ここ教室だろーが。」
「ヤバッ」
そう言って有紀は教室中を見回す。幸い昼休みの賑わいもあり気に止めているものはいなかった。
「ふぅ・・・危なかった。」
「でも有紀・・・なんか最近はもう女だって隠す必要ないんじゃないかって思うけど?」
「中途半端にしたくないの。それにばらしたら色物扱いされて・・・狂介と一緒にいる時間が減っちゃうもん。」
573 :
狂介と有紀:2007/08/28(火) 15:31:21 ID:gms8wQ5A
「!!」
上目使いに狂介を見つめる有紀の視線は破壊力抜群だった。狂介は口元を押さえながら
有紀とは反対の方向を向く、嬉しさで引き攣る口元を押さえきれずにいる。
「狂介・・・どうしたの?」
ヒョイと背後から回ってきた有紀の顔がモロにどアップで視界に入る。
(あ〜〜・・・ホントにカワイーなコンチクショー!!)
嬉しいような、自分が情けないような気持ちで、狂介はいっぱいだった。
(ムフフ・・・これはイイ・・・イイわぁ。)
狂介と有紀を見つめる妖しい視線・・・それは・・・
ヒョイ。
「でも気をつけないと、こういう連中があれよあれよと沸いて出てくるんだ。」
バスケットボールを持つ要領で頭部を掴まれて視線の主は狂介に捕獲された。
「ヤ・・・ヤスコ!!」
「どうも・・・お久しぶりね・・・」
574 :
狂介と有紀:2007/08/28(火) 15:33:10 ID:gms8wQ5A
ポイ
「あーーーれーーー・・・」
ヤスコは狂介に窓から投げ捨てられた。
「ここ四階だけど大丈夫なの?」
「大丈夫今は完全なギャグパートだから、鼻血かタンコブで助かる。」
そう言って窓から外を見ると地中にめり込み、足だけが出ているヤスコの姿があった。
「何であの人学校に来てたの?」
「おそらくは、冷静に考えて今までの自分の出番は一回無かった事から出番欲しさ。そして
夏に行われる漫画の祭典のネタを仕入れに来てたんだろう・・・。」(※執筆時は祭典前)
「漫画の祭典・・・?」
「深く考えないほうがいい。今後も有紀には縁の無いものだから・・・。」
「??」
分からないキーワードばかりでついてこれない有紀は人差し指を口元に当ててコテンと首を傾げた。
(だから、その仕草がダメなんだって!!)
有紀の一挙一動に動揺を隠せない狂介。
(・・・元から・・・断つか。)
祭典に参加される皆さんは「ゆうき」と言う単語をブツブツ言いながら会場荒らしをする男に会ったら即効で
逃げるようにしましょう。(※しつこいけど執筆時は祭典前)
575 :
狂介と有紀:2007/08/28(火) 15:35:59 ID:gms8wQ5A
その日の夕方、場所は変わって山崎家。
「・・・その場合は先に二次方程式を・・・」
今までの素行からは想像も出来ない真面目なせりふがバンバンと狂介の口から出てくる。一応真面目な事を
言ってるはずなのだが・・・
「・・・えと・・・。・・・ん?」
正直言って有紀にはチンプンカンプンだった。
「ふぅ・・・休憩しようか?」
「ご・・・ごめんね?」
内容のほとんどがサッパリな有紀はガックリと肩を落とした。
「気にしないの。」
「ありがとう・・・・・・んっ・・・」
狂介はそのまま有紀を抱き寄せて唇を奪う。
「う・・・・・・ちゅ・・・ふぅ」
驚きはしたものの有紀はそのキスを拒む事無く次第に狂介に身を任せていった。
「授業料もーらった。」
「めずらしいね。今日は・・・目が血走ってないよ?」
「この状況で、そういう事言うかよ・・・」
過去の自分を思い出すとそう言われても反対できないので、あえて言わせておくものの正直な所ショックは
隠し切れない。
576 :
狂介と有紀:2007/08/28(火) 15:38:34 ID:gms8wQ5A
「今度はおしおきダベ〜〜!」
「あぅ・・・んぅ・・・ちゅ、あ・・・・・・」
有紀を抱きしめながら、何度もキスを繰り返す。気がつけば有紀の体からは力が抜けて全身を狂介に
預ける形になっていた。
「狂介・・・」
唇を離すと有紀は上気した顔を狂介の胸へとうずめる。
「物覚え悪くてごめんなさい。僕バカだから・・・狂介もつきあうのイヤでしょ?」
キスでのぼせながらも狂介をガッカリさせてしまったという気持ちから有紀はその表情を曇らせる。
「全く、バカだな。」
「ウン・・・僕バカだよ。だから・・・って・・・え?・・・狂介?」
狂介は有紀の頭を抱え包み込む様に抱きしめる。その状態で狂介は有紀の耳元に呟いた。
「イヤだったらイヤって俺はちゃんと言うよ?でも言ってないって事はイヤじゃないんだ。違うか?」
「でも・・・。」
言い切る前に狂介は有紀の頭をポンポンと撫でる。
「んぁ・・・。」
その刺激に反応した有紀は甘い声を漏らした。
「コレって俺の本音だけど・・・勉強でも何でも良いから、とにかく有紀と一緒にいられる理由がほしいんだ。
そりゃいつも一緒にいるけどさ・・・」
狂介は少し顔を曇らせた。
「どうしたの狂介?」
「いや・・・"大人の事情"か"作者の事情"か知らないけど一年以上ご無沙汰な気がしてさ・・・。」
「一年・・・?・・・事情・・・?」
またチンプンカンプンといった感じで有紀は困った顔をしている。
577 :
狂介と有紀:2007/08/28(火) 15:40:44 ID:gms8wQ5A
「気にしないで、こっちの話・・・。とにかく俺はイチャイチャしたいしベタベタしてたいんだ。理由は何でも
良いし・・・って有紀は真面目に勉強する気だったのに、俺の方こそゴメンな?」
そう言うと狂介は再び有紀を頭から抱きしめた。
「そんな事ないよ・・・僕うれしい・・・。」
有紀も嫌がる事無く有紀の胸板に頬擦りした。
「狂介・・・お願いがあるんだけど・・・いいかな?」
「言ってみ?」
有紀はさっきよりも顔を赤くして俯いた。
「まだ、よく分からない教科があるんだけど・・・教えてくれないかな?」
「そういう事なら任せなさい。で、なんなの?数学?物理?」
「えーー・・・と。・・・・・・・・・く・・・。」
「はい?何?」
良く聞き取れないので聞き返す狂介。そして・・・
「だから・・・・・・保健・・・体育。」
有紀の顔はやかんを近づけたら一瞬で沸騰しそうな位に真っ赤だった。
「ハハ・・・・・・(今なら俺、どんなベタな展開とか、ご都合主義でも好きになれるわ。)」
狂介は気持ち悪い位の笑みでサムズアップして有紀の願いに答えた。
「良かった・・・。それじゃ・・・よろしくお願いします・・・先生。」
「グハッ・・・!!」
ついに狂介は鼻血全開でぶっ倒れた。
(やっちゃうけど良いよね・・・?答えは聞いてない。)
お久しぶりです。一年ぶりの実験屋です。やっと家にネットが入ったので
久しぶりに書いてみたのですが・・・さすがに1年間も何もしてないと
どんな話だったかすら思い出せないです。
続きは完成もうちょっとお待ちを。スレ汚しにならない程度に頑張ります。
何の因果か、保管庫の狂介と有紀シリーズで自家発電してたら
お久しぶりの新作キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━━ !!
全裸で正座して続きを待っとります!
保管庫で見てワクテカしてたらキタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━━ !!
お帰りなさいっ!
相も変らぬ二人のバカップルぶりにGJ!
きたきたきたきたキタ━(゚∀゚)━!!!いい仕事
キタ━━━━━(゚∀゚)━━━━━ !!!
あと、有紀ってゆうきって読むのか。ずっとゆきかと思ってた。
キタ━━━(゚∀゚)━━━!!
キタ━━━(∀゚ )━━━!!
キタ━━━(゚ )━━━!!
キタ━━━( )━━━!!
キタ━━━( ゚)━━━!!
キタ━━━( ゚∀)━━━!!
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585 :
狂介と有紀:2007/08/31(金) 07:01:44 ID:xor0+V/m
遅くなってごめんなさい。続き投下します。
狂介は自分のベッドまで有紀をお姫様抱っこで運ぶ、有紀は顔を赤くしたまま俯いていたが
横たえられると同時に狂介にあごを掴まれた。
「あっ・・・・・・」
「有紀の顔が良く見えない。」
「だって・・・・・・・・・恥ずかしいよぉ・・・・・・」
やり場のない視線を泳がせながる有紀に狂介は笑いかけ、キスするかと見せかけて有紀のうなじに
舌を這わせた。
「ちょ・・・ちょっと・・・やぁ!・・・なにしてるんだ・・・ふぁ」
くすぐったさに身をよじるが上から狂介に押さえられて有紀は身動きがとれない。それを分かって
狂介は有紀の敏感な肌を舐め上げた。
「あっ・・・んぅぅ・・・ふぁぁ・・・」
重点的にうなじを舐められ、いつしか有紀の声が熱を帯びる。頃合を見計らいながら狂介は有紀の
胸元へと手を伸ばした。
「ひぁぁっ!!」
「おりょりょ?」
狂介が有紀の胸元に触れた瞬間、有紀は可愛らしい悲鳴を上げた。だか狂介には違和感が・・・
「今日はさらしじゃないのね?」
「う・・・ん・・・」
快感に身を委ねながらも、狂介の疑問に答える為に有紀は着ていた上着を捲り上げた。
「これってブラ??」
「そう・・・さらしだと捲くのが面倒だから・・・」
有紀は胸を押さえつけて膨らみを目立たせないスポーツブラのようなモノを身につけていた。
(※詳しくは他の職人様の作品等をチェックしてみよう!決して実験屋の参考資料の不足じゃないぞ!)
586 :
狂介と有紀:2007/08/31(金) 07:04:11 ID:xor0+V/m
「これはこれでイイけど・・・」
「イイけど?」
「どの道脱がしちゃうんで関係ナッシング!!」
「やっ・・・やぁん!!」
上着とブラをポイポイと捲り上げそのまま脱がしてしまう狂介。やけに手馴れてる気が・・・
「他の人にも・・・こんな事してるの?」
「男の本能です!!」
言い切った狂介。しかしあながち間違ってるぞと言い切れないのが怖い。
「ん〜〜・・・・・・イイネェ」
あらわになった有紀の乳房を悦に入りながら眺める狂介。そして、そのまま乳房にしゃぶりついた。
「うぁ・・・!!・・・ふぅぅ・・・やぁ・・・」
素肌を軟体生物が這い回るような感触が怖いようなもどかしい様な、えもいわれない感覚を有紀に
与えた。
「うぅぅ・・・・・・は・・・ぅ・・・ひぃぃ・・・!!んうぅぅ・・・」
乳房の片方は舐めまわされ、もう片方は狂介の手で撫で回される。しかも、その責め方は外周から先端へと
昇っていきながらも決して乳首には触れず、舌も指も乳輪まででその責めをとめている。もっとも感じる
乳首への刺激が足りないのか、有紀は身悶え始めた。
「きょ・・・きょうす・・・け・・・・・・お願い・・・」
「ん?どうしたの?」
「いじわる・・・しない・・・で・・・してよぉ・・・・・・」
有紀の懇願にあえて狂介は意地悪く答える。
「何をかな?はっきり言ってくれないと先生は分からないぞ。」
「・・・・・・もう・・・。」
有紀は羞恥に震えながら目を瞑り、意を決したようにささやいた。
「おっぱい、乳首もたくさん・・・弄ってほしいの。」
587 :
狂介と有紀:2007/08/31(金) 07:06:24 ID:xor0+V/m
「了解!」
有紀のお願いを聞いて即効で狂介は指で乳首の先端を突いた。
「あぁぁぁ・・・・・・狂介・・・ボ・・・ク・・・イっちゃう・・・んぅ・・・あっ!!」
有紀の身体が軽くなったかと思うと、ビクビクと大きな痙攣が起こす、その震えが小さくなると
同時に有紀はベッドに沈み込んだ。
「あぁぁ・・・・・・はぁ・・・はぁ・・・」
「気持ちよかった?」
快感の余韻に浸りながら、息を荒げる有紀。そんな有紀に狂介が問いかけ、有紀はコクンと頷き
その質問に答えた。
「そっか、ちゃんと答えも言えたし・・・偉いぞ。」
「・・・・・・ん・・・・・・」
そう言いながら狂介は有紀の頭を撫でた。有紀は気持ち良さそうにその愛撫を一身に受けていた。
「さすがにもうビショビショだね。」
「い、言わないでよ・・・もう・・・。」
なんとか"戻って"きた有紀は待ちきれないとばかりに、いそいそと下を脱ぎ始めた。もうすでに
準備万端とばかりに有紀のソコは濡れて、狂介を欲していた。
「じゃあいくよ狂介?」
「あぁ。」
有紀は仰向けの狂介に跨ると騎乗位でその肉棒を秘所へと沈み込ませていく。
「くっ・・・・・・あぁぁぁ・・・は・・・は、入ったよ先生。」
588 :
狂介と有紀:2007/08/31(金) 07:08:10 ID:xor0+V/m
肉棒を全て飲み込み、満足げな顔を浮かべる有紀。
「有紀、今日はいやに積極的だね?」
「だ・・・だって・・・。」
答えるのと同時に有紀は、腰を上下に動かし始めた。
「狂介が先生なんだもん。・・・頑張らないと・・・あぁっ・・・・・・褒めてほしいから・・・」
両手を狂介の胸に置きながら腰をグラインドさせる有紀。狂介はと言うと有紀の発言に顔を
ニヤケさせながら有紀の腰を両手で固定して自分も腰を上へと突き上げた。
「うれしいねぇ・・・真面目な生徒を持って、先生は非常にうれしい。」
「んぅぅ・・・褒めて・・・くれた・・・あぅ・・・僕も・・・う・・・れし・・・い」
お互いを求めながら腰を動かし続ける狂介と有紀。有紀の秘所の締め付けが、狂介の怒張の張りが
その限界を互いに訴えかけようとしていた。
「はぅぅぅぅ・・・きょ・・・う・・・すけぇぇ・・・きちゃう・・・そろそろ・・・き、きちゃうよぉ!」
有紀の叫びを感じ狂介は腰の動きを一気に早めた、限界間近だった狂介はその勢いと同時に
熱い精を有紀の中に注ぎ込んだ。
「あ・・・つ・・・・・・あぁぁぁ!!」
狂介の精の濁流が身体に流れ込むのを感じ、有紀も絶頂を迎えた。のけぞった身体が弓なりに反り返り、
戻ると同時に狂介へと倒れこんだ。
「どうですか・・・先生?」
「100点満点です。頭をナデナデしてあげましょう。」
「へへ・・・やった。」
狂介に抱きかかえられながら頭を撫でられる有紀。その顔は確かに花丸をあげたくなる程に輝いていた。
589 :
狂介と有紀:2007/08/31(金) 07:11:09 ID:xor0+V/m
「できた!!」
「どれ・・・・・・おおー、ちゃんと出来てるジャン。」
一休みの後、有紀は勉強を再開した。さっきと違い要領よく問題を理解し解く事が出来る有紀。
「先生の教え方がいいからだよ。」
「そうか・・・だけどその前に有紀。」
「なに?」
「なぜこの体勢なのだ?」
この体勢・・・有紀はあぐらをかいた狂介の内側にちょこんと座り込んで、まるで狂介を座椅子のように
しながら座っているのだ。
「前にも言ったでしょ、ココ僕の特等席。ココが一番勉強しやすいんだよ。」
「ハハ・・・そうっスか。」
力なく笑う狂介。
「おわっ!ちょっと狂介!!」
狂介はその体勢のまま有紀を後ろから抱きしめて、有紀の頭の上に顎を置いた。
「ま、頑張れよ。」
「・・・・・・ウン。」
その後、テストで優秀な結果を残した有紀だったが、狂介は例によって満点。狂介はまた身体を張って
しかめっ面の有紀に勉強を教える事になったんだと。
〜おしまい〜
〜おまけ〜
升沢「ここだけは譲れない!!次回は『1年ぶりに俺、参上!!』お楽しみに・・・」
狂介「覚えてる人いるのかな?」
升沢「ギャフン!!」
〜ほんとにおしまい〜
以上です。仕事云々で投下できなかったと言い分けさせてください。
覚えてくれてた人やキタ━(゚∀゚)━!!!って言ってくれる人がいて
めっちゃ感動です。前みたいにとは行かないと思いますけど、また
投下していきたいなって思ってるので、よろしくです!!
(*´Д`)ハァハァ八ァ八ァノヽア
何回萌死させりゃ気が済むんですかw
そういや今回、サブタイが無いなと気づいたり。
>>591 『教科書は最高の参考書』 じゃない?
実験屋氏、1年ぶりですか。
相変わらず大好きです。
>>592 そういやそうだった。
はじめに書いてあるじゃんかよ俺orz
実験屋さんもしやライダー視聴者か?
アニメのロミジュリってジュリエット男装設定なんだネ
596 :
名無しさん@ピンキー:2007/09/05(水) 14:47:54 ID:y2nhaKWS
実験屋さん…
あなたは…
GJだぁぁーっ!
久々に来てみたら実験屋さんktkr
GJですよぉー
それと
>>465の続きはないのであろうか・・・
完結・・・なのか?それにしてはすっきりしないんだけども・・・
続きみたいよ読みたいよ
599 :
邸にて:2007/09/07(金) 19:06:14 ID:Sg3ihy+F
「剣先が遊んでるぞ!!もっと狙いを定めて打ち込んで来い!!!!」
アルベシア邸に怒号が響いた。
声の主は襟元まである髭を蓄えた壮年の大男だ。
白髪ではあるが眼光鋭く、その威圧感はかつて彼が腕利きの戦士だったことが見て取れる。
彼こそアルベシア邸の主、シュナウザー・アルベシア。
先の戦で騎士団長として次々と武勲を上げ、武家アルベシアの名を不動のものにした立役者である。
何故彼が第一線を引いたか、左の袖を見れば推測が可能だろう。
重力に引っ張られるままに垂れ下がり、袖口にはあるべきものがない。
アンガル共和国との最後の戦、レンシュバルト王国優位で休戦協定に持ち込むきっかけとなった激戦で腕を斬り落とされた。
彼の睨む視線の先で、擦り傷だらけになりながら木刀を構える若者がいた。
栗色の巻き毛を短く切りそろえ、シュナウザーと同じ色の蒼い瞳をしている。
運動に適した黒いシャツに簡素な胸当てを着け、裾のゆったりとしたズボンといういでたちだ。
それも地面に何回もこすりつけられ、土まみれになっている。
何とかシュナウザーから一本取ろうと、若者は男の肩に狙いを定め、上段の構えからシュナウザーに斬りかかる。
シュナウザーは片手の木刀でいとも軽くそれを受け流し、そして彼のわき腹に蹴りを入れた。
若者はバランスを崩し尻餅をついた。
再度立ち上がろうとするが、足元がおぼつかず、膝が落ちて地面に着いた。
若者が極度の疲労にあることは誰が見ても明らかだが、シュナイザーは容赦なく怒号を飛ばす。
「スティーブ!!休むな!!」
「はぁ・・・はぁ・・・は・・・はい、父上。」
「聞えぬぞ!!」
「はい!!!!」
腹の底から叫んだ返事とは裏腹に若者の体はなかなか上がらなかった。
邸の門前に馬に乗った人物が停まった。
金髪に緑の瞳を持ち、白いローブを纏っている。
ローブにはレンシュバルト国家公認の医者である証の太陽の紋章が刺繍されていた。
庭師から来客の知らせを受けた執事が門を開錠し出迎える。
馬を庭師に預け、邸の中へ案内する。
「クルス様。遠路はるばるお疲れ様です。」
「ありがとうフランドル。叔父上とスティーブは?」
「は、中庭で剣術のお稽古の最中でございます。」
「そう。じゃあ僕もそこへ。」
「かしこまりました。タニア!クルス様のお荷物をお預かりしなさい!」
タニアと呼ばれたメイドに鞄とマントを預け、クルスは中庭へ案内された。
600 :
邸にて:2007/09/07(金) 19:07:12 ID:Sg3ihy+F
(お、やっているな。)
中庭へ出ると木刀のぶつかり合う音が耳に響いた。
スティーブが汗だくになりながら叔父に向かって剣を振っている。
叔父はスティーブを睨むようにして表情をほとんど変えず、スティーブの振る木刀を避けたり弾いたりしている。
(相変わらず叔父上は強い・・・)
スティーブも騎士団の若手の中では上位に入るくらいの腕前だが、まだシュナウザーから一本を取る事はできていないようだ。
全盛期を過ぎたとはいえ、それだけの実力をシュナウザーは持っている。
スティーブが木刀を振り切った隙をついてシュナウザーはスティーブの胴部に自分の木刀を当て、そのまま地面になぎ倒した。
人の気配を察知して、シュナウザーはクルスの方へ振り向いた。
「おお、クルスか!ああ、連絡を寄越してくれれば準備をしていたものを。こんな格好で済まんな。」
今までとはうってかわって、目を細め口角を上げてシュナウザーはクルスに歓迎の表情を見せた。
「お久しぶりです。叔父上。」
クルスも応える。
「突然来てしまってすみません。叔父上の傷に効きそうな良い薬草が手に入ったので、お届けしようと思いまして。」
「そうか、有り難い。歳の所為か失った腕がまた痛み出してな。スティーブ!!お前も挨拶なさい!!!」
シュナウザーはスティーブの方を見やった。
スティーブは地面に倒れたままだった。
「スティーブ!!!」
クルスが駆け寄る。
「おい!大丈夫か!?」
耳元で声を上げたり地面を叩いたりしてやっとスティーブは虚ろに目を開いた。
「あ・・・クルス・・・。」
そう言ってクルスの顔に手を触れたスティーブは意識を手放した。
「すまんな、騒がせた。」
シュナウザーが頭をうなだれた。
クルスが診た結果、命に別状はなく、三時間ぶっ続けの稽古の疲労で気絶しているだけのようだ。
シュナウザーがスティーブを私室のベッドへ運んだ。
あとの看病はメイドに任せた。
「本当にびっくりしましたよ。叔父上がスティーブを立派な戦士にしたいのは分かりますが、いくらなんでもやりすぎでしょう。」
「だが、戦場で死なれては困るのだ。私が持つ戦いの技術をできるだけ伝授したいと思っている。それに・・・女だ。体力的に劣る部分は無茶してでも追いつかせるしかない。」
「しかし・・・」
「そういえば、スティーブ・・・ステラとのことはお前に任せてあるが、どうなっておるのだ?」
「え・・・ああ・・・」
国境警備での事を思い出し、クルスは耳に血が上った。
「もう済ませておるのか?あの子が男児を産めば、それに跡を継がせるから、ステラは武器を握らなくて良くなるのだぞ。」
「・・・承知しております。」
「とにかく来てくれて有難う。今日は泊まるといい。」
「・・・はい。」
601 :
邸にて:2007/09/07(金) 19:08:50 ID:Sg3ihy+F
クルスはステラの様子を見ておこうと、部屋のドアを叩いた。
返事がない。鍵が空いている。おそらく看病のメイドは出ていったのだろう。
「入るよ・・・?」
クルスはそっとドアを開けた。
整然と並べられた家具が目に入る。
男として育てられているとあって、やや殺風景だ。
壁には武器が飾られている。
ベッドの上ですうすうと寝息を立てるステラがいた。
クルスがそっと近づくと、ごくり、と咽が動いた。
(・・・実は起きているな。狸寝入りか。)
布団の中に手をいれ、ステラの手を握った。
そしてステラの唇に自分の唇を合わせた。
(う・・・動かないな・・・。)
どうしても目を開けてやりたくなったクルスはステラの鼻をつまみ、唇でステラの口を塞いだ。
ステラの唇が息を求めてもごもごと動き、そしてがばと起き上がった。
額をしたたかにぶつけたが、クルスはそんなことはおかまいなしに、おかしくてくっくっくと必死に笑をこらえていた。
「何をする!」
顔を真っ赤にしてステラは叫んだ。
「ぷっ・・・いや、あまりに狸さんが可愛いから、ついね。」
「誰が狸だ!」
「くくく・・・、いやごめんごめん。それだけ元気ならもう大丈夫だね。」
「えーえー、お 陰 さ ま で !」
ステラは涙目でクルスといる方向とは反対側に顔を反らした。
クルスはステラのベッドの縁に座った。
「叔父上が今日は泊まっていけってさ。」
「・・・・!」
「今夜・・・また来るよ。」
「・・・嫌だと言ったら?」
「うっ・・・アルベシアが君の代で無くなるだけだよ。」
重い言葉を残し、クルスは部屋を去った。
夕食は嫌な雰囲気だった。
あんな事を言わなければ良かった、とクルスは少しだけ後悔した。
今日は叔父の計らいで、ステラの兄のレザルドも車椅子で同席していた。
自分の所為で家族に辛い思いをさせている、という罪悪感からか、いつもうつむいている。
叔父上は食事に専念する振りして自分とステラをちらちら見るし、ステラは自分に対して一言も言葉を発していない。
ステラは今日は稽古があったから空腹のはずなのにデザートも食べず、早々に食事を切り上げ、入浴に向かった。
叔父がひそひそ声でクルスに話し掛けた。
「ステラはどうだった?できそうか?」
「う・・・あまりその話題は出さないで下さい。それに軽々しく口に出すのもどうかと思います。」
「そうか・・・。まぁ、ステラの部屋には誰も近づけないようにするから安心しなさい。」
クルスはグラスのワインを飲み干した。
「御馳走さまでした。」
そう言ってクルスは、広間を去った。
602 :
邸にて:2007/09/07(金) 19:11:11 ID:Sg3ihy+F
アルベシア邸の豪華な浴室で湯に漬かりながらクルスは考えていた。
(叔父上はもとより、私もステラに過度な負担を押し付けているのかもしれぬ。)
―嫌だと言ったら?―
その言葉がクルスの脳髄に重く反響していた。
(国境警備の時は欲望に呑まれステラを抱いてしまったが・・・実際ステラは最初嫌がっていたし・・・。
小さい頃から良く知っているし、許婚だからってアイツが私を好いているとは限らないし。こんな簡単な事に今まで気付かなかったなんて・・・。)
とめどないことをぐるぐると考えていたので頭がボーっとしてきた。
ふらふらと湯から上がり、寝巻きに袖を通した。
覚束ない足取りで、クルスはステラの部屋に向かった。
(とりあえず謝ろう。)
不意に壁の向うから甲高い声が聞えてきた。
(まさか・・・ステラ?いや、違う。ステラの部屋はもうひとつ下の階だ。確か。使用人の私室は離れだし・・・)
クルスは何事かと思って壁に耳をそばだてた。
「ん・・・・はぁぁん・・・(女の声)」
「あっ・・・出る・・・(男の声)」
「ああん・・・いけません・・・まだ・・・(女の声)」
「う・・・もう・・・(男の声)」
「はあっ・・・いけませんわ・・・レザルドさま・・・ああああっ・・・(女の声)」
クルスは思わずその場で壁に頭をぶつけそうになった。
半身不随で子を為す行為ができないものだと思っていたのに・・・。
とすると女の方で動いて騎乗i・・・ああ、自分の下半分が羨ましがっているぞ。
いかんいかん、レザルドに子ができてしまったらステラは?
どこか他に嫁ぐ事になるのか?
とりあえずステラの気持ちを確かめてから、と半ば混乱した状態でステラの部屋に向かった。
「ステラ・・・。あのさ、昼間はごめん・・・」
クルスはドア越しにステラに呼びかけた。
返事がない。聞えているのか聞えていないのか・・・。
もっとよく声を通そうと思ってクルスはドアに寄りかかった。
ドアはクルスが寄りかかるままに部屋の中へ動いた。
不意を突かれたクルスはステラの部屋の中へ勢いよくつんのめる形になった。
「クルス・・・」
ベッドの縁にステラは座っていた。
窓から差し込む月光がステラの白い寝巻きに光と影のコントラストを落として美しい。
ああ・・・私はこんなにもステラが好きなのに・・・。
クルスは生唾を飲み、沸いてくる欲望を必死で押さえ、静かな口調でステラに語りかけた。
「ごめんごめん・・・入るつもりはなかったんだ。ただ・・・謝りたくてさ。
昼間は本当にごめん。アルベシアがどうとか、君の弱みに付け込んでしまった。
私はこれでお暇するよ。済まなかった、ステラ。君の気持ちを考えてなかったよ。
これからもいい友達でいような、スティーブ。」
クルスはそう言って部屋を出ようとした。
「クルス!」
ステラは叫んだ。
「嫌がってごめん。恐かったんだ。私に触る時、いつものクルスじゃなくなる時があるのが・・・。
でも・・・アルベシアの為に男児を産まねばならぬのなら、クルスとがいい!絶対だ!」
そう言ってステラはクルスの胸に飛び込んできた。
603 :
邸にて:2007/09/07(金) 19:13:03 ID:Sg3ihy+F
ステラは女性にしては背が高い。しかしクルスはそれ以上に長身だ。
背伸びをするようにステラはクルスの唇を吸った。
クルスは迷っていた。さっきの事を話すべきかどうか。
しかし、ステラが家の為に、子を作る為にこうしているのなら、本当のことを知らせねばならぬ。
「ステラ・・・、よく聞いてくれ。」
ステラが唇を離した時、スティーブは言った。
「君の兄の・・・レザルドが子を作れるとしたら?」
「え・・・?」
「さっき此処に来る途中で聞いてしまったんだ・・・。君の兄が誰か女としている声を。」
「まさか。」
「直接見たわけじゃないから、相手はわからないけど、レザルドが子供を作れば君は自由になれる。男としてそのまま騎士団に留まることもできるし、女に戻ってどこか好きなところへ嫁ぐこともできる。
君が無理して男のまま男児を産まなくて済むんだよ。」
「じゃあ・・・クルスは・・・私と男児を産むのが嫌なのか?」
「まさか。ステラが好きだ。もし許されることなら、我がセーズ家に嫁にきて欲しいよ。
君としたい。でも君が嫌なら僕は身を引く。綺麗な体じゃなくしてごめん。」
「私は・・・クルスと一緒になりたいよ・・・。初めてがクルスとで凄くうれしかった・・・。」
ステラの目には涙が浮かんでいた。気の強い彼女は目に溜まったものを流すまいとクルスの肩にもたれかかってうつむいていた。
「ああ・・・ステラ・・・!」
そう言ってクルスは両手でステラの両頬を包み持ち上げた。
あらわになったステラの目をじっと見つめ、そして瞳を潤ませているものを吸い取った。
「クルス。」
「ん。」
「ドアに近い・・・空いているし・・・誰か見たら・・・。」
「そうか。」
後ろ手にドアを閉め、鍵を回し、ステラの背中を支え、脚を持ち上げ、横抱きにしてベッドの上にそっと降ろした。
ベッドに座り、ステラの姿をじっと上から見つめる。
栗色の短い髪が月光を反射して、何とも言えない光の糸になっている。
手で掬うと、さらりとすぐに落ちて、通常の女のものとは全く違う一種の快感をもたらしてくれる。
ステラが顔を赤らめ、クルスの首の後ろに手を回してきた。
「クルス・・・。」
そう言って首を上げ、クルスの唇に吸い付いた。
クルスもそれに応えようとステラの唇を舌でそっと開け、ステラの舌に絡みつかせた。
クチュクチュと弾ける音がする。
ステラは息を吸おうと唇を大きく開いた
させまいとクルスの唇が後を追う。
「ふ・・・はぁ・・・んん」
お互いがお互いの息を吸い合い吐き合い、熱い湿気が辺りを包む。
二人が接吻だけで汗ばんできた頃、わざと糸を引きながら唇を離し、ステラを起こし、クルスはステラの寝巻きに両手を入れた。
形の良い弾力のあるものが掌に触れる。
頂上にそびえる果実をわざと避けながらふにふにとした感触を楽しむように揉みしだく。
「やだ・・・クルス・・・」
汗ばんだ肌に鳥肌が立っている。
ステラは胸を弄ばれるのに弱いらしい。
口付けを交わしながら片方の手で執拗に揉み、もう片方の手で寝巻きのボタンをゆっくりと外す。
程なくして寝巻きはするりと肌の上を滑って外れ、美しい曲線があらわになった。
604 :
邸にて:2007/09/07(金) 19:15:55 ID:Sg3ihy+F
「クルスも・・・」
「外してくれ・・・」
クルスは胸をいじりながら静かに囁いた。
ステラがクルスの寝巻きのボタンに手をかける。
ボタンを穴から外す時、クルスはわざとステラの胸の先端を強く摘んだ。
肩がびくりとなり、指先が覚束なくなる。
「はん・・・」
「あう・・・」
「やめて・・・あ・・・外せないってば。」
くすくすと笑いながらクルスはステラの初々しい反応を楽しんでいる。
クルスのボタンを全部外したステラは寝巻きを開き、クルスの胸の突起物を軽く吸い、齧った。
「あ・・・痛っ・・・」
「お返し」
「やったな・・・この」
クルスはステラの肩に手をかけ押し倒した。
ステラの柔らかい体の上にのしかかり、額に口を付けた。
「クルス・・・重いよ」
「じゃあこのままで」
額から頬を吸い、唇をわざと避けて舐め、首筋を吸う。
下着が手に届く位置に下りてきたので、ステラの下着を一気に下ろし、外した。
「あ」
胸の突起物に口を着ける。
脚を広げ、間髪入れずステラの秘所に指を入れた。
前戯だけでしっとりと濡れている。
しかしまだ入るには足りないようだ。
肉を掻き分け、奥へ奥へと指を進入させた。
「はあん・・・あ・・・だめそこは・・・あ・・・」
侵入者をまだ許さないかのようにぎゅうぎゅうと締め付けてきた。
「どうすれば入れる?」
そう言いながら肉を傷つけないように指を中でかき回す。
「ひ・・・あああん・・・やああん・・・」
愛液がクルスの指を伝う。指を動かすたび体が熱を帯び、肉の中も熱くなってきた。
「どうだ・・・欲しいのか・・・?」
「やだ・・・クルス・・・そんなこと言わせないでっ・・・・ああ!」
「まだ足りないか・・・?」
やや乱暴にかき回す
「ひゃん!お願い・・・クルス・・・早くして頂戴!分からなくなっちゃう!」
「ああ・・・」
実際クルスも限界だった。ステラの甘い声が脳天に響き、早くしなければ外で出してしまいそうだ。
下着を脱ぎ、ステラの白い尻を持ち上げ、そそり立つ自身に当てる。
ステラも心得ているのか、一瞬ずれたが臆することなくそれを掴み、入るのを手伝ってくれた。
握られた時は出しそうで慌てたが、初めてでないせいか、意外とすんなり貫けた。
605 :
邸にて:2007/09/07(金) 19:19:41 ID:Sg3ihy+F
「あああああっ・・・・」
それでも女の側からは辛いのか。
ステラの両腿を掴み、動いた。
「ううん・・・はあああん!やん」
「ぐっ・・・・ふうう・・・あああ・・・!」
「いああ・・・はん・・・あん・・・!」
「ふうっ・・・うん・・・はぁん・・・!」
クルスの肩に爪を立て、熱い肉で自身を包み込む。
前の時より奥に出そうと、一層動きを強めた。
「ああああああっ!」
目の前で揺れる胸の果実を舐め上げ、口に含み、齧る。
「ううう・・・!」
搾り取るようにぎゅうぎゅうと締め付けてくる。
もう限界か。目の前が白くなってきた。
「クルス!もうだめ!私・・・!」
「大丈夫だ!もうすぐ・・・!う・・・」
言い終わらないうちにステラの中に熱い液体を放出した。
「ああああああ・・・・・」
ステラは快感にのけぞり、そしてベッドの上に倒れこんだ。
クルスも自身を抜き取り、ステラの横に倒れ、肩を抱き背中を撫でた。
使用人の小屋である離れの部屋から嬌声が聞える。
「あああ・・・スティーブさまぁ」
「そう・・・ここがいいのね・・・タニア」
「うう・・・シスカお姉ちゃん・・・私・・・こんな・・・いけない子に・・・」
「大丈夫よ・・・私がアルベシア家に入る時も近い。スティーブさまはあなたにあげる。」
「だめよ・・・お姉ちゃん。スティーブさまには・・・クルスさまが・・・。あう。」
タニアに熱い口付けをしてそのまま果てさせた。
「ふふ・・・あの人の何処が良いのかしら。確かに顔はいいけれど。」
舌なめずりするシスカの恍惚とした瞳の奥深くにギラギラしたものが宿っていた。
エロシーンがgdgdでごめんなさい
レズ落ちですんません。
GJでした。
何やら不穏な動きが…
次回も楽しみにしてます。
GJ
砦だったり邸だったり。次は河原か地下牢か大通りか。
608 :
名無しさん@ピンキー:2007/09/12(水) 21:21:34 ID:oaIgqfaA
同性にモテモテな男装少女キボンヌ
>>608 その場合は男装少女が受けかへたれ攻めで見てみたい。
百合で男装少女がバリバリの攻めだとなんか当たり前な感じがするんで意外性狙いで。
.hack//sign の司も男装少女に入るのだろうか?
ラストで女の姿見せてたから女なんだろうけど。
要注意:キス止まり。
>>532の続きです。全4レス。
=======================================
最近、広瀬の機嫌が悪い。焼きそばパンが買えないからだ。
最近、広瀬に避けられている。俺を見るなりきびすを返す。
最近、広瀬と飯を食っていない。4限が終わると、あいつはそそくさと教室から出て行く。今日もその後ろ姿を確認し、ふと思う。広瀬は美味そうに飯を食う。だから広瀬と食う飯は美味い。
俺は決めた。今日の昼は広瀬と食おう。
非常階段の扉を開けると、夏の強い日射しに一気に瞳孔が収縮した。
果たして、上衣の裾をあおぎ風を送っている広瀬を見つけた。まくり上げたシャツの奥に身体に巻かれた白い布が見える。さらしだ。
以前に言ったとおり、広瀬は女だ。だが男として生活している。理由は知らない。
以前に言い忘れたが、広瀬は男子の制服が似合う。
あれから季節が移り、広瀬は夏服も映える。
とはいえ、さらしを巻いた上にTシャツを重ね、更に学校指定の開襟シャツを羽織るという重装備だ。毎年夏は閉口していると、いつか広瀬がぼやいていた。非常階段は滅多に人が訪れないうえ風通しが良く、涼むのにもってこいだとも。
「なんだよアキオ、驚かすんじゃねーよ」
広瀬があわててシャツの裾を正す。
「アキオてめー、なに断りなく勝手に座ってんだよ。近づくなっつーの」
「だから! 近づくんじゃねーつってんだろ! 駄目だってば! オレ今日も焼きそばパン買いに走ってんだから! やだよ、オレ、……汗くさいんだから」
風が季節はずれの若葉の匂いを運ぶ。制汗剤の香料だろう。それを突き抜ける腋臭持ちにも思えない。
俺は広瀬が理解できない。
汗より先に恥じるべきことがあるはずだ。
例えば乳。さらしの上からとはいえ限りなく真っ平らな広瀬の乳は、さらしで押さえつける必要があるのかどうかすら疑わしい。貧乳は恥ずかしくないのだろうか。
例えばがさつな言葉遣い、例えば突拍子もない身振り手振り、例えば大股を広げて座ること。これらは恥ずかしくはないのだろうか。
昨日もクラスの男たちによるエロ本回し読みに参加していたが、男と猥談するのは恥ずかしくはないのだろうか。余談だが、その雑誌に載っていたAVの広告が俺の目を引いた。『谷間にドピュン! 爆乳100人斬り』ツタヤに入荷するといいのだが。
「あーもう2週間も食ってねーよ。今日とか、すげーあと少しだったのにさ。最後のひとつに、手ぇかけたのにさ。けどさ、横からかっさらわれてさ。ひでーと思わね? ひでーよなあ? めちゃくちゃ頑張って走ったのにさー」
非常階段には日陰がわずかだ。だから夏は誰も近寄らない。
俺が日陰をあきらめて少し離れた場所に腰を落ち着けると、安心したのか広瀬は口を尖らせながらカツサンドを食いはじめた。
「あーあ、焼きそばパン食いてーなあ」
カツサンドも焼きそばパンも似たようなものだろうに。
少し前、俺は入手困難とされる焼きそばパンを、一度に3つ手に入れたことがあった。購買の人だかりを力ずくで引き倒す腕力と、それにより生じる白眼視を受け流す図太さがあれば、そう難しいことではない。
買ってきてやろうか。
「今なんつった?! マジで?! マジでアキオ買ってきてくれんの?! すげー嬉しい、すっげー嬉しい! やべー、オレちょー嬉しい!!」
広瀬が目を輝かす。まるで戦隊ヒーローを目の前にした小学生だ。
久々に、広瀬は俺に笑顔を向けた。
翌日。天気快晴、運動日和。
2限終わりのチャイムと共に教室の窓から飛び降り全力疾走、成果は5つの焼きそばパン。上首尾。
案の定、広瀬はソンケーの眼差しを俺に向ける。
「すげーよアキオ、お前すげーよ! アキオ最高! ちょー最高!」
それから昼休みまでの2時間は、今までの広瀬の人生において最も長い2時間だったであろうことは想像に難くない。
机の中に入れたパンを包装越しにまさぐってみたり、取り出して膝の上に乗せてみたり、ノートに落ちた涎をあわててぬぐってみたり、挙動不審な広瀬の様子は俺の席から丸見えだった。
昼休みに入るやいなや、腕をつかまれ非常階段まで引きずってこられた。焼きそばパンを並べて広瀬が説明する。
「これとこれ、これとこれで重さおんなじくらい。2個ずつな。そいで最後のこいつを半分コして――、」
広瀬の顔が歪んだ。焼きそばパンを二等分に割るつもりだったのだろうが、随分といびつになっている。しばし葛藤の末、大きい方を俺に差し出した。未練がましい表情が面白い。
俺と2人で分けるために、広瀬は早弁もせず腹の虫に耐えていたようだ。律儀というか健気というか。だが俺は、焼きそばパンに興味がない。
「マジで?! オレ全部食っていいの?! ホントに食っちまうよ? アキオ後から欲しいって言っても駄目だからな?」
「うわどうしよう、5つなんて食いきれねーよ、うわやべ、すっげーやべー、ちょー嬉しい」
今日は汗が気にならないらしく、俺の隣で大口を開けて――恥ずかしくはないのだろうか――焼きそばパンにかぶりつく。
唇から白い歯がこぼれる。待ちきれないかのように舌を伸ばす。目を細めて咀嚼する。嚥下する喉が動く。指先に付いた油を順に舐め取る。
「うめー、やっべちょーうめー、オレ、アキオ大好き。すんげー大好き! もー何でも言って。オレ、アキオのためなら何でもすっから!」
貧乳には欲情しない。女は乳だ。自分の信念を曲げるつもりはない。だが。
じゃあ、舌を出して。
俺の言葉に、広瀬はナニソレと笑いながらあっかんべーをしてみせた。その間抜け面が腹立たしい。仮にも男なら、男の気持ちも理解しろ。
俺は広瀬の舌をぺろりと舐めた。
焼きそばパンの味がした。
「っ、っ、っ、てめー何しやがるドアホウチンカス糞ったれ!! ちげーよタコ! 困ったことあったら相談乗るっつー意味だボケっ!!」
飛び跳ねるように立ち上がり、壁にへばりつきながらも罵詈雑言を並べ立てる広瀬の腕には、しっかりと焼きそばパンが抱え込まれている。見上げた根性だ。俺は再び同じ言葉を投げる。
舌を出して。
「だってだってだって! オレ、男だし!!」
俺はもったいを付けながら焼きそばパンと広瀬とを交互に見やる。そのまま真っ赤な顔に焦点を合わせ、出来るだけ優しい声音で言ってやった。
舌を出して。
たかが昼飯ごときで不用意な言葉を吐いたこいつが悪い。――大好き、何でもする――頼むから軽率な物言いはやめてほしい。まんまと踊らされそうになる俺のためにも。
広瀬が涙目になっている。悪ふざけが過ぎた。嘘だぴょーんとでもおどけて、さっさと冗談にまぎらせてしまおう。
そう思った矢先、広瀬はぎゅっと目をつむり、おずおずと舌を差し出した。
時々、どうしようもないほど広瀬は俺を苛立たせる。
逃げたいのなら逃げればいい。殴りたいのなら殴ればいい。逃がしてやる。殴られてやる。誰も広瀬を止めやしない。
貧乳には欲情しない。女は乳だ。まれに、何かの弾みでこのまな板を抱きしめたくなるような気がしなくもないかもしれないかもしれないと思ったりすることがあるかもしれないことが無きにしもあらずと言えなくはなくもないが、そんなことはどうでもいい。
つまり、冗談も通じないようなバカは困る。
つまり、広瀬に泣かれると困る。
俺が立ち上がる気配に、広瀬はあわてて舌を飲み込んだ。
眉根を寄せ、かたくなに閉ざしたままの目元では、まつげが小刻みに揺れている。
非常階段は日射しが強い。夏は誰も近寄らない。
注意深く広瀬の身体に触れないよう顔を寄せ、固く結ばれた口元でささやいた。
舌を出して。
息が混じるほど広瀬を間近にするのは初めてで、髪の生え際の頼りない和毛(にこげ)や、赤く染まったやわらかそうな耳たぶや、金色の産毛や、髭の生えない滑らかな肌や、首元にじんわりとにじむ汗を見つけた。
唇は女性らしいふくよかさはないが艶やかで、綺麗な波の形をしている。
こくんと、広瀬の喉が鳴った。生唾を飲む自分の音に広瀬はますます真っ赤になって、ますます目蓋を締め付けた。一瞬、頬の筋肉が動いたのは奥歯を噛みしめたのだろう。
日射しが背中に熱い。
息を止めて、広瀬は舌を覗かせた。
広瀬は待っている。俺が舐めるのを。舌を出して待っている。恥ずかしくはないのだろうか。
それとも舐められたいのだろうか。俺に。
広瀬が舌に力を入れていないせいで、唇からはみ出た舌先がヒクヒクとうごめいている。
卑猥な動きだな、と思う。
いやらしい。広瀬のくせに。恥ずかしくはないのだろうか。
舌を伸ばし、広瀬の舌先と合わせる。生暖かいぬめりが伝わる。途端に怯えて引っ込んでしまう。
広瀬の味が残る。
呼吸を止めていた広瀬はようやく空気を肺に送り込む。荒い息づかいがひどく淫りがましい。
いやらしい。広瀬なのに。
舌を出して。
小さく広瀬がかぶりを振った。
揺れる広瀬の髪を見て俺の指が思い出す。この頭を撫でたことがある。細い髪。柔らかい髪。手を伸ばしかけて、だが俺は両手をポケットにしまい込んだ。
俺は広瀬を拘束しない。広瀬の動きを遮らない。広瀬が逃げたいのなら逃がしてやる。
舌を出して。
再び広瀬の喉が鳴った。随分と唾液が多いんだな。興奮しているのか。いやらしい。
目の前の肩が震えている。
逃げたければ逃げればいい。どうするのかを選ぶのは広瀬だ。
広瀬の顎が何かを言いたげに上下したが、やがて大きく息をつき、ゆっくりと時間をかけて広瀬は舌を差し出した。
だから、悪いのは俺じゃない。広瀬だ。
半開きの口からみっともなく舌がこぼれている。浅く早い呼吸が空気を湿らせる。
そのまま、と言い置いて広瀬の舌を舐めた。広瀬は舌をしまわなかった。
外に出されたままの赤い肉にもう一度舌を伸ばした。触れるか触れないかの軽さで縁をなぞると、広瀬の身体がビクッと震えた。
「ん、」
広瀬が声にならない声を漏らす。今まで腕に抱えられていたパンがばらばらと足下に散らばった。それでも広瀬は引っ込めなかった。
広瀬の舌が小刻みに動いている。
恐いのか? 恥ずかしいのか? 感じているのか? 誘っているのか? いやらしい動きだ。いやらしい奴だ。恥ずかしくはないのか。恥ずかしい奴だ。
広瀬の舌に自分の舌を押し当てた。案の定、力の入らない広瀬の舌は俺に触れて小さくもだえる。俺はただ合わせたままでいるだけなのに、広瀬のほうから勝手に動いて卑猥な振動を俺に伝える。涎まみれでぐちょぐちょに濡らした舌で俺をくすぐる。広瀬はいやらしい女だ。
俺は何もしていないのに。
広瀬が生ぬるい息をかけて俺を誘う。
俺は何もしていないのに。
広瀬が口の端から涎を垂らして俺に見せつける。
俺は何もしていないのに。
広瀬が自ら舌を動かして俺を焚きつける。
俺は何もしていない。広瀬が悪い。違う広瀬は悪くない。淫らに舌を使った。ひきつっていただけだ。逃げなかった何度も舌を出した舐められたがっていた。怯えていただけだ。
俺は何もしていない。違う俺がそうさせた。脅した。仕向けた。怖がらせた。俺が広瀬を辱めて、俺が広瀬を泣かせた。
広瀬を抱きしめたい。できるかそんなこと。
先に顔を逸らしたのは俺の方だった。
俺が後ずさると、広瀬はその場にくずおれて静かに嗚咽した。
「……アキオ、オレのこと、好き、なの?」
足下に転がる焼きそばパンを雫が叩く。深くうつむいている広瀬の表情は見えない。
広瀬からも俺が見えていないことを確認し、首を縦に動かした。
午後の授業に広瀬は出席しなかった。
恥知らずにも、俺はあの後広瀬を非常階段に残し、ひとりで教室に戻ってきた。
友達を傷つけたからといって海まで走ったり、女の子を泣かせたからといって水平線に向かって叫ぶような行動様式は持ち合わせていない。
俺はいつもの通りに授業を受け、教科書に隠れておにぎりを食い、放課後はいつもの通りに部活で汗を流した。いつもの通りに一日が過ぎ、いつもの通りに世界は平和だった。反吐が出るほど喜ばしい。
帰り支度を済ませ昇降口に寄り、下駄箱に広瀬の上履きがあるのを確認した。部活前に見た時には運動靴が入っていたから、その後履き替えて無事帰宅したのだろう。ひとまず胸をなで下ろした。
夏の夕暮れは空を紫とオレンジ色に染め上げ、何本もの飛行機雲がグラデーションを縦横無尽にぶった切っている。
「アキオってバカだろ?」
不意打ちに仰天する。校門の陰に隠れて広瀬がいた。
目が赤いのは、夕焼けのせいではない。
俺は広瀬に謝らなくてはならない。なのに言葉が出てこなかった。
広瀬は表情もなく俺を眺めていた。その顔に怒りであれ侮蔑であれ、何らかの感情が浮かんでいれば謝罪できたのかもしれない。
俺はその場で頭を下げた。広瀬の視線がいたたまれなかった。広瀬を見られなくて、謝罪に似せて顔を隠した。
「今度から焼きそばパン1個でいいからな」
俺は広瀬が理解できない。
何を言いたい? 自分が何言っているのか分かっているのか、こいつ。
泣いていた。嫌がっていた。また泣かされたいとでも?
「誤解すんじゃねーぞ! オレ、すっげーすっげーアキオのこと怒ってんだからな! 逆立ちしながら土下座したって許さねーくらい怒ってんだからな!」
「だいたいさ、最初っから5つはねーよ。バカじゃね? 5つとかハリキリすぎ。食いきれねーっつーの。とりあえず、お、オツキアイすんならまず一緒の登下校からだろフツー。それなら1個分くらいだし! そしたらオレだって全然食えるし! 平気だし!」
「でも、オレ許さねーからな。ちゃんと謝らねーとぜってー許さねーからな。謝るよな? アキオ、悪いって思ってんだろ? だって……、オレのこと、好き、なんだよね?」
そう言って、広瀬が指さす向こうには、夕日に照らされて広瀬と俺の長い影が伸びていた。
――アキオ、オレのこと好きなの?
あの時、そう問われて俺はうなずいた。広瀬はうつむいて俺の頭を見ていない。
だが、痛いほど日射しが照りつけていて、正午過ぎの太陽は足下に色濃い影を作っていた。
相手に許されていることを知って謝罪をはじめるなんて、恥ずかしいことだ。
それでも俺は、とにかくようやく広瀬に詫びた。やっとのことで出てきた言葉は、何を言っているのか自分でも分からないほど支離滅裂で、声を整える余裕もなかったけれど、これ以上情けない男にはなりたくないから謝れるだけ謝った。
腹に15発入れて広瀬は俺を許し、ふたりで駅までの道を歩いた。
少しだけこみ上げた胃液が苦かった。
=======================================
以上。
正午の影で、首の動きを判別できるわけねーだろってツッコミは無しで。
,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,
/": : : : : : : : \
/-─-,,,_: : : : : : : : :\
/ '''-,,,: : : : : : : :i
/、 /: : : : : : : : i ________
r-、 ,,,,,,,,,,、 /: : : : : : : : : :i /
L_, , 、 \: : : : : : : : :i / 貧乳に欲情したら
/●) (●> |: :__,=-、: / < 負けかなと思っている
l イ '- |:/ tbノノ \
l ,`-=-'\ `l ι';/ \ 学生(1×歳・童貞)
ヽトェ-ェェ-:) -r'  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
ヾ=-' / /
____ヽ::::... / ::::|
/ ̄ ::::::::::::::l `──'''' :::|
本当に、すいません
ココにも負けたいと思っている駄目人間が、一人います
GJ!!!
>>610 入るんじゃね?変則的だが
こう僕は男だって主張しながら攻められるとか見たい
トン切りの初カキコ。
既出かもしれんが男装&男に憧れているオニャノコにペニバン付けさせて
ペニバンに手コキやらフェラやらしたりホール使ってみたり……w
「こうされると男は気持ちいいのに、これじゃ感覚ないもんね。」
「濡れてるよ?男の子はこんなにならないのに。」
なんて、意地の悪い攻め方してみたい。
>>616 中の人は女だけれど司のキャラ(体というべきか)は男だから
「僕は男だって主張しながら攻められ」てるときはホモプレイしか出来んな。
>>611 乳貴族のプライドと目の前の広瀬の間で揺れる心境にニラニラしたwww
>>614 貧乳に欲情する負け組がここに一人。
GJ!
>>614 当方非処女
舌舐めごときで濡れた負け組がここにも一人
GJ!
>>618 そこでエロチャット
ちなみにGIFTではPCが女になってた
あとはチートで変えるとか
>614 広瀬かわいいよ、かわいい
読み切りだと思っていたので続いて嬉しかった
>621 その自分語りが謎
ところで、男と偽ってアイドルや役者をする少女の話はOK?
>>624 男装してるならなんでもおkじゃね?
っていうか、じゃないと困るなw
626 :
名無しさん@ピンキー:2007/09/16(日) 18:23:33 ID:wWfWVwrx
>>626 それは逆パターンじゃないか?
ところで次の話が投下されるとおそらく500近くになるだろうから、
そろそろ次スレもいるな……
>>624 浅見裕子のワイルドハーフって漫画に男装した女性アーティストの話があったな
他にもその漫画には男装と言えるかどうか微妙だが
ボーイッシュなハーフのボクっ娘も出てた
>>611 この話とっても好き。
詩みたいで読みやすいし、深い。
GJです。
>>624 >>628 妖しのセレスって漫画でもそういうキャラがいたなぁ。
歌手で訓練していて男の声を出せるってやつ。
ところで男装少女が女だとばれる時のばれ方でお前らが一番萌えるのは何だ?
ちなみに自分はファリスみたいに服を脱がせられたり
または風呂に入られてばれてしまうのが萌える
>>631 シティハンターの『柏木慶子』のパターンは萌えた(水をかぶって服が透け、乳房があらわになってばれた)
ところで、男装少女の下着はどんなのが萌える?
上半身:さらし、コルセット(バンド)、ブラジャー
下半身:男物(トランクス、ブリーフ)、パンティ、ショーツ
>>633 上半身:さらし、ブラジャーでもスポブラならいいかな。
貧乳だったらノーブラでもおk。
下半身:どれでもおk。(さすがにアノ日は男物は無理だろうけど)
コルセットは嫌いだ
上はサラシとか、そういう男装用の下着があるからいいとして
下半身ってどうするんだろ?
ズボンはいたらケツがムッチムチになるんじゃないか?
>>636 「山岳スキーやってました」
「野球が趣味です」
「重い物(引越し屋、運送、砲兵)を持つバイトしてます」
後は登山や格闘やってれば、男でも尻でかいのは珍しくない気がする
貧尻
あと股間のモッコリをどうするか・・・
>>637 砲ならともかく砲兵担いでどうする。
>>639 ファウルカップ(スポーツ選手用チンコガード)とか。
644 :
名無しさん@ピンキー:2007/09/21(金) 22:18:44 ID:/rX74W0V
上はサラシ、下は女物でFA。
レズの痴女が男装して女を喰おうとするも、バレた主人公に脅され調教される……これはありか?
エーディットの人の続き、お待ちしています。
651 :
名無しさん@ピンキー:2007/10/01(月) 22:58:51 ID:ftJDr5/y
age
エロまでクソ長くなりそうな続きものだけど、投下させてー
風変りな家族を持ったせいだろうか。
赤木夕貴は俺の目には男子用の制服を着た少女にしか見えなかったし、実際そうだった。
初めて赤木夕貴を目にした日、俺は晃に風変りなクラスメイトが出来た事を話した。
晃はふうんと高い調子で返事をしてからにやりと笑って「家に連れて来いよ」と軽く言った。
薄い唇の間から覗く歯は蛍光灯に白く輝いていた。晃と両親が同じである事を俺はいつも悔やんでいる。
赤木夕貴はかわいい少女だ。
華奢な体躯に低い身長。転がるように歩いているのはそれだけで微笑ましい。
笑った時に頬が持ち上がる様は飽きるなんて事がある筈も無く、いつまでも眺めていたくなる。
360度どこから見ても赤木夕貴は少女なのだ。
それなのに男子用制服を着ているというだけで赤木夕貴は男であると学校中に認識されている。
その関係か赤木夕貴にはとりわけ仲の良い友人というのがいない。
長い睫が影を作っていたり、さくらんぼのように唇が瑞々しくあっても少年であると言う矛盾が、
赤木夕貴と周囲の間に蜃気楼のような壁を作っている。
全くの誤解と言うか誰か気づけよそんぐらいかわいいんだからと俺は思うのだが、そんなことを思っているのは俺だけらしく
唯一の例外として俺は赤木夕貴のとりわけ仲の良い友人と言うポストに納まっている。
男子用制服というレッテルは強大らしい。人間なんていい加減なものだ。
そんな事を、昼休みに学校の自販機の前でレモンティーとミルクティーの二択に悩まされている赤木夕貴を眺めながら考えていた。
「曜一くん」
赤木夕貴が俺を見た。
二択の解決を求めてくるのだろうな、そう思った。そしてやはりその通りだった。
2つのボタンを同時に押したらいいんじゃないかと言ったら、目を輝かせた赤木夕貴に「頭いいね!」と言われた。
教室に戻って、紅茶と弁当を頬張る赤木夕貴の向かいで俺は購買のパンを頬張る。
春の席替えで偶然に席が隣同士になって以来、昼食は毎度の如く2人で食べるようになっていた。
そういえば、赤木夕貴とこうして昼食を共にするようになったきっかけは何だったのだろうかと思う。
席替えをした当初は特別に言葉を交えた記憶は無かった。
「僕と曜一くんが仲良くなったきっかけ?」
赤木夕貴は俺の質問に目をしばたかせた。長い睫を揺らして「ええと……」と思案に暮れている。
きっかけなんてそんなものかと思いつつ、俺はパンをゆっくり噛んで飲み込む作業に戻った。
その翌日。
翌日がさらに翌々日になろうという時間に赤木夕貴からメールが届いた。
『曜一君と僕が仲良くなったきっかけ、やっと思い出した!』
席替えをして数日後、その頃ちょうど酷い花粉症に悩まされていた赤木夕貴に俺がティッシュをあげたらしい。
そういえばそんな事もあっただろうかと思い記憶を探ってみる。
ああ、と。授業中に明らかにティッシュを切らして困っていた赤木夕貴の姿が思い出された。
その時に好きに使えと箱のティッシュを渡したら、帰ってきた時には箱の中にティッシュが3枚しか残っていなかったのをよく覚えている。
申し訳なさそうにぺこぺこ頭を下げる赤木夕貴の姿も。
その後、何となく話すことが多くなって、何となく昼食をとるようになった、らしい。
きっかけなんてそんなものかと思いつつ、俺は返信した。
『くんはつけなくていい。呼び捨てで呼べ』
送った後に、俺は寝た。
つづく、短くてすみません。
乙です
微笑ましくていいな
続き期待しています
続いたやつを投下します。
赤木夕貴が俺から大量のティッシュを奪った放課後。
「ごめん。ティッシュほとんど使っちゃって……」
俺はまだ赤木夕貴に頭を下げられていた。
陽が横から刺さってくる時刻の教室に生徒の数は赤木夕貴と俺を入れても両手で足りる程しか残っていなかった。
その少ない人数の視線が、全て俺と赤木夕貴のしつこく終わらない問答に向けられていた。向いているだけで誰も何もしない。談笑すらも、窓や扉の向こうに追いやられていた。
気にするな。この数時間で言い飽きてしまった言葉を赤木夕貴に繰り返した。気にするな。
しかし全く赤木夕貴のハの字になった眉は直らない。おずおずと俺に軽くなった箱を返してからもうずっと直っていなかった。はあ、と俺は息を吐いた。
「気にするなら自分の鼻気にしろよ。真っ赤じゃん」
しばらく、赤木夕貴は中途半端に口を開けた。そして慌ててかみすぎて真っ赤になった鼻を隠す。
小さな手で赤い鼻は隠れたが今度は頬やら耳やらが、元の新雪のような白さも見る影も無い程無く赤くなっていた。
と、
「くしゅっ」
赤木夕貴がくしゃみをした。かなり大きく、水っぽいやつだった。
教室の中の時間が止まる。 特に赤木夕貴はくしゃみをしたままの大げさな態勢のまま固まっていた。
誰かが動くのを俺はたっぷり3分待ってみたが誰も動かなかった。
使えよ。と俺は赤木夕貴の目の前にティッシュ箱を差し出す。
食べ頃のリンゴ程に顔を赤くした赤木夕貴は首だけ動かして俺とティッシュ箱を交互に見た。花粉症のおかげで真っ赤になっていた目がゆらゆら光っていた。
「のっ残り少ないんでしょ、いいよ!」
声は裏返っていた。鼻を押さえたまま赤木夕貴は意地を張って、鞄を引っつかみ教室の外へと向かった。
今更だが赤木夕貴の髪は長い。女子と比べても長い。
勢いよく俺に背を向けた拍子にぱっと広がった細い毛先を一房つまんで、俺は軽く引っ張った。
何気なく触った指先からは想像もしなかった柔らかな感触が脳にドンと届いた。
自分から触っておいて、どきりとした。それまで縁の無い少女の髪の感覚に心臓が跳ね上がった。
なんて、俺がプチ青春している間に赤木夕貴は「痛!?」と高く声を上げてつんのめっていた。
目を白黒させながら、片手で鼻を押さえ片手で頭を押さえて赤木夕貴は振り返る。
今だ鼻を隠しているのはなかなかに我の強さが窺えて、赤木夕貴のこじんまりした風貌からなよなよした性格を連想していた俺には新鮮だった。
「なに? なになに?」
困惑している赤木夕貴の鼻を隠している手を、俺はひょいとどかした。
どこかの童謡のトナカイのように赤くなっている赤木夕貴の鼻からは透明なものが流れていた。
俺はティッシュ箱から残ったティッシュを全部取って、1枚で鼻を拭く。残りは2枚。
鼻を押さえていた手も汚れていたのでもう1枚消費して拭いた。あらかた綺麗になったところで最後の1枚で仕上げに拭く。全部使い果たしたところでゴミ箱に捨てた。
清掃直後のゴミ箱へ汚れたティッシュは吸い込まれて消えていった。空になった箱も畳んでゴミ箱へ捨てる。
その間、ぽかんと赤木夕貴は俺を見ていた。
「あ、あの。あ……ありがと……う?」
気にするな。最後になればいいなと思いながら俺はそう返して、俺は帰る準備をした。
「曜一くん!」
赤木夕貴が俺の名前を読んだ。初めて赤木夕貴に名前を呼ばれた。
「ありがと。あの一緒に……えと、僕と一緒に帰ってくれて……も、いいですか?」
日本語がおかしかった。
「曜一! やだ! もうやめてええ!!」
メールが届いた次の日の帰り道、つらつらと俺の話す昔話に顔を真っ赤にして赤木夕貴が叫んだ。
赤木夕貴と俺が揃って登下校するのは毎度の事になっていた。多いな赤木夕貴と俺の日課。
「昨日まで曜一忘れてたのに! 忘れてたのに! どうしてそんなに覚えてんの!」
「寝て起きたら全部思い出してた」
「忘れて」
こんなに面白い反応を返すんだったらちゃんと覚えておけばよかったと俺は思う。
学校から徒歩10分で着く俺の家を見た時の赤木夕貴の唖然とした顔を思い出しながら俺は回想を続けた。
「忘れてよ!」
「ここ曜一くんの家だったの?」
俺は適当に返事をした。近所で一番大きくて目立つ家が俺の家だった。近所で有名なでかい家だった。
家に帰るまでの赤木夕貴との10分は、いやに短かった。
赤木夕貴と俺は趣味が合うというよりは波長が合うというのが正しい気がする。
話題を振るのに特別に努力は必要なかったし、話をせずに歩いているだけでも息苦しさを感じる事が無いままゆっくり歩いていた。
もう少し話がしたいと思った。家に誘おうかと思った。が、やめておいた。晃が家にいたら面倒くさい事になるから、やめた。
「じゃあ曜一くん。また明日ね」
赤木夕貴の鼻はまだ赤いままで時折ぐすぐすと鳴っていたが授業中がピークだったのか、今現在の調子はいいようだった。
背筋は真っ直ぐに赤木夕貴が背中を向ける。
背中の中程までの長い髪はつまんで引っ張るのにちょうどいい長さだった。赤木夕貴が体を半回転させた拍子にふわりと広がった髪を、俺はまた引っ張った。
「ひゃっ!?」
教室で見せたのと同じ反応をして、白黒している目で赤木夕貴は俺を見た。
「え、なに? えっ?」
「あのさ、お前って女だよな」
俺の質問にぱちりと一回瞬きをした。
「うん。……うん? え、え?」
正直に答えたところで自分の発言がとんだ爆弾だったと理解した赤木夕貴は、また固まった。
「そっか、よかった。じゃあまた明日な」
よかった。とどうして口から零れたのは俺自身分らなかった。
しかしその時、心の底からほっとした記憶はまだ鮮烈に残っていた。
立ち尽くしている赤木夕貴をそのまま残して俺は家の中に入って、そしてリビングでゆったりしている晃を見つけた。
「おお曜一お帰り」
赤木夕貴を家に上げないのは正解だった。二重の安堵に俺は包まれた。
「んで次の日に遅刻ぎりぎりの時間に学校来たんだよな」
「やめてやめてえ!!」
「右手と右足一緒に出してたよな」
「やあだあ聞きたくない!」
その次の日の赤木夕貴は見るからに挙動不審だった。俺が椅子に座り直す動作にさえ震えていた。
授業中はペンを持つ手が震えて何度もペンを手から零し、休み時間は体を強張らせて机に視線を落としていた。
どうしようも無かったので昼休みに人気の無いところに連れて話をしようとすると、ボロボロと泣き出して誰にも言わないでと懇願された。
「お願い曜一くん誰にも言わないで。僕お姉さんと2人暮らしで、おっ、お金とかは出せないけど、他の事だったらがっ、がんばる……から。だから……」
何をがんばるつもりなのかは俺にはよく理解できない。
誰にも言うつもりは無いから気にするな。そう伝えると、また赤木夕貴はぺたんと崩れ落ちた。
「腰、抜けちゃった」
ぽつりと小さく呟いた。
「……お姉さん、曜一がいじめる。僕いじめられた」
ちょうど家の前に着いたところで俺の回想が終わった。赤木夕貴はたった10分で疲れきっていた。RPG風に言うとHPは残り少なくなっていた。
腹の底から恨めしそうに呻きながら赤木夕貴は俺を睨む。
「じゃあ、また明日な」
面白いものを見た気分で満たされて、そのまま俺は別れようとする。
じとりと俺を見ている赤木夕貴の、その後ろにいる晃を見るまでは本当に気分がよかった。
「お。曜一」
スーパーの買い物袋を片手にぶら下げて晃が現れた。氷が横隔膜に叩きつけられた。
「あ、曜一の友達? こんちは」
「え? こ、こんにちは!」
赤木夕貴の姿を認めた途端に晃の目が妙な輝きを見せた。この子が例の子なんだろ? 目がそう俺に語りかけてきた。
「曜一くんのお兄さんですか? 初めまして赤木夕貴です」
にたにたしながら晃は赤木夕貴を観察する。
「どうも、榎原晃です」
ぞんざいに返して晃は豪快に声を上げて笑った。よく驚く赤木夕貴はまた驚く。
晃の説明を俺がするのは臓腑が捩れる心地がするのだが俺以外に赤木夕貴に教えてやる事が出来る人間はいない。それがいやだ。
「晃は兄貴じゃなくて、姉貴なんだ」
え。と赤木夕貴は晃の胸にまじまじと視線をやる。大笑いをしている晃の胸には膨らみは無いが、俺の言葉が嘘でない事は悟ったらしい。
「ごっごめ、すみません! あの、お姉さんがすごくかっこよかったから」
「あははは、ありがと」
「ほめなくていいって。晃は趣味で男の振りしてんだよ」
ひとしきり晃が笑った後、赤木夕貴は帰った。俺が無理矢理家に上げようとする晃を押さえて帰させた。
「思ってたよりずっとかわいいなあ、夕貴ちゃん」
俺はいいともの客のマネをした。晃は気にした風も無く赤木夕貴の帰った方向を見て呟く。
「でもなんで男の振りしてんだ?」
ぽつりと呟いた言葉で俺は初めて、赤木夕貴が男の振りをする理由を知らない事に気がついた。
赤木夕貴が話した覚えは無い。俺も聞いた覚えは無い。
気にした事すらも、無かった事に気がついた。
「……晃が、言うなよ」
以上でした。
続き近いうちに投下できるようがんばります。夕貴よりはがんばります。
いままでにないタイプ!
イイ!
続き期待してます
ショタ系男性少女と、キリリ系男性少女どちらが人気なんだろう。
ショタ系は普段から可愛がってホモ呼ばわりされつつ愛でたい
キリリ系は素っ気ない振りしつつこっそりエロエロに乱れさたい
>>661 前者は男性人気もそこそこあるけど後者は圧倒的に女性人気の方が高いだろうな
ついててもついてなくても、迷わずショタを選ぶ。
埋め
>>660氏
スレ立て乙です
「お前男なんだろう?」で埋め投下
凌辱風味なんで注意
***
「お前、男なんだろ? 体は割と細い癖に胸の筋肉はあるのな。でも鍛えてないから、ふよふよしてる。
俺が立派になるようマッサージしてやるから感謝しろよ」
両手で円を描くように揉みしだいていると、全体がじわりと汗ばんでくる。
柔らかく沈む指先に白い肌が赤らんで、頭上から押し殺した呼吸が降り続ける。
「離せ……、もう、充分確かめた、だろ」
普段とは全く違う懇願する小さな声に、掌の下で尖ってきた突起を荒々しく擦りつけると、
仰け反って反応した。
「いやぁんっ! ……あっ!」
「大きい声を出すと人が来るって言ったろ、男が男の胸揉んでるなんて変態じゃないか」
「……だから、止め、ろ、早く、今すぐ離れろぉ……っ、変態っ」
「あいにく俺は変態だから止めない。……へー、男でも随分乳首って立つんだなぁ。
硬く伸びてきた。チンコじゃねえっつーの。面白ぇー」
指先で弄るたびに何も身につけていない上半身が跳ねて、切れ切れに吐息が上がる。
目元に涙を溜めて悔しそうに視線を送ってくる。
「これ以上、触るな……ぁっ、あ、……んふぅ、はぁ、」
「男なのにそんな色っぽい声が出るんだ。すげぇエロいな、エロ好きな顔してる」
「違うっ! そんな顔、していないっ! 気持ち、良く、なんて、っ」
吸ってくれと言わんばかりにコリコリになった乳首をくわえてみる。
「あ、あっ、っ!」
「吼えるなよ。懲りない奴だな……」
びくんと一際動いて喘ぐ前に右手で口を塞いでやる。
舌先で嬲りあげ甘噛みし存分に吸い上げて、左右とも可愛がった跡がてらてらと光る頃には、
もう声を抑える必要はなかった。
ただ泣きそうなか細い喘ぎが断続的に耳に届く。まあ、このくらいなら外に漏れても実際に泣いてるだけと思われるだろう。
胸に頭を埋める俺を見たくないのか、顔を逸らして目を伏せているが、上気した頬や火照ってきた体は隠せない。
やらしー奴だ。
ちょっと胸を触って終わるつもりだったが、もどかしそうに腰を動かして誘ってやがる。
そもそも俺が女だろ? と言っても、断固として認めようとしなかったくせに。
『僕は男だ。何度言ったら分かる』
『なら服脱いで見せてみろよ。上だけなら別に恥ずかしくないだろ。男同士だしな。
…………出来ないのか? ああ、やあっぱり女なんだ。皆にメールすっか』
『待て。……見たら、納得するのか』
『カ、ク、ニ、ン、したらな。脱いだら何も言わない』
『…………』
そうして奴はのろのろとストリップを始めた。
風紀委員でちょっと頭がよくて顔がいいからって、いつも偉そうに怒鳴りつけて気にくわなかったんだ。
女だって弱みを握った時は小躍りした。他の奴にバラさなかっただけ有り難いと思え。
気の強い、人を見下した釣り目が潤んで、唇を噛みしめつつ最後の砦のサラシを解き終わるのを、
にやつきそうになるのをこらえて見つめた。
なおも腕で隠そうとする往生際の悪さに、サラシで手首を巻いて、ついでに椅子の背にくくり付けてやった。
『何をする!』
『ちゃんと見せろよ。確かめられないだろ、ほら。オ、ト、コ、だって』
無防備に目の前に晒された奴の胸は、思ったより育ちがいい。もちろん乳首はピンク色だ。
『いやあ! 触るな、手をほどけ!』
『そんな大声で自分から他人を呼ぶ真似をするのか? 俺は誰にも言わないっつってんのに、台無し。
見た目だけじゃ分かんないだろうが。「男」だと証明したいんだろ』
『…………確かめたら放せ』
『もちろん。男に二言はないね』
ぎりっと歯ぎしりをしながら睨み付ける瞳を見据えながら、ふるふると揺れる乳房に指を這わせた。
「約束、だ。放して……、くれ」
食いしばっていた口の端から赤いものがにじんでいる。言葉とは裏腹に血と唾液に濡れた唇がいやらしい。
こんなとこで終わるかよ。
「まだ下を確かめてない。それにお前、男のくせに胸揉んだくらいでアンアン喘いでさぁ。
チンコ勃ってんじゃねーの?」
胸を触ってる間にベルトとファスナーはゆるめておいた。一気に下着ごと脱がす。
「嘘つきっ!!いやぁ、誰か助けてぇっ!」
「黙れっつってんだろ」
脱がせたショーツを丸めて口の中に突っ込む。少し指を噛まれて傷が付いたが、まあいい。
自分の汚れた下着をくわえさせられるなんて、奴にとっては相当の屈辱に違いない。
ふんふんと息を荒くして一層目で訴えてくる。いい気味だ。
更に靴下以外は全裸の状態で椅子に座り後ろ手に縛られ、膝を曲げて男にマンコを拡げられている様は、
嫌が応にも劣情をそそる。こっちもたまらなく興奮してくる。
「先走りがドロドロに出てるなぁ。ケツの穴にまでまみれてさあ、すげぇな。
見てるだけなのに沸いて出てくるぜ。マジもんの変態かぁ?」
呻き声が聞こえるが呼応して桜色の割れ目とクリトリスがピクピク動いて、新たな愛液が溢れてくる。
わざと荒々しくぐちゃぐちゃ音がするように弄ってやると、何度か小刻みに痙攣して脱力した。
これだけでイクなんて変態どころじゃない、見事に淫乱だ。普段マジメな顔しやがって。
「おい、男のくせに早すぎるんじゃねぇか。彼女に嫌われるぜ。まぁサイズも小さいしなぁ、
可哀想だから俺が慰めてやるよ。変態の俺でも男のモノを舐めるのは初めてなんだぜ?」
「んん……っ、ふぅ……、ん、んっ!……っ!」
ぷっくりと膨らんだクリトリスを丹念にしつこく舐め上げる。
両手で太股を支えていないと、椅子がぬるぬると滑るうえに絶えず腰が動きまくる。
必然的に顔も押し付ける格好になって、またもや奴はイッてしまった。
「本当に長持ちしねぇなあ。男なんだろ、根性見せろよ」
全身で呼吸しながら、半ば虚ろになった瞳からは涙が流れているが、睨む色は消えない。
それでもかなり情欲に染まっている。
「それともさぁ……、男なのに穴に入れられて悦ぶホンマもんの変態?」
「……っ!!」
一瞬驚きと恐怖に目を見開いた。
「望み通り「男」を確かめさせてやるよ」
奴の肩に手をかけ間近に顔を寄せて互いの瞳を見据えながら、一気に貫いた。
狭くてかなりキツかったが、奴をヤレると思うならどうってことはない。
締め付けられる快感が背筋を伝わってゾクゾクする。たまらねぇ。
すぐ下であのお高い奴が、顔を仰け反らせ体を弓なりにして熱気をほとばしらせながら俺をくわえ込んでいる。
「うぅ、……んっ、ぅ、……んーっ!ん、うっ、うっ、んぅ、っ」
「すげぇ締めてくるぜ。こっそり自分でヤッてたんじゃねぇ? まるでオンナの中みたいに気持ちいい」
嫌々首を振りながらぼろぼろ泣いて痛いんだろうが、お構いなしに何度も激しく打ち付ける。
喉元に奴の熱っぽい息が当たる。下半身はぐちょぐちょとやらしい音にまみれて、俺も奴も別の生き物みたいだ。
さすがに限界近くなってきたんで、止めを刺してやる。
「でも、男だったら中出ししても平気だもんな。安心して出させてもらうわ」
「!!――――っっ!!!」
一番奥にまで突っ込んだところで断続的に締められた。同時に思い切りぶちまける。
絶望に染まった瞳で、射精する動きに合わせてびくびく跳ねる姿に、俺は最高の優越感と達成感に浸った。
「はは、お前さぁ、やっぱり、男だな。女だったら、処女のくせに、あんなに感じまくる訳ないもんな。
初めてであんなによがったら、変態だぜ? 疑って悪かったな」
焦点の合ってない目をしてるんで顎に手を当てて上を向かせ答えてやったが、奴は言い返す力も残っていないのか、
自由になった体からだらしなく汗や汁を垂れ流したまま、椅子から半分崩れるように寄りかかっていた。
が、食いしばった唇の端からまた赤い筋が現れ、かすかに瞳がきらめいた。
面白ぇ。
「風紀委員の名を立てて、明日からはもう遅刻しないようにするからさぁ」
今度は声が出ても平気な所で散々啼かせてやる。退屈な生活が少しはマシになりそうだ。
***
以上です
調教は無理ですた
失礼しました
埋めGJ
GJ
Gj
ひゃっほをををををををを!
gjですよ! 読んでて勃起した!
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埋め立て人マリリン・マンソン
鶯鳴かせたこともある